文教委員会速記録第十六号

平成十三年十一月二十八日(水曜日)
午後一時三分開議
 出席委員 十四名
委員長東ひろたか君
副委員長福島 寿一君
副委員長服部ゆくお君
理事石川 芳昭君
理事遠藤  衛君
理事執印真智子君
後藤 雄一君
野上じゅん子君
小美濃安弘君
野島 善司君
曽根はじめ君
山本賢太郎君
比留間敏夫君
和田 宗春君

 欠席委員 なし

 出席説明員
大学管理本部本部長鎌形 満征君
管理部長二村 保宏君
調整担当部長中山 洋一君
改革推進担当部長佐藤  広君
生活文化局局長高橋 信行君
総務部長幸田 昭一君
男女平等参画担当部長高西 新子君
広報広聴部長浅井 憲彦君
都政情報担当部長村松  満君
文化振興部長三好 勝則君
都民協働部長中島 建夫君
交通安全対策担当部長宇波 興宣君
私学部長谷川 健次君
消費生活部長中澤 正明君
参事島田幸太郎君
教育庁教育長横山 洋吉君
次長押切 重洋君
理事小田原 榮君
総務部長小海 博指君
学務部長比留間英人君
施設部長松田 紀子君
人事部長中村 正彦君
福利厚生部長小島 郁夫君
指導部長斎藤 尚也君
生涯学習部長嶋津 隆文君
体育部長桜井 武男君
人権・企画担当部長石川  武君
都立高校改革推進担当部長山際 成一君
局務担当部長千葉 和廣君
参事近藤 精一君

本日の会議に付した事件
 生活文化局関係
  請願陳情の審査
  (1)一三第一五六号の一 女性に対する暴力の根絶に関する請願
  (2)一三第六五号 東京都平和祈念館(仮称)建設促進に関する陳情
 大学管理本部関係
  第四回定例会提出予定案件について(説明)
  ・東京都立保健科学大学条例の一部を改正する条例
  報告事項(説明)
  ・東京都大学改革大綱について
  請願の審査
  (1)一三第一四九号 都立大学における昼夜開講制度(A・B類制度)の存続に関する請願
 教育庁関係
  第四回定例会提出予定案件について(説明)
  ・東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
  ・学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
  ・学校職員の給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
  報告事項(説明)
  ・主任制度に関する中間のまとめについて
  請願陳情の審査
  (1)一三第一三五号 病弱養護学校高等部の設置に関する請願
  (2)一三第一四一号 義務教育費国庫負担法の改正反対に関する請願
  (3)一三第六三号 学校事務職員・栄養職員の定数改善等に関する陳情
  (4)一三第一四七号 都立小石川工業高等学校にかかわる統廃合改編計画の見直しに関する請願
  (5)一三第一五九号の二 有機食品等の都立病院や学校の給食への使用促進に関する請願
  (6)一三第七五号 中学校社会科歴史・公民教科書採択経緯の実態調査に関する陳情
  (7)一三第七六号 平成十三年度小中学校教科書採択業務に関する陳情

○東委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 初めに、本委員会の会期中の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、大学管理本部及び教育庁関係の第四回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取、大学管理本部及び教育庁関係の報告事項の聴取並びに所管三局関係の請願陳情の審査を行います。
 なお、提出予定案件及び報告事項につきましては、本日は説明を聴取し、資料要求を行うにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いますので、ご了承願います。
 これより生活文化局関係に入ります。
 請願陳情の審査を行います。
 初めに、一三第一五六号の一、女性に対する暴力の根絶に関する請願を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○高西男女平等参画担当部長 一三第一五六号の一、女性に対する暴力の根絶に関する請願についてご説明申し上げます。
 本請願は、文京区の、被害者のためのDV防止法を求める全国連絡会代表戒能民江さんから提出されたものでございます。
 請願の要旨につきましては、お手元に配布してございます説明表一ページに記載しておりますように、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の施行に当たり、被害者への支援及びドメスチックバイオレンス防止のために、都としての体制の整備や関係機関等との連携の促進、さらに職務関係者への研修や都民への普及啓発等の実施を求めるものでございます。
 次に、現在の状況でございますが、DV防止法が定める配偶者暴力相談支援センターにつきまして、都においては、都民の利便性と被害者の安全を確保するという観点から、東京ウィメンズプラザと女性相談センターが連携し、役割分担を行うことによって、機能の整備を進めていくこととしております。
 この配偶者暴力相談支援センターにおいて、被害者への助言、情報提供等必要な援助を行ってまいりますが、被害者が自立し、安定した生活を送る上では、地域の福祉事務所等の役割が重要であることから、これら関係機関との連携を図りながら被害者支援を進めてまいりたいと考えております。
 これまでも、家庭等における暴力問題対策連絡会議において、関係機関相互の連携の促進に努めてきたところでございますが、今後、さらに被害者支援にかかわる関係機関や民間団体との現場レベルでの連絡会議を開催するなど、相互の連携協力関係の構築に努めてまいります。
 また、職務関係者への研修会、都民への普及啓発や情報提供についても、ウィメンズプラザを中心に実施してまいる予定でございます。
 さらに、法の見直しについてでございますが、都といたしましても、関係機関等との情報交換を行って実態把握に努め、改善が必要な事項については、国に提案要求を行ってまいりたいと考えております。
 簡単ではございますが、以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審査のほどお願い申し上げます。

○東委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○野上委員 では、ドメスチックバイオレンス防止対策についてお伺いしたいと思います。
 私どものところにも、夫からの暴力の被害の相談がございます。身体的な暴力に対しては、体にあざが残ったり、証拠がはっきりしておりまして、素早く処理もできるのですけれども、精神的な、言葉による暴力に傷ついている人もかなり多く見受けられます。
 家庭という密室の中で起きる暴力でありますので、第三者の判断が大変難しい面も確かにあります。しかし、私の経験では、お子さんがいらっしゃる家庭では、夫から妻へのドメスチックバイオレンス、暴力と、子どもへの虐待、この二つをなかなか切り離して考えることは難しいのではないかと考えております。
 また、欧米では、子どもが虐待されている家庭では、半数に近い母親がドメスチックバイオレンスの被害者であるという、そういう統計結果も出ております。また、母親への暴力を日常的に目撃している子どもの心と体に深刻な影響があらわれて、これがトラウマになるということもわかってきております。
 しかし、日本では、本格的な実態調査というのはなかなか行われていません。こうした状況の中で、去る十月十三日にDV防止法一部施行がなされたことは、私は、これまでの日本の経緯に関しては画期的なことであると認識をしております。
 生活文化局では、二日間にわたって、ドメスチックバイオレンス、DV総合相談を実施されたとお聞きしておりますけれども、この総合相談には、最終的にはどれぐらいの数の相談が寄せられ、そのうちドメスチックバイオレンスに関する相談がどれぐらいあったのか、実施結果についてお伺いいたしたいと思います。

○高西男女平等参画担当部長 東京ウィメンズプラザにおきましては、DV防止法の一部施行に当たり、十月十二、十三の二日間、関係機関や弁護士、精神科医の協力を得て、電話によるドメスチックバイオレンス総合相談を実施いたしました。
 その結果でございますが、全体で百九十三件の相談がございましたが、そのうち直接ドメスチックバイオレンスに関する相談は、離婚、別居や心理的ケアを求める具体的なものから、あるいは一般的な情報収集を目的とするものまで、その内容はさまざまでございましたが、百二十一件の相談が寄せられてございます。

○野上委員 この二日間にわたってのDV総合相談というのは、私も見ましたけれども、テレビや新聞など、大変幅広くマスコミに取り上げられておりました。被害者への情報提供はもちろんのことですけれども、都民への普及啓発に、今後さらに力を注いでいく必要があると考えますけれども、この点につきまして、今後どのように実施していくお考えなのか、お伺いしたいと思います。

○高西男女平等参画担当部長 ドメスチックバイオレンスに関する普及啓発ということでございますが、ドメスチックバイオレンスを防止し、被害者への支援を進めるためには、暴力が人権を侵害し、個人の尊厳を損なうものであるという社会的認識が広く形成されていくことが大変重要であると考えております。
 このため、これまでも都におきましては、パンフレットをつくったり、あるいは都の広報誌を発行したり、あるいは講演会、シンポジウムを開催するなど、都民への普及啓発に努めてまいりました。今後も、さまざまな広報誌、あるいは現在ウィメンズプラザで啓発用のビデオをつくっておりますが、そういうビデオ、あるいは公開講座、さらには積極的なパブリシティー等さまざまな媒体を通じまして、幅広く都民への普及啓発を図っていく予定でございます。

○野上委員 中には、女性から男性への暴力は取り上げてくれないのかという声も上がっておりました。このドメスチックバイオレンスというのは、もともとは家庭内暴力という、訳せばそうですけれども、今まで家庭内暴力といえば、子どもから親への暴力が家庭内暴力というふうに日常的に定着しておりましたので、これはあくまでも男性から、個人的な関係にある弱者としての女性に向けられた暴力をDVというふうにとらえております。
 でも、アメリカの最前線のDVの活動状況を調べてみますと、これは表面上密接な人間関係において、一方のパートナーが継続して他方をコントロールするパターンというふうにありました--訳は多分合っていると思うんですけれども。主として、男性から女性への支配というのが大多数なんですけれども、女性から男性へのケースもありますし、また、同性愛のカップルにおいてはそれが起こるということで、日本のDVにおいても定義が変わってくるかもしれません。
 今まで、個人の問題であるとか家庭の問題であるとかといって温存してきた問題を、ただ単に個人的な問題だからと片づけるのではなく、このドメスチックバイオレンスを放置しない、こういった地域づくりにも取り組んでいかなければならないと私は思っております。
 最後に、今後ともさまざまな形で積極的に普及啓発を進めていただきたいと思います。多くの都民の方々の理解と協力によって、ドメスチックバイオレンスの防止と被害者への支援が前進することを期待して、私の発言を終わらせていただきます。
 以上です。

○和田委員 この請願なのですが、八項目あります。この種の家庭内暴力に関しては、おおむね被害を受けたのでどうするかという、児童虐待も含め、女性の側、あるいは少数の男性の被害をどうするかという話であります。そのいろいろな要請や要求が、この願意に込められておりますけれども、私は視点を変えて少し質問したいと思うんです。
 家庭内暴力というと、ともすると男性が多いといわれておりますが、なぜ男性がそうなるのか、起こしてしまった男性の側の立場に立ってそれをいやしていく、ヒーリングしていくというような手法は、当局はどのように考えているんでしょうか。

○高西男女平等参画担当部長 加害者といいますか、男性とは限らないわけですけれども、加害者に対する対応についてということでございますが、DV対策につきましては、今のところは、まず何よりも被害者の保護とか自立支援が喫緊な課題であると考えております。また、あわせて、その防止への普及啓発が重要な課題だと考えております。
 お話の加害者への対応についてでございますが、その必要性はあるというふうに認識しておりますが、日本におきましては、加害者に関する実態の把握あるいは研究などの具体的な取り組みが、非常にまだ数が少ないという現状にございます。
 東京都におきましては、ことしの六月から、ウィメンズプラザにおきまして、電話による男性のための悩み相談というものを始めたところでございまして、さまざまな悩みが寄せられておりますけれども、こういう取り組みを積み重ねる中から、今後の対応の可能性について検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。

○和田委員 川に例えると、川上と川下というのがあると思うんですが、川上の方で水が汚れると、当然、川下の方ではよどんだ水を飲まなきゃならない、生活上使わなきゃならないという理屈になるわけです。
 私も、犯罪被害者の会に多少かかわりを持っておりますが、被害者の側の方の対策ももちろん大事です。東京都でも予算を組んでもらっておりますが、しかし、加害者の側のいろいろな事情、あるいは精神的、肉体的ないろいろな、持っていらっしゃる過去のトラウマのようなもの、そこのところを究明していかない限り、川下の方で幾らどうしようか、どうしようか、被害をどうしようかといっても、全くそれは解決にはならないと思うんです。
 したがって、十三年六月から、ウィメンズプラザで電話相談をされているということでありますが、そのことにとどまらず、また、家庭内暴力の、今巷間いわれている対策が、ともすると被害の側の方をどうするかというふうに偏っているように私は思うので、そこのところをバランスある、均衡ある対策として立ち上げていく必要があると思うんですが、もう一回ご答弁をお願いいたしたいと思います。

○高西男女平等参画担当部長 加害者への対策につきましては、和田委員のおっしゃるとおり、これからはやっていかなければならないというふうに認識しておりますけれども、具体的に何をどうするのかというところが、基礎的な実態調査からまず始めていかなければならないのではないかというふうに認識しておりますが、この実態調査そのものが非常に難しいという現状にありまして、それをどういうアプローチでやっていくのかということは、民間の研究者の方々、あるいは民間でさまざまな活動をなさっている方、あるいは東京都の相談機関等、その辺の連携協力をもって、これからどういうふうな対策が有効であるか、あるいは可能であるかということを考えてまいりたいというふうに思っております。
 巷間、その原因につきましては、非常に、一般的にストレス等々ということもあれば、あるいはさまざまな中毒症状を起こしているがゆえになる方もいれば、その原因もさまざまでありますし、これは被害者からの聞き取り調査によるわけですけれども、必ずしも一部の偏った人格の方だけではなくて、外では普通に仕事をなさっている方でも、家庭においてはそういうひどい暴力を振るう人もいるということで、まさにそのパターン等もさまざまであろうかと思います。
 現在のところ、そういう実態調査が十分ではございませんので、その実態調査そのものが非常に難しいというところも踏まえまして、どのようにしていくか、検討させていただきたいと考えております。

○和田委員 要するに、現象面であらわれてくる以前の原因のところをしっかり押さえてほしいというのが、私の今の発言です。結果を、このような形で、請願という形で出さざるを得ないような状態というのは大変悲しむべきことでありまして、これが出てきたら、これをきっかけに、このような請願が出されないような体制をぜひ組んでいただきたいし、ともすると男性の側が加害者だと思われている実態が、いや、女性の方にもあるぞという場面が出てくるかもしれません。
 したがって、加害者における心理や生理や、その種の解析、分析をしっかりしていただくように、当局の熱意を、これはどなたにお聞きしたらいいんだろうか--局長の決意をお伺いいたします。

○高橋生活文化局長 なかなか家庭の事情とか、いろいろな事情で難しい問題があって、被害者の方の問題も、法の施行とか、あるいはいろんな調査によって、少しずつ明らかになっていますけれども、加害者の方は、多分自覚症状がないからこそ、こういうことが起きるのだと思います。
 そういう意味で、加害者の方の悩み相談というのを、先ほど来部長が答えておりますが、ウィメンズで精神科医の方が相談に当たるというようなことも行おうとしておりますし、そういう意味で、加害者の心理なり実態等も、先ほど来……

○和田委員 そこが大事なんです。

○高橋生活文化局長 ええ、そこら辺についても、これから十分検討していきたいと考えております。

○執印委員 よろしくお願いします。
 やっとここで、家庭内の暴力に対する対応がされるということになってきたわけなんですけれども、私、一度、市民運動の方の学習会に伺いましたときに、これまで年間百五十人くらいの女性の方が男性の暴力によって死んでいると。つまり、二日か三日に一人は、そういったことで命を落としているというような報告がありました。
 また、家庭内暴力に耐えきれなくなって、女性が男性を殺す場合には、必ず有罪になると。それはなぜかというと、殺されるかもしれないから、必ず相手を殺すしかないというふうに考えるので、殺意があったということで有罪になっていく、そういうような厳しい状況--男性の暴力が多いと思いますけれども、そういう厳しい状況が報告されておりました。
 その中で、最初にいいましたように、こういう対策が立てられていくということについては、遅過ぎたかもしれませんけれども、第一歩として評価していきたいというふうに思いますが、国では法律ができたわけですが、東京都のドメスチックバイオレンス対策の基本、よりどころとなるものは何なのか、これをお尋ねしたいと思います。
 以前、東京都でも実態調査をされているというふうに聞いておりますけれども、あわせてお答えいただきたいと思います。

○高西男女平等参画担当部長 東京都は、平成九年度に、全国で初めて女性に対する暴力の調査を実施いたしました。ここで非常に深刻な実態が明らかになりましたことを受けて、関係機関連絡会議を設置し、DV被害者について、相談、一時保護、自立支援などについて積極的に対応してまいりました。
 また、平成十二年四月に施行されました東京都男女平等参画基本条例の第十四条第三項におきまして、家庭内において、配偶者等に対する身体的、または精神的な苦痛を著しく与える暴力的行為は、これを行ってはならないと規定しまして、これを禁止したところでございます。
 さらに、このたびのDV防止法の制定により、配偶者暴力相談支援センターの機能を整備することとなりましたわけで、平成十四年四月の開設に向けて、現在、関係局と調整しながら、準備を進めているところでございます。
 それから、先ほどの調査結果についてでございますが、殴る、ける等の暴力を何度も受けた女性は約三%、それから、立ち上がれなくなるまでひどい暴力を何度も受けた女性は一%というふうになっております。

○執印委員 かなり厳しい状況の結果が出たんだというふうに思いますが、立ち上がれなくなるまで殴られたというのが一%、何度かということが三%、まあ四%ぐらいの方は、かなり恐怖の中で日々を送っているということだと思います。
 東京都の人口が千二百万人ですから、大体半分が女性と考えて六百万人、二十歳以上として考えて計算をしていくと、簡単にここで数字をいうことはできないと思いますけれども、かなりの女性が日常的に恐怖を覚えながら家庭生活を送っているということがいえるというふうに思います。
 今、この請願の中でもありますけれども、シェルターについては福祉局が担当する、相談については生活文化局というふうになっておりますけれども、その経過と、それから、こういった被害に遭われている方に対して、最終的に責任をとっていく局というと、いい方がちょっと厳しいかもしれませんが、ドメスチックバイオレンスに対して、最終的に取りまとめをし、それぞれ必要な局、または部、課にいろんな話をしながら、対策を進めていくのはどこなのかということをお尋ねしたいと思います。

○高西男女平等参画担当部長 DV防止法に定める配偶者暴力相談支援センターについてでございますが、東京都におきましては、ウィメンズプラザと女性相談センターとが連携協力して機能を整備していくということにしております。
 東京ウィメンズプラザでは、保護命令への対応も含めて、相談、情報提供などを行う総合相談窓口として整備し、広く都民に周知を図ってまいります。
 一方、一時保護につきましては、被害者の安全を図るという観点から、総合相談窓口とは別に、東京都女性相談センターにおいて機能を果たしていくということにしたものでございます。都民の利便性と被害者の安全を確保するという観点から、こうした機能整備のあり方が最も適切と判断したことでございます。
 次に、所管についてでございますが、生活文化局と福祉局が、それぞれ担当する具体的な業務については責任を持って実施していくというのは当然でございますが、生活文化局におきましては、男女平等参画施策の一環として、責任を持って総合調整を行ってまいります。

○執印委員 被害に遭われて逃げる方、それから相談するところが、例えばぶつからないように、今のお話だと、被害者と加害者が一緒になることがないように、今のような体制をとったということで、それは理解できるところなんですけれども、ただ、シェルターに入られた方の本当に厳しい実態がうまく伝わるような形で、総合調整をぜひしていただきたいというふうに思っております。
 先ほども和田委員から質問もありましたので、私も加害者の立ち直りプログラムについてお聞きしたいというふうに思っているんですが、そういう市民運動などをされている方は、加害者になる男はほっておけと。それは私がいっているんじゃないのであえていわせていただきますが、そういう男は野たれ死ねばいいというふうにおっしゃるわけなんですけれども、しかし、それは市民運動の方がおっしゃっているので、私はそうは考えていないので質問しているわけなんですが、やっぱりいろんなことがあって、もしかしたらその方も、家庭内暴力を見ながら育った子どもだったのかもしれないし、そういうことについて、やはりきちんと、先ほどはこれから検討するということでお話があったわけですが、早急に進めていただきたいということが一つありますので、ご決意を伺いたいということと、それから、先ほど局長から、男の悩み相談というのをウィメンズプラザで行われているということだったのですが、それこそこれは、そこの場所で、同時に加害者と被害者が相談に来るということが起こり得ないとも限らないので、これはちょっと検討された方がいいんじゃないかなというふうに、今のやりとりの中で思いましたので、その辺のお考えをお伺いしたいと思います。
 それから、男の悩み相談という、この悩みというのはちょっと--こんなくくりでいいのかどうか、随分甘いとらえ方だなというふうに思いますので、これは感想として述べさせていただきます。
 立ち直りプログラムについてお答えください。

○高西男女平等参画担当部長 加害者対応につきましては、先ほどお答えしたとおりなのではございますけれども、先ほど来お話が出ておりますように、ドメスチックバイオレンスと、あるいは児童虐待等々につきましては、連関しているといいましょうか、世代連鎖をしているとか、あるいは同じ家庭の中で、ドメスチックバイオレンスとその虐待が同時に行われているとか(「一概にはいえないよ」と呼ぶ者あり)そうですね、一概にはいえませんけれども、そういうケースも間々あるのではないかというのが、相談を受けている方の実感といいましょうか、そういう事例が結構あることも事実でございます。
 ただ、今、一概にいえないというお話もありましたように、まさにそうでございまして、その辺の実態等々が必ずしもつまびらかではございません。ただ、そういうことにつきましては、非常に難しい調査ではございますけれども、何らかの工夫をして実態を把握してまいりたいというふうに考えております。
 それから、男性のための悩み相談というものをウィメンズプラザでやるのは不適切ではないかというお話でございますけれども、これは電話による相談でございまして、ウィメンズプラザの事業としてやっているということで、現在は電話でございますので、場所もウィメンズプラザでございますが、これが発展してといういい方も変かもしれませんが、もう少し歩を進めまして、面接相談等につなげられることができれば、その際には場所等の設定については配慮をする必要があろうかというふうに考えております。

○執印委員 ありがとうございました。ぜひいろんな意味で配慮をしながら進めていただきたいというふうに思います。
 先ほど、ドメスチックバイオレンスについて、最終的に責任を持って進めていくのは生活文化局だということでお話がありましたので、ちょっと重なる部分はありますが、私も質問させていただきますけれども、要するに、子どもへの対策というものが、これからすごく必要になっていくというふうに思うんですね。
 ですから、傷ついた子どもへのケアをどういうふうにしていくのかということが、これからどんなふうに進められていくのか。例えば、シェルターに親と一緒に逃げ込んできて、そこで暮らしている子どももあるでしょうし、もしくはそこまでいかないんだけれども、おびえながら暮らしている子どもというのもいるかもしれませんし、いろんなケースがあるので難しいと思うんですけれども、どのような話し合いを、これから関係局としていくのかお尋ねしたいと思います。

○高西男女平等参画担当部長 ドメスチックバイオレンスのある家庭の子どもへの対応ということでございますが、そういう家庭では、両親のそういう姿を見て、子どもも大変傷ついているというふうに思います。また、もし被害者とともに家を出るということになりますと、その子どもの生活もまさに一変するということになるわけで、こうした子どもたちには精神面、それから生活面で丁寧なケアが必要であろうかというふうに考えております。
 一番の解決は、やはり親自身が自立していくということになろうかと思いますので、早く安定した生活ができるように、親の方の自立支援、それから親の精神的なケアを最重点に置いてやるとともに、子どものケアにつきましては、学校あるいは児童相談所等と連携してフォローしてまいりたいと考えております。

○執印委員 それから、加害者の立ち直りプログラムにつながるところなのかもしれませんけれども、子どもの時代から、人権教育とか男女平等の教育というものがどうしても必要になってくると思うんですね。
 例えば、自分の家庭でそういうことがあったとしても、学校の中で人権教育を受けることによって、いけないことなんだというふうに感じながら育っていく子どももあるでしょうし、またはそのことがきっかけで、子どもの側が抱えている悩みをだれかに相談できる、そういうようなことにもなっていくかもしれませんし、同時並行的に、教育の部分でも、こういったドメスチックバイオレンス対策ということで、学校の中でやるということはなかなか難しいと思いますが、人権教育の中に盛り込んでいくということを進めていく必要があるというふうに思うんです。
 男女平等基本条例、また基本計画の中では、教育委員会が男女平等教育を進めるという部分ももちろん入っておりますので、少しこういったことも頭に入れながら連携を進めていっていただきたいわけですが、そのあたりはいかがでしょうか。

○高西男女平等参画担当部長 教育の問題でございますが、特に学校教育は、男女平等参画社会を実現するための基礎を築くものでございます。執印理事がおっしゃるとおり、男女平等を推進し、性別にかかわりなく個人を尊重する男女平等の意識を持った児童生徒を育成するということは非常に重要なことと考えております。
 幅広くいえば人権教育ということでございますが、特に学校での男女平等教育を推進していくためには、男女平等推進校というものを指定しておりましたり、あるいは学校経営において男女平等の観点を取り入れるというふうなこともやっておりまして、都の教育委員会とも連携して、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

○執印委員 それでは、この請願のところに、三年後の見直しに向けて、東京都としても法の施行状況の適切な把握に努め、国に対し法及び関連諸法の見直しについて提言することというふうになっているわけですが、実態把握がすごく大事だというふうに思うんですね。もしかしたら、その中に加害者の側の実態把握というようなものも含まれるのかもしれませんが、実態把握をどのような形で進めていこうとされているのか。もちろんシェルターに来られた方、それから電話相談に電話をされた方というような、そういうような中から実態の把握というのをされていくのかと思うんですが、それを福祉局と生活文化局、それから教育の部分も含めて、うまい形で実態を把握していくということが必要になるかと思うんですけれども、そのあたりを少しお考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。
 また、法そのものについて、東京都として今、もう少しこういう部分が本当は入ればよかったというふうに、もしお考えのところがあればお聞かせいただきたいと思います。

○高西男女平等参画担当部長 法に関しての国への提案要求ということでございますが、東京都は、これまでも国に対しましては、その必要な法制度の検討を含め、総合的なドメスチックバイオレンス対策を進めるよう提案要求を行ってきたところでございます。
 このたびのDV防止法施行を受けまして、平成十四年四月一日から、配偶者暴力相談支援センターを運営していくことになりますので、この運営をする中で、多数の相談を受け付ける、あるいは対応していくということになろうかと思います。そして、この相談を受ける中では、多数の関係機関と連携協力していくことになりますので、そこでの情報交換、公式の連絡会議というものも、現在設置してございますし、さらに来年度は、現場レベルでの関係機関の連絡会議も設置する予定でございます。
 こういう連絡会議あるいはケースごとでの連絡調整、そういう中から、おのずとまた課題等は浮かび上がってこようかというふうに思いますので、そういう中から改善すべき事項があれば、今後も国に対し、必要な提案要求を行っていく考えでございます。
 どのようなことが必要かということは、今後の課題とさせていただきたいというふうに考えております。

○執印委員 ありがとうございました。ぜひ、まだまだ始まったところですから、例えば、実際にシェルターを運営されている民間団体の方から伺いますと、シェルターが少な過ぎるとか、いろんな問題点を聞いているわけですけれども、ぜひいろんなパターンに対応できるように、そして一番最初、冒頭にお話ししましたように、こういった家庭内暴力で命を落とすということがないような社会をつくり上げるために、生活文化局にいろいろ目配りしていただいて--いろいろ私も都議会で話をさせていただくと、男女平等ということをいろいろ進めていらっしゃるんだけれども、ちょっと所管が違うと意識がまだまだなんだなというふうに実感をすることが間々あるものですから、ぜひ最終的にきちんとチェックをしていく局として、これからも進めていただきたいというふうに思います。

○東委員長 ほかにありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
  本件は、趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 異議なしと認めます。よって、請願一三第一五六号の一は趣旨採択と決定いたしました。

○東委員長 次に、一三第六五号、東京都平和祈念館(仮称)建設促進に関する陳情を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○三好文化振興部長  一三第六五号、東京都平和祈念館(仮称)建設促進に関する陳情についてご説明申し上げます。
 本陳情は、千代田区の東京都平和祈念館(仮称)建設をすすめる会代表高岡岑郷さん外八名の方々から提出されたものでございます。
 陳情の要旨は、東京都平和祈念館の建設を促進していただきたいということでございます。
 次に、現在の状況でございます。東京都平和祈念館につきましては、平成十一年第一回都議会定例会におきまして、次のような付帯決議が付されております。
 平和祈念館については、次の事項に配慮すること、一、平和祈念館の建設に当たっては、都の厳しい財政状況と従来の経過を十分に踏まえ、展示内容のうち、いまだ議論の不十分な事実については、今後、さらに検討を加え、都議会の合意を得た上で実施すること、二、東京空襲犠牲者追悼碑の早期建立に取り組むこと、三、東京空襲犠牲者名簿の収集作成を平成十一年度の早期に開始することとなっております。
 これを受けて、平成十二年度には、東京空襲犠牲者追悼碑の建立及び東京空襲犠牲者名簿の作成をいたしております。
 東京都平和祈念館の建設につきましては、都議会の付帯決議の趣旨を尊重するとともに、平成十一年七月に策定された東京都財政再建推進プランに基づき、適切に対応してまいります。
 その他詳細につきましては、お手元の資料をご参照いただきたいと存じます。
 以上簡単ではございますが、説明とさせていただきます。よろしくご審査お願い申し上げます。

○東委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○曽根委員 一言意見を述べさせていただきます。
 陳情の趣旨にもありますように、二十一世紀に入って、戦争のない世紀、平和の世紀を求めるのは、だれしも共通の思いだと思いますし、また、今日、アフガンで起きている事態などを見ましても、一日も早く東京都としても、都民の総意として平和を願うという意思を明確にする、その施設としての建設が急がれていると思います。同時に、平成七年、九五年三月十日の東京都民平和アピールの趣旨を踏まえたものにすることは当然です。
 ことし三月に、私たちも参加しまして、その中で、特に大空襲の犠牲者の名簿の収蔵施設とモニュメントがつくられた。これは大いに歓迎すべきことですが、やはり残された資料の収集、これが散逸しないうちに、一日も早く収集をし、そして後世に残していくというためにも、祈念館の建設は急ぐべきだということで、大いに私たちもこれから議論を都議会の場でしていきたいというふうに思います。
 以上です。

○東委員長 ほかに……。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、保留とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 異議なしと認めます。よって、陳情一三第六五号は保留と決定いたしました。
 請願陳情の審査を終わります。
 以上で生活文化局関係を終わります。

○東委員長 これより大学管理本部関係に入ります。
 初めに、第四回定例会に提出を予定されております案件について理事者の説明を求めます。

○鎌形大学管理本部長 平成十三年第四回定例会に提出を予定しております大学管理本部関係の案件につきましてご説明申し上げます。
 今回、提出を予定しております案件は、東京都立保健科学大学条例の一部を改正する条例案一件でございます。
 この条例案は、都立保健科学大学に大学院の修士課程である保健科学研究科を設置するものでございます。この大学院の設置は、後ほどご報告させていただきますが、東京都大学改革大綱の中にも盛り込んでおりますが、都民の保健、医療、福祉を支え、保健医療の臨床や教育、研究の各分野において活躍ができる指導的な人材として高度専門職業人を養成するものでございます。
 なお、詳細につきましては管理部長からご説明申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○二村管理部長 それでは、今定例会に提出を予定しております東京都立保健科学大学条例の一部を改正する条例案の詳細につきましてご説明させていただきます。
 恐れ入りますが、お手元にお配りしてございます資料第2号の平成十三年第四回東京都議会定例会提出予定案件の概要をお開き願いたいと存じます。
 都立保健科学大学に大学院の修士課程を新設する理由は、昨今の医療技術の目覚ましい進歩に伴い、看護婦等保健医療従事者の職務内容も著しく複雑化、高度化しており、医療現場や教育、研究に必要な高度な専門知識、技術を持ち、また、問題発見、解決にすぐれた能力を有する指導的人材を養成するためでございます。
 大学院は、平成十四年四月に、修士課程として、保健科学研究科のもとに、看護学専攻、理学療法学専攻、作業療法学専攻及び放射線学専攻の四専攻を設置するものでございます。
 また、新たに大学院を設置することに伴い、大学院の入学考査料を、既に大学院を設置しております都立大学や都立科学技術大学と同額の三万円でご提案申し上げるものでございます。
 なお、入学料、授業料につきましては、既定の条文で対応するものでございます。
 この条例案は、東京都規則で定める日から施行を予定しております。
 以上で大学管理本部が平成十三年第四回都議会定例会に提出を予定しております改正条例案件の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○東委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。

○東委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○二村管理部長 「東京都大学改革大綱-二十一世紀を切り拓く都立の大学をめざして-」を策定いたしましたので、ご説明させていただきます。
 お手元に資料第3号で概要版を、資料第4号で大綱本文をお配りしてございますが、資料第3号の概要版に従いましてご説明申し上げます。
 まず、一ページをごらん願います。この大綱は、都立の大学が社会の要請や都民の期待にこたえ、その存在意義を改めて明確にするための改革の具体策と、改革後の大学像を明らかにしたものでございます。
 1の大学改革大綱の位置づけでございます。
 大綱では、都立の四大学について、本年二月に策定した東京都大学改革基本方針をもとに、新たな大学の基本構成を示すとともに、教育研究と大学運営の両面から、具体的改革策を明らかにしております。
 次に、2の大学改革大綱のポイントをごらん願います。
 大綱本文で該当する箇所といたしましては、第1部、新たな大学の創造に向けてでございます。
 ここでの趣旨は、都立としての特色を明確に持った大学をつくり上げ、新たな大学のモデルを東京から発信していくというものでございます。
 まず、新たな大学の創造でございますが、平成十七年度をめどに、一つの総合大学として、現在の都立の四大学を再編統合いたします。それに従いまして、従来の学部、大学院に加え、大学院先端科学技術研究科を新設し、新産業の創出等に対応した分野の強化を図ります。
 また、三つの拠点キャンパスのほか、都心キャンパスとして、平成十五年度に都庁舎を活用したビジネススクールの開設を予定しております。
 さらに、教育需要の変化に伴い、短期大学課程及び夜間課程を廃止いたします。
 なお、新たに設置されます大学の名称は、広く都民から公募することを考えております。
 次に、都立としての特色ある大学づくりでございますが、都立高校を初め、都の事業や内外の大学、研究機関などとの多面的な連携を推進します。
 また、東京の次代をリードする人材を育成するため、教育活動を充実するとともに、都市問題の解決や東京の産業活力向上に結びつく教育研究を重点化し、東京に貢献します。
 さらに、都立の大学にふさわしい法人化により、民間の経営感覚を取り入れ、都民から信頼される機動的な大学運営を実現します。
 3の改革の主な内容でございます。
 こちらは、大綱本文では一五ページ以降の第2部、改革への取り組みに記載しております。
 第1部で掲げた新たな大学像を実現していくため、三つの大きな柱を立てまして、それぞれの柱に関連した具体的な改革の取り組み内容をお示ししてございます。
 まず初めの、大学教育を改革するという項目でございます。ここでは、大学への入り口である入学者選抜から、学部教育、大学院教育までの改革の内容を記載いたしております。
 まず、個性や独創性にあふれた学生を受け入れるため、平成十四年度にアドミッションオフィスを設置し、十六年度入学者からゼミナール入試、チャレンジ入試を一部導入、順次これを拡大していくなど、入学者選抜の多様化を図ります。
 二ページに移りまして、入学時の募集単位を大くくりにし、二年次進級時に専攻分野を選択する方式や、柔軟な教育プログラムを提供するコース制など、幅広い進路選択を可能とする多様な履修システムを導入いたします。
 さらに、大学院においては、ビジネススクールや法科大学院など四つのプロフェッショナルスクールを開設し、高度専門職業人を養成していきます。
 次に、大学が社会に貢献するという項目でございます。
 東京都が設置する公立大学として、都立の大学は積極的に社会に貢献していく必要があります。ここでは、企業や都民、都政等に対して、都立の大学がどのように貢献していくのか、その具体的方策を記載してございます。
 まず、現在、科学技術大学があります日野キャンパスに、平成十五年度に産学公連携センターを設置し、大学、産業界、行政の連携を強化することにより、新産業の創出やベンチャーの育成など、東京の産業活力向上に取り組んでまいります。
 また、現在、都立大学にございます都市研究所の政策シンクタンク的機能を拡充し、東京の抱える問題の解決に寄与し、都政との連携を強化いたします。
 さらに、社会人聴講生制度、パートタイム学生制度など、都民の方々に多様な学習機会を提供してまいります。
 三つ目の大学運営を革新するという項目でございますが、こちらは、これまで述べてまいりました改革内容を実現するためには、大学の運営体制を革新し、教育研究を活性化させなければなりませんが、そのため、まず、都立の大学にふさわしい形での法人化を実現するため、国に法制化を求めていきます。
 都が目指す公立大学法人の考え方につきましては、第一に、第三者機関の厳格な評価を初めとした目標評価システムを導入します。第二に、経営と教育研究の役割と責任を明確に区分し、経営責任者である法人の長を知事が選任します。第三に、教育研究部門の責任を負う立場にある学長などの権限を拡大し、リーダーシップを強化するとともに、教授会等の審議事項を見直します。第四に、人事・給与制度について、教員の任期制や公募制を導入するなど、内外の優秀な人材の登用を図ります。第五に、教職員の身分のあり方については、法人化のメリットを最大限に実現する観点から、非公務員型の制度について積極的な検討を行います。
 最後に、4の今後の改革の進め方でございます。今後、この大綱の実現に向けましては、都議会を初め、外部有識者から成る大学運営諮問会議などのご意見をいただきながら、行政が大学とともに取り組んでまいります。
 本年度から、大綱のスケジュールに沿って改革策を着実に実現していきます。さらに、都立の大学が社会の変化に柔軟に対応するため、この大綱の改革内容にとどまることなく、自己変革していく必要があります。この大綱をもとに、首都東京が設置するにふさわしい大学であるよう、改革に不断に取り組んでいきます。
 以上が今回策定いたしました東京都大学改革大綱の概要でございます。よろしくご審議のほどお願いいたします。

○東委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○曽根委員 三点ほどお願いしたいんですが、まず一つは、基本方針が出されてから、知事もちらっと本会議で発言がありましたが、八月を予定していたのが時期的にずれたと。諮問会議その他で、どういう議論があってこの大綱に至ったのか、時期的になぜ何カ月かずれ込んだのか、その辺の経過がわかるものをお願いしたい。
 二つ目に、ここの大綱の冊子の中で、新たな大学をつくるという第3章がありますが、ここに総合大学とか学部・大学院研究科等の構成とかキャンパス展開、その他、主な現状からの変更する部分が書いてありますので、それぞれについて諮問会議でどのような意見があったのか、議論が交わされたのかがわかるような整理された資料をお願いしたい。
 三つ目なんですけれども、全国の自治体の大学で、このような大学の改革、見直しを検討する場がつくられている例があるかどうか、あれば、どのような検討の場がつくられ、いつごろ、どういうふうに検討、実施がされてきているのか、都立大学で出されている大綱と共通したものがあれば、その例も具体的に紹介していただきたい。
 以上です。

○和田委員 二点ほどお願いします。
 平成十五年度に予定されている産学公連携センターがよく話題になっておりますが、他の道府県でこの種の試みをやっている公立があるのかどうか、それからまた、国立大学も含めて、国公立大学でこの種の例が既にあるのかどうかという点が一点、また進行形も含めてご報告ください。
 二点目は、東京都版の公立大学法人というふうにくくっていますけれども、東京都版の公立大学法人というのは、一般用語とすると、一般的な公立大学法人とどう違うのか、あえて東京都版と銘打つところがどこなのか、チャートのような形でお示しいただければと思います。
 以上です。

○東委員長 ほかにありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 ただいま曽根委員、和田委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 異議なしと認めます。理事者におかれては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。

○東委員長 次に、請願の審査を行います。
 一三第一四九号、都立大学における昼夜開講制度(A・B類制度)の存続に関する請願を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○二村管理部長 大学管理本部に関する請願一三第一四九号についてご説明申し上げます。
 本請願は、丹直友さん外九千六百三十九名から提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、都立大学における昼夜開講制度に基づく学部教育を維持発展させていただきたいというものでございます。
 本請願についての現在の状況でございますが、都立大学の昼夜開講は、これまで夜間において勤労学生に教育の機会を提供することなどを目的として実施してきたものでございます。しかし、現在では、就労形態の多様化など、社会経済状況等の変化に伴い、定職を持って働き、夜間でなければ学べないという学生は減少してきております。
 一方で、夜間の大学院などで学びたいという社会人のより高度な学習に対する需要が増大する傾向にあります。
 このような状況を踏まえ、さきに策定いたしました東京都大学改革大綱において、都立の大学の再編統合により設立する新たな大学では、夜間における教育の重点を学部教育から大学院レベルに移し、学部段階には夜間課程を置かないこととしたところでございます。
 また、今後、ビジネススクールなど、大学院を都心で開講するほか、希望する講義だけを受講する科目等履修生制度の活用や、在学年限を限定しない、いわゆるパートタイム学生制度の導入など、新たな形での多様な履修機会の提供に取り組むこととしております。
 以上、簡単でございますが、説明とさせていただきます。よろしくご審議のほどお願いいたします。

○東委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○遠藤委員 ただいま説明を受けましたけれども、何点かについて質問をさせていただきます。
 このたび東京都大学改革大綱によりますと、学部の夜間課程において、定職を持った従来の意味での勤労学生の割合が低下してきているととられております。新たな大学において、学部には夜間課程を置かないということであります。今回の請願は、この夜間課程、いわゆる都立大学B類に関するものであります。
 そこで、最初にお尋ねいたしますけれども、大綱では、新たな大学には夜間課程を置かないとしておりますが、既に都立大学B類に入学している学生がどのようになっていくのか明らかでない。私は、入学した学生については、卒業するまできちんと教育を全うするのが、教育機関としての、都立大学の務めだというふうに考えておりますが、まずその点を、ご見解をお聞かせいただきたいと思います。

○佐藤改革推進担当部長 大学改革大綱におきましては、新たな大学には夜間課程を置かないこととしており、そのため、現在の都立大学B類につきましては、一定の時期に募集停止をすることを考えております。その際、既に都立大学にB類として入学した学生につきましては、ご指摘のとおり、卒業までの間、教育面での責任をきちんと果たしていくという考えでおります。

○遠藤委員 では次に、今の答弁といいますか、それを前提にした上で、夜間課程の現状について幾つかお尋ねいたします。
 都立大学B類の志願者、あるいは受験者の状況、すなわち競争率といいますか、そういうものは今一体どのような状況にあるのか、お聞かせいただきたいと思います。

○佐藤改革推進担当部長 平成十三年度の入学試験の状況ですけれども、学部にもよりますが、おおむね志願者の段階での倍率は六から七倍程度、また、実際に受験をする受験者の段階では、倍率は二から三倍程度でございます。

○遠藤委員 今、都立大学B類の志願者、受験者の状況のお答えをいただきましたけれども、これらのすべての人が勤労学生というわけではないというふうに思います。従来の意味での勤労学生が少なくなってきておりますけれども、このうち、勤労学生の割合というのは一体どのくらいなのか、お願いします。

○佐藤改革推進担当部長 ただいまお尋ねのありました志願者、受験者の中にどれだけの勤労学生が含まれているかということにつきましての調査結果はございませんが、在学生それから入学者を対象といたしました調査がございます。この結果につきましてお答えをさせていただきます。
 まず平成十一年度に都立大学の在学生を対象に実施をいたしました調査によりますと、B類学生のうち、定職を持っていると答えた者は約一二%という状況でございます。
 また、今年度B類入学者を対象といたしました調査では、都立大学のB類を志望した理由をお聞きしまして、その中で昼間仕事をするためと答えた方は約一二%であり、そのうち仕事の勤務形態が常勤とした者は二%という状況でございました。

○遠藤委員 今常勤が二%という答えでありますけれども、この二%というのは何人ぐらいになるんですか。

○佐藤改革推進担当部長 先ほど申し上げました調査では、夜間課程入学者二百四十二名ございますが、その入学者に対する調査で、回答者が百九十五名、約八〇%の回答率でございますが、その中で二%ということで、実数は四名でございます。

○遠藤委員 苦学生といいますか、仕事をしながら学ぶ、要するに、昼間仕事して夜学ぶという従来の意味での勤労学生、数字の上では少ないということがわかるわけでありますけれども、あんまり少ないんで、私はちょっと驚いたんですけれども。
 次に、請願審査書の現在の状況の中では、新たな履修形態として、科目等履修生制度の活用やパートタイム学生制度の導入が挙げられておりますけれども、この内容を具体的にお聞かせいただきたいと思います。

○佐藤改革推進担当部長 科目等履修生制度についてですが、これは、都民にも学生と同じ授業を開放いたしまして、単位を認定していく制度でございまして、都民は自分の希望する科目だけを履修することができるものでございます。今後、この制度、これまで以上に拡充することを考えております。
 また、パートタイム学生制度でございますが、現在、中央教育審議会で検討が進められておりまして、年度内にも制度の概要をまとめる方向というふうに聞いております。これは、修業年限を定めずに、時間をかけて少しずつ単位を取得いたしまして、卒業することを可能にするという制度でございます。都立の大学におきましては、年間の取得単位数また授業料などの具体的な内容につきまして、今後、国の動向を見きわめながら検討を進めてまいります。都民ニーズや就業形態の多様化等の状況を踏まえまして、このような新しい学習形態の整備に取り組んでまいりたいと考えております。

○遠藤委員 最後に、要望というようになるかもしれませんけれども、私も定時制に学んだ一人でございまして、今でいえば、統廃合で廃校になって吸収された、そういうことを経験しております。そういうことを考えたときに、この状況は十分理解されるわけでありますけれども、都民の学習意欲の向上や就業形態の多様化に対応していく上でも、パートタイム学生制度など、さまざまな履修形態の実現に積極的に取り組んでいくということは、極めて私は重要なことだというふうに思っています。限られた大学の資源をより必要とされる分野に振り向けていく、こういったことは、今後法人化をされる大学にあっては、当然考えていかなきゃならない視点だろうというふうに思っています。
 大綱では、都市問題の解決や、産・学・公の連携などの社会貢献、社会人を対象とした大学院教育の充実などが盛り込まれております。社会貢献や教育の面でも、都立大学の役割を積極的に果たしていくために、これに必要な資源を投入して、都民に役立つ大学にしていくことが大変必要なことだというふうに思っています。こういう点を十分配慮した大学改革を進められることを強く要望というか、お願いをいたしまして、質問は終わります。

○曽根委員 私からも、この請願に関連して何点かお聞きしたいと思うんです。
 まず、都立大学のB類が持っている全国的また都内での大学の中での役割ということで、都立以外に都内に本学のある大学で、二部、夜間部などがある大学は、公私立どれぐらいあるのか。
 それから、今、私学の授業料の平均、大体年間八十万円前後ですかね、都立大が五十万円弱ですから二倍弱というところでしょうか。それに比べて夜間の授業料でいうと、都立は半分、二十四万円くらいですか、私学の夜間部の授業料というのはどれぐらいが平均なのか、二つお聞きします。

○佐藤改革推進担当部長 まず、都内にあります夜間課程を持つ大学の数ですが、公立は都立大学一校、そのほか私立大学が十七大学ございます。
 それからもう一点、授業料の関係ですけれども、都立大学のB類は、ご承知のとおり、全学部共通で二十四万八千四百円というふうになっておりますが、都内の私立大学の夜間課程の授業料につきましては、文系と理系でも差がございますが、平均をいたしますと、年間約四十三万円程度となっております。

○曽根委員 そうしますと、やはり授業料の面、それから公立大学が東京都立大学しかないという点でいうと、全国的にも国立また自治体立含めても公立の夜間というのは本当に少ないですから、いわゆる苦学生というふうによくいわれますが、所得が低い、もしくは低い家庭の出身で、授業料の負担ができるだけ軽くなければならない、でなければ大学に進めないというような受験生にとっては、全国的に希有な役割を果たしているのかなというふうに思います。そういう位置にあるということを踏まえた上で、今回大綱でB類は廃止という報告が出され、その根拠としては、きょう請願に対する説明でもあったんですが、定職を持って働き、夜間でないと学べないという学生は減ってきているんだという話がありました。先ほども、定職を持ったB類の学生が二%、そういうような統計が示されたんですが、まあ聞いた方もびっくりしたように、私もびっくりする数字なんですよね。
 考えてみれば、都内の企業、大手になれば大体都心に集中していますが、そこを定時に、仮に五時としましょう、終わって、六時開講の八王子南大沢のキャンパスに駆けつけるということが、毎日、五年間ぐらいですか、やり続けられる勤労学生というのは果たして一般の企業に定職で働く人にいるのかなと。ちょっと想像すると、かなり困難じゃないかというふうに思えるんです。したがって、以前のようなイメージで勤労学生というのを単純にとらえることはできないと思うんです。
 そこで、大事なのは、今B類の学生が、実際にどんな生活と仕事をしながら大学生活との両立を行っているのかという、まさに実態をきちんと大学側もしくは管理本部がつかむと。またそれに伴ういろんな要望もあるでしょうから、意見も聞くということが大事だと思うんですが、そういう機会を持たれたでしょうか。

○佐藤改革推進担当部長 都立大学におきまして、学生の生活実態調査という調査を、隔年かと思いますが、実施をしてきております。

○曽根委員 先ほどお答えのあったのは、何か新入生の調査のようですね。それ以外に隔年で生活実態調査をやっていると。これは、形式としてはアンケート形式と聞いていますが、どうですか。

○佐藤改革推進担当部長 抽出調査によりますアンケート調査でございます。

○曽根委員 私、大学の大綱を出す前に、もっと血の通った学生の声を聞く、または実態をきちんと、対面といいますか、面接して聞き取るぐらいのことはあってもよかったんじゃないかというのをまず前提として申し上げたいと思うんです。
 それから、今回大綱がもう出されておりまして、その説明会が学生向けにあったそうなんですが、いつ、どのような形で行われたのでしょうか。

○佐藤改革推進担当部長 発表されました大学改革大綱の説明会、学生を対象にした説明会につきましては、去る十一月二十二日、都立大学におきまして、通常第五限の授業の時間帯に該当いたします、十八時過ぎから約一時間半にわたり開催をしたところでございます。

○曽根委員 どれぐらいの学生が出席して、そのうちB類の学生はどれぐらいいたんですか。

○佐藤改革推進担当部長 対象者につきましては、特にA類、B類、あるいは大学院生等に区分することはせずに、広く在学生を対象として開催をしたものでございます。全体で約八十名程度が出席したと報告を受けておりますが、特にB類学生の出席人数等については把握してございません。

○曽根委員 今回の改革で、学生として一番影響を受けるのはB類です、何しろなくなってしまうわけですから。したがって、そのB類の学生が一番影響を受ける大綱の説明を学生向けにするときに、何でB類の授業中にやるのかと。六時から開講の五時限目は、B類でいえば一時限目ですよね。なぜ授業が終わってからやらないのかと。ちょっと私、信じられないことだなと思うんですよ。学生向けに、しかもB類が一番影響を受けるという説明会をやるときに。B類が何人参加したかもわからない。これは実態として、本当にきちんと説明しようと--大綱出す前に本当はちゃんと様子を聞いたり調べたりするのが当たり前だと思うんですが、まあそれがなかった上に、大綱の説明もそういう形だと。これは説明会としては全くおざなりだと思うんですが、きちんともう一度、特にB類の方を対象に授業の時間とダブらないところでやるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○佐藤改革推進担当部長 今般十一月二十二日に開催をする説明会に当たりましては、さきに、七月の段階だったかと思いますけれども、学生説明会を開催した折の時間帯につきまして、今回については学生からの要望もありまして、十八時過ぎからの時間に設定をいたしまして、できるだけ多くの学生が出席できるように配慮して設定したものでございます。
 なお、大学改革大綱につきましては、この説明会のほか、大綱の概要版の事務局窓口での配布ですとか、都立大学のホームページからも大綱本文を閲覧可能とするなど、学生の周知に努めているところでございます。

○曽根委員 私の質問にちゃんと答えていただいてないし、私は、何も学生一緒に、もう一度夜授業が終わった九時過ぎにやれといっているわけではないんで、B類の学生が一番影響を受けるわけですから、その人たちに対して、特に授業が終わった後に設けるというくらいのことは考えていいと思うんですけれども、いかがですか。

○佐藤改革推進担当部長 十一月二十二日の説明会におきましても、学生から、必要があれば再度説明会をという要望があり、都立大学の総長もそのようにしてまいりたいというふうに答えたところでございます。

○曽根委員 そういうふうにしていただきたいと思います。私は、学生一般で片づけられない問題が、B類の場合は実態としてやっぱりあると思います。したがって、大綱は出しちゃったわけですけれども、改めて、私はもとに戻して検討をやり直すべきだと思うんです、特にこのB類廃止問題は。その上でやっぱり実態をきちんと把握してもらいたい、また意見も聞いてほしいと。学生自治会が頑張って、自分たちの仲間の学生のいろんな意見を聞いたり、自治会の大会を開いたりして、意見を集約しているのをインターネットでいただいたんですけれども、私も学生の経験があるものですから--大体夜間となると、多いときでも一日に二百人ぐらいだそうですね、キャンパスに夜になると授業で来るのが。そういうB類の学生自体、大学に来ること自体が大変ですから、そういう中で千人ちょっとの学生のうち、三百人が集まって二回にわたって大会を開いたそうです。その中で、なくさないでほしいという決議も上がったと、いろんな意見は出たそうですけれども。
 その中で私、特徴的だなと思ったのは、一つは、やはり都立大学の特徴としてのB類の個性を大切にしてほしいという意見が多かったということです。やはり、B類を残してほしいんだけれども、それは多くの選択肢があった方がよいからだと、まあ時間帯の違いとかいうことでしょうね。それから昼より夜間の方がいろんな人たちが集まっていて、自己成長にもなるし、費用が安いこともあると。社会人が通えるということもすごいメリットだと思うという意見とか、社会人の立場なんでしょうね、社会人としてはなくしてもらいたくないという意見。それから、だれにでも開かれたこの大学制度を絶対なくしたくないなどなどの意見が自治会の方の集めたアンケートやそういう場での議論の中で出たそうです。
 もう一つは、やはり授業料が安いという問題で、授業料が安くて、高い水準の教育を受けられるところを全国から探して都立B類を見つけたと、なくさないでほしい。それから、新聞奨学生で、予備校に通い、どうにかB類に入れたと、そういう人はたくさんいるんだ、後輩のためにも残してほしい。こんなに学費が安いところはない、国宝級だという意見も出されている。まだまだ知名度が低いんで、もっとアピールすべきじゃないかという意見もありました。
 数えれば切りがないんですけれども、そういった形で、やはり一つは都立大学の全国に誇る特徴である昼夜間開講制、もう一つは授業料の負担が軽いと。先ほど定職についている人が少ないという問題がありましたが、私は、八王子キャンパスに移ったこと自体がB類学生にとっては極めて厳しい、目黒だったらまだ通える人も通えなくなってしまったという条件を大学側でつくった、東京都側でつくったということと、あわせてもう一つは、今日の時代状況からいって、五時に定時で終わって、大学に行ける人はどれぐらいいるのかと。労働状態、就業状態が、半分ぐらいが普通の企業でも残業が当たり前という状態や、それからフリーターにしかなれない、就職できない人が非常に高卒でも多いという状況を踏まえれば、さまざまな状況が出てくるのは当然だと思います。
 それから、授業料負担についても、親が負担している人が確かに多いようですけれども、親からは、もう公立しか行けないんだよといわれてきているというふうに、バックにいる家庭そのものが極めて所得などで不安定になっているという問題も、今日だからこそあると思うんです。そういう状況をぜひともきちんと把握してもらたい、これは要望しておきます。
 先ほど説明会の話がありましたが、総長は、今いる学生は、たとえ何年かかっても、B類の現行制度で卒業させますというふうに学生に説明したと。これは非常に重要な問題なので、改めて、これは本部も承知の上での総長の発言というふうに考えてよろしいんでしょうね。

○佐藤改革推進担当部長 B類の廃止に伴って募集停止を行うこととなりますが、それまでB類として入学した学生につきましては、当然のことながら卒業までの間、責任を持って教育を行っていくということでございます。

○曽根委員 先ほど私が申し上げました都立大学のA類、B類、昼夜開講で、特に夜間を維持してきた意義を改めて強調しておきたいと思うんです。そして、今いる学生が、今の制度で卒業まで授業を受けられるということを保障するのであれば、まだ十分な検討する時間があります。したがって、私は、この請願の趣旨は最大限酌むべきだと考えますが、少なくとも性急な結論を出さず、十分議論を尽くすべきであります。都議会として、大綱が出たことを理由にして、もう学生の願いはシャットアウトという結論をとるべきではないということを申し上げて終わります。

○石川委員 私からも、何点かお伺いをさせていただきたいと思います。
 先ほど大学改革大綱の説明がありまして、新たな大学では、基礎、教養教育を学部段階で充実し、その上に立って、専門教育は大学院を基本にする考え方が先ほど説明されました。また、都内産業への貢献や都市問題の解決、多様化する都民ニーズへの対応など、時代の変化に対応した大学づくりに取り組むことがあわせて示されたところであります。
 限られた資源を有効に活用する観点から、重点を絞った改革を行うことは、方向性として私も理解できるものであります。その中で、大綱には都立大学のB類を廃止することが盛り込まれておりまして、今回このような請願にもなったんだろうと思います。従来の意味での勤労学生が少なくなっていることについては理解できますが、一方で、B類の授業料はA類の半額であり、低廉な授業料で同等の講義を受けることができるという勤労学生に対する支援的側面も持ち合わせているのではないかと考えていました。
 そこでまず、そもそもB類を設置してきた目的は何なのかを改めてお伺いします。

○佐藤改革推進担当部長 都立大学は、昼間に勉学をする学生のみならず、勤労学生の資質の向上を目指して、昼夜同等の特色ある教育研究の成果を上げる、このことを目的の一つとしておりました。昼間定職についているために、夜間を中心に勉学せざるを得ない、いわゆる勤労学生にも昼間と同等の教育を受ける機会を提供するためにB類を設置しているものでございます。そして授業料につきましては、昼間働き夜学ぶということで、みずから生計を立てながら大学で学ぶ勤労学生につきまして、その経済的負担や卒業までに五年を要することを考慮いたしまして、A類の半額としてきたところでございます。

○石川委員 B類の制度が、夜間に勉学せざるを得ない学生に教育の機会を保障するということを主とする制度であり、あわせて勤労学生への経済的支援の側面もあるということはわかりました。では、先ほど説明表の中で、現在の状況には、夜間でないと学べないという学生は減少してきていると書かれてありますが、アルバイトなど就労形態も変化してきているのが実態だと思いますけれども、B類学生の中で、まさに夜学ぶということで、夜間のみの授業を履修している学生は一体どの程度現在いるのでしょうか、伺います。

○佐藤改革推進担当部長 都立大学のB類学生のうち、夜間の時間帯、五限目と六限目になりますが、これは十八時から二十一時十分までの二時限になります。この授業のみを履修している者の割合ですけれども、毎年度おおむね五%程度でございます。

○石川委員 非常に少ない数字ですけれども、それ以外の学生さんは、それでは反対に昼間の授業もとって学んでいるということになると考えます。その中では、昼間を中心に学びたいということで、昼間、すなわちA類への転部の希望というものはどの程度あるのか伺います。

○佐藤改革推進担当部長 今年度入学をいたしましたB類の新入生を対象といたしました調査の中では、機会があればB類からA類への転部を希望するかということに対しまして、希望するとした者が七割以上に達しております。

○石川委員 夜間部に入っても、昼間部に転部したいという学生が非常に多くなってきている。実は、私ごとになりますが、私は私学の夜間部を卒業した一人でありますけれども、まさに親からの経済支援が受けられないために、四年間で何とか働いて卒業しようといって努力をしてきた、これは三十年前でありますけれども、社会環境も大きく変化してきたんだなあというふうに実感をしますとともに、実はB類学生の方から、こんなご意見もいただきました。
 今の入試制度のあり方からして、まず願書に親の収入なり、あるいはその人の収入なりを調査するような書類は添付されておりませんと、あくまでもペーパー試験の結果次第で、昼間部も夜間部も合否が決まってしまっております。で、B類の中には、昼間部を目指して予備校に通って、そしてA類が落ちたので、B類に入りましたという方が、実は大変多いんですと。逆に、経済的に苦しくて、予備校に通えなくて、B類を目指して、しかし、試験結果が悪くて落とされているというのも現実の姿なんですよというご意見が寄せられております。したがって、入試制度がこのままである限り、いわゆるB類が、働かなければならないという学生にとって、意義ある制度になっていないというふうなことが述べられておりました。
 したがって、これからは授業料が半額だということよりも、いわゆる奨学金制度をもっともっと充実させていただいて、働きたいという方が、昼間でも夜でも学べるような制度をお願いするのが、この請願者の方々の本当の気持ちではないでしょうかと、こんなご意見もいただいております。
 そこでお伺いしますけれども、そもそもこのB類の設置目的と現状では大きな乖離が生じてきているわけですね。そこで、B類の廃止に当たり、今後、先ほどご説明ありましたけれども、パートタイム学生制度等について検討されるということでありますけれども、それらも含め、私はもう少し広く今日の通信情報、IT技術を活用した遠隔教育とか、広く都民の教育の需要を考えた教育提供システムについて研究すべきと考えますけれども、いかがでしょうか。

○佐藤改革推進担当部長 今回の大綱におきましては、新たな大学においては、遠隔教育の活用など、IT技術の進展に伴いました多様な教育機会の提供について検討をしていくこととしております。また、開かれた大学教育という観点からは、新たな聴講生制度の導入ですとか、科目等履修生制度の拡充、また社会人向けの大学院の開設など、多様な学習機会の提供を考えているところでございます。

○石川委員 我が党は、かねてより、社会人のリフレッシュ教育としての需要の増加に対応するため、ビジネススクールなど大学院レベルの教育を都庁舎など利便性の高い場所で行うことを主張してきました。教員や施設など、人的、物的資源を今後どのように活用していくかを考えると、大綱の考え方は理解できるものであります。
 ところで、大綱の中では、都立大学のB類の廃止が織り込まれているわけでありますが、募集停止をいつにするかなど、今後のスケジュールについてはどうなっているのか、伺います。

○佐藤改革推進担当部長 B類廃止に伴います今後のスケジュールについてのお尋ねでございますが、来年四月入学者の試験につきましては従来どおり実施をいたします。平成十七年度の新たな大学の設立に向けまして、どの時点で募集停止をしていくかにつきましては、今後検討してまいります。

○石川委員 募集停止をいつにするかは、都立大学を目指す関係者にとっては非常に重要な問題でありますので、今後のスケジュールについては、ぜひ早急に結論を出していただきたいと思います。
 また、夜間課程については、確かにその効果として勤労学生に対する経済的支援という側面も持っておりますが、本来、これらについては、真に困っている学生を対象にし、授業料の減免制などにより対応していくことが今日的な対応のあり方だと私は考えています。新たな大学の検討に当たっては、ぜひこのような点にも配慮をして進めていただきたいことを要望して質問を終わります。

○執印委員 それでは質問させていただきます。
 先ほど、ほかの方の質問で、実態調査されているということがわかったわけなんですが、一点目としまして、平成十三年度の入学者B類志望の方に調査されたということですが、これは何月の調査だったんでしょうか。

○佐藤改革推進担当部長 四月に実施をした調査でございます。

○執印委員 四月ということですから、入学してすぐということだと思いますので、もしかしたらまだ、大学を受けて出てきたけれども、常勤の仕事がないというような方もいらしたのかなというような感じを持ったわけなんですけれども、先ほどもお話がありましたような実態調査というのがもう少し必要ではないかなというふうに思います。
 それで、親のリストラですとか倒産ですとか、いろいろな意味で、学んでいる子どもへの影響というのがいわれてきたわけなんですね。例えば、九六年だったと思いますけれども、自殺者が三万人を超したというようなことがありまして、その調査によると、諸外国ですと、高齢の方が病気などを苦にして自殺されるということが多いんだそうですけれども、日本の場合は、一番多いのが五十代の男性で、次が四十代の男性ということで、いろいろな社会状況の中で、そういう道を選択せざるを得ないような方がふえているというのが実態だというふうに聞いております。
 それによって、要するに遺児ですよね、自殺をされて父親が亡くなった方、遺児というのが十二万人を超したというふうに聞いているわけですが、そういったことを考えていくと、社会状況のそういった変化、もちろん厚生省も自殺者を一万人にしようというんでしたか、とにかく減らそうというようなことで対策を立て始めてはいるようなんですけれども、大変厳しい状況にある中で、夜間部の必要度の調査というのが必要だと思うんですけれども、その考えはおありでしょうか。

○佐藤改革推進担当部長 経済状況の変化に伴ったものとして、将来にわたってB類が必要度があるかどうかというような調査かと思いますが、将来にわたりまして定職を持ったいわゆる勤労学生がどのようにふえるか等につきましては、経済状況の先行き、変化など極めて予測の難しいところがありますので、実施は現在のところしておりません。しかしながら、バブル経済の崩壊後、経済状況が厳しくなった平成三年以降、B類在学者を対象といたしました調査では、B類に占める定職を持った学生、いわゆる勤労学生の割合は、先ほど来もお答えをいたしましたが、十一年度調査結果では一〇%程度ということですが、平成三年以降も一〇%から一四%台で推移をしております。また、B類新入生の全員調査の結果を見ても、入った段階で定職を持った学生というのが五%から一〇%台で推移をしているということで、今後、経済状況の変化の中にありましても、この比率に大きな変化があるというのは考えにくいというふうに思っております。

○執印委員 先ほども石川理事からもお話がありましたように、経済状態がどうなのかという調査がなく、入試がされているということですから、そういうことの問題というのがここに出てきているんじゃないかなというふうに思うんです。ですから、この都立大学が持っている役割をどこに置くかということを、そういう意味でもう一度考え直す必要があるかなというふうに思っているんです。
 もう一点、質問させていただきたいんですが、定職についている方が少ないということで、若い方の働き方も、学校に行きながら働く働き方も変わってきているんだというふうに思います。今までは昼間働いて、夜学ぶというような形だったわけですが、いろいろな状況を抱えた子どもさんが、これから自分の力で学んでいこうというふうに、そういうふうな選択しかできない、または、しようと思ったときに、例えば昼間学んで夜働くという状況になってしまうわけですから、夜間がここでなくなるということは、つまり、夜働いた方がお金が得やすい、高い賃金で働けるということもあるので、いろいろな意味で選択の自由というのがあるべきだというふうに思うんですが、昼間学んで夜働くということで、健全育成上の問題を生み出すということはないのかどうか。若者が働き、学ぶということに対して、都立大学としてはどういうふうに考えているのか。健全育成上、どういうとらえ方をしているのかということをお聞きしたいと思います。

○佐藤改革推進担当部長 現在、学生も、アルバイト、パート等さまざまな就労形態のある中で、自分の考えに基づいて、それを選択しながら、また勉学に励んでいるというふうに考えます。公の教育といたしましては、なるべく可能な限り、多様な教育機会を提供するということは望まれるというふうには思いますが、限られた予算なり人員で運営する以上、時代背景の中にあって、より教育需要の高い分野へ資源を投入していくということ、そのことによって都民の全体の満足度を高めるということが必要になってくるだろうというふうに思います。
 健全育成上の問題とは多少離れますが、今回、多様な教育機会の提供というう観点から、パートタイム学生制度でありますとか、その他聴講制度等々、さまざまな事業の展開を検討していくということにしたところでございます。

○執印委員 意見とさせていただきますけれども、今のお話ですと、多様な教育の機会の提供という意味は、実際に現実的に求められているのと、今都立大学が改革しようとしていることが、乖離はないのかなというような感じがいたします。
 私は日野なんですけれども、日野には、先ほどは自殺された遺児の話をさせていただきましたけれども、交通遺児の方の暮らしていらっしゃる寮というのがありまして、その方たちとのおつき合いというのもあるわけなんですけれども、親が交通事故で亡くなって、大学へ行こうと思ったんだけれども、お金の問題があって--その方は母親が針仕事をしながら育ててくれたということでしたけれども、大学へ行こうと思ったときに、親もいないのに大学に行くのかといわれて、非常に傷ついたという話を聞いたことがあるんです。だから、いろいろな状況を抱えた中で、今都立大学が公の機会の保障だとか、多様な教育の保障というものの、どこにどういうふうに焦点を置くかということで大きく子どもたちの置かれている状況が変わってくるのではないかというふうに思います。ですから、きちんと調査をした上で慎重に進めていただきたいというふうに思っております。
 また、先ほど常勤で働いている方が二%ということで、四名ということでしたけれども、たとえ何人であったとしても、こういう問題、何%だから、その部分をもっとお金を有効に使っていきたいという話ではなくて、本当に公としての責任が問われているということだというふうに思いますので、安易に進めているというふうには思いませんけれども、ぜひ慎重に進めていただきたい、学生さんたちの声にもしっかりとこたえていただきたいということをお願いしておきます。
 終わります。

○和田委員 この請願と、それから大学改革大綱とが奇妙に時期を一致しておりまして、さかのぼって二月の基本方針が出されたことを受けてここにつながり、またこの九月二十七日に出された請願がここに誕生したというふうに、三つの要素がここに集合したと思っているんです。
 そこで、都立大学そのものの五十年余にわたって果たしてきた役割というのは、それぞれ評価がされるところだと思うんですが、今日、あえて改革の大きな目玉の中に夜間、B類を廃止するというふうに立ち至る道筋ですね、これはどこにあるのだろうか。例えば私学の場合ですと、経営上の問題がどうしても、生徒が少なくて経営上やっていけないから廃止をしたいということもありましょう。しかし、公立である以上、直接的に赤字とか負債というものが経営に大きな影を落とすということは余りないと考えるとするならば、なぜこの時点にこういう形になってきたのかということを、まずお伺いいたしたいと思います。

○佐藤改革推進担当部長 大学改革そのものは、国を含めまして十年来、いろいろな形での議論がなされてきております。そういう中で、一番の大きな問題点は、大学が社会に、需要にマッチした形で適応する自己改革ができてきたかという点がかなり大きな要素としてうたわれてきたところでございます。都立の大学におきましても、都民の教育需要等々に敏感に反応した形での改革、自己改革が進められてきたかという反省の上に立ちまして、社会が求める需要に適応するような形での改革とはいかなるものかというあたりの検討からスタートしたところでございます。

○和田委員 これは後でも触れますが、都立高校の統廃合の問題が出てくるんですけれども、そのときに、生徒だとか現場の先生方は、教育委員会の方針にのっとって大きく動かされるんですよ。もちろん教職員組合や学生の皆さん、自治会とかなんかも、カウンターパワーとしてのいろいろな抵抗があるかもしれない。しかし、基本的には教育委員会の考え方におおむね沿った形で、東京都の教育の世界は動いてきたと私は思っているんです。
 したがって、このようにB類を廃止せざるを得なくなってきたという状況は、それまで歴代教育庁を預かってきた最高責任者の政策判断、あるいはそのときそのときの軌道の修正、あるいはそのときそのときの決断を延ばし延ばしにしてきたために、五十年たって伝統あるB類を廃止しなきゃならないという局面に至ったと私はいわざるを得ない。したがって、これは一方的にこの請願を出されている学生さんだとか、あるいは、それを陰で応援しているかどうかわかりませんけれども、教職員だとか、そういう方々の問題だけにとらわれずに、ここまで大きな車輪で動かしてきた東京都の教育庁、あるいはとりわけ都立大学をどう動かしていくかという、その場にいた歴代の責任者が、今日この問題と直面をしているという認識を持たなければいけないというふうに私は思って、まずそのことだけ申し上げておきます。
 それから、都立大学の具体的な問題に入りますけれども、このB類、夜間にはどういう理由で入ってきたのか、動機があると思うんですね。昼間しかなければ、夜間には学生は来ないんでしょうけれども、今まで委員が質問、答弁の中で出されたとおり、数多くの生徒さんが望んで来ているわけですけれども、大きな、B類を志向してきた、志望してきた動機は、ベストスリーを挙げると、どういう理由になるんですか。最近の一番新しい調査結果があれば、お示しください。

○佐藤改革推進担当部長 本年四月に実施をいたしました、平成十三年度新入生に対するアンケート調査でございますが、夜間課程を志望した理由について問うております。複数回答でございますが、その中で一番多いのが、昼間の課程いわゆるA類になりますが、昼間課程より合格する可能性が高いと思ったというのが七四・四%、次いで昼間課程と同等の教育が受けられるからが六八・七%、次いで学費が昼間課程より安いというのが四六・二%というのが上位三つの夜間課程を志望した理由となっております。

○和田委員 そうしますと、やはり都立大学には興味あるいは愛着を持っている。しかし、学力といいましょうか、考査の結果が昼間よりもB類の方に行った方がいい結果が得られるという人が、このデータによると七五%近くある、百人中七十五人、複数回答ですからそうはいいませんけれども、数多くあると。それから、昼間課程と同等の教育が受けられる、なおかつ考査の過程がやわらかだということも含めて、六九%ぐらいあったと。
 先ほど来、遠藤委員もご指摘があったように、勤労学生が都立大学に学ぶという構造ではない数字がここでまさにあらわれていますね。要するに、自分が学力が及ばず、したがって、魅力ある都立大学の昼間ではないB類で自分の、一〇〇%ではないけれども、ほどほどの学校に対する希望なり夢を確保しようということに落ちついた結果が今のデータに証明されていると思うんです。そうなってくると、今の必要に迫られてということよりも、何か生徒、学生の方の持っている学力的な事情から夜間を選んでいる、B類を選んでいるということが、この数字だけ見ると明らかになってきています。
 したがって、そういう複雑な様相を呈しながらも、さきに答弁がありましたが、学長は最後の一人のB類の生徒まできちっと面倒を見ながら、新しい制度移行を図るということをおっしゃっているようですし、理事者の方も、また要求があれば、説明会を持つというようなことをいっているわけでありますから、その意味で学校の構えている姿勢、それから生徒さんの質の変貌というようなことも含めて、これはじっくり話し合う場面を数度にわたって、ぜひ私からも要望しておきたいと思っております。
 最後になりますが、一点だけ、これは的確にご答弁いただきたいんですけれども、この改革大綱を見ますと、二一ページにも、実施計画で十七年度に募集単位の見直しとか、ゼミナール入試とかチャレンジ入試とか、推薦入学枠の拡大とか、十七年度まで順次実施するというふうになっています。同じく二五ページを見ますと、学部教育の再構築というので、これも十七年度に向けて実施と、すべて十七年度絡みになっていますよね。さっきご答弁いただいたとおり、十七年度の改革の実現に向けて募集停止も図っていくということを石川委員の質問に答弁されていましたけれども、私は、もうここまで来ると、具体的に一人の生徒まで面倒を見るといいながらも、募集停止というのは頭の中にあるんじゃないんですか、佐藤さんの中には。というのは、十七年をめどにすべての計画が大体ここでリニューアルされるようになってきているときに、ことしは十三年度ですから、年が明けると十四年度になって、もう三年しかないわけでありますから、これを大規模改革をするときに、進行状態を見ながら募集停止を考えましょうという悠長な計画、あるいはプランニングではないはずでありますから、具体的に今、何年次に募集停止を考えていらっしゃるのか、これは明確に、この大綱の将来の帰趨にかかわって、はっきりご答弁いただいておく必要があるものですから、強く明確な答弁を求めておきます。

○佐藤改革推進担当部長 B類の募集停止につきましては、現在、大学とも協議をしておりまして、その結果についてはまだ出てございません。いずれにいたしましても、十四年度は既に募集をしております。そういう観点からいきますと、十五、十六年度、ないし十七年度というところで、どこが一番適正かということを早急に大学の方と検討を詰めてまいりたいというふうに考えております。

○和田委員 今まで私がいろいろデータをお示ししたとおり、昼間課程よりも合格する可能性が、大体七五%ぐらいの人々が、高いからB類に行っているんだよという数字ですとか、あるいは昼間、夜間と同等の教育が受けられるからB類を受けたんだよという人が六九%。そういう内訳をしっかり把握をした上で、しかし、どうしても夜間じゃなければ学べないという人も当然いるわけでありますから、そういう錯綜した形での都立大学のB類の将来の展望に向かっては、急ぐことも必要かもしれませんけれども、人間の教育を扱う、また若い、感受性の強い学生さん方の、その時期の大事な教育熱を扱う問題であるだけに、何時間でもじっくり時間をかけて、将来展望を双方が納得いく形で切り開いていただきたいし、募集停止についても、十七年度までにやらなきゃならないということがはっきりしたわけですから、十五なのか十六なのか、そこのところももうぼかさずに、具体的に明らかにした上で、都立大学のこの改革大綱に沿って、双方が、一〇〇%満足はあり得ないにしても、ほどほどの満足で合意できるような課程をぜひ組んでいただきたいということを強く求めておきます。

○後藤委員 私の場合は、二週間ぐらい前に実際にB類の授業を、一時間ばかりですけれども、受けさせていただいた経緯がありますので、そのことも経験に入れながら質問させていただきます。
 例えばB類の学生さんで、五限と六限だけを履修なさっている方が五%というふうにいわれましたけれども、実はこのことは、私が行きまして、担当の課長からも聞いたところなんですけれども、大体いつごろからこのような傾向が出てきたのか。例えば五%ぐらいというふうな数字が出てきたのかをお答えください。

○佐藤改革推進担当部長 B類学生のうち、五、六限のみを履修した者の数ですけれども、手元の資料では、平成五年度が五・六%ということで、それからほとんど変化がなく、一番高いところで六・八%、低いところで五・二%というような状況でございます。

○後藤委員 次に、先ほども質問が出ていたんですけれども、例えば一年から二年、二年から三年に上がる場合に、B類からA類の方に対して編入試験があるというような質問がありまして、約七〇%の学生が求めているというふうにいわれましたけれども、例えば試験の科目はどのようなものがあるんですか。
 それから、A類に編入なされた学生さんの数は何名ぐらいいらっしゃるんですか。

○佐藤改革推進担当部長 都立大学のB類からA類へ移る所属変更、いわゆる転類というふうにいっておりますけれども、これにつきましては、取得単位数など一定の資格要件がございまして、選考は、所属変更の理由、それから履修科目の成績等、特別なそのための試験を設定してやるということではございません。実績ですけれども、平成十三年度の所属変更につきましては、B類の一、二年次からA類への転類を申請した者が六十六名ございまして、実際に許可されたものが二十名というふうになっております。

○後藤委員 次に、地理的状況についてお尋ねしたいんですけれども、平成三年度だと思いますけれども、都立大学が目黒から南大沢に変わりましたよね。例えば新宿に会社のある勤労学生さん、実際に仕事を持っていらっしゃる学生さんが南大沢まで行く場合ですと、例えば新宿から京王線で調布まで行ってから、調布で乗りかえて南大沢まで行くと思うんですけれども、仮に五時に仕事が終わりまして、例えば新宿駅に五時半ぐらいにお着きになったとして、南大沢の駅に着くのが何分ぐらい、また、この間も行ってみてわかったんですけれども、駅から学校までが相当時間がかかると思うんですけれども、教室まで何時ぐらいに行けるのか。また、これと同じく、例えば六限の授業が終了しまして、南大沢を大体九時三十分ぐらいにはなると思うんですけれども、京王線に乗ったとしたらば、新宿には何時ごろに着けるのか、教えていただければ……。

○佐藤改革推進担当部長 新宿の職場から南大沢へ通学するというケースを想定されての場合ですが、ダイヤの改正もありまして少し便利になりましたが、新宿駅を十七時三十分発の京王線の準特急というのがございますけれども、乗車した場合、調布で乗りかえまして、十八時ちょうどに南大沢駅に到着するということになります。駅から教室までの移動時間を考えますと、十八時からの五限の授業開始には間に合いませんが、十分程度おくれて授業を受けることができると思われます。
 また、帰りの九時三十分ですか、南大沢を出た場合ですけれども、新宿へ到着しますのは二十二時二十三分という電車がございます。

○後藤委員 ただいまの答弁からいきますと、まじめに学校に通おうと思っています勤労学生さんですけれども、仕事が終わって、すっとんで行ったとしても、一時間目には間に合わないというふうなことだと思います。そうしますと、都立大学の立地条件といいますか、地理的条件ですけれども、現在のB類に勤労学生の方たちが通うのは非常に難しいんじゃないかなと思うんです。
 次に、パートタイム学生の制度についてお尋ねします。
 例えばパートタイム学生制度というのとフルタイム学生制度、現実に今日本にはパートタイム学生制度というのがないので、単純には比較はできないと思うんですけれども、例えばアメリカですとかイギリスだとかでは、パートタイム学生制度があると思うんですけれども、アメリカなんかの場合はどういうふうになっているのか、わかったら教えてください。

○佐藤改革推進担当部長 パートタイム学生制度、日本の制度としてはこれから具体的な中身の検討がされるということになりますけれども、アメリカの場合ですと、短期大学の課程におきましては約六割ぐらいがこのパートタイムで卒業していくというようなケース、四年制の学部におきましても四割強がパートタイムで卒業していくと。
 パートタイムをどうとらえるかということにつきましては、通常の学部の七五%未満ぐらいの単位を取得するという形態のものをパートタイムというふうな形でもって統計上は整理しておりますけれども、それをもとに考えられますパートタイムとフルタイムの違いということになりますと、いわゆるフルタイムの学生は修業年限が一般に四年間という、一律で定められているのに対しまして、パートタイム学生の場合には、卒業単位取得を予定する年限を、学生の都合によりまして、柔軟に設定することが可能であるというところが大きな違いになってくるかと思います。

○後藤委員 仮に現在、B類の学生さんが、例えばパートタイム学生制度を利用したと仮定しますと、どのような利点があるか、わかったら教えてください。

○佐藤改革推進担当部長 まだパートタイム学生制度の中身が十分でありませんので、細かい比較ができかねる部分がございますが、現在、B類では五年と修業年限が定められているということから、それを超えて在学をするといった学生は、それは留年者の扱いということになるわけで、学内の規定で授業料減免が受けられないなどの不利益を受けるというようなことになるわけなんですが、また、仕事の都合で大学で学ぶ時間を極めて少なくしなければならないというような年があったとしても、フルに通学をした場合と同様の授業料が徴収されるというのが現状のB類のことになるわけですけれども、このパートタイム学生制度が導入されれば、多様な就業形態に合わせて卒業に必要な教育課程を柔軟な形で履修をして、長期間在職するということを当初から予定することが可能となりますので、留年者のような扱いを受けることがなくなるというふうに思います。
 また、国の方で検討されている中にも多少触れられておりますが、勉学意欲がありながら、在学中に何らかの事情で予定していた学習が困難になった、そういう学生が、例えばパートタイム学生に切りかえが可能であるということになれば、退学をすることなく、学習を継続することができるというような点があろかと思います。

○後藤委員 これはよくアメリカで映画か何かにも出てくるあれなんですけれども、大学管理本部が考えているパートタイムの制度で、例えば一年間一生懸命勉強して、一年間休学みたいな形をとりまして、また仕事でお金を稼ぎまして、また一年間勉強して休学して、お金を稼ぐというようなことも可能になるんではないかなと思いますけれども、大学管理本部の見解というんですか、お願いします。

○佐藤改革推進担当部長 パートタイム学生の休学ということでございますけれども、基本的には、パートタイム学生は計画的に長期間をかけて履修をして卒業するということが前提でございますので、その辺を踏まえまして、今ご指摘のありました休学ということの取り扱いについても、今後検討していくということになるかと思います。

○後藤委員 次に、授業料についてお尋ねしたいんですけれども、例えばパートタイム学生の方たちの授業料の計算なんですけれども、多分まだ決まっていないといわれるのかもしれませんけれども、フルタイムではないですから、例えば一時間だけ、二時間だけというふうな履修も可能になってくると思うんですけれども、この場合の授業料の計算方法、また、先ほどの話ですけれども、休学というふうな考え方になった場合に、例えば定額制というんですかね、授業料についてどのようにお考えになっているのか……。

○東委員長 ちょっと速記とめてください。
〔速記中止〕

○東委員長 速記再開してください。

○佐藤改革推進担当部長 パートタイム学生の授業料についてのお尋ねでございますが、現在国の審議会におきまして、各大学の設置者が学生の負担軽減への配慮をした上で、それぞれの判断によって適切な方法で徴収をするという方向で検討が進められております。現在、都立大学の授業料は昼間が四十九万余円、同じく夜間課程で二十四万余円となっております。また、卒業を予定する正規の学生ではございませんけれども、特定の履修科目を選択して履修する科目等履修生は、一単位当たり一万三千八百円というふうに設定をしてございます。これらの状況を踏まえながら、今後、授業料についても検討してまいります。

○後藤委員 私の方から、本請願のB類の廃止に関することですけれども、仮にパートタイム学生制度というのが完璧に導入されるというふうなことになれば、実際問題としまして、勤労学生の方ですとか、例えば社会人の方たちがより利用しやすい制度になると思いますので、今の大学管理本部の方たちが考えられているように、B類の廃止には賛成する考えです。
 以上です。

○東委員長 ほかに発言ありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、保留とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 異議なしと認めます。よって、請願一三第一四九号は保留といたします。
 請願の審査を終わります。
 以上で大学管理本部関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね五分間休憩いたします。
午後三時十五分休憩

午後三時二十一分開議

○東委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 これより教育庁関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員の交代がありましたので、教育長から紹介があります。

○横山教育長 去る十一月八日付で幹部職員の異動がございましたので、紹介をさせていただきます。
 学務部長の比留間英人でございます。人権・企画担当部長の石川武でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
〔理事者あいさつ〕

○東委員長 紹介は終わりました。

○東委員長 次に、第四回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○横山教育長 平成十三年第四回都議会定例会に提出を予定いたしております議案の概要につきましてご説明申し上げます。
 本定例会におきましてご審議いただきます教育庁関係の案件は、条例案三件でございます。
 第一は、東京都立学校設置条例の一部を改正する条例でございます。
 東京都聴覚障害教育推進構想に基づきます都立聾学校の再編整備及び都立養護学校の教育環境改善によりまして、東京都における心身障害教育の振興を図るため、葛飾ろう学校及び南花畑養護学校を設置いたしまして、足立ろう学校及び綾瀬ろう学校を廃止しますとともに、足立養護学校の位置を変更いたすものでございます。
 第二、第三は、人事委員会の勧告等に基づきまして、東京都職員の給与を改定することにあわせまして、学校職員の給与に関する規定を改正いたすものでございます。
 以上が平成十三年第四回都議会定例会に提案を予定しております教育庁関係の案件でございます。
 詳細につきましては、総務部長から説明をさせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○小海総務部長 お手元の資料、平成十三年第四回東京都議会定例会議案(条例)に基づきまして、条例案の説明をさせていただきます。
 目次をお開き願います。
 目次に記載してございますように、今回提案を予定しております条例案は、一、東京都立学校設置条例の一部を改正する条例など計三件でございます。
 一ページをお開き願います。東京都立学校設置条例の一部を改正する条例でございます。
 本条例の改正は、平成十一年七月に教育委員会におきまして決定いたしました東京都聴覚障害教育推進構想に基づきまして、都立聾学校を再編整備するとともに、都立養護学校の教育環境を改善するものでございます。
 三ページをごらん願います。附則でございますが、この条例は平成十四年四月一日から施行するものでございます。
 四ページをごらん願います。新旧対照表でございます。上の欄が改正条文、下の欄が現行の条文でございます。
 このたびの改正は、条例別表の聾学校の項の、名称及び位置の欄におけます足立ろう学校及び名称の欄の綾瀬ろう学校を削除し、大塚ろう学校の次に葛飾ろう学校を加えるものでございます。
 ごらんいただいておりますように、葛飾ろう学校は、現在の綾瀬ろう学校の位置に設置するものでございます。
 次に、条例別表の養護学校の項でございますが、足立養護学校につきまして、位置の欄を現在の足立ろう学校の位置に変更しますとともに、南大沢学園養護学校の次に、名称の欄に南花畑養護学校を、位置の欄に足立区南花畑五丁目二十四番二十九号を加えるものでございます。
 ごらんいただけますように、南花畑養護学校は、現在の足立養護学校の位置に設置するものでございます。
 続きまして、五ページは、学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 一〇ページの新旧対照表をごらん願います。
 主な内容は、第一に、学校教育法の改正に伴います規定の整備でございます。
 第二は、東京都人事委員会勧告の実施に伴うものでございます。第二条及び次ページの第七条までにございます改正は、寮母の名称を寄宿舎指導員に改めるものでございます。
 一二ページをごらん願います。第八条第五項でございますが、職員の昇級停止年齢を、現在の五十八歳から五十五歳に改めるものでございます。
 第二十四条は、期末手当の支給割合の削減について規定してございます。
 なお、施行期日につきましては、戻りまして、六ページから記載してございますが、期末手当に関しての規定は平成十四年一月一日から、他の規定につきましては同年四月一日から施行するものでございます。
 次に、一五ページをごらん願います。学校職員の給与の特例に関する条例の一部を改正する条例でございます。
 一六ページをごらん願います。附則及び提案理由にございますように、この条例は、平成十四年四月一日から施行するものでございまして、東京都の財政状況を踏まえまして、管理職員である学校職員の給料を減額するものでございます。
 一七ページは新旧対照表でございまして、平成十四年四月から平成十五年三月三十一日までの一年間、管理職員に限り、月額給料の四%の減額を行うことを定めるものでございます。
 以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願いいたします。

○東委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○野島委員 こういう資料がありましたら、お願いしたいんですけれども、教育庁所管にかかわる人件費の推移表、たしか、今条例いろいろご説明受けたんですが、今回も定昇打ち切りとか、あるいは管理職は引き続き四%カット、一般職はそのカットがなくなる、こういういろんな形を聞きました。
 東京都の財政再建プランともかかわりまして、平成十一年の予算ベースでどうだったのか、決算ベースになりますとまだ執行中もありますから。それと、十二、十三はそういう制度の中で減というか、そうなって、今度は十四は一般職は戻るよ、こういう話なんですね。それらの全体で、制度上当然増になっちゃう部分と給与政策判断をして下がる部分とあると思うんですね、定昇打ち切りとかカットとか、そういったような全体像を知りたいんです。ちょっと望洋とした話で申しわけないんですが、それがもし理解いただけるんであれば、細部についてはまた担当とやりとりいたしますが、ともかく十一年から十五年までの当初予算ベースで結構ですから、制度的な自然増減、それから当然増減というような全体像を知りたいものですから、よろしくお願いいたします。

○東委員長 ほかにありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 ただいま野島委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 異議なしと認めます。理事者におかれては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。

○東委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○中村人事部長 去る十月二十五日に発表させていただきました主任制度に関する中間のまとめについて説明させていただきます。
 資料としましては、中間のまとめ本体とそれから概要版とがございます。その概要版に基づきましてご説明したいと思います。
 中間のまとめは、四段構成になっておりまして、まず、学校運営組織の現状と課題の1、学校運営組織の見直しの必要性についてでございます。学校には、いじめや不登校などさまざまな課題が山積しております。また、最近になりまして、携帯電話普及に伴います問題行動あるいは大阪、池田小学校の事件に象徴されるような学校の安全確保など、新たな課題が次から次へと発生しております。このため、どのような課題に対しましても、柔軟かつ機動的に対応できる学校運営組織をつくり上げていく必要があるというふうに考えております。
 その際の留意事項といたしまして、三点掲げさせていただいております。新たな課題に迅速、的確に対応できること、それから保護者や地域ニーズへの積極的な対応など開かれた学校運営を推進できること、それから個性や能力を尊重した教育を推進することから、教育の地方分権や課題の多様化にも対応できることでございます。
 つまり、学校がいろいろな課題に対応していくためには、学校を組織として機能させて、教員個々の課題解決能力を結集し、学校全体の教育力を高めていく必要があるというふうに考えております。このことからも、現行の学校運営組織のあり方を見直す必要があるというふうに考えております。
 次に、2の現在の学校運営組織の問題点についてでございます。学校では、教育課題の解決に向けまして、校長、教頭を初め多くの教職員が日々努力を重ねております。しかしながら、ご存じのとおり、学校を取り巻く急激な社会の変化、それに伴う子どもや保護者の多様な要望に対しまして、必ずしも迅速、的確に対応できているとはいえない点もございます。そのため、ここに掲げた三つの問題点を今後の学校運営を改善する際の視点としております。
 一点目は、一部の学校ではございますけれども、今なお、残念ながら、全員参加の職員会議で決定されない限り、課題などに対応できない、こういう意思決定のシステムが十分に機能しておりません。
 二番目は、教職員間の根強い横並び意識から、学校には主任を初め、先輩、同僚が指導助言をしにくい雰囲気がございます。このことから、個々の教員が問題を一人で抱え込むなど、課題解決を遅くさせたり、場合によっては教員自身が心身に支障を来すというふうなケースも見られております。
 三点目でございますけれども、学校の職員構成は、管理職である校長、教頭のほかは、主任を含めて職位に差がない教員が大多数を占めておりまして、いわゆる、なべぶた型組織というふうに呼ばれております。このために、校長、教頭の指示内容が徹底されにくく、教職員個々の能力が学校全体の教育力として高まりにくい状況にあります。
 次に、3の現行の主任制度についてでございます。学校運営組織が抱える問題点を解決するためには、指導調整層である主任がその役割を十分に果たす必要がございます。この視点から、東京都教育委員会では、主任制度を適正に機能させるために、さまざまな取り組みを行ってまいりました。
 授業時間数の軽減、発令方式の改善を初め、そこに掲げさせていただいておりますけれども、都道府県教育長協議会を通じて、国に対しましても、職の設置、あるいは職務権限の明確化、処遇の改善など、主任制の抜本的な見直しの要望などを行ってまいりました。
 このように東京都教育委員会は、最近になりまして矢継ぎ早に主任制度定着のための取り組みを行ってまいりましたが、制度が発足しまして四半世紀もの間、抜本的な取り組みをしてこなかったということは事実でございます。今後は、校長の個人的な資質に頼ったり、あるいは小手先の改善にとどまることなく、学校運営組織の制度の改善を図る必要があるというふうに考えております。
 次に、新たな職の設置についての1、現行主任制度の限界についてでございます。
 ここでは、主任がその職責を十分果たしたとしましても、現行の制度面に限界があることから、望むべき学校運営組織の構築は困難であるということを述べさせていただいております。
 まず、一点目でございますけれども、監督権限を持っていないということが問題でございます。このため、主任が担当します校務に関しまして、教諭等を指導助言しましても、これを教諭等が拒否すれば、当該の校務は停滞してしまうか、あるいは主任みずからが行わざるを得ないという状況にございます。
 二点目は、主任が職として設置されていないことでございます。主任は一年ごとに選任されますため、極端な例としまして、指導する者とされる者が毎年入れかわるということがございます。このために、指導を受け入れる教諭の態度あるいは指導する教諭の意欲が育たないという問題が起こっております。また、主任の選任が選考によらないことから、主任としての資質、能力を有する者が選ばれるという保証がございません。
 次に、三点目でございますが、主任としての能力の育成が難しいことがございます。先ほども申し上げましたように、主任は一年ごとに選任されるということから、系統だった研修を行えないという状況がございます。このために、主任としての意欲や能力を計画的に伸ばすことができないのが現状でございます。
 四点目は、主任の職責に見合った教育職員給料表の級が置かれていないということでございます。主任の職責は、本来、教員よりかなり重いものであるにもかかわらず、教育職員給料表において、一般の教諭と同じ二級が適用されております。このために、主任としての重要性を十分に自覚させることができておりません。
 主任制度発足以来、このような制度上の限界を抱えながらも、校長のリーダーシップなどによりまして、学校運営に主任を機能させている学校もございます。しかしながら、校長や主任の個人的な資質、能力、これに期待しなければならない組織は、やはり問題があるというふうに考えております。このような学校運営上の課題を解決するためにも、新たな職である指導監督層の設置が必要と考えます。
 次の、2の指導監督層に求められる職責についてでございますけれども、資料に書いてございますとおり、新たな職には、教頭の補佐機能、調整機能、人材育成機能、そして担当する校務を適正に進行管理するために、必要に応じて分掌の教諭等に指示を出すなどの監督機能の職責を担ってもらいたいというふうに考えております。
 恐縮ですが、二ページ目をお開きいただきたいと思います。
 3の新たな職の基本的な考え方ですが、現行主任制度は、学校教育法施行規則に規定されている国の制度でございますことから、東京都が独自に職務権限を現在の主任に付与することはできません。このために、資料に書いてありますように、地方教育行政の組織及び運営に関する法律に規定されております組織編制権に基づきまして、学校運営組織に監督権限を持った、仮称でございますけれども、主幹を設置し、教諭をもって充てようと考えております。
 主幹級の職責につきましては、担当する校務に関する事項について、教頭を補佐するとともに、教諭等を適切に指導監督してもらいます。
 次に、任用管理につきましては、主幹級選考合格者を主幹級の職員として、各学校に配置するなど、異動を行ってまいります。
 また、処遇につきましては、給料表の教頭が三級、教諭が二級ということになっておりますけれども、その間に新たな級として特二級を設け、主幹級選考合格者に適用したいと考えております。
 次に、4の新しい学校運営組織に期待される効果でございます。これは、主幹を各学校運営組織に設置することによりまして期待できる主な効果を、各項目別に掲げさせていただいております。このように、新たな職を設置することによりまして、課題に対して組織的に取り組むことが可能となり、結果として、児童生徒により質の高い教育を提供することが可能になると考えております。
 次に、Ⅲの学校運営組織への新たな職の設置についてでございますけれども、恐縮ですが、資料の三ページをお開きいただきたいと思います。
 こちらに、主幹を学校運営組織に配置した場合の各校種別の基本的な考え方と中学校の例でございますけれども、新しい学校運営組織図を掲載させていただいております。
 まず、枠の中に書かれておりますように、校務を七つに分類し、主幹が校種ごとに定めた分担に基づいて各分掌を所管することになります。
 次に、各校種ごとに置く主幹の人数についてですけれども、管理スパンの適正化の観点から、原則として、小学校二名、中学校三名、全日制高等学校六名、定時制高等学校一名、そして盲・聾・養護学校五名を予定しております。
 その下の中学校の例をごらんいただきたいと思います。教頭の下に主幹が三名置かれております。主幹Ⅰ、Ⅲ、Ⅲがそれぞれ上の枠の中にありました分類された校務を分担いたします。例としまして、主幹Ⅲをごらんいただきたいんですけれども、所管する校務は、生活指導に関する事項、保健に関する事項でございます。あわせて生活指導主任を兼務するということになります。
 恐縮です、前のページに戻っていただきまして、今後の検討課題についてでございます。これについては、ごらんのとおり二点掲げさせていただいております。
 なお、この中間のまとめにつきましては、現在、検討委員会の事務局におきまして、関係団体から意見聴取をしているところでございます。
 今後、十二月の検討委員会におきまして最終報告をいたしまして、本年度中に学校管理運営規則を改正し、主幹職を設置したいというふうに考えております。
 以上で説明を終わらせていただきます。

○東委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○曽根委員 二つお願いします。
 一つは、同様の主任制度の見直し、また、主幹というような新しい職制を設けることを検討もしくは実施している他の自治体の例。また、東京都の中でのほかの部局での例。
 二つ目、この制度の実施に伴う人件費、それからこの制度以外の教員の持ち時間数などに対する影響、そういったものをお願いします。

○後藤委員 お願いしたいのは、主幹という制度ができましたら、研修というのをやると思うんですけれども、例えば研修はどのようなものを考えられているのか、資料を見せていただきましたらば、主幹Ⅰ、Ⅲ、Ⅲというふうに書いてあるんですけれども、各三部門の主幹の研修に関する資料みたいなものがあったらば、出していただきたいと思います。

○野上委員 今までの主任制度でありました、教務主任手当とか生活指導主任手当とか三クラス以上の学年主任手当とか、中学校でいえば進路指導手当、そういった小中学校別の主任手当の総額みたいなものがわかれば教えていただいて、今度また、特二級制度を採用した場合にかかる総体の費用ですね。ちょっと比べてみたいと思いますので、それがわかりましたらお願いいたします。
 以上です。

○東委員長 ほかにありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 ただいま曽根委員、後藤委員、野上委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 異議なしと認めます。理事者におかれては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。

○東委員長 次に、請願陳情の審査を行います。
 初めに、一三第一三五号、病弱養護学校高等部の設置に関する請願を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○比留間学務部長 一三第一三五号、病弱養護学校高等部の設置に関する請願についてご説明申し上げます。
 本請願は、東京都立久留米養護学校保護者代表酒井正代さんほかから提出されたものでございます。病弱児童生徒に対し、次のことを実現していただきたいということでございます。
 まず一、都立病弱養護学校の高等部を早急に設置することでございます。病弱養護学校の高等部については、現在のところ高等部の設置は予定してございませんが、今後とも、国の特殊教育の動向を踏まえ、生徒の進路状況等を十分に調査しながら研究してまいります。
 二、平成十四年度春以降、高等部が設置されるまでの間、中学校を卒業する生徒に対する教育の場を保障することでございます。病弱養護学校の中学部卒業予定者につきましては、学校が行う進路指導と緊密に連携を図りながら、一人一人の病気の状態や進路先の希望などを十分把握し、対応することができるよう、本人や保護者に対してきめ細かな進路相談を行っているところでございます。
 三、病弱教育のあり方を検討する際は、保護者代表を参加させることでございます。病弱教育のあり方の検討に当たりましては、保護者を初め関係者等のさまざまなご意見を参考にしてまいります。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○東委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○野島委員 何点かお伺いをさせていただきます。
 実は久留米養護学校が何年か前に全面改築をされました。この学校、開設何十周年でしたかね、周年行事とあわせて改築がなされた。機会がありまして、そこの場で在校生あるいは卒業生、保護者の皆さんの意見を伺う機会を得ました。卒業生は学窓の時代を思い出しながら、自分は病気と向き合いながら進学し、その後社会に出て、なお今も病気と向き合いながらも社会生活に一生懸命励んでいる。そんなことの話を聞きまして、我が子どもを持って、朝母親に起こされ、寝なさい、勉強しなさい、さい、さい、さいという、さい、さい、さいしの中の生活と、その人たちの、みずから爆弾というと語弊がありますけれども、病弱を持ちながら、それを自己コントロールしながら勉強に向き合い、社会に貢献をしていこうという姿勢を感じたとき、ぜひ子どもにも聞かせてやりたい話だなと、つめのあかでももらって、せんじて飲ませようかなと思ったのも事実でございます。
 実はその段階では、私は、この問題というのは全く知りませんでした。その後もいろいろお話を伺いました。そこで、なかなか困難な問題があるなというのが正直なところ、勉強すれば勉強するほど、まだ勉強がいき過ぎているわけじゃないですが、あるなというふうに思っています。
 一般的に、養護学校の義務教育ですから、小中ですよね、そして高校に行くようになりますと、高校は義務教育じゃないですから、ここにございますように、進路をどうするかという問題があると思うんですね。それで、その方たちの進路相談というのは、当然学校でやると思うんですね。その後の進路がどうなっているのか、過去五年ぐらいをちょっと教えていただきたいなと思います。まずそれを一点確認をさせてください。

○比留間学務部長 都立久留米養護学校中学部卒業生の進路先につきまして、過去五年間の状況で申し上げますと、卒業生は合計で五十五名でございます。このうち三十四名、六二%の生徒が高校へ進学をしてございます。十九名、三五%が養護学校へ進学をしてございまして、一名が就職、その他が一名という状況でございます。

○野島委員 ありがとうございました。正直なところ、全く健常であれば、普通の中学を卒業して普通の高等教育機関に行くよと、ずっと健常で過ごしているわけですね。ここの卒業生は、今お話を伺うと、高校に三十四名六二%、十九名が養護学校ということで、こちらの部分は養護--これは病弱養護ですからね、ただいろいろ重複するというのが一般的にいわれておりますから。そうすると、肢体の不自由な方はこちらですよと、知的障害はこちらですよと、こういうふうな形になるんですが、普通に生活はできるというと語弊があるんですが、いわば病気を内在しちゃって、いつ爆発するかわからない部分がこの人たちだと思うんですね。そのことを考えますと、なるほど進路先はそういうふうな形で進んでいったと。しかし、そういうものを内在していますから、三年間学業を成就できたのかどうかという検証が必要だと思うんですね。三年間学業が成就した率が高ければ--それは何も病気だけの理由じゃなくて成就しなかったというケースもあろうかと思うんですね。
 そこで、この請願書にも書かれておるわけでありますけれども、そんな状況の中で、中退せざるを得なくなる生徒の割合も高いなど、こういう表現がされているわけでありますけれども、その辺の実態ですね。高校に行きました。しかしやめました。この原因が何なのか。成就しました。実はこれこれしかじかで、爆弾は抱えているんだけれども、それをこういうふうにクリアしながら成就しているよとか、その辺の、中退率というんですかね、その辺がありましたらひとつ教えていただきたい。この久留米養護の過去五年--わかる範囲で結構でございます。

○比留間学務部長 都立久留米養護学校卒業生の進路後の状況につきまして、過去五年間の状況で申し上げますと、これは年度によって異なりますけれども、卒業した生徒のうち、約三割程度の者が、何らかの理由によりまして進路変更しているというふうに学校から聞いてございます。今何らかの理由というふうに申し上げましたけれども、この進路変更の詳細につきまして調査することは、生徒のプライバシーからなかなか難しい面がございますけれども、可能な限り卒業生の進路先の状況について把握するように努めてまいりたいと思います。

○野島委員 何らかの理由によって進路変更と、いわば中退というふうに考えていいんですかね。そうしますと、率的には当然高くなっちゃうというのは、これは母数の問題がありますからね。私の知る限りでは、一般的な高校の中退率が大体三から四のボーダーで動いていると思うんですね。なるほどそういう意味ではパーセントからいえば高いです。だけど母数の違いがありますから、一概にということはいえないと同時に、さっき申し上げましたように、私は病弱だから、したがってやめたというケースもあるでしょうし、あるいはそうじゃなかったけれども、自分の人生観が変わったから高校をやめるというケースもあるだろうし、あるいは勉強についていけないからやめちゃったというケース、これはいろいろあると思うんですね。
 それが今部長のおっしゃった、実態としてのプライバシーの問題があるからなかなか困難だというのがわかるんです。わかるんですが、ぜひその辺を、プライバシーで、実はこれこれしかじかでということを、これこれしかじかだからAさんがこうでした、Bさんがこうでしたというのを外に出すなら別ですけれども、恐らくここを卒業なさった方が、いや、あそこはそこまででいいんだという感覚の人もいるでしょう、あるいは、ぜひそういう部分であれば高等部もつくってしっかりと青春の勉学向上心を満たしてやれという人もいるでしょうから、これこれしかじかでこういう調査をしますよということで、それはプライバシーという難しい面があるんですけれども、それは一つの制度をやっていく中で、私はそういう部分というのはぜひ協力してもらって、もちろんPTAもあるでしょうし、卒業後のOB会もあるんですかね、そういうところにも意のあるところをご説明申し上げて、実態がこうだというのがわかりませんと、その後じゃこうしていこうというときに、今度は制度的な隘路を解決する力がなくなっちゃうと思うんですね。したがって、その実態の把握というのをぜひ今後も積極的に進めていただきたいというふうに思います。
 それで、こういうふうに中途で退学する人が多いですよと、事情は病弱も恐らくは大きなウエートを占めるでしょう。病弱ということのウエートに視点を置いて、それではそういう状態になったときに、高校に進学し、病弱あるいは病気を治さなきゃいけないということで、学業、学校を離れなきゃいけないよと。病院に入院しなきゃいけない。そうしたときに、向学心に燃えた生徒に対して、どういうふうないわゆる手だてが現行でき得るのか。すなわち、病院内教育というふうな話も伺っておりますが、それらの東京都における実態がどんなものなのか、それから他府県、東京都以外のところでどんな取り組みをしているのか、制度的な部分でお答えをいただければと思います。

○比留間学務部長 病院内の教育について東京の実態と他府県というご質問でございますが、まず他の道府県について申し上げますと、東京以外の道府県の病弱養護学校の大部分は病院に併設されておりまして、その病院に入院している児童生徒を対象に教育を行っている、こういう形になってございます。
 一方、東京都の病弱養護学校でございますけれども、常時の医療ケアまでは必要としない児童生徒を対象としているために、病院に併設ではなく、寄宿舎を学校の中に設置をいたしまして、生活面の指導を行いながら教育を行ってございます。
 それ以外に都内の病院に入院している児童生徒の教育についてでございますけれども、これにつきましては、肢体不自由養護学校を中心といたしまして、病院の中に分教室を設置したり、あるいは教員を病院へ派遣する訪問教育、これらによりまして対応しているところでございます。

○野島委員 わかりました。要は病気になっちゃって入院しちゃった場合には、それなりに対応をしますよと。そうすると、養護学校という部分でいきますと、いわば学校の高等部ということとは全く概念が現行違うわけです、だからつくってくれという話なんですけれども。
 こういう考え方でいいんですか。要するに、線路に例えますと、普通健常者、あるいは一部病弱を抱えながらも、一般的にはこの本線を走りますよ、こういうことですね。本線でいろいろな病気の事情とかなんとかで耐えられないときの待避線が入院という部分もあると思うんですね。その場合にはこういう制度が今ありますよというお話がございました。それで本来的に養護学校の場合には、そういう部分じゃない、完全に病気でいかんともしがたいことじゃないんで、そういう部分でやれば寄宿舎という部分があるよ、こういう話ですね。
 私も実はまだ整理がつかないんですが、例えばさっきも大学改革で議論がありましたけれども、今東京都が、教育庁がお進めになっているいろんな教育改革というのは、いろんな生徒なり、親御さんの、広くいえば社会ニーズが多様化してきたから、それにこたえるような教育改革をして教育制度を変えていくんだよ、こういうことだと思うんですね。あるいは、選択の多様化を教育として用意をしましょうというのが、私は総合学科制度だとか進学指定校だと、こういう形になっていると思うんですね。
 これから先は答弁は別に要しませんが、私は実はここに住んでいますので、ここの地区の事情はよくわかっているんです。隣には都立の久留米高校があるんです。そのわきが久留米西校なんです。ここからバスで三つぐらい行きますと清瀬高校というのがあるんですね。そこからはちょっと離れるんですが、清瀬東があるんですね。清瀬東と久留米高校を統合発展的に総合学科制度に移行しましょう、看護学科とかスポーツ学科とかあるんですけれどもね。そうしますと、そういう教育資源というのは結構あるんですね。これは夢みたいな話になっちゃうんですが、例えばそこを卒業して、久留米高校で実は自分は介護というか、病気を持っているわけですから、そういう部分では大変生きる力を与えられたと、私は、久留米高校の看護学科があれば、そこに行きたいというような人も出てくると思うんです。そういう際にはそこに行って、こっちを寄宿舎的に使うということが、もちろん別立ての施設のキャパシティーの問題がありますけれども、そこで自分をコントロールしながら、家庭でコントロールできれば一番ベストなんですが、あるいはその先は病院ですからね。そこで寄宿舎的にやっていく、あるいはどうしてもそこで加療を受けながら、むしろ学校から教えに行くとか、そういう全体的なところを検討してほしいなと思うんです。
 だから、最終的にお話し申し上げなければいけないのは、要は実態がどうなのか、実態を踏まえてそれではどうなのか、そのときに制度的な隘路が出てきますよと。それをカバーするというのか--この部分だけを突出して何としてもつくるとしても、何となくわかるんですよ、無理じゃないかなと。というのは、これ、教育ジャンルじゃなくて、福祉ジャンルに入っていっちゃうと思うんですね。ですから、その辺の難しさがありますから、ぜひ全体の検討をいただきたいと思うんです。もちろん、恐らくは、今部長さんから答弁いただきましたけれども、課としては障害教育課の所管になるんですか、現行の養護学校そのものがね。そこでとどまらずに、ぜひ総体的な研究を、実態調査とあわせて進めていただきたいと思うんですが、私は要望的に申し上げましたので、特に答える必要がないと思えば、それで結構でございますけれども、私は実はそんな実情をよく知っているものですから、ぜひ、全体の教育資源をうまくやりながら、じゃ、おまえ、うまくやれとはどういうことなのといわれると、私も答えがないんですが、それは皆さんエキスパートですから、そういう検討をしていただきたいと思うんですが、この辺はいかがでございましょうか。

○比留間学務部長 まず、実態を踏まえた上で、それから先どういう方法がとれるかという検討というお話がございました。先ほど進路の問題でお答え申し上げましたように、確かにその点についてまだ調査しなければならない、調べなければならない、その上でどういう方法があり得るのかというのを考えなければいけないというふうに思っております。
 いずれにいたしましても、今のご質問を踏まえまして、十分に考えさせていただきたいと思います。

○野上委員 先日、肩浜養護学校と久留米養護学校の視察に行かせていただきました。現実に教育の実態を目にしまして、大変きめ細かな手づくりの温かい教育が行われているなということを実感しました。また、養護学校の生徒さんたちから作文を送っていただきまして、いじめとか不登校で本当に悩んでいたけれども、この学校の中で自分を取り戻すことができた、自己実現できたというようなことが書いてありまして、感動して読ませていただきました。かねてより我が党は、都立の養護学校に在籍する病弱な児童生徒の保護者の皆様から、病弱養護学校の高等部をつくってほしいという陳情、要望をお聞きしております。ここでいう病弱とは、心臓病とかぜんそくとか、ネフローゼとか慢性肝炎、それから身体虚弱、アトピー性皮膚炎。ここで大事なのは、心身症などの病気を持っている、また医療規制や生活規制が必要な児童生徒、これを足したいと思っております。
 保護者の皆様からは、知的障害の子や、肢体不自由などの障害を持つお子さんにはそれぞれ障害別の養護学校高等部があって、ほぼ一〇〇%進学が可能であると。ところが、病弱養護学校には高等部がないので、先ほど野島委員が質問されたように、普通の高等学校に三十四名、それから養護学校に十九名、就職が一人で、その他が一人という、さっきご答弁いただいておりましたけれども、この十九名の、養護学校に進学したといわれたんですけれども、この進学先の養護学校の内訳はどうなっているのか、お聞かせいただければと思っております。

○比留間学務部長 十九名の内訳でございますが、校種別に申し上げますと、盲学校が一名、肢体不自由養護学校が七名、知的障害養護学校が十一名、合計十九名でございます。

○野上委員 この請願の中にも書いてありますけれども、病弱養護学校の高等部がないために、なかなか自分に合った学校に進学できないという悩みが多いようです。学習内容が自分には合っていない、的確でないとか、体力的についていけないとか、どうしても学校不適応になってしまうとか、医療の面で不安であるとか、そういった意味で中途退学の子も中にはいるようです。私は、子どもが現状の教育の実態に合わせるのではなくて、子どもの実態に合わせて教育環境を整えていくのが本来の教育ではないかと常々考えているんですけれども、これは大変な予算が伴うことですけれども、日本の未来を担う子どもたちの教育のためには、最優先した教育環境を整えていただきたいと思っております。
 病弱養護学校の高等部の設置につきましては、都の教育委員会はどのように考えていらっしゃるのか、お聞きしたいと思っております。

○比留間学務部長 病弱養護学校の高等部の設置についての考え方でございますが、これまでの病弱養護学校の在籍者の状況、あるいは進路先の状況から判断いたしますと、病弱養護学校高等部の対象になるというふうに想定されます生徒の数は、極めて限られているというふうに考えてございます。今後とも、国の特殊教育の動向を踏まえますとともに、対象となります生徒の見込み数や進路状況等を十分調査しながら研究してまいります。

○野上委員 この請願の中にもありますけれども、高校生の中で病気等を理由に退学した高校生が百九十五名いるというふうにございます。そういう対象となる見込みの数が少ないとおっしゃっていましたけれども、この養護学校高等部ができますと、そちらの方面に進学してみたいという数も大変にふえてくるのではないかと私は思っております。また、生徒の進路状況にもかなり変化が起きるのではないかと。
 最後になりますけれども、今後とも、病弱教育全体の点検とか見直しをしていただいて、少人数であっても、一人の子を大切にしていく、そういう教育作業が大変大事だと考えております。さっき野島委員がおっしゃられたのとちょっと共通するんですけれども、久留米養護の近くに久留米西高等学校が隣接しておりますね。その一角に人的資源という教師もたくさんいるわけなので、その病弱児童のための高等部というのが設置できないだろうかと思っているんですけれども、こういったことも検討していただきますように要望して、終わりたいと思います。

○曽根委員 前のお二方とかなりダブりますので、その部分は省略をし、また、予定した質問もまとめてお聞きしたりするかもしれませんので、よろしくお願いします。できるだけ簡潔にやりたいと思います。
 まず、先ほどもちょっとありましたが、病弱児という子どもの義務教育のあり方というのが非常にさまざまな形になっているなというのを私もいろいろと勉強しました。大きく分けて、寄宿舎つきの養護学校久留米のような場合、それから病院に入院していて、そこに分教室がある場合は病院の中で通っている、分教室がなくベッドサイドで訪問教育を受けている場合、在宅で訪問教育を受けている場合、主にそう分けた場合、中学校段階でいいんですけれども、時間数や何かにしたらどういうふうになるんでしょうか。

○比留間学務部長 分教室あるいは訪問教育の子どもたちへの時間数でございますが、病院内に設置してございます分教室は、今お話がございましたように、子どもが病室から通学する、こういう形をとっておりまして、指導時間も学習指導要領に示されております各学年の標準時数を確保することを前提に時程を組んでございます。教員が子どもの病室へ行って教育を行う、あるいは家庭に訪問して教育を行うという訪問教育では、子どもの病状に合わせる必要があることから、週三回、一回二時間、この授業を基本に実施しているところでございます。

○曽根委員 病院に入院していても、仮に同じ病状であっても、そこに分教室があるとなしでは、週に六時間しか受けられない子どもと、基本的な標準時数を受けられる子どもとの差が生まれている。義務教育段階でも既にこういう差がある。これはやはりすべての子どもに教育の機会を基本的には公平に供与しなければならないという立場から見ると、やはりまだ課題が大きいなと、それ自体、課題が大きいなというふうに思います。
 そこから先、中学校年齢を卒業して、入院したまま高校年齢を迎えた場合、それから在宅で訪問教育を受けていた子が高校年齢を迎えた場合、寄宿舎つきの養護学校の場合は高校がないわけですよね。先ほど進路についてはお聞きしたので、それは省略します。
 入院状態、または訪問教育を受けていた場合にはどういう学校があり、どういう形の教育になるんでしょうか。

○比留間学務部長 入院あるいは家庭、病院でもございますけれども、訪問教育を受けていた中学部の生徒が高等部に進んだ場合に、どういう形態の教育があるかと。その病院の中に分教室が設置されておりまして、高等部があれば、その高等部で教育を受けることができる。それから、分教室がない場合、その病院に入院しているお子さんがごく少数な場合、あるいは家庭の場合は、高等部の訪問教育という形で対応することになります。

○曽根委員 ここから先がさらに大きく教育の機会の差が開いていくということなわけですよね。分教室がある場合でさえ、例えば清瀬小児病院の中の分教室は、久留米養護から先生が行っているわけですから、久留米養護に高等部がないために、分教室があるんだけれども、中学校で終わりと。高校年齢の子は、入院していて、中学までは病院の中の学校に通うが、自分はベッドにいなければならない。しかし、例えば小平養護から派遣している国立病院の子どもは、高等部が、肢体不自由校ですかね--から派遣されて先生が行っているので、受けられると。同じ病状であっても、入っている病院によっても違う、分教室があっても、また差があるという。本当に病弱児の教育、義務教育も含めて、私は、できれば高校も含めたトータルな教育のあり方、公平性、そしてできるだけ、どんな病状の子どもであっても、最大限、生きて、頑張って勉強しようという意欲にこたえられる体制をつくると。
 また、財政的には対象が限られているという点から見ても、それほど莫大な費用を要するものではないだろうと。この点で、特にその中の大きな空白になっている、病院に入院までは必要ないけれども、寄宿舎つきの小中学校の養護学校に通ってきた子どもたちの先が、同じ状態では保障できないという問題。普通学校に行くか、先ほどのお話だと、どっちかというと知的養護の、小中学校までは肢体不自由の学校から先生が来ているのが多いんだけれども、今度は知的養護の方に行く場合が多いと。その中間がないという、ここのところの課題は、さっき研究とかいう話もあったけれども、具体的に期限を切って、それにふさわしい人も集めて、教育庁が検討に入って、いつまでには結論を出しますよという願いにこたえる具体化をすべきときに来ていると思うんですが、いかがでしょうか。

○比留間学務部長 先ほどもご答弁申し上げましたけれども、病弱養護学校高等部の対象というふうに想定される生徒の数は極めて限られてございます。今後とも、病弱養護学校高等部につきましては、国の特殊教育の動向を踏まえますとともに、対象となる生徒の見込み数や進路状況等を十分に調査しながら検討してまいります。

○曽根委員 ぜひ検討を急いでいただきたいと思うんですね、もう十年来の要望ですので。これは前回も取り上げましたので、私はこれ以上繰り返しませんが、今、数が非常に限られているというお話があったので、一点だけつけ加えておきたいと思います。
 小中学校段階で、全国で見ても二十二万三千人の子どもの長期欠席がありますが、残念ながら、平成九年の数字なので、今はもっと多いと思いますが、そのうち病気を理由にしした長期欠席が四割にも及んでおります。それから、高校での話は先ほどあったとおりで、高校でも長期欠席を病気を理由にしている生徒がいるということ。それから、一カ月以上入院をしている子どもの数も、入院者数が三千六百人に対して半分以上、千八百人以上の子どもが一カ月以上の長期入院を経験しているということから見て、病弱児のための学校が小中高と、先ほど私が指摘したように、いろいろな形でばらばらになっているんではなくて、どの地域、どの場所でも、受け入れがあれば、それを必要としている子どもは、都内だけでも数千名はいるだろうということが予想されるんです。そのことを指摘して、ぜひこの受け皿をつくっていただきたいと切に要望して終わります。

○東委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、保留とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 異議なしと認めます。よって、請願一三第一三五号は保留といたします。

○東委員長 ちょっと速記をとめてください。
〔速記中止〕

○東委員長 それでは再開してください。
 次に、一三第一四一号、義務教育費国庫負担法の改正反対に関する請願及び一三第六三号、学校事務職員・栄養職員の定数改善等に関する陳情は、内容が関連しておりますので、一括して議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○中村人事部長 一三第一四一号、義務教育費国庫負担法の改正反対に関する請願についてご説明申し上げます。
 本請願は、東京都学校事務職員労働組合執行委員長要田一朗さん外一名から提出されたものでございます。
 要旨でございますけれども、義務教育費国庫負担法の改正に反対し、少なくとも現行水準の義務教育費国庫負担を維持することを求める意見書を国に提出していただきたいというものでございます。
 都知事及び東京都教育委員会は、かねてより、義務教育費国庫負担制度の重要性を認識し、義務教育の水準の維持向上を図るため、この制度の堅持を国に対して要請してきております。
 さらに、国の財政事情による地方への負担転嫁は都財政に多大な影響を与えるだけでなく、義務教育の円滑な推進に大きな影響を及ぼすものであることから、平成十三年第三回都議会定例会におきましても、国に対して制度堅持等を求める意見書を採択したところでございます。
 次に、一三第六三号、学校事務職員・栄養職員の定数改善等に関する陳情についてご説明申し上げます。
 本陳情は、東京都教職員組合執行委員長中山伸さんから提出されたものでございます。
 次のことを実現していただきたいとするものでございます。
 一つは、学校事務職員の要保護、準要保護加配などにかかわる定数削減をやめ、学校事務職員と栄養職員の定数を改善するというものでございます。
 二つ目は、政府、文部科学省、財務省、総務省に対して、学校事務職員、栄養職員の給与費半額負担を適用除外とすることなく、義務教育費国庫負担制度を堅持することを求める意見書を提出することというものでございます。
 三つ目は、政府、文部科学省、財務省、総務省に対しまして、都を富裕団体とみなし、給与費の制限等の義務教育費国庫負担制度減額措置をとることの撤廃を求める意見書を提出することというものでございます。
 現在の状況でございますが、一につきましては、学校事務職員は一校一名、栄養職員は二校に一人が基本的な配置基準でございまして、厳しい都財政の中、定数の改善は困難な状況でございます。都教育委員会は、今後とも、国の動向を踏まえつつ、嘱託員等の活用を図りながら、適正な定数の確保に努めてまいります。
 次に、二についてでございますが、東京都教育委員会は、かねてより、義務教育費国庫負担制度の重要性を認識し、義務教育水準の維持向上を図るため、この制度の堅持を国に要望してきております。
 次に、三についてでございます。都は、当該年度前三年間の平均の財政力指数が一を超えることを理由に、義務教育費国庫負担金の財源調整措置を受けておりまして、この廃止を国に対して強く要望してきております。
 なお、意見書等の提出状況でございますが、都知事名、教育長名、都議会議長名で国に対し提案要求及び意見書を提出しております。
 最近の成果といたしましては、都の財源調整措置にかかわる部分の退職手当率が改善されました。平成十二年度では、義務教育教職員給与費の退職手当率が千分の二十から千分の八十四に引き上げられ、また平成十三年度では、公立養護学校教職員給与費の退職手当率が千分の二十から千分の八十四に引き上げられました。この部分にかかわる増収としまして、十二年度決算においては六十六億円、十三年度予算におきまして三億五千万円となっております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○東委員長 説明は終わりました。
 本件について発言願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 発言がなければ、初めに請願一三第一四一号をお諮りいたします。
 本件は、趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 異議なしと認めます。よって、請願一三第一四一号は趣旨採択と決定いたしました。
 次に、陳情一三第六三号をお諮りいたします。
 本件のうち、第二項及び第三項を趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 異議なしと認めます。よって、陳情一三第六三号中、第二項及び第三項は趣旨採択と決定いたしました。

○東委員長 次に、一三第一四七号、都立小石川工業高等学校にかかわる統廃合改編計画の見直しに関する請願を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○山際都立高校改革推進担当部長 一三第一四七号、都立小石川工業高等学校にかかわる統廃合改編計画の見直しに関する請願についてご説明申し上げます。
 本請願は、都立小石川工業高等学校全日制同窓会会長石井文雄さんほかから提出されたものでございます。
 請願の趣旨は、まず一、都立高校改革推進計画に基づく統廃合改編計画について、小石川工業高等学校にかかわる計画を見直すことでございます。
 都教育委員会は、平成九年九月に、都立高校改革推進計画第一次実施計画、平成十一年十月に、同第二次実施計画を策定したところでございます。この計画は、生徒の多様化に対応した特色ある学校づくりを推進するとともに、生徒の大幅な減少に対応して、都立高校の規模と配置の適正化を進めるものでございます。生徒減少に対応して工業高校の適正配置を進めるため、都立小石川工業高等学校と都立世田谷工業高等学校とを発展的に統合して、両校の伝統や教育実績を生かした世田谷地区工業高校を平成十八年度に設置してまいります。
 次に二、計画における工業系高校教育の重要性、意義、目的について、二十一世紀の社会構造ビジョンの中で見直し、検討することでございます。これからの工業高校では、二十一世紀における我が国の生命線ともいうべき経済力の源泉であります物づくり産業の基盤を支える人づくりを目指し、専門性の基礎、基本の重視、社会の変化への対応、個性の伸長、地域や産業界との連携といった、これからの時代に対応した新しい工業教育を創造することが求められております。
 都教育委員会は、都立高校改革推進計画に基づいて、これまで理工系大学等への進学に対応した教育を行う新しいタイプの工業高校として、専攻科を併設した科学技術高校の設置、地元企業等との連携を特色とした単位制工業高校の設置、工業技術にかかわる系列を持った総合学科やチャレンジスクールの設置など、工業教育の改革に取り組んでまいりました。また、小石川工業高等学校と世田谷工業高等学校とを発展的に統合して設置する新しい高校における工業教育については、工業の専門性の基礎、基本の学習を基礎に教育内容を充実すること、多様な進路への対応やインターンシップの活用等、教育課程の工夫を行うこと、工業の基礎、基本の知識、技術や創意工夫する力等、生徒の能力を育成すること、地域社会に教育機能を提供することを実現していく考えであります。今後とも、都立高校改革推進計画に基づき、工業高校の改善を進めていきたいと考えております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○東委員長 説明は終わりました。
 本件について発言願います。

○石川委員 何点か、簡略的に伺っていきたいと思います。
 社会の変化や生徒の実態に応じた教育の改革が求められている今日、都立高校の教育内容や、そのあり方についても改革を進める必要があることは、だれ人も否定し得ない課題だろうと思っております。しかし、現実には具体的に学校の統合や改編を進めるとなると、特に当該学校関係者からさまざまな意見が出されるのも、一方では理解できるところであります。
 そこで、今回の対象二校の統合理由と設置場所の選定について改めてお伺いします。

○山際都立高校改革推進担当部長 統合理由等についてお尋ねです。
 小石川工業高校につきましては、平成五年から平成十二年度まで二次募集を繰り返すとともに、中途退学者が非常に多い状況でございました。また、校舎の老朽化も進んでいるところでございます。この点については、世田谷工業高校についても同様な状況でございます。こうしたことに加え、小石川工業の校地を都市計画道路が通り、工業高校としては敷地が狭くなるなどの諸要素を勘案いたしまして、小石川工業と世田谷工業高校を発展的に統合し、校地面積の広い世田谷工業高校の場所に新しい工業高校を設置することとしたものでございます。

○石川委員 小石川工業高校が統合の対象になった理由については、これまでも幾つかの要素を総合的に判断していると、今説明を伺ってまいりました。そして今、その答弁にもありましたように、小石川工業の校地の一部を都市計画道路が通るために敷地が削減されるということもあったということですけれども、それでは、承知しているだけで結構ですが、この道路計画の進ちょく状況についてはどのようになっていますか。

○山際都立高校改革推進担当部長 道路名は都市計画道路環状四号線という名称でございます。小石川工業高校を通過する部分、これは靖国通りと放射六号線の間でございますが、五百五十メートルあります。これについては、十三年度内に現況測量をするということで、周辺住民に周知したというふうに建設局から聞いております。
 なお、五百五十メートルの西側にあります部分については既に道路を整備済みでございまして、また東側の部分については、既に道路建設のための用地測量済みでございます。

○石川委員 当校の都市計画道路も着実に建設に向かって諸準備が進められると、こういう事情もわかりました。
 そこで、発展的統合とおっしゃっておりますけれども、この場合、どのような点で具体化されているのか、お示しください。

○山際都立高校改革推進担当部長 発展的統合の具体的な内容というお尋ねでございます。
 小石川工業高校と世田谷工業高校を発展的に統合して設置をいたします世田谷地区工業高校につきましては、機械系、電気系、それから建築建設系の三つの学科を設置することといたしております。このうちの建築建設系の学科につきましては、小石川工業高校のこれまでの教育実績あるいは都全体の設置学科のバランス等を考慮したものでございます。
 また、世田谷工業高校の教育実績を考慮いたしまして、機械系の学科に自動車に関する類型を設置するとともに、航空に関する類型を置きまして航空技術を学ぶことができるようにいたしております。

○石川委員 小石川工業高校の関係者からの請願も、これで実は三回目になるわけですよね。その都度、十分な説明をしてくださいと、こういう議論をしてきたわけでありますけれども、これまで理解を求める努力をどのように展開してきたのか、改めてお願いいたします。

○山際都立高校改革推進担当部長 説明し、理解を求める努力ということでございますが、平成十一年の六月二十九日に、当時の学校長に適正配置計画をお示ししまして、学校長から、PTAあるいは同窓会等の関係者に説明をいたしてあります。その後、保護者、同窓会あるいは教職員に対する説明を行い、その他の学校関係者についても説明を行いまして、理解を求めた上で、同年十月の十四日に、教育委員会において第二次実施計画を決定したものでございます。決定後におきましても、引き続き話し合いを続けておりまして、本年一月には、同窓会、保護者、教職員に対する説明会をいたしますとともに、二月には、同窓会代表者の方々とも意見交換などを行っているところでございます。

○石川委員 ところで、先般、都立高校に関する都民意識調査の結果が公表されました。その中で、都立高校改革推進計画の周知状況や、計画の印象について聞いておりますが、その結果の概要を具体的な数字で説明してください。

○山際都立高校改革推進担当部長 都民意識調査のお尋ねでございますが、今回の調査、平成八年に実施して以来、二度目になるわけでございます。具体的な数字でございますが、調査対象者につきましては、成人の方あるいは高校生、小学校六年生や中学校の三年生、そしてその保護者、合わせて五千人を対象者といたしまして、回収率については六六%、三千三百人有余の方の回収をしているところでございます。
 内容的には、都立高校改革の認知度につきましては、進められていることを知らなかったという回答の方が二八・二%ということで、何らかの形で知っている、そういう回答が、認知しているというふうな方が七割というような結果になっております。また、都立高校改革の印象につきましては、七割の方が肯定的な回答をいたしております。

○石川委員 答弁がございましたけれども、都民意識調査の結果について、教育庁はどのように受けとめておりますか。

○山際都立高校改革推進担当部長 結果についての受けとめでございますが、特に都立高校改革について肯定的意見が多かったということにつきましては、都立高校に対する都民の期待が大きいというふうに受けとめております。しかしながら、都立高校の選択理由あるいは教師の印象など、個々の回答に関しましては、今後、さらなる努力が必要であるというふうな部分もございます。
 また、都立高校改革の認知度につきましては、七割という回答が出ておるわけで、大きな数字だというふうに受けとめております。今後とも、都民の方々に周知するよう努めてまいります。

○石川委員 これまでの一次、二次の改革、当然対象になった学校関係者の間から強い反対する要望なり請願なり、さまざまなご意見が出されているわけであります。したがって、これからもそうした関係者と話し合いを続け、納得のいく説明をするとともに、新しい学校に対する意見や要望を受けとめ、取り入れられるものは取り入れていってほしいと強く要望いたします。
 さらに、来年度には第三次の実施計画が作成されていると聞いています。都立高校改革がすべての都民の支持を受けるよう、都民に広く情報を公開し、都民の理解を得る努力をさらに続けることを要望し、質問を終わります。

○曽根委員 それでは、何点かこの問題でお聞きしたいと思います。
 先ほどお話があったように、これは繰り返し請願が出されていて、我が会派からも、ことしの春も含めて何回か質疑をしております。しかし、教育庁は、繰り返し十分説明したし、今後もするといっていますが、請願者は納得していないというのが、この問題では特にこの傾向が強いと思います。
 そこで、今まで出された問題で改めて聞くんですけれども、まず一点目は、小石川工業は地元だけではなく、城北地域全体、私のおります北区も含めて、物つくり、特に北区には王子工業がありますけれども、建築土木はここしかないと、小石川しかないということで、この分野を志望する若者に、世田谷まで通えというのは無理じゃないかという声が強いわけですが、この点について十分に納得のいく説明がされたんでしょうか。

○山際都立高校改革推進担当部長 小石川工業高校の統合に関しましては、関係者の方々に繰り返しご説明をしてきたところでございます。これについては、生徒の減少に合わせて、学区や地域のバランスを考慮して、規模と配置の適正化を図ることにしたと。
 具体的には、校舎が老朽化し、改築や改修の必要があること、あるいは継続的な二次募集校となっており、中途退学者も多い、さらには、先ほどご質問ございましたが、都市計画道路によりまして、校地面積が大幅に減り、使い勝手が悪くなるというようなこともございます。
 一方で、世田谷工業の敷地については五万七千と広いということでお話をしてきておるわけでございます。建設科について、都内で二つということでございますが、東京の交通事情から、利便性は十分確保されているというふうに考えております。

○曽根委員 都内に二つで、世田谷まで、私の北区から通えというのはちょっと酷だと思いますが、それにしても、生徒減が確かに傾向としては今続いていると。
 しかし、少子化は大体あと数年で底をつくといわれているわけです。しかも日本の、特に東京の、いわば物づくりの再生を今こそやらなきゃならぬと、工業高校の役割というのは、これからこそ大事だといわれているのを皆さん否定しないと思うんですよ。
 さらに、今職業志望で何が多いか。これはかつての時代と全く違うんですね。トップは大工さんですよ。建設分野が、今、男の子たちの、小学校、中学校も含めて、職業志望のトップなんです。
 確かに住宅問題というのは、東京都においても、全国的にもやっぱり今後の物づくりの中で大きな分野を占めるということは間違いないと私も思うし、ちゃんと子どもたちは、それを的確にとらえているんですね。それが都内に二校しかない、しかも土木といえば小石川と、全国の御三家に入っているというふうにいわれていた学校ですよね。そういう点でも、貴重な資源を、本当にこのまま生徒減を理由にしてやっていいのか、統廃合していいのかというので、やっぱり簡単に納得できる問題じゃないと思います。
 しかも、校地が狭くなる、道路問題というのは前からあったことで、統廃合計画が出る前は、何しろこの学校は建築士の方が先生なわけですから、こういう計画もつくって、仮に道路が通った--私はこの道路計画の方を見直すのは当然だと思いますが、道路が通った場合でも、学校はこういうふうにやっていけるんだよという図面まできちんと、学校の先生が、専門家としてつくったという話も、これは前にやったそうですので余りくどくどやりませんが、そういう点でいえば、統廃合に私は道理がないなという印象を受けています。
 それから説明の仕方も、これはちょっと聞いてみたいんですけれども、あなたの学校は、これは同窓会の方が実際にいわれたというんですけれども、都内で最もできの悪い高校だと、都内で一番不便な高校だというようなことをいわれたと、道路問題以外に。これは本当に事実なんでしょうかね、私たちに説明するのと全然違う言葉が出ているように思うんですが、いかがですか。

○山際都立高校改革推進担当部長 統合の理由については、先ほど申し上げたようなことでございまして、ただいま委員ご質問の、私どもの説明で、例えばできが悪いとか、そういうようなことについては、一切お話はしておりません。
 ただ、小石川工業高校あるいは工業高校で学ぶ生徒の中で、目的意識がない、中退が多い、その中でも、小石川工業あるいは世田谷高校において、そういうような傾向が強いということは事実でございます。

○曽根委員 私、そういう子どもがいるだろうということは、多くの高校と同じように小石川でもあるかもしれません。それは事実としてあるかもしれませんよ。しかし、工業を目指そうということで、三年間きちんと勉強して卒業している子どもたちがほぼ一〇〇%就職できているという、この伝統の重みといいますか、この力、これは私、本当に他にかえがたいものがあると思うんですよ。
 これも学校関係者からお聞きしたんですが、市民講座の中で、宮大工の藤森先生という方が、宮大工という特殊な技能を持つ世界の内容をかみ砕いて子どもたちに教えてくれていると。最近は、あるお宅に、藤森さんが家を建てると。敷地があるので、生徒たちに、物置といいますか、納屋というふうな話でしたが、つくる実習をその家でさせてもらうというところまで手はずをつけて--高校の先生と藤森さんと、相当苦労があったと思いますよ、実際に民家の納屋を生徒につくらせるというのは。
 そういう実習までさせたというのが、私記録をいただいたんですけれども、こういうことが、藤森さんは、残念ながら、世田谷に吸収合併されるんだったら、そこまで私は出かけていって、この講座を続ける義理もないし、小石川をつぶして世田谷に来てくださいというんだったら協力できないといっていると。こういう伝統を、本当に引き継げる自信はあるんですか。

○山際都立高校改革推進担当部長 私どもは、発展的統合ということで、実際、適正規模、適正配置計画をやっておるわけです。そういう中で、ただいまお話がありました、例えば学校間連携あるいは地域との連携、特に地域との連携というお話が出ましたが、これはやはり、今の工業高校全体が抱えている課題でございます。新しくできる学校におきましても、そうした連携を強め、社会人講師の登用など、そういうようなことについても積極的に展開していきたい、こういうふうに考えております。

○曽根委員 私、世田谷の工業高校を新しくして、そこでの新たな地域のつながりをつくっていくことは否定しません。しかし、何でそこに小石川を引っ張ってこなくちゃいけないのかということは、小石川の同窓会や生徒や先生たちから見れば、あると思うんですよ。
 それからもう一つ、私、なぜ就職率一〇〇%なのかということをいろいろお聞きしたら、これはすごい同窓会の力があるんですね。この宮大工の先生に習った女子生徒がいまして、その女子生徒は、自分はどうしても建築士を目指したいので設計事務所に就職したいと。ところが、この学校に来ている就職口の中には、設計事務所、女子を採るというのはなかったと。
 それで学校の側から相談して、同窓会に何とかなりませんかといったら、同窓会の中で、人脈でだあっと探したと。そうしたら、自分のところで採ってもいいよという設計事務所があって、その女の子が就職した。そうしたら、その子も非常に頑張って、後からその設計事務所から、男以上に頑張っていると、男、女という区別をするのはあれなんですけれども、非常に頑張っているということで、無理して就職、ちょっと入れてもらったというのよりも、その設計事務所から、同窓会を通じて、逆に感謝されたとということがあったそうなんですよ。
 こういうこと、その同窓会のそうそうたる、建築関係の大学教授もいれば、鹿島の重役もいるという、かつては工業系大学に進学のいわばトップレベルを持っていた高校の同窓会、これは新しく統廃合でぴかぴかの校舎をつくって--つくる計画もないようですけれども、新しい学校をつくって、それでできるものじゃないですよ。
 こういう就職一〇〇%を維持できる、そういう、何といいますか、ネットワークというか連携を、じゃあ教育庁の統廃合の中でつくれますか。

○山際都立高校改革推進担当部長 今の就職についてのお話でございますが、特に専門高校、工業高校などにおきましては、就職などの進路対策が極めて重要でございまして、学校が全体となって対応しているところでございます。
 統合後の学校が、さまざまな方の支援を得て対応していくということにはなるわけですが、今委員ご指摘のように、仮に新設で、例えばOBの支援が得られないというようなことができて、就職状況が余り芳しくないというようなことであるならば、仮にそういうことであるならば、私ども都教育委員会としても、必要な支援を全力を挙げてやっていきます。

○曽根委員 私、今度のことを勉強して改めて思ったんですけれども、学校というのは、今の、現時点でいる生徒がつくっている、先生がつくっているだけじゃないと。過去の伝統に支えられ、かつ未来どうなるのかと。特に専門学校、工業系の学校は、これから日本の産業を支えていく担い手--経営のトップなんかは大学出の人がやるかもしれない、しかし、現場で実務、技術を支えていく働き手を育てるところですよね。
 そういうところこそ、本当の意味で、仕事の上でも勉学の上でも--やる気のない子というのは、それはどの世界にもいますよ。しかし、やっぱり先輩たちがしっかり見守って、学園祭でもちゃんと先輩たちのコーナーがあって、その先輩たちが行った会社の最先端の製品が並べてあるという、こういう伝統こそきちっと守っていく。そのために、学校一つ、統廃合の計画を変えたっていいじゃないですか。それぐらいのことを考えたっていいと思うんだ、東京の教育は。そうじゃないと、これからの物づくりを東京都、行政も都民と力を合わせてやっていくことはできませんよ。そのことを申し上げたいと思います。

○執印委員 よろしくお願いいたします。
 何回か出されている請願ということですが、私は初めて審議をいたしますので、基本的なところから聞かせていただきたいと思うんですが、今までのやりとりの中で、両校の特徴と卒業後の進路状況というのが大体わかりました。世田谷工業高校は自動車科がある工業高校で、緑が豊かで広大であると。それから小石川工業高校は建築科、建設科があって、工業高校の中では進学実績が高い、同窓会も非常に機能している、そういうことがわかったわけです。
 教育委員会としては、先ほどからお話もありますように、中途退学者が非常に多いわけですが、世田谷で多いときで七十人から八十人、二百人の定員で、それぐらいいらっしゃると、それから、小石川でも五十人から六十人いらしたということで、どのようなことが統廃合によって期待されるのか、これをまずお伺いしたいと思います。

○山際都立高校改革推進担当部長 どのようなことが期待されるのかということでございますが、適正配置は、生徒数の減少に対応して、学校活力を確保するという観点から実施するものでございます。小石川工業高校と世田谷工業高校を発展的に統合して設置する新しい工業高校については、基幹的な学校、重装備の新しいタイプの工業高校として、都民の期待にこたえていきたいというふうに考えております。
 なお、設置学科につきましては、両校の実績を引き継ぐとともに、進学等の進路希望の実現への対応や地域社会、企業との連携についても新しい学校に可能なものを生かしていきたいというふうに考えております。

○執印委員 何回も出されている請願ということで、関係者との協議の中で、どのような議題が出されて、東京都としてはどのように対応されてきたのでしょうか。

○山際都立高校改革推進担当部長 関係者の方の中で、請願の願意以外に、例えば小石川工業高校の大学進学におけるすぐれた実績の活用を図っていただきたい、あるいは地域社会、企業との連携の実績を活用してほしい、さらには、物づくりに携わる人材の育成、専門教育の改革の推進をしてほしいというような話が出ております。
 例えば、進学指導の充実、あるいは地域社会との連携、物づくりにかかわる人材の育成、いずれもこれからの工業教育で非常に重要なものでございまして、できる限りの対応をしていきたいというふうに考えております。

○執印委員 教育委員会と地域の方々、行政の方の、なかなか思いがうまくマッチしていないのかなというような感じがするわけですけれども、中途退学の状況なども考えますと、資料をいただきまして、大体私把握してきたわけなんですけれども、もう少し子どもの意見表明権というのを反映させた都立高校改革が必要なのではないかなというふうに考えているわけなんです。
 都立高校改革は、いろいろ議員になってから見させていただきましたけれども、総合高校とかチャレンジスクールとか単位制高校、進学重点指導校ということで、目玉づくりというような感じがいたしまして、一人一人の子どもがどういう高校に行きたいと思っているのかというようなところがきちんと把握されていないために、中途退学が多いということにもつながっているのかなというような感じがするわけです。いろんな選択があっていいわけですから、中途退学そのものを否定はしませんけれども、そんなような印象を持っているわけなんですね。
 それで、この請願の二項目めでは、工業系高校教育の重要性、意義、目的について、二十一世紀の社会構造ビジョンの中で見直し、検討することというふうになっておりまして、ぜひ子どもの意見をきちんと反映させること、子どもの権利条約も採択されている中で、そこに基づいた都立高校改革、それが二十一世紀の社会構造ビジョンの中できちんと生かされていくというふうにしていただきたいわけですが、お考えをお尋ねしたいと思います。

○山際都立高校改革推進担当部長 子どもの権利条約については、例えば、意見表明権あるいは学校を選択する権利、そういうようなものがあろうかと思います。例えば、選択権については、生徒と保護者が最終的にこの学校選択は決定するものでございますが、その選択に資するよう、都教育委員会におきましては、インターネットあるいは各種のパンフレット等を通じまして、小中学校、あるいは一般の都民に対して、都立高校の各種の情報あるいは進路選択にかかわる情報等の提供を行っているところでございます。
 また、各都立高校におきましても、例えば授業公開をするとか、あるいは説明会、学校訪問を通じまして、生徒、保護者あるいは小中学校に情報を提供するように努めております。
 いずれにしましても、子どもの教育に関する権利については、今後とも尊重するように努めてまいります。

○執印委員 意見をいわせていただきますが、どうも都立高校の改革で考えている部分と、やはり地域との意見の乖離というもの、これをどうしていくのか、そこは十分に教育委員会が耳をかすということがまず大事だというふうに思います。
 ぜひ慎重にしていただきたいということと、それから、子どもの権利、子どもの意見を聞くということを本当に丁寧にやっていかないと、大人が考えた都立高校改革では、子どもたちは本当に安心して高校に通えるんだろうかというような気持ちも持っておりますので、そこは十分にお願いしたいというふうに思います。
 終わります。

○和田委員 願意は二項目ありまして、計画の見直し、それから二十一世紀の社会構造ビジョンの中で、工業系高校教育の重要性、意義、目的を見直し、検討ということになっています。
 前者については、もう既に各委員がお話しされておりますし、お答えも返っておりますから、私は、二項目めに重点的に付言をしてお尋ねしたいと思うんです。
 さきに、都立大学のときに、夜間と昼間の議論がきょうありました。そのときに、昼間の方がいいんだけれども、昼間に落ちるといけないから、都立大学のB類を受けるというような意見が随分あるという数字も出されまして、同じように、商業も工業も、いわゆる専門学校というのは、普通校の、そこに到達できないから専門校を受けるという、そういう学校選択の一つのルーチンができ上がってしまっているのかなというふうに思うんです。
 そうなってくると、我々が期待している商業や工業、いわゆる物づくり、専門学校の本来の意味が抹消されてしまって、一次募集、二次募集、三次募集までいく、そして三年間もたずに、七十人も五十人も百人も中途退学するという、そういう悪いサイクルに入ってしまうわけでありますから、この際、専門学校をどういうふうに再構築していくのか、この小石川工業の請願などを一つの糧にしながら、どのように専門高校の現状の問題点を認識されていて、将来生かしていこうとされているのかという点から質問するのでありますが、今、現状認識、専門高校の問題点はここにあるというふうに、どこがポイントだと山際部長はお考えになっていらっしゃいますか。

○山際都立高校改革推進担当部長 工業高校につきましては、日本の産業の基幹部分でございます製造業の人的な支援、これを育成するというふうな大きな重要な役割を持っておるわけです。
 しかしながら、さまざまな課題を抱えているところも事実でございまして、現在の状況を見ますと、問題点といたしまして、例えば応募倍率が非常に低い、二次募集が多い、そして、必ずしも自己の進路希望に沿って、目的意識を持って入学してくる生徒ばかりじゃない、普通高校と比較をしましても、中途退学者が多いというような状況がございます。
 こうした問題点がございまして、これらについては、先ほどちょっと委員ご指摘ありましたが、中卒の段階で、将来の職業選択を避ける傾向がある、つまり普通科志向がある。あるいは工業高校の卒業後の進路に希望が持てない、こういうこともその原因の一つかと思われます。

○和田委員 そういう部長の分析を生かしながら、現在はわかったと。じゃあこれからどのように、今の欠点やおくれている点を解決して、都立の専門学校の再構築を図ろうとされているのか、お伺いいたします。

○山際都立高校改革推進担当部長 今後、専門高校につきましては、例えば国際科、情報科、あるいは科学技術の進展、産業構造の変化等に対応した教育を展開いたしまして、より高度な専門性を身につける必要がある。そのために、大学等への進学を可能にするための条件整備を行う。あるいは専門的知識、あるいは技能を身につけた即戦力の職業人の育成、物づくりの後継者の育成、それらも求められておるところでございます。
 このような課題について、そのあり方について、今後検討する必要があるというふうに考えております。

○和田委員 現状も、それから展望も含めて今出されたわけですが、私はそんなに時間的に余裕はないと思っているんですね。もう焦眉の急、まさにまゆ毛のところが焦げてきている状態なのに、依然として手をこまねいているようではいけないと思うのでありまして、燃え盛ってきているまゆ毛をどのように消して正常な形に戻そうとされているのか、その具体的なプランニングをお答えいただきたいと思います。

○山際都立高校改革推進担当部長 工業高校を含む都立高校の改革は、まさに急がなくてはならないというふうに考えております。
 工業高校の今後のあり方、具体的なところについてでございますが、今後の専門高校、これは工業高校のあり方も含みますが、これを検討するために、年内に検討委員会を発足させまして、来年五月を目途に報告書をまとめまして、来年度作成予定の新たな実施計画に反映をしていきたいというふうに考えております。
 また、検討委員会につきましては、学識経験者、商業、工業の校長及び教育庁の関係者で構成することを考えておりますが、産業界あるいは学校関係者の意見も聞きまして、多面的な観点から専門高校のあり方について検討していきたい、かように考えております。

○和田委員 来年の五月をめどに成案をということでありますから、その努力と結果に期待しておきたいと思うんです。
 翻って、小石川工業のこの請願でありますけれども、やはり今のように、部長のような現状の分析、将来の展望、それから具体的に今着手できるその解決計画というようなものが、常に当局の方で用意されていれば、累積した形で、百年近い学校伝統のある小石川工業の方の同窓生から、このような請願は出ずに済んだんじゃないかなと思うんです。
 したがって、数多くある、二百五十を超す都立高校でありますから、すべてに均等に目を向けるということは難しいかもしれませんけれども、しかし、与えられた職場の使命とするならば、その二百六十校近くある高等学校の一つ一つに、どんなふうに現状は問題点を抱えているのか、その学校の将来展望の解決策はどうなんだろうか、今着手できる解決策は何なんだろうかということを機敏に察知するだけの、私は現場との情報交流がなければ、二番目、三番目の小石川工業の、この種の悲しい問題が出てくるのかなと思うんです。
 とりわけ、この方々は再三にわたって陳情なされておりますけれども、一種の思い入れというか、感情の問題がここに露出していると思うんですね。逆に皆様方はいつ転勤になるかわからない、そしてまたいつそのポストにつくかわかりませんけれども、しかし、一たびそこの同窓生となった人間は、将来その学校の伝統なり、あるいは名誉を常に履歴に意識しながら生きてきたわけでありますから、そういう情のこもったお気持ちをしっかり理解をした上で、この願意に沿って、できるだけの最大限の努力をお願い申し上げると同時に、今いただいた現状、将来、それから当面の解決策、手法、こういうものを適宜駆使しながら、できる限り同窓生の意思に沿うような努力をお願い申し上げておきたいと思います。

○東委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、保留とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 異議なしと認めます。よって、請願一三第一四七号は保留といたします。

○東委員長 ちょっと速記をとめてください。
〔速記中止〕 

○東委員長 速記を再開してください。
 次に、一三第一五九号の二、有機食品等の都立病院や学校の給食への使用促進に関する請願を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○桜井体育部長 それでは、一三第一五九号の二、有機食品等の都立病院や学校の給食への使用促進に関する請願についてご説明申し上げます。
 本請願は、清瀬市、東京都患者同盟会長小島貞夫さんから提出されたものでございます。
 請願の趣旨でございますが、入院患者の健康回復と学童の健康を守るために、率先して有機食品を使用していただきたいとのことでございます。教育庁につきましては、都立学校への給食に率先して有機食品を使用していただきたいとのことでございます。
 都立学校の給食は、各学校で献立を作成し実施しており、その食材につきましては、学校長が品質、安全性、経済性、地域の状況などを総合的に勘案して選定しているところでございます。
 都教育委員会は、都立学校に対しまして、学校給食についての情報提供などを行っており、今後とも有機農産物等への理解が深まるよう努めてまいります。
 なお、平成十二年度は、平成十一年度に比べまして、有機農産物等の使用学校数は増加しております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○東委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○執印委員 それでは質問させていただきます。
 今ご説明もあったわけですけれども、有機農産物の使用の推進に向けまして、具体的にどのようなことが取り組まれているでしょうか。

○桜井体育部長 平成十一年度から、有機農産物の使用状況について調査してございます。東京都教育委員会につきましては、発行しております学校給食の実態という小冊子に掲載しまして、区市町村教育委員会及び都立学校等への周知を図っているところでございます。
 十二年度の調査によりますれば、有機農産物を使用している都内の公立学校数は八百三十六校でございまして、給食実施公立学校数二千八十四校のうち四割を占めているところでございます。また、その学校数は、十一年度に比べまして二十一校の増加となってございます。
 東京都教育委員会といたしましては、有機農産物等への理解が深まるよう国や都の関係の各局からの情報を提供してございまして、今後とも、学校栄養職員研修会等を初めさまざまな機会を通しまして、なお一層情報提供に努めてまいります。

○執印委員 今、国のJAS規格ができまして、有機農産物表示の義務化などもできたわけなんですけれども、そういった義務化のある有機農産物、それから東京都が推奨している認証の農産物、または減農薬等、いろいろなものがあるというふうに思うんですが、そういったことへの対応、情報提供というものも必要かと思いますが、そのあたりについてはどのようになっているでしょうか。

○桜井体育部長 日本農林規格、いわゆるJAS規格では、有機農産物は、化学肥料及び農薬を使用していないものと定義されてございます。なお、化学肥料は、農薬の使用量を減量して栽培した農産物を含めまして、有機農産物等として扱われているところでございます。
 東京都は、環境に優しい農業を目指しておりまして、それらの栽培を推奨しているところでございます。給食の食材は学校長が品質、安全性、栄養価、経済性、地域の状況などを総合的に勘案して選定してございます。そして東京都教育委員会は、今後とも、食品の表示や流通実態等の情報提供を行いまして、有機農産物等についての正しい理解と啓発に努めているところでございます。

○執印委員 あと一点質問させていただきますが、食べるということが、子どもたちに伝えていくものの大きさというのは、特にこういう時代ですから、非常に大きいかというふうに思います。
 今いろいろご説明いただいたわけですが、児童生徒に給食の内容ですとか、それから有機農産物、環境を守るということも含めて、教育の一環として伝えていく必要があるというふうに考えております。
 私、個人的には、朝学校へ行って、給食をつくるということがすべての総合授業になるような、例えば、何で野菜をゆでるときに塩を入れるのか、例えば酢につけるとなぜ色が変わらないのか、そういうようなところから、理科も教えていくし社会も教えていくし、人が生きるということも教えていくという、そういうような教育があってもいいかというふうに思っているわけですが、そんなことも含めて、給食を通しての教育についての見解をお伺いいたします。

○桜井体育部長 食に関する指導につきましてですが、給食の時間での指導だけではなくて、特別活動の学級活動、あるいは学校行事を初めといたしまして、学校の教育活動全体で行っていくべきものと考えております。学校給食は生きた教材でございまして、各学校では、専門的知識を有します学校栄養職員と担任教師とが協力し合いまして、食に関する指導を行っているところでございます。
 食に関する指導の内容としましては、特に学校給食に使用する食材について、例えば有機農産物を取り上げて、その流通、あるいは安全性と関連づけて指導することは、児童生徒の健康の面からも必要なことであると考えております。そして、専門職である栄養職員が、常に生涯を通じての健康づくりだけではなくて、しゅんの食べ物を大切にするなど、日本の食文化を改めて児童生徒たちに認識してもらうことも大事な時間であると私は考えております。

○東委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 異議なしと認めます。よって、請願一三第一五九号の二は、趣旨採択と決定いたしました。

○東委員長 次に、一三第七五号、中学校社会科歴史・公民教科書採択経緯の実態調査に関する陳情及び一三第七六号、平成十三年度小中学校教科書採択業務に関する陳情は、内容が関連しておりますので、一括して議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○斎藤指導部長 一三第七五号、中学校社会科歴史・公民教科書採択経緯の実態調査に関する陳情についてご説明申し上げます。
 本陳情は、杉並の教育を考える区民の会代表の大久保愼さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、各区市町村教育委員会の教科書採択現場における実態調査を、次のことについて早急に実施することを求めるものでございます。
 まず、1として、各区市町村教育委員会に対して、都教育長の通知により、学習指導要領の目標に沿って、教育委員会が責任を持って採択手続を進めるよう指導した趣旨に沿って、各教育委員会の採択手続が進められたかを調査することでございます。
 都教育委員会は、教科書採択事務の一層の改善を図るため、教科書採択に当たって留意すべき事項について、都教育長名で、教科書採択事務の改善についてを区市町村教育委員会あて通知し、指導してきたところでございます。
 また、東京都教科用図書選定審議会の答申を受け、教科書採択方針を提示するとともに、新学習指導要領の各教科書の目標等を踏まえ、各教科の内容の違いが明瞭にわかるよう、教科書調査研究資料を作成し、配布してまいりました。
 区市町村教育委員会は、都教育委員会が作成、提示した教科書調査研究資料や採択方針を参考にするとともに、各地区の実情に応じて最も適切な教科書を採択する観点から、独自に調査研究を実施し、教科書の採択を行ってきました。
 都教育委員会は、教科書の採択が適正に行われたかどうか、各教育委員会の採択事務の実態を把握するための調査、ヒアリングを実施し、必要な指導を行っているところでございます。
 次に、2として、教育基本法では、教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものであるとうたわれているが、区市町村の実態は、一部圧力、利権団体の影響力の方が優先し、採択審議をゆがめる結果となったのではないかという疑いがあるので調査することでございます。
 教科書の採択は、外部からの働きかけに左右されることなく、教育委員会の判断と責任において、適正かつ公正に行われる必要がございます。今回の採択においては、さまざまな要請や抗議等が行われましたが、都教育委員会は区市町村教育委員会に対しまして、教科書採択の公正確保に関する調査、ヒアリング等を実施して、実態の正確な把握に努めているところでございます。
 次に、一三第七六号、平成十三年度小中学校教科書採択業務に関する陳情についてご説明申し上げます。
 本陳情は、明るい歴史教育を希う二十三区都民の会代表代行の河村ユリ子さんから提出されたものでございます。
 陳情の趣旨は、各区市町村教育委員会の教科書採択結果についての調査、究明を求めるものでございます。
 まず、1として、平成十三年一月十一日、都教育委員会が教育目標、基本方針を改定したことについて、各区市町村教育委員会の教科書採択業務において、この精神が生かされたか調査することでございます。
 小学校及び中学校で使用する教科書の採択は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律により、区市町村の教育委員会が行うこととされております。区市町村教育委員会は、それぞれの教育目標、方針を定めるとともに、都教育委員会の教科書採択方針を参考にして、採択方針と選定基準を決定し、最も適切な教科書の採択を行っております。
 都教育委員会は、教科書の採択が、区市町村教育委員会の権限と責任において適正かつ公正に行われるよう指導助言、または援助を行っており、現在、各教育委員会の採択事務の実態を把握するための調査、ヒアリング等を実施しているところでございます。
 次に、2として、平成十三年二月八日、都教育委員会が各区市町村教育委員会に通知した小中学校の教科書採択手続の適正化の改善策に沿って、学習指導要領の目標を視点に入れつつ、採択業務が公正、適正に遂行されたか調査することでございます。
 都教育委員会は、教科書採択事務の一層の改善を図るため、二月八日、教科書の採択に当たって留意すべき事項について、都教育長名で通知を行いました。
 また、都教育委員会は、教科書採択方針を提示するとともに、採択の参考資料としまして、新学習指導要領の各教科の目標等を踏まえ、教科書調査研究資料を作成し、配布してまいりました。
 区市町村教育委員会は、教科書調査研究資料や採択方針を参考にするとともに、各地区の実情に応じ、独自に調査研究し、教科書の採択を行っております。都教育委員会は、区市町村教育委員会の教科書採択が、法令及び文部科学省等の指導に基づいて適正に行われたかどうか、各教育委員会の採択事務の実態について調査、ヒアリング等を実施し、必要な指導を行っているところでございます。
 次に、3として、教育基本法前文にあるように、民主的で文化的な国家建設実現の根本的な力となるのが教育であり、その採択業務において不当な圧力がなかったか、不当な支配に服することなくその業務が行われたか調査することでございます。
 教科書の採択は、外部からの働きかけに左右されることなく、教育委員会の判断と責任において、適正かつ公正に行われる必要がございます。今回の採択においては、各教育委員会等の採択関係者に対してさまざまな要請や抗議等が行われたことから、都教育委員会は、採択の公正確保に関する調査を実施するとともに、引き続きヒアリング等を実施し、実態の正確な把握に努めているところでございます。
 次に、4として、以上の三項目について速やかに調査を行い、その結果を公表することでございます。
 都教育委員会は、区市町村教育委員会の教科書採択事務に関して調査、ヒアリング等を実施し、指導助言等を行っているところでございます。
 次に、5として、教科書採択に係る異常事態について、全都民に対し責任ある対応をとることでございます。
 都教育委員会は、区市町村教育委員会の教科書採択について、実態を把握するための調査、ヒアリングを行っているところでございます。都教育委員会は、教科書の採択が、法令及び文部科学省の指導に基づき、区市町村教育委員会の権限と責任のもとに適正かつ公正に実施されるよう、今後とも必要な指導等を行ってまいります。
 説明は以上でございます。よろしく審議のほどお願い申し上げます。

○東委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○曽根委員 簡潔明瞭に質問しますので、簡潔明瞭なお答えをお願いします。
 まず、この二つの陳情は、ほぼ同じ趣旨で、今回、教科書採択をめぐっての例年にない異常な事態が起きたということについて陳情していますが、我が会派は、この異常な動き自体の大もとの原因は、中学校の歴史教科書に、新しい教科書をつくる会のいわば戦争賛美の教科書を持ち込もうとしたところに発端があり、原因がある。文部省がこれを決定、合格させたことは間違いだという見解をこれまでも繰り返し述べてきました。しかし陳情者は、つくる会の教科書を採択すべきではないという各区市町村や東京都の教育委員会に対する働きかけや運動そのものが不当であり、採択をゆがめた疑惑があるとして都に調査を求めている。
 そこでお聞きしますが、東京都には、適正な採択が行われるよう指導助言する法的な権限はありますが、区市町村教育委員会が責任を持って採択したことの変更を求めたり、また、そのことについて意見をいったり、それはおかしいぞといったりする権限はあるんでしょうか。

○斎藤指導部長 義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律、第十条の規定によりまして、都道府県の教育委員会の任務として、文部科学省の指導等に基づきまして、区市町村教育委員会等の行う教科書採択に関する事務について指導助言または援助を行っておりまして、その結果について、あるいはその内容についてどうのこうのということではなくて、手続として指導助言、または援助を行う、こういうことでございまして、この一環として、ヒアリング等の調査を実施しているところでございます。

○曽根委員 区市町村教育委員会が責任を持って教科書を選んだ、その結果はもう出ています。それの結果が出た後に、その経過について調査をするというのはどういうことか。それは、まずその採択の経過に重大な疑義があるとか、例えば区市町村教育委員会のどこかからか、採択がやめられたんだと、だから調査してほしいと東京都に要請があったとかということがあったんでしょうか。それとも、影響が明らかにあったというようなことが教育委員会の方から声が上がったんでしょうか。

○斎藤指導部長 これまでの教科書採択事務の状況と違いまして、今回の採択事務状況につきましては、従来にないような働きかけ等がございましたものですから、そのことについて影響がなかったかどうかも含めて実態調査を行っているところでございます。

○曽根委員 質問にちゃんと答えてもらわないと時間がかかってしようがないですよ。教育委員会から声は上がったのかと、ゆがめられたとか押し切られたんだとか、運動に。そういう声が上がったんですか。影響があったとかという報告はあったんですか。

○斎藤指導部長 教科書採択、九月に行いました実態調査で、実施した調査で、外部からの働きかけ等が直接影響を及ぼすような事例はございませんでしたけれども、一部の地区でさまざまな働きかけがあったと報告がございまして、その結果を踏まえながら、ヒアリング等を行っているところでございます。

○曽根委員 区市町村教育委員会に--結果が出た後に調べたこと自体が、私は問題があると思いますが、しかし、調べたら、直接の影響はなかったということになったと。その後に、なおかつさらに調査をする。結果は出ている。いろいろな働きかけはあったでしょう。深夜の電話があったとかいろいろ聞きますよ。それはいろんな人がいますからね。しかしその影響はなかったと。区市町村教育委員会の責任においてちゃんと選んだんだと。答えが出ているのに、なおかつヒアリング調査をするというのはどういう根拠ですか。

○斎藤指導部長 先ほど申し上げました根拠法令に基づきながら指導助言を行うものでございます。

○曽根委員 今回の教科書採択にかかわって、私どもは、採択の仕組みそのものがゆがめられたということは前に指摘してあるので、もう繰り返しません、時間がないですから。しかし、それでもなおかつ区市町村教育委員会は、それぞれ責任において選んだといっているし、いろんな運動はあったのは事実だけれども、影響を受けずに自分たちで考えてやったんだといっている。にもかかわらず、その結果について教育委員会はそういうふうにいっているわけですね。したがって、そういうふうに責任を持ってやったといっている相手に、なおかつ調査をかけるということは、これは事実上、結果に対する意見や変更を求める干渉に及ぶ危険があるじゃないですか。
 しかも、さらに働きかけ、どういうものがあったんだと調べるということは、教育委員会に対していろんな意見を持って、またそれをいっている都民のさまざまな運動や団体の意見に対して調査をかけると。これは、表現の自由、思想信条の自由に対する重大なじゅうりんにつながる可能性がありますよ。
 私は、今後の教科書採択のことを考えても、東京都は、(発言する者あり)いいですか、結果について責任を持って--結果は出ているんですから、それに対して何ら調査をかける必要もないし、また影響はなかったといっていることをさらに追っかけ調査をやるようなことは断じて認められない。したがって、この陳情者の方のいっている東京都に対する要望は全く筋違いだということで、不採択すべきだと考えます。
 以上でございます。

○東委員長 ほかに発言がなければ……。

○服部委員 今そういう質問もありましたけれども、私は、この問題については、前回十月十六日の当委員会で、さまざまな、この教科書採択について、放火事件があったり、あるいは深夜電話があったり、そういったようなことが事実あったことが報道されている。そのことについて教育庁は調査をする、それは私は当然なことだと思いますよ。それをもう終わったことだからいいじゃないか、そういう議論は私はおかしいと思う。
 そこで、この陳情に出ております二件ですが、この件については、私は当然、実態調査をしろということですから、その結果をやっぱり踏まえて、また我々当委員会でどうそれを判断するかだと思いますので、ぜひひとつこれは--採決をお願いします。

○東委員長 ほかに発言がなければ、初めに、陳情一三第七五号の採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕

○東委員長 起立多数と認めます。よって、陳情一三第七五号は趣旨採択と決定いたします。
 次に、陳情一三第七六号の採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕

○東委員長 起立多数と認めます。よって、陳情一三第七六号は趣旨採択と決定いたしました。
 請願陳情の審査を終わります。
 以上で教育庁関係を終わります。
 なお、本日審査いたしました請願陳情中、採択と決定いたしました分で、執行機関に送付することを適当と認めるものについてはこれを送付し、その処理経過及び結果について報告を請求することにいたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時二十九分散会

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