委員長 | 東ひろたか君 |
副委員長 | 福島 寿一君 |
副委員長 | 服部ゆくお君 |
理事 | 石川 芳昭君 |
理事 | 遠藤 衛君 |
理事 | 執印真智子君 |
後藤 雄一君 | |
野上じゅん子君 | |
小美濃安弘君 | |
野島 善司君 | |
曽根はじめ君 | |
山本賢太郎君 | |
比留間敏夫君 | |
和田 宗春君 |
欠席委員 なし
出席説明員教育庁 | 教育長 | 横山 洋吉君 |
次長 | 押切 重洋君 | |
理事 | 小田原 榮君 | |
総務部長 | 小海 博指君 | |
学務部長 | 神山 隆吉君 | |
施設部長 | 松田 紀子君 | |
人事部長 | 中村 正彦君 | |
福利厚生部長 | 小島 郁夫君 | |
指導部長 | 斎藤 尚也君 | |
生涯学習部長 | 嶋津 隆文君 | |
体育部長 | 桜井 武男君 | |
人権・企画担当部長 | 比留間英人君 | |
都立高校改革推進担当部長 | 山際 成一君 | |
局務担当部長 | 千葉 和廣君 | |
参事 | 近藤 精一君 |
本日の会議に付した事件
教育庁関係
事務事業について(質疑)
○東委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
初めに、本委員会の今後の委員会日程について申し上げます。
お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の事務事業に対する質疑を行います。
これより教育庁関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○小海総務部長 過日の委員会でご要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元の文教委員会資料の目次をお開き願います。
今回ご要求のございました資料は、1、公立小中学校、都立高等学校の三十人学級の実現(学年進行方式)に必要な学級数、教員数及び経費から、18の都立高等学校における平成十三年度の文化部及び運動部活動アドバイザー実施状況までの十八件でございます。
それでは、一ページをお開き願います。1、公立小中学校、都立高等学校の三十人学級の実現(学年進行方式)に必要な学級数、教員数及び経費でございます。
三十人学級を実現した場合につきまして、平成十三年度を始点としました学年の進行による必要経費等を、現行の四十人学級を維持した場合と比較しまして、小中高等学校別にお示ししてございます。
二ページをごらん願います。2、教科書採択事務の改善及び採択の校種別区分等でございます。
教科書採択の事務に関しまして、今回の改善点及びその根拠、及び校種・障害種別により採用する教科書の区分をお示ししてございます。
三ページは、3の東京都教科用図書選定審議会答申(平成九年度から平成十三年度)でございます。
各年度の会議ごとに、それぞれ答申事項をお示ししてございます。
四ページをごらん願います。4、「平成十三年度使用の教科書等に関する調査」通知でございます。
本年六月に、都立盲・聾・養護学校長あてに指導部長名により依頼しました、平成十三年度使用の教科書等に関する調査の通知でございます。
次の五ページは、通知にあります調査用紙でございます。
六ページをごらん願います。5、教科書に関しての都議会における知事発言でございます。
石原知事が都議会におきまして、教科書に関する質問に対して答弁した内容を、次のページにかけましてお示ししてございます。
八ページをごらん願います。6、教科書採択に関する教育委員の考え方(主な意見の要旨)でございます。
教科書採択に関しましての教育委員の発言の内容につきまして、本年七月二十六日の定例教育委員会におきますものを次ページまで、また、八月七日の臨時教育委員会におけるものを一〇ページから一一ページにかけましてお示ししてございます。
一二ページをごらん願います。7、平成十四年度中学校歴史教科書の生徒用需要数でございます。
文部科学省の発表によりまして、平成十四年度の中学校歴史教科書につきまして、発行者別に需要数及びその比率をお示ししてございます。
一三ページは、8、都内公立学校の平成十二年度卒業式及び平成十三年度入学式における国旗掲揚、国歌斉唱の実施状況でございます。
小学校、中学校及び全日制高等学校の別に、今春の卒業式及び入学式におきます国旗掲揚率及び国歌斉唱率をお示ししてございます。
一四ページをお開き願いまして、区市町村別、小中学校別にそれぞれの実施率をお示ししてございます。
一五ページは、9、教育職員の主な非行に対する懲戒処分基準(例示)でございます。
職務に伴う非行及び私的な非行の別に、それぞれ非行の種類に対応した処分の程度を基準の例示としてお示ししてございます。
一六ページをごらん願います。10、都内公立学校教員の懲戒処分及び諭旨免職の状況(過去十年間)でございます。
都内公立学校教員が、体罰、交通事故等により懲戒処分及び諭旨免職になった人数につきまして、平成三年度から十二年度にかけまして年度別にお示ししてございます。一六ページが公立学校全体の状況、次の一七ページが小学校及び中学校の状況、また、一八ページには、高等学校及び盲・聾・養護学校の状況をお示ししてございます。
一九ページは、11、同一理由で懲戒処分等を複数回受けた者の状況でございます。
過去十年間に、体罰等の事由で処分等を複数回受けた者の状況につきまして、小中学校、高等学校、盲・聾・養護学校別にお示ししてございます。
その下は、12、教員による児童生徒へのわいせつ事件の状況(過去十年間)でございます。
小学校、中学校、高等学校別に、平成三年度から十二年度までの事件数につきまして、年度別にお示ししてございます。
二一ページをお開き願います。13、教員研修の実施状況(平成四年度から平成十三年度)まででございます。
初任者等研修や現職研修などの指定研修、及び教育課題研修や教科等研修などの専門研修につきまして、研修区分の別に、それぞれの受講予定者及び実際の受講者数を、平成四年度から十二年度までの年度別の実績としまして、また、今年度の受講予定者数をお示ししてございます。
二三ページをごらん願います。14、「心の東京革命」教育推進プランでございます。
1の大人に向けて、2の子どもたちに対して、3のプランを具現化するためにと大別しまして、今年度に実施します十八の事業につきましてお示ししてございます。
二四ページをごらん願います。15、とうきょう親子ふれあいキャンペーンでございます。
(1)は、この夏に実施いたしました事業につきまして、実施主体、参加事業数、参加者数等の別に実績をお示ししてございます。(2)は、この秋に実施いたします事業につきまして、その趣旨と対象とする活動、及び参加事業数等の計画をお示ししてございます。
次の二五ページは、(1)の夏の事業の実施実績に対応いたします、実施主体、事業別の参加者数の一覧でございます。
二六ページをお開き願いまして、こちらは、さきの(2)の秋の事業計画に対応いたします、実施主体、事業別の計画でございます。
二七ページは、16、ユース・プラザ整備の進ちょく状況及び今後のスケジュールでございます。
区部ユース・プラザ及び多摩地域ユース・プラザにつきまして、整備に向けてのこれまでの事業の進ちょく状況及び今後のスケジュールを、それぞれ年度別にお示ししてございます。
二八ページをごらん願います。17、財団法人東京都交響楽団への補助金の推移等でございます。
(1)は、補助金の推移といたしまして、平成九年度から十二年度までの各年度の決算額及び今年度の予算額をお示ししてございます。(2)は、平成九年度から十二年度までの演奏会回数の実績と十三年度の計画数、及び各年度八月一日現在の楽員数の定数をお示ししてございます。
二九ページは、18、都立高等学校における平成十三年度の文化部及び運動部活動アドバイザー実施状況でございます。
(1)といたしまして、文化部活動におきますアドバイザー実施状況につきまして、学校数、部活動別の派遣人数、総時間及び総報償費を、四月から九月までの前期と、十月から三月までの後期の別にお示ししてございます。
三〇ページをお開き願います。(2)は、運動部活動におきますアドバイザー実施状況を、(1)と同様に項目別にお示ししてございます。
以上、簡単ではございますが、ご要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。
○東委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、事務事業に対する質疑を行います。
発言を願います。
○山本委員 きのう道を尋ねられて、そして道を教えた小学校一年生の瀬戸雄太君が無事保護されて、犯人が検挙されたようでありまして、本当によかったなと思います。よく他人様にはどなたにも親切にしなさいと教えていながら、そして、知らない人に会ったらば口を聞くなと、こう教えております。まことに今日の教育はこの一事をもってしても大変難しい状態にあると思います。かつて教育改革が幾度か行われてまいりましたが、今日ほど国民的議論として教育問題が話題に上がっているときはないだろうと思います。それはとりもなおさず不登校の児童生徒、そして小学校における学級崩壊、フリーターといわれる職業なしの人たち、あるいは大学生の学力の低下などが、教育をめぐる課題として今一度に噴出してきた感があります。そこで、これまでの教育のシステムを見直さなければならないんじゃないだろうかという危機感が出てまいったと思います。
そこで、そういうふうな観点から幾つか質問をいたします。
まず第一に、東京都の、この間から出ております、都立高校の改革推進計画は、全国に先駆けて策定されて、時代の変化に対応したものとして受けとめられて、他県からも大いに評価されているところであります。しかしながら、高校の統廃合というのは痛みを伴う改革であり、統合の必要性など総論的には理解はできる。しかし、学校への愛着などから、さまざまな思い、それが意見となって、これまたいろいろな問題となって反対運動になったり、いろんな形になってあらわれてきております。
かくいう私は、統廃合校の卒業生としてその心情はよく理解ができると思います。それは、私の出身校は田舎でありますけれども、明治政府が明治五年学制発布令をしいた間もなく、明治七年七月の七日というこのときに、秋田県の男鹿半島でありますけれども、そこに創設した小学校でありまして、自来今日まで百二十七年になっております。この歴史と伝統を持っているんでありますけれども、ご承知のように周辺の児童の児童数が少なくなったということで、二つの学校を併合しまして、去年の四月に、鹿山という我々は名誉ある名前だと思ったんですが、北の日ということで北陽小学校という名前で再出発をしたわけであります。
そこで、それをちなんで、今度は高校のことについて申し上げますが、都立の高校改革では、なぜ統廃合が必要かということと、また、統廃合により新しいタイプの学校をつくるというんですが、その理由は何ですか。
○山際都立高校改革推進担当部長 統廃合の理由あるいは新しいタイプの学校をつくる理由についてでございます。都立高校におきましては、少子化に伴う生徒数の減少によりまして学校の小規模化が進んでおりまして、規模と配置の適正化が避けて通れない課題となっております。また、高校進学率が九六%を超える状況の中で、生徒の能力、適性、興味、関心、進路希望等の多様化が一層進んでおりまして、生徒の実態に即した教育活動の展開が求められておるところでございます。このため、これらの課題を解決し、より魅力のある都立高校の実現を図るために、現在、既設校の発展的統合や改編を基本といたしまして、総合学科高校や単位制高校など新しいタイプの学校の設置を推進しているところでございます。
○山本委員 昨年、私どもの区の墨田区でありますが、単位制に生まれ変わった都立の墨田川高校は、これは二つの学校が一緒になったんですが、同じ学校として残っており、学校としてのよき伝統を引き継がれているようでありまして、これは大した問題はないと思うんです。しかし、統合して別の場所に新しい学校が設置されるような場合は、対象となった学校の生徒や保護者、同窓生が恐らく寂しい思いをしていることだと思います。歴史と伝統のある学校を何とか残してほしい、存続してほしい、もしどうしても変わらなければならないとしても、母校の伝統が新しい学校にうまく引き継がれ残していってもらいたい、こういうふうな気持ちになるのは当たり前であろうと私は思います。
一方、新しい学校に対する都民の、新しくできたんですから、いろいろな期待が出てきます。それから対象校の関係者として、よりよい学校に変わってほしいという期待もまたあるだろうと思います。
前回の文教委員会で教育長横山さんから、都立高校の統合や改編に当たっては、歴史や伝統の継承という点にも留意をしつつ、改革への理解と協力を求めてきたところである、今後とも学校長と連携協力しきめ細かく対応していくという答弁があったんですが、じゃ、対象校の伝統や校風の継承は具体的にはどういうふうにするんですか。
○山際都立高校改革推進担当部長 対象校の伝統や校風の継承についてでございます。統合改編後の学校におきましては、その設置の経緯を学校沿革史やあるいは学校要覧に記載するとともに、対象校の諸資料、記念品等、展示する資料室を学校内に設置をいたします。また、新しく設置される高校のあり方の検討に当たりましては、該当校の校長や教職員の参加を求めまして、各学校の伝統や教育実績を生かせるように努めてきたところでございます。今後とも学校長と連携協力して、対象校のPTA、同窓会等関係者との話し合い等にきめ細かく対応いたしまして、意見、要望等の聴取に努め、対応可能なものについて施策に反映をしてまいります。
○山本委員 今お話がありました都立高校の改革は、都民に信頼されて魅力のある都立高校を実現するために着実に進めていくことが必要であると思います。来年度新しい四つの学校がまたつくられて、いわば教育のある意味における推進力をつくっていくといいますか、都立高校の昔に戻そうという意欲的なことが試みられているようでありますので、大いに期待をしているのでありますが、統廃合される学校、そのことについては、そういう対象となった学校には十分説明をして、そしてご理解を得るように一生懸命ひとつ頑張っていただきたいと思います。
さて次に、これまたこの間の十月五日の新聞に書いてありましたんですが、東京都教育委員会は、小学校における学校経営にかかわる調査について結果を公表いたしました。私もそれを見てびっくりしたんですが、報道されているところによると、いわゆる学級崩壊のある学校が、去年が一六%でことしが一八%になり、その崩壊している学級が何と二百五十六学級から二百九十六学級にふえたということであります。
まず初めに、学級崩壊という言葉でありますが、これは教育委員会はどのようにとらえていらっしゃるんですか、お伺いいたします。
○斎藤指導部長 東京都教育委員会は、いわゆる学級崩壊を、子どもたちが教室内で勝手な行動をして教師の指導に従わず授業が成立しないなど、集団教育の機能が成立しない状況が一定期間継続し、学級担任による通常の手法では問題解決できない状況に立ち至っているという状態として定義しております。学級が人間形成の基礎を培う集団教育の場として機能しなくなる、いわゆる学級崩壊は重大な問題であると受けとめております。
○山本委員 教育委員会はそういうふうに定義づけているんでしょうけれども、私たちが見たり聞いたりしているところによると、始業のベルが鳴っても入ってこない、五分ぐらい、十分ぐらい入ってこない。入ってきてもおしゃべりをお互いにする。中には机の上を走り回っている。教壇の前に寝転がっている者もいる。こんな状態で、先生がやめなさい、こっちを向きなさい、だれだれ君、何々といってもなかなかいうことを聞かないのが学級崩壊だろうと、今のお話の中でまとめてありますが、そういうことだろうと思いますね。そこで私、小学校の学級崩壊について、中学校は別として申し上げたいんですが、小学校、中学校、高校と学校教育があるとすれば、小学校教育というのはロケットでいうと第一弾目だろうと思うんですよ。この第一弾目のロケットがうまく方向づけて発射されないと、このロケットはどこへ飛んでいくかわけわからなくなる。でありますから、この基礎である小学校教育が一番大事だという考えを持っているんですが、知性とか知識とか、あるいは情感とか、そういうようなものが、いわば人間形成をされる一番初期の大事なときだろうと思うんです。それが小学校教育だろうと思うんです。この大事な小学校教育をする時期に学級崩壊なんていうようなことだったら、これは大変な問題であると私どもは自覚しなければならない。
そこで、東京都教育委員会は、いわゆる学級崩壊を防ぐためにはどんな対策をとっているんですか。
○斎藤指導部長 東京都教育委員会といたしましては、都内のすべての小学校に調査を行いまして実態把握に努めるとともに、開かれた学校、開かれた学級づくりや組織的な対応、保護者等との連携などの推進を内容とする教員向けの研修資料、学級経営の充実に向けてのリーフレットを平成十年度から三回にわたって配布し、指導の方針を示してまいりました。また、学級がうまく機能しない学級の事例を取り上げた研究や、児童理解や教育相談に関する研修、学校訪問等による支援を行うなどいたしまして、各区市町村教育委員会等と連携して対応してまいりました。
○山本委員 教育委員会は一生懸命やっていることはわかりますが、しかし、去年よりもことしが、一生懸命やっている割には、ふえてきたというのはどういうことなんでしょうね、とだれでも思うんじゃないでしょうか。まずそれを、斎藤さん、どういうふうに考えますか。去年より一生懸命やってきているのに、去年より、一六%から一八%になる、二百五十幾つが二百九十幾つになるというような学級崩壊が起こっているということはどうしてなんでしょうね。
○斎藤指導部長 今ご指摘の数の増加につきましては厳粛に受けとめているところでございますが、学校の対応等、この調査によって把握していることですが、学校の方では、一人の教員に任せずに、ほかの担任と一緒に協力し合うとか、あるいは校長や教頭がかわって授業をして一緒に見本を見せてあげるとか、あるいは特徴的なことにつきましては、地域の方と学級崩壊について一緒に考えていこう、そういう動きが出てまいりました。そういった意味では、地域、家庭で育っている子どもを学校でお預かりして、学校だけではなくて地域、家庭の方と一緒にこの最近の子どもの問題行動について考えていこうと、そういう取り組みが始まっているところでございます。数はふえておりますけれども、しかし、対応につきましては、昨年、その前の年に比べてやや開かれた学校という形で進んでいるかと思っております。そういったわけで、深刻な状況でございますが、これからも真剣に取り組んでまいりたいと思っております。
○山本委員 斎藤さん、あなただけ責めているわけじゃないんですよ。余り短期的に見てもいけない、長期的に見て五年のスパンで見るということとか十年で見るということもあるでしょう、どうぞひとつ、そういうことを、いわんとしている意味はそういう意味ですから、頑張ってほしいんですが、私はこの間ある学校の道徳の公開授業を、私は物好きですから、入っていって見せてもらいました。そうしたら四つの学級がありました。その四つの学級の授業を見ておりましたら、年配の先生は、何かいったらびしっとやるんですね、厳しい中でもすっと直して、子どもを引きつけながら一時間もっていく、ところがそうじゃないあとの三人の--大変失礼ながら私はメモを書いてきましたが、あとの先生は、だれだれさんこうでしょうというような調子で、私からいわせればその言語、態度が児童におもねっているように見えましたよ。ご機嫌取りをして授業をやっているように見えましたね。私はこれはいけないなと思って帰ってきたんですが。
私は、先生自身が一つの教材であるという信念を持っているんです。教育というのは至るところに教育の場があり、どこでも教育ができる。そして先生自身も一つの教材であり、先生の態度、言語すべてがそうであるという考えを持っておりますからいうんでありますけれども、やっぱり先生は毅然とした態度で、師でありますから、子どもを教えていかなければならない。時には友達であってもいいけれども、教育をする場になった場合には、一つの時間でする場合には毅然としていなければいけない。そのことが学級崩壊を防ぐことになるとつくづく私は思うんです。
ですから、そこで問題は、先生をうまくどういうふうに育てていくかということが、かつて日教組日の丸、親方日の丸でやっていた先生は今はもう影が薄くなって、みんな努力している先生になったと思うんですけれども、私は先生の研修をどんどんやっていくことが必要であると思いますが、その点いかがですか。
○斎藤指導部長 東京都教育委員会では、教員のライフステージに応じた研修体系を整えまして、区市町村教育委員会と連携して、すべての教員を対象に児童生徒の理解の上に立った学習指導、生活指導のあり方や教育相談の方法等について適切な指導が行えるよう研修を進めているところでございます。また、各教科の指導や教育課題についての専門性を高めるキャリアアップ研修等を行うとともに、教員が自信を持って指導に取り組めるよう、校内の組織的な取り組みや最低限指導をしなければならない事柄の共通理解について、事例を通して研修できるよう研修資料を提供しているところでございます。
○山本委員 東京都教育委員会が今いろんな研修をやっているということ、努力をしていることは理解ができました。まあしかし、二百九十六もの学級崩壊があって、学級が機能していない、学級としての機能をしていない、こういう状況がある中で、先生の研修だけで荒れた学級をおさめることができるかというと、私はそこでだけではちょっと疑問があって、一人の学級担任、しかも特に、こういっちゃ失礼ですが、問題の起きるのは教員になって日が浅い先生方じゃないだろうかと思う、ベテランになればなるほど生徒の指導の仕方が上手になっているわけですから。そこで、学級担任の補助ができるような手だて、荒れているところには一人の先生じゃなくてもう一人の先生を充てるベきだと考えるんですが、教育委員会はどういうふうに考えますか。
○斎藤指導部長 これまで東京都教育委員会は、学習指導の充実や生活指導の充実に向けまして、チームティーチングなどの複数の教員で指導できるような体制整備、あるいは少人数指導のための定数改善のほかに、退職した教員の活用などを行ってきております。今後、区市町村教育委員会と連携しまして、例えば退職した校長先生が若い教員の先生の学級経営について助言をしたりするとか、あるいは子どもたちがさまざまな人との触れ合いの中で学べるよう保護者の協力を得たり、あるいは、地域の方の協力を得たりしながら、そのほかにまた、教員養成系大学等の学生ボランティアなどの活用など、さまざま工夫をしながら対応してまいりたいと思います。
○山本委員 どうぞそういうふうに、手をかけるという言葉がありますが、手をかけ、その場合場合によってそういうような措置も必要であると思いますので、どうぞひとつ、退職の先生なんかは大変立派な先生がいっぱいいるんですから、ボランティアででもお手伝いいただけるような形を制度的にとってみるようにお考えいただきたいと思います。そして、私がさっきからいいましたように、教育というのはいついかなるところでも教育はできる、今会えばこの人を教育できるという言葉があるくらいで、できるはずでありますから。
そこで、これは子どもが豊かさの中で育てられて、苦しいことをなるべく、親がかわいいものだから排除するようにしたり、あるいは家庭でのしつけがきちんとできていないことが、先生のいうことを聞かない原因になっているような気がいたしますので、低学年から子どもたちを奉仕活動だとか、小学生だと部活ってありますよね、部活だとかそういうような体験学習をして、特に野球なんかでも、剣道なんかでも、柔道でも空手でも、よく子どもたちが練習するのを見ることがありますが、先生、コーチのいうことは絶対いうことを聞く、聞かなければ教えてもらえない、また、自分より上手な人がいっぱいいますから、柔道なんか強い人がいますから、その人に対する敬意の念を持ってくる、そういうふうな、子どもたちに教育の中で体験学習といいますか、そんなことをさせる必要が、そして心を育てることが必要だと思うんですが、教育委員会はどうですか、斎藤さん。
○斎藤指導部長 学校教育におきまして奉仕等の体験活動を取り入れることは、働くことの意義を理解し、社会に貢献する喜びを体験させるとともに、公徳心や自制心などの心を育てる上で重要と考えております。都教育委員会といたしましては、体験を通して生きる力を育てることを重視した新しい学習指導要領に基づき、各学校が総合的な学習の時間などにおける高齢者との交流、あるいはリサイクル活動などの体験活動の推進を図るよう指導してまいります。
○山本委員 間もなく終わりますが、教育の原点は家庭にある、教育は家庭にある。家庭教育も子どものいわば資質だとか感性とか情操というものを、私は育て上げていくんだろうと思います。でありますから、幼児期からのしつけが重要であると思います。現在、心の東京革命が行われておりますが、教育委員会としては、学級崩壊を未然に防ぐために家庭や地域に対して心の東京革命をどのように援用してアピールをしていますか、お伺いをいたします。
○斎藤指導部長 児童生徒が保護者や地域の人々とともに活動できるよう、トライ&チャレンジふれあい月間や都民とともに考えるシンポジウム等を開催して啓発を行うとともに、各学校において道徳授業を地域に開くことによって、保護者の方や地域の人々とともに心を耕す教育の重要性を訴えてきております。今後とも都教育委員会は心の東京革命の趣旨を積極的に保護者や地域の方々にアピールしてまいります。
○山本委員 長くなりました。最後に、教育長にお伺いいたしますが、私は先ほどから学級崩壊ということについて取り上げて、そして、教育委員会の考え方や今までやってきたことを伺ってまいりましたが、実は私は、学級崩壊という言葉を聞くと日本の国の崩壊ということをイメージしちゃうんですよ。これからの前途は暗い、日本は暗い、こういうふうに思うものですから、さっきからくどく申し上げているんですが、小学校教育は人間形成の基礎であり、小学校の学級崩壊は過去にはありませんでしたよ。青空学級であってもあるいは二部授業であってもあるいは五十人の授業であっても、生徒は先生のいうことをよく聞いていました。そして勉強しました。私は本当に子どもの心の荒れを、荒れていることを危惧しております。子どもの教育はひとり学校教育だけに押しつけることにはなりません。なりませんが、だからこそ小学校の先生方、この熱意と愛情を持って教えてもらうということ、これに本当に心から期待をしたいと思います。
長くなりましたが、教育長横山さん、私の今申し上げたことにつきましてご感想を承りたいと思います。
○横山教育長 今るるお話がございましたように、学校教育課程の中で確かに小学校教育というのはまさに人間形成の基礎でございます。その基礎の段階に心の荒廃現象が見られるというのは、私としてもゆゆしい現象であると考えております。確かに学制施行以来、小学校教育の中で今ほど低学年から自己中心的な振る舞いが見られる、こういうことはなかったかと思います。いわゆる学級崩壊といいますのは、戦後五十数年の中で確かに日本社会が物質的に豊かさを実現してきている、その一方で、物質的な繁栄ほどには精神的な豊かさが実現されていない、こういった課題が残されていることを象徴しているんではないかと考えているわけですが、これからの社会におきましては、まさに多様な生き方を互いに認め合って、社会の一員として責任感と義務感を持ってともに生きることが求められておるわけです。
小学校におきましては、その基礎づくりをする必要があると思います。小学校教育においては基礎学力を身につけさせることはもとよりでございますが、ご指摘のような奉仕体験あるいは自然体験、こういった社会体験を通じて規範意識や道徳心を身につけさせることが重要であろうかと思います。そのために、小学校が家庭や地域社会に開かれたものにすること、それから、校長を中心とした組織的な学校運営が行われ、都民に信頼されることが大切でございますし、また、熱意と情熱を持って子どもの指導ができる教員の資質の向上を一層図ることが重要であると考えているところでございまして、今後とも私どもとしましては、これらの実現に向けまして全力を尽くしてまいる所存でございます。
○福島委員 先日の事務事業の概要説明の際に資料要求をさせていただいて、先ほどるるご説明を賜りました心の東京革命の推進プランについて、人事考課制度の導入とかかわって、指導力ステップアップ研修について、以上、大きく三点について質問をさせていただきたいと思っています。
まず、一点目の心の東京革命につきましては、先日の生活文化局の事務事業の説明の質疑の中でも質問をさせていただきました。委員会の終了の後に担当者の方がわざわざ私どもの会派まで訪ねていただいて、誇りある心の東京革命の推進標榜のまちだということで、私もそのバッジをきょうは胸につけて、まさしく同じ志を持つ同志として質問をさせていただきたいと思っておりますので、明快な答弁をお願いしたいと思っております。
その質疑の中で、石原都政が掲げているスピード感覚、コスト感覚、チャレンジ精神の三つの改革の御旗のもと、各局、各部、各課においてまさしく内部努力や自助努力を念頭に置き、推進方ご努力をされていること、そして、その改革の根底に脈々と流れているのがまさしく心の東京革命であるとの認識、縦割りといわれている行政の垣根を取り払い、まさに全庁を挙げた改革都政の魂そのものであるとの認識、さらに、今の時代に失われかけた、人間として生かされて生きていることに気づかせる、人のために生きてこそ人だという人間の人間たる使命に直結しているものだとの認識を表明させていただきました。
そして、今後の事業を強力に推進するために具体的な提案もさせていただいて、一定の前向きな答弁もちょうだいをしました。教育庁におかれましても、教育推進プランを作成し、推進方ご努力をされて一年が経過をしておりますけれども、その成果をどのように認識をされて、それをどのように今後生かされようとしているのか、もしこの一年間で問題点があるとするならば、率直に披瀝をしていただきたいと思います。
○嶋津生涯学習部長 心の東京革命の推進につきましては、都の教育委員会といたしましても昨年八月に「心の東京革命」教育推進プランを策定いたしまして、その推進にこの一年積極的に努力してきたつもりでございます。例えば、心の東京革命推進事業の一環といたしまして、民間団体あるいは区市町村などと連携をいたしまして、とうきょう親子ふれあいキャンペーンを実施し、自然体験、文化活動など、親子が触れ合い、感動を共有することを通して子どもが豊かに人間性を身につける活動等を推進してまいりました。その成果につきましては、平成十一年、これが初めてでございましたけれども、四千人ぐらいでございました。しかしそれ以後、十二年につきましては一挙に膨らみまして二十一万人の延べの参加を得ております。ことしはさらにその数を上回る心意気でやっておるつもりでございます。
なお、反省点とか問題点がもしあるといたしますならば、今後、皆様方のご意見やご指摘を踏まえながら改善すべきところは改善してやってまいりたいと考えてございます。
○福島委員 ここに本年度の東京都公立幼稚園、小学校、中学校、高等学校のPTAのリーダー合同研修会、主催が東京都公立の連絡協議会ということでありますけれども、十月二十二日に千人規模で行われると。青少年を取り巻くさまざまな諸問題は年々深刻さを増している、限りない可能性を持ち、二十一世紀を担う青少年の安全を守り、心身ともに健全に育成することはすべての親の願いであり、大人の責務だと記されています。題して、健全な心と体を育てよう、心のPTA革命と明示がされています。まさしくこの問題の輪を理解されて、着実にその裾野が広がっている顕著な一つの例だと思っています。この種の事業は、見えない努力や、その成果や評価にも極めて時間のかかるもの、触れてはならない、ともすればタブー視されがちな問題を教育庁が率先して、その事業展開を遂行されていることこそが私は意義深いものだと思っています。大人になれない大人がいる、親になり切れない親がいる、もちろん私も含めてでありますけれども、まさしく時宜を得た推進だと思っています。
そこで、その一年間の先ほど披瀝をされました成果を踏まえて、この事業を具体的に推進方に向けて、地域においてはいかに取りかかっていくのか、あるいは家庭においては、特に学校の教育現場においてどのように生かされようとしているのかをお尋ねします。
○斎藤指導部長 心の東京革命の地域、家庭、特に学校での取り組みについてでございますけれども、新学習指導要領では、子どもたちの生きる力をはぐくむことを基本的なねらいとしました、新たな総合的な学習の時間を設けるなど、体験活動を充実することを強調しております。都教育委員会は、この学習指導要領の趣旨に基づき、また、心の東京革命の趣旨を生かして、子どもたちに社会性や豊かな心をはぐくむために区市町村教育委員会と連携しまして、各学校において地域ぐるみで体験活動が一層推進されるよう支援しております。
また、心の東京革命推進事業の一環として、保護者、都民の参加のもとに実施しております道徳授業地区公開講座について、今後とも学校、家庭、地域社会の連携による道徳教育を一層推進するとともに、各学校において道徳授業の充実を図ってまいる所存でございます。
○福島委員 今それぞれご答弁をいただいて、いただいた資料にもドングリマークの、まさに各区市町村にも連携よろしきを得て事業が推進をされている、あるいは、民間団体にも声かけをしてご参加をいただいている、種々ご努力はされていて、まさにドングリマークのごとく、ドングリはやがてカシの木になるんだという使命感、一滴の滴が必ず川に流れて大海に流れ込んでいくんだという誇りすら感じるわけであります。行政の極めて難しいところは、各地に極めてばらまき型にやっているものですから、この種の目に見えない評価のされにくい事業というものが、一定の結実が極めて難しいと思っているわけでありまして、手前みそで大変恐縮でありますけれども、私のふるさと渋谷区では、既に心の東京革命渋谷行動プランと銘打って、子どもは大人の背中を見て育ちます、情報発信都市渋谷から日本人としての魂ときずなを発信すると銘打って、力強く推進をさせていただいています。項目も明確に四項目に分けて、例えば、家庭においては「伝える心百選集」、親が子どもに伝えたいこと、子が親の目線に立って考えること、お互い文章を書き合って取り交わす、あるいは、学校においても学校評議員という新たな制度を導入して、前段もお話がありましたような、退職をされた先生や校長先生にもご参加をいただいて取り組んでいる。さらに、地域においても渋谷子どもネットというインターネット等を導入して新しい事業方、予算に向けても全力を挙げて努力をされていて、その集大成の一つとして、来年渋谷区制施行七十周年を迎えるわけでありますけれども、伝えたい日本の心と題してこの記念事業を推進しているわけでありますが、先駆的にあるいは先進的にこの事業を展開している区や市に対して、教育委員会としてモデル指定を呼びかけるお考えはないのか、ぜひご答弁をいただきたいと思っています。
○嶋津生涯学習部長 心の東京革命につきましては、それぞれの地域で親や子どもが、子どもの健全育成に取り組んでいくことが基本だというように考えてございます。そういう意味におきまして、地域に密着した区市町村の役割が大変大きいものと認識してございます。
今お話のございました渋谷区につきましては、日本人としての魂ときずなを訴えたり、あるいは「伝える心百選集」を実践したりするなど大変積極的に取り組んでおられます。そういう点で私どもも大変心から敬意を表したいというように思ってございます。こうした取り組みにつきましては、それがほかの自治体に、ほかの区市町村にも幅広く広がっていくことが何よりも大事ではないかというぐあいに認識してございます。したがいまして、都の教育委員会といたしまして、この渋谷区の取り組みを心の東京革命教育推進のモデル区という形にできないものかといったことについて、検討してまいりたいと思ってございます。
○福島委員 同志としての心強いご答弁に心から感謝をいたしますし、私も政治家の端くれとしてその意を受けて強く、微力でありますけれども、推進をしたいということを改めて表明をさせていただきたいと思っています。
知事は就任以来、東京から日本を変えると公言をいたしております。私も全く同感であります。国際化、都市化、少子高齢化、あるいは情報化、日本の世情の縮図が東京にある、東京の問題は日本の問題であり、東京の成功こそが日本の未来への道標につながる、ふるさと東京の繁栄こそが日本そのものの浮揚につながるものだと確信をしています。資源のない日本の再生は教育そのものにかかわっていると思っています。教育はまさしく国家百年の計であります。誇りのない卑しい日本にしないために、自己改革から始まる、まさしく百年後の歴史から評価をする、決して消えないわだちづくりに邁進していただきたいと思っておりますけれども、教育長の志の一端を披瀝いただきたいと思います。
○横山教育長 ただいまるる心の東京革命につきましてご議論ございましたけれども、この心の東京革命はまさに親と大人が責任を持って子どもたちに、正義感あるいは倫理感、さらには思いやりの心をはぐくみまして、人が社会の中で生きていく上で当然身につけておくべき心得を伝えていく、まさに社会的な運動として展開をしているところでございます。都教育委員会としましても、こうした考え方に基づきまして、まずその第一歩としまして、親と子が楽しみながら話、触れ合う、こういう場を設けようということから、先ほど部長が申し上げたような種々の取り組みを事業として行っているところでございます。
この運動といいますのは、意識を変革して、まさに具体的な行動を求めるものでありますことから大変難しい面がございます。ただ、ただいまご指摘がございましたような点も踏まえまして、これまでの事業をより充実していくとともに、新たな事業の展開を図るなど、家庭、学校、地域との連携を一層進めて、より効果的な事業の実施に努めてまいります。
○福島委員 それでは次に、人事考課制度についてお尋ねをしたいと思います。
兵庫県における教員の不祥事を初め、教育現場内外において教員のモラルの低下や指導力不足など、看過しがたい状況下であるわけでありまして、私の周辺でも教員の指導力に対する不安の声が不信の声に変わっている、先ほどの質疑の中でも学級崩壊が二百九十六を数える、不登校やいじめの問題、るる内在をしている状況下の中で、東京都の教育委員会は全国に先駆けて教員に人事考課制度を導入いたしましたけれども、果たしてそれが適切に運用されているのか、さらに、もし問題点があるとするならば率直にお伺いをしたいと思います。
○中村人事部長 人事考課制度の運用に当たりまして、全教育管理職に対しまして評価者訓練、研修でございますけれども、これを実施しております。この結果、評価制度の向上に努めていきたい、こんなふうに考えております。それから、人事考課制度の活用につきましては、実は昨年度が導入初年度でございました。そこで、今年度の教員の特別昇給にこの評価結果をフルに活用させていただいているという状況でございます。
それから問題点でございますけれども、一つは、自己申告書の提出率が九八%にとどまっておるということで、少数ではございますけれども、提出拒否者がいるということ、それから自己申告書の記入内容につきまして具体性にいささか欠けるということ、あるいは学校経営方針との整合性がちょっとずれている、こんなふうなものがございました。教育管理職につきましては、授業観察、それから自己申告時における面接、これを通じまして教員の能力開発、こういう面から指導助言、これが一部不十分な例もある、こういう問題点を抱えております。
○福島委員 今答弁をいただいたわけでありますけれども、特に学校の経営方針とは、その学校の教育現場の命に等しいものだと私は理解しているわけであります。したがって、人事考課制度の導入の意義とも相通ずるものだと思っておりますので、その意義というものが教育の現場に生かされるよう、結びつくように努力をされますように要望をさせていただきたいと思っています。
また、それにかかわって指導力ステップアップ研修が実施されておりますけれども、具体的に効果としてどのようにあらわれているのか、それをどう認識されているのかを質問させていただきたいと思います。
○中村人事部長 ステップアップ研修開始からまだ六カ月しかたっておりませんけれども、個々の教員に本人の課題を自覚させ、あるいは指導方針の改善点などを具体的に示しておりまして、指導に関する基礎的事項の理解については向上してきているというふうに認識しております。しかしながら、そのことを学校現場の授業に即反映できるまでには至っていない者がいまだ大半いると、こういうふうに認識しております。
○福島委員 まさに現場とのギャップが今の答弁に結びついているんではなかろうかなと思っています。この研修の意義というものは、やはり教員の教員たる自覚や誇りを促すものであると思っておりますので、そういった研修になりますようにさらにご努力をされたいと思っています。また、問題点が改善された者が翌年度教壇に復帰できるシステムになっているわけでありますけれども、その線引きがどこにあるのか、それをだれが決めているのか、ご答弁をいただきたいと思います。
○中村人事部長 研修におきましては、各教員ごとに課題を設定いたしまして改善を図るように指導している状況でございます。また、観察授業を適宜行いまして、その結果につきましては、指導主事それから管理主事等の教育専門職がその成果を具体的に評価する、こういう仕組みにしてございます。現場復帰の可否につきましては、教育庁の部長あるいは課長で構成いたします判定会を設けておりまして、研修の成果を個々に判断してこの判定会で決定していきたい、こんなように考えております。
○福島委員 るる努力はされているわけでありますけれども、もし仮にその研修を受けても改善のされない者があったと判定をされた、その場合は、教育委員会として、あるいは現場の部長さんはどのように対応されていますか。
○中村人事部長 研修をいたしましても改善が図られないという者に対しましては、本人の自覚を促しましてみずから退職する道を選択させるなど、適切に対応してまいりたい、こんなように考えております。
○福島委員 この制度の導入の大きな意義というものは、教員キャリアが、昔からいわれている先生として誇りを持って子どもたちの目線に立って行動がされているか否かが一番肝要だと、こう思っていますので、その意義というものが十二分に生かされますよう心から切に要望させていただいて、私の質問を終わります。
○野上委員 三点にわたり質問させていただきたいと思っております。心の東京革命が叫ばれて、今、東京発教育改革ということで発信をしているわけでございますけれども、私も今回資料請求をさせていただきました。一六、一七ページですか、都内公立学校教員の懲戒処分及び諭旨免職の状況(過去十年間)ということで、資料ありがとうございました。
これを見ますと、一部の心もとない教員の存在が、まじめに一生懸命頑張っている、取り組んでいる教師全体のイメージも結構ダウンをさせている、そういうような意識を私はしております。教師というのは授業で勝負をするといわれておりますけれども、わからない子どもをつくらない、授業が楽しい、よくわかる、そして知識、技能をしっかりと身につけて満足をして家に帰っていく、そういう子どもたちをつくっていきたい、これは教師の本音であります。私も二十五年間教職に携わっておりましたので、その現場の様子がよくわかるわけなんですけれども、その中で質問させていただきますが、先ほどの山本委員ともちょっと問題が重なるんですけれども、教員のライフステージに応じた研修体系ですが、先ほどもおっしゃいましたけれども、もっと詳しくその研修体系がどうなっているのかお伺いしたいと思っております。
○斎藤指導部長 まず、在職五年以上九年未満の教員を対象にしまして、児童生徒理解を目的とした現職研修Ⅰがございます。それから、在職十年以上十四年未満の教員を対象にしました、校務運営を担う資質能力の向上を目的としました現職研修Ⅲがございます。これに加えまして、本年度から在職二十年に達した教員を対象に、教職経験者としての専門性の向上と教育改革を進めるための資質能力の向上を目的としました現職研修Ⅲ、それからさらに、生活指導主任などの必置主任を対象としました都立学校主任研修を研修体系に新たに位置づけまして、ライフステージに応じた研修を行っているところでございます。
○野上委員 ありがとうございました。ライフステージに応じた研修が教師の人間性を豊かにして教育技術も向上していくという、そのことを私は大変願うものであります。また、都教委といたしまして、学校の授業の充実に向けてどのように学校を支援していただいているのか、それをお伺いしたいと思っております。
○斎藤指導部長 これまで各学校が基礎、基本の確実な定着を図り、学ぶことを楽しみにする子どもたちを育てていくために、授業改善に役立つ指導資料の作成あるいは配布を行ってまいりました。平成十一年度から総合的な学習の時間の新設に向けましてやはり指導資料を作成し、配布してまいりました。さらに、「東京の教育21」研究開発委員会におきましては、新学習指導要領の趣旨を生かした授業となるよう、年間指導計画の作成、指導方法の改善、評価に関する指導資料を作成し、各学校に配布してまいりました。本年度はこれに加えまして、少人数学習指導資料を作成しまして、今後配布する予定でございます。また、指導主事による学校訪問を通しまして、授業に即して学習指導改善のポイントを指導助言してきたところでもございます。
今後とも、各学校が抱える課題の解決につながる資料の作成あるいは指導助言に努めてまいりたいと思います。
○野上委員 ありがとうございました。教育現場にいますと、いろいろな資料が次から次へと送られてまいります。それをしっかりよく読んで自分の授業改善に生かせる先生と、何となくそこら辺に積んでどんどん積み重なっていく、あるいはごみ箱にぱっと捨てられるとか、そういうようなのが現実にはあるわけなんですけれども、かなり現場的には温度差があるということなんです。私は、みずから自分の意思で授業改善に意欲的に取り組んでいく、そういう教員を育てていかなければいけないと思うのですけれども、それについてお伺いしたいと思います。
○斎藤指導部長 みずから意欲的に取り組む教員を対象としました研修でございますが、キャリアアップ研修Ⅰ、Ⅲ、Ⅲをまず設定しまして、各教科、教育課題に関するさまざまな専門的研修を設定しております。一年間共同研究を行う教育研究員、これは学校を離れ研修センター等で研究を進める教員研究生の制度とあわせてございます。それから、東京都の教育課題の解決に向けて研究を進める、先ほど申し上げました「東京の教育21」研究開発委員会等がございます。このほか、学校教育に関する専門職としての資質向上を図ろうとする教員を新教育大学、大学院等へ派遣しております。今後とも、意欲あふれる教員がさらに自己の資質、能力を高めることができるよう努めてまいります。
○野上委員 自分のことをいって恐縮なんですけれども、私も一年間教育研究を受けまして、この一年間非常に自分の教育技術を向上することに役立ったなというふうに思っております。よい授業をする、子どもたちにわかる授業をするためには、子どもの心を的確につかんでおかなければいけないと思います。その子どもの心の状況に応じた指導、そういったものが必要なのではないかと思っております。そのためには、私は、地味なんですけれども、教育相談研修会、これが大変効果的であるというふうに自分自身感じております。
そこでお伺いしたいんですけれども、教育相談研修会の受講者数、これは平成十二年度--十三年度はまだ途中なので、わかりましたら教えていただければと思います。
○斎藤指導部長 平成十二年度の実績でございますが、公立幼稚園、小学校、中学校、都立学校の教員五百五十五名がこの相談研修を受講しております。また、今年度は、予定も含めますが、現時点で千四百名の教員が教育相談研修会を受講しております。
○野上委員 この五百五十五名、そして今年度千四百名という教育相談研修会の受講者数なんですけれども、今までに全体でどれぐらい教育相談の研修会を受けられたのか、そしてまた、それをさらにどう充実させていこうと思っていらっしゃるのか、ちょっとお伺いしたいなと思っております。
○斎藤指導部長 累計数を今ちょっと計算しておりますので、年度ごとに申し上げられますけれども、ちょっと時間をいただきたいと思います。それから、どのように充実させてきたのかということについて先にまずお答え申し上げます。
都教育委員会では、今年度からライフステージに応じまして自己の課題を設定し、選択できる参加型のキャリアアップ研修を立ち上げたところでございますが、その中に教育相談研修を位置づけまして実施しております。そうした結果、今後、より多くの教員がこの研修を受けやすくなるというような位置づけをしてございまして、数もふえてきているところでございます。
大変失礼いたしました。平成四年度以降の受講者累計数字、平成十三年度の予定まで含めますが、三千八百二十七名でございます。
○野上委員 それでは、カウンセリングマインドを一人一人の教員がしっかりと応用しながら、子どもたちの心を豊かに育てていく、子どもたちとの対応の仕方を変えていくということが非常に大事ではないかと私は思っております。また、心を育てるといいますと、道徳だけではないんですけれども、道徳の授業も大変大事な一つの要素になると思っております。
それで、道徳の授業の充実についてお伺いしたいと思いますが、今、道徳の授業の地区公開講座を熱心に行っております。さっき山本委員も参観されたとおっしゃっておりますけれども、この実施校はどう拡大されてきたのかをお伺いしたいと思っております。
○斎藤指導部長 道徳授業地区公開講座につきましては、平成十年度より開始されまして、初年度は二十九校、翌十一年度は百七校、十二年度は六百五十五校で実施されておりまして、本年度は八百二十八校で実施または実施予定でございます。残りの未実施校は現在四百八校でございます。
○野上委員 このようにどんどん実施校がふえてくるということは非常にすばらしいことだなと思っております。また、現場的にも、私が教頭をしていたときにも、自分が道徳の授業をするということで教員が本当に夜遅くまで熱心に教材研究をしておりました。私はこういう、人に授業を公開するということがどれだけ教員のやる気を促してくるかということを身にしみて感じた次第なんですけれども、今後、道徳の授業地区公開講座をどのように推進されていくのかということをお伺いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○斎藤指導部長 心の東京革命推進事業の一環としまして、都内公立小中学校において道徳授業地区公開講座を推進してまいりましたが、平成十四年度以降は都内すべての公立小中学校で実施することを通じまして、子どもたちに道徳的実践力を育成する指導を充実するなど、学校、家庭、地域社会が一体となった心の教育を推進してまいります。
○曽根委員 私からは、まず初めに、学級編制の少人数化の取り組みが今全国で進んでおりますので、東京都でもぜひということは私も前々から申し上げておりましたが、この点を幾つか質問させていただきたいと思います。
県段階では、既に本格的といえるのは山形県、最近、県知事並びに教育長がすべての小中学校に三十人学級導入ということを表明したわけです。年次計画を立てて何とか数年で実現をしたいと、さらに記者会見では、公共事業をある程度縛らなければならないかもしれないが、それでも教育には力を入れたいということも表明されているようです。既にそのほかにも秋田、新潟、広島、愛媛、鹿児島の各県で三十人から三十五人程度の学級編制というのが試みられてきている。最近私ども伺ったんですが、埼玉県の志木市が、市長さんが新しくなりまして、七月ですか、二十五人程度の学級編制をしたい、これは市町村ですから、法律によると県の了解が必要だということになっているそうで、それで今県と交渉中であるというお話を伺ってきました。担当者の方も、市長さんの、これは直接はお会いできなかったんですが、話をいろいろ読んでも、その大きな動機として、国立教育研究所の最近出された二十人学級の研究の報告が大きな動機になっているというふうに、いずれも共通して述べているんですね。市長さんの話にもありましたが、クラス編制が四十人でやれるんだという時代ではもはやないと、子どもたちの生活や心の状態から見ても、単に学習集団として少人数がいいというだけではなく、一日の大半を過ごすクラスの学級、特にこの志木市では小学校の低学年のクラスにおいては、まず何よりもクラス編制そのものを少なくしていく必要があるという強い決意に立っておられるようでした。
それで、こうした動きが県段階でも市町村段階でも次々とあらわれてきていることについて、都としてはどのように受けとめておられるか、まずお聞きします。
○神山学務部長 各道府県や市町村によって、学級編制の弾力化につきましてはさまざまな考え方があることは承知しておりますが、都教育委員会は、学級は生徒指導や学校生活の場である集団としての機能を主としたものと位置づけ、児童生徒が社会性を養うための教育効果の観点から一定の規模が必要と考えております。一方、基礎学力などの向上に配慮し、きめ細かな指導を行っていくには学級と異なる少人数の学習集団を構成し、学校の創意工夫によって弾力的に編制し指導していくことがより効果的であると考えております。義務標準法の改正によりまして、都道府県教育委員会が国の基準を下回る学級編制基準を定めることは法的には可能となりましたが、都教育委員会といたしましては、こうした学級の社会的集団としての教育効果を踏まえ、学級編制基準につきましては変更せず、教科等の特性に応じた少人数による授業の実施について拡充が図れるよう支援していくものでございます。都教育委員会は、今年度から導入しました学級維持制度についても引き続き堅持し、計画的、継続的な教育指導や安定した学級運営が可能となるよう配慮してまいります。
○曽根委員 大変残念な答弁、最初から残念な答弁なんですが、しかし、それにしても今最後にお話のあった学級維持制度というのは、これはもちろん本格的な少人数学級じゃありませんが、小学校の一年から二年になる段階で、それから五年から六年でしたか移行するときに、クラス編制がわずかな人数の転校によって、二クラスあったのが一クラスになってしまうとかいうことがないように維持できるようにしたい。これはごく一部ではありますけれども、学級集団、クラス集団がいきなり大きくなることの、特に低学年と卒業間際の学年における問題点を配慮したんだと想うんです。志木市も、何も小さければ小さいほどいいというふうな考え方を持っていないということも、既にご存じのとおりです。二十人以下の学級というのはかえって逆効果なんだという考えも持っていて、したがって、二十五人程度学級という制度なんですね。ですから、四十人学級になって二つに割ると二十人、じゃ三十五人の場合はどうするのか、十七人と十八人に割るのか、そこはいろいろと考えなければならないというのが市長さんの考え方なんです。現場の先生方とも相当話し合って、市長さんとしては二十人以下にはできるだけしたくない、しかし、二十五人程度まではクラスの編制を下げたいと。今単学級の学年もありますから、そういう場合はなかなか苦労すると、それで学級編制の早見表というのもつくって、もらってきたんですが、こういう場合はどうするかということで一つ一つ詰めている、こういう工夫が始まっているわけです。
それともう一つは、市の財政負担、県にお願いするにしても半額出してもらえるかどうかもはっきりしない、財政負担はできるだけ無理のないものにしたいという点でも工夫されています。したがって私は、いよいよ単純に四十人学級制度をそのまま数字を三十に置きかえただけの制度では、今財政的にも、資料をいただいたように大変なお金が東京都としてもかかる。しかし、その間にさまざまな制度が可能だしできるということで、それができる、いわば志木市のように十万人程度の人口の、学校が割合少ない、それで何年たてばどこのクラスが多くなるということがもう目に見えているところで、市長さんの決断が始まっている、こういう動きだと思うんですよ。したがって、これから東京都内の区市町村でそういうことを、思い切って移行しようというところが出てくる可能性は、私は大いにあると思います。
一例として紹介しますと、きょう多分新宿区議会の本会議で三十人以下学級の実施を求める意見書が全会一致で採択されていると思いますが、ここでも、これは東京都に対して学級編制の少人数化を求めている、こういう動きが仮に区市町村段階から出てきた場合、都としてはどのように対処するつもりなのかをお聞きします。
○神山学務部長 区市町村教育委員会から、区市町村で独自に学級編制したり、教育委員会に四十人基準を下回る学級編制を要望してきた場合でございますが、都教育委員会といたしましては、当該の区市町村のみに都基準以外の学級編制を認めることは、教育水準の公平性に欠けるので困難であるかと思います。
○曽根委員 その区市町村が、うちはやりたいんだと、それのバックにはもちろんそれを支える世論もあるでしょう。議会だってオーケーしなきゃできないわけですよ、区市町村の判断だけでは。教育委員会もある。それが総意でもってやりたいといったときに、東京都は、ほかの区市町村と不公平になるからだめですよというふうにいうんですか。しかし、そういう結論を出せる時代なのかと、当然要望があれば受けとめて検討して、今、志木と埼玉県でやり合っているように、いろいろなやりとりがあるでしょう、それをある程度は受けとめて、可能なのかどうか、ほかの市町村ではどうなのかということを検討するということはあり得ることなんじゃないですか、いかがでしょう。
○神山学務部長 私ども教育委員会といたしましては、ただいま答弁申し上げたとおり、学級の社会的集団としての教育効果を踏まえ、学級の編制基準については変更はいたしませんけれども、教科等の特性に応じた少人数による教育の実施などについては、拡充が図れるよう支援している中で検討していきたいと、そういうふうに考えております。
○曽根委員 現場の学校に近い基礎的な自治体のところで、今学校の現場では確かに少人数学級は効果を上げている場合もある、しかし、その大もとであるクラス編制も減らしていかなければ、特に低学年のように学校生活にいきなり入ってきたけれども、子どもたち自身がいわば生活習慣その他でかつての時代と全く違う。その親の世代さえ子育ての経験を見たこともやったこともない、先生方が大変苦労する。実は私のかみさんも今一年生を担任しているんですけれども、いや全く大変ですよ。そういう現場に近い自治体ほど考えざるを得ないところに来ていると思うんですね。それで私は、今のところ東京都の考え方は、クラス編制はいじらないよと、それから、要望があっても公平性を重視するんだよというお話ですが、それでは、東京都内でいきなり三十人全部一律といかないにしても、こういう方法はできるんじゃないかということを、区市町村任せでそれぞれ出てくるのを一々だめだだめだという前に、東京都自身がいろんな方法を調査研究してみるということぐらいはできるんじゃないですか。それもやらないとなると、何もしないということになるんですが、いかがでしょう。
○神山学務部長 集団活動の中で社会性を養う教育効果を考えれば、ある程度の集団の規模が必要であると考えておりますし、また、学級編制基準を引き下げれば著しく小規模な学級ができてしまい、児童生徒間の関係など好ましくない状況も生まれるおそれがございます。したがいまして、学級編制基準につきましては、四十人を維持していくという考え方を持ちまして、その他学習集団の機能あるいは学年の状況等々に応じましていろいろな少人数の教育のための支援を図っていく、そういう考え方でございます。
○曽根委員 残念ながらなかなか--これから実際に動きが出てきたときに、結局は東京都が慌てて何らかの対応を迫られるということになるのかなといわざるを得ません。しかし、遠からず必ず都内の六十二の自治体のいずれかでそういう話が出てくることは、私間違いない時代の趨勢だと思うんです。学習集団だけいじればそれで事足りる。じゃクラスの集団としての問題は何もないのかと、そんなことあり得ませんよ。それは教科によって少ない方がいい、いや一定の人数がいた方がいいということはありますよ。しかし、クラスの集団の問題が何もないということは絶対あり得ない。その点は強く申し上げておきたい。
さてそれで、次のテーマに行きますが、実は第三回定例会で私ども養護学校の教室不足を初めとする施設の大変おくれた状況について質問しまして、これは知事に対してぜひ実情を知ってほしいと、知事もいずれ見に行きたいという話がありました。石原さんにしては珍しくこの問題について積極的な答えがあったので、ぜひ一日も早く教育庁の方からも実現するように働きかけていただきたいんですが、もう少し立ち入って、それぞれの養護学校ごとに起きている問題について、きょうはちょっと質問させていただきます。時間の範囲で許す限り、ちょっと絞り込まざるを得ませんが、ぜひお答えいただきたい。
一つは、知的養護の学校の中で、これは大変今生徒さんの数がふえていて、障害の軽い子どもさんについては普通の学校に入れるならば入ってもらいたいとか、普通の学校に併設の心障学級に入ってもらうとかいろいろやっていて、養護学校に入る知的障害の子どもさんは昔から比べて重度の方が非常にふえているというふうにお聞きして、行ってみると確かにそういう状況でした。しかも、かなり定数オーバーといいますか、かつての定数からいうと相当多く学校に入っている。施設は古い、私は清瀬養護に伺ったんですが、ほとんどの教室で一つの教室を一クラスで使えないわけですよ。教室の真ん中にカーテンをつるすようになっていて、そこで二つに仕切って、細長い教室を二つにしてそれぞれ一クラスというふうに使っていました。それから、特別教室も、あそこは小中高とありますので、本来であればそれぞれ小学校の音楽室、中学校の音楽室、高等部の音楽室とあるんです。それが一個しかないんですよ、全校で一個。それも狭い音楽室です。特別教室が普通教室に転用されているわけです。
実際のところ教育庁としては、この清瀬養護についてお聞きしたいんですが、教室不足が幾つ現状であるというふうに認識されているんでしょうか。
○松田施設部長 清瀬養護学校の教室の使用状況でございますが、保有教室は三十四教室でございまして、必要教室は三十六教室でございますので、二教室不足している状況でございます。
○曽根委員 私、実態と教育庁でつかんでいる数とがこれほどかけ離れている学校はそう多くないだろうと思いますよ。なぜこういうことになっているんだろうと思っていろいろ調べてみて、まだいまだに厳密にはわかり切らないところもあるんですが、一つの要因は、特別教室を普通教室にした場合、それは不足でないというふうになっていることだと思うんです。しかし考えてみれば、養護学校だってもともとつくるときには音楽室や調理室や木工や金工の、知的養護の場合は卒業後の就職ということもありますから、そういう作業の部屋とかもあるわけですよ。各学校ごとにあるというのが本来の姿で、そういうふうに設計してつくっているわけです。それを転用しているわけですから特別教室は明らかに足りないんです。しかし、教室不足の中に恐らくそれが入っていないと思うんです。教育庁は少なくとも、特別教室が三個あるはずのものが一個しかないとか、音楽室が、まあ音楽室がないということはないでしょうけれども、視聴覚室がなくなっちゃっているとか、そういう不足についてはカウントする必要があると思うんですが、いかがでしょうか。
○松田施設部長 養護学校では、個別の学校について見ますと、児童生徒の障害の重度重複化や入学者の増減によりまして、年度間で教室の必要数に変動があり、従来から特別教室などを普通教室に一時的に転用し柔軟に対応してきているところでございます。なお、増改築の検討に当たりましては、普通教室の不足や特別教室の状況などについても考慮しているところでございます。
○曽根委員 ふだんの年次の把握をするときには、特別教室が足りなくてもそれはカウントされない。それはいろんな養護学校において障害の程度によってもやり方が違うから、一時的転用は目をつぶっているんだと、でも改修があればそれは配慮しますよと。そうすると、大規模改修まで待たなければならないとか改築まで待たなければならないということになる。しかしこれは、私は実態に即して考えてもらいたい。例えば清瀬養護では、校長先生がぜひ議会でいってくれというので私も紹介しますが、今、金工室や木工室を普通教室に転用しています、校舎の中で。それを作業棟として、裏の空き地がまだ敷地が広くあいているのでそこに木工室、金工室をつくってくれれば、木工室、金工室が一個ずつ特別教室として校舎にあるんだけれども、それを外につくればもとの校舎の部屋が本当の意味で普通教室にはっきり中も変えて直すことができる、それで教室の不足をかなり補うことができる、特別教室はちょっと広めですから、そういう要望がありました。
お金も大体このぐらいだということもいっていましたよ。これぐらいのことはそれほど大きな予算ではないし、各学校いろいろあると思いますが、それぞれの学校について、どうしてもここだけはというものについてはぜひ、改修待ち、改築待ちではなく、実現させていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○松田施設部長 校舎の増改築につきましては、清瀬養護学校も含めまして各学校について施設調査を行い、さらに、児童生徒数の動向、増改築スペースの有無など、各学校の実情を総合的に判断して計画的に進めているところでございます。
○曽根委員 そっけない答弁なんで、一言だけいわせてくださいよ。年次ごとに教室の不足数が二だっていうことになれば、それは増設の必要性は二つ足りないだけだということになると思うんですよ、書類上も。実態を反映しない限りは、いやここは本当に足りなくて大変だということにはならないわけで、そういう意味では、一時的転用といいましたけれども、特別教室はもう今の先生が、この部屋は何教室だったのかわからないぐらい昔から転用されちゃっている。もう元音楽教室であったのか何室であったのか札もついていないし、わからない、十年前ぐらいからいる先生でさえよく覚えていないというぐらい転用が固定化されちゃっている。ですから教室不足はそんなにないというふうに扱われている。これじゃ、本当に緊急的に増改築が必要だという必要性も局の方では把握し切れない、庁の方では把握し切れないとなるんで、これだけは申し上げておきたいと思うんです。
それで私もう一つ、肢体不自由校で光明養護学校にも行ったんですが、これは教育庁の方から職員の方がわざわざ来てくださったんですけれども、ここはまた別の意味で深刻だなと思いました。一見すると非常に古いつくりですけれども静かですよね、肢体不自由は子どもさんたちが余り動き回りませんから。しかし、一人一人の子どもさんがほとんど寝たきりの状態に近い、車いすというよりはベッドに車がついたような形で移動していますからスペースをとる、教室も少し狭いような感じがしましたけれども、一つの教室に子どもさんがひしめいているという感じです。
特に私、先生方からもお話があったし、私もそう思ったんですが、一つの教室から子どもさんが一日じゅう出ないということが多いみたいですね。そうすると、そこで授業はもちろん受けますが、トイレもその教室の中で、おしめの交換をやる、食事も同じ場所でやっている、授業と排せつと食事が同じ教室の中で毎日毎日行われている。特別教室も普通教室にほとんど転用しちゃっているので、音楽の時間だからあっちの部屋に行くということもなかなかできないので、一週間で自分のところの担任の教室からほかの教室に動くのが数回しかないと。子どもにとって、確かに非常に体力も落ち、能力も限られているけれども、外に出してあげたりいろんな形で移動して環境を変えるということは大事だと思うんですが、それがやられていない。これは人間として、教育の場であり、人間が生活する場としてもゆゆしき問題だなと、どこをどうすればすぐ直るというものじゃないと思いますよ、学校全体がひしめいているんですから。しかし放置できないだろうと思う。何とかしなければならないというふうに思うんですが、その現状認識についてお聞きしたいと思います。
○松田施設部長 先生が一番問題にされているところは、教室の中で食事や勉強とあわせて排せつも行われている場合があるということだと思いますが、排せつの場所につきましては、個々の障害の状態が極めて多様でありますことから、学校からの要望も聞きつつ、児童生徒の実態に配慮したスペースの確保について工夫してまいりたいと思っております。
なお、今後、改築や大規模改修をするに当たりましては、平成十年度に策定されました盲・聾・養護学校施設整備基準によりまして、小学部低学年及び重度重複学級については各教室に隣接してトイレを設置することとしております。
○曽根委員 なかなかトイレの問題というのは、子どもたちにとって生活のスタイルが一つのことをするのにすごく時間がかかりますから、授業と同じぐらい食事そしてトイレに時間をかけているし、それは非常に大切な生活行為、訓練であるというふうに位置づけられると思うんです。そういう点で、そのトイレの場が、なかなか遠いトイレまで移動できない、授業が中断されてしまう、それを避けるために今の施設基準、東京都の施設基準はなかなかすぐれていると思うんですが、教室と教室の間にスペースをとってあって、そこにトイレがある、各教室の間に入っている、これはなかなかすぐれた設計だなと思います。新しい学校は確かにそれは実現されていました。清瀬もたしかそうなっていました。光明は戦前からのずうっと歴史のある学校ですが、逆にいうと設備が非常におくれているということで、それが可能になる方法をぜひ学校の校長先生を初め教職員の方々と相談して、それにかわる方法を考えていただきたい。
それから、給食を配膳する厨房が余りにも狭くて消防署の方からも注意をされているほどひどいらしいですが、それから、トイレの場所が悪くて保健所からも注意されているということで、これは直ちに改善が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
○松田施設部長 光明養護学校からは十四年度に向けました改修要望として、厨房の床の改修について聞いているところでございます。施設設備の改修につきましては、光明養護学校も含めまして各学校について施設調査を行い、児童生徒の安全の確保、保健衛生や建物管理の観点から緊急性を配慮しつつ改修を進めているところでございます。
○曽根委員 施設改修についてはぜひ、これは全体の予算がかなり厳しいことは重々承知の上ですが、教育施設全体の予算の配分もぜひ検討をしていただきながら--この間養護学校の施設改修費が全体としては非常に落ち込みが激しいと思うんですよ。ひところの半分以下になっていると思うんですね。これはもとに戻すということによって随分改善が進むと思うんです。そのことを強く要望しておきます。
同時に、光明養護の場合、この施設の不足に輪をかけて先生の不足があるというふうにお聞きしました。それで、それはなぜそういうことが起きるかというと、クラス編制の基準が、単一の障害、肢体不自由だけの場合の子どもさんと重複障害、つまり知的障害も肢体不自由もあわせ持っている子どもさんの場合ではクラス編制基準が違う、これは国の基準です。重複障害であるということはだれの目にも明らかでありながら、実際にはそういうクラス編制になっていない子どもがいるという現場の声がありました。それでその数はどうなっているんですかというふうに聞いたら、光明養護は今五十三学級ですか、それが実際は六十学級以上必要なはずだと、そうすると十学級ぐらい足りない。それは要するに、重複障害の子どもさんをそういうふうにちゃんとカウントしていないからなんじゃないかというふうなお話なんですよ。これはなかなか難しい問題で、どこで詰まっているのかというのは私もよくわかりません。しかし、どこかで詰まっているから実際は六十学級以上必要なのに五十学級しかおらず、先生の数はそれに合わせて配当されますから足りないという現象が起きているんだと思うんです。この実態の問題について教育庁としてはどういうふうに認識をされているんですか。
○中村人事部長 養護学校の教員の定数でございますけれども、小中学部は六人それから高等部は八人で一学級、重度重複児の場合は三人で一学級を編制しております。学部ごと、学級の数に応じまして国の基準に準じて配当を行っているところでございます。今後、都教育委員会では児童生徒の障害の重度化、重複化、多様化に対応するため、国の改善計画を踏まえまして養護学校の教職員定数の改善に努めてまいります。
○曽根委員 国の基準そのものもできれば改善してくれれば、三人で一クラスというのをもっと減らすかどうかはわかりませんが、六人、八人でクラスを改善するとかいろいろ方法があると思います。ただ現在の基準さえ守られていないとすれば、これは直ちに改善が必要だと思う。それで私、どうしてそういうのが起きるのかなというときに、例えばクラス編制を今より十ふやさなければならないというふうになったとした場合、クラスは、教室はどこにつくるのか、施設をふやさなければならないという問題に直面すると思うんです。その展望がないのにクラスだけふやしてどうなるのか、廊下で授業をやるわけにいきませんから。そうすると、この場合、クラス編制をふやさなければならない実態が重度化、重複化によって生まれたときに、それは施設を拡充するとか教室をふやすとかいうことの展望とあわせてやらないとできないと思うんですよ。それがなかなか実際には難しいんじゃないかなと。学校の敷地はもうほとんど、光明養護は世田谷のいいところですから目いっぱい使っています。その点でだれかが板挟みになっているか、現場で把握している重複障害児の数が教育庁まで届いていないか、届いているんだけれどもそこでとまっているのか、私はこれはだれの責任というふうにするのは非常に弊害が大きいのであえていいません。
しかし、教育庁がこの間、クラス編制をどんどん今ふやさなければならない、重度化が進んでいるわけですから、それがたしか九九年度の予算までは四十学級ぐらいふやすということで出されているんですよね、知事側に、学級編制をふやしたいということで。それが査定で切られてしまっている、認められたのはたしか十学級ぐらいだと思う。翌年から、二〇〇〇年度の昨年度、今年度と学級編制をふやすという要望を知事に出していないんですよね。ですから、教育庁さんの志の問題というのはあると思うんです。
ここで私ぜひお願いしておきたい、お答えいただきたいのは、学校長が、クラス編制が必要だからこれだけクラス編制を認めてほしい、その分先生を配当してほしいという要望を出した場合は尊重してもらいたい、それに伴ってどうしてもクラスをふやさなければならない場合には、最優先でクラスの施設をつくるために手を打ってもらいたい、これを要望したいんですが、いかがでしょう。
○神山学務部長 重度重複学級のあり方についてのことでございますけれども、児童生徒の推移あるいは児童生徒の状況等を十分把握して対応して考えていきたいと思います。
○曽根委員 私もうちょっと具体的にお聞きしたので、これは学校ではどの子が重複障害か全部調査書類が来ますからはっきりしているわけですよ。それがきちんと把握されていて、それに基づいてクラス編制が来年度はこれだけ必要だ、教室も足りない場合には足りないということで、ぜひということで要望が校長さんから出れば、これは受けとめてもらいたいんですが、これは教育長にぜひ伺いたい。
○横山教育長 教育条件の整備というのは私ども親身になって考えておりまして、別に養護学校に限らず、高等学校につきましても、都立の学校につきまして、ご案内のとおりの非常に厳しい財源の中ではございますが、そういう中で精いっぱい努力をしているということでございます。
○曽根委員 高校も小学校、中学校もこういう事態は余り私は起こっていないと思うんですが、養護学校に限って今子どもたちの数がふえているわけであります。矛盾の大半が養護学校の児童の、子どもたちの数の増加にある、ですから、精いっぱい頑張っているということなので、今後この点、この分野については特に注目して取り組んでいただきたい、要望しておきます。
養護学校の問題の最後に、かねてから要望が強く出されております病弱養護の問題について、特に高等部設置の要望について、これはたしかことしの春にも私どもの会派の議員が取り上げたと思いますが、私からも一言質問をさせていただきたいと思います。
前々からの運動でありまして、きちんとした学校における高等教育が病弱養護で行われていないのは数県と限られております。東京や大阪の場合は全国の病弱養護の中で寄宿舎をつけた養護学校を持っているという点では特殊な存在だということはよくわかっていますが、しかし、現に小中学校に子どもたちが通っており、高校進学に当たって寄宿舎がついているからこそ通える子どもたちが、その高等部に進学したいという願いは余りにも当然な願いであって、これにこたえるのが教育行政の基本中の基本だろうというふうに思います。その点で、東京都も取り組み、検討を行っていると思いますが、現状はどうなっているかをお聞きします。
○神山学務部長 病弱養護学校の高等部の設置につきましては、病弱養護学校中等部、中学部卒業生の進路状況の把握などを行い、その検討をしてきましたけれども、現状では卒業生の大部分が高校への進学をしている状況があること、病弱養護学校中学部を卒業後も引き続き六カ月以上の医療または生活規制を必要とする生徒は多く見込まれていないこと等のため、現在のところ高等部の設置は予定しておりません。今後とも国の特殊教育の動向を踏まえ、生徒の進路状況等を十分調査しながら研究してまいりたいと考えております。
○曽根委員 この春までのお答えと同じなんですが、大部分の子どもたちが高校への進学をしている。ただここ二年ぐらいは高校進学は難しい子どもさんの卒業があって大部分は養護学校の高等部に行っていますよね。私その方々に直接お会いしたり、かねての卒業生、かつての卒業生にもお会いして、またお母さん方にもお会いして、いろんな方にもお話を聞きました。それで確かに高校に進学して、少し頑張って背伸びをして進学していくという子どもさんはいます。しかし、その後どうなっているかなんです。いろんな関係者の方が調べているわけです。追跡調査をしているんですが、ここ十年ぐらいの期間を調べてみると、養護学校の高等部に行った子どもさんはほとんどやめることはありませんが、普通の高校、一般の高校に行った子どもさんの半分ぐらいがやめているというデータが出ているそうなんです。この点については教育庁は把握していますか。
○神山学務部長 病弱養護学校中等部を卒業した生徒の追跡調査でございますけれども、学校からの情報によりますと、都立病弱養護学校を卒業した生徒で高等学校等へ進学した者のうち、約三割程度の者が転学、就職等、何らかの理由によって進路変更しているように伺っているところです。なお、詳細について十分に把握することはプライバシーの問題もあることから難しい状況でございます。
○曽根委員 数字は少し私の聞いたのと違いますが、これはプライバシーの問題はあるにしても、今高等部をつくる必要がないということの理由の一つに、ちゃんと高校に進学しているからということがありましたので、その後どうなっているかを、ちゃんと高校生として三年間もしくは四年間定時制などに通えているのかということを調べる責任は東京都にあると思います。正確につかんでいただきたい。もちろんプライバシーのことは考慮する必要はあります。同時に、どういう思いでやめる子はやめているのかということを、私はぜひ知ってもらいたいんですよ。
私が会った人は、もう二十ぐらいになっていましたね。腹膜透析という非常に腎臓の重い治療を受けていて、久留米養護に行かれていたんですが、寄宿舎にさえ住むことができない、つまり親が絶えずそばにいないと、腹膜透析の必要な手当てが緊急事態のときにできる技術が当時の学校にないということで、寄宿舎に入ることが前提でなければならなかった例外中の例外として自宅から通っていたんです。それくらい重い状態で、しかし、学校にはちゃんと通っている。その子は結局普通の高校には行けないということで肢体不自由の養護学校に行ったんです。友達もできて三年間すごくよかったとはいうものの、その子が参加できない授業というのは肢体不自由の養護学校ですからありますし、絶えず違和感を感じなければならなかった、それでも友達ができたのがすごく自分にとっては人生の経験になったと話していました。しかし、もっと同じ障害や同じ病気、つまり病弱の子どもたちが一緒に通う、もしくは寄宿舎生活を送る養護学校があれば、もっとその子どもさんの高校生活は充実したはずだと、勉学、生活ともに充実したはずだというふうに思います。
そのご家庭というのは、三重県から出てきているんですよ。当時、つまりもう二十年ぐらい前ですよね。当時は清瀬小児病院というその病院しかその子の手術ができる場所が事実上なかった。したがって家族そろって三重から東京に出てきて、その子の命を助けるために腎臓移植手術をやったらしいんですが、そこまでして家族は支えてきた。その清瀬小児病院が今度統廃合で大問題になっているわけですが、それはともかくとして、久留米養護に入ってそして卒業する、しかしそこには高等部がないという、その子の成長を願う親としては痛切な思いだというんです。その一人一人の思いを受けとめる必要があるんじゃないかと思う。
本来なら高校生活をちゃんと通い続けたかった子どもさんが、東京都の把握でも三割ぐらいはやめているわけです。やめた後どうなったかというのは私いろいろ聞いていますが、結局いじめに遭ったり、病気で続かなくなったり、家庭に問題があったりいろいろなんですね。私はそういう点で寄宿舎つきの病弱養護学校は、かつては例えば小児結核それからぜんそくなどの転地療養的な、片浜のようにですね、意味合いがあったろうし、いわば長期療養という形での病気の子たちのためのものだったかもしれませんが、そういう病気は減って、今は心臓疾患や腎臓疾患もしくはさまざまな難病がふえてきている。赤ちゃんの十人に三人から四人がアレルギーを持っているという時代に、病弱養護の役割というのはますます重要だと思うんです。そういう点で私はぜひこの高等部設置を検討してもらいたい。
東京都は、人数的に必要な人数がごく限られているから、つくる規模に達しないというようなことも父母の方々に、保護者の方にいっているそうなんですが、久留米養護のように病弱養護出身じゃない子どもさんが高校へ通いながら、病気でやめたりいろいろな事情でやめている場合があると思うんです。そういう病弱養護の中等部卒業でない子どもたちがいろんな高校で苦労している、またはやめている、フリースクールに行ったりしている、そこもすくい取れば相当な数の子どもたちが高等部を必要としているんじゃないかと思うんですが、例えばそういう子どもたちがどういう状態に置かれていて、それに対して東京都はどういう教育を行っているのかをお聞きしたいんです。
○神山学務部長 養護学校中学部を卒業した生徒以外の、例えば委員のご指摘のフリースクールあるいはその他病弱な生徒の把握というのは私ども非常に困難な状況にございます。私ども病弱養護あるいは養護学校への入学に当たりましては、区市町村教育委員会あるいは私どもの就学相談室等々の相談に来る中で、それぞれの生徒児童の実態を把握して区市町村立の教室あるいは養護学校あるいは都立の養護学校に入学を措置する、そういうふうな形で現在進めているところでございます。高校進学後に病弱、病気等で進路変更が必要になった場合につきましては、とりあえずは高校を休学して病気療養に専念するということになろうかと思いますけれども、都立養護学校におきましては、養護学校の中に病院内教室あるいは病院への訪問あるいは自宅への訪問等に教員を派遣する、そういうふうな形でこれらの児童生徒に対応しているところでございます。
○曽根委員 いろんな方のお話を聞きますと、病弱養護学校に高等部をつくるというのは長年の願いで、いまだに実現しないものではありますが、病弱児教育を前進させるためのほんの入り口にすぎないということをだんだん私も学んできました。病弱児というのはいわば知的障害とか肢体不自由などに入らないさまざまな病気があります。それを全体をくくっていっているんであって、物すごく千差万別であり、病気の程度というものも普通の学校に何とか通える状態から病気入院が余儀なくされている状態の間のグレーゾーンというのは物すごくあるわけです。学校に行ける場合、通院しながらでも通える場合、寄宿舎が必要な場合、入院しながら学校に通う場合、それからたびたび通院はするけれども学校で普通に授業を受けられる場合など、さまざまな場合があって、それぞれに教育の場をどう保障するのかという課題の最初の入り口の第一歩が、高等部の教育をどんな状態の子どもにも保障するということだと思うんです。そういう点でこれからも折を見て私はこれを求めていきたいと思いますが、あるお母さんの話ですけれども、久留米養護学校はすごく立派になりました。すごくスペースもあるし立派なんですよ。それの建てかえが行われたときに、じゃ高等部ができるのかと思ったと、しかしできなかった。本当に一つの教室があれば、今一学年一学級二十人が定員ですから、その一つの教室があれば高等部ができる、施設的には十分にハードルが低い、私はそういう意味で教育長の決断を強く求めておきたいと思います。
さて最後に、もう大分時間もたちました。私の予定は一時間ぐらいというつもりでおりますので、あとそんなに時間はないんですけれども、八月七日に決定をされました都の教育委員会による教科書の採択の問題について質問をしたいと思います。
石原知事も賛同者になっております、新しい歴史教科書をつくる会の歴史、公民の教科書を採択させようというさまざまな動きがありまして、全国もそれから都内の区市町村も教育委員会ではこれは選ばれませんでした。県段階でも東京都と愛媛県だけであります。しかし私が重大だと思うのは、この間教科書の採択のやり方自体が大きくゆがめられてしまったのではないかということ、そして、都の教育委員会がわざわざ都立の養護学校に、このつくる会の教科書を選んだことであります。知事や教育長はこの間繰り返し、教科書は専ら教育委員会の権限と責任において選ぶように殊さら強調してきたと思うんです。それで四月と五月に都内の校長先生や教育委員を集めた会議がありましたが、その中で石原知事は、とにかく先生が選ぶんじゃないんだ、教育委員会が選ぶんだというようなことまでいっております。非常に乱暴な発言だと思います。教育委員会が権限と責任を自覚して教科書を選ぶのは当然で、事務を担っているという法律の根拠もあります。しかしこの間少なくとも、戦後ごく最近までは一貫して政府のさまざまな教育上の方針、私たちが反対している臨調だとか中教審だとか、それから橋本内閣の行革推進だとか規制緩和だとか地方分権とか、いろんな会議の場で教科書問題については、ほとんどすべての文書の中に、学校や先生や父母の意見を反映させるべきだと、橋本内閣のときには将来は学校ごとに教科書を選ぶことを目指すべきだとまでちゃんと書いてある、ところが、にわかに最近になって閣議決定などで教育委員会の権限と責任だということが強調されている、それに乗って知事や教育長が盛んにそういうことを繰り返しいう、で、先ほどのような発言までいう。しかし、じゃ学校や先生の意見を聞くなとか、聞かなくていいとかいうことは一言も政府も閣議でもいっていないし、本来そんなことは、教科書の選択にとって先生の意見を聞かなくていい、学校の現場の声を聞く必要はないということはあり得ないと思うんですが、いかがでしょうか。
○斎藤指導部長 教科書採択に当たって、採択権者である教育委員会が各学校の意向を聞いておりましたけれども、学校の意向を聞くことについての法令上の規定はございません。特別区立の小中学校におきましては、昨年四月に廃止されました地方教育行政の組織及び運営に関する法律第五十九条により、平成十一年度までは都教育委員会が採択事務を行っていたところでございまして、特別区立学校の教科書採択を行うに当たりましては、短期間に採択地区ごとに教科種目別教科書を採択する必要がございましたから、各学校から意向を聴取し、都教育委員会の都教科用図書選定審議会の答申を踏まえて採択していたという経緯がございます。
○曽根委員 去年までは都教育委員会が最終的な責任で各区の教科書も選び、決めていた、だから技術的に大変だからそうなって学校の意見を聞いていたんだというようなお話ですけれども、じゃ橋本内閣に至る戦後ずうっと文部省が出してきた、また政府が出してきた学校の意見を聞きなさいよというような通達なり指示なりの意味がなかったということですかね。そういうものが出ていたことはご存じでしょう。法的な根拠ではないけれども政府の方針として出ていた。それを受けとめてやっていたという面は全くないわけですか。
○斎藤指導部長 教科書採択に当たりまして、その事前の研究資料を作成する場合に、専門家である関係者あるいは学校関係者、教員等の方に委員を委嘱しまして、その中でその専門的な事項について調査研究をお願いし、結果として意向を聞くと、そういうことはございます。
○曽根委員 どんな形にせよ学校の意見を聞き、それを反映させる努力をするということはきちんと行われなければならないというふうに私は思います。今当然、教科書採択のやり方、さらには文部省の検定制度そのものについても見直すべきだという声が各方面から出ているのはご存じのとおりです。最近朝日新聞などにも、佐藤学氏を初めとして教科書検定制度は時代が古いと、余りにも問題が多い、マル適マークじゃないけれども、そういった緩やかな基準に直していくべきだと、何よりも教科書は一番生徒たちのことを、子どもたちのことを知っている学校の現場の教職員の方々がよく吟味していくべきなんだという意見、これは極めて常識的な意見として出ていると思う。私もその方向に進むべきだと思う。
それで、都の教育委員会が、こういった知事や教育長の発言だけではなくて--私ちょっと問題だなと思って資料をお願いしたんですが、学校に意見照会をする文書が毎年出されていたと思うんですが、きょうの資料にもありますけれども、ことしも出てはいるんですけれども、去年までの、新しい教科書にどういう教科書を推薦するかという照会文書ではなくて、ことしからは、今使っている教科書の問題点を書きなさいという文書に内容がすりかわっている。ですから、新しくどういう教科書を選ぶべきかという趣旨の文書じゃなくなっているわけです。それは全く意味が違ったものになります。例えば、はっきりいいまして、新しく参入した教科書会社である扶桑社の教科書については、意見はいう場ではないわけです、今使っていないわけですから。そういうような意味合いの文書が出されている。しかも、発行してから一週間で回答せよという期限が書いてありますけれども、非常に非常識な文書だと思う。これ、資料作成に当たって私前回のものを比較のためにお願いして、四年前のものはないけれども去年のがあったのでつけてもらうようになっていると思ったんですが、きょうのやつを見ますと、資料にことしのしかないんですよね。私はこれは委員会資料から落としていいというふうに教育庁さんとの調整でいった覚えないんで、今後はこういうことがないようにしてもらいたいんですけれども、去年までの文書では間違いなく新しい教科書にどういうものを選ぶべきかという問い合わせがある、ことしは今使っている教科書の問題点だけいえとなっている、これは明らかに現場の声を聞く一つのルートを遮断しているということになりませんか。
○斎藤指導部長 都教育委員会といたしまして現場の声を聞くということを拒否したということではございませんで、今年度新たに都立盲・聾・養護学校小中学部用教科書調査研究資料を作成しまして、そこに調査委員として、先ほどちょっと申し上げました盲・聾・養護学校関係の教員の方をそこに委員として委嘱して研究していただいたということでございますので、学校の意向を全く無視するとかということではなくて、方法を今回は新たな方法というか、新たな資料を作成して対応してきたということでございます。
○曽根委員 そうすると、この照会文書というのは何なんですか。
○斎藤指導部長 お尋ねの照会文書は学校の意見を聞くという文書でございます。
○曽根委員 私、残り時間が余りなくならないようにしたいと思っているので、何度も聞かせないでほしいんですけれども、何の意見を聞くんですか。
○斎藤指導部長 各学校で使っております教科書の現状について調査しまして、教科書に関する基礎資料とすることを目的としております。
○曽根委員 現状調査にすぎないわけですよね。去年までやっていた新しく採択すべき教科書を推薦させるというのと全く意味合いが違う文書になっているわけです。似て非なるものというのはこういうものなんです。
それともう一つは、今新たに都立盲・聾・養護学校の教科書調査研究資料及び採択資料を選定審議会につくってもらった、それを参考にしたというふうにおっしゃいましたけれども、確かにそういう分厚い資料を私たちも見させてもらいました。この採択資料の中には各社の教科書について比較をするために、イデオロギー的なことを排除して全く客観的な物差しで選ぶといういろんな努力はやってます、それ自体がいいかどうかはともかくとして、図表を多く使っているかどうかとかね。それなりの参考にはなるかもしれませんが、星印をつけてどれがすぐれているかというランクをつけているわけです。総合ランクで確かに中学部の社会科、歴史、公民以外はその評価ランクで一位もしくは二位がほとんど選ばれています。小学部、中学部、ほかの科目、学科はね。ところが中学の歴史、公民だけが、歴史は第六位の扶桑社のつくる会の教科書、公民では第五位の下位の方に評価されている教科書をわざわざそこだけ選ばれている。盲・聾・養護学校の先生を入れたり、いろいろ現場の専門家を入れたというのは事実でしょうけれども、その人たちが評価をした、中身についてのイデオロギー的な評価は避けても、なおかつ、つくる会の教科書は評価が低かった。にもかかわらず、ほかの教科や学年については高い方から選ばれているけれども、一位か二位を大体選んでいるんですが、五位と六位の扶桑社をわざわざそこだけは選んだ。現場の声を聞いたことになるんですか。
○斎藤指導部長 まず、今の順序の問題でございますけれども、順序は付しておりません。特徴は付しておりますけれども、順序立てたということではございません。それから学校の意向を聞かないでと、最終的に教育委員会が教科書の内容とそれから障害の特性に応じて総合的に判断されるものでございますので、それぞれの調査委員の段階ではその特徴を障害者の特性に合わせながら、その特徴を付したというところでございます。
○曽根委員 評価のランクつけていないといいますけれども、そんなことありませんよ。私、教育委員会の議事録全部読みましたけれども、やっぱり、はっきり議事録残っているからいいますけれども、教育委員長は選定審議会の評価で高い方を選ばしてもらいましたというふうにおっしゃっているわけですよ。それに対して、横山教育長も教育委員の一人ですが、いや、これは内容的に扶桑社のつくる会の教科書が適切なんだと主張されている。明らかにそのランク、選定審議会の出したランクというものがあって、それは相手が障害児なんですから、その現場にいる先生たちですから、その障害の程度やさまざまな現場の実態に応じてこれが必要だという角度で出してきている、そのことを教育委員長はある程度配慮している、こういうことが記録としてはっきり残っているんです。
私は、教科書採択の手続が東京都においていかに大きくゆがめられたのかというふうに思うんです。まず一つは、政府さえ一貫して学校教員、保護者の意見の反映を是としてきたものを、いきなり教育委員の権限と責任のみ強調する方向に切りかえた。それから次に、学校への問い合わせは、今の教科書への意見しか聞かず、扶桑社には批判が出てこない仕組みに変えてしまった。三つ目に、専門家や教員が参加した選定審議会がいわば客観的な基準で評価順位を示せば、他の学年や教科はこの評価基準の上位を選ぶが、中学校の歴史と公民だけあえて低い順位の扶桑社を選んだ。つまり中学校の歴史と公民だけは何があっても教育委員の判断で扶桑社のものが選ばれるように、それ以外の意見はすべて排除されるような仕組みができている。
しかも、この教科書を選んだ病弱養護学校、結果として選ばれた病弱養護学校がどういう実態なのか、先ほど紹介をしましたけれども、はっきりいいまして、障害児とは違うとはいうものの、長い闘病生活のために、または学校の長期欠席のために、学校でいじめに遭ったり、実際には勉学が非常におくれている場合が多いわけです。しかも、病気の種類や程度、家庭環境などで子どもたちの学力は千差万別です。ですから、現場に行って先生たちの使っている教材を見ますと、教科書だけじゃ到底済まないんで、さまざまなプリントを使ったり教材を工夫しています。これはもちろんほかの障害児の学校でも同じです。だからこそ養護学校というのは学校ごとに三種類の教科書を選ぶ道があるわけですね、きょう資料出ていますけれども、文部省本、この検定本、それからそのほかの教材も選べるようになっている、いろんな道がきめ細かく選べる、教科書一つ選ぶにしてもきめ細かい対応がやれるようになっているんです、養護学校というのは。それを無理やりそこに押し込んでいくということは、いかにひどいことかと思うんです。養護学校の教科書こそ現場の先生方の声を無視しては選択はあり得ないんじゃないですか。
○横山教育長 先ほど来、今回の教科書採択に当たりまして、るるご議論がございましたけれども、私は、従来の方針を変えたと盛んに強調されておりますが、今回の採択に当たりましては教科書採択の本来のあるべき姿に戻して公正かつ適切に、まさに採択権者でございます区市町村教育委員会が採択すべきだという指導をしてまいりましたし、東京都教育委員会の権限に属することにつきましては、そういう姿勢で適正かつ公正に行ったつもりでございます。
○曽根委員 教育長の今の答弁についての私なりの意見は後でいわせてもらうとしても、私たち日本共産党は今度のつくる会の教科書については検定そのものが誤りだということははっきり申し上げているわけです。明らかに今までの教科書と歴史觀も戦争観も違う、はっきりいいまして、戦後の憲法や教育基本法という教育分野に携わるものが皆心して守らなければならない法律の考え方とも矛盾している。何しろ戦争の呼び方、名前の呼び方そのものが違うわけですから、大東亜戦争という今では世界的に通用しない言葉でわざわざ、太平洋戦争と呼ばないで通しているという考え方、大東亜共栄圈というのだってもう今じゃ、大東亜共栄圈そのものがプロパガンダだということが歴史上確定しているわけですからね。その名前を付して戦争をいわば当時の軍部と同じ呼び方で賛美しているというような教科書を、これだけいともやすやすと反対意見を封じ込めて選べるように仕組みをつくったということが、どうして公正であり得ようかというふうに思います。
教育長は、お答えの中でいってもらいたいんですけれども、教育委員の一人であり病弱養護にこの教科書を選ばれる上で大きな役割を果たしています。確かに教育長は肢体不自由や知的障害の子どもたちの学校にはさすがにこれは障害の程度やなんかを考えて、つくる会は無理だろう、扶桑社版は無理だろうと、しかし病弱養護は普通の学校と学力的には大差ないんだから、つくる会で大丈夫なんだということもいっています。これは現状認識の全く誤りだと思うんですよ。同時に、石原知事とともに明らかに戦争観、歴史観で政府の見解とも異なる教科書を教育委員の一人としてこれを推薦したという発言は、私は許しがたいと思いますが、いかがですか。
○横山教育長 実は大変な誤解があるようでございますが、私どもは教育委員会として教科書採択の議論をする前に二つの前提がございます。私どもは国の検定を経た教科書以外の教科書を選んだわけではございません。あくまでも検定を経た教科書の中で、かといってそういう中でも学習指導要領をどう踏まえているか、ただ判断する要素がございますので、その中からまず選ぶ、したがって、検定を経たといいますのは、まず第一に内容についての正誤、ただいまいろいろご議論ございましたけれども、内容についての正誤について教育委員会が個々に判断するのはやめる。もう一点は、検定を経ている教科書である以上、その発達段階に応じた難易度、難しいかどうかでいろんな議論がこの協議会でございましたけれども、発達段階に応じた難易度についての検定の中身である、この二点を前提に私どもは採択の協議を行ったところでございます。
○曽根委員 しかし、教育長はこうもおっしゃっているんですよね。扶桑社の教科書は新学習指導要領の中にある、我が国の歴史に対する愛情を深め国民としての自覚を育てるという新しい目標に非常に沿っている、その点で適切なんだというふうにおっしゃっているんですね。これは単にこの教科書が難易度やそれから検定を通ったというだけではなくて、いわば最大の問題点として指摘されている戦争に対する見方について、じゃ、あの戦争を賛美することが我が国の歴史を愛するという心を育てるのかというふうに受けとられても仕方がないいい方だと思うんですが、いかがですか。
○横山教育長 どうもそういう見方をされるのは私自身は非常に不本意なんですが、今委員がおっしゃった目標というのは、今回の新しい学習指導要領であえて歴史教科書に追加をされた目標ですね。先ほど申し上げましたが、国家検定、国の検討を経た教科書の中でも、それぞれの記述によって学習指導要領がどう踏まえられているのか、それは非常に幅がございます。その幅の中で採択する場合に、私としては新たに加わった学習指導要領の目標、それを重視したと、そういうことでございます。
○曽根委員 教育長が重視したという我が国の歴史に対する愛情を深めるという新しい目標、これが掲げられていると同時に、新しい学習指導要領の中には他民族の文化、生活などにも関心を持たせ、国際協調の精神を養うとか、歴史的事象を多面的、多角的に考察し公正に判断するとともに、適切に表現する能力や態度を育てるとか、単に我が国の歴史を愛するというだけではなくて国際社会の中で生きていく日本人として、また社会の構成というものをきちんと見きわめるべき社会人に育てていかなければならないという教育基本法の立場を踏まえて書かれているわけです。
私もこの新しい文言についての解釈は云々としても、それでどうしてこのつくる会の教科書が選ばれなければならないのか、この点については今はっきりした基準、教育長なりの価値判断の基準というのは余り話がなかったと思うんですが、私は少なくとも教育基本法を全文読む限りは、不当な支配に屈することなく--これは憲法に基づいて戦争の惨禍からの反省のもとに教育は成り立っているんだという、戦後教育の最大の原点に全く相反する教科書であるというふうにいわざるを得ないんです。教育長は、教育基本法を守らなければならない教育委員の中でも、公務員ですよね。ですから私は、そういう意味では逸脱があるというふうに思うんですが、教育長は教育基本法の立場を踏まえて教育委員としてのこの発言や教科書に対する評価を行ったんですか。
○横山教育長 今のお話を聞いておりますと、最初に扶桑社の教科書ありきというようなご議論ですが、そんなことは絶対ございません。私どもはすべての教科書を各委員が相当精査した上で、相互比較した上で検定を経た中の一冊である結果的に扶桑社の教科書が採択をされたと、こういうことでございます。
○曽根委員 最後に意見にしますけれども、今の教育長の答弁ちょっと残念だったんですが、扶桑社の教科書が検定に合格したかどうかというのは、私どもは合格そのものが誤りだというふうに思っていますが、それにしてもこの内容の特徴で、どこが子どもたちに、日本の歴史を愛する心を育てる部分なのか、そういうものに即しているのかというお話、教育長なりの価値基準というのがあると思うんですが、そこは聞けなかったのは残念です。また機会を見つけて議論したいんですが、結果として東京と愛媛で障害児、病弱児にこれが選ばれているんですが、私たちは、障害者、養護学校に通っている子どもたちやその親の方々が一番、かつての戦争の時代には苦労した障害者の方々であり、また養護学校の教育の現実から見てこんな教科書を押しつけられる場所じゃないということを、皆さんは心の底から叫んでいると思います。それから、全国のすべての区市町村、ほとんどの県の教育委員会が扶桑社の教科書の採択を拒否している、この重い事実こそ受けとめるべきだということを申し上げておきたいと思います。
終わります。
○東委員長 この際、議事の都合により、おおむね五分程度休憩いたします。
午後三時三十四分休憩
午後三時四十四分開議
○東委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○執印委員 それでは大きく三点について質問させていただきますが、まず第一点目、教科書の採択について伺います。今ほかの委員さんからも質問がありましたので、私からは一点質問させていただきます。
東京都は今回初めて教科書研究資料を作成し、これをもとに教科書採択が行われております。また、石原都知事は本来首長は教育に介入してはならないはずなのに、各区市町村の教育長、教育委員さんの会合のごあいさつの中で、教育委員が責任を持って教科書採択に当たるようにという趣旨の発言をされたとも伺っております。さて、この教科書調査研究資料によりますと、今回東京都教育委員会が都立養護学校生徒用として採択された扶桑社の教科書は、教科書調査研究資料によれば、他民族の文化、生活などを取り上げている箇所数二十八、人権に関する課題を取り上げている箇所数十七と、それぞれに他の教科書に比べて低いことが一つの特徴ともいうべき教科書となっております。なぜこのような特徴を持つ教科書を採択されたのかをお伺いいたします。
○斎藤指導部長 都立学校で使用する教科書を決定することは東京都教育委員会の果たすべき責任のうちで最も大切なことの一つでございます。都立盲・聾・養護学校の中学部の教科書採択に当たっては、教科書及び東京都教科用図書選定審議会からの答申を受けた教科書調査研究資料並びに教科書採択資料等を踏まえ、障害のある児童生徒の実情を考慮し、教育委員会で慎重に検討協議を重ねそれぞれの教科書を採択したというものでございます。
○執印委員 先ほどのやりとりの中でもなかなか私自身も納得しかねるところがあるわけですが、基本方針の第一に、人権尊重の精神と社会貢献の精神の育成を掲げる都教育委員会が、神話を史実と同一に著述し、また歴史学者からも指摘されている十数カ所に及ぶ史実の誤りのある扶桑社の歴史教科書を選定されたという事実は、それこそ歴史に残るものとしていずれ時の教育委員会の責任が問われるだろうことを指摘してこの質問を終わり、次の質問に移ります。
次に、バリアフリーの関係で質問いたします。前回の文教委員会で都立高校のバリアフリーの改修後、福祉のまちづくり条例に関しての改修後、それがどのように活用されているかの調査をお願いいたしました。早速に調査をしていただいたと伺っておりますので、その結果についてまずお教えいただきたいと思います。
○斎藤指導部長 調査の結果でございますけれども、車いすを使用している生徒がいる高校は全日制二十二校、二十四人、定時制十校、十六人、通信制一校、二人でございます。その中でふだんはエレベーターに施錠している学校は全日制十三校、定時制八校でございます。かぎを該当生徒に渡している学校につきましては、全日制十二校、定時制三校でございます。エレベーターのかぎを自分で操作できない生徒につきましては、全日制で三人、定時制で四人該当しておりました。
○執印委員 今調査の結果をご報告いただいたわけですが、全日制、定時制それぞれにエレベーターに施錠していない学校というものもあるわけです。この施錠しているということについては学校なりの理由があるだろうというふうに伺っておりますけれども、しかし、高校によりましては、晴海ですとか蔵前ですとか、常にエレベーターを生徒が使用している学校もあるというふうにお聞きをいたしますと、非常にこういうやり方でいいのかなということを感じているということをお伝えしておきたいと思います。
それで、今お答えの中でエレベーターのかぎを自分で操作できない生徒は全日制三人、定時制四人ということでしたけれども、これは私が前回指摘をしましたように、指先がうまく使えないというようなことがあるのかと思いますが、こういった生徒さんに対しては学校としてはどのような対応をされているのでしょうか。
○斎藤指導部長 教職員や身近にいる友人がかぎを操作し、あるいは該当生徒が不自由なくエレベーターを使用できるような体制をとっております。該当生徒や保護者が気軽に相談できるような信頼関係を築くことが重要でございますので、今後とも各学校を指導してまいりたいと思います。
○執印委員 まず、今学校を指導していくというようなお話もありましたけれども、この調査を早急にしていただいたことについては大変感謝をしております。私自身もやっとこれで都立高校全体で障害があるといわれているお子さんの中の車いす使用生徒さんの全体像が把握できたというふうに思っております。最初この質問をしましたときには、生徒さんが車いすなのか、つえなのか、どういう状況なのか、そのことを調べること自体人権にかかわることなので調査をしておりませんというようなお話もございましたけれども、この間のやりとりの中で調査をしないことが学校の中で新たな人権問題を引き起こしているということを、お互いに感じられたのではないかなというふうに思っております。
さて、該当生徒が不自由なくエレベーターを使用できる体制をとっているということですけれども、この調査は学校に聞いた調査であって、生徒本人もしくは保護者に聞いた結果ではないというふうに思います。本来ですと、利用されている方、つまり生徒さん本人や保護者の方にも聞き取りをされるべきだと思いますが、学校に対してどのような指導をされたんでしょうか。また、こういった車いす使用については入学、卒業の関係で各年度ごとにその利用実態が変わるものと思います。また、同じ生徒さんであっても三年の間に状況が少しずつ変化するということもあるというふうに思います。今後継続的に調査をすること、しかも聞き取り調査だけではなくて現地に調査に行っていただいて、それを次の改修計画にきちんと生かすということ、それからご本人たちにもきちんと聞き取りをするということが必要かと思いますが、そのことに関してはいかがでしょうか。
○斎藤指導部長 車いすを使用している生徒が支障なく学校生活を送れるよう、かぎを自分で操作できない生徒がいる学校の校長に対しては改めて確認をしたところでございますが、今お話の、本人あるいは保護者と直接会ってということでございますが、従来、教育委員会は校長を通してそれぞれの子どもの掌握なり指導を行っているということがございますので、まず第一義的には、子どもあるいは保護者の方と校長あるいは教員との信頼関係が大前提としてなくては、本来的な正確な調査はできないものだろうと思っております。ですから、そこをまずきちんと信頼関係を保てるような、そういう状況をまずつくることが大前提であると私は受けとめております。その中で、どうしても本人に聞かないと、どうも校長の報告だけでは問題があるというふうに判断した場合には、ちゅうちょなく東京都教育委員会の指導主事なりが学校に入って、保護者なり子どもと直接会って事情を聴取するということもあり得るかもしれないと思います。このことについては、校長会が直近でございましたので、そこで指導の徹底は図っております。今後とも、どういう障害の状態の生徒がどの学校に入るかについては私ども追いかけていきまして、毎年状況は変わるわけでございますので、適宜調査を続けてまいりたいと思っております。
○横山教育長 お話の問題につきましては、先般の文教委員会において私の方から答弁いたしましたが、そのときに不適切な表現があったのではないかというご指摘も先日いただきました。私の真意は、車いすを使用している生徒とほかの生徒とのかかわりにおきましては、人間尊重の精神に基づく深い理解と共感が必要でございますし、生徒同士の助け合い、お互いが思いやりの心をはぐくむような教育が大切だと考えているということでございます。お話の点につきましては、今後とも、車いすを使用している生徒が支障なく学校生活を送れるように、生徒の状況を十分配慮し、必要に応じてエレベーターを使用できるよう学校長を指導してまいります。
○執印委員 教育長からも突然お答えをいただきまして、相当な覚悟でこのことに取り組んでいかれるという決意の表明だろうというふうには思いますが、印象として随分、お答えの仕方がですよ、仕事の進め方がじゃなくて、随分お答えの仕方が強引だなという感じがいたしました。それで私、横山教育長にぜひお尋ねしたいことがあるんですが、隠れたカリキュラムというものは一体どういうものを指すのか、ここでぜひ横山教育長のお答えをいただきたいと思います。
○横山教育長 実は隠れたカリキュラムといいますのは、広く一般に使われている用語では多分ないだろう、よく指導部の方々と話をするときに、カリキュラムについて、顕在的なカリキュラムの裏返しとして潜在的なカリキュラムという使い方をしますが、多分そういうことだろう、そういった使い方の用語だろうと思いますが、中身としましては、児童生徒が学校生活に適応する過程で無意識のうちに結果的に体得する知識や技能であるというふうに認識しております。
○執印委員 どうも教育委員会の答えというのは、人間に関することを話し合っているのにいつも大変そっけない感じというのが私自身もするわけですが、よくジェンダーの問題などで使われますね、例えばいろんな教科書にかいてある絵そのものが、男性が新聞を読んでいて女性が家事をしている、そのものがメッセージとしてこうあるべきだということを子どもに伝えてしまっているという、そういうような意味でよく使われるわけなんですけれども、もう少し教育長のお考えをお聞きしたいというふうに思います。
先ほど、こういうやり方を教育委員会はされるのかと思うようなご答弁の仕方があったわけですけれども、隠れたカリキュラムについて質問させていただきましたのは、現在の都立高校の障害があるといわれている生徒への対応が実は隠れたカリキュラム、隠されたメッセージとして、いわゆる健常者と呼ばれている生徒へ影響を与えるのではないかというふうに考えているからです。例えば、障害生徒を体育館から下の階へおぶって連れていくのを忘れて置き去りにしてしまう、人間ですからそういうことも起きるかもしれませんけれども、それからエレベーターにかぎがかかっていて車いすで自由に移動できないことが日常的に学校の中で行われている、そういう現状は障害者にとってはそういう社会であっていいというメッセージを送り続けていることになるというふうに思います。
先ほど障害者は生きた教材であるというご自身の発言について説明があったわけですけれども、そういった言葉というのは実は考えていることが出てしまうことがあるということだと思うんですが、そういうことが出てしまうという発想があるとするならば、その影響は、東京都の教育委員会全体に与える影響は非常に大きいかというふうに思います。ぜひこのことについてもう一度、隠れたカリキュラム、隠されたメッセージ、そのことを教育委員会がきちんと受けとめて、これからの仕事を進めていかなければ、心の東京革命を随分熱心に進められているわけですけれども、私は、子ども自身はきちんと大人の社会が今何をやっているかということを見抜く目を持っているし、子どもが人間として感じることをやめさせることはできないというふうに思うんですが、もう一度、教育長のお考えをお聞きしたいと思います。
○横山教育長 冒頭、先ほどの生きた教材云々という、ストレートにそういういい方をしたとは思っておりませんが、生きたというのは、要するに心のこもったといいますかね、単に生物的に生きた云々という意味ではございませんので、その点は誤解なきようお願いしたいと思います。
今先生がおっしゃった隠れたカリキュラムの影響というのは、確かにご指摘をされまして、私ども、指導部と話をしていてもそういう面が非常にあろうかと思います。ただ、それが必ずしも悪い面だけではなくて、隠れたカリキュラムというのは潜在的なカリキュラムという意味では、結果的に無意識のうちにいい教育効果も生むと、そういう点もあろうかと。ただ、それ以上に、今ご指摘のあったような悪い結果を体得させるようなものがあるとすれば、教育の現場の中で、私も含めてですが、そういったことに十分留意しながら言動は発すべきだろうと思っております。
○執印委員 十分に反省をしていただきたいというふうに思います。
この問題、先ほども申し上げましたように、私、都議会に来まして、東京都がバリアフリーをしているのに実態がつかめていないということに、まず驚いたんですね。恐らく大きな組織になっていますから、いわゆる縦割りになっていて、それぞれ熱心に仕事はされていると思うんですけれども、それがどういうふうに使われているかということをきちんと見てみようという発想がなかったんだというふうに思いますので、そのことについては今後もきちんとやっていただきたいと思います。
それで、この日曜日に私、ある団体の旅のプレゼントというものに参加をいたしました。障害があるといわれているお子さんとそのご家族を電車の旅にお連れするというもので、その団体の職員の方が一生懸命ボランティアをされておりまして、非常に感動いたしました。
そのときに、車いすの方もそうでない方もいらしたんですけれども、ボランティアのリーダーの方が、車いすを持ち上げるときに、ヨイショとかセイノといってはならない。一、二の三と合図をして持ち上げるんだということだったんです。理由は、人間は荷物ではないので、ヨイショとかセイノとかいってはいけないということで、私自身も非常にそういった意味では今後とも勉強していかなければならないというふうに思いました。
ですから、お互い人間同士として、どういう状況にあってもお互いに話し合っていくということをしながら、こういった障害があるといわれている方の問題を進めていかなければならないというふうに思っております。
先ほど、今の仕組みですとそういうふうになっているのかもしれませんけれども、まずは学校との信頼関係をつくって、学校長に聞き取りをして、ちゃんとやっていますといえば、それを信頼してそのことで進めていくというようなお答えがあったわけなんですけれども、こういうさまざまな状況を抱えた方がさまざまな暮らし方をしている時代ですから、教育委員会もその発想を変えていただいて、きちんと当事者に聞き取りをしながら進めていただく。多分、この間出させていただきました、二階に渡り廊下があって、しかもその渡り廊下は使われていないというようなことを聞いていきますと、やはりそういうふうに当事者の方に話を聞きながら次のことに生かしていくという、そういう姿勢が必要だと思うんですが、教育長はそのあたりはどのように感じていらっしゃるんでしょうか、お考えでしょうか。
○横山教育長 私自身、かなり学校の現場というのは回っているつもりですが、相当の数ですから、すべて回り切れていない実情がございまして、そういった意味ではすべての学校について実態を把握しているという状況にはございません。
ただ、今ご指摘のような点が多分あるんだろうと思いますが、それは子どもたちが主役の学校生活の中ですから、子どもたちにとって不都合なことは、当然それは改めなきゃいけないというふうに思っています。
○執印委員 教育長のご決意というのが大きいと思いますので、ぜひこの問題については年度ごとに適宜、お子さんの立場になって進めていただきたいということを強くお願いしておきたいと思います。
次に、教師によるわいせつ事件の状況の資料をいただきました。あってはならないことですけれども、現実的には、事故報告として出てきたのがここに挙がっているだけだというふうに思いますが、こういう状況で出てきております。改めてお伺いをいたしますが、セクシュアルハラスメントまたはわいせつによる子どもへの影響をどのようにお考えでしょうか。また、この事故報告書の数字を東京都の教育委員会としてはどのようにとらえていらっしゃるんでしょうか。
○斎藤指導部長 子どもへの影響でございますけれども、セクシュアルハラスメントは、子どもにとって精神的な苦痛が心の傷になったり、あるいは心身の健康に重大な影響を及ぼしたりするものと思います。また、セクシュアルハラスメントによって、子どもが人間に対して不信感や嫌悪感を抱いたり、ストレスから学校が嫌いになったりする、こういう重要な部分があろうかと思っております。
○中村人事部長 事故報告の数字でございますけれども、わいせつ行為の根絶を目指すパンフレット、これを全教職員に配布しまして、管理職研修あるいは現任研修など機会あるごとに啓発を行っております。このような行為が報告されないということはないというふうに考えております。
○執印委員 子どもたちへの影響については、本当にそのとおりだと思います。人生を大きく変えてしまうような、そういう出来事だというふうに思います。
二つ目の、教育委員会としてはこの数字をどう把握しているかということで、ないと判断していると、そういうお答えですね。本当に今の社会状況というものをきちんと東京都の教育委員会が把握していらっしゃるんだろうかというのが私の実感でございます。
実は、この質問をするきっかけは、昨年、知り合いの都立高校の女子の生徒から、学校に変な男性教諭がいて嫌な思いをしていると。教育委員会ではどのような対応をしているのかという相談がありました。私は、東京都に事故報告書の開示を求めたんですが、開示できませんということだったんですね。でも、私としては、その女子高校生が学校の中で毎日毎日授業を受けるたびに嫌な思いをしている、そのことをほうっておくわけにはいきませんので、一番最初にこの問題を取り上げさせていただいているわけです。
今、卒業しておりますけれども、八王子市内の高校の生徒でした。ほかの学校から異動になって、隣のクラスの担任でしたけれども、保健体育の時間に卑わいな言葉をいったり、高校生でなくても、大人でも答えたくない、または答える必要のない質問を授業中にしていたということです。聞き取りをしましたので、ご紹介したいとも思いますけれども、こういった委員会では口にするのがはばかられるような、そういうことなんですけれども、それが授業中にされているという実態がございます。
それで、結局、その先生は、先ほどもいったようにほかの学校に、八王子市内の高校から、田柄とかといっていましたけど、都内の高校に異動になったようですけれども、今の教育委員会がどうもそのように考えているらしいということを、その女子高校生だった方にお伝えをしましたらば、実態を知らな過ぎるというふうに怒っておりました。
私が住んでおります日野市でも、去年、わいせつ行為で教諭が処分になりましたけれども、私もいろいろ調査しましたところ、学校の先生は知らない、校長先生も知らない。だけど、親が、自分の上の男の子が下の女の子に、あの先生は机の中に変な写真を持っているから気をつけた方がいいよと、こういうことを聞いていたと、そういうようなことが出てまいりました。
それから、今、市民団体の方で暴力防止プログラム、CAPをされている方がいらっしゃいますけれども、権利のことを子どもたちに話をして、そしてその後、子どもたちから何でもいっていいよというふうに聞くと、実はいろいろなことが出てくると。例えば、あの先生は、余り自分のクラスの担任のことはいわないようですけれども、隣のクラスの先生は体育の時間にそっと子どものおしりにさわるんだと。子どもたちはよく見てるんですね。そういうような状況があるんですね。
そこで、余りにも今のお答えですと、担当としてはそういうふうに答えざるを得ないのはわからないわけでもないですけれども、余りにもやはり、今いろいろなところで先生が、この間も大きな事件がありましたね。そういうことに思いをはせて対策を立てていないというふうに思います。
それで、平成十一年四月十二日に文部省教育助成局地方課長通知、公立学校等における性的な言動に起因する問題の防止についてというところで、その他の3の〔3〕、学校の教職員による児童生徒やその保護者へのセクシュアルハラスメントについて、児童生徒や保護者からの相談、苦情に適切に対応できる体制を整えることとありますが、これはどのよううに進めていらっしゃるでしょうか。
○斎藤指導部長 セクシュアルハラスメントにつきましては、特に児童生徒に対して学校教育そのものを根底から覆すことになりますから、絶対にあってはならないと考えております。この防止のために、都教育委員会としまして教育管理職研修あるいは初任者研修等の研修において研修内容としてまず取り上げる。それから、防止のためのリーフレットを全教員に配布したり、あるいは教員の意識の向上を図るということで研修を行っております。
また、相談体制の整備ということが必要でございますので、東京都教育相談センターにおける相談、あるいは各学校における教育相談体制の組織づくりなどについて指導、助言を行っているところでございます。
○執印委員 いろいろ対策を立てているということでございまして、私も「セクシュアル・ハラスメントの防止のために」というのと「教職員によるわいせつ行為の根絶を目指す」という、これをいただきまして読ませていただきましたけれども、今行っている対策というのは当然やるべき第一歩を踏み出したにすぎないと思うんですね。この「教職員によるわいせつ行為の根絶を目指す」の中には、わいせつ行為を行った教職員はその職を失うことになりますというふうに書かれているわけですね。そういうことが伝えてあるわけですけれども、であるからこそ、もっと見えない形になっていく可能性がある。もしくは、学校の中で、クラスの中で意思表示ができないおとなしい子に対して、こういった行為が行われることも考えられるというふうに私は思っております。
それから、どうも私、いろいろお話伺っても、全体像が出てこないものですから、先ほどのバリアフリーをしたけど、どれぐらいお子さんが入っていらっしゃるかというのがなかなかつかめなかったと同じように、具体的に何をどういうふうにやっていますというのがわからないものですから、いろいろお話ししましたら、「教育相談の手引」をつくってやっていますというお話でした。
教育相談、充実していますからということだったんですが、これ、読ませていただきましたけれども、この冊子にはセクシュアルハラスメントという言葉も、わいせつという言葉も全く出ておりません。よくよく読ませていただきましたらば、これじゃ無理だということが私はわかったんですけど、これは、本資料は都立高校における中途退学問題の解決を図るため、学校における教育相談とは何かについての理論と生徒理解に基づくすぐれた実践についてまとめたものです。各学校においては、校内研修などを通して本資料の活用を図り、中途退学の防止に取り組んでいただくよう一層の努力をお願いしますということで、この資料ではセクシュアルハラスメントについての対応はできないと思います。
全く何も書いてありませんから、例えばこれを見て先生がこんなときどうしたらいいんだろうと思っても、よくマニュアルで本当に必要なことがなかなか出てこないマニュアルというのがありますけど、申しわけないけど、それよりもうちょっと、目的が違うものをお示しになったんだというふうに思います。
教職員へリーフレットを出すとか研修をするというのは、そういったことでは私、全く対策を立てていないというふうに思っているわけじゃないんですけれども、具体的に対策が立てられてないのが実情なんじゃないかと思うんですね。先ほどお話ししました女子高校生の例では、ほかのクラスの先生がいろいろ対応してくれて、だけど、結局、その先生がやったことがどうかということではなくて、ほかの学校に移るということで解決されただけなんですよね。だから、全然問題解決になってないです。もしかしたら、教育委員会もそのことをご存じないんじゃないかと思うんです。
つまり、教育相談で対応もされているということですけれども、何かあったら子どもでも、子ども本人でも保護者でも、こういうふうに訴えていけば、だれがどう受け付けて、どういうルートで解決して、そしてどうその人権侵害、人権侵害ですよね。そのことを、侵害された人権をきちんと人間の権利として戻させてくれるかという、その道筋をきちんと示して、本人にも保護者にもいっていく、そういうものをきちんとつくっていかない限り、子どもたちは救われないと思うんですけど、いかがでしょうか。
○斎藤指導部長 児童生徒のセクシュアルハラスメントも含めまして、さまざまな悩みごと、あるいは人権にかかわるような内容の相談につきましては、先ほど来ちょっと申し上げましたように、全都的には、東京都教育相談センターで受け付けております。それから、区市町村教育委員会にございます相談センターもございます。その中で特に深刻な問題については、その相談窓口から行政部門に即電話等が入りまして、さらにそこから指導部なら指導部の方の担当、あるいは人事部なら人事部の担当からそれぞれの区市町村の教育委員会のところに連絡が入って、調査をして、実態を把握していくと、こういう機能性、仕組みをつくってございます。
その相談窓口の周知徹底について不十分であるということであれば、もちろん今後ともこの周知徹底について、PRについては努めてまいりますけれども、そこを十分今後とも活用して対応していきたいと思っております。
○執印委員 多分違うところは、教育委員会は教育相談だというふうに、このことを教育相談だというふうに受けとめていらっしゃる。私は、それは人権侵害だから、きちんと人権侵害に対応する場所をつくってくださいということをいっているわけなんです。
こういった問題については、例えばセクシュアルハラスメントを受ける、わいせつ行為を受ける、そういう本人が悪いということは一切ありません。それは、そういう行為をする側の問題ですから、教育相談という言葉で一くくりにしないでもらいたいというのが私の考えでございます。
それから、これは神戸海星女子学院大学教授の井上敏明さんという方が、全国の中学にセクハラ委員会をということで、十月四日の毎日新聞に書かれていらっしゃいますけれども、教育相談ではなくて、採用時点ではわいせつ教諭は見つけられないから、こういった委員会をきちんと大人の世界のようにつくって対応すべきではないかというふうにおっしゃっております。
私も、これ、中学のこととして提案されておりますけれども、都立高校でもやはり同様のことがいえるというふうに思います。オンブズパーソン制度のようなものかもしれませんけれども、とにかく内部につくって教育相談を充実します、していますということでは、これは問題解決はできないというふうに思います。質が違うというふうに思います。
それで、私、きょう、今すぐつくると返事してくださいというふうにはいいませんけれども、具体的にどういう形が一番いいんだろうかということを検討していっていただきたいんです。でないと、先ほども、隠れたカリキュラムというお話しましたけれども、この中で私がいろいろ話をさせていただいた女子の高校生が何に一番怒っていたかというと、大人社会への不信なんです。そういう先生が問題を抱えたまま次から次に異動して、それで終わりになっちゃう。不正をほうっておく社会に対して信頼感が持てないと、こういうことに対する怒りだというふうに思います。
先ほど横山教育長、心の東京革命の中で正義感とか倫理観を養っていきたいというふうにおっしゃっていらっしゃいました。私、革命は行政にやってもらうものではないというふうに常々思っておりますけれども、今の状況では、幾ら心の東京革命を叫んだとしても、大人を敬うようにはならないだろうというふうに思います。ぜひ横山教育長の、人権侵害を解決するために、解決する重要性をどうとらえているか、それから、権利擁護の仕組みも含めて、対応策の検討を教育相談に一くくりにしないで、きちんと検討を進めていただきたいわけですけれども、そのお考えをお伺いしたいと思います。
○横山教育長 私も、圧倒的多数の教員というのは、本当に情熱を持って教育に当たっていると思っています。ただ、そういう中でも、少数とはいえ、今おっしゃったような教員がいるとすれば、まさに教員全体に対する信用をおとしめることでございますし、それが結果的に、隠れたカリキュラムの話じゃございませんが、子どもたちの大人社会に対する不信感であるとか、みずから心の傷を負うというのは大変な問題でございまして、私どもとしてはそれは重大なことだと認識はいたしております。
ただ、そういう個々の事案が私どもに本来ならば上がる前に、区市町村教委で多分いろいろな相談ルート等がつくられるんでしょうけれども、そういった実態が必ずしも適切に上がってくるようなシステムが多分ないんだろうと。その辺のそういった情報がどうやったら、個々の子どもたちが安心して情報を上げられるルートというのはどうやってつくっていくのか。この辺は、私どもとしても検討していくべきだろうと思っております。
それから、教育相談というのは、今委員がおっしゃったように安易なものであると私ども考えておりません。かなり広い範囲で教育現場で起こっていること、あるいは教育活動の中で起こっていること全般についての相談機能を持っておりますので、ことしの四月から教育相談センターを立ち上げまして、相当相談の内容というのは充実させているつもりでございますので、ぜひともそういうルートで、子どもたちが容易に情報を上げられるような何らかの策を検討してまいりたいと考えております。
○執印委員 教育長が検討してくださるということですから、少し待って、いろいろまたこちらからも意見をいわせていただきたいというふうに思っております。教育相談が充実していないというふうには考えておりませんけれども、これについては質が違うということ。
それから、私も多くの先生がこういう先生だというふうに思いませんけれども、先生が少ない、被害に遭っている生徒の数がだから少ないだろう、だからほうっておくというような問題じゃないわけですから、一人一人の人生にかかわることですからね。ちょっとそういう意味では、いいわけのように聞こえたんですけれども、ぜひ、そういうところに立たないで、困っている子どもがいたら絶対に助けてもらいたい。そのために教育委員会は積極的にこの件に関して検討を進めていただきたいということをお願いいたしまして、終わります。
○後藤委員 私からは、最近の新聞の報道から教育委員会の姿勢というものをただしていきたいと思います。
先日の新聞の報道で、都立の小石川工業高校の定時制の先生が、平成十一年の秋に行われた修学旅行で--資料を配っていただけますか、済みません--生徒をソープランドに連れていって諭旨免職になったという事件が報道されていますが、この記事を読みますと、生徒がソープランドに入ろうとしたために、やめるように諭したが、生徒が制止を振り切ろうとしたために、ぼったくりなどの危険性のない安全な店を選び、特にここのところを強調したいんですが、ぼったくりなどの危険性のない安全な店を選び、生徒を数人ずつ振り分けて入店させたという記事があるんですが。
今、各委員の方には資料をお配りしましたが、今お配りしました資料というのは、ことしの三月に私のもとに来ました内部告発なんです。この内部告発によりますと、この先生は事前に生徒たちがソープランドに行くことを知っていただけではなくて、先生が率先して生徒たちをソープランドに連れていったと書かれておりますが、この新聞の記事から読みますと、悪い生徒たちと面倒見のいい先生というふうな印象を受けてしまうんですけれども、教育委員会の方で把握なさっていることがあったらいってください。特に、新聞記事が間違っているかどうかということをお願いします。
○東委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
○東委員長 速記を始めてください。
答弁をお願いします。
○中村人事部長 新聞記事では必ずしも明確ではございませんけれども、この教員は前日に生徒たちが翌日ソープランドに行くということを知っておりました。その時点で、この当該教員は生徒たちにやめるよう諭したわけですけれども、制止することが困難であるというふうに独断で判断いたしまして、報道にあるとおり、生徒たちをソープランドに入店させたという事情でございます。
○後藤委員 すると、事情聴取は行っていたと思うんですけれども、この先生はどうやって安全な店を選んだというふうに説明をしていたのか、ちょっとお願いします。
○中村人事部長 事情聴取の中では、やはり子どもたちが多額の金だとか、いわゆるぼったくりに遭ってはいけないと思ったので、現場までついていったというふうなことは述べております。
○後藤委員 内部告発の文書によりますと、この先生は修学旅行についてきた添乗員の方に、いい店はないのかというふうな形で紹介してもらったというふうにいわれているんですが、このような事実はつかんでいらっしゃいませんか。
○中村人事部長 そのような事実はなかったと判断しております。
○後藤委員 そうしますと、今までお話を聞いていますと、このような確信犯、確信犯ですよね、ここまで来たら。確信犯の先生を諭旨処分、諭旨免職処分というふうな形になっているんですが、諭旨免職と懲戒処分の違いをまず教えてください。
それから、今回は諭旨免職ということになっていますけれども、今回は退職金が払われたんですかということ。仮に払われたんだとしたらば、何%の減額をなさったか教えてください。
○中村人事部長 まず、懲戒免職でございますけれども、これは義務違反行為に対しまして公務の秩序維持という観点から処分するものでございます。
それから、諭旨免職でございますけれども、非違行為が懲戒処分としての免職に相当する程度でない場合。ただし、本人の退職の申し入れがあった場合、この非違という事実に責めを負わせるということで諭旨免職にさせるものでございます。
それから、今回の退職金でございますけれども、退職金、支給しておりますが、通常の退職金の六割相当額を支給しております。したがって、四割はカットしたということでございます。
○後藤委員 先ほど執印理事の方がわいせつ行為というふうなお話をずっとなさっていたんですが、そうしましたらば、今回のこの先生のやった行為というのは、わいせつ行為ではなくて何の行為に当たるということになるんですか。仮にわいせつ行為だとしたらば懲戒免職の対象というふうなことになると思うんですけれども、今回は諭旨免職というふうな形をとられて、退職金も六割払われているということになっているんですが、どういうふうな、非違行為ですか。
○中村人事部長 本来、この当該教員は、生徒たちのそういう動向を知った時点で、自分一人でなくて--教頭先生も同行しておりました。ほかの先生もおりました。その同行の先生方と連携をとって、こういう行為を抑止すべきだったという立場にございます。それを対応しなかったということは、教員として重大な信用失墜行為である、不適切な指導といいますか、結果的に地方公務員法上の信用失墜行為に当たったということで、今回の事例では生活指導上の問題であるというふうに認識しております。
○後藤委員 ただいまの答弁なんですけど、生活指導上の行為だけで済むような問題だと思われますか、教育長、どうですか。
○横山教育長 いろいろな職員に対する処分というのは行いますが、これは採用に属することで、私はそれほど不適切な処分ではないと考えております。
○後藤委員 私のところに来た内部告発には、この先生は学校に戻ってから下級生たちに、おまえたちも修学旅行に行ったら風俗店に連れていってやるから、おれを引率教員に推薦しろとまで書かれているんですけれども、この辺の事実行為はおつかみになっていないようなんで、次に、例えば教頭の責任についてちょっとお尋ねしたいんですが、これもあくまでも内部告発なんですけれども、この修学旅行の責任者の教頭は、生徒たちがバスの中でソープランドの自慢話をしたのを聞いているんですよ。結局、聞いているということは、最初からこの事件を知っていたのに、校長にも何も報告もしていなかったということなんですけれども、都の教育庁の方がこの事件を知った経緯と、この責任者の教頭さんの処分はどのようなことが行われたのか教えてください。
○中村人事部長 事件発覚は保護者からの苦情でございます。この教頭は、事情聴取におきまして、保護者からの苦情があるまでこの事実を知らなかったというふうに把握しております。先ほどお答えしましたとおり、当該教員が独断で判断し、対応してしまったということで、教頭は具体的に指導することができなかったというふうに判断しております。
ただし、修学旅行の引率責任者でございまして、当該職員の管理監督者として十分な対応をしていなかったということで、文書訓告の処分をしてございます。
○後藤委員 先生が生徒をソープランドに連れていったこと自体も大変なことだと思うんですけれども、都の教育庁の方としてですよ、ただ指導監督を怠ったというふうな形で処分なさっています。ならば、責任者の教頭に対しても、知らなかったはずはないというふうに私は考えます。
例えば、このようなことが行われながら、このような処分しか行わないようだったらば、学校の先生たちが、幾ら皆さんが例えばパンフレットを配ったところで、直るはずないです。聞いてみましたらば、事情聴取なんですけれども、中村部長からのお話の中にもあるように、整合性が合わないんですよ。整合性がないというんですかね、お話の中で。だから、できましたらば、これからはこのようなことがあった場合には事情聴取を厳正にまずやっていただくことと、それから処分もこんなに甘い処分をなさらないようにお願いしたいと思います。
このほかに管理職の姿勢に問題があるような事例がこのごろ多く見られるんですが、最近の小学校だとか中学校において、学校の事務員の公金横領事件が二件続けて起こっています。最近といいましても、約二週間ぐらいの間に二件起こっているんですが、一件は江戸川区で七百万円です。それから、二件目は葛飾区で約三百万円の公金横領事件というのが起こっているんですが、これはあくまでも私の考えなんですが、管理職である教頭先生ですとか校長先生というのが学校の事務の内容を全く把握してないんじゃないかなと思うんです。ですから、このような事件が頻発して起こるんじゃないかと思うんですけれども、この辺のお考えはいかがですか。
○中村人事部長 お話のように、残念ながら会計処理をめぐりまして事故が起こっております。小中学校におきましては、都立学校と異なりまして、経理事務の責任者である事務室長あるいは事務長がいないということから、校長が会計事務の責任を直接背負っている、こういう状況にございますけれども、校長の一部には会計事務の責任者である意識に乏しい、あるいは会計事務をすべて担当者に任せている、あるいは金銭出納の確認さえしていないというふうな実態もあるというふうに聞いております。
○後藤委員 要望なんですが、教頭先生ですとか校長先生に学校経営の研修というものを、できたらば一年に一回でも二回でも構わないですけれども、やっていただけないかと思います。特に、今、中村部長がおっしゃったように、会計に関すること。会計というふうな言葉を使いますと難しくなりますけど、例えば、中学ではやるかどうかわかりませんけれども、高校ぐらいでやっています簿記ですね。少なくとも簡単な簿記ぐらいのことは、教頭、校長にしっかりとたたき込んでいただきたいと思うんですけど、いかがですか。
○中村人事部長 実態を踏まえますと、やはり必要性があるというふうに考えておりますので、管理職の責任の所在を明らかにするとともに、区市町村の教育委員会とも連携いたしまして全管理職に対しまして会計事務に関する研修を義務づけるなど、再発防止に努めてまいりたい、こういうふうに考えております。
○後藤委員 よろしくお願いします。
○服部委員 私は、教科書の採択についてと、それから都立高校の改革について、この大きく分けて二点について質問させていただきたいと思います。
最初に、教科書の採択についてですが、このことについては既に他の委員の方からも質問がありましたが、私からはこの教科書採択の事務手続といいましょうか、そういったことについて主に伺いたいと思うんです。
今回の教科書採択について、昨年度の教科書の検定、こういった段階から、いわゆる特定の教科書、扶桑社の教科書に対して、近隣の韓国あるいは中国政府関係者からさまざまな抗議あるいは訂正の要求等があって、大きな議論となったのも事実でございます。
都民や国民の間で、この教科書に関するさまざまな議論が行われて、教科書の重要性の認識、こういったものが広がる、また教科書検定や採択に関する関心が大いに高まってきた。これは、今までどこか一部でいつの間にか決まってしまったというようなことすらあった、この採択について、私は非常にこれは逆に評価ができる、そのように思っているんです。
一方、栃木あるいは和歌山県、こういったところでこの教科書の採択に対する一部の団体等による組織的な、あるいは行き過ぎた、こういった抗議活動が、脅迫まがいの抗議など、私は大きなこれは問題だと、そのように思っています。東京都においても、各採択地区において、いわゆる絞り込みあるいは学校票、そういったことがほとんどなくなって、保護者等の参加も大幅に進んで、都教育委員会としても専門的な教科書の調査研究、及び先ほどもちょっと話がありましたが、障害の観点からの調査研究、こういったものを行うなど、教科書の採択制度の顕著な改善が見られた、私はそのように思っています。
一方、都の教育委員会の都立の盲・聾あるいは養護学校、中学部の社会科の歴史的分野及び公民的分野の採択をめぐって、これまた組織的な抗議活動が行われた。教育委員や、あるいは教育委員会事務局に対する、これは一定の圧力になった、これは私は否めない事実だ、そのように思っています。また、杉並区あるいは国立市、荒川区、こういったところでも、一部の団体による組織的な抗議活動が見られる。そして、教科書採択を審議している教育委員会の会場である庁舎を取り囲むなど、これは本当にこれまでになかった異常な事態だと思いますよ。これは、決して区民や都民の良識、そのように私は思いません。非常に異常な事態だ、そのような私は認識をまず持っております。
そして、教科書は学校において主たる教材として使用義務が課されている図書であって、児童生徒の教育を行う上で極めて重要な役割を果たしているんですね。それで、この現在の教科書検定制度のもとにおいて、教育の基本的な教材である教科書が我が国の現状を見据えて、そして将来を展望して、また学習指導要領に基づいて子どもたちに最もふさわしいものが民間の創意工夫によって発行されて、そして各教育委員会の権限と責任のもとで採択されるよう、適正かつ公正な教科書採択を確保していくことが、私は極めて重要だと思うんです。都教育委員会の果たすべき役割は、そういった点で非常に重い。そうした認識に立って、私は幾つかの質問をさせていただきたいと思います。
最初に、先ほども質疑がありましたけれど、改めてこの教科書についての定義、そしてまた教科書の採択権限がだれにあるのか、この点について法的な根拠、これを確認したい。まず最初にお尋ねいたします。
○斎藤指導部長 教科書とは、教科書の発行に関する臨時措置法第二条により、小学校、中学校、高等学校及びこれらに準ずる学校において、教科課程の構成に応じて組織配列された教科の主たる教材として教授の用に供される児童または生徒用図書でございまして、文部科学大臣の検定を経たもの、または文部科学省が著作の名義を有するものとされております。
この教科書を採択する権限でございますが、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第二十三条第六号により、その学校を設置する区市町村及び都道府県の教育委員会が有しているということでございます。なお、国立、私立学校の採択につきましては、校長が行うことになっております。
○服部委員 そうですね、教科書とは、今答弁がありましたように、文部科学大臣の検定を経たもの、または文部科学省が著作の名義を有するもの。二点目が、地教行法の第二十三条第六号にある、この権限は教育委員会が有している、そういうことです。私は、このことについて採択のやり方がゆがめられた、そうはとても思いません。むしろ法に基づいてきちんとやっている、やってきた、私はそう考えています。
二番目ですが、それではこの教科書の採択を行う教育委員、この身分、これに関する法的な位置づけ、あるいはその職務についてお伺いいたします。
○小海総務部長 教育委員の身分でございますが、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の第四条第一項によりますれば、教育委員は、当該地方公共団体の長の被選挙権を有する者で、人格が高潔で、教育、学術及び文化に関し識見を有するもののうちから、地方公共団体の長が、議会の同意を得て、任命すると規定されているところでございます。
そして、この地教行法の第七条によりまして、地方公共団体の長が教育委員につきまして、心身の故障のため職務の遂行にたえないと認める場合と職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認めた場合、また同一政党に三人以上の委員が所属するに至った場合を除きまして、その意に反して罷免されることがない旨、規定されているところでございます。
○服部委員 この教育委員は、要するに大変識見を有する方がそれぞれ選任されている、そういうことだと思います。今、教育委員の身分あるいは法的な位置づけについてお伺いをしたわけですけれども、例えばこういった教育委員さんが権限を持って教科書を採択される。これは、例えば裁判官ですけど、司法に携わる裁判官が例えばある一つの事件を有罪か無罪かで判定する、判断する、判決を出す。そういったとき、やはり裁判官はきちっとした公正な立場でなければ、判断はなかなかおろせないと思うんですね。だから、私は例えば裁判官のところへ押しかけたり、あるいは一定の圧力をかけたり、組織的な圧力をかけたり、そういうことは当然、裁判官のところには許されてない。この一定の身分を有する教育委員のところにこういったことがあったとすれば、私はこれはまた大変重要な問題だ、そのように思います。
そこで、今回のこの教科書採択について、東京都における、これはさまざまな働きかけが行われた、そのように認識しているわけですけれども、教育委員会はこのことをどのように把握しているのか。また、その際、さまざまな要請があったと聞いていますけれども、その中にはインターネットあるいは電話などを通して、教育委員あるいは教育委員会の事務局に対して組織的なまた働きかけが行われた、そのように聞いています。
これらの要請等の中には、都立学校の教科書採択に直接かかわらない、都外からの個人とか、あるいは団体からのものが相当数あったんではないか、そのように思うんですが、都以外の地域からの要請等がどの程度あったのか。また、その内容はどんなものであったのかについて、あわせてお伺いをいたします。
○斎藤指導部長 教科書採択にかかわります東京都教育委員会あての要請等でございますが、主として七月上旬から九月上旬にかけて、ファクス、電子メール、封書等により行われました。この期間、七月一日から九月五日までの署名者数九百九十六人を除く要請等の総数は九千七百七十四件でございまして、そのうち個人からのものが六千八百三十九件、団体名を付したものが二千九百三十五件ございました。また、個人からの要請等のうち、約半数がファクスによるもので、そのほか封書が約二割、はがき及び電子メールがそれぞれ約一割でありまして、同一の要請文に住所氏名欄が設けられた形式のものがまとめて送られてくることが多くございました。
団体からの要請等では、教職員組合や労働組合等から送られたものが多く、これらの合計が団体からの要請等のうちの約七割を占め、その多くが同一ないしはほぼ同一の要請内容のものでございました。
また、地域別では、都内の個人、団体からのものは全体の約三分の一でございまして、残りの三分の二は東京都外の個人、団体からのものや、差出人住所不明のものもございます。
要請等の内容につきましては、外部からの不当な圧力に屈することなく、教育委員がみずからの見識と責任において採択を行うこと、特定の教科書について採択しないこと、採択を行う教育委員会の公開を求めることなどがございます。
○服部委員 今ご答弁があった、要請があった件数が約一万件。また、ほぼ同一の要請文が多かった。よくありますね、こういう要請を出すときに一つのひな形をつくって、それをどこかの組織的なところに回して、それをみんなで一斉にファクスで送ったり、あるいは封書で送ったり、そういうようなことを伺っても、私はこれはやはり組織的にこれが行われた、そう断ぜざるを得ないんですね。私はそう思います。
そこで、今回のこの教科書採択に際して、栃木県とか和歌山県においては教育長に対する個人的な、これは要請じゃないんです、脅迫電話とか集中的な電話、あるいは夜間、深夜電話するんですね。そんなことだとか、あるいはファクシミリなどによる組織的な働きかけが行われたとの、これは新聞報道、私の手元にもありますが、いろいろされております。
それで、こうした教育委員個人等への行き過ぎた働きかけとか抗議行動あるいは電話等による脅迫まがいの言動、これはもう要請といったものじゃありませんよね。要請じゃありません、これは。脅迫ですよ。こうしたことが組織的かつ集中的に行われるとすれば、私はやはりその影響というのは否定ができない。やはり教科書の採択をする上の大きな問題になると思うんですね。
都及び区市町村教育委員会のそれぞれの教育委員及び教育委員会について、電話等による脅迫的なものについて、どの程度あったのか。それはどのような内容であったのか、お伺いいたします。
○斎藤指導部長 今回の教科書採択に当たりまして、東京都教育委員会及び事務局に対する抗議につきましては、採択関係者に直接危害を加えることを内容とした脅迫に当たるようなものはございません。しかし、一方的な主張を強行に押しつけたり、あるいは特定の教科書を採択しないように執拗に迫ったり、採択関係者の人格を否定し、罵倒するような事例が相当数見られました。また、一部の区市町村教育委員会においては、教育委員への無言電話及び深夜電話などがございました。また、教育委員会事務局に対するものでは、採択関係者を誹謗中傷する内容の無記名のファクスが教育委員会あてに送られてきた事例などがございます。
○服部委員 今、脅迫に当たるようなものはなかったというようなお話もありますが、例えば新聞報道にあるようなこと、中には、教育委員さんのところにかみそりを送ってきたような話も聞いております。
また、これは事実ですが、過激派が文京区の扶桑社の事務所、これを放火したんですよね、これは新聞にも出てました。これはテロ行為ですよ、まさに。これは、この次の日でしょうか、この放火事件に関連して石原知事が、事務所に火をつけるなんてばかな現象、言論に対する挑戦である、このように激しく批判をされています。まさにこのテロ行為は民主主義に対する挑戦ですよ、言論に対するこれは挑戦である、私はそう思います。
果たして教科書の採択の問題でこういうことがあっていいのか。厳正に教育委員が、あるいは教育委員会が冷静に公正、適正に判断していかなければいけない。そういった中でこうしたことが現に起きている。私は、この点については非常に憂慮を覚えるものであります。
こうした行き過ぎた行為、あるいは組織的な働きかけ、こういったことに対して、七月中旬、文部科学省が出した公正確保のための通知について、どういった内容であったのか、お伺いいたします。
○斎藤指導部長 ご指摘の通知でございますが、七月十九日付で文部科学省初等中等教育局長から各都道府県教育委員会教育長あて、教科書採択の公正確保の徹底について出されたものでございます。
その内容でございますけれども、そのまま申し上げますと、その一部でございますが、現在、一部の地域からは、教育委員会等の採択関係者に対し、教科書採択について組織的な運動として展開されるなど、さまざまな働きかけが行われ、教科書の公正な採択に影響を与えかねない事態が生じているとの報告がなされています。ついては、各都道府県教育委員会におかれては、域内の市町村教育委員会等の採択権者に対し、教科書の採択がこのような外部からの働きかけに左右されることなく、採択権者の権限と責任において公正かつ適正になされるよう、指導の徹底をお願いしますという内容でございます。
○服部委員 ここに資料があります。これは、ことしの三月に教科書の採択に関する宣伝行為等についてという表題で、文科省の初等中等教育局長から出されたもので、これは各都道府県の教育委員会とか教育長に対してではありませんが、各教科書の発行者に対する通知なんですね。
それで、これは教科書の販売合戦がとにかくエスカレートしている、こういったこともやはりただしていかなければいけない、規制もしなければいけない。それで、金銭及び物品の提供、またはその申し入れ、こういったものはしてはいけませんよ、当然のことですが、こういった通知がされています。
その中に、こういうところがあるんですね。これは、教科書会社にあててはあるんですけれども、他の教科書発行者または教科書の中傷誹謗、その他教科書の使用選択を妨害してはならない。中傷誹謗記事を書いたり、あるいは配布したり、報道したり、そういうことはできませんよ。他社の教科書の内容を批判または誤謬を報道することもいけませんよ、そういうことが、まだありますが、書いてあります。私は、これは教科書会社に対することでありますけれども、こういう事実はなかったと思いますが、やはりこうした組織的な中傷誹謗、そういったことは、これは教科書会社だけでなくて、厳にこれは慎まなければいけない、そういうことをいっているんではないかと思うんです。
今日のこうした歴史教科書問題、こういったものを考えますと、教科書の採択について、文部科学省の指導内容の一つでもありますけれども、開かれた採択、具体的には、採択過程である審議の公開が進めば進むほど、このような組織的な働きかけとか、あるいは抗議活動等の激化が想定もされるわけです。都の教育委員会として、今後こうした適正かつ公正な教科書採択を一層推進していかなければいけないわけですから、そのためにどのように対応していくのか。それと、各区市町村教育委員会の採択に関して、より正確な実態把握に努めることを求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
○斎藤指導部長 教科書の採択に当たりましては、文部科学省の検定に合格した教科書すべてについて公正かつ客観的な立場から専門的な調査研究を行っていくことが必要でございます。また、その審議に際しては、組織的な運動として展開される外部からの働きかけなどに採択結果が左右されることなく、採択権者である教育委員会等の権限と責任で公正かつ適正に行われることが不可欠でございます。
都教育委員会は、文部科学省の通知を受けまして、教科書採択の公正確保の徹底についてを区市町村教育委員会教育長及び国立、私立学校長あて通知し、改めて公正確保の徹底を図ったところでございます。採択後、各区市町村教育委員会に対しまして要請及び抗議行動に関する実態調査を実施いたしました。さらに、採択の手続や採択関係者への組織的な働きかけ等の実態に関し、各区市町村の教科書採択担当者からのヒアリングを行い、より正確な実態の把握に努めております。
これらの実態を踏まえまして、今後とも各区市町村教育委員会を指導助言し、公正かつ適正な教科書採択の徹底を推進してまいります。
○服部委員 先ほど教育基本法の第十条について触れられましたが、私は別な意味で、教育は不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである。私は、まさにこのとおりだと思うんですよ。これに基づいて、教科書採択については公正確保の通知、これを都の教育委員会は二月八日、区市町村あてに通知をされた。また、これは異例でありましたが、そういった組織的な抗議活動の中で文部科学省が七月十九日に通知を出された、そういうことになるわけですね。
私は、ただいま一連の質問をさせていただきましたけれども、やはりそういった事実、事実関係というものを、これははっきりするべきである。例えば、区市町村の教育委員会に対してどういう妨害があったのか、あるいは脅迫があったのか、こういったことを都教育委員会としてはきちんとそれを把握する必要がある、私はそう思っています。先ほどもご答弁がありましたから結構ですが、実態調査、これを熱いうちにやってくださいよ。だんだんたってすると忘れちゃう。今やらなければ、やはり私はだめだ、そのように思うんです。至急、これは実態調査を徹底してやってください。
そして、先ほど歴史の認識について、これはいろいろありますよ、歴史認識というのは。私の歴史認識もある、皆さんの歴史認識もあるでしょう。それは、唯物史観だってある。一方、皇国史観もあるんですよ。それぞれの歴史観がある。今回の勝者、勝った人が負けた人を裁いた東京裁判史観というのは、私はやはり自分の歴史、その国の歴史というのは、これは大事にしなきゃいけないし、ましてこの自虐的なといいますか、そういった歴史観というのは、やはり我々はきちっとしていかなければならないと思うんですね。
さっき、大東亜戦争の話もありました。日本は、昔からアジアは一つという考えでずっとやっている。きのうきょうじゃないですよ。遣唐使、遣隋使、遣隋使は推古天皇の時代、西暦六百年でしょうか。小野妹子が派遣された、そんな史実もある。以来、中国や韓国や日本は本当に一体となって、アジアは一つ、そういう歴史観でずっとやってきた。今の現代史がちょっといろいろいわれてきている。それをあえて自虐的に自分の認識として受けとめられる方もいるようですが、私は今回、歴史教科書の内容については時間もありませんし、また一度、これは大いに議論も高め合いたいと思いますが、教科書の採択についてはここで一応とめさせていただいて、都立高校改革についてに入らせていただこうと思います。
これは、進学指導重点校の指定についてです。日比谷、戸山、西あるいは八王子東、今回指定されましたね。この定例会の我が党の代表質問で指摘したように、都立高校における進学対策の充実、これはやはり急がなければ私はならないと思っています。知事も繰り返し述べているように、日比谷、戸山、西、そういった都立の名門校、これは文武両道のよき伝統は残しながらも、進学実績において国立とか、あるいは私立の有名校に大きく、正直、水をあけられてしまった。今まで都立高校からは、日本の繁栄の礎となり、また今も我が国の各分野で大勢の方が活躍をして、有能な人材を輩出してきましたよね。いよいよ二十一世紀を迎えて厳しさを増す社会経済情勢あるいは国際環境において、高い学力と国際感覚を身につけて、文化、政治、産業の各分野で大いにリーダーシップを発揮してもらいたい、そういった人材の育成は都立高校の担う重要な私は役割である、そのように思っています。
しかし、現状は都立高校がこの役割を十分果たしているのかといわれると、なかなかイエスとはいえない。主に都民の税金で賄われて、そして公共的役割を期待されている都立高校で、将来の日本を担う人材の育成のために適正な進学対策を推進していくこと、これは私は必要不可欠なことだと思っています。
来年から週五日制ですか、これが導入される。また、平成十五年からは新しい学習指導要領による授業も始まる。既に一部の私立高校では、土曜日に授業を行うことを公言している学校もあるようですね。私立高校は、これまで以上に進学対策に力を入れようとしているんです。もちろん、こうした状況が続けば、進学実績に関して私立高校と都立の高校との格差、このままではますます広がっていってしまう、そのように思います。
もちろん、私は進学のみに偏重した教育がいいということではありません。ただ、保護者とか生徒の最大の関心はやはり進学にありますから、このままでは優秀な生徒は進学対策が手薄な都立を敬遠して私学に進学して、だんだん都立が凋落してしまう、そういう傾向になっていくんじゃないか、そのように思います。それで、質の高い教育を受けたいという切実な保護者あるいは生徒の要望にこたえることは、公立の高校として当然の責務だと思います。都民の要望にこたえられない都立高校は、その存在意義さえ問われかねません。
そこで、進学対策の充実について何点かお尋ねいたします。
最初に、今回の進学指導重点校指定の意義についてお伺いします。
○山際都立高校改革推進担当部長 指定の意義についてでございます。重点校の指定につきましては、都立高校改革に基づく特色ある学校づくりの一環として行うものでございまして、重点校において意欲ある生徒の能力を最大限に伸ばし、自己実現につなげること、または重点校における実践研究の成果を他の高校に提供することを通して、進学対策について都立高校全体のレベルアップを図るということでございます。
○服部委員 次に、重点校の指定校数四校ですが、この基本的な考え方は何か、また重点校の四校の選定基準について伺います。
○山際都立高校改革推進担当部長 重点校の基本的な考え方あるいは重点校四校の選定基準についてでございます。三年という指定期間の間に進学実績の向上を図り、その成果を他の都立高校に提供するという視点から、進学指導の充実という目標に向かって組織が一体となって対応できる学校を選定した次第でございます。
具体的な選定基準といたしましては、これまでの進学実績、入試の自校作成実施予定校、週五日制の導入を踏まえた補習への取り組み状況、校長の取り組み姿勢等を考慮いたしまして、学校とも十分情報交換を行いまして、総合的に判断し、四校を指定したものでございます。
○服部委員 この施策を通して教職員の意識改革、先ほどからいろいろ質問もありました。あるいは学校の活性化、これにつなげていくことも重要だと思います。重点校四校の指定という今回の施策を通して四校の活性化が図れるのか、あるいはまた他の都立高校の活性化につながっていくのかをお伺いいたします。
○山際都立高校改革推進担当部長 四校あるいはその他の都立高校の活性化についてでございます。今回の施策につきましては、重点校の指定を通しまして生徒の能力を最大限に生かせる活力ある学校づくりを進めることがねらいでございます。各校が目標を持ち、共同体制のもとで成果を上げるように指示しておりまして、校長のリーダーシップのもとで学校を挙げての取り組みを通して教員の意識改革あるいは学校の活性化につながるものと考えております。
また、重点校における実践研究の成果を他の高校に提供することによりまして、都立高校相互の交流が進むこと、あるいは進学指導対応教員の公募制の導入などによりまして、都立高校全体の活性化にも寄与するものと考えております。
○服部委員 今回の都立高校の進学指導重点校の指定、何かこれだけクローズアップされたようですけれども、私は今までの都立高校が本当にこれでいいのかということから始まって、平成九年九月でしたか、高校改革推進計画を策定されて、その一連の中から、今回このことが出てきたということだと思うんです。
今、教員の資質の向上とかありましたが、先ほど山本委員の方から、先生自身が教材である。大変私はいい言葉だと思います。そういった気持ちで教員の資質の向上も図っていかなければなりません。
それで、やはりここの基本は特色ある学校づくりという点だと思うんですね。私は、進学で特色を持つ、これもいいと思うんですよ。それから、都立城東高校じゃありませんが、甲子園に出場するようにスポーツで特色がある、あるいは商業高校などが検定試験に挑戦していく、あるいは工業高校ならば国家試験に挑戦する、あるいは何か総合芸術高校の計画も今ある、そんな話も聞いておりますけど、私はある意味でナンバーワンでなくてオンリーワンを目指していくというような考え方でこの都立高校改革が進んでいく、そういう点ではぜひ推進をしていただきたいと思うんです。
それで、もう一つ、例えば中学校との連携についてなんですけれども、既に私立の進学校では中高一貫教育をやっていますが、高校の教員が中学生の実情を知る、あるいは中学校の教員が高校生の実情をお互いに知り合う、そういう相互理解を深める、これは私は非常に教育的な効果が大きいと思うんですが、こうした点を踏まえて、今後、都立高校と公立中学校の連携を図っていくべきだと考えるんですが、見解はどうでしょうか。
○山際都立高校改革推進担当部長 副委員長ご指摘のとおり、都立高校の活性化を図っていく上で、都立高校と中学校の連携は大変意義があるというふうに受けとめております。今後、より具体的な連携のあり方について積極的に検討してまいります。
○服部委員 現代の若者は、豊かさになれてしまって耐える気持ちが薄れる、あるいは努力して達成することの喜びが失われつつある、このように私は申し上げるんですが、実は私も若いときにはこんなこともいわれたと思います、私自身が。そういう繰り返しもあると思うんです。ただ私は、現に小中学生の間で学ぶ意欲や関心が低くなっている、こういわれているわけですが、我が国の現在のこの繁栄の源、これは人材の豊かさだ、そのように思うんです。小泉総理の米百俵の精神じゃありませんが、学びを忘れた国は滅びますよ。やはり教育は国の基本ですから。
そういった意味で、今回、この進学指導という学びの場を整備して、よく学び得る環境づくりだと認識しますけれども、この施策を単なる受験エリートの育成ということだけに終わらせるんではなくて、学ぶことに強い意欲を持ち、高い目標と志、これを持つ若者の育成につながるように切に期待いたします。
委員長、時間のようでございますので、結びますが、都教育委員会では現在、都立高校改革推進計画を策定し、都立高校の改革を着実に進めているところですが、日本の将来を担うリーダーの育成のためにも、進学対策については早急に結果を出すよう強く求めまして、私の質問を終わります。
○東委員長 この際、議事の都合により、おおむね五分間休憩いたします。
午後五時十七分休憩
午後五時二十五分開議
○東委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○和田委員 都立高校改革の推進計画第二次実施計画に関連して、進学指導の重点校の指定について一、二お尋ねいたします。
あれは九月二十六日、まさに寝耳に水のように私どものところに、実は重点指定の学校四校決めます、発表します、そういうニュースが個々の文教委員の皆さんに多分行ったんだろうと思う。このこと自体は、私は一つの現象かなと思うんですけれども、当然、都立高校の改革推進計画の中に依拠したものだろうと思っているわけでありますが、どういう計画に依拠した四校の指定だったんでしょうか。
○山際都立高校改革推進担当部長 計画の依拠についてでございます。今回の進学指導重点校の指定につきましては、都立高校改革の柱の一つでございます特色ある学校づくりの一環といたしまして、生徒の大学進学への目的意識が強く、学習意欲の高い学校からその指定を行ったものでございます。
現行の都立高校改革推進計画におきましては、特色ある学校づくり推進のための一施策として進学対策の充実を掲げているところでございます。しかしながら、これまでの進学実績に関しまして十分な成果が上がっていなかったということもありまして、今回、進学対策の充実のための新たな施策として進学指導重点校の指定を行ったものでございます。
○和田委員 今総論的にはそうかなと思うんですが、ただ、依拠ということですから、何かに基づいてということになると、当然この都立高校改革推進計画第二次実施計画などに基づくというならいけませんね。これの、特色ある学校づくりの推進という中の一七ページに、進路指導充実推進校の指定とありますよ。そこのところを見ますと、第一次実施計画は九年度から十一年度まで六校指定となっています。終わったことです。十二年度は指定六校、十三年度は二本線でなしなんでしょうな。十四年度は六校となっています。この六校という指定と、今回の四校という指定はどういうふうに考えたらいいんですか。
○山際都立高校改革推進担当部長 今委員ご指摘の二七ページですか。(「一七」と呼ぶ者あり)一七ページ。(「資料が違うんじゃない」と呼ぶ者あり)失礼しました。
○東委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
○東委員長 速記を始めてください。
○和田委員 先に行きます。私が冒頭に唐突にと申し上げたのは、まさに私どもは今この資料しかありませんから、この資料に基づいていうと、六校指定十二年度、十三年度なし、十四年度は六校、こうなっている。ところが、九月二十六日、唐突に、学校名はともかく、四校がぽんと出てきまして、本会議の質問答弁の差しさわりもあったかもしれないけれども、急遽これが私どものところへ来た。そうすると、こちらとこちらの関係はどう整合させるのかという話がある。単純なことなので、それはもうしばらく検討--私の次の質問の後に一緒に答えてくだされば結構です。
それから、九月二十六日といえば、もう十月ですから、なぜこの時期に四校なのか。聞いてみると、これはお答えいただくんですが、指定についての教育庁のメモの中には、平成十四年度、十五年度、十六年度の大学入試において進学実績の顕著な向上を目指すとなっているんですが、僕らの感覚で十四年度というと、来年の今ごろ、四月以降十四年度というんですが、大学の入試などについての年度は、十三年度の春にやる--失礼、暦が変わって十四年ですね。年度では十三年度の尾っぽの方でやる、その入試を十四年度というのか、ここのところがよくわからないんで、もしもこの十四年度が来年の三月、四月入学からでやるとなると、これは今当然動かしているわけですから、十四年度はもうことしから動いているというふうになるんで、その辺の理解の仕方も含めてお答えいただきたいと思います。
○山際都立高校改革推進担当部長 先ほどの手元の資料についてちょっと説明しておきたいと思います。先ほど委員ご指摘の、進路指導の充実推進校についてのご指摘がございましたが、特色ある学校づくりの施策の中で、その事項につきましては進路指導の充実にかかわる項目でございます。私が先ほどご説明した内容は、進路指導の充実ではなくて、進学対策の充実であると、その一環として新しい施策として展開したということでございます。(和田委員「ここにはないの」と呼ぶ)はい。
それから、なぜ四月からの適用としないのかというふうなご指摘でございます。進学指導の充実につきましては、年度当初から関係部課と十分に議論を行い、方向性を定めてきたところでございます。これを受けて、できるだけ早く進学実績を上げるためには、指導力のある教員の確保など来年度の人事異動等を見越した支援の取り組みや、年度当初の補習等についての進学対策の充実が可能な体制の整備等を行うことが重要である。また、来春の卒業予定の小学生や中学生の今後の学校選択に当たり、都立高校がこうした取り組みを実践していることを周知する必要がある。ということから、年度途中のこの時期に重点校の指定を行うことにしたものでございまして、十四、十五、十六の実績について、既に九月二十六日から指定しているところでございまして、十四年度の大学の実績、これについては来年一月、二月、そういうところで出てくるわけで、そういう点についても、この施策を通じて向上させていくということでございます。
○和田委員 そうすると、私たちがよりどころとしている、この都立高校改革推進計画の中にはない施策が九月二十六日出てきて、そしてなおかつ、もう来年四月の新入生の対策として、日比谷を含め四校が特別に進学重点校として指定されたというふうなことに理解をせざるを得ないと思うんです。
そうすると、随分急な話、文教委員会もきちっとあるのに、どうして事前に途中報告でもしてもらえなかったのかなということもありますし、それから何よりもこの推進計画の中に盛られていない、まさにゆとりの教育ではない、ある意味じゃエリート教育も含めて、ここに突然顔を出してきたわけでありますから、この推進計画の大きな中身の変更だろうと思うんですよ。それが文教委員会の中でも議論もされずに現場にぼんとおろされて、もう九月二十六日以降動いていますよということでいいのか。
特に、都立高校の統廃合などについては、我々議会にかけているとはいうものの、わっと大きな波で運んでおいて、そしてもう計画ができているから、議会も承認したはずだからという話になって、後戻りができない、そういう状況になっているのと、何か軌を同じくしたような動きにもとれなくはないような心配を私はしています。これ以上は、きょうはやめますけれども、このように唐突な動きというのは、私ども民主党としては極めて警戒していかなければならない、思いつきとはいいませんけれども、これはそれだけにとどめておきたいと思うんですが、答弁ありますか。
○山際都立高校改革推進担当部長 今回の進学指導重点校の設置につきましては、先ほど触れたと思いますが、都立高校改革推進計画の中に進学対策の充実ということで位置づけられている内容でございます。進学対策の充実については、都立高校改革の中でもかなり重要な事項であるというふうに考えております。平成七年に都立高校白書を発行させていただいたわけでございますが、その中にも都立高校の進学実績をはっきりと明らかにさせていただきました。そして、平成八年に行われました都立高校長期構想懇談会でも、進学指導についてさらに充実するようにというような提言をいただいているところでございます。
そういうことを踏まえて、平成九年九月の都立高校改革推進計画の中に位置づけられたものでございまして、この進学対策の充実そのものについては、あるいは今回の施策については、そういうような方向に基づいたものでございます。
○和田委員 別に山際さんがいったから申し上げるわけじゃないんだけど、私のこの二次実施計画のどこに、僕は一七ページといったんですが、読みかえられたんだけど、それじゃなくてどこに書いてあるの。
○山際都立高校改革推進担当部長 お手元の資料にないわけですが……(和田委員「ここにないけども、その何ページ」と呼ぶ)そこの施策の体系というところにございますが、特色ある学校づくりの--都立高校改革の推進については大きな柱がございますが、その中の特色ある学校づくりの推進の中に、生徒の進路希望や学習希望に応じた教育の推進というような事項がございます。その中に、先ほど委員、資料の方からご指摘いただきましたけれども、進路指導の充実というのがございまして、先ほど六校というお話がございました。それ以外に、この項目には進路指導の充実以外には進学対策の充実と、あるいは普通科高校あるいは総合学科高校における職業教育の充実とか、あるいは専門高校における進学指導の充実というような項目がございます。その進学対策の充実というところに位置づけられるものでございます。
○和田委員 私もよく見ると、この一八ページに確かに進学対策の充実とあるんですけれども、ただ十三年度、十四年度のこの計画には四校とは載ってないでしょう、別に言葉じりつかむわけじゃないんだけど。載ってないでしょう、一八ページのところ。僕の資料でいうと、一八ページに進学対策の充実とあるんですけれども、ここに出てきている四校は出てないんですよ。だからといって、全部の計画を僕は批判しているわけじゃないんだけど、計画にのっとって進めてほしいという意味で、もしもこの四校が出ていればいいですけど、出てないから申し上げたんで、これからそういう配慮もぜひお願いしたいと思います。
先へ進みます。次は、同じく都立高校にかかわる工業高校の問題です。これは、平成七年十一月二十四日の十九期の東京都産業教育審議会という、こういう立派な答申があります。生涯学習社会における職業教育のあり方についてというものです。この中でも随分と産業教育を--小学校からですね、ここに書いてあります。小学校、中学校、高等学校でしっかり教育した方がいいですよ、働くことが大事ですよというふうにきちっとこの七年の答申の中ではうたっています。特に、小学校におけるキャリア教育というふうになっていますけれども、小学校低学年から産業教育をやれというふうにこの審議会は、私は立派なものだと思いますけど、いっているわけです。
そういうことを前提にして、じゃ、それの兄貴分の工業高校はどういう現状にあるのかなというふうに思うんです。確かに、国の姿勢では、平成七年に科学技術基本法というものが制定されまして、十一年にはものづくり基盤技術基本法というのができたり、ものづくり懇談会ができたり、科学技術というか、物づくりというものに相当国も力を入れてきています。それと同時に、さきに挙げた、東京都も審議会で立派な答申が出されてきているということで、環境的には物づくりあるいは職業教育というのは随分整っているように思うんですが、現場に目を転じて都立工業高校にはどういう問題があるのかなというと、二百八十ある全日制の高校で十五万人ぐらい生徒がいますけれども、工業高校に関していうと、どうしても余りいい評判を聞かない。例えば目的意識が薄いとか、あるいは掛け算もできない生徒さんもいるんじゃないだろうかとか、あるいは中退率も高いというようなマイナスのことをしばしば聞くんでありますが、環境的に国も東京都の審議会もこういう産業教育を高らかにうたい上げながら、実際、その現場では何か寒々しい状況があるように思うんですが、どのように状況把握をされているんでしょうか。
○斎藤指導部長 今委員お話がありましたように、必ずしも自己の進路希望に沿って入学してくる生徒ばかりではない実態がございますし、基礎学力や目的意識が不足している生徒もおります。そのため、技術技能の習得あるいは工業の専門教育を十分に深めることができない課題がございまして、生徒の実態に応じた教育課程の編成の工夫あるいはきめ細かい生活指導等、さまざまな工夫が学校では必要と考えております。
取り組みですけれども、技術革新やあるいは情報化などの社会の変化に対応した学科改善、あるいは地元企業と連携しましたインターンシップの導入等を工業高校では行っておりますし、また専門教科に関しては選択科目を拡大しまして、実習とか職業資格の指導等を通して生徒の興味関心を進路希望等に応じて指導しているというような実態もございます。また、みずから課題を設定して学習する課題研究を充実させたり、あるいは望ましい勤労観、職業観の育成を図っていると、そういう実態あるいは取り組みでございます。
○和田委員 今、さらさらっとお聞きをすると、よく実情がわかるんですが、現場に行ってみますと、そういうものだけではないと実感せざるを得ません。例えば、産業界との連携ですとか、あるいは実際に生徒さんが近くの工場に行って実習するとか、そういうような具体的な身につくような形での接触というのをもっと幅広くやるべきだろうと思いますし、職業教育そのものをもっと重要視していくべきだろうと思っているんです。
それと同時に、やはり実技を伴うわけでありますから、現在は三十五名の定員がありますけれども、それを三十名にするとかして、先生と生徒さんの接触時間を長くしてさしあげるとか、あるいはこの都立高校改革推進計画でも進学率九六%というふうにずっと置いておりますけれども、進学率をただ九六に押さえるのではなくて、進学しなくても即中学校から産業現場に行っても十分通用し得るような小中学校からの産業教育とか、そういう幅広い選択肢を子どもたちに与えるべきだろうと思うんです。そうしないから、入ったはいいけれども、一学期でついていけない、やめちゃう。中退するから、じゃ、この学校、廃校しちゃおうという、そういう悪いサイクルになってしまっている傾向が工業高校には随分見られます。
したがって、平成十三年度、仄聞するところ、ものづくりコンテストというのを東京都の都立高校が挙げてやったようでありますけれども、それなどにも物心ともに当局の方が力を貸して、やる気のある都立の工業高校に育ててあげるというような幅広い考えも必要だと思うんですが、職業教育のこれからの改革の問題と、具体的な定数の減、あるいは、ものづくりコンテストへの応援というようなことについて、どういうお考えでしょうか。
○山際都立高校改革推進担当部長 工業高校の現状、課題ということで、工業高校に学ぶ生徒の中で、基礎学力に欠け、あるいは目的意識を持たない生徒が入ってきているというふうな状況があるということについてはご指摘のとおりでございます。私ども、今、都立高校改革を推進しておりまして、その中で工業高校に関しましては、大学進学にも対応し、スペシャリストを育成する新しいタイプの工業高校として、この四月に科学技術高校を開校し、あわせて専攻科の設置も行ったところでございます。また、単位制の工業高校や、地域との連携に基づく物づくりを通じた教育に取り組む新たなタイプの工業高校の設置も計画をしているところでございます。
物づくり大会でしょうか、そうしたところへの支援などについてお話がございましたが、工業高校に係る諸課題については、産業界の求める人材の育成なども含めまして、都立高校改革における今後の課題として取り組んでまいりたいと考えております。
○和田委員 ものづくりコンテストですから、大会ではなくて。済みません、その言葉はコンテストというふうに。
次に入ります。ISOの都立高校への導入の問題です。都立高校によっては、随分ISOの一四〇〇一にほぼ匹敵するぐらい、学校の中の廃棄物を整理整とんしてやっている学校もあるようです。そういう学校の激励も含め、ISOの導入ということを真剣に考えていくべきではないのかなというふうに思いますので、一点、これについては環境問題も含めて、廃棄物対策も含めて、都立高校が先鞭をつけるべきだという点でお答えをいただきたいと思います。
○神山学務部長 都立高校にISO一四〇〇一を導入する件でございますけれども、現在、委員ご指摘のように、各学校では廃棄物の減量に積極的に取り組んでいるところでありまして、都教委としてもリサイクルモデル校、リサイクル推進校を指定いたしまして、学校の廃棄物の減量活動を通して環境教育の普及啓発を図っているところでございます。
都立高校におけるISOの認証取得につきましては、検討すべき課題も多くございまして、現時点では難しいと考えておりますが、さまざまな見地から研究してまいりたいと思います。
○和田委員 次に移ります。注意欠陥多動性障害、ADHDに関連して二問一遍にお伺いしますので、お答えください。
厚生委員会に所属しているときに、この問題は梅ヶ丘病院の視察も含め、具体的に病理的には質問させていただきました。しかし、教育現場ではどういうふうにこのADHD、注意欠陥多動性障害が受けとめられているのか。当面の教員に対する研修、あるいはこのような対象となる子どもたちの教育相談はどういうところで具体的に行われているのか、この二点を一遍にお答えいただきたいと思います。
○斎藤指導部長 教員に対するまず研修でございますが、注意欠陥多動性障害の子どもたちにつきましては、学習上の課題あるいは行動上の問題がございますことから、通常の学級の担任が個に応じた適切な指導ができるよう、平成七年度より講習会を公立の幼稚園、小中学校、都立学校の教員を対象に開催してまいりました。本年、平成十三年度は、二つの会場におきまして通常の学級での指導や保護者との連携などの研修を行う予定でございます。
それから、このような子どもたちへの教育相談はどのようにというご質問でございますが、子どもたちへの教育相談につきましては、学習指導や生活指導上の諸問題に関する相談がございまして、その解決に向けて、随時、区市町村教育委員会の相談所、東京都の教育相談センター等で行っておりまして、障害の状態等に応じた専門的な医療機関等への紹介もあわせて行っているところでございます。
○和田委員 次に、多摩地区のユース・プラザについて二問、また同じようにお伺いします。これは、かつて青年の家が廃止される際に利用者の青少年の人が随分と私どもに陳情に来られました。しかし、いろいろな事情を説明して、多摩地区のユース・プラザということでどうだろうかというようなことで、そういう形を通じて今回、資料要求もいたしましたけれども、十七年完成目標にして多摩地区は今動いているわけであります。
そこでお尋ねいたしますが、今これはPFI手法でやっているわけなんですが、八王子高陵の高等学校が想定されていますけれども、あそこには柔道場や剣道場、武道館があるわけでありますけれども、そこを残すようなことが可能なのかどうなのか。私の記憶では十四年ぐらいしかたっていないはずですから、十分使用に耐えると思っているんですが、一点目の質問です。
二点目は、多摩ユース・プラザは自然には恵まれていますけれども、高尾山のふもとということもあって、相当地の利が悪いように思われるんですが、そのようなことをどのように克服されようとしているのか、以上、二点お尋ねいたします。
○千葉局務担当部長 一点目、剣道、柔道などの武道施設のことでございます。多摩地域ユース・プラザにつきましては、今先生からもご指摘のように、既存の八王子高陵高校、この施設を活用しながら新しい形でのユース・プラザ、青年のための施設、これをつくっていきたい、このように考えております。
したがいまして、この施設をつくるのに当たりましては、このユース・プラザという言葉のように青少年がそこに集い、交流することによって、より自立的に、そしてまた活性的に、そういうような青年として伸びていく、そういうことが大きな目標でございます。
なおかつ、この高陵高校を使うということですから、当然にそのような目標を達成するように施設を有効に使ってまいりたい。そのようなことを考えますと、第一に、武道といったものは、これはやはり青少年の心と体の鍛錬をするのに極めて有用な機能ではないかということ。そしてまた、八王子高陵高校の現在の施設に柔道場、剣道場、合わせまして約七百平米余の施設がございます。これはやはり使っていこうと。これは、当然に施設を効率的、合理的に運営するというもう一つの大きな目標、課題もあるわけですから、これらのことを考えあわせながら、八王子高陵高校の現在の武道施設については、その機能を生かす方向で検討を進めてまいりたい、このように考えております。それが第一点目でございます。
第二点目、多摩地域ユース・プラザの立地といたしましたこの八王子高陵高校、高尾駅からバスで大体十五分ぐらいの立地でございます。どうしても立地的に恵まれているとはなかなかいいがたい。ここをどのようにしたら人々が多く集い、にぎわいがある、そういう施設にしていけるのか、こういうご指摘であろうと思います。
三点ほど考えております。一つは、現在の青年の家、これにつきましては条例で利用対象、団体といいましょうか、利用される方については六人以上の団体と、こういうような制限がございます。確かに、青少年が団体生活を通じて自立性あるいは社会性を獲得する、極めて重要なことではありますけれども、施設がにぎわい、その中でそういう目標を達成するというのは、もっとより多くの人がいろいろ来て交わる、そういうことも大切なんではないか。そういうことで、一点目は対象者の拡大を図ったらどうであろうか。つまり、六人以上の団体と規定するんではなくて、もちろん青少年の団体ということは第一目標ではありますけれども、施設の有効活用ということも含めますと、個人や家族での利用、こういったことも十分に考えられるんではないか、それが一点目でございます。
それから、二点目、自立的な活動と申しました。現在の青年の家というのは、そこにある種の目的を持った、そこで例えば音楽の合宿をしようであろうとか、スポーツの合宿をしようとか、そういう目的を持って行くわけでありまして、施設そのものはややもすると、一部主催事業は行いますが、受動的な施設の提供でございました。これからは、その施設で提供するプログラムをあらかじめ用意する。そこへ行き、あそこへ行けばこんなプログラムが用意されている。既にこの委員会でも論議されているところでありますが、ユース・プラザ、二つつくります。区部はスポーツ型、そして八王子のこの高陵高校は六万五千の敷地の中に二万三千ぐらいの山林も抱えている。そういうことで、野外体験型。そうすると、ここへ来ればキャンプ体験のプログラムがあるよとか、そういった一つのメニューを用意して魅力的な施設であることをアピールしていく、これが二つ目でございます。
それから、三点目はPFIというご指摘がございました。そういったことも念頭に置きながら考えてみたいと思っております。申し上げたいことは、このユース・プラザあるいは現在の青年の家自体の利用なんですけれども、どうもやはり大学生のサークルの方が一番多い。そうなりますと、休みの日ですとか、あるいは春休み、夏休み、こういったときには利用が極めて多い状態でございます。抽せんをしなければならない、そのような状態なんですけれども、平日については従いましてかなり利用率が低い。そういたしますと、そこら辺につきましては、現在の条例ではそこら辺の差別といいますか、区別といいますか、なかなかそういう仕組みができておりません。これは、通常のホテルなんかですと、当然にシーズンオフにはいろいろな工夫をして人を集める。
そんなことを考えますと、平日の利用といったときに、このPFIならでは、つまり民間のノウハウなどを活用して、割引であるとか割り増しであるとか、あるいは今二番目に申しました、用意するものをプログラム、パックにして売り出すといったら変ですけれども、そんなようなこともPFIならでは考えられるんではないか。
それから、また施設がかなり大きくなるわけでございます。現在一万四千平米、八王子高陵高校、あります。そういったところでいろいろな工夫をして、例えば養護学校等の、これから総合的な学習の時間も始まるわけですから、そういうさまざまな課外活動にも使っていただく、そんな幾つかの工夫をしながら、そしてご指摘のPFIという民間のノウハウをでき得る限り活用して、ユース・プラザが発展し、若者でにぎわうような施設づくりをしていきたい、このように考えております。
○和田委員 慌ただしく聞きまして、最後の質問にしたいと思うんですが。外部指導員の問題です。資料要求もさせていただきましたが、平成十三年度の文化部の活動のアドバイザーの実施状況で百十八校、百八十九人で、延べ生徒の数が一万四千人。それから、運動部になると百六十校で、指導員の数は二百七十八人、時間数にして五万時間という形で高校に民間の方が茶道から、あるいは箏曲から、手話から、パソコンから、将棋から、あるいは剣道、バレー、野球、テニス、サッカー、いろいろなものが出入りをして開かれた高校が少なくとも十二年、十三年度はできたと思っているんです。
その十二年度のいわゆる一つの成果、それをどのように実績としてされているのか。あるいは、これからまた国の緊急雇用対策が一年延期されると私、聞いているんですけれども、これに向けてどのような対策をお考えなのか、この二問、一緒にお答えいただければと思います。
○桜井体育部長 まず、運動部活動でございますが、学校の教育活動の一環として位置づけられておりまして、教育的意義は極めて高いものと私ども認識してございます。ただいま、委員からのご質問、国からの緊急雇用特別交付金に基づきます都立高等学校部活動アドバイザーの事業の一環として行われているものでございます。平成十二年度の結果を見てというお話がありました。
昨年の実績を剣道部関係についてアンケートをとりました結果、導入校におきましては部活動の運営が活発化した、あるいは生徒の技術指導に役立った、顧問の技術向上につながったというような結果が得られております。また、指導員として派遣されましたアドバイザーからの回答からは、生徒の技術が上達した、生徒が主体的に部活動の運営をするようになったというような好結果が得られております。また、他の運動部からも、実施校の校長、教頭からも、剣道部と同様の成果があった旨の報告を受けているところでございます。
また、ただいま十二年度、十三年度で事業終了と私ども考えていたところでございますが、委員からの今の情報では、来年度も継続される可能性があるというお話を承りました。この問題につきまして、ぜひ、都立高校に部活動アドバイザーを派遣する事業につきましては、運動部活動推進充実に大きな成果を上げるものと認識しております。もし、来年以降もこの事業が継続するようなことになりましたらば、予算規模に応じまして、各学校の実態や要望にこたえながら発展的に事業を展開してまいりたいと思っております。
特に、運動部実績のあります運動部活動推進重点校、あるいは運動部活動の振興によりまして活性化させたい学校等があります。さらに、合同部活動実践校など、各学校の実態や要望に応じまして部活動アドバイザーを重点的に派遣するなど、事業の特色化を図ってまいりたいと考えております。
○石川委員 それじゃ、私からは都立高校改革に関連して進学進路指導について若干お伺いをさせていただきたいと思います。平成九年から始まりました都立高校改革、五年目に入りまして新しい高校の誕生、また工業、商業高校の教育のあり方の変化等々、さまざまな成果を都民が目の当たりにするようになりまして、今多くの都民が都立高校に新たな期待を大きく持っているという時期ではないだろうかと、こんな気がいたしてなりません。今後のさらなる都立高校の改革に向けて、多くの都民の協力、賛同を得るためにも若干質問させていただきたいと思います。
先ほど来、進学指導重点校四校の指定の問題が論じられておりますけれども、私も率直に申し上げれば、なぜこの四校だけが今になってと、こういう感が否めません。第二次高校改革実施計画がございますけれども、その実施計画に入っていない普通高校も実はたくさんあるわけであります。したがって、私はこの統廃合が考えられていない普通高校が将来どういうふうになるんだということが一体的に発表されるんであれば、この進学指導校四校の指定も私は納得できます。なぜこの四校だけが唐突にさまざまな恩恵を受けられる高校になったんですか、こんな素朴な疑問、率直な声も聞いております。私の学校は統廃合にもならない、また、普通高校で頑張ってきた学校なのに、今後どうなるんだろうか、こういう声も聞いているわけであります。
実は、数日前に十四年度の教育庁の重点政策を伺った際に、いわゆる既設校の改革というテーマが出てきているんですね。新たにその一項目として進学指導学校を指定すると。私は、やはり残された、いわゆるこの第二次実施計画に含まれていない普通高校の改革もこうしますよというメニューを一緒に発表すべきじゃなかったんだろうか、なぜそれができなかったんだろうかということをまず一点伺いたいと思います。
○山際都立高校改革推進担当部長 既設校の改革についてお尋ねでございますが、進学指導重点校、これについても既設校の一つということで、私ども、既設校のいろいろな見直しをし、そしてその改善の方向性を検討しているところでございます。そういうことで、先ほどご質問がございましたけれども、来年の入試に当たって、こういう施策、取り組みをするんだと、都民のニーズに対してこういうようなものをするんだということを明らかにした。あるいは、来年度いろいろな準備があるということで、この時期に決定をしたものでございます。
他の既設校について、例えば指導困難な学校がございます。あるいは、先ほどご指摘がございましたとおり、専門高校にもいろいろな課題がございます。それらにつきましては、現在検討委員会を立ち上げ中でございまして、検討委員会の報告を待って明らかにしたいというふうに考えております。
○石川委員 決して進学指導校として四校を指定したことを私は否定するつもりはありませんし、より早く都立高校から、いわゆる有名大学と呼ばれるところへ多くの卒業生を出したいという気持ちも否定するつもりもありません。
しかし、線引きをしたわけですから、当然、線引きすれすれの学校にしてみれば、本当にこれまで一生懸命努力してきたのに、何で四校で終わってしまったんだろうと。もう二校ふやしてもらえばうちが入ったのにという気持ちが残ることも事実だろうと私は思います。今後、この第二次実施計画に含まれていない普通高校の改革に取り組みますというお話もございました。いろいろな課題があるんでしょう、進学の問題を抱えている高校もありますから、これをどうするかということも重大な課題でありますけれども。
この重点校を立ち上げて、その成果を三年間で一回検証して、それらのノウハウをその次なる高校へ反映させていきたいというスケジュールですけれども、実は、この重点政策を見ますと、高校改革の中に〔2〕のエという項目で、当初、平成九年に改革推進計画を策定した時期よりも生徒数が減らないんで、適正配置を見直すこともあり得るということが書いてありますね。そうすると、普通高校の位置づけというのは非常に私は大事になってくるんだろうと思うんです。今までのところ、都教委がみずからラベルを張っちゃったわけです。ラベルを張っちゃった。そうすると、残された普通高校は今後は都教委の支援を受けながら努力していくのか、あるいはまずもって学校側が努力して都教委に認めてもらわなきゃならないのか、この辺はどんな順番になってくるんですか。
○山際都立高校改革推進担当部長 理事が今ご指摘の、進学指導重点校はラベルを張ったというようなお話でございますが、私どもとしましては三年間という限られた期間に進学実績をただ理念ということじゃなくて、現実に結果を出すという姿勢でこの施策に取り組んでいるところでございます。そのために、進学実績を成果を出し、そしてその成果を他の高校に提供することができる学校、そういう要件を備えた学校を今回四校、選定したところでございます。したがって、仮にその四校のうち、その成果の期待ができない、あるいは先ほど境界線というふうにお話が出ましたけれども、自分の学校がそういうことをやってみたいということは、そういう学校があれば、当然四校についても増減の余地はあるわけでございます。
いずれにいたしましても、今回は、東京都教育委員会が支援策をとる、そして、他校に対してその成果を提供する、それによって都立高校全体の進学対策に対するレベルアップを図る、そういうことで私どもはこの施策に取り組んだところでございます。
○石川委員 なぜ今年度になってしまったのかということなんですけれども、九年度から改革が始まったわけですね。たしか十二年度からですか、学区制の廃止を、削減していきましたよね。そうした試行があって、学区制を外して、それぞれの高校の努力をこの三年間見きわめてきて、あるいは高校の体制を見きわめてきて、とりあえず本年度は四校の指定、こういう作業になったんですか。ちょっとこの辺の経緯を教えてください。
○山際都立高校改革推進担当部長 進学対策については、都民の大きな期待のところでございますし、なおかつ都立高校に学ぶ生徒あるいは保護者、そして中学校や小学校に学ぶ生徒や保護者にとっても大きく期待するところではないかというふうに考えております。しかしながら、都立高校改革の中で進学対策の充実を一つの施策として展開してきたところでございますが、必ずしもその成果が十分に上がっていない。そういう状況を踏まえた上で、できるだけ早く進学実績の向上を図るということで、今回の施策に取り組んだところでございます。
○石川委員 指定したことについては私も評価しますよ。決して批判するつもりはありません。ただ、その過程が多くの都立高校関係者にとって、また父母の皆さんにとっても、なぜいきなり四校なんだろう、じゃ、その四校は何の努力をしてきたんだ。この辺が見えないだけに、じゃ、今通っている普通高校はどうなっていくんだろう、進学重視で持っていってくれるんだろうか、あるいは就職の方の学校になってくるんだろうか。もちろんこれから高校へ進ませようと、都立高校へ進ませようという家庭にとっても大いな不安になっているわけですよね。ですから、既設の第二次実績計画に入っていない、統廃合にならない、いわゆるこのままの形でいきますよという普通高校の改革の努力目標あるいは改革計画が一緒に発表されるんであれば、この問題もすうっと私は都民の間に入っていったんだろうと思います。いずれにいたしましても、四校指定いたしました。三年間で実施して、よりよい普通高校をつくり上げようという努力に対しては大きく評価を申し上げるところでございます。
そこで、この四校の具体的な取り組みについてお伺いをしてみたいと思うんですが、この四校、かつては日本を代表する進学校でありましたけれども、現状では進学実績で私立高校に大きく水をあけられているわけでありますが、こうした低落の原因をまずどのように考えておりますか。
○山際都立高校改革推進担当部長 低落の原因ということでございます。都立高校におきまして、教育過程の編成あるいは補習、補講の実施、進学指導にかかわる指導力の育成などについて大学進学を意識した取り組みが、これまで必ずしも十分でなかったというところが低落の原因だろうというふうに受けとめております。
○石川委員 いわゆる難関大学、この受験指導に関して都立高校の先生、教員は十分な指導力を持っているのか、また、教員の進学指導に関する現状について伺います。あわせて、教員の指導力の向上のために都教委としてどのような対応策をとっていくのか伺います。
○山際都立高校改革推進担当部長 教員の進学指導に関する現状、そして教員の指導力の向上の関係のお尋ねでございます。都立高校におきましても、難関大学の受験指導に関しまして十分な指導力を持つ教員もおりますが、受験指導に際立った、すぐれた技量を持つ教員が、退職等によりまして、かつてと比べますと少なくなっている状況がございます。都教育委員会では、今年度から試行といたしまして、教員の教科指導、学習指導の資質向上を目指しまして国立大学附属高校への教員の長期派遣研修、これは五名でございますが、実施しているところでございます。また、十月中には試行的に進学対策の教科研修の実施を予定しております。百人募集したところ、二百五十人を超える応募があったと聞いております。こうした取り組みを通じまして、教員の指導力向上を図ってまいります。
○石川委員 去る四日に発表されました進学指導対応教員の公募制のねらいについて。さらに、この公募制の実施によって進学指導の実績向上に関してどのような効果が期待できると踏んでいますか。
○中村人事部長 理事ご指摘の教員公募選考制度でございますけれども、限られた人材を適所に配属したいということで、これを有効に活用して人事面から特色ある学校づくりを支援するために導入した制度でございます。従前の、今までの人事管理では、必ずしも教員の力量、特に進学指導ということは把握できない状況も片方でございます。ということで、この人材を積極的に活用していくべく、今回は進学指導に意欲と実績のある教員を全都立学校から公募して進学指導重点校に配置したいと、こういうふうに考えております。
この措置によりまして、他の支援策とも相まちまして、四校において進学指導体制の充実が図られ、結果的に進学実績の向上が期待できると、こういうふうに考えております。
○石川委員 教員の公募制のほかに、この進学重点校に指定された学校に対する進学実績向上のための支援策としてはどのようなものがありますか。
○山際都立高校改革推進担当部長 支援策といたしましては、進学を重視した教育課程編成への支援、これは進学に取り組んでいる高校の先進的な事例の情報の提供などでございますが、そうした支援や、あるいは土曜日、日曜日の講習を充実させるために必要な措置等を講じて、四校への支援を行ってまいります。
○石川委員 補習等を考えるということですけれど、それでは現状、指定された四校における土曜日の補習及び長期休業中の講習の実施状況はどうなっていますか。
○山際都立高校改革推進担当部長 土曜日及び長期休業中の補習や講習の実施状況でございます。土曜日の補習につきましては、八王子東高等学校で本年度より試行的に実施しております。これは、毎月第二、第四の土曜日午前中でございます。また、日比谷高校におきましても、PTAあるいは同窓会の協力によりまして土曜日の学習指導を行っているところでございます。また、夏季休業中でございますが、これについては四校ともに講習を実施している状況でございます。
○石川委員 この補習や講習というのは大分経費がかかるんですか。その辺の現状をちょっと教えてください。
○山際都立高校改革推進担当部長 講習や補習の経費についてでございますが、この経費に関しましては受益者負担が原則となるところでございますが、現状では生徒が使用する教材費等の経費が対象になるところでございます。なお、現在、試行的に八王子東高校で実施しておるところでございますが、ここでは個人負担はかかっておりません。
○石川委員 受益者負担で教材費。しかし、現実に補習に当たる先生については、これはボランティアでいくのか、公費でいくのか、これはこの負担を求めるのはなかなか大変だろうと私は思います。したがって、いずれにいたしましても、やはり進学校に、いい成績を上げようということであれば、今の授業日数では足りないということはもう明白でありますから、今後、補習の実施や、あるいは長期休暇中の講習等については東京都教育委員会が全面的にやりなさい--これは十分検討していただきたいと思いますけど、やはり通う父母のPTAの皆さんのご理解、ご協力をいただかなければならない私は事業だと思うんですけれども、その辺についてはいかがでしょうか。
○山際都立高校改革推進担当部長 補習の参加については、生徒の希望を前提とする、自由参加というものでございますが、生徒の希望する大学進学を実現させる上でも、実現に当たりましては、各学校におきまして保護者あるいは生徒の要望をよく聞き、充実する方向で対応していく必要があるというふうに考えております。
○石川委員 都立高校には、まだまだ閉鎖的な体質が残っておりまして、組織的な対応が十分でないなど、さまざまな課題があります。しかし、保護者、生徒の立場に立った取り組みを通して学校の活性化に努め、魅力ある高校づくりを行うことが都民の都立高校に対する期待にこたえるものに私はなってくると思います。今回の施策を単なるかけ声として終わらせることなく、腰を据え、きちっと結果を出すよう強く期待をいたしまして、次に進路対策の一環でちょっとお伺いしたいと思います。
平成十二年度からインターンシップが都立高校でも行われるようになりまして、今大変一生懸命な学校とそうでない学校に差が出てきたという感じがしております。熱血先生がいらっしゃって、この制度を活用されて、本当に子どもたちに、専門の皆さんあるいは芸術を通したさまざまな皆さんを学校へ招いて、話し合ったり、あるいは実際に技術を教えてもらったりして、新たな感動を覚えている生徒さんもたくさん出てきましたし、またそれによって自分の進路がきちっと見えてくる子どもさんたちがふえてきたということを、実は私は練馬の何校かの高等学校で教えていただきまして大変感銘したわけであります。
そこで、都立高校においてインターンシップを推進することは、望ましい勤労観や職業観を育成する上で極めて大切であります。その際、地域の企業と連携し、協力関係を築くことが重要であります。そこで、これまでどれぐらいの都立高校がインターンシップを実施しているのか、また都教委としてはどのような支援をしているのか、ご説明をしてください。
○斎藤指導部長 インターンシップの実施校でございますが、平成十二年度、二十六校でございます。平成十三年度は、実施済みの学校とこれから実施予定と合わせまして五十四校ございます。都教育委員会は、学校がインターンシップを実施する際のガイドラインや生徒の受け入れにかかわる企業向けのリーフレットの作成を行いまして、学校が地域の企業や、あるいは関係機関等と連携が十分できるように支援しております。今後ともこの支援に向けて取り組んでまいりますが、実施校数がさらにふえるよう具体的にさらに充実してまいりたいと思っております。
○石川委員 まさに地域の、あるいは社会全体の専門家など有為な人材を講師として学校に招き、先ほどもお話ししましたように、ディスカッションやあるいは技術指導を受けることによって、高校生の社会を見る視野を広げる上で極めて有効な、私は施策だと思います。そこで、このような地域の人材活用について、都立高校の現状はどうなっているのかお伺いいたしまして、質問を終わります。
○斎藤指導部長 東京都教育委員会では、市民講師制度によりまして専門教育の充実のために社会人講師を活用しております。陶芸家、税理士など五十三校の都立高校で合わせて二百七十二人を任用しております。また、学校における進路指導の充実のために地元の企業経営者、グラフィックデザイナー、地域の病院の看護婦長さんなどを講師に活用するなど支援をしております。今後とも高校生の社会性を高めるよう地域の人材を活用し、各学校の教育活動の充実を図ってまいります。
○野島委員 エアハンマーも鳴って、せかされるような気もいたしますが、簡潔にお尋ねを申し上げたいと思います。私は二点にわたってお尋ねをいたします。一つは、資料要求しました国旗、国歌の件でございます。あと一つは、特に資料要求はしておりませんけれども、教育目標と学校施設整備がどんなかかわりを持ちながら、東京都教育委員会として進めてもらえるのか、この二点でございます。
まず一点目の国旗、国歌の件、資料をありがとうございました。ずっと拝見いたしまして、裏をめくりまして、大体相場としては我が市がどうなのかなというところが相場でありますので、ずっと見ていって、あれっというのが正直なところ実感でございます。そこで、国旗及び国歌に関する法律というのが、たしか平成十一年八月に成立したというふうに記憶しております。教育の現場におきまして、国旗、国歌をどう取り扱うか、こういうことについてはいろいろ議論のあったところでありますし、私の知る限り、新聞報道等で知る限りは、この法律の制定の背景にあったのは広島県の世羅高等学校ですか、ちょっと正式な名称を失念してますけれども、あの校長先生の痛ましい事件があった。あるいは、それ以外にも新聞報道等で埼玉県の県立高校あるいは都内の国立市の学校での、この件をめぐるさまざまな事象が発生したというふうに認識いたしております。
いただいた資料は、実は平成十二年、十三年ですから、ことしの三月の卒業式と四月の入学式と、要は法が制定された、要するに実定法となったという私、概念を持っているんですが、それ以降のことですから、それ以前との比較はこの資料からうかがい知れないわけでありますけれども、私が新聞で、あるいは各種の報道等で知る限りでは、この法制化が国旗の掲揚率あるいは国歌の斉唱率に大変大きな契機になった、こんなふうに認識をしているんですが、いただきました実施のこの状況を踏まえまして、従前の資料はありませんけれども、私自身は大きな契機になっているなというふうに認識しておりますので、その辺の教育委員会の認識について、まず一点お伺いしたいと思います。
○斎藤指導部長 都教育委員会は、法制化以前にも公立学校における国旗及び国歌に関する指導につきましては、学習指導要領に基づき指導してまいりました。都立高等学校は、国歌の斉唱が全国的に見て極めて当時低かったため、特に平成十一年度以降、教育課程の編成実施の適正化、組織的な学校運営についての努力が重ねられました。その結果としまして、平成十一年度の卒業式から国旗掲揚及び国歌斉唱の実施率が大幅に向上しました。
平成十三年度の入学式におきましては、中学校、高等学校、盲・聾・養護学校におきまして国旗掲揚及び国歌斉唱が適正に実施されましたが、先ほどお話があったように一部の小学校で国歌の斉唱が未実施のような状況でございます。
○野島委員 今のお話、答弁をお聞きしまして、キーワードが幾つかあると思うんですね。私は、大きな契機になったのではないかなというご質問を申し上げました。それは、従前のパーセンテージがここに出ておりませんけれども、私の認識はそういうことだった。と同時に、答弁の中で大幅に増加をしましたよ、こういうことですね。それから、一つは法制化以前にも学習指導要領に基づきと、これが大きなキーワードだというふうに思ってございます。
実は、この国旗、国歌の扱いにつきましては、これに消極的な立場といいましょうか、そうすべきでない、こういう立場の人の基本的なスタンスは、実は最初は法に定めがないからという、こういうことだというふうに私は私の活動の中で認識をしているんですよ。私は、これ、実定法ではなかったけれども、慣習法と認められる程度に国旗、国歌というのは、日本もそうですけれども、国際社会で認められていたと思ってるんですね。そこで、そういう意味でいけば、私はこの慣習法を当然のことながらやっていくということがあるからこそ、実定法がなくてもこういう憲法を頂点とする教育基本法、教育諸法令の中で、学習指導要領の中で、ちゃんと国旗、国歌というものはやっていきなさいよと、こういう判断だったと思うんですね。
学習指導要領の法規制、いわゆる法規であるのか、あるいは法的拘束力があるのかと、この辺の議論は私はある種の広い意味でもっての規範性というのかな、法律用語が適切でなかったら申しわけないですが、規範性があると思っているんですね。そういう意味で、私は逆にいうと、そういうことがあったから法制定前からもやってきたと、こういうことだと思うんですね。
そこでお伺いをいたしますけれども、今後、未実施校もあるわけでありますけれども、指導理念は法制化された後も前も一緒なのか、この辺のところをお伺いしておきたいと思います。
○斎藤指導部長 指導理念ということで申し上げれば、前も後も同じでございます。学校における国旗及び国歌の指導につきましては、児童生徒に我が国の国旗と国歌の意義を理解させ、これを尊重する態度を育てるとともに、諸外国の国旗と国歌も同様に尊重する態度を育てるために学習指導要領に基づいて実施しているということでございます。
○野島委員 ありがとうございました。そういう意味では、私は教育諸法令の中で学習指導要領が適切に指導されているということを確かに確認いたしました。それでもって、実定法化されたことによって、それが大きく前進した。と同時に、教育委員会の今までのご努力にも心から敬意を表したいと思っております。
そこで、実は今度は--これはだれがいっているとか何とかじゃないですよ、私のとらえ方ですから。今度は反対する人たちが何といい始めたかといいますと、国旗は侵略のシンボルだと。したがって、そういうものを教育現場に持ち込むことは望ましくない、こういう意見もあるわけですね。あるいはまた、国歌は天皇賛美、天皇崇拝だと。
しかし、私は、先ほど服部副委員長さんからもご議論がありましたように、それぞれが歴史観を持っているのは、それは当然だと思うんですね。昨日も我が自由民主党の小泉総理が韓国へ、あるいはまた中国へ行ってきましたけど、歴史認識を同一化するというのは、私はそれは至難のわざだと思うんですね。それぞれの国家がそれぞれの形成過程の中でさまざまなことがあった、これは事実ですよ。しかし、将来に向かってどうするかという視点がなければいけないと思うんですね。いたずらに自虐史観をあおって、侵略のシンボルだからやめようと、こういうことは私は正しくないというふうに認識しております。
それで、実は今、世界に国の数、どのぐらいあるか私、よくわからないんです。たしかソ連邦が崩壊する前には百六十幾つとかいっていましたから、ソ連邦が崩壊しまして、崩壊というと悪いですね、解散でもないけど、崩壊なんでしょうな。たくさん国がふえましたね。私は、ソ連邦崩壊の時点で、恐らく国旗が全く無傷で、血塗られてなんていうと語弊がありますけれども、侵略もしたこともなければ侵略されたこともない、あるいはその国旗を持って他国をたたいたこともなければ他国からたたかれたこともない国というのは、たしか十本の指までいかないんですよね。それほどいろいろな歴史がありますからね。私は、法制化されたから国旗を揚げるんですよ、国歌を斉唱するんですよというレベルじゃなくて、先ほど指導部長がおっしゃったように、なぜ必要なのか、この教育が必要だと思うんですね。
実は、国旗の掲揚というのは、これは日本語でいいますと掲げて揚げるんですよね。いいんです。いろいろな自治体でいろいろな事情がありますから、そのことを指導機関の東京都さん、教育委員会、何とかしろと、私はそういう立場には立っておりません。いろいろな事情があるから、それはそれでいいんですが、そういう儀式においてしかるべく国旗を掲揚し、国歌を斉唱するというのは、私は国粋主義だとか、あるいは天皇を賛美するということとは違うと思うんです。自分たちが教育を受けた喜び、そして卒業していく喜び、あるいはこれから学校に入って皆さんに歓迎をされながら、皆さんというのは保護者もあるし、学校の先生もいるし、広くは社会であり国家ですよ。それに対する私は感謝の気持ち、あるいはお願いしますという気持ちがやはりこういうふうに出ていかなきゃいけないと思うんですね。
よく学校現場へ行きますと、国旗、国歌は--あれも掲揚なんですな、こっちの方に置いてあるケース、結構あるんです。そこまでぐずぐずいうなというのはわかりますけどね。正面にはどおんと卒業生の皆さんがつくったモニュメントだとか、あるいは在校生が送るいろいろな、それはそれで僕、大変すばらしいことだと。と同時に、そういう部分とは離れて、やはり儀式の厳粛性とかそういうものをもっともっと私は教育の中で子どもたちに教えていかなきゃいけないだろうというふうに思うんですね。
学級崩壊という話もありました。あれは、子どもの権利の発露じゃないと思いますね、私は。自分の思うことを自分勝手にやってるだけなんですよ。やはり我慢することは我慢しますよと、あるいは感謝すべきところは感謝しますよと、そういうことだろうと思うんですね。したがって、こういう式典において、ぜひ国旗、国歌についてしかるべく、もっともっと--もっともっとって、ずっと一〇〇にはなっていますけれども、実態としてとか、そういうことは申し上げません。適切な形で行われるように、かつ、さっき指導部長の申した、本来そこにある背景は何なのか、そのことをもっともっと指導していただきたいと思うんですが、その辺、決意のほどだけお伺いいたしておきましょう。
○斎藤指導部長 まだ未実施の学校が若干ございます。それから、実施はしておりますけれども、その対応につきましては必ずしも十分ではないというような状況もございます。あわせまして、東京都教育委員会としまして、先ほど申し上げました趣旨から、学習指導要領に基づいて国旗、国歌の実施について指導してまいりたいと思います。
○野島委員 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。私は、私も人の子を持つ親でありますし、大きなことをいえるほど人間的に陶冶されてきた立場ではありませんけれども、少子化社会というのはどういうことかなと思うときに、家にいても少子ですから一人か二人でしょう、出生率で見るともっと、二軒集まってようやっと三人になるかどうかぐらいですから、家にいてもお客様、学校へ行ってもある種の護送船団の中でのお客様。
そうしますと、他人との距離感とか社会との距離感がわからないということが、私は今の子どもたちの一番大きな特性というのか、特にすぐれているということじゃなくて、私たちから見た部分なんですね。そういう意味では、こういういわゆる節目においてしかるべく社会、あるいは国家に感謝しろとはいいません。国家の構成員である多くの国民に感謝するとか、そういう気持ちを持っていくというように指導していただきたいというふうに思っております。そんなことで、本件につきましては終わりにさせていただきます。
次に、資料要求もしていなくて大変申しわけありませんけれども、いささか望洋とした話なんで、答弁のしづらい点は答弁は結構でございます。実は、先ほど環境教育という問題が出ました。そういう部分も含めて、あるいは学校の施設整備、こういったふうなものも含めて、そしてまた私が知る限りでは、教育委員会というのは財政自主権--財政権というのはないんですよね。財政調整権は持っているけど、財政権は持ってないんですかな。よくわかりません。その辺も少し教えてほしいんですけれども。
実は、少子化社会でありますから、子どもが少なくなった。当然のことながら、学校も児童数が少なくなる、こういうことになるかと思います。卑近な例ですけれども、私ども東久留米市という人口十一万ちょこちょこの市でありますけれども、昭和五十三年にピーク時に児童生徒数が一万三千ぐらいありました。現在は、恐らく半分を切っているのかなと思うんですね。先ほど、どの程度の集団が教育として適切なのか。四十人じゃなくて二十人学級、いや二十人だと集団教育の効果が上がらないから、それは二十五だとか、こういう議論はいろいろありますけど、全体として過少校が生じていることは事実だというふうに私は認識しているんですね。
教育効果という点から見て、どの程度の学校規模が適切なのか。これは、専ら各区市町村の設置主体でかつ教育の内容に責任を持つ教育委員会が考えるべきことだろうという大前提は理解をするにせよ、各市区町村教育委員会を指導する立場として、東京都教育委員会としてはどの程度の規模が、いわゆる教育の効果を上げていく母集団として適切なのか、こんなところをまずお聞かせをいただきたいと思います。
○神山学務部長 委員ご指摘のとおり、どの程度の規模の学校にするか、小中学校の規模にするかということにつきましては、設置者である区市町村において、それぞれ地域の実情に即して、地域の住民の理解と協力を得ながら決められるものと考えております。また、適正な規模については、特に都あるいは区市町村においてもそのような基準はないところでございまして、それぞれ義務教育の維持向上を図る上で、それぞれの設置者である区市町村の判断によっているところでございます。
○野島委員 ということで、国あたりはどういう見解を持っているんですかね。やはり同様ということなのか、一定程度の--国になりますと、地方に行けば学校に行くのにそこを統合されちゃうと半日がかりで行かなきゃいけないと、こういう事態も出てくるかと思うんですが、そういう特殊要因は除きまして、国あたりはどの程度のガイドラインというのか、考え方をお持ちなのか、その辺をお伺いします。
○神山学務部長 小中学校の標準規模に関する法令の中に、学校教育法施行規則第十七条、これは小学校、五十五条については中学校でございますけれども、それぞれ小中学校の学級数は十二学級以上十八学級以下を標準とすると。ただし、特別の事情があるときはこの限りではないと、こういうふうな規定になっております。
○野島委員 国のガイドラインにつきましてはわかりました。要は、地域の実情にあわせて最大限教育効果が発揮できるように、各設置主体で、当然のことながら教育委員会あるいは市民の皆さんにも意見を聞きながら、しかるべく方向が定まる、こういうことだろうというふうに認識してよろしいですか。--はい、わかりました。ただ、いずれにしましても、私は学校の統廃合というのは避けて通れない課題だと思うんですね。既に実施している区もあるし、私どもの近隣の市でも統廃合を実施しています。
そこで、実は学校施設の関係というのをいろいろ調べてみましたら、特に教育庁予算だから、それを当該各市町村に渡しますよという制度になっていないようですね。いわば各市町村がみずからの財源、もちろん一財もあるでしょうし、起債も起こすでしょうし、あるいは国からの補助が入りますね、ルールで。あとは、東京都の調整交付金だか振興交付金だか、名称はわかりませんけれども、そういうものも使いながらやっていくと、こういう形になっていますね。
経年劣化でかなり大規模改修の時点にもなったんですね。それから、例の阪神・淡路の関係で防災に強い学校づくりもしなさいよ、こういうこと。それから、今後は私は統廃合をやっていく中で、これからが先ほど申した環境との絡みなんですが、環境教育という視点から何点かお伺いしたいと思うんです。要は、国際化、情報化、少子高齢化、これを自治体を取り巻く三化けというふうにいっているそうでありますけれども、そういう中で、時代を見据えて国際化については外国人講師を登用というかな、外国人講師ってありますよね、あるいは、情報化ということでITの推進だとか、そういうハード、ソフトの関係をやってますよね。
その中で、実は先ほどの話にもかかわりますが、環境という部分で、先ほどどなたかが子どもは親の背中を見てしか育たないという発言をなさったやに記憶をしておりますが、私は教育というのはやはり体験という部分が相当多くなると思うんですね。字面で追っていてわかるのは、みんなわかっちゃうんですよ。じゃ、それが実際としてどうなのというのは、これは体験させるしかないんじゃないかなと思ったんですね。私は、これからの社会で環境教育の必要性、こんなことを大変強く思っておるんですが、現在、東京都教育委員会は、その環境教育は、環境学は大学とか専門に行けばあるでしょうけれども、小学校で環境というカリキュラムってないと思うんですね。あるいは、中学でもないと思うんです。それは、生物学であり、あるいはほかのいろいろな科目に入っていると思うんですけど、環境教育に対する現下の取り組みについてお尋ねをいたしたいと思います。
○斎藤指導部長 児童生徒に自然や環境の問題に関心を持たせまして、進んで自然保護とか環境保全に参加する態度を育てることは極めて重要でございます。今委員ご指摘のとおり、教科科目ではございませんけれども、それぞれの教科科目の中で環境問題については扱っておりまして、都教育委員会といたしましては、環境教育に関する指導資料等を作成しまして、子どもたちが環境問題に関心を持つように、あるいは実践的な態度が育つような、そういう支援を行っているところでございます。
○野島委員 ありがとうございました。僕は横文字は弱いんですが、エデュケーションというんですかな、教育は。あれは、引き出すというのが語源だそうですね、エデュケートというのは。そこで、私はさっき申し上げましたような体験の中で覚えていく、身につけていくというのが一番効果が高いと思うんですね。じゃ、その仕掛けをどうするのか、こういう形になると思うんですね。
実は、環境ということで幅広い話をしましたけれども、前回の文教委員会で、あれは調査事項でしたから、さらっと終わりましたけれども、太陽光を利用しましょうとか、中水を使って洗浄水にしましょう、あるいは、緑化はいいですね、緑化はこっちへ置いておきましょう。あるいは、そのときいったかどうかわかりませんけど、例えば学校の中で給食を食べますと残りますよね。それを堆肥化してもとに戻したらどうだ、いろいろな形があると思うんですね。
そこで、いわばそういうふうなことに対する、さっきいったように財源の問題からいけば、東京都は恐らくなかなかその辺の部分というのは持っていないのか、持たないのか知りませんが、そういう制度というのはどこかあるんですかというのが一点ですね。
それから、私、新聞で見たんですが、和歌山県のどこかで小学校か何かが全部太陽光発電パネルなんですね。そんなのを見たことがあるんです。したがって、国あるいは都道府県においてそういう助成制度があるのかどうか、そういうものを用いてそういう環境教育の先進的な取り組みをしているところがあるのかどうか、いわば制度論としてそういうものが可能なのかどうか、こんなところをひとつお尋ねをしたいと思います。
○松田施設部長 地球規模の環境問題が社会的に大きく取り上げられている現在、学校施設についても環境への負荷の低減に対応した施設づくりが求められているところでございます。そこで、国におきまして、環境を考慮した学校施設の整備を推進するために、これに関するパイロットモデル事業を実施しておりまして、これによって児童生徒の環境教育にも資するとしております。
具体的には、環境を考慮した学校施設の整備推進に関するパイロットモデル事業というのがございまして、これなどによって新増改築事業または大規模改造事業にあわせて実施する場合には、太陽光発電、雨水利用などの中水利用、生ごみ堆肥化施設などの整備に対し、補助がなされているところでございます。
○野島委員 ありがとうございました。国においてはそういう制度があるので、援用する気があれば各学校設置者が援用できる、こういう形になるわけですね。東京都は、特にそれに対して、じゃ、こうしましょうというのは、ここで聞いてもわからないですね、財政……。わかったら教えてほしいんですが、そういうものというのはあるんですか、現在。
○松田施設部長 東京都として、特に学校施設の環境に特化した助成金なり補助事業なりというのは現在は存在しておりません。
○野島委員 わかりました。ですから、私は国の補助裏を持ってくれとか、そういうことをいってるんじゃないんですよ。一つには、やはり各市町村が積極的に取り組まなきゃいけんというのが一つだと思うんですね。ただ、各市町村とも財政が厳しいから補助金をくれと、そんなことも私はいいません。やはり、その自治体みずから自立していく。そういうときに教育という視点、とりわけソフトという部分の、環境教育というソフトな部分から効果のある教育体系をつくっていこうと。であるならば、ハードはこうあるべき論だというふうな展開にしていきませんと、苦しいのはどこも一緒ですから。したがって、私はそういう環境行政における施設整備について、ぜひ教育委員会から熱いメッセージなり発信していただきまして、各市町村にインセンティブを与えてほしいと思います。
恐らく、発電は一般家庭でも二十年から二十五年スパンで考えてもペイしないはずですよ。要は、電力料を払うのと、施設整備で幾ら得して幾ら金がかかっているということになりますと。それから、中水利用もほとんどこれはないでしょう。緑化はそれぞれありますよね。私の頭も緑化しなきゃいけないんですが、(笑声)それはそっちに置いておきまして。
あと、残滓の処理なんかは、余り長々と話してもいけないですが、各市町村で取り組んでいますよ。だけど、あれ、むだ、無理ですよ。だって、高カロリーで塩分だとかいろいろ入っている残飯、残ったものを肥料化したって、コントロールできない、堆肥の品質が。だから、そういう部分はむしろ、学校にどんとつくったらば、子どもたちはちゃんと残さずに食べると、食べ物を大切にするというのを教える。残ったものは、これは堆肥化できるとかできないとか、それも覚える。と同時に、周辺の住宅の人がちゃんと分別して、そういうものは堆肥化できるからこっちに持ってきましょうと。それで、学校のプラントで堆肥化したやつを校庭にまいてもいいです。あるいは、周りの近所のところで利用してもらってもいいじゃないですか。開かれた学校ということが標語としてよくいわれていますけど、私はそういう仕組みづくりをしていきませんと、なかなか相互に理解した中で開かれた学校にはならないと、こんなふうに思っているんですね。
長々と話しましたけど、そろそろ終わりにいたします。そんなことで、本件につきましてはいささか提案的なお話になりまして、質疑になっているかどうか、いささかじくじたる思いはいたしておりますけれども、環境教育に取り組む、その中でどうソフトを、環境教育というソフトを立ち上げていくのか。あるいは、それに対するハードをどういうふうに呼び込んでいくのか。国レベル、あるいは教育委員会から熱いメッセージを発すれば、各自治体も一生懸命恐らく取り組んでくれるでしょうし、あるいは財政当局も東京発教育施設改革、こんなことでやっていただけるものと期待しております。今後のそういうふうなことに対する取り組みにつきまして、何か所見なり決意があれば最後にお聞かせいただいて終わりにしたいと思います。
○横山教育長 今るるお話を聞きまして、これまでの教育の中の一つの反省点というのを私自身考えた場合、やはり教室の中から外へ出ることが必要だろうと。そういう中で、先ほど来るるご議論ございましたが、まさに総合的な学習時間というのが来年から実施される中で、自然との触れ合いであるとか、そういう体験活動というのが教育については非常に効果的だと。今先生がるるおっしゃったように、環境という問題も単に教室の中で教科書で教えるんではなくて、外へ出て、それは学校の施設の問題しかり、あるいは給食の問題もしかりですが、そういった体験を通して教育をしていくと。
そういうことを考えますと、やはり学校だけで物を処すというのは非常に難しい面がある。やはり開かれた学校を通して、地域との関係の中でやっていく必要が今後とも教育には必要だろう。そういう方向に今後とも東京都の教育というのは持っていきたいと思っております。
○東委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
事務事業に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○東委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で教育庁関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後六時五十六分散会
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