文教委員会速記録第十四号

平成十三年十月十一日(木曜日)
午後一時三分開議
 出席委員 十四名
委員長東ひろたか君
副委員長福島 寿一君
副委員長服部ゆくお君
理事石川 芳昭君
理事遠藤  衛君
理事執印真智子君
後藤 雄一君
野上じゅん子君
小美濃安弘君
野島 善司君
曽根はじめ君
山本賢太郎君
比留間敏夫君
和田 宗春君

 欠席委員 なし

 出席説明員
大学管理本部本部長鎌形 満征君
管理部長二村 保宏君
調整担当部長中山 洋一君
改革推進担当部長佐藤  広君
生活文化局局長高橋 信行君
総務部長幸田 昭一君
男女平等参画担当部長高西 新子君
広報広聴部長浅井 憲彦君
都政情報担当部長村松  満君
文化振興部長三好 勝則君
都民協働部長中島 建夫君
交通安全対策担当部長宇波 興宣君
私学部長谷川 健次君
消費生活部長中澤 正明君
参事島田幸太郎君

本日の会議に付した事件
 大学管理本部関係
  事務事業について(質疑)
 生活文化局関係
  事務事業について(質疑)

○東委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、大学管理本部及び生活文化局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより大学管理本部関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○二村管理部長 去る九月十四日、当委員会におきましてご要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元の文教委員会資料をお開き願います。目次でございますが、ご要求のございました資料は、ごらんの五点でございます。
 一枚おめくりいただきまして、一ページでございます。
 都立の大学教員の営利企業への兼業状況でございます。兼業の種別ごとに、その教員数及び事業の内容を、平成十三年九月二十日時点でお示ししたものでございます。
 二ページをごらんください。
 都立の大学における発明の届け出状況でございます。これにつきまして、過去五年間を一覧にしたものでございます。各年度における職務発明等の帰属の件数を、東京都と発明者個人別に、また特許出願状況についてお示ししてございます。
 三ページをごらんください。
 都立の四大学別に、学生数、職員数、教員数、当初歳出予算額について、過去十年間の推移を一覧にしたものでございます。
 四ページをごらんください。
 このページから六ページまでは、本年七月に開かれました第一回東京都大学運営諮問会議に提出された、都立の大学改革における主要な検討事項についてと題する資料でございます。
 七ページをお開きください。
 都民カレッジ開講講座数、受講者数、補助金額の推移でございます。平成三年度から十三年度までの都民カレッジの開講講座数と受講者数を、都立大キャンパスと丸の内キャンパス別にお示しするとともに、各年度の補助金額を一覧にしたものでございます。
 以上、甚だ簡単でございますが、ご要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○東委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、事務事業に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○小美濃委員 それでは、何点か質問をさせていただきたいと存じます。
 主に学生が在学時に行う就業、職業体験について、お伺いをしたいと存じます。
 厚生労働省の調査によりますと、新卒者が就職してから一年以内に退職した割合を示すいわゆる離職率、これは平成十一年三月卒業の大卒者で一三・九%、短大新卒者で一七・三%に上っております。いずれも前年度に比べて約一%増加をしているわけでございます。就職後三年以内ですと、これが大卒で三割、短大卒で四割にもなるといわれているわけであります。離職率増加の背景には、雇用する側と、される側のイメージが、就職後に食い違う、いわゆる雇用のミスマッチ、こういったものもあると指摘をされているわけでございますが、こうした卒業後の早期退職を防止するために、都立の大学としてどのように取り組んでいらっしゃるのか、まずはお伺いをしたいと存じます。

○二村管理部長 就職しましてから転職することが、まだまだ困難な状況にあります。したがいまして、卒業に当たり、企業、学生双方等にとってふさわしい相手を見つけることは非常に重要なことであると、こういうふうに考えております。
 そのため、都立大学を例にとりますと、就職ガイダンスや模擬面接会などを実施するほか、就職相談員の配置や、あるいはインターネットの就職情報へのアクセスのためパソコンを設置するなど、その充実に努めているところでございます。
 また、大学の一部の学部では、カリキュラムの中で学生の職業体験であるインターンシップを単位として認めるなど、就職支援体制を強化しているところでございます。

○小美濃委員 ただいま、さまざまな取り組みがご紹介をされたわけでございますが、人材育成の核となる大学などにおける学生の就業体験、いわゆるインターンシップは、雇用のミスマッチを防ぐ有効な手段の一つだと一般的にいわれているわけであります。こうしたインターンシップの意義を大学当局としてはどう考えているのか、また全国の大学の普及状況についてお伺いをいたします。

○二村管理部長 まず、インターンシップの意義でございますが、学生側にとってみますと、自己の職業適正や将来設計について主体的に考える機会となり、また新たな学習意欲を喚起する契機ともなるものでございます。
 大学にとりましては、社会の実地の体験を結びつけることによりまして、大学の教育内容や教育方法の改善充実につながるものであります。
 企業にとりましては、インターンシップの経験により実践的な人材の育成が期待でき、また大学との連携を図ることにより新たな産業分野の動向を踏まえた産業界等のニーズを大学等に伝えることができまして、大学教育にこれを反映させていくことにつながるものであるというふうに考えております。
 全国の大学の実施状況でございますが、平成十年の百四十三校から、本年は三百校を超える勢いでございまして、半数近くの大学で実施予定でございます。

○小美濃委員 平成十年で百四十三校、また本年では三百校、半数を超えるということで、全国の大学の状況は、お示しのとおりお伺いをさせていただきました。
 それでは、都立の四大学でのインターンシップの取り組み状況はどうか、また課題があるとすればどのようなものなのか、これについてお伺いをさせていただきたいと存じます。

○二村管理部長 都立の大学のインターンシップの取り組み状況でございますが、都立大学の工学部におきましては、従来から学外実習の一環として行っておりましたけれども、平成十二年度から正規の授業科目として単位を付与しました。また、理学部におきましては、本年度から一部の学科が、来年度からは全学科で単位の付与が実施される予定でございます。全体では、平成十二年度は二十名の学生、十三年度は二十八名の学生が参加しております。
 また、科学技術大学におきましては、本年度より単位として認定し、十五名の学生が参加することになっております。
 課題といたしましては、これまで教員個人と企業とのつながりによって実施しておりましたけれども、今後は大学として窓口を一本化し、企業等との連携の強化や受け入れ企業の拡大などを行いまして、専門的知識がより生かせるような体制づくりが必要であるというふうに考えております。

○小美濃委員 今は企業のお話をお伺いをさせていただいたわけでございますが、企業だけではなくて、さまざまな公共団体、こういったところでも、インターンシップの学生を受け入れるようになってきたと聞いております。都庁でも、ことしから、たしか七月三十日から八月十日までの間ですが、インターンシップを行ったと聞いておりますけれども、その内容についてお伺いをしたいと存じます。
 また、その成果もあわせてお伺いをしたいと思います。

○二村管理部長 都庁のインターンシップでございますが、先生お話しのとおり七月三十日から八月十日まで実施されまして、受け入れ局は知事本部外十四局でございます。七大学から三十二名の学生が参加いたしました。そのうち、都立大学から十四名が参加しております。
 都庁インターンシップを実施した総務局では、実施に参加した学生や大学側の感想もおおむね良好で、来年度以降の継続を希望する声が多く聞かれたというところでございます。
 また、他大学からの受け入れの希望や問い合わせも多数寄せられておりまして、来年度は実習生の人員や実習期間について各局と十分に調整して、より一層充実した都庁インターンシップを実施したいとしているところでございます。

○小美濃委員 都庁もこういったインターンシップを行い、また各企業も、また各自治体も、さまざまな形でこういったインターンシップを取り入れていくというのは、大変結構なことであると評価をするわけであります。半面、こういったさまざまなところがインターンシップ制度を導入していきますと、共通ガイダンスがないために、戸惑う学生も多いんではなかろうかと、こういった声も聞かれるわけでございますが、そういった学生のための対応策は一体どうなっているのか、これについてお伺いをしたいと存じます。

○二村管理部長 共通のガイドラインがないために戸惑う学生も多いということから、制度の趣旨を生かす仕組みづくりの取り組みが、大学や企業で始まっております。
 関東の四十二大学では、本年五月に産・学・公が連携してインターンシップを進めるために、関東地域インターンシップ推進協議会を発足させたところでございます。都内の中小企業を中心に百十九社が協力会員となりまして、二百人から三百人の規模で学生を受け入れるということになっております。また、都立大学、都立科学技術大学が、発起人として参加もしているところでございます。
 協議会は、ホームページを開設し国や自治体による助成制度、大学のインターンシップの取り組み、受け入れ企業に関する情報などを一元的に提供することになっております。先進的な大学や企業の事例を紹介するほか産業界の意見を踏まえて、インターンシップを成功させるためのガイドラインをまとめることとしているところでございます。
 こうした取り組みに加えまして、個々の大学においてもインターンシップの経験を積み重ねることによりまして、大学独自のインターンシップが積極的に開拓されることを期待しているところでございます。

○小美濃委員 るるインターンシップについてのご説明をいただいたわけでございますが、おおむねインターンシップの意義は評価をいたすところであります。
 しかし、受け入れ先の企業などで、要するにそのインターンシップをする中で、必要と思う学生に早目に内定を出してしまうという、いわゆる社会問題にもなっております青田刈り、こういった側面も実はあるということが、実は批判になっているわけでありますが、これに対してはどのように認識し、また対応をされているのか、お伺いをいたします。

○二村管理部長 インターンシップの活用を含めました採用活動につきましては、現在、企業の裁量に任されておりますけれども、大学、企業双方とも産学協同の人材を目指すもので、採用活動とは連動しないというのが基本的なスタンスでございます。
 なお、企業と大学側で構成します就職採用情報交換連絡会議というのがございまして、十三年度におきましても、大学側が定めた、大学、短期大学、高等専門学校卒業予定者にかかわる就職について(申し合わせ)というのがございます。この大学側の申し合わせと、それから企業が定めました新規学卒者の採用選考に関する企業の倫理憲章、この大学側が定めました申し合わせと企業の倫理憲章をお互いに尊重しながら就職採用活動を進めていくことは、合意されたところでございます。
 とりわけ十三年度の企業の倫理憲章では、大学側が教育機能の低下を招くとして懸念を表明しておりました採用の早期化問題にこたえまして、採用選考活動早期開始の自粛という新たな一項目が追加されたところでございまして、こうした企業側の前向きな姿勢に、大学からは大きな期待が寄せられているところでございます。
 今後ともこうした会議や、先ほど申し上げましたインターンシップ推進協議会などにおきまして、都立の大学からも積極的に意見を提出しまして、企業等の協議の場などでインターンシップの趣旨が十分に生かされるよう働きかけてまいります。

○小美濃委員 公正なインターンシップ制度が、これからも行われるように願うばかりであります。
 このように、今ご説明がるるありましたが、インターンシップには、ある意味では、いい面、大変評価をできる面と、また、ある意味では大変心配な面もあるわけでございまして、そういったところを十分認識しなければならないわけでありますが、雇用慣行を取り巻く環境が今本当に急速に変わりつつある現在、インターンシップの円滑な推進が非常に重要である、私はそう考えておるわけであります。
 大学として今後一層努力をされるよう、最後に本部長にぜひ決意のほどをお伺いをいたしまして、質問を終わります。

○鎌形大学管理本部長 インターンシップは、先ほど来お話ありましたように、学生が就業体験を通じまして自分の職業適正、こういったものを認識することだとか、社会との結びつきを強めるといった面がある一方で、お話のように、優秀だという学生につきましては、早い段階で企業は取り込むという指摘もされているところでございます。
 このため、この制度の趣旨が十分に生かされるよう、大学における学生への進路指導をまず充実するということとともに、大学と企業等とが相互に理解を深める仕組みづくりだとか、学生を受け入れるに当たっての公平性や透明性を確保するためのルールづくりといったものを行っていくことが重要だというふうに考えております。
 今後とも広域的なインターンシップ協議会等も積極的に活用するなどいたしまして、就職におけるミスマッチをできるだけ解消し、今日の国際的な競争社会に適応できる人材の育成に努めてまいりたいと考えております。

○和田委員 昨今、余り日本にとっても世界にとってもいいニュースが伝わってきませんが、きのうからきょうにかけて、ノーベル化学賞を名古屋大学の野依教授が受賞されるという報道がされまして、日本の学力といいましょうか、そういうものが世界的に認められた、そういう喜びのニュースが広がっています。
 そういう中で、この野依教授というのは、今私がこれから質問しようとしている産・学・官の融合を日本で初めてノーベル化学賞に結びつけた方だというふうに思っています。例えば、報道するところによりますと、野依さんはメントールという分野で高砂香料というところと契約をしております。これは、ガムや歯磨き粉などの原料になって我々の日常生活にしっかり受け入れられている。
 もう一つ、医療分野では、高砂香料の同じような契約と、小野薬品工業と第一製薬ということで、それぞれ巨額な売上高を、産業に貢献をしているということが報道されております。
 このように、産・学・官が協同して、実利的に経済参加ができるようになったという背景には、私が聞き及んでいる限りでは、一橋大学の中谷巌教授がソニーという会社と社外重役の契約を結ぼうとしたところが、一橋大学の公務員であるということからそれが成らずに、中谷教授は一橋大学の職を辞して、現在は三和総研の理事長という形で、民間で活躍をされている経緯があります。
 しかし、中谷教授のこの問題提起は、いろんな世界に、分野に、波及をいたしまして、例えば産業技術力強化法の制定、あるいは大学等技術移転法というようなことにも生かされまして、急速に公立あるいは国立の学校にも産・学・官の協力体制というのが見事に花開き始めつつあります。その一つの例が、今ご紹介申し上げた野依教授の実績だと思うんです。
 私は、資料要求をさせていただいて、しからば我々の目の前にある都立大学は、どのように産・学・官の協力をしているのかなという数字をいただきました。すべていいばかりではありませんで、青色発光ダイオードの発明者の今話題になっているカリフォルニア大学のサンタバーバラ校の中村修二教授などは、徳島県にある企業を相手にして、特許権の今、係争中というふうに聞いております。
 したがいまして、このような知的所有権の問題も含めて、産・学・官が協力することを前提にしながらも、それぞれの権利というものを明確にしておかないと、後々に破綻を来すことにもなろうというふうに思いますので、そのことを含めて都立大学の現状における産・学・官の効用についてお尋ねをいたしたいと思います。
 さて、ここにも都立大学における発明の届け出状況というのが、平成九年度から十三年度まで四十八件、発明件数として出されております。職務発明等の帰属が、見事に東京都ではなくて全部これが個人に帰属をしているというふうになっておりますが、その経緯、いきさつについて、ご説明をいただきたいと思います。

○中山調整担当部長 都立の大学における発明の状況が、東京都ではなく個人にその帰属しておるということの経緯でございますけれども、東京都には、職員の発明等に関する規程ですとか、あるいは大学の教員の発明等に関する取扱規程、こういったものがございまして、その中におきまして、職務発明と勤務発明というふうな二つの概念に分けて、発明を取り扱ってございます。
 職務発明と申しますのは、東京都の特別な予算措置あるいは特別な設備等を利用しまして、応用開発を目的として特定の研究課題で研究をした場合に認定される発明の種類でございますけれども、この職務発明の場合には、原則として東京都の帰属というふうになってございます。
 それから、教員が通常の日常的な研究業務で生じた発明につきましては、これはいわゆる勤務発明と呼んでございますが、この勤務発明の場合には教員個人に帰属するということで、このような形で現在のところ勤務発明の方が中心になっている状況でございます。
 以上でございます。

○和田委員 そうすると、今、席上に配っていただいた、ここに書いてある職務発明等の帰属ということでありますから、まさに勤務じゃなくて職務だというふうな扱いですか。

○中山調整担当部長 二つの概念がございまして、職務発明と勤務発明といいます。それで、その勤務発明の方が教員の日常的な研究業務から発生した発明ということで、その発明は個人に帰属するということでございます。

○和田委員 そうすると、やはり個人にすべてが帰属をするという形で、今は処理をされているということであります。
 私が懸念するのは、中村教授のように、職務なのか勤務なのかという境目がはっきりしなくて--ないとは思いましたけれども、都立大学の中でもその知的所有権の存在あるいは特許権の問題などで、トラブルがあれば困るなというふうなことでお尋ねしたわけでありますが、この数字が示すとおり、まさに個人に帰属をするということで、すっきり明快に処理されているということがわかりました。
 さて、次の問題なのですが、今、明快に答弁いただいたんですけれども、それぞれの流れですね、特許に至るあるいは帰属に至る流れ、これをより多く研究成果として世に問うていただきたいと思うんです。
 提出されたこの資料における発明届け出状況を見ても、年々増加をしています。十三年度はまだ年度途中ですから六件ですけれども、平成十年に十三、十一年度が十三、同じく十二年度は十六というふうにふえてきていますから、増加傾向でこれは結構なことだろうと思うんです。大学から今後ますます特許が出てくるような雰囲気づくり、状況づくりというのは、大学だけじゃなくて産業界との接点も強く持たなければいけないと思うんですが、今、都立大学では教員の特許を編み出す環境づくりや取得に、どういう支援を具体的に行っていらっしゃるのか、お尋ねをいたしたいと思います。

○中山調整担当部長 大学教員の特許の取得についてでございますけれども、この資料にもございますように、平成九年度ゼロ件になってございます。それからそれ以前につきましても、資料にはございませんが、一件か何かあるばかり--要するにそれ以前につきましてはわずかな件数しかないということでございますが、十年度以降このようにふえてきてございます。従来、特許についてなぜ少なかったかということでございますけれども、これは、取得につきましては手続が非常に煩雑であるということ、それから弁理士の費用など手続にかかる費用が高額であると、そのような理由などで、過去において余り積極的でなかったというふうなことが実態でございました。
 しかしながら、大学といたしましても、大学教員が産業化につながる研究を推進し、研究成果を特許化していくことにつきましては、産業の活性化に貢献するだけでなく、大学の研究全体の活性化につながる、そういったメリットがあるということを判断いたしまして、例えば都立大学の場合ですと、平成十年に教員の発明に関する規程を整備しまして、関連手続を簡素化するというようなこともやってございます。
 また、教員に対する特許につきましての、戦略セミナーなんて呼んでおりますけれども、そういったセミナーを開催いたしまして、特許取得の奨励に努めているところでございます。

○和田委員 今、部長のお答えももちろん当然なんですが、こういう環境整備もあるんですね。例えば、特許権をとるための手続がこの十月一日から極めて簡単になりました。今までは、大体七年ぐらいかかっていました。出願から審査請求に至るまで大体七年かかっていたものが、この十月一日から、三年以内に出願から審査請求まで短縮しようと、半分以下にしようというふうに、特許権をとるための手続も簡略化されるようになりました。
 したがって、学校内外ともに特許に向けての加速度的な環境整備ができ上がりつつありますよということも、重ねて私からつけ加えさせていただきたいと思うんです。その上で、今の部長のような形の姿勢をより強く持っていただきたいと思います。
 今、私は特許にだけお話を申し上げましたけれども、これからの知識社会、社会対策からすると、知価社会といっておりますけれども、それにおいては、経済だとか社会全体の活動、いわゆるダイナミズムの復活をもう一回図って、知識をベースにしたハイテク型のベンチャーの創出、あるいは新しいそれに基づく新製品や新技術の開発というものがなければ日本の将来はないだろう、あるいは東京都の将来はないだろう、経済界はないだろうと、そういうふうに思っています。その意味からも、最先端の技能、技術を保有している大学、特に都立大学の研究成果を企業が十二分に活用する産・学・官連携が、今こそ求められているときはないというふうに思っています。
 そこで、研究分野における企業との連携状況はどうなっているんだろうか。もとより連携があるから、このように四十八件の十年度以降実績があるということでもわかるんでありますけれども、どうなっているのかが一点。それから、企業が都立大学の研究成果を迅速に、かつ自由に検索できるような環境づくりをしたらと思うんですが、これについてはどういうふうに今、工夫、努力をされているのか。二点のお答えをいただきたいと思います。

○中山調整担当部長 都立の大学では、民間企業からの受託研究ですとか、あるいは共同研究、あるいは企業からの技術相談でございますとか、あるいは産学交流会などを実施いたしまして、その研究成果を産業界に広く還元するなど企業との連携に努めてきたところでございます。
 また、受託研究など外部資金を積極的に受け入れまして、平成十二年度の実績では、都立四大学の合計で百九十件、外部から資金を受けております。金額にいたしますと、五億五千万余円でございますけれども、これは五年前に比べまして件数で約六割の増加、金額で三倍弱の増加となってございます。
 また、企業が大学の研究成果を迅速に検索することについてでございますけれども、科学技術大学では、本年三月に研究技術シーズ集というふうなものを発行いたしまして、一般の企業の方から、自由に科学技術大学の研究成果をごらんいただけるようなことになってございます。さらに、今年度内には都立の大学全体の研究成果をインターネットで公開する予定でございます。
 以上でございます。

○和田委員 部長が早口なんでメモをとりそこなったんだけれど、都立四大学で過去五年で百九十件で五億五千万でしたか、間違いありませんね。それ、確認をさせていただければと思います。
 そういうふうに、具体的に成果が上がってきているんですけれども、都立大学という性格なのか体質なのかわかりませんけれど、余り声を聞かない、…響いてきませんし、また宣伝すべきツールもないのか知りませんが、地味過ぎて--これほど貢献しているということを都民の前にも産業界にももっと広く知らしめるべきだろうと思っております。その広報については、また別の機会に触れたいと思いますが、質問を続けます。
 今申し上げた特許や研究成果を具体的な製品開発につなげないと、経済界にもかかわりを持てませんし、実際に寄与しないということなんです。ここが重要なポイントだろうと思うんですけれども、その大学の研究成果と、それから企業の製品開発の需要、それをどういうふうに結びつけていく--いわゆる技術移転機関、TLO、こういうものとの連携が、技術的な問題じゃなくて、いわゆる仕組みとして必要だろうと思うんですが、どのようにお考えになっていますか。

○中山調整担当部長 まず最初に、先ほどの答弁で、件数と金額でございますけれども、十二年度の実績で、四大学で百九十件、五億五千万余円でございます。五年前に比べまして六割の増、金額で三倍弱の増となってございます。
 それから、ただいまのご質問でございますけれども、ここ一、二年の間に、国の方でも産業活力再生特別措置法あるいは産業技術力強化法など、TLOというものを支援するための法整備がなされまして、大学の研究結果の特許化や技術移転に、こういったTLOを活用して支援していく体制が整ってきたところでございます。
 昨年七月には、東京、神奈川、埼玉を結びます広域多摩地域におけます大学の研究成果移転特許化支援などを目的としましたTAMA-TLO株式会社が設立されました。そこでは、都立大学の教員が非常勤取締役に就任してございまして、これは公立大学として全国で初めてのケースでございます。また、都立大学はTAMA-TLOを通じまして五件特許の出願をし、一件が出願準備中でございます。今後もTAMA-TLOと連携を図りながら、特許取得の促進など教員の研究成果の活用に向けた取り組みを、積極的に進めていく所存でございます。

○和田委員 私は、この質問に先立って、具体的に、都立大学の教授をしながら産・官・学の私どもが今質問している立場にいらっしゃる五十代前半の教授の方に取材することができました。その方は、ある地方の国立大学をこの三月にお辞めになって、四月から都立大学にいらした方です。この方は、どうでしょうか、都立大学に来て自由に産・学・官の交流ができて、ご自分の今までの研究環境が変わられましたかと聞きましたら、極めて良好だということをおっしゃっていました。この方の産業界から求められる技能というのは、こんなものなんですね。今、世には、大きい産廃に対する技術というのは随分進んでいるようでありますけれども、この方は極めて微少な産廃をうまく集めて、それを企業の側で循環させるということで、大変希有な頭脳というか能力を発揮されている、その業界で注目されている方で、これは多分、第二のノーベル賞になるかどうかわかりませんけれども、大変すばらしい抱負を持っている男性の教授でありました。
 この方は、まあABCという会社にしましょう、ABCという会社に顧問として月に三十万で契約をしているとおっしゃる。そのほかに二つの会社に、それぞれ十万ずつ、ですから月に合計五十万ですね、それでアドバイザー契約を結びながら、不定期にご自分のアドバイスをしているよということでありました。
 会社の方は、ぜひ株主、取締役になってほしいということでありましたが、この教授は、株主訴訟などがもしも起こった際に、どうしても前面に出てその応対をするというのは私ども学者にはなじまないので、今のままの非常勤で、ある意味では社内的には無責任なところでいいですよということで、今の立場に大変満足をされた形で都立大学の生徒にも教えることと、教授ということを務めながら、なおかつ学外に出てはそういう産・学・官の実践協力をされているという方でありまして、この方が一つご不満があるかなというのは、国立大学からこちらに移ってきたときに、国立では特別昇給というのがあって、自分が功労を発揮するとそれは学校が認めてくれたんだけれども、都立大学の場合、どういうわけか特別昇給という制度がないものですから、幾ら自分が励んでも学内からお褒めの言葉がなくて、結局五万円ぐらい収入が私は減りましたかねなんていうことをおっしゃっていました。
 その意味で、別に五万が多い少ないという話じゃないんですけれども、国立大学である制度が、どうして公立大学の都立大学で、五万円ぐらいの奨励金のようなものが出ないのかなというようなことを、私は考えました。その教授は全然ご不満をいっていませんけれど、私は考えましたので、そういう国立の制度も参考にされながら、都立のこういう意欲的な先生がもっと出てきて、それこそまじめにノーベル賞に値するような努力がどんどんできるような環境を、名古屋大学に負けずに、京都大学に負けずに、都立大学からもノーベル賞をとれるような先生がどんどん出てくるような、そういう意気込みをぜひ持っていただきたいと思っているわけであります。
 そこで、今、大学改革全体が検討されていますけれども、今も私が申し上げてきた都立の大学、四つありますが、特定して都立大学でいいと思いますけれども、その持っている知識や人材、あるいは研究の成果、これを産業界にどういうふうにつなげるか、産業界のニーズにどうこたえていくのか、こういうことをトータルで、本部長になりましょうか、積極的に、今私が申し上げたようなことを前提にしながら、都立大学の将来像としてどのようなことをお考えになっているのか、お答えいただきたいと思います。

○鎌形大学管理本部長 今回の改革では、大学の社会貢献、これを大きな柱の一つにしたいというふうに考えておりまして、とりわけ大変厳しい国際的な技術力競争の中で、東京の産業活力の向上だとか、競争力強化への貢献が大変重要であると認識をいたしております。
 このため、先ほど先生からお話ございましたように、教員にインセンティブを与えるような意味で、人事だとか給与面での改革も当然やっていかなくちゃなりませんし、また大学の先端的な研究と産業界のニーズを的確に結びつける、そういった仕組みづくり、こういったものにも積極的に取り組んでまいりたいと、このように考えております。
 また、産学連携の強化というのは、半面、一方から見ますと、大学の教員が民間の発想に直接触れるということになるわけでございまして、そういった面での新たな研究開発の萌芽も期待できるということで、大学の教育研究の発展にもつながっていくものと、こういうふうに考えております。

○和田委員 今、本部長の方から、産学のこれからの姿勢ということで、改めて意思表示をしていただきました。
 別にすべてが欧米がいいというわけじゃありませんけれども、アメリカのある大学などは、年間、化学系の生徒が大体五、六百人出ると、そのうちの七割から八割が修士で、なおかつ、その方のうちの七割から八割は民間の企業に行って、学界には残らないといわれているんですね。ところが日本の場合には全く逆でありまして、学界に残る方がその率で、出ていく、民間の方に行くのは少ないということであります。特に化学系や理系のそういうノウハウというのは日本に蓄積されているわけでありますから、都立大学などもできるだけ学校に残るよりも民間に、あるいは学校にいる間から民間と、先ほどお話のあったインターンシップなどで磨かれて、それがまた学問の世界でもいいでしょうし、実業の世界でもいいでしょうけれども、そういうふうに縦横無尽に、人材と知識や、あるいは環境が交流できるような、そういう大学改革をぜひ強く求めて、私の質問を終わります。

○野上委員 私は、大学改革全般についてお伺いいたしたいと思います。
 昨年八月に教育庁の中に、この大学改革担当の組織が設置されて、ことしの四月には、今ありますように大学管理本部を局として立ち上げるなど、これまでにも都立の大学全体の改革に、さまざまに取り組んでこられたわけです。
 そもそも都立の大学改革が必要になった背景にはどのようなものがあったのか、それをちょっとお伺いしたいと思っております。

○佐藤改革推進担当部長 大学改革が必要になった背景でございますが、社会経済のグローバル化や科学技術が進展する我が国におきまして、大学に対して教育研究の質の向上を求める声が、産業界を中心に国民全体から高まっている。また、平成十二年度では、全国で大学や短期大学への進学率が四九%に達しております。さらに、十八歳人口の減少によりまして、大学は入学希望者全入時代に近づいているというふうにいわれております。今後は、それぞれの大学が、それぞれの個性や特色、教育研究の内容で評価をされて、選ばれ、淘汰される競争の時代になっていくだろうといわれております。一方で、社会人の生涯学習に対するニーズも多様化してくるなど、大学に求められます役割が、ますます重要なものとなってきております。
 都立の大学の改革が必要となった背景といたしましては、このような日本全体として大学が社会に貢献できるものとなるよう、改革の必要性が急速に高まってきたことがあると考えております。
 これに加えまして、都内には二百近くの大学や短期大学がひしめく状態にございます。そういう現在、都立の大学の設置目的であります都民生活や都内の産業、都政に対する教育と研究の成果による貢献につきまして、これまで以上にその役割と説明責任を果たすことが求められてきた、こういう点が背景にあると思っております。

○野上委員 背景がよくわかりましたけれども、文部科学省がことしの六月に、大学の構造改革の方針、いわゆる遠山プランを打ち出されました。そしてまた同じく文部科学省の方から、九月には、調査検討会議において新しい国立大学法人法、これは中間報告ですけれども、矢継ぎ早に発表されるなど国においてもどんどん改革が進められております。けさの新聞にも出ておりましたけれども、十二大学の統合が検討されているというふうなことも書いてありました。
 九月の中間報告の冒頭で、その本の中に、二十一世紀は知の時代にあって我が国は学問と文化の継承、発展、創造を通じ、国際社会への新たな価値の発信が求められている、二十一世紀における大学の責務は極めて重大である、そういうふうに述べられております。そうした時代の変化に適切に対応して、社会経済のニーズ、とりわけ都民のニーズに適合した教育研究を実現することが、やっぱり都立大学の行うべき改革であると私は考えております。そのためには、例えば、こんないい方をしたらちょっとあれなんですけれども、役割の低下した学部ですね、夜間課程ですか、それとか短期大学について、そのあり方を見直すことが本当に必要ではないかと思っております。もちろん働きながら学ぶ学生の立場にも本当に十分に配慮しつつも、ニーズの高い専門職業人の育成の対応に力を入れるなど、やはり既存の制度に縛られない改革を行うことが、今は必要なのではないかというふうに思うのですけれども、ご見解をお伺いしたいと思っております。

○佐藤改革推進担当部長 本年二月に策定をいたしました大学改革基本方針では、都立の大学のあり方につきまして、社会経済の変化に伴う都立の大学としての教育ニーズの変化に合わせた改革を行うこととしております。ご指摘のありました夜間課程や短大につきまして、社会が求める役割の変化に対応した見直しを行うとともに、希望する講義だけを受講する科目等履修生制度の拡充ですとか、在学年限を限定しないパートタイム学生制度の導入など、修業形態の多様化に合わせました新たな形態での社会人向けの学習機会提供を検討してまいります。
 また、ご指摘の、社会的ニーズが高まっております高度な職業専門人の育成に対応するために、プロフェッショナルスクールの整備についても、あわせて検討してまいります。

○野上委員 先ほどいわれましたように、社会から大学改革の必要性がこれほど強く求められてきたのに対して、これまで大学が敏感に反応できなかったという--言葉がちょっと悪いんですけれども、大学、とりわけ教員社会の閉鎖性、これが背景にあるのではないかというふうに私は思っております。
 その典型である教員人事についていえば、社会から隔絶された学問の世界、それも細分化された、いわゆるタコつぼのような狭い領域の中で、ベテラン教授の特定の人脈による人事、一本釣りとか、そういうものがまかり通ってきたなどの問題があるような気がいたします。このような慣行を改める必要が私はあると思っております。
 要するに、外部からも積極的に人材を取り入れるなどして、人事のルールについて、風通しをよくするような取り組みについてはどのように行ってこられたのか、これをお伺いしたいと思っております。

○佐藤改革推進担当部長 教員人事につきましては、特定の人脈に偏ることがないように、大学や研究機関から有為な人材を幅広く、かつ公正に確保する観点から、現在、文部科学省の機関でございますけれども、全国の教員の採用情報を集約しております、国立情報学研究所等に採用の情報を提供するなど、採用に当たりましてはできる限り公募に努めてきたところでございます。今後、透明性、公平性を高める観点から、さらに検討を深めていきたいと思っております。

○野上委員 公募などを行うことも本当に重要だと思うんですけれども、システムとして、人事の透明性をもっと高める制度や運用について、ぜひ今回の改革の中で具体化を図ってほしいと思っております。
 また、外部からの人材の受け入れだけではなく、教育や研究の成果について、外部から厳しい目でチェックされるような機関というんですか、そういったことが重要と考えておりますけれども、ご見解をお伺いしたいと思っております。

○佐藤改革推進担当部長 教員の人事のあり方につきましては、なおシステムとして透明性を高める方策につきまして、今後とも検討してまいります。
 また、教育研究に関する評価についてでございますけれども、これまでも大学としまして、外部の有識者による外部評価も行ってきておりますけれども、今後、第三者機関による評価の導入を含めまして、評価システムをさらに確かなものとしていくよう、検討をしてまいります。
 また、本年七月に大学運営諮問会議を設けまして、都立の大学のあり方につきまして、総合的な視点で外部の有識者から意見をいただくこととしたところでございまして、今後、大学運営全般について外部意見の反映に努めてまいりたいと思います。

○野上委員 そういった制度をいかによいものにしてきても、結局は、そこで教育研究を行う教員の意識改革、これがなされなければ、真に実効のある改革とはなかなかならないと思っております。これまでのように学問だけに向いていた教員の意識自体を、やはり変えていくことも肝要であると考えております。
 管理本部として、教員の意識改革にどのように取り組むおつもりなのか、最後ですけれども、本部長のご決意をお伺いできればと思っております。

○鎌形大学管理本部長 都立の大学が、都民を初めとしまして社会により一層貢献できるようにしていくためには、大学が外の声を、大学の教員それ自体が真摯に受けとめて、それを教育や研究に反映する、そういった仕組みづくりを行う必要があると、このように考えております。
 そのためには、ただいまご指摘いただきましたように、教員がこれまでの意識を根本的に改めることが必須でございまして、本部といたしましては、先ほどご答弁申し上げましたように、人事だとか評価のシステムを改革する、さらには都民と直接触れ合う産学連携の充実などさまざまな改革に取り組むことを通じまして、教員の意識改革を強力に進めてまいりたいと考えております。

○曽根委員 私からも、大学の改革の取り組み、これからの方向の問題について、何点か質問させていただきたいと思います。
 今まで、昨年八月ですか、今お話のあったように、教育庁の中に大学のあり方を検討する組織がつくられたと。私たち、そのときは、大学自身が改革の方向を検討した中である程度やっていって、いろんな意見も聞くというのとは違って、教育庁の中につくるということは、極めて変則的なお話じゃないかということで、物もいわせてもらったんですね。
 今度、大学管理本部ができたと。それで四大学について全体像を考えていくと。私は、この組織がつくられた、まあできたばかりですけれども、利点としては、やっぱり大学のあり方を大学の方々自身が検討する、またそれを管理運営するといいますか、都の組織として、やはり本来のあり方としての大学の改革をまさに当事者が考え、また都民に対して問題提起をし意見を聞く、そういうオープンな議論の場として、大いに頑張っていただかなければならないなということをまず申し上げておきたい。
 その上で、再三私たちもいってきましたが、大学のあり方について、中の関係者の方々も大いに議論をしなければなりませんが、同時に、都立の大学であり、都民の税金で成り立っているということから、都民の幅広い意見を聞く、それも中での議論をインターネットで公開していますよという程度じゃなくて、むしろ積極的に意見を聞く場をつくる、提供するというふうな取り組みが必要じゃないかと思うんですが、その点での基本的な考え方はどうでしょうか。

○佐藤改革推進担当部長 本年二月に大学改革の基本方針を策定したわけでございますが、その基本方針の内容につきまして、本都議会でのご議論を初め都のホームページですとか「広報東京都」に、その内容を掲載をいたしまして、都民の意見もあわせて募集をいたしました。それとともに、都政モニターですとか教育モニターに対するアンケート調査等も実施してきたところでございます。
 これらに寄せられました多数の意見も参考にしながら、現在、大学改革大綱、仮称でありますけれども、この検討を進めているところでございます。
 また、外部の有識者から成ります運営諮問会議を設置をいたしまして、現在、大学改革についての議論をいただいているところでございますが、ここでの議論の内容につきましても、ホームページに掲載しているところでございます。
 私どもの基本的な考え方といたしましては、今後とも大学改革の取り組みにつきましては積極的に公開をし、多方面からの意見をいただいていくという考えでおります。

○曽根委員 最後におっしゃった、積極的に意見を伺っていくという姿勢を、例えばホームページでいうならば、いろんな公開の仕方がありますよね。ただ議事録を出しているというだけなら最小限ですよ。それからいろんな意見を取り入れる場をつくっている、そこまでやっているんですよね。しかし、それは、やっぱりそれぞれの都民の意見というのは一方通行であって、積極的にもっと意見を闘わせようじゃないかという議論の場があってもいいだろうと。
 そういう意味で、宮城大学などの改革の際には、いろんな意見を持った方を呼んで公開シンポジウムをやったり、それから皆さんから、その会場から意見を出し合って大いにフリーに議論するという場もあったように聞いているんですが、それぐらいのことは、この都立大学の大きな改革を進めようというからには、やっていいと思うんですが、今までそういうふうなことを計画したことがあるのか、今後はどうなんでしょうか。

○佐藤改革推進担当部長 都民、多方面からの意見の聴取、議論の公開につきましては、先ほど申し上げましたとおり、我々も積極的に進めてきたところであるというふうに考えております。
 今後につきましては、改めまして多方面からのご意見をいただけるような形で、積極的に対応していきたいというふうに考えております。

○曽根委員 それでは、具体的に私も提案をしましたので、ぜひこれも検討の俎上に上せていただきたいと申し上げておきます。
 それから、検討が開始されてから一年ちょっとですが、もともとの計画では八月ごろ大綱を出すと。それで基本方針は二月に。私も今回、文教委員になったときにいただきました。
 国が数年かけて、最近、中間まとめですか、出したというのに比べて、一年である意味では大綱というところまで持っていくというのは、非常に、早いといえば早いんですが、この種の問題をごく短期の間に結論めいたものを出していくというのは、これは非常に、いわばさまざまな意見を取りこぼす危険性も一方であるということは見なきゃならないと思います。
 特に私は、大学で働いている教員や職員の方、また学生の人たちの意見を、一体この短期間の間にどれぐらい聞いているのかなと、疑問でしようがないわけですよ。私が知っている限り、また聞いている限りでは、教職員にしても、それから学生の方にしても、今の大学のあり方を根本から崩して、例えば今、基本方針が出されている法人化の方向とか、それから二部をなくすとか、外部から人を入れて、いわゆる理事会を全部外部からの運営にするとか、設置者を知事にしちゃうとかいうことを、いわば教育のあり方にかかわる問題ですよね。公立学校でいえば、教育委員会が今運営の責任を持っている公立学校を、いわば知事の側に運営を移すのと同じぐらいの大きな問題ですよ、教育の独立性の問題としては。それを一気に結論を出していこうということについては、非常に反対の声が強いというふうに聞いているんです、国立大学も同じだというように。
 特に大学の場合は、学問研究という分野が非常に重いわけですから、そしてその大学の管理運営というのは学問研究抜きには考えられないわけですから、そういう点では、管理運営を外からやるということが、学問研究の分野に大きな弊害をもたらさないとはいえないということを危惧されている。
 そこで、やっぱり大学の関係者、例えば教員や職員の方に意見を聞く場や、それからその職場である大学での仕事や、また教鞭をとるあり方についてまで、根本的な変更を検討するようなことについて、十分な意見を聞くというのは当然だと思うんですが、やられてきたんでしょうか、それとも、これからやろうとしているんでしょうか。

○佐藤改革推進担当部長 大学改革に当たりましては、先ほど申し上げました、本年二月に策定をいたしました大学改革の基本方針策定に当たりましても、各大学の学長をメンバーとする検討組織を設けまして、各大学の意見を十分に聞きながら進めてきたところでございます。
 また、大学改革基本方針を発表した後、その具体化を図るための検討におきましても、同様に学長をメンバーといたします大学改革推進会議という検討組織を設けまして、これも大学側の意見を十分に聞きながら進めてきたところでございます。
 また、教職員や学生の意見を聞くことも必要であるというふうに考えております。そのため、改革の状況を周知するための説明会の開催、意見聴取につきまして、大学が行っているところでございます。

○曽根委員 学長さんを集めてのいろんな意見は聞くと。それで、学生、職員の方は説明会と。私は、大学というのは学長さんだけでつくっているものじゃないんで、一つ一つの分野の研究をやっている教員の方、それからそれを支えている職員、またそこで学んでいる学生、それぞれきちんと適切に話を聞く場を設けるべきだし、説明だけじゃなくて、一方通行じゃなく、やっぱりその大学をつくっている主体者としてのそれぞれの方々からの意見を聞くというのは、当然だと思います。これはぜひやっていただきたい。
 もし、これをきちんとやれば、やはりこの基本方針に出されている内容は、安易に出されるはずはないと私たちは思っております。それは、例えば大学の教員の任免制とかも、これは国の方でさんざん議論をしている問題ですよね。これをもう簡単にこの方向を出してしまったりということは、これは本当に一人一人の身分にかかわる問題ですよね。やっぱりこれは、その先生方一人一人にとっては重大な条件の変更であり、職場の変更になるわけで、こういうことを恐らく大学の教鞭をとっている方のだれもが、このことについては十分に意見を聞かれたとは思っていないと思うんですよ。
 私、たまたま都立大学に、大学時代の同期の人が--今助教授になったのかな--いまして、その人は、たまたまやっていた研究が今脚光を浴びているんですよ。ことしの二月の決算のときにもちょっと、まだ都立大学でしたけど、申し上げたんですが、その人が、私たちが学生のときには生物学、なかんずく植物学なんで、本当に窓際の学科といわれたわけです。ほとんど学問的には古臭いといわれた代表ですよ。
 ところが、今その植物学が非常に脚光を浴びていて、その人は乾燥に強い植物の研究で、知事も見に行ったというぐらい、相当国際的な最高水準の研究をやっているわけです。しかし、それはどこから生み出されたかというと、企業からの委託研究でもないし、どこかスポンサーからお金をもらってやっているのでもない。基礎研究のところから出てきた成果なんですね。私は、大学というのはそういうものだと思っているんですよ。企業のお金をもらってやれば、その企業の意向にやっぱり縛られてしまう。それから、いろんな形のスポンサーがつけば、それはやっぱりその形で縛られる。しかし、フリーで研究できる中から、やっぱり新しいものが出てくると。それは一つの個々の企業だけじゃなくて、ある意味では世界全体に貢献するような、先ほどもノーベル賞の話がありましたけれど、そういうものも出てくるというのが、大学というものの奥深さだと思うんですね。
 そういうものをどうやって全体として守って発展させていくのか。これは、やはり学長さんだけの、代表者の意見だけでは酌み尽くせないものが、個々の研究者の中にはあるはずなんですね。そういう人たちに、これから大学の改革について、もし本当にだれもが納得できる結論を出そうと思うんだったらですよ、やっぱりきちんと意見を聞く場をもっと制度的にも保障すべきじゃないでしょうか。
 これはいっても、何か先ほどからお話が、あんまりいい答弁がないんで、強く要望をしておきますので、このことは申し上げておきます。
 最後に、都立大学というのは、特に学生さんから聞くと、ほかの大学にない非常にすばらしい特徴があると。それは、夜間があることはもちろんなんですが、二部制で、その夜間の学生が昼間の講座もとることができると、昼夜開講制で。これは、今私立大学がいろいろ改革している中での一つの傾向として、働いている実態が多様化してきているんで、夜間の学生でも昼間のものをとれるようにするということが、学費問題その他を置いておいても、出てきているわけですね。
 ですから、私は安易に夜間を廃止と、二部の方を廃止という結論を出す前に--夜間に今いる学生を含めて、この年代の学生さんたちが、やはり生活の一部または学費の一部をアルバイトしなければ支えられない傾向というのは、今強まっていると思うんですよ。家庭の方の経済状態が必ずしもよくないわけですから。そういうものにこたえる大学の講義のあり方、カリキュラムのあり方、これをやはり実態に即して検討すべきだと思うんですが、この点いかがでしょうか。

○佐藤改革推進担当部長 昼夜開講のお話がございましたけれども、都立大学の昼夜開講は、夜間において勤労学生に教育の機会を提供することなどを目的として実施してきたものでございます。
 しかし、この間、就労形態の多様化など社会経済状況の変化に伴いまして、いわゆる定職を持って働き、夜間でないと学べないという学生は、減少をしてきております。このため、夜間課程について見直すということを基本方針でうたっておりますが、同時に現在の昼夜開講のあり方についても、見直す必要があるというふうに考えております。
 ただ、今回の改革におきましては、希望する講義だけを受講するような形での科目等履修生制度、そういうものの活用ですとか、在学年限を限定をしない、いわゆるパートタイム学生制度の導入ですとか、また大学におきます昼夜開講の拡大ですとか、今、委員がおっしゃいましたような就労形態の多様化に対応して、新たな形で対応なり知る機会を提供する方策についても検討していく所存でございます。

○曽根委員 学生の方から最近、会いたいという話があって、これは請願を何か出されたようなので、近く審議を私たちもすることになると思うんですが、その最大の要望が、昼夜開講制度に基づく学部教育を維持してほしいということですよね。これはもうそちらで受け取られていると思うんですが、やはり単純にA類、B類を今のまま残せということだけじゃなくて、昼夜開講という都立大学のよさを、むしろ今の時代にヒットしているからこそ、ほかの大学ではそういう夜間の学生も昼間もとれるという形をとってきているんだろうと思うんで、それはぜひ酌み取っていただきたい。
 今のお話の中で、夜間でないと学べない学生が減ったというふうにおっしゃいましたが、私は、都立大学が目黒から八王子に移って、目黒だったら都内二十三区内で働いている勤労学生が通うのにそんなに時間がかからなかったけれども、少なくとも一時間はタイムラグが、大学側の事情で移って、事実上、定時五時で終わる学生でさえ夜の講義に間に合わないところに行っちゃったわけですから、それは学生の責任に帰すことはできないわけで、それに伴って、それはいろんなことを考えなけりゃならないわけですよね。しかし同時に、学生の人たちの働いている状況を私たちも聞きますと、やっぱり夜のバイトや昼のバイト、いろいろな形で、生活費を親からなかなか工面できなくなって、大変な状況も生まれてきているんですよね。それにどうこたえるかということだと思うんですよ。まさに時代に即して考えなけりゃならないし、学生さんの実態に即して考えてほしいということを申し上げておきたいと思います。
 最後に、学生の人たちや、それを送り出している父母の方々、家族の人から、強く声が出ているのが夜間学生の学費半額制度ですね。これは実際上、これがあるから大学に通えると。これが、例えば私立大学の一部でやられているように、夜間も昼間も全部同じというふうにやられてしまうと、実際上、大学に通わすことができないという人たちも、やっぱり生まれてきているわけで、これは不況の影響も大いにあると思うんですが、そういう声が強くあると。ですから、この制度は、安易に時代が求めている云々の理屈だけで片づけられる問題ではないんだということは、今学んでいる学生はもちろんですが、これから学ぼうとしている意欲ある若者を幅広く受け入れて、勉強したいという学生には、たとえ家庭がいろいろ所得状態が悪くても学べるという場をつくっていくという公立大学の役割を、やはり堅持することを強く求めておきたいと思います。
 以上です。

○執印委員 それでは質問させていただきます。
 資料をいただきまして、ありがとうございました。
 平成三年度から続いてまいりました都民カレッジが、この九月で廃止をされております。いただきました資料を見ましても、かなり多くの方が受講されていたということで、都民の学びたいという意欲にこたえてきたことを考えますと、残念だという気持ちが、都民の正直な思いではないかというふうに思います。
 大学管理本部として、都民カレッジの事業をどのように総括されているのでしょうか。まずお伺いしたいと思います。

○中山調整担当部長 都民カレッジは、平成二年十二月に設立されたわけでございますけれども、その運営形態は、都民の多様な学習ニーズに的確にこたえるため、弾力的対応が可能な財団法人で運営される必要があるということで、都が全額出資した都立大学所管の財団法人として都民に新しい学習の場を提供して、都民の主体的な生涯学習に貢献するための事業を行ってきたところでございます。
 その後、平成十一年四月に、行政改革の一環で、財団法人都民カレッジと教育文化財団が統合されまして、教育庁が所管いたします生涯学習文化財団の事業となり、今日に至ったわけでございます。
 都民カレッジにつきましては、これまでの都立大学の人的、物的な社会的資源を有効に活用いたしまして、数多くの講座を提供し、都民の多様な学習ニーズにこたえ、生涯学習の先導的役割を果たしてきたものと考えてございます。

○執印委員 都民の多様な学習ニーズにこたえて生涯学習の先導的役割を果たしてきたということで、答弁を伺いましても、都民カレッジの精神というものはしっかりと継承していく必要性があるというふうに考えております。
 そこで、現在、オープンカレッジというような形で、地域のNPOと、この後をつないでいこうという動きがあるようですけれども、その経過と内容はどのようなものでしょうか。また、大学の教員の方のかかわりは、その間どのようになっているのでしょうか。

○中山調整担当部長 都民カレッジにつきましては、先ほど申し上げましたように廃止が決まったわけでございますけれども、都立大学といたしましても、都民の多様な学習ニーズにこたえ、大学として社会貢献を進めていくという観点から、大学の教員が主体となりまして、学内に公開講座等委員会というものを設置いたしまして、オープンカレッジの実施について検討を行ってきたところでございます。
 この委員会における検討の結果でございますけれども、本年十月から来年三月にかけまして、従来から行ってきました講演会方式の公開講座に加えまして、新たに都立大学オープンカレッジと称しまして、試行的に十講座を実施することに至ったものでございます。

○執印委員 現在、試行的に十講座があるということなんですけれども、今、東京都でもNPOとの協働の指針というものをつくって、行政とNPOが協働してまちをつくっていこうという動きもあるわけですが、オープンカレッジに関しても、NPOの方が加わっていらっしゃるというふうに伺っておりますが、このNPOも、東京都の協働の指針にもありますけれども、一からつくっていくというふうになると、とても大変なわけですけれども、現在、意思を持って活動していらっしゃる方があるということを大事にしながら、ぜひ来年度に向けましても、このオープンカレッジをいろいろ検討しながら進めていただきたいというふうに思っております。都民ニーズを的確に吸い上げるという視点は、ぜひ欠かせないものではないかというふうに思います。
 手づくりの公開講座を展開していく必要性の上からも、十四年度以降の体制についてどのようにお考えなのか、NPOとの連携も含めて、ぜひお考えをお聞かせいただきたいと思います。

○中山調整担当部長 私どもといたしましても、地域社会への貢献という観点から、多様化する学習ニーズに応じまして、さまざまな運営形態というものを検討していく必要があると考えてございます。
 今申し上げましたオープンカレッジにつきましても、理事ご指摘のとおり、いわゆるNPOの参加をいただいているということで、大学教員と、それから地域住民から成る実行委員会を組織いたしまして、先ほど理事がおっしゃいましたNPOがその事務局に入ってございます。
 そういったことで、十四年度以降につきましても、十三年度の試行の結果を参考にいたしまして、市民参加を得た運営方式の展開について、なるべく引き続きこういった形で進めていきたいと、こういうふうに考えてございます。
 それからまた、翌年度以降でございますけれども、それ以外にも、あと市町村ですとかあるいは多摩地域の他の大学等の連携による共同事業、それから私ども、せっかく都立の大学の将来の方向性について、今議論が進んでいるわけでございますけれども、それを先取りするような形で、都立の四つの大学共同して主催することなど、さまざまな運営形態を考えてございますので、ひとつよろしくお願いいたします。

○執印委員 ありがとうございました。
 都立大学のこれからの改革については、いろいろなまたこれから意見の中で進めていく必要があるというふうに思います。
 先ほどNPOとの協働については、なるべくその線で進めたいというふうなお答えだったわけですけれども、もう一歩進んで、地域の力を生かしていくことがこれからの東京のまちづくりに必要ですので、ぜひそのあたりのお考えをもう一度お聞かせいただきたいと思います。

○中山調整担当部長 理事ご指摘のとおり、こういった講座につきましては、地域住民の方々と協働してやっていくということが非常に重要なことというふうに認識しておりますので、十四年度につきましても、今年度の試行の結果を踏まえて、なるべくそういう趣旨を生かすような形で運営していきたいと思っております。

○後藤委員 今回、大学改革の夜間部の見直しについてだけ、ちょっとお尋ねしようと思います。
 夜間の学生は、仕事をしながら通っているんだと思うんですけれども、仕事をしながら通っている学生、例えば仕事をしないで通っている学生さんもいると思うんですけれども、これのできたらば割合。
 それと、例えば仕事をなさっている方たちでも、いわゆるサラリーマン的なフルタイムでやっていらっしゃる方、または臨時的にアルバイトだとか、例えばパートでやっていらっしゃる方も多いと思うんですけれども、この辺の割合をつかんでいらっしゃるのか。もしわかっていたらば数字を教えてください。

○佐藤改革推進担当部長 二部に通っている学生の中で、仕事を持っている学生の割合、それと、その仕事のフルタイム、パートタイムの別というお尋ねでありますが、一つの調査だけでの数字ではちょっとわかりかねますが、隔年で実施しております都立大学の二部の学生の中で、フルタイムの定職についている者の割合というのが、抽出調査でございます。これの平成十一年度の調査では、約一二%の学生が定職についているという数字が出てございます。
 それから、それとは別でございますが、昼間仕事をする人で、その内容がどうかという点につきましては、本年四月に都立大学の二部を志望しました新入生に対して、アンケート調査をしてございます。それによりますと、二部を志望した理由として、昼間仕事をするためと答えた者が、回答者の約一二%、やはりございます。そのうちで、常勤で仕事をするためと答えた者が、回答者全体での約二%、それからパートタイムで仕事をするためと答えた者が、同じく全体に対しての約五%ということになっております。一二%の残り、約五%が残るんですが、この者につきましては、就労形態についてどうかというのは、無回答であったりということで、ちょっと把握できておりません。

○後藤委員 例えば、定職についているのが一二%ということになりますと、完全に就労形態というのは変わってきているというふうに解釈して構わないと思うんですが、管理本部として、例えば南大沢という地域的なことがありますから、夜間というタイプの学校というのは、現実問題として無理ではないかなというふうに私は考えます。実際に私の場合は京王線に家があるんですけれども、京王線に住んでいたとしても、通いますと、まず帰ってくるのはすごく遅くなってしまいますし、通うだけでも大変なんで。
 夜間部を見直すというふうにおっしゃっていますけれども、例えば夜間部を改革するというふうに思われているのか、夜間部を廃止してしまうと考えているのか、その辺を一言で答えていただけますか。

○佐藤改革推進担当部長 夜間課程につきましては、まだ検討の途上で、結論が出たということではございません。少なくともこの間の社会経済状況の変化などからすれば、当初想定をしておりました、先ほど来申し上げているとおり、定職を持ってフルタイムでやる、働きながら夜間で学ぶという方たちが減ってきているという事実がございますので、こうした状況を踏まえての見直しを行っていく必要があるというのが前提でございまして、それで現在、どういうあるべき姿にするかの検討をしている最中でございます。

○後藤委員 大学に出ているお金というので、一般財源で百六十億円ですか、お金が出ているというふうに十二年度の予算書には書いてあるんですが、就業形態がここまで変わってきているんですから、全くお金のことを考えないで大学経営をやっていくというのは、間違っているんではないかなと私は考えます。
 例えば、夜間部という名前を変えてしまうぐらい、結局、夜間部ではなくて、それは実際問題としまして、昔の夜間部に通っていた方たちというのがすごく減っていますし、就業形態も変わっているんですから、ここいらで、勉強したい若者たちに、時代に合った改革というのを、できたら大学管理本部としてはやっていただきたいと思います。
 大学改革の基本方針の中で、社会貢献という項目があると思うんですが、パートタイム学生制度というのを説明をしていただきたいのと、例えば昼夜開講した場合に、結局問題になるのは金額だと思うんですよ。昼間の学生さんたちとパートタイム学生制度の方たちの授業料ということになると思うんですけれども、この辺が一番、例えば接点といいますか、比較というようなのが問題になると思うんですけれども、この辺はどのようにお考えになられているのか。例えば金額という面で、できたらお答えください。

○佐藤改革推進担当部長 パートタイム学生制度についてでございますけれども、これは社会人の受け入れを積極的に推進をするということを目的といたしまして、通常の学生とは異なりまして、修業する年限を設けずに、何年もかけて、時間をかけて少しずつ履修をしていって卒業単位を取得をしていく、そういう学生を受け入れることを想定した制度でございます。
 このパートタイム学生というものを正規の学生として受け入れるということにつきましては、現在、国の中央教育審議会の中にあります大学分科会で検討をされているところであります。具体的な内容は、そこでの検討ということになりますが、国の検討状況を見ながら、大学改革全体の中で東京都としても検討していきたいというふうに考えております。
 また、授業料との関係ですが、昼夜、パートタイム学生での授業料という意味合いかと思いますけれども、これもそのパートタイム学生のありよう、具体的な内容、この辺が固まった段階で通常の学生との授業料の比較等を当然考慮されながら、授業料設定というものがなされていくものだというふうには考えております。

○後藤委員 実は私はパン屋をやっていまして、パン屋をやっている関係でアルバイトの子たちだとか、たくさんの若い子たちを使う機会があるんですが、例えば、このパートタイム学生制度というのと、夜間部というのをうまく組み合わせれば、夜間部の改革案みたいになるんではないかなというふうに私は思っているんですが、できたらばその辺のこともご検討いただいて、結局、大学制度というのは、必ず改革ということをどんどんどんどんやっていかなければいけないと思うんですよ。できましたらば若い子たちのことを考えて、改革の方向に持っていっていただければと思います。

○佐藤改革推進担当部長 今お話のありましたとおり、就労形態の多様化ですとか、社会人の高度な学習に対する意欲が高まっている。従来の大学を取り巻く環境と違った形での環境が出ております。当然そういう中に若い方もいらっしゃれば、また年を重ねた方もいらっしゃる。そういう意味では、都民各層が都立の大学を十分に活用できるような形での改革を考えていきたいと、そういうふうに考えております。

○東委員長 ほかに発言はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 事務事業に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で大学管理本部関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね五分間休憩したいと思います。
午後二時三十一分休憩

午後二時三十七分開議

○東委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 これより生活文化局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○山本委員 今日、青少年を取り巻く社会環境は、青少年の人格形成に大きな影響を及ぼしていることは、皆様ご案内のとおりであります。
 特に、ちまたにあふれている青少年の健全育成に有害な出版物やビデオなどは、しばしば非行や価値観の崩壊等の誘因になっていること、これまたご承知のとおりであります。まことに憂慮すべき問題であり、こうした問題に対処するためには、青少年自身の意識はもちろん大前提でありますが、それとともに、青少年の健全育成を願う地域の人たちや関係者による有害環境の排除、浄化について、深い理解と積極的な協力は、何よりも必要であると思います。このような基本的な立場に立ちまして、青少年健全育成条例の、今後、自動販売機規制について、お伺いをいたします。
 まず、この三月に改正されました青少年健全育成条例の自動販売機に関する規制は、もう既に七月から施行されております。新しく届け出等が行われていることと思いますが、東京都のその状況と、東京都の対応はどのようになっているか、お伺いいたします。

○中島都民協働部長 今回の条例改正によりまして、自動販売機等業者、これには貸出機の業者も含まれておりますが、これに対しまして、当該自動販売機等について管理者の設置と届け出を義務づけるとともに、不健全指定図書類の収納禁止、撤去義務等を課したところでございます。
 届け出の状況は、九月末現在で、届け出台数が千百九十八台でございます。内訳は、区部八百九十四台、市町村部三百四台でございます。また設置業者数でございますが、六十五業者で、内訳は、都内が四十一業者、都外が二十四業者でございます。今後、届け出に基づきまして、都内全域の自動販売機等の実態調査を年度内に実施する予定でございます。
 また、区市町村青少年主管課等とも自動販売機等の設置場所等の情報交換を十分に行いまして、地域と連携しながら問題となる箇所の重点的な対応を行っていく予定でございます。

○山本委員 今、自動販売機について伺いましたが、今、書店やコンビニなんかでは、皆様ご承知のように、行けば不健全図書類があります。これは、区分陳列に関する規制は、今月、この十月から施行されましたが、それのための事前の準備や、そして実施されてからの状況はどういうふうになっておりますか。

○中島都民協働部長 今回の条例改正によりまして、図書類販売業者等に対しまして、不健全図書類の区分陳列義務を課したわけでございますが、それとともに、自主規制団体または発行者でございますが、青少年の健全育成阻害のおそれありと判断し、発行者がその旨を表示したもの、これは表示図書類といいますが、これにつきましても区分陳列を行うものとしたわけでございます。
 また、区分陳列の具体的な方法としまして、規則で隔離場所の設定、それから棚の隔離、高さの制限等を定めてございます。
 条例、規則の改正の内容の周知徹底のために、コンビニエンスストア、書店等へ、事業者説明会あるいは区市町村等との連絡会議を実施してございます。また、順次、事業者研修用のビデオ、最近つくってございますが、それと条例解説のリーフレットも作成、交付しまして、研修会等を実施しております。
 関係業界におきましても、新たな自主規制が現在進められております。例えば、出版業界でございますが、条例の表示図書類制度の導入に伴いまして、出版ゾーニング委員会という委員会をつくってございます。それで、その対応を進めているという状況でございます。
 また、コンビニエンスストア業界でございますが、多くのフランチャイズのチェーン本部がございますが、ここでステッカーや仕切り板等を作成しまして、加盟店等へ周知配布等取り組んでいるというふうに聞いております。

○山本委員 新聞なんかの報道によりますと、石川県では自動販売機を含む青少年への有害図書類の販売の罰則、今までやっても余り効果がなかったので、罰則として懲役刑を科す青少年健全育成条例の改正案を県議会に提案をして、それがこの間、可決されたということですが、我が東京都の条例と石川県の条例とを比較等をしてみて、知らせてください。

○中島都民協働部長 石川県の条例でございますが、有害図書類の指定について、個別指定制度とともに包括指定制度というものを採用しております。また、個別指定制度につきましては、緊急指定の制度を採用してございます。
 これに対しまして東京都の条例でございますが、不健全図書類の指定につきましては、個別指定制度と、小委員会制度というものを採用しているわけでございますが、包括指定制度、緊急指定制度は都としては採用してございません。
 同じく東京都の条例では、不健全図書類の指定について、性や暴力とともに自殺や犯罪の誘発を指定事由としているわけでございますが、石川県の条例は、性や暴力だけに限定されております。
 自動販売機の規制につきましては、届け出義務、管理者の設置、指定図書類の収納禁止、撤去義務等、東京都でも規定しているわけでございますが、この点については同様の規定になっております。
 条例違反に対する最高罰則でございますけれども、東京都の条例は三十万円以下の罰金または科料、石川県条例は現在三十万円以下の罰金でございますが、六月以下の懲役または三十万円以下の罰金とする改正案、これが今月の五日、十月五日に県議会で可決されたということでございます。

○山本委員 今、部長、いろいろな制度のお話がございましたが、それでは私ちょっとわかりませんからお聞きいたしますが、包括指定制度と今いいましたが、それはどういうことをいうんでしょうかね。そして、包括だから、今度は対峙的に個別指定制度とはどういうことでしょうか。教えてください。

○中島都民協働部長 包括指定制度でございますけれども、不健全図書類を指定する場合には、あらかじめ条例で、裸ですとか半裸ですね、いわゆる卑わいな肢体、姿、形、これが、雑誌等につきましては一定のページ数以上あるいは総ページの何分の一以上であるかというようなことですね。それからビデオ等の映像につきましては、描写する時間が連続何分以上であるか、あるいは合計何分以上というふうに定める。要は分量的に基準を決めて、それに該当するものは自動的に不健全図書類とみなすという方式でございます。
 これに対しまして、東京都はこれだけでやっているわけですが、個別指定制度でございますが、不健全図書類を指定する場合に、個別の図書類ごとに、指定事由に該当するかを審査し判断する方式でございます。より公正を確保するために事前に青少年健全育成審議会等の諮問機関に諮って、その意見を踏まえて指定するのが原則的な形になってございます。

○山本委員 包括と個別は大体わかりましたが、緊急指定制度というのはどういうのですか。

○中島都民協働部長 これは、個別指定制度に基づいた制度ということになるわけでございますが、不健全図書類を指定するときに、緊急を要するとき、その場合には、事前に青少年健全育成審議会等の諮問機関に諮ることなく、行政側だけの判断で決定する方式でございます。

○山本委員 そうすると、今、諮問しないで行政だけでやるといいましたこの緊急指定制度、これは東京都はどうなっているとか、あるいは他の県では採用はどういうふうになっているか教えてください。

○中島都民協働部長 健全育成条例のない県というのが、長野県がございます。これを除きまして、東京都と鳥取県を除く四十四道府県で緊急指定制度を採用してございます。

○山本委員 先ほどの包括指定制度なんて今聞いていたら、一回ちょっと聞いたところで、外見上一網打尽といいますかね、包括制度ならばっとやれるようで、いいように思うんだけれども、東京都は包括指定制度をとっていませんね。それはまたどういうことで包括指定制度をとっていないのか、どうぞお聞かせください。

○中島都民協働部長 包括指定制度におきましては、あらかじめ条例に定めた基準に該当するか否かの判断を、それぞれ図書類販売業者等が行わなければならないわけでございます。そのため、日々多種多様な図書類を取り扱い、またその営業基盤や人手等もさまざまである業者による実効性を確保するというのは、大変難しいということがございます。それとともに、個別の図書類に対する判断というのは、業者ごとによってまちまちになってしまう、相違するという、そういう問題がございます。
 都におきましては、表現の自由等と密接に関連する不健全図書類の指定ということで、より公正を確保するために慎重な手続が必要であると考えておりまして、個別の図書類について、事前に青少年健全育成審議会に諮る個別指定制度のみをとっているのが現状でございます。
 ただ、今先生がおっしゃられたように、自動販売機について大変問題があるというのは、私どもも認識してございます。どのような対応策があり得るのか、改めて検討していきたいというふうに現在思っております。

○山本委員 これで最後にいたしますが、今回の東京都の条例改正で、今部長おっしゃったように、自動販売機の規制ができたということは、第一歩を踏み出したという意味では私は評価できると思うんです。
 しかし、今後やっぱり効果的な取り締まりを可能にするために、青少年健全育成条例の罰則の強化などを、やっぱり改正すべく検討するというようなことをしてはどうかと思いますね。とりわけ都条例の三十万円以下の罰金というのは、それ以上たくさん売れば罰金なんか露も感じない。三十万円以上売れる業者にとっては、この罰金なんか露も感じないというようなことになれば、これはやっぱり条例を遵守させるという抑止力とはなりにくいだろうと思うんですよ。
 ですから書店だとか、コンビニもそうですが、対面販売をしている場合と比べて、この自動販売機、どこか暗いところにあったりいろいろなところにある、そういうような販売機については、やっぱり問題が多いと思うので、業者にさらなる指導をする、六十五あるといいましたね、その業者に指導するということと、東京都はやっぱりこれに対して注目をしていかなきゃいけないだろうと思いますが、どうぞひとつ、まとめてご意見をいただきたい。

○中島都民協働部長 本年七月から施行されております自動販売機の規制ですが、従来、都の条例では、業界の自主規制努力に任せていたものを、青少年の健全育成の観点から規制を強化し、罰則を伴った規制を初めて導入したものでございます。
 現在、改正条例につきましては、区市町村や警察等と連携しながら、事業者等へ趣旨の徹底を努めておりまして、その遵守状況や地域の環境改善状況等を踏まえ、関係機関等とも協議しながら十分な指導に努めていきたいというふうに考えてございます。
 当面、改正条例の内容の徹底に最大限の努力を傾注していきたいというふうには考えているわけでございますが、ご指摘のように、自動販売機に関して、さらに検討すべき課題が多いというのは、十分認識してございます。今後とも都民を初め関係各位のご意見を踏まえながら、一層の実効性、これを確保できるように検討を進めていきたいというふうに思っております。

○山本委員 どうぞよろしくお願いします。

○福島委員 先般行われました第三回の定例議会に初めて臨まさせていただいて、みずからの耳で、目で、肌で、石原都知事の現状打破への改革の所信あるいは志の一端を披瀝をいただいて、各局、各部、各課において、それぞれの立場をもって推進方をされているわけでありますけれども、特段、スピード感、コスト感覚、チャレンジ精神を持って遂行に当たっていくということは、まさしく今までには考えられない、当たり前のことであったわけでありますけれども、その視点が、都民の目線に大きく近づいてきている。各部局で大きく改革を推進されていて、全庁的に行われているところの心の東京革命、これは石原都政のまさしく試金石であり、改革の魂あるいは心臓そのものだと認識をしている一人として、質問をさせていただきたいと思っています。
 時あたかも二十一世紀という、まさしく千年に一度しか訪れることのない大きな時代の変革期を迎え、さらには二〇〇一年という向こう百年紀を目指した日本の指針を示すべきときに当たっていると思っています。
 さらには、過般発表されましたところの警察白書によりますと、現況下はまさに第四期の少年非行の多発期だと受けとめられており、私も実は現在、長男が六歳で渋谷区立の小学校の一年、次男が三歳で区立の保育園でお世話になっているわけでありますけれども、世紀末から起こっている現況の事件、まさしく目を覆いたくなる、あるいは耳をふさぎたくなるような現況を、子どもの目に立ったときに、これが本当の先人のつくり上げてきた正しい民主主義国家である、あるいは法治国家であるということを、胸を張っていっていいのか悪いのかということを自問自答しながら、質問を進めさせていただきたいと思っております。
 特段、心の東京革命は、心の問題、あるいは道徳の問題、あるいは倫理観の問題というものは、なかなか触れてはいけないような、あるいはタブー視されていた問題に果敢に取り組もうとしているその姿勢、さらに、この種の問題というものは、なかなか評価がされづらい、あるいは時間のかかること、何をもって終了かともいえない問題だと思っているわけでありますが、昨年の八月に行動プランが発表されて、もう既に一年が経過をし、この間には民間団体や企業などを中心に、心の東京革命推進協議会が設立をされ、都民運動の新たな推進母体として行政との連携よろしくを得て、さまざまなキャンペーンやあるいは事業が展開されているわけでありますけれども、現況下に立って、まずはこの一年の取り組み状況、成果をどのように受けとめておられるのか。
 さらには、その成果を将来にわたってどのように生かされようとしているのか。もし問題点やあるいは反省点があるならば、率直に披瀝をいただきたいと思います。

○島田参事 心の東京革命は、すべての大人が具体的な行動をとることによりまして、全都的さらには全国的な運動への広がりを展望する運動でございます。
 地域団体や企業等への働きかけを行いまして、心の東京革命推進協議会には、現在約百五十の団体や企業、さらに約二千二百名の都民の方々が会員となりまして、活動にご参加いただいているところでございます。この協議会を中心に、三月には、親子の会話を豊かにするきっかけづくりになるよう、家族ふれあいの日を設定し、あわせて子どもたちと一緒にまちをきれいにする統一的行動を実施したところでございます。
 また、地域で心の東京革命の趣旨を伝えながら、子育てに困っている人の相談相手にもなる人材を、心の東京革命アドバイザーとして養成しております。このアドバイザーを活用して、妊娠中の母親などを対象に、親になる心構えや子育てのコツを教える講座を開催したり、さらに今月から区市町村の協力を得まして、地域のアドバイザー養成にも着手したところでございます。
 今後の大きな課題として私ども考えておりますのは、ぜひ地域の草の根的な運動といたしまして、本格的に事業展開をしていきたいということでございます。このため、一過性の運動にとどめることなく、区市町村と連携しまして、地域で継続的な事業を進める仕組みをつくり上げていくことが重要であると、こういうふうに考えています。
 七月には、地域ぐるみで行われている他の模範となる七つの取り組みを、心の東京革命推進モデルとして指定いたしましたが、今後、その内容や成果などを生かしながら、都内の隅々まで地域の大人たちが一体となって取り組む精神的な活動を進めてまいります。

○福島委員 今、一定の前向きな答弁をいただいたわけでありますけれども、指定のモデルということで、あるいは草の根運動をしていく社会運動に準ずるべき行政の、あるいは政治のあるべき姿、果たすべき役割を明確にしていくために推進をしていくということであります。私もいただいた資料を見ますと、五区二市において推進モデルの指定がされているということでありますけれども、これはいずれも、実は残念なことにそれぞれの区によって、あるいは市によって、すべて定着をされた上に心の東京革命という冠を載せているだけといわれても過言ではない状況もあるやに承っているわけであります。
 そこで私の提案でありますけれども、この推進モデル指定を一歩踏み込んで、全区、全市的に、まさに行政のやり方の手法の一つであるところの、言葉に語弊はありますけれども、ばらまき的に行うのではなしに、思い切ってモデル区やモデル市を指定して、底上げを図っていく、ボトムアップを図っていく手法が考えられるのではと、こう思っておりますが、ぜひ明快な答弁をいただきたいと思っています。

○島田参事 ご指摘ございましたように、心の東京革命の推進、着実な推進には区市町村との連携が本当に必要だというふうに私ども考えております。
 ご提案のように、推進モデル区やモデル市などといった形で区市町村の全面的な協力を得られることは、心の東京革命を地域で展開していく上で大きな原動力になるというふうに考えております。
 今後も区市町村への働きかけを積極的に行いまして、協力いただける区市町村と一緒になりまして、アドバイザーの養成を初め各局にわたるさまざまな事業の集中的な展開につきまして協議して、地域での活動を促進してまいる所存でございます。

○福島委員 最後にいたしますけれども、皆様方が胸につけているバッジは、あるいは名刺の裏に書かれている七つのルールというものは、まさに指針であり誇りだと認識をしている一人であります。この委員会に臨むに当たって、改めて私も辞書を引きましたところ、革命とは、天命を改めること、天命を変えること、さらに国家の政体を根本的に変えることということを明示をされておりました。まさしく高い志を持って愚直に青臭く極めて時間のかかる問題でありますけれども、少なくとも、かけがえのない子どもたちが、将来都政を語るときに、あるいは私たちの子や孫が、あるいは歴史家が、あのときの東京革命があったからこそ日本の民族が守れた、あるいは風土そのものを守れた、そんな誇りある一言を語ってくれるような、新しい、二年目に入っているわけでありますから、第二歩を、決して消えないわだちとして残していただきまするよう心から要望をして質問を終わります。

○野上委員 私は、配偶者に対する暴力、ドメスチックバイオレンス--ここではDVと表現させていただきますけれども--について、都の今後の対応についてお聞きしたいと思っております。
 かつて平成九年度に都が実施いたしました女性に対する暴力に関する実態調査、この種の調査といたしましては、多分日本で初めてのものだったと思うんですけれども、大変注目をいたしました。
 その後、平成十年度には国が全国的な規模で調査を行いまして、その後いろいろな各自治体で調査が行われております。どの調査におきましても、ほぼ共通した結果が見られます。びっくりするような内容で、本来最も安全で安心でき、またほっとできる場である家庭で、これほどまでに配偶者間の暴力が行われていたのかということが明らかになりまして、大変大きな衝撃をまた与えられたわけでございます。私も実際に、私が受けたわけじゃないんですけれども、着の身着のままで夫からの暴力で飛び込んできた方をどのようにケアしたらいいかという、民間シェルターとか公営のシェルターとか、そのかかわり合いで、非常に現実厳しいなあということを目の当たりにしたことがございます。実際、家庭内における配偶者間の暴力を防止していくということは、これからの男女平等参画社会を形成していく上でも、非常に重要な取り組みと私は思っております。
 全国に先駆けて平成十二年の四月に、東京都の男女平等参画基本条例というのがございます。これなんですけれども、この十四条第三項の中で、「家庭内等において、配偶者等に対する身体的又は精神的な苦痛を著しく与える暴力的行為は、これを行ってはならない。」、こういうふうに規定をしております。
 また、平成十二年度に出されました東京構想二〇〇〇におきましても、家庭内暴力の取り組みが計画化されるとともに、本年の都議会の第一定におきましても、ウィメンズプラザの直営化の質疑では、行政として、企業における女性の参画促進とともに、配偶者等への暴力防止への取り組みを進めていく必要性、こういったものが明言されておりました。
 平成十三年四月に国会におきまして超党派の賛成で成立いたしましたのが、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律、いわゆるDV法ですね。このような社会的な動きを背景に生まれたものだと私は思っております。
 そこでお伺いするんですけれども、このDV法の主な内容や特徴などについてちょっと詳しくお尋ねしたいと思っております。

○高西男女平等参画担当部長 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律、いわゆるDV法でございますが、この主な内容と特徴としましては、大きな特徴といたしまして、まず第一に、国及び地方公共団体は、配偶者からの暴力を防止し、被害者を保護する責務を有するといたしまして、特に都道府県には配偶者暴力相談支援センターの機能を整備するように義務づけております。これは、配偶者暴力の被害者に対し、相談やカウンセリング、一時保護、地方裁判所に対して被害者が申し立てる保護命令への対応、さらにまた、自立支援に関する情報提供や援助などの六つの機能を内容とするものでございまして、平成十四年四月一日に開設するものとされております。
 第二点目といたしまして、被害者は地方裁判所に対しまして保護命令を申し立てることができることとされており、効果としましては、加害者に対して住居から二週間の退去を命じる退去命令と、加害者の被害者への接近を六カ月間禁止する接近禁止命令が規定されております。なお、この保護命令に関する規定は、この十月十三日から施行されることとなっております。
 このほか、DV法におきましては、発見者による通報や警察官による被害の防止の努力義務等を定めております。

○野上委員 今ございましたように、十月十三日から、被害者が地方裁判所に対して行う保護命令の申し立ての規定を中心に一部施行されるわけですけれども、この法律では、平成十四年四月一日に、配偶者暴力相談支援センターが設置されるまでの間、保護命令の申し立てに対応する官署として、都道府県が設置する婦人相談所を配偶者暴力相談支援センターに読みかえて適用するものとする経過措置が規定されております。
 これまで、DVに関する相談につきましては、局としては生活文化局が所管する東京ウィメンズプラザですよね、それともう一つは、福祉局が所管する婦人相談所である東京都女性相談センター、こういう部局で担当してこられたわけなんですけれども、この法律の経過規定に従えば、婦人相談所ではないウィメンズプラザが受けた相談等の対応に対しては、この経過期間中、数カ月間あるわけですけれども、保護命令に関する対応ができなくなってしまうのではないか、そういう心配をするわけですけれども、これにつきましては、どういうふうに対処していかれるのか、お伺いしたいと思っております。

○高西男女平等参画担当部長 法の経過措置といたしまして、配偶者暴力相談支援センターが開設される平成十四年四月一日までの間は、婦人相談所が保護命令に関する対応をすることとされております。しかしながら、ご指摘のありましたように、ウィメンズプラザでできないということでは、大変都民の方にもご不便をおかけするということでございますので、都におきましては、これまでもウィメンズプラザで多数の相談を受けているという実績を踏まえまして、都民の利便と被害者の適切な救済を図るために、ウィメンズプラザの関係職員を女性相談センターの職員として兼務させることによりまして、ウィメンズプラザにおいても経過期間中の保護命令への対応を行うことにしております。

○野上委員 法と法の間の不備を補うような細かい対応をしていただくということで、よくわかりました。
 そういたしますと、十月十三日からは、ウィメンズプラザにおきましても、女性相談センターにおきましても、DV法の一部施行に伴う経過措置に対応していくということになるわけですよね。
 このことにつきましては、やはり広く東京都民の方々に知らせていくことも大事ではないかと思っております。そのことにつきましてどのような取り組みをしていらっしゃるのか、お伺いしたいと思っております。

○高西男女平等参画担当部長 DV法の施行にかかわる周知、広報ということでございますが、きのうきょうの新聞等にも少し記事が出てございましたけれども、この十月十三日からの法律の一部施行にあわせまして、電話によるドメスチックバイオレンス総合相談というものを十月の十二日、あしたでございますが、十二日と十三日の二日間にわたりましてウィメンズプラザにおいて実施することとしております。
 この取り組みは、ドメスチックバイオレンス対応において、今後とも緊密に連携をしていくことが必要な関係機関であります東京都の女性相談センター、警視庁、それから民間のシェルター、さらに精神科のお医者さんや弁護士などの協力を得て実施するものでございまして、関係機関が連携して多角的に対応するとともに、法律の普及等も図ってまいりたいと考えております。
 さらに、DV法の内容やDVへの取り組みにつきまして、ウィメンズプラザのホームページや広報紙のほか、区市町村の女性センター、それから福祉事務所等の関係機関を通じて普及に努めてまいりたいと考えております。

○野上委員 ちょうど時宣を得て、都民の大勢の方々からそういう相談が来ることを期待しております。
 十月十三日からの対応は、いわゆる経過措置的なものですよね。DV法が都道府県に平成十四年四月一日に設置を義務づけている配偶者暴力相談支援センターの機能については、どのように検討しているところでしょうか、それをお聞きしたいと思います。
 知事本部から私もレクチャーを受けましたけれども、重要政策の中で、生活文化局が配偶者暴力相談支援センターの開設を立案しているということが出ておりました。最終的な予算原案とか人員要求などがまだ確定しておりませんけれども、福祉局の所管する女性相談センターとの機能分担ですか、そこら辺の調整がかなり難しいと私は思っているんですけれども、現在検討している内容についてお尋ねしたいと思っております。

○高西男女平等参画担当部長 DV法が定めます配偶者暴力相談支援センターについてでございますが、都におきましては、ウィメンズプラザと女性相談センターとが連携協力して機能の整備を進めてまいります。
 ウィメンズプラザにつきましては、先ほどの保護命令への対応も含め、相談、情報提供等を行う総合相談窓口として整備しまして、広く都民に周知を図ってまいります。また、それとともに、区市町村等関係機関との連携を強化しまして、被害者への支援が円滑に行われますよう、調整機能を果たしてまいりたいと考えております。
 一方、一時保護につきましては、被害者の安全を確保しなければならないということでございますので、総合相談窓口とは別に、女性相談センターにおいて機能を果たしていくというふうな関係で、総合的な配偶者暴力相談支援センターを整備してまいりたいというふうに考えております。

○野上委員 十月十三日から来年の四月一日までの、その間の配偶者の暴力相談支援センターの設置に関しての質問をしてまいりましたけれども、これからの男女共同参画社会を形成していくためにも、このことは非常に重要で、重要であるとともに大変難しい事業であると思います。いつも被害者の立場に立って、そこら辺の立場を十分に配慮しながら進めていただけるといいかなと思っております。
 関係機関や民間の関係者との連携、協力体制をしっかりと構築をしながら、この基本条例と同様に、全国の先駆的なモデルとなるように、配偶者暴力相談支援センターの機能を整備していかれますことを要望して、終わらせていただきます。ありがとうございました。

○曽根委員 最初に、狂牛病に関する消費者対策についてお伺いしたいと思います。
 九月十二日でしたか、日本で初めての狂牛病が発見されて以来、きょうでちょうど一カ月ですね。この間、相次ぐ新しい事態の発生、その原因が、九六年には既にWHOが畜産の牛に対して肉骨粉など使ってはならない、禁止すべきという勧告が出ていたのに、実際は使われる事態が放置されていたという五年間の問題があり、そして、今回発見された後の牛が、焼却処分されていたという発表にもかかわらず、実は肉骨粉になっていた、このダブルの失態があり、さらに、その後も次々と、新しい肉牛に関するさまざまな食品が出回っていた分野が明らかになるなど、この間、農水省を初めとした政府の対応が非常におくれたために、一カ月間、いまだに事態が流動的で、不安は広がり続けている。
 消費者としては、牛肉に関すること、牛に由来したものはなかなか手が出せないという状況が、これはもうやむを得ないと思うんですよね、広がっていて、買い控えが起こり、生産者にまで物すごい被害が及んでいる。これは、私たち、手をこまねいて見ているわけにいかないと思うんですよね。東京のいわば食品の安全だけじゃなくて、産業にも物すごい影響があるだろうと思うんです。
 関係局としては、中心は衛生局であったり、市場であったり、それから生産農家対策その他は産労局だと思うんですが、私は、どちらかというと、最終的にそれを消費する消費者に対して正確な情報が十分伝わっているだろうかという点では、非常にまだこれからだと思うんですよ。
 東京都も頑張っていらっしゃると思うんですが、その点で、まず一つは、この問題については、消費者はとにかく買わないのが一番安全という状況だと思うんですけれども、買ってしまったものや保管してあるものについてはどうだろうとか、そろそろ問い合わせなどが東京都の消費者窓口に来るころかなと思うんです。その経過がわかりましたらお願いしたいのと、今後、これがどういうふうになっていくのかについても、ある程度見通しを持っておられましたら、お願いします。

○中澤消費生活部長 いわゆる狂牛病に関する消費生活総合センターへの問い合わせや相談の件数でございますけれども、十月四日現在で二十六件でございます。
 内容は、購入した商品の原材料に狂牛病の牛が使われていないか心配であるとか、あるいは、どんな商品が安全なのか教えてほしいとか、そうしたいわば漠然とした不安に基づくものが多うございます。
 今後ふえるかどうかということについては、現在のところではこの程度のものでございますので、今後の状況によろうかと思っております。

○曽根委員 思ったほどは多くないなという印象はあるんですが、この後十八日には、一応全国一斉にということで肉牛の検査が始まるわけですね。検査したものは一応安全という一応のお墨つきが出るだろうと。そうすると、その肉が市場に出たときに、これは本当に大丈夫なのかというのが殺到する可能性が私はあると思うんですよ、その段階から。本当に買って大丈夫なのかと。一〇〇%絶対大丈夫ということは、今、日本の、この五年間のタイムラグがあったために、絶対安全な食品というのは、牛由来のものでは、いい切れるものというのは少ないだろうと思うんです。
 そういう点では、これから消費者に対して、狂牛病とは何かということも含めて、現段階で東京都がつかみ得る最も正確で、安全と危険の間のグレーゾーンも含めて、到達点をちゃんと伝えていくというのが、これはまさに生活文化局の消費者行政の今非常に重要な課題の一つじゃないかと思うんですが、この点で、今まで取り組まれたことももちろんあると思うので、その点がありましたらお聞きしたいのと、私、これは、例えばポスター一枚張り出せば済むという問題じゃないと思うんですよね。丁寧に現状での東京都としての情報をきちんと消費者に伝えるためには、今までの媒体も含めてですが、もっときちっとした手間暇をかけたものが必要だと思うんですが、その点での計画などがおありでしたら、お聞きします。

○中澤消費生活部長 いわゆる狂牛病に関する都民への情報提供につきましては、都のホームページに狂牛病の項目を設けまして、病気の概要あるいは国、東京都の取り組みの内容について紹介をしております。また、定期刊行物であります「東京くらしねっと」や「くらしの安全情報」で適切な情報提供をしてまいります。
 さらに、消費生活総合センターでは、消費者の不安を解消し、消費者と事業者、生産者、行政が相互理解を促進する場として、狂牛病をテーマとした講座の開催を企画しているところでございます。
 なお、ただいまお話しございました、近々すべての牛の解体時検査が開始をされて、狂牛病に対する抜本的な安全対策が講じられるというふうに聞いております。その内容については、迅速に消費者に情報を提供をしていくつもりでございます。

○曽根委員 わかりました。私、そういう講座のような形のものもこれから必要になってくるだろうと思うんです。そして、お話のあったように、確かに生産者のところで大変な被害が出ている。しかし、消費者には不安が残っているから(「業界は全部だ」と呼ぶ者あり)業界全体がね。牛乳屋さんを含めて大変な被害なんですよね。牛乳はどうかというと、これはまた一〇〇%安全とはメーカーもいい切れないということで、だれも安全宣言を出さないということですから、そういうことに対して、しかし、最後の判断は消費者なんですね。
 ですから、消費者に絶対安全ですとか絶対危険ですということが、今だれもいえない状況ですが、少なくとも、どの程度の安全が確保されているか、どの程度の危険性があるのか、イギリスなどでも、そういうことをきちんと消費者に伝えることによって、昨年ひどいパニックが起こったのが大分落ちついてきているということですから、そういった取り組みをぜひお願いしたい。
 それから、十八日以降、私は、東京のと場の水準からいえば、東京で検査されるものというのはかなりの安全性が確保されると思うんです。しかし、地方では必ずしもそこまでいっていないという話も聞きます。したがって、何らかの東京都としての安全に対するある程度の目安を出さなければならないかもしれない。
 そのときには、これは当然、衛生局なり産業労働局なり、また市場の方で何らかの判断なりがされると思いますが、そうした会議も今開かれているようですが、そこで出されたものについて、一刻も早く適切な方法で消費者に伝えていく。今、適時行っていくというお話がありましたので、ぜひその点を取り組んでいただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 それから、もう一つ、私学助成について何点かお聞きしたいと思います。
 これは、昨年も私たち取り上げましたが、今も不況が続いて、特に私学に通わせている家庭が経済的な困難に急速に陥るということが起きている。そうすると、学校に通っている途中でやめなければならない、もしくは、兄弟が通っている学校に下の子どもさんは入学試験を受けることができない、都立に行かざるを得ないとか、そういった非常に残念な傾向が現に出ているわけで、私は、そういう中にあって、私学を支えている方々に対する私学助成の役割というのは、ますます重要なんじゃないかなというふうに思います。
 ところが、私学助成の予算が年々減っている。この推移をちょっとお聞きしたいんですが、私学助成、特に経常費補助ですね、これを、総額の推移、三年間ぐらいで、どうなっているか。それから、都立に流れる傾向が出ているといわれますが、私立高校に通う生徒さんの数はどうなっているか、よろしくお願いします。

○谷川私学部長 経常費の過去三年の経緯でございますけれども、平成十一年度が一千百七十九億円、平成十二年度一千百二十二億円、平成十三年度一千八十七億円でございます。この二年間に、約九十二億円、率にいたしまして七・八%の減額となってございます。
 また、都内の私立高校の生徒数でございますけれども、学校基本調査によれば、平成十一年度約二十万四千人、平成十二年度は約二十万人、平成十三度は十九万四千人でございます。この二年間に約九千人、率にして約四・六%の減となってございます。

○曽根委員 私立高校の生徒の数がマイナス約四・六%ですか、今のお話だと。これは、生徒の全体の年齢の、その年齢の子どもたちの数の減りからいうと、まあ頑張っているんじゃないかな、これだけ公私間の費用負担の格差があるときに、頑張っているんじゃないかと思うんですが、それに対しても、経常費補助のマイナスの方が二年間で八%近く下がっている。これは、経常費補助は標準運営費の二分の一という原則は一応守られてはおりますけれども、その中でも、青島知事のときに行われた財政健全化計画で、たしかあれは、教員の共済関係の費用を見直して、五年間の経過措置でずっと今下げているんですよね。
 それが、いわば生徒減以上に私学助成が下がっているという原因になっていますので、この点はやはり、財政健全化計画のこうした経過措置は、早く凍結するなり、やめるべきだということは、私たちの意見として申し上げておきたい。
 それにしても、生徒数がじわじわと減り始めているということで、これに対する対策がやはり必要だと思うんです。そういうときに、これはちょっと来年度の予算の話になって申しわけないんですが、七月二十七日に副知事の予算見積りについての依命通達が出まして、ここでは、経費を三種類に分けて、C経費というのが重要施策ということで、これはシーリングをかけないと。しかし、それ以外のAとかBとかいう経費は、つまりC経費、重要施策以外の経費は、一律、ここでいうと、原則として経常経費及び投資的経費ごとに、平成十三年度予算額に対して総額で一〇%減の範囲内で所要額を見積もることというふうにされたわけですね。
 重要施策が--もう私ども聞いてしまっているものですから、その中に私学助成の全体が入っていないということも知っているものですから、このままやられたら、これは大変だと。事実上一〇%カットとなれば、標準運営費の半分という原則は崩れるわけですよね。これはもう、間違ってもこういうことになってはならないと思うんですが、この点はぜひはっきりとした、局としてはこれはシーリングの対象には絶対させないという決意をお聞きしておかなければならないなと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○谷川私学部長 都の私学助成の中でも基幹的な補助でございます経常費補助、これは、既に何度もお話しさせていただいている教育条件の維持向上、保護者の負担軽減、学校経営の健全化、この三点を大きな目的としてやっているわけでございます。
 これはもちろん重要な施策でございまして、今後とも、東京都の厳しい財政の状況を踏まえながらも、私学振興の観点から適切な予算の確保に努めてまいりたい、このように考えてございます。

○曽根委員 その三つの意義を踏まえれば、私は、一律に、重要施策に入ってないからといって、一〇%カットというふうなことがあってはならない。つまり、これはまさに経常経費ですからね。そして、私学の振興のために欠かせない経費で、そういうことがあってはならないと思うんですが、適切な予算額ということは、これはいわば、今まで守ってきた大原則は維持していくために局は努力をするということだと思っていいんですかね。局長、どうでしょうか、ここは決意を聞いておかないと。

○高橋生活文化局長 今、私学振興の観点から、厳しいこうした財政状況あるいは不況の状況の中で、そうした振興策について基本的なスタンスを維持してというご質問だと思いますが、困難な条件の中ではございますが、今、重要事項のお話もございましたけれども、重要事項から外したから重要事項ではないということではございませんで、むしろ、特段新しい項目として出す以前の、ある意味では基本的な問題だと考えておりますので、厳しい中ですが、しっかりした対応をしていきたいというふうに考えております。

○曽根委員 ぜひこれは、毎年、私学の大会も開かれ、私たちもお邪魔したときには、とにかくこの大原則だけは絶対崩してもらいたくないという悲痛な叫びがあるわけで、これは最終的には生徒さんや父母のところに負担として行ってしまいますのでね、ここが削られると。ここは何としても東京都は防波堤となって守っていただきたいというふうに思います。
 その中でも、私学の中にも、有名な私立高校と、なかなかそうなっていない高校といろいろあって、経営状況も千差万別ですよね。有名な、受験で実績を上げている私立高校などと比べて、どちらかというと、いろいろな生徒を受け入れようという私立学校については、今、生徒減の厳しい荒波にもまれているというところだと思うんですが、その中で、要望としては、特に生徒やその父母の方々も含めて、四十人学級をこれを機に実現をしていくということが、生徒が減った分、逆に可能になっている。今、半分ぐらいですか、到達は、私立学校の中でも。
 四十人学級を全学で実施をすると、補助金に若干の増額がある。ここを何とか充実させていただくことによって、いわば生徒が減ったかわりに、一クラスの定員は減らすことができて、ゆとりができる、そのことに対して補助も若干ですが増額される、ここを充実してほしい。できれば三十五人学級対応をしてほしいというところもあったんですが、そこまでいかないとしても、四十人学級の補助の増額というのは、これは大いに、教育条件をよくするという点でも、あり得るのかな、また、生徒減に対する若干でも穴埋めという点でも、私立学校の中には助かるところがたくさんあるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○谷川私学部長 経常費補助の中で、平成九年度から、今ご指摘のとおり、四十人学級に対する特別補助を実施してきてございます。
 その結果、四十人学級を達成した学校は、平成九年度八十七校だったのに対しまして、平成十二年度は百二十三校、このようにふえてきてございます。ただ、いまだ百十二校が未達成の状況にあるのも事実でございます。こういう事実を踏まえまして、今後とも、現行の補助の水準を維持して、四十人学級を達成したい、このように考えております。

○曽根委員 ぜひ、すべての私立学校で四十人学級を、都立校では既に実現しているわけですから、公私間格差を是正していくという点でも実現してほしいと思うんですが、これに対する補助を、これは私学助成全体というか、中での配分の問題もあるでしょうが、それに向けて、より促進していく立場で、四十人学級を実現したところに対するインセンティブを上げていくというようなことも要望としては強いんですが、この点はいかがでしょうか。

○谷川私学部長 ただいま申し上げましたように、四十人学級をいまだ達成していないのが百十二校ございまして、これの解消に向けて現行の補助水準を維持していきたい、それも大きなインセンティブになっている、現時点ではそういうふうに考えております。

○曽根委員 余り直接のお答えがないので……。ぜひ検討をお願いしたいと思うんです。
 それから、公立学校と私立学校の大きな差は、やはり、初年度に入学金を含めてかなりの負担がある。これが、私立学校を選ぶか公立学校を選ぶかの上での大きな判断の材料にならざるを得ないという現状があります。
 私立学校は、高校一年生で初年度は平均で八十万円くらいですかね。そのうち二十万か三十万を超えているかもしれませんが、入学金負担。これに対して、今、二十万限度ですか、融資があるんですが、貸付金だけじゃなくて、助成制度も設けてほしいという要望が、これは特に今、経済的に厳しい状況の父母の方々から出ているわけで、これは学校に対する補助とは別ですが、生徒やその家族に対する助成という点で、今そこが大きなネックになっているようなので、この点も実現を求めておきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○谷川私学部長 都内の私立高校生に対する就学援助のための助成策といたしましては、入学支度金の貸付事業、そのほかに、私立高等学校等特別奨学金補助、それと東京都育英資金貸付事業等を行っております。
 新たな補助制度を創設することは、現在では難しい、このように考えてございます。

○曽根委員 これは新設ですから、大変難しい状況だということは私も重々わかるんですが、やはり都内の高校生の六割が私立高校に通っていまして、その多くが本当に普通の家庭のお子さんが今までは行ってきた、しかし、これからは親の所得によって行ける学校に差が出てきてしまうという実態が、今、出てきているわけで、これはやはり公教育のあり方としてはふさわしくないと思うんですね。
 そういう点で、全体に広くというわけにはいかないでしょうが、何らかの所得基準を設けて、こうした経済的な負担を若干でも軽減する制度を検討いただくように強く求めまして、質問を終わります。

○遠藤委員 関連して。今、私学の補助金の問題が出ましたけれども、これは、財政の厳しい中、補助の確保を何とか努力しろという姿勢はいいんですけれども、こういう状況になると、私学として、特に経営努力といいますか、そういったもので顕著な面があったら教えてください。なければいいです。

○谷川私学部長 顕著な経営努力というよりも、経常費補助も先ほど来のように若干は落ちてきてございます。その中で、私学における日々の経営の中で、設置者、校長先生、理事長さん初め、教育の質を落とさないで、経費の削減に努めているということは聞いております。ただ、顕著な例というのはただいま思い浮かばないので、申しわけございません。

○執印委員 それでは、大きく二点あります。一つは男女平等、もう一つは遺伝子組みかえ食品の表示についてですが、まず、男女平等参画施策についてお伺いいたします。
 ことしの七月に、男女平等参画審議会の答申、男女平等参画のための東京都行動計画の基本的考え方が出されましたが、その概要についてまずお伺いをいたします。

○高西男女平等参画担当部長 平成十三年七月に発表いたしました男女平等参画のための東京都行動計画の基本的考え方--これは男女平等参画審議会の答申でございますが--につきましては、まず、基本的考え方といたしまして、男女平等参画社会とは、男女が対等な立場であらゆる活動にともに参画し責任を分かち合う社会であり、これを実現するためには、まず、女性と男性、そして、仕事と家庭、さらに、都民、事業者と都、この三つがそれぞれパートナーとなって取り組んでいく必要があるという基本的考え方を提言されました。
 また、行動計画に盛り込むべき事項といたしまして、男女平等参画の促進、人権が尊重される社会の形成、男女平等参画を推進する社会づくり、そして男女平等参画社会の推進を柱といたしまして、都、都民及び事業者のおのおのに取り組みを求めているところでございます。
 主な取り組みといたしましては、ポジティブアクションの推進による女性の参画の促進、家庭と仕事の両立支援のための保育所入所待機児童の早期解消、また、家庭内等暴力に対応した配偶者暴力相談支援センターの整備などが挙げられているところでございます。

○執印委員 ありがとうございます。いろいろな意味で期待をしているところですけれども、現行の行動計画と比較いたしますと、今回の答申から国際化の進展に対応した女性への支援という項目が抜けているように見えます。その辺はどのようにお考えでしょうか。
 また、これは福祉局の管轄だというふうに思いますが、女性の支援組織、民間シェルター、ヘルプの利用人数がわかりましたら、あわせてお答えいただきたいと思います。

○高西男女平等参画担当部長 答申に国際的な視点が触れられていないということでございますけれども、本答申は、都における男女平等参画を推進するための行動計画の基本的な考え方を示したものでございまして、昨年の基本条例を踏まえまして、特に雇用の分野における平等参画の促進、また、家庭内等における暴力などの権利侵害の防止に主眼を置いたものとして、これに沿った先ほどの柱立てとなっているところでございます。
 個別に国際的な云々というふうな議論は特に審議会ではございませんでしたけれども、こうした柱に沿った提言の背景には、そうした国際的な動向等も踏まえられて提言がされているというふうに考えております。
 行動計画は、この答申を踏まえましてこれから策定してまいるわけでございますが、現行の行動計画にあります、あらゆる分野への男女の平等参画、あるいは国際社会への参画と協力、こういうふうなことでございますが、具体的にどういう柱立てになるか、まだこれからの、今後の検討ではございますけれども、それぞれの項目におきまして、そういう国際的な視野も踏まえて行動計画を策定してまいりたいというふうに思っております。
 具体的には、今お話もございましたけれども、来日外国人の女性緊急保護事業ですとか、先ほど来お話が出ておりますDV法におきましても、日本在住の外国人も対象としておりますので、そういったところも入ってこようかというふうに考えております。
 それから、今お話のありましたヘルプ、これは、東京都の来日外国人女性緊急保護事業ということで、こちらに補助を行っているところでございますが、そこの入所実績ということでございますが、これは福祉局からいただいた資料でございますけれども、平成十二年度で、入所者数が百二十二人、この内訳としまして、大人が七十一人、子どもが五十一人、子連れで入ってくるということでございます。延べ人数といたしましては、二千六百四十人日という実績になっているというふうに聞いております。

○執印委員 ありがとうございました。今、ヘルプの状況などもお尋ねをいたしまして、こういった問題というのは、特になかなか見えない部分だと思うんですけれども、問題が起きると解決が難しい、そういう部分かなというふうに思っております。
 お答えの中で、背景に国際化の動向があるですとか、それから国際化の視野を持つというお答えがあったわけですけれども、基本計画というものの性格からしまして、国際化の項目というものがしっかりと入っていかないと、例えば、担当者がかわったときですとか、それから市区町村への影響ということを考えますと、明文化しないときの不安というものがどうしても残るわけです。東京都の姿勢を示す意味でも、基本計画に国際化の対応というのをぜひ明文化をしていただきたいんですが、いかがでしょうか。

○高西男女平等参画担当部長 東京都はこれまでも、男女平等参画施策につきましては、国際社会や国内の動向と協調しつつ積極的に推進してきたところでございます。現在策定中の行動計画におきましても、国際的視点につきましては、おのおのの事業について適宜考慮すべき視点ではないかというふうに考えているところでございます。
 先ほども申し上げましたけれども、来日外国人の保護事業、あるいはドメスチックバイオレンス法に基づいて、日本在住の外国人についても対象としていくというふうなことも考えております。
 またさらに、今度、アジア大都市ネットワーク会議というのが来週開催されますけれども、ここの会議のテーマの一つにも、女性の社会参画というものも挙げられておりますので、これの具体的な内容につきましては、来週の会議で討議されるということでございますので、この討議結果を踏まえて適切に対応してまいりたいというふうに考えておりますが、柱立てとしましては、先ほど申し上げましたような柱立てでございますので、いわゆる国際というふうなところがそこでどう交わるかということになろうかと思いますので、その点は、工夫できる余地があれば検討させていただきたいと考えております。

○執印委員 ありがとうございました。検討してくださるということなので、ぜひ期待をしたいと思います。
 分権の時代ですので、本来は都の方針に自治体が引きずられるというようなことがあるのはおかしい話なんですけれども、非常に影響力が大きいことも確かでございまして、例えば男女混合名簿について、私、市民運動の皆さんと十二年前から自治体に働きかけをいたしました。小学校二十校のうち十三校実施、中学校はゼロだったわけですけれども、そういう形で進んできておりますが、今回、東京都が男女混合名簿を推進するということをはっきりと出したという中で、東京都も出しましたので自治体もやりますというような、そういう前向きの姿勢が大変出てまいりましたので、ぜひ、地方分権の時代ですので、いろいろ複雑な思いはあるわけですけれども、しかし、しっかりと東京都として、国際化のことも含めて明記をされて対応され、市区町村との連携を図っていただくことを強くお願いをしておきます。
 それから次に、バイオテクノロジー応用食品のマーク表示についてですが、これにつきましては、私ども生活者ネットワークも提案してまいりましたところでございますが、表示マークが決定したと聞いておりますので、マーク表示の根拠につきまして、まずお尋ねをしたいと思います。

○中澤消費生活部長 バイオテクノロジー応用食品のマーク表示につきましては、昨年十二月に第十六次消費生活対策審議会から、事業者向けの表示ガイドラインを作成し、消費者の選択の目安になるわかりやすいマーク表示の実施を事業者団体に働きかけていくことが望まれるという答申をいただきました。
 都は、この答申に基づきまして、遺伝子組みかえ食品と受精卵クローン牛のマークを制定したものでございます。
 マークの表示は、ガイドラインに基づきまして、製造業者や販売業者の方々のご協力を得て、都内で販売される商品を対象として、本年十二月一日から実施をするものでございます。

○執印委員 ありがとうございます。遺伝子組みかえ食品などは、そのものの安全性ももちろんですけれども、自然環境に及ぼす影響というものもいろいろいわれているわけでございますので、消費者が買わない、選択できるような方法を東京都がどういうふうに進めていってくださるかということが、一つポイントかというふうに思います。
 しかし、販売をする側からいたしますと大変難しい部分もあるかと思いますが、今後、製造業者の方々に対して、どのようにお知らせをして、どのように協力を得ていくのか、また、今の状況として、どのような感触で東京都は臨まれているのか、教えていただきたいと思います。

○中澤消費生活部長 このマーク表示につきましては、ガイドラインで実施をいたしますために、事業者の理解が不可欠でございます。そのために、昨年の暮れに消費生活対策審議会でマーク表示に関する答申をいただきましてから、関係事業者にマーク表示の趣旨などを説明をいたしまして、協力を求めてきたところでございます。
 しかし、この間、大手事業者団体等からは、JAS法に基づく表示だけで十分である、新たな表示のためのコストが必要であるなどを理由として、マーク表示に反対する意見書をいただいております。
 一方で、マーク表示の必要性を理解をしていただきまして、積極的に協力の意思表示をしていただいておる事業団体もございます。
 今後とも、各事業者の方々に粘り強く働きかけるとともに、現在、協力の意向を示していただいております先駆的な事業者の方から実施をしてもらうなど、マーク表示の普及を積極的に努めてまいりたいと思っております。

○執印委員 なかなか担当者の方もご苦労されているということがお察しできるわけですが、積極的な、先駆的なお考えをお持ちの事業者がいらっしゃるようですので、まずそういったところにぜひご協力をいただいて、それがうまくいきますと、事業者の方々もまた表示マークをつけるということになってくださるかと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
 そこで、昨年の雪印の事故から始まりまして、先ほどもお話しありました狂牛病など、消費者の不安が非常に高まっておりまして、実際に何を食べたらいいかわからない、食べることは、本来は命を長らえるものであったわけですけれども、食べることが被害を生むかもしれないという状況になってきている中で、東京都がこういう形で、遺伝子組みかえ食品について表示をつくって業者に働きかけしていくということになってきておりますが、何せ食べ物というのは広域行政でございますので、都内でこのマークを普及するということをしていただくとともに、他の府県に、都道府県必要かもしれませんが、協力を得る必要があると思います。都内に本社があって、地方に工場がある、そういうような業者というのは多いのではないかというふうに思いますので、そのあたり、今後どのような形で対応されていくのか、お答えいただきたいと思います。

○中澤消費生活部長 お話しありましたように、マークの表示された商品の中には、都内だけではなくて、広域的に流通するものもあると思っております。そのために、すべての道府県にマーク表示の趣旨をお知らせをいたしました。
 そういうことともに、特に近隣の県に対しましては、関東知事会などの場を利用いたしまして、ご理解とご協力をお願いをしていくつもりでございます。
 また、今後とも、このマークが日本のスタンダードになりますように、関係機関に積極的に働きかけていく所存でございます。

○東委員長 ちょっと速記をとめてください。
〔速記中止〕

○東委員長 速記を再開してください。
 この際、議事の都合により、おおむね五分間休憩いたします。
午後三時五十八分休憩

午後四時六分開議

○東委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○後藤委員 私は、生活文化局の監理団体に対しての指導監督についてお尋ねします。国際フォーラムと、それから歴史文化財団に関してお尋ねしようと思います。
 まず、国際フォーラムの建物が建っている敷地の面積及び敷地の推定の価格ですね。それから、建物の建設費、建物の耐用年数を教えていただけますか。敷地の推定価格に関しましては、外部監査委員の方たちが指摘なさっている数字でも結構ですから、できたら教えてください。

○三好文化振興部長  国際フォーラムについてでございますが、財務局が出しております東京都公有財産表によりますと、東京国際フォーラムの土地の面積は、区道の部分を含みまして約三万平米、土地の推定価格は三百五十四億円となっております。建物の建設費は千六百五十億円で、これの耐用年数につきましては、公有財産台帳上では四十五年ということになっております。

○後藤委員 敷地の価格なんですけれども、例えば時価でちょっといっていただけますか。

○三好文化振興部長  時価という概念はいろいろあろうかと思いますので、この台帳上では、それらを勘案して、先ほど申し上げた金額で台帳に記載されております。

○後藤委員 こちらに外部監査委員の方が指摘している数字があるんですが、外部監査委員の方の指摘している数字は六百億円というふうになっているんですけれども、間違いありませんか、それは。

○三好文化振興部長  機能するバランスシートによりますと、台帳価格は、先ほど申し上げた約三百五十億円、推定時価は約六百億円というふうに記載がなされております。

○後藤委員 国際フォーラムなんですけれども、例えば決算の方法ですとか予算の組み方を見ていますと、独立採算制をとっていると思うんですが、仮に独立採算制をとっているということになりますと、これは収益事業と考えてよろしいでしょうか。お願いします。

○三好文化振興部長  国際フォーラムにつきましては、施設自体は都が建設いたしまして、その建設目的といたしましては、総合的な文化施設として豊かな都民生活に役立てる、あわせて世界都市東京としての情報交流の拠点となるという役割を持って都が建設した施設でございます。
 したがいまして、国際フォーラムにつきましては、こういう公共的な性格を有する施設であると同時に、その運営については、できるだけ利用者ニーズに合った弾力的な運営をするということで、いわゆる独立採算事業としたものでございまして、収益施設という概念が必ずしも明確でございませんが、そこから専ら収益を上げることのみを目的とした施設ではないと考えております。

○後藤委員 収益事業ではないとおっしゃいますけれども、例えば、事業収入か何かを見ますと、ホールの運営で四十九億八千七百万円というふうな数字が上がっているんですが、東京フォーラムからは、例えば家賃というふうな形で、過去もらったことがあるのか。これから、未来ですけれども、家賃というものを取るおつもりがあるのかどうなのか、質問します。

○三好文化振興部長  東京国際フォーラムにつきましては、この設置、運営当初は、施設全体を無償で東京国際交流財団の方に貸し付けておりまして、昨年度、平成十二年度まで、全体を無償で貸し付けておりましたが、財団の経営状況、経営努力によりまして、平成十三年度からは、事務室のうち、フォーラム事業に使用する部分、これにつきましては貸付料、賃貸料を徴収することといたしました。

○後藤委員 これは前回のときに配っていただきました資料の第3号というものですが、この三一ページに、三一ページの最後の行なんですけれども、次期繰越収支差額ということで二億円あるんです、二億二千七百十九万円。
 収益事業ではないとおっしゃいましたけれども、繰越金が二億円あるということは、民間で考えたらば利益というふうに考えてもいいと思うんですが、仮に収益事業ではないというんだとしたらば、例えば、この繰越金を家賃というふうな形でお取りになるという考えはありませんか、二億円をです、二億二千七百十九万円。

○三好文化振興部長  先ほどの収益事業かどうかというご議論でございますけれども、先ほど、私の方で申し上げたのは、国際フォーラムを建設した意義、目的に照らして、専ら収益を上げることのみを目的とした事業ではないということで申し上げたわけでございます。
 それで、ただいまの繰越収支差額が出ているということでございますけれども、これにつきましては、財団が保有しております備品の更新、その他経費等もございますので、そういった経費に充てるとともに、先ほど申し上げたように、事務室につきまして貸付料を都が徴収することとした次第でございまして、その貸付料の徴収に当たりましては、いわゆる財産の貸し付けとしての計算に基づきまして徴収をいたしておりますので、利益が出たから即その分を貸付料として徴収するという形にはいたしておりません。

○後藤委員 今、部長が、例えば備品の更新とおっしゃいましたけれども、備品の更新の積立金というのがちゃんと入っているんですけれども、例えばこの二億円の中からまた入れるというんですか。
 それから、フォーラムの分の事務所の専有部分に関して貸付料とおっしゃいましたけれども、仮にそうだとしましたらば、今後ですけれども、利益がもしいっぱい出てきた場合は、例えば備品をどんどん新しく買いかえたり、例えばご自分たちの給料をふやしていくというようなことでも考えていらっしゃるんですか。

○三好文化振興部長  まず、備品更新の関係でございますけれども、平成十三年度の国際交流財団の、これは補正予算でございますけれども、これによりまして、先ほどの十二年度の収支差額、十三年度に繰り越されました収支差額二億二千七百万円を備品更新積立金として計上することにいたしております。
 それから、ただいまの、利益が出たら、それを何にでも使うのかという趣旨のお話かと思いますけれども、それにつきましては、当然、健全な財団運営の中で検討すべきことと考えております。

○後藤委員 備品の更新というふうにこだわられているんですけれども、例えば、今、シーリングで一〇%カットですとか給料のカットまで行われている時代に、お金が余ったから備品を買うなんていうふうなことはやめていただきたいと思います。
 これに関しましては、一つだけ要望というふうな形でいわせていただきますけれども、建物の価格が千六百億円の建物で、敷地の推定価格が六百億円という、普通民間で考えたらばすごいおいしい話だと思うんですけれども、これだけのおいしいものを借りていながら、とんとんでいいだろうとか、例えば利益みたいなものが出たらば備品の更新なんていうふうなことだけは、考えはやめていただきたいと思います。
 次に、歴史文化財団の附帯事業についてお尋ねします。これも同じく、前回の委員会でいただきました資料の第5号というものです。
 こちらの三一ページをあけておいていただきたいんですが、ここのところに事業収入というのが書かれています。一般論で部長にお尋ねしたいんですが、例えば収益事業において、収入の予算と支出の予算とを比べた場合に、収入の予算の方が多いというふうに私は考えるんですけれども、この点はいかがですか。

○三好文化振興部長  今の点にお答えする前に、先ほどの国際フォーラムの件でございますけれども、備品更新積立金というのは、将来の備品更新に備えるための積立金でございますということをつけ加えておきます。
 それから、ただいまの点でございますが、予算といたしましては、収入支出が均衡する。均衡するという意味は、収入の枠内で支出がなされるべきものというのが一般的な理解かと思っております。

○後藤委員 部長がおっしゃったことは正しいと思うんですが、三一ページに書いてあります事業収入の予算の方が三億五千八百万円で、三二ページの方に書いてあります事業費の支出の予算が四億六千万円、これはちょっと逆さまになっているんですけれども、この辺はどうなっているんでしょうか。

○三好文化振興部長  ただいまのご指摘の三一ページ、三二ページの収入支出の関係でございますが、この附帯事業会計といたしましては、収入の一番下、収入合計四億九千六百万円と、次の三二ページの当期支出合計四億九千六百万円、これが均衡しておるというふうに見ております。
 その理由といたしましては、これは会計処理のやり方でございますけれども、歴史文化財団の事業というのが、もともと都からの委託事業ですとか、都からの補助金によっておるものが多いということで、いわゆる会計処理につきましても、都の会計方式にのっとって、いわゆる官庁会計の均衡収支予算を組んでおる、その場合に、前期繰越収支差額も収入ととらえまして、会計全体として収支均衡を図った、そういう予算の組み方かと理解しております。

○後藤委員 できたらもっと簡単に考えていただきたいんですが、例えば収益事業をやる上において、雑収入だとかいろいろなものを入れて均衡すればいいんですか。普通の民間感覚からいきますと、金もうけですよね、金もうけをするときに、例えば仕入れの部分の方が少なくて当たり前なんです。仕入れの部分が多かったら会社はつぶれるんです。部長が今おっしゃったいい方なんですけれども、トータルで合っていればいいなんていうふうな考え方で今まで運営なさっていたんですか。

○三好文化振興部長  附帯事業会計の場合には、利益というものが想定されるわけでございますので、その利益を、例えば、ここでございますと、販売のためのいわゆるショップの増改築、店舗の改修、あるいは新たなグッズの開発といったようなことで、一時的に経費を要する場合もありますので、単純におしりが合っていればいいという意味ではなくて、そういった内容に合わせて、会計全体として収支をとっておるというふうに理解をしております。

○後藤委員 考え方はわかりましたけれども、ただ、単純に引き算やりますと、一億一千万円合わないんですよね。例えば、私はパン屋やっていますけれども、百円のあんパンつくるのに百二十円のものなんて絶対考えられないので、例えば仕入れが百二十円のものなんかでやったらば、必ずつぶれます。
 最後なんですけれども、この資料の五七ページには、前年度の決算書が載っています。この決算書の中の、やはり附帯事業なんですが、予算額が四億七千万、決算額が二億六千二百万、簡単に割りますと四四%減っているんです。普通の民間の会社だったとしたらば、予算を組むときに、決算やってみたらば約半分になっちゃったなんていうふうな予算を組んでいるような会社だったらば、つぶれますよ。
 この四億七千万円の予算が、決算になったらば二億六千二百万円になったというのは、いつの段階でわかっていましたか。

○三好文化振興部長  決算の二億六千万については、決算をした時点で明らかになったものでございます。

○後藤委員 とりあえず私が見てきたのは本当のある一部なんですけれども、監理団体に対してもう少し指導監督を徹底していないと、結局はお金の垂れ流しになってしまいますと、皆様がさっきおっしゃっていたように、例えば私学の助成ですとか、お金は幾らあっても今足らない状態だと思うんですけれども、監理団体で監理徹底をするということは何かといいますと、皆様の経営感覚があるかないかということだと思うんですよ。結局、職員の方たちが経営感覚を持っていなかったらば、監理団体の赤字なんていうのは幾らでもふえていくと思います。結局、監理団体が見えないんです。
 一つお願いなんですが、例えばフォーラムの件ですとか、歴史文化財団の予算決算のもう少し詳しい明細というのを示していただけないかなと思うんです。できましたらば局長にお尋ねしたいんですけれども、例えば、局長は先ほど、厳しい財政状況の中というふうな表現をお使いになっているんですが、厳しい財政状況ということがわかっているんだとしたらば、例えば監理団体のもう少し詳しい明細を委員の方にもご披露して、どうやれば少しでも利益が上がるのか、むだがなくなるのかというふうな観点からも、資料を出していただきたいと思うんですけれども、ご見解をお願いいたします。

○三好文化振興部長  監理団体の資料につきましては、毎年度、指導監督に必要な資料として団体から提出をさせまして、経営状況説明書という形で作成をして、議会にご報告いたしておるところでございます。
 個別、具体の項目につきまして必要があれば、その都度、財団に説明を求めるなどして対処をしてきておりますので、全体の内訳という形で資料を用意することは、今考えておりません。

○後藤委員 生活文化局の中には情報公開の係の方もいらっしゃると思いますけれども、最後で一個質問がふえてしまったんですが、情報公開をもしかけたときに、これらの細かい資料というのは出るか出ないかだけ最後にお答えください。

○村松都政情報担当部長 監理団体につきましての情報公開についてのお尋ねということだと思いますが、現在の情報公開条例ですと、第三十三条に「都が出資その他財政支出等を行う法人であって、実施機関が定めるものは、この条例の趣旨にのっとり情報公開を行うため必要な措置を講ずるよう努めるものとする。」、第二項としましては、「実施機関は、」、実施機関というのは知事でございます。それを補佐する生活文化局長というふうにお考えいただければよろしいと思います。「出資等法人に対し、前項に定める必要な措置を講ずるよう指導に努めるものとする。」というふうに書いてございまして、第一項の「実施機関が定めるもの」の中に、今議題になっております財団法人東京国際交流財団並びに財団法人東京都歴史文化財団、こういうものが入っております。
 この両財団、そのほか、東京都全体で指定した六十一法人がございますが、この六十一法人につきましては、それぞれの団体が自主的に情報公開の制度をつくりまして、そちらの方で、都の要綱のモデルがございますので、それに従ってつくっていただいて対応していただくということになってございます。

○服部委員 私は、江戸開府四百年記念事業について、まずは明るく、夢のある、そして建設的な、そういった質問、意見あるいは要望を含めて、これからいたしたい、そのように思います。
 先月、九月の二十六日、本会議の都議会自由民主党の松本幹事長の代表質問の中で、この事業について、二年後、平成十五年にちょうど江戸開府四百年に当たる、したがって、これを記念して、関係の各区市町村や、あるいは民間業者団体、そういったものを含めて、東京都としてこのことに取り組んだらどうか、そういう提案をいたしました。翌日の東京新聞にも大きく取り上げられまして、知事も、とにかくやろうじゃないか、大いに結構だと思います、このように大変意欲を示されました。
 そこで、この質問に入る前に、これは産業労働局の資料ですが、千客万来の世界都市東京を目指して観光産業振興プラン素案、この八月に出されましたね。これを私も読ませていただきました。これからの東京の--外国から来る観光客を、現在の二百七十七万人を五年後、シンガポール並みの六百万人にふやそう、そういう計画ですね。そのために、例えばシティーセールスをこれからやっていく、それからコンベンション活動を重視する、あるいは各種イベントも開催しよう、そういうようなことがここには述べられております。
 私も、この資料を拝見して、いろいろ自分なりに考えたんですが、東京に来た--もちろん外国人に限らず、国内外の方々が見えた。東京の売りは何なんだろうか、何を売るのか。せっかく見えていただいたんですから、やはり東京の売りを考えていかなければいけない。もちろんお台場もあるでしょう、また秋葉原のIT産業のところもあるでしょう、あるいは多摩の自然もあるでしょう。
 いろいろな地域もありますけれども、私は、その売りの一つに、やはりこれからは東京のルーツ、これは江戸だと思うんですが、その江戸が私は一つの大きな東京のシティーセールスの売りだ、このように、歴史とか文化とかも踏まえて、そう考えました。
 そこで、江戸開府四百年事業、これは慶長八年といいますか一六〇三年に徳川家康が征夷大将軍になるんですね。そして江戸に幕府を開いた。その年から数えて二年後が江戸開府四百年に当たる。これは一つのいいきっかけだと私は思いました。
 生活文化局の平成十四年度の重点施策、この間発表ありましたけれども、この中にも、この江戸開府四百年を記念して、東京圏の魅力を高めて内外にアピールするためのプログラムを広域的に実施したい、このようなことも書かれております。
 私は、そういった意味で、この事業というのは、いろいろな分野に、さまざまな分野にわたると思います。きょう、私も大江戸線に乗ってここへ参りましたけれども、大江戸線の沿線なんていうのも、まさにその江戸のゆかりのいろいろな地名のある場所でもありますしね。
 ですから、これを産業労働局や、あるいはほかのセクションを含めて、総合的にやっていかなければいけないことだと思うんですが、ただ、歴史とか文化、特に文化を重点的にということであれば、やはり生活文化局が中心的な役割を果たしていただいて、場合によっては各局を束ねていただくような、そういう気概を持ってやっていただきたいな、私はそういうように思うんです。
 そこで、伺いますけれども、こうした事業というのは、ただ東京都がこういうものをやるというのではなくて、やはりそれぞれゆかりのある、そういったところの盛り上がりというのが、地域の盛り上がり、これが私は大事だ、そのように思いますが、現在、ほかの区市町村でこういった事業を予定しているようなところがあるかどうか、まずこのことについてお尋ねをします。

○三好文化振興部長  江戸開府四百年記念についてでございますけれども、既に幾つかの自治体では、何らかの形でその江戸開府四百年を記念する事業の取り組みに向けて検討や準備を始めているというふうに聞いております。例えば、千代田区では既に、官民の構成員で実行委員会を設置をいたしまして記念事業の準備に入っており、基本構想を策定するというふうに伺っております。

○服部委員 既に千代田区の方でそういう動きがある、これもたしか新聞にもいろいろ出ていたと思うんですけれども、大変私は結構なことだと思います。
 千代田区も立ち上がってくる、台東区の方もこれをやろう、そんな動きも今あるように聞いておりますし、また、周辺区も、この江戸開府四百年事業に合わせていろいろ事業をやっていこう、この際、やはり自分たちの住んでいる町の歴史や文化を掘り起こしていこう、そういうことで今動き出している。そういうことは、私は、この事業にとって大変重要なことだと思います。
 ただ、そういう立ち上がった区あるいは市町村、そういったところが連携をしていく、そういったこともやはり大事だと思うんですね。一つの区がこれをやるといっても、なかなか世界に発するメッセージとしてはインパクトが非常に薄いと私は思うんですよ。
 やはりこういうそれぞれの区市町村が呼応して、江戸開府四百年事業に合わせてやっていこうということで連携をしながら、また、それを東京都がバックアップしていく、そういうことが私は大事ではないかな、そう思うんですね。
 これもちょっと調べてみたんですが、かつて昭和三十一年、もう今から四十五年も前になりますが、大東京祭というのをやっているんですね。これがそのときの記念アルバム、これはコピーですけれども、これは相当大々的なことをやっているんですね。二十三区もそうですし、あるいは三多摩も含めたすばらしい記念事業を実施をされた。当時の中心地は、この庁舎じゃなくて、丸の内の都庁舎が新しくできた年なんですね。そこを中心に、あるいは上野動物園や上野公園や日比谷公園や、いろいろな地域で、立川、八王子の方でもあったようにも聞いていますし、行事をやっている。
 ただ、この大東京祭、これのテーマは、一つは、昭和三十一年、戦後十年少々のことでしたから、東京が本当に戦争で焦土に化して荒廃をした、そういった東京を何とか復興していこう、そういう思いで先人が大変ご苦労されて、そして、どうやらこれから東京復興だ、そういうメッセージを世界に発信をした。それが、私はこの大東京祭のテーマであり意義だったと思うんです。
 したがって、このときにも、主要国あるいは主要都市の首長さん、そういった方々が参集をされて、国際会議などもやっていますね。
 こういう大東京祭と、今度の、私が今申し上げた江戸開府四百年記念事業、これは私は、この大東京祭とはまた違っていいと思うんです。今度の江戸開府四百年事業は、やはり一つのテーマは江戸だと思うんですね。東京のルーツの江戸、これを大きなテーマにして、それぞれ町おこしや歴史や文化の発見をしていく、そういうことが私は重要だと思うんですが、この点について、局長、ご答弁ありましたら、よろしくお願いします。

○高橋生活文化局長 江戸開府四百年を記念した事業の取り組みについてでございますが、知事がかねがね本会議の所信表明等でも申し上げておりますが、東京というのは、ある意味では、江戸以来の政治、経済、文化、そういうものの蓄積がなされており、こうしたものを活用するということが、今後の東京の展開にとっても重要だということを、特に首都移転の反対論議の中でも、こういうことを申し上げておりますが、そうした観点からも、今先生のおっしゃいました江戸開府というものを記念して、東京あるいは、もうちょっと広げた地域も含めて、時代を振り返って、今の置かれた東京あるいは周辺の活性化をどうしたらいいかというふうなことを考えていくことは、非常に意義あることだと思います。
 そういう意味で、構想の中に、先生おっしゃっています千客万来の都市ということを大きな東京のスローガンにしておりますが、そうした観点から、首都東京の魅力をアピールする、ある意味では絶好の機会ではないかというふうに考えております。
 そうした意味で、こうしたことを機会に、伝統文化の再認識や、あるいは大都市の町おこし、それから、先般、心の革命の中で、江戸東京ダンスというようなことを広場でやりましたが、ある種の町おこしといいますか、新たな地域の縁をつくるというふうなことがございましたが、そうした観点も踏まえまして、この四百年を契機に、文化や観光の振興などを中心にしながら、都市景観整備、あるいは新しい産業と過去の江戸の事業との関連なども振り返りながら、こうしたものを広くアピールし、新たな連携を生み出すということは非常に重要なことだと思っております。
 今後、具体的にどういう取り組みをしていくかということでございますけれども、行事のやり方、いろいろなやり方がございますけれども、今、先生お話しのように、いろいろな関係の自治体あるいは民間の事業者の中でも既に、例えば歌舞伎の四百年記念行事などというようなことを考えているような事業もあるようでございますけれども、いろいろなそうした芽を、東京都はネットワークを組みながら、新たな顔づくりのための核になり、例えば統一スローガンの形成であるとか広報であるとか、そういうことの役割も十分踏まえながら、大きなネットワークをつくってまいりたいというふうに考えております。

○服部委員 ありがとうございました。
 先ほどの大東京祭、これは太田道潅が江戸城を築城して五百年という記念事業だったんですね。今度は、徳川家康が江戸に幕府を開いて四百年ということなんですが、私は思うんですけれども、よく地方博覧会というのがありますね。それぞれ地方の方も努力をされてやっていらっしゃると思います。
 ただ、地方博覧会というのは、小型の遊園地をつくり、あるいは企業がお金を出してパビリオンをつくる。大体三カ月ぐらいの期間、大いにPRをして、終われば、その建物も取り壊して終わり。
 私は、この江戸開府四百年記念事業というのは、こういうものではなくて、一過性のものではなくて--これがゴールではないんですね。これがスタートなんです。スタート、まずそういう意識を我々は持たなければいけないと思うんです。
 身近に見渡しても、山本委員さんいらっしゃいますが、地元の墨田区には江戸東京博物館がありますね。そしてまた、私のいる台東区は、寛永寺さんゆかりの、江戸ゆかりの上野や浅草もあります。また、千代田区はもちろんですが、荒川や、あるいは周辺区、新宿もそうですけれども、さまざまにそういう江戸ゆかりの場所がある。だから、そういった身近なところの歴史あるいは文化、そういったものをこの際、再認識をする、そういうことがやはり私は大変大事だと思うんです。
 それがまさに江戸の掘り起こしだと思うんですよ。これをきっかけに江戸を掘り起こすんだ、そういうことで、三多摩も含めた各地域が、自分たちの住んでいる町の江戸を掘り起こしていく、歴史を再認識をしていく。それがまた、やはり、一つの郷土愛にもなっていくと思うんですね。我々はやはり、そういった歴史や文化に対して誇りを持ってこれからやっていかなければいけない。
 その礎にこの江戸開府四百年事業がなればいいな、そう私は思っておりますので、今後、この事業に取り組むに当たって、ぜひそういう方向で取り組みをしていただきたい、そのように要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

○和田委員 二点お尋ねいたします。
 まず初めに、専修学校の都政とのかかわりぐあいについて、一点目。二点目は、パスポート、旅券行政についてお伺いいたしたいと思います。
 専修学校あるいは各種学校と、よく私どもちまたではいいます。これが、私学部とのかかわりが強くあるわけでありますけれども、都内の専修学校、いわゆる専修学校に絞りたいと思いますけれども、生徒数、それから学校数ですね、その変遷について特徴的なところを初めにお伺いいたします。

○谷川私学部長 平成十三年度の学校基本調査、これは速報でございますけれども、都内の私立専修学校の数は四百三十八校でございます。在籍する生徒数は十九万五百三十九人になってございます。
 また、近年の傾向でございますが、ここ十年間の推移で見ますと、学校数においては、年によって増減がまちまちでございますけれども、十年前の平成四年と比べますと、四百二十九校から、十三年速報で九校の増となってございます。生徒数につきましては、四年度の二十六万五千二百九十八人から、約七万五千人の減となってございます。
 少子化の影響などにより、生徒数は減少傾向にあるわけでございますけれども、なお多くの生徒が私立専修学校で学んでいる状況でございます。

○和田委員 今のご答弁が正確だと私、信じたいと思っているんです。
 そこで、今は学校数と生徒数だけお聞きしましたけれども、私どもの手元には、平成四年から平成十二年までの専修学校で働いていらっしゃる教職員の数もあるんですね。教職員の数は、平成四年、年度合わせますと十年前、二万八千六百四十六人ありました。そして、平成十二年の今日でありますけれども、二万八千六百七十九人でありますから、教職員の数は十年前と変わらない。学校の数も、四百二十九から四百三十九ですから、ほぼ変わらない。ただ一つ大きな変化というのは、生徒数が実に七万五千人も減っている。こういうことが、専修学校の十年間の変遷の中の表面上にあらわれてきている大きな変化、動向だと思うんです。
 さて、そこで、私が関心を持っているのは、このように規模の大きい、教職員で大体二万九千、それから生徒数では十九万一千、二十万の方々が日夜勉強されているこの専修学校と私学部の法的なかかわりぐあいについて、まずお伺いいたします。

○谷川私学部長 専修学校と東京都の法的なかかわりぐあいでございますけれども、いわゆる一条校、高校、大学等の一条校については、私学振興助成法に基づく法律の規定がございます。ただし、この私学振興助成法につきましては、専修学校には適用されておりません。
 ただし、学校教育法において、八十二条の二項で専修学校のさまざまな規定がある、現在そのようになってございます。

○和田委員 難しい規定を出されたので、僕もちょっと、私立学校振興助成法なるものを開いて持っていますけれども、要するに具体的な形での規定はないんだけれども、その準用、援用によって、専修学校の存立が証明されるということと私は思います。
 そこで、専修学校そのものは、私も過般この文教委員会で、産業教育審議会の開催日数などを資料要求しました。極めて貧困な数字で、この五、六年、審議会は開かれてないなどということがデータで明らかになりましたけれども、それを埋める形で、実情、専修学校が日夜頑張ってくださっています。まあ繰り返しません。
 職業教育とか実生活というものに、双方にうまく微妙に関連をした形で、この専修学校というのはあるわけですが、改めて問うわけですけれども、専修学校の社会的役割、冒頭申し上げた、学校の数にして四百四十とか生徒数が二十万だとか、あるいは教員が三万人近くいるというようなことも含めて、当局はどのように専修学校の社会的な役割を受けとめていらっしゃるんでしょうか。

○谷川私学部長 専修学校は、職業教育観、職業観というんですか、それをはぐくむとともに、職業能力、これを育成することを主たる目的とするものである、このように考えてございます。
 都立の私立専修学校は、都民の教育ニーズの多様化、これに応じてさまざまな教育を提供してございまして、教育の重要な一翼を担っている、このように考えております。
 また、その卒業生の多くは、都内の企業に就職するなどしておりまして、東京都の活力の向上にも大きく寄与している、このように考えてございます。

○和田委員 総論的なところだけじゃなくて、具体的な学校名を挙げてこれから質問したいと思うんです。
 そのように、当局も期待をし、そしてまた、地域社会や我々の周辺でも、生徒の数は減っているけれども、学校の数はそのまま、教職員の数もそのままで維持して、それぞれの目的に努力されているという、こういう専修学校があります。
 その専修学校は、今、一条校の援用とおっしゃっていましたけれども、東京都の直接のかかわりの中で、例えば私が専修学校をつくるときに、東京都の認可とかあるいは許可とか、そういうものが必要なんですか。

○谷川私学部長 私立学校法に基づくところの認可が必要でございます。

○和田委員 私学法の認可が必要だということです。そうなってくると、認可を出す以上は、出した学校がどういうふうな、経営もそうですが、学校の中の運営をされているかという義務も当局には生ずると思うんですが、その範囲、いかがですか。

○谷川私学部長 学校教育法あるいは私立学校法に規定されている権限としては、学校教育法では、例えば学校の設置、廃止等の認可などの権限が定められてございます。私立学校法では、教育の調査、統計など必要な報告書の提出を求めることができる、このように規定されてございます。

○和田委員 いろいろな報告を求めることができるというふうになっています。それは、はっきりこの項目とこの項目しかだめだよというふうに規定されているものではなくて、全体的にその学校が健全に専修学校として機能しているかどうかということも含めて、その学校の経営の内容も、あるいは教職員や経営者との人間関係も含め、必要に応じて当局は聞くことができるというふうに解釈したいんですが、そのようにできますか。

○谷川私学部長 専修学校が教育的な環境を維持するのに不都合が出た場合には、当局としては行政的な指導をしてまいる必要があると思っております。ただ、労使紛争あるいは経営上の問題等については、行政的な介入をするには、そこには一定の限界というものが存在している、このように解釈してございます。

○和田委員 認可をするときには、権者として、いいですよという。できた後については、今、微妙なご答弁でありまして、労使だとかそういう人間関係の学校の中の問題については余りかかわれない、しかし、教育的な中身、いうならば、ハードじゃなくてソフトかな、そういうものについてはできますというふうな、今、答弁でありましたけれども、私は、その限界というのか、境界線というのはなかなか微妙だろうと思うんですね。一方が一方に影響し、一方がまた一方に影響されるという場面があるわけでありますから、そこのところは峻別できないだろうと思うんです。
 先ほどから、何か持って回ったいい方で恐縮なんですが、ここにお茶の水学園という学校が一つ登場するんです。これは、あとはOという学校に仮名としますけれども、ある日突然先生を解雇してしまう。これは労使問題ですよね。今裁判になっているわけですけれども、当局の考え方を聞きたいんですが、その訴えている先生がいうには、当学園に就職した昭和六十三年四月から解雇通知を受ける前日の平成十二年の二月十七日までの間、昭和六十三年から平成十二年の二月まで、当学園では理事会及び評議会が実際に開かれたことは一回もありません、こういっている。昭和六十三年から平成の十二年までないといっている。一方的な事実かもしれないけれども、そういうふうにいっているんですね。
 こういう学校が現に存在をして、係争中であって、これが正しいかどうかわからないけれども、これは一つの学校形態として好ましいと思われますか。

○谷川私学部長 委員が今おっしゃいましたO学園の事実については承知してございます。事情聴取等は、する根拠を求めているわけでございますけれども、その事実関係について、先生がおっしゃった評価が事実かどうかということ--今現在、裁判で係争中でございますので、ただ、この辺の指導に対しましても、法律上の明文の根拠がないために、我々としては、私立の建学の精神に基づく自主自立の精神、こういうものを大切にしていくというのが、私立学校の根底に流れている考え方でございますので、一定の限界があるかと、このように感じております。

○和田委員 一方で、経常費補助で一千百億円という公費が投入される。一方では、当局の認可によって学校ができる。それぞれが当局にかかわりぐあいがあるわけですよ。一方は税金、一方は許認可という形で。
 しかし、つくった後の、この表現が事実だとすれば、そのような形で存続されて、まさに東京都はそのことに、いや、私どもは、教育的内容じゃないからタッチできません、向こう側の自発的な解決を待ちますということでいいのかどうなのか。
 私は別に、行政が訴訟に介入せよといっているわけじゃないんですけれども、やはり私どもも、東京都が認可を出した組織、現行、動いている専修学校は四百五十ぐらいありますけれども、そこに一つ一つ丁寧に目線を据えて、本当に健全に経営されているのかどうなのか、あるいは生徒さんとの関係がスムーズにいっているのかどうか、そこまで認可権者というのはやはり責任を果たすべきだろうというふうに思うんです。その点、最後に感想をお聞かせください。

○谷川私学部長 私立学校に対する補助でございますけれども、一条校に対しては、経常費補助が出ておりまして、私立学校振興助成法が適用されるということは、会計基準の透明性、経営の健全性等は、我々は法的根拠としてそれを解明していくことは当然でございます。
 ただ、専修学校にしますと、経常費補助が出ているわけでございませんので、私立学校助成法が適用されない……。

○和田委員 経常費補助が出ていないのはわかっている。

○谷川私学部長 その出ていない中で、会計処理の透明性を求めることには一定の限界がある、このように考えております。

○和田委員 最後にということをいってしまったんだけれども、都から経常費補助が出ている出ていないの問題じゃなくて、認可をしたという姿勢、その権能の中で、認可した後はどうぞご自由にということにならないだろうということで、それは経常費補助が行ってないから発言力がないのとは、全然それは違う。私はそうはいってないんですよ。認可をされた以上は、トータルでその学校全体にある程度のやはり指導なり監督をする義務が生じているんじゃないですかということを聞いているんです。これ、もう一回答えてください。取り違えていたから、今。

○谷川私学部長 指導という観点におきますと、東京都も、東京都の要綱に基づきまして指導監督することは規定してございます。
 ただし、それに対して法的な根拠があるかというと、法的根拠は非常に弱い。ただし、先生がおっしゃる意味は十分理解しておりますので、指導に当たっては東京都の要綱をもってやっていきたい、このように考えております。

○和田委員 これ以上詰めませんが、私の質問の趣旨を深く、広くご理解いただきたいと思います。
 次に参ります。次は、旅券業務の改善の問題です。
 パスポートといえば、さきに服部議員がおっしゃった後に本当はこれをいえば、国際的なあれにつながるんだけれども、時間の関係で専修学校に割り込まさせていただきましたけれども、パスポートをお持ちの方もふえてきましたし、年間、パスポートを使って海外旅行をされる方も、一千万人とも一千五百万人ともいわれるくらいに海外にお出になる方が多くなりました。まさに国際社会そのものに形態でもなっています。
 振り返りますと、旅券が私どもの身近なところに近づいてきたのは、昭和二十六年の十一月から旅券業務が都道府県の業務として国からおろされてきたというところからスタートを切るわけです。
 それから、東京都絡みの事件から見ましても、四十年に有楽町に旅券事務所ができた、五十三年の十一月に池袋と立川の二カ所にふえた、六十年には、いわゆる円高ブームによって相当海外渡航ブームが広がって、いろいろな方々が海外に出るようになって、申請件数も、東京都のデータを見てもわかるんだけれども、ウナギ登りにこの六十年を境にしてふえてきているわけです。それから、六十三年に新宿の分室ができ、これで四分室が完成をするという、一事務所、それから三分室が完成するというパターンになったわけです。
 それから、中身的には、平成七年の三月に、十年間の旅券の新設ということで、それまで短期で更新したのが十年間でいいよというのが、つい最近、平成七年に改正をされています。
 それから、これからが質問にかかわることでありますけれども、パスポートの交付の条件というのが、平成十年の九月から、月曜日から木曜までの六時半までというふうに時間延長に、交付だけですけれども、なりました。それから、つい最近の平成十三年の四月には、日曜日も含む交付時間の延長ということで、これは一時間、平成十年の九月に、十八時三十分だったものが、この四月から十九時三十分、七時半まで一時間延長して、勤務中の人も終わってから十分に交付だけは取れますよ、それから、日曜日もいろいろなところに行って買い物のついでに取れますよというような形で、極めて、平成十年から十三年の間に、交付の自由化というのが進んできているんです。
 こういうことの時代背景を承知しながら、都庁が電子都庁ということで事を進めてきています。私は、このパスポート業務も電子化に大変なじむものだというふうに前々から思っておりまして、国の外務省などにも、私どもの市区町村の出張所の窓口ぐらいでこれが取れるようにまで細分化できないだろうかというようなこともいっているんですが、そのことも含め、電子化との関係で、どういう現状であるのかということのご答弁をお願いいたします。

○中島都民協働部長 外務省によりますと、旅券の申請業務の電子化につきましては、国の法律改正や試行期間を経て、平成十六年から全国レベルで順次開始する予定というふうに聞いております。
 都としましては、旅券の申請業務についても、本人確認や個人情報保護等の問題がございますけれども、国の動向を見きわめながら適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
 先生おっしゃられた区市町村の問題につきましては、これもやはり国の考え方はまだそこまで踏み込まれておりません。ですから、まだすぐに結論が出る段階ではないというふうには承知しております。

○和田委員 今申し上げましたとおり、十年と十三年に交付業務はずっと自由化されて、利用者サイド、都民サイドに開放されました。問題は、私は、申請業務の自由化というか開放がこれからの課題だろうと思っているんです。
 確かに、国際化と比例する形で、偽造パスポートとかそういうものが出始めて、一方の、暗いというか、犯罪的な要素を加味した旅券事務があるわけでありますから、一遍に開放というわけにはいきませんけれども、しかし、会社を一日休み、あるいは家事を半日置いて、交付に、あるいは申請に行くということではなくて、できるだけ身近なところで、その時間の中でできるようにしていくのが、私は、国際化の窓口になるパスポート行政の一つのイロハだろうと思っているんです。
 そこで、交付については、今申し上げました十年、十三年で大改革がなされましたけれども、申請について、これもやはり、今、四時半で終わっているんですけれども、六時半、七時半、できれば八時ぐらいまできちっと延ばして、交付のときには仕事の帰りに寄れたんですから、申請も仕事の帰りに寄れる、そういうことの対といいましょうか、ペアで申請業務も考える時期に来ているのではないかなと思うものでありますから、強くこのことについてのご意見を伺いたいと思います。

○中島都民協働部長 申請の受け付け時間につきましては、私どもも、都民サービス向上の観点から、現在、見直しを進めております。具体的には、平成十四年度、来年でございますが、十四年度を目途に、平日の申請受け付け時間を延長しまして、午後四時三十分を午後七時までとするよう、検討を現在進めているところでございます。

○和田委員 もし、申請も交付も七時半までという、これは平日ですけれども、符合すれば、それこそ交付も申請も七時半までだよという形で、都民の側もわかりやすく、家族連れで申請に来るとか家族連れで交付を受けに来るとかいうことができるわけであります。
 したがって、今、まだ不確定要素が多々あるようでありますけれども、この業務につきましても、委託という形で十三年入ったと思いますから、委託も含め--少なくとも委託の仕事がどうなのかというのは、都民の行政サービスを受ける側では全くわからない、目に見えない形でありますから、労組の関係では、確かに委託で職員が何人張りつくということがあるかもしれませんけれども、都民の行政サービスからするならば、全くそこの表面上は変わらない、そういう時間延長になるかなと思いますので、再度その意気込みをお伺いをして、私の質問を終わります。

○中島都民協働部長 交付の延長に関しましては、この四月から大幅に広げたわけでございますが、現実に交付に見えられる方、交付に関しては日曜日もやっておりますが、やはり従来の時間帯と比べますと、延長した時間あるいは日曜日に大変ふえていることは事実でございます。
 そういう意味で、我々にとっても、都民サービスの向上という視点から、この問題をないがしろにできないというふうには重々思っております。
 申請に関して、来年度を目途に午後七時までということでございますが、何時までにすべきかという点に関しましても、今、交付にお見えになる方が何時から何時に来るのが多いかということも、かなり細かく統計をとってございます。その辺をよく踏まえまして、交付、申請あわせて、どういう姿がいいのかということをこれからも検討していきたい、そういうふうに思っております。

○石川委員 時間もおそくなりまして恐縮でございますが、最後になりますけれども、三点につきまして概括的にお伺いをさせていただきます。
 初めに、私立幼稚園における預かり保育についてお伺いをさせていただきます。
 この事業は、ご案内のとおり、女性の社会進出など、近年の社会状況の変化に私立幼稚園が柔軟に対応する事業として、平成九年度から都の補助事業としてスタートいたしまして、今、九、十、十一、十二、十三と五年目に入っている事業で、お伺いするところによりますと、来年度の重点政策の中で、さらにこの事業の拡大も図るといわれるぐらいに、生文としては重きを置いている施策でございます。
 そこで、初めに、この事業の内容と、これまでの都内での取り組みの現状について示していただけますでしょうか。

○谷川私学部長 預かり保育事業は、委員、今おっしゃいましたように、平成九年度から補助事業として、私立幼稚園が標準教育時間を超えて保育する場合に、それを支援するために導入したものでございます。
 その後、平成十二年度に、教育時間終了後の保育時間を延長いたしました。と同時に、早朝保育及び夏休み期間の保育を補助対象に加え、充実を図ってきてございます。
 実施園数につきましては、平成九年度に二百九園、全体の二三・八%でスタートいたしました。その後、着実に増加しておりまして、平成十三年度には、さまざまな形で預かり保育を実施している園は五百四園に上っておりまして、全体の五九・二%、こういう状況になってございます。

○石川委員 都内の約六〇%に近い私立幼稚園がこの事業を営んでいると。この時期になりますと、当然、預かり保育とはどういうものなのか、また、その年の預かり保育園のご案内という情報が配られるわけですね。
 まず、うたい文句として、これは幼稚園の文書なんですけれども、この園は平成十二年の一月から始めますということで、これは、昨今、お母様の中にはお勤めを希望し、就労されておられる方が大変多いと聞いております、幼稚園は規則上、一日の保育時間は四時間と定められております、その結果、思うように勤務ができなくなってしまい、結局お勤めを断念せざるを得ない状況になってしまいます、そんなことを解消するために保育事業を始めますよということですから、いわゆる預かってくれる日数が多い方が父母にとって大変助かるわけですよね。
 要項を見ますと、いわゆる預かり保育を行う日という形で、月曜日から土曜日までです、その他、日曜、国民の祝日に関する法律に定められる休日及び年末年始は預かり保育をしませんと明確にうたっているわけですよね。ですから、この期間以外は原則預かってくれるということを前提にして、この預かり保育にお子さんを預けるということなんだろうと私は思うんです。
 ところが、現実には、それぞれの園の園長さんの考え方によりまして、この日数がまちまちなんだそうですよ。聞いてみますと、多くは、この休日のほかに、その園の入園式、卒園式、そして、その他大事な行事の二、三日、合計四、五日が平均的な、預からないということを募集後に知らされる。ところが、この園は何と、一年間統計してみましたら、いわゆる約束外の休日が十九日間、突然、こういう事情できょうは預かれません、こういうふうにいわれてしまったと。
 そこでお伺いしますが、この十九日間の新たな休日、預かれませんというこの日数は、部長、多いんでしょうか、少ないんでしょうか、妥当なんでしょうか、非常識なんでしょうか。

○谷川私学部長 妥当か、多いか少ないかという点ですが、なかなかきちんと答弁できなくて申しわけないんですけれども、東京都が補助対象事業として補助を交付するのは、週四日以上預かり保育をしてくださいよ、それから、夏休みにつきましては、一日四時間以上、夏休みの期間中十五日間、一日四時間十五日以上実施した場合に補助いたしますということで補助申請を受けて、補助をしているわけでございますけれども、ただ、その前提条件は、何日多いか少ないかで、いつ休むということを前もってきちんと知らせておくというのは当然我々は予測していることで、それをほごにしているというのは、とても想定はしておりません。先生のおっしゃるとおりだと思います。

○石川委員 実は、このケースは、父母も悩んで、区にも相談に行き、いまだ解決していないんです。これも実施の監督は区市町村の長が行っておりますが、今、部長がおっしゃったとおりなんです。父母も、事前に知らされるなら、これはやむを得ない、ところが、大半が前日ぐらいに、あしたは休み、預かれませんよ、こうきちゃうというんですね。
 そこで、父母の皆さんは園長先生と話し合いをしたんだそうであります。その記録の概要が私のところに来ているんですが、平成十二年度に休みが多かったのはなぜですかと質問したことに対して、預かり保育の担当保育者が通常保育と同じ休みを要望することが多いためにこうした現象が起きてしまうんですと。これは、たしか新たに二人の職員を採用してやるわけですよね。当然、幼稚園によっては幼稚園の先生がこれを兼務する場合もあると思うんですけれども、そうした園の責任者の考え方というのは、これはどうなんですか。妥当なんでしょうか。

○谷川私学部長 当然、我々といたしましては、休みとする日はあらかじめ保護者に周知しておかなければならないことだ、このように考えているわけでございます。それは、補助対象であるとかないとか--延長保育を実施するものの責任ではないか、こういうふうに思っております。

○石川委員 当然、部長のおっしゃるとおりに、最終は園長先生の決断だろうと私は思うんですね。その園長先生にだれが休みを決定しているんですかと聞きますと、いわゆる担当者に任していると、担当保育者に。さらに、なぜ入園当初の募集要項と実際が違うんですかと聞けば、最初からそう書いたら園児が集まらないと。東京都の補助事業が現場でこういう運用をされちゃっているんですよ。
 さらに園長先生はこういっています。好きで預かり保育を実施しているわけじゃない、幼稚園で保育園並みに預かれるわけがない。こんなこともいっているんですよ、園長さんの集まりの中では、これ以上預かり保育をやる園などないと。それでも六〇%以上やってきているわけです。一度、園長の先生方の研修会なり何なり開くなり--これは東京都がやるべきなのか、区市町村がやるべきなのか、お任せいたしますけれども、いずれにいたしましても、せっかく社会環境の変化、女性の社会進出、また経済状況の変化に対応して、私立幼稚園が柔軟にお子さんを預かれるようにしたこの事業が、実は実態的には、今、さまざまな課題を抱えております。
 これを解決するためには、区市町村がそれぞれ指導力を発揮することが大事なんでしょうけれども、やはり補助事業の主体として、生文としてもやはりアンケート調査をするとか、あるいは園長先生の研修をするとか、あるいは父母の声をもう少し吸い上げるとか、何らかの調査をしていただいて、よりよい、この預かり保育事業が展開できるように、しかも、来年度からまたさらに日数をふやして等々、今、準備を進めているわけでしょう。東京都がこれほど力を入れている事業が、現実的には、実態的にはこのような状況にある。しかも、父母たちが先生のところに行けば、だったら、保育所をご案内しましょうかとか、あるいは、じゃ仕事を近くのコンビニに紹介しましょうか、こんなことをいわれているのでは、都の補助事業として大変私は情けない話だと思いますので、この事業に対する、部長で結構ですから、取り組みについてお伺いします。

○谷川私学部長 ご指摘の状況について、私どもとしては、区市を通じまして実態調査に努めたい、このように思っております。また、私立幼稚園の連合会、団体等各種いろいろございますので、そういうものも通じて、事業の趣旨を十分に周知徹底していくつもりでございます。

○石川委員 ぜひ早期に具体的な行動で、こうしたことで悩む父母がなくなりますようにお願いを申し上げたいと思います。
 次に、先ほど執印理事からもお話しありましたけれども、食品の安全の表示に関連して、私も若干質問させていただきたいと思います。
 この問題につきましては、我が党はいち早く、国のレベルで、食品の安全を消費者が見きわめるという形で、これまで、添加物の表示ですとか、あるいは賞味期限の期日を記載するとか、いろいろなことを提案をしてまいりまして、本年度からはさらにJAS法が改正をされまして、これまで懸案であったすべての食料品への品質表示が義務化されるとともに、有機農産物の表示方法が、統一されたマークもあわせて制定をされたところであります。
 また、食料品のグローバルな取引を反映して、同法により生産地名も表示が義務づけられました。さらに、食品衛生法の改正により、本年六月からアレルギー物質の表示が実質的にスタートすることにもなりました。
 今後、さまざまな規制緩和による構造改革が進む中で、食品産業の分野でも厳しい競争が想定されるわけであります。このような中で、食品の安全や品質に関する表示が充実し、消費者が自分の責任と判断で商品が選択できるような表示制度が充実されることは、大変また好ましいことであります。
 しかし、その一方で、表示事項が多くなり、その結果として文字が小さくなり、見にくくなるという問題が出てまいりました。私も老眼鏡が必要になりまして、切実に最近感ずるようになりました。特に、高齢者にとりましては、難しい漢字や化学成分など小さな字で書かれていても、実質的には表示がないのと同じという声もあります。商品の大きさは千差万別で、字の大きさを変えることが可能なものもありますが、日常的に一般の消費者が購入する食料品は小さなものが多いわけであります。
 そこで、表示を見やすくするため何らかの工夫が必要であると思いますが、都としてのこれまでの取り組みについてお伺いしたいと思います。

○中澤消費生活部長 ご指摘のように、消費者が食料品を選択しやすいように、表示方法を工夫することは大変重要なことであると思っております。
 都では、今般、バイオテクノロジー応用食品に都独自のマークを表示することにいたしました。これは、JAS法による文字だけの表示をよりわかりやすくするための取り組みでありまして、ご指摘の趣旨に沿うものであろうと思っております。
 また、従来から、有機農産物やあるいは特別栽培農産物につきましては、農薬などの使用状況をラベルの色で区分する色別表示等も進めているところでございます。

○石川委員 都の取り組みには大変感謝をいたします。今後、都は、バイオテクノロジーの応用食品にマークをつける。先ほど執印理事からありましたけれども、消費者にとりますと、つけられた製品はいいんですよね。つけられてない製品、これをどう東京都が、消費生活の中で都民に、なぜそうなっているのか、あるいはそういう食品はどうなのかということを、やはり今度は周知宣伝していくことが大事だと思いますけれども、その点いかがですか。

○中澤消費生活部長 確かに、すべてのものにマーク表示をするというわけにまいりませんので、マーク表示のPRを積極的にするとともに、その他の表示についても工夫をしていかなければならない、こう思っております。
 食料品の表示につきましては、従来から、製品に含まれる物質や原産国など、表示事項の拡大に取り組んでまいりました。その結果、さまざまな事項が表示をされまして、消費者の商品選択に大きく貢献をしていると考えております。
 しかし、先ほども委員がご指摘ありましたが、食料品の表示面積には限りがございまして、だれが見てもわかりやすい、判別しやすい工夫をすることには一定の限界がございます。
 したがいまして、今後は、商品そのものへの表示だけではありませんで、店舗における誘導表示や、あるいは商品棚の表示を充実させるなど、消費者の商品選択にとって重要である考えております。そのため、すべての人々にとって見やすい表示のあり方について調査検討を進めてまいりたいと考えております。

○石川委員 これは法改正も必要なんだそうですね。したがって、今後、都としてもぜひ、高齢化した社会における商品表示のあり方について幅広く検討していただいて、国への提案も含めた具体的な対策を講ずるよう要望をしておきます。
 三番目に、交通安全対策に関連してお伺いをいたしたいと思います。
 生活文化局の交通安全対策担当部長さんがいらっしゃるように、横断的に都内の交通安全対策を生文は担っているわけであります。日夜の努力に心から敬意を表しますし、事業概要にもありますように、さまざまな施策を展開しながら、交通事故のない東京をつくろうと懸命にご努力されていることには、私も改めて敬意を表します。
 しかし、昨今、私も、町を歩き、多くの都民の皆様から、高齢社会ということをにらんだ新たな交通安全対策が必要ではありませんか、こんなふうにいわれております。その背景には、最大の原因は、交通モラルの低下ということが根底にあるんだろうなとは思います。しかし、モラルの低下だけを嘆いておっては解決しないわけでありますから、当然これまでも、交通マナーの啓発等々に施策を展開されていることはわかります。
 これまで、交通事故といいますと、大体、車と車、車と人というのが統計上にも上がってくるわけでありますけれども、昨今、高齢社会になり、また車道が、車が非常にふえておりますから、自転車は本来車道を走るべきものでありますけれども、実際は歩道に進入してきている。
 しかも、歩道には、特に高齢者のいわゆる移動手段として電動のさまざまな乗り物が実は我が物顔で走っている。そこへ障害を持った方々の車いす等々も進入してきている。また、今、子どもたちの間にはやっておりますキックボードというんでしょうか、片足でけりながら走るようなものも走行しておりまして、思わぬところで思わぬ衝突事故あるいは転倒事故ということが盛んに今指摘をされております。
 こうした状況をどうやって改善していけばいいのかということについては、いろいろ私も悩みますけれども、できれば、自転車専用道路を都内各地に幅広く整備することが必要なんでしょうけれども、しかしそれは、場所も限られておりますし、それを全部整備するというのは相当な時間と費用もかかってくるわけでありますから、やはり、おのおのお一人お一人が注意をしながらという心の問題を充実をすべきだろうと思います。
 したがって、今後の交通安全対策を立案していく上で、今申し上げましたような視点をやはり大きく置いて、都民の交通安全対策の施策を積み上げてもらいたいな、こんなふうに私は考えておりますけれども、その一点だけお伺いをいたしまして、質問を終わりたいと思います。

○宇波交通安全対策担当部長 高齢社会をにらんだ新たな交通安全対策をというお話でございます。特に、マナーの悪い自転車が起こすような、そういう小さな事故に対しても都はしっかりやってほしい、そういったようなお話かと思います。
 都では、今年度を初年度といたします交通安全計画、これは第七次でございますが、ここにおきまして、自転車の安全利用の推進を三つの重点の一つに位置づけまして、自転車の事故防止や正しい利用の促進を掲げまして、現在、着実に推進しているところでございます。
 また、安全な歩道づくりといいましょうか、歩道を安全にするようにということでございますが、これは、何よりも、子どもや若者など自転車利用者がルールを知り、守ることが不可欠でございます。そのため、児童生徒に対する安全教育の中で、交通ルールや自転車の正しい乗り方など体験学習も取り入れ、教育しております。
 また、都では、昨年来、ビデオやメディアの活用、リーフレットの作成、配布などを通しまして、自転車の正しい乗り方などを自転車利用者に普及啓発しております。
 さらに、安全教育の充実強化でございますが、このために本年度中に区市町村に安全教育担当者を指定していただくこととし、来年度から担当者への講習会を行いまして、区市町村が自主的、積極的に自転車利用者への安全教育を推進していけるよう、現在、講習会用のテキスト、マニュアルづくりを進めております。
 また、先ほど来、先生のご指摘にもありましたが、最近の自転車利用者のマナーの低下により、歩道上の安全が脅かされている風潮というのは、大変憂慮すべき新しい都市問題の一つと認識しております。
 今後、高齢者や子どもが安心して歩ける歩道づくりのため、どのような効果的な対策がとれるのか、警視庁や区市町村など関係機関と連携しながら研究してまいりたい、こう 思っております。

○東委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 事務事業に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で生活文化局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時三十五分散会

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