文教委員会速記録第十二号

平成十三年九月二十八日(金曜日)
午後一時四分開議
 出席委員 十四名
委員長東ひろたか君
副委員長福島 寿一君
副委員長服部ゆくお君
理事石川 芳昭君
理事遠藤  衛君
理事執印真智子君
後藤 雄一君
野上じゅん子君
小美濃安弘君
野島 善司君
曽根はじめ君
山本賢太郎君
比留間敏夫君
和田 宗春君

 欠席委員 なし

 出席説明員
教育庁教育長横山 洋吉君
次長押切 重洋君
理事小田原 榮君
総務部長小海 博指君
学務部長神山 隆吉君
施設部長松田 紀子君
人事部長中村 正彦君
福利厚生部長小島 郁夫君
指導部長斎藤 尚也君
生涯学習部長嶋津 隆文君
体育部長桜井 武男君
人権・企画担当部長比留間英人君
都立高校改革推進担当部長山際 成一君
局務担当部長千葉 和廣君
参事近藤 精一君

本日の会議に付した事件
 意見書、決議について
 教育庁関係
  契約議案の調査
  ・第百五十七号議案 都立戸山高等学校(十三)改築工事請負契約
  付託議案の審査(質疑)
  ・第百五十二号議案 東京都立学校設置条例の一部を改正する条例

○東委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 初めに、意見書、決議について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書、決議を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○東委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の契約議案の調査及び付託議案の審査を行います。
 契約議案について申し上げます。
 契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成十三年九月二十七日
東京都議会議長 三田 敏哉
文教委員長 東ひろたか殿
契約議案の調査について(依頼)
 このことについて、左記により財政委員長へご報告願います。
  記
1 調査議案
第百五十七号議案 都立戸山高等学校(十三)改築工事請負契約
2 提出期限 平成十三年十月二日

○東委員長 これより教育庁関係に入ります。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第百五十七号議案、都立戸山高等学校(十三)改築工事請負契約を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○小海総務部長 過日の委員会でご要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の文教委員会資料(契約案)の一ページをお開き願います。
 ご要求のございました資料は、1、建築後三十年以上を経過している都立高等学校の一件でございます。
 下段の注書きの1にございますように、工事竣工後、教育財産としまして引き継いだ日から本年四月一日までの経過年数が三十年以上となっております都立高校につきまして、該当の四十二校をお示ししてございます。
 なお、備考の欄にございますように、四十二校の中には、現在改築を行っているものや、改築に向けまして設計中のものも含んでおります。
 以上、簡単でございますが、ご要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。

○東委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○野島委員 野島であります。初めての質問でございますので、議事慣例等に反するところがありましたら、どうぞ委員長の方からご指導いただきたいと思っております。
 契約案件の関係であります。
 施設づくりというのは、ある意味では、その時々の社会的要請であるとか、将来を見据えて計画され実施されていく、こんなふうに認識をいたしております。
 そこで、何点かお伺いいたしますが、今、大きくは環境の時代、こんなことがいわれているわけであります。一つには、ヒートアイランド現象に対してどう対応していくかという緑化の問題、それから、限りある資源を有効にということで、例えば雨水を中水として利用するとか、そういう形があろうかと思うんですね。そんなところがこの施設の中でどうされているのか。
 それから、あと一つは、これからのクリーンエネルギーということで太陽光発電、こういったものが大変注目を浴びているところですね。まだまだ採算的には、それを設置して、償却を見て、本来電力会社に払う電力料と、自分たちで償却をしながらつくっていく電力では、まだまだ価格の落差があってとてもとてもというふうなことがいわれていますが、これから恐らくは、技術革新が進んでいけば、そういう部分もかなり取り入れていく必要があるだろうと思っております。
 とりわけ、夜は恐らく学校は電力を使いませんから、将来的には、売電で得る収入というのがかなりできるのかなというふうには思っておりますが、その辺の対応、環境対応としてどうなのかというふうなことでございます。
 それから、ITの時代といわれておりまして、情報通信、こういったものでインフラを、もちろん高等教育の中でも取り入れていくわけでありましょうけれども、その辺はどのようにこの改修工事の中でとらえておられるのか、こんなところでございます。
 そんなところで、環境の時代ということでの四点、ご答弁をいただければというふうに思います。
 以上であります。

○松田施設部長 まず、環境の問題でございますが、戸山高校の改築におきましては、屋上緑化も含めて五千二百平米の緑地面積を確保することとしております。緑化を義務づけております東京における自然の保護と回復に関する条例による緑化の必要面積は三千五百平米となっておりますので、これよりさらに千五百平米ほど大きな緑地を確保することとなっております。
 また、既存の樹木はすべて存置また移植をすることによって活用するということにしております。敷地の周辺にまた緑地を配置するなど、周辺環境の向上に寄与するよう、緑地の配置にも工夫を凝らしております。
 また、雨水の貯留でございますが、これについても対応することとしております。
 太陽光発電については、今のところ対応する予定はございません。
 次に、ITに関してでございますが、戸山高校の改築におきましては、IT化に対応いたしまして、校内LANの設備を設置できますように、すべての教室と管理室にLANのケーブルを引くための配管を敷設することとしております。

○野島委員 わかりました。IT関連は承知をいたしました。
 それから、環境の問題、緑化が基準以上にボリュームを持っていることは大変いいことだろうというふうに思ってございます。
 そこで、この緑化は、当然のことながら、今後植栽計画でやっていくというふうに思うんですが、つまらない話ですけれども、実のなる木を植えますと、結構鳥が来るんですね。新宿に鳥が来るかどうか、ちょっとわかりませんけれども、カラスはご遠慮いただいて、そのほかの鳥が来るような緑化といいましょうか、そういったふうなものも、潤いということで進めていただければ、こんなことを要望しておきます。
 それから、雨水についてはわかりました。
 太陽光の部分は、コストの面でどうなのかということで計画してないということなのか、そもそもなじまないということなのか。しかし、さっき申し上げました技術革新が進んでいけば、その部分は私はかなり改善されてくるのかなというふうな気がするんですね。
 それと、そういう部分をやっていくというのは、ある意味では公共事業体が先導的にやっていくよという必要があると思うんですね。ただ、これは別に最初から組み込まなくても、もし前に高いマンションでもあれば日が当たらないわけですから--立地がわからなくていっていて申しわけないんですが、そういうことで、将来的な課題として、ひとつ、これはここだけに限らず、施設計画の中で取り組んでいただければというふうなことでございまして、要望やら質問やら、ちょっと整理がついておりませんけれども、もしご答弁がありましたら、お願いを申し上げたいと思います。
 以上です。

○松田施設部長 太陽光発電につきましては、費用の面と、もう一つ、屋上の面積の観点からということでございます。決して公共施設の整備においてなじまないというお話ではございません。先生のお話は、今後十分勉強させていただきたいと思います。

○執印委員 新人でございますので、ふなれな部分がありますが、よろしくお願いいたします。
 それでは、まず最初の質問なんですが、この戸山高校の改築工事の中の、福祉のまちづくり条例に基づく改修の説明というのを、できましたらば図面でご説明いただきたいので、よろしくお願いいたします。

○松田施設部長 戸山高校の改築におきましては、東京都福祉のまちづくり条例の整備基準に基づきまして、障害者用のエレベーター、障害者用のトイレ、主たる出入り口に自動ドアを設置するなど、必要な措置を講じることとしているところでございます。
 では、机上に配布させていただいております図面をごらんいただきたいと思います。これは一階部分の平面図でございますが、これに基づきまして、主なものを説明させていただきます。
 まず、障害者用のエレベーターはピンクでマーカーされたところでございます。障害者用のトイレは青でマーカーしたもので、二カ所ございます。段差を解消するためのスロープは、体育館等に黄緑でマーカーされたもので、三カ所ございます。
 なお、各階とも同様の措置を講ずるということになっております。

○執印委員 ありがとうございました。
 今、戸山高校の件については理解をいたしましたが、福祉のまちづくり条例に基づく都立高校全体の改修、改築の現状というのをぜひ教えていただきたいと思います。
 といいますのは、これから、今回全体で二十三億という契約金額になっているわけですが、費用対効果の中でどれぐらい生かされていくのかということを、戸山高校にまた生かすという意味でも、ぜひ聞かせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○松田施設部長 都立高校のバリアフリー化につきましては、昭和六十三年に策定されました東京都における福祉のまちづくり整備指針で行ってきたところでございます。さらに、平成七年に東京都福祉のまちづくり条例が制定されまして、改築及び大規模改修に際しまして、同条例の整備基準に基づいて、総合的な対応を実施してきているところでございます。これまで、同条例に基づきまして改築または大規模改修が行われた都立高校は九校ございます。
 なお、これらの学校を含めまして、バリアフリー化されている主な例を申し上げますと、平成十二年度末現在で、障害者用エレベーターを設置している都立高校は八十三校、障害者用トイレの設置校は百五十七校でございます。

○執印委員 ありがとうございます。
 今二百十三校でしたか、都立高校の中の今改修されている部分というのがわかりました。
 それで、私の周りにも車いすで活動していらっしゃる子どもさん、市民の方がいらっしゃるわけですけれども、都立高校の入学の際に関して、車いすを使用して受験をする生徒さんについて、教育委員会としてはどのように把握をされているでしょうか。近々のところでも結構ですので、よろしくお願いいたします。
 といいますのは、受験する側からしますと、どこの学校にそういう設備が整えられているのかなかなかわかりにくいということがあるようですので、よろしくお願いいたします。

○神山学務部長 都立高校の入学者選抜に当たりましては、障害があることによって不利益を受けないよう、適切に対応しております。車いす使用の受験者についても、別室の会場を設けるなど配慮するとともに、受験会場への誘導などで対応しております。
 平成十三年度、高校入学者選抜において、車いすを使用して受験したいと申し出のあった件数は、延べで二十二件でございました。

○執印委員 それでは、二十二人の方が受験していらっしゃるということなんですが、いろいろ聞いておりますと、受験するまでがすごく大変だということなんですね。例えば、近くに高校があるけれども、そういう設備がない、どこに行ったらその情報が得られるのかわからないというような話を聞くわけですけれども、生徒とか保護者の方へ、福祉のまちづくり条例に基づく改修、改築がこのように進んでいるんだという都立高校の情報というのは出されているのでしょうか。どんな形でされているのか、お教えいただきたいと思います。

○松田施設部長 先ほどバリアフリー化した学校について数字をお示しいたしましたが、バリアフリーになっていない都立高校に障害のある生徒さんが入学される場合には、身障者用のトイレ、階段手すりの設置など、個別に施設の整備について対応を行っているところでございます。
 福祉のまちづくり条例に基づいて整備した学校を初めとする都立高校のバリアフリー化に関する情報につきましては、生徒、保護者から各学校への個別の問い合わせに対応することによって行っているところでございますが、今後これらの情報を区市町村の教育委員会に提供することによりまして、学校や生徒、保護者への情報提供の便宜を図ってまいりたいと存じます。

○執印委員 それでは次から、情報の受け取り手がわかりやすい形で、こういった福祉のまちづくり条例に基づいた都立高校の様子というのをぜひ示していただきたいというふうに思います。
 それで、あとは要望と、もう一つ質問がございますけれども、一つは、私もいろいろ聞き取りをしたんですけれども、結局、こんなふうに都立高校でエレベーターがついておりましても、学校の管理の問題で、例えば、いつも使えるようにしておくと、ほかの子どもたちが使ってしまうといけないので、車いすの方が使うとき以外はかぎをかけている、そのかぎをあけるために親がついていくというようなことを学校から求められるというわけなんですね。そのお子さんは車いすなんですけれども、ぐうであれば上のボタン下のボタンを押すことができるんですけれども、それをやる前にかぎをあけないといけないので、要するに学校についていても使えないと。親がついていっていたんですけれども、毎回毎回もいかないということで、今はかぎを借りていて、朝行ったら親がかぎを借りて、一日そのかぎをつけていて、そばを通ったお子さんにかぎをあけてもらってエレベーターを使う、そういうことになっているんだそうですね。
 そのことも、私は実は学校の中の運営としては問題があるというふうに思っているんですが、親が来てあけなければならないということではなくて、子どもたち同士がそこで困っている人を見たら助け合う、そういうことをまず学校で教えなければならないと思うんですが、そこは東京都の教育委員会が、まちづくりのこの条例に基づいて改修をしても、うまく教育委員会の意図が伝わっていない部分かもしれませんけれども、そういうことがあるということです。
 それからまた、同じように、同じ高校なんですけれども、体育館があるんですが、渡り廊下を使えば車いすで行けるんですけれども、渡り廊下は使わないことになっていますという説明で、渡り廊下が使えないんだそうです。一階は柔道場とかそういったものになっているので、ボクシングジムのようになっているので一階は使えない。それで、二階でいろいろな集会をやるわけですけれども、結局、渡り廊下を使えないというふうにいわれてしまうので、一階から親もしくは先生がその子をおぶって体育館まで連れていく、そういうことが毎回繰り返されているということなんですね。それであればまだいいんですけれども、時にはその子がいることを忘れてしまって、体育館から一階におろしてやることがないままに、要するに、その子がそこに置き去りにされてしまうというようなこともあるということなんです。
 ですから、ぜひ、実際には東京都の福祉のまちづくり条例に基づいていろいろなことがされているわけですけれども、そこの学校に行ったときに、その意図が十分生かされないまま、つまり、改修ということにお金をかけているんですけれども、費用対効果ということがきちっと検証されないままに都立高校の改修が進められているという現状もあるということだと思うんです。ですから、車いすのお子さん、もしくはつえをついているお子さんもいらっしゃるかもしれませんし、いろいろな状況のお子さんがいらっしゃると思うんですが、そこの部分がどういうふうになっているかということをもう一度きちんと教育委員会で調査をして、その調査も、学校に、例えばちゃんとやっていますかと、それだけ聞いたら、やっていますというに決まっているわけですから、利用している側が、どれぐらいそのことによって自分が暮らしやすくなっているかが、この中で勉強しやすくなっているかというところに視点を置いてぜひ調査をしていただきたいということが一点。
 それから、これは本当に単純な質問なんですけれども、あわせて耐震対策の進ちょく状況というのを教えていただきたいと思います。

○横山教育長 今おっしゃったバリアフリーの車いすの関係ですが、私は、バリアフリーというのは、単に施設を整備すればいいというんじゃなくて、例えば今の学校の問題ですと、車いすに乗った子どもを友達が助け合う、まさに教育の中でも生きた教材、教材といっては失礼ですが、そういった思いやりの心を育てるというのは、当然学校としてやるべきだというふうに思います。
 ただ、今お話のあったようないろいろな事象があることにつきまして、私ども把握しておりませんので、今おっしゃったように、単にその実態がどうかということだけではなくて、どんな運用がされているのか、その辺は調べた上で、今いったような視点から校長等を指導してまいります。
 今の後半の問題については施設部長から。

○松田施設部長 耐震性の問題でございますが、都立高校は現在二百十三校ございますけれども、耐震補強等を実施した学校を含め、既に耐震性を有している学校は百七十三校でございます。
 今後、耐震補強等の措置を講じる必要があると思われる学校は四十校ございますが、できるだけ早期に耐震補強等の対策を実施してまいりたいと存じます。

○執印委員 結構です。ありがとうございました。

○東委員長 ほかに発言はございませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 お諮りいたします。
 本案は、異議のない旨、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。

○東委員長 続いて、付託議案の審査を行います。
 第百五十二号議案、東京都立学校設置条例の一部を改正する条例を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○小海総務部長 条例案に係りましてご要求のございました資料につきましてご説明を申し上げます。
 お手元の文教委員会資料(条例案)の目次をお開きください。ご要求のございました資料は、1、都立晴海総合高等学校の概要及び2、羽田高等学校(全日制)及び羽田工業高等学校(全日制)における生徒定数等の推移の二件でございます。
 一ページをお開き願います。1、都立晴海総合高等学校の概要でございます。
 都立晴海総合高等学校につきまして、設置の理念や学校規模等及び施設の概要並びに平成十三年度の入学選抜状況等をお示ししてございます。
 二ページをごらん願います。2、羽田高等学校(全日制)及び羽田工業高等学校(全日制)における生徒定数等の推移でございます。
 羽田高等学校(全日制)及び羽田工業高等学校(全日制)につきましては、平成四年度から十二年度までの生徒定数、応募倍率及び在籍数の推移をお示ししてございます。
 以上、簡単ではございますが、ご要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願いをいたします。

○東委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○野島委員 何点かお尋ねをさせていただきたいと思います。
 実は、極めてドメスチックな話題で恐縮なんですが、私ども東久留米の久留米高校が、平成十九年ですか、清瀬東と統合してこの総合学科制度に移行する、こんな話が上がりましたときに、父兄の方あるいは市民の方からいろいろなご意見もいただきました。ぜひ残してほしい、あるものがなくなっちゃうのは寂しい、これは人間の普通の感覚だと思うんですね。
 私は、むしろ、ある意味で私なんかも戦後世代ですけれども、昨今の子どもたちはといいましょうか、モラトリアム期間が長いといいましょうか、社会に出ていく前段階で、義務教育があり、高等教育があり、それから社会に出ていく、こういう形になっていると思うんですが、いろいろな意味で、私たちが今まで教育の分野でいろいろな選択肢を用意してきたから、というところに思いをいたすときに、私は、この総合学科制度というのは、子どもたちがいろいろなチャンスをみずから見つけて、自分の進路を決めていくよという意味では、大変高く評価をしているんですね。
 しかし、現実問題としてはやはりというところがありますから、実はそういう意味では、ぜひ、こういう学校が大変世間の関心を集めながらも、なおかつそういう中で高い教育効果を出していっていただければというのが正直なところの気持ちなんです。
 そこで、平成八年にこの晴海総合高校が設置されているというふうにこの資料で今見させていただきました。応募倍率等もここにありますので、承知をいたしておるところでありますけれども、平成八年といいますと、六年たちますか。そうすると、三年で終わって実社会に出た人もいらっしゃるだろうし、あるいは大学に進学した人もいるだろう、こういうふうに思うんですね。その辺の全体的なというと極めてあいまいな表現になるんですが、この晴海総合高校に対する評価といいましょうか、そんなものはどういうふうにとらえられていらっしゃるのか。
 もちろん、皆さんは教育庁として仕事を進めている側ですから、当然のことながら、こういう制度改正をし、こういう方法でやっている、したがってこういう効果がということがあるというふうに思っておりますし、一方、世間のというと語弊がありますけれども、保護者あるいは生徒からどんな声を聞いているのか、その辺のところをひとつ、一点お聞かせをいただきたいというふうに思っております。
 それから、私がいうまでもなく、教育も一つの事業でありますから、人、物、金、こういうことだろうと思うんですね。ただ、教育の場合には、教える側の資質、こういったものが大変大きなウエートを持っていくだろうというふうに思ってございます。そこで今回の本会議でも、教育における教員の資質の問題とか、いろいろ提起され、答弁もいただいているわけであります。高校に大学の先生が行って教えましょうとか、あるいは大学生をサポート教員として現場に送っていくとか、いわば都の持っている教育総資源を、特に人にかかわる部分について改善し、あるいは持っている資源を有効に使っていこうという、いわば縦横のいろいろな改革がなされていることには敬意を表したいと思うんです。
 そこでお尋ねを申し上げますけれども、一つは、こういう学科になりますと、今度は美術・デザイン、生産・テクノロジー、各系列の目標と書いてありますけれども、もちろん一般的な研修によりまして教員の資質を上げていくという大前提は当然あるし、そういう取り組みをいただいていると思っておりますけれども、特に美術・デザインあるいはスポーツ・健康というふうな形になりますと、その全体の教員のボリュームの問題が一つあると思うんですね。
 それから、私、実は美術・デザインとかスポーツ・健康というのは全くらち外の人間なんですけれども、ある種の感性といいましょうか、あるいはスポーツなんかですと、私はこういうふうにこの道に取り組んでこうなったみたいな体験談とか、そういうものが、私は生徒に動機づけていく大きな要素になると思うんですね。机の上の勉強あるいは与えられた教科書の勉強じゃなくして、そういう、社会で活躍しているあるいは活躍に至る経過をその人たちが話すことによって、自分もそれを教師として追いかけていこうみたいな、こういう気持ちになると思うんですよ。
 そういう意味で、私は、総合学科制度における科目に、ぜひそういう、在野のといいましょうか、人たちを講師として呼ぶなり、あるいは都立大学改革も出ていますけれども、そういうところから高校に教師を派遣するとか、あるいは文部科学省が今回--今まで数学と理科の中学校免許の人は小学校の教員になれなかったらしいんですね。教えられないよというのを今度改正して、それを取っ払うような話をしていましたけれども、そういう意味では、そういうさまざまな、いろいろな選択肢、生徒にとっての選択肢は、教える側がメニューをどうそろえるかということであり、その中枢を担う教員のあり方、それを余り--公教育ですから、硬直化という言葉はいささか抵抗があるかな。要は、申し上げたような在野のそういう指導者であるとか経験談であるとか、そういうものをどんどん生徒たちに披瀝をしていく場を持っていくことによって、生徒たちが与えられた選択肢の中でもっと幅広く、あるいはもっと深く動機づけができるんじゃないかな、自分の先々の道について。そんなことを思っておりますので、その辺につきまして、どういうお取り組みをなさっていこうとお考えになっているのか、お聞かせをいただければと思います。
 以上で、二点であります。

○山際都立高校改革推進担当部長 二点のご質問でございます。
 まず、晴海総合高校についての評価ということでございます。
 晴海総合高校は、六つの系列にわたりまして、百六十を超える科目を置き、特に一年生の段階では、産業社会と人間という科目を学習して、自分の生き方あるいはあり方について考えを深めるなど、一人一人の個性を大切にする教育を現在行っているところでございます。
 生徒がどういう思いを持ち、そして保護者はどういうふうな考えを持っているかというふうなお話でございましたが、生徒は、授業が楽しい、みずから選択する科目を学んで楽しい、あるいは保護者においては、子どもが喜んで通学をしているというような話を聞いております。
 そういうこともありまして、例えば中途退学の状況につきましては、全日制、これは普通科あるいは専門学科の全体の数字に比べまして、かなり低い状況がございます。そうしたこともございまして、応募倍率については、先ほどご指摘がございましたとおり、二倍を超えているなど、広く都民の支持を受けているというふうに受けとめております。
 二番目の、民間人あるいは大学教員なども教師として活用していくべきだというふうなことでございます。
 都教育委員会では、都立高校において、教育内容の専門化あるいは多様化に対応しまして、現在、特色ある学校づくりを進めているために、学校教育に有用な知識、技能、経験等を有する人材を市民講師として招く制度を設けております。
 総合学科高校におきましては、委員ご指摘のように、より大きな教育効果の発揮が期待できることから、社会で活躍しておられる方あるいは大学教員、そうした民間人などのすぐれた人材を市民講師として積極的に活用してまいります。

○野島委員 わかりました。
 一点目の評価の問題は、正直なところ、教育の効果を何年のスパンで見たら本当にはかれるのかというのは、これはなかなか困難な課題だろうというふうに思ってございますので、現在そういうことで評価も高いということであれば、大変頼もしいなというふうに思っております。いわば、それぞれが個性を十分に発揮しながら、職業を通じて社会に貢献していくんだ、こういう前段階の高校教育ですから、ぜひそういう芽をどんどん伸ばすようにしていただきたい、これは要望にわたって恐縮でありますが、お話をさせておいていただきたいと思います。
 それから、二番目の関係は、私もよく事情がわからなくて聞いていて申しわけないんですが、いわば、ある種、教員の母数全体が少ないと、どうもそこで硬直化という問題が起きてきちゃうんじゃないかと思うんですね。中でもいろいろ競合していく、あるいは在野のそういう部分が入っていくことによって、自分たちももっと高めていかないと教員としての資質が問われる、そういうふうになっていきませんと、ややもしますと硬直化してしまうので、いろいろ教育人事体系の中での困難さはあろうかと思いますが、ぜひそんなことを意識していただきたいなというふうに思ってございます。
 話は冒頭に戻りますけれども、久留米高校というのは、実はサッカーが有名なんですね。そうしますと、サッカーがなくなっちゃうと思うんですけれども、あそこはスポーツ系も多分取りそろえていくだろうというふうに思っていますので、むしろそういうことの方がプラスじゃないかなというふうなお話を申し上げたんです。
 したがって、要望にわたって恐縮ですが、ぜひこういう新しい取り組み、こういった、高校を受けさせようとか、あるいは子どもが受けようというときに、そういうしっかりした前例、前例というと語弊がありますけれども、教育効果が発揮されているこういう総合学科制度があるから、それが清瀬東、久留米高校、統合した中でも生かされるとなれば、私は最大の説得力だろうというふうに思ってございますので、ぜひ、いろいろ申し上げましたが、そんなことを意識していただきながら、よろしくお願いを申し上げたいと思ってございます。
 要望にわたりまして恐縮でありますが、以上で終わります。ありがとうございました。

○和田委員 今条例化されようとしている課題、すなわち、それは都立高校の改革、第一次計画のものだろうと思っております。いよいよ一次が計画されて、具体的にこのような形で条例化まで来るということの中で、それなりの当局の努力はあっただろうと思います。
 問題は、このような改革と称する行政の一連の運動が行われる中で、私たちが今都立高校に持っている学力的な問題、あるいは生徒の抱えている心の病も含めて、そういうものがこういう計画の進ちょくと同時に必ず改善されていかなければならないと私は思っているんです。
 すなわち、建物はつくった、先ほど出た三十年ぐらいのものを前提に変えていっても、生徒の質あるいは先生の質も変わらずに、ただ予算は投入した、中身は変わらないということであれば、何のための改革なのかということであります。その意味で--これはきょうの条例案の審議に直接かかわらない問題でありますから、自分自身、自己規制しながら質問を続けたいと思っておりますけれども、私は、このように新しくなった学校はそれとして、また後日、日を改めてお聞きしますが、問題は、きょうは、その新しくなるのとは別に、たまたま統廃合されて消えていってしまう学校の後始末、すなわち、卑近な例でいえば、私の母校であります都立城北高等学校というのは、もう全日制はなくなってしまっているわけでありますけれども、それの伝統なり同窓会というものと桐ケ丘高等学校というものの接点、そういうものに当局は何らかの意を用いているんだろうか。建物なりあるいは学校の中身あるいは教育の方針が変わった時点で、古いものはもう捨てて、新しいものを中心にして、それをよしとして高校改革なれりというふうに思っているのではないだろうかという点が数点にわたってあります。
 したがって、まず冒頭に、教育長から、この高校改革を貫くところの改革とは何ぞや、とりわけ前の学校との関連性の中で、どういうふうな位置づけを教育長はされて改革と称しているのか、お答えいただきたいと思います。

○横山教育長 私は、学校の伝統、文化といいますか、これにつきましては、教育効果という点からよく物を考えるんですが、学校が長年にわたって築き上げてきたよき伝統、文化、それから価値観、こういったものはきちんと継承して、生徒が共通の認識を持つことが、学校全体としての一体感の醸成を図ることにもつながりますし、より教育効果が高まるものと考えております。今進めております時代の変化に対応した高等学校改革、これは必然的にその学校の統合あるいは改廃を伴うことになりますけれども、各学校の教育の輝かしい歴史や伝統、またはその卒業生の各界における活躍あるいは社会的な貢献というものは決して消えるものではない。発展的に改編統合された新しい学校が引き継ぎまして、生かし、発展させていく、これが望ましい姿であろうと考えております。
 お話しのような点につきましては、都の教育委員会としましても、ただいま申し上げたような視点から、今後とも学校長と連携協力をしまして、きめ細かな対応を図っていきたいと考えております。

○和田委員 例えば具体的な例で、同窓会というものを取り上げたいと思うんですね。
 新しく学校が生まれ変わる前に、四十年も五十年も九十年も続いてきた同窓会がある。新しい学校が生まれると、そこで同窓会名は新しい学校の同窓会名になるのは、これは至極当然だと思うんですけれども、古い同窓会名というものが消えても、伝統的にその中に同窓会の幹部とか役員が、顧問だとかあるいは相談役だかわかりませんけれども、新しい学校の同窓会のわきの側というか、直接つながらないまでもどこかに結節点を持ってつながるというのが、今教育長のおっしゃった伝統を生かし、発展していくという言葉だろうと思うんです。そういうことのとおり、過去に、具体的にいえば城北でもいいでしょう。北校、すなわち今は飛鳥高といっていますが、その同窓会なりあるいは今の学校の経営者なりとの連携がとれているというふうに判断されますか。

○山際都立高校改革推進担当部長 統廃合によります古い同窓会あるいは新しい同窓会との関係につきましては、委員ご指摘のとおり、両者が統合するということではなくて、両者が併存するような形で推移しているのが一般的な形ではなかろうかと思います。
 同窓会間の関係あるいは学校との関係についてはかなり多様でございまして、連携が密のところ、あるいは必ずしもそういってないところ、多様でございます。

○和田委員 あるときは朝に晩に生徒は半ば強制的に校歌を歌わされます。それで朝礼と称して、当然、先生に対して授業の態度や、あるいはきょう一日頑張って、体育や授業で頑張りましょうということで、先生の前で指導を受けるわけですね。それを、何十年も歌われ続けてきた校歌というものが、ある日突然この地上から消えてしまうわけです。一方では、これを歌いなさい、この校章に対して敬意を持ちなさいといっておきながら、それも行政がやるわけですけれども、ある日行政がたまたま学校をこのようにしてつくりかえたよ、したがって、きょうからこうだから、今度はこれを捨ててこれに倣いなさいと、そういう仕組みはしようがないでしょう、時代の変遷で。だけれども、そこに心理的、精神的に残って伝承されてきている母校愛なり郷土愛を象徴する、地域の高等学校そのものの中身までも捨て切っていいのだろうかというふうに思うんです。そこのところは教育長に、これは教育長答えてください、校長先生のそういう指導と教育長の力関係はどういうふうに理解したらいいんですか。

○横山教育長 今の学校の統廃合に絡む伝統の話を申し上げますと、私は、例えば今先生がおっしゃったような、学校に愛着を持ち、理念的な問題と、それから物的な施設の問題というのはやはり切り離して考えないと、改革まで進まないだろう。先生がおっしゃったような理念的な問題、あるいは同窓会の団結といいますか、そういう人的なつながりというのは、そのこと自体は非常に大事だと思っています。ただ、そこで培われたその学校特有の伝統なり文化あるいは価値観というものは、やはりよきものであれば次の学校に引き継いでいく。何も新しいからといって新しいものをつくる必要はないのであって、そういった意味では、学校の管理運営、どういう学校にしていくかというのはまさに校長の権限でございます。そういった意味では、力関係がどうということではなくて、その辺については連携しながら協力してやっていきたいということでございます。

○和田委員 力関係がどうこうじゃなくって--いや、力関係を聞いているんですよ。答えてください。

○横山教育長 職務的な権限的には教育長が上でございます。

○和田委員 もちろんそれぞれの権限の中で、何も対立するわけじゃありませんから、校長先生は校長先生、教育長は教育長なりにそれぞれのいいところを出し合って、生徒や地域のために、公立高校なんですから、努力してもらいたいと思うんです。ただ、校長先生は大体二、三年でかわりますと、それまでの地域との関連性がぱたっと、その校長先生の方向によって変わってしまう例があるんです。
 そこで、少し離れるかもしれませんが、お許しいただいてお尋ねするんですが、二年前に私が文教委員会のときにお尋ねしましたが、都立高校、平成九年度のときに二百八校全日制がありましたけれども、その中で、地域の、我々議員でいいでしょうが、都会議員さんに、卒業式、入学式あるいは運動会、体育祭のときに、文化祭でもいいんですが、招待状を出している高等学校が幾つあるか、もう一回答えてください。地域との関連性においてどれだけ配慮しているかということです。

○山際都立高校改革推進担当部長 大変恐縮ですが、手元に具体的な数字は持っておりません。しかしながら、委員ご指摘のとおり、二年前というお話ですが、多くの高校では地域の代表の方を招くようなケースも多々あるわけでございますが、(和田委員「都会議員を聞いている」と呼ぶ)都議会議員の方々をお呼びするというような学校は、私の知る限り余り多くないということを聞いています。しかしながら、昨年各学校に通知を出しまして、学校の行事におきましては都民の代表をお招きするようにということで、現在では多くの学校において都議会議員の方をお呼びしているというふうに思います。

○和田委員 私が二年前の文教委員会で聞いたときは六校でした。二百を超える高等学校で、六校しか出してないんですよ。間違ったら、僕はちょっと正確な数字はあれですが、少なくとも二けたはない。二百を超える学校で、来る、来ないにかかわらず、都会議員さんに入学、卒業を出しているのは十校に満たなかった。ところが、区議会議員さんや市会議員さんを経験している方がほとんどだと思うんですが、ほとんど区立のあるいは市立の小中学校の卒業、入学は、行く、行かないにかかわらず、全部区教委、市教委から来ています。なぜか。それはできるだけ地域と議員さんや代表者の人が交わることによって、風通しもよくしたいし、具体的な注文や意見も聞きたい。そういう開かれた部分があるんですね。ところが、どうも東京都の都立高校というのは、先ほど横山さんの姿勢のそういう開かれたのとは違って、全日制に限ってですけれども、二百を超す都立の高等学校の校長先生というのは、できるだけ閉鎖的に、できるだけ外側の人間を入れないようにと思われるぐらいに、都議会議員を避けているような節があるんです。
 どういう理由かいいませんけれども、それの一つの例がそうなのであって、今回のように校長先生あるいは教育長の力関係を聞いたのは、少なくとも心よくというか、不満ながらも統廃合なり何なりに賛成しようという素地の中に、それまで五十年、九十年続いてきたその高等学校の伝統が、新しくなっても継承されるよ、評価されるよ、そういうことがあって、不満ながらも従うんだけれども、一回新しくなったらもう招待状も来ない。それから、いろいろな意味での同窓会が抱えているファンドを、同窓会の予算というものも引き継いで、新しい学校で使ってもらおうと思うような善意があっても、それも拒否されちゃう。そういう事例を知っているわけですよ。だから、そういうことと今の教育長の、一見この場では協力しましょうというきれいな言葉でいっているが、現場に行ったときにどれだけあなたの言葉が無視されているか、もう一回答えてください。

○横山教育長 今学校運営上の非常に大きな課題としまして、小中学校を主として議論されていますが、開かれた学校づくりというのが平成十三年度以降、学校運営では依然大きな課題になっております。これは小中学校だけではなくて、高等学校も全く同じでございます。私の感じでも、小中学校よりもはるかに高等学校が閉鎖的な傾向があることは、これは事実でございまして、そういった意味では、開かれた学校づくりをどう進めていくかというのは大変困難な問題がございますが、地域と関連をさせた学校経営をやっていくというのは、これからの学校の方向でございますので、私どもとしては、地域に開かれた学校づくりを、これは高等学校につきましても、何としても進めてまいりたいと考えております。

○和田委員 そちらで何か今動いていたから……。数字わかりますか、調査した。ちょっと答えてください。

○斎藤指導部長 先ほどの、学校行事等に都議会議員の方を初め地域関係者を招待した人数でございますが、都立高等学校の数で申し上げますと、平成十年度は、入学式で例を申し上げますと、都議会議員の方が五十一人参加されております。そのほか区市町村の長、区市町村の議員さん、それから町会関係者、合わせまして、合計ではちょっと今計算をしないと申し上げられませんが、区市町村関係では五十九名、町会関係では三百十八名、そういう数字が、統計を持ってございます。
 それから、そのほかで申し上げますと、例えば文化祭等で申し上げますと、平成十年度で、都議会議員の方が二十二名参加されております。それから、区市町村の長の方が四十二名、町会関係が千三百名を超えております。
 先ほどの都議会議員さんへの招待につきましては、平成十二年度に、閉鎖的な体質もございますので、地域の関係者も含めまして、学校においでいただきたい、そういう招待状を出すよう通知したところでございます。

○和田委員 ですから、横山さんのように、背広を着てこちらの方にいらっしゃる方のそういう気持ちと、現場で教鞭をとったり生徒指導している方の気持ちとに乖離があるといわざるを得ないんです。熱心に今ご答弁いただいた姿勢は、僕は好感を持つんだけれども、現場を歩いてくださいよ。それから、同窓会と称して頑張っている、古い体質や古い同窓会でもいいんですが、新しいできたところも含めて、どういう現状にあるか。そういうことが解消されなければ、ここに載っている第三次までの計画というのはなかなか--経験をした同窓会長さんから、新しく統廃合を予定されている、あるいは改編される学校の同窓会の方に伝播していって、冷たい仕打ちになっちゃうよと、したがって、できるだけ賛成しない方がいいよみたいな形に伝わる可能性もあるわけです。
 ですから、もとより統廃合というのはだれもが嫌がることなんだけれども、それにつけても、社会事情や教育内容の充実の問題から、説得力を増していくためには、外的条件をしっかり整えて、その上で、こういう形で改編したいのでという説得をしなければ、我々が決めたことだから頭から従いなさいというような形でいけば当然反発もあるし、それから高等学校の進学率、これは日を改めていたしますけれども、高校進学率は九六、七%という数字だけを誇っていていいのか、中退率がその裏側で涙を流して泣いているというようなこともあるわけでありますから、表向きの九七%の進学率だけを誇示しているような教育制度でいいのかどうなのかというようなことも含め、私は統廃合の問題あるいは高等学校改廃の問題については、もっと根深く議論していくつもりでありますし、今回のこの条例については多といたしますが、また別な機会に改革の問題については触れていきたいと思います。
 以上です。

○曽根委員 今度つばさ高校が設置されるということについて、何点かお聞きしていきたいんですが、これは、この資料にありますように、平成八年からスタートしている晴海総合高校が総合学科の第一号で、今度のつばさ高校が第二号ということなので、それはやはり先にスタートしているところをきちっと見ておいた方がいいだろうと思いまして、私どもの会派として、始業時間から、生徒さんがどういうふうに通ってきているのか、それから一時間目、二時間目の授業ぐらいまで、晴海総合高校に伺わせていただいて、見させていただきました。パンフレットもいただいたので--もうなかなかの、いいシチュエーションといいますか、このパンフレットのとおり非常にいい環境なんですよね。校舎も大変すばらしい設備ですし、そこで行われている学習、授業の内容も大変すぐれていると思いました。正直、本当に関心しましたよ。
 一つは、校長先生、坂本先生とおっしゃるんですね。坂本先生の、この学校をよくしていきたいという熱意、先ほどちょっとお話もありましたが、市民講師ですか、二十人ぐらい、踊りやお茶や太鼓ですか、そういった市民の方々の授業もある。そういう意味で非常にいろいろなことにチャレンジをされているなと思いましたし、それから、それにこたえるように、生徒さんも非常に学習態度がしっかりしているなと。廊下で、休み時間に歩いている生徒さんをちょっとつかまえまして、この学校どうと聞くと、みんなやはり自分の進路をいろいろ考えているんですね。それで、自分に必要な授業を、コース制ですから、いろいろ選択できるということで、いろいろしっかり考えてとっているなと。そういう意味では、設備も非常にすばらしいものですし、行われている教育内容についても、その学校の中としては最大限の努力をされているということは十分感じました。
 これから職業選択がいろいろ幅が広くなっていくということで、職業選択についての授業も中にはあって、それは一年生のときにやるらしいんですけれども、たまたまその授業をやっているところにこちらが訪問で行ったものですから、都議会議員が来たということで突然出場させられまして、都議会議員の仕事とは何かということで生徒から質問を受けるという、都議会議員はもうかりますかとか、都議会は立派ですかとか、都議会議員はどんな仕事をしているんですかという一番難しい質問もいただきましたが、そういうふうなこともあって、非常に学ばされるところがありました。
 同時に、今後、総合学科高校を、このつばさ高校、先ほどもお話がありました東久留米の方も、つくっていくというときに、ぜひ考えてもらいたい、私たちも研究していきたい幾つかの点がありますので、質問と若干のコメントもさせていただきたいと思います。
 一つは、晴海総合高校が非常に立派な建物、設備を持っているということについて、これは率直にどれぐらいの費用でできているのかということをまずお聞きしておきたいと思います。全体でどれぐらいの費用をかけてつくられているのか。

○松田施設部長 晴海総合高校は商業系の総合高校でございまして、平成八年三月に完成いたしました。体育館、グラウンド整備を含めました建設工事費は、約百六億七千五百万円でございます。

○曽根委員 建設事業費で百億円を超える都立高校は私は初めてだと思うんですね。当時、かなりこうした公共施設にお金をかけるという点では、潤沢にお金を出していたということもありますけれども、それ見てもわかるんですよ、すばらしさが。そこに通っている生徒さんたちにとって、また、そこに通わせている父母の方々にとって、やはり相当期待が集まるだろうなというふうに思いました。同時に、当時、九六年ですから、あの直後から、公共施設についてはいろいろ節約といいますか、コストを縮減しようという動きもあると思います。今度つばさ高校をつくって、もう工事が大体終わるころですね。このつばさ高校については、その辺は、建設コストその他についてはどういう考え方でやっているんでしょうか。

○松田施設部長 つばさ総合高校は工業系の総合高校でございまして、本年十二月に竣工の予定でございます。
 建設工事費は約六十七億五千万円でございます。体育館と格技棟は既存のものを利用することでコストの節減を図っております。

○曽根委員 体育館、格技棟というのは平成に入ってからつくったものだと思うので、それを活用していくというのはある意味で当然だと思います。それで校舎の方で、設計図を前に教育庁の方からいただいたんですが、かなりこちらも立派な建物につくっていると思いますね。それで、晴海高校と比べて、校舎の部分についての比較をした場合、床面積当たりの建設コストとしてはどうでしょうか。

○松田施設部長 晴海総合高校の校舎棟の建設面積は約二万一千平米でございますが、平米当たりの単価は約三十四万六千五百円でございます。つばさ総合高校の校舎棟の建設面積は約一万九千四百平米でございまして、一平米当たりの単価が約三十四万七千二百円でございます。
 なお、都立高校の施設整備につきましては、都立高校改革推進計画を踏まえるとともに、校舎、設備の老朽化の程度、耐震性能や学科改善、個性化、特色化への取り組み等、総合的に勘案して整備することとしております。

○曽根委員 これは私、一概に比べるつもりはないんです。というのは、晴海総合高校の場合は、京橋高校と京橋商業高校で、商業系の総合学科といいますか、そういうものがあるので、パソコンその他、商業コースに必要な器材というのがあります。羽田の場合は工業系ですから、もっと高いいろいろな器機が恐らく使われているでしょうから、その伝統も引き継ぐということになれば、それなりの設備は必要だと思います。ただ、やはりそうはいっても、今度つくる戸山高校は体育館も入れて二十三億余ですか、先ほどの契約案で。生徒数はほぼ同じぐらいですから、やはり総合学科には相当お金の面でも力を入れていることは間違いないですね。確かに授業を見に行きますと、百六十三の科目があるということなんですね。ですから、少人数でいろいろな授業をやっていて、絶えず入れかわって、子どもさんは動いていく。授業をやっている教室というのは全体の教室の大体半分ぐらいかなと思うんですね。半分ぐらいの教室はあいているけれども、いろいろな形で使われて、回しているという感じでした。これはその学校として教育を進めていく上での条件としては極めていい条件だということは間違いありません。ただ、教育施設予算全体の枠はそんなにふえていないし、逆に今シーリングがかかって減ってきている中で、教育の機会均等ということを施設の面でもある程度は考えていかなきゃならないというのは、私たち、やはり考慮する必要があると思っています。
 晴海についてどうこうではないんですが、先ほど資料でいただきましたように、戦前の建物で築後七十三年という、もちろん耐震基準はクリアしているんでしょうけれども、そういう建物の学校も一方に残っているということもありますので、そういうことについての考慮を今後していっていただきたいというふうに思います。
 それから、もう一つなんですが、この総合学科高校をつくったために、先ほどもちょっとお話がありましたけれども、前に京橋高校という普通科高校と、それから京橋商業という商業高校があったのを統合しました。今度、つばさの場合も工業高校と普通科高校を統合するわけです。私たちはいつもこの統合があるときに申し上げるんですが、決して、なくなっていく学校が、その学校がなくてよかったということでは絶対ない。先ほど、伝統を残すという話もありましたが、しかし、やはり学校の名前も変わり、制度も授業の中身もがらりと変わってしまうということは、ある意味で、そこに通ってきた子どもさんやOBの方や父母の方にとって、また、そこに携わってきた教育関係者の方にとっては、やはり存在が否定されたという印象を持つのはやむを得ないことだと思います。(「実態はそうですね」と呼ぶ者あり)そういうことありますよね。実態もそういういろいろな問題が起きていると思うんですね。それで、それをやはり本当の意味で納得のいく改革としていくために考えていかなきゃならない問題があると思います。
 まず、幾つかこの間の変化をお聞きしておきたいのですが、晴海総合高校が立ち上がったときに、一つは、京橋高校、京橋商業の時代からの、通ってくる生徒さんが変わってくると思うんですよね。そこで、倍率がどう変わったのか。
 それから、まとめてお聞きしますけれども、京橋高校は全日制普通科ですから、第五学区から通っていたと思うんですけれども、それが第五学区以外の子どもさんが来る、学区がなくなりますので。晴海の場合、それがどれぐらいになっているのか、その辺の変化をちょっとお聞きしたいと思います。

○山際都立高校改革推進担当部長 晴海総合高校は、ご指摘のとおり、平成八年に開校したわけです。当初の応募倍率、入学者選抜の一般入試の応募倍率でございますが、当初三・〇三倍でございました。それ以降、三・八四倍、二・五九倍、二・九〇倍、二・二〇倍、そして十三年度、資料にありますとおり、二・一四倍になっております。
 また、晴海総合高校における在籍者の数のうち、五学区以外の生徒の割合でございます。これについては全体の八〇・四%が五学区以外から来ている生徒でございます。

○曽根委員 倍率の方も、新しく立ち上がったときは、設備を見ても、コース制のいろいろな案内を見ても、期待が集まるというのは当然だと思うんです。第一号だということもあって、四倍近い倍率になったわけですね。今は大分落ちついてきたとはいえ二倍を超えているということは、先ほど都民の支持を得ているというお話があって、確かに期待を集めているんですよ。ところが、一方で、本当に商業のコースが自分に合っているなと思っている中学生の卒業を控えた生徒さんにとってどうか。その道が、いわば新しく開かれた、選択の幅が広がったというのは客観的にいえば事実です。しかし、ではそこに受験できるかというふうに考えると、期待が集まって、一回目は四倍近い倍率になった。しかも外から八割ぐらい入ってくる。今までのように、いわば地元の高校だからということで安心して受けられるというふうにはちょっとならない。がけを飛び越えなきゃならない。落ちると、もう都立の場合には都立に入る道は二次募集しかありませんから、私立その他も考えざるを得ないというふうになる。
 ですから、受験の上で選択がしやすくなったのかなというのは私は疑問なんですよ。それぞれの学区にどんどん総合学科がつくられていく計画なので、そのうち落ちつくというふうになるかもしれません。しかし、私は、そういうふうにどんどんどんどん事を進めていく前に、今の段階で考えておいてほしいこと、それは、こういう新しい、しかもいわばかなり実験的、試行的な内容を持つ新しい高校をつくるときは、今まであった普通科高校をつぶすのじゃなくて、新しくつくるということを考えるべきじゃないか。
 それから、全体としての都立高校の改革は、私もう大分前で余り年数をいいたくないんですけれども、私が高校を卒業するころにちょうどカリキュラムの改革というのが始まって、それまでほとんどが必修科目だった都立高校の全日制普通科の高校にも選択科目が入ってきた時期なんですが、それは生徒さんたちが希望を出すんですね。それにこたえて先生方もいろいろ相談して、学校の中で話し合いが何度も持たれて、この選択を入れていこうというようなことが当時学校の中で大いに議論がありました。そういうふうにしてつくられていく普通科高校の改革というのもまだまだ大いにあり得るだろうというふうに思うので、その点も申し上げておきたいと思います。
 最後に一点だけ。晴海高校の坂本校長先生から特に熱意を持って訴えられたのは、キャリアアドバイザーという方がいるんですね。これはコース制の総合学科高校などにはどうしても必要な制度だそうです。私、見ていてもわかりました。年間三千人ぐらいの生徒さんが相談に来る、今後の進路について。その先生は理科の先生で、キャリアアドバイザーそのものの定数がないので、理科の先生がその仕事をされているんだそうです、専任で。それは学校の中でのやりくりなんですね。これはぜひ制度化してほしいという要望がありましたので、これは私はそのとおりだと思うので、こういう学校をつくるからには、そういうきちんとした専任の教職員を配置するように最後にお願いして、質問を終わります。

○執印委員 よろしくお願いします。今、諸先輩の委員の質問を聞きながら、いろいろ複雑な思いも持ちながら質疑を聞かせていただきましたが、新しく高校ができていく中でのいろいろな問題というのもあると思うんですが、都立高校改革推進計画の中のこのつばさ高校の位置づけというものを改めてお聞きしたいというふうに思います。
 それから、子どもたちを取り巻く状況、高校の改革も含めてそうなんですけれども、そういうふうにして考えていったときに、このつばさ高校の果たす役割とか、それから、つばさ高校、今審議をしているわけですけれども、どうなんだろうかと考えていくための、そのための教育委員会のお考えとしてお尋ねしたいんですが、今チャレンジスクールなどもできまして、いろいろな試みができているわけですけれども、しかし、チャレンジ高校なども、受験された方の三分の一ぐらいですかね、入られるということで、かなり子どもを取り巻く状況としては厳しくなっているという感じを持っております。
 それで、今東京都内では、これは小中学生合わせてですけれども、一万人以上が不登校になっているという状況ですね。私自身は不登校が悪いというふうには考えておりませんけれども、子どもが学校に行けなくなってしまう状況そのものは、やはり大人が変えていくという発想に立たない限りどうしようもないだろうというふうに思っているんですが、子どもが学校に行けないことで非常に親も苦しむ、子ども自身も苦しいという状況だと思うんです。実際には、小中学校の部分になると地域の市区町村の問題なんですけれども、東京都がこういう形で新しい高校をつくっていって、高校だけは改革します、あと小中学校は知るところではありませんというようなことでは、子どもたちは救われないというふうに思いますので、市区町村の教育委員会との連携で、決して市区町村の教育委員会に必要以上に立ち入れというような考えは持っておりませんけれども、連携をきちっととりながら不登校の解決をする必要があるというふうに思うんです。
 その辺の、東京都の教育委員会として、片方では心の東京革命というものを市区町村におろしているわけですけれども、不登校の問題についてどういうふうに考えているのかということをお尋ねしたいと思いますのと同時に、詳しくはまたの機会にしますけれども、ここで進学指導重点校というものが出てきまして、こういったものが都立高校改革推進計画の中にははっきりとは出てこないわけですけれども、つばさ高校などとの関係の中で、晴海高校は相当倍率も高くなったということですけれども、こういう進学指導の重点校というのが受験戦争の加熱につながらないのかどうか。
 また、これは都立高校の改革の推進計画の中には位置づけははっきりとは、その文言の中では、ここで対応しましたというお答えは当然あるんだろうと思うんですけれども、見当たらないわけですけれども、だれがいつどう決めたのかというようなことも知りたいと思いまして、そのいろいろな状況を教えていただきました中で、このつばさ高校についての結論というものを出させていただきたいと思っておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

○山際都立高校改革推進担当部長 まず、つばさ高校の都立高校改革推進計画における位置づけでございますが、都立高校改革推進計画では、普通教育と職業に関する学科などの専門教育を総合的に行う総合科といたしまして、各学区に一校ずつ設置することとしております。つばさ総合高校につきましては、晴海総合高校に続く都立高校で二校目の全日制の総合学科高校として、平成九年九月に策定いたしました都立高校改革推進計画の中に盛り込まれているものでございます。
 それから、幾つかご質問がございました。
 このたび指定をさせていただきました進学指導重点校施策の位置づけでございますが、これについて、計画の中では、進学指導の充実ということを特色ある学校づくりの一施策として位置づけておるものでございます。そのための、今回の措置は具体的な取り組みの一つということで位置づけております。
 それから、今回の施策によって、受験の関係で激化するのではないかというようなご質問がたしかあったと思います。学区制検討委員会、既にこれは報告書を出し終わったところでございますが、そこでいわゆる旧名門校の入試倍率について、例えば他学区の受験枠が広がったことによって入試倍率が変動するかどうかというふうな分析をしております。しかしながら、倍率が大きく変動するような事例はなかったというような結果が出ております。今回の措置によりましても、目的意識を持ち、第一希望校とする生徒はふえるということはあり得ると思いますが、受験倍率が大きく上がるというようなことはないというふうに考えております。
 これに関連しまして、この重点校について、だれがいつどう決めたのかというようなご質問がございました。進学指導重点校の性格についてちょっとお話をさせていただきますが、これは進学指導の向上に重点を置いた実践的な研究開発校でございまして、重点校での実践研究の成果につきましては、他の都立高校における進学指導の充実にも生かされることによりまして、都立高校全体のレベルアップにつながるものと考えております。
 また、進学対策の充実自体につきましては、保護者、生徒の要望にこたえて行うものであり、これまでの都立高校における進学対策の不十分な点を踏まえて、都立高校が責任を持って進学希望を持つ生徒一人一人の力を十分に伸ばし、希望する大学進学への願いをかなえていこうとするものでございます。重点校の指定が、繰り返しますが、受験戦争の過熱化につながるということは考えておりません。
 今回の重点校の指定につきましては、本年度に入ってから庁内で協議を重ねてきまして、学校長との意見交換も行いながら指定校の選定を行い、去る九月二十六日に教育長決定により重点校の指定を行ったものでございます。

○斎藤指導部長 不登校問題を解決するための対応についてでございますけれども、不登校問題の解決を図りますには、まず、教師が児童生徒の悩みを真剣に受けとめることが大切かと思います。その上で、家庭との連携を図るとともに、必要に応じて専門家あるいは関係機関との連携を図りながら、援助、指導を受けて解決に向けて努力していくべきものと思っております。
 都教育委員会といたしましては、スクールカウンセラーの計画的な配置あるいはアドバイザリースタッフの派遣など、子ども一人一人の課題に応じた支援を、区市町村教育委員や関係機関と連携を図りながら進めているところでございます。
 さらに、東京都教職員研修センターにおきましては、教員全員を対象にしました指定研修、教職経験等に応じた専門研修におきまして、カウンセリング等に関する研修も行っているところでございます。

○執印委員 お答えをいただいたわけなんですけれども、不登校の対策につきましても、それから全体的な高校の改革の計画の中でも、自分たちが子育てをしている感覚とは随分ずれているんじゃないかなというような感じを正直持っております。進学指導重点校については、また別の場で、先ほど入試倍率の変化はないだろうというような調査もされたということですから、そういったものもいただきながら、見ていきたいというふうに思いますが、何か私どもの印象としては、都立高校改革そのものが非常に迷走しているというような感じ、それから子どもたちの気持ちに本当に沿い切れているんだろうかというような感じを持っております。
 それと、つばさ総合高校というものについて、だからだめというような、そういう狭い判断もいたしませんけれども、多分しないと思いますけれども、ただ非常に、例えば進学指導の充実という中で、校長先生と教育長が決めてきたと。では、ほかの高校でなぜだめだったのか、そういうようなことも十分に知りたいというふうに思います。それは次にやらせていただきますけれども、非常にみんなの気持ちから離れているような感じがいたします。私も不登校のお子さんを持っている親御さんの方ともいろいろお話をしてき、また、フリースクールの方などともお話をしておりますけれども、片方では本当にたくさんお金をかけて、高校改革ということで、晴海高校とかつばさ高校というものができていく。それはそれでいいと思いますけれども、例えばフリースクールに通っていらっしゃる方は、本当に自前で出している。それは私学でもないという中で、全く保障というものがない、または定期代などについてはやっとついたものもある、そういうような状況の中で、もう少し本当に東京都の教育委員会というのは子どもたちの心に沿って仕事を進めていってもらいたいというふうに思っているわけなんです。
 それで、こういったものを進めていく中で、受験戦争の加熱にもつながらないし、不登校問題も解決に向けているということですけれども、実際には微増していますね、不登校も。私は、その問題の解決のためには、子ども一人一人が生かされるということを本当にやっていかなくちゃいけないと思っているんです。先ほどもいったように、例えばバリアフリーしても、中はそれとは違うというようなことがされているというのが今の教育の内情だと思います。
 私は、国連で、子どもの権利委員会が、日本の子どもたちは、これは政府が報告したものについての懸念事項と提案及び勧告なんですけれども、日本の場合識字率が極めて高いことにあらわれているとおり、締約国が教育を重視していることに留意しながらも、委員会は、競争が激しい教育制度のストレスにさらされ、かつ、その結果として、余暇、運動及び休息の時間が得られないために、子どもたちの間で発達障害が生じていることを、条約の原則及び規定--ちょっと省きます--に照らして懸念する。委員会はさらに、学校嫌いが相当数に上ることを懸念するものであるというふうに出ております。
 それから、提案及び勧告の中では、委員会は、締約国に対し、既存の子どもの人権専門員制度を制度的に改善し、かつ拡大するか、もしくは子どもの権利のためのオンブズパーソンまたはコミッショナーを創設するかのいずれかの手段により、独立した監視機構を設置するために必要な措置をとるよう勧告する。または競争の激しい教育制度が同国に存在すること、並びにその結果として、子どもの身体的及び精神的健康に悪影響が生じていることを踏まえ、委員会は締約国に対し条約第三条、第六条、第十二条、第二十九条及び第三十一条に照らして、過度のストレス及び学校嫌いを防止し、かつ、それと戦うために適切な措置をとるよう勧告するというのがあります。
 これはご存知かどうかということが一点と、こういう問題、本来は、条約を批准したわけですから、まず国が取り組まなくちゃいけないわけですけれども、残念ながら国はこういった問題にしっかりと取り組んでいないので、私は、環境問題のように、東京都がまず一番に日本の中でこのことに取り組んでいくという必要がある、また、このことをベースにしながら、高校の改革、それから市区町村との連携、不登校の対策というものを進めていく必要があるというふうに思いますが、ぜひお考えをお聞かせいただきたいと思います。

○山本委員 委員長、議事進行についてちょっと。
 大変熱心に一生懸命いっているのはわかるんですが、やはり質問することは、この事項というのは、あっちに振れたりこっちに振れたり、何が何だか聞いている人も答える人もわからないだろうと思う、私は頭が悪いからそうなのかもしれないけれども。もうちょっと質問する事項は簡潔に、びしっとやっていただくようにご指導いただいて、決して、しゃべること、言論をやめさせるとか制限するとか、そういう気持ちはないけれども、やはりみんなでこれは議論するところですから、お一人じゃないんですから、自分の質問する事項は簡潔にまとめて質問をするという、ぜひそういうふうな議事進行をお諮りしていただかないと、私たちも勝手にいいたいことをいうのでやったら、これは何時間でもできるわけですから、ぜひそういう議事進行の仕方もきちんとひとつやっていただきたい。委員長、よろしいですか。

○東委員長 今、山本委員からご指摘もありましたので、留意して進めてください。

○斎藤指導部長 国連子どもの権利委員会からの指摘についてでございますけれども、一九九八年、平成十年六月に、児童の権利に関する委員会から最終報告が出されまして、ご指摘の内容については承知しております。
 このことにつきまして、都教育委員会としましては、次代を担う人材を育成するために、画一的な知識詰め込み型の教育を改めて、子どもたちの一人一人の個に応じた教育を推進していくということが重要であるという観点から改革を進めているところでございます。

○執印委員 いろいろお教えをいただきましてありがとうございました。
 私もこれで質問を終わりにしようと思っていたんですが、高校改革推進計画の全体の中で判断をしていきたいということでございますので、教育長から、こういった--私はこの子どもの権利委員会などが指摘していることが、非常にこれから教育をつくっていく中で重要じゃないかということで、もちろんご存知だとは思ったんですが、読ませていただきましたが、ぜひ教育長からお考えというものをお聞かせいただきたいというふうに思います。それは、子どもの権利委員会が指摘していることについて、教育委員会としてきちんと取り組みをしていただきたいわけですが、検討に向けての取り組みでも結構なんですけれども、ぜひそのあたりをお聞かせいただきたいと思います。

○横山教育長 子どもの権利委員会のそのこと自体は私も承知しております。ただ、戦後五十年の日本の教育の中で、確かに、戦後すぐ、国民全体の教育レベルを上げるということで、ある種詰め込み教育の中で全体のレベルが上がってきた。その結果として、高校進学率、大学進学率も上がってきた。その結果として受験過当競争が起こり、ゆとり教育の必要性が叫ばれてきた。そういう中で、子どもの個々の個性というものを尊重していくということから、多様な子どもたちに対する多様な選択肢を用意するというのが今の教育の方向でございます。そういった意味では、今後、受験競争の過当による子どもの権利侵害であるとか、子どもの問題であるとか、そういったものはできるだけ、可能な限り払拭するような方向が、今後教育行政を進める上で私どもに課せられた課題であると考えております。

○東委員長 ほかに発言はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時三十三分散会

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