文教委員会速記録第二十一号

平成十二年十二月十二日(火曜日)
午後一時五分開議
 出席委員 十二名
委員長村松みえ子君
副委員長羽曽部 力君
副委員長大河原雅子君
理事服部ゆくお君
理事くぼた 光君
理事石川 芳昭君
織田 拓郎君
田中 智子君
田中  良君
井口 秀男君
桜井  武君
小林 正則君

 欠席委員 一名

 出席説明員
生活文化局局長高橋 信行君
外務長田邊 隆一君
総務部長幸田 昭一君
交通安全対策担当部長宇波 興宣君
東京二〇〇〇年祭担当部長高橋 敏夫君
コミュニティ文化部長三好 勝則君
調整担当部長尾崎 眞幸君
国際部長山口 一久君
女性青少年部長高西 新子君
心の東京革命推進担当部長村松  満君
消費生活部長中澤 正明君
教育庁教育長横山 洋吉君
総務部長加島 俊雄君
学務部長若林 尚夫君
施設部長神山 隆吉君
人事部長小海 博指君
福利厚生部長小島 郁夫君
指導部長斎藤 尚也君
生涯学習部長嶋津 隆文君
体育部長桜井 武男君
同和教育担当部長幡本  裕君
人事企画担当部長臼井  勇君
都立高校改革推進担当部長山際 成一君
参事佐藤  広君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 生活文化局関係
  付託議案の審査(質疑)
  ・第二百七十八号議案 平成十二年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出 生活文化局所管分
  ・第三百四号議案 東京空襲犠牲者を追悼し平和を祈念するための碑の建設募金の寄附受領について
 教育庁関係
  付託議案の審査(質疑)
  ・第二百七十八号議案 平成十二年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出 教育庁所管分
  ・第二百八十四号議案 東京都教育委員会の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
  ・第二百八十五号議案 東京都教職員研修センター設置条例
  ・第二百八十六号議案 東京都教育相談センター設置条例
  ・第三百十号議案   学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例
  ・第三百十一号議案  学校職員の給与の特例に関する条例の一部を改正する条例

○村松委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 初めに、傍聴人の数についてお諮りいたします。
 当委員会室の定員は二十名でありますが、傍聴希望者が定員以上でございますので、さらに十名を追加したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○村松委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○村松委員長 次に、意見書について申し上げます。
 委員より、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○村松委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○村松委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、生活文化局及び教育庁関係の付託議案の審査を行います。
 これより生活文化局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第二百七十八号議案、平成十二年度東京都一般会計補正予算のうち、歳出、生活文化局所管分及び第三百四号議案、東京空襲犠牲者を追悼し平和を祈念するための碑の建設募金の寄附受領についてを一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
 これより質疑を行います。
 発言をお願いいたします。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○村松委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、ご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○村松委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で生活文化局関係を終わります。

○村松委員長 これより教育庁関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 鎌形次長は、公務出張のため本日の委員会に出席できない旨の申し出がございました。ご了承願います。
 これより付託議案の審査を行います。
 第二百七十八号議案、平成十二年度東京都一般会計補正予算のうち、歳出、教育庁所管分外、第二百八十四号議案、第二百八十五号議案、第二百八十六号議案、第三百十号議案及び第三百十一号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○加島総務部長 過日の委員会でご要求のございました資料について、ご説明申し上げます。
 お手元の文教委員会資料の目次をお開き願います。
 今回ご要求のございました資料は、1の東京都教職員研修センター、東京都教育相談センターに関する検討経過と報告書の概要から、6の東京都教職員研修センター設置に伴う教員研修改編の概要までの六件でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。1、東京都教職員研修センター、東京都教育相談センターに関する検討経過と報告書の概要でございます。
 (1)に、検討経過について、平成十年度から十二年度の状況を、また、(2)に、教育庁研修・研究センター等基本計画報告書の概要として、1に検討の背景、2に、次ページにかけまして、研修・研究センターの役割を、3に教育相談センターの役割をお示ししてございます。
 三ページは、2、東京都教育相談センターの相談業務、現況との比較でございます。
 相談事業の内容及び相談受け付け時間について、表の左に、平成十二年度における都立教育研究所及び都立多摩教育研究所の現況を、また、表の右に、平成十三年度における教育相談センターの状況を比較してお示ししてございます。
 四ページをごらん願います。3、公立教育相談機関数及び相談申込件数でございます。
 東京都公立教育相談所連盟の調査により、公立教育相談機関数及び相談申込件数を、区部及び多摩地区の別にお示ししてございます。
 五ページは、4、区市町村の教育相談体制及び高校生の相談件数でございます。
 教育相談体制として、相談担当者数、顧問数及び事務職員数について、また、高校生の相談件数について、(1)に区部を、次ページの(2)に市町村の状況をお示ししてございます。
 なお、六ページの注意書きの7にございますように、相談機関を設置していない町村については、市町村部の表に記載してございません。
 七ページは、5、都立教育研究所及び都立多摩教育研究所の相談部門別相談件数及び来所経路でございます。
 (1)は、相談部門別来所相談件数として、電話相談総合窓口、心理教育相談、いじめ・体罰等相談などの相談部門別に、都立教育研究所及び多摩教育研究所における来所相談及び電話相談の件数をお示ししてございます。
 (2)は、都立教育研究所及び多摩教育研究所における心理教育相談部門への相談者について、新規相談及び継続相談の別に、相談室の存在を知った場所等として、学校関係、病院、他の専門機関等の件数をお示ししてございます。
 八ページをごらん願います。6、東京都教職員研修センター設置に伴う教員研修改編の概要でございます。
 (1)に、初任者研修、現職研修、教育管理職研修等の指定研修について、平成十二年度の現状及び十三年度における改編後の状況をお示ししてございます。
 (2)は、教育課題及び学校教育相談研修等の専門研修について、平成十二年度の都立教育研究所等における実施状況と、十三年度の教職員研修センターにおける状況をお示ししてございます。
 また、次のページに、教育職員のライフステージに応じた能力開発プログラムとして、研修体系の全体をお示ししてございます。
 以上、簡単でございますが、ご要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○村松委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、本案に対する質疑を行います。
 発言をお願いします。

○桜井委員 今日の社会の大きな課題の一つといたしまして、少子高齢化の急激な進行など社会の大きな変化への対応や、いじめ、不登校、社会の基本的なルールを守れない子どもの増加など、さまざまな教育課題に適切に対応することが求められております。
 そして、このことは、家庭、社会、地域の力が必要であることは申すまでもありません。心の東京革命などは、その一つの運動といってもいいと思います。
 そして、そのかなめのもう一つであります学校教育も極めて大切でございますので、その三本柱の一つについて質問させていただきます。
 学校経営において、校長、教頭が強いリーダーシップを発揮するとともに、第一線で学校教育を担う教員の意識を改革し、資質、能力の向上を図る教員研修を、これまで以上に改善充実させていく必要があります。また、子どもたちを取り巻くさまざまな問題に対して、子どもたちの心のケアや家庭における子育てなどを支援する相談の果たす役割がますます重要になってきております。
 これまでも、東京都教育委員会は、管理運営規則の改正や人事考課の実施などの施策を通じて、管理職のリーダーシップの強化や教員の能力開発の支援に、積極的、意欲的に取り組んできたと聞いております。また、思ってもおります。
 また、相談事業に関しても、夜間電話相談、訪問による相談など、東京都独自の施策を行い、困難な課題の解決に取り組んできているところでございます。
 これらの努力を一層効果的なものにしていくための方策として、今般、教職員研修センター及び教育相談センターの設置が提案されたものと理解しております。
 そこで、教員研修や相談の機能をより一層改善充実させるため、本都議会において現在提案されております教職員研修センター及び教育相談センターの構想について、以下、幾つか質問させていただきます。
 初めに、教職員研修センターについて幾つか伺います。
 俗に、校長がかわれば学校が変わるといわれて久しいわけでございますが、学校における管理職の役割は、いつの世においても極めて大きいものがあります。立派な管理職のいる学校に通う子どもは幸せであります。子どもだけじゃなく、保護者も教職員も幸せであります。ひいては地域の人々の幸せにもつながっていくものと考えられます。
 そこで、このように多くの人々に大きな影響を与える管理職を育成するための研修を、新たに設置される教職員研修センターにおいてどのように構築するのかを、まず伺います。

○小海人事部長 管理職を育成するための研修についてのご質問でございますが、都教育委員会は、管理職としての人材を計画的に育成するという観点から、教育管理職任用制度を改正し、本年度から実施しているところでございます。A選考合格者に対しましては五年間、B選考合格者に対しましては二年間の任用前研修を受講することとしております。この間、学校の基幹要員、これは主任でございますが、あるいは指導主事、あるいは長期社会体験など、ジョブローテーションとして経験させることにより、広い視野を持ち、行政感覚や学校経営の実務能力にすぐれた管理職の育成を図るものでございます。
 新たに設置される教職員研修センターで、こうした管理職候補に対する研修を充実することによりまして、学校教育の一層の改善が図られます。桜井委員のご指摘のような理想の実現に資するものと考えております。

○桜井委員 次に、学校組織のかなめたるべき、主任の研修について伺います。
 学校の中では、校長を中心とした運営が難しいといわれております。管理職を補佐し、学校運営に積極的にかかわり、学校が抱える課題の解決に向け、組織の一員として前向きに取り組む教員を育成することは、極めて重要なことであります。その意味でも、主任の果たす役割は、管理職を補佐し、調和のとれた創意ある学校運営を進めるために、極めて重要なことであります。
 新たに設置される東京都教職員研修センターにおいて、管理職を補佐する重要な役割を担う教務主任や生活指導主任などに対する研修については、どのような構想を持っているのか、伺います。

○小海人事部長 主任の研修についてのご質問でございますが、都教育委員会におきましては、平成十一年度に学校の管理運営規則を改正し、学校運営の基幹要員でございます主任の企画調整会議への参画などにより、学校管理運営体制の確立を図ってきたところでございます。
 来年度につきましては、新たに設置される教職員研修センターにおきまして、分掌組織のリーダーとしての役割を遂行する能力を高めるため、都立学校の教務、生活指導、進路指導主任を対象とした研修の実施を予定しております。教育改革における主任としての力量を発揮できるようにするための研修内容を考えているところでございます。

○桜井委員 次に、現職教員の研修についてでありますが、現職教員は、日々成長する子どもたちを教え、はぐくむものでありますから、教員みずからも研修に励み、指導力を高めていかなければならないと考えられます。
 これまで、東京都教育委員会では、若い教員や中堅の教員など、教員の経験年数に応じた現職研修を実施し、成果を上げていると聞いております。今後さらに拡大して、ベテランの教員に対する研修を考えていると伺いますが、いかがでございますか。

○小海人事部長 現職教員の研修についてのご質問でございますが、現在、教員の在職年数に応じて、初任者研修を初めとして、現職研修Ⅰ部、Ⅲ部を実施しており、児童生徒理解の深化、あるいは校務運営を担う資質の向上という面で、組織の一員としての自覚を高めるなどの一定の成果を上げているところでございます。
 平成十三年度からは、在職二十年以上三十年未満の教員が、これまで培ってきた専門的な知識や技能などを見詰め直し、一層意欲的に教員活動に取り組めるよう支援するため、現職研修Ⅲ部を実施する予定でございます。
 この現職研修Ⅲ部の実現によりまして、教員のライフステージに応じた研修体系は一応の完成を見ることになり、今後、教職経験年数に応じた研修を一層充実させ、都民から信頼される学校教育を創造してまいります。

○桜井委員 次に、教育相談センターについて幾つか質問します。
 都立教育研究所で行われている相談と、都立多摩教育研究所で行われている相談の機能を一元化するということでございますけれども、新しく教育相談センターを設置することによってどのような効果が期待できるのか、まず伺います。

○斎藤指導部長 教育相談センターの設置に伴いまして期待される効果としましては、都民の多様な相談のニーズに即しまして、それぞれ得意の分野を持つ専門職員の対応が今まで以上に可能となります。
 さらに、相談者に応じまして、デイケア的な来所相談など、時間的にも内容的にもよりきめ細かく充実した相談が可能になるなど、相談機能の改善充実を図れるようになると思います。
 また、夜間電話相談の土曜日、日曜日、祝日への拡充を予定しておりまして、一層都民の利便性を図ることが可能になります。

○桜井委員 次に、相談機能を一元化した後、多摩地区の相談はどのような方法で行うのか、これを伺います。

○斎藤指導部長 相談機能の一元化によりまして、相談の申し込みは、教育相談センターで窓口を一本化して受け付けることになります。電話による相談の場合は、そのまますぐに、相談内容に応じて専門職員が対応し、来所による相談の場合は、相談者の希望に応じて、現在の都立教育研究所か、または多摩教育研究所のいずれかで、相談しやすい場所、日時を選んでいただきまして、相談することになります。
 なお、希望する場所が現在の多摩教育研究所の場合には、ローテーションを組んで派遣されている専門職員のほかに、相談者が希望する場合には特別に専門職員が対応するなどの工夫を行ってまいります。

○桜井委員 ちょっと重ねての質問になるかもしれませんが、両センターの構想について伺いますが、今回新しく教職員研修センター、また教育相談センターというものを設置することによって、多摩地区の教員研修のレベルが低下したり、相談の機能が低下したりするという懸念もあるようでございます。私はそういう危惧は全く持っておりませんが、今回の教職員研修センターや教育相談センターの構想はどのようなことをねらっているのか、改めて伺います。

○斎藤指導部長 現在、都立教育研究所と都立多摩教育研究所がそれぞれ企画実施しております研修を教職員研修センターに一元化しまして、教員のライフステージに応じた能力開発を行う観点から、研修の充実を図っていくことをねらいとしております。
 相談センターにつきましては、両相談室を一元化し、区市町村との一層の連携を進め、迅速かつ的確な相談体制を構築することによりまして、さまざまな相談に適切に対応し、行政サービスの向上を図ることをねらいとしております。

○桜井委員 それでは、最後に教育長に伺います。
 今、私は、新しく設置される教職員研修センター、そしてまた教育相談センターについて幾つか質問し、その結果、東京都教育委員会が、その二つのセンターでどのような目的を持ち、どのような事業を行うのかの概要を、ほぼ説明を受けました。
 そこで、改めて、東京都教職員研修センターと東京都教育相談センターの設置に当たって、東京都教育委員会としての決意といったものを伺いたいと思います。

○横山教育長 我が国は、戦後、驚異的な高度経済成長をなし遂げまして、自由と平和と繁栄を享受してきたとよくいわれますが、その一方で、物質的な豊かさを追求する過程で、核家族化、あるいは少子高齢化、あるいは地域コミュニティの希薄化、こんなさまざまな課題も日本人の心に生じてまいりました。
 こうしたことは、我が国の教育の分野においても例外ではございませんで、家庭や地域の教育力の低下、さらには教員の指導力のあり方、そしてそれに伴います、不登校であるとか、あるいは集団不適応などに見られるような、児童生徒のさまざまな問題が生じてまいりました。
 こうした事象は、二十一世紀の我が国の人材を育成するという教育の責務からしまして、到底看過し得るものではないと強く認識をいたしております。
 都教育委員会が、今回、教職員研修センター及び教育相談センターの設置条例を提案し、ご審議をお願いしましたのは、こうした学校教育や子どもたちを取り巻くさまざまな課題の解決を目指しまして、学校を中心とする教育力の回復と、子どもたちの健全な成長を願ってのことでございます。
 新しく設置されます教職員研修センター及び教育相談センターは、必ずやこれからの教育力向上の原動力になるものと確信をいたしております。
 それと同時に、ただいま、るる議論がございましたような点につきましても、両センターの企画運営には万全の体制をしきまして、全力を挙げてこれに取り組んでまいる決意でございます。

○田中(智)委員 私は、東京都教育相談センター設置条例について伺いたいと思います。
 不登校やいじめ、引きこもり、学級崩壊の増加、また、十七歳の犯罪というような深刻な事態が、今、多く見られるわけですけれども、そういう深刻な事件に直面するたびに、児童相談所や教育相談などの専門機関の整備充実、これが緊急の課題といわれているわけです。
 子どもたちがなぜ不登校や引きこもりになっていくのか、なぜ犯罪という行動につながっていくのか。私たち大人は、子どもたちの心に広がるやみ、これを、やみのまま終わらせるべきではない。もっと子どもたちに思いを寄せ、そして子どもの意見に真剣に耳を傾けて、その自立を助けていくべきである、こういうふうに考えます。また、問題解決のために、やはり私たち大人が全力で、関係機関とも連携しながら力を尽くす。やはり都の教育庁がその先頭に立つべきだというように思っております。
 それで、伺いたいんですけれども、現在、目黒の総合教育相談室も多摩の教育相談室も、これらの心の問題について対応すべく、電話相談だけではなくて、心理療法を中心とした来所相談を受けていると思いますけれども、来所相談を受ける方はどういう方でしょうか。

○斎藤指導部長 来所される方は、不登校あるいは集団不適応、情緒不安定など、切実な悩みを持ってお見えになるということが多うございます。

○田中(智)委員 私は、佐賀のバスジャック事件の少年の両親の手記を読みました。ここにコピーがあるんですけれども、これを読ませていただいて、本当に私、子どもを持つ親として、大変胸が締めつけられるような思いがいたしました。なぜこんな悲惨な事件が起きてしまったのか、なぜやめることができなかったのか、とめることができなかったのか、これがやっぱり多くの人たちに突きつけられた問題ではないかというふうに思うんです。
 ちょっと中身を紹介しますと、事件が起きる二カ月前に、人を殺せ、人を殺せと書かれた紙切れを両親が見つけます。また、大きな包丁だとかサバイバルナイフ、これも見つけるんですね。そして、両親が、これは大変だ、このままじゃ息子が殺人犯になってしまうということで、必死になって病院とか警察とか、あらゆるところに連絡をするわけなんです。そして、いろいろあったわけなんですけれども、やっと精神科の病院に入院することができました。そのとき、やっと息子を救えた、助けることができると思ったと、お母さんが手記の中で書かれております。しかし、実際は、ご存じのように、そうではなかったわけなんですね。この息子さんの心のやみが、やみのままに放置されていった、ますます憎悪されていった、こういう状況だと思うんです。今、両親は、なぜ息子がこのような犯罪を起こしてしまったのか、事件から半年、私たちの頭を占め続けたのはこの一事だったということを書かれているんです。
 この子は、中学のとき、いじめを受けています。この時代に、きちんとこの問題での解決がなされていれば、こんな事件を起こさないで、普通の高校生として生活できたのかもしれない、こういう思いを本当に強く持つわけなんです。そういう意味からいっても、専門機関をきちんと配置をして、きちんとフォローできる専門の人、そして対応できる人を配置すること、各機関が連携すること、これが、再びこのような事件を起こさない、どうしても必要なことだというふうに考えるものです。
 それで、先ほど、来所相談に来られる方は何らかの、不登校だとか、不適応だとか、心の悩みを抱えた人だというふうにおっしゃいましたけれども、やはり何らかの心のケアが必要な方だと思うんですね。
 ちなみに、都全体で、心理相談の来所相談に見える方の中で、不登校の割合というのはどのぐらいあるんでしょうか。

○斎藤指導部長 相談内容別では、不登校の相談割合が高くて、ここ数年はほぼ同様な傾向がございます。
 平成十一年度は、都立教育研究所では百三十件で、六三%強となっております。多摩教育研究所では百八件で、四五%弱でございます。

○田中(智)委員 今お話がありましたけれども、ほぼ半数近く、それは多摩研でも都研でも同じような状況だということなんですね。不登校がほとんど、半分程度占めるということは、不登校だけに限りませんけれども、やはり相談すること自体大変な方々、やはり微妙な心の問題を抱える方々だと思うんですね。
 しかも、不登校になったきっかけというのは一人一人違うわけなんですね。ですから、その人に合ったきめ細かな対応が当然求められるわけですし、今大きな問題になっていますけれども、不登校から引きこもりにつながる人が多くなっているといわれているわけです。こういう中で、親にとっても子どもにとっても一番つらい時期、こういう時期をどう支えてケアしていくのかというのが、今大変求められているんじゃないかなというふうに思うんです。気持ちに寄り添いながら、丁寧につき合っていくこと、これがやはり、カウンセリングといいますか、相談を受ける方の一番大事な基本なんじゃないかなと思うんですけれども、それは当然時間がかかることだというふうに思います。
 また、そういう役割を担ってきたのが心理教育相談の来所相談だというふうに思うんです。不登校がこのようにふえていく中で、心のケアをし、きめ細かく対応できる来所相談が大変重要になってくるというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

○斎藤指導部長 不登校や集団不適応を改善、解消するためには、心のケアをより重視した対応が必要になってくると思います。
 新しい相談センターでは、思春期相談部門におきまして、一人一人の子どもに応じた電話相談、個人相談、訪問相談、共同体験などを行うデイケア・プログラムなどを推進してまいります。

○田中(智)委員 充実が必要なんですよね。そうおっしゃったと思います。
 子どもたちの悩みを、直接、相談員の方々が受け取るわけですけれども、悩みをなかなかいえない人も多いわけなんですよね。いろんな心の問題を抱えているわけですから、素直にいえる人は少ないんじゃないかなと思うんですよ。そういうことでいえば、子どもたちの本当に隠れた悩みというのを引き出したり、その解決策を考えるというためには、まず、相談員が子どもと何度もひざをつき合わせて会って、その子が考えている本心を聞き出して、個人的な信頼関係をつくっていく必要があると思うんですね。心のつながり、信頼関係、大変大事だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○斎藤指導部長 カウンセラーの基本的な態度として重要なことは、よく聞き、よく受けとめ、よく共感的に対応することでございます。
 また、基本的な姿勢としましては、主体的な気づきを促すこと、すなわち、本人の主体的な解決を支援することでございます。
 このような中から、相談者みずからが解決策を導き出すように促していくことが一番大事なことでございまして、そのようなカウンセラーの態度、姿勢が、相談者との間の信頼関係を築いていくものと思われます。

○田中(智)委員 その心のつながりが、今度の一元化、多摩の教育相談室を廃止する、多摩に派遣するということで、心のつながりが切れるんじゃないか、そういうふうに心配している専門のカウンセラーさんがいらっしゃるわけなんですよ。そういうことだと思うんですね。
 そのことはおいておきまして、まず、多摩の現状についてちょっと確認をしておきたいんですけれども、資料の七ページに相談部門別相談件数が載っております。心理教育相談、来所相談というところを見ていただきたいんですけれども、都研が二百六件、そして延べ相談件数が二千百二十八件、多摩研が十一年度、二百四十一件、二千三百三十六件と、ほぼ同じ数なんですね。児童生徒数を比べますと、二十三区内はほぼ八十万人ということです。多摩は四十二万人なんですね。ということは、二分の一なんですね。二分の一の人口比でありながら、心理相談の来所相談はほぼ同じ数になっているということが、極めて大きな特徴なんですよ。
 では、何でこんな数になるのかということを見てみると、まさに多摩格差ともいうべきような実態が浮かび上がってくるというふうに私は思うんです。
 例えば、一つには、七ページの下にありますけれども、来所経路というのがあるんですね。その資料を見ていただきたいんですけれども、例えば学校関係からの紹介なんですが、一〇%程度、多摩の方が多いんです。都研だと四九%です。しかし、多摩研究所五九%。ほぼ一〇%多いんですね。それだけじゃないんですね。病院も、都研は二・四%なのに比べて、多摩研は一三・三%だということで、こちらも十数%多い。他の専門機関を見ても、都研は四・四%なのに比べて、多摩研は一一・六%ということで、ほかから回ってくるというか、いわゆる学校、病院、他の専門機関、これを合わせますと、多摩は八割、区部は、都研は五六%、大変大きな差があるんです。これが大きな特徴だと思うんですね。
 私は、この原因は、何といっても多摩の場合は、多摩研に来ざるを得ないといいますか、ほかの信頼すべき公的な機関が少ないということが原因になっていると思うんです。
 資料の四ページ、公立の教育相談機関数ということで載っています。これは、区部と多摩の数はほぼ横ばいという形になっていますけれども、しかし、区市町村設置の教育相談を除いた、いわゆる安定した専門的な相談機関である児童相談所、精神保健福祉センター、少年センター、児童精神科医院などの公立の相談機関は、区部と多摩を比べますとどうなっていますか。

○斎藤指導部長 まず、児童相談所でございますけれども、区部が七カ所、多摩が四カ所でございます。少年センターは、区部が、警視庁少年第一課少年相談室を含めまして、七カ所、多摩は一カ所でございます。精神保健福祉センターでは、区部が二カ所、多摩が一カ所でございます。それから、精神科、神経科等のある病院、診療所等の医療機関につきましては、公立、私立を含めまして、区部が四百五十七カ所、多摩が百七十三カ所でございます。

○田中(智)委員 大変少ないんです。そして、病院の数もおっしゃっていただきましたけれども、病院も少ないんですよね。そういう際立った特徴があるんです。
 しかも、各区市の教育相談体制、大変ばらつきがあります。やはり資料をいただいておりますが、資料の五ページ、六ページに書かれておりますけれども、際立った特徴の一つとして、区市によって大変ばらつきがあるんですね。例えば世田谷区を見ていただきたいんですけれども、世田谷区などは、区内四カ所に三十人の非常勤の職員を配置しているという状況です。江戸川区では、五カ所で三十八人の非常勤の配置をしているという状況なんですね。その反面、北区では二カ所で八人の体制ということで、人口も子どもたちの数もありますので、単純な比較はできないとしても、やはりこのように、進んだ区、おくれた区というのがかなりあるわけなんです。市でもやはり同じような状況だと思うんですね。
 この全体の数を比べますと、非常勤の数そのものからいえば、区部でも多摩でも余り遜色ない数になっているんですね。非常勤の数は、区部が三百六十二人、多摩が二百十四人ということですので、まあ遜色ないといっていいかと思うんですけれども、実際、中身を見てみたら、遜色ない状態なのかということがやはり問題だと思うんです。
 見てみますと、やっぱり大きな差があるんです。例えば、六ページの下のところ、その差の大きなものは、(注)の4に書いてある顧問なんです。顧問の欄をちょっと見ていただきたいんですけれども、顧問というのは医師や心理学者などですが、顧問がいない相談室は、区部では三区だけです。一七%。多摩では十二市町、四一%です。顧問、いわゆる専門の心理学者、そしてお医者さん、多摩にはお医者さんの数も少なかったですから、当然といえば当然の数なんですけれども、そういうぐあいに少ないわけなんですね。
 そして、もう少し詳しく、この勤務体制の中身を見てみますと、区市の教育相談所のうち、例えば、何度もあれして恐縮なんですが、世田谷区、そして委員長のお住まいの日野市の、専門職である心理出身者を比べた場合にはどういう状況か、わかりますか。そして、勤務体制がどうなっているか、お答えください。

○斎藤指導部長 日野市の場合、相談担当者のうち心理出身は三名でございます。勤務形態は非常勤で、延べ九日間勤務しております。週単位でございます。
 それから世田谷区の場合には、四カ所ある相談所の合計で、相談担当者のうち心理出身者は二十五名でございます。勤務形態は非常勤で、延べ百日間勤務しております。
 しかし、日野市の場合、教職経験者二名を相談担当者として加えておりまして、世田谷区では設置されておりません。また、医師一名と心理学者二名を顧問として配置しておりまして、定期的にケース会議を開きまして、相談員の事例指導を行っているほか、困難と判断されるケースにつきましては、随時、個別に指導する体制をとっているというふうに伺っております。

○田中(智)委員 いろいろとつけ加えられましたけれども、実際、数を比べた場合は、心理出身者、世田谷は二十五人ですよ。日野の場合は三人ですよ。そして、勤務も、日野の場合は週九人ですよね。世田谷の場合は百人ですよ。本当に大きいんですよ。やっぱりそれだけの差があるんですよね。
 私、週当たりの心理職の担当者の延べ人数がどのくらいかということを調べてみましたら、世田谷区、足立区は百人以上、一番少ない区では、江東区と北区で九人から五人の間に入っているんですね。四人以下というのは、区部ではないんです。しかし、一方で、多摩は、一番多い市では町田と多摩市、それぞれ五十九人から五十人の間なんです。それが一番多い市なんですね。その上、一番少ない市は四人以下なんです。四人以下の市はどのぐらいあるかといいますと、小金井、保谷、昭島、武蔵村山、あきる野、瑞穂と六市町あるわけなんです。
 このように多摩は、専門職の顧問も少ない、その上、心理職も少ない、こういう実態が、中身を見てみますと、わかってくるんですよ。
 そうすると、多摩地域の公立教育相談機関の充実度がやっぱり低いということがいえると思うんですね。先ほどいいましたような小規模なところが多いという中では、相談機能の低さを示しているんだと思うんです。そういう状況が、この来所相談の申し込みの経路にまさにあらわれている。学校からも、病院からも、市に振ることができない。そういう方が多摩研に申し込まれているから、相談経路がこういうふうに区部と比べて多くなっている、こういうことじゃないですか。いかがでしょうか。

○斎藤指導部長 お話しのように、多摩地区全域については、かなりばらつきがございまして、その結果として、多摩教育研究所の方に相談に見える方が多いという傾向はございます。
 また、都立教育研究所の方の来所相談等の少なさは、電話相談がまず主でございますので、そういう違いは背景にございます。

○田中(智)委員 ばらつきがあるというふうにおっしゃいました。こうやって具体的に見ますと、やはり格差というのを認めざるを得ないと思うんですよ。その上で、ぜひ今回のことも考えていただきたいんですよ。まずそういう格差があるということを前提としていただきたい。
 市町村の教育相談室へは行かずに多摩研へ来所した理由を聞いてみましたところ、多摩地域の学校からの紹介というのが、百六十一件中七十九件で、一番多いわけです。次が、市町村に専門家が不足しているというのが六十二件、医師、病院からの紹介というのが二十七件、プライバシーが守れないというのが十七件という内訳になっております。このように、現状でもさまざまな点で格差があります。
 また、さらに問題があるんですね。この問題は何かというと、高校生を受け入れてない市が多摩では多いということなんです。高校生の相談件数、こういう意図で資料をいただいたわけじゃなかったんですが、件数ということになっておりますので、全体の数がわからないので、どのぐらいの多さになっているか、この資料をいただいただけではちょっとわからないんですけれども、私の調べたところによりますと、多摩で高校生の新規の来所相談を受け付けていない市が十三市、半分ですよ、あるということです。高校生の相談も多摩研に依存する割合が高い、このことも明らかなんです。
 現在、ここに相談件数があるじゃないかといわれるかもしれませんが、これは実は、小学生、中学生から高校生になるまで、まだ継続してかかっている、相談している、そういう件数がほとんどだということを伺いました。
 多摩研の教育相談にかかわっている精神科のお医者さんに伺うと、心配なのは高校生だということをいっていらっしゃいました。小中学生は学校で支えてくれるけれども、高校では違うんだと。問題を起こしたら、すぐ退学してくれといわれる、支えになるところがどこにもなくなってしまうんだ、十七歳の犯罪ということも、いわゆる最終的に支えてくれる機関がない、これが一つの問題になっているんじゃないか、こういうことも精神科のお医者さんはいっておられました。
 私は、市の相談の担当者など、さまざまな方から意見を伺ったわけですけれども、高校生の相談への影響を心配する声を多く伺いました。今でもこんなに差があるのに、都研に統合され、常駐体制なしの派遣ということになれば、ますますこうした格差が広がらざるを得なくなってしまうのではないかと、大変危惧しております。
 そこで、まさに子どもたちをめぐる状況が複雑化し、深刻化し、こういう状況の中で、なぜ統合、一元化を今行うんでしょうか。

○斎藤指導部長 一元化によりまして、独立した総合的な相談機関として、複雑、深刻化する相談への迅速、的確な対応が可能となります。多様な、それぞれ得意分野をお持ちになっている専門職員の配置による、相談事例の多角的な分析、検討によりまして、相談手法の改善、開発を行うこともまた可能となります。教育相談に関する研究を、一元的な組織で多角的かつ重点的に進め、その成果を教育相談や学校教育の改善に反映することも可能となります。多様化、複雑化する子どもたちの教育問題に対しまして、全都的な相談体制の整備充実を図ることができるかと思います。このようなことから、一元化することにより、より充実できる、こういうふうに考えております。

○田中(智)委員 一元化で、複雑、深刻化する相談へ、迅速、的確に対応することが可能なんだというふうにいわれました。
 しかし、迅速、的確とおっしゃいますけれども、それをするためには、やはり十分な相談体制なり人員が配置されなければいけないと思うんですね。多角的な分析だとか検討、それは当然必要かもしれませんけれども、実際、今やっているところで、六人の多摩の研究所の中で、分析をやってこなかったんですか。そうじゃないと思うんですよ。迅速な対応をやってこなかったんですか。そんなことはないと思うんですよね。迅速な対応をするためには、クリアすべき点というか--では、一元化しないと、迅速、的確な対応はできないんですか。どうなんですか。

○斎藤指導部長 一元化することによりまして、相談者の相談内容にふさわしい、専門的な担当者が即座に対応することが可能となります。相談事例によりましては、子どもとその保護者や教員等を含めた集団のカウンセリング、あるいは心理療法などを、相談担当者がチームを組んで組織的に対応することがより可能となります。他の専門機関と連携することによりまして、相談内容に応じた問題解決を図るための支援を行うことが可能となります。都内全域から相談を一元的に引き受け、相談者の希望日時や場所等を尊重しながら、来所相談を行うことが可能となるということでございます。

○田中(智)委員 私、多摩地域の人にとっては、迅速、的確どころじゃないと思うんですよ。今まで、いつでも常駐の人がいて、そこに行けば相談してくれる安心感があったわけですよ。それが派遣になるわけでしょう。そうすれば、行ったところで、受けてもらえるかどうかわからないわけじゃないですか。迅速になるんでしょうか。
 多様な職員の配置で検討するということですけれども、人員の増はあるんですか。どうなんでしょうか。

○斎藤指導部長 現状の体制でございますけれども、都立教育研究所が、教育研究、臨床心理士の、専門とする方ですが、八名、指導主事六名、嘱託員の相談員が三十三名、計四十七名の構成でございます。また、多摩教育研究所の方は、臨床心理士等の専門家が六名、兼務指導主事が一名、合計七名の構成でございます。
 一元化後は、現在の教育相談体制を確保し、都民のニーズや期待にこたえられるよう、所要の人員を要求しているところでございま
す。

○田中(智)委員 基本的には現状ということじゃないですか。ということは、体制の増というのはないわけですよね。それも、要求していると。では、その要求が通るかどうか、まだわからないという状況ですよね。もちろん、要求されているから、そのとおりにぜひ行っていただきたいんですけれども、でも、基本的には現状だということなんです。
 それで、先ほど、デイケアの来所相談もなさる、そして夜間の電話相談もなさる、そういったいろいろな新しい事業もするわけですよね。そして、今、常駐でいる多摩の人たちに、わざわざ多摩研に来てもらうわけですから、そうすると、都研から派遣するために、時間も費用もかかるという状況ですよね。そうなると、行って帰ってくる間に、都研にはその人たちがいない、時間もかかる、費用もかかる、財政的にもやはり大変だと思うんですよ。そういう状況だと思うんですよね。それで、なぜ充実になるのかというのが、私は非常に疑問なんですよね。少なくとも、来所相談の充実が図れるとは到底いえないと思います。
 派遣ということですけれども、どういうふうに派遣をするのか、具体的に教えてください。

○斎藤指導部長 電話相談は、まず教育相談センターである目黒で受けます。来所相談が必要な場合は、相談者の来所場所の希望によりまして、目黒または、現在の多摩教育研究所の施設を活用して、立川で相談を受けることになります。立川での相談希望者がある場合、相談者と来所予約を行いまして、相談担当者を決定の上、担当者を継続的に立川に派遣することになります。

○田中(智)委員 希望者があればということなんですけれども、今、年間で二千三百回ほどの延べ件数があります。これはどうなんでしょう、そのまま維持できるんでしょうか。

○斎藤指導部長 先ほど来申し上げていますように、全都的に一元化して受け付けしますので、その方の希望によって振り分けるわけでございます。その中で、多摩地域ではございますが、その一部は、目黒に近い方は、目黒のセンターの方にお見えになるという可能性もございますので、当然ながら現状は維持、それ以上のこともできる、そういうふうに受けとめております。

○田中(智)委員 今のお答えは重要だと思うんですよね。では、一定程度は目黒の都研に通ってもらう人もいるということですね。どうでしょうか。

○斎藤指導部長 住所によっては、立川に行くよりは目黒に近い多摩地域の方、交通機関等でそちらの方が便利だという方もいらっしゃいますので、これはこちらで決めるわけじゃなくて、その方が希望して、どちらかを選んでいただくということでございます。

○田中(智)委員 当然そういう方もいらっしゃるかもしれません。しかし、多摩に行きたいけれども、ぜひ目黒に来てくださいと、そういう方も当然出てくると私は思うんですよ。具体的にしたいから、ちょっとあれなんですけれども、多摩の人にとってみたら、少しも充実になっていないというふうに思います。
 それで、アンケートがあるんですけれども、今、多摩研で相談を受けている方で、目黒に通えない理由、これが、遠過ぎるという人が、複数回答ですけれども、二百四十一件のうち百五十二件、この中では、片道二時間半かかるという人もいらっしゃいます。本人が遠距離通所は無理。登校中だったり、緊張のため遠出できない、こういう方もいらっしゃるわけなんですけれども、本人が遠距離は無理だという人が百二十二件。(「何がいいたいんだ」と呼ぶ者あり)母親の仕事が多摩という人が七十五件。ですから、結局、このアンケートで、目黒に通所できそうという人は、二百四十一件のうち、わずか二十九件だったんですよ。一割ですよ。それをいいたかったんです。
 結局、机上で計算して、近い人はこっちに通えるんじゃないかと。それはやっぱり机上の論理ですよ。私、考えなきゃいけないのは、すごい心に傷を持った方、心のケアが必要な方なんですよ。やっぱりその人に敷居を高くしない。身近に通える、安定したところに通える、それがすごい大事だと思うんですよね。
 私、多摩に住んでいる議員ですけれども、違うとおっしゃる方は違うかもしれないですけれども、やっぱり普通の、特に中学生、高校生で多摩に住んでいる方が、目黒に行ってくださいといわれても、すごい抵抗があると思いますよ。交通も違いますし、目黒って一体どこにあるの、何線に乗ればいいの。JRでわかるかもしれないけど、高校生ぐらいになったらわかるかもしれないけど、だけどやっぱり抵抗があるんですよ。
 私は、だから、常時その場所にいて、同じ人が必要であれば、いつでも対応してくれる今の体制をどうして崩す必要があるのか、そこなんですよ。緊急時の対応が本当に迅速にできるのかも……(「田中委員、何がいいたいの」と呼ぶ者あり)だから、今いっています。疑問なんです。ある程度の距離の人は都研にぜひ来てくれということじゃないですか。そうやって枠をはめることじゃないですか。どうですか。

○斎藤指導部長 先ほど来申し上げていますように、相談者の希望に応じまして、どちらかに行っていただくということでございまして、本人の希望を尊重するということでございます。振り分けるというのは、面接者の希望ということが第一優先でございます。

○田中(智)委員 希望を優先するということですけれども、希望があれば、月曜日から金曜日まで、今と同じような、いわゆる形の上では常勤のような体制という状況になるんですか。どうですか。

○斎藤指導部長 希望があれば、月曜日から金曜日まで派遣という形で対応してまいります。

○田中(智)委員 では、常駐とどこが違うんですか。別に、そうなんだったら、派遣じゃなくて常駐でいいじゃないですか。どうですか。

○斎藤指導部長 先ほど来申し上げています一元化による相談機能の充実ということでございまして、全都的に受け付けを一本化しまして、そして相談内容、研究体制を整えていくということが前提としてございます。

○田中(智)委員 私、全く教育庁の都合だけだと思うんですね。多摩の方たちの、特に心の痛手を負った方たちの親や子どもの気持ちを全然わかっていないというふうに思わざるを得ないんですね。
 しかも、ちょっと見ておかなきゃいけないのは、現状でも、都研は来所相談の件数が減っているんですよ。資料をいただいていますけれども、ちょっと時間がありませんので、私の方からいいます。年度別に見ますと、心理相談、まず平成七年度が、来所は、都研は三千四百四十九件あったんですが、平成八年度は二千九百三十九件、平成九年度は二千五百九十五件、平成十年度は二千五百八十九件、十一年度は二千百二十八件と、ずっと下がりっぱなしなんです。では、何がふえているかというと、電話相談なんです。電話相談は飛躍的に伸びているんですね。確かに土曜、休日だとかの充実をした、だから、ふえたんだというのかもしれません。ですけれども、ローテーションを組んで、それに対応する勤務体制をとらざるを得なかったんじゃないですか。私は危惧するんですけれども、推測ですから、それが正確かどうかわかりませんが、来所相談が減って、電話相談がふえているということは、電話相談に対応するために、体制は、人は同じですから、電話相談を受けるために、来所件数を減らさざるを得なかった、こういうことじゃないんですか。私はそれをすごく危惧するわけなんですよ。推測ですから、それが本当かどうかはわかりませんけれども、やっぱりそういう危惧を抱かざるを得ない、この数字を見ていると。そういうところがすごく問題だというふうに私は思うんです。そういうふうにならない保証はあるのかと、こういうことなんですよね。
 実際にかかわっている相談の方々も、電話での対応はおのずから限界があるんだと。しかも、電話をかけてこられる方は、割と電話だけで済む方というのは、おのずから限界があるというのが現状だと思うんですね。不登校がふえているという中においては、丁寧につき合っていく、継続してつき合っていく、むしろ時間のかかるのが当然だと思うんですよ。質が問われるのが来所相談だと思うんですね。やっぱり質を高めることが今求められている。これだけ不登校がふえて、引きこもりがふえて、いろんな事件がふえて、質が問われているんじゃないですか。数じゃないんですよ。質だと思うんですよ。そこがやっぱり今、充実が必要だということだと思います。
 十一月二十八日に、多摩の教育を考えるシンポジウムがありました。都の相談にかかわっている方が、反対の声を上げております。この方たち、都のスーパーバイザーとして都研にも多摩研にもかかわってきた専門家たちが、反対だ、これは派遣だと、今までの体制が維持できないんだと、そういう心配の声を上げているんですよ。どうして、この人たちの意見を聞かないんですか。
 専門家の意見を聞いたんですか。どうでしょうか。

○斎藤指導部長 多摩教育研究所の専門家、研究主事の意見につきましては、所属長を通しまして把握しており、多摩教育研究所との連携も行っているところでございます。

○田中(智)委員 実際、非常に厳しい意見が上がっているわけなんです。反対だという意見が上がっているんですよ。やはりこうした人たちの意見に耳を傾けるべきですよ。
 検討委員会の資料をいただきましたけれども、この中で検討された方々、もう内部の方たちばっかりです。実際に、内部の方々で検討した、そういう報告でしょう。専門家の意見を聞かれたといっていますけれども、実質は意見は入っていないといわざるを得ません。
 都研、多摩研のスーパーバイザーの方、そして日本精神衛生学会理事長さん、市の教育相談センターの室長さんなど、今まで都や市の相談にかかわっていた人が緊急アピールを出しております。その内容は、一つは、恒常的に勤務する相談員がいなくなることは、実質的な切り捨てということ。二つ目は、常時同じ相談員が原則であって、なお緊急事態に即応できる体制が必要だということ。三つ目は、地域で、他の相談機関、医療機関との信頼関係を維持して連携すること。このカウンセリングの原則的なあり方を考慮せず、ひたすら効率的な側面のみを強調する構想で、大きな危惧を感じているという緊急アピールの内容なんです。したがって、現状のまま分室を設置するよう要請をしているわけなんです。
 私もこのシンポジウムに参加をさせていただきましたけれども、皆さん口々に、いつ行っても決まった人に会える、安定した相談機関があることが大切なんだ、何回かの派遣では対応できないんだ、きちんと対応できる人が常時いて、連携しながら、継続して相談に応じることが大切なんだと、口々にいっておられました。専門家で実際に相談にかかわっている方ですよ。皆さんのように机上で考えられたことじゃないんですよ。こうした声にこたえて、少なくとも、分室という形でもいいから常駐の体制を残すべきと考えるんですが、いかがですか。

○斎藤指導部長 先ほど来申し上げていますように、多摩地域の保護者、児童生徒の方が相談に来やすいように、また、そういう場所がなくなるといったような不安がないように、派遣体制については今後工夫してまいります。分室というよりも、一元化の中で職員の勤務体制を整えていくということで工夫してまいりたいと思います。

○田中(智)委員 全然違うんです。この方たちがいっているのは、派遣ということがだめなんだということをいっているんですよ。常駐だと。それにこたえてくださらないんですよ、実際。だって、この人たちはそういっているんです。専門家だけじゃないんですよ。二十七市の教育長会が要望書を提出しています。その中身は、自主的な相談活動が行えるスタッフの配置(常駐)を検討されたい、こういう要望書なんです。専門家だけじゃないんです。もちろん専門家が一番わかっていると思いますけど、専門家だけじゃない。教育委員会もそうやっていっているんです。常駐が必要だ、検討してくれといっているんです。
 また、昭島の市議会の文教委員会でも、全会派一致で、この委員会にも出ております請願、多摩地区の幼児・児童・生徒の教育相談に関する都民サービスを低下させないことという請願が採択をされて、十五日の最終日に、東京都への意見書が採択をされる予定だと聞いています。八王子も、十五日に同じ意見書を出すという予定になっていると聞いています。みんなこぞって市議会も反対しているんですよ。
 この中で出された意見も、むしろ教育相談は身近であることが大切なんだ、それが立川からなくなるのは問題だという意見もあったそうです。このように、もう一つのところだけじゃないんですよ。二十七の市の教育長も、教育にかかわる方も、そして市議会も、そして専門家もみんな、派遣では後退につながるんだ、そういうふうに見直しを求めているんですよ。みんな常駐体制が必要だといっているんですよ。東京都は、こういう声にやっぱりこたえるべきですよ。こたえるべきだと考えますが、いかがですか。

○横山教育長 今るる議論を聞いていますが、今回の一元化に伴う効果については、先ほど指導部長がるる説明したとおりでございます。
 ただ、教育相談体制につきましては、先ほどご指摘があったように、区市町村、相当のばらつきがございます。これは一元的に区市町村がやるべき事業です。それにあわせて、東京都はこういう立場から教育相談をやっていく。
 それから、二十七市の教育関係者が要望を出したといいますが、まずみずから充実することを考えるべきであって、それとともに東京都は一緒にやっていく、こういうことだろうと思っています。

○田中(智)委員 先ほどの私がいったことを、やっぱり聞いてくださっていなかったなと思うんですね。
 区市町村は基本的には小中ですよ。小中生には基本的に対応しようと考えていますよ。いわれなくてもやろうという考えはありますよ。しかし、財政事情もある。なかなか大変な中でやっているんですよ。それは現状をどうするかということなんですよ。だから、これからやるのは当然だと思いますよ。思いますけれども、高校生を切り捨てない状況。多摩研には、小学校からも中学校からも、目黒よりも多く来ている、そういう現状があるわけなんですよ。これをどうするんだと。それなのに常駐を引き揚げるということはどういうことなんですかと、そういうことを私はいっているわけです。
 ぜひ、こうした都民の声に真摯に耳を傾けるべきだというふうに思いますし、一方的な統合、一元化はやるべきではないということを強く主張しておきたいと。現状の相談体制を残すべきだというふうに思いますし、少なくとも、こうした声にこたえて、分館、分室という形で、ぜひ常駐体制を残すべきということを主張して、質問を終わります。

○石川委員 私は、今回提案されております東京都教職員研修センター設置条例及び東京都教育相談センター設置条例について、幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 今、お二人の委員からお話がありましたように、子どもたちをめぐる環境、また、教育現場での教職員の資質の問題等々、厳しい状況にあるという認識は同じであります。まして、子どもは一方では加害者であり、一方では被害者という複雑な時代、社会環境を反映している。そうした中にありまして、これまでやってまいりました、いわゆる子どもの教育あるいは親の教育相談事業、また教員の研修の向上、これはまさに時代の要請でありまして、これまでの実績を踏まえながら、二十一世紀の新たな視点に立って改善をし、よりよいものにつくり上げていく、これは私は都民の共通した願いだろうと、こんなふうに思います。こうした観点から幾つか質問をさせていただきます。
 まず、相談事業からお伺いしたいと思いますが、都教委の教育相談事業について、これまでの変遷と取り組みの状況について、まずお伺いしたいと思います。

○斎藤指導部長 都立教育研究所は、昭和二十九年五月に設置されまして、昭和三十三年一月に都立教育研究所三鷹分室が設置され、相談事業が始められました。昭和四十一年四月には目黒に新教育研究所が設置されまして、相談部が置かれ、東京都における教育相談体制が整備されました。昭和六十二年四月の都立多摩教育研究所の開設に伴いまして、三鷹分室が統合され、相談事業も引き継がれました。
 その後、平成元年五月に学校不適応検討委員会が設置されまして、平成三年度末に学校不適応総合対策センターの設置について提言がなされました。そして、そのセンター機能の位置づけ等についての検討を経て、平成八年八月に東京都総合教育相談室を設置したところでございます。
 さらに、平成十二年四月には、教育庁研修・研究センター(仮称)等基本計画報告書により報告がなされ、これを受けて本条例の提案となった次第でございます。

○石川委員 平成八年に東京都総合教育相談室が都立教育研究所内に設置されて、都民からの教育に関する相談や苦情等に対応する相談体制が整備された、今日までさまざまな施策を展開しながら、その充実を図ってきた、こういう流れかと思います。
 そこで、今回の条例提案に当たり、これまでどのような検討をなされてきたのか、また、その過程で職員はどのようにかかわってきたのか、説明してください。

○斎藤指導部長 平成十一年四月から、関係課長等で構成します教育庁総合研修センター(仮称)等基本計画検討委員会を設置しまして、相談機能のあり方について検討を行ってきました。平成十二年四月には、教育庁研修・研究センター(仮称)等基本計画報告書が提出されました。同月、関係者で構成する五つの専門部会を設置しまして、相談専門部会において、平成十三年度開設に向けた具体的な検討を行ってきているところでございます。
 さらに、平成十二年九月には、都立教育研究所及び多摩教育研究所の関係職員で構成する部内組織を設置しまして、検討しているところでございます。この部内組織において四つのプロジェクトを立ち上げ、定期的な会議を開催し、関係職員の意見等を聞き、具体的に検討を進めているところでございます。

○石川委員 さらに、この計画について、都民や関係者への周知をどのように実施してきたのか。また、今後の対応について説明してください。

○斎藤指導部長 教育庁研修・研究センター(仮称)等基本計画報告書の内容についての周知徹底でございますが、教育長会、指導室課長会、校長会及び教頭会等で、計画の基本的な考え方や方向について説明してまいりました。
 今後は、教育相談センターの設置及び充実に向け、計画の内容や検討状況等を都民や関係者に説明し、理解と協力を求めていく所存でございます。

○石川委員 ところで、現在の教育相談の課題は何でしょうか。また、都立教育研究所及び多摩教育研究所の教育相談にかかわる問題や解決すべき課題は何か、説明してください。

○斎藤指導部長 教育相談につきましては、子どもたちのいじめ、不登校、暴力行為などの問題が多様化、複雑化しておりまして、子どもたちの心のケア、学校の教育活動や家庭の子育てを支援する相談事業の充実が求められております。また、相談機能が一元化されていないことから、区市町村や関係機関の相談部門への支援や緊密な連携が難しいことが課題となっております。
 都立教育研究所の東京都総合教育相談室が、教育相談の総合窓口として、都民の間に浸透、定着するに従いまして、相談件数が増加しており、今後も、都民からの家庭教育に関する相談あるいは夜間電話相談などのニーズが高まり、業務が一層拡大することが予想されております。
 多摩教育研究所の課題につきましては、多摩地域の都民は、相談内容によって、電話あるいは来所相談の場所が異なるなど、相談体制がわかりにくいものとなっていることなどが挙げられます。

○石川委員 そこで、相談機能を一元化する目的、メリットについて、改めて説明してください。

○斎藤指導部長 改めて申し上げます。
 相談事業を一元化することにより、総合的、一元的な対応を図り、緊急かつ複雑化する教育相談に対し、迅速かつ的確な対応を推進することができるということでございます。
 また、相談事業が改善充実し、各区市町村の教育相談等のセンターとして、情報提供、助言、支援を行うとともに、教育相談に関する研修と研究の連携を進め、職員の専門性をより一層発揮させることができる、こういうことでございます。

○石川委員 一元化しますと、多摩地域に住む都民に対する相談体制はどうなるのか、すべて目黒に設置する教育相談センターで相談を受けなければならなくなるのかなど、基本的な疑問が生じるんですが、その点いかがでしょうか。

○斎藤指導部長 電話での相談につきましては、基本的に目黒の新しいセンターで対応します。
 また、来所相談につきましては、立川にある現在の多摩教育研究所で相談を希望する都民に対しては、立川に職員を派遣して相談を行い、目黒での相談を希望する都民に対しては、目黒に設置する教育相談センターで相談を行うなど、相談者の希望によって相談場所を選択できるように柔軟に対応してまいります。

○石川委員 改めて伺いますけれども、多摩地域の都民を対象に多摩教育研究所で行われてきた、来所、電話相談の方法はどう変わるのか。来年度も継続が必要な相談は、担当者をかえて対応するのか、継続するのか。また、都立教育研究所での相談はどうなり、何が改善されるのか、説明してください。

○斎藤指導部長 心理教育相談につきましては、電話での受け付けや相談は、基本的に目黒で対応してまいりますが、来所相談につきましては、相談者の希望に応じ職員を派遣して、これまでと同様、現在の多摩教育研究所の施設を活用して組織的に対応するとともに、迅速かつ的確な相談を進めてまいります。
 子育てなどの家庭教育相談につきましては、都立教育研究所で対応しておりますけれども、一元化後は、来所相談について、都民の希望に応じ、現在の多摩教育研究所の相談施設で新たに対応できるようにしてまいります。
 いじめ・体罰等相談、高校進級・進路・就学相談につきましては、これまでと同様、現在の都立教育研究所で、電話及び来所相談を行ってまいります。

○石川委員 来所相談の場合、相談員の継続性ということが指摘されております。その点はどのようになりますか。

○斎藤指導部長 当然ながら、継続性を大切にして対応してまいります。

○石川委員 心理教育相談と家庭教育相談とに区分されている相談が、一元化後は、思春期教育相談と幼児教育相談となっていますが、なぜ名称を変更するのでしょうか。新たに導入されるデイケア的来所相談とは何でしょうか。また、導入する理由について説明してください。

○斎藤指導部長 教育相談機能を一元化するに当たりまして、都民にわかりやすい相談体制としていく、そういう観点から、学校とのかかわりや、子どもたちの成長、発達段階に着目しまして、現在の相談区分と名称等を見直していくことでございます。
 次に、デイケア的来所相談につきましては、個別の面接によるカウンセリングや遊戯療法等に加えまして、小集団による継続的なグループ活動を通しまして、対人関係などを良好にするための相談でございます。不登校などの児童生徒が、みずからの生き方、進路を考える機会とするということでございまして、再登校に向けた援助を行うのが目的でございます。

○石川委員 まさに時代に即応した相談事業と私は思います。内容の充実に努めていただきたいと思います。
 ところで、一元化により、多摩研究所で働いている方々が今最も心配している点、研究所で働く職員の数、勤務時間、職務の具体的な内容等に変更はあるのですか。

○斎藤指導部長 現在の教育相談体制を確保して、都民のニーズにこたえられるよう、所要の人員を要求しているところでございます。
 現在、多摩教育研究所では、平日は午前九時から午後五時まで相談を受け付け、それ以降の夜間相談は、現在のところ実施しておりません。
 一方、都立教育研究所では、平日は、午後五時までの相談に加え、午後十時まで、土曜日、日曜日、祝日は、午前九時から午後五時まで電話による相談を行うなど、多様な勤務形態をとっております。
 今回の一元化により、基本的には現在の都立教育研究所の勤務体系となりまして、多摩教育研究所に勤務している職員につきましては、勤務場所、勤務時間、職務内容の変更が必要となります。具体的な内容につきましては、現在、検討しているところでございます。

○石川委員 ぜひ該当する職員の皆様方が大きな不安に陥らないように。まして、今、財政状況が厳しいわけでありますから、財政当局は大変厳しい査定をしてくるものと予測をされます。しかし、先ほど来答弁がありますように、この相談事業は極めて重要な事業でありますので、所要の人員の要求につきましては、要求どおり実現するように、都教委としても最大限の努力をしていただきたいことを要望しておきます。
 さらに、都民や学校関係者等の一部には、多摩教育研究所の施設も廃止されると不安を抱く人がおり、職員にも不安があると聞いております。多摩の相談室に常勤職員を配置すべきとの意見もあったと伺っておりますが、今後、都教委としてどのように対応されるのか、お伺いします。

○斎藤指導部長 今回提案しました東京都教育相談センターの設置計画に関する正確な情報、計画の内容につきまして、都民の皆様の誤解を生じないよう、学校や関係機関に積極的に提供していくとともに、「東京都公報」やインターネットのホームページなどにより、今後、広く都民に周知してまいります。
 また、職員に対しましても、一元化後の相談体制について、勤務時間、事務分掌、職務の具体的な内容等が固まった段階で、よく説明し、不安の解消に努めてまいります。

○石川委員 相談事業の充実は多くの都民の願いであります。事業推進に当たっては、都民の理解と協力を求め、関係者の不安を解消していくことが何よりも大切であります。
 これまで、周知が徹底されないため、予想もできない事態が生じたり、都民からの苦情等が寄せられることも、他の事業の転換で少なくありませんでした。また、何も知らず、直接、現在の多摩教育研究所の施設に来所相談に来る児童や生徒、保護者などへの周知を図るため、当面、特別な対応策を講じていくことが重要であります。
 そこで、当面の対応策として、現在の多摩教育研究所の相談施設に、一定期間、教育相談を担当する職員を常時配置し、経過措置期間を設けるなどの方法が考えられますが、都教育委員会の見解を伺います。

○斎藤指導部長 これまでの多摩教育研究所での相談実態や相談実績を考えた場合、一元化後に、児童や生徒、保護者の方がその事実を知らずに直接来所し、相談を求めてくることはほとんどないとは思いますが、あるいはそういう事態が生じることのないよう、今後、都民に対してPRや、学校及び区市町村の教育委員会、関係機関などへの周知徹底を図ってまいります。
 しかしながら、今回提案した条例案につきまして、その内容が一部誤解され、都民が一部不安を抱いているということも事実でございます。これからも積極的にPRに努めてまいりますが、新しい教育相談が定着するまでの間、その不安の解消に努めていくことが必要であると考えております。
 今後、設置に向けた具体的な検討をする中で、移行時の対応について総合的に検討し、また判断し、お話しのように必要があるという場合には、一定期間、平常の勤務時間に教育相談を行う職員を交代で配置することなどについて検討してまいります。

○石川委員 今回提案されました相談事業の一元化による成果を生かし、各種相談事業を充実発展させ、子どもたちや保護者のSOSに迅速かつ的確に対応していけるよう、相談職員のより高度な専門性を育成、発展させ、相談事業の充実を進めていく必要があります。
 この設置条例の目的にありますように、学校及び家庭における幼児、児童生徒等の教育についての相談を実施し、東京都における学校教育の充実や振興に寄与することは、いじめ、不登校、暴力行為などの問題が深刻化している中で、子どもたちの心のケア、学校の教育活動や、家庭や地域での教育を具体的に支援するものであり、どのように取り組んでいくかが問われております。
 今日の教育行政に対する都民の信頼と期待にこたえるため、都民の意見や要望に耳を傾け、都民の理解と協力を求め、各種事業に取り組むことが求められています。
 少子高齢化、高度情報化、IT化が進展し、社会経済が著しく変動する中で、厳しい環境に置かれた子どもたちの心のケアと心身の健やかな発達に大いに寄与できるよう、教育相談にかかわる総合的な施策を着実に推進することを求めて、教育相談に関する質問を終わり、次に、研修センターについて若干お伺いいたします。
 初めに、これまでの研修に比べ、どれぐらい研修期間がふえ、内容が充実されるのですか。

○小海人事部長 教職員研修センターでは、教員のライフステージに応じた研修体系に基づき、これまでの指定研修に加え、新たに教育管理職候補者研修、都立学校主任研修、現職研修Ⅲ部、指導力ステップアップ研修を実施し、指定研修の充実を図るものでございます。
 また、教科・領域、教育課題などに関する専門研修は、キャリアアップ研修として再構築し、教職経験等に応じて受講できるようにするものでございます。
 また、人事考課の評価結果に応じて受講することもできるようにする考えでございます。
 現在、それぞれの研修について、来年度からの実施に向けて、具体的な研修内容、研修時間、受講者数など、研修実施に伴う諸課題を詰めているところでございまして、早期に決定し、関係機関に周知してまいりたいと考えております。

○石川委員 現在、課題について具体的に検討中ということでありますけれども、研修の増加に伴い、研修施設の確保や指導員は不足していませんか。

○小海人事部長 研修施設の確保でございますが、研修会場としましては、これまでの都立教育研究所、多摩教育研究所、そして総合技術教育センターに加えまして、教育庁竹芝庁舎、これはもとの都職員研修所の建物なんでございますが、これを効果的に活用してまいります。
 また、研修の講師としましては、研修センターの職員及び学識経験者等を活用することによりまして、計画的な研修の実施ができると考えております。

○石川委員 次に、ステップアップ研修について伺います。
 現在、指導力ステップアップ研修を必要とする教員の実態について、どのようにつかんでおられますか。

○小海人事部長 今年度は、平成十二年度新たに指導力不足と認定した教員が八名おります。そして、前年度から継続している教員が五名、合計十三名の教員を、指導力不足教員として認定しているところでございます。

○石川委員 合計で十三名。学校の現場をいろいろ聞くにつけ、大変少ない数だなと実は驚いているんです。いわゆるいじめに遭う先生がいらっしゃる、あるいは登校拒否の先生がいらっしゃる等々伺うと、果たしてこの数字が実態なのかなという疑問を覚えるものでありますけれども、指導力不足に認定されている教員がふえる場合の研修実施体制について説明してください。

○小海人事部長 今回のステップアップ研修では、教育現場から外して研修を実施する長期のコースのほか、通所コース及び短期コースを設けることとしました。これは、児童生徒を適切に指導できない教員をよりきめ細かく把握し、指導することとしたものでございます。これによりまして、十分な指導育成体制が確立できるものと考えております。

○石川委員 この指導力ステップアップ研修は、コースがそれぞれありまして、長期コースの場合の代替教員の確保についてはどのように取り組んでいくんでしょうか。

○小海人事部長 長期コースの受講者につきましては、定数外の取り扱いとしまして、現場が困らないように代替教員を確保してまいります。

○石川委員 ぜひご努力をしていただきたいと思います。
 ところで、今後、すべての学校で学校運営連絡協議会を設置していく、こういうふうにうたわれております。この協議会で指摘された教員への対応策について、具体的に説明してください。

○斎藤指導部長 学校運営連絡協議会は、保護者や地域住民の意向を学校運営や教育活動に反映させるとともに、学校に関する情報を地域に提供することを目的として設置されます。
 仮に、今お話しのような、教員の服務上または指導上の問題を指摘された場合には、校長は、その事実確認を行った上で、もし事実であれば、当該教員の指導を行い、必要に応じて教育委員会に報告することになります。

○石川委員 報告があった場合には、適切な、いわゆる教員研修を実施していただきたい、このように要望しておきます。
 次に、教育センター以外での派遣研修の取り組みについて説明してください。

○斎藤指導部長 これまで、大学院派遣、これは二年派遣と一年派遣とございます。そのほか、海外派遣、文部省における中央研修派遣、長期社会体験研修、これは知事部局への一年間派遣でございます。それから教員研究生などの派遣研修を、各担当部署がそれぞれに実施しております。
 新しい研修センターにおきましては、新たな教員研修体系に基づきまして、経験や能力の高い教員を対象とするキャリアアップ研修Ⅲに位置づけて、一元的に実施してまいります。

○石川委員 大学院派遣は今年度三十六名、長期社会体験研修は今年度は二十五名、限られた教員という実態でありますけれども、専門研修を受けられる教員はどれぐらいなんでしょうか。

○小海人事部長 現在、来年度から実施に向けまして、具体的な研修内容、研修時間、受講者数などを詰めているところでございまして、早期に決定をして、関係機関に周知してまいりたいと考えております。

○石川委員 さまざまな経験をして教員の資質を高めるという研修でありますので、ぜひ拡大に努めていただきたいと思います。
 ところで、専門研修を受けるための条件、資格、あるいは、希望者は全員研修が受けられるのですか。

○小海人事部長 専門研修は、教員の教職経験や能力等に応じて、キャリアアップⅠからⅢまでの三段階に区分し、教科・領域、教育課題等の研修を実施する考えでございます。これらの研修は能力開発型研修と位置づけられておりまして、人事考課に基づく校長の推薦などにより、選択して受講するものでございます。応募者数が募集人員を上回る場合は、希望どおり受講できるとは限らないわけでございますが、研修センターといたしましては、受講希望状況を反映した研修計画を立案するなど、翌年度以降の改善充実に努めてまいりたいと考えております。

○石川委員 さらに、専門研修を受けた教員は、他の教員に対してどのような役割を果たすんでしょうか。

○斎藤指導部長 専門研修を受講した教員は、校内におきまして、教育実習生あるいは初任者に対する指導助言、あるいは校内研修の活性化に指導的な役割を果たすことなどが期待されます。さらに、区市の教育研究会等におきまして、研修成果の伝達や指導に携わることなどの役割も期待されるところでございます。

○石川委員 研修の項に校内研修とありますけれども、この研修は必須研修なのでしょうか。

○斎藤指導部長 校内研修につきましては、必須の研修ではございませんが、教育課程の円滑な実施、あるいは学校の抱える課題の解決のためには必要なものでございます。
 また、児童生徒、保護者、地域の実態に即した教育活動を進める上で、学習指導や生活指導等のあり方に関する校内研修、それぞれの教員の指導力を高めるための校内研修につきまして、大変重要な研修と受けとめております。

○石川委員 重要な研修である以上、校長のリーダーシップのもとで校内研修が充実されるように努力していただきたいと思います。
 最後に、自主研修とありますけれども、過去に、自主研修の名のもとに、いわゆる休暇をとっていたという事実もございました。この自主研修のあり方については改善されているんでしょうか。また、今後のあり方についてご説明してください。

○斎藤指導部長 自主研修につきましては、教員本来のあり方にかかわるところでございまして、その職責を遂行するためには、第一義的に極めて重要な研修だと受けとめております。現在、校長の指導のもとに、勤務時間内における自主研修につきましては、適正に行われているものと受けとめております。
 自主研修の形態としましては、例えば、個人、グループ、研究団体に所属しまして、いわゆる自主的研修あるいは研究を行いまして、その目的につきましては、先ほど申し上げましたように、みずからの授業の改善、専門性の向上及び今日的教育課題の把握などに努めまして、その職責を遂行するというのがねらいでございます。

○小林委員 それでは、もう四番目ですから、ほとんど田中さんにいわれてしまったんで、出がらしの茶みたいになっちゃっています。では、通告に従いましてやりますけれども、職員の研修センターについて最初に伺ってまいります。
 今回の統合により、研修センターには、大きく分けて研修部門と調査研究部門、この二つができることになるわけですね。組織を一元化する以上、当然、研究部門にもメリットがあり、より充実をされなければならないというふうに、当然それは、メリットがあれば考えられるわけでありますから、そこで、この研修センターではどのような研究を行い、その成果をどのように考えて活用するのか、若干ダブるところがあるかと思いますが、まず最初にお尋ねいたします。

○小海人事部長 教職員研修センターでは、研究部門におきまして、教育課題、教育経営、教育課程などに関する研究や緊急課題にも対応する体制をつくり、さまざまな教育課題に即した研究を行い、教員の資質向上につながることを目指す考えでございます。子どもたちの指導に直接つながる実践的な研究を行い、その研究の成果を指定研修や校内研修に活用するよう努めてまいります。

○小林委員 研究を現場で実践的で真に役に立つものにするには、センターでの職員だけの研究だけではなくて、外部の人材を活用するなど、幅広く共同して研究をして、多様な方法で展開する必要があるというふうに考えますが、その点はいかがでしょうか。

○小海人事部長 研究につきましても、外部の人材を活用するなどの方法が有効であることはご指摘のとおりでございます。教職員研修センターにおきましては、各種の教育課題、行政課題につきまして、職員による調査研究に加え、学識経験者や関係分野の専門家の参加による研究を行うなど、多様な形態により研究機能の充実を図ってまいります。

○小林委員 そのこととあわせて、教職員研修センターは、単に教員の研修や研究を行うだけではなくて、学校教育にかかわる情報の拠点になるわけですね。そのように考えるわけです。そのためには、教育にかかわる各種の情報を積極的に収集して、そこに集中をさせて、そしてまた、その情報の提供の体制を充実させるべきだというふうに思います。
 そのためには、情報提供には、情報へのアクセスが容易にできるような体制整備が当然重要になってくるわけでありますね。その際、最近はITなんていうことで表現をされておりますけれども、情報技術などを積極的に活用して、サービスの向上に役立てていくことが必要だというふうに考えますが、いかがでございましょうか。

○小海人事部長 都立教育研究所や多摩教育研究所では、これまでも、都内や全国の教育センター等と連携しまして、関係情報の収集、提供を行ってきたところでございます。
 新しい教職員研修センターの設置に伴いまして、情報収集、提供の窓口を一本化したことにより、効率性と利便性が向上し、教育情報の拠点としての機能を充実することができると考えております。
 また、研修センターにおける研究の成果につきまして、インターネットを活用し、ホームページなどにより、学校や教員等教育関係者のみならず、広く都民に提供してまいりたいと考えております。

○小林委員 教員の資質の問題とか、昨今いろいろ問題になっておりますから、ぜひ充実を図っていただいて、多くの期待にこたえていただけるよう要望いたします。
 続きまして、二番目に教育相談のセンターについて伺います。
 現在、多摩教育研究所に在籍して教育相談に従事している職員の皆さんは、臨床心理士という資格を持っておられるというふうに聞いておりますけれども、こうした職員は、ちょっと不勉強でわかりませんが、どのような専門的な能力を持っておられるのか、まず最初にお伺いいたします。

○斎藤指導部長 現在、多摩教育研究所に在籍し、教育相談に従事している職員は、大学院等で心理を専攻し、一定年数経験を積むことにより、臨床心理士の資格を得ることができ、カウンセラーとしての技能を修得した者でございます。

○小林委員 その職員が相談に従事して、相談を受けているわけですが、一人当たり平均相談件数というのは大体どのぐらいになるのか。延べはたしか表に出ておりますけれども、あわせて、一応つくったものですから……。

○斎藤指導部長 不登校や集団不適応等の相談を中心としまして、来所による相談者との面接を通して、悩み等の解決の援助を行っているほか、電話での相談において助言を行っています。
 平成十一年度の相談員一人当たりの年間平均相談事例数は、約四十件でございます。平均延べ相談件数は約三百八十九件でございます。

○小林委員 多摩教育研究所の相談部門の職員と、目黒の教育研究所の相談部門の職員と、仕事の内容は異なっていないと思いますが、異なっているのかどうかですね。
 また、相談の対象や相談件数に顕著な違いがあるのか。これも表に出ております。多摩が二千八百六十九の、都立の目黒が二万、大体十倍ぐらい違います。ここは表に出ておりますから、結構ですので、この違いがあるのかどうか、多摩と目黒で、それだけお答えいただきたいと思います。

○斎藤指導部長 基本的な仕事の違いはございません。相談の対象についても、相違はございません。
 それから、一人当たりの来所相談の件数でございますけれども、多摩教育研究所の方が若干多くなっておりまして、電話相談の比重は、都立教育研究所の方が圧倒的に高く、平成十一年度は、多摩教育研究所の五百三十三件に対しまして、都立教育研究所は三千五件となっております。

○小林委員 多摩に常設の相談窓口がなくなるということについては、私も、小平という多摩の大体真ん中辺じゃないかな、多摩の中央部に位置しておりますので、比較的立川にも隣接する関係で、多摩地域の教育関係者や、お父さん、お母さんの方から不安の声を聞いております。先ほどいろんな方がいわれましたけれども、必要なときに近くに相談窓口がないという状況について非常に不安を持っておられる。制度的な仕組み的なものというよりは、心理的な不安が非常に多いんですね、制度が大きく変わるわけですから。
 ところで、相談にやってこられる児童生徒または保護者などは、初め、どういったきっかけで相談部門のことを知ってやってこられるのか。これも表に載っておりますね。これも結構でございます。ほかの機関などからの紹介で来所される方が、ここに全部載っております。この表を見ると、ほとんど学校関係からということですから、結構です。
 ただ、学校関係とかであれば、事前に電話をされて、相談員の時間の都合とかを当然とってこられると思いますが、そうはいっても、急に、そういう機関を通さずに、とにかく行って早く相談しようという人から見ると、やっぱり常設をしていないということについては非常に不安があるんだろうと思いますね。
 そこで、飛び込みでやってこられる方というのはどの程度おられるのか、多いのか少ないのか。数字がわかれば、数字でお知らせいただきたい。それから、相談をどうやって進めているのか。この二点、お伺いします。

○斎藤指導部長 まず最初の、飛び込みというんですか、いきなり相談というのはございません。
 それから、相談の内容ですけれども、不登校や集団不適応、学習障害などが多くて、相談の進め方としましては、まず電話により相談の申し込みがございまして、来所の予約をした上で具体的な相談を進めていく、こういう手順でございます。

○小林委員 では、一〇〇%事前に予約をされて来るということで、飛び込みなどは一切ないということで、確認お願いします。

○斎藤指導部長 ここ三年程度でございますけれども、ございません。電話による相談が非常に便利になっておりますので、まずそこから始まるというのが緊急の場合でございます。

○小林委員 教育庁は、今回の統合により機能が一元化され、相談業務の迅速化や的確性が向上するということをいっておられるわけです。一方で、これまで、目黒と多摩で地域的に分かれていたものの、それぞれに一体であった研究部門と相談部門とが分離されることになるわけですね。
 そこで、これもたしかダブったと思いますけれども、なぜ今回、研修部門と相談部門を同じ敷地の中に置くにもかかわらず、組織を分離して設置するのか。統合するということであれば、すべてを統合するという選択もあったというふうに思います。いいとか悪いとかじゃないですよ、思うんですが、部門により分離することにどのようなメリットがあるのか、お伺いいたします。

○斎藤指導部長 教職員研修と教育相談とは、もともと機能が、あるいは対象者が異なっておりまして、また、それぞれに課題がございます。また、ニーズの増大もそれぞれが見込まれております。
 また、相談の方でございますが、都民からの相談に対して迅速かつ的確に対応し、相談機能の整備充実を図るために、独立した相談機関として機能を純化して、職員の専門性をより発揮させるための総合的な体制をとる必要があるということでございました。

○小林委員 これまで一体でありました研修部門と相談部門が分離するとしても、やはり両者の連携というのは、先ほどもいっておられましたが、非常に必要だというように思いますね。
 それで、今後どのように連携をしていくのか、お伺いいたします。

○斎藤指導部長 教育相談センターでは、教育相談にかかわる専門的な調査研究を実施しておりまして、また、具体的な相談事例を分析することにより、その成果を区市町村の教育相談所や学校に還元していく考えでございます。
 あわせまして、教職員研修センターで実施します学校教育相談研修に臨床心理の専門家を派遣して連携を図り、教員の研修にも活用していくということでございます。

○小林委員 最後になりますが、いずれにしても、統合あるいは分離によって、相談者にとって利便性に支障のないように。先ほどから何度も繰り返しになりますけれども、支障のないように機能の充実を図り、より連携を保つよう--特に、多摩の相談者からの要望があれば、先ほどは、飛び込みというのはないということでありましたけれども、心理的な不安というのもあるし、そこに常駐者がいるということで、かなり精神的に救われている部分もあります。そうはいっても、こういう情報社会ですから、旧来のやり方でいいのかどうかとか、あるいは、先ほど教育長がいわれたように、例えば区市町村にそういったものがあれば、非常に精神的な安心感、安堵感というのがあるだろう。それは、教育長、今後、例えば区市町村との連携をどうするのか。
 先ほど、小中学校は市にあるけれども、高校はないじゃないかみたいな話がありましたけれども、確かに、そういわれてみればそう。何かそういうところ、身近にあるというところ、何というんですかね、それが機能するとかしないとかじゃなく、あるというところに、かなり相談者にとっての精神的な安堵感みたいなものがあるんだろうというふうに思います。特に臨機応変に対応するように、体制をぜひつくっていただきたい。
 教育長、さっきそういうようにおっしゃられたので、市区町村との連携も含めて、もし何かあれば、お伺いします。

○横山教育長 今、学校現場が抱えている、児童生徒にかかわるいろいろな問題を考えますと、とにかく相談機能そのものは、相当充実をしていかなければいけないという認識がございます。
 ただ、それは東京都だけではなくて、区市町村も当然、相談事業の充実をし、なお東京都については、例えば専門職員の研修であるとか、より広域的な立場から、東京都は東京都で充実をしてまいります。
 そういった意味で、区市町村と東京都の連携というのはこれからも大事になってきますし、私どもとしても、十分、区市町村とは連携してまいります。

○小林委員 終わります。

○村松委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
午後三時十分休憩

午後三時二十二分開議

○村松委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言をお願いします。

○大河原委員 私も、議案になっております教育相談センターの設置について質問をしたいと思います。
 少子化、それから核家族化、二十四時間型の社会が進行する中で、子どもたちは、親の過保護、そして過度な競争教育というような中で、大変に変則的な毎日を送っていると思います。私も三人子どもがおりますけれども、さまざまなところで本当に、子どもたちが学校という場で、なかなか自由な将来を見据えるような時間を過ごしていないな、そういうのが実感です。
 友人たちや地域の大人たちの人間関係、それから、もっと引きつけていえば、いじめや不登校、学級崩壊、そして高校における中途退学の子どもたちが多くなるということが、もう既に社会問題化しているという現状にあると思います。先生や家族との人間関係までもが希薄になっていく中で、子どもたちが育っていく、この環境づくりは、私たち大人の責任だと考えております。
 教育行政の中にあって、こうした子どもたちが実際に感じている苦痛、それから、学校のシステムに対する苦情とか不満とか、また、将来に向けての相談、こういうことに対応するために、今回東京都が相談機能を独立させる、そのことは、当然、時代の要請だというふうに私は思っております。
 先ほど、休憩前に石川理事から、都研、多摩研のそれぞれの相談事業の設立、また、その経緯と役割については質疑がありましたので、私は、東京都が行っている教育行政において、相談事業についての位置づけや意義についてどのような認識を持っているのか、伺っておきたいと思います。

○斎藤指導部長 相談事業につきましては、都民の方、それから、児童生徒及び教職員に対する重要な支援事業であると考えております。
 都教育委員会では、不登校に関する教育相談、いじめや体罰等に関する相談、高等学校の進級、進路、就学に関する相談、それから家庭教育に関する相談等に応じておりまして、児童生徒の成長、発達を支援しているところでございます。
 また、教職員からの児童生徒の指導等にかかわる相談を受けておりまして、教育指導の改善充実もあわせて支援しているところでございます。

○大河原委員 今、部長のお答えでは、一応相談という言葉を使われましたけれども、苦情というものも多いわけですね。今、子どもたちがさまざまなところで起こしているトラブルの原因になっているもの、そのことを、原因を突き詰めていったときに、システムに対する苦情なども出てきています。それから、先生方による体罰、本当に悲しいことですけれども、これも絶えません。
 そんな中で、本当にきちんとした処理が、訴えに基づいて処理され、相談をした人の立場になった解決が図られているのか。そのことが、むしろ今の教育行政に対する信頼を取り戻す第一歩、大きな要因だというふうに考えます。
 その訴えを迅速、適切に解決していくために今回のセンターを設置する、こういう改革をするんだということなんですけれども、既に東京都は、平成八年に東京都総合教育相談室を設置しました。このことについては、経緯や意義、そして、どんな形でこの事業が行われているのか、もう一度説明していただきたいと思います。

○斎藤指導部長 東京都総合教育相談室が設立された経緯についてでございますが、平成元年五月に、登校拒否を初めとします学校不適応問題に関して、有識者や専門家の方によって構成されました学校不適応検討委員会が設置されまして、平成三年度末に、学校不適応総合対策センターを設置するよう提言がなされました。
 また平成五年度には、このセンター機能は、第三次都長期計画の総合教育センター構想の教育相談部門に位置づけられるべきという報告もなされました。
 平成六年度には、教育指導にかかわる相談・苦情申し立て制度に関する研究チームが置かれまして、平成八年八月に、東京都総合教育相談室が設置されました。
 設置に当たりましては、各所に分散していました九つの相談機関のうち七つを統合し、窓口を一本化して、都民の利便性を高め、多様化する相談や苦情に敏速に対応するため、いじめ・体罰、高校進級・進路・就学、心理教育相談部門を設けまして、電話による相談と来所による相談を開始したところでございます。

○大河原委員 子どもたちが厳しい環境に置かれるに従って、東京都も対応を考えてきたんだというふうに、私は今のお答えから思うわけですが、その各所に分散していた七つの相談機関を統合したということなんですけれども、七つの相談事業の中に、例えば学務部が持っていた中央就学相談所、それから都立の高等学校の多摩就学相談所、そして高等学校教育課の分室、また、指導部では三つも持っているわけですよね。高校のテレホン進学・進路相談とか卒業等の相談室、いじめ相談、そして都立教育研究所の相談部。これを統合していこうということは、既に一元化の方向はこれまでにもあったというふうに思うわけです。その総合力をつけていくために、既に総合相談室が平成八年にできたということはわかりました。
 しかし、このときに、都立多摩教育研究所と義務教育心身障害教育課の就学相談室、つまり笹塚にある相談室は残ったわけなんですが、その理由は何でしょうか。

○若林学務部長 笹塚にございます就学相談室、これは一般の教育相談と違いまして、区市町村教育委員会が行いました就学相談結果を受けまして、盲・聾・養護学校への教育的措置を行うかどうかの判断をするということで、相談業務内容が専門化しておりますので、一本化をしていないということが実態でございます。

○斎藤指導部長 多摩教育研究所につきましては、多摩地域の特殊性にかんがみまして、そのまま残したということでございます。

○大河原委員 平成八年のときには、多摩の特殊性をかんがみて多摩教育研究所は残った、相談室もそのままやっているということです。
 改めて伺いますけれども、都研と多摩研の違いは何ですか。

○斎藤指導部長 多摩教育研究所で行っています相談内容につきましては、心理教育相談が中心でございます。それから、都立教育研究所で行っております相談につきましては、それに加えまして、先ほど来申し上げた部門につきまして、全都的に受けているというような違いがございます。
 それから、多摩教育研究所は、原則的に多摩地域に限って相談を受けている、そういう事情がございます。

○大河原委員 資料の三ページに、相談センターの相談業務の現況との比較というのがあります。私も世田谷ですので、なかなか多摩の事情がわかりませんでしたが、都立多摩研究所の中での相談、その分野は心理教育相談ということですよね。そうすると、現状、総合教育相談室で行われている他の三事業、家庭教育相談、いじめ・体罰等相談、それから高校進級・進路・就学相談、こうしたものが多摩の立川の方に相談があった場合、来所相談というのは立川で受けていたんでしょうか。

○斎藤指導部長 先ほど申し上げましたように、心理教育相談が主でございますので、受けられるものは当然受けてはいるんですけれども、一応それは都立教育研究所の方に回して、そちらで残りの部門がございますので、受け取っているというような状況でございます。明確なそこの区分けというのはございませんけれども、原則としては、そういう形で対応を今まで行ってきたということでございます。

○大河原委員 ちょっと確認になりますけれども、そうすると、心理教育相談以外では、多摩の方から目黒の教育相談の方へ行っていただいていた形もこれまであったということですよね。

○斎藤指導部長 ございました。

○大河原委員 私は、こういうふうに見ていくと、先ほど田中委員からは、すごい多摩格差じゃないかというふうにいわれていたわけですけれども、むしろ多摩の方を充実した方が、すごく自然な考え方じゃないかというふうに思うわけなんですけれども、どうして、一元化するより多摩を充実するという方向に行かなかったんでしょうか。

○斎藤指導部長 先ほどから申し上げましたように、全都的に、不登校、暴力行為等の問題点が多様化、複雑化しておりますので、全都的に一本で受けとめていくということでございまして、その利便性、それから今までの実績等、つまり、広範囲の意味の実績等でございますけれども、そこからいけば、当然、都立教育研究所の方がより妥当性があるということで、こちらに一本化するということでございます。
 現在の相談体制を見直して相談の整備充実を図るために一元化したというふうに、先ほど来申し上げておりますけれども、総合的にこれは充実する方向でまとめたところでございます。

○大河原委員 今、横から、お金がないからそんなことできないじゃないかという声もありましたけれども、今回の議案は、非常に発表の時期も不幸だなというふうに私は思います。それは、やはり外郭団体の見直しなど都財政が大変切迫した中で、統合あるいは廃止という言葉が出てくる、そのような議案を--そういうふうに語られてしまう、そういうところでは、教育庁の説明責任が本当に問われると思うんです。
 それで、今回のこの基本構想について次に伺っていきたいんですけれども、このことについては、突然出てきたかのような印象を、多くの人が実際には持っています。今回の検討の経緯、そして今回の設置の理由、先ほどから何度もいっているようですけれども、改めて伺います。

○斎藤指導部長 平成十年度に、総合教育相談検討プロジェクトチームを発足しまして、平成十一年四月から、教育庁総合研修センター等基本計画検討委員会で、相談機能のあり方について検討を続けてきました。
 平成十二年四月に、教育庁研修・研究センター等基本計画報告書が提出されまして、基本内容が取りまとめられました。その内容は、都研、多摩研の両者の相談事業を一元化し、関係機関との連携協力を強化するとともに、迅速、的確な相談事業を推進し、相談機能を強化するものという内容でございます。

○大河原委員 教育行政が一番わかりにくいのは、教育行政の長期計画というものが、なかなか都民の目に明らかにならないということがあると思うんです。都立高校改革などはそのいい例で、大勢の方々の意見を聞いたとはいっても、そんな計画は知らなかったという都民が多かったりします。
 今回のこの教育相談、こういったものを充実させていこうということは、大きな計画の中になかったんでしょうか。

○斎藤指導部長 先ほど申し上げましたように、平成五年度に、第三次都長期計画の中で総合教育センター構想が位置づけられておりまして、長期計画の中にはそういう計画はございました。

○大河原委員 ほかの部門でいいますと、計画を立てていくときに、いろんな広い意見を聞いていくというのが常識になっていますよね。そんな中では、教育行政についてはまだまだそういったことが足りないんだということをしばしば思うわけですけれども、この四月に報告書が出されて、今回の計画については、各所にどのような説明をされたんでしょうか。

○斎藤指導部長 基本計画策定後、報告書の内容につきまして、教育長会、それから指導室課長会、校長会、教頭会等で説明をしてまいりました。

○大河原委員 私も、九月四日に出された、教育長あて、東京都の市の教育長会からの要望書を見せていただいているわけですけれども、その中で、この相談センターについての要望、このことは、相談への迅速、的確な対応を推進するために、多摩研内の教育相談施設の確保とともに、嘱託員の配置はもとより、実質的な相談活動の行えるスタッフの常駐配置を検討されたい。大変基本的なことが要望されてしまっているわけなんですね。
 これは九月の段階なわけですけれども、ここにおいても説明がされていないんじゃないかというふうに思います。この市の教育長会の要望書、どのように検討されたんでしょうか。

○斎藤指導部長 要望の趣旨を踏まえまして、具体的な組織や機能等のあり方、運営の方法について、相談事業の専門部会等で検討をしているところでございます。基本計画の内容全体につきましては、理解を得ているというふうに受けとめております。

○大河原委員 基本計画の内容全体については理解を得ているというふうに思っていらっしゃるということですけれども、区市町村の教育相談との役割分担というのが大変重要になってくると思います。
 さっきから、区の方、それから多摩の地域、設置の充実度というんでしょうか、そういったものも随分ばらつきがあるじゃないかというふうな意見もありましたけれども、特にこの役割分担、確かに、地域の中では相談しにくい、東京都の方に行って相談をしたい、あるいは、もちろん高校や養護学校の都立の学校についてのそういった相談もあるわけですから、東京都の責任、東京都の役割分担、分野が全くなくなるわけではありません。むしろ、そのところを連携を深めていくことが必要と思いますけれども、実際には、この役割分担についてはどのようになっているんでしょうか。

○斎藤指導部長 都と区市町村の教育相談に関する役割分担に関しましては、特に義務教育段階の相談につきましては、第一義的には区市町村教育委員会が主体となって対応してきたところでございます。
 都の相談機関につきましては、区市町村の相談機関では対応できない場合や、あるいは、住んでいる地域から離れた機関での相談を特に希望する場合などにつきまして、区市町村の教育相談所を補完する役割を果たしてまいりました。

○大河原委員 区市町村の教育相談所の役割を補完する、そういったことを今後も続けていくということは、ぜひともスムーズに進めていただきたいと思いますし、むしろ、区市町村のこういった教育相談への支援をもっと強化することによって、東京都が受けとめなければならないそういった相談も、中身を充実させていくことができるんじゃないかというふうに私は思います。
 ところで、これが発表されてから、市民によるシンポジウムが開かれております。こういった場合に、どうして説明に行かないのかなと私は素朴に思うわけなんですけれども、どうしてですか。

○斎藤指導部長 特に要請がございませんでしたので、出席しておりません。ただ、多摩研の職員が出席したということは伺っております。

○大河原委員 連絡がなかったから行かなかった。確かにそうかもしれないんですけれども、みずから進めようとしている事業が問題にされているわけですよ。そして、後日、要請文も来たというふうに聞いていますけれども、このシンポジウムではどんな意見が出て、そして、その要請文、受け取られたと思いますけれども、どんな対応を今していらっしゃるんでしょうか。

○斎藤指導部長 教育庁教育相談センター(仮称)設置にともなう多摩地区における相談活動の弱体化に関する緊急アピールが発表されたことは承知しております。また、その内容につきましては、後日、要請文を受け取りました。多摩地域に現状のまま分室を設置し、常時勤務をする専門相談員を配置することなどを要請するものでございました。
 多摩地域の住民の方、あるいは保護者、児童生徒の人たちが心理的な不安がないように、一定期間、派遣という形ではありますけれども、何らかの対応を今後検討してまいりたいと思っております。

○大河原委員 今お答えになった部分ですけれども、そのシンポジウムが開かれると、朝刊に大きく取り上げられているんですね。確かに都教委は、不都合がない形にするというふうに答えているんですが、心のつながりが切れちゃうんじゃないか、大きな不安を都民が抱えている状況、こういったところにも、なかなか役所の声は届かないんだなというふうに思います。だからこそ説明を尽くし、そして、その中から出てきたことには丁寧に答えていく。そうした教育の分権、市民参加ということが求められていると思うんですけれども、不都合のない形にするんだということですから、私は最後の質問者だと思いますが、確認をさせていただきたいと思うんです。
 この都立多摩教育研究所の方には、都民の駆け込みの教育相談、この部分に対して非常に不安があるわけですから、こういった教育相談への対応はどのようにしていくのか、お答えください。

○斎藤指導部長 先ほど申し上げましたように、直接来所するというケースはまれというか、ほとんどないんですけれども、心理的な不安を解消する意味で、多摩教育研究所では従来どおり相談を受け付けますよと、そういうアピールを何らかの形で派遣の中で工夫してまいりたいと思っております。

○大河原委員 緊急に対応する場合は、私は絶対ないとはいえないと思うんですよ。その点でどうなさるおつもりなのか、お伺いいたします。

○斎藤指導部長 当分の間、一定期間でございますが、まず様子を見る上で、常時だれかしら派遣されているという状況を何とか工夫してまいりたいと思っております。

○大河原委員 一定期間派遣されている状況の中で対応すると、今おっしゃったんですよね。ちょっとよくわからないんですけれども、先ほども、田中委員の前の質問で、もちろん一元化して、スタッフ、要するに適切な得意分野を持つ人たちを派遣できるんだということがありました。そして、その要望が多ければ、その予約が立川に多ければ、月曜から金曜日まであけるということもなくはないということですよね。
 そうすると、一番最初の都教委の説明は、一元化をし、スタッフを充実、より相談しやすい体制を整えて、多摩でも目黒でもどちらでも、利用者の便宜を図って相談に乗りますということだったんですけれども、それでいいんですか。

○斎藤指導部長 今後、設置に向けた具体的な検討の中で、移行時の対応について総合的に判断し、必要がある場合は、一定期間、平常の勤務時間内に、教育相談を行う職員を交代で配置するということについて検討していくということでございます。
 なお、先ほど来申し上げましたように、今のは心理的な問題でございますが、第一義的には、電話による緊急相談がまず圧倒的というか、大部分でございますので、そういう体制はもちろん充実してまいりたいと思います。

○大河原委員 緊急の対応には、これからも検討を含めて充実させるということで、これまでもやってきたことですよね。どうなんでしょうか。

○斎藤指導部長 緊急の対応は、これまでも行っておりました。それで、相談所から指導部の方に、行政部門の方に、夜中だろうが日曜日だろうが電話をいただきまして、区市町村教育委員会と連携をとって、学校の方に連絡をとるなど、やってまいりました。

○大河原委員 資料の三ページの方に、新たに加わる事業として、デイケア的な来所相談というのが出てきております。このことについてご説明ください。

○斎藤指導部長 デイケア的来所相談でございますが、個別の面接によるカウンセリングや遊戯療法等に加えまして、小集団による継続的なグループ活動を通しまして、対人関係などを良好にするための相談でございます。不登校などの児童生徒が、みずからの生き方、進路を考える機会とするとともに、再び学校の方に戻る、そういう援助を行うものでございます。
 これにつきましては、現在の多摩教育研究所の方で、必要とあれば、場合によっては行うということも当然検討しております。

○大河原委員 そこのところが今聞きたかったんですね。私、相談事業は、やっぱり相談者に身近なところで信頼を持って解決される、そういう相談所があるべきだというふうに思います。
 特に、このデイケア的来所相談というのは、今伺ったように、子どもが主体の相談事業、しかも、もっと近くで、身近なところで、子どもの状態を見ながらやることが一番望ましいものですから、今、斎藤部長がお答えになったように、立川の多摩研の中で、望まれれば当然やっていくこと、そうですよね。そのことを私は確認したいと思います。
 どうしても相談所を目黒の方へ移設する、そして機能を一元化する。派遣という言葉で、なかなか信頼が生まれるような--これまでの事業の継続は保障されるんだろうか、そんなことも非常に大きな不安として都民の中に広がっています。先ほどちょっと触れましたけれども、充実を図っていく、そのためには人をふやすのねという質問については、人はふえない。同じでした。
 この一元化ということで、局から要求されている来年度の予算について、相談事業ではどのような変化があるんでしょうか、あるいはないんでしょうか。

○斎藤指導部長 新しい教育相談センターで必要な所要の経費を予算計上しているところでございます。

○大河原委員 それはわかりますが、どういうふうに変わるんですかというふうに伺っているので、来年度の予算要求についてお答えください。

○斎藤指導部長 現状を維持、それ以上について検討して、所要の費用を要求しているところでございます。

○大河原委員 実は、本当は明るい話題として、相談機能を充実させて独立させました、ふだん、ほかの子どもの--東京都は、子どもの権利擁護委員会も設置して、子ども東京SOS電話を設置していますけれども、そういったところにかかってくる電話、苦情は、学校、教育庁に対する苦情が多いわけです。全庁的なといいますか、大きな視野で考えられる第三者機関のオンブズマンを置くこととか、子どものための権利条例をつくることとか、そういったことについては、都庁内でも検討され、私たちも教育庁に働きかけてきましたけれども、常に教育庁のお答えは、都教委では総合教育相談室を持っております、そこですべて解決できます、そういうお答えでしたよね。
 そんな中では、この一元化は、これから、ほかの福祉の分野とか--総合一元化するといったその理由に、つまり、一つ一つの対応がかなり難しいと。心理相談、そこだけではできない。いじめや体罰の問題も、家庭教育の問題も、ルーツがみんな一緒になっている。子どもたちの生活というものを考えたら、そんなに分断して相談はできなかった、そういうことが根っこにあるんじゃないかというふう私はに思います。そこのところをまず認識していただきたいんですね、実は。
 それで、今回の教育相談センターの設置ということについては、教育庁のアカウンタビリティーが欠如している最たるものだというふうに思います。今まで確認させていただいた中では、多摩の方々に教育行政のサービス、これは後退しないんだということを教育長にはっきり答弁を求めて、質問を終わりたいと思います。

○横山教育長 今のアカウンタビリティーの話は、まさにご指摘はご指摘として謙虚に受けとめます。
 ただ、先ほど来、指導部長がるる説明していますように、今回、私どもが一元化を図りましたのは、あくまでも子どもたちのために、子どもたちによかれと思って、相談業務の充実を図るという視点からやっているわけでございまして、決して相談業務のレベルが下がるということではないと確信しております。

○大河原委員 事業評価ということがありますよね。相談事業、都庁の中でもいろいろあります。その中で、やっぱり信頼される相談事業をするんだ。センター設置のことについては、これだけマスコミの報道もあり、それに対して都民の意見が、なかなか声が通じていない。それに対して、都教委がなかなか説明ができなかった。もしかしたら、やっぱり不都合が出てくるかもしれないですね。それについて、この事業を見直すということ、あるいはある程度のところで利用者の声を聞くということ、各教育委員会関係者の声を聞くということ、そのことはぜひとも約束をしていただきたいんですが、どうでしょうか。

○斎藤指導部長 お話しの件は、約束どおりやってまいります。

○服部委員 今回上程されました、東京都教職員研修センター設置条例と東京都教育相談センター設置条例、この件についてお尋ねいたしたいと思いますが、最初に、東京都教職員研修センターについてお尋ねをいたします。
 先ほど来、いろいろご質問もございました。あるいはまた、重複することもあろうかと思いますが、まず、今回に至る経緯。今回は、こちらにあります基本計画報告書、これがもちろんベースになっているわけで、これに基づいて今回の条例案が提案されたということです。経緯も、先ほどの質問で、答弁では、平成十年度からというような説明もありましたが、私の方の、調査ほどでもないですが、資料によれば、平成四年から長い年月をかけて慎重に検討されて、その結果、今回この基本計画書が報告された、そのように私は認識をしています。
 そこで、今回の基本計画書の一番のポイントというのは、今までいろいろ議論もありましたけれども、この前文といいますか、一ページにある検討の背景、これを、原文のままといいますか、抜粋をして読ませていただきます。
 今日の学校教育は、ともすれば旧態依然とした画一、平等主義に陥り、新しい時代を切り開く個性や創造力の育成に必ずしも十分に対応しているとはいえない。従来の画一化された教育から個性を伸長する教育へ、行き過ぎた平等主義から競争原理も取り入れた教育へとシステムを転換していくとともに、生きる力をはぐくむ教育、豊かで思いやりのある心の育成などの心の教育を充実させていかなくてはならない。そこで、何よりも、第一線で学校教育を担う教員の意識改革、資質、能力の向上を図ることが必要不可欠である。このように述べられております。まさにこのとおりだと思います。
 そして、これに基づいて、研修・研究センターは平成十三年度、来年から、現在の都立教育研究所、目黒区にありますけれども、その施設を活用し開設をする。また、平成十六年度を目途に、交通至便な都立高校の移転跡地に移転し設置をする。このように書かれております。
 この教職員研修センターの目的なんですけれども、先ほどからいろいろ議論もありましたが、研修機能を一元化する。例えば、今までは、管理職の任用前の研修、これは人事部がやっているんですね。それから、行政系の職員の研修、これは総務部でやっている。そんなようなことも、今回から、指導部として一元化してやっていく。そのようなことも書かれて、これによって、効率的で充実した研修の実施及び研究機能の充実を図る、このようにもしているわけです。
 たまたま、私、多摩研究所にも参りました。そこで、所長さん初め皆さんが、本当に教育に真剣に取り組んでおられる、そういう姿にも接しまして、いろいろお話を聞いたんですが、例えば教員研修等の中で、あるいは技術的なことかもしれませんが、多摩教育研究所で行われているカフェテリア方式ですかね、これは独自の研修方式で、私も非常に評価いたしました。
 このカフェテリア方式については、二十三区の教職員はもちろん、外国からも視察に来られる。それほど内容の充実した--例の教材キットですか、そういったものを活用しながら、されている。これは要するに、先生方個人、またはグループの先生方が、都合のよい日に多摩研究所へ行かれて、そして、用意された、今申し上げた教材キットを必要に応じて自由に選択、また活用して、自分の課題について主体的に解決していく、そういう研修であります。
 こういうそれぞれの特色を出して、教員研修についてですが、多摩教育研究所では、こういうようなカフェテリア方式を実施されている。あるいは、今度、東京都でやられる--東京都の現在の教育研究所、こういったことも、やっぱり一つの特色を出しながら、今後取り組んでいっていただきたい。
 もう一つ、質問に入る前に、この中で私も非常に興味深く読ませていただいたんですが、研究の中に、地域と家庭教育の連携研究、これなんかも書かれています。これは平成十一年からでしょうか、都立学校に学校運営連絡協議会を設立されました。これは、ある意味では、地域の声を聞きなさい、私はそういうことだと思うんですね。学校や保護者、いろいろありますけれども、やはり学校というのは、都立高校であれ、小学校であれ、中学校であれ、地域社会と一緒にこれからはやっていくものだ。学校の先生もそうだと思うんですよ。学校の先生だけがということではなくて、地域社会にも根差して教育というのは進めていかなきゃいけない、そういうような思いをいたしたわけですが、それを踏まえながら質問に移ります。
 最初は、教員の研修についてですが、これは任命権者が責任を持って行わなければいけないことであります。そういう点で指定研修の拡充を望むわけですが、そこで、受講者の意欲あるいは主体性を喚起するような研修にすることが必要である、そう考えますが、まずお伺いします。

○小海人事部長 教員にとりまして必要とされる資質、能力は、すべての教員に身につけさせ、東京都全体の教育水準の維持向上を図ることが、任命権者である東京都教育委員会の責任でございます。
 平成十三年度からは、新たな指定研修として、管理職の計画的な人材育成をねらいとする教育管理職候補者研修や、円滑な学校運営体制づくりのための主任研修、さらには、ベテラン教員の意欲や資質の向上を図る現職研修Ⅲ部を実施してまいります。
 このような指定研修の拡充によりまして、教員がそれぞれの職務を遂行する意欲や学校の課題を、主体的、積極的に解決しようとする態度を育てることを目指すものでございます。

○服部委員 今回の指定研修の中で、いずれも新規事業として盛り込まれた、そういう点を今説明をいただいたと思います。
 次に、今年度導入された人事考課制度、教員の能力開発を目指すものだと認識をしておりますが、研修センターが実施する研修と人事考課制度とは、具体的にどのように関連するのか、その点について伺います。

○小海人事部長 まず、各学校におきまして、人事考課の業績評価の結果を踏まえまして、教員の能力や特性を伸長させる観点から、課題別研修を行うなど、校内研修の充実が図られると考えております。
 さらに、教職員研修センターでは、個々の教員の経験や能力、人事考課の業績評価の結果によって明らかにされた、みずからの課題に応じて受講できるように、専門研修を、キャリアアップⅠ、Ⅲ、Ⅲとして再構築し、教員の資質向上、能力開発を目指す考えでございます。
 学校における校内研修と、教職員研修センターの専門研修の有機的な関連を図り、教員の資質向上を図ることができると考えております。

○服部委員 私は、この目的はあくまでも教師の資質の向上にある、今答弁もありましたが、そこにあると思うんです。大変難関の試験をパスされて、教員を目指して、そして教職につかれる。やはり、それぞれ立派な先生だと私は思いますよ。ただ、玉は磨かなければ光らないともいいますけれども、どんなダイヤモンドでも磨かなければ光ってこない。それだけ素質のある先生ですから、それをどうやって輝きを増していただくか、そして教育に情熱を持ってもらうか、そんなことを今後大いにこの研修の中でもお進めいただきたい、そのように考えます。
 また、そういう先生がいる反面、指導力に問題がある教員に対して、新たな研修を行い再教育を行う、こういうことが本会議で答弁もありましたが、その研修はどのように行われるのか、説明してください。

○小海人事部長 指導力不足教員に対する指導力ステップアップ研修としましては、年間を通じまして教職員研修センター等で研修を行う長期コース、そして、週一日程度、教職員研修センターで研修を行う通所コース、夏期休業期間など十日間程度を教職員研修センターで研修を行う短期コース、この三コースを設定しております。
 いずれのコースにおきましても、学校や区市町村教育委員会と連携しながら、教育公務員としての自覚や指導力について再教育を行う考えでございます。

○服部委員 私もかねがね、一般質問でも申し上げましたが、教育はやはり国の基本なんですよ。それだけに、教師に対して、児童や生徒が、あるいは保護者が、あるいは地域社会が、ひとしく尊敬と感謝の念、こういった気持ちを持って、信頼関係を持ち続けることだと思うんです。そこで、教師もそういうことによって、自分が教師であるという自覚と責任、また使命感、そういったものが生まれてくるとも思いますし、教育にさらに情熱を燃やそう、そういうことができるはずだと思うんです。
 私は、先日の心の東京革命、今回は教育の日として計画に盛り込まれたわけでありますけれども、教師の資質の向上と相まって、優秀な教師は顕彰する、表彰する、そして、いずれこの教師の日が制定できるように、これからも、あらゆる機会をとらえて議論を高めたいと思います。
 教師の日について、余りわからなければ、ちょっと簡単に申し上げますが、教師の日というのは、残念ながら日本にはありません。しかし、今、お隣の韓国では、五月十五日に教師の日を制定している。また、中国や台湾も教師節としてあります。また、ブラジルもあるんです。アメリカも、全米教師の日として制定しています。そして、その日は、私も先般、韓国へ行って、向こうの文教部、文部省に行って調査をしてまいりましたけれども、一カ月にわたって、教師に対して子どもたちが、ありがとうという手紙を書く、また、自分が卒業した後の恩師、そういった方のところに子どもたちが訪ねていく、あるいは卒業した方が訪ねていく、そういうことをやっています。
 ノーベル平和賞の受賞者であります金大中大統領は、二年ほど前に我が国に参りましたときに--当時の韓国の木浦商業高校に在学していたときに、椋本伊三郎先生といいます、日本人の教師だったんですね。その先生に、自分の思春期に教えていただいた。その最後にいわれたこと、快闘という言葉を、その椋本先生に、金大中さんは教えていただいた。戦後、あれだけの死刑判決を受けながら、あるいは拉致事件を受けながら、大統領になった。それはやはり、椋本先生のそういった快闘という気持ちを、私は一生心にとめてやってまいりましたと。そういうことで、日本に来たときに再会する話が、読売新聞に大きく掲載されていましたよ。
 きょうは、余りそういうことは、教師の日に触れますと時間があれですから、いずれ、そういう教師の日についても、この教師の質と相まって、教育庁は真剣に取り組んでいただきたい、そのように思います。
 教育長、何かお考えありますか、今の提案。

○横山教育長 今、教育界が抱えている問題というのはいろいろございますが、そうした中でも、例えば学校運営の正常化の問題であるとか、そういったものとあわせまして、教師の資質向上というのは、絶対不可欠にやらなきゃならない問題だと思っています。
 現に、教育改革国民会議の中でも、指導力不足の教員の対応というのは相当な大きな議論になっています。なぜかといいますと、これは、今、先生がおっしゃったように、まさに教育は国の基だと。そういった指導力不足教員が教壇に立つことが、結果的には子どもが被害者になっているという現状があるわけでございます。そうしたことから、指導力不足教員を研修し、どうやって教壇に立たせるか、このことが私どもにとっても大きな課題でございます。
 一方で、単に教員の資質向上、それだけを述べてみても、当然、教員の士気高揚というのは一方で図らなければならない大きな課題であろうと。そういった意味で、どういうことが士気高揚に資するのか。
 今、先生からるるお話がございましたが、ご提案の点につきましては、私どもとして、真摯に研究の課題とさせていただきたいと思います。

○服部委員 次に、教育相談センターのことについて伺います。
 先日視察した多摩研究所の資料の中には、いろいろ相談件数だとかあって、これは先ほど、ほかの委員から既に質問がありましたから、この点は一部省略はいたしますが、今回、多摩教育研究所の教育相談の窓口が統合されるといったことで、私の方にもいろいろお手紙などいただいています。相談活動の切り捨てとか、あるいは区部と多摩の格差を広げるものだ、そんなような意見もありますが、この点についてもう一度お伺いいたします。

○斎藤指導部長 多摩地域の相談事業に関する切り捨てとか、あるいは多摩地域への支援体制を弱体化するとかということではございません。先ほど来申し上げましたように、教育相談室を一元化することによりまして、独立した、総合的、一元的教育相談センターの充実を全都的に図っていくということでございます。

○服部委員 さっきの答弁の中に、このことについては、対応できない相談を積極的にやっていくとか、補完的なことをやっていく、そういうことははっきり明確に述べられているわけですよ。それはいいですが、本来、子どもの悩み、その相談相手は、一番身近な相談相手である両親にあると私は思うんですよ。まず両親だと思います。両親の愛だと思うんですよ。それが基本ですよ。それで、その後、学校の担任の先生があるかもしれない。あるいはまた、今回、国が五カ年計画で学校に配属することになったスクールカウンセラー、こういった方でもありましょう。もちろん、スクールカウンセラーも全員が臨床心理士の資格は持たれていないけれども、こういったスクールカウンセラーを全校に配置していく。
 さらに、先ほど来いろいろ議論があったんですが、区市町村には教育相談所、あるいは教育相談室、こういったものがあるんですね。もちろん、現在、こちらにも資料がありますが、各区市町村の教育相談所あるいは教育相談室には、常勤者、あるいは心理出身者、先ほどの答弁のように、こういった点の配置にばらつきがある、これも事実だと思うんです。
 私は、この臨床心理士による心理相談も大切なんですけれども、相談相手の子どもの住んでいる地域の地域性、例えば下町もあれば山の手もある。住宅地もありますよ。そういった地域性ということも、ただ心理的なものだけでなくて、大いに加味すべきものだと思うんですね。例えば下町でいえば、お祭りもある、おみこしも一緒にかつげる、あるいは町会で運動会もやる。そうすると、大人やいろんな方々との交流もできる。そういった環境にある子どもたちとか、あるいは山の手には山の手のまたよさもあるでしょう。そういった地域性を、相談する方もわかっていただかなければいけない。
 そういうことで、教育相談所は、もちろん都で役割分担をされてやっていくわけですけれども、本来的にはやはり区市町村で小まめにやっていく、身近にやっていく、その辺が本来的だと私は思っているんですよ。
 そんなことで、現在、東京都と区市町村の教育相談に関する役割分担を明確にすることが重要だ、そのように思うんですが、どうなっているんでしょうか、お答えください。

○斎藤指導部長 都と区市町村の教育相談に関する役割分担に関しましては、特に義務教育段階の相談につきましては、お話しのように、第一義的には区市町村教育委員会が中心となって対応してきたところです。
 都の相談機関につきましては、区市町村の相談機関では対応できない困難なケースとか、あるいは、特に地域から離れて都の方で相談を希望する場合とか、区市町村の教育相談を補完するという役割も果たしてまいりました。

○服部委員 目黒区の都の教育相談室に参りましたら、こういう資料をいただきましたよ。それから、このカードも。「話そうよ ~心が晴れるから」というパンフレット。ひとつ今度は、答弁も、心が晴れる答弁をお願いしますよ。
 それで、これを読みますと、都の総合教育相談室には、いじめとか体罰等の相談部門を初め、心理教育部門、あるいは家庭教育相談部門、高校進級・進路・就学相談部門、こういったものもあります。あと、学校や家庭などを訪問して行うアドバイザリースタッフ派遣事業というんですか、これなんかも非常に効果的に活用されております。秋川高校に、子どもたちの心理状態がああいった中で、東京都は迅速に対応して、そのアドバイザリースタッフを派遣されたということも聞きました。
 そういうことですが、今回統合される都の相談センター、今後どういった役割と機能を果たしていくのか、お伺いいたします。

○斎藤指導部長 新しい都教育相談センターにつきましては、都民を対象として、複雑多様な相談に専門的立場から応じる、総合的な教育相談機関としての役割を担ってまいります。
 都教育委員会としましては、今後とも、区市町村教育委員会と連携しながら、それぞれの区市町村の相談体制の実情に応じた対応を図ることはもとより、より専門的な立場からの対応が必要とされるような困難な相談内容につきましては、要請に応じて積極的に区市町村教育委員会を支援してまいります。

○服部委員 あと二問ですからね。
 今回の一元化によって、東京都と区市町村との連携が一層深まって、都民の期待にこたえていく、そのようにありますが、具体的な施策、そして事業を何か考えているのか、お答えください。

○斎藤指導部長 相談窓口の一元化によりまして、新たに、土曜日、日曜日、祝日の夜間電話相談、それからデイケア的来所相談、電子メールによる相談受け付け等を開始するなど、多様な相談に応じていく予定でございます。
 また、区市町村教育委員会にある教育相談に対しましては、都の相談センターが持つ機能を生かしまして、多くの専門職員の指導助言などの積極的な援助を行ってまいります。

○服部委員 今、電子メールというようなお話もありましたけれども、今は確かに子どもたちは、もう電子メールなんていうのは簡単にやっていますし、また、インターネットを通じていろいろメールのやりとりをしたり、そんなことも日常的にやっているわけです。その辺も今度の中に組み込まれるということでありますから、ぜひ活用をしていただきたいと思います。
 いじめとか不登校、あるいは体罰、児童虐待、こういった問題に対する全庁的な取り組みは、既に平成九年度から、いじめ等の問題にかかわる相談事業担当者連絡会を設置しているわけでありますけれども、さらに機能を充実強化することも必要だと思いますので、その辺の対応もお願いいたしたい、そのように思います。
 また、先ほど申し上げましたけれども、区市町村の教育相談も、個別のケースとしては、どうも自分の住んでいる区の教育相談所というのは、確かに周りの目もあるんですね。だから、ちょっと入りづらい。入りづらいな、そのような方がいるのも聞いています。
 ですから、例えば台東区であれば、隣接の文京区、荒川区、墨田区、千代田区とあるわけですから、そういったところと連携し合って、台東区の相談所にちょっと相談に来にくければ、隣の区に行ったっていいんですよ、それは。そのぐらいのことをやっていかなければ。子どもたちのために考える必要があると思う。私は、行政のためにいってるんじゃない。子どもたちのために、やはりそのぐらいのことは必要だと思いますよ。
 それで、そういった隣接の区市町村が相互に連携して、児童や生徒、あるいは保護者、こういった方が区域を超えて教育相談が受けられるようにすることも考えていいのではないかと思うんです。都は、こうしたことに対して積極的にこれから支援して、その中心的な役割を期待したいんですが、見解をお伺いして、終わります。

○斎藤指導部長 都教育委員会といたしましては、区市町村教育委員会が連携し、児童生徒の、あるいは保護者の相談へ迅速かつ効果的に対応することが極めて大切だと思います。区市町村教育委員会の連絡会を開催し、あるいは情報交換の場を設けたりして、お話しのような方向に向けて鋭意努力してまいります。
 ただ、区域を超えた相談につきましては、これは子どもの個人情報の問題もありまして、難しい面もございます。しかし、そういう難しい面も踏まえながら、連携協力できるよう、都が率先して連絡会を設けていきたいと思います。

○くぼた委員 私は、東京都教職員研修センター設置条例に関連して伺います。
 今回の条例提案は、相談センター設置と合わせているわけですから、研修センター設置条例の意味するところは、これまで、都立教育研究所、多摩教育研究所及び総合技術センターで行われてきた、相談事業を除く事業、大きくいって三つあると思うんですけれども、研究、研修、情報収集と提供、この条例によって一本化されるというふうに思っております。
 そこで改めて伺いますが、なぜ、今までの東京都立教育研究所及び東京都立多摩教育研究所設置条例と東京都総合技術教育センター設置条例の二条例を、今回の条例によって一本化する必要があるのか、その点を理由を伺いたい。
 そして、それによって、これまで行ってきた事業の内容とか規模がどのように変わっていくのか、簡単に教えていただきたいと思います。

○小海人事部長 現在、都立教育研究所、多摩教育研究所等でそれぞれが企画実施しているすべての研修を、教員のライフステージに応じて体系化し、効率的、効果的に実施するためには、研究機能、研修機能を一元化する必要があり、そのために教職員研修センターを設置しようとするものでございます。
 教職員研修センターにおきましては、新たに教育管理職候補者研修や主任研修、現職研修Ⅲ部を実施するなど、指定研修を拡充するとともに、専門研修をキャリアアップ研修として再構築して実施をいたします。
 また、研究機能の充実を図り、課題別の調査研究を行うとともに、緊急課題にも対応できる研究体制を整えるなど、今日的な課題にこたえる実践的な研究を行い、その成果を、指定研修や校内研修に活用してまいります。

○くぼた委員 設置条例自体だけ読むと、これまで研究所で行われていた研究、研修、情報の収集と提供、この三本柱は具体的にどうなっていくのかということは、説明もありましたけれども、詳しくつかむことはできないわけです。
 そこで、具体的に少し踏み込んで伺うんですけれども、ことしの四月に、教育庁研修・研究センター(仮称)等基本計画報告書というのが出ております。きょういただいた資料にも、その要約が載っているわけですけれども、ここでセンターの役割として書かれている研修機能と研究機能の部分の内容を実施するのが、この設置条例の研修センターということでいいんでしょうか。

○小海人事部長 教職員研修センターの設置は、ご指摘のとおり、基本計画報告書の趣旨を実現するために実施するものでございます。

○くぼた委員 だから、それで条例が具体的にどうなるのかというのは、この内容を見れば、おぼろげにわかってくるということですよね。そういう意味では、一定程度、これは書かれているわけです。
 今もご答弁もありましたし、この中にも書かれているわけですけれども、研修、研究等の充実を図るということですけれども、それでは、これまでに比べて人員はどうなっていくのか。それから、組織とか体制はどうなっていくのか。強化されるのか、人員増を行うのか、具体的に示していただきたいと思います。

○小海人事部長 人員につきましては、所要人員を要求しているところでございますが、研修につきまして、かなりの充実する部分を考えておりますので、要求人員としては、これまでよりふえるように考えております。

○くぼた委員 研修については充実する、研究についても充実するということですよね。
 この報告書の内容の実施となると、この報告書を読んでみますと、教育情報の収集、提供といった、これまで行ってきた事業がどうなるのかということについては、先ほどいったように、全く触れられていないんですね。この点については、確かに新しい条例案の中には、それに該当する条文が書かれていますけれども、資料収集の意義についてどう考えているのか、書かれていないんだから、ちょっとそれは伺いたいというふうに思いますし、また今後、その事業、資料収集、情報の収集、それから提供、その内容や、それを保障する体制はどうなっていくのか、この点について伺いたいと思います。

○小海人事部長 これまで、都立教育研究所、多摩教育研究所等でそれぞれ教育に関する資料を収集し、区市町村教育委員会や学校、個々の教員に対する情報を提供することによって、教員の資質向上に一定の成果をおさめたと思っております。
 教職員研修センターの設置によりまして、情報収集、提供の窓口が一本化され、インターネット等を積極的に活用することから、情報収集、提供の機能は一層充実すると考えております。

○くぼた委員 その資料の収集とかレファレンスの機能を充実させるということは、今、どのような分野をとってみても強化されていることだと思いますし、必要な情報の所在がすぐにわかって、それを活用できるということは、これからの情報化の時代に当たって非常に重要だというふうに思います。
 今、ネット化というようなこともいわれましたけれども、すべての資料をネット化するわけには、これはなかなかいかないわけですよね。また、もう一つは、デジタルディバイドの問題もありますから、そういった意味では、今それぞれの場所にある、都研、多摩研にある書庫といいますか、閲覧室といいますか、そういう内容をどのように充実させ、使いやすくしていくのかということも当然考えなきゃならない問題だというふうに思います。この点ではどのように考えているんでしょうか。
 また、とりわけ多摩研にあった部分は、これは会場になるわけですね、今度の条例でね。今、ここには文献室というのがあるわけです。このパンフレットを見ますと、文献室には四人の嘱託員が配置されていますけれども、そういった窓口サービスはどのようになっていくんでしょうか。

○小海人事部長 現在、都立教育研究所等の閲覧室や文献室では、図書などの閲覧ができるようになっております。教職員研修センターにおきましても、文献等の一層の整備を図り、コンピューターを活用した検索システムを充実させるなど、利用者の利便性を一層高める考えでございます。
 また、多摩教育研究所の文献室は、引き続き教員等の利用に供するように考えております。

○くぼた委員 ちょっと繰り返してもう一回伺いますけれども、今、多摩の文献室には四人の嘱託員が配置されているということで、今までどおりということになりますと、少なくとも、この文献室に四人の嘱託の配置というのは維持されるんでしょうか。

○小海人事部長 現在の多摩研では、教材のキットの開発だとか更新、そういう業務を行っておりまして、研修センター開設後は、教材キットの利用を含む文献室の利用等を担当させることになりますので、配置数は現在より減るというふうに考えております。

○くぼた委員 教材キットとのかかわりで減ると。それが文献室の充実にどうつながるのかというのは、ちょっと具体的にはよくわからないんです、今お話を伺った範囲では。教材キットのことはまた後で聞きたいと思いますけれども、たとえそうやって配置されたとしても、今まではとにかく常駐体制だったわけですよね。そういう意味では、そういう中で資料が充実していくということもあったというふうに思うんですが、そういう周りからのサポートがなくなるということだから、同じ人員を配置しても、これまでと同じような機能を果たせるかどうか、非常に疑問に思うわけです。つまり、他の地域の先生方が、何か調べたいとか、授業の研究に生かしたいというときに、不便になるんじゃないかということを危惧するわけですね。
 相談機能もそうですけれども、子どもたちをめぐる状況が大変だと、こういうふうにいわれている中で、相談機能と同様に、そういった教育をサポートする整備を後退させるようなことはあってはならないというふうに思います。そういう意味では、それを後退させるということになる、とりわけ、今でさえある多摩格差をさらに広げることになるんじゃないかというふうに思うんですね。
 先ほどお話があった教材キットの件なんですが、これ、何回も今まで論議されてきましたけれども、多摩のこういった問題に関して、東京都市教育長会会長名で、横山教育長あてに要望書が九月四日付で出されているわけです。その中で、多摩研が実施してきたカフェテリア研修を継続、発展させてほしいという項目があるんですね。
 では、このカフェテリア研修及び教材キットの開発というのは今後どうなっていくんでしょうか。

○小海人事部長 多摩教育研究所が現在行っておりますカフェテリア研修は、引き続き教員等が利用できるようにしたいと考えております。
 なお、その後の開発につきましては、現在のところ考えておりません。そのかわり、インターネット等を利用した新しい形態で支援をしていくということが、どういうふうにしたらできるんだろうということを検討しております。

○くぼた委員 だから、何の保障もないわけです。検討していて、開発キットはもうやらないと。そのかわりになるものを検討しているけれども、それは何かということは、今の時点では示せないということなわけですよね。そういうことで審議ができるのかどうかと思いますね。この設置条例が決まったら、皆さん、それに向けて規則をつくって、予算をつけて、来年から実施されるわけでしょう。キットの開発にかわるものを今検討していると。それがはっきりしないで、賛成、反対なんてことは判断できないと思うんですよ。そのことだけじゃないですけれどもね。
 今のお答えによりますと、この要望書によると、まさに多摩地区の教育状況の中で創造されてきたこの研修、今やめるといわれた教材キットの開発が、多摩の教員の資質、能力の向上の重要な研修の機会になっている、このように書かれているわけですよ。
 皆さん、教員の資質、能力の向上は大切だと、こういうふうにいわれているわけですね、今までの論議の中でも。まさに、市の教育長会が、その資質の向上のためにキットの開発というのは重要だったと、そのことの要望なわけですよね。
 先ほどの教育長の答弁だと、そういうのはもう区市町村の仕事なんだから、それぞれのところでやれと、こういう答えになる。だから、やめてしまうということになると思うんですけれども、つまり、そういう論理でいくと、教員の資質向上は、穴があいた部分は、別にやらなくてもいいということになるわけですよね。(「そういうことにはならない」と呼ぶ者あり)先ほどだって、相談のことだって、そういう意味でいっているわけですよ。
 結局、やっぱり何だかんだ充実させるといっても、職員体制は、教材キットやめるから、多分減るんでしょう。で、結局後退させる。多摩の格差はますます拡大されるということになるじゃないですか。少なくとも、あなた方が連携を強めたいという各教育委員会が、そのように要望しているわけです。この点では、市の教育長会からすれば、充実じゃないというふうにいっているわけです。だから、繰り返しいっていますように、充実、拡充といったって、具体的に組織がどうなるのか、体制がどうなるのか、人員がどうなるのかということがなければ、わからないじゃないですか、文章だけの問題で。それが体制的にどう保障されるのかということをはっきり示してもらわないと、わからないわけです。
 そういう意味で、こういう情報がない中で審議をするというのは、非常におかしなことじゃないかというふうに私は思うんですよね。私、この間繰り返し--そりゃ、確かに、これから先、研修センターこういうふうにします、相談センターこうしますと書いてあるけれども、その体制はどうなるのか、組織図がどう変わっていくのかということを再三伺ってきましたが、一切そのことを明らかにしないで、今ちょっと伺ったら、研修機能の拡充があるので、その分ふやすということをいわれたわけです。そういう何というのかな、情報の小出しというかな、全体組織図がどうなるのか、人員がどうなるのか、予算がどうなるのか、もう皆さん方、予算要望されているわけですから、局要望されているわけですから、そのことをなぜ議会に明らかにしないんですか。明らかにしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

○小海人事部長 先ほどもお答えしましたように、所要人員につきましては、ふやすということで局としては要求しております。
 それから、ただいまお話のありましたカフェテリア研修につきましては、これは引き続き実施いたします。ただし、開発につきましては、学習指導要領等が変わりますので、このチャンスに、インターネット等を活用した新しい形態のやり方を検討していこうということを答弁したものでございます。

○くぼた委員 私は、その細かい点を聞いたのではなくて、全体的に研修センターの組織図がどうなっていくのか、予算がどうなっていくのか、人員がどうなっていくのか、そのことがわからないで、幾らこういうふうに書かれてあっても、裏づけがないじゃないですかということをいっているんです。それで議会に、その条例がいいかどうかを判断してもらうというのは、おかしいといっているわけですね。
 教材キットだって、学習指導要領が変わって、新しいものをどんどんつくっていかなきゃいけないから、開発を継続してほしいといっているわけですよ。全然そういうところの意を酌んでない答弁じゃないですか。だから充実じゃないんですよ。
 もう一つ、別の観点から伺いたいと思います。
 これまで条例でうたわれていた科学技術教育の研究、研修、それから産業教育及び情報教育に関する研究、研修、資料収集、これから将来、こういうものが必要だと私は思うんですけどね。そういうことが新しい条例ではうたわれていないわけですよ。報告書の中の研究のところでしか、それは触れられていないんですね。結局、新しい設置条例によって、これらの扱いをこれまでと比べて低めたということなんですか。とすれば、その根拠はどういうところにありますか。

○小海人事部長 まず、ご指摘の科学技術教育や産業教育等に関する研究、研修についてでございますけれども、これは従来どおり実施をいたします。
 それで、今回制定を依頼している条例案の事業に関する規定には、研修センターの事業として科学技術等が載っていないということでございますが、この条例の中身につきましては、包括的に記述したものでございます。

○くぼた委員 包括的に記述したから載せないと。載せたっていいじゃないですか、別に。まさにこれから必要なことなんだから、ちゃんと位置づけるべきだということで、私はいっているわけです。だから、いっているわけですよ。
 そうすると、科学技術、産業及び情報教育の研究、研修、資料収集と活用は今までどおりやっていく、充実させるという今のご答弁だと思うんですけれども、それでは伺います。総合技術教育センターは、条例上は分館として位置づけるということになっておりますけれども、充実させるといわれたんだから、じゃ、その体制はどうなるのか、人員はどうなるのか、これまでと比べてどうなんでしょうか。

○小海人事部長 総合技術教育センター分館として設置をしております。そして、従来どおり生徒実習を行う予定でございまして、そのための体制を整える考えでございます。体制は、これまでと同様に考えております。

○くぼた委員 だから、人員がどうなるのかという、そういう詳しい資料を出してくれないから、一つ一つ聞かなきゃいけない、こういうことになっているんですけれども、報告書の内容や条例上の表記からすれば、やっぱり私は今までより後退するんじゃないかという危惧を覚えます。
 皆さん方は、そういった表記はどうであれ、これまでやってきた内容は変わらないんだ、充実させるんだといっているわけですから、そういったことは、この時点で今、確認をしておきます。
 それでは、今伺った以外の点で、この条例によって、これまで、都研、多摩研、総合技術教育センターでそれぞれ行われていた事業で、内容的に、あるいは組織的、体制的に後退するものは何でしょうか。

○小海人事部長 今回の組織の一元化によりまして、各所で行ってきた事業について、内容についても体制的にも、後退すると考えておりません。

○くぼた委員 それも、そういうふうにいわれたことを確認--この時点で確認するしかないですからね、いわれたということだけを。保障はどうであれ。
 いただいた、研修がどうなっていくのかという資料を見ても、報告書を読んでも、条例名が研究から研修に変わったということを見ても、私、この条例の提案は、これまで教育研究所で行われてきた研究、研修、相談、情報収集とその活用、この四本柱のうち、相談は別の条例になりましたから、別立てとして、研修機能を優先、拡大するものであるということは明らかだと思うんですね。そのようにお答えになったし、そのようにこの中にも書いてあります。
 結局、研修機能を強化した分、その人員を補充する。だから、研究の部分は、拡充するということについては、人員を補充するんですか。研究も研修も拡充するということですから、その点についてはいかがでしょうか。

○小海人事部長 ただいま申し上げましたのは、あくまでも局の要求でございまして、研修部門、研究部門の詳細については、明確にできておりません。

○くぼた委員 明確にできていないということは、拡充するのかどうか、そういう体制的保障があるのかどうかわからないということでしょう。幾らここに充実、拡充と書いたって、その裏づけがないということじゃないですか。
 ちょっと研究について伺いたいと思うんですが、これまで研究所で行われてきた研究の意義を、皆さん方はどのように認識しておられるんでしょうか。

○斎藤指導部長 今日的課題に即した全所的プロジェクト型の研究から、教科等の基礎的研究まで、広範囲の研究を行ってきましたけれども、研究に協力した教員や学校にとっては、新しい教育課題や教育課程に即した有意義な研究となっておりまして、一定の成果をおさめてきたと受けとめております。
 しかしながら、より多くの教員の資質の向上を図るために、広く普及すること、各学校の課題の解決に役立つ実践的な研究、指定研修及び校内研修を支援する研究体制の確立が今後の課題となっております。

○くぼた委員 研究結果をなかなか広く普及できなかったということが課題だというお話でしたし、今日的な課題にもっと対応するように、そういうふうに研究を拡充したいと、内容的にはそういうことで答えられたというふうに思うんですね。
 しかし、それをやられる体制はどうなのかというと、非常にあいまいなご答弁で、恐らく、研修機能が新たな事業が幾つかできて、指導主事が結局そちらの方にとられて、研究の人員は減っていくんじゃないかというふうに思って、ここのところをちょっと伺ったんですけれども、そういうことになりかねないというふうに思うんですね。ただ、それに対してははっきりしたことをいわないわけだから、何ともいえない。だから、この時点で確認できるのは、拡充します、今までと変わることはありません、むしろ充実するんだということしか確認できないわけですよ。
 研究についていいますと、例えば、いじめの研究ということでは、全国的に都研の研究は話題になって、その報告書が全国から引っ張りだこということだったそうですし、昨年の注意欠陥、多動性障害などの児童生徒の指導というこの研究書も、引く手あまたの報告書だったということで、あっという間になくなってしまったそうです。とりわけ、都研における心身障害教育に関する研究はすぐれているという評判も、私伺っております。
 私は、こういった地道な研究が、東京の教育の質の向上に貢献してきたというふうに思うし、その必要性は、報告書があっという間になくなってしまったということに具体的にあらわれていると思うんです。この条例案によって、教育研究の内容や組織、体制、しつこいようですけれども、もう一回伺いますが、どう変わるのか。

○小海人事部長 子どもたちの教育をめぐるさまざまな課題を解決するため、多様な角度から研究を行い、指定研修や校内研修に活用される実践的な研究を行うために、教育課題、学校経営、教育課程の三つの領域で研究を行います。
 その際、教育庁との連携を図り、緊急課題への対応もできる体制をつくります。また、他の教育機関との連携を図り、さまざまな分野の専門家、人材と共同して研究を行うなど、研究方法の改善を図ってまいります。

○くぼた委員 今まで、教育経営や各教科などの専門の研究室体制がありましたけれども、その体制はどうなるのか。今、組織のことについて、あと、人員のことにお答えがなかったけれども……。

○小海人事部長 これまでの専門の研究室の体制でございますけれども、現在の都立教育研究所の場合、各研究室が研修及び研究を行っております。
 教職員研修センターにおきましては、研究部門が一元的に研究を実施する予定でございます。

○くぼた委員 だから、一元的にやっていくということですね。人員の面ではよくわからないけれども、多分これは後退するんじゃないかと思うんです。
 皆さん方がいわれているように、より複雑化した問題とか、新たな現象を抱える今の教育状況からして、私は、研究機能を強化していくということは非常に重要なことじゃないかと思うし、それがやっぱり今の時代の要請だとも思うんです。だから、研究機能を弱体化するというか、縮小するということは、やっぱり逆行していることになるんじゃないかというふうに思うし、それが後退するということになれば、さまざまな問題を科学的に解決する道筋さえも閉ざしてしまうことになるのは明らかじゃないかというふうに思っております。
 研究の内容についていえば、専門の研究室体制を解体して、一くくりの研究部門とするというお答えでした。そういうことからすると、基礎的な研究はしにくい体制になるんじゃないかというふうに思われます。
 その中で、三つの課題とプロジェクト型研究を重視するということですけれども、現状、プロジェクト研究をどうやって進められているのかということをちょっと伺いましたら、それぞれの専門の分野の人たちが集まってプロジェクトチームをつくって、そこで検討された内容を、また各専門の部屋に持ち帰って、それぞれのところでまた検討すると。つまり、プロジェクトチームとそれぞれの専門の分野の検討、相互検討の中で積み上げられていってプロジェクト研究が行われているということでした。
 私は、非常にこれは合理的だし、組織的なやり方だと。その研究所全員の英知がそこに集まっていくということだからね。そういう意味で、組織的に研究が進められているし、継承されていくし、またそれが組織的に蓄積されている、今、そういう仕組みになっているというふうに思うんですね。
 各専門分野の基礎的な研究を解体して、総合的なプロジェクト研究など--私、今までと同じ水準で、そういったものが将来的にできるのかどうか、組織的な面から見て非常に疑問に思うし、もう一つは、研究の成果やノウハウが組織的に蓄積されていくことになるのかどうか、その辺も非常に疑問なんです。
 そう思うのは、報告書の中では、新しい研究の手法として、研究の委託や臨時スタッフの招聘など、外部から人を入れる、このように書かれています。入れちゃいけないということをいうつもりはありませんが、これは、内部の職員の研究中心という形から、そういうふうに移していくということが書かれていますけれども、研究分野の人が減るから、外部から人を入れるのか、委託や、そういう研究をふやしていくのか、そういう意味合いなんでしょうか。

○小海人事部長 まず、研究体制のことで、これまで、研修と研究を、例えば一人の人が両方を担当していたんですね。それを今度は、研究部門について専門の、一元的にというのは、研究だけをやる人を、研究と研修を分けるという意味の体制をやりたいというふうに考えております。
 そうした中で、研究だけをやるところで、専門家だとか人材を呼んでくるという意味では、決して後退するというふうには考えておりません。

○くぼた委員 今伺った意味は……(「何遍も同じようなことを答弁させるなよ」と呼ぶ者あり)同じことじゃないですよ。よく聞いていてください。今伺った意味は、そういう研究部門の人が減った分、そうやって外部から穴埋めするのかということなんですけれども、その点についてはどうなんですか。

○小海人事部長 まだ所要人員がわかりませんので、そこら辺についてはわかりません。

○くぼた委員 結局、自分たちにとってもわからないんだよね。
 さらに、その基本計画報告書の中には、先ほどもちょっと答弁がありましたけれども、都の教育課題や国の動向、都民のニーズに応じた教育施策を反映することを目的として研究の課題の基本方針を策定するということで、今までと比べて、研究のテーマに一定の枠組みをはめるというような方向が出されています。
 これまではそういった枠組みはなくて、テーマを選定してきたやり方、それぞれの専門分野でテーマをつくったり、やってきたらしいですけれども、それがやっぱり変わっていくというふうに思うんですね。
 教育基本法の二条の中で、教育の目的を達成するためには、学問の自由を尊重し、自発的精神を養い云々かんぬんと書かれていますけれども、こういうことに照らしても、一種のこういうたがをはめるということは、研究にとっても後退になるんじゃないかというふうに思います。
 複雑化した問題や、新たな現象を抱える今の教育現場の問題解決に本当に役立つ研究テーマが選定されることになるのか、また、必要で地道な基礎研究がないがしろにされてしまうのではないか、こういう危惧を覚えるわけであります。
 つまり、私がいいたいのは、研究の充実を図るというふうにいっておられますけれども、こうして見てくると、はっきりしたご答弁もないし、内容的にも組織的にも、充実どころかやっぱり後退じゃないかと思うし、研究の面から東京の教育の質を向上させていこう、さまざまな問題の解決を図っていこうという姿勢や体制を投げ捨てるんじゃないかというふうに思われます。
 それでは、そこまでして拡充する研修というのは一体どのようなものなのか。法律では、教員の研修はどのように位置づけられているでしょうか。また、研修に対する任命権者はどのように位置づけられているのか。一般公務員と比べた場合、それらの違い、特徴は何でしょうか。

○小海人事部長 一般の公務員の研修につきましては、地方公務員法第三十九条におきまして、「その勤務能率の発揮及び増進のために、研修を受ける機会が与えられなければならない。」とし、その研修は「任命権者が行うもの」としているものでございます。
 一方、教員の研修につきましては、教育公務員特例法第十九条によりまして、「絶えず研究と修養に努めなければならない。」と規定されており、教員に対しては、勤務時間の内外を問わず、研究、研修に努める努力義務が課せられているのが特徴でございます。
 また、教育公務員の任命権者につきましては、教育公務員特例法第十九条の二項において、研修に要する施設、研修を奨励するための方途その他研修に関する計画を樹立し、その実施に努めなければならないという義務が課せられているところに特徴がございます。

○くぼた委員 今お答えがあったように、教育公務員と一般の公務員とは、研修の位置づけが違うわけですよね。つまり、教員の方は、一人一人の子どもに行き届いた教育、よくわかる授業を進めるために、高い使命感が求められている。そのことは、今ちょっと十九条の冒頭の部分をお飛ばしになりましたけれども、「教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならない。」と書かれているところから読み取ることができるわけですよね。
 そうやって、自主的な専門の研修と修養が必要不可欠であるということ。教育行政は、そのために、機会の確保とか条件整備が義務づけられているわけです。この点で、一般公務員の研修は任命権者が行うものとするというところと違っているわけです。その違い、なぜそのような違いがあるんでしょうか。

○小海人事部長 教育公務員、とりわけ教員は、学校の場で直接児童生徒に相対し、教育指導を行う職務でございます。その職務の特性から、常に自己研さんが必要でございます。
 したがって、先ほどお答えしましたように、地方公務員法が任命権者に対する研修機会設定義務のみを規定しているのに対し、教育公務員特例法においては、教育公務員自身に対し研修義務を課しているものでございます。

○くぼた委員 その違いは、教育基本法十条、「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである。」このように書かれているわけですね。これがどうしてこういうふうに書かれているかというと、過去の反省の上に立って、教育の自主性が、民主主義教育においてはなくてはならないものだというふうに考えられているわけです。だから、教員は自主的に研修をしなきゃならないというふうになっている。それで任命権者は、その条件整備、時間の確保、保障ということになっているわけで、ここに大きな違いがある根拠があるわけであります。
 この趣旨からすると、指定研修をこうやって拡充していくということは、これまでに比べて、教員の研修を一般公務員の研修のあり方に近づけるということじゃないでしょうか。まさに、そうやって法の趣旨に逆行する方向じゃないでしょうか。いかがでしょう。

○小海人事部長 指定研修を拡充するということは、私どもとしては、教員のライフステージに応じた研修を充実するということでございます。

○くぼた委員 そうはおっしゃっても、指定研修、強制的な研修をふやすわけですから、この法の趣旨からすれば明らかに逆行です。それをしゃにむにやろうというのは、結局、戦前の反省の上に立っているのかどうかという、そういう認識が私は怪しいと思うんですね。権力的に拘束力を振りかざすということだと。しかも、子どもと直接かかわる研修ではなくて、学校管理体制強化に向けての研修を拡充しようとしている方向ですよね、この中に書かれているのは。まさに、時の権力の支配、こういったものに屈しつつある姿をあらわにしているというふうにいわれても仕方がないと思います。教育基本法に立ち戻って姿勢を改めるべきじゃないかというふうに思っております。
 ところで、今、現場の先生が授業などに対して一番望んでいることは何だと思いますか。

○斎藤指導部長 自分の預かる児童生徒に対して適切な指導を行いたいということだと思います。

○くぼた委員 そういうことだと思いますね。
 七年前のちょっと古い調査ですけれども、労働科学研究所というところが教員に関してアンケート調査をした結果があるんですね。ゆとりがあればもっとやりたいことというふうに先生に聞いたら、六割前後の教員が、授業の準備、事後処理、子どもたちとの触れ合い指導、自主的な研修、研究というふうに答えているんです。より子どもたちにわかりやすい授業をしたいと。だけど、そういう時間がなかなかとれない。子どもたちとの触れ合いをやりたいなんて、こういうことをおっしゃっているわけです。できればもっと減らしてほしいこと、このトップは実務処理です。次に、官製研修というふうに答えておられます。
 先生方が、少しでも子どもたちに直接かかわって、教育の仕事をよりよくしようとしている、そのことを最も望んでいるということが、ここに鮮明にあらわれているというふうに思います。そういう認識では一致していると思うんですよね。
 今、いじめや不登校を初め、子どもたちをめぐるさまざまな問題を解きほぐしていくために必要なのは、こういう指定研修を強化して、管理強化で一層先生をがんじがらめにすることじゃないというふうに思うんですね。子どもたちとの自由な触れ合いを、これまで以上に少なくすることではないというふうに思うんです。
 先生の多忙さを解消して、具体的な子どもとのかかわり合いの中や、先生同士、同僚としての批判や、そういった創造を通じて、先生としての力をつけていく環境を整えていく。一人一人の子どもを大切にする教育、そのために、主体的に研修、研究できる場と時間を保障すること、そのために必要な有益な情報を迅速に提供することだというふうに思います。
 そういう点で、今回の条例提案は、そういった方向とは逆に、これまで都が果たしてきた教育に関する研究とか、情報収集とか、その活用といった、現場に生かされてきた役割さえも著しく後方に押しやる一方で、人事考課制度の導入と相まって、教職員の管理統制の強化をする方向での指定研修など、そういった研修を肥大化させるものにほかならないと思います。その点で、これまで都の研究所が培ってきた成果や、果たしてきた役割の重大な変更、変質になると思います。
 先ほど、条例提案は学校の教育力の回復、さまざまな問題解決のためなどといわれたわけですけれども、私、これでは、今まで以上に子どもたちをないがしろにして、教育現場での問題解決をますます困難にさせる、そういう体制づくりだということは明らかだというふうに思います。そのことを指摘しまして、質問を終わります。

○織田委員 時間もかなり経過しておりますので、簡潔に伺いたいと思います。
 平成十二年度一般会計補正予算案に、三宅島の小中高七校が秋川高校に設置をされまして、その所要の経費が計上されているわけでございます。これに関連して--、秋川高校におられる小中高の児童生徒さんにとっては、まさに突発的な事態で、大変な事態ではあるけれども、私は決して不幸な事態ではないと、また、そうさせてはならないというふうに思っております。
 子どもさんのその経験というものは、そういうものを経ながら、人生においてかけがえのない経験にもなっていくわけでありますし、そういった観点からいいますと、この大変な事態に、東京都としても全力を挙げて応援をしていくということが大変大事になってくるだろうと思います。
 そこで、それに関連をしまして、私は、三宅高校の入学選抜についてどのようにお考えになっているのかということを端的にお伺いしたいと思います。
 まず第一に、三宅島から避難島民がたくさんいらっしゃるわけでございます。いただいた資料によりますと、定数が中学校の場合百十八。三学年ですから、それの三分の一程度ということになるわけでございますが、こうした方々が三宅高校を受検する場合の応募資格、これはどのようになっているのか、端的にお伺いします。

○若林学務部長 三宅高校の受検の応募資格でございますけれども、まず一点が、秋川高校に設置されてございます三宅村立中学校の卒業見込みの方。二点といたしましては、御蔵島に住所のある中学校の卒業見込みの者、あるいは卒業者でも結構です。それから三点目が、三宅島から避難をしている者で、三宅村立中学校あるいは三宅村立中学校以外の中学校の卒業者。四点目は、三宅島から避難をしておりまして、三宅の中学校以外の中学校に通学している者で卒業見込みの者。四点ほど考えてございます。

○織田委員 それが三宅島関連の方々の全数であろうかと思うんです。御蔵島の方々も、入学をするということになれば、秋川に来て全寮制の高校に入る、こういうような形になるんだろうと思うんです。現在でも、東京都外あるいは東京都内の転学者が十三人ほどいらっしゃるというふうにお伺いしているわけでありますが、そういう方々も三宅高校を受検することができる。あるいはまた、今、三宅高校を受検する以外に、保護者のところから通学する場合は、他の近くの、また自分に合った適切な高校を受検することは可能なんでしょうか。

○若林学務部長 ただいま、三宅中学以外の中学に通学して卒業見込みの方も三宅高校の受検資格がありますということを申し上げました。
 もう一点は、三宅高校以外の高校を受検する場合、これは、保護者の避難先となっているところで、四月の入学日以降も引き続き居住するところから通学する場合につきましては、その住所を自学区として、三宅高校以外の都立高校を受検する。両方受けられるということでございます。

○織田委員 長期化するというのは、どこまで長期化するか、だれにも今わからない状況でございますけれども、帰島できるという状況になった場合に、いろんなケースが出てくるんだろうと思います。
 生活のこともありますから、他のところに親御さんが行って、そこで生活の本拠を変えてしまったというようなケースも出てまいりますでしょうし、そうなったときに、ご両親たちは三宅には帰らないという選択をされる、それで、そのお子さんが三宅高校に通っているという、そんなケースも出てまいります。あるいは逆に、都内の違う高校に進学をされた。それで島に帰れる状況がやってきた。そのときに、ご両親は帰ってしまって、親戚のおうちだとか、そういったところにいる可能性も出てくるわけでございます。
 帰島がいつできるかわかりませんけれども、帰島できることになったときに、三宅高校以外に在籍している形の人は、一体どういうような選択ができるのか。もし本人が希望するならば、両親と一緒に三宅に帰る、三宅で三宅高校に転校することがスムーズにできるような、そういう体制を考えていかなきゃならないと思うんですが、この点についてはどのようにお考えなんでしょうか。

○若林学務部長 一日も早く帰島できるということになればよろしいと思いますし、帰島できるような状況になりました段階におきましては、希望によりまして、随時、三宅高校に転校できるような手続をしていきたいというふうに考えてございます。

○織田委員 それは、特例措置でそういうことをやるということになりますか。

○若林学務部長 通常も今、補欠募集等で転学、転入等の手続はしてございますけれども、三宅の場合につきましては、これは特別に適宜やらせていただきたいと考えてございます。

○織田委員 将来がわからないので、いろんな面で選択をしていく場合に困ることができるので、できる限りこうした措置を、親御さんにも、また本人にもきちんと徹底をされているんだろうと思うんですが、今、この辺についてはどのような状況にありますでしょうか。きちんと徹底をされてはいると思いますけれども、その辺のところ。

○若林学務部長 校長会等で説明をしてございますし、また、今月の初めに保護者会等がありましたので、そういう場で徹底をいたしたところでございます。

○織田委員 こういうことは、将来の不安というのは一番大きな問題になりますので、それが起こらないように、ぜひその辺のところをクリアにして、今後も取り組んでいただければありがたいというふうに思います。
 同時に、今、三宅のお子さんたちについて、当委員会でも視察をするということになっていますので、十分見て、お話を伺ってまいりたいというふうに思っているわけですけれども、新聞報道によりますと、もう限界であるとか、いろんな報道がされております。
 先ほどもありましたけれども、ケアをするスタッフを派遣していただいて、手を打っていただいているわけでありますけれども、これが長期化をしていく、あるいはまた、寄宿舎という中での生活ということになってまいりますと、今後も相当のプレッシャーなり何なりが出てくると思います。あるいはまた、集団生活でありますから、適した人、適してない人が出てくるでありましょうし、今は四カ月程度経過してきているわけですけれども、これからそれが進んでいきますと、今まで耐えてこられた人も、何らかの形で不調を訴えられるというようなケースも出てまいります。
 そういった中で、この対策というのを万全にしていかなければならないと思うんですが、このあたりについてはどのようなお考えでしょうか。

○桜井体育部長 集団生活を続けております三宅島の児童生徒の問題でございますが、まず健康管理の問題につきまして、学校では、保健室を中心に、夜間の寮体制に保母や看護婦を加えるなど、新たな工夫を重ねながら対応しているところでございます。
 また、都教育委員会は、避難開始以来現在まで、養護教諭を通しまして、定期的に児童生徒の健康状態の報告を受けまして、必要に応じて、看護婦、保健婦、医師の派遣を続けているところでございます。
 また、十月に児童生徒の臨時健康診断を行いましたが、その結果に基づきまして、地域の医療機関の協力を得まして必要な治療が行われており、さらに、集団生活で懸念されておりますインフルエンザにつきましても、予防接種を実施するなどの対応をしてまいったところでございます。
 次いで、特に精神面、心のケアの問題についてでございますが、子どもの話し相手、遊び相手といたしまして、数名の学生アドバイザリースタッフを毎日派遣するとともに、専門家アドバイザリースタッフや臨床心理士のボランティアを週五回程度派遣いたしまして、児童生徒だけではなくて、保護者や教職員にも相談に応じているところでございます。
 長期化に伴いまして、精神的な不安定から特に行動への変化等があらわれたときには、そのサインを見逃すことなく、できるだけ早く早期ケアにつなげられますように、精神科医の相談体制も充実させているところでございます。
 今後とも、児童生徒一人一人の状態に応じまして、三宅村教育委員会、学校、そして衛生局など関係機関とも連携を図りまして、さらにきめ細かい対策を図っていく所存でございます。

○織田委員 今聞いておりまして、大変安心をしたところではあります。しかしながら、三宅の村教委の方が、やはり集団生活を続けていくという、その方針をほぼ考えているようでございますけれども、それに対して、そうではないと。例えば、子どもを引き取りたいというような形で親御さんからの要望が一方で出ているというようなこともありますし、それぞれ意見がばらばらであろうかと思うんですけれども、特に小学校の低学年というのは、その辺のところの影響が非常に大きく出てくると思うんです。
 そこで、今の段階では、集団生活を続けるという意見が強いようなんですけれども、都の教育庁としては、この辺のところを、ちょっと通告してないのであれなんですけれども、どのように掌握をされておりますか。
 そして、小中については設置者が村ですので、村の教育委員会がその辺のところをお決めになった場合に、もし集団生活を続けるよといった場合に、東京都として、さっきいった手厚い、いわゆるケアの体制をしいていただいているわけなんですけれども、それでもなお、私はもう限界だから、今の地元というか、住んでいるところの小学校に変えますよといった場合の、その辺の体制といいますか、基本的な考え方、もしおありになれば、お答えいただければありがたいというふうに思うんです。

○若林学務部長 寮内での生活の状況、あるいは校外、秋川高校から転出をされる状況、これらについては、行政連絡会等を週三回ほど、村と高校と都教委の方と一緒になりまして連絡会を設けていまして、その都度、情報交換をやりまして、種々状況の把握をしてございます。
 中学校、高校につきましては、ほぼ安定して、当初からの状況でずっと推移してきてございますけれども、小学校につきましては、約半分ほど、もう保護者のもとで生活をしている。あそこに当初入寮された方から、小学校の低学年を中心として、大分出られた方が多くなっているということでございます。
 そういう状況の中で、やはり島外避難の長期化ということを十分視野に入れまして、秋川高校の寮での集団生活を続ける児童生徒を初めといたしまして、転学する児童生徒、いずれもが安心して学校生活を送ることができるように、三宅村教育委員会と私どもの方の相互連携を十分に図りながら、支援すべきものにつきましては最大限バックアップを図りながら、教育活動の継続について万全を期してまいりたいと考えてございます。

○織田委員 終わります。

○村松委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、ご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○村松委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時二十分散会

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