文教委員会速記録第十九号

平成十二年十一月二十一日(火曜日)
午後一時五分開議
 出席委員 十三名
委員長村松みえ子君
副委員長羽曽部 力君
副委員長大河原雅子君
理事服部ゆくお君
理事くぼた 光君
理事石川 芳昭君
織田 拓郎君
田代ひろし君
田中 智子君
田中  良君
井口 秀男君
桜井  武君
小林 正則君

 欠席委員 なし

 出席説明員
教育庁教育長横山 洋吉君
次長鎌形 満征君
総務部長加島 俊雄君
学務部長若林 尚夫君
施設部長神山 隆吉君
人事部長小海 博指君
福利厚生部長小島 郁夫君
指導部長斎藤 尚也君
生涯学習部長嶋津 隆文君
体育部長桜井 武男君
同和教育担当部長幡本  裕君
人事企画担当部長臼井  勇君
都立高校改革推進担当部長山際 成一君
参事佐藤  広君

本日の会議に付した事件
 教育庁関係
  事務事業について(質疑)
  報告事項(質疑)
  ・国立市立学校教育改善検討委員会報告等について

○村松委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の事務事業及び報告事項に対する質疑を行います。
 これより教育庁関係に入ります。
 事務事業及び報告事項に対する質疑を行います。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明をお願いいたします。

○加島総務部長 過日の委員会でご要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の文教委員会資料の目次をお開き願います。
 今回ご要求のございました資料は、1の都内公立小中学校におけるいじめの発生件数の推移から、次のページの32、教育庁所管の東京都監理団体の総支出額及び都の支出状況までの三十二件でございます。
 それでは、一ページをお願いいたします。1、都内公立小中学校におけるいじめの発生件数の推移、過去五年間でございます。
 文部省の調査資料によりまして、平成七年度から十一年度におけるいじめの発生件数を、小中学校別にお示ししてございます。
 二ページをごらん願います。2、都内公立小中学校における不登校児童生徒数の推移、過去五年間でございます。
 学校基本調査によりまして、平成七年度から十一年度における不登校の児童生徒数をお示ししてございます。
 三ページは、3、都内公立小中学校における暴力行為の発生件数の推移、過去三年間でございます。
 文部省の調査資料によりまして、平成九年度から十一年度における暴力行為の発生件数を、教師に対する暴力、生徒間の暴力等に区分し、小中学校別にお示ししてございます。
 四ページをごらん願います。4、都立高校における中途退学者数の推移、過去五年間でございます。
 平成七年度から十一年度における都立高校の中途退学者数について、学科別の全日制と定時制に区分し、お示ししてございます。
 五ページは、5、スクールカウンセラーの配置校数の推移、過去五年間でございます。
 平成八年度から十二年度までの各年度のスクールカウンセラーの配置状況について、文部省の委託事業による、小、中、高校別の配置校数及び、都の単独事業として配置している校数をお示ししてございます。
 また、注意書きの1にございますように、スクールカウンセラーの勤務は、年間三十五週にわたって、週一回八時間または週二回四時間としております。
 六ページをごらん願います。6、道徳教育の実態でございます。
 (1)に道徳の時間の指導内容について、自分自身に関すること、他人とのかかわりに関すること等の項目に区分し、小中学校別に主な内容をお示ししてございます。
 また、高等学校については、学習指導要領に基づく指導状況をお示ししてございます。
 (2)は、道徳に関する平均授業時数について、小中学校別に平成九年度から十一年度までの状況をお示ししてございます。
 なお、高等学校については、学習指導要領上、道徳の時間について具体的な時数が示されていないところでございます。
 七ページは、7、現行学習指導要領に示されている性に関する内容一覧でございます。
 学習指導要領に示されている性に関する内容について、小、中、高等学校別及び各教科、道徳、特別活動別にお示ししてございます。
 八ページをごらん願います。8、三十人学級の実施に必要な経費等、学年進行方式でございます。
 三十人学級を実施した場合について、十三年度を始点とした学年の進行による必要経費等を、現行の四十人学級を維持した場合と比較して、小、中、高等学校別にお示ししてございます。
 九ページ上段は、9、平成十一年度義務教育費等国庫負担金平均単価でございます。
 平成十一年度追加交付申請ベースによる義務教育費等国庫負担金の平均単価について、小、中、盲、聾学校及び養護学校別にお示ししてございます。
 次に、下段、10は、平成十二年度新規採用教諭の平均年齢及び平均人件費でございます。
 本年四月一日に採用された教諭について、各学校種別に、平均年齢及び平均人件費をお示ししてございます。
 一〇ページをごらん願います。11、都内公立学校教員の採用状況でございます。
 都内公立学校の教諭及び養護教諭の採用について、各学校種別に、平成二年度から十二年度にわたる各年度の状況をお示ししてございます。
 一一ページは、12、児童生徒数の増減に伴う教員採用見込み数、平成十三年度から二十二年度でございます。
 今後の児童生徒数の増減により必要な学級数に基づく教員数に対し、退職者数を差し引いた数を、採用見込み数として、平成十三年度から二十二年度までお示ししてございます。
 一二ページをごらん願います。13、小中学校図書室への専任職員の配置状況、区市町村別でございます。
 図書室への専任職員の配置について、本年十月現在の状況により、(1)に配置している区市を、(2)に配置している場合の職員の名称を、(3)に配置している場合の人数を、それぞれ区市別にお示ししてございます。また、(4)には、今後配置を予定している市をお示ししてございます。
 一三ページは、14、平成十二年度東京都教科用図書選定審議会委員名簿でございます。
 平成十二年度東京都教科用図書選定審議会委員について、学校関係者、教委関係者及び学識経験者の区分により、氏名及び現職をお示ししてございます。
 一四ページをごらん願います。15、平成十二年度心身障害教育教科書調査員名簿でございます。
 平成十二年度心身障害教育教科書調査員について、教科の区分により、氏名及び勤務先をお示ししてございます。
 一五ページは、16、都立高校運営費標準の概要、額等の推移、過去五カ年間でございます。
 都立高校運営費標準について、(1)に概要を、(2)に、平成八年度から十二年度までの必修クラブの内訳経費を含む額の推移をお示ししてございます。(3)は部活動に係る費用の推移、(4)に、全日制の一人当たりの生徒会費の推移について、それぞれ平成八年度から十二年度までの状況をお示ししてございます。
 一六ページをごらん願います。17、PCB関連の保管状況でございます。
 PCB入り使用電気機器について、(1)に、事業所、学校等別の保管箇所数を、(2)に、電気室・変電室、倉庫等別の保管場所を、(3)に機器別の保管量を、平成十一年七月一日の状況としてお示ししてございます。
 一七ページは、18、都立学校におけるごみ等の処理状況でございます。
 (1)に、都立学校のごみ減量マニュアルの周知以降のごみの状況についてお示ししてございます。〔1〕はごみの排出量について、〔2〕はごみ処理経費について、それぞれ平成十年度及び十一年度の実績をお示ししてございます。また、〔3〕には、ごみの品目と処理方法をお示ししてございます。
 (2)は、都立学校の剪定樹木、落ち葉の処理状況をお示ししてございます。
 一八ページをごらん願います。19、都立学校の校庭等における農薬散布の状況でございます。
 (1)に、使用した殺虫剤について、(2)に、農薬の使用について、それぞれ散布等の状況及び薬剤等の別にお示ししてございます。
 一九ページは、20、医療費、死亡・障害見舞金の給付状況、過去五年間でございます。
 (1)に、負傷、疾病による医療費及び障害、死亡の見舞金の給付状況を、(2)に、障害種別による状況を、(3)に、死因別の死亡件数を、それぞれ平成七年度から十一年度まで年度ごとにお示ししてございます。
 二〇ページをごらん願います。21、夜間定時制学校給食の改善に対する取り組み状況でございます。
 都立高校における夜間定時制の学校給食の改善について、調理業務の民間委託、都単独の給食費補助金及び学校給食の運営改善の項目別に、取り組み期間及び改善内容をお示ししてございます。
 二一ページは、22、都立高校改革推進計画・第二次実施計画基本計画検討委員会中間のまとめの説明会の実施状況でございます。
 計画の学校別に、日時、開催場所、参加者数及び説明会の状況を、二二ページ、二三ページにかけてお示ししてございます。
 二四ページをごらん願います。23、都立高校改革推進計画の進捗状況、統合、改編関係でございます。
 計画の学校別に、開校年度及び計画の進捗状況を、二四ページに第一次実施計画について、次ページに第二次実施計画についてお示ししてございます。
 二六ページをごらん願います。24、都立養護学校のスクールバスの平均乗車時間、最長乗車時間及び時間区分ごとの割合でございます。
 都立養護学校のスクールバスについて、肢体不自由児及び知的障害児別に、(1)に平均乗車時間及び最長乗車時間を、(2)に時間区分ごとの割合をお示ししてございます。
 二七ページは、25、重度重複学級児童生徒措置率の主な他府県との比較でございます。
 東京都及び指定都市を有する道府県並びに関東近県における学校種別ごとの措置率について、二七ページに盲・聾学校を、次の二八ページに肢体不自由、知的障害別の養護学校の状況をお示ししてございます。
 二九ページは、26、都立養護学校における教室の不足状況でございます。
 教室の不足及び必要教室数を超えて保有している状況について、肢体不自由校及び知的障害校別に、学校数及び過不足教室数をお示ししてございます。
 三〇ページをごらん願います。27、国立市立学校の教育の正常化に向けた取り組みでございます。
 (1)に、都教育委員会の対応として、国立市への指導及び他の区市町村への指導について、それぞれ時系列にお示ししてございます。また、(2)に、国立市教育委員会の対応をお示ししてございます。
 三一ページは、28、学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例、同施行規則の解釈運用に関する了解事項でございます。
 昭和三十九年一月四日に、東京都教育委員会人事部長及び東京都教職員組合執行副委員長等により了解された内容についてお示ししてございます。
 三二ページをごらん願います。29、長期研修生の研修の状況等でございます。
 (1)は、平成十一年度及び十二年度における研修内容及び研修報告等の状況についてお示ししてございます。
 次ページの(2)は、給与及び各種手当の支払い状況をお示ししてございます。
 三五ページをごらん願います。30、地方自治法改正、地教行法第五十九条廃止後の区市町村教育委員会と都教育委員会の主な役割でございます。
 学校の設置、県費負担職員の任用等、教育課程の編成・届け出、教科書の項目に区分し、区市町村教育委員会及び東京都教育委員会の役割についてお示ししてございます。
 三七ページをごらん願います。31、都立の大学の改革に係る検討状況でございます。
 本年八月一日に、知事が教育長に大学改革に関することの補助執行を命じてからの検討状況等をお示ししてございます。
 三八ページをごらん願います。32、教育庁所管の東京都監理団体の総支出額及び都の支出状況、過去五年間でございます。
 財団法人東京都生涯学習文化財団、財団法人東京都交響楽団及び財団法人東京都体育協会における総支出額及び都からの補助金並びに委託料について、平成七年度から十一年度の状況をお示ししてございます。
 以上、簡単でございますが、ご要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。

○村松委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、事務事業及び報告事項に対する質疑を一括して行います。
 発言をお願いいたします。

○田代委員 まず最初に、足立区の養護学校についてお伺いしたいと思います。
 せんだっても、なかなか前向きなご答弁はいただいたんですけれども、その後の経過がどうなっているか。足立養護学校花畑分校の教育環境の改善について、経過についてご報告いただきたいと思います。

○若林学務部長 足立養護花畑分校の教育環境の改善につきましてでございますけれども、平成十四年度に、現在の足立養護学校本校の施設へ移転するということで解決を図ってまいりたいというふうに考えてございます。
 一方、綾瀬ろう学校と足立ろう学校の二校につきまして、現在、綾瀬ろう学校の校地におきまして統合する方向で、新年度の教育予算の見積もりの中に、綾瀬ろう学校校舎の改築のための基本設計の予算をお願いしているところでございます。
 したがいまして、足立ろう学校の移転後、その施設に足立養護学校の本校を移転しまして、また、花畑分校につきましては、足立養護学校の本校の施設に、それぞれ十四年度当初に移転する計画で問題解決を図っていきたいというように考えてございます。
 現在、予算の確保に向けまして鋭意努力をしているところでございます。

○田代委員 ご努力いただいているわけですが、やはり平成十四年、皆さん待たなくちゃならない。これは一刻も猶予のない問題ですので、ぜひとも誠意を持って当たっていただきたいと思います。
 続きまして、夜間の定時制学校の給食の改善、今、計画されておりますけど、この点について、まず、内容をお教えいただきたいと思います。

○桜井体育部長 今回計画している夜間定時制の学校給食の改善のことについてのお答えでございます。
 現在、夜間定時制学校給食の運営につきましては、調理業務につきましては民間に委託しております。しかし、それぞれの学校ごとに調理をしているのが現状でございます。しかし、生徒数の減少に伴いまして、給食調理数の小規模化等によりまして、コスト増が見られているところでございます。このような実情をかんがみながら、効率的かつ合理的な運営を図るために、親子方式という方式を導入するものでございます。
 具体的に申しますと、二百食程度としてまとめまして、三つないし四つの学校を一つのグループといたしまして、親となる調理校から、子どもとなるグループ内の受配校に配送する計画でございます。

○田代委員 それでは、その学校給食改善の理由、そして目的というのは何でしょうか。

○桜井体育部長 まず、第一には、親子方式の導入によりまして、調理業務の委託経費あるいは運営費、栄養士さんの人件費等の経費節減につながることと、効率化を図るものでございまして、およそ経費で四割程度の減を見込んでございます。
 また、今回、予約申込制を採用する予定でございます。あわせて、複数メニュー化を導入することによりまして、生徒の利便性あるいは食の多様化にも対応しようとしているところでございます。

○田代委員 経費が削減できる、これは必要なことかもしれませんけど、予約申込制ということになりますと、急に学校に行って、勉強して、食事もしたいというときに、なかなかそれがうまくいかないと思うんですけれども、この親子方式を導入した場合の長所と短所、これを比べて、どういうものがあるかをお伺いしたいと思います。

○桜井体育部長 まず、長所でございますが、調理校で一定の規模の調理をすることによりまして、ただいま申し上げたような設備費、人件費あるいは委託費等の経費節減が図られます。
 また、短所といたしましては、十分な設備に配慮しないで配送いたしますと、温かい給食が冷めるなどの問題が生じてまいります。このような問題に対しましては、衛生管理、特に保温管理など十分配慮して、適温配膳に努める予定でございます。

○田代委員 それはわかるんですけど、やはり急に食事といったときに、どうなるか、こういうものもきちっと改善していただかないと、予約をしなかった人は食べられないということになれば、せっかく行こうと思っても、そのとき、どうしようかなということになっちゃうわけですね。
 ですから、予約方式というものが決して間違っているとは思いませんけれども、それでもうしっかりとスタイルを決めてしまいますと、若干、生徒さんの中から、食事に対しての不満ですとか、学校に行こうという希望の一つが、もしかすると、おいしいもの、温かいものが食べられるということもあるかもしれませんので、そういうものは無視していいものではないと僕は思うんですね。いつ行っても、だれでも食べられるというのも変な話だと思いますけれども、若干余裕があるような予約方式をお考えいただけたらありがたいと思います。
 もう一つ、今までもよくあったんですけれども、調理師の人ですとか、あるいは配膳のおばさんたちと生徒さんたちがよく語らって、いわゆる触れ合いというんですか、場合によっては人生相談もする。そこで大人と話すことが、一つ子どもたちの教育の場にもなっているという話もよく聞くんですが、今度は、そういうことはなくなってしまうわけですね。そういう点については、何かお考えありますでしょうか。

○桜井体育部長 まず、予約制度の問題につきましてですが、確かに食の問題につきましては、定時制の生徒さんにとっては相当重要な問題だろうと思っております。自己管理あるいは自己責任のもとに実施するということを原則といたしますが、余りにも厳しい制約の中でやるというのはいかがなものかと、私どもは思っておりまして、各学校の実情をできるだけ踏まえながら、ある程度の弾力性は持たせたいと思っております。
 それから、栄養士さんとのお話の場面がなくなるかどうかというお話でございますが、親子方式の採用に当たりましては、栄養士の巡回指導を行ってまいりまして、食を通じた教員の適切な指導もあわせて行いたいと思っております。
 生涯を通じた望ましい食生活、食習慣、それらを形成する、あるいは、明るい社会性を育成してまいりたいと考えている次第でございます。

○田代委員 そのとおりで、たかだか食事じゃないか、食べるだけじゃないかという問題ではないと僕は思うんですね。好んで定時制の高校に行くという、本当はそういうことがあってもいいと僕は思うんですけど、やむを得ず行くという方も中にいらっしゃるわけですから、当然、その健康管理という意味で、あるいは、栄養士の人なんかと話して、大人になるときの自分の体の栄養のバランスについて情報を得るなんということは、とてもプラスになることだと思いますので、その点はしっかりとお考えいただいて、制度を変えて経費が削減されただけ、それでいいという問題ではないということをご留意いただきたいと思います。
 結論的に、この改善をするに当たって、それ以外にご心配になるような問題点というのは何かありますでしょうか。

○桜井体育部長 今回の親子方式によりますと、食を調理する学校と、受配する、受ける側の学校の問題があります。これについては、特に車による配送中の問題が考えられるかと思います。特に、車の故障、あるいは大規模な交通事故等によりまして、給食のおくれ、さらには給食の休止等、まれではございますが、心配されるところでございます。これにつきましては、今後、危機対策マニュアルを作成いたしまして、十分対応してまいりたいと思っております。

○田代委員 確かに、一回の食事でも抜かれれば、学生さんたちにとっては、栄養学的にもバランスが非常に偏ることになっちゃうわけですから、危機マニュアルはしっかりとつくっていただいて、この改善がいい改善に結びつくような方向性で進めていただきたいと思います。
 続いて、新学習指導要領についてお尋ねしますけれども、いよいよ導入される新しい学習指導要領、学校教育に対してどのような展望を抱いて改められていくのか、その点についてはどのようなお考えを持っていらっしゃるか、伺いたいと思います。

○斎藤指導部長 新しい学習指導要領におきましては、平成十四年度から予定されております学校週五日制の実施のもとでの学校の教育課程の基準が示されております。この学習指導要領では、ゆとりを持って学習できるように、授業時数を縮減し、みずから学び、みずから考える力など、生きる力を育成することをねらいとしております。このことは、教育内容を厳選し、基礎、基本の確実な定着を図り、個性を生かす教育を充実することをねらいとしているということでございます。

○田代委員 それでは、この新学習指導要領の特徴というのは何でしょうか。

○斎藤指導部長 新しい学習指導要領の特徴でございますけれども、総合的な学習の時間を創設し、各学校が創意工夫を生かして特色ある教育活動を展開できるようにしたことでございます。そのために、学習内容を三割程度削減し、内容を厳選するとともに、授業時数等の弾力的な取り扱いができるようにしまして、学校の裁量によって、ゆとりある教育が実現できるようにしていることでございます。
 また、小学校におきましても選択学習を取り入れるとともに、中学校におきましては、一層選択幅の広がりと充実を期していることが特徴となっております。
 これらによりまして、各学校の自主性、自律性を高め、特色ある学校づくりができるようになったということでございます。

○田代委員 新学習指導要領の導入で、今お答えになったように、まず、完全週五日制が定着する。一つの方向ですね。と同時に、授業時間が二時間削減される。そして、学習内容の三割の削減が行われる。これが実は今度の新学習指導要領ですね。
 例えば、中学英語を例にとりますと、必須英単語から名詞が消えまして、その数も、五百七からわずか百語になる。五百七語から約五分の一になっちゃうわけですね。極端な話、このまま行くと、英語の文章、文法なんというのは成立しなくなるおそれもあるんですけれども、都はこの事態をどのように考えていらっしゃるか、お答えいただきたいと思います。

○斎藤指導部長 先ほど申し上げましたように、新しい学習指導要領では、授業時数の縮減以上に、教育内容を厳選しております。繰り返し指導あるいは個別指導など、基礎、基本の定着を図ることをねらいにしておりまして、児童生徒の問題を解決できるよう、学ぶ意欲とか、あるいは体験的な学習を取り入れまして、個人の学びを大切にしているというところに特徴がございます。したがいまして、一般的にいわれております学力低下という問題にまでは波及しないというふうには受けとめております。
 ただ、今お話がありましたように、中英の問題につきましても、これは選択教科等での補充ということは当然考えられますし、選択幅の拡大が今回のねらいの一つでもございますので、そういう場面で補充していくということは考えられるかと思います。
 また、保護者とか都民の方が、この学力低下への不安ということが当然起きるかと思いますので、読み書きそろばんなど、基礎、基本の確実な定着につきましては、今後とも、調査なり、あるいは、その調査の結果を分析して、指導方法、内容について一層改善を図って、定着を図ってまいりたいと思っております。

○田代委員 差別、区別という言葉がありますけど、今のご認識は非常に甘いんじゃないかなと思うんです。
 ことしの中学の受験、これは私立中学が非常に倍率が伸びたんですね。この理由は非常に簡単でして、私立の中では、いわゆる週完全五日を実施しないであろう学校がいっぱいあるわけですね。
 ご存じのとおり、今度は、円周率が三・一四から三になるんですね。一四は要らない。これが学力低下に響かないとは僕は到底思えないんです。教育の機会均等というのは、チャンスの機会均等をいうわけでありまして、文部大臣が、内容を大幅に削ったことで、九九%の子どもは落ちこぼれがなくなると発言しているんですけど、これは非常に認識の過ちでありまして、ハードルを下げたから、みんなが楽になるんだ、ただそれだけで教育というものは解決するわけではないわけで、このゆとりの学習というのが導入されてくると、学力の低下というものがかなり懸念されるような気がします。お金のある人、経済的にゆとりのある家庭というのは、塾に行ったり家庭教師をつける。どんどんどんどん、その人たちの詰め込み式の知識はふえていく。そうじゃない人たちは、逆にいえば、どんどんどんどん、置いていかれてしまう。
 こういうことを、やっぱり東京都というのは、国だけに合わせるのではなくて、一つの方式を考えていただいて、強制を伴うということはちょっとおかしいんですけれども、子どもさんたちを守っていくために、ある程度強制力をもって、授業を覚えさせていかなくちゃならないということもあると僕は思うんですけれども、都が率先して、新しい都独自の教育行政というものを構築していくというお気持ちはないでしょうか。

○斎藤指導部長 小中学校の教育課程の編成につきましては、それぞれの当該教育委員会の所管でございますけれども、東京都教育委員会としましては、都内全域の小中学校の学力水準を維持する、そういう目的から、今ご指摘のあったような弾力的な教育課程の編成について、今後十分検討し、各学校の裁量で教育課程がどの程度編成、実施できるかについて検討してまいりたいと思います。
 もとより、教育課程の編成、実施の責任は校長でございますので、校長の権限でおのずからできるところはございますけれども、しかし、先ほど申し上げました学習指導要領の一定の枠がございますので、この枠を踏まえつつも、どの程度弾力化できるかについて検討してまいりたいと思います。

○田代委員 ぜひとも、新しい方式によることによって学力というものが区別、差別されないように、東京都はしっかりと見据えて仕事を進めていただきたいと思います。
 続きまして、足立十六中のことについてちょっとお伺いしたいんですけれども、足立十六中で、いわゆる人権侵害の事件を起こして、現在、東京都の教育研究所で研修中の増田都子元教諭、研究所ではどのような内容の指導を受けて、その研修の結果、どのような成果が上がっているのかをお教えいただきたいと思います。

○斎藤指導部長 当該教諭の研修につきまして、現在、都立教育研究所において研修体制を整備しまして、指導に当たっております。学習指導法の改善、あるいは、教育公務員の資質の向上などを研修課題として、研修に当たらせているところでございます。
 研修の成果につきましては、昨年度に比較しますと、研修課題につきまして、何というんでしょうか、その研修課題に即した研修に従事しておりまして、特段大きな問題というものは、今のところ発生しておりません。

○田代委員 平成十一年の九月一日に、この増田教諭が研修命令、辞令を交付されたときに、彼女は、このような辞令は受け取らないと発言して、その後も、都研の指導主事に対して反抗的な態度をとりながら、さらにまた、足立十六中に再度出向きまして、研修報告書を無許可で生徒に配布するなんということを行っているわけですね。
 増田元教諭が、いわゆる教育裁判ニュースというあのニュースを通じて、あるいは、各地で行われている集会で、今回の明らかに人権侵害を起こしているこの事件を、平和教育への攻撃という、全く当を得ていないすりかえを行っているわけです。こういうものを見ますと、研修の成果というのは、そんなにおっしゃるほど上がっているとは到底思えないんですが、当初、研修期間が昨年の九月から本年三月までだったのが、さらに延長したという、この理由はどういうことなんでしょう。

○斎藤指導部長 平成十一年九月から平成十二年三月までの、都立教育研究所における当該教諭の研修状況等を総合的に判断しまして、平成十二年四月一日から平成十三年三月三十一日までの研修を決定したところでございます。

○田代委員 この成果については、いろんな考え方があると思いますが、どうおっしゃろうと、今、成果が上がっているという状況とはだれも思わないものですから、やはりきちっとした研修を受けさせるような努力をしていただきたいと思います。
 それから、都研で研修を受けているこの教諭に、基本給のほかに勤勉手当が支給されていると聞きましたけど、これは本当なんでしょうか。

○小海人事部長 研修期間中でも勤勉手当は支給しております。

○田代委員 この勤勉手当の本来の支給目的というのは何でしょう。

○小海人事部長 勤勉手当の支給対象期間に正規の勤務がきちっとできている職員に対して支給されるものでございます。

○田代委員 ということは、これは正規のきちんとした職務であるとお認めなんですね。

○小海人事部長 研修につきましては、教育公務員特例法の第二十条第三項におきまして、「教育公務員は、任免権者の定めるところにより、現職のままで、長期にわたる研修を受けることができる。」旨規定しているところでございます。
 今回のこの長期研修は、この規定に基づき、教員の勤務場所を離れ研修を受けることを命じているものであり、この場合の研修は勤務とみなすものでございます。

○田代委員 一般の都民感情からしてどう思われるか、ちょっとお答えいただきたいと思います。
 少なくとも処分を受けたという形で、今、研修を、足りないところを直していかなくちゃいけないということで受けているわけですけど、都民の血税、重税によってあがなわれている、こういう財源が、そこで払われているということに対して、ごく一般的な都民感情としてどう思われるか、お答えいただきたいと思います。

○小海人事部長 今回の研修は、教育公務員として資質を向上する面で行っているものであり、妥当であるというふうに考えております。

○田代委員 これは、いつまで話をしても答えは出てこないから、水かけ論はやめます。もうちょっと常識を持って、都民感情というものを考えていただけたら大変ありがたいなと思います。
 国立の第二小学校におけるいわゆる土下座事件ですけれども、ここで、服務規律違反のみの処分で、この問題がうやむやになっているんですけれども、どうしてそういうことになったんでしょう。

○小海人事部長 今回の国立市の第二小学校と第五小学校の卒業式におきまして、一部の教員が、学習指導要領に基づいて校長が実施した国旗掲揚に反対する立場から、勤務時間中に抗議文を配るなど、服務規律に違反したことが明らかになりました。それに対する処分でございます。

○田代委員 そういうことをお聞きしたわけじゃないんですけどね。
 では、都の教育委員会は、改善策は国立市の教育委員会に提示しているわけですけれども、いわゆる国立市の教育委員会は、一連の問題をどのようにとらえているとお考えでしょうか。

○斎藤指導部長 国立市におきましては、十月二十四日の定例教育委員会におきまして、都教育委員会が提示しました改善策について協議され、全市的な課題、学校別の課題など、全体像が正しく把握されており、厳粛に受けとめて改善に努力すべきとの結論であったと聞いております。

○田代委員 厳粛に受けとめて改善するんですね。わかりました。
 それでは、東京都教育委員会は、改善策を提示した後に、どのような指導を国立市の教育委員会や学校に対して行ったのか、具体的に教えていただきたいと思います。

○斎藤指導部長 国立市教育委員会に対しましては、市教育委員会指導主事に改善策の周知を図りますとともに、その具体化の方策につきまして指導助言を重ねております。
 学校に対しましては、都教育委員会指導主事が、市教育委員会とともに、小学校三校、中学校一校、延べ九回にわたって学校訪問をしまして、学校の実情に応じながら、全教員を対象に、改善策に基づいた指導を行ってまいりました。

○田代委員 どこまで成果が上がるか、何ともいえないところです。
 それでは、その改善策をいろいろお示しになっているようですけど、国立市の学校では、少なくとも来年の春の卒業式、入学式において、国旗・国歌の実施を適正にできるものと考えていらっしゃるんでしょうか。

○斎藤指導部長 国立市内の学校におきます国旗・国歌の適正な実施につきましては、第一義的には国立市教育委員会が行うものでございますけれども、都教育委員会としましても、改善策の実現に向けて、積極的に国立市教育委員会、それから学校に対しての支援に努めてまいります。
 国立市教育委員会におきましても、改善策を受けて全力で取り組んでいるところでございまして、すべての小中学校で適正な実施ができるものと考えております。

○田代委員 もうちょっと詳しく伺いたいんですけど、時間の関係もありますので--今現在、教基法についても、いろいろ改善について世の中で意見が出ておりますけれども、やはり我々のこの日本という国を守っていく人たちを育てていくためには、こういう細かいことも一つ一つ考えながら、家庭学習、それから学校における学習、プラスこういう各学校で行われていることを、しっかりとバランスよく教育委員会が見ていくということが非常に必要だと思います。
 今、教育委員会のあり方というものが問題になっていて、この教育委員会のあり方自身が教基法にしっかり明記されていないことが、我が国のこの教育制度をゆがめているんだと思うんですが、東京都だけの問題ではない。逆にいえば、国の問題だから東京都は関係ないという話が出てくるかもしれませんけど、教育基本法というのは、これからの我が国の教育方針を決める非常に基本的なもので、しかも、この法制化の過程において、経時的にちょっといろいろ手違いみたいなものがあったものですから、はっきりとした教基法になっていないわけですけれども、こういうものも含めて、東京都の方はしっかりとお考えいただき、特に国立のような問題が起きないように、改善、指導に努めていただきたいと思います。
 以上です。

○田中(智)委員 私は、まず初めに、三宅高校の問題について質問をしたいと思います。
 先日、三宅高校の募集が発表されましたけれども、現在のような状態が続いた場合に、三宅高校はどういった形で続けることができるのか、それをお答えいただきたいと思います。

○若林学務部長 平成十三年度の都立三宅高校の募集につきまして、去る十一月の八日に、普通科四十人、一学級、それから、農業科と家政科の併合科、これが三十五人、一学級でございますけれども、これの募集を発表いたしました。今年度と同様の募集を行うということでございます。
 これからの将来の三宅高校の秋川高校での教育活動というものにつきましては、現時点でいろいろ検討中ではございますけれども、引き続き秋川高校で三宅高校の開校をしていきたいというふうに考えてございます。

○田中(智)委員 先日、三宅の小中学校について、村の教育委員会が保護者の意見を聞いて、今後どのように教育を行っていくのか、方向性を出すということで、集まりが持たれたそうです。ですけれども、結論は出なかったと聞いております。
 いいか悪いかということは別にいたしましても、村が、現在の秋川高校で続けるという結論をもし出すことになった場合、先ほどもお話がありましたけれども、教育庁として、秋川高校をこれまでと同様に使い続けられるかどうか、再度確認をしたいと思いますが、いかがでしょうか。

○若林学務部長 三宅村の小学校、中学校につきましての、これからのあり方につきまして、今、私どもと一緒に検討中でございます。三宅村が、引き続きあそこに小中学校を開設して存続をするという希望がございましたら、私どもは十分それにおこたえをしていく方向で検討していきたいというように考えているところでございます。

○田中(智)委員 ぜひそういう方向でよろしくお願いいたします。
 三宅島の全島避難から既に三カ月がたったわけです。季節も夏から冬に近づいてきたわけです。生徒から、衣類や寝具など冬物がもっと欲しいというような声も上がっております。そういったことには教育庁としてもすぐ対応を、ぜひお願いしていただきたいというふうに思います。
 また、そういった当面の対応だけではなくて、避難生活が長期化してきておりますので、それを見据えて、これまでの一時的な避難と違った対応が、生徒個々人についても、総合的にも求められているというふうに考えます。
 教育庁としても、三宅の子どもたちの現状をよくつかんで、被災した子どもたちに沿った対応を一層してほしいというふうに思っておりますし、教育庁だけでは解決できない問題もいろいろとあると思いますけれども、災害対策本部に、積極的に方策をとるように求めていただきたいというふうに思います。
 いずれにしましても、子どもたちの不安や心労が少しでも和らぐように、最大限の手だてをお願いしておきたいと思います。
 次に、学校図書館問題について伺います。
 私は、第三回定例会の一般質問で、子ども読書年への取り組みについて伺う中で、来年二〇〇一年を東京都子ども読書年に指定し、東京から、子どもたちと本との出会いを大きく広げていく都民的な運動を推進していくこと、また、朝の読書運動の推進とか、学校図書館や地域図書館の充実などを提案いたしました。
 子どもと読書との出会いを促進することの重要性について、石原知事は、読書は、豊かな感性や情操をはぐくむ上で非常に大事な基本的な知的営み、子どもにとっての読書は人生の糧でもあり、それを習慣として取り戻す試みを、衆知を集めて、これからも都としても努力していきたいと答弁されました。
 読書の大切さについては、私から改めていうまでもないと思いますけれども、私自身も、中学生のとき、住井すゑさんが書かれました「橋のない川」を読みまして、その後の生き方の指針を与えられたという経験を持っております。
 よい本との出会いは、心を豊かにし、また情操をはぐくむというだけではなくて、時には人生を変えることもあるというような、大きな影響を与えるものと考えております。
 それは、例えば、この、高文研編集部が出しました「朝の読書が奇跡を生んだ」という本がありますけれども、朝の十分間の読書運動で見違えるように学校が変わった、こういう経験も生まれているところであります。また、「本が死ぬところ暴力が生まれる」というような本もありまして、本の大切さについては、本当に多くの方々が指摘をしているところだと思っております。
 そういう意味で、子どもたちに豊かな本との出会いをつくり出す上で、学校図書館の役割は欠かせないものだというふうに思います。そういう立場で、きょうは、学校図書館問題について何点か伺いたいと思います。
 まず、学校図書館は、学校図書館法という法律に基づいて設置されておりますけれども、その第一条、「この法律の目的」には、「学校教育において欠くことのできない基礎的な設備であることにかんがみ、その健全な発達を図り、もって学校教育を充実することを目的とする。」と書かれております。この学校図書館法が一九九七年六月に改正されました。以前の法と比べて、どこが、どのように変わったのか、教えてください。

○斎藤指導部長 学校図書館法は、昭和二十八年、一九五三年八月八日に制定されまして、その第五条には、学校には、学校図書館の専門的職務をつかさどらせるため、司書教諭を置くことが、また、附則には、学校には、当分の間、司書教諭を置かないことができると示されております。平成九年六月十一日に学校図書館法の一部が改正されまして、規模が十二学級以上の学校にあっては、司書教諭を置かなければならないというふうに改正されました。

○田中(智)委員 具体的には、どこがどういうふうに変わるのでしょう。詳しく報告をお願いします。

○斎藤指導部長 現在、都内の公立学校には、学校図書館の専門的職務を担当する司書教諭は配置されておりません。現在、都立高等学校に配置されておりますのは、学校司書でございまして、司書教諭とは異なっております。
 規模が十二学級以上の学校につきましては、平成十五年四月一日以降、学校図書館の専門的職務を担当する司書教諭を必ず置くようになりました。これによりまして、学校図書館の活用や読書指導についての校内における中心的な役割を担う人が置かれることになったわけでございます。

○田中(智)委員 要するに、それまでは、学校には、学校図書館の専門職種をつかさどらせるため司書教諭を置かなければならないということが決められていながら、同法の附則二項で、当分の間、司書教諭を置かないことができるということで、配置が緩和されてきた歴史があるということですね。
 しかも、この当分の間ということが、学校図書館法が施行されましてから四十年以上も、そのまま放置されてきたという状況があるわけです。
 そういう中で、今回の改正で、長年の宿題でありました司書教諭が、条件つきながら配置されることになったというのが、今度の改正の大きな目的だというふうに思います。
 図書館の三要素といわれるものがあります。図書館の司書、図書館の資料、そして図書館施設、この三つが図書館の三要素といわれているわけです。この三つのどれが欠けても図書館が成立しないということは、だれの目から見てもわかることだというふうに思うんですけれども、それが、長いこと、人がいないままで、極端なところでは、かぎがかかっていて図書館にすら入れないという学校もあるということを聞いております。ただ本があるだけの倉庫というような状態が長い間放置されてきたわけですから、一定の人が配置される状況になったということは、一定の前進であるということがいえるのではないかと思います。
 そこで、改めて伺いたいんですけれども、この改正の背景といいますか、改正ができた状況には、どういったことがあると認識されておりますか。

○斎藤指導部長 読書は、子どもの知的活動を増進し、人間形成とか、あるいは情操を養う上で、学校教育において重要な役割を担っていると思います。また、今日、社会の情報化に伴いまして、多くの情報の中から、子どもたちがみずから必要な情報を収集、選択、あるいは活用する能力を育成することも重要になってきております。しかし、一方で、子どもの読書離れや活字離れも指摘されているところでございます。
 みずから主体的に判断し行動できる子どもを育成するために、また、学校図書館の活用により、子どもの読書意欲を高め、知的活動を増進し、豊かな人間形成や情操をはぐくむために、学校図書館の充実が今求められているというふうに受けとめております。

○田中(智)委員 学校図書館協議会という長い歴史を持った協議会がありますけれども、そこが毎日新聞社と共催で毎年実施しております、学校読書調査というのがあります。先日、毎日新聞に、十月二十七日付で発表になりました。この中で、一カ月に一冊も本を読まなかった子ども、これが小学生では一六%と、昨年と比べて五ポイントふえたということが報道されております。中学生は四三%、高校生は五九%となったといわれております。中学生、高校生は若干昨年よりふえているということで、ここ何年かで、中高生は若干の伸びが見られますけれども、依然として、子どもの読書離れということでは深刻な状況になっております。
 また、いわれませんでしたけれども、現在の教育や、子どもたちの置かれた状況に対しては、やはり多くの方が深刻な危機感を持っているというのが、今度の改正の一つの大きな側面ではないかというふうに思っております。
 こうした状況が広がる中で、特にこの数年、子どもの読書の振興、また、学校図書館の充実につながるようなさまざまな動きが見られてまいりました。例えば、一九九三年には、子どもの読書の状況を何とか改善しようと、子どもと本の出会いの会というのが発足しまして、作家の井上ひさしさんが会長になっております。また、文部省は、同年、学校図書館図書整備新五カ年計画を策定しまして、また、年末には、国会に、子どもと本の議員連盟が誕生し、国際子ども図書館設立の動きが本格化する中で、ことしの五月には、子ども図書館がオープンしたということです。こうした動きの中に、学校図書館法の改正もあるというふうに思います。
 こうした動きの根本には、長い間の学校図書館の地道に続けた運動、また、全国に百近い数に上るといわれております、学校図書館を考える会の市民レベルでの運動があったのはいうまでもないことだというふうに思います。
 そこで伺うわけですけれども、子どもの読書や学習を支援し、子どもたちの読む権利、学ぶ権利を具体的に保障する機関として、学校図書館を整備充実することが、学校教育全体にとって重要な課題というふうに考えるわけですけれども、どう認識されておりますか。

○斎藤指導部長 学校図書館には、日々の生活の中で子どもたちが読書を楽しみ、心のオアシスとしての読書センター的な役割が期待されていると思います。また、必要な情報を収集、選択、活用できる、学習情報センターとしての役割も同時に期待されていると思っております。

○田中(智)委員 重要な役割を担っているという認識でよろしいですね。再度お答えください。

○斎藤指導部長 学校図書館は、子どもたちの教育活動にとって極めて重要な位置を占めていると思います。

○田中(智)委員 きょういただきました資料の中の一二ページにも、小中学校図書室への専任職員の配置状況の区市町村別ということが書かれております。区部では、職員が配置されているところが四区、市部では十市ということになっております。その呼び名、名称も、例えば図書館司書補助員であったり、臨時職員であったり、図書館司書であったり、図書館ボランティアであったりという形で、本当にさまざまな状況です。勤務状態、そして身分も、全くそれぞれの区市でさまざまというような状況です。
 私の地元でもあります狛江市では、ことしの六月から、市内のすべての小中学校に学校司書さん、それも事務臨時職員という形で配置をされております。週四日、四時間という限られた中でも、図書館が見違えるようになったというような声が数多く上がっております。図書館が明るくきれいになった、すごく使いやすくなった、利用する回数がふえた、こういう子どもたちの声が本当に大きく上がっている状況です。また、資料の提供だとか、読み聞かせだとか、ブックトークなどの本に結びつける活動だとか、調べ学習、そして授業に使う教材の提供など、専門の司書さんがいることによって、どんどん子どもたちが図書館を利用するようになっていく、こういう状況が生まれております。図書館に専門職の方がいるだけで、図書館が本当に生き返って、明るく生き生きと活気あふれるものになってくる状況が、実際のところで生まれております。
 そうなれば、子どもたちも喜んで図書館へやってくるわけですし、わからないことだとか不思議なことがあったら、図書館へ行って調べてみよう、そして、調べる方法も司書さんに聞いてみようということで、調べたいという意欲が本当にどんどんわいてくる。そして、すぐその資料が手に入れば、また次も調べてみよう、こういうことで、みずから学ぶ、みずから探し出すというような、本当にそういう学ぶ力というものをどんどん構築することができるようになってきている現状が報告されております。
 こうしたことができるのも、常に図書館に人が配置されているということが、本当に大きな意味があるというふうに思うんですね。こうした仕事が、忙しい教職の片手間でできるということは、本当に困難な状況だと思います。
 今回改正されましたけれども、専任の人が配置されるという状況ではなくて、司書教諭ということで、教諭の分掌の事務といいますか、司書教諭という形で教諭が担当するという形になったわけです。人は配置されたけれども、果たして現状より充実につながるのかどうか、こういう声も一方であることは事実なわけです。それを実際、実質的に本当に有効なものにするためには、自治体が果たすべき役割というのが本当に大きくなってくるんだというふうに思います。
 そういう点を含めて、衆議院でも参議院でも附帯決議がついたわけですけれども、この内容をそれぞれ紹介してください。

○斎藤指導部長 学校図書館法の一部を改正する法律案に対する附帯決議が、平成九年五月三十日に衆議院において、同じく五月八日に参議院においてなされました。その概要でございますけれども、学校図書館の重要性を広く啓蒙すること、司書教諭の計画的養成、発令に努めること、司書教諭講習の弾力化、司書教諭の教諭としての職務のあり方に関し、担当授業時間数の軽減や司書教諭の専任化についての検討、それから、いわゆる学校司書がその職を失う結果にならないよう配慮、こういうことが附帯決議として盛り込まれました。

○田中(智)委員 今、紹介されましたように、衆議院でも参議院でも、基本的には同じ内容なんですね。法の改正の不十分さを補えるような役割を果たすことが求められているというふうに思います。
 この中で、学校図書館が有効に機能するためには、司書教諭の専任化について、その検討、また、専任化で配置できない場合でも、司書教諭の担当時間数の軽減を図る、このことも、参議院や衆議院の附帯決議の中にも明記されているわけです。これをきちんと図らせていく、このことが必要であるというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

○小海人事部長 都教育委員会といたしましては、学校図書館法の改正に伴いまして、司書教諭の養成計画を作成しまして、鋭意養成講習を実施しているところでありまして、平成十五年度には、十二学級以上のすべての学校に司書教諭を配置できるよう努めているところでございます。
 司書教諭の配置につきましては、専任ではなく、校務分掌の一環として位置づけて配置していく計画でございます。
 なお、司書教諭の担当時間数の軽減につきましては、各学校での司書教諭の活用方法などを具体化する中で検討したいというふうに考えております。

○田中(智)委員 司書教諭の仕事は、本当にさまざまな仕事があるわけですね。環境を整備することから始まって、本の整備を含め、また、教科につなげる。例えば本の収集や情報の提供といったことも含めて、大変大きな時間と、そして労力が必要なわけですね。
 そういうことから考えて、やはり国会でも、専門の方の配置が望ましいというような形で、ぜひそれも検討するべきだということで附帯決議がつけられたというふうに思います。
 そういう意味で、校務分掌の一環としての位置づけで配置していくという計画ですけれども、専任の必要性ということについてもぜひ認識をしていただいて、それについて都として積極的に対処もしていっていただきたいというふうに考えております。
 また、担当時間数の軽減について検討ということですけれども、今、具体的にはどういうふうに検討されているんでしょうか。

○小海人事部長 司書教諭の担当時間数の軽減につきましては、現在まだ検討しておりません。平成十五年度実施に向けまして、時間数を軽減するのが必要なのか必要じゃないのか、そこら辺について検討してまいりたいと思っております。

○田中(智)委員 例えば、教諭である場合に、担任を持つかどうかということも含めて、やっぱり大変大きな問題になるかというふうに思うんですね。
 担任を持った場合に、やはり担任は児童の教科の指導や学級指導が中心になるわけですから、司書教諭ということで司書の仕事をしようと思っても、なかなか時間がつくれないというのは当然のことだと思うんですね。
 もし担任でないとしても、自分の教材研究ですとか、いろいろ学校の中でやらなければいけないことは当然あるわけで、そういう意味で、やはり軽減措置はどうしても必要だというふうに考えますので、ぜひそういう点での検討をお願いしたいと思います。
 次に、小規模校への対応について伺いたいわけですが、都内の小中学校で十二学級以下の学校はどのぐらいあって、この学校への対応についてどういうふうに考えていらっしゃるのか、伺います。

○斎藤指導部長 十一学級以下の公立小中学校の数でございますけれども、平成十二年五月一日現在ですが、小学校が四百四十二校、中学校が三百六十九校でございます。
 十一学級以下の学校につきましては、図書館教育は同様に重要でございますけれども、これらの学校におきましては、法改正の趣旨を受けとめて、各学校が創意工夫していくことが大切でございますので、そういう方向で私どもは支援していきたいと思っております。

○田中(智)委員 ちょっと確認をしたいんですけれども、小学校、中学校は全部でどのぐらいあって、そして、いない学校がどのぐらいなので何割になるんでしょうか。確認をお願いします。

○小海人事部長 小学校が千三百八十五校ありまして、十二学級以上がそのうち九百四十三校でございます。中学校が全校で六百六十校ありまして、十二学級以上は二百九十一校でございます。

○田中(智)委員 今いわれました数字をちょっと割り返しますと、小学校が大体七割ぐらいが十二学級以上だということになります。中学校が約四割が十二学級以上ということになるんですね。ということは、大変大きい数なんですよね。一割、二割という数ではなくて、全体でも三割、六割が、今回の法が改正されても人が配置できないという学校に当たるということになるわけですから、なかなか深刻なんじゃないかなというふうに思うんです。
 じゃ、都としても、こういう小規模校を放置しておいていいのかなというふうに思うんですけれども、その辺の対応について再度お答えいただきたいんですが。

○斎藤指導部長 学校規模にかかわらず、学校図書館利用についての教育活動は大変必要なことでございますので、先ほど申し上げましたように、それぞれ学校の創意工夫について相談に乗ったり、あるいは支援をしたり、そういうことで私どもは受けとめてまいりたいと思っております。

○田中(智)委員 学校の規模が小さいと、先生の数も少ないわけですから、事務的な仕事量だとか、いろんな面で、先生の負担というのはやはりそれなりに大きくなるんですよね。
 ですから、いろんな面で工夫をしてというふうにおっしゃいましたけれども、その工夫というのは、今でも大変なのに、きちんと人が配置されなければ、その学校での対応というのがなかなかできないのが現状じゃないかなというふうに思いますし、それが現実だと思うんですね。
 そういう意味では、こういう三割、六割という学校が放置されている状況は、やはり重大だというふうに私は思いますので、ぜひ都は国に先行して独自に配置すべきだというふうに考えるんですが、その点はいかがでしょうか。

○小海人事部長 専任の学校司書の配置につきましては、学校司書が国の標準法に位置づけられていないために、都として独自の支援をすることは考えておりません。

○田中(智)委員 大変冷たい答弁だと思うんですね。例えば、十二学級というところで分けるのがいいのかどうかという議論もあるわけですよね。実際、本来ならば、学校図書館法で配置しなければならないと規定されているわけですから、その趣旨からいえば、もともと四十年間も放置されてきたということ自体が、やはり大変おかしなことだったわけですね。今回、いろんな動きがあって法改正されるという中で、十二学級以上という形になったわけですけれども、十二学級以下の子どもたちを放置していていいということにはならないと思うんですね。
 先ほど、学校教育において大変重要な役割を果たしているとおっしゃったわけですから、ぜひそういう点でも、都としてもご検討をいただきたいというふうに、強く重ねて主張しておきたいというふうに思います。
 では、都立高校でどういうふうになっているかということなんですけれども、都立高校では全校に学校司書が配置されているということですけれども、どういう資格で、どういう人が配置をされているんでしょうか。

○小海人事部長 都立高校には、いわゆる学校司書といいまして、司書の資格を持った行政職でございますが、全日制課程と定時制課程、課程ごとに一校一人を配置しております。

○田中(智)委員 伺うところによりますと、もともと司書教諭だった方が最初は配置されたんだけれども、いろんな経過があって、学校司書さんという、学校の司書という仕事をする専門職にかわったという経過も伺ったところです。
 都立高校では、全日制も夜間も、すべて専門の方が一人ずつ専任で配置されているということがいわれましたけれども、ということは、やはり東京都としては、専任の人の配置がどうしても必要なんだということをあらわしているんじゃないかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○小海人事部長 都で司書の配置をしているのは、都立の高等学校でございます。

○田中(智)委員 そういうことを伺ったわけではなくて、配置しているということは、専門の人を専任で配置しているのは、重要だと認識していることじゃないですか。

○小海人事部長 都で配置しているのは都立の高等学校でございまして、また、学級数もすべて十二学級以上でございます。

○田中(智)委員 ちょっと観点が違ったんですけれども、今回の改正の以前から、ずっと配置されているわけですよね。十二学級ということは全然課題になっていなかったと思うんですけれども、私が伺ったのは、専任で専門の司書さんがきちんと配置されている、それはやはり、学校教育にとって、教育課程を進める上にとって、子どもたちにとって必要だと認識されていたから配置されたんじゃないですかと伺ったんですが、いかがでしょうか。

○小海人事部長 そういうつもりで、都立の高等学校教育ということですので、高等学校教育には非常に必要だということでございます。

○田中(智)委員 ちょっとどうも納得できないわけなんです。高校に必要で、どうして小中学校に必要でないのかというのが、ちょっと納得できないんですよ。
 読書ということから見れば、特に小学校の時代に、子ども--まあ親もそうなんですけれども、子どもに読み聞かせをすることによって、本当に子どもの読書量が変わったり、読書に対する取り組み方が変わったりという実践例が、本当にいろんなところで出ているんですね。今度の学校読書調査でも、両親の読書の姿勢も子どもへ大変深く影響するということもいわれておりますけれども、学校図書の中で、読み聞かせが読書の習慣づけに大変有効だということも、調査の結果としてあわせて指摘をしているところなんです。
 そういう意味で、今いろんなところで、朝の読書運動を初め経験が生まれているわけですけれども、そういう意味では、本当に専任の方で専門職の人が、いつでも、図書館に行けばだれかがいて、相談してくれる、本の内容を教えてくれる、そして話をしてくれる、子どもたちがほっとできる空間でもあるという場所が、やっぱりどうしても必要だということは、高校だけじゃない。小学校、中学校にとっても、本当に重要な意味があるというふうに私は思っているところです。
 次の質問に移りますけれども、では、都立高校で、司書教諭の今回の配置に当たって、現在配置されている学校司書さん、この扱いについてはどういうふうになるんでしょうか。

○小海人事部長 平成十五年度の司書教諭配置以降におきます都立高校の学校司書の活用につきましては、司書教諭のあり方や活用方法、学校司書との役割分担等を踏まえまして、今後検討してまいります。

○田中(智)委員 検討してということですけれども、くれぐれも現状からの後退がないように配慮していただきたいというふうに思うんです。
 実際、今まで都立高校に配置をされて、そして、教科にとっても、子どもたちにとっても、先生方にとっても大変大きな役割を果たしてきたのが学校司書さんだと思うんですね。そういう人たちの身分が保障されないということであれば、何のための法改正かということになると思いますし、やはり学校図書館が充実するという方向で、ぜひ検討していただきたいというふうに思っています。
 この問題は、東京都だけではなくて、今、区市の中でも大変大きな問題になっているわけです。平成十五年から司書教諭の配置に合わせて、区市でも、現在配置している学校司書を引き揚げようということを考えていると伝えられているところがあります。
 国会の論議を通じましても、司書教諭と学校司書との役割というのは、司書教諭が教育活動という側面からのアプローチということに対し、学校司書は、学校図書館そのものをどう運営していくのかという側面からのアプローチの仕方で、役割が違うんだというような政府の考え方が示されております。それぞれが連携して、車の両輪のように機能していくのが望ましいあり方だというふうにいわれておりますので、両者の連携が必要なのはいうまでもないことだというふうに思います。司書教諭が配置されるからといって、もともとあった学校司書さんを引き揚げるようなことがあっては、重要な後退につながると思いますし、そういうことがあっては、やはり何のために法改正をしたのかということにならざるを得ないのではないかなと、大変危惧するところです。
 都は、こうした動きに対し、都としてみずからが見本を示していただきたいし、こうした動きに歯どめをかけるという意味でも、都としても何らかの、やはり都としての補助というのも考えていただきたいというふうに要求をしておきたいと思っております。
 現在、区市で独自の努力をして、学校図書館担当の職員を配置しているところがあり、大きな成果を上げているわけですけれども、今回の法の改正は、司書教諭を配置するというものの、専任ではないわけです。ですから、現状の区市の努力にこたえて、都としても具体的に、このような区市に対して補助、援助をすべきだというふうに思いますけれども、その点はいかがでしょうか。

○小海人事部長 専任の学校司書の配置につきましては、学校司書が国の標準法に位置づけられておりませんので、都としての独自の支援をすることは考えておりません。
 したがいまして、設置者である区市町村教育委員会が、各学校及び地域の実情に応じて配置すべきものと考えているところでございます。

○田中(智)委員 区市町村が独自の努力によって、今、配置をしているわけですね。それを、やはり財政力の違いなどもあって、やりたいけれどもやれないというところが多くあるわけです。そういう意味では、本当に東京都として、専任の司書が配置できるような全都的な支援を、ぜひ行っていく必要があるというふうに私は思いますし、ぜひ強く、その点は再度要求しておきたいというふうに思っております。
 最後になりますけれども、専門家や住民も含めた学校図書館の充実に関する調査研究協力者会議、そのようなものをつくって、学校図書館振興のための都としての計画、このような計画が今ないわけですけれども、つくるべきだというふうに考えますし、また、教育庁の中に学校図書館担当という係がないわけなんですけれども、ぜひこういう係もつくっていただきたいなというふうに思っているんですが、その点はいかがでしょうか。

○斎藤指導部長 従来から、学校教育の中で、この図書館教育にかかわる支援、あるいは相談の窓口として、私ども指導部で、指導助言の段階で相談を受けたり、あるいは支援したりしているところでございます。校種別にそれぞれ指導課がございます。そこのだれでもが、どの指導主事でも、そのことにつきましては受けていくという体制で今おりますので、広く受けとめながら対応していきたいと思っております。

○田中(智)委員 心の東京革命を推進するための教育庁の中での連携というのがあるわけですね。例えば、そのような横断的な組織というのは、できないことはないと思うんですね。それぞれのところでやることも当然だと思いますけれども、実際、小学校、中学校は市の教育委員会、そして東京都でも、人事の問題は人事部だったり、内容だと学務部だったりというような形で、非常に縦割りなわけですね。
 そういう意味では、学校図書館が果たす学校教育に対する役割というのは大きなものがありますし、それは市教委だけでなく、やはりこれからは都教委も十分考える必要のあるテーマだというふうに思いますので、ぜひ協力者会議のような、全体的な、横断的な、住民も含めた会議も設置すると同時に、東京都としても何らかの組織なり、そういうこともぜひ検討に入れていただきたいというふうに思っております。
 いずれにしても、これから、総合的な学習の時間だとか、情報をどう活用することがいいのか、例えば、心の教育という面でも、いろんな意味で本当に学校図書館、読書ということに対するこの役割というのは大変大きくなってくると思いますし、ますます重要になっていくということが考えられますので、都教委としてもやはり何らかの積極的なかかわりを持つ必要があるというふうに思いますので、ぜひ具体的な取り組みをしていただきたいということを強調して、この問題を終わりたいと思います。
 関連して、都立日比谷図書館の問題について、一点だけ伺いたいというふうに思います。
 都立日比谷図書館は、年間八十万人を超える入館者があります。都立で最も古く、伝統のある図書館です。しかし、大変老朽化が進んでいるというのが現状です。近年、あちこちで地震が起きておりますけれども、例えば、阪神・淡路大震災のような地震が起きた場合に、この日比谷図書館が持ちこたえられるかどうかといったことについては、大変危惧されているところです。
 そういう中で、利用者の安全やサービスの保障、その中で、改築というのがどうしても避けられない課題になっているというふうに思います。本来ならば、新日比谷図書館構想に基づいて、二〇〇三年に向けて改築の予定だったわけですけれども、財政難の中で凍結しているという状況です。当面、改修でサービスを続けるということになって、現状では、実施設計ができて、あとは実施するだけという段階になっているということです。
 しかし、昨年、改修のための予算を教育庁が予算計上しましたけれども、原案の段階で削除されるという状況になりました。今、予算の見積もりをする段階で攻防が続いているというふうに思いますけれども、ことしの三月の文教委員会で、私どものくぼた議員が、当時の小栗生涯学習部長に対しまして改修問題について伺ったのに対し、現行のサービスを継続していく上で本改修工事は必要であり、このための経費の措置については、関係部署の理解が得られるよう引き続き努力していくというふうに述べておられます。
 改めて確認をしておきたいんですけれども、今後、どういうふうにこの改築の計画、進められるおつもりなのか、取り組まれるおつもりなのか、その点を確認させてください。

○嶋津生涯学習部長 日比谷図書館の改修工事につきましては、平成十一年度に実施設計を行い、十二年度に工事の予定をしておりましたが、厳しい財政状況を反映して、見送られたところでございます。
 現行のサービスの業務の継続をしていく上で、改修工事の必要性は私どもも十分認識してございまして、このための経費につきましては、平成十三年度の予算計上を要求しているところでございます。

○田中(智)委員 ぜひ、今年度計上しました予算が--本当にきちんと改修工事ができるように、強く関係部署に働きかけてもいただきたいですし、そのために力を尽くしていただきたいというふうに思います。
 いずれにしましても、利用者の安全、サービスの保障というのは、やはり何をおいても求められる緊急の課題、今現状としての課題であるというふうに認識していますので、ぜひ強力に予算の獲得に向けて働きかけていただきたいということを強く要望して、質問を終わります。

○織田委員 私、文教委員になったのは初めてでございますので、いささか初歩的な、あるいは書生っぽい、あるいは素人っぽい、そんなような質問をしてみたいと思いますので、お答えください。
 今、文部省の方では、教科等の特性に応じた学習集団、学級編制ではなくて学習集団を編成して、少人数教育に当たっていこうというような方針があるようでございますが、いろいろ資料等を調べてみますと、学級編制と、教育に当たって授業をするという形態とは別に考えているようであります。確かに学級編制というようなことになりますと、一つの生活単位ということでありますから、社会性というようなものを教えたり、あるいは友達同士のつき合い、一つの社会というものを習熟していくという機能、そこにはある程度の人数が必要でしょう、というような理屈づけになっているように思います。
 しかしながら、事学習、勉強というようなことになってきますと、一斉に授業をやっている中でも、随分差が出てくるというようなことで、理解がおくれた人、あるいはまた、理解をより進ませようとするというような形の中で、この少人数授業というのが構想されてきたように、私自身は思うわけですけれども、いま一つはっきりしない面がありますので、基本的に少人数での授業形態、そしてまた、その目的、そしてそのねらい、そんなようなものについて概略的にちょっとご説明いただけますでしょうか。

○斎藤指導部長 少人数の授業につきましては、基礎、基本の学力の向上を図り、きめ細かな指導を実現し、個性をはぐくむ教育を推進する、こういう目的のために、学級、あるいは学級の枠を超えまして、興味、関心、あるいは課題、能力等に応じまして、少人数によって学習集団を編成して、複数の指導者のもとで行う指導の形態、こういうふうに考えております。

○織田委員 そういうご答弁をいただくと、何が何だかさっぱりわからないというのが実感でありまして、行政的な仕切りとか表現というのは、そういうものなんだろうというふうに思いますけれども、それでは、東京都内の小中学校で少人数の授業というのはやっているんでしょうか。あるいは、どういうような形での少人数対応の学習というものをやられているんだろうか、その点についてお願いします。

○斎藤指導部長 現在の東京都内の小中学校におきます授業の形態につきましては、学級単位の授業形態が基本でございまして、その学級形態の、その形態を変えまして、例えば一学級を二学級に分割して、そこに教員を加配して、複数で、お互いに交代しながら行う。例えばこういうような形態を行っている場合は、少人数指導というふうに解釈できるんじゃないかと思います。
 ただ、これは制度にのっとってやっているわけじゃなくて、各学校がそれぞれ工夫をしまして、加配された教員を有効に使いながら、チームティーチングというような形でやっている場合もございます。
 あるいは、分割しないで、学級内でグループ編成をして、二人の教員が役割分担しながら、それぞれの子どもの学習実態に応じて指導していく、こういうような場面もございまして、そういう場面を、いわゆるチームティーチングによる授業、こういうふうに行っている。これが実態でございます。

○織田委員 そうすると、イメージ的には、一つのクラスで複数の先生がいて、それで授業をやり、もう一人の先生は、それぞれ個別の指導等に当たるというような授業風景が一つ浮かんでくるわけです。
 あるいはまた、例えば四十人なら四十人の生徒さんがいらっしゃって、それを大体三十人、十人程度に分けて、残りの十人に対して違う先生が指導をする。
 あるいは、今、教室を分けてやるというようなこともあるというお答えだったんですけれども、非常にイメージがばらばらしているんです。
 それで、そういうことについて、私思いますのは、こういうものは、一つ成果といいますか、そういう授業をやってみて、果たしてどの程度の効果があるのかないのか。どういう方法であったら、その学習の進捗状況というんですかね、なかなか教育という問題は難しいものですから、一言ではいえませんが、そういうものがあるのか。そういったご研究というか、報告というか、そういったものは、やっておられる以上、掌握をされていると思うんですね。
 そこで、そういうチームティーチングによる授業の成果、あるいは、そこによってまた浮き上がってきた課題、不十分な点、これはなかなかいけそうだなというような点、もしあれば、ちょっとご紹介をいただければと思います。

○斎藤指導部長 学校の報告でございますけれども、複数の教員によって児童生徒の理解が深まった、あるいは、基礎学力の定着が図れた、多様な児童生徒の課題に対応した指導ができた、こういう成果が報告されております。
 また、実際に形態上の問題もございますけれども、指導の充実に十分効果があったというような前提で、一方の課題として、複数でやるものですから、その連携上の課題とか、あるいは、必ずしも個に応じ切っていないとか。これは形態によりますけれども、一方で成果があり、一方で一つの課題という、同じことでも、成果と課題という形で分けられている場面もございます。
 それから、複数の教員ですので、一つの指導目標について、どうしても事前の打ち合わせに時間がかかるとか、あるいは、二人で一つの目標についてお互いに指導に当たるものですから、その連携が失敗すると、子どもたちは混乱してしまう。そういう課題も一方ではございました。

○織田委員 今、個別の指導が進んだというところもありますよ、あるいは、先生同士の連携がうまくいかなくて、なかなかぎくしゃくしたところもありますよ、両方あるよ、そういうお話ですね。
 それについて、チームティーチングというのは、一体どういうふうに進んでいくのか、私にもちょっとわからないんですよ。推移を見守っていかなきゃいけないなと思うんですが、ちょっと話題を変えまして、チームティーチングをするというようなことになると、当然、教員の配置が余裕がなければできないわけでしょうから、このチームティーチングをやるということについて、どのようないわゆる配置をされるシステムになっているのか。ちょっとその辺はどうなっているんですか。

○斎藤指導部長 個に応じた多様な教育を推進するというのが、このチームティーチングの趣旨でございますので、区市町村教育委員会がそれぞれの学校の、実情を知っておりますので、その区市町村教育委員会の申請によって、教員を都教委の方が加配する、こういうシステムでございます。

○織田委員 そうすると、区市町村の教育委員会が手を挙げて、ここに欲しいですよと。じゃ、それを認めるというのか、その判断はどこのところで行われるのでしょうか。

○斎藤指導部長 教員の加配申請に当たりましては、先ほど申し上げました個に応じた多様な教育を推進する、こういう観点から、区市町村教育委員会が学校の計画を精査し、申請するよう指導しているところでございます。委員のご指摘のとおりと考えますので、今後とも、趣旨を踏まえた申請がなされるよう努力してまいりたいと思います。

○織田委員 加配をするよといって、それは、じゃ、東京都のサイドでやりますよと。精査をしてやる。極めてあいまいなわけですね。ある程度きちんとした基準なり何なりというものがなければいけないんだろうと思うし、その辺をやっぱり明らかにしていくということは、私は行政としては大変重要なことだろうと思うんです。
 具体的に、ある場面を思い浮かべてみます。そうすると、例えば、よく学習の中でつまずくというのは、大体、小学校の課程でいうと算数。一番最初に算数でつまずくのが、一番多いのはどこだというと、分数だというふうにいわれておりますね。そうすると、分数をやる時期というのは決まっているわけですから、その時期になると、学校側としては、もっと丁寧にやりたいな、余っている教員いないかな。余っている教員というのは大変失礼ないい方なんだけれども、そういう人材が欲しいなと。あるいはまた、もっと丁寧に授業をやるために、人的な投資が欲しいな、こういうふうに思う。
 そういうところで、大変手なれた小学校の先生がおられて、その学校できちっとその時期をうまく乗り切ってくれるところはいい。そうではなくて、ちょっと指導力、まだ新米でありますよというようなことで、その部分でぐっと差が開いてしまうというような、大変個別的な学校の状況によって、このチームティーチングをやっていただきたいという需要が起こってくるような気がするんですね。ですから、そういう需要というものをどうつかまえて、どうやるのか。
 さらに、それが、例えば一年を通じてやるということになると、まさにその人をどういうふうに活用していったらいいのかというようなことも、大変難しい問題になってくる。だから、個別によく精査をして、ケース・バイ・ケースで決めさせていただきますよというお答えになるんだろうというふうに推測をするわけなんですね。
 だけれども、そういうことを、きちんと状態を定めて、幾つかのパターン化して、そして進めていかないと、これはなかなかうまくいかないんじゃないかという気がいたします。これは私の感想です。
 同時に、今、私が思い浮かべたようなことというのは、どちらかというと、チームティーチングの中で、学習がおくれていますよという人たちに対して、理解を深めて、それを上げましょうよという、そんなような発想で、このチームティーチングなり、あるいは少人数教育なりというものがなされているような気がしてなりません。
 むしろ、そういう学習のおくれというものに対応すると同時に、学習がうんと進んでいるということも、やっぱり念頭に置いていただければありがたいなというふうに私は思っています。
 つまり、同じ人的な投資をするわけですから、単に底上げだけということではなくて、今はもう、短所を正すというか、直すという教育から、長所を伸ばす教育というのが必要だといわれていますから、長所を伸ばすということは、適切な指導の方向と、その辺の指針をきちんと与えてやれれば、本人が幾らでも前に進んでいけるという、非常に有利な条件もあるわけです。ですから、単に下支えをするというものから、もう一つ上に一歩伸ばしていく、そういうようなことも、このチームティーチングの中で考えていただきたい、私はそういうような感想を抱いているわけであります。
 今、二ついいました。チームティーチングの教員を配置する場合に、やはりきちっとしたある程度の蓋然性のある基準を決めなきゃいけないんじゃないだろうかということが一つ。もう一つは、このチームティーチングというのは、底上げという形の発想にとらわれているのではなくて、むしろ、より伸ばしていくという方向にもちゃんと資するような発想で取り組んでいただければありがたいというような気持ちを私は持っています。これについてどういうお考えでしょうか。

○小海人事部長 チームティーチングの配置をする際の基準でございますが、今おっしゃるとおり、まだできておりませんで、予算の範囲の中で、区市町村教育委員会からの申請によりまして、いろいろ事情をお聞きして、加配をしているわけでございます。
 今後、先生のおっしゃった趣旨も踏まえまして、検討してまいりたいと思っております。

○織田委員 新米ですので、余りわかりませんので、やめますけれども、そういうような形で、チームティーチングばかりではない、少人数学習なり少人数授業なりというようなことになると、従来の教員の指導方法と少し違ってくるのかな、というようなことが起きてくるわけでありますが、そういった面での教員の研修というのは考えておられるのでしょうか。

○斎藤指導部長 少人数での授業を効果的に進めるためには、まず、各学校の実態に応じて、少人数の指導方法等の学校内での研究、研修が重要でございますけれども、都教育委員会では、経験年数に応じて全教員が受講する現職研修を現在実施しております。この研修では、教員が自己研さんに励み、校内研修を充実させるための基礎となる研修を実施しておりまして、ここで得たものを各学校に持ち帰りまして、校内研修につなげていただくというのが一つございます。
 それから、授業に直接関連深い、教科領域等にかかわる研修につきましては、校内研修を支援するという方向で、個に応じた指導などの少人数の授業にかかわる研修を今後積極的に取り入れるよう、検討してまいりたいと思います。

○織田委員 現職研修があるからということですが、私は、現職研修とはどういうものなのかなと思って、事業概要を見てみたら、半日を一単位として六単位、そんな時間的な研修でした。トータル、合わせると三日間だ。三日間の研修で何ができるのかなと、私は非常に不思議に思っております。
 今、お答えがあったように、現場の授業でさらに研修を積んでいただくという基本的なお考えのようであります。それは確かにそうだろうと思います。幾ら長く研修を受けたって、能力がうんと飛躍的に向上していくというわけではなかろうと思いますし、やはり現場の中で教えるという作業を通して、恐らく能力というのは涵養されていくものだろうというふうに考えますから、それはそれで結構であると思うんですが、それでは、その研修を受けて、実際に学校へ戻ってきて、さまざまなことに取り組んでいかれるわけです。
 そうすると、私いつも思うんですけれども、話が飛んじゃって恐縮なんですけれども、教員の方のそういう成果、その方が努力をした、そしてよくなったという成果というのは、一体どこで評価をするんだろうか。校長先生だといわれればそれまでかもわからないんですけれども、どうもその辺のところがいま一つはっきりしないという感想を持っているわけでして、そういう教員自体の評価、あるいは研修の評価、ある一定の取り組みをしたときの評価、これは、後学のために聞いておきたいと思うんですけれども、どのように考えておられるのでしょうか。

○斎藤指導部長 研修が最終目的ではございませんで、当然、今ご指摘のように、校内に持ち帰って、そのことが実際の教育活動にいかに生かされていくかということが重要でございますので、その教育活動にあらわれた一つのその教員の資質の向上について、一定の評価が校長によりなされるというふうに考えております。
 したがいまして、研修の内容につきましては、実践、あるいは実務的に学校で使えるような、そういう研修を、今後とも充実してまいりたいと思っております。

○織田委員 今お伺いした中で、非常に印象として感じるのは、何といいますか、本当の意味で教育というもの、その事業に携わる方たちの評価というもの、あるいはまた成果というもの、チームティーチングならチームティーチングでいい、少人数教育なら少人数教育でいい、さまざまな教科の教育なら教育でいい、それを基本的に正当に評価する物差しというものがほとんどないということに、非常にとまどいを今感じております。
 そういったことについて、十分に教育庁等でお考えいただきたいなというのを、最後に感想として持つわけであります。この点は、今後もこういった機会があればやっていただきたいというふうに要望しておきたいと思います。
 最後に、高校改革の問題でちょっとお伺いしておきたいと思います。
 資料にも提出されております高校改革の進捗状況、そういったものについてはここで見させていただいておりますけれども、私の住む板橋区で、やはり板橋区の単位制高校というのが今度発足するということになっております。地元の方々からいろんなご意見をちょうだいいたします。これを見ると、やっぱり説明会等もやっているわけであります。しかしながら、これが表ざたになったといいますか、公表されてから、何回たっても、同じそういうようなご要望がある。一言でいえば、よく説明してほしい、よく話し合ってもらいたい、話し合おうとすると会ってくれないとか、そういうようなご意見を聞くわけです。
 私は、どうも話し合う相手が非常に狭いのではないかという気もいたします。もう少し幅広い人にきちんと説明をして理解をしていただく、そういう努力をぜひしていただきたいというふうに思います。
 私自身は、この高校改革については、趨勢からいえば、統合というようなこと、そしてまた、その中で新しいタイプの高校をつくって、そして高校教育というものをより充実させていくという方向に反対ではありません。しかしながら、こういう地元の、例えば一つ二つの統合をやりますよという場合には、やはり丁寧な説明と理解というものを行ってやっていかなければならないというふうに思うんですね。そして、取り入れられる部分については取り入れて、できるだけ要望を満足させながら、やはり地域の人に支えられているというような意味合いからも、そういう手続というものを丁寧に踏んでいかなければならない、このように思っているわけであります。
 ご努力もよくわかるわけでありますけれども、そういった点で、もう一歩、こういう統合をする、その理解というものを、地域社会の幅広い部分に浸透させていただきたい、このように思っているわけでございますが、この点についてはどんなお考えでしょうか。一つだけ聞いておきたいと思います。

○山際都立高校改革推進担当部長 ご指摘の板橋区の単位制高校につきましては、第四学区の生徒減少に対応しまして、全日制普通科高校の適正配置を進めるために、同じ板橋区内の北野高校と志村高校を発展的に統合し、平成十九年度に設置をするものでございます。
 この件につきましては、学校関係者あるいは地域の関係者に説明し、意見を伺ってきたところでございますが、今後とも関係者との話し合いを続けまして、理解を求めていきたいというふうに考えております。
 ただいま、委員より、幅広くというようなお話がございました。私ども、都立高校の改革を推進するに当たりましては、例えば、広報紙だとか、あるいはインターネットのホームページなどを通じまして、広く都民に計画の内容等を発表、周知をしておるとともに、あるいは教育モニター等を通じまして、都民の意見等をできるだけ聴取し、施策への反映に努めているところでございます。今後ともそうした対応を続けていきたい、かように考えておるところでございます。

○織田委員 終わります。

○村松委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
午後三時七分休憩

午後三時十九分開議

○村松委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言をお願いします。

○小林委員 それでは、三点にわたりまして質問をさせていただきます。
 最初に、都立の養護学校の高等部の職業学科についてお尋ねをさせていただきます。
 今回質問するということで、いろいろ調べてみたわけであります。この職業学科、養護学校の場合、ちゃんと訓練をして社会に出ていく、そういう重要な過程を踏んでいく教育機関ですから、特に普通科の生徒とはちょっと違いますから、私は、その職業学科に全員入れるというふうに思っていて、調べていたら、実際は定員の枠があって、ちゃんと試験をして、そして選抜をしているということがわかったわけですが、この募集人員、それから応募状況、倍率、まず、その現状から伺いたいと思います。

○若林学務部長 養護学校の高等部職業学科でございますけれども、生徒の障害の状況や特性に応じました社会的自立、あるいは職業的自立を促進する観点から、障害の比較的軽度な生徒を対象といたしまして、企業就労を目指す職業教育に重点を置いた学科でございます。
 平成八年度に南大沢学園養護学校に、平成九年度には青鳥養護学校に設置したものでございます。いずれも募集人員は十六名でございまして、今年度の入学までの平均応募倍率は、約二・五倍でございます。応募する生徒の状況によりましては、若干これを上回って入学を許可する年度もございます。

○小林委員 この数字は事前にもらっていたんですけれども、二・五倍、大変なんだなと。障害を持っておられる人たちも、学校へ行くと、そういう競争の社会にさらされるんだなと。
 今、説明の中で、軽度な者で、職業教育を目指してやっているということなんですけれども、軽度であっても重度であっても、職業教育というものは必要だと思うんですけどね。
 普通の学校とは、もともとその位置づけが違うわけですよね。そういう意味で、できれば、軽度は軽度、重度は重度、その障害の度合いに応じて、職業教育というのはあっていいだろうというふうに僕は思います。
 そこで伺いますけれども、そういう私の考えを踏まえて、何でその定数枠を設けているのか、その根拠を明確にお答えいただければと思います。

○若林学務部長 職業学科の教育課程でございますけれども、普通科と異なりまして、普通教育に関する教科のほかに、専門に関する教科の履修が必要でございまして、一定の学力あるいは作業能力が要求されるところでございます。このために、適正な学習集団の規模、あるいは施設状況を勘案しながら、募集人員を定めているところでございまして、入学相談におきまして、各生徒の能力あるいは適性の把握を行いまして、入学許可の予定者を決定しているところでございます。応募して入学が許可にならないというような志願者につきましては、希望によりまして、養護学校の高等部の普通科へ入学を可能にしてございます。

○小林委員 南大沢の学校については、平成八年から産業技術科というのがスタートしている。それから、青鳥の方は平成九年、都市園芸科というのができて、制度としてはスタートしたばかりで、この間の、現状も、あるいは卒業した後の就職先での、あるいは就職しているかどうかも含めて、これから、この制度そのものを見直し、今、私がいうような--もちろん作業能力に応じたとかいうのは当然あるだろうけれども、その作業能力に応じたカリキュラムというのも当然あっていいだろうというように僕は思うんですね。
 そこで、繰り返しになりますけれども、この三月で青鳥養護学校が初めて卒業生を出したということになるわけですけれども、初めて卒業生を出したわけですから、歴史的な経過もまだ浅いわけです。この際、この実施の状況を総括して、できれば受け入れ人数の適否についても調査検討を行うべきというように私は考えるんですね。また見直しをしてみる、というふうに考えるんです。
 それを踏まえて、全員入れれば一番いいんですけれども、少なくとも、最低、枠を少しずつ広げていって、お父さんやお母さんたちの、あるいは子どもさんたちの要望にこたえていくという姿勢を見せていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○若林学務部長 南大沢学園養護学校につきましては、平成十年度に卒業生を出したところでございます。それから、青鳥養護学校の高等部職業学科につきましては十一年度に卒業生を出したということで、まだ歴史が浅いわけでございますけれども、全員、企業等に就労するなど、一定の成果を上げているところでございます。
 今後、両校の職業学科の就労状況、あるいは、さらなる教育実績等を十分検証いたしまして、募集人員等も含めまして、応募状況が大分高いということもございますので、そのあり方等につきまして検討いたしたいというように考えてございます。
 それから、普通科におきます障害の程度に応じた職業教育の充実、これもあわせて検討していきたいというふうに考えてございます。

○小林委員 ぜひお願いしたいと思います。
 ノーマライゼーションといって、今までどっちかというと、施設に入れたり抱えたりということになっちゃうんですけれども、逆に、トータルでいえば、税金のむだ遣いにならないんですね。ちょっとずつ自立していけばいいわけですからね。そういう意味では、すぐには変えられないと思いますが、部長の方の答弁でも、その方向でぜひ進めていただきたいと思います。
 次に、盲学校の高等部の職業学科の新設についてですが、現在、都立の盲学校というのは、文京と八王子に二校あります。これも、質問するためにいろいろ調べていたら、高等部の本科と専攻科というのがあって、本科を終えた人たちが試験を受けて専攻科に移っていくわけですが、盲学校の専攻科というと、皆さん、想像して大体おわかりかと思いますが、あんまとはり、きゅう、この三療法コースがあるのみなんですね。相変わらず旧来の考え方に立った教育ということになるわけですが、しかし、この専攻科に入る人たちというのも、相当レベルが高いものですから、学力的に高いレベルを持っている人じゃないと、なかなか入れないということなんですね。
 じゃ、高等部の本科を卒業して、相当レベルが高いというふうに聞いていますから、本科の卒業生の中で専攻科に入る生徒、一体どのぐらいの割合で入れるのか、まず、その数値をお知らせいただければと思います。

○若林学務部長 盲学校の高等部の本科から専攻科への進学者数でございますけれども、毎年度若干異なりますけれども、本科卒業生のおおむね二割程度が専攻科へ進学しているという状況でございます。

○小林委員 物すごい競争率ですよね。もう本当に大変な競争率になるわけです。
 それでいて、また、その厳しい難関を超えた人たちが、必ず、はり・きゅう・マッサージの資格を取れるかというと、なかなかそれも難しい。というのは、後で申し上げますが、専攻科を卒業しても、国家試験ということになると、健常者と同じ資格レースをやらなきゃいけないということで、相当厳しい状況にあるわけですね。
 それで、当然、健常者の人たちと同じ条件で試験をするわけですから、それはやっぱり相当ハンディキャップを負ってますから、合格率は非常に低いんだそうですね。それも調べた中でわかりました。
 そこで、じゃ、盲学校に行った人たち、高等部本科及び専攻科に行った人たちが、全部、はり・きゅう・マッサージを目指しているのか。あるいは、能力的に目指せない人も含めて、思わない人たちもいるわけですね。はり・きゅう・マッサージの資格を取らないという人たちもいるわけです。そうすると、こういった人たちが社会に出ていくために、昔のそういう、はり・きゅう・マッサージだけの世界というのが、一般社会の中に今でもかなり色濃く残っていますが、さっきもいいましたけれども、ノーマライゼーションの中で、ありとあらゆる職業の機会を与えていくということになれば、都立の養護学校の高等部にも職業学科をつくっていくべきではないかというふうに思います。
 そういう意味で、最近は、情報技術の進展によって、目が見えないからといって、じゃ、目が見えなきゃいけない仕事には全部つけないかといえば、いろんな技術が発達をしていますから、必ずしもそうじゃない。ありとあらゆる就業の機会というのは物すごく広がっているわけですね。
 そこで伺いますけれども、職業学科の新設について検討したことがあるのかどうか、それから、今後検討したいと思っておられるのか、お伺いします。

○若林学務部長 盲学校高等部の職業学科の設置ということでございますけれども、八王子盲学校に、既に、あんま、マッサージ、指圧師の養成を目的といたしました保健理療科を設置しているところでございます。
 今後、委員、おっしゃるとおり、情報処理あるいは流通サービス、こういうものの新たなニーズに対応いたしました学科設置の要望があるところでございますけれども、これらにとらわれることなく、いろんな角度からやはり検討していく必要があるんだろうと思います。
 ただ、現行の高等部の本科のカリキュラムを充実することによって、その辺が対応できるのではないかというように考えてございますので、それらを含めて検討していきたいと思っております。

○小林委員 今、情報処理等の需要にこたえるということを答弁していただいたんですけれども、現在、目の見えない方というのは三十万五千人いるんだそうです。その三十万五千人いる視覚障害者の中で、インターネットを使っている人というのは、たった千人ぐらいしかいないということなんですね。
 しかし、実際は、音声変換ソフトといったものがあって、視覚障害者でもインターネットの情報にみずからアクセスできるような環境が、今、非常に整っているということであります。
 ですから、そういった目の見えない人たちがインターネットの情報に積極的に触れることができれば、この千人というのがどんどん広がっていくわけですね。その機会を盲学校の方でつくっていければ、あんま、はり、きゅうだけの世界でなくて、もっともっと職業の範囲が広がっていくわけです。インターネットを使うことによって、またさらにその先のいろんなことが、世界が広がっていくわけですね。そういうように思うんです。
 そこで、パソコンの教育ですね。視覚障害者用の教育用のパソコンなどは、今どの程度、都立盲学校において普及しているのか。また、パソコンにおいての教育は、どのように進めているのか、伺います。
 あわせて、当然、それを教える側の教員にその能力がなきゃいけませんから、教員のレベルアップということも必要だと思いますが、これについてどのように推進しようとしておられるか、伺います。

○若林学務部長 現在、盲学校の高等部設置校におきますパソコンの設置台数でございますが、これは平均十台となっているところでございます。また、インターネットの接続につきましても、盲学校四校のうち三校でもう実施してございます。残る一校につきましても、平成十三年度には接続できるよう、今、検討中でございます。
 盲学校におきましての教育用に使用されているパソコンにつきましては、音声による操作あるいは拡大文字、それから、点字の出力が可能である等、一般のパソコン等に比べまして機能面で大きな特色がございます。児童生徒のコミュニケーションを支援するための役割を十分果たしているのではないかというように考えてございます。
 それから、盲・聾・養護学校の教員を対象といたしますパソコン研修、これにつきましては、現在、都立教育研究所あるいは多摩教育研究所、それから、総合技術教育センター等において実施しておりますが、今後とも、さまざまな機会をとらえながら、より実用的な能力の習得ができるように努めてまいりたいと考えてございます。

○小林委員 ぜひそれは、進めておられるようですから、かなり加速してやっていっていただきたいと思います。
 盲学校の質問の最後になりますけれども、卒業後の進路、その職域の把握と開拓。パソコンの普及を進めるに当たって、同時に、いろんなところに就職ができるような、開拓とかいうのも調査をしなきゃいけませんね。そこで、どのような進路指導を都では行っているのか、伺っておきます。

○若林学務部長 卒業生の進路対応ということでございますけれども、昨年度と今年度に、都立盲・聾・養護学校における就職活動のための民間の企業調査を実施してございます。都内に本社あるいは採用担当部門がありまして、障害者の雇用義務のある民間企業等から無作為に抽出いたしました六千カ所に対しまして、今後の採用の動向、あるいは盲・聾・養護学校等への要望等の調査を行いまして、データベース化したところでございます。
 今後、こういうデータベースを活用しながら、進路指導等におきまして、高等部生徒の卒業後の進路拡大、あるいは新たな職域拡大に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

○小林委員 ぜひよろしくお願い申し上げます。
 それでは三番目ですが、心身に障害のある児童生徒の学校五日制の対応について伺いますが、平成十四年度から、今度、毎週土曜日が休みになるということで、障害のある子どもは、学校が終わると、普通の子のように友達と遊んだり、一人で公園に行ったり、あるいは地域の公的な施設で遊んだりするのはなかなかできないわけです。そうすると、親はいろいろ忙しいから、家の中に閉じ込めて、お菓子を与えたり、ビデオを見せたりして、できるだけ家から出ないようにする。子どもはどんどんどんどん太っちゃって--障害のある子ども、えてして太っています。あれは大体そういう傾向からですよね。これが現状なんです。
 それが、十四年から週五日制が導入されていくわけですね。今、私がいったように、ずっと家にこもりがちになっちゃいますけれども、私は、小平市の中にある、ゆうやけ子どもクラブというところに深く関係していることもあって、よくボランティアで行くこともあります。そういうことから、今、私が申し上げた事情を踏まえて、こうした障害のある児童生徒に対してどのように対応していくのか、まず最初に伺います。

○嶋津生涯学習部長 都の教育委員会といたしましては、二つの事業を行ってございまして、一つは、学校週五日制による休業土曜日に、都立盲・聾・養護学校において、文化、スポーツ・レクリエーションなどの活動を行う、心身に障害のある児童生徒の学校外活動事業を平成四年度から実施してございます。
 いま一つは、区市町村教育委員会が行う地域活動を促進するため、奨励的な補助事業として、心身に障害のある児童生徒の地域活動促進事業を、制度としては平成六年度から実施してございます。

○小林委員 たしか、この委員会の中でも、こういう地域の中のさまざまな自主的な活動をしている人たちが多摩ネットワークというグループをつくって、請願か陳情を出していて、継続になっていると聞いておりますけれども、昨年の五月十五日現在の各団体の名前と、どういう活動をしているのかとか、一覧表が手元にありますが、本当によくやっているんですよね。
 それで、今、部長の方から話がありましたように、市区町村からは地域活動促進事業、東京都も出しているわけですが、これが五年という時限つきということで、今までやっと積み上げてきた事業が、補助金がカットされることによって運営ができない。あるいは、障害を持つ人たちは、その団体の人たちに深く依存して、依存してというか、団体にお世話になっているというところで、みんな大慌てになっているわけですね。
 そこで、これらの、五月十五日段階で十ぐらいあるんですが、多分もっとふえているんだろうと思いますけれども、こういった人たちが活動する中で、今、部長がお話しになったような事業、いろいろ補助とかしてもらっていますが、この事業の成果についてどのように総括をしておられるか、伺います。

○嶋津生涯学習部長 地域活動促進事業につきましては、ご指摘のとおり、地域社会におけるボランティア活動の場の提供になるとともに、障害のある児童生徒にとってさまざまな社会体験が得られる活動が行われているものと、その成果を、はばかりながら考えております。

○小林委員 今度これが打ち切られるわけですよね。それで、私の選挙区の小平市の方に問い合わせたら、都が四十万出して、それで市町村が四十万出すんですが、市は、来年度の予算の中に四十万盛ったそうです。ただ、団体としてみればやっぱり、半分の東京都の予算がないと大変だというんですね。ただ、団体の人たちからいろいろ聞いてみると、最初から五年という時限つきであるということは、彼らも承知をしておりました。承知をしていますから、承知をしておいて、これ以上もっと延ばせというのも確かに理屈上おかしい。
 ただ、こういう地域活動というのは、五年、六年あるいは十年の中で活動の中身が充実してきたり、あるいは当初の補助事業の目的が、もっと必要になったり、いろいろ状況が変わってくるわけですね。ですから、五年だからと五年でやめちゃう、それはそれで制度としてはよくわかりますが、ただ逆に、五年で、いや、都としてはこういう地域の中の自主的なグループ、地域活動をもっと支えて、もっと広くやってもらうんだということであれば、五年だからと無理やり五年でやめちゃうみたいな、そんなことしていると、また役人の仕事だと怒られちゃうわけですよ。そこは生き物だからね。生き物なんだから、五年でやめるんだったらやめる、あるいは新たな制度をスタートさせるんだったらスタートさせて--せっかくできてきた団体が、全部これでだめになっちゃう。本当にボランティアの人たちに支えられて、土曜日、日曜日とか、ハイキングとか行くわけですよ。大体ああいう子どもは、二人に一人、一人に一人補助がないとだめな場合もある。特に外なんか行ったら、どこへ行くかわからないですからね。電車なんか乗っても、ホームなんかに立たせたら危ないし、それは大半はボランティアによって支えられているんだけれども、ただ最低の費用はかかるわけです。団体はいろいろな、プールで泳いだり、ボウリングしたりとか、ハイキングに行ったりとかいろいろありますから、会によっては、必要経費が多いところも少ないところもある。あるいは、障害の度合いによって、グループの性格はまた違う。
 だから、私は、この五年の時限的なものを、それはそれでいいですけれども、何か違う教育的な観点、平成十四年度から、やっとこれから週五日制、本当はこれから必要なんだ。今までは、スタート段階での、初動の立ち上がりで、ある程度様子を見たというところも本音のところあると思いますが、かなり充実してきている。さあこれからというときに、補助金をばさっと切られたら、これはやっぱりおかしい。五年は五年で、いろいろ事情があってやめるのは構わないけれども、何か違う補助的な、自立に向けた--多少基準を厳しくしても結構だろうと思いますし、実態、中身をいろいろ報告書なんかで出させて、それが本当に、教育的な観点からとか生涯学習の観点から必要だということであれば、私は何らかの補助を出すべきというふうに思いますが、最後そのことを伺って、終わります。

○嶋津生涯学習部長 地域活動促進事業につきましては、身近な地域で、より多くの活動が実施されるよう、区市町村に対する奨励的な補助事業として開始したものでございまして、そういう点で一定の限度がございます。
 しかしながら、今後、その事業を実施しております区市町村に対しましては、その地域において継続してやっていただけるように、区市町村に事業継続を促してまいりたいというぐあいに思ってございます。
 もう一つは、都といたしましては、区市町村や障害者団体などから、地域活動の担い手が必要であるという要望も受けておりますので、引き続き、ボランティア等の人材養成に取り組んでまいりたいと考えてございます。

○小林委員 ボランティアの育成、さっきもいいましたように、専従なんて本当に何人もいないんですよ。一人か二人なんです。それが夜遅くまで、いろいろなプリントとか、書簡を書いています。あとはほとんど、行事の場合はボランティアが大半なんです。そこへのぜひ事業を、新たな事業を展開していただきたい。これを要望して、終わります。

○大河原委員 私からは、学校のごみ問題について伺っていきたいと思います。
 「見直そう!学校のごみ」ごみ減量マニュアルというのが以前--以前というか、できまして、昨年度には改訂をされております。
 まず、これはどのように変わったのか、お伺いします。

○若林学務部長 平成十一年四月に、改訂版の「見直そう!学校のごみ」を発行いたしました。こういうものでございます。
 都教育委員会といたしましては、ダイオキシン問題から、平成九年十月から都立学校の焼却炉の使用中止を決定したところでございます。
 これまでの学校におけます焼却処理を改めまして、環境に配慮した形で、ごみ減量に取り組む必要が生じたところでございます。そのため、都立学校が排出いたします廃棄物の発生抑制をいたしまして、それから、適正に分別を行い、再利用を促進するということによりまして、廃棄物の減量に寄与いたしますとともに、その実践活動を通しまして、生徒及び教職員等の意識啓発を図りつつ、学校環境の保全及び衛生の向上を図るために、都立学校廃棄物減量推進要綱を制定したところでございます。このマニュアルは、実際の具体的なごみ減量活動を実践していくための手引書として作成したものでございます。

○大河原委員 第一弾のごみマニュアルができたときには、まだ国も小型焼却炉の使用抑制を打ち出しておりませんで、そのときに都立学校がいち早く使用を抑制していくという方向を出したことで、私はすごく評価をしているわけなんです。
 子どもたちが快適に勉強する、その場は、やはり教育環境としても、十分に子どもの健康にも配慮されたものでなければならないというふうに私は思います。
 学校というところで出ているごみの種類というものについて伺っておきたいと思いますが、まず、ごみの特徴といいますか、種類とか量とか、その点についてはいかがでしょうか。

○若林学務部長 特徴でございますけれども、平成九年度に実施いたしました調査によりますと、一般廃棄物が六八%、産業廃棄物と粗大ごみが、それぞれ一六%となってございます。
 一般廃棄物の内訳といたしましては、用紙類が三三%、新聞紙が二二%、段ボールが一二%、その他の紙類といたしまして一九%、厨房等のごみその他が一四%となってございます。
 それから、産業廃棄物の内訳といたしましては、瓶類が八%、缶類が三三%、プラスチックが二九%、その他が三〇%となってございます。
 それから、粗大ごみといたしましては、一般廃棄物が一四%、産業廃棄物が八六%という状況でございます。

○大河原委員 一般廃棄物とか産業廃棄物というふうに聞きますと物々しいわけですが、簡単に想像ができますよね。学校の中で出ているごみ、産業廃棄物の中にありましたけれども、瓶、缶、要するにガラスと金属ということで産業廃棄物といわれていますが、学校が、ごみ処理にも、事業者としての処理費を負担しなきゃならないということで、このごみ減量マニュアルができてきた背景、大きくあるというふうに思います。家庭でしたら、瓶、缶は、今、地域で行われているリサイクルに出せばいいわけですから、その点で、学校が事業者として大変処理費を考慮していかなければならない、そういうふうな課題があると思います。
 今の学校のごみの現状と処理方法、また、それにかかっている経費というのは一体どのようになっているでしょうか。

○若林学務部長 都立学校の十一年度のごみ排出量でございますけれども、八千七百七十七トン、十年度は九千二百五十二トンでございまして、四百七十五トンほど減ってございます。
 それから処理方法でございますけれども、一般廃棄物につきましては、収集、運搬の許可を持った業者と契約をして処理してございます。それから、産業廃棄物につきましては、産業廃棄物の収集、運搬の許可を持った業者、それと同時に産業廃棄物の中間処理の許可を持った業者と契約をいたしまして、それぞれの業者からマニフェストを受領してやっているところでございます。
 それから、処理経費につきましては、十一年度は一億六千八百万ほどでございます。平成十年度は一億八千九百万ほどでございまして、約二千百万ほど減となってございます。一一・五%ほど減額となっているところでございます。

○大河原委員 学校で出てくるごみというのは、基本的に余り処理が難しいものはないんじゃないかというふうに思うわけです。処理方法がはっきりしていますね。紙類がここでも大変多いことがわかりますし、瓶、缶というのは、給食で使う素材が入っていたもの以外は、子どもたちが持ち込んだものというふうに解釈されるわけで、これは、買ってきたところへ戻しなさい、あるいは家に持ち帰りなさいというふうに、やはり指導をしていかなきゃならないというふうに思います。
 処理費については、十年度から十一年度にかけて二千百万減っておりますけれども、やはり一億円以上かかっているということを改めて見てみると、もっと減らせるんじゃないかというふうに思うわけです。都立学校は二百七十三でしたか、三百を切るわけですから、一校当たり六十万ぐらいかかっているということで、このごみ減量マニュアルにも、非常に環境教育的にというか、そういった視点では書かれているわけですけれども、コストの面で、自分たちが出しているものにどのぐらいのものがかかっているのか、もう少し書き込みが必要かなというふうに思います。行動計画というか、数値目標なりを持ったものが改めて必要なのではないかというふうに意見をいわせていただきます。一律、学校を絞るということではなくて、その地域地域に合ったやり方があって、例えば地域のリサイクル計画に乗って、学校がリサイクルの拠点として少し場を提供できるなり、共同して進めていくというようなことも考えられるのではないかと思います。
 このマニュアルでは、一般廃棄物と産業廃棄物、粗大ごみというふうに分かれているわけですが、有害ごみ、危険物、こういったものも排出されております。これらについてはどのような扱いをなさっているんでしょうか。

○若林学務部長 有害ごみや危険物に該当するというものでは、一般的には実験用の薬品類が該当するのではないかというふうに思います。薬品類の処理につきましては、産業廃棄物と同じように、その産業廃棄物の収集、運搬の許可を持った業者と契約をいたしますとともに、薬品は、廃酸・廃アルカリということでございまして、これの中間処理の許可を持った業者と契約をして、先ほどと同じようにマニフェストの受領をしているところでございます。

○大河原委員 危険物、処理が困難なものというのはお金もかかると思いますけれども、きちんとマニフェストをやっているということで信頼をして、事業者としての責任をしっかり果たしていただきたいと思います。
 次に、特に危険なものの中にはいろいろありますけれども、先日、柏市や都内の八王子の学校でも、PCBが使われている蛍光灯が割れて、子どもに振りかかるという事件もありました。PCBといえば、カネミ油症事件などで、皮膚障害を、経口ですけれども、起こすというようなことがあり、七二年に製造中止になっていた。処理方法が確立されていないので、保管をしていかなきゃいけない、使った人、使用者が保管をしていかなきゃいけないというところまでは認識をしておりましたけれども、まだ学校にあるんだ、こういうものがということで、改めて、PCBが使用されているものについての処理、管理、保管、こういったものをどのようにしているのかということが気になっております。
 学校では、こういったものについてどのような処理をしているのか、次にお答えください。

○神山施設部長 PCB入りの照明用安定器は、昭和三十二年から昭和四十七年八月まで製造された照明機器に使用されております。
 都立学校におきましては、改築や大規模改修時に交換してまいりましたけれども、平成十年十月の使用状況調査では、都立学校二百七十三校のうち二十九校の学校で、廊下や特別教室などで、PCB入りの照明用安定器を使用しております。
 都立学校でのPCB入りの照明用安定機器の事故を未然に防止していくために、再点検を実施いたしまして、また、安全管理等の徹底についても通知したところでございます。
 また、原則といたしまして、本年度中に、PCB入り照明機器を使用している学校の交換作業を実施してまいります。
 なお、平成十三年度及び十四年度に改築や耐震補強計画等が予定されている学校については、その際に交換作業を実施していく、そういうふうな予定でございます。

○大河原委員 教室の天井裏にまで工事をしなければならない場合もあるというふうに伺いました。十三年度、十四年度に回る分は若干あるということですが、基本的には十二年度中に対応するということで、一つ安心いたしました。
 しかし、これは都立学校のことでございまして、小中学校については、都教委としても、保管状況など使用状況を把握していらっしゃると思いますけれども、小中学校についてはどのような状況になっているんでしょうか。

○神山施設部長 都教育委員会は、区市町村教育委員会に対しまして、PCBの適正保管等について依頼しておりましたが、八王子市の学校の事故を受けまして、このような事故が再発しないよう、区市町村教育委員会あてに、照明機器等の点検を早期に実施し、老朽化したPCB使用照明機器の取りかえ等の措置を講ずること、また、PCBの適正保管に努めるよう通知いたしました。
 また、文部省の方からも、十月二十六日付で、PCB使用照明機器の使用状況の点検調査と、早期の交換に努めるよう通知があり、区市町村教育委員会に、文部省通知を踏まえて、安全対策、安全回収に努めるよう重ねて通知いたしました。
 小中学校のPCBの使用照明機器の使用状況については、区市町村教育委員会を通して、ただいま調査中でございます。現在、六区市が未回答でございますけれども、小中合わせまして二百九十二校で使用しておりまして、使用の割合は、回答がありました一千七百五十八校に対しまして一六・六%に当たります。

○大河原委員 既に長時間たっている、十五年以上たっているということですね、取りかえなければならないもの。都立学校の分だけでも、取りかえる二十九校分で、約二億円ぐらいかかるんじゃないかということも、ちょっと、この質問をつくっている段階でお聞きしましたけれども、区市町村の場合、PCB使用照明器具の取りかえ、こうしたことにどれほどのお金がかかるかということは、地域の負担、大変大きいものがあると思います。東京都がそういったところに支援をする、あるいは国が行うことが必要だというふうに思うわけなんですが、この点についてはどうでしょうか。

○神山施設部長 現在、国及び都においては、このような経費についての助成制度はございません。公立小中学校施設設備の整備につきましては、原則として、設置者である区市町村が行うものとなっております。したがいまして、都教育委員会からの助成については困難と考えております。
 なお、都教育委員会は、このような事故を受けまして、国に対しまして、PCB使用機器の回収のための特別な措置を講ずるよう、要望したところでございます。

○大河原委員 東京都から国に要望したということですが、確かにこの通知も、早く取りかえろと、でもお金は出さないという形で、大変ひどいなというふうに思います。
 資料を用意していただきまして、東京都の保管状況を調べていただきましたけれども、各委員もごらんいただきたいと思います。
 この保管状況についてどのように把握をしていらっしゃるのか、お尋ねいたします。

○神山施設部長 使用済みのPCB入りの照明用安定器は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律によりまして、特定管理産業廃棄物の中のPCB汚染物に該当いたしまして、排出する事業者が保管管理することになっております。
 PCB使用電気機器の具体的な保管方法は、特定管理産業廃棄物保管基準を受けた通産省通達の「PCB使用電気機器等の保管について」に基づき保管されることとされております。それに基づきまして、密閉式のドラム缶等の容器に保管するとともに、関係者以外立入禁止の表示、施錠し、生活環境の保全上支障のないよう保管しているところでございます。また、管理台帳を整備いたしまして、保管量を明確にしていくことと定められております。
 PCBを保管している都立学校につきましては、毎年、年度当初に、施設の維持管理に関する説明会を開催いたしまして、適正保管、管理責任者の設置など、法令の周知を図るとともに、各学校で保管しているPCB使用電気機器が飛散、流出あるいは地下浸透しないよう、また過って紛失することのないよう、管理指導の徹底に努めているところでございます。

○大河原委員 やっと国が動き出して、来年度、国内でこういった処理施設をつくる、PCBの処理施設をつくるということですけれども、東京都では、PCBの廃棄物適正処理検討委員会を全国的にも先駆けて検討してきています。
 お尋ねいたしましたらば、いろいろ資料をいただきました。学校の中での施設内の管理ということで、PCBの分だけでも、すごい分厚いものをちょうだいしたんですけれども、大変害の大きなもの、そしてまた、認識されていなければ、基本台帳もあるということですが、知らないうちにどこかに行っちゃった、なくなっちゃったというようなことが、世の中では多く起こっております。生産されたもののごく一部しか適正な処理がされてこなかった現状を踏まえれば、こうした都立学校での教育環境での使用後の保管、これからもきちんと把握をしながら、そしてまた、現在使われているものを早期に取りかえていただくように、改めて要望しておきます。
 次に、環境ホルモン作用が疑われている薬剤の使用について伺っていきたいと思います。
 環境ホルモンは、大変微量で人体に影響を及ぼすということで、都民の関心も大変強いところです。学校という場では、学校保健法に基づいて、そして東京都では、文部省が通知を出しましたけれども、それに上乗せをする形というんでしょうか、学校環境衛生基準というのを出しておりますけれども、この中でもやはり防除、ネズミとか小さな虫の防除ということで薬剤が使われるということも出てくるわけです。
 こうした超微量で生き物の体に影響を与える、そういう環境ホルモン、これは農薬に多いわけなんですけれども、学校で使われている農薬の実態、こうしたものが疑われる薬剤の状態、実態、これはどういうふうになっているんでしょうか。

○若林学務部長 十一年度に都立学校の建物の中の害虫駆除を行いましたのは百五十六校、屋外の樹木の害虫駆除を行いましたのが百四十五校で、これはすべて各学校が専門業者に委託をして行ってございます。
 それから、都立高校では、農業系の学科を設置している学校におきまして、畑あるいは果樹園などにおきまして農薬を散布してございますが、各学校の予算要求に当たりましては、学校長に、農薬を極力使用しないで、人手の作業によります除草を行うよう、あるいは環境ホルモンではないものを使用するよう指導しているところでございます。

○大河原委員 環境ホルモンでないものを使用するよう、指導しているということだったんですが、一体現実にどんなものが使われているのかということについては、業者任せであったり、都が基準を持っていなかったりということがあると思います。
 私は、決算の委員会のときに、建設局の方へ、公園、街路樹、墓地などで建設局が管轄して使っているという農薬については、環境ホルモンでないものに早期に切りかえるように求めました。これに答えて建設局は、まだ農薬はあるけれども、残っていても、違うものに取りかえますと、前向きの答えをしてくれたわけなんですけれども、学校では、この点についてはどのように対応しているんでしょうか。まだこういうことがされていないんだったらば、ぜひとも、今使用されている農薬をきちんと把握をして、疑わしいものは使わない、また、全く使わないということはできないと思いますので、安全なものに切りかえる、そういうふうに、業者に対しても安全なものを指定していくということが必要だというふうに思うんですが、どうでしょうか。

○若林学務部長 農業系の学科を設置している学校につきましても、先ほどご答弁いたしましたように、極力そういうものを使わないようにという話をし、指導しておりますけれども、副委員長ご指摘の実践例なども参考にしながら、より一層徹底を図ってまいりたいと考えてございます。

○大河原委員 簡単ですよね。建設局が挙げたものについては、薬剤の名前も成分もわかっているわけですから、それをきちんと把握をして、学校の業者などでも、どんなものを使っているか、校長先生なりが把握をするなんというのは、簡単にできると思います。
 この都立学校環境衛生基準のところに、防除に関しては衛生的防除を原則とするけれども、薬剤を使用せざるを得ない場合は、人畜に対して無害な薬剤はないので、ここですね、薬剤はないので、無害なものはないので、周囲の環境を十分考慮して行うと。薬剤は安全なものはないといいながら、ちょっと後ろで後退をしているんですね。これもきちんと、環境ホルモンが疑われるものは使わないというふうに明記をすることが必要じゃないでしょうか。
 きょうは、ごみということで伺ってきておりますけれども、こうした農薬散布や樹木の殺菌ということでも、大変さまざまな薬剤が使われます。そして、こうした樹木の手入れのときに、樹木を剪定したり、また、校庭の木の落ち葉の処理ということも、学校にとっては大きな仕事になってきていると考えます。農業系の学校は特にわかりやすいと思うんですけれども、剪定材あるいは落ち葉、いわゆる有機廃棄物というんですか、木質の場合はまずこれが一番多く出ていると思うんですけれども、どんな工夫がされているでしょうか。

○若林学務部長 剪定樹木の処理方法でございますけれども、専門業者に委託した場合は、その業者に処理をしていただいてございます。それから学校職員で剪定処理した場合、あるいは落ち葉につきましては、平成九年度から、先ほどご答弁しましたように、焼却炉の使用禁止ということに伴いまして、一般廃棄物として処理をしてございます。
 ただ、農業系の学校におきましては、落ち葉の一部を腐葉土といたしまして発酵させまして、畑などで活用してございます。そういう工夫をして処理をしているところでございます。

○大河原委員 ちょっと余談ですが、先日、私は、木質バイオマスの実用研究、公開研究会が青梅の都立農林高校でありましたので、行ってきました。そこで、そのときにも、学校のごみは、事業系のごみが有料化されたときに、こうしたごみ処理に大変困ったんだということがありまして、剪定をした枝をもっと細かくするために、チョッパーですとか、あるいはコンポストなんかも十分やってはいますけれども、予算という面での支援が欲しかったというふうに先生がおっしゃっていました。
 そういった意味では、教育内容にも大いにかかわることだと思うんですね。学校ごみ減量マニュアル、これがリサイクル推進マニュアルというふうになったからには、あるいは地域の知恵が、地域の特色が生きる計画が立てられなきゃならないので、その点についても十分の配慮をお願いしたいと思います。
 環境教育の拠点としても、学校の果たす役割は大変大きいわけですけれども、ごみを減らすという、効率一方の計画でも困るし、そこの中には、子どもたちが過ごしている教育環境という意味での、衛生面や健康に配慮された環境づくりという視点もあってしかるべきだというふうに私は思うんです。その点では、このごみ減量マニュアルだけで何もかも片づくとは思いませんが、もう少しこうした視点を入れるべきではないかというふうに申し上げておきます。その点については少しご答弁がいただけるでしょうか。ご感想でも結構ですが。

○若林学務部長 ごみ減量マニュアルの方につきましては、ごみを減量するという目的から作成したものでございますので、その点、若干不足の部分があったのかもしれません。
 ただ、環境教育という点では、「環境と公害」という副読本を有効活用しながら、学校全体で積極的にごみ減量の教育を進めてございますので、学校におきますこれらの環境に関する教育、児童生徒に教えていくということは大変重要なことだと考えてございますので、今後とも、これらのご指摘の点も踏まえまして、環境教育を進めてまいりたいと考えてございます。

○大河原委員 本当に環境教育の原点は、自分が何をできるか、地域をどういうふうに自分が変えられるかというところにあると思うんです。学校という限られた中、そこで得たものというのは、必ず家へ持ち帰りますね、そこで学んだことは。ですから、このごみ減量マニュアル、手引書として配られているということですけれども、もっともっと活用されるように、そして各学校のごみ減量・リサイクル推進計画、これは子どもたち自身につくらせるべきだというふうに思います。そこで、地域の大人の声や先生方の協力というものもあって、ぜひとも、この冊子をもとに、ごみ問題でも夢のある解決ができるんだということを、教育の場面で見せていただきたいというふうにお願いいたします。
 質問を終わります。

○桜井委員 国立市立第二小学校の問題について、また、それに関連する事柄について質問させていただきます。
 これについては、我が党の井口先生も質問する予定だったんですけれども、時間の関係があるということでございますので、あわせまして質問させていただきます。
 国立市立第二小学校の卒業式に端を発したというか、国立市の学校教育の一連の問題は、前回にも質問いたしましたが、まさに目を覆わんばかりの惨状といっても過言じゃないと思います。このような学校がまだこの東京に存在していたということについては、愕然とする思いがいたします。
 学校は、本来、児童生徒の健やかな成長を願って教育を営むべきところでありますが、にもかかわらず、法律を無視し、校長の職務権限を顧みることなく、自分たちの主義主張ばかりを押し通そうとする一部の教職員による学校の私物化--まさに学校の私物化ですけれども--は、公教育を否定する何物でもない、このように思われます。
 今回、東京都教育委員会は、卒業式をめぐる一連の問題に対して毅然たる態度で臨み、服務規律違反があった教職員に対し厳正な処分を行うと聞いております。東京都教育委員会の断固たる姿勢に、敬意を表する次第であります。
 また、服務規律違反のあった教職員の処分に当たって、この問題に対する東京都教育委員会の見解を都民に示したことは、東京都教育委員会が責任を持って都民の信託にこたえ得る教育を行うという強い姿勢を鮮明にしたものであり、心強い限りであります。
 しかしながら、国立市の小中学校における一連の問題は、この処分をもってして一件落着というわけにはなっておりません。今回の処分は、国立市の学校教育の正常化のスタートについたというくらいだと思います。今後とも、東京都の教育委員会は、国立市の教育委員会に対して、国立市の学校教育の正常化に向けての一層の指導を期待するものであります。
 そこで、国立市の学校教育が正常に機能し、国際社会において信頼され、尊敬される日本人としての資質を育てる教育の充実に邁進することを願いまして、以下七問にわたって質問いたします。
 第一問。今回の一連の問題にかかわった教職員に対して、東京都教育委員会は、都民の信託にこたえる教育行政の責任者として、どのような処分を行い、都民の信頼にこたえようとしているのか、前回に加えて、改めてもう一度伺います。

○小海人事部長 学校教育は、児童生徒の健やかな成長を願い、法令や学習指導要領に基づいて適正に行われるべきものでございます。
 今回、国立市の第二小学校と第五小学校の卒業式におきまして、一部の教職員が、学習指導要領に基づき校長が実施した国旗掲揚に反対する立場から、勤務時間中に抗議文を卒業生の保護者に配布するなどの服務規律違反が明らかになりました。
 都教育委員会は、このような行為に対し、厳正な処分を実施することが必要であると判断し、地方公務員法に基づき、八名を戒告処分とし、九名については文書による訓告の措置を講じたものでございます。
 今後とも、教育現場の秩序の回復に全力を挙げて取り組み、都民の信頼にこたえてまいりたいと考えております。

○桜井委員 そういう処分が行われたということでありますけれども、この東京都教育委員会の処分に対しまして、支援者というか、そういう方の反対運動が起こっていると聞いておりますけれども、処分を受けた教職員は、処分を受け入れて、学校教育の正常化に向けて現実に努力していますかどうか、その点について実情を伺います。

○斎藤指導部長 校内におきまして、管理職の指導に反発する教員は少なくなったと聞いておりますけれども、しかし、都教育委員会から戒告処分を受けた八名につきましては、人事委員会に処分に対する不服申し立てをしておりまして、その取り消しを求めており、処分を受け入れているという状況にはございません。

○桜井委員 今答弁にありましたが、処分、指導、そういったことを受けたことを、全くといっていいくらい反省することなく、今もなお校長の命にも従わない教職員に対する指導を、東京都教育委員会は今後どのようになさるつもりなのか、適切な答弁を願います。

○斎藤指導部長 都教育委員会の職員が学校を訪問しまして、学校内で行われる協議会などにおきまして、教育活動の課題を全体の教員に指導する中で、該当の教員の改善を求めてまいります。是正されない場合につきましては、都教育委員会と市教育委員会との連携のもとに、該当の教員を学校から離して行う、取り出しの研修などの方法も含めて、検討してまいります。

○桜井委員 取り出しの研修も行うということでありますので、ぜひ検討してください。
 次に、先般の文教委員会で、東京都の教育委員会が国立市の教育委員会に対しまして、国立市の学校教育の正常化に向けた改善策を提示したという報告がありましたけれども、国立市教育委員会はその改善策をどのように受けとめておられるのか。また、その改善策を受けまして、国立市の教育委員会や、あるいはまた学校当局というか、校長先生ですか、に何か改善が見られましたかどうか、実情を報告してください。

○斎藤指導部長 国立市におきまして、十月二十四日の定例教育委員会で、都教育委員会が提示しました改善策について協議され、厳粛に受けとめて改善に努力すべきとの結論であったと聞いております。その後、校長会を臨時に開催し、すぐに取り組めるものは実施するよう指示をし、市教育委員会が主催する教員の委員会などでも、改善策の具体化に向けて研究を開始したと聞いております。
 学校におきましては、教育委員会職員の指導を受け入れる兆しも見えてきたということでございます。
 しかし、まだ一部の学校、一部の教員の実践でございまして、全体としては課題がまだ残されているような状況もございます。

○桜井委員 一部には、という言葉を使いますが、東京都の教育委員会は国立市に介入し過ぎる、あるいはまた、国立市の問題は国立市で解決するべきだ、そういう声があることは承知しております。第一義的には、国立市教育委員会が責任を持って解決するということは、当然過ぎるくらい当然のことでありますけれども、東京都全体の教育行政を担う東京都教育委員会の責任においても、東京都教育委員会は、国立市教育委員会や学校に対してもっと厳しく指導監督すべきじゃないかと考えておりますけれども、決意を伺います。

○斎藤指導部長 十月十二日に行った国立市に対する指導は、東京都全体の教育を所管する東京都教育委員会の任務として、地方教育行政の組織及び運営に関する法律に基づいて行った指導でございます。国立市教育長から、改善に向けて、都教育委員会に対して支援の要請もございまして、都教育委員会は、今後も、国立市の学校教育の正常化に向けて積極的に指導、支援をしてまいります。

○桜井委員 入学式あるいは卒業式などにおいて国旗・国歌が適切に実施されていないというところは、何も国立市だけに限らず、他の区市町村にもあると聞いております。中には国立市より実施率の低いところもある、こういうふうに聞いておりますけれども、また、聞くばかりでなく調べてもありますが、東京都教育委員会は、これに対して、現在までにどのように対応していたんですか。

○斎藤指導部長 特別区及び市教育長会におきまして、国立市に示しました改善策について説明をいたしまして、各区市としての検討も依頼しました。また、都内全区市の指導主事には、報告書をもとに改善策の周知を図り、各教育委員会が所管する学校の状況把握と改善策を依頼しました。
 国旗・国歌実施に課題のある区市については、今後、個別に指導助言を行い、適正な実施を求めていくつもりでございます。

○桜井委員 個別に指導助言を行うということでございますので、ぜひお願いをいたします。
 このような国立市で起きた問題の背景には、私もそうかもしれませんが、いわゆる一九四五年八月十五日に日本が負けました、その敗戦の反動が余りにも大きくて、戦後教育の五十年間の教育は、国を愛する心情を育てる、そういう教育の歴史があるんじゃないかと、このように思われます。次代を担う子どもたちに、国を愛する教育を、この際真正面に据えて、一層推進すべきであると考えておりますが、所見を伺います。

○斎藤指導部長 今回の学習指導要領の改訂の基本方針に、豊かな人間性や社会性、国際社会に生きる日本人としての自覚を育てることが掲げられておりまして、国を愛する気持ちを育てる教育は、さらに重要なものとなります。
 今後、各学校におきまして、教科領域を含め、教育活動全体で国を愛する教育を進めていくよう、指導してまいります。
 なお、都教育委員会では、世界の中の日本人としてのアイデンティティーの育成を目指し、十三年度に、日本の文化や世界の文化に触れた体験を発表する会の開催や啓発資料の作成、配布に伴う予算の要望をしているところでございます。

○桜井委員 申すまでもないんですけれども、現在の日本の教育システムは、現状が改善されない限り、教育委員会、これは東京都の教育委員会ばかりじゃございません、区市町村の教育委員会、その役割は非常に重要な位置づけをされております。
 各区市町村の教育委員会、東京都もそうでございますが、その教育委員会が形骸化しておったのでは、教育の改善、向上というものはどうにもならない。現在の日本の教育行政は、そういうシステムの上に成り立っているわけでございますので、ぜひ、教育委員会というものに対しまして、東京都の教育委員会は十分なる留意というものを持っていただきたい、このように思うわけであります。
 本当に、地域の未来、我が国の将来、そういったもの、そういう識見、人格を持った人物が教育委員になられる、そういうふうになっていただかないと、幾ら私たちが頑張ったって、どうしても手が届かないところにあるわけでございますので、ぜひ教育委員の方々に頑張っていただきたい、こういったことを強く感じている次第でございます。(発言する者あり)
 なお、最後に、これは委員会運営について申し上げますが、委員長は、委員が発言している最中は、委員長らしく、委員の発言に何かそういうことのないようにしていただくことをお願い申し上げまして、質問を終わります。

○くぼた委員 今、国立の問題が話されましたので、一言申し上げておきたいと思います。
 そもそもこのことがクローズアップされたのは、国旗・国歌法によって、それまで卒業生が主体になっていた卒業式、その運営の中に、国歌・国旗を、教育の力というか現場の力で、校長先生などの意向で持ち込んだことが発端である。そのことがまず最初に問題にされなきゃいけないというふうに思います。
 それと同時に、その内容、起こったことを、産経新聞が、事実に反して、誤解するようなことで報道して、さらにそれに輪をかけていった。ここが一番の、最大の問題だというふうに思うんですね。
 そういう中で、校長先生が出した報告書がマスコミで流れるなど、本当に成長盛りにある子どもたちの発言が、何か子どもたちの将来を傷つけるような、そういう報道がされる。むしろ教育委員会は、そういう子どもたちの権利が侵されていることにこそきちんと物をいわなきゃいけない、そういう姿勢こそ、今求められているというふうに私は思います。
 そして、同時に、皆さん、口を開けば、第一義的にはこの問題は国立市教委の問題だと、こういうふうにいいますけれども、しかし、市教委自身がその解決策を出そうということを待たないで、みずから報告書をつくるということで、国立市の教育に介入していく、こういうやり方こそ改めるべきだと思います。そして、学校の現場においても、やはり子どもたちや教員の内心の自由というのは尊重されるべきだ、そのところをちゃんと認識されるべきだというふうに思います。
 そのことだけを述べておきます。
 私は、三十人学級について資料をいただきましたので、それについて伺いたいと思います。八ページに資料をいただきました。
 まず、お伺いしたいのは、国の第七次改善計画の概要、そしてその経過について説明をしていただきたいと思います。

○小海人事部長 国の第七次公立義務教育諸学校教職員定数改善計画の概要についてでございますけれども、まず趣旨でございます。基礎学力の向上を図り、学校でのきめ細かな指導を実現することを目的として計画をつくるものでございます。実施期間は、平成十三年度から平成十七年度までの五年間でございます。
 改善の内容でございますが、教員一人当たり児童生徒数を欧米並みの水準に改善するということでございまして、具体的中身は、少人数授業などきめ細かな指導を行う学校の取り組みを支援する。また、円滑な学校運営のための定数改善として、教頭複数配置などの改善を行うということでございまして、改善定数の規模でございますが、二万六千九百人でございます。
 現在の経過、進捗状況でございます。
 まず、国の進捗状況ですが、現在、関係省庁と調整中であり、例年のスケジュールでいけば、十二月下旬に大蔵省原案発表となると聞いております。
 次に、東京都につきましては、現在、国の動向を踏まえつつ、関係部局と調整中でございまして、一月に知事原案発表の予定でございます。

○くぼた委員 今説明があったように、教員一人当たりの児童数を欧米並みにということで、今、立場を超えて国民的な合意となりつつある三十人学級について、国として当面は背を向けたということは重大だと思いますけれども、そういう世論を全く無視はできなかったということが、その内容だというふうに思うんです。
 少人数教育にするなら、なぜ少数学級にしないのか。教育的には、少人数の学級の方が効果が上がるということは明確だというふうに思いますけれども、そうなると、しない理由というのは、やはり財政的な理由というのが正直なところじゃないかと思うんです。
 しかし、それにしても、今の教育現場の実情を考えれば、財政難のしわ寄せを教育の分野にするというようなことがあってはならないと思います。私は、この点では、立場を超えて一致できる点じゃないかというふうに思うんですけれども、三十人学級という点では、我が国の取り組みというのは大変おくれているというふうに思うんですが、ちなみに、諸外国、特に欧米サミット参加国などに見る学級規模の状況というのは、どういった状況でしょうか。

○若林学務部長 国際比較ということで、主要国におけます学級編制につきましてご説明をさせていただきたいと思います。
 まず、アメリカでございますけれども、州によって異なりますけれども、カリフォルニア州の例では、一学級の上限人数、これは初等学級の第一学年から第三学年が三十二人、同じく第四学年から第八学年までが二十八人、また、中等学校に当たります第九学年から十二学年まで、これが二十五人となってございます。
 次に、イギリスでございますけれども、初等学校の第一学年と第二学年で一学級三十人を上限としているほかは、一学級の学級定員は設けてございません。
 それからドイツでございますけれども、ドイツは一律に定めた法規等がございませんが、ノルトライン・ウェストファーレン州の例で申し上げますと、一学級の標準人数といたしまして、一学級の人数の範囲を定めてございまして、初等教育の基礎学校に当たります第一学年から第四学年までは、標準人数が二十四人、人数の範囲が十八人から三十人までとなってございます。それから、前期の中等教育に当たります第五学年から第十学年のうち、ハウブトシューレ州では、初等教育の基礎学校と同じでございますが、実務学校、ギムナジウムでは、標準人数が二十八人、人数の範囲が二十六人から三十人までとなってございます。
 それからフランスでございますけれども、小学校につきましては、大学区視学官という方が決定をするということで、中等学校の前期のコレージュでは基準を設けておりませんが、後期のリセでは、上限を三十五人と定めているところでございます。
 以上です。

○くぼた委員 今説明をいただきましたけれども、そういう世界の趨勢と比べても、やはり日本の学級編制の人数というのはおくれているというふうに思いますか。そこのところを伺いたいんですが。

○若林学務部長 国それぞれの実情がございますので、それはご判断にお任せしたいと思います。

○くぼた委員 国それぞれの実情だということをお答えになりましたけれども、世界から見ても、もう四十人学級なんかほとんど見当たらないわけですよ。それで、日本においても、一番先に冒頭に申しましたように、三十人学級にしてほしいというのは、もう国民的な合意ができるような状況になっているわけですよね。それが日本の国の事情なわけですよ。やはりおくれているわけじゃないですか。日本なんかよりアメリカなどは、子どもの問題なんかもっと深刻になっている。
 そういうアメリカでは、ここに文部省の「諸外国の教育の動き」というのがありますけれども、この中に載っているんですが、例えばクリントン政権は、一昨年の一月の一般教書演説で、小学校一年生から三年生までの学級規模を全国平均で十八人まで縮小する、こういう方針を打ち出している。昨年とことしでそれに取り組んで、例えば昨年度の事業実施について報告書がありますけれども、それを見ると、初年度二万九千人の教員を増員して、百七十万人の児童が学級規模の縮小の恩恵にあずかったということなわけです。本当に深刻になっているアメリカは、もうそういう方向に踏み出しているということであります。そういう点から見ても、日本は相当おくれているということだと思います。
 文部省はそういったことについて背を向けていますけれども、学級規模の縮小については、かつての機関委任事務の時代と違って、都道府県として独自に実施する道が開かれているわけであります。
 そこで、この資料をいただきました八ページ、三十人学級を学年進行でやると、つまり年次計画を立てて段階的に進めるとどのようになるかということでありますけれども、この資料の必要経費の算定根拠となっている教員給与の平均単価というのはどういうものなんでしょうか、そして幾らなんでしょうか。

○小海人事部長 この資料の平成十二年度におけます教員の人件費の平均単価でございまして、小学校は約九百七十八万円であり、中学校は約九百四十五万円でございます。

○くぼた委員 とすると、三十人学級に踏み出すと、そのために先生をふやすということになると、主に若い二十代の先生を採用するということになるはずです。したがって、それに必要な経費ということで計算するということになれば、これも九ページの資料で、10のところでいただいたわけですけれども、新規採用の平均年齢及び平均人件費ということで、小中学校で人件費は大体五百五十万から五百八十万という実態ですから、今お答えがあった平均単価の六割程度の額で済むということになるはずなんですね。
 つまり、この出された資料というのは、必要経費というのが、そういう実態から比べれば過大になっているんじゃないかというふうに私は思うんですが、この点ではいかがでしょうか。

○小海人事部長 この資料の経費算定に当たりましては、平均単価により算出したわけですけれども、その理由としましては、新規事業を算出するに当たりまして、事業の継続性を考慮して平均単価を使用することが通常となっております。
 また、実際の配置に当たりましては、三十人学級実施による教員増について、新規採用者のみで実施するというわけではございませんということでございます。

○くぼた委員 つまり、新規事業を算出するには平均単価を用いる、そういう行政上の理由なわけでしょう。だから実際とは違うわけですよ。
 それから、新規採用のみじゃないということですけれども、それはそうかもしれませんけれども、圧倒的に新規採用が多いということになるのは当然だと思うんですね。
 例えば、先ほどの資料では、小学校で六年かけて学年進行で新たに必要な人件費は、一年目に約八十七億、それから六年全体として五百二十五億というふうにあるわけですけれども、非常に大ざっぱな計算をしてしまえば、先ほどいったようにこの六割程度で、一年目が約四十九億、それから、昇給を考えるともう少し膨らむと思いますけれども、六年間で三百三十億程度になるということであります。つまり、これぐらいの経費増であれば、都として不可能な数字じゃないというふうに私は思うんですね。
 三十人以下学級など、学級規模の縮小を求める声というのは、先ほど来いっていますように、今や立場を超えた共通の要求になっているわけです。だから、国がその実現に背を向けたもとで、やはり都として独自に三十人学級に踏み出すべきだというふうに思います。
 それからもう一つ、同時に、この問題について別の観点から考えてみたいと思うんですけれども、先日、ある方からお話を伺ったんですが、小学校では、先生が二十代であれば、黙っていても子どもたちが寄ってくる、三十代では、子どもたちは呼べば来る、四十代は、呼ぶと子どもが逃げていく、五十代は、反応が全くないという話を伺いました。実感の話だというふうに私は思うんですね。私も子どもが小学校にいますけれども。本当に、若い先生が入って、子どもたちがわあっと、休み時間なんか寄っていくわけなんです。つまり、学校現場でも若い先生が渇望されているということだと思うんです。
 そこで伺いたいんですが、都における四十代以上の教員の年齢構成というのはどのようになっているでしょうか。

○小海人事部長 小学校につきましては、四十歳以上の教員が約七二%を占めており、一番多い年齢は五十二歳でございます。
 中学校につきましては、四十歳以上の教員が約六四%を占めておりまして、一番多い年齢は四十二歳でございます。

○くぼた委員 ということで、小学校でいうと七二%が四十代以上、ピークが五十二歳のところにある。だから、そういう意味では非常に高齢化しているというふうな年齢構成になっていると思うんですね。
 それで、学校の中では、港区の小学校でもそうですけれども、二十代の先生が一人もいないという小学校もあるわけですし、こうした年齢構成のゆがみが、学校現場にもさまざまな困難をもたらしているというふうに思うんです。
 私ども、この間、予算要望の中で、小中学校の校長会の皆さんなどとも懇談をさせていただきましたが、やっぱり現場の困難というのは深刻で、今後十年間に大量の定年退職者を送り出すということが確実な中で、今から計画的に若い先生を採用してほしいという要望が非常に多く出されました。特に小学校では、子どもたちにとっても、元気よく、十分に遊んでくれる若い先生がどうしても必要だというようなお話でした。これはもっともなことだというふうに思うんですね。
 それで、お願いした資料によれば、一一ページ、ここに、退職者とか採用見込み数とか書いてあるわけですけれども、八年後には、小学校だけで千六百人の採用が必要になってくる年がある。中学校でも六百五十人という年がある。そこを前後して数年間、そういう年が続くということなわけですね。
 では、最近はどうかというと、最近の採用実績は、その左側のページのものなんですけれども、三百人から五百人ということです。中学校でも二百人から三百人ということですから、最近の採用状況の二倍から五倍の採用が、八年後にはどうしても必要になってくるということであります。
 この資料は、当然、四十人学級を前提としたものなわけですけれども、平成十三年から二十二年、十年間で、小学校で約一万二千人、中学校で三千三百人の採用が必要だということが、この表から読み取ることができるわけであります。
 こういう状況を前にして、都教委として現状をどう認識しておられるのか、また、こういった状況が訪れようとしていることに対して、どういう対策を講じるつもりであるのか、お答えいただきたいと思います。

○小海人事部長 確かにご指摘のように、この資料によりますと、採用見込み数がだんだんふえていくという状況がございます。私どもとしましては、退職が先々多くなってくるわけですから、早期退職を促進するというのが一つの方法だと思います。それから、採用がふえた時点では、非常勤教員による採用数の抑制を検討するというようなことを考えております。
 いずれにしましても、そのような方法で、この団塊の世代の山を崩していくということが考えられると思います。

○くぼた委員 非常にネガティブな構想しか持っておられないということが明らかになったと思うんですね。
 私は、だからこそ、今から計画的に先生を採用していくというふうにしなきゃならないと思うんですね。そういうふうにすれば、今の五十二歳にピークがある山を崩していくことができるわけです。本当にそれで取り組まないと、また大量に退職が出て、大量に採用しなきゃいけないということで、またピークができるという、同じ問題を繰り返すことになるわけです。だからこそ、今、そういうことで採用するという決断をしてやっていかなきゃならないと思うんですね。これは日本の将来の問題ですよ。そこのところをきちんと踏まえるべきだというふうに思います。
 この表によりますと、例えば、十年間で小学校で一万二千人採用が必要であるということになれば、では、毎年千人以上の採用を、例えば来年から始めていくとか、そういうことをする以外に方法はないわけです。そういうことをすることが、やはり教育の将来にとっても責任を持つということだと思うんですね。
 先ほども申し上げましたように、この資料でもわかりますが、三十人学級を実現しようとすれば、この資料からすれば、小学校で例えば六年間、毎年新たに八百人から九百人の採用を行えばいいということになるわけです。つまり、山を崩すためには毎年千人の採用が必要だと。三十人学級を実現するためには、八百人から九百人採用すればいいということになるわけですからね。三十人学級を実現しようとしたって、まだ山の問題、年齢構成の問題は解決しないということなわけです。そういった意味でも、やはり今からぜひ取り組む必要があるというふうに思うんですね。
 現場での先生方のアンケートもちょっといただきました。新規採用が減っていることについてどのように考えるかという問いに対して、大いに問題があるということを、九四・三%の先生が答えられている。
 東京都の校長先生に対する、教員評価に対するアンケートといいう資料もいただきました。これは、若い先生、中堅の先生、それから年配の先生という部類に分けているんですけれども、教材研究の熱心さ、子どもに好かれるということ、それから、新しい教育方法を生み出しているということについて、いずれも若い先生に評価が高い、最も高くなっている、こういう状況であります。
 また、別なアンケートでは、教育の力量を形成するのは三十代前半だということも、その中で出ているわけですね。つまり、年齢構成がいびつになると、ある時期、若い先生ばかり生まれてくる。それを崩していくということは、三十代前半の力量をつけるときに、年配の先生からそれまでの経験を教えてもらうとか、そういうことをうまく継承しながら教育を発展させていくということにもつながるわけだというふうに思うんですね。
 だから、そういう意味からしても、やはり三十人学級の実現というのは、今の教育の抱えるさまざまな困難を打開する上で、どうしても必要な施策だというふうに思います。
 初めに明らかにしたように、少人数学級というのは世界の趨勢です。時代の要請でもあります。ですから、今の教育を立て直す最小限の条件整備であり、行政が行う最小限の条件整備、この三十人学級をぜひとも実現させていただきたいというふうに思うんですね。
 少子化というふうにいいますけれども、本当に少ない子どもたち一人一人をしっかり育てていかなければならない。そういうふうにしなきゃ、我が国の未来もないということです。そういう観点からも、ぜひ三十人学級の計画的、段階的な実施を重ねて要求したいと思いますが、この点では、教育長さん、いかがでしょうか。

○横山教育長 今、三十人学級を前提に物事をるるおっしゃっていますが、私自身は、我が国の中で、学級としての人数が何人がいいのかというのは、結論は出ていないと思うんですよ。
 なぜかといいますと、子どもたちが学校で何を習うかというと、学級の中で、ある集団の中で、いろいろな社会性を身につけるという面がございますね。おっしゃっているように、学力の向上だけ考えれば、それは学級人数が少ないというのがいいに決まっているわけですよ。ただ、集団の中で身につけることがあるので、それが三十がいいのか、四十がいいのか、その辺の結論は出ていないと。
 今、アメリカの話をされましたが、実は先般、私、アメリカへ行きまして、いろいろ意見交換をしてまいりましたが、アメリカの最大の問題というのは、今、学力の向上なんですね。学力の向上が問題であるときには、当然、学級人数というのは少ない方がいいに決まっているわけです。
 今、時代の趨勢あるいは国民の合意とおっしゃっていますが、三十人学級が正しいという結論は、私は持っていませんので……。

○くぼた委員 文部省と同じようなことをいわれているわけですし、今、年齢構成の問題についてはお答えがなかったわけですね。でも、いずれにせよ、今いわれているのは、少ない人数の方がいいということをいわれているわけですよ。やっぱりそういう立場に立つべきだというふうに思うわけですよね。
 だから、私、教育長の頭の中には、財政問題が一番ひっかかっていると思うんですけれども、そういう意味では、三十人以下の学級、これだって、各政党だって要求しているんです、国会でも地方議会でも。三十人以下の学級を実現してほしいということをいっているわけですから、そういう意味では、本当に国民的な要望になっているわけです。今のあなたの答えは、後半の方は、そういう要望にすら耳をかさないという態度じゃないですか。ぜひそこのところは改めていただきたい、そういう考えに立っていただきたいということを重ねて述べておきます。
 次に、区部ユース・プラザの建設に関してお伺いしたいと思います。
 区部ユース・プラザの建設に至る経緯と現状を簡単に述べていただきたいと思います。

○嶋津生涯学習部長 区部ユース・プラザにつきましては、東京都社会教育委員の会議の助言を踏まえて、現在の青年の家にかわる施設として設置することといたしました。
 平成十年度に基本計画を策定し、十一年度に基本設計を行い、現在、PFIの導入可能性について調査しているところでございます。

○くぼた委員 この区部ユース・プラザにつきましては、青年の家の廃止をめぐって、議会でもいろんな論議がありました。それで、一応基本計画もこれができまして、このとおりに進めば、今年度は実施設計を行うという予定であります。皆さん方もその準備をされてきたわけです、大体、この平成十二年度の予算には、実施設計を行うということを予算計上されているわけですから。
 ところが、PFI方式ということで検討することになり、実施設計は見送られる。現在、PFI事業での事業化のめどが立つかどうか、委託して、今年度末にその結論が出るということだそうですけれども、どうしてPFIを検討することになったのか、これがまず一点目です。
 それから、その委託先はどうやって決められ、そして何というところか、また幾らで委託契約をしたのか、その点についてお答えください。

○嶋津生涯学習部長 まず、なぜPFIを検討することになったかということでございますが、本年、平成十二年の第二回都議会定例会におきまして、PFIは、ユース・プラザの事業手法として有力ではないかというご指摘がございました。それを踏まえまして検討を始めたものでございます。
 二つ目に、委託先については、庁内で選定委員会を設け、第一勧銀総合研究所に決定いたしてございます。
 三つ目に、委託料でございますが、二千百万円でございます。

○くぼた委員 それでは、ここで今検討されて、その結論が出る。今年度末ぐらいに出るというふうに思うんですけれども、教育庁として、その結論を見て、では、PFIにするかどうかということになると思うんですね。そのときの教育庁としての基準は何になるんでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 PFI導入の可能性あるいはその是非については、その内容を検討いたしまして、教育委員会として決めたいというように考えてございます。

○くぼた委員 委託契約先がPFIで行けると決めたら、PFI方式にするのか、それとも、委託契約先がPFI方式は難しいよというような結論を出したら、しないのか、そういう基準が教育庁としてあるんでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 繰り返しになりますが、PFIを採用するか採用しないかは、今やっております検討の内容をつぶさに検討いたしまして、委員会として決めたいと思ってございます。

○くぼた委員 では、教育庁の責任で、検討すると、どっちにするか決めるということですね。
 これはもうちょっと後でやりたいと思うんですが、昨年の三月に、区部ユース・プラザ(仮称)基本計画というのが出されています。この計画は、経過からいって、当然、PFIを前提としたものではありません。仮にPFIとして事業を進めることになった場合、ここに書かれてある基本的な計画の内容が変更されることがありますか。

○嶋津生涯学習部長 基本計画の内容を踏襲するかというご指摘でございますが、あくまでもPFIの導入の可能性あるいはその内容につきましては、現在検討中でございます。もしPFIを導入した場合でも、その基本計画の内容をベースに、区部ユース・プラザの整備を進めてまいりたいというふうに思ってございます。

○くぼた委員 内容をベースにという、非常に微妙ないい方だと私思うんですけれども、この計画の中では、区部ユース・プラザの、大きく分けて三部から成っているんですね。それで、建築計画の概要、事業体系、開館に向けてと、こういう三部から成っています。ですから、ちょっとその何点かについて、それに沿って伺いたいと思うんですけれども、まず開館の時期です。
 これは非常に大きな、青年の家の廃止という問題とリンクして重要なことだと思うんですが、基本計画に掲載されている建設スケジュールというのがあるんですね、この後ろのところに。これを見ますと、建設工事に大体二年から三年かかって、平成十五年度の開館ということが書かれています。ちなみに、ことしは実施設計ということですから、皆さん方が予算を組んで実施設計を計上したのは、これに沿ってやっていったということになるわけですけれども、それでは、PFI事業をもし採用した場合に、着工するのはいつごろになるでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 繰り返しになりますが、PFIの導入可能性につきましては、現在検討中でございまして、したがって、建設工事の着工時期については未定でございます。

○くぼた委員 未定だということは、では、十五年にできるかどうかもわからないということじゃないですか。つまり、都民との、十五年度までにつくりますよという約束が果たせない可能性があるということじゃないんでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 PFI方式にした場合の具体的なスケジュールについてでございますが、基本計画どおり平成十五年度の開館を目途に、現在検討しているところでございます。基本計画をベースに検討しているところでございます。

○くぼた委員 ベースにということは、だから、基本計画が変わる可能性があるという意味合いですね、今のご答弁からすると。
 私ちょっと、水道局がもう前例をつくっていますので、調べてみました。水道局でもPFI、金町浄水場のコージェネレーションで既に行っているわけですし、今は朝霞と三園のPFI、同じような施設をつくろうということでやっています。水道局の方でも、事業の公表から業者の契約まで、一年かかっています。それから、その後、実施設計や環境影響評価などを行って、これはちょっと水道局とは違うかもしれませんけれども、契約から着工までに一年半かかっているんですね。つまり、事業公表、PFIでやりますよといってから着工するまで、二年半かかるという計画になっています。
 結局、そういうスケジュールでいいますと、平成十五年度開館はできなくなるということじゃないかという懸念があるんです。この点についてはいかがでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 再三繰り返しになりますが、基本計画をベースにいたしまして、平成十五年度の開館を目途に、現在検討しているところでございます。

○くぼた委員 だから、約束できないということですよね、再三繰り返しになりますけれども。
 青年の家の廃止が出された二年前の議会では、多くの都民の世論を受けて、新たな施設が開館される前に先に廃止するのはやめてほしいということで、都民の大きな運動や、署名運動が起こりました。各党の皆さんも、そういう立場からそれを求めたわけですね。青少年の社会的自立や自主性を育てるといった重要な役割に空白をつくることになる。だから、わずかながらも、その結果、廃止時期を一年から三年おくらせるという結果になったわけです。それでも、区部ユース・プラザの開設の三年前から廃止が始まるということ。もう来年から、五日市は廃止ですよね。だから、開設の前から廃止が始まるわけです。この件については、議会でも大きな問題として取り上げられたわけです。
 したがって、平成十五年度に開設できないということになれば、これは繰り返しなんですけれども、都民や議会に対して重大な約束違反だということで、これは私、大問題だというふうに思うんですね、普通の事業がおくれたという話じゃないわけですから。さんざん議会であれだけ問題になって、付帯決議までつくという、そういう経過の中で、今の状況になっているわけです。
 全く別の観点から伺いますが、では、PFIでやらない、PFIじゃなくて従来どおりでやるという結論が出た場合には、それにしても、既にスケジュールは一年以上おくれているわけです。したがって、十五年度開設はできないということになるんじゃないでしょうか。この点はいかがでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 仮定の話ではございますが、もしPFIの方式によらない場合でも、基本計画に基づきまして、十五年度の開館に向けて検討してまいりたいというふうに思ってございます。

○くぼた委員 これも仮定の話ということで、約束はできない。つまり、計画どおり進まないかもしれないということですね。
 次に、基本計画では、建設の概要に、例えばバリアフリーに……(「何だよ、聞くなよ、それだったら」と呼ぶ者あり)もうちょっと前向きの話をするのかと思ったんですが、それすら約束できないということですから。
 次に進みます。
 次に、この建設の概要のところに、バリアフリーに配慮とか、雨水利用やソーラーシステムの導入といった、環境に配慮した施設にするというふうに書かれています。こうした施設をつくることは、私、素人で大変申しわけないんですけれども、通常の建設に比べると当然コストがかかるというふうになると思うんですね。すなわち、ユース・プラザで行う事業とは関係のないところで、つまり、バリアフリー化するとか環境に配慮した施設にするとかということになると、関係ないところで採算ラインを引き上げるということになると思うんです。そういうふうになると、参入してくる企業側からすれば、採算ラインが高くなる、ハードルが高くなるということになって、この事業に参入しにくい事態が生まれるというふうに思います。
 ですから、もしPFIをやるということになったとすれば、そういう企業に対して、採算ラインを引き下げてほしいという点で、環境対応とかバリアフリー化とかということでの妥協を迫られる懸念があると思うんですけれども、そういったバリアフリー化とか環境対応ということについて、事業契約をする際の条件にするんだということをはっきりおっしゃれるでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 バリアフリーの問題を含めまして、これからの新しい時代に見合った施設をつくっていく、その幾つかの仕様につきましては、契約の中で義務づけることによって、その履行を要求してまいりたいというぐあいに考えてございます。

○くぼた委員 今のお答えですと、採算に関係のない施設の整備の面でも、バリアフリー、それから例えば太陽光利用とか雨水利用、こういう施設はきちんとつくるんだということで確認をしておきたいと思います。
 それから、あと、この中にもう一つ、事業体系ということがあります。体験学習の場、主体的活動や交流の場、自立を促す場など、五点について述べられています。これらについて、PFIとした場合、そういう事業が果たしてPFIになじむのかどうかという問題があると思うんですね。しかし、きょうはそれを議論することはしません。具体的に契約の内容がはっきりしませんから、できないので、それは、また、そういう時期にさせていただくとして、いずれにせよ、今伺っただけでも、PFIの導入いかんにかかわらず、皆さん方がお出しになった基本計画が、つまり、都民との約束で出した基本計画が確保されるのかどうかというのは非常に怪しいというふうに私は思います。
 そして何よりも、既に計画よりおくれているというのは確かな事実であります。したがって、もしこの基本計画が変更になるようなことになった場合、また、PFIといった、これまでに経験したことのない事業手法になれば、それが事業にとってどのような影響を与えるのかも含めて、利用団体初め都民の議論に付すべきだと私は当然考えますけれども、この点ではいかがでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 現在はまだ、PFIの導入の可能性を検討している段階でございます。それを踏まえまして、今後の事業方式を決定する際には、都民にわかりやすい提示をしてまいりたいというぐあいに考えてございます。

○くぼた委員 提示じゃなくて、やっぱりきちんと意見を聞くべきだというふうに思います。そして、都民的な合意を得るべきだというふうに思うんですね。(「またおくれる」と呼ぶ者あり)そういった手続をちゃんとしてから、PFIにする場合にはPFIとしてやるべきなんです。
 そもそもPFIというのは、公開性というのが非常に強調されています。それは、第三セクターの二の舞にならないという点でも大切なことなんですね。つまり、社会教育事業ということが今回初めてなわけでしょう、東京都としても。というだけに、そういった手段を略すということは、私は許されないと思うんです。そういうと、今こっちで話がありましたけれども、そうするとどんどん開設がおくれるじゃないかということをいわれましたけれども、だからといって、そういう都民の合意を得る、初めて社会教育事業としてやるPFI方式とはどういうものなのか、そういう説明や議論を省略して進めていいということにはならないというふうに思うんですね。
 結局、区部ユース・プラザのPFIの導入ということに東京都自身振り回されて、都として、青年の家の利用者や都民に対しては、基本計画、約束をどう守っていくかということがないがしろにされつつあるというふうに思うんです。もう既に計画に対しておくれる状況を、教育庁自身がつくり出しているわけですから、説明責任を省いて進めてしまうということだって許されないと思います。そういう状況をつくり出したのは教育庁なんですから。だから、そこのところをしっかり認識して、ぜひとも、この開設十五年ということはきちんと守っていただきたい。それができなければ、青年の家の廃止というのは、やはり延期するべきだというふうに思います。
 もう一点、これは指摘だけにとどめたいと思いますが、冒頭に申し上げました予算との関連で、今年度予算では、実施設計ということで、皆さん、会派のところへ回ったわけですよ。そして議会を通ったわけですよ、七千何百万の予算計上をして。しかし、議会の審議を経たものに対して、勝手にその執行を変えているわけです、皆さん方は。そういう権利はあるというふうにおっしゃるかもしれませんけれども、そういうことが横行するようなことになれば、一体予算審議というのはどういうものなんだ、何のためにやっているんだということになりかねません。そういったやり方としても、私は、こういうやり方は好ましいものとはいえないというふうに思います。
 いずれにせよ、今後の推移も含めて、このユース・プラザに関する問題を、きちんと議会や都民に報告して、情報の公開と透明性を確保して、多くの都民による積極的な議論を深めていくべきだということを求めて、次の問題に移りたいと思います。
 次は、高校改革について伺います。これについても資料をいただきました。
 高校改革については、その実施計画においても、その過程においても、関係者や都民に理解を得られるよう説明して、そこで出された意見が反映されるよう、繰り返し要求してきました。一口にいってしまえば、もっと情報公開して、民主的な姿勢で臨むべきだということであります。これは、私たちだけの主張じゃなくて、この間の文教委員会全体としての要請だというふうにいってもいいと思うんですね。これに対して皆さん方の答弁というのは、関係者にご理解が得られるよう説明してまいりたい、基本計画検討委員会をつくって、そこで、住民の皆さん、関係者の皆さんの民意を反映します、こういう答弁を繰り返してこられたわけです。
 中間まとめの報告会の実施状況は、資料でいただいたので、それは問いませんけれども、この報告会は何を目的として開いたものなんでしょうか。

○山際都立高校改革推進担当部長 昨年十月に策定いたしました都立高校改革推進計画第二次実施計画に基づき設置する新しいタイプの高校等につきましては、昨年十二月に、対象校の校長、教職員、地元の中学校長及び教育庁職員等を委員といたしまして、基本計画検討委員会を設置し、検討を進めてきたところでございます。
 ご質問の、この基本計画検討委員会における趣旨につきましては、検討の中間段階で、新たな学校の教育課程、教育内容、方法に関して、保護者や関係団体、学校及び地域関係者の意見、要望を伺う機会として、中間のまとめの説明会を開催したものでございます。

○くぼた委員 一次の改革のときには、この種の中間での報告というのはやられなかったというふうに思うんですけれども、そういった、先ほどいったような議会とか都民からの要望もあって、批判もあって、二次の計画については、こうして中間で報告をして、最終の報告にそれを生かそうということで、形態だけでは、形態をとったということでは、一次のときに比べて前進だというふうに私は思います。
 それでは、このたぐいの報告、こういった高校改革についての報告は、この間も議会で求めてきましたけれども、当該の学校関係者だけじゃなくて、実際に影響を受けることになる、つまり、改革が進んで、実際にその学校を受けるようなことになる小中の先生や保護者などの関係者も含めて、広く都民に理解を得られるようにする、こういうふうに答弁されているわけです。で、この中間まとめの報告会について、そのように実際に、当該学校の関係者だけじゃなくて、その学校を受けることになるような小学校や中学校の関係者、保護者の皆さんに、この開催を知らせたんでしょうか。その点についてお伺いしたいと思います。

○山際都立高校改革推進担当部長 中間まとめの説明会の対象者につきましては、ご指摘のとおり、適正配置該当校の関係者、さらには地域の小中学校の関係者等を対象としておるところでございます。
 どういうふうな形で周知したのかというお話がございました。
 中間まとめの説明会の開催については、適正配置該当校のPTA、同窓会につきましては、各校の校長から通知いたしております。また、地元の小中学校関係者につきましては、該当校が所在する区市の教育委員会に対しまして、所管の小中学校への周知を依頼し、各小中学校長から関係者に連絡してもらうように依頼をしたところでございます。

○くぼた委員 説明会の対象は、該当校の関係者、それから小中の関係者、そういうことでお答えがありました。その連絡方法については、該当の学校については校長先生を通じて、それから、小中については地区の教育委員会にお願いをしたということですね。
 私、いろいろ話を伺ったら、実際に関係する小中の校長先生も知らなかったというお話を幾つか伺いました。それから、保護者も当然知らないという状況がありました。対象者はそこまで含めているのに、連絡は行っていない。それは皆さん方の責任じゃないといえば責任じゃないかもしれませんけれども、地区の教育委員会にお願いをしたと。では、お願いしたことをやってくれましたかということを、確認ぐらいはできると思うんですね。そういうこともされなかったということですね。お願いして、そのまま先に自動的にちゃんと伝わるだろうという前提のもとで、そういうことで確認をされなかったと思うんですけれども、実際にはそういう状況になっているわけです。この点では、そういうことを知らせるべきだと前回伺ったときに、ちゃんとやりますといったことについては、やっぱり前進はなかったというふうに私は思うんです。
 今後、最終の報告書ということになると思いますけれども、今のような状況があるわけですから、やはりきちんと対象者には知らせて、そしてきちんと報告会を開くべきじゃないかと思います。
 先ほど、板橋の織田先生がいわれていましたけれども、やはり本当にもっと広い人たちに論議してもらわなきゃいけない。一部の人たちだけ知っていて、そこで論議するんじゃなくて、広い人に知ってもらうということは必要だと思いますので、そういう要請があったら、またこの種の中間まとめの説明会、やるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

○山際都立高校改革推進担当部長 私どもといたしましては、中間まとめの説明会の開催につきましては、該当校ばかりじゃなくて、小中学校関係者への周知にできる限りのことを努力してきたということでございまして、説明会に参加できなかった方々は確かにおられるかもしれませんが、しかし、例えば政策報道室で所管している都民の声などございます。そういうものを活用いたしまして、もしご意見があれば、承れればというふうに考えているところでございます。

○くぼた委員 では、結局、対象としている人たちに知らされなかった。参加できなかったじゃない、知らされなかったんだから。そういう人たちはもう置き去りにしていくという答弁ですね。とんでもないことだと思いますよ。そういうことで民主的な手続といえますか。そういうことで高校改革を進めていこうとしているんでしょうか。この間、このことが盛んに問題になっているわけですよ、皆さん方のやり方としても、非常に民主的じゃないと。もっときちんと都民に知らせなさい、それで論議をするべきだということを求められているんだけれども、全然そこも改善されない。説明会をぜひ開いていただきたいと思うんですね、そういう要望があればでいいですから。検討してください。
 ちょっと内容の問題に移りたいと思うんですが、中間まとめの報告会をやったわけで、今後、最終の報告書につながっていくというふうに思いますが、その最終の報告書というのはいつごろ出されるのか。で、報告会で出された、そこに参加された方のさまざまな意見とか疑問とかというのはどう反映されていくのか、疑問についてはちゃんと回答されるのか、その点について伺いたいと思います。

○山際都立高校改革推進担当部長 まず、先ほど、都民に対する周知ということでお話がありましたが、私ども、都民の一般の方に対しましても、例えばインターネットのホームページの中で、説明会の開催日時あるいは場所についても情報提供したところでございますし、また、東京都の小学校のPTAの協議会あるいは公立中学校のPTAの連合会などにも周知をしているというところでございます。
 今ご質問のありました、取りまとめの時期についてでございますけれども、年内を予定いたしております。
 また、反映できるものについて、意見を最終報告にどういうふうに反映させるのかという趣旨のご質問だと思いますが、説明会でいただきました意見、要望などにつきましては、基本計画検討委員会で検討いたしまして、反映できるものについては最終報告の中に取り入れていきたいというふうに考えております。

○くぼた委員 もう一点伺ったんですが、疑問などについてはちゃんと回答されるんでしょうか。

○山際都立高校改革推進担当部長 協議会の中でいろいろ疑問があった点については、その場でお答えしておりますし、また、その中でのいろいろな意見につきましては、基本計画検討委員会のところで、最終報告に取り入れられるかどうかというふうなこともあわせて検討をしているところでございます。

○くぼた委員 いや、その場でお答えがなかった疑問については、ちゃんと回答されるんでしょうかということを伺っているんですが。

○山際都立高校改革推進担当部長 いろいろな意見あるいは疑問点については、その場で答えるようにしております。

○くぼた委員 疑問がちゃんと答えられなかったという声もいっぱい聞いているんですよ、その場で。それについてどうするんですかと聞いているんです。全部答えたということじゃないでしょう。本当に閉鎖的なんだから。

○山際都立高校改革推進担当部長 具体的に、わからないというふうな点があったら、こちらの方からお答えしたいと思います。

○くぼた委員 もう押し問答になるからやめますけれども、やはり出された疑問についてはちゃんと答えていただきたい。それから、要望が多かった意見などは、ちゃんと計画の中に取り入れていくのは当然だと私は思います。
 例えば、農林高校において行われた説明会は、百人近くが参加され、予定時間を二時間半も延長して、単位制総合学科として統合されてしまうと、農林という学校の個性がなくなってしまうと、既にそのようにされてしまった他県の農林高校などの例を具体的に示されながら、疑問を呈する声が圧倒的に上がったというふうに伺いました。同じようなに、他の説明会場でも疑問がたくさん上がっているということを、私は参加者の方々から伺っています。
 そこで、報告会で出された内容、意見、当然、その意見は検討委員会にかけられるわけですよね。その検討委員会でどのように検討されたのか。それから、それまで検討されてきた経過を関係者に明らかにするのは当然の責務だと思うし、きちんとそれに対して説明するのが当然だというふうに思うんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。

○山際都立高校改革推進担当部長 先ほど申し上げましたとおり、説明会でいただいた意見、要望については、基本計画検討委員会で検討いたしまして、最終報告に取り入れるというようなお話をさせていただきました。
 また、その中で、説明会でいただいた意見そのものについても、最終報告とあわせて、インターネットのホームページのところに登載するように検討してまいりたいと思います。

○くぼた委員 ごめんなさい。私がいった意味はそういうことじゃなくて、報告会で意見が出されたわけですから、その意見が検討委員会でどのように検討されたのか、当然、そのことについてちゃんと説明するべきじゃないでしょうかと、意見を出した方に対して。それから、この間の検討委員会でどういう検討がされてきたのかということについても、ちゃんと情報提供するべきじゃないかと。それが当然の責務だし、新しい学校をつくろうとしているわけですから、そういうことを全部オープンにするべきじゃないかというふうに思うんですよ。そうしなければ、本当にあなた方だけの計画ということになっちゃうじゃないですか。そのことをやられますかと私は伺っているんですが、どうでしょうか。

○山際都立高校改革推進担当部長 説明会でいただいた意見は、かなりいろいろな意見がございました。そういうようなことをいろいろと、該当者ですね、該当校の関係者あるいは中学校の校長、そうしたメンバーで議論を重ね、最終報告に入れるかどうか最終的に決める、現在、そういうような作業をしておるところでございます。いろいろとその参加者の中でご意見がある、そしてそれがどうなったというふうな問い合わせがあれば、お答えしたいと思います。

○くぼた委員 積極的にそういうのは公開するべきだと思うんですけどね。本当に閉鎖的だと思いますよ。
 私は、そういうことがあるだろうから、検討委員会に、地域の関係者とか保護者、複数の現場の先生方を入れるべきだということを、以前、質問いたしました。提案いたしました。そうしなければ、結局、各校の基本計画そのものが、皆さん方、多分この都庁でつくられたその計画を、上意下達のもとに、それぞれのところに押しつけるだけのことになってしまうんじゃないか、こういう危惧があったから、そういうふうに指摘をしたんです。でも、実際に今そうなりつつあると思いますよ、今のようなご答弁だと。そうしなかった以上、保護者や地域住民、それから同窓生などから出された意見を、きちんと検討委員会で論議して、結果を説明していくべきだと思います。
 私、この報告会をやったことで、広範な論議というのは、その起点に立ったというふうに思うんです。これからだと思うんですよ。だから、拙速に最終報告を出すんじゃなくて、都民へ積極的な情報提供をする、そしてその中で論議を積み重ねていく、合意を図っていく、そういうあらゆる努力を尽くすべきだと思うんです。そういうプロセスを皆さん方これまで省いてきたから、まだ二次改革についていろいろな疑問が、この会場で呈されるじゃありませんか。いつまでたったってそういう状況は続くんですよ。そこのところを解決するのは、皆さん方自身がきちんと情報を公開すること。それをまず最初にやっていただきたいと思います。
 次の問題に移ります。最後です。
 一番冒頭にありました定時制学校給食の改善、これについて伺いたいと思います。
 その内容については、先ほどご説明がありましたので、繰り返し伺いませんが、私は、この改善ということが、生徒たちにとって何が改善されるのか、そのことについて皆さん方の認識を伺いたいというふうに思います。

○桜井体育部長 夜間定時制学校の給食の運営の問題につきまして、生徒にとってどのような改革がなされるかというお話でございます。
 私ども、今回の学校給食の改善に当たりましては、生徒の立場を十分考慮した内容となっていると考えております。例えば、親子方式の導入に当たりましては、学校給食衛生管理の基準に基づきます衛生管理の確保や、温かいものを温かく、冷たいものは冷たく提供する保温管理に十分配慮しておりますし、また、複数メニューを導入することによりまして、生徒の食の多様化にも対応するものでございます。
 あわせて、予約申込制をとることによりまして、これには電算システムを活用する予定でございますが、喫食、欠食状況につきまして、生徒個々人の状況がより明確に把握できるので、健康管理及び栄養指導をよりきめ細かく実施できるものと考えております。

○くぼた委員 温かいものを温かくって、今だって温かいものは温かいから、全然改善じゃないじゃないですか、そういうことを何でおっしゃるのかわかりませんけれども。
 今おっしゃったのは、複数メニューを導入するんだと、それから、本当にそうやられるのかどうかわかりませんけれども、食べている状況をちゃんと把握して、生徒の健康管理、栄養指導をすると。そういうことをされるのかどうか、これはちょっと後の問題ですけれども、今そういうお答えでした。
 では、改善とおっしゃっているんですが、改善に当たって、生徒さんたちの意見を聞いたのでしょうか。

○桜井体育部長 今回の計画の検討に当たりましては、学校栄養士を初めといたします教職員の意見等を参考にしながら、計画を進めてきたところでございます。今の学校栄養士等からの、あるいは教職員の中に、生徒の意見等も入っているものと思っております。
 また、今後におきましても、当該学校と連携を図りまして、現場の意見を聞きながら、円滑な導入に努めてまいりたいと思っております。

○くぼた委員 一番初めの質問に対して、生徒さんたちのことを最前提に考えてというご答弁がありましたが、今のご答弁だと、生徒さんたちの意見を聞いていないと。先生たちを通じて聞いたみたいなお話ですけれども、それで計画をした。何でそれで生徒たちの立場に立って物を考えられるのか、私は不思議なんです。
 それでは、結局、生徒たちにとって改善と判断できないと思うんですよ、生徒の声を聞いていないんだから。だから、生徒さんは今何といっているかというと、急な話だと、ほとんどの生徒はまず知らない、急なことで驚いたというふうな声が上がっているわけですね。で、予約申込制は改善だというご答弁がありました。その予約申込制と現在の注文のやり方の違い、教えていただきたい。
 それから、その予約にはICカードを使うということですけれども、具体的にどのようにするのかを、簡単でいいですから、説明していただきたいと思います。

○桜井体育部長 現行方式の予約申込制でございますが、年度当初に、年間を通じての申し込みを受けております。この給食の申し込みによりまして給食を実施しているわけでございますが、病気等により一定期間継続して喫食をしない場合についてのみ、欠食届を提出させた上で、給食費の徴収対象外としております。しかし、一日単位の欠食届による対応は、現在しておりません。
 今回の新たな方式につきましては、一定の締め切り日までに、生徒の都合によりまして変更の申し出があれば、これに応じていく予定でございます。
 また、今回の予約制の導入に伴う事務の煩雑さをできるだけ避けるということのために、IDカード、個人認識カードを、パソコンを利用して使っていくものでございます。

○くぼた委員 予約だから改善だとおっしゃったんですけれども、生徒さんのお話を伺ったら、一々予約しなければならないんだったら面倒だ、予約しなくなっちゃうと思うといっておられるんです。こういう声が多いんです。
 取り消すんだって、IDカードで取り消すわけですよね。学校へ行かない日だってあるわけですよ、仕事の関係で。取り消すために、わざわざ学校へ行かなきゃいけない。家で取り消しできるわけじゃないわけですよね。だから、そういうことで改善にならないんじゃないかと私は思うんです。
 それから、まず学校へ行くのに一生懸命だ、学校へ行くことが一生懸命なんだ、だから、一々予約のことまで考えられないという生徒もいらっしゃいました。そうなったら、もしそういう面倒なことになったら、生徒は夕食を食べなくなるか、コンビニで自分の好きな夕食を買ってくることになって、結局は、好きな食べ物に食事が偏ってしまうことになるんじゃないか、こういうふうに心配されているお母さん方もいらっしゃいます。
 先ほど、一々チェックができるので、生徒の栄養指導、健康管理ができるんだと。全く逆のことになる可能性があるわけなんですね。こういった不安に対しては、どういうふうにお考えでしょうか。

○桜井体育部長 今回の予約申込制度は、自己管理、自己責任の原則に基づきまして実施するものでございますが、喫食をしない場合、当然、その経費については自己負担しなくても済むということになれば、確実にこの辺が守られていくのではないかと思っております。その辺からも、保護者の負担の軽減にもなるものと考えております。

○くぼた委員 そういうことをおっしゃっている生徒さんはいらっしゃいませんでしたし、自己管理、自己責任、でも、実態はそうならないわけですよ、今の状況ではね。だから、やっぱり生徒にとって改善とはいえないというふうに思います。
 次に、親子方式ということに関して伺いますが、現状では、自校でつくっているために、アレルギー対応食を行っていたり、あるいは、きょうはちょっと胃の調子が悪いということで、調理さんがその場で、ご飯をおかゆにしてくれたり、それから、おかわりができる、そういうような現場対応をやっているわけですね。それから、学校で行事がある場合には、その行事時間に合わせて給食時間を変更したり、何かお祝い事だったら、そのお祝い事に対してメニューを変動させたりということがあるそうなんですけれども、親子方式を導入したら、そういった対応ができるんでしょうか。

○桜井体育部長 アレルギー問題に対しましては、当然、きめ細かな給食の配慮が必要かと思います。極めて大切だと思いますので、栄養士の巡回指導を通じまして、グループごとに連絡調整会をつくりまして、これを活用し、個別にアレルギー対応を図っていきたいと思っております。
 先ほどの行事食につきましても、十分に調整をとった上で、その学校の行事に合わせていきたいと考えております。

○くぼた委員 だけど、胃の調子が悪いから、おかゆにするとかはできないですよね、当然。仕事が終わって疲れて学校に来て、できたばかりの食事を、そういった配慮のもとに食べることができる、それが、今一番いいところなわけですよね。そうやって一人一人に対応してくれる、そういう温かさが大切だというふうに思うんですよ。
 定時制というのは、今の現状からすれば、そういう少人数の教育の中で、先生とか同級生と心が触れ合って学習の楽しさを知ったとか、そういうことがあって、社会人として立ち直れたという生徒さんがたくさんいらっしゃる。私も実際に伺って、そういう話をよく聞きます。それは、そうした心の触れ合いとか温かさが、さまざまなところから伝わってくる、そういう場だからにほかならないというふうに思うんですね。仕事が終わった後、給食が一番楽しみな時間というふうに、生徒さんおっしゃっておられました。親御さんは、日本は夕食がメーンだ、だから、家族団らんでの食事の雰囲気が定時制の給食の中にはあるんだ、そのことがうれしいんだというふうに話しておられました。
 心の東京革命推進プランの中にも、家族団らんの夕食をとろうなんて書かれているわけです。そういう役割を、定時制の今の給食は果たしているわけです。単に食事を提供するだけじゃない、人間と人間の触れ合いみたいなところ、その一番大切なところを削ってしまうということになると思うんですね。
 先ほど、田代委員の、メリット、デメリット答えてくださいという質問に対して、デメリットは給食が冷めることなんだ、こういうふうにお答えになりました。そうじゃないと思うんですね。そういう人と人との触れ合いがなくなってしまうことこそ最大のデメリットじゃないか。そういうことをそういうこととしてとらえていない姿勢が、こういう給食のやり方を計画したことにつながっているというふうに思うんですね。そういう定時制高校における温かさというか、心のつながりというか、そういうものをなくしてしまってもよいという判断をされたんでしょうか。

○桜井体育部長 先ほど、給食の時間での栄養士の巡回指導というお話を申し上げましたが、給食におきましては、教師を含めまして、学校全体で取り組んでいく問題であると考えておりますので、大切なものを削ってしまう、あるいは、なくしてしまうというご指摘は当たらないと私は思っております。

○くぼた委員 調理師さんがいて、それで自分に対応した食事を出してくれる、おかわりが欲しいといえば、おかわりをつけてくれる、そういうことが失われるわけです、確実に。そこのところをぜひ考えていただきたいと思います。
 来年度から実施したいということですが、具体的にはどのように行うんでしょうか。どこのところで行うんでしょうか。

○桜井体育部長 十三年度の実施に当たりましては、二つのグループを計画してございます。第一のグループは、青山高校を調理校といたしまして、三田高校、港工業高校、明正高校を子どもの学校といたします。また、第二のグループは、北園高校を調理校としまして、牛込商業高校、池袋商業高校、赤羽商業高校を予定してございます。

○くぼた委員 どのような基準で、その学校を選んでいるんですか。

○桜井体育部長 親子方式の選定に当たりましては、喫食数、トータルで二百食前後を考えている。それから、地理的条件、配送に約三十分程度を考えてございます。また、調理設備、この学校が二百食程度能力があるかどうか等々を総合的に勘案し、決定したものでございます。

○くぼた委員 これは高校改革の方も伺いたいんですが、今、名を挙げた学校はすべて、高校改革による統廃合、廃校予定の定時制高校ではないんでしょうか。

○山際都立高校改革推進担当部長 北園高校定時制、牛込商業、池袋商業、赤羽商業、いずれも対象校でございます。

○くぼた委員 生徒たちにとってみれば、自分の通っている学校が将来なくなってしまう、こういうことが一方的に発表されているわけですよ。強引にこれが今行われつつある状況にあるということですよね。
 ここにいただいた資料のように、定時制の給食については、ことしから、都の単独事業、わずか十二円九十二銭のおかず代の補助が廃止になる。それに輪をかけて、今回の給食での後退がある。やってほしくないと、生徒さんおっしゃっているんです。うれしいといっている子はだれもいません。
 そういう状況を考えると、廃校が決められてしまっている学校から行うんだと。生徒からすれば、自分たちがいかに冷たくあしらわれているか、大切にされていないかということを、そういうことではっきりわかるわけですよ。私は、二重にも三重にも傷つけられているというふうに思います。
 そんなことで、人を思いやる教育なんかできる、育つと私は思わないんですね。そういうことを教育庁が率先してやっていいのかどうか、私、これはそういう問題だと思うんです。どうして、子どもたちの健全な発達と成長を助けるべくあるはずの教育庁が、こうして二重にも三重にも冷たい仕打ちをするんでしょうか。それでよいと思っておられるんでしょうか。教育長、ちょっと伺いたいと思います。

○横山教育長 いずれにしろ、先般来行っております高校改革の一環として行っているわけで、それについては、これまでにるる説明していると思いますが、それなりの意味があると考えております。

○くぼた委員 全然答えてない。
 高校改革についてだっていろんな論議があって、それがちゃんと解決されないから、今でさえ、ちゃんと情報公開してほしい、説明してほしいという声があるわけですよ。それを強引にあなた方やっている。給食についても、勝手に統廃合の対象校にしている。それで、おかず代も切る。そして、この親子方式導入ということにする。本当に、私、あらゆる場面で教育的な配慮をされるべき教育庁、それがあなた方の責務だというふうに思うんですね。
 それで、定時制の学校給食というのは、法律にも、その大切さがちゃんと位置づけられているわけですよ。それから、現場の先生や生徒さんたちも大切なものとしてとらえて、楽しみにしているわけです。そういうものを一方的に切り捨てを行っていく。私は、そういう姿勢こそ改めるべきだというふうに思うんです。
 このようなやり方は直ちに見直すべきです。その上で、必要な改善は、学校の関係者と生徒ともよく話し合って、合意の上で行っていくべきだ。それが、教育にかかわっている行政の真っ当な姿勢であるというふうに思うんです。そのことを述べて、質問を終わります。

○羽曽部委員 時間も迫っているんですけれども、桜井委員の方から国立の問題については質問がありましたので、重複は避けたいと思うんです。ただ、くぼた理事の方から一言ありましたから、私もまた一言ということになるわけですけれども、ただ、このことだけは申し上げておきたいわけです。
 くぼた委員の方から、あれは内心の自由だなんておっしゃっていたんですが、ここが大事なんで、これは皆さんにひとつお尋ねをしておきたいんです。
 人を殺そうと心の中で思った。これだけで、どうですか、犯罪になるんですか。ちょっとお答えください。大事なことだ。

○斎藤指導部長 何を思うかということでございますけれども、今の例示については、決して好ましいことではないですけれども、人に話さなければわからないことですね。ですから、そういった意味では、そのこと自体は罪になり得ないと思います。

○羽曽部委員 今お答えいただいて、明々白々ですけれども、思想の自由というのは、内心、物の考え方、見方の自由でございます。この自由は、内心の自由という形で、それは思想は罰せずでございます。考えている中身がそうであるのは、ここは干渉できないというのは、これは基本的人権を踏まえた、私が申し上げるまでもない、皆さんがきちっと踏まえて知っていることであります。内心の自由なんだというふうに、国立のあの国旗・国歌の問題をとらえるところに、どうも平行線なのかな、かみ合わないのかなという気がしましたので、私は、このことはいっておかなきゃいかぬなというふうに思います。
 それは、何時間話しても、平行線なら、これはだめですから、私もやめさせていただきますけれども、つまり、犯罪を成立するには、予備もあります、予備罪があればね。予備もありますし、実行、着手もあります。そこから発生するというのはありますが、いずれにしても、心で思っているだけで、それは犯罪にならない。当たり前だ、そんなの。常識なんだ。それを、内心の自由だからというふうに問題をすりかえられては、私はいささか困るなというふうに思うので、このことだけはやっぱり明々白々にしておきたいなということで、ご答弁いただきましたので、私はそれでいいと思うんですけれども。ちょっと国立のことを、もう時間がないから、やりたくはありませんけれども、ただこのことだけを伺っておきたいんです。
 国立の市立学校の教育の問題ですから、当然、広域行政の我々が関与するところじゃではなくなってきたわけですよ、本来はね。だけど、人事権ありますね。いずれにしても、いろんな面でやはり指導していかなきゃいかぬなと思うんですが、この、どこか根っこが腐っている、このことをどんなふうにとらえているかをお答えを願いたいんです。根っこが腐っているんだ。どこか腐っているんだから、そのことをはっきりと、あなた方つかんでいらっしゃるんだろうから、お答え願いたい。

○斎藤指導部長 国立市内の教育につきましては、国立市教育委員会及び市内の小中学校の問題でございますけれども、そこに、学習指導要領に基づいた正常な教育活動が適正に行われてこなかったという事実が、調査によって判明しましたので、根本においては、どこがどうということではなくて、全体としてそういう適正な指導が行われていないことが助長されてきた、あるいは助長することを許してきた、そういう根本的な問題があったかと思います。

○羽曽部委員 繰り返して質問しても何ですけれども、やはり皆さん公務員だ。僕らも公選による公務員ですが、こちらは政治的職の公務員ですから、自分の立場でいろいろ物をいいます。しかし、あなた方は、副知事とか知事は別としましても、条例と法律を誠実に執行する立場の方々だなと私は思っております。
 そんな中で、広域行政として、都教委の立場からは、どんな指導をどういうふうにやっていくことがこれから大事なのかなということを、きちっとお答えください。これはやっぱり道筋を書いておかないといかぬ、そのことをきちんとしておかないと、どうもあいまいもこではいけないと私は思いますので、その根幹になるところをもう少し答えてもらいたいんです。お答えできますか。

○斎藤指導部長 国立市立学校教育改善検討委員会報告書によって、文書によって指導してきたところでございます。内容につきましては、前回ご説明したとおりでございます。学校の問題、教育委員会のレベルの問題、それぞれ分けながら指摘したことでございます。
 今回の国旗・国歌の問題は、単に国旗・国歌だけの問題ではなくて、国立市内の小中学校全体の、学習指導要領等に基づいた正常な、適正な教育活動に対する改善ということでございますので、そういう面から、これから、市の教育委員会の要請あるいは学校の要請を受けながら、適切に指導してまいりたいと思います。また、支援してまいりたいと思います。

○羽曽部委員 今お答えいただきましたけれども、やはり教育は何の政策よりも優先されなけりゃならない、国の存立に関する基本的な問題だと、僕は厳粛に受けとめておりますだけに、やはり方針をお互いに明確にしながらやっていきたいなと思います。
 そこで、お尋ねをいたしますけれども、地教行法の五十九条が廃止されたわけですね。その廃止された中で、デメリット、メリットあるわけですよね。これはことしの四月からでございますが、その前の平成十年の五月から都区制度の改革を--私は、ちょうどその当時、二十三区の議長会の会長をしておりまして、この自治法の一部改正を盛んに唱えて、その改正の実現に当たることができた。そんな幸せな立場にあったことを、今思い出すわけでございますが、そういう意味では、今、過渡的な段階です。ですから、ウオーミングアップをあれから二年やって、それで、五十九条の全面廃止の中で、都としては、今実施した中で、ご経験の中で肌で感じたメリットとデメリットがあるのかなと、こんなこともお尋ねしたいんですが。

○加島総務部長 それまで、特別区ということで、特別な公共団体ということになっていたわけですが、都区制度の改革によりまして、一般の市町村と同じような基礎的な地方公共団体になったということが、大きな改革の目的でございました。
 それに、我々教育委員会の所管の関係では、例えば幼稚園教職員の任用の問題とか、あるいは県費負担職員の任用その他の身分取り扱い、あるいは教育課程の取り扱い、教科書の取り扱い等々の事務が特別区の方に移管されたわけでございます。それに伴いまして、特別区が地域の教育行政に責任を負う、そういう立場に立ったというふうに思っております。
 そういうことで、我々としては、この改正は、特別区が基礎的な地方公共団体として、地域の実情に合った教育行政を展開していくということで、メリットがあったというふうに今は考えているところでございます。
 今後、この行政の事務移管等によりまして、いろいろ問題が起こってくるかというふうにも思いますが、その辺のところについては、特別区の教育委員会と私どもとよく連絡をとりまして、そうした問題については一つ一つ解決していきたいというふうに考えております。

○羽曽部委員 デメリットは。

○加島総務部長 現在、デメリットについて、特に私どもとしては感じておりませんので、もしデメリットがあるとすれば、それは両者の間で調整を図っていきたいということでございます。

○羽曽部委員 今お答えいただきましたけれども、デメリットもあるんじゃないかなというふうに思うんです。
 メリットは、まさにご答弁のとおりでございまして、これから区が独自に、よくベンチャー企業とかベンチャービジネスとかいわれますけれども、今までにないことを起こしていく。これが新しいベンチャー精神でございますから、区が独自で、そして東京都も関与されない中で、やっぱり手近、身近の地域の中で、それに合った教育というのを推進されていくべきだなというふうに思います。ただ、ここでちょっとお伺いしたいのは、私はこういう経験を持っているんですよ。
 こういう経験というのは、皆さんもそうかもしれないけれども、ロンドンの市が廃止されましたよね。あれは、十年前にサッチャーが廃止しちゃったんです。市があったのが、議会から市議会から、市庁舎も全部廃止しちゃったんですよ。それで、あそこ、三十二区と--もう少しいろいろな特別区がありますから、三十二区じゃありませんが、ちょうど二十三区の反対だから、覚えいいから覚えているんですが、みんな何になったかというと、市になったんですよ。例えばランベス区なんというのが、区が市になった。
 そうしましたら、いろいろ考えてみて、そのときは、行政改革で、大変整理されていいなと思った。私は三度も四度も、ロンドンのその行政改革に、サッチャーの行政改革に興味を持ったから、行きました。行って調べているうちに、どうも近視眼的になっちゃうんだよね、どうしても区は区で独自だということで。やはり調整機能は要るんだな。ここはやはり、東京都のこれからの役割はそうだと思うんですが、その調整役割ということで--教科書の認定でもそうだけれども、どうしても近視眼的になっちゃう。このことをやはりしっかりと、リーダーというか、手綱もしていかなくちゃならない部分がある。これが東京都の教育庁のお仕事かなと私は思っているんですが、その辺のところで、ご見解があらば。
 やっぱりそういうデメリットもあるんじゃないのかなというふうに私は思っているんですね。危惧の念を持ちながら、何かそういうご指導ができる道筋をも考えていらっしゃるのかどうか、その辺をお尋ねしておきたいと思っております。

○横山教育長 今回の都区制度改革によって、先ほど話がありましたように、特別区が基礎的自治体になった。かなりの面で自主権が確保されましたが、事、教育の面でいいますと、諸外国と違って、日本はまだまだ中央集権的な面がございます。また、実際の実務の面では、例えば文部省あるいは広域自治体としての都道府県、そして区市町村とございますので、その中間団体としての東京都が果たすべき調整機能というのは当然ある。それは、あくまでも区市町村の自主権を尊重しながらの調整機能であって、その辺は、私どもとしても十分果たしてまいりたいと考えております。

○羽曽部委員 これから仕事をやるんですから、変えてもらわなくちゃならないことがいっぱいあるんですよ。変えてはならないもの、変えざるを得ないもの、変えるべきものとあるけれども、変えてはならぬものの一つに--いや、変えなくちゃならないのかもしれないんだけれども、どうもデメリットが忘れられているんですよ。
 これは何かというと、地方分権の一括法で、本当はあの審議は、国会では何といったって、地方財源をいただく作業だったんです。ところが、先延ばししちゃいましたから、その辺がおかしいなと私は思っているんです。地方議員の立場からすれば、あんなばかなと思っているんだ。そんなデメリットを抱えながら、へいへい、はいはいとはいってられないなと。
 これは財源の問題にも触れますから、主税局の問題というか、そちらの方の分野にもなるけれども、いずれにしても、おのれのところへ来ますよね。お金ないんだものね。これは、あなた方はどう考えているの。何かやっぱり工夫しなきゃいかぬね。こんなことをおれにいわせるなんというのは、あっちの方へ行って、財政委員会のところでやれよなんて、こんなことをおっしゃらないで、教育長のアイデンティティーをまず聞かせていただきたいんです。

○横山教育長 おっしゃるとおり、今回、地方分権一括法の成立によって、ある種地方分権というのは、実務の権限の配分の面では相当進みましたが、当然、権限には財源が伴うのであって、その限りでは、財源配分については中長期的な課題として先送りされた。したがって、今回の国が決めた分権一括法については、道半ばであるという感じでございます。
 ただ、今おっしゃったように、事、特別区との関係で申し上げますと、あくまでも都区財調の範囲の話でございまして、ちょうど、今の財源配分五二%を決めたときに、私、総務局長をやっておりましたので、内容についてはかなり大変な折衝を行いましたが、今回は、分権に伴う個々の、それに伴う財源につきましては、かなり区分けをしまして、財調から抜くものは別途交付金で措置しましたし、事、都区財調の面でいえば、国と違って都は相当な配慮をした。配慮したというか、当然のことですが、財源措置はしたと考えています。

○羽曽部委員 私は、やるやらないじゃなくて、やる意欲を示していかないと、ずっとなめられてきたんですよ、中央から。だから、なめられないように一致団結して、全庁でこれは闘っていかなきゃならない、力を合わせた運動というものをやらないといけないなという気持ちもありまして、質問させていただいているんです。ぜひこれはやっていただかなくちゃならないことかなと思うんです。
 これはちょっと小中学校の方にまで触れますけれども、東京都としては、そういう人材を養成する行政的な役割がある。研修をするとかね、教師を。そういう意味で申し上げたいと思うんですが、平等という名の、個性重視でない一律の学校教育がずっと続いたんです。
 例えば運動会を見たって、みんな平等だからといって、もう一等賞も二等賞もない、旗をちょっと立てたぐらいにして。子どもを喜ばせなくちゃいかぬです。子どもをおだてなくちゃ、個性をね。走って駆けっこの速い人は、これは喜ばせてあげなきゃいけない。それが何か一律でしょう。
 それから、運動会に弁当を持ってくるなみたいな話でしょう。弁当つくれない人がかわいそうだからというので、みんな一切、お母さんも含めて、弁当も持たないで、教室の中で一律に食べよう、こうやるわけですね。
 みんなこれは一律教育なんだよね。だけど、僕も二親なかったからね、はっきり申し上げるけれども、寂しかったけれども、隣のおばさんが、あの子かわいいからといって、ちゃんと弁当くれるんだよな。弁当じゃなくて、何だっけ、あれは。いなりずしだな。そうだそうだ、思い出した。そのいなりずしはおいしかったですよ。忘れられない、あのおばさんは。
 そうすると、人間はそこから社会性が生まれてくるんです。それが教育なんだよな。そういうのをどこかへ捨てちゃっているような気がしてならないんだ。そういうやっぱり研修生というものかな、リーダーを、研修というのかな、やはりこれは広域行政の中の一つのお仕事かなと私は思っているんです。
 一律教育。個性重視と口ではいうんですよ。文章見ると書いてある、物すごく、個性個性なんてね。ちっとも個性にも何にもなってない。一律なんですね、結果は。こういうのをやはり直していかなきゃいかぬ。
 この平等ということについて、あなた方どんなふうに考えているのか。学校教師も、平等ということは一体何なのか、公平ということは何なのか、自由というのは何なのかをしっかりとつかんでいなきゃいかぬと思うんだけれども、その辺のところのそちらの方の考え方を聞かせてください。

○斎藤指導部長 自由と平等につきましては、戦後の日本の教育の柱になってきた部分だと思います。自由については、当然それに伴う責任がありますし、平等については、今、副委員長がおっしゃったように、子どもたちは人格が違うわけですので、一人一人が異なって当然であるという前提に立った教育が必ずしも十分に浸透してこなかったというところに、やはり一つの問題点があろうかと思っております。
 そういった意味では、真の平等とか真の自由とかについては、これから、私ども教育関係者の重要な課題だと思っております。その上での個人の尊厳という問題もとらえていきたい、そういうふうに考えております。

○羽曽部委員 私は、そういう答弁に不満なんです。そういう考え方に不満なんです。
 なぜなら、自由というのは、絶対的な自由なんてないよ、地球ぐるぐる回ったって。ソビエトだって、絶対的自由を追求していったら、しまいには活力のない社会になったんだ。能力のある人を抑えながらやってきちゃったんだから。活力のない社会になっちゃったんですから。
 自由でも平等でもそうだけれども、相対的なものでしょう。個人によって違う。しかも、権利権利というけれども、権利といったら、生活上の利益ですよ、平たくいえば。その衝突でしょう。そうしたら、ご迷惑かけないようにお互いに話し合おうじゃないかみたいな話になるじゃないか、権利は生活の利益なんだから、おのおのの生活上の利益を持っているんだから。この侵害だとか侵害でないとかといわれるんだけれども、これを保障し、やっていくわけだ。そして、話し合いで妥当、適切を見つけながら、社会の融和を図っていこうなんというのが、大体が基本的なスタンスでしょう。
 ですから、それはやっぱり部長が答えたように、抽象的に自由、平等というのをとらえてしまうと、僕はおかしいんじゃないかなと思うんですよ。言論の中間に、言論の、おしゃべりしているところの中間に自由が入れば、それは反論できない正論なんですよ。ああ、そうか、自由だななんてことになっちゃう。得手勝手な自由化。
 ここにこういうのがありますよ。NHKで学級崩壊の現状を放送したんです。放送ですから、当然創作もありますし、つくり方はいろいろありますよ。あるけれども、この中学校で、席に--要するに、うろちょろうろちょろしているんだよ。(発言する者あり)何ですか。人がしゃべっているときに何いっているんだ。やめろというの。
 うろちょろ、席に着かないでいるんです。今度は、でっかい声出して歌を歌ったりするでしょう。そうしたら先生が命令するんだわ。命令したら、その中学生は何といったかというと、私は自由だから、あいつに命令される理由がないというんだ、先生に命令される理由がないと。そんなのないでしょうよ。そんなだったら、学校の教師は、一般人よりも高い人格と識見と厳正な行動、モラルが要求されることない。卓越した能力なんか要らないんだよ。ここが先生と生徒の違いなんでしょうが。ここは先生もしっかりとして教えておかないと、ああ、そうだな、自由だなみたいな話になっちゃったら、これはメダカの学校の先生だ、だれが生徒か先生かわからなくなっちゃいますから。その辺のところはやっぱりきちっと踏んまえておかないといけないなと、私思っているんです。
 ですから、そういう意味で、あなた方、研修をするときに、どんな人たちが教官になって研修するんだか知らぬけれども、その辺のところはやっぱりきちっと踏まえておかないと、学校の崩壊とかそういうのはあるんです。
 ただし、前に申し上げたように、NHKは、それはつくったものですから、創作されたものですから、だから、マスメディアとかそういうものは、そのままうのみにはしていられないわけよ。これはやっぱりリテラシーで解読して、何が意図で、何があるかというのをきちっと踏まえながら--健全な民主主義というのは、僕はここから育つと思うんだけれども、どうお考えですか。

○横山教育長 今おっしゃったとおり、現在、いろんな教育上の問題が提起されていますが、その中の一つの大きな要素というのは、やっぱり教職員の資質の向上の問題だろうと思っております。
 今、少なくとも教員の場合には、大変厳しい都の試験を経てくるらしいですし、ましてや教員の資格を持っている。個人的には相当の資質を持っていると思います、私は。ただ問題は、現実に教壇に立って指導した場合の、その指導力の問題だろうと。私どもとしては、もともと素質があるわけですから、その素質を開花させるための指導力の強化についての研修を、相当強力にやっていかなきゃいけないと考えています。

○羽曽部委員 今、名答弁いただいたから、何にもいうことはないんだけれども、全く自分探ししているんですよ、学校教師も。どうなのかな、こうなのかなと。うろちょろ立たれるし、歌は歌われるし、がやがや騒ぐし、もう、とんじまりのつかないような状況の中で、自分はどうしたらいいか、自分探ししているんです。いや、子どもも自分探しをしているんです。
 ですから、そういう時代に、やはりしっかりした教育議論というのを立てていかないと、まだ、二十三区もそうですけれども、東京都の内部団体的な感覚をずっと持ってきましたから、今、過渡的な段階ですから、まだまだ東京都の指導、力をおかりするということは、向こうも期待していますよ。基礎的自治体だから、何でもかんでも独自でこうなってなんて考えてないで、悶々していると思うので、やはりご指導していただきたい、そう思っているんです。
 私、いっぱい質問あるけれども、もう質問これでやめちゃおうと思っているんですよ。そちらの方でもわあわあいっているようだから、これでやめようと思っていますが、ぜひひとつ、広域行政の中でうんとやっていただきたい。いっぱいいっぱい質問しようと思って来ましたけれども、まあ、もうこのぐらいの時間だから、帰っていただいて、休んでいただくのがいいのかなと思って、私、質問やめます。
 ありがとうございました。

○村松委員長 ほかに発言はございませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○村松委員長 なければ、お諮りいたします。
 事務事業及び報告事項に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、ご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○村松委員長 異議なしと認め、事務事業及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後六時十七分散会

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