文教委員会速記録第十四号

平成十二年九月二十八日(木曜日)
午後一時四分開議
 出席委員 十一名
委員長植木こうじ君
副委員長大河原雅子君
副委員長和田 宗春君
理事中嶋 義雄君
理事くぼた 光君
理事井口 秀男君
田代ひろし君
石川 芳昭君
鈴木 一光君
桜井  武君
西田ミヨ子君

 欠席委員 なし

 出席説明員
生活文化局局長高橋 信行君
総務部長幸田 昭一君
交通安全対策担当部長宇波 興宣君
東京二〇〇〇年祭担当部長高橋 敏夫君
コミュニティ文化部長三好 勝則君
調整担当部長尾崎 眞幸君
国際部長山口 一久君
女性青少年部長高西 新子君
心の東京革命推進担当部長村松  満君
消費生活部長早川  智君
教育庁教育長横山 洋吉君
次長鎌形 満征君
総務部長加島 俊雄君
学務部長若林 尚夫君
施設部長神山 隆吉君
人事部長小海 博指君
福利厚生部長小島 郁夫君
指導部長斎藤 尚也君
生涯学習部長嶋津 隆文君
体育部長桜井 武男君
同和教育担当部長幡本  裕君
人事企画担当部長臼井  勇君
都立高校改革推進担当部長山際 成一君
参事佐藤  広君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 生活文化局関係
  付託議案の審査(質疑)
  ・第二百四十号議案 東京都青少年問題協議会条例の一部を改正する条例
  報告事項(質疑)
  ・心の東京革命行動プランについて
 教育庁関係
  請願の審査
  ・一二第七号 足立養護学校花畑分校児童・生徒の教育環境の改善に関する請願
  付託議案の審査(質疑)
  ・第二百四十一号議案 東京都立学校設置条例の一部を改正する条例
  ・第二百四十二号議案 東京都立学校の授業料等徴収条例の一部を改正する条例
  報告事項(質疑)
  ・「心の東京革命」教育推進プランについて

○植木委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員より、お手元配布のとおり、意見書二件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○植木委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○植木委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、生活文化局関係の付託議案の審査、報告事項の質疑、教育庁関係の請願の審査、付託議案の審査、報告事項の質疑を行っていただきます。
 なお、付託議案につきましては、本日は質疑終了まで行い、決定は明日の委員会で行いたいと思います。ご了承願います。
 これより生活文化局関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 田邊外務長は、公務出張のため本日の委員会に出席できない旨の申し出がございました。ご了承願います。
 これより付託議案の審査を行います。
 第二百四十号議案、東京都青少年問題協議会条例の一部を改正する条例を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 その際資料要求はいたしておりませんので、これより質疑を行います。
 発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○植木委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○植木委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。

○植木委員長 次に、報告事項、心の東京革命行動プランについてに対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○幸田総務部長 去る九月十四日に開かれました当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の、生活文化局と書かれた封筒の中の文教委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 お開きいただきますと、まず目次でございます。要求のございました資料は、ここに掲げてございますとおり、全部で三件でございます。以下、順次ご説明させていただきます。
 一ページをお開きいただきたいと存じます。心の東京革命行動プラン事業費一覧でございます。
 下段の(注)の1にございますように、ここでは、心の東京革命行動プラン四十七事業のうち、予算額を特定できる十四事業について記載してございます。(1)といたしまして家庭に対するサポート、(2)といたしまして学校での取り組み、(3)といたしまして地域に対するサポート、(4)といたしまして社会全体に対する発信とサポートに区分し、各事業名、所管局及び平成十二年度予算額を記載してございます。
 ページを一ページ進めていただきたいと存じます。心の東京革命行動プラン引用文の出典でございます。
 コンラッド・ローレンツ及びピエール・ルジャンドルの引用文のそれぞれの出典を記載してございます。
 次に、三ページをお開きいただきたいと存じます。児童虐待に関する相談状況でございます。
 1の相談処理件数の推移につきましては、平成九年度から平成十一年度までの各年度ごとに、東京都の児童相談センター及び児童相談所におきます実績数を記載してございます。
 2の相談の特徴といたしましては、(1)から(3)まで、主なものを三点ほど記載してございます。
 以上をもちまして資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○植木委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○田代委員 この心の東京革命行動プランについて何点かお尋ねいたします。
 このところ、新聞あるいはいろいろな報道の中で、毎日のように起きる子どもたちの犯罪、あるいは巻き込まれていく事件、そういうものを随分と見聞きするようになったわけですけれども、次世代を、今からの二十一世紀、我が国を担っていくべき子どもたちを健全に育成していくということは、まさに今一番重要な問題、課題、取り組まなくてはならないことなんですが、今回この石原知事が出された行動プランというのは、現状分析から多様な方向性を正しく指摘し、さらに、都民が行うべき行動の指針をかなりわかりやすく示しているものと思います。
 しかし、ここで取り扱っている問題というのは、当然、戦後五十五年のいろいろな仕組みの中からも生まれてきた大きな問題なわけで、そう簡単に、一朝一夕にすぐ問題が解決するということはないわけで、今後粘り強く実践していくということが一番肝心なことであろうと思います。
 そこで伺うわけですけれども、まず第一に、今回出されたこの行動プラン、これを今後どのように実行していくおつもりなのか、まず具体的にお聞かせいただきたいと思います。

○村松心の東京革命推進担当部長 心の東京革命は、すべての大人が具体的な行動をとることによって、全都的、さらには全国的な運動への広がりを展望する運動でございまして、今後、地域団体や企業等への働きかけを行いまして、都民の皆さんとともに進めていくための、仮称でございますが、心の東京革命推進協議会を来月にも設立する予定でございます。この協議会を中心にいたしまして、キャンペーンや団体間の連携や調整等を行いますとともに、都といたしましても区市町村等と十分に連携を図り、都民や団体の活動支援や環境整備及び機運づくりを積極的に行ってまいりたい、かように思っております。

○田代委員 すべての大人が、きっちりとした意識を持って具体的な行動をとることも重要であるということなんですが、全都的、全国的な運動への広がりを展望する、これが理想的ではありますけれども、そのためには、青少年の団体だけではなくて、民間の企業も含んだ幅広い層に参加していただくということが必ず必要となってくると思うんです。
 今お話がありました推進協議会、仮称ということですけれども、これはどのような構成メンバーを今お考えなんでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。

○村松心の東京革命推進担当部長 ご質問の、仮称でございますが、推進協議会のメンバーとしましては、子ども会やボーイスカウトなど、ご指摘の地域の青少年関係団体を初めといたしまして、ライオンズクラブやロータリークラブなどの奉仕団体、さらにJRや営団等の公共交通機関や、行動プランの趣旨に賛同していただける企業などに参加を働きかけまして、幅広い範囲での運動展開を図りたいというふうに考えてございます。

○田代委員 ということは、民間企業も含んだ、いわゆる幅広い範囲での運動展開ということなんですけれども、それでは、このメンバーの方々は今後、具体的にはどのような行動をとっていくのでしょうか、教えていただきたいと思います。

○村松心の東京革命推進担当部長 各構成メンバーのこれからの行動ということでございますが、それぞれの団体ごとに、プランの行動指針にのっとって可能なものからやっていただくことになろうかと思います。
 例えば、地域の青少年団体であれば、地域の人々と子どもたちが共同で、地域の歴史や文化を学ぶ会を開きましたり、学校であれば、校内で学校行事など、チームワークを学べる事業を活発化させるなどといいました指針を生かしながら、それぞれの団体に応じた個性ある活動を展開していくことになろうかと思います。
 また、構成員が企業の場合であれば、従業員への指針の周知を初めといたしまして、自社で管理する広告媒体に、心の東京ルールや指針などを掲載しまして、キャンペーンに協力していただくということなども考えてございます。

○田代委員 先ほどもお答えのように、この行動プランの趣旨に賛同していただける企業、そういう人たちが構成メンバーになる、民間からも入るということです。この構成メンバーの方たちというのは、組織的にもしっかりとした活動が可能だと思うんですが、しかし、こういう運動というのは、都民の皆さん方にご理解いただくことが一番肝要だと思うんですね。無関心な方たちにどうやってこの運動に関心を持っていただくか。そういう無関心層へのいわゆる普及啓発というものをどのように取り組んでいかれるのか、お教えいただきたいと思います。

○村松心の東京革命推進担当部長 ただいまの無関心層への普及啓発をどのようにということでございますが、こちらにつきましては、都の広報媒体の活用やマスメディアの協力を得ながら、広くプランの内容を広報していきますとともに、各学校を経由しまして、あるいは協議会のメンバー等のご協力を得まして、直接地域の方々にプランの概要が伝達されますよう努めてまいりたいと思っております。また、家族ふれあいの日の設定など、広く無関心層にも運動の趣旨が伝わるキャンペーンなども実施していく予定でございます。

○田代委員 ところで、今回出された行動プランでは、昨年十一月に発表した素案にはなかった行動目標というのが新しく設けられているわけですが、改めましてこの理由を伺いたいと思います。

○村松心の東京革命推進担当部長 プランの中の行動目標についてでございますが、心の東京革命は、社会全体の運動への広がりを目指すものでございまして、家庭、学校、地域等の異なる主体が共通の目的に向かって運動を展開する必要があるということでございまして、この行動目標は、そのための具体的取り組み方向を示したものでございます。
 二つの目標に絞りましたのは、子どもたちが社会性を身につけていく過程としまして、一つは、乳幼児期からのしつけなど、大人から直接社会のルールなどを教えられる場合と、体験、経験を通しまして、みずから自己と他者との違いを認識して、自分を抑制したりすることを覚えていく場合があるということでございますので、このことから、このような二つの目標を設けたものでございます。

○田代委員 この四つの分野ごとに具体的な行動指針というのを提起していらっしゃるわけですけれども、これは、今までの行政のプランではなかなか珍しいことで、都民の行動に踏み込んだ、ある意味では画期的なものの提案だと思うんですけれども、これについてのご所見を改めて伺います。

○村松心の東京革命推進担当部長 心の東京革命は、単に東京都における行政計画という意味だけではなく、社会全体の運動として展開することを提案するものでございます。したがって、都民一人一人が何をなすべきかについて具体的にわかりやすく示すことが必要でございます。理念論ではなくて、実践的な指針を提起することによりまして、より行動につなげることができるという期待を込めたものでございます。
 なお、これらの指針は、一人がすべて実践しなければならないというものではございませんで、そのうちの一つでも二つでも実践可能なものがあれば取り組んでいただきたいという趣旨の指針でございます。

○田代委員 一人がすべて実践しなければならないというものではないということなんですが、できたらすべて実践していただきたい。これは皆さん方の共通の希望だと思いますけれども、余り最初から高々と理念、理想だけを上げて、上滑りにならないということで、そういうお答えだったと思うんです。
 この行動指針というのは、家庭、学校などで合計三十五項目が示されておりますけれども、その内容一つ一つが、子どもの育成にとって極めて重要な要素になっていると思います。というか、当たり前といえば当たり前のことで、今さらこういうことを出さなくちゃいけないという我が国のあり方もちょっと寂しいなというところがあるわけですけれども、しかし、先ほど申し上げましたように、いろいろな事件があったり、問題があったりする中で、実際は、こういうものが家庭で行われているところと行われていないところ、実践の場がしっかりとあるところとないところがある、これが問題の原点ではあるんです。ぜひともこれが行われていないところがないように、都民の皆さん方全員に、この方向性というものをしっかりとご理解いただく、そういうことをご努力いただきたいんですが、それについてのご所見を伺います。

○村松心の東京革命推進担当部長 指針の浸透についてでございますが、これにつきましては、十月に設立を予定しております、仮称でございますが、心の東京革命推進協議会を中心にいたしまして、可能な限り多くの都民や団体等への広がりを期すとともに、都といたしましても、多様な広報媒体を駆使してプランの浸透を図ることとしてございます。
 特に浸透の難しい家庭への働きかけにつきましては、「広報東京都」による全戸周知を図るとともに、就学児童生徒等については、学校を経由して各家庭に趣旨が伝わるよう配慮するなど、積極的に周知活動を展開してまいりたいと思います。

○田代委員 こういうものの広報活動というのは、一律でやるというのもなかなか難しいところがありますし、ごく当たり前のことでありますから、余り強権的というわけじゃないんですけれども、伝え方が逆に非常に難しい。上から覆いかぶせるようにぽんと渡せばいいというものでは実はないのでありまして、やはり理解をいただく。それには、一つの手間を、二つ、三つかけてでもしっかりとやっていただかなくちゃならないんです。何といっても、そうやって時間がかかる作業に入っていくと思うんですけれども、今後、この推進協議会を立ち上げて運動を展開していくという中で、都としては、その運動期間といったらあれなんですけれども、大体どのぐらいの予定期間を目途となさっているのか伺いたいと思います。

○村松心の東京革命推進担当部長 この運動につきましては、人の心のありようの問題でございまして、ご指摘のように、非常に息の長い取り組みが必要だと考えてございます。人々に運動の趣旨が理解されて、都民の皆さんの中にある程度プランに基づく行動が定着することになれば、運動としての一応の役割を果たしたと考えることができますけれども、当面、一定の年限継続いたしまして、効果を見定めてまいりたいというふうに思います。

○田代委員 今の子どもたちにかかわる問題というのは、一番責任のある我々がまずそれを自覚して、そして、この戦後五十五年間、約半世紀の間のこの社会がつくり上げてきたいろいろな問題があるわけですね。その解決には当然相当の時間がかかると思いますけれども、今や、石原知事のもとに大きな一石が投じられて、その中心となって実行していく生活文化局、この責任というのは非常に大きなものだと思うんですが、今後の運動展開に向けて、さらに新たに局長の決意を聞かせていただきたいと思います。

○高橋生活文化局長 ただいま田代委員から、心の東京革命の趣旨を十分に踏まえた、いろいろなご質問をいただきまして、まことに私どもとしても非常に意を強くしたところでございます。
 しつけの問題とか、あるいは広く教育の問題というのは、私たち親あるいは大人として、日々その状況に心を喜ばせ、また悩ませる問題でありますが、同時に、社会のいろいろな活動なり状況の基礎となるものだろうと思います。
 しかしながら、今、先生からもいろいろご意見がありましたし、また行動プランにも書いてございますけれども、我慢ができないとか、あいさつができないとかいうような、あるいは公衆の場においてきちっとルールを守れないとかいうような事柄、当たり前のことが当たり前として守られていないというようなことは、非常に大きな日本の状況の危機だと思いますし、またこのことは、特に、特別の非行とかそういう子どもたちだけではなくて、広く社会的な状況になっているということ自身も大きな危機だろうと思います。
 しかも、その危機が、ある意味では戦後の大人の社会を反映しているということでございまして、私たちの責任は非常に大きいものだろうと思っております。
 また、この問題は、戦後のさまざまなシステムと非常に深いかかわりがある問題でございまして、ご指摘のように、きょういって、すぐ直るというような問題ではなくて、ある意味で今回の試みというのは、最初は大河の一滴みたいなものだと思いますが、それをだれのせいにするものでもなくて、大人一人の行動を通して大きな運動といいますか、大河にしようとする試みだろうと思います。
 そういう意味で、息の長い運動になると思いますし、単にスローガンとか一過性のイベントに終わらせることなく、継続的な息の長い取り組みを全都的に巻き起こしていくという決意でおりますので、よろしくご理解を賜りたいと思います。

○田代委員 実効のある、結果の出る行動プランになることを強く望むわけでございますが、今お話にありましたように、大変時間もかかる。しかし、待っているわけにはいかない。大きな一つの二十一世紀に向けての計画を、皆様方のお力でなし遂げていただきたいと思います。
 議員としても、私個人としても、大変、今までの自分の生きざまの中で考えるところがありますが、これを契機に、都民がこういうものに真剣に取り組んでいくような方向性をぜひとも力強く推進していただきたいと思います。
 終わります。

○くぼた委員 子どもをめぐる社会的な危機をどう打開していくかという観点で、私たちは二年前から、三点の提案を行って、国民的な討論を呼びかけてきたわけであります。
 その一点は、学校教育を子どもの成長と発達を中心に置いたものにしていく。受験中心の今の詰め込み教育をやめて、自然と社会の道理をきちんとつかむ知育や、芸術文化を理解する情操、社会をつくっていく市民としての市民道徳、それから、基礎的な体力を増強する体育、こういうものにしっかり力を入れて、人間づくりを本格的にやる学校教育に切りかえていくということです。
 二番目には、やはり、社会のどの分野でもモラルのある活動と生活が実現されるよう、大人も努力していく必要があるということです。子どもたちだけに道徳的であれといっても、大人の世界が不道徳では話が通じない。これは当然のことだと思うんですね。
 三番目には、子どもたちをポルノとか暴力とかいった有害な情報から守るために、テレビや雑誌など文化の面で社会の自主的なルールをつくる、こういうルールを確立していくということであります。
 私たちが行ってきたこうした提起と、この心の東京革命行動プランの中で述べられていることは、重なっているところもあります。しかし、私たちは、行政が率先してやるべきこととして、この間、本会議などでも、三十人学級の実現や、あるいはスクールカウンセラーの配置、メディアの自主的ルールの確立を促進すること、こういった本当に都民要求のある問題の施策の実現を提案してきました。
 心の東京革命を取り上げた朝日新聞の社説は、サービス残業の根絶や週休二日の実現、問題点の多い受験体制や、不登校児十二万に上る硬直した学校教育システムの見直しなどに全力を挙げて取り組むことなしに、幾ら家庭や学校の責務を強調しても、かけ声はむなしく響く、こういうふうに述べています。
 例えば、このプランの中には、家庭への期待として、家族団らんの食事をしようというふうに書かれていますが、親が共働きや長時間労働で帰宅できなければ、そのようなことはできないわけです。だから、私は、やっぱり行政として真っ先に果たすべき役割は、現状の困難な中で頑張っている家庭にさらなる期待をすることじゃなくて、家族が家族らしく語らい、親子の十分なコミュニケーションがとれるような条件をまずつくることじゃないかというふうに思うんです。だから、私は、こうした個人の努力ではどうしようもない社会的な条件づくりを行政は進めるべきじゃないかというふうに思うんです。
 国を初め大企業などに、そういった条件づくりのために、労働時間の短縮など、親と子が十分に触れ合えるような施策の実現を求めるべきだというふうに思うんですが、この点ではいかがでしょうか。

○村松心の東京革命推進担当部長 心の東京革命は、次代を担う子どもたちに対し、親と大人が責任を持って社会の基本的なルールなどを教え、伝えていく取り組みでございます。社会や周囲に責任を転嫁することなく、都民の一人一人が行動を起こしていかなければならないというものでございます。
 東京都としましては、企業等に対しては、子どもの育成に貢献するよう、指針の中でも、働きかけることとしてございます。

○くぼた委員 確かにそういう記述はあるんですけれども、やっぱり今頑張っている家族の皆さん、これをどう社会的な条件の中で支援していくかということが大切だと思うんですね。このプランの中には、至るところに、子どもと親との、あるいは大人との触れ合いの必要性が述べられているわけです。ですから、それを阻害している社会的な要因、その根本のところの解決に向けて旗を振ること、そういった役割についても行政が担うべきだというふうに思うんです。ぜひそういう観点で生かしていただきたい、そういう観点で取り組んでいただきたいというふうに私は思います。
 それから、この中では、自然の厳しさとか自然の美しさを肌で学ばせようとか、地域の文化、歴史を大切にする心を育てようというふうに期待されています。
 それでは、私は率直に疑問に思うんですけれども、行政が開発で次々と自然や地域文化を破壊したり、生活文化局の予算質疑のときにもさせていただきましたが、例えば、たてもの園の復元予算をゼロにして、歴史的建造物に触れ合う機会を遠ざけたり、自然や文化を大切にしているとはいえない、こういった行政の姿を、都が問い直していく必要があるというふうに思うんですね。そうしなければ、そういった取り組みをもう既にしておられる都民や団体の努力に、都みずからが水をかけることになるんじゃないか。こうしたことにまで都が踏み込んでこそ、子どもをめぐる現状を本気で変えようという機運ができてくるんだというふうに私は思います。
 昨日の我が党の質問で、生活文化局の東京の子どもフェスティバルの継続をすべきと、このように提案をさせていただきました。局長は、子どもたちの交流と青少年団体のネットワークの推進に、この事業は一定の成果を上げた、こういうふうに答えられました。そうしながらも、事業は終了すると。それで、新たな交流の場づくりを検討したいというふうに答弁をされたわけです。成果を上げた事業をやめて、それにかわる事業を具体的に示さずに将来の検討課題にしてしまうのは、どういった政策判断に基づいているのか、この点をちょっと伺いたいと思うんです。

○村松心の東京革命推進担当部長 先ほども申し上げましたけれども、心の東京革命の取り組みの趣旨は、次代を担う子どもたちに対して、親と大人が責任を持って社会の基本的ルールなどを教え、伝えていく取り組みという中身になってございます。今回出しました行動プランも、その内容でまとめられたものでございます。

○くぼた委員 今の答弁はちょっとよくわからないんですけれども、このプランの中には、そういったことに取り組んでおられる個人や団体などを支援するのが都の役割なんだということが書かれてあるわけです。まさに東京の子どもフェスティバルというのは、そういう交流づくりの場であったわけなんですね。しかも、その団体からも継続の要望が出ている。ことしの開催に当たっては、都がこういう中で予算を減らした分、みずから負担して開催するほど貴重な取り組みであり、プランの中でも、そういう取り組みのネットワークづくりが必要だ、こういうふうにしているのに、どうしてやめてしまうのか。しかも、ここにパンフレットがあるんですけれども、ここには、心の東京革命運動推進キャンペーン事業なんです、これ。それをやめてしまうということになったわけですね。そういうご答弁だったわけですよね。そういう姿勢では、本当に取り組む気があるのかというふうに、率直にいって私は疑問に思います。
 さらに、このプランの基調ともいえる、子どもに何々させよう、こういう観点は、単に子どもを大人の指導対象として位置づけているというふうに思うんです。こういう位置づけだと、大人と子どもの率直な関係を困難にすることもあり得るというふうに、さっきの朝日新聞の社説とか、あるいは日野市議会から意見書が出ているわけですけれども、そういう中で指摘されているわけです。それはそうだと思うんです。
 都民アンケートでも、こうした方向を都が進めることに、五割が賛成しているものの、四割以上の都民が、進めるに当たっても慎重にすべきだとか、個々の家庭の自主性に任せるべきというふうに、意見は大きく分かれているわけですね。どのようなしつけをするかは、それぞれの親や家庭によって、子どもの特徴や個性によって、本来はさまざまであるはずです。また、いじめや不登校、引きこもりなど、さまざまな状況にある子どもたちも大勢いるわけです。そういった子どもの個性や実情と無関係に、このプランの提唱するしつけの内容をするということになれば、これは社会全体からの押しつけになってしまうということもあるんじゃないかというふうに、非常に私は不安に感じます。子どもたちは多様であり、親の価値観や教育方法も多様です。行政が特定の方向を押しつけるものではないということは当然だというふうに思いますが、この点ではいかがでしょうか。

○村松心の東京革命推進担当部長 心の東京ルールですとか、それから、今回出しました三十五項目の指針、こういったものにつきましては、子どもたちに教え、伝えていくべき社会の基本的なルールということで、都民の皆さんに提案をさせていただいたものでございます。
 親と大人が責任を持って、子どもたちに、正義感や倫理観、思いやりの心をはぐくみ、人が生きていく上で当然の心得を伝えていくために、最低限必要なルールとして都民の皆さんに心がけていただきたいというものでございます。これらは、親や大人へ意識改革を呼びかけるものでございまして、家庭を初め地域などで子どもの育成について大いに考え、実行していただきたいということでございます。

○くぼた委員 心がけていただきたい、それから、いろいろ考えて実行していただきたいという答弁でした。そういう意味では、やっぱり押しつけるものではないということは当然だと思うんですね。ただ、心配なのは、くどいようですけれども、例えば、こうして心の東京ルールということで並べると、それがひとり歩きをして、ルールなんだから守るべきだ、やるべきなんだというふうになりがちなわけです。私は、そうではないということを常に明らかにしていくべきだというふうに指摘をいたしておきます。
 いただいた資料について伺いたいと思うんです。
 資料の三ページ目には、児童虐待に関する相談状況をいただきました。この表を見ても、児童虐待が急増している、ふえているということはわかります。子どもたちを虐待や体罰から守ることは行政の緊急課題であり、既に種々の取り組みが始まっているところです。
 しかし、一昨日の本会議の我が党の代表質問の中で、知事は、ノーベル賞をもらった動物行動学者のコンラッド・ローレンツは、体罰も含めて、子どものころに我慢を強いられることである肉体的苦痛を遭わされることがなかった人間は非常に不幸なことになるということをいっておりますが、私は至言だと思いますと、体罰を容認する答弁をされました。
 そして、この心の東京革命の行動プランの中には、知事がさまざまなところで繰り返し引用しており、まさに答弁と同じ、幼いころ、肉体的な苦痛を味わったことのないような子どもは、成長して必ず不幸な人間になるというふうに、この中で引用されています。
 都の取り組みに、体罰を認めるような文章が書き込まれたとすれば、私は重大なことだと思うんです。そこで、この引用についての資料を出していただいたわけです。これがこの二枚目です。ここでは、コンラッド・ローレンツのこの言葉は、「文明化した人間の八つの大罪」という著作からの引用だということで、資料は示されているわけですけれども、この著作のどこにこの文章が出ているのか、説明してください。

○村松心の東京革命推進担当部長 すべてを読み上げるということは、時間もかかりますので省略させていただきますが、「文明化した人間の八つの大罪」の記述には、幾つかこれに結びつく表記がございます。まず、汗をかき、疲れ切って、指を傷だらけにして、筋肉を痛めて、きわめがたい山の頂上に達したとき、すぐに、まだもっと大きな登はんの苦労と危険を克服せねばという期待を胸に抱けば、こうしたことはすべて、恐らく享楽ではなくて、考えられる限りの最大の喜びである、こういう表記がございます。さらに、今日、絶えず増大しつつある不快に対する不寛容性は、死のような倦怠を生み出すのであるといった内容が、幾つかほかにもございますが、著作の文章自体は、翻訳でもあり、非常に長く、わかりにくい表現になっております。今回の引用は、全体の趣旨を損なわないように要約をしたものでございます。
 また、体罰との関係でございますが、肉体的な苦痛は、体罰を意味するものではなく、何か幸せを得るには、それに対応した苦労や我慢も必要なのだという趣旨だと、こういうふうに考えてございます。

○くぼた委員 今ご説明があったように、つまり、この著作の中のどこか一部を引用したんじゃなくて、しかも、今、わかりにくいという説明もされました。その全体としてわかりにくい本を、全体として引用したら、こういう意味になるんだというお答えなわけでしょう。なぜ、わかりにくい文章の本の全体を要約して、ここに載っているような引用になるのか、私は非常にこれは疑問なんですね。なぜそこまでして、これをまた載せなきゃいけないのかということを率直に感じます。
 そこで伺いますが、じゃ、だれがこれを要約したんですか。

○村松心の東京革命推進担当部長 要約をだれがしたかということですけれども、これはプランの原案作成者であります事務局の方でさせていただきました。

○くぼた委員 ローレンツの書いた著作を都の事務局の方が要約をして、こういうローレンツの言葉だとして載せるということは、そんなことでいいんですかね。私は、そんな根拠のはっきりしない文章を、都が出すパンフレットにわざわざ載せる必要があるのかというふうに思うんですよ。しかも、こうやってローレンツの言葉ということをつけて--ノーベル賞をもらった方ですよね。そういっちゃなんだけれども、箔をつけたような形で載せる。結局、本当のところは、知事の繰り返しいわれているこの言葉を載せたということじゃないんですか。どうなんでしょうか。

○村松心の東京革命推進担当部長 先ほども申し上げましたように、ローレンツの引用につきましては、あくまで子どもたちに、何か幸せを得るには、それに対応した我慢や苦労が必要なのだ、こういうふうな教えでございます。
 今回出しました行動プランの中の指針として、暑さ寒さに耐えさせようという行動指針がございます。これは、心の東京革命推進会議の議論の中から出てきたものでございまして、多くの人の賛同が得られているというふうに考えてございます。
 子どもの現状のところでも触れていますように、今の子どもたちは総じて耐性に乏しく、肉体的にも精神的にも、苦労して何かを求める気持ちが弱くなっているということから、先ほど申し上げたローレンツの引用をさせていただいたということでございます。

○くぼた委員 暑さ寒さに耐えさせようということで、わざわざローレンツの言葉として引用する必要は全くないというふうに思うんですね。常識的に考えても、知事が繰り返しいっているこの言葉を載せたということだと思うんですね。だれが聞いたって、今のご答弁はそういうふうに思わざるを得ない。しかも、その内容は、事務局の方がローレンツの本全体を要約したということで、要約がローレンツの真意かどうか、これについてはさまざまな理解があるはずです。だから、先人からの一言としてローレンツの名を挙げるのがここでふさわしいのかどうか、これは非常に疑問に思いますね。
 そして、同時に、この文章は、知事が支援をする会の会長を務めている戸塚ヨットスクールの戸塚氏が、みずからの体罰の肯定論の論拠としている文章とも同じなわけです。それもいろんなところで、インターネットでも本でも新聞でも載っています。本会議場でも知事は、先ほどいったように、答弁するときに、体罰も含めてというふうに前置きをして、この文章を引用したわけです。こういう事実からして、体罰を容認するように誤解されるおそれのある、この引用部分は、都の発行物として不適当だというふうに思うんです。ですから、私は当然削除すべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○村松心の東京革命推進担当部長 繰り返しになりますが、今の子どもたちは総じて耐性に乏しい、肉体的にも、精神的にも、苦労して何かを求める気持ちが弱くなっているということがプランの中でも指摘をされております。ローレンツの引用も、子どもたちに、何か幸せを得るためには、それに対応した我慢や苦労がどうしても必要なのだという内容になっておりまして、指針の考え方と基本的に一致しているということで掲載をさせたものでございまして、要約は妥当なものであって、削除する考えはございません。

○くぼた委員 重大な認識だと思いますね。まず、ローレンツという名前を載せる必要があるかどうか、これは大きな疑問です。それから、この間のいろんな状況からして、体罰を容認するような、それにつながる引用文を載せる、これはやっぱり削除すべきだと私は思いますね。
 知事は、新聞紙上では、キレてしまう少年たちを眺めると、今さらに、かつて戸塚ヨットスクールで戸塚氏が立証した現代に必要な教育原理がいかに正しかったかわかる、こういうふうに称賛して、戸塚ヨットスクールを支援する会の入会案内で、知事は、そこで行われた教育のノウハウに学んで、教育荒廃の道を切り開いていくことがこの会の目的だというふうに述べているんです。
 ご承知のように、体罰は、学校教育法でも明確に禁止されています。知事が個人でそういう考えを持つのは自由です。しかし、知事が、体罰を肯定する特定の教育論を都民の中に持ち込むようなことは、絶対にあってはならないというふうに思います。
 こうした観点からも、また、常識ではちょっと考えられないような引用の仕方をした文章であることからしても、このままここに残しておくこと自体に、私は何か特別な意図を感じざるを得ません。この部分を削除すべきだというふうに改めて述べておきます。
 今日、子どもや青少年のための施策は、子どもたちの人格とか人権を認めて、一人一人の多様な個性を伸ばす方向、これこそが主流だと思うんです。これまでの、ルールや規範、学習の仕方までを上から押しつけるような画一的で注入的な教え込み方は、子どもたちの自立や自己決定を妨げることになっているわけです。こうしたやり方を改めて、子どもたちが社会の担い手として自立できるように、幼児期から、あらゆる場面に子どもを参加、参画させ、子どもの意見を聞き、子どもの選択権を尊重し、その決定を側面で支えていく、発達を助ける、大人と子どもの新たな関係をつくっていく時期に今なっているというふうに思うんです。だからこそ、こういう時期だからこそ、子どもの権利条約の考え方は大変重要だというふうに思うんです。それで私たちは、この都の条例をつくるべきだということを、この間ずっと求めてきているわけであります。
 子どもたちをめぐる現状を打開していく上で、子どもをめぐって、さまざまな観点から大いに論議をすることが必要だと思うんです。このプランは、その呼びかけでもあるというふうに思うんですね。本会議場の答弁では、子どもの権利条約については、さまざまな意見があるということで、子どもの権利条約の条例の取り組みに、東京都は消極的な姿勢を見せました。そうではなく、さまざまな意見があるからこそなおさら、そして、このプランの中には、肝心の子どもたちの意見が反映されていないわけです。だからこそ、多くの都民や子どもが参加して、子どもの権利条例の制定に向けた論議や取り組みを進めるべきだ、こういうことを述べて、質問を終わります。

○石川委員 私からも、心の東京革命行動プランについて若干質問をさせていただきます。
 副題に「次代のために、行動は今」と記載されておりますが、まさしく今日、子どもをめぐる社会環境だけではなく、これまで、こうした問題に対して、学校、家庭、地域が比較的重きを置いて取り組んできたわけでありますけれども、そこへ、石原知事のリーダーシップでこうした行動プランをまとめ、行政も側面から支援をしながら、この今抱えている大きな社会問題のいわゆる道筋を立てていこうというプランだろうと私は思いまして、評価をしているところであります。
 私自身、個人を振り返ってみますと、まだ人生五十三年、ここの中で述べられているさまざまな提言、一つ一つ当てはまるもの、あるいは親から学んだもの、あるいは学校で教えてもらったもの、あるいは地域のおじさん、おばさんたちに教えてもらったもの、こういうふうに思い出されまして、逆に今度は今、一人の親となって、自分の三人の子どもがどうなんだろうかなということを振り返りながら、反省すべき点も多々あるということが明確になってきた。それを、今度は、家族五人が力を合わせて、こうした問題にどう取り組んでいくんだろうかということを、このプランを一つのたたき台として話し合っていくことも大変大事なことなのではなかろうか、こんなふうに思っている昨今であります。
 そこで、一つ具体的にお伺いしたいんですけれども、昨年の十一月に素案が発表されまして、生文としてさまざまな媒体を使って、さまざまなご意見を伺ってきたんだろうと思いますが、ここに都政モニターアンケートとありますけれども、この都政モニターの年齢構成というのはどのようになっているんでしょうか。

○村松心の東京革命推進担当部長 都政モニターの年齢構成でございますけれども、合計で五百人ございまして、二十代が百十四、三十代が百十八、四十代が八十二、五十代が七十五、六十歳以上が百十一、以上でございます。

○石川委員 都政モニターとなりますと、ある程度そういう年齢構成になるんでしょうけれども、こうしたプランをつくる際に、十代の子どもたちでしょうか、いわゆる十代の方々、そういう社会環境の現場の中で大変もがき苦しんでいる方々の意見を聞く機会というのはなかったんでしょうか。

○村松心の東京革命推進担当部長 このプランを策定するに当たりましては、さまざまなルートの情報を収集いたしました。今いわれました十代の方々のご意見ということですけれども、意見の聞き方でございますが、具体的に会議を設けたとか、十代だけでアンケートをしたとか、そういうことはございませんが、いろんな知事への提案ですとか、生活文化局へのいろんな意見ですとか、その中で十代の方からも意見をちょうだいしております。昨年の十一月でございますので、素案を発表しましてから大分期間もございました。この間に、若い方々のご意見もちょうだいしております。

○石川委員 特に、十代といいましても、小学生になりますと、なかなか設問の仕方が難しくなってくるんだろうと思いますけれども、今、いろんな形でのご意見を伺ったというお話がありましたので、一、二、具体的声でいいですから、もしありましたら、ちょっと示していただけますか。

○村松心の東京革命推進担当部長 具体的に、今、手元に持っておりません。失礼します。

○石川委員 このプラン、あわせて教育のプランを見ますと、どうしても小中学校がこの対象になっている。一番大事な高校生、それから大学生の前半ですね、そういう人たちの声、また、そうした人たちへの役割ということについて、よく見ていきますと、ちょっと希薄になっているのかなという思いがありまして、その点を実は確認させていただいたわけであります。
 先ほど、田代委員の方からさまざま具体的にお話がありましたので、私は総体的にお伺いいたしますけれども、いずれにいたしましても、行政としてまさに人の内面に踏み込むプランをつくられた。このプランを、まさに今後すべての都民の皆さんの協力をいただいて推進していくということ、これが一番重要になってくるわけであります。そのために、都の役割の一つとして、このプランのいわゆる機運を盛り上げていくんだ、こういうふうに簡単に一行書かれてあるんですけれども、まさに機運をどう高めて、しかも、社会全体としての運動としてこれを展開していくかということが最も大事じゃないかなと思いますけれども、その辺への取り組みの姿勢についてお聞かせいただきたいと思います。

○村松心の東京革命推進担当部長 機運づくりへの取り組みのご質問でございますが、家庭、学校、地域等の各行動主体が、三十五項目の行動指針に沿った具体的な取り組みを進めやすいように、都としましては、親に対する啓発や子育ての情報提供、地域における体験学習の機会や場所の提供など、さまざまな支援や、子どもの育成環境の整備を図っていくこととしてございます。
 そして、機運の部分でございますけれども、各種の広報媒体を活用いたしました推進キャンペーンを行うとともに、仮称でございますが、推進協議会の設立等を通しまして、心の東京革命の趣旨を、都民を初めといたしまして、企業、マスコミなどに対して広範に働きかけてまいりたい、それによって、社会全体の運動として機運を高めてまいりたい、かように考えております。

○石川委員 仄聞しますと、来月の十八日ですか、都民全体での大会というんでしょうか、それを開催するというふうに伺っておりますけれども、その大会に向けて、いわゆる多くの都民の皆さんにインパクトを与えられるような、そんなお考えを今何か持っておられるんでしょうか。

○村松心の東京革命推進担当部長 今、十月十八日というふうなお話がございましたが、現在、都民集会の開催に向けて準備中でございますが、これにつきましては、心の東京革命推進会議というのがこの四月に立ち上げられまして、その中で、こういう都民集会を開こうではないかということが決まったものでございます。したがって、その推進会議の構成メンバーの各団体の皆様方と相談をいたしまして、この集会でどのようなものを実践していくかということを今まで詰めてきております。近々もう一度、その集会の前に推進会議を開きまして、そこで具体的なメニューを決めていくという段取りにしてございます。

○石川委員 それで、都政モニターアンケートの調査で、運動のあり方等について質問をされたというふうにこれに載っておりますけれども、具体的な意見として主なものはどのようなものがあったでしょうか。

○村松心の東京革命推進担当部長 具体的な意見としまして、運動の進め方や標語の活用方法などについてのものの主なものといたしまして、家庭、学校、地域を巻き込んだ運動の展開ですとか、一時的なものでなく、長く続ける方策が必要であるとか、あと、国を巻き込んだ全国的な展開が必要である、それと、大人の姿勢が重要であるなどといった意見でございました。

○石川委員 具体的な運動のあり方として、今、四点ほどお話がございましたけれども、こうしたことはこれまでもいわれてきたことだろうと私も思います。今度設立されます推進協議会、これは仮称でありますけれども、そこでよく議論をしていただいて、せっかく都民大集会を行うわけでありますから、その機会をとらえて、多くの都民の皆さんが、あっ、行政もこのことに本気になって立ち上がったんだなというふうに受けとめられるような、さまざまな具体的な案を考えていただきたい、このように思います。
 新たな推進組織でありますけれども、これは実施の調査は当然行っていくんでしょうけれども、この運動の展開がどう進んでいるか、あるいはどういう状況になっているかということについての分析を行うんでしょうか。

○村松心の東京革命推進担当部長 新たな推進組織、仮称ですけれども、推進協議会で実施状況の分析を行うのかというご質問でございますが、心の東京革命推進協議会(仮称)では、都民と一体となったキャンペーンの実施をしていく。それから、課題の整理をしていこうというのが二つ目でございます。それから三つ目として、推進のための団体間の連携と調整を行っていこうということでございまして、課題の整理のところで、何が問題であったのか、これから何をやっていくのか、そういったものをできるだけ分析していきたい、かように思っております。

○石川委員 ぜひ課題を整理しながら分析を行い、行動プランのいわゆる運動体としての成果が上がるように、協議会の活躍に期待をするものであります。
 ところで、昨今話題になっております、文部省の、子どもと話そうという、慎吾ママ登場という、いわゆるキャンペーン推進リーダーを設けて、文部省が運動を展開しております。この行動プラン推進に当たりましても、やっぱりこうしたキャンペーン推進リーダーというものをつくり出して、そして先頭に立ってマスメディア等を利用しながら展開していくということが、一つの効果を高める具体策ではないかなと、こんなふうに私は考えているんですけれども、その点いかがでしょうか。

○村松心の東京革命推進担当部長 心の東京革命を社会全体の運動として展開していくためには、ご指摘のように、マスメディアを効果的に活用した広報を進めていく必要がございます。今後、機会あるごとにマスコミにも働きかけを行っていくとともに、ご提案のようなイメージキャラクターの採用、こういったものについても、推進協議会の活動を展開する中で、いろんな分野で活躍しておられる方、そういう方々に協力要請を行うなどいたしまして、その導入について検討をしてまいりたいと思っています。

○和田委員 伺います。
 この行動プランの「はじめに」というところを読みますと、「『心の東京革命』は、次代を担う子どもたちに対し、親と大人が責任をもって正義感や倫理観、思いやりの心を育み、人が生きていく上で当然の心得を伝えていく取組です。」こうなっています。
 このプランそのものは、どちらかというと、幼児、児童生徒を対象に書かれたものというふうに思います。部分的には、親の、あるいは大人の責任ということも書いてありますが、八〇%以上は、そういう子どもたちを中心にしたプランだというふうに思っているわけです。
 ところが、私は、もっと別なところに視点を移すべきだと思っているわけであります。子ども、いわゆる幼児、学童、生徒というのは、どちらかというと社会変化、社会影響の受け手の側でありまして、それを受け手にさせている側の大人あるいは社会、世界というものが、本当に子どもたちをこのようなプランに巻き込む資格があるのか、まずそういう自問自答がここになければ、たまたま現象的にあらわれている、子どもたちのここが悪い、ここを直そうというようなことだけで事は足りるのかなというふうに思うわけであります。
 例えば、主要駅でおりますと、必ず駅の前には、何とか何とかというお金を貸す会社がありまして、そこでは、世界で初めてだと私は思うんですが、無料でティッシュを二個、三個、若いお嬢さんが配っている。宣伝をしながら、そういうお金を貸す民間のところにぜひ来てくださいということだと思うんですね。そういうふうに物やお金が満ちあふれて、仮想の、幻想の物、金かもしれませんが、あふれ切っている中で、子どもたちに物質やお金の対極にある心を説いて、どれだけ効能があるのかなという気がするわけです。
 ということは、私ども、子どもたちに影響を与える側にいる大人が、本当にそれだけの生活ぶりをしているのか、みずからに問いかけたときに、ここに書いてあるような、あいさつですとか、あるいは忍耐、思いやりということを本当にしているのかなというところを、私は大変この中の一つの心配事にしているわけです。
 その一つの例は、この行動プランのアンケートのところの三六ページを見ますと、こんなことがあります。家庭でのしつけについて聞いているんですが、親が子どものしつけに無関心である、そう思いますかと聞かれた人は、五五%がそう思いますと答えています。それから、父親が子育てやしつけに対する役割を果たしていない、大体六八%が、そう思いますといっています。それから、母親が同じように役割を果たしていないというのは五一%。それから、私どもが最大に気にすることは、子どもを甘やかし過ぎていますかというふうに聞かれた親が、八割の方が、百人中八十人の方が、そう思いますとみずから認めているんですね。
 こういうふうに、しつけについて無関心だというのが五五%もあり、あるいは、甘やかしているというのをみずから八割の方が認めていらっしゃるという実態を知りながら、この中では、子どもにああさせよう、こうさせようということをうたっている。つくった人たちは、三六ページにあるこのアンケートにこそ問題が隠されていて、ここを何とかしなければいけないという視点にどうして立たなかったのかな、そういうふうに思うんです。
 その意味では、私は、この心の東京革命が子ども版であるならば、やはり大人向けに、もっと厳しく、このデータにあらわれているような、みずから自覚をしながらも、唯々諾々とその現状に流されている、そういう姿勢を叱咤激励する運動が必要だろうということを、まず初めに申し上げておきたいと思うんです。
 それから、私も、心の東京革命というので、随分間口が広いし、奥行きがあるなと思ったんですが、心ということで広辞苑を引きましたら、実に「心」というところから「心悪し」というところまで数百項目ありまして、ページ数にして六ページありました。それほどまでに、心というものをとらえるのに、日本文化の中に定着して、多岐にわたって心が使われているわけでありますが、今回、この心の東京革命というのは、ある意味では精神活動、ある意味では宗教活動と思えるところまでも踏み込んで、革命という、私ども余り好きな言葉じゃありませんが、心という大変幅の広い、間口の広い、奥行きのあるものをつかまえて、なおかつ革命というような、極めて私にはなじまない言葉でくくって、心の東京革命をしようというわけでありますから、まさにラジカルに、革命的にやっていただかなければならないというふうにいわざるを得ないと思うんです。
 そこで、革命的にやるにしては、この中に書いていることは極めて復古的、回顧的なものではないのかなというふうに思っています。特に私は、この中で欠けていると思われるのは、親とか大人という文言はあるんですが、父の性、あるいは父性といいますか、母の性、これは母性といっていいかもしれませんが、この種の、本来構築されていく過程の中で、プロセスの中で確認されなければならない父親とか、あるいは母親の持っているジェンダー、性といいましょうか、そういうものがこの中にはほとんど出てこない。どちらかというと、家庭とか学校とか社会とか、そういうところで問題を解決しようというふうに思えてならないわけでありまして、この子どもたちを世に送り出した父であり母であるそれぞれの個体がどれだけこれに責任を持つかというような文言がここにないということが、大変残念だと思うわけであります。
 そこで、全体的にはそういうことを申し上げながら、個々の質問に入りたいと思います。
 冒頭申し上げたとおり、ここには、子どもや、あるいは幼児に対する要求項目が多いんですが、自分たち、今体制をつくっている大人たち自身に問いかけが大変希薄である。それと同時に、自分たちが、家庭でのしつけにおいて、先ほど申し上げた数字の中で、みずから努力をせずに諾々と生きながら、子どもには要求する、そういう運動でいいのかどうかということであります。
 一つだけ例を挙げさせていただくと、大人の中で、今私が関心のあることは、痴漢の問題があります。痴漢というと、漢字で見ると、大変表面的で軽い受けとめ方かもしれませんが、私はあえて性犯罪・痴漢といっているのでありますけれども、このごろは警察官までもが捕まるようになりました。それからまた、きょうの朝日の「論壇」にも書いてありますが、被疑者だった方が無罪だったという、そういう事実をかち取った女性弁護士の苦労話、警察の調査の仕方の不備の問題なども指摘されておりますが、そんなこともあります。私たちがあえてやってはいけないという常識の問題であるこの痴漢行為などについても、我々同世代の男性が、数千人が朝晩にわたって、摘発はされていないけれども、ほぼやってしまっている。こんなことなど、心の東京革命を子どもに説く以前に、我々大人の中で、みずから犯罪を犯さないような、お互いの常識といいましょうか、そういうものがまず世の中にしっかり構築をされて、そういう中から、女性の弱い立場を守る、あるいは女性の皆様方の社会生活に不満のない環境をつくっていくというようなことも、もとより求められなければなりません。
 私が申し上げたいのは、そういう痴漢行為をされている女性に、男性が見て見ぬふりをしてしまって、女性がこわごわ声も上げられずに毎日毎朝悩んでいらっしゃる状況を見ながらも、放てきし、知らんぷりをするような大人ども、男どもがいる、こういうこと。
 それから一例は、携帯電話なども、歩きながらかけてはいけない、電車の中ではいけない、心臓のペースメーカーの方もいるんだということをいわれながらも、それを守らずにやる。注意をすれば、嫌な目で見る。
 こういうような都民が数多くいる中で、この指針、プランというのを、どういうふうに大人に向かって浸透させようとしているのか。痴漢の例も挙げましたし、携帯電話の例も挙げましたが、こういう嘆かわしい状態の中で、子どもにだけこのような要求を突きつけていいのかどうかということに、私は大変じくじたるものがあるものですから、責任あるお答えをいただきたいと思います。

○村松心の東京革命推進担当部長 ご質問の、迷惑行為を勇気を持って注意しよう、こういう指針についてのものというふうに思いますが、この指針の都民への浸透についてでございますけれども、大人の人たちももちろん対象になるわけです。
 こういう指針を今後どういうふうに浸透させていくかについてでございますけれども、迷惑行為が多く発生いたします公共交通機関、JRを初めとしますけれども、そういう公共交通機関に対しまして、標語の掲示等の協力を求めていくほか、都の各種の広報媒体を活用して幅広い都民への浸透を図り、公共の場における迷惑行為に対して、大人たちの毅然とした対応を呼びかけてまいりたいと思います。

○和田委員 この心の東京革命が、ここには、子ども版とあえてうたっていませんけれども、幼児、児童生徒ということを対象にしているにしても、この中身に入る前ですけれども、それを取り巻く大人の環境の中に、こういうことを要求するだけのしっかりとした姿勢があるかどうか。痴漢行為も含めて、断じて許すことのできないような、そういう内在された問題に、私ども大人が子どもに問いかけられて、しっかり受け答えができるような姿勢があるかどうか、私は、こういうことをまず、この計画を進めていく際に求めたいと思うのです。
 それからもう一点は、先ほどもちょっとお触れになったんですが、この運動をどれだけの期間やるかということです。ゴールがないマラソンを走らせれば、四十二・一九五キロじゃなければマラソンじゃなくなりますし、必ずどこかにゴールをつくらなければならない。一年なのか二年なのか五年なのか十年なのか、そういうゴールのない運動が長続きするんだろうかという気がするんです。
 例えば、今、春、秋にやっている交通安全週間というのがあります。これはたまたま夏休み明け、あるいは新入学の時期に、子どもたちに、車の危険あるいは交通マナー、ルールなどを教えるという意味で、ほとんど全国的な運動として展開をされ、それによってとうとい命が守られたり、町に生活する上での車とのつき合い方、あるいは自分の身の守り方を、学童、生徒の間に定着させてきているという一つの評価は私はあると思うんです。
 したがって、この心の東京革命を推進する中で、期限を切らずにだらだらとどこまでやるのかどうなのか、あるいは、期限は切らないまでも、期間を切るのか、そういう戦略的な一つの方向づけがないままに、ただ想念、理念だけをここにうたい上げても、私は成果が上がってこないのではないかなというふうに思うものでありますから、これに魂を打ち込もうとするならば、期間をしっかり限定し、どういう意図でどういう時期にやるのかという具体的なものを、次にはぜひ都民の前に提示すべきだということも指摘させていただいておきます。
 それから、さきに質問した痴漢の問題であります。あるいは、携帯電話の問題でありますが、都条例の、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例、すなわちこれは迷惑防止条例といっているのでありますけれども、このような軽い条例の中で、五万円以下の罰金云々ということになっていますが、それで済むものではありません。
 痴漢に関してもう少し言及すれば、セカンドレイプといわれるぐらいに、女性の方々は心身に傷を負うといわれているデータもありますし、私の取り寄せた少し古いデータですが、大阪の方では、大々的に女性方がこれを調査した結果、八割近い方が被害に遭っている。そして、助けてくれという表情をすることもできずに、ただその場から立ち去る。そしてまた、勇気を持って交通警察隊なり、あるいは近くの人にいう人というのは七割もいない。そういう追いやられている状況の中で、この種の条例の適用というのはいかがなものなのかということも、別な次元でありますけれども、心の東京革命に絡ませて、私はこれからも続けていきたいと思っているわけであります。
 それから、次の質問に入りますが、この行動をたまたま受けて、勇気を持って、先ほどいった正義感に基づいて注意をする。私は、武道をやっておりますから、多少の心得があるつもりでいますけれども、どうなるかわかりませんが、少なからず、そういう迷惑行為は私は率先して注意をしています。トラブルがあっても、自分なりに責任を負うつもりでやっているつもりでありますが、しかし、勇気はあるけれども体力のない人あるいは、体力はあるけれども、そういうことを注意する勇気を持たない人というのはいるわけであります。
 たまたまのことでありますが、もしもこの運動に目覚めて、地域で実践しようと、正義感、倫理観に基づいて注意をした。ところが、偉丈夫の方に暴行を受けた。さて、それに対する補償なり、あるいはそれに対する行政の何らかの手当てがあるのかな。学校の敷地内なり学校の保険制度の中ではそれはありますけれども、この種の東京都全体に影響を与えるような東京革命運動を起こしながら、その革命運動に同意をして動いてトラブルになった場合、どういう補償があるのか。補償を目的にしてやるわけじゃありませんけれども、しかし、大号令を発してこれを動かしながら、たまたまこれに賛同して事故があった際に、いや、それはあなたの自由でやったことだから東京都は関係ありませんよというふうにいうのか。
 このように公式にうたい上げた結果起こってきたトラブルが、第三者で、この運動によって巻き起こされたトラブルだとするならば、何らかの補償を用意しているのか、そこまでの準備があるのかどうなのかということをお伺いいたしたいと思います。

○村松心の東京革命推進担当部長 迷惑行為に関する指針を受けて、逆にトラブルに巻き込まれた場合の補償があるのか否かという、そういうご質問でございますけれども、これにつきましては、今回この指針を出すに当たりまして、都民が不測のトラブルに巻き込まれた場合、やはり警察当局に厳正に対処してもらう必要があるというふうに考えております。
 したがって、このたび、警視庁やJR等に対しまして、この指針を受けて正義感に基づいて行動し、逆にトラブルに巻き込まれたような場合、しっかりと対処していただくように、警視庁に対して、指針の趣旨、背景、そういったものを十分に踏まえた適正な対応をするように協力要請をしたところでございます。何より都民の勇気ある行動を萎縮させないという対応をとる必要があろうかと思います。
 なお、和田副委員長の方から、心の東京革命につきまして、大人への呼びかけではなくて、子どもを対象にしているというふうなご指摘が先ほど来ございますけれども、実は、この心の東京革命の取り組みにつきましては、基本的には大人を対象にしてございます。大人が、次代を担う子どもたちに社会の基本的ルールや思いやりの心を教え、伝えていく、そういう取り組みだというふうに定義をしておりますので、基本的には大人を対象にさせていただいているということを申し上げておきたいと思います。

○和田委員 それは違うでしょう。大人が運動体として動くというのは、僕もわかっているんですよ。だけれども、大人がそういうことをするだけの資格があるかどうかを私はいっているんですよ。だから、これは働きかけ手は大人だけれども、その働きかけ手に、そういう働きかけをする資格がありますかと。人様の前でたばこを投げ捨てる、ペースメーカーがあるかもわからない人の前で平気で電話をかける、痴漢行為をする、あるいは、自分の返せないお金を借りて、そして客観的に行政に泣きついてくる。そういうみずからに問いかけてみて、自己責任を果たしていますかということがまずあった後に、このことをいわなければ、大人のいうことなんか、子どもは聞きませんよ。
 一つの例を--あなたがそうおっしゃるから、いい返すわけではありませんが、痴漢で済みません。痴漢行為を私がやっている。子どもが見ている。その私がうちに帰ってきて、子どもに、あなた、あいさつをしなさいといって、聞きますか。まず、みずからに問いかけてみて、子どもや、どこからも指を指されないような生活態度をしているところで初めて、この心の東京革命が光ってくるんじゃないですか。
 したがって、大人の働きかけ手は十分わかっているんだけれども、その働きかけ手の大人の我々が、本当に子どもたちに何を問いかけられても明々白々答えられるような日常生活を送っているか。送っていない人が多いんだろうと思うんです。
 したがって、子どもはもう賢いから、見抜いて、形はつくって、こんなことをやっているけれども、お父さんやお母さんや大人はみんな陰で悪いことをしているじゃないかということになったときに、これは形骸化して、あえてこんなことをやることによる虚無感の方が社会に広がって、びまんしてくる、そういうことを私はいっているんですよ。
 さて、そこで、私は補償のことをいったんですが、今、警視庁なんかに、この運動に伴うトラブルの対処のことについてお話がありました。私もここに資料を持っていますが、十二年の九月十八日、生活文化局長の高橋信行さんから警視庁の総務部長あてに、「心の東京革命行動プランの推進に伴うトラブル等への適切な対応について(依頼)」となっています。この指針を実行した場合、他方では、注意された側の過剰な反応により注意者側が不測のトラブルに巻き込まれることも考慮されなければなりません。また、これを放置した場合、正義感を持ってこの指針を実行しようとした都民の思いも、次第に萎縮してしまうおそれがあります。そこで、もし万一このようなトラブルが発生し、注意者側への暴力的行為があった場合には、厳正な対処をしていただくよう、警察署等への周知徹底方をお願いいたしますというふうに、生活文化局長から警視庁の総務部長あてに、九月十八日に依頼が出されています。これはわかるんですよ。
 この依頼に基づいて、このプランに基づいてやった、で、警察の方にもお願いをして、これは処罰は書いてある、厳正な対処。だけれども、切られた、殴られた、これはどうするんだ。ここは全く欠落しているじゃないですか。やって、けがを負わされた、傷つけられたときに、何の補償もなく、ただ警察だけが厳しく取り締まってねと。そうしたら、注意して殴られたり、あるいは罵倒されるんだったら、何もしないでその場を見過ごしちゃおう、痴漢行為も何も見過ごしちゃおう、そうなってしまうじゃないですか。
 私は、何も、補償があってやるというんじゃなくて、善意の人というのは補償がなくたってやると思うんだ。だけど、ただただ結果としての厳罰を、ぜひ警視庁さん、お願いねといいながら、勇気を持ってやろうとする人が傷ついたときには、あなたのやられ損、行政は責任を持たないというのが、この姿勢でしょう。全部責任を持てとはいわないけれども、少なくとも、勇気を持ってやった人が、やられ損なんていうことにならないように、どこかで受け皿を持たない限り、空理空論に終わるんじゃないですか。
 あなた自身がもしもそういう場面を見たときに、注意をしようかなと思って、よし、踏み込んでやろうという気になりますか。殴られて、切られて、それでもっておしまい。ただ犯人に厳罰をという、この紙っぺら一枚じゃないですか。どうですか。

○村松心の東京革命推進担当部長 この場合の補償の問題でございますけれども、この指針はあくまで都民の皆様方に、社会全体で規範意識をしっかりと持っていこうという趣旨から、全体的な意味で都民の皆さんに呼びかけをしたものでございまして、特に補償制度というものについては考えてございません。

○和田委員 これは多分成功しませんね。現場に行って、いかがわしい行為をしていたり、これは正さなければいけないなというときに、背の高い大人の人が弱い人をいじめるときに、注意をしようとするときに、力ずくじゃ負けるけれども、理屈でやろうという勇気を奮い起こしていったときに--何も、けがをしたら補償することを期待するわけじゃないけれども、この運動全体がそこまでも守っているんだから頑張ってねと、無言の勇気づけをして初めて、一歩踏み出して、本当なら目をそらして行っちゃう人が、ちょっと、あなた、やめなさい、おかしいでしょうという勇気が出てくるんですよ。
 よくいわれるでしょう。僕は子どものころいわれましたよ。やくざの人の前に行ったら、すぐに身をかわすんですよ、怖いから、そう子どものころ教わりました。なぜか。殴られ損、因縁つけられ損だからですよ。そういうことを僕らは受けてきた。だけど、そうじゃなくて、今度のこの教育は、理屈があることはどんどん指摘をして、そして世の中を変えていきましょう、それが心の東京革命でしょう。そのときに、一歩踏み出そうというときに、いや、何の補償もないんですから、ただ警視庁の厳罰だけが犯人を待ってるから、やってくださいということじゃないですか、これは。
 仏つくって魂入れずという言葉どおり、私は、この心の東京革命というのはそんなに簡単にできると思わない。思わないから、石原さんも革命と呼んだのでしょう。あるときには、お互いの意見がぶつかって殴り合いがあるかもしれない。刃物が出るかもしれない。そういうことを想定しなけりゃ、革命なんて起こせないんですよ。場合によってはそういうこともあり得るんですよ。
 町の暗いところを歩いたときに、痴漢行為があった。捕まえようと思う。だけど、刃物を持っていて切りつけられてしまった。それはもう通常の犯罪でもありますから、心の東京革命じゃなくてもいいんだけれども、そういうときに勇気を持って踏み出せる、それを社会全体が守る、そういう雰囲気を、心の東京革命の中ではつくっていかなければ、ただ、うたい上げただけでもって、だれも行動しなくなるだろうということを気にするわけ。
 姿、態度で見せなければ、この運動は成功しない。その姿、態度であらわすために、応援を行政がする。そういう配慮がなければ、この運動は必ずや失敗するということを、私は予告しておきます。
 以上で終わります。

○高橋生活文化局長 ただいまの先生のご指摘、非常に具体的な行動についての配慮というか、難しい部分に触れていただきましたが、実は私ども、この議論をする際に、知事ともお話をしたんですが、まさに勇気を持ってやろうとした人間を社会で守らなければ、この運動は成功できないじゃないかというお話を、このプランをつくり上げる過程で議論をしました。
 ただ、私ども、勇気の問題を補償という形では考えておりませんけれども、一つは、先生まさにご指摘のように、環境づくりの問題として、例えばスローガン等を社会の中に普及させることを通じて、みんながそういう雰囲気になることによって、その一人一人の勇気ある行動を守ろうというふうな形をまさにつくり上げているということが、一つのこの行動プランの意味でございますし、また、今後予定されている集会なり、さまざまなキャンペーンというのは、まさにそういう機運を醸成する一つの手段だと考えております。
 しかしながら、そういう中でも、先生ご心配のような、いろんな暴力行為等が起きる可能性も予想されますので、それに対しては、先ほど先生にご紹介していただきましたが、警察にも厳正に対処していただきたいということで、警察の方も、各所属長にまでこの通知を全部出していただいて、昨日も私は警視総監にも申し上げましたが、そういうことを応援する雰囲気づくりをしておりますし、また、もしそういう不測の事態が起きるような場合でも、一罰百戒というふうな形で厳しく対処してもらいたいということを申し上げました。
 いずれにしましても、先生のご指摘は大変難しいし、非常に問題のある部分だと私どもも承知しておりますが、その環境をつくることによって、まさに集団として一人一人の勇気を支えるという運動をこれからやりたいというふうに考えております。

○大河原委員 各委員の質疑の後ですので、私からは三つほど聞かせていただきます。
 けさほど、新聞の折り込みに入りました。いよいよ始まるなというふうに思いましたけれども、和田委員からもありましたように、やはり革命というような言葉にすごく危惧を覚える方もあると思いますし、大人に向けた施策だよということが、これで本当にわかるかしらというのは確かにありますね。
 前回のときにも、心の東京ルール、七つの呼びかけ、何とかさせようという言葉、この感じは、子どもに直接いっているようにとられます。だけど、これは、東京都が、知事がいっているとおりに、子どもの現状は大人の社会の反映なんだ、だから、大人が自分たちの生き方を見直すんだ、そういうところにかけて、この行動プランということになったというふうに思うんです。
 この心の東京革命行動プラン、意識革命ということでは、私が親しくさせていただいている行政学の先生が、僕は自分のゼミで、行政改革とかいろんなことを学生に提案させるけれども、意識改革というふうに書いてきたやつには点をやらないっていうんですよ。やっぱり役所というところが意識改革といったときには、その中身については、余りお金をかけないで、そこそこアピールするだけで終わっちゃうのかなという危惧をどうしても持ってしまいます。
 この大人の意識革命であるということなんですけれども、大人に直接働きかけるという、内心に響く施策としてどんなことを考えていらっしゃるのか、もう一度お尋ねしたいと思います。

○村松心の東京革命推進担当部長 家庭、学校、地域等の行動主体ごとに掲げました三十五項目の指針につきましては、都民一人一人の行動として大人自身へ働きかける、そういうものでございます。したがって、キャンペーン等の展開を通じまして、その実践を呼びかけてまいりますとともに、都民一人一人が子どもの育成に関心を持って、それぞれの地域の大人として、体験学習の場の提供ですとか、地域活動への積極的な参加をするように、来月設立を予定しております心の東京革命推進協議会、仮称でございますが、構成メンバーが中心になって都民に働きかけを行っていくということとしております。

○大河原委員 ことしの二月に、文部省が国際比較調査というのをしておりまして、これは、小学校の五年生と中学二年生を対象に、日本、韓国、アメリカ、イギリス、ドイツの五カ国で、昨年の十月から十二月に実施されているものです。東京の区部の約二千三百人の方たちがこの調査に参加していまして、都市部の子ども千人前後にアンケートで尋ねています。そのときに、やはり心の東京革命の前提になっている、日本の子どもたちの正義感や道徳心に疑問符がつくような傾向が示された、そういうことも出ているんですけれども、家庭の教育力が落ちた、親のしつけの力が弱い、そんなふうにいわれて、大人への意識改革にもなっているんですけれども、大人も、かなり厳しい、つらい生活を送っているんじゃないかと思うんです。
 確かに、親が子どもにかかわる、その深さといいますか、そのかかわりをなかなか深く持たなくなってしまっているというのが、やはり現実にあるんじゃないかなというふうに思います。それは、やはり大人の生活の仕方とか働き方とか、そういったところを具体的に変えていかなければ、子どもに接する時間や、あるいは機会を持つこと、そういったことも可能ではないわけなんです。
 東京都の取り組みとして、この心の東京革命を進めていくときに、民間団体や企業への協力要請ということがあると思うんですね。で、企業活動において、未成年に対する配慮の徹底というふうに、このプランの中に書いてあるんですが、例えばこれはどういうことを指しているんでしょうか。

○村松心の東京革命推進担当部長 民間団体や企業への協力要請という中で、企業活動における未成年者に対する配慮の徹底というのはどういうことかということでございますが、教育力低下を助長する社会環境として、売れ行きを最優先したマスメディア等による享楽的な情報のはんらんや、一部、営利、市場主義的な企業行動などをプランの中でも指摘しております。
 社会全体での取り組みといたしまして、有害情報や、子どもの育成への企業貢献を指針として示しておりますけれども、企業やマスコミの行動が与える影響は非常に大きい、そして、その役割は大変重要であるというふうに考えます。来月設立予定の推進協議会へ、企業等の積極的な参加を呼びかけまして、社会全体の運動として展開をしてまいりたいというふうに思います。

○大河原委員 企業の役割というのはすごく大きいんですね。親がその一家を支えていくために収入を得るという、その場でもありますし、子どもたちに親がどんなに働いているかを知ってもらおうというのも、このプランの中にありましたけれども、親自身が、自分がやっている仕事に対して倫理観と責任感を持ってそのことを進めていけるかどうか、そういったことも本当に企業倫理に響いてくる、大きく社会を変えていくことだと思うんですね。要するに、子どもに対して大人がどれだけのアカウンタビリティーを発揮するかということが、本当に大きなかぎだと思うんです。で、この有害情報の話もありますけれども、やはり日本の状況を考えますと、子ども期を、企業活動というか、経済活動に市場としてすごく使っているわけです。そういったことも含めて、私は、この心の東京革命というものは、東京都のかかわりの中で参加をしていただきながら、そんなことまでも含めて、ぜひ変革をされるような、そういう参加を、この際企業に呼びかけていただきたいと思うんです。
 企業への働きかけの中には、お父さんやお母さんを早くおうちに帰してくださいということも含まれているというふうに思います。例えば、優良企業といわれるところ、子育て支援の制度が整っている、あるいは国の国民教育会議の方でも提案されていましたけれども、教育休暇といったものを企業が取り込む、そんなことを東京都がむしろ進めていく、私はそれが役割なんじゃないかなというふうに思います。
 最後に伺うわけですけれども、先ほど申しましたように、子どもに対する大人の説明責任、そのことは非常に大きいと思います。先ほど、くぼた理事が、コンラッド・ローレンツ博士の言葉はやはりここにはふさわしくないものじゃないかというふうにいっていらっしゃいましたが、知事の言葉の後ろに書いてあります賀川豊彦さんの「子供には叱られる権利がある」あれも、実はこうやってキャンペーンが始まったよって、ぱっと大人に見せたときには、大変誤解される言葉じゃないかというふうに思います。
 後ろまでちゃんと読めば、子どもはしかられる、そうやって、大人に子どもの状況--要するに、しかられずに無視されてしまう、相手にされない子どもというのは不幸だ、だから、子どもに最善のことをするというのは、子どもと真正面から向き合うことだというのが、この賀川先生の言葉だと思うんですね。
 忍耐力のない大人は、これを見ると、すぐ、子どもにはしかられる責任があると。しかも、このプランの中には、何というんでしょうか、精神的な価値よりも物質的な価値に重きを置く自己中心的な子どもの生き方、そういったものが指摘されています。そういうところから考えると、ほら見ろ、子どもはやっぱりしかられなきゃだめだねっていうふうに、短絡的にそこの部分だけ取り出されてしまうような気がするんです。
 先ほど、どなたかのあれでしたが、私は生活文化局にとても期待をしています。というのは、子どもたち自身からの話をちゃんと聞いてきたじゃないのというふうに思っているからなんですね。このプランに関して直接アンケートはおとりになっていませんが、東京都青少年会議報告書というのが去年の三月二十四日に出されています。これは、キレる子ども現象について、それから権利保障について、十五歳から二十五歳までの方々によって、例えば権利保障の場合は、都庁で六回の会議と十数回の自主勉強会を経て、この最終報告にたどり着いたというふうに書いてあるんです。
 そして、これに参加された十五歳から二十五歳の方たち、子どもの権利保障について考えるに当たって、大人への提言というのもしています。そして、自己分析というんでしょうか、社会分析もしている中には、この心の東京革命行動プランで指摘されている現状というのとほとんど同じことを指摘しています。そこは、このプランは、きちんと進められれば、効果は多分あるんだろうな、響く人には響くだろうなというふうには思うんですけれども、やっぱりそれは進め方だと思うんですね。
 それで、この中で、権利保障のところで特にいっていることがあるんですけれども、この行動プランの中に、基本的な問題として、子どもの権利をどういうふうにとらえているのかというのが抜け落ちている。しかられる権利があるというようなところにしか書かれていないんですけれども、この賀川さんの言葉は、子どもに最善の利益をという、まさに子どもの権利条約の中心理念、そのことをうたっているんです。これを誤解されないようにしていただきたいというふうにお願いしたいわけなんですけれども、この行動プランには、子どもの権利擁護ということについて全く触れられていません。悩みを持つ子どもというのは大変多いわけなんですけれども、そういった子どもたちへの対応というのも取り上げていないんです。行動プランは、この子どもの権利擁護の事業というものを含まないものになっているんでしょうか、そのことを伺いたいと思います。

○村松心の東京革命推進担当部長 権利擁護の関係でございますけれども、心の東京革命行動プランは、まず何よりも基本的な問題といたしまして、子どもたちを、社会の一員として必要とされる心を持った人間として育成していくということを目指しております。子どもの健全育成に当たりましては、子どもの人権を尊重する視点は当然のことでございますが、それと同時に、権利と責任について理解を深めさせることも極めて重要だというふうに思います。
 心の東京革命は、このような観点から、親と大人の責任を明確にいたしまして、都民一人一人が行動を実践するように働きかけていく取り組みでございます。

○大河原委員 今の日本の子どもたちが置かれている状況というのは、本当に過酷だと思うんですね。親の過保護あるいは過放任、それから、幼児虐待もきょう資料がありましたけれども、本当にふえてきています。それから、過激な受験戦争で心の発達障害まで起こしているんじゃないかというのは、国連の子ども権利委員会からの指摘ですし、そういった中では、地域の人たちとのコミュニケーションを持つ、あるいは親も無条件に愛してくれる、受け入れてくれる、そういう安心感がない限り、子どもたちの現状というのはどういうふうにも変わっていかないんじゃないか。子どもが安心して心を開いて、言葉を紡いでいくことができない。
 この報告書の中にも、子どもに意見表明権があると書いてあるけれども、先生に幾ら何か意見をいってごらんといわれても、いえないんだ。言葉が未熟で出てこない。だから、そういうことがいえるように、その訓練をしてほしい。子どもたち自身がいっているんですね。
 私は、生活文化局、特に青少年問題協議会の答申なんかもありますけれども、本当に局が積み上げてきたこと、そのことをもって、子どもの現状を変える大人の意識変革をする、そういう立場に立っていただきたいと思うんです。
 子どもの人権を尊重することは当たり前というふうにお答えいただきましたけれども、本当にそのことを実現していくためには、子どもが持っている権利というのは何なのか。これ以上権利なんかを主張させて、もうめちゃくちゃになるんじゃないかというふうによくいわれるんですけれども、その方たちが思っていらっしゃる子どもの権利と、例えば今ここで権利保障しましょうといったときの子どもの権利の中身、大人自身が子どもの権利を知らないということを、まず大勢の私たち大人が自覚をすることだと思います。
 そして、局の、役所の役目としては、そのことをきちんとPRする。そして権利について子どもに教える。権利を教えるということは、責任を同時に教えるということですから、そのことにかかわる大人がふえればふえるほど、大人の意識変革が進むんじゃないかというふうに思っています。
 ぜひ、局に蓄積のある子どもたち自身の声を、このプランにも反映させていただきたいと思います。
 終わります。

○植木委員長 ほかにございますか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○植木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○植木委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で生活文化局関係を終わります。

○植木委員長 これより教育庁関係に入ります。
 初めに、請願の審査を行います。
 一二第七号、足立養護学校花畑分校児童・生徒の教育環境の改善に関する請願を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○若林学務部長 一二第七号、足立養護学校花畑分校児童・生徒の教育環境の改善に関する請願についてご説明申し上げます。
 本請願は、花畑分校保護者による本校化推進委員会代表星野賢治さんほかから提出されたものでございます。
 請願の趣旨でございますが、1及び2は、足立養護学校花畑分校について、教室不足を解消し、体育館、グラウンド及びプール等を設置して教育環境の改善を行うことでございます。
 足立養護学校花畑分校の教室不足等につきましては、特別教室を兼用したり、隣接校の教室を利用するなど、実情を踏まえました対応をしているところでございます。今後も、教育環境の改善に向けまして多様な側面から検討してまいります。
 次に、3、分校を本校化することでございます。
 分校の運営につきましては、副校長を配置するとともに、学校運営費の配付の上でも、他校と実質的な差異の生じないように努めておるところでございます。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○植木委員長 説明は終わりました。
 本件に対し質問がございましたら、発言を願います。

○田代委員 まず最初に、本日のこの請願、基本的人権といいますか、人間の尊厳、権利にかかわる非常に重要な請願でございますので、委員の先生方、そして委員長、副委員長のご配慮によりまして、また理事の先生方の好意によりまして、このような機会を得ましたことを心より御礼申し上げる次第でございます。
 まず最初にお尋ねしますが、教育の現場において一番重要な一つの指針となるものに学習指導要領がありますが、この盲学校、聾学校、そして養護学校の小学部、中学部の学習指導要領、おわかりだと思いますけれども、あることはご存じでいらっしゃいますでしょうか。

○斎藤指導部長 当然ながら、ございます。

○田代委員 これの重要性にどういうご認識をお持ちでしょうか、教えていただきたいと思います。

○斎藤指導部長 通常の小学校、中学校、高等学校につきまして学習指導要領を定めておりますが、障害の程度に応じまして、それぞれの発達段階に従いました特殊教育の障害に応じた学習指導要領を別に定めまして、教育の徹底を図っているということでございます。

○田代委員 別に定めるということは、それだけ重要性があるということなんでしょうか。

○斎藤指導部長 特に障害の種類がございますし、程度もございますので、そういった意味で別に特別に定めている、こういう経緯でございます。

○田代委員 もうおわかりのことですから、話を先に進めますけれども、この学習指導要領というのは、非常に根本をなす一番大切な指針の一つになるわけです。これが平成十一年の三月二十九日に、文部省の告示第六十一号で、一番最近のものは出ているわけですけれども、この学習指導要領の中で、第一章の総則の第二節、その第一に、一般方針というのがあります。
 余り長くない文章ですから、簡単にここで読み上げますけれども、その一は、各学校においては、法令及びこの章以下に示すところに従い、児童または生徒の人間として調和のとれた育成を目指し、その障害の状態及び発達段階や特性等並びに地域や学校の実態を十分考慮して、適切な教育課程を編成するものとする。学校の教育活動を進めるに当たっては、各学校において、児童または生徒に生きる力をはぐくむことを目指し、創意工夫を生かし特色ある教育活動を展開する中で、みずから学び、みずから考える力の育成を図るとともに、基礎的、基本的な内容の確実な定着を図り、個性を生かす教育の充実に努めなければならない、これが第一番目です。
 そして、二番を飛ばしますけれども、三番目に、学校における体育、健康に関する指導は、学校の教育活動全体を通じて適切に行うものとする。特に、体力の向上及び心身の健康の保持増進に関する指導については、小学部の体育科及び中学部の保健体育科の時間はもとより、特別活動、自立活動などにおいても、それぞれの特質に応じて適切に行うよう努めることとする。また、それらの指導を通して、家庭や地域社会との連携を図りながら、日常生活において適切な体育、健康に関する活動の実践を促し、生涯を通じて健康、安全で活力ある生活を送るための基礎が培われるよう配慮しなければならない。
 最後に四番ですが、学校における自立活動の指導は、障害に基づく種々の困難を改善、克服し、自立し社会参加する資質を養うため、学校の教育活動全体を通じて適切に行うものとするということです。
 生徒さん方にとって、この体育、健康に関する指導というものがいかに重要であるか、こうやって一つの項が設けられて話を進めているわけですけれども、本日のこの請願に出ております足立養護学校花畑分校の教育環境というものが、特段にほかの学校に比べて差があるということで、何点かをお伺いさせていただきたいと思います。
 まず最初に、この花畑分校がどのような経緯で、いつごろ、足立養護学校の分校になったのでしょうか、この点から伺いたいと思います。

○若林学務部長 都教育委員会で、昭和四十九年の希望者全員就学の方針に基づきまして、障害者の就学条件の整備に努めてきたところでございますが、知的障害の養護学校におきましては、小中学部に在籍する児童生徒の増加に加えまして、高等部への進学希望者が増加をしたということで、学校の過密化が深刻な状況となったということでございます。
 足立養護学校におきましても、昭和五十三年の学校開設時には、小中学部、高等部合わせまして、児童生徒数八十九名でございましたが、その後の増加によりまして、平成元年、最大時でございますけれども、二百二十七名となったものでございます。このうち、高等部の生徒だけでも百四十六名というふうになってございます。
 このため、学校の過密化を解消するとともに、学校規模の適正化を図ることを目的に、平成四年度に足立養護学校花畑分校を設置いたしまして、小中学部に在籍しております児童生徒六十九名が分校に移ったものでございます。

○田代委員 この請願の中でも、教室数が少ないとか、固有のグラウンドあるいはプールがないなどという、花畑分校の施設面での整備の不足というものが指摘されているわけですが、実際のところ、この花畑分校の施設整備状況というのは、ほかの養護学校に比較してどのような状態になっているのか、児童生徒一人当たりの校地面積の比較などを使って教えていただきたいと思います。

○若林学務部長 足立養護学校の花畑分校には、現在、小中学部の児童生徒八十八名が在籍してございます。校地面積は三千五百一平米でございまして、一人当たりの校地面積は四十平米となってございます。これに対しまして、都立の知的障害養護学校の平均校地面積でございますけれども、約一万二千百二十三平米でございます。一人当たりの校地面積は八十七平米となってございます。
 それから、体育館、プール、校庭につきましては、各学校とも学校敷地内に専用の施設を有してございますが、花畑分校におきましては、足立ろう学校の施設をお借りしているという状況になってございます。

○田代委員 今のご答弁の中を伺っていますと、いわゆる分校の一人当たりの校地面積は、ほかの養護学校に比較して半分以下ということですかね。まして、体育館であるとかプールであるとか校庭というものは借りている、自前ではないということですけれどもそういう状態は、東京都においては大変多く見られるんでしょうか。

○若林学務部長 そういう状況につきましては、花畑分校だけでございます。

○田代委員 ということは、東京都の中では非常に特殊なというか、ここだけがそういう状況に置かれている。そして、ここだけがそういう状況に置かれているというのは、最初、ここはグラウンドとかプールとかがあって、それを何か取り壊して使わなくなったというような歴史があるんでしょうか。あるいは、最初からグラウンドとかプールがなかったんでしょうか。

○若林学務部長 花畑分校の設置場所につきましては、足立ろう学校の寄宿舎の敷地を活用してつくったということで、最初から敷地が狭かったことがございまして、そういう設備ができなかったということでございます。

○田代委員 先ほど申し上げましたように、やはり我が国のこの教育課程の中で一番重要な学習指導要領の中にも、わざわざそううたわれておりますように、それに即して、ほかの養護学校というのは、グラウンドあるいはプールというものがしっかりと整備されているわけですけれども、今のお話ですと、最初から土地がなかった。ですから、最初あったものを、何かの理由で取り壊して、またいつかつくろうということではなくて、最初からなかったというお話です。ということは、東京都としても、当時、それでいいと思っているはずもないわけですから、それをわざわざお尋ねする必要もない。--一応お聞きしましょうか。グラウンドもプールも、この学校だけはなくてもいいというお考えがあったんでしょうか。

○若林学務部長 児童生徒さんが大変急増したということでの対応をしたところでございまして、最初からそういう設備が不足していることについては認識してございまして、そのままでは今後の教育環境にとってよくないという考えでございます。

○田代委員 非常に常識的な正しいお答えをいただいたと思うんですけれども、特にこの花畑分校だけはプールが要らない、グラウンドが要らないということではなかったと。非常に生徒さんの数がふえたので、ある意味ではやむを得ず、急場しのぎといったらあれですけれども、まず生徒さんたちの収容が大切であるということでそうなさったということです。ということは、最初は東京都としては一時的な仮の施設、先ほどのお話にもありましたけれども、普通の半分以下で、しかも、ここだけがほかに見られないような劣悪な状態であるということに対しては心を痛めていらしたということですから、ある意味では仮の場所としてお考えになっていたんでしょうか。

○若林学務部長 急増対応という形で設置をしたということでございまして、その後の児童生徒の状況を見ながら対応を考えていくという計画でございます。

○田代委員 最初はよくわかるんですけれども、最後の言葉がよくわからないんです。もともとほかに比べて劣悪な状態であることはわかっている。その経過を見ながらというのは、生徒さんが減っていくか、ふえていくかということなんだろうと思いますが、それは平成五年度からどういう状況になっているんでしょうか。年次別に教えてください。

○若林学務部長 平成五年度でございますけれども、花畑分校につきましては、小学部が三十六名、中学部が三十名、計六十六名でございます。六年度が同じく四十二名、二十五名、合計六十七名でございます。七年度が四十二名、二十二名、合計で六十四名。八年度が四十六名、十八名、合計で六十四名。九年度が四十三名、二十二名、合計で六十五名。この辺までは変化が余りなかったんですけれども、十年度以降、児童生徒さんが伸びまして、小学部が四十九名、中学部が二十五名、合計で七十四名。十一年度が五十三名、二十八名、合計八十一名でございます。十二年度現在では五十五名、三十三名、合計の八十八名という推移でございます。

○田代委員 そうしますと、当初の平成五年から大体九年ぐらいまでは、ほかの学校に比べて、校地面積だけでいうと全く遜色がないんでしょうか。

○若林学務部長 当初段階から、やはり平均よりは下回っている状況でございます。

○田代委員 どのぐらい下回っているのか、後ほど伺いますけれども、そうしますと、ちょっと先ほどのお話の内容が理解できないところがあるんです。経過を見てというより、最初からもう経過がわかっているわけです。年を経るごとに人数が減っていくなんていうことがあれば話は別ですけれども、ほとんど横ばいで推移して、しかもある意味では急増してきた。しかも、ほかのところにあるようなグラウンド、プールがもともと最初からなかった。
 そういうことに対して、今、お母さん方、お父さん方、ご父母の皆さん方は、請願の中にもあるように、何か特別な広大な要求をしているわけではなくて、せめてほかの養護学校並みの環境のもとで、お子さん方の教育をしてもらいたいというだけのことなんですね。ほかのものと同じにしてほしい、差をつけないでほしいということをお願いしているのであって、花畑分校だけをどうにかしてほしいという話では全くないわけです。しかも、当初から、その状態に差がついてスタートしたわけで、またさらにここに来て大きな差が開きつつある。
 これは、何回も戻りますけれども、学習指導要領という一番基本になるものにもうたわれている、一番基本となる施設ですから、当然これは整備されるのに待つ必要もない。経過を見る必要もないわけです。さらに、今の状態が以前に比べて劣悪なものになっているというわけですけれども、この状態について東京都としてはどのように認識をなさっているのか、お伺いしたいと思います。

○若林学務部長 今数字も申し上げましたように、花畑分校の児童生徒数、平成九年度まで横ばいで推移をしてきたところでございますけれども、平成十年度以降急増したということもございまして、特別教室を普通教室に転用せざるを得ない状況になったものでございます。このために、教室不足の解消を図るという観点から、あるいは体育館、プール等の施設を確保するなどの施設環境の改善を図っていく必要があるというふうに考えてございます。

○田代委員 そうすると、体育館ですとかプールなどの施設を確保しなくちゃならない、当然早急にそういった改善を図る必要がある、ここは認識があるわけですね。
 じゃ、そういう認識に立って、東京都としては、花畑分校の環境整備面で現在まではどのような対応、努力をなさってきたのかをお教えいただきたいと思います。

○若林学務部長 花畑分校の施設等の不足につきまして、図工室、美術室、視聴覚室など特別教室を普通教室に転用したり、あるいは足立ろう学校のプール、体育館、校庭、それから教室の一部などの施設を利用するなどいたしまして対応してきたところでございます。十分ではございませんが、実情を踏まえました対応に努めてきたところでございます。
 なお、本年度には、スクールバスの乗降所に屋根の設置をしたところでございます。

○田代委員 ということは、教室が足りないということで、図工室とか美術室とか視聴覚室などの特別教室を普通教室に転用したということですけれども、転用されちゃって、しかし、図工はやらないわけにいきませんよね。視聴覚やらなくちゃいけない。これはどのように行われているんでしょうか。

○若林学務部長 特別教室の転用分につきましては、足立ろう学校に、それらにかわる施設、設備を借用しながら設置をしたということでございます。ただ、場所が離れておりますので、足立ろう学校の方の施設を十分に使い切れていないというようなこともございまして、現在の花畑分校の教室の中で工夫をしながら活用しているという状況でございます。

○田代委員 そうしますと、何せ狭くなったので、どうにもならないから、お隣をお借りしたんだけれども、後でちょっと詳しく伺いますけれども、どういう理由だか、借りた教室の利用率が悪い。しようがない、借りたは借りたんだが、余り利用できなくて、自分のところで無理して頑張っているということですね。
 最後に、何かバスの屋根をつくったというお話ですけれども、バスの屋根というのは、ほかの学校にはなくて、この花畑分校にだけあるものなんでしょうか。

○神山施設部長 盲・聾・養護学校のスクールバスの屋根につきましては、肢体不自由校につきまして、バスからの屋根を設置しているところでございます。

○田代委員 僕も仕事柄、養護学校ってよく行くことがあるんです。それから、その他の学校にもよく行くことがあるんですけれども、私自身が覚えている限りでは、このスクールバスの乗りおりのところに屋根がなかったというところは覚えていないんですね。わざわざそうお答えいただくということは、ちょっと意味がわからないんですけれども、花畑分校以外に、最後についたのか、どうついたのかわかりませんけれども、花畑分校がつくまでに、バスの乗りおりの場所に屋根がつかなかったようなところはあるんでしょうか。

○神山施設部長 盲・聾・養護学校の施設整備に当たりまして、肢体不自由校につきましてはバスからの屋根をつける、そういう方針で臨んでおりまして、今回、花畑分校につきましては、スクールバスが道路の際にとまるということと、学校の入り口まで相当の距離があるということで、特に雨天等の生徒の安全を考えまして、約六十七メートルの屋根を設置したところでございます。

○田代委員 六十七メートル。もうこれで、お聞きになればおわかりのとおりに、平成五年からついていないわけですよね。何でそのように最低限必要なものを、この花畑分校だけが特別扱い--いい意味の特別扱いじゃないんですよ。悪い意味での特別扱いが、何で花畑分校だけされるのかよくわからないんですが、その理由をお答えすることができるのであればお聞きいたしますけれども、もう一つの、利用方法が非常によくない、その理由、詳しいことがわかりましたら、お知らせいただきたいと思います。

○若林学務部長 足立ろう学校の方の施設の利用が思ったほど伸びていないということでございます。視聴覚室あるいは図工室などの特別教室を設置したわけでございますけれども、大体百五十メートルぐらい離れた場所になるわけでございまして、子どもたちの移動に時間がかかるということ、あるいは、特別教室であるために、利用時間、設定時間が少ないというような側面もあろうかと思います。学校側により工夫をしていただいて、活用についての努力をしていただきたいというふうに考えているところでございます。

○田代委員 あれもだめ、これもだめというんじゃ、話が先に進まないんですが、今後、どういう対応で都はこの環境改善を進めていくお考えなのか、方針をお聞かせいただきたいと思います。

○若林学務部長 今後どう対応するかということでございますけれども、環境改善に向けまして、足立ろう学校施設の有効利用を図るほかに、適地への移転による施設環境の改善なども含めまして、多様な側面から鋭意検討してまいりたいというふうに考えてございます。

○田代委員 昨年度、足立ろう学校と綾瀬ろう学校の再編計画について、地元の関係議員には説明があったということなんですけれども、その後、その計画は進展しているんでしょうか。

○若林学務部長 ただいま委員ご指摘のとおり、平成十一年度に公表いたしました都の聴覚障害教育推進構想におきまして、聾学校の再編計画を公表したところでございます。隣接する足立ろう学校についても、綾瀬ろう学校との再編が計画されているところでございます。具体的には現在検討中でございますけれども、花畑分校が移転する場合の適地といたしまして、学校として十分な施設、設備を設置したり、あるいは既存の施設を有効活用できるような場所を選定したいというふうに考えているところでございます。

○田代委員 この再編計画を進めて、足立ろう学校のスペースがあくことになれば、お母様方、お父様方を含め地元では、この跡に足立養護学校が移転するのではないかという話を耳にしているということなんですけれども、こういう話について、なかなか地元の皆さん方に正確に正式に説明されたという事実がないようなんです。
 先ほどからのお話を伺っていますと、花畑分校の教育環境整備というのは非常に急がなくてはならない、実現しなくちゃならないということは、当然皆さん方も認識なさっているはずなんですが、なかなかこれが進んでいかない。財政難云々かんぬん、いろんな話もあるんでしょうけれども、基本的にどうしていくんだというスタンスが示されないと、やはりご父母の皆さん方、あるいは地元の方、関係者の方々というのは、いたずらに何か行政に対して不安感というか、不信感を持ってきてしまうんですね。
 ですから、まず整備の緊急性を認識しているということを、皆さん方がきちっと発表していただいて、そして、今、適当なところがあればという話がありましたけれども、特に適地としてお考えになっているところがどこであるのか、明快にご答弁をいただきたいと思います。

○若林学務部長 足立ろう学校と綾瀬ろう学校との再編計画を考えてございまして、花畑分校に隣接いたします足立ろう学校を候補というふうに考えているところでございます。

○田代委員 候補とお考えになるということですね。
 それでは、この作業、仕事を進めていくためには、やはり来年度の予算要求の中で具体的に展開していかなくてはならないんですが、もう先ほどから申し上げておりますように、学習指導要領を持ち出すまでもなく、この状況、ほかに比べて何でここまで劣悪でなくてはならないのか、ちょっと理由がよくわかりません。理由があるんだったら、それは堂々とお述べいただいて構わないんですが、ただ単純におくれている、そして、それに対してやはり教育庁としては責任を持って仕事をして、皆さんで取り組んでいただかなくちゃならないわけですが、その来年度の予算について確固たるお気持ちがあるのかどうか、どなたでもいいです、責任のある方から、そのお気持ちをお聞かせいただきたいと思います。

○若林学務部長 来年度予算につきましては、現在、局内におきまして鋭意検討中でございます。そのほかにも、やはり聾学校の関係者、あるいはその他のいろんな関係団体等のご意見を踏まえて、具体的な計画としていきたいというふうに考えてございますので、さまざまな角度からの検討を加えまして対応してまいりたいと考えてございます。

○田代委員 改めて伺いますけれども、最優先事項とお考えになっているということを認識してよろしいんでしょうか。

○若林学務部長 花畑分校につきましては、先ほど来お話ししていますように、教育環境としては大変不備な点がございますので、私どもも優先して対応していきたいというように考えてございます。

○田代委員 ぜひとも、その点、よろしくお願い申し上げます。
 それで、請願の項目の第三番目に、分校の本校化ということがあります。分校だからこそこういう、まま子扱いという言葉はよくないんでしょうけれども、何というのでしょうか、疎外されてしまうような、いじめともとれるような一つの待遇を与えられているのか、分校というものがそもそもそういう宿命にあるのかどうかということがちょっとはっきりわからないところがあるんですけれども、本校と分校でこれほどすさまじい差があっていいものなのか、ちょっと教えていただきたいと思います。

○若林学務部長 分校と本校との施設設備面での考え方については、特段の違いはございませんで、基本的には同一でございます。
 それから、学校運営の費用等の配付につきましても、他校と実質的な差異がないような取り扱いをしているところでございます。

○田代委員 この請願は、東京都の教育委員会に対して、毎年、教職員の団体と保護者が合同で行っている、教職員の処遇改善などを含めた従来の要請行動とは全く別なものでありまして、花畑分校の保護者のみが、児童生徒の教育条件を最低限守るために、真に必要なものから、本当にもうぎりぎりという最低限に絞り込んだ請願である。それを出しているわけですよ。ですから、そういうところで今までとは全く違った意味があるということをよくご認識いただきたいと思います。
 そして、固有のグラウンドもプールもない。いわゆる学習指導要領に全く沿っていない。ほかの養護学校と比較しても、児童生徒一人当たりの面積が約半分というこの状況。障害のないお子さん方の通われる普通の学校であれば全く考えられない状況なわけですね。それに対して何年もずうっと放置されて、それに対して我慢している。
 先ほどの心の東京革命行動プランの中にも出ているように、やはり、人を思う、物を思う気持ちというのは非常に重要でして、そこのところの原点に立っていただいて、障害を持っている方が常にこうやって後回しになるようなことがないように、人間としての平等、そして尊厳、人格というものがしっかりと担保されるように、格段の配慮をしていただきたいと思っております。
 そして、実はこの請願は、地元の足立区出身の全会派の議員がこぞって署名をしております。そういう意味でも、この出席の各会派の先生方も、本日の理事者の今のお話をしっかりと重たく受けとめていただいて、これからの予算についても一致して協力していくはずですので、最後に、ぜひとも断固としてやり抜いていくんだというお気持ちを、教育長からいただきたいと思います。

○横山教育長 今、田代委員の方から、私どもが本当に大事にしている学習指導要領、これを引いて、るる議論がございましたけれども、確かに私どもが一番大事にしているのは、やっぱり義務教育における教育の機会均等だろうと。その中身を申し上げますと、当然、教育する場の確保も必要でしょうし、あるいは学校の内容も、教育の内容もございます。それに加えて、やはり教育環境の施設整備というのもその中に入ってくるんだろうと考えております。
 今るる議論を聞いておりましたが、確かに、花畑分校についての施設環境、教育環境というのは非常に改善すべき点が多々あると。先ほど学務部長が申し上げましたが、私どもとして、教育環境における最優先事項として何とか改善を図ってまいりたい、こう考えております。

○田代委員 ありがとうございます。
 今借りているところを整備していただいて、さらに使いやすく、物事が解決するまでには、していただきたいんですが、それが根本的な問題の解決になることではないということを強くご認識いただいて、今の教育長のご発言をしっかりと受けとめましたので、ぜひとも一日も早く、ごく普通の教育環境に立ち戻れますようにご尽力いただきたいと思います。
 終わります。

○くぼた委員 大分ダブることもあるかと思いますが、いろんな観点から伺わせていただきたいと思います。
 分校になった経過は、今ご答弁がありましたように、本校の過密解消ということで、小学部、中学部を分校に移したということですね。何か聞くところによりますと、当初は小学部だけを分校にするという話もあったようですけれども、小、中と一緒の分校になって、当時から教室はいっぱいの状況だ、目いっぱい使っていた状況だということであります。
 私も、現地を直接拝見させていただきました。もともとはお隣の、今お話がありました足立ろう学校の寄宿舎だったところに建てられた校舎だそうで、確かに校庭もない敷地で、そういったことを承知で分校をつくったわけです。ですから、今お話がありましたように、初めから、体育館、校庭、プールは足立ろう学校のものを共用で使うという前提だったということです。つまり、もともと緊急避難的に場所を移って分校化したということであります。
 その当時はそれでやむを得なかったのかもしれませんけれども、こういう状態がもう来年で十年ということになろうとしているわけです。で、先ほどご答弁がありましたように、この間、生徒さんの数は増加していますし、教室不足などの問題は一層深刻な状況になっている。そういった状況の中で、これまでも、保護者の皆さんや先生方から繰り返し、改善を求める要望が教育庁の皆さんに出されていたわけです。今回はこのような形で、請願として保護者の皆さんが出されたということであります。
 以下、この請願の項目に沿って私は伺いたいと思うんですが、一項目には、教室不足の解消ということが書かれております。確かに、足立ろう学校に三つの特別教室と一つの準備室、それから専用のトイレを整備された。そういった改善の努力を、私はすばらしいというふうに思いますけれども、しかし問題は、そういった改善の努力をされても、この請願の中身にありますように、移動するのに片道十分から十五分かかって授業時間が少なくなってしまうとか、教材の持ち運びや準備が大変だとか、ガードレールもない公道を移動するので危険だとか、さまざまな障害があって、この特別教室が使いにくいということがあったり、また、分校の中では、一つの教室を二クラスで使うとか、廊下をカーテンで仕切って更衣室にしているとか、まだ根本的な解決には至っていないということであります。この点ではどういうふうに認識をされているでしょうか。

○若林学務部長 教室の不足、あるいは校庭がないというようなことから、児童生徒さんに大変ご迷惑をかけているんだろうというふうに感じてございます。いろいろ工夫をしてございますけれども、根本的な解決には、先ほど来申し上げましたように、やはり適地への移転が必要だろうと思っておりますので、そういう努力をしていきたいと思っております。

○くぼた委員 特別教室をつくられたわけですけれども、なかなかこれが使いにくいということなんですね。これについては、今の現状をどういうふうに認識されておりますか。

○若林学務部長 足立ろう学校の方に特別教室をつくったわけでございますけれども、やはりその移動時間、それから、それに至るまでの安全管理、こういうものがございまして、なかなか利用が進んでいないという状況は十分認識しているところでございます。

○くぼた委員 利用が進んでいないのじゃなくて、利用しにくいということなんですね。そういう認識じゃないと、私はまずいと思うんですよね。
 確かに、新たにそういうふうに確保されたわけですけれども、初めのうちは本当に皆さん方は努力をされて、せっかく新しい教室をつくったんだからということで、それを使おうということで本当に取り組まれたようです。しかし、今述べたような問題があって、ほとんどの学習は、今の分校の中の教室で行っているということですね。この判断というのは、やっぱりこれまでの子どもたちの現状を踏まえて、子どもたちのことを優先した現場の判断だというふうに思うんです。
 同時に、校内を拝見すると、廊下に、パイプいすとか、テーブルとか、あるいは体操のマットなどが置かれている。それから、大プレールームの準備室も楽器でいっぱいでした。収納スペースがなくて、そうせざるを得ない、そういう状況だということでした。万一の災害時には、避難通路確保の点で障害になるのは明らかだと私は思います。実際に消防署からの指摘もされるというふうに伺っています。
 また同時に、そういう狭いところですから、小中学生が、体格の違う子が、そういう狭いところで動くわけです。体を動かすわけです。そういう中で、体の大きい子と小さい子がぶつかって危険であるということもおっしゃっておられました。校舎の中が狭くて、スロープをつける余地もない。それから、大きなお子さんは二階ですから、万一発作が起こったような場合は、その体の大きいお子さんを搬送するにも、二階ですから、スロープもない、エレベーターもないところで非常に大変だ、時間もかかるというお話も伺いました。
 それから、トイレの数も少なくて、小学校一年生も、それから中学校三年生も、先生も、つまり体の大きさに関係なく皆同じトイレを使っているというような状況でした。
 こういった状況をいつまでも放置しているというのは、子どもたちの安全について教育庁がどう考えているのかということを疑われても仕方がないと私は思うんですね。
 実際に皆さん方は先日視察をされたということであります。私は、視察するのが悪いといっているわけじゃないんですけれども、こういう状況があるということはもう十分ご存じだと思うんですね、わざわざ見に行かなくても。担当者がかわられたから、行ったのかもしれませんけれども。やっぱりそういう認識だったんじゃないかなというふうに思いますが、そういった状況を改めて見られて、どのように感じられたのか、また、それにどう対処しようとしているのか、ちょっとお伺いしたいと思います。

○若林学務部長 請願の審議にお答えするためには現場を見ておかないといけないということで、急遽、私、視察をさせていただきました。
 先ほど来申し上げておりますように、大変狭いところに、いろいろ工夫しながら施設を活用していただいているなというふうに実感して帰ってきたところでございますので、できるだけ早急に、いろんな点からの改善を図りながら、最終的にはやはりきちんとした適地を見つけて移転をすべきだろうというふうに考えたところでございます。

○くぼた委員 狭いところで活用されたといいましたけれども、安全の面については触れなかったのが、ちょっと気になるんです。
 請願書の項目の二つ目は、体育館、グラウンド、プールを設置してほしいということが書かれております。その内容に、運動面、精神面で子どもたちにストレスがたまりというふうに、子どもたちへの影響が述べられているわけですけれども、どういった影響があらわれていると把握されているんでしょうか。

○若林学務部長 児童生徒のストレスがたまる状態といたしまして、雨天が長期間続くとき、あるいは、体を動かしたいときに十分動かす場がないというときなど、精神的に不安定になったり、あるいは集中力に欠けたりすることが見られるというふうに伺ってございます。
 このため、児童生徒の運動不足の解消や情緒の安定を図ることにつきまして、これまでも重視してきたところでございますけれども、今後、時間割り編成上の一層の工夫を行いながら、足立ろう学校施設の有効利用を図るなど、児童生徒のストレスがたまらないような配慮を考えていきたいというふうに考えてございます。

○くぼた委員 必要な改善はどんどんやっていただきたいと思うんですが、私、請願を出された保護者の皆さんや先生方にもお話を伺いました。狭い校内や屋上で体を動かしているので、今お話があったように、学校で十分に運動することができず、例えば、家に帰っても、体が疲れるまで外を歩いて、なかなか家に入ろうとしないとか、それで、そういうお子さんに親が添えない場合には、結局、子どもたちは家にこもらざるを得ない。運動場で伸び伸びと遊具も使って体を動かせるようにしてやりたい、そういう声が出されました。屋上は何か遊具を使っちゃいけないということになっているそうなので、そういう意味でも遊具を使わせて遊ばせてあげたいという思いが感じられました。
 それから、今ご答弁もあったように、十分に体を動かせないので、ストレスがあって、次の学習に意欲的に取り組めないというようなこともあるそうです。そういうような影響もあってか、これはちょっと因果関係を科学的に調べなければわかりませんけれども、ほかの学校に比べて肥満になっているお子さんも多いのではないかというようなお話もありました。
 さらに、授業を行う上でも、特別教室になかなか行けない、使いにくいという状況があるので、教室で工作とか美術を行うということにどうしてもならざるを得ない。そうすると、塗ったくりというんですか、そういうダイナミックな取り組みが、教室の中では狭くてどうしてもできない。それから、小麦の粘土の教材を使った後で、その後で教室で給食を食べるわけですから、ほこりの中での食事となって、衛生面で気になる。給食を考えると、どうしても教室をきれいに使おうと考えて、活動を抑制した取り組みになってしまう。収納を考えると、大きな体育遊具や楽器などが購入できないなど、子どもたちへの授業の内容確保にも影響があるということは明らかなんです。この点についてはどのように認識をされているんでしょうか。

○若林学務部長 教室の不足だけではなく、そういう状況も十分感じてきたところでございますので、できるだけいろんな方向から検討を加えまして、環境の改善を図っていきたいと考えてございます。

○くぼた委員 共用している体育館とかプールの件ですけれども、体育館も、もともとは聾学校のものですよね。ですから、その備品に子どもたちが触れないように、どうしても先生が注意してしまうとか、プールも、肢体不自由の子にとっては階段がきついとか、グラウンドを使うということになっても、学校同士ですから、どうしても行事日程が同じような時期に重なって、希望の日がとれないとか、共同使用といっても、実際にはそういうふうに遠慮をしいしい使わざるを得ない状況になっている。そういうことがもう十年近く続いているということなわけです。
 そういう意味で、以上、請願の項目に沿って伺いましたけれども、結局は、現状では物理的にこういった問題を解決するには難しいということだと思うんです。つまり、学校において生徒の安全を確保する上でも、授業の内容を確保する上でも当然果たさなければならない皆さん方の役割が、花畑分校では、施設の面から保障されていない状況がずっと続いているということであります。そのことは、現地に伺って本当によくわかりました。
 したがって、請願の一項目め、二項目めに緊急にできる限りの対応をすることは当然のこととして、それだけではやっぱり限界がある。特別教室をつくったとかということで、実際に皆さん方は手を打たれたんだけれども、具体的に、もう、そういった限界が見えているわけです。そうなると、根本的な解決を図る上で、この三項目め、つまり本校化--この本校化というのは、皆さん方からすればいろいろと意味があって、長期間、小中、高の一貫した教育を保障しなきゃいけないとかという意味があるようなんですけれども、私は、本校化というのは、ここでいっている願意というのは、本校並みの教育環境を考える、整えるというふうにとらえていますが、この問題を本質的に解決する上で欠かせない願いであるというふうに思うんです。ですから、本校並みの施設と人員と授業内容の確保を早急にするというのでなければ、生徒を劣悪な教育環境の中に放置したままだといわれても仕方がないと思うんです。
 ですから、もう一度繰り返しになりますけれども、この点について、本校並みの教育環境という点についてどういうふうに考えておられるのか、その点をちょっともう一度伺いたいと思うんです。

○若林学務部長 本校化ということで、先ほど来、施設面での不足についてはお話をさせていただいておりますので、その辺の改善を図っていきたいという基本的な考え方がございますけれども、花畑分校の運営につきましては、副校長を配置いたしますとともに、教職員の配置、あるいは学校運営費の配付、これらにつきましては、他校と実質的な差異がないように取り扱っているところでございます。最初の、施設設備の環境改善につきましては、多面的な方策を含めまして、解決に向けた検討を行っていきたいというふうに考えているところでございます。

○くぼた委員 私はやっぱり緊急に対応する必要があると思うんです。現状では、低学年のお子さんの人数が多いわけですね。今年度は、中学一年生の半数近くが身障学級から入られたという現状もあるそうです。ですから、こういう状況を見ていますと、さらに生徒さんがふえることは当然予想されることであります。
 そこで、ちょっと過去のことに戻って申しわけありませんが、そもそも分校化したときに、校務分掌として将来構想検討委員会がつくられたというふうに伺っていますけれども、それは何を目的とした委員会なんでしょうか。

○若林学務部長 花畑分校の教職員が、内部の検討会という形でつくった組織だそうでございまして、私どもは、設置の段階におきましては、先ほどもお話ししましたように、児童生徒の推移を見ながら、その後の対応を図っていくというのが基本であったというふうに聞いているところでございます。

○くぼた委員 これは要するに、将来、本校並みの教育環境を確保するにはどうしたらいいかということで、先生方が校務分掌として委員会をつくったそうです。つまり、初めから、こういった教育環境じゃだめだというのが、現場の一致した当然の要求だったわけなんですね。つまり、そういう要求というのは十年前からあったわけです。それはやはり皆さん方にも向けられていたということです。
 加えて、保護者の皆さんは毎年、この現状を何とか改善してほしいと、要請行動をこの間されてきたわけです。そして、毎回、皆さん方から、検討中という都の回答を聞かされ続けてきたわけなんですね。だから、事態がなかなか進展しない。そういう中で、昨年十二月に、この請願を出された保護者による本校化推進委員会が発足され、本案件の請願署名の運動に取り組まれたということであります。しかも、この委員会では、ことしの五月に、保護者の皆さん全員にアンケートをとって、改めて意見を集約されています。
 ですから、こうした経過からしても、教育庁として初めて知った要求じゃないわけですし、関係者が一致して要求してきたことです。とりわけ、今回、保護者の皆さんがこうして立ち上がって請願を出されたわけですよね。だから、その切実な思いに教育庁が本当に真摯に向き合うのかどうか、その態度が、今この請願で問われていると私は思うんです。
 ですから、こういった経過からしても、こういった事態は大分前にわかっていたわけですし、先ほども、現状のことについて、安全面から、それから学習面から、いろいろと紹介させていただきましたけれども、一刻の猶予も許されない、そういう状況にあると思うんです。私はそういった認識に立つべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

○若林学務部長 先ほど来お話ししておりますように、究極的な根本的な解決のためには、きちんとした適当な校地のあるところに移転をして問題の解決を図っていくことを最大限努力して検討していくというお話をさせていただいているところでございますので、私ども、その方針に向けまして積極的に対応して取り組んでまいりたいというように思っております。

○くぼた委員 一刻の猶予も許されないという認識にぜひ立っていただきたいと思います。
 ここに、そのときに保護者の皆さんがとったアンケート、それに協力を呼びかける文章があります。その一文をちょっと紹介させてください。
 私たちの子どもたちは、足立区に住んでいたから、この花畑分校に通うことになりました。なぜ、同じ都立養護学校でありながら、こんなにも学校環境が違うんでしょうか。他の学校の皆さんと足並みをそろえて要請する以前の問題ではないかという疑問をぬぐい去ることはできません。私たちは、特別な学校を望んでいるわけではありません。花畑分校が普通の学校になれるよう、保護者が結束し、今後もより多くの方々に現状を訴えていく必要があるのではないでしょうか、というものなんです。これを本当に否定できる方はいらっしゃらないというふうに思うんです。
 ですから、今ご答弁があったように、用地を探す、必要性を訴えて、きちんと予算を確保し--これはご答弁がありませんでしたけれども--本校並みの教育環境を確保する具体的な検討に--つまり、この三項目めの後に書いてあるのは、日程を明らかにしてほしいということなんです。本校化というのは、つまり本校並みの教育環境への道筋や期限を明確にしてくださいということなんです。そういう検討に入るということをぜひ表明していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○若林学務部長 現在、予算の検討段階でございまして、先ほど来お話ししておりますように、最大限実現の方向に向けまして努力をしてまいりたいというふうに考えてございます。

○くぼた委員 ぜひ来年度の予算に要求していただきたいと思います。
 私は、子どもたちの成長過程に一番大切なときに、暫定的な措置ということならばまだしも、こういった施設で教育を続けていくことがよいのか。これは義務教育じゃないですか。あなた方は、そういった義務教育を保障する義務があるんです。そのみずからの仕事にもっと真剣になるべきだというふうに思います。
 先生方だって、机が小さいサイズ。それから、先ほど人数のことをいわれましたけれども、事務職員だって、本校並みの仕事をしているのに、分校ということで一人少ないわけですよね。それから、学校の決裁をするにも、本校に行って決裁の印をもらわなきゃいけないとか、いろいろそういった仕事が多いわけです。そういう状況にあるわけなんですね。私は、これを一刻も早く解消するために、来年度予算にきちんと要求するということをぜひやっていただきたいと思います。
 その上で、教育長さん、ぜひ現地へ行って現状を見ていただきたい。それで、本当にどういう状況なのかということを認識していただきたいというふうに思います。
 確かに近年、養護学校の生徒がふえている。それだけに、皆さん方に対する都民の期待も高まっているということです。そういう中で、教室が足りないということは、多くの養護学校の中で起こっているわけです。私も幾つかそういった学校を拝見させていただきました。また、そういった状況に対して、増改築などで事態に対応してきたのは承知しています。しかし、そういった中でも、この花畑分校に通ってくる子どもたちの環境というのは、本当に解決に一刻も猶予を許されない事態だというふうに思います。こういった状況がこれ以上続くようであれば、私は、あなた方の怠慢だというふうにいわれても仕方がないと思います。
 最後に、先ほどちょっと用地の話がありました。足立ろう学校、綾瀬ろう学校の再編計画の中で考えていくというようなお話もちょっとありましたけれども、この再編計画、関係者や保護者の中の合意は得ていないわけです。反対する声も伺っています。そういう中で、ここに移転をするということを分校の保護者の皆さん方が本当に望まれているかどうか、それは十分考えていただきたいというふうに思います。
 用地の確保に当たって、私はお話を伺いました。この場所自体が、足立区の端っこだということで、ほぼ足立区全域から生徒さんが通ってきているのに、ロケーションとしてはもう埼玉県に接しているところで、交通の便が悪く、緊急時に駆けつけるのも時間がかかるということをいっておられました。これはいろんな検討の材料はあると思いますけれども、お母さん方などの関係者の皆さんの声は、できれば足立の中心地に近いところで確保してくれないかということでありました。これは、そういう声があったということを紹介したいと思います。
 以上述べたように、私たちの会派は、このすべての項目について趣旨採択を主張するとともに、各派の皆さんにぜひそういう立場で審議をしていただきたいということを呼びかけて、質問を終わります。

○中嶋委員 田代委員から始まって、もう質疑は大分されています。屋上屋を重ねるような質疑はいたしません。意見表明だけさせていただきます。
 義務教育の段階の児童生徒が、専用の体育館、プールがない、あるいは教室が不足している、この状況は許されません。抜本的な改善をぜひやっていただきたい。
 厳しい財政状況はわかりますけれども、新しい用地を買う必要は特にはなくて、既存施設、用地の有効利用、あるいは施設の再編、移転で、十分抜本的な解決は可能であると明らかになっております。
 盲・聾・養護学校だけを特別に優先しろという気は毛頭ございませんが、改めて教育環境には十分配慮して整備していただきたい。特に予算措置の大事な時期ですから、そのことを強く要望いたします。
 以上です。

○和田委員 関連の質問になるかなと思うんですが、花畑分校は空調設備はどのようになっているのか、まずお答えください。

○神山施設部長 花畑分校につきましては、全館空調が設置されております。

○和田委員 確かに、今までの質疑の中で、基本的な教室の不足、あるいは体育館、グラウンド、プール等々に不足あるいは不備があるというようなことはわかりましたが、少なくとも当局の方で手の打てる範囲でのこと、すなわち、ことしの夏などは、夏休みに関係なく、まさに酷暑の文字が合うような、そういう暑さが夏休み前から続いておりましたけれども、そのようなときに全館、全部屋に空調があったということは、ほかの盲・聾・養護学校からすると、不備なところからすると、少なくともその点ではほかの不備な点を補っているのかなという気がいたします。
 そこでなのですが、盲、聾、養のトータルな都における空調設備の設置状況、取り組みぐあいはどういうふうになっているんでしょうか。

○神山施設部長 盲・聾・養護学校の空調設備についてでございますけれども、昭和六十三年度から計画的に整備を進めてまいりました。その結果、盲・聾・養護学校の現在の整備状況は、肢体不自由養護学校及び騒音等の影響を受ける一部の知的障害養護学校の空調の整備は終了しております。これ以外の盲・聾・養護学校につきましては、管理諸室、訓練室、また音楽室等の一部の特別教室の空調は整備されておりますが、普通教室等につきましては、部分的に整備されている一部の学校を除き、未整備となっております。また、十一年度七校、十二年度三校の食堂の空調工事を実施するなどの対応を行っております。

○和田委員 要するに、特別な環境、すなわち騒音だとか肢体不自由の学校以外、普通教室はまだまだ未整備であるということなんです。花畑などのように、空調だけに関して見ると整備が整ったところもある。あるいは、グラウンドやプールはあるんだけれども、空調が劣っているところがある。まだら模様といいましょうか、ばらばらに教育環境の状態が今あるというのが、今の答弁だろうと思うんです。
 私は、知的障害者だとか盲・聾学校などの普通教室にもやはり空調設備を入れて--ヒートアイランドなどといわれて、きのうの本会議答弁などでも、しばしばほかの会派、何会派の方からも--通常的に暑い夏がもう夏休み前に訪れて、あるいは夏が終わって立秋が過ぎても、まだまだ暑い日が今でも続いているわけでありますけれども、そういう環境の中で、とりわけ盲、聾、養というふうにハンディキャップをお持ちの方々が頑張っていらっしゃる。生徒が頑張っていらっしゃる。ここは鋭意、その環境づくりに意を用いるべきではないのかなというふうに思いますので、決意のほどをお伺い申し上げます。

○神山施設部長 今後の盲・聾・養護学校の空調設備の整備についてでございます。
 今後、既存校や改築、大規模改修校において計画的に整備できるよう、現在、計画を検討しております。検討に当たりましては、盲・聾・養護学校という障害種別にとらわれず、全体として整備を検討してまいります。

○和田委員 一般校といいましょうか、普通校と違って、盲、聾、養はどちらかというと環境整備がおくれているというふうに見られております。また、盲、聾、養の中でも差があるように受け取る父兄、子弟もいらっしゃるところでありますから、少なくとも、あらゆる普通の学校も、盲、聾、養も、とりあえず義務教育の段階にあるわけでありますから、均等に平等にその教育環境を整備していくという姿勢を、しっかり見える形で満たしていただきたいということを要望して、私の質問を終わります。

○植木委員長 ほかに質問ございますか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○植木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件中、第一項及び第二項を趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○植木委員長 異議なしと認めます。よって、本件中、第一項及び第二項は趣旨採択と決定いたしました。
 以上で請願の審査を終わります。
 なお、本日審査いたしました請願につきましては、執行機関に送付し、その処理の経過及び結果について報告を請求することといたしますので、ご了承願います。

○植木委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第二百四十一号議案、東京都立学校設置条例の一部を改正する条例及び第二百四十二号議案、東京都立学校の授業料等徴収条例の一部を改正する条例を議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○加島総務部長 過日の委員会でご要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の文教委員会要求資料(条例案)の目次をお開き願います。今回、付託議案に対しましてご要求のございました資料は、全国の専攻科授業料一覧の一件でございます。
 一ページをお開き願います。専攻科を設置しております道府県及び政令市の授業料の状況をお示ししてございます。備考には、専攻科を設置している学校名及び学科をお示ししているところでございます。
 また、参考といたしまして、農業系の専攻科でございますが、学校で週一回程度授業を受け、他の曜日については、生徒の農場において巡回指導等を受けるという形態の学校の状況をお示ししてございます。
 以上、簡単でございますが、ご要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○植木委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○桜井委員 関連になりますけれども、都立高等学校の改革推進計画がありますが、ご承知のとおり、第一次、第二次と現在進めてきておりますが、その第三次実施計画が策定できるのかどうか。東京都の財政が今非常に逼迫している状況でありますが、そういう中でございますけれども、当初の予定どおり、第三次の実施計画を策定することができるかどうか。また、もしするとなれば、それはいつごろ策定する予定か、その点だけご答弁をお願いします。

○山際都立高校改革推進担当部長 都立高校をめぐる状況につきましては、九六%という高水準の高校進学率を背景に、生徒の能力、適性が多様化する一方で、少子化による生徒数の長期的で大幅な減少が進んでおります。このため、都立高校に対する都民の期待にこたえ、都立高校の抱える諸課題を解決し、魅力ある学校づくりを実現するため、都立高校の改革を行うことは避けて通れない課題でございます。
 都財政は、ただいまご指摘がございましたとおり、極めて厳しい状況が続いておりますが、今後とも所要の予算の確保に向けて努力をするとともに、現行の都立高校改革推進計画第二次実施計画の推進や第三次実施計画の策定を通して、都立高校改革を着実に進めてまいります。
 なお、第三次実施計画の策定時期につきましては、平成十四年度を予定しております。

○植木委員長 ほかに発言はございますか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○植木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○植木委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。

○植木委員長 次に、報告事項、「心の東京革命」教育推進プランについてに対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○加島総務部長 過日の委員会における報告に対し、ご要求のございました資料につきまして、ご説明を申し上げます。
 お手元の文教委員会要求資料(報告事項)の目次をお開き願います。今回、報告事項に対しご要求のございました資料は、1、「心の東京革命」教育推進プラン事業費一覧(平成十二年度)から、5、中学校の運動部活動と地域スポーツクラブの現状の五件でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。1、「心の東京革命」教育推進プラン事業費一覧(平成十二年度)でございます。「心の東京革命」教育推進プランの二十一事業のうち、平成十二年度の予算額を特定できる六事業につきまして、それぞれの事業名と予算額をお示ししてございます。
 二ページをごらん願います。2、第七次公立義務教育諸学校教職員定数改善計画でございます。国が策定いたしました小中学校等における平成十三年度から十七年度までの五カ年の教職員定数の改善計画をお示ししてございます。
 三ページは、3、三十人学級の実施に必要な経費等(学年進行方式)でございます。平成十三年度から三十人学級を実施した場合を仮定しまして、教員数及び必要経費につきまして、現在の四十人学級を維持した場合との比較の状況をお示ししてございます。
 四ページをごらん願います。4、児童生徒のけが等に対する補償制度でございます。
 (1)は、学校管理下におけるけが等に対する補償制度でございまして、日本体育・学校健康センター法に基づく災害共済給付契約の制度の概要及び加入対象、掛金、給付金額につきましてお示ししてございます。
 五ページの(2)は、学校管理外におけるけが等に対する補償制度でございまして、スポーツ安全保険の概要及び加入対象、掛金、補償金額につきましてお示ししているところでございます。
 六ページをごらん願います。5、中学校の運動部活動と地域スポーツクラブの現状でございます。バスケットボール、サッカーなどの種目別に、中学校の運動部活動の運動部数と部員数及び地域スポーツクラブの現状としまして、少年少女スポーツクラブのクラブ数と会員数をお示ししてございます。
 なお、注意書きにございますように、中学校の運動部活動の状況につきましては、平成十一年度の東京都中学校体育連盟の調査により回答を得られたものの状況でございます。また、地域スポーツクラブの現状にあります会員数につきましては、少年少女で構成されるクラブであるため、小学生も多く含まれております。
 以上、簡単でございますが、ご要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○植木委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○井口委員 心の東京革命が踏み出されて、大変重要なときを迎えていると思います。戦後の我が国が求めてきた経済的な豊かさを実現するその一方、自分の利害にかかわることのみ関心を持ち、社会を維持していく上での個人の役割や責任といったものを軽視する生き方がふえてきた。心の東京革命は、このことに対する社会全体への警鐘の意味があり、また、ご指摘のように、東京都にとどまらず日本全体の問題として、私はこの問題は東京都にとどまる問題じゃなくて、日本全体の問題として全国的な運動が展開される、このことをまた一つ期待をしています。
 心の東京革命は、問題の背景として、少子化や情報化の進展、物質的な豊かさと都市化の進展、個人主義の誤解に起因する自己中心主義や行き過ぎた平等主義がもたらす弊害がある。このような社会の状況が、家庭や学校や地域の教育力の低下をもたらし、子どもたちの社会性を失わせる要因となっているということで指摘がされています。
 問題の解決のためには、家庭、学校、地域、そして社会全体がそれぞれ責任を果たし、行動主体として取り組んでいかなければならないというのが、心の東京革命の考えである、こういうことで、このことがしっかりと位置づけられて取り組まれているということで、私は、このことが一歩一歩前進することをまず期待しながら、質問させていただきます。
 心の東京革命の素案に関して都教育委員会が実施したアンケートの概要と結果について、お伺いいたします。

○幡本同和教育担当部長 都教育委員会で本年三月、区市町村教育委員会の委員を初め、都内全公立学校の校長等教育関係者及び経済団体の関係者を対象としたアンケート調査を実施いたしまして、千八百六十四名の方から回答をいただいたところでございます。
 アンケートの結果、多くの教育関係者、経済団体関係者が、子どもたちを取り巻く状況に危機感を持っている実態が明らかになり、また、東京都が心の東京革命素案に示されたような取り組みを推進することについて、必要であるとする回答が約九割に上ったところでございます。

○井口委員 心の東京革命の推進に当たっては、私は、この調査の中身に入るわけでありますが、私立学校のもたらす役割も重要である、こう思っているところでありますが、何か私立学校の関係については調査対象とされていなかったようでありますので、この理由をお聞かせいただきたいと思っています。
 一つは、申しわけないんですが、高校だけ見ましても、都立高、私立高を見ましても、半分は私学があるわけでありますので、こういう基本的な大事な仕事の取り組みのときには、都立とか私学を分けないで、やっぱり同じような格好で取り扱わないと、この面に対する何か偏向的な扱いがあったのかな、あるいは差別をしたのかなというような誤解を招くんじゃないかな、こんな心配が一面あります。したがって、このことに関してはどういうお考えであるのかを明確にしておいていただきたい。

○幡本同和教育担当部長 心の東京革命素案について都教育委員会が実施したアンケートのほかに、都政モニターアンケートを初め、関係各局におきまして、それぞれの事業の実施に関係する団体、関係者等を対象に、それぞれ分担して同様の調査を実施するということでございました。
 都教育委員会では、具体的な施策の展開を図る上で直接その対象となる、公立学校の校長及びPTA関係者等を調査の対象として実施したものでございます。

○井口委員 それから、アンケート調査の対象として経済団体が含まれております。経済団体を調査対象とした、その理由と調査結果について伺いたいのでありますが、経済団体は、日本のすべてのことを、いうなれば見越して取り組んでいる有力な団体であります。したがって、こうした団体は、教育に関しても、福祉に関しても、環境に関しても、あるいは流通に関しても、専門的にこのことが取り組まれていると私は思っています。
 こういうことでありますので、恐らく教育の問題、心の東京革命の問題につきましても真剣に見られている、こんなふうに思っておりますし、特に国際的になってきた今日のこの日本の状況で、日本の精神的なこのあり方で今いいのかなということを、恐らく憂慮されている、この団体は見ていられる、こんな気がしてなりません。そんな意味で、このことに対して取り組まれたということを、私は大変よい取り組みがされたなと思いますが、このことについての説明を願いたいと思います。

○幡本同和教育担当部長 心の東京革命の推進に当たりましては、広く社会的運動として取り組んでいく必要があるということで、特に、子どもたちが職場体験などの体験的な学習を実施する上でも、経済団体等の協力が必要であると考えます。また、経済団体関係者の教育問題に対する関心も非常に強いということもございまして、今回、アンケート調査の対象としたものです。
 アンケート調査の回答でございますが、経済団体関係者につきましても、教育関係者とほぼ同様の結果が得られたところでございます。

○井口委員 子どもを取り巻く社会の状況についてでありますが、日本は、戦後五十年を経て先進国になりました。新しい時代、文化、芸術に恵まれ、中身の濃い国民になってきたわけでありますが、何か日本古来のよいものが失われて、大きくこの五十年というのは、民主憲法のもとで、やや脱線をしてきたのではないかなという面が見られるのが今日であります。
 このことから、歴史によって歩まれたこのひずみは、是正をするのは容易なことではないな、こんなふうに思えてなりません。なぜこういうふうになったのか、こういうことについて明快なお答えがあったら、お聞かせいただきたい。

○幡本同和教育担当部長 子どもを取り巻く社会の状況がなぜこのようになったのかというご質問でございますが、ご指摘にもありましたように、また行動プランにも述べられておりますように、戦後、我が国は、生活の豊かさを求め、大きな経済的発展を遂げてきたというわけでございます。しかし、その一方で、自分の利害にかかわることのみに関心を持ち、自己中心主義の生き方が蔓延し、精神的な価値よりも金銭的、物的価値を求め、社会的責任よりも権利意識が優先するなど、社会における価値のバランスが崩れているという状況がございます。このような戦後の意識構造のゆがみが、子どもたちの態度や行動に反映されているものと考えます。

○井口委員 先ほども議論の中にありましたけれども、この道のりはなかなか大変だ。これからどれほどの年月を経て、この心の東京革命が目的に向かって果たせるのか、また、どのような長期プランを持っているのかということでお聞きしたいわけでありますが、私は、五十年によって今日ができたとするならば、これは五十年で戻れるかどうか、そのぐらい難しい問題だろうと思います。しかし、今取り組まなければ取り組むときがない、そんな意味では、すばらしい取り組みをしてくれたな、こんなふうに思っています。
 したがって、急激に一気に成果を上げるということよりは、着実に進んで一歩も後退しないというような取り組みをしてもらう必要があると思いますが、この辺においての計画、長期プラン、あるいはこれからの想定、こういうことがありましたら、お聞かせいただきたい。

○幡本同和教育担当部長 教育推進プランは、これまでの健全育成のための取り組みを基礎としながら、新たな施策を加えて策定したものであります。心の東京革命の目的を達成するためには、これまでの健全育成のための施策、心と体の健康づくりの施策を一層充実させることも必要でございます。
 いずれにしましても、この問題は、ご指摘にもございましたように、不断に継続して取り組むことが重要でありますので、計画的に粘り強く推進していく考えでございます。

○井口委員 アンケートのところで、子どもの社会性をはぐくむため学校が特に力を入れることとして、1から8まであります。これは今までにもいわれてきたことであります。当たり前のようなことでありますが、その実績はどう考えたらよいのか。今までいわれながらもなかなか実行できなかった、あるいは成果を得ることができなかった、そうしたことについて、今までの取り組みと今後の取り組みとはどのように違うのか、そういうことについて具体的にお示しいただきたいと思いますが、この1から8についてお話をしてくれますか。簡単なことですけれども、大変なことであります。

○斎藤指導部長 各学校におきましては、これまでも、児童生徒に豊かな社会性をはぐくむことに努めてまいったところでございます。ご指摘のアンケートの結果にもございますように、今後、一層、項目で申し上げますと道徳教育や体験活動を充実し、あわせて教員の資質向上を図るとともに、学校が家庭や地域と連携して、児童生徒の社会性の育成を進める必要があるというふうに受けとめております。
 都教育委員会といたしましては、道徳教育を充実することを目的としまして、すべての小中学校で、保護者や地域の方々の参加を得た道徳授業地区公開講座の取り組み、それから、児童生徒が職場体験やボランティア活動などの体験活動を行うトライ&チャレンジキャンペーンなどの取り組みについて支援してまいる所存でございます。さらに、これらの取り組みをより効果あるものにするため、教育職員の人事考課と連動させた研修の充実を今後図ってまいります。

○井口委員 行政が行う施策は、大変幅広い事業になると思います。先ほどもありましたように、幅が広い、奥が深い、そういうことで大変グローバルなことであります。子ども会やスポーツ・レクリエーション団体など活動支援、これも数多いし、これからも多くなるでありましょう。都と区市町村の連携も重要であります。これは地域的な問題としてつながることで、重要である、こう申し上げておいた方がいいと思います。
 今まで手が届いている、いうなれば予算化されている事業、子ども会、スポーツ団体への支援計画、財政の裏づけなどはどんなプランがあるのか、お伺いしたいと思いますが、これからの取り組みは、今までと違って、いろいろなところへ手を尽くしていかないと、このことの推進にならない、私はこんなふうに思いますが、このことについての内容を、できたらお教え願いたいと思います。

○桜井体育部長 都教育委員会は、子ども会やスポーツ少年団の育成や活動を支援するため、東京都子ども会連合会や東京都スポーツ少年団に対しまして補助を行っております。さらに、東京都子ども会連合会に対しましては、少年団体リーダー研修事業を委託し、地域の子ども会などの活動の活性化を図っているところでございます。
 今後とも、子ども会活動や少年のスポーツ・レクリエーション活動などにつきましては、関係団体等と協議しながら、計画的、効果的な支援のあり方を検討してまいる所存でございます。

○井口委員 中学校の運動部活動のことに触れたいと思いますが、少子化による教員の減少や高齢化、顧問教師の異動等によって、これまであった部が存続できない状況になったり、中学校入学前からスポーツクラブ等で競技に秀でていても、中学校に入ると、その競技種目の部活動がないため競技を続けることができない場合がある、こう聞いています。存続が難しい部活動に対しては、地域のスポーツクラブ等の指導者が学校で教えることができれば、部活動に貢献できると思うわけでありますが、中学校の運動部活動にはどのような対策を考えているのか。そういう意味で、私が関係している団体の中でも、育っている子どもが途中でやめざるを得ないという悲しい思いを随分してきたわけでありますが、この点についてお聞かせいただきたい。

○桜井体育部長 ご指摘のように、現在の運動部活動につきましてはさまざまな課題があり、生徒の活動要求に必ずしも十分にこたえられない状況も一部に見受けられてございます。
 そこで、各学校におきましては、学校や地域の実態を踏まえて、地域から外部指導員を導入することなどを積極的に進めているほかに、隣接校同士による合同の部活動を実施したりするなど、その運営を工夫しているところでございます。

○井口委員 心の東京革命では、関係機関等の協力を得て、地域に根差した地域スポーツクラブを展開するとしているが、文部省も先ごろスポーツ振興基本計画を発表し、子どもから大人までが活動できる総合型地域スポーツクラブを区市町村に育成し、展開するとしています。都が推進しようとする地域スポーツクラブと、国が提唱する総合型地域スポーツクラブはどういう関係になるのか、また、かかわりはどうなるのか、お教え願いたいと思います。

○桜井体育部長 文部省は、本年九月、スポーツ振興基本計画を発表し、身近な生活圏域におきまして、学校体育施設や公共スポーツ施設等を拠点といたしまして、地域住民が主体的に運営する総合型地域スポーツクラブの定着を目指してございます。
 都の提唱いたします地域スポーツクラブは、国が考えております総合型地域スポーツクラブの考え方と軌を一にするものでございます。都が進めようといたしております地域スポーツクラブの育成につきましては、都民の多様なスポーツニーズにこたえるとともに、地域の連帯感や世代間交流等による地域社会の活性化などにも寄与できる施策として重要であると考えてございます。
 都は、区市町村がその地域の実態に即した地域スポーツクラブを育成できるよう、
国と連携しながら支援してまいります。

○井口委員 学校週五日制が、二〇〇二年でしょうか、完全に実施される、こういうことであります。スポーツ活動の受け皿として、地域スポーツクラブの役割は大きいのではないかなと思うわけでありますが、今後都が推進しようとする地域スポーツクラブと中学校の運動部活動との関係などについて、週五日制に入るに当たって、一層のことお聞かせいただきたい。

○桜井体育部長 学校週五日制の完全実施に際しましては、中学生を初めとする児童生徒のスポーツニーズに対応するため、多様な選択肢を用意することが必要でございまして、特に、学校体育施設を拠点といたしました地域スポーツクラブは、児童生徒のスポーツ活動を支える受け皿に十分なり得るものと考えてございます。
 中学校の運動部活動につきましては、区市町村教育委員会と連携し、諸課題に対処しつつ、その活性化を図ってまいります。また、学校や地域の実態に応じて地域スポーツクラブ化をしていくこともあわせて検討し、子どもたちのスポーツ活動の機会の確保に努めてまいりたいと思います。

○井口委員 質問ではありませんが、今質問したことを経て、どうぞこの心の東京革命が一歩一歩着実に進むことができるように、同時にまた、東京が始めるわけでありますから、恐らく全国の各県の注目になるでありましょう。そんな意味では、皆さん方の行政の取り組みが一歩一歩強い力で前進できるならば、これは大きなお手本になりますし、失敗をしたならば、これはまた大変な黒星になります。どうか、そんな意味で、初めて取り組もうとする勇気ある政策、行政をどうぞしっかり歩んでいただきたい。このことを特にお願いをしておきます。
 終わります。

○西田委員 それでは、私も、心の東京革命に関連して質問させていただきたいと思います。
 子どもの教育の危機打開の問題は、先ほどの生活文化局のところでも指摘をいたしましたし、これまでも繰り返し申し上げてきましたけれども、我が党も、これは大変重要な問題であるという認識の上に立って、いろいろ提起してきたところでございます。この委員会はもちろんのこと、本会議でも繰り返し、そういう観点から取り上げてまいりました。
 今日、この深刻な教育の危機を打開していく、その点では、やっぱり学校教育を改革する問題、あるいは社会的な道義を確立していく問題、そして子どもたちを退廃文化から守るような自主的な規律をつくっていく、そういう三つの角度から、国民的な世論と運動を大きく進めていく必要があるということは、既に三年前から提起をし、それぞれのところで私たちも努力をしているところであります。
 さらに、さきの総選挙のときには、十八歳選挙権、こういうものも提起いたしまして、子どもたちに、十八歳になったら、大人としての権利も義務も保障する、こういうことが大事ではないかということも提起をしてまいりました。
 私は今、子どもと教育のこの危機を打開するために、そういったとにかくスケールの大きな取り組みが全体として取り組まれていかないとうまくいかないんじゃないか、あれこれ小手先の問題だけでは済まないだろう、このように思っています。もちろん、みんなで一致して、心を一つにして子どもたちのために大人が取り組んでいく、そういう問題は、それぞれ頑張っていく必要があることを否定するものではありませんけれども、そういう立場から質問をさせていただきたいと思っています。
 とりわけ、今回、定例会で、この心の東京革命の問題が各会派から問題になり、きょうもいろんな議論が行われましたが、私はまず、知事が繰り返し述べてこられたような、しごきや体罰や校則などの効用を見直せ、こういう立場というのは、時代の流れに逆行する方向ではないか、これではむしろ逆効果ではないか、このように思っています。この点は先日の代表質問でも取り上げましたけれども、知事は改めて私どもの質問に対して、体罰を肯定する立場を本会議で表明されたわけであります。これは大変重要な問題だということで、私は見過ごすわけにいかないと思っております。
 今、児童虐待が急増して、社会問題になっているわけですが、そういうときに、体罰は有効だ、しつけに役立つというようなことを都知事がいって、行政がそういう方向を肯定していくということになったら、それこそ大変なことになるんじゃないかと心配をしているわけであります。
 そこで、念のために伺っておきたいと思いますが、体罰というのは、教育の場において学校教育法で明確に禁止されているわけで、体罰肯定という知事のこうした特異な教育観が、都の教育行政に持ち込まれることがあってはならないと思います。これは知事の見解に対しての質問でありますので、教育長、この点は大丈夫なんでしょうね、ということをお聞きしたいんですが、お願いしたいと思います。

○横山教育長 多分、今のお話は、一昨日の答弁の、ドイツのコンラッド・ローレンツの言を引いての答弁かと思いますが、私も昨日、本会議で知事答弁を聞いておりましたが、今のような印象は全く持っておりません。昨日の話をお聞きしておりまして、知事自身、子どもを育ててきた一人の親である、そういう立場から、子どもの成長過程において、かなり造詣が深い生物論的あるいは心理学的なものを加味して、みずからの教育論を話されたものと私は受けとめております。決して学校教育において体罰を容認するということではないと考えております。
 今お話しのように、体罰につきましては、学校教育上体罰を加えることは、学校教育法で法的にも厳に禁止されている行為でございまして、こうしたことから、体罰が行われないように私どもとしても教員の研修を徹底してやっておりますし、仮にそういう違反行為があれば厳正に対処している、そういうことでございます。

○西田委員 知事の発言に対しての受けとめがどうであるかと。教育長さんは、そういうことをいっているのではないだろうというふうにいわれましたけれども、しかし、さっきも生活文化局のところで言葉については議論があったんですが、私どもが代表質問でも指摘しましたように、戸塚ヨットスクールの戸塚宏さんの問題で、支援する会の会長さんで、脳幹論というような論を展開しながら、肉体的に苦痛を与えるという、そういう問題も含めて鍛えることが大事なんだという立場を一貫してとられているわけですよね。
 しかも、その上に、一昨日ですか、本会議で、それを説明する上に立って体罰ということをいわれたということは、私はやはり見過ごすことができないというふうに思います。教育行政の長として、学校教育法で禁止されている体罰を行うことについては、きちんとしていかれるというのは当然だし、そういう立場できちんとしていく必要があるというふうに思いますから、その点については確認をするというところでとどめておくわけですけれども、この問題、考え方について、東京都のトップに立つ人が、そういう問題であえて今、発言を繰り返しているということについて、私は今後ともやっぱり容認することはできないということは申し上げておきたいと思います。
 そこで、話を戻したいと思いますけれども、今日の子どもたちがどうして、みんなが心配するような事態になっているのか、この問題について、この心の東京革命では、その背景として四つの点が挙げられています。少子化とか、メディアの問題とか、あるいは物質的な豊かさと都市化の進展とか、四番目に、個人主義、平等主義の履き違えた認識による弊害ということで、その背景を書いてあるわけなんですね。この背景というのが、つまり今日の子どもたちをつくっている原因ということになるわけで、私は、果たしてそうなんだろうかというふうに疑問を持っています。
 この背景、特に履き違えた平等主義という中で、この心の東京革命の方では、子どもと親、そして教師との関係が何か友達のようになっているということが、あたかも間違っているというふうに書かれているわけなんですけれども、なぜそれがだめなのかということについて、私はいささか納得ができない、理解ができないというふうに思っております。
 教師と子どもたちが、もちろん友達ということには最終的にはなり得ないというか、立場が違うわけですから、そういうことだとは思うんですけれども、本当に教師が、あるいは親が子どもたちの中に溶け込んで、そして、子どもたちの心の動きや、そういうものをしっかりとらえた上で、本当に情熱を持って指導していく、こういう関係が、あるいは外から見たら、友達のようにというふうになることもあるかもしれないわけなんですが、ここで指摘されている問題というのはどういうことを指しているのか、ちょっと改めて教えていただきたいと思っているんですが、いかがでしょう。

○斎藤指導部長 子どもと親、それから教師が、信頼を持ってお互いに人間関係を結ぶ、そういうことを否定しているわけではございませんで、親は親の立場で、教師は教師の立場で、子どもに対して大人として、あるいは教師として責任を持って、いけないことはいけない、あるいは、いいことをすれば褒めてあげるとか、そういった立場にございますものですから、単純に友達という同等の、同じレベルだけでは--子どもたちにはそれぞれ友達が本来いるわけでございますので、そういう部分については友達同士でお互いに教え合う、あるいは励まし合う、そういう場面があろうかと思います。人間関係を損なわないという点では同じような部分はございますけれども、しかし、教えるところはきちんと教えていく、そういう意味でここは申し上げているところでございます。

○西田委員 つまり、原因の背景として、そういう人間関係があるからだめなんだということを、履き違えた平等主義という点では説明しているわけなんですよね。これは私はちょっと納得できないし、今のご答弁からしても、そういうふうに短絡的に、そのことを、履き違えた平等主義というちゃんとした言葉で否定してしまうということについては、学校教育を進めていく上で非常に問題だし、それから、問題のとらえ方としても違うんじゃないかというふうに思います。
 それで、なぜ今こういう問題が起こっているのかという問題で、私たちは、学校教育の改革が必要だというふうに一つはいってきているし、それだけではなく、社会やルールの問題もいろいろあるわけですけれども、学校教育の点でいえば、やっぱり政府の調査でも、子どもたちの最大の悩みが、勉強がわからないことだということが明らかにされていますね。それでストレスがたまっている。わからない勉強を、一日六時間も座っている子どもたち、やっぱり大変ですよね。その上に、受験競争という、進路の問題や受験の問題。これは調査でも、非常に重い心の負担となって子どもたちを圧迫しているということも明らかになっているわけなんですね。そういう意味では、本当に戦後の教育が、憲法や教育基本法があるにもかかわらず、そうではない競争の教育、受験競争、そして画一的な詰め込みの教育がやられてきた、そういうところにこそ原因があるんじゃないかというふうに思うわけです。
 今、子どもたちの学校の教育の問題でいえば、本当に子どもたちが勉強がわかって、楽しい学校をつくるということが今何よりも求められているし、そのために教育委員会が、あるいは教育行政が努力をしていく、そのことが必要なんだろうというふうに思います。
 そういう点では、先ほども、生活文化局のところですが、大河原さんからもご指摘がありましたように、子どもの権利委員会が、日本の教育制度や学校制度は過度に競争的だ、そのために子どもがストレスをためて発達に障害を与えている、是正した方がいい、こういう勧告を行っていることは、これまでも何回も紹介してきたところです。ここのところを、やっぱり文部省でも、それから地方の教育行政でも、しっかりととらえていくということが大事なんじゃないかと思いますが、今の子どもたちにいろいろ問題が起こっているという背景に、そういう問題があるのではないかという指摘に対して、どのように都教委として受けとめておられるか、改めてお聞きしたいと思います。

○斎藤指導部長 現代の子どもたちが持つ問題の背景として、今ご指摘のような部分も含めまして、家庭、学校、地域それぞれの立場の教育力の低下というものがあるというふうに受けとめております。したがいまして、次の時代を担う子どもたちに対して、親とかあるいは大人一般が責任を持って社会性を身につけさせる、あるいは社会全体で対応していくということが重要だと思っております。
 今ご指摘の、学校における勉強の問題、学習面の問題、あるいは受験競争に起因する知育偏重、あるいは画一的な詰め込み、こういう問題については、当然、教育の方法を改善、充実しながら、子どもの個性とか、能力とか、豊かな心を育成する教育をこれからも十分推進していく必要があると思っております。
 いずれにしましても、家庭、学校、地域それぞれが役割を担いながら、子どもたちの健全なる育成に努めていく必要がある、そういうふうに考えております。

○西田委員 家庭、学校、地域それぞれ、子どもたちの教育に責任を負いながら努力をしていくという点では、私たちは全く異論はないわけであります。そういう上に立って、都教委が教育行政として何に一番力を尽くしていかなければならないのかという問題は、心の東京革命を進めるという観点に立っても、改めて考えていかなければならないのではないかというふうに思っているわけです。
 そういう点で、一つは、代表質問でも、三十人学級の問題を、段階的に踏み出していけるような計画を立てる検討に入ったらいかがかというふうにお話をいたしまして、第七次改善の中で検討するというお話もありましたけれども、この心の東京革命の学校での取り組みというところで、「叱るべき時はきちんと叱ろう」というのが、とりたてて書いてあるわけなんですよね。これは当たり前のことです。しかし、学校での取り組みのところで、あえてこのように書かれているというのは、どういう現状を踏まえての話なのか、おわかりになりますでしょうか。

○斎藤指導部長 感想として、そういう部分が出てきますのは、学校において、しかるべきときに十分しかっていないという印象を持たれていると。学校教育において先生たちがしかるべきときに、大部分の教員はしかっているでしょうし、指導はやっていると思いますけれども、全体的に社会に出てきた子どもを見ると、やはりその部分が十分なされていないのではないか、そういうふうなとらえ方がされているんじゃないかと思います。
 ただ、この問題につきましては、学年、発達段階によりますけれども、しつけとか、あるいは基本的な生活習慣は、学校のみではなくて、家庭と十分連携して本来なされるべきものでございますので、もう少しここは幅広く解釈すべきだろうと私は思っております。

○西田委員 私は、運動会に行くとか、いろんな行事に招かれて参観に行ったりいたしますけれども、私は、現場の先生たちは子どもをもっと褒めたらいいんじゃないかと思うんですね。しかるべきときにはしかろうじゃなくて、子どものいい点を見つけたら、うんと褒めようという、そういうのがここにあったらいいんじゃないかというふうに逆に思いますよ。
 ある新聞の報道によれば、他の県では、褒めようという運動を--こっちはしかろうという運動だけれども、褒めようという運動をしているということも拝見いたしましたけれども、私は、そのようにとらえるべきではないかと。学校で、しかるべきはしかろうって、私は、先生たちはほとんどきちんと、だめなことはだめといっていると思うんですよ。それでもなおかつ、今お話があったように、家庭や社会やいろんな影響を受けて、なかなかそれがストレートに通らない。しかったら直って、こんなのだったら、今みたいな問題は起こらないですよ。
 だから、そういう意味では、子どもたちが今どういう状況にあるのか、どういう心の事態にあるのか、家でどんなことになっているのか、親はどうなっているのか、そういう子どもを含めた丸ごとの子どもの環境を含めて、全部受けとめて、そこの上で指導していくという体制が、受けとめ方がなかったら、本当に子どもの教育というのは進んでいかないんじゃないかというふうに思うんですね。
 私、きょう、朝のテレビで「私の青空」というのを見まして、ああ、すごい、なかなかいいことをいっているなと思ったんです。あそこに出てくる、登場人物の松という人が、自分は乱暴者だったけれども、武蔵屋さんというところで丸ごと受け入れてもらって、かわいがってもらったと、それで、認められて、青空がぱあっと広がった思いがした、こういうふうにいって、その青空を広げるために、どこか全国を歩くんだと、行っちゃったという場面だったんですけれども、あれは、私は、非常に教育の真実をついているんじゃないかというふうに思うわけです。そういう教育をぜひ家庭でもやらなければいけませんし、地域でもやらなければいけませんし、そして教育現場でも取り組んでいく必要があるっていうふうに思うんです。
 しかし、残念ながら、今の教育現場の現状では、今の社会の中で多種多様な、いろんな心の動き、心の悩みを抱えたり、いろいろある子どもたちを、丸ごと受けとめて教育をできる条件があるだろうかと考えますと、決してそういう事態になっていないというふうに思うんです。だからこそ、三十人学級という少人数学級にしてほしいという意見書が国にたくさん上がって、そして少人数学級についても検討せざるを得なくなるという事態が起こっているというふうに思うんですね。
 私は、そういう点では、本当に制度として三十人学級を実現していく、東京都も独自に踏み出していく、そのための計画を検討していくということが今本当に大事だっていうふうに思うんです。財政の問題や、国の制度の問題や、いろいろあることは承知していますけれども、本音のところで、本当に子どもの心の教育を進めていくという立場に立ったときに、この三十人学級という問題についてどのようにお考えになるか、改めてお聞かせいただきたいと思います。

○若林学務部長 文部省は、ことしの八月に、第七次の教職員定数改善計画を策定いたしまして、公立小中学校における教科等の特性に応じた、きめ細かな指導に対する支援を中心とした定数改善を行っていくということにしたわけでございます。
 都教育委員会といたしましては、この計画の趣旨を踏まえまして、少人数授業の実施や教職員の弾力的な配置を含めまして、平成十三年度以降の学級編制や教職員配置について総合的に検討していきたいというふうに考えてございます。

○西田委員 お答えをいただけば、そういうことになるのかなとは思うんですけれども、本当に子供の教育、心の教育を進めていくという立場に立ったときに、本当に学校の役割というのは大きいと思うんですね。そういう中での条件整備をぜひ進めていただきたいということです。
 もう一つ、昨日、子ども読書年ということで一般質問で取り上げました。教育長さんからも、現状、心の東京革命にかかわって、親子ふれあいキャンペーンの中で、読み聞かせその他、朗読会を開いているとか、お話がございました。知事も大変すばらしい答弁を行って、読書という、子どもが良書に触れるということの大事さについて述べておられるわけであります。
 私は、そういう点から考えますと、今の小中学校学校図書室、学校図書館の位置づけが余りにもお粗末なんじゃないかと。これは東京都だけではないと思いますが、全国的な問題であるかとは思うんですけれども、極めてお粗末なんじゃないかというふうに思っているわけです。
 カナダでは、学校図書館というのは学校の心臓部だというふうに位置づけられて--これは都立大学に行ったときにお聞きいたしました言葉ですけれども、学校の心臓部だというふうに位置づけられていて、子どもたちが学校図書館で書籍に触れるばかりではなく、この図書館自身が、先生たちの必要な資料を提供していく、サポートしていく、そういう機能も果たしているというふうに読んだわけですが、本来、図書館というのはそういう機能を持たなければいけないんじゃないかと思うんです。
 区市町村の図書館、それから都立の児童図書コーナーとか、学校図書館との連携した取り組みというのも非常に重要です。ところが、そのことを本当に連携してやろうと思うと、やっぱり専任の司書教諭、この方々の配置がなければ、授業を受け持ち、事務、雑務を引き受け、そして図書指導というか、読書を重視していくという、こういう図書館の機能を充実していくという仕事は本当に無理なのが現状じゃないかというふうに私は思うんです。そういう点で、第二回定例会でも司書教諭の配置等についてご要求したところですけれども、今、心の東京革命という中で、読書の大切さというのは改めて重視をしていく必要があるんじゃないかと思います。
 一般質問でも紹介いたしましたけれども、群馬県では、アンデルセンキャンペーンですか、アンデルセン計画、こういうものがあって、小学校五年生から中学校三年生まで読書に取り組むと。一カ月一冊ですか、本を読んで、一人が六十冊読むという運動に取り組んでいるようです。そういう点では、心の東京革命を全国に広げたいっていうけれども、それより先んじていろいろ取り組んでいるところがたくさんあるわけで、そういうところからも学ぶ姿勢というのが必要なんじゃないかと私は思うんです。
 そういう意味で、本当に読書の大切さ、これが、知事もいうように生きる力、考える力、そして創造力を育てていく、そういう問題でもあるわけで、ぜひ学校図書の充実という点で、書籍ももちろんですが、人の配置も含めて充実していくべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

○小海人事部長 学校におきます学校図書館の司書の配置の問題でございますけれども、小中学校におきましてはこれまで特別な配置をしておりませんで、配置されている教員が校務分掌の中で行っているわけでございます。
 しかし、平成九年の六月に、学校図書館法の改正によりまして、平成十五年度から、十二学級以上のすべての学校に司書教諭を配置することが義務づけられました。
 私どもといたしましては、この法改正の趣旨を受けまして、五年計画で司書教諭を養成していこうということで、現在、鋭意養成の講習を実施しているところでございます。これによりまして、平成十五年度には、十二学級以上のすべての学校に司書教諭を配置できるように努めておるところでございます。
 お尋ねの、専任の司書教諭を配置したらどうかということでございますけれども、これは、現在の国の標準法におきまして別枠で算定されておりませんので、専任で置くという形は考えておりませんで、養成はするんですが、校務分掌の中の一環として位置づけていきたいというふうに考えております。

○西田委員 図書館の仕事というのは本当に片手間ではできない仕事ですね。単に校務分掌で位置づけられてできる仕事では絶対にないというふうに思います。
 本当に私は、子どもと本の触れ合い、読書をする力、これがどんなに子どもを大きく育てるかというのをたくさん見てきているわけです。そういう点では、専任配置を独自にやったって、二十一世紀を担う子どもたちを育てていくという点では決して惜しくはない、そういう問題だというふうに思います。そういう点で、ぜひこの問題は今後とも重視して検討を進めていただきたいと要望をしておきたいと思います。
 まだありますが、時間の関係もございますので、そういう点で本当に「心の東京革命」教育推進プランを進めるためにも、本当にそれを進めたかったら、お金の出し惜しみというのはしちゃいけないんじゃないか。教育は百年の大計といいますけれども、その割にはお金がかけられていないというのは、前の都の教育委員長を務められた石川先生でしたでしょうか、あの方からも直接私はお話を伺いました。
 そういう点では、心の東京革命、もちろんやれるところはみんなで力を合わせてやるにしても、教育行政がしっかりと財政も確保しながら条件を整備する。そこに最大の力を注いで、二十一世紀を担う子どもたちを本当に健やかに育てていける、その責任を果たしていただきたいということを申し上げて、終わりたいと思います。

○石川委員 私からも若干質問をさせていただきます。
 今回、知事のリーダーシップのもとで心の東京革命の素案が発表され、都教委としても、その素案を受け、最終的に教育推進プランというものをつくり上げて、この問題に取り組みを開始しようという段階だろうと思います。
 そこで大事なことは、今も議論がありましたけれども、確かに教育現場、学校現場でさまざまな課題があること、これは承知をいたしております。しかし、その課題が解決されないから、いわゆる子どもの健全育成がおくれるんだという立場であってはならないと私は思いますし、まさにこの心の革命と教育行政、また学校現場のさまざまな課題を同時に進めなければ、この事業の成果というものは生まれてこないのではなかろうかと思います。
 そのためには、やっぱり一番大事なのは、教育関係者、学校関係者の意識の改革だろうと私は思います。なぜここへ来て知事がリーダーシップを発揮してこうしたプランをつくられたのか、また、都教委もそれを受けてこのプランを発表したのかということを真正面から受けとめて取り組んでいくことが大事なのではなかろうか、こんなふうに思っております。
 当然、このプランの前書きにもありますけれども、都教委としてさまざまなことをやってまいりましたと。しかも、昭和五十六年には児童・生徒の健全育成推進本部というものを設置して、さまざまな課題に向けて努力をされてきているわけですよね。しかし、残念ながら、推進本部を設置し十九年間経過した今日、また新たな立場でこうした問題が大きな社会問題になってきたということも、これまた事実であります。
 そこで、若干整理をさせていただきたいんですが、この推進本部を設置した当時の子どもたちの現状というのはどのように分析されたんでしょうか。

○幡本同和教育担当部長 昭和五十六年に都教育庁の方で児童・生徒の健全育成推進本部を設置いたしておりますが、その当時、つまびらかではございませんけれども、校内暴力等、また、いじめの問題、種々あったのではないかというふうに思います。そこで、教育庁として全庁を挙げて推進する体制をとるということで、このような健全育成推進本部が設けられたというふうに理解をしております。

○石川委員 そうすると、子どもたちの現状は、十九年を経過して、よくなったと認識されておりますか、それとも悪くなったと認識されていますか、ちょっとその辺をお答えください。

○斎藤指導部長 それは評価する観点によりますけれども、子どもたちはいつの時代も子どもたちですし、その当時あらわれた問題行動の現象を見て、それぞれの時代で変化してございます。ピークというんですか、波というんですか、そういうものがございまして、この当時、今申し上げましたように、校内暴力とか非行問題、あるいはいじめの問題が出始めたというんですか、数がふえ始めたという時期でございます。それがその後ピークに達しまして、また、最近の新聞報道等でご存じのように、また新たな問題行動が出ております。子どもたちは、さまざまな行動を通して、自分たちのさまざまな思いとか、あるいは考えを多分あらわしているんだろうと思っております。
 そういった意味で、よくなったか、悪くなったかというこの観点は、なかなか判定は難しく、お答えが難しい、そういうふうに申さざるを得ないと思います。申しわけございません。

○石川委員 まさに教育に携わる皆様方が評価をしにくいという、非常に複雑な問題だろうと思います。しかし、現実にさまざまな社会の時代の変化はあったにせよ、いずれにしましても十九年間、子どもたちの健全育成のために力を注いできた、この時間的経過だけは間違いないわけであります。その時間的な経過を踏まえて、今日、この心の東京革命、そして都教委の教育推進プランをつくり上げたわけですから、今度は、これをいかにして実効あるものにしていくかということで、私は、ぜひ関係者お一人お一人の皆さんが意識改革をしてこのプランに取り組んでいただきたい、こんなふうに考えております。
 そこで、お伺いしますが、推進プランが発表されてまだ一カ月余でございますけれども、小中学校への周知徹底の方法についてはどのように行ってきましたか。

○斎藤指導部長 心の東京革命の周知徹底に当たりましては、昨年、心の東京革命推進に向けた取組方向素案及びその概要をまとめたリーフレットを、区市町村教育委員会及び全公立学校に配布いたしました。また、このたび「心の東京革命」教育推進プランを作成し、区市町村教育委員会及び全公立学校に配布したところでございます。
 取組方向素案の趣旨及び内容につきましては、校長会、あるいは指導主事が学校訪問した際に、その周知徹底を図ったところでございますが、今回の教育推進プランの周知徹底につきましては、今後、同じような扱いで行ってまいりたいと思っております。

○石川委員 今申し上げましたように、まだ一カ月余ですから、時間的にも余裕はないんでしょうけれども、小中学校は、学校便りというのを月一回それぞれ出しているんですね。私も中学校一年の子どもがいるものですから、地元の小中学校から、学校便りが数校から送られてくるんです。その学校便りに、今回都教委がこうした推進プランを作成しましたよという記述がありましたのは、わずか一校なんです。あとは全く、こうしたことがあったということについて触れられていない。ここに、学校関係者、いわゆる今回のプランの周知徹底に当たって、従来のような感覚で結局受けとめているのかな、こんな思いがしてならないんですけれども、そうした辺の現状がおわかりでしたら、ちょっとご説明いただけますか。

○斎藤指導部長 小中学校の反応というんですか、受けとめ方でございますけれども、私どもの事業、例えばトライ&チャレンジキャンペーン、あるいは道徳授業地区公開講座、こういう事業を通してその反応をお聞きしますと、学校や地域の声として、勤労体験や奉仕活動を通して勤労意欲や思いやりの心が深まった、あるいは、家族や友人、地域の人々と協力して活動することの大切さを学んだという、例えばそういう声が寄せられておりますし、また、道徳授業地区公開講座につきましては、その事業に参加されました地域の方が、道徳教育というのがよくわかった、あるいは親子の会話の大切さを再認識したとか、そういう声がかなり寄せられております。
 また、前のトライ&チャレンジキャンペーンにつきましては小中学校全校で行っておりますし、道徳授業地区公開講座につきましては、今年度六百五十校を予定しておりまして、昨年百七校でございまして、ほぼ九千人の方が、教員が約三分の一でございますけれども、残りは、地域の方あるいは保護者の方が直接授業をごらんになって、先ほど紹介申し上げましたけれども、ちょっと認識を新たにした、そういう声が寄せられております。
 そういった意味で、心の東京革命につきましては、事業を通しながら、それぞれの地域で受けとめていただいている、そういうふうに受けとめております。

○石川委員 今述べられた事業は、この東京革命推進プランの前にもう既に事業化されておりましたものですから、それを追認したという形ですから、それはそれで私は結構だと思うんですが、今、東京都が、都知事のリーダーシップのもとで心の東京革命というものを作成して、いよいよ次世代のために行動を開始するんですよということが、まず多くの方々に周知されないことには、このプランの推進というのはなかなか難しいんだろうと私は思いますよ。
 したがって、今ご答弁で、当然、これまでやられてきた事業を今回追認して、推進プランの中に入っているわけですから、その継続は継続として大事でありますけれども、もう一度、今度は、学校も今までの視点と違って、次世代のために、子どもたちの健全育成のために、学校も家庭も地域も、今度は総合的な行動プランを持って行動を開始するんですよという意識を高めていただきたいと私は思うんです。そのためには、学校によって、家庭に対する、子どもたちに対する周知徹底の方法というのは、それぞれの学校の進め方で結構だろうと思いますけれども、そういうものが多くの方々の目に触れてくるような取り組みをひとつしていただきたいなと、こんなふうに考えております。
 今後のこの推進プランの具体化の取り組みについて伺いまして、質問を終わります。

○幡本同和教育担当部長 「心の東京革命」教育推進プランの具体化に当たりましては、ご指摘もございましたように、家庭、学校、地域がそれぞれの役割を果たしていくことが重要だということでございます。
 都教育委員会は、小中学校の子どもたちに対して、トライ&チャレンジキャンペーンなど、学校が親や地域の人々と協力して子どもの社会性や道徳性をはぐくむ活動の推進を図るため、区市町村教育委員会と連携して各学校の取り組みを支援しておりますけれども、それとともに、区市町村や民間団体とも連携をして、東京親子ふれあいキャンペーンや地域スポーツクラブなど、家庭、地域に向けたさまざまな施策を総合的に展開してまいります。
 また、プランの周知、心の東京革命の趣旨のPR等につきましては、いろいろな機会、方法、また既存の事業を実施する中でも、その周知に努めていきたいというふうに考えております。

○大河原委員 私も、この教育推進プランについて質問をいたしますが、九七年の神戸の中学生による小学生殺傷事件を受けて、国では、その八月に、中央教育審議会に文部大臣から、「幼児期からの心の教育の在り方について」に関する諮問が出されました。翌年の九八年には、「新しい時代を拓く心を育てるために」ということで答申が出されて、その中には、家庭教育のあり方、充実といったことも提言されております。その後、家庭教育手帳とか、家庭教育ノートとか、こういったものが配られたところなんですけれども、そういうものを見ても、親の意識改革というのはなかなか進んでいないというふうに私も思います。
 今回、子どもたちが生きていく上で基本的な心得さえも失いつつあるという危機感を持って、親と地域の大人たちが責任を持って、思いやりの心や人が生きていく上での当然の心得を次代を担う子どもたちに伝える、大人の意識改革として、この心の東京革命が提唱されているわけですが、これまでも、心の教育に関しては、都教委として既に進めてきたものがあるわけですね。心の東京革命、新たに提案されたものについて基本的な評価をするということで、今回、この教育推進プランというものが出されたわけですが、まず、心の東京革命以前の都教委の取り組みについて、方針と実践、それから評価といったものがあれば伺いたいと思います。

○幡本同和教育担当部長 都教育委員会では、児童・生徒の健全育成推進本部を設けまして、心と体の健康づくりとして、いじめや不登校、家庭教育への支援、自然体験、社会体験の充実、体力づくり、健康づくりなど、その時々の課題に重点を置きながら、学校教育、社会教育、体育との連携のもとに、幅広く健全育成のための施策に取り組んできたところでございますが、健全育成の課題は、不断に継続して粘り強く取り組まなければならないものであります。
 「心の東京革命」教育推進プランは、これまでの継続した取り組みの中でつくられてきた基盤を踏まえて、学校を地域に開き、家庭、学校、地域の連携強化を図るなどの視点から、これまでの健全育成のための取り組みに新たな施策を加えて策定したものでございます。こうした健全育成のための取り組みについては、今後も一層充実させることが必要だと考えております。

○大河原委員 児童生徒の健全育成、心と体をしっかり健全に育てていくというところで、今回の教育推進プランは心の方に重点を置いている、そういう取り組みだというふうに思いますけれども、東京の子どもたちの課題っていうふうに伺ったら、どんなふうにお答えになるんでしょうか。

○幡本同和教育担当部長 推進プランで、子どもたちの現状として述べておりますような、社会の基本的ルールやマナーが守れない子ども、良好な人間関係を築くことができない子ども、他者への思いやりに欠け、欲求や衝動を抑制できない子どもといった、子どもたちの健全育成上の課題がございます。
 これらの認識につきましては、もちろん心の東京革命行動プランと認識を同じにするものでございますが、これらの課題は東京だけの課題ではなく、全国共通に見られるものであります。行動プランでも問題の背景としていわれている少子化や情報化の進展、物質的な豊かさと都市化の進展といったことは、大都市である東京により顕著に見られる状況でございます。しかし、同時に、東京は、教育や文化などの機会に恵まれ、生き方の選択肢も多いという利点もあり、それらの特性を生かしていくことができると考えております。

○大河原委員 都市化という、大都市に住む、そこで育つというところで、東京の子どもたちの課題というのは特筆するものもあるかと思うんですね。例えばマナーというところで、席を譲る。長時間の通学時間で、ランドセルを背負う。かばんを重いものを持っている。大人でさえ通勤地獄といわれているところを、子どもたちが通っています。小さい体で通っていて、高齢者の方に席を譲る、そういう対象があっても、もう体がいうことを聞かない。子どもが今一番望んでいるのは、ゆっくり休みたい。大人と同じようなことをいっているんですよね。そういった意味では、東京独自の子どもたちへの対応の仕方、子どもの課題というものは私はあるというふうに思っています。
 ここにも、東京は教育や文化などの機会に恵まれて、生き方の選択、そのことについては非常に多い、子どもたちもいろんな価値観に出会えるんじゃないかということが指摘されているわけです。そのことは、東京の子どもたちにとったら--痛ましい事件がすごく地方でといいますか、郊外といわれるようなところで起こっていますけれども、東京の子どもたちは少し、何といいましょうね、そういう追い詰められ方はされないような状況にもあるんじゃないかなと、一つ特徴というふうにも私は思っています。
 それで、物があふれている中で、子どもたちが精神的な価値よりも物質的な価値に流れてしまう、そんなところは、都教委も既に受けとめて、さまざま子どもたちに指導してきたところだと思うんですね。
 今回の心の東京革命行動プラン、これは東京都全体で四十七の事業がありますけれども、都教委の単独事業はそのうちの十八、そして、関係各局として連携していくのが八事業と聞いております。そうすると、この事業のほぼ半分を都教委の事業と。要するに、大人の意識改革ですけれども、子どもたちに向けて、現実には子どもと一緒にこのことを考えていかなければならない、そういう大変重大な使命があるということを再確認いたしました。
 それで、都教委がつくられたこの推進プラン、このよりどころとなっているのが、三千二百五十九ですか、回収されております教育関係者のアンケートなんですけれども、未回答の方たちもいられるわけで、回収されているのは五七%ですね。四割の方の未回収分というのはどのようにとらえていらっしゃるんでしょうか。
 各種アンケート、一般の方、それこそ私たち議員のところにもいろんなアンケートが来ますけれども、教育関係者、しかも、かなり熱心でなければならない方たちにアンケートを出しているんですよね。百人で四十三人は返ってこない。しかも、素案と一緒にアンケートをお送りしているわけですね。さまざまな回答の中に、慎重にしなきゃならないんじゃないかという方と、それから、ここにちょっと反対というような形の例でしょうか、余りに東京革命などという仰々しいタイトルをつけて、こういったことは余り都教委がやるべきことじゃないんじゃないかという、ある区の教育委員の方の意見が出ていましたけれども、未回収の四割というのは、私はちょっとひっかかっております。その点についてはどうでしょうか。

○幡本同和教育担当部長 教育関係者のアンケートでございますが、対象として、子どもたちの教育に長年携わり、経験の豊富な、校長、教育委員会等の教育関係者にアンケートを行ったわけでございまして、アンケートの信頼性という面では、子どもたちの現状と課題をよく知っているということで、大いに参考になるというふうに考えております。
 今回、都教育委員会が実施したアンケートでは、心の東京革命に関する都政モニター等の他のアンケートと比較して、母数としてより多くの方々から回答をいただいているところです。それらのアンケートの結果を見ますと、大きな差異が見られないという結果でございます。したがいまして、教育関係者に対するアンケートは、教育関係者の率直な意見を反映するものとして十分に信頼できるものというふうに考えておりまして、回収率約六〇%でございますが、それほど低い率だというふうには考えておりません。十分に信頼できるアンケート結果ではないかということでございます。

○大河原委員 ここはすれ違いになると思いますけれども、回収されたアンケート、回答者の男女比率は三対一ですね。そして、回答者の年齢構成は、二十代から三十代が二・三%、四十代が七・九%、五十代が七二・三%、六十代以上が一五・三%。五十代以上の方だけでもう既に八〇%以上あるんですね。だから、このプランを進めるべきだ、これには賛成といった方たちは割に偏っているというふうに私には見えてしまうんです。
 ところで、この心の東京革命を進めることについて、ここにもいっておりますけれども、慎重に対応すべきという意見が三割あります。この慎重論というのを都教委はどのように受けとめられているんでしょうか。

○幡本同和教育担当部長 都が積極的に推進すべきという回答と、取り組みは必要だが慎重にという回答とを合わせますと、約九割の人が、都が心の東京革命を推進することが必要だと回答しております。したがって、都が心の東京革命のような取り組みを行うことについては、基本的に広い賛同を得ているものと考えます。
 ご質問の、取り組みは必要だが慎重にという回答につきましては、自由記述欄にありましたように、本来、家庭や地域などに任せることであるが、現在の状況から都が取り組む必要に迫られているという意見が多く含まれているものと考えています。
 心の東京革命の取り組みは、自主的、自発的な参加と協力を期待し呼びかけを行うものでございまして、その意味で、取り組みに当たっては、慎重にという意見にも十分配慮していく必要があると考えております。

○大河原委員 慎重に、の中身は、これまでも家庭でしつけはしてください--この中にも、学校で保護者に対して、しつけは基本的にご家庭でということをいって、ということを書いてあるんですけれども、やはり、この事業の半分を教育庁のものが占めるとなりますと、かえって、しつけは学校でやってくれるんじゃないか、あるいは、責任的に教育の現場でというふうに、逆作用しちゃうんじゃないかなという危惧を私は持つわけなんです。
 それで、さまざまな事業が挙がっておりますけれども、実際に教育関係者のご意見、もちろん経験がおありになる方々ですから、そのことではさまざまなアイデアも出していらっしゃるし、東京都が打ち出したものに対するバックアップというのもあるんだと思いますが、推進される事業の対象者、つまり、さっきの回収率の中でいえば、今子どもを持っている世代というのは、もう一つ若い世代なんですね。その方たちへの、例えば保護者への啓発教育とか、高齢者と若い親子の交流促進、それは先ほどちょっと生活文化局の方でもやりましたけれども、東京都の青少年会議報告書というのがありまして、これは、十五歳から二十五歳の方たちが、ご自分たちで議論をして報告書をまとめたものですね。その中でも、みんなでこれはやらないとだめだということをいっているんです。だから、基本的な方向としては大勢の人に認知、承認されるものだとは思います。ただ、本当に対象になる人と、その事業を本当に必要としているかどうかのマッチング、望まれている具体的な裏づけというのはどうなっているんでしょうか。施策に対して、これは必要だと、無理やり動員参加させるのではないという、そういう裏づけはどういうふうにおとりになるんでしょうか。

○幡本同和教育担当部長 心の東京革命の取り組みにつきましては、無理やり動員ということではなくて、自発的な参加と協力により成り立つものでございます。心の東京革命の趣旨を踏まえつつ、事業、施策の展開に当たりましては、参加したくなるようなニーズに合った施策を展開し、さまざまな取り組みに、多くの自発的な参加が得られるように期待をしているところでございます。

○大河原委員 参加いただけた方には、ふれあい事業なんかを見てみましても、参加すれば、よかったというふうにきっと思われるとは思うんです。ただ、やっぱり、無理やりやらせる、あるいは動員をかけるみたいなことというのは、かえって--もう既に地域の中では、いろんな行事が地域におりてくるんじゃないかという、そういううっとうしさを口にする方もおられますので、その点は十分にお気をつけになった方がいいというふうに思います。
 さて、この推進プランの中に、教育目標、基本方針を十二年度中に見直すというふうに書いてございます。その必然性と策定のプロセスというのはどういうふうになっているんでしょうか。先日、九月八日に中間まとめが発表されました東京構想二〇〇〇では、新東京人という新しい都民像が打ち出されています。いわば、東京が目指す若者像というものを提案するということですけれども、これは一体そういう必要性はあるんでしょうか。

○幡本同和教育担当部長 現在の都教育委員会の教育目標、基本方針は平成七年度に策定したもので、その後は小幅な修正にとどめております。この間、教育をめぐる状況も大きく変化してきておりまして、目標、方針も、変化に応じて必要があれば見直していかなければならないものと考えております。
 教育目標につきましては、教育委員会が決定するものとしておりますが、その見直しにつきましては、教育委員会としてこれから議論し、検討していくこととなっております。
 東京が目指す若者像につきましても、教育の理念や内容と密接なかかわりがあり、どのような示し方がいいかも含めて、これから教育委員会で検討していくことになると考えております。

○大河原委員 目指すべき若者像というのは、いわゆる期待される人間像、それに当てはまらない子どもたちに対する対応というのがすぐ想像されるわけですけれども、本当に今は個性、そして子ども一人一人の自主性というものを伸ばしていくことを目指して教育行政を進めてきたわけですから、子どもたちが、本当にみんな違っていていいんだよと、そういう丸ごと認められる、そういう安心感を持つような検討をぜひしていただきたいというふうに思います。
 先ほど、ほかの委員から、地域との関係ということでお話がありましたが、分権推進の中では、区市町村の教育委員会の役割は大変大きいものがあります。地域の自主的な取り組みを決してつぶすことのないようにしていただきたいわけなんです。先ほども、周知徹底とか、そういう話が出てきましたが、既に行われている地域での自主的な取り組みについてとか、そういったものに対して都教委はどのような立場をとるんでしょうか。

○幡本同和教育担当部長 「心の東京革命」教育推進プランを推進していくには、ご指摘がございましたように、身近な地域の教育行政を担う区市町村教育委員会の果たす役割が極めて大きいと考えております。都教育委員会は、区市町村教育委員会との緊密な連携のもとに、協力して施策を推進してまいります。また、区市町村教育委員会の自主的な取り組みを期待しており、都教育委員会としても、それに対していろいろな形で支援をしてまいります。

○大河原委員 地域では既に、子どもたちと一緒に活動しているNPO団体もたくさんありまして、そういったところの活動は、こういった心の東京革命という大きな流れとなかなか一緒になれないものもあるかもしれません。そして、もちろんそれが下支えしていくという場面も出てくるわけだと思いますけれども、ぜひ地域の自主性に対しての支援ということで、つぶさない方向性は守っていただきたいと思います。
 ちょっと私が住んでいる世田谷のことをいいますと、いじめよとまれ、ということで、もう既に世田谷区の教育委員会もバックアップをしていて、大人こそ子どもから学ぼうという姿勢が示されています。そういったところでは、地域を大事にする、そのことは、これからの大きな変化に大変重要性を持つと思います。
 地域に窓を開くということでは、もう既に東京都がやっております学校運営連絡協議会の設置、そして、来年、全校にこれを拡大するということがありまして、そこには期待をするわけなんですけれども、これまでのモデル実施試行校の実施状況、成果と課題、そういったことについてお伺いしたいと思います。特に外部評価のことが大切と思いますので、実施状況をお知らせください。

○斎藤指導部長 学校運営連絡協議会は学校を支援する組織でございますが、保護者や地域住民の意向を学校運営や教育活動に反映させるとともに、学校に関する情報を地域に提供することを目的としております。
 実施状況でございますけれども、平成十一年度は四十校、平成十二年度は九十三校で試行しております。
 成果につきましては、例えば、授業参観などによる学校運営や教育活動に対する理解の促進、生徒、保護者、地域住民や関係機関等からの意向の把握、開かれた学校づくりに向けての教職員の意識の高まりなどがございます。
 課題ですが、学校運営連絡協議会の実施内容、方法の改善、校内における趣旨の徹底、評価結果の活用方策などがございます。
 外部評価ですが、外部評価につきましては、すべての学校で実施しまして、評価の観点や項目を設定して、生徒、保護者、地域住民等へのアンケート調査などを通して、学校の課題が明らかになったところでございます。

○大河原委員 外部評価についての生徒や保護者に対するアンケートも、ここに各校で実施されたものが出ていますけれども、この外部評価をして意見はとったけれども、改善されるかどうか、改善された、よかったという信頼があって初めて、この仕組みは動いていくと思うんですけれども、その点、運営連絡協議会は年三回ぐらいですよね。もっときめ細やかに開かれるような、そういう方向性を望んでおります。
 足立区では、全小中学校、四年以内には、子ども自身が評価を、みんなの授業、みんなが診断ということで、月に一回、毎月とっていくというようなこともしているようです。高校生という立場からすれば、非常にいろんな意見が出てくるんじゃないかと思います。特に、内部委員の方たちの意識が変わったというのは大変大きなことじゃないかと、評価をしたいと思います。
 さて、最後になりますが、この教育推進プラン、子どもの権利擁護については触れられておりません。子どもの権利擁護については都教委はどのようにお考えなんでしょうか。

○幡本同和教育担当部長 社会的責任よりも権利意識が優先されているという意見が最も多いというアンケート結果にもあらわれているように、現在の社会の状況は権利と責任についての理解が不十分であるというのが、「心の東京革命」教育推進プランの基本的認識でございます。
 また、心の東京革命の眼目は、親や大人が責任を持って取り組むことを呼びかけるものでございまして、子どもを個性ある人格として権利を尊重することは大切なことと考えております。
 都教育委員会では、従来からそうですし、また今後とも、児童の権利に関する条約等の趣旨を尊重して、子どもの人権に十分配慮し、一人一人を大切にした教育を進めていく考えでございます。

○大河原委員 子どもの権利ノート、これはもうご存じだと思いますが、福祉局が児童福祉施設に入っている小学生向けにつくった権利ノートです。児童福祉施設というところに限らず、この単語を家庭とか学校というところに当てはめれば、今すぐにでも配れるような、そういうものだと私は思っています。
 都教委は、前回、教育方針を変更された。そこには、子どもの権利条約を批准した我が国の状況、そういったものも認識されての上だったと思います。この都教委が進められてきた子どもの権利に関する条約の趣旨を生かす教育をぜひとも進めていただきたいと最後に要望しまして、終わります。

○植木委員長 ほかに発言はございますか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○植木委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○植木委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時五十二分散会

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