委員長 | 植木こうじ君 |
副委員長 | 大河原雅子君 |
副委員長 | 島田 久君 |
理事 | 中嶋 義雄君 |
理事 | くぼた 光君 |
理事 | 井口 秀男君 |
田代ひろし君 | |
和田 宗春君 | |
石川 芳昭君 | |
鈴木 一光君 | |
桜井 武君 | |
内藤 尚君 | |
西田ミヨ子君 |
欠席委員 なし
出席説明員生活文化局 | 局長 | 今沢 時雄君 |
外務長 | 田邊 隆一君 | |
総務部長 | 赤星 經昭君 | |
交通安全対策担当部長 | 枡野 雅憲君 | |
コミュニティ文化部長 | 松岡 勝彦君 | |
調整担当部長 | 樋口 勝美君 | |
参事 | 友繁 佳明君 | |
国際部長 | 川島 英男君 | |
女性青少年部長 | 高西 新子君 | |
消費生活部長 | 早川 智君 |
本日の会議に付した事件
生活文化局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成十二年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為 生活文化局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第六十一号議案 東京都男女平等参画基本条例
・第六十二号議案 旅行業法関係手数料条例
・第六十三号議案 通訳案内業法関係手数料条例
・第六十四号議案 旅券法関係手数料条例
・第六十五号議案 主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律関係手数料条例
・第六十六号議案 計量法関係手数料条例
・第六十七号議案 東京都江戸東京博物館条例の一部を改正する条例
・第六十八号議案 東京都写真美術館条例の一部を改正する条例
○植木委員長 ただいまから文教委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、生活文化局関係の平成十二年度予算の調査及び付託議案の審査を行います。
これより生活文化局関係に入ります。
予算の調査及び付託議案の審査を行います。
第一号議案、平成十二年度東京都一般会計予算中、歳出、債務負担行為、生活文化局所管分及び第六十一号議案から第六十八号議案までを一括して議題といたします。
本案については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
要求資料について理事者の説明を求めます。
○赤星総務部長 去る二月二十一日の当委員会でご要求がございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
お手元の生活文化局と書かれました封筒の中の文教委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
お開きいただきますと、まず、目次でございます。要求のございました資料は、ここに掲げてございますとおり、全部で十一件でございます。以下、順次ご説明申し上げます。
一ページをお開きいただきたいと存じます。東京国際交流財団、東京都歴史文化財団、東京女性財団の補助金の実績の推移でございます。平成六年度から平成十年度までの五年間の実績の推移を記載してございます。
二ページをお開きいただきたいと存じます。駅周辺の放置自転車台数等の推移でございます。放置台数、実駐車台数、乗り入れ台数の区分に応じまして、平成六年から平成十年までの五年間にわたって記載してございます。
三ページをお開きいただきたいと存じます。東京空襲犠牲者名簿及び東京空襲関連資料の収集状況でございます。
なお、下の(注)1にございますように、東京空襲犠牲者名簿につきましては、重複分があるため、概数を記載してございます。
四ページをお開きいただきたいと存じます。東京都江戸東京博物館並びに東京都写真美術館における観覧料及び観覧者数の推移でございます。1といたしまして観覧料の推移、2といたしまして観覧者数の推移を、平成五年度から平成十年度まで、それぞれ記載してございます。
なお、東京都写真美術館は、下の(注)にございますように、平成七年一月二十一日に総合開館となっております。
五ページをお開きいただきたいと存じます。隅田川花火大会補助金の実績の推移でございます。平成七年度から平成十一年度までの五年間にわたって記載してございます。
次に、六ページをお開きいただきたいと存じます。国連児童の権利に関する委員会の主な勧告内容でございます。これは、下の(注)にございますように、一九九八年六月五日開催の国連会議で採択され、日本国政府に勧告されたものでございます。
七ページをお開きいただきたいと存じます。東京都青少年の健全な育成に関する条例に基づきます不健全図書類の指定実績でございます。図書、ビデオ、合計につきまして、平成六年度から平成十年度までの五年間にわたって記載してございます。
八ページをお開きいただきたいと存じます。男女平等に関する条例制定に取り組んでいる他道府県の状況でございます。北海道、宮城県、埼玉県、三重県、山口県の取り組み状況について、それぞれ記載してございます。
九ページをお開きいただきたいと存じます。男女平等に関する訴訟支援制度試行実施要綱の概要と試行実績でございます。
1といたしまして、試行実施要綱の概要でございます。訴訟費用の一部貸付金の対象者、条件、審査基準を記載してございます。
2といたしまして、試行実績でございます。試行期間、貸付額、実績内容の種別について記載してございます。
一〇ページをお開きいただきたいと存じます。都内の公衆浴場数及び自家ぶろ普及率の推移でございます。
1といたしまして、都内の公衆浴場数でございます。平成六年から平成十年までの浴場数の推移を記載してございます。
2といたしまして、都内の自家ぶろ普及率でございます。平成五年、平成十年のそれぞれの普及率を記載してございます。
なお、この調査は、下の(注)にございますように、五年ごとに実施されることとなっております。
一一ページをお開きいただきたいと存じます。食糧法施行後の米穀販売業者登録数の推移でございます。卸売業者、小売業者につきまして、平成八年度から平成十一年度までの推移を記載してございます。
以上をもちまして、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○植木委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めて、これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○桜井委員 要求しました資料のうち、まず、隅田川の花火、この補助金の推移を見ますと、だんだんだんだんふえていくんじゃなくて、だんだんだんだん減ってっちゃってまして、しまいにはなくなっちゃうんじゃないかなと心配するぐらい、減ってっちゃうので、非常に心配しております。隅田川の花火は、別に私が近くに住んでいるからいうわけじゃないんですけれども、非常に伝統のある、東京都にとっては、東京全体の名物といっても過言じゃないぐらいのものでありますので、私は、隅田川花火についてより一層の援助をするべきだと。援助という言葉がおかしければ、東京都がもっと力を入れるべきだ、こう思っている者の一人でありますけれども、東京都は、隅田川の花火大会というものを東京都政の中でどういうふうに位置づけているのか、また、その効果をどのようにとらえてい考えているのか、るのか、そこらあたりについて答弁を願います。
○松岡コミュニティ文化部長 隅田川花火は、両国の川開き花火として、江戸時代以来、全国に知られ、語り伝えられてきております。このような歴史を持つ隅田川花火大会を昭和五十三年に復活し、東京都と地元の墨田区、台東区、中央区、江東区の四区との共催で、関係団体や企業のご協力も得まして、今日まで毎年実施してきております。
花火大会は、世代を超えて多くの人々に親しまれてきた、夏の夜空を彩る恒例の行事でございますし、地元商店街を初めとする経済波及効果や観光振興の面でも大きな役割を果たしていると考えております。
今後とも、地元と十分連携しながら、花火大会が継続、維持されるように努めてまいりたいと考えております。
○桜井委員 今、答弁にありましたけれども、墨田区、台東区、中央区、それから江東区でしょう。その中で、実際に花火そのものを、ある程度ですよ、別にそばへ行って見るんじゃなくて、遠くからでも見える、たとえ、このくらいちっぽけでもいいから見えるというようなことを考えた場合、墨田区はありがたいことに見えますよね。台東区も見えますけれども、中央区に行ったり、江東区に行ったりしますと、ほとんど見えない。見えないですよ、はっきりいって。望遠鏡か何か持っていかなければ見えないような感じでありまして、現在の花火というのはその程度のものなんですね。今、答弁にありましたように、江戸時代以来のものであるということであるならば、先ほども申しましたけれども、もっともっと充実発展させていくべきだと、このように思います。これは要望としておきますので、よろしくお願いします。
次に、買春等処罰規定のことになりますけれども、これの運用状況と、効果というか、どのような実績というんですか、そういったものが上げられているのか、これは、さんざんすったもんだやってつくったわけでありますけれども、今日それがどのくらい役に立っているのか、そういう点について質問いたします。
○高西女性青少年部長 東京都青少年の健全な育成に関する条例第十八条の二のいわゆる買春等処罰規定につきましては、平成九年十二月十六日から施行しておりまして、この規定により検挙された件数は、警視庁によりますと、平成十二年一月末までで三百四十六件となっております。
こうした処罰やキャンペーン等による普及啓発活動が、青少年の性を商品化する大人の行動に対する抑止力となったこと、また、性の商品化を許容する社会的風潮の改善を強く促したことなどが効果として考えられます。
また、国におきましては、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律が平成十一年十一月一日から施行されておりまして、買春という概念を初め、明確で客観的な処罰要件など、都の条例の規定が先鞭をつけたものと考えております。
○桜井委員 十一年の十一月一日に国の法律が施行されておりますので、その前にできた現在の東京都の条例は、法律ができたので、一応もう役目は終わった、こういうふうに解釈してもいいんですか。あるいはまた、そんなことはないんですか。そこらあたりのことについてお願いします。
○高西女性青少年部長 国におきます、いわゆる児童買春処罰規定でございますが、これは、大半におきまして東京都の買春処罰規定と重複しておりまして、そういうことで、基本的には、都の条例に規定しておりますことは法でカバーされております。ごく一部を除いてはカバーされているということでございます。ただ、東京都におきましては、その精神をまだ存続させるという意味で、条例をそのままにしてございます。
○桜井委員 次に、公衆浴場について質問させていただきます。質問は三つします。
まず一問です。資料によりますと、近年、自家ぶろが大分普及されてきて、公衆浴場の数が四年間で二百十二軒減少した状況がうかがえるわけです。これは、自家ぶろの普及ということが大きな理由なのかもしれませんが、公衆浴場がどんどんどんどん減っていく、その理由を、改めて答弁をお願いします。
○早川消費生活部長 公衆浴場の減少の理由につきましては、近年の事例から申し上げますと、一つには、自家ぶろの普及に伴う利用者の減少、二つ目には、営業不振から設備投資が抑制されることに伴う施設の老朽化、三つ目として、後継者難あるいは経営者の高齢化、この三点が大きな原因になっていると考えております。
○桜井委員 公衆浴場の数を東京全体で見た場合、人口当たりの公衆浴場の数というと、荒川区、台東区、墨田区が一番、二番、三番、こういう順番になっているようですよ。今度、面積当たりで公衆浴場の数をいっていくと、一番目が墨田区、二番目が豊島区、三番目が中野区、こういうことになっているようであります。豊島区、中野区はおいときまして、というと怒られちゃうけど、まあ、ちょっとおきまして、大多数が、下町が多いんですよね。下町が多いということは、下町に需要が多いというか、もちろん、東京全体に需要があるということは当然でありますけれども、特に下町に需要が多いんです。その観点から、どうしても公衆浴場について強い関心を持たなければならないので、質問しているわけであります。
今のお話のように、公衆浴場、俗にいうふろ屋ですな、ふろ屋が厳しい状況に置かれているという答弁でしたけれども、東京都は今まで、いろいろな対策というか、援助というか、そういったものをやってきてくださっておりますけれども、そこらあたりについて、ちょっと詳しく答弁してください。
○早川消費生活部長 公衆浴場対策といたしまして、次のとおりの事業を行っております。一つには、施設確保対策事業といたしまして、確保浴場に対しまして、施設整備のための借入金への利子補助や経常経費の補助、二つ目には、経営安定化対策事業といたしまして、一般の公衆浴場に対しまして、設備改善や経営改善に係る借入金への利子補助、三つ目には、利用者負担の軽減対策事業といたしまして、下水道料金補助や、あるいは自家ぶろのない生活保護世帯を対象とした入浴券の配布事業、そして、四つ目といたしましては、PR誌の発行など、公衆浴場の同業組合が行っております利用促進事業への補助でございます。
○桜井委員 今、答弁いただいたような、さまざまな取り組みをしていただいているにもかかわらず、さらに公衆浴場の減少傾向がとまらないというのが現状ですよね。で、今までの対策、援助の仕方が間違っているとか、足らないっていうか、そういうことは決して申し上げません。皆、それでもって随分助かっておりますから、それは間違っているとか、足らないとはいわないのでありますが、時代の流れというか、需要というか、ニーズの変化というか、そういったものが急速に変わってきているわけですよ。これは、都民のふろ屋に対する感覚というのかな、こういったふろ屋がいいとか、こういった形がいいとか、それは急速に変わってきているんですけれども、それに対して、ふろ屋さんが生き残りをかけて対応しようという場合には、従来やってきていただいている対策ではとても対応し切れない。特に金銭面とか、その他ソフトの面もあるかもしれませんけれども、そういった面もありますね。そういったことについて、今までの対策だけを継続しておったのでは、とてもおふろ屋さんが叫んでいる、助けてくれといっているのに対して適切な対応にはならないわけだと僕は思うのでありますが、何かこの点について新しい対策というか、そういったものを検討しているのか、あるいはまた考えているのか、もしあったらば、答弁願います。
○早川消費生活部長 ご指摘のような状況を受けまして、現在、公衆浴場対策協議会に対しまして、新たな利用者、利用機会の拡大の方策、それから、都民の長期的、安定的な入浴機会の確保を図る方策など、新しい経営活性化策につきまして検討をお願いしているところでございます。
この協議会の報告は、平成十二年度の早期にいただけるものと考えておりますが、この報告も踏まえまして、より的確な公衆浴場対策の推進に努めていきたいと考えております。
○桜井委員 最後ですけれども、答申が平成十二年度の早期というんですか。早期というのは何月ごろか知りませんけれども、なるべく早く出るように要望して、そして、出たらば早急に、それに基づいてというか、それに基づいてといっても、そればかりじゃないかもしれませんが、対策を練っていただきたいと強く要望いたします。
以上で終わります。
○西田委員 私は、男女平等参画基本条例について伺いたいと思います。
今定例会に提出されております男女平等参画基本条例案は、条例の名称に男女平等がうたわれたこと、事業者の責務を明記したこと、雇用の分野における男女平等参画の促進、そのための報告を事業者に求めたこと、セクハラや家庭内暴力など、あらゆる場での性差別、権利侵害を禁止したことなど、全体として評価できるものだと考えます。
しかし、この条例案を待ち望んでいた都民の皆さんの間から、女性の権利擁護の視点があいまいにされているのではないか、あるいは、精神条例で、実効性の点でどうなのかなど、率直に意見が寄せられているのも事実であります。
今日、男女平等あるいは男女共同参画を基本理念とした条例の制定の取り組みが多くの自治体で準備されていることは、先ほどの資料でも明らかでありますが、全国初の条例案として、東京都と埼玉県で、現在開会中の議会に提案されているわけであります。この両都県の条例案は、男女平等参画条例の先駆けとして、今後、全国の自治体に大きな影響を与える、そういうことになると思われます。したがいまして、今回提案されている東京都の男女平等参画基本条例案が、実効性のある、まさに画期的な条例として制定される必要があると考えます。
そういう立場から、私どもは条例案についてるる検討してまいりました。その経過の中で、私どもなりの修正案もつくってみました。幾つか質問しながら、私どもがつくってみた修正案を紹介してみたいと思います。
そこで、まず、条例案の前文に、「東京都は、男女平等施策について、国際社会や国内の動向と協調しつつ、積極的に推進してきた。」とありますが、都は、国際的及び国内的な取り組みの到達点をどのように受けとめておられるのか、これを伺いたいと思います。
○高西女性青少年部長 女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の批准や、それに伴う国内法の整備など、国内外の動きと合わせて、都は男女平等施策を推進してまいりました。このような都の長年の取り組みにより、男女平等は前進してきているものの、今なお十分とはいえない状況にあると認識しております。
○西田委員 女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の批准だとか、それに伴います国内法の整備、こういうお話がございました。この女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約というのは、どのようなもので、どのような役割を果たしてきたのか、お伺いしたいと思います。
○高西女性青少年部長 この条約は、すべての人間は生まれながらに自由かつ平等であることから、男女も個人としてひとしく尊重されるべきとの基本理念に立脚し、あらゆる形態の女子に対する差別を撤廃することを目指すものであり、昭和五十四年十二月、第三十四回国連総会で採択され、我が国は昭和六十年六月に批准いたしました。条約の締結は、男女平等に向けての施策が一層拡充される契機となり、また、男女平等の推進に大きく寄与したものと考えております。
○西田委員 今、お話がありましたように、この条約が、国際的な取り組みの中で大きな役割を果たしてきたことはご承知のとおりです。外務省の調査でも、この条約の締約国は、昨年一九九九年一月現在で百六十三カ国になっているということであります。その前の年までは百六十一カ国だということですから、最近の一年間でも二カ国ふえたということになるのだと思います。
今、お話がありましたように、日本では、一九八五年にこの条約を批准したわけですが、七十二番目でした。批准するまでに、いろいろな国内法の整備をする必要があったわけであります。国際結婚の場合の子の国籍の承認の問題とか、高校での家庭科の男女ともの選択・必修や、あるいは労働の分野での男女平等としての機会均等法など、そういう改善をして初めて批准をすることができたわけであります。
この条約の締約国というのは、まさに国ごとに、宗教や文化や女性の地位や、あるいは経済の発展状況など、異なるわけですけれども、女性の人権問題を解決するための国際基準として、この条約を受け入れているということではないでしょうか。まさに、この条約を軸に、国際的にも国内的にも取り組みが進められてきた。東京都も、そうした取り組みと協調しながら、男女平等施策に取り組んできたということだと思います。
ところで、条例では、こうした取り組みにもかかわらず、「今なお一方の性に偏った影響を及ぼす制度や慣行などが存在している。」こういう表現になっておりますけれども、この一方の性に偏った影響というのは、こうした到達点を踏まえますと、中心的には女性の差別ととらえるべきだと思いますが、それでよろしいでしょうか。
○高西女性青少年部長 現状におきましては、女性に不利になる影響を与える場合が多いと認識しております。
○西田委員 現状においてはということで、女性に不利になる影響というふうにお話がありましたけれども、なぜ女性の差別と明記しないのかという都民の声も聞こえるわけであります。私もそのように思っているわけです。しかし、この点につきましては、いろいろな意見があろうかと思いますし、私たちの修正案では、直接都の取り組みにかかわるところでもございますので、ただいまのご答弁を踏まえまして、「一方の性に偏った影響を及ぼす」というのは、そのまま原案どおりにいたしました。
しかし、少なくとも、日本を含む国際社会の取り組みが、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約を軸に、男女平等のためのさまざまな取り組みが行われてきたこと、その到達点を事実として条例に明記することは、私は、皆さんの賛同を得られるのではないか、このように思いまして、この前文につきまして、最小限の修正として、こうした文言を入れてみました。
具体的には、前文の一段落目と二段落目の間、一段落目の最後が「個人の人権を尊重しなければならない。」とありますが、その後ろ、二段落目の「東京都は」で始まる、この間に、「国際社会においては、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約を軸に、男女平等のための様々な取組が行われてきた。」という一文を加えることにいたしました。
また、これを受けまして、条例案の二段落目の「東京都は」という表現を「東京都においても」と修正することによって、国際社会の政府や女性団体など多くの人々の努力によって積み上げられてきた、この問題についての今日の到達点を踏まえて前進しようとしていることをあらわすことができるのではないかと考えたわけであります。
さて、次に、女性の差別については、だれの目にも明らかな直接的な差別といわれる問題と、形の上ではそう見えないけれども、実際には差別的な取り扱いだと、こういえるような間接的な差別があるといわれます。直接的な差別につきましては、現行の法制度のもとで、ほとんどが解決できるようになったといわれています。問題なのは、間接差別といわれる問題です。
女性問題協議会の報告書では、検討の中で、間接差別について、直接差別だけではなく間接差別も含む旨を盛り込んではどうかという意見と、間接差別については社会的概念が成熟していないため、条例に盛り込むことは困難ではないかという両論があったことが記されていますが、条例案では、こうした間接差別といわれるものについて、どのような取り扱いになっているのでしょうか。
○高西女性青少年部長 条例案では、性別による差別的取り扱いを禁止しておりますが、間接差別という用語は使用しておりません。
○西田委員 今のご答弁で、もう一回お聞きしたいのですけれども、例えば、この第十四条で、あらゆる場での性別による差別的取り扱いを禁止するということであるわけですが、この中に、もう既に法律上も女性の差別だと明確に定められている、いわば直接的な差別だけでなく、間接的な差別も含まれると考えてよろしいのでしょうか。
○高西女性青少年部長 条例案第十四条における性別による差別的取り扱いには、明確な差別的な意図がはっきりしない場合でも、種々の状況から差別を容認したとの推認が行われる場合については、含まれると考えております。
○西田委員 今、明確な差別的な意図がはっきりしない場合でも、種々の状況から差別を容認したと推認される場合について含まれる、このようにいわれたわけでございますが、これはだれが判断するのでしょうか。
○高西女性青少年部長 差別的意図がはっきりしない場合につきましては、事例ごとに判断されるべきものであり、判例の積み重ねなどによって社会的な合意が形成されていくものと考えております。
○西田委員 だれが判断するのかということについて、判例の積み重ねで社会的合意が形成されていくと、このように今おっしゃったわけですけれども、そのこと自体、なかなか大変なことではないかと思うんですね。裁判に持ち込まなければ差別と推認されないということになりますと、表面的には差別ではないように見えても、例えば、今、女子大生の就職試験で、確かに差別的な取り扱いを表向きはやられていないわけですが、面接などで、まさにセクハラ的な質問が行われる、こういうことが今大問題になっているわけですね。さらに、高齢者の介護や、あるいは子育てや、そういうものを抱えて、夫婦どちらが残るかというのは、男女平等参画という観点からそれぞれ考えるわけでしょうけれども、しかし、事実上そういう状況の中で、海外への転勤なんていうのは不可能だという場合でも、そういうことが命じられるということがあるわけですね。こういう問題は、差別で争わないと、いわゆる差別的な取り扱いだというふうにはっきりしない。差別だと考える女性にとっては、これは物すごいエネルギーを要することになるわけですね。精神的、肉体的、財政的な大変な重い負担になって、結局泣き寝入りをするということになるのではないかと思うんです。
こうした問題につきまして、確かに都の条例で解決しようとするのは、なかなか難しい問題があるだろうと思いますが、先ほどご答弁がありましたように、そういう考え方で最大限支援できるように、取り組みをぜひ強めていただきたいと思います。
私たちは、同時に、この問題は、そのような判例によって積み重ねをしていくということにとどまらず、直接的な差別、だれが見てもわかるような差別だけではなく、目に見えないような差別というのもやっぱりだめなんですよという考え方を、本当に大いに都民の間に広めていく、そういう努力が大事だろうと思っているわけです。そういう観点から、そういう点についてもできるだけ明確に条例に盛り込んだらどうかというふうに考えました。
具体的には、第三条の基本理念の第一号に「男女が、性別により差別されることなく、その人権が尊重される社会」このようにありますけれども、この目指すべき理想の社会の中に「直接的であるか間接的であるかを問わず」という一文を挿入いたしまして、「男女が、直接的であるか間接的であるかを問わず性別により差別されることなく、その人権が尊重される社会」このように修正してみたわけであります。
次に、条例を制定する上で最も重要なのは、実効性をどう担保するかという問題だというふうに思います。その点で、一つは、この条例案の第七条の都民等の申出についてでございます。その第一項は「都民及び事業者は、男女平等参画を阻害すると認められること又は男女平等参画に必要と認められることがあるときは、知事に申し出ることができる。」とし、第二項では「知事は、前項の申出を受けたときは、男女平等参画に資するよう適切に対応するものとする。」このようになっています。私は、これを読みましたときに、大変残念だというふうに思いました。残念ながら、この二つの項は、条例に書き込むには、いかにも当たり前のことではないかと思ったんですね。この条例ができることによって、今までとどう変わるんだろうかと、このように思いました。実効性について疑問の声が上がるのも当然ではないかというふうに思った次第であります。
そこで、聞きたいのですが、都の基本条例案を制定するまでの過程の中で、女性問題協議会での議論でも、オンブズパーソン機能としての第三者機関の設置についての意見が出されたと思いますし、それから、この報告書の後ろについている都民意見の状況のところでも、都民からの申し出に関して、男女平等オンブズパーソンの設置を求める意見、同様の機能を持った第三者機関の設置を求める意見が多く出されていたということが明記されています。しかし、この条例案には、男女平等参画を確保するための第三者機関の設置というのが盛り込まれていないわけであります。この第三者機関の設置につきましては、都はどのように考えておられるのか、伺いたいと思います。
○高西女性青少年部長 条例制定を契機といたしまして、雇用や福祉など幅広い分野にわたって、相談や意見が寄せられることが予想されます。これらにつきましては、東京ウィメンズプラザを初め都の関係機関が、これまで以上に緊密な連携を持って効果的に対応してまいりますとともに、男女平等参画社会の実現に向けて、施策への反映に努めてまいります。
○西田委員 現在の機能をより効果的に、緊密に連携して対応していくという意味のことをいわれたと思うんですけれども、それは極めて当然のことだと思うんですね。
それで、女性問題協議会の報告書では、この問題につきまして「男女平等参画を阻害する深刻かつ重大な状況や、新たに生じる課題に対応するために、行政から独立した専門的立場から判断を行い、意見を表明する等の機能を果たす組織についても今後検討すべきである。」このようにしているわけですが、このことについては、どのように対応していくお考えでしょうか。
○高西女性青少年部長 女性問題協議会から、お話しのようなご報告をいただきましたが、検討すべき課題が多いことから、条例案第七条に都民等の申出の規定を設けまして、都として適切に対応することとしたものでございます。
○西田委員 今のご答弁なんですけれども、条例案の第七条に、適切に対応するというふうに書いたとおっしゃるわけですが、それはわかっていることなんですよね。でも、それではいかにも不十分ではないかということで私は申し上げているわけで、女性問題協議会の報告書でも、今後検討すべきとしているのですから、私はまさに東京都が宿題として残されている、そういう問題ではないかと思うんですね。これについてどのようにお考えですか。
○高西女性青少年部長 条例の施行後、都民の申し出の状況あるいは国の動向等を見まして、今後考えてまいりたいと思っております。
○西田委員 埼玉県の条例案も、私、読ませていただきました。ここでは、県の行う――男女共同というんですね、向こうは男女平等という言葉を使っておりませんから――男女共同参画に関する施策等についての苦情を適切かつ迅速に処理する機関の設置を規定しているわけであります。
私も、埼玉県の女性政策課という課の課長さんにお話を伺いました。課長さんは、女性問題や男女平等問題というのはまさに専門的な分野だと、こうおっしゃっておりまして、高い識見を持った研究者や弁護士、あるいはその分野での経験のある方に、その第三者機関のメンバーとしてお願いしたい、そして、その報酬、人件費が必要です、あるいは場所も必要です、これは県費で賄う、しかし、その判断は、県寄りになってもらうのではなくて、公正に行っていただきたいと考えている、このようにいっておられました。
都の男女平等参画施策についての都民からの申し出を受けまして、専門的な立場からそれを処理していく機関が設置されたら、どんなに心強いかと私は思いました。この問題は、男女平等参画審議会がこれから設置されるわけですが、ぜひこの問題を深めて、行動計画の中で具体化していくべきだと考えます。
次に、実効性を担保するもう一つの問題は、具体的な施策の推進の問題であります。
そこで、まず伺いますが、基本条例と行動計画との関係は、どのように受け取ればよいのでしょうか。
○高西女性青少年部長 条例は、男女平等参画の促進に関し、基本理念並びに東京都、都民、事業者の責務を明らかにするとともに、都の施策の基本的事項を定めるものでございます。これに対しまして、行動計画は、条例案第八条に基づき、男女平等参画の促進に関する都の施策並びに都民及び事業者の取り組みを総合的かつ計画的に推進するために策定するものでございます。
○西田委員 女性問題協議会の報告では、この点につきまして、行動計画というのは、今の問題で、都の施策を具体化していくためのものだという話なんですが、行動計画に盛り込むべき施策の具体的項目について、条例において例示的に列挙すべきであるという意見と、社会情勢の変化に迅速に対応するようにするため、条例では例示をせず、行動計画で定めればよいという意見が出されたとあるわけですが、この第八条には例示がありませんので、都は後者の立場に立ったと受け取ったのですが、それでいいでしょうか。
○高西女性青少年部長 施策の具体的項目につきましては、社会情勢の変化に適切に対応するため、条例案では例示せず、行動計画で定めていくという立場に立っております。
○西田委員 社会情勢の変化に適切に対応するために、その時々の行動計画に入れていけばいいというお考えだということなんですけれども……。
次に進みますが、女性問題協議会の報告書では、どちらの方法をとるにせよ、報告書が指摘する事項を踏まえて、特に男女平等参画を推進するための、学校、地域、家庭等における教育、メディアにおける男女平等意識の形成、女性に対する暴力の根絶に向けた取り組みの推進、雇用の場における均等な取り扱いの推進、職業生活と地域、家庭生活の両立のための環境整備というのが盛り込まれるように要望するとされているわけです。こうした事項は、社会の情勢の変化にかかわらず、女性の人権問題を解決するために、それに向けた男女平等参画を促進するという点では、まさに長期の展望に立って考えましても、極めて大事な、基本的な事項だと考えるわけであります。
今、お話がありましたように、都の条例には都の施策の基本的事項も盛り込んだというふうにあるわけですが、私が見てみますと、情報の収集、分析とか普及広報、雇用の分野における男女平等参画の促進、こういうものがそれに該当すると考えられると思うのですが、これらも含めまして、行動計画には何を盛り込むのか、その基本的な事項として条例にきちんと位置づけてこそ、実効性のある条例とすることができるのではないかと考えるわけですけれども、いかがでしょうか。
○高西女性青少年部長 行動計画を策定する際には、条例の基本理念や趣旨を踏まえて、盛り込むべき内容について十分検討していくことで、実効性は確保されるものと考えております。
○西田委員 その点について、私はいささか疑問があるわけです。
私がなぜここにこだわるかという問題なんですが、基本条例が制定されても、行動計画において都の施策として具体化が図られなければ、結局、実効性という点で問題があるといわなければならないと思うからです。例えば、性別による権利侵害の禁止を規定いたしました第十四条二項に「何人も、あらゆる場において、セクシュアル・ハラスメントを行ってはならない。」このように書かれているわけであります。条文として掲げられているわけですが、ここには、都が何をするのかということは書き込まれていないんですね。まさに理念として掲げられているというふうに思います。
そこで伺いたいのですが、その第十四条二項に関連して、第十四条に関連してといった方がいいのかもしれませんが、今年度、その具体的な一つの施策として考えられる、重要な取り組みが行われたと思うんです。それは、男女平等に関する訴訟支援制度の試行、モデル実施ですが、そのことについて若干伺いたいわけであります。この仕組みはどのようなものか、お示しいただきたいと思います。
○高西女性青少年部長 都が昨年試行いたしました男女平等に関する訴訟支援の仕組みは、夫やパートナーからの暴力、セクシュアルハラスメント等を受けた者が、経済的な理由により、訴訟や調停などの法的解決を求めることが困難な場合に、訴訟費用等の一部を無利子で立てかえるものでございます。
○西田委員 要求資料に、この概要について載っているわけですけれども、昨年の八月二日から九月の三十日といいますから、まさに二カ月間、二百万円の貸し付けで九件という実績が上がっているわけであります。二カ月で二百万円で、九件の人が、いろいろな差別的な扱いを受けて、それに対して、お金がなくても訴訟に踏み切ることができた。これは大変すばらしいことだと思うんですね。しかも、これは貸し付けですからね、お金が返ってくるわけでしょう。例えば、裁判で勝利するめどが全くないというときに、これを貸し付けるということはないと思うんですね。展望があって貸し付けて、勝利すればお金が返ってくる、こういう制度のはずなんですね。私は、これは本当にすばらしい制度だと思っているわけです。
この仕組みを立ち上げることができたのは、法律扶助協会との話し合いなど、相当なご苦労が担当の皆さんにはあったのではないかと思うんです。どのような取り組みがなされて、どのような体制で具体化されてきたのか、伺いたいと思います。
○高西女性青少年部長 男女平等に関する訴訟支援制度の試行につきましては、財団法人法律扶助協会や関係機関などの意見を聞きながら、支援対象や貸付要件などを定めました。試行に際しましては、東京ウィメンズプラザを初め都の関係機関で相談を受け付けるとともに、法律扶助協会に特別相談窓口を設置し、体制を整備したものでございます。
○西田委員 今、法律扶助協会に特別相談窓口を設置して行ったというお話がございました。私も、これに関係する知り合いの弁護士さんにお話をお伺いしたわけですけれども、この都の取り組みを進めるために、男女平等の問題に取り組んできた弁護士さんたち五十人の方に登録していただいたそうですね。そして本格的にこの問題に取り組む体制ができたというんですね。ところが、その矢先に、来年度予算の査定で、千二百万円ですが、これがばっさり削られたということで、本当にどうしてくれるのよっていわれたわけなんです。男女平等参画基本条例ができると喜んでいたのに、実際には、それと同時に、こうした大事な施策が後退する、これではまさに実効性を伴わない理念条例ではないかといわれたわけですが、私も、そういわれても仕方がないなと思ったわけであります。
この訴訟支援制度について今後どうするおつもりなのか、伺いたいと思います。
○高西女性青少年部長 国の民事法律扶助制度につきましては、現在開会中の通常国会に、民事法律扶助法案が提出されております。また、国の来年度予算において、民事法律扶助に係る補助金が大幅に増額されました。こうした状況から、都の試行の趣旨は国の扶助制度に生かされるものと考えております。
○西田委員 都の施策としてはやるつもりはないというふうに聞こえてしまうわけですが、それは残念なことだと思います。国の予算が拡大される見通しが立ったといいましても、私も、ことしではありませんが、法律扶助協会に行きまして、お話を伺ったことがありますが、法律扶助協会では、今でも、サラ金だとか、もう本当に大変な事態で、予算をふやしてほしいといってもなかなかふやしてくれない、こういう事態がずっと続いてきたわけなんですね。とりわけセクハラ等の女性の問題については、それに精通した弁護士さん、この特別な体制が必要だということなんですね。だれでもかかわれる問題ではない。だから特別相談窓口をつくったということだと思うんです。都の独自の男女平等に関する訴訟支援を位置づけてこそ、弁護士さんたちのそういう意欲も力もお出しいただけたのではないでしょうか。
同時に、私は、そのお話を伺いながら思いました。男女平等参画を促進する施策を進める場合、東京都は、こうした専門家などのボランティアの力を大いに活用していくべきではないか、このように思った次第であります。これは今後に生かしていただきたいと思っております。
もう一つ、この実効性の問題の話なんですが、第九条の情報の収集及び分析とか、第十条の普及広報の条項があります。これは、施策の基本としてのせられているということなんですけれども、ここに、男女平等参画に関する情報の提供というのがありませんので、私が今申し上げることがどちらに入るのかがわからないんですけれども、昨年度まで、実はこういうのが出されていましたよね。(資料を示す)これは古いものなんですが、区市町村の女性関係施策推進状況調査、今ならば区市町村の男女平等参画施策に関する調査ってなるんでしょうか、こういうのがちゃんと冊子で出されていたわけであります。これは、区市町村が男女平等参画の施策を進めるために非常に参考になって、喜ばれてきたものなんですね。私の江戸川区もいろいろなことで有名なんですけれども、進んだところもあれば、男女平等施策なんていうのはかなりおくれておりましたが、こういうものを通じて、各区市町村がどのような施策を行っているのかということも恐らく学びながら、ようやく女性のセンターができたという段階になっているわけです。
こういうものは、毎年継続的に発行してこそ意味があるものだと思います。ところが、今年度はそれを冊子にする予算がつかなかったということで、コピーをして配られたというんですね。私も念のためにいただきましたけれども、(資料を示す)こういうふうなコピーで配られたということであります。しかも、これは毎年七月とか八月とか、そういう時期に出されていたんですよね。ところが、ことしは、そういうわけで、そういう時期には出せない。これは、ことしになって出されたんじゃないですか、二月か三月かね。各区市町村の議会が始まるというので、恐らくいろいろな要求が議員さんからもあったんだと思うんです。江戸川区でも、ことしはこれがないので、全部、担当の課長さんが電話をかけて調べたということがいわれておりました。もう本当に大変だった、どうしてこういうのを東京都が早く出してくれないんですか、こういうふうにいわれました。
結局、こういうことも、情報の収集、分析というのはあっても、提供ということがない、だから、この予算が削られてしまうということになるのではないかと思うわけであります。こういう中でも、皆さんがコピーをとって渡したというのは、私は本当に評価をするわけですが、いよいよこの条例を制定しようと取り組んでいるさなかに、こうした区市町村の男女平等施策推進にとって重要な情報を提供する大事な予算まで削られるというのでは、形だけの条例になってしまうのではないかと危惧するものであります。
国の男女共同参画社会基本法でも、第十一条に「政府は、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならない。」と、財政措置について明記しています。埼玉県の条例案でも、「県は、第一項に規定する施策を総合的に企画し、調整し、及び推進するために必要な体制を整備するとともに、財政上の措置等を講ずるように努めるものとする。」このように明記されているわけであります。都の条例案にこれは見当たらないんですけれども、これは、法や条例を実効性あるものにする上では欠かせない条項だと思うのですが、いかがでしょうか。
○高西女性青少年部長 本条例案第四条におきまして「都は、総合的な男女平等参画施策を策定し、及び実施する責務を有する。」と規定しております。このことから、男女平等参画促進のために必要な施策につきましては推進していかなければならないと考えております。
○西田委員 男女平等施策の策定と実施の責務を第四条で規定しているということなんですけれども、その実効性については、今、私が伺った二つの例だけを見ても、おぼつかないというのは明らかではないでしょうか。埼玉の条例案では、さっきもいいましたように、きちんと体制の整備と財政上の措置をうたっているわけであります。どちらが実効性あるものかというのは一目瞭然ではないでしょうか。
条例の実効性を担保する財政措置の問題が、今日の財政状況が困難だからといって、二十一世紀に向かって築いていく男女平等参画社会を目指す条例に盛り込まれないというのは、大きな問題だと思います。もちろん、所管局である生文局の皆さんがそう考えていることではないと思いますが、財政難というなら、一度に大きな施策まで行わなくとも、先ほどいったような、弁護士さんたちがボランティアでやってくれるような活動も大いに活用した、わずか千二百万円でできる訴訟支援の例など、少しずつ具体化していくことは、その気になれば十分できることではないでしょうか。しかし、どんな少額でも財政措置の伴う新規事業はだめというのでは、条例ができても何も始まらない、こういわれても仕方がないと思います。
私は、そういう意味で、財政措置という文言を盛り込めないというのであれば、少なくとも男女平等参画の推進のための施策の具体化となる行動計画で必ず盛り込むべき基本的な事項について、しっかりと条例に明記しておく必要があると思いますが、いかがでしょうか。
○高西女性青少年部長 行動計画に盛り込むべき事項につきましては、条例案の基本理念や趣旨を踏まえて、十分に検討してまいります。
○西田委員 行動計画は、前文や目的、基本理念で掲げられたような、人権としての男女平等参画を実現していくためのものでなければならないと思います。行動計画に盛り込まれる中身が、その時々の情勢によって左右されたり、知事がかわったから、あるいは審議会委員がかわったから変化するというものでは困ると思います。私は、その点で、この条例の理念を都の施策として実現していくことをはっきりさせるために、行動計画に盛り込むべき事項について、この基本を条例に盛り込む修正を行ってみました。
行動計画について定めた第八条は「知事は、男女平等参画の促進に関する都の施策並びに都民及び事業者の取組を総合的かつ計画的に推進するための行動計画を策定するものとする。」となっているわけですが、一つは、この行動計画と条例との関係を明確にするため、二つには、行動計画に盛り込む基本事項を条例に位置づける、そういう二つの立場から、第八条の「男女平等参画の促進に関する」という文言を、このように変えてみます。「前文及び目的に掲げられた基本理念に基づき、以下の各号に掲げる」と改めまして、一から七の各号を加えました。
その一号は「第七条第一項の規定に基づく知事に対する都民及び事業者の行う申出に適切に対応するための機関」といたしました。この機関をどのようなものにするかは、今後、この条例により知事の附属機関とされる男女平等参画審議会で検討される行動計画の中で具体化されるものとして、この第一号に掲げました。
第二号は「第九条の規定による情報の収集及び分析」としました。
第三号は「第十条の規定による普及広報活動」としました。
第四号は「第十二条の規定による情報の提供その他必要な支援」といたしました。
第五号は「第十三条の規定による雇用の分野における男女平等参画の促進、状況の報告、公表及び助言等」といたしました。
この二号から五号までは、それぞれ都の施策として本基本条例に掲げられているものであります。
第六号は「第十四条の規定による性別による差別的取扱い、セクシャル・ハラスメント及び家庭内等における暴力的行為の禁止」といたします。
先ほど指摘いたしましたように、この点につきましてはまさに理念条項になっているわけで、これについてできる都の施策を明確にしていない、そういう条項でありますから、これについても行動計画の中で都の施策としてはっきりさせていく、こういうことに位置づけるということで、第六号といたしました。こうした条項を行動計画の中できちんと具体化されるべき内容として、縛りをかける必要があると考えたからであります。
最後の第七号は「前各号のほか男女平等参画の促進に必要な事項」といたしました。
これは、女性問題協議会の報告書で、先ほども述べましたように、メディアにおける男女平等意識の形成に関する事項や、男女平等参画を推進するための、学校、地域、家庭における教育、職業生活と地域、家庭生活の両立のための環境整備などは、男女平等参画社会を築いていく上で欠かせない基本的事項と考え、それぞれ列挙したいところですが、最小限の修正ということで、これらを含めて第七号の表現にとどめたものであります。
もっとほかの修正案というのも考えられるかもしれません。各会派の皆様には、後ほどご検討いただければ幸いだと思います。
これを紹介いたしまして、以上で私の質問を終わります。
○石川委員 私の方からも、今回上程されております東京都男女平等参画基本条例案につきまして若干お伺いさせていただきます。
この問題につきましては、東京都も、昭和五十三年から平成十年までの間に、四次にわたり東京都行動計画を策定し、計画期間と計画事業を定めて取り組んできたところであります。そこで、これまで、この課題はどのように進捗してきているのか、その認識と所見について伺いたいと思います。
○高西女性青少年部長 都はこれまで、行動計画を策定し、男女平等参画社会実現に向けた取り組みを進めてまいりました。この行動計画において、課題別に、方向性、目標等を明らかにし、年度ごとに進行管理を行い、都の審議会等における女性委員の任用率の向上や、女性に対する暴力実態調査の実施など、施策の計画的な推進を図ってまいりました。
○石川委員 今、過去四次にわたる行動計画の計画的な推進を図ってきたと、ご答弁がありました。東京都の行動計画がすべてではないと思いますが、行動計画が計画的に推進され、いわゆる男女平等あるいは女性問題というのが解決されてきたのであれば、なぜ今、二十一世紀を目前にして法律や条例がつくられなければならないのか、疑問になってくるわけであります。所見を伺います。
○高西女性青少年部長 都民や行政の長年の取り組みにより、男女平等は前進してきているものの、今なお、一方の性に偏った影響を及ぼす制度や慣行などが存在しております。また、本格的な少子高齢社会を迎え、東京が今後も活力ある都市として発展するためには、男女を問わず、一人一人にその個性と能力を十分に発揮する機会が確保されていることが重要でございます。このような状況から、国において法律が制定され、都においても男女平等参画社会の実現を目指し、条例を制定する必要があると考えております。
○石川委員 これまでの四次の行動計画の名称ですけれども、昭和五十三年が、婦人問題解決のための東京都行動計画、昭和五十八年の第二次が、東京都婦人問題解決のための新東京都行動計画、平成三年の第三次は、女性問題解決のための東京都行動計画、平成十年の第四次が、男女平等推進のための東京都行動計画、男女が平等に参画するまち東京プランというサブタイトルがついているわけであります。
これまでは、婦人問題の解決あるいは女性問題の解決、男女平等推進のため、今回は、新たに男女平等参画社会という名称に変わってきたわけですけれども、この辺の変遷について、また、なぜ今回新しい男女平等参画社会という定義になったのか、ご説明いただきたいと思います。
○高西女性青少年部長 行動計画の名称の変遷でございますけれども、今は女性といっておりますが、昔は婦人という名称が一般に呼びならわされておりまして、婦人問題というふうな言葉を使っておりましたけれども、正確な年代は今ちょっと記憶しておりませんが、婦人という名称にはやはり問題があるということで、女性という言葉を使うようになった次第でございます。
そして、現在の第四次の行動計画から、男女平等参画というふうなことを申し上げておりますし、また、今回の条例の名称も、男女平等参画基本条例という名称にしてございます。
これは、男女平等ということが今なお十分には達成されていないということから、平等という言葉を盛り込むということと、男女が対等な立場で社会のあらゆる分野に参画することが、これからの活力ある社会の発展のためには必要であるという観点から、平等参画と、参画という言葉をまた盛り込んだものでございます。そういうことから、男女平等参画社会の実現のために男女平等参画基本条例をご提案申し上げている次第でございます。
○石川委員 この問題は、これまで、男女の人権の尊重、また、個人の尊重と法の下の平等という視点、理念で問われがちでありましたけれども、こうしたいわゆる理念だけでは、せっかくつくった四次にわたる事業計画も思うようにはかどらない一因になっているのではないかと私は考えております。
実は今、社会全体の課題として、いわゆるバリアフリー社会を目指そうとか、循環型社会を目指そうとか、新しい社会の仕組みづくりというのが大きなテーマになっております。したがって、今後、この問題は、男女平等参画社会をつくるんだと、こういう視点が大事になってくるのではないかと私は思っております。昨年六月に成立した男女共同参画社会基本法、また、今回提案されている東京都男女平等参画基本条例案にも、その前文のところで、少子高齢社会の進展等が盛り込まれております。したがって、男女平等参画社会は、もう必然的、時代的要請だと私はとらえております。
そこで、今回の条例案の周知、普及啓発に当たりましては、このことを柱にして行うべきと考えますけれども、所見を伺っておきます。
○高西女性青少年部長 条例の普及啓発に当たりましては、ただいまご指摘をいただきましたように、本格的な少子高齢社会を迎え、東京が活力ある都市として発展するためには、男女平等参画社会を実現する必要があるという視点も踏まえてやることが重要であると考えております。
○石川委員 今、申し上げましたように、それぞれの分野で新しい社会の仕組みづくりが行われている。したがって、少子高齢社会が進行する中で、男女平等の視点に立った意識改革と社会制度の見直しが進展しない場合には、日本の社会あるいは東京の社会で、都民一人一人が負う負荷は非常に大きくなっていくのではないかと私は認識するんですけれども、局長、そうした社会をどのように予測されますでしょうか。
○今沢生活文化局長 ご質問の趣旨とは若干異なりますが、男女平等参画の視点に立った意識改革と社会制度の見直しが、進展しないのではなくて、した場合という観点から申し上げますと、この場合には、先ほどから部長が答弁しておりますが、男女を問わず一人一人が個性と能力を十分に発揮する機会が確保されることになりまして、二十一世紀にふさわしい、真に調和のとれた豊かな社会の形成が可能になるだろう、このように考えております。
○石川委員 今沢局長といたしましては、男女平等参画社会を何としてでも実現しなければならないというご決意のあらわれだろうと、私も思います。
そこで、女性問題協議会の基本的考え方の報告書にもありますけれども、現在、いわゆる男女平等社会をつくろう、あるいは東京都の行動計画を実現しようという組織体制は、どんな現状にあるんでしょうか。
○高西女性青少年部長 ご指摘のとおり、男女平等参画社会の実現のためには、関係各局が一体となって総合的に取り組むことが重要でございます。条例制定を機に、関係各局がこれまで以上に連携、協力を密にし、積極的に施策の推進を図ってまいります。
○石川委員 お伺いしますと、女性青少年部に女性計画課というのがありまして、ここの定数は九人だそうであります。これだけの組織で、今、二十一世紀を目前として目指さなければならない男女平等参画社会を実現するには、本当に執行体制が危惧されるわけであります。この報告書の中にも、各局にわたる施策を推進する体制を整えているが、基本理念を掲げるのみではなく、条例が定める男女平等参画を確実に実行していくため、全庁的な総合調整機能をさらに充実強化していく必要があるという報告が述べられているわけであります。国は、来年の省庁編成で、新たにこのための組織をつくると仄聞しておりますが、どういう組織でしょうか。
○高西女性青少年部長 国におきましては、現在、総理府の中に男女共同参画室というものを設けまして、全省庁にわたる総合調整を行っているところでございます。そのほかに、男女共同参画推進本部、本部長は内閣総理大臣で、全閣僚が本部員となっている推進本部を設けております。そのほかに、男女共同参画審議会という審議会を持っております。これが、省庁再編によりまして、内閣府の中に、局に相当する男女共同参画の総合調整機能が設置されるというふうに聞いております。
○石川委員 国においては、総理府の中に首相直結のいわゆる総合調整機関を設けるということであります。組織をどうするかということについては総務局が担当なんでしょうけれども、先ほども議論になっておりましたが、例えていえば、平成十年度の重点推進事業でありました男女平等に関する訴訟支援策が十二年度予算の中では盛り込まれていない、これが一つの例でありまして、今、生文局の方は、何とかしてそうした事業を実現する中で、この事業の推進を図りたいと、しかし、一方の局へ行きますと、財政が厳しいから、そうはいってもなんだよということでは、これから条例をつくって、まさに都庁挙げて新しい社会の仕組みづくりをするということを考えますと、現在の執行体制ではやっぱり不十分だといわざるを得ません。
そこで、この条例制定を機に、改めて全庁的な推進体制を整備すべきと考えますが、局はこれから、このことに対してどのような行動を起こされていくんでしょうか。
○高西女性青少年部長 具体的な組織再編等につきましては今後の課題でございますが、全庁的な総合調整機能を強化するために要望してまいりたいと考えております。
そのほかに、各局、団体等に総合的にわたり、横断的にわたることが多いものですから、それらの総合調整を図るための機関、会議等につきましても、設置を検討してまいりたいというふうに考えております。
○石川委員 やっぱり組織が大事ですから、都民の皆さんが、これで平等参画社会に東京も本腰を入れて取り組み始めたんだなと、こういう意識が芽生えるような、庁内の組織体制をぜひ整備していただきたいと思います。
それでは、条例の中身につきまして若干お伺いいたしますが、都民や事業者の取り組みをどのようなシステムで行動計画に盛り込むのか、その辺の考え方を教えてください。
○高西女性青少年部長 行動計画の策定に当たりましては、都民及び事業者の代表を含めた男女平等参画審議会における調査、審議の結果を踏まえるとともに、インターネットの活用等によりまして、広く都民及び事業者の意見を聴取し、行動計画に反映させたいと考えております。
○石川委員 次に、国の基本法では盛り込んでいなかった、雇用の分野における男女平等の促進、第十三条のイメージについてちょっとご説明してくれませんか。
○高西女性青少年部長 男女平等参画社会の実現のためには、雇用の分野における平等参画の促進が大変重要であるというふうに考えております。そこで十三条を設けたわけでございますが、これにつきましては、各事業者に報告を求めまして、その報告をもとにしまして状況を把握して、各事業者に理解をいただいて促進を図りますとともに、また有効な施策の検討に役立ててまいりたいというふうに考えております。
○石川委員 ここでは、一項で努力目標、二項で報告を求める、三項で公表する、そして四項で「第二項の報告に基づき、事業者に対し、助言等を行うことができる。」という流れになっているわけであります。しかし、この雇用という問題は、単に女性の雇用だけではなくて、例えば心身障害者の雇用についても、今、まさに障害者雇用促進法という法律を制定されて、法定雇用率まで定めて雇用促進を図っているわけでありますけれども、現実には、そうした法で雇用率という目標を掲げておりましても、例えば東京都内でありますと平均で一・二八%と、雇用率目標に対しまして、いまだ達成されていないという現況もあるわけであります。国の方では、今回、改正男女雇用機会均等法で、募集の際には男女の表示をしてはいけないと、こういう改正もなされましたけれども、現実に本年春の採用者につきましても、男性と女性を比べますと、圧倒的に女性の方々の雇用の決まらない率が高いという実態があるわけでありますね。
そうした中で、今回のいわゆる規定のみで、本当に男女の雇用、いわゆる平等参画が促進されるのか、実はこういう危惧を抱くわけでありますけれども、その辺についてご説明していただきたいと思います。
○高西女性青少年部長 都民及び事業者の取り組みを含めた行動計画の策定や積極的な普及広報活動、さらに、男女平等参画を促進する活動に対する情報提供などの支援を総合的に進めることにより、男女平等参画に対する社会的な機運を醸成し、あらゆる分野における男女平等参画の推進に努めてまいりたいと思います。
○石川委員 この十三条で大事なのは、第四項、要するに報告に基づいて事業者に対して知事が行う助言等、これが非常に重要になってくると思いますので、ぜひこのことを有効ならしめる施策の充実を図っていただきたいと思います。
それから、いわゆる性別による権利侵害の禁止規定を設けておりますけれども、残念ながら罰則規定は設けられておりません。そのため、どう実効性を確保し、また、そのための体制はどうなるのか、ご説明していただきたいと思います。
○高西女性青少年部長 条例案第十四条は、性別による差別的取り扱いやセクシュアルハラスメント等を禁止し、都民等に遵守を求めるものでございます。
また、これらの行為が人権侵害であり、男女平等参画を妨げるものであることを広く啓発し、都民等の理解を深めることで、その防止に大きな効果があると考えております。
このことに関しまして、都民等から申し出があった場合には、東京ウィメンズプラザを初め都の関係機関がこれまで以上に緊密な連携を持って、効果的に対応してまいりたいと考えております。
○石川委員 これの実効性が上がる体制、また、施策の積み重ねをお願い申し上げたいと思います。
いずれにいたしましても、冒頭にも申し上げましたが、この問題は、これまで理念とされておりました人権の平等あるいは法の下での個人の尊重と平等という理念、視点も大事でありますけれども、まさにこうした社会の実現なくして、東京の二十一世紀の活力ある都市の実現はないと思います。
そこで、最後に、局長に、男女平等参画社会建設のためのご決意を改めてお伺いして、質問を終わらせていただきます。
○今沢生活文化局長 先ほどもご答弁いたしましたけれども、男女を問わず一人一人が個性と能力を発揮する機会が確保されまして、男女が対等な立場で社会のあらゆる活動に参画し、また責任を分かち合う男女平等参画社会が実現されますことは、豊かで活力ある社会をつくるためにも非常に重要なことであるというふうに認識しております。
条例の制定を機といたしまして、我々を初め都民、また事業者が、男女平等参画の意義の重要性というものを改めて認識していただく、それとともに、社会全体の連携、協力のもと、男女平等参画社会の実現に向けて全力で取り組んでまいりたい、このように考えております。
○和田委員 東京都男女平等参画基本条例、五章十九条にわたる条例案が提案されておりますけれども、それにかかわって数点の質問をさせていただきます。
この条例提案に至るまでの道筋を考えますと、昭和五十三年の十一月に、婦人問題解決のための東京都行動計画、それをまず出されました。引き続いて五十八年一月には、女子差別摘発条約の採択、さらに日本国内の諸法律の改正、計画の期間終了を待たずに、平成二年度までの八カ年間を計画期間とする、婦人問題解決のための新東京都行動計画などが東京都で作成されております。その後、国際的には、女子差別撤廃条約の批准、ナイロビ将来戦略の採択、さらに新国内行動計画の策定など、次々と国内外で女性の立場の改善というものの取り組みがなされてきているわけであります。
こういう今日までの試みを踏まえて、平成十二年度までの十カ年を計画期間とした第三次行動計画、女性問題解決のための東京都行動計画、二十一世紀への男女平等推進東京プランを平成三年の三月に策定し、女性関係施策の具体的推進を着実に図ってきたところであります。まだまだこの事業の中には、計画だけでありまして、解決の緒についたものもないことも事実でありますけれども、しかし、北京宣言、行動綱領、さらに国の男女共同参画二〇〇〇年プランなどなど、二十一世紀を目前にした矢継ぎ早な施策が打ち出されてきているところであります。
東京都においても、しばしば出てまいりましたけれども、平成九年の十一月に東京都女性問題協議会の報告が出されまして、それを受けて、東京都の行動計画であります、男女が平等に参画するまち東京プラン、これでありますが、これが作成されて今日に来ているという経緯であります。
さて、今回提案されております東京都男女平等参画基本条例にかかわる問題でありますが、きょう席上に配布されました要求資料の八ページにも、北海道から宮城、埼玉、三重、山口と、五県にわたって、今日的にこの条例制定にかかわる自治体の状況が出ております。最近、一番同時刻に動いておりますのが埼玉県でありますけれども、今、私たちが審議をしているこの条例は、埼玉のものでもないし北海道のものでもない、あるいは三重のでも山口、宮城のものでもない、東京都における男女平等参画基本条例を決めようとしているわけでありますが、当局は、どうしても東京都として押さえていかなきゃならない特性といいましょうか、ポイントといいましょうか、それをどのように把握されて本条例案を提案されたのか、意図をお伺いいたします。
○高西女性青少年部長 東京の特性は、主として、政治、経済、メディア等の機能が集中しており、就業を初め多様な生き方を選択できる機会があることなどが挙げられます。条例案の策定に当たりましては、こうした東京の特性に配慮いたしまして、雇用の分野における男女平等参画の促進、あるいは、これは東京だけというわけではございませんけれども、男女平等がいまだ十分にはなされていないということを勘案しまして、名称に男女平等を盛り込む、あるいは、男女が対等な立場で社会のあらゆる分野に参画するということで、参画を盛り込むということで、男女平等参画基本条例としたことなどが東京都の特徴かと考えております。
○和田委員 暴力に対する実態の調査とか、あるいは名称における先駆的な意気込みというのはよく理解できるわけでありますが、後に触れますけれども、まだまだ未成熟な部分があると思うんです。それにつきましても、寄り寄りしっかりと検討していただきたいと思います。
それから、ここに男女共同参画社会基本法を持ってきておりますが、その中で、地方公共団体の責務というのがあります。そこには「地方公共団体は、基本理念にのっとり、男女共同参画社会の形成の促進に関し、国の施策に準じた施策及びその他のその地方公共団体の区域の特性に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。」と書いてあります。しっかりとここに区域の特性となっておりますから、さきに私が触れた問題とも重複しますけれども、東京という区域をどう特性づけてこの条例をつくろうとするのか、また、その後の運用をどうしようとしているのか、ここをしっかりとご説明いただきたいと思います。
○高西女性青少年部長 先ほど申し上げたことを繰り返すようになりますが、東京の特性は、やはり主として政治、経済、メディア等の機能が集中しており、就業を初め多様な生き方を選択できる機会が多いことなどが挙げられるというふうに考えております。
今後、施策の展開に当たりましては、さらに東京の特性について十分に把握し、その充実に努めてまいりたいと考えております。
○和田委員 東京の特性というのは、人口とすれば、大ざっぱに見て全国の一割とか、情報産業については九九%以上が集まっている。しこうして、女性の労働力も東京都に数多く集まっている。青少年も集まっている。さきに出た体の不自由な方も集まっている。圧倒的に情報と人間のるつぼが東京になっているわけであります。したがって、さきに申し上げた北海道や宮城とも違う、東京都独自の条例がそこで輝いてくるだろうと思うわけでありまして、ひとり生活文化局の情報だけではなくて、場合によっては、労働経済とか、さらには教育庁とか、多方面の情報をしっかり集めて、東京の特性をしっかり認識した上で、区域の特性づけをお願いしたいというふうに思っているわけでありますので、この点についてはぜひともお願いいたしたいと思うんです。
次は、差別の問題についてお伺いいたします。
国の方では、男女共同参画社会基本法の三条に「男女共同参画社会の形成は、男女の個人としての尊厳が重んぜられること、男女が性別による差別的取扱いを受けないこと、男女が個人として能力を発揮する機会が確保されることその他の男女の人権が尊重されることを旨として、行われなければならない。」このように数項目にわたってきちっと区分けをしながら、差別を規定して明記しているわけであります。
ところが、東京都の基本条例を見ましても、もとより、直接も間接も含め、性差別という言葉が私の目には届きません。直接、間接の差別なんですが、どの条項をどういうふうに読み分けていったら、今、国が定めている三条のもろもろの男女共同参画社会における差別といいましょうか、直接、間接の差別の条項と東京都の条例案を突き合わせてみますと、どういうふうに符合するんでしょうか。
○高西女性青少年部長 条例案第十四条には「何人も、あらゆる場において、性別による差別的取扱いをしてはならない。」というふうに規定しております。この性別による差別的取り扱いには、明確な差別的な意図がはっきりしない場合にも、種々の状況から差別を容認したとの推認が行われる場合については、含まれるものと考えております。
○和田委員 今、説明を受けて、さっきの石川委員と同じなんですが、国の基本法と東京都の基本条例を読み分けて、つなぎ合わせると、初めて、なるほどそうなのかというのが類推できるんですが、なぜなぜ、ここでそのように、私どもの質問がなければ理解できないような間接的な表現にならざるを得なかったんでしょうか。
○高西女性青少年部長 国におきましても、間接差別という用語は使用しておりません。私どもの条例案第十四条におきましても、あらゆる場における性別による差別的な取り扱いを禁止するということで、これで包括的に含まれているというふうに考えております。
○和田委員 文言は確かにないんですが、規定そのものが国の方にはのってましたものですから、そのように、より親切な表現の仕方は、国の方が好ましいのかなという意味で、対比的に申し上げました。
さて、次に参りますが、東京都のこの基本条例では、男女平等参画の促進に関する施策に積極的改善措置が規定されております。規定はされているんでありますけれども、これを東京都自身の決定機関へどのように実践されようとしているのか、また、されようとする意図があるのかをお伺いいたします。
○高西女性青少年部長 東京都におきましては、審議会等における女性委員につきまして、目標を定めまして積極的な任用に努めているところでございます。
また、職員につきましては、採用及び昇任の機会が性別を問わずに平等に確保されており、管理職全体に占める女性の割合も徐々に増加してきているところでございます。
○和田委員 二条二号に積極的改善措置というのが書かれています。今、部長がご答弁されたとおり、雰囲気とすると、女性がだんだんふえてきているな、改善されているなと思うのでありますが、具体的に、目標も含めて、今日どういう数字をお考えになっていらっしゃるんでしょうか。
○高西女性青少年部長 都におきましては、審議会等の女性委員の任用率を、平成十二年度末までに三〇%以上とすることを目標といたしまして、任用計画の策定や女性有識者名簿の整備を行うなど、積極的な登用を図っているところでございます。
○和田委員 三〇%を目標というのでありますが、今、私、委員会に入って、席に座っている説明員の皆さん方の数を勘定しました。五十人ぐらいいますね。そのうち女性は九人ですよ。それが雇用の平等化というか、それに当たるものかどうかは別にしましても、五十分の九、今の時点でも、その場に座る説明員の方々の数は、男性四十一人、女性九人、そういうバランスである。これを将来は、すぐそのままとはいいませんけれども、いろいろなところで切ったところ、審議会も含め、女性の進出を三割にしたいという目標、これは大事なことだと思いますので、具体的なそういう成果が出るまで、根気強く登用をお願いいたしたいと思います。
次に参りますが、言葉の意味なんです。
これは、さきの直接、間接差別の問題と同じなんですが、事業者というふうに条例では書かれています。事業者とはどんな団体なのか、個人なのか、どういう規定なのかということを改めてお伺いいたします。
○高西女性青少年部長 事業者とは、営利、非営利を問わず、事業を行う法人または個人を指しております。
○和田委員 事業者というのもわかりにくいんですが、要するに仕事をする法人、個人を問わずに全部入るわけですね。都立の病院もそうだし、公立、私立を問わずに、NPOも含め、全部入るわけですよね。ですから、事業というのは、英語ではエンタープライズなんでしょうけれども、もう少しやわらかく、日用的な普通用語で表現できれば――事業というと、何か会社だけなのかな、営利企業だけなのかなと考えがちなのが普通だろうと思うんです。ですから、わかりやすい条例を考えるとするならば、私自身、少し理解がいかなかった点もありますので、感想だけを申し上げておきますが、事業者というのは、あらゆる法人、個人を含みますよというようなことで理解させていただきたいと思います。
それから、事業者の責務なんですけれども、それも努力義務になって、さきにも出ましたけれども、ペナルティーはありません。基本条例ということで大きく譲ったところもあるのかもしれませんが、全体的に、この十九条全部を通読してみましても、何か精神条例というか、精神的な、そういう気がしてなりません。それが基本条例の一つの限界なのかもしれませんが、もしも事業者が違反した場合、東京都としてはどういう対策を練ろうとされているのか、お伺いいたしたいと思います。
○高西女性青少年部長 事業者に対しましては、普及広報や行動計画などを通じまして、男女平等参画の促進について働きかけてまいります。
また、条例案第十三条には、雇用の分野における参画状況について報告を求めるとともに、事業者に対して助言を行うことができると規定しておりまして、この規定を活用してまいりたいというふうに考えております。
○和田委員 確かに助言等となっていますから、助言にもいろいろあるのかなと思っておりますので、その助言等の等というところの注目も含め、今ご答弁のところを私も理解させていただきたいと思うんです。
事業者にかかわる次の質問なのですが、雇用の分野における男女平等参画の促進というところの中で、事業者に対して、責務を有するというふうになっています。この雇用分野以外での状況把握や助言などはどういうふうな手法でやろうとされているのか、お答えいただきたいと思います。
○高西女性青少年部長 雇用の分野以外での男女平等参画の促進につきましては、都民等の申し出や、都や関係機関が行う各種調査などを通じまして状況を把握し、情報の提供など適切な対応に努めてまいりたいと考えております。
○和田委員 これも生活文化局だけではもちろんできないことでありますから、場合によっては警視庁になるのかもわかりませんし、地元市区町村の役場になるかもしれませんが、そういう幅広いニュースが、こだわりなく、偏らずに入ってこられるような、そういう環境づくりをぜひ要望しておきたいと思います。
それから、国の方の基本法では、十二条の一項に「政府は、毎年、国会に、男女共同参画社会の形成の状況及び政府が講じた男女共同参画社会の形成の促進に関する施策についての報告を提出しなければならない。」二項に「政府は、毎年、前項の報告に係る男女共同参画社会の形成の状況を考慮して講じようとする男女共同参画社会の形成の促進に関する施策を明らかにした文書を作成し、これを国会に提出しなければならない。」ならない、ならないで、国会に報告なり提出をするというふうに、こちらの方ではなっています。東京都の方は、もとよりこの条文には、そのような、ならないというような説明も報告もないわけでございますけれども、国の基本法と東京都の条例の差異をどのように考えたらよろしいでしょうか。
○高西女性青少年部長 東京都におきましては、条例案第十一条に基づきまして、男女平等参画の状況あるいは男女平等参画施策の実施状況等につきまして、年次報告を作成し、広報紙等により、広く都民に公表していきたいというふうに考えております。
○和田委員 そのお答えはわかったんですが、今、私が読み合わせた、国では国会に報告しなければならない、あるいは国会に報告を提出しなければならないというようなことになっているんで、東京都のさきのお答えはわかるんですが、国と東京都の差異がなぜ出ちゃったのか、ご本人の見解だけでも結構ですが、お答えいただけますか。
○高西女性青少年部長 国の方の考え方につきましては、寡聞で必ずしもよく承知はしておりませんけれども、東京都におきましては、こういうふうな報告等をつくった場合には、もちろん、議会を初めとしまして都民の皆様方に広く公表することが通例になっているかというふうに考えております。
○和田委員 国は、法改正をして――法改正というのは雇用機会均等法のところでありますが、それを受けて、また基本法も大きく変わっています。厳しくなっていますが、これは後ほど触れます。
次に、苦情処理機関についてお願いしたいんです。
ここには、具体的な苦情処理機関が出ておりませんけれども、どういうふうな苦情処理機関があるのか、また、均等法で個別に禁止されている場合、専門知識がないとなかなか相談にも応じられないのかなと思うのでありますが、この点についてはどのようにお考えになっているんでしょうか。
○高西女性青少年部長 男女平等参画を阻害すると認められる申し出は、雇用や福祉など幅広い分野にわたって寄せられるものと予想しております。これらの申し出につきましては、東京ウィメンズプラザあるいは労政事務所等、都の関係機関がそれぞれの専門分野に応じて適切に対応を図ってまいりたいと考えております。
○和田委員 さきにちょっと申し上げた、男女が平等に参画するまち東京プランの一九ページに、東京ウィメンズプラザ六つの機能というのがあります。そこには、一番初めに広場機能、情報の収集、提供機能、研修、普及機能、活動支援、交流機能、相談機能、最後に調査研究機能、六つの機能が書かれています。これは、それぞれ等値に、同じ大きさで書かれているわけでありますが、今までお話をしてくると、苦情処理などについては、ウィメンズプラザ六つの機能のうち、相談機能が重くなっていくのかな、広がるのかなという気がいたします。というのも、禁止があっても、それを罰するところがなかったわけでありますから、当然、苦情なり相談事はウィメンズプラザの方に集まる。したがって、六つの機能が六等分のものではなくて、それなりに人的にも組織的にもウィメンズプラザの相談機能を拡充していく、充実しておくということが大事だろうと私は思いますので、後に今沢局長の方から、この点についての最終的なご回答をいただきたいと思います。
私は、ここにも持ってきましたが、男女雇用機会均等法の平成十一年四月改正のものと改正前のものとが、どれほど厳しいかということを、さきに触れましたから、ちょっとご紹介申し上げたいと思うんです。改正前のものの二十六条ではこうなっています。「事業主は、その雇用する女性労働者が母子保健法の規定による保健指導又は健康診査を受けるために必要な時間を確保することができるような配慮をするように努めなければならない。」改正前はこうなっていました。しかし、十一年に改正された条文は変わっています。二十二条ですが、こうなっています。主語は同じです。「事業主は、労働省令で定めるところにより、その雇用する女性労働者が母子保健法の規定による保健指導又は健康診査を受けるために必要な時間を確保することができるようにしなければならない。」前は「できるような配慮をするように努めなければならない。」という規定でありましたが、今回は、「必要な時間を確保することができるようにしなければならない。」とはっきり、十一年改正の機会均等法は、女性労働者の母子保健法にかかわる規定を明確に位置づけている。努めなければならないというあいまいなものじゃなくて、ねばならないの義務規定にしているということを申し上げたいし、そのことを受けて、苦情処理機関を充実し、拡大し、答えをしっかり出さなければいけないのかなということを申し上げたいと思っております。この点については、最終的にで結構でありますから、今沢局長のご答弁をいただきたいと思うんです。
次に行きます。男女平等参画の促進は、東京都だけではやっぱり限界があるだろう、労働というのは動くわけでありますし、もちろん住みかえるわけでありますし、転業するわけでありますから。そこで、地域、すなわち区市町村にも東京都と類似の条例をつくって、都も区も、市区町村挙げてこの種の問題に積極的に力を入れていく必要があるだろうと思うのでありますが、東京都は、みずからの条例の制定を受けて――間もなく制定されますけれども、どういうふうなお考えを、市区町村の自治体に持っていらっしゃるでしょうか。
○高西女性青少年部長 都は、条例案第四条第二項に定めるとおり、区市町村と相互に連携、協力に努め、都全域における男女平等参画施策の推進を図ってまいります。
また、区市町村の条例制定に必要な情報の積極的な提供などにも努めてまいりたいと考えております。
○和田委員 くどいんですが、さきにもお示しした男女が平等に参画するまち東京プランというものが、東京都ではもう既に十年の十一月発行という形で出ています。それから二年後に、今度条例が制定される。どちらかというと条例の方が後追いになってはいるんですけれども、条例とプランがここでおおむね合体する形になりました。
そこでお尋ねするのでありますが、このプランと、今、審議をしている条例との関係、これを重ね合わせた場合に、強化されるプラン、あるいは強調される計画というのは、どんなものがあるでしょうか。
○高西女性青少年部長 本条例制定によりまして、現在のプランを見直し、都の施策並びに都民及び事業者の取り組みを盛り込んだ行動計画を策定することとなります。新たに策定される行動計画は、男女平等参画社会の実現という本条例の趣旨、目的が十分生かされる内容にしていきたいというふうに考えております。
○和田委員 まさにプランはプランでありますから、条例に沿った形のプランをもう一回つくり直すという積極的な姿勢を評価させていただきたいと思います。
最後に、今沢局長にお尋ねするんですが、今、積み残した苦情処理機能の拡充の問題、ウィメンズプラザになるか、ほかかわかりませんが、それも含めて、全体的に今の議論をお聞きになった感想も含めて、お答えいただければと思います。
○今沢生活文化局長 今度の条例の制定に当たりましては、正直申し上げて、全国に先駆けて検討に入ったものですから、いろいろ検討をいたしました。その中で、都民からの苦情等についてどのような形で受けとめていくかということについても、場合によっては専門の組織が要るのかどうかということを含めていろいろ検討したわけでございますが、結果的には、ウィメンズプラザを初めといたしまして、もろもろの各局のそういう対応の場所がございます。とりあえずそこでまずはやってみて、将来的にその結果がどういうことになるかということによりまして検討しても遅くないんじゃないかということで、条例の施行に合わせまして、関係各局連携のもとに、相談の受けとめ体制と申しますか、そういうことについてはきめ細かくやってまいりたいと考えております。
○和田委員 終わります。
○島田委員 関連で、疑問に思ったことを簡単にお伺いしたいんですけれども、教育現場で、例えば女性の教諭が七割、男子の教諭が三割。発達段階における教育というものを考えた場合には、男女五〇%、五〇%でもいいのではないかという町中での議論があるんですけれども、例えば任用の段階で、男女共同参画をするという中で、こういう点はどういうふうに理解したら――これは通告してませんが、理念的にこれをどういうふうに、現実的なあり方として、現場でどうあるべきかということが、これから、ある一面では議論になっていくような気がしてならないんですけれども、この点はどういうふうに理解したらいいんでしょうか。
○高西女性青少年部長 教育の分野に関しましては、必ずしも私はよくわかりません。小学生等に対しまして男性教員あるいは女性教員、どういう割合が適切かということに関しましては、必ずしもよく承知をいたしておりません。ただ、社会のあらゆる分野におきまして男女が対等な立場で対等に参画していくということが大変重要であろうかと考えておりまして、教育におきましても例外ではないというふうには感じております。
○植木委員長 この際、議事の都合により十分間休憩いたします。
午後三時十三分休憩
午後三時二十五分開議
○植木委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○大河原委員 私も、男女平等参画基本条例について少し伺っていきたいと思います。
世界では、国際婦人年世界会議以降、男女の平等と女性の人権確立のためのさまざまな取り組みがなされてまいりました。女子差別撤廃条約の採択、国連で女性に対する暴力撤廃宣言を全会一致で採択したこと、また、北京会議で採択された行動綱領でも、女性に対する暴力が重大な問題領域の一つとして位置づけられ、今回の東京都の条例では、国に先駆けてこの部分が、ドメスチックバイオレンス禁止、こういったことが入っていくということで、大変に期待をしておりました。ただ、やはり今までの質疑の中身を聞いていましても、これまでの女問協の答申から推測していた、期待していた部分と比べますと、少し拍子抜けというか、がっかりというか、そういう気がしております。
初めに伺いますが、第十四条で規定されている性別による権利侵害の禁止事項、この実効性をどのように担保されるのか、もう一度伺いたいと思います。
○高西女性青少年部長 条例案第十四条は、性別による差別的取り扱いやセクシュアルハラスメント等を禁止し、都民等に遵守を求めるものでございます。
また、これらの行為が人権侵害であり、男女平等参画を妨げるものであることを広く啓発し、都民等の理解を深めることで、その防止に大きな効果があると考えております。
○大河原委員 この十四条、罰則の規定もないわけなんですけれども、これは、第七条の都民等の申出、この中に入っているんでしょうか。
○高西女性青少年部長 条例案第七条は、都民及び事業者は、男女平等参画を阻害する、または必要と認められることがあるときは、知事に申し出ることができると規定しております。性別による権利侵害につきましても、男女平等参画を阻害すると都民等が判断した場合には、申し出ることができます。
○大河原委員 消費生活条例の中に申し出制度がありまして、私たちは、この条例を使うというときには、都民がいかにアクセスしやすいか、条例を使いこなせるかというところで議論をしてきた経緯もありますが、この申し出を受けとめる機関として、男女平等参画審議会、これが可能なのかどうか、また、その受けとめる機関は、是正やその他の措置をとるような勧告ができるような、そういう権限を持つのかどうか、その点についてはどうでしょうか。
○高西女性青少年部長 男女平等参画に関する申し出は、雇用や福祉など幅広い分野にわたって寄せられるものと予想しております。これらにつきましては、東京ウィメンズプラザを初め都の関係機関で受けとめることになります。これらの機関は、勧告などの法的権限を持つものではございませんが、これまで以上に相互に緊密な連携を持って、効果的に対応してまいります。
○大河原委員 先ほど和田委員の質疑の中にも出てきたんですけれども、この東京都の条例は、雇用分野における男女平等参画を目指すということで、大変画期的だと思います。私も何度かの質問の中で、東京という地域の特性、特に雇用の場面では、女性労働、それも正規労働ではないパートの労働者が多いこと、そして、近年、個別的な紛争になりますけれども、パートの労働者が厳しい状況に置かれていることが明らかになってきているんですね。その点で、やはり大きな権限を持った、そして、受けとめをきちんとできる機関が今、期待されているところだと思うんです。この点については、今後、一カ所で何もかもが解決するとは思いませんけれども、各専門家の連携といいながらも、わかりやすい仕組みとしてつくっていく必要があるんじゃないかと思います。
先ほどウィメンズプラザの問題が出てきましたけれども、やはり男女平等参画基本条例をつくったからには、もう一度ウィメンズプラザを拠点施設として確立していくこと、女性センターのセンター・オブ・センターだというふうにいっているわけですから、その機能の拡充については、まさしく進めていく局面に来たというふうに思っています。
次に、メディアなどによる古典的な役割分業の増長や性の商品化などが大変大きな問題になっています。このような問題は、本条例の中では、問題解決に向かってどのように反映されているんでしょうか。
○高西女性青少年部長 条例案におきましては、第六条で、事業者の責務として、「その事業活動に関し、男女平等参画の促進に努めなければならない。」と規定しております。事業者には当然メディア関連事業者も含まれておりまして、ご指摘のような男女平等参画を阻害すると思われるような行為は行わないように努める責務があると考えております。
○大河原委員 実際に東京都も膨大な量の広報を行っております。広報紙やポスターなども作成しているわけですけれども、生活文化局が、各局が発行しているこれらの広報について、男女平等の視点から、毎年、実態調査をしてきています。その結果と今後の対策についてお尋ねいたします。
○高西女性青少年部長 都は、男女平等の視点に立った広報紙等の作成を推進するため、定期的に各局の広報紙等の調査を行っているところでございます。平成十年九月、十月の二カ月間に発行された広報紙等百七十六点について見ますと、明らかに差別的と思われる表現は見受けられませんでした。
今後とも引き続き、男女平等の視点に立った広報紙等の作成推進に努めてまいります。
○大河原委員 男女平等施策推進会議っていいましたっけ、知事が委員長になる会議、石原知事になられてから、実は一度も開かれていないんじゃないでしょうか。男女平等参画基本条例ができると、すごく期待が大きい中で、実際に、じゃあ東京都がどんなことをしていくのか、期待はやっぱり首長なり、あるいは各局のトップの姿勢にもかかわってくるというふうに思っています。本当は、この男女平等問題は、危機突破プランの中に絶対に入れた方がいい施策だ、その方がもっと東京が再生する、女性の元気、そして男性の元気につながっているんだというふうに私は確信をしております。
東京都の中で、この男女平等施策を進めるに当たっては、生活者ネットワークは、ぜひ東京都に女性局を設置しろ、そういうような形で提案をしてきているわけなんですけれども、今後この条例を育てていくために、ぜひとも生活文化局の全員の力を発揮していただきたいと思っています。
女性施策の総合的な展開と何度も書いてあるわけなんですけれども、やはりこれまでなかなか進まなかった中には、各局の対応がばらばら、そして、かじ取り役がいない、おしりを押す人がいないということがあったと思うんですね。生活文化局というのは、その名のとおり東京都民の生活、そして文化というところでは、大変に大きな役割を果たす局だと私は確信し、信じ、期待もしております。東京都民の自治といいますか、そうした政治、文化にもつながるのが、私はこの生活文化局だというふうに思います。そして、この男女平等というのを国際水準で達成する、そのときには、このよき伝統をバックに、都民の声がまさしくついているんだという確信を持って、将来世代につなげていってほしいと思うんです。
最後に、局長の、先ほども何度かお答えがありましたけれども、生活文化局がこういったことをしていく、その生活文化局の将来にわたるような思いをお聞かせいただきたいと思います。
○今沢生活文化局長 男女平等に関する施策は、都としても何もやってこなかったわけじゃありませんで、関係局が一体となって一応やってきたというふうに思っております。しかしながら、本条例が制定されることによりまして、男女平等参画社会を実現するための施策がなお一層充実されるというふうに私は考えております。条例の目的の達成に向けまして、生活文化局が当然中心になりまして、関係各局がこれまで以上に連携、また協力を密にいたしまして、積極的な施策の推進を図ってまいりたいと、こう考えております。
それから、生活文化局としての施策の推進に当たっての心構え的なご質問がございましたけれども、新世紀、二十一世紀に向けまして、豊かで活力のある東京を実現していく上で、文化行政でありますとか、あるいは都市外交、女性、青少年に対する施策あるいは消費者行政と、さまざまな施策を生活文化局は展開しておりますが、これを積極的に推進することが当局の役割であるというふうに思っております。これらの施策は、また、都政における重要課題であるという認識を持っております。
今後とも、このような施策の充実に向けまして、時代を先取りしたような形の施策展開を図って、全力を挙げて取り組んでまいりたいと、このように考えております。
○井口委員 予算関係を通して質問させていただきます。
それは、姉妹・友好都市との交流事業についてでございますが、これまで、都と議会は、車の両輪のように提携して、いろいろな提携事業を行ってまいりました。平成十二年度の予算を見ますと、大幅に減っているという感じがいたします。生活文化局所管の都市提携事業の金額、ひとまずそこのところをお聞かせいただきたいと思います。
○川島国際部長 平成十二年度の生活文化局所管にかかわります都市提携事業費は、二億一千百五十万八千円でございまして、内容は、連絡調整、北京やソウル、ジャカルタ特別市との交流事業でございます。
○井口委員 もう一つ、私がこれからお聞きしようとすることの続きになりますが、新たにアジア大都市ネットワークという関係で経費が上がってきているということがあります。これは今までの提携事業とは全く性格が違うのか、それとも、このことによって次の目標、ねらいを新たにつくり出していくのか、その辺のことをもっと聞かせてもらいたいと思いますが、どうでしょうか。
○川島国際部長 理事ご指摘のように、平成十二年度は、都市提携事業費とは別に、新たにアジア大都市ネットワークの設立にかかわります経費三千五百万円を計上しております。これは、姉妹都市提携事業の従来の枠組みを生かしながら、実は十二年度に予備会議を実施しようというための経費でございまして、性格的には若干異なる経費というふうに私ども理解しております。
○井口委員 その次になりますが、これまで提携されてきた各大都市との関係の節目には、それぞれ周年事業などを行ってきました。それによって、我々も交流があったし、あらゆる面の勉強の機会もありましたし、行ったり来たりの訪問関係もあった。そういう意味では、予算がないという時代だからかもしれませんが、我々が見聞を広めるというのは非常に大事なことで、特に東京などは、世界的な視野に立って取り組むということが非常に必要なことだと思います。私たちは、そういう意味で、年間の行事もそうでありますが、周年行事を特に重要視してきた。お互いの文化事業の発展もそういうところから生まれてきているというのが歴史なんですけれども、この点についてはどういうふうにお考えなんでしょうか。
○川島国際部長 平成十二年につきましては、昭和三十五年二月に結びましたニューヨーク市との提携四十年、それから、平成二年に結びましたサンパウロ州とカイロ県の二都市がそれぞれ十周年に当たっております。
まず、サンパウロ、カイロでございますが、相手都市の状況等によりまして、実は交流事業そのものの実施が大変難しい状況になっておりまして、今回、十周年にかかわります特段の計画はございません。
それから、ニューヨークでございますが、これは、都民、民間団体主催の周年事業を中心に行っていく計画でございまして、昨年の八月以来、ニューヨーク市といろいろな打ち合わせをしながら、実は、さまざまな事業が今、計画、構想中でございます。そうした事業につきましては、東京都の予算自体は若干不自由でございますが、国際交流財団等の助成金等を通じて、できる限り支援していきたいというふうに考えております。
○井口委員 民間中心型になっていくんでしょうけれども、できたら、そういうことについてもっとわかりやすい説明をしてもらえたらと思います。
それから、サンパウロ、カイロの相手の状況がなかなか難しい、こういうことなんですが、そういうのはどういう理由で、その都市の内情が難しいのか、東京との交流が難しいのか、その辺をお聞かせください。
○川島国際部長 まず、サンパウロ、カイロでございますが、私どもも若干似たような状況になりつつございますが、数年来、交流事業そのものについてご相談しようとすると、財政状況が大変厳しい中で、東京都との姉妹都市は大事にしたいけれども、具体的な事業を計画できる状況にないという回答が向こうの担当者からございまして、日常的な交流もさることながら、今回の十周年に当たっても計画ができないという状況でございます。
それから、理事ご指摘のニューヨークでございますが、実は幾つかのプログラムがございまして、ことしの五月でございますか、NPO団体でございますが、雪割草という団体がニューヨークに行って、国連等と共催をして第九を歌う会みたいな催しもございます。それ以外にも、NHKさん等もいろいろな事業を計画しているようでございますし、また、東京では、これは警視庁さんになろうかと思いますが、音楽会の中でニューヨークとの姉妹都市提携四十周年を記念したコンサート、それから、今まだ計画中でございますが、やはりニューヨークに行ってコンサートをするみたいな計画を構想中でございます。何とか私ども、いろいろな民間団体との協力、あるいはそうした団体との連携を図りながら、実現に向かってサポートしたいと考えております。
○井口委員 周年事業も難しくなってくる、こういう時代でございますけれども、東京は、今日、十ぐらいあったんでしょうか、毎年のように姉妹都市関係、友好都市関係をつくってきましたね。そういうものがここで大きく後退する、こういうことになりますと、東京の世界に対する影響も逆に寂しいものになってくる。世界から見る東京もそうでありますし、日本の立場からいっても、東京の存在も何か軽くなってくる。そういう意味では非常に悲しいことですね。何らかの道をもって、先ほどのように民間主体でやることもいいんでしょうけれども、こういうことは、一たん始めた以上は、ある程度の歴史、親戚じゃありませんが、よいつき合いをしていく。そして、その国のいいものを吸収していく。あるいはまた、こちらのいいものを向こうに発信していく。そういう意味では、これからも大事にやってもらう必要がある、こんなふうに思うんですが、これからどのような取り組みをしようとしているのか、その辺の見解をお聞かせください。
○川島国際部長 姉妹都市提携事業を含む国際事業についてのご心配をいただいて、ありがとうございます。
基本的には理事おっしゃるとおりでございまして、東京が今後とも国際社会の中で強い影響力を発揮し続けるためにも、姉妹・友好都市を含む世界の諸都市と交流を図ることは極めて重要であるというふうに考えております。厳しい財政状況等を踏まえつつ、今後は、いわゆる友好親善から実質重視の交流、協力へと転換し、限られた財源の中でより大きい効果を出すような事業展開を図っていきたいというふうに考えております。
もう一つ、どちらかというと今まで行政同士の交流が中心でございましたが、もう一つ幅広い、市民、NGO、NPOというような交流にどうやって役所がサポートできるかということもまた大変大事な課題だというふうに思っています。そうした意味で、もちろん予算は大事でございますが、予算だけではなくて、工夫をしながら、今後とも諸都市との交流を円滑あるいは効果的にしていきたいと考えております。
ありがとうございます。
○井口委員 意見として申し上げておきますが、アジア大都市ネットワークの設立というような新たな方向に踏み出すことも必要だと思いますが、都と議会が両輪となって長年にわたって築き上げてきた友好、協力関係を今後とも大切にしてもらいたい、これは都民の財産だ、友好のともしびを消さないようにしてもらいたい、こう申し上げておきます。
ここで、私たち、議場などでよく感じることは、知事は少し物事をはっきりいい過ぎるんじゃないかと、そして、自分の好きで気に入ったところはつき合うけれども、気に入らないところはどうも遠慮するというような雰囲気を、議場で我々もよく感じます。そういう意味では、表向きにそういうことがはっきりされていいのかどうか。東京都知事はもっと重みのある発言をしてもらいたい。私たちから見ると、ちょっと軽く感じやしないか。いわれた国も、全く縁がない都市ならいいけれども、ついこの間までよいつき合いをしてきたその大都市に向かって、そういうような悪い表現を使われるということは、私たち都議会議員としてもちょっと恥ずかしい。そんな意味では、今後は、たとえそのことが知事にとってよろしからぬことであったにしても、議場でそういうことをいい抜けるということは、私は慎んでもらいたい。このことをつけ加えておきます。
それから、男女平等参画基本条例、このことはよいし、今の時代のことですから、取り組むのはいいんですが、要求資料の中に、国連の児童の権利に関する委員会のことがちょっと載っていますが、何か男女、男女といって――子どもも男女ですけれども、このことに対して一生懸命やることもいいんですが、今日の時代、私たち悲しいことは、子どもの虐待ということが、ちまたで幾らもあります。我々にはちょっと想像できないんですけれども、この男女平等参画基本条例を基本にして、あるいは国の法律を基本にして、そういうことにも及ぶような働きができるということになればよろしいのでありますが、その辺のことについては、担当部長さんはいかがお考えでございましょうか。
○高西女性青少年部長 ただいまご提案しております条例案では、女性に対する暴力、家庭内における配偶者等に対する暴力、これを禁ずるというふうに規定しております。また、今、井口理事がお話しになりましたように、家庭内における暴力の中には、子どもに対する、いわゆる虐待というのも非常に多発しているというところがございまして、これにつきましては大変憂慮しているところでございます。
私どもが相談を受けます実態の中にも、暴力を受けた妻が、お子さんを連れて相談に見えるというふうなことも多々ございまして、これにつきましては、単に女性ということではなくて、子どもにつきましても大変関連がある事項だと考えてございまして、現在、庁内で関連の各局が集まりまして、暴力に対する連絡会というものを持ってございます。
来年度におきましては、これをさらに少し枠を広げまして、子どもに対する暴力、こういったことも関連性を解明したいというふうに考えてございます。
○井口委員 このことは、やっぱり日本の今日の全体的な世の中で、ちょっとおろそかにされている部分だろうと思うんですね。大人がいい生活をしている、衣食住、まあまあ足りるわけですから、いい生活をしている、そういう環境の中で、そして特に文化の高い状況の中で、幼児なんでしょうか、子どもを含んで、なぜそういうことにならなきゃならないかというのは、私は、東京は、そういう意味では一生懸命取り組んで、全国の県の見本になるような条例なり、そういうことに対応する活動なり、そういうものに早急に取り組んでもらいたい、このことは要求しておきます。
以上で終わります。
○くぼた委員 まず最初に、男女平等参画について、一点だけ確認させていただきたいと思います。
先ほど西田委員から、男女平等参画に関する訴訟支援の試行の予算が来年度から削られて、なくなってしまうという問題で質問いたしました。今後、この制度についてどうするのかという問いに対して、都の試行の趣旨は国の扶助制度に生かされるものと考えている、こういうふうにご答弁されました。
そこで、もう一度確認したいんですが、都として法律扶助協会に訴訟支援の協力を働きかけていくのかどうか、ぜひ明確にしていただきたいと思います。いかがでしょうか。
○高西女性青少年部長 先ほどお答えいたしましたように、都の訴訟支援の試行に際しましては、法律扶助協会におきまして特別相談窓口というものを設置していただきまして、具体的な相談あるいは支援に当たっていただいた経緯がございます。今回、東京都におきましては予算がございませんけれども、国の扶助制度が拡充されるということにつきまして、この特別相談窓口が活用されるよう要望してまいりたいと考えております。
○くぼた委員 ぜひそういうふうに都として要望していただきたいと思います。
それでは、予算、条例に関して幾つか伺いたいと思います。
まず最初に、写真美術館の問題について伺います。
写真美術館は、ご承知のように、世界的にも数少ない、写真、映像に関する美術館として設立されたわけです。我が国の中でも最初の本格的な写真の保存、それから、修復に関する設備を有する研究室がある。これは私も初めて知ったんですけれども、そういう施設であって、日本だけでなく国際的にも、写真、映像文化のセンター的な役割を果たし得る、いってみれば本当に都の誇るべき施設だと思うんですね。都は、そういった本来のコンセプトに基づいて、この美術館をどう充実発展させていくのか、写真、映像文化の拠点として、都民や専門家とともにどうこれを育てていくのかという大きな役割が期待されていると思うし、また、その責任を果たしていかなきゃならないと思うんです。
この写真美術館、東京都は管理運営を歴史文化財団に委託しているわけですけれども、ここでの展示は、地下一階で映像展、二階で企画展、三階で常設展が開催される。大きく分けると、映像展を含む常設展と企画展ということだと思うんですけれども、今回の条例の一部改定で、既に貸し出し施設である二階部分に加えて、三階を貸し出し施設にするということが出ております。
そこで、基本的なことについて何点か続けて伺いたいと思うんですが、どうして三階を貸し出し施設にするのかということでのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○松岡コミュニティ文化部長 ただいまお話がございましたように、写真美術館では現在、三階を常設展示室、また地下一階を映像展示室として通年使用しておりまして、二階の企画展示室を貸し出し施設としております。柔軟な施設利用を可能にするため、今回の条例改正を行うものでございまして、今後の運用に当たりましては、三階の展示室に新聞社と連携した集客性の高い展覧会を誘致し、他のフロアで実施する展覧会との相乗効果により、写真美術館の活性化を図ることといたしたいと思います。
また、二階では、館の収蔵作品の展示と、財団主催の企画展を行っていきたいと思います。
なお、先ほどお話がございましたように、現在のところ、地下一階と三階に、いわば私どもの常設ラインが分断しておりますが、今回の変更によりまして、地下と二階を連動させるというようなメリットもあろうかと思います。
○くぼた委員 ご答弁の中にもありましたけれども、もう一度確認させていただきますが、そうすると、これまで三階で行われていた常設展、それから、二階で行われていた企画展は、それぞれどういうふうになっていくんでしょうか。
○松岡コミュニティ文化部長 三階の部分につきましては、新聞社との共催等によりまして、より集客性の高い企画のものを外部から呼び込んでくる、二階の展示室におきましては、館の収蔵作品を中心に、テーマ性を重視した収蔵展及び財団主催の企画展を開催したいというふうに考えております。
○くぼた委員 結局、今までの常設展、企画展というのが、これまで行ってきたことに比べて規模が縮小するというふうにいっていいんでしょうか。
○松岡コミュニティ文化部長 写真美術館といたしましては、三階に、新聞社等の共催、後援による外部の企画を持ってくることで、より一層お客さんに来ていただけるということで、大変期待しております。二階部分で収蔵作品展と企画展を実施してまいりますので、単純比較でまいりますと、企画展の回数はトータルでは減る、ただし、外部の都民から見た場合については、三階部分で常時、写真にかかわる外部の企画が行われているということになろうかと思います。
○くぼた委員 今、お言葉の中にもありましたように、都のかかわっている部分は縮小するということなわけですね。
それでは、予算の面で見ると。それはどういうことになるのか。来年度予算では、予算書を見ると、常設展、企画展、それぞれ削減されているわけなんですが、それぞれ今年度と比べると、どのぐらいの削減になっているんでしょうか。
○松岡コミュニティ文化部長 常設展の経費につきましては委託料で措置しておりまして、企画展の経費につきましては補助金で措置しております。委託料は、平成十一年度、八億四千六百八十一万四千円、平成十二年度は七億一千四百五十七万一千円となっております。
委託料で行っている常設展、十年度から収蔵展と申しますが、会期日数は、平成十一年度は二百四十六日、十二年度は百六十一日となっております。
補助金でございますが、平成十一年度、二億五千二十万二千円でございますが、平成十二年度は九千九百五十四万円となっております。
補助金等で行っております企画展の会期日数でございますが、平成十一年度が百五十三日、十二年度は百五日となっております。
○くぼた委員 今のお答えをまとめてみますと、要するに常設展が約一億四千万円、来年度から減る。それから企画展が来年度から、補助金というんですか、これが約一億五千万減った。二億五千万から一億ですから、相当な減りようだと思うんですが、合わせて二億九千万の削減ということになるわけですね。金額でいうと、今年度、常設展と企画展、両方で十一億の予算があったわけですよね。それが来年度八億になってしまう。単純にいってしまえば、企画展を行ってきた分が丸々落っこちてしまった、削減されてしまったということになるわけですね。
それから、会期日数の点でも、常設展と企画展合わせて、今年度、両方で三百九十九日あったわけですけれども、それが二百六十六日となる。百三十三日も大幅に少なくなって、これも開催の日にちという点で見れば、今年度の常設展分しか開催しないということになると思うんですね。こういう状況に、都がかかわる展示が追い込まれたということだと思うんです。
実際に、来年度の開催計画を見ますと、そういった予算が削減されたので、二階で常設展と企画展、どちらか一方をやることになった。だから、結局、三階は年間を通して丸々あいちゃうんですね。だから、そういった意味では貸し出し施設にするしかない。そうなるような予算しかつけなかったから、やむなく今回条例を一部改定して、三階を貸し出し施設にしちゃうんだ。実態としてはそういうことだと私は思うんですね。
ここで、確認のために伺うんですが、展示貸し出しする場合、その内容は写真や映像に関するものに限るということができるんでしょうか。
○松岡コミュニティ文化部長 写真美術館の性格といたしまして、日本で唯一の写真、映像のセンター的な機能を持った施設であるということは間違いないんですが、一方で、幅広い芸術分野との連携というのが要求されているわけでございまして、これは、写真に限らず、芸術、文化、例えば美術とファッションだとか、いろいろなものを取り込んだ展開というのがあるわけですから、芸術を押さえながら、幅広い展開についても将来対応していく、そういう必要があろうかと考えております。
○くぼた委員 そのご答弁を聞いてますます不安になったんですね。世界に誇るべき映像と写真の施設としてつくられて、それが、三階を貸し出しすることによって、それ以外のことも――実際にも、知事の発言にもあるんですけれども、例えばファッションショーとかって知事はおっしゃっていますけれども、それ以外のことも三階でやられるようになるんじゃないかと、非常に不安なんですよね。
いずれにせよ、貸し出し施設という方向で考えていくとすれば、条例上、既に二階は貸し出し施設になっているわけですから、可能性として、二階も三階も外部主催の展示ということもあり得るわけです。そんなことで、将来、都の写真美術館として本当にその役割を果たせるのかどうか、単に貸し出し施設になってしまうんじゃないのかというふうに危惧せざるを得ないわけです。
そこで伺いますけれども、写真の作品を購入する予算額、来年度の分も含めて、この五年間、それぞれ幾らでしょうか。
○松岡コミュニティ文化部長 写真美術館の収集予算でございますが、平成九年度は一億六千五百七十八万四千円、十年度が六百七十二万三千円、十一年度以降休止ということになっております。
○くぼた委員 収集費、今のお答えは九年度からでしたけれども、八年度からの予算を事前に伺いました。そうすると、五年前は二億二千万あったんです。それが、今お答えになったように、四年前は一億七千万に減って、さらに三年前は約七百万に激減する。とうとう今年度から収集費はゼロということになりました。そういうことですから、私は一層危惧を持つわけです。
私は、作品を収集して保管するということ自体が、美術館にとって使命だというふうに思うんですね。写真美術館のパンフレットもいただいたんですが、現に、写真美術館の設置目的の一つに、芸術性、文化性の高い貴重な写真作品の散逸、損傷を防ぐと書いてあります。だから、こんな状態では、その目的を果たせないじゃないかと思うんですね。
やはりこのパンフレットの中に、作品の長期収集計画というのも載っています。長期収集計画で七万五千点以上というふうになっております。現在どれぐらいかということを伺ったら、約二万点だそうですね。将来目標としては十万点集めたいということをちょっと伺いましたが、そうやって収集計画を立てて集めてきて、ようやく今、二万点になった。収集途上なわけですよね。それがここ数年に来て、収集費の予算が、先ほどご答弁ありましたように激減して、さらに今年度からそれがとまってしまったということですね。本当にこれは美術館にとって致命的な問題だと思うんです。収集費がとまったということによって、どのような影響が及ぼされると認識されていますでしょうか。
○松岡コミュニティ文化部長 写真美術館の作品の収集の方法といたしましては、購入と寄贈の二つの方法がございます。これまで、今ご指摘ございましたように、当初からの総経費でいいますと、二十三億円ばかり作品の購入に経費を投入しておりまして、購入総体は、今、一万七千六百ということで押さえてございますが、この中で、実際に私ども、写真美術館の中で展覧会その他で展示可能な点数というのが、一回当たり上限が大体二百ということになりますと、仮に五回展示したとしても千点だということになります。
したがいまして、私どもといたしましては、これまでに展示した作品のほかに、未展示の作品を大変多数抱えております。したがいまして、これら未展示の作品の活用も十分図っていきたいと思いますし、民間、新聞社等と連携するなど、既存の作品の貸し出し等も含めて、写真美術館の作品、資料の活用を図ってまいりたいというふうに考えております。
○くぼた委員 私がお伺いしたかったのは、収集がとまってしまったことによって、どのような影響が及ぼされるのかということだったんです。それに直接、今、ご答弁ありませんでした。ただ、まだ収蔵品がいっぱいあって、とても展示し切れる数じゃないというお答えがありましたけれども、会期日数の問題も、これ狭まったわけですから、そういう意味では、収蔵品を見せる機会も減ってしまったということになるわけですよね。
それから、写真美術館のもう一つの目的として、散逸を防ぐ、良好な状態で保存するというものがあるわけですから、そのことは目的なんですから、それをやるのは当然のことだと私は思うんですね。
このように収集がとまるとどういうことになるのかということを、私、実際に行って伺ったんですけれども、やはりその問題を挙げておられました。作品が散逸してしまって収集が困難になることが予想される。それから、作者の方が亡くなっている場合は、ご遺族にその作品が渡るということになって、ご遺族の保存方法が適切かどうかが非常に心配されるというようなこと。それとか、休止されている間、買い逃したものを、そのおくれを一気に取り戻せるのかというような、さまざまな弊害が生まれるということをいっておられました。
私、さらに強調したいのは、美術館の魅力をアピールできる展示にも、やはりこの収集がゼロということは影響があるということなんです。現に、私、来年度の計画をいただいたんですが、委託事業で、写真美術館の重点収集作品である長野重一展をやるそうです。今、作品の収集途上ですから、長野重一さんの作品の一部を収集してないので、外部から借りなければ、その企画の展示はやれないということだそうなんですね。つまり、あるテーマを決めた企画を立てるときに、一部の作品の収集がされていないばっかりに、結局、テーマが逆に限られてしまう。あるいは、借り賃、拝借料というんですか、それを借りるために、お金がかかってしまって、結局、予算の枠を超えてしまう。そういうことで、企画の内容そのものを制限することになってしまうことがあると予想される、そういうことがあるということなんですね。
先ほどからのご答弁で、盛んに集客性を強調されているわけですけれども、私、その意味するところが、もし文化展示を採算ベースから見ていくということだとすれば、やはりそれは誤りだと思います。そもそも写真美術館の場合、もう一回調べてみて驚いたんですが、写真美術館の床面積のうち、展示できるスペースはわずか二割しかないんです。それは当然なんです、収蔵スペースが必要ですからね。それから、つくりもやっぱり問題があって、一階は吹き抜けになってたりして、そういうつくりをしたことにも問題があると思うんですけれども、そういうつくりからしても、採算など考えるのはやっぱり間違っているというふうに思うんですね。
こういうやり方は、当事者からすれば、予算は削られ、収蔵品もふえず、アピールする機会も減るということですから、いってみれば主食は減らされて、稼ぐための手足はもがれて、点滴でやっと生きているような状況だと私は思うんですね、例えは悪いかもしれませんけれども。まさに写真美術館としての存立が問われる、そういうところに来ているというふうにいってもいいと思うんです。都民からすれば、都民の財産である収蔵品に触れる機会が少なくなるわけですし、さらに加えていえば、ここで監視業務をしているのは、港区や目黒区のシルバー人材センターの高齢者の人たちなんですね。そういう高齢者の貴重な就労の機会も削られるということで、影響も出てくるわけです。
都の写真美術館として、これまでもコンセプトを持ってやってこられたわけですし、都の美術館としてそれを検証しながら、そのやり方を工夫していくことが必要だと思います。集客をして活性化させること自体は、私、否定するつもりはありませんけれども、その一方で、本来目的がないがしろにされる、そういう方向だからこそ、私は問題だと思うんです。民間の企画を呼び込んで、デパートなどの民間でやっているような企画をすることは、やる必要ないと思うし、そういうものは民間に任せておけばいいわけですから、倹約するのは当然としても、都の写真美術館だからこそ果たせる役割を果たすべきだし、それができるようにきちんと予算を確保していくことが必要だということを述べて、次の問題に移りたいと思います。
次は、たてもの園の問題について伺いたいと思います。
江戸東京博物館の展示室を貸し出し施設にするという問題も出ています。この点では、ここに都の包括外部監査結果報告書というこの前出されたものがあって、私たちにも配布されたんですけれども、その江戸東京博物館の企画展示室を貸し出し施設にするという問題で、本来目的以外の使用に一定の制約を設けている方がいいんだということがいわれているわけなんです。それにしても、今、述べた写真美術館と同じような問題があると思うんですね。同時に、その附属施設である、たてもの園の観覧料の値上げが今回出されています。たてもの園というのは一体どういう施設なんでしょうか。
○松岡コミュニティ文化部長 たてもの園は、江戸東京たてもの園が正式名称でございますが、江戸東京博物館の分館でございまして、現地保存が不可能となった江戸時代の農家から昭和初期の建物まで、文化的価値の高い建築物を移築、復元しておりまして、江戸、東京の歴史と生活文化の変遷をたどることができる野外展示施設でございます。
○くぼた委員 私、先日、たてもの園を拝見させていただきました。広い小金井公園の中にあって、非常に環境もいいし、想像以上にすばらしい施設だと思いました。とりわけ私が非常に感動したのは、一つ一つの建物にガイドさんがいて、そこに行くと、建物の説明だけじゃなくて、そこに住んでいた人たちや商売していた人たちの生活や道具についての紹介をしてくださるということだったんですね。それで、本当に当時の暮らしが生き生き伝わってくる、そういう展示になっているということに本当に感心しました。
さらに、全体を見渡してみますと、今お話があったように、下町の町並みとか、大正から昭和にかけての建築様式の比較ができるなど、そういう建物が建ち並ぶことによって醸し出す雰囲気というのが非常にすばらしいなと感じました。本当にこれは想像以上だったんです。こういった文化施設を多くの都民が安い料金で見られる、公園にちょっと遊びに来て、寄ってみようという気になれることは、とても大切なことだと思うんですね。現にそういった入場者も多いというお話を伺いました。
このたてもの園、七年前、当初十三棟から始まったということです。それが、今現在二十七棟にまでふえて、そういった町並みというのができつつある。何といいますか、ノスタルジーを醸し出すような町並みがだんだん整いつつあるわけで、私、これからが、たてもの園にとって一層魅力的な施設になるかどうか、こういう方向で行くかどうか、今、非常に重要なところに来ているんじゃないかということを感じました。実際には、町並みは一定程度そろっているんですけれども、ところどころ空き地があるわけですよね。そういうところがこれから充実していくかどうか、町並みとして本当にその当時の雰囲気を醸し出せるかどうか、今、そういう重要な岐路にあると思うんです。
そこで、包括外部監査の結果でも、とりわけ、たてもの園についてはマスコミでも取り上げられた一つなんですけれども、たてもの園についてはどのような内容で指摘を受けたんでしょうか。
○松岡コミュニティ文化部長 たてもの園につきましては、現在、解体部材の保管をしておりますが、この保管料が年間約四千万かかっておりまして、保管費用につきましては、本来、回避可能な費用でありますので、部材を保管中の建物については早急に復元せよとのご指摘がございました。
○くぼた委員 価値のある建物が壊されるのは、再開発だとか、あるいはその建物の所有者が相続をされることになる、そういった所有者の都合でそういう時期が来るわけなんですね。ですから、壊すのをちょっと待ってほしいということは非常に難しいのが通常だと思うんです。したがって、それに合わせた、壊してすぐ復元という予算を取るのは、仕組み上できないというのは当然だと思うんですね。だから、むしろそれに対応するために、安定した解体のための予算を確保することが必要だというのは、いうまでもないことだと思うんです。
それでは、解体の予算は、今年度、来年度、どのようになるんでしょうか。
○松岡コミュニティ文化部長 解体の予算でございますが、平成十一年度は二億五千九十万、これは解体が一棟、復元が二棟でございます。それから、十二年度は休止となっております。
○くぼた委員 今、解体と復元と合わせてお答えがありましたが、つまり、解体も復元も、予算が来年度はゼロになってしまうということなんですね。そういうことであれば、今、四棟、倉庫にあるんですか、これは倉庫に保管する以外にないということです。
倉庫の費用のこともちょっと、この監査でいわれているわけですけれども、木材ですから、当然、虫がつかないなどの質の管理さえしっかりしていれば、それは安いところに保管した方がいいには決まっています。けれども、問題はそこにあるんじゃなくて、今お答えがあったように、監査でも指摘された内容、解体、復元が予算の関係でスムーズに進まないというところにあると思うんですね。保管した都民の財産を効率的に還元していくべきだということだと思うんです。
その点でいうと、これも今のご答弁と別に、解体、復元費の推移をいただきましたが、それも年々減っているんですね。八年度、六億、九年度、四億、それから十年度、二億ということで、これも先ほどの写真美術館じゃないんですけれども、減っていって、それで、とうとう来年度はゼロということなんです。私、こういうのを見ると、何考えてるのかというふうにいいたいくらいなんですね。先ほども述べましたように、解体というのはもう待ったなしの場合が多いわけです。これも、やみくもにどれか保存するということじゃなくて、ちゃんと収蔵委員会というところで建物を決めて、持ち主さんと譲り受けの交渉を繰り返してきているわけですよね。で、いざとなったら、予算がつかないばっかりに解体保存ができなくて、結局、貴重な建物が建築廃材になるしかない、そういう事態を容認することになるということなんです。
しかも、繰り返しくどいですけれども、外部監査で、一日も早く復元を行うことがトータルでの費用を低く抑えることになる、東京都は、部材を保管中の建物については早急に復元されたい、このように述べているわけです。この予算から見れば、この監査には従わないということなんでしょうけれども……。
同じ監査でも、ここに江戸東京博物館のものも書いてあるんですが、あるいは貸し出し施設化の問題についても書いてあるんですけれども、補助金の定額化、それとか貸し出し施設化に対しては、この監査どおりに、いってみればさっさと取り入れてやっているわけですね、その影響がどうなるかも余り考慮してないと思うんですけれども。
このたてもの園に関しての内容は、結局、無視をするということなんでしょうか。
○松岡コミュニティ文化部長 私ども、野外収蔵委員会、このたてもの園の関係の委員会を持っておりまして、この委員会で、どういう建物を対象にして、たてもの園の中におさめていくか、全体計画をつくっているわけでございますが、このたてもの園整備の計画を進めながら、解体保管中の建造物につきましても、非常に厳しい財政状況が今ございますので、それを勘案しながら、計画的に復元できるように努めてまいりたいというふうに考えておりますし、収蔵委員会にも先日ご報告したところでございます。
○くぼた委員 計画的にやられてきたわけですよ、少なくとも今までは。それが、とにかく予算がゼロということで、できなくなったわけですから、今のはちょっとご答弁になってないと思うんですよね。
私、文化を守って育てていく立場に立つのなら、逆の態度だろうと思うんですよ。こういう予算をきちんと確保するという態度をとるのが当然だと思うんですね。だから本当に、そういう意味では、判断の基準が財政問題だけになってしまって――そういうふうにはっきりはいっておられませんけれども、監査の結果でも、それに都合のいいところだけ、つまみ食いをしているというふうにしか思えないんです。それが生活文化局という担当局の立場ということであれば、本当に情けないと思います。文化の振興を初め、生活文化局本来の機能、豊かで潤いのある生活を求める都民のニーズにこたえると、事務事業概要の初めにも書いてあるわけですから、その役割をやはりきちんと果たすべきだというふうに思うんですね。解体や復元の予算をきちんとつけるべきなんです。それこそが、一番初めにも申しましたように、たてもの園の充実にもつながり、ひいては多くの都民が訪問して文化に親しむ、そういう場になる近道だと思います。中途半端はいけないと思うんです、そういう意味では。
これまで質疑してきたように、解体、復元という、たてもの園の今後にとって命ともいえる予算をゼロにしておいて、その一方で値上げをする。今後は、本当にたてもの園を東京都としてどうするのかということを伺いたいと思うんです。
そういう疑問がある中で、しかも深刻な不況が依然として続いている中で、こういったすばらしい施設、すばらしい文化に触れる機会を狭めるようなことをやるべきではないと思います。家族で電車やバスを使って訪ねるということになれば、たてもの園に行くのも結構な出費になるわけです。そういうことからすると、たとえ百円といっても値上げをするというのは、都民感情からしても納得が得られないんじゃないかというふうに思うんです。つまり、今回の値上げというのは、都民に一層の負担を強いるということだけじゃなくて、さきの写真美術館も同様ですけれども、文化予算の削減、削減だけじゃなくて、とうとうゼロにまでしてしまう、そういう面からも、私、文化施策を大きく後退させる、都の文化施策そのものの成立を危うくする、そういう内容であると思うんです。
最後に、青少年センターの問題について、一点だけ確認したいと思います。
青少年センターは、ご承知のように、三年前、都民の利便性ということを全く無視して、都心から臨海部の三セクビルに移転させたわけですが、来年度はその賃料の契約更新になるはずなんです。それで、先日、今、賃料幾らでしょうかということをちょっと伺ったんですが、坪当たり約二万三千円の賃料だというお答えでした。それで、これは私、非常に不可解に思ったんですが、賃料改定は九九年の一月に行われているんですね。つまり、契約更新のときにじゃなくて、契約の途中に賃料を五%上げるという改定が行われて、今、坪当たり二万三千円になっているということなんです。契約の途中に賃料を改定するというのは、民間ではあり得ないことですよ、特別な事情があれば別ですけれどもね。じゃ、二万三千円というのはどういうことなのか。私、非常に高いと思うんですよ、民間のオフィスビルの相場からしても、あの青海で。
ここにちょっと参考までに、三幸エステート株式会社というオフィスビルの契約の調査会社なんですけれども、江東の青海地区は、二百坪以上の大規模ビルで幾らぐらいの賃料が平均なのかと。平均ですから、正確じゃないかもしれませんが、ここに書かれているのは、坪当たり一万五千八百三十三円なんですよ。青少年センターは、今、二万三千円で契約なさっているわけですね。二万三千円というのはどこら辺かということも、逆に調べてみました。そうしたら、新宿区でいえば、この周辺は二万六千円なんですけれども、歌舞伎町あたり、駅の周辺が二万三千円ぐらいなんです。私の地元で恐縮ですが、港区でいえば、山手線の外側、海側は、坪当たりの賃料は全部二万円を切るんです。
そういう状況の中で、あの青海の土地で二万三千円というのは、民間の相場からしても非常に高いものだと思うんです。ですから、今年度の契約更新に当たっては、当然賃料の引き下げを要求するべきだと思うんですが、そのような方向で、実際に今、交渉されているんでしょうか。
○高西女性青少年部長 青少年センターの賃借料の改定についてでございますが、平成十年十一月に、賃貸人の株式会社テレポートセンターより賃料改定の申し入れがございました。その理由といたしましては、当初契約――これは平成八年七月でございますが――より二年が経過していること、また、交通アクセスの利便性、あるいは銀行や飲食施設等の生活利便施設の開業等によりまして生活の利便性が向上しまして、同ビルの付加価値が上昇したこと等を理由としておりました。
これに対応するため、財務局に評価依頼を行い、その評価に基づいて、平成十年十二月十八日の東京都財産価格審議会に付議をいたしまして、評定されました。それに基づきまして、平成十一年一月から賃借料を改定したものでございます。
今回の賃借料の更新に当たりましては、財産価格審議会の評定を経るなど、適正な手続を踏んで改正したところでございまして、現在のところ適正なものと考えております。
○くぼた委員 テレポートセンターから、利便性が上がったから賃料を上げてくれといわれて、それに従うのも、貴重な都民の税金を使う立場からしてどうかと思うんですよ。財価審がそういうふうにいったからといって、当事者なわけですから、周りも独自に調査して、高いんじゃないかということを――一般的に考えたって高いんですから、そういう立場で交渉するべきですよ。それを財価審に送るべきですよ。そういうこともしないで――そもそもの経過からすれば、飯田橋から青海に移したわけでしょう。それによって利用者は激減したわけじゃないですか。で、かつて無料だった施設が、今度はテナント料を払って入る。そこまでして臨海開発を支援するというか、そういうむだこそ削るべきだと思うんです。
私、ざっとですけれども、計算してみましたら、もし五%上げる前の額、今のより五%下げた額で契約し直せば、年間約一千二百万ですよ。このデータに基づいて、一万六千円とはいいません、二万円としたらどのぐらいかというと、年間約三千万ですよ。三千万、その賃料を払わなくてもいいということになるんです。そういう努力を担当局はするべきだと思うんです。文化費をどんどん削る一方で、こういうところには、とても都民が納得できないような賃料を払っているということ、それはおかしいんです。そここそ削るべきだと私は思うわけなんですね。
生活文化局の来年度予算を見ると、文化施策だけじゃなくて、消費生活分野でも、商品の価格の動向を見る、それを都の単独部分を外して国の指定品目だけに絞ったり、あるいは消費生活総合センターの商品テスト課の機器の購入額を半減させるなど、あるいは放置自転車対策や、先ほどもお話がありました国際交流、それから隅田川の花火、そういった今まで都民に喜ばれた、すぐれたさまざまな施策を後退させたものになっています。その背景には、結局、今、典型として一つ例をお示ししましたが、不要不急の大型公共投資は温存して、これまでの借金のツケを都民に負担として負わせる、そういう都民生活にしわ寄せする内容の予算編成がやられている、そういう実態があるということではありませんか。そういったやり方で施策の後退や料金の値上げはやめるべきだ、こういうことを述べて、私の質問を終わります。
○中嶋委員 重複を避けて、何点か確認の意味で質問したいと思います。
文化行政というのは、確かに費用対効果になじまない部分があることはよくわかっているんです。道路整備なんていうのも、道路整備事業の結果による利益が非常に広く分散してしまうから、一事業者として企業が行っても企業経営が成立しない、したがって、公共事業でやる。文化行政なんかもそういうところがあるわけですから、やはり収益性に問題があって民間にはなじまない、したがって、公の関与が大きい分野である、こういってもいいと思うんですけれども、そうはいっても、今の議論を聞いていても、しみじみ思ったんですが、今は市場の時代です。これが正しいかどうかはよくわかりませんが、しかし、現実は市場の時代だと。つまり、市場で競争にさらされることによって、むだが排除されて機能が研ぎ澄まされる、こういう効果が市場にはあると一般的にいわれております。そういう収益性になじまない、あるいはコストベネフィットになじまない博物館や美術館であっても、ひょっとしたら、こうした時代の波に一定程度はさらされる必要があるのではないかと、今、感想として思っております。
ところが、写真美術館は全国で唯一の施設ですから、競争しようにも競争相手がいない。今、盛んに議論されている予算の削減、この予算を削減されたということは、ある意味で、別な形での競争の波にさらされている、このように受けとめるべきであろうと思います。職員の皆さんあるいは財団の諸君には大変きついかもしれませんけれども、そうした限界のある状況の中で、学芸員の方々初め、格段の努力をぜひ求めたい、これを前提としてお話ししたいと思います。
今、触れましたが、江戸博と写真美術館について質問いたします。
条例改正をなさいました。条例を読んでも、こちらの能力不足で、具体的に条例改正の目的がよく浮かび上がってまいりません。貸し出し部分の拡大、割引制度の創設などが具体的に書いてありますけれども、そもそも今回条例改正した目的は一体何なのか、端的にお答え願いたいと思います。
○松岡コミュニティ文化部長 今回の条例改正の主な目的は、東京都歴史文化財団の自律的な経営を促進することにございます。江戸東京博物館では、これまで、企画展の観覧料につきましては条例で定められており、観覧料収入はすべて都の歳入となっておりました。したがいまして、館の経営努力が館の収支に反映されない仕組みでございました。今回の改正により、企画展の観覧料につきましては財団の収入となり、財団の経営努力が直ちに収支に反映されるため、一層の経営努力の促進につながることができるものでございます。
また、江戸東京博物館と写真美術館の両館におきまして貸し出し部分を拡大しておりますが、新聞社等外部企画による展覧会を積極的に誘致するなどして、観覧者数の増加、館の収入の拡大を目指すものでございます。
○中嶋委員 写真美術館は、我が党の先輩も非常に意欲を燃やして設立に取り組んだというお話を聞いておりますし、私も、この写真美術館には期待するところが大でございます。しかし、惜しむらくは余り知られていない。これは知事も盛んにいっておりました。
そこで、現在、写真美術館、これは我が国初、国際的にも評価が高い。これは、プロの写真家に確認しましたら、その方もそういっておりました。どんな作家の収蔵作品があるのか、お教え願いたいと思います。
○松岡コミュニティ文化部長 十年度末現在で、写真作品は一万七千六百五十六点を収集しておりまして、その代表作といたしましては、海外の作品では、ロバート・キャパの「オマハ・ビーチに最初に上陸するアメリカ兵」、ユージン・スミスの「慈悲の人シュバイツァー」などがございます。また、日本の写真家の場合には、土門拳の「近藤勇と鞍馬天狗」、木村伊兵衛の「東京・下町」、濱谷浩の「銀座八丁西東」などがございます。
○中嶋委員 タイトルを聞いただけで、造詣の全く深くない私でもイメージできるような写真があるわけですから、それはもっと生かすべきだと思います。
私は世田谷なんですが、世田谷美術館というのがありまして、これも国際的に評価が高いというので見に行ったら、収蔵庫に汚いテントみたいなごみが置いてあるんですね。これが近代前衛芸術のアメリカの精華だとかなんとかと学芸員に説明されて、ちんぷんかんぷんで帰ってきたことがありました。それに比べたら、はるかに一般性があってわかりやすくて、また集客力もありますから、ぜひ活用していただきたい。
活用方、どんなお考えでいるか、お聞かせください。
○松岡コミュニティ文化部長 収蔵作品につきましては、写真美術館で開催いたします企画展、常設展等で展示しますほか、展示されていない作品につきましては、プリントスタディールームを設けまして、都民の方々が研究や鑑賞のために閲覧できるようになっております。また、他の美術館への作品の貸し出しを行っております。
今後は、収蔵作品を中心とする展覧会を開催するなど、より一層魅力的な展示ができるように工夫を凝らしてまいりたいと考えております。
○中嶋委員 ぜひ頑張っていただきたいと思います。
先ほどのくぼた理事の質疑で、三階部分についての議論がありました。そこで、集客性の高い、新聞社と連携をした、例えば展示会という話もございました。そこまでいうからには、何か具体的な展望でもお持ちなのかどうか、あればお示しいただきたいと思います。なければないで……。
○松岡コミュニティ文化部長 平成十二年度に、私どもの企画展その他、今、計画がございます。まず、自主事業でございますが、「さよなら二十世紀 カメラがとらえた日本の百年」これを毎日新聞社と共催で、実際には今年度の三月二十二日からスタートの予定でございますが、主として四月から五月にかけて行う予定でございます。それから、七月から八月にかけましては、読売新聞社、美術館連絡協議会の共催を得まして「長野重一展」。それから、九月から十月にかけましても、読売新聞社、美術館連絡協議会と「ポラロイドコレクション」というような形で、現在予定されております展覧会等につきましては、それぞれ新聞社と連携しながらということで進んでおります。
○中嶋委員 なかなか楽しみだと思いますので、ぜひご努力をお願いしたいと思います。
次に、江戸東京博物館定額補助制度、これは具体的にどういう内容で、その効果、定額補助制度を導入する効果についてご説明いただきたいと思います。
○松岡コミュニティ文化部長 定額補助制度は、平成十二年度から、企画展事業への導入を予定している制度でございます。団体への補助額を一定額に定めまして、収支の過不足が生じた場合も清算を行わない補助方式でございまして、団体の経営努力を促すことができる制度でございます。
この補助方式では、予算以上の収入増加分、すなわち剰余金につきましては団体への内部留保が認められるかわりに、収入不足分につきましては都からの追加支出を行わないため、団体の一層の経営努力を促すことができるという制度でございます。
○中嶋委員 従来、定額補助制度になじんでいなかった財団にしてみると、これは大変きついかもしれませんが、冒頭申し上げました、これは形の変わった市場原理の導入だ、競争原理の導入だ、こういうふうに受けとめて頑張っていただくしかないと思います。とにかくこの定額補助制度をうまく運用していただいて、冒頭、部長がおっしゃった、館の自律的な運営に資する方向にぜひともリードしていただきたいと思います。
それから、どっちにしても、来館者数をふやすことがやはり一つは基本だと思うんですね。来館者数をふやす場合に特に大事なのが、繰り返し来てくださる方、リピーターというんですか、こういう人を着実にふやしていく、これが必要だと思いますけれども、これについて何か方策は……。
○松岡コミュニティ文化部長 新規の来館者やリピーターを拡大するために、インターネットを活用したホームページを充実するとともに、館の案内のCD-ROMの小中学校への配布などを行っております。
また、テレビ番組と連携した大河ドラマにちなんだ企画展の開催、これも近々予定しておりますが、都民が参加できる伝統工芸の製作体験、さらには、落語、歌舞伎などの公演を行うほか、はとバスの観光コースへの組み入れなど、リピーターの確保に努めております。
今後とも、話題性のある魅力的な企画展を実施するなどいたしまして、リピーターの確保に努めてまいりたいと思います。
○中嶋委員 もう一点の要素が、外国人。特に江戸博は大変日本的な情緒に富んでいる。あるいは、江戸期の文化の薫りというんですか、それに極めて具体的な形で触れることができる。これは結構外国人には受けるんじゃないか。そこで、一つは、外国人の来館者へのサービスを充実していく必要があるという点と、あと、都全体の観光政策に、この写真美術館と江戸博をもっと密接にリンクさせる必要があると思うんですが、その辺、今後どうなさるおつもりか、お聞きしたいと思います。
○松岡コミュニティ文化部長 江戸東京博物館に来館される外国人の方に対しまして、館の施設や展示内容を理解できるように、館の誘導サインと施設案内板につきましては日本語と英語の併置、また、常設展示の資料名等につきましては、日本語、英語、中国語、ハングルの四カ国語の表記を行うとともに、外国語版の案内リーフレットを発行しております。さらには、語学ボランティアの方の協力をいただきまして、館の施設案内及び常設展の解説を実施しております。
今、ご指摘ございましたように、江戸東京博物館は、特に江戸時代の文化を総合的に学ぶことのできる、我が国で唯一の博物館でございます。同時に、外国人が日本の豊かな文化を理解するためにも極めて重要な施設でございまして、国内のみならず海外からの観光客を引きつけるだけの魅力を持った文化施設であると考えております。
今後は、外国人観光客に対します観覧料の割引や、より一層斬新で魅力的な企画展の開催、インターネットを活用したPRに努めるなどいたしまして、内外の観光客の誘致に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○中嶋委員 すべて前向きで、あとは、具体的にそれをどう実現するかがテーマだと思います。
実は、局長には質問する予定はなかったんですが、いろいろ議論を聞いておりまして、一言ぜひとも聞きたくなりました。
確かに、文化行政というのは懐深く見守っていく必要があるとは思います。思いますが、やはり写真美術館でも新館長を迎える、江戸博でもこれからさまざまな経営努力が迫られてくる、どっちにしても、今回の条例改正を機に、両館の自律的な運営が非常に大事になってくる、こういうことになっているわけです。したがって、二つの美術館、博物館の運営、もっといえば財団自体の組織や運営形態、そこまで踏み込んだ検討が今後は必要になってくるんじゃないか、こういうふうに思うんですが、もしも局長、感想なりお考えがありましたら、お聞かせ願いたいと思います。
○今沢生活文化局長 たびたび指摘されておりますことに、江戸博にしましても、あるいは写真美術館にいたしましても、非常に入館者が少ないということがございます。それからまた、経費の割には非常に収入が少ないという指摘もございます。また、もう一つは、収集されておりますもろもろの資料、これは両方ともそうですけれども、それが十分に展示されていないと、もろもろの指摘がございます。
先ほどもお話が出ておりましたけれども、それぞれの博物館でもって、もうけようかということはなかなかできないと思います。しかしながら、あれだけの施設でございますから、できるだけ多くの方に来ていただきまして、その結果として収入を上げていく。もちろん、こういう時代でございますから、かかる金もできるだけ少なくして、そして経営的に効率的なものにしていきたいというふうに考えております。
今回の条例の改正につきましても、そういう趣旨を多分に含んだことでございますので、これからはますますよりよい施設にしてまいりたいと、このように考えております。
○植木委員長 ほかにございますか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○植木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○植木委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
以上で生活文化局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後四時五十分散会
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