経済・港湾委員会速記録第十三号

令和七年十一月十八日(火曜日)
第八委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長大山とも子君
副委員長もり  愛君
副委員長渋谷のぶゆき君
理事両角みのる君
理事慶野 信一君
理事藤田りょうこ君
いいだ健一君
さとうさおり君
おぎの 稔君
上田 令子君
山田あさみ君
三雲 崇正君
福井ゆうた君
山崎 一輝君

欠席委員 なし

出席説明員
産業労働局局長田中 慎一君
次長理事兼務関口 尚志君
理事奈良部瑞枝君
総務部長阿部 泰之君
産業企画担当部長DX推進担当部長兼務前田 泰伯君
企画調整担当部長女性活躍推進担当部長兼務齋藤  順君
働く女性応援担当部長吉浦 宏美君
国際金融都市推進総括担当部長村本 一博君
国際金融プロモーション推進担当部長小出 真志君
商工部長福田 哲平君
商工施策担当部長大川 徳明君
金融部長原   郁君
金融支援担当部長松田 義史君
産業・エネルギー政策部長米澤 鉄平君
産業政策連携促進担当部長岡野 守治君
新エネルギー推進担当部長服部 勇樹君
観光部長江村 信彦君
観光振興担当部長前田 千歳君
農林水産部長榎園  弘君
安全安心・地産地消推進担当部長田代 純子君
雇用就業部長新田 智哉君
事業推進担当部長富岡麻紀子君

本日の会議に付した事件
産業労働局関係
事務事業について(質疑)

○大山委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、産業労働局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより産業労働局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員に交代がありましたので、局長から紹介があります。

○田中産業労働局長 先般の人事異動によりまして、当局幹部職員に交代がございましたので、ご紹介させていただきます。
 国際金融プロモーション推進担当部長の小出真志でございます。
 どうぞよろしくお願いいたします。
   〔理事者挨拶〕

○大山委員長 紹介は終わりました。

○大山委員長 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○阿部総務部長 去る九月十八日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の経済・港湾委員会要求資料の表紙をおめくりください。
 目次でございます。資料は、全部で七十九項目ございます。
 一ページをご覧ください。政策課題対応型商店街事業及び商店街防災力向上緊急支援事業につきまして、令和七年度の申請状況をお示ししてございます。
 二ページをご覧ください。二ページから三ページにかけまして、中小企業制度融資の過去十年間の目標と実績の推移をお示ししてございます。
 四ページをご覧ください。都内製造業の事業所数、従業者数、売上(収入)金額及び付加価値額につきまして、直近の調査結果として公表されている令和三年までの推移をお示ししてございます。
 五ページをご覧ください。働くパパママ育業応援事業につきまして、過去五年間の実績をお示ししてございます。
 六ページをご覧ください。介護休業取得応援事業につきまして、過去五年間の実績をお示ししてございます。
 七ページをご覧ください。女性・若者・シニア創業サポート二・〇の実績をお示ししてございます。
 八ページをご覧ください。八ページから九ページにかけまして、賃上げ支援事業の実績及び予算額、決算額につきまして、事業ごとの実績をお示ししてございます。
 一〇ページをご覧ください。都立職業能力開発センターにつきまして、過去五年間のデータをお示ししてございます。
 一〇ページが応募状況、一一ページが職業紹介の実績及び就職率でございます。
 一二ページをご覧ください。委託訓練につきまして、過去三年間の科目、委託先の定員、応募状況及び就職率をお示ししてございます。
 一三ページをご覧ください。雇用形態別、男女別、年齢別の都内就業者数につきまして、直近の調査結果として公表されている令和四年までの推移をお示ししてございます。
 一四ページをご覧ください。内水面漁業の従業者数、主な魚種別漁獲量及び養殖量の推移をお示ししてございます。
 一五ページをご覧ください。林業の就業者数の推移をお示ししてございます。
 一六ページをご覧ください。ツバキ油の生産量、生産額及び生産量の全国に占める割合につきまして、過去五年間の実績をお示ししてございます。
 一七ページをご覧ください。東京都への国外からの旅行者数につきまして、過去十年間の推移をお示ししてございます。
 一八ページをご覧ください。水素ステーションの実績、供給台数、供給量につきまして、平成二十六年度以降の実績をお示ししてございます。
 一九ページをご覧ください。「国際金融都市・東京」構想に係る経緯及び費用をそれぞれお示ししてございます。
 二〇ページをご覧ください。東京、シンガポール、香港につきまして、国際金融都市としての比較をお示ししてございます。
 二一ページをご覧ください。下請企業対策につきまして、過去十年間の実績をお示ししてございます。
 二二ページをご覧ください。海外展開総合支援事業につきまして、過去十年間の実績をお示ししてございます。
 二三ページをご覧ください。ASEAN展開サポート事業につきまして、過去十年間の実績をお示ししてございます。
 二四ページをご覧ください。Invest Tokyoにつきまして、二四ページから二五ページにかけまして経緯と取組を、二六ページで主な支援事例の内容を、二七ページで海外拠点の利用実績をお示ししてございます。
 二八ページをご覧ください。外国企業発掘・誘致事業につきまして、国別の実績をお示ししてございます。
 二九ページをご覧ください。金融系外国企業・人材に対する一時的オフィス提供事業につきまして、国別の実績をお示ししてございます。
 三〇ページをご覧ください。拠点設立補助事業につきまして、国別の実績をお示ししてございます。
 三一ページをご覧ください。ビジネスコンシェルジュ東京の実績をお示ししてございます。
 三二ページをご覧ください。スタートアップを活用したリスキリングによる中小企業デジタル化支援の実績をお示ししてございます。
 三三ページをご覧ください。次世代アントレプレナー育成プログラムにつきまして、過去十年間の実績をお示ししてございます。
 三四ページをご覧ください。介護現場のニーズに対応した製品開発支援事業の実績をお示ししてございます。
 三五ページをご覧ください。インキュベーション施設、青山創業促進センター及びNEXs Tokyoにつきまして、過去十年間の利用状況をお示ししてございます。
 三六ページをご覧ください。女性ベンチャー成長促進事業につきまして、事業開始以来の実績及び執行状況をお示ししてございます。
 三七ページをご覧ください。高校生起業家養成プログラムにつきまして、事業開始以来の実績をお示ししてございます。
 三八ページをご覧ください。大規模小売店舗立地法に基づく各種届出状況につきまして、過去十年間の推移をお示ししてございます。
 三九ページをご覧ください。地域特性に着目したファッション産業振興補助金の実績をお示ししてございます。
 四〇ページをご覧ください。東京都と地域の金融機関とが連携して実施する融資制度につきまして、過去十年間の損失補助の推移をお示ししてございます。
 四一ページをご覧ください。中小企業向けファンドにつきまして、出資額及び回収実績をお示ししてございます。
 四二ページをご覧ください。官民連携ファンドにつきまして、出資額及び回収実績をお示ししてございます。
 四三ページをご覧ください。サステーナブルエネルギーファンドにつきまして、運営状況をお示ししてございます。
 四四ページをご覧ください。グリーン水素製造・利用の実機実装等支援事業の取組実績をお示ししてございます。
 四五ページをご覧ください。充電設備普及促進事業につきまして、概要、事業開始以来の実績及び申請者の属性をお示ししてございます。
 四六ページをご覧ください。東京都版エコツーリズムの推進の実績をお示ししてございます。
 四七ページをご覧ください。水辺のにぎわい創出事業の実績をお示ししてございます。
 四八ページをご覧ください。外国人旅行者向け観光マナー啓発パンフレットによる啓発事業の取組実績をお示ししてございます。
 四九ページをご覧ください。GO TOKYOへのアクセス数につきまして、過去十年間の推移をお示ししてございます。
 五〇ページをご覧ください。東京プロジェクションマッピング促進支援事業につきまして、事業開始以来の実績及び執行状況をお示ししてございます。
 五一ページをご覧ください。都庁舎におけるプロジェクションマッピング運営事業につきまして、五一ページで実施事項を、五二ページで支出内訳を、五三ページで月別観覧者数、曜日別平均観覧者数及び経済波及効果をお示ししてございます。
 五四ページをご覧ください。生産緑地買取・活用支援事業の実績をお示ししてございます。
 五五ページをご覧ください。都内農業体験農園数の過去十年間の推移をお示ししてございます。
 五六ページをご覧ください。農作物の獣害被害につきまして、過去十年間の推移及び対策事業一覧をお示ししてございます。
 五七ページをご覧ください。漁業協同組合と加入人数、登録漁船隻数及び漁業就業者数につきまして、過去十年間の推移をお示ししてございます。
 五八ページをご覧ください。東京都労働相談情報センターにおける労働相談件数及び内訳につきまして、過去十年間の実績をお示ししてございます。
 五九ページをご覧ください。女性しごと応援テラスの利用者数及び相談件数につきまして、事業開始以来の実績をお示ししてございます。
 六〇ページをご覧ください。重度障害者等の雇用対策につきまして、過去十年間の実績をお示ししてございます。
 六一ページをご覧ください。障害者安定雇用奨励事業につきまして、過去十年間の実績をお示ししてございます。
 六二ページをご覧ください。企業に対する障害者雇用普及啓発事業の実績をお示ししてございます。
 六三ページをご覧ください。ソーシャルファーム支援事業の実績をお示ししてございます。
 六四ページをご覧ください。アフォーダブル住宅供給促進ファンドにつきまして、取組状況及び事業者等の詳細をお示ししてございます。
 六五ページをご覧ください。当局所管の政策連携団体及び事業協力団体の職員構成をお示ししてございます。
 六六ページをご覧ください。平成十三年度以降の観光産業振興に関するプランをお示ししてございます。
 六七ページをご覧ください。観光産業振興に関するプランに掲げる施策につきまして、六七ページから六九ページにかけまして直接観光振興に寄与する施策を、七〇ページから七二ページにかけまして、効果として観光振興に寄与する施策をお示ししてございます。
 七三ページをご覧ください。観光産業振興に関するプランの目標と実績をお示ししてございます。
 七七ページをご覧ください。観光産業対策予算の推移をお示ししてございます。
 七八ページをご覧ください。千代田区等と連携して取り組んだ観光施策をお示ししてございます。
 七九ページをご覧ください。東京観光レップにつきまして、配置国、都市及び配置数をお示ししてございます。
 八〇ページをご覧ください。八〇ページから八一ページにかけまして、施設整備や改修を支援する観光施策をお示ししてございます。
 八二ページをご覧ください。東京都への国外からの旅行者数及び観光消費額の推移をお示ししてございます。
 八三ページをご覧ください。外国人旅行者の安全確保のための災害時初動対応マニュアルにつきまして、普及啓発状況をお示ししてございます。
 八四ページをご覧ください。江戸東京きらりプロジェクトにおける業務委託につきまして、契約実績をお示ししてございます。
 八五ページをご覧ください。江戸を感じる観光の魅力発信に係る業務委託契約につきまして、事業開始以来の契約の方法、採用会社及び金額をお示ししてございます。
 八六ページをご覧ください。江戸情緒あふれる景観創出事業につきまして、事業開始以来の審査方式、審査結果の理由、指定地域、金額及び効果検証をお示ししてございます。
 八七ページをご覧ください。江戸・東京の魅力を活用した観光周遊促進事業に係る業務委託契約につきまして、事業開始以来の契約の方法、落札会社及び金額をお示ししてございます。
 八八ページをご覧ください。観光まちづくりにおける江戸の文化財等の活用促進事業に係る業務委託契約につきまして、事業開始以来の契約の方法、採用会社及び金額をお示ししてございます。
 八九ページをご覧ください。起業家による空き家活用事業につきまして、事業開始以来の補助金支出実績をお示ししてございます。
 九〇ページをご覧ください。外国人材受入総合サポート事業の実績をお示ししてございます。
 九一ページをご覧ください。海外高度人材獲得支援事業につきまして、事業開始以来の支給件数及び支給総額をお示ししてございます。
 九二ページをご覧ください。外国人労働者の雇用環境等啓発事業につきまして、事業開始以来の実績をお示ししてございます。
 九三ページをご覧ください。TOKYO障害者マッチング応援フェスタの実績をお示ししてございます。
 九四ページをご覧ください。TOKYO特定技能Jobマッチング支援事業の実績をお示ししてございます。
 九五ページをご覧ください。東京キャリア・トライアル六十五の実績をお示ししてございます。
 九六ページをご覧ください。森林循環に資する花粉発生源対策の実績と二〇五〇年に向けた具体的な数値目標をお示ししてございます。
 以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○大山委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○両角委員 まず初めに、八丈島、青ヶ島の台風被害とその対応について伺います。
 先月、二度の台風に見舞われた八丈島と青ヶ島では、家屋の崩壊や崖崩れなど、大きな被害が発生をいたしました。幸い人命に関する被害はなかったものの、断水や停電、資材供給の停滞などによる産業への影響は計り知ることができません。
 我が会派では、先日、荒木総務会長を筆頭に八人の議員が八丈島を訪問し、現場の窮状を確認し、都による支援を求める声を多数伺ったところであります。現場の声を受け止め、島の産業の復旧、復興に向けた取組を迅速に進めていく必要があると痛感をしております。
 そこでまず、農林水産業について伺います。
 台風により農林水産業は深刻な打撃を受けましたが、現状の被害状況と都の取組について伺います。

○榎園農林水産部長 都は、台風二十二号、二十三号の被害発生直後から、島の事情に詳しい職員を現地に派遣するなどして、地元自治体と連携しながら、基幹的な産業である農林水産分野における被害調査やヒアリングを行ってまいりました。
 十一月十二日時点で、八丈島、青ヶ島の被害総額は約十七億五千万円となっており、このうち、農業関係は約十六億四千万円、林業関係が四千万円、水産関係が約六千万円となってございます。
 こうした状況も踏まえ、都は、先月末より、今回の台風により被害を受けた農林水産事業者に対し、経営安定に必要な資金などを無利子で融資する特別対策を開始してございます。

○両角委員 八丈島では、多くの農業用ハウスが被害を受けております。先ほどご答弁にもあったように、農業被害の規模は十六億円を超えるとのことですが、農業は島の経済を支える産業の一つであり、いち早い復旧が不可欠であります。
 また、農道や用水路などの農業用インフラに被害が発生し、農業の再開に大きな支障を来している場所もあると聞いております。
 島の重要な産業である農業の復旧、復興に向けては、地元にとって必要な支援を迅速かつ確実に届けることが必要でありますが、台風の被害を受けた農業に対する支援策について、都の取組を伺います。

○榎園農林水産部長 都は、被害状況の調査を行うとともに、地元の自治体や農業団体、農業資材を扱う事業者などが参加し、台風被害からの早期復旧に向けた意見交換を行う会議を開催いたしました。
 集約した意見等を踏まえ、都は、栽培施設の補修に必要なビニールやネット等の資材や、植え替えに要する植物の苗など、復旧に向けて直ちに必要となる資材の購入について、補助率四分の三、補助額の上限を百万円とする新たな仕組みを設けました。
 また、土砂の流入や斜面の崩壊等、甚大な被害が発生した農業基盤施設につきましては、町が管理する農道の土砂や倒木の撤去等の応急的な工事を町職員とともに行ったところでございます。
 今後、被害状況の調査結果を基に、本格的な復旧に向けた取組を進めてまいります。

○両角委員 現地では、重機不足などで復旧が追いつかないという声も聞かれておりました。技術者やオペレーターなど、人材をセットで派遣することも必要と思います。
 過去に類を見ない大災害を受けた非常事態においては、直接給付なども含むあらゆる支援策を総動員する必要がありますので、現場に寄り添った迅速な対応をお願いいたします。
 次に、中小企業への支援について伺います。
 現地では事業者からも切実な声が上がっており、その日の生活もままならず、仕事が止まり、島から出ていかざるを得ない、そのような状況もあるように伺っております。
 八丈島の台風被害を受けた中小企業について、都の被害状況の認識と現在の具体的な取組について伺います。

○原金融部長 現地に職員を派遣し確認したところ、八丈町の中小企業は、店舗、事務所の全壊や事業活動に必要な機材等の故障により事業再開のめどが立たない事業者も存在しており、被害は深刻な状況と受け止めています。
 都は、事業者の資金繰りを迅速に支えるため、既存予算を活用し、金融支援を実施しています。
 具体的には、売上げ減少を受けて、町村から経営の安定に支障を生じていることの認定を受けた事業者が利用できる国の保証制度に対応した融資を、本年十一月六日より経営セーフメニューで開始しています。
 また、都独自の対応として、台風による罹災証明を受けているが、国の保証制度の対象とならない事業者への融資を、経営一般メニューで対応しています。
 これらのメニューを利用する小規模事業者には、二分の一の信用保証料補助を行っております。
 現地は切迫した状況に置かれており、台風被害に苦しむ中小企業に寄り添い、被災地の復旧、復興に向け、引き続き必要な対応を検討してまいります。

○両角委員 現地に直接職員が赴き状況把握をし、既存予算の中でできることを速やかに対応していることについては評価をいたしますが、差し迫った状況に対しては、まだ支援が十分とはいえません。現地の事業者を支える幅広い取組を要望いたします。
 観光産業について伺います。
 今後、復旧、復興というフェーズに即した支援が求められてまいりますが、都としても、観光イベントや施設復旧の具体的な計画策定を支援し、例えば八丈島へのしまぽポイントのプレミアム還元など、フェーズに合わせた施策を適宜行っていくべきであると考えます。
 そのためにも、直接島民の声に耳を傾け、スピーディーで柔軟で機動的な対応をしていくべきですが、見解を伺います。

○江村観光部長 先月の台風により甚大な被害を受けた八丈島や青ヶ島では、いまだ休業している観光施設が多く、予定していた旅行がキャンセルされるなど、観光に関連する事業者にとって深刻な状況が続いております。
 都はこれまで、島しょ地域における観光振興を図るため、新たな観光施設の整備への支援や、プレミアム付宿泊旅行商品券しまぽ通貨による誘客促進などの取組を進めてまいりました。
 今後は、現地の復興状況を踏まえ、地元としっかり連携しながら、観光施設の復旧や旅行者の回復を後押しする支援策を検討してまいります。

○両角委員 八丈島では、産業祭やマラソン大会が中止となりました。島の産業の柱である観光業に甚大な被害が生じているわけでございます。一刻も早い復興に向けた都の支援を打ち出していただけるよう、強く要望いたします。
 八丈島の重要な産業の被害状況や、これを受けた取組について、これまでの質疑を通じ、都が現地の状況を調査の上、応急的な対策を速やかに実施をしていることを確認することができました。深刻な被害に苦しむ事業者の声に寄り添い、今後、より一層の取組を進めていくことを期待いたします。
 最後に、台風被害後の八丈島、青ヶ島の産業の復興、復旧に向けて、局の総力を挙げて取り組むべきと考えますが、局長の決意を伺います。

○田中産業労働局長 今回の台風によって生じた被害は、八丈島、青ヶ島の全体にわたっており、島民の生活にとどまらず、農林水産業や観光業をはじめ、様々な業種の事業活動に深刻な影響を及ぼしておりまして、その改善に向けて、一刻も早い復旧が必要と考えてございます。
 このため、都は、被害状況の迅速な把握に努めますとともに、被災された事業者の経営安定に必要な資金繰りの支援を速やかに講じてまいりました。
 また、先週十四日からは、暴風雨により破損した農業用ハウスのビニールやネットなどの資材等を購入する農業者に対する緊急的な取組を開始してございます。
 こうした復旧の取組を着実に進めますとともに、今後は、観光業をはじめとした島の強みを生かした産業が再び力強く歩み出せるような支援も不可欠だと認識してございます。
 引き続き、地元の皆様の声を丁寧に拾いながら、国などとも連携し、復旧に係るきめ細かな支援を行うとともに、島のさらなる魅力向上を図れるよう、復興に向けて、局一丸となって全力で取り組んでまいります。

○両角委員 局長から、八丈島、青ヶ島の復旧、復興にかける強い思いを伺うことができました。
 島内の事業者は、資金的にも大変厳しい状況にあります。島のホテルや飲食店なども休業を余儀なくされ、仕事がなくなると、従業員が島外に出てしまい、再開が厳しくなるのが現実ですので、災害版の雇用助成制度などについても検討するよう要望をいたします。
 続いて、働き方改革に関連して伺います。
 初めに、テレワークについて質問をいたします。
 コロナ禍で急速に普及したテレワークですが、都内ではテレワークを採用する企業が減少傾向にあります。
 そこで伺いますが、コロナ禍が去り、多くの企業で出社回帰が進んでいますが、都がテレワークを推進する意義は何なのか、お聞かせをいただきたいと思います。

○新田雇用就業部長 テレワークは、育児や介護を抱える人などの柔軟な働き方の実現につながるだけでなく、事業者にとっては、人材確保や生産性の向上のほか、猛暑や自然災害時の持続可能な対応としても有効であるなど、その活用を促すことは重要でございます。
 都は、ポストコロナにおけるテレワークの定着を図るため、出社とテレワークのベストバランス構築を奨励する事業を実施しており、今年度は、労務管理や人事評価制度などの課題について解決手法のモデルを示すなど、企業への支援を強化いたしました。
 さらに、テレワーク定着に向けた取組を宣言し実践する企業の登録、公表制度について、BCP対策での活用を要件に追加するとともに、新たにテレワークを導入する企業への助成金では、猛暑時の現場作業に従事する社員への暑さ対策を行う場合に加算を行っております。

○両角委員 私は、テレワークは、通勤課題を解消し、人々の生活の質向上に寄与するとともに、育児、介護、障害など出社が困難な人々の就労継続を可能とし、サテライトオフィス等の整備により多摩地域の活性化が期待されるなど、都市の持続可能性を高め、多様な働き方を実現して地域経済の活性化に直結するものであると考えております。
 すなわち、都がテレワークを推進することは、単なる働き方改革ではなく、都市の未来像を描く戦略的施策であり、出社回帰の流れに流されず、独自の価値を発信し続けることが重要であると思います。
 都では、テレワーク推進に向けて、テレワークトータルサポート事業、ABWオフィス促進事業、サードプレイス活用促進事業、テレワーク東京ルール促進事業など多様な支援策を展開しておりますが、都内のテレワークの導入率は五八%とのことであります。
 都は、この数字をどのように評価をしているのか、伺います。

○新田雇用就業部長 令和六年度、都が実施いたしました実態調査では、都内企業のテレワーク導入率は五八・〇%であり、コロナ禍前である平成二十九年度の六・八%と比較して大幅に上昇しております。
 企業の従業員規模別では、三百人以上で六七・六%、百人以上二百九十九人以下で六〇・九%、三十人以上九十九人以下で五三・七%となっております。
 業種別では、情報通信業が九一・五%、金融業、保険業が八一・五%と高い一方で、宿泊業、飲食サービス業が三三・八%、運輸業、郵便業は二六・五%と低くなっています。
 このように、企業規模や業種によって導入率に差があることが課題であり、都は、建設、製造、運輸など導入が困難とされる業種の企業が参加するイベントにブースを出展し、支援策を周知するなど、テレワークの浸透を図るほか、様々な支援策を講じております。

○両角委員 テレワーク経験者の九割以上が継続を希望しているという数字もある一方で、都が様々な事業に四十億円以上の予算を割いて普及に向けて取り組んでいるにもかかわらず、コロナ禍のピーク時から実施率は減少傾向にあります。特に従業員三十人から九十九人までの中小企業の実施率は低く、現状は、テレワーク支援の充実と実施率の停滞ともいうべき状況にあります。
 このような状況を打ち破り、テレワークを定着させるためには、企業の意識改革と制度の柔軟性向上が不可欠と考えます。
 そのため、今後、都は、中小企業支援と働き手の選択肢拡大を軸に施策を強化すべきと考えますが、見解を伺います。

○新田雇用就業部長 テレワークの定着に向けて、従業員の働きがいを高め、質の高い仕事ができる働き方の実現に取り組むよう企業を促すことは重要でございます。
 都は、今年度、従業員が時間や場所を自ら選び、業務効率を最適化する働き方であるABWの導入を目指すモデル企業五社への支援を開始し、専門家による伴走支援やオフィス整備の経費助成を行っております。
 また、余暇の充実にもつなげるなど、時間や場所を問わないテレワークの幅を広げるため、自宅でも職場でもない場所で働く環境づくりを支援しております。
 具体的には、サテライトオフィス勤務やワーケーション勤務を可能とする規定を新たに整備し、従業員が実際に勤務した場合に、それぞれ十万円の奨励金を支給しております。
 さらに、こうした働き方への理解を深め、利用を促進するための交流イベントを実施しており、今年度は、区部に加え、多摩地域でも開催します。
 これらの取組を通じ、中小企業とその働き手の両者にとってメリットのある、テレワークを活用した多様で柔軟な働き方を推進してまいります。

○両角委員 引き続き、都内での働き手の選択肢拡大に向けて有効な取組をお願いいたしまして、次のビジネスケアラーの質問に移ります。
 ビジネスケアラーとは、仕事をしながら家族の介護を担う人々を指します。現在、全国で約三百六十五万人、介護者全体の五八%を占めるともいわれております。
 二〇二五年四月に育児・介護休業法が改正をされましたが、その後も約四割の企業が介護離職防止の雇用環境整備を未実施とも聞いており、さらに、ビジネスケアラーに対する支援制度が十分と考えている企業は僅か二割という数字もありますが、都は、この状況をどのように捉えているのか、伺います。

○富岡事業推進担当部長 介護を理由に従業員が離職を余儀なくされることは、企業だけでなく日本全体の損失でありまして、介護と仕事を両立できる社会の実現を目指すことは重要でございます。
 介護離職防止に関する民間の調査結果等から、取組が十分ではない企業が多くあることがうかがえ、都としては後押しが必要でございます。
 都は、介護と仕事の両立支援など働きやすい職場環境づくりを推進する事業を実施しておりまして、社内規定の見直し等の課題を抱える企業に社会保険労務士等の専門家を派遣し、実情に寄り添った助言を行っております。
 また、両立のための職場環境整備に当たりまして、企業の人事労務担当者等が必要なノウハウを習得できるオンライン研修を開催いたしますほか、介護休業制度等に関する法知識を学習できるセミナーを実施しております。
 こうした支援を通じまして、育児・介護休業法の改正等を踏まえた具体的な取組を企業に促してまいります。

○両角委員 ありがとうございます。ビジネスケアラーに関しての取組が十分でない企業が多いとの認識でございました。
 こうした中、都は、相談窓口の設置支援や介護休業取得を促す奨励金支給、研修や専門家派遣などの支援に取り組んでいると承知をしております。
 様々取り組んでいただいている事業の中で、令和六年度決算数値の執行率が、働きやすい職場環境づくり推進事業が七四・一%、家庭と仕事の両立支援推進事業が六三・五%となっておりますが、これら低い執行率の原因は何であるのか、伺います。

○富岡事業推進担当部長 働きやすい職場環境づくり推進事業では、介護等と仕事の両立を推進する企業の取組を奨励しておりまして、令和六年度は、五百九十六社に対して奨励金の交付決定を行いました。
 しかし、交付決定後に一部企業で奨励対象となる取組を中止するケースや、取組内容が奨励金の支給要件を満たさないケースがあり、その結果として奨励金が不支給となったことなどから、予算上の不用額が生じたものでございます。
 家庭と仕事の両立支援推進事業では、介護等と仕事の両立に当たって有用な情報をウェブサイトで発信するほか、企業の経営者や人事労務担当者等を対象に、意識啓発や情報提供を行うシンポジウムを開催しております。
 こうしたイベントの開催運営や、両立支援に関する短編動画の制作等の業務は委託しておりまして、入札予定価格と実際の落札価格との間に差額が生じたことが主な要因でございます。

○両角委員 ちょっと想定できない事態が生じたり、あるいは入札差金等ということで不用額が生じたということは承知をいたしました。
 ところで、現状は、ビジネスケアラーの増加に対し、支援が十分に追いついていない状況があるように思います。都におけるビジネスケアラー支援は、制度整備が一定進む一方で、企業の対応は不十分であり、都は、支援体制の強化と企業への働きかけをさらに推進すべきと思います。
 具体的には、経産省の仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドラインの活用を、都が主導し、企業へ周知を強化することや、両立支援に取り組む企業への助成金制度を拡充し、申請のしやすい仕組みを整備すること、都内のビジネスケアラーの実数やニーズを把握するための調査を定期的に実施し、政策に反映をすることを提案させていただきたいと思います。
 特に、都内のビジネスケアラーの定期的な実態調査は必要であると考えますが、こうした調査の必要性について見解を伺います。

○富岡事業推進担当部長 ビジネスケアラーに関する企業や働く人の状況を把握することは必要でございます。
 都は、毎年度、都内事業所における雇用の実態調査を実施しておりまして、介護休業制度の規定の有無や取得実績などを調査項目に盛り込んでおります。
 今年度は、令和六年三月に経済産業省が公表したガイドライン等の内容を踏まえ、事業所における介護離職防止措置の整備状況を項目として追加しており、調査結果は年度末に公表する予定でございます。
 今後も、こうした調査等を参考として必要な支援策を検討してまいります。

○両角委員 ご答弁いただきまして、産業労働局が毎年実施をしている男女雇用平等参画状況調査、この中でビジネスケアラー関連の質問も設け、実施をしているとのことでありました。
 私も実際の調査票を拝見いたしましたが、制度の整備状況や介護休暇の取得状況の確認だけではなくて、事業所の意向や従業員の皆さんの意見なども確認ができるようなものがより望ましいのではないかなと、そのように感じました。
 政策をつくるには実態を把握しているということが必要でありますから、今後の政策立案の参考のためにも、より詳細な独立した調査についてもご検討をいただくようにお願いをしたいと思います。
 続いて、シニアの就労について伺います。
 今、我が国は人手不足が深刻化をしており、都内企業でも約六三%が人手不足を感じているという数字があり、特に中小企業では即戦力の確保が課題となっているわけでございます。
 一方で、中小企業の約六割が外部シニア人材の受入れに前向きであるというデータもあり、六十五歳以上の継続雇用や定年延長を実施する企業も増加傾向にあるなど、シニア就労への前向きな姿勢が社会全体に広がってきております。
 このように、我が国は深刻な人手不足の時代を迎えつつありますが、人手不足の中、シニア人材が希望する仕事に就けるために都が行うべきことは何であるのか、伺います。

○新田雇用就業部長 人手不足に悩む中小企業等において、意欲や能力のあるシニア人材が即戦力として活躍できるよう環境整備を図ることは重要でございます。
 そのため、都は、シニア人材がセカンドキャリアに挑戦することの後押しや、シニア人材と企業を結びつけるための支援などを行っております。

○両角委員 シニアが活躍できる環境整備が重要とのご答弁でございました。
 こうした考えの下、都は、高齢者のセカンドキャリアの形成を支援する東京セカンドキャリア塾の開催や、高齢者へ職場体験機会を提供するチャレンジ六十五、ミドル人材へのキャリア支援などを行うプラチナ・キャリアセンターの設立などを行っていると承知をしております。
 一方で、現状、シニア向け求人は、清掃、警備、軽作業などに集中し、専門性や要望に合わないケースが多く、企業側には、年齢に関係なく能力を評価する仕組みが不十分であります。
 シニア自身は、自分のスキルや市場価値を把握できていないという課題があるのではないかとも思います。
 こうした現状を踏まえ、都は、シニア向けのスキル棚卸し支援や職業適性診断を無料で提供するなど、スキルの見える化や職業適性診断の普及に努めるとともに、企業とのマッチング支援を強化し、柔軟な雇用制度の普及促進に向けてジョブ型雇用や短時間勤務制度の導入を支援し、シニア雇用に取り組む企業への助成金制度を拡充、企業向け啓発と評価制度の整備支援などに注力をすべきではないかと私は考えております。
 都は、シニア人材の希望に沿った就労を実現するために、スキルの見える化、企業とのマッチング強化、柔軟な雇用制度の整備を重点的に進めるべきと考えますが、今後の都のシニア就労支援の方向性について見解を伺います。

○新田雇用就業部長 都は、東京しごとセンターのシニアコーナーにおきまして就職に関する相談やカウンセリングを無料で行い、併設するハローワークで職業紹介を実施するなど、きめ細やかな支援を行っております。
 また、柔軟な働き方を望むシニア人材に対し、プラチナ・キャリアセンターでは、副業や兼業について学ぶことができるセミナーを開催し、企業と人材の相互の理解を深めるための交流イベントなども実施しております。
 こうした支援を通じまして、シニア人材の希望に応じた就業が実現されるよう取組を進めてまいります。

○両角委員 次に、シルバー人材センターについて伺います。
 都内には、地域でのシニア就労のインフラとして五十八か所のシルバー人材センターがあり、都も事務費や事業費の補助などを行っております。
 ところで、現在、シルバー人材センターは会員の高齢化が進んでいると聞いております。さらに、会員は事務補助、接客、専門職などを希望する傾向があるようでありますが、実際の提供業務は清掃、芝刈り、施設管理などが中心で、特に都市部では、高齢者のスキルを十分に生かせる職種が提供されていないともいわれております。
 このような状況に対し、都は、様々な就業機会の創出とシルバー人材センターの機能強化を通じて持続可能な高齢者就労支援を進めるべきと考えますが、様々な課題を克服してシルバー人材センターがその機能を十分に発揮できるように、都が今後取り組むべき方策について伺います。

○新田雇用就業部長 シルバー人材センターが、働くことに意欲を持つ高齢者に対し、その経験を生かし、活躍できる仕事を提供することは重要でございます。
 そのため、都は昨年度から、東京しごと財団と協力し、シニアの経験に見合う仕事を提供する民間企業の開拓を行っております。
 今後とも、生涯現役を目指す高齢者のニーズを踏まえ、就業を促進してまいります。

○両角委員 働く意欲を持ったシニアが希望の仕事に就いて力を発揮してくれることは、持続可能な我が国の経済にとっても重要なことであると思いますので、都の立場でしっかりとシニアの就労を応援していただきますようお願いをいたします。
 続いて、インバウンドとMICEについて質問をいたします。
 二〇五〇東京戦略では、訪都外国人旅行者数を四千万人、消費額を六・三兆円まで増加させる方針が示されておりますが、円安の影響もあり、訪都外国人旅行者数は二〇二四年に約二千五百万人となり、コロナ前の水準を超えるものとなりました。
 東京のインバウンドは回復基調にありますが、消費の質、地域分散、受入れ体制に課題があり、都は、これらの課題を踏まえて持続可能な観光政策を強化すべきと考えます。
 特に受入れ体制に関しては、多言語対応、キャッシュレス、交通アクセスなどインフラ整備の問題とともに、オーバーツーリズムに伴う問題も多発する事態となっております。
 そこでまず、都内のインバウンドの状況について伺います。特に、インバウンドの都内の地域ごとの状況と多摩・島しょ地域でのインバウンドの状況をお聞かせ願います。

○江村観光部長 都が実施した観光客数等実態調査では、令和六年に東京を訪れた外国人旅行者の数は約二千四百七十九万人となっており、コロナ禍前の令和元年と比べ、約一・六倍に増加しております。
 また、同じく都が実施した国・地域別外国人旅行者行動特性調査では、令和六年に外国人旅行者が訪問した場所について、区部で最も回答が多かったのは、渋谷の六二・六%、次いで新宿・大久保が五三・四%でございました。多摩地域については、吉祥寺・三鷹が三・五%、八王子・高尾山が三・一%となっており、伊豆諸島・小笠原諸島については一・一%となっております。

○両角委員 お答えをいただきましたが、今お話があったように、都内のインバウンドのうち、大体、渋谷とか新宿、大久保とか銀座とか浅草に人が集中していると。一方で、同じ調査で、ソートがずうっと下の方の八王子、私、八王子ですけれども、高尾山で三%弱と。西多摩とか、いいところがいっぱいあるんですけれども、非常に低い。
 都内のインバウンドは、一部地域に偏在をしております。多摩地区への来訪者は少ないということが分かったわけでありましたが、これに対しては地域連携による観光の分散化が必要と考えております。
 こうした都内インバウンドの偏在是正に向けて、多摩・島しょ地域との連携による観光ルート開発やサテライト観光拠点の整備、交通アクセスの改善、さらには、海外に向けた多摩・島しょの情報発信などを強化していくべきと思いますが、今後の都の取組を伺います。

○江村観光部長 東京のさらなる観光振興を図る上で、区部、多摩・島しょのそれぞれの魅力を生かし、旅行者を都内の様々な地域に誘致する取組は重要でございます。
 都は、多摩・島しょ地域における誘客に向けて、豊かな自然を生かした体験型コンテンツや歴史的な名所を巡るツアーの造成など、地元の自治体や観光協会、民間事業者が取り組む新たな観光の魅力創出を支援しております。
 また、今年九月には、多摩地域と島しょ地域の観光の魅力を国内外の旅行者にきめ細かく提供するそれぞれのウェブサイトを新たに設けまして、自然の中で楽しめるアクティビティーや地元の食材を使用した飲食店等を組み合わせたモデルコースの紹介などを行っております。
 さらに、地域内に点在する観光スポットを訪れてもらうため、自治体や観光協会等に対し、シェアサイクルなどの導入経費を助成しており、観光客の利便性の向上を図っております。
 これらの取組により、多摩・島しょ地域への誘客をさらに促進してまいります。

○両角委員 都内には、多摩地域をはじめとしてすばらしいところがたくさんありますので、訪日客に対してその魅力を伝えていっていただきたいと思いますし、一層のインバウンドの分散についてご努力をお願いしたいと思います。
 ところで、都内からの訪日客は、その多くが羽田空港や成田空港を利用することが想定をされるわけであります。しかし、長らく成田空港から多摩地域へのアクセス手段として利用されておりました、成田空港と八王子の高尾駅、西八王子駅、京王八王子駅、JR八王子駅北口を結ぶ西東京バスと東京空港交通の共同運行リムジンバスというのがあったのですが、これが、二〇二四年の四月一日以降、全便が運休となっております。
 多摩地域の空港利用者が不便を感じているのはもちろんのこと、今のこの事態というのは、多摩地区へのインバウンドという観点からも、ゆゆしき問題であると考えております。
 そこで、訪日客の多摩地区へのアクセス向上という観点からも、成田空港−八王子駅間のリムジンバス運行再開に向けて、都としてもバス事業者に強力に働きかけを行うべきと考えますが、見解を伺います。

○江村観光部長 地域の観光を振興する上で、交通アクセスの向上を図ることは必要でございます。
 今後、多摩地域の広域的な観光ルートの開発や情報発信等に取り組む協議会において、交通アクセスに関する課題を地元の観光事業者や商工団体などの関係者間で共有し、交通アクセスの向上に向けた対応について検討してまいります。

○両角委員 ご答弁ありがとうございます。もちろん、民間の交通事業者のやることですから、採算性もあるでしょう。しかしながら、この件については、大変地元でも大きな関心を寄せておりますし、インバウンドの多摩地区への足という面でも大きな問題点でもありますので、ぜひ関係者で情報を共有して対応を進めていただきますよう要望をさせていただきたいと思います。
 次に、MICEについて伺います。
 東京都のMICEは回復基調にあるものの、国際競争力や地域連携の面で課題があり、都は、先端テクノロジーの活用と戦略的誘致体制の強化を通じて、世界トップクラスのMICE都市を目指すべきだと私は考えております。
 そこでまず、初めに、東京都MICE誘致戦略二〇二三に照らして、現在のMICEをめぐる状況と都内の現状について、都の認識を伺います。

○江村観光部長 都は、令和五年一月に新たなMICE誘致戦略を策定し、デジタル技術の活用や地域における受入れ環境づくりの促進などを通じ、世界的なMICE開催都市としての地位のさらなる向上を図ることといたしました。
 MICEの現状については、新型コロナの影響により開催が滞っていた状況からは一定の回復が見られる一方、国際会議協会による調査では、アジア太平洋地域の諸都市が開催件数で順位を高めるなど、世界的に誘致競争が激化しております。
 こうした中、昨年の東京における国際会議の開催件数は、前年より多い九十七件となりましたが、世界の都市別ランキングでは、前年より低い十六位でございました。
 MICE誘致戦略では、二〇三〇年に世界三位以内を目指すこととしておりまして、引き続きMICE誘致の取組を強化していく必要があると考えております。

○両角委員 現行のMICE誘致戦略では、二〇三〇年、五年後にMICEの開催件数が世界の三位になっているというのを目標として掲げているわけでございますが、現状では、まだ五年ありますけれども、前年より順位を下げて十六位であるということでありました。世界の競争が激化しているということであります。
 MICEに関して東京が抱える課題がある、だからこそ、こういう現状にあるのではないかなと、そんなふうに思うわけでありますが、その課題として、私は、例えばグローバル対応の遅れ、あるいは都や区、民間などの関係機関の連携不足、さらにはユニークベニューの活用不足、サステーナビリティーやD&Iへの対応不足などを指摘ができるのではないか、このように思います。
 このような課題を踏まえて、東京都MICE誘致戦略二〇二三の取組期間の折り返し点を過ぎまして、今後の都のMICE政策の方向性と新たなKGI設定などの目標について伺います。

○江村観光部長 現在のMICE誘致戦略は、二〇二六年までの四年間を取組期間とし、その最終年において、目標の達成状況や国際的な情勢の変化等を踏まえて見直しの検討を行うこととしております。
 現在、都は、戦略的なMICE誘致を進めるため、欧州や北米の都市に誘致活動の拠点を設置し、MICEに関する現地の最新情報の収集や、主催者に対する開催地としての東京の魅力のPRなどを行っております。
 また、会議場や宿泊施設などが集積している九つのエリアをMICE開催拠点として選定し、MICEの開催に対する地域住民の理解促進や、専門知識を持つ人材の育成などへの重点的な支援を行っております。
 さらに、ユニークベニューの魅力やサステーナビリティーに配慮した開催のノウハウなどをMICEの主催者向けに発信するためのショーケースイベントを開催しております。
 これらにより、目標の達成に向けて取り組んでまいります。

○両角委員 都は、都内の九地区をMICE拠点として重点的に支援する推進重点エリアに定め、支援策を打ってきております。
 多摩地区では、立川と八王子がMICE拠点とされ、育成支援が行われていると承知をしているところでございます。
 八王子には二十五の大学、短大、高専が集積をし、日本遺産に指定をされました高尾山をはじめとした豊かな自然文化資源があり、二〇二二年には東京都のたま未来メッセが開業するとともに、八王子観光コンベンション協会が会場紹介、視察受入れ、助成金申請などをワンストップで支援するなど、MICEポテンシャルの高い都市でもあります。
 市では、担当部署を設けて、MICE誘致をまちの活性化に結びつけようと努力をしております。
 一方で、アクセスや宿泊面のほかに、八王子のMICE施設や地域資源が十分に知られていないという課題もあります。
 都は、多摩地域におけるMICE拠点の育成を掲げているわけでありますが、こうした八王子をはじめとする多摩地域でのMICE開催を増加させるには、地域資源の活用、交通、宿泊環境の整備、都の助成制度の活用が鍵になると私は考えます。
 そこで、都は、戦略的誘致支援と施設活用の促進を強化すべきでありますが、今後の多摩地域でのMICE開催に向けた都の取組を伺います。

○江村観光部長 都は、MICE誘致を進めるため、会議場や宿泊施設などにおける通信環境の向上や多言語対応の取組に要する経費への支援を行いますとともに、多摩地域においては、参加者が空港からホテル等の会場まで移動する経費への支援も行っております。
 また、企業の報奨旅行等の企画を担う海外のプランナーを招いたファムトリップを行っており、今年度は、高尾山や周辺の観光スポットを実際に巡り、地域の魅力をPRするとともに、都の支援メニューの紹介を行っております。
 さらに、MICE開催地としての多摩の魅力を広く発信するため、八王子エリアで誘致を進める団体に対し、国内見本市への出展経費への支援を今後実施することとしております。
 今後も、地域の特性を踏まえた支援により、多摩地域におけるMICE誘致を推進してまいります。

○両角委員 様々にご努力をしていただいているということは十分に理解をいたします。
 しかしながら、地域の強みですとか、地域によって課題もあると。その課題とか強みに応じて、支援をめり張りを持ってつけていただいて、そして、多摩地区でのMICEももっと盛り上げていただきたいなと。そのことによって多摩地域のMICE拠点が育ち、東京都全体のMICE誘致の底上げにも結びついていくんだと、このように私は確信をしております。
 長時間にわたり質問をしてまいりましたが、これで私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○渋谷委員 まず初めに、花粉症発生源対策について質問いたします。
 平成十八年より東京都のスギ花粉発生源対策主伐事業が開始され、現在に至っています。花粉を多く飛散する杉を伐採し、花粉の少ない苗木に植え替えることは、森林の循環を促進するとともに、林業振興にも寄与します。
 しかしながら、今もなお多くの都民が花粉症に悩まされており、伐採、植え替えを一層進めていくことが重要と考えますが、今年度の取組について伺います。

○榎園農林水産部長 都は、森林の循環を促進しながら、花粉の削減と多摩産材の安定供給を図っており、今年度は伐採、搬出の効率を向上させる取組を強化しています。
 具体的には、搬出間伐を行う六つの区域、約八十ヘクタールにおいて、経営体が行う作業道の作設や林業機械の導入等に対する支援を新たに開始してございます。
 また、所有者や境界が不明確なことで整備が進まない森林に対しまして、全国に先駆け、専門家を活用した相続登記を促すための支援や、境界の明確化につきまして、年間六十五ヘクタールを目標とし開始し、花粉発生源対策の促進につなげてまいります。

○渋谷委員 森林の所有者不明や境界明確化は、深刻な問題と受け止めています。発生源対策を促進するために、ぜひとも進めていただきたいと考えます。
 都の花粉発生源対策をさらに進めるに当たり、基盤となる林道の整備も重要です。
 生産性を上げる林業機械やトラックは近年大型化しており、これを通すためには、道路の拡幅や路面の舗装等の整備が不可欠であると考えますが、今年度の取組について伺います。

○榎園農林水産部長 林道は、木材搬出や森林整備に不可欠な基盤施設であり、林業コストに大きな影響を与えます。
 東京の山は急峻なため、戦後の拡大造林期には、技術水準と整備期間の関係で、整備が容易な川沿いにつくらざるを得ず、道幅が狭く、カーブもきつくなってございます。そのため、都は、約四百七十キロメートルにわたる路網の改修を計画的に進めております。
 今年度は、二十路線において大型車両の通行を可能とし、広大な伐採適地の創出や収益向上に向け、最新の工法と部材を取り入れながらリニューアルを図ってまいります。

○渋谷委員 伐採量を増やしていくためには、林道の果たす役割は大変大きなものがあります。木材の供給量増加に貢献する道づくりを戦略的に進め、発生源対策を一層進めていただくことを求めて、次の質問に移ります。
 今年の日本の夏の平均気温は、統計開始以降、最も高くなりました。私の地元の農家でも深刻な影響が出ており、東京の農業は、作物の栽培及び農家の作業環境の両面から変化せざるを得なくなってきています。
 先日、二十年以上の研究の末、暑い気候でも栽培しやすく、甘くて房取り収穫ができるブルーベリーが開発されたとの発表があり、農業者の期待が高まっています。
 そこでまず、今回の品種開発の狙いについて伺います。

○榎園農林水産部長 農林総合研究センターでは、東京の気候に適した品種を提供するため、平成十五年に選抜、交配を開始し、令和五年に品種登録出願を行いました。
 開発したブルーベリーは、本格的な暑さを迎える前に収穫ができるほか、世界で初めて房取りが可能な品種でございます。
 この品種開発により、収穫期間が長くなるとともに、収穫時間が大幅に減り、収益の向上や農家の負担軽減につながると考えてございます。

○渋谷委員 長い時間がかかっても新たな品種が開発されることは、競争力を劇的に高めるなど、東京の農業にとって非常に重要です。
 一方で、昨今の気候変動のスピードは加速しており、そうした状況にタイムリーに対応できる栽培技術の開発も求められています。
 そこで、今年度の都の取組について伺います。

○榎園農林水産部長 農林総合研究センターでは、昨年の猛暑を受け、都内で生産が多い大根等の秋野菜を対象に、暑さに強い品種の選定に加え、高温に対応する最新の資材等の活用や育苗方法について効果検証を行っています。
 研究期間は三年を予定していますが、有意な研究結果が得られた時点で、いち早く農業者に成果を還元するとともに、技術導入のサポートを行うこととしてございます。
 こうした取組をスピード感を持って進め、東京の農業の暑さ対策に貢献してまいります。

○渋谷委員 猛暑は今後も続くと予想されることから、農作物の高温対策に関して、即効性のある技術開発を進めてほしいと考えます。
 また、農業の作業環境も改善が必要です。
 第三回定例会でも触れましたが、厳しい暑さの中でも、農業者の方々は炎天下で作業しなければなりません。収穫作業の後には、出荷に向けた調整作業が夜まで続きますが、室内であっても涼しいわけではなく、農業者は、長時間、暑い中で作業をしなければなりません。
 加えて、農業者の高齢化も進んでおり、農業者が暑さをしのぎながら作業が行える環境づくりについては、安全確保はもとより、生産額確保の面からも必要と考えますが、今年度の都の取組を伺います。

○榎園農林水産部長 都は、農業者が、暑い夏でも安全、快適な環境の下で生産性を高め、収益を上げられるよう、最新の暑熱対策を取り入れるための支援を行っています。
 具体的には、炎天下であっても快適に作業ができるエアコンのついたトラクターや、トマトなどを栽培する施設で温度が上がった際にミストを発生させて温度を下げるシステム、空調設備を備えた出荷調整施設など、暑熱対策につながる機械や施設の導入に対しまして、九月末時点で合計十四件の交付決定を行ったところでございます。

○渋谷委員 都でも、様々な猛暑対策への支援を行っていることが分かりました。
 一方、炎天下での作業が不可避な場合もあり、より一層の対策が必要です。建設現場では一般的になっている空調服や、最近では水冷服もあると聞いています。こうした製品などの導入についても支援するよう求めまして、次の質問に参ります。
 東京都は、クリエーターに対する応援を始めており、引き続き、継続していただきたいと考えます。
 クリエーターの支援については、クリエーターの知的財産権をいかに保護していくかが重要です。AIによる生成がますます普及していく中、今後は、クリエーターの作品をまねた類似作等が簡単に生成されていく可能性があり、権利の擁護が不可欠です。
 クリエーター保護についての都の見解を伺います。

○大川商工施策担当部長 都の知的財産総合センターは、中小企業等が持つ優れた技術やアイデアを知的財産として保護、活用するための支援を行っております。
 同センターでは、大手メーカー等での知的財産の実務経験を積んだアドバイザーのほか、弁理士や弁護士などを配置しまして、生成AIにより制作したコンテンツの知的財産権に関するクリエーターからの相談に対応しております。
 また、知的財産権に係る制度概要やコンテンツ制作時の法律、契約上の留意点など、知的財産の適切な保護につながるセミナーを実施しておりまして、九月末時点で七件を開催し、四百十六名が参加をしております。
 こうした取組によりまして、クリエーターの知的財産権の保護を支援しております。

○渋谷委員 中小企業等のクリエーターの権利に関する支援も知的財産総合センターで行われていることが確認できました。まだこのような支援を知らないクリエーターも多いと考えますので、今後はウェブページであるとかSNSなどで周知していただくことを求めまして、次の質問に参ります。
 先月の大田区京浜島のグリーン水素の製造拠点の開所式は私も出席させていただきまして、施設の見学もさせていただきました。施設の心臓部となる水から水素を生み出す装置は海上コンテナ二つ分程度と、製造能力に対して小型だったことや、決して広大とはいえない敷地面積でも、水素の出荷まで対応していることが分かりました。
 水素は、一般的には石油化学コンビナートなどで製造されることが多いと聞きますが、水を電気分解してつくるグリーン水素であれば、都内でも展開できる可能性を感じました。
 都がグリーン水素の製造拠点を整備した意義や、整備費も含めた施設の詳細について伺います。

○服部新エネルギー推進担当部長 京浜島のグリーン水素製造拠点は、脱炭素社会の実現に向けたグリーン水素の本格利用と水素関連産業の技術力向上を目指し、山梨県と連携して整備したものです。
 都内でグリーン水素を生産する取組を進めるに当たり、山梨県の持つ技術を生かし、土地が狭小等の東京の地域特性を想定したコンパクトなグリーン水素のプラントの共同開発を行い、省スペース化を実現しました。
 一時間に燃料電池自動車二台分に当たる百二十立方メートルの水素が製造でき、年間では約二十トンの水素製造を計画しております。
 なお、地盤改良、水素の製造設備、出荷設備などの施設整備に要する費用は、約二十四億円程度となる見込みです。
 製造したグリーン水素は、東京ビッグサイト等での発電利用のほか、グリーンメタンや化粧品の原料としても利用してまいります。

○渋谷委員 ぜひ民間企業の見学なども積極的に受け入れていただき、企業が自社工場での水素の地産地消を検討するきっかけになるなど、脱炭素社会の実現の柱として期待されるグリーン水素の普及を目指す都の取組が広がっていくことを期待しています。東京のものづくりの集積地である大田区京浜島という立地を生かし、製造業の脱炭素化に向けても取組を進めていただきたいと考えます。
 脱炭素社会の実現に向けて、運輸部門の脱炭素化は不可欠であり、特に走行距離が長く、電気自動車等では対応が難しい領域である大型バスや大型トラック等の燃料電池商用車の普及拡大は重要です。
 しかし、燃料電池商用車の導入に当たっては、現在の水素ステーションでの販売価格が依然として高く、将来の価格動向も不透明であるため、導入をちゅうちょする声も聞かれます。
 水素価格を低減させ、燃料電池商用車をさらに普及させるために、都はどのような取組を行っているのか、伺います。

○服部新エネルギー推進担当部長 運輸事業者等が安価に水素を調達できるようにするためには、水素需要の拡大や、その充填を行う水素ステーションの整備促進が重要でございます。
 都はこれまで、燃料電池商用車の購入費等の助成や水素ステーションの整備等への支援により、水素の利用拡大を図ってまいりました。
 今年度からは、燃料電池商用車の導入をさらに促進するため、輸送事業者等約二百社を対象に意向調査を行うとともに、アウトリーチ型で導入拡大に取り組んでまいります。それにより水素の需要を広げ、既存のステーションの自立化を後押しするとともに、新規ステーションの誘致や整備につなげてまいります。
 これらにより、需給両面から水素モビリティーの普及を加速させ、水素販売価格の低減を目指してまいります。

○渋谷委員 都が積極的に水素価格の低減を目指し、水素モビリティーのさらなる普及に向けて取り組んでいることに期待をしています。水素関連技術は、開発と導入に時間がかかるものであり、今こそ真摯に取り組むべきときだと感じます。引き続き、事業者との連携を強化し、実効性のある取組を進めていただきたいと考えます。
 台風二十二号、二十三号は、八丈島、青ヶ島へ深刻な被害をもたらしました。私を含む都議会自民党有志は、先日、八丈島に伺いましたが、台風により、島の商工業者は建物や機材、設備、商品、在庫などの被害を受け、中小企業の事業に大きく影響を与えており、国も激甚災害の指定を行う見込みと聞いています。
 島は、内地と比べて、地理的に食料や水、救援物資、建築資材などが届くことが遅くなる事情もあり、それらを補うためにも、支援制度をスピーディーに実施することが島民の心の支えにもなると考えます。
 都は、災害に対応した中小企業向け制度融資を発表しましたが、被害は甚大であり、一層の資金繰り支援が必要と考えますが、都の見解を伺います。

○原金融部長 台風第二十二号、第二十三号により事業活動に影響が生じる事業者の資金繰りを支えるため、経営安定融資において、必要な運転資金、設備資金を低利で融資し、都は信用保証料を補助する支援を実施しています。
 このうち、台風第二十二号に係る災害救助法の指定により、セーフティーネット保証の認定を受けた事業者につきましては、既存債務とは別枠での資金調達が可能となっています。
 また、国におきましては、八丈町、青ヶ島村に対し、中小企業に係る激甚災害指定を行う見込みであることが発表されています。指定されますことで、被災した事業者は、売上げの状況にかかわらず別枠での融資を受けることが可能となります。
 今後とも、国の動向を注視するとともに、被災地の復旧、復興に向け、事業者ニーズにも十分に配慮し、対応を検討してまいります。

○渋谷委員 中小企業は、島の経済を支える重要な存在です。
 令和元年度に発生した台風十九号、二十一号では、利子補給があり、融資期間上限を十五年に延長した災害復旧資金融資による支援を都は行っています。八丈島、青ヶ島の企業の復旧、復興に向けた資金繰りの負担を減らす上でも、利子補給をはじめ、より一層の支援を行っていただくとともに、国の激甚災害指定が一日も早く行われるよう、国に対し強く働きかけることを求めて、次の質問に参ります。
 今回の台風では、農業も甚大な被害を受けています。
 都は、先日、農業被害額を公表しており、その中では、八丈島で三百件以上、青ヶ島で三十件以上もの栽培施設に被害が出たとしています。
 私も、現地で農業者の声を聞きました。農業者は、いち早く農業生産を再開したいものの、壊れたハウスの撤去、破れたビニールやネットの処分など、農業再建に向けてやるべきことが山積しており、多額の費用もかかる上、圧倒的な人手不足、人材不足の状況にあり、先行きに不安を持っており、その払拭が必要です。
 加えて、大型化する台風に対しても、より強い農業を構築していくことが求められています。
 今回の台風被害によって離農する農業者が出ないよう、スピーディーに取り組んでいく必要があると考えますが、都の見解を伺います。

○榎園農林水産部長 都は、台風二十二号、二十三号の被害発生直後から、八丈島、青ヶ島の事情に詳しい職員を現地に派遣するなどして農業における被害調査を行うほか、普及指導員や研究員が農家を巡回し、被害のあった農作物の回復に向けたアドバイスを行っています。
 さらに、被害のあった農業者や畜産業者に対し、栽培施設を覆うビニールやネット、生育を回復するための肥料や飼料など、農畜産業の継続のために直ちに必要な資材の購入につきまして、補助率四分の三、補助金上限額百万円の仕組みを新たに設けました。
 また、島内の被害は甚大でございましたが、その中でも軽微な損傷で済んだ施設もございました。こうした施設を参考にしながら、今後の大型台風にも耐えられる持続可能な島しょ農業となるよう、町や村と連携して取り組んでまいります。

○渋谷委員 早急に支援を検討されているとのことですが、しかしながら、人材不足や人手不足は特に深刻で、復興にはまだまだ時間がかかると考えられています。都にはぜひ、八丈島が切り葉生産日本一であり続けられるよう、引き続きの支援をお願いいたします。
 水産面でも、八丈島を襲った台風二十二号、二十三号により断水が発生し、必要な氷がつくれず、漁業者の方が一か月以上、漁に出られないという状況が続きました。
 都においても、漁協の製氷施設に、漁業調査指導船にて運搬した水を給水するなどの支援を行い、先週十一日に漁業操業は再開したものの、漁業者の事業活動には大きな影響が生じています。
 こうした被害を受けた漁業者に対し、都では金融面からの支援を実施していますが、支援に当たっては、現地の声をよく聞き取っていただきながら進めていくことが大事と考えます。都の具体的な取組について伺います。

○榎園農林水産部長 都は、先月末より、今回の台風により被害を受けた漁業者等に対し、経営安定に必要な資金などを無利子で融資する特別対策を開始いたしました。
 具体的には、法人には運転資金及び施設資金ともに三千万円、個人には運転資金五百万円、施設資金一千万円を上限とし、全額利子補給を行うことにより円滑な資金繰り等を支援いたします。
 本融資の実施に当たりましては、融資機関や現地の漁協等のニーズを踏まえた制度設計を行うとともに、地元自治体等とも連携し、漁業者等の申請のサポートを行うなど、利用者の使い勝手がよくなるような工夫を図ってございます。
 引き続き、地元関係者の声を丁寧に伺いながら取組を進めてまいります。

○渋谷委員 支援の実施に当たりましては、今後も、現地の声などを踏まえながら取組に反映していただくことを求めてまいります。
 なお、現地の漁業者からは、高齢の方が多く、支援を受けることに二の足を踏んでしまうとの声も聞きました。今後も引き続き、こうした地元関係者に寄り添った取組を進めていただくことを求めて、次の質問に参ります。
 観光は島の主要産業であり、台風による被害で観光産業は停滞をしています。
 先日、島を視察した際にも、事業者からは、島民の生活再建もなかなか進まず、いつになったら観光客を受け入れることができるのかなど、不安の声を多く聞きました。
 島民の生活再建や事業者の経営維持に優先して取り組む必要はありますが、島の経済を立て直すためには、今後、時機を逸することなく、多くの旅行者を呼び込むための環境を速やかに整えることが重要です。
 都は、現地の観光施設等の状況をどのように把握し、今後どのように支援していくのか、見解を伺います。

○江村観光部長 都は、先月の台風による八丈島や青ヶ島の観光施設の被害状況について、八丈町や青ヶ島村、観光協会などを通じて情報収集を進めております。
 現在のところ、島内全ての温泉施設が休業しており、復旧の見通しが立っておらず、安全確認ができないため立入りができない観光スポットも多い状況となっております。
 今後も、町村や観光協会を通じて現地の状況をつぶさに確認し、観光産業の回復に向けた支援策を検討してまいります。

○渋谷委員 特に八丈富士ふれあい牧場、裏見ヶ滝など、観光地の早期再開をすることが観光の再建につながってくるものと考えます。引き続き、観光支援策の検討をよろしくお願いいたします。
 これまでの質疑を通じて、台風第二十二号及び第二十三号により、八丈島では、農業や漁業、観光業など地域産業の根幹を担う事業者が深刻な打撃を受けていることが分かりました。
 また、スーパーマーケットや飲食店なども、施設の損壊等により営業を再開できない事業者がおり、このまま復旧が遅れれば経営が立ち行かなくなるおそれがあります。
 東京都議会自民党として、島の産業の復旧、そして復興に向けて、現地の声に耳を傾け、事業者の実情に寄り添った支援が必要だと考えますが、今後の復興に向けた局長の見解と意気込みを伺います。

○田中産業労働局長 今回の台風第二十二号及び第二十三号により、八丈島、青ヶ島では、島民の生活のみならず、農業、漁業、観光業など地域産業の根幹を担う事業活動に深刻な影響が及んでおります。一刻も早い復旧に向けて、取組を速やかに進めていくことが必要でございます。
 このため、都は、被害発生後すぐに現地での迅速な状況把握を行うとともに、これまで資金繰り支援や農業用資材への緊急支援を展開してまいりました。
 こうした復旧を後押しする取組を着実に進めますとともに、引き続き、農林水産事業者や島の強みである観光業をはじめ、中小企業の皆様が再び力強く歩み出せるよう、きめ細かい支援を継続的に展開していくことが不可欠だと考えてございます。
 事業者の声に寄り添った効果的な取組とするため、一日も早い復旧、そして島のさらなる魅力向上につながる復興に向けまして、国や地元自治体とも緊密に連携しながら、全力で取り組んでまいります。

○渋谷委員 今後の復旧、復興に向けた都のさらなる取組を求めまして、私の質問を終わります。

○もり委員 産業労働局事業について質疑をさせていただきます。
 まず、東京都の就職氷河期世代の雇用対策の現状と課題についてお伺いをいたします。
 私自身、二〇〇〇年に大学を卒業した就職氷河期世代であり、派遣社員も経験いたしました。社会保障も何もない中で、時間を切り売りにして働く若者の現状に直面した一人として、東京都としての就職氷河期世代の雇用対策について伺います。
 就職氷河期世代は、バブル崩壊後、一九九三年から二〇〇五年頃に厳しい雇用環境で就職活動を行った世代であり、おおむね四十三歳から五十五歳で労働生産人口の中核を担っており、最新の全国推計では、正社員率は男性四四・七%、女性四六・二%と、他世代より約七%低い水準にとどまっています。
 また、女性の契約社員率は一五・四%と高く、安定雇用の確保が依然として課題です。
 都は、就職氷河期世代の雇用、生活実態をどのように把握しているのか。東京都における正規雇用率や非正規雇用の推移と、東京都の課題認識についてお伺いをいたします。

○新田雇用就業部長 希望する就職ができず、不安定な就労の続く就職氷河期世代の方々が中高年となる中、安定した生活基盤を築けるよう支援するため、都は、東京しごとセンターの就職氷河期世代向けの相談窓口において、その状況を伺っております。

○もり委員 ただいま都としての認識についてご答弁をいただきましたが、都としての実態の把握について、これはもう大変重要だと考えますので、東京都の令和七年一月一日の人口推計によれば、就職氷河期世代の都民は約二百七十三万人ですが、就職氷河期世代である都民または都内で働く就職氷河期世代について、この就職率、また男女別の正規雇用と非正規雇用の人数と率についても、ぜひ都としてしっかりと把握をした上で今後の支援につなげていただきたいと、こちらは要望をさせていただきます。
 最近は、新規雇用者の給与の水準は上昇をしておりますが、企業の中核を担う就職氷河期世代の給与は上がっておりません。
 厚生労働省賃金構造基本統計調査の二〇二四年までの時系列データによれば、二〇一九年と二四年の比較では、二十から二十四歳が一〇・三%の増加ですが、四十歳から四十四歳は〇・一%、四十五歳から四十九歳は二・一%、五十歳以上が三%でマイナスとなっています。就職氷河期世代が冷遇をされているのではないかと、この数字を見て感じたのですが、就職氷河期世代約二百七十三万人が給料アップの流れから取り残されている状況に対して、給料アップのための支援が求められます。
 そこで、就職氷河期世代の就業支援策について伺います。
 東京都は、二〇二五年度から、就職氷河期世代、シニア世代の方が正規、非正規雇用を問わず長く働き続けられる雇用環境を整備し、待遇向上に積極的に取り組む中小企業等に対して、就職氷河期世代等待遇向上支援助成金を実施し、令和七年度は二十億円規模の正規雇用化や安定有期雇用を促進しております。
 この助成制度の申請件数と採用人数の実績、また、現場から聞かれる制度の課題について、また、正規雇用への移行件数や職場定着率について都の認識を伺います。

○新田雇用就業部長 就職氷河期世代等待遇向上支援助成金の令和七年度の実績は、令和七年十月末時点で、申請件数百二件、申請人数百十七人。このうち正規雇用等コースの申請件数百件、申請人数百十五人でございます。
 今年度から開始いたしました安定有期雇用コースの活用を促すことで長く働き続けられる労働環境を整備し、正規雇用への移行や職場への定着に結びつけてまいります。

○もり委員 申請件数に占める申請人数の九八%以上の方が正規雇用等コースとのことで、正規雇用への移行と職場への定着は大変重要だと考えます。ぜひ継続的な調査を行っていただき、継続的にこの制度についての支援体制の強化を求めます。
 また、就職氷河期世代等待遇向上支援助成金によって、就職氷河期世代の勤労者の所得が幾ら増加する効果があったのか、そういったことについても、今後ぜひ調査を行っていただきたいと、こちらも要望させていただきます。
 就職氷河期世代の人数は、都民だけで二百七十三万人。仮に就業率が五割としても百三十六万人という人数からすれば、仮に五千人が対象になるにしても〇・三%にすぎません。十年継続しても三%です。
 国は、二〇二五年六月に、リスキリング支援、年間最大二百四十万円の教育訓練や生活費貸与など、また、公務員採用枠の充実、副業、兼業支援を決定いたしました。
 東京都として、就職氷河期世代を対象とした職員採用や外郭団体などの登用について、これは総務局の所管となりますので今回質疑をいたしませんが、ぜひ隗より始めよの精神で取り組んでいただきたいと願います。
 次に、就職氷河期世代が安心して働ける老後の安心の確保についてお伺いをいたします。
 最近では若い世代の手取りを増やす政策が話題となっていますが、生産労働人口の中核を担う四十代半ばから五十代半ばまでの就職氷河期世代への支援が極めて重要です。
 また、高齢者の負担を増やすような社会保障制度の議論が行われていますが、老後や介護への不安があるのでは、その入り口にいる就職氷河期世代は安心して働くことができません。就職氷河期世代の高齢化に伴い、介護や老後資金への不安が増しています。
 雇用支援に加え、生活設計や資産形成支援を含めた包括的な支援を、福祉局とも連携し、伴走型の支援の充実が求められると考えます。
 都の見解をお伺いいたします。

○新田雇用就業部長 都は、就職氷河期世代の方々の安定した就労に向け、専門の相談員による高齢期を見据えた経済面や生活面など仕事以外の多岐にわたる相談への対応も含め、就職支援を実施し、希望に応じた就職が実現できるよう後押ししております。

○もり委員 ありがとうございます。
 都としても、就職氷河期世代の就労の所得を引き上げるために、企業への助成金や税制優遇に加え、企業内でのキャリア形成支援やテレワーク環境の整備など、柔軟な働き方を促進する政策を強化して就職氷河期世代への企業の雇用意欲を高めることなど、抜本的な対策を講じる必要があると考えます。
 就職氷河期世代への企業の採用意欲を高めるため、助成金や税制優遇に加え、企業内でのキャリア形成、テレワーク整備など、柔軟な働き方を促進する都の取組と課題についてお伺いをいたします。

○新田雇用就業部長 就職氷河期世代等待遇向上支援助成金の事業では、新たに退職金制度の導入、結婚等に関する休暇や一時金制度の導入などの取組を行い、長く働き続けられる労働環境整備をした場合、助成金を加算しております。
 なお、中小企業の様々な取組を支援し、多様で柔軟な働き方につながる労働環境の整備を促進してまいります。

○もり委員 ありがとうございます。中小企業の現場に合った様々な取組を支援していただいているということで、一層の強化をお願いいたします。
 雇用政策支援を、就職だけではなく、生活の安定、また老後の準備まで包括する仕組みの構築に向け、ぜひ引き続き、福祉局とも連携をしながら伴走型の支援に取り組んでいただきたいと要望し、次の質問に移ります。
 東京都の困窮女性の雇用対策の現状と課題について伺います。
 東京都では、困難な問題を抱える女性への支援を強化するため、令和六年四月に施行された困難な問題を抱える女性への支援に関する法律に基づき、基本計画を策定しました。
 しかし、現状では、非正規雇用の若年女性の貧困が深刻化しやすく、相談件数も増加傾向にあります。
 令和五年度、女性相談支援センターの電話相談件数は約四万五千件、来所相談は千五百件に達し、内容は、職場近隣関係、経済関係、住宅関係など生活基盤に直結する問題が多くを占めております。子供の貧困問題の背景にあるひとり親の困窮、非正規雇用のお一人様高齢者女性は、特に不安定な背景を抱えていることが明らかになっています。
 女性相談支援センターの所管は福祉局になると思いますが、電話相談から雇用に関わる課題は産業労働局に共有されていますでしょうか。
 また、都は、生きづらさを感じている困窮女性の人数、そのうち雇用面での課題を抱えているこの雇用の課題について、都はどのように把握をしているのか、お伺いをいたします。

○富岡事業推進担当部長 はたらく女性スクエアを拠点といたしまして、就業、暮らし、福祉分野の都の女性支援機関が連携をしながら、それぞれの支援機能の充実に努めております。
 また、会議を通じて各機関の課題を共有するとともに、連携した取組を実施しております。

○もり委員 ありがとうございます。局を超えて連携をしていただいているということで、ぜひ引き続きの取組をお願いいたします。また、支援の対象になる人数についても、ぜひ都としてしっかりと調査、把握をした上で、必要な支援が必要な方に届くよう取組の強化をお願いいたします。
 次に、東京都は、女性しごと応援テラスや女性ワークチャレンジ移動サロンを通じて再就職支援やキャリア相談を実施しています。
 また、ひとり親家庭向けには未来応援プログラムを展開し、年間二百名を対象に、スキルアップ講座や求人紹介、アフターフォローを行っていると伺いました。
 さらに、国の支援制度を活用した高等職業訓練促進給付金では、看護師や介護福祉士など資格を取得し、生活費として最大十万円を給付する仕組みなどがあります。
 こうした支援と課題を通じ−−課題の中には、支援制度の認知度が低く、利用率が三%程度にとどまっていること、就業後の職場定着率が低いという課題、また、子育てや介護との両立を支える柔軟な働き方の整備不足が指摘をされております。
 東京都女性しごと応援テラスの利用者数、また就職決定数や職場定着率について、課題に向けた具体策についてお伺いをいたします。

○富岡事業推進担当部長 都は、女性しごと応援テラスにおいてキャリアカウンセリング等の支援を実施しており、今年度は、十月末時点で新規の利用者が二千二百七名となっております。
 また、家庭と仕事の両立に理解のある企業の求人を開拓することなどによりまして、今年度は、十月末までに六百六十四名の就職に結びつけました。

○もり委員 ありがとうございます。
 新規利用者の方が二千名を超えており、また、十月末までに六百六十四名の方が就職に結びついているということで、大変実績を上げていることを高く評価いたします。
 困窮女性の雇用対策は、単なる就職支援にとどまらず、生活安定、孤立の防止、またキャリア形成を包括的に支援する仕組みが必要です。行政への期待として、安心感を得られる情報提供や居場所づくりが挙げられています。
 都として、女性相談支援センターと雇用支援機関の連携を強化し、ワンストップで相談、職業紹介、生活支援を提供する体制を構築すべきと考えます。
 見解をお伺いいたします。

○富岡事業推進担当部長 女性相談支援センターに相談された方で就職を希望する女性については、女性しごと応援テラスを有する東京しごとセンターを案内し、就職を後押ししております。
 就職後は、はたらく女性スクエアのキャリア相談等によって、就業の継続やキャリアアップをサポートするなどの支援を実施しております。

○もり委員 東京都女性しごと応援テラスや未来応援プログラムの利用者数などについても継続的に調査、公開をしていただき、より必要な方に制度が届くよう、PDCAを回しながら改善に向けて取り組んでいただきたいと思います。
 また、国の制度の活用にしても、都として国の制度とも連携し、認知度向上や利用促進のための広報、伴走支援の強化を要望いたします。
 企業の採用意欲を高めるため、助成金やテレワーク環境整備に加え、子育て、介護と両立可能な職場づくりを推進する施策を強化すべきと考えます。
 都の見解をお伺いいたします。

○富岡事業推進担当部長 都は、育児や介護等と仕事の両立に取り組む企業に奨励金を支給しておりまして、今年度、介護に関する相談業務の一部を社外専門家に委託する場合も対象としております。
 また、介護を抱える社員を理解するための疑似体験型研修を管理職向けに行った場合に加算をしております。

○もり委員 ありがとうございます。困窮女性の支援については、様々な背景がございますので、ぜひ引き続き、様々な、福祉局とも連携をしていただき、この支援がより多くの方に届くよう申し上げて、次の質問に移ります。
 東京都の雇用政策におけるワーク・ライフ・バランスの取組と国の労働時間上限規定の課題について伺います。若干、質問の順番が変わりますが、お願いいたします。
 まず、国の政策との関係についてお伺いいたします。
 東京都は、令和七年度事業計画でライフ・ワーク・バランス推進を重点政策に掲げ、働き方改革関連法の施行と長時間労働の抑制、育児、介護と仕事の両立支援、テレワーク普及推進を進めています。
 他方で、高市総理が自民党総裁選就任挨拶でワーク・ライフ・バランスという言葉を捨てると述べたことに、ご家族を過労死で亡くされた過労死弁護団から見直しを求める声も聞かれました。
 国では、働き方関連法に基づく時間外労働の上限規制が施行されています。課題として、管理職、専門職は適用外で名ばかり管理職問題、また、テレワーク時の労働時間管理が不十分である課題、柔軟な働き方と健康管理の両立が未整備などの課題が指摘をされております。
 国の労働上限規制の課題を踏まえ、都として、企業への周知や健康確保措置をどのように強化するのか、見解をお伺いいたします。

○新田雇用就業部長 都は、企業が主体的に長時間労働の是正など働き方改革に取り組むことができるよう、相談窓口の設置、働き方改革に必要な法知識やノウハウの提供、自社の課題への専門家派遣等を行い、企業の取組を後押ししております。

○もり委員 長時間労働の是正と柔軟な働き方を両立する制度設計の強化が求められています。
 テレワークやフレックスタイム制によりライフ・ワーク・バランスのさらなる推進に向けて、都独自のガイドラインや助成制度を拡充すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○新田雇用就業部長 都は、週休三日制など働き方の自由度を高める取組などを行う企業に対し奨励金を支給するとともに、従業員が時間や場所を自ら選び、業務効率を最適化するオフィス環境の整備の支援も行っており、ライフ・ワーク・バランスの実現に向けた様々な働き方改革を進めております。

○もり委員 都として、充実したライフ・ワーク・バランスの実現に向けた支援制度を行っていただいていることが分かります。
 ライフ・ワーク・バランスと収入の関係について、厚生労働省の二〇二五年九月の毎月勤労統計では、現金給与総額が前年度比プラス一・九%となりましたが、物価の伸びには届いておらず、名目賃金から物価変動の影響を除いた実質賃金は同マイナス一・四%と、九か月連続で減少しています。
 よい生活のためには、収入を増加する、少なくとも維持することが大切で、物価高に賃金上昇が追いつかない実質賃金はマイナスの状況が続いている中で、残業代を稼いで収入を得たいという声を聞きます。
 実質賃金が減少していく中でライフ・ワーク・バランスを進めていくためには、残業代がなくても生活できる、本体の賃金を上げていくことが必要だと考え、都としても一層の賃上げ支援が求められると考えます。
 都のワーク・ライフ・バランスの政策について伺います。
 都内企業のテレワーク導入率は令和六年度五八%と横ばい傾向であり、労働者ベースのテレワーク実施率は一六・三%、長時間労働者割合は全国推計で令和五年六・三%と改善傾向ですが、依然と高水準です。
 都は、テレワーク導入率の推移と長時間労働是正の進捗をどのように評価しているのか、最新の取組状況と見解についてお伺いをいたします。

○新田雇用就業部長 都の実態調査では、都内企業のテレワーク導入率は五八・〇%、前年度と比べ二・一ポイント減少いたしましたが、平成二十九年度の六・八%と比較すると大幅に上昇しております。
 テレワークは柔軟な働き方を実現する上で重要であり、都は、導入や定着を図るため、必要な機器等の導入経費を助成するほか、今年度、業務に合わせて従業員が働く時間や場所を選択するABWの導入を目指す企業を支援しております。

○もり委員 東京都は、働き方改革推進助成金や東京働き方改革推進企業認定制度を展開し、男性育休推進やテレワーク導入支援を実施しています。
 さらに、令和七年度から強化をし、育休取得を促進する企業に最大四百二十万円を支援するなど、私も以前から議会で中小企業の育業取得支援を求めてきた経緯があり、事業の導入以来、支援の拡充に取り組んでいただいており、加算項目における同僚への応援手当支給や評価制度の導入など、職場環境整備の充実を図っていることを高く評価いたします。
 そこで、働くパパママ育業応援奨励金の申請件数と利用企業数について、これまでの実績と中小企業への普及促進策についてお伺いをいたします。

○富岡事業推進担当部長 都は、昨年度、働くパパママ育業応援奨励金について、女性の育業では、四百八十六社の申請を受け四百五十三社へ支給し、男性の育業では、八百二十一社の申請を受け七百六十二社へ支給を行いました。
 今年度は、十月末時点で、女性の育業で三百八十七社、男性の育業で三百八十一社の申請を受け付けており、各種団体等を通じた周知などを行っております。

○もり委員 中小企業ではなかなか難しい男性の育業を力強く後押ししていただいている制度だと思いますので、一層周知をしていただき、多くの方が参加をしていただけるように願うものです。
 次に、男性の育休取得率や勤務間インターバル制度の導入状況について、都はどのように評価し、改善策を図ってきたのか、お伺いをいたします。

○富岡事業推進担当部長 令和六年度、都が実施した雇用の実態調査によりますと、都内事業所における男性の育業取得率は五四・八%と、前年度と比較して一五・九ポイント上昇いたしました。
 勤務間インターバル制度を導入している事業所は一二・五%となっております。
 都は、ライフ・ワーク・バランスの実現に向け、長時間労働などの働き方の見直しに係るセミナーを実施するなど、様々な取組を行っております。

○もり委員 ありがとうございます。
 都内では育業取得率も大変向上しており、この制度が本当に推進をしてきた役割は大きいと思っています。
 一方で、都内の企業というのは、やはり働き過ぎの傾向にあり、ライフ・ワーク・バランスがいまだ達成されていない状況もあります。ライフ・ワーク・バランスの達成に向けて、目標と指標を設定し取り組んでいただくことを要望し、次の質問に移ります。
 ものづくり人材の育成と人材の流出対策、産業集積の維持のための取組について伺います。
 日本のものづくりは、かつて世界一と称される商品が世界的なシェアを誇っておりました。しかし、一九九〇年代から、円高や貿易制限の影響を受け、日本の製造業の生産拠点が賃金の安い途上国に移転し、産業空洞化が進みました。
 地元大田区を見ても、かつて一万社を誇っていた製造業ですが、今は三千社台と、六割以上が減少し、産業集積を守るための支援強化は喫緊の課題です。
 都の課題認識についてお伺いをいたします。

○新田雇用就業部長 都は、中小企業が優れた人材の確保や定着を図るため、賃上げや賃金制度等の見直しに取り組むことを後押ししております。
 具体的には、専門家による規定の見直しのアドバイスや賃上げに関するセミナーを実施するほか、都内のものづくり企業での賃上げに関する好事例を発信しております。
 また、今年度から、持続的な賃上げの実現に向け助言する相談窓口を設けております。

○もり委員 また、工作機械の導入支援など、先端機器の導入に際しては、都は充実した支援がある一方、地元の町工場からは、事業規模に合った支援や旧型の機器の修理にも使えるような支援を求める声もあり、中小企業の実態に合った設備支援の課題と見解についてお伺いをいたします。

○福田商工部長 都は、中小企業の規模に応じて、生産性の向上や競争力の強化を図るため、生産効率の高い設備を導入する取組や、創意工夫を生かして事業を発展させるために機器等を導入する取組などへの支援を行っております。
 これらにより、中小企業の経営力の強化を後押ししております。

○もり委員 先ほど質問の順番が前後して、すみませんでした。
 地元大田区の中小企業には築五十年以上の老朽化した工場が多く、老朽化した工場は、耐震や断熱、防音対策も古く効果がないという声、今後の都内製造業の事業継続、事業の拡大、活性化のためには工場の建て替えが必要となっています。
 しかし、都内には、建て替え中に建て替えで借りられる工場用地が少なく、建て替えがかなわないため、都内、区内での建て替えを望んでいても、地方に移転せざるを得ない状況があります。
 また、建て替え用地の賃貸には箱が小さいものが多いと聞き、百坪以上のものがないことも建て替えが進まない要因となっています。
 このような状況に加え、準工業地域ほどマンションが建てやすい背景もあり、区内でも、工場が撤退すると次々と大型マンションに姿を変えています。
 産業集積を守るために、工場の建て替えについて用地の確保も含めた都の支援が必要ですが、都の見解についてお伺いをいたします。

○福田商工部長 都は、東京のものづくりを支える企業が事業用地の不足などにより都外へ転出することを防ぐため、区市町村と連携し、製造業等を対象とした貸し工場の設置や用地の提供を行う事業者などを支援しております。
 また、工場の建て替え等に向けて土地や倉庫などの確保を希望する企業に対して物件情報を紹介するなど、立地に関する相談にワンストップで対応しております。

○もり委員 引き続き、現場に寄り添った支援をお願いいたします。
 日本の大企業は、中国やアメリカなどの外国に設備投資を行い、さらに大企業のグローバル化に伴って、安定した取引関係であった系列が、株主利益を最優先にして利益配分が行われ、利益の労働者への配分割合の減少や、中小零細企業への下請代金の不当な減額、製造設備の無償保管などコストを下請の中小企業に押しつけ、それが日本経済の停滞を招いたという側面もあります。
 日本の製造業が世界一であった一九八〇年代では、企業利益は従業員や系列の中小企業に配分され、経済成長を実現してきた企業行動が、グローバル化によって株主配当最優先となったことが一因にあったのではないかと考えます。
 中でも大企業のサプライチェーンを形成する中小企業は、日本に残り、技術を研さんしてきました。
 しかし、最近では、中小企業のコア技術を持つ技術者の流出、海外企業による引き抜きが中小企業存続の脅威となっており、経済産業省も技術流出対策ガイダンスなどを発表して技術流出の防止に取り組んでいます。
 製品をつくる部品については、下町の比較的小規模な町工場が頑張っている現状がありますが、賃金については限りがあり、中小企業の技術者の流出を防ぐための支援が求められると考えます。
 都の見解についてお伺いをいたします。

○新田雇用就業部長 先ほどは失礼いたしました。改めて答弁させていただきたいと思います。
 都は、中小企業が優れた人材の確保や定着を図るため、賃上げや賃金制度等の見直しに取り組むことを後押ししております。
 具体的には、専門家による規定の見直しのアドバイスや賃上げに関するセミナーを実施するほか、都内のものづくり企業での賃上げに関する好事例を発信しております。
 また、今年度から、持続的な賃上げの実現に向け助言する相談窓口を設けております。

○もり委員 精密な部品をつくれる職人の高齢化、担い手不足の現状に、中小企業の技術者と連携し、技術者を育てる人材育成支援が求められると考えます。
 職人さんの成り手や賃金の大幅アップにつなげるため、都の取組と課題についてお伺いをいたします。

○新田雇用就業部長 労働人口が減少する中で中小企業の生産性の向上を図るためには、従業員のスキルアップを図る必要がございます。
 都は、職業能力開発センターで、中小企業の従業員に対し、ものづくりの分野等の中小企業において第一線で活躍されている技能者を講師として招くなど、技能の向上や資格取得に資する多様な訓練を実施しております。

○もり委員 経済産業省の技術流出対策ガイダンスでも、完璧な技術流出対策は存在しないとされています。すなわち、中小企業の技術者の賃金を上げることに加え、柔軟な雇用延長制度と退職者管理、待遇、また、新規技術の開発や技術を受け継げる人材の育成など、幅広い支援が必要になると考えます。都として、中小企業の技術者の流出を防ぐため一層の取組を要望し、次の質問に移ります。
 商店街チャレンジ戦略支援事業について伺います。
 商店街チャレンジ戦略支援事業制度については、商店街の活性化に向け、非常にありがたいと、地元商店街からも高く評価をする声が聞かれます。
 まず初めに、チャレンジ戦略支援事業の十年前と今年度の申請件数との比較、また、そこから見える課題についてお伺いをいたします。

○福田商工部長 商店街チャレンジ戦略支援事業のうち、イベント事業と活性化事業の申請件数は、平成二十七年度は二千三百三十八件、今年度九月末時点では二千九十二件であり、引き続き、魅力ある商店街づくりに向けた取組を着実に支援し、都内商店街の活性化を図ってまいります。

○もり委員 大変好評な制度ですが、支援を活用しようとする商店街からは、幾つかの課題の相談を受けることがあります。
 支援を受けるための提出書類が、申請時、事業終了時に非常に多く、かつ煩雑であること、この書類を作成するに当たり、高齢化が進む商店街の会員では難しくなっていることが挙げられます。
 より多くの商店街において都の支援策を活用していただくためにも、申請事務に係る支援が求められると考えますが、見解を伺います。

○福田商工部長 商店街チャレンジ戦略支援事業における申請書類等については、都は、必要最小限の資料の提出を求めた上で、書類の記入に当たってはきめ細かくサポートするなど、引き続き対応してまいります。

○もり委員 申請のタイムが大変タイトであるというような課題も聞かれます。また、書類の作成は行政書士の活用など、申請に係る手続への支援を、よりシンプルに活用しやすくする制度設計に向けて取り組んでいただきたいと要望いたします。
 また、この申請書類のうち事業終了時の書類提出期限が非常にタイトであり、にもかかわらず、都からの決定通知が非常に遅いといった声が聞かれました。改善を求める声が聞かれ、また、一部の商店街では、会長自ら、長期間、イベントの費用を立て替えざるを得ないという現状も伺いました。商店街の負担になっている現状は、望ましい状況とはいえません。
 こうした課題に対し、各自治体に任せるのではなく、都からも商店街に対して簡易的なマニュアルを作成してほしいとの声もあります。
 ぜひ現場の声に寄り添う見直しが求められると考えますが、見解を伺います。

○福田商工部長 都は、商店街や区市町村からの要望を受け、申請回数をこれまでの一回から二回に拡充するなど、制度の改善を図ってまいりました。
 引き続き、商店街等からいただいた意見も踏まえながら取り組んでまいります。

○もり委員 制度の改善を図っていただいているとの答弁でした。先ほども申し上げましたが、現場からの、非常に書類の提出期限がタイトであるという声が聞かれましたので、こういったところには、ぜひ現場の声に寄り添う取組をお願いいたします。
 大田区では、かなり大きな規模の商店街でも、せっかくの支援事業も、書類の煩雑化、煩わしさなどから利用しなくなって、イベントをやらない商店街も幾つかあると聞いています。
 また、商店街事業もマンネリ化して、なかなか新しい事業へのアイデアが浮かばないという声も聞かれました。
 イベント事業や活性化事業でも、表彰制度など、周知がある程度図られておりますが、もっと身近で面白いイベントを紹介することで、アイデアに行き詰まった商店街へのヒントになるのではないでしょうか。
 自治体内では、ある程度、商店街同士で認識が行われていますが、都内における商店街活性化の取組について、他自治体の申請の上がったイベント事業などを横展開、情報交換できる場を求める声もあります。
 ぜひ、効果的な取組については都内で横展開をしていただき、支援制度が有効に活用されることを願います。
 都の見解をお伺いいたします。

○福田商工部長 都では、都内の商店街の活性化に向けた優れた取組を表彰し、広くPRするため、東京商店街グランプリを開催しております。
 また、こうした取組を紹介する事例集や動画を作成し、都内の商店街や区市町村等に広く発信するなど、事例を参考にした新たな取組等を促してまいります。

○もり委員 ありがとうございます。都としては大変様々なメニューがありますが、そういった中で、現場の商店街がより柔軟に活用できるよう要望し、次の質問に移ります。
 東京都プロジェクションマッピングについてお伺いをいたします。
 東京プロジェクションマッピング実行委員会に関する東京都職員の在り方について、令和五年二月十四日、東プロ委第一号、東京プロジェクションマッピング実行委員会設置要綱によれば、建造物壁面等を活用したプロジェクションマッピング等を円滑に実施、運営するための実行委員会を設置し、事務局は東京都産業労働局観光部振興課に置かれ、委員長は東京都産業労働局観光部長、委員は公益財団法人東京観光財団地域振興部長、新宿区文化観光産業部文化観光課長、あと一般社団法人新宿副都心エリア環境改善委員会技術担当理事、また一般社団法人新宿観光振興協会専務理事となっています。
 また、監事については東京都産業労働局総務部計理課長で、事務局長は東京都産業労働局観光部地域振興担当課長、事務局職員も東京都産業労働局観光部振興課職員となっています。
 都の行政財産である都庁庁舎を実行委員会に使用させることは目的外使用に当たるため、東京都公有財産規則第二十九条の二による使用許可が必要であると考えます。
 実行委員会については使用許可が与えられているのか、また、使用許可がない場合には、実行委員会について、使用許可なしに行政財産を使用できる理由についてお伺いをいたします。

○江村観光部長 都庁舎のプロジェクションマッピング事業では、都と実行委員会との間で締結した協定において、都が機器の設置場所を提供することとしているため、産業労働局が財務局から行政財産の使用承認を受けております。

○もり委員 実行委員会事務局として働いている職員は、都の振興課職員以外に存在するのか、お伺いをいたします。

○江村観光部長 実行委員会事務局は、観光部振興課の職員のみが担当しております。

○もり委員 都の職員自ら実行委員会の仕事を行う場合には、実行委員会に派遣されたと判断されるべきで、公益法人等派遣法規定による団体の性格の判断や手続を取るべきだと考えますが、東京プロジェクションマッピング実行委員会の職務に従事する職員について、その手続を取らない理由についてお伺いをいたします。

○江村観光部長 公益法人等派遣法及び公益的法人等への東京都職員の派遣等に関する条例等では派遣先団体を列挙しており、実行委員会はこの中に含まれておりません。
 そのため、職員が勤務時間内に実行委員会の業務に報酬を得ずに従事する場合、兼職の手続を取っております。

○もり委員 実行委員会の委員長は東京都産業労働局観光部長で、監事は東京都産業労働局総務部の計理課長となっています。
 都の職員が実行委員会の仕事を行う場合、実行委員会の業務が都の業務でないのであれば、東京都の職員の職務に専念する義務の特例に関する条例第二条により職務専念義務を免除する必要があるのではないでしょうか。
 実行委員会の事務を行うそれぞれの職員について、条例二条の第何号に該当するのか、その理由と、いつ、誰の承認を受けたのか、お伺いをいたします。

○江村観光部長 職員の職務に専念する義務の特例に関する条例第二条第三号では、前二号に規定する場合を除くほか、人事委員会が定める場合としており、これを踏まえた職員の職務に専念する義務の免除に関する規則第二条第二号では、職員が職務に専念する義務を免除される場合として、職員が国または他の地方公共団体その他の公共団体もしくはその職務と関連を有する公益に関する団体の事業または事務に従事する場合と定めております。
 各職員は、実行委員会の業務に従事する前に、それぞれの職員の所属長から承認を得ております。

○もり委員 一般社団法人新宿副都心エリア環境改善委員会は、いつから委員会の委員となっているのか、伺います。
 また、実行委員会の事業として、新宿副都心エリア環境改善委員会が所有または管理する施設で、委員会を構成する企業が自らの費用でプロジェクションマッピングを実施したことがあるのか、お伺いいたします。

○江村観光部長 環境改善委員会は、地域と密接に連携した事業運営を行うため、地域を代表する団体として、令和七年三月から実行委員会の委員となっております。
 また、実行委員会の事業として、環境改善委員会が所有または管理する施設で、構成企業が自らの費用でプロジェクションマッピングを実施した実績はございません。

○もり委員 では、実行委員会の予算と決算について伺います。
 東京プロジェクションマッピング実行委員会に関する東京都の予算面での関わり方について、東京プロジェクションマッピング実行委員会の予算書を見ると、都の負担金は九億五千万円で、ほかに収入の予定をしておらず、事務局も予算も都の丸抱えのプロジェクトであり、委託先の選定も都の職員が行っていることが分かります。
 にもかかわらず、予算面で東京都丸抱えの事業を都の事業として実施しないで、実行委員会形式を活用した理由についてお伺いをいたします。

○江村観光部長 都庁舎のプロジェクションマッピング事業について、その実施に係る知識や観光資源としての活用の効果を高めるノウハウを持つ主体や、地元の実情に詳しく、地域の経済の活性化を目指す団体の力を効果的に活用するため、連携した対応を行うことといたしました。

○もり委員 予算書の事務局運営費に二百万円が負担金に組み込まれていますが、支出を見ると、会議費はゼロ円です。
 会議費がゼロ円ということは、書面開催と都庁での会議の開催の結果なのかですが、東京都とは別の団体であると主張されている実行委員会による都庁の会議室の開催に当たって、どのような使用のための手続が取られたのか、お伺いをいたします。

○江村観光部長 都庁舎のプロジェクションマッピング事業では、都と実行委員会との間で締結した協定において、都が実施に当たっての関係機関との調整を行うこととしているため、産業労働局が実行委員会で使用する会議室を確保しております。

○もり委員 実行委員会の金銭出納員は、東京都産業労働局観光部課長代理の職にある者を充てることになっています。
 令和六年度建造物の壁面等を活用したプロジェクションマッピングの実施、収支決算書では、役務費について、予算額百六十万円、決算額百五十一万二千二百六十円となっていますが、これは都の振興課職員や観光部長、計理課長に支払われた費用であるのか、お伺いをいたします。

○江村観光部長 役務費の支出は、屋外広告物の許可申請手数料や収入印紙代などであり、職員への支払いはございません。

○もり委員 予算書の事業運営費の雑支出八百万円は、何を具体的に想定して負担金に組み込んだのか、お伺いをいたします。

○江村観光部長 雑支出の予算につきましては、機器の修理など、突発的な対応に充てる費用として計上しております。

○もり委員 協賛金収入は予算になく、決算で五百七十一万二千四百五十六円となっています。
 協賛金収入は、実行委員会の委員からの協賛金ではないかと考えますが、どの団体からの協賛金なのか、お伺いをいたします。

○江村観光部長 協賛金収入につきましては、広告の投影に係る民間企業等からの収入でございます。

○もり委員 実行委員会の決算では、東京都が実行委員会に支出した負担金は九億五千万円、支出額は九億三千六百四十万百九円で、支出金額全額が都の負担金の目的の範囲内で支出されたとすれば、都への返還額は一千三百五十九万九千八百九十一円という計算になりますが、実際の都への返還額は千九百三十一万二千八百四十七円でありました。
 その差額五百七十一万円余は、都からの負担金の目的になじまない支出であり、それは協賛金収入と雑収入を充当したものと考えられます。
 実行委員会の支出金額のうち都からの負担金の目的に沿わない支出は、どの項目の支出で、それぞれ幾らだったのか、お伺いをいたします。

○江村観光部長 実行委員会の支出金額のうち都からの負担金の目的に沿わない支出はございません。
 広告収入につきましては、プロジェクションマッピングの運営経費に充当できることとしており、事業年度終了時に残余が生じた場合には、都に返還することとしております。

○もり委員 次に、実行委員会の委託先の選定について伺います。
 令和六年度都庁舎におけるプロジェクションマッピングに係る映像制作等業務委託は、株式会社電通ライブでありますが、選定した企画選定委員会の五人のうち、過半数の三人が東京都の観光部長、観光部の課長二人となっています。
 プロジェクションマッピングに係る映像制作等業務委託先は、実質的には都の観光部が選定しているのではないかと考えますが、見解を伺います。

○江村観光部長 令和七年度における都庁舎のプロジェクションマッピングに係る映像制作等業務委託については、観光部職員の委員一名と都職員以外の委員三名で構成する企画選定委員会により事業者の選定を行っております。

○もり委員 東京オリンピックに関連して、二〇二五年一月三十日、東京地裁は、法人としての電通グループには独占禁止法違反で罰金三億円の判決が、博報堂には罰金二億円の判決が出され、東京高裁は、博報堂には二〇二五年五月十九日に、電通グループには二〇二五年七月三十一日に地裁判決を認める判決をしています。
 また、国土交通省の工事の発注に当たっての建設業者の選定方法等についてによれば、入札参加者間に入札の適正さが阻害されると認められる資本関係または人的関係がある場合には、公正な入札の執行の観点から、一定の制限を加える必要があるとして、入札の適正さが阻害されると認められる一定の資本関係または人的関係のある複数の者の同一入札への参加は認めないこととするとしています。
 東京都は、都の事業について、電通グループや博報堂及びこれら子会社について、入札資格があると考えているのか、お伺いをいたします。

○江村観光部長 お話の企業については、現在、都の指名停止措置を受けていないものと認識しております。

○もり委員 これは都のホームページにも公開されておりますが、入札停止の一覧がホームページにも載っておりまして、それについて、電通については今年の八月まで、また、博報堂についても今年の八月二十七日まで、独占禁止法違反による入札停止となっておりました。
 東京都が人的、資金的、事務所的にも全面的に関与し、東京都の二人羽織的な運営を行っているプロジェクションマッピング事業について、その事業を電通グループや博報堂に委託することは、脱法行為というよりも、入札の適正さが阻害される事案であると考えます。
 都の見解をお伺いいたします。

○江村観光部長 令和七年度における都庁舎のプロジェクションマッピング事業の業務委託先は、株式会社東北新社及びパナソニックコネクト株式会社となっております。

○もり委員 今年度は委託先が替わったということなんですけれども、やはりこうした疑義の持たれるような事業に対しては、しっかりと都民の皆様に情報公開を行うことが重要だと考えます。
 その上で、やはり今、物価高や本当に多くの都民が困窮をしている中で、こうした事業に税金が使われるべきであるのかということは、引き続き申し上げていきたいと思います。
 最後に、民泊について伺います。
 東京都では、住宅宿泊事業法、民泊新法に基づき、年間営業日数を百八十以内とする全国統一ルールが適用されています。
 しかし、都内では、観光需要の増加に伴い、民泊施設が急増し、騒音、ごみ出し、喫煙トラブルなど、住民生活への影響が深刻化しています。
 さらに、犯罪利用のリスクも顕在化しています。二〇二三年には、東京都内の民泊マンションで、外国人観光客が大麻を所持、使用し、警察が出動する事件が発生をしました。また、豊島区の民泊施設では、約六億円相当の違法薬物MDMAなどが押収され、国際密輸組織の関与が疑われる事件も起きています。そして、地元大田区ではさらに深刻な事例があり、複数の民泊の部屋を使い分けて覚醒剤を製造、密輸する犯罪グループが摘発される事件が発生しました。
 こうした事例は、民泊が、匿名性、管理者不在、本人確認の甘さなどを背景に、薬物犯罪や詐欺の温床になりやすいことを示しています。
 都は、民泊施設の増加の状況と住民からの苦情件数、さらに犯罪利用の実態をどのように把握をしているのか、最新の届出件数と警察対応事例についてお伺いをいたします。

○江村観光部長 観光庁が公表している住宅宿泊事業法に基づく都内の届出施設数は、令和七年九月時点で一万五千百四十八施設であり、昨年に比べて約四三%増加しております。
 住宅宿泊事業に関する届出の受理や指導監督は、所在地に応じて、都または保健所を設置する二十三区及び八王子市、町田市でそれぞれ対応しております。
 都の所管区域の届出施設数は四百七十一施設であり、昨年に比べて約二九%増加しております。都の所管区域における今年度の苦情件数は三件であり、警察対応事例は把握しておりません。

○もり委員 昨年に比べて、一年で四三%も増加をしている。これは本当に、今、野放しになっているのではないかと危惧をいたします。
 国の住宅宿泊事業法では、年間営業日上限百八十日、届出義務、家主不在型での管理業者委託義務、また近隣説明義務が定められていますが、都市型の住宅密集地では十分な抑止力にはなっていないとの指摘があります。
 大田区は、国家戦略特区として特区民泊を導入し、住居専用地区での民泊禁止、最低利用日数二泊三日以上など厳格なルールを設けていますが、違法民泊や犯罪利用のリスクは残っています。
 都として、区ごとの規制格差を是正し、都民の安心・安全を確保するため、共通ガイドラインや都条例による統一的な規制を検討すべきと考えます。見解を伺います。

○江村観光部長 都内の住宅宿泊事業について、住宅宿泊事業法の規定に基づき、保健所を設置する二十三区及び八王子市、町田市においては、都と各区市との協議により、届出の受理や指導監督を当該区市が所管することとなっております。
 それぞれの所管区域において、地域の実情を踏まえて適切に対応すべきものと考えております。

○もり委員 実際には各区市町村の所管となっていますが、やはり、都として実態の把握をしっかりと行っていただきたいと思います。そのことを強く要望いたします。
 豊島区や墨田区では、営業日数の大幅短縮、百二十日ですとか、また住宅専用地域等での新規の民泊の禁止、また事前近隣説明会を義務化し違反公表制度を導入など、住環境保護を目的とした厳格な措置が検討されています。
 しかし、大田区で発生した覚醒剤製造事件や、豊島区での国際薬物密輸事件を踏まえると、単なる営業日数の規制では不十分であり、本人確認の徹底、監視体制の強化、また違反事業者への厳罰化が不可欠であると考えます。
 都は、観光振興と住環境の保護の両立を図るため、どのような方針で規制強化を進めるのか。特に、管理体制、情報公開、違反事業者への罰則の強化についてお伺いをいたします。

○江村観光部長 住宅宿泊事業は、旅行者の多様な宿泊需要に応えることができる一方で、地域の生活環境との調和に配慮することが必要でございます。
 そのため、都では、独自に事業者向けのガイドラインを策定し、その中で、騒音防止やごみ処理に関し配慮すべき事項などを宿泊者に適切に説明するよう求めております。
 こうした内容を都の所管区域における事業者に周知することによりまして、住宅宿泊事業の適正な運営を図っております。

○もり委員 東京都産業労働局は、令和七年改正ガイドラインで、宿泊者本人確認、ハウスルール表示などを義務づけていますが、実効性確保のための監視、立入検査の強化などが不可欠だと考えます。
 都として、違反民泊への立入検査や営業停止命令の実施状況を公表し、監視体制を強化すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○江村観光部長 住宅宿泊事業法では、事業者に対し、立入検査や業務停止命令などを行うことができるとされております。
 都は、所管区域において、事業者に対し、法令違反により業務停止命令などを行った場合には、その旨を公表することとしております。

○もり委員 また加えて、分譲マンションでの民泊トラブルの防止のため、管理規約改正支援や管理組合への専門相談を拡充すべきと考えますが、対応方針についてお伺いをいたします。

○江村観光部長 住宅政策本部では、マンションの適正な管理に支障を及ぼす事案に対する様々な相談に対応するため、マンション管理士の管理組合への派遣等を行っていると聞いております。

○もり委員 ただいま、るるご答弁をいただきましたが、やはり今の体制だけでは、とても住環境を守ることができないことを大変危惧しております。また、監視カメラの義務化なども、ルールとしてはなっていません。
 これは各自治体の所管ということですけれども、今、地元大田区でも、本当に静かな住宅街、しかも私道の突き当たりにある一戸建てを事業者が買い上げて、それが民泊になるということで、住民の方の署名活動や反対運動があったことで、一時、その事業者が申請を取りやめるということですが、大家さんはまだ進めたいということで次の事業者を探しているような、今、住民が、説明会も義務化をされていない中では、地域の合意が取れない中で、そういった住環境の安全・安心が脅かされることがあってはならないと考えます。
 引き続き、観光振興であるエリア等、また、本当に静かな住宅街においては、こういった民泊は、しっかりと住環境を守るためのルールが本当に必要だと考えますので、都としても、自治体任せにせずに、しっかりと管理、指導、監督を行っていただきたいということを強く要望し、質問を終わります。

○大山委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時三十一分休憩

   午後三時四十七分開議

○大山委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○いいだ委員 公明党のいいだでございます。よろしくお願いいたします。
 まず、賃上げと従業員の手取り時間の創出について伺います。
 ここ数年の春季労使交渉、いわゆる春闘の結果を見ますと、昨年、今年と二年連続で賃上げ率が三%を超えるなど、数字の上では高い水準となっており、潮目の変化を感じさせます。
 しかし、都内企業の九九%を占める中小企業の現場に目を向ければ、エネルギー価格や原材料費の高騰が利益を圧迫し、防衛的な賃上げに踏み切らざるを得ない厳しい実情があります。
 また、物価上昇のペースも速く、都民からは、働いても生活が楽になった実感がない、いわゆる実質賃金が伸び悩んでいるという切実な声も届いております。働く方が安心して生活していくためには、物価上昇を確実に上回る持続的な賃上げが不可欠です。
 こうした中、都は、賃上げへの支援に加え、従業員の自由な時間を増やす手取り時間の創出に取り組む企業を後押ししています。
 一見すると賃上げこそが最優先課題であるように見えますが、なぜ今、金銭的な賃上げとセットで時間の創出である手取り時間を推進するのか。私としては、これが単なる福利厚生の話ではなくて、企業の生産性を高め、次の賃上げ原資を生み出すための成長戦略であるというふうに捉えております。
 そこで、まず伺います。
 都は、賃上げに対して、手取り時間の創出がなぜ必要と考えているのかを伺います。

○新田雇用就業部長 都は、従業員の働きがいを高め、生産性の向上を図る中小企業の取組を後押ししております。
 働き手個人にとって価値のある時間の手取りを増やすことが大切であることから、今年度新たに、従業員のエンゲージメント向上等の取組として手取り時間の創出を加え、併せて、時間当たり六十円以上の賃上げを行う場合、最大二百三十万円の奨励金を支給することとしております。

○いいだ委員 時間当たり六十円以上の賃上げと併せて行うことで最大二百三十万円の奨励金を支給するという、非常に具体的かつ強力な後押しについてご答弁をいただきました。
 単に賃上げをしてくださいと要請をするだけでなく、その原資を生み出すための生産性の向上には、働く人の意欲、すなわちエンゲージメントを高めることが不可欠であり、その鍵こそが手取り時間の創出にあるという都の認識は、極めて重要だと思います。
 企業が一時的な賃上げにとどまらず、来年、再来年と継続的な賃上げを行っていくためには、お金という経済的な報酬に加えて、自由な時間という精神的な報酬をセットで提供し、選ばれる企業へと体質改善を図っていくことが経営戦略上の要であると深く理解をしているところでございます。
 この賃上げと時間の好循環が都内中小企業のスタンダードとなるよう、強力な推進を引き続き期待しつつ、次の質問に移ります。
 企業が賃上げに併せて手取り時間の創出などの取組を行うことが、継続的な賃上げを行っていく上で重要であることが今分かりました。
 こうした手取り時間を創出していくために、具体的にどのような企業の取組を支援しているのか、伺います。

○新田雇用就業部長 都は、企業が従業員の手取り時間を創出するため、フレックスタイム制、選択的週休三日制などの多様な勤務形態や、短時間勤務などの多様な正社員制度などを導入する取組を奨励しております。

○いいだ委員 ありがとうございます。都が新しい働き方の普及を単なるトレンドとしてではなく、企業の生産性向上と人材確保のための経営戦略として捉え、強力に支援している姿勢がよく理解できました。
 私自身、これまで民間企業で働きながら子育てをしてきた一人の父親として、フレックスタイム制などを活用して、まさにこの手取り時間に助けられてきた当事者でございます。子供の急な発熱、学校行事あるいは自分自身のスキルアップの時間、柔軟な働き方ができる環境があったからこそ、仕事へのモチベーションを落とさず、キャリアを継続することができました。時間は働く人への最大の報酬である、これは私自身の実感であります。
 人手不足が深刻化する中、資金力で大企業に勝ることは難しくとも、こうした働きやすさや時間のゆとりを武器にすることで優秀な人材を引きつけることができる中小企業は、東京にまだまだたくさんあるはずです。
 ぜひ、こうした手取り時間を大切にする文化が、一部の企業の特別な取組ではなく、東京における中小企業の新たなスタンダードとなるよう、引き続き力強い後押しをお願い申し上げて、次の質問に移ります。
 こうした都の取組は大変重要でありますけれども、中小企業においては、賃上げや従業員の働きがいを高めていきたいという意識は持っているものの、そうした知識や経験を有する従業員がいないため、実施に当たってどのようなことをやったらいいかなど、やりたい意欲はあるものの、着手に踏み出せない企業もあるのではないかというふうに懸念しているところでございます。
 都内企業の九割以上を占める中小企業がそれぞれの状況に応じて取り組めるよう、中小企業に寄り添ったサポートが必要だと考えますが、都の取組について伺います。

○新田雇用就業部長 都は、中小企業等の労働生産性の向上を促すため、従業員のエンゲージメント向上や手取り時間創出の支援、持続的な賃上げ等に取り組む企業に対して総合的な支援をしております。
 具体的には、課題の把握や目指したい方向性、制度構築などについて、企業の現状に応じたきめ細かなサポートができるよう、専門家を二回派遣し、助言を行っています。

○いいだ委員 ありがとうございます。企業の現状に応じて、専門家を派遣し、課題の洗い出しから制度構築までをきめ細かくサポートする体制、これは、現場にとって非常に心強い支援であるというふうに評価をいたします。
 多くの中小企業経営者は、働き方改革を進めたい、賃上げをしたいという意欲は持っていても、日々の業務に追われて、自社の場合、具体的にどこから手をつければいいのか分からないというのが偽らざる実情かと思います。
 社内の人間だけでは、これまでの慣習やしがらみにとらわれ、抜本的な業務の見直しが難しいケースも多々あります。そこに外部の専門家という第三者の目が入って、客観的な分析と、その企業の身の丈に合った具体的な処方箋が示されることは、改革を一歩前に進めるための決定的なトリガーになってくるかと思います。
 単なる制度の導入にとどまらせず、それが従業員のエンゲージメントの向上、ひいては企業の稼ぐ力の強化へと確実に結びつくよう、この専門家派遣による伴走型の支援を必要とする企業へ広く届けていただくことを強く要望し、次の質問に移ります。
 企業が賃上げに併せて手取り時間の創出などの取組を行うことにより、中小企業の生産性の向上や継続的な賃上げにつながることが重要であるため、都は、奨励金を支給した後、企業において賃上げや新たな制度が継続的に運用されていることをどのように確認、担保していくのか。また、こうした一連の支援を通じてどのような効果があるのか、伺います。

○新田雇用就業部長 この事業は、専門家の助言を踏まえ、企業が多様な勤務制度を導入したことや、賃上げを行い、二か月間継続していることなど、持続する取組であることを確認した上で奨励金を支給する仕組みとしております。
 具体的には、奨励金の支給に際し、改定した就業規則や賃上げ後の賃金台帳等の提出を求めることとしております。
 これらによりまして、従業員が安心して働き続けられる職場づくりを後押ししております。

○いいだ委員 ありがとうございます。支給に際して、単なる申請ベースではなくて、数か月間の追跡調査を行い、就業規則の改定や実際の賃上げ実績といった客観的な証拠をもって確認をするという仕組みは、施策の実効性を担保し、従業員との信頼関係を築く上で極めて重要であると高く評価をいたします。
 一過性の賃上げや形ばかりの制度導入に終わらせず、経営の仕組みとして定着させて初めて、従業員は将来にわたって安心して働き続けることができます。
 本事業は、まさに中小企業の持続的な賃上げと生産性の向上という好循環を生み出すための、丁寧かつ魂の入った支援であるというふうに感じました。
 都内企業の九割以上を占める中小企業が人手不足という荒波を乗り越え、賃上げや魅力ある職場づくりを着実に進めていくことこそが、東京の経済を底上げする唯一の道だと思います。
 ぜひ一社でも多くの中小企業がこのチャンスをつかんで変革を果たせるよう、現場に寄り添った、都のさらなるご支援と強力なリーダーシップをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

○藤田委員 日本共産党の藤田りょうこです。
 まず初めに、八丈島の産業復興について伺っていきたいと思います。
 伊豆諸島の八丈島や青ヶ島を襲った台風二十二号、二十三号によって、島の住民の生活もなりわいも甚大な被害を受けています。
 十月八日の夜から翌朝にかけて、八丈島では最大瞬間風速五十四・七メートル、二十四時間降水量で観測史上最大となる三百五十六・五ミリを観測し、最大四千百戸が断水となるなど、民家のみならず、工場や飲食店の建物も全壊になったところもありました。
 その僅か四日後の十月十三日には、瞬間最大風速四十二・七メートルを観測した台風二十三号がほぼ同じ経路を通過したため、被害はさらに拡大しました。
 八丈島など島の住民は、地域の主要産業である農業や漁業が生活の基盤となっています。島の住民がこれからも住み続けられる上で、島の産業が継続できるよう支援することはとても重要だと思いますが、都の認識を伺います。

○榎園農林水産部長 農業や水産業は島しょ地域の基幹的な産業であり、都は、現地の声も伺い、速やかな復旧に向け、既に取組を開始してございます。

○藤田委員 速やかに取組を開始しているということです。
 私も、先日、八丈の農協の方に直接お話をお聞きしましたが、被害の状況は、規模も内容も、人によって、また地域によって全く違うとお話をされていました。そのため、まだ把握できていない部分も多数あるかと思います。その方も、まだ把握できていない部分があるとおっしゃっていました。
 さらに、物価高騰の中、主な収入源となっていた農業、漁業などの主要産業が壊滅的な状況となった上、二度の台風により、復旧は大幅に遅れています。復旧に向けた支援も、これまでと同様では不十分だと思います。
 現地の声も伺ったとのことですが、現地の農協ですら、まだ把握できていない部分があるということですので、繰り返し調査をしていただいて、声を伺っていただき、住民の方が島に住み続けられる支援となるよう要望いたします。
 今回の台風二十二号、二十三号による八丈島の被害でも、基幹産業となる観葉植物などが壊滅的な被害を受け、収入がなくなってしまっています。
 都は、十月二十四日に産業の復旧に向けた支援を発動し、十一月十四日には速やかな農業復旧のための緊急支援を開始しました。
 支援策の目的と内容について、それぞれ伺います。

○榎園農林水産部長 都は、先月には既に、今回の台風により被害を受けた農業の復旧に向け、農業者の経営安定に必要な資金等を無利子で融資する特別対策を開始してございます。
 また、直ちに農業生産を再開できるよう、栽培施設の補修に必要なビニールやネットなどの資材の購入につきまして、補助率四分の三、補助金上限額百万円とする仕組みを設けたところでございます。

○藤田委員 十月二十四日に発動した産業の復旧に向けた支援というのは、融資だという答弁でした。つまり、返さなければいけないという制度です。
 一つ確認ですが、融資が開始された下で、その三週間後の十一月十四日に資材の購入への補助金を緊急支援策として設けたのはなぜでしょうか。やはり、融資ではすぐに借りる方が少なかったからなのでしょうか、伺います。

○榎園農林水産部長 融資と並行いたしまして、現地の調査結果やヒアリングの声を基にしまして実施したところでございます。

○藤田委員 現場の皆さんの声を伺って実施したということで、大切だと思います。先ほども速やかな復旧に向けとご答弁されていますので、ぜひとも、こうした支援の際、現場の皆さんの声も伺って、融資だけではなくて、返さなくてもいい補助金というものも速やかに行っていただきたいと思います。
 漁業は十一月十一日に再開し、久しぶりに活気を取り戻しているといいますが、一か月間、漁ができなかったことにより、大きな損失となりました。
 植物をなりわいとしている産業では、収穫の時期や頻度によっては、収入が長期間、途絶えることになります。
 島の産業を続けることができるためにも、貸付けではなく所得補償の検討が必要ではありませんか。

○榎園農林水産部長 これまでも都は、農業者自らが災害等により農作物に被害が発生した場合の収入の減少に備えるため加入する、収入保険の保険料の一部を支援してございます。
 また、現在、八丈島等において、被害のあった農作物の早期回復に取り組む農業者に対しまして、普及指導員や研究員がアドバイスを行ってございます。
 さらに、農業生産の再開に向けて、栽培施設の補修に必要なビニールやネットなどの消耗品の購入につきまして、補助率四分の三、補助金上限額百万円とする仕組みを設けたところでございます。

○藤田委員 所得補償の検討について伺ったのですが、収入保険に支援しているという答弁でした。
 ここでもちょっとお聞きしたいのですけれども、収入保険というのはどのような保険でしょうか。補償内容や収入保険の加入状況についても併せて伺いたいと思います。

○榎園農林水産部長 収入保険の内容につきましては、例年の収入に比べた減収分を補填するという内容でございます。
 また、加入率でございますが、収入保険の加入率は、一例を申し上げますと、八丈島では一一・七%となっています。

○藤田委員 収入の減収分の補填ということで、まさに所得補償になるかと思いますので、この収入保険というのはとても大事な保険だと思います。
 この保険のパンフレットにも、農業者が保険期間に生産、販売する農作物の販売収入全体が対象となっていて、自然災害や市場価格の低下など、農業者の経営努力では避けられない収入減少が補償の対象だということで、今回の被害も確実に対象になるということです。保険期間の収入が基準収入の九割を下回った場合に、下回った額の九割を上限に補償ということで、補償額もかなり充実しているなということで、ぜひこれを大いに活用していただきたいし、東京都も、このために保険料の一部支援をしているということですので、重要だと思います。
 しかし、収入保険の加入状況というのは、今、八丈島では一一・七%というご答弁でしたので、ぜひこれを多くの方が使えるようにすることが必要だと思います。
 農林水産省のデータによると、都内の−−収入保険の加入条件というのもありまして、青色申告をできているところでないと加入できないという条件もあるんですね。農林水産省のデータによりますと、青色申告の農家というのは三千二百三十四件、このうち、東京全体で収入保険に加入している農家というのは四百九十三件だったんですね。加入割合が一五・二%と。八丈は、ちょっとそれよりも低いんだなということも今分かりました。
 また、都内全ての農家というのは九千五百六十七件ありますので、加入割合でいいますと五%になってしまうということで、ぜひ多くの方が加入できる仕組みにするためにも、東京都のさらなる支援が必要かなと思います。
 ホームページにも、都の支援があるおかげだと思いますが、おかげさまで毎年加入者が増えておりますと書かれていましたので、ぜひともしっかり備えることのできる制度へと支援を強めていただくことを要望いたします。
 植物でなりわいを立てている農家は、一旦、商品である植物を失ってしまったら、また一から育てなければならなくなってしまいます。農家によっては、苗が駄目になったり、水が使えずに枯れてしまったりなどしていますので、設備の修繕だけでは何とかなるというものではありません。
 高齢の農家も多く、辞めてしまうという人もいると伺いました。また、愛情をかけて育ててきた植物が駄目になってしまって、精神的にも厳しいという農家さんもいらっしゃるとお聞きしました。
 改めてここで伺いたいと思うんですが、今、島で生活している方も、これから住んでみたいと思っている方にとっても、特にこういう大きな災害のときにこそ、しっかり復旧できると示していくことが本当に重要だと思います。
 島で暮らす方々がこれからも住み続けられるためにも、島の産業が継続できる支援、所得補償も含めて行うべきだと思いますが、いかがですか。

○榎園農林水産部長 これまでも都は、農業者自らが災害等により農作物に被害が発生した場合の収入の減少に備えるため加入する、収入保険の保険料の一部を支援してございます。
 また、現在、八丈島等において、被害のあった農作物の早期回復に取り組む農業者に対しまして、普及指導員や研究員がアドバイスを行っているところでございます。
 さらに、農業生産の再開に向けて、栽培施設の補修に必要なビニールやネットなどの消耗品の購入につきまして、補助率四分の三、補助金上限額百万円とする仕組みを設けたところでございます。

○藤田委員 さらなる復旧のための支援を強めるよう求めておきます。
 十月二十八日に、農民連の皆さんが東京都の農林水産部の方に要請を行いました。このときは、もう既に台風の被害の直後であったので、生産物がやられているので収入がない、多少の補助では再建不能、事実上、島だけでは復興できないと、課長の皆さんにもお話しされていました。本当に深刻な厳しい現状を話されていました。
 農協の方も、補助金はあるけれども、どうにかなる量ではない、頼みの綱は東京都と、お話をされていました。農家の状況をお聞きしても、何とかしなければと思います。
 加えて、島での生活というのは、こちらの二十三区の地域よりもさらにお金がかかるということも指摘をしたいと思います。
 これは、二年前に同じように農家の方々から東京都に要請を行ったときのお話ですけれども、例えば箱型のティッシュでは、二十三区の地域で買ったときには、当時、五箱入りで四百五円だと。その島の方が、二十三区の方でドラッグストアで見てみたら四百五円だったと。しかし、島で、安いスーパーであっても、五箱入りのティッシュは五百十六円だとお話ししていました。島の方が高いんだ、ティッシュでいえば百円以上も高いという話をしていました。島では、やっぱり調達できるものが少ないですので、全て本州の方から船で運んできますので、その分、燃料代もかかって、みんな高くなるというお話でした。
 こういう生活状況、物価高騰の影響を強く受ける島の皆さんの暮らしを支えるためにも、農林水産部の皆さんも、ぜひとも、こうした生活費の支援という立場で農業への支援も考えていっていただきたいと思います。ぜひとも引き続き、繰り返し現地の声をお聞きになって、島の皆さんが求める支援を実施していただくよう、改めて求めていきたいと思います。
 次に、町工場、ものづくりの技術の継承について質問していきたいと思います。
 私の地元大田区は、戦後の復興から現在に至るまで、金属加工などの製造業により発展してきた地域です。自動車部品や精密機械部品など、様々な業界のニーズに応じて高品質な製品を提供してきました。
 大田区の製造業の中心となる製造領域は、基盤技術と呼ばれるものづくりの基盤となるもので、切削、プレス、成形、研磨、鋳造、鍛造、メッキなどの金属加工分野になります。これらの基盤技術は、特定の分野や個別の製品に限定されるものではなく、自動車から医療機器、航空宇宙まで多岐にわたる分野を支えています。
 また、大田区では製造工程の各領域で細分化、特化していることが、高い専門性と技術力につながっています。
 さらに、各工程の町工場が緊密に連携し合うことで、高精度で複合的な加工技術の提供だけでなく、一個からの試作加工や小ロット生産の依頼にも柔軟に対応し、多品種の加工を短い納期で請け負っています。
 近年では、半導体製造装置、産業用機械、医療機器、航空機器、光学機器などをはじめとして、金属加工仕上げに求める品質要求が年々高まっています。大田区の町工場でも、そうした高精度の仕上げや難加工への挑戦を日夜続けています。
 大田区の町工場は、金属加工など高い技術力を持ち、優れた製品の開発に貢献してきました。こうした職人の技は、今後も日本の産業、開発に欠かせないと思いますが、いかがですか。

○新田雇用就業部長 東京のものづくり産業の発展のためには、優れた技能者の育成が必要でございます。
 都は、職業能力開発センターにおいて、熟練技能者が今後の業界を担う中小企業の従業員に機械加工の技術等を直接指導するプログラムを実施するなど、技術の喪失を防ぎ、技能継承の支援に努めております。

○藤田委員 私は、日本の産業、開発に欠かせないのではないですかとお聞きしたのですが、東京のものづくり産業の発展のためとお答えになりました。随分、金属加工などの職人の技に対する評価が東京都は低いんだなと、大変残念に思います。技能の喪失を本気で防ごうと思うのであれば、その技能がなぜ重要なのかをちゃんと調査して評価すべきだと、厳しく指摘をしたいと思います。
 こうした認識でものづくり支援を行っているので、幾ら技能継承の支援に努めているといっても、実態は、大田区でいえば、この四十年間で四割に、この五年間だけを見ても八割へと、製造業者が年々減少しています。貴重な技術を持つ職人が次々廃業しているのです。
 大田のものづくり技術を磨いてきたのは、仲間回しというネットワークです。しかし、この仲間回しは、高齢化によって一つの工程を担う人がいなくなると、一気に仕事が受けにくくなるという課題がありました。
 大田区では、下町ボブスレーを契機に、そうした課題解決のためのプラットフォームをつくり、ものづくり企業をつなぎ、仕事の創出に取り組んでいますが、高度な技術を継承するためには、さらなる支援が必要です。
 あるプラットフォーム企業の社長は、若い方がものづくりに興味を持てるようにしてほしい、そのためには、これで食べていけると確信ができるかどうかだとお話をしていました。
 大田区の町工場のようなものづくりで社会に貢献することが、楽しい、稼げる仕事となるよう支援することが必要だと考えますが、いかがですか。

○新田雇用就業部長 都は、ものづくり産業における人手不足分野での人材確保を支援するため、求職者が会社の現場で働きながら希望するものづくりの職種等を経験し、職場で求められる実践的なスキルを身につけ、終了後に正社員として就職する支援を進めています。

○藤田委員 働きながらの職場体験から正社員として就職する支援を進めているということです。
 しかし、実際には、高度な技術を持つ職人のいる町工場は、一人で工場を営んでいるなど人手不足が深刻で、また、正社員として雇うことも難しい経営状況となっています。そのため、技術の継承ができないまま廃業するというケースも多くあります。
 都立城南職業能力開発センター大田校では、汎用旋盤技術など基盤技術についても習うことができます。以前、校長にお話を伺った際、汎用旋盤は油で手が汚れることや危険といった印象もあって、NC旋盤やデジタルクラフトなどが人気だとお話をしていました。楽しい、稼げるというのは、若い方が働いてみたいと思えるような魅力ある仕事となるよう、職業能力開発センターでも積極的に広報していただきたいと思います。
 基盤技術の分野も選択肢として選びやすくなるためには、例えば、ものづくり産業における人手不足分野への就職を希望する方に対して、奨学金返済を都が肩代わりするとか、人手不足の激しいケア労働者のような単身者の居住費支援を行うなど、さらなる支援に取り組んでいただくよう要望いたします。
 区内で汎用旋盤を使って金属加工を行う町工場のAさん、この方は二代目なのですが、お話を紹介します。
 Aさんは高い技術力を持っているため、大企業で働く旋盤の職人も技術を盗みに来たり、大企業の技術者が直接製品の依頼に来ることもあるそうです。Aさんは交渉力がある方なので、材料費が上がるたびに価格交渉をして、適正価格で仕事をしていると話していましたが、実際に伺いますと、生活費、つまり労務費は交渉したことがないといっていました。そのため、現在の売上げはリーマンショックのときより悪くて、生活を切り詰めているとのことで、現在、出費で大きいのは子供の学費だということでした。別にやりたかった仕事ではないので、もしこの仕事が駄目になったら、いつやめてもいいと思っているとお話をされていたことが私にはショックで、本当にもったいないことだと思いました。この方が、半導体の基盤の小型化に必要な製品も作製しているという方です。
 後継者育成とか技能継承を町工場の自己責任にしていたら、貴重な技術が見る見る日本から失われていくのではないかと、焦りさえ感じました。
 そこで、一つご確認したいのですが、こうした高い技術力を持ち、優れた製品開発に貢献してきた職人の技は、日本の産業発展になくてはならないと思います。
 都の認識を伺います。

○新田雇用就業部長 東京のものづくり産業発展のためには、優れた技能者の育成が必要だと考えております。
 東京都におきましては、技能の喪失を防ぎ、技能継承の支援に努めてまいります。

○藤田委員 Aさんも、決して諦めているわけではないんです。技術の担い手を育てる環境さえあれば、やりたいとも話されています。しかし、今使っている汎用旋盤は、もし壊れたら、直せる方というのは八十代の方お一人だけなんだと話していました。自分の技術力だけでなく、機械も更新してまで続ける資力はないというお話でした。
 また、親の代から受け継ぎ、自分の子供へと技能継承ができている企業であっても、この物価高騰などの影響で、今後の道のりは厳しいと話していました。
 精密ボールねじ会社の社長からは、政治や行政に求めることを伺ったところ、価値あるものを価値ある価格で評価してほしいということでした。
 この声をどう受け止めますか。

○福田商工部長 中小企業が原材料等のコストを反映し、適正な価格で取引を行えるよう支援することは重要であり、都は、専門家による価格交渉に向けた助言を行うなど、様々な支援をしております。

○藤田委員 価格交渉に向けた助言など、支援を行っているということです。
 帝国データバンクが七月に行った価格転嫁に関する実態調査によりますと、企業がコスト上昇をどの程度販売価格に上乗せできたかを示す価格転嫁率は三九・四%と、調査以来最低となったということでした。報告では、価格転嫁の推進のため、企業も消費者も値上げを容認できる環境の醸成が不可欠であるとしています。
 また、原材料費を除く三項目、人件費、物流費、エネルギーコストの価格転嫁率は三割台にとどまり、企業からは、材料費は根拠があり、すぐに説明できるが、ほかの費用については、根拠を示すことができないため、応じてもらえないことが多い。こうした業者の声ですが、これは機械製造、群馬県の方ですね。それとか、原料費は明確な資料が出しやすいが、人件費及び物流費、エネルギーコストは影響が多岐にわたり、社外秘事項を考慮すると納得感のある説明がしにくい。これは飲食料品・飼料製造、東京都ということですね。といった声が上がっているという声も紹介されていました。人件費のように定量的な説明が困難なコストの転嫁が難しい様子がうかがえたなどの企業の声が寄せられていました。
 汎用旋盤で金属加工を行っている町工場の方は、自分の技術は高性能の機械でもできるが、とても高額になるので、発注業者はうちに頼んでくると話をしていました。
 東京都の原価管理アドバイザーでは、こうした高い技術力について、どのように価格を決めているのですか。

○福田商工部長 原価管理アドバイザーは、中小企業における製品ごとの適切な価格設定をサポートするため、原材料費や労務費などの算出方法や、利益確保に必要な損益分岐点を分析し、経営者に助言をしております。

○藤田委員 ちょっとよく分からない説明だったのですけれども、原材料費は仕入れ値なので、先ほどの企業の声にもあるように、適切な価格の根拠があって、すぐに説明することができます。
 問題なのは労務費です。Aさんという職人には高度な技術があって、それがどの程度価値があるのか、何を根拠に算出するのかが、今の答弁ではちょっと分かりませんでした。
 もう一回伺いたいのですけれども、人件費のように定量的な説明が困難なコストの転嫁について、どのように原価を算出しているのですか。

○福田商工部長 原価管理アドバイザーにおきましては、原材料費や労務費などの算出の方法や、利益確保に必要な損益分岐点、こちらを分析いたしまして、経営者に助言しております。

○藤田委員 利益確保に必要な損益分岐点の分析ということで、その方の技術を適正に評価する内容になっているとは、ちょっと疑問が残る答弁でした。
 高度な技術に対して、何を基準に付加価値をつけるのかということだと思います。市場にはないものをどう評価するのか。Aさんのいうように、高性能な機械でつくるととても高額という価格、その価格が基準になるんだと思うんですけれども、そうした市場にないものをどうやって適切に価格設定をするのか。
 産業労働局としても、やはりこの点をちゃんと分析をして、皆さんの高度な技術を適正な価格で評価ができるような仕組みをつくってほしいなと思っております。ぜひとも、日本になくてはならない技能としての価値がつけられる支援を行っていただくよう要望いたします。
 価格交渉アドバイザーは四名、原価管理アドバイザーは二名と、以前お聞きしました。アドバイザーの皆さんの育成にも、ぜひとも力を入れていただきたいと思います。そして、さらなるアドバイザーの確保と、価格転嫁に苦しむ企業への支援を行っていただきたいと思います。
 日本のものづくりを担ってきた方たち、とりわけ一人で長年にわたって技術を磨かれてきた職人の方は、多くが高齢となり、後継者もいない方も少なくありません。この職人たちは、自分で買った一つの大切な機械で、何とか依頼の部品をつくらないといけないという思いから、発想力や技術力を自ら磨き上げ、生み出してきました。
 町工場のAさんは、高齢の職人の多くは金額の交渉などやらないし、安い単価でも文句をいわずに働いているんだ、だから、いざ上げてほしいと交渉しようとすると、なかなか交渉には応じてもらえないということでした。そのため、高度な技術があっても、後継者を雇う収入がないために、自分の代で工場を閉めてしまいます。
 東京都は、こうした実態を把握し、今ある技術の継承には何が必要なのかをぜひとも分析していただいて、そうした技術の喪失を本気で防いでいただくことを要望いたしまして、次の質問に移ります。
 現在、物価高騰は歯止めがかからず、都民の暮らしは極めて深刻な危機的状況に直面しています。
 認定NPO法人キッズドアの調査からも、その深刻さが浮き彫りになっています。この夏休み、経済的な理由から子供の食事の量や回数を減らした世帯は五八%に達し、年間所得三百万円以上の世帯でも、約半数、四七%が生活を切り詰めざるを得ない厳しい状況に追い込まれていました。
 さらに、都庁の足元で毎週行われている食料支援には、食費を浮かすためと訴える一般の会社員も列に並ぶなど、これまでにない暮らしの危機が都民全体に広がっています。特に、ひとり親家庭や介護世帯など、労働時間に限りのあるような方たちは、困難さが一層増しています。
 もはや一刻の猶予もありません。都民の生活を守るため、実効性ある賃上げ支援策の実現を強く求めます。
 この物価高騰対策こそ、中小企業対策と雇用対策を担う産業労働局が最前線で取り組むべき優先課題だとして位置づけられるよう、強く要望いたします。
 知事は、物価上昇を上回る賃上げの流れを確かなものにしていくと述べられています。
 産業労働局は、どうやって実現するのですか。

○新田雇用就業部長 働く方が安心して生活できる環境を整えるため、物価上昇を上回る賃上げの流れを確かなものとすることが必要です。
 このため、都は、労働者の処遇改善に向けた中小企業による様々な取組に多面的な支援を行っております。

○藤田委員 物価上昇を上回る賃上げが必要であるというのは、私たちも同じ認識です。賃上げの実現と地域経済の活性化は、東京の経済の根幹を担う中小企業、小規模事業者への直接支援が鍵を握ります。
 基本的な認識を伺いますが、都は、東京の経済に占める中小企業、小規模事業者の役割とその経営状況をどう分析していますか。
 企業の九割、雇用の七割を占める中小企業が元気になってこそ地域経済は活性化すると思いますが、認識を伺います。

○福田商工部長 都内の中小企業、小規模事業者は地域の経済と雇用を支えており、これらの企業の事業継続は重要でございます。
 都では定期的に景況の調査などを行っており、企業の事業活動に必要な原材料等の高騰により、経営に影響が生じているものと認識しております。

○藤田委員 中小企業、小規模事業者は地域経済と雇用を支えているという認識は、非常に大事だと思います。
 賃上げを実現し、地域経済の活性化のためには、中小企業、小規模事業者での賃上げが鍵を握ります。
 都が実施している具体的な支援策の一つである、魅力ある職場づくり推進奨励金事業の目的を改めてご説明ください。

○新田雇用就業部長 都は、中小企業が働きがいや生産性の向上などにより従業員の賃金の持続的な引上げができるよう、働き方改革などの取組に併せて賃上げを行う場合に奨励金の支給を行うなど、多面的な支援を実施するものでございます。

○藤田委員 魅力ある職場づくり推進奨励金事業の目的は、中小企業の賃上げ支援ということなんですね。
 この奨励金は、今年度から一人当たり六万円から十二万円と倍増されていますが、その額は、時給六十円の賃上げを行った場合の年間に必要な人件費、増えた分に相当するものとなっています。
 では、この奨励金がどのような規模の事業所で活用されているのか、その実態についても確認したいと思います。
 これまで魅力ある職場づくり推進奨励金事業の賃上げに取り組んだ事業所は、どのような規模が多いですか。事業所の従業員数ごとに、それぞれの割合を説明してください。

○新田雇用就業部長 令和七年七月現在、令和五年度及び令和六年度対象企業で賃上げを併せて行う場合の支給申請時における企業の規模は、常時雇用労働者十人未満の事業者が約五割、十人以上三十人未満の事業者が約三割となっております。

○藤田委員 賃上げに取り組んでいる事業所のうち、実に五割が従業員十人未満の小規模事業者であり、まさに東京の経済の根幹を支える層がこの制度を活用しているということが分かりました。
 そうした最も支援を必要とする小規模な事業所の賃上げ意欲に応えることは極めて重要ですが、この魅力ある職場づくり推進奨励金事業には、運用の面で改善を検討すべき点が幾つもあります。
 そこで、一つ一つ確認したいと思います。
 魅力ある職場づくり推進奨励金事業は、事前エントリーで応募しても、当せんしなければ制度が利用できません。
 企業の努力や必要性にかかわらず、どのような基準で当せんが決まるのか、教えてください。

○新田雇用就業部長 この事業は、事前エントリーにおいて応募多数の場合は、抽せんにより当せん者を決定しております。

○藤田委員 企業がこの制度を利用するには、まず、運に頼らざるを得ないという構造です。たとえ事業の必要性が高い企業や準備を終えた企業であっても、その支援の道のりは、運試しのような無作為のくじ引から始まってしまうのです。
 次に、当せん後のプロセスについても伺います。
 この事業には、魅力ある職場づくり推進奨励金として十五のメニューがありますが、企業が任意でメニューを選ぶことはできず、まずはアドバイザーの派遣を受けなければなりません。
 アドバイザー派遣を必須条件としているのはなぜですか。

○新田雇用就業部長 企業が取組内容を決める際に、課題の把握や目指したい方向性、制度構築などについて、企業の現状に応じたきめ細かなアドバイスを行うため、専門家を二回派遣しております。

○藤田委員 それでは、その二回のアドバイザー派遣には、平均でどの程度の期間がかかっていますか。

○新田雇用就業部長 専門家の二回の派遣は、専門家の決定から企業が取組内容を決めるまでの間に、課題の把握や目指したい方向性、制度構築などについて、企業の現状に応じてきめ細かなアドバイスを行うことから、約三か月で行われております。

○藤田委員 さらに伺っていきたいと思います。
 事業への申請からメニューが決まるまで、全体で平均でどの程度期間がかかっていますか。

○新田雇用就業部長 当せんした企業が申請要件を満たしていると確認された後、二回の専門家派遣においてきめ細かなアドバイスを受け、取組内容を決定するものであり、その期間は約四か月でございます。

○藤田委員 メニュー決定だけで約四か月かかるということですね。
 さらに問題なのは、メニュー決定後の実施、確認、支給までのプロセスにおける期間です。
 賃上げの取組を開始してから事業所に奨励金が支給されるまでに何か月かかりますか。

○新田雇用就業部長 賃上げを併せて行う場合、引上げ後二か月分の賃金台帳の提出が必要であることに加え、従業員の意見等も聞きながら制度構築等を行うため、賃上げを選ばなかった場合は一年二か月の期間がかかるとなっております。

○藤田委員 賃上げを行わない場合は、全部のメニュー、申請から支給までは一年二か月ということです。
 それでは、賃上げの取組を行っている場合の、賃上げの取組を開始してから事業所に奨励金が支給されるまでには何か月かかりますか。

○新田雇用就業部長 賃上げを併せて行う場合、賃上げのメニューにおいては、申請から支給までの期間は一年七か月かかります。

○藤田委員 賃上げを行う場合は、申請から支給までは一年七か月ということで、決算委員会でも確認をさせていただきました。
 今回伺っていく中で、賃上げを行う場合の取組を行ってから支給までの期間というのを一年二か月というふうに伺っています。賃上げを行う場合、取組の実施から支払いまで一年二か月かかるんですね。これに導入期間の四か月が加わって、賃上げメニューは、申請から支給まで、平均で一年七か月かかるということも確認いたしました。
 決算委員会でも明らかにしましたが、支給まで、賃上げのメニューを選ぶと一年七か月かかるということです。賃上げを選ばなかった場合でも一年二か月ということですから、支給までの期間、この差は五か月あるんですね。
 この五か月は何の期間なのか、ご説明ください。

○新田雇用就業部長 賃上げを併せて行う場合、引上げ後二か月分の賃金台帳の提出が必要なことに加え、従業員の意見等も聞きながら制度構築を行うため、賃上げを含まない他の取組と取組期間との間で五か月間分異なっております。

○藤田委員 賃上げのメニューに必要なのは、賃金台帳などの賃上げの事実を示す書類のみなんですね。従業員の意見聴取や制度構築といったものは必須にはなっていません。つまり、賃上げについては、賃上げの実績さえあれば要件を満たすということです。
 企業が支援を受けるための条件として、実に四か月もの準備の期間をかけて、取り組むメニューの検討が義務づけられ、賃上げを取り組もうとしている企業にも賃上げ以外のメニューの検討もさせる、そしてスピード感は全くないというものになっています。
 この長期にわたる事前準備は、中小企業にとっても、体力が本当に厳しい小規模事業者にとっても、極めて重い負担となると指摘せざるを得ません。
 それでは、実際にどれだけの企業がこの事業を辞退しているのか、具体的に聞いていきたいと思います。
 魅力ある職場づくり推進奨励金事業を開始してから二〇二三年度末までに当せんした企業は何件ですか。そのうち、支給が完了した企業は何件で、途中で制度の利用を取り消した企業はどの程度ありますか。

○新田雇用就業部長 令和四年度から五年度末までに当せんした企業は千七百七十五件、そのうち、令和七年九月末現在で奨励金支給済みは千百九十三件でございます。
 事前エントリーの撤回や専門家派遣及び奨励金対象事業の中止などを行った企業は、令和七年九月末現在で三百二件でございます。

○藤田委員 三百二事業者が途中で辞退するなどしていることが分かりました。また、賃上げメニューが加わった二〇二二年度からの支給実績は約六七%だということです。
 答弁の数字から、支給済みと辞退の件数を差し引くと、まだなお二百八十件、行方が分かりません。
 この二百八十件は現在どうなっているのか、伺います。

○新田雇用就業部長 二百八十件は、取組内容が実施中のものであるですとか、または撤回せず、また連絡等が途絶えているような企業などが含まれております。

○藤田委員 提出書類の煩雑さや長期間の事業によって連絡が取れなくなるなど、途中で諦めてしまった事業者なんだと思います。手続の煩雑さや期間の長さが、せっかく意欲を持っている企業にとっても、大きな壁となっていると考えられます。必要な支援が届く前に企業が諦めてしまうなら、事業の効果は大幅に失われてしまうといわざるを得ません。
 同じく、二〇二三年度末までに当せんした企業のうち、賃上げのメニューを登録した企業は何件ですか。
 また、現在までに、この賃上げのメニューを登録した企業で支給が完了した企業は何件で、途中で利用を取り消した企業はどの程度ありますか。

○新田雇用就業部長 賃上げを併せて行う場合、令和四年度から五年度末までで奨励金事業の登録を行った企業は六百七十件、そのうち、令和七年九月末現在で奨励金支給済みは三百三十九件です。
 賃上げを併せて行う場合における撤回や中止を行った企業の数は把握しておりません。

○藤田委員 賃上げのメニューの登録企業六百七十件に対して、支給が完了しているのは僅か三百三十九件です。支給実績は半分程度にとどまっています。全体の支援実績よりもさらに低いということです。全体では六七%支給ができていたわけですからね。
 この事業の目的は持続的な賃上げ支援ですが、賃上げのメニューを選択すれば、より道のりが長く険しいものになってしまいます。そして、その上、辞退になったり、最終的に支給済みになる件数は少なくなっています。これはどう考えてもスピード感に欠けているといわざるを得ません。
 魅力ある職場づくり推進奨励金事業を支給した企業における奨励金の効果を調査することが重要だと思いますが、いかがですか。

○新田雇用就業部長 この事業は、専門家の助言を踏まえ、改定した就業規則や賃金台帳の提出により、企業が多様な勤務制度の導入や賃上げを継続していることなど持続する取組であることについて確認した上で奨励金を支給する仕組みとしております。

○藤田委員 私は、事業の仕組みについて質問したのではありません。就業規則や賃金台帳の提出により確認しているというのは、あくまで要件を満たしているかのチェックにすぎません。
 私が重要だといっているのは、その後の政策的な効果の検証です。都の支援策が本当に中小企業の持続的な賃上げにつながっているのか、また、賃上げが生産性向上に結びついているかなど、東京都自ら事後調査を行って、政策の課題を洗い出すことを強く求めるものです。
 一年七か月というあまりに長い期間が過ぎてもなお、賃上げの支払い実績は半分程度にとどまっています。この低い実績は、本来の事業の目的からしても、改善が必要なことはいうまでもありません。
 賃上げ支援と生産性向上支援を一つの事業にまとめて行うことが、制度についての現場の混乱を招いて根本的な矛盾を生んでしまっています。両者は連動するとはいえ、性質やアプローチが異なるため、事業を分けて、それぞれに特化した支援を行うことこそ効果を発揮するといえます。私たちは、複雑な要件ではなく、賃上げのみを要件としたシンプルかつ迅速に支給する事業にすべきだと提案しています。
 スピード感を持った事業にするためにも、賃上げのみを条件とするシンプルな中小企業の賃上げ応援事業に速やかに踏み出すことを強く要望いたしまして、質問を終わります。

○福井委員 国民民主党東京都議団の福井ゆうたでございます。
 我が会派は、現役世代から豊かにすると訴えております。手取りやお給料を増やしていくためには、まずその大前提として、働く世代が安心して長く働き続けることができるような環境整備が大切であると考えております。そういった意味では、都が掲げる、誰もがいつでも自分らしく、よりポジティブに働き、活躍する東京の実現は、現役世代を支える重要な取組であると考えています。
 また、検討中の女性活躍に関する条例に対しては、この条例をより実効性があるものとして、女性が働きやすい環境整備を後押しすることで、結果として、意欲がある人であれば、性別関係なく活躍ができる社会を目指す大きな原動力にしていただきたいと期待しています。
 そうした観点から、都の現役世代を支える施策について、今日は質問していきたいと思っております。
 まずは、年収の壁の問題です。
 日経新聞の調査によると、二〇二四年度の人手不足で生じた機会損失の規模は、何と十六兆円に達したと、こうしたデータもあり、人手不足が深刻化しています。労働人口の減少は、どうしても避けることができない社会構造ですから、女性を中心とした年収の壁での働き控えの問題は、経済成長と女性の活躍推進両方の観点で大きな問題であると考えています。
 直近の税制改定や社会保障の改定で、百三万の壁が引き上がりました。また、百六万の壁が消えました。これによって、民間企業の配偶者手当が最後の壁として残っております。
 厚生労働省のデータによると、収入による要件を設けて配偶者手当を支給する事業所は減少傾向であるものの、令和六年度の調査では四七%と、約半数の事業所でまだ残っている。これが現状でございます。
 東京都は、民間企業の配偶者手当に関してどのような課題認識を持っているか、お伺いをしたいと思います。

○新田雇用就業部長 都は、男女を問わず、誰もが年収の壁を意識せず働くことができる職場づくりを進めております。
 収入要件のある配偶者手当については、配偶者がいる女性パートタイム労働者等の働き控えの要因となっていると指摘されていることから、働き方に中立的な制度となるよう見直しを図る取組を進める必要があると考えております。

○福井委員 この配偶者手当が働き控えにつながらないように見直しを図っていく必要があるという点で、考えが共有できたのではないかなと思います。
 この収入要件がある配偶者手当など、年収の壁を越えて誰もが活躍し、経済的な基盤を確立できる社会を実現するような取組を進めていくために、都は「年収の壁突破」総合対策促進事業に取り組んでいると認識しておりますが、この事業の令和七年度の事業の内容と実績についてお伺いをしたいと思います。

○新田雇用就業部長 都は、働く意欲のある女性が就業調整を行うことなく能力を十分に発揮できる環境を整備するため、年収の壁に伴う現場の問題解決に取り組む中小企業等を支援しております。
 具体的には、年収の壁の要因の一つとなっている収入要件のある配偶者手当の廃止などの見直しや、働く時間を延ばす社員が社会保険に新たに加入した場合に社会保険料の負担を和らげる手当の導入を行った企業に対し奨励金を支給することとしており、令和七年度は、十月末現在で四十六件の交付決定を行いました。
 また、年収の壁に関する基礎知識や最新の動向、キャリア形成の重要性等を専門家が詳しく解説する、個人や企業に向けたセミナーを十月末現在で合計五回開催し、延べ千三百八十九名の参加がございました。

○福井委員 ありがとうございます。奨励金やセミナーを通じて、年収の壁突破に向けた取組が進んでいると認識しました。
 しかしながら、まだ約半数の事業所が年収の制限をかけて配偶者手当を支給している現状では、まだまだ取組道半ばであるかなといえると思います。働き控えがない社会を実現するために、都は、こうした取組の拡充に加えて、この人材不足社会を社会全体で解決していこうと、そうした機運の醸成に取り組んでいただくよう要望をさせていただきます。
 次に、柔軟で多様な働き方について。
 この年収の壁のような働き控え解消や女性のキャリア形成に向けた取組は、これまでの長時間労働を前提とした日本の雇用慣行を変える取組と同時並行で行わなければ、十分な効果が得られないと考えています。
 東京都が掲げる手取り時間創出に向けて、柔軟で多様な働き方ができる社会を目指して、政策目標である都内企業のテレワーク導入率八〇%以上を必ず達成をいただきたいと思っております。
 令和六年度各会計決算特別委員会においても、テレワークの定着促進の取組について質疑をさせていただきました。都が業種別の導入状況等を分析して支援を行っているであったり、また、導入率は緩やかに減少しており、BCPの対策として導入が一巡化したことや、出社回帰のトレンドが影響しているのではないか、そうしたところが質疑の中から分かってきました。
 こうした状況を踏まえて、時代の変化に合わせて、二つの新しい視点からテレワーク定着推進に向けた支援策の拡充や再構築をしていくことが重要であると私は考えています。
 一点目が、在宅勤務か出社の二者択一ではなくて、社会全体で両方のいいとこ取りができるような労働環境をつくっていく、こうした視点が大事だと思っております。東京都でも、柔軟な働き方とオフィス勤務のベストバランスで、東京ならではの働き方を検討していくとして、有識者を含め議論を進めていると認識をしております。
 テレワークを活用した柔軟な働き方とオフィス勤務のベストバランスで、東京ならではの働き方を推進していく、これに向けた都の取組を伺いたいと思います。

○新田雇用就業部長 都は、テレワーク推進による社内コミュニケーションの減少や社員間の不公平感といった課題の解決に取り組む企業を支援しており、今年度は、十月末時点で二百十三社に奨励金の交付決定を行いました。
 また、柔軟性の高い職場環境づくりを後押しするため、業務の内容に合わせて、従業員自らが働く時間や場所を選択するABWの導入を目指す中小企業への支援を新たに開始し、モデル事例として発信する五社に対して専門家による伴走支援を実施しております。
 こうした取組を通じ、テレワークを活用した多様で柔軟な働き方を推進していきます。

○福井委員 ありがとうございます。
 そして、もう一つの視点が、二点目の視点が、BCP対策として、どうしてもこれまでテレワークの推進が進んできた部分はあると思いますが、これからはやはり、企業のエンゲージメント向上、女性活躍推進を通じて人材確保や生産性向上につなげていくための取組としてのテレワークの推進であると、事業者がマインドセットを変えていかなきゃいけない、変えられるような支援をしていくことが大事だと思っております。
 時間や場所にとらわれない働き方であるテレワークは、魅力ある職場環境の実現に資するものであって、社会全体で人手不足が深刻化する中で、企業の人材確保や従業員の離職防止にもつながる重要なツールであります。
 エンゲージメント向上や女性活躍といった文脈からテレワーク定着を促進すべきと考えますが、都の取組状況をお伺いしたいと思います。

○新田雇用就業部長 都は、テレワークの定着に向けて、自宅でも職場でもないサードプレースを活用した働き方を推進しており、今年度は、休暇等と組み合わせ、ふだんと異なる場所で働くワーケーションを導入する企業への支援を新たに開始し、これまで八十三社から申込みを受けております。
 テレワーク機器等の導入経費を助成する事業では、育児・介護休業法の改正に対応して新たにテレワーク規定を整備した場合に、二十万円を加算しております。
 働く人のやりがいを高め、育児や介護を抱える人が家庭と仕事を両立できる職場環境づくりを促すため、テレワークの定着促進を一層図ってまいります。

○福井委員 ありがとうございます。育児や介護を抱える人が家庭と仕事を両立できる環境整備を促すためのテレワーク定着促進に一層取り組むと、前向きなご回答をいただきましたので、ぜひ期待をさせていただきたいと思います。
 その中でも特に、テレワークを活用した女性の雇用拡大事業というのがありますけれども、育児、介護と仕事の両立のためにテレワークを活用した柔軟な働き方を希望する女性を直接的に支援する事業でありますので、非常に注目をしております。
 このテレワークを活用した女性の雇用拡大事業の成果と今年度の取組について伺いたいと思います。

○富岡事業推進担当部長 都は、育児や介護等と仕事の両立を目指し、柔軟な働き方を希望する女性の就業機会を拡大するため、テレワークが可能な企業とのマッチングを図る事業を実施しております。
 具体的には、セミナーやキャリアカウンセリングを通じて、テレワークで働くための基礎知識や、テレワーク勤務を行うに当たり必要なスキル、就職活動に役立つノウハウなどを提供しております。
 また、女性求職者とテレワーク導入企業との合同就職面接会を実施いたしまして、昨年度は延べ四百九十三名が参加いたしました。
 利用者からは、理想の働き方やこれからのライフプランについて向き合う機会となったなどの声が寄せられました。
 今年度は、セミナーにおいて生成AIを活用した仕事の進め方を新たに紹介するなど、女性の再就職を後押ししてまいります。

○福井委員 ありがとうございます。テレワークの定着促進を含めた柔軟で多様な働き方の促進は、現役世代への大きな後押しになると考えており、最優先で取り組んでいくべき課題と認識しております。繰り返しになりますが、エンゲージメント向上、それから女性活躍推進といった視点も含めて、テレワークの支援策の再構築と拡充を図り、テレワークを有効に活用しながら、東京ならではの働き方を強く推し進めていただきますよう要望させていただきます。
 次に、人材不足対策としてのリスキリングの取組について伺います。
 多様な人材の活躍推進に向けては、自身で希望のキャリアを選択するために、リスキリングやリカレント教育に取り組むことが当たり前の社会をつくっていくべきだと思います。
 その意味では、都は、成長産業分野へのキャリアシフト等支援事業を実施しておりますが、この実施する訓練内容が、AIエンジニアだったりだとか脱炭素アドバイザーといった、非常に先進的な内容となっていることが印象的だなと思っているんですが、この事業の意図や実績についてお伺いをしたいと思います。

○新田雇用就業部長 本事業は、非正規雇用で働く方などを対象に、成長産業分野への就業に向け、eラーニングを通じたスキルアップと就職支援を一体的に実施するものでございます。
 具体的には、プログラミングなどのITスキルを習得するコースのほか、GXや情報セキュリティなど先進的な分野の資格取得を支援する訓練など、より成長産業分野への就業に結びつける取組を実施しております。
 今年度は千五百四十五名が受講しており、訓練終了後は、習得したスキルを生かせる求人を開拓し、受講生の希望に応じた条件の会社をキャリアアドバイザーが紹介するなど、きめ細かく就職支援を実施してまいります。

○福井委員 ありがとうございます。こうした非常にとがった内容でしたので、多くの方が利用されていると聞いて安心しましたし、また、成長分野への就業に結びつけるという都の意図が理解できました。
 一方で、リスキリングやリカレント教育を社会のスタンダードとしていくためには、やはり人手不足の業界に向けたリスキリングやリカレント教育というのも必要だと考えています。
 先ほど言及した日経新聞の十六兆円の機会損失の話のうちの十三兆円は、観光業や介護業を中心とした非製造業で発生をしています。このような業界への就業に向けて、都が積極的なリスキリング支援を拡充することによって、社会全体の産業構造の変化に対応する形で、人手不足に対応してもらうように要望をさせていただきます。
 また、人手不足問題の解決策として、こうした雇用の流動性を高める取組に加えて、限られた人材の中でも業務の生産性向上で対応ができる、こうした環境整備をしていくことも必要だと思っております。
 都は、今年度、ファンドを活用した人手不足問題の解決に取り組む中小企業支援を開始すると聞いております。
 本ファンドを設立する目的と、支援が想定される技術やサービスの内容についてお伺いしたいと思います。

○松田金融支援担当部長 中小企業の人手不足問題解決支援ファンドは、ベンチャー企業の有する技術やサービスが広く普及することで、中小企業における生産性の向上や、限られた人材の効果的な活用等を図っていくことを目的としております。
 支援対象といたしましては、技術者が不足する作業現場において、人が直接確認することが困難な場所の点検を自動化する技術を開発することで作業の効率化を後押しするベンチャー企業とか、外国人旅行者への対応が増加する接客業におきまして、リアルタイムで自動翻訳を行うシステムを構築し、従業員の負担軽減につなげるベンチャー企業などを想定しております。
 今回のファンドを活用いたしまして、中小企業における人手不足の問題解決に向けた取組を支援してまいります。

○福井委員 ありがとうございます。労働生産人口の減少が避けられない状況においては、人手不足問題の解決にはこうした取組が必要不可欠だと思います。具体的な技術の選定はこれからだと認識をしておりますので、実効性のある取組となるように注視をさせていただきたいと思います。
 最後に、カスタマーハラスメントについて伺います。
 東京都は、我々国民民主党が国政において先導して取り組んでまいりましたカスタマーハラスメント対策についても、他県に先駆けて条例化するなど、先進的な取組をされているということで高く評価をいたします。働く全ての人の心身が守られることが生産性につながるということを、東京都の当たり前の考え方にしていただきたいと思います。
 従業員を守るためのカスハラ対策や、従業員がカスハラの加害者とならないようにするための対策などを企業に求める条文が盛り込まれた労働施策総合推進法が二〇二六年中に施行される見通しであり、カスハラ対策の重要性はより一層増し、東京都においても、引き続き実効性のある対策が必要となります。
 都は、カスタマーハラスメント防止ガイドライン等検討会議において、有識者も含めて議論を深めていると認識をしています。
 その中で、中小企業でカスハラ対策が進まない理由として、ノウハウが足りない、人手が足りない、こういった声が上がっておりますが、どのように応えているのか、都の対応をお伺いしたいと思います。

○新田雇用就業部長 都は、中小企業等がカスハラ防止対策に着手しやすいよう、共通マニュアルやそのポイントをまとめたリーフレット、事業者マニュアルのひな形を作成し、ホームページにおいて公表しております。
 これに加え、条例が施行された今年度は、新たに総合相談窓口を設置し、具体的な対応方法等について助言を行っており、事業者からは、十月末時点で約八百件の相談や問合せが寄せられております。
 また、会員企業などに向けたカスハラ防止対策が進むよう、業界団体の取組に対して奨励金を支給することとしており、今年度は三十件の実施規模に対して二十八件の交付決定を行うなど、中小企業の取組を後押ししております。

○福井委員 ありがとうございます。中小企業の皆さんからの声を反映した取組が行われたと理解ができました。この取組が事業者や都民の認知度や意識の変化につながるか、注視をしていきたいと思います。
 ご答弁では、相談窓口の設置や団体向けの奨励金について言及がありましたが、このほかに、都が今年度実施しているカスタマーハラスメント防止対策推進事業の取組状況を伺いたいと思います。

○新田雇用就業部長 都は、カスハラに関する正しい理解を浸透させるとともに、社会全体での防止対策を推進するため、今年度、普及啓発や企業向けの奨励金など様々な支援策を実施しております。
 普及啓発におきましては、条例で定める相互尊重といった考え方を就業者や顧客等の様々な主体に分かりやすく伝えるため、短編動画等を作成し、動画の再生回数は、十月末時点で累計約八十万回となっております。
 企業向けの奨励金につきましては、今年度、三回、各回千件の募集を予定しており、既に二回の募集を実施し、現在、支給に向けた審査を順次行っているところでございます。

○福井委員 ありがとうございます。
 次に、フリーランスに対するカスタマーハラスメントについて伺います。
 国で昨年施行された、いわゆるフリーランス法においては、従業員を使用している発注事業者からフリーランスに対して行われるパワハラ、セクハラ、マタハラは対象とされているものの、これらの事業者や消費者からフリーランスに対して行われるカスハラは対象とされていません。
 また、本年六月に改正された労働施策総合推進法では、新たにカスハラの規定が盛り込まれましたけれども、フリーランスの取扱いについては、同法の附則において、政府は、フリーランスがカスハラを受けることがないようにするための施策について検討を加え、必要があると認めるときは所要の措置を講ずるとされるにとどまっております。
 全国初のカスハラ防止条例を定めた都においては、このフリーランスへのカスハラ対策も適切に講じていくべきだと考えておりますけれども、都の見解を伺いたいと思います。

○新田雇用就業部長 都のカスハラ防止条例では、都内で業務に従事する者を就業者と定義しており、条例に基づく指針では、就業者にフリーランスも含まれることを示しております。
 その上で、条例や指針においては、事業者に対して、自社の従業員が他の就業者に対してカスハラを行わないよう、啓発や教育等を行うことを求めております。
 また、カスハラに関する困り事がある就業者に対しては、総合相談窓口において助言を行っており、フリーランスの方が事業者との契約や報酬等のトラブルを抱えている場合は、都や国の関連する窓口などを紹介することとしております。

○福井委員 ありがとうございます。都では、このフリーランスの皆さんは就業者として条例や指針に含まれていて、なおかつ既存の相談窓口で対応が可能だというふうに認識をしている点には評価をしたいと思います。
 一方で、今、本日、質疑に答弁いただいた対応策の中身を確認させていただくと、やはり業界団体であったりとか中小企業を対象としたものが多く、フリーランスの方がその恩恵を受けにくい形になっているのではないかという点は懸念をしております。
 カスハラ対策のノウハウがないという声は、中小企業の皆さんだけではなく、フリーランスの方からも多く寄せられていると認識しております。
 カスハラという概念の認知を拡大して、働く全ての人の心身が守られることが当たり前の東京とするためには、フリーランス事業者にもしっかりと支援を届けていただくよう、フリーランスのカスハラ対策の強化を要望させていただきたいと思います。
 本日は、都が掲げる、誰もがいつでも自分らしく、よりポジティブに働き、活躍する東京の実現に向けて、現役世代を支える観点から質問をさせていただきました。
 手取りや給与を増やしていくその大前提として、働く世代が安心して長く住み、働き続けることができる東京を目指し、現役世代の支援を拡充していただくことを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

○上田委員 まず最初に、全体を伺います。
 令和六年は九百二十三の事業がありまして、令和七年度の事業数は九百五十六件、新規九十二、廃止五十九です。
 実に都政事項六千の六分の一が産業労働局の事業ということになって、毎々控室に届く各種イベントや補助金申請などの案内資料を見ると、もうほとんど産労で、皆さんもそうだと思うんですけれども、把握できないぐらいあると思いますよね。
 ですので、事業全体をどう各部課で把握して費用対効果を検証しているのか。事業の質的向上あるいは目標達成による終了も、これは減ったり増えたりしていますけれども、していらっしゃるのか。どう判断し廃止してきたのかも含め、ご説明をお願いします。

○阿部総務部長 予算編成におきましては、事業の実績や執行率等に加えまして、社会経済の動向や現場のニーズを踏まえた事業の必要性など、個々の状況に応じて様々な角度から分析と検証を行いまして、必要な予算を計上しております。

○上田委員 ちょっとよく精査していただきたい、すべきじゃないかなと客観的には思います。
 小中学校向け起業家教育推進事業ですけれども、事業開始以降の実施校数、参加児童生徒、プログラムの実施状況及び児童生徒の起業家精神や生きる力の育成に関する具体的成果、この事業を通じて得られた学校現場や児童や生徒の反応についてご報告ください。

○大川商工施策担当部長 都はこれまで、小学校二十九校、中学校十九校、計四十八校に対しまして起業家教育プログラムの実施に向けた支援を行いまして、計三千八百七十九人が参加いたしました。
 児童や生徒からは、仲間と協力して何か物やサービスをつくるときに、ためになる考え方などを学ぶことができたといった声や、お金を稼ぐ大変さ、物をつくる難しさが分かったといった声をいただいております。
 実施したアンケートでは、四割を超える小中学生が将来会社をつくってみたいと回答しております。

○上田委員 続いて、高校生起業家養成プログラムです。
 資料によりますと参加者数は伸び悩んでいますが、養成講座採択件数についても評価はいかがでしょうか。
 アントレプレナーシップ教育教材の配布状況及び起業意向を持つ高校生への実践的プログラム提供の具体的内容と成果、ロールモデルの発信やアルムナイコミュニティの運営状況、学生の起業機運醸成ができているのか、成果、実績についてご説明ください。

○大川商工施策担当部長 都は、高校生等が起業を選択肢の一つとしてできるよう支援を行っております。
 具体的には、起業家教育に取り組む高校に対しまして教育教材を提供しており、令和七年度は八校に配布いたしました。
 また、起業に必要な知識を学ぶ講座等を開催するほか、ビジネスモデルの作成を支援するプログラムを提供しております。
 さらに、プログラム終了後も起業に向けた活動をスムーズに継続できるよう受講生のコミュニティを設置し、本年九月末時点で参加している四十三名に対して、起業に関する課題への助言等の支援を行っております。

○上田委員 私、上野生まれで商家育ちなので、親の後ろ姿を見て育つという感じで、一々こういうことまでしないと起業というところまでいかないのかなという感想を得ていますけれども、七割の参加者が起業したいなというふうに思った回答もあったということで、ちょっと期待はしたいと思います。
 西新宿におけるスタートアップ支援拠点の運営状況について、ピッチイベントは四十八回開催、プロジェクト組成件数は五十五件、協働実績率は九三%とのことです。
 これまでの応募者総数と優勝者数をお示しの上、実績を踏まえ、具体的な協働事例や行動課題の解決に寄与したプロジェクトの代表的な内容について報告ください。

○大川商工施策担当部長 行政課題解決型スタートアップ支援事業では、都政の課題解決をテーマに、本年九月末までにピッチコンテストを四十八回実施し、延べ六百十五者のスタートアップから提案を受け付け、優勝者数は四十八者でございます。
 具体的には、簡易な操作で現場の3D画像作成や無電柱化のシミュレーションができるサービスや、育児などの事情で就職活動に課題を抱える女性に対するオンラインでの再就職支援サービスなどの協働の取組を進めております。

○上田委員 行政課題解決スタートアップが認定されると、認定期間中は、都の機関が認定製品、サービスを競争入札によらない随意契約で購入、使用ができるとのことですが、不正や癒着を排除して公正公明を担保できているのか、確認をします。

○大川商工施策担当部長 都は、ピッチコンテストで受賞した事業者の優れた製品やサービスを対象に、政策目的随意契約を活用した公共調達を行っております。
 対象の認定に当たりましては、地方自治法に基づき、適正な審査を経て決定をしております。

○上田委員 いつもどこかで見たスタートアップというふうにならないように確認をしてまいりたいと思います。
 商店街の支援策です。
 区市町村を通じた補助の具体的内容、過去五年の実績についてご報告の上、環境、防災、買物弱者支援などの行政課題解決に資する取組の具体例、行政区域を越えた広域的な商店街の取組に対する支援状況、単一的取組と面的取組の両面からの活性化策の効果や課題、本年実施している商店街防災力向上緊急支援事業、小池さんのポスターを町会に貼ったらば、何か補助金をあげるみたいなのも過去にありましたけれども、あれは指摘させてもらいましたけれども、その支援規模及び商店街の防災力強化に向けた成果について、それぞれお示しください。

○福田商工部長 都は、区市町村と連携して商店街のイベントの開催やハード整備などを支援しており、令和二年度は八百七十九件、約六億八千万円、令和三年度は一千五百四十六件、約九億円、令和四年度は一千六百九十一件、約十億五千万円、令和五年度は一千八百八十一件、約十四億八千万円、令和六年度は一千八百七十六件、約十四億九千万円でございました。
 また、都が直面する行政課題の解決に資する商店街の取組を支援しており、具体的には、LED街路灯の設置や買物弱者に対する送迎サービスなどの取組を支援しております。
 さらに、二つ以上の区市町村の区域で実施するイベントに対し、商店街の連合組織を通じて支援しており、九月末時点で十件の交付決定をしております。商店街からは、連携したことで回遊性の向上が図れたなどの声があり、引き続き、こうした取組を支援してまいります。
 加えて、商店街が防災用の備品や消耗品を購入する際の経費について、三十万円を上限に全額を助成しており、九月末時点で四十三件の申請がございました。本事業により、非常時の連絡体制の確認や防災訓練の実施など、商店街の防災意識の向上につながったとの声がございました。

○上田委員 長い歴史の中で相当の支援をしているんですけれども、一方で、大型店舗の出店なんですね。これについて、都内の商店街や個人経営店舗に与える悪影響について、その軽減に向けたこれまでの調査や研究で把握している課題を伺います。
 一方で、地方においては、大型店舗の撤退が進んで地域住民の利便性低下も懸念されている中、都内の大型店舗の出店、撤退の動向や、それが地域住民の生活利便性に与える影響について、資料を踏まえて現状課題を、認識を伺います。

○福田商工部長 大規模小売店舗立地法では、周辺住民の生活環境等への影響を少なくするため、店舗面積一千平米以上の商業施設の設置者は届出を行い、説明会を実施するとともに、区市町村からの意見の聴取を通じて、地域で生じる課題の把握と解決に努めるものとしております。
 都における届出状況は、平成二十八年度から令和七年九月末現在までに、新設が百九十四件、廃止が六十七件であり、新設が上回っております。
 その影響については、都が三年ごとに実施しております商店街実態調査によりますと、令和四年度の調査では、大型店の影響による来街者数について、変化なしは約六割、減少したが約四割との回答を得ております。
 大型店は、多数の顧客を集め、大量の商品等を扱う地域住民の生活利便施設であるため、周辺地域の生活環境を維持することが求められることから、法の趣旨を踏まえ適正な運営に努めていくとともに、住民の買物の場である商店街等の活性化に向けて、引き続き様々な支援を行ってまいります。

○上田委員 旦那の実家の上田洋品店も、ダイエー船堀店が出店してきて、逆にダイエーの中に入って個人店舗でやったのですが、そのとき、商店街が分断されちゃって大変な状況になったという話も聞いておりますので、一つ前の質問では商店街の支援もしている、また大型店の動向も分かっているということで、バランスを見ながらの適正な支援と現状確認をよろしくお願いいたします。
 東京発クールジャパン推進事業における中小企業等の海外展開支援や国際的に通用する人材育成の実績及びこれらの取組が東京の産業力とブランド力強化にどうつながったのか。
 担い手発掘、育成時における若手ファッションデザイナーの支援状況、挑戦、活躍の機会提供、ビジネス展開支援の実績と効果について、数値を入れて具体的にご報告ください。(福田商工部長発言を求む)待ってください。すみません。もう一個ありました。
 一方、資料によれば、地域特性に着目したファッション産業振興補助金の実績が一件にとどまっている理由と、その背景にある課題認識についてもお聞かせください。

○福田商工部長 東京発クールジャパンの推進事業では、世界で活躍が期待できる九つのブランドを選定した上で、パリでの合同展の開催などを通じて商談に結びつける取組を支援しております。また、都内の若手デザイナーに対し、海外展開を見据えたビジネスセミナーなどを開催しており、九月末時点で百二十二人が参加しております。これらにより、国内外でのブランドの知名度の向上や取引の拡大につながっております。
 ファッション産業の担い手発掘・育成事業では、デザイナーを目指す学生等を対象にしたコンクールを開催しております。今年度は約二千点の応募があり、デザイナーやバイヤー等による審査や、その過程でビジネス展開支援などのワークショップを七回予定しており、学生等の意欲喚起と育成を図っております。これまでの受賞者四十六名のうち、約七割が自社ブランドを立ち上げるなどファッション業界で活躍しております。
 地域特性に着目したファッション産業振興補助金は、東京のまち全体でファッションの魅力を発信することを目的として、都内の多くのエリアで実施する取組を対象としていることから、一件を想定して募集しております。

○上田委員 支援を行った事業の中には、年間売上げを十倍に伸ばした事例や、従業員が十六倍になる、新たな雇用を創出しているということで、工場も新設をしているということです。
 また、私の高校の同級生が大田区の梅屋敷のインキュベート施設で−−ファッションデザイナーなので表参道でやっていたのですけれども、地元に戻って、そうした区市町村とタイアップしながらイベントをしたりとかいって、そうした地元にいるファッションデザイナーって、これからポテンシャルも高いと思いますので、ぜひ成長産業として育てていっていただきたいと思います。
 外国人起業家資金調達支援です。
 都民から批判の声も多く、私も指摘してきました無担保外国人起業家資金調達支援事業ですけれども、融資の実績は令和五年度までで終わったんですよね。事業実施期間は貸付期間を踏まえて令和十五年度までで、予算金額を全額執行次第、終了したことは評価をいたします。
 融資を実施した七件、総額六千五万円については、債権の回収ができていないのかどうかが心配になりますので、確認をいたします。

○松田金融支援担当部長 融資した資金の返済につきましては、金融機関が的確に把握し対応を行い、それが滞る場合も、金融機関が責任を持って回収に取り組む仕組みとしております。
 現時点で、都に対して資金が返還されない融資案件の報告は受けておりません。

○上田委員 本当にこれも話題になった事業ですので、引き続き確認をしていきたいと思います。
 損失補助についてです。
 資料もありまして、毎々確認しているところですが、中小企業制度融資及び東京プラスサポートの損失補助の状況と削減に向けた新たな取組、返済不能に陥る前のアウトリーチ支援について伺います。

○原金融部長 損失補助の状況についてでありますが、平成二十七年度から令和六年度末までの十年間の実績は、中小企業制度融資で四百九十三億六千七百万円、東京プラスサポートでは四十億七千九百万円です。
 都は、今年度から、専門家を派遣し、金融機関と連携して経営支援機関につなぐことにより、資金繰りなど様々な経営課題を抱える中小企業を支援しています。

○上田委員 毀損をしないようにしていただきたいというしかないのですが、今度は中小企業向けファンドの投資、回収状況です。資料で報告をいただきました。
 かねてよりモニタリング体制について、ファンドへの出資後、支援先企業を選定する投資委員会にオブザーバーとして出席して疑問点の確認や意見表明を行っているとのことですが、現在、回収見込みが危ぶまれる状況はありませんか。
 投資委員会のメンバー構成、その選考過程も説明の上、どのような意見表明をしているのか、伺います。

○松田金融支援担当部長 都は、投資、会計、法律分野等の専門家を活用し、定期的にファンドの資産状況について適切にモニタリングを行っております。
 投資委員会は、投資の専門家やファンド関係者で構成され、メンバーの選考は運営事業者が行っております。
 都は、出資目的にかなったファンド運営がなされているかなどについて意見表明を行っております。

○上田委員 毀損をしないようにチェックしている、出資目的にかなったファンド運営がなされているか確認をしているということを確認しました。お願いしますね。
 中小企業障害者雇用スタート支援奨励事業におけます奨励金支給の実績と、障害者就業推進事業におけます雇用就業総合推進事業及び東京ジョブコーチ支援事業の実施状況について説明の上、これらの多岐にわたる支援が実際の雇用促進にどの程度結びついているのか、具体的な成果について確認します。

○富岡事業推進担当部長 令和七年度から開始した中小企業障害者雇用スタート支援奨励金では、十月末時点において、週所定労働時間二十時間以上三十時間未満の区分で精神障害者を雇用した企業が一件ございまして、九十万円支給いたしました。
 令和六年度における障害者雇用就業総合推進事業の実績は、障害者雇用就業サポートデスクでの相談件数が千九百七十三件、各種セミナー等が計二十三回、職場体験実習の実習成立件数が千二百四十八件となりまして、東京ジョブコーチ支援事業は支援件数が九百四十二件となっております。
 都内民間企業の障害者雇用者数は、令和元年から令和六年までの五年間で約四万八千人増加しております。

○上田委員 雇用数は増えているんですが、もうちょっと、このせっかくの東京都の事業を利用していただきたいと思いますが、ジョブコーチについては、九七%が支援終了から六か月後も引き続き就労しているということで、結構、障害者の方って、一回辞めちゃうと心が折れて再就職ができづらいということで、就労の継続は大事ということで、この点は評価したいと思います。
 ソーシャルファームです。
 認証審査会の運営において、契約差金による不用額が生じ、執行率が六割にとどまっていた背景について、単なる会計上の問題にとどまらず、制度の認知拡大が、まあ需要もないのかなとかと思っているんです。数字は正直ですから。
 令和六年度の十億円の予算規模に対して、実際にソーシャルファームで働く就労困難者が三百四十四人にとどまっている状況をどのように評価しているのか。
 既存の就労支援、本当に、さっきいったようにいっぱいあるんですよね。
 多数ある中で、新たにソーシャルファームを立ち上げた意義と需要の有無、事業内容の見直しについての所見を伺います。

○新田雇用就業部長 東京都ソーシャルファーム認証制度は、事業からの収入を主たる財源として運営しながら、就労困難者と認められる者を相当数雇用し、その職場において他の従業員とともに働いている社会的企業の創設と活動を支援することを目的としております。
 認証事業所の数は着実に伸びており、就労に困難を抱える様々な方が社会の担い手として働き活躍する場としてソーシャルファームの認知が広がっていくことにより、多くの就労困難者の雇用に結びついていくものと考えております。

○上田委員 いいのですけれども、それは。目的はいいのですけれども、その事業の成果指標、KPIですね。
 認証事業主として認証事業所数を設定していますが、就労困難者の雇用、定着や事業所の自立度など、質的な指標を含めた評価体制の整備状況と課題についてもご報告ください。

○新田雇用就業部長 ソーシャルファームの認証におきましては、就労困難者の雇用数とサポート体制など、支援対象として認証を行う基準を設けております。
 認証後においては、事業者の成長段階に合わせ、事業拡大のための戦略づくりや、障害者を中核人材として育成する仕組みづくりなど、個々の課題に伴走して解決をサポートする支援体制を構築し、自律経営を後押ししております。

○上田委員 定着については、ぜひ確認していっていただきたいと思います。
 この事業者選定に係る認証審査会の、これは公開されていないというのは、私、初めて質問させてもらったのですけれども、開催実績や委員の出席率、欠席理由の把握状況及び選考過程や決定機関の透明性を確保すべきと考えますが、所見を伺います。

○新田雇用就業部長 令和六年度は、認証審査会を十回開催し、最も多くの委員が参加できる日程に調整した結果、委員の出席率は八三・三%でございました。
 募集要項におきまして、認証審査会の構成員の説明、認証を行う基準、審査の流れなどを公表し、募集説明会などの場において周知を図っております。
 また、認証審査会において要件や基準に適合することが確認できなかった場合、その該当要件などを通知しております。

○上田委員 八割が多いか少ないかというと、やっぱり、そうやってあまり公表もせずやっているのであれば、しっかりと出席していただきたいなというふうに思う次第です。
 この事業を通じて、都民の就労困難層の社会的包摂と自立促進にどの程度寄与していると評価しているのか。
 今後の事業展開において、制度の理念と実態の乖離を解消するため、費用対効果の検証結果、今後の改善、再設計方針をお聞かせいただければというふうに思っております。なぜなら、十億で三百四十四人だと、一人三百万かかるということなので、よろしくお願いします。

○新田雇用就業部長 認証事業所の数は着実に伸びており、就労に困難を抱える様々な方が社会の担い手として働き活躍する場としてソーシャルファームの認知を広げることで、多くの就労困難者の雇用に結びついていくものと考えております。

○上田委員 区市町村もやっているひきこもり支援事業などもありますので、屋上屋を重ねないようにお願いをしたいと思います。
 農地保全です。
 都は、都市農地活用推進モデル事業、農業体験農園の開設支援事業、生産緑地買取・活用支援事業、東京の農地流動化促進事業等、都市農地の保全と生産緑地活用の事業を展開しております。
 私も大切な取組と考えております。私も生産緑地議員でございますので、江戸川区のパトロールをしています。
 これら多岐にわたる事業を総合的に運営する中で、都市農地、生産緑地の適正運用と維持を確実に実現するための課題と、あと認識と、今後の改善策や施策の方向性について所見を伺います。

○榎園農林水産部長 都は、都市農地保全を一層進めるため、様々な施策を適切に行っております。
 具体的には、体験農園の開設相談窓口を設置するとともに、生産緑地を借りて開設する事業者等に対し農機具等の導入を支援するほか、区市による生産緑地の買取りを後押ししています。
 今年度はこれまで、相談件数が十二件、助成は、それぞれ四件、〇・六ヘクタール、五件、約一ヘクタールを実施いたしました。
 今後も関係機関と連携しながら事業の推進を図ってまいります。

○上田委員 耕作放棄地なんかへの提案もお願いしたいと思います。
 水産業です。
 資料を見ますと、漁業組合員数は年々逓減しております。不思議と、漁船と就業者は激減していない点も注目するところです。
 都は、漁業経営の安定及び振興に関する各種事業を展開していますが、これらの事業が都内漁業者の経営安定や持続的な漁業継続にどの程度寄与、貢献しているのか、具体的な成果指標を伺います。

○榎園農林水産部長 都は、令和三年六月に水産業振興プランを改定し、漁業生産額の増加を目指して、漁業者の確保、育成や漁業経営の安定化などに取り組んでいます。
 年間新規就業者数十人の目標に対しまして、令和四年度が九人、令和五年度は十人、令和六年度には二十四人を確保いたしました。
 また、令和十二年の漁業生産額の目標を四十二億円に定め、令和五年の実績は三十五億円でございます。

○上田委員 環境や港湾局でも藻場の創生とかラムサール条約等をやって、うちも葛西の海があるので、里海の再生というのは本当に、区ですね、湾岸区も頑張ってやっているところでありますので、漁獲高を上げるべく、産業面での支援を何とぞよろしくお願いをします。
 熊です。
 現在、全国で熊の出没や人身被害が相次いでいます。都でも奥多摩や檜原村など山間部で目撃情報が相次ぎ、都民の不安も高まっていますし、地元の私の知り合いの動物行動学者の先生もちょこちょこいて、本当にもうちょっと、秋田まではいかないけれども、熊が出てくるのは時間の問題であろうと。ただ、ゾーニングが、東京都の場合、熊とできているので、あまり熊が出てきても驚かないような感じには地元住民はなっているんですけれども、時間の問題だろうという声も届いております。
 熊が人里へ下りてくる背景には、森林の荒廃と餌資源の減少があります。つまり、森の健全な再生なくして熊被害の根絶はあり得ません。撃って殺すだけでは駄目ということなんですね。
 かつての里山には、人の手によって手入れされた雑木林があり、ドングリを実らせる広葉樹や季節ごとの果実が豊かに存在していました。しかし、木材価格の低迷や林業従事者の減少によって多くの森林が放置され、人工林が過密化し、光が届かない森となっています。
 結果として、熊の主要な餌である栗、ブナやコナラなどの堅果類が、堅い果実類ですね、実りにくくなり、山の中で食べ物が足りない年には、熊が人里へ下りざるを得ない状況が生まれています。
 これは森の栄養バランスの崩壊という自然のサインでもあり、産業労働局、環境局等、庁内連携はもちろんのこと、政府、区市町村とともに、今こそ組織を横串の森林保全を熊被害対策の柱の一つとして位置づける必要があると考えます。
 そこで伺います。
 まず、広葉樹林の再生と多様な植生の確保です。
 杉やヒノキの単層林だけでは、季節ごとの餌資源が乏しく、生態系が単調になります。広葉樹を混植し、野生動物が山の中で十分な餌を得られる環境を取り戻すことが重要です。
 環境省の調査でも、ドングリなどの堅果類の凶作年には熊の出没が急増することが明らかになっております。今、そのような状況でしょう。
 都としても、この堅果類の豊凶調査ですね、凶作なのか、本当に豊かに取れたか、これを体系的に実施し、熊が人里に下りてこない、そして出没リスクの早期予測につなげるべきと考えますが、所見を伺います。

○榎園農林水産部長 堅果類の豊凶調査につきましては、環境省がホームページで公開してございまして、都内の開花状況では、ミズナラ、コナラは並作、ブナが凶作であるとのことでございます。
 環境省によれば、兵庫県を例に、堅果類が凶作であると、人里への熊の出没等の情報が増える状況はあるとの趣旨の報告がなされています。
 国によれば、人の生活圏への出没防止対策として、ごみ等の誘引物の除去や追い払いなどが示されてございます。
 産業労働局としましては、引き続き、良質な木材を生産するため、森林所有者に適切な間伐を促してまいります。

○上田委員 やっぱり重要なのは、森林の手入れと間伐の推進です。適切な間伐が行われることで、光が柱の床まで届き、下層植生が回復、果実や昆虫など多様な餌資源が育ちます。放置された人工林を再生し、森を生きた生態系に戻すことが、結果的に人と熊のあつれきを減らします。
 また、森林の保全は、野生動物対策だけではなく、水源の涵養、土砂災害の防止、気候変動への適応、これは本当にCO2対策にもなりますよね。多面的な効果ももたらします。
 あわせて、生態系を破壊する不法投棄対策、私が長年指摘しております太陽光パネル、メガソーラーも、これも多分、なかなか報道されませんけれども、秋田とか北海道で大騒ぎしている山には、メガソーラーは乗っていないのかなというふうに私は注目しております。
 この点も含めて、都には多摩産材活用や間伐対策事業はありますことから、これらを単なる林業振興にとどめず、野生動物との共生を視野に入れた大局的森林管理として、改めて推進してはどうかと考えますが、現状実施していること、新たに取り組まねばならないこともあろうかと思われるので、所見を求めます。

○榎園農林水産部長 産業労働局では、良質な木材を産出するため、山主に適切な間伐を促すよう支援してございます。
 なお、生物多様性の観点からの間伐は、森林再生事業として環境局が行ってございます。
 引き続き、環境局の森林再生事業と森林整備事業の事業調整を図ってまいります。

○上田委員 環境局との連携ということですね。杉ばっかりだと花粉で−−石原さんも、花粉対策で杉をどうにかするとおっしゃっていた時代もあって、植生を変えて杉ばっかりでないということは花粉症対策にもなるということで、熊も下りてこない、花粉症もひどくならないということで、よろしくお願いをしたいと思います。
 データセンターです。
 膨大な電力と水消費による地域インフラへの中長期的負荷、地域にもたらす経済還元や雇用創出の現状課題につき、データセンター高効率化実装促進事業を都はやっているんですけれども、経産省の指摘も踏まえて、都の把握状況と対応策を具体的に示してください。

○米澤産業・エネルギー政策部長 本年一月に、国や電力広域的運営推進機関が公表した資料によりますと、データセンターや半導体工場の新増設等によりまして、今後、電力需要が増加するとの見通しが示されておりまして、事業者の省エネ、再エネ導入を促進していくことが必要となってございます。
 このため、都は、データセンターの省エネ等に資する先駆的な技術やサービスのモデル構築に向けた取組を支援しております。
 また、事業者による大規模な再エネ電源確保の取組を支援してございます。

○上田委員 再エネもいいのですけれども、江東や江戸川など低地帯の災害リスクに対する事業者の防災対策説明や理解促進、学校、住宅地近接による騒音、景観、安全面の住民不安対策なんかについても視野に入れて、うちはもう、産労はデータセンターを支援するだけで終わりではなくて、これについても問題意識を持って、関係各機関と確認をしていっていただきたいと思っております。
 地熱利用の普及促進です。地中熱ですね。
 地中熱は、地中の温度と外気の温度差を利用する再生可能エネルギーであり、太陽光パネル、風力発電については、私、いろいろいっておりますけれども、こちらについては大きな意義があると評価しているところでございます。
 都内の有明アリーナほか、その後の導入状況、事業者向けの地産地消型再エネ・蓄エネ設備導入促進事業における補助実績、東京地中熱ポテンシャルマップの活用状況、なかなか知られていないと思うんですけれども、普及啓発ツールの具体的な活用方法及び事業者の認知度向上に向けた取組の成果についてもお願いします。
 その上で、負担軽減策や技術的支援、地域特性を踏まえた普及促進の問題と改善策について伺います。

○米澤産業・エネルギー政策部長 地中熱の活用は導入経費の負担が大きいことから、地産地消型再エネ・蓄エネ設備導入促進事業では、設備のほか、設計や工事に要する経費への支援を行っておりまして、これまで三件、約一億二千四百万円の交付決定を行ってございます。
 また、地中熱利用の一層の導入拡大を図るため、環境関連イベントで模型等の展示やリーフレットを配布するとともに、地域の導入可能性を示す東京地中熱ポテンシャルマップをウェブ上で公開しておりまして、今年度中の閲覧数は、十月末時点で約二万八千件となってございます。

○上田委員 二万八千件でありますか、分かりました。堅実に進めていってください。
 大島浮体式洋上発電です。
 本年度から、民間で開発が進む純国産メガワット級の浮体式洋上風力の導入に向けて必要な調査を実施するとのことなので、具体的にどの民間企業が開発を進めるのか明らかになっていると思いますので、その明示と、発電した電力をどのように島内に送電する計画か、インフラ整備の状況も含めてご説明ください。

○米澤産業・エネルギー政策部長 大島では、浮体式の洋上風力発電の事業化を目指し、町が協議会を設け、取組を推進してきました。
 都は、これに参加し、事業のサポートを行うほか、町に対して技術面から助言等を行ってまいりました。
 引き続き、民間における開発状況や町の意向を踏まえながら対応してまいります。

○上田委員 じゃ、民間はまだ決まっていないということでよろしいのでしょうかね。ちょっとそこも踏まえて、次の質問へ行きます。
 浮体式洋上風力発電は、環境破壊や高コストの懸念が指摘されていることから、慎重な検討が必要です。住民アンケートや漁業関係者、景観保全、自然環境への影響調査など、地域住民の理解を得るための調査、協議はどのように実施されているのか。
 地域の自然環境や生活環境を守るため、産労局としてはどのように評価し、費用対効果をどう検証しているのか、お示しください。

○米澤産業・エネルギー政策部長 大島の浮体式洋上風力発電につきましては、町が協議会を設置するとともに、動植物への影響や海象等につきまして調査を実施し、漁業関係者や観光事業者等との調整を行ってまいりました。
 都は、これに参加し、事業のサポートを行うほか、町に対して技術面から助言等を行ってまいりました。
 引き続き、町の意向等を踏まえながら適切に対応してまいります。(上田委員「民間事業者」と呼ぶ)民間事業者の開発状況等を踏まえつつ、町の意向等を踏まえながら適切に対応してまいります。

○上田委員 民間事業者はいえないということですね。事業者名はいえないという理解でいいですか。お願いします。

○米澤産業・エネルギー政策部長 具体的な民間事業者の状況につきましては、開発状況等を踏まえながら、かつ町の意向等を踏まえつつ対応してまいります。

○上田委員 結局、分からないのかな。また確認をさせてください。
 コージェネレーションシステム導入支援事業です。
 都内における大規模開発や設備更新を見据えた、略してCGSですね、導入支援の具体的な計画、補助対象機器ごとの補助率、上限額の設定理由と、現時点の支援実績についてお示しの上、この事業が、ゼロエミッション東京の実現に向けて、再生可能エネルギーの出力変動を補完し、需給安定化や調整力確保にどう寄与するのか。費用対効果の見地について、分かりやすくご説明ください。

○米澤産業・エネルギー政策部長 コージェネレーションシステムは、発電と同時に生じる熱を温水や冷暖房などに活用する高効率なエネルギーシステムである一方、事業者にとって導入経費が負担となってございます。
 コージェネレーションシステム導入支援事業では、事業者によるコージェネレーションシステムや熱電融通インフラの導入を促進するため、補助率最大二分の一、上限最大五億円の支援を行ってございます。今年度は、十月末時点で一件、約三億九百万円の交付決定を行っております。
 本事業によりまして、都内建築物にコージェネレーションシステム等の導入を支援することで、電力需給の安定化や再エネの調整力の確保を図っております。

○上田委員 結構巨額なので、費用対効果、何度も聞いているんですけれども、いろいろやることで、どれだけ東京の気温が下がって、CO2が減るのかというような観点もお願いしたいと思います。
 水素エネルギーです。
 水素エネルギー政策そのものについてですが、水素は化学材料として使うからこそ有益なのであって、発電や動力に使うのはエネルギーの無駄遣いではないか、製造過程でCO2を発生するのではないかという専門家の指摘もあります。再エネ由来の水素だからグリーンというのも、いま一つ納得のいかないところです。
 原子力、化石燃料と比べたコスト比較、都の脱炭素政策や新エネルギー推進にどのように具体的に寄与すると考えているのか、費用対効果や実効性の観点から評価をお示しください。

○服部新エネルギー推進担当部長 東京でのゼロエミッションの実現に向けて、再生可能エネルギーの利用を増やすとともに、水素をはじめとする新エネルギーの活用を進めていくことは不可欠でございます。
 水素は、再生可能エネルギーを長期間にわたり蓄え、ニーズに応じ速やかに活用できます。この普及により、電化が困難な熱需要やモビリティーなど、多様な分野の脱炭素に役立てることが可能であると考えております。

○上田委員 ざっくりしたご報告をありがとうございます。今後は、科学的な見地に立った分析もお願いしたいと思います。
 京浜島グリーン水素製造所です。
 過日、オープニングにお邪魔をさせていただきましたが、今後、増大が見込める水素需要に対応するために、需要地である都内での水素地産を行う取組の一環として、京浜島、大田区の都有地に拠点の施設整備を進めて、第一基目の水電解装置が完成し、去る十月二十三日、グリーン水素製造所が開設したわけでございます。
 東京都産グリーン水素の製造を開始するとのことですが、まず、この製造所が完成するまでに要したイニシャルコスト、今後かかるランニングコスト、製造所の委託スキーム、基本合意書を締結した山梨県との関係性、製造したグリーン水素の目標生産量、販売目標、販売利用先など、つまびらかにご説明ください。

○服部新エネルギー推進担当部長 都は、山梨県との基本合意書に基づき水素製造等の共同研究開発の協定を締結し、これに伴う共同事業として京浜島グリーン水素製造所を運営しております。
 年間二十トン程度の製造を予定し、都有施設や都事業などで活用してまいります。
 これまで施設の整備に要した費用は、約二十四億円程度となっております。

○上田委員 総合整備費二十四億円で、年間二十トン程度の水素製造を行うと。
 しかし、単純計算でも、設備費だけで水素一トン当たり約一千二百万円となり、エネルギー換算すると、石油トン当量で約四百二十万に達します。一方、現在の原油輸入価格は一トン当たり約十万円です。
 すなわち、都の水素は、石油の約四十倍のコストとなり、ちょっとエネルギー供給としては現実的ではないのかなというふうに今聞いておりました。
 また、グリーン水素トライアル取引事業も昨年から開始されておりますが、その実施状況、成果と評価を伺います。

○服部新エネルギー推進担当部長 グリーン水素トライアル取引では、これまで当事者間で個別に売買されていた水素について、都が新たに取引ルールを定め、供給者の販売価格と利用者の購入価格をそれぞれ入札で取り決める市場取引を試行しております。
 これまでに合計で三回入札を実施しており、利用者側では、価格競争により購入価格が決定されております。
 また、入札終了後には落札単価及び入札者数を公表することで、水素取引の可視化を図っております。

○上田委員 普及を目指している一環なんでしょう。
 水素タクシーです。
 都は、二〇三〇年度までに水素燃料電池タクシー六百台の導入を目標に掲げ、TOKYO H2プロジェクトを始動しました。
 想定車両のトヨタ、クラウンFCEVは約八百三十万円で、標準的なプロパンガスタクシー、JPN TAXIのジャパンタクシー三百四十五万円に比べて、四百八十四万円高価です。
 燃料費も一キロ当たり約十三・三八円と、プロパンガスの六・七三円に比べ六・六五円高く、年間約六十万円の差が生じます。
 車も六年間の使用で、車両費と燃料費の合計差額は、一台当たり約八百四十四万円、六百台で約五十一億円に達します。
 都は、導入費として最大三百七十万円台、条件によりプラス二百四十万上乗せするんですが、燃料費差額を年上限百三十万円台で補助し、六年間で、都民負担は少なくとも四十三・八億円、上乗せ補助を含めると五十八・二億円に上ります。
 なお、現在の都内の水素は、副生水素や天然ガス改質由来で、製造時にはCO2が発生しております。
 都民、国民に莫大な税負担をかけて、ゼロエミッション東京には程遠い成果しか出なそうなことが手に取るように分かります。
 この点を受けて、そもそも水素燃料タクシーを推進しなければいけない経済性や環境効果の観点から、合理的な説明を求めます。特に、ほかの低炭素交通手段との比較検討は行われているのか、伺います。
 この取組で、果たしてCO2削減にどれほど寄与するのか、科学的根拠、定量的な数値を入れた説明もお願いいたします。

○服部新エネルギー推進担当部長 二〇五〇年のゼロエミッション東京の実現に向けて、脱炭素の新たなエネルギーである水素の活用を広げることは重要でございます。
 燃料電池車は、電気自動車と比べて充填時間が短く、走行距離が長いというメリットがあり、商用車両での水素活用は、運輸部門の脱炭素化と水素利用の拡大に役立てることが可能であると考えております。

○上田委員 高市政権が誕生してガソリン代が安くなり、十円、二十円安くなっても、本当に狂喜している、喜んでいる日々、爪に火をともして暮らしていらっしゃる都民から比べて、その人たちに五十八億円も負担するというのは、どうも私は納得いかないので、ちょっとこの政策には今後も注視してまいりたいと思います。
 再エネ導入拡大を見据えた系統用大規模蓄電池導入支援事業です。
 国内の蓄電所投資額は一兆円を超え、三百ギガワットアワー市場はほぼ満席の状態です。多くの事業者が、リチウムイオン電池、LIBを用いた蓄電システムの接続許可を待っています。
 国や都の補助金も多額が交付されましたが、市場は飽和状態に近く、新規参入の収益性は厳しいと考えられています。さらに、使用されるリチウムイオンバッテリーの大部分が中国製であり、経済安全保障上の懸念もあります。
 補助上限額が二十億円と大きいことから、特定事業者を念頭に置いた支援ではないかとの懸念もあり、この点について伺います。

○米澤産業・エネルギー政策部長 都は、再エネの活用に不可欠な調整力を確保し、電力の安定供給を図るため、電力系統に接続する大規模蓄電池の導入に必要な経費の一部を補助しております。
 系統用大規模蓄電池は様々な事業者が導入を進めておりまして、本事業は、これらの事業者を広く対象とすることで導入の促進を図ってございます。

○上田委員 公金をもって私企業の収益、資産獲得を補助することの是非、セルの大部分が中国製であることの問題性、間接的に中国企業の経営支援になっていないかということなんですね。
 エネルギーマネジメントシステムなど中国製の附属機器、システムを用いた場合、遠隔でコントロールされるおそれはないか、火災等、安全対策は十分かについても説明ください。

○米澤産業・エネルギー政策部長 系統用大規模蓄電池は、電力需給の安定化や再エネの活用に不可欠な調整力の確保に貢献できるため、都は、導入に必要な経費の一部を補助しております。
 本事業では、JIS規格等の安全性基準や国のセキュリティガイドライン等に基づいた対策が講じられていることを要件とするとともに、国内産業の活性化等の観点も含めまして審査を行い、安全性やセキュリティが確保された設備の導入を図っております。

○上田委員 こうした状況の中、本事業の対象となる電力の需給バランス調整を行う事業者とは、具体的にどのような事業者を指すのか。
 活用が想定される事業者の業種、規模、数などのイメージを、補助対象事業者の選定基準や公募状況、透明性確保のための対策、これまでの支援実績についてご説明ください。

○米澤産業・エネルギー政策部長 本事業では、都内に事業所を有する法人を対象としておりまして、事業者が電力の需給バランス調整を確実に行えるよう、蓄電池等の電源を束ねて配電事業者等に電気を供給するアグリゲーターが関与することを要件としてございます。
 また、審査方法や選定基準を公表した上で、導入する蓄電池の安全性やセキュリティ対策等の観点から、外部有識者による審査を行ってございます。
 令和六年度は、十二件、百三十億円の交付決定を行っておりまして、今年度は、現在、審査を実施しているところでございます。

○上田委員 百三十億円ということですね。
 この事業で、大規模な調整力、変動型再生可能エネルギーの導入促進、電力の安定供給、需要の最適化についてどのような費用対効果の評価をしているのか、お示しをいただければと思います。

○米澤産業・エネルギー政策部長 本事業では、二〇三五年度における系統用蓄電池導入目標四十万キロワットに対しまして、これまで総出力約二十三万キロワットの蓄電池の交付決定を行っておりまして、調整力の確保を通じて再エネの導入拡大に貢献してございます。

○上田委員 今まさに中国との関係が悪化している現在、中国からの蓄電池セルの供給が止まる可能性もあるという考慮もしながら進めていっていただきたいというふうに思っております。
 次は、充電設備普及促進事業に移ります。
 資料の方をちょっと皆様方にお配りさせていただいてよろしいでしょうか。いいですか、回していただいて。

○大山委員長 回しますか。

○上田委員 じゃ、回していただいて。ちょっと多めにあれかもしれないんですけれども、すみません。では、お手数かけますが。(資料配布)資料の方を配らせていただきました。
 東京都では、自動車から排出される二酸化炭素等の削減を図るため、電気自動車及びプラグインハイブリッド自動車の普及促進に向けて、都内の充電設備等の導入を促進するとともに、当該設備の運営を支援するため、充電設備普及促進事業等の助成事業を行っています。
 同事業の開始以来の進捗、実績、評価を踏まえて質問をいたします。
 充電設備普及促進事業及び補助金を支出する趣旨は何か。それぞれの事業において、東京都の気温低下やCO2削減の具体的な数値目標も踏まえてご説明ください。

○米澤産業・エネルギー政策部長 都は、ゼロエミッション東京の実現に向け、二〇三五年までに二〇〇〇年比で六〇%以上の温室効果ガス排出量削減目標を掲げております。
 この中で、CO2排出量の約二割を占める運輸部門の脱炭素化を進めるため、都内で新車販売される乗用車を二〇三〇年までに一〇〇%非ガソリン化することを目指してございます。
 充電設備普及促進事業は、EVの普及拡大に向けて、都内における電気自動車用充電設備の導入を促進することを目的として実施してございます。

○上田委員 新車全部、一〇〇%非ガソリンというのも、ちょっとぞっとするんですね。せめてハイブリッドでいいんじゃないのと思います。内燃機技術って、日本にとってすごく重要な、今、その技術を大事にという話はこの産労でも皆さん議論するのに、何で内燃機の技術はなくしちゃっていいと思うのか、ちょっと私個人は不思議に思っているところでございますが、続けます。
 公金が一私企業の収益、資産の整備に流用されていないかという観点から伺います。
 まず、この事業を促進することで期待する効果、目標の事業者数、目標設置台数など、具体的な数値目標について伺います。
 また、これまでの事業効果、交付事業者数、設置台数、充電器一台当たりの補助金額は平均幾らとなっているか。
 また、補助対象経費の内容について具体的にご説明ください。

○米澤産業・エネルギー政策部長 都は、充電設備普及促進事業により、EV走行中の電気切れの不安を感じることなく走行するための充電インフラの整備を進め、車両導入に係る費用負担の軽減やユーザーの利便性向上を図っております。
 充電設備は、公共用としては、主に商業施設や宿泊施設などに設置され、広くEVユーザーの利便性向上につながることから、都は、二〇三五年までに公共用急速充電設備を二千口設置することを目標としてございます。
 事業者向けの充電設備普及促進事業のこれまでの実績は、令和七年九月末時点で、交付決定件数は一千九十八件、事業者数は延べ五百一者、設置台数は二千七十二台、充電器一台当たりの補助金交付額の平均は約百九十万円でございます。
 本事業では、超急速や急速、普通充電設備等を対象に、設備購入費や設備工事費等を補助することとしてございます。

○上田委員 交付額平均は百九十万円ということでございました。
 この事業は都内にEV充電環境の整備を目的とするものであって、本来は、自社や自分の施設の駐車スペースを所有、管理する事業所やホテルなどが、お客さんや従業員の利便性のために設置する設備を支援する趣旨で設計されたと理解しております。
 都内におけるEV用充電設備設置状況について、EV smart、運営はENECHANGE株式会社なんですけれども、都のホームページにも掲載されております。ENECHANGEのホームページでも、事業用と居宅用の充電設備普及促進事業紹介がなされています。
 ところが、実際には、このENECHANGEなどのように、対価を取って充電サービスを営む営利企業が、自社の収益事業のために申請、設置を行っている例が多数見られます。
 そこで、都として、申請者につき、どのような事業者、団体を当初想定されていたのか、具体的にご説明ください。
 また、実際開始されてから、想定どおりの事業者となったのか、想定外の事業者などが対象になったのかも伺います。

○米澤産業・エネルギー政策部長 本事業の申請者は、法人、個人事業主を対象としておりまして、新たに充電設備を設置する都内の事務所、工場、商業施設等の所有者のほか、EV利用者に充電サービスを提供する事業者などを想定しております。
 事業開始以来、これらの幅広い事業者に活用いただいております。

○上田委員 次に、制度上定められている利益排除ルールについて伺います。
 本事業では、自らが設営する充電設備に自社製品、取扱製品を採用するなど、企業グループ内での取引によって不正な利益を計上し、補助金受給額を水増しするなどの行為を防ぐため、利益排除ルールが設けられています。改めて、その内容を簡潔にご説明ください。
 また、これまで、実際にこのルールが適用された事例あるいは疑義が生じた事案はあったのか、確認します。

○米澤産業・エネルギー政策部長 設備購入費、設備工事費等の中に、自社または資本関係等にある会社からの調達分がある場合には、利益等排除を行うルールを設けております。
 過去の申請において、関係会社からの調達があったものにつきましては利益等排除のルールを適用しており、適切な事業執行となるよう対応しているところでございます。

○上田委員 問題がある、排除ルールが適用があったということでございます。
 利益排除ルールの対象範囲に連結対象企業を含め、厳格な利益排除を行うという、非常に明確かつ実質的な整理を都は行っています。
 これは、自己取引というときの自己の範囲を、会計上、自己と同等とみなすことが同等である範囲に拡張し、グループ会社を用いた制度潜脱を防ぐための仕組みであり、補助金の制度趣旨及び確立された会計原則に照らしても、極めて正しい判断です。
 そこで、都が連結関係にある会社間の取引について、自己取引と同等の厳しい利益排除規定を適用すると明文化した理由と、その制定経緯についてご説明願います。

○米澤産業・エネルギー政策部長 補助金が内部利益に転用されることを防ぎ、公的資金の適正な使用を確保する利益等排除の趣旨を踏まえまして、令和六年度から連結決算に含まれる子会社も対象にすることとし、手引においても明記し、公表してございます。

○上田委員 連結決算も含むということで、ただ一方で、国の同様の補助金制度では、この点が不明確のまま運用されています。国の補助金規定では、連結対象企業を利益排除の対象として明記していないため、悪質な事業者に付け入る余地を残しているのが現状です。その意味で、都の支援の方が制度設計としては優れていることを率直に申し上げたいと思っています。
 実際、都は昨年、ある申請主体を連結対象企業と認定し、グループを一体と見て利益排除ルールを適用したと聞いております。その結果、申請内容の訂正請求と既払金の返還請求を行い、補助金の適正執行を守るための迅速な対応をされました。この判断と行動は極めて妥当であり、都が本来の職責を果たした事例として高く評価しております。
 この事例についてお伺いします。
 都が昨年、利益排除ルールを適用し、訂正請求及び返還請求を行ったのは、EV充電インフラ一号合同会社及び二号合同会社のうち、どちらかまたは双方で間違いないですよね。
 都は、どのような理由で、これら、充電設備推進を運営する特別目的会社、SPCに利益排除ルールを適用したのか。その経緯も詳細にご説明ください。

○米澤産業・エネルギー政策部長 補助金申請における個別の案件の中身についてはお答えできませんが、実際に関係会社からの調達であることを確認できたものにつきましては利益等排除のルールを適用し、適切な事業執行となるよう対応してございます。

○上田委員 昨年三月から七月にかけて、これらSPC二社がともにENECHANGEの連結対象企業であることを示す複数の投資家向け情報が同社のウェブサイトに掲載され、一部新聞でも報道されました。それを都の職員が閲覧、確認したことが発端と推測されます。
 こちらの資料を見てください。これがSPCですね。二社のです。補助金申請を直接行っていたこのSPCは、ENECHANGEの別の連結対象会社であるENECHANGE EVラボ会社から充電器を購入し、あるいは同社に対して工事を発注しているため、都は、これらの取引を典型的な連結グループ内取引と判断して利益排除ルールを厳格に適用し、交付済みの補助金の返還を求め、未交付の分については申請内容の修正を指示しました。
 これまでの都の職員の動きは、極めて妥当だったんですね。この間は駄目よといっていたのは高く評価します。
 しかし、問題は、その後発生しました。
 都が利益排除ルールを適用し、内部取引を防ごうとした直後、同グループは、ここに新しい第三者、名義借会社が誕生していくんですね。表面上はグループ外取引のように見えますが、実際は、EVラボが仕入れた製品を、第三者の名義を借りた同じグループに所属する複数のSPCに販売をしていて、EVラボに販売利益の全額が落ちる構造になっています。
 つまり、都が禁止した自己調達の、内部ですよね、内部でぐるぐるこの補助金を、わっともらったら回しちゃっているということですね。本来は、これは原価じゃなきゃいけないのを、原価に上乗せして売ったりしているということですよね。
 この都が禁止した自己調達による利益の付加を、第三者からの購入、第三への発注に見せかけて復活させちゃったんですね、ここに。トンネル会社でもないのですけれども、新スキームですね。
 このような構造について、都は把握していたのでしょうか、把握した上で補助金を交付したのか、今後も交付するのか、以上の三点を伺います。はい、または、いいえでお答えください。

○米澤産業・エネルギー政策部長 事業者向け充電設備普及促進事業におきまして、ご指摘の企業に対する支給実績はございません。
 なお、一般論といたしまして、補助金の申請内容について、実際に利益等排除に該当することを確認できたものについては利益等排除のルールを適用し、適切に対応することとしてございます。

○上田委員 申請者は、EV充電インフラ一号会社、EV充電インフラ二号合同会社が申請したことは確かであるということは、確認が私の方では……(パネルを示す)こちらですね。申請したというのは取れておりますので、これが取り下げたという理解でよいでしょうか。
 同社は、居住用のくくりで申請したものもあるはずですが、いかがでしょうか。

○米澤産業・エネルギー政策部長 個々の企業に関する申請の有無等、補助金の交付決定に至るまでの経過の話につきましてはお答えできません。

○上田委員 念のために申し上げます。本件については、今年七月に正式な公益通報が都に提出されたことを私は把握しています。したがって、知らなかったという答弁は成立しません。
 都は、この公益通報を受領しましたか。はい、または、いいえでお答えください。
 また、その後どのような調査を行い、どのような結果を得たのか、明確にご説明ください。

○米澤産業・エネルギー政策部長 公益通報者保護法によりまして、地方公共団体には秘密保持や事業者情報、個人情報の保護の徹底が求められておりまして、通報、相談に関する件はお答えできません。

○上田委員 もしこのグループが意図的にこのようなスキームを構築していたとすれば、都は、この行為は刑事犯罪に該当すると考えますか。
 その場合は、刑事訴訟法二百三十九条第二項について告発を行うべきと考えますが、明確にお答えください。

○米澤産業・エネルギー政策部長 公益通報者保護法によりまして、地方公共団体には秘密保持や事業者情報、個人情報の保護の徹底が求められておりまして、通報、相談に関する件はお答えできません。

○上田委員 このまま放置されると、都民から都主導の補助金ビジネス、公金私物化、最近、公金チューチューなんていう言葉もありますが、批判も免れません。
 見解を伺います。

○米澤産業・エネルギー政策部長 本事業の執行団体であります公益財団法人東京都環境公社では、補助金申請に係る不正行為等が確認できた場合、補助金の返還、事案の公表等、厳正に対処してございます。

○上田委員 太陽光パネル義務化に伴う詐欺も頻発しており、悪質な事業者を今後どう見極め、排除し、こうしたことが起こらないよう、どのように補助金の適正な執行に努めているのか、局長の見解を伺います。

○田中産業労働局長 補助金の執行に当たりましては、厳格な審査を行うとともに、虚偽や不正行為に対しても厳正に対処してございます。

○上田委員 都は、性善説過ぎたということであります。
 国はまだ、このバケツの穴が塞がれておりませんで、利益を含めて四十七億円寄附しているようなので、政府においても徹底していただきたく、経済産業省への報告、情報共有を求めます。
 重ねて、ENECHANGEの現在進行形の申請もまだあると思いますので、改めての捜査を強く求めさせていただきます。
 次に、都庁プロジェクションマッピングについて伺います。
 資料によりますと、十七億六千六百万もの巨額の予算が投じられております。
 都庁に寄せられた国民からの意見の総数、また、SNSでのクオリティーに対する批判の内容、閲覧者カウントの方法、担当スタッフの所属と人数及び年間五十六万人の観覧者のうち都民の割合、広告収入はどうなりましたでしょうか。伺います。

○江村観光部長 都庁舎のプロジェクションマッピングに関する意見や問合せの数は、令和五年度が三百五十件、令和六年度が六百三十一件、令和七年度は九月末現在で百六十六件でございます。意見や問合せの内容について、賛成や反対として整理している内訳はございません。
 上映内容に関する評価につきましては、約二千五百名の観覧者を対象に実施したアンケート調査によりますと、九割以上の方が上映作品の内容に満足したと回答しております。
 観覧者数の計測については、イベント運営に精通する事業者の複数の専門スタッフが、主な観覧場所となる都民広場において、毎日、各上映回の観覧者数を適切に確認しております。
 観覧者のうち都民の割合でございますが、この取組ではインバウンドや国内からの来訪者を数多く誘致しておりまして、観覧者を対象に実施したアンケート調査によりますと、約三割の方が都内から来訪したと回答しております。
 広告の投影につきましては、今年一月から開始しておりまして、令和六年度の収入額は約五百七十万円でございます。
 都庁舎のプロジェクションマッピングは、国内外から連日多くの観覧者が訪れており、東京の新たなナイトタイム観光の名所として大きな効果を生み出していると考えております。

○上田委員 三割しか都民がいなくて、収入経費が五百七十万ということです。
 また、さっきいった再エネ電力を購入しているんですけれども、プロジェクションマッピングは。この金額、何度聞いても明らかにならないんですね。この広告収入五百七十万以上だったら、ちょっと問題があるかなというふうに思っております。
 私としては、新宿駅の利用者は三百万人ですね。プロジェクションマッピングの見学者は一日一千六百三十名ということで、早急な見直しを強くお願いをするところでございます。
 インバウンド対応力強化でございます。
 Tokyo支援ナビの補助項目の中に、ムスリム、ベジタリアン等の受入れ体制に係る整備が今、物議を醸しております。私のところにも苦情が殺到しております。
 我々がもらっている事業概要にも、補助金紹介ページにも明記されておりません。
 この補助金にムスリム祈祷室整備が加わった経緯、起案、稟議、合い議、決裁、庁議を時系列で伺います。
 決定するに当たり、憲法二十条三項、八十九条に抵触しないのか検討したのかの有無と、ムスリム祈祷室は、いつからなぜ想定内になっていったのか、ご説明ください。

○江村観光部長 都は、観光振興に関する知見を持つ有識者の意見を踏まえて策定した東京都観光産業振興実行プランにおきまして、国際観光都市として、多様な文化、習慣を持つ旅行者等が安心して観光を楽しめる環境の整備をさらに進めていくとしております。
 都はこれまでも、多様な文化や習慣を持つ外国人旅行者の受入れに意欲のある観光関連事業者に対し、セミナーやアドバイザー派遣により支援してまいりました。
 今年度より、宿泊施設や飲食店等の観光関連事業者による幅広いインバウンド対応の取組を支援する事業において、ムスリムやベジタリアン、ビーガンをはじめとする多様な文化や習慣を持つ外国人旅行者の受入れのための環境整備を対象に追加したものでございます。
 この事業は、観光関連事業者に対し、多様な文化や習慣への対応を支援するものであり、ムスリムなど特定の文化や習慣だけを支援対象とはしておらず、法令に抵触するものではございません。

○上田委員 ほかの宗教も当然対象になっていると考えますが、いかがでしょうか。

○江村観光部長 インバウンド対応力強化支援事業は、広く東京を訪れる外国人旅行者の受入れ環境の整備に取り組む宿泊施設や飲食店等の観光関連事業者を支援し、外国人旅行者の利便性や快適性の向上を図ることを目的としております。
 東京の観光振興を図るため、外国人旅行者の受入れの拡大に取り組む観光関連事業者を後押しする事業でございまして、ムスリムへの対応に特化した支援とはなっておりません。ベジタリアンやビーガンを含め、多様な文化や習慣を持つ外国人旅行者への対応を支援対象としております。
 この事業の交付要綱では、補助対象事業として「ムスリム・ベジタリアン等の受入対応に係る整備(祈祷室の整備等)」と記載しておりまして、祈祷室はムスリムの利用に限定するものではございません。

○上田委員 仏教でも神道でも、何でもオーケーということを確認させていただきました。
 実際は、今のところムスリムの祈祷室への支援実績はないということですけれども、観光は二千四百七十九万人ということですが、ムスリムって、多くて最大でも五%。で、祈祷室が必要な人がどのぐらいいるかというと、もっと低いと思うので、わざわざ特定して記載する必要もなく、多様な宗教が利用できる部屋ということにお願いをしたいと思います。
 これ、観光客用といっていますけれども、祈祷室の増加は、モスク化、地域の占拠や文化摩擦を生むのではないか、不安の声が届いております。実際にパリ、ベルリン、ロンドンは、モスクが連立することで地域住民とのあつれきが生じています。
 未然に防いでいくのが行政の役目ではないでしょうか。所見を伺います。

○江村観光部長 インバウンド対応力強化支援事業におけるムスリム、ベジタリアン、ビーガン等の受入れ対応については、宿泊施設または飲食店が行う設備の整備に支援対象を限定しております。
 店舗内にスペースを設けますとともに、多様な文化や習慣を持つ外国人旅行者のために活用することが採択の条件となっておりまして、モスクをはじめとする礼拝堂のような施設の建設を促すものではございません。

○上田委員 優先順位ですけれども、都民からは授乳室やベビールーム、女性専用トイレ、障害者向けトイレ、都民益に願う施設を優先すべきという声が届いておりますので、それを強く求めて、検討をしていただきたいと強く要望をいたします。
 エジプトMOUです。
 高市総理が誕生してから、本当に外国人問題が今回のワンイシューになりました。JICAホームタウン事業は、全国的批判にさらされて撤回に追い込まれた次第です。
 まず、締結に係るまでの経緯、民間交流団体、JICAも含めた、その辺を時系列でつまびらかにご説明ください。

○新田雇用就業部長 まず、ご指摘のJICAのホームタウン事業につきまして、また今回の合意書につきましても、事実に基づかない誤情報が拡散され、そうした誤情報がございます。外国人労働者が大量に流入してくるのではないか、移民を積極的に受け入れるのかといった声がSNSなどでも上がっております。
 今回の合意書で取り決められた内容は、エジプト側が、エジプトの労働者に対して日本での雇用に必要なスキル、基準の研修を現地で実施するに当たり、都が助言などを行うものでございます。
 エジプトの労働者を都へ積極的に誘導するものではなく、移民の受入れを促進するものでもございません。
 加えて、今回の合意により特別なビザを発給することもございません。
 次に、締結に係る経緯についてでございますが、都は、都市課題の解決のため世界の各都市との交流を行っており、それを契機に特定分野の合意書等の締結に至ることがございます。これまでも、北米、欧州、アジアなどの様々な都市や国と締結をしてまいりました。
 これまでエジプトとは、三十五年に及ぶカイロ県と友好都市としての交流やG-NETSなどでの交流など、様々な交流を行ってきております。
 こうした中、エジプト政府から都に対し、両者の強みを生かした連携強化の働きかけがありました。
 雇用分野においても、エジプト側から連携について申出があり、実務レベルで協議を積み重ね、二〇二五年八月十九日に、産業労働局長が現地の経済団体であるエジプト・日本経済委員会委員長と合意書を締結しております。

○上田委員 昨年十一月、知事は、血税一千二百万円も支出し、エジプトへ出張しました。アーティー外務移民大臣や合意書提携先、EJBCと会合し、日本での労働市場に参入するためのエジプト人労働者を訓練するための共同訓練センターを日本側と設立することを小池知事に提案したと、現地メディアでは去年の十一月に報道されています。
 情報開示請求がようやく先週金曜日に出てきたところですが、昨年十一月二十五日から、エジプト大使館から電話があって、雇用についても含まれた打合せを行っていることが判明しました。
 であるにもかかわらず、同じ会合に関して、都は、具体的なことを何一つ触れられないどころか、EJBCという、都の海外出張報告には組織名さえ記さないありさまでした。
 なぜEJBCの名前を挙げて詳細を説明しなかったのでしょうか、理由を伺います。
 また、今後、知事の海外出張報告に関しては、都民の血税を使っていることからも、交渉先の詳細情報の掲載を過去に遡って求めるものですが、いかがでしょうか。

○新田雇用就業部長 知事の海外出張に関わる報告につきましては、当局の所管外であるため、当局としてはお答えする立場にはございません。

○上田委員 では、このやり取りを政策企画につまびらかにご報告ください。
 また、こうして都民に情報提供もなされぬまま年が明けて、二月十三日から、ファドル・アブデル・ハミド氏はじめ、EJBC、在日エジプト大使館側とオンラインミーティングが始まりますが、ほぼ白塗りで、もうこれね、ほぼ白塗りで全然見れない状態になっております。もう全部白塗りなんですね、こういうふうにですね。(資料を示す)
 いつエジプト人労働者が日本での仕事を確保する趣旨が加わったのか確認すると、本年五月二十一日、エジプト大使館から連絡が来て、政策企画局長レクがあり、八月に開催されるアフリカ開発会議、TICADを目指して雇用に係る内容を含めて調整していくという意思決定がなされたことが分かりました。五月二十一日、私の誕生日なんですね。これね、もう労働問題Xデーですよ。
 六月十八日に、EJBC、ファドル氏らエジプト側と雇用分野に係るミーティングを重ねて、七月三十日に文案が確定し、八月十八日に合意書が産業労働局長によって決裁されるに至ります。
 この議論の中で、知事は別な思惑があるのでしょうから、知事はいろいろカイロ大とかあるから置いておいて、せめて理事者において、雇用に係る事項が入ることに違和感を感じなかったのか。知事に意見具申をしてもいい事案でしたが、唯々諾々と進めていったのか。これから質問しますが、様々なリスクの検討はなされなかったのか。これまでの流れを伺います。

○新田雇用就業部長 今回の合意書で取り決められた内容は、エジプト側が、エジプトの労働者に対して日本での雇用に必要なスキル、基準の研修を現地で実施するに当たり、都が助言等を行うものでございます。
 エジプトの労働者を都へ積極的に誘導するものではなく、移民の受入れを促進するものでもございません。
 加えて、今回の合意により特別なビザが発給されることもございません。
 その上で、合意書の内容につきまして、都は、二月十三日、三月二十六日及び六月十八日にエジプト・日本経済委員会とオンラインミーティングを行うなど、事務レベルの協議を積み重ね、局内の議論を踏まえて、八月十八日にエジプト・日本経済委員会と雇用分野に係る合意書の締結を決定しております。
 なお、エジプト人労働者が日本で仕事を確保するとの趣旨が加わったとのご指摘でございますが、五月二十一日には、アフリカ開発会議、TICADを目指して雇用に係る内容も含めて調整をしていくという方向性が示されたものでございまして、日本での仕事を確保するという趣旨が加わったという事実はございません。

○上田委員 資料が白塗りなので、そこまで読めずに失礼いたしました。
 なぜエジプトなのか、都民のメリットは何なのか、結果的に移民対策にならないのか。満足に説明もできないような合意を拙速に結んだにもかかわらず、不安を抱く都民が声を上げれば、誤情報、排外主義と決めつけ、今回、一般質問では、我が会派には知事は答弁拒否しました。
 特定の国を対象に雇用促進に積極的に関与する合意書の締結は、歴代知事が初めてです。
 改めて、なぜエジプトで、なぜ雇用に関わる合意に至ったのでしょうか。万人が納得する説明をお願いします。

○新田雇用就業部長 今回の合意書で取り決められた内容は、エジプト側が、エジプトの労働者に対して日本での雇用に必要なスキル、基準の研修を現地で実施するに当たり、都が助言などを行うものでございます。
 このような合意に至った経緯についてでございますが、都はこれまで、エジプトと三十五年に及ぶカイロ県と友好都市としての交流やG-NETSでの交流など、様々な交流を行ってまいりました。
 こうした中、エジプト政府から都に対し、両者の強みを生かした連携強化の働きかけがございました。
 雇用分野においても、エジプト側から連携について申出があり、実務レベルで協議を重ね、二〇二五年八月十九日に、現地の経済団体であるエジプト・日本経済委員会と合意書を締結いたしました。
 なお、こうした海外都市や国との合意書に基づく交流は、令和六年度に自治体国際化協会に報告されているものだけでも三百件を超えており、雇用分野に関する合意書の締結や合意書に基づく交流は、他の自治体においても行われております。

○上田委員 雇用分野ですよね。働きたい人を積極的にという内容はないということは、事前調査で確認しております。
 この合意書について、都知事への声や、産労に直接都民から寄せられた苦情も含めて、たくさん声が届いていると思うので、ご報告の上、産労局の受け止めを伺います。

○新田雇用就業部長 都民からは、電話やメールなど様々な方法で声が寄せられており、把握している範囲では、九月末時点でおおむね三千百件でございます。
 具体例といたしましては、合意書の目的、都の役割についてのお問合せだけでなく、移民受入れに関するご意見なども寄せられております。
 今回の合意書に関する事実に基づかない誤情報の拡散に対応するため、都として正しい情報を丁寧に説明しており、多くの方にご理解いただいております。

○上田委員 合意書では明確に、エジプト人労働者が日本での仕事を確保するための情報を提供するとありまして、何度も聞いてきたのですけれども、平場で。移民政策になるのか、また労働者が東京で新たに増える合意書じゃないかとか、何を想定しているのかということを聞いてきましたけれども、これについては全然想定をしていないということでありました。
 じゃあ、当地の研修センターの建築費は、都は支出しないことを確認させてください。
 一方、自己の参加に係る費用を負担するものとありますが、具体的には何を幾ら想定しているのか、教えてください。

○新田雇用就業部長 合意書第二条で、都の役割は、研修プログラムの開発に対する助言などのサポートを提供すること、エジプト人労働者が日本での仕事を確保するための情報を提供すると定めており、エジプト側が運営する研修センターに関する費用負担については含まれておりません。
 第四条において、自己の参加に係る費用を負担するものとするとしており、例えば都においては、この合意書に係る連絡調整など、日常的な業務に要する費用が想定されております。

○上田委員 日常業務ということは、職員の人件費程度ということで現時点は理解してロックオンさせていただきます。
 外国人労働者の受入れが治安や社会環境、都民の雇用に与える影響について、多くの懸念が表明されております。
 犯罪歴や感染症の有無、日本語能力をどのように確認、担保するのか。
 受入れに伴い、教育、医療、生活支援などに係る予算はどれぐらい想定しているのか。財源は都税ですか。
 さっきも聞きましたけれども、文化や宗教の違いから生じるあつれきや治安悪化を防ぐための具体的な対策は検討しているのでしょうか。
 イスラム教徒が多いエジプト人が滞在中に死亡した場合、土葬問題も浮上するけれども、どう検討するのか。
 エジプト人労働者の雇用は、都内の失業者や氷河期世代の、さっきも話が出ていましたよね。雇用にどのような影響を与えるのか。
 家族の帯同や永住権取得の可能性は考慮されているのか、ご説明を求めます。

○新田雇用就業部長 今回の合意書で取り決められた内容は、エジプト側が、エジプトの労働者に対して日本での雇用に必要なスキル、基準の研修を現地で実施するに当たり、都が助言などを行うものでございます。
 エジプトの労働者を都へ積極的に誘導するものではなく、移民の受入れを促進するものでもございません。
 加えて、今回の合意により特別なビザが発給されることもございません。
 なお、ご質問いただいている外国人労働者の受入れに関する制度設計は国が行うものであり、都として答弁する立場にはございません。

○上田委員 特別なビザを発給しなくても、Access to Tokyoを産業労働局がやっているので、こうした、スタートアップとか、そうした起業家にビザの発給を簡易にするような事業もあるということを指摘させていただきますし、制度設計は国が行うわけですから、国が行うことを、こんな都市間交流の枠を超えて外交問題のようなことを、合意書なんて結んでほしくないというふうに思うんですね。
 ご説明を伺うほど、都民のメリットが見えてこないんですよ。
 都は、批判に耐えかねて、QAコーナーでは、都内の中小企業が外国人労働者の雇用を検討する際に、現地の様々な情報を都から入手することが可能となるとしていますが、都民がエジプト人労働者を検討したいという需要があったのか。私、ちょっと江戸川の商工会議所とかいろいろ聞いたけれども、誰一人いっていませんでした。
 エビデンスをお示しの上、改めて都民のメリットは何なのか、お答えください。

○新田雇用就業部長 都は、中小企業の外国人労働者に対するニーズを踏まえ、様々な国の外国人労働者の雇用を検討する都内中小企業に対し、相談窓口の設置やコンサルタント派遣など各種支援を実施しております。
 今回の合意書の締結により、都内の中小企業が外国人労働者の雇用を検討する際に、現地の様々な情報を都から入手することが可能になると考えております。

○上田委員 こうした外国との合意書等を結ぶ過程に、我々都議会は審査する機会もないんですね。
 今後、小池知事が海外出張に赴き、場当たり的に合意書等を締結して、都民及び国益を損なうようなことがないよう、事前に我々都民の了解を得る体制づくりを求めるものです。いかがでしょうか。
 都民、国民の声に真摯に耳を傾け、JICAのホームタウン事業同様、撤回を含む抜本的見直し、三年後の自動更新を厳に慎むことを強く求めるものですが、局長の所見を求めます。

○田中産業労働局長 合意書による交流は、行政機関同士の情報交換や人的交流など、通常の業務の一環として、長や執行機関が自らの権限の下で行うものでありまして、全ての案件に関し、議会への報告を要するものではないと認識してございます。
 また、議会で議決すべき事項は、地方自治法第九十六条に限定列挙されておりまして、合意書の締結はこれに該当しておりません。
 今回の合意書は、エジプト側が、エジプトの労働者に対して日本での雇用に必要なスキル、基準の研修を現地で実施するに当たり、都が助言などを行うものでございます。
 都として合意書の見直しをすることは考えてございません。
 先ほどの祈祷室の件も本件も、誤情報に基づく声に対応するため、都は、ホームページにおいてQ&Aを拡充させるなど、正しい情報を分かりやすく発信してございます。
 また、電話等で問合せがあった際にも、正しい情報を丁寧に説明しておりまして、ご理解いただくよう努めてございます。
 これからも正しい情報を分かりやすく伝えるように努めてまいります。

○上田委員 最後の質問は終わるところですけれども、先ほどのENECHANGEのああいった補助金の問題についても、東京都は性善説で制度をつくってこういうことになったということも、ちょっと指摘をさせてもらったのですけれども、この地方自治法九十六条も、よもやこういうような合意を知事が結ぶまいという中で、性善説でなっているわけですよ。
 私、何度も指摘していますけれども、小池知事はもう本当、コロナのときも、石原さんの四倍も五倍も専権で決めちゃったんですよね、専権事項ということで。
 そういったことで、やっぱり、それでおかしいんじゃないかと都民が声を上げることを誤情報で片づけるというのはいかがなものかと思いますし、今後もこうした外国人問題は、今、国の方でも審査会も立ち上がって動き始めておりますので、慎重の上に慎重を重ねていただきたいと。
 最近交わした合意書は本当に、るる説明のあったような、非常に有効なものだというふうに思いますが、ちょっとこのエジプトの雇用に係る合意書については、まだまだ懸念が残るところでございますので、私は引き続き、三年後の自動更新を厳に慎むことと、先ほどいったように、制度設計は国が行うわけですから、勝手に合意書を結んで、あとは国だじゃなくて、そこまでちゃんと国と調整してから、せめて合意書は結んでいただきたいということを強く申し上げまして、私の質問を終わります。

○大山委員長 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後六時三十七分休憩

   午後七時八分開議

○大山委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 傍聴人の数についてお諮りいたします。
 本委員会室の定員は二十名でありますが、傍聴希望者が定員以上でございますので、さらに二十名を追加したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大山委員長 異議なしと認め、そのように決定いたします。

○大山委員長 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○さとう委員 まず、委託事業における不正アクセスの事案について伺います。
 今回の事案は、委託事業者である株式会社パソナにおいて約八百名分の個人情報が漏えいした可能性がある極めて重大な事故です。
 まず、個人情報漏えいが実際にあったのかどうか、改めて確認します。

○富岡事業推進担当部長 令和七年九月、TOKYO特定技能Jobマッチング支援事業の受託者におきまして、従業員のパソコンが外部から不正なアクセスを受け、本事業にエントリーした方の個人情報漏えいの可能性がある事故が発生いたしまして、都は、プレス発表とホームページでの公表を行いました。
 受託者からの報告によりますと、データファイル等の外部への送信は確認できなかったとされております。
 ただし、外部の第三者による画面の閲覧等による個人情報の漏えいの可能性が否定できないとされたため、エントリーした方々に対しまして、メール及び電話にて事故の経過説明と謝罪を行いますとともに、被害の有無の確認をいたしました。
 なお、現時点では二次被害は確認されておりません。

○さとう委員 送信は確認されていないが、画面閲覧による漏えいの可能性は否定できないというご答弁でしたが、いずれにせよ、最高度にセンシティブな個人情報への不正アクセスが発生したこと自体が問題です。
 そこで伺います。個人情報漏えいの可能性は否定できないとのことですが、このような事故を起こした委託事業者について、契約の継続ありきではなく、委託事業者の変更あるいは入札制限などの措置を検討しないのか、お考えを伺います。

○富岡事業推進担当部長 受託者との本契約におきまして、契約の解除につきましては、受託者が業務を終了させることができないことが明らかである場合や個人情報に関する特記仕様に定める義務を履行しない場合などについては解除をすることができると規定をされております。
 受託者は、個人情報の事故を未然に防ぐことを目的とする個人情報に関する特記仕様等に定める義務は履行しているなど、いずれにも該当しないため、契約の解除には至らないというものでございます。

○さとう委員 今回の事故は、パソコンを業務外利用したところ詐欺サイトに接続され、外部リモートアクセス接続による指示を受けた結果、従業員が電話で指示に従ってしまったという極めて初歩的なインシデントの連鎖です。
 今回のような初歩的なインシデントが発生しても契約解除にならないとしたら、どのようなインシデントが発生したら契約解除に当たるのでしょうか。具体例を挙げてお答えください。

○富岡事業推進担当部長 契約期間中の契約解除は、都民サービスに大きな影響を与えるものでございます。
 先ほどご答弁したところと重なるところではございますが、契約の解除につきましては、受託者が業務を終了させることができないことが明らかである場合や個人情報に関する特記仕様に定める義務を履行しない場合などについては解除をすることができると規定をされております。
 例えば、従業員に対する教育、研修を行わないことや、個人情報漏えいが起きた際に都への報告義務を怠る、当該事態が生じた旨を当該漏えい等に係る個人情報の本人に通知し、または本人が容易に知り得る状態にする等の措置を講じないなど、個人情報に関する特記仕様に記載された義務を履行しない場合は契約解除に至ることもあり得ます。

○さとう委員 契約期間中の契約解除は都民サービスに大きな影響を与えるというのは、そのとおりだと思います。だからこそ慎重であるべきというのも理解します。
 しかしながら、それを理由に、初歩的なインシデントの連鎖が起きても、特記仕様は履行されているから解除に当たらないとするのであれば、どんなに重大な事故が起きても、形式さえ守っていれば契約は続くというメッセージになってしまいます。
 また、私は、今回のような初歩的なインシデントでも解除にならないのであれば、どんなインシデントが起きたら解除に当たるのかと、実害ベースのラインを伺いました。それに対して、答弁は、手続違反があれば解除、手続を守っていれば解除しないという話に終始しています。
 都民から見て重要なのは、どんなレベルの事故が起きたらこの事業者には任せておけないと判断するのかという結果側の基準です。
 八百人規模で在留資格や出身国を含むセンシティブな情報が不正アクセスを受けても、それでもなお解除とはいえないというのであれば、何人分なら解除なのか、実害が出たら初めて解除なのか、金銭被害が出ないうちは解除しないのかといった具体的なレッドラインを示す責任が東京都にあると考えますが、見解を伺います。

○富岡事業推進担当部長 重ねてで大変申し訳ございません。
 契約の解除につきましては、受託者が業務を終了させることができないことが明らかである場合や、また、全庁的な仕様でございます個人情報に関する特記仕様に定める義務を履行しない場合などについては解除をすることができるという規定がございます。
 これに基づいて対応していくというものでございます。

○さとう委員 今回の事案を見れば、形式だけ満たせば義務履行とみなしていることが明らかです。形骸化をしている事実を認めない限り、どんな条文を足しても、また同じ事故は繰り返されます。
 現時点で、二次被害は本当に一件も確認されていないのか、改めて伺います。

○富岡事業推進担当部長 事故発生後、個人情報漏えいの可能性がある八百名の方に対しまして、九月十九日から、メールや電話等にて事故の経緯説明と謝罪を行いますとともに、被害の有無等を確認してございます。
 現時点では、二次被害は確認をされていないという状態でございます。

○さとう委員 現時点で確認されていないということと将来にわたって被害が発生しないということは、全く別の話です。この点を強く申し上げておきます。
 次に、委託契約の情報管理要件について伺います。
 都の委託契約の情報管理要件が現在のサイバー攻撃に全く追いついていないのではないかという懸念がありますが、契約書のセキュリティ要件の中身を示してください。

○富岡事業推進担当部長 都では、全庁的に原則として契約に盛り込むこととされている事項に、受託者は、この契約による業務を処理するため取得、作成した個人情報等または東京都から引き渡された文書等に記録された個人情報等を漏えい、漏示、毀損及び滅失することのないよう、当該個人情報等を安全に管理しなければならないなどと定めております。
 その中で、受託者に、従事者等の教育及び研修について、業務を行わせる前に少なくとも一回は行わなければならないことや、受託者は、この契約による業務を処理するパソコン等に、ファイル交換ソフトその他、情報漏えいにつながるおそれがあるソフトウエアをインストールしてはならないことなどを定めております。

○さとう委員 正直申し上げまして、二十年前のリスクモデルに基づいた対策です。今、主流になっている攻撃は、ファイル交換ソフトではなく、ソーシャルエンジニアリング、マルウエア型などです。今回の事件もまさに、詐欺サイトに誘導されて、画面に表示された番号に電話をし、指示どおりに操作してしまった典型例です。
 本来であれば、不正サイトや詐欺サイトへのアクセスをURLフィルタリングで強制遮断すること、業務端末は業務専用ネットワークに接続し、私的利用は禁止することなど、現在のセキュリティ標準で常識とされている水準を契約書の要件として明文化すべきです。 抽象的な安全に管理することではなく、具体的な技術的要件を契約に書き込むことを強く求めます。
 また、今回漏えいした可能性がある情報は、外国人材の個人情報、在留資格、紹介企業情報といった、いわゆるターゲットにされやすい層のセンシティブ情報です。不法就労ブローカーや詐欺集団、さらには在留資格悪用の温床になる可能性すらあります。
 都は、この情報が悪用された場合のリスク評価をどの程度行ったのか、伺います。

○富岡事業推進担当部長 都では、サイバーセキュリティポリシーに基づきまして、情報資産の機密性等の観点から重要度を分類しており、本件では、本事業にエントリーした方の個人情報が含まれることから、最高度の機密性の高い情報を含むサービスであり、情報漏えいの有無と拡散防止を最優先と評価し、対応いたしました。
 具体的には、個人情報の種類が複数にわたり、漏えいとその二次被害のおそれがある情報がありましたことから、受託者は、速やかにネットワークを遮断するとともに、個人情報漏えいの可能性がある方々に被害の有無の確認を行いました。
 都は、国の個人情報保護委員会に対して速やかに報告をいたしました。

○さとう委員 最高度の機密性と評価しているのであれば、なおさら、委託先、契約要件、監督体制は最高水準であるべきです。
 最後に、この事故の責任の所在について伺います。
 東京都として、この事故を事業者のミスとして認識しているのか、それとも自らの監督体制の欠陥として認識しているのか、伺います。

○富岡事業推進担当部長 当事故は、受託者の従業員が業務目的外でパソコンを利用中に詐欺サイトに接続し、パソコンがロックされた後に、画面に表示された番号へ電話し、電話の指示に従い操作をしてしまったことにより発生をしております。
 都は、受託者に対し、個人情報に関する特記仕様等において責任体制の整備や従事者等の教育及び研修を義務づけるなど、指導監督を行ってきたところでございます。
 当事故を受けまして、都としても、委託者として受託者に対して厳重注意を行いますとともに、再発防止の指示を行い、従業員への注意喚起、研修の再徹底やシステム的な対応の強化の実施の確認を行ったところでございます。
 引き続き、再発防止に対してしっかりと指導を行ってまいります。

○さとう委員 質問の回答になっていません。私は、事業者のミスと認識しているのか、東京都の監督体制の欠陥と認識しているのか、どちらかを明確にしてくださいと伺いました。それに対して、受託者の従業員がこういうことをした、都は指導していた、厳重注意をしたという説明だけで、東京都としての責任認識が示されていません。
 そこで聞き方を変えます。個人情報の管理主体は、外部委託先と東京都のどちらなのか、伺います。

○富岡事業推進担当部長 本事業におきましては、受託者が個人情報を収集し、適切に管理することとしています。
 なお、当該個人情報は東京都に帰属するものでございます。

○さとう委員 つまり、個人情報は東京都に帰属する、すなわち最終的な管理主体は東京都にあるということですね。
 東京都の現行の説明は、個人情報の帰属は東京都、事故の責任は受託者という、非常に都合のよいすり替え構造にほかなりません。個人情報の帰属先である東京都が、最終的な管理主体として監督責任を負うのは当然です。
 事故が起きた以上、指導はしていたという過去の説明ではなく、なぜ監督が有効に機能しなかったのか、東京都自身のどこに問題があったのか、今後、東京都として何を改めるのかを示すべきです。
 東京都は、受託者任せの姿勢を改め、自らの管理責任を明確に認め、監督体制を抜本的に見直すことを求めます。
 次に、宿泊税について伺います。
 現在、宿泊税増税が検討されています。議論の前提として、まず確認しなければならないのは、現行の宿泊税収で足りているのか足りていないのかという点です。
 観光施策の中心を担う産業労働局として、現在の宿泊税収では足りないと考えているのか足りると考えているのか、都の見解を伺います。

○江村観光部長 宿泊税の今後の在り方につきましては、税制を所管する主税局において検討されております。
 当局といたしましては、必要な観光施策を着実に実施してまいります。

○さとう委員 正直、この答弁には驚きを隠せません。増税は検討しているが、税収が足りているかいないかは把握していない。これが現状だとすれば異常事態です。
 税収が足りないのか足りているのか、観光施策に必要な財源があるのかないのか、数字に基づく説明なくして、都民に新たな負担を強いることはできません。
 そこで、質問の角度を変えて伺います。宿泊税の課税対象に民泊を追加するという議論がありますが、産業労働局として、民泊への課税をどのように捉えているのでしょうか。

○江村観光部長 宿泊税の今後の在り方につきましては、税制を所管する主税局において検討されております。

○さとう委員 まるで他人事のような答弁でした。
 宿泊税を使用する主な局は産業労働局です。増税は、本来、歳出改革を行い行政の効率化を図り、それでもどうにもならない場合の最終手段であるはずです。今の答弁のままでは、根拠がないまま増税だけが先行し、局ごとにばらばらに動いている都政だといわざるを得ません。
 ホテル業界からは、増税議論の前に、まず使途を明確に示してほしいという強い要望が出されています。にもかかわらず、宿泊税と具体的な事業との対応関係が分かる資料は、東京都には一切存在しません。
 そこで伺います。宿泊税の使途、すなわち、事業ごとの事業費と、そこに宿泊税をどれだけ充当しているのかについて、東京都として明示する考えはあるのでしょうか。

○江村観光部長 宿泊税の税収を充当する事業の考え方につきましては、税制や予算編成を担当する局などにおいて検討されるものでございます。

○さとう委員 いま一度、認識を改めておきたいのは、宿泊税は、観光振興に用途が限定されている法定外目的税であるということです。そして、観光振興の中心を担うのは産業労働局だということです。
 つまり、増税した財源を主に使うのは産業労働局であり、どの事業にどれだけ宿泊税を充てているのかを示す責任は、まさに産業労働局にあります。
 局が事業と宿泊税の対応関係を示さないのであれば、どの局が示すのでしょうか。いま一度、局としての自覚を伺います。

○江村観光部長 宿泊税の税収を充当する事業の考え方につきましては、税制や予算編成を担当する局などにおいて検討されるものでございます。
 当局は、観光の振興に関する施策を着実に実施する立場から東京都観光産業振興実行プランを策定しておりまして、この中で、都民や事業者に対しまして、都が取り組む観光施策の内容や政策目標などの方向性を示しております。

○さとう委員 今までもこの先も、使途が明示されないまま進む増税にホテル事業者の理解が得られるとお考えでしょうか。

○江村観光部長 宿泊税の今後の在り方につきましては、税制を所管する主税局において検討されております。
 当局としましては、必要な観光施策を着実に実施してまいります。

○さとう委員 産業労働局は、森林環境譲与税の使途については、事業名、事業内容、事業費、そのうち森林環境譲与税を幾ら使ったかを分かりやすく公表しています。
 同じ目的税である宿泊税についても、事業ごとの事業費と宿泊税の充当額を明示するのは当然の責務です。これができなければ、法定外目的税として宿泊税を徴収し、使う資格はありません。事業ごとの事業費及び宿泊税の充当額を明示することを要望します。
 税金は、都民の財産権を制約するものです。法定外であれば、なおさら重い説明責任を伴います。その点を改めて強く申し上げておきます。
 次に、在留資格、とりわけ同性パートナーに関する特区提案について伺います。
 現行制度では、外国で有効に成立した同性婚による配偶者は、原則在留が認められます。
 一方で、パートナーシップに基づく公的な登録を行った同性パートナーについては、在留が認められていません。
 都は、パートナーシップ制度に基づく登録を行った同性パートナーについて在留を認めるよう、国に要望していますが、その進捗状況を伺います。

○小出国際金融プロモーション推進担当部長 海外で認められている同性パートナーの日本在留については、都は、高度外国人材の受入れ促進による金融系外国企業等の進出の加速化やダイバーシティ実現の観点から、同性婚の配偶者と同様に本邦への在留が認められるものと考え、国へ要望してまいりました。
 イギリスなどの他の先進国におきましても、他国のパートナーシップ制度に基づく在留資格の付与を認めているケースが存在することから、同様の取扱いを求めております。
 なお、直近では、国に対しまして、令和七年六月に提案要求をしております。

○さとう委員 イギリスの例を引き合いに出しておりますが、例えば世田谷区パートナーシップ宣言のような自治体ごとのパートナー制度でも、在留の根拠として認められるということはありますでしょうか。

○小出国際金融プロモーション推進担当部長 イギリス政府のホームページによれば、イギリスが認めているのは、他国において法律上の婚姻または法的パートナーシップを要件としているため、お話のケースは認められないものと考えます。
 なお、世田谷区のパートナーシップ宣誓は、同区のホームページによりますと、法的効力は保障するものではないとしております。

○さとう委員 法的パートナーシップを要件とするとのことですが、海外の自治体ごとに基準が異なるパートナー証明を、なぜ一律の在留判断の根拠にできるのでしょうか。
 統一審査基準はどこに置くのか、伺います。

○小出国際金融プロモーション推進担当部長 先進国の事例を見ますと、例えば、法令等に基づき、法律婚などと同様に、公的機関によってパートナーの身元証明などにより審査を行いまして、登録証が交付、認定されているようでございます。
 特区提案におきましては、海外で日本の法律で認められている配偶者と同程度の扱いとされているパートナーを想定してございます。

○さとう委員 法令に基づき、公的機関が身元証明確認を行い、登録証を交付しているケースを想定しているとのことでしたが、海外の自治体ごとに基準が違う問題は解消されていません。
 パートナーの審査基準が海外の自治体ごとに異なるのに、なぜ全国一律の在留判断の根拠にできるのか、お聞きします。

○小出国際金融プロモーション推進担当部長 例えば、米国、カナダ、ドイツのように連邦制等を採用している国は、家族法や婚姻制度を州、県、自治体ごとに制定しておりますが、一方で、フランスやイギリスなど単一制の国家につきましては、統一の制度を設けております。
 特区提案におきましては、これら海外で日本の法律で認められている配偶者と同程度の扱いとされているパートナーを想定してございます。

○さとう委員 海外の自治体ごとに基準が違うことが再確認できました。
 ですが、海外の自治体ごとに基準が異なるパートナー証明を、なぜ全国一律の在留判断の根拠にできるのか、統一審査基準はどこに置くのかの回答にはなっていません。
 さらに、婚姻届と比べると第三者チェックや解消時の管理が弱く、形式的な登録だけ行って、在留申請から在留資格取得後に関係解消という偽装スキームに悪用されるリスクもあります。
 家族帯同や就労拡張など、ほかの制度への波及も懸念されますが、都としてどのようなチェック構造を考えているのか、伺います。

○小出国際金融プロモーション推進担当部長 特区提案におきましては、海外で日本の法律で認められている配偶者と同程度の扱いをされているパートナーを想定してございます。
 チェック体制としましては、例えばですが、生計を一にしている旨の証明を毎年入管庁に提出させるなど、生活状況を適宜確認ができるような制度にすることなどが考えられますが、現行制度との整合性や対象者の負担、体制整備などを慎重に検討していく必要があると考えております。

○さとう委員 生活状況を適宜確認する制度などが考えられるとのご答弁でしたが、実務上、それを誰がどこまでどの頻度で行うのか、具体像はまだ十分ではありません。
 入管法における配偶者は、あくまで家族法上の婚姻に基づく配偶者です。
 自治体のパートナー制度を配偶者相当にまで格上げすると、婚姻制度を事実上拡張することになり、入管実務の統一性を崩すことになりますが、その点について都の見解を伺います。

○小出国際金融プロモーション推進担当部長 特区提案に関しましては、入国、在留に係る特例の創設を提案したものでございまして、パートナーシップ制度と婚姻制度を一体化するようなものではございません。
 今回の提案は、入国と在留審査の場面におきまして、海外のパートナーシップ制度に基づく公的な登録を行った同性パートナーにつきまして、海外では同性婚と同様に在留が認められますが、日本では認められないという課題に対しまして提案を行ったものでございまして、婚姻制度を事実上拡張するようなものではございません。

○さとう委員 では、聞き方を変えます。
 都は、諸外国のパートナーシップの在留資格を主張していますが、同性婚や登録パートナーを国法で整備した上で在留を認めるケースが中心であります。
 日本は家族法の側の整備が未了で、入管のみ先行するのは整合性を欠くと考えますが、都の見解を伺います。

○小出国際金融プロモーション推進担当部長 特区提案に関しましては、繰り返しになりますが、入国、在留に係る特例の創設を提案したものでございまして、パートナーシップ制度と婚姻制度を一体化するようなものではございません。
 今回の提案は、入国と在留審査の場面におきまして、外国で有効に成立した同性婚の配偶者と同様の扱いとすべき点を提案したものでございます。婚姻制度を事実上拡張するようなものではございません。

○さとう委員 家族法の未整備を入管特例で肩代わりする設計ではないでしょうか。
 制度の一体性をどう守るのでしょうか。

○小出国際金融プロモーション推進担当部長 今回の提案は、入国と在留審査の場面におきまして、海外のパートナーシップ制度に基づく公的な登録を行った同性パートナーについて、海外では同性婚と同様に在留が認められるが、日本では認められないという課題に対して提案を行ったものでございます。繰り返しになりますが、婚姻制度を事実上拡張するようなものではございません。
 なお、都としましては、あくまで海外における同性婚に準ずる法的なパートナーシップ制度で認定されたパートナーのみを想定してございまして、むやみに対象者を広げるという考えはございません。

○さとう委員 実質的に配偶者と同様の扱いを求める以上、家族法と入管法の関係を曖昧にするリスクは免れません。
 多様な家族形態の尊重という趣旨には賛同しますが、東京都が要望する、パートナーシップ登録を理由に同性婚の配偶者と同様の在留資格を付与する特例については、入管制度の前提である法的婚姻との整合性を欠くこと、自治体ごとに基準が異なる証明を全国一律の在留判断の根拠に据えること、偽装リスクに十分な歯止めがないことから、現行の要望のままでの特例創設には反対です。
 次年度以降、同じ内容で国に要望し続けることは避けるべきであり、要望内容の抜本的な見直し、もしくは取下げを強く求めます。
 次に、高度外国人材の配偶者によるリモートワーク就労について伺います。
 高度外国人材は夫婦共働きのケースが多く、ビザ申請の現場では、配偶者が本国企業に在籍したまま日本でテレワーカーとして就労し続けたいというニーズが存在します。
 現行制度では、日本企業との雇用契約がなければ、就労可能な特定活動ビザが申請不可能です。
 都は、高度外国人材の配偶者が日本に居住しながら外国企業等とのリモートワークでの就労を可能とする在留資格の緩和を求めていますが、その進捗状況を伺います。

○小出国際金融プロモーション推進担当部長 本提案は、高度外国人材は夫婦共働きのケースが多く、配偶者が本国企業に在籍したまま日本でテレワーカーとして就労を続けたいというニーズを聞きますので、そういったことから、配偶者が日本に居住しながら海外企業とのリモートワークでの就労を可能とする在留資格を緩和することを求めたものでございます。
 これに対しまして、国は、現在でも、家族滞在で在留をする者が収入を伴う事業を運営する活動または報酬を受ける活動を希望する場合には、資格外活動許可等の下で、原則週二十八時間以内の就労が可能であるという立場でございまして、制度改正には至ってございません。
 直近では、国に対して令和七年六月に提案要求をしてございます。

○さとう委員 海外企業との契約を日本の行政が確認することは難しく、報酬の実在性、勤務実態の確認がほぼ不可能です。偽装雇用をつくって、配偶者の在留資格を延長、拡張する抜け道になるおそれがあると懸念しています。
 都は、海外企業信用調査で低リスク以上と評価された本国企業との有効な雇用契約書で雇用確認をする案を提示していますが、想定している具体的な調査機関を伺います。

○小出国際金融プロモーション推進担当部長 海外企業信用調査につきましては、信用調査、リスク管理に関するサービスを提供する企業信用調査会社や信用保険会社、信用情報サービス会社等を念頭に置いております。

○さとう委員 送金された報酬に課税し、保険料を徴収する案も示されておりますが、源泉徴収主体は海外企業となる以上、日本側の徴税の実効性確保は相当に困難です。
 報酬の一部だけを日本に送金し、残りは本国に保留する、いわゆる過少申告のリスクもありますが、都の見解を伺います。

○小出国際金融プロモーション推進担当部長 お話のリモートワーク就労契約の要件の案につきましては、雇用や社会保障、納税義務等について、本邦公私機関、いわゆる日本国内に所在する公的機関や企業のことでございますが、こちらにおける就労時と同等以上の条件を課そうとしたものでございます。
 税の徴収方法につきましては、例えば海外企業から日本に振り込まれた報酬の支給明細を提出させるなどの手法があると想定されますが、お話の現行制度との整合性や体制整備等、慎重な検討が必要であると考えております。

○さとう委員 振り込まれた報酬の支給明細の提出などを想定しているとの答弁でしたが、それだけで実態を把握するのは極めて難しいと考えています。
 さらに、既に日本では、デジタルノマドビザというリモートワーカー向けの制度があります。にもかかわらず、配偶者の在留資格の緩和を求める理由を伺います。

○小出国際金融プロモーション推進担当部長 高度外国人材の配偶者が本国企業に在籍したまま日本でテレワーカーとして就労を続けるために、当該配偶者がデジタルノマドとしてデジタルノマドビザの在留資格を取得することはあり得ると考えます。
 デジタルノマドビザの在留資格には年収要件がございますので、当該配偶者が年収要件を満たさず本在留資格を取得できない場合に、テレワークによる就労継続ができず、結果として高度専門職人材が来日を断念するというおそれが考えられます。
 そのため、高度外国人材の配偶者に対してリモートワーク就労の在留資格緩和を求めるものでございます。

○さとう委員 デジタルノマドビザは、年収が一千万円以上であることや租税条約締結国籍など、一定の要件を満たした人に限定していることで制度の信頼性を確保しています。
 にもかかわらず、東京都が提案する配偶者リモート就労は、よりリスクの高い枠組みに対してデジタルノマドビザより緩い条件を設定する形になっており、制度としての整合性を欠いているのではないでしょうか。
 なぜ、よりリスクの高い枠組みの方が、より緩やかな要件で設計されているのか、制度的な整合性の観点からお伺いします。

○小出国際金融プロモーション推進担当部長 本提案は、高度外国人材の配偶者が、例えば本邦公私機関における就労時と同等以上の条件を満たした場合に、日本に居住しながら海外企業等とのリモートワークでの就労を可能とする在留資格の緩和を求めたものでございます。
 一方、デジタルノマドビザは、年収等、一定の要件を満たした者が日本に滞在しながら国際的なリモートワークでの就労を可能とする制度でございます。
 都としては、配偶者が就労継続を断念することによって、高度外国人材が東京を選択しないことは避けたいと考えております。

○さとう委員 国が厳格な要件を設けた制度、それよりも緩い枠組みを地方自治体から先行提案することには大きなリスクがあると考えています。
 税務、雇用、在留管理の三面で大きなリスクを伴いますし、行政としては実態を確認する権限も監督体制もなく、制度の骨格を空洞化させる提案であるため、現時点では配偶者リモート就労の提案は容認できません。
 次年度以降、同じ内容で国に要望し続けることは避けるべきであり、要望内容の抜本的な見直し、もしくは取下げを求めます。
 次に、家事使用人の帯同要件について伺います。
 現行制度でも、家事使用人の帯同要件は徐々に緩和されてきましたが、高度外国人材からはさらなる緩和ニーズが存在します。
 現行制度では、帯同家事使用人の本国での雇用期間が一年以上の場合、もしくは一年未満でも、十三歳未満の子または病気等により日常の家事に従事できない配偶者を有する場合、高度外国人材の世帯年収が一千万円以上であることなどの一定要件を満たすことにより、家事使用人の帯同が一名まで可能です。
 都は、帯同できる家事使用人を二名まで可能とするよう国に要望していますが、進捗状況を伺います。

○小出国際金融プロモーション推進担当部長 都では、家事使用人の帯同要件緩和について、高度外国人材が東京で活動するに当たり、本国と同様の生活が送れるよう、平成二十九年四月に国家戦略特区区域会議で提案した以降、人数制限の緩和を要望してきました。
 令和三年には、世帯年収三千万円以上の投資運用業等に従事する高度専門職について人数制限が緩和され、また令和五年には、研究職等の特別高度人材について、同様に人数制限が緩和されてまいりました。
 直近では、国に対して令和七年六月に提案要求をしてございます。

○さとう委員 世帯年収一千万円で家事使用人を二名雇うというのは、現実的にはかなり無理のある前提です。実態の伴わない雇用契約を装って在留資格を取得する事例が増えるのではないかと懸念しています。
 家事使用人は個人が直接雇用するため、労働時間、報酬、住環境の監督は、行政ではほぼ不可能です。
 現状、都はどのように監督し、家事使用人の実態が伴っていることを把握しているのか、伺います。

○小出国際金融プロモーション推進担当部長 高度外国人材に帯同する家事使用人の在留資格を審査、付与している東京出入国在留管理局によれば、専門の部門が申請内容について調べる必要があると判断した場合は、対象者の入国後に、抜き打ちの立入調査や面接等を実施していると聞いてございます。

○さとう委員 必要に応じて抜き打ちの立入調査、面接を行うとしていますが、人数を二名まで緩和すれば、監督対象は単純に倍増します。
 不法就労、搾取、偽装雇用の温床となるおそれがあるため、引き続き国に緩和要望を行うのであれば、最低限、登録管理機関経由での雇用を義務化し、本人年収三千万円以上といった、より高い所得要件など、リスクを抑えるための追加条件をセットにすることを求めます。
 次に、高度外国人材の親の帯同について伺います。
 現在、高度外国人材からは、親の帯同を広く認めてほしいというニーズが存在します。現行制度では、妊娠中の配偶者または妊娠中の高度外国人材本人の介助等を行う場合など、一定の要件の下、親の帯同が認められています。
 都は、妊娠に限らず、病気等によって配偶者が日常の家事を十分に行うことができない場合にも親の帯同を認めるよう、国に要望していますが、その進捗状況を伺います。

○小出国際金融プロモーション推進担当部長 本提案は、七歳未満の子の療育または妊娠者の介助、家事その他の必要な支援に限る親の帯同要件の緩和を平成二十九年から要望してございまして、直近では、国に対して令和七年六月に提案要求をしてございます。

○さとう委員 病気と一口にいいましても、範囲が非常に広く、客観的な線引きが困難です。結果として、医師の診断書が事実上の在留資格発行手段になるおそれがあると懸念しています。
 病気について、都が考える具体的な医療ガイドラインを伺います。

○小出国際金融プロモーション推進担当部長 高度外国人材が東京で活動するに当たりまして、本国と同様の生活が送れるようにという視点に基づき、都は要望したものでございます。
 配偶者等が入院や日常の家事に従事できない状態など、日常的なサポートが継続的に必要な状態を想定しております。

○さとう委員 親が介助を目的に入国をしたとしても、実態として、長期滞在、不正就労、定住に発展するケースも想定されます。特に、配偶者の病状が回復した後も帰国せずに、滞在延長を求める事例などは容易に想像できます。
 病気による帯同には慎重であるべきだと考えますが、仮に要望を続ける場合には、雇用主が在留終了責任を負う制度を導入し、介助目的の滞在期間を原則六か月に制限し、延長時には医療証明と費用負担証明を義務化するよう求めます。
 大前提として、日常の家事を十分に行うことができないほどの状態であれば、本来は本国で治療を受けることも選択肢であり、家事使用人を雇うことでも対応できます。
 病気になった配偶者や帯同する親が長期滞在して国民健康保険に加入し、高額な医療費や医療補助が自治体負担となる場合、自治体の医療費負担の増加について、都はどのように対策を考えているのか、伺います。

○小出国際金融プロモーション推進担当部長 社会保障等の社会的コストや生活面での英語対応など、検討すべき課題があることは承知しております。
 一方で、高度外国人材を呼び込み、経済を振興し、稼ぐ力を高めていくことは、東京の目指す国際金融都市の実現につながるものと考えております。

○さとう委員 都も社会保障との関係は課題として認識しているとのことですが、高度外国人材を呼び込むためであれば、どこまで社会保障負担を引き受けるのか、その線引きは慎重に検討すべきです。
 少なくとも、親が帯同する場合には民間医療保険への加入を義務づけることや、在留期間が六か月を超える場合には自治体医療負担の上限設定を法的に明示することを国に要望していただきたいと思います。
 また、現行の世帯年収八百万円という基準についても、二人世帯なら一人当たり年収四百万円程度であり、日本国内の平均年収と大きく変わりません。
 都が想定している世界の金融ビジネス人材は、具体的にどのような人材でしょうか。想定する年収水準とともに伺います。

○小出国際金融プロモーション推進担当部長 国の高度人材受入推進会議報告書、こちらでは、高度外国人材につきまして、国内の資本、労働とは補完関係にあり、代替することができない良質な人材とあります。我が国の産業にイノベーションをもたらすとともに、日本人との切磋琢磨を通じて専門的、技術的な労働市場の発展を促し、我が国の労働市場の効率性を高めることが期待される人材ともされております。
 都としましても、こうした国内外の高度人材が集積する、サステーナブルな社会を実現するアジアのイノベーション、金融ハブを目指してございます。
 なお、年収要件につきましては、こちらにつきましては、なかなか適正な水準というのはお示しをちょっとすることができませんので、引き続き国の審議を注視していきたいと考えます。

○さとう委員 引き続き国に緩和要望を行うのであれば、国際的な高度人材の所得水準を考慮し、最低でも本人年収が二千万円以上であることを基準とすることを求めます。
 次に、海外投資家の源泉徴収の在り方について伺います。
 都は、海外機関投資家が都内のファンドに投資する場合、租税条約に係る免税申請の有無にかかわらず、国内での運用益に対する源泉徴収を廃止するよう国に要望していますが、進捗状況を伺います。

○村本国際金融都市推進総括担当部長 海外の投資家が日本国内のファンドに投資した際の運用益に対しましては、本国での課税とともに、我が国でも課税され、源泉徴収されております。
 こうした二重課税を避けるために、我が国では免税措置が設けられているものの、その手続等が複雑で利用が困難であることから税の還付を受けられず、実質的な二重課税となっているケースも考えられます。
 このことが外国人の投資活動を阻害するものとして、本提案において、そもそも源泉徴収を行わないことを求めたものでございます。
 直近では、国に対して令和七年六月に提案要求をしております。
 また、金融庁においては、令和八年度税制改正要望において、租税条約に係る減免手続の簡素化等を関係省庁に要望しております。

○さとう委員 日本側で源泉徴収を行わず、投資家の居住国で課税してもらうという発想は、一見すると合理的にも見えます。
 しかしながら、国外に投資した場合に二重課税になるのは、日本の投資家も同じです。そのため、税法上、同じ所得に対し二つの国家が課税する場合、二重課税とならないよう外国税額控除で調整しています。
 海外機関投資家に対し、最初から日本側からは税金を取らず、海外投資家の居住する国で税金を払えばいいという発想は、国民から見れば、海外の投資家は日本で優遇され、源泉徴収が廃止される、日本の投資家は、現行制度のまま海外で源泉徴収される。すなわち、外国投資家だけ優遇、日本の投資家だけ課税という不公平な制度に映りかねません。
 この不利益を放置したまま外国投資家の源泉徴収だけ廃止するという要望で、どのようにして国民の理解が得られると考えているのか、都の見解を伺います。

○村本国際金融都市推進総括担当部長 海外の投資家が日本国内のファンドに投資した際の運用益につきましては、先ほどもご説明したとおりでございますが、我が国では免税措置が設けられているものの、その手続等が煩雑で利用が困難なことから、実質的な二重課税となっているケースが考えられ、こうした制度上の課題について、より多くの都民の皆さんに知っていただく必要があるというふうに、まず考えてございます。
 海外投資家の源泉徴収を廃止し、さらなる投資を呼び込むことは、都内企業等に対する成長資金の供給を拡大し、産業の活性化や社会課題の解決等を通じて、東京のみならず日本経済全体のさらなる発展につながるものであることを、引き続きホームページやイベント等で発信してまいります。

○さとう委員 海外機関投資家を呼び込むため源泉徴収を廃止するという方針は分かりますが、一方で、海外投資家から徴収できていたはずの日本の税収を減らすことにもなります。
 日本の投資家の不利益は放置、海外投資家だけ税負担を軽減という政策はバランスを欠き、国民の納得、社会的支持は絶対に得られません。日本の家計金融資産二千二百兆円を生かすという政府方針にも反します。
 そこで、NISAにおける外国源泉税について、日本国内で外国税額控除の特例を設けるのはいかがでしょうか。
 現在、NISA制度では、外国株の配当に対しては外国から課税され、日本では非課税です。外国税額控除の適用外となっているところ、特例を設けて外国源泉税を還付しようという発想です。既存のシステムを何一つ変えることなく、法改正だけで導入可能です。
 日本国内で外国税額控除の特例を設けることについて、都の見解を伺います。

○村本国際金融都市推進総括担当部長 外国税額控除とは、海外への投資等により外国で課税された外国所得税を日本の所得税額から控除することで二重課税を調整する制度でありまして、確定申告により控除を受けることが可能でございます。
 一方、NISA口座で保有している外国証券の配当等につきましては、日本の税金が非課税であるため外国税額控除の適用外となっており、外国で課税された税の還付を受けることができません。
 外国税額控除の特例創設は、都民等の海外投資の選択肢を広げ、分散投資を通じた安定的な運用に寄与する可能性がございます。
 一方で、NISAを通じた投資の半分以上は国外資産で運用されているとの指摘もあり、海外から日本へ成長資金を呼び込むという都の提案趣旨を踏まえ、慎重な検討が必要と考えております。

○さとう委員 おっしゃるとおり、NISAを通じた投資の半分以上は外国で資産運用されているという現状は、頭を抱えるところではあります。
 一方で、制度のバランスを取るという観点から、租税条約に、NISA口座で受け取る配当は源泉免除という条項を追加するといった制度改正を国に求めてはどうでしょうか。
 日米租税条約の改正をイメージしておりますが、特別非課税口座において租税条約の改正を求めることについて、都の見解を伺います。

○村本国際金融都市推進総括担当部長 我が国の個人がNISA口座を通じて投資を行った外国証券等の配当に対し、外国での源泉徴収を行わないことを諸外国に求めることにつきましては、都民等の海外投資の選択肢を広げ、分散投資を通じた安定的な運用に寄与する可能性がございます。
 一方で、国内の企業に対する成長資金の供給の抑制にもつながるおそれもありますので、慎重な検討が必要、このように考えてございます。

○さとう委員 では、NISAから離れて、日本の機関投資家が海外のファンドに投資した場合、海外側の源泉徴収を免除するという要望と併せて交渉していただくのはいかがでしょうか。日本の機関投資家が外国で源泉されている税をゼロにする交渉も、制度的には十分に可能です。
 日本は、米国、英国のように、自国の投資家を保護するという外交的発想が弱いと考えています。NISAのような個人向け制度が優先され、機関投資家の源泉効率を重視してこなかったこともありますし、国内の国際投資戦略として位置づけが弱いともいえます。
 日本の機関投資家が外国のファンドに投資した場合、外国側の源泉徴収を免除するという要望と併せて交渉していただくことについて、都の見解を伺います。

○村本国際金融都市推進総括担当部長 日本の機関投資家が海外のファンドへの投資をする際の海外側の源泉徴収の免除につきましては、日本の機関投資家のグローバルな活動をさらに推進することにつながる可能性がある一方で、国内の企業に対する成長資金の供給の抑制につながるおそれもありますので、海外から日本へ成長資金を呼び込むという都の提案趣旨を踏まえ、慎重に検討が必要と考えてございます。

○さとう委員 今回の議論の内容は、国際金融都市を標榜するなら避けて通れない課題であります。日本は、これからさらに国際社会と協力する必要がありますが、だからといって、外国に対してこびを売る必要は全くありません。
 今回の都の提案に一定の理解は示しますが、手続が簡略化される反面、税収の面では相手国の増税を図り、日本国の税収減になる提案となっており、看過できない内容です。
 一方を得るために他方の犠牲を伴うような交渉ではなく、双方の利益を調和させる、そんな成熟した交渉を望みます。
 次に、インフラファンドへの投資に係る税制優遇について伺います。
 現行制度では、再生可能エネルギー発電設備を主たる投資先とするインフラファンドに係る税制優遇措置が設けられています。時限措置ではありますが、都は税制優遇の恒久化を求めています。
 太陽光発電設備及びそれに付随する設備等への投資を促進する税制優遇措置ですが、都が恒久化を求める理由を伺います。

○村本国際金融都市推進総括担当部長 本税制優遇措置は、上場投資法人が太陽光や風力、水力などの再生可能エネルギー発電設備等を取得した場合に、当該法人から投資家への分配金を損金算入できる措置でございますが、本措置には時限が設けられており、民間投資の十分な呼び込みにつながっていないとの指摘がございます。
 都の提案は、本措置を恒久化することでインフラファンド市場の持続的な成長につなげ、都が目指すサステーナブルファイナンスのさらなる活性化を実現していくことを志向しているものでございます。
 また、脱炭素化に資する様々な設備への民間からの投資の促進に向け、適用される対象設備につきましても、電力の安定供給に貢献する系統用蓄電池設備等へ拡大することも要望しております。
 直近では、国に対して令和七年六月に提案要求しております。
 また、金融庁においては、令和八年度税制改正要望において本優遇措置の期限延長等を要望しております。

○さとう委員 時限措置では民間投資を十分に呼び込めていないとのことですが、その一方で、三井住友トラスト研究所によるレポート、上場インフラファンドレポート二〇二五年三月末時点では、上場インフラファンドの設備容量ベースで太陽光発電設備が全体の約七〇・一%、また、資産取得価格ベースで約七六・六%を占めているとの数値が示されています。
 また、別の整理として、国内のインフラファンド投資市場に関する調査では、ファンドに組み込まれた資産のほとんどが再生可能エネルギー発電施設であり、その中でも太陽光発電施設が八〇%以上を占めると見られるという記述があります。
 つまり、税制優遇の恒久化は、太陽光への過度な集中をさらに加速させる懸念がありますが、再エネのポートフォリオ偏在のリスクについて、都はどのような分析をしているのか、伺います。

○村本国際金融都市推進総括担当部長 国が策定いたしました第七次エネルギー基本計画によれば、これは令和七年二月に策定したものでございますけれども、二〇二三年度の再エネ電源比率は二二・九%でございます。そのうち太陽光は九・八%で、太陽光以外の風力、水力、地熱、バイオマスは合計で一三・一%、このようになってございます。
 今後、国は、二〇四〇年度に向け、再エネ電源比率を四割から五割に拡大していく、こういった方針であります。
 本税制優遇措置は、太陽光のみならず、風力、水力などの再生可能エネルギー発電設備全般を対象とし、それら施設等を取得した場合に、当該法人から投資家への分配金を損金算入できる措置でございます。
 都の提案は、脱炭素化に資する様々な設備への民間からの投資の促進に向け、適用される対象設備について、系統用蓄電池等へ拡大することも要望しております。

○さとう委員 太陽光のみならず、再生可能エネルギー発電設備全般を対象として投資を促進するとのことですが、先ほども申し上げたとおり、国内のインフラファンドに組み込まれた資産のほとんどが再生可能エネルギー発電施設であり、その中でも太陽光発電施設が八〇%を占めています。
 国に対し税制要望をする際には、分析が不足しているかと考えます。再分析を要望します。
 また、インフラファンド税制優遇が時限措置であるがゆえに投資が伸びていないとのことですが、その根拠となる実証データはあるのでしょうか。実際に期限が投資判断を阻害した事例は把握しているのか、伺います。

○村本国際金融都市推進総括担当部長 東京証券取引所が事務局を務めます今後のインフラファンド市場の在り方研究会の報告書によりますと、上場インフラファンド市場は、同様のスキームを採用しておりますJ-REITと比較した場合、市場規模は百分の一、投資家の数は十分の一になってございます。
 また、二〇二四年三月末のインフラファンド全体の資産総額の推計、これは二兆三千四百億円から二兆七千九百億円の間となっているんですが、上場インフラファンドは三千七十五億円にとどまっており、さらに、民間のレポートによりますと、上場インフラファンド市場の二〇二五年三月末時点での時価総額は九百十四億円でございます。これは、二〇二二年の夏に記録いたしました過去最大水準の約千七百五十億円からおよそ半分になっているということでございます。
 その理由の一つとして時限の措置の存在があり、新たにファンド組成を検討する事業者においては、上場の検討、準備のために十分な時間が確保できず、再エネ設備の取得期限もあることから、ファンドを組成する機運が醸成されない。
 また、投資家側からは、将来の措置の存続が確約されていないことから継続的な投資意欲につながらないといったことが指摘されており、報告書では時限措置の撤廃を図ることが望ましいとされております。

○さとう委員 今ご答弁いただいた内容について、何点か意見させていただきます。
 まず、市場規模がJ-REITの百分の一だから伸びていない、それは時限措置のせいだというロジックは、かなり飛躍があります。J-REITとの単純比較は、そもそも無理があります。
 J-REITは、二十年以上かけて制度整備、銘柄数、投資家基盤を厚くしてきた成熟市場です。一方、インフラファンドは、制度も市場も、まだ立ち上がったばかりの新興市場です。この二つを単純に、規模が百分の一、それは時限措置のせいと結びつけるのは、さすがに因果関係の飛躍が大き過ぎると考えます。
 また、時価総額が半減した理由は、本当に時限措置だけなのかも疑わしいです。
 二〇二二年夏の約千七百五十億円から、二〇二五年三月末には約九百十四億円へ時価総額が半減しているというデータをご提示いただきましたが、この間には、金利上昇、金利転換局面、再エネバブルの調整、太陽光ビジネスへの逆風、再エネに対する社会の評価の揺れなど、市場全体のマクロ要因が山ほどあります。
 もっと大きな構造の話をすると、七〇%から八〇%が太陽光という太陽光への偏在、FIT、FIP制度の先行き不透明、土地利用、環境への反発といった構造的な制約がインフラファンド市場の成長を抑えている可能性の方がむしろ大きいのではないでしょうか。
 金利政策、再エネ市場全体の変動と切り離した分析なしに時限措置を原因とする扱いは、政策判断として雑過ぎるといわざるを得ません。現時点では、そこまでの根拠が十分に示されているとはいいづらく、国の税制優遇を恒久化させる要望を続けることには疑問が残ります。
 FIT、FIPといった制度設計そのものの問題なのか、インフラファンドという器の設計の問題なのか、再エネビジネスそのもののリスクなのか、その中で時限措置がどの程度の比重を占めているのか、これらを分解して分析した上で、本当に恒久化が最適なのかどうか、一度立ち止まって再点検し、改めて根拠を示すことを求めます。
 次に、投資信託を通じたスタートアップ投資について伺います。
 都は、上場ベンチャーファンド等に対して投資した個人に対して、税制上の優遇措置を講じることを国に要望していますが、具体的な税制優遇の案と進捗状況を伺います。

○村本国際金融都市推進総括担当部長 税制優遇の案として、英国の事例を参考に、一定の条件下で個人が上場ベンチャーファンドに投資した場合、投資額の一部を所得税から還付することや、運用益や売却益が非課税となるような制度を想定しております。
 直近では、国に対しまして令和七年六月に提案要求をしておるところでございます。

○さとう委員 英国の事例を挙げ、投資額の三〇%をその年の所得税から還付、分配金は非課税、売却時の利益も非課税とすることを国に要求していますので、範囲が限定的ではありますが、減税提案は非常にすばらしい試みだと思っています。
 都は、国に先行して、都民税二%分の非課税を実施できないのか考えましたが、個人住民税の株式等譲渡所得割等については、地方税法上、自治体の判断で税率の変更ができない一定税率とされています。
 したがって、この分野については、引き続き金融庁を通じて、経産省、財務省、総務省に対し粘り強く提案、要望を続けていただければと思っています。
 最後に、花粉症対策としての森林整備、とりわけ所有者不明森林について伺います。
 都は、花粉発生源対策として多摩地域の杉、ヒノキの伐採を進めていますが、所有者不明の森林については伐採ができないという問題がありました。
 そこで、相続未了により伐採や植え替えができない杉、ヒノキ林について、所有者、境界の明確化を支援する全国初の取組を都は始めています。
 相続未了や名義不適合の森林について、登記簿上の所有者が現在の所有者であるのかどうか、都はどのようなプロセスで確認しているのか、伺います。

○榎園農林水産部長 都は、まず、対象となる森林の登記簿に記載されている所有者の住所に訪問または郵便で所有者の存在を確認いたします。
 所有者の存在が確認できない場合は、市町村に対し固定資産課税台帳の情報提供の協力を仰ぐなどして、都が関係者へのアプローチを行い、所有者を確認してまいります。
 確認できない場合には、都が委託した司法書士が戸籍により法定相続人を調査し、複数の方の中から遺産分割協議の手続を進める代表者候補を選定し、関係者の調整役を依頼し、相続登記を完了させます。
 その後、都が航空写真や公図などを活用しながら境界の推測図を作成し、これを所有者等に提示するとともに、現地での境界確定にも立ち会い、隣地との境界を確定してまいります。

○さとう委員 とても丁寧な手順だと思います。
 一方で、所有者不明土地の問題の核心は、連絡がつかないという点にあります。所有者の存在が確認できない場合は固定資産台帳を活用するといっても、基礎自治体の協力が必ず得られるとは限らず、ここにも限界があります。
 そこで提案ですが、郵便局の地域網、転居情報、本人限定受け取り、不在情報と連携した所在情報を、補完情報として都で活用するのはいかがでしょうか。
 国交省や総務省も郵便網による不明者特定の活用を進めていますが、東京都としての方針をご説明願います。

○榎園農林水産部長 日本郵便株式会社が持つ情報は、所有者の特定に活用できる可能性がございます。
 一方で、これらの情報の提供は、空家等対策の推進に関する特別措置法や刑事訴訟法の事務などに限られ、本事業に活用することができないのが現状でございます。

○さとう委員 非常に有用な情報があるにもかかわらず、法の縦割りによって使えず、二重行政となってしまっているのは大きな損失だと思っています。
 日本郵便株式会社が持つ情報を都が本事業に活用することができるよう、国に対して積極的に制度改正を要望することを望みます。
 また、所有者特定には人手と専門性が必要です。調査員は、現在何名体制で、来年度は何名に拡充する予定でしょうか。
 また、年間の確定目標件数はどれほどに設定しているのでしょうか。
 花粉症対策として本気で取り組むのであれば、KPIや体制増強を明確にする必要があると考えますが、見解を伺います。

○榎園農林水産部長 体制増強につきましては、事業開始となる今年度は四名体制で実施してございます。事業を進める中で、人員の不足が生じないかなどを検証してまいります。
 年間の目標面積は六十五ヘクタール、筆数にして六十五筆としてございます。
 対象森林一筆につき隣接地が十筆あると想定の上、それらの二四%が所有者不明と推計し、計百七十二筆の所有者特定等を行うこととなります。
 本事業の実施期間は三年間とされてございまして、期間中、百九十五ヘクタールの所有者特定等を計画してございます。

○さとう委員 多摩の人工林は三万ヘクタールであり、うち所有者不明の森林が七千ヘクタールといわれておりますので、単純に逆算すると、全ての所有者を特定するまでに四十年近くかかる計算になるということでよろしいでしょうか。

○榎園農林水産部長 森林保全の観点からは、伐採、搬出等の循環過程におきまして一定の期間を確保しつつ、森林の健全な循環を適切に維持、促進することが不可欠です。
 多摩地域の人工林は約三万ヘクタールであり、国交省の資料によれば所有者不明の割合が二四%でありますことから、約七千ヘクタールと推計しています。
 所有者の確定は、年間百七十二筆と推定した場合、現時点で単純に計算すると約四十年でございますが、本事業により、対象森林に隣接する周辺の森林の所有者が確定していき、連鎖的に対象となる森林が増えていくため、森林の所有者確定業務が進んでいき、事業のスピードが上がっていくものと考えています。

○さとう委員 四十年という期間は、森林サイクルを考慮すると適切なのかもしれませんが、花粉症に悩む都民にとっては非常に長い年月です。
 成長の早い早生樹を活用するなどしても、軟らかい木材となってしまい、家具の利用には向かなかったり、そもそも苗木を増やせるかなど、課題は多々ありますが、今後もし、成長が早く、かつ年輪が締まっていて太い品質のよい木に育ち、花粉発生率が百分の一という精英樹が普及し、伐採、植え替えサイクルを加速できるのであれば、そのような最新開発を積極的に支援し、取り入れていただきたいですし、所有者特定の体制、KPIも花粉症対策の重要度に見合うレベルまで引き上げていただくことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございます。

○おぎの委員 都民ファーストの会のおぎの稔です。
 産業労働局への事務事業質疑ということで質問させていただきます。長丁場になりますが、お付き合いいただけますと幸いです。
 二〇五〇東京戦略に基づいて、今、都がやっている施策達成度はどのようになっているのか、また、どのような目的で事業が行われるのか、そういった点から質問もさせていただきます。
 東京の都市としての魅力の向上が都民生活の向上にもつながっていくと考えております。
 まず、国際金融都市の推進について伺います。
 二〇五〇戦略においても、サステーナブルな未来を開く世界の金融ハブ東京へ飛躍とし、多様な金融プレーヤーの革新的技術への投資によりイノベーションが生まれ、様々な社会課題が解決に導かれている、グローバルスタンダードな環境が整い、東京から高度な金融人材が輩出されるとともに、世界から多様な人材が集い、グローバルな交流が当たり前になっていると記載されております。
 都は、小池知事のリーダーシップの下、東京が世界に冠たる国際金融都市として輝くために、二〇一七年に「国際金融都市・東京」構想を公表し、二〇二一年には、国際金融を取り巻く環境の変化に対応するため、「国際金融都市・東京」構想二・〇を公表しております。
 構想二・〇の推進に当たっては、構想の三つの柱であるグリーンファイナンスの推進、金融のデジタライゼーション、金融関連プレーヤーの集積の進捗を確認するために、七項目のKPIを定め目標管理を行っていくとされており、長期的な目標として二〇三〇年の目標を、その目標に到達するための中間目標として二〇二五年の目標を定めております。
 今年は、ちょうど中間年である二〇二五年に当たりますが、現時点での「国際金融都市・東京」構想二・〇のKPI達成状況について伺います。

○村本国際金融都市推進総括担当部長 KPIの七項目のうち、直近のデータでは五項目の中間目標を達成しております。
 まず、グリーンファイナンスの推進につきましては、サステーナブル投資残高の世界全体に占める割合が、これは目標の一〇%に対しまして一四・一%、都民のグリーンファイナンスへの関心につきましては、目標の三〇%に対し三七・七%、国内公募のグリーンボンド発行金額は、目標の一・六兆円に対しまして一・四兆円となっております。
 次に、金融のデジタライゼーションに関しましては、都内フィンテック企業数が、目標の二百社に対しまして二百四十五社、都内キャッシュレス決済比率は、目標の五〇%に対し六〇・七%となってございます。
 また、金融関連プレーヤーの集積につきましては、都内資産運用業者数が、目標の六百社に対し四百二十九社となってございます。
 最後に、金融活性化の都内産業への波及効果につきましては、都内GDPの押し上げ効果の目標五兆円に対しまして十・〇三兆円となっております。

○おぎの委員 構想のKPIは、おおむね達成されていることは理解いたしました。一方で、資産運用業者数は伸び悩んでいるように見えるので、より一層の取組の推進を期待します。
 私は、東京が国際金融都市としてのプレゼンスをさらに高めていくためには、国内外の投資家等からの資金が東京へ集まり、それが都内の成長産業へ供給されることで、投資と成長の好循環を生み出し、都内経済の活性化につながっていくことが必要と考えております。
 そのためには、海外からの資産運用業者、とりわけ世界での運用実績が豊富で東京の経済に与える効果が高い資産運用業者を東京に呼び込むことが重要と考えております。
 都はこれまで、海外からの企業誘致に取り組んでおりますが、海外の資産運用業者の誘致の取組と実績について伺います。

○村本国際金融都市推進総括担当部長 都では、海外の資産運用業者の誘致に向けて、東京進出を検討している企業に対し、コンサルティングや財政支援、都内企業との協業支援など、企業の事業展開に合わせたきめ細かい支援を行っております。
 令和四年度からは、都内経済への資金供給のインパクトを踏まえ、誘致対象とする資産運用業者を、原則として運用資産残高十億ドル、日本円にして約一千五百億円以上の規模を有する企業といたしました。
 令和四年度以降、この要件を満たす東京へ進出した海外の資産運用業者は、欧州をはじめ世界に拠点を有し、約六百社への投資を手がける企業など六社あり、この中には約一千二百億ドルの運用資産残高を有する企業が含まれております。

○おぎの委員 ただいまの答弁でもあったように、国内外から投資を呼び込み、東京の成長、経済の拡大につながるという意味でインパクトが大きい、効果の高い企業の誘致をこれからも進めていってほしいと思います。
 さて、海外からの資産運用業者の東京進出を加速させるためには、ビジネスがしやすい環境を整備していくことが不可欠であり、そのためには、国による制度改正等が必要になる事項もあると考えております。
 国は、令和五年十二月に資産運用立国実現プランに基づき、資産運用業の改革に資する施策の一つとして金融・資産運用特区を創設することといたしました。現在、都をはじめ、北海道札幌市、大阪府大阪市、福岡県福岡市の四地域が指定されております。
 都は、資産運用特区の応募に際し、サステーナブルファイナンスの先進都市、グローバルに活躍するスタートアップが生まれる都市、英語でビジネスグローバルスタンダードな都市を三本柱とする提案を行いましたが、その概要と現在までの実現状況について伺います。

○村本国際金融都市推進総括担当部長 都は、国内外の資産運用業者等の新規参入や業務拡充に向け、十六項目の提案を行い、そのうち十二項目につきましては、現在、一部もしくは全ての内容が実現しております。
 例えば、金融の力で社会課題の解決に貢献するため、資産運用業の集積等に向けた提案を行い、昨年度、海外資産運用業者に対する参入要件の緩和等に必要な金融商品取引法の改正がなされました。
 また、スタートアップの成長の後押しとイノベーション創出に向け、より多くのスタートアップに対して投資が行われるよう、公立大学法人や銀行グループに対する投資規制の緩和が実現しております。
 さらに、東京が多様な人材が活躍できる魅力的なフィールドとなることを目指し、法人登記などの会社設立に係る全ての手続を英語で完結できる体制が本年二月に整っております。
 なお、税制に関する事項等、現在実現に至っていない提案につきましても、引き続き国に働きかけてまいります。

○おぎの委員 提案によっては国との調整が必要なものもあると思いますが、国際金融都市の推進に向け、引き続き、提案内容の実現に向けて頑張っていただきたいと思います。
 また、金融・資産運用特区の提案に関わることとして、英語でビジネスグローバルスタンダードな都市を目指して都が取り組んでいる事業についても確認をいたします。
 海外からの投資促進のためには、都内の企業情報を英語で分かりやすく発信することが必要であります。
 都では、AIを活用した英文情報開示支援などの取組を行っておりますが、それらの事業の進捗と実績について伺います。

○小出国際金融プロモーション推進担当部長 都では、英語人材の不足や英文での情報開示が十分でない現状を踏まえまして、国の機関と協力し、金融専用モデルとして開発されたAI翻訳システムの精度向上と、企業によるAI翻訳の活用促進に取り組んでございます。
 AI翻訳システムの精度向上につきましては、令和六年度、開示義務があるプライム上場企業の決算短信の過去のデータを集中的に学習させまして、実務での活用を推奨できるレベルまで翻訳精度の向上を図りました。
 現在、この技術を活用したIR文書翻訳サービスの利用を希望する十五社に対しまして導入支援を行ってございます。
 さらに、開示義務のないグロース、スタンダード市場の上場企業に対し、海外IR活動を促進するため、FinCity.Tokyoと連携し、英文情報開示に係る助言やIR説明会資料等の英語翻訳を行うなど、これまでに六十二社の個社支援を実施しまして、各社の英文情報開示に関する能力の底上げに取り組んでおります。

○おぎの委員 国際金融都市の推進に向けて、様々に取り組んでいることがよく分かりました。引き続き取組を進めていただきたいと考えております。
 続いて、海外都市との協力について伺います。
 二〇五〇戦略の中にも、喫緊かつ深刻な地球規模の危機への対応の最前線に立つ世界の都市は、連携して課題に取り組む必要があると書いてあります。一方、都市の役割の重要性が増す中、都市間競争が激化しており、東京の国際競争力強化が不可欠であるとし、海外諸都市との国際的な連携の取組について言及がございます。
 都は、本年八月、エジプト・日本経済委員会との間で、エジプト人労働者の日本での雇用に有益な研修及び情報提供に関する協力に係る合意書を締結いたしました。
 この件については、都民から様々な声が上がっていると聞いております。その内容は、デマ、事実に基づかない情報も多いと聞いております。
 そもそも、二〇一五年十月末現在で、東京都は世界の十二の都市と姉妹友好都市関係樹立文書を交わしております。その中で、エジプトのカイロ県との間には、一九九〇年十月二十三日に結んでおります。この時期の都知事は鈴木都知事であることから、小池都知事は関係がございません。
 さらにいえば、本年合意を結んだ相手は、エジプト政府でもカイロ県でもなく、エジプト・日本経済委員会という、日本でいう商工会議所のような民間組織であり、相手は公、民間、様々でありますが、エジプト関係で、本年八月に都は複数の合意を交わしていると聞いております。
 状況について伺います。

○新田雇用就業部長 都は、雇用などの四分野において、エジプト・アラブ共和国等との間で合意書、覚書を締結しております。

○おぎの委員 そうした中で今回注目を浴びているのは、雇用についての合意書が結ばれたエジプト・日本経済委員会との間だけでありますが、それをもって大量の移民がやってくるなどの話が流布されていると聞いております。
 改めて、この合意の内容と経緯について伺います。

○新田雇用就業部長 都は、都市課題の解決のため世界の各都市との交流を行っており、それを契機に特定分野の合意書等の締結に至ることがございます。これまでも、北米、欧州、アジアなどの様々な都市や国と締結をしてまいりました。
 これまでエジプトとは、三十五年に及ぶカイロ県との友好都市としての交流やG-NETSでの交流など、様々な交流を行ってきております。
 こうした中、エジプト政府から都に対し、両者の強みを生かした連携強化の働きかけがございました。
 雇用分野におきましても、エジプト側から連携について申出があり、実務レベルで協議を積み重ね、二〇二五年八月十九日に、現地の経済団体であるエジプト・日本経済委員会と合意書を締結いたしました。
 今回の合意書で取り決められた内容は、エジプト側が、エジプトの労働者に対して日本での雇用に必要なスキル、基準の研修を現地で実施するに当たり、都が助言などを行うものでございます。
 なお、一部の事実に基づかない誤情報が拡散されております。そうした誤情報があり、都民からは、エジプトの労働者が大量に日本に流入してくるのではないか、エジプトの移民を受け入れるのかといった声が寄せられております。
 このような声に対応するために、都ホームページにおいてQ&Aを拡充させるなど、正しい情報を分かりやすく発信しております。
 また、電話等で問合せがあった際にも、正しい情報を丁寧に説明しており、多くの方にご理解いただいているところでございます。

○おぎの委員 私は、経済の面において、都市間外交、国内外の様々な都市との間で都が協力していくことや、人材の交流、発掘、育成などを行っていくことは大切なことだと考えております。少子高齢化で国力も落ちていく中で、労働者不足から都市の機能を担っていくことが難しくなる時代も訪れるわけであります。
 例えばですが、日本、この東京が誇るアニメーションをはじめとしたコンテンツ産業、こういった業界でも、働きたいけれども、どうすればいいか分からないという声が海外に住む方たちからも寄せられているとも聞いております。
 今回のような、日本での雇用に有益な研修及び情報提供に関する協力に係る合意書というのは、今後、他都市との間で、要望があれば結んでいくことはできるのでしょうか。見解を伺います。

○新田雇用就業部長 合意書などにつきましては、一般的に、政府間や共通の任務を持つ機関同士が情報交換等を通じて特定分野の協力関係を促進するために、双方が合意して締結されるものでございます。
 今後の他都市との連携につきましては、協議の上、判断することになります。

○おぎの委員 今回の件にかかわらず、様々な国家や民間団体と交流を進めまして、東京の国際都市としてのプレゼンスも上げていっていただければと思います。
 国際都市、海外交流ということで大切になるのは、その入り口、国際空港でもあります羽田空港です。私の地元であることもあり、何度も取り上げておりますが、観光振興における羽田空港の活用について伺います。
 大田区にある羽田空港は、日本最大の旅客数を誇っています。空港運営会社の発表によれば、二〇二四年の羽田空港旅客ターミナルの利用実績は約八千九百万人であり、国際線を利用する外国人旅客数は約一千三百万人に上ります。旅行、ビジネス、乗り継ぎなど、様々な目的でこれだけ多くの人が利用しており、空港内にはたくさんの店舗や施設でにぎわっております。
 まさに東京の空の玄関口であり、多くの観光客が利用する空港を単なる通過点とせず、東京の魅力を積極的にPRしていくことも大切です。
 そこで、都は、日本の玄関口である羽田空港において、観光PRに向けた取組をどのように進めているのか、伺います。

○江村観光部長 都は、多くの国際線が発着する羽田空港の第三ターミナルにおいて、二十四時間対応の観光情報センターを設置し、多言語対応が可能なスタッフによる観光案内を提供するほか、都内各地の観光地のパンフレットを配布しております。
 また、伝統と革新が共存する東京ならではの魅力を国内外に広く浸透させるため、Tokyo Tokyoアイコンを活用した広告を掲出しております。
 さらに、アイコンを活用した工芸品や食料品などのお土産を販売する店舗を設置しており、これらによりまして、東京の観光の多彩な魅力を発信しております。

○おぎの委員 羽田空港は、長い時間をかけて国際化に向けた取組が進められ、現在のインバウンドの活況という成果にも結びついております。羽田空港を訪れる多くの利用者を、地元大田区をはじめ都内の観光スポットにしっかりと誘導することが重要です。
 今後も、日本の玄関口である羽田空港において東京の観光PRもしっかりと進めていくことを求めて、次の質問に移ります。
 次に、ナイトタイムにおける観光振興について伺います。
 東京には、食やアニメ、伝統文化や自然など、世界に誇る魅力的なコンテンツが多数存在しております。東京が国際観光都市としてさらに発展を遂げるためには、これらの多彩なコンテンツを戦略的に活用して、昼も夜も楽しめるまちを実現していくことが重要であります。
 都としても、二〇五〇東京戦略の中で戦略的なナイトタイム観光の推進を掲げており、我が党では、都の取組に大きな期待を寄せているところであります。
 ナイトタイム観光は、消費の拡大や観光を楽しむ時間帯の分散など多くの効果が見込まれる一方で、周囲の生活環境への影響など丁寧な対応が求められます。住民や地元の事業者など様々な関係者がいる中で、行政が様々な声を受け止めて方向性を導き出し、円滑に取組を進めていくことが大切であります。
 そうした取組の端緒としては、都は、ナイトタイム観光の充実に新たに取り組むエリアに対して、重点的な支援を今年度開始いたしました。
 そこで、都が進めているナイトタイム観光の推進エリアの取組状況について伺います。

○江村観光部長 都は今年度より、ナイトタイム観光を先導的に進める地域を選び、住民や事業者など幅広い参画による誘客や生活環境への配慮等の取組を支援しております。
 具体的には、渋谷エリアを選定し、区や観光協会、商店街などの地域団体、事業者団体などで構成する協議会に対しまして、ナイトタイムの観光資源の開発や、地域住民や事業者の理解促進を図る取組などを伴走支援しております。
 今後、協議会では、ナイトタイム観光を進める上で必要となるデータの収集や分析を行うとともに、地域における安全や安心の確保を住民と議論する場づくりなどを検討していくこととしております。
 都は、こうした地域の主体的な取組を来年度まで継続して支援してまいります。

○おぎの委員 ナイトタイム観光を進めるためには、地域の方々の声を聞きながら取り組むことが何よりも大切であります。地域への支援を継続するとともに、渋谷エリアがナイトタイム観光のモデルケースとなるように、都がしっかりと連携して取組を進めていただけるよう要望いたします。
 それとともに、先ほど、先ほどといっても大分前ですけれども、我が会派の両角都議の質疑の内容でもありましたけれども、現在の外国人観光客が訪れる場所の大半が新宿や渋谷だということでお聞きしました。そうした場所以外の魅力の発信、向上もできるように、次期エリアの選定等もあるとは聞いておりますけれども、ご努力をいただきたいと思いまして、次の質問に移ります。
 次に、プロジェクションマッピングについて伺います。
 今、この休憩明けに戻ってくる最中に、廊下からプロジェクションマッピングを見れましたけれども、こうして近場で見ると、実際に見ると、本当に見応えもあるなというふうに思っておりました。
 ギネス世界記録にも認定された都庁舎のプロジェクションマッピングは、その迫力ある映像が多くの観光客を引きつけております。
 先日、観覧者が百万人を超え、多くの外国人が観覧している姿も目にします。映画ミッション・インポッシブルのイベントも、都庁前で本年行われまして、注目を浴びました。また、ガンダムやゴジラなどの魅力的なコンテンツも使用されていると聞いています。
 このようにインパクトのある観光資源であるプロジェクションマッピングを、都内各所におけるナイトタイムの誘客にも効果的に活用していくことが重要であります。
 都は、地域における取組を後押しするための助成金も設けており、その活用をしっかりと促していくことも大切です。
 そこで、プロジェクションマッピング助成金により、地域でどのような取組が進められているのか、伺います。

○江村観光部長 都は、平成三十年度から、区市町村や観光協会、民間事業者等が実施するプロジェクションマッピングの取組に対しまして、二千五百万円を上限として必要な経費の三分の二を助成しており、これまでに延べ二十一件を支援しております。
 この支援を通じて、商業施設や寺院、学校の校舎など地域の様々な建築物にプロジェクションマッピングを投影するイベントが実施されており、多くの観覧者を集め、地域のにぎわいを創出しております。
 地域の取組については、最大で三年間にわたり継続して支援しておりまして、これによりナイトタイム観光が都内各地に広がるよう取り組んでおります。

○おぎの委員 プロジェクションマッピングとともに、夜の誘客に効果的な取組がライトアップであります。
 ライトアップは都内の各地で見られており、それ自体は珍しいものではなくなっておりますが、特徴ある建物や桜の木を照らすライトアップは、人々の目を引きつけて離さないと思っています。
 地域にとってはプロジェクションマッピングよりも取り組みやすく、ナイトタイム観光の効果的な集客手段の一つとして、さらなる活用を図るべきであると考えております。
 そこで、都は、地域が実施するライトアップの取組をどのように支援しているのか、伺います。

○江村観光部長 都は、平成二十九年度から、建造物や春の桜、秋の紅葉を対象に、区市町村や観光協会、民間事業者等が実施するライトアップの取組を支援しております。
 建造物へのライトアップに対する助成は、常設で行う取組を対象としており、六千万円を上限に、これまで延べ十九件を支援いたしました。
 また、春の桜や秋の紅葉へのライトアップに対する助成は、上限額を六百万円としており、これまでに延べ百二十一件を支援いたしました。
 季節の取組である桜と紅葉へのライトアップにつきましては、最大で三年間にわたり継続して支援しておりまして、地域の風物詩として定着するようサポートしております。

○おぎの委員 ナイトタイム観光の取組を都内の津々浦々まで広げていくためには、地域の創意工夫を引き出す強力なサポートが必要であります。また、新たなナイトタイムイベントを実施しても、その魅力を広くPRしなければ集客に結びつかず、取組も一過性のものとして終わってしまいます。今後も、ナイトタイム観光の取組が各地で活発に行われるよう、ハード、ソフトの両面から手厚く支援することを求めて、次の質問に移ります。
 日本のアニメコンテンツは海外の人々からも大変な人気を集めており、その評価は年々高まっております。日本のアニメは、テーマや世界観などが多岐にわたり、長年親しまれてきた作品から新進気鋭の作品まで、そのジャンルも非常に幅が広いです。
 実在する施設が舞台となるアニメも増えており、アニメを活用した観光振興を進める都内の自治体も数多く見られるようになりました。
 アニメの名シーン、また聖地ともいわれますけれども、アニメの名シーンと同じ場所に行き、登場人物に自分を重ね合わせることは、アニメファンにとっても何物にも代え難い体験であると考えております。
 このように、アニメを活用した観光振興はますますニーズが高まっていますが、都は、現在どのような取組を進めているのか、見解を伺います。

○江村観光部長 都は、世界に根強いファンを持つアニメの魅力や作品にゆかりのあるスポットなどを旅行者の誘致に効果的に活用する取組を進めております。
 池袋のアニメ東京ステーションでは、人気の作品の企画展や、貴重な原画やセル画の展示などを行っており、令和五年十月の開館からの二年間で二十二万人を超える来場者が訪れております。
 また、区市町村や地域の観光協会が実施する、アニメのコンテンツを活用した観光施設の整備やモニュメントの設置などについては二千万円を上限に、イベントの実施や観光マップの製作などについては五百万円を上限に助成しておりまして、昨年度は二十一件を支援いたしました。
 さらに、アニメのキャラクターをデザインしたマンホールやその周辺の観光スポットを巡るデジタルスタンプラリーなども実施しており、これらの取組により、アニメの魅力を活用した誘客を推進しております。

○おぎの委員 アニメのファンは、国籍や年代を問わず、非常に幅が広いです。
 最新の人気作品のみならず、かつて一世を風靡した作品にも根強いファンがいるため、こうしたコンテンツ、これは休眠IPとでもいいましょうか、こうしたコンテンツも積極的に活用していくべきであると考えています。
 国内外のファンの心をつかんで離さないアニメを、区市町村ともしっかりと連携しながら、観光面で一層の活用を図っていくことを求めて、次の質問に移ります。
 私は、さきの一般質問において、東京の地場産業ともいうべきコンテンツ産業について一層の支援を求めました。都は、先月末に、アニメ、漫画で海外展開を目指すクリエーターを育成する取組を開始したことを評価いたします。
 一方で、コンテンツ産業は裾野が広く、アニメや漫画のみならず、ゲームや映画などの東京発の様々なコンテンツが世界中で人々を魅了しております。
 アニメーションについても小池知事も言及しており、また、二〇五〇東京戦略の中でも、エンタメや文化の文脈で多様なコンテンツについて言及がされておりますが、改めて、都がコンテンツ産業を支援する意義について伺います。

○大川商工施策担当部長 東京には、アニメや漫画、ゲームなどのコンテンツ産業が集積しておりまして、これらは海外でも評価され、高い成長性を有していることから、東京の将来を支える産業の一つであります。
 東京のコンテンツ産業の発展に向けまして、グローバル市場で活躍できる東京発の優れたコンテンツ企業を数多く育成し、その成長を後押しすることは重要でございます。

○おぎの委員 コンテンツ産業は、東京の将来を支える重要な産業との認識を確認いたしました。
 このコンテンツ産業のさらなる成長に向けて、都は、中野区にあるコンテンツ分野に特化した創業支援施設、東京コンテンツインキュベーションセンター、通称TCICにおいて、アニメーター等の育成以外にも、コンテンツ事業者に対して幅広く支援を行っていると聞いておりますが、今年度の取組状況について伺います。

○大川商工施策担当部長 都は、平成二十年に東京コンテンツインキュベーションセンターを設置し、入居者に対して、創業支援の専門家による事業展開へのアドバイスを行うほか、コンテンツ分野の企業とのマッチング等を支援しております。
 今年度は新たに、販路開拓に向け、国際的な展示会等への合同出展を三回行うほか、コンテンツ分野の企業との取引や資金調達につながるピッチイベントを開催いたします。
 また、入居者に限らず、広くコンテンツ事業者を対象に、経営の知識や生成AI等の最新デジタル技術について学べるセミナー等を実施しております。
 今年度は新たに、有望なクリエーター等を発掘するため、コンテンツ分野のビジネスプランコンテストの取組を開始し、六十四件の応募がありました。最終選考に進む十名に対して、事業計画の磨き上げ等の助言を行うアクセラレーションプログラムを提供するなど、事業化に向け継続的にサポートいたします。

○おぎの委員 稼ぐ東京の実現に向けては、新たな稼ぎ頭であるコンテンツ事業者の創出が欠かせません。コンテンツ産業の競争力の源泉であるクリエーターの掘り起こしから創業期における様々な経営支援まで、TCICが担う役割は極めて重要であり、今後とも、コンテンツ事業者の取組をしっかりと後押ししていただきたいと思います。
 先ほどは、国内外からのアニメを使った誘客、人をどのように呼び込むかについて質疑をいたしました。今度は、アニメ産業をどのように海外に売り出していくのかについて、そして、都がどう支援していくのか、伺います。
 アニメを含めたコンテンツは世界中で非常に人気があり、産業の活性化を図る上では、コンテンツの海外展開を支援することは重要でございます。
 都が行っているコンテンツ事業者の海外展開支援についての取組状況を伺います。

○福田商工部長 都は、コンテンツ事業者が外国での取引に関するノウハウを習得し、海外市場での事業を円滑に展開できるよう支援を行っております。
 具体的には、海外でのコンテンツビジネスに関するセミナーを開催するとともに、現地の法令や商取引等に関して、アニメや映画などの分野で経験豊富な専門家や弁護士等が東京コンテンツインキュベーションセンターにおいて相談対応を行っております。
 また、アニメ制作会社などが海外見本市に出展する支援を行っており、これまでの出展者の中には、国際的な映画祭での受賞や、制作アニメ映画が全世界で配給される事例などが出ております。

○おぎの委員 これまでの支援対象者の中から世界的に高い評価を受けている企業が出るなど、海外展開を目指すコンテンツ事業者に対して、都が非常に効果的な取組を実施していることが確認できました。引き続き、魅力的な日本のコンテンツを東京の基幹産業として振興していただくことを要望して、次の質問に移ります。
 eスポーツについて伺います。
 eスポーツは世界的に注目を集めており、サウジアラビアで開催された世界最大規模のeスポーツ大会をはじめ、世界各国で国際大会が開催され、大きな盛り上がりを見せています。
 また、据置型ゲームが中心の日本と異なり、海外ではパソコンのゲームが中心であり、ゲームの進化に伴うパソコンやモニター等の関連機器の買換え等により、産業の裾野が非常に大きくなっております。
 二〇二三年には世界の市場規模は三千六百三十四億円であるところ、二〇三三年には二兆六千三百八十六億円に急拡大することが見込まれております。
 日本においても、eスポーツの市場や競技人口は右肩上がりに拡大しているものの、日本国内のeスポーツ市場規模はおよそ百四十七億円にとどまり、日本はeスポーツ市場で出遅れてしまっているため、さらなる拡大に向けた支援が必要です。
 東京都は、私たちの提案で、二〇二〇年から東京eスポーツフェスタを開催しておりますが、開催趣旨とこれまでの取組状況について伺います。

○福田商工部長 都は、eスポーツの普及と関連産業の振興を目的として東京eスポーツフェスタを開催しております。
 今年一月に開催したフェスタでは、約九千百人が来場し、eスポーツの観戦やプログラミングの体験などを楽しむとともに、企業向けの出展ブースには、LEDディスプレー等の周辺機器を扱う企業など四十八者が出展いたしました。
 今年度は、世界規模の大会でも採用されます人気の国内タイトルをメーカーの協力を得て競技種目に追加するほか、クリエーター専用の出展ブースを新たに設けるなど、さらに多くの方に来場していただけるよう準備を進めております。

○おぎの委員 産業振興や認知度向上につなげるため、様々な工夫をしていることが分かりました。
 一方で、eスポーツ産業のさらなる盛り上げのためには、FPSなど世界的に人気のタイトルを採用したeスポーツの国際大会を東京に誘致していただくことも要望して、次の質問に移ります。
 展示会やイベントとして活用できる施設の運営について伺います。
 都内には、展示会やセミナー、イベントなどを開催するための様々な施設があります。
 その中で、東京ビッグサイトは、国内最大規模の展示会場であり、販路開拓のための展示会のほか、日本最大級のコミックマーケットなど様々なイベントが開催されており、産業や文化の発展と交流において重要な施設であると認識しております。
 現在、都において、一部施設の休館を伴う改修工事を進めていると聞いています。
 改修工事の内容とともに、一部休館の下における令和六年度の東京ビッグサイトの運営状況について伺います。

○大川商工施策担当部長 東京ビッグサイトは、竣工から三十年が経過し、設備等の老朽化が著しい状況にあることから、現在、改修工事を行っております。
 具体的には、天井の改修や、老朽化した空調機等の設備の更新、トイレの増設など、施設の安全性や利便性を高める改修を順次進めております。
 令和六年度は、一部休館の影響を最小限にするため、開催時期や利用面積等の調整をきめ細やかに行うことで、令和五年度の三百三件を超える三百二十八件の催事を開催し、来場者は十六万人増の約一千二百七十八万人となりました。
 今後とも、主催者や施設来場者にとって、安心して快適に利用できる施設としてまいります。

○おぎの委員 東京ビッグサイトでは、年間三百二十八件の催事が開催され、一千二百七十八万人が訪れるなど多くの人の往来が行われており、産業、文化の振興や地域経済の活性化に資する極めて重要な施設であることが確認できました。
 また、現在進められている改修工事についても、利用者の安全性や利便性を高めるためのものであり、今後の施設の活用に向けた重要な取組であると認識しております。
 引き続き、主催者や施設来場者に配慮しながら、計画的に施設の改修を進めていただくよう要望いたします。
 次に、産業貿易センターについて伺います。
 当施設は、JR浜松町駅から徒歩五分の竹芝エリアにある浜松町館と、国際的な観光、文化エリアである浅草にある台東館があり、中小企業の販路開拓につながる展示会場として活用されていると聞いております。
 省略して都産貿などとも呼ばれておりますが、このような中規模な施設は、会場の広さや利用料金が手頃で、毎年、アニメ関係の展示会や同人誌などの即売会等が開かれるなど、クリエーター等の作品を発表する場としても適しており、今後、さらなるイベントで活用されることが期待されております。
 そこで、産業貿易センター両館における展示会の開催件数などの運営状況について伺います。

○福田商工部長 産業貿易センターは、商工業及び貿易の振興を図るために設置された施設であり、展示室や会議室の提供により、都内中小企業等のニーズに合った催事の実施場所として活用されております。
 九月末時点において、浜松町館の展示室は、製品の展示会やゲーム関連の催事など二百七十九件のイベントに活用され、約二十九万人に来場いただいております。
 また、台東館の展示室は、玩具の商談会や新作発表会など百七十四件のイベントに活用され、約十八万人に来場いただいております。

○おぎの委員 若いクリエーターは新しいコンテンツを生み出す可能性を秘めていますが、その作品を発信する場が限られているのも現状です。
 様々な催し、イベント、取組などをする中で、会場の運営や近隣等との調整が必要な場合も出てくるかもしれませんが、引き続き、クリエーターを含めた事業者に寄り添った施設運営をお願いして、次の質問に移ります。
 続いて、ものづくりの点から一点質問いたします。
 いわゆる工業といった舞台で活躍するものづくりの担い手の方々もクリエーターと呼べます。
 今までも、日本のものづくりは世界で注目され、日本製の製品は世界中の方に愛用されてきました。
 私の地元の大田区でも二万を超える事業所があり、その一割をものづくり企業が占め、大手メーカーへ部品を供給するなど、東京の経済をしっかりと下支えしています。
 こうしたものづくり企業が持続的な発展を遂げるためには、自らの力で製品や技術を開発し新たな事業展開を行うことで、経営の向上につながることも重要です。
 しかしながら、中小企業においては、製品や技術開発に向けたアイデアはあるものの、開発力やマーケティング体制が不十分で構想を実現できない企業も多いと聞きます。
 都は、ものづくり企業の新製品、新技術の企画開発から販路開拓までを含めた、一気通貫の支援であるものづくりイノベーション企業創出道場を実施しておりますが、その意義と具体的な取組内容、成果を伺います。

○福田商工部長 都内のものづくり企業が持続的に発展していくためには、自らの技術力を生かし、自社製品の開発などを継続的に行うことで企業価値を高め、自立的に成長できるように促すことが重要でございます。
 そのため、都は、製品の企画から設計、開発までの実践スキルを習得できる講座を開催するほか、専門家が、取組の進捗状況に応じて製品の量産体制の構築や販売までをサポートしております。
 具体的には、子供の転落事故防止や防犯力の強化が図れるクレセント錠の開発から製品化を支援することで、今年四月から大手通販サイトにおいて販売を開始した事例がございます。

○おぎの委員 都内経済の成長には、優れた技術力を持つものづくり企業の成長が欠かせません。引き続きしっかりと支援することを要望し、次の質問に移ります。
 商店街の環境整備について伺います。
 私の地元の大田区には、蒲田西口商店街振興組合や武蔵新田商店会をはじめ、魅力的な商店街が数多くあります。
 商店街を訪れる方が快適、安全に買物を楽しむためには、アーケードや街路灯などのハード面での環境が大きな役割を果たしていると考えます。
 一方で、こうした設備が老朽化し、改修等の時期を迎えているものの、多額の費用がネックとなり、商店街だけでの対応が難しいという声も聞きます。
 商店街が取り組むハード整備への支援が必要だと考えますが、都の取組について伺います。

○福田商工部長 都は、区市町村と連携して、商店街が活性化を図るための取組に必要となる経費について、都が三分の一を、区市町村が三分の一を助成しております。
 具体的には、来街者の快適性の向上につながるアーケードの屋根の張り替えや街路灯の建て替えに加えまして、商店街のイベント案内等を配信するデジタルサイネージのリニューアルや、景観向上のためのアスファルトのカラー舗装などの申請がございました。

○おぎの委員 アーケードの張り替えをはじめ、活性化の観点から商店街のハード整備を幅広く支援していることが確認できました。
 近年は、商店街は、設備等の老朽化だけではなく、厳しさを増す暑さへの対策など、これまで想定していなかった環境への変化に対応する必要がございます。特に、今後の環境を考え、暑さへの対策は急務であります。
 そこで、都の商店街における暑さ対策について伺います。

○福田商工部長 都は、政策課題対応型商店街事業におきまして、暑さ対策など、都が直面する行政課題の解決につながる商店街の取組を支援しております。
 今年度は、商店街の通路沿いへのミストシャワーの設置のほか、商店街の共有スペースを活用した冷房設備のある休憩場所の整備について申請がございました。

○おぎの委員 商店街が今後も発展していくためには、イベントの開催助成などの支援だけではなく、こうしたハード面からの支援も非常に重要であると考えております。引き続き、地域の声を聞きながら着実に取組を進めることを要望いたしまして、次の質問に移ります。
 最後に、カスハラ対策について伺います。
 さきの第三回定例会の一般質問で、都のカスハラ対策について私は質疑を行いました。
 カスハラ防止条例の施行から半年余りが経過しましたが、他の自治体における条例制定や国の法改正にもつながっており、カスハラ対策への認識は着実に広がっております。
 都の条例では、カスハラの禁止とともに事業者などの責務も定められ、今年度は、普及啓発をはじめとして様々な支援策が講じられております。
 とりわけ企業向けの奨励金は、現場の中小企業等が対策に取り組む上で大きな後押しとなるものとなっておりまして、私の地元でも関心は高くあります。
 この奨励金は、実際に、一回目は約三週間、二回目は応募を開始して翌日に募集が締め切られるなど好評だったと聞いておりますが、その状況と次回の募集に向けた対応について伺います。

○新田雇用就業部長 都は、条例で規定する事業者の措置等を速やかに中小企業等に浸透させるため、今年度から、マニュアルの作成と録音、録画機器の整備といった実践的な取組を行った企業等に対し、四十万円の奨励金を支給しております。
 本奨励金は三か年で一万件の実施規模としており、今年度は、三回、各回一千件の募集を予定しているところ、実施済みの二回ともに、申込みが予定件数に到達しております。
 こうした状況を受け、次回の募集について、これまで申請を受け付けた案件の審査状況等を踏まえ、検討してまいります。

○おぎの委員 この奨励金は非常に好評だということなので、次回は募集枠を増やすなど、対応していただくことを要望いたします。
 都が様々な事業を実施していく中で、想像以下だったり、以上だったりすることが、様々、実際に反応があると思います。そうした都民の反響にも適切に対応できるよう取り組んでいただくことを重ねて要望いたしまして、私からの質疑を終えます。どうもありがとうございました。

○山崎委員 初めに、物価高騰対策について質問させていただきたいと思います。
 日経平均株価が五万円を突破するなど、日本経済は回復傾向にあるものの、都内の中小企業は人手不足、燃料高騰、物価高騰など、依然として厳しい経営環境の中での事業運営を強いられております。この厳しい局面を従来型のコスト削減だけで乗り切ることは難しく、企業の継続的な成長に向けて、新たな挑戦に乗り出していくことを迫られているのが実態であります。
 都では、新たな挑戦に取り組む中小企業に対する支援を行っておりますが、都内全ての事業者が都の支援を活用できるわけでは、もちろんありません。一方で、支援を受けた中には、業績が回復をした事業者が出るなど、成果が出ているというお話も聞いております。
 中小企業にとって、既存の事業を見直すことはハードルも高く、これまで都が蓄積した支援の成果やノウハウを活用していくことも重要な視点だと思います。
 こうした点を踏まえ、都における支援の状況と具体的な対応について伺います。

○福田商工部長 都は、物価高騰などの事業環境の変化に対応するため、事業者が創意工夫を生かして既存事業を改善、強化する取組への助成等を行っております。
 今年度からは、小規模事業者に対して省エネや高効率機器などの導入を支援するコースを新設し、生産性向上や業務効率化を後押ししており、九月末時点で、既存のコースと合わせて九十九社に対して交付決定を行いました。
 これまでに、製造事業者が高性能な切断機を導入し、生産時間の短縮と新規需要への対応を図る取組や、音楽スタジオ運営事業者が映像再生と録音を同時に行うことのできる音響機材を導入し、高付加価値な案件の受注を確保する取組などによりまして、業績の回復につなげた事例が出ております。
 今後は、こうした好事例を広く周知しまして、既存事業の見直しなどに向けた気づきを得る機会を提供することで、中小企業の主体的な挑戦の流れを推進してまいります。

○山崎委員 物価高騰や資材高騰、人件費の上昇など事業コストの上昇に苦しむ中小企業に対して、助成金を活用した各種支援事業を展開し、業績回復など効果的な支援につながったケースもあることが今の答弁で確認ができました。
 今後は、そうした好事例を周知する機会を設けるなど、都内の多くの中小企業の方々が今後の事業運営の参考にできるよう、支援の成果やノウハウをしっかりと伝えていくことと併せて、これまでの成果を踏まえ、さらなる支援の充実にも積極的に取り組むことを要望しておきたいと思います。
 それでは、次に移ります。
 続いて、地域機関と連携をした中小企業支援について伺います。
 都内には、商工会議所や商工会をはじめ、各地域の中小企業経営者が参加し、各経営者同士の幅広いネットワークを有する中小企業支援機関があります。
 都内の中小企業が厳しい経営環境を乗り越え、今後も発展していくために、都は、商工会議所等の支援機関と連携をし、各企業の状況に応じたきめ細かなサポートを行っておりますが、その取組と成果について伺います。

○福田商工部長 都では、商工会議所や商工会等と連携し、中小企業に対して、各支援機関の経営指導員の巡回相談などを通じ、専門家による経営分析につなげるとともに、事業計画の策定から実行までを最大三年間にわたり伴走型で支援しております。
 今年度は、経営分析を実施する規模を拡大し、九月末までに一千百一社に対して支援を行っております。
 また、価格転嫁や人手不足、賃上げを新たな重点テーマとして加え、中小企業診断士や税理士などによる伴走支援を五百七十七社に対して行っております。
 昨年度に計画の実行支援を受けた事業者へのアンケート結果によりますと、売上げや利益が増加したと回答した企業は約七割となっております。

○山崎委員 経営課題の分析から出口支援まで切れ目のないサポートは、事業者にとって心強い取組といえますが、やはり重要なのは結果、つまり収支の改善などの成果に結びつけることであります。
 本事業は、広く都内の事業者を対象にしていると聞いておりますが、商工会議所等の会員でない方には情報が届きにくいと思われるので、そうした事業者へのアプローチを強化することで、引き続き、中小企業事業者にとって実効性のある支援を展開していくことを要望しておきます。
 次に、地域の金融機関と連携した中小企業の経営改善の取組について伺います。
 都内中小企業の多くは苦しい経営状況が続いており、経営改善にまではなかなか手が回らない、そういう声も多く聞きます。金融機関側も、複雑化する企業の経営課題に苦慮する場面もあると聞いております。
 企業の経営改善に当たっては、日頃から地域の企業との関係性が深く、その実情を把握した金融機関が効果的な支援を行えるよう、都としてもサポートを行っていくことが重要と考えますが、これまでの取組について伺います。

○原金融部長 都は、本年五月から、金融機関や経営支援機関と連携し、資金繰りと経営改善の両面から中小企業に寄り添った支援を開始しました。
 具体的には、小売業、飲食サービス業など、経営者が日中に現場を離れることが難しい小規模事業者等に対し、東京都信用金庫協会等と連携して設ける専門のコーディネーターが地域の金融機関とともに訪問をいたします。現場を実際に見ることで実情を踏まえた経営課題の整理を行い、より専門的な助言を行う機関等につなぐことで事業者のニーズに応えています。
 九月末時点で二十の信用金庫、六の信用組合が本事業を活用しており、事業者への訪問回数は百五十九回、支援機関等へつないだ件数は百十件となっております。
 こうした取組により、中小企業の経営の安定化を後押ししてまいります。

○山崎委員 金融機関による訪問型の支援を通じ、事業の現場を離れにくい経営者の方々も経営サポートが利用しやすくなるなど、事業初年度として一定の実績が出ていることが分かりましたが、今後は積極的に本取組を活用する金融機関を増やしていくなど、事業者の利用拡大につながる取組を強化していく必要があると考えます。この信用金庫、信用組合、東京都内の数を見ますと、若干増やす余地はあると思いますので、ぜひそこはよろしくお願いしたいと思います。
 これにより、地域の活力を担う中小企業が経営改善とともに持続的な成長を実現していけるよう、中小企業に寄り添った支援を行っていただくことを要望して、次の質問に移りたいと思います。
 真の地方創生の実現のために、東京と日本各地がそれぞれの魅力を高め、互いに協力し合うことにより、共に栄え成長していくことが必要であり、産業振興においても取組を一層強化していくべきと、私はかねてより主張をしてまいりました。
 都は、我が会派の要望を受け、東京二〇二〇大会を契機として、東京のみならず全国の中小企業の取引拡大を支援するビジネスチャンス・ナビを展開し、現在も二〇二〇大会のレガシーとして中小企業の受注拡大を支援しております。
 コロナ禍を経て、ビジネスの形態はデジタル化が急速に進展をし、オンライン会議や展示会、電子契約など新たな仕組みが生まれ、こうした仕組みをしっかりと活用していくことが企業の成長の鍵となります。
 現在の状況に先駆けて、オンライン上で発注情報などを提供してきたのがビジネスチャンス・ナビであり、その一層の活用が重要となります。
 そこで、ビジネスチャンス・ナビの取組状況とその成果について伺います。

○福田商工部長 ビジネスチャンス・ナビは、官民の入札、調達情報を一元的に集約した受発注取引のマッチングサイトでございます。
 サイトの開設以来、登録企業数は年々増加しており、九月末時点で都外の企業一万七百五十六社を含む五万二千四百二十二社となるなど、全国の中小企業の販路開拓につながっております。
 また、政策連携団体等が行う電子入札では、参加団体が三十八団体まで増加し、九月末時点で三千六十一件の発注案件を掲載し、商談機会の提供を行っております。
 今後とも、ビジネスチャンス・ナビにおける受発注取引を促進し、中小企業の販路開拓を後押ししてまいります。

○山崎委員 日本の商慣習においては、対面で商取引を行うことも依然として、こっちの方法も重要であると思います。このため、日本各地と連携した販路開拓として、ビジネスチャンス・ナビに加え、リアルの場における商談機会の創出を行ってきた。
 そこで、都の取組についても伺います。

○福田商工部長 都は、全国の自治体と連携し、双方に高い効果が見込まれる産業振興施策として展示会や商談会を開催しております。
 具体的には、今月、東京ビッグサイトで開催されます全国の事業者を対象とした展示会におきまして、過去最大の三百四十六者が出展予定であり、このうち都外企業は百三十五者となっております。
 また、この展示会と同時に開催する商談会では、都外の受注企業への支援規模を拡大しておりまして、六十五社が参加予定となっております。
 さらに、都内の中小企業や大手バイヤー等が全国各地に赴き、現地の企業とマッチングなどを行う事業については、昨年度から実施規模を三地域から四地域に拡大しており、九月末時点で全国二か所で七百五十件の商談を創出しております。

○山崎委員 今のビジネスチャンス・ナビも、この商談会の都の取組についても、やはり日本の心臓部が東京であるというその注目の中、東京に皆さんが足を運ぶ、また東京から発信をしっかりしていく、それが中小企業に対しての、全国の中小企業の支援にも必ず私はつながっていくと思います。地道なことだと思いますけれど、ぜひそういった点も踏まえて、産労局を挙げて、この中小企業支援をまたさらにスピード感を持って取り組んでいただくことを要望しておきたいと思います。
 日本各地との共存共栄をしっかり目指して効果的な産業振興の取組を実施することが、東京ひいては日本経済の発展に寄与いたします。引き続き、東京と日本各地の事業者双方の販路拡大を一層後押しすることを、改めて要望をしておきたいと思います。
 続きまして、アフォーダブル住宅、官民の連携ファンド事業について質問させていただきます。
 都は、民間活力を活用し、子育て世帯等が住みやすいアフォーダブルな住宅を供給する官民連携アフォーダブル住宅供給促進ファンドの組成を進めていて、十一月七日、このファンドの運営事業者候補四者が発表となりました。今後は、子育て世帯等を対象に、子育て支援、空家活用、ひとり親子育て支援といったテーマに分けて、市場家賃の八〇%から七五%程度の家賃というアフォーダブルな住宅を提供していくこととし、来年二月頃にはファンドを組成し、順次住宅を供給していくスケジュールということを聞いております。
 そして、官民連携ファンドとしては、都の出資は百億円で、合計で二百億円以上のファンドを目指すとのことであります。
 そこで、ファンドの運用について伺います。
 産業労働局は、官民連携ファンド事業について、都の出資を呼び水に民間資金やノウハウを引き出し、官民が連携して政策目的達成を図るため実施をしているとしています。
 そして、今年五月に策定した官民連携ファンドのマネジメント方針において、ファンドの実績を評価するには、政策目的に関する評価とともに収益性の評価を行うとして、具体的には、収益面での不確実性が高い分野への投資を行うこととなる一方、公金を原資とするものであることから、都は、財務的リターンと社会的リターンの両立を目指すインパクト投資家と同じ目線を持ちつつ、都の出資額を上回る資金回収を目指すとしております。
 今回のアフォーダブル住宅供給促進ファンド事業は、子育て世代等の方々に対して、市場価格から、先ほどもお話ししましたが、約二〇%ほどの安い賃料で住宅を賃借するというものであります。
 一方、ファンドは、一般的には、何らかの事業を計画している方に投資することで、その事業活動が利潤を生み出すことで、投資のリターン、出資額を上回るリターンを回収するという仕組みであると思います。
 今回のファンド事業は、賃借料を市場より二〇%から二五%安くして貸し出すということができる住宅を三百戸程度取得して賃借するというものであり、この賃料収入が事業収入になるという計画であると私は理解をしております。
 子育て世代を支援する住宅政策を進めたいという事業趣旨は十分理解をしております。一方で、官民連携ファンドは、もともとリスクマネーともいわれ、リスクがあって民間がちゅうちょする事業への投資を行政が後押しをする仕組みと理解をしております。
 リスクという観点からは、人件費高騰、物価高騰、資材高騰が続く中、マンションの取得や建築、空家改修といった手法で市場価格より二〇から二五%安い賃料で貸し出す事業によって、マネジメント方針にいう出資額を上回る資金回収ができるかという、そういったところも疑問が残るわけであります。
 そこで、本事業の見通しについて内容をお聞きいたします。

○村本国際金融都市推進総括担当部長 本ファンドでは、都をはじめとした出資者の想定利回りを抑制することで、低廉な家賃設定を実現するための原資を生み出し、子育て世帯等が住みやすいアフォーダブルな住宅を供給していくものでございます。
 都の出資金を確実に回収していくため、募集要項におきまして、ファンドからの配当に際して、都が優先的に分配金を受け取る仕組みを取り入れることとしております。
 来年度以降、順次アフォーダブル住宅の供給が行われるよう、今後、ファンドスキームの詳細な内容について、今回選定した四つの運営事業者候補と個別に調整を進め、来年二月頃、ファンド契約を締結する見込みでございます。

○山崎委員 産業労働局は、今回の官民連携アフォーダブル住宅供給促進ファンドに加え、既に創エネや蓄エネ推進ファンド、ソーシャルインパクト投資ファンドなど、数多くのファンドを実施しております。
 こうしたファンドの進捗状況、出資額を上回る資金回収の見通しなど、産業労働局はファンドの進捗状況をどのように把握をしているのか、伺います。

○村本国際金融都市推進総括担当部長 都は、官民連携ファンドが効果的に運営されるよう、ファンドの管理運営を行うための統一的な視点に基づき、外部の有識者から助言をいただきながら、各ファンドのモニタリングを実施しております。
 ファンドの運営期間中は、ファンドの財務状況や投資先の状況等につきまして、運営事業者から定期的に報告を受けるほか、監査法人等を通じまして、ファンドの運営状況を定期的に調査しております。
 また、法律や会計、投資分野等の専門家から意見を聴取し、ファンド運営事業者が意思決定を行う機会等で意見表明を行うなど、質問権や検査権を活用しながら、ファンドの運営状況を適時適切に監視しております。

○山崎委員 金融を通じて社会的課題を解決する都市を実現するための取組としてのファンドの組成については、やはり一定のリスクが伴うと思います。事業の仕組みだけでなく、公金である資金を投資する以上、赤字ファンドの発生を防ぎ、資金回収に努めることを要望しておきたいと思います。
 また、この官民連携のアフォーダブル住宅供給促進ファンドでありますが、やはり私は、住宅政策本部というところもあるわけであって、その住宅政策本部、このファンドだから産労−−今までのスタートアップ、いろんなことの流れの中で産労さんが今所管をしておりますけれども、やはり近い将来では、全体的に住宅政策本部というところがあるわけですから、そちらの方でしっかりと、そのファンドを行う人たちがそちらにも入っていただいて、住宅施策全体をしっかりと見渡せるような形を取っていただけたらありがたいのかなと思いますので、その点はよろしくお願いをさせていただきたいと思います。
 また、東京都に対しても、これから補正予算の編成、いろいろと出てくると思います。とにかく物価高騰対策が喫緊の課題であって、国がこれから打ち上げてくる国の施策とどのような形で東京都の施策がかみ合って−−いろいろと延長して、様々な支援策を十二月まで延長しております。産労はたしか一事業だったと思うんですけれども、ほかの福祉、また保健、そういった部分に関して、環境も含めて様々な事業が延長しております。
 この延長しているという意味合い、やはりそれは、国がどういう施策を出してくるのかということも含めて、都と国がどういう連携を取れるのかということをしっかりと見据えていきながら、ぜひ産労の皆さんにも、この辺の物価高騰対策、中小企業支援に対しての様々な施策を前に進めていただきたいことを改めて要望させていただき、私の質問を終わります。

○大山委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後九時二十六分休憩

   午後九時三十九分開議

○大山委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言をお願いします。

○三雲委員 立憲民主党・ミライ会議・生活者ネットワーク・無所属の会の三雲崇正です。
 産業労働局所管事業のうち、中小企業対策、とりわけ創業支援とファンドを通じた支援について、また女性活躍に関する条例について、そしてインバウンド対応力強化支援事業補助金について質問いたします。
 まず、中小企業支援のうち創業支援について伺います。
 東京には大企業の本社機能が集積しておりますけれども、都内に所在する企業の約九九%は中小企業であり、従業員数割合でも四割を超えるとされています。
 経済が発展するには、常に新しい企業が生まれ成長する土壌が必要であり、とりわけ、新しいビジネスのアイデアを持った人が会社の立ち上げ、起業に挑戦することを後押しする創業支援の仕組みや取組は、東京都の産業政策において重要な位置を占めるといえます。
 そこで、ビジネスプランコンテスト事業及びアントレプレナーシップ醸成事業について、その概要、令和五、六、七年度の経費、事業運営委託先、実績についてお伺いします。

○大川商工施策担当部長 次世代アントレプレナー育成プログラムでは、将来の東京の産業の活性化に向けまして、意欲的な若手起業家を発掘する国内最大級のビジネスプランコンテストを実施しており、今年度は過去最多の四千四百十八名の応募がありました。
 選考に進んだ三十名に対しまして、事業計画の磨き上げ等の具体的な助言を行うとともに、コンテスト後もアクセラレーションプログラムを提供するなど、起業に向けた継続的なサポートを行っております。
 これらの業務に加え、起業に関心を持つ若者等を対象としたワークショップや交流イベント等の業務を含め、総合評価方式により、運営事業者としてNPO法人エティックを選定し、令和五年度は約一億三千八百万円、令和六年度は約一億八千二百万円、令和七年度は約二億八千六百万円で委託契約を行っております。

○三雲委員 ありがとうございます。
 次に、次世代アントレプレナー育成プログラムにおける法人設立事業資金の交付実績についてお伺いします。

○大川商工施策担当部長 コンテストの選考に進んだ三十名に対しまして、選考から翌々年度までに東京で法人を設立した場合には百万円を助成しており、これまでに七十八社を支援いたしました。

○三雲委員 ビジネスプランコンテストの応募者数が過去最大にまで増加をしてきたと。同時に、委託費についても令和五年から七年の間で二倍にまで増えていますので、事業の規模としては拡大をしてきていると。そして、七十八社が設立をされて、百万円ずつの支援をしたということです。
 こうした次世代アントレプレナー育成プログラムの成果について、産業労働局としての評価をお聞かせください。

○大川商工施策担当部長 令和七年度は、高校や大学へコンテストの周知を図ったことによりまして、昨年度を大きく上回る四千四百十八名の応募に結びつけ、意欲的な若手起業家の掘り起こしを行いました。
 また、起業に関心を持つ若者等を対象としましたワークショップや交流イベント等への参加者が増えるなど、起業機運を一層高めました。

○三雲委員 ありがとうございます。若い方々の起業意欲を高める効果が出ているということが分かります。
 次に、こうした事業を通じて起業に挑戦する方々の拠点としてインキュベーション施設も大切ですけれども、都では、インキュベーションオフィス・TAMA、東京コンテンツインキュベーションセンター、白鬚西R&Dセンターを運営しています。
 それぞれの令和五、六、七年度の経費、施設運営委託先、利用実績を教えてください。

○大川商工施策担当部長 インキュベーションオフィス・TAMAは、公益財団法人東京都中小企業振興公社と、令和五年度から令和七年度まで各年度約一千三百万円、東京コンテンツインキュベーションセンターは、株式会社ツクリエと、令和五年度と令和六年度はそれぞれ約三千四百万円、令和七年度は約七千九百万円、白鬚西R&Dセンターは、東京都中小企業振興公社と、令和五年度から令和七年度まで各年度約六百万円で、それぞれ契約しております。
 令和七年九月末時点におけるインキュベーションオフィス・TAMAの入居室数は六室のうち四室、東京コンテンツインキュベーションセンターは三十室のうち二十六室、白鬚西R&Dセンターは十四室のうち九室でございます。

○三雲委員 ありがとうございます。いずれについても相応の利用実績があるということが分かります。
 こうしたインキュベーション施設を利用した企業のうち、どういった企業が巣立ち、活躍をしているのか、その成果についてお聞かせください。

○大川商工施策担当部長 各施設では、事業の発展が見込まれる創業の希望者や起業家等に対しまして、開業に関する知識の提供のほか、会社の拡大に結びつく助言やマッチング等を行っております。
 こうした重点的なサポートによりまして、これらの施設の利用者の中から、オリジナルアニメを海外大手配信会社と契約した事例や、自社開発したVRコンテンツを大手エンターテインメント施設に導入した事例も出ております。

○三雲委員 オリジナルアニメを海外の大手配信会社と契約をするとか、自社開発したVRコンテンツを大手エンターテインメント施設に導入した事例ということで、東京らしい創業支援がなされているというふうにいえると思います。
 この創業支援施設としては、インキュベーション施設のほか、青山創業促進センター、青山スタートアップアクセラレーションセンターですね、TOKYO創業ステーション、TOKYO創業ステーションTAMA、スタートアップ総合支援拠点、NEXs Tokyoといったものも運営をされています。
 それぞれの令和五、六、七年度の経費、施設運用委託先、利用実績について教えてください。

○大川商工施策担当部長 青山創業促進センターは、デロイトトーマツベンチャーサポート株式会社と、令和五年度は約八千九百万円、令和六年度は約八千九百万円で、デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社と、令和七年度は約一億四千六百万円、TOKYO創業ステーションは、東京都中小企業振興公社と、令和五年度は約六億九千四百万円、令和六年度は約十億二千三百万円、令和七年度は約九億七千四百万円、TOKYO創業ステーションTAMAは、東京都中小企業振興公社と、令和五年度は約四億八千九百万円、令和六年度は約四億八千九百万円、令和七年度は約五億四千七百万円、NEXs Tokyoは、有限責任監査法人トーマツと、令和五年度は約三億四千百万円、令和六年度は約三億四千百万円、令和七年度は約三億六千三百万円で、それぞれ契約をしております。
 令和七年九月末時点における青山創業促進センターの支援者数は二十二者、TOKYO創業ステーションの利用者数は三万九十六者、TOKYO創業ステーションTAMAの利用者数は二万三千二百八十九者、NEXs Tokyoのパートナー等会員数は六百三十一者であります。

○三雲委員 ありがとうございます。
 運営委託費も、四つの拠点合計で少しずつ増えていって、令和七年度は合計二十億円程度を投資するということですけれども、こうした創業支援施設への支援の結果、どういった企業が育ち活躍をしているのか、成果についてお聞かせください。

○大川商工施策担当部長 各施設では、事業の発展が見込まれる創業の希望者や起業家に対しまして、開業に関する知識の提供のほか、会社の拡大に結びつく助言やマッチング等を行っております。
 こうした重点的なサポートによりまして、これらの施設の利用者の中から、特許技術を活用した無線通信製品及びクラウド監視システムを展開する企業が海外で上場するなどのリーディングケースも出てきております。

○三雲委員 ありがとうございます。海外での上場にまで至った企業もあるということで、相応の成果が出ているという評価もできると思います。
 青山創業促進センターでは、都が抱える政策課題の解決に結びつく分野で、起業家及び起業予定者に対して短期集中的にアクセラレーションプログラムを提供するとされていますけれども、そのプログラムの内容についてお聞かせください。

○大川商工施策担当部長 青山創業促進センターでは、起業経験者を含む各分野の専門家百名を超える支援者がメンターとして登録されておりまして、事業計画の磨き上げや資金調達などに関する相談に応じるなど、継続的にサポートをしております。

○三雲委員 ありがとうございます。先ほどのご答弁で、青山創業促進センターでは、支援者数二十二者に対して令和七年度は一億四千六百万円ほど投じていると。かなり一者当たり高額だなと思いましたけれども、継続的で手厚いサポートを行っているんだろうということがうかがえる内容でした。
 ところで、この青山創業促進センターとNEXs Tokyo、これ、いずれもデロイトトーマツグループに属する法人が事業受託者となっています。
 そこで、この青山創業促進センターとNEXs Tokyoとの関係、特に事業目的、対象者及び実施事業の異同について、同じところ、違っているところについてお聞かせください。

○大川商工施策担当部長 青山創業促進センターでは、リーディングケースなどを生み出し、今後の東京の産業の発展に結びつけるため、優れたアイデアなどを有する創業間もない起業家の事業化のサポートを行っております。
 NEXs Tokyoでは、東京と全国各地との垣根を越えた連携により、スタートアップのさらなる成長に向け、事業の拡大を目指すスタートアップと大企業、地方自治体、金融機関などとの協業の支援を行っております。
 こうした成長のステージに応じたきめ細かい支援によりまして、青山創業促進センターにおいて事業化を支援したスタートアップが、NEXs Tokyoの支援プログラムにより金融機関との協業を実現するなどの事例も生まれております。

○三雲委員 ありがとうございます。青山では、創業間もない起業家によるスタートアップの立ち上げを支援すると。その一方で、NEXs Tokyoでは、事業拡大を目指すスタートアップと大企業、地方自治体、金融機関との協業を支援すると。また、その二つの拠点で行っている事業の間でも、橋渡し的というんですかね、協業しながら支援がなされているということもよく分かりました。
 次に、NEXs Tokyo、これはスタートアップ戦略推進本部のTokyo Innovation Base、TIBと地理的に近い場所にある創業支援拠点ですけれども、この二つの関係、特に事業目的であるとか対象者、また実施事業の異同についてお聞かせをください。

○大川商工施策担当部長 NEXs Tokyoでは、事業の拡大を目指すスタートアップの目的に適したビジネスプランの磨き上げや、連携するパートナーとのマッチングなどのプログラム等を行っております。
 こうした施策につきまして、人と人が交流し、イノベーションを生み出すためのプラットフォームであるTIBと相互にイベント等の周知を実施することによりまして、効果的な運営を行っております。

○三雲委員 ありがとうございます。
 NEXs Tokyoでは支援プログラムを実施している、TIBはイベント等を行ったりするプラットフォームになっているということで、さらに相互の相乗効果というものも期待して、こういったものを運用しているんだろうというふうに思いますけれども、東京都が複数の局にまたがって、幾つもの創業支援とかスタートアップ支援を目的とする拠点を運営する意義とその成果について、産業労働局なりの見解をお聞かせください。

○大川商工施策担当部長 当局は、中小企業支援の一環としまして、創業支援や技術支援、資金調達等、スタートアップをはじめとする中小企業に対する多様な支援策を展開しております。
 スタートアップ戦略推進本部では、東京のスタートアップエコシステムの発展に向けて、SusHi Tech TokyoやTIBなどをはじめとする、人と人が交流し、イノベーションを生み出すためのプラットフォームづくりを進めております。
 当局が実施しますきめ細やかな企業支援策と、スタートアップ戦略推進本部が展開するスタートアップと様々な支援者を結びつけるプラットフォーム施策とを組み合わせ、効果的に事業を展開しております。

○三雲委員 ご説明を伺って、違いがあるような感じもするし、かぶるところも随分あるような感じもしますけれども、二つの局が実施する事業をしっかりと組み合わせることによって相乗効果を発揮して、東京において新しい企業が生まれて育つという環境をつくっていただければというふうに思っております。
 次に、行政課題解決型スタートアップ支援事業についてお伺いします。
 この事業では、TOKYO UPGRADE SQUAREという拠点を設けて、UPGRADE with TOKYOという取組を展開しておりますけれども、まず、これらの事業の趣旨、目的、そして事業内容についてお聞かせください。

○大川商工施策担当部長 都は、東京が抱える様々な行政課題の解決に向けまして、最先端の技術などを持つスタートアップの力を活用するとともに、スタートアップの成長を支援することを目的としまして、西新宿エリアに開設したTOKYO UPGRADE SQUAREにおきまして、都とスタートアップの連携プロジェクトの組成を進めるためのピッチコンテストを実施しております。
 また、この拠点を活用して、官民協働の取組事例を紹介するセミナーや、行政職員とスタートアップとの連携を促すイベントを開催し、相互の理解を深めることで新たな協働につなげております。

○三雲委員 次に、これらの事業の令和五、六、七年度の拠点運営委託先、事業の運営委託先、そしてまた、それぞれの経費について教えてください。

○大川商工施策担当部長 TOKYO UPGRADE SQUAREは東京都中小企業振興公社が運営しておりまして、都は、令和五年度と令和六年度はそれぞれ約二億五千八百万円、令和七年度は約二億八千四百万円を補助しております。
 UPGRADE with TOKYOは、EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社と、令和五年度は約七千三百万円、令和六年度は約八千三百万円、令和七年度は約一千二百万円で、デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社と、令和七年度は約六千八百万円で、それぞれ契約しております。

○三雲委員 UPGRADE with TOKYOでは、令和七年度、ちょっと分かりにくかったのですけれども、それまでEYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社が担当していた取組のフォローアップで約一千二百万円と、そして、新たにデロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社が担当する取組に約六千八百万円ということだと理解をしております。
 こうした取組の令和五、六、七年度の実績についてお聞かせください。

○大川商工施策担当部長 令和五年度は、インフラやスポーツをテーマに九回開催し、八十社が参加、令和六年度は、都市づくりや福祉などをテーマに十回開催し、九十八社が参加、令和七年度は、九月末時点で労働安全衛生や自然環境をテーマに二回開催し、三十四社が参加しております。

○三雲委員 着実に事業を進めているんだろうというふうに思いますけれども、これは都とスタートアップとの連携、官民協働の取組を進める事業なんですけれども、採用企業のその後について、政策目的随意契約の認定を受けて都から業務委託等を受けているのかについてお聞かせください。

○大川商工施策担当部長 都は、ピッチコンテストで受賞した事業者の優れた製品やサービスを対象に、政策目的随意契約を活用した公共調達を行っております。
 具体的には、大雨等を要因とした急傾斜地の崩落等による被害を最小限にとどめるため、ICT技術を活用したモニタリングによりまして、都有地の異常を早期に検知するなどの協働の取組を進めております。

○三雲委員 都有地における災害の発生予防の取組など、公共調達事例も出ているということですので、一定の成果が上がっているという様子がうかがわれます。
 東京都には、今ご説明をいただいた行政課題解決型スタートアップ支援事業、UPGRADE with TOKYOのほかに、スタートアップ戦略推進本部が実施をしている現場対話型スタートアップ協働プロジェクト、そして、都内行政現場とスタートアップとの協働プロジェクト、これはキングサーモンプロジェクトの一環ですけれども、こういったものがあります。いずれもスタートアップと行政との協働による課題解決をうたっております。
 これら三つの事業の関係、特に事業目的、対象者及び実施事業の異同についてお聞かせください。

○大川商工施策担当部長 当局では、区市町村を含め東京が抱える様々な行政課題の解決に向け、ピッチコンテストを実施し、最先端の技術などを持つスタートアップの力を活用しております。
 スタートアップ戦略推進本部では、現場対話型スタートアップ協働プロジェクトは、都庁各局とスタートアップの対話を通じて協働意識の浸透を図ること、キングサーモンプロジェクトは、グローバルに活躍できるスタートアップを生み出すことを特徴として実施しております。

○三雲委員 それぞれに特徴がある、異なる事業であるというご説明です。ちょっと言葉だけじゃ、なかなか分かりにくくはありますけれども、そういったご説明をいただきました。
 他方で、UPGRADE with TOKYOでは、デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社が令和七年度の取組を担当すると。スタートアップ戦略推進本部の現場対話型スタートアップ協働プロジェクト及びキングサーモンプロジェクトでは、デロイトトーマツコンサルティング合同会社が受託をしています。いずれもデロイトトーマツグループ傘下の企業ということです。
 二つの局にまたがって、少しずつ特徴が異なっている三つの事業を行っているというふうにいいながらも、受託事業者がほぼ一つ、共通していると。こういった点は若干気になるなというふうに思われるのですけれども、三つの事業がそれぞれ有意義なものになるように、しっかり両局で連携をしながら工夫を重ねていただきたいということをお願いいたします。
 創業支援施策については、最後に、産業労働局における創業支援とスタートアップ戦略推進本部のスタートアップ支援の関係について、双方が行う理由とそれによる成果について、産業労働局のお考えをお聞かせください。

○大川商工施策担当部長 当局は、中小企業支援の一環としまして、創業支援や技術支援、資金調達など、スタートアップをはじめとする中小企業に対する多様な支援策を展開しております。
 スタートアップ戦略推進本部では、東京のスタートアップエコシステムの発展に向けて、SusHi Tech TokyoやTIBなどをはじめとする、人と人が交流し、イノベーションを生み出すためのプラットフォームづくりを進めております。
 当局が実施するきめ細やかな企業支援策と、スタートアップ戦略推進本部が展開しますスタートアップと様々な支援者を結びつけるプラットフォーム施策とを組み合わせ、効果的に事業を展開しております。

○三雲委員 スタートアップ戦略推進本部というのが立ち上がった後も、どちらかの局に事業を寄せるのではなくて、二つの局がそれぞれ事業を行っていくというお話であります。
 創業支援とかスタートアップ支援というものは、直ちに効果が見えるものではなくて、個別の企業であるとかスタートアップが成功するか否かも、必ずしも確実なものでないため、都が多くの行政資源と多額の予算を投じて遂行することに対して、都民の理解を得にくい側面もあるんじゃないかと思います。
 特に、二つの局に事業の重なりも少し見られることから、それぞれの事業の意義、また、二つの局が事業を行うことによる相乗効果というものを分かりやすく示すことは重要だと思います。KPI設定においても、こうした点を意識していただければと思います。
 続いて、ファンドを通じた金融支援についてお伺いします。
 金融支援については様々な手法が考えられますけれども、都ではこれまで、中小企業向けに複数のファンドを組成してきました。これらファンドの一部の投資先、三社については公表されていますけれども、ほかの投資先については公表されておりません。
 投資先情報の公開について、都の見解を伺います。

○松田金融支援担当部長 具体的な投資企業の情報等につきましては、守秘義務に配慮しつつ、運営事業者と協議の上、適時適切に情報発信に努めていくこととしております。

○三雲委員 守秘義務があるということですけれども、そこでちょっと止まってしまうと、議会として都の事業をチェックすることはできないと思いますので、それぞれのファンドについて少しお聞かせいただきたいというふうに思っております。
 まず、その組成をしたファンドのうち、ベンチャー企業成長支援ファンドにおいては、東京証券取引所のグロース市場に上場している株式会社サイフューズへの投資が公開をされています。
 サイフューズは、東京証券取引所グロース市場に二〇二二年の十二月に上場をしました。上場時の株価は二千二百十四円でしたけれども、二〇二五年十一月十三日の株価は五百八十六円にまで低下をしております。
 このファンドの組合存続は令和八年の三月、今年度末までであって、間近になっていますけれども、この投資の回収予定額をどの程度見込んでいるのか、お聞かせください。

○松田金融支援担当部長 ファンド運営の状況や成果について都民の理解が得られるよう、官民連携ファンドの清算結了後は、契約上の守秘義務に配慮しつつ、投資の概要や都の出資額、回収額などのファンドの運営の実績を公表することとしております。
 具体的な投資先企業の情報につきましては、守秘義務に配慮しつつ、運営事業者と協議の上、適時適切に情報発信に努めていくこととしております。

○三雲委員 ありがとうございます。遅くとも来年度には清算結了に至ると思いますので、その時点での開示情報を確認して、改めて議論ができればというふうに思います。
 産業労働局所管のベンチャーファンド、それからDXスタートアップ成長支援ファンドと、スタートアップ戦略推進本部所管の官民連携インパクトグロースファンド、これとでは、同じ運営事業者、以下GPといいますけれども、GPが選定をされています。
 都では、様々な局でファンドを通じた投資を行っていますけれども、ファンドGPの選定に当たって、GPの運用成績であるとか利益相反等の情報確認のための連携を行っているのかどうか、お聞かせください。

○松田金融支援担当部長 各所管で、既存のファンドについて運営事業者の情報を共有しております。
 運営事業者の選定に当たりましては、応募事業者から運営成績や利益相反等、共有できない情報を収集し、専門家が客観的に評価しております。

○三雲委員 GPに関する情報を共有しているとする一方で、運用成績であるとか利益相反等の情報に関しては共有できない情報であって、GPの選定時にGP候補となる事業者から収集するということのようです。
 GPに関する情報は、運用成績なども含めて幅広く局を超えて集積、共有して、東京都自身が投資家として成長すべきだと思いますけれども、これまでのファンド契約の守秘義務条項が、こうしたことの足かせとなっているのじゃないかというふうに思われます。
 次に、脱炭素化ベンチャー支援ファンド・オブ・ファンズと事業承継M&Aファンド・オブ・ファンズの間で、これも同一のGPが選定をされています。
 脱炭素と事業承継では分野違いとも思われるんですけれども、なぜこのGPが選定されたのか、教えてください。

○松田金融支援担当部長 脱炭素化ベンチャー支援ファンド・オブ・ファンズの運営事業者は、応募者からの提案内容について、応募者の運営体制やベンチャーキャピタルへの支援内容も含め、外部専門家を含めた選定委員会で厳正な審査等により選定されております。
 選定した運営事業者は、中小企業を対象とする事業承継ファンドへの投資についての長い経験と豊富な実績など、事業承継M&Aファンド・オブ・ファンズの運営に強みを持っております。
 また、ベンチャーキャピタルへの投資についての豊富な実績や幅広いネットワークに加え、環境分野での重要なインパクトレポート作成等に向けたサポート体制がございまして、脱炭素化ベンチャー支援ファンド・オブ・ファンズの運営に強みを持っております。

○三雲委員 ご説明を伺って、事業承継だけじゃなくて、環境分野においても強みを持っているGPだということで選定をしたということが分かりました。また、この選定に当たっては、外部専門家を含めた選定委員会での審査を経ているということについてもご説明を伺いました。
 次に、女性活躍推進スタートアップ支援ファンドについてですけれども、このファンドでは二つのGPが選定をされて、二つの組合が立ち上がっています。
 なぜ二つのGPを一つの目的のために選定をしたのか。それぞれの投資方針にどのような違いがあるのかをお聞かせください。

○松田金融支援担当部長 女性活躍の推進に資する二つの特徴を持ったファンドを組成するため、それぞれ運営事業者を選定いたしました。
 運営事業者は、いずれも女性起業家のサポートの経験やノウハウにたけており、MPowerは女性活躍の推進に資するサービスやテクノロジーを持つスタートアップ支援に強みを持ち、NEXTBLUEは女性のウエルビーイング領域のスタートアップへの支援に強みを持っております。

○三雲委員 女性活躍の推進という一つの目的の下で、それぞれ異なる強みを持っている二つのファンド、GPにお願いをして立ち上げたということだというふうに理解をしました。
 次に、事業承継を目的とするファンドについて伺います。
 事業承継を目的とするファンドとして、事業承継支援ファンド、事業承継M&Aファンド・オブ・ファンズ、それからTOKYO白馬の騎士ファンド、この三つがありますけれども、なぜ既存ファンドに追加出資をするのではなくて新たなファンドを立ち上げるのか、お聞かせください。

○松田金融支援担当部長 一般的な事業承継やM&Aファンドに比べ、TOKYO白馬の騎士ファンドでは、経営者が安心して会社を引き継げる後継者の確保を支援していくため、後継者候補の支援と後継者不在企業とのマッチングをサポートすることを重視したファンドとして設立いたしました。
 ファンドごとに、出資募集期間は存続期間に比べて短い時間で定められており、ファンド存続期間中の任意の時点で追加出資できるわけではございません。

○三雲委員 ファンドというスキームの特性上、同一の事業を継続しようと思ったときにも、追加出資で行うということはできなくて、新しいファンドを立ち上げていく必要があるんだということ、それからTOKYO白馬の騎士ファンド、これはマッチングをサポートするというところに大きな特徴を持っていて、そこが既存ファンドと違うというご説明を伺いました。
 令和七年度、ファンドを活用した多摩・島しょ地域における中小企業支援であるとか、人手不足の問題の解決に取り組む中小企業支援を行うということですけれども、具体的にどのような取組を想定しているのか、お聞かせください。

○松田金融支援担当部長 多摩・島しょ地域における中小企業支援ファンドでは、多摩・島しょ地域に資金の新たな流れを生み出すため、地元の有力な事業会社や金融機関と連携して、地域に根差した事業を展開する投資先を開拓し、経営サポートを行うことを目的としております。
 中小企業の人手不足問題解決支援ファンドは、出資を通じ、ベンチャー企業の有する技術等が広く普及することで、中小企業が抱えている人手不足問題の解決を後押しすることを目的としております。

○三雲委員 多摩・島しょ部の中小企業支援であるとか人手不足解消への取組といった東京都の課題に向き合う投資、これは民間主導ではなかなか容易ではないと思われることから、官民連携ファンドの存在意義が分かりやすいファンドであると思われる一方で、元本の毀損も懸念される分野だというふうに思います。こうした投資活動の意義を都民にしっかり説明するためにも、ファンド存続中から積極的な情報開示が必要になるんじゃないか、こういったことを指摘をさせていただきたいと思います。
 ここまで個別のファンドについてお尋ねしましたけれども、中小企業の資金調達というものは、日本政策金融公庫の融資であるとか、都の中小企業制度融資であるとか、創業助成金などの制度が既に存在をしていると。
 都が中小企業への出資を目的とするファンドを設立する意義がどこにあるのか、改めて産業労働局としての見解をお伺いします。

○松田金融支援担当部長 中小企業は、事業拡大に必要となる資金の調達が困難であるとともに、技術のさらなる展開や販路開拓等に必要なネットワークの構築が難しい状況にございます。
 こうした状況を踏まえ、都の出資を呼び水として新たな資金の流れを創出し、民間の資金やノウハウを引き出すことで、中小企業の成長を資金と経営の両面から後押しすることに意義がございます。

○三雲委員 都の出資が呼び水となって、民間の資金であるとかノウハウが中小企業支援に向かうということを期待しているということですけれども、スタートアップ戦略推進本部でも、創業間もない中小企業向けのファンドへ出資をしています。
 スタートアップ戦略推進本部所管のファンドとの関係について、目的、投資対象の異同の観点から説明をお願いいたします。

○松田金融支援担当部長 スタートアップ戦略推進本部所管のファンドは、グローバルな活躍を目指すスタートアップの成長支援やイノベーションの創出等を目的とし、目的を達成するために必要な投資分野を対象としております。
 金融支援に関するファンドは、行政課題の解決に取り組む中小企業等を投資対象といたしまして、産業振興や中小企業支援を主な目的としております。

○三雲委員 都がファンドを通じた支援を行う目的に照らせば、投資先企業からの投資の回収によって政策目的が達成されたと、こういう評価ではなくて、逆に、回収に失敗したということのみをもってファンド投資が失敗であったと断ずることもできないと思います。
 それぞれのファンドの設立の目的、利殖じゃなくて政策目的である、その成否を判定する指標は何なのか、お聞かせください。

○松田金融支援担当部長 ファンド運営の状況や成果について、官民連携ファンドの清算結了後は、契約上の守秘義務に配慮しつつ、投資の概要や都の出資額、回収額などのファンドの運営状況、運営の実績を公表することとしております。
 ファンド運営の実績といたしましては、例えば、ファンドの目的に沿った投資先への投資件数や民間投資家の参画状況などを確認してまいります。

○三雲委員 回収額の多寡ではなくて、民間投資家を巻き込んで目的に沿った投資がなされていたのかという点が重要なんだと思います。その意味でも、政策目的達成状況を確認するためには、ファンドの運営状況、投資先企業情報の開示は不可欠です。
 しかし、現在では、ベンチャー企業成長支援ファンドの株式会社サイフューズへの投資、それから、事業承継支援ファンドの株式会社コミュニティセンターへの投資、そしてTOKYO白馬の騎士ファンドの富永電気株式会社への投資、この三件しか公表されておりません。
 令和元年度の包括外部監査報告書では、当時、産業労働局が行っていたファンドを通じた中小企業支援に関して、情報公開の透明性の観点からも、投資の成果について積極的に情報提供することを検討されたいとの意見が付されていました。
 そこでお伺いしますけれども、この令和元年度の包括外部監査では、投資先企業名とか投資の形態とか、あるいは投資額等について、監査人に対してその投資先企業に関する情報を明らかにして監査をしてもらったのか、お聞かせください。

○松田金融支援担当部長 守秘義務の観点から、監査人に対して投資先企業に関する情報は明らかにしておりません。

○三雲委員 包括外部監査というものは地方自治法に基づく監査であって、また、監査人は法律上の守秘義務を負っています。法律上の監査権限よりも契約上の守秘義務を優先した対応には大いに疑問があります。
 ファンドのGPとの投資事業有限責任組合契約は、経済産業省のモデル契約をベースに作成されていると思われますけれども、このモデル契約の守秘義務条項でも、適用法令等により開示することが組合員に対して要請される場合には、GPや投資先企業の意向にかかわらず情報を開示することが認められています。契約上の守秘義務を拡大解釈するのではなくて、法令上の義務に従った開示を行うように求めます。
 また、経済産業省のモデル契約は民間事業者の間の契約を想定したものであって、今後のファンド契約の作成、締結に当たっては、都民及び議会に対して説明責任を負っている、そして、監査委員であるとか包括外部監査人に対して法律上の資料開示義務、説明義務を負っている、こういう東京都にふさわしい内容の守秘義務条項とするように、よく検討していただきたいということをお願いしたいというふうに思います。
 続いて、女性の活躍に関する条例についてお伺いをします。
 女性活躍に関する条例については、第三回定例会においても議論がなされ、その後、広く都民を対象とする意見募集も行われました。
 そこで、パブリックコメントの実施状況についてお伺いをします。

○吉浦働く女性応援担当部長 都は、令和七年十月九日から十一月七日まで、女性の活躍に関する条例(仮称)の基本的な考え方について、都民の皆様や事業者の皆様などから広く意見を募集いたしまして、四百四十七件の意見をいただきました。
 寄せられた意見の中には、都が企業や社会を動かすために新しい条例を策定することは、社会的インパクトという効果があり、大きな意義があるなどがある一方で、男女平等参画基本条例の改正や強化で対応すべきなどといった意見もございました。また、活躍という文言について、定義をしっかり定めるべきとの提案もございました。
 こうした意見や提案に関しましては、条例の基本的な考え方の項目に合わせて区分をいたしまして、意見に対する都の考え方と併せて公表しております。

○三雲委員 十一月七日まで行っていた意見募集について、昨日までに集約をして公表されたと。このスピード感のある対応に、この条例の制定を目指す都の熱意というものを感じます。
 今後の条例制定に向けた作業プロセスについて教えてください。

○吉浦働く女性応援担当部長 パブリックコメントで寄せられた意見も踏まえまして、できる限り速やかに条例案を都議会に提出できますように準備を進めているところでございます。

○三雲委員 条例案について、本委員会でもパブリックコメントの結果を踏まえて中身の濃い議論がされると思いますけれども、その前に幾つかお聞きをしておきたいと思います。
 まず、パブリックコメントでは、女性の活躍や働き方については、現状、既に様々な施策がなされ、法律や条例もあるかと思います、それでは足らずに、さらに条例を設ける必要性が分かりませんと、こういった意見もありました。
 そこで、生活文化局が所管する男女平等参画基本条例との役割分担、連携、重複回避の取組についてお聞かせください。

○吉浦働く女性応援担当部長 都では、男女平等参画基本条例に基づきまして、社会のあらゆる分野の活動に男女がひとしく参画できるよう施策を展開しております。
 雇用就業分野における取組につきましても、これまで男女平等参画基本条例に基づいて施策を進めてまいりましたけれども、いまだに女性が個性や能力を十分に発揮できていない状況にありますことから、取組を充実強化するために、新たに女性の活躍に関する条例(仮称)を策定することといたしました。
 こうしたことから、従来の取組も含めまして、雇用就業分野におきましては、新たな条例に基づき施策を展開することになります。
 なお、施策の推進に当たりましては、必要に応じて両局で連携をしております。

○三雲委員 都では、男女平等参画基本条例の下で男女平等参画審議会が開かれて、男女平等参画推進総合計画が策定をされています。
 そこで、新しい条例が制定された場合の男女平等参画審議会や男女平等参画推進総合計画への影響についてお伺いします。

○吉浦働く女性応援担当部長 女性の活躍に関する条例(仮称)は、雇用就業分野において女性が個性や能力を発揮できる環境整備を一層推進するために新たに策定するものでございます。
 男女平等参画推進総合計画につきましては、令和八年度中の改定に向けまして、現在、男女平等参画審議会において議論が進められておりまして、女性の活躍に関する条例(仮称)につきましても説明を行っているところです。
 男女平等参画推進総合計画に条例の趣旨を反映いたしますように、生活文化局と連携して取り組んでおります。

○三雲委員 パブリックコメント結果からは、活躍という言葉そのものについても様々な意見があるということがうかがわれます。世界や業界の最前線やトップクラスで成果を出すことだけでなくて、それぞれの個性に合わせて、個人が生き生きと社会に関わるという広い意味であることが大切であると、こういった意見もございました。
 雇用分野における女性の活躍という文脈では、男女の賃金格差の要因に女性の非正規雇用率が高いといった課題であるとか、家庭に入った後、再度、労働市場に参入しにくいといった課題もあります。
 こうした課題に向き合う女性の声を取り上げる仕組みについて、所見を伺います。

○吉浦働く女性応援担当部長 都は、女性しごと応援テラスにおきまして、育児や介護などで離職した女性を対象に、キャリアカウンセリングなど再就職に向けた相談を行っております。
 また、はたらく女性スクエアにおきましては、働く女性のキャリアに関する悩みなどに対して、キャリアコンサルタントなどが相談に応じております。
 今回実施いたしましたパブリックコメントにおきましても、非正規雇用の女性を正規雇用に結びつける支援は必要、それから、非正規の働き方を希望している女性もいるなどの声をいただいております。
 これらを通じて、引き続き、様々な雇用形態にある女性の意見を聞いてまいります。

○三雲委員 また、パブリックコメント結果には、労働分野に限定した苦情処理機関の設置であるとか、女性の尊厳を傷つけるような事象が発生した場合に、女性が安心して相談できるような機関というものを要望する意見もあります。
 雇用分野における女性活躍を取り扱うのであれば、女性が直面する労働問題について相談を受け、事業者等に対して指導する体制づくりが必要ではないかと思いますけれども、所見を伺います。

○吉浦働く女性応援担当部長 都は、働く女性が職場で抱える様々な課題に対応する拠点として、はたらく女性スクエアを設置しております。
 この拠点におきまして、女性の労働問題等に対応しております。

○三雲委員 既に、はたらく女性スクエアが設置されて労働問題等に対応しているということですけれども、個別の労働紛争があれば、労基署であるとか労働委員会を紹介するんだと思います。
 しかし、女性の活躍を推進するという観点からは、こうした個別の労働問題に対応して既存の労働相談窓口を紹介するだけでは不十分であって、少なくとも女性の労働相談を集約して、次の施策につなげていく体制が必要ではないかと思いますけれども、お考えをお聞かせください。

○吉浦働く女性応援担当部長 はたらく女性スクエアでは、総合相談窓口でキャリアコンサルタントなどが相談に対応しておりまして、必要に応じて関係機関等と情報共有も行っております。

○三雲委員 関係諸機関との情報共有も大事だと思います。ただ、相談業務によって集約された事例であるとか意見を分析して、新しい条例の下で新しい施策につなげていく仕組みというものを、条例の下に制度としてビルトインしていくということも考えるべきではないかというふうに思います。女性の活躍に関する条例については、引き続き議論をさせていただきたいというふうに思います。
 最後に、インバウンド対応力強化支援事業補助金についてお尋ねをします。
 日本全体がインバウンド需要で沸き返るような状況の中で、都内のどこに行っても、世界中の様々な国や地域から、多様な文化や習慣を持つ旅行者を目にするようになりました。
 その中で、インバウンド対応力強化支援事業が行われるわけですけれども、事業の目的についてお伺いします。

○江村観光部長 都は、観光振興に関する知見を持つ有識者の意見を踏まえて策定した東京都観光産業振興実行プランにおきまして、国際観光都市として、多様な文化、習慣を持つ旅行者等が安心して観光を楽しめる環境の整備をさらに進めていくとしております。
 インバウンド対応力強化支援事業は、広く東京を訪れる外国人旅行者の受入れ環境の整備に取り組む宿泊施設や飲食店等の観光関連事業者を支援し、外国人旅行者の利便性や快適性の向上を図ることを目的としております。

○三雲委員 広く東京を訪れる外国人旅行者の受入れ環境を整備するということですけれども、この補助対象事業と補助対象事業者についてご説明をください。

○江村観光部長 補助対象となるのは、多言語対応、無線LANの設置、キャッシュレス機器の導入、手荷物預かり設備の導入、トイレの多機能化、ムスリム、ベジタリアン等の受入れ対応に係る整備、防犯カメラの設置など、インバウンド対応のための取組でございます。
 補助対象事業者は、都内の宿泊施設や飲食店等の観光関連事業者でございます。

○三雲委員 補助対象はインバウンド対応のための取組であって、対象事業者は宿泊施設や飲食店等の観光関連事業者であるということです。
 このうち、ムスリム、ベジタリアン等の受入れ対応に係る整備、この対象事業者について、もう少し詳しくご説明ください。

○江村観光部長 インバウンド対応力強化支援事業のうち、ムスリム、ベジタリアン等の受入れ対応に係る整備についての補助対象事業者は、都内の宿泊施設及び飲食店でございます。

○三雲委員 対象事業者については、あくまでも宿泊施設、それから飲食店に限るということでしたけれども、ムスリム等の礼拝習慣に配慮した祈祷室の整備について、ムスリム等というものの対象となる宗教の範囲は何でしょうか。
 また、補助金の対象となる祈祷室の仕様はどのようなものでしょうか。
 あわせて、祈祷室の整備に要する費用のうち、具体的な補助対象は何なのか、お聞かせください。

○江村観光部長 インバウンド対応力強化支援事業は、多様な文化や習慣を持つ外国人旅行者への対応を支援対象としております。
 祈祷室については、店舗内にスペースを設けるとともに、ムスリムに限らず、多様な文化や習慣を持つ外国人旅行者のために活用することが採択の条件となっております。
 補助対象経費は、設備の設置工事費でございます。

○三雲委員 ムスリムに限定せず、多様な文化、習慣を持つ外国人旅行者のために活用することが採択条件であるということです。世界には、日常的な礼拝や祈祷を生活習慣とする方々がいるために、そうした方々の礼拝や祈祷を可能にする環境整備がインバウンド対応にとって必要であるという考え方なんだろうというふうに思います。
 個人的なことですけれども、私も十二、三年前に英国のエディンバラというところに行きまして、そこの大学で二年間ほど勉強しておりました。大学には大きな図書館がありまして、毎日、そこで皆さん勉強するわけなんですけれども、時々、大学の書架の間の通路のところで、昼の時間とかに礼拝している人がいて、本を取りに行こうとすると、ちょっと通れないといったことが起こったりするんですね。
 大学には、当然、様々な国や地域から人が来るので、そういう礼拝みたいなものができるようなスペースというものも校内にはあるんですけれども、やっぱり校内は広いということと、図書館もすごく大きいということで、勉強に集中している方なんかは、その決められた時間にそこに行くことができずに、やっぱりしようがないからということで、通路でそういう祈祷を行っているという方もいらっしゃると。
 こちらからすると、ちょっとびっくりするわけなんですけれども、やっぱりそういう予期せぬ遭遇みたいなものを回避する意味合いでも、きちんと設備があるということは、お互いにとって施設利用にとって大事な場面もあるんだろうなというふうには理解をいたします。
 他方で、日本国憲法には、八十九条に、公金その他の公の財産は、宗教上の組織もしくは団体の使用、便益もしくは維持のため、または公の支配に属しない慈善、教育もしくは博愛の事業に対し、これを支出し、またはその利用に供してはならないという規定があります。これは政教分離原則を財政面から規定したというふうに理解をされています。
 政教分離原則との関係について、補助金の対象決定時に検討したのか。また、検討内容、結果はどういうものであったのか、お聞かせください。

○江村観光部長 都はこれまでも、多様な文化や習慣を持つ外国人旅行者の受入れに意欲のある観光関連事業者に対しまして、セミナーやアドバイザー派遣により支援してまいりました。
 今年度より、宿泊施設や飲食店等の観光関連事業者による幅広いインバウンド対応の取組を支援する事業において、ムスリムやベジタリアン、ビーガンをはじめとする多様な文化や習慣を持つ外国人旅行者の受入れのための環境整備を対象に追加したものでございます。
 この事業は、観光関連事業者に対し、多様な文化や習慣への対応を支援するものであり、ムスリムなど特定の文化や習慣だけを支援対象とはしておらず、法令に抵触するものではございません。

○三雲委員 この事業では宿泊施設や飲食店への補助金ということですので、形式的には、宗教上の組織、団体への支出には該当しないんだろうというふうに思います。
 政教分離原則違反を実質的に検討する場合には、問題となる行政の行為が世俗的な目的によるかどうか、その行為の主要な効果が宗教を振興し、または抑圧するものかどうか、その行為が宗教とどのような関わりを持っているのか、あるいはその関わり合いを促すものかどうか、こういった三要件で、これを個別に検討する目的効果基準と呼ばれる基準が参考になるというふうにいわれています。
 今回の事業については、都としては、特定の宗教を支援するものではなくて、また、特定の文化や習慣だけを支援対象とするものではないと、こういったご説明を伺いました。
 日本社会の国際化が進展する中で、今後も様々な文化や習慣を持つ方々を受け入れるための施策が講じられることになると思います。今回取り上げた政教分離原則のような憲法上の制約であるとか、あるいは他の法令上の制約についてもよく検討をして、法令抵触のない形で今後も進めていただくようお願いいたします。
 以上です。

○慶野委員 よろしくお願いいたします。いい出しっぺですので、極力、余計な言葉を挟まずに、短く終わらせていただきたいと思います。
 私、今年の第一回定例会で、若者の支援、就業支援、就労支援、そして手取りを増やしていく、可処分所得を増やしていく、こういう取組をさせていただきましたけれども、若者の就労の定着率、早期退職を防いでいく、そのためには、これまで東京しごとセンターで行っていた就業、就労、就職後の就労支援だけではなくて、就労前から支援を始めていくべきだ、このように訴えたところ、当時、局長から検討していく、進めていく旨の答弁がありました。
 そして、今年度に入りまして、具体的にどのような施策展開をしているのか、答弁を求めます。

○新田雇用就業部長 都はこれまで、しごとセンターにおいて、若者の早期離職を防止し、職場への定着を促進するため、入社後三年までの若手社員を対象にセミナーや交流会を実施しており、今年度新たに、学生を含む求職者に対しても取組を拡大いたしました。
 学生を含む求職者に対して、具体的には、自身の職業観や将来のキャリアデザインを考えるセミナーを実施し、十月末までに延べ九十六名が受講しました。
 また、この事業に理解がある企業から紹介いただいた、入社して数年の若手社員から、就職後に会社や顧客から求められたことなどをリアルな体験談として聞ける交流会を開催し、十月末時点で延べ九十四名が参加しました。
 このような取組を通じまして、若者の主体的なキャリア形成を支援してまいります。

○慶野委員 ありがとうございます。早期離職を防ぎつつ、安定した雇用につながるようなキャリア形成の支援をしていただいているということであります。
 そして、安定的に若者が仕事を続けていける、その上で、手取りを増やすという意味で可処分所得を増やしていくためには、若者の最大の課題である奨学金の返済をどのように負担軽減をしていくかということで、これも私たち都議会公明党が何度も何度も知事に直接要望しながら、そして、東京中の青年層から多くのアンケートをもらって、一番の要望が奨学金の負担軽減だということで、学生も引き連れながら緊急要望を繰り返して、そして、一昨年の予算特別委員会でも確認をさせていただきました。
 IT、ものづくり、そして建設業へと、こうした皆様方が中小企業に就職したならば、三か年にわたって百五十万円、東京都と事業主さんで負担軽減、お支払いを弁済していこうということでスタートいたしました。
 翻って、この制度がある意味お手本となって、今年度からは、教職員、技術系の皆様にほとんど同じスキームで、違う所管のところでも同じような奨学金の返済支援がスタートしたということで、産業労働局がスタートした、この中小企業就職に対する奨学金の返済、まずは高く評価をしたいと思いますし、我々の要望に応えていただいたことを感謝しております。
 その上で、多くの中小企業にこの事業に参画していただくこと、そして、そこに若者がこぞって、地元を含めた中小企業に、人材不足で悩む中小企業に就職の目を向けてもらうこと、さらに、最初に質問させていただいたように、事前の定着支援によって、就職したところで長く安定して働いていってもらえるような、そういう周知活動を行っていきながら、奨学金の返済、若い間だけ、最初の三年だけということでしたけれども、この対象を大きく延ばしていけ、こういうことも今年の都議会本会議で我々は要望してまいりました。
 どのように制度を変更していただいたのか、併せて確認させていただきます。

○富岡事業推進担当部長 都が行うサポートの内容を企業に広く知っていただくため、メールマガジン等でのPRや業界団体等を通じた情報提供、企業を集めた交流会等での事業紹介を実施しております。
 あわせて、大学生等に向けては、参加企業の魅力をホームページで伝えるとともに、大学のキャリアセンターと連携し、学生向けセミナーの中で説明を行うなど周知活動を行っております。
 また、労働市場では、三十歳前後において、転職等による人材の流動性が高まっていることなどを踏まえまして、本年八月から年齢要件を三十五歳未満に引き上げ、中小企業の人材確保を支援しております。

○慶野委員 一定、二定と繰り返し求めて、三十代まで支援をという要望に対して、この八月から三十五歳までを対象にしたと。仮に転職でその企業に入っても、奨学金の返還事業を使うことができるということで、定着した上で奨学金の返済の補助が入る、そして、その上で、そもそものお給料を増やしていくための賃上げの支援、中小企業に対する支援をどのように行っていくかということで、私、皆様と、様々これまでも取り組んでまいりました。
 私の地元の荒川区に、エボナイトという天然ゴムを利用した、今では全国でこの荒川の一社だけになっているエボナイトの加工工場がございます。もともとはボウリングに使うような、そういう素材だったそうですけれども、業績は落ち込む、需要がなくなっていく、そういう業態の中で、私ども、今年、視察をしてまいりました。
 様々なお声を伺いながら、東京都の伴走支援の制度を使いながら、また、生産性を向上させるためのDXの補助金を使いながら、何とこの十数年間で四倍から五倍の売上げになっていった。そして、その売上げ、供給量が間に合うように生産性が大きく向上したのは、東京都の支援をうまく活用できたからなんだということで、社長さんが喜んでいらっしゃいました。そして、生産性が向上した、売上げが四倍から五倍になった、その分を、そのまま全従業員の賃上げに使っていますということで、見事に東京都の支援策がはまった一例だと思います。
 こうした賃上げの実現を目指す中小企業に対しまして、さらに支援策を広げていくことが必要だと思います。今、私がお話ししたような現在の利用実績と、また取組の内容を含めまして、ご答弁をお願いいたします。

○福田商工部長 都は、中小企業が生産性向上に役立つデジタル機器などを導入する際に、専門家が機器等の提案から導入後のフォローまでを一貫してサポートするとともに、その成果を計画的に賃上げにつなげた場合に助成率を引き上げております。
 九月末時点で、デジタル技術に詳しい専門家が二百十一社を巡回し、最新の設備やシステムの導入などの提案を行っております。
 また、昨年度は、賃上げの計画を策定した事業者が約五二%でありましたが、今年度は九月末時点で約五九%に増加しております。
 今後は、取組事例を業種別に分かりやすく発信するなど、中小企業のさらなる賃上げを後押ししてまいります。

○慶野委員 東京都の制度を活用してサポートしていけば、まちの小さな中小企業でさえも、生産性が何倍という単位で上がって、そして賃上げに結びついた、そこに就職していただいた方、奨学金のお手伝いもしますよ、そして早期離職にならないように定着の支援もしますよ、こういう重層的な産業労働局の支援策に心から敬意を表したいと思います。
 観光部長、すみません。ご用意いただきましたけれども、数問飛ばします。皆様からありましたし、時間も時間です。
 最後になりますけれども、八丈島、台風の件がありました。前の委員の皆様からも種々ありましたので、状況、いかに悲惨な状況かという言葉は割愛しまして、この支援をどのように行っていくか。
 私も現地を見てまいりまして、地元の我が党の町議会議員、それから東京都の八丈支庁長にもお会いしました。八丈町の町長にもお会いしてまいりました。そして、各種、漁業から農業から観光業、あらゆる皆様方からお声を聞きながら、都立八丈高校避難所にも行ってまいりました。
 その中でも、島、観光、暮らしを支えているのは、特に観光、漁業、こういった職業が主に八丈の皆様のなりわいになっておりますので、一つ一つ聞いている時間はもったいないので、端的に、まずは漁業の早期再開に向けた都の具体的な支援策、取組をお伺いいたします。

○榎園農林水産部長 都は、漁協からの要請を受け、生活用水に影響を与えずに漁業用の氷をつくるために必要な水の輸送を島外から行いました。
 具体的には、海洋観測などの任務に当たる漁業調査指導船「みやこ」と「やしお」を活用しまして、十月二十九日、十一月四日に大島で給水した水を八丈島に運搬するとともに、東京都漁業協同組合連合会と連携し、給水車を島外から派遣するなどにより、漁協の製氷施設に水を供給いたしました。
 これを受け、漁協では段階的に製氷を再開し、断水解消以降、十一月十一日には一斉に漁業を再開してございます。
 今後とも、要請があれば速やかな派遣を行ってまいります。

○慶野委員 一つ一つの確認は今日は遠慮しますけれども、今お話しいただいたように、この東京の本土のように、例えば水道管一つ取っても、網の目のように通っていなくて、給水の施設から一本しかない。一本破断されただけで、もう島中の水が止まるということで、つい数日前まで水が通っていなかった状況で、この水が流れない漁港に、製氷機が壊れる、そこにそもそも水が行かない、水揚げがあったとしても、冷やす冷蔵庫も止まっている。こうした状況で漁業は壊滅、観光もないのでホテルも壊滅、アシタバの工場も壊滅。
 こうした中で、私、農林水産省、それから水産庁にも確認をいたしました。こういう漁業や生産業を営んでいらっしゃる方、農業の方々に、どういうふうに支援を国として行っていくのか。
 基本的には共済制度で支援をすることになっているんだということでしたけれども、八丈のこの労働の方々、共済加入率は八割程度になっていて、二割の方々、とりわけ小さな事業者さんだと思いますけれども、共済費も納めていなかったそういう方々にとっては、何ら国からの支援も入らずに困っている。そして、これは事業者さんだけではなくて、島の方々の移動の足は、ほぼ全て車。その車が台風で倒される、水につかるということで、車も車両保険に入っていない方々は、もう足そのものがなくなっていく。産業だけでなくて、暮らしも全部止まっていくという、こういう状況。
 本当は一個一個確認したいんですが、ある責任がありまして、私は遠慮をさせていただきます。
 こうしたあらゆる局、東京都でいえば各局にわたってあらゆる支援が必要になってまいりますけれども、今、一問だけ質問させていただいた漁業だけではなくて、観光から農業から全ての生活に至るまで、島の産業の復旧、そして生活の復興、その全てを代表して局長に問わせていただいて、質問を終わります。

○田中産業労働局長 今回の台風第二十二号及び第二十三号によりまして、八丈島、青ヶ島では、断水や停電をはじめ、島民の生活にも大きな混乱が生じてございます。
 事業者の皆様にも深刻な影響が出ておりまして、被災前の生活が取り戻せるよう、迅速に支援していくことが必要だというふうに考えてございます。
 このため、都は、発災直後から被害状況の把握に努めるとともに、事業者への資金繰り支援や農業用資材への緊急支援などの現場の実態に合わせた支援を展開してまいりました。
 復旧に向けた事業者の経済活動を着実に後押ししつつ、島の強みである観光業をはじめ、中小企業の皆様や農林水産事業者の皆様が安心して復旧復興に向けて取り組めるよう、島の実態を踏まえた支援を実施していくことが重要でございます。
 引き続き、地元の声を丁寧に伺いながら、島民の皆様の日常を一日も早く取り戻せるよう、国などとも連携し、島内産業の再生に向けて全力で取り組んでまいります。

○山田委員 まず、女性活躍についてお伺いいたします。
 この質問をする背景を少しお話しさせていただきます。
 私は、都議選で、女性、介護、福祉を支え、女性も高齢者も自分らしく輝く東京へということで活動してまいりました。働きを通じてやりがいや自分らしさを発揮して、充実した人生を送ってほしいと考えております。
 都内の女性の就業者数ですが、平成二十六年の約三百十三万人から、令和六年には約三百六十七万人と着実に増加をしてまいりました。
 私自身は、高校時代に簿記の資格を取得したことをきっかけに税理士の受験資格を得まして、そこから受験と実務経験を重ねて資格を取って、平成二十六年に独立開業をすることができました。自分で進路を選択して仕事を続けてまいりましたが、私の周りの女性たちは、出産や育児をしながらキャリアを築いて、納得ができるような経験を積むといったことができた人というのは少数派でございます。家庭で家事、育児を主に担いながら、職場環境と折り合いをつける中で、もっとキャリアを積みたいと思いがあっても、それを諦めてきた女性たちも多くいらっしゃいます。
 都は、現在、働く場における女性活躍を一層推進するため、条例の検討を進めています。第三回定例会で報告された条例の基本的な考え方によりますと、女性一人一人が個性や能力を発揮し、活躍できる社会を目指すとなっております。
 これまでのように、女性一人一人の頑張りや努力に頼るのではなくて、本当の意味で女性活躍というものを進めていくために、そのお一人お一人の希望に応じて職場でキャリアアップができるように、人材の採用、配置、育成を行う企業側に求められる役割は重要であると考えております。その際には、大企業だけではなくて、中小企業の取組も進めていただくように推進していく必要がございます。
 そこでご質問申し上げます。
 現在、都では、働く場における女性活躍の推進に向けて、中小企業も含めてどのように働きかけを行っているのか、伺います。

○吉浦働く女性応援担当部長 都では、働く場で女性が能力を発揮できるよう、経営者の意識改革や職場の文化の変革を促すために、東京女性未来フォーラムを開催しております。
 フォーラムでは、企業の経営者から、女性の登用を進め、誰もが能力を発揮しやすい職場づくりに向けた取組を紹介するとともに、今後の自社の女性活躍推進の方向性について発信をしていただいております。
 また、こうした女性の登用に意欲を持つ企業同士のネットワークづくりを推進いたしますために、リーダー育成に有効な方策など、女性活躍を進めるための知見、それからヒントを得ることができる企業交流会、それから、管理職やキャリアアップに関心のある女性が必要な知識やスキルなどを学ぶ研修プログラムを実施しております。
 この事業には多くの中小企業様も参加をしております。参加者からは、ほかの企業とのネットワークをつくることができて、事例や本音を伺うことができたですとか、他社の状況や悩みを聞いて、同じような悩みであるということを知って頑張りたいと思えたといったような声を寄せていただいております。
 こうした取組を通じまして企業における組織文化の改革を促しまして、女性登用などに取り組む企業のネットワークを広げて、働く場における女性活躍を推進してまいります。

○山田委員 ありがとうございます。大企業だけではなくて、中小企業も含めて、先進的な取組を進める企業の事例を広く紹介するとともに、女性が働きやすい環境整備を進める企業同士、また、企業で働く女性たちがつながって学び合う仕組みをつくって、その拡大に努められているということがよく分かりました。ありがとうございます。
 しかしながら、ジェンダーギャップ指数では、日本の順位は長年低迷しており、その原因は経済の分野での遅れ、特に女性管理職の割合の低さと同一労働における男女の賃金格差にあると指摘がされております。
 このような状況から、女性管理職の増加をはじめとする働く女性のキャリアアップ、処遇改善は喫緊の課題であります。
 私たちが提案してまいりました、時短で勤務をする方の管理職登用などを進める企業への支援について、都の今年度の取組状況を伺います。

○新田雇用就業部長 都は、働く女性の処遇向上や男女間の賃金格差改善を行う企業に対し、奨励金を支給する取組を行っております。
 具体的には、女性活躍推進に関するセミナーを受講して専門家の派遣を受け、女性管理職の増加や、短時間労働者などの非正規従業員でも登用が可能な役職の新設などを行い、女性活躍推進法に基づく行動計画や男女の賃金差異の公表を行う企業に対し、奨励金を最大百万円に拡大して支給することとしており、今年度は十月末までに百四十七社から奨励金の申請を受けております。
 これにより、女性管理職の増加などに取り組む企業の後押しを行っております。

○山田委員 ありがとうございます。こうした取組によって、女性のキャリアアップを進める企業の支援を後押ししているということが分かりました。引き続き、好事例の紹介などを通じて、男女の賃金格差の解消に向けた取組を進めることに期待をしております。
 次に、働く女性のキャリアアップに向けた支援についてお伺いいたします。
 現在、女性労働者の半数以上が非正規雇用でありますが、こうした女性の中には、自身のキャリアアップに意欲的な方も多く存在していらっしゃいます。
 女性が働く意欲や適性に応じて十分に能力を発揮できるよう、非正規雇用の女性へリスキリングの機会を提供し、働きやすい職場への就職の後押しを行うことが重要であると考えております。
 都は、こうした課題に対応するため、女性向けキャリアチェンジ支援事業を実施されておりますが、今年度の取組状況についてお伺いいたします。

○新田雇用就業部長 都は、非正規雇用で働く女性等を対象に、eラーニングによる能力開発や求人紹介等の就職支援を一体的に実施し、希望するキャリアの実現を後押ししております。
 具体的には、経理やマーケティングといった事務系の講座のほか、プログラミングやデータ分析といった専門的な講座などの十五種類のコースを用意し、受講生が希望やキャリアに応じてコースを自由に選択できる仕組みとしております。
 今年度は五百二十九名が受講しており、受講生同士の交流や情報交換ができるよう、仮想空間を活用したコミュニティスペースも整備しています。
 また、専門家が一人一人に寄り添ってキャリアカウンセリングを行い、本人の希望や適性に合った就職先を紹介するほか、正社員就職に役立つセミナーなどを実施しております。

○山田委員 都が非正規で働く女性に対して、きめ細かくスキルアップの支援や就職のサポートを行っていることが分かりました。ありがとうございます。
 今後も働きやすい仕事へのキャリアシフトが進むことを期待して、最後の質問に移ります。
 女性が働く場で活躍し続けるためには、ライフイベントや家庭生活と仕事との両立について、本人の意思が尊重され、幅広いキャリアの選択肢が確保されることが重要です。
 こうした女性の悩みには、複数の課題が絡み合っている場合や、女性特有の健康問題が関係する場合なども多く含まれています。また、中小企業で働く多くの女性は、身近に相談できる人がいない、ロールモデルが身近におらず、職場以外の人に話を聞いてみたいという状況にあります。
 こうした現状を踏まえまして、行政が働く女性の悩みに寄り添って相談や助言を行うことが必要であると考えております。
 都は、昨年九月に、はたらく女性スクエアを開設し、相談対応などを通じて働く女性の活躍を支援されておりますが、今年度の取組状況と成果についてお伺いいたします。

○富岡事業推進担当部長 はたらく女性スクエアでは、働く女性の子育てとの両立やキャリアに関する悩みなどに対して、総合相談窓口でキャリアコンサルタントや管理職経験者等のメンターが相談に応じております。
 今年度から新たに、女性が抱える更年期やPMSなどの健康に関する悩みに対し、保健師等の専門家による週に一回の相談対応を開始いたしました。
 今年度は、十月末までにキャリア相談を二千三十五件、社外メンター相談を五百五十九件、健康課題相談を五十七件実施いたしました。
 さらに、様々な環境で働き、多様な経歴を持つ方々が自分自身の経験談を語るイベントを開催しまして、百五十五名が参加いたしました。

○山田委員 ありがとうございました。今年度の実績から、はたらく女性スクエアが働く女性の悩みに寄り添い、着実に取り組んでいるということがよく分かりました。
 今後も、女性が個性や能力を発揮して活躍できるよう、引き続きしっかり支援していただくことを要望して、質問を終わります。

○大山委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大山委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で産業労働局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後十一時二分散会