| 委員長 | 大山とも子君 |
| 副委員長 | もり 愛君 |
| 副委員長 | 渋谷のぶゆき君 |
| 理事 | 両角みのる君 |
| 理事 | 慶野 信一君 |
| 理事 | 藤田りょうこ君 |
| いいだ健一君 | |
| さとうさおり君 | |
| おぎの 稔君 | |
| 上田 令子君 | |
| 山田あさみ君 | |
| 三雲 崇正君 | |
| 福井ゆうた君 | |
| 山崎 一輝君 |
欠席委員 なし
出席説明員| 産業労働局 | 局長 | 田中 慎一君 |
| 次長理事兼務 | 関口 尚志君 | |
| 理事 | 奈良部瑞枝君 | |
| 総務部長 | 阿部 泰之君 | |
| 産業企画担当部長DX推進担当部長兼務 | 前田 泰伯君 | |
| 企画調整担当部長女性活躍推進担当部長兼務 | 齋藤 順君 | |
| 企画調整担当部長 | 下羅 智宏君 | |
| 働く女性応援担当部長 | 吉浦 宏美君 | |
| 国際金融都市推進総括担当部長 | 村本 一博君 | |
| 商工部長 | 福田 哲平君 | |
| 商工施策担当部長 | 大川 徳明君 | |
| 金融部長 | 原 郁君 | |
| 金融支援担当部長 | 松田 義史君 | |
| 産業・エネルギー政策部長 | 米澤 鉄平君 | |
| 産業政策連携促進担当部長 | 岡野 守治君 | |
| 新エネルギー推進担当部長 | 服部 勇樹君 | |
| 観光部長 | 江村 信彦君 | |
| 観光振興担当部長 | 前田 千歳君 | |
| 農林水産部長 | 榎園 弘君 | |
| 安全安心・地産地消推進担当部長 | 田代 純子君 | |
| 雇用就業部長 | 新田 智哉君 | |
| 事業推進担当部長 | 富岡麻紀子君 | |
| 港湾局 | 局長 | 田中 彰君 |
| 次長 | 樋口 隆之君 | |
| 技監 | 村田 拓也君 | |
| 総務部長 | 戸谷 泰之君 | |
| 企画担当部長DX推進担当部長女性活躍推進担当部長兼務 | 石井 均君 | |
| 調整担当部長 | 勝見 恭子君 | |
| 港湾経営部長 | 野平雄一郎君 | |
| 港湾振興担当部長 | 原田 幸定君 | |
| 臨海開発部長 | 若林 憲君 | |
| 開発調整担当部長島しょ空港技術担当部長兼務 | 水飼 和典君 | |
| 臨海副都心まちづくり推進担当部長 | 渡邊 正也君 | |
| 港湾整備部長 | 佐藤 賢治君 | |
| 計画調整担当部長 | 廣松 智樹君 | |
| 港湾計画担当部長港湾DX推進担当部長兼務 | 儀間 潔君 | |
| 離島港湾部長 | 原田 和生君 | |
| 島しょ・小笠原空港整備担当部長 | 松本 祐一君 |
本日の会議に付した事件
港湾局関係
契約議案の調査
・第二百三十二号議案 新海面処分場(七)Dブロック東側護岸遮水・裏埋工事請負契約
付託議案の審査(質疑)
・第二百四十号議案 特種用途自動車(東京都八丈島空港用化学消防車)の買入れについて
・第二百五十三号議案 東京都調布飛行場内の都有地に係る建物等収去土地明渡し等の請求に関する民事訴訟の提起について
産業労働局関係
契約議案の調査
・第二百二十八号議案 東京国際展示場(七)特別高圧受変電設備その他改修工事請負契約
付託議案の審査(質疑)
・第二百三十九号議案 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター中期目標について
報告事項(質疑)
・女性の活躍に関する条例(仮称)の基本的な考え方について
・令和六年度地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター業務実績評価について
・地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター第四期中期目標期間の終了時に見込まれる業務実績評価について
・私債権の放棄について
・東京都が東京信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄の報告について
付託議案の審査(説明・質疑)
・議員提出議案第九号 東京都中小企業者賃上げ応援助成金条例
○大山委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
初めに、契約議案について申し上げます。
契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
公文の写しはお手元に配布してあります。
朗読は省略いたします。
令和七年十月二日
東京都議会議長 増子博樹
(公印省略)
経済・港湾委員長 大山とも子殿
契約議案の調査について(依頼)
左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
記
1 調査議案
第二百二十八号議案東京国際展示場(七)特別高圧受変電設備その他改修工事請負契約
第二百三十二号議案新海面処分場(七)Dブロック東側護岸遮水・裏埋工事請負契約
2 提出期限 令和七年十月六日(月)
○大山委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、港湾局及び産業労働局関係の契約議案の調査及び付託議案の審査並びに産業労働局関係の報告事項に対する質疑を行います。
これより港湾局関係に入ります。
初めに、契約議案の調査を行います。
第二百三十二号議案を議題といたします。
本案につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○戸谷総務部長 去る九月十八日の当委員会におきまして、契約議案に関して要求のございました資料についてご説明いたします。
お手元の経済・港湾委員会要求資料をご覧いただきたいと思います。
表紙をおめくりいただきますと、目次に十件の資料の件名を記載してございます。このうち、番号の1番が契約議案に該当するものでございます。
それでは、一ページをご覧いただけますでしょうか。
1、新海面処分場(七)Dブロック東側護岸遮水・裏埋工事に係る入札結果、入札参加条件、入札参加可能事業者数、入札辞退理由並びに低入札価格調査対象者への聴取の日時及び内容でございます。
(1)、入札結果でございます。本件に係る入札者氏名及び入札金額を記載してございます。
(2)、入札参加条件及び入札参加可能事業者数でございます。一ページから二ページにかけまして、本件に係る入札参加条件及び入札参加可能事業者数を記載してございます。
(3)、入札辞退理由、(4)、低入札価格調査対象者への聴取の日時及び内容については、該当ございません。
以上で、契約議案に関して要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○大山委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○上田委員 新海面処分場(七)Dブロック東側護岸遮水・裏埋工事についてですけれども、この新海面処分場整備事業開始以来、入札不調や想定外の現場での問題など発生しなかったのか、これまでの工事の進捗と取組、今後の予定をご説明ください。
○佐藤港湾整備部長 新海面処分場は、平成八年度から、AからGまでの計七ブロックに分けまして段階的に護岸の整備を進めており、これまでA、B、C、Gの計四ブロックが完成しておりまして、平成二十一年度からDブロックの工事に着手をしてございます。
過去に入札不調による再発注や、気象、海象による現場の工期延伸などがございましたが、その後の作業工程の工夫などによりまして着実に整備を進めており、今後の経済状況や新たな技術の進展に合わせまして深掘りなどの容量拡大策を図りながら、将来発生する廃棄物等を適正に処分できますよう、引き続き適切に対応してまいります。
○上田委員 長期間かかり、メンテナンスをしながら、また新規の処分場を増やしていくということであります。一千三百万人都市ですので、喫緊の課題を解決しながら進めていただければと思います。
一応、入札の方も確認させてください。
東洋・みらい建設共同企業体が決定したようですが、専門技術を要する工事であることから、参加事業者十五者のうち二者が手を挙げ、決定したことは、まあまあ妥当な結果と思料するものですが、公正、公明、公平に実施されたのか、経緯と、これまでの実績を踏まえての入札結果の妥当性、決定した事業者のこれまでの実績と評価を確認します。
○佐藤港湾整備部長 本件の契約方法につきましては、一般競争入札によるものでございまして、法令等に基づき、適切に手続を行っております。
本件契約の相手方である事業者につきましては、河川工事について、都と契約実績がございます。また、本件の入札参加資格を有していることを確認しております。
○上田委員 では、引き続き、適正な入札と適正な事業者選定、今後、また物価高騰の問題もありますけれども、工事が遅滞ないようにお願いをしたいと思います。
以上です。
○大山委員長 ほかに発言はございますか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○大山委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大山委員長 異議なしと認め、契約議案に対する質疑は終了いたしました。
お諮りいたします。
本案は、異議のない旨、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大山委員長 異議なしと認め、そのように決定いたします。
以上で契約議案の調査を終わります。
○大山委員長 次に、付託議案の審査を行います。
第二百四十号議案及び第二百五十三号議案を一括して議題といたします。
本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○戸谷総務部長 去る九月十八日の当委員会におきまして、事件案に関して要求のございました資料につきましてご説明をいたします。
お手元の経済・港湾委員会要求資料をご覧いただきたいと思います。
表紙をおめくりいただきまして、目次の番号の2番から10番が事件案に該当するものでございます。
それでは、三ページをご覧ください。2、特種用途自動車(東京都八丈島空港用化学消防車)の買入れに係る入札結果、入札参加条件、入札参加可能事業者数、入札辞退理由並びに低入札価格調査対象者への聴取の日時及び内容でございます。
(1)、入札結果でございます。本件に係る入札者氏名及び入札金額を記載してございます。
(2)、入札参加条件及び入札参加可能事業者数でございます。本件に係る入札参加条件及び入札参加可能事業者数を記載してございます。
(3)、入札辞退理由、(4)、低入札価格調査対象者への聴取の日時及び内容については、該当がございません。
四ページをご覧ください。3、調布飛行場内の自家用機の離着陸回数でございます。
平成三十年九月から令和七年八月末時点までの調布飛行場内の自家用機の離着陸回数につきまして、年度ごとに記載してございます。
五ページをご覧ください。4、大島空港以外の移転先調査の実施状況及び移転実績でございます。
関東地方及びその近郊に所在する空港等に対する移転先調査の実施状況及び移転実績につきまして、それぞれ記載をしてございます。
六ページをご覧いただけますでしょうか。5、遊覧飛行を防止するための主な取組でございます。
遊覧飛行を防止するための主な取組につきまして記載してございます。
七ページをご覧ください。6、日本エアロテック株式会社が滞納をし始めた時期など、東京都との主な係争歴でございます。
日本エアロテック株式会社と東京都との主な係争歴につきまして記載してございます。
八ページをご覧ください。7、特種用途自動車(東京都八丈島空港用化学消防車)の買入れの法的根拠、空港区分と必要車両台数でございます。
本件に係る法的根拠、空港区分と必要車両台数につきまして、それぞれ記載をしてございます。
九ページをご覧ください。8、八丈島空港が所有する化学消防車の台数と経過年数(令和七年三月三十一日時点)でございます。
令和七年三月三十一日時点の化学消防車の所有台数及び経過年数につきまして、それぞれ記載してございます。
一〇ページをご覧ください。9、八丈島空港消防隊員の人数でございます。
八丈島空港の運用時間に常駐している人数につきまして記載をしてございます。
一一ページをご覧ください。10、特種用途自動車(東京都八丈島空港用化学消防車)の買入れに係る入札参加可能事業者一覧でございます。
本件に係る入札参加可能事業者の一覧につきまして記載してございます。
以上で、事件案に関して要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○大山委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○上田委員 特種用途自動車の買入れでございます。
対象事業者四十者のうち二者が入札参加、帝國纎維に決定したようです。
適正に入札は行われたものと考えられますが、入札結果の妥当性、決定した事業者のこれまでの実績と評価を伺います。
また、通常、消防車は、今般議案にも上がってきていますが、東京消防庁が購入するものなのですが、空港限定利用なことから港湾局が購入するとのことです。
有事のときの消防庁との連携、これ、町消防だと思うんですけれども、専門性が必要なメンテナンスと、そのコスト負担についても確認させてください。
○松本島しょ・小笠原空港整備担当部長 本件の入札方法につきましては、一般競争入札によるものでございまして、法令等に基づき、適切に手続を行ってございます。
本件契約の相手方である事業者は、特種用途自動車(ポンプ車等)につきまして、都と契約実績がございます。また、本件の入札参加資格を有していることを確認してございます。
空港用消防車の配備等につきましては、航空法等に基づき空港管理者が行うこととされてございます。消防業務及び日常の点検整備業務につきましては、八丈町消防本部に委託してございます。
○上田委員 ありがとうございます。八丈島消防本部にメンテナンスは委託しているということですが、コストは港湾局という理解でいいですね。──コストは港湾局ということで。はい、承知いたしました。
以上です。
○大山委員長 ほかに発言はございますか。よろしいですか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○大山委員長 ほかに発言がなければお諮りいたします。
本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大山委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
以上で港湾局関係を終わります。
○大山委員長 これより産業労働局関係に入ります。
初めに、契約議案の調査を行います。
第二百二十八号議案を議題といたします。
本案につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○阿部総務部長 去る九月十八日の当委員会で要求のございました資料のうち、今回ご説明申し上げますのは契約案に係るものでございます。
お手元の経済・港湾委員会要求資料の表紙をおめくりください。
目次の項目1につきましてご説明申し上げます。
一ページをご覧ください。東京国際展示場(七)特別高圧受変電設備その他改修工事契約締結に係る入札結果、入札参加条件と入札参加可能事業者数及び辞退理由、低入札者への聴取の日時と内容を一ページと二ページにお示ししてございます。
以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
○大山委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○上田委員 東京国際展示場についてです。
この東京国際展示場は、日本最大の展示場として一九九五年十月に整備をされました。有明GYM―EXも含めた現在の展示面積、開館以降これまでの年間利用平均件数、世界やアジアにおいての位置づけをご説明の上、休館以降実施されている改修工事計画と進捗、今後の予定をお示しください。
このところ、各公共工事で散見されている不調、原材料高の課題等、不測の事態もあったと思いますので、その点に関してもお述べの上、方向や対応についてもご説明ください。
○大川商工施策担当部長 都は、国内最大の総合コンベンションセンターとして東京国際展示場を整備し、日本だけでなく、世界の産業や文化の発展と交流に寄与しております。
現在の展示面積は十二万四千八百二十平米でございます。なお、東京国際展示場は、二〇二五年一月に公表された国際見本市連盟の調査によりますと、世界で五十六位、アジアで二十四位でございます。
開業以降、令和六年度までの展示会等の年間利用平均件数は約二百七十七件となっております。
東京国際展示場における改修工事は、令和五年六月から令和七年十二月まで会議棟及び西展示棟、令和六年六月から令和八年十一月まで東展示棟、令和七年十月から令和十年八月まで特別高圧受変電設備等を実施してまいります。
工事を所管する財務局によりますと、不調や資材価格の高騰に対して、施工時期の平準化に加え、資材単価を毎月改正し、最新の実勢を踏まえた予定価格を設定するなど、事業者が入札に参加しやすい環境づくりに取り組んでおります。
○上田委員 入札に参加しやすい環境づくりに取り組んでくださっているということなんですけれども、資料によれば一者入札でした。三十一者、入札可能参加者があったと思いますが、なぜ一者だけになったのか。
法令などに基づき、適正に手続を取っているというご説明は重々承知しているところですが、これまでの実績を踏まえて、この入札結果について妥当性があったのか。一者となったことに健全性――コストについてもですよね、担保されているのか。
決定事業者のこれまでの産労局の工事事案に係る具体的な実績と評価を伺います。
○大川商工施策担当部長 落札者である株式会社関電工は、東京都建設工事等競争入札参加有資格者であり、事業者の実績や経営規模及び状況に基づく資格審査において、電気工事の業種でA等級に格付されております。
本件は、財務局において、競争性や履行の確保を図る観点から、施工実績等に関する入札条件を付した上で、電子入札による一般競争入札を実施したものでございます。
電子入札は、ほかの入札者の存在を知り得ない仕組みでありまして、結果的に一者入札となっても、競争性が担保されております。
法令、規則等に基づく競争性や公正性を確保した適正な契約手続により事業者が決定されております。
なお、これまで当事業者は、東京国際展示場における平成四年度新築工事、平成二十六年度改修工事、平成二十八年度南展示棟増築工事、令和五年度改修工事について、建設共同企業体の構成員として受注し、適切に履行しております。
○上田委員 確かに、関電工はビッグカンパニーで信頼性があるということは分かるんですけれども、従来、私も、入札の存在を知り得ない仕組みになっていながらも、非常に──辞退談合と、私、ちょっと自分で言葉をつくらせてもらったのですけれども、散見してきた部分もありまして、確認をさせていただいた次第でございます。
今後も、できれば競争入札のとおり、結果、一者になるのではなく、しっかり競争にしていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。
○大山委員長 ほかに発言はありませんね。──発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大山委員長 異議なしと認め、契約議案に対する質疑は終了いたしました。
お諮りいたします。
本案は、異議のない旨、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大山委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
以上で契約議案の調査を終わります。
○大山委員長 次に、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
初めに、第二百三十九号議案及び報告事項、女性の活躍に関する条例(仮称)の基本的な考え方について外四件を一括して議題といたします。
本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○阿部総務部長 去る九月十八日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元の経済・港湾委員会要求資料の表紙をおめくりください。
目次の項目2から6につきましてご説明申し上げます。
三ページをご覧ください。地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターの職員数を雇用形態別、男女別、六十二歳以上と未満で分けた内訳をお示ししてございます。
四ページをご覧ください。産業労働局における女性活躍推進に関連する事業の予算・決算を四ページから六ページにお示ししてございます。
七ページをご覧ください。働く女性応援事業、働くパパママ育業応援事業の支給件数及び支給総額をお示ししてございます。
八ページをご覧ください。過去十年間の産業労働局における東京都債権管理条例第十三条に基づく私債権放棄の状況をお示ししてございます。
九ページをご覧ください。過去十年間の東京都が東京信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄の状況をお示ししてございます。
以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
○大山委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○両角委員 都民ファーストの会の両角みのるでございます。
女性の活躍に関する条例の基本的な考え方について伺います。
先日、自民党総裁に高市早苗代議士が選出をされ、ガラスの天井を破り、いよいよ日本初の女性総理大臣の誕生かと、大きな注目を集めています。
ご案内のとおり、我が国では、一九八五年に男女機会均等法が成立をし、男女平等に向けた大きな第一歩となりました。以来四十年、様々な法規が整えられ、国や地方自治体をはじめ、各方面での取組が進められてまいりました。
都でもこれまで、我が会派の要望を受け、短時間勤務や管理職への登用に取り組む企業への支援を行うなど、女性が仕事を通じて力を発揮できる環境整備が進められてまいりました。
しかしながら、世界経済フォーラムによるグローバル・ジェンダー・ギャップ・レポートの二〇二五年の報告によれば、我が国の男女の機会平等総合スコアは六六・六%であり、世界百四十八か国中百十八位という状況にとどまっております。
こうした中、都は、新たに女性の活躍に関する条例を制定することとし、今般、都議会に対し、その基本的な考え方が示されました。
そこでまず、条例を制定する意義について質問をいたします。
既に女性活躍推進法があり、男女平等参画基本条例がある中で、あえて都が新たに女性活躍推進条例を制定する意義について伺います。
○吉浦働く女性応援担当部長 これまで都は、東京都男女平等参画基本条例に基づきまして、社会のあらゆる分野の活動に男女がひとしく参画できるよう、様々な施策を展開してまいりました。
雇用分野におきましては、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律なども踏まえまして、仕事と育児、介護などの両立支援策の充実などを推進しております。
人口減少社会が到来し、産業構造も変化する中で、東京が今後も持続的に発展していくためには、雇用就業分野において、女性が個性や能力を発揮して活躍できる環境整備を一層推進することが重要でございます。
女性がライフイベントと仕事の両立を図ることができる職場の実現に向けて、事業者には、より主体的に取り組んでいただくことが必要となります。
また、女性の進学や職業選択などに影響を及ぼしている社会の意識改革に取り組むことも必要でございます。
こうした認識の下で、今般、新たに条例を制定することといたしました。
○両角委員 ご答弁いただきまして、ありがとうございます。社会経済状況が大きく激変をする中で、女性が能力を発揮できる環境整備を一層進める必要がある、だから条例制定をしたいということでございました。
女性活躍推進法が、その目的に、女性が職業生活で、その希望に応じて十分に能力を発揮し、活躍できる社会を実現することとしていることに照らしてみますと、条例の趣旨、目的とは大きく変わるものではないと思います。
そうした中で、条例は屋上屋を重ねて、いたずらに企業負担ばかりが増えるものであってはならないと思います。
ご答弁では、事業者の主体性を重んじるとのことでございましたが、東京都の置かれた状況や特質を踏まえ、法と相まってシナジー効果を発揮できるような条例となるよう設計をしていくことが重要であるということを私からは申し述べておきたいと思います。
次に、想定される条例の中身について伺ってまいります。
東京には大企業が集積し、そこで働く正規の女性が多くいる一方で、非正規で働く女性やシングルマザー、フリーランスの方など多様な女性がいらっしゃいます。このことは、東京の女性就労の特徴の一つであるとも考えております。
さらに、現在、雇用関係になくとも、就職を目指し、将来働くために活動している方への目配りもまた必要ではないでしょうか。
こうした特質を踏まえて、多様な女性への配慮についても条例に盛り込むべきと考えますが、都の見解を伺います。
○吉浦働く女性応援担当部長 フリーランスの方や非正規雇用の方も含めて様々な形で仕事をしている女性や、就活生など仕事をしたいと希望する女性の選択肢を拡大するため、新たな条例を制定することとしております。
条例では、事業者に対し、女性が個性や能力を発揮して活躍できる環境づくりに取り組むことを求めてまいります。
また、雇用分野等において女性の選択肢が広がるよう、職場や社会に残る性別による無意識の思い込みの払拭にも取り組んでまいります。
○両角委員 ありがとうございます。フリーランスの方や非正規雇用の方も含めて様々な形で仕事をしている女性のみならず、これから就職を目指す就活生なども含めた女性の選択肢拡大を目指すということで、多様な女性への配慮を考えているということが理解をできました。
女性の働き方を変えていくには、当然に、共に働く男性の働き方そのものが大きく変わっていく必要があると考えております。
そこで、新たに制定する条例には、男性の育休取得や短時間勤務の普及なども位置づけていくべきではないかと考えますが、ご見解を伺います。
○吉浦働く女性応援担当部長 新たな条例では、事業者に性別に偏らない組織づくりや就業者の男女間格差の解消などを求めておりまして、具体的な事項などにつきましては指針に定めることとしております。
例えば、男女とも仕事と家庭の両立支援制度が利用しやすい職場づくりや、長時間労働を前提とした仕事の仕方の見直しなど、具体的な事例を示しまして、性別に関わらず職場全体で取り組むよう促してまいります。
女性が働きやすい環境は、男性にも働きやすい環境につながると考えております。
○両角委員 今後策定される指針に基づいた具体的な取組を通じて、男性も女性も働きやすい環境をつくっていくということでございました。男性の働き方を変えていく必要についても認識をされているものと理解をいたします。
多様な人々が暮らす東京にあって、生活や仕事に対する考えは人それぞれでございます。
こうした中、条例制定に当たっては、自らの意思では働かない方やパートタイムを選択する、そういった方が、キャリアを求めてフルタイムの正社員で働かなくてはならないというような脅迫観念を持たれることのないような配慮が必要と思いますが、見解を伺います。
○吉浦働く女性応援担当部長 新たな条例は、現在働いている、あるいは働くことを希望する方を対象とするものでございまして、働くことを強いるものではございません。
また、雇用分野などにおける女性の選択肢の拡大を目指すものでございまして、特定の働き方を強いるといったようなものでもございません。
今後、パブリックコメントなどに当たりましては、都民の皆様にこうした趣旨をしっかり理解していただけるように工夫してまいります。
○両角委員 条例は、働くことや特定の働き方を強いるものではないとのご答弁でございました。都民の皆さんにそうした理解をいただけるよう努めてもらうように要望いたしたいと思います。
基本的な考え方では、条例に定める内容案が示されております。そこでは、事業者の責務として、女性の尊厳を傷つける行為を行わないことのほかに、事業者が主体的に取り組むこととして、性別に偏らない組織づくりの推進や就業者の男女間格差解消等が挙げられていますが、私は、格差解消といったマイナスをなくす取組だけではなくて、より積極的に女性のキャリア形成への取組を求めるべきだと考えております。
そこで、事業者の責務として、女性のキャリア形成を積極的に促すことを条例に盛り込むべきではないかと思いますが、見解を伺います。
○吉浦働く女性応援担当部長 女性が職場における自分自身のキャリアを考え、適切な選択ができるようにするためには、事業者がキャリアプランを示すことが必要でございます。
都は、指針において、女性の採用や人材育成、意思決定層への登用などに事業者が計画的に取り組めるよう、具体的な事例などを示してまいります。
○両角委員 事業者が女性のキャリアプランを示すことは必要であるとの認識が示されました。具体的には指針で示すということですが、それぞれの事業者が女性のキャリアプランをしっかりと考えていくということは、やはり重要なことだと思いますので、より積極的な項目として、事業者の責務として位置づけていただくことも検討をお願いしたいと思います。
さて、先ほど来、指針という言葉が再三出てまいりましたが、条例において、都の策定する指針は重要な役割を担います。
そこで、指針に定める指標についてどのようなものを想定しているのか、伺います。
○吉浦働く女性応援担当部長 指標といたしましては、例えば従業員の男女比率や両立支援制度の利用率など、企業における女性活躍の状況を把握できるものを想定しております。
○両角委員 指標については今後ということでしょうが、後ほど検証可能なものを指標として設定をしていただきたい、そんなふうに思います。
さて、次に、男女平等参画推進総合計画との関係について伺います。
条例制定に向けて、来年度改定予定の男女平等参画推進総合計画との連携についてはどのように図っていくのか、伺いたいと思います。
○吉浦働く女性応援担当部長 令和八年度中に改定が予定をされております東京都男女平等参画推進総合計画に、新たに制定する女性の活躍に関する条例(仮称)の趣旨を反映しますよう、計画を所管する生活文化局と連携して進めてまいります。
○両角委員 とかく都庁は縦割りといわれますので、ぜひ両局、そごのないように、しっかり連携を取って取り組んでいただきますよう、よろしくお願いをいたします。
引き続き、検討プロセスについて伺います。
条例制定に向けて、当事者の女性の声をしっかりと把握をし、反映をすることは重要なことですが、検討作業の中で、当事者として働く女性の声はどのように反映をされたのか、また、条例化に向けて当事者の声をいかにして反映していくつもりか、ご見解を伺います。
○吉浦働く女性応援担当部長 条例を含め、女性の活躍を促進するための方策につきまして、働く女性の状況に知見を有する学識経験者や経営者、労働団体の代表などで構成する会議において検討してまいりました。
また、女性が少ない産業分野等で働く女性の団体や、女性が働きやすい職場づくりに取り組んでいる事業者などにヒアリングを行ってまいりました。
加えまして、これまで都が実施した様々な調査や施策を通じて得た意見なども踏まえまして、今回の基本的な考え方を取りまとめたところでございます。
今後、条例素案を取りまとめましてパブリックコメントを実施し、広く意見を伺ってまいります。
○両角委員 検討部会あるいは検討会議では、経営者の団体代表あるいは労働者団体の代表、さらには学識経験者等が参加をされて議論を進めていただいてきたわけでございますが、そのほかに、女性団体や事業者へのヒアリング等を実施し、当事者の声を拾ってきたということを理解いたします。
今後のパブリックコメントでは、より直接的に働く女性の声を把握ができるような、そんなチャネルだと思いますので、工夫をしていただきますよう要望をいたします。
さて、いかにすばらしい理念を掲げても、それが実現をしなければ、あまり意味がありません。条例化に当たり問われるのは、やはり実効性ではないでしょうか。
そこで、ここからは、いかにして実効性を確保していくかについてお聞きをいたします。
企業の業績や規模により、有するリソースや取り組むべき課題は様々です。こうした中で、業種や企業規模等、企業の特性に合わせた取組方策についてはどのようにしていくつもりか、お伺いをしたいと思います。
また、このような状況において、経済団体には一層の役割が期待をされると思いますが、経済団体がその役割を果たせるよう、より具体的にその役割を条例に規定をすべきではないかと考えますが、見解を伺います。
○吉浦働く女性応援担当部長 都内には様々な事業者がございまして、事業者がそれぞれの状況に応じた取組を計画的に進めることができるよう、指針におきまして、業種や規模を踏まえた具体的な事例などを示してまいります。
また、条例では、経済団体の責務として、条例の趣旨を業界内で普及することなど、事業者の取組を促進することを定めることとしておりまして、具体的な取組事項につきましては指針に盛り込んでまいります。
○両角委員 具体的な取組事項は指針に盛り込んでいくというご答弁でございました。
業界により、置かれた状況がその事業所ごとに大きく違うと思いますので、経済団体はそういった状況をよく把握もされている、そういった業界の皆さんの集まりでしょうから、そういった経済団体と密に連携をして、条例の実を上げていくということを期待したいと思います。
東京は、大企業の本社や事業所が集積をしているわけでございますが、一方で、全国に比して、中小零細企業への就労率は少ないともいわれています。それでも半数近くが中小零細企業に就労していると思われます。
大企業については、まさにマンパワーもいっぱいあり、リソースもいっぱいあるわけですね。また、法では、百一人以上の企業については、女性活躍推進法では義務づけの網がかけられている。
こうしたことを考えますと、東京での女性活躍は、小規模企業におけるこの取組の進展が鍵を握るのではないか、このように思いますが、小規模企業へのフォローについての都の見解を伺います。
○吉浦働く女性応援担当部長 企業における女性活躍に向けた取組に関しまして、ノウハウが不足している小規模な事業者においても取組が進みますよう、指針において、業種や規模を踏まえた具体的な事例などを示してまいります。
○両角委員 ノウハウやリソースが不足をする小企業ならではの課題を踏まえ、フォローアップをしていっていただくことが重要と考えますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。
最後に、条例制定後の検証と取組について伺います。
条例化後の進捗状況を把握し、効果検証を行うことは重要ですが、進捗状況の把握に当たっては、事業者に調査を行うだけではなく、経済団体にもヒアリングをすることが有効と考えます。
また、女性活躍を進めるためには、検証結果を踏まえて、事業者に対し、今後の取組の方向性について助言等を行うことが必要であり、その際にも経済団体と連携することが効果的であると考えますが、見解を伺います。
○吉浦働く女性応援担当部長 都では、女性活躍の状況を把握するために、例えば、従業員の男女比率や両立支援制度の利用率など、進捗状況の調査を行うこととしております。
調査結果を踏まえまして、事業者の実態に応じた施策の見直しや改善を図るほか、必要な場合には指針の改定を行ってまいります。
状況把握につきましては、経済団体にも協力を求めてまいります。
さらに、事業者がそれぞれの状況に合わせて女性活躍の取組を進められるよう、経済団体とも連携して後押しをしてまいります。
○両角委員 今回発表されました基本的な考え方では、事業者に計画提出を求めたり、あるいは罰則規定を設けることということはなしに、あくまでも事業者の主体的な取組を求めることとしております。
特に、事業者の中でも中小零細企業の負担が増えるようなことがないようにすべきとは思いますが、一方で、条例の実効性の確保には、事業者の特質を踏まえた適切な都の取組と、経済団体と連携したフォローアップが必要であると思います。
条例の実効性を上げていくには、適切にPDCAサイクルを回すのはもちろんのこと、条例施行後の状況に応じて柔軟に見直しを行い、アジャイルに進めるということも重要ではないかと思います。
今後、当事者の女性や関係する団体の皆さんの声もさらに把握をして、女性のみならず、男性も含めて全員が活躍し、持続的に発展できる東京が実現されることを期待して、質問を終わります。ありがとうございます。
○山崎委員 先日、初めて女性の自由民主党総裁が誕生いたしました。自由民主党新総裁に就任した高市議員は、女性の社会進出に関して非常に前向きな考えを持ち、これまでも多くの政策を打ち出し、例えば男女共同参画社会基本法や女性活躍推進法の強化に取り組まれ、女性の社会進出の促進には、単に機会を与えるだけではなくて、女性が働きやすい環境づくりが必要だと主張されてまいりました。
さして、女性が家庭と仕事を両立できるような社会をつくるためには、働き方改革や保育所の充実が不可欠であるとして、育児休業や育児支援制度の充実に力を入れ、政府として、これらのインフラの整備をすることで女性が職場に戻りやすくなる環境をつくり出すとともに、女性が管理職や経営者として活躍するには企業内での柔軟な働き方やキャリア支援の充実も必要だとして、企業に対してインセンティブを提供する必要性にも言及をされております。
都においても、同様の観点で各種取組を推進していると理解をしております。
知事は、所信表明において、なかなか突破口を見いだせない我が国の女性活躍を力強く前に進めることは、女性も男性も輝く持続可能な社会の実現に不可欠であります、また、検討中の女性の活躍に関する条例(仮称)につきましては、特に雇用分野において女性がその個性や能力を存分に発揮できますよう、企業や社会の意識や行動を変えていくための基本的な考え方を取りまとめております、また、東京から今までにない女性活躍の力強いうねりを起こしてまいります、このように、三つ発言をされてまいりました。
それでは、私から本題に入りたいと思います。女性の活躍に関する条例(仮称)について、順次伺っていきたいと思います。
都では、女性の活躍を推進するための条例の検討を進めてこられ、本委員会に、女性の活躍に関する条例について基本的考え方が示されております。本日は、その内容について、何点か、まず確認をしていきたいと思います。
基本的な考え方では、東京が今後も持続的な発展を遂げていくため、雇用分野等において女性の活躍を推進するために、新たな条例を制定するものとしております。
都はこれまで、女性が働きやすい環境整備に向けて、先ほども前文で触れさせていただきましたが、男女共同参画社会基本法や女性活躍推進法などの国の法令や、東京都男女平等参画基本条例に基づき、様々な取組を行ってまいりました。
そうした中で、今回、新たに女性の活躍に関する条例(仮称)を制定する目的をまず伺います。
○吉浦働く女性応援担当部長 都では、誰もが安心して働き続けられるよう、仕事と育児、介護等の両立支援策の充実や柔軟な働き方の推進などを進めてまいりました。
こうした取組により、女性の就業率は直近の二〇二四年には五四%となるなど、働く女性は増えてきております。
その一方、女性就業者の半分以上は非正規雇用であり、管理職比率は低い水準にとどまるなどの課題がございます。
社会状況が変化する中、東京が今後も持続的に発展していくためには、働く女性が個性や能力を発揮して一層活躍できる環境づくりが必要でございます。また、職場や社会に根強く残る性別役割分担意識の払拭も重要でございます。
こうした認識の下、事業者や経済団体、都民、そして都自らの責務を示し、取組を進めるため、新たな条例を策定することといたしました。
○山崎委員 今、答弁の中で、推進をしてきたことと、また課題もあるということ、そして、こういった認識の中で、事業者や経済団体、都民、そして都自らがいろんな責務を果たして取組を進めていくため、新たな条例を策定するということが分かったわけであります。
こういった、新たに条例を制定する考えということは理解をしたわけでありますが、今回示された考え方では、指針において政策目標を定めるとされております。企業に取組を進めてもらい、単純に数値だけを引き上げるならば、一律に数値目標を課すことや、条例に罰則を設けることなどが考えられるわけでありますが、やはり中小企業に対して過度な負担を課すことは、私はあまり望ましくないと考えております。
新たな条例では、どのようにして実効性を高めていくのか、都の見解を伺います。
○吉浦働く女性応援担当部長 現場において女性が個性や能力を発揮するには、企業がその必要性を理解し、経営上の優先課題と位置づけて取り組んでいただくことが重要でございます。
一方で、重要性は理解しながらも、人員体制やノウハウの不足などにより、独自で取組を進めることが難しい場合もあると考えます。
こうした事業者を後押しするため、指針において、女性の採用や人材育成など女性活躍を推進する上でポイントとなる項目とともに、業種や企業規模なども踏まえた具体的な事例などを示すこととしております。
また、経済団体とも連携して、業界における機運醸成や、同一業種での取組事例の共有など、団体に所属する企業などの取組を促してまいります。
加えて、取組の実効性が上がるよう、女性活躍の状況を把握するための調査を実施いたしまして、調査結果に基づき、施策の見直しや改善などを図ってまいります。
○山崎委員 先ほども両角理事の方から、中小企業に対しての様々な、条例に向けての実効性の部分で、東京都内はやはり中小企業が多いわけでありますから、そういった人たちに対して過度な負担、その人たちにどうやって分かってもらうのかということが、我々、東京都としての最大の目標だと私は考えております。ぜひ中小企業の実情をしっかりと踏まえながら、適切に取り組んでいただきたいことをお願いさせていただきたいと思います。
また、女性の中には、外で働くよりも家事や育児に専念をしたいという人たちもいらっしゃいます。また、働いていても、管理職になるよりも自分の時間を大切にしたいという考え方を持っている方もいらっしゃると思います。
そうした様々な人がいることを念頭に置いて取組を進めていくべきと考えますが、都の見解を伺いたいと思います。
○吉浦働く女性応援担当部長 誰もが自らの希望に応じた生き方を選択できることは重要でございます。新たな条例は、現在働いている人や働くことを希望する人が、それぞれの個性や能力に応じて活躍できる環境整備を後押しするものでございます。
都は、働く場における女性の選択肢が広がるよう、事業者に対し、性別に偏らない組織づくりの推進や就業者の男女間格差を解消することなどを求めてまいります。
○山崎委員 働く女性に関しては、先日も我が党の代表質問で質疑をさせていただきました、女性特有の健康課題への対応も重要である、こういった点もしっかりと踏まえて取組を進めていただきたいと思います。
以上、基本的な考え方で示された内容について、幾つか確認をさせていただきました。
本日の委員会での議論を経て、今後、条例素案が取りまとめられ、パブリックコメントを実施するということであります。都は、事業者や経済団体、そういったところの意見をしっかりと聞いていきながら、今後制定する条例が実効性のあるものとなるよう、ぜひ工夫をしていただきたいと思います。
この条例に基づき、都はどのような施策を実施していくのか、しっかりとこの場で伺いたいという気持ちはあったわけでありますが、その議論については、今後、条例案が具体的に示された段階で改めてお伺いをすることとし、本日の質疑はこれで終了をさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○もり委員 平成十二年に東京都男女平等参画基本条例が制定され、社会のあらゆる分野の活動に男女がひとしく参画できるよう、施策の展開に取り組まれています。また、女性活躍推進計画を推進していますが、今後制定することとしている女性の活躍に関する条例と既存の条例、また女性活躍推進計画との関係と位置づけについてお伺いをいたします。
○吉浦働く女性応援担当部長 これまで都は、東京都男女平等参画基本条例及び同条例に基づく行動計画であります東京都女性活躍推進計画によりまして、社会のあらゆる分野の活動に男女がひとしく参画できるよう施策を展開してまいりました。
社会状況が変化する中、東京が今後も持続的に発展するためには、雇用分野等において女性活躍を一層推進することが必要なことから、今般、新たに条例を制定することとしたものでございます。
○もり委員 ありがとうございます。
雇用分野における女性活躍を一層推進することは大変重要だと考えます。
東京都男女平等参画推進総合計画の全体像として、「未来の東京」戦略で示す二〇四〇年代の東京の姿である、女性が自らの希望に応じた生き方を選択し、自分らしく輝いている東京を目指すとしています。
男女平等参画推進総合計画の所管は生活文化局ですが、今後、女性の活躍に関する条例に基づいた個別計画の推進において、局を超えた連携が求められると考えます。どのように進めていくのか、見解をお伺いいたします。
○吉浦働く女性応援担当部長 令和八年度中に改定が予定されております東京都男女平等参画推進総合計画に、新たに制定する女性の活躍に関する条例(仮称)の趣旨を反映するように、生活文化局と連携して進めてまいります。
○もり委員 ぜひ局を超えて、それぞれ連携をしながら進めていただきたいとお願いを申し上げます。
今回の条例は、雇用分野における女性活躍を推進するための条例とのことですが、女性活躍は雇用分野のみに限りません。
今回の条例名を雇用分野における女性活躍推進条例とすべきとの意見も聞かれますが、見解をお伺いいたします。
○吉浦働く女性応援担当部長 今後、条例の素案につきましてパブリックコメントを行うこととしております。それを踏まえて、名称も含め、条例案を策定することとしております。
○もり委員 素案ができてしまうと、なかなか都民の声が反映しづらいという声も聞かれますので、多くの都民が関心を持っています。ぜひ素案段階から、都民の参加ですとか、多くの働く女性の声が盛り込まれるよう、パブリックコメントにおいてもお願いをいたします。
男女雇用機会均等法の施行から四十年が経過し、国の男女共同参画局においても、女性活躍促進のための積極的改善措置、ポジティブアクションの必要性として、なお実態面での男女格差が残っている状況が指摘をされております。
事業者の責務として、性別によらない組織づくり、就業者の男女間格差の解消が挙げられていますが、日本は、OECDの平均と比較しても約二倍と、男女間の生涯賃金の格差が大きく、男性の賃金を一〇〇とした場合、女性の賃金は生涯を通じて男性の約七割にとどまるとの試算があり、勤続四十年に換算すると、一億円もの差が生じるとの試算があります。これは依然と大きなものがあります。
今後、事業者の責務として、生涯賃金の格差を埋める具体的な施策が求められますが、新たな条例においてはどのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。
○吉浦働く女性応援担当部長 男女間の賃金格差は、管理職比率や平均勤続年数、労働時間など、複数の要因により生じております。
現在検討中の条例におきましては、こうした男女間の様々な格差を解消することを事業者の責務として定めることとしておりまして、事業者が計画的に取り組めるよう、具体的な事例などを示した指針を策定することとしております。
○もり委員 条例策定においては、ぜひ理念条例ではなく、職場における生涯賃金の格差を埋めるための具体的な取組を後押しするものとなるよう求めます。指針だけでは不十分で、ぜひ企業への税制優遇ですとか制度融資など、一歩進んだ取組を強く要望いたします。
次に、ライフサイクルに応じた職場での理解と健康に配慮した働き方が求められます。
生理休暇などに取り組む職場も増えてはいますが、この条例によって、より一層の理解促進と職場での取組が進むことを望んでいます。
また、男女を問わず、更年期障害によって、四十代後半から五十代の働き盛りの世代が就労の継続が困難な状況の方もいますが、まだ職場での理解が十分ではなく、離職を余儀なくされる事例もあります。
対応が求められると考えますが、見解をお伺いいたします。
○吉浦働く女性応援担当部長 現在検討中の条例におきましては、女性特有の健康課題に配慮することを事業者の責務として定めることとしております。
条例制定後、具体的な事例などを示した指針を策定いたしまして、企業の取組を後押ししてまいります。
○もり委員 他の自治体では、既に更年期休暇の取組を後押しするような自治体もあり、ぜひ企業の取組が進むことを要望いたします。
都の責務として、都全体の政策目標と事業者が取り組むべき事項などを示すガイドラインの策定があります。
ガイドラインの策定においては、それぞれの業界、団体の声、都民の声を盛り込みながら策定すべきと考えますが、ガイドラインの策定にどのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。
○吉浦働く女性応援担当部長 条例を策定しました後に指針を策定することとなりますが、実施方法につきましては、パブリックコメントなどを踏まえて今後検討することとしております。
○もり委員 ぜひパブリックコメントの声を真摯に受け止めて盛り込んでいただきたいと要望をいたします。
次に、女性の出産、育児等のライフイベントにより離職後の再就職に当たって、多くが非正規雇用になることが指摘をされております。
条例は、東京くらし方会議を有識者を交えて開催した中で誕生したとのことですが、東京都の開催する女性活躍の会議には、各分野の第一線で活躍されている女性経営者の皆様が参加されていることはすばらしい一方で、今回の条例は、大企業で働いているバリキャリ女性がさらに活躍するための条例なのではないかという懸念も聞かれます。
今回の条例策定に当たっては、既に光が当たっている皆様のみならず、現場の声を大切にした条例としていただきたいです。
中小企業においても女性活躍の取組が進むよう、どのように後押しをしていくのか、見解をお伺いいたします。
○吉浦働く女性応援担当部長 都内には様々な事業者がおり、それぞれの状況に応じた取組を計画的に進められるよう、例えば女性の採用や人材育成などにつきまして、業種や規模を踏まえた事例などを指針に示してまいります。
また、経済団体とも連携して、業界全体で機運醸成を図るなど、所属する事業者などの取組を支援してまいります。
○もり委員 経済を支える企業の九割が中小企業であり、私、地元の大田区でも多くの中小企業がございます。女性活躍には男性の働き方が変わることも大変重要ですが、育休、産休の推進においても、大企業では充実した支援ができても、中小企業では人材確保や財政面でも厳しいという懸念があり、以前、私も議会の中で中小企業への産休、育休や育業の推進を強く求め、働くパパママ育業応援事業ができました。そういった中では、今、支援額も拡充しており、大変いい制度であると、現場からも大変好評な声が寄せられております。
そうした中では、本当に中小企業においては、財政的支援も含めた雇用環境の改善が求められると考えますので、ぜひ一歩進んだ中小企業への支援策についても検討をお願いいたします。
さきの代表質問でも指摘をいたしましたが、今回の考え方の中には、日々の子育てと介護で暮らしが精いっぱいである女性や、私もそうなんですが、就職氷河期世代で非正規から抜け出せない女性、また、フリーランスで働いていて、インボイス制度によって事業継続の困難に直面している方、また、高齢一人暮らしの女性の半数は貧困状態にあることなどの現実が十分に反映されていないように思われます。
働いても働いても暮らしが楽にならない、年金だけでは暮らしが成り立たず、高齢になっても働かざるを得ないが、仕事を探すことも困難だという声も寄せられています。
日々、働く中で困難に直面している女性が個性や能力を発揮して活躍できる具体的な取組は想定されているのでしょうか。
事業者の責務、経済団体の責務、都民の責務、都の責務が挙げられていますが、非正規雇用、フリーランス等で働いている方、多様な働き方の方が条例にどのように位置づけられるのか、また、どのように後押しをしていくのか、見解をお伺いいたします。
○吉浦働く女性応援担当部長 様々な形で働いている女性や求職中の女性など、雇用分野等における女性の選択肢を拡大するため、新たな条例を策定することとしております。
事業者が取り組むべき事項等につきましては、指針で具体的に示してまいります。
○もり委員 ぜひ多様な働き方の女性に届く条例となるように要望いたします。
活躍の中には、専業主婦で活躍されている方、活躍したいと思っている方、また市民活動で活躍をされている方など、多くの方がいらっしゃいます。
市民活動等は生活文化局になると思いますが、様々な生き方の方が尊重され活躍できる、一人一人の生き方が尊重されて力を発揮できる社会であってほしいと願いますが、条例の考え方についてお伺いをいたします。
○吉浦働く女性応援担当部長 新たな条例は、雇用分野等におきまして女性が個性や能力を発揮して活躍することを一層推進することで、誰もが生き生きと暮らす社会の実現を目指すものでございます。
○もり委員 また、都の責務として、自治体、都が事業者として率先した取組が求められると考えます。
近年、スクールカウンセラー二百五十名の雇い止め問題など、会計年度職員の働き方が問われています。行政が官製ワーキングプアを生み出してはならないと考えます。
会計年度職員で働く方の多くが女性という現状がある中で、都として改善が求められると考えますが、これは総務局の所管ということで、質問ではないのですけれども、ぜひ都に率先行動が求められると考えますので、総務、人事とも連携をして取り組んでいただきたいと、これも強く要望をさせていただきます。
職場での働き方改革の取組において、子育て支援は大変充実をしてきた一方で、未婚女性や子育てをしない女性への支援が手薄との声も聞かれます。そういった視点についても、ぜひ盛り込んでいただきたいと考えます。
次に、東京都男女平等参画基本条例において、条例策定当時の議論を確認したところ、制定時の答申では苦情処理が位置づけられておりましたが、都民等の申出に置き換えられ、労働経済局に設置されていた男女差別苦情処理委員会が条例策定後に廃止をされています。
雇用現場における取組を後押しする条例となるよう、新たな条例に苦情処理機関に相当する機能の設置を入れ込むなど、現行条例を進化させる形で連動させてはどうかと考えますが、見解をお伺いいたします。
○吉浦働く女性応援担当部長 都は、労働相談情報センターにおきまして、職場での男女差別に関する相談を含め、労働問題全般についての相談のほか、必要に応じて労使間のあっせんを行っております。
昨年設置をいたしました、はたらく女性スクエアでは、女性の管理職や社員などを対象とする労働相談を行っておりまして、働く女性などを支援しております。
○もり委員 また、都条例と同年に施行された埼玉県男女共同参画推進条例においては、第十三条に苦情処理が置き込まれており、都においても現行条例の改正とする方が分かりやすく、施策を進める上で重要だとの声がありますので、局は異なりますが、連携した取組と現行条例の改正を要望いたします。
最後に、女性活躍において、男性も女性も共に、子育ても育児も、また、お子さんがいないご家庭では趣味でもいい、一人一人の生き方を尊重した働き方が求められると考えます。
そのためには長時間労働の是正が欠かせません。男性も女性も、五時には退社して、家族で夕食を囲むことができる、趣味の時間を大切にできる、そうした生き方を大切にした働き方が男女ともに求められると考えます。
都議会も、本会議前は深夜に及ぶことも多くありますが、ぜひコアタイムにおける生産性の向上により長時間労働の是正が求められます。
条例ではどのように位置づけるのか、見解をお伺いいたします。
○吉浦働く女性応援担当部長 新たな条例では、事業者に性別に偏らない組織づくりや就業者の男女間格差の解消などを求めております。
例えば、長時間労働を前提とした仕事の仕方の見直しなど、具体的な事例につきましては指針で示すこととしております。
○もり委員 具体的な事例については指針で示していくとのご答弁をいただきました。指針においても都としての目標を掲げ、職場の取組が進むよう指針を示すとともに、取組の推進、達成状況においても都として注視をしていただき、実行力のある条例となるよう求めるものです。
誰もが一人一人、自分らしく輝ける東京となるよう願いを込めて、質問を終わります。ありがとうございました。
○いいだ委員 よろしくお願い申し上げます。
まず最初に、女性の活躍に関する条例について、男女間格差の是正について伺います。
今回示された基本的な考え方では、事業者の責務として、就業者の男女間格差を解消することを定めることとしています。都民の生活実感として最も大きな格差は、やはり賃金であります。資料では、女性の就業者の半数以上が非正規雇用であり、管理職比率も低いという課題が明確に示されております。その根源には、男女間の賃金格差の問題があることは論をまちません。
そこで伺います。条例案で定める事業者の責務である男女間格差の解消には、近年、国の法令でも開示が義務づけられた男女間の賃金格差の是正も当然含まれるという認識でよろしいでしょうか。まずはお答えください。
○吉浦働く女性応援担当部長 男女間の賃金格差は、管理職比率や平均勤続年数、労働時間など、複数の要因により生じております。
例えば、都内企業における管理職に占める女性の割合は、直近の令和六年度において一五・二%にとどまっておりまして、依然として低い水準にございます。このような状況が賃金の差を生む一因となっております。
今回お示しした新たな条例の基本的な考え方では、こうした男女間の様々な格差を解消することを事業者の責務として定めております。
○いいだ委員 改めて、当該条例は様々な男女間の格差解消を事業者の責務とする旨、確認をさせていただきました。
次に、男女間格差の是正に向けた賃金の見える化の徹底について伺います。
都は、取組の進捗状況を調査し、公表するとしています。企業の自主的な取組を強力に後押しするためには、この見える化が極めて重要であります。
都として、都内企業の男女間の賃金格差や女性管理職比率の実態を調査し、例えば、企業規模別や産業分野別に都民に分かりやすく公表することで、社会全体の機運を醸成していくべきと考えますが、都の見解を伺います。
○吉浦働く女性応援担当部長 現在検討中の条例におきまして、都は、指針に政策目標を定め、その進捗状況を把握するため、事業者における取組状況の調査を実施し、その結果を公表することとしております。
なお、具体的な調査項目や公表の方法などにつきましては、条例制定後、検討を行ってまいります。
○いいだ委員 進捗状況を把握するため、事業者における取組状況の調査を実施し、その結果を公表するということを確認させていただきました。
最後に、女性の活躍を阻む根本的な課題である意識の問題について伺います。
女性の活躍は、男性の働き方や家庭での関わり方と表裏一体です。資料では、育児は母親がするものといった性別役割分担意識が、女性だけではなく男性の働き方にも影響を与えると指摘しておりまして、全くそのとおりであるというふうに思います。
この意識を変えるには、事業者への働きかけだけでは不十分であり、例えば同僚である男性が当たり前に育児休業を取得できる風土など、社会全体で男性が育児を担うのは当たり前という雰囲気をつくり出す必要があります。
そこで伺います。新たな条例では、この根深い意識を転換させるため、どのように取り組んでいくか、都の見解を伺います。
○吉浦働く女性応援担当部長 これまで都は、男性育業を推進する企業の取組の発信や育業を促す奨励金の支給などを通じて、育業しやすい職場環境の整備に取り組む企業を後押ししてまいりました。
その結果、十年前には一割に満たなかった都内における男性の育業取得率は、直近の令和六年度では五割を超える水準となっております。
一方、取得期間に目を向けると、男女間で依然として大きな差がございます。
職場には、男性は育児より仕事を優先すべきなどの考え方が根強く残っておりまして、男性の働き方を変え、女性の活躍を推進するためには、こうした性別役割分担意識を払拭していくことが重要でございます。
新たな条例におきまして、都は、都民に向けた普及啓発を行うとともに、職場における性別による無意識の思い込みの払拭に努める事業者を後押ししていくこととしております。
○いいだ委員 本日の質疑で、新条例が様々な男女間の格差解消を事業者の責務として、その実態の見える化、そして根深い意識改革に取り組むという方針であることを確認させていただきました。今後の検討においては、条例が都民に分かりやすく実効性のある取組となることを要望いたします。
条例制定を真の男女平等社会に向けたスタートとして、都がリーダーシップを発揮されることを期待いたします。
次に、地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターの業務実績について伺います。
中小企業は、日々の製品の企画開発や試作、評価試験、事業化に至るまでの各段階において様々な技術的課題に直面しておりますが、それぞれの企業が単独の力でそれらの課題を解決していくことには限界があります。
都産技研は、これらの技術的課題解決などを目的とした基礎的な研究に取り組んでおり、その研究成果をセンターの技術支援に活用するなど、中小企業支援に役立てております。
令和六年度の業務実績評価によれば、都は、基盤研究という項目で、最高評価である評定Sを付与しておりますが、こうした評価に至った理由について伺います。
○大川商工施策担当部長 都産技研では、基盤研究として、中小企業が抱える課題への対応に必要な研究や、市場の拡大が見込まれる分野及び社会課題解決に資する分野の研究を実施しております。
基盤研究によって得られた成果は、支援事業や共同研究に発展し、また外部資金導入研究の採択につながっており、令和六年度は合わせて三十七件と、第四期中期目標期間において最多となりました。
また、都産技研は、基盤研究において、平成三十年度から、技術分野を横断して取り組むことでイノベーションにつなげることを目指す協創的研究開発を実施しております。
令和六年度は、工場などの排熱を電力に変換することができる熱電材料について、優れた熱電特性を有しつつ、有害元素を含まない材料を開発し、学会において受賞に至るなど、先進的な成果を生み出しております。
これらの成果を高く評価し、S評定といたしました。
○いいだ委員 熱電材料は、これまで捨てられていた排熱をエネルギーとして活用できるとのことであります。積極的な研究成果の発信により中小企業との共同研究に発展し、製品化を通じて、エネルギー問題の解決やグリーントランスフォーメーションの実現につながっていくことを期待いたします。
次に、環境問題の解決につながる製品開発もすばらしいことではありますが、社会課題ということでいえば、障害や病気を抱える方をはじめとして、都民のQOL向上につながる製品開発も同様に推進されるべきであります。
都産技研では、障害者等の日常活動を支える製品開発を支援する事業を実施しており、昨年の委員会での我が会派の質疑では、令和五年度に車椅子や関連部品の開発について取り組んだ旨、答弁がございました。
都民福祉の向上につながる製品開発への支援について、令和六年度における都産技研の取組と成果について伺います。
○大川商工施策担当部長 都産技研では、障害者や高齢者が社会生活において活発な活動をできるよう、補助器具に関する新製品、新技術の開発に取り組む中小企業等を支援しております。
令和六年度は、前年度に引き続き、車椅子に関わる開発に取り組んだほか、新たに、五本の指が独立して動く小児用の義手や、視覚障害を持つ方に向けたカラーレンズ、盲ろう者の方のためのコミュニケーション支援機器について中小企業との共同研究を実施いたしました。
また、脳卒中による体の麻痺やリウマチのために、指や手、肩関節の可動に制限がある方に好評でありましたバッグ型の洗濯ネットを、乾燥機にも対応させるための改良に当たり、デザインや耐熱性評価の支援により製品化を実現し、日常生活の負担軽減に役立てております。
○いいだ委員 新たな製品開発に向けた共同研究に引き続き取り組んでいることは評価できます。今後も、障害者や高齢者の方の社会での活動の後押しや、日常生活における悩みを解決するような製品開発の支援を都産技研には期待をいたします。
次に、第五期中期目標では、最新の技術領域における知見の獲得に向けた研究開発を強化するとの方向性が示されており、そのうちの一つとして、都民のウエルビーイングを高める生理心理学分野における知見を獲得していくとのことです。
生理心理に関わる分野を、どのようにこの中小企業支援に生かしていくかを伺います。
○大川商工施策担当部長 都産技研では、墨田支所におきまして、人間の特性や、生活空間、環境を生かしたものづくりを支援してまいりました。
製品の手触りや匂いなど、目に見えない感覚を客観的に数値化することにより、製品の性能評価や差別化に貢献し、新たな製品開発につなげております。
一方、近年では消費者のニーズが一層多様化しており、製品が備える機能のみならず、利用者の使い心地を付加価値と捉える製品開発の重要性が高まっております。
こうした状況を踏まえまして、基盤研究において、発汗や心拍、脳波などの生理的な反応を通じてストレスなどの心理的状態を明らかにする生理心理解析に関わる知見の獲得に新たに着手いたします。
この知見を技術支援に活用することにより、介護用品や福祉用具をはじめとする生活関連製品について、快適性の向上に向けた製品開発をより一層後押ししてまいります。
都産技研は、中小企業の製品開発に係る技術支援を通じて、都民一人一人のウエルビーイングの向上に貢献してまいります。
○いいだ委員 第五期は、人間工学の分野をさらに発展をさせ、都民のウエルビーイングの観点から支援を強化するとの答弁でございました。
障害者や高齢者なども含め、多様な個性が輝く社会の実現に向けて、今後も様々な取組を進めることを求めまして、質問を終わります。
○藤田委員 日本共産党の藤田りょうこです。
私からは、まず最初に、第二百三十九号議案、地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター中期目標について意見を述べさせていただきたいと思います。
都立産業技術研究センター憲章では、産業を担う東京の中小企業を科学技術で支え、全ての人々の生活に貢献することが私たちの使命ですと述べられています。東京都の役割は、その使命を果たすために十分な活動ができるよう、それを支える職員や運営費などの条件整備を充実することです。
今回の第五期中期計画には、効率的かつ効果的な財政運営を行うことは求めていますが、標準運営費交付金(効率化が困難な経費を除く)を充当して行う業務については、物価などの上昇による影響を適切に考慮しつつ、業務の効率化や収支の適正化を進め、財政運営の効率化を行うとなっており、第四期のように具体的な削減の数値目標を示しませんでした。
十分な財政支援か、人員は十分かなど、さらに検証する必要はありますが、少なくとも運営費を削減する数値目標は示されなくなったこと、この五年間の交付金額は増減していますが、減額一方ではないこと、常勤の研究員は増員していることが挙げられます。
私たちは、先日、産業技術研究センターの本部に伺って、事業の一端を見させていただきました。職員の皆さんは、どんなことをやっているのか、中小企業の皆さんとどうつながっているのかなど、生き生きと話してくれました。
現場の皆さんが、より充実した産業技術研究センターとしての仕事ができるよう、十分な財政措置を行うよう求めておきます。
続きまして、女性の活躍に関する条例(仮称)の基本的考え方について質問いたします。
まず、基本的なことを伺います。
女性の活躍に関する条例(仮称)をつくる必要性について伺います。
○吉浦働く女性応援担当部長 これまで都は、東京都男女平等参画基本条例に基づきまして、社会のあらゆる分野の活動に男女がひとしく参加できるよう施策を展開してまいりました。
社会状況が変化する中、東京が今後も持続的に発展するためには、雇用分野等において女性活躍を一層推進することが必要であることから、新たに条例を制定することといたしました。
○藤田委員 つまり、東京の持続的な発展のためにこの条例が必要だということです。
しかし、雇用分野で女性の労働について考えるとき、どのような問題があるのか、それはなぜ起きているのかを深く見る必要があると思います。
例えば、東京地方労働組合評議会の女性センターが五年に一回行っている調査によりますと、深刻な事態が表れています。
雇用における男女の差別についての質問では、正規労働者からの回答で、差別があると感じていることのトップは昇給、昇進に差別があるというもので、三五%に上っています。
また、母性保護に関する質問で、生理休暇については、約半数が取得していないと答えています。なぜ取っていないのかと、理由に対しては、恥ずかしい、生理があることを知られたくないというものが二四・八%になっていました。
こうしたことは、現場の方に聞いてみなければ分からないことではないでしょうか。
妊娠、出産、育児に関する実態調査も行っていまして、妊娠、出産、子育てを理由に仕事を辞めた方にその理由をお聞きしますと、二五%が職場に両立を支援する制度や雰囲気がなかったと答えていらっしゃいます。
女性が直面する差別禁止や不平等の解消という人権保障の視点が重要だと思います。
そこでお聞きしますが、代表質問でもお聞きしておりますけれども、条例をつくる上で、男女賃金格差の是正、均等待遇の実現、ハラスメントの禁止を明確に掲げ、ジェンダー平等を本気で進めることが必要だと思いますが、いかがですか。
○吉浦働く女性応援担当部長 雇用分野等におきまして女性が個性や能力を発揮して活躍することを一層推進することは重要でございます。
今回お示しした条例の基本的な考え方では、事業者に性別に偏りのない組織づくりや就業者の男女間格差の解消への取組、女性の尊厳を傷つける行為を行わないことなどを求めることとしております。
○藤田委員 やはり、これも人権の問題として捉えることが必要です。
日本も設立当時から加盟している国際労働機関、ILOは、二十一世紀の役割として、ディーセントワークの推進を掲げ、労働分野に関する国際基準の設定などを行っています。
ディーセントワークとは、権利が保障され、十分な収入を生み出し、適切な社会的保護が与えられる生産的な仕事を意味しています。すなわち、働きがいのある人間らしい仕事のことを指しています。
そのためにも、東京都として、働きがいのある人間らしい仕事の推進に向けて、男女の賃金格差の是正、均等待遇の実現、ハラスメントの禁止を明確に掲げてジェンダー平等を本気で進める、そういう条例にしていただくことを初めに求めておきたいと思います。
雇用分野での男女間格差についてお聞きしますが、先ほど、男女間格差の中には賃金格差も含まれていると、そういった答弁がありましたので、ここは質問は飛ばしまして、次の内容に移りますが、男女の賃金格差も含まれているということであるので、私たちも独自に調べたことについてお伝えしたいと思います。
昨年九月、私たちは、調査について記者会見を行って、ホームページにも掲載しました。独自に、国が義務づけた公表数字の計算の基になる男女別、雇用別形態の職員数や給与総額について、総務局に提出を求めて入手いたしました。この数字は、我が党に提供されるとともに、現在は東京都のホームページにも掲載をされています。
非正規など短時間勤務の方も、全てフルタイムで働いた場合にもらえる額に換算して平均給与を計算しますと、東京都の職員全体の平均給与は、男性が約七百四十八万円、女性が約六百七十一万円で、七十七万円程度、女性の方が低くなっています。
ここでちょっとお聞きしますが、こうした男女の賃金格差、東京都の職員の男女の賃金格差の解消について、この間、どのような検討がされたのか、具体的にご説明ください。
○吉浦働く女性応援担当部長 東京都といたしましても、個性や能力を発揮して活躍できるように、制度の改善に努めてきたところでございます。
○藤田委員 制度の改善に努めているというところですけれども、この内容は、現在も東京都のホームページに賃金格差について掲載されておりますので、事前に事業者に対して、男女間格差、賃金格差についても、事業者の責務として載せるだけではなく、自らの課題としても捉えるべきだと思います。
そうした中で、男女間格差の解消をというのであれば、まずは自ら、自分たちの組織の男女間格差に目を向けるべきだと思います。
公開資料で計算しますと、東京都の正規職員の平均給与、これは男性も女性も含むものですが、平均では七百七十七万円になります。同じように計算しますと、非正規は、フルタイムで働いていたとしても四百六十万円。三百万円以上の差があるんですね。こういったことも、東京都のホームページを見れば分かるんです。
総務局が公表しました資料を見ても、皆さんの給料です。東京都の職員でも男女の賃金格差が大きいことが分かります。
この格差は重大な問題だというふうに、この条例をつくる上でも、皆さんは認識されているのでしょうか。伺います。
○吉浦働く女性応援担当部長 東京都職員の処遇につきましては、主に総務局の所管の話となっておりますけれども、都といたしましても、職員の女性の管理職比率の向上でありますとか、働きやすい環境整備には配慮してきたところでございます。
○藤田委員 働きやすい環境をつくっていくということでしたが、東京都自らが公表した、こうした深刻な不公平を見て見ぬふりすることは許されないと思います。女性の活躍を語る前に、まず東京都の内部の不公平を正すべきだと思います。
今回、委員会にも出された資料7の条例の基本的な考え方にもあるように、一般的に、こうした男女の賃金格差が生じてしまうのは、女性の方が非正規雇用が多くて管理職比率が低いことが原因となっています。これは部長もご答弁されていらっしゃいますが、そして、東京都の職員でも同様に、女性の方が管理職比率が低い、そして非正規雇用が多いということが原因だと指摘したいと思います。
そうした中で、働きやすいというお話もありましたが、東京都の職員の男女の賃金格差をどのように解消していくのか、お答えください。
○吉浦働く女性応援担当部長 東京都の職員の待遇につきましては、総務局の方で対応しているものでございます。
○藤田委員 総務局の対応だということですが、今回の条例については、東京都も一つの組織として、やはり自分事として一緒に考える必要があると思います。
私たちは、昨年、東京都の非正規雇用である会計年度任用職員の人数についても、全ての部局を独自で調査をいたしました。そうしましたところ、現役世代で見てみると、女性の非正規雇用は約七三%。全てでは五〇%台なんですが、現役世代だけを切り取ってみますと七三%と、会計年度任用職員が圧倒的に多い、女性の方に多いということが分かりました。
東京都は、女性相談員、消費者生活相談員、学校司書、スクールカウンセラーなど、あと福祉の部局もそうなんですが、女性が多い専門職を会計年度任用職員として雇用しています。事務職などを含めて、都民にとって必要な仕事を、安い賃金で女性に担わせているということです。東京都としても、こうした実態を調査して公表すべきです。
先ほどの質疑でもありましたが、産業分野別で分かりやすく賃金の格差について公表すること、これは東京都にも求められていると思います。都としても、こうした実態調査を行って公表することを求めます。
また、賃金格差解消のために、例えば、会計年度任用の雇用年限の上限をなくすということや、継続的に必要な仕事をする職員は正規雇用にするなど、本気で取り組む必要があります。この問題は、東京都がジェンダー平等を本気で推進しようとしているかどうかが問われる問題です。
都庁内に存在する格差を解消できない組織に、ジェンダー不平等を解消することはできません。まさに今、求められているのは、知事もよくいいますが、隗より始めよです。口だけではなく、具体的に、都庁内に存在する男女の賃金格差解消に向けた取組を行うよう強く求めておきます。
ハラスメントの禁止も重要です。
答弁でも、条例で定める主な内容の案にも、女性の尊厳を傷つける行為を行わないとあります。尊厳を傷つける行為というのは、明確なハラスメントです。
ハラスメントは、受けた人の尊厳を傷つけ、仕事ができなくなったり、精神疾患を発症したりなど、人生を大きく左右する重大な人権侵害です。セクシュアルハラスメントをはじめとし、あらゆるハラスメントをなくすことが重要です。
そのためには、ハラスメントを明確に禁止することが欠かせませんが、どう認識していますか。
○吉浦働く女性応援担当部長 条例の基本的な考え方では、事業者に対しまして、性別を理由に女性の尊厳を傷つける行為を行わないことを求めるとしております。
○藤田委員 禁止するとはいわないわけです。このやり取りは、既にカスタマー・ハラスメント防止条例の際の議論で行っておりますので、今日は繰り返しませんが、大事なのは、ハラスメントが人権問題に関わることであると認識をすることです。
日本では、ハラスメントが嫌がらせといった程度にしか認識されておらず、人権侵害であるとの踏み込んだ理解に至っていないことが背景としてあります。今回の条例策定を通じて、ハラスメントの問題も、ぜひとも議論も深めて認識も発展させていただくよう強く要望いたします。
最後に、ぜひとも当事者の声を聞いていただきたいということです。
賃金格差の問題も、ハラスメントの問題も、本気で男女間格差を解消しようと思っているのであれば、やはり現場の女性労働者の話を聞くべきです。
しかし、女性の活躍を促進するための検討部会の構成を見てみますと、十人のうち、経営者団体の代表が五人と半数を占めていますが、労働組合、つまり働く側の人は一人のみとなっています。
どうしてこの構成になったのですか。
○吉浦働く女性応援担当部長 検討部会の委員につきましては、労働政策などに詳しい有識者に加えまして、これまで都が産業政策や雇用政策などの検討に際しまして意見を伺ってきた主な団体などの代表者で構成をしております。
○藤田委員 聞いたことに答えていただきたいのですが、主体となるべき労働者の声を企画段階で聞くべきだと思います。当事者の労働実態、悩み、意見など、様々なことを聞くべきです。
なぜ働く側の委員が一人になったのですか。
○吉浦働く女性応援担当部長 有識者会議では、経営者及び労働者の団体の双方から、女性の活躍を促進するための条例を含めた方策について意見を伺ったものでございます。
条例の素案に関しましては、今後、パブリックコメントで広く意見を伺うこととしております。
○藤田委員 労働者団体の代表ということで、労働者一人一人が、自分自身の暮らしと、そして仕事の関係でどういう悩みや問題があるのか、やはりそれは全体を取りまとめて、代表だけでは十分に分かりません。労働者にきちんと聞く機会が必要です。
そして、パブリックコメントというやり方でも、やはりそこは、十分これを議論して、じゃ、どうしていくのかという発展をさせるような議論にはなかなか結びつかないのではないかと思います。ぜひとも一人一人に意見を聞くような機会をこれからでも設けていただきたいと思うんです。
意思決定機関に女性が少ないことを問題視するというのであれば、今回の女性労働者に関する条例の企画段階の場、これこそ意思決定機関だと思うんですが、そこに当事者がいないということでは、こうした皆さんの声が反映されないということだと思います。これは問題だと思います。
職場で働く人たちの実態、悩み、意見などはどのように聞き、どのようにこのまとめに生かしてきたのですか。
○吉浦働く女性応援担当部長 基本的な考え方の取りまとめに当たりましては、女性が少ない産業分野で働く女性の団体や企業の人事担当者などにヒアリングをしましたほか、これまで都が実施した様々な調査や施策を通じて得た意見なども踏まえております。
○藤田委員 女性が少ない産業分野で働く女性の団体や企業の人事担当からヒアリングをしたということです。
そこで、女性労働者から、直接、現場の実態や困っていること、意見などもこの場で伺ったのでしょうか。
○吉浦働く女性応援担当部長 現場の実態等につきましては、建設業や運輸業などの団体などのヒアリングにおいて伺っております。
○藤田委員 団体等ということですので、やっぱり女性労働者から、直接、実態や意見などは聞いていないということです。これはやっぱり大問題だと指摘したいと思います。
これまで述べてきたように、働く女性の実態を条例に反映することは不可欠です。あわせて、ジェンダーの問題に詳しい専門家の意見を聞くことが重要です。
世界では、国や行政がどのようにして女性差別をなくす努力をしているのか、女性の就労率を下げない取組をしているのか、どうしたら日本のジェンダーギャップ指数を改善できるのか、意見を聞くべきです。
ぜひ直接、女性労働者の実態、困っていること、意見などを聞くことと併せて、ジェンダー問題に詳しい専門家の意見も聞いていただくよう重ねて要望いたしまして、質問を終わります。
○福井委員 国民民主党東京都議団の福井ゆうたでございます。
女性の活躍に関する条例の基本的な考え方について質問をさせていただきます。
我々、国民民主党東京都議団では、現役世代の手取りを増やすことを最優先の課題と位置づけておりますが、そのためには、今後の東京の社会経済活動が持続可能な成長を続けていくことが必要不可欠であると考えております。
そして、人口の半分を占める女性の活躍は、その鍵であることは間違いありません。
よって、雇用分野における女性の活躍推進は、現役世代支援の最優先の取組として東京都に取り組んでいただきたいと思っております。
一方で、既に東京都においては、多くの女性活躍に関わる施策や取組を実施しており、その数は四十七項目にも上るというふうに認識をしております。
そうした多くの既に取組を行っている中で、あえて今回、女性活躍を推進するための手法として条例の制定、これを選択した理由を教えていただければというふうに思います。
○吉浦働く女性応援担当部長 人口減少社会が到来し、産業構造も変化する中、東京が今後も持続的に発展するためには、働く場において女性の活躍を一層推進することが重要でございます。
昨年九月に設置した、女性活躍推進の基本的な考え方などについて議論する有識者会議におきましても、条例の制定は、行政や企業など多様な主体が一体となって取り組むための原動力となるということが共通認識となりました。
こうしたことから、雇用就業分野において女性が個性や能力を発揮して活躍できる環境整備を一層推進するため、新たな条例を制定することといたしまして、今般、基本的な考え方を取りまとめたところでございます。
○福井委員 ありがとうございます。特に、雇用分野において環境整備を一層進めていくための条例であるということを認識させていただきました。
その雇用分野においては、やはり女性の活躍の推進を阻んでいる大きな要因として、テクノロジーの活用による業務の効率化や、選べる多様な働き方の推進が遅れていることで、多くの女性にとって手取り時間が十分ではない、また、家庭と仕事の両立に困難を感じている、こういったことがあるのではないかというふうに考えております。
例えば、二〇二五年十月一日施行分の育児・介護休業法改正において、柔軟な働き方を実現するための措置が事業主の義務とされるなどの取組が行われている一方で、NTTソノリティ社の共働き世帯を対象にした調査によると、およそ半数が子育てと仕事の両立への勤務先の対応が不十分である、そうした回答もしております。そうした回答からも、まだまだ取組は道半ばであるというふうに認識をしております。
そこでお伺いします。事業者や経済団体の責務として、こうした環境整備の推進について条例に盛り込むことはご検討されていらっしゃるでしょうか。
○吉浦働く女性応援担当部長 雇用分野等におきまして、女性がその個性や能力を発揮して活躍できる環境を整えることは重要でございます。
都はこれまで、企業が女性社員の育成などに関する目標と取組内容を定める行動計画をつくる場合に、研修やコンサルティングによる支援を行ってまいりました。
現在検討中の条例では、事業者の責務として、性別に偏らない組織づくりの推進を定めることとしておりまして、例えば、男性の育業の取得促進などの具体例を指針に盛り込むことを検討しております。
また、経済団体の責務として、業界全体で機運醸成を図るなど、所属する事業者などの取組を促進することを定めることとしております。
○福井委員 こうした環境整備を指針の中で制定をしていくということで認識をしましたが、ぜひ柔軟な働き方を実現するこうした措置は、指針だけではなく、条例の中でも言及をしていただくということを要望させていただきたいというふうに思います。
そして、この条例を制定することで、多様な主体が一体となってこの問題に取り組むことができるという視点は、非常に大事だと思っております。
一方で、多くの主体が関係するこの課題だからこそ、いかに実効性を持って、同じゴールを目指して取り組んでいけるかという点を十分に議論をしていく必要があるというふうに考えております。
条例の目的がしっかりと進捗しているか確認するために、明確な具体的な指標が必要であると考えておりますが、都の見解をお伺いさせていただきます。
○吉浦働く女性応援担当部長 条例の目的を達成するためには、適切な指標を設定し、進捗を把握することが重要でございます。
現在検討中の条例におきましては、都は指針を策定し、その中で、都内企業の状況を踏まえた都域全体の政策目標を定めることとしております。
また、進捗を把握するため、例えば従業員の男女比率や両立支援制度の利用率など、事業者における取組状況の調査を実施してまいります。
○福井委員 ありがとうございます。東京都として、女性が活躍できる環境整備の後押しと、そして、適切な指針の制定で実効性のある条例を制定していこうというスタンスであることが理解ができました。
また、具体的な指標の中身については、また条例案、指標の案が出てきたときに議論をさせていただければというふうに思っております。
以下に関しては、既に多くの委員が言及をされていますので、質問ではなくて意見の表明とさせていただこうと思いますが、改めて国民民主党東京都議団として、雇用分野における女性の活躍推進に、現役世代の支援の最優先取組として東京都には取り組んでいただきたいと考えております。
一方で、忘れてはいけないのは、本来あるべき姿は、性別関係なく活躍ができる社会だということです。女性の活躍を促すという、この大きな目標の下で、誰もが働きやすく、育児や介護と仕事の両立をできる社会を実現していく、これを強く打ち出していくことによって、結果として男性の活用も推進される、そうした社会を目指せる条例にしていただきたいと思います。
また、KPIの設定に当たっては、業種や従業員の規模をしっかりと考慮に入れた上で、特に中小企業にとって負担にならぬよう十分な配慮をお願いします。
この二点を要望させていただき、質問を終わりとさせていただきます。
○大山委員長 それでは、この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後二時五十四分休憩
午後三時十分開議
○大山委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○上田委員 今般、上がってきている東京都産業技術研究センターの第四期中期目標の終了時に見込まれる業務実績評価書、これは報告事項ですよね。あとは令和六年度の毎年の評価書に基づきまして、予算規模は九十億円ですから、しっかりと一つ一つ精査させていただきたいと思います。
基盤研究についてです。
センターは、中小企業のイノベーションを加速させる技術支援、新技術・新製品につながる研究開発、変化に的確に対応できる機動的運営という三つの経営方針に基づき、実績を上げているということです。
つきましては、基盤研究において、技術支援の高度化、中小企業の製品化や事業化、新たな産業創出に資する知見の獲得につき、第四期期間中及び六年度の具体的な実績、成果を、事例を幾つも分かりやすく挙げてご説明ください。
○大川商工施策担当部長 基盤研究の成果を元に共同研究などに発展した件数は、令和三年度から令和六年度までの四年間において百二十二件、令和六年度は三十七件でございます。
具体的には、メッキ工場の環境負荷低減や、プレス加工における不整変形を抑制する技術の開発など、中小企業との共同研究に展開させた事例がございます。
○上田委員 続いては技術支援ですけれども、これは技術相談と支援と、センターにある機器の利用ですね、あと、オーダーメード型技術支援実施によりまして、これを製品化、事業化、5G、IoT、ロボット分野や航空機部品、ものづくりベンチャー試作開発などの支援、プラスチック代替、フードテック、サーキュラーエコノミー、障害者の活発な活動、介護環境の改善といった社会課題の解決に資する製品開発についても、同じく第四期期間中及び六年度の具体的な実績、成果を、事例を挙げてご説明ください。
○大川商工施策担当部長 都産技研では、中小企業の多様な技術相談に対応したほか、中小企業の製品等の性能や品質、安全性などを確認する性能試験や、環境試験などの依頼試験、立体造形機器などの機器利用を通じて支援を行いました。
また、中小企業との共同研究を通じて、VR空間を活用した教育イベントシステムや、米粉等を用いて小麦粉使用量を削減した麺の開発などに貢献いたしました。
○上田委員 このセンターは何か所かあって、役割分担をしております。現在、地域の産業特性を踏まえた支所が、城東、墨田、城南、多摩、千代田、バンコクにあります。城東支所は、リニューアル中で近日再開いたします。
私も町工場の多い江戸川区選出ですので、墨田や城東を区内事業者は活用しているものと考えております。
産労主催、今年の七月二十五日に開催された、ものづくり・匠の技の祭典に参加しましたが、私どもの江戸川区の自慢であります、独自開発をしてオリ・パラにも貢献した下町アーチェリー、これは別にアーチェリー会社じゃなくて、創業六十五年の老舗企業、スパコン富岳にも関わった西川精機製作所の社長さんがアーチェリーをすごく好きになって、独自開発して今般出展をしており、意を強くしたところであります。
参加者も三日間で三万五千人ということで、何よりでございました。
まず、この各支所のこれまでの技術支援に係る歴史的な経緯、取組、今日における各支所の役割分担、城東支所閉館中はどのような対応をしてきたのか、包括してご報告ください。
○大川商工施策担当部長 支所等では、各地域の特色ある産業集積を踏まえ、技術支援を実施しております。
多摩テクノプラザでは、電子機器等の製造に関わる企業の集積を踏まえ、電気的評価試験や素材開発支援を、城東支所では、生活関連用品の製造に関わる企業の集積を踏まえ、デザインから試作、評価までの一貫したものづくり支援を、城南支所では、機械金属加工に関わる企業の集積を踏まえ、精密計測や試作加工に関するものづくり支援をそれぞれ特色として実施しております。
また、墨田支所では人間工学、感性工学に関する技術、食品技術センターでは食品加工や微生物利用に関する知見をそれぞれ生かし、製品開発を支援しております。
なお、城東支所の休館中は、本部や他の支所等で技術支援業務を行っております。
○上田委員 この委員会、大田区選出の方が多いので、城南はやっぱり機械金属加工ということで、恐らくニーズがあって誕生してきて、今に至る。まあ長い歴史がありますので、センターの方は。というふうに思料しています。
その中でも、私、やっぱり一番大事だと思っているのは技術相談なんですけれども、この第四期中期目標期間の終了時に見込まれる業務実績評価書六〇ページによると、五か年の実績見込みは三十二万六千五百六十件。平均年間六・五万件、一日約二百五十件相談があるということでした。
来所や電話、メール、ウェブサイト、オンライン、昨年度からはチャットボットを通じて対応しているとのことで、その間はどうなっているかと。目標とするメール、ウェブサイト、オンライン相談五割をクリアしたものの自己評価はBとなっていますが、今後の目標を伺います。
また、相談や支援内容はデータベースとして管理し、効率的かつ効果的な相談事業につなげているとのことなので、事例を挙げてご報告をください。デジタル媒体活用をした相談実績が五割となっていることは評価をするところですので、お願いします。
○大川商工施策担当部長 令和六年度の技術相談のうち、来所や電話等によるものは五〇%、電子メールやウェブサイトによるものは四六%、簡易技術相談チャットボットによるものは四%でございました。
第五期中期目標では、中小企業の複雑かつ多様な相談内容を的確に把握し、最適な支援メニューにつなげるため、デジタル技術も活用しながら、効果的かつ効率的な相談体制の充実を図ることとしております。
蓄積した技術相談情報は、令和六年度のチャットボットの設計において活用いたしました。
○上田委員 自分たちの実績を、さらにチャットボットで活用したというのは非常に評価できるので、ただ、チャットボットはまだ四%ということで、ポテンシャルに期待したいと思います。
一方、六年度の評価では、都の産技研がより多くの中小企業に利用されるよう、様々な広告媒体を活用し、支援内容や研究成果等、効果的に発信することが望まれるとされていました。
実際、該当する中小企業のうち、どの程度利用されているのか、全体数、分母を明示して件数や比率の分かるもの、近年の傾向をご説明ください。
また、この指摘に思い当たる課題もあると思いますので、その点の説明と、改善、充実に向けての現時点から中長期的対策についての所見を求めます。
○大川商工施策担当部長 技術相談、依頼試験、機器利用及びオーダーメード型技術支援は、令和六年度は約一万事業所に活用されており、主な利用者である中小製造業が経営する都内事業所数は約三万七千所でございます。
このうち依頼試験、機器利用の利用件数は、新型コロナウイルスの影響により、利用実績が一時的に減少しておりましたが、令和六年度については、第四期中期目標期間中で最多の二十八万四千件となっております。
第五期中期目標では、利用企業の拡大につながる広報活動等を掲げております。
今後の取組につきましては、中期目標に基づき、都産技研が中期計画等を策定する際に検討してまいります。
○上田委員 中小企業の分母数って、どのぐらいでしたっけ。四十五万件でしたっけ。抜けているみたいなんですけど。すみません。
中小企業の分母を挙げてといっていたのですけれども。
○大川商工施策担当部長 すみません。主な利用者である中小製造業が経営する都内事業所数は三万七千所でございます。
○上田委員 東京だけで三万という理解で、そのうち年間が一万ということで、三分の一、利用していただいているという理解でよろしいのでしょうかね。大丈夫ですか。大丈夫ですね。(大川商工施策担当部長「はい」と呼ぶ)大丈夫ですね。はい、分かりました。大体、三分の一ぐらいは利用しているんじゃないかということと理解しました。
機器利用の実績は、五か年の見込みで、センターの中にある機器を利用して新しい技術を開発するとか、中小企業さんが利用されているんですけれども、これが七十五万七百三十五件、年十五万、一日五百六十六件ということで、かなり利用されているなという印象です。
近年の業績や技術の傾向及び昨今の原材料とか光熱費の物価対策におけます機器利用料が、妥当性とか、高過ぎず安過ぎずというような検討もされているので、その辺りの課題などもお聞かせください。
○大川商工施策担当部長 機器利用は製造業の活用が多く、近年は、環境試験機器や立体造形機器、ヘルスケア関連機器の利用実績が多くなっております。
機器利用料金については、国の法律に基づき、地方独立行政法人である都産技研が、都議会での議決も経て、知事からの認可を受けた上限額の範囲内で金額を取り決めることとなっております。
なお、料金の算定に当たっては、受益者負担の考え方により、要綱等に基づきまして、おおむね二年から三年ごとに原価を積算し直した上で見直しを行い、これに基づき適正な料金を設定しております。
○上田委員 二、三年ごとに見直してくださっているということでした。
オーダーメード型技術支援は、製品化、事業化目標を期間中百二十件としておりましたが、期間進行率が八六%とのことです。
事例として、洗濯ネット、カメラ、グラスなど多様な製品があり、設備にも限界がある中で、この件数が限界なのかなということも踏まえて、成果の評価をお願いいたします。
○大川商工施策担当部長 オーダーメード型技術支援を利用して製品化または事業化に至った件数は、令和三年度から六年度までの四年間において百三件であり、中期計画目標値である百二十件の達成が見込まれることからB評定といたしました。
第五期中期目標においても、中小企業の技術課題解決や製品開発のニーズに柔軟に応えるきめ細やかな支援を行うこととしております。
○上田委員 共同研究についてなんですけれども、目標期間中は七十件見込みとのことで、令和六年度は二十七テーマ、製品化、事業化は十五件。目標達成は評価するものです。
基盤研究で得られた成果や、大学などのアイデアや技術を活用し、中小企業との共同研究を通じて、技術開発や製品化、事業化を後押しして成果を出してきたわけですが、この結果が、これも先ほどとね、マックスという理解でよろしいですか。今後、現状維持をするということなのかも確認させてください。
○大川商工施策担当部長 第五期中期目標では、共同研究及び受託研究を通じ、中小企業が製品化、事業化につなげた件数を、目標期間中、累計八十五件とする数値目標を掲げており、引き続き取り組んでまいります。
○上田委員 まだ余力があるということでした。
これ、結構大事な外部資金の導入研究なんですけれども、総額は、五年の見込みで十五億四千九百万円採択されています。
令和五年度の確認をしたところ、法人が主体となる提案公募型研究は七十六件、中小企業からの受託に基づく研究は十五件実施、提案公募型研究の件数が増加する傾向にあるとのことです。
私からすると、評価したい金額には思われるのですが、客観的にどのような評価をされているのか。今後に向けて、もっと採択件数と金額を増やしていく予定なのか。
特に中小企業、なかなか自分で公募したり何かというのは、できづらいと思うんですよね。特に町工場の方なんかは。
そこからの受託を推進してほしいとも思いますので、その辺の具体的な対策や意気込みをお聞かせください。
○大川商工施策担当部長 都は、都産技研が外部資金導入研究について、中期計画の目標値を上回って採択件数を伸ばすことで研究の幅を広げ、質を高めてきたことを高く評価しております。
第五期中期目標では、科学研究費助成事業等の提案公募型研究に積極的に応募し、採択を目指すとともに、中小企業等からの受託研究に取り組むことを掲げております。
今後の取組につきましては、中期目標に基づき、都産技研が中期計画等を策定する際に検討していくこととなります。
○上田委員 積極的に導入、お金を集めていただきたいと思います。
また、これ大事なのが知的財産なんですね。技術立国であった日本において、知的財産の取得は非常に重要であって、中小企業が、特に零細はこの点は弱く、中国などに特許を取られ、技術を奪われてしまう事例などを散見し、取組の重要性をるる述べてまいりました。
産技研では、担当職員の能力向上を図りながら、基盤研究や共同研究の成果を精査した上、知的財産権として登録して適切に管理するとともに、中小企業の技術開発や製品開発に生かすために、積極的な実施許諾を推進しているということですが、中小企業にどう寄与したのか。
また、研修、勉強会の全職員の受講率をお示しください。
○大川商工施策担当部長 都産技研では、保有する知的財産権の活用を中小企業に対して提案し、実施許諾を行うことにより製品開発につなげております。
例えば、都産技研が開発した模擬尿臭組成物について実施許諾を締結することで、令和六年度に中小企業の人工尿臭試薬の販売に至りました。
また、職員の専門性を高めるため、令和四年度から知的財産の利活用に関する研修を実施しておりまして、令和六年度の受講者は、特許調査に関する研修で百十五名、秘密保持に関する研修で二百一名であり、研究職に対する割合は、それぞれ約四割と約七割でございます。
○上田委員 適切に職員教育がなされているやに思料します。
産技研では、中小企業の特許取得のサポートは行っていなくて、実は都にある知的財産総合センターにおいて相談やセミナー等の支援を実施しているということですが、そちらに紹介した事例などあったのか。
また、産技研にありますDX推進センターについては、DX、IoT、ロボット技術など社会実装を促進、オープンイノベーションの促進も目指して、金融機関ほか豊富な技術シーズを有する機関と協力する機会を進めています。
スタートアップ企業の製品化、事業化支援、海外展開促進も実施されているんですが、本当に縦割りという、またご意見も出ていましたけれども、先ほど委員から。本当にそうで、縦割りプラス屋上屋を重ねるというのが、私も四期目ですので、散見されていて指摘をしているところなので、デジ局やGovTech、スタ本、それからTIBとの連動、連携などの令和六年度の具体的状況を伺います。
また、多様な連携によるオープンイノベーションも、同様にデジ局やGovTech、スタ本、TIBと連携しているのかも伺います。
○大川商工施策担当部長 都産技研が主催するビジネスマッチング交流会におきまして、東京都知的財産総合センターによる事業紹介を行うほか、製品開発支援ラボに入居する企業に対しまして、センターと連携したセミナー、相談会を実施しております。
また、都産技研では、TIBで実施されるスタートアップイベントに職員が審査員として参加したほか、関係者と意見交換を行うとともに、都産技研の事業案内を配布するなどの連携をしております。
○上田委員 産技研の人材リソースが東京都のほかの事業で、Tokyo Innovationね、知事の大好きな鳴り物入りの。そちらでも活躍されているということで、ほっとしました。
従前、サイバーセキュリティの認識を一層高め、リスク低減に向けた技術措置を図るなど、効果的な危機管理対策の推進が求められ、情報管理については、企業情報や製品開発等の秘密情報に関し、適正な扱いと確実な漏えい対策を図るため、全職員を対象とした研修、先ほど七割やっているということでした。
システム、ソフトウエアの整備と活用によりリスク低減に努めているとのことなんですが、サイバーテロが政府機関にも攻撃をしている昨今、重ねての対策を講じているのか、伺います。
○大川商工施策担当部長 近年のクラウドの普及やテレワークの定着により、都産技研のネットワーク環境の変化に適切に対応するため、全てのアクセスを検証するゼロトラストセキュリティの考え方を導入し、情報セキュリティ対策を強化しております。
○上田委員 独自に、技術者はいっぱいいるので、そこは抜かりがないように思料いたしました。
社会的課題解決支援ですけれども、技術実績が、この中期目標の資料二二ページで、五年前から八倍近くとなっており、自己評価は、見込みはS、令和六年度はAとなっております。市場及びジャンルとして活況を帯びていることを感じる次第です。
この間のトレンドや今後期待できる成長戦略など、中小企業とじかに接しているセンターでありますことから体感できていると思いますので、詳しくご報告ください。
○大川商工施策担当部長 都産技研からは、第四期中期目標期間において、環境問題や都民のQOLの向上などの社会的課題の解決に資する分野で技術支援等を進めてきましたが、こうした分野やDX分野などに関しましては、今後も中小企業からの支援ニーズは高いと聞いております。
○上田委員 業種として成長戦略が練れそうなところですので、よろしくお願いしたいと思います。
九月二十九日に、テレコムセンターの本部とDX推進センターを、私、上田が視察をさせていただきました。百聞は一見にしかずで、研究開発型企業などの研究拠点として、製品開発支援ラボが十九室ありました。多摩は五室あるそうです。
開始以来の稼働状況、利用者の事業体や技術の傾向はいかがでしょうか。
都事業のほかのインキュベーション施設、青山創業促進センター、NEXs Tokyo、TIB──先ほど出ましたね。その中にFABってあって、ちょっとしたラボみたいのがあるんですよ──との有形無形の連携や技術に係る事業者支援の情報交換も当然なされていると思うので、実績などを踏まえてご報告ください。
○大川商工施策担当部長 製品開発支援ラボの年間入居率は高い水準で推移しておりまして、令和六年度は約九六%でございました。
現在、ラボに入居している企業の中には、AI、VR、宇宙科学、医療科学に関する製品やサービスの開発などを進める企業が含まれております。
また、TIBのFABの運営受託事業者とは、相互が保有する機器に関する情報交換などを実施しております。
○上田委員 FABの方は、3Dのプリンターとかいろいろあって、非常にここも人気があるようですので、こうした老舗といったらあれですけれども、足腰がある産技研が関わっていることは安心するところでございます。
海外展開の促進です。
まず、バンコク支所において、東京と日本においてどのようなメリットのある支援が行われたのでしょうか、また伺います。
また、日本における起業相談などを受けていると思われますが、Invest Tokyo事業など産労が有する支援事業などを活用されたのでしょうか、伺います。
○大川商工施策担当部長 バンコク支所では、本部とも連携しながら、現地に進出した中小企業に対しまして、セミナーによる情報提供や相談対応などの技術支援を実施し、中小企業の海外展開に寄与しております。
なお、都産技研においては、海外企業の日本への進出に当たっての支援は行っておりません。
○上田委員 一応、コストをかけてバンコク支所を展開しているので、東京都が持っている海外展開用の事業がありますので、積極的に周知をしていただきたいなと思います。
また、中小企業の海外展開中期目標値は百二十件。中小企業ですね、日本から製品なり何なりの海外展開は百二十件達成したということですが、円安ですから輸出は有利と思いますし、四十四万といわれる東京の中小企業規模からすると、ちょっと少なく感じますが、所見を伺います。
また、輸出以外にも、中小企業が物理的に海外事業所をつくるとか進出するとかいった事例や、その場合のセンター以外の都や、これ、大使館なんかも結構協力するんですよね。などの支援事業とつなげたのか、伺います。
○大川商工施策担当部長 中小企業の海外展開に寄与した件数は、中期計画の目標を達成するとともに、海外の法規制や国際規格への適合性などに関する技術相談や、セミナー等による最新情報の提供を着実に実施していることなどによりまして、A評定といたしました。
バンコク支所では、東京都中小企業振興公社タイ事務所と連携して、漏電検査機の製造、販売を目指し事務所を設立した企業に対しまして技術支援を行いました。
○上田委員 日本の中小企業から海外に物理的な拠点をつくって販売ルートを確保したということは、まだ確認はされていないと確認をさせていただきました。
そのように今後、総理も替わったことですし、強く元気な日本を、もちろん大田区の工場も世界に、江戸川の工場も行ってもらいたいと思いますので、販路の獲得に向けての引き続きのご努力をお願いします。
人事関係です。
資料にもありましたけれども、現時点の法人職員のプロパー、都からの出向人数、研究職、事務職の割合と、プロパー職員と出向者の幹部職の状況について伺います。
職員の技術向上に係る評価や研修などの取組も伺います。
○大川商工施策担当部長 令和七年八月一日現在の法人職員数は三百八十三名であります。うち、都からは十四名を派遣しております。
また、幹部職員数は四十四名であり、うち、都からは三名を派遣しております。
研究職の割合は七四%、事務職の割合は二六%であります。
人材育成に関しましては、能力開発に係る目標管理を自己申告制度を通じて実施するほか、人材育成計画に基づき研修等を行っております。
具体的には、外部機関への研修出向、社会人博士課程への派遣、資格取得に対する補助等を通じて職員の業務遂行能力の向上を図っております。
○上田委員 私もたくさん様々な技術を、環境検査とか、いろんな技術者の方、ロボット開発とか、博士と呼ばれる職員の方に紹介をいただきまして、独法化して、ほぼ出向者がいなくなって、いい意味で、健全に内部で人材の個々の育成はできているなというふうには評価をさせていただいております。
また、技術者も、独自にプロパーでもちろん採用なさっているということでありますが、この中期目標の指摘事項として、改善、充実を求めるものとして、業務運営において、社会経済動向や中小企業のニーズの変化に即応できるよう、柔軟かつ機動性の高い組織運営、それを担う人材確保と育成が指摘されておりました。
後者はできているのかなというふうに思うんですが、今後に向けて、柔軟かつ機動性の高い組織運営というのは、どういうふうにこの指摘された課題を解消していくのか、将来的な打開を踏まえた中長期スパンでのご説明をお願いいたします。
○大川商工施策担当部長 第五期中期目標では、機動性、柔軟性を兼ね備えた組織体制や人事制度を確保するため、研究企画機能を強化することなどを求めております。
また、多様化する企業ニーズや社会課題解決に対応する幅広い視野を持つ職員の育成に努めることを掲げております。
今後の取組につきましては、引き続き、中期目標に基づきまして、都産技研が中期計画等を策定する際に検討してまいります。
○上田委員 これまでよりも研究企画機能を強化していくということでございました。
引き続き、この評価書は、私たち経済・港湾委員会でチェックをしていくこととなると思いますので、定点観測をさせていただく次第でございます。
また、中小企業支援機関、金融機関など多様な機関連携支援や企業間連携活動支援の積極的取組が期待されているところですが、具体的にどのような連携企業を想定されているのか。企業間をどう具体的にうまく結びつけようと産技研としては想定しているのか、現時点と、また中長期的な対策をご説明ください。
○大川商工施策担当部長 都産技研では、区市町村、経営支援機関及び起業支援機関、商工会議所、商工会等の商工団体並びに信用金庫、政策金融公庫等の金融機関と協力し、セミナーや出張技術相談等を実施しております。
第五期中期目標におきましても、様々な連携事業に取り組むことを求めております。
また、技術課題の解決や新たな技術、製品の開発に取り組むため、業種を超えた企業グループの設立や運営支援などを通じて活発な活動を促進することを求めております。
○上田委員 冒頭申しましたように、約九十億円投資をされているということで、より多くの中小企業の方が活用いただくと。
私、ご承知のとおり、お酒なんかも好きなんですけれども、酒類の開発もしていらっしゃるということですが、うちの近所の北葛西のこばやし酒店では、新島の焼酎を開発して、無事に都のご協力も得て製品化につなげたのですが、私の宣伝不足もあったのか、産技研のことを知らなかったもので、ぜひ広めていただきたいというふうに思っております。
中小企業設備近代化資金貸付金についてです。
この貸付金は、中小企業の近代化を促進する目的で、資金調達力の乏しい中、中小企業の生産設備の導入に関し、国の二分の一の負担と都の資金負担により長期、無利子の資金を貸し付けていると思料しておりますが、債務者である法人が倒産し事業実態がないこと、代表者兼連帯保証人が亡くなってしまっていて時効の援用の確認を得られなかったことから、今般の私債権の放棄となりました。
貴重な血税でございますので、まあ、この貸付金については、どうしても焦げつくことが多く、毎年指摘をしているところでございますが、この件の学び、今後毀損しないための再発防止策を伺います。
○原金融部長 中小企業設備近代化資金貸付金は、工業や小売業等の中小企業者が設備の近代化に必要な資金を、国から資金の二分の一の拠出を受け、昭和三十七年度から平成十一年度まで貸し付けていたものでございます。
同貸付金の回収に当たりましては、東京都債権管理条例及び同施行規則に基づき、履行期限までに履行しない債務者に対する督促、担保の付されている債権については担保の処分、債務者の資産、負債の状況の調査、返済能力に応じた履行の延期などを行うことにより、徴収努力を尽くしております。
○上田委員 別件ですけれども、外国人の無担保、無保証融資も非常に都民に評判が悪く、昨年の三月、私も指摘をさせていただいて終了というふうになっておりますので、本当に日本の中小企業を救わなければいけないのですけれども、いずれにしろ、厳しくチェックをし、また、どうにもならなくなる前にアウトリーチをしていただきたいということをお願い申し上げます。
最後の質問は、女性活躍に関する条例でございます。
検討部会、直近の資料には、女性活躍は女性のためではなく、企業の発展、人員確保のために取り組むべきものという打ち出しが重要、女性活躍は目的ではなく、事業が伸びる、自社が成長するための手段の一つであると経営視点で捉えることが大事、企業は差し迫った状況がないと変わらない、先んじた取組は女性のためではなく、企業にとってプラスになると打ち出すべき、女性活躍を進めることは日本全体の成長につながるという点は共通の理解とすることができたとありました。正直、違和感しかありませんでした。
女性個人が自分の人生を自分で決めて、経済的にその人に合った形で、理不尽な思いをすることなく自立した生涯を送ることが、結論としては企業や人員確保につながるのではないでしょうか。企業にとってプラスが先ではなく、女性にとってプラスが、結果、企業にプラスの順番であるべきではないかと思った次第です。
小学生からのキャリア教育は非常に重要、小学生のうちから現場を見せて関心を持たせ、人材プールを増やすとか、妊娠、出産を抱える女性の職場でのキャリア形成とか、リスキリングするなど、いろいろと検討会や議会でも議論していますが、私は、どうも現実とかみ合っていない気がしてなりません。
一番もったいないのは、何とか会社員になれた女性のキャリア形成、これも大事なんですが、そこまでたどり着けない女性が、働くスキル、生きるスキルを身につけないまま社会に放り出されて、低賃金でトリプルワークに甘んじている層が放置されていることではないかと思われます。
中学まで基礎学力をしっかり身につけて、高校に安心して進学ができる。また、今どきは、無理して高校に行かなくても、技術を何とか身につけることも可能です。
もちろん、高校卒業後の大学、専門学校、就職をしっかりできるというようなシステムを徹底することが、遠回りで一番、女性が輝く近道と私は思っております。
育ち上がった女性をどうするかということしか触れておらず、今を生きる最も困っている女性は恩恵を受けられない。つまり、企業で働けそうな女性優先条例のように思われてなりません。
改めまして、一体、どこに軸足を置いておられるのか。基本的なことです。分かりやすくご説明ください。
○吉浦働く女性応援担当部長 都はこれまで、男女平等参画基本条例に基づきまして、様々な施策を展開してまいりました。
雇用分野におきましては、仕事と育児、介護などの両立支援策が充実するなど、性別に関わらず働きやすい環境整備が進んできております。
社会状況が変化する中で、東京が今後も持続的に発展するためには、雇用分野等において女性の活躍を一層推進することが重要でございます。
新たな条例は、仕事をしている女性やこれから仕事をしたいと希望する女性が、その個性や能力を発揮して活躍することを推進し、誰もが生き生きと暮らす社会の実現を目指すものでございます。
○上田委員 これから仕事をしたいと希望する女性が、その個性や能力を発揮して活躍することを推進し、誰もが生き生きと暮らす社会の実現を目指すということですが、女性が働くことを前提として生き生きと暮らす社会と理解するものでございます。
生活が自立できるレベルまでたどり着けない、資格、学歴等、特別な経歴や能力を持てなかった、持ち得なかった女性は、この条例において、どう活躍できる想定をされているのでしょうか。
また、この条例にひもづく具体的な都政事業や、こうした女性を支える事業を含めて、都の持っている、女性が輝くことを念頭に入れた、当然ひもづいていると思うので、ひもづいていなきゃ条例提案なんてできないと思うので、取りまとめて、該当するひもづく事業を列記をお願いいたします。
○吉浦働く女性応援担当部長 新たな条例は、働いている女性や働くことを希望する女性が、その個性や能力に応じて活躍することを推進するために制定をすることとしております。
条例に基づく施策については、条例制定後に検討をいたします。
○上田委員 今回の要求資料の3が、産労の女性活躍に値する支援事業の予算、令和五年、六年、七年と出ております。皆さんも共有していると思いますが。
五年度は六十六億六千三百万円で三十事業、令和六年は百十四億七千二百万で四十事業、令和七年、二百五億二百万、これ四十七事業ですよね。相当な数と相当な予算を投入しているんですね。
雇均法もありますし、何でわざわざ屋上屋をこの条例で重ねるのかと。育業なんかも、一千五百万もかけてドラマ撮っても、誰も育業なんていっていませんよね。これまた絵に描いた餅米とならないようにしっかりやってくださいとは、私はあまりいいたくもないんですね。要るのという感じなんですね。
今ある事業を――この令和五年度から七年度の支援事業も、もう要らないんじゃないかというのもあったし、実際、なくなっているのであれば数が減っているのもあって、そういう今あるものをしっかりと利用していただくことで、スキルのない女性の自立――いっぱいあるじゃないですか、産労というのは。外郭団体もあるし。
もうゆめゆめ、浸透するために、何か電通とか博報堂を使って、女性輝き条例キャンペーンとかいって名称募集なんていって、要らぬ税金をかけないよう強くお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
○さとう委員 女性の活躍に関する条例についてお伺いします。
まず、女性特有の揺らぎを抱えたまま、女性が自分らしさを失わずとも働ける社会をつくりたいという、政治を志すきっかけとなった強い思いを基に質問します。
この条例が、手取り及び手取り時間が増え、女性活躍がしやすい社会への促進剤となるように進めていければと思います。
令和七年八月の検討会議資料によると、女性活躍は女性のためではなく、企業の発展、確保のために取り組むべきものという基本的な考えが示されていました。
働き方の多様性というよりも、家庭にいる時間を減らし、長時間労働しやすい労働環境へと社会が進むのではないかという懸念がありますが、見解を伺います。
○吉浦働く女性応援担当部長 都は、誰もが社会のあらゆる分野で活躍できるよう、様々な取組を進めてまいりました。
雇用分野等では、仕事と育児、介護等の両立支援等に取り組みまして、女性の就業率は向上をしております。
一方で、正規雇用や管理職の比率は低い水準にとどまっているというところです。
社会状況が変化する中で、雇用分野等におきまして女性が個性や能力を発揮して活躍することを一層進めることが、東京が今後も持続的に発展するためにも重要と考えております。
○さとう委員 既存条例の実効性を高めることが先でありまして、新条例は手段のすり替えになると考えています。
東京都は、既に男女平等参画基本条例という包括的な枠組みが存在します。本来、非正規雇用や、管理職比率の是正といった課題は、その条例の中で、実施計画の強化、予算措置、検証機能の拡充によって対応可能です。
新しい条例をつくるのは、目的のための手段ではなく、実効性の欠如を制度で隠すための手段に見えます。
つまり、進んでいないから新しい条例をという発想は、既存制度の検証と責任を回避しているに等しいですが、見解を伺います。
○吉浦働く女性応援担当部長 都はこれまで、男女平等参画基本条例に基づきまして、様々な施策を展開しておりました。
雇用分野におきましては、仕事と家庭の両立支援策の充実などを図りまして、女性の就業者数は増加をしております。その半数以上は、一方で非正規雇用でありまして、管理職に占める割合も低くなっております。
社会状況が変化する中で、東京が今後も持続的に発展をしていくためには、雇用分野等において女性が個性や能力を発揮して活躍することを一層推進することが重要でありますことから、新たな条例を策定するものでございます。
○さとう委員 既存条例がありながら、なぜ今、新たに女性の活躍に関する条例を制定する必要があるのでしょうか。
既存条例では対応できない具体的な課題は何か、伺います。
○吉浦働く女性応援担当部長 社会状況が変化する中で、東京が今後も持続的に発展をしていくためには、雇用分野等におきまして女性が個性や能力を発揮して活躍することを一層推進することが重要でございます。
そうしたことから、新たな条例を策定するものでございます。
○さとう委員 条例の数よりも、雇用構造、財政支援の中身が重要です。
非正規雇用や、管理職比率の低さは、条例ではなく、賃金制度、働き方改革、中小企業支援政策の領域です。
条例を増やすよりも、予算と制度をどう動かすか、その具体策を示すことが重要かと思いますが、見解を伺います。
○吉浦働く女性応援担当部長 繰り返しになりますが、社会状況が変化をする中で、東京が今後も持続的に発展するためには、雇用分野等において女性が個性や能力を発揮して活躍することを一層推進することが重要でございます。
こうしたことから、今回、新たな条例を策定するものでございます。
○さとう委員 女性活躍を一層推進することが必要であるため、その原動力として新たに条例を制定する必要があるとの考えを示されましたが、新しい条例で意識を高めるといっても、既に企業は女性活躍推進法がありまして、東京都独自の上乗せ条例は重複、過剰規制になりかねませんが、見解を伺います。
○吉浦働く女性応援担当部長 東京都は、男女平等参画基本条例に基づきまして、社会のあらゆる分野の活動に男女がひとしく参画できるよう施策を展開してきております。
雇用分野では、条例のほか、男女雇用機会均等法なども踏まえて、男女ともに働きやすい環境づくりを推進してまいりました。
社会の変化が進む中で、東京の持続的な発展に向け、雇用分野等での女性活躍を一層推進することが必要であるため、その原動力として、新たに条例を策定することとしたものでございます。
○さとう委員 今までの発言の内容で、本質的な課題といたしましては、政策の検証結果、PDCAサイクル、これがなされていないことだと思っています。
男女平等参画基本条例の下で、東京都は、既に行動計画、指標を掲げています。非正規雇用の改善や管理職登用が進まないのは、成果検証もPDCAも十分でなかったからです。
成果検証をせずに新しい条例をつくるというのは、結果責任ではなく、見せかけの改革ですが、見解を伺います。
○吉浦働く女性応援担当部長 東京都は、男女平等参画基本条例に基づきまして、社会のあらゆる分野の活動に男女がひとしく参画できるように施策を展開してきております。
雇用分野でも様々な取組を進めてまいりました。
社会の変化が進む中で、東京の持続的な発展に向けて、雇用分野等での女性活躍を一層推進することが必要でございます。ですので、その原動力として、今回、新たに条例を制定することといたしたものでございます。
○さとう委員 質問の仕方を変えます。
政治的には、女性政策の二重行政化になると思っています。女性の活躍推進という看板を掲げて別条例をつくることは、一見、前向きに聞こえますが、実際は既存の仕組みを生かせていないことの裏返しです。
条例の数ではなく、一つの条例をどれだけ現実に落とし込めるかが本当の活躍推進ですが、見解を伺います。
○吉浦働く女性応援担当部長 都としては、これまで様々な施策を展開してまいりました。
雇用分野について申し上げますと、女性の就業率の向上、それから男性の育業の取得率の向上など、一定の成果があったものと考えております。
○さとう委員 質問の回答にはなっていないと思うんですけれども、次の質問に行かせていただきます。
条例案を詳細に検討すると、事業者の責務として掲げられている内容のほとんどが、既存の法令や条例と重複しています。
例えば、性差を組織や就業者割合を主体的に解消することは東京都男女平等参画基本条例第十三条で、ハラスメントを行わないことは同条第十四条や男女雇用機会均等法第十一条で、既に規定されています。
これらの重複についてどのように認識しているか、伺います。
○吉浦働く女性応援担当部長 都は、男女平等参画基本条例に基づきまして、社会のあらゆる分野の活動に男女がひとしく参加できるように施策を展開してきております。
雇用分野では、条例のほか、法も踏まえまして、男女ともに働きやすい環境づくりを推進しております。
社会の変化が進む中で、東京の持続的な発展に向けて、雇用分野等での女性活躍を一層推進することが必要になりますので、その原動力となるように、今回、新たに条例を策定するものとしております。
○さとう委員 私が確認しましたところ、既存条例との唯一の明確な差は、経済団体の責務を新設した点にあると理解しています。
都は、業種別の経済団体への加入率のデータを保有しておりますでしょうか。
二〇〇七年に実施された経産省の商工業実態基本調査によると、都内の従業員数五十人未満の小規模製造企業のうち、経済団体に所属している割合は約四五%と半数以下でした。つまり、多くの中小零細企業は、この条例が想定する支援の枠組みから最初から除外されることになります。
この構造的欠陥についてどう考えるか、見解を伺います。
○吉浦働く女性応援担当部長 新しい条例では、女性が個性や能力を発揮できる環境整備に主体的に取り組むことを、各事業者に責務として定めることとしております。
○さとう委員 条例で定められる内容について、経済団体の責務と記載がありました。
経済団体の責務についての都の見解を伺います。――あらかじめ配られている資料の中ですが。
○大山委員長 どなたが……(発言する者あり)どなたが答弁しますか。
○吉浦働く女性応援担当部長 経済団体におきましては、所属する事業者の取組をしっかりと後押しするようにというところが責務でございます。──すみません。失礼します。付け加えまして、都の施策にも協力をしていくというところが責務でございます。
○さとう委員 経済団体に責務を課しても、実際に採用、昇進、育児支援制度を決めるのは各企業現場レベルです。経団連や商工会議所が理念的に賛同しても、下位の中小零細には伝わらず、行動変容は起きません。
責務を定めた対象が決定権を持たない層である以上、政策効果は限定的と考えますが、見解を伺います。
また、環境整備に主体的に取り組むとありましたが、責任の所在が曖昧です。環境整備という曖昧な言葉の裏で、実際に誰がいつまでに何をするのかは示されていません。
それでは条例の意義が立たないと考えますが、見解を伺います。
○吉浦働く女性応援担当部長 条例に基づく施策、それから指針の内容等々につきましては、今後、条例制定後に検討することとしております。──失礼します。ガイドラインにつきましては、事業者が条例の目的を理解して計画的に取り組むことが非常に大事でございます。ですので、取組項目、それから企業規模、業種などに合わせた具体的事例などを指針において示していくこととしております。
○さとう委員 真に求められるべきものは、経済団体への責務ではなくて行政の支援策です。都が新たに示すべきは、責務の押しつけではなく、非正規雇用是正、育休復帰支援、人件費補助など構造的支援の仕組みです。行政が責任を事業者に転嫁しているように見える現行答弁は、共に進めるという理念と逆行します。
責務という言葉を使って行政責任を軽くし、実効力のない条例を重ねることは、都民の信頼を損ねる危険がありますが、見解を伺います。
○吉浦働く女性応援担当部長 事業者の主体的な取組を、都としてもしっかりと後押ししてまいります。
○さとう委員 九月九日の検討部会の議事録を見ますと、有識者から、女性の割合が少ない業態の企業にも女性の採用と昇進の努力を促すために、インセンティブを付与することが大切との発言がありました。
これは補助金や優遇措置を想定した発言と理解しますが、経済団体を通じた配分となれば、団体に属さない企業は最初から対象外となります。
これでは公平性に欠けるのではないかと考えますが、見解を伺います。
○吉浦働く女性応援担当部長 条例に基づく施策につきましては、条例制定後に検討をいたします。
○さとう委員 条例制定後に検討というのは、立法手続の本末転倒です。本来、条例とは、目的、手段、実施主体、効果を明確にして制定されるべきものです。詳細は制定後に検討というのは、実施計画も制度設計もないまま、理念だけ先行させる行為であり、都民から見れば白紙委任を求めるに等しいです。
施策内容が固まっていない段階で条例を通すのは、行政の説明責任の放棄であり、議会軽視かと考えますが、見解を伺います。
○吉浦働く女性応援担当部長 本条例につきましては、社会状況が変化する中で、東京が今後も持続的に発展するため、雇用分野において女性が個性や能力を発揮して活躍することを一層推進することが重要だという認識の下で、新たな条例を策定するものでございます。
それに基づく施策につきましては、条例制定後に検討してまいります。
○さとう委員 経済団体に責務を課しておきながら、実施内容が未定は矛盾しています。経済団体に責務を課す以上、当然、その役割、範囲、支援団体は事前に明示されていなければなりません。
条例制定後に検討というのは、責務だけ先に法定化し、内容を後づけする危険な立法手法です。責務を課すなら、少なくともその履行手段を明示すべきです。
それがなければ、責務という言葉自体が空文化すると考えますが、見解を伺います。
○吉浦働く女性応援担当部長 条例に基づく施策につきましては、条例制定後に検討いたします。
施策に関する予算につきましては、予算審議の中でご議論いただくこととなります。
○さとう委員 回答になっていないと思うんですけれども、都内企業の実態について確認いたします。
製造業、建設業、運送業における女性従業員比率の現状を業種別、規模別に伺います。特に、従業員三十人以下の小規模事業者における女性雇用の実態はどうなっていますでしょうか。
また、これらの業種において、本条例が定める性差の解消と現実の乖離について、都はどの程度把握しているのか、具体的なデータとともにお示しください。
○吉浦働く女性応援担当部長 令和三年の経済センサスによりますと、都内企業の女性従業員比率は、製造業全体で二四・七%、うち三十人未満の企業で三四・一%となっております。
建設業全体では一七・七%、うち三十人未満の企業では二一・一%となっております。
運輸業、これは郵便業もちょっと含まれてしまうのですが、全体で二四・九%、うち三十人未満の企業では一八・四%となっております。
事業者の状況も様々でございます。それぞれの状況に応じて主体的な取組が進みますように、具体的な事例などを指針に示しまして、後押しをしてまいりたいと考えております。
○さとう委員 具体例示の提示は、説明であって解決ではありません。都が企業の業種、規模に応じた具体的例示を提示するといっても、それは啓発活動にとどまり、根本的な雇用構造の改善には結びつきません。
現場が求めているのは、成功事例の紹介ではなく、制度的、経済的にどう支援するかという仕組みそのものですが、都の見解を伺います。
○吉浦働く女性応援担当部長 条例に基づく施策につきましては、条例を制定した後に検討してまいります。
○さとう委員 もともと女性が活躍しづらい分野について、なぜ活躍しづらいのかという原因分析がそもそも抜けています。重機、建設、運輸、製造などで女性比率が低いのは、単に選ばれないからではなく、設備や制服の男女対応不足、育児、夜勤体制の不整備、職場文化、昇進制度の偏りといった構造的要因があるからです。
具体的例を示すだけでは、こうした根本的障壁を除去することはできませんが、見解を伺います。
○吉浦働く女性応援担当部長 条例に基づく新たな施策につきましては、条例制定後に検討してまいります。
○さとう委員 質問の回答になっておりませんが、都は、進捗状況調査を実施し、その結果を公表するとしています。これは、企業の人事情報を収集し、成績表のように公開することで、実質的な社会的圧力をかける仕組みになる懸念があります。
罰則はないとはいえ、公表を恐れて形式的な数合わせに走る企業が増えれば、本来の目的である女性活躍とは逆行する結果になると考えますが、どうでしょうか。
○吉浦働く女性応援担当部長 進捗状況の具体的な調査や公表の方法などにつきましては、今後検討することとしております。
○さとう委員 進捗公表の仕組みが未定ということですので、数合わせ企業増加は必然です。企業が見せかけの数値を並べる危険性を指摘しているのに、その防止策を検討中とするのは本末転倒です。
公表制度の設計こそが信頼の要です。そこを曖昧にしたままでは、形式だけ整えたジェンダー経営が蔓延するのが明白だと思いますが、都の見解を伺います。
○吉浦働く女性応援担当部長 本条例は、企業の自主的な取組を後押ししていくものでございます。
企業につきましては、調査へのご協力を求めてまいります。
○さとう委員 これもまた質問の答えになっていないと思うんですけれども、都が本気で形式主義の条例を防ぎたいのであれば、最低四点を条例前に示すべきです。
一、公表項目の統一基準、二、検証の頻度と方法、三、評価の公表主体、都なのか第三者なのか、四、改善勧告制度の有無。
それを示さずに今後検討とするのは、立法権者である議会への責任説明の放棄と考えますが、見解を伺います。
○吉浦働く女性応援担当部長 ガイドラインにおきまして、事業者が条例の目的を理解し、計画的に取り組んでいただけるよう、取組項目、それから、企業の規模、業種などに合わせた具体的な事例などを示してまいりたいと思っております。
企業には、調査への協力を求めてまいります。
○さとう委員 質問の回答になっていないと思いますが、本条例の施行に伴う行政コストについて伺います。
進捗状況調査の実施、ガイドライン制定、普及啓発事業など、新たに必要となる人件費と事業費の試算はどの程度でしょうか。
また、これらのコストに見合う効果をどう測定するのでしょうか。費用対効果の観点から回答をいただければと思います。
○吉浦働く女性応援担当部長 予算につきましては、今後、予算審議の中でご議論いただくこととなっております。
○さとう委員 予算審議で決めるというのは、政策の費用対効果を検証せずに条例を先行させる行為です。行政コストを事前に示さないのは、政策責任の回避です。
条例を策定する際には、当然ながら、想定される人件費、システム整備費、調査、公表、周知のための経費など、行政コストの概算を事前に試算して議会に示す義務があります。
予算審議の中で決めるという答弁は、今はコストを把握していないということを意味します。
それでは条例の費用対効果も実現可能性も判断できませんが、都の見解を伺います。
○吉浦働く女性応援担当部長 進捗状況の具体的な調査、それから公表の方法などにつきましては、今後検討していくこととしております。
予算については、予算審議の中でご議論いただくこととしております。
○さとう委員 予算審議の中で決めると条例審議で決めるは、全く別の段階です。条例審議は制度の是非を問う場所、予算審議は執行の金額を問う場所です。
コストの根拠もないまま条例を可決すれば、議会が白紙委任を与えることになります。コストが見えない政策は、責任も負えず、成果も評価できません。
行政の説明責任を果たしていない典型例ですが、都の見解を伺います。
○吉浦働く女性応援担当部長 進捗状況の具体的な調査、それから公表の方法については、今後検討することとしておりまして、予算につきまして、予算審議の中でご議論いただくこととしております。
○さとう委員 進捗状況の調査を今後行うという答弁がありましたが、その進捗状況の実施頻度と、その調査コストについて詳細を伺います。
年一回実施するのか、複数年ごとなのでしょうか。都内約四十五万事業者のうち、どの程度を調査対象とするのでしょうか。
また、調査票の作成、配布、回収、集計、分析にかかる年間コストの試算をご回答をお願いします。
○吉浦働く女性応援担当部長 調査、公表の方法についても様々ございますので、進捗状況の具体的な調査や公表の方法などにつきましては、今後検討することとしております。
○さとう委員 答弁が全て今後検討するとのことで、理念条例だから後で考えるということをいいたいのかもしれませんが、たとえ理念条例でも、周知、広報、調査の公表、職員研修や委員会運営など、実務的経費は確実に発生します。それを想定せずに制定すれば、結果として、見積外の支出が次年度以降に膨らみます。
財政規律の観点からも無責任だと考えますが、都の見解を伺います。
○吉浦働く女性応援担当部長 調査、公表の方法、それから条例に基づく施策については、条例の制定後に検討してまいります。
予算については、予算審議の中でご議論いただきます。
○さとう委員 恐らく次の質問も、また条例制定後に回答しますというふうにいわれるのかと思いますが、企業側の事務負担について具体的に伺います。
進捗状況の調査への回答には、人事データの収集、集計が必要となり、中小企業には相当な負担となります。この事務負担増について、都はどのような対策を考えているのでしょうか。
また、調査に回答しない企業への対応はどのようにするのでしょうか。
○吉浦働く女性応援担当部長 進捗状況の具体的な調査や公表の方法等につきましては、先ほどから申し上げてございますが、今後検討していくこととしておりますけれども、事業者にとって過度な負担とならないように配慮をすることとしております。
企業の皆様には、調査への協力を求めてまいります。
○さとう委員 今後検討という答弁は、制度の骨格が未完成である証拠です。進捗状況の公表は、条例の信頼性を支える根幹部分です。そこを制定後に検討というのは、制度設計が不十分なまま条例を先行させているということです。理念先行、実務後回しでは、結果的にやった感だけの条例になります。
評価方法を後づけにすること自体が形式的運用の温床だと考えますが、見解を伺います。
○吉浦働く女性応援担当部長 進捗状況の具体的な調査や公表の方法等につきましては、今後検討いたしますけれども、事業者にとって過度な負担とならないように配慮していくことと考えております。
また、今回の議論を経まして、パブリックコメントの形で、都民の皆様にはしっかりご意見を承ってまいりたいと考えております。
○さとう委員 パブリックコメントの前に、速やかに条例素案を取りまとめるということですけれども、条例素案を取りまとめた後にパブリックコメントということは、これまた議会軽視かと考えますが、都の見解を伺います。
○吉浦働く女性応援担当部長 今回お示ししておりますのは、条例の基本的な考え方でございます。ご議論を経た後、パブリックコメントを経まして、条例の素案をつくってまいります。
条例の素案、条例の案の中身についてのご議論につきましては、またその機会にご議論いただければと思っております。
○さとう委員 既存の男女平等参画関連事業の費用対効果について伺います。
都はこれまで、二十年以上にわたり男女平等施策を推進してきましたが、その結果をどう評価しておりますでしょうか。男女共同参画センターの年間運営コスト、利用者数、費用対効果を具体的にお示しください。
本条例を制定する前に、まず、既存事業の徹底的な見直しと統廃合を行うべきではないでしょうか。都の見解を伺います。
○吉浦働く女性応援担当部長 男女平等参画関連の取組につきましては生活文化局の所管でございまして、当局の所管ではございません。
そのうち雇用分野について申し上げますと、女性の就業率の向上や男性の育業の取得率の向上など、一定の効果があったと考えております。
各事業につきましては、予算編成過程において検討を行ってまいります。
○さとう委員 都民の税金で運営する以上、コストと効果を同時に提示するのが行政の最低限の責務です。条例が新たな事務負担や報告義務を生む場合、職員体制やシステム改修費なども伴います。それを後で決めるのでは、都民負担の増加を容認しているに等しいです。
行政改革を標榜する東京都がコスト意識を棚上げにするのは矛盾していますが、見解を伺います。
○吉浦働く女性応援担当部長 失礼いたしました。先ほどの答弁の中で、先生、男女平等参画センターとおっしゃったところでございます。私も施策といってしまったのですが、センターにつきましても、私どもの所管ではございません。生活文化局の所管となっておりますので、念のため、ご答弁させていただきます。
各事業につきましては、今後、予算編成の作業の中で検討させていただきます。
先ほどから申し上げておりますが、今回、ご議論いただいているのは、条例の基本的な考え方でございます。これから後、今回の議論を踏まえた上でパブリックコメントを募集してまいります。それも取りまとめまして、条例素案という形で、また皆様にはご議論いただきたいと思っております。
○さとう委員 他会派でも屋上屋という言葉が頻繁に出ましたが、ここまでの議論を踏まえると、本条例案は、既存の法体系で十分カバーされている内容を、屋上屋を架すように重複規定し、新たな補助金制度の創設など利権構造をつくろうとしているように見えます。
条例規定後に想定される関連予算の規模とその財源について伺います。
○吉浦働く女性応援担当部長 条例策定後の予算等々につきましては、条例策定後に検討、それからご議論をいただいてまいりたいと考えております。
○さとう委員 財政審議の後回しは形骸化の原因になります。
行政コストの予算なしに制定を急ぐのは無責任と考えますが、都の見解を伺います。
○吉浦働く女性応援担当部長 各事業、それから各費用につきましては、予算編成過程の中で検討をしていくことになっております。
○さとう委員 行政コストを予算審議の中で決めるというのは、実施に必要な経費を把握しないまま条例を通すということです。費用対効果も示されない政策に、議会として賛否を判断する材料があるといえるでしょうか。
都民の税金を使う以上、最低限の試算は事前に示すべきではないかと考えますが、都の見解を伺います。
○吉浦働く女性応援担当部長 各事業の予算につきましては、予算編成過程の中で検討を行っているところでございます。
○さとう委員 これまでの議論を踏まえまして、都は、何も具体的な内容を決めないまま条例を制定することを進めようとしているということが明確になりました。
最も大事なことは、何をやるかではなく、やらないことを決めることです。本当に新条例がないと女性活躍推進は進まないのか、既存事業の再点検と併せて検討することを望みまして、質問を終わります。
ありがとうございます。
○おぎの委員 都民ファーストの会のおぎの稔です。
本日、様々な会派からも議論がございましたが、成長産業支援ということで、地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターの業務実績評価及び中期目標について質疑を行います。
まず、業務実績評価について質問します。
令和三年度から六年度までの業務実績を踏まえた第四期中期目標期間の終了時に見込まれる業務実績評価によれば、新産業創出支援の項目で、都は、評定Sを付与し、高く評価しております。都の評価書によれば、都産技研は、航空機産業への参入支援事業を実施し、成果を上げているとのことです。
私の地元である大田区には、皆さんもご存じのとおり、優れた技術力を持つ中小企業が集積しており、我が国のものづくりを支えております。この中には、高い安全性が求められる航空機産業において活躍している企業もございます。
航空機産業は、国際的な旅客需要の増加を背景に、市場規模の拡大が期待される成長産業分野の一つであります。
都産技研は、都内中小企業の航空機産業への参入を技術面から支援しておりますけれども、その取組について伺います。
○大川商工施策担当部長 都では、航空機産業への参入を目指す中小企業が、優れた技術を生かして協力して高品質の部品の製造を行うためのネットワーク、TMANをつくり、支援をしております。
都産技研では、都によるTMANへの支援と連携し、平成二十九年度から、航空機産業支援室におきまして航空機産業への参入支援事業を実施しており、中小企業との共同研究や国際規格に準拠した試験など、技術課題の解決に取り組んでおります。
昨年度は、本事業で初めて、部品の試作開発の支援を受けた中小企業において、米国からの航空機部品の受注、納入が実現いたしました。
○おぎの委員 参入の障壁が高い航空機産業において都産技研の支援があることは、中小企業にとって心強いと考えます。今後も、引き続き取組を進められることを期待いたします。
次に、社会全体でデジタルトランスフォーメーションが進む中、5GやIoT、ロボットも、紛れもない成長分野でございます。日々、技術革新が進むこの分野で新たな技術や製品を開発していくことは、障壁は高い一方で、中小企業の競争力を高め、稼ぐ力の向上にもつながります。
昨年の委員会での我が会派の質疑でも、こうした分野での都産技研の令和五年度の取組について確認したところですが、第四期中期目標期間における都産技研の取組について伺います。
○大川商工施策担当部長 都産技研では、中小企業の5G、IoT、ロボット分野における技術シーズの創出を目的とした基盤研究や、製品化、事業化を目的とした共同研究等を実施しております。
令和三年度から令和六年度までの四年間におきましては、三十七件の基盤研究、三十六件の共同研究を実施するとともに、国内最大級のデジタルイノベーション総合展であるCEATECをはじめとした展示会への出展や、サービスロボットの活用事例などを紹介するセミナーの開催を通じまして、成果の普及を行いました。
また、中小企業との共同研究や、基盤研究で得られた成果の実施許諾等により、この四年間で十八件の製品化、事業化につながっております。
昨年度は、支援拠点であるDX推進センターにおきまして、5G基地局の通信性能の向上やドローンの実証実験設備の整備などの機能強化を図りました。
また、中小企業との共同研究により、工場の効率化、省人化を可能とするAIによる生産設備監視システムや、大規模イベントなど様々な現場での活用が期待されるローカル5G対応の小型ウエアラブルカメラの開発に貢献し、先端技術の社会実装につなげました。
○おぎの委員 都産技研が、成長が期待される分野で、中小企業と連携を取りながら製品化、事業化に貢献していることが確認できました。ただいま答弁にあったAIも含め、都産技研としても、技術の動向を機敏に捉えながら、引き続き中小企業支援の取組を進めてください。
次に、過去の委員会で、我が会派は、環境問題の解決に資する都産技研と中小企業との共同研究についても質疑を行ってまいりました。また、ヘルスケア分野における化粧品や食品関連事業の進捗にも注目をしてきたところであります。
これらを含め、都産技研では、これまでも様々な社会的な課題に対する取組を進めてきたところではございますが、第四期中期目標期間における都産技研の取組について伺います。
○大川商工施策担当部長 都産技研では、廃プラスチックをはじめとする環境問題や、都民のQOLの向上などの社会的課題の解決に資する分野におきまして、研究開発や技術支援を行っております。
第四期中期目標期間においては、これまでプラスチック代替、フードテック、サーキュラーエコノミー、障害者の活発な活動、介護環境の改善などの課題の解決に資する研究開発に取り組み、二十件の公募型共同研究を通じまして、中小企業の製品化、事業化を支援いたしました。
また、ヘルスケア産業支援室や食品技術センターに整備した機器を活用した技術支援によりまして、化粧品産業や食品産業における中小企業の課題解決にも貢献いたしました。
令和六年度からは、新たに、水素エネルギーの活用促進に向けた技術課題の解決や、中小企業等の水素関連事業への参入促進に向けて、基盤研究や技術動向の調査及び普及セミナーを実施しております。
○おぎの委員 昨年度から今年度にかけて、多数の共同研究が進行中と聞いております。研究開発が順調に進み、社会課題解決につながる新技術、新製品が多数創出されていくことを期待いたします。
都は、今年、東京都の将来のあるべき社会のビジョンを描いた二〇五〇東京戦略を策定しました。その実現には、横たわる様々な都市課題を克服していくことが必要となりますが、そうした課題の存在は、裏を返せば、企業にとって成長が期待される分野とも捉えることができ、行政の取組のみならず、都内中小企業の企業活動による解決が期待されるところです。
次期中期目標においては、主な取組の一つとして、東京の産業の未来を開く研究開発が掲げられていますが、こうした状況を踏まえ、公設試験研究機関である都産技研は、どのように研究開発に取り組み、東京の産業の発展に寄与していくのか、伺います。
○大川商工施策担当部長 都産技研では、二〇五〇東京戦略に掲げる都政の方針を踏まえ、社会の構造変化と技術動向に関する長期的展望を持ち、社会課題解決への貢献が見込まれる分野におきまして、研究開発を重点的に推進してまいります。
具体的には、今後、市場の拡大が見込まれる社会課題の解決に資する産業分野において、社会と産業の将来を見据えた新たな技術的知見を生み出すための研究を推進いたします。
特に、これまで培ってきました5G、IoT、ロボット技術や人間工学等の分野における高度な技術をさらに発展させるとともに、生成AIなどの進化するDX分野、都民のウエルビーイングを高める生理心理学分野、食料安定供給に資するフードテックなど、先端技術領域の知見を獲得いたします。
また、蓄積した技術シーズを活用して、優れた技術力を持つ中小企業と共同研究を行うことにより、社会課題解決に資する先駆的な製品開発につなげるとともに、その成果をほかの企業にも普及し、多くの中小企業の新分野への参入を後押しいたします。
これらの取組を通じまして、社会と企業の双方が持続可能なイノベーションを生み出し、東京の産業の未来を切り開いてまいります。
○おぎの委員 ただいま力強い答弁がありました。
先端的な技術を獲得し、それを中小企業に移転していくことは、ハードルも非常に高いと思いますが、中小企業のさらなる発展のため、ニーズや技術動向、参入可能性も考慮しながら研究開発を進めていくことに期待いたしまして、質問を終わります。
○渋谷委員 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターの中期目標に関連して質疑を行います。
中小企業の経営は、引き続き厳しい状況下に置かれている中、これからも持続可能な成長を続けていくためには、時代のニーズを捉えた新たな技術や製品、サービスを生み出していかなければなりません。
しかし、人員や機器、設備に制約がある中小企業だけの力でこれを成し遂げていくことは、必ずしも容易ではなく、そのため、中小企業を技術面から支える産業技術研究センターが果たすべき役割は大きいといえます。
都産技研は、平成十八年に地方独立行政法人として設立され、今年は独法化後二十年目の節目に当たり、同時に、令和三年度からの第四期中期目標期間の終了年度を迎えています。
この期間の業務実績に対して、都は全体評価において、優れた業務の達成状況にあり、期間終了時には中期目標の達成が見込まれるとしていますが、こうした評価につながった都産技研の取組について伺います。
○大川商工施策担当部長 都産技研は、中小企業のイノベーションを加速させる技術支援と新技術、新製品に着実につながる研究開発を経営方針に掲げ、東京都の施策や多様な機関とも連携した様々な事業を推進しております。
第四期中期目標期間の終了時に見込まれる業務実績評価における項目別評価は、外部資金導入研究・調査、新産業創出支援、社会的課題解決支援の三項目が評定S、依頼試験、機器利用や基盤研究、共同研究など七項目が評定A、その他の十項目は評定Bとなり、多くの項目で、中期目標の達成に向けて着実に実績を積み重ねております。
具体的には、外部資金導入研究につきまして、中期計画の目標値を上回って採択件数を伸ばすことで研究の幅を広げ、質を高めたこと、また、社会課題の解決に資する製品について、都産技研が保有する知見を生かしながら、中小企業と共同で開発したことなどを実績として挙げております。
こうした取組を総合的に勘案し、全体評価を、優れた業務の達成状況にあり、期間終了時には中期目標の達成が見込まれるといたしました。
○渋谷委員 ただいま、高い評価を付与した項目について答弁がありました。
昨年の委員会での我が会派の質疑では、都産技研が外部資金の獲得に向け、研修や指導の強化などの取組を進めているとの答弁がありましたが、評価書によると、その採択件数は、期間四年度目にして中期計画の数値目標を達成したとのことです。こうした取組を今後も着実に進めていくことを求めます。
次に、第五期中期目標について伺います。
都や中小企業を取り巻く社会状況は変化が激しく、様々な社会課題が表出しています。それら直面する社会課題をビジネスチャンスに転換し、企業の成長を促すことが重要であり、産業技術研究センターも、公設の試験研究機関として、企業の取組を技術面からサポートすることが期待されています。
都産技研は、これまでの経験を生かしながら、次の五年間も力強く取組を進めていくべきと考えますが、第五期中期目標の基本的な考え方について伺います。
○大川商工施策担当部長 第五期中期目標におきましては、二〇五〇東京戦略の実現に向けて、社会課題の解決に寄与する取組を目指す中小企業やスタートアップの新たな事業展開を後押しし、社会と企業の双方が持続可能なイノベーションを促進していくことを都産技研の重要なミッションとしております。
これを踏まえ、都産技研は、産業の将来展望を見据えつつ、社会の変革や産業力の強化につながる先端技術領域の知見を獲得するための研究開発を推進いたします。
また、ほかの中小企業支援機関との連携や、企業間のオープンイノベーションの推進、専門の技術分野を持つ支所等による特色ある支援も一層強化いたします。
これらの取組を通じて、中小企業が社会の課題やニーズを的確に捉え、新技術、新製品を開発し、成長できるよう、技術面から強力に支援してまいります。
○渋谷委員 第五期において、都産技研が中小企業を技術面から強力に支援していくことが確認できました。
今後も、こうした多くの企業に都産技研に来所してもらい、中小企業の稼ぐ力の向上につなげていくためには、中小企業が都産技研の保有する技術や提供するサービスを認識し、都産技研を利用してもらうためのプロモーションが重要です。
特に、スタートアップや開発型中小企業などの産技研が創出する技術シーズを活用して製品化を目指す開発型の企業はもちろんのこと、これらの企業と連携して事業を展開する優れた基盤技術を持つ中小企業にも積極的に訴求し、日々の業務で抱えている技術課題の解決につなげていくことも必要です。
そこで、情報発信の推進について、第五期中期目標における位置づけと取組について伺います。
○大川商工施策担当部長 都産技研の利用拡大のためには、戦略的な情報発信を通じて、認知していない中小企業の利用を促進することが重要でございます。
そこで、第五期中期目標においては、戦略的な情報発信による支援サービスの活用促進を、強化すべき取組の一つとして掲げております。
具体的には、認知度の向上に向けて、ウェブサイトやメールマガジン等の自ら運営する広報媒体に加え、連携機関を通じた広報など、様々な手法を活用することで発信力を高めるほか、広報活動の効果を適宜検証し、戦略的な広報活動を展開してまいります。
また、業界団体、学会など中小企業が多く集まる多様な機会を積極的に活用し、都産技研の支援事業の内容や活用事例、研究成果、保有知的財産等の技術情報を発信することにより、依頼試験や機器利用などの技術支援の利用や共同研究への展開につなげてまいります。
○渋谷委員 優れた支援は、それを必要とする企業の皆さんにしっかりと届けることが不可欠です。ぜひ今後も、様々な手法を駆使しながら広報、発信に努めていただくことを求めまして、私の質問を終わります。
○大山委員長 ほかにご発言はありますか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○大山委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大山委員長 異議なしと認め、本案及び本件に対する質疑は終了いたしました。
○大山委員長 次に、議員提出議案第九号を議題といたします。
本案について提出者の説明を求めます。
○藤田委員 経済・港湾委員会に付託されました議員提出議案第九号、東京都中小企業者賃上げ応援助成金条例について、提案者を代表して提案理由の説明をいたします。
物価高騰が続き、この十月、食品の値上げは三千品目を超える見込みであり、家計負担は増大しています。実質賃金は、三年連続でマイナス、今年は七か月連続でマイナスです。都民の暮らしを守るためには、物価高騰を上回る賃上げの実現が待ったなしです。
本年度、東京の最低賃金は過去最高の引上げ幅で、時給千二百二十六円になります。しかし、東京地方労働組合評議会の調査では、都内で普通の生活を送るには時給二千円が必要であり、現在の最低賃金では、生活を支えるには十分とは到底いえません。
一方、中小企業などからは、賃上げしたいが、経営が苦しいという声が寄せられており、中小企業、小規模企業は、賃上げの原資の確保に窮しています。
東京都は、事業所の九割以上、雇用の約六割を中小企業が占める中小企業都市です。中小企業全体を見ても、その八割以上が従業員二十人以下の小規模企業となっており、これは全国最多です。東京は、多くの小規模な企業によって支えられているのが実態です。
全国最多の小規模事業所を抱える東京都こそ、都民の暮らしを守り、賃上げを実現するための直接支援制度の充実は不可欠です。
都の賃上げ支援制度である手取り時間創出・魅力ある職場づくり推進奨励金は、賃上げ以外の要件も含むため、支給まで一年以上かかり、迅速な支給ができません。
一方、岩手県など全国九県に広がる支援制度は、賃上げのみを要件とするシンプルさで、申請から約四週間で迅速な支給を実現しています。
よって、私たちは、中小企業への迅速な支給を実現するために、賃上げのみを要件とする東京都中小企業者賃上げ応援助成金条例案を提案します。
条例案の主な内容は、第一に、労働者の賃金を時給七十円以上の引上げを行った中小事業者に対し、従業員一人当たり十五万円、一社最大二十人分、三百万円の助成金を支給します。
第二に、本事業は、緊急対策という位置づけで、三年間の時限事業とします。ただし、延長はできるものとします。
施行日は、二〇二六年四月一日を予定しています。
説明は以上です。ご審議のほどよろしくお願いいたします。
皆様方のご賛同を心からお願いいたしまして、趣旨説明といたします。
○大山委員長 説明は終わりました。
これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。ありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○大山委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大山委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
以上で産業労働局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後四時四十八分散会
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