委員長 | 小林 健二君 |
副委員長 | 青木 英太君 |
副委員長 | 内山 真吾君 |
理事 | 上田 令子君 |
理事 | 菅野 弘一君 |
遠藤ちひろ君 | |
細田いさむ君 | |
藤田りょうこ君 | |
福島りえこ君 | |
三宅 正彦君 | |
谷村 孝彦君 | |
西崎つばさ君 |
欠席委員 二名
出席説明員産業労働局 | 局長 | 田中 慎一君 |
次長理事兼務 | 安部 典子君 | |
総務部長 | 阿部 泰之君 | |
産業企画担当部長DX推進担当部長兼務 | 池野 大介君 | |
企画調整担当部長 | 齋藤 順君 | |
企画調整担当部長 | 前田 泰伯君 | |
企画調整担当部長 | 下羅 智宏君 | |
働く女性応援担当部長 | 吉浦 宏美君 | |
商工部長 | 福田 哲平君 | |
商工施策担当部長 | 松田 義史君 | |
金融部長金融支援担当部長兼務 | 原 郁君 | |
産業・エネルギー政策部長 | 米澤 鉄平君 | |
産業政策連携促進担当部長企画調整担当部長兼務 | 山本麻里雄君 | |
新エネルギー推進担当部長 | 服部 勇樹君 | |
観光部長 | 江村 信彦君 | |
観光振興担当部長 | 前田 千歳君 | |
農林水産部長 | 榎園 弘君 | |
安全安心・地産地消推進担当部長 | 田代 純子君 | |
雇用就業部長 | 内田 知子君 | |
事業推進担当部長 | 新田 智哉君 | |
労働委員会事務局 | 局長 | 堀越弥栄子君 |
本日の会議に付した事件
労働委員会事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和七年度東京都一般会計予算中、歳出 労働委員会事務局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第百六号議案 東京都労働委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
・第百七号議案 東京都労働委員会あつせん員の費用弁償条例の一部を改正する条例
産業労働局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和七年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為 産業労働局所管分
・第九号議案 令和七年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
・第十号議案 令和七年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計予算
・第十一号議案 令和七年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第百三号議案 東京海区漁業調整委員会委員及び東京都内水面漁場管理委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・東京都が東京信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄の報告について
付託議案の審査(説明・質疑)
・議員提出議案第三号 東京都中小企業者賃上げ応援助成金条例
○小林委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
初めに、予算の調査について申し上げます。
令和七年度予算については、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
公文の写しはお手元に配布してあります。
朗読は省略いたします。
令和七年三月十四日
東京都議会議長 増子ひろき
(公印省略)
経済・港湾委員長 小林 健二殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
このことについて、三月十四日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二十一日(金)午後五時
(別紙1)
経済・港湾委員会
第一号議案 令和七年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為 経済・港湾委員会所管分
第九号議案 令和七年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
第十号議案 令和七年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計予算
第十一号議案 令和七年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
第十二号議案 令和七年度東京都と場会計予算
第二十号議案 令和七年度東京都中央卸売市場会計予算
第二十二号議案 令和七年度東京都臨海地域開発事業会計予算
第二十三号議案 令和七年度東京都港湾事業会計予算
(別紙2省略)
○小林委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、労働委員会事務局及び産業労働局関係の予算の調査、付託議案の審査並びに産業労働局関係の報告事項に対する質疑を行います。
これより労働委員会事務局関係に入ります。
予算の調査及び付託議案の審査を行います。
第一号議案、令和七年度東京都一般会計予算中、歳出、労働委員会事務局所管分、第百六号議案及び第百七号議案を一括して議題といたします。
本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布しております。
資料について理事者の説明を求めます。
○堀越労働委員会事務局長 去る二月十四日の当委員会において要求のありました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元配布の経済・港湾委員会要求資料をご覧ください。資料は一点です。
一ページをお開きください。労働委員会委員及びあっせん員の出勤日数について、令和三年度から五年度までの状況を記載しております。
要求資料の説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○小林委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○上田委員 今年の一月二十九日付で、東京都労働委員会は、東京電力福島第一原発事故の収束事業を担っていた共同企業体代表の竹中工務店に対し、二次下請の作業員が所属する労働組合、原発関連労働者ユニオンの都の団体交渉に誠実に応ずるよう命令を出しました。直接の雇用関係がないのに団交が認められるケースは極めてまれ、かつ原発関連の元請に対しての画期的な命令でした。
一方、竹中側は、被爆した作業者の労働環境について説明を求める団交を、労組は申入れに対して拒否を続けていたとのことです。ゆゆしいですね。これは、これまで未終結件数に数えられていたかと思料いたしますが、まず、担当委員の選任から審査活動、和解に至らなかったことも含めた申立てから命令に至るまでの経緯をご説明ください。
○堀越労働委員会事務局長 竹中工務店事件は、令和五年四月七日に不当労働行為救済申立てがなされました。事件の審査手続の指揮を執る審査委員として、公益委員の水町委員が和解や昇任への尋問に関与する参与委員として、労働者側は川上委員、使用者側は石川委員が担当いたしました。
当事者双方の主張や証拠の整理を行った後、審問を一回行い、当事者が申請した証人に対し尋問を行いました。
その後、公益委員会議における合議を経て、本年一月二十九日に救済命令を発しました。
○上田委員 水町委員、川上委員、石川委員ということでございました。労働委員会における中立性、公正性の担保は、私も長年確認させていただいたところでありますが、委員の中には原発事業のステークホルダーとなる労組メンバーもいます。電力労連とかね。
今般の命令は、快挙といえますが、ステークホルダーとなるような人選は当然避けるべきと考えますが、今回、そして一般的に人選に当たっての基準があると思いますので、お示しください。
○堀越労働委員会事務局長 事件の当事者と利害関係のある公益委員を審査委員に選任することは避けるべきであり、労働組合法及び労働委員会規則においても、その旨規定されているところでございます。
当委員会においても、これらの法令にのっとり、審査の公正を妨げないよう留意しながら、会長が審査委員を選任しています。
一方、労働者委員や使用者委員につきましては、それぞれ労働者及び使用者の立場に立って関与するため、担当事件数や個別の状況等を踏まえて担当を決めています。
○上田委員 利害関係ある委員を選任すべきは避けるということは、言質をいただいて大変頼もしく、そしてちゃんと成果が出されたということで高く評価をさせてください。
組織体制です。
労働委員会事務局におります一般職員の平均在職年数は令和五年度まで十・四年、また、一般職員三十二名中、十年以上の職員が十五名で四七%となっておりまして、在職年数の上位三名は、それぞれ三十年、二十五年、二十四年ということです。十年以上の職員は十五名、四七%の比率は、これも知事部局平均比率より高いように思われるとただしたところ、委員を補佐する事務局職員は、事件の調査や命令素案の準備など、高度な法的知識等が求められる業務を遂行するため、経験豊富なベテラン職員を一定数確保し、事務局職員全体の専門性の維持向上を図っているとのことでした。
当委員会の予算はほとんど人件費ですから、適正な人材確保は確かに肝要です。令和五年度総務局決算審査に当たりまして、都の新卒採用も伸び悩んでいることを確認しております。
ベテラン職員も随時定年を迎えていくことから、新年度に当たり、事件の調査や命令素案の準備など、高度な法的知識が求められる業務を行う人材育成、適正人材の担保をどのように行っていくのか、そして、確保、育成した人材は、これまでのように長期的に委員会の所属になっていくのか、どう考えているのか伺います。
○堀越労働委員会事務局長 経験豊富なベテラン職員の退職等を見据えて、事務局職員の専門性を維持向上させるため、OJTはもとより、職員の経験年数等に応じた研修を実施することによりまして、長期的に局の中核を担う人材を確保しております。
具体的には、ベテラン職員や弁護士資格を持った管理職が講師を務める基礎研修を実施したり、国の中央労働委員会等の外部団体が主催する研修に職員を派遣しております。
○上田委員 交流を図っている一方で、人材の固定化が、硬直化することでなれ合いを回避するために、組織の活性化を図るため、局間交流により、毎年度、他局から新たな人材を複数受け入れて、また、弁護士資格を持った任期付管理職を外部から採用することで、年齢、職務、あるいはバランスの取れた構成の確保に努めているとのことです。
新年度の人数体制などのバランスを確認させていただきます。
○堀越労働委員会事務局長 組織の活性化を図るため、来年度におきましても、引き続き、局間交流や任期付の管理職の採用により、年齢や職務経験等バランスの取れた職員構成となるよう努めてまいります。
○上田委員 また、労組というところも、労働関係というのはなれ合いになりがちなところもあるので、よろしくお願いします。
労働委員ですけれども、会長が五十二万四千円、会長代理が四十六万八千円、公益委員は四十六万八千円、その他の委員は四十三万円という月額報酬となっております。報酬に見合う労働をしているのか確認しておりましたが、委員一人当たりの月間平均出勤日は、令和五年度は六・〇六日、あっせん員は、三年は七十六日、四年は五十二日、五年は二十日となっております。
コロナになりまして、働き方改革が、小池知事の政策ではなく、コロナによって飛躍的にリモートが進みましたので、この出勤回数ではなくてですね、委員の実態、実際、民間ではリモートで働いても勤務時間の報告はするので、委員の実際に働いた実績の量的質的把握、勤務報告書の提出をすべきと考えますが、所見を伺います。
○堀越労働委員会事務局長 委員の業務は多岐にわたり、かつ時間や場所を問わず対応する必要があることから、委員の活動状況を定量的に測ることは困難でありますが、各事件には担当の職員がついており、調査等を進める中で各委員の活動状況を把握しております。
具体的には、委員が都庁への出勤日以外に行っている和解調整や当事者からの相談への対応等の状況について担当職員が聞き取っております。
○上田委員 適正管理をお願いします。
従前、平成二十九年に、女性委員が全委員の一割ということで、これでは女性労働者の不利益扱いが長らく続いてきた労働環境においては、労働委員がまず率先して男女比率を公平にすべきだということを指摘させていただき、現在三〇%までに、三一・六%に増加してきました。
事務事業質疑では、達成目標を事務事業で求めたところ、改選に当たっては、各団体へ女性推薦を働きかけていくことにより、一層の女性の登用を図っていくとのことでした。
委員の選任については、知事が任命しますが、今般、小池知事は、女性活躍推進条例制定に向けて検討部会を立ち上げております。真っ先に来るのが労働環境の女性の不平等撤廃であり、労働に係る委員会であるからこそ、カーボンハーフ並みに五割を目指すべきと考えます。所見を伺います。
○堀越労働委員会事務局長 委員の選任につきましては、労働組合法の規定により、使用者委員及び労働者委員は、各団体の推薦に基づき、また、公益委員は専門分野等を考慮の上で中立的な人物を労使委員の同意を得て、いずれも都知事が任命しています。
このため、女性委員の比率は、各団体等における女性の割合に影響を受けることとなりますが、当委員会はこれまで、委員の改選に当たって、各団体等へ女性の推薦を働きかけており、女性委員の比率は上昇傾向にございます。
今後もこうした働きかけをしっかりと行い、引き続き一層の女性委員の登用を図ってまいります。
○上田委員 女性委員ハーフ、ぜひ目指していただきたいと思います。
決算において労組加入率を資料要求したところ、直近二割ということと、労働委員会での取扱件数減少を指摘しました。コロナの終息以降、事件処理が進む一方、新規の申立てが落ち着いているため、取扱件数は減少とのことです。
不当労働行為、労働争議がなくなり、労働委員会の出番がなくなる会社、社会となることが理想的ではありますが、五年度に申し立てられた不当労働行為審査事件七十二件を申立て事由別で見た場合、近年の傾向どおり団体交渉拒否が最も多いとのことで、冒頭確認した竹中も該当したと思われます。
団体交渉拒否をしても先に進まないものですが、こうした企業に係る啓発など、多面的に必要と考えますが、労働委員会の立場からの所見を伺います。
○堀越労働委員会事務局長 当委員会では、相談などの対応時に、企業に対して、正当な理由なく団体交渉を拒んではならないことや交渉時には誠実に対応することを説明するなど労使紛争の解決に向けた啓発を行っております。
また、都のホームページに命令の概要を掲載し、団体交渉拒否などの不当労働行為の事例について周知しております。
○上田委員 また、申立てのうち、非正規雇用労働者に関するものが二〇%前後、派遣労働者は五%前後、外国人労働者は一割ということで推移しており、むしろこちらは積極的に労働委員会へ持ち込んでもらいたいと考えますが、周知が徹底していないものと思われることから、所見を伺います。
○堀越労働委員会事務局長 当委員会では、委員会の仕組みや利用の仕方などを紹介した四か国語版のリーフレットや、労働委員会の手引など、都民向け広報資料を作成し、産業労働局の労働相談情報センターや国の東京労働局に配布することにより、労働委員会制度の普及に努めております。
また、労働相談情報センターが東京労働局などと連携して開催している街頭労働相談において、これらの資料を配布しています。
○上田委員 大手の労働組合からこぼれ落ちる労働者、こちらの方に光を当てていただきたいと思っております。
ハラスメントを契機とした不当労働行為は、私もよく相談に乗りますことから、確認したところ、ハラスメントを契機とするのは九件で、具体的な例は、職場でハラスメント行為を受けたと主張する労働者が労組に加入し、労組が会社に対してハラスメント行為を議題とする団交を申し入れたところ、会社がこれを拒否したなどとして申し立てられた事案ということでした。
傾向としては、ハラスメントを証明することが困難である、双方の見解が食い違うなどによることかと思いますが、組織として強い立場の加害者を守り、弱い立場の職員のいい分を認めないように思われますが、実際はどうなのでしょうか。命令まで行った事例はあるのか伺います。
○堀越労働委員会事務局長 令和五年度に申し立てられたハラスメントを契機とする九件の不当労働行為審査事件については、令和七年二月末時点で五件が終結しています。
その内訳は、関与和解による終結が四件、救済命令による終結が一件となっております。
○上田委員 半分は解決をしているということでございますが、この九件のうち終結した四件については、当事者双方が解決金の支払いなどを含む和解協定の終結に至ったことにより、紛争の解決に貢献できたことは高く評価いたします。
また、産業労働局や裁判所、弁護士などで構成する連絡協議会に参加し、様々な情報交換等を実施しているとのことですが、団体交渉だと時間がどうしてもかかるわけで、個人のために、時間のかからない、個別解決するため、これらの機関にあるほかの選択肢、例えば労働裁判など、お示しするような場合もあるのでしょうか伺います。
○堀越労働委員会事務局長 労働者個人の賃金未払いや解雇などの個別労働紛争につきましては、産業労働局の労働相談情報センターや国の東京労働局などが相談やあっせん等を行っています。
また、労働者個人の紛争を迅速に審理し判断する手続として、裁判所が労働審判制度を設けています。
労働委員会も含め、こうした問題の解決に関わる機関が相互に連携し、利用者に適切な窓口を案内するなどの対応をしております。
○上田委員 適材適所のご案内をお願いします。
労使紛争といっても、不当労働行為とされるもの以外のものが見られます。働き方も多様化していると指摘したところ、今後も労使関係がますます複雑化していき、解決が困難な事件が増えていくことが予見される状況の中、これまでのノウハウを生かし、労使紛争解決のため、公立、中正な立場の第三者機関として紛争の解決を図っていくという頼もしい答弁をいただいております。
委員も職員も都度交代していく中で、ノウハウをどう貯蓄してきたのか、そしてこれから貯蓄していくのか伺います。
○堀越労働委員会事務局長 公益委員につきましては、事件に関する判断の妥当性等を検討する公益委員会議を通じ、過去の命令や判例、最新の法的知見等を共有しています。
労使委員につきましては、担当事件における取組や和解等のノウハウを共有するため、自主的な勉強会を行っています。
また、職員につきましては、OJTや局独自の専門研修などにより、専門知識や事務処理能力を向上させるとともに、交付した命令を素材とした事例研究を行い、最新の状況を把握するよう取り組んでおります。
○上田委員 今、SNSも発達して情報交換ができて、直接弁護士や社労士に相談して個別解決できる、あるいはもう会社に対しての、風評でもないんですけれども、株価が下がるような情報は会社も嫌がるということで、新たな、労組頼みではないような、労働者を守る段階に来ていると思います。
現在、労働組合の九割以上が企業別組合でありますが、企業別組合を組織しにくい中小企業や零細企業における労働者や非正規労働者は、個人でも加入できる合同労組と呼ばれる労働組合に駆け込んで解決しようという動きもあり、昨年度、申し立てられた不当労働行為救済申立ての約八割は合同労組からの申立てということで、ミニマムに労働問題を解決できる傾向はいいことだと思います。
大手企業の労組は、放っておいてもよきにつけあしきにつけノウハウはありますが、ぜひ今後は合同労組に活躍していただきたいと思います。
ノウハウのない合同労組の資格審査前のサポート体制と、今後増えるだろう同労組事案に係る所見を伺います。
○堀越労働委員会事務局長 申立人が手続に不慣れである場合には、円滑に手続が進められるよう、相談や申請受付の段階から、記載方法や必要な書類などについて説明しております。
今後とも、申立人の状況に応じて制度や手続について丁寧に説明するなど、円滑な審査に努めてまいります。
○上田委員 本当に、一大企業の竹中にしっかりと命令を下したということ、高く評価をし、また、そうしたミニマムな合同労組のサポート体制も確認。また、個別については、何も労働委員会ではなく、団交ではなく、労働裁判とか、あるいは産労の方のサービス事業で解決に向けてのご案内などもしていただいているということを確認できまして、予算の調査、評価したいと思います。
以上です。
○小林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小林委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
以上で労働委員会事務局関係を終わります。
○小林委員長 これより産業労働局関係に入ります。
予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
初めに、第一号議案、令和七年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、産業労働局所管分、第九号議案から第十一号議案まで、第百三号議案及び報告事項、東京都が東京信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄の報告についてを一括して議題といたします。
本案及び本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○阿部総務部長 去る二月十四日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元の経済・港湾委員会要求資料の表紙をおめくりください。
目次でございます。資料は全部で二十五項目ございます。
一ページをご覧ください。過去十年間の予算額、決算額の推移につきまして、一ページに中小企業対策、二ページに農林水産対策、三ページに雇用就業対策をそれぞれお示ししてございます。
なお、雇用就業対策につきましては、内訳として国基金事業関係費を記載してございます。
四ページをご覧ください。平成二十四年以降の従業者規模別都内製造業の推移をお示ししてございます。
五ページをご覧ください。過去二十年間の都内商店街数の推移をお示ししてございます。
六ページをご覧ください。過去二十年間の都内小売店数の推移をお示ししてございます。
七ページをご覧ください。令和五年度以降のスタートアップ関連事業費の推移をお示ししてございます。
八ページをご覧ください。過去十年間の東京都登録旅行業者の数の推移をお示ししてございます。
九ページをご覧ください。過去二十年間の都内労働者の賃金の推移をお示ししてございます。
一〇ページをご覧ください。過去五年間の派遣元事業所数、派遣労働者数、派遣労働者の賃金の推移につきまして、全国と東京都内それぞれについてお示ししてございます。
一一ページをご覧ください。過去十年間の東京の農地面積の推移をお示ししてございます。
一二ページをご覧ください。こちらのページから一四ページにかけまして、平成二十七年以降の区市町村別農地面積、市街化区域内農地、生産緑地面積の推移をお示ししてございます。
一五ページをご覧ください。過去五年間の島しょ地域の旅行者数の推移をお示ししてございます。
一六ページをご覧ください。こちらのページから一七ページにかけまして、過去五年分の再生可能エネルギーに関わる各種設置補助制度と実績額の推移をお示ししてございます。
一八ページをご覧ください。過去五年分のEV、PHEV、FCV別のZEV導入に関わる補助制度と実績額の推移をお示ししてございます。
一九ページをご覧ください。東京プロジェクションマッピング促進支援事業の事業開始以来の実績及び執行状況につきまして、一九ページで件数、当初予算額及び決算額を、二〇ページで実施した内訳をお示ししてございます。
二一ページをご覧ください。都庁舎におけるプロジェクションマッピング運営事業につきまして、二一ページで実施した事項を、二二ページで支出の内訳及び月別観覧者数を、二三ページで曜日別平均観覧者数及び一日当たりの平均観覧者数をお示ししてございます。
二四ページをご覧ください。TOKYO LIGHTSにつきまして、二四ページで実施した事項を、二五ページで支出の内訳をお示ししてございます。
二六ページをご覧ください。こちらのページから二九ページにかけまして、都庁舎におけるプロジェクションマッピング運営事業及びTOKYO LIGHTSにおける経済波及効果の金額と積算根拠をお示ししてございます。
三〇ページをご覧ください。「『女性活躍の輪(WA)』の戦略的展開」の予算案提出決定に至る経緯をお示ししてございます。
三一ページをご覧ください。カーボンクレジット取引プラットフォーム運営事業の予算案提出決定に至る経緯をお示ししてございます。
三二ページをご覧ください。プラチナ・キャリアセンターの実績をお示ししてございます。
三三ページをご覧ください。ソーシャルファーム支援事業の実績をお示ししてございます。
三四ページをご覧ください。男性育業もっと応援事業及び男性育業促進に向けた普及啓発事業の実績をお示ししてございます。
三五ページをご覧ください。過去十年間の東京都が東京信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄の状況をお示ししてございます。
以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
○小林委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○青木委員 まず、中小企業の資金繰りの要である制度融資について伺います。
ゼロゼロ融資の返済の本格化や物価高騰により収益が圧迫され、依然として厳しい経営環境が続いている中小企業は多く、こうした事業者が事業の継続や成長を図る上で、資金調達は極めて重要な課題だと考えております。
そのため、日々の資金繰りに苦慮する中小企業の経営の安定化を下支えすることはもとより、賃上げや女性活躍の推進等の取組を資金面から後押しするなど、企業の積極的な事業展開をサポートしていくことも求められております。
そこで、中小企業の事業継続とさらなる発展に向けて、来年度の制度融資の充実を図るべきと考えますが、都の見解を伺います。
○原金融部長金融支援担当部長兼務 来年度の制度融資では、厳しい経営状況にある中小企業の資金繰りを支えるとともに、成長に向けた事業展開を後押しするため、融資目標額を二兆円とし、中小企業の支援を着実に行ってまいります。
まず、中小企業の事業継続を支えるため、ゼロゼロ融資等の借換えを可能とし、経営改善を促進する融資メニューによる資金繰り支援を引き続き行うほか、物価高騰などにより利益率が減少する事業者をサポートするため、利用対象や融資限度額を拡大します。
また、より多くの事業者による政策課題への対応を促すため、賃上げに取り組む場合や、女性活躍推進について国から優良と認定された企業に信用保証料を三分の二補助するなど、支援を強化します。
これらにより、中小企業の様々な取組を金融面から一層後押ししてまいります。
○青木委員 制度融資により、資金繰り支援にしっかりと取り組んでいただくことが分かりました。
ただ、最近では、返済に当たっての条件が変更されるということが増加するなど、経営改善が思うように進んでいない中小企業も多いと聞いております。こうした企業の業績改善に向けては、融資等を通じ中小企業とつながりのある金融機関による支援が効果的と考えております。
一方で、中小企業が抱える課題は、長期化する物価高騰や人手不足の対応など多岐にわたっており、金融機関単独による経営支援だけでは解決が難しくなっているのが現状です。
そこで、様々な経営課題に取り組む中小企業が、金融機関や経営支援機関による支援を適切に受けられるよう、都がサポートしていくべきと考えますが、来年度の取組内容について伺います。
○原金融部長金融支援担当部長兼務 中小企業が様々な経営課題を乗り越え成長する上で、適切な支援が受けられる環境づくりが不可欠であります。
そのため、都は来年度から、金融機関や経営支援機関と連携し、資金繰りと経営改善の両面から中小企業に寄り添った支援を開始いたします。
具体的には、東京都信用金庫協会等と連携して設けるコーディネーターが金融機関の担当者と共に中小企業の現場を訪問し、経営課題に応じて支援機関等につなぐ仕組みとします。
また、この事業を利用した企業について、制度融資における保証料の三分の二を補助するなど、手厚い支援を行うメニューの対象に追加いたします。
これらにより、中小企業の事業継続を下支えしてまいります。
○青木委員 金融機関と連携し、中小企業を資金繰りと経営の両輪から支える新たな事業に取り組んでいくということでした。
東京の経済を支える中小企業が今後とも成長できるよう、その実情をしっかりと把握していただき、寄り添った支援を行っていただくことを要望して、次の質問に移らさせていただきます。
次に、商店街の無電柱化の推進について伺います。
都は令和六年十二月、山手通りの上目黒から青葉台間の七百八十メートルの整備を完了しまして、道路の拡幅や自転車通行空間の整備により、通行環境が非常に向上いたしました。
一方、私の地元の中目黒駅周辺では、無電柱化に伴うトランスボックスへの落書きが大変課題となっております。商店街からも対策を求める声が上がっており、現在、目黒区では、東京都商店街無電柱化推進事業を活用し、トランスボックスへのラッピングを実施しておりまして、来年度も十一基程度の拡大を検討しておりますが、まだこの事業を活用しない区市町村も大変多いと伺っております。
都は、区市町村と連携し、落書き防止やアートの活用により景観を向上させ、商店街の活性化につなげることが大変重要だと考えますが、より活用が進むための周知も含めて、都の今後の取組について伺います。
○福田商工部長 都は、商店街区における無電柱化に伴い設置された地上機器へのラッピングによる景観向上を図るため、区市町村に対し、必要となる経費の五分の四を助成しております。
これまでに、アニメのキャラクターや区が推進する事業のロゴマークなどをデザインしたラッピングの導入事例があり、商店街からは、まちの魅力や認知度が向上したといった意見をいただいております。
来年度からは、周知用チラシの事例内容の充実を図りまして、より多くの自治体で本事業の活用が進むよう、区市町村への周知を強化してまいります。
○青木委員 ありがとうございます。
今のご紹介いただきました商店街からの声にもあるように、地上機器へのラッピングを行うことで、落書きの対策のみならず、まちの印象や、また、認知度が向上するといった効果もあると思います。ぜひ今後も区市町村に対し丁寧に周知することで本事業の活用が進むように取り組んでいただくことを要望いたします。
次に、中小企業の事業承継について伺います。
都内産業の持続的な成長を実現していくためには、中小企業が培ってきた技術やノウハウを次世代につなぎ、会社を成長させていくことが大変重要でありますが、後継者不在率が約四割となるように、事業承継は深刻な課題となっております。
我が会派では、後継者が将来に向けた展望を抱けるよう、承継後の成長に向けた支援の必要性を今まで訴えてまいりました。
都は来年度、中小企業の承継後の成長に向けた支援を強化するとのことですが、具体的な取組について伺います。
○福田商工部長 都は、意欲ある後継者を育成するため、経営に必要な知識を習得できる講座や、経験豊富な経営者の成功事例を学べる交流会などを開催しております。
来年度は、中小企業が承継後に新たな事業展開に踏み出し、将来に向けて成長できるよう、新たなサポートを開始いたします。
具体的には、後継者の発想力を生かした新事業の立ち上げや販路開拓に必要な経費について、助成率三分の二、八百万円を上限に支援いたします。
また、経営やマーケティングの専門家を派遣し、経営ノウハウや新たな顧客の獲得に向けた助言を行います。
これらにより、世代交代を契機とした中小企業のさらなる発展を後押ししてまいります。
○青木委員 事業承継は、都内中小企業にとって喫緊の課題であると認識しております。多くの企業が事業承継に取り組めるよう、都がしっかりサポートすることを要望し、次の質問に移らせていただきます。
次は、ガソリンスタンド事業者が、今答弁のあったような支援を活用し、水素ステーションの機能も併せ持つ様々なエネルギー供給に対応できるマルチエネルギーステーションへ移行させていくことも大変重要だと思っております。
しかしながら、自動車保有台数の減少や低燃費化に加えまして、人材の確保も難しくなるだろう都内のガソリンスタンドを取り巻く厳しい状況を踏まえますと、地域経済に不可欠なインフラであるこのガソリンスタンド事業継続を支え、さらにマルチエネルギーステーション化に向けて、その経営をしっかりと支援していく必要があると考えますが、見解を伺います。
○山本産業政策連携促進担当部長企画調整担当部長兼務 ガソリンスタンドが地域のエネルギー供給拠点としての役割を果たせるよう、水素の普及や脱炭素燃料の実用化等も見据えながら支援することは重要でございます。
都では、マルチエネルギーステーション化を目指す中小事業者等のガソリンスタンドを対象に、スタンドの機能向上に資する設備の導入や事業の多角化などに必要な経費の三分の二を助成しております。
具体的には、省エネ型洗車機やカーコーティングに必要な設備の導入、施設内での飲食店の開設など、経営の多角化につながる取組等を支援してございます。
さらに、来年度からは、求人広告や資格取得など、人材の確保や育成に必要な経費につきましても助成対象に加えるとともに、一社当たりの補助の上限額を現在の二千万円から二千五百万円に拡充し、経営支援を進めてまいります。
○青木委員 マルチエネルギーステーション化に向けまして、中小ガソリンスタンド事業者の経営をしっかりと支えていただければと思います。
次に、ミドルシニアの活躍促進について伺います。
人生百年といわれる時代を迎えまして、平均寿命が延びていることに対応し、第二の人生設計に早い段階から取りかかることが非常に重要だと思っております。今後は、定年を職業生活の終着点ではなく新たな出発点と捉え、定年前から副業を経験し、広く自分の居場所をつくりながら、定年後の新たなキャリアに向けて準備を進めることが大切であると考えています。
中小企業にとっても、専門的なスキルや企業での豊富な経験があるミドルシニア世代の副業人材の活用は、新卒者の採用や若手の確保が厳しい中、有効な選択肢になり得ます。人材戦略の一つとして、即戦力の獲得につながることを伝え、活用を促すことが大変重要です。
そこで、都は、中小企業の人材確保を一層推進していくためにも、副業に挑戦しようとするミドルシニア世代が希望する仕事や企業に出会えるよう、マッチング支援を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
○内田雇用就業部長 都は、昨年六月、意欲あるシニアの働き方の選択肢を増やすため、ミドルシニア人材と企業を結びつける拠点としてプラチナ・キャリアセンターを開設し、五十歳以上の方が副業を通じて新たなキャリアを築き、セカンドキャリアで多様な選択ができるようサポートしております。
開設以降、本年一月末までに、マッチング交流会を五回実施し、DXを推進するスキルを持つ方や、海外での販路開拓や契約実務の経験のある方などが、センターの利用を通じて、中小企業で副業人材としてスキルや経験を生かして活躍しております。
こうした方々からは、副業を通じて得られたノウハウは本業にも応用でき、送り出した企業でもその経験が役に立っているとの声も聞かれます。
来年度は、これらの事例を幅広く発信するとともに、ミドルシニア世代が副業するメリットなどについて人材や企業に伝えるミニセミナーを新たに四十回開催し、ミドルシニア人材の活躍と中小企業の人材確保を後押ししてまいります。
○青木委員 ミドルシニア世代の中には、バブル崩壊やリーマンショックを乗り越え、社員の意識改革や経営改革に取り組んだ経験をされた方もいらっしゃいます。そうした方々が新しくできたこのプラチナ・キャリアセンターを利用し、中小企業の戦力として活躍していけるよう、しっかりと取り組んでいただければと思います。
最後に、ものづくり人材について伺います。
少子高齢化による労働人口の減少などを理由に、製造業など、ものづくりの現場の人手不足は年々深刻さを増しております。現場からは、人手が足りず、従業員の心身の健康に影響が出ている、この技術は引き継いでいけるかなど不安の声も聞いております。
こうした状況を解決するには、いまだ根強い、きつい、汚い、危険という三Kのイメージを払拭し、多くの若者が手に職をつける魅力を感じられる機会を提供していくことが非常に重要です。
例えば、町工場では、工場見学や体験工房などの取組に工夫を凝らすなどしてイメージを一変し、成長につなげる中小企業も出てきており、行政もこうした取組を推進していくべきだと考えております。
そこで、都は、子供たち向けのものづくり体験教室を、今、実施しておりますが、これまで以上にものづくりへの興味関心を喚起させ、職業意識の醸成を促すための取組を強化していくべきだと考えますが、見解を伺います。
○新田事業推進担当部長 東京の持続的な発展のため、様々な事業活動の基礎となるものづくり分野の仕事を選択してもらえるよう、その魅力を発信することは重要でございます。
都は、こうした分野の担い手を目指すきっかけを早い段階から提供するため、小中学校へ熟練技能者が出向き、ロボットハンドや本立てなどのものづくりの実演や指導を行う体験教室を実施しております。
この取組につきまして、来年度は、五千五百人の規模に拡大するとともに、実際の工場見学とものづくり体験を一体的に行う機会を提供し、児童生徒のみならず、保護者も対象としてまいります。
また、若手社員のアイデアを活用した学生向けの職業体験を企画するなど、業界のイメージアップに貢献する企業の好事例の発信も増やしてまいります。
これらにより、若い世代のものづくりへの理解を促し、将来の担い手確保につなげてまいります。
○青木委員 規模の拡大など、ご答弁いただきました。
子供たちが将来の仕事としてものづくりの分野を選ぶきっかけづくりには、保護者が持つ職人へのイメージや意識を変えることも大変重要だと思っております。
都内の昔ながらの町工場でも、現在、二十代の若手を次々に採用し、女性の職人が活躍する企業へと生まれ変わったという例も聞いております。
ぜひ手に職をつけることの面白さや、技能があれば長く活躍できるというメリットも伝えていただき、多くの若者がものづくり分野を目指すよう後押ししていただくことを要望し、私の質問を終わらせていただきます。
○内山委員 私からは、まず、GX、グリーントランスフォーメーションのスタートアップについてお伺いをしたいと思います。
二〇五〇年ゼロエミッションの達成に向けては、スタートアップの革新的なGXの技術を活用することも効果的であると考えています。
しかし、こうしたGX関連の技術が事業として成り立ち量産化に至るまでには時間と資金を要するために、スタートアップは、製品ができないと売上げが立たない、一方で売上げが立たないと資金調達ができないという停滞構造に陥りがちであります。
こうした課題を解決するには、資金力や社会的影響力を持つ大手企業などの事業者が、スタートアップの開発したGX製品等を採用して本格的な調達につなげていくことが有効であると考えます。
そこで、スタートアップが開発したGX製品等の需要を創出し事業化につなげていくためにどのように取り組んでいるのか、まず伺いたいと思います。
○山本産業政策連携促進担当部長企画調整担当部長兼務 スタートアップが自らの革新的なGX関連の製品や技術等について、商用化される前の段階で、大企業等の事業会社との間で将来的な調達の意思表明であるLOI等を結ぶことは、スタートアップの経営安定化につながるだけでなく、社会のGXを進めることにもつながる取組でございます。
このため、都は来年度から、スタートアップの持つ優れた製品や技術の活用に意欲的な事業会社五社を公募で選定し、スタートアップとのマッチングやLOIの締結等に向けた支援を開始いたします。
このLOIは、商用化が実現する前の段階で製品に関する将来の取引について取り決めることから、専門家が、事業会社とスタートアップとの間で、取引の開始予定時期や調達量、契約金額などの条件に関する調整への助言等を行ってまいります。
これらにより、スタートアップの持つGXにつながる有望な製品や技術の事業化を後押ししてまいります。
○内山委員 ありがとうございます。
本事業によって、事業会社からの需要が喚起され、スタートアップが開発した先進的なGX関連の製品や技術が社会に広まっていくことを期待したいと思います。
次に、カーボンクレジットの利用促進について質問いたします。
企業における脱炭素化の取組を推進する上で、カーボンクレジットを活用することも有効な手段の一つであると考えます。
カーボンクレジットは、企業などが省エネによる排出を削減したり、森林保全により吸収を増やしたCO2を第三者機関が認証し、クレジット化したものであります。
このカーボンクレジットの活用については、大手企業を中心に進んでおりますが、中小企業では、ノウハウが十分でないことから、浸透していないのが現状であります。
そこで、都は、中小企業によるカーボンクレジットの活用促進に向け、どのような取組を行うのか、見解を伺います。
○山本産業政策連携促進担当部長企画調整担当部長兼務 脱炭素社会を実現する上で、中小企業等が省エネなどによりCO2排出量を削減することに加え、自社では削減が困難な排出量について、カーボンクレジットを活用してさらなる削減を進めることは有効な取組でございます。
このため、都は、今月、都独自のカーボンクレジットの取引システムの運用を開始し、脱炭素の取組に意欲的な中小企業等が容易に国内外のカーボンクレジットを取引できる環境を構築いたします。
これに伴い、先日、世界的な環境保護団体が設立したクレジット認証機関と、カーボンクレジットの取引活性化に向けてMOUを締結いたしました。
来年度は、こうした機関とも連携し、中小企業によるカーボンクレジットの活用が促進されるよう、セミナーやシンポジウムを年六回開催するなど普及啓発を実施いたします。
○内山委員 ありがとうございます。
都が運用を開始するシステムは、中小企業がカーボンクレジットを簡単な手続で手に入れることができる仕組みであり、企業が環境配慮などに自ら取り組む機会を提供するということであるのが分かりました。
企業がカーボンクレジットを購入して活用することで、自社のCO2の排出量をオフセットできる、すなわちカーボンオフセットに向けた一つの役割がカーボンクレジットだと理解しているんですが、最初、私、これを聞いたときに、いや、CO2削減されないんじゃないかなと思ったんですが、これ、どういう仕組みになっているのかなと思ったんですが、さらにちょっと話を聞いてみると、そもそも省エネや森林保護を行ってカーボンクレジットを生み出した企業にとっては、さらなる取組を進める資金をそれによって調達することができるということで、そういった意味で、ただ相殺しただけではなくて、一層のCO2の削減や吸収につながっていくということでありました。つまり、カーボンクレジットを活用することは、社会全体の脱炭素化を進める有効な手段の一つであるということも、私も、そういうものなんだなというふうに勉強させていただきました。
こういったことから、カーボンクレジットの取引を活性化させて、その活用の輪を広げていくというのは重要な取組ではないかなというふうに思っています。
近年、大企業を中心に、カーボンクレジットを自社の製品やサービスに活用して企業PRなどを行っている事例も増えてきておりますが、実際にテレビCMなどでも見聞きすることがあると思います。
中小企業に対して、カーボンクレジットを自社の製品の営業などに戦略的に活用する取組を促すことも必要と考えますが、見解を伺います。
○山本産業政策連携促進担当部長企画調整担当部長兼務 都は来年度、中小企業がカーボンクレジットを活用して自社の製品等をPRする取組への支援を開始いたします。
具体的には、中小企業が製品やサービスについて、カーボンクレジットを活用してオフセットを図る際、その製品等の製造段階などで発生するCO2排出量の算定や、製品のブランディング、さらには販売時のプロモーションに要する経費の三分の二を、二百万円を上限に助成をいたします。
これにより、中小企業によるカーボンクレジットの活用を後押しし、取引活性化を図ることで、社会全体の脱炭素化につなげてまいります。
○内山委員 ありがとうございます。
ここまでの質疑で、カーボンクレジットの促進というのは、中小企業の活動を何か苦しめるものというか制約をかけるものではなくて、積極的に活用する中小企業を支援する、こういう枠組みであることが分かりました。二〇五〇年カーボンニュートラル社会の実現に向けて、カーボンクレジットの取引やその活用が一層進むことを期待したいと思います。
続きまして、商店街の防災対策についてお伺いをしたいと思います。
私たち都民ファーストの会は、首都防衛元年予算の実現を都に要望し、先日の代表質問でも、商店街の防災力の向上について取り上げました。
商店街は地域コミュニティの要の一つであり、減災の観点から、アーケードや街路灯などのハード面はもとより、備蓄品や防災訓練などのソフト面での備えを行うことが重要であると思います。
そこで、商店街の防災対策に対する都の認識と、来年度のハード、ソフト両面での支援策についてお伺いしたいと思います。
○福田商工部長 商店街は、地域経済を活性化する上で重要な機能を有するとともに、防災活動など、地域の安全に大きな役割を果たしております。
そのため、都は来年度、相次ぐ大規模な自然災害に備えるため、商店街の防災力を高める取組を強化してまいります。
具体的には、アーケード等の耐震調査や補強、撤去に加え、街路灯などの点検に要する経費も対象として、補助率五分の四、一億二千万円を上限に助成いたします。
また、防災関連のイベントや防災マップ作成などへの支援のほか、災害時に来街者の救助に必要な工具等の備蓄品購入について、三十万円を上限に、全額を新たに助成いたします。
これらによりまして、安心して買物ができる商店街づくりを着実に支援してまいります。
○内山委員 様々な観点から商店街への支援に取り組んでいくということが分かりました。
また、それぞれの事業の具体的な制度設計はこれからだと思いますが、例えば、今、答弁のあった救助用の工具等の備蓄品についても、災害時に確実に使えるよう、商店街における保管場所の工夫や定期的な確認を行うことを促すなど、都としてもしっかりと検討していただきたいと思います。
今後も、市区町村と連携をしながら、商店街に寄り添った支援に取り組んでいただくことを要望いたします。
続きまして、コンテンツ産業の振興についてお伺いをしたいと思います。
東京には、世界を魅了するゲームやアニメ、漫画などのコンテンツが集積しております。
一方で、コンテンツ産業における急速なデジタル化や、中国や韓国などのアジア諸国の台頭も進んでいます。
こうした中で、国際競争力を高めていくため、我が会派はさきの予算特別委員会において、中野にあるコンテンツ分野の創業支援施設、東京コンテンツインキュベーションセンターを活用すべきと提案しております。
そこでまず、この創業支援施設において、コンテンツ事業者に対してどのような支援を行ってきたのか、具体的な取組内容と実績についてお伺いをいたします。
○福田商工部長 都では、コンテンツ産業のさらなる成長に向け、平成二十年に東京コンテンツインキュベーションセンターを設置し、創業間もない起業家を支援しております。
具体的には、専門家が常駐し、入居者に対し、助言やコンテンツ分野の企業とのマッチング等を支援しております。
また、生成AI等の技術の活用に関心を持つ入居者等に対し、事業計画の磨き上げなどをサポートしております。
これまでに約百六十の入居者を支援しており、利用者の中からは、オリジナルアニメを海外大手配信会社と契約した事例や、自社開発したVRコンテンツを大手エンターテインメント施設に導入した事例が出るなど、入居者の着実な成長につなげております。
○内山委員 ありがとうございます。
様々な支援によって、大手企業等との契約に結びつく事例が生まれているということが確認をできました。
本施設は利用者からの評価も高く、新規に入居募集を行っても、すぐに入居事業者が決まる状況であると聞いています。来年度、仮移転を行うということでございますが、こうした点を踏まえると、支援の量や質をさらに強化していくべきと考えます。
我が会派では、かねてから魅力的なコンテンツを生み出す源泉であるアニメーターや漫画家などのクリエーターへの支援を求めてきたところでありますが、都では、こうした声に応え、クリエーターの成長につながるセミナーや育成プログラムを実施してまいりました。
仮移転を契機として、ハード、ソフト両面から、こうしたクリエーター等の支援のさらなる充実を図るべきだと考えますが、都の取組についてお伺いをいたします。
○福田商工部長 都は来年度、施設の仮移転を契機として、コンテンツ業界の動向や利用者のニーズを踏まえた支援の強化を図ってまいります。
ハード面では、起業家が入居可能なスペースを現在の二十五から五十に倍増いたします。
また、クリエーターが利用しやすいコワーキングスペースを新設いたします。
さらに、アニメなどデジタル化の進展に対応するため、先端3DCGやモーションキャプチャー等の最新機器を整備いたします。
ソフト面では、有望なクリエーター等を発掘するコンテストを開催するほか、アニメ配信会社等との取引などにつながるピッチイベントや、国際展示会への出展を通じた海外市場への進出の後押しを新たに行います。
これらによりまして、施設利用者の裾野の拡大から世界を見据えた成長までを幅広く支援できる環境を整備いたします。
○内山委員 ありがとうございます。
仮移転を契機として、まさにハード、ソフト両面から幅広い支援の強化を行うということをご答弁いただきました。
コンテンツ産業における国際競争力の強化は待ったなしであります。取り得る方策について、総力を挙げて支援をしていただくことを要望したいと思います。
続きまして、カスタマーハラスメント防止対策についてお伺いいたします。
全国初の防止条例の施行に向け、都は今月、業界団体向けの共通マニュアルを公表いたしました。昨年十二月の委員会で要望した未然防止の重要性が強調された内容となっており、現場にしっかり浸透していくことを期待したいと思います。
大手企業では次々に対応方針を発表する動きも見られておりますが、民間の調査では、七割の企業が対策を講じておらず、被害者への調査では、上司に相談したが、対応してもらえなかったという例も一定数あり、事業者への周知が急がれると思います。
カスハラ防止対策は、社員を守るだけではなく、人材の流出を防ぎ、安全配慮義務違反を問われる訴訟リスクが減るなど、事業者にとってもメリットがあります。
都は、カスハラ防止対策に取り組むことが、社員だけでなく事業者にとって効果があることを啓発し、事業者の防止対策を促進していくべきと考えますが、見解を伺います。
○内田雇用就業部長 事業者におけるカスタマーハラスメント防止対策を促進するため、その効果を伝えていくことは重要でございます。
都は、今月初旬に公表した共通マニュアルにおいて、カスハラ防止対策は、社員が安心して働ける環境をつくるとともに、人材の流出を防ぎ、事業継続につながることを示しております。
また、顧客による暴言などの行為から従業員を守らなかったとして提訴された会社が、初期対応の指導やルールの策定などを講じていたことにより、安全配慮義務違反を問われなかった裁判例も紹介しております。
こうした内容を業界団体向けの講習会などの場でも情報提供し、事業者の積極的な取組を促してまいります。
○内山委員 ありがとうございます。
私も何度か申し上げておりますとおり、企業の規模や体力は様々でありまして、どこまでの対策を講じればよいか悩む企業も多いと思います。マニュアルを通じてしっかりと後押しをしていただきたいと思います。
また、現場がカスハラかどうかを判断するに当たり最も悩むのは、正当なクレームとの線引きであると思います。都が公表したマニュアルでは、時間や回数などの目安をつくることを求めています。
例えば、電話対応は三十分を目安に打ち切るといったルールを顧客側に示せば、長時間の電話にはならないよう自制するなどの効果があると考えられますが、一方で、三十分までの電話ならカスハラに当たらないという誤った理解が広がる懸念もあります。
カスハラの判断基準を公表することについては、どのような対応を促すのか、見解を伺いたいと思います。
○内田雇用就業部長 共通マニュアルでは、事業者がカスタマーハラスメントに該当する行為や、それに対して毅然と対応することなどを内容とする基本方針を、社内、社外に広く周知することを促しております。
カスハラを判断するための時間や回数の目安については、業界としてのルールを設定し、会員企業に周知することを推奨しております。
その情報の顧客への公表については、メリット、デメリットを十分検討する必要があることを示しておりまして、こうした考え方に沿って事業者への広報を進めてまいります。
○内山委員 ありがとうございます。
共通マニュアルには、長時間の拘束自体が就業環境を悪化させるとの記載があり、効果的に運用されれば働き方の改善にもつながります。周知をするメリットやそれによるデメリットを踏まえた上で、職場が最適な選択ができるよう、共通マニュアルの趣旨を丁寧に伝えていただくよう求めたいと思います。
続きまして、シルバー人材センターにおける一人暮らし高齢者の支援についてお伺いしたいと思います。
国立社会保障・人口問題研究所の推計によりますと、二〇五〇年には、東京で半数を超える世帯が単身世帯となり、六十五歳以上の一人世帯も急増するという見通しとなっております。
高齢者の活躍を推進する上で期待される一つが、シルバー人材センターであります。
シルバー人材センターは、地元の公共施設の管理や清掃だけでなく、高齢者の日常の困り事にサービスを提供したり、フレイル予防などのイベントを開催するなど、様々な活動に取り組んでおります。シルバー人材センターが、地域のネットワークを生かし、単身高齢者にアウトリーチすることができれば、人生百年時代をより豊かに過ごす選択肢も提供できると思います。
都は、シルバー人材センターと市区町村との連携を深め、一人暮らし高齢者に支援を届けるとともに、シルバー人材センターの会員として活動する魅力もPRしていくべきだと考えますが、見解を伺います。
○内田雇用就業部長 都は来年度、シルバー人材センターが単身高齢者向けに行う取組への重点的な支援を開始いたします。
具体的には、シルバー人材センターに配置する高齢者の生活支援に豊富なノウハウを持つコーディネーターが、地域の見守り体制を構築する区市町村と連携を図りながら、一人暮らしの高齢者との接点をつくり、支援ニーズを把握します。
また、支援が必要な方には、センターなどが提供するサービスにつなげるとともに、仕事を通じて生きがいを見つけたい方には、会員として活動することを促します。
こうした取組を行うシルバー人材センターに対し、三百万円を上限に補助し、単身高齢者へのサポートを進めてまいります。
○内山委員 ありがとうございます。
高齢者だけではありませんが、何か楽しいという、そういう娯楽的な部分だけではなくて、何か仕事をして役に立ちたい、自己有用感を高めるという中において、そこに意義を見いだす方々も多くいらっしゃると思います。私の地元の昭島市のシルバー人材センターでも、イベントビデオの制作やパトロール、ボランティア等の会員の皆様のスキルを生かしながら、多様な活動に取り組んでいます。
単身で暮らす高齢者の方にもシルバーの魅力がしっかり伝わるよう、シルバー人材センターと市区町村の連携に強く期待をしたいと思います。
最後に、ユニークベニューについてお伺いをしたいと思います。
ユニークベニュー、直訳すると特別な場所ということで、博物館や美術館、歴史的建造物、神社仏閣など、そういった特別な場所で会議やレセプション、イベント等を行うことによって、特別感だとか、もしくは地域の特性を演出する、そういった効果を期待できるという取組であります。
国際会議などのMICEには、国内外から多数の関係者が参加し、長期滞在するため、飲食や観光などによる消費額の増加など、経済へ好影響をもたらします。より多くのMICEを呼び込んでいくことは、東京の観光をさらに発展させていく上で重要な取組であると思います。
昨年の事務事業質疑では、MICE主催者へのユニークベニューの利用時の費用負担について指摘をし、都からは、会場借り上げ費の助成を充実させているという答弁がありました。
一方で、ユニークベニューとしてのニーズがありながら設備が整っていない施設もあり、様々な観点から利用のハードルを越えるためのフォローが必要ではないかというふうに考えます。
そこでまず、都は、MICE誘致のさらなる推進のため、ユニークベニューを受け入れる施設に対する支援を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
○江村観光部長 都はこれまで、歴史的建造物や文化施設などのユニークベニューとしての活用を促すため、MICEの主催者に対し、設営経費等を支援するほか、受入れ側の施設に対し、環境整備のための機材の導入経費等を支援してまいりました。
来年度は、施設側からニーズが高いレセプション等で使用する機材の保管倉庫等の導入経費を新たに支援対象に加えますとともに、上限額を一千万円から一千五百万円に、助成率を二分の一から三分の二にそれぞれ引き上げます。
○内山委員 ありがとうございます。
ユニークベニューを受け入れる施設の環境整備に対する助成が拡充されるということは評価をしたいと思います。
海外でも、パリのルーブル美術館などがユニークベニューとして積極的に利用されており、都内にもそのような施設が増えていくことが期待されております。
とはいえ、ユニークベニューを受け入れたことがない施設は、そもそもどのような形でイベントが行われているのかイメージが湧かずに、レセプションパーティー等の通常とは異なる利用に一歩踏み出せない施設もあると思われます。
都は、ユニークベニューを受け入れたことがない施設が新たな取組を始めるきっかけとなるようなサポートを提供すべきと考えますが、見解を伺います。
○江村観光部長 都は現在、MICEの主催者や施設が日常とは異なるユニークベニューの特別な雰囲気を体験できる場として、都内の美術館や水族館等でのショーケースイベントを実施しております。
来年度は、この取組に加えまして、施設による主体的な取組への支援を開始いたします。
具体的には、ユニークベニューとしての貸出実績のない施設が自らショーケースイベントを実施する場合に、機材のレンタルやイベントの演出等に必要な経費について、一千五百万円を上限に、十分の十を助成いたします。
ショーケースイベントの実施に関するノウハウの提供も併せて行うことによりまして、施設が円滑に取組を進められるよう後押ししてまいります。
○内山委員 ありがとうございます。
ユニークベニューとしての活用が期待される施設への支援の充実を図るということは、さらなる利用促進に寄与するというように思います。
今後も受け入れる施設側とMICEの主催者の双方からニーズを聞き取り、きめ細かいサポートを行うよう求めて、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○細田委員 東京プラスサポートの充実について、まず質問いたします。
東京プラスサポートは、地域の金融機関と連携して融資を行う都独自の制度でありまして、原則無担保で、事業性資金をスピード感を持って融資しております。制度融資と併せて、中小企業の日々の資金繰りを支える上で極めて重要な役割を果たしています。
都議会公明党が昨年の第三回定例会におきまして、この制度を活用した資金繰りの負担軽減を図るべきと求めたところ、東京都は、昨年の十二月から、融資期間の上限を五年から七年に延長をすることで、月々の返済負担の軽減を図る措置を講じております。
これは私の十一月の事務事業質疑の答弁で例として挙げていただきましたが、七年間の融資期間を限度額三千万円で借り入れた場合、五年の場合と比べて、毎月四分の一ほど、二五%が軽減される、このような大きな後押しとなるものです。
一方、ゼロゼロ融資の返済や物価高騰により資金繰りに苦しむ中小企業も依然として多く、資金面からしっかりと経営を下支えすることが重要になっております。
そこで、制度融資だけでは十分な資金調達が難しい中小企業などに利用されている東京プラスサポートについて、来年度もさらに制度の充実を図るべきと思いますが、東京都の見解を求めます。
○原金融部長金融支援担当部長兼務 東京プラスサポートでは、来年度の融資目標額を前年度比約四七%増の一千五十二億円とし、貸付原資の預託等の財政措置を講じることで、中小企業の円滑な資金繰りを支援してまいります。
来年度からは、制度融資を利用し経営改善に取り組むなど、一定の要件を満たす場合に、民間保証機関の協力を得て、保証料率を〇・二%引き下げる支援を新たに開始いたします。この取組が多くの中小企業に活用していただけるよう、金融機関や保証機関と連携してPRを図るほか、都のホームページ等による周知を行い、事業者の経営改善を後押しします。
これらにより、厳しい経営環境にある中小企業の資金繰りを支援してまいります。
○細田委員 中小企業の経営を安定させる上では、資金調達の選択肢を広げることが不可欠であります。こうした観点から大変重要な役割を担っています東京プラスサポートを、引き続いて充実を図っていただくことを求めまして、次の質問に移ります。
中小企業のDXに向けた支援であります。
都内の中小企業を取り巻く経営環境は、長引く原材料やエネルギー価格の高騰などによって、厳しい状況が続いております。
こうした状況を乗り越えていくためには、生産性を高めて事業の経営基盤の強化を図っていくことができるDXの活用が重要であります。
一方で、DXは、技術の革新が目覚ましく、資金的余裕や活用ノウハウのない中小企業には十分に対応できていない、このような現状があります。
都は、中小企業に対するDXをしっかりと支援していくべきと考えますが、具体的な取組について質問いたします。
○福田商工部長 都は、中小企業の経営力を強化するため、業務の生産性向上に必要なデジタル技術の導入から人材の育成までを幅広く支援しております。
具体的には、ITに知見のあるアドバイザーが現場に出向き、デジタル化に向けた計画策定の支援や導入機器の提案、機器等を導入する際の経費について助成しており、今年度は、一月末現在で百九十八社の申請がございました。
また、社内での人材を育成し、デジタルの効果的な運用を促すため、業務改善につながるAIやRPAなどの活用ノウハウを学べる講座を百五十社に提供しております。
来年度は、支援ニーズの増加を踏まえまして、アドバイザーによる支援と講座の受講規模を合わせて四百社に拡大し、中小企業のDXのさらなる活用を促してまいります。
○細田委員 大きく広げて支援されていくということで、人工知能や、また、ロボティック・プロセス・オートメーション、この業務の自動化などに関しても、具体的な講座を、しっかりと中小企業の方々のニーズに、また、要望に応えてしっかりと支援していく、このような拡大の取組であります。どうぞよろしくお願いいたします。
販路開拓におけますDXサポートの事業のことについて伺います。
DXは、販路開拓の分野におきましても大いに役に立つ取組であります。最近では、インスタグラムなどのSNSを経由した商品の購入や、インフルエンサーを活用した広告も増えるなど、企業のマーケティングを取り巻く状況は目まぐるしく変化しております。
しかしながら、中小企業における取組はまだ十分ではなく、売上げを上げるためにどのようにデジタルを活用すればいいのか分からない、このような声も多く聞こえるわけです。
都は来年度、中小企業の販路開拓におけますデジタル化をいかに支援していくのか、具体的な取組について答弁を求めます。
○福田商工部長 都は、中小企業のデジタルを活用した販路開拓をサポートするため、集客などにつながるウェブサイトの運用や、SNSの活用方法などを学べる講座を開催しております。
また、デジタルマーケティングの業務経験を持つ専門家を企業に派遣し、経営課題に応じた戦略の策定から実行までを、最長二年間にわたり伴走支援しております。
来年度は、社内で自社のウェブサイトやSNSなどの効果的な運用や分析ができるよう、講座の受講者に対し、専門家によるきめ細かいフォローアップを新たに実施することで、販路開拓を担う人材の育成を後押しいたします。
さらに、事業規模を百社から百二十社に拡大し、より多くの中小企業が販路開拓のデジタル化に取り組めるよう、支援を強化してまいります。
○細田委員 DXは、企業の経営力を高める上で、既に欠かせない現状にあるということであります。引き続き、中小企業に寄り添いまして、きめ細かく都が支援をしていくことを求めまして、次の質問に移ります。
充電設備の普及促進についてです。電気自動車の充電設備の導入支援について質問します。
走行時にCO2を排出しないZEVの普及は、気候変動対策を推進する上で重要であります。
しかしながら、国内の電気自動車の販売が四年ぶりに減少に転ずるなど、近年、普及のペースはスローダウンしている、このような状況下にあります。
普及が伸び悩んでいる原因の一つとして考えられるのが、充電インフラに対するユーザーの不安感です。
都内では、充電設備は増加しているものの、初期に設置された設備は設置から既に十年以上経過しているものもありまして、老朽化した設備の更新が課題となっています。
また、都内に多く存在する機械式駐車場の中には充電設備を設置することができないなどの問題もあります。
ユーザーが安心して電気自動車を利用できるように、こうした課題も踏まえ、充電インフラの整備に対する支援を充実すべきと考えますが、都の見解を求めます。
○米澤産業・エネルギー政策部長 ZEVの普及のため、充電インフラの整備を進めることは重要であり、都は、充電設備の購入費や設置工事費に対する支援を行ってございます。
来年度は、これまでの取組に加えまして、老朽化した公共用充電設備等について、高出力な機器に更新することなどを条件に、撤去費用として、新たに一基当たり最大百万円を支援いたします。
加えて、機械式駐車場へ充電設備を設置する際にパレットの改修が必要な場合、その費用について、一基当たり最大百四十万円を支援いたします。
こうした取組によりまして、事業者の様々な状況に適切に対応し、充電設備の導入を加速してまいります。
○細田委員 充電インフラの整備はZEVの普及の要でありまして、引き続きしっかりと取り組んでいっていただきたいと思います。
次に、EVバイク向けの充電環境の整備についてです。
都内には約百万台の二輪車があり、都民に身近な乗り物として、日々活用されています。ゼロエミッション東京の実現に向けては、こうした二輪車のZEV化を進めることは重要であります。
EVバイクについては、バッテリー交換型の車両の普及が進んでいますが、車両購入費に加えて、専用の充電器の購入など、ガソリンのバイクにはない追加的なコストが必要になる負担が生じています。
そこで、EVバイクの導入を促進するために、充電に関する事業者の負担を軽減するための取組が必要と考えますが、都の答弁を求めます。
○米澤産業・エネルギー政策部長 都は、事業者がEVバイクを購入する場合、ガソリンバイクとの価格差に対する補助を行ってございます。
来年度は、これに加えまして、新たにEVバイク用充電器の購入費やバッテリーシェアリングサービスを利用する場合の基本料金に対する助成を開始し、EVバイク一台当たり最大五万円を補助いたします。
こうした取組によりまして、EVバイクの普及拡大を後押ししてまいります。
○細田委員 長期的な視点で見れば、ZEVの普及はさらに進んでいくことが予想されており、充電インフラの整備はますます重要となってまいります。
そして、オートバイの事業者も、経営に様々にご苦労を抱えながら、社会に貢献して営業しています。こうした取組を着実に推進し、ユーザーが利用しやすい環境を整えていってもらいたいと思います。
続きまして、円滑な木材調達のための木材利用者への支援について質問します。
近年、環境意識の高まりなどから、建築物の木造化、木質化が注目されており、多摩産材の利用が進むことが期待をされています。
一方で、こうした木材需要に対し、必要なときに必要な量の多摩産材が調達できる供給体制の構築が強く求められていることから、都議会公明党は、昨年の第二回定例会の代表質問におきまして、木材流通が円滑に進むことの重要性を主張したところであります。
都は、多摩産材を活用したい工務店などが円滑に木材を調達できる環境を川上から川下までしっかりと整えていくことが必要と考えますが、来年度の取組について質問いたします。
○榎園農林水産部長 都は来年度、需要側である製材事業者と供給側である林業事業者が、多摩産材の需給情報について把握するシステムの構築に着手いたします。
製材事業者が工務店等のニーズを基に、調達したい樹種や量などについて登録した情報を林業事業者が閲覧できるようにすることで、木材の総量や規格を考慮して、適切なタイミングで多摩産材を伐採、搬出できるようにいたします。
一方で、林業事業者は、山で切り出す原木の直径や長さ、材積などに関する情報を発信し、いち早く需要側が把握できるようにすることで、より計画的な材の調達や在庫管理につなげてまいります。
これにより、多摩産材の流通の円滑化を図ってまいります。
○細田委員 林業、木材産業の川上から川下に至る事業者が連携する木材のサプライチェーンを整備することは、多摩産材の利用拡大や円滑な調達に向けて、大変に重要であります。このシステムが早期に整備されて、将来の安定需給につながることを期待しております。
多摩産材の利用拡大を図るために、都は、展示商談会の開催や、建築物への利用を促す助成金制度などを実施していますが、多摩産材を使う意義や木のよさを伝えるためのPRも重要であります。
そのため、都は、TOKYO MOKUNAVIを運営し、多摩産材製品の展示や相談などを行っておりまして、令和五年の九月の開設以来、約一万三千人の来場者があったと聞いています。
今後、利用者をさらに増やして多摩産材の利用拡大につなげていくには、MOKUNAVIの施設の中だけにとどまらず、広く情報発信していくべきと考えますが、都の来年度の取組について質問します。
○榎園農林水産部長 都は来年度、多摩産材の都民向けPRや情報発信を強化いたします。
具体的には、情報発信拠点であるTOKYO MOKUNAVIにおいて、東京の森林となじみが深く、多くのフォロワーを抱えるインフルエンサーとコラボした多摩の森林の魅力を伝える動画をつくり、広く発信することで、多摩産材に対する都民の関心を高めます。
また、アウトリーチによるPR活動を新たに開始し、多摩の森林では、親子向けのワークショップや森林体験ツアーを実施するほか、日本最大の生活雑貨の国際見本市に出展し、多摩産材を使った生活用品やノベルティー等の展示を行います。
こうした取組により、多摩産材の認知度を高め、需要の喚起につなげてまいります。
○細田委員 発信拠点であるMOKUNAVIから外に飛び出して、情報を積極的に届けに行くアウトリーチ型の取組も必要であります。発信した情報が消費者に届くよう、広報も工夫していただき、東京の森林循環に対する理解の促進につながるように着実に取り組んでいただくことを要望いたします。
続きまして、企業や自治体と連携をした森林の整備について質問します。
東京の森林を次世代に継承するためには、自治体や企業との連携も重要です。
都は、森林環境譲与税を活用した多摩地域の森林整備を進めるために、区や森林のある市町村と連携し、「多摩の森」活性化プロジェクトに取り組んでいます。現在、十三自治体が参加していると聞いておりますが、より多くの自治体が加わり、都市部の住民の参加を得て、多摩の森林の整備が進むよう盛り上げていくことが望まれます。
また、木材利用を進めるに当たり、環境対策など社会貢献に意欲的な企業との連携や協力も効果的であり、昨年秋の事務事業質疑においても取り上げさせていただきました。
都は、森林循環の促進に向けて、自治体や民間企業などとの連携協力を一層進めるべきと考えますが、来年度の取組について質問します。
○榎園農林水産部長 都は来年度、森林循環の促進に向け、自治体や企業等との連携をさらに進めてまいります。
具体的には、区市町村と連携して森林整備を進める「多摩の森」活性化プロジェクトにおいて、間伐などの現場体験を行う市町村を拡充し、プロジェクトに参加する区等の住民の体験機会を増やすとともに、こうした活動をSNS等で広く紹介し、参加自治体の増加につなげてまいります。
また、環境意識の高い企業等四者と建築物での木材利用の促進を図る協定を締結しており、来年度は、セミナーやSNSを活用し、締結企業等の取組を発信いたします。
これにより、企業側のインセンティブを高め、新たな協力企業の確保につなげてまいります。
○細田委員 森林を持たない区部の住民が、森林での体験などを通じて森づくりに関心を持てますよう、オール東京で森林整備を後押ししていくことも重要であります。今後も多くの企業や団体の協力を得ながら、多摩の森林整備が進むよう、積極的に取り組んでいただくことを要望いたします。
続きまして、アクセシブル・ツーリズムについて質問します。
都議会公明党はかねてから、障害者や高齢者の方々が快適に観光案内を楽しめるアクセシブル・ツーリズムの推進を求めてきました。
コロナ禍を経て、旅行需要は大幅に回復し、障害者や高齢者の方々の旅行意欲は旺盛になってきておりますが、障害者を対象としたツアーはまだ十分ではなく、出かけたくても出かけられないというお声も仄聞いたします。
こうしたツアーの企画や実施には、障害に関する知識や、同行してサポートできるスキルを持った人材が必要になります。
しかし、人材不足が深刻化する中で、事業者がこうした人材を確保することが困難になってきており、また、未経験者を育成する余裕もありません。
アクセシブル・ツーリズムを担う人材の育成を一層強化すべきと考えますが、都の見解を求めます。
○江村観光部長 都は来年度から、アクセシブル・ツーリズムのさらなる普及に向け、障害者等が快適に観光を楽しめるツアーを造成できる人材を育成するため、二つの実践的なセミナーを新たに開始いたします。
まず、旅行業者を対象としたセミナーを年二回開催し、障害者等のニーズを把握して、それを基に最適な移動手段や観光スポット等を選び、企画するためのポイントや、時間に十分なゆとりがある行程を作成するノウハウなどを提供いたします。
また、ツアーガイドを対象としたセミナーも年二回開催し、車椅子で移動する際の留意点や、視覚障害者の誘導方法など、現場で必要となる介助や接遇のスキルを学ぶことができる機会といたします。
これらの取組により、アクセシブル・ツーリズムのさらなる推進を図ってまいります。
○細田委員 障害者や高齢者の観光に対するニーズは今後も高まっていくと思います。全ての方々が観光を楽しめるような環境の整備に努めていただくよう求めておきます。
続きまして、アニメを活用した観光振興について質問します。
日本のアニメは海外でも大人気でありまして、都内でも、外国人旅行者がアニメショップを訪れる姿をよく目にいたします。今ではオンラインで海外からも日本のアニメを鑑賞することができ、外国人旅行者にとっても身近な存在となっています。
都は一昨年、東京のアニメの観光拠点として、池袋にアニメ東京ステーションを開設いたしました。ここでは、アニメの制作工程を解説した展示や人気アニメの企画展を実施しており、多くの集客につなげています。
現在、インバウンドが好調とはいえ、今後も東京の観光が継続して発展していくためには、アニメのような強力なコンテンツの活用がとても重要であります。
そこで、アニメ東京ステーションを活用した観光振興をさらに強化していくべきと考えますが、都の見解を求めます。
○江村観光部長 都は来年度、アニメ東京ステーションのさらなる誘客を図るとともに、そこを起点に都内の観光地の回遊を促進する取組を強化いたします。
具体的には、外国人対応が可能な専門のスタッフを配置し、個々の来館者が関心を持つアニメにまつわる観光スポットやイベントなどの情報をきめ細かく提供して、満足度の向上につなげるとともに、都内各地への周遊をサポートいたします。
また、オンラインでアニメ東京ステーションの世界観を体験できるメタバース空間を活用し、まだ来館したことのない海外の人々に対しても、施設の魅力や日本のアニメの情報を幅広く発信いたします。
これらにより、アニメを活用した観光の振興を図ってまいります。
○細田委員 アニメ東京ステーションを中心に、アニメの魅力を生かして外国人旅行者を呼び込む取組をさらに進められていくとのことであります。今後も、世界のアニメファンの期待に応えられるよう、工夫を凝らした企画を進めていただくように要望いたします。
次に、石川県への観光面からの復興支援について質問します。
昨年一月に発生した能登半島地震により、石川県は、産業や観光が大きなダメージを受けました。
都議会公明党は、これを受け、翌月に開催された都議会第一回定例会の代表質問において、いち早くこのことを取り上げた結果、都はこれを受け、石川県とも連携して復興を支援する取組を進めることになりました。
今年一月には発災から一年を迎え、様々なメディアで現地の復興状況が報道されてきました。例えば、観光の名所であった石川県輪島市の朝市通りでは、倒壊した建物や家財の解体、撤去が進んだものの、ほとんどはいまだ更地のままであり、産業や観光の回復にはまだまだ時間が必要であるとの印象を受けます。
このため、令和七年度も引き続いて石川県への観光面からの支援を実施すべきと考えますが、都の見解を求めます。
○江村観光部長 能登半島地震やその後の豪雨により大きな被害を受けた石川県について、観光を通じて地域経済の復興を後押しすることは重要でございます。
都はこれまで、輪島塗を含む伝統工芸品の展示即売会の実施や、都民広場や観光イベントでの特産品の販売などにより支援をしてまいりました。
また、石川県との共催により、能登の被災後の姿や観光に関する最新の情報を発信する写真展を、都内と金沢市で開催いたしました。
今後も、現地の状況や要望を踏まえ、特産品の販売をはじめとする石川県の魅力を広く発信する取組を行い、観光面からの復興を後押しいたします。
○細田委員 被災地である能登の復興はまだ道半ばであります。引き続いて観光面からの被災地の応援をすることを求めておきます。
続きまして、被災地応援ツアーについて質問します。
今年で東日本大震災の発生から十四年が経過しました。今なお多くの方が避難生活を続けられており、時間の経過による震災に対する記憶の風化も懸念をされています。今後も被災地のことを決して忘れることなく、被災地に寄り添い、復興をしっかりと後押ししていくためには、都の支援が大変に重要であります。
都議会公明党は、発災後、直ちに被災地を訪れて、現地のニーズを探り、都の支援につなげてまいりました。こうした中でも、福島県への被災地応援ツアーは、現地の観光に携わる方々から喜ばれており、高く評価いたします。
そこで、令和七年度も引き続きこの被災地応援ツアーを実施すべきと求めますが、都の見解を求めます。
○江村観光部長 被災地応援ツアーは、東日本大震災による復興支援のため、緊急対策の一環として、平成二十三年度から実施しております。
本事業は、新型コロナの感染拡大の影響により一時停止しましたが、今年度まで支援を継続しており、福島県への旅行者を対象に、宿泊二万泊、日帰り一万五千人分について、その費用の一部を助成しております。
また、都内の学校の教育旅行や、県が推進するホープツーリズムへの支援も行っております。
来年度についても、福島県の観光を取り巻く状況や現地の要望等を踏まえまして、被災地応援ツアーを実施し、震災復興を後押ししてまいります。
○細田委員 分かりました。引き続いて福島県と連携して、被災地の復興をしっかりと支援していただくようお願いいたします。
続きまして、職業訓練におきますDXについてです。
現在、少子高齢化の進展や産業構造の急変も相まって、様々な職種や業種で人手不足が深刻化しています。現場からは、人手不足の具体的な影響として、従業員の作業負担や労働時間が増加していることや、受注や来店の予約を断ったなどの声も聞かれ、各現場がDXも使いこなして生産性を高めていくことが急がれます。
こうした中で、既に最先端の設備や機器などを導入し、人手不足への対策に取り組む企業も多く存在しています。
東京の産業を支える人材育成を担う職業能力開発センターにおいても、企業が求める人材育成という使命に応えて、こうした産業の動向に対応し、最新のデジタル機器を使いこなせるスキルの習得も支援をしていく必要があります。
職業能力開発センターにおいて、DXによる現場の変化を踏まえた訓練を提供していくべきですが、都の見解を求めます。
○内田雇用就業部長 都は、職業能力開発センターの訓練内容の見直しや設備の更新等を通じてDXの進展に対応できる人材の育成を進めており、来年度は、ものづくりや介護分野の訓練において、デジタルリテラシーを高める取組を実施いたします。
具体的には、複雑な形状を容易にデータ化できる三次元スキャナーや、自動車の故障の診断などを行う電子機器のほか、バーチャル空間を活用して溶接のスキルを身につけるシミュレーターを導入するなど、DXに対応した技術の習得を促進いたします。
また、人材不足が極めて深刻な介護分野では、ベッドに設置したセンサーにより遠隔で動作や睡眠状態などを把握できる最新の機器を導入し、DXが進む介護現場において即戦力となる人材の育成に取り組んでまいります。
○細田委員 職業能力開発センターで最先端の機器を導入して、そして即戦力となる人材を育成していくことはとても重要であります。卒業した訓練生が、企業のDXを推進する中核人材として、また、介護のDXを推進する中核の人材として成長されていくことを期待して、最後の質問に移ります。
ひとり親向けの支援について伺います。ひとり親の就労支援についてです。
ひとり親の方は、仕事と子育てを全て一人でこなさなければならず、時間的、経済的な制約から、再就職や転職を希望しても、仕事で必要となるスキルの習得が難しく、希望するキャリアが実現をしにくいとの声も多く聞かれます。
また、育児との両立には、IT企業などに見られる完全テレワークの在宅勤務なども有効な選択肢になりますが、相応のスキルも必要となり、希望する業種や職種で仕事を得るためのスキルの習得や求人探しなどを一人で継続していかなければならないなど、就職活動のハードルが非常に高い状況に置かれています。
そこで、柔軟な働き方を希望するひとり親の方が、必要となるスキルを身につけて確実に就職できるよう、このような方々が抱える状況に寄り添った支援を実施していくべきと考えますが、都の見解を求めます。
○内田雇用就業部長 都はこれまで、ひとり親の方が希望するキャリアを実現できるよう、パソコンやWi-Fiを無償で貸与し、eラーニングによる職業訓練と就職支援を一体的に提供する支援を実施してございます。
この支援について、来年度は、五百名の規模に拡充するとともに、短時間勤務やテレワークなどの柔軟な勤務形態になじむデジタルコンテンツの制作などのスキルを習得するフレキシブルワークコースを新たに開始いたします。
また、ひとり親の方が就職活動を円滑にできるよう、キャリアコンサルタントが伴走してきめ細かく就職支援を実施するほか、受講生同士の交流や情報交換を促すコミュニティスペースを仮想空間を活用して整備をするなど、支援を強化してまいります。
○細田委員 ひとり親の方のスキル習得に向けた支援について、知恵を出して、寄り添って実施しようとの様々な取組の答弁でありました。
柔軟な働き方は、ひとり親はもとより、男女問わず、時間的な制約がある方々に対して仕事の選択肢を格段に広げていくことになります。どうぞ多くの方々のキャリア形成を力強く後押ししていただくことを求めまして、質問を終わります。
○藤田委員 日本共産党の藤田りょうこです。
商店街の取組について伺ってまいります。
商店街は、毎日の生活に必要なものを買うだけでなく、飲食店で一息ついたり、趣味や娯楽などのお店もあります。
しかし、地元大田区の商店街は、昨年までの五年間で五か所も減少してしまいました。とりわけ、コロナが五類になってからの一年間ちょっとで、三か所も一気に解散してしまいました。
私の住む地域では、商店街は残っていますが、お店は、生活に必要なものを賄うのに、あちこち遠くまで回らないとなりません。例えば、児童が千人近く在籍している小学校の近くには、文房具屋さんや本屋さんが一つもありません。学校指定の上履きや体育館履きを買うのは、セブンイレブン南馬込二丁目店です。ノートを買うのは、南馬込六丁目のスギ薬局という状況になっています。
通信販売やインターネットの普及と小型スーパーの出店で、これまでのような肉屋、八百屋、魚屋などの生鮮三品をはじめ、個店がなくても生活できるようになっています。
しかし、商店街は、こうした買物をする場としての存在だけではなく、地域コミュニティや防災、防犯などの役割もあります。
都内の商店街は、二〇〇〇年には二千九百件近くありましたが、二〇二二年には二千三百七十四件と、二十二年間で五百件以上も減少してしまいました。地域の財産でもある商店街は、行政が公共財として守るべきだと思います。
産業労働局長は、私の本会議質問で、商店街の役割について、商店街は、住民の買物の場であるとともに、地域コミュニティの中心として重要な役割を果たしていると述べられました。
商店が集まって商店街を形成していることの意義を、都はどう考えますか。
○福田商工部長 商店街は、地域経済を活性化する上で重要な機能を有するとともに、地域の安全・安心などで大きな役割を果たしており、そこで営業する店舗の連携強化を図っていくことが重要であると認識しております。
○藤田委員 連携強化ということをおっしゃられまして、商店街が集まっていることの意義について伺いましたが、店舗の連携強化だということです。連携できるかどうかという点でも、お店が集まっていることが前提だと思います。
昨年、私たちは、日本共産党都議団は、練馬区商店街連合会からお話を伺いました。
ある商店街では、SNSを使って集客していました。その商店街では、区のデジタル化補助金を使って、若い方を中心にLINEのお友達登録を始めました。そして、お店から営業日やお得な情報をLINEを使って伝えることで、お客さんが商店街に集まってくるという状況をつくっていました。
印象的だったのは、ケーキ屋さんが、お客さんが並んでいるそのときに、コーヒー屋さんありますよとか紹介をしたりして、商店街が一か所だけではなく全体でにぎわうような、そういう状況をつくっていたということです。全体にも影響するという仕組みをつくっていました。
答弁で述べられた連携強化を図るためには、お店が集まっていることがとても重要だと思います。商店街がにぎわうことで、いろいろなお店の売上げも伸びるなど、全体にもプラスの影響となります。
一方で、昨年は飲食店の倒産が過去最多となるなど、各地の商店街で空き店舗が増えています。同時に、商店街の運営も大変という声を伺いました。
商店街に加盟するお店の減少により商店街の機能の維持が難しくなっていることを、都はどう受け止めますか。
○福田商工部長 商店街が、身近な買物の場として住民の生活を支えるとともに、地域コミュニティとしての機能も有するためには、魅力的な商店街づくりに取り組んでいくことが重要であると認識しております。
○藤田委員 お店が減ってしまうと、今述べられたような住民の生活の支えであったり、地域コミュニティという商店街の機能も保てなくなってしまうんです。
私、本会議質問でも紹介しましたが、街路灯の電気代月十万円が負担だというお話もありました。いっそのこと街路灯を消してしまいたいというお話です。でも、防犯のためには必要なんだということで、その商店会は頑張って十万円を払っているという状況でした。
お店に立ち寄ったり商品を眺めたりすれば、隣のお店も行ってみようかなというふうになりますが、お店が減ってしまえば素通りをしてしまうと。空き店舗があるというだけで、お客さんの足が速くなってしまって、店舗に止まらないということがあります。売上げもそういった形で減っていくという現象が起きる。空き店舗が増えると、負の連鎖が始まるんだなということが分かります。
そこで、練馬区の取組が画期的だなと思ったので紹介します。
練馬区では、区内の商店街の空き店舗で新たに起業する事業者に対して、一年目は月五万円、二年目は月三万円、三年目は月に二万円の家賃補助を実施しています。条件は、週五日以上営業することと、商店会に加盟をすることと、まだありますが、条件はそれが大きいなと思います。
この事業について、区商連の方は、近隣の家賃が高くなっているので、店舗が空くとなかなか入ってこないんだけれども、この三年間の家賃補助があることで入ってくれて、続けてくれるんだということでした。
商店街は、連なっていることで連携ができ、魅力やにぎわいが生まれ、地域コミュニティがつくられていきます。地域の安全・安心をつくる役割という点で、まちの公共財だと思います。ぜひ東京都としては、公共財を守る立場で商店街支援に取り組んでいただくよう要望いたします。
次に、物価高騰の影響について伺っていきたいと思います。
物価高騰の影響は、お店を閉めるにとどまらず、閉めたお店を売ってしまうということも多いと伺いました。一度売ってしまうと、一階が店舗という形ではなくて、建て替えをしてしまった後には、ワンルーム投資型マンションとか駐車場になるケースも多くあるということです。そうなってしまうと、身近な買物の場という住民の生活の支えだけでなく、店舗の連携も、地域コミュニティとしての機能も、地域経済の活性化という点でも、商店街の本来の機能が失われていくということになります。
物価高騰の影響を受け、建築費も高騰しています。来年度の商店街支援メニューは、物価高騰にどう対応するのですか。
○福田商工部長 都は、商店街に専門家を派遣し、物価高騰への対応などの課題を解決するためのアドバイスや必要なノウハウの提供等を実施しております。
○藤田委員 アドバイスやノウハウの提供などをしているということでした。
派遣する専門家というのは、中小企業診断士の方々です。こうした専門家の皆さんは、コロナ禍以降の商店がどのような困難に直面して、どういった支援を求めているのかなどを相談を通じて把握されていると思います。ぜひ東京都が直接、相談内容などを聞き取って、支援の在り方も検討していただきたいと思います。
また、商店街や中小企業の実態を把握する上でも、中小企業診断士はとても重要な役割を果たしていると思いますので、ぜひ東京都の職員として中小企業診断士の配置をしていただいて、直接訪問するなどの活動をしていただくことを要望いたします。
次に、商店街の防災対策についても質問、要望したいと思います。
商店街は、古い木造店舗が多く、一階がお店なので、耐震性の確保が大きな課題です。
一九八〇年以前に建てられた旧耐震の店舗は、持ち主がいなくなり、改修ができないまま活用しているというところもあると伺いました。商店街全体を公共財と捉えて、ぜひ商店街の中にある、こうした木造店舗の耐震化についても支援をしていただきたいと思います。
地元大田区の水門通り商店街の会長からお話を伺いました。
昨年お店をやっているところであっても、家族は店を継がないと話していました。そこで、後継者についても大事なのですが、地域の方とのつながりをつくっていくことが必要だというふうに、この会長さんはおっしゃっていました。子供から大人まで多世代とつながることで、商店街の後継者も、そうした中から現れてくるんじゃないかなというお話でした。
地域の方との信用や信頼をつくっていくために、地域防災にも取り組んでいるということです。いざというときには助け合いの拠点になるのが商店街だというお話でした。
そこで、地域防災についてもちょっと質問したいと思います。
先日は、この商店街では、起震車を借りて防災訓練も行ったということでした。
来年度の予算案に、商店街防災力向上緊急支援事業を盛り込んだ意義について伺います。
○福田商工部長 商店街は、防災活動など地域を支える役割を担っていることから、都は来年度、現場の意見も踏まえ、相次ぐ大規模な自然災害に備える対策として支援を行います。
○藤田委員 これまで防災については町会が力を入れているところが多くありましたが、水門通り商店街でも、商店会として、備蓄、備品について、こうしたお話もありましたので、検討していこうというふうに思っているとおっしゃっていました。
都内の商店街は、二〇二二年ですけれども、二千三百七十四件になっていまして、今回の緊急支援事業の予算規模というのは七百五十件ということになっています。希望する商店街が事業を活用できるように、ぜひ七百五十件、増えたとしても対応していただきたいなと思っております。
昭和三十年から四十年代以降に、全国の多くの商店街が、国や自治体の補助金などを活用してアーケードやファサードなどの整備を行ってきました。現在、これらの施設は老朽化が進行し、来街する市民の安全・安心の確保が、防火、防災の観点からも問題となっています。
東京都商店街振興組合連合会は、昨年末、東京都への予算要望で、老朽化した街路灯やアーチなどの点検などの支援を求めていました。東京都はどう対応するのですか。理由を含めて伺います。
○福田商工部長 都は来年度、豪雨や暴風など相次ぐ大規模な自然災害に備える対策として、現場の意見も踏まえ、商店街が行う街路灯やアーケード等の点検の支援を実施してまいります。
○藤田委員 点検への支援を実施していくということで、非常に大事だと思います。
また、制度設計はこれからと伺っておりますので、ぜひ、街路灯やアーケードに加えて、アーチやファサードなど、商店街が希望する設備の点検が商店街の負担を極力なくして実施できるよう求めておきます。
アーケードやアーチなどの設備については、豪雨や暴風といった災害だけでなく、地震についても要望が寄せられています。
東京都はアーケードとアーチに対して耐震補強と耐震調査を実施しているということですが、利用実績をそれぞれ五年間、伺います。
○福田商工部長 過去五年間の利用実績は、アーケードの耐震補強が一件、アーケードの耐震調査が二件でございます。
○藤田委員 ホームページでちょっと調べただけなので全部かどうかというのはあるんですが、都内には大小四十二か所の商店街のアーケードがあるということです。アーチはもっと多くあると思いますが、この五年間の実績は、それぞれ、耐震補強が一件、耐震調査が二件ということでした。
お隣品川区にある中延商店街スキップロードは、全長三百三十メートルのアーケードがあります。このアーケードは、一九六九年に全蓋アーケードを設置して、その後、二回、全面改修を実施して、二〇一七年に天蓋の工事と併せて支柱の一部耐震化を行ったということでした。今後、改修工事をしたいと考えているようですが、その費用は数億円かかるということでした。費用面での課題があるので、なかなか改修工事ができないということです。
東京都商店街支援メニューにあるアーケード、アーチの耐震調査と耐震補強の補助金は、補助限度額が一億二千万円となっています。金額の根拠について伺います。
○福田商工部長 政策課題対応型商店街事業におけるアーケード等の耐震調査や耐震補強の支援メニューは、都が直面する行政課題の解決につながる取組であるため、手厚い支援を行っているところでございます。
○藤田委員 確かにほかのメニューに比べたら手厚い支援なのかもしれませんが、三百三十メートルのアーケードの改修に数億円かかるということですから、大幅に足りないということです。
同時に、同じ品川区には、都内最大の八百メートルというアーケードを持つ武蔵小山商店街もありますので、物価高騰や建築資材の高騰などを考慮しても、限度額の大幅な引上げが必要だと思いますので、検討を求めます。
また、耐震補強などの都の補助率が五分の四となっていることの根拠を伺います。
○福田商工部長 政策課題対応型商店街事業におけるアーケード等の耐震調査や耐震補強の支援メニューは、都が直面する行政課題の解決につながる取組であるため、手厚い支援を行っているところでございます。
○藤田委員 これも手厚い支援だということなんですが、都の限度額一億二千万円となると、商店会の負担は三千万円になるわけです。限度額が足りないだけでなく、補助率五分の四というのも、もともとの規模が大きいわけですから、これが手厚いかもしれませんけども、結局は商店会の負担が物すごく多くなるということで、物価高騰や資金面の課題からも、これもやっぱり不十分だと思います。補助率の拡充も求めておきます。
アーケードは、雨風を防ぐだけではなく、夏の日差しを遮ることもできたり、商店から漏れる冷房の空気によって空間の温度を下げて、熱中症の予防にもつながる効果があります。つえやシルバーカーを使用しながらでも、ベビーカーを押していても、雨の日でも快適にお買物ができる、そういうのがアーケードです。アーケードのある商店街についても、アーケード丸ごと公共財としてみなして、維持できる支援を要望いたします。
次に、賃上げの政策について伺っていきたいと思います。
この賃上げの政策も商店街にも大きくつながりがありまして、物価高騰の下で、お店に行く先々で状況を伺いますと、お客さんがコロナ以前の状況に戻ってこないと、お客さんの足が戻らないというお話を伺います。どういった対策が必要ですかと聞いたときには、お金の支援というよりも、多くの方が、もうやっぱりお客さんの方、サラリーマンの給料、賃金を上げてほしいというふうに、それが必要なんだというふうに口々におっしゃいます。
知事は、物価上昇を上回る賃上げの流れを確かなものにしていく必要があると述べています。物価高騰を上回る賃上げがなぜ必要なのか、見解を伺います。
○内田雇用就業部長 働く方が安心して生活できる環境を整えるため、物価上昇を上回る賃上げの流れを確かなものとする必要がございます。
このため、都は、労働者の処遇改善に向けた中小企業による様々な取組に支援を行っております。
○藤田委員 働く方が安心して生活できる環境を整えるためということで、大事だと思います。
先ほどもお店の方の声を紹介しましたが、賃上げの効果は、働く人の生活環境の改善にとどまらず、増えた収入を消費に回すことができるので、地域経済の好循環を生み出すことにもつながります。しかし、賃上げが物価上昇を上回らなければ、やはり安心して買物ができないので、しっかり消費に回せるようになるためには、物価上昇を上回る賃上げとなる必要があります。
昨年は大企業を中心に過去最高の賃上げが行われましたが、鍵を握るのは、全企業の九割、雇用の六割を占める中小企業で賃上げが進むことだと思います。
都がこれまで行ってきた事業では、生産性向上を目的とした設備投資型が多くありましたが、二〇二二年からは、既存の事業に賃上げの要件を追加するとともに、設備投資を含まない、魅力ある職場づくり推進奨励金を始めました。
都の魅力ある職場づくり推進奨励金に賃上げのメニューを入れたのはなぜですか。
○内田雇用就業部長 中小企業が働き方の改善を通じ従業員の意欲や収入の向上に結びつける取組への支援は重要であることから、都は、多様な勤務制度を導入し、併せて賃金の引上げも行う事業者に奨励金を支給してございます。
○藤田委員 賃上げのメニューを入れたのは、従業員の意欲向上に結びつけるためということです。
奨励金では、来年度、賃上げの額の条件を六十円に引き上げるとしています。それはなぜですか。
○内田雇用就業部長 従業員の働きがいを高める中小企業への奨励金について、来年度、賃上げを併せて行う場合の支給額を、国や都の調査による二〇二四年春季賃上げ要求、妥結状況や、令和六年の賃金改定の状況などの賃金動向を踏まえ、一時間六十円以上の賃上げを行う場合に一人当たり十二万円に引き上げるものでございます。
○藤田委員 昨年の春闘や賃金改定などの動向を踏まえてということでした。
それでは、奨励金の支給金額を、一人当たり六万円から、来年度は十二万円に増やすのはなぜですか。
○内田雇用就業部長 従業員の働きがいを高める中小企業への奨励金について、賃上げを併せて行う場合の支給額を、賃金動向を踏まえて一時間当たり六十円の賃上げを行った場合の一人当たりの年間の増加額を参考に、金額を引き上げるものでございます。
○藤田委員 時給六十円上げたら、一年で一人当たり十二万円、人件費も同じぐらい増えるということからという内容の説明でした。
この事業は一社最大十人までとなっているので、奨励金としながらも、賃上げについては、都の奨励金事業で十人までは、ほぼほぼ原資も賄えるものになっているんじゃないかなと思われます。防衛的賃上げにならざるを得ない企業にとっては、六十円アップというのはとてもハードルが高いものだと思いますが、原資が大分出るのであれば、頑張ってみようかなとなるのではないでしょうか。
一方で、中小企業では、六割が防衛的賃上げ、本当に原資がなくて厳しいというところが多くあります。人手確保のために賃上げを行うという状況もありますので、できるだけ速やかに奨励金が支給できる必要があると思います。
また、物価上昇を上回る賃上げの推進を図るには、広く支援が行われる必要があると考えます。こうした考えに照らして、都の事業がどのような課題があるのか、見ていきたいと思います。
まず、支給までの期間について、改めて確認したいと思います。
この奨励金は、申し込んで、当選から奨励金の支給までの期間というのはどれぐらいになっていますか。
○内田雇用就業部長 この奨励金は、当選後、申請要件を満たした企業に対して専門家を二回派遣し、その助言を踏まえ、企業が多様な勤務制度を導入したことや、賃上げを行い、二か月間継続していることなどの取組の結果を確認した上で支給する仕組みとなってございます。
なお、令和五年五月以前におきましては、事業者が選択した賃上げの取組の実施状況を確認する期間を半年間としていたことから、申込みから支給までの期間はおおむね一年半程度となっていたものでございます。
○藤田委員 おおむね一年半程度ということです。これは支給までの時間がかかり過ぎだといわざるを得ません。
賃上げ支援を行っている岩手県について、状況を伺ってみました。岩手県で県の賃上げ支援を利用した中小業者からお話を伺いました。岩手県では、賃上げ単独の事業を行っていて、おおむね申込みから一、二か月で支援金が支給されるということです。
この業者の方、地方でも中小業者の人手不足はとても深刻だとお話しされていました。とりわけ、大企業で大幅な賃上げを行ったので、小さい企業に人が集まりづらくなっていて、少ないパイの奪い合いになっているということでした。この地域には、トヨタや、あと半導体メーカーの企業、二千人から三千人の規模の企業が幾つかあって、こういうところの奪い合いというか、こういうところに就職をたくさんしてしまうので、残った方たちの奪い合いになっているということでした。
こうした中、従業員の確保という点で、今、退職を考えているような従業員をとにかくつなぎ止めなきゃいけないということで、そのために、賃上げの支援というのはすごく意義があるというお話でした。
その際、やっぱり一、二か月でもらえるから、だったら頑張って賃上げをして、一、二か月我慢して支給を受けようということで賃上げに踏み切るというお話でした。東京都の支給が一年半ということをお伝えしますと、ちょっとそんなには待っていられないなというお話もありました。
一方で、東京都の事業がなぜ支給が遅いのかということです。東京都の方から聞いたお話では、審査を行う人数を増やしてみたらどうかなということで、二〇二三年は九人だったところ、二四年には十六人、来年度は二十一人に審査の方も増やすというお話を伺いました。
奨励金支給の審査などを行う人員体制を増やしたということですが、審査期間はどの程度短縮されると見込んでいるのですか。
○内田雇用就業部長 実施規模等を踏まえた適切な執行体制の下、引き続き、各企業が専門家の助言を踏まえて行った職場改善の取組や、持続的な賃上げの実施状況などを審査した上で支給いたします。
なお、令和五年六月の申込みから、賃上げの実施状況を確認する期間を半年間から二か月に短縮してございます。
○藤田委員 今のお話ですと、体制は増やしても、直接的には奨励金の支給が早くなるものでは、どうやらないようです。
また、賃上げを実施した状況確認の期間を、以前は半年必要だったということですが、令和五年六月の申込みからは二か月に短縮したということです。しかし、短縮してから既に一年と九か月が今たっているわけですが、この短縮したことによって、いまだに支給が早くなりましたという話はなかったということでは、この短縮によって支給が早くなるという状況も確認はできなかったなというふうに思います。支給までの時間がかかる課題について、やっぱり明らかにして、改善すべきだと思います。
次に、事業規模について伺いたいと思います。
魅力ある職場づくり推進奨励金には、昨年度、何社応募して、何社当選したのですか。
○内田雇用就業部長 魅力ある職場づくり推進奨励金は、現在、年十回、申込みの機会を設けており、予定数を超えた場合に抽せんしてございます。
令和五年度は、申込みが延べ五千六百九十五社、当選が千二百一社となってございます。
○藤田委員 当選が千二百一社ということです。
今年度も仕組みは同様で、どんなに申込みの延べ数が多くなったとしても、今年度は当選の枠は少し増やしていますが、約千四百社しか当選しないということになっています。
昨年度当選した企業のうち、賃上げをメニューに選んだのは何社で、何人の賃上げが行われたのですか。
○内田雇用就業部長 令和五年度に当選した千二百一社のうち、昨年十二月末現在、五十三社に対して二百七十六人分の賃上げの取組に関する支給決定を行っております。
○藤田委員 おととしの分の当選で、昨年末に支給が決定したのが二百七十六人だということです。
岩手県の賃上げ支援について、また紹介したいんですが、二〇二四年二月から、ちょうど一年前ですね、二月から申請を受け付けて、昨年の十一月二十八日までに二千八百九十六件、申請者数は二万四百十四人となりました。支給は、先ほど紹介したように、申請からおおむね一、二か月、四週間程度というお話でしたね。なので、現時点では全て支給が済んでいるということになります。
東京都の先ほどのお話では、支給が決定したということで、まだ支給されたかどうかについては明らかではなかったんですが、つまり、賃上げ単独にすると、支給も早いし、規模も大きくできるということが分かるかと思います。
中小企業は、この一年間だけ見ても、大企業は賃上げができている。しかし、規模が小さければ小さいほど賃上げは本当に厳しくて、防衛的な賃上げにならざるを得ないという状況で、この一年間だけでもますます厳しくなっています。
あらゆるものが値上げラッシュの中においても、人手は何とか確保するというために、経営を立て直していくためには、やっぱり必要な賃上げを行って、人を確保することが何としても不可欠だと思います。東京都は一人十二万円ということで、やっぱり原資をちゃんと確保できるような、そういった支援にもつながるわけですから、ぜひこれを単独の支援にして、みんなが使えて、そして賃上げに回せるということにしていただきたいと思います。
岩手県の賃上げ支援と比べて、東京都の奨励金は、支給にも時間がかかり過ぎる上に、規模も小さいということが最大の課題だと思います。岩手県との大きな違いは、賃上げ支援制度が賃上げ単独の事業であるのに対して、東京都の制度は、あれこれのメニューの一つに賃上げが含まれているということになっています。
魅力ある職場づくり推進奨励金が、賃上げと生産力向上などをセットにしているのはなぜですか。
○内田雇用就業部長 都は、持続的な賃金の引上げを後押しするため、中小企業が働きがいや生産性の向上などにつながる取組に併せて賃上げを行う場合に奨励金を支給してございます。
○藤田委員 持続的な賃金の引上げを後押しするためなんだということのようですが、そもそも賃上げのメニュー以外のメニューによってどれだけ賃上げにつながったのかということは、一切把握ができません。やっぱり単独メニューにすべきだと思います。
来年度の奨励金の事業規模は、今年度同様、千四百社となっています。なぜ増やさないのですか。
○内田雇用就業部長 都は、従業員の賃金の持続的な引上げができるよう、魅力ある職場づくり推進奨励金について、適切な事業規模を設定するとともに、中小企業が行う様々な取組への多面的な支援を実施することとしております。
○藤田委員 あくまでほかのメニューと併せて行う賃上げ支援であるがゆえの規模の小ささであるということが分かりました。
知事は、物価上昇を上回る賃上げの流れを確かなものにしていくといいますが、東京都の奨励金では実現が難しいといわざるを得ません。賃上げが行われた企業は当選した企業のうちの一部にすぎず、それ以外のメニューを選んだ企業については、そもそも賃上げにつながったのかどうかということさえ分からない状況だと思います。とりわけ賃上げの環境が一層厳しくなっている中小業者が賃上げできる環境をつくるべきだと思います。
物価上昇を上回る賃上げの流れを確かなものにしていくのであれば、確実に賃上げが実施される制度へ、そして規模も大きくできる制度へと見直し、賃上げ単独の支援事業をつくるよう求めまして、私の質問を終わります。
○西崎委員 よろしくお願いいたします。今日、ちょっとうちの会派の委員が一人、欠席をしております事情もありまして、少し私からは側面的な質疑が多くなってしまいますけれども、あらかじめご了承いただければと思います。
それでは、まず働き方に関するところを伺ってまいりますが、昨年十二月の代表質問でも、私、人手不足への対策を集中的に質疑するなど、この間、働き方改革に関する議論を積み重ねてきたと思っておりますけれども、今日、ちょっと全く別の観点から一つ、一問だけ、ここではお聞きをしたいと思いますけれども、花粉症対策ということでございます。
昨年の事務事業質疑でも森林対策という観点から取組を伺ったところでありまして、そのときはほかの委員からも花粉症に関する質疑があったように記憶をしておりまして、今、都民の二人に一人といわれるように、特に今の飛散期は、非常に注目も世間の関心も高いということで、私自身も毎日、薬漬けで議会に臨んでいるというところでございます。
政府は二〇二三年、閣僚会議において、今後の方針となる花粉症対策の全体像を決定したところでありまして、その中で発生源対策であるとか飛散対策、また、発症、暴露対策と整理された取組の中で、予防行動について、テレワークを活用し外出を避ける、花粉暴露を軽減する柔軟な働き方や花粉を持ち込まないオフィス環境整備等、企業等による花粉暴露対策を推進する仕組みを整えるとありまして、要は従業員が花粉を浴びづらくなるような対策を推奨するという方向性を示しています。
都の働き方改革ということで、いうまでもなく花粉症とは全く別の文脈で推し進められてきたということはもちろん承知をしておりますし、また、今回の予算案においてもこの観点からの充実が図られているということは理解をしておりますけれども、別の側面から見ると、政府が花粉症対策の一つとして掲げていることにも通じるんじゃないかと思うわけでございます。
そこでずばり伺いますけれども、テレワークであるとかABWなどといった柔軟な働き方の支援というのは、花粉暴露対策としての利用を妨げるものではないと、そういうふうに私は受け止めているんですけれども、いかがでしょうか。
○内田雇用就業部長 都は、中小企業やそこで働く人が抱える様々な課題や状況に対し、テレワークが活用できるよう後押ししております。
具体的には、テレワークの導入やその定着を図る会社に対し、必要となる機器の導入に対し助成等を行っており、来年度は、従業員が時間や場所を自ら選び業務効率を最適化するオフィス環境の整備への支援も開始いたします。
○西崎委員 様々な課題ということで、本当に一義的には、例えば子育てや介護といった事情によらず、多様で柔軟な働き方を可能にするという、そういう仕組みを支援するというものであるということはもちろん承知はしているんですけれども、例えば花粉の飛散時期、今みたいな時期に、従業員が暴露対策のためにテレワークに切り替えるとか、もしくはABWが可能になっているとか、こうした企業の取組を妨げるものではないということで理解をさせていただきたいと思います。
もちろん、そもそもこういった様々な働き方、柔軟な働き方の制度導入に当たって、これを花粉症対策のためにやりますと、こういう企業はさすがにあんまりないとは思いますけれども、実はこういう側面があるということで今ちょっとお聞きをしたわけでありますけれども、国においては、健康経営優良法人認定の項目に花粉症対策というものを追加したという経緯が、この間ございます。
ただ、この健康経営というと都の所管的に保健医療局になってしまうというふうにお聞きをしまして、ここではそれほど、あまり突っ込んでお聞きはいたしませんけれども、ただ、こういった従業員の健康をはじめ、エンゲージメントや生産性を高め、プライベートや仕事も充実をさせていくと、ウエルビーイングを達成するというのは、先日も私、少しご提案をいたしましたワーク・ライフ・インテグレーションに通ずるものであるのではないかなと思っております。
柔軟な働き方に関しましては、花粉症対策に限らず、例えば、こういった時代ですから、夏の酷暑であったり、ないしは台風や積雪などの、そういった場合にも有効に作用し、また、事業者にも従業員にもメリットがあるというものだと思いますので、こうした側面からも引き続き注目をさせていただきたいということで、一問、お伺いをさせていただきました。
次の質問に移ります。
私が非常に力を入れている分野の一つが子供の事故予防ということでありまして、防げる事故を防ぐ、特に、保護者の見守りだけでは限界があり、具体的に変えられるものを変えていこうという考え方が極めて重要でありますし、また、これまで、そういう意味では都が本当に全国の最先端を歩んでいるということは、有識者の方々からも注目をされているということでございます。
昨日はセーフティ・レビュー事業のシンポジウムがあって、私もウェビナーに参加させていただいたんですけれども、今回、産業労働局において子供の事故予防にも関わるのが、安全・安心な東京の実現に向けた製品開発支援事業というものでございます。
これは昨年度からスタートしている事業であるかと思いますけれども、その名のとおり、子供の安全も含めて、都民の安全や安心につながる製品開発を支援するという事業でございます。
そこでまず伺いますけれども、本事業について、これまでの実績に加えて、どのような製品開発に支援が行われているのか、また、その中でも、子供の安全対策においてはどのような製品が支援対象となってきたのかお聞かせください。
○福田商工部長 安全・安心な東京の実現に向けた製品開発支援事業では、専門家の派遣を行うほか、防災、減災分野などの製品開発等に助成を行っており、これまでに六十七件を採択いたしました。
子供の安全対策に関しましては、AIを活用した、登下校中の犯罪被害回避のための子供向け防犯アプリの開発などがございます。
○西崎委員 二年弱になるんですかね。これまで六十七件が採択をされておりまして、子供の安全対策に対しても実績があるということでございます。
ただ、ちょっと私も気になっているのが、今回の予算案において、昨年度に比べて五億八千九百万円余減らされてきまして五億五千百万円余となっておりまして、半分くらいになってしまっているということでございます。
事前にお聞きをしましたけれども、実績を踏まえた予算計上だということでありますけれども、この事業の意義として、企業にとっては新製品の開発、これを支援をしていくということでありますし、都民にとっても安全・安心に資するということでありますから、こういったものが事業者にきちんと認識をされて、よい製品の開発に結びつけていただきたいとやはり思うわけでございます。
そこで、本事業の周知について、どのような取組を行っているのか伺います。
○福田商工部長 本事業では、製品開発のヒントや先行事例などを紹介するセミナーを開催するほか、ウェブサイトや広告での情報発信に加えまして、展示会でのPR等を通じて周知を行っております。
○西崎委員 様々な情報発信に加えて、セミナーや展示会でのPRなども行われているということでございます。
子供の安全分野における今年度のセミナー内容を少し見させていただきましたけれども、子供の事故予防の技術的な面において本当に第一人者と呼ばれる方が講演をされていたということで、実は私が昨日、少し拝聴した都のウェビナーもこの方がお話をされていたということで、本当に製品開発という観点からも、この講演では窓のロック錠、転落防止等のロック錠を事例として取り上げておりまして、有意義なものであったのではないかなと推察をするところでございます。ぜひこの辺りも強化をしていただきたいと思っております。
本事業の特徴といたしまして、開発・改良フェーズと普及促進フェーズの二つが用意されておりまして、製品開発支援ですので開発、改良をサポートするというのも当たり前でありますけれども、実用化された製品が先導的なユーザーに導入される際の費用であったり、何しろ展示会や広告、こういったものに係る費用も助成をされるというものであります。開発・改良フェーズが必須、まあ開発の支援ですから当たり前、必須なんですけれども、普及促進フェーズというのが任意であるというような事業の組立てになっているかと思います。
この製品開発というもの自体、物によっては長期間を要する場合もあると思いますし、今年度はもう締め切ったのかな、今、周知をしているものについても、かなり期間は長めに設定されているものであるように思いますけれども、これは事業の開始からまだ二年弱という状況であるかと思いますけれども、普及促進フェーズにおいても支援が行われた事例というのはあるんでしょうか伺います。
○福田商工部長 開発・改良フェーズを終えまして普及促進フェーズに進んでいる事例はございます。
○西崎委員 実際にあるということです。
これ、企業秘密にも関わるものでありますので事例などをつまびらかにするのは難しいという事情はあろうかと思いますけれども、安全・安心に寄与する製品が開発、そして改良されて、さらに社会に普及していくということは非常に重要であると思います。子供の安全に限らず、防災や減災、防犯など様々な分野で社会的意義のある事業者の取組を支援できるよう、期待をいたしたいと思います。
次に、安全・安心という関連で、先ほど他会派の委員からも少し言及がありましたけれども、商店街の防災用の備品や消耗品などの購入に補助を出す商店街防災力向上緊急支援事業、こちらについて、今日、一問だけお伺いいたします。
都内各地の商店街の防災力を引き上げる取組というのは非常に重要であると思います。ただですね、補助率十分の十で上限三十万円の防災力強化というと、所管は異なりますけれども、二〇二三年度に実施をした関東大震災百年の町会、自治会支援というものを思い起こさせるところでございます。
この事業自体も各地域の防災力を高める取組自体は意義があるものであったと思いますけれども、補助の要件として、知事の顔写真入りのチラシを掲示板に貼ることを求めていたということが問題視をされました。前の事業の際は、実際、掲示板のメンテナンスというものも地域によってまちまちでありますし、長期間にわたって貼ったままになっているという町会も散見をされまして、当時は知事選も控える中、公選法の観点からの指摘というものも実際にあったところでございます。
そこで、率直に伺いますけれども、本事業において、本事業というのは今、予算案、皆さんが計上している商店街の方の事業におきまして、知事の顔写真入りのチラシやポスターの掲示を要件とするというようなことは適切でないと思いますけれども、補助の要件の想定について伺います。
○福田商工部長 具体的な申請要件は、募集要項等で定めることとしております。
○西崎委員 ぜひこれは明確に否定をしていただきたいと思っておりまして、今後、具体的な申請要件を定めるということになるわけでありますけれども、ゆめゆめそうしたことがないということを、この場でぜひ、くぎを刺させていただきたいと思います。
次に、観光振興について少しだけ触れてまいります。
インバウンドをはじめとして、観光がさらなる可能性を秘めているということはいうまでもない話でありまして、一方で、人手不足の問題も含めて需要への対応が求められるというところ、予算案でも強化をされているということは承知をしているものでございます。
細かく一つ一つの事業をちょっと見ていったところ、昨年度で約三億円の多摩・島しょ魅力発信事業が皆減となっておりまして、その代わりにということだと思いますけれども、それぞれ一億六千六百万円余の多摩地域魅力発信事業、そして島しょ地域魅力発信事業、それぞれ新規に計上されているということでございます。
そこで、端的に伺いますけれども、この多摩・島しょ魅力発信事業がそれぞれの地域魅力PR事業に分かれた理由について伺います。
○江村観光部長 都は来年度、多摩地域と島しょ地域の観光情報を多言語で提供するそれぞれのウェブサイトを新たに設けまして、豊かな緑や渓流、海洋といった自然のほか、独自の伝統や文化などの魅力をきめ細かく国内外の旅行者に向けて発信することといたしました。
○西崎委員 多摩と島しょ、それぞれのウェブサイトを新たに設けて、それぞれに魅力を発信をしていくということでございました。その考え方は非常に重要であろうかと思っております。
私自身は特別区の選出でありますけれども、会派の議員からも、多摩と島しょが一くくりに語られることの違和感というのは度々聞かされているわけでございます。つまり、それぞれに特徴であったり課題があるのに、それが見落とされがちなのではないかという懸念を持っている議員がいるということでございます。
今お答えをいただきましたように、観光の観点からのそれぞれの魅力発信というのは来年度は別々のサイトで行う予定というお話でありますけれども、予算案の概要を見ますと、例えば多摩・島しょ観光交通促進プロジェクトであるとか、多摩・島しょアドベンチャーツーリズム推進事業とか、多摩・島しょ安定集客促進事業など、やっぱりまとめて実施される事業もまだあるということでございます。
もちろんそれぞれに合理性だとか効率性などを考えられているのかとは思いますけれども、やっぱり一緒にやることが本当に適切なのかどうかというのは、ぜひその都度再考していただきたいというふうに思っております。
そこで、そもそも論でお聞きをしたいんですけれども、観光振興の観点から、多摩と島しょの違い、これをどのように認識をされているんでしょうか伺います。
○江村観光部長 多摩地域は、豊かな自然や公園が身近に感じられるほか、歴史や文化に触れられる観光資源やまち並みと調和した観光地が多い地域であると認識しております。
また、島しょ地域は、豊かな海洋資源や自然環境に恵まれた個性豊かな地域であり、景観や特産品など多くの魅力を有していると認識しております。
○西崎委員 ありがとうございます。
特に島しょであったら海洋資源や特産品など、本当に、やっぱり明確な違いがあるんだろうなということでございまして、当然、違いがあれば、必要な支援、それぞれの課題も異なるということであります。これは、いったら特別区もそうなんですけれども、多摩、島しょ、それぞれの魅力を的確に引き出し、発信をし、また支援をしていくという事業展開をここでは求めたいというふうに思います。
最後になりますけれども、脱炭素化に関連する取組について一問だけ伺います。
気候変動対策は、実際問題、これ、どれだけ取組を強化してもまだ足りないというくらいの、やはり大きな課題であるというふうに認識をしているところでございます。
実際に様々、都も、これまでも含め、予算案でも取組を進めているということも承知はしておりますけれども、今回の予算案における新規事業として、CO2の回収・利活用モデル創出事業というものが七千五百三十三万八千円、計上をされているところでございます。
これについて、何かグリーンブックとか、都もあまりアピールをしていないようにも見受けられるんですけれども、この事業ではどのような取組を行うのか、お聞きをいたします。
○山本産業政策連携促進担当部長企画調整担当部長兼務 都は、排出されるCO2を回収し、利活用するモデルの構築に向け、事例等の調査を行うとともに、CO2を排出する工場や、製造過程等でCO2を活用している事業者などが参加する研究会を実施してまいります。
○西崎委員 ありがとうございます。
工場などで排出されるCO2の回収や利活用に向けて、まずは事例調査であるとか研究会の実施を想定しているということでございます。
ちょっと今回、そういったお話を聞いて私も少し調べたんですけれども、現在、経済産業省がカーボンリサイクルに向けた検討というのは進めておりまして、二〇二三年にはロードマップ策定をしているということでございます。その中では、CO2を資源として捉え、回収したCO2をポリカーボネートなどの化学品やバイオ燃料、コンクリートといった鉱物など、様々な再利用を行うことが構想されているというわけでございます。
今回の都の新規事業もこうした取組に関連をするものではないのかなと受け止めておりますけれども、まだ技術やコストの課題であったり、産業間連携の問題などもあるというふうにお聞きをしております。
一方で、経産省のロードマップでは、一部の製品は二〇三〇年頃から普及させるとも示しているところでございます。
脱炭素化の取組、これまで都も進めてきたことは承知しておりますけれども、この二酸化炭素、CO2を資源として捉えて利活用していくという新たなフェーズに向けての取組にもぜひ期待をしたいと思っております。
これから始めるという段階でありますけれども、今後の進捗の公表であったり、将来的には実用化に向けた支援であったり、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいということを申し上げまして、私の質疑を終わります。ありがとうございました。
○小林委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時三十一分休憩
午後三時五十分開議
○小林委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○上田委員 まず、令和六年度に実施した産業労働局で行っている事業なんですけど、全体で幾つあるのか、細かい都民参加型イベント事業も含めて、ジャンルごとに総数をお示しの上、令和七年度は同等か、それ以上になるのか伺います。
○阿部総務部長 令和七年度当初予算案の概要に掲載している事業のうち、令和六年度事業は、中小企業対策で二百四十四事業、産業、エネルギー対策で七十一事業、観光産業の振興で百五十八事業、農林水産対策で二百三十二事業、雇用就業対策で二百九事業、そのほか、産業政策の立案などで九事業、全体では九百二十三事業でございます。
令和七年度事業は全体で九百五十六事業で、このうち新規事業は九十二事業でございます。
○上田委員 東京都は二十部局以上あります。六千事業あるんですね。相当数の事業があります、六分の一が産労というふうに思いました。決算時及び予算編成において、どう一つ一つの費用対効果を評価し、継続、廃止、拡充、新規としているのか、ご説明ください。六年度から七年度に向けて、廃止あるいは目標を達成して終了となった事業については、うち幾つあるのかもお示しください。
○阿部総務部長 予算編成におきましては、事業の費用対効果や決算、実績等に加えまして、社会経済の動向や現場のニーズを踏まえた事業の必要性など、個々の状況に応じて様々な観点から検討を行っております。
令和七年度当初予算案の概要に掲載している事業のうち、令和六年度で廃止した事業は五十九事業でございます。
○上田委員 新規が九十二で廃止が五十九なんで、やっぱり増えちゃっているんですね。
中小企業対策です。
新規事業において、サプライチェーン強化等に向けた企業変革促進事業三十四億円、経営統合等による産業力強化支援事業十五億円は、サプライチェーン支援を強化して中小企業の変革を強力に後押しするとのことですが、僅かに四社が対象で、強力にどう変革を後押しできるのか、具体的なスキームがイメージできませんことから、外部委託をするのか、どのような支援をするのか、経営統合とは、買収、合併、M&Aを促進するのか、どうやって大規模な変革を起こせるのか、ご説明をお願いします。
○福田商工部長 都は来年度、M&Aによる経営統合等を行う中小企業に対し、新たな事業展開に必要な経費について、最大四億円を上限に助成するとともに、専門家を派遣し、業務統合等の取組が着実に進むようサポートいたします。
○上田委員 想定事業者四社は、よもやあらかじめ念頭に置いているのではないですか。また、日本の中小企業を安易に外資へ売却することにならないかも懸念しております。
日本人の営む日本の中小企業が変革することが当然の目的であり、外見は日本企業に見えて、経営実態を外資が掌握することになっては本末転倒なことから、確認いたします。
○福田商工部長 支援対象の選定に当たっては、公募により適正な審査を経て決定いたします。また、具体的な申請要件は募集要項等で定めることとしております。
○上田委員 しっかり見極めてください。
事業継承ですけれども、事業継承を契機とした成長支援と、新規、事業承継を契機とした「第二創業」支援事業ですが、これまでの事業継承の課題を受けて新規事業を想定しているものと考えますので、産労局として新旧事業でどう効果的な事業継承を実施するつもりであるか、所見を伺います。
○福田商工部長 都は、中小企業の円滑な事業承継に向けて、専門家による相談対応のほか、後継者の育成や事業承継時に必要な経費への助成などを行っております。
来年度は、事業承継後の新たな事業展開に対する支援を開始するなど、中小企業の事業承継と成長を後押しいたします。
○上田委員 ベンチャーもスタートアップも大切ですけれども、事業継承、重要です。
令和五年三月三十一日に事業廃止となった工業用水ですが、相談対応は産労局でやっておりましたが、廃止からこれまでの状況を、相談、内容、課題と解決に向けての対応など、所見を伺います。
○福田商工部長 都では、工業用水道の廃止に当たり、平成三十一年度に窓口を設置し、上水道への切替えに伴う事業者からの経営や技術面の相談を受け付けております。これまでに塩素を取り除く装置の導入などに関する相談がございました。
なお、令和三年度以降は相談の実績がございません。
○上田委員 ホームページ上は窓口があるので、これは終結の方に向けて動いてください。
知的財産総合センターですが、知的財産は中小企業にとって命そのものといえる有形無形の財産でございます。このセンター及びホームページに、セミナー、シンポジウム、助成事業の活用状況の報告と、そこから見て取れる課題、成果、センターに結びつける必要のある事業者へのアプローチなど、事業全般の所見を伺います。
○福田商工部長 東京都知的財産総合センターでは、知的財産の相談をはじめ、知財取得費用への助成や各種セミナーを実施し、中小企業による知的財産の創造、保護、活用に努めております。
また、同センターのホームページでこれらの情報を発信するほか、技術開発等の支援事業の利用者に対し案内を行っております。
令和五年度は八千三十六件の相談に対応し、セミナーやシンポジウムなどを百十六回開催するとともに、助成事業では二百十六件を採択いたしました。
利用者へのアンケート調査によりますと、九割以上の方から支援内容に満足したとの回答をいただいており、引き続き、中小企業の知的財産の取得と活用を促進いたします。
○上田委員 中国などに知的財産をまんまと奪われる事例も発生しているので、よろしくお願いします。
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業については、事務事業質疑で確認しましたが、二十億円増と今回なっております。競争力強化区分、DX推進、イノベーション区分、後継者チャレンジ区分に分けて、どの程度を相当想定して予算増とされたのか、これまでの事業の評価と併せ、令和七年度予算への所見を伺います。
○福田商工部長 躍進的な事業推進のための設備投資支援事業では、これまでの競争力強化等の事業区分に加えまして、大型の設備導入に係る助成限度額を引き上げた新たな区分を設けることとし、必要な予算を計上したものでございます。
引き続き、中小企業が競争力を強化するため、最新の機械設備等を導入する取組を後押しいたします。
○上田委員 次に、女性活躍のためのフェムテック開発支援・普及促進事業でございます。五年度の同事業は八十三件の応募があり、六件のテーマを採択していますが、六年度の状況はいかがでしたでしょうか。予算は増減なしということでの評価を伺います。
○福田商工部長 令和六年度の女性活躍のためのフェムテック開発支援・普及促進事業では、四十四件の応募があり、五件のテーマを採択いたしました。
予算の積算に当たっては、事業の実績や現場のニーズなどを踏まえて計上しており、引き続き、フェムテック製品の開発などを後押しいたします。
○上田委員 次、高齢者です。
高齢者のニーズを満たす製品、サービスの需要が高まることが見込まれているとしておりましたけれども、高齢者向け新ビジネス創出支援事業ですが、予算減となっております。超高齢化社会が爆速で進む中、都がやるべき需要はなかったのではないか、評価を伺います。
○福田商工部長 都は、高齢者のニーズを把握し、それに対応した製品やサービスの開発を進める中小企業の必要な経費に助成を行っております。
予算の積算に当たっては、事業の実績や現場のニーズなどを踏まえて計上しており、引き続き、シニア市場でのビジネス展開を図る取組を後押しいたします。
○上田委員 DX推進支援事業です。
昨年九月末現在で専門家について百九十八社から申請があり、延べ二百八十五回の派遣を行っており、助成金については今後、交付決定の手続を実施するということですが、最終的な利用状況をご報告ください。
○福田商工部長 DX推進支援事業においては、本年一月末現在で百九十八社の申請があり、延べ三百二十三回の専門家の派遣を行っております。また、助成金につきましては、交付決定の手続を順次行っております。
○上田委員 百九十八が多いとはちょっと思えないのかなというところです。
DXが大企業中心に進展している反面、中小企業が取り残されないよう開始したことは承知しておりますけれども、令和六年度実績で支援ができたと評価できるのでしょうか。もっと違う形や、都がやるべきではないという考えには至らなかったのか伺います。
○福田商工部長 都は、専門家が現場に出向き、デジタル化に向けた計画の策定の支援や導入機器の提案などを行っております。
中小企業のニーズも増加していることから、支援規模を拡大し、企業の生産性向上に欠かせないDXの活用を引き続きサポートし、都内企業のさらなる成長を後押しいたします。
○上田委員 そして、令和五年度のTOKYO戦略的イノベーション促進事業についてですが、百三十六件の応募があり、十六件を採択し、これまでに感染症を画像データから判定し診断を支援するAI開発と、医療機器の改良により医療の質を向上させる取組など、都市課題の解決につながる技術開発を支援できたとのことですが、令和六年度はいかがでしょうか。予算は減額しましたが、その点の評価も伺います。
○福田商工部長 令和六年度のTOKYO戦略的イノベーション促進事業には、百二十件の応募があり、十七件を採択いたしました。
予算の積算に当たっては、事業の実績や現場のニーズなどを踏まえて計上しており、引き続き、都市課題の解決につながる中小企業の技術開発を後押しいたします。
○上田委員 次に、ゼロエミッション東京の実現等に向けたイノベーション促進事業であります。
令和七年度は十億円増えました。五年度は四件ということで、六年度のゼロエミッション枠、大学発ベンチャー・一般枠と分けての成果、実績を具体的に説明の上、予算増となった理由と期待する効果を伺います。
○福田商工部長 令和六年度のゼロエミッション東京の実現等に向けたイノベーション促進事業では、ゼロエミッション枠に九件、大学発ベンチャー・一般枠に六件の応募があり、今後採択を行う予定でございます。
本事業は、令和五年度から開始し、年度ごとに四件を採択し、最大三年間にわたり継続して支援を行う予定であり、令和七年度予算案には計十二件の支援に必要な経費を計上しております。
引き続き、ゼロエミッションの実現に資する革新的な技術や製品の事業化を後押しいたします。
○上田委員 まだまだありますよ。創業者支援全般についてです。
都はきめ細かい支援を実施しているということですが、令和七年度に当たっては、何社創業者を生み出し、都の産業活性化や税収貢献をする目標や使命を持っているのか、具体的に伺います。
○福田商工部長 都は、東京の産業の将来に向けた発展を図るため、起業とその後の経営の安定や成長に向けた様々な支援を行っております。
来年度は、若手起業家を発掘するビジネスプランコンテストにおいて、四千五百名を超える参加者を目指すなど、引き続き創業の活性化を図ります。
○上田委員 ちょっと具体性がやっぱり見えないんですよね。
インキュベーション施設の運営ですけれども、白鬚西R&Dセンターは東京の外郭団体の中小企業振興公社と六百万円、東京コンテンツインキュベーションセンターは、株式会社ツクリエと約三千四百万円、インキュベーションオフィス・TAMAは、またこれも中小企業振興公社と一千三百万円で契約しております。青山創業促進センターは、デロイトトーマツベンチャーサポート株式会社と約八千九百万円で契約、NEXs Tokyoはトーマツと約三億四千一百万で契約しております。
事業開始以来のインキュベーション施設の各施設の入居者、入居率の推移、青山創業促進センターの施設の利用対象となるアクセラレーションプログラムの支援を受けた者の推移、NEXs Tokyoのパートナー等会員数は、当該年度の年度末現在の大企業、支援者等の会員数の推移と委託するに値する効果が見られたのか、所見を伺います。また、都のインキュベーション施設で上場した企業があるのかも確認させてください。
○福田商工部長 令和七年一月末時点における入居状況は、白鬚西R&Dセンターは十四室のうち十三室、東京コンテンツインキュベーションセンターは二十一室全室、インキュベーションオフィス・TAMAは六室全室、青山創業促進センターの支援者数は二十四者でございます。NEXs Tokyoのパートナー等会員数は五百八十者であり、令和二年度からこれまでに二千件を超えるマッチングを実施いたしました。
これらの施設の利用者の中から、小型ドローンの開発をする企業の上場の事例も出ております。
○上田委員 ご報告いただきましたけれども、これでは都の持っている場所はただで事業者に提供し、さらに事業者には事業の委託費用を払っているモデルなのではないでしょうか。
入居者が、IPOなどデロイトトーマツですよね、監査法人に頼んで上場した場合の収入は都に幾らかでも還元されるのでしょうか。その点について、私としては不思議でなりません。
漁夫の利を得るのは委託事業と家賃相当分と、さらにIPOのコミッションフィーで、コミッションフィーって全部デロイトのもうけになるのではないかと思っているんですね。
都は単に大家事業だけやって口出さずに、格安家賃でやりたいところに任せて賃料をもらうだけではどうして駄目なのか、ご説明ください。
○福田商工部長 青山創業促進センターは、起業家等に対してオフィスを低廉な賃料で提供するだけでなく、専属の専門家が事業展開等に関する助言を行うなど、起業家の成長を後押ししており、その賃料は都が収入しております。
また、全国各地のスタートアップや連携に関心を持つ企業等に対し、協業を支援する拠点であるNEXs Tokyoでは、当該施設が受託者の履行場所となっております。
なお、両施設における業務委託契約では、受託者が業務により知り得た一切の事実または情報の目的外使用を禁止しております。
○上田委員 委託者が業務により知り得た一切の事実は出していないということですが、利用者のうち何者がその後、デロイトのサポートで上場したか、また、資金調達したのか、そのサポートを受けたベンチャーは都を介さずに直接デロイト、受託事業者ですよね、個別の契約を結んでいないか懸念するので、都の施設利用者と受託事業者の個別契約件数を都は把握しているのか、確認させてください。
○福田商工部長 業務委託契約では、受託者が業務により知り得た一切の事実または情報の目的外使用を禁止しております。
なお、委託事業に関わらない取引について、都は関与するものではございません。また、公開情報によれば、施設利用者の上場時の監査法人は委託事業者とは異なっております。
○上田委員 都は関知しないではいられないということを申し上げておきます。
海外派遣も人選をしているという女性ベンチャー成長促進事業でございますが、これは理解するんですが、応募者四十名のうち半分しか海外派遣に参加していないということを私の質問で明らかにしていますが、開始以来の参加者推移を鑑みた海外派遣の需要の評価を確認します。
○福田商工部長 女性ベンチャー成長促進事業は、平成二十九年度の事業開始以来、毎年度定員を上回る応募があり、今年度は百四十八名の応募がございました。
海外派遣については、アクセラレーションプログラム参加者四十名の中から二十名を審査の上選抜し、派遣しております。
○上田委員 選抜しても、力のある人は行く必要ないといって辞退した事例も知っているので、本当にこの事業が女性の起業家支援になっているのか、また確認してまいります。
起業家による空き家活用事業でございます。
現在、代表質問でもアフォーダブル住宅につき、盛んに質疑がされております。同じ空き家活用ということで連携することが効果的と考えますが、いかがでしょうか。また、あまり知られていないので、周知などをどうするか伺います。
○福田商工部長 都は、起業家が民間の空き家を活用し事業展開する取組を支援しており、これまでに障害のある方が地域で生活能力の向上を行う自立訓練をサポートする事業など、八件を採択いたしました。
本事業については、起業家が集まるイベントや関係部署との連携などを通じ周知を行っております。
○上田委員 民間不動産にも情報提供をしていただければと思います。
「社会起業家」創出・育成支援事業でございます。
社会性と経済性の両立を志向する起業家や全国の自治体を支援し、社会課題の解決や起業家の成長を図るとのことですが、四千万円減額されております。事業開始以来、どのぐらい起業家を創出、育成でき、どのような実績が上がったのか、新年度に期待する効果の説明をお願いいたします。
○福田商工部長 都は今年度より、社会性と経済性の両立を志向する起業家等への支援を実施しており、自治体などとの協働を進める際に必要なノウハウなどを提供する講座を二十八回実施し、延べ一千四百名の参加がございました。
また、優れたビジネスモデルを持つ起業希望者二十者を採択し、事業計画の磨き上げなどを支援するプログラムを実施しております。
引き続き、社会課題解決に取り組む起業家等を支援いたします。
○上田委員 いまいち、社会起業家というのがどうなのかなというふうに思っておりますが、商店街活性化施策であります。
令和四年度調査によりますと、イベントやハード整備を実施した商店街の九割以上から効果があったとの回答を得ているとのことで、商店街のうち半数以上、継続的な集客や売上げの向上をしたとの回答があったということですが、全商店街のうち何割が利用しているのでしょうか。毎年同じ商店街なのか、新たに活用されているのかも気になるところですので、確認いたします。
○福田商工部長 都が三年ごとに実施している都内商店街の実態調査の令和四年度の調査では、約半数の商店街が東京都商店街チャレンジ戦略支援事業を利用したことがあるとの回答を得ております。
本事業では、商店街の活性化を後押しするため、イベントの開催や複数年のハード整備を行う場合など、翌年度も支援策を活用できることとしております。
○上田委員 商店街に一番近いのは区市町村です。都は、商店街のイベントの開催やハード整備などを支援する区市町村に対して助成を行っており、昨年度の実績は千八百八十一件ということなんですけれども、区市町村の偏りはないのか、その利用自治体の内訳と金額と課題について伺います。
○福田商工部長 令和四年度の都内商店街の実態調査によると、商店街の数は、区部で一千八百十五、市町村部で五百五十九となっており、昨年度の支援実績は、区部が一千四百二十七件、約十二億六千万円、市町村部が四百五十四件、約二億二千万円でございます。
今後も引き続き、都内商店街の活性化を図ってまいります。
○上田委員 未来商店街活力向上支援事業なんですけれども、一億円とのことです。
何件の商店街を想定し、商店街の地域ブランドとはどのようなもの、ことを想定しているのか、どんな効果を見込んでいるのか、相乗効果を期待してこれまでの事業と関連づけすべきと考えますけれども、ご説明ください。
○福田商工部長 未来商店街活力向上支援事業は、商店街が地域の特徴を生かして計画的に実施する特産品の開発や、空き店舗を活用した交流施設の整備などの取組を支援するものであり、支援規模は十件程度を予定しております。
○上田委員 商店街防災力向上緊急支援事業です。
助成金は払います、ただし、小池百合子知事のチラシは貼ってね、総額八億円超の公金は宣伝費、大地震の備えに小池知事の顔写真は必要かと批判された関東大震災百年町会・自治会防災力強化助成ですが、必要不可欠な防災品の助成条件として掲示が求められるチラシには小池知事の顔写真と直筆メッセージがしっかりと入っていることは大問題ですが、同僚委員も指摘をしているので、今回、商店街防災力向上緊急支援事業ですが、このような小池知事の写真が入ったものをまた都議選前に貼るとか、そんなことがないように、重ねて、こうしたくだらない条件をつけるということはおやめいただきたいということを申し上げておきます。
商店街戦略的リノベーション支援事業ですけれども、新規二件ということです。これも既に想定された商店街ではないのか、フェアな選定が行われているのか懸念することから、確認します。
○福田商工部長 商店街戦略的リノベーション支援事業は、統一されたまち並みの構築に取り組む商店街に対し、方針、計画の策定から整備までを支援するものでございます。
対象の選定に当たっては、公募により適正な審査を経て決定いたします。
○上田委員 次に、航空宇宙産業への参入支援事業でございます。
江戸川区には、二〇一〇年に帰還して話題となった、「プロジェクトX」でも取り上げられました「はやぶさ」などロケットの一部を製作する松本産業があります。ベンチャー支援も大切ですが、こうした既存老舗中小企業の取組をこそ大切にする事業となることを願います。
なぜならば、そこには確かな技術があるからでございます。参入というところが懸念するものでございますが、所見を伺います。
○福田商工部長 航空宇宙産業への参入支援事業では、来年度、中小企業に対してセミナーや交流会の実施に加え、衛星等に係る機器などを開発する場合、必要な経費を助成いたします。
なお、具体的な申請要件は募集要項等で定めることとしております。
○上田委員 知的財産も奪われないように、「下町ロケット」をぜひ応援していただきたいと思います。
ゼロエミッション実現に向けた経営推進支援事業、ゼロエミッション推進に向けた事業転換支援事業でございますけれども、二億減額となっております。ゼロエミッション東京の実現に向けて、まあ私は非常に懐疑的なんですけれども、技術開発支援事業は令和四年で新規の採択を終えているということですが、こちらについてはいかがでしょうか。支援や推進は実現できたのか、使命を終えたのか伺います。
○福田商工部長 都は来年度も、中小企業におけるゼロエミッションの実現に向けた経営戦略等の策定から実行までを支援するとともに、新製品の開発や販路開拓に対し助成を行います。
予算の積算に当たっては、事業の実績や現場のニーズなどを踏まえて計上しており、引き続き、中小企業の脱炭素化に向けた取組を後押しいたします。
○上田委員 もうね、インボイスもあるし大変なんですよ。ゼロエミッションまで中小企業はお付き合いできないというふうに思っているところでございます。
融資制度でございます。
中小企業制度融資ですが、平成二十六年から令和五年度末の十年間の東京信用保証協会の代位弁済額は約五千五百億円、損失補助額は五百六十億円、減少傾向で推移していましたが、代位弁済については令和四年度以降、原材料費、エネルギー費の上昇や人員、人手不足等の影響により増加しているとのことです。
また、都と地域の金融機関とが連携して実施する東京プラスサポートですが、十年間で三十五・六億円の損失補助となっておりますが、平成二十六年度から五年度までの十年間の保証承諾実績は三千三百億円となっており、多くの中小企業の資金繰りを下支えしてきたということです。
昨年十一月には融資期間を延長するなど、支援に注力していることは評価するものですが、いずれにしろ、損失補助がないにこしたことはありません。誰かのお金がそこに投入されちゃうわけですから、新年度に向けての損失補助削減に向けての新たな取組を確認します。
○原金融部長金融支援担当部長兼務 融資に当たりましては、金融機関の審査に加え、信用保証協会または民間の保証機関が個々の事業者の財務内容や事業の将来性、返済能力など、経営実態を踏まえた保証審査を行っています。
また、返済条件の変更などを行い、事業の再生が必要な中小企業に対しては、信用保証協会が専門家を派遣し、経営改善計画の策定を支援するほか、借入先の金融機関と連携して、借換えや新たな事業資金などの融資を行うことにより、経営の安定化を後押ししております。
○上田委員 こうしたことのチェックも議員としては重要だと思います。
外国人起業家の、これ本当に話題騒然になった無担保、無保証ということの資金調達支援です。
融資の実施は令和五年まで、事業実施期間は貸付期間を踏まえて令和十五年までで、予算額を全額執行次第終了とのことで、順調に予算は減額となっており、評価をいたします。
令和二年度は、当初予算は最終補正において全額減額したため、予算現額、不用額ともにゼロ、令和三年度の予算現額は十八億七千八百三十二万、不用額は七千万、令和四年度の予算現額は八千七百七十六万、不用額は七千五百四十一万、令和五年度の予算現額は八千七百七十六万、不用額は七千二百六十四万ということでございました。
融資を実施した七件について、債権の回収ができないような事態が生じた場合、金融機関によって適切な債権の管理が行われていると認められているときは、都に資金の一部が戻らないことはあるのではないでしょうか。現時点は大丈夫でしょうか。確認いたします。
○原金融部長金融支援担当部長兼務 融資した資金の返済につきましては、金融機関が的確に把握し対応を行い、それが滞る場合も金融機関が責任を持って回収に取り組む仕組みとしております。
現時点で、都に対し、資金が返還されない融資案件の報告は受けておりません。
○上田委員 で、外国人起業家を支援する取組をするために、統括支援機関公募を行い、東京インキュベーション株式会社を選定して、統括支援機関は取扱金融機関と連携し、外国人起業家への経営サポートを行ったと。令和三年から五年までに費用は三千六十万円ということで、今後の支出はもう終わるんですからね、外国人の起業家支援というのは――ということが気になっているんですね。
約六千万円の融資の選定に費やしたのが三千万ということは、半額を要したということになるんですよね。費用対効果としてどう捉えていますか。今後の融資施策において、同じ轍を踏まぬか、反省を込めた所見を伺います。
○原金融部長金融支援担当部長兼務 本事業では、外国人起業家への起業サポートや融資を利用した後の経営支援など、必要な経費を計上し、効果的に事業を実施しております。これにより、外国人が起業しやすい環境を整え、東京の経済を支える多様な主体を創出し、その持続的な成長に寄与しております。
なお、融資の実施は令和五年度までで終了しており、令和七年度は統括支援機関が行う融資後の経営支援などに要する経費として九百八十九万五千円を計上しております。
○上田委員 融資が終わったのに、年間一千万またかけていっちゃうんですかね。これ、違う意味では持ち出しになっちゃうのではないかというふうに見えたりいたします。ちょっと憂慮しておきます。
中小企業向けファンドで現在運用している九ファンドのうち、都が資金を回収した実績のあるのは三ファンドで、令和五年度末時点において、ベンチャー企業成長支援ファンドについては投資額二十億、回収額約二十三億、中小企業連携促進ファンドは投資額三十億、回収額約十二億一千万、事業承継支援ファンドについては投資額二十五億円、回収額は三億八千万、現在、運用中のファンドは今後も資金の回収が見込まれていると。最終的な回収額は、その清算が終了するまで確定しないということですが、また新たにファンドを活用した多摩・島しょ地域及び人手不足問題解決に取り組む中小企業支援が立ち上がったようです。
総額四十億ということですが、これらにおいても、出資後は専門家を活用して、定期的に支援先企業の経営状態の確認及びファンドの資産状況や、出資目的にかなった運営がなされているかなどについてモニタリング体制を整えているはずですが、所見を伺います。
○原金融部長金融支援担当部長兼務 都は、ファンドへの出資後、支援先企業を選定する投資委員会にオブザーバーとして出席し、疑問点の確認や意見表明を行っております。
また、ファンドの運営状況について、投資、会計、法律分野等の専門家を活用しモニタリングを行っており、来年度新たに立ち上げるファンドについても適切に対応してまいります。
○上田委員 出資そのものがリスクのバランスを確保するというより、出資そのものがリスクなんじゃないのかなと思っております、役所がやることなのかと。
産業、エネルギー対策でございます。
金融機関等と連携した海外企業誘致促進事業が一億三千万増額しております。開始以来の実績、金融機関への成功報酬を含めた総額と補助に見合う成果が得られているのか、課題、可能性についてご報告ください。
○山本産業政策連携促進担当部長企画調整担当部長兼務 都は、外国との取引に関わる知見等を有する金融機関と連携して海外企業の誘致を実施しており、これまで十社が都内に日本法人を設立いたしました。
既に確定しております令和五年度決算では、海外企業への助成や金融機関への成功報酬として約一千七百万円を支出いたしました。東京に進出した海外企業と都内企業等との新たな取引が生まれるなど、都内産業の活性化につながってございます。
○上田委員 次は、GX関連産業創出事業です。
早期社会実装化支援事業は十七億円で、八億円増となっております。この事業の六年度の実績は六件ということです。また、GXスタートアップ開発製品等の需要創出支援、三億円の新規事業では、事業会社とGXスタートアップとのマッチングを行い、GXスタートアップ等が開発した製品への需要を創出するということですが、改めまして、都が目指す具体的な目標、かけたコストに見合う目標達成について、具体的にお示しください。
○山本産業政策連携促進担当部長企画調整担当部長兼務 GX関連産業創出へ向けた早期社会実装化支援では、都内企業によるGX関連産業の創出を図るため、先進的な技術などの社会実装を目指す企業等を公募により五件程度選定し、支援を実施してまいります。
GXスタートアップ開発製品等の需要創出支援では、スタートアップの持つ優れた製品や技術の活用に意欲的な事業会社を公募により五社選定し、スタートアップとのマッチングや将来的な調達の意思表明であるLOIの締結等に向けた支援を実施してまいります。
○上田委員 十七億円ですか。――はい、カーボンクレジットです。
昨年第四回定例会では、私が質問しましたが、都では今年度、中小企業に対して炭素クレジット活用を推奨するようだが、炭素クレジット、カーボンオフセットは、CO2を一グラムも減らさないグリーンウオッシュと専門家に指摘されていると。これでは都がやっている感を出すに当たり、さっきいったように中小企業の負担を増やし、都民の税金を浪費しまいか懸念していますと。
私の質問では、システム立ち上げのみ言及をされていましたが、既に中小企業等における排出量取引創出のためのモデル事業を昨年度実施していることに気づきましたし、質問したときに、七年度はもう決まっているんだから、もうちょっと親切に答えてくれたらよかったのかなと思っているんですが、五月に助成限度額九十万を示した上で募集をかけているのですから、当然、システム開発とは別にクレジット購入費助成の予算額もあったところでございまして、私の十二月の答弁では、予算とCO2減量の見込みへの質問に対して、間接的なシステム開発費のみを答えて、直接CO2削減に資する予算額と削減効果を答えなかったということでしょうかね。
改めて、炭素クレジット活用に係る総額予算と内訳、CO2削減を実質どの程度見込み、ゼロエミを本当に実現できるのか、中小企業に新たに物心の負担を課すことはないのか、ご説明ください。
○山本産業政策連携促進担当部長企画調整担当部長兼務 都は今年度、東京の中小企業等が必要に応じて容易にカーボンクレジットの購入等を行うことができるシステムを立ち上げる予定でございまして、その経費として、令和六年度予算に約二億五千万円の予算を計上してございます。
また、中小企業等が自社での排出削減に加え、市場からカーボンクレジットを購入し活用することで、意欲的な削減を目指す取組等への支援を行ってございまして、令和六年度予算に約五億七千万円の予算を計上しております。
本事業を通じた支援を希望する中小企業等に対しまして、設備投資などに要する費用の助成を行うほか、J-クレジットの購入費用については、上限九十万円の助成を行ってございます。
○上田委員 仮にJ-クレジットの平均単価、一トン、一千五百円とした場合、二億五千万円分のクレジット購入により、CO2を削減したことにしたい見込み量は十六・七万トンです。都の二〇二二年度CO2排出量は五千九百四十五万トン、このうち産業、業務部門は二千五百四十一万トン、都民の税金二億五千万円を投じて十六・七万トンをカーボンオフセットした場合、それぞれ〇・二八%、〇・六七%の削減効果ということになります。
二〇〇〇年比で四・四%減にとどまったため、都はこの事業を立ち上げているようですが、削減効果としては、四・四%減が四・七%減ぐらいにしかなりません。効果が早く現れてこの程度です。もちろん、実態は全く大気中のCO2を削減していないということも指摘されております。
巨額を投じてこの程度の成果しか見込めぬ費用対効果、所見、弁明を伺います。
○山本産業政策連携促進担当部長企画調整担当部長兼務 都は今年度、東京の中小企業等が必要に応じて容易にカーボンクレジットの購入等を行うことができるシステムを立ち上げる予定でございまして、その経費として、令和六年度予算に二億五千万円を計上しておるところでございまして、この経費につきましては、カーボンクレジットの購入やその助成に充てる経費ではございません。
この事業によりまして、希望する中小企業等が自社の省エネ対策等に加え、カーボンクレジットを活用することで、より多くのCO2削減ができる環境を整えてまいります。
○上田委員 より多くですから、カーボンハーフとかゼロエミッションではなさそうで、数字をしっかり出していっていただきたいというふうに思っております。
都内事業者向けHTT実践推進ナビゲーター事業です。
カーボンニュートラル、脱炭素を目指したいが、何から始めていいか分からない、そんなお悩みをナビゲーターとして解決するということですが、事業開始以来のナビゲーターの所属業界や企業、選定過程や基準についてご説明ください。この事業を委託しているのであれば、その委託先と事業者も明示をお願いいたします。
○山本産業政策連携促進担当部長企画調整担当部長兼務 ナビゲーターは、本事業の受託事業者がHTTの推進に資する都の支援策を正確に案内することができる者を選定してございます。
また、受託事業者は、総合評価方式により、事業計画や体制、履行能力等を評価し、毎年度適切に選定してございます。
委託費は、令和五年一月から令和六年三月までの契約が一億六千九百八十四万円、令和六年四月から令和七年三月までの契約が一億三千百七十八万円で、受託事業者はいずれも株式会社パソナでございます。
○上田委員 これまで三億近く、パソナということでございます。
業界に利益誘導することはないのか、相談者の無知に付け込んだ不要不急のサービスを売り付けることはないのか。
つまり、都からのプレッシャーもあるし、やりたくないけど、やらないと何かペナルティーを、本当は負っていないんですけどね、義務化とかいわれても。でも、そういうときに、やった方がいいですよっていって、やらなくても何とかなりますよってアドバイスも私はあると思うんですよね。そういうことを懸念するんです。
中立、公平性をどう担保しているのか伺います。
○山本産業政策連携促進担当部長企画調整担当部長兼務 本事業は、電話等によるHTTの取組の周知を通じて、省エネや脱炭素化などに取組の関心のある事業者の掘り起こしを行った上で、訪問により、関連する都の支援策の活用を提案するものでございます。
○上田委員 じゃあ、関心がない人には押売しないということと理解させていただきます。
再エネ電源都外調達事業ですが、二十四億円増で総額三十八億となりました。主として都内での調達が難しい大量の再エネ電気等を都外から調達したい都内需要家を支援対象として想定、事業実施に当たっては、対面とオンラインを併用した説明会を開催、ホームページや業界団体の主催のセミナーを通じた事業周知を図り、昨年十月末時点で五件、約十億八千万円の申請があったそうですが、結果をご報告ください。基本的なことですが、この事業はどういう形で都民に寄与するのでしょうか。
○米澤産業・エネルギー政策部長 本事業は、都内の再エネ電力利用割合の拡大に向けて、主として都内での調達が難しい大量の再エネ電気等を都外から調達したい都内需要家を支援することを目的に実施しております。
二月末時点で計五件、約十億六千万円の交付決定を行っております。
これによりまして、都内の再エネ電力利用割合を高め、東京における再エネ利用を拡大してまいります。
○上田委員 三十八億ですので、需要家だけでなく都民全体への寄与も期待するところです。
島しょ地域における再エネ導入促進事業です。
設備の輸送費などイニシャルコストが割高な島しょ地域において、発電量に応じて補助を実施する新規事業二千五百万円ということで、再エネ利用の割合を向上するとのことですが、対象世帯はどの程度を想定し、連綿と続けていくのか、時限なのか、確認いたします。
○米澤産業・エネルギー政策部長 本事業では、FIT制度を活用して売電を行う再エネ発電事業者に対し、発電量に応じた支援を運転開始後五年間にわたり行うこととしておりまして、来年度予算案において七十四万キロワットアワー分を計上してございます。
○上田委員 発電した電気は都内で広く利用されることになるようで、対象地域は伊豆諸島及び小笠原諸島全体、十一島の総人口は直近国勢調査によると二万四千四百六十一人、一万二千七百九十四世帯ということです。うち、七十万人いるんですけれども、江戸川区はですね、そこら辺についての電力調達がなじむのか。五年間ということなので、そこについてはまた定点観測させてください。
大島浮体式洋上風力発電設備の導入促進です。
民間で開発が進む純国産メガワット級の浮体式洋上風力の導入に向けて必要な調査を実施するとのことで、三千万円計上されています。民間で開発とは、具体的にどの民間企業を指すのか。発電するとして、どう電力を運ぶのか。そもそも促進ありきではなくて、風力発電、浮体式というのは景観も非常に壊しますから、促進ありきではなく、住民アンケート及び漁業、景観、自然破壊の調査をする方が先ではないでしょうか。所見を伺います。
○米澤産業・エネルギー政策部長 大島では、浮体式の洋上風力発電の事業化を目指し、町が協議会を設け取組を推進しておりまして、都はこれに参加し、事業のサポートを行うほか、町に技術面から助言等を行ってございます。
来年度は、民間で開発が進む純国産メガワット級の浮体式洋上風力の導入に向けまして、必要な調査を実施し、町の取組を支援してまいります。
○上田委員 メガワット級というと、私、一般質問でも確認したんですけど、どうやって運ぶのという、海中の中の送電線を使うのか、それとも船舶をつくるのかというところを非常に疑問視しているので、事業実施の可能性を検討している段階というので、現実的なご判断を今後お願いしたいと思います。
スマートエネルギー都市推進事業ですが、昨年九百六十四万円から二十億円も増額されています。コージェネレーションシステムの調整電源の導入及びエネルギーマネジメントを推進するとのことで、地域の低炭素、快適性、防災力を同時に実現するスマートエネルギーネットワークの構築を推し進めることは重要であるとのことですが、毎年、今後この金額を投資するのか、この事業でゼロエミッション東京をどう実現するのか、分かりやすくご説明ください。
○米澤産業・エネルギー政策部長 本事業は、事業者によるコージェネレーションシステムや熱電融通インフラの導入を支援するものでございまして、これまで実施してきた事業が今年度終了することから、来年度、新たに必要と見込まれる額を予算案に計上してございます。
都内建築物へのコージェネレーションシステム等の導入を支援することで、再エネの調整力の確保を図ってまいります。
○上田委員 このCGSは二十億円ですよね。今度水素エネルギーなんですけれども、社会実装を加速するということで、総額百八十一億円が計上され、ほとんどが産労の事業です。グリーン水素においては八事業にもわたる力の入れようですが、果たしてこれだけのコストをかけて再生可能エネルギーとして実際に役に立つのでしょうか。
日本国内では、水素の製造コストが高過ぎるために、数年前から豪州経由で水素を輸入するための複数の実証実験が行われております。ところが、豪州クイーンズランド州からグリーン水素――太陽光発電で水を電気分解して製造する水素ですね、を輸入するプロジェクトでは、昨年十一月に関西電力が撤退し、今年二月にはクイーンズランド州政府からの補助金が打ち切られました。このプロジェクトは、豪州で最も進んだグリーン水素プロジェクトといわれていたにもかかわらずです。
一方、同国ビクトリア州からブルー水素――褐炭から水素を製造し、CO2を地下貯留をするものですね、を輸入するプロジェクトについても、昨年十一月に川崎重工が撤退しました。いずれのプロジェクトも事実上頓挫した状態です。
欧州でも、二〇三〇年の域内水素製造目標一千万トンに対して、現状の見通しは二百五十万トンにとどまるなど、特にグリーン水素プロジェクトに係る企業の事業撤退や倒産が相次いでいます。様々な要因がありますが、最大の要因はコストが見合わないためです。
日本国内で水素を製造する場合はさらにコストが膨らむため、とても現実的ではありません。民間の専門家たちが相次ぎ撤退している現下の現状においては、水素製造の素人である都が国内外のプロジェクトに対して資金支援を行ったとしても、水素プロジェクトが好転するとは思えません。そもそも、京浜島から中央防波堤に水素電解装置を設置したり、太陽光パネルを並べてグリーン水素をつくってもエネルギーの無駄遣いであり、別の環境問題を生み出します。
水素を製造するために投入するエネルギーの方が、水素を発電して得られるエネルギーより大きいためですよ、もう本当に、冗談みたいですね。水素製造に投入するエネルギーをそのまま都内の家庭や企業に運んだ方がましなのですよ。この水素事業に都税百八十一億円を投入した上で、いつ頃、どれだけ都民の経済や生活にプラスの効果をもたらすのか、定量的にご説明ください。グリーン水素について研究され、評価もしていると思料いたしますので、丁寧なご説明を求めます。
○服部新エネルギー推進担当部長 二〇五〇年のゼロエミッション東京の実現に向けて、脱炭素の新たなエネルギーであるグリーン水素の活用を広げることは重要でございます。
グリーン水素は、再生可能エネルギーを長期間にわたり蓄え、ニーズに応じて速やかに活用できます。この普及により、電化が困難な熱需要やモビリティーなど、多様な分野の脱炭素に役立ててまいります。
○上田委員 どうやら定量的にお答えされるのは難しいようでございますね。
ZEV普及促進についても三百六十七億円計上されて、そのほとんどが産労局です。ロサンゼルスの近郊で大規模な山火事が発生してから間もなく二か月がたちます。多くの住宅が消失し、被害額は巨額に上ると想定されております。現地では、EV車が危険で撤去が進まない、高級住宅街でテスラがあちこちで止めっ放しで、被災地の復興の妨げになった上に、残骸に有害物質の危険性も指摘されております。
人口が密集する東京で首都直下型地震の想定も見直されていますし、都はこうしたリスクをどう捉えて普及をするのか、所見を伺います。
○米澤産業・エネルギー政策部長 EVは、走行時にCO2を排出しないため、環境負荷の低減につながるだけでなく、災害時に非常用電源としても活用できることから、その普及を進めることは重要でございます。
なお、日本における自動車の安全性は道路運送車両法に基づき確保されており、各メーカー等において発火を防ぐ電池の開発等、さらなる安全性向上のための取組も進められております。
○上田委員 天災は忘れた頃にやってくる。開発が終わる前に天災が来たらば大変なことでございますので、大人気車ということも、しっかりとこっちの支援もしていただきたいと思います。
観光産業振興でございます。
マーケティングを活用した事業計画策定支援事業ですが、効果的な旅行者誘致に向けた事業計画を策定する企画を現在募集中です。観光マーケティング関係には四億円近い予算が計上されています。マーケティングというと聞こえはいいんですけれども、コストをかけて委託調査しておしまいになっていませんか。委託事業ですか。気になるところです。観光マーケティングについての詳細をご説明ください。
○江村観光部長 観光マーケティング調査事業では、旅行者の興味、関心や訪都旅行者数、観光消費額等のデータを民間委託により調べ、その情報をオープンデータ化しております。
また、観光データマーケティング事業では、観光に関する様々なデータを集約して、旅行者の属性に応じた行動特性などを民間委託により分析し、その結果を効果的なプロモーションの実施に活用しております。
○上田委員 各委託先と委託費をお示しの上、マーケティング事業がどう観光産業に貢献できたのか、所見を伺います。
○江村観光部長 観光マーケティング調査事業について、今年度の委託先は株式会社NTTアド、株式会社エイジェックなど七社で、契約金額の合計は約二億二千万円であり、観光事業者や自治体などが活用できるよう、調査により得たデータをウェブサイトに掲載するなど、適切に活用を図っております。
また、観光データマーケティング事業について、今年度の委託先は株式会社ジェイアール東日本企画で、契約金額は約五千万円であり、データの集約や分析を行った結果を効果的なプロモーションの実施に適切に活用しております。
○上田委員 JR系ということで、総額三億円ということであります。これって本当に観光振興に貢献できているのかということは、インバウンドで外国人たちがたくさん、我が国の観光客が増えているということで評価しているのかもしれませんけれども、引き続き、このマーケティングのマーケティングをさせていただきたいと思います。
東京ブランド推進には十四億円が投じられる予定です。アイコンとキャッチフレーズ、Tokyo Tokyo Old meets Newを活用しながら東京ブランドの浸透を図るとともに、PR映像や公式サイト、各種広告等を展開し、東京の持つ都市としての魅力をより印象的に発信するとのことですが、十四億円の内訳、特にこのサイトはどこが受注し、幾らかかっていて、年間アクセス数平均は開設以来はどの程度なのか、事務事業でも確認したGO TOKYOとの相乗効果も期待できるところですが、その点についてもご説明ください。
○江村観光部長 来年度の東京ブランドの推進事業について、予算の内訳は、広報媒体等を活用したアイコンの発信が約八億九千万円、民間事業者と連携したPRが約四億五千万円、アイコンの管理運営が約一億五千万円でございます。
東京の魅力を視覚的に訴求する東京ブランドのPRサイトについて、今年度の運営は株式会社電通デジタルに約九千万円で委託しております。
開設以来の年間平均アクセス数は三百万件超であり、今年度の二月末時点のアクセス数は五百万件超となっております。
都内の観光スポットやイベントの情報を提供する観光公式サイト、GO TOKYOと相互に連携し、東京の観光の魅力を効果的に発信しております。
○上田委員 また電通が出てきまして、総額十五億円以上かけているということでございまして、どれだけこの東京ブランドが落ち着いているのかということでございますが、ブランドの浸透って、本当、分かるようで分からないんですね。何が具体的に浸透して、何が具体的に成果が上がり、具体的な目標とは何なのか、観光振興に具体的にいかに貢献できているのかご報告ください。
○江村観光部長 都では、伝統と革新が共存する東京ならではの魅力を国内外に広く浸透させるため、Tokyo Tokyoアイコンを活用した広報や、海外メディアによるPR映像のCM放映、世界各地の旅行博への出展などを行っております。
令和六年上半期に東京を訪れた外国人旅行者数は過去最多の約一千二百四十万人となり、アメリカの大手旅行雑誌が今年度実施した世界で最も魅力的な大都市ランキングでも、東京が一位に選出されております。この取組は海外からのこうした評価にもつながっているものと考えております。
○上田委員 一千二百四十万人来てくれたんですが、さっきいったサイトアクセスは三百万件ということで、どうなんでしょうかね。利用されているのかなというふうに思った次第でございます。
同じく似て非なる江戸東京きらりプロジェクトですが、東京ブランド推進事業との相乗効果、江戸東京の伝統の技や老舗の産品等の宝物をどう具体的に発掘し、新たな視点で磨きをかけ、その価値をどう高め、いかに東京を代表するブランドとして世界に発信できたのか、具体的かつ事例を挙げて、例えば老舗のお店の商品が売れたとか、売上増も含めた成果についてご報告ください。
○齋藤企画調整担当部長 江戸東京きらりプロジェクトでは、支援対象事業を公募により選定いたしまして、専門家の助言による商品の価値を高める新たな取組などへの支援に加えて、海外での展示会出展などを通じたプロモーションを実施しております。
昨年実施したアンケートでは、都が支援した事業者のうち約七割が直近一年間で売上げが向上したと回答しております。
○上田委員 選ばれしものではなく、本当にうちの商店街も、今は本当、お彼岸で、おはぎがおいしい、名もない伊勢屋さんとかね、そんなところから底上げしていくとか、商店街のことはほかの委員も質問しましたけれども、そっちの方で、地域の商店街に結びつけるぐらいのことをやっていただきたいなということを申し上げて、きらりとしていなくてもですよ。本当に下町のそうした商店街とつなげていっていただきたいと思います。
多様なツーリズムの推進、ウエルカム・アジアキャンペーン、東京から日本の魅力新発見、地方連携参画型広域プロモーション、渡航ルート多様化等を見据えた日本各地との新たな連携、バーチャルスポーツを活用した観光振興事業など、新年度は予算計上していません。
費用対効果のない事業を廃止することは評価するものですし、今ある事業も、さっきから聞いている新規事業も同様に費用対効果は見込めなさそうなものもあるのかもしれません。予算計上しなかったものに対する事業評価と課題など、どう次へ生かすのか、所見を伺います。
○江村観光部長 観光振興に係る各事業について、その効果や実績のほか、観光産業の動向などを踏まえ、その必要性など、個々の状況に応じて様々な観点から検討しております。
そうした検討を経て、事業の見直し等にも取り組んでおり、引き続き、観光振興に係る各事業の実施状況を踏まえ、必要な施策を行ってまいります。
○上田委員 新規事業は一回始めちゃうとなかなかやめられないんですね。始めちゃったプライドもあるかと思うんですけど、見直しを見直すということをしていっていただきたいと思います。
一方、東京独り勝ちではなく近隣県と連携した海外向けレガシーPR事業等、地方との連携事業は必要不可欠に思っております。予算は前年度踏襲ですが、これまでの実績と課題、また、地方との観光振興の連携の都の考え方についても伺います。
○江村観光部長 都は昨年度より、近隣四県と連携して、東京二〇二〇大会の競技会場や観光スポットを巡る観光ルートを作成するとともに、メディアなどが参加するモニターツアーを実施し、取材記事やSNSを通じた情報発信につなげております。
東京と日本各地が連携した旅行者誘致は、それぞれの魅力を生かした相乗効果を発揮し、滞在時間の延長や消費拡大を促す効果的な取組であると考えております。
○上田委員 大手町かいわいはいろいろな地方の物産館みたいのもあって、最近、おしゃれなカフェなんかもありますので、そういったところとも連携していただきたいと思います。
ユニークベニュー関連に係る事業は総額四億円です。どのようなユニークベニューが効果を発揮したのか、具体的事例を挙げた実績と成果を伺います。
○江村観光部長 都は、ユニークベニューの活用促進に向け、ウェブサイトでの情報発信や庭園等でのショーケースイベントの実施に加え、MICEの主催者や施設に対し、必要な経費の助成などを行っております。
今年度は、主催者に対する助成について、美術館でのファッションデザイナーによる新作発表会や水族館での企業による表彰セレモニーなど八件を支援しており、総合支援窓口で施設を紹介するなどのサポートも行い、活用を促しております。
○上田委員 こちらも八件ということですけれども、ちょっとどうなのかな、自分で探せるのではないのかなと思いますので、こちらも費用対効果を見ていきたいと思います。
プロジェクションマッピングです。
まず、基本的なことを伺います。昨年二月末に令和五年、六年のプロジェクションマッピングに係る予算総額をつまびらかにし、都民だけではなく全国的なひんしゅくを買い、その反省というか、今回、プロジェクションマッピングに係る予算は十五億六千万円計上、昨年より十億減額されたことは評価したいと思います。
プロジェクションマッピングの効果については、昨年、一般質問をする際に調査したところ、東京工芸大調査しか見当たらなかったんです。それも偶然遭遇したら立ち止まって見学しそうが最もアンケートが多かったそうですし、私が探しているところも、東京都の観光関係者からプロジェクションマッピングの効果の調査、いい結果のものはないかというようなところを同じように来たというような、私が調査をお願いしたところにも、そのぐらいないということなんだなと思います。
東京都として、事前にプロジェクションマッピングの効果を、当然、巨額を投入したわけだから実施したと思いますね。どういった調査結果やマーケティングを受けて巨額予算を投入するに至ったか、詳細を改めてご説明ください。
○江村観光部長 東京の観光振興に係る有識者会議や観光事業審議会において、プロジェクションマッピングは、夜間観光の魅力的なコンテンツになる等の意見をいただきました。
都は、これを踏まえ、観光産業の振興プランにおいて、観光資源として光や音を用いた演出による集客効果や都市景観の向上が期待できるとの考え方を明らかにいたしました。
○上田委員 何かやることありきで、付け足しのように有識者会議とか観光事業審議会で意見をひねり出しているというふうにしか思えないんですよね。観光マーケティングにも二億費やしていますしね。
民間との協力等によるプロジェクションマッピング展開事業ですけれども、令和六年度の実績の報告と、今般予算が八億円減少した理由についても伺います。
○江村観光部長 今年度の本事業は、立川、丸の内、池袋の三か所で実施し、立川では開催した三日間で約一万四千人、丸の内では開催した五日間で約三万八千人がそれぞれ観覧いたしました。池袋については、現在開催中でございます。
予算の積算に当たりましては、これまでの実績などを踏まえ、必要な経費を計上したものでございます。
○上田委員 あまりきっとニーズはなかったんでしょうかね。やっぱり民間の反応は素直ですね。
東京プロジェクションマッピング事業は一億五千万円増となっております。区市町村や観光協会、民間事業者がプロジェクションマッピングを利用して東京の新たな魅力を創出し、旅行者の誘致に結びつけられたのでしょうか。また、相談窓口には、開設以来、何件相談が来て、その内訳や事例についてご説明の上、対応することで得られた成果を伺います。
○江村観光部長 プロジェクションマッピング促進支援事業を活用した主催者からは、プロジェクションマッピングと併せて創意工夫による催しも行い、地域への滞在時間の延長や周辺飲食店の来客の増加などにつながったとの報告を受けております。
また、今年度開設した相談窓口では、イベントの開催に必要な手続や投影可能な場所に関する問合せなど、一月末時点で八十四件の相談を受けており、プロジェクションマッピングの円滑な実施を適切にサポートしております。
○上田委員 年間八十四件の相談ということですよね。きっと延べとかもあると思うんで、どうなのかなというところです。
TOKYO Night & Lightは、親会社電通が入札停止の中、一〇〇%子会社の電通ライブが受注したことが物議を醸しました。メディアによると、プロジェクションマッピング協会という団体のプレスリリースを確認したところ、事業を管轄する東京都観光部に都が協会に事業を委託しているのかと質問すると、事業は運営会社から協会へ委託されているとの回答を得ましたと昨年報道されていました。
TOKYO LIGHTSは、企画協力が一般財団法人プロジェクションマッピング協会、制作運営が博報堂プロダクツとなっております。
広告代理店による中抜きも批判されていることから、運営事業者とプロジェクションマッピング協会の受注から支払い関係までのお金の流れについて、それぞれつまびらかにご説明ください。あわせて、双方の予算を減額しましたが、内訳につき、ご説明ください。
○江村観光部長 都庁舎のプロジェクションマッピングは、東京プロジェクションマッピング実行委員会が選定した株式会社電通ライブに映像制作やPR関連等の業務を委託しており、電通ライブは、当該業務の一部について、実行委員会の承諾を受け、再委託を行っております。
令和七年度の予算額七億九千万円のうち、映像制作やPR関連等の経費として約二億六千万円を、機器のリース、保守の経費として約五億三千万円を見込んでおります。
また、令和五年度のプロジェクションマッピングの国際大会は、TOKYO LIGHTS 二〇二三実行委員会が選定した一般財団法人プロジェクションマッピング協会に対して事務局業務を、同じく選定した株式会社博報堂プロダクツに対して、企画運営や機器整備等の業務をそれぞれ委託しております。
令和七年度の予算額二億八千万円のうち、事務局経費として約六千万円を、企画運営や機器整備等の経費として約二億二千万円を見込んでおります。
○上田委員 今日の資料の方では、二一ページから二五ページですよね。巨額が費やされていることが分かると思います。例えば、こうやって大きな金額で十何億というと分からないんですが、毎月この都庁舎はプロジェクターのレンタル費が三千七百万円ということでございまして、また、再委託をしちゃっているので、伏魔殿と呼ばれかねないような状況になっていると思います。
これまで、都庁プロジェクションマッピングについては、本当にSNSでは大きな批判があります。都民、国民からの意見が届いていると思いますが、当然、産業労働局はその結果が届いていると思いますので、総数と賛成、反対意見の数をお示しください。また、SNSではクオリティーが低過ぎると多くの意見をいただいており、その点に関しての所見も伺います。
○江村観光部長 都庁舎のプロジェクションマッピングについて、本年一月に二十六件の意見と三件の問合せを受けております。
投影する映像は、プロジェクションマッピングの国際大会で高い評価を受けた国内外のクリエーターが制作しております。
外国人旅行者が多く利用する旅行サイトにおいて高い評価を受けており、約一千名の観覧者を対象に実施したアンケート調査によりますと、九四%の方が上映作品の内容に満足したと回答しております。
○上田委員 ちょっとすみません。今年の一月に二十六件の意見と三件の問合せということなんですけれども、その前は集計していないという理解でいいですか。
○江村観光部長 ただいま持っている数字でございますけれども、都庁舎のプロジェクションマッピングについて、本年一月に二十六件の意見と三件の問合せを受けております。
○上田委員 ちょっと質問の仕方が悪かったのかもしれませんけれども、じゃあ、開始以来、これまでのは把握していないということでよろしいですね。一月ちょっと調べてみましたって感じでいいんですね。すみません。
○江村観光部長 ただいま持ち合わせておりますのは、今申し上げましたとおり、都庁舎のプロジェクションマッピングについての本年一月の意見と問合せの件数でございます。
○上田委員 二十六件しかないというのはちょっとあり得ないなというふうに思ったので、そういうわけで、多分いっぱい届いていると思うんですけれども、局としてはどういうふうに評価をされているのか伺います。
○江村観光部長 投影する映像は、プロジェクションマッピングの国際大会で高い評価を受けた国内外のクリエーターが制作しておりまして、観覧者を対象に実施したアンケート調査などからも高い評価を受けているものと考えております。
○上田委員 賛成か反対かの内訳も整理をしてないということは確認しているんですけど、恐らく生の声は見ていらっしゃると思うので、国際大会で高い評価を受けるよりも、都民に高い評価が必要だと思うんですね。さっき外国人旅行者の観光サイトだと高い評価といっていますけれども、やっぱり日本人で、そして都民が最優先だと思います。
経済波及効果ですが、日本観光振興協会に委託をして、都庁が九十八万円、アワードの方は四十一万円かけて調査しております。都庁舎のプロジェクションマッピングの経済波及効果は、令和五年度の予算七億円に対して、プロジェクションマッピングを見た旅行者の飲食による消費効果などを含め、十八億円との試算を得ているということですが、都庁舎かいわいで毎日五百万円、逆算しますとですよ、消費しているとはとても思えないんですね。令和五年度当初はそう試算したとは思うんですけど、一年経過し、実態を把握していると思いますので、どうなったのか伺います。アワードの六億円の波及効果についてもお示しください。
○江村観光部長 都庁舎のプロジェクションマッピングは、昨年二月の事業開始からの一年間で約五十二万人が観覧しており、映像制作や観覧者の観光消費等による経済波及効果は、昨年度の決算を踏まえて改めて試算したところ、決算額約六億四千万円に対し、約十八億三千万円となりました。
また、プロジェクションマッピングの国際大会の経済波及効果は、都庁舎と同様の方法により、昨年度の決算額約四億八千万円に対し、約六億円と試算いたしました。
○上田委員 試算という名の希望的観測としか思えないんで、すみませんけどね。
商業広告なんですけど、都庁舎でのプロジェクションマッピングにおける広告の募集について、去年の八月二十三日、実行委員会から、屋外広告物の所管行政庁である新宿区に許可申請を行い、十月三十日に多くの企業等に活用していただくような許可を出して民間の経済活動の活性化につなげているとのことで、約八億円計上しており、どの程度の広告収入を見込むのか、想定額を伺います。また、広告収入で批判の多い同事業の支出を少しでも減らすべきと考えますが、どの程度まで支出に見合う収入を商業広告で得るのか、その点の考え方を伺います。
○江村観光部長 広告の募集については、プロジェクションマッピングの高い集客力とギネス世界記録に認定されている世界最大の投影面を生かして、さらなる民間の経済活動の活性化につなげることを目的としております。
広告収入は、プロジェクションマッピングの運営経費に充当できることとしており、事業年度終了時に残余が生じた場合は、都に返還することとしております。
○上田委員 広告収入ということですから、また広告代理店に委託するんじゃないのと。広告代理店につくらせて、また広告代理店に広告を出させてということを、本当に親亀の上に子亀が乗った状態にならないのか、想定事業者と想定金額をお示しください。
○江村観光部長 広告の募集は実行委員会が直接実施しておりまして、業務の委託は行っておりません。
○上田委員 実行委員会から代理店に再委託とか委託はしないという理解で大丈夫ですね。
○江村観光部長 実行委員会から業務の委託は行っておりません。
○上田委員 じゃあ広告収入を得るに当たっては直接やるということで、広告代理店を挟まないということは確認させていただきました。
資料では、年間五十万人が訪れた計算となっています。曜日別平均を見ても、一日平均一千五百人ということです。それほど来ているようには、みんな都庁にいますから、思えないんですけれども、毎日どうカウントしているのか、もう一回確認させてください。
○江村観光部長 都庁舎のプロジェクションマッピングは、日没時間に応じて、一日当たり五回から九回上映しており、季節や天候、時間帯などにより観覧者数が異なります。イベント運営に精通する事業者の複数の専門スタッフが、主な観覧場所となる都民広場において、毎日、各上映会の観覧者数を適切に確認しております。
○上田委員 毎日おいでになっている。ちょっと見かけたことないので、注意していきたいと思います。
年間五十万人のうち、都民はどの程度いるのでしょうか。都民人口のたった三%のために八億を投資する必要を全く感じません。客寄せのため、ゴジラとか人気アーティストだのと必死のようですが、民間ならそれでいいですし、客を集めなければならない。民間はそれでいいんですけれども、わざわざ役所がお客を集めねばならないようなプロジェクションマッピング事業は、本当に都庁のやることではないと思います。
いつまで続けるつもりでしょうか。八億も十年たてば八十億円で、途方もない金額になります。所見を伺います。
○江村観光部長 観覧者を対象に実施したアンケート調査によりますと、三五%の方が都内から来訪したと回答しております。
プロジェクションマッピングは、高い芸術性と世界をリードする技術によって都市の価値を高める日本のキラーコンテンツであり、東京の夜間観光の振興に向けて活用することは重要でございます。特に、海外から数多くの観光客を誘致する上で、東京の代表的なランドマークである都庁舎を投影場所として活用することは効果的でございます。
この取組は、観覧者数が昨年二月の投影開始からの一年間で約五十二万人となり、東京の新たな観光名所として大きな効果を生み出しており、今月からは、クリエーターを目指す学生が制作した作品を投影するなど、若手人材の育成の場としても活用することとしております。
引き続き、東京のナイトタイム観光の振興を図るために活用してまいります。
○上田委員 衝撃の事実でございます。三五%の方が都内から来訪したということは、要は、三割ぐらいしか都民がいないということです。その人たちが払った税金で、七割の都民じゃない人たちのために税金がこれだけ使われると。
東京の代表的なランドマークが都庁舎って誰が決めたんでしょうか。東京のランドマークって幾らでもありますよね。私、城東地区でありますから、また、上野、浅草辺りに住んでいる人も、浅草寺もあればスカイツリーもありますし、わざわざここ、何も商業施設もない、百歩譲って商店街があれば別ですが、何もないところに無理くりお金をかけて、無理くり集めるというのは非常に建設的でもないし、現実的でもないし、そもそも都民ニーズがないということを強く指摘をさせていただきまして、即刻中止に向けて動いていっていただきたいということを申し上げる次第でございます。
これ、未来永劫、十年もやったら八十億ですから、とんでもない額でありますから、これはもう即刻中止を引き続き求めてまいりたいと思いますが、最後に、再エネ電力を購入しているんですよ、これも。太陽光パネルの電気を使ってエコですといっているけど、夜、太陽光パネル、発電しないじゃんと思って確認したら、再エネ電力をわざわざ購入しているんですよね。五年度、六年度のそれぞれの金額を報告ください。
○江村観光部長 本事業では、財務局が一括して調達し、都庁舎に供給される電力を使用しておりまして、個別の電気料金については算出できないと聞いております。
○上田委員 もう本当に開いた鼻の穴が塞がらない。口は塞がるんですよ。アザラシぐらいですね、鼻が塞がるのは。もうそんな状況であります。
これ、絶対、財務局に聞いて中止させていただきたいと思います。電気量を買ってまでやることじゃないじゃないですか、エコじゃないですよ。そのことを申し上げたいと思います。
農林水産対策です。
事務事業では、アーバンベア、猿、鹿、イノシシによる被害を受けており、里山保全全体に占める荒廃林の率について喫緊の課題であるということを指摘しました。
今般、間伐材供給促進事業を新規に計上しておりますが、搬出間伐を促進するとのことです。どのような販路を念頭に入れ、従来、間伐等の補助制度を利用した事業者とも連携をするのか、事業全体の流れと森林保全につながるのか、関係局と必要な情報を共有するのか等、所見を伺います。
○榎園農林水産部長 材木として利用できるまで樹木が育った山林を間伐することは、健全な森林の成長を促し、保全につながります。
都は来年度、原則十ヘクタールを超えるまとまった作業区域を設定した林業経営体等に対し、これまで別々に行ってきた間伐材等の施業や森林作業道等の整備、林業機械等の導入への助成を、間伐材を市場等へ出荷することを条件に、総合的に活用できる充実した支援を開始いたします。
なお、従来の助成を受けてきた林業経営体でも、新たに区域を設定し補助要件を満たせば、本事業を利用することができます。
事業実施に当たっては、関係局が実施する事業地と区域の重複等が発生しないよう調整してまいります。
○上田委員 これは本当にCO2削減に森は非常に貢献しますよ。この八億円をこっちに、どうぞ里山保全にどうぞ使っていただきたいと思います。
雇用就業対策でございます。
プラチナ・キャリアセンターは、高齢者の就業支援に向けて、昨年度かな、結構最近立ち上げていますが、残念ながら、蓋を開けてみますと、三百九十六名の登録者でした。結構鳴り物入りだったんですよね。昨今、民間によるシニア求人サイトは多数あって、なぜ都がやるんだろうと思っていたら、案の定の数字でありました。
しごと財団は三十億円ものコストがかけられているのですが、かねてより、そもそも区市町村、ハローワークとの二重三重行政ではないかと指摘をし続けてきたところでございます。しごと財団と区市町村、ハローワークなど政府機関、民間とのすみ分けをどう考えているのか、どうしても都がやらねばならないミッションは何なのか、ご説明してください。そして、同センターが企業の人材不足解消につなげるため、業務委託での副業、兼業など、新たな形態の働き方を具体的な数値を挙げてどう支援できたのでしょうか。成果をご説明ください。
○内田雇用就業部長 プラチナ・キャリアセンターでは、シニアの社員がその経験や意欲に応じ活躍できる機会を増やすため、五十歳以上の方が副業の経験を通じ幅広いキャリアを積むことにより、セカンドキャリアで多様な選択ができるよう、ミドルシニア社員と人材を確保したい企業を結びつける重点的な支援を実施しております。
人材、企業ともに無料で利用でき、業務委託による副業をミドルシニア向けにマッチングする都内唯一の公的な支援拠点として、昨年六月の開設以降、本年一月末までに交流会を五回実施し、DXを推進するスキルを持つ方などが、センターの利用を通じて副業人材として活躍するなどの事例に結びついてございます。
○上田委員 ゼロではないと思うんですよね。もちろんそれは結びついたこともあると思うんですけど、四百名未満の登録ということがちょっとはてなマークです。
女性の就労支援のしごと応援テラスも、できたときからずっと利用が伸び悩んでいることを指摘しています。今年度は九月末まで五百四十九人の就職に結びついているという答弁をいただいていますが、都の人口規模からすると一桁少ないのではないかと正直思った次第です。
さらに、今年度、はたらく女性スクエアを新たに開設、再就職支援窓口、サポートプログラム、地域密着型マッチングイベント、応援キャラバン、新規にキャリアアップ再就職応援プログラム、再就職包括サポート事業が立ち上がっています。まだほかにもありますが、メニューが多いのはよいことなのかもしれませんが、どの事業もその事業になじむ女性をどうターゲティングしてアウトリーチをし、就労支援に結びつけているのか、当初の目標どおり活用され、現実的な支援に結びついているのか、包括的に伺います。
○新田事業推進担当部長 都は、育児や介護などで離職した女性を対象に、しごとセンターの女性しごと応援テラスにおいて、キャリアカウンセリングやセミナーなど、再就職に向けた支援を行っております。
このテラスでは、育児中の女性等が身近な地域で就労支援を受けられるよう、都内各地に出向くアウトリーチ型の支援を年間八十回程度実施し、しごとセンターのサポートにつなげております。
また、こうした女性のニーズを踏まえ、テラスの多様なメニューを自宅でも受けられるオンラインによる支援や、地元企業との交流会なども実施しております。
これらの取組によりまして、年間三千人を超える方がテラスを新規に利用し、これまで利用した方の約五割の就職に結びついております。
○上田委員 五割でいいのかなと。千五百人ですよね。
資料にありますように、昨年末に小池知事が突如立ち上げた女性活躍の輪です。企業の経営層と女性経営者、女性首長と多様な主体が一つにつながるWomen in Actionの下、女性活躍関連イベントを一体的に実施とのことですが、まるで小池知事と毎度おなじみの女性区長の仲よしクラブに二億円を投じるとしか思えません。
私は本来、役所のやる女性就労支援としては、きらきらしたキャリアを持っておらず、困っている層の救済に特化すべきと考えます。経営者、起業家、経済界首長がつながり、日本全体に広げるとか、女性リーダー云々ということですが、キャリアを築く人は自己解決能力もあり、自分でキャリアアップしていきます。私も役所に一切お世話にならず、転職もし、起業もしました。この輪の取組で日々の暮らしに困る女性の就労支援にどれほど寄与するのでしょうか、所見を伺います。ついでに、Women in Action、WAという和製英語を誰が考えて決めたのか伺います。
○吉浦働く女性応援担当部長 女性活躍を加速していくため、女性活躍の輪を旗印として、社会全体で機運を醸成し、置かれた環境にとらわれず、自ら成長したいと考える意欲ある女性の育成、成長を後押ししてまいります。
さらに、年収の壁突破への対策や男女間賃金格差の是正に向けた取組など、あらゆる分野において女性の力を引き出し、伸ばす施策を展開してまいります。
なお、女性活躍の輪、Women in Actionの呼称につきましては、産業労働局において検討、調整を行ったものでございます。
○上田委員 命名は産労局ということでありました。底辺女性の支援も強くお願いをいたします。
重度障害者の雇用対策ですけれども、脊髄損傷など重度障害による学業の継続や就労後のサポートの必要性を、ご相談を受けてから殊に強く感じております。これ、手続がすごく煩雑で、区市町村と会社の事務負担がとても大きい制度なんですよね。就労まで時間がかかる事例があって、誰にもありがたくないような仕組みになっております。
スキームをつくったのは厚労省ですけれども、改善してもらいたいと思い、都も貢献できると期待しております。この点について、都の果たす役割と課題認識を伺います。
○新田事業推進担当部長 都は、障害者の企業での就労を促進するため、民間企業や就労支援事業者など、障害者就労に携わる関係者と様々な場で連携を図っております。
また、重度の障害により外出困難な方が就労できるよう、職場での配慮や行政による様々な支援について、企業に対して情報提供を行うとともに、重度障害の特性に配慮しながら、職場定着に取り組む民間企業の優良事例を障害者雇用のイベント等で幅広く発信しております。
○上田委員 ぜひ区市町村、民間の、何というんですか、かけ橋といいますか、支援をしていただきまして、こうした意欲ある人たちが社会で働ける、障害者が地域で働けるような環境を促進していただきたいと思います。
第二十三回東京障害者技能競技大会が今年の二月十五日に開催されました。ワープロや喫茶サービス等の十三の競技種目に総勢九十九名の選手が参加し、日頃から培った技術を互いに競い合ったということです。ぜひ多くの当事者に参加していただきたいと思います。いい取組です。
対象者にどう働きかけているのか、これまでの成果と所見を伺います。
○新田事業推進担当部長 障害者が日頃磨いた技能を競う東京アビリンピックにつきまして、共催者である都は、ホームページやSNSで大会をPRするほか、特別支援学校や就労支援団体、特例子会社に対して幅広く周知を行っております。
また、大会で優秀な成績を収めた選手を都として表彰するとともに、終了後は大会の様子などを発信することにより、社会や企業の障害者に対する理解と認識を深め、その雇用の促進を図ることとしております。
○上田委員 こうして地味で日の当たらないところに費用を与えて支えていくことが役所のお仕事だというふうに評価をしたいと思います。
ソーシャルファームです。
ソーシャルファームとは、就労に困難を抱える方を積極的に雇用する会社を認証して雇用につなげる、困難を抱える人、就労困難者を雇用する企業を支援する、サポートする仕組み、職場の環境整備、実際の雇用を生み出すということを目的とされているということで、関連事業総額十億円となっております。
要求資料によれば、これまで五十五社が認証を取っております。小池知事一期目の公約にも入っていまして、条例制定が二〇一九年であり、同年、知事は、今後、LLPへの出資者が増えれば、障害者雇用がより拡大することになると述べましたが、まず、都内LLPの状況を伺います。
○内田雇用就業部長 中小企業同士がいわゆるLLPである有限責任事業組合等を活用して共同事業を行った場合に、障害者の実雇用率を通算できる事業協同組合等算定特例は、厚生労働省によりますと、都内では一件が認定されてございます。
都は、この特例の活用を促進するため、障害者雇用に関する普及啓発イベントや、中小企業の経営者が集まる会議などにおいて、国とも連携しながら情報発信を進めております。
○上田委員 知事が宣言されてから、随分年月が、六年以上たっているんですけど、一件なんで、少ないなと思いました。
ソーシャルファームの認証についてですけれども、東京都ソーシャルファームの認証及び支援に関する指針で示されている一方、就労困難者の基準は設けておらず、都度、個別判断するとのことですよね。基準を設けていない理由と、個別判断するときの根拠につき、障害者手帳の有無、ない方の判断はどうするのか伺います。
○内田雇用就業部長 就労を希望しながら、様々な要因から就労することが困難となっている方は、多くの例が想定されるため、あらかじめ範囲は定めず、認証審査において、就労の困難性と配慮すべき実情等に応じた支援の必要性を個別判断することとしております。
この判断に当たりましては、対象となる方の了解の下、医師の診断書など、就労することが困難である事由を証明する書類や事業者の支援計画書を確認しております。
○上田委員 私が懸念しているのは、門戸は広いのはいいんですけれども、民間企業ですから、基本的に、全てが、何というんですか、慈善的な、利他的だとも限らないので、本来、該当しない人材でも認証を得るために頭数に入れてしまわないか、懸念するんですね。その点をどう排除できるのか、都内で想定されている就労困難者人数も確認をいたします。
○内田雇用就業部長 就労困難者であることについては、対象となる方の了解の下、医師の診断書など、就労することが困難である事由を証明する書類や事業者の支援計画書を確認した上で個別に判断しております。
なお、就労困難な方の例は多数ございますため、人数の想定は設定しておりません。
○上田委員 一応、でも、役所の事業というか、行政事業というのは、あらゆる対象になる人を想定して始めるということが私は大切なのかなというふうに思っていて、確認させていただきました。
既存の福祉系の障害者就労支援事業はたくさんあると思うんです。例えばA型とかB型とか、就労支援センターもやっております、区市町村の方でね。その違い、連携あるいはすみ分けについて伺います。
○内田雇用就業部長 就労系障害福祉サービスは、障害者総合支援法に基づき、企業における一般就労に向けた支援や生産活動の機会の提供を目的として行われるものでございます。
これに対してソーシャルファームは、障害者を含む就労困難者が雇用される場の拡大を目的としております。
連携につきましては、ソーシャルファームの取組を障害者の就労支援施設に情報提供し、雇用につなげるなどの取組を行っております。
ソーシャルファームとB型事業所を運営する法人では、障害者がB型事業所からソーシャルファームに移り、キャリアアップする仕組みを設ける事例も出てきております。
○上田委員 やっぱり福祉的な事業体とは切っても切れないのかなというふうには思っております。
なかなかそこの判断は難しいと思うんですけれども、この認証審査会なんですね、ソーシャルファームを認証する審査会で、三千万円計上されているんですが、誰が認証しているのか、普通、委員とか選定委員とかって出るじゃないですか。審議委員とか審査委員とか。それが公表されていないんですね。なぜ公表されていないのか、ちょっと分からないんですね。なぜ公表しないのか、審査会は外部委託なのか、選考するメンバーと人数、また、背後の属性ですよね、メンバーの。あと、報酬について、詳細なご説明をお願いします。
○内田雇用就業部長 認証審査会は、企業経営や就労支援の専門家等で組織し、その設置は指針に定めるほか、募集要項に記載し公表してございます。
具体的には、中小企業の経営や雇用管理に詳しい専門家二名、東京労働局一名、都の委員三名の六名で構成しております。
また、審査会は都が直接運営しており、外部委員には支払い基準で定めた単価と審査実績に基づいて、書類審査については一件当たり一万三千七百円、面接審査については一時間当たり一万三千七百円の謝金を支払っております。
委員に関する情報の公開につきましては、審査会の公正な運営に留意する必要があることから、募集要項等の公表資料では企業経営や就労支援の専門家等で構成する旨を記載し、職、氏名、人数は記載しない取扱いとしているものでございます。
○上田委員 情報公開一丁目一番地はどこに行ってしまったのでしょうか。審査会の公正な運営に留意する必要があるから情報公開しないというのは、選考過程も不透明過ぎますし、これってやっぱり税金事業ですから、クリアな人物によってクリアな、中の議事録は公開しないというのは分かるんですけれども、別に専門家二名と東京都の職員と都の委員ですから、出しても何ら関係ないはずなんですが、ここについては選考過程が不明過ぎますので、公表を強く求めておきます。
認証した後、ソーシャルファームの経営的な意味の継続性、継続性は、就労困難者がまた就労困難になって、会社とか企業体というんですか、事業体がなくなってしまうのは大変なので、就労困難者の就労が今後困難にならないためにも、不安感が残るので、見解を伺います。
○内田雇用就業部長 都は、ソーシャルファームに対し、計画段階で予備認証を行い、事業内容のブラッシュアップに向け助言するとともに、認証後の販路開拓をサポートするなど、事業継続の後押しを行っております。
これに加えて、来年度、事業者の成長段階に合わせ、事業拡大のための戦略づくりや障害者を中核人材として育成する仕組みづくりなど、個々の課題に伴走して解決をサポートする支援体制を構築し、自律経営を後押しすることとしております。
○上田委員 ちょっと訳の分からないといったら、審査のメンバーも分からないところで決まっており、これについて、支援体制を構築、自律経営を後押ししていくって、誰がどう後押しするのかというのもちょっと気になるところでございますし、最後の質問になりますけれども、五十五社の、今、認証したところの該当者は、一社平均六名ということなんですよ。六名ということは、三百三十名程度が困難を抱える人ということになります。
毎年十億円で、事業開始以来三十億もかけて三百三十名程度とありますと、一人一千万円もかかっているということになるんですよね。ご承知のとおり、A型やB型の工賃ってむちゃくちゃ低いじゃないですか。ごく限られた就労困難者だけの支援と数字だけ見れば分析せざるを得ないんですね。
さらに、令和七年に十億投入することは、いかに目的はよい事業であったとしても、不特定多数の、いろんな意味で障害の有無も超えて、困難を抱える人の支援には結びついていないということであり、この十億、また出すのかということをちゅうちょせざるを得ません。しかも、審査会は公表していないということでございますので、この点の見解を伺います。
○内田雇用就業部長 ソーシャルファーム支援事業の予算は、予備認証期間における整備、改修経費と併せて、認証後五年間の運営経費に係る補助金等を一括して計上する仕組みであることから、事業開始の初年度から毎年十億円程度の予算を措置しているものでございます。
認証事業所の数は着実に伸びており、就労に困難を抱える様々な方が社会の担い手として働き、活躍する場としてソーシャルファームの認知が広がっていくことにより、多くの就労困難者の雇用に結びついていくものと考えております。
○上田委員 多くって、三百三十名ですよね、今のところね。そこら辺の費用とかを考えていただきたいということで、冒頭に聞きましたとおり、産業労働局、九百五十六事業もありまして、多分、皆さんも把握できていないんだと思うんですよね。その中で、細かく聞いていったんですけれども、それの私の根底は、これ、東京都がやるべきことですか、民間に任せた方がいいんじゃないんですか、ちゃんと検証をしてくださいよということを強くいいたかったんですね。そこをもう一回考えていただきたいというふうに思っております。
また、個別の事業では、やっぱり産業、エネルギー対策、トランプ政権が誕生してすぐにトランプは脱脱炭素を高く掲げておりますし、日本の企業でも、いろいろなファイナンシャル系のところも、そうした脱エミ的な政策のところから脱退を表明し始めております。早め早めに、ZEVとか、あるいはカーボンクレジットとか、世界の潮流からもう半周遅れておりますので、アンテナを高く立てて、お財布のひもも締めていただきたいと。行き過ぎたゼロエミ、こうしたカーボンハーフ事業について、産労については抑制的にお願いしたいということと、重ねて、プロジェクションマッピング事業につきましては、ほかの産業振興支援にその八億円を、何ていうんですか、一般会計ですから、投資していくということを強く求めまして、また、女性支援については、もう出来上がった人ではなくて、底辺女性の就労支援に特化していくということを強く申し上げまして、私の質問を終わります。
○菅野委員 私の方から、まず、スタートアップの成長に向けた採用・組織構築支援事業について聞きたいと思います。
都内経済、ひいては日本経済の活性化を図る上で、新しいビジネスに挑戦する方々を応援していくというのは非常に大事だと思います。こうした観点から、何点かお聞きしたいと思います。
まず、スタートアップの成長に向けた人材面からの支援についてお伺いします。
スタートアップは、急成長を志向することから、その成長ステージに求められる人、人材の確保をタイミングよく行うこと、これが必要であります。しかし、採用を人脈に頼ることが多いスタートアップでは、それだけでは必要な人材を確保できなかったり、採用した人材が定着または活躍するための制度が整っていないことなどが要因となって、成長の足かせになっているという話も聞いています。
こうした採用が制度運用などに悩みを抱えるスタートアップへの支援を図るべきと考えますが、都の来年度の取組を伺いたいと思います。
○福田商工部長 都は、多くのスタートアップが経営課題と認識している採用や組織構築などを後押しする取組を新たに実施いたします。
具体的には、スタートアップの成長段階や事業内容ごとに求める人材の専門性や経歴などが異なることを踏まえ、それらに合致した就業に関心のある人材との交流イベントなどを年二十五回程度開催いたします。
また、採用計画や採用後の人事制度の構築などを検討するスタートアップに対し、それぞれの事業ステージや課題等に応じた個別の支援プログラムを二十社に実施してまいります。
○菅野委員 スタートアップの成長を促すという点では、これまで都が実施してきた事業計画の磨き上げや顧客獲得の支援などに加えて、こうした人材面からのサポートというのは非常に有効であると思います。ぜひしっかりと取組を進めていただきたいと思います。
こうした人材面からの支援は、ただいまご答弁いただいたスタートアップだけではなくて、事業承継に取り組む中小企業にも有効なものではないかと考えます。本定例会の一般質問において、我が会派の星議員からも質問をしましたが、優れた技術などを有する中小企業が事業承継を進めつつ、会社を成長させる手法として、後継者の代替わりを契機に新しい取組に挑戦する、いわゆる第二創業というのが注目されています。
民間の調査においても、七割の方が事業承継を機に始めた取組が売上高の増加などに結びついたという回答があるなど、こうした取組が業績の向上に寄与することを示すデータがある一方で、後継者からは、新たな取組にチャレンジしたいんですが、人材や技術、ノウハウが足りない、それで断念してしまったなどという声も聞いています。
こうした事業承継をきっかけとして第二創業を目指す中小企業を人材面から支援すべきと考えますが、都の来年度の取組を伺いたいと思います。
○福田商工部長 都は、事業承継を成長の機会として捉え、新たな取組にチャレンジする第二創業を支援するため、経営者がノウハウを得る機会の提供や経営者を補佐する人材とのマッチングなどを新たに行います。
具体的には、既に第二創業を行った経営者等とのコミュニティを立ち上げ、ノウハウなどの共有を図るための交流イベントなどを年八回程度開催いたします。また、経営者の補佐を行う新規事業の開発経験を有する人材とのマッチングを行い、事業の立ち上げに必要な経費として五百万円を上限に支援いたします。
これらによりまして、事業承継を契機とした第二創業を促進してまいります。
○菅野委員 そして、経験がある人たちとのマッチングとか、また、そういったスキルを持っているけれども、なかなか自分自身は経営者ではないけれども、そういったところで自分のスキルを生かしていきたいというような人たち、そういう人たちをうまくつなげていただいて、ぜひ新しい取組にできるようにしていただきたいなと思っています。
経済の活性化を図る上では、これまでの新規創業支援に加えて、こうした事業承継をきっかけとした第二創業、これを目指す中小企業のサポートは有効であると考えます。ぜひしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
そして、これまで主に人材という点に着目をして、スタートアップ、そして事業承継を行った中小企業の成長を促す支援を行うべきとの提案を行いましたが、都内経済、ひいては日本経済の発展のためには、こうした支援に加えて、新たな市場を生み出そうとする起業家を後押しすることも重要だと思います。
そのような思いから、私は昨年の事務事業質疑において、社会的なインパクトと経済的なリターン、この両立を目指す、いわゆる社会起業家の支援を訴えたところであります。都ではこうした声に応え、今年度から新たな取組を開始しており、支援プログラムに定員を大幅に超える募集があるなど反響があったと聞いています。
先ほど、上田理事からはどうなのかなというお話もありましたけれども、私はこうした社会起業家の育成の充実を図るべきと考えますが、都の来年度の取組について伺いたいと思います。
○福田商工部長 都は今年度から、社会課題の解決や起業家の創出を図るため、社会性と経済性の両立を志向する起業希望者に対し、事業計画の磨き上げなどを支援するプログラムを提供しており、二十名の定員に対し百三十名の申込みがございました。
来年度は、こうした支援を受けて起業した方などが事業を展開できるようにサポートを行うための新たなプログラムを立ち上げ、その規模を四十名に拡充いたします。
具体的には、投資家からの資金調達が受けやすくなるよう、社会的なインパクトの指標化や売上げの獲得に向けた専門家によるサポートなどを行います。
こうした取組によりまして、社会課題に取り組む起業家等への支援の充実を図ってまいります。
○菅野委員 社会起業家が取り組む領域というのは、収益化に時間を要したり、投資家からの理解が得づらいケースが多いと聞いています。こうした形で行政が支援を強化することは大変意義があることであります。しっかりと取り組んでもらうことを要望して、次の質問に移りたいと思います。
観光施策になりますけれども、まずは、江戸の文化財を活用した地域の観光振興についてお伺いします。
私の地元港区は、当時、江戸の玄関口として栄え、徳川家の菩提寺である増上寺をはじめ多くの歴史的建造物が残っています。都内各地には江戸から受け継がれてきた遺産があり、世界のほかの都市にはない独自の魅力となっています。
東京ならではの江戸の文化財の魅力を国内外の旅行者に実感してもらうためには、単に文化財を見せるだけではなくて、歴史的な背景やエピソードなどを加えて説明すると興味や関心も一層高まるものだと思います。また、江戸の文化財を活用することは、観光地としての魅力の向上につながるとともに、その価値を国内外の人々とも共有することで、貴重な財産を大切に守っていくという意識が生まれると思います。
こうした観点を踏まえて、都内の各地域が取り組む江戸の文化財を活用した観光振興を着実に後押ししていく必要があると考えますが、都の見解を伺います。
○江村観光部長 都は来年度、歴史的な建造物など、江戸の文化財を地域の貴重な観光資源として有効に活用できるよう、地域が一体となって学びを深めて観光振興につなげていく取組への支援を開始いたします。
具体的には、地域の観光協会が中心となった協議会を設置し、江戸の文化に精通した専門家のサポートにより、地域の住民が文化財の価値を学ぶことができるワークショップなどの機会を提供することを通じ、観光面での活用につなげる機運を醸成いたします。また、文化財の魅力をストーリー性も交えながら解説するガイドの育成や、地域の文化財をめぐる観光ツアーの造成など、計画の策定段階からその実施に至るまで、地域が主体となった誘客の取組を後押ししてまいります。
○菅野委員 江戸の歴史や文化というのは、今に息づく東京の貴重な財産であると思います。地域の宝である江戸の文化財が多くの旅行者を引きつける観光資源として十分に活用されるよう、都が地域の取組をしっかりとサポートしていただくことを要望いたします。
次に、観光事業者のデジタル技術の活用支援について伺います。
観光業界では、空前の人手不足が続いていて、人材の確保と併せて業務の効率化が喫緊の課題となっております。デジタル技術の導入は、こうした課題を解決する上では有効な手段であります。しかしながら、多くの中小の観光事業者は、デジタル技術を活用していくためのノウハウや資金が十分ではなくて、必要性は分かっているものの、どこから手をつけてよいのか分からないといった声を聞いています。
そこで、都は、中小の観光事業者がデジタル技術を有効に活用できるように手厚いサポートを行っていくべきと考えますが、見解を伺います。
○江村観光部長 都はこれまで、デジタル技術を活用した業務の効率化等に取り組む中小の観光関連事業者に対し、設備や機器の導入等に必要な経費の助成を行ってまいりました。
来年度は、事業者がデジタル技術の導入を円滑に進められるよう、観光業界における取組事例に精通した専門家による新たなサポートを開始いたします。
具体的には、事業者からの相談を受けて現場の課題を抽出し、その解決に資する最適なシステムの導入等の提案を行います。また、取組内容に応じた助成金などの支援につなげるとともに、導入後も着実に活用が図られるよう、アドバイスを提供いたします。
このほか、観光業界におけるデジタル技術の活用事例などを紹介するセミナーを年四回開催しまして、観光関連事業者による積極的な取組を促してまいります。
○菅野委員 観光業界の人手不足というのは、本当に早急に対応が求められています。特に、今インバウンドが非常に増加する中で、一刻の猶予も許さないといわれています。都の新たな支援によって観光業界のデジタル化の取組が着実に前に進むように、よろしくお願いしたいと思います。
次に、観光振興におけるデータの有効活用について伺います。
地域で戦略的に誘客を図るためには、旅行者のニーズや動向などについて、様々なデータを活用して把握する必要がある、それが効果的であると思います。
一方、観光協会などからは、データ活用の必要性は認めながらも、ノウハウがなく、何から始めればよいのか見当がつかない、データはあるが、分析や利用の方法が分からないなどという声も聞いています。
こうした中、今月、都の支援事業の成果報告会が開催され、私の地元港区からも港区の観光協会が発表者として参加をいたしました。そこの中で、港区を訪れた方がどこから来て、区内のどこを訪問したのかなどが正確にデータで把握できたということで、今後も積極的にデータを活用して観光振興に取り組みたいというお話がありました。
そこで、今後もこのようなデータの活用を希望する地域の観光協会などに対する支援を着実に進めるべきであると考えますが、都の見解を伺います。
○江村観光部長 都は現在、区市町村や観光協会等が連携し、旅行者の周遊促進や消費拡大などに役立つデータを活用して観光振興を図る取組をサポートしております。
令和五年度より、毎年三地域を選定してデータマーケティングの専門家を派遣し、データの収集や分析、課題解決に向けた対策の実行や、その効果検証までのサイクルを二年間にわたり伴走支援をしております。
来年度は、データを活用した観光振興へのさらなる関心を高めるセミナーを年二回開催して、先進的な取組事例を紹介しますとともに、オープンデータを用いた分析を体験するワークショップなどを実施いたします。
○菅野委員 ご答弁いただいたように、このデータの活用事業というのは、二年間にわたる手厚い支援を受けることができるということで、人員体制などが盤石とはいえない地域の観光協会などにとっては大変心強いものとなっています。来年度から開始するセミナーによって、地域の取組を一層促進し、観光分野におけるデータの有効活用が今まで以上に進むように、よろしく都のサポートを求めて、私の質問を終わります。
○小林委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後五時四十二分休憩
午後六時開議
○小林委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○福島委員 女性活躍の輪の戦略的展開について伺います。
世界経済フォーラムが毎年発表しているジェンダーギャップ指数の二〇二四年における日本の順位は、前年の百二十五位から幾分持ち直して百十八位となりましたが、依然として低迷をしています。
私にとって、この女性活躍推進は、政治家として取り組む三つの柱のうちの一つです。
一般質問では、制度融資の女性活躍推進枠、TOKYOウィメン・ビズ・サポートの対象拡大を取り上げましたが、それ以外にも、キャリアアップを目指す女性向けの講演会の対象に、登用する側の男性管理職も加えていただいたり、都営住宅にお住まいの方、このシングルマザー向けの就労支援セミナー、これについては今日の午前中にも都内で開催していただくなど、当事者や専門家の声を聞きながら、都内で暮らす女性、お一人お一人が自分の持てる力を発揮できる社会に向けて、提案を重ねてまいりました。
いうまでもなく、小池都知事就任以降、東京都は多角的に女性活躍推進に取り組んできています。
私のところにも、この東京都女性ベンチャー成長促進事業、APT Womenウーマンに参加して、仲間ができて起業につながったという声や、レディGO!ワクワク塾に参加し、小さい頃からの夢であった学校の先生になれたという声が届いています。
こうした声から、女性活躍の裾野を拡大していく上で、同じ志を持つ女性たちがつながり、交流できる機会を増やすことの重要性を改めて認識したところです。
都は、来年度の新規事業として、女性活躍の輪の戦略的展開に取り組むとしていますが、これまでどのような女性同士の交流の場を設け、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
○吉浦働く女性応援担当部長 都はこれまで、女性経営者や女性起業家等が相互につながり、情報交換やビジネス上の交流を可能とするネットワーク構築を支援してまいりました。
女性経営者を対象としたNEW CONFERENCEでは、直面する課題の共有とともに相互の交流を深める機会を提供し、今年度は、過去最高の千二百四十名が参加しております。
また、経営者の意識改革や職場の文化の変革を促す東京女性未来フォーラムでは、企業内の女性活躍に向けた課題や解決策などについて情報交換が行われております。今年一月に開催いたしまして、約千八百名が参加をしております。
さらに、女性起業家の成長を支援するAPT Womenも実施し、経営の知識を提供し、海外展開のきっかけとなるプログラムを提供しております。これまで二百八十名を支援し、昨年度までに総額約百九十八億円の資金調達に結びつけております。
来年度は、こうした取組を女性活躍の輪、Women in Actionの下、一体的に開催し、女性の経済分野における活躍を促す機運をさらに高めてまいります。
○福島委員 これまでの各種事業において、参加者同士のネットワーク構築を意識して実施してきたこと、また、APT Womenの成果として、昨年度までの二百八十名の参加者による資金調達額が総額約百九十八億円になったとのご答弁でした。知事が常日頃、女性の力は未利用エネルギーであると述べられてきましたが、そのポテンシャルを示す数字だと思います。
この資金調達額は、スタートアップについてのデータベースを調べた値であるというふうに聞いております。女性活躍のみならず、スタートアップ振興策の成果検証方法として大変有用であると考えます。
また、来年度は、こうした取組を女性活躍の輪、Women in Actionの下、一体的に開催し、女性の経済分野における活躍を促す機運をさらに高めていくとの答弁がありました。
私は前職で、育児休職後に復職した後に取り組んだ、眼鏡を使わなくても立体に見える液晶テレビの開発に世界初で成功するなどの幸運に恵まれたことで、女性と経済活動をテーマにしたAPEC二〇一一に、日本から選ばれた女性イノベーター二名のうちの一名として招待されました。
ここで、当時のヒラリー・クリントン長官が、女性の地位向上には、法制度の整備だけではなく、人の意識や社会、文化を変えるというソーシャルウイル、社会的意思の形成が必要であるというスピーチをされたことが大変印象に残っています。
日本を代表して参加させていただいたので、そこで聞いたことをやっぱりきちんと広げていきたいなという思いがあるわけですけれども、女性の地位向上がこの国のソーシャルウイルになるよう、引き続き、都が女性活躍を牽引していただきたいと思います。
とはいえ、中小企業で働く大多数の女性にとっては、いまだ身近なロールモデルが圧倒的に不足しています。
昨年の末、東京ウィメンズプラザの働く女性のキャリア形成に向けた講演会で、私がウーマン・オブ・ザ・イヤーの大賞を受賞したときの日経ウーマンの編集長で、日経BP社で執行役員も務めた女性リーダーの講演を聞く機会がありました。
学びが大変多い講演でございましたが、中でも印象的だったのが、男性には、この人でも管理職が務まるんだという、別の意味で勇気づけられるロールモデルがいるという話です。
働く女性への総合サポート事業の一環として、九月十一日に青山にオープンしたはたらく女性スクエアの総合相談窓口には、相談する時間がない、相談できる人が身近にいないといった、働く女性に対して、抱える悩みをしっかりと受け止め、対応する役割が求められています。
そこで、はたらく女性スクエアの総合相談窓口の実施状況と、来年度に向けてどう取り組むかを伺います。
○新田事業推進担当部長 はたらく女性スクエアの総合相談窓口では、働く女性のキャリアアップや育業との両立等に関する悩みに対して、キャリアコンサルタントと管理職経験者等のメンターが相談に応じております。
この窓口では、女性社員や管理職が利用しやすいよう、対面に加えてオンライン等での相談も行い、平日の夜や土曜日も運営しております。
今年度は、九月の開設から二月末までに、キャリア相談を千三百五十件、メンター相談を四百十六件実施いたしました。
来年度は、保健師等の専門家による健康相談も開始し、女性が抱える健康課題と仕事の両立の相談等にきめ細かい対応を行ってまいります。
○福島委員 おおむね、この半年の実績からは、女性のニーズに応える事業になっていることが分かりました。また、来年度は健康相談も開始するということで、引き続きの取組をお願いいたします。
女性活躍推進法が成立して間もなく十年、この間、企業において女性が活躍できる行動計画の策定、公表、そして管理職に占める女性労働者の割合や男女間の賃金格差の公表などの取組が行われるとともに、国も、プライム市場に上場する企業の女性役員の比率を二〇三〇年までに三〇%以上とするという目標を掲げています。
私は、さきに述べた製品開発において、当時、子育て中でありながら、工場や生産技術研究所の様々な専門家と連携して取り組む、製品の構造を決定するチームのリーダーという重責を負ったことが、大変ではあったんですけれども、その後、マネジャー職を務めたり様々なチャレンジをするに当たって、あれができたのだったらこれもできると自信になりました。
女性管理職を育てるためには、女性がリーダー役を務め、重要な意思決定の場に参画するなどの経験を積む機会が大変重要です。
機関投資家の投資判断においても女性役員比率を考慮する傾向がある中、経営を担う女性の人材が不足する企業では、女性の社外取締役、社外役員を置くことで、その役員比率を高める実態がありますが、これによって社内の女性の育成が軽視されるようなことがあってはなりません。
企業の持続的成長につなげるため、社外からの人材確保だけではなく、社内で人材を育成し、意思決定の場に参画する女性を増やしていくことが必要であると考えますが、都の取組について伺います。
○吉浦働く女性応援担当部長 社内から登用できる女性役員を増やしていくためには、将来経営の中核を担う意思決定層において力を発揮できる人材を育てていくことが必要でございます。
都は今年度、リーダーを目指す女性向けに、マネジメントに必要な知識やスキルを学べる全四回のプログラムを二期実施し、約五十人が参加いたしました。来年度は、規模を三期に拡大し、女性リーダーの育成を強化してまいります。
また、女性活躍に課題を感じている企業を対象に、多様な人材を生かす経営や長期的な女性の育成方法などをテーマにした交流会を、来年度は八回から十一回に拡充いたしまして実施いたします。
さらに、計画的に女性管理職を増やす取組を行う企業に奨励金を支給し、後押しする事業も引き続き実施してまいります。
こうした様々な取組を通じて、女性の登用を促進してまいります。
○福島委員 特に、子育て中の女性に対して、ここにも管理職でいらっしゃる方がたくさんいらっしゃいますけれども、管理職や企業の方からは配慮して、そして女性自身は迷惑をかけたくないという思いから、サブリーダーを務めるケースが少なくありません。
しかしながら、子育て中の三十代、四十代、リーダーを務めて経験を積むのとサブリーダー役を務めるのでは、経験の絶対値が全く異なってきます。
女性管理職を選びたくても能力がある女性がいないと話す経営者を見かけることがありますけれども、もし社内にそのような女性がいないのであれば、足りないのは能力ではなく経験です。育成できていないことを反省した方がいいと思います。
既に都庁内においては、知事就任以降、女性を管理職に登用する文化が根づいており、今のような話は珍しくもないと思いますけれども、中小企業ではまだまだです。
都庁内での実績を含め、役職者に登用し、経験することで女性がリーダーとして育つことを、プログラムや交流会、そして企業の経営者に伝えていただくよう要望いたします。
女性の処遇について、昨日発表された二〇二四年の全国調査のデータでは、フルタイムで働く女性の賃金は、男性を一〇〇とすると七五・八と八割に満たない水準にとどまっています。
一方で、私がウーマン・オブ・ザ・イヤー大賞の受賞者として出席した女性活躍関係のシンポジウムの一つでは、スウェーデンから参加したパネリストが、パートタイマーであっても管理職になれると紹介していて、衝撃を受けたことを覚えています。
都は、私たちの提案に応え、今年度から、短時間労働者などの非正規従業員の処遇改善に取り組む企業の支援を行っていますが、短時間労働者でも管理職に登用する取組内容の申請状況と今後の取組について伺います。
○内田雇用就業部長 都は今年度、女性活躍推進法に基づく行動計画を作成し、男女間賃金格差を公表する企業が役職手当の支給対象となる女性社員を増やすなどの取組を一つ以上行う場合に、三十万円の奨励金を支給する支援を開始しております。
この支援では、短時間労働者など非正規社員の登用が可能な役職を新設する取組も支給対象としており、この取組に関する申請は、令和七年一月末までに十九件受け付けております。
来年度は、女性管理職の増加など一つの取組ごとに三十万円を支給する仕組みとするとともに、非正規社員に退職金制度を導入する場合に十万円を加算することとし、最大百万円を支給する新たな支援を開始いたします。
これにより、女性管理職比率の向上と男女間賃金格差の解消を一層促進してまいります。
○福島委員 中小企業にはまだまだハードルの高い事業かと思っていましたが、短時間労働者でも管理職に登用する取組内容の申請が十九件あったということで、前進が見られて大変うれしく思います。
女性管理職比率の向上と男女間賃金格差の解消に向けた取組を多角的に行うことで最大百万円を支給するという、より力強い後押しへと事業が展開していることを評価いたします。
最後に、米国では二〇一〇年より、連邦政府の公共調達のうち五%、約三千億円を女性経営者に優先発注する女性優先調達プログラムを開始しています。
女性経営者の定義は、主要株主が女性で、かつ五一%以上株式を保有することとのことです。女性経営者が育ってきた暁には都でも検討できると思いますので、紹介をさせていただきました。
次に、共生社会の実現に向けて二問伺います。
まずは、B型事業所とソーシャルファームの連携について伺います。
一般就労を目指す障害者の方が雇用ではない形で働くB型就労の事業所には、高い集中力を持ち、健常者でも難しい仕事に従事している人もいます。
そこで、B型事業所が就労困難者を雇用するソーシャルファームと連携をすれば、障害者の処遇をより高められる可能性があると考えています。
こうした観点で、昨年の各会計決算特別委員会では、都からの、B型事業所を運営する法人によるソーシャルファームを経営する事例があることを確認し、今後、福祉局と連携して拡大することを要望しました。
そこで、B型就労とソーシャルファームの働きかけについて、来年度の取組について伺います。
○内田雇用就業部長 ソーシャルファームの認証事業所がB型事業所と連携を図ることは、企業等で働くことが困難な障害者の雇用の機会の拡大と処遇向上につながり、効果的でございます。
このため、都はこれまで、B型事業所を運営する法人がソーシャルファームを立ち上げた好事例の情報発信などを行っており、来年度は、そうした普及啓発セミナーの拡充を図ります。
具体的には、就労支援機関向けのセミナーを新たに実施し、B型事業所で働く方がソーシャルファームで雇用され、キャリアアップする仕組みを構築した先進事例などを紹介いたします。
また、参加者の交流を促すグループワークも行い、ソーシャルファーム設立へ行動するきっかけを提供いたします。
セミナーの実施に当たりましては、福祉局と緊密に連携し、多くのB型事業所の運営法人への周知を行い、ソーシャルファームの裾野の拡大につなげてまいります。
○福島委員 障害のある子供の保護者の皆様からは、親亡き後の子の経済状況に関するご相談の声を本当に多くいただいてきました。
福祉局と連携し、B型事業所で働く皆様のキャリアアップにつながる好事例を多く生み出していただきたいと思います。
次に、介護休業取得応援事業について、ケアが必要な子供を持つ親に向けた周知について伺います。
都は、私たちの要望を踏まえ、昨年度、都立の特別支援学校において、医療的ケア児を抱える保護者の付添期間の短縮化を図るためのガイドラインを策定して負担軽減に取り組んでおり、そのことは高く評価をするものです。
しかし、期間の短縮化にも限界がある中、医療的ケア児や障害を持つ子の保護者にとって、学校への付添いと仕事の両立には、なお困難が立ちはだかっているという現状があります。
令和四年度の都の調査では、就労せず就職活動をしていない親のうち、父親は約三割、母親は約七割が、子の介護を理由に仕事を諦めているということです。
国では、高齢者の介護のイメージが強い介護休業について、障害のある子供や医療的ケア児も対象であることを明確にするべきとの議論があり、本年四月をめどに、この考え方に沿った新しい運用を目指す動きがあります。
改正育児・介護休業法においても、本年十月から、短時間勤務制度や子の看護休暇を、子供に障害がある場合に延長することが企業の努力義務になります。
都は、医療や介護を抱える従業員が円滑に仕事との両立ができるよう支援に取り組んでいるところであり、ケアが必要な子を持つ親もその対象であることを広く周知するべきと考えますが、見解を伺います。
○新田事業推進担当部長 障害のある子や医療的ケアを必要とする子を持つ親が、介護や看護をしながら就労するために必要な支援について、広く普及を図ることは重要でございます。
都は、育児や介護に直面しても仕事を継続できるよう、休業や休暇の充実等に取り組む中小企業を支援するとともに、仕事との両立に役立つ情報を幅広く発信しております。
今後、こうした都の支援策の周知に当たり、子供を介護する場合も支援の対象であることを、リーフレットやウェブサイトで分かりやすく情報提供いたします。
あわせて、法改正の状況等について、動画やシンポジウムで丁寧に啓発してまいります。
○福島委員 ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
次に、人手不足業界への人材確保について伺います。
企業の現場で、人手不足が大きな課題となっています。人手が足りないばかりに、企業が本来提供できるサービスの水準が低下し、都民生活にも大きな影響が出ることが危惧されます。
とりわけ、特定の業種で深刻になっています。都内の有効求人倍率を見ますと、人手不足感は、業種、職種によって大きな差があり、中でも、二〇二四年問題を抱える建設、運輸業界やインバウンドが急増している観光関連産業などにおいて、この人手不足が慢性化しています。
また、二〇二五年問題に直面する介護業界も、やはり人手不足に苦しんでおりまして、都民生活に直結するだけに、都として、こうした業界への人材シフトに積極的に取り組むべきです。
都はこれまでも、こうした人手不足に課題を抱える業界への人材シフトを促すため、補正予算などにより、緊急対策としてマッチングイベントに取り組んできましたが、こうした取組を途切れさせることなく実施していくべきと考えますが、見解を伺います。
○内田雇用就業部長 都は、人手不足に悩む業界の人材確保を後押しするため、コロナ禍から需要が回復した観光、飲食や、時間外労働の上限規制の適用となった建設、運輸、人材ニーズが高まっている環境分野を対象にマッチングイベントを行ってまいりました。
この取組について、来年度は規模を拡大し、人手不足が今後さらに深刻化することが見込まれる介護も対象に加え、百社の求人企業と六百人の求職者が参加する合同就職面接会を、産業分野別に合計三回実施してまいります。
また、面接会に先立ち、求職者向けにそれぞれの産業の魅力を伝えるセミナーを開催するとともに、企業向けに採用ノウハウなど人材確保に役立つセミナーを実施し、効果的なマッチングを後押ししてまいります。
これらにより、人手不足に課題を抱える業界への人材シフトを促進してまいります。
○福島委員 介護業界を対象に含めることを評価します。事業者、働き手ともに大切な事業ですので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
次に、DX実践人材リスキリング支援事業について伺います。
私はこれまで、DXに取り組みたくても人材が確保できない点や、社内の人材を育成したくても教育を受ける時間的余裕がないという、中小企業から寄せられている声をこの場で伝えてきました。
都は、こうした指摘を受けて、中小企業にアドバイザーを派遣したり、オンライン授業を導入するなど取組をアップデートしてきており、私のところにも評価する声が届いています。
そこで、都は、来年度、DX実践人材リスキリング支援事業をどのように見直していくのかについて伺います。
○内田雇用就業部長 中小企業がデジタル化を円滑に進める上で、その従業員がDXの知識を効率的に身につけ、より実践的なリスキリングを進めることが重要でございます。
このため、都は、社内でのデジタル教育の計画の策定をサポートするとともに、それに基づき、DXの推進役となる従業員がeラーニングで訓練を受講する取組を伴走型で支援しております。
来年度は、支援規模をこれまでの年間二百五十社から三百社に拡大し、より多くの中小企業におけるDX人材の育成を後押ししてまいります。
加えて、従業員がデジタルを活用し、自社の収益の向上や業務の効率化等を担う中核的な人材として成長できるよう、継続してフォローアップする研修を新たに設け、中小企業のDXを着実に進めてまいります。
○福島委員 規模を拡大するとともに、これまでの事業をさらにブラッシュアップして、フォローアップ研修を新設するというご答弁でした。よろしくお願いいたします。
次に、一次産業について幾つか伺います。
森林は、土砂災害を効果的に抑止する動きや、水源の涵養、そして二酸化炭素の吸収といった役割があり、こうした貴重な森林を将来にわたり維持管理することが必要です。
しかし残念ながら、林業の担い手は減少しています。その理由に、自然に触れる機会が少ないことも考えられます。小さい頃から自然に触れる楽しさや森林の役割への理解を深めることは、林業の担い手の確保、ひいては森林循環の機運醸成にもつながり、大変重要です。
都は今年度、子供たちが林業に親しめるイベントを実施しましたが、その内容と来年度の山しごと普及啓発促進事業の取組について伺います。
○榎園農林水産部長 都は今年度、国産木材を活用した展示商談会、WOODコレクションJAPAN ReWOODを八月に開催し、その中で、親子での丸太切り体験や、作業に使う道具や装備の展示など、山の仕事についてPRするイベントを行いました。
来年度は、このイベントを若者や親子が参加しやすい内容として規模を拡大し、多摩地域において実施いたします。
具体的には、今年度行った林業従事者によるチェーンソーパフォーマンスやトークショーを充実するほか、新たに、大型の先進林業機械の展示やVR機器による林業体験などを加え、子供たちも楽しみながら林業の魅力に触れられるイベントとすることで、山で働くことへの関心を高める機会を提供いたします。
○福島委員 こうした体感型のイベントは、林業への関心を持つきっかけにはなると思います。
今後、さらに林業振興につなげるためには、例えば、宿泊しながら長期的に林業体験を行えるなどグリーンツーリズムを推進することが有効だと考えており、改めて提案をいたします。
また、事務事業質疑でも指摘したとおり、林業の担い手が減少する状況にあって、管理する負担が少ない広葉樹への植え替えも有効であると考えます。
調査研究を始めるなど、施策の検討を行うべきことを申し上げまして、次の質問に移ります。
農業者のきめ細かい指導の下、野菜づくりを学べる農業体験農園は、都民が農業に気軽に触れ合えて、農家との交流が生まれるなど、貴重な存在です。
私は、こうした体験農園や食事を楽しむ農業カフェなど、グリーンツーリズムへの取組を二十三区の農家の皆様に提案したところ、ぜひともチャレンジしたいとのお声をいただきました。
また、先日、卒業式で伺った都立園芸高校でも、市部において体験農園を開きたいけれども、なかなかこれが難しい。そういったお声もいただきました。
こうした多様なニーズに応え、農業体験農園の開設や経営面での支援をきめ細かく行うことが必要です。
都は来年度、農業体験農園の開設支援事業に新規に取り組むとしていますが、都は、農業体験農園が広く都内で展開されるよう、どのように取り組んでいくのか、来年度の取組について伺います。
○榎園農林水産部長 都は来年度、農業者による体験農園の開設促進に向け、新たな取組を開始いたします。
具体的には、農業体験農園の特徴やメリットなどを紹介する動画をつくり、ホームページなどで発信しますとともに、開設を目指す農業者のための相談窓口の設置のほか、栽培の計画や指導方法など、運営ノウハウを学ぶための研修会を年間二十回開催いたします。
また、農産物のブランド化や加工品開発に取り組む農業者を支援するため専門家派遣などを行っており、来年度は、新たに複数の分野の専門家によるチームでの支援を五回まで利用できる取組を開始いたします。
この中で、体験農園や農家カフェの開設を目指す農業者に対し、観光やレシピ開発の専門家によるきめ細かなサポートを実施してまいります。
○福島委員 インバウンドが増える中、農業体験は、こうした方々のアクティビティーの一つとして可能性があると思います。
農家の収益向上として期待できますので、こういった農業者がこれらの支援を活用できるよう、広く周知を図っていただきたいと思います。
次に、農地を増やす取組について伺います。
東京の農地は、都市の貴重なグリーンインフラの一つであり、本当に維持、確保していくべきものなんですけれども、相続等の理由から年々減少してしまっています。
一方で、意欲的な農業者の皆様の中では、収益力を高めるため、農地を増やして生産量の拡大を図りたい方もいらっしゃいます。区内で農地を広げたいという農業者もいるが、この、生産緑地を借りることは難しく苦労している、こういった声が届いています。
生産力の向上を目指す農業者が農地を確保しやすくなるよう取組を進めることは、東京農業の活性化や農地の保全、もちろん、このグリーンインフラの一つとして、しっかりと維持をしていくためには重要です。
都は、未来に残す農地の、東京の農地プロジェクトとして農地の確保に取り組んできましたが、都は、経営規模を拡大したい農業者が農地を取得しやすくなるよう支援を強化するべきと考えますが、来年度の取組について伺います。
○榎園農林水産部長 都は現在、生産緑地を長期にわたり貸し出す土地所有者に対し、十アール当たり市部二十万円、区部三十万円の奨励金を支給する事業を行っておりまして、今年度の申請実績は、二月末現在で三件、約五十アールでございます。
来年度は、支給額を地域にかかわらず百二十万円に増額しまして、収益力の向上を目指す農業者が栽培面積を増やす取組等を一層後押ししてまいります。
また、農業者が古くなった貸家等を農地に転換する際に、建物の基礎の撤去や土の入替えなどに係る経費の補助率を二分の一から三分の二に引き上げます。
○福島委員 この支給額、本当に大幅な増額と、そして経費の補助についても、この補助率を引き上げるということで、大変力強い後押しになると思います。人口減少社会が進み、都会でも、都市部においても空き家が問題となる中、こうした農地を創出する先駆的な取組の意義は大変大きいと思います。
都は、制度の周知を図るなど、引き続き都市農地の保全、そして確保、これに全力で取り組んでいただきたいと思います。
次に、江戸東京きらりプロジェクトについて伺います。
都は、江戸切り子や江戸小紋、組みひもや江戸東京野菜など、都内の伝統的産業を東京ブランドとして確立するために、平成二十八年から江戸東京きらりプロジェクトを開始、来年度も予算を拡大して実施するとしています。
今年度の成果について伺います。
○齋藤企画調整担当部長 江戸東京きらりプロジェクトでは、江戸から続く老舗の技や商品を東京の宝として、その価値の向上や販売力の強化などに取り組む事業者を支援するとともに、国内外に発信する取組を進めております。
具体的には、専門家の助言によるブランディングや商品のブラッシュアップの支援を二か年にわたり行っております。
また、幅広くその魅力を伝えるため、SNSや国内外の雑誌等を活用したPRを行うとともに、今月上旬には、ユニークベニューを活用した展示販売イベントを三日間開催いたしまして、多くの集客を実現し、来場者からは、伝統技術を生かし、現代に合わせた商品を生み出していることが分かったなどの声がございました。
さらに、販路の拡大に向け、フランス国際見本市への出展やロンドンでの商談会などを通じて海外のバイヤー等との商談につなげるとともに、羽田空港内でのポップアップストアや百貨店と連携した販売イベントの開催などによりまして、国内外での新たな顧客の獲得を後押しいたしました。
昨年実施したアンケートでは、都が支援した事業者のうち約七割が、直近一年間で売上げが向上したとの回答を得ておりまして、引き続き、本プロジェクトによって、東京の伝統ある産業の魅力向上と持続的発展を支援してまいります。
○福島委員 大事な取組であるからこそ、ちょっと私からは一言申し上げたいことがございます。
まず、専用のサイトや江戸東京リシンク展、これの動画も見させていただきました。大変美しく仕上がっております。一方で、世界的なライフスタイルのトレンドとしてはサステーナブルや快適性、脱炭素社会への移行などがあり、つまり、いいものを選び取り、長く使うという潮流があります。これも意識していただきたいと思います。
例えば、日本には用の美という考え方があります。江戸切子も、美しいだけではなくて、手なじみのよさ、持ちやすさが共存するたたずまいが美しさを増していると思います。
専門的なことは専門家に任せたいところですが、都内の伝統的産業を産業として維持したいのであれば、より多くの皆様に日常的に使うものとして選び取ってもらう必要がございまして、生活のレベルを上げる品物の目利きで定評があるセレクトショップ、様々ございます。世界的に展開しているところもあります。こういったところで選ばれるなど、そういったことを目指して取り組んでいただきたいということを申し上げたいと思います。
次に、都内のプロジェクションマッピングについて二問伺います。
都庁舎に投影するプロジェクションマッピングを開始して一年が経過をいたしました。
都民広場には、連日、旅行者がここでしか見られない音と光のショーを楽しむ姿が見られ、新たな観光スポットとして認められつつあるというふうに感じます。
本事業は、東京のランドマークである都庁舎で実施することで、西新宿を中心に飲食店の利用者を増やしたり、訪れた記念に買物をしていただくなど、雇用創出や経済効果を高めるための取組と理解していますが、目的や意義を丁寧に都民の皆様にも伝えていくことは大切です。
また、観覧に訪れた方の前後の行動を調べることは、プロジェクションマッピングの経済効果を高める次の取組を検討するために必要であり、人流データを使った現状把握を求めてきたところです。
都庁舎のプロジェクションマッピング事業の成果をエビデンスベースで評価し、見える化を図っていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
○江村観光部長 都庁舎のプロジェクションマッピングは、昨年二月の事業開始からの一年間で約五十二万人が観覧しており、映像制作や観覧者の観光消費等による経済波及効果は、昨年度の決算額約六億四千万円に対し、約十八億三千万円と試算いたしました。
プロジェクションマッピングを鑑賞する旅行商品の販売や飲食イベントの開催など、観光事業者などによる新たな取組が見られており、約一千名の観覧者を対象に実施したアンケート調査によりますと、回答者の九六%の方が、観覧の前後に周辺で食事や買物、観光などを楽しんでいるとの結果が得られております。
今後は、こうした事業効果を示すデータについて、ウェブサイトやSNSにより分かりやすく発信するとともに、経済波及効果の試算に当たり、位置情報による人流データの活用など、新たな工夫も講じてまいります。
○福島委員 経済波及効果の試算に、人流データを新たに活用するというご答弁がありました。この施策の価値を高めていくためにも、エビデンスベースでの取組のブラッシュアップを求めたいと思います。
都庁舎でのプロジェクションマッピングのほかに、都は、各地域のプロジェクションマッピングイベントへの支援としてプロジェクションマッピング促進支援事業を行っており、来年度予算では、これを拡大するとしています。
インバウンドが過去最高を記録する中、その恩恵を得ようとする各地域が、本事業を活用して創意工夫できることは大切です。
そこで、プロジェクションマッピング促進支援事業の成果と今後の展開について伺います。
○江村観光部長 都は平成三十年度から、区市町村や観光協会、民間事業者等が実施するプロジェクションマッピングの取組に対し、必要な経費の最大二千万円を上限に三分の二を助成しており、これまでに十五件を採択しております。
この支援を通じまして、築地本願寺や東京タワーといった地域の象徴的な建築物や商業施設などにプロジェクションマッピングを投影するイベントが実施されており、これにより、多くの観覧者を集め、地域のにぎわいを創出しております。
主催者からは、かけがえのない満足度の高い体験となった、コンテンツとしての注目度を生かして今後も実施したいなどの声が寄せられております。
来年度は、助成限度額を二千五百万円に引き上げるとともに、助成規模も増やすことにより、地域の取組をさらに後押ししてまいります。
○福島委員 実績や利用者の声を分析して、次の取組に生かしていくことは大変重要です。
東京だけじゃなくて、世界各国、都市部において、こういったプロジェクションマッピング、本当に行われるようになっておりまして、もうこれからは、心に残る体験にしていくためには目新しさや楽しさを売りにするのではなくて、その場所の歴史をひもとき、必然性のあるストーリーにしていくべきという専門家の声もありまして、私も本当にそのとおりだと思います。
地域ごとにトライ・アンド・エラーがあると思うので、これらを分析し、そして、このプロジェクションマッピングの質の向上につながるポイントを整理してこれから取り組む地域に伝えていくなど、東京のナイトタイム振興に確実にこれらの事業をつなげていっていただきたいと思います。
次に、運輸部門における脱炭素化の進捗状況等について二問伺います。
ゼロエミッション東京の実現に向けては、走行時にCO2を排出しないZEVの普及など、運輸部門の取組は大変重要で、都は、普通車両だけではなく、バス、トラック、バイク、シェアリング用車両のZEV化、そして充電環境については、来年度から新たにEVバイクについても整備に取り組むとしています。
一方で、アメリカの政策変更など、世界の自動車産業を取り巻く環境は大きく変化しており、昨年以降、EVの販売が世界的に頭打ちになったという報道もあります。
そこで、これまでの運輸部門における脱炭素化の進捗状況と、ZEVの普及に向けた今後の取組について見解を伺います。
○米澤産業・エネルギー政策部長 東京の脱炭素化を進める上で、ZEVの普及をはじめとした運輸部門における対策は重要でございます。
都は、環境基本計画において、二〇三〇年カーボンハーフの達成に向けて部門ごとのCO2削減目標を掲げており、運輸部門については、産業部門や家庭部門を大きく上回る、二〇〇〇年比六五%程度の削減を目標としております。
都は、この目標の達成に向けて、都民や事業者がZEVを購入する際の負担を軽減するために、費用の一部を支援するなど様々な取組を進めておりまして、二〇二二年度の運輸部門におけるCO2排出量は、速報値で五〇・七%減少してございます。
来年度は、自動車メーカーの環境負荷低減に向けたさらなる取組を促すため、バッテリーリサイクルの取組などを幅広く評価してZEV購入時の支援に反映することで、補助額を最大で百万円に引き上げます。
こうした取組によりまして、カーボンハーフの実現に向け、運輸部門の脱炭素化を加速してまいります。
○福島委員 二〇二二年まで、この運輸部門のCO2削減が順調に進んでいる、こういうことを確認させていただきました。
一方で、私の地元の国道二四六号線などは、長きにわたり渋滞が解消されない状況が続いており、円滑な交通が阻害されることで環境への負荷を増大させている状況が続いています。
私は、公共交通の利用は、自家用車の利用を減らし、渋滞の解消、ひいてはCO2の削減につながることから、昨今の運転手不足や民間交通事業者の経営悪化によるバス便の減少が、CO2の排出量増加につながりかねないことを指摘してきました。
運輸部門の脱炭素化に向けては、ZEVの普及と並行して都市公共交通政策の観点も重要であり、関係局と連携して取組を進めていただきたいと思います。
都は、このZEVの普及によるCO2の削減効果について、自家用車と、そして商業用車両で特段分けて検討していません。しかしながら、トラックやバス、運送や配送事業者などの商業用自動車は日々の業務で使用されるため、走行距離が一般のユーザーが主に週末に利用する自家用車両に比べて長くて、EVに置き換えたときの一台当たりのCO2削減量は大きく異なるものと考えます。
また、路線バスのようにルートが決まっていたり、営業や配達先などが比較的固定されている場合も多いことから、日中に使用して、夜間、事業所の車庫で充電を行うという運用が可能であり、EVの特性に適している、こういった意見もございます。
そこで、このZEVの普及を進める上では、こうした事業者に対する取組を進めていくことが重要と考えますが、これまでの事業者におけるZEVの導入状況と今後の都の取組について伺います。
○米澤産業・エネルギー政策部長 都は、事業者によるZEVの導入を進めるため、乗用車や小型商用車などの導入支援に加え、EVバスやEVトラックを導入する事業者に対して、ディーゼル車価格との差額への補助を行っております。
また、カーシェアリングなど一般の車両と比べて利用頻度が高い車両に対して、通常のZEV購入費より手厚い補助を行うなど、幅広い用途の車両に支援を行っております。
これまでに、業務に使用する車両の半数以上をZEVに買い換えた事業者も出るなど、効果を上げております。
今後、国産メーカーにおきましても、EVのバスやトラックの本格的な市場投入が進むことから、来年度、一台当たりの補助上限額を三千五百万円から四千二百万円に引き上げるとともに、メーカーの販売計画に合わせて予算規模を大幅に拡充いたします。
こうした取組によりまして、事業者によるZEVの導入拡大を図ってまいります。
○福島委員 来年度、国産メーカーによるEVバスやトラックの市場投入に合わせて補助上限額を高め、市場投入が遅れた国内メーカーを応援する配慮は大事です。評価をします。
業務に使用する車両の半数以上をZEVに置き換えた事業者もいるというご答弁でしたが、私の自宅の前にある東京ガスは、多くの車両を保有していますがガソリン車のままです。
繰り返しになりますが、同じZEVを投入するのでも、自家用車両と商業用車両では脱炭素化への寄与度が大きく異なります。
さきの質問の答弁で、ZEVなどの導入によるCO2削減量の報告がありましたが、計算において分けて扱うとともに、商業用車両については目標値を持って置換を進めるべきと考えますので、検討していただきたいと思います。
最後に、グリーン製品の普及について伺います。
近年、人や社会、環境に配慮した消費行動、いわゆるエシカル消費が大事であるといわれ続けてきましたが、今年度の消費者庁の調査では、その認知度は、相変わらず三割弱にとどまっている状況です。
ゼロエミッション実現に向けては、環境に配慮したグリーン製品を選ぶといった消費者の意識変革を起こすことも重要です。
一方で、昨年の第四回定例会一般質問において、我が会派の白戸議員が指摘したように、グリーン製品は製造過程でのコストが割高になることが多く、消費者の購入につながりにくいという課題があることが分かっています。
また、消費者は、環境によいものを選びたいと思っていても、情報不足で行動に踏み出せないという調査結果もあり、いかに情報提供を進めるかも課題であると考えます。
こうした中、都は今後、グリーン製品の普及に向け、具体的にどのように取り組んでいくのか伺います。
○山本産業政策連携促進担当部長企画調整担当部長兼務 都は来年度から、サプライチェーン上の複数の企業等が、従来品よりも製造過程等でのCO2排出量が少ないグリーン製品を開発、生産し、その価値を消費者等に分かりやすく伝える取組への支援を開始いたします。
具体的には、新たなグリーン製品の開発プロジェクトについて、サプライチェーンに加わる複数の企業がグループで取り組むものを二件、企業が単独で取り組むものを三件採択し、製品の原材料調達から製造、販売等までの段階で排出するCO2の可視化や、削減計画の策定に関わるノウハウを提供してまいります。
また、こうした製品の開発や生産に必要な設備の導入や、原材料の調達、創出した製品のブランディングやPR等に必要な経費について、一社当たり五千万円を上限に、中小企業は三分の二、中堅企業は二分の一を助成いたします。
これらにより、従来品よりも低炭素なグリーン製品の社会での活用を促進してまいります。
○福島委員 本事業により、グリーン製品の生産等に取り組む事業者が増えるとともに、その価値が消費者に伝わり、都民のエシカル消費の促進につながることを期待するものです。
以上で私からの質問を終わります。
○三宅委員 初めに、水産業振興について伺いたいと思います。
島しょの水産業は、新鮮で安心・安全な水産物の供給を通じて都民の食生活を支える重要な役割を担っています。
一方、海洋環境の変化などにより、漁獲の減少、担い手不足、消費の低迷など、様々な課題に直面しており、これまでにない発想や新しい技術などを取り入れながら、水産業を持続可能な産業へと転換していくことが重要であります。
こうした視点に立って、何点か質問いたします。
初めに、クロマグロの資源管理について伺います。
近年、伊豆諸島周辺ではクロマグロの漁場が形成されていることから、私は、国への要望や昨年の事務事業質疑で、都の漁獲枠拡大を求めてきました。
昨年十二月に漁獲枠が決定し、来年度、我が国の漁獲枠は、三十キロ以上の大型魚で一・五倍、三十キロ未満の小型魚で一・一倍に増枠されました。
そこで、都としてのクロマグロの漁獲枠はどの程度確保したのか伺います。
○榎園農林水産部長 都はこれまで、国から割り当てられたクロマグロの漁獲枠の適切な管理を行うとともに、国に対し、近年の操業状況に応じた漁獲枠の拡大を求めてまいりました。
こうした結果、来年度、都の当初配分は、大型魚で前年度比約三・三倍の六十一・二トン、小型魚で約一・八倍の二十五トンと大幅な増枠を確保いたしました。
引き続き、都は、漁獲枠の消化状況等を踏まえ、国の追加配分や他県の有する枠を譲り受けるなど、きめ細かな対応を行い、さらなる漁獲枠の確保に努めてまいります。
○三宅委員 都のクロマグロの漁獲枠が大幅に増加したこと、これは、都の職員の皆さんと共に、厳しい漁獲枠を守ってきた漁業者や漁協の取組のおかげだと思います。
今後とも、都は、地元と協力しながら、操業実態に即した漁獲枠の確保に努めてもらいたい、そのように思います。
クロマグロの漁獲枠が増える一方、国は、適切な資源管理の観点から、三十キロ以上の大型魚について、重量や陸揚げ日など詳細な漁獲情報の報告や、買手への情報伝達の義務化を令和八年度から検討していると聞いています。必要な取組と考えますが、漁業者にとっては負担が増えることにもなります。
都は、報告などの義務化に当たり、漁業者の負担が軽減されるよう支援すべきと考えますが、具体的な対応を伺います。
○榎園農林水産部長 都はこれまで、主にキンメダイを対象に、操業位置や時間等を自動で収集する機器や、漁獲量などをタブレットから入力、確認できる電子操業日誌を漁船に配備する漁業者を支援し、漁獲情報の収集に努めてまいりました。
来年度は、このノウハウを活用し、主にクロマグロ漁業を行う漁船三十隻にも、新たにシステムを配備いたします。
また、クロマグロの出荷時に、買手に漁獲情報の伝達をする際の負担を軽減するため、電子操業日誌の情報を二次元コード化したタグで提供するシステムを全国に先駆け構築し、各漁協に導入いたします。
こうした取組を令和八年度の義務化を待たず実施し、増枠された漁獲枠の適切な管理を行うとともに、東京産クロマグロの認知度や価値向上にもつなげてまいります。
○三宅委員 東京産クロマグロの市場での評価や認知度は、まだ他産地と比べて必ずしも高くありません。
都は、システムの円滑かつ早期の導入を図り、漁獲報告の負担の軽減を図るとともに、東京産クロマグロのブランド化を推進してもらいたいと思います。
クロマグロでは、遊漁について届出制が導入されていると聞いています。国がこうした制度を導入することは、資源管理の高度化に向け、画期的な取組と考えます。
一方、キンメダイなどではこうした制度はなく、遊漁の実態や資源への影響も把握されていません。静岡、神奈川、千葉などからも多くの釣り船やプレジャーボートが来航し、相当量のキンメダイなどが釣られているのではないかと、資源管理に取り組む地元の漁業者からは危惧する声も聞かれています。
都は、漁業者が取り組む資源管理の実効性が損なわれないよう、キンメダイ等の遊漁についても適切な管理を行うべきと考えますが、見解を伺います。
○榎園農林水産部長 都は来年度、都の海面での遊漁の実態を把握するための調査を開始いたします。
具体的には、関係県やマリーナへのヒアリングなどにより、伊豆諸島周辺海域で釣りをする遊漁船やプレジャーボートの隻数を試算するとともに、遊漁船業者やプレジャーボート所有者に聞き取りを行い、釣り上げられる魚種や量、漁場の利用状況等の把握を行います。
こうした情報に加え、調査指導船や漁船などからの報告等も活用しながら資源への影響を評価しまして、遊漁に対する規制の導入についても検討を進めてまいります。
○三宅委員 プレジャーボートなどで釣りをする人の中には、遊漁の範疇を超えて、販売目的で釣っているのではないかと疑われるような事例もあると聞きます。都は、遊漁の実態把握に努め、しっかりと対応していただきたいと思います。
黒潮大蛇行などにより、海藻が消失する磯焼けが進行し、水産資源や観光資源としても重要なアワビやトコブシなどの漁獲も激減する中、水産業の持続化に向けては、攻めの水産業を展開していくことも重要であります。
都はこれまで、藻場の再生や漁業者などによる稚貝の放流の支援を行ってきましたが、さらなる海水温の上昇も想定されるため、新たな視点の取組も進めるべきと考えます。都の取組を伺います。
○榎園農林水産部長 都は、アワビやトコブシ等の貝類の生育の場となる藻場の再生に向け、比較的高水温でも生育しやすいアントクメを活用した藻場造成の技術開発などを進めています。
来年度は、島しょの海域に適した南方系海藻等の選定や、高水温下での効果的な藻場造成の手法について、外部の専門家による委員会を立ち上げ、検討を進めてまいります。
また、漁協等と連携し、都の栽培漁業センターで生産したアワビやトコブシ等の種苗を、利島村にある活魚用の水槽を活用し、効率的に養殖する技術開発に着手いたします。
○三宅委員 自分が子供の頃、大島の弘法浜というところでよく泳いでいたのですが、海藻の森で泳いでいるという感じでしたが、現在は全く変わってしまいました。磯焼けの進行は早く、貝類の漁獲量の減少も深刻です。
都は、今ご答弁いただいたような取組を果敢に進め、漁獲の減少に直面している漁業者などの期待に応えてもらいたい、そのように思います。
水産業の持続化に向けては、水産物の需要を拡大することも重要です。しかし、日本人一人当たりの年間の魚介類の消費量は年々減少傾向にある上、今後、我が国の人口がさらに減少すると、水産物の国内消費はますます縮小していくことが懸念されます。
島しょ地域の水産業の発展に向けては、消費の伸びる海外市場での販路開拓や、年々拡大するインバウンド需要の取り込みを図っていくことも必要と考えますが、都の取組を伺います。
○榎園農林水産部長 都は、漁業生産団体による海外販路開拓の取組を後押ししており、海外での商品提案会等のプロモーション活動や水産物の試験出荷に要する経費に対し、補助率四分の三の助成を行っています。
来年度は、この取組につきまして、鮮度や品質を高めるため、血抜きや生け締めなどの技術を漁業者に指導する経費等にも助成の対象を拡充しまして、海外でのブランド力の強化を図ります。
また、東京で開催される国内最大規模の水産見本市に出展しまして、東京産水産物の魅力を国内外のバイヤーに発信し、さらなる販路の拡大を図ります。
○三宅委員 東京産水産物の販路を開拓していくためには、実際に水産物を食べてもらい、その魅力を知ってもらうことが近道だと考えます。
都は、そうした視点も持ちながら今後の事業に当たっていただきたい、そのように思います。
これまで幾つかの課題について質疑をしてきましたが、答弁のあった取組を確実に進めていくためには、漁業協同組合の果たす役割が重要です。
しかし、漁協の多くは、漁獲量の減少、職員の高齢化や担い手不足、エネルギーコストの上昇などにより、厳しい経営を強いられています。
都は、これまでも、経営支援に取り組んできていますが、漁協が資源管理や藻場の再生、陸上養殖など山積する課題にしっかりと向き合えるよう、よりきめ細やかなサポートを行うべきと考えますが、見解を伺います。
○榎園農林水産部長 都は、漁業協同組合に対し、法に基づく検査、指導を実施するとともに、東京都漁業協同組合連合会と連携して各漁協の経営改善指導等を支援しております。
来年度は、都職員と東京都漁業協同組合連合会職員から成る支援チームを新たに設け、伴走型でサポートいたします。
具体的には、経営診断を実施した上で、税理士等、外部専門家の意見も踏まえ、各漁協に応じた経営改善計画を策定するとともに、計画の実現に向けた実効性の高いサポートを行ってまいります。
こうした取組により、島しょ地域の漁協の経営安定化を進めてまいります。
○三宅委員 島しょ地域の水産業、漁協経営を取り巻く状況は厳しさを増しており、取組の推進は待ったなしであります。
都は、漁業者や漁協に寄り添いながら、しっかりと改善が実行されるよう取り組んでいただきたいと思います。
次に、農業について伺います。
島しょ地域には、八丈のフリージアや小笠原のパッションフルーツなど名産品が多くあります。こうした農産物に魅力を感じ、島で農業を始めたいと考える方も出始めています。島しょ地域の農業においては、こうした新たな担い手を増やしていくことが大変重要です。
こうした方への支援として、国は、島しょ地域などへの移住を支援していますが、区部からの移住者などに限定されており、支援を受けられない方も見られます。
また、新たに農業を始める方は、長年使われていない農地を借りる場合が多く、こうした農地の整備に係る負担は決して少なくありません。
そこで、都は、島しょ地域の担い手を増やすため、こうした課題の解決に向け支援を強化すべきと考えますが、来年度の取組について伺います。
○榎園農林水産部長 都は来年度、島しょ地域での担い手の確保に向け、取組の充実を図ります。
具体的には、多摩地域などから島しょ地域に移住し、新たに農業経営を行う方に対して、転居等に係る負担を軽減するため、単身の場合は四十五万円、家族世帯の場合は七十五万円を新たに交付いたします。
また、新たに島内で営農を開始するため農地を借りる場合に、樹木の伐採や土づくり等を行う際に必要な経費の助成を行っておりまして、この補助率を二分の一から最大四分の三に引き上げます。
○三宅委員 今のような新たな取組は、島で農業を始めたい方への後押しにつながると思います。島での農業に関心を持つ若者などに届くよう、周知をお願いしたいと思います。
島の農業は、水の確保も重要です。供給源の農業用ため池は重要なインフラでありますが、設置から百年以上経過しているものもあり、損傷などのリスクが懸念されています。
決壊した場合、住民に甚大な被害を及ぼすおそれがあるため池は防災重点農業用ため池に指定されており、防災の観点からも、適切な施設の保全が求められます。
そこで、都は、老朽化が進む農業用水利施設を保全する取組を強化すべきと考えますが、来年度の取組について伺います。
○榎園農林水産部長 都はこれまで、島しょ農業の生産性の向上等を図るため、農業用ため池をはじめとするインフラの整備や、豪雨時にため池の管理を遠隔で行えるシステムの導入を行う町村を後押ししております。
また、近年、全国的に豪雨等により、ため池が被災し、甚大な被害が発生している状況を踏まえ、決壊による災害を防止するため、老朽化が進む防災重点農業用ため池の改修工事に対する助成を補助率四分の三で行っております。
来年度は、この率を十分の九に引き上げまして、島しょ農業の基盤の強靱化を進め、安定した生産の確保につなげてまいります。
○三宅委員 近年は、気候変動などにより、予想をはるかに超える豪雨が発生するなど、甚大な自然災害が発生するリスクは全国的にも高まっています。
こうした災害を未然に防ぐことで、安定した農業生産が維持できるよう、計画的な保全を要望しておきます。
次に、観光について質問します。
訪日外国人旅行者数は過去最高となり、東京の都心でも大変なにぎわいを見せています。
しかしながら、島しょ地域を訪れる旅行者数は回復に遅れがあり、いまだコロナ禍前の八割程度にとどまっています。
都では、コロナの前から、島しょへの旅行者を増やすため、プレミアムつきのしまぽ通貨を販売してきました。
昨年の事務事業質疑では、しまぽ通貨の新規購入者の割合が約八割に上り、新たな旅行者の掘り起こしに寄与していることが明らかになりました。近年では、販売後早々に完売する状況もあり、このような点からも、しまぽ通貨による効果が現れていると思います。
島しょの観光事業者によれば、夏休みなどの旅行シーズンと比べ、冬の時期の落ち込みが課題であるとの声も聞きます。そのため、年間を通じてしまぽ通貨が販売できるようにし、安定的な誘客につなげていくことも重要であります。
いまだ厳しい状況に置かれている島しょの観光振興を図るため、しまぽ通貨の活用により、さらなる誘客に取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。
○江村観光部長 都は、島しょ地域への誘客と現地での観光消費の促進を目的として、宿泊や買物、飲食等の加盟店で利用できる三千円のプレミアムのついた宿泊旅行商品券、しまぽ通貨を販売しております。
今年度は、予定していた八万セットが既に完売しており、来年度は、こうした販売実績等も踏まえまして、販売セット数を十二万セットに増やし、閑散期も含む安定した集客につなげてまいります。
また、しまぽ通貨の利便性を一層高めるため、島しょの観光協会などと連携した周知によりまして、しまぽ通貨が利用可能な加盟店の増加に努め、これらにより、島しょ地域の観光振興を着実に進めてまいります。
○三宅委員 販売開始から八年がたちました。このしまぽ通貨は、島しょの観光事業者や旅行者の間で浸透した取組となっています。
来年度は、しまぽ通貨をこれまで以上に有効活用し、島しょ地域の旅行者の回復を着実に進めていくよう要望しておきます。
次に、島しょ観光のバリアフリー化について伺います。
東京の観光振興を図る上で、高齢者や障害者が快適に観光できるような環境を整えることは重要です。
都内では、東京二〇二〇大会を契機に、交通機関や宿泊施設をはじめ様々な場所のバリアフリー化が大きく進み、そうした環境が整いつつあります。
しかしながら、島しょ地域においては、都心と比べて改修工事に係るコストが割高であることなどから、バリアフリー化の取組がなかなか進んでいないのが現状です。
バリアフリー化された宿泊施設も一部にはありますが、そこに泊まれたとしても、食堂やお土産物屋の利用のほか、観光スポットへのスムーズな移動が難しい場合も多いと思います。
島しょ地域に、より多くの観光客を呼び込んでいくため、観光施設や移動手段についてのバリアフリー化を一層推進すべきと考えますが、都の見解を伺います。
○江村観光部長 都は来年度、島しょ地域のバリアフリー化を一層推進するため、新たな助成制度を創設いたします。
具体的には、旅行者が利用する飲食店や小売店等がバリアフリー化の改修工事を行う場合、その経費について、一千五百万円を上限に五分の四を助成いたします。
また、タクシーやレンタカー事業者等が車両に車椅子のまま乗降できるリフト装置を設置する場合、その経費について、最大百五十万円を上限に十分の十を助成いたします。
さらに、こうした取組を円滑に進められるよう、建築士等の専門家を派遣し、個別の状況に応じた助言を行うなどのサポートを提供いたします。
○三宅委員 障害者や高齢者の方々が、島しょ地域を訪れてみたいと希望しながらも、ハードルの高さから断念してしまうケースも多いと思われます。
島しょ地域のバリアフリー化は、観光振興に資するとともに、島の魅力の発信にもつながる大変重要な取組ですので、しっかりと取り組んでいくことを要望いたしまして、質問を終わります。
○遠藤委員 本日最後の質問になります。じっくりと頑張ってまいります。
最初に、先ほど立憲民主党の西崎委員も触れられましたが、杉花粉の発生源対策について伺います。
ご案内のように、今や都民の二人に一人は花粉症に悩まされていると聞いています。
東京都は、杉花粉発生源対策のために杉やヒノキを伐採し、花粉の少ない苗木に植え替える取組を進めておりますけれども、事業開始から令和五年度までの間に、新宿御苑の十三倍程度に相当する約七百八十ヘクタールの伐採を行い、植え替えをしております。このように、花粉を多く飛散する成長した杉などの積極的な伐採をしているわけです。
あわせて、都は、都道や林道に近い森林から伐採、搬出を進めてきましたが、山奥の作業がしづらい場所、ここでも伐採に取り組む段階に来ていると思います。
また、所有者や境界が不明瞭な森林での伐採、植え替えを進めることも必要で、さきの予算特別委員会で、我が会派の委員がこの問題を取り上げたところでもあります。
そこで、花粉発生源対策の一層の推進に向けた、来年度の都の取組を伺います。
○榎園農林水産部長 都は来年度、花粉発生源対策の一層の推進に向け、伐期を迎えた杉やヒノキの伐採、搬出を加速させる取組を進めます。
具体的には、林道から離れた箇所での伐採、搬出の強化を図るため、先進林業機械が通行できる規格を確保しながらも、林道より工期が短く、コストがかからない森林作業道として整備を進めてまいります。
さらに、土地所有者や境界が不明瞭な森林での伐採を進めるため、専門家等を活用した支援も開始します。
司法書士による登記簿や戸籍の調査を行いまして、遺産分割協議から相続登記に至るまで、一連の流れに伴走支援を行うとともに、それに係る経費について、最大百二十万円を助成いたします。また、土地家屋調査士による現地調査や境界案の作成、立会いによる合意を促すサポートも行います。
こうした取組により、二〇三〇年度には年間三万六千立方メートルの多摩産材の供給を目指してまいります。
○遠藤委員 司法書士などの専門家も活用しながら、都が積極的に、土地所有者や境界の明確化に関することは、全国的にも初めてだということを伺いました。
なお、答弁にありました三万六千立方メートルという量は、試算しますと、学校にある一般的な二十五メートルプール、この体積の三十八個分ということであります。
さらなる高みを目指して、花粉発生源対策や森林循環が一層促進されるよう、果敢に取り組んでいただきたいと思います。
また、多摩産材の利用を拡大していくことも花粉発生源対策を進める上で重要であります。
近年、壁や天井に多摩産材を使用された中大規模建築物やにぎわい施設などを見かける機会も増えまして、今後も多摩産材の利用がさらに進むことが期待をされます。
一方で、工務店などからは、製材所などに原木が入らず、必要な時期に調達できない、こういう声も聞いてまいります。
多摩産材の供給量を増やすために、主伐事業の推進だけではなくて、間伐した材を山林に放置せず、市場出荷することを進めていく必要もあります。しかし、面的に伐採する場合に比べて、間伐に伴うコストは大きく、出荷を断念する事業者もいると聞いています。
そこで、都は、間伐材を市場に出荷したい林業事業者を後押しすべきであると考えるわけですが、来年度の取組を伺います。
○榎園農林水産部長 都は来年度、材木として利用できるまでに樹木が育った山林を間伐し、搬出する林業経営体等に対する新たな支援を開始いたします。
具体的には、原則十ヘクタールを超えるまとまった作業区域を設定した林業経営体等が一定規模以上の間伐材を搬出し、市場等に出荷することを条件に、様々な補助メニューを総合的に活用できる充実した支援を実施いたします。
補助メニューの内容は、林道から間伐箇所までの森林作業道や橋などの構造物の整備、間伐材を搬出するための高性能林業機械等の導入、間伐や枝打ちの森林施業に必要な一連の経費への助成としており、助成規模は五区域を予定してございます。
こうした取組により、多摩産材の供給量を増やしてまいります。
○遠藤委員 多摩産材の供給量を増やしていくためには、間伐した材も放置せずに、市場に供給するという、民間事業者のサイドでもマインドチェンジが必要であります。来年度から始めるこの事業をきっかけに、より多くの多摩産材の利用が拡大されるように、民間事業者への事業の周知もお願いしていきたい。
次に、柔軟な働き方について伺います。
さきの定例会では、都民ファーストの会は手取り時間を増やす取組につきまして質問し、都からは、家族のケアや自己研さんなどの時間が確保できる、働き方の選択肢を広げていく、こういう中小企業を支援していく、こういう趣旨の答弁がございました。
こうした手取り時間を増やすという支援、ぜひ、これは企業で積極的に活用していただきたいと思います。
一方、企業の現場には、手取り時間を増やす以前に、育児や介護などの事情を抱え、働き続けること自体が難しくなり、やむを得ず正社員からパートタイムに切り替わる人、また、離職をせざるを得ない方もまだまだ多いと伺っております。
都は、手取り時間の創出と併せて、育児や介護などの事情を抱える方が離職をせずに、何とか正社員のまま働き続けられる、こういったことを後押ししていくべきだと考えますが、見解を伺います。
○内田雇用就業部長 都は来年度、手取り時間の創出を旗印に、中小企業が行う働き方改革やエンゲージメント向上などの取組に奨励金を支給する事業を開始いたします。
この事業では、慣らし保育や小一の壁に対応する勤務制度の導入、社員が介護休業を取得しやすい環境整備など、従業員のライフステージを応援する取組も支援対象としておりまして、より選択しやすい仕組みとして充実を図るとともに、これらの取組を手取り時間の創出や賃上げなどと併せて行う場合、最大二百三十万円を支給いたします。
これにより、育児や介護により社員が離職することなく、様々な制度を活用しながら働き続けることができる職場環境づくりを促進してまいります。
○遠藤委員 先日、地元の企業のある役員とお話ししたんですが、やっぱり、女性に限りませんけど、一回離れてしまうと、正社員のステータスから非常勤とかパートに一回なっちゃうと、これはなかなか、生涯年収が大きく変わってくる、また、復帰も簡単ではないということから、何とか正社員のまま会社と続けていける、関係を続けていける、こういうことが大事ではないかというお話がありました。
手取り時間創出に関する事業の中でライフステージの支援も行っていくことを確認できましたので、余暇の充実や賃上げはもとより、育児や介護を抱え、仕事を続けるか辞めるか、この選択を迫られる方に企業の支援が届くよう、都としてもしっかり後押しをしていただきたい。これを求めまして、最後の質問に移ります。(「よし」と呼ぶ者あり)何かちょっと、皆さんから応援の声が聞こえましたけど。(笑声)
最後は、全国観光PRコーナー、観光振興について伺います。
都庁の一階には全国観光PRコーナーがありますが、様々な自治体が週替わりで出展しており、観光地の宣伝や特産物の販売などを実施している様子を目にいたします。
聞くところによりますと、年間で二十万人を超える方が訪れているとのことでありまして、日本各地の観光PRに大きく貢献していると考えます。
一方で、都庁の四十五階、こちらには無料の展望室がありまして、こちらは年間二百万人を超える方が訪れる一大観光スポットとなっております。
全国観光PRコーナー、都庁の一階ですね、こちらの方は、計算上、展望室の約一割にすぎないわけでありまして、まだまだ集客を増やせる余力が、余地があるものと考えております。
そこで、都は、より多くの来庁者が全国観光PRコーナーを訪問するよう、さらなる積極的な周知に取り組むべきであると考えますが、見解を伺います。
○江村観光部長 都はこれまで、全国観光PRコーナーを来庁者に周知するため、都庁展望室でのチラシの配布や、展望室に向かうエレベーターの待機スペースへのポスターの掲出、東京の観光公式サイトでの情報提供などを行ってまいりました。
来年度は、展望室を訪問した来庁者の目に確実に止まるよう、下りエレベーターが到着する二階にも全国観光PRコーナーの案内板を新たに設置いたします。
また、ウェブサイトによる情報提供について、各地域のイベント開催前の告知を約一週間前から行うとともに、SNSの発信回数を増やすなど広報を強化いたします。
こうした情報提供につきましては外国語でも行い、外国人旅行者にも着実に周知を図ってまいります。
○遠藤委員 同じく都庁の第一本庁舎の一階には東京観光情報センターもございまして、都内の区市町村の観光案内を行っています。
私も現場に伺ったのですが、つい財布のひもが緩くなるような魅力的な工芸品、お酒、こういったものが所狭しと並べられておりました。
この東京観光情報センターの物販店、確かな目利きが感じられたわけですが、惜しむらくはセンターの一番奥に位置しておりまして、なかなか目立たない。その前面にあるPRコーナーと東京観光情報センターのメインスペースには各地の観光パンフレットが、全市区町村、全都道府県のパンフレットが所狭しと並べられているわけであります。
都庁を訪れる観光客にとりまして、一階の東京観光情報センターは大きく期待されているわけでありますけれども、現在の利用状況、また、来年の取組について伺います。
○江村観光部長 都庁舎の東京観光情報センターでは、多言語対応が可能なスタッフが都内観光の案内を行うほか、都内の区市町村や観光協会等が作成したパンフレットを提供しております。あわせて、都内の全ての区市町村の特産品を販売するショップを設けることにより、各地域の多彩な魅力を発信しております。
今年度は、一月末現在で約十四万六千人の方にご利用いただいており、そのうち約半数が外国人となっております。
来年度は、本センターのスタッフについて、旅行者の関心が高い江戸文化やナイトタイムに関する観光の知識を身につける専門研修を新たに実施いたしまして、観光案内機能のさらなる強化を図ってまいります。
○遠藤委員 委員の皆さんも、また、都民の皆さんも、この観光情報センターをご覧なったことがあると思うんですが、非常にいい立地なんですよね。ですので、応援する意味で今回取り上げました。
答弁では、多くの方が観光情報センターを利用しているということでありましたが、実際行ってみると、これはいいにくいですけれども、パンフレットを置いてあるだけという側面も実は否めない。やっぱり観光情報センターとか、そういった名前は、ハードとして置くんじゃなくて、そこにいかに、その地域に行ってみたいと思ってもらえるか、ソフト的な仕掛けが必要ではないかというふうに思っております。
ちょっと現状では、都庁の一階という好立地を生かせているとはいいにくいのではないでしょうか。PRコーナー及び観光センターの経営という観点から、この際、パンフレットの設置エリアのディスプレー、これを抜本的に改革するか、また、パンフレットコーナーと物販スペースの面積の割合、これも再考すべきタイミングかなと考えております。
物販がメインではありません。あくまで、やっぱり来てもらった方が各地域を訪れる、そういったモチベーションとかインスパイアしていくためにあのスペースはあるわけなので、物販の金額を上げればいいとは思っていませんが、しかし、現状では両方がうまくいっていないような気がします。
今回、答弁調整する中で、これから改善に向けてというふうなことをおっしゃっていただきましたので、これぐらいにしておきますけれども、都内の区市町村や全国観光PRコーナーに出展される自治体は、大きな成果を期待して、準備されてこちらにいらっしゃると思います。
そうした自治体の観光振興につながるように、しっかりと周知、強化、取組を求めまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○小林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小林委員長 異議なしと認め、本案及び本件に対する質疑は終了いたしました。
○小林委員長 次に、議員提出議案第三号を議題といたします。
本案について提出者の説明を求めます。
○藤田委員 東京都中小企業者賃上げ応援助成金条例案の提案説明を行います。
条文はお手元に配布してあります。
長期にわたる経済停滞、暮らしの困難が続き、経済も生活も疲弊しているところに物価高騰が襲ってきました。
暮らしの困難打開の鍵は賃上げです。東京の事業所の九割、雇用の六割は中小企業、小規模事業者であり、ここで賃上げが進む必要があります。家計が暖まれば、消費に回り、地域経済も上向きます。全国最多の中小事業所を有する東京都こそ、中小企業の賃上げを強力に後押しする必要があります。
都は、魅力ある職場づくり推進奨励金で賃上げなどに取り組む中小企業を支援していますが、賃上げ以外のメニューも必要となるため、支給まで一年半もかかる上に事業規模も小さいという課題があります。
昨年、春闘は過去最高水準の賃上げとなりましたが、事業規模が小さい事業者ほど賃上げ率が低くなり、人手の確保も困難になっています。頑張って賃上げしても、奨励金支給まで一年半もかかるようでは事業者の体力は持ちません。
岩手県や徳島県では四週間で支給されるからこそ、小規模事業者でも賃上げに踏み出すことができます。あわせて、賃上げ単独の支援だからこそ、規模も思い切って増やすことが可能となります。
岩手県では、昨年二月から十一月末までに二万人以上の賃上げを支援しています。一方、都の事業は、一昨年、千二百一社が当選しましたが、昨年末までに支給決定したのは僅か二百七十六人です。
したがって、都として、賃上げのみを条件とする東京都中小企業者賃上げ応援助成金条例案を提出するものです。
時給を五十円以上引き上げた中小企業、中小業者に対し、一人当たり十二万円、一社最大二百四十万円を支給します。
本条例は、物価高騰を上回る賃上げ及び人材確保の推進を図るものです。
以上で提案説明を終わります。何とぞご審議のほどよろしくお願いいたします。
○小林委員長 説明は終わりました。
これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○小林委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小林委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
以上で産業労働局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後七時二十一分散会
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