委員長 | 小林 健二君 |
副委員長 | 青木 英太君 |
副委員長 | 内山 真吾君 |
理事 | 上田 令子君 |
理事 | 菅野 弘一君 |
理事 | 白石たみお君 |
かまた悦子君 | |
遠藤ちひろ君 | |
細田いさむ君 | |
藤田りょうこ君 | |
福島りえこ君 | |
宮瀬 英治君 | |
三宅 正彦君 | |
西崎つばさ君 |
欠席委員 なし
出席説明員産業労働局 | 局長 | 田中 慎一君 |
次長理事兼務 | 安部 典子君 | |
総務部長 | 阿部 泰之君 | |
産業企画担当部長DX推進担当部長兼務 | 池野 大介君 | |
企画調整担当部長 | 齋藤 順君 | |
企画調整担当部長 | 前田 泰伯君 | |
企画調整担当部長 | 下羅 智宏君 | |
働く女性応援担当部長 | 吉浦 宏美君 | |
商工部長 | 福田 哲平君 | |
商工施策担当部長 | 松田 義史君 | |
金融部長金融支援担当部長兼務 | 原 郁君 | |
産業・エネルギー政策部長 | 米澤 鉄平君 | |
産業政策連携促進担当部長企画調整担当部長兼務 | 山本麻里雄君 | |
新エネルギー推進担当部長 | 服部 勇樹君 | |
観光部長 | 江村 信彦君 | |
観光振興担当部長 | 前田 千歳君 | |
農林水産部長 | 榎園 弘君 | |
安全安心・地産地消推進担当部長 | 田代 純子君 | |
雇用就業部長 | 内田 知子君 | |
事業推進担当部長 | 新田 智哉君 | |
中央卸売市場 | 市場長 | 早川 剛生君 |
次長 | 松田 健次君 | |
管理部長 | 住野 英進君 | |
事業部長 | 大谷 俊也君 | |
渉外調整担当部長DX推進担当部長兼務 | 東山 正行君 | |
市場政策担当部長 | 石井 浩二君 | |
財政調整担当部長 | 高橋 葉夏君 | |
環境改善担当部長 | 中井 宏君 | |
港湾局 | 局長 | 松川 桂子君 |
技監 | 村田 拓也君 | |
総務部長 | 戸谷 泰之君 | |
港湾経営部長 | 野平雄一郎君 | |
港湾振興担当部長 | 三浦 知君 | |
臨海開発部長 | 若林 憲君 | |
開発調整担当部長島しょ空港技術担当部長兼務 | 水飼 和典君 | |
臨海副都心まちづくり推進担当部長 | 大野 克明君 | |
港湾整備部長 | 佐藤 賢治君 | |
計画調整担当部長 | 山本 康太君 | |
港湾計画担当部長港湾DX推進担当部長兼務 | 儀間 潔君 |
本日の会議に付した事件
中央卸売市場関係
報告事項
・板橋市場(六)花き棟外壁ほか改修工事(説明・質疑)
・東日本大震災における原子力発電所の事故に係る損害賠償請求に関する和解について(中央卸売市場会計分)(質疑)
港湾局関係
契約議案の調査
・第二百八十三号議案 新砂水門(再整備)(六)建設工事請負契約
付託議案の審査(質疑)
・第二百九十六号議案 東京国際クルーズふ頭桟橋外四施設の指定管理者の指定について
・第二百九十七号議案 東京都立海の森公園の指定管理者の指定について
産業労働局関係
報告事項(質疑)
・カスタマー・ハラスメントの防止に関する指針(ガイドライン)(案)について
○小林委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
初めに、契約議案について申し上げます。
契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
公文の写しはお手元に配布してあります。
朗読は省略いたします。
令和六年十二月十一日
東京都議会議長 宇田川聡史
(公印省略)
経済・港湾委員長 小林 健二殿
契約議案の調査について(依頼)
左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
記
1 調査議案
第二百八十三号議案 新砂水門(再整備)(六)建設工事請負契約
2 提出期限 令和六年十二月十三日(金)
○小林委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、港湾局関係の契約議案の調査及び付託議案の審査並びに中央卸売市場及び産業労働局関係の報告事項の聴取を行います。
これより中央卸売市場関係に入ります。
初めに、理事者から報告の申出がありますので、これを聴取いたします。
○住野管理部長 工事請負契約についてご報告申し上げます。
本日ご報告いたします契約は一件で、板橋市場の花き棟について、外壁などの改修を行うための契約でございます。
恐れ入りますが、お手元の資料の一ページをご覧ください。板橋市場(六)花き棟外壁ほか改修工事でございます。
契約の相手方は新日本工業株式会社、契約金額は十二億六千三百七十六万八千円、契約確定日は令和六年十二月三日、工期は契約確定の日の翌日から令和九年二月二十六日まででございます。
その他、契約の方法、入札者数等については記載のとおりでございます。
次に、二ページの案内図及び配置図をお示ししてございますので、ご参照いただきたいと存じます。
以上、簡単ではございますが、工事請負契約についての説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
○小林委員長 報告は終わりました。
なお、本件に対する質疑は、次の報告事項の質疑と併せて行いますので、ご了承願います。
次に、報告事項に対する質疑を行います。
報告事項、東日本大震災における原子力発電所の事故に係る損害賠償請求に関する和解について(中央卸売市場会計分)につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○住野管理部長 去る十一月二十九日の当委員会で要求のありました資料につきまして、お手元の経済・港湾委員会要求資料に基づき、ご説明申し上げます。
恐れ入りますが、一ページをご覧ください。1、放射性物質対策等に要した費用に関する和解のあっせんの申立額と内訳についてでございます。
放射性物質対策等に要した費用のうち、これまで賠償を受けられなかった額について、都は、令和三年二月に和解のあっせんの申立てを行っております。お手元の資料には、和解あっせんの申立て額、そのうち、令和六年十一月の和解契約により賠償対象となった額、賠償対象外となった額について、費用の項目ごとに記載してございます。
また、表の一番右の備考欄には、表中で下線を引いている額の内容をお示ししてございます。
表の一番下にありますとおり、申立て額は合計で一億一千四百三十万一千三百九十四円、そのうち、賠償対象となった額が四千五百四十万円、賠償対象外となった額が六千八百九十万一千三百九十四円となっております。
以上、簡単ではございますが、要求のございました資料につきましての説明を終わらせていただきます。よろしくお願いを申し上げます。
○小林委員長 説明は終わりました。
これより、ただいまの資料及び先ほど説明を聴取いたしました報告事項、板橋市場(六)花き棟外壁ほか改修工事を含め、報告事項二件に対する質疑を一括して行います。
発言を願います。
○青木委員 それでは、私から、板橋市場の花き棟工事請負契約について質問させていただきます。
板橋市場の花き部につきましては、北足立市場、大田市場に続く都内の三番目の花き市場として平成五年に業務を開始しまして、近隣地域を中心に、花き流通の供給拠点として日々営業活動を行っています。
しかし、業務開始から三十年以上が経過しており、施設の老朽化対策は重要な課題となっている認識です。
そこで、これまでの花き棟の老朽化対策の取組と今回の改修工事の概要について、まずは伺います。
○中井環境改善担当部長 板橋市場の花き棟においては、都はこれまでも、受変電設備改修工事、トイレ改修工事、給水設備補修工事、防火扉やシャッターの部分的な改修工事などを計画的に実施してまいりました。
また、今回の花き棟の改修工事では、経年劣化の進行を予防するため、建物の外壁改修や屋上の駐車場防水改修、花きの仲卸店舗のシャッター等の建具の改修、外構等の改修を行うものであります。
○青木委員 板橋市場の花き棟では、老朽化対策による工事がこれまでも行われており、さらに経年劣化を予防するため、様々な工事が予定されていることが確認できました。今後も市場機能の維持に向けた維持更新にしっかりと取り組んでいただくことを求めます。
次に、板橋市場の花き棟における暑さ対策について確認いたします。
近年、夏場は記録的な猛暑が続いておりまして、商品に少なからずの影響があるため、都と業界は連携して、本年八月に、花き棟の売場の暑さ対策として、試行で遮光カーテンを設置するなどの対策を行った結果、効果があったと聞いております。
本年九月に開催された東京都卸売市場審議会において、審議会委員である我が会派の松田議員より、中長期的には施設整備を通じて抜本的な対策を講じる必要があるという発言がありました。
そこで、板橋市場花き棟の改修工事においてはどのような暑さ対策を行うのか伺います。
○中井環境改善担当部長 今回の板橋市場花き棟をはじめ、市場施設の改修工事においては、昨今の異常気象による高温化の影響等も踏まえ、商品の品質管理はもとより、市場業者の労働環境を改善する観点からも、卸売場などの暑さ対策を考慮することが重要でございます。
本年試行いたしました暑さ対策において、遮光カーテンの効果がありましたことから、板橋市場の花き棟外壁ほか改修工事では、朝日が差し込む東面のガラス窓にさらに遮光効果の高い遮光フィルムを貼り直すこととしております。その際、遮光フィルムの仕様について、今後、市場業者さんと十分な協議を行った上で検討してまいります。
○青木委員 今後とも、板橋市場花き棟において暑さ対策を行っていくことが確認できました。
近年の異常気象を踏まえると、暑さ対策は、花きを含め生鮮食料品等の品質の管理の向上に加えて、市場で働く方々の労働環境の改善においても非常に重要であり、ハード面、ソフト面、両面からの対策を進めていただきたいです。
また、板橋市場では、青果部において機能強化に向けた取組を進めており、その中で、今後花き棟の東側に屋根を設置する施設整備を行うと聞いております。東側に屋根ができれば、卸売場に差し込む朝日が遮られるため、さらなる暑さ対策により、より一層の品質管理の向上につながると期待しております。
次に、昨年度に策定した板橋市場の機能強化に向けた基本構想では、機能強化の方向性として、今申し上げた生鮮食料品の品質管理の向上だけではなく、地域との共生推進も一つの柱となっております。
我が会派は、今年の予算特別委員会において、板橋市場における地域共生の推進に向け、防災面などでの地域貢献を進めるように求めてきました。今後、具体的な取組を進めるに当たって、荒川に近い地理的特性や、今回改修する花き棟などの建物の設備や高さなどの状況を踏まえた検討が非常に重要だと考えます。
そこで、板橋市場における地域貢献の推進に向けて、花き棟を活用した防災面での取組の検討状況を伺います。
○石井市場政策担当部長 都は、令和六年三月に策定した板橋市場の機能強化に向けた基本構想におきまして、地域との共生推進に取り組むこととしており、その一環として、災害対策に配慮した防災機能の強化の検討を進めております。
その取組の一つとして、地元町会の要望を踏まえ、荒川などの氾濫が予想される事態に備えて、地域住民の乗用車等を花き棟の上層階に退避できるよう、現在、板橋区と調整しながら、地元町会と板橋市場との間における協定の締結など、運用面における検討を進めております。
○青木委員 災害時の地域住民の安全確保などは、本来、区市町村が主体となって検討すべきところだと思いますが、市場も防災面での地域貢献として協力していくことは非常に重要なことです。今後も地元の板橋区としっかりと相談しながら、板橋市場として、防災機能の強化に向けた取組をしっかりと進めてもらうことを要望し、私の質問を終わらせていただきます。
○福島委員 板橋市場の花き棟外壁ほか改修工事について伺います。
私たち都民ファーストの会東京都議団は、豊洲市場の建設コストと運用コストが長期的にこの中央卸売市場会計の健全性を阻害するという状況を鑑み、継続して経営の抜本的な改善を求めてまいりました。
本年二月に包括外部監査人より、中央卸売市場の事業に関する事務の執行及び経営管理についての報告が出されましたが、中央卸売市場に関わる指摘は例年の他局に比べてのものに比べても厳しいものでした。いずれも妥当な内容であったと考えます。
本改修工事に関連する部分としては、個別の建物における維持更新計画及び市場単位のマスタープランについては令和六年度から令和八年度に策定する計画とされており、これに計画的に取り組むこと、加えて、市場全体の施設整備に係る長期的な方向性が示されていない中で、各市場の個別施設において工事が実施される状況では、必ずしも全体最適にならない可能性というものが指摘をされています。
そこで、なぜ今この工事を行う必要があるのかを伺います。
○中井環境改善担当部長 板橋市場の花き棟は築三十年以上経過しておりまして、令和五年度に実施した劣化度調査によりますと、建物躯体コンクリートについては新耐震基準後に建てられた建物であることから、現在のところ構造性能は確保できておりますが、経年劣化の進行を予防する修復が必要という結果でございました。
また、建物外壁のコンクリート、塗装、屋上防水でひび割れ、破損などの劣化が見られまして、建具に開閉不良が見られました。
こうした結果を踏まえ、市場の機能を維持するために、速やかに本改修工事を行うものであります。
○福島委員 市場の機能の維持のため、経年劣化に速やかに対応する必要があるとのご答弁でした。
特にこの鉄筋コンクリートはひび割れから水が入ると劣化が加速することから、建物外壁のコンクリートや屋上防水のひび割れについては早めの対応が肝要であることは間違いはありません。
そこで、この工事の内容について伺います。
○中井環境改善担当部長 工事内容でございますが、花き棟全周の外壁改修、屋上階の駐車場防水改修、仲卸店舗等のシャッターなどの建具改修、そのほか、内外装と外構等の改修でございます。
工期は、令和九年二月末までの約二年にわたる工事でございまして、市場業務を継続しながらの施工となりますため、市場業者とも連携して工事を進めてまいります。
○福島委員 包括外部監査報告書においても、施設を稼働させながらの維持更新には、卸売業者、仲卸業者などとの市場業者との調整に時間がかかるという課題があることが記載されておりました。この改修工事の必要性と内容について確認をさせていただきましたが、この改修工事は、包括外部監査でいう個別の建物における維持更新に相当いたします。
監査は、指摘や意見に対して速やかに対応してこそ最大限の効果を発揮します。よって、私からは改めて、本改修工事と並行して、次の二点を行うよう要望をさせていただきます。
一つ目は、令和八年度までに個別の建物における維持更新の計画と市場単位のマスタープランを策定することです。ちなみに監査においては、ここへ向けての本年度、来年度の詳細な策定スケジュールの策定も必要であるとしています。
そして、二つ目は、中央卸売市場全体の機能を最適化するための市場全体の施設整備に係る長期的かつ具体的なロードマップの作成です。この中央卸売市場全体のロードマップについては、一つ目の、市場ごとの計画を寄せ集めてつくるものであってはなりません。ボトムアップでは全体最適をなし得ないからです。
よって、地方卸売市場をも含めた都内の市場ネットワークについて検討した上で、各市場の役割や機能を精査し、そこから各市場の設備の計画に落とし込む必要があると考えます。
以上、改修工事を行うに当たっては、中央卸売市場全体の機能最適化というトップダウンと並行して進めていただくことを要望し、私からの質疑を終わります。
○かまた委員 私からも、板橋市場の花き棟の工事請負契約についてお伺いをいたします。
この工事は市場業務を継続しながら行うと聞いておりますが、安全対策に最大限配慮することはもちろんのこと、市場業者の方々からの意見も聞いた上で、市場業務への影響が少なくなるよう工夫して工事を行う必要があると考えます。
そこで、この工事に当たり、どのような工夫を行うのかについてお伺いをします。
○中井環境改善担当部長 都は、市場業務を継続しながら花き棟の工事を行うため、設計段階から花きの市場業者の意見を聞いて工事を計画しております。
具体的には、仲卸店舗のシャッター工事の施工に当たっては、取引が行われていない休市日に実施するほか、花き商材に影響を与える夏場を避けて工事を行います。また、花き棟の屋上防水改修工事の施工に当たっては、工事の対象である屋上を駐車場として使用しておりますため、必要な駐車台数を確保しながら、ローリングして工事を行うこととしております。
これらの計画を着実に実施するため、市場業務に影響を生じないよう、市場業者と連携して工事を進めてまいります。
○かまた委員 工事の設計の段階から市場業者の方々のご意見を伺い、この工事の計画をしていただいたことで安心をいたしました。通常の工事と違いまして、市場特有の難しさもあり、施工時間や工事の場所など様々な制約があると思いますけれども、市場業務に配慮しつつ、引き続き市場業者の方々とも調整をして工事を進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
また、今回の花き棟の工事は令和八年度末までの工期でありますが、この後の板橋市場の青果部の施設整備についても、この工事に関連して確認をさせていただきたいと思います。
板橋市場では、花き部より早い昭和四十七年に開場しました青果部において、広域的な物流拠点として機能強化を図る施設整備が進められております。施設整備のスケジュールは、事務事業質疑の中で、今年度に基本計画を策定し、令和七年度に基本設計、令和八年度に実施設計を行い、設計の完了後、工事に着手すると市場局からも答弁がありました。
整備効果が早期に発揮されるよう、先行整備を進めることも検討しているとのことでありまして、この先行整備として、青果棟と花き棟の間に屋根を設置する工事から着手をすることを検討しているとも聞いております。この屋根を設置する工事は、今回の花き棟の工事に工事場所が近接するため、工事期間が重なると円滑な工事に支障を来すことが懸念されます。
そこで、板橋市場の今後の施設整備について、改めて青果部における検討の状況を伺うとともに、花き棟の工事と青果部の工事を円滑に進める工夫についてお伺いをいたします。
○石井市場政策担当部長 都は、板橋市場青果部における機能強化に向け、先月に施設整備案等の具体化に向けて各市場業者への個別ヒアリングを実施するなど、基本計画の策定に取り組んでおります。
基本計画の策定に当たりましては、業務を継続しながら工事を進めるため、工事期間中のローリング計画を作成する必要があり、まず、青果棟と花き棟の間に屋根を設置する工事から先行着手することを検討しております。そのため、今回の花き棟の外壁改修工事では、この屋根を設置する工事に支障を来さないようにするため、施工場所や工事期間、工事時期を工夫し、ふくそうを避けてまいります。
今後も、円滑な工事や業務への影響などに配慮しながら、市場業者との調整を十分に行った上で、施設整備を着実に推進してまいります。
○かまた委員 板橋市場では、今年度から着手する花き棟における工事を皮切りに、これから長期にわたり大規模な更新工事が続いていくこととなります。
今後も、市場業者と連携を図りながら、市場業務の円滑な継続が図られるよう、施設の維持更新を着実に進めるとともに、青果における広域的な物流拠点としての機能強化も、市場の未来を見据えて、しっかりと前に進めていただきたいことを要望しまして、私の質問を終わります。
○宮瀬委員 私の方も板橋市場の花き棟の工事契約について伺いたいと思います。
今回は老朽化対応の工事ということでありますが、近年、首都直下地震ですとか風水害の懸念等ございますが、実際にはどれぐらいの強度になるのか、どれぐらいの地震に耐えられるのか伺います。
○中井環境改善担当部長 板橋市場の花き棟は、新耐震基準後に建てられた建物でございます。板橋市場を含む新耐震基準の建物は、震度五強程度の中規模の地震に対してはほとんど損傷を生じさせず、震度六強から七程度の大規模な地震に対しても、人命に危害を及ぼすような倒壊などの大きな被害を生じないことを目標としております。
一方、令和五年度に実施した劣化度調査によると、現在のところ構造性能は確保できておりますが、経年劣化の進行を予防する修復が必要という結果でございましたため、花き棟の外壁改修工事、屋上階の防水改修工事、シャッター等の建具改修工事等を行いまして、経年劣化の進行を予防する修復を行います。
○宮瀬委員 今、地震についてお伺いしまして、ご答弁いただいたわけでありますが、やはり、昨今、水害の懸念が高まっております。今年の七月三十一日には記録的短時間大雨情報ということで、板橋区と練馬区におきまして、一時間約百ミリを超える雨が降ると。私、地元なので分かるんですけど、ここの板橋市場は川が荒川と新河岸川がありまして、常に水害のリスクと向き合っている地域であります。
板橋市場では、水害時等に住民避難を避難民として受け入れることというのは、原則論からでありますが、可能なんでしょうか。
○住野管理部長 板橋区が作成いたしました洪水ハザードマップによりますと、板橋市場の立地しておりますエリアは、荒川氾濫時に五メートル以上浸水し、浸水が二週間以上継続する浸水想定区域となってございます。板橋区水害避難等対応方針によりますれば、荒川の決壊による氾濫では二週間以上浸水が継続する区域が広く分布しているということもございまして、可能な限り区内の浸水が及ばない地域への避難を基本的な避難行動とするよう定められているところでございます。
○宮瀬委員 当然、避難物資もありませんし、水害時の避難所として指定されているわけではありませんので、当然そのような対応かなと思っています。
しかし、地元の方々から要望を大変受けておりますのは、町会長ですとか自治会の方でありますが、そもそも避難所の場所が遠いと。しかも最近の状況ですと、豪雨が、一時間百ミリが急に来たりすると、当然避難所ができていない場合もあったり、また、橋を渡らなきゃいけないといった状況もあって、高齢者の方もいて逃げ遅れてしまうケースもあるんではないかといった懸念があります。
そういった状況の中で、避難所としてではなく、この花き棟において水害時の避難として一時的な滞在は可能なのか伺います。
○住野管理部長 板橋区水害避難等対応方針によりますと、先ほど申しましたように、荒川の決壊による氾濫では、二週間以上浸水が継続する区域が広く分布しているということもございまして、建物の上層階に避難をした場合は長期間取り残される可能性がございます。そのため、可能な限り、区内の浸水が及ばない地域への避難を基本的な避難行動とするよう定められているというものでございます。
○宮瀬委員 先ほど質疑の中で、そこの上部にある駐車場に関しては、車の避難というものが可能なように区と調整しているということでありましたが、これ、いろいろヒアリング等をしていくと、水害が来る前に、事前に車をそこに置いて、おうちのところで浸水してしまったら車も駄目になってしまいますので、そこから避難所に逃げるという、人はまた別ということだと思います。
そういった中で、車の事前避難はあって、人は、じゃあどうするのかといったところで、今のご答弁ですと、取り残されちゃうよということもあって、一時的な滞在は原則論でお答えいただきました。
しかし、東京都もそうだと思いますけれども、まずは命を守る行動をしないといけないと思っています。近隣に公共施設で高い建物があるのは、多分、トラックターミナル等はあるんですけれども、ここの板橋市場、花き棟を含めて、ほかにないといったことがあります。門も三百六十五日二十四時間開いていますから、本当に命に関わる、取り残されてしまうといったときにまずは屋上に逃げて、その後、救援を待つといったことも考えてもいいんじゃないのかなと。
先ほどもいいましたように、記録的短時間大雨情報、一時間百ミリ急に降る状況ですとか、避難所自体が遠い、または開設されていない、また、橋を渡らなきゃいけない、高齢者もいて逃げ遅れもあるかもしれないと。皆さんのいう原則論はよく分かるんですけれども、現実的に命に関わるようなことが間近に迫っていたら、やはり高いところに逃げていかなきゃいけないと思っています。
改めてお伺いしますが、水害時に超緊急避難的に避難してきた場合は、市場は、今のご答弁のとおり受入れ拒否ということをされるんでしょうか。
○住野管理部長 今、議員お話しのとおり、高層階への避難というところではなかなか課題があるということは、そもそも区の方の考え方でございますし、実態としてはそうだと思います。
ただ一方、板橋市場というのは、都の地域防災計画に基づきますと、震災時における一時避難の施設ということに位置づけてございます。今おっしゃられたような話も含めてということになりますが、都として当然、人道的見地から、緊急時にあっては受け入れることとしているものでございます。
○宮瀬委員 ありがとうございます。
非常に難しい判断になると思いますし、職員の方もいるかどうかも分かりませんし、ぎりぎりの判断になるかと思いますが、ぜひ人命第一で、区と協力しながら、区の方も今後、整備が進んでいくとその辺の協議があるかもしれませんので、ぜひよろしくお願いいたします。
以上で質問を終わります。
○上田委員 私の方は、入札の適正性を確認させていただきたいと思います。
やっぱり資料要求する暇がなかったので、契約締結に係る入札参加条件と入札参加可能事業者及び辞退理由をご説明の上、あと、低入札者への聴取の日時及び説明、こちらをご説明の上、また、決定した事業者のこれまでの実績と評価を確認させていただきます。
○高橋財政調整担当部長 入札参加条件として、法令に定める入札参加禁止事由に該当しないこと、指名停止を受けていないこと、都の入札参加資格のうち、特定の業種の資格を有すること等の一般的な規定に加え、地方自治法施行令第百六十七条の五に基づき、工事等の実績や経営の規模等を定めることとされております。
このため、板橋市場(六)花き棟外壁ほか改修工事については、単体企業による申込みの場合は、建築工事の格付がA等級の中堅企業であること、または都内に東京都と契約する営業所を有する建築工事の格付がA等級の中小企業者で、一定規模以上の建築工事実績を満たすものであることなどを入札参加条件としております。
また、建設共同企業体が入札に参加する場合は、二者構成による建設共同企業体で、共同企業体の構成員がそれぞれ一定規模以上の建築工事実績があることなどを条件としております。
入札参加可能事業者数は、電子調達システム上で入札参加条件を持つことが把握できる事業者のうち、単体または建設共同企業体の第一順位として参加できる者は、令和六年十月時点で三百六十六者でございます。
入札辞退の理由は、配置予定技術者の配置が困難になったことによるものと聞いております。
低入札者への聴取の日時等は、本件は、低入札価格調査制度を適用していないため、対象者はおりません。
本件契約の相手方である事業者は、他の建築工事について都と契約実績があり、本件入札参加資格を有していることを確認しております。
○上田委員 入札の方は、まあ問題なく、また、決まった事業者においても対応できるということでございました。
包括外部監査と指摘をされている委員もいらっしゃいましたし、私の方も、このマスタープランの件を鑑みながら、事務事業質疑では、要するに赤字の事業者が五〇%、四七%いて、もちろん老朽化で工事をやることは大切なのでしょうけれども、ばらばらとしていくのではなくマスタープランにのっとってという意見もありましたが、そもそもがそうした市場における市場原理ということを考えていく中で、全部、本当に老朽化対策、葛西も大変なことになっているんですけれども、していっていいのかということについては、今、劣化度調査を実施されているということで、マーケットも今はまさにネットになっていく中で、シュリンクしていくマーケットも考えながら、何もかもマスタープランで全部一緒にきれいにするんだというのではなくて、結構大きいところもあるかと思うので、要らないものに関しては建物を集約していく等、前向きなシュリンクを考えての取組をお願いしたいということと、あと、やっぱり江戸川区も非常にゼロメートル地帯でありますので、葛西市場の方も活用できるということでは確認をさせていただきたいと思いますけれども、そしてまた、市民に開かれた活用ということも加味していただきたいということをお願いしまして、私の質問を終わります。──違う、まだあります。すみません。
東日本大震災における原発事故の損害賠償請求和解についてです。
申立て額、令和三年二月、一億一千四百三十万一千三百九十四円。賠償対象となった額は令和六年の十一月で四千五百四十万円と。賠償対象外となった額が六千八百九十万一千三百九十四円とのことでした。対象と対象外となった事項についてご説明の上、今回の和解金の詳細をご説明ください。
○住野管理部長 東日本大震災におけます原発事故の発生に伴いまして、平成二十三年度から令和元年度まで実施をいたしました食肉市場における放射性物質対策等に要した費用の全額につきまして、東京電力株式会社に対しまして、これまで賠償請求を行ってまいりました。
中央卸売市場会計における賠償請求総額は三億四千六百三十八万二千二百六十三円でございまして、うち二億三千二百八万八百六十九円につきましては、令和三年二月までの間に賠償されてございます。残余の一億一千四百三十万一千三百九十四円につきまして、令和三年二月に原子力損害賠償紛争解決センターに和解のあっせんの申立てを行い、そのうち四千五百四十万円について和解案の提示があったことから、令和六年十一月に和解をいたしたものでございます。
あっせんの申立て額のうち、和解範囲として賠償対象となった事項は、牛肉の放射性物質検査に係る経費負担金のうち、平成二十三年度から令和元年度までの九件、具体的には、全頭検査の義務づけが明示をされておりました岩手県、宮城県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県及び長野県の産牛に係ります検体採取作業に要した経費及び平成二十三年度から平成二十六年度までの九県以外の産牛に係る検体採取作業に要した費用となってございます。
一方、賠償対象外となった事項は、平成二十七年度から令和元年度までの九県以外の産牛に係る検査経費負担金、検体調整室の整備費、牛肉安全確認証関連費となってございます。
○上田委員 支払う方も、支払ってもらいたい方の交渉と攻防を確認させていただいたところでございます。
賠償対象額となった額がある中で、項目ごとに全部金額がついて、払うの、払わないのというのがちょっと見えないので、和解契約を締結した考え方をお示しいただければと思います。
○住野管理部長 本和解案は、同センターにおきまして、中立、公正な立場から審査した結果、最も妥当と判断した内容が示されたものと受け止めてございまして、令和六年十一月十四日に和解契約を締結したものでございます。
○上田委員 検体で測定について、本当に大変だったと思うんですけれども、いつまで実施をして、現状は機器類、ハードウエア、どうなっているのかということと、その当初、投じた機器類はその後どういうふうになっているのか伺いたいと思います。
○石井市場政策担当部長 牛肉の放射性物質の検査につきましては、中央卸売市場、当時の福祉保健局、卸売会社が協力して平成二十三年十二月から実施しており、令和二年三月で終了いたしました。
検査に使用しました機器は、設置を行った当時の福祉保健局及び卸売会社におきまして既に撤去したと聞いております。
○上田委員 今、アフリカですか、新たな感染症がまた出てきているようでございます。ぜひこの大変だった経験値を生かされて、早め早めでもう動くことができると思いますので、この大き過ぎる非常な経験を生かしていただければと思います。
以上です。
○小林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小林委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で中央卸売市場関係を終わります。
○小林委員長 これより港湾局関係に入ります。
初めに、契約議案の調査を行います。
第二百八十三号議案を議題といたします。
本案につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○戸谷総務部長 去る十一月二十九日の当委員会におきまして要求のございました資料についてご説明を申し上げます。
お手元の経済・港湾委員会要求資料をご覧願います。
表紙をおめくりいただきますと、目次に一件の資料の件名を記載してございます。
一ページでございますが、新砂水門(再整備)(六)建設工事に係る入札結果、入札参加条件、入札参加可能事業者数、入札辞退理由並びに低入札価格調査対象者への聴取の日時及び内容でございます。
(1)、入札結果でございます。本件に係る入札者氏名及び入札金額を記載してございます。
(2)、入札参加条件及び入札参加可能事業者数でございます。本件に係る入札参加条件及び入札参加可能事業者数を記載してございます。
(3)、入札辞退理由、(4)、低入札価格調査対象者への聴取の日時及び内容については、該当ございません。
以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願いを申し上げます。
○小林委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○細田委員 私からは、本議案の新砂水門再整備について質問します。
東京の区部東部には、地盤が満潮時の海面より低い、いわゆるゼロメートル地帯が広がっておりまして、かつては大規模な水害が度々発生しておりました。
このため、都では、都民を高潮や津波などの被害から守るために、海岸線において防潮堤の整備を進めるとともに、海と市街地を結ぶ運河の入り口、この水門の整備を進めて、今では高潮による浸水被害が発生することはなくなったという歴史があります。
しかし、仮に大地震により防潮堤や水門などの海岸保全施設が損壊してしまうような事態が生じれば、高潮や津波による水害を防ぐことはできません。当然、甚大な被害が生じることになります。
このため、都議会公明党は、ベイエリアの江東区選出の私はもちろんのこと、これまで、海岸保全施設の耐震対策を積極的に進めるよう、繰り返し要望を重ねてまいりました。
現在の水門については、港湾局が管理する十五の水門のうち、十四の水門について既に耐震対策が完了している、このように認識をしております。
そこで、今回の工事請負契約議案の新砂水門が最後の一つの水門となりますが、まず、この新砂水門の耐震対策について、いかなる考え方で取り組んでいるのか、改めて答弁を求めます。
○佐藤港湾整備部長 東日本大震災を契機といたしまして、平成二十四年に東京都防災会議が被害想定に用いる最大級の地震の震源を浅い位置に見直したことなどによりまして、地表面における地震動が従前より大きくなってございます。
これを受け、東京港の水門全体を改めて調査したところ、新砂水門につきまして、従前の地震動に対しては十分な耐震性能を有していたものの、新しい地震動に対しましては耐震性能が不足することが判明したことから、新たな水門の整備を進めているところでございます。
○細田委員 平成二十四年度の東京都防災会議の被害想定を用いて、浅い地震動から、今回は耐震性能、これを見直して、想定される最大級の地震に耐えられるように、このように新砂水門の耐震対策を進めておられる。このことを確認させていただきました。
そして、この水門につきましては、現在の水門の近くに新たな水門の整備、これを進めていくことになっておりますけれども、改めて、この新砂水門は、これまでの既設の水門の補強や改修ではなくて新たな水門を整備することとしたのか、都の見解を求めます。
○佐藤港湾整備部長 新砂水門は、背後にございます夢の島マリーナの船舶などが利用する水門でございまして、多いときには一日二百数十隻の船舶が航行しております。
水門の形式は、マリーナを利用するマストの高いヨットが制限なく航行できますよう、東京港内で唯一、ラジアルセクターゲート式といわれます左右の門扉を観音開きの扉を閉じるように動かして閉鎖する形式を採用してございます。
既設の水門の耐震補強を行う際には、船舶の航行を停止させて工事を実施する必要がございますことから、ほかの水門におきましては、これまで、迂回して別の水門を航行していただくことなどで対応を図ってまいりました。
一方、新砂水門におきましては、マストの高いヨットが通過できる水門がほかにないことから、航行を確保しながら既設の水門を補強することが不可能でございました。
このため、現在の水門の機能を維持しつつ、別の位置に耐震性を備えた新たな水門を整備することで、船舶の航行と防潮機能の両方を確保しながら耐震化を図ることとしてございます。
○細田委員 このエリアの安全・安心に対する質疑を、私はこれまでも行ってまいりました。
ここは、すぐ背後にある夢の島マリーナの船舶が頻繁に航行されています。引き続いて運河の利用者に十分に配慮していただき、整備を進めていただくことを求めておきます。
次に、具体的な工事の内容について質問いたします。
新砂水門が立地する場所は、地盤が軟弱であります。このことから、これまで大規模な地盤改良工事などが進められてまいりました。
令和五年度には補強工事が完了して、そして、いよいよ水門本体の工事に着手して、今回の工事請負契約議案も、この本体工事の工程の一部とのことでありますが、今回の契約議案の工事の具体的な内容を改めて確認するとともに、完成に向けて、今後いかなる工程が予定されているのか、都の答弁を求めます。
○佐藤港湾整備部長 今回の工事請負契約議案の内容でございますが、これまでの工事で打設した基礎ぐいの上に、底版と呼ばれるコンクリート構造物をつくるものでございます。
主な作業内容は、重量のある水門本体を支えるための土台をつくるため、厚さ約四メートル、体積にしますと小学校のプール約五十杯に相当する約一万二千立方メートルのコンクリートを打設するものでございます。この工事が完了した後に、門扉の製作や据付け工事などを実施いたしまして、新たな水門が完成した後、既存の水門を撤去する計画でございます。
今後とも、水害に対する首都機能の強靱化を図り、都民の生命、財産を高潮や津波から確実に守るため、新砂水門の整備を着実に進めてまいります。
○細田委員 今ご答弁いただきましたように、この新砂水門は、高潮の水害から都民を守る大変に重要な施設であります。
運河部での工事は、陸上での工事と異なりまして、時間もかかり大変に難しい工事だと思いますけれども、どうぞ、今ご答弁ありましたように強靱化をしていただいて、早期の竣工を目指して、引き続き全力を挙げて着実に整備を進めていただくことを要望いたしまして、質問を終わります。
○上田委員 私は入札の状況を確認したいと思いますが、今までのご答弁でかなり自信を持ってお答えになっていたということですが、資料によれば、百四者、入札可能参加者があったということですが、二者だけ手挙げということは、若干少ないのかなと思ったりしております。
法令などに基づき、適正に手続を行っていることは承知しておりますが、これまでの実績を踏まえて、この入札結果の妥当性と、決定した事業者のこれまでの実績と、港湾局の評価、毎回、通り一遍なんですけれども、今も自信を持って答えられたように、間違いがないと、今後も安心して水門の事業ができるということを先ほど自信を持ってお答えになっていたので、同じ熱を持ってお答えいただければと思います。
○佐藤港湾整備部長 本件の契約方法につきましては、一般競争入札によるものでございまして、法令等に基づき適切に手続を行ってございます。
本件契約の相手方である事業者につきましては、河川工事について都と契約実績がございます。また、本件の入札参加資格を有していることを確認してございます。
○上田委員 では、今までも実績があって、信頼ができる事業者ということで、ほかの同僚委員の期待にも応え得るということでよろしいでしょうか。──はい、承知いたしました。
○小林委員長 よろしいですか。
○上田委員 いいです、はい。
○小林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小林委員長 異議なしと認め、契約議案に対する質疑は終了いたしました。
お諮りいたします。
本案は、異議のない旨、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小林委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
以上で契約議案の調査を終わります。
○小林委員長 次に、付託議案の審査を行います。
第二百九十六号議案及び第二百九十七号議案を一括して議題といたします。
本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○青木委員 私からは、東京国際クルーズふ頭及び晴海ふ頭における指定管理者の選定について伺います。
近年では、世界的にクルーズ需要が高まっておりまして、東京港においても、クルーズ客船寄港回数は、国際クルーズが再開された令和五年にはコロナ禍前を上回る四十九回となり、令和六年の寄港回数は現時点の見込みで七十回程度と増加していることに加え、寄港希望日が重複したことにより受け入れることができなかったケースも、令和五年、令和六年とも五十件程度あったということです。
さらに先月二十九日には、都は、ディズニーランドを運営する株式会社オリエンタルランドとクルーズ船事業に関する連携協定を締結したというニュースもありました。
オリエンタルランドのクルーズ客船は、四千人規模の船舶によりショートクルーズを実施する方針とのことであり、クルーズ需要の高まりと相まって、東京港におけるクルーズ客船の受入れは、今後ますます増加することが期待されております。
こうした状況から、東京国際クルーズふ頭や来年六月に客船の受入れを再開する晴海ふ頭は、東京の海の玄関口としてこれまで以上に重要な役割を担うと考えております。
このため、今回の指定管理者の選定に当たっては、東京国際クルーズふ頭等の施設を円滑に管理運営することができる能力を持った、適切な事業者を選定することが非常に重要です。
そこで、本日は選定に係るプロセスについて、何点か確認させていただきます。
初めに、今回の指定管理者の選定における審査の視点及び体制について伺います。
○三浦港湾振興担当部長 今回の指定管理の対象施設でございます東京国際クルーズふ頭及び晴海ふ頭は、東京の海の玄関口として様々なクルーズ客船が利用し、一度に多くの人々が行き交う施設でございます。国際観光都市東京のさらなる発展や、周辺地域のにぎわい創出につながることが期待されております。
そのため、指定管理者の選定に当たりましては、乗下船時の円滑なオペレーションや施設の管理運営を効果的かつ効率的に実施可能であるかという視点を重視し、公募の上、審査を行いました。
具体的には、従事者の知識及び経験、経営基盤の安定性、管理運営の効率性、関係法令及び条例の遵守、管理業務の実績の五点を主な基準といたしまして、公認会計士及び学識経験者二名による外部委員と内部委員二名から成る五名の選定委員会を設けまして、審査及び選定を行ったところでございます。
○青木委員 施設の特色を踏まえ、必要な選定基準を設定し、外部有識者も交えて審査することにより、客観性や専門性を担保できていることが確認できました。
また、公平かつ適正な審査を行うには、審査期間のスケジュールが十分に確保できているか、適正なプロセスを経ているか、こういった視点から確認しておくことも必要だと感じております。
そこで、今回の指定管理者選定に係るスケジュール並びに選定過程について、具体的な内容を伺います。
○三浦港湾振興担当部長 今回の指定管理者の選定に当たりましては、本年七月下旬に公募を開始し、約二か月後となる九月下旬に申請書類の受付をいたしました。その後、十月に開催された選定委員会におきまして、書類及び対面による審査を行ったところでございます。
審査の手順でございますが、まず書類審査として、応募者の事業遂行能力を確認するため、提出された財務諸表などにより、財務状況や客船ターミナル施設などの管理運営実績について審査を行いました。
次に、対面審査といたしまして、応募者による事業計画書に関するプレゼンテーションを受け、その内容に対する質疑応答を行った後、指定管理者候補者を選定いたしました。
○青木委員 今回の応募においては、募集要項の配布開始から応募書類受付まで約二か月の期間があり、応募を希望する団体が応募書類の作成等に必要な日数が十分に確保されていることが確認できました。
また、応募書類受付後の審査についても、まず書類審査を行った上で、対面審査でプレゼンテーションを実施しているなど、応募内容を適切に確認していることが分かりました。
次に、事業計画について確認いたします。
指定管理期間が始まる来年四月以降、今回の指定管理者候補者が乗下船客の円滑な受入れをしっかりとできるかどうか、まずはこれが重要だと考えております。
そこで、指定管理者の選定に当たり、クルーズ客船の受入れについて、どのような点を評価したのか伺います。
○三浦港湾振興担当部長 今回の選定に当たりましては、指定管理者が乗下船客をいかに円滑に受け入れられるかという点を最も重視し、審査を実施いたしました。
指定管理者候補者の提案では、船の大きさはもとより、クルーズの出発地や到着地となる発着型と、航程の途中で立ち寄る寄港型といったクルーズのタイプに応じて乗下船手続の流れが異なるなどを踏まえ、様々なケースにおける乗下船客の誘導方法が提示されるなど、円滑な乗下船客の受入れに必要な具体策が示されておりました。
また、客船ターミナル施設などの管理運営につきまして、必要かつ十分な経験及び実績があり、適切な管理運営が期待できる点を評価し、今回の応募者を指定管理者候補者として選定したところでございます。
○青木委員 今後、指定管理者候補者が議決を経て選定された際には、今答弁のあった様々な提案が実行されているかどうか、都としてしっかりと確認、評価していくことが重要であります。
また、東京港を訪れる乗船客に再び東京港を利用したいと思っていただけるよう、都においても指定管理者をしっかりサポートしていくようお願いいたします。
さらに、近年のクルーズ客船の大型化の進展により、東京国際クルーズふ頭にしか寄港できない船舶の東京港への寄港ニーズが今後増えていくことは容易に想像できますから、都においては、指定管理者と共に対象施設の管理運営をしっかりと行うとともに、我が会派が従前より主張しております、東京国際クルーズふ頭の早期の二バース化を改めて強く求め、質問を終えます。
○福島委員 東京都立海の森公園の指定管理者の指定に関して伺います。
海の森公園は、いよいよ来年三月にグランドオープンを迎えます。
海の森という名前にふさわしく、スダジイ、タブノキなどの苗木約二十四万本が平成十九年度から平成二十七年度の間に植樹され、育ち、豊かな森を形成しています。
このスダジイやタブノキといった常緑広葉樹種、これは関東平野の潜在自然植生です。すなわち、もともと自生していた樹種でありまして、自然の森の再生を目指して選定されていることが分かります。
この海に囲まれた森や林、そして草原、そして海辺などから成る海の森公園の一角には、様々な子供たちが楽しめる遊具を設置した広場もあるというふうに聞いています。
我が会派の龍円都議が平成三十年第一回定例会の一般質問で取り上げて、その後、障害がある子もない子も、子供たちが誰でも分け隔てなく一緒に遊べるインクルーシブ公園、これ、みんなのひろばというものが、私の地元、世田谷区砧公園にオープンしたのが令和二年三月。その後、都内のみならず、国内の公園や広場へと、その取組と意義が広がっています。
そこで、海の森公園における遊具広場の整備内容について伺います。
○若林臨海開発部長 海の森公園のグランドオープンに向けまして、子供たちが楽しめる遊具を設置した広場として、こども広場、わいわい広場の二か所の整備を行っております。
遊具広場におきましては、障害の有無にかかわらず全ての子供が遊具を楽しめる環境を実現するため、ユニバーサルデザイン遊具を設置するとともに、遊具へと続く動線につきましても、バリアフリー園路の整備を進めてございます。
このうち、わいわい広場につきましては、ユニバーサルデザイン遊具の増設も含めグランドオープン後も整備を継続することとしており、引き続きインクルーシブな公園づくりに努めてまいります。
○福島委員 海の森公園の遊具広場のうち、このわいわい広場では、あらゆる子供たちが一緒に遊べる空間となっていることが確認できました。
ただ、このわいわい広場ですけれども、現在の駐車場との間に相当の距離があります。障害のある子やそのご家族にとっては、利用しにくいと感じる可能性がございます。
真にインクルーシブな公園とするように、わいわい広場の周辺にも駐車スペースを確保するよう要望いたします。
次に、指定管理者事業における選定後の事業の評価について伺います。
指定管理者の公募から決定に至るまでの選定プロセスや選定理由については、適正かつ妥当であるというふうに考えておりますけれども、今後大切なことは、この指定管理者による管理を通じて都民のQOLを向上させることです。
そのためには、提案が実行されるだけではなく、それが来園者にどう評価されているか、これを局として把握し、さらに評価が高まるように指定管理者にフィードバックしていく必要があると考えます。
そこで、実際に管理が始まった後の指定管理者の業務の評価はどのように行われるのか伺います。
○若林臨海開発部長 指定管理者が行う公園の管理運営につきましては、毎年度、学識経験者や財務の専門家から構成される指定管理者評価委員会において評価が行われております。
指定管理者には、毎年度、来園者のアンケートにより、来園目的や総合的な満足度、公園のよい点、改善が望まれる点などを調査することを義務づけており、その結果は、施設の維持管理実績などの事業報告書や財務諸表とともに委員会に提出されます。
評価委員会は、指定管理者より提出された事業報告書やアンケート結果等に基づいて指定管理の状況を四段階で評価し、都は、その結果を公表しております。
また、評価委員会において出された意見は指定管理者にフィードバックするとともに、都が評価結果も踏まえて指定管理者を指導監督することで、公園管理におけるサービスを一層向上させる仕組みとなってございます。
○福島委員 指定管理者の業務の評価は、指定管理者から提出される事業報告書のほか、来園者からのアンケート結果に基づいて実施されるとのご答弁でした。そして、このご答弁の中で、アンケートの中には総合的な満足度というものがあるというふうに分かりました。
東京都は、しばしば事業の効果検証を目的に利用者の満足度を問うアンケートを行いますが、一般論として、私は、この手の評価には課題があるというふうに考えております。
というのも、都の事業には税金が投入されることから、民間による類似の事業に比べて相対的に利用者の負担が軽くなる、もしくは負担が横並びの場合には質が上がります。つまり、満足度はどうしても高く出る傾向があるというふうに考えております。
私は、この公園の魅力を測る指標としては、例えば、来園者から、また訪れたいかとか友人、知人に勧めたいかなどと思われることではないかというふうに考えます。
こうした公園に対する率直な感想を来園者からのアンケートで把握し、指定管理者にフィードバックすることで、今後の管理運営の質を高めることができるのではないでしょうか。
そこで、アンケートについては、来園者に対し、どの程度満足していただけたかをより具体的に確認する項目を充実させるべきと考えますが、見解を伺います。
○若林臨海開発部長 公園の一層の利用促進や魅力の向上を図るためには、来園者の声を的確に把握し、それを管理運営に反映していくことが重要でございます。
海の森公園は、都民との協働をコンセプトとして、苗木づくりや植樹などの森づくりを行ってきており、まさに都民の声を聞きながら、都民と共につくり上げてきた公園でございます。
このような成り立ちを持つ公園のグランドオープンを契機と捉え、公園が有する特徴を踏まえた指定管理者の取組が、来園者にどのように評価されているのかを具体的に把握して今後の公園管理に生かしていくため、例えば、広大な広場を活用したイベントを楽しむことができたか、また参加したいかなど、公園の管理運営に係るアンケート項目の充実について検討してまいります。
○福島委員 この指定管理者が行うイベントに関して、楽しむことができたとか、また参加したいという声を多く聞くことができれば、それは取組に対する最高の評価ではないかと考えます。
そこで、グランドオープンする海の森公園をはじめ、海上公園の来園者に向けたアンケート項目について、専門家の意見を聞くなどして改めて検討していただき、それを踏まえた都の適切な指導監督を通じて指定管理者による良好な管理運営を実現することで、より多くの都民に訪れていただき、満足いただける海上公園にしていくよう要望しまして、私からの質問を終わります。
○宮瀬委員 私の方からは、海の森公園における指定管理についてお伺いしたいと思います。
今年三月の予算質疑、本委員会での予算質疑の際に、私のうちも子育て中でありますので、二十三区内で子供が遊べる大きな自然公園がないということで、私は板橋なので川口グリーンセンターまで行っていますということで、都内でなかなかないですよねといったことで、いろいろ質疑をさせていただきました。
その際に、グランドオープンも間近になってきまして、子連れでも一日ずっと遊べる、また、一泊二日などで遊べたらいいですよねということで、自然体験、具体的にはバーベキュー広場ですとか大型遊具がいいんじゃないかといったことで質疑を、まず一つ目にさせていただきました。
東京都からは、そういう公園を目指していきますというご答弁がありました。どのようになったのか、ご答弁をお願いします。
○若林臨海開発部長 海の森公園は、平成十九年度から整備を開始し、広大な広場であるつどいの草原や、多様な生物と親しめるふれあいの林のほか、バーベキュー場や大型遊具を備えたわいわい広場などの施設を設置することとしております。
指定管理者の候補者からは、これらの施設の特性や公園が有するロケーションを生かしたアウトドア活動などの提案がありました。
○宮瀬委員 バーベキュー広場や大型遊具を備えた広場が、提案の中に入っているといったことでございました。
結構、最寄り駅がテレコムセンターということで、交通の便は、駅近でももちろんありませんし、最終的に、まあ車で行ければいいんですけれども、駅からはバスじゃないとなかなか行けないですよといったことで、やはりここに行くには、かなり親としては気合を入れて行かないと、子供はちっちゃいですから、行けないかなと。そうなると、土日に人がたくさんいて、平日は、近隣に住宅があるわけではありませんから、平日はがらがらになってしまうのではないかという懸念がございます。
税金を使ってつくる公園ではありますが、そもそも平日に関しては、魅力がないと人も集まらないのではないのかなという質疑をさせていただきました。
子供が小学校に上がる前ですと、あまり土日も関係なかったり、平日も親の都合がつけば動ける場合もあるんですが、土日だけではなく、平日もふらっと思い立って、子連れでも十分楽しめるプログラムが常時あった方がいいのではないかとご提案をさせていただきました。
東京都は、海の森の特性を生かした様々なプログラムを展開できるよう考慮してまいりますというご答弁がありましたが、その後どうでしょうか。
○若林臨海開発部長 都は従前より、海の森公園を訪れた方がいつでも自然を生かしたプログラムを楽しめる環境を整えることは重要と考えておりまして、これに基づいて指定管理者の選定を進めてまいりました。
指定管理者の候補者からは、子供はもちろん、来園者が平日や休日を問わず楽しむことができる取組として、森や海を眺めながら楽しめるバーベキュー場の運営に加え、園内を巡ってマスコットキャラクターの絵を集めるスタンプラリー、剪定した枝葉などを使って自由に工作ができるクラフトコーナーにつきまして提案がありました。
○宮瀬委員 候補者の方からは、バーベキュー広場の運営に加えましてスタンプラリー、これ、広大な公園ですので、どこまでスタンプするのかというのはあると思いますけれども、子供は、多分楽しんでやるんじゃないのかなと。また、剪定した枝葉を使ったクラフトコーナーとかも、ここの公園じゃないとできないこともあると思うので、ぜひ、この提案が決まれば、実現していくのは本当に喜ばしいことだと思います。
これ以外にも、多分これだけではないと思いますが、子供の目線に立った、平日ふらっと行っても楽しい公園だなという公園にしていただきたいと思います。
ただ、私、さきの質疑の際に一個懸念していたのが、キャンプというのは、キャンプイベントというのをトライアルで皆さんやられていたと思うんですが、結局、チラシの方、フライヤーの方を見ましたら、何月何日のこの日とこの日ですといったことで、キャンプをやりませんかという案内でした。実際、都内でなかなかキャンプができる公園というのはあまりありませんで、そういった中では、キャンプができるというのは大変人気が出るんじゃないのかなと思っております。
その際に、単発、何月何日だけですよと、前回は一泊二日の一回だけだったと思うんですけれども、夏休み等では、キャンプ月間などの企画も行ってほしいですといったことを質問させていただきました。
様々な提案があると思いますが、今後、いろんな指定管理者の選定に努めてまいりますというご答弁がございました。その後どうでしょうか。
○若林臨海開発部長 海の森公園は、安全管理の観点等から、夜間は閉鎖管理することとしております。
指定管理者の候補者からは、実施日を限定したイベントとして、宿泊キャンプの実施に合わせて、夜間に昆虫観察会あるいは星空観察会を開催するなどの提案がありました。
○宮瀬委員 ありがとうございます。
これ、答弁なかなか難しいと思うんですけれども、やはり夜は湾岸地域の暴走族が、たまり場になったりとかですね、やっぱり夜は閉めないといけないのはよく分かるんですけれども、とはいえ、普通、公園というのは開かれている公園がほとんどでありますので、ちょっとそこは、夜間、もちろん最初の段階では閉鎖していただくのはいいんですが、ぜひ、キャンプのときは、もちろん──どういう閉鎖の状態でやるのか分かりませんが、たくさん人が来るんじゃないのかと思っています。
そんな中で、せっかくいい取組なのに当たりませんと、たくさん都内に子供がいて親がいる中で、前回の一泊二日のイベントでは、枠が四十名とか三十名ぐらいだったと、それで終わりといったことでありました。
昆虫観察会とか星空観察会とかというのは、もう本当に子供も親も楽しいんじゃないのかなと思う、それが、しかもキャンプでできるというのは大変すばらしい取組だと思っていますが、逆に、すばらしいからこそ人がどんどん増えちゃって、枠が四十人しかないよ、三十人しかないよといったことになりますと、ほとんど当たらないじゃないかといった懸念があります。
ですので、魅力的なプログラムが多数提案されておりますが、キャンプイベント等は人気が高くなることから、なるべく多くの人が参加できるように、都は指定管理者と連携して取り組んでいただきたいと思いますが、見解を伺います。
○若林臨海開発部長 宿泊キャンプのイベントをはじめとしまして、全てのイベントにつきまして来園者の方々に楽しんでいただけるよう、指定管理者と連携して実施をしてまいります。
○宮瀬委員 私は、なかなか直接的なご答弁というのは難しいと思うんですけれども、ぜひ、親の立場からしますと、場合によっては、一部は無料の枠と有料の枠と、公平性の問題はありますけれども、有料であっても親としては参加させたいと思う親もたくさんいると思います。
ですので、なるべく、最初はどうなるか分かりませんけれども、口コミ等でばあっと広がっていったときに、状況に応じて、日時、日程をぜひ増やしていただいて、より多くの子供が、たくさんキャンプですとか、こういった特別な体験をより多くの人たちが得られるように、工夫しながら進んでいただきたいと。
前回のように、一回やって終わり、一回当たり三十人で終わりですと、それを、じゃあ今回は四回やりましたで終わりということではなく、都民のニーズ、都民の子供のニーズを測りながら、臨機応変に、回数については、私は一部有料になってもいいと思いますので、ご検討いただけますよう要望いたしまして、質問を終わります。
○小林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小林委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
以上で港湾局関係を終わります。
○小林委員長 これより産業労働局関係に入ります。
報告事項、カスタマー・ハラスメントの防止に関する指針(案)についてに対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○阿部総務部長 去る十一月二十九日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元の経済・港湾委員会要求資料の表紙をおめくりください。
目次に記載のとおり、資料は二項目ございます。
一ページをご覧ください。カスタマーハラスメントに係る都への相談事例をお示ししてございます。
次のページをご覧ください。カスタマーハラスメント対策に係る国との連携状況を、二ページから四ページにお示ししてございます。
以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
○小林委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○青木委員 それでは、防止指針について質問させていただきます。
第三回定例会で全国初の防止条例が成立し、官民問わずカスタマーハラスメント防止への機運が一層高まっているところでございます。
人口減少や労働の流動化が進む中、カスタマーハラスメントは、労働環境を悪化させるだけでなく、人材の流出やそれに伴うサービスの低下、極めて深刻な場合には廃業にもつながるなど、企業や行政の持続可能性に大きな影響を与えております。
こうした中、都が顧客に禁止を働きかける全国初の条例を制定したことは高い注目を集めておりますが、中には、罰則があればさらに実効性が高まるという意見も少なくありません。
しかし、都の条例は、加害者の制裁だけではなく未然防止に重点を置いた点が大きな特色であると考えておりまして、この条例が高い効果を発揮するには、業界や事業者によるしっかりとした対応と、カスタマーハラスメントは禁止という条例の認知を徹底して広げていくことが重要であると考えています。
都議会自民党は、代表質問などの機会において、これまで条例の実効性や業界への支援などについて確認をしてきましたが、本日は、指針案において実効性が確保されているかという観点を中心に質問させていただきます。
まず、事業者における取組について確認いたします。
カスタマーハラスメントの防止対策は、業種によってハラスメントの形態や対応リソースが異なるため、具体例が不足すると現場での実行力が落ちることが想定されます。特に小規模事業者は独自に対応策を設ける余裕がなく、現実的な支援も不可欠であります。
事業者の防止措置を確実なものとするため、小売や接客、医療、行政といった各業種に特化した対応策や現場で使用可能なフローチャートを作成するとともに、小規模事業者の支援プログラムを設け、研修、マニュアル配布、専門家派遣、相談窓口を設置、監視カメラや録音機器の助成など多面的な支援をする必要があると考えますが、まずは見解を伺います。
○内田雇用就業部長 指針案では、事業者に対し、現場での初期対応の手順などを示すマニュアルを作成することを求めるとともに、業種、業態、企業文化などに詳しい業界団体が事業者のよりどころとなるマニュアルを作成するよう促し、都は、業界団体が参考にする共通マニュアルを作成することとしております。
現在、共通マニュアルの作成に向け、被害が深刻な業界団体に都が出向き、条例の内容や指針等の検討状況を説明するとともに、現場の実情や取組状況をヒアリングしております。
こうした内容を団体向けの共通マニュアルに反映をし、業種ごとの対応策やフローチャートの作成を推進するとともに、業界団体や小規模事業者の取組を後押しする支援策を検討してまいります。
○青木委員 カスタマーハラスメントの悩みは業種ごとに様々であり、効果的な対応策も異なると考えます。
そういった中で、録音や録画は、防止対策を取る余力がない現場でも高い抑止力が期待されます。運用に当たっては、事前の了解が必要かどうかなど法的な確認も必要になるため、行政にはこうした点も踏まえたサポートを求めておきます。
次に、カスハラは企業の努力だけでは防げない、顧客自身がハラスメントをしていると自覚し、行動を変えることが必要であります。
都の条例は、この点について、何人もカスタマーハラスメントは行ってはならないとし、禁止を義務づけたところに大きな意義があると考えております。顧客の行動を変えるには継続的な教育が必要であり、特に、カスタマーハラスメントは禁止であるという条例の存在を知らない人への普及が重要です。
都が主導してポスターやSNSでの広報活動、教育プログラムを提供する必要があると考えますが、見解を伺います。
○内田雇用就業部長 都は、従業員に対する社会的な常識や通念を超えた言動を抑えるため、カスタマーハラスメント防止に関する専用のウェブサイトを設け、動画などにより普及啓発を行っております。
また、条例制定に合わせ、店舗や窓口で目に留まりやすいポスターを作成し、経済団体や労働団体とも連携しながら周知を進めており、来年二月には普及啓発を集中的に行う取組月間を設け、シンポジウムなどにより啓発を強化していきます。
今後、消費生活行政などの所管や関係団体とも連携を図りながら条例の認知を高め、その内容の理解を浸透させる効果的な方策を検討してまいります。
○青木委員 カスタマーハラスメントと冠した全国初の条例を、施行開始を捉え一気に知らせるとともに、行動変容につながる情報発信を粘り強く進めていくことが大切であります。条例の認知を高める効果的な周知と、様々な機関と連携した継続的な教育を求めておきます。
次に、この条例の区域に関して確認をいたします。
カスタマー・ハラスメント防止条例は、カスタマーハラスメントから守られる人を都内で業務に従事する者としており、今回の指針では、ふだんは都内で働いている人が一時的に都外で仕事をする場合も条例が適用されると解説しております。
カスタマーハラスメントは、お客様のクレーム対応を全て受け止めるコールセンターでも深刻な問題となっております。例えば、都外のコールセンターで働く人が都内事業者への問合せに対応する場合、条例の対象になるのか、事業者の責任範囲がこうした都外の職場に及ぶのか明確にするべきだと考えております。
都外業務でも合理的関連性がある場合は明確に適用対象とし、基準をガイドラインに記載するとともに、事業者等に対し、都外で働く人もカスハラから守る必要があるとしっかり啓発する必要があるのではないかと考えますが、見解を伺います。
○内田雇用就業部長 カスタマー・ハラスメント防止条例では、都の区域外に所在する事業所で働く人も、都内事業者と合理的関連性があれば就業者に含めることとしており、都内事業者が設けたコールセンターは、設置場所や運営形態にかかわらず条例の適用対象となります。
このため指針案では、都外のコールセンターで勤務する会社員は、都内事業者への問合せに対応する場合、条例の就業者に当たることを解説するほか、合理的関連性を判断できない場合も、条例の対象を広く捉えて対応を図ることを推奨しております。
こうした考え方が都内事業者やコールセンターで働く人に届くよう、条例の説明や労働相談などの現場で周知啓発してまいります。
○青木委員 コールセンターは、顧客対応の最前線を一手に担い、その対応は会社のイメージに直結をします。本社から離れた都外に設置されたり、ほかの会社に委託していることも多いです。
コールセンターがどこに設置されていようが、直営か委託にかかわらずコールセンターで働く人の労働環境が守られるよう、啓発を徹底してもらうことを求めておきます。
次に、区市町村との役割分担について確認いたします。
都が施策を円滑に進める上で、地域に精通した基礎自治体は重要なパートナーであることはいうまでもありません。住民との接点が多く、日々様々な要望や苦情に接しているのも地元の市区町村でございます。
しかし、カスタマー・ハラスメント防止条例では、基礎自治体である区市町村に何が求められ、都とどのように役割分担をするのか明確に示されておりません。
都は、住民への啓発など実務的な取組がどの自治体の責任で行われるべきか明確にするべきだと考えますが、各自治体の具体的な役割と現在の状況について見解を伺います。
○内田雇用就業部長 カスタマー・ハラスメント防止条例では、東京都を含め各自治体は条例の適用を受ける事業者であり、マニュアルの作成などの防止措置を講ずることが求められます。
このため、都は、区市町村の事業者としての取組が進むよう実務担当者向けのアンケートを実施し、取組状況や課題の共有を図ってきておりまして、今後、指針や団体向け共通マニュアルにおいても適切に情報提供してまいります。
また、条例において、都は、カスタマーハラスメント防止施策の実施に当たり、区市町村と連携を図ることとしております。
このため、都は、条例の円滑な周知に向け、区長会や市長会に対して説明を行うとともに、区市町村に対して広報素材を提供しており、今後も引き続き連携を図り、防止施策を推進してまいります。
○青木委員 カスハラの防止は、働く人へのハラスメントを許さない、カスハラを防いで社会を持続可能なものとするという認識を社会全体で共有し、浸透させていかなければなりません。まさにこれは広域行政の役割であると考えております。
各区市町村では、カスタマー・ハラスメント防止条例に背中を押される形で、独自のルールを検討する動きも出てきております。
都には、こうした基礎自治体の動きを酌み上げ、都全域で防止対策が広がるようしっかりと取り組んでいただくことを要望しておきます。
最後に、施策の推進体制について確認いたします。
行政を効果的に推進するためには、見聞きした事例や経験、エピソードも重要でありますが、それだけでなく、変化を客観的に把握するとともに、それが生じた要因を分析するなど、データに基づいて政策立案していくことが当然求められます。
ハラスメントの現状把握や条例の実効性評価のためには、このデータが不可欠であり、被害件数や対応状況を継続的に調査、公表し、課題の特定と条例改善に活用する仕組みづくりが必要であると考えますが、見解を伺います。
○内田雇用就業部長 都は、カスタマーハラスメントの防止に関し、昨年十月、公労使の関係者と専門家による検討会議を立ち上げ、国や労働団体の調査によるカスタマーハラスメントの発生状況や企業の取組状況を共有するとともに、都の職場に関する調査結果も公表し、条例や施策の検討に生かしてまいりました。
今後、条例制定後の被害や事業者の取組の状況を定点調査するとともに、指針案に掲げるカスタマーハラスメント防止施策に関する推進会議で共有しまして、課題を把握、検証することなどにより、施策を推進してまいります。
○青木委員 本来は、法律や条例の力を借りずとも、顧客と働く人が互いの状況を察し、尊重し合い、対等な関係が築ける社会であることが望ましいと考えます。労働人口の減少が進み、持続可能性や人材の多様性が求められる中、こうした視点はますます重要となってきます。
都には、このカスハラ防止条例の効果を継続的に確認し、状況に応じて打ち手を変え、カスハラが原因で仕事を離れる人や、大切な人材を手放す企業が少しでも減るよう取り組んでいただくことを要望し、質問を終えます。
○内山委員 私からも、カスタマーハラスメント防止について質問をしたいと思います。
昨年の第三回定例会で我が会派が都独自の防止条例の制定を求めて以来、都は、カスタマーハラスメントの防止対策の議論を加速し、様々な関係者を巻き込みながら検討を重ね、今年十月、東京都として全国初の条例を制定いたしました。
都の条例に続く形で、大企業を中心に次々に対応方針が発表され、他の道府県でも条例の検討を表明し、可決される自治体も出てくるなど、大きな反響、広がりを見せております。
都の条例は、この間の本会議や委員会でも確認されてきましたとおり、これまで法律が届かなかったあらゆる顧客に対してカスハラの禁止を命ずるという画期的なものである一方、違反者への制裁は設けず、各当事者に理解と主体的な行動を求める内容となっております。
こうした理念型の条例の効果を最大限に発揮するためには、指針の役割が極めて重要であり、本日は、実効性確保の観点で確認をしてまいりたいと思います。
多くの場合、暴行だとか暴言というのは突如始まるものではなくて、現場の最前線で悩まれるのは、正当なクレームとカスタマーハラスメントについてどのように線を引いていくのか、どの時点で対応を厳しいものに切り替えていくかという点にあろうかと思います。
都は、こうした悩みにどのように応えていくのか、見解を伺いたいと思います。
○内田雇用就業部長 カスタマー・ハラスメント防止条例は、禁止行為を狭く限定せず、幅広い行為を抑止するため、罰則を設けない内容としておりまして、その実効性を確保するため、どのような行為が禁止の対象となるかガイドラインを示すこととしております。
このため、指針案では、線引きが難しい行為に関し、正当な理由に基づく社会通念上相当な手段、態様による申出は制限されてはならないことや、交渉や話合いの過程で違法または不当な行為があれば、その時点でカスタマーハラスメントに該当する可能性があることなどを示しております。また、判断に当たり、業種、業態、行為の頻度や継続性などの要素を総合的に考慮することが重要であることを示しております。
今後、業界団体向けのマニュアルを年度内に作成し、その中で現場ごとに判断基準を作成することを推奨し、その方法も例示してまいります。
○内山委員 ありがとうございます。
本来であれば、判断基準は明確で、かつ一律であることの方が望ましいと思いますが、こういった中においては、なかなかきれいに線引きできるものでもないかと思います。提供しているサービスだとか、また、どういったものが売りなのか、こういったことによっても、その顧客の状況だとか、働き手の方が、いや、ここまでは許容範囲だなというのは、かなり業種、業態、様々変わってくると思います。
東京都には、ぜひ現場の議論が進むよう、しっかり後押しをしていただきたいと思います。
カスタマーハラスメントは、商品やサービスを提供する企業や役所のミス、また、それに対する不誠実な対応が発端となる場合もあります。カスハラの原因をつくらない努力というのが大切なのかとも思います。
カスタマーハラスメントを未然に防止するためには、サービスの提供者側がハラスメントの加害者にならないように、すなわち事業者の方でできることといえば、サービスの提供側もカスタマーハラスメントの加害者にならないようにすることや、カスハラを誘発しないコミュニケーションを啓発していくべきだと思いますが、見解を伺いたいと思います。
○内田雇用就業部長 指針案では、事業者に対して、就業者がカスタマーハラスメントを行う立場にもなり得ると解説するとともに、社員がカスタマーハラスメントを行った場合を想定した懲戒処分の規定を設けるなど、厳正な対応を求めております。
また、カスタマーハラスメントの未然防止策として、顧客との良好な関係の築き方や、言葉遣い、傾聴の重要性などを盛り込んだ研修を推奨しております。
今後作成する共通マニュアルでは、こうした未然防止に重点を置いた内容を充実するよう検討してまいります。
○内山委員 ありがとうございます。
理不尽な要求には毅然と接することを基本にしつつも、カスハラ条例が丁寧な接客だとか対応を否定するような運用にならないよう、行政にはバランスの取れた啓発を期待したいと思います。
次に、取引先との間に起こるカスハラについて確認をしていきたいと思います。
カスハラの中には、例えば教育熱心な社員、例えばBツーBの中で、もっとこうした方がいいんだよという、こういうような熱心な取引先だとか教育熱心なところがあるんですが、そういったところが自覚しないままカスハラ行為に至る無自覚なカスハラというのも一方で指摘をされていると聞いています。
取引先との契約をめぐる厳しい交渉の過程で発生することもありますし、先ほど申し上げた教育的指導だと思って行われることや、交渉の一環でも、人格を否定するような暴言というのはあってはなりません。また、最近では、取引先の社長からカスハラを受けたとして、その企業を提訴する事案も発生していると聞いています。
都は、カスタマー・ハラスメント防止条例が取引先との間でも役立つようしっかりと啓発し、企業の大小や受発注の関係にとらわれず、働く人が相互に尊重し合い、対等な立場に立って接するという素地を築いていくべきだと考えますが、見解を伺います。
○内田雇用就業部長 指針案では、企業間取引を背景としたカスタマーハラスメントも禁止されることを明示し、受注者と発注者の関係を例示するとともに、取引関係がある経営者、社員、個人事業主、フリーランスも被行為者になり得ることを示しております。
また、企業間取引には下請法や独占禁止法が適用される場合があり、これらの法律に違反する行為があれば処罰される可能性があることを示すとともに、事業者に対して、取引先にハラスメントを行わないよう社員を教育することや、取引先からハラスメント防止への協力を求められた場合には応ずることを求めております。
今後、企業間の取引に起因する具体的な事例や、取引先へのハラスメントを防ぐ好事例を共通マニュアルに掲載するなど、企業間のカスタマーハラスメントの防止を進めてまいります。
○内山委員 ありがとうございます。
企業間の取引では、利益を出すために強いプレッシャーがかかるケースや、会社同士の上下関係から強くいえない状況など、様々な背景があると思います。しかし、そういったケースでも、ハラスメントは許されないというふうに思います。
日本の企業が大切にしてきた顧客第一という考え方が現在の社会状況に合ったものとなるよう、カスハラ防止条例による行政の後押しを求めたいと思います。
続きまして、カスタマーハラスメント対策は、住民に近い市区町村でも大きな課題となっております。
先日の代表質問では、録音などが公務の現場でも役立つことを確認してまいりましたが、指針には出入り禁止など毅然とした対応も例示され、悪質な行為に悩む現場にとって心強い支えになります。
一方で、住民の中には、カスハラ条例を盾に対応が機械的に打ち切られたり、学校で、これはもう今もあると思いますが、何かあるとモンスターペアレントだということで、そういった扱いをされて、もう正当なクレームだとか意見が通らないとか、こういったこともありますので、この条例が逆にそっちにかじを切ってしまうとなると、これは不安だという、そういった方もいると思います。
都は、職員の労働環境の改善と住民の権利の尊重のバランスの取れた公務職場の参考となる対応策を示していくべきだと考えますが、見解を伺います。
○内田雇用就業部長 指針案では、カスタマーハラスメントの行為者として住民を、被行為者として官公庁職員を例示しており、受託事業者や指定管理者も含め、公共サービスに関わる現場が広く条例の適用となることを示しております。
一方、行政サービスは住民が自由に選択できるものではないことや、住民の要求が生命や財産に関わる場合もあるなど、公務現場の特質を踏まえた対応も求めております。
今後、団体向け共通マニュアルにおいて、自治体など行政サービスの現場でも活用できる内容を充実するよう検討し、条例の掲示や録音など、公務職場で効果がある対策や運用方法と併せて、住民の権利に配慮するための留意点などを盛り込んでまいります。
○内山委員 ありがとうございます。
カスタマーハラスメントに関する条例化や方針制定の動きは、他の道府県や市町村でも聞かれるようになってきており、中には、氏名公表という形で違反者への制裁を含むものも発表され、様々な反響があります。
国でもようやく法制化の検討が動き出し、事業者には条例より強い義務づけとなることも予想されております。
都は今後、国の動きをどのように捉え、条例を運用していくのか、見解を伺います。
また、市区町村が事業主として職員を守る対応も後押しすべきだと思いますが、見解を伺います。
○内田雇用就業部長 都は、国が参画する体制で条例や指針の検討を進めてきておりまして、今後も、消費者への周知など労働行政では届かない部分に力を合わせていくこととしております。
また、都条例よりも強い、または広い内容が法制化される場合には、都条例の見直し規定により適切に対応してまいります。
都内区市町村に向けましては、条例の説明と併せて、実務担当者向けのアンケートを行っており、職員に対するカスタマーハラスメントの発生状況、名札の変更などの取組の実施状況、取組を進める上での課題などを確認し、全区市町村に共有しております。
条例施行後もこうした連携を継続するとともに、特色ある自治体の条例や対応策など、参考となる情報の発信に努め、区市町村の取組を後押ししてまいります。
○内山委員 ありがとうございます。
全国初の条例ですから、様々な国の動向もあり、また、市区町村の実際の運用もあり、柔軟に対応していっていただければというふうに思います。
東京都のカスタマー・ハラスメント防止条例は、これまで労働法では届かなかった職場の外の人に直接アプローチするものであり、大きな一歩だと思います。罰則による制裁ではなく、互いに尊重し合い、未然防止を呼びかける点には大いに意義があり、今後作成する共通マニュアルでもこのことをしっかりとPRしながら、実効性のある取組としていただきたいと思います。
今後、自治体、業界、企業のレベルで様々なルールがつくられ、より厳正なもの、緩やかなもの、様々な規範が出てくると思いますが、都はそうした動向にアンテナを張り、市区町村や事業者の参考となる情報発信や支援に取り組むことを要望し、質問を終わります。ありがとうございました。
○かまた委員 それでは、私からも、カスタマー・ハラスメントの防止に関する指針について質問をさせていただきます。
都議会公明党はこれまで、全国初となるカスタマー・ハラスメント防止条例の制定を要望するとともに、学校現場、インターネット上の行為、介護の現場など、様々な状況を想定して、その特殊性を踏まえた対策を示すよう求めてまいりました。また、幅広い業種や業態に対応でき、現場で働く人がよって立つことのできるガイドラインの重要性も訴えてまいりました。
都はこうした要望に応える形で、条例の検討と並行しまして、ガイドラインの検討も進めてこられ、作成に携わった皆様には心から感謝をするとともに、その成果は非常に大きいと評価するものであります。
報告された指針案は全国初の条例に魂を入れるものであり、これまでの本会議や委員会でも条例とセットで指針の方向性が議論されてきたところですが、本日は、これまでの提案や課題提起が指針でどのように反映されたのか、確認も含めて質問をさせていただきます。
都の条例には罰則がなく、理念型の条例であることは、これまでの議会でも説明をされましたが、ルールづくりには合意形成のプロセス、結果への理解や共感が重要であります。
そこで、今回の指針案の作成に向けて、本指針によって影響を受ける当事者とはどのように議論をし、今後どのように関わっていくのかについてお伺いをいたします。
○内田雇用就業部長 都は昨年十月、公労使会議の下に法律の専門家が参画する検討部会を設け、カスタマーハラスメントへの対応の在り方について、条例化を含めた検討を重ねてまいりました。
今年七月には指針等の検討を進める会議を立ち上げ、経済団体、労働団体、消費者関係団体、学識経験者のほか、国の参画も得て幅広い議論が可能な体制を整えております。
こうした体制によりまして、引き続き、団体向けの共通マニュアルの検討を進めるとともに、条例施行後は指針に基づく推進会議として再編し、現状分析などを継続的に行い、幅広い意見が施策に反映されるよう取り組んでまいります。
○かまた委員 消費者関係団体も含めまして、幅広く関係者と関わる体制が組まれていることを確認いたしましたが、答弁にもありましたように、幅広い立場の方々の意見が反映されるよう取り組んでいただきたいと思います。
また、他県では制裁措置がある条例案も出てきた中、罰則に改めて関心が集まっています。
そこで、都の条例がなぜ罰則がない内容となったのか、議論の経過を確認するとともに、罰則のない条例を指針でどのように補完し、実効性を高めていくのかについて見解をお伺いします。
○内田雇用就業部長 都の検討会議では、当初、罰則を求める意見が出たものの、対象行為を厳格に定める必要があることや、悪質な行為には刑法等による制裁が可能であることに加え、ここまでは許されるという誤った理解が広がる懸念や運用のハードルなどが指摘され、こうした議論も踏まえて、都として罰則を設けず、幅広い行為を抑止する条例案を取りまとめてまいりました。
条例の実効性を高めるため、指針案では、声を荒げる、何度も電話をして要求を繰り返す、長時間拘束するなどの行為を類型化して記載するとともに、刑法などにより処罰を受ける可能性があることを根拠法にも触れながら伝えております。
こうした内容について、様々な媒体による広報や関係部署間の連携を通じて啓発するとともに、今後作成する団体向けのマニュアルにおいて、警察に通報する手順などを定めておくことなども推奨してまいります。
○かまた委員 ルールは、結果を周知するだけではなく、なぜそのようなルールになったのかを伝えて、そのままでよいのか絶えず検証していただくことも必要であります。こうした検証を踏まえながら、行政や業界の取組がブラッシュアップされていくことを期待しております。
次に、障害のある方々など配慮が必要な方への対応という観点から確認をさせていただきます。
都は、障害者差別解消条例で事業者に対して合理的な配慮を義務づけ、今年四月からは法律上も義務化されました。
店舗や施設に対しては、障害がある方々が合理的配慮を求める行為は正当なものでありますが、例えば、配慮が必要であることが店舗側に理解されなかったことが原因で起こってしまう、一見、カスタマーハラスメントと捉えられてしまう事案も出てくることが予想されます。
昨年十二月から旅館業法の改正により、ホテルや旅館ではカスタマーハラスメントを行う、いわゆる迷惑客の宿泊を断ることができるようになりましたが、聴覚に障害がある方が筆談でのコミュニケーションを求めたり、障害を理由とした不当な差別的扱いを受け、謝罪等を求めたりすることなどは、拒否事由に該当しないことが示されております。
そこで都は、障害がある方など配慮が必要な方による正当な要求がカスタマーハラスメントとされないよう取り組むとともに、消費者の権利をはじめ、様々な権利とのバランスを確保していくべきと考えますが、今回の指針でどのように対応しているのか、見解を求めます。
○内田雇用就業部長 指針案では、消費者の権利や消費者に対する事業者の責任を示すとともに、障害者や認知症の方など合理的配慮が必要な人も存在することを示し、関係法令にも触れながら、そうした権利の保護に留意するよう求めております。
具体的には、障害者等への配慮に関し、飲食店、公共交通、医療福祉、行政の現場などの場面ごとに具体例を示し、援助や配慮を必要とする人を視認できるヘルプマークなども紹介するほか、表現の自由やその他の権利にも言及し、留意することも求めております。
こうした各種の権利は限定列挙ではないことも記載しておりまして、今後、権利への配慮に関して新たな情報発信が必要になった際には、団体共通マニュアルやホームページなどにより、きめ細かい対応を図ってまいります。
○かまた委員 働く人の側にも顧客にも当然に人権があり、相手が誰であっても暴力や暴言は決して許されません。
一方、顧客側には様々な理由により、円滑なコミュニケーションを苦手とする方々もいらっしゃいます。
都には、病気や障害を抱えた方などが安易にカスハラ客として排除されないよう、啓発を求めるとともに、不当な要求と合理的な配慮の要求との線引きに悩む現場の助けとなる情報発信を求めさせていただきます。
続きまして、被害者や事業者などへの支援についてお伺いをいたします。
顧客から迷惑行為を受けた場合、それをハラスメントと感じるかどうかは、役職や世代によっても異なります。
都の検討会議では、現場でカスハラ被害に遭った人が上司に相談しても取り合ってもらえなかったり、評価が下がることを恐れて本社に報告しなかったりといった実情も取り上げられております。
カスハラ被害に遭った従業員が職場に訴えても対応してもらえない場合の相談先や、カスハラを疑われた顧客の相談を受け止める体制が必要と考えますが、見解を伺います。
また、従業員を守ることへの経営層への啓発を含め、事業者への支援が最も必要であると考えますが、併せて見解を伺います。
○内田雇用就業部長 都は、労働相談情報センターにおいて、ハラスメントに関する労働相談を受け付けており、カスタマーハラスメントについて、上司や職場に対応してもらえない事案についても相談に応じるとともに、必要に応じ、使用者との間であっせんを行う仕組みとしております。
カスタマーハラスメント行為を疑われる方からの相談については、消費生活相談を所管する局など各局とも連携し、適切な窓口を紹介するとともに、様々な相談に円滑に対応する体制づくりも検討いたします。
また、経営層への啓発に関しては、指針案において、経営層や現場監督者向けの研修の実施や意識改革の重要性を伝えるとともに、今後、中小企業が行う対策への支援も検討し、カスタマーハラスメント防止への事業者の環境づくりを後押しいたします。
○かまた委員 都内には、カスタマーハラスメント対策に十分な体制が取れない事業者も多くあります。行政の支援や行政の窓口の充実も、併せて要望させていただきます。
最後に、カスハラ以外のハラスメント行為との関係について確認をいたします。
そもそもハラスメントは、お客様からだけではなく、職場の上司や先輩、時には経験の長い部下から上司に対しても起きることがあり、決して許されてはならない行為であります。
また、国の調査では、インターンシップ中にセクハラ被害を受けた経験がある学生は三割に上ることも示されており、これらはお客様からのハラスメントと異なり、社内で啓発することにより防ぐことができます。
都は、カスタマー・ハラスメント防止条例を機に、顧客からのカスタマーハラスメントだけではなく、就活ハラスメントなども含め、職場からあらゆるハラスメントがなくなるよう促していくべきと考えますが、見解を求めます。
○内田雇用就業部長 都は、いわゆる就活ハラスメントも含めた様々なハラスメントの防止に向け、セミナーや関係法令を解説した冊子の配布等により、事業主に対して必要な知識の普及啓発を行っております。
今回の指針案では、事業者の取組として、未然防止のための社員教育や研修を求めており、今後作成する団体向け共通マニュアルにおいて、カスタマーハラスメントに加えてパワハラやセクハラ、就活ハラスメントなどの防止を併せて啓発することを推奨してまいります。
これらにより、職場におけるあらゆるハラスメントの防止を推進してまいります。
○かまた委員 今月は、国が定めた職場のハラスメント撲滅月間であります。パワハラ、セクハラ、マタハラ、パタハラ、SOGIハラは、既に法律での対応が図られておりますが、都のカスタマー・ハラスメント防止条例により、法律が届かなかった職場の外の人との関係でもハラスメント禁止の網がかかり、職場で起こり得るあらゆるハラスメントが網羅されたといえます。
私個人としましては、本来、人はこのようなルールがなくても、努力によりお互いの思いを理解し合えるものだと考えております。だからこそ、このハラスメントを防止するルールをつくる社会がゴールではなく、お互いに相手を受け入れて理解し合う社会をゴールとして目指したいと考えております。
そこで、行政の皆様には、多くの当事者が共感できる運用ルールや社会常識がつくり上げられるような後押しをしていただきたいことを求めまして、質問を終わります。
○藤田委員 日本共産党の藤田りょうこです。
前回、東京都カスタマー・ハラスメント防止条例案の質疑の際、私は、ハラスメントは人権侵害であるという立場から、被害者救済が大事ということ、消費者の正当な権利の侵害はあってはならないということ、都民の権利に関わる条例なので慎重な議論が必要という点について質疑してまいりました。
また、カスタマー・ハラスメント防止条例は、ガイドライン、指針がないと、どういう性質のものなのか判断ができないというつくりになっていましたので、本日、こうして報告があって質疑できることは、最低限必要だったと思います。
初めに、この問題をどういう問題として位置づけるかについて伺いたいと思います。
カスタマーハラスメントを含むハラスメントは、身体的、精神的な攻撃とともに、過大な仕事を与える、関係性に乗じて支配しようとする、私的なことに過度に立ち入るなど、様々な形で人を傷つけ、痛めつけ、鬱病や退職に追い込んだり、命さえ奪ったりすることもある、決して許されない行為です。この問題は、人権問題として位置づけることが重要だと思います。
初めにお聞きしますが、カスタマーハラスメントの問題は人権問題ですか、それとも職場環境の問題ですか。
○内田雇用就業部長 カスタマーハラスメントは、パワハラやセクハラ等と同様、働く人が能力を十分に発揮することの妨げになるものであるとともに、個人としての尊厳や人格を不当に傷つけるものであり、職場環境にも人権にも関わる問題でございます。
○藤田委員 職場環境にも人権にも、両方に関わる問題だという答弁でした。
ちょっと一点、要求資料に関してお聞きしたいことがありまして、カスタマーハラスメントに係る都への相談事例という資料の中に、東京都中小企業振興公社の事例で、使用者から、自社のウェブサイトに、営業に悪影響を与えかねない書き込みを繰り返している顧客がいる、対応について助言してほしいという趣旨の中身が、概要が書かれているんですけれども、カスハラの定義に照らしてみますと、顧客等から就業者に対する行為というふうに書かれているんですが、この内容を見ると、顧客等から就業者に対する行為なのかどうかちょっと分からないんですね。
しかし、雇用環境が害されるというところには、まあ合致するのかなと思うんですが、この例示はカスハラなんですか、それともたまたまここに挙がった──本当にカスハラと認定しているのかどうか、ちょっと判断を伺いたいと思います。
○内田雇用就業部長 カスタマー・ハラスメント防止条例は、働く人に対する顧客等からのハラスメントを禁止するものでございますが、相手が法人でございましても、それは就業環境に影響する場合がございます。そのために、指針案でも、法人に対するものであっても、就業環境に悪影響があるとして抑止を呼びかけております。
したがいまして、資料要求にお答えした資料につきましては、カスタマーハラスメントに関する相談ということでございます。
○藤田委員 ご答弁のように、ハラスメントの被害を職場環境の悪化ということも含めていいますと、職場環境の悪化などという主観的な要素を混ぜて判断してしまうことは、やっぱりやるべきではないなというふうに今の答弁を聞いていても感じました。
被害の存在が軽視されてしまって、加害行為をどう規制するかという加害者目線となってしまうことで、カスタマーハラスメントに当たらないためにどうすればいいのかという被害者側の説明で終わってしまうからです。
そういった中では被害者の救済がしづらい、そもそも、これは誰が被害者なのかという感じもあるわけなんですが、個人ではなく法人が被害を受けたという話になるのかなと、これはハラスメントなのかなという、ちょっと疑問も生じてきます。
先ほどの答弁では、そうはいっても人権の問題としても捉えているということでした。そうであるなら、深刻な被害につながる重大な問題なわけですから、被害者の救済もしっかりと位置づけなければならないと思います。
カスタマーハラスメントを含め、ハラスメントは命に関わる問題との認識から、定義の在り方と対策を取るべきだと思いますが、都の認識を伺います。
○内田雇用就業部長 カスタマー・ハラスメント防止条例の前文では、働く人の安全及び健康を害する様々なハラスメントを未然に防止する必要があるとしております。とりわけ、カスタマーハラスメントについては、働く人のみならず、商品またはサービスの提供を受ける環境や事業の継続に悪影響を及ぼすものとして、あらゆる場面で防止することが重要であるとしております。
顧客からの迷惑行為により社員が自殺に至った事案について、カスタマーハラスメントによる精神疾患が原因として労災認定された例もあることなども踏まえまして、防止対策を推進してまいります。
○藤田委員 自殺に至った事案についても述べられたということは、命に関わる問題だという認識が都にもあるということです。そうであるなら、東京都もカスハラを人権問題として位置づけ、被害者の救済にこそ重点を置くべきです。
ガイドライン案では、都が被害者について進める施策は、事業者の取組のサポートにとどまっています。
国際的な基準では、ハラスメントは人権侵害という性格から、定義や対策が考えられています。EUモデルでは、ハラスメントであるかどうかの判断は、加害者の行為によって決めるのではなく、被害の存在、被害者の申立てによって決められるものとしています。
人権侵害という問題として扱うのであれば、事業者だけでなく、都としてもハラスメントの被害に遭った方の相談制度を設け、専門組織及び専門家の育成や支援を行うべきです。
東京都においても国に先駆け、全国初のカスハラ条例を制定するということですので、ぜひ国際水準のハラスメント対策に引き上げていただいて、被害者の救済をしっかり位置づけるよう要望しておきます。
一方で、条例ができることで、どのような行為がカスハラに当たるのかといった議論がされて、消費者の正当な権利まで侵害されかねないといった懸念も多く出されてきました。この間のパブリックコメントや自治労連弁護団の声明、前回の委員会質疑でも出されていましたので、どう対応してきたのか確認していきたいと思います。
パブリックコメントを受けて取り入れた部分はどこですか。
○内田雇用就業部長 パブリックコメントでは、条例に対する期待の声のほか、罰則、消費者への配慮などの意見も多くいただいたことから、指針では、罰則はないが、刑法等の法律に基づく処罰がある可能性があることや、消費者、障害者、認知症の人などの権利に関して、根拠法にも触れた解説などを盛り込んでございます。
○藤田委員 消費者などの権利に関する根拠法にも触れた解説などを盛り込んだということでした。法律の解説だけでは権利は守られないと思います。
そして、併せて伺いたいと思うんですが、今の質問に関してもう一点確認をしたいんですけれども、この消費者などの権利に関する根拠法をなぜガイドラインに盛り込んだのか、目的についてもちょっと説明をお願いします。
○内田雇用就業部長 パブリックコメントにおきましては、条例に対する期待の声のほか、消費者への配慮などの意見も多くいただきましたことから、消費者に関しては根拠法にも触れた解説を盛り込んだということでございます。
○藤田委員 パブリックコメントの指摘というところもありましたが、前回の質疑でも東京都も、消費者の正当な権利が不当に阻害されてはならないというふうにご答弁されていましたので、そういう立場で東京都も、消費者などの権利に影響を及ぼしかねないという問題意識があったんじゃないかなと思います。
そうであるなら、消費者などの権利にはどういうものがあるのか、なぜ大事なのか、守るためには具体的にはどうしたらよいのかなどについて、ガイドラインに盛り込むだけではなく、東京都からも積極的に発信し、都民に周知していただきたいと思います。要望しておきます。
消費者の権利侵害の懸念については、検討会でも意見が出されています。カスタマーハラスメント防止ガイドライン等検討会議第一回では、消費者に寄り添う視点が弱いという指摘があります。どのように改善したのですか。
○内田雇用就業部長 消費者に寄り添う視点を強化するため、指針案では、就業者の責務に関して、顧客等からの商品やサービスに関する正当な理由に基づく要求や改善の要望に対し、顧客等の心情に配慮した適切な言動を行うことが重要であることを記載しております。
○藤田委員 確かにガイドラインには、顧客等、つまり消費者の心情に配慮した適切な言動を行うことが重要と記載をされています。
ただ、この文言が、顧客等の心情に配慮した適切な言動というのはどう対応すればいいのかというのが読んだだけではちょっと分かりづらいなと思ったんですが、これはどのように実効性を高めていくのですか。
○内田雇用就業部長 指針におきましては、顧客等の心情に配慮した適切な言動を行うことが重要であることを示しますほか、研修、教育におきまして、顧客とのコミュニケーションの方法等についても記載しておりまして、今後、共通マニュアルの中でもそうした啓発を図ってまいります。
○藤田委員 マニュアルに掲載して図っていくということで、マニュアルにも確かに、顧客等に寄り添って対応するという中身が書かれています。
中身には、要求の背景に顧客等が抱える困難や課題がある可能性にも配慮しながら、顧客などへの対応の際は適切な言動を行うことが重要であると、あと少し記載されているんですが、消費者等のこの抱える困難や課題というのが何に当たるのかなと、すごくこれは就業者にとっては、先ほど研修などを行うということもお話しされていましたが、知識や経験をとても伴うものだなというふうにも感じました。
そして、このガイドライン案の中に書かれている場所としては、この項目は、カスハラの未然防止に資する行動の考え方というところで、就業者が取るべき行動として書かれています。つまり、カスハラの予防は就業者の行動に依拠しているというところもあるということで、個人間のトラブルの問題として扱われかねないなというところも懸念をされるわけです。
消費者に寄り添う視点が必要なのは就業者だけではなく、幅広い都民、皆さんが必要なのではないかなという点からすると、就業者だけにこの責務を課すのではなく、東京都としても研修を後押しすることと併せて、都民に広く周知していくことをぜひ積極的に行っていただきたいと思います。要望しておきます。
実際に、こうした議論の中で、消費者からの電話の件数が減っているという声も出されています。カスタマーハラスメント防止ガイドライン等検討会議第二回では、このように議事録に載っていました。
今、実際に、企業、事業者に入る電話の件数というのはかなり減ってきています。直近で私どもが取った件数でも、大きく減ってきているというところがかなりあって、増えているところよりも、減っているところが多いんですよねと。そういった状況からすると、やはり、お客様の声をもっと大事にしていかなければいけないという指摘がありました。
これをどう対応するのでしょうか。
○内田雇用就業部長 指針案では、顧客による正当な理由に基づく社会通念上相当な手段、態様による申出は不当に制限されてはならないことや、消費者の権利や消費者に対する事業者の責任を示すほか、傾聴の重要性などを盛り込んだ研修を推奨しており、今後作成する共通マニュアルにも、こうした趣旨を適切に反映し、啓発を進めます。
○藤田委員 相談件数が減った理由は一概にはいえませんが、条例の制定によって消費者の正当な意見や苦情をいう権利が抑制されかねないということも、改めて認識していただきたいと強調しておきます。
ガイドラインの中で私が気になっている点について幾つか、幾つかというか一点確認したいんですけれども、ガイドラインの五ページに、就業者に該当しない例の中で、違法性がある以下の行為として例示されているものの一つですが、必要な道路使用許可を受けず街頭でビラ配りをする者というのがあるんですが、これはどのような行為を想定しているのでしょうか。
○内田雇用就業部長 指針案では、違法性がある活動を行う場合は条例の就業者に当たらない旨、示しておりまして、ご質問の就業者に該当しない例示においては、道路の使用に当たり、道路交通法で必要とされる管轄の警察署長の許可を受けていない行為を想定しております。
○藤田委員 警察署長の許可を受けているかいないかというのは、客観的に分かるようなことではありません。
仮に警察署長の許可を受けていることが客観的に分かるものがあった場合に、使用許可を受けていれば就業者、受けていなければ就業者に該当しないということなんでしょうか。
○内田雇用就業部長 指針案では、違法性がある活動を行う場合は条例の就業者に当たらない旨示し、その例として、必要な道路使用許可を受けず街頭でビラ配りする者を記載したものでございまして、道路使用許可が必要であるか否かは法令に照らして判断されるものでございます。
○藤田委員 見た目には就業者か就業者じゃないかというのは、本当に分からないということなんだと思います。結局、法に照らしてみないと、違法かそうでないかは分からないということなんだと思います。
道路使用許可を必要としない街頭でのビラ配りという例はあるのでしょうか。
○内田雇用就業部長 道路交通法など関係法令において道路使用許可を必要とする行為を列挙しておりまして、それらに該当しない行為は、道路使用許可を必要としないものと認識してございます。
○藤田委員 最後に一点、このことについて追加でお聞きしたいんですが、政治活動のための街頭でのビラ配りというのは道路使用許可は必要ですか、それとも必要ではありませんか。
○内田雇用就業部長 道路使用許可の判断は、法令に照らし判断されるものでございます。
なお、参議院の質問主意書では、道路において演説その他の方法により人寄せをすることは、一般に、これによって道路に人が集まり、その結果一般交通に危険を生じさせるなどして、道路交通法第七十七条第一項第四号に規定する、道路に人が集まり一般交通に著しい影響を及ぼすことがあり得るとの政府見解が示されておりまして、管轄する警察署長の許可が必要な行為に当たり得るものとされております。
○藤田委員 こちらのガイドラインの案の方にも、そうはいっても政治活動などは正当な行為として掲載もされています。今のお話の中でも、やっぱりガイドラインがあってもなお個々の事例で判断しなくてはならないということがよく分かりました。
また、これは加害する側から見れば、都合のいい逃げ口上ともなりかねないというふうに思うんですね。ガイドラインに示しているカスハラの定義は、顧客等から就業者に対して、その業務に関して行われる著しい迷惑行為であって、就業環境を害するものという内容になっています。
今の答弁を聞いていても分かるように、カスハラを誰がどのような基準で判断するかなど、主観的な判断に委ねられることによって、加害者の意図によってハラスメントの成否が決まるというものになってしまいます。
また、幾つもの加害行為が類型化されることで、被害者は自分がどのようなハラスメントを受けたのか証明しなくてはならず、あなたにも落ち度があったんじゃないのとか、あなたの思い過ごしじゃないのとかいって取り扱ってもらえなかったり、個人的な問題に矮小化されてしまいかねません。
パーソル総合研究所の調査でも、会社員が被害を認知していても、三六%は何も対応がなかったという結果があります。こうしたことからも、被害者は相談を諦め、結果的に精神疾患など深刻な事態へと発展してしまうのです。
こうしたハラスメントの実態について、これまで都は、調査をしてはきておりません。都として、都内で起きているカスタマーハラスメントの状況について調査をして、条例の影響や効果について検証すべきではありませんか。
○内田雇用就業部長 都は今後、条例制定後の被害や事業者の取組状況を調査し、カスタマーハラスメント防止施策の推進に関し、経済団体、労働団体、消費者関係団体による会議で共有し、検証するなどにより施策を推進してまいります。
○藤田委員 ぜひとも、その調査は、精神科医などの専門家と一緒に実施していただきたいと思っております。
労働者の命の問題なのに、なぜ実効性ある対策になり切らないのかと、それはやっぱり国の法律に根本的な問題があります。
ハラスメント規制については、二〇一八年頃から国民の中で要求運動が高まり、日本政府に対して、包括的なハラスメント規制法の制定を求めてきました。
野党の側からは、労働安全衛生法の改正案、つまり働く人たちの健康を守る視点で法改正の提案がされていました。いずれも、ハラスメント禁止原則や被害者救済を明確にする趣旨です。
一方、政府側は、労働施策総合推進法でパワハラ、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法でセクハラ、マタハラの対策を定め、ハラスメントへの対応、相談体制整備を事業者の措置義務としました。しかし、ハラスメントそのものを禁止する規定は、どの法律にも盛り込まれませんでした。
また、労働施策総合推進法は、雇用対策法が改正されてできた法律ですが、当時の改正の際に、立法の目的に、生産性向上という文言が加わりました。まさに働く人のためではなく、企業のための法律であることがこの経過からも分かります。
こうした非科学的な対応から、実効的なハラスメント規制へと転換する必要があります。
一九九〇年代からEUで始まったハラスメント実態調査は、精神科医や社会心理学者などが中心となって、ハラスメント病理、ハラスメントがどのように人間の疾患に影響しているかを分析し、労働実態との関連性を明らかにしています。
この調査によって、ハラスメントは、個人間のトラブルやコミュニケーションの不調の問題ではなく、労働現場に原因があり、企業経営の構造的要因によるものであって、経営的責任にこそ起因していると解明されました。そこでは、ハラスメントの典型的な症状や被害として、心身の苦痛から働き過ぎ、過重労働、過労死などが指摘されています。
経済学が専門の滋賀大学名誉教授、大和田敢太氏は、この調査について、科学的なハラスメント研究がハラスメントの特徴や被害者の特性を分析することになり、ハラスメント対策の基本的な在り方が明確にされたと重視しています。
今後の都が行う調査においても、こうした国際的な知見も踏まえて実施していただいて、よりよいハラスメント対策を全国に広げていくようにしていただきたいと思います。
また、条例の見直しについても、法改正の範囲にとどまらず、都として引き上げていく立場で積極的に見直しをしていただきたいと思います。
十月にはカスハラ条例ができるというだけで、まだ中身が具体化されていない中でも、これはカスハラ、カスハラじゃないのと報じられるなど、社会的にも大きなインパクトが起きています。
前回の質疑では、カスタマーハラスメントをめぐる状況が大きく変化した場合など、見直し規定により検討する必要性を判断と答弁されていましたが、検討するのはどういう場で行うんですか。議会の求めに応じて検討することもあるのですか。
○内田雇用就業部長 今後、都条例よりも強い、または広い内容が法制化される場合などにおきまして、都条例の見直し規定により適切に対応することとしております。
カスタマーハラスメント防止施策の推進に関して設ける会議などの場で、見直しの必要性も含めて判断するとともに、都議会に関する手続についても、法令等に基づき適切に進めます。
○藤田委員 これからつくる会議体のことなんですけれども、この会議体の中には、弁護士やハラスメントに詳しい専門家の方なども参加をして議論すべきなのではないかなと思うんですけれども、一点認識を伺います。
○内田雇用就業部長 今後設けます推進会議につきましては、指針案におきまして、学識経験者も含めるというふうにしてございます。法律に詳しい方も参加いただく予定としております。
○藤田委員 ぜひ、弁護士やハラスメントに詳しい専門家の方の参加を求めていきたいと思います。人権に関わる条例ですので、ぜひそうした形で、命、人を守ると、人権を守るという立場で、よりよいものに、国際水準に引き上げていかれるよう、積極的に見直しをしていただくことを求めておきます。
ガイドラインは来年二月、条例は四月一日が施行日となります。しかし、条例ができただけではハラスメントはなくなりません。大事なのは、ハラスメントの問題というのは人権に関わる問題であって、命に関わることなんだという認識から対策が取られることです。事業者の責務の中に、被害者の救済をしっかり位置づけることも、その一つです。
ぜひ都として、働く皆さんの命と尊厳をカスタマーハラスメントから守るために役割を発揮していただくことを強く要望いたしまして、質問を終わります。
○西崎委員 よろしくお願いいたします。なるべく重複を避けて質問をしてまいりたいと思っております。
今の条例の施行前にいろいろと準備が進められているということで、今回、ガイドラインの案のお示しをいただいているということでありますけれども、この間、官民問わず様々な取組がそれぞれ進んでいるということかと思います。
もちろん、このガイドラインも進んでいるんですけれども、一方で、具体的にそれぞれがカスハラにどう対応するかということは、それぞれの事業者で動いておりまして、例えば私の地元の目黒区でも、この十月から職員の皆さんのネームプレートをシンプルなものにするというようなこともありましたし、また、これは報道も、民間企業の側ですけれども、航空会社の二社が共同でカスハラ対処方針をまとめて発表したということで、いわゆるカスハラの類型を整理しながら、また毅然と対応するということを明確にしております。これは二社ですのでその業界としては一部ですが、確かに、これはまさに業界として対応が始まるという事例かと思っております。
最初に、いわゆる周辺の動きというところでお伺いしたいんですけれども、都として、そうした都内の企業のカスハラ対策の取組というのはどのように把握しているんでしょうか伺います。
○内田雇用就業部長 都は、経済団体、労働団体、消費者関係団体が参画する会議等を通じて、カスタマーハラスメントに関する都内企業の状況を把握しております。
本年八月に行われた民間の調査では、対策を講じていない企業の割合は七割超となっており、今後、都として条例制定後の事業者の取組の状況を調査してまいります。
○西崎委員 これは網羅的にやっていくというのは大変な話でありますけれども、これまでも会議等を通じて把握をしたり、また、民間の調査等も参照されているということでございます。
今後さらに、恐らくこのカスハラの条例の施行に前後して、さらに民間企業等の取組も進んでいくとは思いますけれども、今ご答弁にも、対策をしていない企業も多くあるという民間の調査もあったということです。
いわゆるこのカスハラ問題については、従業員の方が受けるダメージ、ここでいうと、条例でいうと就業者の受けるダメージが、事業者側の取組によって、対策の有無によって相当変わるというようなことを示す労働組合の調査結果も出ているので、この辺りは非常に重要だなと思っておりますけれども、今後、都としても調査を行っていくということでありますから、さらに先進的な事例を横展開するだとか、今後のライフラインであるとか、また、各マニュアルがそれぞれお互い進化していくようなことを期待したいと思っております。
ここから少し中身について伺ってまいりますけれども、先ほどもありました、いわゆる条例そのものが未然防止というところに重点を置いている、前文の方にも書かれておりますけれども、そうした観点も非常に重視をしているということで、先ほども、さきの委員から質疑がございました。
この未然防止の取組ということで、ガイドラインの案にも幾つかお示しをしていただいているところでありますけれども、その中にまず出てくるのが、いわゆるいろんな研修を推奨していくということでございます。
ここは一問、先ほどありましたので割愛をいたしますけれども、当然、今後そうした各企業での研修を受けてもらって、理解を深めて、対策を取っていただくということが重要になるかと思いますけれども、現状でもいろいろ、ちょっとネットで調べてみると、カスハラに関する研修というものを提供している事業者というのが幾つも出てくるわけでありますけれども、そういった事業者が、じゃ、どういう研修をやっていて、どのぐらい効果があるのかというのは正直ちょっと分からない部分があります。もちろん悪いとかいうわけじゃないですけれども、いいのかもちょっと分からないということであります。
そこで、ちょっと伺いますけれども、今後、こうしたガイドラインを定めて取組を求めていく中において、そうした教育であるとか研修の担い手というのはどう想定をされているんでしょうか。また、あわせて、そうした質を確保する取組が必要と思いますけれども、いかがでしょうか。
○内田雇用就業部長 都は、カスタマーハラスメント防止に関する専用のウェブサイトを設け、企業が取るべき対応を解説するとともに、研修素材としても活用できる様々な動画を掲載しております。
また、企業の経営者や人事労務担当者等を対象とするシンポジウムを二月に開催するなど、企業内の教育を後押ししてまいります。
○西崎委員 ありがとうございます。
すると、やはり今は基本的には、各企業の中で取り組んでもらうというようなことを想定していて、そのためのコンテンツの提供であったり、シンポジウムの開催ということをやっていくおつもりということでございます。
当然、これからカスハラ対策というのは、もう標準装備として各企業が備えていくという必要もあろうかと思いますけれども、その中で未然防止の取組をやはりやっていただくということはあるんですけれども、当然、事業者の規模によって都が支援をしていくという必要があろうかと思いますし、それは恐らく今後やっていかれることかと思っております。
一方で、やはりこれは外注、アウトソーシングしちゃうという場合もあるかと思いますので、その専門性の高低というか、低いというつもりはありませんが、様々ありましょうから、特に気になるのは、いわゆるクレーム対応だとかそちらの方ばかりに傾き過ぎて、さきの委員からも指摘がありました、消費者の権利であったり、障害者への合理的配慮であったり、そうしたものが研修の中で置き去りになっちゃうということは少し危惧いたしますので、そうしたところには今後、ぜひ注視をしていただきたいということは、この場で申し上げておきます。
それでは、ここからは少し細かい部分について触れてまいりますけれども、この条例の第七条では顧客等の責務を定めておりまして、第一項で、カスハラ問題に関心と理解を深め、就業者に対する言動に注意することということで求めており、二項で、都が実施するカスタマーハラスメント防止施策に協力するよう努めなければならないという規定がございます。
ただ、この顧客等の立場ということでいうと、どういった都の施策に協力するのかがちょっと分かりづらくて、理解を深めるということであれば、この第一項で包含できるのかなという読み方もできるわけでありまして、じゃ、今回のガイドラインでどう示されているかというと、ほぼ条文のままの記載になっているということでありますが、そこでちょっとお聞きをしたいのが、この第七条第二項では何に協力するということを想定されているのか伺います。
○内田雇用就業部長 指針案では、顧客等は、都の施策を実効性あるものにするため、これに協力することが求められると記載しておりまして、都が行う情報提供や啓発などの取組に協力することを想定しております。
○西崎委員 現段階で、情報提供や啓発などの取組への協力ということです。
私も、じゃあ都が顧客等に向けてどういう取組を、こういうのもあるんじゃないかと、なかなか例示をできることもないんですけれども、例えば顧客等に対する調査とかいろいろ考え得るのかなとは思いますので、そうした新たな取組について顧客側への協力というのは今後あり得るのかなと思っておりますので、そうすると、この条文が生きてくるのかなということを受け止めをさせていただいておりますので、逆に、そうした側へのアプローチというのも、都として今後、また継続的に検討いただきたいと思っております。
次に、警察の役割について伺います。
今回のガイドラインの中では、警察との連携だとか警察への通報といった記載が幾つも見られるところでありまして、カスハラ行為が発生した際の対応として、この警察の役割というものが一定求められる内容となっているように認識をしております。
一方で、心配されるのが、もちろん明らかな暴力行為だとか、威嚇行為だとか、不当な居座りだとか、こういった場合はもちろん対応されるということでありましょうが、本条例は罰則がないという条例でもありますし、いわゆる警察官が来ても民事不介入として対応されないという場合があるのではないかというようなことも心配をされます。
実際には、ただ、例えばお店とかで従業員とお客さんの話がこじれてしまって、警察の方に来てもらうということは当然想定されていますし、ガイドラインの今回の案でも、対応例として、顧客等の行為が犯罪行為に該当する場合、就業者の安全を確保するため、現場の判断で警察へ通報することをためらわないよう、社内で周知しておくという対応例が示されており、実際に呼ぶということはあるかと思いますけれども、今の私の懸念、警察に通報したけれども民事不介入となって対応されないという場合があるんじゃないかということがあるかと思うんですけれども、これについての見解を伺います。
○内田雇用就業部長 都は、警視庁を含め関係部署の担当者で事務局を構成する会議におきまして、いわゆる民事不介入に関しまして、犯罪行為の通報等があれば警察が臨場する旨確認しております。
○西崎委員 ありがとうございます。
その会議で警視庁の方にも参加をいただいて、通報等にきちんと対応するということで確認をしているということでございます。
もちろんですね、じゃあ何でもかんでも任せていいという話にはならないかと思いますけれども、やはり現場でお話が膠着してしまったときに、警察の方がいらっしゃるということが頼りになると思いますし、逆にそれで不問にされちゃうと、今度、逆に、ほら、大丈夫じゃないかみたいな話になりかねないと思いますので、今後の運用上の課題ということでもありましょうが、これはぜひ警察側への協力というものも求めていただきたいと思っております。
次に、今回の──そもそもの条例審査の際もそうでありましたけれども、ガイドライン案、かなり詳しく記載がある部分もございますが、やっぱりカスハラとされるその対象が非常に広いというのが、今回の特徴かと思っています。
いろいろ対象について細かく例示がありますけれども、例えば、私、一例を考えてきましたけれども、PTAとか自治会とかで、毎朝、学校の見守り活動とかをやっているボランティアの方が通行人の方に絡まれたと。これも一応、今回のガイドラインを読むと対象になっていますよね。だけど、多分それは、その周囲の方もそうですし、周りの方も、これはカスハラだなと多分思わないと思うんです。ただそれを、だからどう知らしめていくかということが非常に大事かと思っております。
また、これは条例審査の際にもありましたし、さきの委員の質疑にもありましたけれども、やはり都外事業者の、先ほどは都内がどういうという話だったか──都外事業者で都内で就業される場合も、これは対象ということになっているかと思いますので、もう、もはや対象地域は、ほぼ全国だと思います。もしかしたら海外まで含めるかもしれませんが、とにかく対象が広いということで、この二つの観点から、その対象者というところと対象地域ということから考えると、周知啓発に非常に工夫が要るんじゃないかなと思いますけれども、それについて見解を伺います。
○内田雇用就業部長 条例では、東京の経済や社会活動に関連するあらゆる場面でカスタマーハラスメントを防ぐことを目指しておりまして、こうした考え方を条例の説明や労働相談などの現場で周知啓発するとともに、都の内外を問わず、他の自治体や広域に活動する事業者や団体などにも協力を求め、施策の効果を高めてまいります。
○西崎委員 ありがとうございます。
結構ですね、やはり都の内外を問わず事業者や団体などに協力を求めていくということ、これは相当な覚悟を持って進めていくんだろうなということを受け止めさせていただきました。ぜひそれは頑張っていただきたいと思っております。
これで最後にいたしますけれども、これも条例の審査前から度々指摘をされておりますし、今日もお話としては出てきておりますけれども、消費者への権利であったり、障害者の方への合理的配慮という視点は、これは決して忘れてはならないものであると思っております。
やっぱりどうしても、先ほど来指摘があるように、事業者として当然従業員を守るというのは非常に重要であるというのはいうまでもありませんけれども、やはりそっち側に重きが置かれ過ぎて、先ほど申し上げているような視点が後回しになるということになってはいけないと思っております。
検討会議の方では、もう既に共通マニュアルの素案というものも社会に一応示されているということで、私も目を通しましたが、ちょっと心配だなと思う部分がございます。
そこで伺いたいんですけれども、今回のガイドライン案では、そうした顧客等への配慮をかなり詳しく書き込んでいただいておりますけれども、今後そういったものが現場で確実に実行されるよう、これからの共通マニュアルや業界マニュアル、さらには各事業者のマニュアルに、こうした消費者の権利や障害者への合理的配慮などが明記をされるよう取り組んでいくことが必要と考えますが、それについて見解を伺いまして、私の質問を終わります。お願いいたします。
○内田雇用就業部長 指針案では、消費者、障害者、認知症の方などの権利の保護に留意するよう求めており、今後作成する団体向け共通マニュアルにおいても、こうした趣旨を記載し、各現場のマニュアルにも反映されるよう促してまいります。
○上田委員 これまで二回にわたる公労使による「新しい東京」実現会議、カスハラ防止検討部会、パブコメの募集と公開を実施して、今般のガイドラインというふうな形になっております。
一応、九月にも質疑をしておりますけれども、これまで都への相談や国の動きも資料を取り寄せていただきまして、更新はしているということでございます。
中で、以前のアルバイト先で顧客から繰り返しどなられ、名前を聞かれた上で写真も撮られた、会社に対応を求めたが連絡もつかなくなってしまった、対応を相談というのが来たということでございますが、写真を撮られることは、ある意味、肖像権の侵害とも取られかねず、このカスタマーハラスメントというのは犯罪行為とも隣り合わせなのかなというふうにも感じておりますが、条例制定に当たり、警視庁とも情報共有していると思料しておりますので、連携状況を伺います。
○内田雇用就業部長 都は、警視庁を含めた関係部署の担当者で事務局を構成する会議において、条例や指針の検討を進め、犯罪行為の通報等があれば警察が臨場する旨確認してまいりました。
指針案では、就業者の画像を本人の許諾なく公開するなどの行為は、犯罪に該当する可能性があることを示しており、今後作成する団体向けのマニュアルにおいて、警察に通報する手順を定めておくことなども推奨してまいります。
○上田委員 条例だけだと、やはり皆さん、過料も特に発生もしないということで、脆弱性が心配される声が上がっているところでございますが、警察にすぐ通報ができるというようなことであれば、また、お客様の方も危機感を持っていただけるのかなというふうに思った次第です。
また、労働者がカスハラを所属長に相談しても我慢するようにいわれた、客に謝り引き下がってもらうことになったなどの相談が見られ、所属長が本社に報告せず人事労務が知らない場合もあるとのことですけれども、これは本当に基本なんですけど、確かにカスハラ以前に人事労務の知識が必須の上で、今、カスハラだけでもいろんな解釈があって、この議会でも議論がされているんですけれども、やっぱり人事労務の知識がまず母体にあるということで、会社やお店も対応するということで、こちらについては、今までの産業労働局の取組ではされていたと思いますが、改めまして、条例制定に当たっての人事労務の徹底ですね、この強化、啓発などをしていることがあればご説明ください。
○内田雇用就業部長 都は、カスタマーハラスメント防止に関する専用のウェブサイトを設け、動画などにより普及啓発を行っており、指針案では、事業者に対し、経営層や現場監督者向けの研修の実施や意識改革の重要性を伝えております。
来年二月には、普及啓発を集中的に行う取組月間を設け、企業の経営者や人事労務担当者等を対象とするシンポジウムを開催し、啓発を強化してまいります。
○上田委員 ありがとうございます。
今までも、やはり権利なのかというようなことも議論されてきたと思うんですけれども、やっぱりこの消費者の権利、一一ページ、顧客等による正当なクレームということで、人権にも関わるということをこの委員会では共有させていただいたということです。
やっぱり私が注目しているのは、顧客等による正当なクレーム、ア、消費者の権利、イ、障害者の権利、また、認知症の人の権利と、表現の自由というところになっているところにも注目をしておりまして、十月二十八日のガイドライン等検討会議では労働法の原先生からも、まあ一般質問でもいいましたけれども、クラークハラスメントについてもしっかりと定義をした上で、カスタマーハラスメントが成り立つということがありました。
私、今まで何度も、様々な東京都への事業者さんの相談に乗ってきて、門前払いをしたり、明らかにこの条例ができる前の行政手続法、行政手続条例違反の事案を、東京都におきましても散見をさせていただきまして、例えば補助金の支払いが遅れているとか、あるいは、新しい事業所を開設するのに、難癖をつけて期限内に受け付けないようにして断念させようとしたというようなことを度々解決させていただいた次第でございます。
やっぱりこれはクラークハラスメントに当たるということで、やっぱり東京都がまずは、たくさんの事業者さんが、NPOにしろ、社会福祉法人にしろ、建設事業者さんにしろ、非常に東京都の対応に恐れおののいておるというところもあるので、そういったことに関しての認識を、まず産労さんから全局にクラークハラスメント、まずは襟元を正してほしいということと、一般質問でもいいましたけれども、今、局長、副知事、知事の私たち都議への態度にばらつきがあり過ぎる。このクラークハラスメントについても、ぜひしっかりと対応していただきたいと。
産業労働局長のご答弁はしっかりしたものを頂戴いたしましたけれども、全局長、知事、副知事、この条例をつくる側ですから、この顧客等による正当なクレーム、これを理念をしっかりと持って、全ての都議にフェアな、そして誠意を持った対応をしていただきたいと条例制定に当たりまして求めまして、私の質問を終わります。
○小林委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小林委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で産業労働局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後三時四十六分散会
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