経済・港湾委員会速記録第九号

令和六年九月二十七日(金曜日)
第八委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長古城まさお君
副委員長平けいしょう君
副委員長大松あきら君
理事ほっち易隆君
理事中田たかし君
理事白石たみお君
竹平ちはる君
上田 令子君
星  大輔君
白戸 太朗君
入江のぶこ君
藤田りょうこ君
宮瀬 英治君
三宅 正彦君

欠席委員 なし

出席説明員
産業労働局局長田中 慎一君
次長理事兼務安部 典子君
総務部長早川 八十君
産業企画担当部長DX推進担当部長兼務池野 大介君
企画調整担当部長齋藤  順君
企画調整担当部長前田 泰伯君
企画調整担当部長下羅 智宏君
働く女性応援担当部長吉浦 宏美君
商工部長阿部 泰之君
商工施策担当部長松田 義史君
金融部長福田 哲平君
金融支援担当部長原   郁君
産業・エネルギー政策部長米澤 鉄平君
産業政策連携促進担当部長企画調整担当部長兼務山本麻里雄君
新エネルギー推進担当部長服部 勇樹君
観光部長江村 信彦君
観光振興担当部長前田 千歳君
農林水産部長榎園  弘君
安全安心・地産地消推進担当部長田代 純子君
雇用就業部長内田 知子君
事業推進担当部長新田 智哉君
中央卸売市場次長松田 健次君
管理部長住野 英進君
事業部長大谷 俊也君
渉外調整担当部長DX推進担当部長兼務東山 正行君
市場政策担当部長石井 浩二君
財政調整担当部長高橋 葉夏君
環境改善担当部長中井  宏君
港湾局局長松川 桂子君
技監村田 拓也君
総務部長戸谷 泰之君
港湾経営部長野平雄一郎君
港湾振興担当部長三浦  知君
港湾整備部長佐藤 賢治君
計画調整担当部長山本 康太君
港湾計画担当部長港湾DX推進担当部長兼務儀間  潔君

本日の会議に付した事件
中央卸売市場関係
付託議案の審査(質疑)
・第二百十六号議案 東京都中央卸売市場条例の一部を改正する条例
港湾局関係
付託議案の審査(質疑)
・第二百十七号議案 東京都港湾管理条例の一部を改正する条例
・第二百五十二号議案 東日本大震災における原子力発電所の事故に係る損害賠償請求に関する和解(その二)について
・第二百五十三号議案 船舶上下架用ストラドルキャリアの買入れについて
産業労働局関係
契約議案の調査
・第二百四十号議案 東京国際展示場(六)東展示棟改修空調設備工事その二請負契約
・第二百四十一号議案 東京国際展示場(六)東展示棟改修給水衛生設備工事その二請負契約
付託議案の審査(質疑)
・第百七十七号議案 令和六年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、繰越明許費 産業労働局所管分
・第二百十四号議案 東京都カスタマー・ハラスメント防止条例
・第二百十五号議案 東京都が東京信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・令和五年度地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター業務実績評価について
・東京都が東京信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄の報告について

○古城委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 初めに、契約議案について申し上げます。
 契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

令和六年九月二十六日
東京都議会議長 宇田川聡史
(公印省略)
経済・港湾委員長 古城まさお殿
   契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
     記
1 調査議案
 第二百四十号議案 東京国際展示場(六)東展示棟改修空調設備工事その二請負契約
 第二百四十一号議案 東京国際展示場(六)東展示棟改修給水衛生設備工事その二請負契約
2 提出期限 令和六年十月一日(火)

○古城委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、産業労働局関係の契約議案の調査、中央卸売市場、港湾局及び産業労働局関係の付託議案の審査並びに産業労働局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより中央卸売市場関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 早川中央卸売市場長は、病気療養のため、本日の委員会に出席できない旨の申出がありました。ご了承願います。
 付託議案の審査を行います。
 第二百十六号議案を議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○古城委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○古城委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で中央卸売市場関係を終わります。

○古城委員長 これより港湾局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第二百十七号議案、第二百五十二号議案及び第二百五十三号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際、要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○戸谷総務部長 去る九月十二日の当委員会におきまして要求のございました資料につきましてご説明を申し上げます。
 お手元の経済・港湾委員会要求資料をご覧願います。
 表紙をおめくりいただきますと、目次に二件の資料の件名を記載してございます。
 それでは、一ページをご覧ください。港湾事業に係る放射性物質対策に要した費用に関する和解あっせん申立てに係る議決額でございます。
 和解あっせん申立てに係る令和二年十二月の議決額七億九千九百八十三万四千七百九十五円の内訳を記載してございます。項目に記載のそれぞれの費用のうち、米印がついております事項につきましては、和解案に損害賠償として一部認められなかったものが含まれております。
 二ページをご覧ください。船舶上下架用ストラドルキャリアの買入れに係る入札結果、入札参加条件、入札参加可能事業者数、入札辞退理由並びに低入札価格調査対象者への聴取の日時及び内容でございます。
 (1)、入札結果でございます。本件に係る入札者氏名及び入札金額を記載してございます。
 (2)、入札参加条件及び入札参加可能事業者数でございます。本件に係る入札参加条件及び入札参加可能事業者数を記載してございます。
 (3)の入札辞退理由、(4)の低入札価格調査対象者への聴取の日時及び内容につきましては、該当はございません。
 以上をもちまして、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○古城委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○上田委員 東日本大震災における原発事故損害賠償請求和解についてです。
 和解金額は、令和二年十二月の議決額全額の一部の金額なのか、また、おつくりいただきました資料による内訳のうち、今般の和解範囲はどの項目に該当するのかご説明ください。

○野平港湾経営部長 令和二年十二月のあっせん申立てに係る議決額は七億九千九百八十三万四千七百九十五円でございます。
 その後、東京電力との個別協議により、都が六億六千二百四十九万七百六十二円の賠償を受け、六十三万六千二百二十円を取り下げまして、残りの一億三千六百七十万七千八百十三円及びこれに対する損害発生日から支払い済みまで、年五分の割合による金員の支払いについて、最終的に原子力損害賠償紛争解決センターにあっせん申立てを行いました。
 今般、同センターより、このうちの一億一千七十万円を和解金額とする和解案の提示がございました。和解範囲の項目は、据置型放射線検知器整備及び維持管理費、港湾区域内海水の放射性物質濃度測定費及び大気の放射線量測定費、輸出コンテナ表面検査用放射線測定機器購入費等でございます。

○上田委員 今般は、風評被害に係る対策の残りというところだと理解しました。さらに残る賠償額をお示しの上、今後のスケジュールを具体的にお示しください。

○野平港湾経営部長 原子力損害賠償紛争解決センターへの最終的なあっせん申立額と和解金額の差は二千六百万七千八百十三円でございます。
 本件に関する和解案は、同センターにおいて中立、公正な立場から審査した結果、最も妥当と判断した内容が示されたものと受け止めております。

○上田委員 こちらで一応きれいに清算できたものと理解をするということでよろしいでしょうか。
 一応、七億ということで、大きな機器が買われて使われたと思います。測定などについてはいつまで実施して、現状はどうなのか、当初投じた機器類は相当な額でございますので、その後はどうなっているのか確認させてください。

○野平港湾経営部長 都は、平成二十三年から輸出コンテナ表面の放射線量等の検査を開始いたしました。
 加えまして、平成二十五年からは据置型放射線検知器を設置し、輸出コンテナの全量検査を開始いたしました。
 その後、海外において日本発貨物に対する規制状況が緩和されている傾向等を踏まえまして、据置型放射線検知器による輸出コンテナの全量検査につきましては、令和五年度末をもって終了いたしました。
 なお、検査に使用した機器類は、今後、順次撤去等を予定しております。

○上田委員 昨日のことのように思い出されます。当時、私も区議だったんですけれども、あれから十三年ということですが、根気強く使われていたというところは評価させていただきたいと思います。今年の三月までということでございました。順次撤去ということで、これで本当にこの原発の被害といいますか、一つの終わりが、そしてまた、新しい状況に入っていくのかなということを理解したところでございます。
 また、このストラドルキャリア、船を移動するような機器のようでございますけれども、こちらの入札の結果で決定した守谷さんでしたか、のこれまでの実績と評価を伺いたいと思います。

○野平港湾経営部長 本件契約の相手方でございます事業者は、産業用機械器具類の買入れにつきまして、都との契約実績がございます。また、本件の入札資格を有していることを確認しております。

○上田委員 一応、三者入札参加をしているということで資料にも記載いただきました。辞退者はなしということでありました。資料によりますと、入札参加が可能な事業者さんは八百九十三者ということで、そのうちの三者というのは一般的に少ないように感じますが、局の見解を伺います。

○野平港湾経営部長 本件の契約方法は一般競争入札によるものでございまして、法令等に基づき適切に手続を行っております。

○上田委員 この八百九十三者って、ストラドルキャリアを八百九十三者が扱っているわけではなく、機器を扱うような事業者さん全体ということで、こうした特殊な機器というのは専門性の高いところで入札していただいて、三者の中で公正、公明に決定したということを確認させていただきましたので、これを評価して審査の参考にさせていただきたいと思います。
 以上です。

○古城委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○古城委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で港湾局関係を終わります。

○古城委員長 これより産業労働局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員に交代がありましたので、局長から紹介があります。

○田中産業労働局長 先般の人事異動によりまして、当局幹部職員に交代がございましたので、ご紹介させていただきます。
 企画調整担当部長の前田泰伯でございます。
 どうぞよろしくお願いいたします。
   〔理事者挨拶〕

○古城委員長 紹介は終わりました。

○古城委員長 次に、契約議案の調査を行います。
 第二百四十号議案及び第二百四十一号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際、要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○早川総務部長 九月十二日、当委員会で要求のございました資料のうち、契約議案に係るものをご説明いたします。
 お手元の要求資料の表紙をおめくりください。
 一ページをご覧ください。東京国際展示場(六)東展示棟改修空調設備工事その二契約締結に係る入札参加条件と入札参加可能事業者数及び辞退理由、低入札者への聴取の日時と内容を一ページと二ページに記載してございます。
 三ページをご覧ください。東京国際展示場(六)東展示棟改修給水衛生設備工事その二契約締結に係る入札参加条件と入札参加可能事業者数及び辞退理由、低入札者への聴取の日時と内容を三ページと四ページに記載してございます。
 以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○古城委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○上田委員 国際展示場の空調と給水衛生設備工事についてですけれども、空調設備ですが、決定した事業者のこれまでの実績と評価を伺います。また、資料によりますと、三十者、入札可能参加者があったということですが、入札者は一者ということです。
 給水衛生設備も同じく事業者のこれまでの実績と評価を伺います。こちらも三十九者、入札可能参加者があったということですが、入札者は一者ということです。これらの入札の公正、公明性、価格、技術の妥当性の担保ができていたのか、局の見解を伺います。

○阿部商工部長 改修空調設備工事を受注した新菱・三建・酒井建設共同企業体は、構成する各社ともに東京都建設工事等競争入札参加有資格者であり、事業者の実績や経営規模及び状況に基づく資格審査において、空調工事の業種でA等級に格付されております。
 また、改修給水衛生設備工事を受注したオーク設備工業株式会社は、東京都建設工事等競争入札参加有資格者であり、事業者の実績などに基づく資格審査において、給排水衛生工事の業種でA等級に格付されております。
 本件は、いずれも財務局において競争性や履行の確保を図る観点から、事業者の等級順位や施工実績に関する入札条件を付した上で、電子入札による一般競争入札を実施したものでございます。電子入札は、ほかの入札者の存在を知り得ない仕組みであり、結果的に一者入札になっても競争性が担保されております。
 法令、規則等に基づく競争性や公正性を確保した適正な契約手続により、事業者が決定されております。

○上田委員 給水の方は三回やって一者に決まったということで、一応、苦労がしのばれるということでありました。毎回、入札については確認をさせていただくことで、健全性の担保をすることで、お互いに緊張感を持って臨んでいただきたいということで、確認させていただきました。ありがとうございました。

○古城委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○古城委員長 異議なしと認め、契約議案に対する質疑は終了いたしました。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも異議のない旨、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○古城委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。

○古城委員長 次に、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第百七十七号議案、令和六年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、繰越明許費、産業労働局所管分、第二百十四号議案及び第二百十五号議案並びに報告事項、令和五年度地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター業務実績評価について外一件を一括して議題といたします。
 本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際、要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○早川総務部長 九月十二日、当委員会にて要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 お手元の要求資料の表紙をおめくりください。
 目次項目、3から17につきましてご説明申し上げます。
 五ページをご覧ください。地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターの収入及び支出の推移を示してございます。
 六ページをお開きください。同センターの役職員数の推移をお示ししてございます。
 七ページをご覧ください。同センターにおける研究員の採用、応募状況の推移をお示ししてございます。
 八ページをご覧ください。同センターの職員の平均給与年額の推移をお示ししてございます。
 九ページをご覧ください。同センターの任期付研究員の男女別の人数を六十一歳以上と六十一歳未満で分けた内訳の推移を示してございます。
 一〇ページをお開きください。同センターの依頼試験、機器利用の区市町村別利用状況をお示ししてございます。
 一一ページをご覧ください。令和五年第四回定例会で議決されました中小企業特別高圧電力・工業用LPガス価格高騰緊急対策事業の実績及び内訳を示してございます。
 一二ページをご覧ください。もっと!暮らし向き向上緊急サポート事業(経済活性化支援)の積算根拠及び予算の内訳をお示ししてございます。
 一三ページをご覧ください。暮らし向き向上緊急サポート事業(経済活性化支援)の実績及び内訳をお示ししてございます。
 一四ページをお開きください。中小企業特別高圧電力・工業用LPガス価格高騰緊急対策事業の過去二回の対象事業所の想定件数、実績件数及び周知方法をお示ししてございます。
 一五ページをお開きください。暮らし向き向上緊急サポート事業(経済活性化支援)のキャンペーンの開始から終了までの経緯をお示ししてございます。
 一六ページをご覧ください。暮らし向き向上緊急サポート事業(経済活性化支援)のキャンペーン早期終了に係る意見をお示ししてございます。
 一七ページをご覧ください。カスタマーハラスメントに係る都への相談事例をお示ししてございます。
 次のページをご覧ください。カスタマーハラスメント対策に係る国との連携状況を一八ページ、一九ページにお示ししてございます。
 二〇ページをご覧ください。過去五年間の東京都が東京信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄の状況をお示ししてございます。
 以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○古城委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○ほっち委員 よろしくお願いします。
 それでは、まず、補正予算に計上された特別高圧電力、工業用LPガスを使用する中小企業への支援についてお伺いをいたします。
 エネルギー価格の高騰などにより、依然として物価水準は高止まっており、中小企業者の経営環境はいまだ厳しい状況となっております。
 先般、都議会自民党では、小池都知事に対し、物価高騰の長期化に伴う事業者支援に関する緊急要望を実施させていただきました。こうした中、都が本定例会提出の補正予算において、特別高圧電力、工業用LPガスを使用する中小企業への支援再開を盛り込んだということを評価したいというふうに思っております。
 今回は三回目の実施となりますが、改めて前回の実績を確認するとともに、本補正予算における想定件数と支援の考え方について、まずお伺いをいたします。

○山本産業政策連携促進担当部長企画調整担当部長兼務 都は、エネルギー価格高騰等への対応といたしまして、特別高圧電力や工業用LPガスを使用する中小企業等のコスト負担を軽減するため、これまで二回にわたり、事業者からの申請に基づき支援金を給付してまいりました。
 このうち第二回では、令和五年十月分から令和六年三月分を対象といたしまして、特別高圧電力は直接受電施設五十五事業所、テナント五千八百八十八事業所、工業用LPガスは七十五事業所へ支援金を給付いたしました。
 令和六年十月分から令和七年三月分を対象に実施いたします今回は、前回の利用実績を踏まえまして、特別高圧電力は直接受電施設六十五事業所、テナント六千五百事業所、工業用LPガスは九十事業所からの申請を見込んでございます。
 また、支給をします金額につきましては、国のデータ、電力会社やガス販売事業者、施設オーナーやテナント等へのヒアリングなどを踏まえまして、中小企業等のコスト面の負担を和らげることができる適正な水準で一定の金額を定め、速やかに個々の事業者への給付を進めることとしておりまして、今回も同様の支援を行ってまいります。

○ほっち委員 前回の利用実績を踏まえて、必要な予算の確保をしているということが分かりました。
 今回の対象期間は令和六年十月分から令和七年三月分の年度の後半分ということであります。必要とする事業者が確実に支援を受けられるようにするためには、事業者からの相談や問合せには早い段階から対応できるようにするとともに、支援金の申請受付期間を十分に確保しておくことが必要であるというふうに考えます。
 そこで、今回の支援金に関する問合せの対応や申請の受付をどのように進めていくのかお伺いをいたします。

○山本産業政策連携促進担当部長企画調整担当部長兼務 支援の対象となる企業への本事業の周知を速やかに行うため、今回の補正予算の成立後、事業の運営を担う中小企業振興公社のホームページに支援の概要や申請受付等のスケジュールを掲載いたします。
 また、本年十一月にはコールセンターを立ち上げ、事業者からの具体的な相談や問合せなどに対応できる体制を整備いたします。
 さらに、本事業では、令和六年十月から令和七年三月までの間に三か月以上の受電等の利用実績がある中小企業者等を支援の対象としておりますことから、申請の受付を令和七年一月から開始し、五月まで実施いたします。
 このため、受付期間やその後の審査の時間を十分に確保できるよう、計上いたします予算につきましては、明許繰越を行ってまいります。
 こうした取組により、円滑に支援金の支給を進め、事業者の支援につなげてまいります。

○ほっち委員 申請受付期間の開始に先行してコールセンターを開設し、事業者からの問合せ等にも対応できる体制を整えていくということであります。必要としている事業者に確実に支援が届くよう、しっかりと本事業を運営していってほしいという旨を要望して、次の質問に移ります。
 経済に好転の兆しが見える一方、長引く物価高騰の影響は依然として大きく、都民や事業者を取り巻く環境は厳しい状況が続いております。このため、我が会派では、先月三十日、物価高騰対策等についての緊急要望として、今年三月に行ったQRコード決済によるポイント還元事業を再び行うように都に強く要望をいたしました。それを受け、このたび、緊急対策として補正予算に計上されることとなりましたけれども、こちらはまた評価をさせていただきたいと思っております。
 また、都民の方々、事業者の方々にとって一層効果のある事業にしていくためには、前回行った実績をしっかりと踏まえ、事業を構築していくことが重要であるというふうに考えます。
 そこでお伺いしますが、前回、今年三月に行った事業の実績についてお伺いをいたします。

○池野産業企画担当部長DX推進担当部長兼務 本年三月に実施したQRコード決済を活用したキャンペーンでは、約三十五万五千店舗が参加いたしました。
 キャンペーン期間中に対象となったQRコード決済を利用した人数の合計は、前月と比べ約一・二倍の延べ約一千五百三十一万人であり、業種別では、小売業が延べ約八百十九万人、飲食業が延べ約五百五万人、サービス業等が延べ約二百七万人となっております。
 また、キャンペーン実施期間中の決済金額の合計が、前月と比べ約一・五倍の約九百八十七億円となるなど、経済活性化の効果があったと認識をしております。
 事業終了後に行ったアンケート調査の結果では、QR決済の利用金額が増えた、生活応援につながった、消費喚起や経済活性化につながったなど、利用者及び事業者ともに好意的な意見が多く寄せられたところでございます。

○ほっち委員 前回三月に行ったキャンペーンは、利用者、事業者に広く利用をされ、その効果を実感されたということが分かりました。
 しかし、その反面、私の耳にちょっと入った言葉でいうと、意見というかですね、予定よりも早く終わっちゃって残念だったよという声もあったので、その旨もちょっとお含みおきいただきたいなというふうに思います。
 今回行う事業においても、物価高騰が長期化している苦しい局面を乗り越えられるよう、都民の方々、事業者の方々にとって効果的な取組となることを期待したいというふうに思っています。そのためにも、前回から、この間の経済の状況やQRコード決済の利用の状況などをしっかりと捉えて事業を行うことが欠かせないというふうに考えます。
 そこで、今回の取組の内容と規模についてお伺いをいたします。

○池野産業企画担当部長DX推進担当部長兼務 経済には好転の兆しも表れている一方で、物価高騰による都民生活への影響は長期化しています。
 そうした中、賃上げと個人消費の拡大による経済の好循環に向け、都民の生活を支援するとともに、消費を下支えし経済を活性化するため、緊急的な取組として本事業を実施いたします。
 具体的には、消費の喚起などを速やかに行うことが可能なこと、各実店舗での消費喚起につながることから、前回と同様にQRコード決済の仕組みを活用いたします。身近にある店舗で幅広く活用できるよう、様々な業種や規模の企業を対象に、日常の買物など、QRコードによる決済を行った場合、支払いの一〇%を一人当たり三千円相当までのポイントで還元をいたします。
 今回は、消費支出が年間で最も高まる十二月を実施時期とし、QRコード決済の利用が拡大している状況等も踏まえ、ポイント還元の原資は百三十九億円と、前回よりも約五十億円増額し、経済の活性化に向けて着実に取り組んでまいります。
 QRコード決済の利用や導入を考える方々に対しては、本事業の実施に当たり立ち上げるコールセンターにおいて、利用者からの様々な問合せに対応する予定であり、決済事業者と連携しながら、加入や利用の方法などについて丁寧に案内をしてまいります。

○ほっち委員 QRコード決済の利用が拡大している状況を踏まえながら、都民及び事業者にとって適切な実施時期を見定めるなど、事業が効果的なものになるよう検討されているということであります。
 そこで、前回よりも約五十億円増額した今回のポイント還元の原資について、積算の考え方をお伺いいたします。

○池野産業企画担当部長DX推進担当部長兼務 今回のポイント還元に係る原資となる経費につきましては、民間団体が公表している令和五年十二月を含む十月から一月までの全国ベースの決済額の月平均約一兆円に、QRコード決済の市場拡大率約一・一倍を乗じ、さらに、全国の人口に占める都内の昼間人口割合一三%、還元率一〇%をそれぞれ乗じて原資を算定しております。
 これにより、前回よりも約五十億円増額の百三十九億円をポイント還元の原資として計上しているところでございます。

○ほっち委員 QRコード決済の市場規模などを踏まえて今回の増額に至ったとのことです。これを契機に、より多くの都民の消費を喚起し、さらなる事業者の収益向上につながることを大いに期待をいたします。
 事業が行われるのは十二月です。長引く物価高騰でお困りの多くの方々にこの事業を利用してもらうことで、一層の経済活性化が図られるよう、しっかりと事業を進めていただくことを要望して、次の質問に移ります。
 次に、カスタマーハラスメントについてです。
 カスタマーハラスメントへの社会的関心はかつてなく高まっております。人手不足の一因がカスタマーハラスメントともいわれ、とりわけお客様対応の多い小売業やサービス業などで顕著であります。企業は求職者に選ばれる時代となっており、労働者が安心して働くことができる環境整備は、求職者にアピールするためにも不可欠であります。
 我が党は、誰もがハラスメントの被害者にも、また、加害者にもならないよう、都に対策の強化を求めてまいりました。今回の条例案は専門家による会議で議論を重ね、パブリックコメントも経て提出されたものであり、本日は条例が現場で実際に効果を発揮できるのかという観点を中心に確認をさせていただきます。
 まず初めに、カスタマーハラスメントが問題になっている背景についてどのように捉え、条例案提出に至ったか、現状認識と併せて見解をお伺いいたします。

○内田雇用就業部長 都の検討会議等では、カスタマーハラスメントの背景として、過剰なサービスの競争やインターネットなどの情報伝達手段の発達のほか、厳しい人手不足の中で接客の質を維持することが困難になっていることなどが指摘されました。
 国の令和五年の調査によりますと、過去三年間にカスタマーハラスメントを受けた労働者は、全労働者のうち一〇・八%、行為者は、患者やその家族などを含めた顧客等が八二・三%、取引先などが二二・六%となっており、また、規模が小さい企業ほど相談体制の整備など防止の取組が行われていない状況が明らかとなっております。
 これらを踏まえて、都は、カスタマーハラスメントが就業環境を害し、事業継続に影響を及ぼすとの認識の下、社会全体で防止を図るため、あらゆる人を対象にカスタマーハラスメントを禁止するとともに、事業者に防止措置を求める条例案を提出いたしました。

○ほっち委員 カスタマーハラスメント被害を受けた人の割合は、日本全体では一〇・八%との答弁です。お客様対応の多い流通系の業界や自治体職員においては、約半数が経験をしているとの調査もあり、サービス業が多い東京では、より深刻であると想定をされます。人手不足で接客に十分な人を回せないことも一因となっており、解決に向けては、サービスの水準についての社会全体の共通認識が重要であることを指摘しておきます。
 先ほど、今回の条例で事業者に防止の取組を求めると答弁がありました。企業の規模が小さいほど対策が進んでいない現状の中で、条例で責務が課されることを負担に感じる企業もあると思います。
 そこで、これまでの検討会議の中で、事業者の取組に関してどのような意見があり、条例案に反映させたのかお伺いをいたします。

○内田雇用就業部長 経済団体からは、カスタマーハラスメントは事業の継続性に関わり経営の問題でもある、企業や業界単位の対応では限界がある、条例は毅然とした態度を取る根拠になるなどの見解が示されました。また、組織体制等が不十分な中小企業には行政の支援も必要であることや、国が指針で推奨する取組を強制化することや超えることは避けるべきなどの意見をいただきました。
 労働団体からは、カスタマーハラスメントの防止は事業者が対応するには限界があり、行政が行為者に働きかけることが必要であるとの指摘がございました。
 こうした議論を踏まえて、今回の条例案におきましては、現在、パワハラやセクハラに関する法律で事業主の措置義務とされている内容を参考に、事業者に求める取組を規定し、違反への罰則は設けない内容といたしました。

○ほっち委員 既に法制化されているパワハラやセクハラと同様、罰則はなく努力義務ということですが、全ての職場にしっかり浸透するよう、行政の後押しを求めておきたいと思います。
 中小企業では、従業員一人一人の業務量が多い中、限られた時間の中で理不尽なクレームへの対応が重なると、社員が心身ともに追い込まれ、人材の流出にもつながります。社員を守りたくても、クレーム対応の専門チームを持つ余力がなく、法的知識も不足し、条例の責務が果たせるか不安に思う事業者もありますが、行政の支援について見解をお伺いをいたします。

○内田雇用就業部長 都は、労働相談の窓口において、ハラスメント全般に関して労使双方からの相談に対応しており、令和元年度からは、経営相談の窓口にサービス業などに詳しい専門家を配置するなど、悪質なクレームに苦慮する企業への支援も進めております。
 事業者に向けましては、こうした相談窓口の活用を促すとともに、今後、条例について解説する指針等において、現場の対応に役立つ対応策や事業者の規模に応じた効果的な体制整備の方法を提示してまいります。

○ほっち委員 中小企業では、人事や総務の担当者がカスハラ対策を一手に担うことが予想されます。忙しい担当者が労働相談や経営相談の窓口に、より一層簡単にアクセスできる工夫も期待をしたいと思います。また、上司に取り合ってもらえなかったなどの労働問題に発展しないよう、都は条例の啓発にしっかり取り組むことを求めておきます。
 先ほど、カスハラの行為者は取引先が二割を超えるという国の調査結果が答弁されました。取引先からのハラスメント、いわゆるBツーBのカスハラは企業間の問題であると思いますが、条例の検討過程ではどのような課題認識があったのか、条例はどう効果を発揮できるのか、見解をお伺いいたします。

○内田雇用就業部長 検討会議等では、企業間の取引に関連するハラスメント行為は独占禁止法や下請法の対象となり得るものの対象とならない事案もあり得ることや、経済法では必ずしも労働者を守る目的でつくられておらず、条例で広く網をかけることの必要性があるなどが指摘されました。また、カスタマーハラスメントが経営、経済の問題として認識されることが重要であることや、社員から行為者を出さないことの重要性も課題提起されました。
 今回提出した条例案は、顧客等と就業者を幅広く捉えており、業務の発注者と受託者の関係も適用対象となることを指針で伝えていくことにより、企業間の取引に起因するハラスメントの防止が促されるものと考えております。

○ほっち委員 営業担当者が顧客企業から暴言を浴びたり、新人の担当者がメンタル不調になるなどの事例もよく聞かれます。
 最近では、民事訴訟で法人が責任を問われるケースも出てきており、ビジネスの話と見過ごされることのないよう、啓発活動をしっかりお願いしたいというふうに思います。
 先日の代表質問で我が党は、業界全体で対応していく重要性を指摘させていただきました。感染症対策に関する条例では、事業者が加入する団体が作成するマニュアルを遵守するという規定が設けられましたが、今回の条例では業界団体にどのように働きかけていくのか伺います。
 また、事業者や業界への周知期間や準備期間を十分に取る必要がありますが、条例の施行時期について考え方をお伺いいたします。

○内田雇用就業部長 顧客等からの迷惑行為は業種や業態により大きく異なりますことから、業界全体で防止に取り組むことが効果的でございます。
 一方、労働者の安全確保は事業者において取り組むものであることから、条例案においては、事業者に対して防止手引の作成等を求め、指針において業界団体が事業者のよりどころとなるマニュアルを作成するよう促してまいります。
 施行時期につきましては、カスタマーハラスメントの深刻な状況への対応が急がれること、一定の周知期間を設ける必要があることなどから、来年四月といたしました。

○ほっち委員 半年間の周知期間を設けた趣旨を確認いたしました。
 罰則がないため、施行日時点で対応できていなくて違反の責任を問われることにはなりませんが、速やかに企業の取組が進むよう、業界団体への丁寧な説明と、施行後も含めた行政の支援を要望いたしたいと思います。
 都が七月に職員に対して行ったアンケート調査では、約一割の職員が、自分もカスハラを行ったかもしれない、または分からないと回答をしております。自分も行為者かもしれないという視点は非常に大切でありますけれども、条例によりどのように啓発をしていくのかお伺いをいたします。

○内田雇用就業部長 条例案では、あらゆる人にカスタマーハラスメントを啓発するとともに、顧客等の責務として自らの言動に注意を払うよう求めております。
 こうした考え方を現在作成を進めている指針で丁寧に解説するとともに、行為の類型や事例を幅広く紹介してまいります。
 また、自らの行為がハラスメントに当たる可能性があることについて、身近な例で伝える動画などにより、社会全体の理解につなげてまいります。

○ほっち委員 働き手もお客様も双方が気遣うことが重要であります。ここまでなら許されるという感覚は、時代とともに変わってきていることにも注意する必要があります。ぜひ官民問わず、多くの現場に啓発をお願いしたいと思います。
 最後に、コールセンターについてお伺いをいたします。
 コールセンターは、サービスや商品について顧客の声を酌み取る最前線でありますが、近年は人材難からアウトソーシングする企業も多いと聞いております。離職率も高い傾向にあり、その理由の一つがカスタマーハラスメントともいわれています。
 コールセンターは都外に設置される場合も多いですが、今回の条例の効果は及ぶのか、見解をお伺いをいたします。

○内田雇用就業部長 今般提出した条例案は、都内企業の事業継続に関わるあらゆる場面でカスタマーハラスメントを防ぐこととしておりまして、都内事業者のコールセンターは、設置場所や運営形態にかかわらず条例の適用対象となります。
 こうした考え方を指針で丁寧に解説するとともに、セミナーやホームページを通じ、顧客対応の基盤としてのコールセンターの重要性や、そこで働く人をハラスメントから守る必要性について啓発してまいります。

○ほっち委員 カスタマーハラスメントは決して許されるものではありませんが、接客に十分な人を配置できない状況が助長させていることも指摘されます。お客様対応の第一線であるコールセンターの労働環境の悪化は、会社の損失にも直結することについても啓発をお願いしたいと思います。
 ここまで、カスタマーハラスメントの現状、条例の意義、そして事業者に求める取組などについて確認をしてまいりました。社会全体が当事者となってカスタマーハラスメントのない東京にしていく、こうしたメッセージを都が先頭に立って旗を振り浸透させていくことを求めて、次の質問に移らせていただきます。
 次に、地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターの令和五年度業務実績評価についてお伺いをいたします。
 中小企業の経営は引き続き厳しい状況下に置かれている中、企業には、新たな技術を獲得しながら抱える課題を解決し、顧客のニーズに応える製品を生み出すことで、持続的な成長を続けていくことが求められております。中小企業が、こうした対応を進めていくに当たっては、技術支援と研究開発の両面で様々な事業を展開し、中小企業の事業活動を支援している都産技研の存在は欠かせません。
 今回報告されている都産技研の令和五年度業務実績に対する都の全体評価は、中期計画の達成に向け、優れた業務の進捗状況にあるとしています。こうした評価につながった都産技研の取組について、まずはお伺いをいたします。

○阿部商工部長 都産技研は、中小企業のイノベーションを加速させる技術支援と、新技術、新製品に着実につながる研究開発を経営方針に、東京都の施策とも連携した様々な取組を実施しております。
 また、東京都中小企業振興公社をはじめ、金融機関や行政機関、大学、研究機関などとも協働して、中小企業の技術力向上や新製品、新技術の開発に取り組んでおります。
 令和五年度の項目別評価は、外部資金導入研究・調査、新産業創出支援の二項目が評定S、依頼試験、機器利用や知的財産など九項目が評定A、その他の九項目は評定Bとなり、多くの項目で目標を上回る実績を達成いたしました。
 こうした取組を総合的に勘案し、全体評価を、中期計画の達成に向け、優れた業務の進捗状況にあるといたしました。

○ほっち委員 都産技研が中小企業への技術支援や研究開発に着実に取り組んでいることが評価されたとのことであります。
 また一方で、業務実績評価書によれば、社会的課題解決支援及び組織体制及び運営等の二つの項目では、令和五年度の評定が前年度より下がっております。この評価に関する都の認識をお伺いいたします。

○阿部商工部長 社会的課題解決支援の項目では、令和四年度は、中小企業の障害者用具等の開発支援を通じて、マグネシウム合金を用いた軽量車椅子の開発、製品化への貢献などを高く評価し、S評定といたしました。
 一方、令和五年度においては、環境分野、ヘルスケア、フードテック等の都民のQOLの向上などに資する分野における技術開発や製品化、事業化の支援に積極的に取り組んでおり、A評定といたしました。
 また、組織体制及び運営等の項目では、令和四年度は効率的な執行体制の確保などを目的とした組織再編に加え、研究職の専門性に着目し、適材適所の任用管理をより柔軟に実施するため、複線型人事制度を構築したことを評価し、A評定といたしました。
 令和五年度の組織運営については、令和四年度に見直した執行体制や制度を継続しており、B評定といたしました。
 このように、二つの項目についてはおおむね順調に実施したと認識しております。

○ほっち委員 二つの項目についてもしっかりと取り組んでいるということであります。ここから都産技研の令和五年度の取組について、項目に分けて質疑をさせていただきます。
 まず初めに、評定Sを受けた外部資金導入研究についてお伺いをいたします。
 業務実績評価書によると、新規採択件数は、令和四年度の三十六件に対して、令和五年度は五十件と大幅に上回ったとのことであります。こうした採択増に向けて、都産技研ではどのような取組を行っているのかお伺いをいたします。

○阿部商工部長 都産技研では、外部資金を獲得するために、組織的な取組として、提案公募型研究に積極的に応募するとともに、研究員への研修や指導の強化などを図っております。
 具体的には、都産技研の研究成果の強化に資する様々な分野の外部資金を調査した上で、新たな公募型研究の募集案内を研究員に周知し、応募を促しております。応募に際しては、事業の目的に合わせた申請書の書き方を指導するセミナーを実施するとともに、外部資金獲得のノウハウを持つ研究員の過去の経験を盛り込んだ研修を行いました。
 また、助成事業の申請について、豊富な経験を有する役職員が全ての申請書に対して個別にきめ細やかな指導を行っております。
 こうした取組が外部資金の獲得件数の増につながっております。

○ほっち委員 今の答弁でも、外部資金の獲得に積極的に取り組んでいるということであります。今後も引き続き取組を進めていただきたいというふうに思っております。
 次に、依頼試験や機器利用の取組についてお伺いをいたします。
 都産技研では、中小企業からの依頼を受けて、製品の性能評価などを実施する依頼試験や、高額な試験機器等を中小企業が安価に利用できる支援メニューを提供しています。
 コロナ後、企業活動もより活発になる中で、中小企業にとっては大変重要で欠かすことのできないサービスだというふうに思いますが、令和五年度の依頼試験や機器利用の取組成果についてお伺いをいたします。

○阿部商工部長 都産技研では、中小企業のニーズに応じて、依頼試験や機器利用などを通じたきめ細やかな技術支援を行っております。
 依頼試験では、デジタル機器等のデータ送受信に係る高速通信試験など、中小企業の製品等の性能や品質、安全性などを確認する性能試験や環境試験など約十二万一千件の試験を実施し、中小企業の製品開発や事故原因の究明、品質改善などをサポートいたしました。
 機器利用では、金属3Dプリンター等の立体造形機器など約十五万三千件の利用があり、中小企業による試作開発や性能評価の取組を支援いたしました。
 新型コロナウイルス感染症の影響などにより、令和二年度以降、利用実績が減少しておりましたが、依頼試験と機器利用の合計件数は、令和五年度については令和四年度を約二万二千件上回る約二十七万四千件となりまして、令和元年度の水準まで回復してきております。

○ほっち委員 都産技研には、引き続きこうした支援に着実に取り組み、中小企業の経営を技術面からしっかりと支えていただきたいと要望しておきます。
 次に、知的財産についてお伺いをいたします。
 産技研の研究成果である優れた新技術や知見を知的財産として適切に活用していくことは、公設の試験研究機関として重要であります。そこで、都産技研がこうした知的財産の取得及び活用にどのように取り組んでいるのかお伺いをいたします。

○阿部商工部長 都産技研では、基盤研究や共同研究等の成果を精査の上、知的財産権として登録し、適切に管理するとともに、中小企業の技術開発や製品開発に生かすために積極的な実施許諾を推進しております。
 具体的には、将来の製品化支援等への展開を見据えた知的財産権の登録に加え、技術動向の変化を踏まえ、保有権利の要否を適宜確認しております。
 令和五年度は四十一件の知的財産が登録され、年度末時点で四百七十八件の知的財産を保有しております。また、新たに建築用塗装剤等十二件の実施許諾を行い、製品開発に貢献いたしました。加えて、保有知的財産権をウェブで公開するほか、技術相談業務における広報や学会、協会における発表を通じ、中小企業における活用を促進しております。

○ほっち委員 多くの知的財産を保有し、また、中小企業にも積極的に活用されているとのことであります。中小企業が求めるニーズを踏まえながら、引き続き効率的、効果的に取り組んでいただきたいと思います。
 最後に、技術相談についてお伺いをいたします。
 技術相談は、企業にとって都産技研との最初の接点であり、後に続く依頼試験や機器利用といった技術支援、企業との共同研究などへの発展という意味では非常に重要なステップであります。
 昨年度は、五万九千件の相談に対応したとのことでありますが、せっかく多くの相談を受けているので、利用者の利便性向上につながるなど、業務へのフィードバックが重要と考えます。
 そこでお伺いをいたします。都産技研における技術相談に係る取組状況についてお伺いをいたします。

○阿部商工部長 都産技研では、環境試験や材料加工、デザインなど幅広い分野の技術相談に対して、本部や各支所等において来所や電話、メール、ウェブサイト、オンラインなどを通じて対応しております。
 問合せの多い製品強度試験に関しては、試験方法等をウェブサイトに掲載し、事前に試験条件を利用者が確認できる仕組みを構築するなど、利便性向上に努めております。
 相談や支援内容はデータベースとして管理し、効率的かつ効果的な相談業務につなげるとともに、中小企業支援のさらなる質の向上に活用してまいります。

○ほっち委員 ありがとうございました。これまで、令和五年度の都産技研による様々な取組について確認をさせていただきました。成果を上げていることが分かりましたけれども、厳しい経営環境の中で懸命に頑張る中小企業をしっかりと支援していただくことを最後に強く要望をして、質問を終わります。ありがとうございました。

○白戸委員 よろしくお願いします。
 私からも、カスハラ条例についてお伺いしたいと思います。
 今回、東京都カスタマー・ハラスメント防止条例が提出されました。と同時に、メディアでも非常に報道されることが多くて、世間での注目度は非常に高いというふうに思っております。これはやっぱり何といっても現場でお困りな方が多くいらっしゃるということの表れであり、都の条例に期待を寄せていただいている方は少なくないと考えます。
 そんな中、都民ファーストの会では、かねてより顧客や取引先からの著しい迷惑行為への対応について問題提起し、都はこれに応える形で全国で初めて実態調査を行い、経営相談の窓口による支援の充実を図るなど、施策を強化してきました。
 防止条例についても、提案した昨年の第三回定例会以降は、知事のリーダーシップの下、関係機関を巻き込みながら議論を加速させ、今定例会への条例の提出までスピード感を持って取り組んでこられたことは評価いたします。あわせて、都の動きが他の自治体にも影響を与え、東京にとどまらず、社会全体に波及する結果につながりつつあることは歓迎すべき状況だと考えます。
 一方、都の検討が進むにつれて、罰則がない条例の実効性を問題視する見解や、現場で消費者が萎縮することを心配するような声も聞かれるようになってきており、多くの方に正しく理解していただくための情報発信が非常に重要ではないかと考えます。今回の質疑を通して、こうした声にどのように向き合い、今後取組を進めていくのか明らかにさせていただきたいと思います。
 まず、セクハラ、パワハラ、マタハラをはじめ、様々なハラスメントがありまして、モラハラやアルハラといった新しい言葉、もうとにかくハラスメントだらけになっております。なぜ今回、このカスタマーハラスメントという言葉を冠した条例とする必要があるのか、これまでどのような手順で条例化を進め、パブリックコメントにはどのように対応していくのか伺います。

○内田雇用就業部長 都は、カスタマーハラスメントへの対応に関して、昨年十月、公労使会議の下に行政法や労働法の専門家が参画する検討部会を設けて、今年五月までに合計六回の会議を開催してまいりました。
 その中で、カスタマーハラスメントが長時間の拘束やメンタル疾患を招くなど深刻な状況であること、条例など法的な枠組みが必要であること、罰則のない理念型の条例とし、カスタマーハラスメントという言葉を広めることが重要であることなどが共通認識となり、これを踏まえ、都は基本的な考え方を七月にまとめ、パブリックコメントを募集いたしました。
 パブリックコメントでは、条例に対する期待のほか、罰則、消費者への配慮、判断基準に関する意見も多くいただいておりまして、今後作成する指針等において条例の趣旨を分かりやすく示していく必要があると考えております。

○白戸委員 カスタマーハラスメントの深刻な状況、これに対する法律がないという状況を捉えた対応であること、パブリックコメントで寄せられた意見には指針でも説明していくということ、新しい言葉、新しい定義であるので、ここは丁寧に進めていく必要があると考えます。
 今回の条例は罰則がないというのがかなり大きな特徴になっておりますけれども、これについて様々な受け止め方、あると思います。検討会議においてどのように議論されたのか、経過を伺います。

○内田雇用就業部長 検討部会では、罰則を求める立場からは、当初、条例に違反した際の対応を明記すべき、悪質な行為を罰することで加害者に行動変容を促すべきといった意見がございました。
 一方、罰則を含めた実行型の条例は、実際の運用を考慮するとハードルは高く、まず、予防的措置が重要である、今は罰則をつけることよりも幅広い行為を禁止することを優先すべきといった意見もございました。
 こうした議論を経まして、二月の検討部会では、罰則のない理念型の条例が妥当であるという意見が全委員の共通の認識であることが確認されました。

○白戸委員 意見が分かれるこの罰則について、慎重に議論が進められてきたということが確認できました。
 深刻な現場からは、罰則を求める声、これは少なくないと思います。それだけ現場でお困りの方がいらっしゃるということですが、都にはこの罰則なしの条例の利点を生かして、カスハラ行為を限定的に捉えず、幅広い行為が抑止されるように啓発を求めてまいります。
 今回の条例は罰則こそはありませんが、第四条で、何人も、あらゆる場においてカスタマーハラスメントを行ってはならないと強い表現で禁止が明示されており、抑止効果が期待されるのではないかと期待しております。
 ただ、一方、何でもハラスメント扱いをされるのではないかという不安が聞かれるのも事実でございます。第五条では、顧客等の権利を不当に侵害しないと留意事項も盛り込まれておりますけれども、条例化を検討するに当たって、重要なステークホルダーである消費者団体とはどのような調整を行われてきたのか伺います。

○内田雇用就業部長 カスタマーハラスメント防止には、消費者教育や消費者への配慮の観点も重要でございまして、消費者行政の所管も含めた実務担当者が検討部会の事務局の構成員となる検討体制としてまいりました。
 また、議論の進捗に合わせて、企業のお客様部門の責任者などで構成する団体や消費者団体のネットワーク組織に対して検討状況を説明し、その中で、条例化を歓迎する、カスタマーハラスメントという名称を使った条例をつくることに意義がある、誰もが労働者でもあり消費者でもある視点が重要であるなどの意見をいただきました。
 七月に立ち上げました指針の検討会議には消費者関係団体からも参画をいただき、消費者等への配慮などに関して意見をいただいているところでございます。

○白戸委員 消費者関係の団体もこの条例化に賛同されているという点、これは重要なポイントだと思います。消費者の正当な権利が条例で阻まれることがあってはならず、今後もしっかりと連携を図っていただきたいと思います。
 次に、表現の自由と条例との関係について伺います。
 近年、インターネット、SNSなどで名誉を傷つける行為が社会問題化していることに伴いまして、令和四年、侮辱罪の法定刑が引き上げられました。その際、言論を萎縮させ、表現の自由を侵害する危険性について不安視する声も聞かれましたけれども、今回の条例で禁止する威圧的な言動などの行為について、表現の自由との関係を懸念する意見にはどのように対応していくのか、考え方を伺います。

○内田雇用就業部長 今回提案した条例案におきましては、暴行、脅迫その他の違法な行為または正当な理由がない過度な要求、暴言その他の不当な行為を著しい迷惑行為として禁止する一方、顧客等の権利を不当に侵害しないよう留意することを求めております。
 この顧客等の権利には、憲法で保障される表現の自由も含まれ、カスタマーハラスメントを禁止することで表現の自由が制限されてはならないと考えております。
 一方、表現の自由は絶対無制限に保障されるものではなく、人格権、名誉権、プライバシー権も憲法により尊重されていることに留意する必要がございます。こうした考え方を指針等により丁寧に啓発してまいります。

○白戸委員 カスタマーハラスメントはあってはいけないというのは当然なんですが、表現の自由も尊重されなければいけないと。ただし、この表現の自由は何でも許されるわけでもない。こうしたバランスが非常に重要であるかと考えます。困っている現場のよりどころになるような丁寧な情報発信をお願いします。
 次に、区市町村との連携について伺います。
 都のカスハラ条例は、カスタマーハラスメントに苦慮する区役所や市役所からも大きな関心が寄せられております。第十条には区市町村との連携が規定されておりますが、これまで区市町村とどのような調整を進められてきたのか、その中でどのような意見があり、今後どのように連携していくのか伺います。

○内田雇用就業部長 都は、条例化の検討段階から、特別区長会、市長会、町村会が主催する会議の場などで説明を行い、認識の共有を図ってまいりました。区市町村の実務担当者向けのアンケートも実施をしておりまして、各自治体の課題認識を確認するとともに、都と連携した啓発や公務の現場で活用されるマニュアルの提示などのニーズを把握してございます。
 今後も区市町村に丁寧に情報提供を行い、公共サービスの幅広い現場でカスタマーハラスメントが防止され、就業環境の向上につながるよう取り組んでまいります。

○白戸委員 官公庁で働く人たちがカスハラで疲弊していくことは、当然のことながら住民サービスにも影響します。質の高い公共サービスを維持するためにも、行政がしっかりと連携し防止に取り組んでいただきたいと思います。
 先日の代表質問で我が会派は、行政による相談体制の重要性について質問したところ、知事から、様々な当事者が相談できる体制づくりを進めるという旨の答弁がございました。
 第六条で、都の責務として相談が盛り込まれておりますが、その必要性と意義について、これまでの対応状況も含めて見解を伺います。

○内田雇用就業部長 都は、ハラスメントに関する労働相談を受け付け、紛争解決に向けたアドバイスを行うとともに、労使いずれかから要請があった場合にあっせんを行っておりまして、この仕組みの中でカスタマーハラスメントについても対応を図っております。
 また、令和元年度から、悪質なクレームに苦慮する企業への支援として、サービス業などに詳しい社会保険労務士などの専門家を経営相談の窓口に配置し、弁護士等とも連携して対応できる体制を整備しております。
 カスタマーハラスメントは、労働相談及び経営相談にまたがる複合的な問題を含むことも多く、行政の窓口が相互に連携し、相談者の悩みに応じて適切に機能を発揮していくことが重要であると考えております。

○白戸委員 相談窓口はカスハラの被害者の救済、職場に対応してもらえない人の支援、人材の流出や防止策に悩む企業の支援、様々な意味で重要でございます。また、誰もが加害者にも被害者にもなり得るもので、個人で抱えてしまうケースも少なくありません。そんな、どこに相談していいのかよく分からないという人に対し、スピーディーに案内して解決につなげることも重要であり、そうした機能の強化を求めておきます。
 代表質問で、条例を解説する指針を年内に示すという答弁もございました。指針について、これまでの検討状況と今後の進め方について伺います。また、第十三条に規定する効果検証についてどのように進めていくのか、併せて伺います。

○内田雇用就業部長 都は、指針の検討を進める検討会議を七月に立ち上げました。この検討会議は、経済団体、労働団体、消費者団体、学識経験者のほか、国の参画も得て幅広い議論が可能な体制としてございます。
 また、会議の事務局は条例を所管する産業労働局のほか、警察、消防を含めた都職員の安全衛生や施設管理の所管部署、消費者行政、区市町村行政、人権施策の各所管部署により構成してございます。
 こうした体制の下、年内の指針の公表に向け検討を進めるとともに、認知度や被害の発生状況など、官民問わず幅広い実態を把握いたしまして、施策の効果検証を継続的に行う仕組みを築いてまいります。

○白戸委員 労働団体、経済団体、消費者団体など、カスタマーハラスメントの重要なステークホルダーが幅広く関わる体制での指針の検討が進められているということが分かりました。
 カスタマーハラスメントは、消費者行政や人権など多岐にわたる論点があり、さらに、まだ前例もないということで、だからこそ条例の検討に関わった庁内の関係部署としっかりと連携をし、政策の検証をしっかりと行い、施策のPDCAをしっかりと回していただきたいと考えます。
 カスタマー・ハラスメント防止条例を実効性のあるものにしていく上で特に重要なことは、防止措置が求められる企業、条例により守られる働き手、行為者となり得る人、それぞれに条例を確実に周知していくことであります。特に、行為を未然に防ぐには、事業主や従業員が意識するだけではなくて、消費者側の理解も大切です。この条例は、取り締まることよりカスタマーハラスメントを正しく理解し、行動指針にしてもらうことが重要であることはいうまでもありません。
 都は、カスタマーハラスメント防止に関わる当事者である顧客など、就業者、事業者に対してどのように条例を周知、普及させていくのか、考え方を伺います。

○内田雇用就業部長 都は、従業員に対する社会的な常識や通念を超えた言動を抑えるため、今年度、啓発の取組を強化しております。
 具体的には、カスタマーハラスメント防止に関する専用のウェブサイトを設けており、今後は店舗や窓口で目に留まりやすいポスターも作成してまいります。その中で、カスタマーハラスメントに該当する象徴的な行為を分かりやすく例示するとともに、働く人と顧客等が対等であり、互いに尊重し合うことの重要性を示してまいります。
 また、顧客等からの迷惑行為から社員を守る必要性を伝える掲出物も作成をいたしまして、経済団体や労働団体とも連携しながら、現場への周知を図ってまいります。
 さらに、消費者行政の所管とも適切に連携しながら、条例案に示した基本理念を示す動画の活用や、普及啓発を集中的に行う月間の設定などにより啓発を進めてまいります。

○白戸委員 ここまで様々な角度から確認をさせていただきました。これまでの法律では手が届かなかった職場の外からの加害行為も抑止するために、労働団体や経済団体、さらには消費者団体とも丁寧な論議を積み重ねて都独自の条例を提案されたこと、よく分かりました。
 労働者団体でありますUAゼンセンが、以前カスハラのヒアリングを調査されたんですけれども、このときにお聞きしたのは、カスハラの加害者はサービス業に多いんだという結果が出ました。これは働く現場でカスハラをたくさん見ているので、自分がサービスを受ける側に立ったときには、ちょっとでも不具合があると、すぐに怒りに変わってしまうということだそうです。
 また、部下にパワハラをした管理職にヒアリングをしますと、こちらはかなりの確率で、自分が若いときはもっとひどいことをされたというようなコメントが返ってくるというのもいっておられました。
 これ、つまり、カスタマーハラスメントというのは、被害を受けていた方が加害者になり得るというケースが非常に少なくないというのがよく分かります。だからこそ、しっかりと今回啓蒙し、被害者を減らすことは、未来の加害者も減らすことにつながります。
 今後、普及啓発や事業者の支援など、施策の具体的な検討も深めていただきまして、カスタマーハラスメントのない東京を実現していただくことを要望し、次の質問に移ります。
 続きまして、地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターの令和五年度の業務実績の評価について伺います。
 令和五年度の業務実績評価によりますと、新産業創出支援という項目で、都は最高評価のS評定をつけております。社会全体のDXが進む中で、中小企業の競争力を高めるためには、5Gなど高速通信やIoT、AIといった情報技術を活用し、成長分野における新技術、新製品開発を支援することが重要でございます。
 そこで、今回このような評価につながった令和五年度の都産技研の取組の内容について伺います。

○阿部商工部長 都産技研では、中小企業の5G、IoT、ロボット分野における技術シーズ創出を目的とした基盤研究や、製品化、事業化を目的とした共同研究等を実施しております。
 令和五年度は、八件の基盤研究、二十件の共同研究を実施するほか、展示会への出展やサービスロボットの活用事例などを紹介するセミナーの開催を通じて成果普及につなげました。
 中小企業との共同研究では、遠隔操作での桟橋の点検作業を可能にした自律型点検支援ロボットの開発に貢献し、安全性向上、省力化に寄与いたしました。
 また、都産技研が保有する知的財産の実施許諾を受けた企業が、段差のある路面でも走行でき、無人輸送など様々な用途で活用可能な移動プラットフォームを販売開始するなど、中小企業の製品化、事業化に貢献いたしました。
 これらの取組を高く評価し、S評定といたしました。

○白戸委員 都産技研が5G、IoT、ロボットという、いわゆる成長が期待される分野で中小企業と連携を取りながら、製品化、事業化につなげているということがよく分かりました。この分野は、日々技術開発が進む分野でもあります。都産技研としても、最新の動向を把握しながら、引き続き取組を進めていただきたいと思います。
 令和四年の当委員会において、我が会派は、環境課題の解決に資する都産技研と中小企業との共同研究について質疑をさせていただきました。近年では、持続可能な形で資源を利活用する循環経済、いわゆるサーキュラーエコノミーの実現が世界的にも求められております。こうした社会転換に対応していくことは、中小企業のビジネスチャンス獲得の観点からも不可欠でございます。
 都産技研では、これまでも様々な社会的な課題に対する取組を進めてきたところでもありますが、まず、このサーキュラーエコノミーへの転換に向けた中小企業への支援に関する令和五年度の取組について伺います。

○阿部商工部長 都産技研では、環境問題をはじめとした社会的課題解決に資する基盤研究に取り組むほか、中小企業や大学との共同研究等を通じて、その解決に資する製品化、事業化を支援しております。
 令和五年度から新たにサーキュラーエコノミーへの転換に向けた中小企業の参入支援に取り組んでおります。
 具体的には、食品ロス、プラスチック問題をテーマとして国内外の技術動向を取りまとめ、中小企業の参入領域を指し示すナビゲーションマップと、具体的な技術開発のテーマや事例を示すガイドを新たに作成いたしました。
 また、オンラインセミナーを開催し、基調講演やパネルディスカッションを通じてマップ等を普及するとともに、新たな共同研究につなげてまいりました。

○白戸委員 企業との共同研究については、今年度より取組が進んでいると聞いています。このサーキュラーエコノミーの実現に資する中小企業の新技術、新製品の開発につながることを大いに期待しております。
 東京は、世界に冠たる美食都市であると同時に、食に関わる魅力的な資源が豊富にございます。こうした食品が数多く開発されることで、東京の魅力が増すことにつながると思っております。
 一方、世界的な人口増加による食料危機や高齢化、共働き世代の増加に伴う生活様式の変化などにより、食品産業を取り巻く技術ニーズは多様化しております。食料安全保障の観点からも、海外情勢の影響を受ける小麦代替品の開発も急務でございます。
 食品技術センターが都産技研に統合されて三年が経過しました。こうした課題に対する都産技研の令和五年度の食品分野についての取組について伺います。

○阿部商工部長 都産技研では、食品産業に関わる先端技術等を活用し、中小企業支援の充実を図り、食をめぐる様々な課題解決に取り組んでおります。
 令和五年度は、食品技術センターで新たな機器整備を行ったほか、食品の内部組織を立体的かつ鮮明に観察できる顕微鏡を機器利用に加えるなど支援を充実させ、依頼試験、機器利用の合計件数は五千二百十四件と前年度を上回りました。
 中小企業への技術支援として、加工条件や粉砕したオーツ麦の粒度分布測定等を実施することで、飲みやすいオーツミルクの製品化につなげた事例や、食品技術センターで培養した酵母を提供することで、清酒製造企業の製品化が可能となった事例がございます。
 さらに、フードテックを活用して、代替肉、介護食品、機能性食品の技術開発に係る研究を実施するほか、輸入小麦の価格高騰に対応するため、大麦や米粉配合の麺類の開発など、企業と共同した研究も新たに行っております。
 こうした取組を通じて、食品産業の技術的課題の解決や地域資源を活用した食品開発などについて積極的に支援をしております。

○白戸委員 食品技術センターの統合による相乗効果を発揮しながら、フードテックによる中小企業の製品開発支援も進めていること、よく分かりました。引き続き、中小企業のニーズを把握しながら、先端技術による研究開発や技術支援業務を進めていただきまして、東京の中小企業を技術面からしっかりと支えていただけるようお願いし、質疑を終わります。

○竹平委員 よろしくお願いいたします。
 初めに、特別高圧電力、工業用LPガスを利用する中小企業等への支援についてお伺いをいたします。
 エネルギー価格や物価の高騰が長引く中、都議会公明党には、都内中小零細企業から、経営への影響が続き、継続した支援を求める声が届いております。都議会公明党は、七月二十二日に、知事に対し物価高騰、経済対策等に関する緊急要望を行いました。その要望の一つが本支援の再度の実施でありまして、今回、補正予算に盛り込まれたことは評価しております。
 そこで、今回の補正予算における支援金額の設定の考え方について、特別高圧電力及びLPガス料金の最近の状況も含めて、お伺いいたします。

○山本産業政策連携促進担当部長企画調整担当部長兼務 特別高圧電力やLPガスの料金の水準は、令和四年度に上昇した後、今年度も依然として高止まりの状況が続いておりまして、長引く物価高騰の影響を受けます中小企業等の負担軽減を図るため、再び支援を行うことといたしました。
 給付の金額につきましては、令和五年度の第一回の開始時に国のデータ、電力会社やガス販売事業者、施設オーナーやテナント等へのヒアリングなどを踏まえ、中小企業等の負担が大きくなり始めた令和四年と比較して、コスト面の負担感を減らすことができる一定の水準を設定いたしました。
 今回につきましても、これまでの二回の支援と同様の金額を設定してございます。

○竹平委員 特別高圧電力及びこのLPガス料金は、依然高止まりの状況にあることから、これまでと同様の水準で中小企業への支援を行っていくということが分かりました。
 一方で、前回、支援の延長を盛り込んだ補正予算を審議した昨年第四回定例会の質疑において、私は、支援の実施を知らなかったために申請できない事業者が出ないよう取り組んでいく必要性を指摘させていただきました。厳しい状況が続く中、事業の再開に当たり、必要とする全ての対象者に支援金が行き渡ることが重要であります。
 そこで、対象者へ本事業の周知をどのように図っていくのかお伺いいたします。

○山本産業政策連携促進担当部長企画調整担当部長兼務 本事業の周知に当たりまして、これまでと同様、小売電気事業者を通じて特別高圧電力を受電するビルなどの施設のオーナーにテナントへの周知をお願いするほか、ショッピングセンターやオフィスビルが参加する業界団体や商工会等を通じた会員企業への周知、工業用LPガス販売業者を通じた販売先事業者への周知、前回までの支援金を受給した事業者への再度の案内などを実施してまいります。
 これらに加えまして、中小企業等へ架電や訪問により都の省エネなどの支援策を紹介するため、令和四年度から実施しておりますHTT実践推進ナビゲーター事業を活用いたしまして、ナビゲーターが支援対象となるテナントへ訪問等を行う際には、今回の支援策も併せて周知をしてまいります。
 これらによりまして、対象となる事業者の確実な申請につなげてまいります。

○竹平委員 過去二回において実施した方法に加えまして、支援策の紹介を行うナビゲーターを活用し、個別訪問等でも周知を図っていくということが分かりました。引き続きしっかりと周知を行い、必要としている事業者の方々に支援が着実につながることを要望して、次の質問に移ります。
 次に、もっと!暮らし向き向上緊急サポート事業(経済活性化支援)についてお伺いをしてまいります。
 エネルギー価格や物価の高騰が長引く中、都民の家計や都内事業者の経営にも深刻な影響が続いており、都議会公明党は都に対しまして、八月三十日に物価高騰、経済対策等に関する追加の緊急要望を行ったところでありますが、今回、もっと!暮らし向き向上緊急サポート事業(経済活性化支援)が補正予算として盛り込まれ、百五十億円が計上されていることは高く評価いたします。同様の支援策は本年三月にも実施されたところですが、前回の実績を踏まえて、ぜひこの予算を有効に活用して効果的な支援としていくべきと考えます。
 そこで、まず、今回の支援を行うに至った経緯や実施に要する経費の考え方についてお伺いいたします。

○池野産業企画担当部長DX推進担当部長兼務 経済には好転の兆しも表れている一方で、物価高騰による都民生活への影響は長期化しております。
 そうした中、賃上げと個人消費の拡大による経済の好循環に向け、都民の生活を支援するとともに、消費の下支えをし経済を活性化するため、緊急的な取組として本事業を実施いたします。
 本年三月に実施したキャンペーンと同様に、日常の買物などでQRコード決済を行った場合、支払いの一〇%を一人当たり三千円相当までのポイントで還元する取組を消費支出が年間で最も高まる十二月に実施することとし、QRコード決済の利用が拡大している状況等も踏まえ、前回と比較してポイント還元の原資を約五十億円増額しております。
 また、このほか、利用者等に対する案内を行うコールセンターの設置や事業の周知に必要となる経費に加え、QRコード決済事業者における対象店舗の取りまとめや日々の決済の集計、報告などの業務に係る経費を計上しております。

○竹平委員 ただいまご説明で、事業の考え方についてよく分かりました。
 東京は、消費者である都民及び事業者の方々が広く活用できる環境にあり、事業の効果が十分期待ができるものと考えております。今回実施するに当たっては、都内の事業者の皆様が前回実施されたキャンペーン事業をどのように受け止めたのか、事業効果として踏まえる必要があると思います。
 そこで、前回のキャンペーンにおいて事業者の方からどのような声があったのかをお伺いいたします。

○池野産業企画担当部長DX推進担当部長兼務 前回のキャンペーン実施後に行った都内事業者向けアンケートの結果では、消費の喚起や経済の活性化につながったと思うとの回答が事業者全体で七三%でございました。
 特に、食料品や日用品を扱う小売業では約七八%、美容室やクリーニング店など生活関連サービス業では約七三%、居酒屋、バーを除く飲食業では約七一%と高評価でありました。
 おおむね好意的な評価であったことを踏まえ、今回においても都民の暮らしを支え、経済の好循環につなげられるよう着実に取り組んでまいります。

○竹平委員 前回のキャンペーンでは、都民生活に密着した多くの事業者が好意的な評価をしているということが分かりました。今回もより多くの都民の消費を喚起し、さらなる事業者の収益向上につながることを大いに期待しております。
 昨今、まち中の店舗ではQRコード決済の導入が進んでいる一方で、新たな決済機器を導入することへの不安や、売上金に関する入金の時期などを理由になかなか踏み出せない店舗も依然と多いと思います。この事業をより効果的なものにしていくためには、こうした店舗にも、今回のキャンペーンを契機にデジタル化を進めてもらうことも重要であると考えます。
 QRコード決済を導入していない店舗にもこの事業を知ってもらうための周知を行うとともに、不安や疑問の解消につながる情報を提供していくことが必要と考えますが、見解を求めます。

○池野産業企画担当部長DX推進担当部長兼務 今回の事業に向けまして、都内の主要な駅での広告ポスターやSNSなど、様々な広告媒体を活用した周知を効果的に行ってまいります。
 今回の事業を契機に、新たにQRコード決済の導入を検討する店舗に対しては、専用のウェブサイトにおいて、導入に当たり生じる負担の有無や決済事業者の仕組みへの加入に関することなど、数多くの方からの問合せが想定される質問に対する回答を分かりやすい形で掲載してまいります。
 また、今後設置する専用コールセンターにおいて、各決済事業者と連携し、土日祝日を含め、丁寧な案内を行ってまいります。

○竹平委員 これまでQRコード決済を導入していない事業者へのサポートも準備しているということが分かりました。十二月の実施に間に合うように、しっかりと対応していただきたいと思います。
 さて、今回の事業は、スマートフォンのアプリを利用する事業でしたが、スマートフォンを持っていても、QRコード決済を利用したことがない方もいらっしゃると思います。高齢者の方々をはじめ、デジタル関係が苦手な方にとっては、利用しようにもどのようにすればよいのか分かりづらいというところもあるのではないかというふうに思います。
 そこで、今回の事業では、そういった方々も含めて幅広くQRコード決済をしてもらえるように、例えば動画を活用した導入方法ですとか利用方法の紹介など具体的に分かりやすい案内が必要かと思います。見解を求めます。

○池野産業企画担当部長DX推進担当部長兼務 新たに開設する専用ウェブサイトにおきまして、初めてQRコード決済を利用する方に想定される疑問や不安に対する回答に加えまして、各決済事業者が作成しているQRコード決済の利用方法などを解説する動画等、分かりやすい案内情報も掲載してまいります。
 あわせて、新たに立ち上げるコールセンターにおいて、利用者からの様々な問合せにオペレーターが適切に対応できるよう、前回の事業実施の際の問合せ状況も踏まえた内容で事前研修を行い、実施体制を整えてまいります。
 これらの取組により、不慣れな方々に対しても丁寧かつ分かりやすい案内を行ってまいります。

○竹平委員 いわゆるデジタルデバイドで困っておられる方にとっても、分かりやすい案内や情報提供をぜひお願いしたいというふうに思います。
 私の地元江戸川区では、スマートフォンの利用に不安を感じている方向けにスマホ教室を行っております。他の自治体でも高齢者向けにスマホ教室を開催していると聞いております。例えば、自治体が行っているそういったスマホ教室で、QRコード決済の方法をご案内していただくなど、区市町村にも本事業のことをお知らせして協力を得ていくのもよいのではないかというふうに思います。
 今回のようなQRコード決済の仕組みを活用したポイント還元のキャンペーンは、都内の様々な自治体においても地域経済の振興などの目的で実施されております。今回、都が行う十二月頃には、文京区や足立区でも行うようであります。都の実施と同時期に都内自治体で行われる場合、前回と同様にそれぞれから支援を受けることができれば、その地域においては、より一層高い効果が出ることが期待されると思います。
 そこで、今回も、都の支援は、都内自治体が行う同様の支援と併用できるようにすべきと考えますが、見解を伺います。

○池野産業企画担当部長DX推進担当部長兼務 都内の自治体が都と同じ時期に同様のQRコード決済によるポイント還元の支援を行う場合、経済活性化の効果がより高いものとなるよう、今回の取組におきましてもそれぞれのポイントを合算して還元できる仕組みといたします。これにより、利用者のさらなる活用を促進し、都民生活の下支えと消費の喚起による事業者の収益向上に結びつけてまいります。

○竹平委員 今回の支援においても、同時期に都内の自治体が都と同様のポイント還元の取組を行う場合、それぞれのポイントを合算する利用も可能な仕組みとするということでございます。ぜひ各自治体とも連携をして、より効果的な事業となるよう取り組んでいただきたいと思います。
 今回の取組は、多くの都民や店舗で積極的に活用いただけるようにすることが何よりも肝要であります。そのためにも、多くの都民、事業者に向けて積極的な情報発信と丁寧なサポートがなされることを要望いたしまして、次の質問に移ります。
 次に、地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターの令和五年度業務実績評価についてお伺いをいたします。
 中小企業においては、設備や人員、資金など、経営資源に限りがあることから、優れた技術やアイデアを有するものの、それらを生かした新製品の開発や改良に踏み出せない場合も多いと聞きます。こうした企業に対して都産技研の研究で得られた成果を提供し、新たな製品やサービスとして社会に送り出していくことは大変重要であります。
 都産技研は、共同研究という支援を通じて、中小企業に対し、保有する技術やノウハウ、設備等を活用しながら伴走支援を行い、製品化、事業化につなげております。
 そこで、中小企業との共同研究に関する令和五年度の取組及び成果についてお伺いいたします。

○阿部商工部長 都産技研では、独自に実施する基盤研究で得られた成果や、大学などのアイデアや技術シーズを活用し、中小企業との共同研究を通じて技術開発や製品化、事業化を後押ししております。
 令和五年度は、精密加工機を地面に水平に設置するための自動調整装置の開発や、蚕を原料とした新たな高たんぱく質食品の製造技術の開発など、新規採択十八テーマを含む三十二テーマについて共同研究を実施いたしました。
 また、崩落の可能性がある土砂の含水率のモニタリング等に活用可能な水分センサーについて、都産技研の仕様設計、部品選定などの全面的な支援により、測定精度の向上等に貢献した事例や、児童発達支援施設などのアンケート等を基に、ハンディキャップを持つ子供などのQOL向上に資する三種類のストロー補助具の製品化を達成するなど、過去最高となる十九件の製品化、事業化を実現いたしました。

○竹平委員 中小企業の新たな製品やサービスが売り出されることはもちろんのこと、ただいまのご答弁にあったように、それが都民の生活の質の向上や社会課題の解決につながることは非常に重要であると考えます。
 先日、パリ二〇二四パラリンピック競技大会が行われました。三年前の東京二〇二〇大会では、都産技研と中小企業とが共同開発したバドミントン用車椅子を使用したパラリンピアンがメダルを獲得いたしました。令和四年度の都議会公明党の質疑でも取り上げさせていただきましたが、都産技研はその後、得られた知識やノウハウを生かして、アスリートに限らず、障害者の方が広くスポーツに取り組みやすい用具の開発に取り組み、通常のフレームよりも大幅に軽量化したバドミントン用車椅子等の製品化を支援してきました。
 そして、令和五年度からは、スポーツの場面に限定せず、障害者等の日常生活を支える製品開発を支援する事業に取り組んでいるとのことでありますけれども、令和五年度におけるその取組状況とこれまでの成果についてお伺いいたします。

○阿部商工部長 都産技研では、東京二〇二〇大会のレガシーを受け継ぎ、アスリート向けの競技用具の開発で培った知見等を活用し、障害者や高齢者がスポーツに限らず社会生活において制限を受けることなく活動できるよう、補助器具の新製品、新技術の開発に取り組む中小企業等を支援しております。
 令和五年度は、車輪角度を容易に変更できる仕組みを設けることで、激しい運動や日常生活の両方に対応可能な車椅子や、3D計測技術の活用により、障害や体格等に合わせて車椅子の使用感を改善するフィッティング部品の開発を中小企業と共に取り組みました。
 また、令和二年度から令和四年度までの共同研究において開発された軽量化した障害者向けバドミントン用車椅子は、その後、日常用として製品化されており、令和五年度までに二百台以上が販売され、多くの方の活発な活動に役立っております。

○竹平委員 過去の共同研究において開発された製品が、今多くの方々の下で活用されていることは評価いたします。今後も、全ての人が輝く東京の実現に向け、障害者や高齢者の方の社会での活躍を後押しするような製品開発の支援を都産技研には期待しております。
 都産技研の支援により、中小企業の製品化に結びついているということでございますけれども、今後もこうした成果を上げていくためには、都産技研のこれまでの成果や保有する技術を中小企業に認識し、活用してもらうためのPRが重要であると思います。
 そこで、都産技研における情報発信に係る取組状況についてお伺いいたします。

○阿部商工部長 都産技研では、令和三年度に策定した広報戦略を踏まえ、ウェブサイト、広報誌、動画共有サイト、SNSなどにより、研究開発成果や保有する技術情報を中小企業等に分かりやすく伝えるよう情報発信を推進しております。
 技術情報誌を月二回ウェブサイトで発信し、最新の技術動向を専門の研究員が解説するとともに、年二回の冊子発行では、都産技研の研究開発成果等も併せて紹介し、都産技研の展開する技術支援メニューの利活用を促進しております。
 令和五年度は、主催する研究発表会や産業交流展をはじめとする各種イベント等を通じて技術シーズの発信を行いました。
 加えて、若年層へも広くアプローチし、都産技研を分かりやすく一般の方に紹介することを目的に、メディアプラットフォーム、noteを新たに採用いたしました。令和五年度末までに十四件の記事を掲載し、約二万件の閲覧を獲得しております。
 これらの多様な取組を通じまして、都産技研の認知度向上に努めております。

○竹平委員 都産技研の認知度を高め、提供する多様なサービスを活用いただくことは、中小企業がますますの成長、発展を遂げていく上で重要であります。今後も様々な情報発信を工夫を凝らして行っていくことを求めまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○藤田委員 日本共産党の藤田りょうこです。
 私からは、東京都カスタマー・ハラスメント防止条例案について質問をいたします。
 ハラスメントは人権侵害です。いかなるハラスメントも根絶していかなければなりません。ハラスメントは、身体的、精神的な攻撃など、様々な形で人を傷つけ、痛めつけ、鬱病や退職に追い込んだり、命さえ奪ったりすることもある、決して許されない行為です。加害者に謝罪させることはもちろん、適切な制裁、防止措置、被害者への救済の強化が求められています。そうした立場から質問したいと思います。
 初めに、ハラスメントの定義についてです。
 二〇一九年に成立したILO百九十号条約である労働の世界における暴力とハラスメントを禁止する条約のハラスメントの定義は、一回限りであれ、繰り返されるものであれ、性差別に基づくものも含む肉体的、精神的、性的あるいは経済的苦痛を与えることを目的とし、もしくはそのような結果を生み出す受け入れ難い全般的な振る舞い、行為、あるいは脅しとなっていて、これは国際的な到達点です。
 日本のカスタマーハラスメントの定義はどのようになっていますか。都条例のカスハラの定義を同様としなかった理由についても伺います。

○内田雇用就業部長 カスタマーハラスメントの定義についてでございますが、厚生労働省の指針では、顧客等からの著しい迷惑行為という表現が用いられており、その説明として、国のマニュアルでは、顧客等からのクレームや言動のうち、当該クレーム、言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段、態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段、態様により労働者の就業環境が害されるものとしてございます。
 都が条例案を検討するに当たっては、こうした国の表現を踏まえながら、条文としてふさわしい表現に整理をしたということでございます。

○藤田委員 厚生労働省の定義よりも、今回の条例の定義は極めて広くなっています。先ほど紹介したILO条約の定義では、目的及び結果によって、ハラスメントに該当する行為を限定しています。
 どういう行為がカスハラに当たるかを細かく例示することで、加害する側は、その例示に当たらないと逃げ口上に使います。一方、被害者が声を上げると、加害者が集まって、ハラスメントの意図はなかったなどと反論します。そこで、被害者は、自分が受けたハラスメントがどの例示に当たるかを探し出し、説明をしなければならなくなる。被害者の被害を軽んじる傾向になってしまいます。
 必要なことは、加害者が行った行為を定義づけするのではなく、受けた被害の存在、結果を重視することです。ハラスメントの本質が人格権の侵害であり、ハラスメントの加害者が主体ではなく被害に着目していることが、ILO条約の大きな特徴となっています。
 条約が採択された二〇一九年に批准した国は、世界で二か国でした。ILO百九十号条約には、現在、世界の何か国が批准していますか。日本が批准していない理由についても伺います。

○内田雇用就業部長 ILO第百九十号条約には現在、四十五か国が批准してございまして、我が国の批准について、国は、国内法制との整合性の観点からなお検討が必要であり、我が国法制や実情を考慮し、引き続き検討を加えることとしたいとしてございます。

○藤田委員 現在、ILO百九十号条約に批准している国は四十五か国ということです。この五年間で大幅に増え、あらゆるハラスメントの禁止は、今や世界の主流になっているということです。しかし、日本政府は批准していません。
 二〇一九年の第百八回総会で、日本政府はこの条約に賛成しています。一方で、経団連は条約の採択に棄権しました。ほとんどの先進国では経営者団体も賛成した中で、日本の経営者団体は働く人々が健康で働き続けるための制度の確立に背を向ける、あまりに時代遅れで身勝手な態度をあらわにしました。このような動きの中で、日本は、条約に賛成しながら、いまだに批准していないのです。
 改めていいますが、ハラスメントは人権侵害です。全てのハラスメントをなくしていくことを目的に掲げなければ、ハラスメント対策はできません。今回は所管局が産業労働局ですが、全てのハラスメントを禁止するという立場こそ必要だということを、まず強調したいと思います。ILO百九十号条約を批准することを東京都から政府に対して求めていただきたいと要望いたします。
 ハラスメントは人権侵害。被害に着目して考えるという立場に立てば、条例をつくる上で大切になってくるのは、被害者の救済です。
 今回の東京都カスタマー・ハラスメント防止条例は、誰のために条例化するのですか。

○内田雇用就業部長 条例案は、顧客等の豊かな消費生活、就業者の安全及び健康の確保並びに事業者の安定した事業活動を促進することを目的としております。

○藤田委員 第一条の目的に書かれている内容をお答えになりました。つまり、条例は、被害者になり得る就業者の健康と同列に、安定した事業活動も目的としているということです。人権が最も尊重されなければならないのではないかと疑問になります。
 カスタマーハラスメントの被害者を救済することは重要と考えますが、都の認識を伺います。

○内田雇用就業部長 カスタマーハラスメント被害について、事業主や行政が相談に応じるなどの対応を図ることは重要であると考えております。

○藤田委員 相談に応じることは当然ですが、大事なのは、きちんと救済するかどうかです。そこについては明確に答弁されませんでした。
 被害者の救済は重要ではないということなのでしょうか。伺います。

○内田雇用就業部長 カスタマーハラスメント被害につきましては、相談などが重要であると考えてございます。
 さらに、条例案では、被害者への対応として、事業者に安全確保や配慮を求めるほか、都の責務として、相談及び助言等の施策を推進していくこととしております。

○藤田委員 被害者の救済が一番に考えられるべきです。今、都は相談窓口などの設置をしているということですが、被害者の救済は、第一義的には事業者の責務ですが、事業者の対応として、安全確保や配慮では非常に弱いと思います。
 パーソル総合研究所が今年三月に実施したカスタマーハラスメントに関する定量調査によると、顧客折衝があるサービス職の三五・五%が過去に顧客からのハラスメント、嫌がらせを受けた経験があると回答しています。
 問題はこの後です。会社側の対応は、嫌がらせの被害を認知していたが、何も対応はなかったというのが、三六・三%で最も高かったとしています。また、認知なしというのも一九・三%もありました。こうした状況をセカンドハラスメントと呼び、セカンドハラスメントを経験した職員は、辞めたいと思ったり、出勤が憂鬱になると、この調査では分析されています。
 さらに、厚生労働省によれば、二〇〇九年から二〇一八年の十年間で、顧客や取引先からのクレームを原因とする精神障害による労災申請は二百六十二人で、労災認定が七十八人、うち二十四人が自殺と公表されています。ハラスメントは決して許されないという立場から対応を考える必要があると思います。
 被害者への救済の強化こそ求められています。事業者が安全確保や配慮を求めるというだけでは、非常に弱いと思います。改めていいますが、ハラスメントは命に関わる人権侵害です。少なくとも、条文で被害者の救済を位置づけるべきです。
 都として、ハラスメント被害者の救済に関する相談窓口の設置や専門家の養成を行うよう求めますが、いかがですか。

○内田雇用就業部長 都は、労働相談及び経営相談の窓口でカスタマーハラスメントについて対応してございまして、専門家の配置または接続などの対応も行ってございます。

○藤田委員 公の役割として、被害に遭った人が相談できる公的窓口の設置やハラスメント対応に精通した専門家の養成を行うことは、被害者救済の重要なポイントにもなります。
 今後、国において、カスタマーハラスメントは事業者の措置義務になるとの話もありますので、法改正が進んだ後には、都や事業者の責務についてもグレードアップをすることが必要になります。
 また、相談対応する専門家は、外部に委託すると費用が高額であり、中小企業には負担が重いというお話もあります。ぜひ費用の負担軽減についても検討していただきたいと思います。
 今回の条例案で最も懸念が多いのは、消費者の権利が不当に侵害されるのではないかということです。パブリックコメントでもこれらの意見が寄せられており、どのように消費者、条例でいうところの顧客等の権利を守っていくのかが問われています。
 第五条、適用上の注意には、この条例の適用に当たっては、顧客等の権利を不当に侵害しないように留意しなければならないとしています。この条文を入れたのはなぜですか。

○内田雇用就業部長 顧客による意見、申出など正当な権利に基づく行為が不当に阻害されることがあってはならないとの考え方から、適用上の注意に関する規定を設けました。

○藤田委員 つまり、この条文を入れたのは、消費者の権利を不当に侵害する可能性があるからだということです。
 東京都消費生活条例第七条には、事業者の責務として、事業者は、商品またはサービスの供給その他の事業活動を行うに当たり、消費者の権利を侵してはならない。消費者の権利を侵してはならないと明確に掲げられています。
 さらに、第七条第三号、事業者は、商品、サービスの供給その他の事業活動を行うに当たり、自主的に、危害の防止、表示などの事業行為の適正化、事業活動に伴う消費者からの苦情の迅速かつ適切な処理など必要な措置を取るよう努めなければならないとされています。苦情、つまり消費者からの意見はちゃんと受け止めることとされているのです。
 これらを踏まえても、消費者権利を保障する視点はとても大事です。
 条例を検討してきたカスタマーハラスメント防止対策に関する検討部会に、消費者団体の代表は入っていましたか。

○内田雇用就業部長 検討の過程におきまして、消費者関係団体から意見を聞かせていただきまして、現在、七月に設置をいたしました指針に関する検討会議におきましても、消費者関係団体の参画を得てございます。

○藤田委員 一個確認をしたいのですが、この間、カスタマーハラスメント防止対策に関する検討部会には、消費者団体の代表は入っていたのでしょうか。

○内田雇用就業部長 カスタマーハラスメントに関する検討部会におきましては、消費者団体の委員としての参画ということではございませんで、検討の進捗に応じまして、消費者関係団体から意見を聞き取らせていただき、検討状況についてご説明するという対応を取らせていただきました。

○藤田委員 条例をつくるまでの検討部会には、消費者団体は入っていませんでした。一方で、経営者団体からは三人も検討部会に委員が入っています。
 条例を検討する検討部会では、委員から、消費者の権利といったものを重視するあまりに、極端に消費者寄りの施策を進めることも、これはカスハラ問題解決の観点から、かえって悪影響を及ぼしかねないという発言がありましたが、これは看過できません。同時に、大変心配になりました。
 消費者としての権利を行使することとカスハラというのは全く別の問題であって、権利を行使することがハラスメントになりません。消費者団体からも、カスハラの定義を広げることは問題、消費者が事業者に声を上げなくなるおそれがあると指摘をしています。
 今回、私たちは、この条例に関係する所管局として、生活文化スポーツ局を所管する文教委員会との合同審査、消費生活を所管する部署から説明員として出席することなどを求めてきましたが、これは、消費者行政とは切っても切れない条例だから求めたのです。
 消費者などの正当な権利が侵害されないために、都はどう対応するのですか。

○内田雇用就業部長 繰り返しになりますが、カスタマーハラスメントに関する検討部会には、検討の進捗に応じて、消費者関係団体の意見を反映させる仕組みを取ってきてございました。
 また、その事務局には、消費者行政を所管します生活文化スポーツ局も関わる体制としております。
 さらに、七月に設置いたしました指針に関する検討会議におきましては、消費者行政を所管する生活文化スポーツ局が事務局として加わることはもちろんのこと、消費者団体の参画も得た体制として検討を開始してございます。

○藤田委員 今質問したのはそういうことではなかったんですが、消費者などの正当な権利が侵害されないために、都はどう対応するのですか。

○内田雇用就業部長 顧客等による意見や申出など正当な権利に基づく行為が不当に阻害されることはあってはならないこと、サービスを提供する側も顧客等も、誰もが行為者とならないよう努力する必要があることなどについて、指針やホームページで解説をするなど啓発を図ります。

○藤田委員 つまり、都民同士で権利を侵害しないように気をつけてねと呼びかけることしかできないということです。
 条例をつくる経過の中で、議事録を読ませていただきましたが、例えば、生活文化スポーツ局から出されている事務局の方が発言することはほぼありませんでした。ほとんど経営者側の代表の方が実態などをお話しされている、そういう議事録になっておりました。
 今回、条例をつくるに当たっては、意見を聞くというだけでは、やっぱりこういった消費者の存在、そして権利というものがここの真ん中に据えられていないなということは、条例の中からも懸念がされるところです。
 本来なら、そうしたハラスメントが起きる現場、つまり消費者になり得る人全てに守られるべき権利があるということを消費者教育としてちゃんと行うことが前提になっていて、そして初めて、この条例の中身についても一緒に見ることができる、そういう形なんじゃないかなと思います。
 消費者行政を担う生活文化スポーツ局との連携は極めて重要だと思います。
 ハラスメントによる権利侵害は許されません。同時に、消費者教育をはじめ消費者としての権利を保障していくことはとても重要です。
 さらに懸念されることとして、幾つか確認したいと思います。
 公務労働、教育、福祉、医療など公共部門におけるハラスメント対策は、とりわけ特別な対応が求められます。国際的な教訓からは産業分野ごとの措置が有効であると強調されていますが、ご存じですか。なぜあらゆる分野をまとめて対象としたのですか。

○内田雇用就業部長 カスタマーハラスメントの認知を広げ、社会全体で防止を図るため、全ての人に禁止を求める条例案といたしました。
 カスタマーハラスメントの防止は、業種、業態などによりサービス内容等に違いがあることを踏まえ対応することが効果的であることから、業界団体等を通じた対策も促してまいります。

○藤田委員 業界団体などを通じた対策も促していくということですが、これは今後つくられる指針の中に盛り込んでいくということですか。確認させてください。

○内田雇用就業部長 条例の効果を高めるために業界団体のご協力をいただくことが大変重要だと考えておりまして、指針等におきまして、業界団体の力を生かしながら、産業別の取組を促してまいります。

○藤田委員 産業別の取組について指針に盛り込むということなのかなと認識いたしました。産業別に対策に取り組むということだと。それは専門家も必要なことであるといっているのと同時に、それが指針に委ねられているというところも、今この場でどんなふうに対策が取られるのかということをみんなで確認して条例を決定するのが難しい状況だということも分かりました。
 もう一つ、事例として、例えば、イスラエルのガザへのジェノサイドを目の当たりにして、イスラエルの軍需企業と関係のある企業に対する不買運動がありました。
 都民が不買運動を行った場合、それはカスタマーハラスメントに当たるのですか。

○内田雇用就業部長 顧客等から就業者に対する行為であること、著しい迷惑行為であること、就業環境を害するものであること、この要件を全て満たすかどうかについて判断することになります。

○藤田委員 個別に判断するということになるということです。事実に基づく不買運動は、表現の自由であり、正当な行為です。これを萎縮させるようなことはあってはなりません。
 さらに伺います。
 自治体や省庁に対する国民運動や、大企業などに対する団体、労働組合などの交渉を、カスハラの名目で制限やちゅうちょさせることがあってはならないと思いますが、いかがですか。

○内田雇用就業部長 条例の禁止規定によりまして、憲法のほか、各種法律で保障される正当な権利が不当に侵害されてはならないと考えております。

○藤田委員 憲法などのほか、各種法律で保障される権利は侵害されてはならない。当然のことです。
 しかし、こうした懸念についても、自治労連弁護団の声明でも、東京都が行ったパブリックコメントでも出されています。権利の衝突が起こるわけですから、例えば憲法ではどういう権利がうたわれているのかについても、しっかり顧客などになり得る方たちに伝えていかなければならないということです。
 医療や福祉などの命の現場では、日々厳しい実態と向き合って働いています。私も訪問看護を行っている中で、本当にいろんな現場に直面してきました。
 自宅一階のベッドで生活している難病の方は、人工呼吸器をつけて、ベッドで動けない状態で生活をされています。そこへ床上浸水した際の避難について、いつも自分を優先してほしい、避難をさせると約束できなければ殺人として訴えるなどの要求を行った場合、それはカスタマーハラスメントに当たるのですか。

○内田雇用就業部長 顧客等から就業者に対する行為であること、著しい迷惑行為であること、就業環境を害するものであることの要件を全て満たすかどうかを判断することになります。
 また、判断に当たりまして、障害がある方などが合理的配慮を求める権利などが不当に侵害されないよう注意する必要がございます。

○藤田委員 個別に判断するということなんですね。
 障害のある方への合理的配慮について、福祉局とも連携しながら、しっかりと普及啓発をしなければならないということも、今の答弁からよく分かりました。そうした配慮ができるよう、就業者に対して、産業労働局から周知する責任が生じるということです。
 どのようにこの条例に対する懸念を払拭できるのか、幾つか確認いたしましたが、その根底にあるのは、消費者の権利を侵してはならないということです。
 次に、条例の検討経過についてお聞きしていきます。
 カスハラ条例は、都民の権利に関わる重要な問題であり、慎重かつ十分な議論を重ねていくことが求められます。
 今回の都条例を提案するまでの間、どのような検討がされてきたのですか。

○内田雇用就業部長 昨年十月、公労使会議の下に労使の団体や専門家が参画する検討部会を設け、消費者関係団体の意見も聞きながら、今年五月までに合計六回の会議を開催しました。
 その中で得られた共通認識を基に、七月に基本的な考え方をまとめ、意見募集を行い、今回、その内容を踏まえた条例案を提出いたしました。

○藤田委員 つまり、都民の代表である都議会には一度も報告されておりません。
 先ほどもいいましたが、都民の権利に関わる重要な問題であり、慎重かつ十分な議論を重ねていくことが求められています。
 例えば、二〇一八年十月に制定した人権条例では、条例案が議会にかかる三か月前に概要に対するパブリックコメントが都議会に報告され、条例案に反映されました。児童虐待防止条例も、同じく三か月前に条例案の骨子が議会で審議され、同時にパブリックコメントを実施して、条例案に反映されました。このように、都民の権利に関わる条例については、慎重かつ十分な議論をやってきたのです。
 今回のカスタマー・ハラスメント防止条例についても、今日の質疑を聞いていても、本当に大きく権利に関わる条例だと思います。なぜこれまで都議会に何も報告してこなかったのですか。

○内田雇用就業部長 カスタマーハラスメントに関する条例化を含めた対応につきましては、都議会における質疑等において都の考え方を示し、幅広い関係者にご理解いただけるよう、検討会議を全て公開し、議論を進めてまいりました。
 その中で得られた共通認識を基に、七月に基本的な考え方をまとめ、パブリックコメントを募集し、それを踏まえた条例案を作成し、今回、提出したものでございます。
 なお、第二回定例会以前の都議会におきましては、報告できる内容が定まっていなかったことから報告は行わず、第三回定例会に条例案を提出したものでございます。

○藤田委員 今のは見過ごせない答弁です。つまり、第二回定例会のときには、報告できる内容が定まっていなかったから報告しなかったということになります。今の理屈でいえば、内容が定まったら報告する必要があったということにもなります。
 なぜ、今議会で報告ではなく条例案を出したのでしょうか。閉会中の審査も含め、条例案を固める前に、内容が定まった時点で都議会に報告すべきだったのではありませんか。

○内田雇用就業部長 第二回定例会以前の都議会においては、報告できる内容が定まっていなかったため報告は行わず、第三回定例会におきまして、パブリックコメントを踏まえた結果を条例案としてまとめたものを提出させていただいたということでございます。

○藤田委員 答えになっておりません。東京都は、都民の権利に関わる人権条例や児童虐待防止条例のときにはきちんと議会にも報告して、質疑も行って、それらを踏まえて条例案を出したわけです。パブリックコメントでやり取りはできません。ところが、今回のカスハラ条例は今日一日の質疑で決めてしまおうというのは、十分な議論をしたとはいえないのではないでしょうか。
 今回は、七月十九日から八月十九日までの間、条例案に対するパブリックコメントを行っていますが、このパブコメの結果も、いまだ概要しか公表されておりません。しかも、概要では、出された意見が加工されています。
 我が党は情報公開請求をして、結果の全容が開示されたのは先週、十八日です。この結果の全容は、条例を質疑するこの委員会にも出されてはおりません。皆さんの質疑に対しても軽んじられているということではないでしょうか。こうしたパブコメの対応についても、議会での議論を軽視しているといわざるを得ません。
 パブリックコメントは、延べ何名から意見がありましたか。そのうち、反対意見は幾つでしたか。

○内田雇用就業部長 パブリックコメントでは、二百四十八件の意見をいただきまして、そのうち、明確に反対という言葉を用いたものは三件ございました。
 また、罰則を設けるべき、消費者に配慮すべき、判断基準を明確にすべきといった様々な意見も頂戴いたしました。

○藤田委員 私もパブリックコメント全てに目を通しましたが、検討が必要な問題が幾つも提起されていると感じました。
 反対意見や懸念に対して、どう対応したのですか。意見を受けて修正した部分はどこですか。

○内田雇用就業部長 パブリックコメントは、条例の基本的な考え方について意見募集を行ったものでございまして、そうした意見を踏まえた上で、条例の基本的な考え方に沿った条例案といたしました。
 懸念等につきましては、条例を解説する指針等において丁寧に解説するなどの対応を図ることとしてございます。

○藤田委員 懸念については指針で丁寧に対応を図るといいますが、指針がどのような内容になるのかが見えていない下で懸念について本当に対応できるのか不透明です。
 この条例は指針がなければどういう性質のものなのか判断できないつくりになっていますが、指針の内容は事実上、無限定に東京都に委任されることになります。指針の内容について、都民の意見をどのように反映していくのかも不明です。
 附則の検討では、取組の状況を勘案し、必要があると認めるときは、この条例の規定について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるとされています。
 どういう状況で必要があると認めるのですか。今後、策定される指針も含め、改めて議会で審議を行うことを求めますが、いかがですか。

○内田雇用就業部長 例えば、カスタマーハラスメントについて法律による対応が図られた場合や、カスタマーハラスメントをめぐる状況が大きく変化した場合などには、見直し規定により、検討する必要性を判断することになると考えております。
 都議会における手続につきましては、法令等に基づき適切に進めます。

○藤田委員 指針も含めて、都議会に報告することは、都民の意見をしっかりと反映していくことにつながります。都民の権利に関わる重要な問題が幾つもありますので、ぜひ十分な議論を重ねることを求めておきます。
 条例の施行日は、なぜ二〇二五年四月一日なのですか。

○内田雇用就業部長 施行時期につきましては、カスタマーハラスメントへの深刻な状況への対応が急がれること、一定の周知期間を設ける必要があることなどから、来年四月といたしました。

○藤田委員 対応が急がれるといいながら、周知も必要だということで、来年の四月一日、六か月後だということです。
 今日の委員会のようにきちんと開かれた議会の場で議論して、そして、指針も含めて、この条例は本当にカスタマーハラスメントの防止に奏するものだということがみんなで確認できて、そして決めていくのが、本当は筋だと思います。
 様々な論点から論ずる、議論することは、重要な周知の機会にもなると思います。何よりも大事なのは、慎重かつ十分な議論です。条例施行日は来年四月ですから、十分に時間はあります。
 我が党は、カスタマー・ハラスメント防止条例は、継続審議にして、今回は日程的に実現しなかった生活文化スポーツ局の消費者行政の担当者を呼んでの質疑、参考人質疑、指針の案についての質疑を、閉会中審査や四定で十分な議論をした上で決定すべきだと考えています。指針、ガイドラインがどういう内容になるかということも、条例と一体で議論することが必要です。
 そのことを申し上げ、質問を終わります。

○宮瀬委員 では、よろしくお願いいたします。
 都議会立憲民主党では、二〇二三年の八月からカスタマーハラスメントPTを設けまして、微力ながら私も座長として取り組んでまいりました。提案し続けるも、なかなか行政側の方から条例制定の回答がなかったため、大学の先生や業界団体、弁護士などに対しましてヒアリングを行い、独自でカスタマーハラスメント条例案を作成し提出するところまで行っておりましたが、寸前まで行っていましたが、しかし、東京都側からこのような条例案が提出されたことを大変喜んでおります。迅速な対応で、関係者の皆さんに心から敬意を表したいと思います。
 また、内容に関しましても、二〇二三年十二月一日の経済・港湾委員会におきまして、我が会派の要望の内容の多くを反映していただきました。重ねて感謝を申し上げます。
 しかし、一方で、先ほど質疑もありましたが、スピード感を持ってやってほしいということはいっていたんですが、それがゆえにいろいろ課題もあると思っておりますので、行政をチェックする議会人として、しっかりとここは質問で確認をさせていただきたいと思っております。
 都内のカスタマーハラスメントの状況をどのように認識しているのか、東京都内でということで、数値の面から改めて伺います。

○内田雇用就業部長 厚生労働省が令和五年に行った調査によりますと、過去三年間にカスタマーハラスメントを受けた労働者は、全労働者のうち一〇・八%となってございます。
 ほぼ毎日顧客等に接している人は一七・四%でございまして、接客頻度が高いほどハラスメントを受ける割合が高い点が指摘されておりますことから、サービス業に従事する方が多い東京では、多くの就業者が経験しているものと認識しております。

○宮瀬委員 私、ちょっとこの冒頭から少し課題を感じていまして、都内のと聞いたんですが、国の統計のお話でありましたので、つまり、東京都には小売店もありますし、当然東京都の窓口もある中で、東京都内のカスハラの状況というのを数字で把握されていないんじゃないのかなと。あれば、ご答弁で後ほどいってほしいんですけれども、やはりここは大きな、今回の質疑を通じての課題だと思っておりまして、今カスハラの状況はどうなのか、この条例によって何がどう変わっていくのかがやっぱりないと、条例の中にある検証という言葉もありますが、その検証でよかったのか、悪かったのか、何が足りなかったのかが分かりませんので、ぜひ、まず現状をちゃんと数値で把握していただきたいと思っております。
 その上で、もう一つ数字があるんですが、昨年四月から、都は、カスハラに関しまして、特別相談窓口を設置しております。約一年半たって、相談が何件あって、どのような内容のものがあったのか、どういう対応をしてきたのか伺います。

○内田雇用就業部長 都は、労働相談情報センターでハラスメントに関する相談を受け付けておりまして、この仕組みの中でカスタマーハラスメントも対応してございます。
 また、中小企業振興公社では、社会保険労務士などの専門家を経営相談の窓口に配置をし、営業に影響を与えかねない悪質な行為に苦慮する企業などの相談に対応しております。

○宮瀬委員 私の方は、都の相談窓口ができて、既存のものと併設型もあると聞いていますが、そこで件数と内容を聞いたんですけれども、数字の方で、またご答弁がございませんでした。
 これも一問目の質問と同様、都で受けているわけですから、何件来て、どういう内容でというのは、当然、専用窓口ですから、把握していただかないといけないんじゃないのかなと、まさにイロハのイだと思いますけれども。ですので、今後はしっかりと、どんな相談が来て、何件来てという分析はもう必須だと思いますので、ぜひお願いいたします。
 また、二〇二三年十二月一日の経済・港湾委員会での私の質疑で、先ほど藤田委員の方からも懸念がありましたが、真っ当な主張ですとか真っ当なクレームは本当に大切にしなきゃいけないと。ただ、カスハラですよといわれたときに、その主張が主張できなくなってしまう、また、主張を受け入れられなくなってしまうという懸念を大分述べさせていただきました。
 今回、条例の中で、第五条、顧客等の権利を不当に侵害しないよう留意しなければならないことを規定していただいています。これは大事な条例の規定文だと思いますが、一つ、問題が早速生じてしまいました。
 これは私の地元板橋区で、大変恥ずかしいといったら怒られちゃうんですけど、いけないんじゃないのかなということで、新聞報道も出ているんですけれども、そういった真っ当な要求をしているという認識が住民側にはあるのに、行政側が、カスハラという単語を公の区議会の場で行政側がいうという、とんでもない話がございました。
 少し詳細をいいますと、板橋区の方で、公共事業をめぐる住民とのやり取りで、区の方が、一般論と断りを入れつつも、議会答弁でカスハラという言葉を用いてきたと。公共事業、学校の統合の住民説明会をやりました。それが、賛否両論、たくさん両論出ている計画でしたので、いろいろ質問もやまず、夜十一時ぐらいまでやっていたと。そのことに対して、今後、区は再度の説明会は行わないと、これで打切りといったことになったんですが、そのことが区議会で取り上げられたときに、議会答弁ですよ、区議会の議会答弁で板橋区側が、このまま読みますと、我々とはちょっと別のところですけれども、東京都では公務員に対するカスタマーハラスメント防止検討等、そういう検討も始めているといった情報もあったりしますということを、議事録に残る形で、現場の職員ではなくて、議会答弁でいっていますから。
 これが、住民の発言や意見を行政側が逆にカスハラだと、想像されるような、ほのめかすようなことを、やっぱりいい始めちゃっていると。これは、やはり皆さんの想定の中で、まさか区がそんな、東京都のカスハラ条例を、住民説明会が長くなったことを挙げていってしまうといったことが起きています。
 当然、長い時間はやっぱりよくないと思うので、人を替えたり日時を増やしたりすれば、当然十一時までやることはないと思うんですけれども、こういった住民と自治体の関係性においても、カスハラと決めつけずに十分な対応の検討が行われる必要があると思いますけれども、見解を伺います。

○内田雇用就業部長 条例案では、著しい迷惑行為を禁止する一方、適用上の注意として、顧客等の権利を不当に侵害しないよう留意することを求めております。
 こうした条例の考え方を解説する指針を作成し、住民対応なども含めた幅広い現場において、条例が正しく運用されるよう促してまいります。

○宮瀬委員 条例の考え方として、みんな気をつけてねと、する人も、されちゃう危険性のある人も双方気をつけましょうねといった条例の側面もありますから、今のご答弁を聞いていると、正しく条例の考え方が適用されていくようにいっていきますよといったことなんですけれども、結局、じゃ、誰がカスハラなんだと決めるんですかと。昨日、本会議の質疑を聞いていたら、事業者が、顧客等や就業者からの情報を基に事実を確認すると。カスハラの判断はですよ。
 そうなると、今回、例えば板橋区が事業者に当たるところだと思うんですけれども、カスハラだといったときに、事業者が判断する、事実を確認するといったことですから、そうなってしまうと、いい方は悪いですけど、板橋区のやりたい放題にカスハラですと、主催者側の説明会を行っている側が、長時間になったことに対して、これは皆さんカスハラですよと事業者が認定、確認するといった懸念が実際に考えられると思います。
 区の方も少し弁明をして、あくまで一般論といったことをいっていますけれども、わざわざ議会の答弁の中でカスハラという東京都の条例を持ち出してくること自体、異例なんじゃないのかなと。
 このように、自身に対する加害行為を事業者として認定したといったことのリスクはあると思いますけれども、見解を伺います。

○内田雇用就業部長 本会議の答弁についてですけれども、事業者が事実を確認し、必要な対応を講ずることになるとした答弁は、条例第九条第二項、つまり事業者が就業者の安全確保を図る際を想定した対応について述べたものでございます。
 このほかに、就業者自身が加害行為を認識し、自分自身で対応を図る場合も想定されます。
 また、ハラスメントの認定行為は、例えば労働災害や、民事や刑事の責任を判断する場面も想定をされまして、そうした場合には、それぞれの法令に従って、労働基準監督署や裁判所などが行う場合もございます。

○宮瀬委員 結局、今回の件だと、区がカスハラだと、この説明会に参加した人はカスハラですよと一方的に事業者としていったときに、それがそのまま認定されてしまうのかという懸念に対して、結局、第三者、つまり裁判所の方がその認定に当たると、要は裁判になりますよといったことだと思います。
 ですので、ぜひ−−こういった懸念されていることが、実際に条例の制定前から行政セクターで起き始めています。今後、東京都もいろいろ賛否が分かれる事業は多分あると思います。
 例えば、森林の伐採の件ですとか、飛行機の件とか、いろいろそういった、そういう説明会ですとか住民との、合意を得ようといったそのときにおいて、こういった、カスハラなんですよ皆さんといったことをほのめかすようなことは絶対にないようにしていただきたいと思っております。それは、皆さんのこの条例制定の考え方とか設立の経緯まで見てきましたが、本意ではないと思いますので、ぜひよろしくお願い申し上げます。
 また、関連するわけではないんですけど、障害者の方ですね。事業者と障害者の雇用間においては、カスハラというだけではなく、合理的な配慮が必要な行為が、対話を行うことによって実施されることがあり得ます。
 カスハラと障害者に対する合理的配慮との関係性について、改めて伺います。

○内田雇用就業部長 条例案の顧客等の権利には障害者の権利が含まれ、カスタマーハラスメントの禁止により、合理的配慮を求めることが軽んじられてはならないと考えております。
 こうした考え方を指針などにより周知し、互いに対等の立場に立ち、尊重し合うことの重要性を啓発してまいります。

○宮瀬委員 ありがとうございます。障害者の中には精神障害者の方もいらっしゃいますし、そういった方は、外見からはなかなか分からなかったり、過度な要求をしている人と見られるのではないかといった不安の声も聞かれております。
 そこで、様々な障害に対する適切な理解があった上で対応が行われる必要があると考えますが、見解を伺います。

○内田雇用就業部長 条例を解説する指針やホームページにおいて、合理的配慮との関係など、条例の正しい運用について示すとともに、現場での効果的な対応方法を伝えてまいります。

○宮瀬委員 あらゆる場とは対面ですとかいうことが基本的には想定されると思いますけれども、インターネット上、SNS、電話、メールの文書、手紙ですね、手紙の文面。手紙に関しては今まで恐らく議会で答弁があったかどうかちょっと定かではありませんが、こういったいろんな場でカスハラの行為が行われると思われております。
 東京都には、事業者や就業者からの通報や相談、また、警察への通報から都に入った情報など、カスハラ行為の情報が蓄積されているわけであります。
 都は、こうしたカスハラに関する情報をどのように扱って防止につなげていくのか。ちょっと基本的な質問ですが、見解を伺います。

○内田雇用就業部長 今回の条例案は、罰則を設けず、加害者の制裁ではなく防止の啓発に重点を置く内容としております。
 防止に取り組む事業者と行為者となり得る顧客等の双方に向け、悪質な行為は刑法等により刑罰の対象になることを周知していくとともに、対面、電話、インターネット、SNS、メールや手紙など、行為の特質に応じた効果的な対策が講じられるよう、指針等により防止を後押ししてまいります。

○宮瀬委員 今回、条例の中では都の責務が規定されておりまして、我が会派も、きめ細かいガイドラインの制定、電話の録音、ビデオによる録画などの費用助成などを、やっぱり積極的に行っていくべきだと考えております。
 改めてそういった要望をいたしますが、今後の都の展開について伺います。

○内田雇用就業部長 条例案では、あらゆる場面でカスタマーハラスメントを防ぐことを目指しております。
 都として、労働団体、経済団体、消費者団体など幅広い関係者と連携しながら、情報提供や相談、助言などの施策を進めてまいります。

○宮瀬委員 ありがとうございます。ちょっと話はぐっと替わるんですけれども、先日、駅前で活動していましたら、高齢者のおばあ様が倒れられまして、出血されていたので、一一九番を私の方でかけました。そしたら、電話自体がつながらず、二十分ぐらいですかね、今までは何か電話がつながっても来るのが遅いと思っていたんですが、消防庁で回線も増やしたと聞いていたんですけれども、電話自体が二十分もつながらないと。意識のある方だったのでまだよかったと思うんですけれども、AEDを使わなきゃいけないような状況だったら、もう来ても手遅れだったんじゃないのかなと。
 そこから、何で電話がつながらないのかと。シャープ七一一九という不要不急の出動を抑えるための回線もありますけれども、そちらもやっていてもつながらないといったことです。
 最近多いというのを聞いていまして、そこで消防庁に確認をいたしましたら、要は、まあいっちゃいけないんですけれども、ちょっと不要不急の電話が多過ぎると。全体の着電の二割が実は、何十万件という電話の中の二割ですから、しかも本当に不要不急じゃないかどうかを確かめるために、すぐは切れないと。先ほど紙をいただいたんですが、人生相談のお電話とか、無言電話とか、嫌がらせ電話とか、本当に蚊に刺されたとか、そういったことで大分時間を使っていると。嫌がらせも含めてですね。それも、やはり一つの、公的セクターの窓口として、命に特に関わる分野ですから、何とかしなきゃいけないと思っています。
 私、聞きましたら、今、カスハラ条例の制定に当たって、民間では電話の録音をするような対策も審議会でいわれていますよという話でした。私は初めて知ったんですけども、救急車の一一九番の会話って全部録音されているそうです。そのことがちゃんと都民の皆さんに分かっていれば、ちょっと変な電話はできないなということの、やっぱりいいきっかけになる部分があると思います。
 もちろん救急なので、自動アナウンスを流して、この会話はサービス向上のためといったアナウンスを流すと、五秒、十秒で命に関わっちゃうこともあるので、一概にはうまくはいかないと思いますけれども、ただ、全体の二割もそういった電話の対応をしなきゃいけない、電話の回線がつながらず、二十分も救急車が来ないといったことを目の当たりにしていますので、ぜひ警察や消防も含めて、一一九番が録音されていますよという告知もちゃんとできていけば、減るんではないのかなと。
 いずれにせよ、条例の制定を機に、警察や消防とも連携強化をしていただきたいと思いますが、見解を伺います。

○内田雇用就業部長 都が指針の検討を進めるために七月に立ち上げた検討会議の事務局は、産業労働局のほか、警視庁や東京消防庁を含めた関係部署の担当者で構成されております。
 こうした体制の下で、指針を作成し、幅広い現場での条例の正しい運用を促してまいります。

○宮瀬委員 ぜひよろしくお願いします。一一九番がつながらないというのは、家族や周りの人にとっては本当に絶望的な状況ですので、ぜひこれを機によろしくお願いいたします。
 最後のテーマなんですけれども、私、どうしても民間出身なので、先ほど白戸委員がPDCAサイクルといっていましたので、その点を確認していきたいと思っています。
 要は、この条例ができたことで、カスハラ、カスタマーハラスメントがどれぐらい減るんですかと、どう変わっていくんですかというのをやっぱりロジカルにしていかないと、条例の中にある見直しですとか検証ができないと思っております。PDCAサイクルでいえばドゥーのところ、実行のところが今回の条例の制定であると考えております。
 そういった中で、今回のプランですね、計画、目標は一体何で、具体的にはKPIといいますが、指標、その指標はどういったものを設定しているのか伺います。

○内田雇用就業部長 条例案は、カスタマーハラスメントを防止することにより、就業者の安全及び健康確保を促進することなどを目的としております。
 そのため、カスタマーハラスメントによる被害の発生状況や事業者における取組の進捗など、官民問わず様々な現場の状況把握を行います。

○宮瀬委員 部長の方ではもちろんPDCAサイクルって知っていると思うんですけれども、今のご答弁は項目であって、要はどういう指標をもって何を目指していくのかというのをお伺いしたつもりでございます。つまり、今、カスタマーハラスメントがこれぐらいあって、この条例によって窓口でのカスハラがこれぐらい減っていくのを見込んでいるとか、いろんな指標があると思うんですけれども、改めて今、プランを聞いていたんですが、お答えがありませんでした。
 しかし、答弁の中で、就業者の安全や健康確保という答弁がありましたので、では、安全と健康が今どれぐらいの数字で、どれぐらい目標数値として改善していくのか、具体的にお伺いいたします。

○内田雇用就業部長 指標につきましては、例えば、課題の認知度や被害を受けた人の割合など、条例の実現状況を把握するための適切な内容を設定してまいります。

○宮瀬委員 これ、PDCAサイクルというのはいきなりドゥーから始まるものはあまりなくて、やっぱり計画を立てて、その具体的な実行がドゥーだと思うんですよ。
 今、ご答弁だと、これから設定していくようなお話でありました。もちろん、私どもの会派は早期制定を訴えていましたので、スピード優先でやっていた部分もあるやもしれないので、ちょっというのも心苦しいんですが、さすがに、PDCAサイクルのPを確認したときに、その数値、今の二つの質問に対しての数字が一個も入っていないのと、今の状況、今回の質疑の中の冒頭でどれぐらいカスハラがあるんですかと聞いたときの数字も、国の調査でありました。
 つまり、今回のカスハラの条例を制定して、これが運用されることによって何がどう変わるのかという仮説と、仮説、すなわち目標がなく、いきなりドゥーから始まっていますので、ぜひここは見直していっていただかないと、検証ができないですよね。これをやってどうだったのと。いや、よかったです、思いのほかよかったです、思いのほかよくなかったですとか、罰則規定はやっぱり必要なんじゃないのかなとか、いろんな評価があると思うんですけれども、やっぱりPが、プランがないと評価もできませんので、ここはぜひお願いしたいと思います。
 この条例の中で、検証するといったことがあります。実際に物事に当たって調べて、結果をどうして、どうだったのかと。辞書を調べますと、検証とは仮説などを証明することといった表現もありますが、プランはないけれども、ドゥーがあって、Cがあると。
 では、その検証とは何かと。条例の効果をどのように検証していくんでしょうか。

○内田雇用就業部長 今後、労働団体や経済団体に加え、消費者関係団体などの参画の下、都の関係局が連携して状況把握や事業効果の検証を行い、施策に反映させる仕組みを構築いたします。

○宮瀬委員 もう一回いいますけれども、辞書を調べますと、検証というのは、仮説や理論の正しさを証明することと。仮説がない中で、効果の検証というのはなかなかしづらいんじゃないのかなと思っています。
 なかなか世の中全体となると大変だと思うんですけれども、例えば、千葉県におきましては、全職員に対して、千三百四十二名の方に対して、県民からの迷惑行為を、過去三年間分実態調査を行っていたり、いろいろ効果検証のための指標は都にもたくさんあると思います。民間の小売のことだと分からないとかではなくて、都にも窓口、カスタマーと触れる機会はあるわけですから、ぜひこういったアンケートを取ったり、いろんな指標ができて、プランができていくと思います。
 いずれにせよ、検証に当たっては仮説が必要であります。仮説が必要ですが、条例文の中には検証と書いてありますが、今回の質疑ではなかなか仮説が、プランが出てこないと。つまり、プランや目標数値が必要だと改めて強く申し上げます。
 ですので、今後、窓口があったり、数値やアンケートによる、数字による検証は可能でありますので、いずれにせよ、今後はちゃんと数値に基づいたPDCAサイクルを創出し、回していくべきだと考えますが、見解を伺います。

○内田雇用就業部長 条例の実現状況を把握するための適切な内容を設定した上で、状況把握や事業効果の検証を行い、施策に反映させる仕組みを構築いたします。

○宮瀬委員 今、PDCAサイクルという単語は使われませんでしたけれども、答弁、何度かというか、ちゃんと聞いて、今のご答弁は、PDCAサイクルをしっかりと創設し、回していくという認識なんですが、それでいいんでしょうか。

○内田雇用就業部長 適切な内容を設定した上で、状況把握や事業効果の検証を行って、施策に反映させる仕組みということでございます。

○宮瀬委員 前向きな話ですので何度も確認しませんが、本当に全国に先駆けて、すばらしい条例になる可能性があると思っています。ニュースを見ると、他の自治体でもカスハラ条例をつくるといった動きも、動き始めていると思いますので、ほかの自治体が本当に注目している、いい条例になると。私は、お力もお貸ししたいと思いますし、応援しておりますので、ぜひ一緒になって、議会と、私たち野党でありますが、つくっていければと思います。ありがとうございました。
 以上で終わります。

○古城委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時四十八分休憩

   午後四時五分開議

○古城委員長 休憩に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○上田委員 中小企業の物価高騰対策についてでございます。
 今回、産業労働局は、補正予算の目玉の部分を予算的にも担っているところでございます。一応都としては、長引く物価高騰の影響から都民、事業者を守るため、家計の負担軽減を図るために中小企業への支援を実施しますということでございます。
 個人、そして中小企業という大変な方の支援をするということで、これは本当に行き渡って、税金が無駄なく使われるということが、私たち都議としてもお願いしたいところでございます。
 まず、中小企業の高騰対策でございますけれども、この対象事業者が三区分ございまして、三者のイメージがちょっとにわかに伝わらないというか、分かりづらいのでございますけれども、特別高圧電力価格高騰支援、工業用LPガス価格高騰支援、こういったことがちょっとよく分かりづらいということで、事業区分の三者のイメージについて、どのような事業者か、具体的に例示を挙げて、まず改めてご説明ください。

○山本産業政策連携促進担当部長企画調整担当部長兼務 本事業の支援対象者は、特別高圧電力を電力会社から直接受け入れている製造業などの中小企業等と、特別高圧の電力を受電する商業施設等の大規模施設にテナントとして入居する中小企業等、LPガスを工場での生産などに使用する中小企業等でございます。

○上田委員 それで、私が取り寄せた資料なんですけれども、特別高圧電力の直接受電、これが、いわゆるイメージがしやすいのは普通の工場ですかね、製造業の中小企業さん。これは、第一回目は想定が四十件ということでございましたが、実績は五十二件、そして第二回は五十件の想定のうち五十五件ということです。
 特別高圧電力のテナントという方は、想定が八千七十ですが一回目は五千六百二十、そして二回目は一万想定で五千八百八十八、工業用LPガスは想定百三十のうち七十四件の実績、同じく二回目は百五十件のうち七十五ということで、特別高圧電力の直接の方は想定数を超えていますが、ほかの二事業者は想定を大きく下回っております。
 小売事業者、業界団体、商工会、LPガス販売事業者、区市町村、SNS、車内ビジョンを通じて周知しているようですが、なぜ、直接受電の工場の方は想定以上の申請があり、ほかの二者は到達しなかったのか。単純に知らなかったのか、知っていても手続が煩雑などの理由があり申請していなかったのか。
 当然、もう二回やっておりますので、分析して今回実施すると思いますので、ご説明をいただければと思います。

○山本産業政策連携促進担当部長企画調整担当部長兼務 特別高圧電力を受電する施設にテナントとして入居する中小企業や、工業用LPガスを使用する中小企業の数を把握できる資料はないことから、第一回の実施に当たって、関連する国のデータ、電力会社や施設オーナー等へのヒアリングなどを踏まえ、規模を推計してございます。
 第二回については、第一回の申請に対する申請状況を踏まえ、規模を設定してございます。

○上田委員 テナントさんの方と工業用LPガスは規模がかなり大きいということで、一回目、二回目と経験値を積んだと思いますので、今回はしっかりと当たりをつけていただきたいなと思うのですけれども、お金の面です。これまで二回実施した予算って全て消化できているのか気になるところです。
 予算額と消化した金額をお示しの上、残額はどう処理したのか、繰り越したのか不用額となったのか、確認させてください。

○山本産業政策連携促進担当部長企画調整担当部長兼務 本事業におきましては、対象となる事業者数を正確に把握することが困難なため、想定される規模に対しまして必要十分な予算を見積もってございました。
 第一回の支援金に関わる予算額は十億二千万円で、執行額は八億二千九百四十万円、残額は一億九千六十万円でございます。第一回の残額は、令和五年度中に事業を完了しているため不用額となってございます。
 第二回の支援金に関わる予算額は十二億六千五百万円で、執行額は八億七千百三十万円、残額は三億九千三百七十万円でございます。第二回の残額は、令和六年三月までの利用実績について五月まで申請を受け付け、その後、審査などを行ったため、年度内に事業が完了できなかったことから繰越しを行ってございます。

○上田委員 年度をまたいだものは繰り越し、前年度は不用額となったことでございます。
 三回目については、過去の経験値を踏まえて、業界団体からヒアリングするなど、本来必要とする事業者にご活用いただくために新たな対策を講じていると思料いたします。
 局の具体的な対応と所見を伺います。

○山本産業政策連携促進担当部長企画調整担当部長兼務 第三回では、これまでの周知方法に加えまして、中小企業等に対して都の省エネ等の支援策を紹介するナビゲーターが本事業も併せて周知をしてまいります。

○上田委員 今回は、ぜひ想定をクリアに、対象三事業者になるように、ご努力をいただきたいというふうにお願いをする次第でございます。
 あまりにも活用されないのであれば、それは要らないということなので、無理して続けないような形、あるいは想定額を減らすとか、ちょっと工夫をしていただきたいというふうに思っております。
 経済活性化支援でございます。
 本年二月二日に、暮らしを応援!TOKYO元気キャンペーン、知事記者会見報道発表がありましたが−−よくあるんですけれども、事前に報道発表があることが本当に多いんです。都民に聞かれて、都民が先に知っちゃって、あたふたと、何だかよく分からない。知事の会見を見て、あっ、そうなんですよ、決まったんですとやることが多いんですけれども、今年は東京都知事選がございました。どう考えても選挙対策の広報活動と受け取られかねません。
 何か、このマスコミ報道が議会報告よりも先行するのはなぜなのかなと思っております。先行報道となった状況と理由についてご説明ください。
 また、今後は丁寧に、議会報告を経てからのメディア報道とすべきと考えますので、局の所見を伺います。

○池野産業企画担当部長DX推進担当部長兼務 委員ご指摘の報道は、事業実施に先立って、令和五年第四回定例会において提案された補正予算案に関するものと思われます。
 その第四回定例会において補正予算案が可決された後、本年二月二日に、当該キャンペーン実施について報道発表を行ったものでございます。

○上田委員 今回の件は了解いたしましたけれども、産業労働局は様々なイベントが多過ぎて、本当に理事者の皆さんの日程調整が大変なんだということを、ほかの委員会から来てちょっと伺ったぐらいたくさんございますけれども、ぜひ、委員会にご報告いただいてからのメディアということを徹底していただきたいと思います。
 鳴り物入りで始まったキャンペーンですが、蓋を開けてみると僅か十三日間で終了し、直接、あるいはSNSなど、多くの都民から私のところへ苦情が寄せられ、協力いただいた事業者からは落胆の声を複数頂戴したところでございました。
 資料でも、暮らし向き向上緊急サポート事業のキャンペーン開始から終了までの経緯と早期終了に関する意見というのを、これ、時系列とご意見、ちょっと資料を取り寄せているところでございますけれども、周知期間や早期終了について声が寄せられることが読み取れております。ついては、都民の税金ですから、都民最優先に寄与すべきと考えます。まあ当然ですよね。
 この事業では、都民以外も利用できてしまうことになります。知事のいうところの景気の刺激になるし、何より都民の生活を守ることにつながっていく。これにどうつながったのか当然検証していると思われますので、何をもって都民の生活、都民、事業者の経営利益を守れたのか、ご説明ください。

○池野産業企画担当部長DX推進担当部長兼務 本年三月に実施したキャンペーンでは、約三十五万五千店舗が参加し、対象となったQRコード決済を利用した人数の合計は前月比約一・二倍の延べ一千五百三十一万人、実施期間中のQRコード決済の合計額は前月比約一・五倍の約九百八十七億円となってございます。
 また、アンケート調査の結果においても、生活応援につながった、消費喚起や経済活性化につながったなど、利用者及び事業者ともに好意的な意見が多数寄せられており、経済活性化の効果があったものと認識をしてございます。

○上田委員 QRコード決済額の前月比一・五倍になったということなんですけれども、これって、当初いったように生活が非常に大変な人の支援ということで、ばりばり働いてQR決済ができる人たちがどんどん消費をするのと、本当に困っている人を助けるというのが、私はこれが趣旨だと思います。
 高齢者、あと障害をお持ちの、うちの重度の脳性麻痺で障害を持つ政調スタッフ、雇用しておりましたけれども、彼もスマホが使えないんです。やっぱりこういうふうにできませんし、古いガラケーを何とか使っているというところであります。今、小金井市議に当選をしましたけれども、そうした本当の高齢者、社会的弱者が、QR決済ができない都民、そして、そういったキャンペーンに参加できない、まちの一つの商店、こうした商店、事業者さんとの不公平については、るる指摘されているところですが、その点についてのお考えを伺います。

○池野産業企画担当部長DX推進担当部長兼務 本事業は、民間のQRコード決済を活用し、消費の喚起などを速やかに行うものでございます。
 QRコード決済の利用や導入を考えている方々に対して、専用ウェブサイトにて、多くの方から問合せが想定される質問に対する回答を分かりやすく掲載するとともに、本事業の実施に当たり立ち上げるコールセンターにおいても、決済事業者と連携しながら、丁寧な案内を実施してまいります。

○上田委員 そのコールセンターで、また事業者がお金を払わなきゃいけないと思うんですけれども、本来の目的は、そうした生活困窮とか消費の喚起であるので、QR系コード決済推進ありきの、手段の目的化ではないかというふうにちょっと取られかねないと思っておるんです。
 前回、今回のQR決済に係る事務費と事業者についてご報告ください。

○池野産業企画担当部長DX推進担当部長兼務 本年三月のキャンペーンでは、約九億円を事務費として計上し、auペイ、d払い、ペイペイ、楽天ペイの四事業者をQRコード決済事業者として実施をいたしました。
 事業を受託した事業者は、株式会社JTBコミュニケーションデザインでございます。
 また、今回実施をいたしますキャンペーンの事業費は約百五十億円を計上し、そのうち事務費は約十一億円でございます。今回の事業における受託事業者につきましては、補正予算議決後、契約の手続を踏まえ決定をいたします。このため、対象となるQRコード決済事業者も未定でございます。

○上田委員 前回はJTBコミュニケーションデザインで、九億円ということは一割が事務費ということで、今回は八%ぐらいになるのかな、百五十億で十一億ということでございますので、ちょっとこの点もどうなのかなというふうに、都が本当にやるべきことなのかなということも考えたいなというふうに思っております。
 前回、僅か十三日間で終了になってしまったことに対する反省点について伺いたいです。
 前回は百億円で、今回は百五十億。一・五倍になっても、十三日掛ける一・五倍、イコール、二十日間程度で終了するのではないかと懸念するからなのでございます。
 反省点及び百五十億の数字的根拠をお示しの上、今回は早期打切りにしないためにどう対策を講じているのか伺います。

○池野産業企画担当部長DX推進担当部長兼務 今回のポイント還元に係る経費につきましては、民間団体が公表しているQRコード決済の市場規模とその拡大傾向、季節的な要因等を踏まえ積算をしてございます。
 その結果、ポイント還元の原資を前回より約五十億円増額することといたしました。

○上田委員 百五十億。増加したのは分かったのでございます。
 それでは、想定終了期間は今回どのぐらいを想定しているのか、所見を伺います。

○池野産業企画担当部長DX推進担当部長兼務 現時点では実施時期は十二月としておりますが、具体的な日程や実施期間は、今後、受託事業者等が決まっていく中で確定していきます。

○上田委員 十二月といいますと、ボーナスも入って、いろいろと、クリスマスもありますし、年末、いろいろな、お正月に向けていろんなものを買うというような、購買意欲が高まるときでございますので、百五十億円で一体どのぐらいもつのか、ちょっと私、二十日間で終わるかなという感じで見てまいりたいと思っております。
 もっと早くなるのは、それはそれで確かに利用されて、先ほどのLPガスの中で、想定数よりも下回るというよりは、いいはいいんですけれども、若干この点に関しては疑問点を残しておりますので、この最終の議案の賛否においては、よく当会としては議論を重ねて判断したいというふうに思っております。
 次に、カスハラ条例でございます。
 二〇二三年十二月第四回定例会に、私としてはやや唐突感を持って−−サービスの利用者から過大な要求や不当なクレームを受け、従業員が人格を傷つけられるカスタマーハラスメントが増加しております、放置すれば労働生産性を損ない、産業界の活力をそぐことにもつながりかねません、顧客満足と働く人の心身の健康が並び立つ、東京ならではのルールづくりを始めますという知事所信表明も、いったように唐突感を持って聞いておりました。
 その後、条例制定に向けて、いわゆる知事与党による代表質問で、制定を早めて、急いで制定すべきだという質疑が繰り返され、本年第一回定例会知事所信表明では、いきなり独自に条例化の検討を進めますと。太陽光パネル義務化のように、あっという間にどんどこ進んでいったわけでございます。
 この言葉が飛び出しまして、代表質問にも、条例の制定を検討いたしますと知事はお答えになりまして、予特、第三回定例会と、制定に進めて、爆速で進んできたものと思料いたします。
 都はこの間、二度にわたる公労使による「新しい東京」実現会議カスハラ防止検討部会、パブコメの募集と公開を実施してきました。
 カスタマーハラスメントに係る法律の規定がなく、労働施策総合推進法に基づく厚労省告示で言及されているにとどまっておりました状況でございましたが、条例制定に関わり、課題となった事項や、それをどう解消して、用語の定義、用語の意義策定まで至ったのか、これ、難しかったと思います、本当に爆速だったので、これまでの議論を踏まえてご説明をいただければと思います。

○内田雇用就業部長 カスタマーハラスメントについては、国の検討会議におきまして、顧客には就業規則などの規範の影響が及ばないなどの課題が指摘されており、労働法の枠組みで防ぐことは難しいことから、都独自の条例により対応を図ることといたしました。
 このため、今回提出した条例案は、事業者等の責務を定めるとともに、顧客等に対し著しい迷惑行為をしないよう禁止を直接働きかける内容といたしまして、これらを規定するために必要な用語について、条例上の定義を示しております。

○上田委員 やっぱり国はまだ検討会議というところの中で、苦慮しながら理事者の皆様も進めていたと。建前上なんていったらあれなんですけれども、一応、公労使の会とか検討部会とかパブコメとか、人に、何というんですか、指摘を受けないような手段は講じてきたということは理解するところでございます。
 相談事例なんかでも、会社にカスハラを訴えても動いてくれないという事例があったようです。一方、会社側も対応に苦慮することも読み取れております。
 結構活用されていて、私、ここを評価しているんですけれども、私もよく紹介するんですけれども、労働相談情報センターや中小企業振興公社では、どの程度の相談が、この十年ぐらいにカスハラについて相談があり、どう対応して、経験値は当然積まれてきたからこそ、国に先駆けて言葉の定義とか何かができたのだと思料しております。
 実際に、政府というのはどちらというと法律をつくるところですから、私たち地方自治体というのは直接都民とか事業者さんと会うわけですから、そういう意味では、確かに東京都の方が経験値はあったというふうに思っております。それらを、今般、条例制定においてどのように生かしてきたのか伺います。

○内田雇用就業部長 労働相談情報センターでは、労働問題全般に関しまして、年間約五万件、令和五年度は約四万三千件の相談を労使双方から受け付けており、カスタマーハラスメントへの会社の対応などについても相談に応じてございます。
 また、中小企業振興公社では、令和元年度から社会保険労務士などの専門家を経営相談の窓口に配置をし、営業に影響を与えかねない悪質な行為に苦慮する企業などの相談に対応しております。
 条例案では、被害者への対応として、事業者に安全確保や配慮を求めるほか、都の責務として、相談及び助言等の施策を推進していくこととしております。

○上田委員 やっぱり、実際カスハラがあることも、実例も、対応も東京都はしてきたということなんです。
 何がいいたいかというと、現状でも対応ができていて、ですから、ほかの委員さんが指摘しましたけど、何か都知事選の前の、この年の初めにわあっといって、来年、私たちの都議選の直前にわあっと施行が始まるというのも、何となくスケジュールが、うーんというふうに思っていて確認をしております。
 あと、もう一点気になるのは、やっぱり国との連携状況なんです。確かに、国に先駆けてというのは小池知事も大好きで、必要なところなんですけれども、国に先駆けとか、ほかの自治体とかと連携を図らないで先駆けるがゆえに、一極集中だといわれてしまったり、また、学費の方も、無償化も、神奈川、千葉、埼玉の県知事からはご指摘をいただいているところでございますので、すり合わせというのをした上での、奇をてらうものではなくて、やり尽くしてもやっぱり動かないというなら別なんですけど、もう奇をてらって出し抜くような形であると、後々そごが生じる。そのツケを食らうのは、知事や理事者ではなくて都民ということになってしまうので、国との連携状況につきまして、資料で確認をさせていただいた次第でございます。
 都の機関にも寄せられたように、労働者がカスハラを受けても、事業主に相談しても対応してもらえない場合、個別労働紛争解決制度で対応可能というふうにしておりますが、条例制定せずとも現行で対応可能な事業について、今、私が指摘したところですが、ご説明いただければと思います。
 条例制定後に、今までも十分、相談窓口って、逆に知られていなくて、私も一生懸命紹介するぐらいなんですけれども、それらの既存都政事業とどう連動するのか、どうカスハラ被害者救済に結びつけるのか伺いたいと思います。

○内田雇用就業部長 これまで、労働相談情報センター及び経営相談の窓口で、労働者、経営者双方の相談を受け付けており、条例を機に、様々な当事者が相談しやすい体制づくりを進めてまいります。

○上田委員 えてして、ここでカスタマーに特化した相談窓口をつくりましたとかと、いいたい人がいると思うんです。都庁舎にもいるでしょうし議会棟にもいると思うんですけれども、そうすると、これまた困るのは、理事者の皆さんが忙しくなっちゃうので、効率的な、今ある行政資源を生かして、新しく屋上屋を重ねないでいただきたいなということを、ただ、分かりやすく相談者に誘導することは必要ですけれども、わざわざお題目のために手間をかける必要はないということは指摘させていただきたいと思います。
 消費者と労働者間のトラブルは、労働法ではないアプローチが必要、労働行政では届かない部分で力を合わせたいということが国からも指摘をされているところでございますが、その辺、条例にどう反映されているのか伺います。

○内田雇用就業部長 条例案は、顧客を何人もと広く捉え、あらかじめ著しい迷惑行為をしないよう、禁止を直接働きかける内容を規定しております。

○上田委員 そして、その理念に沿って、今後ガイドラインを作成していくと思料いたしますが、国としては、手引等を作成する際は厚労省マニュアルなどを一助としてほしいということも、資料の方でも書いてあります。
 マニュアルを引用するのはもちろんのことですが、ガイドライン作成に当たっても、国に先駆けてと、さっきいったように独善的に進めることなく、国と協力して作成することがベスト、最良だと考えます。
 ガイドライン作成に当たっての、国や自治体との連携協力体制及び作成のスケジュールについて確認させてください。

○内田雇用就業部長 カスタマーハラスメントに関する都の検討会議は、厚生労働省が参画する体制としており、こうした体制によりまして、条例を解説する指針を作成し、年内に示してまいります。
 区市町村とはこれまでも、認識の共有や都へのニーズの把握を図ってきておりまして、引き続き丁寧な情報提供などを行ってまいります。

○上田委員 区市町村も東京都と同じです。やはり相談窓口って持っておりますので、そうした区市町村の意見、私たちよりももっともっと、私も区議出身なので、地域住民に近いですし、事業主さんもいっぱいいますので、特に江戸川なんて工場がいっぱいありますので、そうしたお知恵も区市町村からいただいて反映していただければ、よりよきものになると思います。
 遅まきながらも、国においても法改正の動きが出てきております。厚労省は対象を民間企業としておりますが、都は、公務、議員も含み幅広いと評価を得ていることからも、今後、逆に国の法改正に当たって、都がアドバイスや協力できることもあるのかなと思料します。所見を伺います。

○内田雇用就業部長 都の検討会議において、国の委員からは、事業者の支援や消費者への周知の点で都に期待したいなど、条例に期待する意見がございました。
 国のマニュアルとも整合を図りながら指針等の作成を進め、国と都の取組の双方の効果を高めてまいります。

○上田委員 やはりマニュアル作成の協力体制が、そこの共有を、ただ口だけいっているよりも、何か一緒にものをつくっていく方が、よりよきものができると思いますので、都は、区市町村の声も乗せて、ぜひ力を合わせていただきたいと思います。
 パブリックコメントです。こちら、周知期間が短い上に短期間の募集にかかわらず、二百四十八件、活発な、読み込むとですね、活発な意見を頂戴しており、僅かですけれども、これだけで、ひと月で、夏休み期間中ですが、必死になって都民が、また、こういった関心ある方が書いてくれたのかなと、関心の高さを感じました。
 消費者の正当なクレームをハラスメント扱いされてしまうことのご危惧、ほかの委員も指摘しましたけれども、頂戴しているところが、このパブコメの回答といいますか、パブコメによって見えてきたところでございます。福祉現場、教育現場においても、家族が人質というところで、正当な声を上げられない場合が逆に散見されております。
 カスハラ条例制定によって、官民問わず、事業者、就業者がカスハラ条例を逆手に取って開き直ることなどはあってはならないと考えますが、その点についての議論も重ねてきたと思うので、所見を伺いたいと思います。

○内田雇用就業部長 カスタマーハラスメントの禁止規定により、正当な権利に基づく行為が不当に阻害されることはあってはならないと考えておりまして、こうした考え方を解説する指針により、現場における正しい運用を促してまいります。

○上田委員 正しい運用を促していくということです。
 国との連動についても、パブコメで私も懸念していたようなことが指摘されておりました。国の法制定が行われ、そごが生じた場合、当然、条例の見直しが必要となります。その際には、行政側だけで条例改正をするのではなく、労働団体、業界団体だけではなく、等身大の都民、消費者が参加できる検討会にしてほしいとの声もあり、これ、ごもっともだと思います。
 法制定等、何らかの改正の必要が生じた場合の、こうした多くの声を拾うのかどうか、所見を伺いたいと思います。

○内田雇用就業部長 都のカスタマーハラスメントに関する検討会議は、労働団体、経済団体、法律の専門家などに加え、消費者団体が参画する体制としておりまして、条例制定後の改正につきましては、その必要性を検討した上で、見直し規定により対応することになります。

○上田委員 できれば、ご用学者さんやご用労働組合、もう、一部上場組合ばっかりで、一部上場会社の労働組合は、また中小企業とは違いますので、もうちょっとバランスよく、公募の委員なんかも募っていただきたいなと思っております。
 民意を無視して独善的に進める小池都政の不満の声を多く聞きます。賛成したからといってお墨つきを与えられたわけではなく、優良他候補へ投票した都民の方が多いわけですから、知事は謙虚に取り組むべきでございます。
 昨今の神宮外苑再開発、今日も、市民団体さんから環境局への審議会に係る要望書、お渡しになる際、私も一緒に帯同させていただいたところでございます。私の地元の葛西臨海水族園や日比谷公園等都立公園、築地市場跡地の再整備、再開発に名を借りた住民不在の破壊的行為について、許し難く感じている都民は多くいます。
 都民が知りたい情報公開や説明会を要求した場合、あるいは都に正当な抗議の電話等の声を上げた場合、これらをカスハラの対象として排除しますということになるまいか、私も懸念しています。
 都への正当な都民の抗議や要望とカスハラの線引きを、どう東京都はするのでしょうか。局の所見を伺います。

○内田雇用就業部長 条例案においては、著しい迷惑行為を禁止する一方、適用上の注意として、顧客等の権利を不当に侵害しないよう留意することを求めておりまして、こうした条例の考え方を解説する指針を作成し、現場における正しい運用を促してまいります。

○上田委員 それでは、都政に声を上げたい人には、この条例の何条になるか分かりませんけれども、お示しをいたしまして、勇気を持って、卑屈にならず声を上げてほしいということをお伝えしたいと思います。
 産業技術研究センターについてでございます。
 技術センターについてですが、技術相談が五万九千件もあるということです。これはすごい数だなと思っております。
 どのように周知をしており、どのような形で、電話、オンライン、メールの相談があり、どう具体的に対応しているのか、実態や相談したい技術の傾向、まあ近年のトレンドですよね、AIだの何でもあると思うんですけれども、それでも、「下町ロケット」みたいな町工場の技術も非常に日本は注目され、評価もされております。いろいろあると思います。
 評価委員も、技術相談の果たす役割は重要としており、把握、分析をし、ここまでの経験値を経て、効果的支援にどうつなげているのかも具体的に伺います。

○阿部商工部長 都産技研では、環境試験や材料加工、デザインなど幅広い分野の技術相談に対しまして、本部や各支所等において、来所や電話、メール、ウェブサイト、オンラインなどを通じて対応しております。
 近年のトレンドといたしましては、材料や評価技術に加え、ヘルスケア分野などの相談も受けておりまして、こうした相談や支援内容はデータベースとして管理し、効率的かつ効果的な相談業務につなげております。

○上田委員 五万件といったら本当に大変だと思いますが、データベースとして、お得意なところなんだと思うんですよね、産技研さんでは。そうした相談内容も活用するということでございました。
 共同研究については、共同研究による事業化が過去最高になったことは評価しますが、今後どのように中期目標を達成するのか伺います。
 また、児童発達支援施設への調査にて、ハンデを持つ子供のストロー補助具製品化についても大変うれしい驚きでした。先ほどいった私の政調の高木君、今、小金井市議になっている彼も、やっぱりストローがないと飲物とか飲めないので、彼の小さい頃のような子供たちだったら、本当にありがたいなと思ったところでございます。
 社会的課題解決支援でも、ヘルスケアや中小企業の障害者用具製品開発支援もありました。福祉局、保健医療局、福祉機器を扱う福祉保健財団、医学総合研究所との連携、情報共有、共同研究も期待するところですが、現状はいかがでしょうか。

○阿部商工部長 今後も引き続き、都産技研は、基盤研究で得られた成果や大学などのアイデアや技術シーズを活用し、中小企業との共同研究を通じて、技術開発や製品化、事業化を後押しいたします。
 また、今年度、福祉関係の研究開発事業において、福祉局と連携して企業の公募に取り組むなど、必要に応じて連携を図っております。

○上田委員 私も、医学総研はもう、福祉財団も行ったことがあるので、ぜひ、こちらの産技研もお邪魔させていただきまして、本当に地道に研究しているんだなというのは体感しているので、連携が図れているということで、ようございました。
 外部資金導入研究は九十一件、三億五千万円ということで、堅調にちゃんとお金を、外部資金を集めているということで、高く評価するところです。
 これらの研究は、法人が主体となって進めるのか、中小企業から持ち込まれた技術支援ニーズによって実施するものが多いのか、現状と傾向を伺います。

○阿部商工部長 法人が主体となる提案公募型研究を七十六件、中小企業からの受託に基づく研究を十五件実施いたしました。
 近年は、法人が主体となります提案公募型研究の件数が増加しております。

○上田委員 本当に税金を使わず、外部からちゃんと持ってきて、そして中小企業のためになるということで、非常に私も感心したところでございます。
 知的財産の取得についてもいろいろとなさっているそうで、取得というのは技術立国であった日本においては非常に重要であり、中小企業はこの点が弱くて、中国などに特許を取られて技術を奪われてしまう事例などが散見しております。
 特許調査や秘密保持に関する専門研修も実施しているとのことですが、これまでの実施に係る評価や展望、中小企業事業者への寄与について伺います。

○阿部商工部長 都産技研では、担当職員の能力向上を図りながら基盤研究や共同研究等の成果を精査の上、知的財産権として登録し、適切に管理するとともに、中小企業の技術開発や製品開発に生かすために、積極的な実施許諾を推進しております。

○上田委員 都産技研ではこういった形でやっており、また、中小企業の特許取得、これがまた大変なんですよ、もう本当に。うちの江戸川区の工場主の皆さんも、この事務が本当に大変だというところで心配しているところですが、都は、知的財産総合センターにおいて、ちゃんと相談セミナー等の支援を実施しているということも確認させていただきました。
 DX推進センターについては、DX、IoT、ロボット技術などの社会実装を促進、オープンイノベーションの促進も目指し、金融機関ほか豊富な技術シーズを有する機関と協力する機会を進め、スタートアップ企業の製品化、事業化支援、海外展開支援促進も実施されています。
 デジ局やGovTech、スタ国、TIBとの連携、連動などの状況を伺います。大体重なることがあると思うんでですね。
 一方、評価委員からは、サイバーセキュリティの認識を一層高め、リスク低減に向けた技術的措置を講じるなど、効果的な危機管理対策の推進が求められておりますが、今、本当、政府においても、このサイバーセキュリティの不正アクセスがあって大変なことになっていて、ニコニコ動画さんも、そんなことでしばらく見られないなんていうこともあったと思います。この点の対応と所見を伺います。

○阿部商工部長 都産技研では、TIBで実施されるスタートアップイベントに職員が参加し、意見交換を行うとともに、都産技研の事業案内を配布するなど、他機関と連携しております。
 また、情報管理につきましては、企業情報や製品開発等の秘密情報に関し、適正な取扱いと確実な漏えい防止を図るため、全職員を対象とした研修を実施するとともに、システム、ソフトウエアの整備と活用により、リスク低減に努めております。

○上田委員 技術者集団が多いというところで、外部に発注することもあると思いますが、しっかりと発注力も高いのかなというふうに見させてもらいました。
 また、支所における支援ですが、区市町村の地場産業、中小企業との連携状況を伺います。

○阿部商工部長 都産技研の各支所等では、所在地域における関連企業、団体等と連携を深めながら商談会への出展やセミナーへの講師派遣などを行いまして、中小企業の技術支援を実施しております。

○上田委員 ぜひ、地元にアウトリーチをしていただきたいと思います。
 法人内職員のプロパー、都からの出向人数、研究職、事務職の割合、プロパー職員と出向者の幹部職の状況について伺います。
 また、職員の技術向上に係る評価や研修などの取組も伺います。

○阿部商工部長 令和六年八月一日現在の法人職員数は三百八十七名であり、うち都からは十五名を派遣しております。
 また、幹部職員数は四十九名であり、うち都からは三名を派遣しております。
 研究職の割合は七四%、事務職の割合は二六%でございます。
 人材育成に関しましては、能力開発に係る目標管理を自己申告制度を通じて実施するほか、人材育成計画に基づきまして研修等を行っております。
 具体的には、外部機関への研修、出向、社会人博士課程への派遣や資格取得に対する補助等を通じまして、職員の業務遂行能力の向上を図っております。

○上田委員 やはり今、技術職が本当に足りないということで、東京都だけではなく全国的な課題となっている中で、研究職が七四%、やっぱり評価すべき点は、幹部、まあ役職者四十九人のうち、都からの派遣は僅か三名ということで、プロパー職員がやる気を持って、幹部職になって働けている環境が想定できると評価したいと思います。
 非常に地道で堅実な、技術の躍進へ向けた法人の貢献を評価するものですが、もっと、ちょっと私もまだ勉強不足だったので、これ、事業評価を見て目を見張ったんですけれども、もっと都民や世の中に知っていただきたいと考えます。
 情報発信の推進も求められて、評価委員から求められているところで、令和三年の広報戦略に即した、具体的な今後の知名度アップ、利用者増強に向けた取組と意気込みを伺います。

○阿部商工部長 都産技研では、動画共有サイト、SNSを活用するとともに、noteやウェブサイト、刊行物などの広報媒体、主催する研究発表会等の各種イベントを通じて、中小企業等に対する情報発信に努めております。

○上田委員 引き続き邁進していただきたいと思います。
 最後に、東京信用保証協会権利放棄についてです。
 資料によりますと、令和二年、四年、五年と権利放棄が散発しております。事業者再生に資するとしてやむを得ない判断とのことですが、都民の税金を毀損することは、できれば避けることが望ましいと考えるものです。
 実際に、これまで再生ができたのか、また、当初の選定に瑕疵といいますか、間違いはなかったのか具体的に説明の上、本事業の趣旨に係る局の所見を併せて伺います。

○福田金融部長 都では、公的な再生支援機関等の支援に基づき策定された再生計画について、条例により権利の放棄を迅速に行うことで、中小企業の円滑な事業の再生を促進しております。
 その際には、都として、弁護士等の専門家から計画の妥当性などについて意見を聴取し、厳正に対応しております。
 また、権利の放棄をした中小企業は、現在も事業を継続しております。

○上田委員 権利放棄をしても頑張って事業を継続しているということで、安心をさせていただきました。
 今回は、補正予算、またカスハラと、また産技研、全て中小企業とか都内の事業者さん、都民の人たちのための、まあ屋台骨を支えるような事業となっておりますので、奇をてらわず、引き続き、地道、実直に取り組んでいただきたく、また、実際やっているところは評価をさせていただきながら、カスハラとQR決済については、いろいろと私の方でもしっかりと精査させていただきたいと思います。
 質疑を終わります。

○入江委員 お願いします。補正予算の内容について、簡潔にお伺いします。
 中小企業特別高圧電力・工業用LPガス価格高騰緊急対策事業について伺います。
 本事業は、私ども都民ファーストの会が知事に対して行った、物価高騰支援に対応する補正予算編成に関する要望内容を実現したものです。エネルギー価格の高騰が続く中で、都内企業の九九%を占める中小企業のコスト負担をできる限り軽減し、都内経済を下支えするために、特別高圧電力やLPガスの利用者に対して直接支援を行う本事業を再度実施することは、非常に意義のある取組です。
 過去二回の実施においても求めてきたことですが、支援を必要としている中小企業が申請する際に負担を感じることがないよう、手続をできる限り簡便にし、迅速に給付を進めていただくことが重要です。
 また、申請者の利便性を高めるためには、中小企業が自身の都合に合わせて、必要なときに問合せが行えるような仕組みを設けることが有効であると考えております。
 そこで、申請手続の簡素化の状況と、申請者の利便性を高めるための取組について伺います。

○山本産業政策連携促進担当部長企画調整担当部長兼務 支援金の申請手続におきましては、適正な審査を行うとともに、申請者に過度な負担をかけることがないよう、簡便に申請でき、かつ、いつでも問合せできる仕組みを整えることが重要でございます。
 本事業は、定額の給付とすることで、電気やガスの使用量の実績報告を不要としてございます。また、過去に本事業の支援金を受給した事業者につきましては、これまでの申請情報を確認することで、登記簿謄本や口座情報などの書類の提出が省略可能となってございます。
 さらに、申請方法の案内につきましては、ホームページへの動画の掲載やコールセンターでの対応に加えまして、今回からホームページ上に問合せフォームを設け、コールセンターの対応時間外でも問合せを受け付け、速やかに電子メール等で回答を行える仕組みといたします。
 これらにより、事業者の利便性をさらに高めてまいります。

○入江委員 既に三回目ですので、これまでの取組に加えて問合せフォームを設けるなど、申請に当たっては、負担軽減や利便性向上のために大変工夫されているということが分かりました。
 そして、この支援を必要としている多くの事業者はいらっしゃると。ただ、こういった支援があるとは分からないという方もいるし、どう申請していいか分からないという方も多いと思いますので、しっかりとお問合せにはレスポンスしていただいて、引き続きしっかりと取り組んでいただくことを要望いたします。
 続いて、もっと!暮らし向き向上緊急サポート事業について伺います。
 これまでも質疑に出ておりますが、原材料価格の高騰や配送費、燃料価格の上昇、さらには、今日はさらに円安も進んでおりますけれども、物価が長期間にわたり上昇し続けております。また、記録的な猛暑など異常気象の影響も重なり、日常的に重要なお米や野菜など農産物も大幅に値上がりをしております。多くの都民の皆様から、物価が高過ぎて、日々の買物に苦労しているとの切実なお声を伺っています。
 一方で、飲食店など事業者の方々からも、原材料の高騰は非常に厳しいと。さらに、コロナ禍でゼロゼロ融資の返済や、社会保険料や税金の支払い期限が迫り、キャッシュ・フローが常に厳しい状況であるといった深刻な声が寄せられています。
 このように、物価の高騰などが都民の生活や事業者の経営に大きな打撃を与える現状を踏まえ、私ども都民ファーストの会が提案した、都民の暮らしを支援し、消費を促進し、都内事業者の経営を活性化させるためのポイント還元策が、今回の補正予算に盛り込まれたことを高く評価いたします。
 前回の三月に実施された事業の予算と比較して、今回の予算は一・五倍に増額されておりまして、より多くの個人消費の喚起と経済の活性化につながるものと期待しています。
 今回の事業では、前回同様にQRコード決済システムを活用し、一〇%のポイント還元を行うということです。デジタル決済システムを活用することで、効率的で、かつ迅速な運用が期待され、多くの都民に直接の支援策が届くと考えております。
 QRコード決済は、日常的に携帯しているスマートフォンを用いた、簡便で利便性の高い方法で広く普及しておりますが、スマートフォンを所持していることが前提となります。
 そこでまず、全国におけるスマートフォンの普及状況とQRコード決済の利用状況について伺います。

○池野産業企画担当部長DX推進担当部長兼務 本年七月の民間事業者による調査によれば、全国では、十八歳から六十九歳までの方のうち、約九二%がスマートフォンを所有しております。そのうちの約七四%がQRコード決済を利用しているとの状況でございます。
 既に多くの方の間に普及しているものと考えてございます。

○入江委員 全国での調べなんですけど、国民の九二%がスマートフォンを既にお持ちになっている。そのうちのさらに七四%がQRコード決済を利用しているということから、QRコード決済というのは、既にインフラとして非常に広く普及しているということが確認できました。
 したがって、今回のQRコード決済を使った支援策は、多くの都民が消費者として日常的に利用できる環境にあります。
 ちなみにQRコードというのは、一九九四年に日本で開発されたテクノロジーです。開発企業が普及を促進するために特許を無償化した結果、現在では世界中で、アジアでも欧米でも広く活用されています。日本が誇るべきテクノロジーですので、そうした観点でも、今後さらにQRコード決済の普及を加速させていくことを期待しております。
 さて、既に多くの方がQRコード決済を利用していることが明らかになりましたが、その結果、実際の店舗における決済金額や決済件数も増加していると考えられます。
 そこで、全国レベルで、実店舗におけるQRコード決済の利用状況、具体的な利用額や件数について伺います。

○池野産業企画担当部長DX推進担当部長兼務 本年八月の民間団体による調査によれば、全国で、昨年の実店舗における決済金額は約十二兆円、決済件数は延べ約八十二億件となっております。
 決済金額及び件数ともに対前年比で一・四倍となっており、年々拡大している状況でございます。

○入江委員 前年比で一・四倍というのはすごい数だなと思いまして、今ずっとお聞きしているのは、いかにQR決済を使った支援策というのが、直接、都民お一人お一人に届く適切な方法だということをしっかりお伝えしたいと思ってお聞きしているわけなんですけれども、先日の都民ファーストの会の代表質疑においても、前回のキャンペーン期間中のQRコード決済額の合計が前月と比べて一・五倍に達し、事業者からは売上げ増加の声も寄せられたとの答弁がありました。
 このことから、全体として経済活性化の効果があったことが示唆されておりますが、主な業種ごとの具体的な効果を把握することも重要だと考えております。
 そこで、本年三月に実施された、暮らしを応援!TOKYO元気キャンペーンの期間中における、主な業種の決済金額がどの程度増加したのかを伺います。

○池野産業企画担当部長DX推進担当部長兼務 前回のキャンペーン期間中におけるQRコード決済額として、小売業は約六百三十二億円、飲食業が約二百二十九億円、サービス業その他が約百二十六億円となってございます。
 キャンペーン実施の前月同期比で、小売業が約一・六倍、飲食業が約一・四倍、サービス業その他で約一・四倍と、QRコード決済金額の増加がございました。
 また、事業者へのアンケート調査結果では、消費の喚起や経済の活性化につながったと思うとの回答が約八割、客数や客単価の維持、増加に貢献したとの回答が約七割となるなど、おおむね好意的な評価でございました。
 今回の取組においても、都民の暮らしを支え、経済の好循環につなげてまいります。

○入江委員 ありがとうございます。前回の暮らしを応援!TOKYO元気キャンペーンの実績を伺うと、都民生活に密着した業種において、多くの消費を喚起し、非常な、前年比に比べての、売上げが増加しているということが明らかになりました。
 QRコード決済の市場規模が拡大していることも踏まえ、今回もさらに多くの都民の消費を促進し、事業者の収益向上に寄与するということを期待しております。
 また、東京都がこのような事業を展開するということは、物価高騰対策としての支援のみならず、東京のデジタル化を進める上でも大変意義深い取組です。東京都のキャッシュレス決済比率の目標は、「未来の東京」戦略において、二〇二五年までに五〇%を目指していますが、既に、この目標を早期に達成しているのではないかと思っております。
 QRコード決済による支援策は、利用者にとっては利便性の向上につながり、事業者にとっては業務効率化や人手不足の解消の可能性を持つ、つまりレジとかで人手不足の解消につながるという意味なんですけれども、こうした重要な取組です。
 より多くの都民や事業者の方々がこの支援を利用できるように、これから利用を検討される方々へ、導入を考える事業者に対して、丁寧で分かりやすい案内をお願いいたします。
 最後に、こうして物価高騰がまだまだ続く中、賃金の伸びが追いつかないというときに、年末に向けては、いろいろと消費が拡大するというか、買わなければいけないものも増えると思いますので、この緊急支援策を確実に届けることが極めて重要です。
 前回の施策と同様に、既に大変普及している民間のQRコード決済の仕組みを活用することで、迅速かつコスト効率の高い事業実施が可能となります。
 ぜひ、広報活動も含めてしっかりと取組を進めていただくことを要望しまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○大松委員 カスタマー・ハラスメント防止条例案について質問いたします。
 東京には、全国で最も多くの第三次産業があり、従業員が顧客から過度な要求や暴言を受けるカスタマーハラスメントが深刻な課題になっています。また、行政機関も全国最多で、公務に従事する人や公的サービスを利用する住人が最も多いのも東京です。
 その中で、カスタマーハラスメントにより、働く方々が人格を傷つけられ、心身に不調を来しています。さらに、こうしたカスハラが広がっていることが原因の一つとなって、原因となって、人手不足に拍車をかけるなど深刻な課題になっております。
 そこで、都議会公明党はかねてから、早期にカスハラを防止するための条例制定を求めてきました。また、定例会ごとに、学校や警察など公務の現場も含めた対応、業種別のガイドラインの必要性、SNSへの書き込みなど加害者の特定が難しいケースへの対応などについて、課題を提起してまいりました。
 都は、こうした公明党の提案を受け、労働団体や経済団体、消費者団体などから様々な意見を聴取し、検討に取り組んでこられました。そうした都の対応を評価するものであります。
 その上で、本日は、条例の効果や国の法制化との関係、実効性の確保などについて質問してまいります。
 まず、法律との関係について質問します。
 都は、今定例会にカスタマー・ハラスメント防止条例案を提出しましたが、都がカスハラ防止条例の検討を表明したことを受けて、国は法制化に動き出しました。国はパワハラやセクハラについては既に法制化をしており、カスハラ防止は、それらに加えての法制化ということになります。
 そこでまず、国が目指す法制化の中身と都の条例案との違いについて、都の見解を求めます。

○内田雇用就業部長 パワハラやセクハラは労働分野の法律で、事業主の義務などが定められている一方、カスタマーハラスメントは、就業規則などの規範が顧客に及ばず、実効性ある予防対策が難しいことや、問題が商慣行に由来する場合に事業主では解決できないことがあるなどの課題が指摘されまして、法制化されていない状況にございます。
 今年二月に国が新たに設置した検討会では、カスタマーハラスメントについて、法的な対応の必要性が議論され、事業主の措置義務が適切とされております。
 今回提出した条例案は、こうした状況を踏まえ、顧客を何人もと広く捉え、あらかじめ著しい迷惑行為をしないよう直接働きかけるものでございまして、そうした条例の意義を指針等でも丁寧に解説してまいります。

○大松委員 国が検討している法制は、労働法制として事業主側を捉える枠組みでありまして、顧客側には及ばないということでございまして、国の法制では、その効果は限定的なものになるということでございます。
 都の条例案は、その国の法制化では及ばない法律の隙間を埋める役割を果たしていく効果が期待できるものと分かりました。
 その意味では、国が目指す法制化と都が目指す条例の中身は大きく違うというわけでございまして、都は、こうした点を積極的にPRして、都民や事業者によく広く知っていただくようにすることが重要でございます。都の見解を求めます。

○内田雇用就業部長 国では事業主の措置を中心に法制化が検討されていることに対しまして、都の条例案は、事業主に対応を求めるだけでなく、顧客に禁止を働きかけ、サービスを受ける側も提供する側も対等であり、互いに尊重すべきという理念を浸透させることを目指しておりまして、こうした点に重点を置いたPRを進めます。

○大松委員 一方、法制化はしておりませんが、厚生労働省が企業向けに示した対応マニュアルともいうべき指針がございます。
 この国の指針と都の条例の内容に矛盾があれば、事業者が条例に基づいて防止対策を講じるに当たって混乱が生じてしまいます。むしろ、指針に加えて、条例が制定されることによって、カスハラ防止効果が一層高まるようにしなければならないと思います。
 こうした観点から、条例と国の指針等との関係について見解を求めます。

○内田雇用就業部長 国は、パワハラについて定めた指針において、カスタマーハラスメント防止に必要な体制整備や、被害者への配慮などを事業主に推奨しております。
 今回提出した条例案は、この指針を踏まえた内容を事業者の責務として求めることで、法的な根拠を強めるものでございます。
 加えまして、自社の社員がカスタマーハラスメントを行わないことや防止手引を作成することなど、国が推奨する取組より広い内容を求めております。
 今後、国のマニュアルとも整合を図りながら、都条例を解説する指針等の作成を進め、国と都、双方の取組の効果を高めてまいります。

○大松委員 国が指針で示している事項については、条例が法的な裏づけを与えて、国が指針で示していない内容については、条例が新たに求めていくということでございます。この国の法制の隙間を埋めて、働く人を守る対策を強化するものであるということもよく周知をして、条例に対する都民の理解を広げていっていただきたいと思います。
 国の指針と都の条例の関係性については、大変よく理解できました。その上で、次に、国が検討する法制化と都の条例との整合性も図っていかなければなりません。この点につきまして、都の見解を伺います。

○内田雇用就業部長 都の条例案は、事業主の取組を国の指針より広く設定しているほか、公務現場も対象とし、フリーランスや個人事業主、ボランティアなども働く人と捉えるなど、幅広い状況に対応できる内容としております。
 今後、法律において、都条例より強い内容または広い内容が規定されることになった場合は、見直し規定により対応したいと考えております。

○大松委員 第三次産業が全国で最も多く、顧客と従業員とのやり取りが多いのが東京都ですから、この条例は、国の法律よりも強く広くあることが重要でございます。
 また、都条例が国の法制を全て包含することで、この両者の関係がシンプルになりますし、整合性を取りやすくなると思います。
 今後、国で法改正が行われた場合も、法よりも強く広い条例として機能するように対応していただくことを要望しておきます。
 代表質問では、公明党の質問に対し、国や他の自治体との取組と相乗効果を発揮していくとの答弁がございました。国の法制化や指針と都の条例の関係については、先ほど答弁を、見解を伺いましたけれども、代表質問で答弁していただきました国の取組との相乗効果について見解を求めます。
 また、全国初の条例になりますが、他の自治体への波及効果についての都の見解も求めます。

○内田雇用就業部長 都の検討会議は、オブザーバーとして国が参画する体制としており、国の委員からは、直近の動向などが紹介されるほか、事業者の支援や消費者への周知の点で都に期待したい、労働行政では届かない部分に力を合わせたいなど、条例に期待する意見がございました。
 都内の区市町村からは、都と連携し、統一感のある普及啓発をしたいなどの意見が多く寄せられておりまして、都外の自治体からも問合せをいただくなど、カスタマーハラスメント防止に向けた機運が高まっているものと考えております。

○大松委員 国や都内外の自治体から、連携して取り組みたいとの声があるということでございまして、都が条例化の先陣を切るインパクトは非常に大きいということであると思います。
 ぜひ、国や他の自治体とも連携を図りながら、カスタマーハラスメント防止のうねりを全国に広げていっていただきたいと思います。
 次に、罰則について質問します。
 カスタマーハラスメントが深刻な現場からは、罰則があればいいのにと、こうした切実な声が多く聞かれまして、先日の代表質問でも答弁をいただきましたけれども、この条例には、なぜ罰則がないのか、罰則がなくて実効性はあるのかとの問合せの声が今も多く寄せられております。
 この条例への理解を広げるためには、この点について、特に丁寧に説明をしていく必要があると考えます。改めて、都の見解を求めます。

○内田雇用就業部長 罰則については、刑罰の対象行為を厳格に定める必要があること、対象とならない行為が許されるという理解が広がる懸念もあること、刑罰は最も厳しい法的な制裁であり、それ自体は決して望ましいものではないことなどから、加害者の制裁ではなく防止の啓発に重点を置く条例案といたしました。
 具体的には、何人もあらゆる場においてカスタマーハラスメントを行ってはならないと強い表現で禁止をし、グレーゾーンも含め、幅広い行為を抑止してまいります。

○大松委員 そして、この条例に罰則はないんですが、罰則がなくても、より悪質な行為は刑法犯として検挙されますし、刑事罰が科せられる場合があること、そして著しい迷惑行為とみなされるようになる時間や回数についても具体的な目安を示していくこと、こうしたことが、条例の実効性を確保するためには重要であると考えます。
 この点につきまして、見解を求めます。

○内田雇用就業部長 条例の実効性の確保に向けましては、悪質な行為は刑法の刑罰の対象になることを周知するとともに、業界団体等が業種の特質に応じて対応を打ち切る時間や回数の目安を検討するよう促すなど、現場実態に即した効果的な対策が講じられるよう後押ししてまいります。

○大松委員 この罪刑法定主義、こうした観点から、罰則を設けることの長所短所を考えたということだと思いますけれども、条例には罰則はないけれども、悪質な行為には刑法が適用されるという、こうした土台がございます。
 その上に、禁止という表現で、顧客と従業員は対等な関係であり、お互いに尊重し合っていくという、気風というものをつくっていくということが重要であると思います。そのために、条例のこうした趣旨を丁寧に情報発信していくよう改めて要望しておきます。
 カスタマーハラスメントとみなされる目安となる時間や回数については、許容されるラインが業種によって異なってまいりますので、それぞれの現場ごとに議論が進むよう支援をしていただきたいと思います。
 その上で、違法行為の疑いがある場合は、ためらわず警察に通報する、告訴、告発すること、そして不法行為には賠償を求めることが重要であるということも周知をしていかなければならないと考えます。
 この点につきまして、見解を求めます。

○内田雇用就業部長 カスタマーハラスメントは、行為によっては傷害罪、強要罪、名誉毀損罪などの犯罪に該当する可能性があり、被害者による告訴や第三者からの告発が可能でございます。
 また、権利の侵害や損害の発生に対しては、民事上の責任追及も想定されます。
 こうした手段につきましても、指針等において積極的に周知をしてまいります。

○大松委員 お客様の中には、認知機能の障害などが原因で、その行為がカスタマーハラスメントと誤解されやすい方もいらっしゃいます。従事者にとりましては、顧客の権利を侵害しないように、難しい判断が迫られる場合があります。
 一方、介護の現場では、高齢の利用者やその家族からの暴言や威圧的な態度に苦しみ、どこまで我慢すればいいのかと悩んでいらっしゃる方も多いと伺っております。
 都は、高齢者や要介護者、障害がある方からの言動に悩まれている介護従事者など、様々な立場の方々に条例について理解していただけるように、丁寧に説明をしていくべきであります。
 この点につきまして、見解を伺います。

○内田雇用就業部長 条例案においては、顧客等による著しい迷惑行為を禁止する一方、適用上の注意として、顧客等の権利を不当に侵害しないよう留意することを求めております。
 この顧客等の権利には、障害者差別解消法や認知症基本法などに規定する権利が含まれ、障害がある方や認知症の方が合理的配慮を求めることが軽んじられてはならないと考えております。
 こうした考え方を指針などにより周知し、互いに対等の立場に立ち、尊重し合うことの重要性を啓発してまいります。

○大松委員 合理的配慮はどこまで対応すべきなのかなど、現場で悩まれている方々には丁寧に対応をしていただけるようにお願いをしたいと思います。
 次に、条例で守られる人の範囲について質問します。
 第二条では、就業者について、都内で業務に従事する者とし、事業者の事業に関連し、都の区域外でその業務に従事する者を含むと規定されております。
 第二回定例会での代表質問では、公明党の質問に対し、SNSによる被害についても防止できるよう検討する旨の答弁がありましたが、インターネットを使って仕事をする人も対象となることをきちっと伝えていくべきであります。
 また、都の区域外でその業務に従事する者とは具体的にどのような状況を指すのか、併せて見解を伺います。

○内田雇用就業部長 動画配信サイトなどを活用して業務を行う人は、都内で働いているなど条例の要件を満たせば適用対象となり、条例の要件を満たすか判別が難しい場合でも、こうした方への著しい迷惑行為は慎まれるべきでございます。
 また、事業者の事業に関連し、都の区域外でその業務に従事する者とは、都内の事業所に勤務する人が一時的に都外でテレワークをする場合などを想定しております。
 こうした考え方を指針において分かりやすく記載し、発信してまいります。

○大松委員 本来、法律があって、全ての自治体で禁止されるということが望ましいわけでありますけれども、都内外にこだわらず、東京に影響するあらゆるケースに対応をされようとする都の姿勢について、評価をしたいと思います。
 次に、公務の現場においては、職員がカスタマーハラスメントにより心身に不調を来し、人手不足に拍車をかけていることが指摘されています。
 警察、学校など様々な現場の職員、議員、住民や有権者など、公務サービスに関わる様々な当事者が互いに尊重し合い、加害者にも被害者にもならないよう条例で後押しすることが期待されますが、都の見解を伺います。

○内田雇用就業部長 条例案は、公共サービスに従事する人や政治分野の活動に従事する方も含め、全ての働く方に対するカスタマーハラスメントを防止することを目的としております。
 一方、公選による議員や候補者に関するハラスメントの問題に関しましては、政治分野における男女共同参画推進法に基づき施策が推進されるなど、個別法で対応が図られている領域もございます。
 こうした各種の個別法が適切に適用されることを前提としつつ、法律が届きにくい部分も含めて、働く人に対するハラスメント全てに条例で禁止の網をかけ、防止の啓発に取り組むことにより、幅広い現場の就業環境の向上につなげてまいります。

○大松委員 国も参画する検討会で様々な角度から議論があり、全国に先駆けた条例として最大限の対応をしていくことが確認できました。条例の実効性は、業種ごとの取組がいかに広がっていくかにかかっていると思います。
 都には現場に寄り添った支援を求めまして、質問を終わります。

○白石委員 日本共産党の白石です。よろしくお願いします。
 私から、補正予算案について質問したいというふうに思います。
 長引く物価高騰により、都民の暮らしと中小企業の営業の深刻さは増しております。
 二十三区の八月の消費者物価指数は、三十六か月連続で上昇しております。実質賃金は過去最長となる二十六か月連続マイナスとなりました。八月は二十七か月ぶりにプラスになったものの、プラスへの転換はボーナスの影響が大きく、これからも続くかは見通せないと、このような報道もされております。
 その下で、都民、事業者を守るため、家計の負担軽減を図るとともに中小事業者への支援を緊急に行うために、総額三百七十七億円の補正予算案が第三回定例会に提案をされたところです。
 まず最初に伺いたいんですが、そのうち十一億円が計上されている中小企業特別高圧電力・工業用LPガス価格高騰緊急対策事業、これについて伺いたいと思います。
 基本的なことなんですけれども、この事業は、どういう考え方、目的で、どのような支援を行う事業か伺いたいと思います。

○山本産業政策連携促進担当部長企画調整担当部長兼務 本事業は、特別高圧電力やLPガスの料金の水準が依然として高止まりの状況が続いており、エネルギー価格高騰等への対応として、これらを使用する中小企業等のコスト負担を軽減するため、直接、事業者に対して支援金の給付を行うものでございます。
 金額につきましては、中小企業等のコスト面の負担感を和らげることができる一定の額を定めて給付することとしてございます。

○白石委員 今ご答弁ありましたけれども、質問をつくる際に説明も改めて受けました。担当の方にも受けましたが、もともと国が、支援の対象となる中小企業の資料については出せないと、こういうふうなことをする中で、都として、対象となる中小業者がどこに存在して、どのぐらいあるのかというのを調べるのはとても大変だと、難しいとしていました。
 これは他県も同様に苦労しているということなんですね。その中でも、皆さん、小売電気事業者を通じて施設オーナーにテナントへの周知協力を依頼したり、また、工業用LPガスの販売事業者を通じて販売先の事業者へ周知するなど、行っております。対象となる全ての中小企業に周知して事業を受けてもらいたいと、こういう皆さんの姿勢が、今回、資料要求もしてありましたけれども、着実に実績件数が伸びていると、こういう結果も出ております。
 エネルギー価格が高騰する中で、中小企業の電気やガスの負担を減らすために直接支援する大事な取組だというふうに思いますので、引き続き、この支援事業の周知を広げて、周知をどんどん広げて、対象となる中小企業全てが支援を受けられるように力を注いでいただきたいというふうに思います。
 次に、もっと!暮らし向き向上緊急サポート事業について質問を進めたいと思います。
 この事業は、QRコード決済によるポイント還元です。
 そもそもQRコード決済とは、専用のスマホアプリを使って、バーコードやQRコードを経由して行う決済手段だと思います。いわゆるキャッシュレス決済の一種だと思います。スマホさえあれば決済が完了するため、急速に利用する人が増えているというふうに思いますね。
 都のQRコード決済の対象となる決済事業者は、有名ですけど、ペイペイ、それから楽天ペイ、auペイ、d払い、この四社だと思います。キャンペーン期間中に都内の対象店舗において、対象のQRコード決済を行うと、決済額の最大一〇%、上限は三千円相当だと、このポイント還元がされる事業だということです。
 基本的なことを、まず初めに伺いたいと思います。
 QRコード決済を通じてポイント還元するこの事業は、どういう目的で実施をするのか、また、どのような効果を期待しているのか伺います。

○池野産業企画担当部長DX推進担当部長兼務 本事業は、経済に好転の兆しも表れている一方で、価格高騰による都民生活への影響が長期化する中、賃上げと個人消費の拡大による経済の好循環に向け、都民の生活を支援するとともに、消費を下支えし、経済を活性化するため、緊急的な取組として実施するものでございます。

○白石委員 物価高騰だと思いますが、経済の好循環をつくる上で必要なのが、今、答弁あったとおり、賃上げと個人消費の拡大が鍵だという認識が示されました。その認識は、私、本当に非常に大事な認識だというふうに思います。
 しかし、このポイント還元のキャンペーンは、賃上げ対策ではもちろんないですね。なので、今回の事業というのは消費を喚起する対策であると。つまり、消費者にお金を使ってもらうキャンペーン、ポイント還元セールです、簡単にいえば。
 改めて確認したいと思いますが、例えばペイペイなどを利用していない都民は、このポイント還元の恩恵は受けられるのかどうかお聞きします。

○池野産業企画担当部長DX推進担当部長兼務 本事業は、QRコード決済を利用する方に対し、ポイント還元を行うものでございます。
 なお、本キャンペーンを契機として、新たにQRコード決済の利用を考えている方々に対しては、専用ウェブサイトにて、多くの方から問合せが想定される質問に対する回答を分かりやすく掲載するとともに、本事業の実施に当たり立ち上げるコールセンターにおいても、決済事業者と連携しながら、丁寧な案内を実施してまいります。

○白石委員 部長、私が聞いたのは、キャンペーンの案内の仕方について聞いたんじゃないんですね。質問をよく聞いていただきたいと。
 要するに、ペイペイなど、QRコード決済を利用していない人は恩恵を受けられないんじゃないんですかというふうに聞いております。イエスかノーかでお答えください。

○池野産業企画担当部長DX推進担当部長兼務 繰り返しの答弁になり恐縮ですが、本事業は、QRコード決済を利用する方に対し、ポイント還元を行うものでございます。

○白石委員 要するに、はっきりいえばいいじゃないですか。QRコードを使っていない、利用できていない、そういう都民とかそういう人たちには恩恵はないんです。使わないとポイント還元、来ませんから。
 四つのQRコード決済を全て利用して、このキャンペーン中にやれば、十二万円分、四つの、先ほど、ペイペイとかauとかd払いとか楽天ペイとか、これを四つ全部駆使して、一決済事業者、QRコード決済で三万円上限を使って四つ駆使をすれば、十二万円分やれば、このキャンペーン期間中に使えば一万二千円分のポイント還元を受けられると。このキャンペーンでは、それをやれば最大の恩恵になりますよね。
 つまり、このポイント還元は、多く消費する人ほど大きな恩恵を受けるのがこの事業の最大の特徴であると。当たり前ですよね。逆にいえば、QRコード決済を利用できなければ、何の恩恵もないということです。
 物価高騰や負担増などにより、例えば三万円とか、あるいは四つ駆使して十二万円を期間内、前回、十二日間ぐらいしかなかったと思いますけど、今回規模を増やしていますので、そうはいったって、二週間、三週間で三万とか十二万を使えない人、いると思います。そもそもお金を使わなければ恩恵を受けられないわけですね。
 最も支援しなければならない、例えば低所得者や生活が苦しい人などがやっぱり取り残されてしまうと思うんです。
 小池知事、所信表明で何といったか。補正予算案の提案理由について、長引く物価高騰の影響に苦しむ都民や事業者の現状を見過ごすことはできませんと。見過ごせないんだと、小池知事、いったんですね。ところが、今回の補正予算全体を見ても、低所得者への物価高騰対策はありません。産労だけじゃなくて全体ですね。やはり不十分であるといわざるを得ないと思います。
 今回の事業の内訳を見ますと、ポイント還元事業費百三十九億円と、コールセンター設置や事業周知に必要な経費として約十一億円計上しています。前回よりも規模を一・五倍に増やして、総額で百五十億円となりました。それだけ規模を大きくするんですから、前回のときの総括がきちんとなされること、これが必要だと私は思うんです。
 そこで伺いたいと思いますが、前回ポイント還元事業を活用した利用者のうち、都民というのはどのぐらいいたのか伺いたいと思います。

○池野産業企画担当部長DX推進担当部長兼務 本年三月に実施したQRコード決済を活用したキャンペーンでは、期間中に延べ約一千五百三十一万人の方々にご利用をいただきました。このうち、都民の割合については把握してございません。

○白石委員 答弁あったとおり、千五百三十一万人の方が利用されたと、延べ人数ですけれども。どれだけの都民が利用したのかは把握していない、分からないということでした。
 では、続いて伺います。
 前回ポイント還元事業のこの事業効果というのは、都はどう分析をしているのか、検証しているのか伺います。

○池野産業企画担当部長DX推進担当部長兼務 本年三月に実施したキャンペーンでは、約三十五万五千店舗が参加し、対象となったQRコード決済を利用した人数の合計は、前月比約一・二倍の延べ一千五百三十一万人、実施期間中のQRコード決済額の合計は、前月比約一・五倍の約九百八十七億円となってございます。
 また、アンケート調査の結果においても、生活応援につながった、消費喚起や経済活性化につながったなど、利用者及び事業者ともに好意的な意見が多く寄せられており、経済活性化の効果があったものと認識してございます。

○白石委員 今、聞きますと、結構ばら色のようなことを、ちょっと私も印象を受けました。一つ一つ確認していきたいと思います。
 今の答弁で、QRコード決済額が前月比の約一・五倍、何と約九百八十七億円と、ポイント還元セールをやったことで、今の答弁、こんなに効果があるんだという趣旨の答弁がされました。
 確認したいんですが、それはキャンペーンに参加したまち中のお店や店舗の売上げが増えたと、そういうことでしょうか。

○池野産業企画担当部長DX推進担当部長兼務 売上げの増加額ではなく、QRコードの決済額が増えたということでございます。

○白石委員 今、答弁ありました。売上げじゃないんですね。決済額が増えたんだということなんです。ここ、間違っちゃいけないんです。
 あたかも、そのキャンペーンに参加した商店や店舗の売上げが一見、一・五倍に増えたんじゃないかというふうな印象に聞こえるんですけど、実際違うんです。決済額が増えたと。要するに、これを見ますと、キャンペーンによって、ふだん現金で買っている人がQRコード決済を使ったということも多分あるでしょうと。
 そこで、もう一点伺いたいと。だったらですよ、まち中のお店などの利益や売上げがポイント還元によってどうなったのかと、こういう調査というのはされているのでしょうか。

○池野産業企画担当部長DX推進担当部長兼務 前回実施した事業におけるアンケート調査の結果では、消費の喚起や経済の活性化につながったと思うとの回答が約八割、客数や客単価の維持、増加に貢献したとの回答が約七割となるなど、おおむね好意的な評価をいただいているところでございます。

○白石委員 部長、よく聞いてほしいんですけれども、まち中のお店や、それから店舗とか、こういうところがQRコードの決済をやって、どれだけ利益や売上げがポイント還元によって上がったのか、横ばいだったのか、どれだけだったのか、効果がどうだったのかという調査がされているのかどうなのかというのを聞きたいんです。いかがでしょうか。

○池野産業企画担当部長DX推進担当部長兼務 本年三月に実施したキャンペーンでは、約三十五万五千店舗が参加いたしまして、対象のQRコード決済を利用した人々の合計は、前月比約一・二倍の延べ一千五百三十一万人となってございます。実施期間中のQRコード決済額の合計は、前月比約一・五倍の約九百八十七億円となってございます。
 また、事業実施に伴い行ったアンケート調査においても、生活応援につながった、消費喚起や経済活性化につながったなど、利用者及び事業者ともに好意的な意見が多く寄せられており、経済活性化の効果があったものと認識をしてございます。

○白石委員 繰り返しの答弁、ありがとうございます。つまり、商店街の商店や小売店などがどうなったかは調べていないんです。
 分かったのは、決済額が一・五倍に増えたというんですね。つまり、ペイペイなどの決済事業者の利益が増えたということだけは明確なんです。決済額ですから、一・五倍になっていますから。
 さらに、先ほどの答弁で繰り返しましたアンケートの声です。好意的な意見が多く寄せられたと答弁されました。ポイント還元を受けた人に聞けば、そういう声が出てくるのは、私、当然だと思うんです。だって、還元を受けているんですから。むしろ、使えなかった人にどうして使わなかったのか、QRコード決済を導入していない事業者になぜ導入しなかったんですか、できないんですかというのを私は聞くべきだと思うんです。
 さっきのアンケートというのは、使った人に対してしたアンケートでしょう。それはポイント還元されれば、助かった、これは当たり前だと思うんです。だけれども、やっぱりやるべきは、さっきいったように、使った人と使っていない人は明確に恩恵を受けるのが違うわけですね。QRコード決済を使っていなければ恩恵を受けないわけですから。そういう人たちに何で使えなかったんですか、事業者でも導入、なぜできないんですかと、本来聞くのが、私はこの調査の在り方だと思うんです。
 お聞きします。アンケート調査では、キャンペーンを受けなかった人、先ほどの声の中に、QRコード決済を導入していない事業者、こういうところにも聞いたのかどうなのか、お答えください。

○池野産業企画担当部長DX推進担当部長兼務 物価高騰による都民の暮らしに係る実態調査は行ってございませんが、都内の中小企業を対象に景況等に関する調査は毎月行ってございます。

○白石委員 聞いていないということですね。キャンペーンの恩恵を受けられていない人には何も聞いていないと、調査の対象にもしていないということです。
 そもそも、QRコード決済を事業者が導入して商売をすれば、売上げの二%ぐらい手数料でかかるんです。ペイペイなどの決済事業者に支払わなければならないと。現金で買ったら、その分が丸々入ってきますけれども、このQRコード決済を使ったら、必ず売上げの二%、大体ですね、手数料でかかるわけです。
 だから、auペイ、ペイペイ、楽天ペイ、d払い、これ全部使っても、それぞれに手数料がかかるということになります。
 私、商店街のお店からも聞いたんです、どうですかと。先ほど結構、質問の中でも、確かに急速に増えているんです、このQRコード決済というのは。便利ですから、それはいいと思うんです。だけれども、事業者、お店の方はどうかと聞いたら、例えば小さいお店、そもそも利益率が数%というお店、結構あるんです。そういうお店が二%の手数料を取られちゃえば、利益なんかすっ飛んでしまうというふうな声が結構聞かれました。
 やはり、補正予算を組む際には−−私、QRコード決済を否定しているわけじゃないんです。やっぱり、こういう現場の声をちゃんと聞くべきだと、私は思うんです。実態把握をきちんとして、都民の暮らしや中小企業の営業を守る対策を検討する必要が、私はあるというふうに思います。
 そこで伺いたいと思います。これ、通告していますよ。物価高騰による都民の暮らしや中小企業の営業の実態調査は、今年何回行われたのか伺います。

○池野産業企画担当部長DX推進担当部長兼務 物価高騰による都民の暮らしに係る実態調査は行っておりませんが、都内の中小企業を対象に景況等に関する調査は毎月行ってございます。

○白石委員 補正予算に当たっては、やっていないわけですね。
 要するに、やっぱり補正予算を組むというのは緊急対策ですから、実態を把握して、どういう対策が必要なのか、しっかりつかむことが必要だというふうに思います。
 先ほどいったように、例えば、四つのQRコード決済を使えば、それぞれ手数料がかかるわけです、事業者からすれば。少なくとも、QRコード決済を導入している中小企業事業者が負担する手数料、これを都として補助して、こういう導入した中小企業も応援をする、そういう補正予算のメニューがあったって、私、いいと思うわけです。消費者だけじゃなくて。やっぱりそういうふうな観点で、私は補正予算を組むべきだったと。
 同時にQRコード決済というのは、BツーCの関係ではできるわけです。ただ、BツーB、企業と企業との取引というのは、QRコード決済はほぼないわけです、現金なわけですね。こういうところには、こういう事業者には対象にならないというふうなこと、やっぱりそういうふうな視点もしっかりと踏まえて、全ての中小企業、それから都民、消費者を対象にした、今、緊急対策が、私は本当に求められていると思います。
 商店街から声がありました。プレミアム商品券の実施を求める声が上がっております。この声を東京都としてはどう受け止めるのか伺います。

○池野産業企画担当部長DX推進担当部長兼務 様々な要望があることは承知してございますが、本事業は、消費の喚起などを速やかに行うために、民間のQRコード決済のポイント還元の仕組みを活用して実施するものでございます。

○白石委員 現場の実態に寄り添った物価高騰対策を行わなければ、やっぱり一過性のもので終わってしまうという危険性もあります。
 QRコード決済だって、例えば、キャンペーン期間中は、確かに利用者は増えるかもしれない。ところが、これが駆け込み需要だった場合、どうかと。終わった後に、また、元に戻ってしまうということだって、私はあり得ると思うんですね。だから、継続した調査、検証が必要だと思います、具体的に。
 それから、先ほどいったように、なぜ使えなかったのか、利用できなかったのか。事業者にとっても、どうして導入できなかったのかと、やっぱりこういうところにまでしっかりと東京都が目を配り、実態を把握して、しっかりと支援、応援をしていくというのが、私は必要だというふうに思います。
 それと、先ほど、一番最初に認識を示しましたが、この長きにわたる物価高騰で、都民の暮らしも疲弊している、中小零細企業だって倒産が相次いでいると。そういう中で、東京都としてちゃんと認識を示したのは、賃上げとセットでやることが大事なんだと、やっぱりこの認識が大事なんです。
 だから、私、今回、物価高騰対策で賃上げもセットでやるべきだったと。そういう地に足のついた物価高騰対策や経済の好循環、これをやらなければ、結局、今の、やっぱりこういう状況を抜け出すことができないと。その力を持っているのが、私は東京都であるというふうに思っています。
 小池知事は、先ほどもいいましたが、長引く物価高騰の影響に苦しむ都民や事業者の現状を見過ごすことはできないと、このようにいったんですから、やっぱり見過ごすような対策だけでは不十分だと。しっかりと、やっぱりこの補正、拡充をしていただきたいというふうに改めて申し述べまして、質問を終わります。

○中田委員 よろしくお願いします。質問も最後となりました。長時間になっておりますが、よろしくお願いします。
 私の方からは、産技研についてと、先ほど来出ている百五十億のQRコード決済について質問をさせていただきます。
 まず、産技研の質問をさせていただきます。
 令和五年度の業務実績評価を読んでいると、全体評価の中でも、改善・充実を求める事項で、他の中小企業支援機関との連携強化を産技研としても求めているが、これまでどのような連携を図ってきたのか、そしてまた、今後どのように取り組んでいくのかというところを、まずお伺いをさせていただきます。

○阿部商工部長 都産技研では、東京都中小企業振興公社や金融機関等と連携して、中小企業の技術支援に取り組んでおります。
 今後は、今回の評価結果を基に、都産技研において効果的な連携について検討してまいります。

○中田委員 産技研の質問は先ほど来、様々出てきている中で、いろんな技術支援をしていったりとかしているというところを聞いてきましたが、その中でも相談実績がこの報告書の中では減っているというような数字が出ています。
 六万一千三百四十一件あったのが五万九千件に、二千件超減っているというところですが、この理由について伺わせてください。

○阿部商工部長 都産技研の城東支所の改修工事による休館の影響などによりまして相談実績は減少しておりますが、依頼試験及び機器利用の件数は令和四年度を上回っておりまして、中小企業に対する技術支援は着実に遂行しております。

○中田委員 相談件数は減っているけれども、機器利用件数などは増えているから、ちゃんとできているというところでした。
 城東支所は、今、改修工事のため閉鎖されていますが、その間の対応というのはどのように取っているのか伺います。

○阿部商工部長 城東支所の休館中は、本部やほかの支所等で技術支援業務を行っております。

○中田委員 ほかのところで受け付けているというところで、相談件数が減っているのも正直気になるところではありますけれども、しっかりと相談が受けられる体制づくりをしていただき、中小企業の支援をしっかりしていただければというところを、まず要望させていただきます。
 その中で、情報発信、これも先ほど来、質問に出てきておりますけれども、この報告書の中を読んでいると、ユーチューブ、また旧ツイッターのX、ともにチャンネル登録数やフォロワー数というのが全く増えていないというような状況が書いてあります。
 この状況をどのように評価をしているのか伺います。

○阿部商工部長 都産技研では、動画共有サイト、SNSを活用するとともに、noteやウェブサイト、刊行物などの広報媒体、主催する研究発表会等の各種イベントを通じて、中小企業などに対する情報発信に努めております。

○中田委員 いろんな媒体を使って情報発信しているというところでしたけれども、やっている以上は、効果ある使い方などしていただくよう、その辺も研究、改善していただければと思います。
 この後、項目別評価についても伺おうと思いましたが、先ほど来、質疑が出ておりますので、この評価については、引き続き向上できるよう努めていただくことを要望させていただきまして、産技研についての質問は終わりとさせていただきます。
 続きまして、こちらもずっと、先ほど来出ておりますけれども、QRコード決済の補正予算の事業について質問をさせていただきます。
 事業の目的、狙い等は先ほど来出ておりますけれども、ちょっと改めて確認をしたいんですけれども、この補正予算のもっと!暮らし向き向上緊急サポート事業というのは、物価高騰対策なのか、それとも事業者向けの支援策なのか、それとも都民向けの事業なのか、ここについて改めてご回答いただきたいと思います。

○池野産業企画担当部長DX推進担当部長兼務 本事業は、物価の高騰が続いていることを踏まえ、QRコード決済を活用したポイント還元を行うことで、都民の生活を支援するとともに、消費を下支えし、事業者の収益向上につなげて経済を活性化するため、緊急的な取組として実施するものでございます。

○中田委員 今ご答弁ありました。結局、三つとも、この事業でやっていくというご答弁だったと認識をしました。
 そうなると、都民の生活を支援するというところであれば、やはり、この事業は都民に限定して行っていくべきではないかと思うんですけれども、その点いかがでしょうか。

○池野産業企画担当部長DX推進担当部長兼務 物価高騰の影響が長期化する中、都民の生活を支援し、消費を喚起するとともに、都内事業者の収益向上につなげるためにも、緊急的な取組として実施するものでございます。

○中田委員 その前に聞いた答えとほぼ同じような答えが返ってきているんですけれども、今、話の中にあった都内事業者の収益向上につなげるというところで、地域の経済の活性化というところに、今度、観点を置くと、やはり大規模店舗等で電化製品とかを買うということよりも、やっぱり地域の商店街とかにこういう補助金、経済活性化の好循環というのを生んでいかなきゃいけないと思うので、地域の小規模、中規模の店舗等に限定して、こういう支援策っていけないのか、こういうところでしか買物ができないようにということはできないのか、ちょっと伺わせていただきます。

○池野産業企画担当部長DX推進担当部長兼務 本事業では、身近にある店舗で幅広く活用できるよう、様々な業種や規模の企業を対象とすることで、消費喚起と都内事業者の収益向上の効果を高めることができるよう考えてございます。

○中田委員 いろんな消費行動をする人たちがいるので一概には多分いえないと思いますけれども、ポイントがつくからといって、じゃあ飲食、いつも四千円の飲食している人が八千円の飲食するかというと、そういう行動を取る人よりは、この機に家電製品を買い換えて三千円のキャッシュバックを受けようという人の方がやっぱり多いのかなというのが消費行動として考えられるんですけれども、これというのは、やっぱり今の答弁を聞いていても、地域経済や商店街、その地場の活性化というのが目的ではなく、経済を回していく、どんなところでもいいから買物をしていく、そういうところが主目的ということでよろしいでしょうか。

○池野産業企画担当部長DX推進担当部長兼務 本事業は、都民の消費を喚起し、都内事業者の収益向上につなげて、都内の経済活性化を図るものでございます。
 このため、商店街を含め、身近にある店舗で幅広く活用できるよう、様々な業種や規模の企業を対象としてございます。

○中田委員 先ほど来、ここについて何回も聞いてきていますが、やはりこの事業は、いろんな目的が入り過ぎていて、ごちゃ混ぜになって、本当に何が目的なのかというところが正直あんまり見えないなというところがあります。
 都民の生活を下支えすることが目的なのか、それとも物価高騰を抑えるのか、それとも経済を回すのか。そこはやっぱりしっかりと目的を持って取り組んでいただきたいというところもありますし、先ほど来、質問が出ている中の回答の中で、消費支出が年間で最も高まる十二月を実施時期にするといいましたけれども、ただでさえ消費が伸びる十二月にこの事業をやっても、経済がそれ以上に回るかというと、そうではないのかなと。消費が落ち込んでいるときにこれをやるのであれば、消費を喚起して上げていくという理由はよく分かるんですけれども、年間で一番やっぱりお金を皆さんが使いたがるこの十二月に行っても、そこまでの効果が得られるのかというところも一つ疑問があります。
 そして、これもいろいろと出てきましたけれども、前回のやっぱり検証というところが一つポイントになってくるのかなと思います。
 その中で、前回のこのキャンペーンをやったときのそれぞれのキャリアごとの決済額、どれだけの収入が、先ほど四キャリアの名前が出ていましたけれども、そのキャリアごとのどれくらいの収入がキャリアごとに決済額があったのか。また、利用者の分布、都民なのか都外なのか。また、店舗の分布、小規模の商店街で使っている人が多いのか、それとも大規模店、先ほどいった電気屋さんとか、そういうような大きな商業施設で使っている人が多いのか、その辺の分布について教えてください。

○池野産業企画担当部長DX推進担当部長兼務 前回実施した受託事業者と各決済事業者とで締結している秘密保持契約により、各決済事業者の売上げ等は、経営上の内部情報に当たるため、非公開の扱いとなってございます。また、利用者の分布に関する統計資料はございません。さらに、店舗の分布については、都内各地で幅広く、約三十五万五千店舗が参加してございます。

○中田委員 秘密保持契約を結んでいるという話が出てきましたけれども、民間同士の契約であればまだ話は分かるんですが、税金が投入されている以上、どれだけの税金がその会社に入っているのかというのはやっぱり公表してもらわないと、どうだったのか効果検証も私たちも見ることができないですし、前回選んだ四キャリアが本当にその四キャリアでよかったのか、次の選ぶ四キャリアが、また五キャリアがそれでいいのかとかという判断というのが一切つかなくなってしまいますし、その分布についての統計資料はないという話でしたけれども、やっぱりそういうものも税金が投入される以上、事業者に出してもらうように求めてもらわないと、今後の検証ということが全くできなくなってしまうと考えておりますので、その辺しっかりと、今回やる事業については事業者に求めていただきたいと思います。
 その中で、先ほど来もありますけれども、QRコード決済が一・五倍になったと、効果があったというような話がありますけれども、この間の同じ時期の現金決済、現金を払う人がQRコードに替わっただけなのか、それとも全部が伸びているのかと、やっぱりこれが分からないと効果があったということはいえないと思うので、改めて現金決済の状況というのはつかんでいますでしょうかお答えをください。

○池野産業企画担当部長DX推進担当部長兼務 前回の実施期間中の都内における現金決済金額に関する統計データはございませんが、アンケート回答者のうち、八割を超えるキャンペーン利用者から、キャンペーンは都民の生活を応援することにつながったとの回答を、約七割の事業者から、店舗の客数や客単価の維持、増加に貢献したとの回答を得てございます。

○中田委員 そのアンケートの話も出てきましたけれども、やっぱり使った人にアンケートを取っても、よかったよ、ポイントもらえてと。いや、こんなポイント要らなかったという意見を出す人の方が、私、不思議でしようがないというか、ひねくれている人なんじゃないかと思っちゃうんです。
 ただ普通にいつも買物するときにポイントがいっぱいついてくれば、それは誰だって喜ぶわけであって、やっぱりそういうようなアンケートの取り方というのはちょっと間違っているんじゃないのかな、この効果を測る上で。利用した人にどういうのがよかったかというアンケートを取ることも必要ですけれども、効果検証する上では、このアンケートの取り方はやっぱり間違っているかなと思います。
 その中で、このアンケートの取った中で批判的な意見って、ちなみにありましたでしょうかお答えをください。

○池野産業企画担当部長DX推進担当部長兼務 前回キャンペーン実施後に行ったアンケートでは、十分な予算額の確保への要望や、早期終了に関する十分な周知期間の確保に対する要望などの声をいただいてございます。

○中田委員 予算が足りなかったという批判的な意見というところで、やっぱりアンケートは、もう無作為に、そもそもこの事業を使いましたか、使っていませんか、じゃあ使わなかったのはなぜですかというようなアンケートの取り方をしていかなければ、本当にこの事業がどれだけの都民の人に行き渡っていて、どれだけの効果があったというのは測れないと思うので、そういうような効果検証というのを、今後やっぱりやっていただきたいなというようなところがあります。
 その中でも、やっぱり都民の生活を下支えする、このキャンペーンというのは、原資を持っていて買物ができないと、そもそもポイントがキャッシュバックされないと。ペイペイとか使うにもチャージができないと、チャージできる原資がないと使えていかないというところで、そういうお金がない、やっぱり困っている、今のこの格差が拡大している中で、やっぱり福祉的観点というところもしっかり持って補正予算というのは組んでもらわなきゃいけないと思っているんですけれども、その点、産業労働局なので聞くこともなかなかあれですが、福祉的観点というところも含めた上で成果を期待していく必要性というのがあると思いますけど、どのようにお考えでしょうか。

○池野産業企画担当部長DX推進担当部長兼務 本事業は、物価高騰が続く中、経済を活性化させる狙いで消費を喚起し、事業者の収益向上につなげることが必要であるため実施するものでございます。

○中田委員 今、事業の、また説明いただきましたけど、今度は都民の生活を下支えというところが抜けたというところも、やっぱり事業者の収益向上につなげるという、経済を回すというところがやっぱり大きな目的なのかなというところを改めて思いましたけれども、また、この事業は前回と今回で大きく違うところでいうと、今回は、都民の都税が一〇〇%で事業を行うというところです。
 前回は国からの補助金が入って行われたので、その際に、例えば、千葉県の人が使えたり埼玉県の人が使えたりというところもやむなしなのかなというところを思いましたけれども、今回は都民の税金一〇〇%で行うというところで、都民に還元というキャッシュバックというのが入っていかないとやっぱりおかしいんじゃないのかなと考えるんですが、その点、産業労働局としては、どのようにお考えでしょうか。

○池野産業企画担当部長DX推進担当部長兼務 本事業は、都民の生活を支援するとともに、消費を下支えし、経済を活性化するために行うものであり、その目的は達成されるものと認識してございます。

○中田委員 じゃあちょっともう一回聞き直させていただきますけれども、今いった都民の生活を支援する、これというのは、都民にどれくらい入ったかも前回の事業で分からないと先ほど質問の中でもありましたけれども、どうやってこれが達成できていると、達成できる事業だといえるのかというのをちょっとお答えをください。

○池野産業企画担当部長DX推進担当部長兼務 本事業につきましては、前回実施時に事業者へ行ったアンケートでも、売上高の増加につながったとの回答を得ているところでございます。また、物価高騰に伴う家計の負担を軽減し、都民の消費を喚起するものでもございます。

○中田委員 ちょっと繰り返しになりますけれども、前回は国からの補助金があったので全員都民じゃなくてもいいかなというところもあったと伝えましたけれども、今回、都民の税金一〇〇%で行う以上は、やっぱり都民の皆さんにしっかり還元があるべき−−事業者の支援というのは先ほど来あって、事業者の地域経済活性化というところはもちろん都内事業者に限るから、もちろん都内の事業者がもうかればというところがありますけれども、やっぱりそれが都民にしっかりと還元されるという仕組みづくりというのをしっかりやってもらわないと、両方の、先ほどいった三つの目的には合致してこなくなってしまうと思うので、その辺のやり方というのはちょっとしっかりと考えていただかなければいけないなと思っております。
 先ほど、どなたかの質問でもありましたけれども、地域でも似たようなことというのを多分やっていると思います。いろんな区で、自分たちの地域通貨を持っていたり、また、いろんなキャッシュバックキャンペーンを使ってというところがありますけれども、そもそも東京都として、そういうところと連携をして、そこに補助金を出すという発想というのはなかったのでしょうかお伺いをします。

○池野産業企画担当部長DX推進担当部長兼務 本事業では、消費の喚起などを速やかに行うために、民間のQRコード決済のポイント還元の仕組みを活用して実施するものでございます。

○中田委員 速やかにといいますけれども、ほかの地域でも民間のQRコード決済を使って、各地域でいろんな事業を行っている中で、そういうところに支援していくということも発想の一部として持っていただいてやっぱり連携をしていただく。そうすることによって、地域でやっていることに関して、商店街に入っているとかという条件がついていたりするので事業者も絞られる、地域の人たちが使える、確実に都民の事業者、都民の皆さんに支援が行くというところを今後も考えてやっていただきたいと思っております。
 その中で、スマホが使えない人たちということに対して、支援策、窓口を設けるというような話もありましたので、その辺は丁寧にやっていただきたいと思いますし、やはり一番気になるところとしては、事業者がさらに手数料を取られてしまうと。
 先ほど、白石理事の質問でもありましたけれども、事業者が二%、また、それに近い手数料を決済ごとに取られていくと。先ほど、現金がどれだけ使われているかというのは把握していないといいますけれども、例えば一店舗で売上げがじゃあ二倍になるかと、これをやったことによって。一つの店舗が二倍になるなんていうことはほとんど多分ないと思うんですよね。伸びたとしても、数%伸びた。キャッシュレス決済が今まで半分だったのが、これで七〇%、八〇%になっちゃったと。そうすると、やっぱり経営をどんどん、ちっちゃい小規模の店舗については悪化をしていく、手数料が取られていく。
 特に、このQRコード決済とかというのは、その日に、次の日にお金が振り込まれるとかというわけではないので、早期振込をしてもらうとやっぱり手数料をさらに取られたりとか、なかなか自分の手元にお金が来なくて、あしたの仕入れ、どうしようと。やっぱり、そういうところの事業者の支援というのも、しっかりと目を向けてもらいたいというのがあります。
 繰り返しになりますけれども、やっぱり事業者をしっかりと絞っていただく、地域にしっかりと支援策が届く、そして都民に届く、そういうようなところに視点を持っていただき、まだ事業者選定もこれからだと思いますので、そういうような注文をつけた上でやっていただきたいということを要望させていただきまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○古城委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○古城委員長 異議なしと認め、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で産業労働局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後六時十分散会