経済・港湾委員会速記録第十五号

令和五年十二月一日(金曜日)
第八委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長古城まさお君
副委員長平けいしょう君
副委員長大松あきら君
理事中田たかし君
理事ほっち易隆君
理事白石たみお君
竹平ちはる君
星  大輔君
入江のぶこ君
藤田りょうこ君
白戸 太朗君
三宅 正彦君
宮瀬 英治君

欠席委員 なし

出席説明員
産業労働局局長坂本 雅彦君
次長理事兼務松本 明子君
総務部長早川 八十君
産業企画担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長
DX推進担当部長兼務
池野 大介君
企画調整担当部長山本麻里雄君
企画調整担当部長飯野 雄資君
働く女性応援担当部長田代 純子君
商工部長山崎 太朗君
商工施策担当部長小西  拓君
金融部長福田 哲平君
金融支援担当部長原   郁君
産業・エネルギー政策部長阿部 泰之君
産業政策連携促進担当部長米澤 鉄平君
新エネルギー推進担当部長榎園  弘君
観光部長江村 信彦君
観光振興担当部長前田 千歳君
農林水産部長築田真由美君
安全安心・地産地消推進担当部長鈴木のり子君
雇用就業部長内田 知子君
事業推進担当部長新田 智哉君
港湾局局長松川 桂子君
技監片寄 光彦君
総務部長上林山 隆君
企画担当部長DX推進担当部長兼務石井  均君
調整担当部長千田  敏君
港湾経営部長野平雄一郎君
港湾振興担当部長三浦  知君
臨海開発部長松本 達也君
開発調整担当部長島しょ空港技術担当部長兼務福永 太平君
臨海副都心まちづくり推進担当部長大野 克明君
港湾整備部長村田 拓也君
計画調整担当部長山本 康太君
港湾計画担当部長港湾DX推進担当部長兼務水飼 和典君
離島港湾部長佐藤 賢治君
島しょ・小笠原空港整備担当部長渡邊 正也君

本日の会議に付した事件
港湾局関係
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・晴海ふ頭客船受入施設(仮称)(五)改築工事請負契約
産業労働局関係
事務事業について(質疑)
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・都立城南職業能力開発センター大田校(五)改築工事請負契約

○古城委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 初めに、本委員会の会期中の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、産業労働局関係の事務事業に対する質疑並びに港湾局及び産業労働局関係の第四回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取を行います。
 なお、本日は、事務事業については、資料の説明を聴取した後、質疑を終了まで行い、提出予定案件については、説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いますので、ご了承願います。
 これより港湾局関係に入ります。
 第四回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○松川港湾局長 令和五年第四回東京都議会定例会に提出を予定しております当局所管の案件の概要につきましてご説明申し上げます。
 今回提出を予定しております案件は、工事請負契約議案一件でございます。
 お手元の資料1、工事請負契約議案の概要をご覧ください。
 表紙をおめくりいただきまして、目次に記載しておりますとおり、晴海ふ頭客船受入施設(仮称)(五)改築工事の一件でございます。
 以上で令和五年第四回定例会提出予定案件の概要説明を終わらせていただきます。
 詳細につきましては、総務部長からご説明申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○上林山総務部長 ただいまの局長の概要説明に続きまして、工事請負契約議案の詳細についてご説明を申し上げます。
 資料1、工事請負契約議案の概要の一ページをご覧ください。
 晴海ふ頭客船受入施設(仮称)(五)改築工事でございますが、本件は、晴海ふ頭においてクルーズ客船を受け入れるための暫定的な客船受入施設を整備するものでございます。
 工事場所は東京都中央区晴海五丁目七番一号、契約の相手方は菊池建設株式会社、契約金額は九億九千八百八十万円、工期は令和七年二月二十八日でございます。
 契約の方法、入札回数、入札者数等は記載のとおりでございます。
 なお、二ページに案内図を、三ページに図面を掲載してございますので、後ほどご覧いただきたいと存じます。
 以上で、簡単ではございますが、令和五年第四回都議会定例会に提出を予定しております港湾局関係の案件の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○古城委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○古城委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
 以上で港湾局関係を終わります。

○古城委員長 これより産業労働局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い幹部職員に交代がありましたので、局長から紹介があります。

○坂本産業労働局長 先般の人事異動によりまして当局幹部職員に交代がございましたので、ご紹介させていただきます。
 観光部長の江村信彦でございます。商工施策担当部長の小西拓でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○古城委員長 紹介は終わりました。

○古城委員長 次に、事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○早川総務部長 去る十一月九日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の経済・港湾委員会要求資料の表紙をおめくりください。
 目次でございます。資料は全部で十三項目ございます。
 一ページをお開きください。政策課題対応型商店街事業につきまして、令和五年度の申請状況を内容別にお示ししてございます。
 二ページをご覧ください。二ページから三ページにかけまして、中小企業制度融資の過去十年間の目標と実績の推移をお示ししてございます。
 四ページをご覧ください。都内製造業の事業所数、従業者数、売上(収入)金額及び付加価値額につきまして、直近の調査結果として公表されている令和三年までの推移をお示ししてございます。
 五ページをお開きください。働くパパママ育業応援事業につきまして、直近五年間の実績をお示ししてございます。
 六ページをご覧ください。介護休業取得応援事業につきまして、直近五年間の実績をお示ししてございます。
 七ページをお開きください。女性・若者・シニア創業サポート事業につきまして、過去五年間の実績をお示ししてございます。
 八ページをご覧ください。都立職業能力開発センターにつきまして、過去五年間のデータをお示ししてございます。
 八ページが応募状況、九ページが職業紹介の実績及び就職率でございます。
 一〇ページをご覧ください。委託訓練につきまして、過去三年間の科目、委託先の定員、応募状況及び就職率をお示ししてございます。
 一一ページをお開きください。雇用形態別、男女別、年齢別の都内就業者数につきまして、直近の調査結果として公表されている令和四年までの推移をお示ししてございます。
 一二ページをご覧ください。内水面漁業の従業者数、主な魚種別漁獲量及び養殖量の推移をお示ししてございます。
 一三ページをお開きください。林業の就業者数の推移をお示ししてございます。
 一四ページをご覧ください。東京都への国外からの旅行者数につきまして、過去十年間の推移をお示ししてございます。
 一五ページをお開きください。水素ステーションの実績、供給台数、供給量につきまして、平成二十六年度以降の実績をお示ししてございます。
 以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○古城委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○入江委員 お願いいたします。
 まず、水産物の消費喚起について伺います。
 都では、日本産の魚などへの風評の懸念を払拭し、水産物の消費を喚起するため、食べて応援!海の幸キャンペーンを実施しています。国や民間でも様々な支援が行われておりますが、全国から魚介類が集まる東京で、大消費地として、速やかにこうしたキャンペーンに取り組むことは大変重要です。
 そこで、まず、今回の取組の意義と、その内容や規模について伺います。

○山本企画調整担当部長 都は、水産物に風評の懸念が生じる状況を踏まえ、その払拭と水産関連の事業者のサポートに結びつく迅速な対応が必要となることから、既定の予算を活用しまして、魚介類の消費の喚起の取組を行うことといたしました。
 具体的には、魚介類をすし店で食べたり、鮮魚店で購入し、QRコード決済を行った場合に、支払い額の三〇%、千円相当までポイントを還元することといたしました。
 ポイント還元に要する経費は、都内の市場規模や消費の実態などを踏まえまして三十億円を確保し、十月二十七日からキャンペーンを開始しております。

○入江委員 この取組の対象店舗なんですけれども、最初は都内のすし店と鮮魚店とされていました。
 都内には居酒屋のような形態で、すしを提供している店舗が多くあると、日本居酒屋協会からも伺いました。そこで、水産物の消費を一層喚起していく上では、幅広くキャンペーンが利用できるよう、より多くの店に参加していただくことが重要だとお伝えいたしました。
 これを受けて都は、取組を効果的に進めていくに当たり、水産物を扱う店舗が広く対象となるようにどのような工夫をしたのか、具体的な内容について伺います。その結果、どのくらいの店舗が参加しているのかも併せて伺います。

○山本企画調整担当部長 今回のキャンペーンで対象となる店舗につきましては、すしを提供するとともに、メニューの半分以上が魚介類を使用した料理である店舗とすることで、水産物を取り扱う飲食店がより多く参加できる仕組みといたしました。
 その結果、十一月末時点で一千六百八十九店が参加しておりまして、多くの方が利用しやすい状況となり、消費の喚起につなげられているものと考えております。

○入江委員 多くのお店に参加いただけるように都が工夫していただいたことが分かりました。こういった社会や経済の急速な変化に対して機を逸することなく必要な手だてを講じるということが、都政には求められていると思います。
 今回、小池都知事のリーダーシップの下、風評を抑えるキャンペーンを速やかに開始しました。そして、その効果を十分なものとするため、相応の規模での予算を活用し、柔軟に対応したことで、多くの水産関連事業者や飲食事業者の応援につながっていることを高く評価いたします。
 このキャンペーンは十二月八日までになりますが、残り一週間、しっかりと取り組んでいただくようお願いいたします。
 続いて、従業員の賃上げと生産性の向上の取組について伺います。
 コロナ五類移行後の需要回復に急速に対応しなければならない中小企業にとって、人材の確保は最重要課題です。特に、飲食などのサービス業においては、コロナ禍で需要が落ち込んだ際に人手を手放した事業者も多く、民間の調査によると、今年の六月時点で飲食店の約四割が人材不足に悩むなど、大変深刻な状況にあります。
 人材を確保する上で重要な取組となるのが、従業員の待遇改善、賃上げです。そのためには、人件費の原資を生み出すことが必要です。
 原材料価格の高騰や円安などで経営が逼迫する中においても、人への投資ができるよう、収益を確保するためには、デジタルを活用して生産性を高めることが効果的だと考えます。
 都は、デジタルを活用した設備などの導入を支援する事業において、中小企業の賃上げを後押しする仕組みを取り入れていますが、その内容について伺います。

○山崎商工部長 都は、生産性向上を目的としてデジタル技術を活用した設備やシステムの導入を行う中小企業を後押しする事業において、従業員の待遇改善に積極的に取り組む事業者への支援を充実しております。
 具体的には、専門家がデジタル化に向けた助言を行い、その実現に必要となる経費の二分の一を、三百万円を上限に助成をしておりますが、本取組の成果を計画的に従業員の収入の増加に結びつけ、企業の給与支給総額と事業所内最低賃金を一定額以上引き上げる場合は、その助成率を四分の三としております。
 今年度の本事業への申請数は、先週末時点で六十六社、そのうち二十四社が賃上げを計画しておりまして、食品製造業者が食品の仕入れ管理をシステム化して生産性を高める取組のほか、清掃事業者がビルメンテナンス業務の進捗をクラウド上で管理し事務を効率化する取組などの事例がございます。
 こうした取組を通じて、中小企業の従業員の待遇改善を後押ししてまいります。

○入江委員 飲食業界においても、配膳ロボットとかオーダーシステムなど、DX、スマート化の開発は進んではいるんですけれども、導入に至っていない店舗も多い状況です。デジタルの力で生産性を向上して、収益の改善を図り、生み出された原資を待遇改善につなげることで持続可能な経営が実現できると考えております。引き続きこうした取組に力を入れていただきたいとお願いいたしますし、また、来年度に向けてもぜひ実施していただければとお願い申し上げます。
 続いて、原油や原材料価格の高騰対策について伺います。
 昨年二月のロシアによるウクライナ侵攻に端を発した原油や原材料等価格の高騰は、今もなお中小企業の経営に深刻な影響を与えております。社会経済情勢の不確実性が増す中、日々刻々と変化する消費動向などに対応しなければならない中小企業にとって、原材料の仕入価格などの高止まりは大きな足かせとなっています。
 経営においては、毎年、コストを削減する取組とともに、自社製品の価格への適正な転嫁を行っていくことが求められます。
 都は、中小企業におけるエネルギーコストを減らす取組や、適正な価格転嫁に向けた支援を行っていますが、その内容について伺います。

○山崎商工部長 都は、原油価格高騰等の影響が続く状況を踏まえ、昨年の六月から、原油価格高騰等に伴う経営基盤安定化緊急対策事業を開始し、専門家を中小企業の現場に派遣して、固定費やエネルギーコストの削減につながる助言と、その実現に必要な経費への助成を行っております。
 今年度は、八月末までに専門家派遣の申請を受け付け、十月末までに延べ二百五十九回の派遣を実施し、百一社に対して約五億九千万円の交付決定を行いました。
 また、中小企業がコストの上昇を反映した適正な価格で取引ができるよう、適正な条件で取引を行う上で役立つ法律等の知識を学ぶセミナーにおいて、交渉方法のノウハウの提供も行いました。
 さらに、中小企業振興公社に民間の取引業務の経験が豊富な専門家を二名配置し、価格交渉に向けた準備や進め方等のサポートを行っております。
 これらの取組を進めることで、中小企業の経営を着実に下支えしてまいります。

○入江委員 省エネなどにより毎年の支出を抑えるとともに、適正な取引を行って安定的な収入を確保することは、中小企業の経営を維持する上で必須となる取組です。特に、受注側となることの多い中小企業が、きちんと原価を管理して、適正な価格を定め、発注側に対しての交渉力を高めていくことは大変重要だと考えています。
 中小企業からは、今回のこうした専門家に相談に乗ってもらえる、そして会社に来てアドバイスをもらえるということに対して、感謝のお言葉をいただいております。こうした取組をさらに進めることで、中小企業をしっかりとサポートしていただくことを強く要望いたします。
 続いて、ファッション、アパレル産業の振興について伺います。
 先月、私は、都がファッションの業界団体と開催した新たなイベント、TOKYO FASHION CROSSINGを丸の内で視察しました。
 にぎわいのあるまち中で行われたランウエーは、東京のファッションの魅力とともに、年齢、性別、国籍、障害など関係なくモデルの皆さんがウオーキングすることで多様性が表現され、大変すばらしいと感じました。
 一方、産業に目を向けると、衣料品の国内市場規模は、一九九〇年代に縮小して以来、停滞し、今も、原材料価格の高騰や人材不足などの課題に直面しております。以前は、日本人のデザイナーがパリやミラノやロンドンなど世界的にも大変著名となり、市場を席巻し、ファッション業界を牽引していましたが、今はそういった人材が少ない状況です。
 ファッション、アパレル産業を将来にわたって持続的に発展させるためには、先ほどの魅力発信イベントなどの取組に加えて、デザインの力で洋服の付加価値を高められる人材を育てていくことが重要だと考えます。
 都は、昨年度から、未来を担う若手デザイナーを発掘し育成するファッションコンクールを実施していますが、その取組内容について伺います。

○山崎商工部長 都は、ファッションやアパレル産業の発展に向けて、世界的なデザイナーを目指す都内の学生等を対象としたファッションコンクールを実施しております。
 自由な発想で衣装を作る部門に加えて、障害のある方も楽しめるファッションや伝統的な着物の活用をテーマにした募集も行い、今年度は、昨年度の約一千七百件を四割程度上回る約二千三百件のデザイン画の応募がございました。これらの作品の中から、三月のファッションショーでの審査などで優秀な評価を受けた学生を表彰いたします。
 また、受賞者に対しては、生産工程を学ぶワークショップ、商品化やプロモーションに関するセミナーなどの実施により、ビジネス展開に向けた力を身につけられるよう支援をしてまいります。
 引き続き、学生等のデザイナーが世界で活躍できるよう育成するとともに、SNSを通じた一般の方からの人気投票など、発信の強化にも取り組み、東京のファッションやアパレル産業の成長につなげてまいります。

○入江委員 都内の学生、専門学校に行っていらっしゃるなど学生の方から多くの応募があり、特に今年は昨年度を約四割も上回っているということが確認できました。
 ファッションの分野で活躍を志す学生がとても多いことは、将来の産業の発展に向けて大変喜ばしいことだと考えております。このコンクールを引き続き実施することで、世界に活躍する新進気鋭の新たなデザイナーを生み出すとともに、先ほど申し上げた魅力発信のイベントにも取り組み、産業の持続的な成長を実現していくことを要望いたします。
 最後に、カスハラ対策について伺います。
 カスタマーハラスメント、略してカスハラについては、報道などで取り上げられる機会が多くなっています。実際に、流通や介護など民間サービス業をはじめ、教員や自治体職員などの公務員も含め、様々な業種や職種に広がっていて、社会全体で深刻な問題となっています。これだけカスハラが問題視されることには、様々な背景があるものと考えられます。
 カスハラについて、実態や原因はどうなっているのか、さらに、これまでの都としての取組がどのようであったのか伺います。

○内田雇用就業部長 公労使会議の中で事務局が示しました労働団体の二〇二二年の調査結果によれば、直近五年間でカスタマーハラスメントの発生件数が増加したとの回答は三六・九%となっており、その理由として、格差、コロナ禍など社会の閉塞感等によるストレスが一位となってございます。
 また、公務職場については、専門家等による検討の場で事務局が示しました労働団体の二〇二〇年の調査結果によりますと、過去三年間に、住民からの迷惑行為や悪質クレームを自分が受けたとする自治体職員は四六・〇%、自分はないが職場で受けた人がいるとする職員は三〇・三%となっております。
 都では、こうした状況を踏まえて、中小企業等に対し、啓発リーフレットや動画によりカスタマーハラスメントに対する対応方法の紹介を行うとともに、相談窓口や専門家派遣を通じた助言等を進めております。

○入江委員 今、カスハラがますます深刻化する中において、都は、法律などによるルールがない中でも、できることから対応を進めているということが分かりました。
 さて、適切な対応の在り方について、都として検討していくとの考え方が示されておりますが、現在までの取組と、これからの展開について伺います。

○内田雇用就業部長 都は、カスタマーハラスメントをテーマに公労使会議を開き、その中で、適切な対応の在り方について議論がなされました。
 会議におきましては、現場の実情に加えて、条例など法的な枠組みが有効といったルールづくりに関する意見が出たことも踏まえまして、専門家等による検討の場を設けました。
 検討の場におきましては、条例の制定を求める団体の意見等がございました。
 第一回の専門家等による検討の場での現状分析と論点整理を踏まえまして、具体的な対応の方法について、引き続き検討の場でご議論いただくこととしております。

○入江委員 専門家の会議における議論でも、カスハラの線引きや判断基準が難しい、線引きの難しさを含めた対策が必要であるといったことが指摘されております。大変難関な問題もあるのかと思いますが、検討には法律の専門家にも加わっていただいているということなので、しっかりと議論を重ね、実効性のあるルールや対策をつくり上げていただくことを要望します。
 質問を終わります。ありがとうございました。

○ほっち委員 よろしくお願いいたします。
 まず初めに、いわゆるゼロゼロ融資についてお伺いをいたします。
 私の地元である足立区においても、経済の再開で中小企業の売上げは回復基調にある一方で、物価高や人手不足など、新たな経営課題が生じております。
 とりわけ、経営が厳しい状況にあった事業者は、コロナ禍で利用したゼロゼロ融資の返済猶予期間を三年程度に設定していたため、ここに来て返済が本格化をし、手元の運転資金の確保に窮する事業者が増えております。
 都内では、今年に入ってからこの十月までに、昨年の約一・四倍となる千三百社を超える企業が倒産したとの報道もあります。
 そこで、経営の立て直しが思うように進まず、資金繰りに苦しむ中小企業が安定して事業を継続できるよう支援すべきと考えますが、都の融資制度における取組についてお伺いをいたします。

○福田金融部長 都では、ゼロゼロ融資の返済開始により資金繰りの円滑化を図ろうとする事業者に対し、新たな返済期間を設定し、元本の返済を最長五年間、据え置くことのできる借換え制度によって、資金繰りを支援しております。
 また、事業者が売上高の確保などに向け事業計画を策定し、それに基づき融資を受けるとともに、金融機関が計画の進捗に応じて継続的にアドバイスを行う仕組みにより、収益力の改善などをサポートしております。
 さらに、返済条件の変更などを行い、抜本的な事業の再生が必要な中小企業に対しては、信用保証協会が専門家を派遣し、経営改善計画の策定を支援しているほか、複数の借入先の金融機関と連携して、計画に基づく借換えや新たな事業資金などの融資を行うことで、経営の安定化を後押ししております。
 これらの融資メニューの実績は、今年度上半期で約六千件、約一千八百億円となっており、経営状況に応じた金融支援により、中小企業の事業継続を下支えしてまいります。

○ほっち委員 ゼロゼロ融資によって倒産が抑制されてきたということも事実であるというふうに思いますけれども、コロナ禍を乗り越え、懸命に努力する中小企業に対しては、資金面からの支援の充実を図りながら、経営の再生につながるよう、しっかりと都としても後押しをしていただきたいというふうに思います。
 続いて、女性・若者・シニア創業サポート事業についてお伺いをいたします。
 都内産業の活性化に向けては、高い意欲と志を持つ人々の創業を促進する必要があります。その有効な方策として、女性や若者、そしてシニア層に注目をし、それぞれが持ち味を生かして地域社会で起業を行う場合の資金確保を強力に後押しをする新たな創業支援制度を立ち上げるよう、我が党は強く求めてまいりました。
 都は、平成二十六年度に、女性・若者・シニア創業サポート事業を開始いたしました。
 この事業の開始以来、およそ十年がたちますけれども、起業しやすい環境の整備は、まだまだ十分とはいえる状況ではありません。女性、若者、シニアの安定的な創業サポートを継続するためにも、この事業を存続させる必要性は高いというふうに考えます。
 そこで、本事業の取組内容や、これまでの実績についてお伺いをいたします。

○原金融支援担当部長 本事業では、地域に根差した多様な担い手による創業を支援するため、女性や若者、シニアで創業された方や創業を目指している方を対象として、信用金庫、信用組合による低金利、無担保の融資と、地域の創業アドバイザーによる事業計画策定支援などの経営サポートを組み合わせて実施しております。
 平成二十六年度の事業開始から令和五年九月末までの累計で、約三千二百件、約百八十六億円の融資を実行し、地域の創業の活性化に大いに貢献してまいりました。
 特徴的な事例としましては、女性による働く女性の子育てを支援するための保育所の開設、シニアの経験や技術、人脈を生かしてスマート農業に資するシステムの提供などがあります。
 また、融資を受けた後も、五年間にわたって年八回まで経営サポートを受けられるなど、きめ細かな支援を行うことで、女性、若者、シニアの創業を、資金面に加え、サポート面からも強力に後押ししています。

○ほっち委員 今ご答弁ありましたとおり、地域に根差した創業を支援していくことは、地域社会が直面する様々な課題の解決や地域の活性化にもつながります。
 本事業は、地域の実情にも最も精通をした信用金庫、また、信用組合が創業アドバイザーとして連携をして、地域社会に潜在的に眠る人材やアイデアをうまく引き出し、その起業を後押ししていくという画期的な事業であります。こうした観点からも、地域に根差した創業への支援をさらに充実させることを要望して、次の質問に移らさせていただきます。
 次に、商店街の担い手づくり支援です。
 商店街は、住民の買物の場のみならず、地域の防犯や見守りなどの機能を持っており、地域にとって、その役割は大変重要であります。
 しかしながら、こうした地域コミュニティの中心である商店街においては、経営者の高齢化が進行しており、後継者不足への対応が大変重要な課題となっています。
 商店街によっては、様々なイベントをやりたいというふうに思っていても、イベントを運営する人手が足りず、開催の規模などを縮小せざるを得ないケースというのも出ているというふうな声も聞いております。
 こうした状況の中、商店街活動の担い手をしっかりと育成をしていくためには、活性化につながる様々なアイデアを持ち、意欲があり、将来のリーダーと期待できる方々が活躍できる場をつくることが必要であるというふうに考えます。
 都は、昨年度から、若手や女性が中心となって企画、実施したイベントに対する新たな助成事業を行っておりますけれども、この事業内容と実績、また、支援事例についてお伺いをいたします。

○山崎商工部長 都は、商店街の活性化への貢献が期待される若手や女性の発想力を生かした取組の支援に力を入れております。
 具体的には、若手や女性が企画するイベントの実施に必要な経費について、都が九分の五を、区市町村が三分の一を助成する支援を行っておりまして、これまで、若手が考案した商店街公式LINEの登録者を対象とした抽せん会や、女性が企画した小物作りの体験イベントなどへの支援事例がございます。
 令和五年度は、十月末時点で前年度支援実績の二倍以上となる四十一件の交付決定を行っておりまして、若手や女性と親和性の高い子育て世代の親子連れをターゲットに集客を図るハロウィンイベントの企画など、さらなる創意工夫を凝らした取組への支援が着実に増えてきております。
 これらによりまして、新たな担い手の育成を図る商店街を支援し、活性化につなげてまいります。

○ほっち委員 今年はコロナも五類に移行して、夏から秋にかけて、各地で久しぶりにお祭りですとか様々なイベントが開催をされて、まちににぎわいが戻ってきております。こうしたイベントを継続していくためにも、商店街の新たな担い手づくりにしっかりと取り組んでいただくことが重要です。引き続き、区市町村とも連携をしながら、多くの商店街で取り組めるよう要望して、次の質問に移ります。
 次に、中小企業のDXに向けた支援についてお伺いをいたします。
 昨今、デジタル関連の技術は加速度的に発達をし、中小企業の経営においても、DXの重要性は日々高まっています。人材不足や原材料価格の高騰などの様々な経営課題への処方箋として、デジタル化による生産性の向上は大変効果的だというふうに思います。
 しかし、デジタルの活用の度合いは、中小企業によって大きな開きがあるのも現状であります。AIやIoTなどを駆使して企業変革を図り、製品の付加価値向上に挑戦する企業がある一方で、デジタル化に苦手意識を持つ経営者からは、何から手をつければいいか分からないというような声も多く聞いております。
 レベルに応じた支援が必要であるというふうに考えますが、都は、中小企業におけるDXの取組への様々な支援策を実施しておりますけれども、その内容についてお伺いいたします。

○山崎商工部長 都は、中小企業のDX推進に向けて、様々な事務手続を効率化するソフトウエアの購入や、製造現場等の生産性を高めるためのデジタル技術の導入などを支援しております。
 また、今年度から、デジタルを活用して新たな事業展開を図る中小企業に対し、専門家がDXの戦略策定などの助言を行うとともに、その戦略に基づく設備等の導入を後押しする事業を開始し、現在、二十五社をサポートしておりまして、今後の助成金の支援につなげてまいります。
 これに加えて、新たに、デジタル化が進んでいない中小企業に対する支援も開始いたしまして、本年十月末時点で約二万四千社の事業者にDXを通じた経営改善を働きかけるとともに、希望する三百六十五社に専門家を派遣し、システム導入等の提案を行っております。
 これらによりまして、中小企業のDXに向けた様々な取組を後押ししてまいります。

○ほっち委員 今、ご答弁いただきました。一層の事業周知を行うことで、より多くの中小企業がDXに取り組めるよう支援をしていただくことを要望しておきます。
 次に、ガソリンスタンドの脱炭素化に向けた取組についてお伺いをいたします。
 自動車の保有台数減や、低燃費化に伴うガソリン需要の減少等、長期的にも業界を取り巻く環境は厳しく、都内におけるガソリンスタンド数はピーク時の四分の一程度にまで減少したというふうに聞いています。
 さらに、昨今のエネルギー価格の高騰はガソリンスタンドの経営にも深刻な影響を及ぼしていますけれども、ガソリンスタンドは地域の生活を支える不可欠なインフラであり、今後も地域のエネルギーステーションとしての役割を果たすことが重要であります。
 そのためには、脱炭素化への取組を着実に進めながら、エネルギーコスト高に強い経営への転換を図っていくとともに、水素ステーションなどを備えた地域のエネルギー供給拠点へとソフトランディングができるよう支援を行っていく必要があります。
 都は、昨年度から、ガソリンスタンドのコスト削減にもなる省エネ設備の導入を支援しておりますけれども、その支援内容と、これまでの実績を伺います。
 また、水素ステーションの設置や運営に対する支援について、これまでの実績も改めてお伺いいたします。

○阿部産業・エネルギー政策部長 脱炭素化に向けた取組を加速する観点から、ガソリンスタンドを環境配慮型のスタンドに転換していくことは重要でございます。
 都は、昨年度から、ガソリンスタンドへの省エネ設備等の導入を後押ししております。
 具体的には、省エネや経営の専門家を現地に派遣し、その助言を基に、省エネ型の洗車機の導入や照明設備のLED化、空調設備の高効率化などを図る取組に対しまして、補助率三分の二、二千五百万円を上限として支援を行っております。
 十月末時点で、専門家の現地への派遣は七十八件行い、四十四件、約一億二千万円の交付決定を実施いたしました。
 また、水素ステーションにつきましては、令和四年度末時点で二十三か所ございまして、これまで、その整備に対して約三十四億八千万円、運営に対しまして約九億二千万円、合計約四十四億円の支援を行いました。
 こうした取組を通じまして、ガソリンスタンドの脱炭素化を促進するとともに、水素など新たなエネルギーの供給拠点としての役割も果たせるよう後押しをしてまいります。

○ほっち委員 ガソリンスタンドが今後も環境に配慮したエネルギーステーションとして役割を果たせるよう、都としてもしっかりと支援をしていただきたいというふうに思います。
 次に、二〇二四年問題に移りたいと思います。
 これまで残業上限規制の実施が猶予されてきた建設業と運送業の業界は、二〇二四年四月より法規制が実施をされ、いわゆる二〇二四年問題に直面をしています。
 二〇一九年四月から五年の猶予があったものの、建設、運輸業は、労働時間が長いといった厳しい労働環境のイメージがあります。このため、担い手の不足に拍車がかかることが想定をされ、なかなか残業時間の削減につながらないといった声が寄せられております。
 そこで、都は中小企業の働き方改革を支援しておりますけれども、今年度、二〇二四年問題の対策として、どのような取組を行ったのかお伺いをいたします。

○内田雇用就業部長 都は、中小企業の働き方改革を支援するため、会社の働き方の見直しなどについて情報提供するセミナーを実施しております。
 今年度は、二〇二四年問題に課題を抱える中小の建設や運輸の事業者に対しまして、来年四月から適用される時間外労働の上限規制に対応できるよう、法令改正の具体的な内容のほか、効果的に人材を確保した会社の事例の紹介などを行い、本年十月末までに延べ百五十四名がセミナーに参加いたしました。
 今後は、DXを活用して超過勤務を削減した建設業や、女性や高齢者のドライバーなど多様な人材を活用した運輸業の事例などを数多く紹介するなど、支援の充実を図ってまいります。

○ほっち委員 ただいま答弁いただいたとおり、建設や運輸業に対して、都がセミナーを通じて様々な情報提供を行っているということは理解ができました。
 ただし、企業が抱える課題は、業種や事業内容などによって大きく異なります。セミナーによる情報発信だけではなく、こうした個別の中小企業の課題を解決していくことが重要と考えますが、見解をお伺いいたします。

○内田雇用就業部長 都はこれまで、働き方改革促進事業でセミナーを受講した企業を対象に、社会保険労務士等の専門家の派遣を行ってございまして、本年六月からは、二〇二四年問題の高まりを受け、建設や運輸の中小企業を対象に、セミナーに参加をしない場合でも、中小企業の現場に専門家を派遣する仕組みを導入いたしました。
 この仕組みを通じまして、バス、トラックなど運輸の会社や中小の建設の事業者に対しまして専門家を派遣し、長時間労働の改善に向けて建設現場のデジタル化を推進する取組や、柔軟な働き方の実現に向けて運輸の現場にフレックスタイム制を導入する取組など、企業が抱える多様な課題に対応してございます。
 こうした取組により、二〇二四年問題に直面する事業者をきめ細かく支援してまいります。

○ほっち委員 年明け四月からの時間外労働時間の上限規制に適切に対応できるよう、引き続き都の支援をお願いいたします。
 続いて、職業訓練の入校生増加に向けた取組についてお伺いをさせていただきます。
 先日、私の地元足立区にある城東職業能力開発センターで開催された技能祭を訪問させていただきました。毎年お伺いさせていただいておりますけれども、今年の技能祭でも、若者からシニアまで幅広い年齢の方々の生徒の作品など、ものづくり関連や介護を中心とした職業訓練の成果に触れることができました。
 職業能力開発センターで行う職業訓練では、企業で実際に使われている設備が導入され、指導員も熱意のある指導を行っており、ここでの訓練で就職に役立つ技能を身につけることは、求職者の着実な就職に向け大変有効であるということを、毎年伺いますけれども、改めて実感をさせていただきました。
 しかし、お伺いしたときに多くの方のご意見を伺いますと、昨今、比較的好調な雇用情勢や若者のものづくり離れなどを背景に、応募者や入校生が減少傾向にあるというふうに聞いております。人手不足に悩む中小企業が職業訓練を修了した方に期待していることからも、職業能力開発センターの認知度を向上させ、より多くの求職者に活用されることが望まれます。
 実際、台東の方では、靴を作る教室というか、科がありますよね。あそこで毎年、いろんな革を使って、珍しい革を使っていただいて靴を作ったりとか、また、先ほどファッションのお話ありましたけれども、本当に入ってすぐ、三か月、半年ぐらいでドレスを作って、どのドレスがすばらしいかというアンケートを取ったりとか、いろんなことをされているというと、やはりこのものづくりというか、東京のものづくりがしっかりこれからも人材を育てていかなきゃいけないなということを、毎年お伺いして強く思っています。
 そこで、都は、これから社会に出ようとする若者や職業能力開発センターを知らない方々に積極的にPRを行って、入校生の増加につなげていくべきと考えますが、都の取組状況をお伺いいたします。

○内田雇用就業部長 都では、職業能力開発センターを多くの方に利用していただけるよう、入校生の募集時期に合わせて、電車内の動画広告や、新たな仕事を探す求職者の方に向けたインターネット広告を行うほか、訓練の様子などを随時SNSで発信するなど、様々な媒体を活用し、幅広くPRを行っております。
 これらに加えまして、今年度は、近隣の学校やハローワークと連携し、学生などがバスで移動して、一日で複数の訓練校の実習を体験できる取組や、キャリアチェンジを望むあらゆる年齢層の方が職業訓練を具体的に知っていただけるイベントを東京労働局と連携して開催するなど、施策の充実を図っております。
 こうした取組を通じまして、入校生の増加につなげてまいります。

○ほっち委員 職業能力開発センターの認知度の向上に向けて、様々な視点でPRを行っていただいているということは理解できます。今後、さらに新たな職業訓練校を整備するとも聞いております。職業訓練のさらなる魅力発信や、職業訓練の体験機会の提供など、今後とも、より多くの求職者の方がセンターを活用できるように、新たなPR対策に積極的に取り組んでいただくことをお願いしておきたいと思います。
 続いて、高齢者の就業促進についてです。
 都内中小企業を中心に人手不足が喫緊の課題となっていますけれども、人生百年時代といわれる中、できるだけ長く企業で働きたいという意欲にあふれる高齢者は増えています。一人でも多くの高齢者に企業で活躍をし続けてもらえるよう、都がその後押しをしっかりと行う必要があると思っております。
 その際には、高齢者がこれまで培ったスキルを生かし、やりがいを持って働けるようにすること、またさらには、体力あるいは若手社員とのコミュニケーション面での心配など、高齢者、企業双方が抱える不安を払拭していくことが重要になります。
 都は、高齢者の希望の多い職種への派遣就労を通じ、高齢者、企業双方のマインドチェンジを促す取組を実施しておりますけれども、その具体的な取組内容と実施状況についてお伺いをいたします。

○内田雇用就業部長 高齢者の就業を促進する上で、会社への派遣による一定期間のOJTを通じて実践的な業務スキルを身につけ、着実に就職できるように支援する取組は重要でございます。
 このため都は、六十五歳以上の高齢者を最長で二か月程度、会社に派遣し、高齢者の希望が多い事務職や営業職等として実際に仕事を行い再就職につなげる、東京キャリア・トライアル六十五を実施してございます。
 こうした取組に対するニーズは非常に高いため、今年度は派遣人数を百名増やし、五百名の規模で実施をしておりまして、十月末現在で二百六十九名を支援しております。

○ほっち委員 トライアル就業を通じた高齢者、企業の意識の変化、また、これが社会に広く浸透し高齢者の就業機会が拡大するよう、都はしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。
 続いて、難病、がん患者の就業支援についてお伺いをいたします。
 令和六年度に障害者の法定雇用率が引き上げられますが、難病、がんに罹患した患者の方が治療を続けながら働ける環境を一層充実させることも、大変重要な課題であるというふうに思っております。
 昨年十二月に成立した国の改正法律でも、障害者と共に、難病患者の就労支援体制の強化を図る事項が盛り込まれております。
 また、がんは、日本人の二人に一人が生涯のうちに罹患をする身近な疾患になっています。がんが見つかった後も、周囲の支えの下、仕事を続けられるのは、本人はもちろん、家族にとっても大きな心の支えになると思います。
 都は、難病・がん患者就業支援事業として、仕事と治療の両立に取り組む企業に奨励金等を支給しておりますが、具体的な取組内容と実施状況についてお伺いをいたします。

○新田事業推進担当部長 都は、仕事と難病等の治療の両立を後押しするため、難病、がん患者の方を新たに雇い入れ、継続就業に必要な支援を行う企業に、採用奨励金を支給しております。
 また、治療により一定期間連続して休職した社員を職場に復帰させ、継続就業に必要な支援を行う中小企業に対して、雇用継続助成金を支給しており、今年度から、より多くの企業に利用していただけるよう、助成の対象となる休職期間を十四日間以上から十日間以上に短縮しております。
 この事業では、医師の助言を基に、治療のための時間単位の休暇取得やテレワークの活用等、必要な配慮事項を盛り込んだ社員ごとの支援計画をつくる仕組みとしており、企業における難病、がん患者の採用や継続雇用に結びつけております。

○ほっち委員 企業が奨励金を使いやすくなるよう支給要件の見直しなどを行うなど、都も難病、がん患者の就業に向けた支援を進めておりますが、仕事と治療の両立に向けた環境整備をより一層進めるには、企業の取組の事例や都の支援を広く企業に知らせていく必要があると考えます。この点について、都の見解をお伺いいたします。

○新田事業推進担当部長 都は、難病、がん患者の方が活躍できるよう、奨励金を活用し、治療のための休暇制度やテレワークの活用などの環境整備を行う企業の取組や、治療と両立しながら実際に働く社員の声などをまとめた事例集を作成し、ホームページ等で発信しております。
 また、障害者や難病、がん患者等の働き方と職場環境づくりの両面に詳しい専門家を、東京ジョブコーチとして企業に派遣しております。こうしたジョブコーチの仕組みの活用を広げるため、今年度から、企業を訪問してサポート内容などを紹介する二名の推進員を新たに設けております。
 これにより、難病、がん患者の方々が治療と仕事を両立できる職場環境づくりを推進しております。

○ほっち委員 実は私の父もがんで亡くなっておりまして、今、母も難病を患っているんですけれども、私が学生のときに、母一人でいろいろと仕事に出てもらって、病気を患いながらというのと、やはり本当に、育ててもらっている、私、自分が子供のときに感じたのは、本当にこのような制度がもっと早くあったらよかったのかなと思う部分もあるもので、やはりできるだけ誰もがどんな環境にあっても活躍できる職場づくりに向けて、引き続き都として取り組んでいただきたいというふうにお願いをさせていただきたいと思います。
 続いて、男性従業員への育業の理解促進についてお伺いをさせていただきます。
 男性育業の推進は、家事、育児が女性に偏っている現状を改善し、安心して育児と仕事を両立できる社会をつくるために不可欠であり、私は以前から、育業しやすい職場環境の整備に向けた取組を進めていくべきというふうに訴えてまいりました。
 都では、男性従業員を育業させた企業への奨励金の支給や、男性従業員の育業取得率が高い企業への登録マークの付与を行うなど、育業に取り組む企業の後押しが進んでおりますが、こうした取組に加えて、男性従業員個人に対して、育業について理解を促す直接的な働きかけも重要であるというふうに考えます。
 私自身も一児の父親であり、子育て世代の一人でありますけれども、子供を育てる中で、政治への思いも大きく変わりました。一人でも多くの男性従業員に育業の重要性について理解をしていただき、育児休業の取得を積極的に行っていただきたいと考えております。
 そこで、都における男性従業員への育業への理解促進を図る具体的な取組内容と、その実施状況についてお伺いをいたします。

○新田事業推進担当部長 都は、男性育業の普及啓発のため、今年度は、従業員の方向けに知識やノウハウを提供するオンラインセミナーを二回にわたり開催し、百二十名を超える従業員の方が参加いたしました。
 また、新たに、セミナー後に参加者同士で交流を深めながら情報交換を行えるウェブ交流会も実施し、業務の引継ぎの課題やその解決策などについて、著名な専門家も交えて議論を行いました。
 このほか、来年二月に開催するライフ・ワーク・バランスを推進するイベントの中で、男性育業フォーラムを実施し、経営者や従業員等を対象に講演会や事例紹介等を実施してまいります。
 こうした取組により、男性従業員の育業に対する理解促進を進めてまいります。

○ほっち委員 今、ご答弁あったように、ウェブ座談会を開催したということですけれども、同じような境遇にある男性同士だからこそ理解が深まることもあるというふうに思います。また、こうした個々人への取組もしっかりと進めて、引き続き男性育業の推進を図っていただくことをお願いさせていただきます。
 最後に、農業について質問をさせていただきます。
 農家の方が一生懸命作った農作物が、ハクビシンやアライグマといった中型の野生動物に食べ荒らされるという被害が、北多摩や南多摩地区だけではなくて、区部でも発生をしております。農家にとって、野生動物による被害は、農業収入の減少や営農意欲の減退につながる深刻な問題であります。
 第一回定例会の本委員会において、我が党は、都市部の農作物被害に対してしっかりと対応すべきと求め、これに対し、都からは、ハクビシン等の農作物被害を軽減するための支援を開始するとの答弁がありました。
 今年度の具体的な取組状況についてお伺いをいたします。

○鈴木安全安心・地産地消推進担当部長 都は、今年度から、農作物被害の軽減に向けまして、新たな支援を実施しております。
 具体的には、ハクビシン等の農地への侵入を防ぐため、農業者が簡単に設置できる電気柵を購入する場合に、その経費の三分の二を助成しておりまして、十月末現在で二十二件の交付決定を行いました。
 また、電気柵の設置を後押しするため、JA等が実施する講習会をサポートしております。
 講習会では、普及指導員等が電気柵の安全性や被害防止の効果等につきまして説明するとともに、現場での実演により、設置の手順などの具体的なノウハウを提供いたしました。
 さらに、農地やその周辺での捕獲を進めるため、JAや区市町村が捕獲用のおりを設置し、捕らえた野生動物を処分する場合、その経費に助成を行っておりまして、十月末現在で、JA等六団体に交付決定を行いました。

○ほっち委員 しっかりと関係団体とも連携を取っていただいて、引き続き着実に取り組んでいっていただきたいというふうに思います。
 最後に、農地の保全について質問させていただきます。
 東京の農地は、新鮮で安心な農作物を生産するだけではなくて、災害時の避難場所や環境保全など多面的な機能も持っており、都民にとって貴重な財産となっております。
 しかし、都市化や相続などの影響により、十年間で約千ヘクタールの農地が失われるなど、農地の減少に歯止めがかからないという状況にもあります。
 また一方で、区市町村の中には、農地を守り、生み出すため、借り入れた農地での市民農園の運営や、新たな農地の創出支援などに取り組んでいるところもあります。
 東京の農地を守るためには、こうした区市町村の取組を後押しすることが重要と考えますが、今年度の具体的な取組状況についてお伺いをいたします。

○築田農林水産部長 都は、東京の貴重な農地を守るため、区市町村による農地の創出や遊休農地の再生などを後押ししており、その加速化に向けまして、今年度から支援を強化いたしました。
 具体的には、補助対象に、自治体が公有地を活用して市民農園等を整備する取組を加えるとともに、農地の創出に向けて、樹木の伐採から畑地の造成、必要な設備の設置までを一体的に支援することによりまして、短期間で整備が完了するよう、制度の改善を行いました。
 十一月末時点で、農地の創出や再生に関する十九件の取組に交付決定を行っており、釣堀を埋め立てた区民農園の整備や、遊休農地を切り葉の栽培地として再生する取組等を支援しております。
 加えて、災害時の避難場所や市民の交流拠点としての活用を進めるために、災害時に近隣住民が利用できる井戸や簡易直売所の設置などの支援も実施しております。

○ほっち委員 都と区市町村が連携をし、少しずつであっても東京の農地を増やすことが大切であるというふうに思っておりますので、今後の都の取組に期待をして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○竹平委員 よろしくお願いいたします。
 初めに、中小企業への年末、年度末対策についてお伺いをいたします。
 物価やエネルギー価格の高騰、円安などの影響が続いており、また、コロナ禍での感染症緊急融資の返済も相まって、都内の中小企業を取り巻く経営環境はいまだに厳しい状況にあります。
 特に、年末から年度末にかけては、事業者間の取引も活発になることから、中小企業の資金繰りが厳しい時期であり、制度融資における資金繰り支援に万全を期す必要があります。
 先般、都議会公明党は、中小事業者、とりわけ小規模事業者が安心して事業活動ができるよう緊急要望を行ったところですが、年末、年度末における都の資金繰り支援の対応についてお伺いをいたします。

○福田金融部長 都では、事業者の資金の決済や支払いが集中する年末や年度末における資金繰りに万全を期すため、緊急的な運転資金の確保を図る取組を実施いたします。
 具体的には、一時的な資金需要に迅速に対応するつなぎ融資メニューの融資限度額について、融資対象が小規模事業者の場合には三百万円を五百万円に、中小事業者の場合には五百万円から七百万円に、それぞれ本日から引上げを行います。また、小規模事業者に対しては、信用保証料の二分の一を補助することを通じて資金繰りを下支えしてまいります。
 さらに、年末における資金繰りの相談に対応できるよう、都及び信用保証協会において、相談時間の夜間延長や休日対応を実施いたします。
 これらにより、中小企業の円滑な資金繰りを支えてまいります。

○竹平委員 ただいまのご答弁で、我が党の要望を踏まえていただきまして、本日からつなぎ資金の拡充が行われることや、小規模事業者に対してはさらなる負担軽減が図られていることを確認させていただきました。これらの支援が受けられることを事業者に十分周知がなされるよう要望いたします。
 一方、年末に厳しい状況に置かれるおそれがあるのは、中小企業だけではなく、そこで働く非正規雇用の方なども同様であります。こうした方々の悩みに寄り添い、きめ細やかな対策を行うことはとても重要です。
 仕事に関する悩みを抱える方は、同時に、生活に困窮していたり、家庭環境に問題を抱えていたりすることもあり、必要に応じて他の支援機関につなぐ取組も求められます。
 そこで、都議会公明党が要望した、働く方々への支援に関する年末の取組内容、相談内容に応じた関係各所との連携についてお伺いをいたします。

○内田雇用就業部長 都は、労働相談情報センターにおいて、解雇や雇い止めなど労働問題全般に関する年末特別対策として、弁護士や東京労働局の職員等も交えて、来所や電話による相談を受け付けます。また、東京しごとセンターの就職支援アドバイザーによる再就職や職業訓練の受講等についての相談も実施いたします。
 あわせて、生活に困難を抱える方から相談があった場合には、その内容に応じまして、福祉に関わる部署などの紹介も行ってまいります。

○竹平委員 ただいまのご答弁で、年末に労働相談情報センターや東京しごとセンターで相談できる体制を整えていること、また、内容によっては福祉に関わる部署などにも紹介をしていくとのことでした。区市町村や関係部署との連携は大変重要であります。都民は身近な市区町村へ相談することも多く、都の支援策を区市町村等にもしっかりと周知しておくよう要望いたします。
 誰もが安心して新年を迎えることができるよう、中小企業及び雇用就業対策をきめ細かく行っていただきますよう要望して、次の質問に移りたいと思います。
 エネルギー価格の高騰に対する支援についてお伺いいたします。
 電気、ガス料金などエネルギー価格の高止まりは続いており、中小零細企業の経営は大変厳しい状況に置かれたままとなっております。
 都議会公明党にも多くの事業者から切実な声が寄せられており、こうした事業者を支援していくため、エネルギーコストの負担を軽減する取組が重要であります。
 こうした中、都は、今年の第二回定例会での補正予算において、国の地方創生臨時交付金を活用し、国の支援の対象となっていなかった特別高圧電力と工業用LPガスを利用する事業者に支援金を給付することとし、八月から申請の受付を開始しております。
 そこで、この支援金について、これまでの取組状況についてお伺いいたします。

○米澤産業政策連携促進担当部長 都は、特別高圧電力や工業用LPガスの料金上昇による中小企業のコスト負担の軽減を図るため、本年四月から九月までの六か月分を対象に、事業者からの申請に基づき、支援金の給付を行っております。
 特別高圧電力を直接受電している中小企業に対しましては、一施設当たり五百万円、また、特別高圧電力を受電する大規模施設にテナントとして入居する中小企業に対しましては、一事業所当たり十万円の給付を行ってございます。
 これに加え、工業用LPガスを使用する中小企業に対しては、一事業者当たり十万円の給付を行ってございます。
 八月から申請受付を開始いたしまして、十一月二十四日現在で、特別高圧電力については五千三百七十五事業所から申請があり、そのうち、交付決定は二千百五十八事業所となってございます。
 工業用LPガスについては、百四事業所からの申請があり、そのうち、交付決定は四十二事業所となってございます。

○竹平委員 現在も申請を受け付けていると聞いておりますので、引き続き事業者への周知をしっかり行っていただき、支援を必要とする事業者に確実に行き渡るよう取り組んでほしいと思います。
 なお、今の支援金は四月から九月分までとなっておりますので、十月分以降の支援も行っていく必要があると思います。
 国では先日、総合経済対策を発表し、十一月二十九日、その裏づけとなる補正予算が成立いたしました。その中には、重点支援地方交付金が積み増しされ、東京都にもその交付金が入ってくると思いますので、都としても、スピード感を持って切れ目なく、エネルギー価格の高騰に苦しむ中小零細企業者の経営を支える施策を推進していただくよう要望いたします。
 一方、エネルギーコストの負担を軽減するためには、こうした支援金の給付と併せ、太陽光パネルなどの再エネ設備や蓄電池を設置する取組への支援も重要であります。
 特に、再エネ設備と蓄電池により電気を地産地消する取組は、コスト削減だけでなく、緊急時や災害時の電源確保の面からも有効であります。
 我が党は、さきの予算特別委員会で、地産地消型の再エネ設備を導入する事業者への支援について、昼夜を問わず安定したエネルギー供給が不可欠な医療機関への導入が進むよう、取組の強化を求めたところであります。
 そこで、都が事業者を対象に行っている再エネ設備や蓄電池の導入支援について、今年度の取組状況を伺います。あわせて、医療機関に向けた普及の取組と実績もお伺いいたします。

○阿部産業・エネルギー政策部長 都は、中小企業等に対しまして、自らの事業所で太陽光パネルなどで発電した電力を事業所内で消費する地産地消型の再エネ発電設備のほか、そうした電気を蓄える蓄電池を導入する際の支援を行っております。
 十月末時点で、再エネ設備については九十九件の交付決定を行い、約八千キロワットの再エネ電力の確保に結びつけました。これはおよそ住宅二千軒分の発電能力に相当する規模となっております。また、蓄電池については、三十六件の交付決定を行い、再エネで発電した電力の有効活用に結びつけております。
 また、医療機関での活用を進めるために、事業のリーフレットに医療法人が助成金の支援対象であることを明記するとともに、医療関係の団体を通じた周知を行っております。このような働きかけにより、医療法人に対する交付決定は、昨年同時期を上回る再エネ設備七件、蓄電池二件となっております。
 こうした取組を通じまして、事業者による再エネの導入拡大を促進してまいります。

○竹平委員 エネルギー価格が高騰している今、事業者が再エネ設備の設置を進めるメリットはとても大きくなっております。さらに、医療機関では、人工呼吸器や輸液管理などを稼働させるための電気の供給は命に直結することから、こういった太陽光発電、蓄電池等の再エネを導入する意義は大きいと思います。今後も、再生エネルギーの普及定着が図られますよう、一層の取組を要望いたします。
 次に、成長産業分野における製品開発への支援についてお伺いいたします。
 私は、先日開催されていた産業交流展を視察し、医療系の企業の展示を中心に見させていただき、都内の中小企業の技術力の高さを感じたとともに、医療分野が成長産業だということを改めて確認をしたところであります。
 優れた技術を有する中小企業にとって、成長産業分野への参入は大きなビジネスチャンスでありますが、大企業や大学等のサポートを受けた事業展開や開発資金面での支援がとても大切だと強く感じました。
 そこで、こうした成長産業分野における中小企業の製品開発への支援内容や実績についてお伺いいたします。

○山崎商工部長 都は、都政の重要課題かつ今後の成長産業分野に該当するインフラメンテナンス、医療・健康、環境・エネルギー・節電、交通・物流・サプライチェーンなどのテーマを設定し、中小企業の新製品等の開発を重点的に支援しております。
 具体的には、都が示した開発支援テーマに沿って中小企業が大企業や大学等と連携して取り組む開発に対しまして、必要となる経費の最大三分の二、八千万円を上限に助成を行っており、今年度は百三十六件の申請がございました。
 これまで、採血による体への負担を減らすために、唾液で正確に血糖値を測定できる技術を大企業と連携して開発する取組や、電気自動車用のリチウムイオン電池の寿命を向上させるために、通電性のよい電池材料を大学と連携し開発する取組などを支援しております。
 さらに、採択企業に対して、開発中における技術面のアドバイスや、開発後の販路開拓のサポートなど、専門家によるきめ細かい支援を行っております。
 これらの取組を通じまして、成長産業分野における中小企業の製品開発などを後押ししてまいります。

○竹平委員 都が、成長産業分野への参入を目指す中小企業に対して、開発中だけでなく、開発後のサポートまでしっかりと支援を実施し、実績を上げていることが分かりました。都の重要課題、成長分野への開発を行う企業を支援する意義は大変大きいと思います。
 今、物流事業者には二〇二四年問題のように新たな経営課題が存在しており、交通、物流に関する分野も開発支援テーマに示されていることから、今後のこの分野での開発が促進されることも期待しております。
 東京が抱える課題かつ成長分野において、都内の中小企業が積極的に製品開発に取り組めるよう、都は事業の周知を図るとともに、さらなる支援の充実を求めて、次の質問に移ります。
 次に、リスキリング支援についてお伺いいたします。
 デジタル化の進展などによって急速に変化する社会経済の動きに対応していくためには、企業で働く従業員の方や仕事に就こうとしている方が必要となる新たな知識やスキルを学ぶことができるよう、リスキリングへの支援を行うことは不可欠であります。
 特に、人手不足が深刻化している中小企業においては、デジタル化による業務の効率化は喫緊の経営課題であるため、従業員のリスキリングが急務となっております。
 都は今年度から、女性をはじめ、若者からシニアまであらゆる世代の方がIT分野などの成長産業で力を発揮できるよう、能力開発や就職支援を実施する年間二万人規模のリスキリングプロジェクトを実施しています。
 そこで、まず、リスキリングプロジェクトの取組状況についてお伺いいたします。

○内田雇用就業部長 都は、中小企業が従業員の教育訓練に取り組む場合の訓練経費の助成や、DXに取り組む中小企業の研修計画づくりからその実施までを専門家が伴走型でサポートを行う事業などを通じて、従業員のスキルアップを支援しております。
 また、再就職を目指す女性に対しまして、希望する業務やスキルを学び、職場体験もできるプログラムの提供や、シニア世代の方々が新しい仕事を見つける際に役立つ知識を習得できるオンライン講習の提供など、就職とスキルアップの一体的な支援に取り組んでおります。
 これらの取組により、九月末現在で約一万六千人の支援を行っております。
 引き続き、中小企業の従業員等のリスキリングを支援してまいります。

○竹平委員 産業構造が厳しく転換していく中、成長産業にスムーズな労働移動を実現していくためにも、都をはじめ、国や各企業、民間教育訓練機関など、あらゆる主体が社会全体でリスキリングに取り組んでいくことは重要でございます。引き続き、都が牽引役となって取り組んでいただきますよう要望いたします。
 リスキリングの支援は、女性の活躍推進の観点からも大変重要であります。都議会公明党は、デジタルの分野において女性の活躍の場を広げる可能性があることから、女性デジタル人材の育成に重点を置いて取り組むことを提案してまいりました。
 都は、今年度から、非正規雇用で働く女性などに対し、高度なプログラミングスキルを習得できる職業訓練と就職支援を一体的に実施し、IT技術者としての就職を後押ししていく女性ITエンジニア育成事業を実施しております。
 そこで、この事業の具体的な内容と取組状況についてお伺いをいたします。

○内田雇用就業部長 女性ITエンジニア育成事業では、非正規で働く女性等を対象に、IT業界等に就職する場合に必要な知識を習得するためのガイダンスと個別のカウンセリングを行った上で、実務で必要となるプログラミングスキルを習得する訓練を、受講生の個々の状況に合わせて、四か月程度、百五十時間のeラーニングにより提供してございます。
 この講座には、百名の方が参加をし、専門の相談員を配置して学習内容を個別にフォローするほか、習得したスキルを生かせる企業の求人を紹介するなど、再就職を伴走型で支援しております。
 こうした取組により、女性のIT業界等への就職を着実に支援しているところでございます。

○竹平委員 ただいまのご答弁では、女性が抱くニーズと、また、そのニーズにかみ合った適切な支援を実施しており、多くの方が受講していることが分かりました。今後もしっかり取り組んでいただきますよう、よろしくお願いをしたいと思います。
 女性の活躍推進のためには、働く女性の健康課題も重要な問題でございます。
 女性の有業率が過去最高を記録するなど、企業における女性の参画が着実に進んでおりますが、女性には特有の健康課題が内在していることを忘れてはならないと思います。生理や月経前症候群、いわゆるPMSをはじめ、更年期症状や産後のホルモンバランスの乱れなど、働く上で障害となる多くの体調不良事例が専門家からも指摘されております。
 こうした体調不良を取り除くことは難しいと思いますが、女性特有の健康課題として職場の理解を促すことで、女性の働きやすさにつながるものと考えます。女性が活躍している企業ほど、業績や株価が上がるというデータもあるようです。
 今こそ働く女性の健康課題に対する理解を促す取組が求められていると思いますが、都の取組状況についてお伺いいたします。

○新田事業推進担当部長 都は、今年度、企業における女性特有の体調不良について理解を促進し、職場環境の整備につなげるためのムーブメントを創出する事業を新たに開始しております。
 具体的には、働く女性が職場で直面する健康上のテーマを正確に把握するため、都内企業や女性従業員を対象に聞き取りを行い、十月には特設サイトを開設し、その内容を幅広く紹介しております。
 このウェブサイトの中では、女性が抱える様々な健康課題に直面している約二百社、三千五百名の状況をグラフなどを用いて分かりやすく伝えるとともに、専門家のアドバイスや、優れた取組を行った企業の事例などを掲載しております。
 また、こうした女性特有の健康課題に対する経営者や従業員の理解をより深めるため、十一月からはオンラインセミナーを開催するほか、その内容を動画で幅広く配信し、課題の解決に取り組むきっかけづくりとしております。

○竹平委員 私も、働く女性のウェルネス向上委員会のサイトを拝見させていただきました。実際の女性の体験談や、それに対する専門家からのアドバイス、男性の理解も大事であることなど、コンテンツが豊富で、私も大変勉強になりました。引き続き、最新の情報なども取り入れながら、より充実したサイトとしていただきたいと思います。
 女性の働きやすさにつなげるため、ぜひより多くの方の理解が進むよう、一層の取組を要望いたします。
 次に、働きやすい職場環境づくりについて質問をいたします。
 私は、昨年十二月の第四回定例会一般質問で、がん治療と仕事の両立支援について質問をし、がんに罹患しながらも治療を受けながら仕事が継続できる、働きやすい職場環境づくりの必要性について訴えました。
 そうした環境の確保は、病気治療のみならず、育児や介護を抱える従業員にも共通して求められます。また、育児中や介護中の従業員が今後のキャリア形成やスキルの低下に不安を抱かないよう、様々なライフイベントの変化を見据えた企業の取組も重要であります。加えて、企業の経営者や人事労務担当者自身も、家庭と仕事の両立推進に関する知識や制度についてよく理解しなければ、こうした環境の整備は進まないと思います。
 そこで、家庭と仕事の両立を推進するため、都における働きやすい職場環境づくりに関する具体的な取組内容についてお伺いいたします。

○新田事業推進担当部長 都はこれまで、働きやすい職場環境づくりを促すため、企業の経営者や労務担当者を対象に、育児や介護、病気治療と仕事の両立の必要性等を伝えるセミナーを開催し、その内容を踏まえて家庭と仕事の両立支援制度を整備した企業に奨励金を支給する取組を行っております。
 こうした取組に対するニーズは極めて高いため、今年度は、育児や介護などのライフイベントと仕事の両立を支援する取組の充実を図り、そうした状況に直面する社員が安心して引き続き職場で活躍できるよう、スキルアップや資格取得に活用できる制度などを整備する場合にも奨励金を支給しております。本年十月末時点で六十七件の支援を行っております。
 これらに加え、経営者や働く方向けに、専用のウェブサイトを通じて、家庭と仕事の両立に役立つ情報や、優れた先進的な事例をモデルとして幅広く発信しております。

○竹平委員 両立といっても、育児や介護、病気をはじめとして、従業員が直面するライフイベントや事情は様々であります。引き続き、企業や従業員のニーズを捉えた施策の展開をしていただきますよう要望いたします。
 職場でのダイバーシティ、インクルージョンを進める上では、障害のある社員を職場内でサポートする職場環境づくりも重要であります。
 同じ職場で働く社員が、障害の有無を超えて互いを理解しながら、ともに活躍していける職場環境の構築に向けた取組をしっかりと進める必要があると考えますが、都の取組状況とその効果について伺います。

○新田事業推進担当部長 都は、企業内での障害者への理解促進を図り、働きやすい職場づくりを支援するため、障害者を受け入れる職場の同僚や人事担当者等で支援の中心となる者を対象に、職場内サポーターとして養成をしております。
 この取組では、障害特性や支援方法などを伝える講習を行い、今年度は、本年十月までに約三百名が受講したところでございます。
 また、講座の終了後もフォローアップ研修や専門の支援員によるアドバイスが受けられる仕組みとし、利用者からは、こうした支援が、利用者の不安の解消や、社員のモチベーションと業務効率の向上に結びついたとの評価を得ております。

○竹平委員 互いの違いを認め合えることが、働きやすい職場環境構築の第一歩であると思います。引き続き、都には、職場内サポーターの養成にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 次に、若手人材の確保と定着について質問をいたします。
 比較的収入の少ない若手世代にとって、エネルギーや物価の高騰によって受ける影響は大きい上に、東京で働くには家賃の負担が重くのしかかっている現状があります。また、中小企業にとっては、人手不足の状況が続いている中、とりわけ将来を担う若手人材の確保やその定着を図ることは喫緊の課題であります。
 そのためには、若者世代の居住費をはじめとした支援を行うことで、社員の満足度、いわゆるESの向上を図ることは重要であります。
 こうした状況を踏まえた我が党の要望に応え、都は今年度から、若手人材の確保と定着に向けた中小企業の取組を支援する事業を開始したところですが、これまでの取組状況についてお伺いいたします。

○新田事業推進担当部長 都では、若手の社員が少なく、その採用を効果的に進める必要のある中小企業に対し、専門家を派遣し、福利厚生の充実に向けた計画の作成を支援するとともに、会社が住宅を借り上げる場合等の経費に助成しております。
 具体的には、専門家の助言により作成した計画に基づき、会社が若手の社員のために住宅を新たに借り上げる場合や、従業員に栄養バランスのよい食事を提供する取組、健康の維持や向上に結びつくサービスを提供する取組を新たに行う場合に、それらの経費の二分の一を、年間三百万円を上限に、最長三年間、助成いたします。今年度は、五月から募集を開始し、合計七十六社の申込みがありました。
 これまでに十八社に専門家の支援を行うこととし、三つのメニューを同時に利用する会社に対する助成決定の実績も出ているところでございます。

○竹平委員 事業の概要と直近の実績について理解をいたしました。中小企業にとって、若手人材の確保と定着は、事業を継続していく上で非常に重要であります。
 そこで、この都の支援策を多くの事業者にも知ってもらう、そのことが大変重要かと思うんですが、私も中小企業の事業主の方にこのことをお知らせをさせていただいております。しかし、こんな事業があるのは知らなかったとか、また、じゃあ考えてみますなどの声もいただいております。まだまだ知られていないものと思います。
 今後、事業の内容とともに、取組事例などを分かりやすく、また、ホームページなどで紹介するなど、事業の一層の周知を図り、中小企業の若手人材の確保、定着への取組をさらに進めていただくよう要望いたします。
 最後に、都市農業に関する質問をさせていただきます。
 まずは、東京産農産物の地産地消についてお伺いをいたします。
 東京の農業は都民に新鮮で安全な農産物を供給しており、その生産基盤である農地は、都市の貴重な緑の空間となっております。
 私の地元である江戸川区では、コマツナや枝豆などの栽培が盛んであり、私自身も体験農園でコマツナを収穫しております。取りたての野菜のおいしさは格別であり、都心に住む方々や子供たちにも、ぜひ東京産農産物の味を知ってもらい、購入していただきたいと思っております。
 こうした活動を後押しすることは、東京農業に対する都民の理解を深め、一層の振興を図るためにも重要と考えますが、都の今年度の具体的な取組状況についてお伺いいたします。

○鈴木安全安心・地産地消推進担当部長 都は、東京産農産物消費拡大支援事業によりまして、地産地消の推進に向けて区市町村が地元で実施する取組を支援しており、今年度からは、これに加え、JA等が自治体の区域を越えて集荷や配送を行う場合も対象としております。
 具体的には、地域で収穫した農産物を使ったピザ作り教室や、生産現場における地元農家との交流会、新鮮な農産物の購入が可能なマルシェの開催等をサポートしております。また、区内の小中学校で、生産者を講師に迎えて東京の農業や農産物を紹介する出前授業を実施するとともに、その学校へ旬の農産物を提供する取組も支援しております。
 十一月末現在で、区市町やJA、NPO法人など十三団体に交付決定を行いました。

○竹平委員 先日、あきる野市の農家の方からお話を伺いました。ただいまご説明がありました、今年度から開始した東京産農産物消費拡大支援事業を活用いたしまして、東京の農業を子供たちにも分かりやすく伝えるために作成した冊子も活用して、小学校などで出前授業を行っているとのことでした。
 また、台東区の小学校の児童たちが訪れ、直接、農作業を体験され、とても好評だったということでした。都心では、身近に農家さんがいないため、実際に農作業を体験することで東京産農産物への興味を持ってもらう機会となり、とてもよい取組であると思いました。引き続き、東京農業に対する都民や子供たちに理解を深め、一層の振興を図るよう要望したいと思います。
 次に、農産物の流通について伺います。
 東京産の新鮮な農産物を消費者に届けるためには、流通も大きな課題となっております。
 都内の農家は地元の直売所や庭先の自動販売機等で農産物を販売していることが多いと思いますが、生産量を増やした場合、新たな販路を拡大する必要があります。
 一方、都心のスーパーなどは、輸送にかかるコストが高いことで、多摩の農産物を納入しにくい場合もあると聞いています。流通のコストを抑え、新鮮な野菜をできるだけ早く消費者の下に届けることが大切であります。
 我が党は、農家を営む方々からの声を伺い、東京産食材の消費拡大に向けて、より消費者が購入しやすくなる流通システムの構築を検討するよう要望し、今年度、開始されました。
 そこで、改めて、この取組の概要と進捗状況について伺います。

○鈴木安全安心・地産地消推進担当部長 都は、東京産農産物の流通ルートを増やすため、今年度から東京産農産物の流通促進事業を開始し、流通事業者が生産者やJAから仕入れた農産物を配送し、新規の販売先に届ける取組に対して助成を行っております。
 具体的には、助成対象として五事業者を選定し、都心部等の企業と連携してオフィスの一角で新鮮な野菜を販売する取組や、消費者の希望に応じて野菜の詰め合わせを定期的に届ける取組などをサポートしております。
 また、ホテルやレストラン等への販売を増やすため、購買担当者と生産者との交流会や、生産地の見学会等を実施する取組にも支援をしております。
 利用者からは、多摩地域の野菜が都心で手軽に購入できるとの高い評価をいただいております。

○竹平委員 着実に流通促進の取組が進められていることが分かりました。
 今年度は五事業者とのことですが、本事業について、まだ知らない事業者もいると思います。本事業のさらなる周知を図り、東京農産物の流通が促進されるよう、一層の支援を要望いたします。
 次に、生産緑地の買取りに対する支援について伺います。
 東京の農地は毎年百ヘクタール、そして生産緑地はこの十年で約一五%に当たる五百ヘクタール以上が失われるなど、危機的な状況にあり、その主な理由は相続であります。
 農家で相続が発生すると、まずは自治体に対して生産緑地の買取りの申出がなされることが多いと聞いています。その際、自治体が生産緑地を買い取り、活用する取組を実施することで、都市の貴重な緑、都市農業を守ることにつながります。
 私は昨年、第四回定例会の一般質問で、区市による農福連携農園や区民農園の設置を後押しするため、買取りの申出のあった生産緑地について、区市による買取りや活用への支援を強化すべきと求めたのに対し、産業労働局長からは、生産緑地を区市が買い上げるための支援の強化や、それらの取組を軌道に乗せるためのサポート導入を検討するとの答弁を得ました。そして、今年度、買取りの経費の補助率を二分の一から三分の二に拡充されたことを高く評価いたします。
 そこで、自治体による生産緑地の買取りへの都の支援について、今年度の取組状況をお伺いいたします。

○築田農林水産部長 都は、都市の緑を保全するため、自治体が生産緑地を買い取り、農業者の研修施設や福祉農園等を整備する取組を支援しております。
 具体的には、所有者からの買取り申出に基づきまして、自治体が買い取って農的な利用を決定した場合には、その買取りや施設整備、運営を軌道に乗せるための専門家等からの助言に必要な経費を助成しております。年度の後半に買取り申出が急遽生じた場合にも、農林水産振興財団に造成した基金によりまして、次年度においても迅速に対応できる仕組みとしております。
 本事業の積極的な活用を促すため、生産緑地を有する区市に事業説明を行うとともに、地元の意向を調べて、買取りの可能性の高い三区三市を直接訪問し、現地確認等を行いました。
 十一月末現在で、市民農園等の開設に向けて、生産緑地の購入や施設の整備、専門家の派遣を行いまして、約二千四百平方メートルの生産緑地の確保を実現したところでございます。

○竹平委員 自治体の生産緑地の買取りや活用への支援が着実に進められていることを確認させていただきました。
 貴重な東京の農地を保全するために、また、今後、一層都市農業の振興が図られるよう強く要望して、質問を終わります。ありがとうございました。

○藤田委員 日本共産党の藤田りょうこです。
 家族の介護のために仕事を辞める介護離職は、高齢者はもちろん現役世代にとっても重大な不安要因となっています。
 総務省の二〇二二年就業構造基本調査によりますと、家族の介護をしながら働く人は全国で約三百六十五万人、介護離職は年間十万六千人となり、厚労省は十月十二日に労使でつくる審議会を開き、介護離職を防ぐための新たな支援制度について議論を始めたということです。
 二〇一七年に、都は、介護離職防止施策検討のための特別調査を実施いたしました。この調査の目的と意義について伺います。

○新田事業推進担当部長 都は、平成二十九年度に、都内の企業とその従業員に対しましてアンケート調査を実施いたしました。
 これは、都として、介護と仕事の両立の現状や課題などを把握し、効果的な両立支援策の策定の参考とすることを目的としたものでございます。

○藤田委員 都として、課題の把握と支援策を策定するためということでした。
 この調査結果を踏まえて、都は、二〇一九年に介護休業取得応援奨励金をつくりましたが、制度開始から四年以上が経過しましたので、効果の検証などを行う必要があると思います。
 先ほどの総務省の調査の介護離職十万人というのは、五年前に比べて、全体では一〇七%の増加になったのですが、東京都で見ると、五年前は七千八百人だったのに対して、今回は一万四千二百人と二倍近い増加となっています。介護離職の問題は、東京の問題といっても過言ではないと思います。
 都が行った調査には、労働政策研究・研修機構の池田心豪主任教授が専門家として助言している内容がありますので、ちょっと紹介いたします。
 労働者が行政に望むことを従業員調査では質問しているが、介護休業、介護休暇制度の充実は三五・二%、フレックスタイムやテレワークなど、介護と仕事を両立できる働き方の推進は三〇・六%にとどまるのに対して、介護のための経済的支援は六四・三%と、明らかに高い割合を示しているというものです。
 今、介護休業を取得すると、国の介護休業給付では、九十三日までの休業について給与の六七%が保障されています。
 先ほどの専門家の助言にもあるように、従業員の要望で最も多かったのが経済的支援です。この調査からも分かるように、給与の保障、九十三日以上の部分についても必要だと思いませんか。

○新田事業推進担当部長 都は、介護に直面しても安心して働き続けることができるよう、介護のため、休業や休暇を取得できる制度の充実等に取り組む中小企業に支援を行っております。
 また、介護による離職を防止するための先進的事例に関し、経営者に紹介する取組を行っております。

○藤田委員 必要性についてはお答えにならなかったのですが、企業が取り組んだら支援するということでした。
 都の奨励金の要件の中にも介護休業期間の延長という要件も含まれていますので、つまり、九十三日以上休めるようにすることは、労働者が安心して働き続けるために必要と東京都も思っているということだと思います。
 しかし、奨励金は、合わせて十五日以上の休業を行い、復職して三か月以上継続して雇用された従業員がいる場合となっていまして、企業にとっても職員が休んでいる間の労働力の確保が必要になりますので、本来なら奨励金でその部分が保障されるといいと思いますが、しかし、奨励金は最高で五十万円となっていて、数か月分の労働力の確保には足りないと思います。
 また、先ほどの専門家の助言にもあるように、労働者が望んでいるのは経済的支援ですので、この調査を踏まえて、ぜひ介護離職を防ぐための新たな支援制度について議論を始めた政府に対しても、介護休業給付の期間の延長を行うよう求めていただきたいと思います。
 私の知り合いが介護離職して五年になりますが、その方は、両親が介護が必要になったため、同居するために退職いたしました。看護師の資格を持っていましたので、デイサービスやショートステイなど、介護サービスを使いながら、近所の老健施設でご本人が働いていました。
 しかし、徐々に母親の生活動作が衰えてきて、仕事と介護の両立も難しくなった、厳しくなってしまったということで、その後、老健施設も退職させてもらったと話していました。休業にしなかった理由を聞きますと、ほかのスタッフへのしわ寄せもあったのでということでした。
 その方の母親は特別養護老人ホームを申し込んでいますが、現在、一年以上待機をしているということでした。
 東京都が行った調査では、介護経験者が利用したかった制度として、自分が休んだときに代わりとなる人材の確保が最多となっていました。この受け止めについて伺います。

○新田事業推進担当部長 都では、調査結果も踏まえ、介護と仕事の両立支援に関する従業員のニーズ調査や、介護休業、介護休暇制度の日数増などの充実、短時間勤務、フレックスタイム制度の整備などに取り組む中小企業等に奨励金を支給し、介護と仕事を両立できる職場づくりを支援しております。

○藤田委員 私は人材の確保が必要なんじゃないかという質問だったんですが、お答えになりませんでした。調査結果全体を踏まえて支援制度をつくったということです。
 実際には、労働者が介護休業を取っている間、代わりに働く人を雇うのは簡単な話ではありません。復職するまでの間とか、九十三日間など短い期間で働く人を探すことは、小さな職場ほど大変になります。
 こうした状況を踏まえると、やっぱり休みづらいという状況が、労働者の側にも企業の側にもあるのだと思います。
 介護休業を取得した職員の代わりの職員を採用することに対して、支援すべきではありませんか。

○新田事業推進担当部長 都では、法律の定めを上回る介護休業のルールを新たに設け、従業員に一定期間以上の介護休業を取得させた企業に対して奨励金を支給しております。

○藤田委員 奨励金にある、上回るルールの中には、介護休業を取った方の代わりの職員の採用という要件は含まれておりません。代わりの職員を採用できれば、本来ならば安心して休ませてあげることができます。代替職員採用に対する支援を行うよう求めておきます。
 また、国に対しても、介護休業を保障する企業に対して、職員の確保のための支援を技術的にも財政的にも行う、そういう制度をつくっていただくということを都からも求めていただきたいと思います。
 先ほど紹介した介護離職した知人は、離職しなくて済むような制度の充実を望んでいました。なぜなら、一度離職してしまうと、その間の年金は大幅に減ってしまいますから、自分が定年した後の暮らしが厳しくなるということで、場合によっては生活保護を利用せざるを得なくなると、かえって税金を使うことになるというお話をされていました。
 特に、日本では、育児も介護も、家族のケアは家族が担うものという考え方がとても強いために、制度の在り方も、一定程度、家族が負担することを想定したものになっています。
 背景には、国が社会保障を削っているということがあります。しかも、今後さらに、介護サービスを利用することの抑制や、介護サービス利用料や介護保険料の費用の負担が増やされるという、そうした計画にもなっています。
 社会保障は経済です。こうした社会保障の在り方が介護離職に結びついていますし、それが労働力の減少にもつながっているということを、雇用対策を進める上でも認識すべきだと思います。そうした視点で、現在の介護休業取得応援奨励金などの制度について、効果の検証を行っていただくことを求めておきます。
 また、産業労働局としても、労働者の置かれている環境を立体的に見て、介護離職防止に必要な制度や支援の在り方を検討していただくよう強く要望いたしまして、次の質問に移ります。
 昨年から続く電気代やガソリン代、軽油を含むエネルギー価格の高騰は、収益を圧迫するなど、中小企業は非常に厳しい局面を迎えています。企業間格差が広がる中、さらに今年度は賃上げの機運が高まり、賃上げが厳しい企業の人の確保も一層厳しくなっています。
 この背景には、三十年という長期に及び日本の経済が停滞していたことがあります。実質賃金は、一九九一年から二〇二二年にかけてアメリカは一・四八倍、イギリスは一・四六倍、フランスは一・三三倍、ドイツは一・三〇倍になっていますが、日本は一・〇三倍と、先進国で唯一、賃金が上がらない国になっています。
 賃金が上がらないことによって個人消費が増えず、経済の停滞と暮らしの困難が続く悪循環に陥ります。経済も生活もへとへとに疲弊しているところに物価高騰が襲ってきました。ここに、今、国民、都民の苦しさの特別に深刻な実態があります。三十年に及ぶ経済停滞、暮らしの困難を打開し、中小企業の営業を守るためにも、政治の責任で賃金が上がるようにする必要があります。実施すべきは、物価高騰以上に賃金を上げることです。
 内閣官房と公正取引委員会は連名で、十一月二十九日、労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針を公表しました。これが示された経緯と、東京都の受け止めを伺います。

○山崎商工部長 中小企業が原材料や人件費などのコストの上昇を反映した適正な価格で取引を行うことは重要でございます。なお、公正取引委員会が指針を公表したことは承知しております。

○藤田委員 適正な価格で取引を行うことは当然です。しかし、実態がそうなっていない上に、中小企業では、コロナの影響から経営状況が回復しないまま、エネルギー価格の高騰分に見舞われ、それすら価格に転嫁できないでいるところへ賃金の引上げも進めていけといわれたと。できるわけがありません。
 答弁では、今回の指針が示された経緯について述べられなかったのですが、この指針の表紙には、このように記載されています。
 令和五年の春季労使交渉の賃上げ率は約三十年ぶりの高い伸びとなったものの、令和四年四月以降、現時点に至るまで、急激な物価上昇に対して賃金の上昇が追いついていません。この急激な物価上昇を乗り越え、持続的な構造的賃上げを実現するためには、特に我が国の雇用の七割を占める中小企業が、その原資を確保できる取引環境を整備することが重要ですというものです。
 本来、政治の責任で賃上げできるようにすべきなのに、企業間で補い合って賃金を上げていけというものがこの指針です。これまでも、コストが増えた分を取引価格に反映せず据え置いた場合は、独占禁止法に反するとしていました。公正取引委員会に直接電話をして伺いましたが、今回の指針が、何か変わったところがあるのかを具体的に聞いたところ、独禁法や下請代金法の解釈を変更したわけではないということでした。
 今回の指針は、特に労務費について、取引価格に反映しなかった場合は違反となることを留意点の中に特出しをして価格交渉しやすいように、価格交渉の申込み用紙を新たに添付したにすぎません。賃上げ実現のために国が必死に取り組んでいるということがよく伝わってくる指針です。
 都も、適正な価格で取引を行うことは重要ということなのであれば、ぜひ、その実効性を高める取組を行っていただきたいと思います。
 都としても、今回の指針の狙いをよく把握して、中小企業振興公社をはじめ、情報アクセスが困難な業者に対しても、直接情報が届くように都として働きかけていただきたいと思います。
 一方、これまでも価格交渉に関する対応は行ってきていると伺っています。価格交渉に関する相談はどのように受けていますか。窓口の人数や仕組みについて具体的に伺います。
 また、これは今年度から新たに専門家を配置したというふうにも伺いましたので、今年度のこの間の相談件数と実績についても併せて伺います。

○山崎商工部長 都では、中小企業振興公社に専門家を二名配置し、価格交渉に向けた準備や進め方等のサポートを行っております。
 なお、実績についてでございますけれども、価格交渉を行う専門家への相談件数は、十月末現在で十六社でございます。また、専門家は十月末現在で十一社に訪問をしてございます。

○藤田委員 今年度になって十六件の相談と十一件訪問して、技術的な相談も受けてきたということです。
 私の地元大田区で金属加工を行っている方は、原料が前の年の一・五倍にも値上がりして、製品を一つつくると百五十円の赤字になると話していました。その方は、発注業者と交渉して原材料の値上がり分は何とか価格に乗せてもらったということですが、光熱費までは転嫁できず、つくればつくるほど赤字だと話していました。
 価格交渉は企業間同士で行うということですが、下請はどうしても弱い立場になってしまって、適正な価格にしてもらえないという話を聞きました。また、発注者も中小企業のことも多く、そう簡単に取引価格に反映できないとも思います。
 都内の中小企業が、発注者側から価格の据置きなどの不利益な取引を強要された場合、東京都はどのような役割を果たすのですか。

○山崎商工部長 都は、企業同士の取引に係る支払いなどの相談への対応を行うほか、経営の専門家を中小企業に派遣し助言する取組等を行っております。

○藤田委員 不利な取引の交渉などにも相談に乗ったり、専門家の派遣を行ったりしているということでした。
 パートナーシップ構築宣言というのもあるようで、これも企業間の取引を適正に行うことを目的につくられた国の仕組みだというふうに伺っています。
 東京都は、パートナーシップ構築宣言について、どのように推進、拡大を行っているのか伺います。

○山崎商工部長 都は、下請企業との間で適正な取引を行う宣言をした会社などが参加する商談会を設けるなどの取組をしております。

○藤田委員 都が行っているのは商談会などの取組ということで、企業間の取引の適正化について実効性を高める取組を、直接都が行っているというものではないようです。
 私たちの下へは、パートナーシップ構築宣言をしている企業であっても、下請から、やはり交渉しにくいという声が届いています。
 今年十一月七日に開催された東京の中小企業振興を考える有識者会議で、参加されている委員の方はこのように述べています。
 価格交渉の促進支援に対しては国と連携して、しわ寄せの防止に対することについても、東京都から発注事業者を含む都内の下請取引の適正化に向けた対策の強化ということについて、ぜひ検討をお願いしたいというものでした。
 これに対して、都の対応について伺います。

○山崎商工部長 都は国と連携し、取引適正化に役立つ法令に関する講習会等を実施しております。

○藤田委員 有識者会議では、委員の方は求めてはいらっしゃいますが、価格交渉に関して、都として直接対策の強化を行うというのは、なかなかご答弁を聞いても難しいという感じがいたします。
 内閣官房と公正取引委員会は連名で指針を公表しましたが、これまでの取組をお聞きしても、指針で、労務費を留意点の中に特出しして示したとしても、実際に価格に反映するには、国や都の努力では難しいということが分かりました。結局は民間同士の取引であって、発注者側も中小企業だったりして、価格の協議ができてもうまくいくとは限らないということです。これをもって賃上げを進めていくというのは、かなり難しいことなのではないかなということも感じます。
 価格転嫁を取引先から拒絶されたり、僅かな値上げしか認めてもらえなかったりしたことで、結果的に経営破綻を余儀なくされることも少なくありません。今年度上半期において、原材料、エネルギーコストの高騰を価格転嫁できなかったことによって、物価高倒産をされたというところは、帝国データバンクの集計によりますと、この上半期で三百八十三件だったというふうに、それが昨年、前年同期の二・四倍に達したということが書かれていました。指針やパートナーシップ構築宣言などの取組を進めたとしても、こうした物価高倒産は防げない可能性が大いにあります。
 先ほど答弁で、価格交渉に関する相談は専門家二人で行って、今年度スタートして、相談は十六件、派遣は十一件ということでした。実態から見れば、この上半期の倒産が三百八十三件、これが、価格転嫁ができなかったために起こった物価高倒産ということで、こうした実態から見れば、やはり相談の件数はまだまだ足りないのではないかなというふうにも思いますし、この取組の存在をもっとお知らせをして、人も増やして、体制の強化をして、そして、相談をしたい方が適切に相談できるように進めていただきたいと思います。
 価格転嫁の課題に特化して、都内企業の実態を都としても調べるべきではありませんか。いかがですか。

○山崎商工部長 都は、都内の中小企業を対象に毎月行っている景況等に関する調査の中で、売上高の状況のほか、仕入れや販売の単価の状況などについて把握していることに加え、日々の業務の中で中小企業の実態を正確に理解しております。

○藤田委員 日々の業務の中で中小企業の実態を正確に理解しているということでしたが、実効性ある対策につながっていないことは、今の倒産状況を見ても明らかだと思います。そもそもこの調査は、企業が経営戦略などの参考にするために毎月行っているという説明も受けました。都が現在の調査を行っていても、価格転嫁が進むとは到底思えません。
 帝国データバンクは、さらに東京都に特化して、この価格転嫁が進まない問題を調査しています。調査の結果、コスト上昇分に対する販売価格への転嫁度合いを示す価格転嫁率は四二・九%となっていて、改善はしたものの、コスト上昇分の六割弱を企業が負担しているということが判明しました。中には、全く価格転嫁できないという企業も一二・七%あったということも分かりました。中小、小規模事業者の経営を守る立場での目的を持った調査を行うことが、やはり必要だと思います。
 改めて伺いますが、価格転嫁の課題に特化して、都内企業の実態を都としても調べるべきだと思います。いかがですか。

○山崎商工部長 都は、都内の中小企業を対象に毎月行っている景況等に関する調査の中で、売上高の状況のほか、仕入れや販売の単価の状況などについて把握していることに加え、日々の業務を行う中で中小企業の実態を正確に理解しております。

○藤田委員 あくまで実態を把握できているということだと思いますが、それでも、やっぱり、その実態を把握したのであれば対策を打つべきだと思います。
 東京商工リサーチの調査では、都内企業の倒産件数は今年十月で百六十三件、前年同月比で七一・五七%増となっています。また、今年に入ってからの倒産件数は千三百九件となって、既に昨年の千百五十一件を上回っています。全業種での増加は十四年ぶり、飲食店では過去二番目の多さとなっています。
 コロナ禍で減った仕事が戻らないまま物価高騰が襲い、賃上げが追いつかない状況で家計消費が増える、中小企業の経営は一層厳しさを増しています。物価高騰は、今なお先行きが見えず、年末にかけて倒産、廃業が急増するおそれがあります。
 中小企業は危機的な状況です。なぜ倒産が増えているのか、緊急に実態調査を行い、実効性ある対策を行うべきと考えますが、見解を伺います。

○山崎商工部長 繰り返しになりますが、都は、都内の中小企業を対象に毎月行っている景況等に関する調査の中で、売上高の状況のほか、仕入れや販売の単価の状況などについて把握していることに加え、日々の業務を行う中で中小企業の実態を正確に把握、理解しております。

○藤田委員 そういう姿勢では、都内の中小企業を守ることはできないと思います。
 五年前、二〇一八年に中小企業・小規模企業振興条例が制定されましたが、振興条例と併せて制定された東京都中小企業振興ビジョンについても伺いたいと思います。
 中小企業振興ビジョンは、現在どのように政策を進めているのか伺います。

○山崎商工部長 ビジョンに基づき、中小企業の経営を取り巻く変化に計画的かつ機動的に対応するため、様々な施策を適切に進めております。

○藤田委員 機動的に対応というのであれば、倒産が急増しているという中小企業の経営を取り巻く変化に対しても機動的に対応していただきたいと思います。緊急に実態調査を行うことを重ねて求めておきます。
 あわせて、ゼロゼロ融資とは別の物価高騰対策のゼロ金利融資を創設することや、コロナ対策融資の条件変更や借換えも柔軟に行うよう要望いたします。
 また、現在、年に三回ほど行われている東京の中小企業振興を考える有識者会議では、委員の方から、非常に現場の実態がよく分かるご意見が多く出されていますが、この有識者会議は残念ながら条例による設置ではありません。意見を取りまとめることもできません。
 東京都には、中小企業振興対策審議会という条例設置の知事の諮問機関があります。この二十年間、一度も開催されていません。審議会に諮問すれば、現在の中小企業がどのような状況なのか調べ、どうしたら支えられるのか、専門家で話し合い、中長期的な計画についても取りまとめ、提言を出していただくことができます。
 ぜひ、危機的状況となっている中小企業を支えていくためにも、中小企業振興対策審議会を開催するよう、知事に求めていただきたいと思います。
 最後に意見を述べさせていただきます。帝国データバンクや東京商工リサーチの調査によれば、上半期の倒産件数は六年ぶりに前年を上回り、全業種での増加は十四年ぶり、飲食店では過去二番目の多さとなっています。十四年ぶりということは、リーマンショックのときです。倒産件数は当時の方が多いですが、リーマンショック以来の高い倒産状況ということです。
 しかし、当時と大きく違うことがあります。それは、中小企業の倒産が増加する中、大企業のもうけが増えているということです。それにより、都の税収も、今年も増える想定となっています。つまり、格差がさらに広がっているということになります。
 中小企業の賃上げへの直接支援を抜本的に強化して、時給千五百円に引き上げること、そして、大企業の内部留保に時限的に課税して、大企業も中小企業も賃上げを促進することなど、ぜひ実効性ある賃上げ政策を国に求めていただきたいと思います。
 あわせて、増えた都の税収はしっかりと再配分し、中小企業を伴走しながら支援を強化するよう強く求め、質問を終わります。

○宮瀬委員 では、よろしくお願い申し上げます。
 私の方からは、悪質クレーム、いわゆるカスタマーハラスメント、カスハラと呼ばれるものでありますが、私もいろんな方から、働いている方からお話を聞いたりすると、団体、個人問わず、例えばタクシーの知り合いがいれば、蹴られたとか、中には暴力を受けたとか、日々生活をしていても、駅とかバスですごい勢いでクレームをいっている乗客の方とか、役所に行けば何時間もお話合いされている方とか、いろんな問題があって、最近ではユーチューブを使って、その様子を撮って公開するといったこともあって、なかなかこう、社会問題となっているなと思っています。
 そういった中で、我が都議会立憲民主党会派としましては、二〇二三年八月二日に、そういった要望、陳情を受けまして、二〇二三年九月一日にはカスタマーハラスメント対策プロジェクトチームということで、私が座長を務めることになって、相当勉強もしましたし、いろいろヒアリングも重ねてきたと。
 九月二十六日には、第三回定例会におきまして、西沢けいた都議が、知事に対しまして、カスタマーハラスメント対策条例の制定を求める代表質問をさせていただき、知事の方からは、官民一体で意見交換をするため、公労使会議の場を活用し、適切な対応の在り方について検討してまいりますというご答弁があったところでございます。
 そういった状況の中で、私もいろいろ勉強を、研究を重ねていく中で、カスハラというと、商品とかサービスに、消費者の方が気に入らないといいますか、過失ですとか、そういった場合に、身体的な攻撃、精神的な攻撃、繰り返される執拗な言動、不退去、居座り、差別的な言動、性的な言動などなど、悪質クレーム、カスタマーハラスメントに含まれると思うんですけれども、都はどのようにカスタマーハラスメントを定義しているのかお伺いいたします。

○内田雇用就業部長 顧客やサービスの利用者等から、過大な要求や不当なクレームを受け、従業員が人格を傷つけられ、精神的なダメージを受ける状況を放置することはできないと考えております。
 国の厚生労働省の作成したマニュアルの中では、カスタマーハラスメントについて明確に定義することはできないとした上で、企業の現場では、顧客等からのクレームや言動のうち、当該クレーム、言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段、態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段、態様により労働者の就業環境が害されるものと考えられていると説明しております。
 都では、こうしたハラスメントをテーマに公労使会議を開くとともに、現在、専門家等による検討の場を設け、具体的な対応の方法について議論を進めております。

○宮瀬委員 このテーマを考える際に、一つ、最大点の懸念といいますか、気をつけなきゃいけないことは、真っ当な主張ですとか、真っ当なクレームは本当に大切にしなきゃいけないと、こういったことがあるから、そういった要求を受けませんとか、そういうことはやっぱりあってはならないと。このカスハラをどこまで広げていくかというのもあるんですが、対策を、例えば、正直に、私も都議を十年やっていて、職員の方の中には、えって思う都の職員の方もいて、これはもういわれてもしようがないですよねといった対応をされる方もあるという実感はあります。
 そういった中で、これはカスハラだと、そういった方が主張されたときに、やっぱり違和感があるといいますか、真っ当な主張、クレームは当然保護されなきゃいけないと思っています。カスハラを考える際に、ご答弁にありました不当なもの、妥当性、要は何が正当なクレームで、何がカスハラなのか、ご答弁の中に著しくとか不当なといったご発言がありましたが、どう区分けといいますか、判別しているんでしょうか。

○内田雇用就業部長 国の厚生労働省の作成したマニュアルの中では、カスタマーハラスメントについて明確に定義することはできないとした上で、企業の現場では、顧客等からのクレームの言動のうち、当該クレーム、言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段、態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段、態様により、労働者の就業環境が害されるものと考えられていると説明しております。
 現在、専門家等による検討の場を設け、具体的な対応の方向について議論を進めております。

○宮瀬委員 先ほどと大体同じ答弁なんですが、今検討していますよと。私もいろいろ各所、消防庁ですとか、総務局をはじめ人事の方とか、民間の方とか、いろんなところで聞くと、定義がないんですよね。定義がないから件数とか実態もなかなか分かりづらくて、ただ、明らかに困っている方というのが、度を越している方々がいるわけであります。
 ここの定義づけは本当に、どうすればいいのかって私も本当に考えてはいるんですけれども、ぜひ、ここのまず定義が、じゃあ、百パターンの事例を設けるのか、いやいや、現場に任せているのか、そういったことというのは、ある程度線を引かなきゃいけないかなと思っています。
 改めて、都はカスハラをどのように認識しているのか伺います。

○内田雇用就業部長 顧客やサービスの利用者等から過大な要求や、不当なクレームを受け、従業員が人格を傷つけられ、精神的なダメージを受ける状況を放置することはできないと考えております。

○宮瀬委員 放置してはいけない問題ですよといった都のスタンスなんですが、やはり定義づけをして、実態を正式にちゃんと把握して対策を取るといったことが放置しないといったことになると思いますが、では、現状をちょっと確認したいんですけれども、大きく民間対−−小売店とか、対民間企業、事業者と、役所とか、対行政といいますか、そういったことに大きく大別二つにして聞きますと、現状、カスハラというものが、どう東京都は認識しているのか、件数とか現状について、まず民間の方から伺います。

○内田雇用就業部長 公労使会議の中で事務局が示した労働団体の二〇二二年の調査結果によりますと、直近五年間でカスタマーハラスメントの発生件数が増加したとの回答は三六・九%となってございます。

○宮瀬委員 では、いわゆる行政、公共サービスにおけるカスハラがどれぐらいなのか、都が把握している件数及び状況を伺います。

○内田雇用就業部長 専門家等による検討の場で事務局が示しました労働団体の二〇二〇年の調査結果によりますと、過去三年間に、住民から迷惑行為や悪質クレームを自分が受けたとする自治体職員は四六・〇%、自分はないが職場で受けた人がいるとする職員は三〇・三%となってございます。

○宮瀬委員 これ、労働団体の調査なんですよね、両方とも。当然、労働団体に入っていない従業員の方もいますし、東京都は、件数も聞いたんですけれども、なかなか件数も把握されていないと。
 この問題って結構重大な問題で社会問題にもなっている中で、ほかの団体の調査、あとは今、相当数字も、自治体職員のもう半分ぐらいの方がクレーム受けたり−−悪質クレームですね。都の職員に聞いても、総務局の人事に確認をしましたら、各局でやることになっていますと。各局に聞くと、現場でやることになっていますと。だから、行政の方においても、都の皆さんの身内のところに関しても、この悪質クレームの状況って分かっている人っていないんですよ、実は。
 ただ、行政の方は、厳密には総務局のマターなので、皆さんに対して直接いうことはないんですけれども、これだけ社会問題化されている中で、もっと裾野を広く多くの人の声を聞く形で実態調査を都が行うべきだと私は思いますが、見解を伺います。

○内田雇用就業部長 現在、専門家等による検討の場において、具体的な対応の方法について議論を進めております。

○宮瀬委員 都の答弁で放置できないとおっしゃっているわけですから、専門家の会議の議事録も全て読みましたが、都がそういった調査の結果をしっかりと取ってそれをベースに議論をしないと、専門家の会議のところの軸足となる方向性も変わってきてしまう可能性があるので、ここはあえて、その資料があって困る人いませんから、放置できない問題だということであれば、調査を取っていただきたいなと。
 しかもこれ、公務員の方は半分、実際民間で働いている方が、三七%の方がそういった思いをされているということであれば、調査、先行して取るべきだといったことを改めてお願いをしたいと思います。
 次なんですけれども、都が行うカスハラ対策の現状です。
 これも民間と行政の方でそれぞれ聞いていきたいんですけれども、東京都の方で事業者が行う対応マニュアルの作成ですとか、相談や相談体制の整備、被害者のケアなど、保健医療サービスの提供、再就職支援、啓発及び教育が必要だと思っておりますが、産業労働局における取組状況について伺います。

○内田雇用就業部長 都は会社に対して、啓発リーフレットや動画により対応方法の紹介を行うほか、相談窓口や専門家派遣を通じた助言等を進めてまいりました。

○宮瀬委員 今ご答弁の中で、都がやっていることを、リーフレット、動画、相談窓口、専門家派遣、助言等とありましたので、改めて局の担当の方から一覧でもらいました。
 ただ、今、都がやっているといっておりましたが、例えば企業向け啓発用チラシ、TOKYOノーハラ企業支援ナビ、普及啓発動画、特別相談窓口、専門家派遣、講習会と六個あります。
 もし抜け漏れがあったら教えていただきたいんですが、その内容を見ると、都はカスハラ対策を一生懸命やっていますとおっしゃっているんですが、例えば短編動画の再生が、一年たって、多分再生回数ですね、視聴回数が千四百五十七回、相談窓口の相談対応件数五十二件、専門家派遣は四社、講習会の人数は過去二回あって百七十三名、チラシ三万五千部です。ユーチューブ動画は一年やって二万三千回再生。
 やっぱり、やっているというファクトは、この効果とか困っている人の割合に対して、全然リーチしていないじゃないですかといった質疑は今日はしませんけれども、ぜひ、やっているようには見えるんですけど、実態が伴っていない数字とファクトだと思うので、これはもっと本気でやらなきゃいけないと思っています。
 次に、対行政について、公務員の皆さんがカスハラの被害に遭った後のケアをはじめ、カスハラ対応、カスハラ問題に対して対応することも大事だと思うんですけれども、見解を伺います。

○内田雇用就業部長 国の厚生労働省が定めた指針によりますと、顧客等からの著しい迷惑行為に関し、事業主は雇用管理上の配慮として、相談体制の整備やメンタルヘルス相談等の被害者への配慮といった取組を行うことが望ましいとしてございます。

○宮瀬委員 ちょっとこれ喫緊の課題だと思っているんですけれども、今、国のことをおっしゃいました。
 ただ、今、新聞で読ませていただいたんですが、東京都の問題は幾つかある中、若手の職員がどんどん離職しちゃっているといった報道を見ています。
 それはやりがいの話とか待遇の話とかもあると思うんですけれども、私の知り合いも、区役所含めて、こういったクレーム対応が本当につらいと。同じ人から毎日何時間もかかってくるとか、そういったことで嫌になっちゃっている人もきっとたくさんいると思います。
 そこで、やっぱり人ごとではないとは思うんですが、都が率先をして、今どうなっているのか、せめて都の中のことは集約をして、現状把握していただきたいなと。
 総務の話なんで質問はしませんが、大きなカスハラというテーマの中の話ですので、ぜひそれは連携をしていただきたいと思います。
 次に、やっぱり今後どうしていくのかといったことが大切でありますが、同時に、先ほど冒頭にいいました、消費者が苦情やクレームを申し出る機会というのは十分確保しなければならないと。あとは、事業活動の発展に資することに配慮する、つまり消費者からの苦情やクレームというのが不当に妨げられるようなことはやっぱりあってはならないと思っています。
 今後、都はどのような対策を講じていくのか伺います。

○内田雇用就業部長 ウェブやポスター等による啓発を行ってまいります。また、現在専門家等による検討の場を設け、具体的な対応の方法について議論を進めております。

○宮瀬委員 これぜひ検討しているということであれば、消費者のクレームが、真っ当なクレームが本当に阻害されないような検討も同時に行っていただきたいと思います。その中で、悪質クレーム、カスハラに対する対策として、事業者、要は会社の方が行政の対策に協力するとともに、いわゆるカスハラに係る取組を主体的に行っていく必要があると考えています。
 行政の方としても、各行政機関や関係機関と連携をして協力を図っていくことが大切だと思います。
 それぞれ現状を伺うとともに、今後都はどのように関わっていくのか伺います。

○内田雇用就業部長 都は、会社に対して啓発リーフレットや動画により対応方法の紹介を行うほか、相談窓口や専門家派遣を通じた助言等を進めてまいりました。
 現在、専門家等による検討の場を設けて、具体的な対応の方法について議論を進めております。

○宮瀬委員 これも先ほどの話ですが、今、都のやっている施策が困っている人の分母に対して分子が本当に少ないと思いますので、ぜひ充実させていただきたいなと思っています。
 そういった状況の中で、カスハラに対する行政の対策を議論、検討する機関として公労使会議及び検討部会を設置したとのご答弁が、我が会派の代表質問で、していくといったご答弁から、実際設置になったと思いますが、その現状及び議論の内容について伺います。

○内田雇用就業部長 都はカスタマーハラスメントをテーマに公労使会議を開くとともに、専門家等による検討の場を設け、具体的な対応の方法について議論を進めております。
 公労使会議では、カスタマーハラスメントへの対応の在り方について議論がなされ、専門家等による検討の場では、現状分析と論点整理が行われました。

○宮瀬委員 すみません、質問を一個前後させるんですけれども、その中で、実際カスタマーハラスメント条例の制定といいますか、条例化の議論というのは出ているんでしょうか。また、条例化等を希望する委員は全体でどれぐらいいて、公労使会議、検討部会でそれぞれどうだったのかなと。
 要は条例化の話、議題が出ているのか、そういうことをおっしゃる委員はどれぐらいいるのかお伺いします。

○内田雇用就業部長 公労使会議におきましては、条例など法的な枠組みが有効との意見はございました。
 専門家等による検討の場の中では、条例の制定を求める団体の意見等がございました。

○宮瀬委員 数を聞いたんですけれども、なかなか皆さんの側から委員の意図するところをいうのは厳しいと思いますので、私の方で数えまして、公労使会議の方は委員の方々が五人いて、二人の委員が条例制定化にポジティブなご意見といいますか、条例など法的な枠組みによりと。
 また、検討部会におきましては、八人の委員の中で五人の委員の方が条例制定化にポジティブだといったことで、そのものずばりカスハラの防止条例を制定してもらいたいと。また、効果的な取組、条例の検討、こういったことが進むことが大切と。条例化も選択肢の一つではないかといったお声が出ています。
 その中で、肩書もお立場も出ているので、座長の慶應義塾大学名誉教授、明治大学専門職大学院教授の橋本教授さんが座長なんですけれども、最後に、これは都条例の出番といいますか、何かしら結論を出せれば望ましいと。座長って自分のご意見ってなかなかいう機会ってあんまりないと思うんですけれども、結構、専門家会議、公労使会議、座長の方もそういったお声が出ている状況かなと思っています。
 その中で、この前第一回ずつ終わったんですが、そういった議論を踏まえて、公労使会議と検討部会の今後の開催のスケジュールについて伺います。

○内田雇用就業部長 現在、専門家等による検討の場におきまして、具体的な対応の方法について、各委員にご議論をいただいているところです。引き続き検討の場においてご議論いただくこととしております。

○宮瀬委員 これなんですけれども、議事録を拝見しますと、要は今のご答弁だと、スケジュールに関しても検討中ですといったご答弁でありました。
 議事録見ますと、次回の開催については追って連絡を差し上げますと内田部長がおっしゃっていて、ということは、次回の開催は多分あるんだと思うんですが、先ほどご答弁があったように、これは看過できない問題だと。そのために専門家会議、公労使会議を開いてきたと、一回目終わったと。
 今後のスケジュール、ほかの住宅審議会とかいろんな審議会は、大体の事務方がめどをつけて動いていくものだと思うんですけれども、今後この取組とか検討会が、本当にいつ次行われて、どのように決着、結実していくのかというのは、心配といいますか、一年先なのか二年先なのか三年先なのか、今のご答弁だとそのレンジもよく分からないんですが、改めてスケジュール−−条例制定のスケジュールじゃないですよ、検討部会と公労使会議のスケジュールは、大体でもいいので、三年先なのか、三年かけてやるのか、五年かけてやるのか、それとも一年ぐらいをめどにやるのか、どうなんですか。

○内田雇用就業部長 公労使会議や専門家等による検討の場におきまして、様々な意見をいただいているという状況にございます。

○宮瀬委員 それはスケジュールに関して様々な意見を聞いているんですか。

○内田雇用就業部長 公労使会議や専門家等による検討の場において、様々な意見をいただいている状況にございます。

○宮瀬委員 公労使会議とか検討部会のスケジュールはいつやるのかとかですよ、どれぐらいをめどにやるのかとか、そういうスケジュールに関してもいろんな意見がある。要はずっと先でもいいという人もいればすぐやった方がいいとかって、そういう意味合いですか。
 要は、内容に関してはいろんな意見ありますよ。今フレームの話で、要はこのカスハラについて、いつどうなるのかというのが私たち気になっていまして、そのためには公労使会議と検討部会というステップをやっぱり踏むべきだと。それが何年もかかっちゃうものなのか、それとも一年ぐらいで何かめどが見えそうなのか、なのでスケジュールがあればと。
 今、様々な意見というのは、私はスケジュールのことだけ聞きたいんですけれども、そのスケジュールのことも様々な意見、だからもうすぐやった方がいいという意見もあれば、部会、会議をですね、でも何か年二、三回とかというのもないんです。それも検討部会の中のスケジュールも様々な意見ということなのか、もうこれ最後なんで教えてください。

○内田雇用就業部長 現在、専門家等による検討の場において、具体的な対応の方法について各委員にご議論をいただいております。引き続き、検討の場においてご議論いただくこととしております。

○宮瀬委員 同じことを聞いても同じ答弁になっちゃう感じになってきましたので、ちょっとスケジュールが、ぜひ何か教えていただきたいなと。多くの人が困っていて、対策必要だよねと、でもこれいつになるんだろうというのが関係者の方は固唾をのんで見守っている中だと思います。そういった状況の中で条例化に関して、やっぱりカスタマーハラスメント対策条例を進めるべきだと我が会派としては思っております。
 例えば、罰則規定あるなしとかいろいろありますけれども、罰則規定がなくても、窓口とかお店の場ですごいクレーマーの方が来て、どういう法律の根拠でおまえそんなの受けないとかいってんだとか、どういうことに基づいてそんなこという権利があるんだと。そういったときに理念条例でもあれば、東京都でカスタマーハラスメント条例がありますから、それに基づいてやっていますよと。もちろんそういう条例があるということ自体が抑止になる可能性もありますし、なので、早期にカスタマーハラスメント条例を制定するべきと考えますが、見解を伺います。

○内田雇用就業部長 現在、専門家等による検討の場において、具体的な対応の方法について各委員にご議論をいただいてございます。引き続き、検討の場においてご議論いただくこととしております。

○宮瀬委員 私も長年都議会議員やっていますが、今回の質疑でほとんど同じ答弁ばっかりなので、やっぱり都としての意思をちゃんと示して−−もちろん検討しなきゃいけないところ、ステップは踏んでますけど、都としての意思は、この問題、前からあるわけですから、ぜひ何か示してほしかったなと思います。
 最後になりますが、要望として、まずは消費者が苦情の申出等を行う機会を十分に確保すること、その利益を擁護することというのを大事にしてほしいなと。
 次に、東京都は、やはりカスハラ対策を設定しまして、その責任を持ってもらいたいなと。
 次に、事業者に関しましても、カスハラに関しては、都と連携をして対策を組んでいただきたいなと、責任を持っていただきたいなと。事業者団体に関しましても、関係機関と連携をしつつ、必要な助言とか協力、支援をしてもらいたいなと思っています。
 また、都民に関しましても、やっぱり、そういったことがよくないんですよといったことをちゃんと理解を高めてもらいたいですし、具体的な都の施策としましては、事業者が行う消費者対応業務関連特定行為、いわゆるカスハラに関わる取組の促進ですとか、調査研究の推進ですとか、相談体制の整備、啓蒙及び教育、あとは連携強化体制の整備です。
 その他、必要な施策に関して、ぜひ要望としてお伝えしておきますので、今、部長何度も検討の場、検討の場と、まだ固まっていない状況だと思いますので、私たちもご協力いたしますので、ぜひ一緒になって前向きな提案をたくさんさせていただきたいと思いますので、ぜひよろしくお願い申し上げます。
 質問は以上です。

○古城委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時三十八分休憩

   午後三時五十九分開議

○古城委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○平委員 まず私からは、先月行われました産業交流展についてお伺いをいたします。
 中小企業が持続可能な成長を遂げるためには、自社の技術力やアイデアを生かし、優れた製品やサービスを開発することに加えて、新たな取引先を見つけ販路を拡大していくことが重要です。そうした意味において、試作品や製品をPRする展示会に出展し、ビジネスパートナーとの商談機会を得ることは大変有効な手段であります。
 先日開催した産業交流展の会場に足を運ばせていただきました。その際に、出展者から製品の説明を受け、中小企業の技術力の高さを実感するとともに、来場者と出展者が交流する姿を目の当たりにし、改めて展示会の大切さを認識したところであります。
 そこでまず、今回の産業交流展の概要と特徴的な展示ゾーンについてお伺いをいたします。

○山崎商工部長 中小企業の優れた製品や技術を一堂に展示する国内最大級の見本市である産業交流展は、中小企業の販路開拓や企業間の情報交流の促進等を目的として、平成十年から毎年開催をしております。
 二十六回目の開催となる今回は、先月の二十日から二十二日までの三日間、東京ビッグサイト西展示棟で開催し、六百を超える企業や団体に出展をいただきました。
 今年度は、特別テーマとしてスタートアップゾーン、危機管理ゾーン、DX・GXゾーンを設置しまして、都政課題の解決につながるような中小企業の製品やサービスを数多く展示いたしました。
 このほか、産業交流展の活性化に向けて、例えば全国各地の中小企業が首都圏の企業との交流を目的に出展する全国ゾーンでは、出展の申込み要件を緩和することで、昨年度よりも大幅に出展者数が増えたほか、次世代技術ゾーンでは、ドローンの実演や生成AIの技術を活用した人間の3Dモデルなどを展示することで、中小企業の技術力の向上に役立つ情報を提供いたしました。

○平委員 今回の産業交流展では、危機管理やDX、GXなど、都政課題の解決につながるような特別ゾーンが設けられ、特徴的な点であったということでございました。
 また、会場内を視察する中では、スタートアップが独自のアイデアを基に、デジタル技術を活用したサービスなどを来場者に体験いただいている様子が印象的でありました。
 私も、千代田区のスタートアップが手がけるサービスを体験し、AI技術を用いた眼鏡とスマートフォンのセンサーを組み合わせて音による誘導や案内が行えるもの、目の不自由な方や高齢者の方にも安心して利用いただけるようなサービスを体感させていただきました。優秀賞も受賞したというふうにおっしゃっておりました。
 こうしたサービスや製品の品質の向上には、改善につながる様々な意見を集めることが効果的であります。多くの方に来場いただき、出展者との交流を促す取組が必要であると考えます。
 そこで、今回の来場者数の実績と、来場の誘致に向けて具体的にどのような取組を行ったのかお伺いをいたします。

○山崎商工部長 今年度の産業交流展には、昨年度と比べ、約一万一千人増の延べ約四万四千人の方にご来場いただきました。
 来場誘致に向けて、会期前には、中小企業振興公社、産業技術研究センター等のSNSやメルマガでの情報発信に加え、新たにものづくりに関連した業界団体に出向き、今回の産業交流展における特徴を説明するなどのPR活動を展開いたしました。
 また、会場内では、来場者が製品やサービスの体験を楽しめるよう、危機管理ゾーンにおけるVR防災体験車や、VRゴーグルを用いた災害体験のほか、DX・GXゾーンにおける太陽光等で発電できるガラスを用いた電球の点灯体験等の展示を行いました。
 さらに、様々なイベントを行うステージを設けて、生成AIの活用に関する講演や中小企業の優れた技術力の高さを紹介するテレビ番組とタイアップしたプログラムなど、集客効果の高い取組を企画いたしました。

○平委員 昨年度と比べて、来場者数が一万人以上増えており、来場誘致に向けて様々なご努力をされたということが分かりました。
 私も当日行った際に、有名な芸人の方がいらっしゃったりだとかという姿を多くの来場者の方が楽しみに見ておられたので、すごいなというふうに思ったところでございます。
 次に、出展者についてでございますが、展示会を通じて大手企業のバイヤーなどに自社の製品やサービスを知ってもらい商談の機会を得ることや、新製品の開発に向けて他の企業との接点を持てることが出展の満足度を高めることにつながるものと考えます。そのためには、運営主体である東京都がバイヤー等を誘致するとともに、出展者としても自社の展示の魅力を高めるために様々な工夫を凝らす必要があります。
 そこで、出展効果を高めるために中小企業が行う取組に対して、都としてどのような支援を講じているのかお伺いをいたします。

○山崎商工部長 出展者が産業交流展で商談につなげられるよう、展示会の開催に先駆けて、自社のホームページやSNSを活用し、出展する製品の魅力を取引先等に効果的に伝えられるノウハウを専門家が助言をいたしました。
 また、来場者の関心を高めるブースづくりや展示の手法についても、事前に出展者に対しアドバイスを行いました。
 併せて都といたしましても、こうした出展者の取組がより効果を発揮できるよう、中小企業との取引が見込まれる大企業などに出向いて、産業交流展に訪れてもらえるよう働きかけを行うとともに、会場においても来場者のニーズに応じた出展企業を紹介できるマッチングコンシェルジュを用意し、多くの商談が生まれるよう後押しをいたしました。

○平委員 出展効果を高めるために、中小企業が行う取組に対して、都として様々なサポートを行っているというご答弁でございました。ぜひ、中小企業が出展してよかったと実感できるように、これからも創意工夫を凝らし、出展企業のためになるような支援に取り組んでいただくことを要望いたします。
 今、社会では、どの業界も人手不足が大きな経営課題となっております。産業交流展のような展示会を商談の機会としてでなく、学生など未来を担う若者たちに対して、自社の技術や製品をPRすることは効果的であると考えます。
 若者が中小企業に関心を持ち、就職先の選択肢の一つに加えてもらうような取組も必要ではないかと思いますが、今回の産業交流展での取組状況と併せて見解をお伺いいたします。

○新田事業推進担当部長 若者に中小企業を就職先として選んでもらうために、その仕事や会社の内容を知ってもらうことは重要でございます。
 都は、中小企業で働くことの魅力を紹介するため、産業交流展の企業ブースに学生等を案内し、経営者や従業員との対話の機会を提供する魅力発見ツアーを実施しております。このツアーでは、キャリアカウンセラーなどが学生等を引率してブースを訪問し、会社の事業や働く魅力について直接話を聞くとともに、ブースで展示されている製品やサービスに触れるなどの機会を設けております。
 これにより、今年度は大学生や工科高校生など二百七十名が百二の企業のブースを訪れ、その魅力を知っていただきました。

○平委員 ありがとうございます。今回産業交流展を視察したことで、中小企業やスタートアップの技術、アイデアのすばらしさを体感でき、非常にいい経験となりました。あれだけ大きなイベントを開催するということ、大変な労力があるというふうに思います。
 局の産業支援に対する取組をこれからもしっかりと応援していくことを表明いたしまして、次の質問に移ります。
 就業支援についてです。
 千代田区に東京しごとセンターがございます。バブル経済崩壊後の厳しい雇用情勢が続いていた平成十六年に開設をして、来年で二十周年を迎えるというふうに伺っております。
 私も近所にあることから、地域回りをしている際など、お手洗いを借りたりだとか、コンビニで買ったサンドイッチを上のところで食べたりだとか、あれいいんですよね、別に入っても、一般の方が−−大丈夫ですよね、訪れているんですけれども、就職支援をワンストップで行う拠点として、若者からシニアまで幅広い年代の多くの方々をサポートし続けてきたことを評価するとともに、このような施設が存在することを大変頼もしく思っております。
 若者であれ、高齢者であれ、女性であっても、求職者が仕事を探す場合、その就職に対する希望、あるいは悩みは一人一人それぞれ千差万別です。それは、年代や性別など、各個人が置かれている状況によって異なるものであり、支援に当たってはそうした求職者一人一人に寄り添うことが重要であると考えます。
 そこでまず、都が独自に設けた就業支援施設であるしごとセンターにおけるサービスの特徴と利用者の状況についてお伺いをいたします。

○内田雇用就業部長 東京しごとセンターは、仕事を求める多様な方々を対象に、職業相談からカウンセリング、セミナー、職業紹介などの就業支援サービスをワンストップで提供しております。
 就職に困難を抱える若者や、出産や育児を経て再就職を目指す女性のほか、セカンドキャリアとしての再就職を目指す高齢者などに対しまして、本人の希望や経験、スキルなどにも配慮しながら、それぞれの特性に合ったカウンセリングやセミナー、スキルアップのプログラムなど、きめ細かなサービスを行ってございます。

○平委員 きめ細やかなサービスを行っているということでございます。出産や育児を経て再就職を目指す女性に対して就業支援を行っているとのご答弁がありました。
 都は、「未来の東京」戦略で女性の活躍、推進を掲げ、女性の就業率を向上させるとうたっています。
 今年七月の国の調査では、女性の有業率は過去最高を記録し、東京では五九%と上昇が続いていますが、世界から見ると日本のジェンダーギャップは健在で、依然として労働参加率の男女比の格差が課題となっています。誰もが力を発揮できる社会を実現するため、女性の活躍に向けた就業支援は大変重要と考えています。
 そこで、しごとセンターにおいて、出産や育児を経て再就職を目指す女性に対して、どのような就業支援を行っているのかお伺いをいたします。

○新田事業推進担当部長 都は、出産や育児などで離職した女性が再び活躍できるよう、しごとセンターに専用窓口である女性しごと応援テラスを設置し、再就職に向けた支援を行っております。このテラスでは、専任のアドバイザーを配置し、キャリアカウンセリングの実施や、就職活動の進め方、就業に必要なスキルを学び直すセミナー、職業紹介までワンストップでサービスを提供しております。
 また、ハローワークと連携するとともに、家庭と仕事の両立に理解のある企業の求人を開拓することにより、今年度は十月末までに六百三十八名が就職に結びついております。

○平委員 ハローワークと連携をされているということも大きな意義があると思います。女性しごと応援テラスが着実に成果を上げているということも答弁から分かりました。
 先ほどジェンダーギャップの話をいたしましたが、男女格差で課題となるのは有業率の差だけでなく、賃金の格差も指摘されております。
 賃金格差で切実な問題となるのがシングルマザーの方々です。
 国の調査では、母子世帯が百二十三万世帯おり、そのうちの約四割近くが年間所得二百万円未満の低所得となっております。国もこうした現状を踏まえ、女性の所得控除、経済的自立に向けて本腰を上げるとしております。
 都としても、女性しごと応援テラスで上げた成果をシングルマザーに対する支援の強化につなげていただきたいと思いますが、しごとセンターにおけるシングルマザーに向けた支援の取組状況について伺います。

○新田事業推進担当部長 都は今年度、シングルマザーの方を含め、育児中の女性等を対象としたアウトリーチ型の支援として、都内各地に出向き、セミナーと就職相談を行う女性しごと応援キャラバンを実施しております。
 具体的には、就職活動のノウハウを提供するセミナーと個別に相談できる就業相談会をセットにしたイベントを年間八十三回開催することとしており、十月末までに五十三回実施し、三千百六十九人が参加しております。
 また、ひとり親など、きめ細やかな支援が必要な女性に向けて、しごとセンターに専門のカウンセリング窓口を設けており、今年度は十月末までに二百十九人にカウンセリングを実施しております。

○平委員 シングルマザーなど低所得に苦しむ女性に対し、アウトリーチで支援に取り組むなど、きめ細やかな対応をしているということがご答弁で分かりました。
 しかし、都内には様々な困難や問題を抱えてこうした支援を必要とされている女性がまだ多くいらっしゃいます。
 さきの定例会で我が会派が具体的に提案をし実現をいたしました、都営住宅に入居するシングルマザーの方々など、就労支援を必要とするより多くの方々に支援が行き届くよう、一層きめ細やかな対応をしていただくことを要望いたします。
 次に、しごとセンターにおける高齢者への就職支援についてお伺いをいたします。
 来年で設立二十周年を迎えるしごとセンターは、平成八年設立の東京都高年齢者就業センター、シニアワーク東京が発端となっており、現在のシニアコーナーは、長い歴史の中で蓄積された知識と知見の下で運営をなされております。
 一方で、近年はコロナ禍という未曽有の事態の中、これまで経験のない不安を抱えながら就職活動に取り組まれた高齢者も少なくなかったことと思います。しごとセンターは、コロナ禍におけるシニアへの就労支援の成果を生かして、人生百年時代の高齢者の活躍を後押ししていくべきと思います。
 そこで、これまでの高齢者に対する就労支援の取組状況についてお伺いをいたします。

○内田雇用就業部長 都は、しごとセンターにおいて、高齢者向けのセミナーを開催するほか、高齢者の職業経験や経歴等に応じた就業相談と職業紹介など、きめ細かい就業支援に取り組んでおります。
 支援に当たりましては、感染症対策に十分留意しながら実施するため、セミナーや就業相談をオンラインでも受けられるようにしております。
 しごとセンターを利用するシニアの方々がオンラインも活用しながらセミナーに定期的に出席するほか、自宅に居ながらカウンセリングを受けることが可能な仕組みにしていることによりまして、様々な状況にある高齢者に活動のきっかけを提供しており、本年十月末時点で千百六十七人の就職を実現しているところでございます。

○平委員 しごとセンターの特徴であるきめ細かい支援をオンラインやリアルの手法を駆使してシニアの活躍を後押ししていると。引き続きお願いしたいというふうに思います。
 先ほど、出産、育児を経た女性のスキルアップ支援の話がありました。
 慢性的な人手不足が続く中、これまでのキャリアにこだわらず、高齢者が求められる業界や職種に転換したいという方もいらっしゃいます。
 また、企業に雇用され週五日間働くスタイルではなく、もっと短い時間で働いたり、空き時間にできる仕事をしたいという方もいらっしゃると思います。
 しごとセンターは、高齢者が求められる分野で就職するためのスキル習得の支援や、高齢者のニーズに合わせた柔軟な働き方について取組を伺います。

○内田雇用就業部長 都は、高齢者が様々な選択肢の中から希望や能力に応じた仕事や働き方を見つけられるよう、しごとセンターにおいてきめ細かい就業支援に取り組んでおります。
 具体的には、シニア人材のニーズの高いマンション管理や介護、保育補助等の職種への就職を後押しするため、業界団体等と連携し、職種ごとに求められる業務スキルを身につける講習会と、団体傘下の企業との面接会を組み合わせた就業プログラムを実施しております。
 また、NPOでの就業やボランティアなど多様な働き方について、その仕組みや就業先の探し方などへの基本的な理解を促すセミナーを開催し、高齢者が意欲や体力に応じた働き方を柔軟に選択するきっかけづくりを行っております。

○平委員 高齢者が新たな分野に踏み出すためのスキル習得など、しごとセンターでは、セミナーから就業相談、スキル習得、職業紹介までワンストップで切れ目ない支援を受けることができるというご答弁でございました。
 先ほど、我が会派からの提案で実現した都営住宅へのシングルマザーの就労支援について紹介をしました。都営住宅には、ひとり親の方だけでなく、高齢者も多く住まわれております。
 都営住宅にお住まいの高齢者の方々にも、生活を充実させていく一つの選択肢として就労が選ばれるよう、しごとセンターの充実した取組を広く周知されているものと思います。都の取組状況についてお伺いをいたします。

○内田雇用就業部長 しごとセンターが行う就労支援の情報を様々な場や機会を捉えて幅広く届けることは重要でございます。
 都は、都営住宅の入居者が仕事に関するカウンセリングやスキル習得などの機会を得られるよう、入居者に毎月配布される広報誌を活用して、しごとセンターに関する情報を提供しております。
 こうした取組を通じて、高齢者の就労支援情報の効果的な周知に取り組んでまいります。

○平委員 高齢者の中には、横のつながりが狭まって情報も少ないという方もいらっしゃるかと思いますので、就労に向けたきっかけづくりが重要だと思います。
 都営住宅にポスターを掲示するなど、高齢者にも気づいてもらえるよう、さらなる工夫が考えられると思いますので、一人でも多くの高齢者にしごとセンターの支援の取組が行き届くよう、積極的な周知、広報を要望いたしまして、私の質疑を終わります。ありがとうございました。

○星委員 私からは、観光振興について、何点か伺わせていただきます。
 まずは観光ボランティアについてです。
 今年の十月、訪日外国人旅行者数は、既にコロナ前を超える水準となり、まちじゅうの至るところで外国人旅行者の方々が観光を楽しんでいる様子が見られます。
 そうした中、東京を訪れた外国人旅行者にとって、多言語でコミュニケーションを取りながら必要な道案内や観光情報を提供してもらえる観光ボランティアは、大変頼りになる存在であります。
 現在、観光ボランティアは約三千百名と多くの方に登録をいただいていると聞いておりますが、今後も増加が見込まれる外国人旅行者を温かく迎え入れていくためには、幅広い世代が観光ボランティアとして活動していくことが大切と考えます。とりわけ、次代を担う若い世代にも参加してもらい、将来にわたる受入れ環境を整えていくことが重要であります。
 そこで、都は、若い世代の観光ボランティア参加に向けてどのような取組を行っているか伺います。

○江村観光部長 都は、語学力を生かして外国人旅行者へのサポートを希望する十八歳以上の方々を観光ボランティアとして登録しております。この観光ボランティアへの若い世代の参加を促進するため、今年度から新たに大学生向けの参加促進プログラムを開始しており、東京の観光資源の知識を学ぶ実践的な講座や、観光ボランティアとペアになって実際に外国人旅行者を案内する体験などを通じて、外国人旅行者との円滑なコミュニケーションの力を高めることのできる内容としております。
 これに加えて、中学生や高校生を対象とするおもてなし親善大使を任命しており、東京の観光に関する基礎的な知識やボランティア活動に必要な接遇の研修を実施するほか、実際に外国人との交流機会を提供するなど、将来の観光ボランティアを担える人材の育成を図っております。

○星委員 中学生、高校生に加えて大学生へのアプローチにも取り組んでいるということでありました。こうした取組は継続して実施していくことが大切であり、幅広い世代の方々に観光ボランティアへの参加意欲を高めてもらうよう、内容の充実に今後も努めていただきたいと思います。
 観光需要の急速な回復に伴い、国内外から多くの旅行者が都内各地を訪れ、地域ににぎわいをもたらしております。こうした需要をしっかりと取り込み、東京が旅行者に選ばれる観光地であり続けるためには、それぞれの地域が特色を生かして観光振興の取組を進めていくことが重要であります。
 最先端の文化、伝統芸能や歴史的な寺社仏閣などはもちろん、例えば多摩地域や島しょには、ダムや橋梁、トンネルといった公共インフラがあり、根強いファンもおります。これらを観光資源として活用していくことも旅行者に訴求するものであります。
 都は、地域が主体となって行う観光振興の取組をしっかりと後押ししていくべきと考えますが、現在の支援状況について伺います。

○江村観光部長 都は、都内の自治体が地域の伝統文化や産業、食、インフラなどの観光資源を効果的に活用し、イベントや情報発信、観光施設の整備などを進めることができるよう、必要となる経費に助成を行っております。また、観光協会等が地域の観光資源を活用して取り組むイベントやまち歩きツアーの開発、実施などに対し、必要となる経費の助成を行っております。
 さらに、観光協会等が観光振興を効果的に進められるよう、地域資源の発掘や商品開発、情報発信などにも詳しい専門家を派遣して指導や助言を行うほか、それによって成果を上げた地域の取組事例の紹介なども行っております。
 こうした取組によりまして、地域が主体となった観光振興を着実に進めてまいります。

○星委員 東京の特色を生かした観光を進めていくには、それぞれの地域で工夫を凝らして、観光振興に取り組む自治体や観光協会等を都がしっかりと支えていくことが大切であります。
 地域によって観光に活用できる資源は異なりますが、各々が磨けば光る原石だと思いますので、引き続きこのような取組を支援し、地域の魅力を引き出していってほしいと思います。
 近年、旅行形態が団体旅行から個人旅行へと変化するとともに、旅行者の興味や関心も多様化しております。こうした中、旅行で訪れる地域で自然体験を通じた地元の人々との交流、触れ合い等に旅の価値を見いだす体験型旅行が注目を集めております。
 東京には、美しい自然を有する島しょ地域があります。それぞれの島には、特有の自然が織りなす景観や地元で取れる食材など、魅力的な資源が数多く存在します。これらを生かした貴重な体験を観光コンテンツとして磨き上げ、旅行者の誘客を進めていくことは地域の活性化につながるものだと考えます。
 そこで、こうした島しょ地域ならではの自然などを活用して観光振興を進めることが重要であると考えますが、現在の取組状況を伺います。

○江村観光部長 都はこれまで、島しょ地域の自治体や観光協会等による観光イベントの実施や広報活動などの取組を支援してまいりました。
 今年度は、新たに島しょ地域の自然や文化などの豊富な地域資源を生かしたコンテンツを体験できるツアーである、アドベンチャーツーリズムへの支援を開始しており、取組に必要となる経費の三分の二について、二千万円を上限に助成しております。
 具体的には、電動アシスト自転車で島内を巡って、ツバキ油絞り体験や火山活動の学習を行うツアーや、魚釣りから調理までを自ら行うほか、森の中でハンモックを作る自然体験プログラムなど、十月末までに六件の事業を採択いたしました。
 こうした取組への支援を通じまして、島しょ地域の魅力を生かした観光資源の開発を着実に後押ししてまいります。

○星委員 観光名所を巡り見学するだけの物見遊山的な旅行と異なり、体験型旅行は旅行者がその地域をよりよく知り、地元の人たちと深く接する絶好の機会となるため、島での体験を存分に楽しんでもらい、リピーターとなっていただけるよう取組を進めていっていただきたいと思います。
 最後に、しまぽ通貨について伺います。
 私も、今年の六月には小笠原、そして十月には八丈島と御蔵島、視察も含めまして行ってまいりました。
 この夏、島しょ地域を訪れた旅行者数は、八月の台風の影響が心配されたこともありましたが、昨年度を大きく上回る盛況であったということであります。
 しかしながら、旅行需要は回復しているものの、コロナ前と比較しても、島への旅行者は十分に戻っていない地域もあると聞いております。
 都では、島しょ地域への来島を促すとともに、地元観光産業の支援として、プレミアム付宿泊商品券、しまぽ通貨を発行しております。
 そこで、今年度のしまぽ通貨に関する取組状況について伺います。

○江村観光部長 都は、島しょ地域への誘客促進と観光消費の拡大に向け、宿泊、買物、飲食等の地域の加盟店で利用できる三千円のプレミアムのついた宿泊旅行商品券、しまぽ通貨を販売しております。
 昨年度は八万セットを販売し、合計で約八か月の期間で完売いたしましたが、今年度は来島者の間で多く利用され、四月から八万セットを販売し、約五か月間で完売いたしました。
 また、事業開始時から、宿泊施設や商店等に対する説明会や広報PRを行ってきたことなどによりまして、この取組を開始した平成二十九年度の当初は百五十六か所であった加盟店の数は、今年十月末現在では、約三倍となる四百八十二か所にまで増加し、利用者の利便性の向上につながっております。
 引き続き、こうした取組によりまして、島しょ地域の観光振興を進めてまいります。

○星委員 しまぽ通貨は、スマートフォンなどを使った簡便なキャッシュレス決済であり、利用者だけでなく、加盟店舗からも使いやすいという声も聞きました。
 視察に行った際にも、町議会議員、村議会議員の皆さんからもぜひ継続、拡充をしてほしいという声もありましたし、島の方々からも、本当に来年度も期待をしています、そんな声も多数いただいたところであります。
 そんな中、今年度は既に完売し販売終了とのことですが、島しょ地域への誘客促進につながる重要な施策であることから、事業の継続はもとより、さらなる拡充、そして利用者、加盟店舗が共に利益を共有できるようお願いをいたしまして、私の質問を終わります。

○大松委員 私からは、東京のコンテンツ産業の振興策について質問をいたします。
 アニメ、映画、ドラマなどのコンテンツ産業界では、ハリウッドが圧倒的な強さを持っておりますけれども、最近では韓国の韓流、中国の華流、インドのボリウッドなど、アジア勢が勢いを増しておりまして、インターネットで映画やドラマを視聴者に直接配信するサービスの広がりもありまして、国際競争が大変に激化をしております。
 その中で、日本のアニメは世界中で多くの人々の心をつかんで、世界各地で多くの作品が放映をされております。そして、このアニメの制作拠点が集積をしておりますのが東京であります。まさに東京の産業ともいえるこのアニメを、日本のさらに有力なコンテンツ産業として育成をして、海外で市場を拡大できるように支援をしていく必要があると考えております。
 そこで、韓流が成功している要因の一つは、映画でもドラマ、音楽でも、積極的に世界市場への展開を図っていることでございます。
 日本のアニメの場合は、人気のある漫画などを大手制作会社がアニメ化して、まず国内で放映、その後、二次使用として海外展開する場合が多いようでありますけれども、韓国のコンテンツは当初から海外市場への展開を視野に入れて制作をされていると、このようにいわれております。
 そこで質問をいたします。都内には、国内アニメ制作会社の八割以上が集積をしており、いいアイデアや素材を保有する制作会社には、直接海外市場に進出できる機会を与えるなど、事業者の海外展開を積極的に支援すべきと考えますが、都の見解を伺います。

○山崎商工部長 東京都では、海外進出を希望するアニメーション制作会社などを対象として、海外の市場動向や海外展開のノウハウ、商談スキルなどを学ぶことのできるセミナーやワークショップを、アニメ等の発信拠点も活用しながら年六回程度開催しております。
 また、こうしたセミナーなどに参加した事業者が企画内容を発表するピッチコンテストを開催し、海外でのビジネス展開が見込める五社程度を選定するとともに、例年六月にフランスで開催される、世界でも最大規模のアニメーションの商談を行う見本市に出展するサポートを実施しております。
 具体的には、見本市の開催前に、マーケティングに詳しい専門家などが商談ノウハウやピッチ技法などのビジネスレッスンを行うほか、事業者のニーズに応じた現地での商談先の開拓などを行っております。
 さらに、現地での商談をサポートするとともに、帰国後のフォローアップも行うなど、事業者の見本市出展に対する一貫した支援を行っております。

○大松委員 この日本のアニメや漫画は、コンテンツ産業として大きく成長できる可能性を持っております。文化、観光という側面とともに、コンテンツ産業という位置づけをより明確にして、成長できるように支援を強化していっていただくように要望をいたしまして、次の質問に移ります。
 次に、アニメや漫画を観光資源として活用をする取組について質問をいたします。
 十月末に池袋にアニメ東京ステーションがオープンをいたしまして、私も行ってまいりました。人気アニメ、NARUTOの企画展示やアニメの制作工程を紹介する常設展示などがありまして、多くの外国人客やファンたちでにぎわって、大変に好評を博しておりました。
 アニメや漫画は、日本が誇る文化であるとともに重要な観光資源であることは先ほども申し上げたとおりでありますけれども、このアニメ、漫画のジャンルは非常に幅が広く、作品の数も膨大であります。内容的にも多様で、奥の深いものも多数ございます。このため、アニメや漫画に関連するスポット、施設、イベントも非常に多様で、都内各地で数多くあるわけでございます。
 そこで、アニメや漫画の魅力を十二分に観光客に知っていただく、これを発信していくためには、私ども都議会公明党の小林議員が既に今年の予算特別委員会でも主張をさせていただいておりますけれども、このアニメ東京ステーションを拠点にして、都内各地に点在をしているアニメや漫画の関連のスポット、施設を関連づけて紹介をして、国内外の観光客やファンたちが周遊できるようにするとともに、こうした各地でアニメを活用した取組を都が後押しをしていくことが重要であると考えます。
 そこで、アニメや漫画を活用して、観光客やファンの回遊性を増すような取組を行うべきと考えますが、都の答弁を求めます。

○江村観光部長 都は、国内外で関心の高いアニメや漫画のコンテンツを活用して観光振興を行う区市町村や観光協会などによる地域の取組を支援しております。
 この事業では、区市町村や観光協会等に対し、観光施設の整備やモニュメントの設置などについては二千万円を上限に、イベントの実施や観光マップの製作などについては五百万円を上限に助成しております。
 今年度は、十月末時点で区市町村などから十九件の申請があり、地域を舞台としたアニメに登場した風景を実際に撮影してSNSに投稿するフォトコンテストの開催や、地域にゆかりのあるアニメのスポットを巡るデジタルスタンプラリーの実施などを採択しております。
 こうした地域の取組を支援することで、観光客の回遊性を高め、東京の観光振興を進めてまいります。

○大松委員 ありがとうございます。この中で、特に漫画関連の施設とかスポットと連携することが非常に重要であると考えます。
 それは、アニメの原作の多くは漫画であります。漫画には漫画だからこそ表現できる、自由な、そして奇想天外な世界観やストーリーがあります。そして、そこに勇気とか友情とか正義という世界にも広がる普遍的な価値観が盛り込まれておりまして、そこに日本のアニメが世界で支持を広げていく要因の一つがあるのではないかと考えているところでございます。
 また、都内で毎年開かれる漫画の同人誌の展示販売イベントには、全国から一万人ものファンが集まります。私も何回か行ったことがありますけれども、漫画の持つパワー、人を引きつける力には驚かざるを得ないわけであります。
 また、最近では、ウェブ漫画の広がりもございまして、ウェブ漫画を原作にした韓流ドラマが日本でも大ヒットしております。こうした漫画を、有用な観光資源としてしっかり活用を広げていただくように重ねて要望をしておきます。
 次に、セル画の活用について質問をいたします。
 先日、アニメ東京ステーションを視察した際に、アニメの制作工程を紹介するコーナーでセル画が展示されておりました。私は子供の頃、テレビで放映されていた手塚治虫氏の鉄腕アトムのセル画で、その美しい色彩に目を奪われました。
 都議会公明党の小林都議は、以前からアニメのセル画は国内外で人気があり、こうした貴重なアニメの資料を広く公開、展示し、観光振興に役立てていくべきと主張をしてまいりまして、それを受けまして、このたび、アニメ東京ステーションでの展示が行われるようになったものと私どもは評価をしたいと思っております。このセル画は、デジタル化に伴いまして、実際のアニメ制作では使われなくなっていますため、今後その価値は上がっていくものと考えられます。
 こうした貴重な資料を適切に保管して積極的に展示をするなど、観光資源として有効に活用していくべきと考えますが、都の答弁を求めます。

○江村観光部長 アニメーションの制作に関連する様々な資料の保存を適切に行い観光振興に役立てるため、都は、アニメの制作工程における絵コンテ、原画、セル画など、約五万点の資料を保管し、貸出しや展示など、その活用を図ってまいりました。
 今年度からは、新たに開設したアニメ東京ステーションの中で、アニメ制作に使用していた機材等とともにこれらの資料を展示することにより、観光資源として多くの来館者に楽しんでいただくなど、アニメや漫画への理解に役立てております。
 こうした取組によりまして、アニメ等に関する資料を観光資源として適切に活用してまいります。

○大松委員 都は五万点もセル画を保管しているということでありまして、大変な量でございます。ただ、保管しているだけでは非常にもったいないわけでありますので、ぜひこのセル画を積極的に活用していっていただくようにお願いをいたします。
 次に、映画のロケ支援について質問をいたします。
 アニメとともに、日本では映画の振興も期待をされております。そこで大きな課題の一つになっておりますのが、ロケ地の確保であります。
 先日の東京国際映画祭のオープニングパーティーで、当委員会の古城委員長と共に出席をいたしまして、関係者と意見交換をした際に、ロケ地を確保できるようにしてほしいと強い要望を受けました。
 申し上げるまでもなく、舞台芸術とは違いまして、映画ではロケが大変重要でございます。私たちが日常何げなく暮らしているまち並みや景観が、映画では重要な役割を果たしまして、その作品に命を与えるわけでございます。
 それだけに、このロケ地の選定、確保は大変重要でありますけれども、管理者の許可、そして撮影時の安全確保など様々な課題がありまして、簡単には確保ができないというのが実情でございます。
 一方、映画で日本のまち並みや自然が登場いたしますと、そのロケ地に行ってみたいと来日する観光客も多く、観光客の誘致につながっているわけでございます。
 このように、ハリウッド映画に東京のまち並みがよく登場するわけでありますけれども、東京はロケ地として海外にも人気がありまして、外国人観光客の誘致にも大変大きな効果があるわけでございます。こうしたフィルムツーリズム、シネマツーリズム、こういう観点からもロケ地確保の支援は大変重要でございます。
 そこで都は、映画の振興、映画を活用した観光振興に向けて、ロケ撮影の支援に積極的に取り組んでいくべきと考えますが、現在の取組について伺います。

○江村観光部長 都は、ロケ撮影をサポートする東京ロケーションボックスを運営し、映画関係者の円滑な撮影を後押ししております。
 今年度は、十月末時点で約二千六百件の相談に対応し、ロケ地の紹介のほか、警察や道路管理者等と使用許可の調整などを行っております。また、映像制作や撮影許可に精通した担当者が約九十件のロケ撮影に立ち会い、休日や夜間にも対応したほか、制作者に対し、活用できるロケ地の情報やこれまでの支援事例などをウェブサイトなどで提供しております。
 また、東京を舞台とした海外の映画作品等の撮影を促すため、制作者に対し、都内での撮影に要する経費の最大三分の二を助成しており、今年度からは、上限額を五百万円から七百万円に引き上げました。これにより支援したフランスの映画作品では、下町の銭湯や居酒屋のほか、お台場など東京の多彩な風景の撮影を行っており、東京の魅力の発信に寄与しております。
 こうした取組によりまして、海外の映画作品等の誘致を進め、観光振興につなげてまいります。

○大松委員 例えば新宿の歌舞伎町などは、映画制作者にとっては非常に魅力のあるロケ地の一つと伺っておりますけれども、この撮影の許可には、安全を確保するために多くの関係者の合意の形成が必要であります。
 事故が起きないように、また、周辺の住民から苦情が出ないように、大変な労力と経験が求められる業務でありますけれども、こうした業務を東京ロケーションボックスの皆様方に担っていただいているわけでございます。
 これまで以上に都内の多様な場所でロケ撮影が可能になるように、東京ロケーションボックスへの支援、そして体制の充実を要望いたしまして、質問を終わります。

○白石委員 日本共産党の白石たみおです。都が進める水素関連事業に関わって、質問をいたします。
 小池知事は、ドバイで開催しているCOP28に現在参加をしております。知事は、COP28を通じて都の水素の取組を紹介したいと、このようにも述べております。
 では、都の水素関連の事業は、果たして気候危機に世界が本気で取組を進める水準にふさわしい内容になっているのか、皆さんとご一緒に見ていきたいというふうに思います。
 そもそも、皆さんよくご存じのとおり、現在の水素のエネルギー利用の中心はグレー水素です。つまり化石燃料を使用して作られており、脱炭素には役立ちません。これまで、私たちは何度か代表質問などでこの点を知事にただしましたが、正面からの答えはありませんでした。知事がよく使う言葉を借りれば、この不都合な真実に向き合わずに水素エネルギーをもてはやすのは不誠実だと思います。そのことを大前提とした上で、まず初めに伺いたいと思います。
 知事は、エネルギー問題アドバイザリーボード第二回の冒頭挨拶で、水素の活用について、せっかくのこの東京という大きな需要地を、その特性を生かして、新たなアクションが必要と述べておりますが、これは水素エネルギーをあらゆる分野で活用していくと、こういう意味でしょうか。説明をしてください。

○榎園新エネルギー推進担当部長 水素エネルギーは、再生可能エネルギーの大量導入時代における電力需給の調整力や、電化が困難な熱エネルギーやニーズが多様な運輸部門の脱炭素化など、様々な分野で役割を果たすことが期待されており、普及拡大を図ってまいります。

○白石委員 水素が様々な分野で役割を果たすと、このような答弁でした。いきなり世界の常識からずれるわけです。
 国際社会の脱炭素の議論における水素の位置づけというのは、脱炭素化が難しい分野で代替技術がないところに優先して使っていくというものです。太陽光などの再生可能エネルギーが文字どおり基幹エネルギーとなった下で、水素が電力需給の調整力といった役割は少し見込めるかもしれませんが、しかし、知事の発言のような、あらゆるエネルギー需要を水素で賄うかのような位置づけは、国際社会では全くされておりません。国際社会の到達を踏まえず、名ばかりの脱炭素を振りかざすのは、ぜひやめていただきたいと思います。
 さらに、今の答弁、もう少し具体的に議論していきたいなと思います。
 ドイツのエネルギー政策シンクタンク、アゴラ・エナギーヴェンデの調査において、水素の用途として好ましくない用途、バッドアイデアとされているのが乗用車です。
 都はこれまで、水素自動車の普及に力を入れ、補助も相当力を入れてきました。
 そこで伺いたいと思います。水素乗用車の普及、水素ステーション整備のこれまでの見通しと実績について、どのように総括をされているのでしょうか。

○榎園新エネルギー推進担当部長 令和四年度末時点の燃料電池自動車の導入に関わる助成は千五百二十一台、水素ステーションは二十三か所でございます。
 これらにより、脱炭素化に役立ってございます。

○白石委員 バッドアイデアとされていることを、今の答弁で、脱炭素化に役立つと平気で述べるということですね。もうここまで来ると単なる開き直りだと思います。
 私は、水素自動車の普及、水素ステーション整備のこれまでの見通しと実績について、今質問をいたしました。
 ところが、水素自動車の普及には一切触れない。また、水素ステーションの実績や検証についても、一切の説明なしに、脱炭素化に役立っているとだけいう。そういう簡単なことだったら、私もいえますよね。脱炭素化という言葉を使えば何でも許されると思っているんじゃないでしょうかと、このように疑ってしまいます。
 都はこれまでに、燃料電池車の導入に関わって、一昨年度までの五年間の累計だけでも実に十一億円以上の税金を使っております。また、水素ステーションについても、同様に多額の税金を投入されております。
 しかし、水素の乗用車がもはや次世代の乗用車の主流になり得なかったこと、水素ステーションが現在がらがらだということは誰でも知っていることです。
 そこで伺います。これまでに都が補助を実施した水素ステーション整備の事例の中で、最も補助額が大きい事例について、補助の総額と補助の種類ごとの金額を教えていただきたいと思います。

○榎園新エネルギー推進担当部長 都は、水素ステーションの整備や運営に対して補助を行っており、整備費では累計約四・八億円、運営費では累計約一・四億円が最も補助額の大きい事例でございます。

○白石委員 一か所の水素ステーションに、場合によっては五億円を前後するような税金が使われているというご答弁でした。
 知事や東京都は、世界で好ましくないとされている用途での水素活用に力を入れ、当然のごとく失敗したわけです。そのことについての真剣な検証を抜きに、なし崩し的に次は商用車がメインなどといってみても、都民の理解を得られないと思うんです。誰にも信用されないと思います。
 まず、今回の失敗からしっかり教訓を導き出すこと、そして、それを都民に分かりやすく説明すること、これが最優先課題だと思います。それすらもやらずに、新たに巨額の税金を水素事業につぎ込もうなどということは、断じて許されないと思います。
 都の水素利用の展望に疑問符がつく、もう一つの問題を取り上げていきたいと思います。発電分野における水素利用です。
 アドバイザリーボードの委員からは、東京湾岸の火力発電所に注目する発言もされておりますが、都として水素を火力発電に活用することを考えているのでしょうか。いかがでしょうか。

○阿部産業・エネルギー政策部長 ガス火力の水素等への転換が重要であり、都内の火力発電を水素などで動かすべきとの意見をいただいております。
 東京都エネルギー問題アドバイザリーボードで、大局的な観点から意見をいただきながら、エネルギー施策を戦略的に展開することとしております。

○白石委員 すみません、もうちょっとゆっくりと、分かりやすく答弁していただけますか。もう一度お願いします。

○阿部産業・エネルギー政策部長 ガス火力の水素等への転換が重要であり、都内の火力発電を水素などで動かすべきとの意見をいただいております。
 東京都エネルギー問題アドバイザリーボードで、大局的な観点から意見をいただきながら、エネルギー施策を戦略的に展開することとしております。

○白石委員 今ご答弁がありました。これは先ほどの、将来の再エネ時代の電力需給の調整力といった話ではありません。今あるガス火力発電を今後どう使っていくかという話ですね。先ほどの、世界の水素用途の議論の対象にすらなっておりません。化石燃料からいかに脱却するかといっているときに、化石燃料をいかに延命するかという意見が出されているというわけです。
 ちなみに、先ほどご紹介した委員、どういうスペックを持っているか、バックボーンがあるか。東京電力のご出身の方ですね。都内の火力発電所とは、東京電力の子会社が一翼を担うJERAの品川火力発電所のことだと思います。
 今、JERAのCO2の出ない火という広告宣伝、皆さん、いろいろ見たことがあるかと思いますが、これはグリーンウオッシュであり中止すべきであるという申立てが、環境NGO気候ネットワークなどから日本広告審査機構に対して行われております。
 ちなみに、皆さんご存じだと思いますが、グリーンウオッシュとは何かと。本当は環境に配慮していないのにもかかわらず、しているように見せかけて商品やサービスを提供する、これをグリーンウオッシュといいます。
 JERAのCO2の出ない火という広告宣伝、グリーンウオッシュじゃないかと今訴えが出ております。この申立てで指摘しているのは、JERAの石炭火力発電へのアンモニアの混焼についての話ですが、品川発電所のようなガス火力発電に水素を混焼する場合も、同様の問題が起こります。
 自然エネルギー財団が、資源エネルギー庁及びIEA、国際エネルギー機関のデータから試算した結果によれば、天然ガスにグレー水素を混焼した場合、天然ガスのみを燃焼させた場合、何と結果的に温室効果ガスの排出は、天然ガスにグレー水素を混焼した場合の方が増えると指摘されているんです。
 先ほどの答弁は、ガス発電の水素混焼が重要という大局的な観点からの意見を受けて、都としてエネルギー政策を展開するという答弁だったと思います。
 しかし、この意見でいわれる大局って何かというと、気候危機打開、脱炭素のことではない。結局は、今ある火力発電をどう延命させるかということなんです。
 都は、本当にそれを受けてエネルギー政策を決めるということでよいのかと厳しく問われます。ましてや、これまでよりも温室効果ガスの排出が増えると指摘されているものを、脱炭素とか気候危機対策として評価することも、参考にすることも、私は許されないと思います。厳しく指摘しておきます。
 さらにお聞きします。都として、東京湾近海でCCUSの事業を進めることを展望しているのか。また、東南アジア諸国と同事業を進めることを展望しようとしているのか。いかがでしょうか。

○阿部産業・エネルギー政策部長 現時点で具体的な検討はいたしておりません。

○白石委員 CCSやCCUSとは、皆さんご存じだと思いますが、簡単に説明すると、火力発電所などから出るCO2を回収して地下に貯留し、場合によっては活用するという技術です。グレー水素を混焼するガス火力発電においても、使用が想定されてもおかしくないというものです。
 今のご答弁では、都は、そうした事業を現時点で具体的な検討はしていないというお答えでした。
 現時点での話であり、未来の可能性は否定されないということでしょうか。

○阿部産業・エネルギー政策部長 繰り返しになりますが、現時点で具体的な検討はいたしておりません。

○白石委員 質問をよく聞いていただきたい。現時点では分かりました。未来では、そういう可能性がある、可能性もあるということでしょうか。

○阿部産業・エネルギー政策部長 現時点で具体的な検討はいたしておりません。

○白石委員 ずっと繰り返しなんです。要するに、否定されない。
 現時点では具体的な検討はしないけれども、未来のことについては分からない。やるかもしれない、やらないかもしれない。可能性は否定されないということですね。
 何でこんなことを聞くかというと、先ほどの方とは別のアドバイザリーボードの委員の方で、学識の肩書でおられますが、INPEXという石油開発会社の社外取締役の方がアドバイザリーボードの委員の方でおられます。
 今年六月十四日の日経新聞の記事に、経済産業省がCCSの先進事業として七件の事業を選定した−−皆さん知っていると思いますね−−とあります。
 そのうちの一つが首都圏の事業で、そこにINPEXの名前があります。その関係者の方が都のアドバイザリーボードの委員になっていますから、じゃあ都としてそういうことを考えているのかなというふうに思って、ちょっと聞いてみました。現時点では否定されたけれども、将来のことは否定されないということでした。
 このCCS、CCUSという技術は、発電部門の技術としては未確立で、また、日本のように陸地に適地がなく、世界的に例のない海域での実施は、技術的にも、また、CO2の貯留先としても難しいと思います。
 ましてや日本は地震大国ですから、必然的にコストもほかの技術に比べて高くつく。相当の困難が、これ、やろうとしたら予想されます。莫大な費用もかかるでしょう。そういったものを、今後アドバイザリーボードの議題としていくのかというのは、私は非常に疑問です。実際に発言されていますからね。
 以上見てきたように、都が発電における水素利用を考えていることについては、相当の疑問、残らざるを得ないと思います。
 さらに、私、強い疑問があるんです。今、アドバイザリーボードの委員で、東京電力の関係の方、INPEXといった関係の方、エネルギー企業に少なからず関係のある方が、アドバイザリーボードでこれらの企業の事業に直接関わるようなことを意見としていって、議論して、都の政策の参考にすると。これ、利益相反になるんじゃないかとちょっと疑問なんです。
 これは大事な問題なので、局長に聞きたいと思います。これ、利益相反にならないのでしょうか。

○阿部産業・エネルギー政策部長 委員につきましては、東京都のエネルギー問題について、大局的な観点から意見をいただきながら、エネルギー施策を戦略的に展開するにふさわしい方を選定しております。

○白石委員 私、局長に聞いたんです。アドバイザリーボードの委員、東京電力の関係の方、それからINPEX、今七つの事業で国にも選定されている、そういう企業が、これからの東京都のエネルギーの政策について、参考にすることに意見を出し合いましょう、議論しましょうという会議体に入っていると。
 それが、自分たちの仕事が、さらに都の事業になってしまえば、自分たちの利益になりますから、それを今、先頭に立って意見を交わしていると。これ、利益相反になるんじゃないんですかというふうに質問いたしました。
 答弁では、ふさわしい方を選んだのだというふうに思います。私はふさわしくないと思います。これ、局長、利益相反になるんじゃないんですか。

○阿部産業・エネルギー政策部長 委員につきましては、東京都のエネルギー問題につきまして、大局的な観点から意見をいただきながら、エネルギー施策を戦略的に展開するためにふさわしい方を選定しております。

○白石委員 だから、自分たちの企業や仕事、利益に関わるような人たちが入って議論していると。利益相反の可能性があるんじゃないかと、私、強い疑問があるんです。局長に聞きました。ところが、局長は答えられない。本当に疑問です。
 これ、利益相反に当たらないのかという疑問に根拠を示さず、正面から答えない。これこそ本当に、私、こういうところでしっかりと答弁もしてもらいたいですし、改めて今のアドバイザリーボードがどうなっているのかというふうなことを考えていただきたい。
 質問を進めます。さらに、都の水素利用の展望に疑問が湧くのが熱需要との関係です。また別のアドバイザリーボードの委員の方がこう述べています。熱がどうにも電力では賄えない。熱というものを化石燃料からどういうふうに展開していくのか。答えは水素しかない。
 そこでお聞きします。都内に水素でしか賄えない熱需要が、どのような分野にどのぐらいの規模であると見込んでいるのか伺います。

○榎園新エネルギー推進担当部長 熱エネルギーは、ボイラーなど産業用途で利用されており、この脱炭素化のため、水素の利用が期待されております。
 国は、二〇三〇年にはメタネーションによる合成メタンを一%導入することを目標としており、これを基に、東京水素ビジョンの中で、都内で約二億立米の水素が必要と推計してございます。

○白石委員 私も、産業用の高温熱における利用について、どのぐらいあるのか、都内の事業所数を直近の東京都統計年鑑で調べてみました。
 化学工業、石油製品製造、鉄鋼業、非鉄金属製造を合わせても〇・三六%にしかならない。これは事業所数の話なので、熱需要の規模でいうともっと違うかもしれないなと思いますが、それにしても、さほど大きくはないという規模になるかなと思います。
 となれば、メタネーションによる合成メタンの製造、活用のメインターゲットはどこかということですが、合成メタンを都市ガスの代わりに利用するという話だと思います。エネルギーロス、大量のグリーン水素が必要、高コストといった問題をクリアするだけの合理性があるのかと疑問です。
 また、先ほどの、世界の水素の用途の議論においては、住宅の暖房への利用は最も優先度が低い部類に分類されているということなんです。
 以上見てきたように、都の水素関連事業というのは、いいですか、世界では、やってはならない、あるいは議論の対象でもないようなことばかりに焦点を当てていると。こういう状況だと思うんです。
 とても知事が胸を張って世界に紹介できる、するようなものにはなっていないと。今COP28に行っていますけれども、こんなことを胸を張っていったら、世界からは本当に笑われるんじゃないかと思います。これが率直な現状だと思うんです。
 一方で、アドバイザリーボードでは、水素だけじゃないんです。電力の需要と供給についても議題として、そこで再エネ、省エネについても議論がされているということですので、ここを伺っていきたいと思います。
 EVバス、トラックの普及状況や今後の可能性については、アドバイザリーボードでは議論をされているのか。そもそも議論の対象となっているのか伺います。

○阿部産業・エネルギー政策部長 EVバスを蓄電池として活用できる仕組みについて、意見をいただいております。

○白石委員 EVバスを蓄電池として活用できる仕組みの意見が出されていますという答弁でした。
 水素の商用車については、突っ込んで議論されているんです。なのにEVバスについては、電池代わりの話しかしていないという印象になっちゃいます。大分バランスを欠く議論ではないかと思います。
 アドバイザリーボードでは、広域連系送電網の整備についてや分散型の再エネ電源の接続について、どういう議論がされていますか。これらの点について、東京電力に対する要望は議論されましたか。いかがでしょうか。

○阿部産業・エネルギー政策部長 エネルギー問題アドバイザリーボードでは、送電ネットワークの利用を抑え、その維持コストを低減すべきと意見をいただいております。
 また、再エネは需給調整が重要であり、EVや蓄電池などの小規模電源を導入し、地産地消していくことが重要との意見をいただいております。
 これらについて、東京電力に対する要望は議論されておりません。

○白石委員 地域分散型の電源を増やして地産地消を進めていくというご答弁、これ、大事だと思うんです。しかし、どう考えても、都外の電源に頼らなければ、東京の電力需要を賄うことはできないということは明らかだと思います。
 また、東京都自身が、この間、原発ゼロとはいわないまでも、系統を通じて供給される電力の再エネ化を進めてまいりますといってきているわけです。これらの点からしても、東京電力の社会的責任はますます高まっていると思います。
 こうした点についても、より突っ込んだ議論が必要だと思いますが、いかがでしょうか。

○阿部産業・エネルギー政策部長 先ほどご答弁したとおり、アドバイザリーボードにおきましては、東京電力に対する要望は議論されておりません。

○白石委員 だから、議論されていないから、大事なんじゃないんですかという質問をしたんです。繰り返さなくていいので、質問を受けたらそのままちゃんと答弁していただきたい。要望する議論はされていないと分かっていますから、ぜひ、こういうところも、より突っ込んだ議論が必要だと私は思うんです。これ、正面から受け止めてもらいたいと思います。
 アドバイザリーボードでは、再エネ電力の導入拡大に関わって、VPPやアグリゲーターについて、どのような議論がされているでしょうか。

○阿部産業・エネルギー政策部長 再エネは需給調整が重要であり、EVや蓄電池などの小規模電源を導入し、地産地消していくことが重要との意見をいただいております。
 また、電力のダイナミックプライシングについて、制御できる機器や仕組みを実装していくべきとの意見をいただいております。

○白石委員 ドイツでは、既に二〇〇六年に、コンビクラフトベルク研究プロジェクトにおいて、実在の再エネ発電設備と蓄電設備をVPPで統合制御することによって、一万分の一スケールで再現されたドイツの年間電力需要供給曲線を一〇〇%賄うシミュレーション、成功しております。
 ちょっと難しいんですけれども、簡単にいえば、シミュレーションに成功して、このまま既に数多くの事業者が、このコンビクラフトベルクと同原理のVPPを駆使して、ビジネスも展開して、要するに気候危機対策にも、先頭に立って走っているというふうなのが今ドイツでは起こっております。
 一方で、日本というのは二十年近く遅れているということになります。また、再エネの小規模電源を有効に組織して、需給調整に重要な役割を果たすアグリゲーターは、日本にはごく僅かしか存在しておりません。こうした遅れをどう打開していくのか、もっと突っ込んだ議論が必要なはずだというふうに私は思います。
 アドバイザリーボードでは、業務用ビルの断熱性能を高めるパッシブ技術の普及について、どのような議論がされているか、今後どのように生かされるのか聞きたいと思います。

○阿部産業・エネルギー政策部長 東京は業務用の建物が非常に多く、業務分野の断熱などをもっと強化するべきとの意見をいただいております。
 東京都エネルギー問題アドバイザリーボードで、こうした大局的な観点からの意見をいただきながら、エネルギー施策を戦略的に展開することとしております。

○白石委員 会議の配布資料にも、建築物環境計画書制度、同報告書制度、キャップ・アンド・トレード制度など紹介されておりますが、そこでそれぞれ議論されていることに比べて、どうしても見劣りをしてしまうというふうに思います。
 エネルギー問題に関する会議体といいながら、結局、再エネ、省エネの議論というのは極めて不十分じゃないかと。私、今まで、ぱんぱんぱっと質問しましたけれども、水素についてはすごく中心的に議論されるんですが、再エネ、省エネという議論では、このアドバイザリーボードでは極めて不十分であるというふうにちょっといわざるを得ないなと。
 そこから見えてくるのは何かといったら、つまり、この会議体の本音、本当の狙いというのは水素の活用の方にあるんじゃないのかと思います。しかし、先ほど見てきたように、都の水素の活用方針に展望は見えておりません。
 アドバイザリーボードを続けるのであれば、省エネ、再エネの専門家を中心にした会議体に抜本的につくり変えて、もっと突っ込んだ議論をできる場にするということが、私、大事だと思うんですが、いかがでしょうか。

○阿部産業・エネルギー政策部長 これまでのボードにおきまして、再エネ電力の導入拡大、あるいは建物の断熱といった省エネ分野についても、議論をいただいているところでございます。

○白石委員 議論をしているというのは分かっております。だから、もっと突っ込んで議論していかないといけないんじゃないですかと。そのためには、この会議体、やっぱり改変が必要だと。
 一方で、東京電力や、先ほどのエネルギーの開発会社の関連の人たちが入っていると。で、そういう意見が出ると。利益相反になるんじゃないかというふうな疑問まで湧いてくると。
 構成のメンバーは、やっぱり省エネ、再エネの専門家中心にして、しっかり議論して深めていく、より突っ込んだ議論をしていくと。こういう会議体に私はすべきだというふうに提案したいと思います。
 現環境局所管の議論とは、もう同じく、このような会議体はあるんですけれども、それとは別に、産労らしく議論できる、議論すべきことがもっとたくさんあるはずだというふうに思います。そして何より、都民に開かれた場にすべきだなと思います。
 私自身、この質疑を準備するに当たり、会議の資料や議事要旨、見させていただきましたが、そもそも事務局が何を提案したのか、委員の誰が発言したのか分からない。発言が本当は何を意図しているのか、どのような考え方に基づいて発言されたのか分からない。うまく読み取れないという状況でした。
 そこで伺いますが、アドバイザリーボードでの議論について、議事要旨にしているのはなぜですか。

○阿部産業・エネルギー政策部長 出席者による自由かつ率直な意見の交換ができるよう非公開としており、当日の議論の内容について要旨を公表しております。

○白石委員 出席者による自由かつ率直な意見の交換ができるために非公開だと。つまり、都民に公開すると自由な議論ができないというふうな意味ですね。
 ここにいる委員の皆さんも、今の答弁、ちょっと疑問だと思うんです。公開したら、都民に公開したら自由な議論ができない。だから非公開なんだと。ちょっとよく分からない。
 聞きますが、都民に公開すると、どういう不都合が生じますか。

○阿部産業・エネルギー政策部長 出席者による自由かつ率直な意見の交換ができるよう非公開としておりまして、当日の議論の内容について要旨を公表しております。

○白石委員 だから、都民に公開したら自由かつ率直な意見交換、議論ができないと。よく分からない。公開したら自由がなくなるということですよね。だから、そこを聞きたいんです。
 公開した場合に、どういう自由が奪われるのか。具体的に、何か不都合があるのか。お答えいただきたいと思います。

○阿部産業・エネルギー政策部長 出席者による自由かつ率直な意見の交換ができるよう非公開としておりまして、当日の議論の内容について要旨を公表しております。

○白石委員 答弁不能なんですね。何で都民に公開したら自由な意見がいえないんだと。すごく疑問です。だけど、答えられない。
 だったら、ちょっと角度を変えましょう。アドバイザリーボードの委員から、会議は公開しないでほしいという申出があったのでしょうか。イエスかノーでいいです。お答えください。

○阿部産業・エネルギー政策部長 出席者による自由かつ率直な意見の交換ができるよう非公開としております。

○白石委員 ちょっと、質問にちゃんと答えていただきたい。
 アドバイザリーボードの委員から、会議は公開しないでくれと、公開したら自由な意見、率直な意見がいい合えないから、だから非公開にしてくださいという申出があったのですか。イエスかノーでお願いします。

○阿部産業・エネルギー政策部長 出席者による自由かつ率直な意見の交換ができるよう非公開としてございます。

○白石委員 これ、質疑にならないです。簡単な話なんです。
 じゃ、アドバイザリーボードの委員に、公開か非公開かと、どっちがいいですかというふうなことを聞いたことは、聞いた事実というのはあるんですか。

○阿部産業・エネルギー政策部長 出席者による自由かつ率直な意見の交換ができるよう非公開としてございます。

○白石委員 さっきからそれは聞いているんです。利害関係者が構成員として入っているわけですから、自分たちの利益に通じる議論がされているんじゃないかと、疑念は当然生じてくるんです。
 しかも、一回当たり二万円ぐらいの費用弁償が税金で支出をされているわけです。税金が投入された会議なんですから、都民が知る権利は当然あります。それを、都民に公開したら自由な議論、率直な議論ができないということ自体、全く理解ができません。
 まともに答弁できないわけです。実際、公開か非公開かと委員に意見を聞いたのかといっても、全く答えない。
 部長が答えられないなら局長に聞きたいと思うんです。局長、アドバイザリーボードの議事録を公開すべきだと私は思うんですけれども、局長の意見を聞きたい。少なくとも、議事録を公開していいか委員の皆さんに聞くべきだと思うんです。局長、局長ね(阿部産業・エネルギー政策部長発言を求む)いやいや、ちょっと待ってください。局長に聞いているわけです。(阿部産業・エネルギー政策部長発言を求む)局長に聞いています。
 局長、これ、議事録を公開すべきだというふうに思えませんか。だって税金が支出されているわけです。都民の知る権利が絶対あるわけです。それを公開したら自由が奪われると。こんな乱暴な議論はない。私は、少なくとも委員の皆さんに、要するに議事録は公開しますという、その意見を聞くべきだと思うんです。局長、いかがでしょうか。

○阿部産業・エネルギー政策部長 繰り返しになりますが、出席者による自由かつ率直な意見を交換できるよう非公開としてございます。

○白石委員 本当に、そもそも小池都政は、都政の透明化と、一丁目一番地だというふうなことをいってきました。だけれども、今の議論を聞いて、とにかく都民に公開したら、自由や、意見がいえない、率直な意見が交換できないと。だから非公開にしたのだとずっと繰り返すわけです。
 だったら、委員の皆さんに聞くべきだと。それぐらいできるじゃないかというふうに思います。少なくとも、委員に議事録を作成して公開してよいか聞くことぐらい、すぐにできると思うんです。検討するぐらいは普通いえると思うんですよ。
 だけれども、局長は一切答えない。ずっと座っている。だって部長が答えられないんだから、局長が答えるべきなんです、本来は。検討するぐらい、私、普通いえると思うんです。ところが、局長を先頭に、まともに答弁しないというのは理解不能です。
 会議の構成メンバーは、利害関係者も入っております。それこそ非公開ではなく公開にすべきです。
 気候危機対策は都民参加が重要だと思います。都民に開かれたアドバイザリーボードにすることを強く求めて、質問を終わりたいと思います。

○中田委員 それでは、私の方からは、まず初めにコロナ禍に行ってきた感染拡大防止協力金のところで質問をさせていただきます。
 この感染拡大防止協力金、時短要請に従っていただいた飲食店に支払ってきて、それをいただいたことによって飲食店が休業するというところで、これがコロナの対策の中の感染拡大にどれだけ効果があったかというのはまた別の議論として、実際もらったから休業していた店舗が多かったなというところは、東京都の調査の中でもありましたけれども、この感染拡大防止協力金、残念なことに不正受給をした事業者もいて、多くの自治体で現在回収中だというところが、いまだ報道でも目にしています。
 東京都も同様に、鋭意回収中であると聞いていますが、やはりこの協力金、税金で支払われているものなので、しっかりと回収をしなければいけないものであると考えています。
 そこで、感染拡大防止協力金の不正受給の件数及び金額について、また、不正受給が判明した場合の対応、併せてお伺いをいたします。

○池野産業企画担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長DX推進担当部長兼務
都は、感染拡大防止協力金の支給の決定を受けた申請者が、偽りその他不正な手段により協力金の支給を受けようとした事実が判明した場合、支給決定の取消しを行ってまいりました。令和五年十月末時点で、都が不正受給と判断して支給決定を取り消した件数は三百六件、金額は三億七千九百二十五万九千円となっております。
 不正受給が明らかになった際には、警察などの関係機関に相談するとともに、協力金の返還と併せて違約金の請求を行うなど、厳正に対処いたしました。

○中田委員 今、鋭意回収中というところで、金額としては三億七千万近くあるというところなので、これは一円たりとも逃さず、しっかりと回収をしていただきたいと思っておりますし、話を聞いているところによると時効も存在するというところで、逃げ得を許さないでいただきたいというところがあります。
 様々、コロナ禍で、産業労働局としてもいろんな支援を行ってきたと思っています。テラスの営業の緩和であったりとか様々行ってきましたが、この効果がどこまであったのかというのを、やっぱりしっかりと東京都全体に、私ども会派としてもコロナの検証をすべきだといってきておりますけれども、産業労働局としても、このコロナ禍で行ってきたいろいろな支援について、やっぱり一つ一つ、どれだけ効果があったのか、それがちゃんとコロナ対策に、感染症対策につながってきたのか、改めて、やっぱり検証していくべきだと思いますので、それは要望させていただきまして、次の質問に移ります。
 賃上げについてです。
 これまでも、ここの、今日の委員会の中でも、さんざん賃上げについて質問が出てきまして、いろいろと議論が進んできていますので、私の方からは、かぶっているところを省きながら、聞きたいことを聞かせていただきます。
 賃上げ、いろいろと今、昨今いわれている中で、どうやったら事業者が上げられるのか。そこもやっぱり考えていくべきで、この原油高、物価高、これをどうやって価格に反映していくのか。そういうようなところで、やっぱり産業労働局としても、今、様々な支援策を行っているところを重々承知はしておりますので、今後の展開について話を伺いたいと思います。
 まず、原油高対策の事業について、今、専門家派遣の申請が終了しましたが、実績と今後の展開、この事業をどうしていくのか、続けていくのか、それとも終わってしまうのか、この点について質問をいたします。

○山崎商工部長 都は、中小企業がエネルギーコストを減らすことのできるよう、昨年六月より専門家を現場に派遣し、その助言を実現するために必要な経費への助成を行っております。
 今年度末までに助成金の採択が完了するよう、本年八月末まで専門家派遣の申請を受け付け、十月末までに延べ二百五十九回の派遣を実施し、百一社に交付決定を行いました。引き続き、必要な支援を行います。

○中田委員 今最後に、引き続き必要な支援を行うというところで、今後の展開、様々社会状況が変わっていく中で、しっかりと賃上げができる、その土壌をつくっていただきたいと思いますので、引き続き要望をさせていただきます。
 その中で、ここまで様々な委員から話も出ていますけれども、価格転嫁の部分がやっぱり大きいのかなと。いろんな原材料が上がる。例えば飲食店でも、仕入れの物が上がって、それをそのままお客さんに価格転嫁して出せるのか。
 様々な段階での価格転嫁というのはあると思いますけれども、中小企業の適切な価格転嫁に向けて、都はどのような取組を行っているのか伺います。

○山崎商工部長 都は、企業同士の取引に係る相談への対応を行うほか、専門家を中小企業に派遣し、助言を行っております。
 また、中小企業が適正な条件で取引を行う上で役立つ知識を学ぶセミナーを実施するほか、発注側の会社と受注企業が適切な取引を行う商談会を開催いたします。

○中田委員 今やっていることの一端だと思いますけれども、セミナーを行ったり商談会を開催するなどをやっているというところでした。
 他の自治体の事例ですけれども、中小企業価格転嫁促進支援金など、そういう支援金を配っているような自治体も今あります。どの段階でどういう支援をしていくかというのは、多分総合的に局の方でいろいろと考えて複合的にやっているものだとは思いますけれども、やはりそういうような支援金とかというのも、一つメニューとしてもあってもいいのかなと考えています。
 先ほどもいったように、この価格転嫁がどこの段階で、例えば大企業と取引をしていて、下請の会社が上げられなくて困っている、その支援ももちろん必要ですし、先ほど私がいわせていただいたような、飲食店で仕入れ値が上がって上がって、だけど、お客さんに、あしたから牛丼を五百円で出していたのを千円ですよって、なかなかやっぱりできないし、そうすることによって賃上げができないという負のスパイラルに陥ってしまうところの、やっぱり一つ一つ目詰まりを解決していかなきゃいけないと思っています。
 その中で、賃上げの話になると、やはり防衛的賃上げを行っているという調査が、商工会議所のデータで出ています。
 賃上げをしている会社の六割近くの会社が、防衛的賃上げを行っている。人材が流出してしまう可能性があるから、賃上げをせざるを得ない。賃上げすることはもちろんいいことですし、どんどんどんどん、やっぱり今、社会がそういう流れになっているからやらなきゃいけないけど、うちの売上げは上がっていない、でも、隣の会社が賃上げしたから、うちも上げないと会社から人がいなくなってしまう、だから防衛的賃上げを行っているという回答をしている会社が今あって、こういうところが目詰まりを始めると、賃上げの機運もなくなっていくし、会社が潰れてしまえば、そもそも失業が増えてしまう。
 そういうようなことにならないように考えていく必要があると思いますが、東京都として、この防衛的賃上げについてどう考えているのか、さらに対策について考えているか伺います。

○内田雇用就業部長 中小企業が、事業の発展に向け、生産性を高め、賃金の引上げを図ることは必要でございます。
 都は、労働者の処遇改善に向けた中小企業の様々な取組について、経営や職場づくりの面から支援をしてございます。

○中田委員 なかなか東京都として、じゃ、どこまで何を支援していくのかというところは難しい部分であると思いますけれども、こういうようなアンケートがしっかり出てきている中で、やっぱり会社の規模にもよって、支援策は様々変わってくると思うんです。中小企業でも、十人規模の会社なのか、五十人規模の会社なのか、そういうところをしっかりと丁寧に事細やかに、しっかり支援をしていただきたいなと思っています。
 さらには、やっぱり東京都内での賃金格差というのも生じてきているのかなと。最低賃金、全国でもちろん違いますけれども、東京都内は最低賃金は一緒ですけれども、その中でもやっぱり地域によって賃金格差が生じてきていて、人の流れが、労働者の流れがやっぱり集中していくというのがあるのかと考えています。
 例えば、渋谷でアルバイトを募集するときに、千二百円でも来ないから千三百円にする、千四百円にするといって、どんどんどんどん時給が上がっていく中で、じゃ、郊外の方に行ったときに千五百円のアルバイトがあるかというと、探すとやっぱり深夜の営業とかというところだけになってきていて、やっぱり人がどんどんどんどん都心部に流れてきてしまって、郊外で人が足りなくなってしまったり、そうすることによって、例えばいろんな会社が回らない、飲食店が開けられない、そういうようなことも起こってきているのかなと思います。
 東京都内においての賃金格差、これを東京都としてどのように捉えているのか、また、改善していくような方策はあるのかお伺いをいたします。

○内田雇用就業部長 賃金などの労働条件は、労働者と使用者が対等な立場において、労使間の協議により、自律的に定めるものでございます。
 都は、労働者の処遇改善に向けた中小企業の様々な取組について、経営や職場づくりの面から支援してございます。

○中田委員 今いっていることはもっともなんですけれども、労働者と使用者が対等な立場において決めると。正直、なかなかそうもいかないというところもあると思います。
 上げたくても上げられない経営者がいて、上げてもらいたいけど、会社のことを考えると上げてといえない労働者もいて、やっぱりそういうところをしっかりと東京都としても考えていただき、一つ一つ賃上げへの機運を、先ほどいったように、どこが目詰まりしているのかしっかり把握をしていただいて、政策を様々な面から練っていただければと思いますので、要望をさせていただきます。
 次に、海の幸キャンペーンについて質問をさせていただきます。
 先ほど他の委員から、事業内容の話は質問でありました。
 なので、ちょっと、この予算額について、改めてお伺いをさせていただきます。

○山本企画調整担当部長 予算につきましては、既定の予算を活用して、QRコード決済を行った際のポイント還元に充てる経費として三十億円を確保しております。

○中田委員 既定の予算を活用してというところで、私、多分ちゃんと見たのですけれども、今年の当初予算にはもちろん入っていなかったもので、これ、先ほどの他の委員の質問の中にもありましたけれども、風評被害を脱却するためというか、そこをしっかりと支援していくために行った事業なので、産業労働局が持っている予算の中で、余っているといういい方は正しくないと思いますけど、ほかのところから流用して、三十億つけてやったと思います。
 この予算の使い方が、私、ちょっと疑問なところがあります。本来であれば補正予算を組むなり、例えば三十億円という膨大な金額なので、議会に説明があったり、間に合わないのであれば、ちゃんと今回の定例会とかで事後報告でもあるべきじゃないのかなと考えています。
 こうやって、本来使うべきじゃないほかのところの予算を流用して、ほかの事業を新しく始める。そういうことって、産業労働局として、今年度、ほかに事業としてあるのかお伺いをいたします。

○早川総務部長 事業の実施や展開に当たり、やむを得ない場合に限って、既定の予算を活用してございます。

○中田委員 今、部長の方から、事業の実施や展開に当たり、やむを得ない場合をというところだったので、コロナ禍で緊急的に補助金、何か予算を出さなきゃいけないとか、そういうのはもちろん理解をします。
 今回のことも、全てを否定するわけではもちろんないですし、風評被害があるところに対してしっかりと支援していかなきゃいけない。それはもちろん私たちも応援をしますけれども、やっぱり予算の使い方として、議会の意味、この委員会の意味というところをしっかり考えると、これは報告があってしかるべきだと思っています。
 もちろん、東京都の全体予算規模からして、三十億円は少ないよと見るのか多いよと見るのか、多分いろいろ見方はあると思うんですけれども、私からしたら三十億はすごい膨大な金額だと思いますし、それを流用で使う、だったら、使ったら使ったでちゃんと報告をしっかりしていただきたい。
 ましてや、本当であれば補正予算を組んで、しっかりと議会を通してやっていただきたいなというところは思いますので、今後の予算執行、しっかりとその辺を考えていただき、やるならやるで報告をしっかりしていただきたい。
 この事業もまだ終わっていませんから、終わったときに、どれだけ効果があったのか、どれだけの利用率があったのか、そういうことも含めて報告していただきたいことを要望させていただき、私の質問を終わります。

○三宅委員 私からは、水産業、また、農業について、若干質問させていただきたいと思います。
 海洋環境の変化等により、東京の漁獲量は長期的には減少傾向にあります。こうした中、漁業者は比較的価格の安定しているキンメダイやハマダイなどを漁獲することで経営を維持していますが、魚のサイズが小さくなったり、漁場もこれまでより遠くなっていることから、漁業者は資源の先行きに漠然とした不安を感じています。
 これからは、透明性、客観性の高い科学的なデータに基づき管理を行っていくことが重要だと思いますが、都は、キンメダイ等の資源管理の推進に取り組んでいますが、その具体的な内容について伺います。

○築田農林水産部長 資源管理を適切に行うためには、漁獲量などを通じまして、現状の資源量をより正確に把握することが重要でございます。
 具体的には、今年度から、デジタル技術を活用し、漁獲情報を収集するシステムの構築と運用に取り組んでおります。
 操業位置や時間等を自動で収集する機器や、漁獲量などを入力できるタブレット式の電子操業日誌のシステムを都の漁業の操業形態に適合するよう改修いたしまして、漁業者の協力の下、島しょ地域の漁船九十六隻への配備を進めているところでございます。
 また、水揚げしたキンメダイの年齢構成を詳細に把握いたしまして、資源量の推定に役立てるため、神津島漁協に設置したAI機能搭載の漁獲物選別機を活用いたしまして、キンメダイの体長や体重データの効率的な収集を行っております。

○三宅委員 伊豆諸島の周辺海域では、東京都の漁業者だけではなく、他県の漁業者も多く操業しています。国や他県とも連携を図りつつ、新たに得られるデータから、より透明性、客観性の高い資源評価を行い、東京都主導の下、周辺海域での着実な管理につなげていただきたいと思います。
 次に、海洋生物による漁業被害の軽減対策について伺います。
 サメに加え、イルカの漁業被害も、この伊豆諸島の周辺海域では深刻であります。
 我が党は、昨年の第四回定例会におきまして、海洋生物による漁業被害対策の強化を求めたところです。
 これを受け、都では本年度から、漁業協同組合に対し、イルカによる漁業被害軽減対策への支援を開始するなど対策の充実を図っていますが、現在の取組状況について伺います。

○築田農林水産部長 都は、海洋生物による漁業被害を軽減するため、漁業協同組合が実施するサメの駆除や、イルカを操業中の海域に近づかせないための取組の後押しを行っております。
 具体的には、サメの駆除を行う場合に、漁船の燃料費や漁具等の費用の一部に助成しておりまして、十月末時点で、島しょ地域の五町村が取組を実施しております。
 また、火薬の爆発音によりイルカを漁場に近づかせない取組を行う場合には、安全に火薬を使用するための講習会の開催経費や、漁船の燃料費の一部に助成しておりまして、十月末までに、島しょ地域の三村に交付決定を行いました。
 さらに、今後イルカの被害対策に取り組む予定の自治体に対しましては、他地域での好事例を紹介するなど、円滑な実施に向けたサポートを行っております。

○三宅委員 海洋生物による漁業被害軽減対策、これ、充実していただいたことに一定の評価をしたいと思います。
 しかしながら、一部の漁業者からは、厳しい経営環境の下、漁を休んで取組を行うことが負担になっているという意見や、これまで取組を実施していなかった地域でも被害が発生しているといった話も聞いています。
 都は、こうした現場の声にも耳を傾け、被害のさらなる軽減に向け、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 イルカは確かにかわいい動物ですが、漁業者にとっては大変な被害を起こしてしまうものなんです。昔、局長が観光部長のときに、一緒に御蔵島の海でイルカとスイミングをさせていただきましたが、それとは違う状況でございますので、ぜひ局長、よろしくお願いいたします。
 次に、栽培漁業の推進について伺います。
 伊豆諸島の周辺海域では、海水温の上昇等により、海藻類が消失する磯焼けが急速に進行し、海藻を餌とするトコブシ、サザエ、アワビの漁獲量が大幅に減少しています。
 都は、大島にある栽培漁業センターでこれらの稚貝を生産し、漁業協同組合に配布する栽培漁業にも取り組んでいますが、漁業者などからは、海洋環境の変化に対応した、魚類や海藻などの種苗生産を望む声が寄せられています。
 都は、こうした漁業者の声にしっかりと耳を傾け、栽培漁業の在り方を見直すべきと考えますが、今年度の取組状況について伺います。

○築田農林水産部長 海洋環境が変化する中で、栽培漁業を着実に推進するため、都は本年七月に、栽培漁業に関する方向性を示した栽培漁業基本計画の改定を行いました。
 改定した計画では、安定的な種苗生産を目指すアワビ、フクトコブシ、サザエに加えまして、漁業者等からの希望が多いアカハタやテングサなどの七種を新たに栽培漁業の候補といたしまして、種苗生産に必要な技術開発等を重点的に推進することとしております。
 また、本計画の効果的な実現を図るため、栽培漁業センターの機能のリニューアルに向けて、今年度はコンセプトや必要な設備等について検討を進めております。

○三宅委員 自分が子供の頃は、海に入ると海藻がすごくて、まさに海の中に森があるような感じでした。
 今は一方、磯焼けで、当時は、私は海藻に足が絡まれて死ぬんじゃないかなという、そういった思いがあるぐらい、本当に大変な、たくさん海藻があったのですが、ぜひ、今後も豊かな海づくりという観点から、海藻から島の海を復活させていただきたいと思いますので、重ねて要望しておきたいと思います。
 次に、島しょ農林水産総合センターの機能強化について伺いたいと思います。
 島しょ農林水産総合センターは、島しょ地域の農林水産業の一体的振興を目的とする組織ですが、大島と八丈島にある水産庁舎は、整備から五十年以上が経過し、施設の老朽化が進んでいます。
 磯焼けなど気候変動への対応や、資源管理の強化などの課題に着実に対応し、島しょ地域の活性化を図っていくためには、水産業の調査や研究、普及指導で中心的役割を担うセンターの機能強化を図っていくことが必要だと思います。
 現在、大島事業所では建て替え工事が進められているほか、八丈事業所でも建て替えに向けた検討が進められていますが、それらの進捗状況について伺います。

○築田農林水産部長 海洋環境の変化や新たな資源管理への対応、水産業のDX等の課題に着実に対応し、都の水産業を持続可能な産業へと転換するため、都は、島しょ農林水産総合センターのリニューアルを実施いたします。
 大島事業所では庁舎の建て替えを進めておりまして、来年度のオープンに先駆け、二月に一部の業務を開始する予定でございます。新庁舎では、藻場の再生技術や新たな魚介類の増殖技術の研究を行うとともに、海水温や潮の流れ等の海洋観測データをリアルタイムで発信し、効率的な漁業操業を支援いたします。
 また、デジタルサイネージを備えた展示施設での研究成果等の情報発信や、多目的ホールでの地元高校生等への教育活動などを積極的に進めてまいります。
 八丈事業所では新庁舎の設計を進めておりまして、陸上養殖技術の開発等に向けて、水温等の環境をコントロールする飼育室や、観光客等が島の漁業への理解を深めることができる水槽や展示コーナーの整備などを盛り込むこととしております。

○三宅委員 都は、漁業者が将来に希望を持って漁業を続けていけるように、この島しょ農林水産総合センターの研究基盤の強化を図って、水産業が直面する課題の解決に当たってほしいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、島しょ農業の担い手確保について伺いたいと思います。
 島しょ地域では、温暖な気候を生かして、切り葉やアシタバ、パッションフルーツなどの栽培が盛んです。しかし、離島という厳しい環境において、若者の多くが進学や就職で島を離れる中、農業者の高齢化や後継者不足は極めて深刻な状況にあります。
 それぞれの島では、町や村が独自に研修施設を設置するなど、島内外からの就農者の確保と育成に向けた取組を行っていますが、研修の効果を高めるためには、都のサポートも重要になってきます。
 また、島しょ地域では、台風や強風などの自然災害が大きなリスクとなることから、安心して営農するために、耐風強化型ハウスなど強固な施設設備の導入が求められており、こうした点での支援も大切であると思います。
 各島が農業の担い手を確保し、その方が営農を続けることができるよう、都としてしっかりと支援すべきと考えますが、今年度の具体的な取組について伺います。

○築田農林水産部長 都は、島しょ地域における農業の担い手の確保と定着に向けまして、各島の普及指導員等により、栽培技術のノウハウを提供するとともに、施設整備への支援などを実施しております。今年度は、島しょ農業の一層の振興を図るため、新たに専門の職員を配置いたしまして、各島への定期的な訪問と実態調査を開始いたしました。
 具体的には、新規就農者の状況や研修体制などについて、町村や農業関係団体へのヒアリングを実施するとともに、各島の普及指導員等と意見交換を行いまして、島ごとの課題に応じたきめ細かな普及指導につなげております。
 また、新たに就農する方がDXを活用した効率的な生産方法について学ぶことができるよう、温度や湿度の変化を感知して、自動で最適な環境を保つ研修用の栽培施設を町が設置する場合などの支援を行っております。
 さらに、農業経営の安定化に向けまして、島しょ特有の強風に耐えるパイプハウス三十一棟の設置に係る経費に助成を行いました。

○三宅委員 新規就農者を島に呼び込む新しい支援を開始していただいたということでございますが、持続可能な島しょ農業の実現に向けて、地域の農業団体と連携し、各島の実態に即した取組を行っていただくよう期待したいと思います。
 また、島しょ地域に限らず、就農初期の生産者にとっては、栽培に必要な機械や設備を早期に導入し、経営を安定させることが重要だと思います。
 都による支援の強化を要望いたしまして、質問を終わります。

○古城委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○古城委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。

○古城委員長 次に、第四回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○坂本産業労働局長 令和五年第四回東京都議会定例会に提出を予定しております当局所管の案件の概要につきましてご説明申し上げます。
 今回提出を予定しております案件は、工事請負契約議案一件でございます。提出を予定しておりますのは、都立城南職業能力開発センター大田校(五)における改築工事でございます。
 本件は、既存施設の多くが竣工から六十年以上経過し、老朽化が著しい都立城南職業能力開発センター大田校の改築工事を行うものでございます。
 以上で第四回定例会提出予定案件の概要説明を終わらせていただきます。
 なお、案件の詳細につきましては、総務部長からご説明をさせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○早川総務部長 今回提出を予定しております産業労働局所管の案件につきまして、お手元の配布資料に基づきご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元資料1、工事請負契約議案の概要をご覧ください。
 表紙をおめくりいただき、件名表をご覧ください。今回提出を予定しておりますのは、都立城南職業能力開発センター大田校(五)改築工事でございます。
 本件は、既存施設の多くが竣工から六十年以上経過し、老朽化が著しい都立城南職業能力開発センター大田校の改築工事を、今年度から令和八年一月にかけて行うものでございます。
 一ページをご覧ください。都立城南職業能力開発センター大田校(五)改築工事の契約の相手方は松井建設株式会社、契約金額は三十八億六千百万円、工期は令和八年一月三十日まででございます。
 契約の方法、入札回数、入札者数、工事概要は記載のとおりでございます。
 以上の工事につきまして、二ページに案内図及び配置図をお示ししてございますので、ご覧いただきたいと存じます。
 以上で令和五年第四回東京都議会定例会に提出を予定しております案件の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○古城委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○古城委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
 以上で産業労働局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時五十八分散会

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