委員長 | 古城まさお君 |
副委員長 | 平けいしょう君 |
副委員長 | 大松あきら君 |
理事 | 中田たかし君 |
理事 | ほっち易隆君 |
理事 | 白石たみお君 |
竹平ちはる君 | |
星 大輔君 | |
入江のぶこ君 | |
藤田りょうこ君 | |
白戸 太朗君 | |
三宅 正彦君 | |
宮瀬 英治君 |
欠席委員 なし
出席説明員港湾局 | 局長 | 松川 桂子君 |
技監 | 片寄 光彦君 | |
総務部長 | 上林山 隆君 | |
企画担当部長DX推進担当部長兼務 | 石井 均君 | |
調整担当部長 | 千田 敏君 | |
港湾経営部長 | 野平雄一郎君 | |
港湾振興担当部長 | 三浦 知君 | |
臨海開発部長 | 松本 達也君 | |
開発調整担当部長島しょ空港技術担当部長兼務 | 福永 太平君 | |
臨海副都心まちづくり推進担当部長 | 大野 克明君 | |
港湾整備部長 | 村田 拓也君 | |
計画調整担当部長 | 山本 康太君 | |
港湾計画担当部長港湾DX推進担当部長兼務 | 水飼 和典君 | |
離島港湾部長 | 佐藤 賢治君 | |
島しょ・小笠原空港整備担当部長 | 渡邊 正也君 | |
労働委員会事務局 | 局長 | 根本 浩志君 |
本日の会議に付した事件
労働委員会事務局関係
事務事業について(質疑)
港湾局関係
事務事業について(質疑)
○古城委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、労働委員会事務局及び港湾局関係の事務事業に対する質疑を行います。
これより労働委員会事務局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○竹平委員 よろしくお願いいたします。
コロナ禍を経て、新たなテクノロジーを活用した事業の展開や、テレワークの浸透など、ビジネスの在り方や働き方が大きく変化しています。
このように労働環境が変化する中、労働問題も複雑多様化してきており、こうした状況においても引き続き良好な労使関係を構築していくためには、労働委員会がその役割をしっかり果たしていくことが重要であります。
そこで改めて、労働委員会が扱う事件の状況や取組状況について伺っていきたいと思います。
まず、労働委員会で扱っている事件の概要を伺います。
○根本労働委員会事務局長 労働委員会では、使用者と労働組合との間の、いわゆる集団的労使紛争の解決に向けまして、不当労働行為の審査や労働争議を調整しております。
不当労働行為の審査事件では、使用者が労働組合の組合員であることを理由に労働者を不利益に取り扱ったり、正当な理由がないのに団体交渉を拒否するなどの申立てがあった場合、使用者の行為が不当労働行為に当たるかどうかを判定し、救済命令などの措置を行います。
労働争議の調整事件では、賃金や雇用などをめぐって紛争が発生し、労使の自主的な解決が困難な場合に、申請に基づき労働委員会があっせん等を行います。
令和四年度の不当労働行為審査事件の新規申立て件数は八十七件でございまして、過年度からの繰越しを含めた取扱件数は四百四十件となっております。また、労働争議の調整事件の新規申立て件数は四十九件でございまして、取扱件数は六十七件となっております。
○竹平委員 昨年度も相当数の事件を取り扱っていることが分かりました。
労働委員会の業務は、使用者と労働組合との紛争を取り扱っていることもあり、都民の皆様にとってあまりなじみがなく、実際に紛争解決のために事務局の皆様がどのように取り組まれているのかご存じない方も多いと思います。
そこで、それぞれの事件を解決するために、事務局職員の皆さんが日々どのような業務を行っているのかをお伺いいたします。
○根本労働委員会事務局長 不当労働行為の審査事件では、三十九名の委員の中から公労使三名から成る担当委員が指名され、事務局職員はその担当委員の指揮の下、業務を行っております。
具体的には、労使の関係者の意向を十分に踏まえて進行管理を行いながら、主張や証拠の整理を行う調査や、証人尋問等を行う審問などの手続の準備を行い、和解に向けた調整や命令素案の作成などを行っております。
また、労働争議の調整事件では、事務局職員は労使双方のスケジュールを調整して、事件の背景等について事情を聴取するとともに、争点を整理し、両者が納得できる解決に向けてあっせん案の提示などを行っております。
○竹平委員 労働委員会の業務は、委員の指揮の下、事件当事者の意向を踏まえ取り組む必要があり、事務局単独では業務が進められないという特性があることが分かりました。
これまで都議会公明党は、人事委員会など他の行政委員会で質問してきましたが、コロナ禍においては都政の特別体制がしかれ、多くの職員が応援業務に当たっていたことが明らかになっており、労働委員会の事務局も、管理職も含めて多くの職員が感染症対策業務に従事したと聞いております。
労働委員会事務局においては、先ほど指摘したような業務特性のある中、コロナ禍においても引き続き新規案件が持ち込まれ、本来業務と応援業務の両立に向けて事務局職員の皆様には大変なご苦労があったと思います。
そこで、労働委員会事務局では、コロナ禍において、どのような業務に最大でどれほどの応援人員を出したのか、また、管理職も応援業務に従事したとのことですが、どういった業務に従事したのかをお伺いいたします。
○根本労働委員会事務局長 労働委員会事務局におきましては、新型コロナウイルス感染症対策の応援業務につきまして、これまで保健所業務への応援、宿泊療養業務、感染拡大防止協力金等の給付業務、都庁展望室ワクチン接種センターの運営などに従事してまいりました。
当局の職員が最も多く従事したのは、令和二年六月の一日最大六人で、一か月間の延べ人数は百十三人でございました。また、管理職につきましては、都庁展望室ワクチン接種センターの運営において、接種会場の責任者として応援業務に従事いたしました。
○竹平委員 定員三十八人となっている労働委員会事務局職員の中で、一日最大六名もの職員が応援業務に従事したということは、通常の業務を円滑に進めていくという点において、極めて厳しい状況にあったのではないかと思います。
労働委員会事務局において、本来業務を実施しながら応援職員を送り出すため、どのような工夫をしたのか伺います。
○根本労働委員会事務局長 労働委員会の業務は、労使間の紛争解決であり、速やかな解決が求められるため、業務を停滞させることなく、応援業務を継続的に行えるよう、局内で様々な調整や工夫を行ったところでございます。
具体的には、応援業務を交代制とし、審査手続等に遅延が発生しないよう、局全体でシフトを調整するなど、業務への支障を最小限にするとともに、職員間の業務の引継ぎや情報共有を徹底することで本来業務との両立を図りました。
○竹平委員 労使間の紛争の解決といった、特に働く方々にとって大変重要な事務を扱っている労働委員会において、委員会を補佐する事務局の職員は、このコロナ応援との両立に大変なご苦労があったと想像いたします。
一方で、都民の生命や財産を守り、首都東京の都市機能の維持を図るためにも、新たな感染症や大規模災害への備えが必要であります。
今後、このような事態が発生した際には、都政のBCPに基づき、事務事業を適正に実施しつつ、全庁的な応援要請にも応えていく必要があると考えますが、所見をお伺いいたします。
○根本労働委員会事務局長 今般のコロナ禍におきましては、局内の連携を密にし、柔軟に対応することで執行体制を確保し、全庁的な応援体制に貢献してまいりました。
また、コロナ禍を契機としまして、これまで対面で行ってきた調査手続や相談業務にウェブ会議システムを導入するなど、非対面型のチャネルも取り入れ、感染防止策と業務継続の両立に資する環境も整備してまいりました。
今回の経験で得られました知見やノウハウを生かしていくことで、今後、新たな危機が発生した際にも、当局の事務事業を適切に遂行するとともに、全庁的な応援要請にも可能な限り協力できる体制を確保してまいります。
○竹平委員 これまでの我が党の質疑の中で、いずれの行政委員会事務局においても、都政の根幹をなす大変重要な事務事業がある中で、こうした応援業務に従事されていることを認識し、理解を深めることができました。
今回の質疑で取り上げた、危機的な状況における全庁的な応援体制の中での様々な工夫は、ぜひ、各行政委員会事務局で共有していただくよう要望し、質問を終わります。ありがとうございました。
○古城委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○古城委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で労働委員会事務局関係を終わります。
○古城委員長 これより港湾局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○上林山総務部長 去る十月二十四日の当委員会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元の経済・港湾委員会要求資料をご覧ください。表紙をおめくりいただきますと、目次に四件の資料の件名が記載してございます。
まず、一ページをご覧ください。臨海地域開発事業会計における企業債償還の推移でございます。
臨海副都心開発の基盤整備に係る企業債を転貸債、建設元利金債の二つに区分し、平成元年度から令和六年度までの発行額及び償還額等を百万円単位で記載してございます。
なお、令和三年度までは決算額、令和四年度は決算見込額、令和五年度は予算額、令和六年度は計画額を記載してございます。
次に、二ページをご覧ください。臨海副都心における有償処分予定地の現況一覧でございます。
有償処分予定地を、開発確定面積と今後開発予定面積の二つに分けてございます。
そのうち、開発確定面積を処分済み及び処分手続中に区分し、また、今後開発予定面積を公募中及び今後処分予定に区分してございます。それぞれの項目について、昨年度末時点の面積をヘクタール単位で記載してございます。
続いて、三ページをご覧ください。建設発生土・しゅんせつ土の埋立処分計画と実績でございます。
平成三十年度から令和四年度までの五年間における計画土量及び実績土量を万立方メートル単位で記載してございます。
次に、四ページをご覧ください。IRに係る委託調査一覧でございます。
平成二十六年度からのIRに係る委託調査につきまして、それぞれ件名、委託金額及び調査項目を記載してございます。
以上をもちまして、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○古城委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○ほっち委員 それでは、よろしくお願いいたします。
まず初めに、東京港の機能強化に向けた新たなふ頭の整備についてお伺いをいたします。
物流は、都民、国民生活や経済活動を支える上で不可欠な社会インフラであります。四方を海で囲まれた我が国は、貿易量の九九%以上を船舶による輸送に頼っていることから、円滑な物流を維持していくためには、港湾が十分に機能していることが大前提となります。
中でも東京港は、首都圏を中心とする東日本の多くの荷主、物流事業者等に利用され、外貿コンテナ貨物の取扱量が全国の約四分の一を占めるなど、日本を代表する国際貿易港となっていますが、これまでも指摘してきたとおり、取扱貨物量の増加に施設整備が追いついていないために、ふ頭周辺において交通混雑が慢性的に発生しているという状況が続いており、円滑な物流を実現させる上での大きな課題となっています。
このため、我が会派は、東京港の抜本的な機能強化が必要であることを幾度となく主張してまいりました。
東京港の機能強化は、まさに喫緊の課題となっているわけでありますが、先般、東京都港湾審議会において、東京港第九次改訂港湾計画の答申がなされ、東京港の整備に関する今後十年間のいわば羅針盤が示されたところであります。
そこで、本日は、東京港の現状や課題を確認した上で、今後の機能強化に向けた取組について伺っていきたいと思います。
それでは、まず初めに、東京港のコンテナ貨物取扱量の現状と今後の見通しについて、改めてお伺いをいたします。
○水飼港湾計画担当部長港湾DX推進担当部長兼務 東京港のコンテナ貨物量は、製造業の海外移転と国際分業のさらなる進展という経済構造の変化に伴い、生活関連物資等の輸入貨物を中心としてこれまで堅調に増加してきております。
昨年のコンテナ貨物取扱量は約五百万TEUであり、二十五年連続で国内最多となっております。
コンテナ貨物量の今後の見通しについては、東京港の貨物量と高い相関性がある首都圏のGDPなどは当面増加すると予測されていることや、地域的な包括的経済連携協定、いわゆるRCEPなど世界各国との経済連携協定の発効等により、今後さらに貿易が促進されると見込まれていることから、貨物量は引き続き増加していくと推計しております。
特に近年、中国からの生産拠点の移転等に伴い、東南アジア航路を中心として貨物量が急激に増えつつあります。
これらのことから、都は、今年度策定予定の新たな港湾計画である第九次改訂港湾計画において、令和十年代後半における東京港のコンテナ貨物量を、昨年の約一・三倍となる六百五十万TEUと推計しております。
○ほっち委員 東京港のコンテナ貨物は輸入貨物を中心に増え続けており、この傾向は今後も続き、令和十年代後半には現在の約一・三倍にまで増加する見込みであります。
次に、貨物を運ぶ船舶の状況について確認をしていきたいと思います。
世界的なコンテナ貨物量の増加に伴い、船会社は効率的な輸送を目指してコンテナ船の大型化を進めていると聞いていますが、東京港に寄港するコンテナ船の大型化の状況と今後の見通しについてお伺いをいたします。
○水飼港湾計画担当部長港湾DX推進担当部長兼務 世界の海運業界では、スケールメリットによる輸送コストの低減やCO2の排出抑制などを図るため、コンテナ船の大型化が急激に進展しており、東京港に寄港するコンテナ船についても大型化が進んでいる状況でございます。
使用されるコンテナ船が最も大きい航路の一つである北米航路においては、現在、最大で一万TEU級の船が東京港に寄港しておりますが、今後は一万四千TEU級の船の寄港ニーズが高まっていくと見込まれております。
また、東南アジア航路においても、貨物量の増加に伴い、コンテナ船の大型化が進展しております。現在は、最大で五千TEU級のコンテナ船が寄港しているのに対し、今後は、最大六千から七千TEU級の船の寄港ニーズが高まると予測されており、寄港数も増加すると見込まれているところでございます。
○ほっち委員 東京港が今後も我が国を支える国際物流拠点としての役割を担っていくためには、貨物量の増加とコンテナ船の大型化という二つの大きな課題に対応していく必要があります。
さきの第三回定例会や決算特別委員会でも我が会派が指摘をしましたけれども、コンテナ貨物に関して、東京港の施設能力は大幅に不足している状況です。
また、今後増えると予測される大型コンテナ船が寄港するためには、水深が深いふ頭が必要であることから、こうした課題に対応していくためには、これまでも繰り返し主張をしてきましたけれども、新たなふ頭整備が必要不可欠であります。
そこで、コンテナ貨物量の増加やコンテナ船の大型化に対応するための新たなふ頭整備について、これまでと現在の取組をお伺いいたします。
○水飼港湾計画担当部長港湾DX推進担当部長兼務 東京港の抜本的な機能強化を図るため、これまで都は、中央防波堤外側地区において、新たなコンテナふ頭であるY1及びY2の整備を進め、令和二年までに供用を開始いたしました。
このうちY2については、東京港で初となる水深十六メートルの岸壁と、奥行き五百メートルのコンテナヤードを備えた高規格ターミナルとなっており、東京港の年間コンテナ取扱量の約一割に相当する貨物を取り扱えるとともに、北米航路において今後就航すると見込まれている一万四千TEU級のコンテナ船にも対応できるふ頭となっております。
Y1とY2の供用開始により、東京港のコンテナふ頭の施設能力は年間約四百万TEUとなっておりますが、昨年の取扱量約五百万TEUと比較すると、依然として大幅に足りない状況であることから、現在、Y2と同じ水深の岸壁と奥行きを有するY3の整備を国と連携して進めているところであり、今年度は岸壁整備に伴う、しゅんせつ工事や地盤改良工事等を行っております。
さらに、第九次改訂港湾計画では、Y3に隣接する場所に将来的に整備する予定である新海面処分場コンテナふ頭の機能を大幅に拡充して、貨物量の増加とコンテナ船の大型化にも十分に対応できるようにすることとしており、中央防波堤外側コンテナふ頭と併せて、国内最大級のターミナルを形成していく予定でございます。
○ほっち委員 Y3は、東京港の抜本的な機能強化に向けた次の一歩として極めて重要なふ頭であります。
我が会派では、従来から国に対して早期完成を強く要望してきており、今後も引き続き要請を行っていきますが、ぜひ、都においても国に対して粘り強く働きかけ、Y3の早期完成に向け全力で取り組んでいただきたいと思います。
また、今後整備を予定している新海面処分場コンテナふ頭についても、機能を大幅に拡充し、隣接する中央防波堤外側ふ頭と併せて、国内最大級のコンテナふ頭としていくということであります。
貨物量の増加とコンテナ船の大型化に対応した適切な計画であると評価しますが、先ほどの答弁によれば、今後は特に東南アジア航路の貨物量が増加をし、船舶の大型化と寄港数の増加が予想されるということであります。
そこで、新海面処分場コンテナふ頭は、北米航路だけではなく東南アジア航路にもしっかりと対応できるふ頭とすべきでありますが、都の見解をお伺いいたします。
○水飼港湾計画担当部長港湾DX推進担当部長兼務 都は、東南アジア航路における貨物需要の増大と船舶の大型化、寄港数の増加に対応するため、新海面処分場コンテナふ頭において、既に計画化されているZ1バースに加え、Z0及びZ2の二つのバースを計画化し、岸壁延長約千メートルの大水深連続バースと、奥行き五百メートルの広いヤードを備えたコンテナターミナルを整備していくことといたしました。
これにより、年間約九十万TEUのコンテナ貨物を取り扱えるとともに、北米航路と東南アジア航路の船舶の同時係留や、東南アジア航路の複数の大型船の同時係留が可能となります。
今後、これらのふ頭の整備着手に向け、国や関係機関との調整を進め、東京港の抜本的な機能強化の実現を目指してまいります。
○ほっち委員 新海面処分場コンテナふ頭は、北米航路に加えて東南アジア航路への対応を強化するため、延長約千メートルの岸壁とし、大型のコンテナ船が複数接岸できるようにしていくとのことであり、評価をしたいと思っております。
これは、Y2、Y3と合わせると、全長約千八百メートルの大水深連続バースとなるものと聞いており、取扱量も国内最大の大井コンテナふ頭に並ぶとのことでありますので、大いに期待をしていきたいというふうに思っています。
都は、ただいま答弁のあったコンテナふ頭の整備を計画的かつ着実に進め、東京港を多くのユーザーから選ばれる国際競争力が高い港へ進化させていくことを強く要望しておきます。
次に、国内の海上輸送拠点としての東京港の機能強化についてお伺いをしたいと思います。
東京港は、北海道や九州、沖縄など国内各地の内航航路ネットワークで結ばれ、農水産品や完成自動車などを輸送する拠点になっているというふうに聞いています。
こうした海上輸送を支えているのが、貨物をトレーラーの台車ごと積込みができる、ローロー船と呼ばれる貨物船であります。
東京港は、全国のローロー船の航路のうち、約半数が寄港する海上物流の一大拠点になっています。
そこで、東京港におけるローロー船の貨物について、現状と今後の見通しを改めて確認させていただきたいと思います。
○水飼港湾計画担当部長港湾DX推進担当部長兼務 近年、電子商取引の増大等により、国内海上輸送の需要が高まりつつあります。
特に、コンテナやパレットなどの形で貨物を運搬する、いわゆる内貿ユニット貨物を効率的かつ大量に輸送でき、環境への負荷も少ないローロー船航路の重要性が高まっております。
このため、国内の長距離ローロー船航路の拠点となっている東京港における内貿ユニット貨物の取扱量は、昨年の速報値では約千六十万トンであるのに対し、今後大きく増加する見込みであり、第九次改訂港湾計画では、令和十年代後半における取扱量を千三百六十万トンと推計しております。
さらに、こうした輸送ニーズの高まりを受け、近年、東京港に寄港するローロー船の大型化が進展しており、十年前は船の全長が最大で約百七十メートルであったところ、現在では約百九十メートルの船舶が寄港しており、今後、こうした大型の船舶が増加していくと見込まれております。
○ほっち委員 我が国の経済活動をしっかりと支えていくため、東京港は大型化するローロー船の受入れ機能を強化する必要があります。
我が会派はこれまでも、ローロー船が寄港する内貿ユニットロードふ頭の機能強化の必要性を指摘してきましたが、都はどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
○水飼港湾計画担当部長港湾DX推進担当部長兼務 重要な国内海上輸送拠点である東京港が、今後もその役割を適切に果たしていくためには、港湾機能を強化し、内貿ユニット貨物の増加に適切に対応できるようにする必要がございます。
このため、都は、第九次改訂港湾計画において、内貿ユニットロードふ頭の機能を拡充することとし、中央防波堤内側地区において、X6、X7の二バースを新たに計画に位置づけているところでございます。
この新たなふ頭の岸壁の長さは、二バース合わせて五百メートルとする予定であり、長さ百九十メートル級の大型ローロー船が二隻同時に係留できるようにしてまいります。
都は、内貿ユニットロードふ頭の機能強化に向け、X6、X7の整備に速やかに着手できるよう、今後、関係者との調整を積極的に進めてまいります。
○ほっち委員 X6、X7の整備は、東京港の国内海上輸送拠点としての機能を大きく向上させるものであります。
我が会派としては、さきの港湾審議会の場でも主張したところでありますが、第九次改訂港湾計画に基づき、速やかに事業化を図っていただきたいと思っております。
また、東京港は物流の一大拠点であり、首都圏、ひいては我が国全体の経済活動を支える重要な港であります。今後、東京港の機能強化に向けてしっかりと取組を進めることで、国内外のユーザーから引き続き選ばれる港としていくことを強く要望しておきます。
これまで東京港のコンテナふ頭に係る機能強化について質疑を行ってきましたが、クルーズ客船の受入れ機能の強化についても確認をしていきたいというふうに思っています。
都は現在、二〇二〇年九月に開業した東京国際クルーズターミナルの一バースのみでクルーズ客船の受入れを行っております。
都は、晴海客船ターミナル跡地において、中小型客船の受入れのための暫定施設の整備を進めていますが、東京港に多くのクルーズ客船を受け入れていくためには、晴海を活用して複数のバースを確保していくことは重要であります。
また一方で、晴海に暫定的な客船受入れ施設を整備したとしても、高さ制限によりレインボーブリッジを通過することができない大型客船の受入れは、依然として東京国際クルーズターミナルの一バースのみの対応となり、大型客船の寄港ニーズが重複した場合は、どちらか一方の要望を断らざるを得ません。今後の客船誘致に大きな支障となるのではないかと危惧をしています。
首都東京の玄関口である東京港へ多くのクルーズ客船を誘致していくためには、複数の大型客船を同時に受け入れられるよう環境整備を進めていくことが必要不可欠であります。
そこで都は、東京国際クルーズターミナルの二バース化を積極的に進めるべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
○三浦港湾振興担当部長 都心に近い東京港は、様々な観光地へのアクセスに優れているとともに、国際空港にも近く、飛行機と船を組み合わせる旅行形態であるフライ・アンド・クルーズにも適していることから、クルーズ客船の寄港地としての魅力は高いと認識しております。
しかし、大型のクルーズ客船に関しましては、多くの入港予約があるものの、東京国際クルーズターミナルが一バースしかないことによるキャンセル待ちも発生している状況にございます。
こうした大型客船の寄港ニーズに確実に対応していくためには、東京国際クルーズターミナルの第二バースを整備し、二隻の大型客船が同時に寄港できる体制を確保していくことが不可欠でございます。
都では現在、東京港へのクルーズ客船の寄港状況も踏まえながら、東京国際クルーズターミナルの二バース化に向けた検討を行っているところでございまして、今後も着実に取組を進めてまいります。
○ほっち委員 海外からの観光客が再び増えてきている中、日常的に乗客二千人を超える大型のクルーズ客船が寄港するようになれば、東京国際クルーズターミナルが立地する臨海副都心をはじめ、都内経済の活性化にもつながっていきます。
数多くのクルーズ客船利用者が、首都東京の海の玄関口である東京港を利用できるよう、東京国際クルーズターミナルの二バース化に向けた検討を着実に進めることを要望して、次の質問に移らせていただきます。
次に、既存ふ頭の再編整備についてお伺いをいたします。
先ほどまでの質疑では、新たなふ頭整備についてお伺いをしましたが、都心に近接し、エリアが狭隘な東京港においては、既存ふ頭の再編整備を進めることも重要であると、これまで我が会派は主張してきました。
こうした問題意識から、先般の第三回定例会の代表質問において青海公共コンテナふ頭を取り上げ、再編整備を進めるべきと指摘をし、局からは、今年度から大規模な再編整備に着手するとの答弁があったところであります。
我が会派の意見をしっかりと受け止めたことは大いに評価はしますが、既存ふ頭の再編整備は、東京港にとって重要な取組であるため、本日は、その内容について詳しく確認をさせていただきます。
そこで、まず初めに、青海公共コンテナふ頭における現状について、改めてお伺いをいたします。
○野平港湾経営部長 青海公共コンテナふ頭は、東南アジアや中国などのアジア貨物を多く取り扱う東京港の主力ふ頭の一つでございまして、主に中規模、小規模の船会社が利用しております。
近年、国際分業の進展などに伴い、アジア貨物が急増しておりまして、青海公共コンテナふ頭におきましても、コンテナ貨物取扱量が、本格的な供用を開始した平成十四年と昨年を比較いたしまして、約四十四万TEUから約八十五万TEUへと倍増しており、寄港ニーズも増加しております。
一方で、取り扱っている貨物量と比較いたしまして、貨物の荷さばきや保管を行うヤードの面積が狭いことに加え、旧型の荷役機械を使用して荷さばきをしております。
こうしたことが一因となりまして、コンテナターミナルに貨物を引取りに来たトラックへの貨物の引渡しに時間がかかり、ターミナルのゲート前での交通混雑の発生につながっております。
また、青海公共コンテナふ頭の岸壁は、船舶の利用予約で埋まっていることが多く、希望する時間帯に着岸できないという意見も船会社などから寄せられております。
このため、都は、今年度から大規模な再編整備に着手し、青海公共コンテナふ頭の機能強化を図ることといたしました。
○ほっち委員 今いただいた答弁にもあるように、様々な課題を解決するためには、今後着手する再編整備によって、ターミナルの貨物処理能力を確実に高めていくことが必要であります。
そこで、青海公共コンテナふ頭における再編整備はどのような内容であるか、具体的にお伺いをいたします。
○野平港湾経営部長 青海公共コンテナふ頭の再編整備では、効率的に荷さばきを行えるよう、コンテナヤードを二十四ヘクタールから三十四・二ヘクタールに拡張するとともに、船会社が希望する時間帯に着岸できるよう、岸壁を八百七十メートルから千百七十メートルに延長いたします。
また、荷役機械につきましては、現在十九基ある旧型の機械を更新し、遠隔操作が可能な最先端のクレーンを二十六基導入いたします。
こうした取組により、貨物処理能力の向上を図るなど、ターミナル機能を大幅に強化し、今後も見込まれるアジア貨物の増加に的確に対応してまいります。
○ほっち委員 コンテナヤードの拡張や岸壁の延長など、大規模な再編整備になるとのことであります。大幅な機能強化が図られることを大変期待しているところであります。
しかしながら、これほど大きな工事であれば、現在行っているコンテナ貨物の受渡し作業等にも影響を与えてしまうことが予想されます。
そこで、青海公共コンテナふ頭の再編整備は、物流機能に影響を与えないように行っていくべきと考えますが、どのような工事を進めていくのかお伺いをいたします。
○野平港湾経営部長 青海公共コンテナふ頭の再編整備を行うに当たりましては、ターミナルの運営を継続しながら実施する必要がございますため、一部の貨物を他のふ頭に一時的に移転することで工事用の種地を確保した上で、工事エリアを分割し、四期に分けて段階的に進めてまいります。
まず、第一期として、今年度からヤードの拡張工事に着手いたしまして、工事が完了する予定の令和七年度には、拡張したエリアに新たに八基の最新クレーンを導入し、遠隔操作の運用を開始する予定でございます。
第二期工事では、整備が完了した第一期エリアに貨物を移転させ、新たな種地を確保した上で工事を実施いたします。
その後も、ターミナル運営事業者と連携しながら順次工事を進め、令和十一年度を目途に青海公共コンテナふ頭全体の再編整備を完了させる予定でございます。
○ほっち委員 東京港の物流機能に影響を与えないよう、段階的に工事を進めていくということであります。ある程度の期間を要することはやむを得ないということで理解をしたいと思っています。
令和七年度から運用を開始する遠隔操作が可能な荷役機械については、東京港では初めての導入となるというふうに聞いています。
この荷役機械は、ターミナルで業務を行っている方々の労働環境の改善などにも効果があると考えられますが、また、その一方で、これまでの荷役のやり方が大きく変わることになるので、導入には様々な課題もあるのではないかというふうに思います。
そこで、遠隔操作が可能な荷役機械の導入による効果や課題について、都はどのように考えているのか、見解をお伺いいたします。
○野平港湾経営部長 コンテナターミナルでは、ターミナル運営事業者が大型の荷役機械を使用し、トラックへのコンテナの引渡しなどを行っておりますが、現在の荷役機械は、狭小な運転席で作業員が直接操作しているため、寒さや暑さなどの気候の影響を受けやすく、また、トイレなどに行くための休息も取りづらい状況となっております。
今後導入予定の遠隔操作が可能な荷役機械は、ターミナルの管理棟内の快適な環境下で操作できるため、労働環境が大きく改善されることが期待されます。
一方で、その導入には、現在の荷役機械と比べて約二倍から三倍のコストがかかることや、導入しようとする民間事業者において労使の合意形成を図る必要があるなど、様々な課題もございます。
このため、都は、導入経費の一部を補助するとともに、導入のメリットを丁寧に伝えるなど、荷役機械の遠隔操作化を進めようとする民間事業者への支援を行ってまいります。
○ほっち委員 遠隔操作が可能な荷役機械は、労働環境の改善が期待できる一方で、荷役の方法が大きく変わることから、関係者の合意形成が重要であります。また、都の補助があるとはいえ、導入にかかる費用は高く、事業者にとっては悩みの種であります。
導入に当たっては、こうした課題を解決していく必要があることから、都は、関係者の意見や要望にしっかりと耳を傾け、積極的に支援を行っていく必要があります。
また、青海公共コンテナふ頭を利用する船会社は、中小の船会社が多く、こうした船会社のニーズに応えていくことも重要であります。引き続き、公共ふ頭としての役割を果たすことができるよう、しっかりと取組を進めることを要望して、次の質問に移りたいと思います。
次に、臨海副都心における防災の取組についてお伺いをいたします。
コロナ禍を乗り越えた今、まちにはにぎわいが戻りつつあり、また、昨年十月に水際対策が大幅に緩和をされ、本年五月には、新型コロナウイルスの感染症法上の分類が五類に引き下げられたことなどから、インバウンドが大きく回復をしつつあります。臨海副都心においても、数年ぶりに大型イベントが開催されるなど、にぎわいが戻ってきているというふうに聞いています。
今後も、にぎわいが堅調に回復していくことを期待したいんですが、臨海副都心におけるさらなるにぎわいづくりを進めるに当たって、必要な取組の一つとして私が指摘をしたいのは、発災時における来訪者の安全確保であります。
首都直下地震や近年の気候変動に伴い、激甚化する台風や大雨など、自然災害リスクの高まりが懸念されているところでありますが、臨海副都心は、日々多くの観光客が訪れるエリアであることから、大規模自然災害が発生した際などにおいて、こうした方々の安全をいかにして守るかということは重要な課題であります。
臨海副都心は、災害に強いまちとして開発が進められてきたというふうに伺っておりますけれども、確認として、都は、臨海副都心の開発に当たり、これまでどのような災害対策を進めてきたのかお伺いをいたします。
○松本臨海開発部長 臨海副都心は、開発当初から災害に強い安全なまちを目指し、整備を進めてまいりました。
具体的には、臨海副都心まちづくりガイドライン等に基づきまして、地震に強いインフラの整備や地盤の液状化対策、まちの不燃化対策を進めるとともに、災害時に対応できるオープンスペースを確保するなど、総合的な防災対策を推進してまいりました。
また、津波、高潮対策として、地盤高を東京湾平均海面から五・四メートル以上といたしまして、想定される最大級の津波、高潮に対して十分な安全性を確保しております。
こうした取組によりまして、臨海副都心は、地震、火災、津波、高潮に強いインフラを備えたまちとなっております。
○ほっち委員 臨海副都心が災害に強い安全なまちとして着実に整備をされてきたということは、今の答弁で確認ができました。
また一方、臨海副都心は、ゴールデンウイークや夏休み期間などには大型イベントが開催され、多くの来訪者が集中することがありますが、災害が発生した際に、これらの来訪者をいかにして迅速かつ安全に避難させるかが課題であるというふうに思います。
こうした課題に対し、都はこれまでも、避難誘導にも活用できるサイネージ等の整備を図るとともに、イベント主催者に避難誘導計画の作成を求めていると聞いています。
そこで、屋外イベントの開催時に災害が発生した場合に備え、どのように取り組んでいるのかお伺いをいたします。
○松本臨海開発部長 屋外イベントの開催時に発災した際には、イベント主催者が手配している係員が参加者を安全な場所へ誘導することが基本でございます。
このため、都有地を貸し出す際には、イベント主催者に実施計画書を提出させ、会場の管理運営等について確認するとともに、所管の消防署に対し、避難誘導体制などを記載した催物会場安全管理計画を提出することを義務づけております。
一方で、ゲリラ豪雨や落雷など、近年では想定を超える天候急変が頻発していることから、さらなる安全対策の向上が求められております。そこで、多くの参加者を迅速かつ安全に避難させるため、今年度、新たにデジタル技術を活用した避難誘導訓練を実施したところでございます。
○ほっち委員 防災分野では、様々な分野でデジタル化の取組が進められていますが、ほとんどの人がスマートフォンを所持し、イベントの参加予約などに関してもスマートフォンを使うことが多くなっていることや、また、スマートフォンによる位置情報の把握も精度が向上してきている状況などを踏まえると、イベント参加者を迅速かつ確実に避難誘導させるための手段としてデジタル技術を活用していくことは妥当であるというふうに思っています。
答弁では、今年度から新たにデジタル技術を活用した避難誘導訓練を実施したとのことでありますが、今年度実施した避難誘導訓練では、具体的にどのようなデジタル技術を活用したのかお伺いをいたします。
○松本臨海開発部長 臨海副都心では、令和三年度よりデジタルイノベーションシティを掲げ、デジタルテクノロジーによるまちの課題解決を目指す取組を進めております。
その取組の一つとして、本年八月、屋外イベントにおきまして、デジタル技術を活用した避難誘導訓練を実施いたしました。
具体的には、専用のアプリを使用し、避難誘導場所と避難ルートを参加者へ通知し、全員を指定の避難場所へ誘導するとともに、スマートフォンのGPS機能を活用して、イベント参加者の避難位置や避難行動を可視化いたしました。
訓練参加者からは、避難場所等に関する通知が速やかに届き、避難場所への誘導も分かりやすく、スムーズであったとの評価をいただいたところでございます。
今後は、こうした取組を様々なイベントへと拡大し、まちの防災力をさらに高めてまいります。
○ほっち委員 なじみのない場所を訪れた際に災害が発生すれば、多くの方々が不安を感じ、混乱をしますが、今回の取組は、そうした不安を和らげるとともに、イベント主催者側も避難誘導体制を構築しやすくなる取組であるというふうに思います。
臨海副都心全体に今回の取組が定着すれば、インフラの強靱さとも相まって、災害に強いまち、安全・安心なまちとして広く認知され、さらに多くの企業や人を呼び込むことにもつながるのではないかというふうに思います。
今後もデジタル技術を活用し、災害に強いまちづくりを進めていただくことを要望して、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○入江委員 よろしくお願いいたします。
臨海副都心、ベイエリアにおけるにぎわい創出について伺います。
先日、東京の青海の旧ヴィーナスフォートについて、株式会社刀が、事件現場の目撃者などになる完全没入体験型テーマパーク、イマーシブ・フォート東京を二〇二四年春に開業すると発表しまして、大変話題になりました。
この株式会社刀のプレスリリースをちょっとご紹介しますと、お台場エリアは一九九〇年代に臨海副都心としての開発が進められ、オフィスや住宅だけではなく、ヴィーナスフォートをはじめ様々なランドマークが誕生し、平成を代表するトレンド、カルチャーの発信地となりました。首都東京が世界にさらに競争力を持つ都市として、魅力を発信し続けるためにも、お台場、ベイエリアの再興は重要な意味を持っています。イマーシブ・フォート東京は、観光、エンターテインメントの領域で世界をリードし、国内外から多くの来場を見込んでいますと書かれておりまして、私は大変大きな期待を寄せております。
また、十一月二十三日には、株式会社トムスが青海のパレットタウンの跡地の一部に国内最大級のEVレーシングカートをメインとした都市型サーキット、シティサーキット東京ベイをグランドオープンするとのことです。
かねてより、私はずっとですが、青海地区はエンターテインメントの聖地として地歴もポテンシャルもあり、エンターテインメントの施設や人を呼び込むイベントの開催の誘致をさらに推進すべきと主張しておりますので、この二つの施設の開業は大変喜ばしいと思っております。
そこで、まず、この地区で開催されてきたエンターテインメントイベントについて伺います。
東京国際クルーズターミナルに隣接する青海地区、こちらはテンポラリーなエンターテインメントイベントの開催で有名です。コロナ禍では、感染拡大防止の観点から、イベント開催の自粛などを余儀なくされてまいりました。しかし、コロナ禍も終わり、青海地区をこれまでどのような民間のエンターテインメントイベントに貸し出してきたのか、実績と事例を伺うと同時に、今後の方針を伺います。
○大野臨海副都心まちづくり推進担当部長 都では、臨海副都心のにぎわいを創出し、より一層魅力的なまちづくりを推進するため、青海地区の未処分地や海上公園を民間事業者等にイベント用地として貸し付けております。
新型コロナウイルス感染症が五類へ移行した令和五年五月以降、今日までの間、青海地区では、シルク・ドゥ・ソレイユによる興行アレグリアや、株式会社フジテレビジョンによるお台場冒険王など、合計十八件のイベントが開催され、延べ三百万人以上の方にお越しをいただきました。
引き続き、集客効果が期待できるイベントの誘致を推進し、臨海副都心のさらなるにぎわいの創出に向けて取り組んでまいります。
○入江委員 今後も、青海地区は、観光、エンターテインメントの大拠点となるように、民間企業に柔軟に貸し出していただくことを要望いたします。
こうしたイベントも高い集客を誇るコンテンツですが、まちの恒常的なにぎわい創出には、集客施設を集積させることも重要です。都はこれまでも、様々な集客施設を誘致してきておりまして、この間、尽力された港湾局の皆様には感謝申し上げます。
そして、ヴィーナスフォートや大江戸温泉物語など、営業を終了した施設もございます。青海地区、そして隣接する有明地区では、冒頭に触れたテーマパークをはじめ、幾つもの新たな集客施設が複数開業予定であると聞いておりますので、そこで、青海、有明地区へのエンターテインメント施設の誘致のこれまでの取組と、大江戸温泉物語の跡地を含めた今後の予定を伺います。
○大野臨海副都心まちづくり推進担当部長 都は、臨海副都心まちづくり推進計画に基づきまして、地区ごとににぎわいの核となる商業施設等の誘致を進めてまいりました。
有明地区では、多目的ホールや温浴施設を備える有明ガーデンが開業し、地域の中核的なにぎわい施設となっているとともに、令和七年以降にコナミグループとテレビ朝日が、それぞれ集客が期待される複合施設を開業する予定でございます。
また、青海地区においては、ライブハウスやアミューズメント施設がテナントとして入居するダイバーシティ東京が立地し、インバウンドを含む多くの方々でにぎわってございます。
パレットタウン跡地には、イマーシブ・テーマパークとEVカートサーキットが開業するほか、令和七年秋には、プロバスケットボールチーム、アルバルク東京がホームアリーナとして使用し、約一万人の観客を収容できるトヨタアリーナ東京が開業する予定でございます。
また、大江戸温泉物語跡地につきましては、社会経済状況等を見極めながら、適切な処分に向けて検討してまいります。
○入江委員 青海地区の大江戸温泉物語跡地については、適切な処分に向けて検討していくとのご答弁ですが、できるだけ早期に次の事業者が決まるように要望いたします。
また、ただいまの答弁にございました二〇二五年、令和七年以降に、コナミグループとテレビ朝日がそれぞれ複合施設を開業するとのことですが、この経緯と状況について伺います。
○大野臨海副都心まちづくり推進担当部長 コナミグループとテレビ朝日が複合施設を開業する予定の土地は、令和二年度に公募を実施して事業者を選定したものであり、コナミグループには令和三年度に、テレビ朝日には令和四年度に、それぞれ都有地を売却いたしました。
コナミグループは、グループの研究開発拠点であると同時に、スタジオやショップ等を併設し、eスポーツなども楽しめるコナミクリエイティブフロント東京ベイを令和七年に竣工させる予定でございます。
また、テレビ朝日は、多目的ホールやスタジオなどを備えた東京ドリームパークを令和八年に開業する予定でございます。
いずれの施設も現在は建設中でございますが、これらの施設が開業することにより、有明地区に新たな来訪者が増え、にぎわいが創出されるとともに、まちの活性化がより一層進むと考えております。
○入江委員 青海地区に加え、有明地区においても新たな施設が開業予定であることが確認できました。臨海副都心には、まさににぎわい創出のネクストステージがやってきたと思っております。エンターテインメント施設やスポーツ施設やイベントが集積し、世界に向けた東京の魅力創出を強化してくれています。また、都民の楽しい、わくわくするという気持ちを高め、ウエルビーイングにも大きく寄与し、消費行動も促します。
臨海副都心の今後は、東京の成長戦略の要の一つでもあるといえますので、引き続き魅力的な戦略の展開をお願いいたします。
さて、臨海副都心の夜景、とりわけ対岸の明かりを臨む美しい水辺の夜の風景も、東京のほかのまちにはない大きな観光資源です。
今後、新規施設の開業により、さらなる人出が見込まれる中、臨海副都心をこれまで以上に人々を引きつけ、魅了していくまちにしていくためには、こうした夜の風景を生かしたナイトコンテンツを充実させ、新たな魅力をアピールしていくことも重要です。
先日、都は、今年度の取組として、国内最大級のインタラクティブビーチアートプロジェクション、CONCORDIAをお台場海浜公園で実施すると発表し、あさって、オープニングセレモニーが開かれる予定です。
このインタラクティブビーチアートプロジェクションを実施する狙いを伺います。
○大野臨海副都心まちづくり推進担当部長 水と緑に恵まれた環境にあり、デジタルテクノロジーの実装などの先駆的な取組を進めている臨海副都心において、その特性を生かし、夜間でも楽しめるコンテンツを充実させることは、新たに地域に大きな魅力を加え、エリアのプレゼンスを一層高めることにつながります。
このため、都は、今年度新たに、お台場海浜公園の砂浜において、AIやARなど先進的な技術を活用したプロジェクションマッピングを実施することといたしました。
具体的には、AI技術によって、来場者の動きや気温、風速などに応じて変化するインタラクティブなプロジェクションマッピングを砂浜に投影し、水面に浮かぶ月のオブジェや周辺エリアの美しい照明とともに、光と音の幻想的な空間をつくり出します。
さらに、スマートフォンによるAR演出も楽しんでいただくことができ、来場される方々にかつてない魅力的な体験を提供できると考えております。
今後も臨海副都心エリアの特性を生かした魅力を引き出す取組を展開し、さらなるにぎわい創出を図ってまいります。
○入江委員 こうしたナイトコンテンツを充実させることは、エリアのにぎわい創出につながり、推進すべきナイトタイムエコノミーにも波及効果が大いに期待できます。
テンポラリーなイベントやコンテンツは途切れることなく、また、飽きられることがないように、常にブラッシュアップを図りながら行っていくことが大事です。今後も工夫を凝らしながら継続して、にぎわい創出に取り組んでいただくことを要望します。
続いて、ウオーターフロントにある都有地の柔軟な活用について伺います。
都民ファーストの会の予算要望ヒアリングでは、飲食団体、エンタメ団体、ナイトタイムエコノミー推進団体から、都内に食、芸術文化、エンターテインメントの特区をつくってほしいとのご要望がありました。都民や国民やインバウンドや、まさに多様な人々が集い、交流し、楽しみ、新たなクリエーションやイノベーションを起こす特区です。
こうした取組の場所として、日の出など、ウオーターフロントにある港湾局所有の土地が大変望まれています。
さて、その日の出なんですけれども、東京港で最も古いふ頭である日の出ふ頭があります。水上バスやレストラン船の発着する桟橋があり、浅草やお台場などと航路で結ばれ、船で東京を観光する際の拠点の一つとなっています。
二〇一九年、令和元年八月には、その一角に水辺のにぎわい創出と舟運の活性化を目的とした新たな小型船ターミナル施設Hi-NODEがオープンいたしました。
Hi-NODEは、船着場とともに、レストランやカフェ、芝生広場などが併設され、美しい東京港の夜景とともに、DJの皆さんによる音楽イベントなど、都民やインバウンドが楽しめる人気スポットとなっています。
船客待合所などの老築化が進んでいる日の出ふ頭については、このような官民連携の好事例ともいえるHi-NODEの取組も参考にしながら、にぎわいあふれるウオーターフロントへ発展させていくべきだと考えております。
そこで、日の出ふ頭の今後の再整備について見解を伺います。
○野平港湾経営部長 日の出ふ頭は、鉄道網からのアクセスなど、立地条件がよいことに加え、周辺の大規模再開発事業の進展により、さらなるにぎわいの創出が期待されることから、舟運の拠点としてのポテンシャルが高いと認識しております。
このことから、都は、令和元年八月に新たに小型船用の桟橋を整備し、水上タクシーなど小型船の発着機能の強化を図ってまいりました。
あわせて、民間事業者が、都との協定に基づき、東京港の景色を眺めながら飲食を楽しむことができる小型船ターミナル施設Hi-NODEを整備したことによりまして、日の出ふ頭において新たなにぎわいが創出されています。
今後も、さらなるにぎわいの創出に向け、周辺の再開発の動向や、舟運事業者などの意見を踏まえながら、地元区などとも緊密に調整し、日の出ふ頭の再整備について検討を進めてまいります。
○入江委員 様々な関係者の方々と調整を行いながら、日の出ふ頭について再整備の取組を進めていくというご答弁をいただきました。多くのディベロッパーの皆さんや、様々な関係者が非常に期待を寄せております。検討に当たっては、ぜひ、こうした民間事業者や有識者の知見、また、ノウハウを最大限に生かしていただきたいと思います。
そして、世界に向けて誇るべきウオーターフロント日の出、どの都市にも大変水辺が美しいスポットというのはありますので、まさにこの日の出が東京を象徴するウオーターフロントとして、さらに活性化していき、また、美しくなるように、一体的な整備の取組を進めていただくことを強く要望いたします。
私からも、クルーズ船誘致の取組について伺います。
昨日、政府観光局が発表した十月の訪日外国人観光客数は、コロナ禍前の令和元年十月を初めて上回ったということです。インバウンド需要は堅調に回復していますので、東京でもまちを歩く外国人観光客の姿が再び日常の光景となりました。
インバウンド需要を確実に取り込み、東京に大きな経済効果をもたらすものの一つが、クルーズ客船です。
先ほど二バース化のお話や、クルーズ船の予定がバッティングしてキャンセルする場合もあるというご答弁もありましたけれども、まず、二〇二〇年、令和二年九月の東京国際クルーズターミナルの開業以降、どのくらいのクルーズ客船が入港したのか、実績について伺います。そして、もしキャンセルの事例があるのであれば、それも教えていただきたいと思います。
○三浦港湾振興担当部長 東京国際クルーズターミナルの入港実績でございますけれども、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による水際対策の影響などによりまして、令和二年九月の開業からしばらくの間、多くの予約がキャンセルとなったため、令和四年末までの二年四か月間の入港実績は十九回にとどまったところでございます。
その後、水際対策が緩和され、本年三月に我が国への国際クルーズが再開されましたが、それ以降は、外国籍船の入港により実績が大きく増加しているところでございます。本年一月から今日現在までの入港実績は四十九回となっておりまして、コロナ禍前の令和元年の入港実績三十六回を上回っております。
なお、今日現在までの入港実績四十九回に加えまして、いわゆる入港がかなわなかった、キャンセル待ちの状態だったものが約五十回あったというところでございます。
○入江委員 ありがとうございます。多くのクルーズ船の方が、来たいけれども、泊められないという状況があるということも今分かりました。
いずれにせよ、今後、世界のクルーズ市場はさらなる活況が見込まれております。東京港がこの流れに乗り遅れないようにしていくためには、これまで以上に東京の魅力発信、そして客船誘致の取組を積極的に進めていくことが重要だと思っております。
この客船誘致に向けて、国内外に対する東京港のPRを積極的に行うべきと考えますが、都の取組を伺います。
○三浦港湾振興担当部長 多くのクルーズ客船を呼び込んでいくためには、東京港の魅力を広く発信していくことが重要でございます。
このため、都は、本年九月にドイツで開催されました世界のクルーズ関係者が集う展示会、シートレード・ヨーロッパへの出展や、イギリスやドイツなど、海外のクルーズ船社への個別訪問を行い、東京国際クルーズターミナルの開業により、あらゆるサイズの客船の受入れが可能であることや、東京港の強みである交通利便性に加えまして、東京が持つ多様な観光資源につきまして積極的なPR活動を行ったところでございます。
また、海外クルーズ船社の幹部を東京へ招待し、魅力的な観光地を実際に案内するなどの取組も行っているところでございます。
今後とも、都は、東京港が世界中から多くの人でにぎわう国際的なクルーズ拠点となりますよう、客船誘致の取組を積極的に展開してまいります。
○入江委員 海外の船会社の幹部を直接招いて、おもてなしをしながら東京港の魅力をPRするなど、非常に積極的にクルーズ客船誘致の取組を進めていただいていることが分かりました。
クルーズ客船の乗船客、私も最初のクルーズ船が来たときに見に行ったんですけれども、お年を召したご夫妻もなかなか多いんですけれども、皆さん喜々としてすぐにバスに乗って、いろんな東京の観光地に行くわけですけれども、どこにいらっしゃるのかというのは、寄港先でクルーズ船の会社が用意したプランに参加する形で観光地を回ることが多いと聞いております。なので、クルーズ船の会社が事前に策定するそのプランに、東京の様々な観光地を組み込んでもらうように働きかけることは、東京の観光振興に大変有効な取組です。
引き続き、観光部とも連携していただいて、魅力あふれる東京のシティプロモーションを頑張っていただきたいと思っております。お願いいたします。
そして、来年の三月には、世界的にも有名なイギリスのクルーズ客船「クイーン・エリザベス」がいよいよ、二〇二〇年のオリ・パラのときに期待しておりましたけれども、それがかなわなかったわけですけれども、今度は東京港に初入港すると聞いております。
認知度の高い客船の入港は、世界に対して東京港をアピールする絶好の機会となりますので、うまく活用しながら、今後も積極的に誘致活動に取り組んでください。
さて、東京国際クルーズターミナルは、ガラス張りで開放感のある大きな吹き抜け空間があり、迫力のある映像が映し出される大きなビジョンを備えるなど、非常に魅力的な施設です。私も海外のラグジュアリーブランドの代理店から、セレブリティーなカスタマーに向けたシークレットパーティーの会場に使えないかとご相談を受けました。港湾局の皆さん、前向きに検討してくださいましたが、たまたま日程が合わず、残念でした。
国際クルーズターミナルは、まさに東京のユニークベニューとしてふさわしい施設です。イベントや国際会議などの開催場所、そして、ドラマや映画のロケ地などとしてもっと活用できれば、東京国際クルーズターミナルの認知度を向上させ、ひいてはクルーズ客船の誘致にも資することができると考えております。
そこで、東京国際クルーズターミナルは、ユニークベニューやドラマなどのロケ地として有効活用していくべきと考えますが、見解を伺います。
○三浦港湾振興担当部長 臨海副都心の新たなランドマークである東京国際クルーズターミナルは、多様なイベントに対応できるユニークベニューなどとして活用していくことが可能な施設であると認識しております。
これまでも多くの来場者がございました海上自衛隊主催の国際観艦式や東京みなと祭、世界的ハイブランドのファッションショー、クルーズ船社が集う展示会の会場に加えまして、ドラマやCMの撮影場所などとして、様々な用途で活用を図ってきたところでございまして、国際クルーズターミナルの開業以降、これまでに二百件の実績があるところでございます。
今後もクルーズ船の誘致につながる催しをはじめといたしまして、地域のにぎわい創出につながるイベントを開催するなど、積極的な施設の活用を図ってまいります。
○入江委員 二百件とは、大変多く受け入れていただいていることが分かりました。
クルーズ船の寄港スケジュールもありますので、それがないときを活用するということで、なかなか難しいとは思うんですけれども、東京国際クルーズターミナルをユニークベニューとしてさらに柔軟に活用していただければ、ターミナルの知名度を高め、東京港のイメージアップにもつながる大変有意義な取組だと考えます。
今後もぜひ、様々なオファーがあるとは思いますが、前向きに検討していただくことをお願いいたします。
東京は、世界を代表する観光地であり、クルーズの本格的な再開に伴って、東京港への寄港ニーズは今後ますます増えていくと思っております。
こうした寄港ニーズにしっかり対応するとともに、さらなる誘致を実現させることで、東京の観光振興、ひいては経済成長に貢献できるよう、引き続き積極的に取組を進めていただくことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○竹平委員 よろしくお願いいたします。
私の方からも、クルーズ客船受入れに向けた環境整備についてお伺いをしていきたいと思います。
新型コロナウイルス感染症の影響により停止していた国際クルーズでありますが、本年三月の再開以降、東京国際クルーズターミナルにも多くのクルーズ客船が入港していると聞いております。
一方、現状、東京国際クルーズターミナルは一バースしか有しておらず、同じ日に入港予約が重なった場合には、東京港としてクルーズ客船の受入れの機会を逃すことになります。
クルーズ旅行については、近年、ファミリー層やシニア層の利用も増えているなど、利用者の裾野が広がっていると聞いております。このような中、クルーズ客船の受入れ体制が整わないがゆえに、多くの方々が東京港を利用してクルーズ客船で旅する機会を失うという事態が発生することは非常に残念であります。
また、国際的な人の往来が活発化する中、一度に数千人が乗船することもあるクルーズ客船の来航は、乗客の都内での消費活動を通じ、東京の経済活性化にも大きく貢献すると考えます。
本日は、クルーズ客船寄港地としての東京港の評価を上げることにとって重要な要素と考えられるクルーズ客船の受入れ体制について、質問を行わせていただきたいと思います。
まず、東京港クルーズターミナルにおけるクルーズ客船の本年の入港実績をお聞きしようと思いましたが、先ほど来、質問が出ておりました。今日現在までに四十九回、そして、コロナ禍前となる令和元年の三十六回を上回る水準であると。そして、希望する日程が重複するため、入港できなかったケースが五十件あったというご答弁でありましたけれども、それでは、来年の予約状況、さらには、希望どおり入港できない船舶がどれぐらいあるのかお伺いしたいと思います。
○三浦港湾振興担当部長 東京国際クルーズターミナルの来年の入港予約状況でございますけれども、現時点で九十九件の入港予約が入っております。このほかに、入港希望日の重複によるキャンセル待ちが四十五件発生している状況でございます。
○竹平委員 ありがとうございます。今、ご答弁にもありましたとおり、本年について、また入港回数とほぼ同数の入港がかなわないケースがあったこと、そして、現時点で多くのキャンセル待ちが発生していることを確認させていただきました。
今年度策定予定の第九次改訂港湾計画では、東京国際クルーズターミナルの二バース化の計画が盛り込まれており、これについてはクルーズ客船の受入れ機会確保という点で、着実に進めていただくことが必要であります。
あわせて、東京港へのクルーズ客船の入港がかなわない、もしくはキャンセル待ちとなっているケースが多数発生している現状に対して、多くの方が東京港を利用し、クルーズ客船に乗船できるよう、早期の対応を図ることも大事であります。
その意味で、現在都が進めている晴海客船ターミナル跡地における客船受入れ施設の整備は妥当な取組だと考えますが、現在の取組状況についてお伺いいたします。
○三浦港湾振興担当部長 都は、クルーズ客船の寄港ニーズを確実に捉えるため、東京国際クルーズターミナルに二バース目を整備するための対応といたしまして、晴海客船ターミナルの跡地に暫定的な客船受入れ施設を整備することとしております。
現在、既存の晴海客船ターミナルの解体工事を実施しているところでございまして、今年度中に終了する予定となっております。解体工事の終了後、客船受入れ施設の建築工事に着手いたしまして、令和六年度中の竣工を目指してまいります。
○竹平委員 多くのクルーズ客船の東京港への入港ニーズをかなえるべく、晴海の客船受入れ施設については、早期の供用開始が可能になるよう、施設整備を着実に進めていただくことを求めておきます。
また一方、施設整備の取組も大事でありますが、クルーズ客船の乗船客は、寄港地で下船した後、近隣の観光地を訪れることが多く、最寄り駅や目的地へ円滑に移動できることも寄港地に求められているものと思います。
そこで、寄港地としての東京港の評価を高めるため、クルーズ客船の乗船客が観光地などの目的地へ向けて円滑に移動できるようにするべきと考えます。
都の見解を求めます。
○三浦港湾振興担当部長 クルーズ客船の乗船客が円滑に目的地へ移動できる環境を整えることは、乗船客の満足度を高める上で重要であると認識しているところでございます。
東京国際クルーズターミナルにおきまして、乗船客の主な移動手段は観光バスや鉄道などになりますが、このうち観光バスにつきましては、ターミナルの敷地や近隣に約百三十台が駐車できるスペースを確保しているところでございます。
また、鉄道で移動する乗船客に向けましては、りんかい線東京テレポート駅やJR品川駅とターミナルとの間でシャトルバスを運行しております。
なお、晴海に建設予定の客船受入れ施設につきましても、東京国際クルーズターミナルにおける取組を参考にしながら、クルーズ客船の乗船客が都心へ円滑に移動できるよう検討を進めてまいります。
今後も、都は、乗船客の満足度向上に積極的に取り組み、さらなる客船誘致につなげてまいります。
○竹平委員 東京国際クルーズターミナルでは、観光バスで移動される方や、鉄道などの公共交通機関で移動される方、それぞれについて適切に対応がなされていることを確認させていただきました。
今後整備される晴海の客船受入れ施設においても、円滑な移動が可能となるよう、しっかりと対応していただくことを求めます。
東京港を利用する乗船客の方々が目的地にスムーズに移動することができるようになれば、再度クルーズで東京港に訪れたいと思っていただけるのではないかと思います。そして、こうした乗船客の東京港への評価の向上が、東京港へさらに多くのクルーズ客船が入港するという好循環を生み出すことにつながると考えます。
クルーズで旅する多くの方々が東京港を訪れていただけるよう、早期に東京港のクルーズ客船受入れ体制の強化を進めていただくことを要望して、次の質問に移りたいと思います。
次に、ブルーカーボンの取組状況についてお伺いをいたします。
現在、CO2の新たな吸収源として注目されているものがブルーカーボンであります。
大気中のCO2が光合成によってワカメやアマモといった海草などに取り込まれ、CO2を有機物として隔離、貯留するというものであり、大気中のCO2濃度を減少させ、気候変動を緩和する手段として期待をされております。
以前から、都議会公明党は、ゼロエミッション東京の実現に向け、東京港においてブルーカーボンの取組を進めるべきことを主張しており、都は昨年度から、アマモやワカメが生育する藻場の創出に向けて実験を進めていると伺っております。
これに関しては、先日の各会計決算特別委員会において、我が党の細田議員が質疑を行ったところでありますが、本日は、都が行っている生育実験の状況について、より詳細に伺っていきたいと思います。
まず初めに、東京港において都がこれまで行ってきたブルーカーボンの取組について、具体的な内容とその成果をお伺いいたします。
○村田港湾整備部長 CO2の吸収源として期待されているワカメやアマモなどの藻場等を東京港につくり出していくことは、脱炭素社会の実現に向けて有効な取組の一つであると認識しております。
このため、都は、昨年度からブルーカーボンの取組を開始したところであり、船舶の航行に影響がない東京港内の八地点におきまして、水質調査や海底面の土質調査などを行った上で、生育に適していると判断した新海面処分場東側にワカメを、京浜南運河にアマモをそれぞれ移植いたしました。
移植後はモニタリングを継続しており、冬から春にかけて成長するワカメにつきましては順調に生育していることを確認いたしました。一方、同じ冬から春にかけて成長するアマモにつきましては、順調に生育していることを確認しましたが、カモやクロダイによると見られる食害もございました。
ワカメ、アマモのいずれも一定期間生育したことを確認できたことから、それぞれの実験場所が、冬の時期には生育に適した環境であることが実証できたものと考えております。
○竹平委員 東京港は、以前に比べてきれいになったといわれているものの、必ずしも透明度が高いとはいえない状況で、光合成によって育つ海草等には厳しい環境にあります。
そのような環境で、少なくとも一定期間は生育できたということは、食害対策なども行っていけば、今後に期待が持てるのではないかと思います。
多くの船が行き交い、移植場所が限定される東京港で人工的な藻場をつくっていくということは、大きなチャレンジであり、容易なことではありませんが、専門家の意見も聞きながら継続的に取り組んでいくべきと考えます。
先日の各会計決算特別委員会における都の答弁によりますと、今年度は移植場所をさらに二か所追加し、引き続き検証を行っていくとのことですが、具体的な場所や実施方法についてお伺いいたします。
○村田港湾整備部長 ワカメにつきましては、冬場に、昨年度の二倍となる約二百株を新海面処分場東側に移植する予定でございます。あわせて、今後のモニタリングにおきまして、昨年度移植した株の発芽状況を確認する予定であり、表面の形状が異なる複数のコンクリートブロックのうち、どの形状のブロックに胞子が着生しやすいかにつきましても検証してまいります。
アマモにつきましても、冬場に移植を行う予定でございますが、昨年度の京浜南運河に加え、新たにお台場海浜公園と城南島野鳥公園の三か所におきまして、合計約五百株を移植するとともに、移植方法についても、前回とは違う手法を用いて生育状況に関する検証を進めてまいります。
また、食害対策といたしまして、ネットを設置して移植箇所の一部を防護する予定であり、その効果を検証してまいります。
今後、これらの検証結果や有識者の意見等を踏まえまして、藻場の整備箇所や整備方法、スケジュールなどについて方針を取りまとめてまいります。
○竹平委員 確立された方法もない中、まさに手探りでいろいろな方法を試していることが分かりました。藻場の拡大に取り組んでいくことは重要であり、引き続き力を入れて進めていただきたいと思います。
これに加えて、東京港におけるブルーカーボンの取組をより積極的に発信することも重要であります。首都東京でブルーカーボンの取組が進められていることは非常にインパクトがあり、全国的にも注目を集めると思います。このPR効果を活用して発信すれば、多くの人が脱炭素の重要性について考える契機となるのではないかと思います。
今年度、新たにお台場海浜公園や城南島野鳥公園など、多くの都民でにぎわっている場所でアマモの移植を行っていくとのことであり、PRする絶好の機会であります。
私の地元の葛西海浜公園でも、生物観察会などの環境学習が行われておりますが、こうした環境に関する活動は、子供を含め都民の環境意識を高め、ひいては行動変容にもつながっていくものと考えます。
そこで、脱炭素化を進めるためには一人一人の意識向上が不可欠であることから、都はブルーカーボンの取組について、より多くの都民に知っていただけるよう積極的に情報発信をしていくべきと考えますが、見解を伺います。
○村田港湾整備部長 都が実施するブルーカーボンの取組を広く発信することで、より多くの方に環境問題について考えていただくきっかけとなることは重要でございます。
都はこれまでも、お台場海浜公園の海底への砂の投入により水生生物の回復が見られたことをイベントで紹介するなど、環境に関する取組につきましてPRを実施してまいりました。
今後は、ブルーカーボンの取組に関するリーフレットを作成し、ホームページへの掲載や、港湾局の広報展示室などでの配布を行うとともに、イベントに出展した際は藻場の写真や動画などを用いて分かりやすく解説するなど、都民に向け積極的に情報発信をしてまいります。
さらに、地元自治体などと連携して環境学習を実施するなど、藻場のCO2吸収源としての効果や、多様な生物の生息場としての効果を学べる場の提供に向けて、関係者と調整を進めてまいります。
今後、都は、ブルーカーボンの取組につきまして、様々な機会を捉えPRしていくことで、都民の脱炭素社会への理解促進を図ってまいります。
○竹平委員 藻場は、海の揺り籠とも呼ばれ、水生生物のすみかとなっているなど、生物多様性にも寄与するものであると聞いております。
脱炭素以外にも様々な効果があり、注目の高まっているブルーカーボンの取組について、ぜひ地元自治体やボランティア団体などとも連携を図るとともに、様々な機会、媒体を通じて情報発信し、多くの人々に知ってもらえるよう努力していただきたいと思います。
引き続きブルーカーボンの取組を積極的に進めていただくことを要望して、質問を終わります。ありがとうございました。
○白石委員 日本共産党の白石たみおです。
まず初めに、伊豆諸島の利島港について伺いたいと思います。
利島港は、二〇一八年の台風二十四号によって西側岸壁が大きく損傷いたしました。現在は復旧工事が完成しているところです。しかし、島民の方からは、同様の、または二十四号を上回る台風が来た場合、また損傷するのではないかとの不安があると聞いております。
そこで伺いたいと思いますが、二〇二一年十月二十七日の各決分科会で、我が党のとや英津子都議の質問に対し、都は、今回の被害を踏まえ、最新の気象データ等に基づく波の大きさなどを想定し、これに耐えられる岸壁の強度の確保に向けた検討に既に着手しておりますとの答弁がありました。
この答弁にあった岸壁の強度の確保に向けた検討について、現状と今後の取組について伺いたいと思います。
○佐藤離島港湾部長 利島港の岸壁につきましては、最新の気象情報などから、岸壁に対する波の大きさや強さなどを想定し、これまで、これに耐えられる強度を持つ岸壁の整備を進めてございます。
今年度におきましては、岸壁の構造等に関する実施設計を行っており、今後、地元の意見を聞きながら、引き続き着実に整備を進めてまいります。
○白石委員 今年度は実施設計を行っているということですね。また、今後は地元の意見を聞きながら進めていくとの答弁でした。
利島は円錐形の島で、湾がなく、港に静穏域をつくるのが難しく、高波などの影響も受けやすい状況です。それだけに、強度の確保は喫緊の課題であると思います。実際に二〇一八年の損傷の際には、船が接岸できず、島外に行けなかったり、特産品であるツバキ油の出荷ができないといったことが、被害がありました。
人の行き来や生活必需品などの搬入、島の産品の搬出など、日々の生活には欠かせない重要なインフラです。
話を聞きますと、島民の方からは、強度の確保のためにテトラポッドを埋めるといったことだけではなくて、護岸壁の拡幅を求める声もあるやに聞いております。ぜひ多くの方から意見や要望をしっかりと聞いて、迅速に進めていただきたいと強く要望したいと思います。
次に(発言する者あり)これだけです。三宅さん、後でいっていただければと思います。
次に、老朽化している利島港の船客待合所について伺います。
現在、船客待合所は、職員の休憩室がなかったり、お客さんが利用する売店などもありません。また、場所も桟橋の根元にありますが、台風や高波の際に波をかぶったりもすると地元から聞いております。改修、再整備の際には、こうした点も改善してほしいと強い要望があります。
そこで伺いますが、利島港の客船待合所の整備について、進捗状況を伺います。
○佐藤離島港湾部長 利島港の客船待合所につきましては老朽化が進んでいることから、これまで都は、地元と調整を重ねており、引き続き、建て替えに向けた検討を着実に進めてまいります。
○白石委員 船客待合所は、島民の方だけでなく、島外から訪れる方を迎える上でも重要な施設だと思います。また、そこで働く職員にとっても働きやすい環境であることが求められます。
こちらも島民の方からしっかりと意見や要望を聞いて、例えばバリアフリーや清潔なトイレはもちろん、それからZEBなども意識しながら進めていただきたいということを求めて、次のテーマに移りたいと思います。
次は、IR、カジノについて質問したいというふうに思います。
大阪府は、二〇二五年開催予定の大阪万博が終わった後、開催地の夢洲にカジノを含む統合型リゾート施設、IRを誘致する計画をしております。
一方で、カジノに反対する大阪連絡会は、九月、大阪のカジノ誘致計画の認定取消しを求める要請書など、四万人を超える署名を政府などに提出しております。
また、大阪万博では、万博会場の建設費が、当初見積もられていた一千二百五十億円の何と一・九倍、約二倍ですね、二千三百五十億円に膨れ上がる見通しが示され、さらにパビリオンを出展予定だったメキシコなどが撤退するということも明らかになっています。
公費支出の増加は国民と住民の負担増に直結する大問題であり、既にカジノをめぐる情勢というのは行き詰まりの頂点に達していると、このように思います。
一方で、東京都港湾局の今年度予算には、昨年度に引き続き、IR、カジノの調査予算が計上されております。
港湾局のIR、カジノ調査の予算額を年度別で、初めに伺いたいと思います。
○千田調整担当部長 平成二十七、二十八年度はそれぞれ約一千五百万円、平成二十九、三十年度はそれぞれ約一千百万円、令和元年度以降は毎年約一千万円を計上しております。
○白石委員 今答弁あったとおり、港湾局では、平成二十六年度、つまり二〇一四年からカジノの誘致を調査しているというふうに聞いています。つまり、二〇一四年からおよそ十年かけて、全部足し合わせると約一億円を計上して、IR、カジノの調査検討を行ってきているということです。
私、港湾局のホームページを見てみましたが、今日の資料要求にもあると思いますが、そこには特定複合観光施設、いわゆるIRに関する調査について、二〇一四年度から毎年報告書が掲載されております。ところが、二〇一九年度までしかないんです。
そこで伺いたいと思いますが、IR、カジノ調査予算を計上したものの、実際は調査を行わず未執行となったのは何年度でしょうか。
○千田調整担当部長 令和二年度から令和四年度までは、委託調査の実施を見送ったものでございます。
○白石委員 今の答弁でもはっきりしていますが、令和二年度、二〇二〇年度からの報告書が掲載されていなかったのは、委託調査の実施を見送っていたからだということです。
では、局内ではどういう検討がこの間なされてきたのかということも明らかにする必要があると思います。
一ついっておきますと、何で未実施だったのかというと、見送った理由というのは、コロナ禍で海外調査ができないと。こういう判断から、二〇二〇、二一、二二と見送ったんだということです。
伺いたいと思いますが、では、二〇二一年度、二〇二二年度、そして今年度、IR、カジノの調査に関する会議というのは、何回局内で開かれましたか。
○千田調整担当部長 ご質問のような会議は行っておりません。
○白石委員 素直に受け取れば、ゼロ回だと。
確認したいと思いますが、二〇二一年度、二二年度、そして今年度、一度も開いていないということでよろしいでしょうか。
○千田調整担当部長 同じ答弁になりますけれども、ご質問のような会議は行っておりません。
○白石委員 ありがとうございます。つまり約三年間、一度も会議が開かれていないということが明らかになりました。つまり実態がないということです。三年間何もやっていないんですから、潔くIR、カジノの調査はやめるべきだと思うんです。
ところが、来年度の局要求の予算の中にまた入っているわけです。潔くやめろという声が本当に大きく広がっているんです。三年間、だって一度も会議を開いていないわけですから。やめるべきだと思います。
そもそも、国のIR整備計画の認定申請、これは既に昨年四月二十八日に締め切られています。東京都が、なぜそこまでしてしがみつくのかと。もう締め切られているわけですから。私、本当に甚だ疑問だと思います。
IR、カジノの認定は、今、現時点では申請を受け付けていませんから受けられないと思うんですけれども、都はどう認識されていますか。
○千田調整担当部長 IR整備法では、計画の認定上限数は三と規定されており、現在、大阪の計画が認定され、長崎は審査中となっております。
都は、メリット、デメリットの両面から総合的に検討しているところであり、今後も引き続き検討を行ってまいります。
○白石委員 会議を一度も開いていないわけですよね。国の認定申請も、今、現時点では締め切られている。そういったときに、都民の税金ですから、こういうところにIR、カジノにしがみついて、また引き続き調査検討をやっていくんだと。もう潔くやめるべきだと強くいいたいと思います。
昨年、締切り後に国交省からレクチャーを受けました。国交省によると、上限は今いった三ですが、必ず三つないといけないということではないということでした。認定申請は締め切られている上に完全に行き詰まっているIR、カジノの検討は、改めてやめるべきだと指摘しておきたいと思います。
二〇一九年度の調査報告書にもあるように、最も懸案事項となっているのがギャンブル依存症への対応です。
東京都福祉局が発行する東京都ギャンブル等依存症対策推進計画によれば、ギャンブル依存症について、こう記載されております。
症状としては、ギャンブルなどでの負けを別の日に取り戻そうとしたり、苦痛の気分のときにギャンブルをしたり、ギャンブルへののめり込みを隠すためにうそをつくなどが挙げられますと。その結果として、人間関係のトラブル、多重債務問題、法律問題や違法行為などを働いたことによる刑罰、仕事能率の低下や失業、健康問題等々、また、自殺などの深刻な問題に至ることがありますと都の福祉局が書いています。
私が聞いた話、ぜひ真剣に聞いていただきたいと思いますが、仕事に行くと家族にうそをついてパチンコに通い続けた結果、多重債務となった方、家族と共に弁護士に相談をして、何とか返済のめどは立てたものの、ご本人の心の問題は解決していなかったために、その後、自ら命を絶ってしまったと。
ギャンブル依存症というのは、命に関わる問題なんです。都内三か所の精神保健センターでは、そうした依存症の本人や家族等から相談を受けておりますが、目先の問題だけ対応していても解決できないのがギャンブル依存症です。先ほどの事例もそうです。
港湾局の調査でも、カジノを誘致した国や地域で取り組まれているギャンブル依存症対策が詳しく紹介もされております。
同様に福祉局の計画でも、精神保健福祉センター職員の研修や、早期発見のための都民への普及啓発、支援を必要としている人への相談窓口の設置と情報提供、治療につなげる取組、関係機関との連携、回復支援など、様々な対策を拡充強化しながら、このギャンブル依存症対策というのを今行っております。
それでも、何とギャンブル依存症の相談件数は減るどころか、全国でも都内でも増加傾向になっているんです。
港湾局はこれまでの調査で、ギャンブル依存症の深刻な問題があることを、むしろよく把握されていると思うんです。それを把握しておきながら、依存症をつくり出すIR、カジノについて、検討は引き続きやっていくんだと、やめないんだということなど到底認められません。
健康を害し、家族も含めて人生が狂わされるギャンブル依存症という命に関わる問題を生み出しておきながら、それを抱えたまま得ようとするメリットなど、到底メリットとはいえないと思います。
IR、カジノ調査の検討はきっぱりと断念するよう改めて求めて、次のテーマの質問に移りたいと思います。
続きまして、晴海ふ頭公園に巨大文字型モニュメントを設置することについて質問したいと思います。
晴海ふ頭公園に巨大な文字型モニュメントを設置することについて、多くの都民や地元住民などから反対の声が上がっております。中央区民マガジンのアンケート調査によると、モニュメント設置に賛成は八十八件で約二〇%、これに対し、反対したのは三百六十一件で、賛成の四倍に当たる八割が反対をしております。
これまで、皆さんもご存じかと思いますが、NHKをはじめ多くのメディアが、この問題を報道しております。
これほどまでに歓迎されていないモニュメントも珍しいと思いますが、このモニュメントを東京の新たなシンボルとして設置工事を進めようと東京都はしていますが、進めるべきではないという立場から質問します。
初めに、基本的なことを伺いたいと思います。
文字型モニュメントを晴海ふ頭公園に設置する目的について説明をしてください。
○松本臨海開発部長 都は、臨海部のさらなる魅力向上とにぎわいの創出を図るため、東京港の景観が一望でき、また、レインボーブリッジを目の前に臨める晴海ふ頭公園におきまして、新たなランドマークとなるモニュメントを設置することといたしました。
○白石委員 魅力向上とにぎわい創出を図る、こういう答弁でしたけれども、一体どういう意味か、今の答弁ではやっぱりいまいち分からないと思います。
この文字型モニュメントは、新たな観光スポットをつくり出すことを目的に設置するのではないんですか。いかがでしょうか。
○松本臨海開発部長 ただいまご答弁させていただきましたとおり、文字型モニュメントを設置する目的は、臨海部のさらなる魅力向上とにぎわいの創出を図るため、東京港の景観が一望でき、また、レインボーブリッジを目の前に臨める晴海ふ頭公園におきまして、新たなランドマークとなるモニュメントを設置することといたしました。
○白石委員 繰り返しの答弁ですね。私が聞いたのは、この文字型モニュメントの設置目的は、新たな観光スポットをつくることではないんですかと、先ほどの答弁じゃよく分からないから、だから改めて聞きました。だけれども、繰り返しの答弁だと。
それでは、一つ一つ事実を確認していきたいと思います。
この文字型モニュメントの設置について、知事に説明と意見を求めたのは今年の三月二十八日で間違いないでしょうか。
○松本臨海開発部長 本年三月二十八日でございます。
○白石委員 間違いないということです。
私も事前に、この三月二十八日、知事室で、知事と当時の港湾局長や副知事、村山特別秘書、そして今、部長答弁ありましたが、松本臨海開発部長などで、東京港における新たなランドマークの設置についてという議題で会議が持たれております。会議録で私も確認していますので事実です。
次に伺います。知事への説明で使用した資料には、モニュメントが新たな観光スポットとなるポテンシャルが高いと。立体構造物を生かし、プロジェクションマッピングなどが楽しめるよう工夫を行うと、設置する目的、効果について説明をしたと思いますが、いかがですか。
○古城委員長 指名してからお願いします。
○松本臨海開発部長 知事へご説明しましたとおり、臨海部のさらなる魅力向上とにぎわいの創出につながるというふうに考えております。
○白石委員 はっきりお答えにならないと。
今日はパネルを持ってきました。これを見ていただきたいと。見覚えありますね。ここですね、何て書いてあるか。モニュメントが新たな観光スポットとなるポテンシャルが高い、プロジェクションマッピング等で楽しめる工夫を行うと、こういうふうに三月二十八日に説明していますね。
つまりですよ、この文字型モニュメントの設置は、観光スポットをつくるということが目的なんだというのは明確なんです。それをちょっとお茶を濁しながら、はっきり答えられないって、まあだから今日持ってきたんですけれども、書いてあるんです。
晴海ふ頭公園は、東京都海上公園条例で位置づけられております。条例には、自然環境の保全及び回復を図り、もって都民の福祉の増進と緑豊かな都市づくりに寄与することを目的とすると、このように書いてあります。ご存じだと思います。
あくまでも海上公園及びふ頭公園は、海辺の自然環境の保全と回復、自然に親しむ都民の憩いの場なんだというのが目的なんですね。海上公園の目的に観光都市としての位置づけは、そもそもなされておりません。
この条例から見ても、海上公園の在り方に照らしても、今回の文字型モニュメントは問題があると、これは厳しく指摘しなければならないと思います。だから、観光というのはなかなかいいたくないということなんだと思います。
文字型モニュメントの構造について質問を進めていきたいと思います。
今度は、構造について質問したいと思います。
文字型モニュメントの構造は、幅が十メーター、そして奥行き六・八メーター、高さ三・五メーターで、一・六億円をかけて設置すると、このようにしております。
初めに、文字型モニュメントの構造について、どのような検討がなされて設置することを決定したのか、具体的に伺います。
○松本臨海開発部長 モニュメントの陸側は大型の文字モニュメント、そして、海側は階段状のベンチ構造とし、ジョギング中の方々の休憩や、少し高い位置から海を眺めてお弁当を楽しむことなどを可能とする休憩機能の向上をも図ったものでございます。
晴海ふ頭公園内の設置場所につきましては、大型遊具やカフェ、花壇に支障がなく、また、護岸構造物に影響のない場所、さらに公園利用に大きな支障とならない場所とし、約一万平米の広さを有する芝生広場内の端に約七十平米を確保することといたしました。
○白石委員 今の答弁を一つ一つ分かりやすくしていきたいと思います。
ジョギング中の休憩場や、海を眺めてお弁当を楽しむなど休憩機能の向上を図ったと答弁で述べられましたね。じゃ、伺いますけれども、それは一体誰からの要望ですか。聞き取り調査やアンケートなどを具体的に行って把握したのか、それとも局内だけで検討したのか、どちらかお伺いしたいと思います。
○松本臨海開発部長 晴海ふ頭公園は、指定管理者が管理しておりまして、指定管理者の聞き取り等におきましても、四百メートルトラック形状の園路周辺においては、想定以上にジョギング利用回数が多いというふうに聞いてございます。
そういった意見等も踏まえまして、局で決定したものでございます。
○白石委員 都として聞き取り調査やアンケート調査を、このモニュメント設置について行ったということですか。
○松本臨海開発部長 都として、指定管理者等への聞き取りも踏まえまして決定したものでございます。
○白石委員 指定管理者に聞いただけだということです。
答弁聞くと、モニュメント設置付近にお弁当を食べるところや休憩場所は十分でないかのような印象を受けるんです。でも、そんなことないんですよ。
例えば晴海ふ頭公園のホームページに何て書いてあるかと。次のように紹介されております。再整備前の晴海ふ頭公園では、東京港の整備に当たり撤去した第二台場の石材を園内の石垣で利用していました、これらの貴重な石を園内の様々な場所で石のベンチとして再利用しています。私も現地に行きました。例えば、文字型モニュメント付近のジョギング散策路にも石垣がありましたし、ちゃんと座れました。
お弁当を楽しむ場所やベンチが不足しているなんていうことはないんです。休憩機能の向上をさせるというのは、後づけの理由でしかないと、私はこう思うんです。
新たな観光スポットをつくることが文字型モニュメントの設置目的だったことをより具体的にしていきたいと思います。
先ほどの答弁で、晴海ふ頭公園内の設置場所については、大型遊具やカフェ、花壇に支障がなく、護岸構造物に影響のない場所、さらに公園利用に大きな支障とならない場所を選んで現在の位置にしたと、このような答弁がありました。
公園利用の大きな支障とならないかどうかは、大きさや形状など、ある程度決まっていないと、当然ですけれども判断できないと思います。当たり前だと思うんです。事前に大きさや形状を決めた上で、晴海ふ頭公園内のどこにするかを決めたと説明も受けています。
つまり、文字型モニュメントの大きさや形状は、もうある程度先に決まっていたということだと思います。じゃなきゃ、どこに大きな支障があって、置いたらいいかなんて判断できるわけがないんですから。
では、この文字型モニュメントの規模はどのように決めたのかというのを確認したいと思うんです。
そこで伺いますが、文字型モニュメントの大きさはどのような考え方で決めたんですか。
○松本臨海開発部長 他都市のモニュメントの大きさ等も参考にしながら、東京港の景観が一望でき、レインボーブリッジを背景とする新たなランドマークとなるモニュメントを設置するという目的に資するよう、大きさを決定したものでございます。
○白石委員 他都市のモニュメントの大きさなどを参考にして決めましたよという答弁でした。
参考にした他都市のモニュメントで、今回、都が設置しようとしている文字型モニュメントより大きいものというのはありますか。
○松本臨海開発部長 正確な大きさの比較はしてございませんが、新潟のモニュメント等、大きいものもあるというふうに認識しております。
○白石委員 具体的に、それはどのぐらいの大きさですか。
○松本臨海開発部長 三メートルを超えるというふうに認識しております。
○白石委員 その三メーターを超えるというのは、高さですか、幅ですか、奥行きですか。
○松本臨海開発部長 高さとして把握しております。
○白石委員 幅はいかがですか。
○松本臨海開発部長 把握してございません。
○白石委員 奥行きはいかがですか。
○松本臨海開発部長 奥行きについても把握しておりません。
○白石委員 ごまかしなんですよ。三メーターを超えるという、今回の都のモニュメントで三・五メーターですよ、高さ。大きさといったら幅だってある、奥行きだってある、それを把握していないと。だけれども、今の議会の答弁で、大きいものもあるやに聞いていますと、こういういいかげんな答弁をする。私、とんでもないと思いますよ。
議会で正式に答弁しているわけですよ。奥行きも幅も把握をしていないもの、東京のモニュメントより大きいやに聞いていると。とんでもないというふうに思います。何かメモを渡されたので、どうぞ。
○松本臨海開発部長 検討の過程では確認をしておりますが、現在持ち合わせておりません。
○白石委員 じゃ、後でしっかりと提出していただきたいというふうに思います。
私、本当に、そういうところの今の姿勢を見ても、非常にひどいなというふうに思うんです。私ね、事前に受けたのは、このモニュメントを課長たちは何といったかと。他都市等見て、この東京のモニュメントが日本一大きいのではないかというふうな説明を受けているんですよ。だから聞いたんですよ。そうしたら、今突然、新潟の方が大きいかもしれないと、このようなこともいってきました。一体どうなっているのかと。一体、何がどう丁寧な説明かと改めていいたいと思います。
つまり、他都市の大きさやあしらいでも、ライトアップやプロジェクションマッピングなどを取り入れて、モニュメントのあしらいでも、大きく東京をインパクトとしてやりたいと。他都市の事例を参考にして事前に決めて、その規模のモニュメントを晴海ふ頭公園内のどこに置くかを後から決めたんですよね。休憩機能の向上などということは後づけの理由なんです。
他都市よりも大きく、華やかなモニュメントをつくって観光スポットにすると、これが基本に据えられたと。そして一・六億円をかけて設置することを決定したというのが実態です。
都民や地域住民の意見が取り入れられて設置したのかについて、さらに質問を進めたいと思います。晴海ふ頭公園における文字型モニュメントの設置について、いつから具体的に検討なされたのか伺います。
○松本臨海開発部長 晴海ふ頭公園におきます具体的な検討につきましては、令和五年三月から検討を開始しております。
○白石委員 設置する公園の選定などについては、予算が決定する前から局内で検討していたことは事前に伺っております。
設置場所を晴海ふ頭公園にして、具体的な検討が始まったのが今年の三月、そして、知事に設置場所や費用、スケジュールを示して説明し、知事からの了承を受けたのが三月二十八日と。その後、文字型モニュメントを一・六億円をかけて整備する発注を正式に決めたのが今年の五月二十四日と、時系列的にはこれでよろしいでしょうか。
○松本臨海開発部長 五月に関しましては、委託先との契約を締結した日にちでございます。
○白石委員 だから私が聞いたのは、いいですか、まず、具体的な晴海ふ頭の公園内でどうするかという具体的な検討が始まったのが今年の三月と。知事に設置場所や費用、スケジュールを示して説明し、知事から了承を受けたのが三月二十八日と。その後、文字型モニュメントを一・六億円かけて整備しようと、そういう協定を結んだのが五月二十四日ということでよろしいですか。
○松本臨海開発部長 失礼いたしました。先ほど五月と申し上げましたのは、起案の決定日でございます。
○白石委員 ちょっと分かんないんです。要するに、起案があり、起案が決定、要するに内部的にはこれでいきましょうねと決定したのは、じゃ、五月二十四日でよろしいですか。
○松本臨海開発部長 そのとおりでございます。
○白石委員 ありがとうございます。間違いないということですね。
ちょっと私のいい方も、起案があって、で、原議があって決定したと。それが内部では一応正式な決定で、それから発注とかを含めて、委託はその後だよということですね。
約半年前には、モニュメントの大きさ、形状、設置場所、費用、スケジュールなどは全て決まっていたということですね。いかがでしょうか。
○松本臨海開発部長 決定後に、設計等を踏まえて大きさを決定したものでございます。
○白石委員 正式にというのは、だから、含めて五月二十四日には内部でも正式に、このぐらいのモニュメントにするよということも含めて、それから費用、それから設置場所、スケジュールなんかも全て決まっていたということでよろしいですか。
○松本臨海開発部長 あくまでも設計を踏まえての仕様、それから工程等になりますので、決まったのはそれ以降でございます。
○白石委員 あのね、正式にはそうかもしれないけれども、局内で協議されて、知事にもいって、五月二十四日に局内で起案が決定されて、そういったところでは、じゃあですよ、ある程度の場所も大きさとかもしっかり決めていたと、それは把握されていたということでよろしいですか。
○松本臨海開発部長 晴海ふ頭公園に置くことについて決定していたものでございます。
○白石委員 堂々巡りになりますから、いいですけれども、知事にも、先ほど示したように、三月の時点でですよ、ここの場所に大体置きますよというふうにもいっていたと。事前に大きさも含めて他都市のも見て、このぐらいの大きさは必要だよねということもしっかりと調べていたと。それは三月前だったということも事前に聞いています。
スケジュールだって、三月の時点で、令和五年三月から八月に設計して、十月から三月に設置工事をやると。費用は、このときは概算で二億円ですよというふうに、三月の二十八日の時点でここまで決まっているわけですよ。はっきりしているわけです、知事に説明しているわけですから。
それは、確かに正式に設計も含めてやったら、それは五月二十四日以降というふうに成り立つかもしれない。でも、私が聞きたいのは、やっぱり知事に説明した時点である程度場所も決まり、大きさや費用やスケジュールも決まっていたと、それが約半年も前だったということだと思います。
事業概要の冊子一七九ページ、海上公園構想の基本的な考え方の〔3〕では、都民参加を得て、よりユニークなアイデアを投入するとともに、公園施設の管理運営には都民の知識及び経験を積極的に活用すると明記されております。つまり、港湾局というのは、海上公園の整備でも、管理運営でも都民参加を重視するんだとしているんです。非常に大事な姿勢だと思います。
そこで伺いたいんですが、文字型モニュメントの設置に当たって都民は参加したんですか。都民の意見をどのように聞いて、意見はどのように反映されたのか、具体的にご説明いただきたいと思います。
○松本臨海開発部長 デザイン等につきましては、都で決めて、地元連合町会等に説明したものでございます。
○白石委員 つまり、都民の意見は聞いていないということですか。
○松本臨海開発部長 デザイン等につきましては、都で決定したものでございます。
○白石委員 否定されないということは聞いていないということですね。都民の意見なんかは一つも聞いていないんですよ。巨大文字型モニュメントを設置することを、都民の意見も反映もせず、聞かずに進めたと、決めたということは明らかです。だからこれだけ反対の声がある、疑問の声も上がっているということだと思います。
そうすると、つまり、知事には事前に意見を伺って了承は得るけれども、都民の意見は聞かずに決定をしたということで改めて整理しますが、よろしいですか。
○松本臨海開発部長 都で決定いたしまして、地元連合町会等に説明をさせていただきまして、了解を得たものでございます。
○白石委員 ほんとごまかしなんですね。知事も、都民の意見を反映することや地域住民への説明には何一つ触れず、了承しております。知事の公約である東京の未来は都民と決めるは、影も形もないということだと思います。
都民の意見を聞かずに勝手に決めたばかりか、先ほども、既に知事には三月の時点でいったようにスケジュールや場所や費用、そして大方のデザインや大きさがある程度もう決まっているというにもかかわらず、この文字型モニュメントについて、都民にも地元の住民にも約五か月間にわたり説明せず、工事を着工する十月十六日の直前、十月初頭に突然、連合町会に説明をしたと聞いておりますが、それは事実ですか。
○松本臨海開発部長 これまでも晴海地区で公園整備等を行う際には、事前に地元の連合町会に説明を行っており、今回も同様の対応を行っております。
なお、他の海上公園の施設整備につきましても、これまで地元の自治会代表等に説明を行っております。
○白石委員 だから、私が聞いたのは、要するに、十月の初頭に連合町会に説明はしたということでよろしいですね。
○松本臨海開発部長 地元への説明についてでございますけれども、現地工事により周囲に与える影響を考慮し、その着手前に地元にご説明をしております。
○白石委員 質問に答えてください。連合町会に説明したのは、じゃあいつですか。
○松本臨海開発部長 工事に着手する前の十月六日でございます。
○白石委員 最初からいえばいいじゃないですか。要するに、知事に三月二十八日、先ほどいったように、局内で決まったのが五月の二十四日、そして、約五か月間、半年近くは誰にも説明もせず、公表もせず、で、さっきからずっといっている、連合町会には説明したんだ、連合町会には説明したというのは十月の六日なんです。工事着工の六日前です。直前なんです。突然説明をしたと。
なぜ地元住民には、連合町会には説明するけれども、地元住民への説明会を行わないのかというふうに聞いたら、結局、地元の連合町会に説明を行っているから、それをもってして地元の住民には説明をしたと、こういうことなんです。ずっと繰り返しているんです。連合町会に説明したんだ、了承を得たんだと、これをずっと今、繰り返していると。つまり、そういうことなんです。連合町会に説明をしたことによって、地元の住民には説明をしたというのが都の理解だと、認識だということだと思います。
改めていいますが、連合町会に説明をしたからといって、地元住民に説明したことにはなりません。説明責任を果たしているとも到底なりません。
そもそもシンボルやランドマークをつくるのであれば、地元住民や都民から歓迎されるように都民が参加して決めていくのが当たり前だと思います。報道も含めてどういう声が上がっているかと。寝耳に水だと、こういう声が多数上がっているんですよ。まともな説明がされていないと、何よりのあかしだと思います。
公園利用者からは、例えば、遊び場でもある芝生広場を削ってまでつくらなくていいのではないかという声や、これほどの予算をかける意味がどこにあるのかと、文字型モニュメントの必要性に疑問が多数出ております。
伺いますが、文字型モニュメントについて、地域住民などから反対する声が上がっていることを都はどう受け止めているのか、また、今後どのように対応するのか伺います。
○松本臨海開発部長 今回のモニュメントの整備につきまして、賛否を含め様々なご意見が寄せられていることは真摯に受け止めております。
いただいたご意見に対して、どのように対応するかにつきましては、現在検討しているところでございます。
○白石委員 真摯に受け止めているのであれば、まずは地元住民に早急な説明会を開いて、検討経過をはじめ、モニュメントの大きさや形状、なぜ晴海ふ頭公園の多目的広場の中に設置することにしたのかなど、きちんと説明すべきだと思います。
そして、都民、住民の疑問や設置の是非について、東京都が自ら出向いて直接意見を聞くことが、今、厳しく求められているというふうに思います。早急に説明会を開くことを強く要望したいと思います。
伺いますが、現在の工事は一時中断されているのか、それとも工事の具体的状況は今どうなっているのか伺いたいと思います。
○松本臨海開発部長 工事につきましては、中断しておりません。現在、モニュメント本体の工場製作等を進めているところでございます。
○白石委員 どこが真摯に受け止めているのかと、そういう答弁じゃないですか。
これだけ反対の声が出ているわけですよ。疑問の声も出ていると。真摯に受け止めているのであれば、工事は中断した上できちんと説明をして、都民や地域住民の意見を聞くべきですよ。そして理解と合意が得られなければ、設置すること自体、やめる判断をするべきなんです。
港湾局の事業概要の冊子一八五ページに、第九十一回東京都港湾審議会で、海上公園を中心とした水と緑のあり方についての答申が取りまとめられ、それを踏まえ、現在の海上公園ビジョンを指針として取りまとめたと記されております。
この港湾審議会で出された資料を見ますと、海上公園のモニターアンケートが添えられています。ちょっと前のアンケートですけれども、それを見ました。そこで都民から求められているのが、例えば海辺や水辺、東京湾の風景を眺める、次いで散歩、ベンチに座って休憩、芝生広場で休憩と、都民の憩いの場としての海上公園の整備を求めているんです。
そして、この答申に当たってパブコメも行われています。子供が自由に遊べる海辺や自然保護の区域を設定するなど自然を大切にして、都民の貴重な空間にしてほしいという声が大変強いパブコメであったと議事録でも書かれております。
今回の文字型モニュメントの設置というのは、都民の意見も聞かず、知事の意見と要望だけ聞いて、了承を得て進められたと。やっぱり私、おかしいと思うんです。しかも、課長たち含めて事前に説明を受けたときには、大きさは日本一になるんじゃないかというような説明を受けたりとか、それから、要するに休憩場所の問題だって、私は本当にこの石垣がベンチになって、私も見ましたけれども、いい公園ですよ。
臨めば、レインボーブリッジがある、東京タワーがある、そしてスカイツリーも見えると、シンボルだらけですよ、いってしまえば。そんなところに新たにシンボルをつくると。要するにこれ、観光スポットをつくるための東京都の政策なんです。何か公園の、都民の利用する公園の機能を向上させようなんていうのは後づけの理由なんです。
だって、他都市の参考にした、このモニュメントを参考にしたのは三月前からやっているわけですから、はっきりしているんですよ。大体のある程度の大きさを決めた上で、晴海ふ頭公園内のどこにしようかな、どこにやったら一番影響が少なくて済むかなと決められていっているんです。
晴海ふ頭公園をよりよくしようということじゃない。観光スポットをつくるために今回、この文字型モニュメントがつくられたというのは、経過を見ればはっきりしているんです。それを答弁上でもごまかしたりとか、新潟の問題も、私、聞いていなかったですよ、正直いうと事前には。それが今になって途端に出てくると。だけれども把握されていないと。本当にこういう姿勢が都民不在の都政であるといわざるを得ないと思います。
これだけ反対が出ている、疑問の声が出ている、だったら工事を中断して、きちんと堂々と、何も隠すことがないんだったら説明をして都民の意見を聞くと。もう当たり前だと。でも工事は止めないんだという答弁でした。本当に許されないというふうに思います。
直ちに工事は中断して、立ち止まって、都民や地域住民に説明と意見を聞くことを強く改めて求めて、質問を終わりたいというふうに思います。
○古城委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
午後三時二十三分休憩
午後三時四十四分開議
○古城委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○中田委員 よろしくお願いします。
私からはまず、東京ヘリポートについて質問をさせていただきます。
先ほど来、クルーズ船の話とかありましたけれども、外国人の観光客をいかに受け入れていくのか、インバウンドをどうしていくのかというところで、そのような観点から質問をさせていただきます。
今、インバウンドといっても、私の地元渋谷などは、オーバーツーリズムな感じがありまして、やっぱりもう常に、まち中を歩いている人たちは外国人の方が多いというところで、東京は様々いろんな魅力がある中で、いろんな資源をしっかりと使っていき、そういうところも分散させていく必要性などもあるのかなと思います。
また、東京と並んでニューヨークなどは、ヘリコプターの観光というのが随分と盛んに行われていて、東京はまだまだ、空の資源をしっかりと使い切れていないという部分があるのではないかと思います。
そのような観点から、東京ヘリポートの今の運用などについて質問をさせていただきます。
まず初めに、やはり観光客の方々が来たときに写真撮影を行いたいというような声がある中で、東京ヘリポート、この間私も視察に行かせていただきましたけれども、待合室などには撮影禁止という紙が貼られています。でも、実際のところ、やっぱり聞いていると、写真を撮ってもいいというような声も聞こえてくるんですけれども、その辺、今どのような写真撮影の運用になっているのか質問をさせていただきます。
○渡邊島しょ・小笠原空港整備担当部長 東京ヘリポートは、セキュリティ上の理由から、航空保安施設については撮影禁止としております。
ただし、航空保安施設が写り込まない範囲内で撮影を認めております。
○中田委員 ありがとうございます。今答弁があったように、保安施設が写り込まなければ撮影ができるというところで、なのであれば、しっかりと待合所の貼り紙などを変更していただくように、撮っていいのか、撮っていけないのか分からないような形に今なってしまっているのではないかなと感じましたので、その辺の改善を早急にお願いをいたします。
また、インバウンド受入れというところで、Wi-Fiなどの設置なども、様々な、ヘリポートだけではなく空港施設なども急務になってくると思いますが、今の現状、どのようになっているのかお伺いをいたします。
○渡邊島しょ・小笠原空港整備担当部長 都営空港では、利便性の向上を図るため、全てのターミナルに順次Wi-Fiを設置しており、東京ヘリポートにおいても、今年設置いたしました。
○中田委員 設置されたというところで、利便性が上がっているのではないかと思いますが、引き続き取組を進めていただければと思います。
ここで、東京ヘリポートの過去五年間の離発着の実績について、状況をお伺いいたします。
○渡邊島しょ・小笠原空港整備担当部長 東京ヘリポートの過去五年間の離着陸利用実績は、平成三十年度が二万二千七百四十九回、令和元年度が二万三千二百二十五回、令和二年度が二万百四十七回、令和三年度が二万百二十八回、令和四年度が二万千六百四十六回となっております。
○中田委員 東京ヘリポートのホームページを見させていただきましても、国内最大の公共用のヘリポートというところで、この実績数はかなり多く、しっかりと利用されているのではないかと思います。
その中でもやっぱり公共用というところで、使い方としても警視庁のヘリコプターであったり、消防庁のヘリコプター、また、あとはマスコミの利用などもある中で、やはり先ほど最初に話したとおり、インバウンドをどうやってこれからまた活用してもらうかというところで、夜間の飛行がかなりメインになってくるのではないかと思います。
先ほどもニューヨークの話をしましたけれども、マンハッタンの上空を夜景を見ながら飛ぶというところがやっぱり魅力的で、やっぱり観光に行ったら乗ってみたいなと思うところで、東京としても、それに負けない魅力はあると思いますので、今の夜間の飛行状況の現状、枠とかどのようになっているのかお伺いをさせていただきます。
○渡邊島しょ・小笠原空港整備担当部長 東京ヘリポートの夜間の遊覧飛行につきましては、飛行経路上の住民に対する騒音の配慮等から原則禁止としておりますが、日没から二十時三十分までの時間帯において、安全対策等を施すことを条件としまして、特例的に一日当たり十回を限度として許可しております。
過去五年間における日没後の夜間の遊覧飛行の回数は、平成三十年度が千二十四回、令和元年度が七百三十五回、令和二年度が六百二十五回、令和三年度が五百九十回、令和四年度が七百四十七回となっております。
○中田委員 今、数字をいっていただきましたけれども、コロナ禍で数が落ちてきた中で、令和四年度、さらにまた伸びてきたというところで、今後また伸びていくのではないかと思っています。
先ほど話がありましたけれども、一日当たり十回を限度として飛行しているというところで、天候など様々な状況があるので単純計算はできないですけれども、単純計算しちゃうと、三百六十五日あって一日十回だと三千六百五十回、天候とかも引いたとしても、まだ七百四十七回なので、もうちょっとやっぱり枠として、しっかりと活用できればなというところがあります。
聞いた話によると、この東京ヘリポート自体に格納庫があって、そこを利用している民間の飛行会社しか今は飛ばせないというところなので、その辺の活用なども柔軟に行っていただき、空いている枠はしっかりと活用できるような運用にしていただければと思います。
ちなみに、ほかのヘリポートとの夜間の遊覧飛行の比較について、今、東京都としてどのように把握しているのか伺います。
○渡邊島しょ・小笠原空港整備担当部長 東京ヘリポート以外で、全国に十一か所ある公共用ヘリポートを確認したところ、夜間での遊覧飛行の実績があるのは一か所であります。
このヘリポートは広島ヘリポートであり、午後七時まで遊覧飛行を認めていると聞いております。
○中田委員 今いっていただいたのは公共用のヘリポートというところで、やはり遊覧飛行するイメージであると、横浜のヘリポートであったり、近場でいうと浦安であったり、船橋であったり、そういうような民間のヘリポートをやっぱり活用せざるを得なくて、今、この東京に、先ほどクルーズ船の話がありましたけど、クルーズ船で寄港して、じゃあヘリコプター乗ろうかなと思うと横浜まで行かなきゃいけない、船橋まで行かなきゃいけない、そういうような今スケジュールに、やっぱり日程的になってしまうので、なかなか活用が進まないのかなと思ってしまっております。
なので、先ほどから繰り返しになりますけれども、柔軟な運用をぜひしていただきたいなと思います。
その中で観光というところで、私もこの間行ったときに、待合室がかなり殺風景だなと思いました。今、机もなければ何もないといったら失礼かもしれませんが、そのような状況でした。ヘリコプターに乗る前にいろんな申込み用紙なども書く中で、机一つないというのはやはり不便かなと思っております。
この待合室の改善について、今後どのように行っていくのか伺います。
○渡邊島しょ・小笠原空港整備担当部長 待合室は、乗降用駐機場の近くに設置しており、ヘリコプターに短時間で搭乗できる等、利便性を確保した空間として整備してきております。
今後とも引き続き、利用者の利便性向上に努めてまいります。
○中田委員 利便性向上に努めていただけるというところで、前向きな答弁だと捉えて、しっかりと進めていただければと思います。
また、この東京ヘリポートには応接室も二階にありました。中をのぞかせていただきましたけれども、しっかりとした応接室で、こういうようなところも開放がもしできれば、インバウンドの観光客の方、やはりヘリコプターに乗るといったら、それなりのお金も正直かかるところもありますので、そういうようなお金を持ったインバウンドの方々の利用なども見込めるのではないかなと思いますが、その点の活用についてどのように考えているのか伺います。
○渡邊島しょ・小笠原空港整備担当部長 応接室は、待合室と異なるフロアにありまして、管理棟入り口から管制塔に向かう動線上に位置しておるため、セキュリティ上の観点から、一般の乗客の利用をお断りしております。
○中田委員 今ご答弁いただきましたけれども、難しいというところでしたが、建物自体を改築してくれとまではいいませんが、しっかりと今後何かできるような策を考えていただければと思います。
次の質問に移ります。
次、IR、カジノについて質問をさせていただきます。
先ほど来も他の委員からもありましたけれども、まず、今年度のカジノ検討に係る予算額と現状の執行状況、今後、この先執行する予定があるのか伺います。
○千田調整担当部長 今年度の予算には、IRの検討調査に要する費用として約一千万円を計上しておりますが、現時点で執行しておりません。
また、今後の執行につきましては、現在検討中でございます。
○中田委員 現状、執行していないと。現在検討中だというところで、私、前も経済・港湾委員会にいたときに似たような質問をしたときに、同じ時期に、そういうような答弁があって、結局、執行はゼロだったというところがあったかと思いました。
今から、じゃあ調査委託を出すとしても、今年も残り、あと一か月、二か月で、年度末までにこれが執行できるのかというところは甚だ疑問なところもありますし、使っていない予算、先ほどもありましたけれども、令和二年度からこの予算は執行されていません。その点を考えると、来年度の予算にも計上していますけれども、この点についても疑問なところがあります。
このIR、カジノの予算について、いつから計上してきて、これまでに予算の執行として幾ら使ったのか、それで併せてどんなような検討を行ったのか伺います。
○千田調整担当部長 平成二十六年度以降、委託調査費等で合計三千八百四十六万円を執行しております。
IRにつきましては、日本の経済成長や国際競争力を高める観光拠点として期待される一方で、ギャンブル依存症等の懸念の声もあると認識しております。
都といたしましては、メリット、デメリットの両面から総合的に検討しているところでございます。
○中田委員 今、従来どおりの答弁といったらあれですけれども、メリット、デメリットの両面から検討しているというところがありました。
ギャンブル依存症等の懸念、やはりこちらの方が大きく、私たちもデメリットしかないと考えているところがあります。
もう、そもそもの話になりますけれども、なぜこれが港湾局の予算として計上されているのか、ずっと検討されているのか、私たちも会派の代表質問などでも、このカジノの質問をすると、やはり港湾局が所管だといって答弁に立つというところがありますけれども、そもそもじゃ、これはなぜ港湾局が所管をしているのか、理由についてお伺いをさせていただきます。
○千田調整担当部長 都では、平成二十六年七月に知事本局が廃止され、多くの事業が各局へ移管されました。その中で、IRに係る事務事業は港湾局へ移管されたものでございます。
○中田委員 今、知事本局が廃止され、IRは港湾局へというところでしたけれども、なぜそうなったのかというところが正直全く分からなかったというのが今のご答弁かなと思います。
そもそも港湾局というと臨海部というところで、この臨海地域につくりたいという思いがあって、この港湾局になっているのではないかとやっぱり思ってしまいます。
例えばこれを違う、例えばの話ですけれども、八王子につくるとか、そういうような話であれば港湾局の予算になるわけが正直ないので、これはやっぱり臨海部につくりたいというどこかの思い、知事の考えなどがあって港湾局に予算が振られているのではないかと思いますが、その辺どのように考えるか、ご答弁お願いいたします。
○千田調整担当部長 港湾局として、場所ということではなくて、IRについて総合的に検討しているところでございます。
○中田委員 臨海部につくりたいということも、なかなかできないのかなとは思いますけれども、そういうような見られ方もしているというところは、やはり港湾局としても理解をしていただければと思います。
この予算、先ほど来、話をしましたけれども、令和二年度から予算執行がゼロで、今年に関してもまだ未執行で、使う予定も今検討中だが、正直どうなのかなというところがあります。
このIR、カジノの予算は来年度も調査費として計上しているかと思いますけれども、その理由についてお伺いをいたします。
○千田調整担当部長 IRにつきましては、都は、メリット、デメリットの両面から総合的に検討しているところでございまして、そのために必要な予算を要求したものでございます。
○中田委員 これについて聞いても、従来どおりの答弁といったらあれですけれども、メリット、デメリットについて検討していると。
所管は違うかもしれませんけれども、財政委員会に昨年まで私、前期まで所属していたところで、マイナスシーリングの考え方について前回聞きました。
予算執行がない中で、じゃ、マイナスシーリングの対象にならないのかというところで、そのときの財務局の答弁としては、カジノ予算に関しては、新型コロナウイルス感染症の影響などにより、令和二年度、三年度の予算執行が困難であったと聞いておりまして、そうした事情を鑑み、もともとの原則であるゼロシーリングの対象の予算要求となったと考えているというところが財務局としての答弁でした。
ということは、このコロナの影響で二年、三年は執行ゼロだったのはしようがないと財務局がいっているようなもので、逆に今、五類移行したこの時期、今後、今年執行されなければ、予算要求されている段階でのこの予算が、このまま通るというのはやはり矛盾をするのではないかと思います。
なので、今この段階でまだ使っていないから、今年度も終わっていないのでこれ以上のことはいいませんけれども、今後もしっかりと私どもとしても、このIR、カジノの予算はしっかりとチェックをさせていただきまして、もちろん会派としては、全くこの予算に対しては反対ですので、しっかりとこれからも意見を述べさせていただきたいと思います。
これで質問を終わります。
○星委員 私からは、東京港における脱炭素化の取組について伺ってまいります。
事業活動における脱炭素化が世界的に求められている中、港湾物流においても、荷主や船会社が利用する港を選択するに当たっては、脱炭素化に向けた取組がどの程度進んでいるかが重要な要素となってきております。
このため、国内最多のコンテナを取り扱う東京港が国際的な競争に生き残るためには、新たなふ頭の整備といった港湾機能の強化に加えて、脱炭素化の取組を強力に推進していくことが必要であると考えます。
そこで、本日は、東京港における脱炭素化に向けた取組状況について、まず何点か確認をしてまいりたいと思います。
確認のために、まず、東京港におけるこれまでの脱炭素化の取組について伺います。
○三浦港湾振興担当部長 都はこれまで、東京港において、港湾施設の屋上部を利用した太陽光発電の設置や省エネ型荷役機械の導入に加えまして、トラックから船舶、鉄道など、環境に優しい輸送手段へ転換するモーダルシフトの取組を推進してまいりました。
また、重油に比べ、CO2排出量がより少ないLNGを燃料とした船舶や、次世代エネルギーとして期待される水素を燃料とした船舶の入港料を免除する制度を創設し、船舶の脱炭素化を図っているところでございます。
さらに、東京港における脱炭素化を戦略的に進めるため、港湾関係事業者や脱炭素化に知見を有する企業などを構成員とする検討会において意見を重ねまして、本年三月に東京港カーボンニュートラルポート形成計画を策定したところでございます。
今後は、形成計画に基づきまして、関係事業者と緊密に連携をしながら、東京港の脱炭素化に向けた取組を加速してまいります。
○星委員 東京港カーボンニュートラルポート形成計画、これに基づいて、民間事業者と連携しながら戦略的に脱炭素化を進めていくとのことでありました。
官民一丸となった取組に大いに期待をしたいと思いますが、東京港では日々数多くのコンテナを取り扱うコンテナターミナルにおいて大量のエネルギーが消費されており、とりわけ、コンテナの積卸しを行う荷役機械は主に軽油を燃料としていることから、大きなCO2排出源となっていると聞いています。
コンテナターミナルで使用されている荷役機械の脱炭素化を進める必要があると思いますが、具体的な取組について伺います。
○三浦港湾振興担当部長 コンテナターミナルの脱炭素化を進めるためには、CO2排出量の多くを占める荷役機械につきまして、その動力源の見直しを進める必要がございます。
これまでも都は、コンテナターミナルにおける再エネ由来の電力の導入を進めてまいりましたが、軽油を燃料とする荷役機械の脱炭素化を促進するため、今年度から新たな取組を開始したところでございます。
具体的には、コンテナターミナル内におきまして使用されている、タイヤ式門型クレーンと呼ばれる荷役機械に関しまして、事業者が水素燃料電池へ換装可能なクレーンを導入する場合、費用の二分の一を補助いたします。
また、大井コンテナふ頭に導入されているタイヤ式門型クレーンを活用し、実際に水素エネルギーで稼働させる荷役機械のFC化プロジェクトも併せて実施してまいります。
都は、こうした取組により、荷役機械の脱炭素化を推進することで、東京港のカーボンニュートラルポート実現に向けて努力してまいります。
○星委員 二〇五〇年のカーボンニュートラル実現に向けては、再エネ由来の電力導入はもとより、今後の技術開発動向等を踏まえつつ、水素エネルギー等の利用活用などを促進し、化石燃料依存からの脱却を図る必要があります。
その際ネックとなるのが費用負担でありますが、水素燃料電池への換装可能なクレーンの導入費用の半分を補助するとのことであり、事業者の取組を大いに後押しする効果が期待できると考えます。ぜひ積極的に周知を図り、荷役機械の脱炭素化につなげていっていただきたいと思います。
また、実際に水素エネルギーを使って荷役機械を稼働させるプロジェクトも行うとのことでありますが、荷役機械のFC化プロジェクトについて、具体的にどのように進めていくのか伺います。
○三浦港湾振興担当部長 水素エネルギーを動力源とする荷役機械の導入を促進するためには、水素の供給、運搬体制を構築するとともに、短時間での水素の充填により、荷役機械の稼働時間を確保するといった取組などを行うことで、荷役作業への影響を抑制することが必要でございます。
このため、都は、港湾関係事業者と協定を締結し、水素燃料電池に換装したタイヤ式門型クレーンを実際に現場で稼働させることにより、こうした課題に関する検討を進めることといたしました。
現在、水素燃料電池や水素供給設備などの製作等を実施しているところでございまして、来年度から、実際に水素を燃料としたクレーンによる荷役作業を開始し、課題とその対応策などを検証する予定でございます。
都は、プロジェクトによって得られた成果を広く港湾関係者に展開することで、荷役機械等における水素利用エネルギーの普及促進を図ってまいります。
○星委員 荷役機械のFC化プロジェクト、これを通じて荷役機械における水素エネルギーの利活用に関する知見やノウハウをしっかりと蓄積するとともに、タイヤ式門型クレーンだけでなく、例えば、ふ頭内で走行しているトレーラーについても水素エネルギーの実装を進めるなど、様々な荷役機械における水素活用に積極的に取り組んでいただきたいと思います。
ここまでコンテナふ頭における荷役機械の脱炭素化について、都の取組状況を確認してまいりましたが、東京港には、コンテナ船などで港に運ばれる貨物を保管する倉庫が多く立ち並んでおります。
これらの倉庫では、貨物を冷蔵で保管したり、数多くの荷役機械を使って作業が行われていたりすることから、日々大量の電力や軽油などが消費されており、東京港カーボンニュートラルポート形成計画における排出量推計を見ても、東京港におけるCO2排出量の三分の一以上を占めているという状況でございます。
このため、東京港のカーボンニュートラルを実現していくためには、これらの倉庫の脱炭素化を図っていくことは重要でありますが、港湾エリアに立地する倉庫の大半は築年数が古く、設備も老朽化していることに加えて、倉庫事業者には中小零細企業が多いなど様々な問題もあり、脱炭素化に取り組まなければならないという意識も持ちつつも、具体的な取組を検討するまでには至っていない事業者も多いと聞いております。
そこで都は、港湾エリアの倉庫等の現状や課題も踏まえつつ、事業者の脱炭素化の取組を後押ししていくべきと考えますが、見解を伺います。
○三浦港湾振興担当部長 東京港のカーボンニュートラルを実現させるためには、東京港のCO2排出量の多くを占める倉庫などの脱炭素化を進める必要がございます。
一方、東京港に立地する倉庫には、建設から三十年を超え、老朽化しているものも多いため、事業者からは、どのように脱炭素化に取り組むのが適切か分からないという意見も出ている状況でございます。
このため、都は、倉庫の利用状況や課題などを事業者から丁寧に聞き取りつつ、都の支援制度を紹介するとともに、港湾エリアの倉庫の実態などに即したさらなる支援策の検討も進めてまいります。
また、国に対しても事業者に対する支援を求めているところでございまして、港湾エリアの倉庫などの脱炭素化に向けて積極的に取組を進めてまいります。
○星委員 東京港の脱炭素化を進めるには、東京港で活動する物流事業者との連携協力が不可欠であります。現場で物流を担う事業者は、大手の事業者から中小企業まで様々ございます。このため、まずは事業者の声にしっかりと耳を傾け、事業者の意向を踏まえながら、丁寧に取組を後押ししていくことが重要であると考えます。
今後、物流活動を担う事業者に対し、きめ細かな支援を実施することで、東京港全体の脱炭素化を図っていくことを強く要望させていただいて、この質問を終わります。
続きまして、島しょ地域の港湾等における脱炭素化の取組について伺ってまいります。
今年五月に策定された東京都離島振興計画では、脱炭素化を目指すゼロエミッションアイランドの実現が掲げられておりますが、島しょ地域全体で脱炭素化を進めるには、あらゆる事業活動で取組を加速する必要があり、都が所管する港湾や空港においても率先した取組を進めなければなりません。
港湾、空港施設における脱炭素化を実現するためには、排出されるCO2の発生源を明らかにして、それぞれの排出要因に対して施策を展開していくことが必要となりますが、そこでまず、島しょ地域の港湾や空港から排出されるCO2の量と、その主な要因について伺います。
○佐藤離島港湾部長 伊豆・小笠原諸島の港湾や空港から排出されるCO2は約四万トンであり、その主な要因につきましては、大きく分けて港湾の整備に起因するもの、港湾を利用する船舶に起因するもの及び空港施設の管理運営に起因するものの三つがございます。
港湾の整備に関しましては、岸壁や防波堤などの施設を、島しょ地域特有の厳しい気象、海象条件に耐えられる大規模構造とするため、大量の建設資材を使用しており、その資材の製造過程で多くのCO2が排出されております。
港湾を利用する船舶に関しましては、港に停泊中に発電を行うため、エンジンを稼働させることが主な要因となっております。
空港施設の管理運営に関しましては、ターミナルビルや照明施設などの運営に係る電気の使用が多いことなどが要因となっております。
○星委員 島しょ地域の港湾、空港におけるCO2排出の主な要因についてご答弁をいただきましたが、それぞれの排出要因に対する取組について確認をしていきたいと思います。
まずは、港湾整備に起因するCO2についてでありますが、建設資材の製造過程で多く発生するとのことから、脱炭素化を図るためには、CO2の発生を抑える建設資材に置き換えていくことが有効であると考えます。
そこで、工事に使用する建設資材を見直すことでCO2の削減を図っていくべきと考えますが、都の取組について伺います。
○佐藤離島港湾部長 島しょ地域の港湾を整備するために最も多く使用する建設資材はコンクリートであり、その原料の一つであるセメントの製造過程で多くのCO2が排出されることから、脱炭素化を進めるためには、CO2排出量の削減につながる新たな技術を用いたコンクリートを採用することが重要となります。
具体的には、コンクリートの製造過程において、大気中から取り込んだCO2を溶け込ませた水をセメントと練り混ぜ、コンクリート内に取り込み固定化することでCO2の排出量を削減する技術が開発されております。
このため、都は、今年度、新島港で行う無電柱化工事において、この技術を用いたコンクリート製品等を実験的に導入し、その有効性について検証を行っていくことといたしました。
今後は、検証結果を踏まえ、他の工事への導入を進めるとともに、CO2削減に向けた他の新技術についても活用の検討を行うなど、島しょ工事における脱炭素化の取組を積極的に推進してまいります。
○星委員 港湾の整備が長期間を要するものであると考えると、その工事に起因するCO2を削減することは島しょ地域の脱炭素化に大きく貢献すると考えます。今後も引き続き、新技術に関する検討をしっかりと進め、島しょ工事の脱炭素化に取り組んでいっていただきたいと思います。
次に、港湾を利用する船舶に起因するCO2について確認をさせていただきます。
先ほどの答弁によれば、港に停泊中の船舶が発電を行うためにエンジンを稼働させることがCO2排出の要因の一つとして挙げられるということでありましたが、停泊中であっても、船内では照明や空調などに多くの電気を必要とすることから、CO2の排出を防ぐためにエンジンを停止させる場合には、外部から船への電源の供給が必要となります。
このため、陸上から電源供給できる設備を港に設置すべきと考えますが、都の取組について伺います。
○佐藤離島港湾部長 陸上電源供給施設、いわゆる陸電施設から停泊中の船舶に電力を供給することで、船舶はエンジンを稼働させることなく必要な電力を確保することが可能となるため、現在、都は、定期船が長時間停泊する港において、導入に向けた取組を進めております。
具体的には、八丈島八重根漁港において、八丈島と青ヶ島とを結ぶ定期船「くろしお丸」へ電力を供給する陸電施設の整備を進めており、来年度の完成を目指しております。また、本土と小笠原を結ぶ「おがさわら丸」が停泊する父島の二見港においても、陸電施設の導入に向けた調査委託を今年度より開始したところでございます。
これらの陸電施設の整備を進めるとともに、今後は、さらなる脱炭素化を推進していくため、地元町村や船会社等と連携し、陸電施設へのグリーン電力の活用に向けた検討も行うなど、引き続き積極的に取組を進めてまいります。
○星委員 既に八丈島と父島、こちらにおいて陸電施設の導入に向けた取組を進めているとのことでありました。評価をさせていただきたいと思います。
今後は、グリーン電力の活用なども検討していくということであります。また地元町村や関係事業者等ともよく連携しながら、引き続き積極的に取組を推進することを要望させていただきます。
次に、空港における脱炭素化の取組について伺います。
都は、伊豆諸島に五つの空港を設置していますが、先ほどの答弁にもあったとおり、ターミナルビルや照明施設などの運営に関わる電気の使用が多いとのことでありました。
空港に関しても、脱炭素化に向けた取組をしっかりと進めていくべきでありますが、現在の取組状況について伺います。
○渡邊島しょ・小笠原空港整備担当部長 都は、国が昨年十二月に示した航空脱炭素化推進基本方針に基づき、空港脱炭素化推進計画を策定するため、空港管理者、航空会社、給油事業者、周辺自治体などの関係者で構成される空港脱炭素化推進協議会を、これまで全ての都営空港において設置いたしました。
今後、この協議会において、国が示したガイドラインに基づき、空港施設や空港車両等から排出されるCO2の削減方法などに関する検討を速やかに進めてまいります。
○星委員 全ての都営空港において、空港脱炭素化推進計画を策定するための協議会を設置したとのことでありましたが、答弁にあったとおり、多くの関係者が参加していることから、計画の策定に向けては、協議会での議論を丁寧に行っていく必要があるのではないかと思います。
そこで、各空港における空港脱炭素化推進協議会では、どのような取組を検討することを想定しているのか、その具体的な内容について伺います。
○渡邊島しょ・小笠原空港整備担当部長 空港脱炭素化推進協議会では、二〇三〇年のカーボンハーフ及び二〇五〇年のカーボンニュートラルに向けて行うべき取組について、実施主体や経費負担などを検討してまいります。
具体的な取組内容としては、ターミナルビル等の省エネ化や太陽光パネルの設置、航空機に対して滑走路の位置を示す施設である航空灯火のLED化、空港車両のゼロエミッションビークルへの更新、駐機中の航空機に電力を供給する地上動力装置の導入等を想定しております。
都は、これらの取組や関係者の役割を整理した空港脱炭素化推進計画を来年度策定することとしており、今後は、この計画に基づいて、空港における脱炭素化の取組を積極的に進めてまいります。
○星委員 都営空港における具体的な取組内容やスケジュールについて確認をさせていただきました。今後策定予定の空港脱炭素化推進計画、これに基づいて、関係者が緊密に連携して着実に空港の脱炭素化を進めていくことを要望させていただきます。
島しょ地域の港湾、空港における脱炭素化の取組は、ゼロエミッションアイランドの実現に向けて重要な取組であります。繰り返しになりますが、地元町村や関係者などとしっかりと連携をし、取組を加速させていくことを改めて要望させていただいて、私の質問を終わります。
○白戸委員 よろしくお願いします。
まず、海上公園についてお伺いしたいと思います。
私の地元の江東区には、都民が海や自然と触れ合い、スポーツや様々なレクリエーションを楽しめる海上公園がたくさんございまして、私自身も、ランニングをしたり、リラックスの場にしたりということでよく利用させていただいております。
人は、緑の周りとか水辺にいるだけで不思議な落ち着きや安らぎを得られるという、不思議なものでして、こういった意味では、海上公園の果たす役割、これは小さくないというふうに考えております。
本日は、本年三月にプレオープンしました海の森公園と、昨年の八月の有明アリーナの開業に合わせて一部が開園しました有明親水海浜公園について伺います。
まず、海の森公園ですけれども、私は、資源循環と都民協働を念頭に置いた自然環境の再生を進めるという海の森プロジェクトに以前から強い関心を持っており、今年の第二回の都議会定例会においても、海の森におけるボランティアやキャンプ体験についての質疑を行わせていただきました。
この中で、ボランティアについては、子供たちも自然観察の手伝いや訪問者へのガイドとして活躍できるようにすべきと質問し、都からは、来園者への自然観察ガイドなど担う子供レンジャー制度を導入することとし、令和六年度末の開園に向け、今年の秋には募集を開始するという答弁をいただいたところでございます。
そこで、先ほど出ました子供レンジャー制度の導入に向けて、現在の取組状況、そして今後の予定をまずは伺います。
○松本臨海開発部長 未来を担う子供たちが、ごみの島を美しい森によみがえらせる海の森プロジェクトに主体的に関わることは、環境問題への理解を促す取組として有意義でございます。
このため、都は、海の森公園の自然保護等に関する活動を担う子供レンジャー制度を導入することとしております。
子供レンジャーの募集に先立ち、こども都庁モニターにおきまして、海の森で行ってみたい活動についてのアンケートを実施したところ、公園をきれいにする活動、樹木を育てるお手伝い、生き物の観察といった回答が多く寄せられましたことから、こうした声を子供レンジャーの活動内容に反映させてまいります。
今後のスケジュールでございますが、子供たちが応募しやすいよう、冬休み期間中まで募集を行い、その後、活動に必要な、四季折々に見られる植物や昆虫に関する知識の学習や、安全を確保しながらの草むしりなどの現場体験等を内容とする養成プログラムを実施いたします。海の森公園の開園に合わせまして、海の森子供レンジャーとして正式に認定し、活動を開始する予定でございます。
今後も子供の視点に立ち、子供の意見を取り入れながら、子供たちが生き生きと活動できるレンジャー制度の運用に努めてまいります。
○白戸委員 ありがとうございます。この海の森は都心のすぐ近くにありながら広大な草原と深い緑の森を有しており、子供たちの環境学習には、もう最適な場であるというふうに思います。
そうした場における子供レンジャー制度の導入は意義深く、ユニークな取組であり、子供たちはもとより、その保護者の方々にも大きな関心を持っていただけるのではないかと期待しております。
また、子供たちが主体的に関わることが大切で、環境への興味は見ているだけとか知っているだけではなくて、そこに踏み入れて自身が主体的に関わっていく、そういったことでより興味を深めていっていただけるものだと私自身の経験からもそう感じているところです。
もちろん、この取組にどのぐらいの応募があるのか予想するというのは非常に難しいところですが、できる限り子供たちの希望をかなえていただきたいなというふうに思います。
次に、有明親水海浜公園について伺います。
東京二〇二〇大会のレガシーとしてオリンピック・パラリンピックパークと位置づけられたエリアは二か所であり、その一つが、この有明北地区であります。そして、有明オリンピック・パラリンピックパークの核となるのが、その面積の大半を占めている有明親水海浜公園でございます。
有明親水海浜公園は、昨年の八月に有明アリーナの開業に合わせて周辺部分が先行して開園、現在は水路沿いの園路整備が進められているところでありますが、まず、有明親水海浜公園の現在の整備状況、そして、今後の整備予定について伺います。
○松本臨海開発部長 有明親水海浜公園は、東京二〇二〇大会のレガシーを継承する公園として位置づけられている施設でございまして、その面積は陸域と水域を合わせ、約三十九・六ヘクタールでございます。
このうち、有明アリーナの周辺部、約一・九ヘクタールのエリアにつきましては、先行して親水性の高い園路等の整備を行いまして、アリーナの開業に合わせて昨年八月に開園いたしました。
現在は、この開園区域に続く東雲運河沿いの園路等の整備に加え、東京二〇二〇大会のシンボルモニュメント等の設置を予定している記念広場エリアの整備を進めているところでございます。
今後、整備を完了したエリアから段階的に開園してまいります。
○白戸委員 準備が着々と進められていることが確認できました。
この公園は、運河沿いで静ひつな水域を有していることが大きな特徴であると思いますが、その特徴を生かして、訪れた人々が水辺を楽しめる環境を整備していくことがこの地区全体の魅力を高めることにつながり、大変重要ではないかというふうに思います。
昨年の十月、晴海ふ頭公園にカフェレストランやガーデングリルなどが楽しめる官民連携事業施設のConnecT HARUMIさんというのがありますけれども、これがオープンしまして、多くの方々で今にぎわっております。
そして、有明親水海浜公園においても官民連携事業の公募を開始したと聞いております。有明親水海浜公園における官民連携事業は静ひつな水域を生かしたカヌーなどのマリンスポーツの利用促進を条件としていると聞いておりますけれども、その目的を達成するにはマリンスポーツの利用に適した陸域の空間も整備していく必要があると考えます。
そこで、有明親水海浜公園の水域利用に向けて、今後どのような整備を進めていくのか伺います。
○松本臨海開発部長 有明親水海浜公園内においてマリンスポーツを楽しめるようにするためには、水域に安全に出られる砂浜や、その背後にボート置場等の整備などが必要でございます。
このため、都は、季節によって異なる風向きや波の強さ等の水域における環境調査や、必要なボート置場等、マリンスポーツの拠点整備に向けた検討を進めた結果、公園西側の入り江をマリンスポーツのエリアとすることとし、砂浜の整備を行うことといたしました。
また、現在公募している官民連携事業におきましても、西側の入り江に接する陸域にマリンスポーツ関連の施設を整備することを要件としているところでございます。
現在、都は、砂浜整備に向けた設計を行っているところでございまして、今後も有明親水海浜公園の全面開園に向け、着実に整備を進めてまいります。
○白戸委員 様々な観点から検討した結果として、公園の西側の入り江に砂浜を整備していくということが分かりました。
本当に都心からすぐのところの海でマリンスポーツが楽しめるということは大変すばらしいことで、皆さんの期待も高まっているところです。開園に向けて整備を着実に進めていただきたいと思います。
ちなみに、皆さんもご存じかもしれませんけれども、今、北米を中心に、公園の整備においてはキープイットワイルドという言葉が、ご存じでしょうか。つまり、できるだけ自然の感覚を残していこうねというのをキープイットワイルドとよく使うんですけれども、これは従来、自然公園なんかはあまり触らずにそのままやるのをキープイットワイルド、キープイットセーフなんていう使い方をしますけれども、都市型の公園では、どちらかというと、その地域の植生をうまくそのまま公園の中に落とし込んでいく、こういうつくり方を指しております。ニューヨークのハイラインなんていうのは、まさにそのまま、地域の植生、地域の雑草とか、そういうものをそのままうまく使って、枯れるときには枯れる、生えるときには生えるみたいなことをわざとやらせるのが、今、世界の潮流でございます。ぜひこの辺りも参考にしていただければと思います。実は、きれいに完璧な整備をすることがいいことではないんじゃないかというのが、今、世界の潮流でございます。
いずれにしても、有明オリンピック・パラリンピックパーク内は、バスケットボールなどが行われる有明アリーナ、そして、スケートボード施設を備えた有明アーバンスポーツパーク、そして、マリンスポーツが楽しめる有明親水海浜公園が整備されて、次々とスポーツ施設が集積していくということになります。まさに有明地域はオリンピック・パラリンピックのレガシーを実感できるエリアになるわけで、これは地域の皆さんも誇りに思っているし、大変楽しみにされております。ぜひ有明親水海浜公園の整備をしっかりとよろしくお願いします。
次に、臨海副都心における水素の活用について伺います。
昨今、豪雨の頻発化や台風の巨大化、熱波の増加や長期的な干ばつなど、世界的に気候危機が一層深刻化してきておりまして、もはや避けて通れない問題になっております。これから二〇三〇年までに何ができるかで二〇五〇年以降の地球の姿が決まるともいわれておりまして、今から二〇三〇年までが非常に大事なところ、未来のために今から脱炭素にしっかりと取り組んでいくことが大変重要でございます。
先ほども脱炭素の質疑をされておりましたけれども、私からは、東京都が脱炭素社会の実現に向けて取り組んでいる次世代エネルギーである水素利用について伺いたいと思います。
我が会派は、二月の代表質問においても臨海副都心で先進的に取り組んでいくべきと主張を行ってきましたけれども、実際に水素の活用に向けた共同研究を本年の四月から開始したと聞いております。
まず、水素活用に向けた共同研究の取組の概要を伺います。
○福永開発調整担当部長島しょ空港技術担当部長兼務 これまで臨海副都心では、熱を一か所でまとめて製造し、導管を通じてまちに広く提供する地域熱供給を導入するなど、開発当初から環境に配慮したまちづくりを進めてまいりました。
都は、臨海副都心のさらなる脱炭素化を図るため、この地域熱供給の仕組みを生かすこととし、本年四月から青海地区の熱供給プラントにおきまして、国の研究機関や民間企業と共に再生可能エネルギー由来のグリーン水素を活用する共同研究に着手したところでございます。
具体的には、グリーン水素を技術革新が進む水素吸蔵合金タンクに貯蔵いたしまして、その水素を水素混焼ボイラーで燃焼させて熱を供給することに全国で初めて取り組んでおります。
○白戸委員 次世代エネルギーといわれていますグリーン水素を地域熱供給に活用する、まさに未来に向けた取組であるということは評価したいと思います。
この取組は、今答弁をいただいたように、水素を貯蔵する水素吸蔵合金タンクと、水素を燃焼させる水素混焼ボイラーという二つの施設が特徴的と聞いておりますが、正直あまり聞き慣れない言葉です。
そこで、水素吸蔵合金タンクと水素混焼ボイラーというのは、それぞれどのような特徴を持つ設備なのか伺います。
○福永開発調整担当部長島しょ空港技術担当部長兼務 水素吸蔵合金タンクと水素混焼ボイラーについてでございますが、水素吸蔵合金タンクは着火しない合金を使用した貯蔵タンクであり、屋内で安全に水素を貯蔵できる設備でございます。水素混焼ボイラーは、水素と都市ガスを燃料として高温の熱エネルギーを生成する設備でありまして、通常のガスボイラーに比べて最大で約二割のCO2を削減する性能を有しております。
水素混焼ボイラーの実装により、水素の供給量に応じ、燃料をガスから水素へ段階的に切り替えることが可能となり、エネルギーを安定的に供給しながら脱炭素化を推進することが可能となります。
○白戸委員 現状、グリーン水素はすばらしいのですが、まだまだ供給量が少ないと聞いております。水素混焼ボイラーについては、仮に水素の調達量が不十分であったとしても必要なエネルギーを生み出せるということで、かなり実用的かつ環境配慮型の設備であることがよく分かりました。
先ほどもお答えがありましたけれども、この取組は全国で初めてということで前例がない中なのですが、この共同研究を重ねて、今後着実に実装に向けて進めていただきたいと思います。
そこで、水素混焼ボイラーの実装に向けた現在の取組状況と今後の見通しについて伺います。
○福永開発調整担当部長島しょ空港技術担当部長兼務 水素混焼ボイラーの早期実装に向けまして、現在、共同研究の参画者と水素混焼ボイラー及び水素吸蔵合金タンクの配置計画等を検討するとともに、安全対策について関係機関と協議しております。
その後、プラント内に水素混焼ボイラーを設置し、令和六年度には運転を開始する予定です。
設置後、水素混焼ボイラーへの水素供給に係るデータ分析を行うなど、安全かつ安定的な運転の実現を目指してまいります。
○白戸委員 来年度には水素混焼ボイラーの運転が開始予定ということで、着実に整備が進んでいるようです。
私は、六月の本会議で有明のバス営業所内における水素ステーションの整備について取り上げましたけれども、これもまた全国初めての取組ということです。臨海副都心の二つのエリア、江東区の青海と、それから有明において前例のない水素活用の取組が相次いで実施されるということになります。ぜひとも共同研究を実現させて、臨海副都心を環境に優しいまち、そして、先進性のあるまちとして、さらなるブランド力向上につなげていただきたいと思います。
続きまして、海岸の保全施設の整備について伺います。
今年も多くの台風が日本列島に接近しまして、上陸し、各地に多大な被害をもたらしました。幸い今年は東京の被害はなかったのですが、台風が襲来した際に懸念されるのは高潮による被害であります。区部東部にはゼロメーター地帯が広がっており、江東五区といわれる低地帯には二百五十万人が居住しています。また、私の地元江東区も、かつては台風に伴う高潮によって度々浸水被害を受けてまいりました。
このために、都はこれまで、市街地を高潮や津波から守る防潮堤などの海岸保全施設の整備を進めてきておりまして、防潮堤についてはおおむね完了していると承知しております。
しかし、首都圏では、マグニチュード七程度の直下型の地震が三十年以内に七〇%の確率で来るといわれておりまして、万が一地震により防潮堤が損傷すると、高潮や津波による浸水被害が発生するおそれもございます。また、今後は気候変動の影響により海面水位が上昇してくることも指摘されており、現在の防潮堤の高さでは高潮を防ぐことができなくなるおそれもあります。
海岸保全施設は都民の生命や財産を守る極めて重要なインフラであることから、先を見据えて、さらなる機能強化を図っていくべきであり、本日はこうした観点から海岸保全施設の整備について伺いたいと思います。
まずは、耐震対策について伺います。
海岸保全施設には、東京港を第一線で守る防潮堤、水門のほか、水門の内側にある運河沿いの内部護岸といわれる護岸や、水門を閉鎖した際に内側にある運河の水位上昇を防ぎます排水機場がございます。
都は、これらの海岸保全施設の耐震対策を進めていると聞いておりますけれども、現在の耐震対策の進捗状況を伺います。
○村田港湾整備部長 現在、都は、防潮堤等の海岸保全施設につきまして、想定される最大級の地震であるマグニチュード七・三の首都直下地震などにも耐えられるよう耐震対策を進めております。
昨年度末時点での耐震対策の進捗状況でございますが、防潮堤につきましてはおおむね完了しており、内部護岸については約七割の耐震化率となっております。
水門につきましては、現在、新砂水門の整備を進めておりますが、これを除く十四か所全ての水門の耐震化が完了しております。
また、排水機場につきましては、江東地区の辰巳排水機場と芝浦地区の芝浦排水機場の二か所ございますが、いずれも耐震対策が完了しております。
海岸保全施設の耐震化の完了に向け、引き続き全力で取組を進めてまいります。
○白戸委員 防潮堤や水門、そして、排水機場の耐震対策が着実に進んでいるということが分かりました。
東京都が出している資料を見させていただいても、この辺りはすごく丁寧に進められているんだなというのがよく分かります。これにはまず評価をしなければいけないのですが、今もお聞きしたように、まだ内部護岸については約三割程度残っているということですので、ぜひ引き続きこの耐震対策を進めていただきたいと思います。
続いて、新たな課題である気候変動の対応について確認させてください。
冒頭でも述べたように、気候変動の影響によって、今後、海面水位の上昇と降雨時の降雨量の増加が予想されております。こうした状況に対応するために、都は、本年三月に全国に先駆けて気候変動の影響を踏まえた東京港海岸保全施設整備計画を策定し、防潮堤のかさ上げや、そして、排水機場の機能強化に取り組むとしたというふうに聞いております。
そこで、計画の具体的な内容、進め方について確認していきたいのですけれども、まずは東京港における気候変動の具体的な影響について、都の想定は、どんな気候変動の具体的な影響があるのか改めて確認させていただくとともに、今後の対応についても伺いたいと思います。
○村田港湾整備部長 国連気候変動に関する政府間パネル、IPCCの報告によりますと、将来気温が二度上昇した場合、二一〇〇年には平均海面水位が現在より最大約〇・六メートル上昇すると予測されております。
このため、将来想定される高潮の高さを改めて算定し、これに十分に対応できる高さの防潮堤となるよう、かさ上げを実施してまいります。
また、降雨量につきましては、国の報告によりますと、同じく将来気温が二度上昇した場合、関東地方では一・一倍に増大すると予測されております。この影響により、水門を閉鎖した際に運河内の水量が現在よりも大幅に増加することが予測され、運河内の水を強制的に排水する排水機場の施設能力が現状のままでは不足すると見込まれております。
このため、江東地区、芝浦地区に一か所ずつある排水機場を増設し、必要な排水能力を確保してまいります。
○白戸委員 これまで都は、海岸保全施設を整備することで高潮から都民の安全・安心を守ってきました。
しかし、今お話にあったように、今後の気候変動を踏まえますと、現在の施設能力のままでは水害を防げなくなるという可能性があることから、海岸保全施設の機能強化を計画的に進めることは非常に重要だと考えます。
まず、防潮堤のかさ上げについてですが、整備計画を見ますと、二〇二〇年に着手する地区と二〇三〇年に着手する地区に分かれております。地区によってかさ上げに着手する時期が異なる理由と整備に向けた現在の取組状況を教えてください。
○村田港湾整備部長 海面水位は、主に南極の氷が解けることで経年的に少しずつ上昇するものでございます。これに伴い、防潮堤の高さも徐々に不足すると見込まれております。
このため、かさ上げにつきましては、今後予測される海面水位の上昇と防潮堤の高さを箇所ごとに比較検討し、高さが不足する箇所から順次実施することとしております。
本年三月に策定した東京港海岸保全施設整備計画では、二〇二〇年代に港区、品川区、大田区の京浜運河沿いなどにある防潮堤を、また、二〇三〇年代に江東区の東雲、大田区の平和島運河沿いなどにある防潮堤のかさ上げをそれぞれ実施していく予定としております。
現在は、港区港南や品川区八潮五丁目などにおける防潮堤の設計などを進めているところであり、引き続き着実な整備を図ってまいります。
○白戸委員 もちろん海面水位は徐々に上昇していき、早い時期に高さが不足する地区からかさ上げしていくということは当然妥当なことだと思いますけれども、気候変動の影響、先ほど二度という設定ですけれども、これ分からないというのが今正直なところでございまして、今後、状況がもっともっと変化していくことも考えられます。必要な場合は、やはり計画を見直すなど、変化にも的確に対応しつつ、着実に整備の方を進めていただきたいと思います。
次に、降雨時の降雨量の増大に対応した排水機場の機能強化について伺います。
先ほどいただいた答弁によりますと、降雨量が一・一倍に増大することから、排水機場を増設し、必要な排水能力を確保するということでしたが、具体的にどのように取り組むのか伺います。
○村田港湾整備部長 排水機場につきましては、将来の降雨量に加え、下水道を通じて運河に流入する雨水等を考慮してシミュレーションを実施し、地区ごとに将来必要となる排水能力を検討いたしました。
この結果、江東地区につきましては現在の約一・三倍、芝浦地区につきましては約一・六倍の排水能力が必要とされることが明らかになったため、排水機場を増設し、機能強化を図ることとしております。
江東地区につきましては、現在、辰巳や新砂を候補地として増設箇所に関する検討を進めているところでございます。
芝浦地区につきましては、既存の排水機場に隣接する用地に新たに排水機場を増設することとし、今年度、基本設計に着手する予定でございます。引き続き施設整備を着実に進めることで、都民の安全・安心の確保に万全を期してまいります。
○白戸委員 排水機場についてもしっかりと検討が進められているということが分かりました。
こうした大きな施設を整備していくには時間もお金もかかると思いますが、都は、いつ来るか分からない災害に対して、ぜひスピード感を持って進めていただきたいと思います。これも日本初の取組ということで様々なハードルがある中で、気候変動の影響を踏まえて海岸保全施設の強化に向けた新たな計画を迅速に策定するなど、これまでしっかりと取り組んでいただいているということは評価しております。
しかし、繰り返しにはなりますけれども、海岸保全施設は都民の安全と安心と東京の首都機能を維持するため、極めて重要な施設でございます。防潮堤のかさ上げなど、着実に実施していくことが本当に重要であり、今後しっかりと取り組んでいただくことを強く要望し、質疑を終わります。ありがとうございました。
○大松委員 私からは、東京港における物流の効率化の取組について質問をいたします。
東京港は首都圏四千万人の生活と産業を支える物流の一大拠点でありまして、輸入港として衣類や日用雑貨、電気機械、製造食品、家具など、大量の生活必需品を取り扱っております。そして、外貿コンテナの取扱個数は国内最多でございます。
その一方で、そのコンテナ貨物を引き取る大量のトラックが東京港に来場をするため、ふ頭周辺では道路の交通混雑が大きな問題となっております。
先日、私は大井ふ頭を視察してまいりましたけれども、コンテナヤードではコンテナを何段も上に積み上げていかなければさばけない、保管ができないほど貨物量が大変増えておりまして、そして、ふ頭周辺の道路にはコンテナ用のトラックが長蛇の列をつくっておりました。
そこで、本日は、東京港でコンテナを運ぶトラックによる交通渋滞の緩和に向けた物流の効率化の取組につきまして質問をいたします。
まず初めに、東京港のコンテナ取扱量の直近の状況について伺います。
○野平港湾経営部長 東京港における令和四年のコンテナ取扱個数は、外貿貨物と内貿貨物を合わせて四百九十三万TEUでございまして、前年比で一・四%の増加、コロナ禍前の令和元年と比べてもほぼ同水準となりました。
一方、令和五年上半期のコンテナ取扱個数は、速報値ではございますが、二百二十六万TEUとなっておりまして、前年同期比で六%減少いたしました。これは昨年秋以降の欧米などの景気悪化や円安による国内の消費減退などの影響が主な原因でございますが、東京港の貨物量と高い相関性がございます首都圏のGDPなどは当面増加すると予測されていることなどから、貨物量は長期的には引き続き増加していくと推計しております。
○大松委員 取扱貨物量は一時的には減少はしているけれども、今後、長期的には首都圏のGDPの増加などにより、増加する見込みであるということでございます。
取扱貨物量の減少によって東京港の交通混雑も最近は若干少なくなったという声を私も関係者から聞いたことがありますけれども、長期的には貨物量は増加する見込みでありますから、このまま手をこまねいていては交通混雑が再び悪化するおそれがあります。東京都は、この対策に積極的に取り組んでいかなければなりません。
そもそも、交通混雑の根本的な原因は貨物の取扱量が多いことであります。
このため、東京都は、新しいふ頭の建設に取り組んでおりますけれども、問題の解決に向けては原因をさらに細かく認識をして取り組んでいく必要があります。
そこで、東京港で交通混雑が発生している原因について、改めて都の見解を伺います。
○野平港湾経営部長 東京港の周辺では、時期や時間帯などによりまして、コンテナターミナルでの貨物の受渡しのために来場したトラックによる交通混雑が発生しております。
その主な原因といたしましては、東京港では、近年、施設能力を大幅に超える量のコンテナ貨物を取り扱う状態が続いておりまして、その結果、コンテナターミナルでの貨物の受渡しに時間がかかっていることが挙げられます。
また、荷主の多くはコンテナターミナルから引き取った貨物を朝一番に納品するよう、トラック事業者に要請いたしますため、トラックが納品前日の午後、特に夕方にターミナルへ集中して来場することも交通混雑の原因となっております。
○大松委員 交通混雑の主な原因は、コンテナターミナルの貨物処理能力が不足していることと、貨物を引き取るトラックの来場が特定の時間帯に集中をすること、この二点であるとのことでございます。
その上で、交通混雑は東京港が輸出港ではなく輸入港であることも関係していると伺っております。海外においても、アメリカ、ニューヨーク・ニュージャージー港などでは、東京港と同様、後背地に巨大な消費地帯があることから、輸入貨物の取扱いが多くなるために、交通混雑が発生していると伺っております。
輸入貨物の取扱いが多いということが、東京港の交通混雑と具体的にどう関係するのか、都の見解を伺います。
○野平港湾経営部長 東京港では、コンテナヤードの面積が狭隘であるため、時期やターミナルによって状況は異なりますが、多いときでは輸入されたコンテナ貨物を四段から五段積みで保管しております。
一方で、ターミナルの運営事業者は、輸入貨物につきましては、トラックがどの貨物をいつ引取りに来るのか事前に把握できないため、現状では引き渡す順番等を考慮して効率的にコンテナを保管しておくことが困難な状況となっております。
このため、例えばトラックが引取りに来たコンテナが一番下の段に保管されていた場合は、当該コンテナの上に載っているコンテナを全て一旦ほかの場所に移動させた上で、目的のコンテナを取り出すという作業が発生いたします。
ご指摘のとおり、輸入貨物の取扱いが多い東京港では、このような作業が頻繁に繰り返され、コンテナをトラックへ引き渡すまでに時間がかかることが多いため、結果としてターミナル周辺における交通混雑の発生に影響を与えているものと認識しております。
○大松委員 私も先日視察した際に見させていただきましたけれども、やはりコンテナが何段も上に積み上げられていて、たまたまそのトラックが取りに来たコンテナが一番下にあると、それを移動させてやらなければならない、答弁にあったとおりでございまして、非常にこの作業に大変な手間と時間がかかっているということも見させていただきました。
この輸入されたコンテナの段積みが少しでも解消されれば、その分、荷役作業の効率が向上いたしまして、ひいては交通混雑の緩和につながるわけでございます。
そのために、現在整備を進めております中央防波堤外側Y3コンテナターミナルなど、新規ふ頭の整備を進めて、東京港のコンテナヤードを広げることが抜本的な対策になるわけでありますけれども、こうしたハード整備は完了までに非常に時間がかかります。そこで今できる、そして、短期間でも効果を期待できるソフト対策も併せて取り組んでいくことが必要になってまいります。
その中で、東京都が昨年度から実施をしているコンテナ貨物の搬出入予約制が有用であると考えております。
今年の予算特別委員会でも、我が党の慶野都議会議員が取上げをいたしましたけれども、トラックがコンテナターミナルへ来場する日時をトラック事業者があらかじめ選択をして予約をするという制度でありまして、海外の一部の輸入港では既に取り入れられております。この予約制を導入すれば、トラックがコンテナターミナルに来る時間帯を分散して、特定の時間に集中しないようにいたしまして、ふ頭周辺の交通混雑の緩和につなげることができるわけでございます。したがいまして、都は、この予約制の導入を積極的に推進していただきたいと思います。
しかしながら、東京港には、これまで長きにわたって行われてきた貨物の受渡し方法というものがございまして、それとは異なる新たな制度を導入していくに当たりましては、関係者の理解と協力が不可欠でありまして、解決しなければならない課題や、また、効果を丁寧に関係者に説明をしていかなければなりません。
そこで、昨年度、コンテナ搬出入予約制をどのようにして実施をしてきたのか、また、予約制を導入したことによる効果と課題はどのようなものがあるのか、都の見解を求めます。
○野平港湾経営部長 コンテナターミナルにおける貨物の引渡しには、トラック事業者やターミナル運営事業者など多くの事業者が関わっておりますことから、コンテナ搬出入予約制の実施に当たりましては、関係者の理解や協力を得ながら実施することが不可欠でございます。
このため、取組の初年度である昨年度は、大井ふ頭の二つのコンテナターミナルにおきまして、関係者の習熟を図る観点から、十日ずつ三期に分けて実施いたしまして、段階的に予約枠や参加するトラック事業者数を拡大させてまいりました。
その結果、全体を通じて大きな混乱はなく、延べ五千四百九十台のトラックが利用するとともに、ターミナル入場までに要した時間が、予約をせずに来場したトラックと比較いたしまして、約三十五分短縮されたという効果を確認できました。
一方で、予約制を導入するに当たって必要となる詳細な実施計画の策定などが、ターミナル運営事業者にとって大きな負担となることが課題として明らかになりました。
○大松委員 答弁にもありましたように、コンテナターミナルの運営事業者、トラック事業者、そして荷主など、非常に多くの関係者が携わっておりますので、これまでの貨物運送のやり方を大きく変えていくということは簡単なことではございません。そこで、こうした関係者の習熟度を見ながら、段階的に実施規模を拡大して、円滑に進めてこられたとの答弁でございますので、こうした都の的確な取組を評価したいと思います。
また、トラックがコンテナターミナルに入場するまでの時間を大幅に削減できたことも評価をいたしたいと思います。交通混雑の緩和に向けて極めて効果があったということが、改めて証明されたものと考えております。
そして、一方で、ターミナル運営事業者にとりましては、実施計画の策定に関する業務などが大きな負担となっているということが浮き彫りになったとの答弁でございました。
そこで、予約制を推進するためには、ターミナル運営事業者の負担軽減を図ることが必要になりますが、その取組について、都の見解を求めます。
○野平港湾経営部長 予約制を導入するに当たりましては、ターミナル運営事業者がトラック事業者など多くの関係者と調整の上、対象とする貨物の種類や一時間当たりの予約台数、予約車専用の車両動線の配置などを盛り込んだ実施計画を策定する必要がございます。
また、導入後の一定期間は、予約制の利用拡大や利便性向上に向けて、効果測定や課題整理を実施した上で、順次改善策を講じる必要もございますが、これらを行うためには、専門的な知見を有した人材を確保するとともに、膨大な事務作業への対応が必要となっております。
そこで都は、今年度から新たに専門家による支援体制を設け、予約制に係る関係者との調整や実施計画の策定などをこの専門家が行うことで、事業者を後押しする取組を開始いたしました。
今年度は、こうした事業者への支援を積極的に行いつつ、予約制を実施するターミナルを一つ増やし、大井ふ頭の三つのコンテナターミナルで実施しているところでございます。
○大松委員 ターミナル運営事業者が行わなければならない業務を、都が派遣した専門家がバックアップをして、事業者の負担の軽減を図りながら、今年度は実施するターミナル数を増やすことができたということでございます。
今後もこうした支援を積極的に行いまして、東京港の他のコンテナターミナルへの予約制の導入拡大に取り組んでいただくように求めておきたいと思います。
また、トラック事業者側でも予約制に対する理解を深めていくことが重要でございます。
そこで、予約制に参加するトラック事業者を拡大するために、今年度の都の取組について伺います。
○野平港湾経営部長 予約制の取組に参加するトラック事業者数を拡大していくためには、予約制の効果や具体的な実施方法などを理解してもらうことが重要であると認識しております。
このため、都は、待機時間の削減など予約制を利用するメリットを積極的にPRするとともに、説明会の開催や運用手引の配布、動画配信などを行いまして、システム操作や運用ルールに関する理解促進にも取り組んでいるところでございます。
こうした取組の結果、ターミナル側の受入れ体制の拡大と相まって、今年八月から十月にかけて実施した予約制におけるトラックの利用台数は、昨年度の五千四百九十台から大幅に増え、一万五千四百七十六台となりました。
今後も、都は、トラック事業者に対して予約制に関する説明を丁寧に行い、予約制の利用拡大を図ってまいります。
○大松委員 予約制を利用したトラックが、昨年度に比べて約三倍に増えたとのことでございます。ターミナル事業者への支援とトラック事業者へのPRがうまくマッチをして機能した結果であるということでございますので、今後とも、こうした取組を着実に進めていっていただくように求めるものでございます。
もし予約制がなければ、ターミナル運営事業者は、トラックがどの貨物をいつ引取りに来るのかが分からないため、引渡しに時間がかかることが多くなります。そこで予約制がさらに広がれば、トラックが来場する前にあらかじめ貨物引渡しの準備ができますし、トラックへの引渡しにかかる時間を大幅に短縮することができます。その結果、交通混雑を緩和させることができるようになりますので、引き続き、強力に取組を進めていただくように要望をしておきます。
また、交通混雑の緩和に向けては、東京港の混雑の状況などを把握して、その情報を積極的に発信し、比較的空いている時間帯にトラックの来場を促すことも必要ではないのかと考えますが、都の見解を求めます。
○野平港湾経営部長 都は、コンテナ貨物の引取りのタイミングにつきまして、混雑している夕方から、比較的混雑していない午前中への変更を促すため、コンテナターミナル周辺の交通混雑に関する情報をリアルタイムで関係者に提供する、いわゆる交通混雑状況の見える化に取り組んでおります。
具体的には、コンテナターミナル周辺の道路にウェブカメラを設置し、ライブ映像の配信を行っております。また、事業者の協力を得てGPS端末を設置したトラックがコンテナターミナル入場までに要した時間や、入場してから退場するまでに要した時間を集計し、リアルタイムでインターネット上に公表しております。
引き続き、都はトラック事業者など関係者と連携を図りながら、見える化の機能改善、強化に取り組み、有益な情報提供を通じて、交通混雑の緩和に取り組んでまいります。
○大松委員 交通混雑は、経済的な損失や環境負荷を生じさせるだけではなく、トラックドライバーの待機時間、労働時間の増加にもつながります。いわゆる物流の二〇二四年問題も目前に差し迫っておりますので、一刻も早く解決をしていくことが重要でありますので、引き続き、効果的な交通混雑対策に取り組んでいただくよう強く要望いたしまして、次の質問に移ります。
続きまして、東京港の水門の運用について質問いたします。
東京港には、高潮や津波から都民の生命や財産を守る防潮堤や水門などの海岸保全施設が整備されております。もし防潮堤や水門がなければ、都内に広がる広大なゼロメートル地帯は水没してしまいます。東京にとって防潮堤、水門は絶対になくてはならない重要なインフラでございます。
このため、都議会公明党は、これまでも海岸保全施設の整備や耐震対策を積極的に進めるよう繰り返し要望をいたしまして、都も着実に取組を進めてこられました。
しかしながら、大切なことは、水門などの施設は整備されていても、高潮や津波が発生した際に、職員が時を逃さず的確に機械を操作して水門を閉めなければ、東京を浸水被害から守ることはできないということであります。このため、職員の皆様方が二十四時間三百六十五日、いつでも確実に操作できる体制を整えていただいているわけでございます。
そこで、まず、都は水門の開閉の運用をどのように行っているのか、そして、その体制も併せて伺います。
○村田港湾整備部長 東京港内には十五か所の水門が設置されており、平常時におきましては、船舶の航行を確保するため開放されておりますが、地震や高潮の際には市街地の浸水被害を防ぐために閉鎖しております。
開閉操作は、二か所ある高潮対策センターから遠隔により行っておりますが、いずれのセンターからも全水門の操作が可能なバックアップ体制を確保しております。
また、必要な際に迅速かつ確実に閉鎖できるよう、高潮対策センターの近くに設置されている職員住宅に、水門に関わる業務に従事する職員が入居しており、即座に参集できる体制を取っております。
水門の開閉につきましては、震度五弱以上の地震が発生した場合、津波に備えて直ちに水門を閉鎖するとともに、台風が接近してきた場合には、高潮に備えるため、海面水位の変動を見極めつつ、干潮時の水位を基準として一・八五メートルに達した時点で閉鎖しております。
台風接近時における水門閉鎖につきましては、職員がこれまでの知識や経験に基づき水位の変動を予測し、閉鎖の時刻を想定していましたが、より正確に水位を予測するため、今年度からAI技術を使った水位予測システムの本格運用を開始したところでございます。
○大松委員 以前、高潮対策センターを視察させていただいたことがありますけれども、職員の皆様方が昼夜を分かたず、気を緩めるいとまもなく、その業務を担っていただいておりました。その不断のご努力に改めて感謝を申し上げるものでございます。
そして、この水門はいつ閉めるのか、そのタイミングを計ることが非常に難しい業務でございます。近年は地球規模の気候変動が進んでいることもありまして、これまでの職員の皆様方の知識や経験だけでは、水位の変化を予想することが非常に難しくなってきているということでございます。そこで、都がAI技術を活用した水位予測を導入したことは、非常に必要な取組であるというふうに考えます。
そこで伺いますが、都が導入したAI技術を使った水位予測とはどのようなものなのか、具体的に説明をしていただきたいと思います。
○村田港湾整備部長 台風に伴う高潮による浸水被害が発生する前に、確実に水門を閉鎖するためには、台風の気圧や進路等によって複雑に異なってくる水位の変動を的確に予測した上で、水門を閉鎖する時間を想定することが重要でございます。
しかし、気候変動の影響により台風の大型化が予想される中、今後、これまで蓄積してきた知識や経験では予測が難しい高潮への対応が迫られております。
このため、都は、職員が水門閉鎖のタイミングを的確に判断できるよう、AI技術を活用することといたしました。具体的には、過去の台風や異常潮位における気圧や風速、水位などの気象、海象データをAIに学習、解析させることにより、リアルタイムの水位や風などの気象予報を基に、数時間後の水位を予測するというものでございます。
○大松委員 過去の台風等の気象データなどをAIに学習をさせて、数時間後までの水位を予測できるとのことでございます。AIで水位の変化を数時間後の先まで予測できれば、職員の皆様方には大きな助けになるものと思いますけれども、その精度はどの程度のものなのか、都の見解を伺います。
○村田港湾整備部長 都は、AI技術を活用した水位予測の実用化を目指し、令和二年度から予測システムの構築に着手いたしました。
当初は過去六年分の気象、海象データを用いたシステムを構築いたしましたが、AIによる水位の予測値と実測値の誤差が大きかったことから、さらに八年分の気象、海象データを追加して、合計十四年分を入力し、より多くの事例を学習させました。
この結果、昨年、台風八号が東京港を通過した際には、高潮により最も高くなった実際の水位と、三時間前に予測した水位の差が三センチとなり、ほぼ正確に予測できるようになっております。
○大松委員 この予測値と実際の観測値の差が三センチということでありますから、非常に高い精度であると思います。現場で水門の操作の業務に当たる職員の皆様方は、より的確な判断ができるようになり、その負担も相当程度軽減されるようになったのではないかと思います。
AIによる水位予測を導入したことによる具体的な効果と今後の取組について、都の見解を求めます。
○村田港湾整備部長 AIを活用した水位予測システムの導入以前は、水位などの実測値や職員の知見などを踏まえて、水門を閉鎖するおおむね一時間前に非常配備態勢を発令し、水門操作に従事する職員を参集させていましたが、本システムの導入によって、三時間から四時間後の水位を事前にほぼ正確に予測できるようになったことから、水門の閉鎖が必要と想定されるおおむね三時間前の時点で、対象職員に対してあらかじめ参集の可能性を連絡することが可能となりました。
これにより、職員は余裕を持って準備を行うことができるようになり、非常配備態勢を発令した際には以前よりも早く参集するなど、水防活動の迅速化を図ることができました。
今年度は、異常潮位などにより非常配備態勢を六回発令し、そのうち二回水門を閉鎖しましたが、発令後速やかに参集しており、職員からは、あらかじめ参集の可能性が分かることで、事前に十分な準備が行えるようになったとの意見もありました。
今後は、データを追加してさらなる予測精度の向上を図り、的確な水門操作を実現させることで、引き続き浸水被害の防止に万全を期してまいります。
○大松委員 大変効果的に機能しているということでございます。
都は引き続き、このシステムの予測精度の向上に努めまして、防災力の強化に取り組まれるよう強く要望いたしまして、質問を終わります。
○宮瀬委員 では、よろしくお願いいたします。
私の方から、クルーズ船のことについてお伺いしたいと思います。各会派から、このテーマでいろんな質問が出ていますが、私はちょっと違った切り口から質問をさせていただければと思っています。
船という観点から、収益という観点、都民からの観点で幾つか聞かせていただければと思います。違った観点でといったところでありますが、まず、入港実績を聞かないとと思っております。しかし、この質問も既に一回出て、割愛されて、私の質問になっていますので、私も割愛したいと思います。
入港実績は令和五年で四十九回ということで聞いております。そもそも、この事業を始めた目的というのは、いわゆる経済効果だと目的を書いて、都内経済が活性化していくということがうたわれて始まった事業だと思っております。
では、富裕層の方が来れば都内でお金を落としてくれると、あと、燃料を積んでくれるとか、食料を入れてくれるとか、いろんなことがあると思うんですけれども、では、経済効果というのはどれぐらいなんでしょうか。
○三浦港湾振興担当部長 クルーズ客船は、寄港地での観光や買物など多くの消費活動が生じるとともに、クルーズ客船への燃料補給や給水、食料調達なども行われます。
さらに、これらの直接効果に加えまして、ここから派生する関連産業への波及効果や、さらに派生する消費誘発効果など、クルーズ客船の寄港は大きな経済波及効果を生むとされております。
過去に都が試算したところ、客船の規模にもよりますが、約三千人が乗船するクルーズ客船の場合、一回の寄港で約二億円の経済効果があるとの結果となりました。
○宮瀬委員 三千人の客船で二億ということですが、東京港へ寄港するクルーズ船の平均乗客数は六百名前後と聞いておりますので、そうすると、三千人で二億ですから、そのうち六百人、案分いたしますと、一回当たりの経済効果は、二億円の五分の一の約四千万円と、令和五年の入港回数が四十九回ですから、掛け合わせていくと、クルーズ船の寄港による経済効果は年間で大体二十億円ぐらいかなと、ちょっと数字が大きく違っていたら、ご答弁の際に教えていただきたいんですけれども、いずれにせよ、東京の経済に二十億円ぐらいの年間の経済波及効果があると。それを多いと見るのか、少ないと見るのかはいろいろ判断ありますが、当然、私はちゃんと効果が出ているんではないのかなと思っています。
では、お金の話をしますと、費用対効果であります。直近の令和四年の東京国際クルーズターミナルの管理運営に関わる収入と支出について伺います。
○三浦港湾振興担当部長 令和四年度の東京国際クルーズターミナルの管理運営に係る収入は、クルーズ客船運航事業者やイベント主催者から徴収する施設使用料などで約二千五百万円、支出は光熱水費や警備費用などで約三億九千万円でございます。
○宮瀬委員 管理運営については、もちろん経済波及効果を狙ったものだというのは分かりつつも、支出が収入を三億六千万円上回っておりまして、要は赤字だといったことです。
ただ、当然、経済波及効果が二十億と、それがどれぐらい都税となって返ってくるのかといったところも気になるところではありますが、それはなかなか算出が難しいと。ただ、この三・六億円の赤字というのは、結局、都民の税金で賄われておりまして、クルーズ船を誘致、強化していくことは、もちろん大事なことでありますが、様々な方法で、収支均衡まではいきませんが、都民の税負担が減れば、なおいいなと思っております。
そういった状況の中で、私は民間企業で、実は横浜の大さん橋ホールでイベントをやったことがありまして、子育てフェスタみたいな、子育てに関連する企業さんを呼んで、いろいろブースを出してもらって、子育て層が集まるイベントをやって、こういうことをいっていいか分かりませんが、大分もうかりました。その際に、その経験から、現場を視察してみて、私、すごいこれはもうかると思いました。
しかし、決算報告書を見ると、イベントの施設使用料が、令和四年、八百六十万ぐらいしかないと。これは先ほどの入江委員の答弁の中で、二百回とありましたが、多分、年間に押しなべていくともっと少なくて、施設管理料が一日借りると大体五十万ですから、割増ししていくと、大体十七日間、三百六十五日の中で十七日間しかフルで使えてもらっている——しかお金をもらっていないということが数字から見ると見えてきます。
その中で、現場に行くと、当日は船も来ていなくて、イベントもやっていないときで、本当にがらがらでした。本を読んでいる人、何かふらふら散歩している人、恐らく二十人ぐらいしかいなかったんじゃないのかなと。職員の方が明らかに多い実感がございました。
そうなってくると、民間だと施設が、船が来る来ないというのも半年ぐらい前から分かっていて、実は八十日ぐらいイベントも船も来ない日があるとも聞いています。
では、令和四年の東京国際クルーズターミナルの来場者数について、改めて伺います。
○三浦港湾振興担当部長 令和四年度の東京国際クルーズターミナルへの来場者数でございますけれども、クルーズ客船の入港日が乗船客などで約一万一千人、イベント等の開催日は約一万七千人でございます。
○宮瀬委員 今の数字だけちょっと聞くと多いように見えるんですが、ご答弁を注意深く聞きますと、船が来た日とイベントの日だけの来場者数でございました。それ以外の日の来場者数は、把握が難しいと聞いております。先ほどお伝えした、二十人ぐらいしかいなかったと、そういう日のカウントは、そういうのは難しいと。
ただ、そういう日が年間八十日も、船も来ない、イベントもやらないと。イベントをやっている残りの八十日以外のところも、私、資料を出してもらったんですが、午前中だけとか、午後だけとか、フルでやっているわけではないという資料も、以前見せていただいています。
要は、ここでの収益のポテンシャルが高いんじゃないのかなと思っています。ほかの事業と比べて、半年前に船が来るか来ないかというのは大体確定すると聞いています。ということは、八十日のところは、もう半年前からそこに穴が空いているのが分かっていると。それに対して光熱費がかかって、掃除する人もいらっしゃいましたので、そういった人件費もかかっているわけですから、年間、営業外収益というんですかね、場所貸しのところが八百六十万というのは、あのイベントの会場の大きさに比べて、大変、多分、民間企業だと考えられない形かなと。
その中で、もちろん誤解いただきたくないのは、あくまで船の、客船のターミナル機能が最優先です。そこを外してしまうと単に箱物になっちゃいますので。
そこで、私の方で、いつもちょっと数字に基づいて厳しい質問ばかりしているんですが、今日はちょっと前向きなご提案でございます。
まず、ベンチマークすべきは、やっぱり横浜大さん橋とか、横浜ハンマーヘッドとか、海ほたるとか、もっと広くまちづくりでいえば、赤レンガ倉庫とか、中華街とか、山下公園とか、このように、あの地域全体を活性化していくといったことが必要なのかなと。私としては、やっぱり東京国際クルーズターミナルというのは、横浜の大さん橋よりも、使ったことありますが、絶対上だと思っています。都心に近いというか、都心そのものですし、料金も調べてみたら、東京の方は三千平米で一日借りると五十万、天井も高いです。横浜の、あんまりよそ様の自治体を批判してもあれで、まあ比べているだけです。横浜の方は、大さん橋の方は二千平米で五十万なんです。
ということは、普通に考えれば、神奈川県に思い入れがあるところは別として、絶対東京でやった方がいいと、それは多分知られていないとか、いろいろな課題があるのは後ほど指摘させていただこうとは思うんですけれども、夜景ももちろんきれいですし、今、立ち上げ期でありますから、こういった情報をきっちりと、イベントをやるようなところもそんなにたくさんあるわけじゃないので、きちっと情報をお伝えすれば、こっちの方がいいよねと、普通に多分、思うと思います。
例えば立地もあって、海もあって、都心からも近くて夜景がきれいだといったことであれば、営業時間の問題はありますけど、絶対婚活パーティーの会場とかでも、あの場所は使えると思うんですよ、要件は多分そろっているというか、私も行ったときに、デッキに出て、ああきれいだなと思いましたし、会場もきれいですし。
そういった中で、やっぱり今後、様々なイベントを開催することでターミナルでのにぎわいをつくって、やっぱり収入を確保していくと考えております。こういった、お金の面からもっと稼げる施設、ちょっと表現が悪いんですが、稼げる施設になれば、都民の税金を使って委託料を払う金額も減っていくわけですから、その辺りの見解を伺います。
○三浦港湾振興担当部長 東京国際クルーズターミナルは、クルーズ客船の入港を目的として設置した施設ではございますけれども、今、委員のご質問の中にもございましたとおり、客船入港日以外も、臨海副都心におけるランドマークの一つとして多くの人々が集い、にぎわいを生むことができるポテンシャルを有する施設でございます。
本年五月に開催された東京みなと祭におきましては、メイン会場となりました東京国際クルーズターミナルのみならず、隣接する青海北ふ頭公園に設置されたステージでの催物やキッチンカー、青海客船ターミナルでの体験乗船会など、多くの来場者が訪れました。
今後、さらにクルーズ客船誘致の取組を進めていくことに加えまして、様々なイベントなどを積極的に開催することで、東京国際クルーズターミナルのにぎわいを創出するとともに、収入の確保に努めてまいります。
○宮瀬委員 ご答弁ありがとうございます。今後、にぎわいを創出して収入確保に努めていくとご答弁いただきまして、ありがとうございます。
やっぱり、外国人の方が、私もバックパッカーをやっていたんですが、最初にその国に来て、その景色はずっと印象に残るんですけれども、ちょっと寂しいところかなみたいなところの印象がありますし、横に公園がある、船の科学館もありますが、あそこは都有施設じゃありませんので、その横の公園と、周辺の公園、一体となって華やぐ気持ちで東京都に来てもらうという取組も、当然、そこから広く、にぎわいといっても、まずは近いところからと思っています。
やっぱり知られていないというのも大きな課題かなと思っていまして、若い大学生十四名の、ちょっとサンプル数が少なくて恐縮なんですけど、十四名の方に知っていますかとリンクをつけて送ったら、知っている人は一人だけでした。ほとんど知らなくて、じゃあどうすればいいと思うと聞きましたら、若い人の例で恐縮なんですけれども、今はインスタ映えですと、あの立地で、多分、夜景もきれいで、やっぱりみんな、インスタを見ている人が多いそうなので、インスタとかで見れば、デートでとか、家族で行ってみようかなと思うんじゃないでしょうかと。
そう考えると、十七時の閉園時間というのは結構ネックになってくるのかなと。横浜の大さん橋の方も、イベント会場は大体二十一時過ぎぐらいまでやっていて、やっぱり港と海と夜景というのはどうしてもセットで、イベントやる側も、平日なかなか昼間でお客さんは呼べないんですね。土日だったら昼間もいいんですけど、やっぱり開園時間の見直しとかですね。
もう一つご提案なのが、お金の話ばかりしてきましたが、これは、都民の皆さんでできた施設、税金でできた施設で、ご提案としては、ぜひ、都民利用を進めていただきたいなと。これは、大さん橋の方では市民利用ということで、九時から二十一時半の間、横浜市民及び横浜市内に本拠を置く市民グループ等の主催で入場料、その他これに類するものを参加する方から徴収しないで、また、営利を目的とせず利用する場合で、広く一般の方にも開放できる場合に、市民利用ということで四万円とかで借りられます。
まさに、こういう都有施設は民間とは違うわけですから、格安でですね、あくまで船優先です、空いている八十日の間で、ぜひ都民の皆さんに使っていただくような形を設けてもいいのではないのかなと。
名前を出して恐縮ですが、松川港湾局長は教育庁次長、福祉保健局次長であったわけでありますから、福祉保健局のイベント、あと学校関係のイベント、そういった大きな、横断的に見れる立場の方が、ぜひ、こういった会場を使っていただければ認知も広がってくるのではないのかなと。
まとめますと、ご提言としては、まず、営業をちゃんとかけましょうと、次は閉館時間を延ばしましょうと、三つ目は、インスタ映えなど立地を生かした、SNSを活用して、認知をさらにやりましょうと、あとは都民利用といった制度を創設しませんかと。そうすることによって、都民の税負担が減って、都民のサービスも向上して、さらに経済波及効果もどんどん増えていくような、三つとも、三方よしではないですが、なるようなご提言でありますので、ここはあえて質問とせず要望といたしますので、ご検討いただければと思います。以上で質問を終わります。
○三宅委員 島しょ地域における観光振興の鍵となる港や空港について、何点か質問させていただきます。
まず、港湾、空港施設のさらなる活用について確認したいと思います。
コロナ禍によりまして、島しょ地域関連の多くのイベントが休止を余儀なくされていましたが、今年に入って次々と再開されています。五月には、島じまん二〇二三が竹芝客船ターミナルで五年ぶりに開催され、二日間で十万人を超える来場者が訪れるなど、大変盛況でありました。
また、各島でも、祭りやスポーツイベントなどがコロナ禍前と同じ規模で開催され、多くの人でにぎわっています。
これらのイベントは、観光資源として島しょの魅力をさらに高めることはもちろん、島民同士の交流の場になるなど、島しょ地域の振興に大変大きな役割を果たしています。
そこで、島しょ地域の振興に向けて、港湾、空港施設をイベント開催の場として積極的に活用すべきと考えますが、見解を伺います。
○佐藤離島港湾部長 港湾施設や空港施設は島の玄関口として人々が集う空間であることから、イベント開催の場として活用することは有効でございます。
島しょ地域の空港では定期的にイベントを開催しており、例えば、本年七月には八丈島空港で滑走路マラソン大会、今月十一日には大島かめりあ空港で滑走路ウオーキングイベントが開催され、地元に親しまれる恒例行事となっております。
また、新たな取組として、本年九月には、神津島空港の滑走路等において、神津島の観光資源の一つである星空を鑑賞するイベントを、村及び観光協会の主催により開催いたしました。
このイベントには島外からの観光客も多く参加しており、参加者からは、貴重な体験ができ、また参加したいとの声が寄せられるなど、大変好評でございました。
今後になりますが、今月二十七日には、神津島港の津波避難施設を活用した初の夕日鑑賞会を、また、来年一月には調布飛行場におきまして、八年ぶりとなる島しょ物産展の開催を予定しており、これらのイベントを通じて積極的に島の魅力発信を図ってまいります。
○三宅委員 今後も港湾、空港施設を引き続きイベントに活用することで、島のさらなる魅力創出につなげてほしいと思います。
これらの施設のさらなる活用に向けては、自転車で観光地を巡るサイクルツーリズムへの対応も重要であると思います。島の道路は適度なアップダウンがあって、また、道路からの眺めもよいことから、最近ではサイクリングを目的に来島する観光客が多く見受けられております。サイクルイベントも開催されています。
こうした観光客の方々は、自分の自転車を持ち込んだり、または現地で自転車をレンタルしたりしてサイクリングを楽しんでいますが、途中で船客待合所や空港ターミナルビルにあるレストランやお土産物屋を利用する方々も多いため、こうした施設に自転車を気軽に置けるサイクルスタンドを設置してほしいとの意見も寄せられています。
そこで、自転車を利用する方の利便性を高めるため、船客待合所や空港ターミナルビルにサイクルスタンドを設置すべきと考えますが、都の取組を伺います。
○佐藤離島港湾部長 自転車を利用して島内を移動する観光客等の利便性を高めるため、都はこれまでに、地元関係者と連携して、定期船が発着する大島元町港、岡田港、三宅島阿古漁港の各船客待合所と、大島かめりあ空港のターミナルビルにサイクルスタンドを設置してございます。
加えて、来年一月までに新たに八丈島神湊港と八丈島空港に設置する予定であり、ほかの島の船客待合所等についても、地元のニーズを確認した上で設置を進めてまいります。
今後とも、サイクルスタンドの設置を推進し、自転車を利用する観光客の利便性を向上させることで、島しょ地域の観光振興を図ってまいります。
○三宅委員 今後も地元のニーズを踏まえながら、サイクルスタンドの設置を積極的に進めていってもらいたいと思います。
設置に際していろいろと注文があるんですが、実は、うちは商店を大島でやっていて、サイクルスタンドも設置しているんですけれども、なかなか利用してくれないです。この前、お客さんに聞いたところ、うちの自転車は二百万円以上するから、目につくところになるべく置いておきたいんですみたいな話もいただきましたので、ぜひそういった公共の場所に設置する際には見通しのいいところというか、目立つようなところに置いていただければ幸いです。
島の玄関口であり、多くの人々が利用する港湾施設、空港施設の活用について確認してまいりましたが、これらの施設を観光客、そして、島民が集い、にぎわうための空間として、今後さらに有効に活用して、魅力向上に寄与していただきたいと要望しておきたいと思います。
続いて、島しょ地域へのクルーズ船の誘致について伺います。
観光客をより多く呼び込むためには、本土と島しょ地域を結ぶ定期航路や航空路に加え、その他の交通手段を使って島を訪れる方々にしっかりと対応できるようにすることが重要ですが、中でも経済波及効果が大きいクルーズ船の誘致は、島しょ地域の観光振興の目玉の一つとして大いに期待できると思っております。
特に海外では、自然体験をコンセプトとした探検船と呼ばれるラグジュアリークラスのクルーズ船が人気を博していると聞いており、世界に誇れる美しい自然や独自の文化を有する伊豆・小笠原諸島は寄港先として高いポテンシャルを有していると思います。
本年三月に外国船社による我が国への国際クルーズが再開し、クルーズ船の運航が回復しつつある中で、東京の島しょ地域についても、寄港先としての魅力を積極的にPRして誘致を図ることが重要でありますが、今年度、既に複数の外航クルーズ船の寄港が実現したと聞いています。
そこで、まずは確認のため、今年度における内航、外航を合わせたクルーズ船の島しょ地域への寄港実績について伺います。
○佐藤離島港湾部長 今年度における島しょ地域へのクルーズ船の寄港実績は、先月末までに内航クルーズ船が二回、外航クルーズ船が四回となっており、外航クルーズ船の寄港回数は、現時点で過去最高となっております。
内訳としましては、内航クルーズ船は、八丈島に一回、父島に一回、各寄港しており、外航クルーズ船は、ドイツのクルーズ船が大島に一回、オーストラリアのクルーズ船が大島、八丈島、三宅島の三つの島にそれぞれ一回寄港してございます。
なお、大島にクルーズ船が寄港したのは今回が初めてでございます。
○三宅委員 島しょ地域へのクルーズ船の寄港実績を確認しましたが、特に大島に関しては初めて寄港したとのことで、これは大きな一歩と評価できるものと思っております。
クルーズ船を迎え入れるに当たっては、島の特色を生かしたおもてなしにより、乗客を大いに歓迎することで、島のファンになっていただき、さらにはリピーターとしていくことが重要と考えますが、都はクルーズ船が寄港した際において、どのようなおもてなしを行ったのかお伺いします。
○佐藤離島港湾部長 クルーズ船の乗客に、島しょ地域での滞在を最大限楽しんでもらうための取組といたしましては、都は、地元町村と連携し様々なおもてなしを行っております。
具体的には、入港時及び出港時に、地元の団体と連携し、伝統衣装や太鼓、踊りなど、島の文化を生かした演出をするとともに、横断幕やキャラクターを活用して歓迎ムードの醸成に努めました。
また、特産品の紹介、販売や、自然、文化の観光スポットを巡るバスツアーなど、島の魅力を体感できるコンテンツを展開しております。
これらの取組は、クルーズ客にも大変好評でありまして、外航クルーズ船の船会社からは、歓送迎イベントが盛大でよかったという評価をいただいているところでございます。
○三宅委員 乗船客からも喜ばれたというお話ですが、引き続き、地元と連携して島の魅力を伝えていっていただけるような取組を行い、乗客の満足度をより高めてもらうことで、さらに多くのクルーズ船の寄港につなげていってもらいたいと思います。
クルーズ船が寄港すれば、乗客とクルー合わせて、多いときには数百人が上陸することから、島の特産品の販売や飲食店への集客につながり、産業振興の面からも大いに期待できます。
島しょ地域へのクルーズ船の寄港を一層促進するため、都は船会社に対する誘致活動を積極的に行うべきであると思いますが、今後の具体的な取組について伺います。
○佐藤離島港湾部長 クルーズ船を誘致するためには、寄港先を決定する船会社と丁寧なコミュニケーションを重ねることが重要でございます。
具体的には、入港に関する各種手続や、おもてなしイベントの実施等に関する船会社と関係機関等との連絡が円滑に進むよう、都が窓口となって調整を進めてまいります。
また、町村と連携し、船内レストランの食材として使用できる地元の特産品を紹介するなど、島しょの魅力をPRしてまいります。
こうした取組を積極的に行うことで、クルーズ船のさらなる誘致を図ってまいります。
○三宅委員 都が前面に立って、このクルーズ船誘致を推進していくこと、その取組姿勢は、我々、島の町村にとっても大変評価したいと思っております。
島しょ地域がクルーズ船の寄港先として世界中から選ばれるためには、一回一回の寄港に適切に対応することが重要です。地元町村とも緊密に連携しながら、引き続き取り組んでいただきたいと思います。
一方で、寄港促進に向けて重要となるのはハード面の整備です。島しょへの寄港ニーズがありながら、ハード面の制約により寄港を逃すといったことは避けなければなりません。
そこで、島しょ地域へのクルーズ船の寄港を促進するため、必要な港湾施設の整備を行うべきと考えますが、都の見解を伺います。
○佐藤離島港湾部長 島しょ地域に、より多くのクルーズ船を誘致するためには、港の岸壁の性能を向上させ、より大型のクルーズ船の寄港に対応できるようにする必要がございます。
現在、島しょ地域の港に関しましては、クルーズ船の停泊に必要となる規模の岸壁を有してはいるものの、船をロープで係留させる際に必要となる係船柱や、船が岸壁に直接接触することを防ぐためのクッション材である防舷材がクルーズ船に対応できるものとなっていないため、クルーズ船が入港できない港がございます。
例えば、大島岡田港には三万トン級程度のクルーズ船が入港できる岸壁がございますが、係船柱の性能により二万トン級以下の船に限定している状況にあります。
今後、都は、より多くのクルーズ船が寄港できるよう、係船柱の性能の向上など、必要な施設の整備を積極的に進めてまいります。
○三宅委員 ぜひ、しっかりと整備を進めていただきたいと思います。それが、さらなるクルーズ船の寄港につながると思っておりますので、よろしくお願いいたします。
続いて、島しょ地域へのスーパーヨットの誘致について伺います。
観光客をより多く呼び込むための交通手段として、クルーズ船と並んで注目されるのがスーパーヨットです。
スーパーヨットとは、一般的には外国人富裕層などが個人で所有する二十四メートル以上の大型クルーザーですが、近年、世界における市場規模が拡大しており、寄港する地域などへの経済効果も非常に大きいことから、今後、我が国においても注目され、その誘致に期待が寄せられるようになると考えます。
このため、我が党は、本年の予算特別委員会において、島しょ地域へのスーパーヨットの寄港が可能となるよう取組を進めるべきことを指摘いたしましたが、寄港実現に向けた現在の取組状況について伺います。
○佐藤離島港湾部長 海外の富裕層が利用するスーパーヨットの島しょ地域への寄港を実現させることは、島しょ地域の経済の活性化に資するとともに、東京の島の魅力を世界へ広く発信することにもつながるため重要でございます。
このため、都は、今年度、島しょ地域において受入れ可能なスーパーヨットの大きさや、受け入れる場合に必要となる施設整備等について調査を進めているところであり、本年九月には、スーパーヨットの寄港先として人気があるギリシャの離島に職員を派遣し、マリーナ等の施設に関する現地調査を実施いたしました。
なお、この現地調査を実施するに当たりましては、地元の視点からも検討できるよう、島しょ町村職員二名に参加をしていただいたところでございます。
○三宅委員 今、スーパーヨットの主要な市場というのは海外である、そういうことから現地に出向いて、実際に運航している現場を見て、さらには島しょの町村の職員も連れていっていただいたということで、これは今後、島の理解促進にもつながるのではないかと思っております。
そこで、九月に実施した現地調査の内容と、その結果を踏まえて今後どのように取り組むのか伺いたいと思います。
○佐藤離島港湾部長 ギリシャの離島における現地調査では、スーパーヨットが停泊するマリーナ施設の管理者へのヒアリングを実施いたしました。
ヒアリングでは、スーパーヨットが停泊する際に必要となる設備を把握するとともに、民間事業者が提供する食料供給などのサービス、マリーナの管理運営体制などについて聞き取りを行いました。
また、スーパーヨットの寄港が地元に与える影響について把握するため、スーパーヨットのオーナーやクルーが島内でどのような過ごし方をするのかについての調査も行っております。
今後は、現地調査の内容を参考にして、必要となる港湾施設や受入れ態勢等について、島しょの町村等の意見を伺いながら検討を進め、スーパーヨットの寄港実現を目指してまいります。
○三宅委員 寄港による経済効果、また、課題等を丁寧に説明することはもちろんのこと、地元の声もしっかりと踏まえた上で受入れ候補地を選定し、島しょへの早期の寄港実現を目指すよう要望しておきたいと思います。
ここまで島しょ地域の観光振興という観点から取組を確認してきました。都が所管している港湾、空港の施設整備を着実に推進することはもちろん重要ですが、今後は、その施設を有効に活用すること、そして、クルーズ船等により島を訪れる方々をしっかり受け入れることで、島しょ地域の観光振興に大いに貢献してもらいたいと思います。
引き続き、地元の声を丁寧に聞きながら協力連携して取組をお願いして、質問を終わりにします。
○古城委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○古城委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で港湾局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後五時五十五分散会
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