経済・港湾委員会速記録第十号

令和五年九月二十九日(金曜日)
第八委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長慶野 信一君
副委員長あかねがくぼかよ子君
副委員長斉藤やすひろ君
理事石島 秀起君
理事西崎つばさ君
理事あぜ上三和子君
清水とし子君
星  大輔君
藤井あきら君
風間ゆたか君
本橋ひろたか君
まつば多美子君
川松真一朗君

欠席委員 なし

出席説明員
産業労働局局長坂本 雅彦君
次長理事兼務松本 明子君
総務部長早川 八十君
産業企画担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長
DX推進担当部長兼務
池野 大介君
企画調整担当部長山本麻里雄君
企画調整担当部長飯野 雄資君
働く女性応援担当部長田代 純子君
商工部長山崎 太朗君
商工施策担当部長江村 信彦君
金融部長福田 哲平君
金融支援担当部長原   郁君
産業・エネルギー政策部長阿部 泰之君
産業政策連携促進担当部長米澤 鉄平君
新エネルギー推進担当部長榎園  弘君
観光部長向井 一弘君
農林水産部長築田真由美君
安全安心・地産地消推進担当部長鈴木のり子君
雇用就業部長内田 知子君
事業推進担当部長新田 智哉君
中央卸売市場市場長早川 剛生君
次長松田 健次君
管理部長前田  豊君
事業部長大谷 俊也君
渉外調整担当部長DX推進担当部長兼務若井 太郎君
市場政策担当部長石井 浩二君
財政調整担当部長萩原 功夫君
環境改善担当部長萩原 清志君
港湾局局長松川 桂子君
技監片寄 光彦君
総務部長上林山 隆君
企画担当部長DX推進担当部長兼務石井  均君
調整担当部長千田  敏君
港湾経営部長野平雄一郎君
港湾振興担当部長三浦  知君
臨海開発部長松本 達也君
開発調整担当部長島しょ空港技術担当部長兼務福永 太平君
臨海副都心まちづくり推進担当部長大野 克明君
港湾整備部長村田 拓也君
計画調整担当部長山本 康太君
港湾計画担当部長港湾DX推進担当部長兼務水飼 和典君
離島港湾部長佐藤 賢治君
島しょ・小笠原空港整備担当部長渡邊 正也君
労働委員会事務局局長根本 浩志君

本日の会議に付した事件
港湾局関係
契約議案の調査
・第百八十一号議案 新海面処分場(五)Dブロック東側護岸建設工事請負契約
・第百八十二号議案 新海面処分場(五)Dブロック南側護岸建設工事請負契約
報告事項(質疑)
・私債権の放棄について
・旧晴海上屋及び晴海三号上屋(五)解体工事その二
中央卸売市場関係
報告事項(質疑)
・千客万来施設事業について
産業労働局関係
契約議案の調査
・第百八十号議案 東京国際展示場(五)会議棟及び西展示棟改修給水衛生設備工事その二請負契約
報告事項(質疑)
・令和四年度地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター業務実績評価について
・私債権の放棄について
・東京都が東京信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄の報告について
請願陳情の継続審査について
特定事件の継続調査について

○慶野委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 初めに、契約議案について申し上げます。
 契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

令和五年九月二十七日
東京都議会議長 三宅しげき
(公印省略)
経済・港湾委員長 慶野 信一殿
   契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
     記
1 調査議案
 第百八十号議案 東京国際展示場(五)会議棟及び西展示棟改修給水衛生設備工事その二請負契約
 第百八十一号議案 新海面処分場(五)Dブロック東側護岸建設工事請負契約
 第百八十二号議案 新海面処分場(五)Dブロック南側護岸建設工事請負契約
2 提出期限 令和五年十月二日(月)

○慶野委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、港湾局及び産業労働局関係の契約議案の調査、港湾局、中央卸売市場及び産業労働局関係の報告事項に対する質疑並びに請願陳情及び特定事件の閉会中の継続審査及び調査の申出の決定を行います。
 これより港湾局関係に入ります。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第百八十一号議案及び第百八十二号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○慶野委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○慶野委員長 異議なしと認め、契約議案に対する質疑は終了いたしました。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも異議のない旨、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○慶野委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。

○慶野委員長 次に報告事項、私債権の放棄について外一件に対する質疑を一括して行います。
 本件については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○慶野委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○慶野委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で港湾局関係を終わります。

○慶野委員長 これより中央卸売市場関係に入ります。
 報告事項、千客万来施設事業についてに対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○石島委員 それでは、ご報告のありました千客万来施設について質問させていただきます。
 私の地元である中央区は、築地というまちの持つ特徴と築地市場のエネルギーが融合した独特の食文化を持つ築地場外市場があります。
 市場の移転後も築地魚河岸を新たな施設を核として、これまで培ってきた日本橋、築地かいわいの歴史ある文化をこれからも発展させ、次世代にわたり持続させていくことが重要です。
 豊洲市場が開場し、続いて、新たなにぎわい施設である千客万来施設が間もなく開業します。豊洲市場を中心とする新たなエリアとこれまで連綿と続いてきた築地というエリア、それぞれが切磋琢磨し、国内外から来られる多くの方々に食やその雰囲気を楽しんでいただくことが大切です。
 さて、かれこれ四年にも及ぶコロナ禍の下、東京の市場は一度もその活動を止めることなく、都民に生鮮食料品や花きを供給し続けてきました。
 特に、この間の市場業界の皆さんのご苦労は大変なものであったと思います。
 また、東京の基幹市場である豊洲市場は、コロナ禍が猛威を振るう間、本来備えている最新鋭の設備や産地、顧客との結びつきといった強みを生かすことができずにいました。
 ウクライナやALPS処理水に関連して、中国による禁輸措置といった新たな問題が生じているものの、コロナの五類への移行に伴いインバウンドも回復し、多くの外国人も見受けられるようになりました。まちに多くのにぎわいが戻り、日本の質の高い豊かで多彩な食への需要も回復してきています。
 豊洲市場においては、東卸組合による常磐物といわれる福島産を中心とした被災地の水産物を支援する心強い取組もなされており、岸田総理が視察するなど、その取組は注目を集めています。
 東京の市場は、これらの需要に応えるということをなりわいとし、都民生活を支える基幹インフラとしての役割を果たしていますが、特に豊洲市場においては、こうした本来の役割に加え、市場そのものに国内外から多くの方々が来場し、にぎわいの拠点としての役割も期待されています。
 千客万来施設のオープンが間近に迫り、都民の期待が寄せられています。しかし同時に、ここに至るまでには紆余曲折があったことも事実です。豊洲市場の移転については、膨大な時間と関係者の労苦によって実現した経緯がありますが、この千客万来施設についても同様であります。
 千客万来施設事業は、東京都が豊洲市場の整備、開業に合わせて、都の事業として企画され、始められたものです。そこには都としての理念、実施するに当たってのコンセプト、それらを事業者と共にやっていくための約束など、行政として、市場当局としての責任があり、それらを受け止め、これまでの事業を進捗させてきたと思います。
 まちづくりにはそれに関わる多くの方々の共感と協力が必要です。これまで市場当局が掲げ、事業者である万葉倶楽部と共に展開してきた目標がどのように達成され、あるいは課題として残っているのかについて、改めて確認していくことが東京都の事業として進められた本事業には必要です。
 そこでまず、千客万来施設事業とは、東京都によるどのような施設であるのかから振り返りたいと思います。
 千客万来施設のコンセプトはどのようなものなのか、改めて確認させていただきたいと思います。

○若井渉外調整担当部長DX推進担当部長兼務 千客万来施設は、築地特有の貴重な財産であるにぎわいを継承、発展させるとともに、豊洲ならではの活気やにぎわいを生み出すことで豊洲市場の魅力を高めつつ、地域のまちづくりや活性化に貢献することを目的とし整備を進めているものでございます。

○石島委員 募集要項などによれば、東京都は築地市場において培われた伝統を市場そのものだけではなく、場外市場の良さも引継ぎ、豊洲というまちと連携し、国内外に我が国の食を中心とした文化を広く発信していく、そういうコンセプトがうたわれています。
 それでは、事業者である万葉倶楽部は、応募及び事業者決定の際、このようなコンセプトをしっかりと理解していたのかどうか確認させていただきます。

○若井渉外調整担当部長DX推進担当部長兼務 万葉倶楽部は、このコンセプトを理解した上で事業に応募しており、豊洲の立地を生かし、国内外から多くの観光客を誘致する取組について、独自性、具体性があることなどが評価され、事業予定者として決定しております。

○石島委員 万葉倶楽部はこうした東京都の考え方に共鳴、共感し、新たな施設を造り、多くの人々に豊洲市場や豊洲というまちのよさを実感してもらう、そういう目的を持って事業者として手を挙げ採用に至ったことだと思います。
 築地場外、その特徴といえば、築地市場に隣接し、自然発生的に集積した小規模な店が軒先をぶつけるように多く連なり、そこに多くの観光客がひしめくように集まる場所です。もちろん豊洲市場でこれらを一度に実現できるものではありません。
 しかし、大事なことは方向性であり、それを少しずつでも実現し、築地のようなにぎわいを増していくことが大切です。
 そこで、その象徴となるのが店舗の数です。あの混然一体となったある意味雑然とした雰囲気、こうしたものを端緒となるような取組が必要です。テナントの数は、そういった意味も表しています。
 事業者である万葉倶楽部は、応募段階において、テナントは幾つ入居させることを目指すといっていたかお伺いします。

○若井渉外調整担当部長DX推進担当部長兼務 万葉倶楽部は、平成二十八年の事業提案時において、募集要項に掲げられたコンセプトを実現する具体的な手段として、百七十店の入居を目標としておりました。

○石島委員 応募した時点で百七十店舗を目指すということは分かりました。
 つまり、これは万葉倶楽部が東京都の意図、考え方をしっかりと理解したということを意味することであり、ここは重要なところだと思います。
 それでは、テナントリーシングの状況について、どれだけの数が入居する予定なのかお伺いします。

○若井渉外調整担当部長DX推進担当部長兼務 事業者からは、テナントリーシングの結果、食楽棟及び温浴棟を合わせて、現時点で約七十店舗のテナントが入居する見込みであると報告を受けております。

○石島委員 七十店舗ですか。先ほどの百七十店舗という数字と比べると随分、こう差があります。当初のコンセプトが実現できるのか、少しちょっと不安になるのではないでしょうか。
 このテナント数で、七十店舗でですね、本来のコンセプトは実現できると万葉倶楽部は考えているのか、万葉倶楽部はこうなったことについて、東京都に対してどのような説明をしているのかお伺いします。

○若井渉外調整担当部長DX推進担当部長兼務 都が掲げる千客万来施設事業の目的を果たすため、事業者は、築地場外市場からの誘致、市場業者との連携、地元の商店街等との連携をテナントリーシングのコンセプトとして、市場ならではのにぎわいを生み出すよう交渉を進めてきております。
 事業者としては、当初、百七十店の入居を想定しておりましたが、新型コロナウイルス感染症拡大や資機材の価格高騰など、提案時からの事業環境の変化を受け、設計変更を行わざるを得ず、限られたスペースで事業効果を最大限に高めるために、結果として店舗数を減らさざるを得なかったと報告を受けております。
 また、テナント事業者の中には、豊洲のポテンシャルを見込んで、長期にわたって安定的に事業を継続していく観点等から、複数区画をまとめて借り、一定規模で営業を希望する事業者もおり、結果として、当初の想定より少ないテナント数となっております。

○石島委員 確かに、この間コロナ禍という逆風があり、新たなプロジェクトを進める困難さはあったはずです。
 また、テナントに興味を持った事業者の中には、それなりの規模で経営をしたいという方がいるということも理解できます。
 しかしながら、百七十店舗が七十店舗です。どうしてしまったんだろうというのが、まあ普通の思いだと思います。
 現実問題として七十店舗ということになったわけですが、遡って考えれば、東京都と万葉倶楽部の間には基本協定書というものが存在します。そこには千客万来施設事業について、東京都と事業者が何をなすべきか、協力してこの事業を成功させるために必要な取決めが書かれているはずです。
 基本協定書上の都と万葉倶楽部のそれぞれの責務と役割分担についてお伺いします。

○若井渉外調整担当部長DX推進担当部長兼務 都と万葉倶楽部は、千客万来施設事業を成し遂げるため、事業目的、それぞれの責務、事業スケジュールなどの事業実施に係る事項を網羅的に定めた基本協定を締結しております。
 テナントリーシングについては、事業者がテナント誘致方針を都と協議し、それに基づきテナントを誘致決定することとなっております。

○石島委員 つまり、それぞれの役割分担と責任といった、まさに基本的なことが書かれているわけです。
 ここで注目したいのは、事業の進捗状況などについて、東京都は万葉倶楽部に報告を求めることができるし、またそうすることが求められるという点です。
 万葉倶楽部が行っているテナント誘致に対し、基本協定書に照らし、都はどのようなスタンスなのか、また、どこまで指導できるのかお伺いします。

○若井渉外調整担当部長DX推進担当部長兼務 都は、事業者が行うテナントリーシングについて定期的に進捗の報告を受け、誘致方針に沿った形で交渉が進められているかの確認や、それに対する助言など、サポートをしてまいりました。

○石島委員 もちろんどのような企業に入っていただくかというテナント政策は、事業者にとって収支計画上とても重要な要素です。東京都が何でも指示できる、命令できるわけではないでしょう。
 しかし、同時に千客万来施設事業は東京都の事業です。コンセプトはある意味で命です。そこに関わる部分については、東京都と万葉倶楽部がよく意識合わせを行い、よりよい結果に結びつける努力が必要だったのではないかと考えます。
 テナント誘致についての問題は、千客万来施設がまず最初に都民にお披露目をする際に重要であり、今後の成功の鍵を握るものであります。
 そこで、ここの一旦まとめとして、東京都は今回のテナント誘致の状況についてどのように考えているのかお伺いします。

○若井渉外調整担当部長DX推進担当部長兼務 新型コロナウイルス感染症拡大など、厳しい条件の下、食楽棟二階の目利き横丁を中心に仲卸業者なども参画し、飲食、物販ともに市場らしさを感じられるバラエティーに富んだ店舗が展開される見込みであり、区画は全て埋まる見込みでございます。
 また事業者は、豊洲千客万来開業後も多様なにぎわいを創出していくため、施設内の広場等を活用して、市場関係業者等と連携した販売フェア、物産展などのイベントを検討しております。
 こうしたことから、豊洲千客万来は、江戸のまち並みと相まって、東京の食の魅力の新たな発信源となるものと認識しております。

○石島委員 確かに質、中身を充実させるということは重要です。
 しかし、これまでの経緯の中で、目指してきたテナント数を大幅に下回る誘致の結果であったという事実は残ります。市場当局はこうしたことに心を痛め、心配している方々の気持ちも理解し、今後も対応していくことが重要であることを指摘しておきます。
 次に、竣工と開業の時期について確認させていただきます。
 千客万来施設の開業時期については、これまで幾度も変遷があり、ほとんどの都民の方々の記憶から遠ざかっているのではないかと思います。
 今月竣工予定、来年二月開業という報告ですが、本来の竣工、開業予定はいつだったのか確認させていただきます。

○若井渉外調整担当部長DX推進担当部長兼務 事業者である万葉倶楽部との間で、平成二十八年六月に基本協定書を締結した際には、平成二十九年一月に工事着工し、当時の商業棟については平成三十年八月、温泉棟については、平成三十一年八月に開業予定のスケジュールでございました。

○石島委員 豊洲市場の開場に合わせ千客万来施設も開業するというのが本来の姿でした。
 そこから知事の移転延期があり、その後コロナの影響で九か月竣工が遅れ、開業時期のずれ込みにつながりましたが、ようやく開業の日の目を見ることができるわけです。
 今年で豊洲移転から五年がたちますが、千客万来施設事業は豊洲市場開業の際の約束だったということについて、改めて見解を伺います。

○若井渉外調整担当部長DX推進担当部長兼務 千客万来施設事業は、豊洲市場の開場に当たり東京都が整備することとした事業でございます。
 本事業と豊洲市場とが相まって、豊洲市場周辺のさらなるにぎわいの創出とまちづくりへの貢献を果たしていくことが重要であると考えておりまして、来年二月の開業に向け、しっかりと取り組んでまいります。

○石島委員 千客万来施設事業は、今後東京に新たなにぎわいをもたらすもので、期待されるものです。
 一方、これまで様々な経緯があり、ここまで進捗してきました。開業まで残り五か月を切りました。もちろんこの段階に至り、主役は事業者であることは論をまちません。しかし、市場当局としてもなすべきことは多いはずです。
 例えば千客万来施設事業のコンセプトです。無論、テナントの数だけで全てが決まるわけではありません。しかし、何か都としてできることがあるはずです。
 そこで、東京都は自らの発信拠点として、全国の産地や市場からの紹介を行うブースを設けるなど、本来のコンセプトを補完する取組をすべきだと思いますが、考えをお伺いします。

○若井渉外調整担当部長DX推進担当部長兼務 豊洲千客万来の開業によって、年間二百六十万人が新たに豊洲エリアを訪れると見込まれます。
 この機を逃さず、市場関係業者や全国の産地と連携した日本産生鮮品のプロモーションや、市場機能や役割についての普及啓発など、市場の魅力向上につながるよう取り組んでまいります。

○石島委員 豊洲市場には多くの事業者が日々商売に汗を流しています。
 その中でも、千客万来施設事業の開業による影響を気にしているのが物販、飲食業の方々です。多くの店舗が築地時代と異なり、市場前駅から離れた場所に位置するため、来場者を呼び込むことに苦心していると聞いています。
 そうした中、千客万来施設が開業したらどうなるのかと不安に思われるのも当然のことです。
 そこでお伺いします。千客万来施設の開業は、既存の関連事業者とどう共存していくかが問題となりますが、見解をお伺いします。

○若井渉外調整担当部長DX推進担当部長兼務 豊洲千客万来は、豊洲市場本体と連携することにより、豊洲ならではの活気やにぎわいを生み出すことで地域のまちづくりや活性化に貢献するとともに、相互に魅力を高めていくこととしております。
 豊洲市場と豊洲千客万来との間における来場者の回遊性を高めていくため、市場関係業者等と連携し、具体的な取組を検討してまいります。

○石島委員 千客万来施設の開業を控えた今、市場当局はこれからでもできることはやるべきです。そうした観点から質問させていただきました。
 大事なことは何か。やはり本来のコンセプトを実現するためには、これまで市場当局が対外的に約束してきたこと、これをどれだけ多くの方々、特に多くの期待をしてきた地元の方々を中心に、それらが今どうなっているかを丁寧に説明することです。
 未来を語るにはまず、これまでの経緯、過去をしっかりと振り返り、認識する、そういった姿勢の下で誠実に対応していくことが信頼関係というものに結びついていきます。
 そうした上で、最後に市場長に伺います。千客万来施設が地域に溶け込み、多くの来場者の支持を得ることができるよう、東京都として責任を持って取り組むべきと考えますが、ご見解をお伺いします。

○早川中央卸売市場長 都におきましては、豊洲市場を含む地域において、市場ならではのにぎわいを生み出していく責務を有しております。この点において、豊洲千客万来は、にぎわい創出の重要な核となる施設であるというふうに認識をしております。
 このため都は、まず来年二月一日の開業に向け、引き続き事業者と連携し、準備を着実に進めてまいります。
 そして、開業後におきましても、事業者が安定的に営業を継続し、施設運営の活力を維持できるよう、事業の実施状況の把握に努めるとともに、必要に応じて支援を講じてまいります。
 本日ご質疑いただいているこの豊洲千客万来が、にぎわいの拠点として末永く国内外の方々に親しまれる施設であり続けられるよう、事業者や市場関係業者、地元区等とも連携し、しっかりと取り組んでまいります。

○石島委員 開業を前にして開業後の話をするのはいささか早過ぎるかなという思いもありましたが、先ほども申し上げましたが、今問われているのは市場当局の姿勢です。
 まちづくりというのは、長い時間が必要です。それはなぜか。地元の方々、事業者、そして行政や議会が協力し合い、議論を重ね、時には激論となってもあるべき理想を見いだそうとする、その繰り返しが時を刻み長い歴史になり、それと軌を一にするようにまちの特色、表情が出来上がっていくものと思います。この事業においても同様です。
 したがって、事業者である万葉倶楽部だけでなく、本来東京都の事業であるという側面をしっかりと認識し、市場当局は、開業に向け関係者に対しその姿勢を示し、これまでの経緯を含め丁寧に説明し、協力を求めることが欠かせません。
 今、市場当局に課せられた課題はそこにあるということを指摘させていただいて、質問を終わります。

○斉藤委員 私の方からは、五街区の跡利用とテナントリーシング、重複しない範囲で質問をさせていただきたいと思います。
 千客万来施設の開業とその後に向けてしっかりと取り組んでいただきたいとの観点から質問をいたします。
 まず、五街区でございますが、この用地活用について伺います。
 五街区には、江戸前場下町が現在ございまして、この施設は豊洲千客万来の開業に向けて、にぎわいを絶やさないための施設と理解をしております。
 この江戸前場下町は、当初は昨年度中に営業終了する予定でしたけれども、豊洲千客万来の開業予定時期の変更に伴い、同施設の開業まで運営を行うこととなった経緯がございます。
 ようやく、来年二月一日に六街区、豊洲千客万来は開業を迎えるわけでありますけれども、江戸前場下町のあるこの五街区は将来的にどうなるのかを伺いたいと思います。

○若井渉外調整担当部長DX推進担当部長兼務 江戸前場下町は、令和六年二月の豊洲千客万来の開業に合わせて、令和六年一月末で営業を終了する予定でございます。
 江戸前場下町が立地している五街区の用地は、六街区の用地と同様、千客万来施設事業用地であり、昨年度、長期的活用に向けて調査を行い、現段階で恒久的な施設を整備、運営することは大きなリスクとなる可能性があることが示唆され、変化する地域の特徴や課題を見極めながら利活用方法を検討していくことが望ましいという結論を得ております。
 こうした考え方や豊洲千客万来の開業後の状況、地元区の意向などを踏まえつつ、五街区用地の活用について検討を進めてまいります。

○斉藤委員 地元区などでも多くの議論があって注目されているその後の利活用でございますが、万葉倶楽部の千客万来施設の名称も、やっと豊洲千客万来と決定したという発表を受けまして、ここまで本当に様々な紆余曲折があったと感慨深いものが去来します。
 豊洲市場の移転、開場から来月、五年を迎えます。十月十一日でしたでしょうか。
 築地市場の豊洲市場への移転問題から千客万来施設開場まで尽力された、我が党では元江東区都議木内良明先輩もおられます。また、長く江東区長を務められた山崎孝明区長も少しは安心して見守っていただけるかなと思います。
 今後、検討に当たりましては、地元区の要望を十分に踏まえて方針を決めていただきたいと思います。
 本日、五街区の今後の用地活用の質問はこの程度にいたしますけれども、来年の二月を待たずに、来年度予算編成の議論の中でははっきりと、どこかのタイミングでご答弁いただける時期まで、都議会公明党しっかりと、地元江東区民と共にフォローしてまいる決意であります。
 続きまして、今、石島理事が私の先にお話ありましたけれども、テナントリーシングについて確認をしたいと思います。
 テナントリーシングは、基本的に民間同士の交渉事であることはもちろん理解しておりますけれども、これまで都と事業者が連携して、豊洲ならではのにぎわい創出を資するテナントの誘致に向けて、様々苦労しながら準備を進めてきたと認識しております。関係者に敬意を表したいと思います。
 そこで、開場を目前に控えまして、そもそものコンセプトに沿ったテナントリーシングを実現するために、これまで運営事業者、万葉倶楽部はどのように取り組み、また、都はどう関わってきたのか、若干重複するかもしれませんがコンセプト、大事でございますので、確認をさせていただきたいと思います。

○若井渉外調整担当部長DX推進担当部長兼務 事業者は、豊洲千客万来を地域住民や観光客等に末永く親しまれる施設としていくため、築地場外市場からの誘致、市場業者との連携、地元の商店街等との連携をコンセプトとしてテナントリーシングをこれまで進めてまいりました。
 具体的には、築地場外市場や豊洲市場関係者、地元江東区の商店街等の団体を訪問、説明を実施し、出店に関して広く周知を図るとともに、関心表明をいただいた企業に対して、具体的な出店条件等の説明を継続しております。
 都は、事業者が行うテナントリーシングについて定期的に進捗の報告を受け、誘致方針に沿った形で交渉が進められているか確認するとともに、地元の小規模な商店や伝統工芸品等を取り扱う者などの参画に向け、千客万来施設事業のコンセプトを具体的に実現する観点から助言を行っております。

○斉藤委員 先ほど石島理事からもお話ありましたけれども、当初の目標のテナントの数と、結果的に、広さとかそういう全部空きがないようにするということはございますけれども、そういった事情変更があったときに、やっぱりいいかげんな連携であったのかといわれないように、しっかりと実のある、様々な関係者が納得する形で丁寧に進めていくことが大事なんだと思います。
 この地元の業者等が多く参画をして、そして地域住民の方々が気軽に訪れることができるような施設運営をしていただきたいと思います。これは地元というと豊洲というところだけじゃなくて、例えば江東区も北部、亀戸とか様々あるわけです。地元区、そして周辺の区を含めて、そうした地域の方々が気軽に訪れて楽しんでいただけるような、そういう施設運営も重要だと思います。
 東京臨海部の新たな観光拠点、大きく打ち出すことも大事ですけれども、そういったことを目指すのみならず、周辺住民に愛される施設を目指すことこそ大事だと思います。
 江東区民からは、地元豊洲だけでなくという話を先ほど申し上げましたが、できれば人の足の創出というか、拠点に来た後、回遊していただけるような江東区観光案内人などもその施設の中に配したいなと地元の声もあるようであると聞いております。
 自分たちの思いを反映していただいた分だけその施設への思いというものが深まっていくわけでございまして、地元江東区民に、これはオーナーシップとはいえませんけれども、疑似オーナーシップというか、自分たちがつくっている、おもてなしをするんだというような、そういった機運を醸成することにもつながっていくと思いますので、おもてなしの心の籠もった千客万来施設になっていくと願います。
 そのためには、まずこのテナントリーシングをはじめとした来年二月の開業までの準備を、これをしっかりと滞りなく予定どおり行っていくことが何よりも重要であります。
 今日は質問は以上で終わりますけれども、市場当局と万葉倶楽部とが、そして地元江東区が緊密に協力をしながら、開業に向けてしっかりと力を合わせていけるよう、都が責任を持って関わりをしながら頑張ってもらいたいと強く要望し、質問を終わります。

○あぜ上委員 それでは、私からも千客万来施設について伺います。今日は開業に向けての課題などについて伺いたいと思います。
 まず、年間の来客数の見込み数について教えていただきたいと思います。一日の来客見込み数は分かるのかどうか、分かったらそれも教えてください。

○若井渉外調整担当部長DX推進担当部長兼務 事業者は年間で、食楽棟二百万人、温浴棟六十万人の計二百六十万人の来場を見込んでおりますが、一日当たりの来場見込み数は公表しておりません。

○あぜ上委員 一日の見込みは公表していないということなんですが、この年間の観客数、これは二〇一八年九月の基本協定書を締結した頃の想定は、温泉棟が五十五万人、商業棟が百三十八万人と約百九十三万人でしたから、この想定よりも増えているということになります。
 先ほど来、新型コロナの問題や物価高騰など、様々な新しい状況も生まれているということでありましたが、五年前より来客数の見込みを多くしたという、このことは東京都もこの変更を合意しているという理解でよろしいんでしょうか。

○若井渉外調整担当部長DX推進担当部長兼務 観客見込み数につきましては、万葉倶楽部の方で算出した数字となってございます。

○あぜ上委員 万葉倶楽部がそうしたということなんですね。
 そうしますと、この事業用の定期借地権設定契約は、満了予定が四十九年三百六十四日というふうになっていますが、その間に見込みになかなかいろんな状況があって至らなかったと。そういうような様々な事情で撤退する場合などが起こった場合、都はどう対応されるのか、その点について伺いたいと思います。

○若井渉外調整担当部長DX推進担当部長兼務 都と事業者は、千客万来施設事業を成し遂げるため基本協定書を締結しており、互いに協力しながら事業を進めていくものとなっております。

○あぜ上委員 互いに協力するということで、基本協定書も改めて読み直しましたが、協定の効力を失うような事態になったときには、やはり違約金などの規定がきっちりとされていないと心配だなというふうに思いましたので、そのことはぜひ踏まえてご答弁いただきたかったんですが、約束されているということであります。
 それで、駐車場についても伺いたいと思います。
 千客万来施設の駐車場の台数、これは何台あるでしょうか。五街区の駐車場の管理運営、これはどうなるのか、併せてお答えください。

○若井渉外調整担当部長DX推進担当部長兼務 駐車場台数について、既に五街区の立体駐車場に一般車両四百五十八台分整備しておりまして、六街区の豊洲千客万来地下一階には、一般車両百十台分、観光バス二十七台分が開業に合わせて整備される予定でございます。
 開業後における五街区の立体駐車場の管理運営については、事業者である万葉倶楽部が行う予定と報告を受けております。

○あぜ上委員 そうしますと、運営は万葉倶楽部が行うということで一つだけちょっと確認したいんですけど、この五街区の立体駐車場、今は六街区の飲食店や、それから物販に行かれる方も利用しているわけですが、千客万来利用者に限定されることはないという理解でよろしいんでしょうか。そこだけ確認できればと思うのですが。

○若井渉外調整担当部長DX推進担当部長兼務 五街区の駐車場につきまして、千客万来施設の利用者に限定されるということではございません。

○あぜ上委員 ありがとうございました。
 駐車場が不足した場合、先ほど一日の来客数は公表していないということだったんですが、不足した場合の対策は何か検討されていらっしゃるんでしょうか。

○若井渉外調整担当部長DX推進担当部長兼務 事業者において、豊洲千客万来利用者には、公共交通機関の利用を呼びかけるとともに、駐車場への誘導員の増員や分かりやすい案内看板の設置を検討していると報告を受けております。

○あぜ上委員 交通機関としては「ゆりかもめ」、これ以外はバスも、豊洲市場から東陽町駅前行きのバスもあるんですけれども、朝七時と九時を除けば一時間に二本しかないと。それから新橋行きも十二時以降は一時間に一本しかないと、こういう少ない状況ですから、やはり駐車場の利用は今後、まだ今の時点で見通しはできないと思うんですけれども、分からないんですが、ほかの市場利用者にも影響があってはならないというふうに思います。
 やはりこの点については現場任せにしないでしっかり対応していただきたいと、これは要望させていただきます。
 それから、渋滞が発生しないかというのが地元では心配の声が上がっています。
 というのは、有明アリーナ、それから豊洲のららぽーと、こういう場所ではかなり渋滞が起こっていまして、この豊洲の市場のところも渋滞しないだろうかという心配の声が私のところにも何件か寄せられています。有明アリーナなどを調べてみますと、タクシー利用者も大変多くいまして、タクシーが渋滞に拍車をかけているといわれています。
 渋滞対策、交通対策については、万葉倶楽部とどのような協議を行っているのか伺います。

○若井渉外調整担当部長DX推進担当部長兼務 事業者と渋滞対策、交通対策などの課題について、定期的に打合せを行っております。
 具体的には、混雑時の車両誘導や案内看板設置などについて協議をしております。

○あぜ上委員 協議はしていらっしゃるということなんですが、当然、交通量の予測調査などもされているとは思うんですが、ぜひこの渋滞対策、これもしっかりと対応していただきたいと思います。
 テナントリーシングについては聞こうと思いましたが、これは先ほど来ご答弁もありました。私も大変危惧しているのは、江戸前場下町でもなかなか厳しい状況がありました。千客万来の場合、営業時間が長い分、やはり人を雇わないとならないので、なかなか入居を決断できないという業者の方々の声も聞いております。そういう点では状況をしっかり見ていかなければいけないなというふうに思っております。
 さて、六街区の物販業者への影響、それから、飲食への影響についても先ほどご質問があり、ご答弁もありました。
 そのご答弁の中で連携をしていくというご答弁があったんですけれども、率直にいって物販業者の方からは、とにかく情報がないんだという話を聞いています。十月中旬以降に説明会を受けるというふうには、やっとなったということを聞いています。
 物販の方々は、やはり業者の方々に対するご商売が主とはいっても、観光客、それから一般の方々の買物客、こういう方もたくさんいらっしゃっているわけですね。先ほどもあったように、六街区の一番奥だということもあって影響を、千客万来施設の影響も受けるわけですから、やはりきちんと情報を提供するとともに、やっぱり共に繁栄できるように、都として、こういった飲食、物販の人たちの意見を聞く場をぜひ設けていただいて、意見を聞いていただきたいというふうに思います。これは要望しておきたいと思います。
 さて、これまで千客万来施設の事業者からの土地の賃料、これは幾らだったのか伺いたいと思います。

○若井渉外調整担当部長DX推進担当部長兼務 事業者が契約に基づき都に支払う土地の賃料について、六街区は月額六百十万円、五街区は月額約百二十六万円でございます。
 また、土地の賃料の令和三年度決算までの合計額は約一億一千三百万円でございます。

○あぜ上委員 六街区の平米単価については、すぐにはご答弁は、ちょっとこれは数字だから難しかったら後で教えていただきたいんですが、月二百万円を超えるのは六街区ということが今、分かりましたので、確認なんですが、財産価格審議会の対象となるこの六街区の賃料は、財産価格審議会のチェックは受けているという理解でよろしいんでしょうか。

○若井渉外調整担当部長DX推進担当部長兼務 六街区の土地の賃料につきましては、千客万来施設事業公募時において、東京都財産価格審議会での評定を経て、基準月額を五百八十五万円以上としております。

○あぜ上委員 そうしましたら、土地の賃料の総額のうち、五街区の駐車場の分は幾らだったのか教えてください。

○若井渉外調整担当部長DX推進担当部長兼務 令和三年度決算までの合計額は約四千六百万円でございます。

○あぜ上委員 そうしますと、これらの土地賃料は全て市場会計に入るということになるという理解でよろしいんでしょうか。

○若井渉外調整担当部長DX推進担当部長兼務 全て市場会計で収入計上しております。

○あぜ上委員 ありがとうございます。市場会計ということが確認できました。
 中央卸売市場の一角を使って、これだけ大規模なにぎわい施設を行うというのは、都としても初めてのことですし、全国見ても、なかなかないなと、私がちょっと調べた範囲では見つかりませんでした。
 そういう点ではいうまでもなく、卸売市場の最大の使命は、生鮮食料品等の流通、その要を担うことであります。にぎわい施設、千客万来施設を開業するに当たっては、やはり交通対策など、地域住民との合意はもちろんですけれども、現在、豊洲市場において営業されている業者の皆さん、市場関係者の皆さんとの、やっぱり納得と理解が大前提だというふうに思っております。
 十分な、こうした市場関係者の皆さんとも協議を行って、お互いに連携して繁栄ができる、そういう施設になっていただくことを強く求めまして、私の質疑を終わります。ありがとうございました。

○慶野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○慶野委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で中央卸売市場関係を終わります。

○慶野委員長 これより産業労働局関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 前田観光振興担当部長は、所用のため、本日の委員会に出席できない旨の申出がありました。ご了承願います。
 次に、契約議案の調査を行います。
 第百八十号議案を議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○慶野委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○慶野委員長 異議なしと認め、契約議案に対する質疑は終了いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、異議のない旨、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○慶野委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。

○慶野委員長 次に、報告事項、令和四年度地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター業務実績評価について外二件に対する質疑を一括して行います。
 本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○早川総務部長 去る九月十三日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の経済・港湾委員会要求資料の表紙をおめくりください。
 目次でございます。資料は全部で六項目でございます。
 一ページをご覧ください。地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターの収入及び支出の推移につきまして、それぞれの区分ごとに、上段に、令和元年度から令和五年度までの年度計画における予算額、下段に、令和元年度から令和四年度までの決算額をお示ししてございます。
 二ページをお開きください。同センターの役職員数の推移につきまして、令和元年度から令和四年度までの各年度末現在の人数と、令和五年八月一日現在の人数をお示ししてございます。
 三ページをご覧ください。同センターにおけます研究員の採用、応募状況の推移につきまして、令和元年度から令和五年度までの一般型研究員及び任期付研究員の応募者数を上段に、採用数を下段にお示ししてございます。
 四ページをお開きください。同センターの職員の平均給与年額の推移につきまして、平成三十年度から令和四年度までの給与の支給総額を上段に、支給人員を中段に、平均給与年額を下段にお示ししてございます。
 五ページをお開きください。同センターの任期付研究員の女性の割合の推移につきまして、令和元年度から令和四年度までの各年度末現在及び令和五年八月一日現在の女性の任期付研究員の人数を上段に、任期付研究員のうち、女性の占める割合を下段にお示ししてございます。
 六ページをご覧ください。同センターの依頼試験、機器利用の区市町村別利用状況につきまして、令和四年度の利用企業に関しまして、所在地別に集計した件数をお示ししてございます。
 以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。

○慶野委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○星委員 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターの令和四年度業務実績評価について伺ってまいります。
 原材料価格の高騰や急速な円安の進行など、中小企業の経営は引き続き厳しい状況が続いていますが、こうした中にあっても中小企業が成長していくためには、日々進化する先端技術を獲得し、信頼される高品質の製品を生み出していくことが必要であります。
 経営資源に限りがある中小企業がこうした取組を進めていくに当たっては、技術支援と研究開発の両面で様々な事業を展開し、中小企業の事業活動を支援している都産技研の存在は心強いものであると考えます。
 今回報告されている都産技研の令和四年度の全体評価は、中期計画の達成に向け、優れた業務の進捗状況にあるとしています。
 こうした評価につながった都産技研の取組について伺います。

○山崎商工部長 都産技研は、中小企業への技術支援と研究開発を柱として、東京都の施策とも連携した様々な取組を実施しており、業務実績評価においては、取組ごとの項目別評価と、業務運営全体を対象とした全体評価を行っております。
 令和四年度の項目別評価は、社会的課題解決支援及び外部資金導入研究・調査の二項目が評定S、依頼試験、機器利用や共同研究など九項目が評定A、その他の九項目は評定Bとなり、多くの項目で目標を上回る実績を達成いたしました。
 具体的には、社会的課題解決支援では、ヘルスケア産業支援室での支援体制を強化するとともに、機器利用が令和三年度実績を大きく上回ったことや、共同研究では、製品化または事業化へ展開した件数が中期目標の達成に向けて順調に実績を積み重ねたことを評価いたしました。
 こうした様々な取組を総合的に勘案し、全体評価を中期計画の達成に向け、優れた業務の進捗状況にあるといたしました。

○星委員 都産技研が、中小企業の技術力の向上や製品開発などに対するサポートに着実に取り組んでいることが評価されたということでありました。
 今、答弁にあったように、高い評価につながった取組について、この後、幾つか確認をしていきたいと思います。
 まず、共同研究について伺います。
 中小企業においては、優れた技術やアイデアを新製品の開発につなげようとする意欲があるものの、設備や人員、開発資金などの経営資源には限りがあることから、開発に時間がかかり、ビジネスチャンスを逃すことも少なくないと思います。
 こうした中小企業にとって共同研究は、都産技研が持つ技術やノウハウ、設備等を活用しながら、都産技研の伴走支援を受けて課題を解決し、製品化、事業化につなげることができる効果的な技術支援策であると考えております。
 そこで、令和四年度における中小企業と共同研究の具体的な取組内容について伺います。

○山崎商工部長 都産技研では、中小企業等との共同研究において、都産技研が独自に実施する基盤研究で得られた成果や、中小企業や大学などのアイデア、技術シーズを活用し、中小企業の技術開発と製品化、事業化を後押ししております。
 令和四年度は、人が感じる明るさやまぶしさの個人差を定量的に測定する手法の開発や、プラスチック代替素材を原料の一部とする食品容器包装の新しい製造技術の開発など、新規採択二十七テーマを含む四十七テーマについて共同研究を実施いたしました。
 また、消臭効果のある素材を販売する中小企業の相談を受け、都産技研が臭いの評価方法を開発し、防臭、消臭効果の高い下着の開発につながった事例や、都産技研が持つ金属フレームの軽量化と耐久性を両立させる技術と、中小企業が持つ精密加工技術を組み合わせることで、小児用に軽量化された歩行器の開発につながった事例など、令和三年度を上回る十五件の製品化、事業化を実現いたしました。

○星委員 中小企業と都産技研の共同研究により、多くの新製品の開発につながったということを確認させていただきました。
 引き続き、都産技研の技術やノウハウを中小企業の研究開発に有効に活用していただくことを要望して、次の質問に移らせていただきます。
 次に、依頼試験や機器利用等の取組について伺ってまいります。
 新製品開発に取り組む中小企業では、開発品などの品質や安全性などについて評価をしたいと思いますが、自社で高価な機器を購入することが困難で十分な試験ができない、得意先から品質に関するクレームがあったが、自社のみでは原因の調査が困難といった場合が多いと思います。
 都産技研では、こうした中小企業からの依頼を受けて、性能評価などを実施する依頼試験や、オーダーメード型技術支援、高額な試験機器等を中小企業が安価に利用できる取組を実施しており、職員からの的確な助言なども受けることができると聞いております。
 中小企業にとっては大変重要で欠かすことのできないサービスだと思いますが、令和四年度の依頼試験や機器利用、オーダーメード型技術支援の取組成果について伺います。

○山崎商工部長 都産技研では、依頼試験や機器利用などを通じて、中小企業の支援ニーズに応じたきめ細かな技術支援を行っております。
 依頼試験では、都内産の梅を活用したジャムの開発に向けた栄養成分の分析など、中小企業の製品等の性能や品質、安全性などを確認する環境試験や性能試験など、約十万五千件の試験を実施し、中小企業の製品開発や事故原因の究明、品質改善などをサポートいたしました。
 機器利用では、金属3Dプリンター等の立体造形機器など、約十四万八千件の利用があり、中小企業による試作開発や性能評価の取組を支援するとともに、オンライン予約システムを一部で導入し、利用者の利便性の向上に努めました。
 依頼試験の件数は、新型コロナウイルス感染症の影響などにより減少してまいりましたが、中期計画の目標値である依頼試験と機器利用の合計件数で見ると、令和四年度の実績は、令和三年度を約八千件上回る約二十五万三千件となっております。
 オーダーメード型技術支援につきましては、虫の音を活用して聴力検査を行うことができるソフトウエアの開発などを支援し、製品化、事業化に至った件数は、開発に要する期間が様々なため、年度により増減が生じるものの、中期計画期間の五年間の目標数値である百二十件に対し、令和三年度と令和四年度の二か年の実績の合計は五十件となっており、順調に推移をしております。

○星委員 都産技研には引き続きこうした支援に着実に取り組んでいただき、中小企業の経営を技術面からしっかり支えていただくよう要望して、次の質問に移ります。
 次に、海外への事業展開を目指す中小企業への支援について伺います。
 経済が回復基調にある中、海外市場も視野に入れた事業展開も重要となっています。しかしながら、海外では日本国内とは異なる規制が多く、また、現地の市場ニーズに応じた製品の改良なども必要となりますが、こうした情報を中小企業自ら収集し、海外展開を進めていくことは困難であると考えます。
 こうした中小企業に対して、令和四年度はどのように支援をしたのか伺います。

○山崎商工部長 都産技研では、中小企業が海外へ製品を輸出する際などに必要となる情報の提供を目的として、海外の法規制の内容を分かりやすくまとめた解説テキストや、最新の海外の法規制の動向などをホームページに掲載をしております。
 相談件数の多いEUへの輸出の際に必要となる製品基準に関する情報や、製品を製造する際に使用が規制されている有害物質に関する知識などを提供するセミナーを八回開催いたしまして、二百九名が参加をいたしました。
 また、製品輸出に関する様々な技術課題に対する八百四十四件の相談に対応したほか、関東近県の公設試験研究機関と連携した組織を構築して、中小企業の海外展開を支援しております。
 さらに、タイのバンコクに設置している支所では、現地へ進出した企業に対する技術相談や会社の現場での支援等を二百四十七件実施しております。
 こうした取組によりまして、令和四年度に都産技研が中小企業の海外展開に寄与した件数は、令和三年度より二十三件多い五十三件となっております。

○星委員 中小企業にとって、海外への事業展開は大きなハードルがあります。引き続き、こうした支援を着実に実施をして、海外展開に挑戦する中小企業の後押しをお願いしたいと思います。
 次に、中小企業のものづくり人材の育成について伺います。
 中小企業が新製品や新技術の開発などによって競争力を高めるためには、そこで働く社員等の力を高めていくことが重要であります。高いスキルを持つ先輩社員から確かな知識やノウハウを受け継ぐことに加えて、AIやIoTなどの進捗が著しい最新技術動向に関する知識も獲得をして、これらを融合することで、独自の技術や製品を生み出すことも可能になると考えます。
 都産技研がものづくり人材の育成についてどのように取り組んだのか伺います。

○山崎商工部長 都産技研では、最新の技術動向などを提供するセミナーや、都産技研の設備等を活用して分析手法などを習得する講習会などを開催し、都内中小企業のものづくり人材の育成を支援いたしました。
 令和四年度の技術セミナーや講習会などの実施件数は、時間や場所にとらわれず受講できるオンデマンド配信の活用などにより、令和三年度の約二倍となる百十八件、受講者の合計は約一・五倍となる千八百四十七名となりました。
 また、次世代を担うものづくり人材を育成するため、八つの大学から十五名の研修学生を受け入れ、研究員が指導を行いながら都産技研の設備を利用した研究をサポートするとともに、都産技研が行う実験に参加する機会を提供することで、大学だけでは得難い様々な技術の習得などにつながり、こうした人材が中小企業で活躍していくことを後押しいたしました。

○星委員 東京ものづくり産業にとって、それらを支える確かな技術力を持つ人材を育てることは喫緊の課題であります。将来のものづくり産業を担う若い人材の育成も含め、引き続きしっかり取り組んでいっていただきたいと思います。
 ここまでは、都産技研が令和四年度に実施した取組内容や実績について確認をしてきました。都産技研においては引き続き、都内中小企業の技術力向上をしっかりと支援していただきたいと考えますが、そのために重要となるのが、都産技研における支援体制の充実と人材育成だと思います。
 令和四年度の都産技研の取組について伺います。

○山崎商工部長 令和四年度、都産技研では、研究開発に関する業務に重点を置く研究開発本部と、技術支援に関する業務に重点を置く技術支援本部を設置いたしまして、中小企業ニーズや技術動向の変化に対応した、より効果的な支援ができる執行体制といたしました。
 また、高度な知識と豊富な経験を持つ研究職の管理職への任用については、これまでの組織マネジメントに重点を置く管理職の任用ルートのほか、研究や技術支援に重点を置く任用ルートを新設し、給料や職責に応じた手当の取扱いは同一とすることで、専門性の高い人材の確保と育成を可能とする複線型人事制度を令和四年度に構築し、令和五年度から施行することといたしました。

○星委員 都産技研においても、組織体制、人事制度、両面から改善を図っているとのことであります。
 中小企業の様々な技術課題の解決をサポートできるよう、幅広い分野において専門性の高い人材を確保することに加えて、社会経済状況が急速に変化する中で生ずる緊急の課題にも的確に対応することができるよう、優れた知識や経験を持つ人材を柔軟に確保して活用していくことも必要と考えております。
 私から最後の質問となりますが、専門人材の確保という点で、今は大変厳しい環境にありますが、そのような中において都産技研がどのように取り組んでいくのか伺います。

○山崎商工部長 都産技研では、期間の定めのない職員の採用に加えまして、社会経済状況の変化に柔軟に対応するための事業展開等に必要な人材を確保するために、通算五年を超えない範囲で更新可能な任期付職員制度を設けております。
 任期付職員は、期間の定めのない職員への切替えが可能となっておりまして、令和四年度は四名の職員について切替えを行いました。
 こうした取組によりまして、中小企業の技術支援や研究開発に必要な専門的知識を持つ人材を適切に確保し、活用しております。

○星委員 これまで、令和四年度に都産技研による中小企業の事業活動を支援する様々な取組について確認をし、成果を上げていること、確認をさせていただきました。
 東京都としても、都産技研と連携を深めながら、厳しい経営環境の中で懸命に頑張っておられます中小企業をしっかり支援していただくことを強く求めまして、質問を終わります。

○あかねがくぼ委員 私からも、令和四年度産業技術研究センター業務実績評価について伺ってまいります。
 まず最初に、外部資金導入研究について、新規の採択件数が中期計画の目標達成に向けて堅調に推移をし、歳入総額も過去の実績を大きく上回ったということで、S評定になっています。
 新規採択件数は、提案公募型研究への積極的な応募や受託研究の推進により、令和三年度が三十件に対しまして、令和四年度は三十六件と着実に採択件数が増えているということですが、どのような取組を行ったのかを伺います。

○山崎商工部長 都産技研では、提案公募型の外部資金を積極的に獲得するために、組織的な取組として、研究員への研修や指導の強化などを図っております。
 具体的には、令和三年度から統合した食品技術センターと関わりの深い食品科学分野をはじめ、都産技研の研究成果や強化に資する様々な分野の外部資金を調査した上で、募集案内を研究員に周知し、応募を促して、研究員が大学や中小企業に対して積極的な説明を行いました。
 さらに、国が公募する学術研究に関する研究費助成事業や、中小企業と研究機関等との共同研究開発を支援する事業など、事業の目的に合わせた申請書の書き方を指導するセミナーの実施に加えて、助成事業の申請について豊富な経験を有する役職員が、全ての申請書に対して個別にきめ細かな指導を行った結果、令和四年度は新規に四件の外部資金に採択をされました。
 こうした取組を行うことで、外部資金の獲得件数の増につながりました。

○あかねがくぼ委員 提案公募型の外部資金の獲得のために、それに適した募集案件を調査をしたり、申請書の書き方の指導など、丁寧に取り組んでいった結果、この成果につながったということが分かりました。
 次に、外部資金導入研究、この採択金額について伺ってまいります。
 令和三年度の新規採択額が二億四千万以下であったのに対して、令和四年度は六億円を超えてきております。内訳を見ていきますと、経済産業省の成長型中小企業等研究開発支援事業、これに対して応募した四件全てが採択をされ、金額ベースでは外部資金の大半を占めているというわけでございます。
 中でも、全国で三件しか採択されていない出資獲得枠というものを獲得できたということが注目されているという、成果ということでございます。
 この出資獲得枠、これはどういったものなのか伺います。

○山崎商工部長 経済産業省の成長型中小企業等研究開発支援事業における出資獲得枠とは、金融機関などによるファンド等からの出資が予定されていることを条件に、通常よりも高い補助上限額となる仕組みとして、令和四年度に新設されたものでございます。
 具体的には、通常枠では補助上限額が三年間で約一億円であるのに対し、出資獲得枠の場合は補助上限額がその三倍の三億円となっております。
 令和四年度は、小型の人工衛星の姿勢を制御するための水を燃料とした装置の開発に関する研究が採択をされました。
 都産技研は、この研究におきまして、水の分子を分解するために必要となるマイクロ波に関する評価技術を生かして、中小企業や大学等と共に研究開発を行っているほか、全体の進行管理を行うなど、出資獲得枠の獲得に際して重要な役割を果たしました。

○あかねがくぼ委員 出資獲得枠というのは、官民の共同研究で成長が期待をされる分野で、経済産業省から特別に多額の補助が得られるというものであるということでございました。
 都産技研は、中小企業や大学との共同研究において、この資金の獲得に貢献をできたということでありました。
 続きまして、この外部資金導入研究の取組の成果についても伺ってまいります。

○山崎商工部長 外部資金導入研究は、都産技研が中小企業の技術開発の支援に役立つ研究を行うための財源を外部から獲得し、より多様な研究が行えるように取り組んでいるものでございます。
 令和四年度は、幅広い温度分布をリアルタイムで視覚的に把握できる技術について、国が実施する助成事業で得た資金を活用しまして、都産技研が中小企業と共同で開発することにより、溶接工事現場や製鉄工場などで活用される熱画像カメラシステムの製品化に貢献をいたしました。
 都産技研では、こうした外部資金導入研究の成果を広く普及するため、学会等での発表を積極的に行っておりまして、令和四年度は、海外での発表五十四件を含む百十四件の成果発表を行いました。
 今後も、外部資金を活用して高い水準の研究成果を生み出すとともに、中小企業の製品化、事業化につなげてまいります。

○あかねがくぼ委員 外部資金を利用した研究を、しっかりと成果を上げており、さらに、国内外でその発信をできているということが分かりました。
 続きまして、社会的課題解決支援についても伺っていきます。
 ヘルスケア産業支援室において、液状試料の微細構造を観察できる新たな試験設備、これを活用した依頼試験を開始し、また、前年度を大きく上回る機器利用の支援につながっていると、こういった点がヘルスケア分野における中小企業の製品開発には大きく貢献したと評価をされています。
 機器利用の件数については、前年度千九百三十五件、これに対しまして七千三百四十六件と、三倍以上に増加をしておりますけれども、こちら、どのような理由で増加をしたと考えているのか伺います。

○山崎商工部長 ヘルスケア産業支援室では、少子高齢化や健康意識の高まりを受けまして、食品や医療、化粧品などの社会的課題の解決に資する分野の製品化、事業化を目指す中小企業に対しまして多面的な支援を行っております。
 ヘルスケア産業支援室が保有する毛髪のダメージ度合いなどを数値化できる試験機について、ホームページやセミナー等を通じて機器の特性や得られるデータなどのPRを強化したことで件数が十倍以上になったことや、化粧品などの皮膚に対する有用性を評価したいという中小企業のニーズを踏まえまして、皮膚の状態を計測できる機器等、八台の機器を新規に導入したことなどが利用件数の増加につながっております。

○あかねがくぼ委員 ヘルスケア産業支援室が保有をする機器の特性や得られるデータ、こういったものをPRを行ったり、企業からのニーズというものを踏まえて導入をした新しい機器、こういったものが、利用が三倍以上と大きく増加をしたことにつながったということが分かりました。
 続きまして、スタートアップの支援という観点から伺ってまいります。
 我が会派は発足当初より、世界で活躍をするスタートアップを東京から生み出し、世界で戦える新しい産業を育成していくということが東京大改革の要であると考え、施策の推進のみならず、新たな視点で政策提案を続けてきたところでございます。
 今年八月には、スタートアップ施策に関する要望書を、藤井都議が座長を務めますスタートアップPTから都知事に対して提出をしたところでございます。
 スタートアップ等に対して、試作技術支援、投資家視点のコンテスト及び製品化支援を行う新規事業を開始したということでございますが、具体的な内容を伺います。

○山崎商工部長 都産技研では、優れたアイデアを持ちながらも、製品化のノウハウや資金に課題を抱えるものづくり分野のベンチャー企業等を対象といたしまして、技術面や資金面での支援を行うことで事業化までを支援する取組を令和四年度から開始いたしました。
 具体的には、公募により選定した二十五者を対象に、ビジネスプランの磨き上げと都産技研の設備を活用した製品試作の支援を行いました。
 その後、都産技研の支援を受けた試作品とビジネスプランを競うピッチコンテストを科学技術振興に関する近隣の施設において実施をいたしまして、最終的に八者を採択いたしました。
 採択された八者につきましては、令和五年度に開発資金として一千万円を支援するとともに、製品化に向けた技術面でのサポートや市場参入に向けた取組への支援などをハンズオンで行い、事業化の実現につなげてまいります。

○あかねがくぼ委員 我が会派からの要望にも挙げておりましたけれども、都産技研の測定機器の貸出しやスタートアップのニーズに応じた機器の整備、これを一層お願いしたいと思います。
 また、スタートアップの中でも、ディープテック系のスタートアップへの支援、これは行政として極めて重要です。
 ディープテックとは、特定の自然科学分野での研究を通じて得られた科学的な発見に基づく技術でありまして、その事業化、社会実装ができれば、国や世界全体で解決すべき経済社会課題の解決など、社会にインパクトを与える潜在力のある技術のことであります。
 しかし、研究開発の成果の獲得やその事業化、社会実装までには非常に長期間を要することにより、不確実性が高かったり、多額の資金を要する、事業化、社会実装に際して既存のビジネスモデルが適応できないといった特徴がありますので、この領域で自然的なイノベーションの循環が起きにくいとされているわけでございます。そのため、国でもディープテックを支援していくという必要性が高いと認識をしているところであります。
 都産技研において、過去にディープテック系スタートアップを支援したという実績はありますか、あるのかを伺います。

○山崎商工部長 都産技研では、新製品や新技術の開発を目指す中小企業等が、都産技研の設備や技術支援を身近に活用しながら製品開発などを行うことができる貸し実験室として、製品開発支援ラボを二十四室設置をしております。
 現在、ラボに入居している企業の中には、CO2を吸収して固まるセラミックス材料を利用したカーボンニュートラルに資する製品をはじめ、AI、VR、宇宙科学、医療科学に関する製品やサービスの開発など、お話のあったいわゆるディープテックにつながる可能性を持った企業も含まれているところでございます。

○あかねがくぼ委員 ありがとうございます。先日の我が会派からの要望書を受けまして、民間のレンタルラボやシェアラボ、こういった方々を都産技研にお招きをして、ディープテック系のスタートアップに資するような支援、これについて大変有意義な意見交換ができたということを伺っております。
 また、都産技研の存在をスタートアップに知っていただくための取組を始めているということです。今後は、老舗の中小企業だけでなく、スタートアップにとっても、都産技研がなくてはならない存在になっていただきたいと考えます。
 ディープテック系のスタートアップが試験研究で利用していくような機器は、非常に高額、そして多岐にわたっております。
 今後は、彼らのニーズを取り入れた機器を導入し、利用できるようにしていただくことで、世界を席巻するイノベーションが都産技研、このラボから生まれたと、そういった事例を一つでも多く生み出していただくことを期待しまして、私の質問を終わります。

○斉藤委員 私からは、簡単に一問なんですが、それと産技研のすばらしさをPRするお話をちょっとしたいと思います。
 まず、都立産業技術研究センターの令和四年度の業務実績評価について伺いたいと思います。
 これは、第四期の中期目標に対する、都民の皆様に向けての、交付金が入っていますので、どういった実績があるかということを第三回定例会で毎年報告することになっている、その令和四年度分の評価の議論ということになります。
 中小企業が持つ技術力を高めていくことは、東京の経済を回復していく上で重要であります。また、近年の資材、そしてエネルギー価格の急激な上昇に対応するコスト対策の重要性も増しておりまして、東京の中小企業を取り巻く、技術面からそれを支える都産技研の役割は、ますます大きくなっていると思います。
 東京都の産業技術研究センターにおきましては、東京都が示しました中期目標の達成に向けて五か年の中期的な計画を定めまして、これに基づいて計画的な組織運営を行っておりますけれども、社会経済状況の急激な変化というものがございますから、こういったものに対応するためには、臨機応変に予算を措置し、中小企業をしっかりと支えていく必要がございます。
 このような中期計画策定後の社会経済状況の変化に対応するため、都産技研が令和四年度に新たに開始した事業の取組を伺いたいと思います。

○山崎商工部長 都産技研では、中期計画を実現するための経常的な事業経費等に充てる標準運営費交付金に加え、喫緊の政策課題に対応するために、都の施策と連携した事業経費等に充てる特定運営費交付金等を財源として事業を実施しております。
 特定運営費交付金を財源として、令和四年度に開始をしたフードテックによる製品開発支援事業では、代替肉の高付加価値化に役立つ食肉の味の成分に関する研究や、食品加工関連の中小企業による製品開発を支援する際に必要となる分析機器等の整備を行ったところでございます。
 また、ゼロエミッションに資するモビリティ産業支援事業では、電気自動車の普及を見据え、車両の電動化や軽量化などに資する部材の試作等の支援に必要となる加工機器等を整備したほか、電磁波が車載機器に与える影響を評価する施設の見学会や、モビリティー開発に関する最新の技術動向についての情報提供を行いました。
 こうした取組によりまして、社会経済状況の変化等に対応しながら、中小企業を技術面から適切に支援をいたしました。

○斉藤委員 今回の全体評価、その一番最初のページに、今後、改善・充実を求める事項というのがございまして、ここに、産技研が率先してSDGsの実現やDXの推進に向けた組織運営を行って、中小企業をリードする役目を果たすことが望まれる、これは産技研そのものもそうですが、実は、この社会経済状況の変化というものは小さな変化だけじゃなくて、不可逆的な変化が起こっているのではないかということが、今の地球環境の問題であります。
 例えば、気温の上昇ですとか激甚化する気候変動、気象状況、そして、海を見ますと、東京湾の海が海水温が大変高くなっているということで、これは港湾局所管でブルーカーボン生態系に向けての藻場をつくって、海を光合成によってCO2削減に貢献できるブルーカーボンというものを推進したりしていますけれども、実は私——森は海の恋人運動というのがあるのをご存じでしょうかね。
 これは、東京のように非常に都市化されたところではなかなか気づきがないんですけれども、森でつくられた、いわゆる腐植土が川をたどって海に流れ、そして、それが海の幸の豊富な栄養になっていくという。だから、森と海はつながっているということなんですが、東京湾を見たときに、森はどこにあるのかということになると思うんですが、そういった想像力も重要だと思います。
 森はそこになくても、そのつながりが非常に重要だということなんですけれども、実は私、今回、この森は海の恋人ということで、実はフルボ酸という、腐食土はフルボ酸という酸の物質があるんですが、これが鉄と結合することによって、海の水温を冷やす力がある。これは酸化還元の議論なので、ここでは深くは議論しませんが、そうしたことの研究を東京都の中小企業が気がついて、産業の中では最も悪者といわれている鉄鋼スラグ、鉄の製鉄のごみ、これとフルボ酸という自然界にもあるものを結合させると、地球環境に物すごい、すばらしい効果を生むんだという仮説があったんです。
 それを実は、何と産技研が、SDGsがスタートしたのは二〇一五年ですが、それよりもはるか前から、そうしたオーダーメード型の技術支援ということもあり、東京都下の中小企業の提案を受けて研究をされたんです。
 その資料を、私、ついこの間、発見しました。フルボ酸鉄徐放性材料の開発ということで、依頼をしている企業と産技研の材料技術グループが連名で、すばらしい研究発表をしているんです。
 こういったことはもう既に発表されているものなんですが、この産技研の評価というものは、実は、こうした事業評価が始まる前からも、そういったことをやっているものもあります。すばらしい成果が生まれているということを、都民にも、また世界にも、ぜひ発信をしていく必要がある。
 私はこれからも、この委員会の議論では、ここでは議論する内容でありませんけれども、産技研で一生懸命、中小企業とタッグを組んで働いている方々、こうした方々にぜひエールを送って、コロナを克服したこの日本、そして東京の中小企業の応援団として、産技研にますます活躍していただきたい。そのための予算は、都民の方にも十分に理解いただけるものと思っております。頑張っていただきたい。
 質問は以上でございます。終わります。

○清水委員 産技研の業務実績評価について質問をさせていただきます。
 最初に、資料提出をいただきまして、ありがとうございました。
 一番最初に予定をしておりました依頼試験、オーダーメード試験については、既に質疑がありました。分かった部分もあります。
 先ほどの質疑の中で、依頼試験については、新型コロナウイルス感染症の影響により利用件数が減少したが、中期計画の目標値である依頼試験と機器利用の合計数で見ると、令和四年度の実績は令和三年度を上回っているというふうなご説明がありました。
 確かに、機器利用の方はかなり伸びていますから、それを足せば伸びる、上回るということは、前年度を上回るということは当然だというふうに思うんです。
 要は、依頼試験そのものの利用は、やっぱり平成三十年から比べますと年々減ってきていて、令和四年度は、平成三十年度に比べて約七割というところまで落っこちてきているんですね。やっぱり産技研にとって大事な柱の事業がこういうふうに年々落っこちている理由はどこなのかというのを調べるということが大事かなというふうに思っているんです。
 成績が落ちていることそのものを責めているのではなくて、その原因を突き止めて上向きにしていくためにはどういうことが必要なのかという発想で成績を見るということが大事かというふうに思っています。
 確かに依頼試験の方はコロナの影響で減少しているんですが、先ほどもあったように、機器利用について見ますと、同じコロナの影響下の下でも、令和二年度に確かに、平成三十年度の三分の二まで落ち込むんです。だけれども、次の年からは増加傾向に転じて、令和四年度には、平成三十年度の水準に近いところまで持ち直しているんです。
 これは何なのかということで、先ほどもご説明がありましたが、機器利用システムの一部ですけれども、機器利用システムの一部に導入して、電話受付時間外でも希望する機器や相談の予約が入るかどうか、こういうことを自動的に判断ができるようになった、このことも一因ではないかというふうに思うんです。
 産技研のホームページを見ると、いろんな事業は全て、まず電話から始まるんです。つまり、産技研がやっている時間に電話ができないと、スタートができないんですよ。その予約の時間も、電話でちゃんと話ができるかどうかも分からないという点では、やっぱりここはもう少し改善の必要があるかというふうに思いますし、電話以外でも、例えばメールだとかオンラインだとか、そういう形でスタートすることができないのか。ぜひ利用者、相談者の利便性向上、この取組を進めていただきたいというふうに思います。
 また、提出いただきました資料の六ページ、区市町村ごとに依頼試験、機器利用の状況が書いてあります。これを見ると、自治体によって利用状況に大きな差がある、こういうことは一目瞭然ではないかというふうに思います。
 確かに、地域の産業特性によって違いがあるということは承知をしているんですけれども、産技研の事業が知られていないこと、また、身近な企業で利用した事業者がいないためにちょっとよく分からない、手が出ない、こういう事業者があるのではないか。また、自治体によっても、アドバイスの強弱というものがあるのではないかというふうに思います。
 引き続き、産技研の事業や具体的な事例、製品化の実績、こうしたものを自治体や、それから商工会、事業者の皆さんが相談に行かれる、そういうところによく紹介をしていただく。この取組はもう既にされているんですけれども、さらに強めていただくようにお願いをしたいと思います。
 もう一点、業務実績評価書の七五ページ、右側に、基礎研究からの成果展開の推移、この数字が載っています。
 支援事業に発達したもの、共同研究に展開したもの、外部資金導入研究へ展開したもの、この三つの数字が載っています。この三つの総数は、二〇一八年度、四十五件から、二〇二二年度は二十二件に減少しているんです。これはコロナの影響などもあると思います。しかし、総数は減少していますが、例えば、先ほども質疑があった外部資金導入研究、この数字は十五件前後と、ほぼ横ばいなんです。
 では、減っているのはどこなのかというふうに見ると、共同研究は、二〇一八年には二十三件あったものが八件へと、三分の一に大きく減っています。これは割合で見ても、それまでは五一%、半数あったものが二七%、三分の一になっているんですね。
 外部資金導入研究というのは、研究資金の獲得や技術開発の要素が大きくて、とても大事な分野だということは十分承知しています。それを伸ばすために、採択向上に向けて、研修や指導やいろんな取組をし、職員の方々も頑張って、積極的に応募を促してきた。そういう中で、実績がずっと確保されている。コロナ禍の下でも頑張っている。このことは大いに評価をしたいと思います。
 ただ、外部資金導入研究というのは、やっぱり公募をするわけですから、経済産業省ですとか経済団体とかそういうところの要望に左右される、そういうものは否めないというふうに思うんです。
 産技研の目的というのは、都内中小企業への技術的な支援を行うことによって都内中小企業の振興を図り、都民生活の向上に寄与することとあります。外部資金導入研究に押されてしまって、中小企業や大学などの発意に基づく試験や研究、共同研究、そういうものがおろそかになるということは絶対にあってはならないというふうに思うんです。
 ですから、外部資金導入研究と同じように、共同研究についても、やはりしっかりと増やしていただけるように要望いたしまして、次の質問に移ります。
 食品産業への支援についてお伺いしたいと思います。
 都市農業の発展やSDGsの観点から、地産地消の推進が求められています。しかし、農家からは、一定量の原材料を安定的に集めること、加工技術、こうした課題があって、都市農産物の加工品というのはなかなか進んでいかない、そういう面もあります。
 そこでお伺いします。都内農産業者から、出荷が集中する時期のお野菜、それからB級品のお野菜、こういうものの加工ができないのかという要望は寄せられているんですが、地産地消を推進していく上でも、産技研がこうした都内農産物の加工品の開発に取り組んでいくことは重要だというふうに思いますが、令和四年度の実績をお伺いいたします。

○山崎商工部長 都内産の農作物を活用した加工品の開発などに向けた技術支援を行いまして、製品化につなげているところでございます。

○清水委員 都内産の農産加工品の開発というのは、フードロスや農業者の所得向上にもつながってまいります。
 都内では、今、新規就農者が年々増えています。昨年度はたしか七十名ぐらいいたと思います。七十件ぐらいが増えたと思います。しかし、東京都内で広い農地を確保するというのは難しいんです。狭い農地の中で取れた野菜だけで販売できるものをいかに増やしていくのか、所得を増やしていくのかというのは新規就農者を支える上でも、とても大事なことだと思います。
 そうした農家にとって、直接販売に回らない農産物を加工用に販売できれば、所得の向上、安定した経営につながります。農家のグループ化なども含めて、これは、産業労働局の他の部門とも協力していただいて、都内農産物の加工品開発の取組をぜひ推進していただくように求めて、次の質問をさせていただきます。
 複線型の人事制度についてお伺いします。
 例えば、様々な職種を持つ自治体の給与制度の中には、保育士の仕事のままでは、昇給は課長職まで、それ以上の部長職に就きたいと思ったら、保育の職場を離れて一般職にならなければいけない、こうした様々なルートを持った、いわゆる複線型の人事昇給制度というものを持っているところもあります。
 今回の産技研の複線型の人事制度は、こうした問題はないのでしょうか。
 先ほどのご説明の中では、複線型の人事制度とは、研究職の管理職の任用によって組織のマネジメントに重点を置いた任用ルートのほか、研究に重点を置いた任用ルートを新設する。つまり、今までは、研究職から一定のところまでいったら、事務の方に移らないといけなかった。事務職の割合が、割合というか、ウエートが高くなってしまったんだけれども、今度は、研究職のまま、研究のマネジメントができる。そういうルートができたんだというふうなご説明だったと思います。
 この研究職のマネジメント、そして事務職のマネジメント、二種類ができるというふうになりますが、この二つの処遇に差はあるのでしょうか。

○山崎商工部長 いずれの任用ルートの管理職につきましても、給料や職責に応じた手当の取扱いは同様でございます。

○清水委員 ありがとうございました。どちらも同じ処遇になるというふうなことは了解をいたしました。
 次に、任期つきの職員についてお伺いします。
 先ほども質疑がありました。産技研では、任期つきの職員の契約期間については、通算五年を超えない範囲を上限として更新が可能、それから、任期つきの職員が任期に定めのない職員、つまり正規職員、それに採用される事例もあって、令和四年度は四人がそういうふうに移りましたというふうなご説明がありました。
 東京都は、計画的な育成計画の策定や退職金制度、結婚育児支援制度など、正規雇用転換後も安心して働き続けられる、そういう労働環境の整備や賃上げを行った中小企業に対して、正規雇用等転換安定化支援事業という助成金を支給しています。こうした非正規職員の正規への転換、こういうものを支援しているということだと思います。
 そういう中で、二〇一八年に、同一の使用者との間で、有期労働契約が更新されて通算五年を超えたときには、労働者の申込みによって期間の定めのない労働契約、無期労働契約に転換できる、こういうルールができて、それを踏まえて、画期的なことなんですけれども、非正規雇用を正規に、こういう運動、要求が高まっています。しかし、実際には、五年を超えない範囲を上限とした契約期間が設けられていて適用を免れている、そういう実態があります。
 実際、産技研でも、任期付職員の契約期間については、通算五年を超えない範囲を上限として更新可能というふうにしています。つまり、自動的には無期雇用にはならない、正規職員にはならないというふうな定めがあると。基本的には、そういうふうにならない仕組みがつくられているわけです。
 労働者が生活できる賃金を得るためには、必要な仕事は正規職員で行う、これを原則にしていく、当たり前にしていく、このことはとても大事だというふうに思います。
 産技研では、任期付職員の正規への転用が行われてはいるということでしたけれども、東京都の政策連携団体ですから、一般の企業を牽引していく、こういう役割も産技研は担っていて、率先した取組が求められているというふうに思います。
 都として、産技研でも、任期付職員の正規職員への転換をさらに積極的に進めていくことを求めていくべきと考えますけれども、いかがでしょうか。

○山崎商工部長 都産技研では、人事制度の適切な運用を行っているというふうに認識をしております。

○清水委員 適切な運用を行っているということでしたけれども、引き続き、必要な職員は正規職員として採用していくこと、任期付職員の正規職員への転換も積極的に進めていただくよう、都からも働きかけていただくことを求めまして、私の質問を終わります。

○西崎委員 私からは、海外展開の支援について伺おうと思っておりましたが、さきの委員からもご質問がありましたので、少し中身を変えて一問だけ伺おうと思います。
 先ほど、部長がご答弁をされておりましたように、海外展開に向けて様々な情報提供であったり技術相談というものをやって、中小企業の支援をした結果、海外展開に寄与した件数、つまりは達成したというか、実際に海外に展開できた件数が年度計画を上回って五十三件ということでございました。
 じゃあ、これ何でなんだろうというところを一点お伺いいたしたいと思っておりまして、つまり、これは中期計画で全部で百二十件なものを、五年で割り返して一年で二十四件という目標になっているかと思いますけれども、今年度、五十三件ということですから大幅に上回っているということで、このあたりの分析というのができているのかなというのをお聞きしたいと思っております。
 つまり、先ほど来、コロナ禍というようなお話もありますので、そういった揺り戻しみたいなものなのか。ただ、これは昨年も目標自体は上回っておりますから、中小企業の概況の変化なのか、意欲の問題なのか、それとも皆様が、産技研の方で取り組まれている様々な支援の何かがはまってヒットしたのか。これだけ、もちろん件数が多い、様々な中小企業の皆様が海外に展開できているということは、これは望ましい、好ましいということはいうまでもありませんけれども、もしかしたら、もっとできるかもしれない、目標設定がもしかしたら少し低かったのかもしれないというようなことも考えられると思います。
 そこで、これだけ目標を大幅に上回って海外展開に寄与したということができている、この要因といいますか、そのあたりについての見解を一問だけお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

○山崎商工部長 都産技研では、中小企業の海外展開の際に必要となる情報の提供や技術課題に対応するための様々な技術相談を行ったことなどにより、より多くの中小企業の海外展開に寄与したものと考えております。

○西崎委員 言葉尻でいうとなかなか難しいんですが、恐らく、その中身の問題だと思うんですよね。
 例えば、セミナーをやられているような話も先ほどありました。じゃあ、そのセミナーの中身をどうするかとか、もちろん技術相談があったら、それにお応えするというのが皆さんのお仕事なので、一律の分析というのは難しいと思いますけれども、まだ、これは中期計画の半ばということなので、その目標自体は、当面この状況が続くとは思いますが、やはりもっともっと、さらに質的、量的な中小企業の皆様への支援というものにつながる可能性があると思いますので、もちろん通常業務で産技研の皆さん、取り組んでいかれていると思いますけれども、さらに、よりその支援の拡充というものを、ここでは求めたいと思います。
 いわゆる海外法規制のトレンド情報発信ということに関しましても、先ほど、ご答弁の中にありましたので、私からは要望だけいって終わりたいと思いますけれども、様々な海外のトレンドで、私が別に熟知しているわけではないので、あくまで推察ですけれども、やはりさっきもSDGsというような話もありましたが、恐らく様々な変化の中にあるんだろうと思っております。
 実は私、二年前の一般質問で、PFASについて取り上げたことがございました。それは今、問題になっている地下水のPFASではなく、化学物質としてのPFAS、これがフォーエバーケミカルと呼ばれているわけですが、欧米で具体的な規制の検討が進んでいるという状況にある中で、今後、日本の中小企業が何か製品を輸出するときに、恐らくそういう規制が、日本では今、ご存じのとおり規制がないわけですから、そうした欧州のトレンドが分かっていないと障壁になってしまうだろうということで、産技研の皆さんの取組が重要であろうというような趣旨でお聞きをしたということがございました。
 さらに、今週の一般質問でも、子供向け製品の安全についてお聞きをしたところでありますけれども、これは国内のルールの話ですが、背景の一つには、やはり海外の規制と日本のルールというのがかなり違うという現状がある。それを海外に少し合わせていこうということで、今、子供向け製品の安全についても取組が進んでいるわけでありますけれども、二〇二二年度中の産技研のご報告にありますように、世界で最も厳しい製品安全規格の一つといわれている欧州玩具安全指令、まさに子供向けの製品に対するものの解説テキストを新たに作成したということがご報告をされているところでございます。
 玩具に限りませんけれども、様々、日本と海外の規制が大きく異なるという中で、こうした取組というのは非常に有意義だと思っております。
 本当に、申し上げたように何がヒットするのかみたいなことというのは、恐らく、ふだんから皆様、注視されていると思いますけれども、ぜひ具体的な、さらなる海外展開に寄与するような皆様の海外の法規制のトレンド情報発信ということに結びつけていただくということを要望いたしまして、すみません、変更させていただきましたが、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

○慶野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○慶野委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で産業労働局関係を終わります。

○慶野委員長 請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日まで決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○慶野委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○慶野委員長 この際、所管四局を代表いたしまして、坂本産業労働局長から発言を求められておりますので、これを許します。

○坂本産業労働局長 本委員会所管四局を代表いたしまして、一言ご挨拶を申し上げます。
 慶野委員長をはじめ委員の皆様方には、本定例会に提案いたしました議案につきまして、ご審議の上、ただいまご決定を賜り、誠にありがとうございました。
 また、報告事項を含め、ご審議の過程で賜りましたご意見やご指摘をしっかりと受け止め、今後の事務事業の執行に十分反映させ、万全を期してまいります。
 今後とも、より一層のご指導、ご鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

○慶野委員長 発言は終わりました。
 この際、私からも一言ご挨拶を申し上げます。
 一年間、経済・港湾委員会の委員長を務めさせていただきました。ありがとうございました。
 あかねがくぼ副委員長、斉藤副委員長、交代はございましたが、川松副委員長、そして鈴木あきまさ副委員長並びに各委員の皆様、理事の皆様には、お支えいただきまして心から感謝申し上げます。
 また、理事者の皆様、所管四局の皆様方にも、真摯にご対応いただきまして、委員会運営を滞りなく終えることができました。重ねて御礼申し上げます。
 また、担当書記の小林さん、小塩さん、定光さんにも、陰で支えていただきました。ありがとうございました。
 至らぬ点が多々あったかと思いますけれども、ご関係の全ての皆様に支えていただいて、当委員会、滞りなく一年間委員長を務めさせていただくことができました。重ねて御礼申し上げます。
 また、今後も引き続き、当委員会が、都民のための議論が展開されますことをご祈念申し上げまして、委員長を一年間務めさせていただいた御礼とさせていただきます。皆様、本当にありがとうございました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時五十九分散会

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