経済・港湾委員会速記録第七号

令和五年六月十六日(金曜日)
第八委員会室
午後一時開議
出席委員 十三名
委員長慶野 信一君
副委員長あかねがくぼかよ子君
副委員長川松真一朗君
理事石島 秀起君
理事西崎つばさ君
理事あぜ上三和子君
清水とし子君
星  大輔君
斉藤やすひろ君
風間ゆたか君
藤井あきら君
本橋ひろたか君
まつば多美子君

欠席委員 なし

出席説明員
産業労働局局長坂本 雅彦君
次長理事兼務松本 明子君
総務部長緑川 武博君
産業企画担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長DX推進担当部長兼務池野 大介君
企画調整担当部長山本麻里雄君
企画調整担当部長飯野 雄資君
働く女性応援担当部長田代 純子君
商工部長山崎 太朗君
商工施策担当部長江村 信彦君
金融部長福田 哲平君
金融支援担当部長原   郁君
産業・エネルギー政策部長阿部 泰之君
産業政策連携促進担当部長米澤 鉄平君
新エネルギー推進担当部長榎園  弘君
観光部長向井 一弘君
観光振興担当部長天津 利男君
農林水産部長築田真由美君
安全安心・地産地消推進担当部長鈴木のり子君
雇用就業部長内田 知子君
事業推進担当部長新田 智哉君
港湾局局長松川 桂子君
技監片寄 光彦君
総務部長上林山 隆君
企画担当部長DX推進担当部長兼務石井  均君
調整担当部長堀内  弘君
港湾経営部長野平雄一郎君
港湾振興担当部長三浦  知君
臨海開発部長松本 達也君
開発調整担当部長島しょ空港技術担当部長兼務福永 太平君
臨海副都心まちづくり推進担当部長大野 克明君
港湾整備部長村田 拓也君
計画調整担当部長山本 康太君
港湾計画担当部長港湾DX推進担当部長兼務水飼 和典君
離島港湾部長佐藤 賢治君
島しょ・小笠原空港整備担当部長渡邊 正也君

本日の会議に付した事件
意見書について
産業労働局関係
契約議案の調査
・第百三十五号議案 東京国際フォーラム(五)改修工事請負契約
・第百三十六号議案 東京国際展示場(五)会議棟及び西展示棟改修工事請負契約
・第百四十四号議案 東京国際展示場(五)会議棟及び西展示棟改修空調設備工事請負契約
・第百四十五号議案 東京国際展示場(五)会議棟及び西展示棟改修電気設備工事請負契約
・第百四十六号議案 東京国際フォーラム(五)改修電気設備工事請負契約
・第百四十七号議案 東京国際フォーラム(五)改修空調設備工事請負契約
・第百四十八号議案 東京国際フォーラム(五)改修給水衛生設備工事請負契約
付託議案の審査(質疑)
・第百十三号議案 令和五年度東京都一般会計補正予算(第三号)中、歳出 産業労働局所管分
報告事項(質疑)
・東京都が東京信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄の報告について
港湾局関係
契約議案の調査
・第百五十五号議案 利島港(五)防波堤(北)ケーソン製作工事請負契約
報告事項(質疑)
・東京港第九次改訂港湾計画(中間報告)について

○慶野委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○慶野委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○慶野委員長 次に、契約議案について申し上げます。
 契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

令和五年六月十四日
東京都議会議長 三宅しげき
(公印省略)
経済・港湾委員長 慶野 信一殿
   契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
     記
1 調査議案
 第百三十五号議案 東京国際フォーラム(五)改修工事請負契約
 第百三十六号議案 東京国際展示場(五)会議棟及び西展示棟改修工事請負契約
 第百四十四号議案 東京国際展示場(五)会議棟及び西展示棟改修空調設備工事請負契約
 第百四十五号議案 東京国際展示場(五)会議棟及び西展示棟改修電気設備工事請負契約
 第百四十六号議案 東京国際フォーラム(五)改修電気設備工事請負契約
 第百四十七号議案 東京国際フォーラム(五)改修空調設備工事請負契約
 第百四十八号議案 東京国際フォーラム(五)改修給水衛生設備工事請負契約
 第百五十五号議案 利島港(五)防波堤(北)ケーソン製作工事請負契約
2 提出期限 令和五年六月十六日(金)

○慶野委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、産業労働局及び港湾局関係の契約議案の調査、産業労働局関係の付託議案の審査並びに産業労働局及び港湾局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより産業労働局関係に入ります。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第百三十五号議案、第百三十六号議案及び第百四十四号議案から第百四十八号議案までを一括して議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○藤井委員 それでは、契約議案、特に東京国際展示場、ビッグサイトの工事についてお伺いをいたします。
 まず最初に、今回のこの東京ビッグサイトにおける大規模改修の必要性についてお伺いさせていただきます。

○山崎商工部長 東京ビッグサイトは、竣工から二十七年以上が経過し、設備等の老朽化が著しい状況にあります。
 このため、大規模設備などの更新を行うとともに、施設の安全性を高める建築工事についても同時期に実施することといたしました。
 今回の大規模改修工事を通じて、主催者や施設来場者にとって、今後も快適で利便性が高く、安心して利用できる施設としてまいります。

○藤井委員 竣工から二十七年が経過して、設備の老朽化も進んでいるということであります。
 私も、ご利用されている事業者様等から、冷房が効かないというようなお話であったりとか、あと、一部オリンピックの前に改修をしたというようなお話も聞いておりまして、多くの都民や、また、都外からも多くの方々がいらっしゃる東京ビッグサイトですので、さらに長く使っていただくためにも今回の大規模改修が必要だということを確認させていただきました。
 そこで、今回のこの東京ビッグサイトの展示棟における改修工事の具体的な内容と、それに伴う主催者への影響についてお伺いさせていただきます。

○山崎商工部長 今回の東京ビッグサイト展示棟における大規模改修工事は、改修電気設備工事、改修空調設備工事、建築に係る改修工事でございます。
 改修電気設備工事では高圧受変電設備や通信設備などの更新、改修空調設備工事では空調機や配管などの更新を行います。また、建築に係る改修工事では、面積が二百平方メートルを超えるなど、大規模なつり天井である特定天井の改修、展示棟内の床や壁などの内装改修などを実施いたします。
 これらの工事は、展示棟で展示会等を開催しながらの施工ができないことから、令和七年一月から六月までの六か月間、西展示棟が休館となります。

○藤井委員 ご答弁の中で、令和七年の一月から六月までの六か月間、西展示棟が休館となるというご答弁をいただきました。
 このビッグサイトの大規模改修につきましては、休館に伴い、主催者に対して大きな影響が生じますので、可能な限り早いタイミングでの周知が必要だと考えます。オリンピックのときも休館をしていまして、そのときは五年前から利用制限に関して複数回、説明会が開催されるなど、密なコミュニケーションを取ったということであります。
 今回の大規模改修に際して、主催者に対してどのように周知したのかお伺いします。

○山崎商工部長 展示棟に係る各年度の予約は、施設利用を希望する当該年度の四月一日の一年半前である十月一日より受付を開始しているところでございます。
 今回の休館は令和六年度から発生するため、当該年度の予約受付開始は令和四年十月一日になります。その約二か月前の令和四年七月末に、東京ビッグサイトのホームページで、主催者に対して、大規模改修工事により施設の一部に休館が発生する旨の周知を行いました。
 あわせて、休館による影響を最小限にするため、開催時期や利用面積等の調整など、きめ細かな対応に取り組んでおります。

○藤井委員 ご答弁ありがとうございます。
 一年半前の昨年の七月末にお伝えしたということをご答弁いただきました。
 東京ビッグサイトは、中小企業等の販路拡大にとって非常に重要な施設でありまして、また、毎年のリピーターとなって利用している事業者や団体も多いものと認識をしております。
 今回は西展示棟の大規模改修の工事の契約議案の調査ですが、今後、東展示棟など、大規模改修も想定されるものと思います。もしそうなりますと、今回の西展示棟、先ほどのご答弁の中でもありましたけれども、令和七年、再来年の一月から六月まで六か月間、西展示棟は休館となって、さらにもし東も改修となると、長期間、ビッグサイトがなかなかフルで活用できないという状況が続くものと思います。
 実際、先ほどご答弁にありました昨年の七月時点に公表したタイミングで、事業者の方からも、西展示棟の大規模改修の公表があるのであれば、東展示棟も今後、改修に入る計画があるんじゃないかと、あるなら教えてほしいという声もいただいているところであります。
 大規模改修を着実にこの期限どおりに進めていただきまして、今後、ほかの棟においても同様の改修等を行う場合には、中小企業や事業者、展示会等の主催者などの状況も踏まえまして、可能な限り早いタイミングで周知を行うなど、丁寧な対応をお願いしたいと思います。
 以上で質疑を終わらせていただきます。

○慶野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○慶野委員長 異議なしと認め、契約議案に対する質疑は終了いたしました。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも異議のない旨、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○慶野委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。

○慶野委員長 次に、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第百十三号議案、令和五年度東京都一般会計補正予算(第三号)中、歳出、産業労働局所管分及び報告事項、東京都が東京信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄の報告についてを一括して議題といたします。
 本案及び本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○星委員 私からは、補正予算について伺ってまいります。
 エネルギー価格の高騰が長引いており、都内の多くの中小企業の経営は大変厳しい状況に置かれています。とりわけ、これまでの国の支援の対象となっていなかった特別高圧の電力やLPガスを使用する中小企業からは、切実な声が寄せられておりました。
 都が、こうした事業者を救うべく、国の臨時交付金を活用して速やかに対応することとした点を評価させていただきたいと思います。
 そこで、まず、支援策の具体的な内容について伺います。

○米澤産業政策連携促進担当部長 都は、特別高圧電力や工業用LPガスを使用する中小企業のコスト負担を軽減するため、国の臨時交付金を活用し、こうした事業者に対する支援金の給付を行ってまいります。
 具体的には、特別高圧電力を電力会社から直接受け入れている製造業などの中小企業に対しまして、一施設当たり五百万円の給付を行います。
 また、特別高圧の電力を受電するオフィスや商業などの大規模施設にテナントとして入居する中小企業に対しまして、一事業所当たり十万円の給付を行います。
 これに加えまして、LPガスを工場での生産などに使用する中小企業に対しまして、一事業所当たり十万円の給付を行います。
 多くの中小企業を幅広く支援するとともに、定額での支給とすることで速やかな給付を行い、中小企業の経営を下支えしてまいります。

○星委員 東京には大規模なオフィス、商業ビルなどが全国で最も多く存在しており、これらの建物に多くの中小企業がテナントとして入居していることが特徴であります。そうした東京の特性を踏まえて事業が組み立てられている点も評価できます。
 そこで、本事業で支援対象となるテナントの数、どれぐらいあるのか伺います。

○米澤産業政策連携促進担当部長 都内で特別高圧電力を受電している事業所にテナントとして入居している中小企業の数につきましては、約七万所と見込んでございます。算定に当たりましては、国のデータやテナントビル等へのヒアリングを踏まえて推計を行ってございます。
 これらの事業所に対し、適切に支援を行ってまいります。

○星委員 ありがとうございます。
 都内で約七万所もの事業者を対象に支援を行うこととなりますと、事業についての周知が極めて重要になります。特に、施設にテナントとして入居している中小企業にとっては、自分が間借りしている建物が特別高圧の契約をしているのか分からないケース、多いのではないかと考えます。
 こうした点も踏まえて、特別高圧電力に対する支援対象となる施設オーナーやテナントの中小企業が漏れなく申請できるよう、丁寧な事業周知が必要と考えますが、見解を伺います。

○米澤産業政策連携促進担当部長 本事業では、テナントとして入居する事業者を含む幅広い中小企業を対象としていることから、きめ細かな情報提供を行うことが重要でございます。特にテナントの場合、入居している建物が特別高圧の受電施設かどうか把握していない場合も想定されます。
 このため、都内で特別高圧電力を販売する小売電気事業者約七十社を通じまして、施設オーナーに協力を要請し、オーナーからテナントへの周知を行うことで、確実な浸透を図ってまいります。
 また、オフィスビルや商業施設などが参加する業界団体等を活用した事業の周知を行うとともに、ウェブサイトやSNSを通じた情報発信も行ってまいります。
 さらに、コールセンターを設置し、支援対象や支援内容などに関する事業者からの問合せにきめ細かく対応してまいります。
 これらの取組を通じまして、支援対象となる中小企業への確実な周知と申請の促進を図ってまいります。

○星委員 せっかく支援策を立ち上げても、活用されなければ意味がありません。
 事業者に情報が確実に伝わるようしっかり事業周知を行って、東京の産業を支える中小企業のエネルギーコストの負担軽減に取り組んでいくことを強く要望させていただいて、質問を終わります。

○本橋委員 私からも、このたびの補正予算に関します特別高圧電力を受電します中小企業などへの支援について、二点だけ質疑させていただきたいと思います。
 六月十三日の私どもの都民ファーストの会東京都議団の代表質問におきまして、村松一希都議から、物価高騰対策の一環といたしまして都が補正予算案として提案されております特別高圧の電力を使用する中小企業への支援について、一刻も早く中小企業に行き渡るようにすることを求めましたところ、小池都知事からは、適正な水準で一定の金額を定めて速やかな給付を進めるといった都のご答弁があったかと思います。
 今回の補正予算に計上されました支援事業では、特別高圧電力だけではなく、工業用LPガスについても、定額での支給となっているところであります。
 そこで、まずはこの金額の設定についてですけれども、どのような考え方で行っているのかをお伺いいたしたいと思います。

○米澤産業政策連携促進担当部長 本事業における給付金額につきましては、特別高圧電力や工業用LPガスの料金上昇による中小企業への経営への影響を軽減できるよう、四月から九月までの六か月分につきまして、適正な水準で一定の金額を定めてございます。
 具体的には、電力会社やガス販売事業者、施設オーナーやテナント等へのヒアリングなどを踏まえまして、中小企業の負担が大きくなり始めた一年前と現在の料金を比較した上で、負担感を減らすことのできる一定の水準で設定してございます。
 これによりまして、中小企業のエネルギーコストの抑制を図り、その経営を後押ししてまいります。

○本橋委員 ただいまいただきましたご答弁から、中小企業の負担を和らげるために、ヒアリングなどを丁寧に行った上で、適切に金額設定が行われていることが理解できたところでございます。
 次なんですけれども、支援を必要としている中小企業に確実にかつ速やかに届けるためには、申請内容の確認をしっかりと行いながらも、審査を効率的に行う仕組みが極めて重要になってくるかと思います。チェックの厳格さを重視し過ぎますと、提出してもらう書類が多くなり、申請手続が煩雑化し、審査にも時間がかかってしまうことになります。
 そこから適正な給付を迅速に行うためには、バランスの取れた対応が必要になってくると思いますけれども、この点についてはどのように取り組むのかをお伺いいたします。

○米澤産業政策連携促進担当部長 支援の対象者に適正かつ迅速な給付を行うためには、支援対象であることを簡単に確認できる仕組みとすることで、申請者の過度な負担を避けることが重要でございます。
 そこで、特別高圧を受電する施設に入居していることの確認につきまして、施設オーナーが所定の様式にチェックする簡易な方法とするとともに、電気やガスの使用量の詳細な実績報告を不要といたします。また、事業者のニーズや状況に応じまして、電子と紙での申請を選択できる利便性の高い仕組みといたします。
 これらによりまして、審査に要する期間の短縮と申請手続の負担軽減の両立を図ってまいります。

○本橋委員 ありがとうございます。
 ただいまいただきましたお話からは、審査を適切に行いながら速やかな給付を実現するために、様々な工夫を行おうとしていることが理解できたところでございます。
 苦しい状況に置かれました中小企業の負担を軽減するため、しっかりと取り組んでいただきますよう強く要望いたしまして、私からの質問を終えます。

○斉藤委員 私の方からは、補正予算に関連しては一問、そして報告事項に関連しまして三問ほど、簡単に質問させていただきます。
 初めに、補正予算案に関連してですが、工業用LPガスを使用する中小企業への支援について伺います。
 エネルギー価格の上昇など、物価の高騰は中小零細企業の経営に深刻な影響を及ぼしておりまして、都議会公明党にも、数多くの方から不安の声が寄せられてきたところでございます。特に、これまで負担軽減の対象となっていなかったLPガスの利用者に対する価格抑制対策につきましては、我が会派が強く求めてきたものでありまして、都が支援に乗り出すことを評価したいと思います。
 都が提案しているこの補正予算案では、環境局で実施する家庭等に対する支援に加えて、当委員会所管の産業労働局では、工業用にLPガスを使用する中小企業への支援を行うこととしているわけであります。
 我が会派は、先日の代表質問でも環境局が行う支援について質問いたしまして、小池知事からは、事業の丁寧な周知を行うなどの答弁があったところであります。
 そこで、工業用のLPガスを使用する事業者に対してはどのような支援を行っていくのか、支援の内容と規模、事業周知の方法について伺いたいと思います。

○米澤産業政策連携促進担当部長 本事業は、都内で工業用にLPガスを使用する中小企業に対し、一事業所当たり十万円を定額で支援するものでございます。
 支援の対象となる事業者数は、販売事業者へのヒアリングなどを参考に、製造業の工場など約一千六百所と見込んでございます。
 都は、これらの事業者が円滑に申請できるようにするため、LPガスに関わる各種団体等を通じまして事業周知を行うとともに、ウェブサイトやSNSを通じた情報発信も行ってまいります。また、コールセンターを設置し、事業者からの問合せに丁寧に対応するとともに、環境局とも連携し、効果的に進めてまいります。
 これらによりまして、対象となる中小企業へ確実に周知を行い、支援につなげてまいります。

○斉藤委員 コールセンターを設置するなど、そういった体制を整えていくということでございますが、これは速やかにそれが周知されますように、また、相談があると思います、ぜひとも丁寧に対応していただきたいと要望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。
 次は、報告事項に上がっております東京都が東京信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄の報告について、簡単に伺いたいと思います。
 コロナの五類感染症への移行によりまして、日常を取り戻す歩みが着実に進んでおりますけれども、中小の事業者の中には、これまでの過剰な債務が負担となりまして、長引く原材料価格の高騰などの影響もあって、事業の継続が困難な企業も少なからず存在しております。
 本委員会に今回報告されておりますこの回収納付金の放棄は、平成二十年の条例制定以降、私も注目をしてまいりましたけれども、都が信用保証協会や再生支援機関などと連携しまして、中小企業の債務圧縮に金融機関と共に協力することで、昨年度までに十八件の事業再生につなげているところであります。
 都の債権を放棄するという慎重さを求められる支援でありますけれども、都が条例により回収納付金の受け取る権利を放棄することで、中小企業の再生にどのような効果をもたらしているのか、改めて確認をしたいと思います。

○福田金融部長 中小企業の事業再生を図る上では、多数の債権者との調整を踏まえ、会社の抱える債務を減らすなど、効果の高い対応を行うことが必要でございます。
 そのため都は、公的な再生支援機関等による再生計画について、東京都が東京信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄に関する条例に基づき、債権放棄を迅速に行うことで、中小企業の債務負担を軽減し、再生を促進しております。また、その際には、都として企業再生に関する知見を有する弁護士等の専門家から、計画の妥当性等について意見を聴取し、厳正に対応しております。
 これまで支援してきた中小企業のいずれも事業を継続しており、事業者の再生や雇用の確保を図られているほか、地域経済の発展に寄与しているところでございます。

○斉藤委員 本条例を活用することで、スピードが求められる中小企業の再生に機を逃すことなく対応できていることが分かりました。
 国においては、将来性のある事業を行っていながらも財政面で課題のある中小企業の再生を加速させるため、各都道府県に再生支援機関を設置しております。今般、経営改善の仕組みを強化するなどの制度改正を行い、中小企業活性化協議会という新しい名称となっているわけです。今回報告されている事案は、この協議会が関与した案件と伺っております。
 経営の再建を図るために、再生計画の内容をよく精査して、状況に応じて債権放棄を行うことも、これは必要であり、国の再生支援の仕組みを活用することが有効であると考えるわけであります。
 事業再生を進める上で、東京都と制度融資の保証を行う保証協会、そして国の協議会とが、緊密に連携することが必要と考えますが、見解を伺います。

○福田金融部長 都では、中小企業の円滑な事業再生を進めるため、企業の財務内容の改善などの支援や、中立な立場で債権者との金融調整を行う公的な支援機関である中小企業活性化協議会との連携を図っております。
 具体的には、都や信用保証協会の支援策に加え、協議会の支援事業を中小企業に紹介し、事業の利用を進めております。また、活性化協議会において、金融機関による債権放棄が必要となった場合には、都や信用保証協会が的確に権利の放棄ができるよう、再生計画の状況やその後の再生状況について、情報を速やかに共有しております。
 こうした連携を強化することで、将来性のある中小企業の再生を促進してまいります。

○斉藤委員 的確に債権放棄ができるように、その計画の内容とか状況とか、しっかりとこれを見ていくことが重要であります。
 本来ならば、こういったことにならないように、日頃から、企業の経営というものは常に健康診断をしっかりしていかなきゃならないのが基本ではございますが、やはり都と信用保証協会、活性化協議会がしっかりとスクラムを組むことで、必要な支援を、迅速に必要な者について届けていただきたいと思うわけであります。
 債権放棄による事業再生については、今取り上げて、最後の質問ではございましたけれども、本来であれば今申し上げましたように、BCP、事業継続も含めまして、そういう——突然災害なんかも起こって、熊本の大震災の直後も、熊本県で大変にこの債権放棄が話題になりました。東京都は厳しいんじゃないかなんて話があったんですけど、そうではなくて、しっかり中身を精査しないと、都民の税金、東京都民に対する説明責任もあるわけですので、いたずらにモラルハザードを起こさないようにしっかりしていくことも重要ですが、早期の経営改善を図る意味でも重要な施策だと思います。
 都には、中小の事業者を支える金融や経営面での様々な支援がたくさん走っております。これらの支援策の充実はもとより、経営の安定化や事業の再構築、業績の回復といった中小企業が置かれている様々な状況に応じまして、今回のこういった債権放棄の手法も含めまして、分かりやすく情報を届けるなど、今後もきめ細かいサポートを行うよう要望して、質問を終わりたいと思います。

○清水委員 質問は幾つか予定をしておりましたけれども、これまでの質疑でかなり重なる部分がありましたので、その部分は割愛をさせていただいて、追加で一点お聞きしたいと思います。
 これまで、コロナの支援制度、物価高騰の支援制度を様々講じておりますけれども、そういう中で、せっかく制度はできていたのに、そうした支援金の制度があることを知らなかった、もしくは締切りを過ぎてしまったということで申請できなかった、給付を受けることができなかった、こういう声は度々聞かれています。
 先ほどのご説明で、業界団体やSNSを通じて周知をする、コールセンターを設置する、こうして確実に支援が行き届くように努めるというふうな答弁がありました。
 それに加えて、商工会、それから自治体、さらにはもっと広い人たちが触れるデジタルサイネージや電車のトレインチャンネルなど、様々な媒体を通じて制度を幅広く周知をすること。もう一つ大事なのは、想定七万か所、テナント、ここを漏れなく周知していく、申請をしていただくのはとても大変なことだと思います。
 ただ、それでも想定七万か所というのは分かっているわけですから、申請数が七万か所に比べてかなり少ない、こういう場合には、早い時期に再度の周知を出して申請漏れがないようにすることが必要だというふうに考えますが、いかがでしょうか。

○米澤産業政策連携促進担当部長 本事業では、テナントとして入居する幅広い事業者を対象としていることから、きめ細かな情報提供を行うことが重要でございます。
 このため、ウェブサイトやSNSを通じた情報発信に加え、コールセンターによるきめ細かな案内も実施していくところでございます。
 加えまして、テナントを含む事業者が対象ということでございますので、テナントを実際に抱えるオフィスビルや商業施設などが参加する業界団体等を活用した事業の周知を行うこととしているところでございます。

○清水委員 先ほどもそういう答弁があったわけですが、そういうふうにしてもなおかつ、これまでも、そういうふうな周知をしていても漏れがあったわけですね。なので、なるべく広くお知らせをするという努力をするということが大事だと思いますので、商工会、自治体、電車のトレインチャンネルやデジタルサイネージ、こうしたものもぜひ検討に入れていただくということと、もう一つは、やっぱり対象の事業所の数、箇所数に対して申請が少ない場合には、再度、もう一つ手だてを取るということを改めて求めておきたいと思います。
 今回、特別高圧電力、工業用LPガスを使用している事業者、電力料金の上昇に直面して経営に影響が生じている、こういうことで、今回の補正予算で対策が取られました。こうした事業所に対して支援を行うということは大変重要ですし、申請についても、今回は簡易な形で迅速に支給できる、そういうことをしているところは評価をするものです。
 ただし、同じように電気料金の上昇に直面し、もしくは物価高騰に直面して経営に影響が生じている事業者というのは、これだけではありません。
 例えば、畜産農家は、住宅地に囲まれた厳しい環境の中で、何とか経営を存続させようと、これまでにも、臭い対策をはじめとして、ほかの県の畜産農家とは違う手間と経費をかけた努力を重ねています。そういう厳しい状況の中に、さらに加えて飼料代や電気代が数倍に跳ね上がって、まさに存続の危機に直面しています。
 東京の畜産農業というのはこれだけ厳しい環境にありますから、一度失われてしまったら、次の人がやるということはほとんど考えられないと思うんです。まさに絶滅の危機だというふうに思う。どうしてもやっぱり継続させなければいけない。してもらわなければいけない。そのための支援というのは思い切ってやらなければならないというふうに思います。
 今回の財源となっている国の交付金の事業者支援メニューの中には、こうした畜産農家の飼料代をはじめ、商店街の街路灯の電気代、中小企業の賃上げ環境の整備、地域観光事業者への支援など、幅広い分野にわたってのメニューが挙げられています。それだけ長期化する物価高騰の影響は幅広い分野に深刻な影響を与えていて、緊急の支援が必要であるということだというふうに思います。
 しかし、今回の補正予算案は、国の交付金の金額の範囲内としたために、極めて限定的なものになっています。
 都は、当初予算で支援策を計上している、こういいますが、しかし、畜産農家が一番困っている配合飼料に対する支援も、商店街の街灯への支援もありません。現在の支援策は、物価高騰に直面している事業者の実態に見合ったものとはとてもいえないと思います。
 都として、電気料金等の上昇に直面し、また、物価高騰に直面し、経営への影響が生じている幅広い事業者に対して、緊急に支援を行うことを強く求めて、私の質問を終わります。

○風間委員 私からは、東京都が東京信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄の報告について、幾つかお伺いをいたします。
 先ほど斉藤委員からも質問がありましたけれども、今回、この報告は二件ということであります。この権利の放棄というのは過去で先ほど十八件というようなお話ありましたけれども、例えばここ数年、コロナの影響もあって中小企業の倒産等も今後ますます増えてくるだろうといわれている中で、件数が気になるところなんですけれども、過去五年では何件あるんでしょうか。

○福田金融部長 東京都が東京信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄に関する条例に基づき、都が平成三十年度から令和四年度までに放棄した権利の件数は、六件でございます。

○風間委員 この権利の放棄が定められた条例のそもそもの目的は、中小企業者等の事業の再生の促進を図ることということで、先ほどの斉藤委員からの質問でも再生がなされてきているというような状況ですけど、過去のその五年で放棄した事例で、実際に当該事業者が再生を本当にしているのかどうかということについては、東京都の認識はどのような状況でしょうか。

○福田金融部長 東京都が東京信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄に関する条例に基づき、過去五年間で債権放棄した中小企業については、現在も事業を継続しております。

○風間委員 東京都として確認をしているということでありますけれども、公金の債権の放棄、権利の放棄をしている、こういうことで、当然こういった事業者の状況というのは東京都としても状況を確認しているとは思いますけれども、具体的にどのようにしてこの状況を確認しているのかということを教えてください。

○福田金融部長 都は、信用保証協会等と連携し、その後の再生状況について情報を共有しております。

○風間委員 今後、コロナの影響で企業の倒産等もますます厳しくなってくるというようなことがいわれているような状況下で、再生をしていくという一つの手段は非常に有効な手段と、先ほどお話あったことは私も同様に考えているところであります。
 とはいえ、本当に再生しているのか、また、権利を放棄する当初の目的を果たしているのかということについては、しっかりと東京都として状況を確認をし続けるということ、そしてまた、議会に報告をしていくということを求めまして、私の質問を終わります。

○慶野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○慶野委員長 異議なしと認め、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で産業労働局関係を終わります。

○慶野委員長 これより港湾局関係に入ります。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第百五十五号議案を議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○慶野委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○慶野委員長 異議なしと認め、契約議案に対する質疑は終了いたしました。
 お諮りいたします。
 本案は、異議のない旨、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○慶野委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。

○慶野委員長 次に、報告事項、東京港第九次改訂港湾計画(中間報告)についてに対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○石島委員 それでは、東京港第九次改訂港湾計画についてお伺いをします。
 東京港は、コンテナ貨物量が二十五年連続で日本一となるなど我が国を代表するメインポートであり、首都圏ひいては我が国の経済を支える極めて重要な物流拠点であります。
 一方、世界の海運市場においては、グローバリゼーションの進展に伴ってコンテナ貨物量が増加し続けている中、より安く効率的に輸送するため航路サービスの集約化や寄港地の絞り込みが進みつつあり、世界の港間における競争が厳しさを増しています。
 このため、東京港が選ばれる港であり続けるには、港湾機能を向上させ、荷主や船会社にとって利便性の高い港とすることが必要不可欠であり、我が会派もさきの代表質問において、今年度中に策定を予定している第九次改訂港湾計画で長期的な取組を示し、将来を見据えた東京港の機能強化を積極的に進めていくべきことを指摘させていただきました。
 本日は、今回報告のあった第九次改訂港湾計画中間報告の内容について、より具体的に確認をさせていただきます。
 まず初めに、将来のコンテナの貨物量についてであります。
 今回の中間報告では、令和十年代後半におけるコンテナ貨物量を、昨年の実績の約一・三倍に当たる年間六百五十万TEUと推計しています。
 東京港のコンテナ貨物量は、コロナ禍にあっても大きくは落ち込まず、既にコロナ禍前の水準に戻っていると聞いており、利用ニーズの堅調さを考えると、今後も増加すると推測するのが妥当であると考えますが、一方で、今後の人口減少などもしっかりと考慮する必要があります。
 そこで、今回の港湾計画に示されている将来のコンテナ貨物量は、どのような考え方に基づき推計したのか伺います。

○水飼港湾計画担当部長港湾DX推進担当部長兼務 第九次改訂港湾計画におけるコンテナ貨物量については、東京港で扱われる八十二の品目について、輸出、輸入別に、過去の実績値と、所得や国内外のGDPなどの社会経済指標との相関性を確認した上で、おおむね十年後の貨物量を推計しております。
 首都圏の人口については、五%程度減少するとされているものの、東京港の貨物量と相関性の高い首都圏のGDPなどは、内閣府の報告を踏まえ今後も当面増加すると見込まれることから、貨物量は引き続き増加していくと推計しております。
 加えて、RCEPなど世界各国との経済連携協定の発効等により、今後さらに貿易が促進されると見込まれており、これらから東京港の外内貿コンテナ貨物量は、昨年の約五百万TEUに対し、令和十年代後半では約六百五十万TEUに増加すると推計したところでございます。

○石島委員 東京港で取り扱われているコンテナ貨物の具体的な中身である八十二品目について個別に検討するとともに、今後の経済成長や自由貿易の進展などを踏まえて推計したとのことでした。
 人口減少などを考慮してもなお東京港のコンテナ貨物量は増加するとの予測であり、こうした状況に適切に対応していくためには、港湾施設の整備には長期間を要することを考えますと、計画的に施設整備を進めていくことが必要です。
 そこで、現在の東京港のコンテナふ頭の施設能力はどの程度なのか確認させていただきます。

○水飼港湾計画担当部長港湾DX推進担当部長兼務 これまでも都は、東京港のコンテナ貨物量の増加に対応するため、中央防波堤外側コンテナふ頭Y1及びY2の整備を進めるなど、港湾機能の強化に積極的に取り組んでまいりましたが、いまだ標準的な貨物を処理する施設能力を大幅に超える量のコンテナ貨物を取り扱っている状況でございます。
 具体的には、現在の施設能力は約四百万TEUであり、昨年一年間の取扱量、約五百万TEUと比較すると、約百万TEU程度不足しております。

○石島委員 新規ふ頭の整備などを進めてきたが、現在でも施設能力が不足しているとのことでした。
 今後も引き続きコンテナ貨物量が増加していく見通しであることに加え、以前から指摘されていますが、コンテナ船の大型化が進展していることも踏まえますと、繰り返しになりますが、港湾機能の抜本的な強化を積極的に進める必要があります。
 東京港が首都圏ひいては我が国を支える一大物流拠点としての役割を今後も果たしていくためには、コンテナふ頭の施設能力を大幅に拡大させるべきですが、今回の第九次改訂港湾計画ではどのように取り組んでいくこととしているのか、改めてお伺いします。

○水飼港湾計画担当部長港湾DX推進担当部長兼務 都は、現行の第八次改訂港湾計画に基づき、中央防波堤外側地区において、年間約四十五万TEUの貨物処理能力を有し、大型船にも対応できる水深十六メートルの岸壁を備えたコンテナふ頭Y3の整備を進めておりますが、第九次改訂港湾計画においても引き続き計画として位置づけ、国と連携しながら着実に事業を推進してまいります。
 さらに、今回の改訂計画では、新海面処分場コンテナふ頭の整備計画を大幅に拡充し、既に計画化しているZ1に加え、同じく水深十六メートル以上の岸壁を備えたZ0、Z2の二つのコンテナふ頭の整備を新たに計画化することといたしました。
 中央防波堤外側ふ頭と新海面処分場コンテナふ頭の施設能力は合計で約二百万TEUを予定しており、現在主力のコンテナふ頭である大井ふ頭に匹敵する国内最大級のコンテナターミナルが形成されることとなります。
 第九次改訂港湾計画では、既存コンテナふ頭の再編整備も引き続き進めることとしており、これらの取組によって、将来の貨物需要と船舶の大型化に適切に対応できる施設能力を確保してまいります。

○石島委員 我が会派では、昨年の第三回定例会におきまして、東京港の抜本的な機能強化のためには国内最大級のふ頭を新たに整備することが必要であるということを指摘させていただきました。
 今回の第九次改訂港湾計画では、大型船が寄港できるZ0とZ2の二つのコンテナふ頭を新たに計画化し、大井ふ頭に匹敵する施設能力を確保するとのことであり、これは評価させていただきたいと思います。
 また、先日の我が会派の代表質問にあったとおり、Z0とZ2を整備することで、隣接する中央防波堤外側地区から新海面処分場地区にかけて、国内では類を見ない延長約千七百メートル、水深十六メートル以上の岸壁が整備されると聞きました。
 まさしく今回の第九次改訂計画の目玉というべき取組でありますが、このような高規格のコンテナふ頭を整備することで、船会社や荷主にとっての利便性は具体的にどのように向上するのかお伺いします。

○水飼港湾計画担当部長港湾DX推進担当部長兼務 一般的に船会社は、複数の国の港を結ぶコンテナ船の運航スケジュールを守るため、ふ頭に円滑に接岸し、貨物の積卸し作業を短時間で終わらせて出港することを重視する傾向にございます。
 この点において、今回計画化した中央防波堤外側地区から新海面処分場地区にかけてのコンテナふ頭は、延長約千七百メートル、水深十六メートルから十六・五メートルの大水深バースであり、複数の大型船が同時に接岸することが可能となります。
 例えば、ある大型コンテナ船の入出港が予定より遅れてしまった場合においても、同じふ頭に後から接岸予定の大型コンテナ船が待たされることなく円滑に接岸することが可能となるなど、コンテナ船の運航スケジュールの維持に、より寄与することができます。
 また、中央防波堤外側地区及び新海面処分場地区のコンテナふ頭では、大量の貨物に対応できるよう、東京港では最大となる奥行き五百メートルのコンテナヤードを整備する予定でございます。
 これにより、荷役作業を効率化することができるため、コンテナ船は貨物の積卸し作業をより短時間で終えて出港できるようになるとともに、荷主にとってもコンテナターミナルで貨物の受渡しに要する時間を短縮させることが可能となります。

○石島委員 今回新たに打ち出したふ頭は、船会社や荷主のニーズに的確に応えた、より使いやすい施設であることは理解しました。こうしたニーズに応えることが、より多くの利用者に選ばれ、ひいては多様な航路ネットワークを維持拡大することにつながります。そして、多様な航路があることで利便性が高まり、さらに利用者が増えるという好循環が生まれます。
 都は、ユーザー目線に立ちながら、引き続き、外貿コンテナふ頭の機能強化に積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 続いて、東京港のもう一つの重要な役割である国内海上輸送拠点としての機能強化についても確認させていただきます。
 先日の代表質問におきましても答弁がありましたが、今回の第九次改訂港湾計画では、国内航路の大型船が複数係留できる新たなふ頭を中央防波堤内側地区に整備することが打ち出されました。
 今後、東京港の国内航路の貨物である内貿貨物量が増加し、それに従って船舶の大型化も進むと予想されることから、こうした対応が必要であるとのことでしたが、東京港における内貿貨物量が今後増加する主な要因についてお伺いします。

○水飼港湾計画担当部長港湾DX推進担当部長兼務 首都圏の生活と産業を支えている東京港は、多くの国内航路が集積する重要な海上輸送拠点でありますが、特に近年は、電子商取引の増大等により海上輸送の需要が高まりつつあります。
 また、トラックドライバーへの時間外労働の上限規制の適用や、環境負荷低減の動きなどを背景として、陸上輸送から海上輸送へ切り替えるモーダルシフトが進んでおり、今後もさらに進展すると見込まれております。
 これらの要因から、コンテナやパレットなどの形で輸送されるいわゆる内貿ユニット貨物の取扱量が増加する見込みであり、第九次改訂港湾計画では、令和十年代後半における貨物量を、現在より約二割増となる千三百六十万トンと推計しております。
 こうした船舶輸送ニーズの高まりを受けまして、近年、船会社は船舶の大型化を進めてきており、それに対応できる水深を持つ岸壁や、十分な荷さばきスペースが必要となっております。

○石島委員 ネット販売などの電子商取引の拡大や、モーダルシフトの進展などが、東京港の内貿貨物量が増加する主な原因であり、貨物量の増加に合わせて貨物船の大型化も進んでいるとのことですが、東京港は重要な国際貿易港であると同時に、国内海上物流においても日本経済を支える役割を果たしていることから、内貿ふ頭についても、今後予測される取扱貨物量の増加とそれに伴う船舶の大型化に十分に対応できるふ頭の整備を進めていくべきですが、今後の具体的な取組についてお伺いします。

○水飼港湾計画担当部長港湾DX推進担当部長兼務 国内海上輸送の一大拠点でもある東京港が、その役割を今後も適切に果たし続けていくためには、貨物量の増加や船舶の大型化を見据え、積極的に港湾機能の強化を進めていく必要がございます。
 このため都は、第九次改訂港湾計画において、内貿ユニット貨物を取り扱うふ頭の機能を拡充することといたしました。
 具体的には、中央防波堤内側地区に新たなふ頭としてX6、X7バースを計画化するとともに、既存ふ頭のX4、X5バースについても岸壁の長さを延伸することといたしました。岸壁の長さは、いずれも二バース合わせて五百メートルとしており、長さ百九十メートル級の大型船が二隻同時に接岸することが可能となります。
 今後、都は、計画に基づいて着実に整備を推進し、東京港の内貿ふ頭の機能を大幅に強化してまいります。

○石島委員 新たな内貿ふ頭の整備を計画化することは久しぶりではないかと思いますが、関係者との調整を緊密に行いながら、着実に整備を進めていっていただきたいと思います。
 東京港は、国内外の様々な港と充実した航路で結ばれた、まさに日本経済を支える国際貿易港です。この重要な役割を今後もしっかりと担っていくためには、冒頭でも申し上げましたが、東京港を、荷主や船会社にとって利便性の高い、使いやすい港としていくことが必要不可欠であります。
 この点において、今回の第九次改訂港湾計画では、今後の貨物量の増加や貨物船の大型化、国内でのモーダルシフトの進展など、東京港を取り巻く様々な情勢変化に的確に対応し、利用者のニーズにしっかりと応えることができる取組が示されていると考えます。
 都は、新たな計画に掲げたふ頭整備等を着実に進めることで、東京港をさらに使いやすい港へと進化させ、世界から選ばれる港にしていただくことを要望して、質問を終わります。

○あかねがくぼ委員 私からも、第九次改訂港湾計画について伺ってまいります。
 まず、物流に関しまして伺います。
 東京港第九次改訂港湾計画中間報告では、AI等の最先端技術の積極的な活用や荷役機械の遠隔操作化、コンテナターミナルの一体利用による限られたヤードスペースの最適化について取り組むとしています。
 これらの取組により、どのような効果や変化が期待をされるのか伺いたいと思います。
 まず一つ目は、AI等の最先端技術の活用についてですが、コンテナターミナルにおいて、AIをどのように活用し、そしてどういった効果を期待しているのか伺います。

○野平港湾経営部長 大量の貨物を取り扱う東京港のコンテナターミナルにおいて、効率的に荷役作業を行うには、コンテナ船の着岸スケジュールやトラックの来場するタイミングなど、様々な要素を考慮することが必要でございますから、ターミナルのオペレーションにAI等の最先端技術を活用することは有効であると認識しております。
 例えば、東京港におきましては、通常、三段から五段に積まれた状態でコンテナを保管しておりますが、トラックが一番下の段にあるコンテナを引取りに来た場合、ターミナル運営事業者は、その上にあるコンテナを全て別の場所に移動させる必要がございます。
 その際、AI等を活用いたしましてトラックのコンテナの引渡しのタイミングを予測することができれば、あらかじめ引渡しが早いコンテナを上段に積むことで、コンテナの引渡しに要する時間を削減することが可能になると見込まれております。
 都といたしましては、今後のAIシステムの開発動向を注視しつつ、港湾物流の関係事業者と連携しながら、最先端技術の活用によりコンテナターミナルのオペレーションのさらなる効率化を目指してまいります。

○あかねがくぼ委員 確かに、一番下の荷物を何段も積まれている状態で取り出すのと一番上から取り出すというのは全くもって大変さが違うというのは簡単に想像できることでありまして、こういうことがAIによって実現できる、そういうことが期待できるということでありますので、しっかりと推進をしていただきたいと思います。
 次に、荷役機械の遠隔操作化についてです。
 先日、我が会派の代表質問の答弁におきまして、遠隔操作可能な荷役機械が労働環境の改善などにもつながっていく、こういったご答弁をいただきました。
 そこで、荷役機械の遠隔操作化によって、業務に携わる方の労働環境は具体的にどのように改善をされていくのか伺います。

○野平港湾経営部長 コンテナターミナルにおきましては、ターミナル運営事業者が、大型の荷役機械を使用し、来場するトラックにコンテナの引渡し等を行っております。
 これらの荷役機械は、狭小な運転席で作業員が直接操作しているため、暑さや寒さなど気候の影響を受けやすいとともに、トイレ等に行くための休息も取りづらい状況となっております。
 このため、近年、海外の主要港では、ターミナルの管理棟などから遠隔操作することが可能な荷役機械が導入され、屋内の快適な環境下で操作できるようになるなど、労働環境の改善に資する様々な効果が見られております。
 一方で、こうした最先端の荷役機械は、通常の荷役機械と比べて約二倍から三倍の導入コストがかかることや、導入しようとする民間事業者において労使の合意形成を図る必要があるなど、その導入に向けては様々な課題もございます。
 都としては、荷役機械の遠隔操作化を進めようとする民間事業者と十分連携して、その取組を後押しすることなどにより、港で働く方々の環境改善に取り組んでまいります。

○あかねがくぼ委員 ありがとうございます。
 もう既に海外の主要港でやっている、使っているといったものです。ぜひとも東京におきましても導入をいただきたい。
 コストの面で今までと比べますと二倍、三倍とかかってくるということではありますけれども、明らかにこれは労働環境もよくなりますし、人手不足の問題にも寄与するところかと思いますので、推進をしていただくようお願いを申し上げまして、次に行きます。
 コンテナターミナルの一体利用についてです。
 狭隘な東京港におきまして、大量のコンテナを効率的に処理をしていく、そのために限られたヤードスペース、これをいかに有効に活用していくのか、これが鍵となっています。
 今回の中間報告におきましては、コンテナターミナルの一体利用によって限られたヤードスペースの最適化、これを挙げています。これによって具体的にはどのようなことが実現をしていくのか伺っていきます。

○野平港湾経営部長 現在、東京港においては、コンテナふ頭ごとに、複数のコンテナターミナルが整備されておりまして、例えば、大井コンテナふ頭では四つのコンテナターミナルがございますが、それぞれ個別に運営されております。
 ターミナルごとに利用する船会社が異なることから、岸壁やヤードなどの施設は、季節や曜日、時間帯によって、ターミナル間で混雑の度合いに差が生じている状況でございます。
 このため、隣接するコンテナターミナルを一体的に利用することで、例えば、混雑している岸壁に着岸予定の船を隣接する空いている岸壁に着岸させるなど、ふ頭の施設を有効活用することができ、全体の処理能力を向上することが期待できると考えております。

○あかねがくぼ委員 隣接するコンテナターミナル、これを一体的に利用できるようにするということによって、非常に効率がよくなる、これは当然そうなるわけでして、進めていただきたいところではありますけれども、商習慣など、今現在の中のルール、なかなかそれを変えるのは難しいという課題はあるかと思います。ぜひとも取り組んでいただきたいと思います。
 以上三点の取組につきましては、東京港の機能強化の中で、ハード整備とともに、先端技術などを活用したソフトの面の対策、こちらも非常に大事でございますので、世界から選ばれる東京港の実現のために、ハード、そしてソフト、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 続きまして、防災、維持管理の面から伺ってまいります。
 第九次改訂港湾計画中間報告では、大規模地震や台風、高潮等の災害時にも物流機能を確実に維持する強靱な港を実現させるために、耐震性の高い港湾施設を整備するとともに電源設備等の浸水対策に取り組む、また、背後圏への陸上輸送維持のために、臨港道路等やふ頭敷地における無電柱化に取り組むとされています。
 大規模災害の発生時に、倒壊した電柱が道路等を塞いでしまいますと、港から緊急物資等を輸送できなくなることから、こうした事態を防ぐために無電柱化の取組を着実に推進していくべきと考えます。
 無電柱化の対象となる範囲と現在の取組状況について伺います。

○村田港湾整備部長 東京港では、令和三年六月に改定いたしました東京港無電柱化整備計画におきまして、無電柱化の整備対象を東京港内の全ての臨港道路及びふ頭敷地等としております。
 このうち、防災上重要な緊急輸送道路における整備対象約四十四キロメートルを優先的に整備していくこととし、二〇三五年度までに完了させることを目指しております。令和四年度末時点で、約二十五キロメートルの電線共同溝等の整備を完了させました。
 また、それ以外の臨港道路等につきましては、二〇四〇年度までに、整備対象の約四十二キロメートルを完了させることを目指しており、これまでに臨海副都心及び東京二〇二〇大会競技会場周辺の道路におきまして、約十七キロメートルの整備を完了させております。

○あかねがくぼ委員 ありがとうございます。
 緊急輸送道路につきまして、半分以上は完了ということで、二〇三五年までに全体を完了していくということで、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 次に、環境の面です。
 東京の内陸部では、廃棄物の最終処分場の確保が困難であります。そのため、循環利用ができない廃棄物等を適正に処分をする海面処分用地を今後二百四十五ヘクタール確保するとされています。
 新海面処分場の整備につきまして、これまでの整備状況とこれに係る事業費等について伺います。

○村田港湾整備部長 新海面処分場は、都内二十三区で発生する一般廃棄物やしゅんせつ土などの受入れを行っており、東京港内で確保することができる最後の処分場でございます。
 整備につきましては、AブロックからGブロックまでの計七ブロックに分けて進めており、平成八年度にAブロックに着手して以降、これまでA、B、C、Gの計四ブロックを完了させ、現在はDブロックの整備を進めているところでございます。
 これまでに着手した五ブロックは、合計で約三百ヘクタールであり、これに係る事業費は計約三千二百億円でございます。

○あかねがくぼ委員 今まで着手した五ブロックについて、三百ヘクタールで、事業費三千二百億円ということでございます。おおむね、今後、確保していくところと近い値になってくるかなと思います。
 この新海面処分場、これはもう最後の場所だと、これ以上増やせないということで、東京港内に新たな埋立処分場を確保するということは困難な状況です。そのため、現在の埋立処分場、これをできるだけ長期間にわたって使っていくという必要があるわけでございます。
 環境省が発表しました令和三年度における最終処分場、この残余年数、これは全国を統計しておりますけれども、全国平均では約二十三・五年とされております。新海面処分場を長期間利用していくという、そのためにどのような延命化策を講じているのでしょうか。また、残余年数についてはどのぐらいなのか伺います。

○村田港湾整備部長 新海面処分場は、東京港最後の最終処分場であることから、延命化策を講じることで、できる限り長期にわたり使用できるようにすることが必要でございます。
 このため都は、新海面処分場内の海底面を掘り下げる深掘り工事や、これまで埋立てを行った地盤等を圧縮、沈下させる沈下促進工事を実施し、受入れ容量の増大を図っております。また、既に受け入れたしゅんせつ土を掘り返し、脱水、改良を行って土木材料として有効活用する取組も実施することで、さらなる容量の拡大に努めております。
 残余期間につきましては、今後の経済状況や新技術の進展など、将来における処分量が捉えにくいため、正確な推計は困難でございますが、現在の処分量から類推すると五十年以上は使用できるものと見込んでおります。

○あかねがくぼ委員 全国平均に比べれば倍以上、五十年以上使用できるということではありますけれども、当然これはもう最後ですし、子供世代になってしまうと、このペースでやっていくと足りなくなることは明らかですので、延命化が必要であります。
 処分量、こういったものを今後、劇的に減らす、こういったイノベーションが必要であるということは、共通の課題だと思います。これは港湾ではなくて環境局さんの範疇になるかと思いますけれども、こういった問題意識を持って取り組んでいただきたいなと思います。
 次に、観光、水辺のまちづくりについて伺います。
 水辺のさらなる魅力向上に向けまして、様々取組を、計画をしていただいております。
 東京港の水辺は観光資源として非常にポテンシャルが、まだ伸び代が非常に高いと思います。さらなるにぎわい、こういったものを創出していくために、水辺空間を生かした整備を一層進めていくべきと考えます。
 特に、にぎわい創出や水辺のレクリエーションを安全に楽しめる環境づくりを進めていくためには、民間事業者との連携、こういったことが重要であると考えますが、今後の取組について伺います。

○松本臨海開発部長 臨海副都心におきましては、水辺を生かした魅力的な空間を創出するため、進出事業者に対し、憩いの場となるオープンスペースを設置するよう誘導するとともに、事業者との連携により大規模なイベントを実施するなど、にぎわいの創出にも取り組んでまいりました。
 また、民間事業者の創意工夫を取り入れる取組といたしまして、海上公園施設の整備、運営では初めてとなる官民連携事業を晴海ふ頭公園において昨年度から導入しております。この事業によりまして、民間事業者がコワーキングスペースを併設するカフェを設置いたしまして、来園者や地域の方々のくつろぎや交流の場として親しまれております。
 こうした取組を踏まえまして、水辺のさらなる魅力向上やレクリエーションを楽しめる環境を拡充していくため、現在整備を進めております有明親水海浜公園においても、官民連携事業を導入してまいります。
 今後とも民間事業者との連携を一層図り、豊かな水辺空間を生かしたにぎわいの創出や魅力の向上に取り組んでまいります。

○あかねがくぼ委員 民間事業者との連携をしっかりと進めていただいているということが分かりました。
 次に、まちの魅力向上やさらなるにぎわい創出、そのためのデジタルテクノロジー、これを一層活用していくことも重要であります。特に臨海副都心は、スマート東京先行実施エリアでありまして、自動運転技術を活用した取組、これを一層加速させていくべきと考えますが、今後の取組を伺います。

○松本臨海開発部長 臨海副都心におきましては、最先端のデジタルテクノロジーの活用によりエリア全体の回遊性の向上とにぎわいを創出することを目指しまして、自動運転車両の実装に向けた取組を進めております。
 令和三年度からはシンボルプロムナード公園内において、令和四年度からは公園に加え公道においても自動運転車両の走行を開始いたしまして、利用者のニーズを把握するとともに、交通管理者等と協議しながら、円滑な運行、安全性の検証等を行ってまいりました。
 今年度はこの取組をさらに加速させるため、公道エリアでの走行ルートを大幅に拡大するとともに、自動運転車両につきましても、これまでのバスに加え新たにタクシー車両を導入するなど、より実装に近い形で走行させる予定でございます。
 今後も自動運転車両の実装に向けまして、交通管理者等との協議を重ねつつ、臨海副都心エリアに即したビジネスモデルを構築できるよう取組を進めてまいります。

○あかねがくぼ委員 自動運転サービス、この実装に向けて、いろいろな課題があると。こういうのは承知しておりますけれども、現在、自動運転レベル二ということでございますので、これを本当にどんどんレベルを上げていけるように、レベル三に向けて、早期実装に向けまして、都としてもしっかりと取り組んで推進をしていただくことをご要望申し上げまして、私の質問を終わります。

○斉藤委員 東京港第九次改訂港湾計画中間報告について、私も伺います。
 東京港はコンテナ取扱量が国内最多でありまして、また、貿易額は令和四年の速報値では、国内港湾では最多の約二十二兆九千億円となるなど、我が国の経済を支える極めて重要な国際貿易港であります。
 しかし、世界的な船舶の大型化の進展や首都直下地震への対応、また、脱炭素の実現など、東京港を取り巻く情勢は大きく変化しつつあります。
 こうした課題に対応するため、都は今般、およそ十年ぶりとなる新たな港湾計画、東京港第九次改訂港湾計画の中間報告を公表したところであります。本日は、物流、そして防災、環境の観点から、この新たな港湾計画の内容について確認を何点かしたいと思います。
 まず、物流についてであります。
 近年、世界の船会社は効率的な輸送を目指しておりまして、コンテナ船の大型化を進めているところであります。コンテナ船が大型化すると、当然、入港するためにはこれまで以上に水深の深い岸壁が必要となることから、東京港に寄港するコンテナ船の航路を維持するためには、コンテナ船の大型化の動向をしっかりと把握して、必要な施設整備を行わなければなりません。
 そこで、まず、東京港に寄港するコンテナ船の大型化は今後どの程度進展するのかと考えているのか伺いたいと思います。

○水飼港湾計画担当部長港湾DX推進担当部長兼務 世界の海運業界では、スケールメリットによる輸送コストの削減や環境負荷低減などを図るため、コンテナ船の大型化が急激に進展しております。
 東京港に寄港するコンテナ船についても大型化が進んでおり、使用されるコンテナ船が最も大きい航路の一つである北米航路に関しては、十年前までは最大で八千TEU級のコンテナ船が寄港していたところ、現在では最大で一万TEU級の船が寄港している状況にございます。大型化はさらに進むと予測されており、今後は一万四千TEU級のコンテナ船の寄港ニーズが高まっていくと見込まれております。
 また、東南アジア航路においても、日本企業の生産拠点の拡大などに伴って、近年、貨物量が急激に増加していることから、コンテナ船の大型化が進むと予測されており、現在は最大で五千TEU級のコンテナ船が寄港しているのに対し、今後、最大六千から七千TEU級の船の寄港ニーズが高まると見込まれております。

○斉藤委員 北米航路のコンテナ船は、現在の一・四倍の量のコンテナを積める大きさまでに大型化するというお話です。また、これまで船舶の大型化といえば主に北米航路が注目されてきましたけれども、東京港での貨物取扱量が比較的多い東南アジア航路に関しても船舶の大型化が進むとのことで、東京港にとって、船舶の大型化への対応はまさに重要な喫緊の課題であると考えます。
 東京港が引き続き国際海上物流の拠点としての役割を果たしていけるよう、都は今後、この船舶の大型化にしっかりと対応できる港湾施設の整備を進めるべきですが、今後の取組を伺いたいと思います。

○水飼港湾計画担当部長港湾DX推進担当部長兼務 東京港が国際競争力を強化していくためには、貨物量の増加への対応と併せて船舶の大型化にも的確に対応した港湾施設の整備を進めていく必要がございます。
 このため、現在の第八次改訂港湾計画において、一万四千TEU級のコンテナ船に対応できる水深十六メートルの岸壁を備えた中央防波堤外側コンテナふ頭Y2及びY3、新海面処分場コンテナふ頭Z1の整備を計画として位置づけ、Y2については既に供用を開始し、Y3については、現在整備を進めているところでございます。
 第九次改訂港湾計画では、引き続きY3及びZ1の整備を計画として位置づけるとともに、これらに加え、新海面処分場地区に水深十六メートル以上のコンテナふ頭を二か所新たに計画化し、中央防波堤外側地区から新海面処分場地区にかけて延長約千七百メートルの連続岸壁とすることで、一万四千TEU級の大型船が同時に複数係留できるようにしてまいります。
 さらに、既存の青海コンテナふ頭の一部についても、十五メートルから十六メートルの水深に増深することを計画化し、東南アジア航路などにおける船舶の大型化に対応できるようにしてまいります。
 こうした取組により、大型コンテナ船が寄港しやすい環境を整備することで、東京港と世界を結ぶ航路ネットワークの維持拡大を図ってまいります。

○斉藤委員 Y3についても、現在、整備を進めている中で、このZ級のものを造って一千七百メートルという連続岸壁とするという非常に壮大な事業でございますが、着実に進めていただきたいと思います。
 世界の海運市場では、アジア諸国の経済成長による貨物量の増加を受けまして、コンテナ船の大型化が今後も進んでいくといわれております。このため、東京港においても、将来の船舶の大型化を見据えた高規格な岸壁を整備することは大変重要であります。
 第九次改訂港湾計画において、ただいまご答弁ありましたけれども、この取組を計画として位置づけることは妥当でありまして、今後しっかりと取組を進めていただきたいと思います。
 続いて、今度は防災ですが、第九次のこの改訂計画のもう一つの柱、防災について伺います。
 東京港は、首都圏の生活や経済活動を支える重要な港湾であることから、大規模地震が発生した場合においても、この物流機能を停止させるわけにいかない、停止させない強靱な港とする必要があります。
 先月も利島村で震度五弱の地震が発生いたしました。大変最近地震が頻発しております。千葉県東方沖や石川県の能登地方など全国規模で震度五以上の地震が発生しているわけであります。改めて地震への備えの必要性を認識しているところでありますが、この東京の区部でも首都直下地震などの大規模地震への対応が大きな課題となっていますが、東京港において、想定される最大級の地震が発生した場合でも、その機能を維持できるよう、耐震強化岸壁の整備を進めていると承知をしております。
 そこで、東京港における耐震強化岸壁の現在の整備状況について伺いたいと思います。

○水飼港湾計画担当部長港湾DX推進担当部長兼務 東京港では、マグニチュード七クラスの首都直下地震等の大規模地震が発生した場合においても港湾機能を維持できるよう、緊急物資輸送用及び幹線貨物輸送用として四十八か所の耐震強化岸壁を計画に位置づけ、整備を進めております。
 まず、緊急物資輸送用の耐震強化岸壁は、被災直後における食料品や衣料品等の緊急物資の搬入や避難者等の海上輸送を行うための岸壁であり、現在、二十六バースが計画されております。このうち、品川内貿ふ頭など十四バースが整備済みであり、十号地その二フェリーふ頭など四バースが整備中でございます。
 次に、幹線貨物輸送用の耐震強化岸壁は、コンテナ貨物の輸送など、我が国の経済活動を支えるために必要な物流機能を維持するための岸壁であり、現在、二十二バースが計画されております。このうち、中央防波堤外側コンテナふ頭Y2など五バースが整備済みであり、Y2に隣接するコンテナふ頭Y3が現在整備中でございます。

○斉藤委員 緊急物資用及び幹線貨物用として、合わせて四十八か所の岸壁を耐震強化岸壁として位置づけて着実に整備を進めているということであります。
 東京港が首都圏四千万人の生活、命を支える港でありまして、さらには日本経済にとって最も重要な港湾の一つであることを考えますと、耐震強化岸壁の整備は引き続きしっかりと進めなければなりません。
 東京港を大規模地震にも強い強靱な港とするために、第九次改訂港湾計画においても、耐震強化岸壁整備の取組をしっかりと位置づける必要があると考えますが、都の見解を伺います。

○水飼港湾計画担当部長港湾DX推進担当部長兼務 東京港は物流の一大拠点としての重要な役割を担っていることから、首都直下地震等の大規模地震が発生した際にも、その機能を維持できるようにすることは重要でございます。
 このため、今回取りまとめた第九次改訂港湾計画では、耐震強化岸壁の整備箇所数をさらに増やすことといたしました。具体的には、新海面処分場コンテナふ頭Z0及びZ2と、中央防波堤内側内貿ユニットロードふ頭X6及びX7の計四バースを幹線貨物輸送用の耐震強化岸壁として整備することといたしました。
 また、既に計画化しているものの、いまだ整備に着手していない箇所についても、引き続き第九次改訂港湾計画において整備箇所として位置づけ、ふ頭の再編整備を行う際に合わせて整備するなどの方向で関係者との調整を進めてまいります。
 都は、今後とも改訂計画に基づいて着実に耐震強化岸壁の整備を推進し、東京港の防災力の強化を図ってまいります。

○斉藤委員 第九次改訂港湾計画では、耐震強化岸壁の整備箇所を増やすとともに、未整備の箇所についても引き続き計画として位置づけ、整備に向けて取り組んでいくということのご答弁がございました。
 現在供用中の岸壁を耐震強化岸壁に造り替えることは、使いながらやっていくわけですから、利用している事業者との調整等もあり、多くの困難を伴うと思いますけれども、震災時においても東京港が都民生活と日本経済を支える重要な役割を確実に果たせるよう、着実に耐震強化岸壁の整備を進めていくことを要望しておきたいと思います。
 次に、最後のテーマですが、環境でございます。東京港における環境への取組について伺います。
 新たな港湾計画では、環境への取組が計画の柱の一つになっておりまして、特に荷役機械のFC化、燃料電池などFC化や太陽光パネルの整備など、脱炭素化の推進に向けた取組が注目されるところです。
 今後、脱炭素化を進める上では、港湾地区に立地するふ頭や倉庫に加えて、港湾を利用する船舶などから排出されるCO2の削減にしっかりと取り組んでいくことが求められます。
 とりわけ東京港では、日々、海外や国内の港から数多くの船舶が往来していることから、いわゆるカーボンニュートラルポートを実現していく上では、船舶の脱炭素化を推進していくことが重要であります。
 都はこれまでも、船舶の環境対策を評価する国際的な仕組みであるESI、エンバイロンメンタル・シップ・インデックスに我が国で初めて参加いたしまして、入港料を減免するインセンティブ制度を導入することで船舶から排出される窒素酸化物や硫黄酸化物等を削減するなど、東京港の環境改善に積極的に取り組んできました。
 一方、脱炭素化を推進するためには、大気汚染物質等の削減を目的としたインセンティブに加えて、CO2排出量の少ない船舶に対しインセンティブを付与することで、こうした船舶の入港を促進していくこと、これは我が党の細田議員が一生懸命これを質問してまいりましたけれども、こうした船舶の入港を促進していくことが必要だと考えます。
 そこで、都が実施する船舶の脱炭素化に係るインセンティブの実施状況について伺いたいと思います。

○三浦港湾振興担当部長 都は、令和三年度から、重油と比べCO2の排出量が少なく、環境負荷のより小さいLNG、液化天然ガスを燃料とする船舶や、LNGを供給する船舶に対する入港料を全額免除するインセンティブ制度を開始しているところでございます。
 加えて、今後、ゼロエミッション船として期待される水素燃料船の早期就航を後押しするため、同じく令和三年度から、水素を燃料とする船舶に対し入港料を免除する制度も実施しております。
 令和三年四月の制度開始以降、水素を燃料とする船舶につきましては、いまだ技術開発の途上であることなどから入港の実績はございませんが、LNGを燃料とする船舶につきましては、これまで十隻入港しております。
 都は、今後もCO2排出量の少ない船舶の入港を促進し、東京港の脱炭素化を推進してまいります。

○斉藤委員 次世代エネルギーの普及を見据えましてインセンティブを講じることで、現にCO2排出量の少ないLNG燃料船が入港していることは、脱炭素化を推進する東京港にとって大変期待が持てる動きであります。
 一方で、カーボンニュートラルを実現する上では水素燃料船、これはなかなか技術開発が大変ですけれども、その水素燃料船をはじめとしたCO2を排出しないゼロエミッション船への転換が必要ですが、現時点では、こうした船は一部小型船などで実用化の動きが見られるものの、今ご答弁ございましたとおり、まだ開発途上であると聞いております。
 この点、大型船の入出港をサポートする船であるタグボートや、海上保安庁や水産庁などが所有する小型船を中心に導入が進んでおります陸電設備は、停泊中の船舶に対し、陸上から再生可能エネルギー由来の電力などカーボンニュートラルな電力を船に供給することが可能でありまして、脱炭素化に大きく貢献する設備であると考えます。
 停泊中の船舶は、船内で使用する電気を発電させるためにエンジンを稼働させることが一般的であります。それに伴ってCO2が排出されておりますけれども、この陸電設備を使用することでエンジンの稼働は不要となります。
 そこで、停泊中の船舶からのCO2排出を削減するため、この陸電設備の設置を推進すべきと考えますが、導入に当たっての課題や今後の取組について伺いたいと思います。

○三浦港湾振興担当部長 陸電設備を用いて停泊中の船舶に対して電力を供給することは、船舶のアイドリングをストップさせ、CO2排出量を大きく抑制することにつながることから、船舶の脱炭素化を図る上で有効な取組でございます。
 一方で、陸電設備の導入に当たりましては、船舶側の設備改良が必要になるため、実際に設備を利用する船会社などの理解を得ながら進めていく必要がございます。
 また、陸電設備の設置に必要となる技術的な検討に加えまして、船舶の電源として必要なグリーン電力の確保や、初期費用の負担及び利用料金を含めた運用方法等につきましても検討が必要になります。
 このため都は、今年度から、公共ふ頭における陸電設備の導入に向けた調査を実施し、設備の規格や設置場所、設置に係る必要なコスト、導入スケジュールなどに関する検討を行うとともに、設備などの用地確保に向けた調整等を進めていくこととしておりまして、これらの検討を踏まえ、着実に取組を推進してまいります。

○斉藤委員 欧米諸国の港湾では、この陸電設備の導入が拡大していると聞いております。こうした動向は国内の港湾にも波及しまして、今後、主要港を中心に導入が本格化していくことが予想されます。
 東京港におきましても、船会社など関係者の意向を踏まえながら、船舶の脱炭素化の鍵となる、この陸電設備の導入をしっかりと進めていくことで、引き続き、環境先進港湾として世界をリードしていただきたいと思います。
 今日は、この物流、防災、環境の三つの観点から第九次改訂港湾計画に関する質疑を行わせていただきました。この港湾計画は、今後おおむね十年間の東京港の施設整備等について具体的に定める極めて重要な計画であると認識しております。今後、パブリックコメントなどを経て、年度内に正式に策定するとのことですが、東京港が引き続き我が国を代表する港湾として、その役割を適切に担っていけるよう、計画に掲げた取組を着実に実施していくことを強く要望いたしまして、質問を終わります。

○あぜ上委員 それでは私からも、第九次改訂港湾計画について伺いたいと思います。
 まず、第九次改訂港湾計画に向けた貨物量の見通しについてでございます。
 今後の港湾事業を進める上で要となるのが貨物量の見通しです。中間報告では、十年後、コンテナ貨物量の見通しを六百五十万TEUと試算していると。その推計の根拠については先ほどご答弁がございました。
 そこで、まず伺いたいのですが、第九次改訂港湾計画におけるコンテナ貨物量の予測について、第八次の改訂計画をどう総括して計画策定に生かしたのか伺います。

○水飼港湾計画担当部長港湾DX推進担当部長兼務 第八次改訂港湾計画におけるコンテナ貨物量は、平成二十六年の策定時からコロナ禍前までおおむね推計に近い伸びを示してまいりました。
 新型コロナウイルスの感染拡大後、世界的に海上物流が混乱する状況が発生いたしましたが、生活必需品等の輸入が多い東京港の貨物量は大きく落ち込むことなく、昨年はコロナ禍前の水準に回復するなど、おおむね堅調に増加してきております。
 第九次改訂港湾計画においては、東京港で扱われる八十二の品目について、輸出、輸入別に過去の実績値と、所得や国内外のGDP等の社会経済指標との相関性を確認した上で、おおむね十年後の貨物量を推計しております。

○あぜ上委員 港湾関係者のご努力によって、この間長く続いているコロナの下でも、東京港で産業、そして国民や都民の暮らしを支え続けて、物流拠点としての大事な役割を果たしているのはそのとおりだというふうに思うわけです。
 しかし、推計に近い伸びだというご答弁なんですが、第八次の見通しでは六百十万TEUを想定しておりました。二〇二一年では、直近の実測では合計で四百八十六万TEU、そして二〇一八年がピークだったわけですけれども、そのときを見ても、内貿、外貿合わせまして五百一万TEUでありました。そして、この間の伸びを見ますと一・一倍という状況です。
 しかしながら、この第九次改訂港湾計画では、今後の、先ほどもご説明ありましたけれども、モーダルシフトの促進、また、経済成長も見越して、内貿、外貿とも一・三倍というふうに増えることを想定されているわけです。
 しかしながら、今後のことを考えますと、やっぱり人口減少の問題、それから、経済成長といっても、物を大量につくればよいという時代ではもうなくなってきていると。そして、Eコマースを通じての消費が増えたり、サプライチェーン、これも在り方が変化してきている。そうした状況も踏まえて、やはりコンテナ貨物量の予測をする必要があるのではないでしょうか。
 この経済状況の変化、そして消費活動の変化、こういったものなどで第九次改訂港湾計画、これは見直しもあり得るということでよろしいんでしょうか。

○水飼港湾計画担当部長港湾DX推進担当部長兼務 都はこれまでも、情勢の変化等を踏まえ、港湾計画の一部変更等を行ってまいりました。第九次改訂港湾計画においても情勢の把握を適宜行うとともに、必要に応じて変更を行うなど適切に対応してまいります。

○あぜ上委員 検証し見直すということは大変大事なことだというふうに思います。
 国土技術政策総合研究所の港湾計画の取扱貨物量の将来予測について、この資料も読ませていただきましたが、やはり二〇一九年以前のトレンドとは異なる変化が見られることや、また、再エネへの急激な転換など、急激な構造変化が貨物量の予測に影響を考慮することが指摘されておりました。
 同時に、このふ頭整備などは本当に長期間かかるものでありまして、途中で見直すというのはなかなか大変なことで、それだけに、やはり私は当初計画が大変重要なんだというふうに思うわけです。その点を踏まえて、計画策定をぜひしていただきたいということを申し上げたいと思うんです。
 ちょっともう少し具体的に伺いたいと思うんですが、第九次改訂港湾計画中間報告では、六百五十万TEUをベースにして、先ほどもご答弁の中でありましたけれども、新海面処分場の整備などが含まれているということであります。
 第八次改訂港湾計画では、十五号地のコンテナふ頭、この整備計画がありましたが、それはなくなった。それはなぜなんでしょうか。

○水飼港湾計画担当部長港湾DX推進担当部長兼務 第八次改訂港湾計画において、増加するアジア貨物に対応するため、水深十一メートルから十二メートルの十五号地コンテナふ頭を位置づけましたが、近年、コンテナ船の大型化が急激に進展しております。
 このため、十五号地コンテナふ頭の計画を見直し、大水深が確保できる新海面処分場コンテナふ頭の機能を拡充することにより、コンテナ船の大型化への対応を図っていくことといたしました。

○あぜ上委員 つまり、アジア航路が多くなってきて、そして、そのコンテナ船も大きくなっているから、十五号地の水深が十一から十二メートルでは足りないから、だから新海面処分場のZを広げるという理解でよろしいんでしょうかね——この貨物量を根拠に、今いわれましたZ0、Z2、それから青海のコンテナふ頭の一部水深を深くするということが打ち出されているわけですけれども、この新海面処分場の機能拡充にはどのぐらいの経費がかかると見積もっていらっしゃるんでしょうか。

○水飼港湾計画担当部長港湾DX推進担当部長兼務 第九次改訂港湾計画における新海面処分場コンテナふ頭Z0及びZ2バースの具体的な事業費については、今後、事業化する段階で実施する調査設計等を踏まえて算出することとなります。

○あぜ上委員 これから見積もるというお話でありますが、Y3の整備が現在進行中でありますが、この総額は現時点で約三百億ぐらいかかっております。やはりZ1、そしてZ0、Z2、この拡充のためにどのぐらいの経費が必要なのか、おおむねの見通しもぜひ明らかにして提起すべきだというふうに考えます。
 先ほどのご答弁で、現在の東京港の施設能力は四百万TEUで、昨年の取扱量に対して大幅に不足しているというご答弁がございましたが、そもそも、その貨物量と必要面積、国際基準、国内基準というのはあるんでしょうか。

○水飼港湾計画担当部長港湾DX推進担当部長兼務 国内外におけるコンテナふ頭の取扱貨物量や寄港する船舶の大きさなどから、ターミナル規模を推計するモデルが国から示されております。
 この推計によると、現在の東京港の施設能力は約四百万TEUであり、昨年の取扱量、約五百万TEUに対し大幅に不足しております。

○あぜ上委員 私も地元なので、よくふ頭の方に行くんですけれども、東京港の場合は、本当にコンテナが三段、四段と高く積み上がっているわけです。東京港にこれだけ集中させるということが、さらに、そしてふ頭を拡大するとはいえ、集中させることに無理があるんじゃないかというふうに、いつも見ながら気になってしようがないんですけれども、コンテナの中身を調べてみますと、東京港の輸出においては、空コンテナが荷入りコンテナをはるかに上回るような状況になっているわけです。
 そうすると、今後の経済状況やアジアの動向などにも、そのコンテナ量というのは大きく左右される、大変流動的であると、そういった点も私はしっかり見据えていく必要があるんじゃないかというふうに思うわけです。そして、もっと近隣港との連携、これも含め、議論も必要なのではないかというふうに思います。
 もちろんソフトの面でも、IT技術を活用して荷役能力をアップさせるとか、そういうことや、荷役機械の省エネ対策とか環境対策などのソフト面の拡充で進めていくということは非常に大事だというふうに思うんですが、限られたこの東京港の器の中で、既存ふ頭の東京港内の見直しとともに他港ともどう連携して発展していくのか、持続可能な発展を進めていくのか、やっぱり総合的に検討を進めていただきたいと、これは意見として申し上げておきたいと思います。
 環境対策です。カーボンニュートラルポートで、あと七年でCO2排出量の削減を半減させようということとの関係でも、コンテナ取扱量が増えればCO2が増える可能性も心配しています。
 カーボンニュートラルポートの計画では、二〇三〇年にCO2排出量を半減させるという目標になっていますが、貨物量の見通しを増やすことで、どのくらいのCO2排出量の増加を見込んで、それをどうやって縮減する見通しなのか伺います。

○三浦港湾振興担当部長 都は、東京港の脱炭素化に向けた取組を戦略的に推進していくため、本年三月に東京港カーボンニュートラルポート形成計画を策定し、CO2排出量を二〇三〇年までに二〇〇〇年比で五〇%削減するカーボンハーフ、二〇五〇年までにCO2排出実質ゼロとするカーボンニュートラルを目標としております。
 都といたしましては、コンテナふ頭におけるガントリークレーンの電力を再生可能エネルギー由来のものに切り替えることで、取扱貨物量の増加に対するCO2排出量を抑制するなど、省エネや脱炭素に関する様々な技術を取り入れ、東京港のカーボンニュートラルポートを実現してまいります。

○あぜ上委員 今年度、東京港のカーボンニュートラルポート形成等に向けた取組ということで三十六億円が予算化されておりますが、主に荷役機械の水素燃料電池換装型に補助するというものがほとんどであります。こうした水素に対応する補助がほとんどなのですが、それはなぜなんでしょうか。

○三浦港湾振興担当部長 軽油を燃料として使用する荷役機械は、大きなCO2排出源となっておりますが、現在、タイヤ式門型クレーンにつきましては、水素燃料電池へ換装可能な機器が製品化され、大井コンテナふ頭において既に導入が進んでおり、CO2排出量の削減に大きな効果が見込まれるところでございます。
 このため、都といたしましては、こうしたタイヤ式門型クレーンの導入を促進することで荷役機械の脱炭素化を図り、東京港のカーボンニュートラルポート形成を進めてまいります。

○あぜ上委員 タイヤ式門型クレーンについては、水素燃料電池への換装可能な機器が製品化されて導入が進んでいるんだというご答弁だったんですが、東京港にあるタイヤ式門型クレーン百四台のうち、今、導入されているのは四台というふうに伺っています。
 そもそも、これが本当に脱炭素になるのかということが私は問われているんじゃないかと思うわけです。これまでも当委員会において、私は、水素活用に対する意見も述べてまいりましたが、水素偏重ではカーボンニュートラルポート形成計画の実現性は遠のくのではないでしょうか。
 都は、CO2フリーの輸入も想定しているわけですけれども、CO2フリーの水素はいまだ実証段階で、IEA、国際エネルギー機関によりますと、流通はほとんどないと。二〇二〇年ですけれども、全体の供給量の〇・〇三%しかないとされております。現時点では、海外から受け入れる、そういう水素というのは低品質の石炭を使って生産され、CO2を排出するものです。
 産労局が今事務局になってアドバイザリーボードが始まりましたけれども、この論点整理でも明らかなように、石炭火力を継続して使用する方向になっております。これは、世界の脱炭素の流れからも逆行しているといわざるを得ず、国内外の環境保護団体からも厳しい指摘を受けています。
 早急にCO2の大幅削減が求められている、そういう状況の下で、再生可能エネルギーを活用した蓄電池などの活用を抜本的に拡充する必要があるのではないでしょうか。東京港の空間を生かした再エネの移行を積極的に推進していただきたいと思います。
 例えば、民間事業者が太陽光パネルの設置を進めるなど、再エネ促進に対して、環境局や産労局では補助がありますけれども、それは都内全域の中小企業を対象としております。やはり港湾局として、ぜひこうした中小企業に対する、港湾事業者に対する太陽光パネルの設置などを進める再エネ促進に対する補助、これを具体化していただきたい、これは要望しておきたいと思います。
 次に、第九次改訂港湾計画策定に当たっては、現場で働く人たち、労働環境の改善も重要と考えますけれども、どのような改善に取り組むのか伺います。

○野平港湾経営部長 都はこれまで、関係団体等と連携を図りながら、食堂や休憩所など福利厚生施設の充実に努めております。
 今後も、東京港で働く方々にとって、快適で働きやすい環境の確保に取り組んでまいります。

○あぜ上委員 快適で働きやすい環境の確保に取り組んでいく上で、やはり現場で働く方々の声によく耳を傾けていただきたいと。そして、計画には労働環境の改善について、もう少し具体的に明記をしていただくことを求めたいと思います。
 例えば、この間、東京港のトイレの問題を私はこの委員会で何度も問題提起をさせていただいてきましたけれども、ドライバーが使えるトイレが本当にあまりにも少ない。例えば大井ふ頭の第二シャシープール、このトイレはドライバーさんは使うことができないと聞いております。
 また、二十から四十フィートの大型のコンテナのドライバーさんは、都心でトイレを借りようと思っても借りる場所がないと。だから、港まで我慢して来ると。だけど、港に着いても、東京港に着いても少ないのが実態だというふうに切実な声が寄せられています。
 女性ドライバーも増えているんだということを、私、以前もお話しさせていただきましたが、例えば女性の消防署員が増える中で、消防庁はリフレッシュカーというのを導入したんです。現場でトイレやシャワーを浴びることができるようなリフレッシュカーを導入されました。
 やはり港湾局としても、私はこうした女性ドライバーのためのリフレッシュカーを導入するとか、ぜひ早急な対策を進めていただきたいと。これは要望なんですが、併せて、やっぱり働く人々のトイレ、そして食堂や休憩場所、シャワールームなどの整備、こうした労働環境の抜本的な改善の具体化をぜひ計画に盛り込むことを求めたいと思います。
 最後になりますが、船舶の乗降旅客数についてです。
 船舶の乗降旅客数五百四十万人、この積算根拠とその内訳について伺います。

○水飼港湾計画担当部長港湾DX推進担当部長兼務 第九次改訂港湾計画における船舶乗降旅客数は、水上バスや離島航路などの旅客数を合計したものであり、過去の実績等を考慮し推計しております。
 内訳は、水上バス等が四百二十五万人、伊豆・小笠原航路が七十二万人、クルーズ客船が三十八万人、フェリー航路が五万人でございます。

○あぜ上委員 舟運や水上バス等の利用が多いことが分かりました。そして、国際クルーズターミナルを利用するクルーズ客船は三十八万人を見込んでいるということも分かりました。
 改めて、国内の港湾別のクルーズ客船の寄港の調査、二〇一八年度実績なんですけれども、調べてみましたが、国内には二千九百三十、寄港していますけれども、そのうち東京港は三十九ということで一・三%となっておりました。
 そして、港湾局のホームページには、一月から九月までの入港の実績とその予定が書かれておりました。その船の乗降客数の規模をちょっと調べながら、ざくっと計算してみたんですけれども、おおむね二万五千人ぐらい。年間、この倍だというふうに仮定して、多く見積もっても五万人程度というふうになるわけです。三十八万人の推定というのは、かなり過大ではないかというふうに思うわけです。
 先ほども国際客船ターミナルの二バースの問題が出ていましたけれども、やはり私は、三十八万人を前提に、こうした客船ふ頭の二バース化、この計画、これは見直すことを求めたいと思います。
 むしろ、早く整備していただきたいのが島しょ地域の客船ターミナル、この整備です。また、都内の舟運の船着場の整備、ぜひ地元の皆さんの声を伺って、地域の方々に歓迎されるような施設整備をしていただきたいと思います。
 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、今、環境と人に優しい持続可能な経済活動をどう発展させていくのか、このことが厳しく問われている時代に入っているのではないでしょうか。そうした立場で、ぜひ東京港の第九次改訂港湾計画を策定していただきたい、このことを意見として申し上げまして、質疑を終わります。ありがとうございました。

○西崎委員 私からは、以前も少し申し上げたことがありますけれども、物流における二〇二四年問題に関連をして伺いたいと思います。
 ふ頭を幾ら整備をしても、物流全体の機能が二割、三割減るんじゃないかといわれている中で、そこで目詰まりをしては元も子もないということでございます。二〇二四年問題といいますけれども、来年で決着をする話ではなくて、むしろ来年から始まる話だと思っておりますので、中長期的な対応が必要になるかと思います。
 今月初旬には政府によるガイドラインというものも示されまして、荷待ち、荷役作業などを二時間以内ルールといった具体的な取組事項が示されたところでございます。もちろんいうまでもなく、東京港においても今後懸念されるドライバー不足であるとか、それに伴う物流への影響などの対応というものは欠かせないと思いますし、これまでも課題となってきているふ頭周辺の交通混雑の対策というものも、きっちりと位置づけていくべきと考えます。
 そこで、まず伺いますけれども、いわゆる二〇二四年問題が迫っておりますけれども、このふ頭周辺の交通混雑に対してどう取り組んでいくのかを伺います。

○野平港湾経営部長 東京港では、標準的な貨物処理能力を大幅に超える外貿コンテナ貨物を取り扱っていることや、東京港に貨物を引取りに来たトラックが特定の時期や時間帯に集中する傾向があることなどが原因となって、コンテナターミナル周辺で待機車両による交通混雑が発生しております。
 このため、既に着手している中央防波堤外側Y3コンテナターミナルの新規整備に加え、既存ふ頭の再編整備を着実に行うなど、東京港全体の施設能力を向上させております。
 また、GPS端末を活用して、コンテナターミナル入場までの待機時間等をリアルタイムで公表するとともに、国と連携して、予約システムCONPASを活用したコンテナ搬出入予約制事業などを実施することで、トラックの来場時間の平準化と貨物の搬出入の効率化に取り組んでおります。
 引き続き、ハード、ソフトの両面から積極的に交通混雑対策に取り組んでまいります。

○西崎委員 ハード、ソフト両面から取り組んでいくということでございます。
 今、ご答弁にもありましたように、これまで都は、コンテナ搬出入予約制事業、これを実施をしてきているということでありますけれども、それぞれいわゆる期間を区切っての取組なのかなというふうに承知をしているところでございます。
 一方で、先ほど申し上げた、今月初旬に示された政府のいわゆる政策パッケージ、ガイドラインにおきましても、実施することが推奨される事項といたしまして、この予約受付システムの導入と明記をされているところでございます。
 これまでも都は、取り組んでいるということでありますけれども、これまでの、このコンテナ搬出入予約制事業の効果や課題、また、今後の取組についてお聞かせください。

○野平港湾経営部長 都は、来場するトラックの時間帯を分散するため、昨年度からCONPASを活用したコンテナ搬出入予約制事業を大井ふ頭の二つのターミナルで着手しております。
 受渡しを行う貨物の種類にもよりますが、コンテナターミナルのゲート前での平均待機時間が、予約をせずに来場したトラックと比較して、最大で五十八分削減されるなど一定の効果が確認できました。
 一方で、予約制の導入に当たっては、ターミナル事業者が多くの関係者と調整の上、予約車専用の車両動線の配置等を盛り込んだ実施計画を策定するとともに、導入後一定期間は効果検証と改善を繰り返す必要があるなど、事業者に大きな負担がかかることが課題であると認識しております。
 都は、今後とも予約制を導入しようとする事業者に必要な後押しを行うことなどにより、CONPASを活用した予約制の取組をさらに進めてまいります。

○西崎委員 待機時間が最大で五十八分削減されるようなこともあったということで、非常にやはり効果はあるのかなというふうに改めて確認をさせていただいたところでございます。
 政府のパッケージでも、いわゆる二時間以内ルール、これが今、二時間切っているところは、さらに短縮をしろというようなことも示されているところでありますけれども、一方で、事業者の方に負担がかかってくることが課題であるというような認識も今お示しをいただいたところであります。
 一方で、もちろんそうした負担があるんだろうなということは拝察をいたしますけれども、産みの苦しみみたいなところもあるのかなとは思っています。逆に、こうしたことを乗り越えることによって、その事業自体がいわば持続可能なものにならなければいけないわけでありますから、やはり都としても引き続きそうした状況、もしくはニーズに応じて事業者の方の支援というものには取り組んでいただきたいということを要望させていただきます。
 次に、観光、水辺のまちづくりの観点から、スーパーヨットの受入れについて一問だけ伺います。
 これ、計画では大型クルーザーという表記になっているということでありますので、ちょっとここでは統一して大型クルーザーと呼ばせていただきますけれども、この受入れにつきましては経済効果が見込める一方で、いわゆる長期間の滞在が前提となるということでありまして、国内でも対応できる場所が比較的限られてしまうという現状がございます。
 このため、政府の方でも関係省庁連絡調整会議というものを設置して、規制緩和などの対策を進めてきているところであります。東京においても、やはりその特性を生かして富裕層を呼び込むというような取組というものは一定程度求められてくるものと思いますし、場合によっては大きなチャンスとなるというふうに考えられますが、まだやはり様々課題もあるということで、今年度予算で調査費を計上して、様々な課題を抽出していくような今、状況にあるのかなと思っております。
 一方で、いわゆるこれはスーパーヨット、大型クルーザーに限りませんけれども、この富裕層への対応というのは、港湾全体、周辺施設等ともセットで考えていく必要があると思っています。少し話がずれますけれども、例えば、まさに港湾局で管理をされているヘリポートにもニーズがあるということを、私、先日、現地に行ってまいりまして確認をしてまいりました。インバウンドと思われるお客さんもかなり大勢いらっしゃるということです。
 一方で、このヘリポートが、海外からのお客さんがいらっしゃっているんですけれども、かなりこう、ちっぽけな待合室に椅子が並んでいるだけで、受付の記帳に使えるテーブルもなければ、飲食ができるラウンジのようなものもないし、訪日外国人の方にとっては重要なWi-Fiも飛んでいないと。そもそも管理事務所は日没で閉まっちゃうので、夜間は利用できないというような、様々課題があるということです。東京都の新たな魅力となる可能性が高い空のコンテンツに向けたインフラ整備というのが進んでいないのかなという課題を認識いたしました。
 話を戻しますけれども、そうした中で、今後、港湾計画、観光、水辺のまちづくりという観点からも、大型クルーザーの受入れについても言及はされているところでありますし、これを考えていくに当たっては、やはり単純に船着場、ふ頭の整備というだけではなくて、周辺施設との相乗効果といったものも検討しながら、この大型クルーザーの受入れを考えていくべきかと思っております。
 そこで、今回計画に示されておりますけれども、この大型クルーザーの受入れについてどのように考えていくのか、見解を伺います。

○三浦港湾振興担当部長 大型クルーザーの受入れにつきましては、今のご質問の中で触れておられますけれども、それに伴う効果や課題について見極めていく必要がございます。寄港ニーズを踏まえつつ検討を進めてまいります。

○西崎委員 ありがとうございます。
 まさに検討を進められているというところでありますけれども、いわゆる寄港ニーズがあるからやるんだという考え方もありますし、何かがニーズを阻害しているんじゃないかというような考え方もあろうかと思いますので、今後の調査に応じて様々取組を進めていただきたいと思っているところでございます。
 最後に、計画全体に関して伺いますけれども、さきの委員からも指摘がありましたように、この港湾計画というのはかなり大規模な取組が多いということでありまして、一回始めたら一か月、二か月で終わるものではなくて、かなりの期間を要する整備というものもあるわけでございます。
 一方で、こういう時代でありますから、新たな技術革新であるとか、大きな社会情勢の変化が起きるということも多分に考えられる時代でございます。そのときに、もう全く後戻りできないというのではやはり困るわけでございます。
 そこで、今回、計画を改訂をして取組を進めていくということに当たっては、社会の変化に可能な限り迅速に対応できるような可逆性、柔軟性というものが求められると思いますけれども、最後にこちらの見解を伺って、質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。

○水飼港湾計画担当部長港湾DX推進担当部長兼務 港湾計画は、計画期間がおおむね十年となるため、情勢の把握を適宜行い、検証を実施していく必要があると考えております。
 都はこれまでも、計画策定後の情勢の変化等を踏まえ、計画の一部変更等を行ってきており、第九次改訂港湾計画においても、必要に応じて変更を行うなど、適切に対応してまいります。

○川松委員 私からは、東京国際クルーズターミナルの二バース化について伺います。
 第九次改訂港湾計画の四つの柱の一つである観光、水辺のまちづくりに位置づけられている東京国際クルーズターミナルの整備計画について、ここで確認しておくべきことがあるんじゃないかという思いで幾つか聞きますが、私自身も都議会議員になってすぐの頃から、このクルーズ客船誘致を後押しする活動に取り組んでまいりました。東京のポテンシャルを高めるため、国内外の多くの皆様に東京を発信するためにも、首都東京の海の玄関口である東京港へのクルーズ客船誘致を積極的に進めていくんだということに異論はないんだろうと私は考えております。
 そして、このクルーズ市場については、世界的な新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって、多くの国でクルーズ船の運航が停止されるなど停滞していましたけれども、現在はコロナ禍以前の活況を回復する流れにあると認識しているところであります。
 そこで、コロナ禍以降における世界のクルーズ市場の動向がどのようになっているのか、また、今年三月、我が国で国際クルーズが再開しているわけですけれども、それ以降、東京港へのクルーズ船の寄港状況がどうなっているのかを確認いたします。

○三浦港湾振興担当部長 新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、世界中でクルーズ船の運航休止を余儀なくされた状況が続いておりました。
 しかし、国際クルーズにつきましては、二〇二〇年七月から欧州において徐々に運航が再開され、二〇二一年六月頃からは、欧州に加え米国などでも運航再開が活発化してきている状況にございます。
 また、アジア、オセアニア地域につきましては、二〇二二年以降、順次運航が再開されております。
 東京港におきましては、本年三月に国際クルーズが再開して以降、外国籍船等のクルーズ客船は、東京国際クルーズターミナルへ二十五回寄港しております。年内の入港予約状況も踏まえますと、東京港への本年のクルーズ客船寄港数は、コロナ禍前の二〇一九年の寄港数を上回る可能性が高い状況にございます。

○川松委員 ありがとうございます。
 ヨーロッパ、アメリカ、アジア、オセアニアの順に国際クルーズが再開されてきていて、東京港に関しても今年三月に本格的な国際クルーズが再開して以降、既に多くの寄港があるということが確認できました。
 今ご答弁にあったように、年内の入港予約状況を踏まえれば、コロナ禍前の二〇一九年の寄港数を上回る可能性が高いということで、東京都として、このクルーズ誘致戦略は強固にしておくべきなんだというふうに私は思います。
 世界中のクルーズ客船が日本、ひいては東京へ寄港することのインバウンド需要、これは大きな経済効果をもたらすことが見込まれるわけで、特にコロナ禍で冷え込んだ東京の観光振興に刺激を与えて、そして重要な役割を果たすものではないかというふうに思います。東京港においても、運航再開の波に乗り遅れることなく、寄港のニーズをしっかりと取り込んでいく必要があることはいうまでもありません。
 一方、クルーズ業界では、コロナ禍以前からクルーズの大衆化が進んできていて、十万トンを超えて乗客が三千人以上となるような大型クルーズ客船が主流となってきているというふうにいわれています。
 そこで大きな課題があるのは、東京国際クルーズターミナルです。現在の一バース体制ですと、大型客船の寄港ニーズが重複した場合、寄港のリクエストを断らざるを得ず、その後の客船誘致に大きな支障があるのではないかと危惧しています。三千人以上の、これは動くホテルとも称されるクルーズ客船が、一たび東京に寄港し、乗客がまちに出ることは重要な経済施策であるわけですけれども、いや結局、東京に行きたいとリクエストしても断られるんだというふうに世界中の関係各社の皆さんが思うようになったら、今度は東京離れにもつながってしまうんじゃないかということを恐れているわけです。
 私自身は、平成二十八年の予算特別委員会における質疑でも触れていますが、世界の主要な港では、大型客船が同時に寄港可能な複数のバースを保有することなどによって需要に対応していけるのだと。このことをずっと東京でもやるべきだということで主張し続けてきました。首都東京の玄関口である東京港へ多くのクルーズ客船を誘致していくためには、海外主要港と同様に、複数のクルーズ客船を同時に受け入れられるよう取り組んでいくことが不可欠です。
 この点で、今回の第九次改訂港湾計画の中間報告では、前の計画に引き続いて、東京国際クルーズターミナルの二バース化が計画されていることは高く評価できます。
 そこで、インバウンド需要を取り込み、東京の観光振興を図るため、東京都は東京国際クルーズターミナルの二バース化を積極的に進めるべきですが、所見を伺います。

○三浦港湾振興担当部長 都心に近い東京港は、様々な観光地へのアクセスに優れておりまして、国際空港にも近いことから、大型客船を含む外国籍船の寄港地としての魅力は高いと認識しております。
 国際クルーズが再開した本年を見ましても、多くの入港が見込まれることに加え、一バースしかないことによる寄港予約のキャンセル待ちが現時点で約四十件となっているなど、クルーズ客船の東京港への寄港ニーズは高い状況でございます。
 都では現在、東京国際クルーズターミナルに二バース目を整備するまでの当面の対応として、晴海客船ターミナルの跡地に、中小型のクルーズ船が寄港可能な客船受入れのための施設整備を進めておりますが、大型船を含むクルーズ客船の東京港への寄港ニーズを確実に取り込んでいくためには、東京国際クルーズターミナルの第二バースを整備し、二隻の大型客船が同時に寄港できる体制を確保していくことが不可欠であると考えております。
 今後、ポストコロナにおける東京港へのクルーズ客船の寄港状況も踏まえながら、東京国際クルーズターミナルの二バース化に向けた検討を進めてまいります。

○川松委員 国際的な人の往来が戻りつつある中で、日常的に大型のクルーズ客船が寄港するようになれば、この東京国際クルーズターミナルが立地する臨海副都心をはじめ、都内各地の観光振興につながっていきます。
 これまでの今日の議論の中でも二バース化不要論というものもありましたけれども、私としては、今後十年後どころか二十年後の東京も見据えて、数多くのクルーズ客船利用者が首都東京の海の玄関口である東京港を利用できるよう、東京国際クルーズターミナルの二バース化に向けた検討を着実に進めることを強く求めまして、質問を終えます。

○慶野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○慶野委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で港湾局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時十五分散会

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