委員長 | 慶野 信一君 |
副委員長 | あかねがくぼかよ子君 |
副委員長 | 鈴木あきまさ君 |
理事 | 石島 秀起君 |
理事 | 西崎つばさ君 |
理事 | あぜ上三和子君 |
清水とし子君 | |
星 大輔君 | |
斉藤やすひろ君 | |
風間ゆたか君 | |
山崎 一輝君 | |
藤井あきら君 | |
本橋ひろたか君 | |
まつば多美子君 |
欠席委員 なし
出席説明員産業労働局 | 局長 | 坂本 雅彦君 |
次長 | 根本 浩志君 | |
総務部長 | 松本 明子君 | |
産業企画担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 | 向井 一弘君 | |
企画調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 | 勝見 恭子君 | |
企画調整担当部長 | 飯野 雄資君 | |
商工部長 | 緑川 武博君 | |
商工施策担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 | 福田 哲平君 | |
金融部長 | 戸井崎正巳君 | |
金融支援担当部長 | 高野 豪君 | |
産業・エネルギー政策部長 | 阿部 泰之君 | |
産業政策連携促進担当部長 | 米澤 鉄平君 | |
新エネルギー推進担当部長 | 榎園 弘君 | |
観光部長 | 築田真由美君 | |
観光振興担当部長 | 天津 利男君 | |
農林水産部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 | 山田 則人君 | |
安全安心・地産地消推進担当部長 新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 | 鈴木のり子君 | |
雇用就業部長 | 山崎 太朗君 | |
事業推進担当部長 | 内田 知子君 | |
労働委員会事務局 | 局長 | 桜井 政人君 |
本日の会議に付した事件
労働委員会事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和五年度東京都一般会計予算中、歳出 労働委員会事務局所管分
産業労働局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和五年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為
産業労働局所管分
・第九号議案 令和五年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
・第十号議案 令和五年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計予算
・第十一号議案 令和五年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
報告事項(質疑)
・東京都が東京信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄の報告について
・東京都MICE誘致戦略について
・東京農業振興プラン(案)について
○慶野委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、労働委員会事務局及び産業労働局関係の予算の調査並びに産業労働局関係の報告事項に対する質疑を行います。
これより労働委員会事務局関係に入ります。
予算の調査を行います。
第一号議案、令和五年度東京都一般会計予算中、歳出、労働委員会事務局所管分を議題といたします。
本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○藤井委員 それでは、労働委員会におけるデジタル化の取組についてお伺いをさせていただきます。
昨年十一月の事務事業質疑では、労働委員会におけるDX、デジタル化の取組状況や課題について質疑をさせていただきました。
労働委員会では、IT機器の使用を望まない利用者も想定して、対面や紙面類による方法とウェブ会議のシステムや電子申請のシステムなどを両方活用するハイブリッド型の取組を推進しているとのことでありました。
今年度は、オンラインによる書類の提出等を可能とすることでしたが、その進捗をお伺いいたします。
○桜井労働委員会事務局長 労働委員会では、東京都及び区市町村で進めている東京共同電子申請・届出サービス等を活用し、行政手続のデジタル化を進めております。
今年度は、既に申立て等がなされている事件に関する二十六の手続について、オンラインによる書類提出等を可能とする計画を立て、既にその約半数を実施し、三月末までに残りの手続も実施いたします。
来年度は、新規に申立て等がなされる事件に関する手続や公印のデジタル化が必要な手続など、二十の手続をオンライン化する予定で準備を進めております。
○藤井委員 書類の提出に関するデジタル化が進んでいるということを確認させていただきました。四月からは、さらに公印のデジタル化が必要な手続を含めて二十の手続をオンライン化して、利用者の利便性を向上させるということであります。
利用者の利便性の向上を図るとともに、労働委員会の業務についても生産性を上げていくために、デジタル化の対応というのが求められています。また、労働委員会の委員の人材確保という観点からも、どこでも働ける環境の整備というのは非常に重要だと考えております。
労働委員会の業務では、事件の当事者から多くの書類が提出され、管理する必要があると聞いておりますが、こうした労働委員会の業務におけるデジタル化の状況と課題についてお伺いいたします。
○桜井労働委員会事務局長 労働委員会では、委員の審査指揮の下、委員と職員とが密接に連携して業務を行っており、両者の情報共有が欠かせません。
当委員会の業務では、当事者から多くの書面が提出されますが、現状では、委員と職員とがデジタルで書面を共有する環境が整っておらず、今後、オンラインで書面が提出された場合でも、職員が都度、紙に出力し、委員は登庁してこれを確認するなど、行政手続のオンライン化により期待される効果を十分に得ることができないという課題がございます。
また、委員と職員とが書面を効率的に共有するには、委員は特別職の非常勤職員でありまして、庁内のネットワーク環境が利用できないことから、独自のシステムを導入しなければならないということも課題でございます。
○藤井委員 ありがとうございます。
今課題について述べていただきましたが、事務局と委員との、委員の皆さんが職員でないことによって庁内のネットワークに接続できなくて、そのために、都度、紙に出力して、委員は登庁してそれを受け取らなければいけないというところのお話をいただきました。
書類提出等のオンライン化により、利用者の利便性向上が進んでいることは先ほどの答弁でいただきましたが、労働委員会の委員の業務においても、デジタルツールを積極的に取り入れていく必要があると思います。
このことによりまして、ペーパーレス化や業務の効率化が大きく進み、委員や職員の事務負担の軽減にもつながり、その分、審査の質の充実が期待できるものと考えております。
こうした課題に対してどのように対応するのかお伺いします。
○桜井労働委員会事務局長 労働委員会では、来年度、クラウドサービスを活用し、委員と職員とが書面や情報を即時に共有できるシステムを導入する予定でございます。
当委員会は、労働組合や会社の事業活動情報が含まれる機密性の高い文書を取り扱うため、このシステムは、サイバーセキュリティに十分留意し、安全に管理できるものといたします。
今後、デジタルサービス局のサポートも受けながら、システムを構築し、より効率的、効果的に業務が行えるよう取り組んでまいります。
○藤井委員 昨日の総務委員会、デジタルサービス局の予算調査の中で、都庁職員が使っているTAIMSの中で、現在、皆さんが利用されているチームスという、チャットであったりとかビデオ会議ができるサービスがあると思うんですが、ここに外部の方をユーザーで追加できるようにするという話がありました。
労働委員会など、都庁の外部、行政委員会においては都庁の職員ではない方々と一緒に仕事をするケースがありますので、チャットやビデオ会議、また、書類の共有などが手軽にできるところもありますので、今ご答弁いただいた独自のシステムと併せてこういったものもご活用いただきたいと思います。これは、労働委員会だけではなくて、ほかの委員会とかもそうだと思いますので、しっかりと提案をしていきたいと思います。
利用者に対するデジタル化の取組と同時に、都庁の業務全体にデジタルを取り入れて、業務の効率化を進めていくことが重要でありまして、多忙な委員にとって、庁舎にわざわざ来なければ仕事ができないというのは大変な支障になっていると思われます。
コロナ禍を経て、社会全体でデジタル化が進み、テレワークの定着も図られておりまして、労働委員会の業務においても、デジタルツールを積極的に活用して、質の高い仕事によって、その使命を果たしていただきますようにお願いをいたしまして、私からの質疑を終えさせていただきます。
○慶野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○慶野委員長 異議なしと認め、予算案に対する質疑は終了いたしました。
以上で労働委員会事務局関係を終わります。
○慶野委員長 これより産業労働局関係に入ります。
予算の調査及び報告事項に対する質疑を行います。
第一号議案、令和五年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、産業労働局所管分、第九号議案から第十一号議案まで及び報告事項、東京都が東京信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄の報告について外二件を一括して議題といたします。
本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○松本総務部長 去る二月十日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元の経済・港湾委員会要求資料の表紙をおめくりください。
目次でございます。資料は全部で十三項目ございます。
次のページをご覧ください。過去十年間の予算額、決算額の推移につきまして、一ページに中小企業対策、次のページをお開きいただきまして、二ページに農林水産対策、三ページに雇用就業対策をそれぞれお示ししてございます。
なお、雇用就業対策につきましては、内訳として国基金事業関係費を記載してございます。
四ページをお開きください。平成十五年以降の従業者規模別都内製造業の推移をお示ししてございます。
五ページをご覧ください。過去十年間の都内労働者の賃金の推移をお示ししてございます。
六ページをお開きください。過去五年間の派遣元事業所数、派遣労働者数、派遣労働者の賃金の推移につきまして、全国と東京都内それぞれについてお示ししてございます。
七ページをご覧ください。過去三年間の都立職業能力開発センターにおける能力開発訓練普通課程の授業料収入の推移をお示ししてございます。
八ページをお開きください。過去五年間の都立職業能力開発センター校別の就職支援推進員の配置状況の推移をお示ししてございます。
九ページをご覧ください。過去十年間の東京の農地面積の推移をお示ししてございます。
一〇ページをお開きください。平成二十五年以降の区市町村別農地面積、市街化区域内農地、生産緑地面積の推移をお示ししてございます。
一〇ページが区市町村別農地面積の推移、一一ページが市街化区域内農地の推移、また、次のページをお開きいただきまして、一二ページが生産緑地面積の推移でございます。
一三ページをご覧ください。島しょ地域の旅行者数につきまして、過去五年間の推移をお示ししてございます。
一四ページをお開きください。過去五年分の再生可能エネルギーに関わる各種設置補助制度と実績額の推移をお示ししてございます。
一六ページをお開きください。過去五年分のEV、PHV、FCV別のZEV導入に関わる補助制度と実績額の推移をお示ししてございます。
以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
○慶野委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○鈴木委員 私からは、まず、東京の産業の屋台骨ともいえる中小企業への支援について、来年度の取組を何点かお伺いをさせていただきます。
都内中小企業は、新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢の影響による原油や原材料価格の高騰など、様々な経営悪化の要因に直面をしてまいりました。こうした状況に対し、都は、実質無利子融資や借換制度、ウクライナ情勢や円安等対応緊急融資など、制度融資において様々な融資メニューを創設、拡充し、中小企業の資金繰りを支えてまいりました。
一方で、新型コロナウイルス感染症が収まりつつあり、社会経済はポストコロナを見据えて動き出しております。こうした中、企業は、DXの活用による業務の効率化やテレワークの導入など、コロナ禍で生まれた新たな環境の下で、競争力や企業価値を一層高めるため、経営力を向上することが求められております。
そこで、都は来年度の制度融資において、経営力向上に向け取り組む中小企業をどのように支援していくのか、まず伺います。
○戸井崎金融部長 都は来年度、制度融資におきまして、コロナ禍等の影響を受けた中小企業の資金繰りを支えるとともに、将来に向けた様々な取組を柔軟にサポートできるように、融資目標額を二兆円といたしまして、中小企業の支援を着実に行います。
この中で、ポストコロナにおける中小企業の経営力向上のため、業務の効率化など生産性を向上させるデジタル化やHTTに計画的に取り組む中小企業を支えるべく、それらに対応した融資メニューの利用対象を拡大いたします。具体的には、企業変革に向けたDX推進支援事業やゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業などを利用する事業者を新たに対象といたします。
また、従業員の意欲や収入の向上を図り、事業者の生産性を高めるため、働き方改革を支援する融資メニューにおきまして、賃上げに取り組む中小企業を新たに融資対象に加えまして、信用保証料の三分の二に助成を行います。
さらに、育業を推進するための職場環境の整備に取り組む中小企業に対しまして、信用保証料の補助率を二分の一から三分の二に引き上げるとともに、融資対象となる取組を拡充いたします。具体的には、育業中スキルアップ支援事業などを利用する事業者を新たに対象といたします。
これらによりまして、中小企業の様々な取組を金融面からより一層支援してまいります。
○鈴木委員 今、中小企業が経営力を向上させるために、様々な取組を東京都がきめ細かく支援をしていく、そういった内容についてお伺いをさせていただきました。
東京の経済を支える中小企業が今後とも成長できるように、成長していけるように、しっかりと支えていくことを広く広報、PRしていただいて、しっかりとこういったものを使っていただけるように、ぜひお願いをしておきたいと思います。
次は、中小企業の経営支援についてお伺いをさせていただきます。
コロナ禍を一つの契機として、企業現場でのデジタル化が急速に進んでおります。厳しい経営環境が続く中、中小企業が発展していくためには、こうした新たな技術をいかに経営に取り入れていくかが鍵となります。
私の地元の大田区においても、デジタル化が難しいとされてきた製造業で、新たな設備などを取り入れて、工場の生産性や業務の効率化を高めた事業者が出てきております。
その一方で、小規模零細企業の経営者からは、DXに関する知識も少なく、従来の経営手法から変更することが不安だなどとの声も聞かれているのが現実です。
我が会派は、本会議での代表質問において、中小企業のデジタル化に向け、きめ細かい支援を行うべきとの質疑を行い、都からは、企業への働きかけを行う取組などを開始するとの答弁がありました。
中小企業のデジタル化を進めるためには、まず、経営改善の効果を知ってもらう必要があるんだと思います。
そこで、どのように企業への働きかけを行うのか、少し詳しくお伺いをさせていただきたいと思います。
○緑川商工部長 都はこれまで、中小企業のDXの推進に向け、様々な事務手続をデジタル化するソフトウエア等を購入する経費への助成を行ってまいりました。
来年度は、多くの中小企業がデジタル化を行うことで業務効率を高められるよう、新たな取組を開始いたします。
具体的には、デジタル化が進んでいない中小企業約一万社に対しまして、DXによる経営改善を働きかけ、希望する事業者に対しましては、専門家を五回まで無料で派遣をいたします。
専門家は、現場の実態を踏まえ、業務の効率化に向けた分析を行い、経費の節減などの効果をお示しした上で、デジタル化の提案とシステムの導入の実現に向けたサポートを行ってまいります。
こうした取組によりまして、中小企業のデジタル化を後押ししてまいります。
○鈴木委員 今ご説明をいただきました。経費削減や業務の効率化アップなどの効果をしっかり説明をしていただいた上で、専門家が導入に向けてしっかりサポートをしていただけるようにお願いをしておきたいというふうに思います。
中小企業の現場に赴き、経営上の効果を伝えながら、デジタル化の第一歩を後押しする取組であることが今分かりました。企業の声をしっかりと聞いて事業を進めていただきたいと思います。
こうしたDXの裾野を広げていく取組とともに、高度なデジタル化を進める企業への支援も重要であります。
国によると、中小企業のうち、デジタル化により、新たな販路の開拓や新サービスの開発に取り組み、競争力を高めることに成功した企業は、まだ一割程度となっております。中小企業を真のDXに導くためには、このレベルまで引き上げていくことが重要でありますが、アイデアや意欲があっても、必要となる予算が確保できない、事業化に向けた専門的な知識が足りないなどの理由から、実際には踏み切れないというケースも少なくありません。
都は、デジタルを活用した事業展開の支援を開始するとしておりますが、こうした中小企業の実態を踏まえて取り組むべきと考えますが、事業の詳細についてもお伺いをさせていただきます。
○緑川商工部長 都はこれまで、中小企業が製造現場等の生産性を高めるため、デジタル技術を導入する場合の経費につきまして、最大三分の二を、三百万円を上限に助成をしてまいりました。
来年度は、DXによって企業変革を図り、新しいサービスを提供する中小企業を支援する新たな取組を開始いたします。
具体的には、中小企業に専門家を、準備段階の支援として二回、DXに係る経営戦略の策定支援や現場でのデジタル技術の導入支援として二十四回まで、二年間にわたり無料で派遣し、総合的に支援をしてまいります。また、デジタル技術の導入に必要となる経費につきまして、最大三分の二を、一千万円を上限に助成をいたします。
こうした取組によりまして、中小企業によるデジタル技術を活用した新たな事業展開を支援してまいります。
○鈴木委員 中小企業がDXを機に新たな成長につなげられるよう、中小企業の経営者に寄り添ったきめ細かい支援をお願いしたいと思います。
次に、デジタル化を社会全体に広げていくためには、こうした中小企業だけではなくて、商店街に対する支援も進め、裾野を広げていく必要があるのではないかと考えます。
キャッシュレスなど消費者の買物スタイルが大きく変化をしており、商店街が集客力を高め、売上げの拡大につなげていくためには、商店街に来られるお客さんが、安心、そして便利に買物ができるというような環境を整えていくことが重要であります。
デジタル技術をうまく活用すれば、例えば、商店街で使える電子クーポンをお客様に発行したり、SNSを通じた情報発信などにより、新たな顧客の開拓も期待できるのではないかと考えております。
都は、デジタル化に取り組む商店街が増えるように支援の充実を図るべきだと私は考えますが、見解を伺います。
○緑川商工部長 都は、商店街のデジタル化を推進するため、オンラインで商品を販売するサイトの構築や商店街の情報を収集、発信するシステムの開発など、デジタル化に必要な機器導入や専門家の派遣等に要する経費につきまして、十分の九を、一千万円を上限に助成をしております。
今年度は、物販だけでなく、飲食店の予約やテークアウト注文にも対応できるECサイトを開発し、顧客の利便性を高めることで売上げの向上につなげる事例や、AIカメラを設置し、来街者数などを自動的に収集できる仕組みを導入することで、イベントの効果的な実施方法やPR活動等の検討に役立てる取組などを支援いたしました。
来年度は、この支援規模を二十件から四十件に倍増することで、商店街のデジタル化をより一層後押しし、さらなる活性化につなげてまいります。
○鈴木委員 都が、商店街のデジタル化に向けた支援件数倍増、二十件から四十件に倍増して、しっかりと進めていくということも今確認をさせていただきました。ぜひ、商店街の意欲的な取組を後押しして、都内全体のデジタル化の推進につなげていただくことをお願いして、次の質問に移りたいと思います。
次は、中小企業の事業継承についてです。
中小企業の事業継承は、これまで養ってきた技術やノウハウを次世代につなぎ、地域の経済や雇用を維持する観点から、東京の産業を支えるための重要な課題であります。地元の中小企業の経営者からも、昨今の厳しい経営環境による先行きの不安や親族内や従業員に後継者がいないということなどから、廃業を考えているという声を実は私も本当に多く聞いております。
そうした中で、昨今、事業継承の手段として注目されますのが、そして活用ですね、活用というものが増えてきているのが、同業企業や取引先企業などに事業を譲渡するM&Aであります。
都においては、我が党の要望を受けて、中小企業のM&Aを後押しする取組を行ってきておりますが、企業のニーズを踏まえた支援が行えるよう、体制を充実して取り組むべきと考えております。来年度の取組についてもお伺いをします。
○緑川商工部長 都は、M&Aによる事業承継を検討している中小企業に対しまして、企業価値の分析や譲渡可能な事業の切り出しなどにつきまして、専任のアドバイザーが助言を行い、最適なマッチングができますよう、民間の幅広いネットワークを活用した支援を行っております。
具体的には、独自の技術を有しながらも、後継者が不在のため、廃業を検討していた音響機器製造業が、通信機器分野におきまして幅広く事業を展開する会社に対して株式譲渡を行い、従業員の雇用継続につながった事例など、これまで十八件成立した事例が出ております。
来年度は、こうした事例につきまして、事業承継に向け検討している事業者に周知するなどして、M&Aを推進していくアドバイザーを三名に拡充し、きめ細かい支援を行ってまいります。
○鈴木委員 専任のアドバイザーが企業に寄り添って、きめ細かい支援を行うことで、企業間のマッチングを促し、成立事例もできているということを今確認させていただきました。
しかしながら、M&Aによるマッチングは、あくまでこの事業継承の入り口であって、継承した企業が事業を継続し発展していくことが重要であります。
こうした観点から、PMIといわれる経営統合作業は極めて重要な過程でありますが、社内規定や会計制度などの違いから難航することが多くて、統合した企業が成果を上げていくまでには相当な時間がかかっているのが実態であります。
このため、都においては、中小企業におけるM&Aをより効果的なものとするため、企業の経営統合を支援する取組を開始すべきと考えますが、見解を伺います。
○緑川商工部長 都は来年度から、M&Aを行った事業者が円滑に経営統合を進め、その成果を早期に発揮できますよう、総合的な支援を開始いたします。
具体的には、経営統合に向けた手続、いわゆるPMIの必要性やプロセスを学ぶセミナーを開催いたします。
また、具体的にM&Aを進めている事業者等を対象に、社内規定などの内部管理や社員同士の信頼関係の構築など、八回にわたり幅広く学ぶスクールを開講いたします。
さらに、M&Aが成立した事業者に向けましては、専門家が企業の現場に出向き、統合計画の策定の支援などを行うとともに、経営管理システムの再構築などに必要となる経費の三分の二を、三百万円を上限に助成をいたします。
こうした取組によりまして、中小企業の事業承継を後押ししてまいります。
○鈴木委員 中小企業がM&Aにより承継した事業をしっかりと運営できるよう支援が行われているということも今確認をさせていただきました。現場で働く従業員などの声にも耳を傾けて、ぜひ取組を進めていただくようお願いをしておきたいと思います。
これまで中小企業の支援についてお伺いをしてまいりましたが、東京都が実施する毎月の景況などの調査を見ますと、販売原価の上昇分を十分に価格に反映できていないといった声も出ており、現場では厳しい状況が続いております。
国の企業間取引の適正化などを目指すパートナーシップ構築を宣言している都内企業は、本日時点では三千七百十一社もの企業が登録をしていると伺っておりますが、まだまだ取組は道半ばであります。引き続き、取引の適正化に向けてしっかりと取り組んでいただくことを要望して、次の質問に移りたいと思います。
次に、中小企業の省エネ対策への支援についてお伺いをしてまいりたいと考えております。
二〇三〇年温室効果ガス半減を実現するためには、業務、産業部門のCO2排出量の約六割を占める中小規模事業者への対策が重要であります。
都では、コロナ禍における省エネ対策として、令和三年度より、換気、空調設備導入補助を実施しているわけですが、中小事業所の現場では、換気、空調以外にも様々な設備を用いております。
我が党では、昨年の事務事業質疑で、こうした観点から、省エネ対策に取り組む中小企業に対する支援策の充実を要望したところであります。
都は、来年度予算案で中小企業が省エネ設備の導入や運用改善に取り組む場合の支援策を新たに予算計上しておりますが、具体的にどのような支援を行っていくのか、その内容についてお伺いをします。
○阿部産業・エネルギー政策部長 中小企業のさらなる脱炭素化を推進するため、事業者の幅広い省エネ対策への支援を行っていくことは重要でございます。
このため、都は、中小企業等が省エネ設備の導入や運用改善の実践を図る場合に、補助率三分の二、上限額二千五百万円、三百六十件の支援を新たに行います。
本事業では、換気設備や空調設備のみならず、LED照明設備や断熱窓の導入など、中小企業の幅広い省エネ対策を対象とすることで、多様なニーズを踏まえた支援を行ってまいります。
また、省エネ診断を基に、特にCO2削減効果が大きいと認められる設備を導入する場合は、補助率四分の三、上限額五千万円、十件の支援を行います。
こうした取組を通じまして、省エネ対策に取り組む中小企業を適切にサポートしてまいります。
○鈴木委員 省エネ対策に取り組む中小企業へのサポートは、まず十件、この支援を行うと今お伺いしました。十件では足りないのかなというふうにも思いますので、この点も、実際の状況を把握した上で、充実もぜひしていただければなというふうにもお願いをしておきたいと思います。
中小企業の様々な省エネ対策を対象に支援していくことが確認をすることができました。本事業は、CO2削減やエネルギー抑制に有意義なだけではなくて、電気料金高騰に苦しむ中小企業を支える取組でもあります。現在の社会情勢を踏まえると、多くの事業者から申請が来ることも考えられるため、今申し上げましたように状況に応じて柔軟に対応していただくことを要望して、次の質問に移りたいと思います。
次は、MICEです。このたび改定した東京都MICE誘致戦略とこれに関連する予算についてお伺いをさせていただきたいと思います。
今後は、インバウンドの本格的な回復に向けてターゲットの絞り込みを行うなど、効果的に東京をPRすることが重要であります。
例えば、都は来年度の予算で、海外旅行への関心が高い富裕層へのプロモーションとして三億五千万円、また、自然や健康など旅行者のニーズに沿ったテーマ別のプロモーションとして一億四千万円を計上しているところであります。
こうした集中的な取組を進めていく一方で、国際的な学会、企業の会議、イベント、見本市といった、いわゆるMICEが開催されることで、世界中から多くの人々が開催都市を訪れて、開催中は飲食や買物、観光など様々な消費活動が行われることから、非常に大きな経済効果が期待できるわけであります。
MICEの開催のメリットは、こうした経済効果にとどまらず、ビジネスチャンスやイノベーションを生み出すことで産業力の強化にもつながり、東京の都市としての国際的なプレゼンスが高まることにもなるわけであります。
こうした様々な効果をもたらすMICEの誘致の拡大に向け、今回戦略を改定したその背景や理由などについてお伺いいたします。
○築田観光部長 都は、東京二〇二〇大会の開催決定を契機といたしまして、平成二十七年に東京都MICE誘致戦略を策定し、東京が持つ様々な強みを生かした戦略的な誘致活動により、着実にその成果を上げてまいりました。
一方で、新型コロナウイルス感染症の拡大によるデジタル活用の急速な進展や、気候危機等を背景とした国際的な脱炭素社会の実現に向けた意識の高まりなど、MICEを取り巻く状況は大きく変化しております。
こうした状況に的確に対応するとともに、コロナ禍の影響で厳しい状況に置かれております都内経済や産業の回復を後押しできるよう、誘致戦略を見直すことといたしました。
○鈴木委員 これ、観光部の中にMICEの専門のこの部署をつくるわけですよね、これね。そうでもないの、これ−−はい。
いずれにしても、これは、十年後を見据えるよりも、今まさに動いている大事な東京の事業だと私は思いますので、この誘致戦略というものを見直される、これは本当に今回大事なことだなというふうに思っております。背景や理由は今理解をさせていただきました。
そうした中で、MICEによるメリットを享受するため、世界の各都市が誘致活動に力を入れており、シンガポールやソウルでは国を挙げて取り組んでいる中、東京への誘致を実現することは容易なことではありません。MICE市場の変化を的確に捉えて、多角的な視点から効果的な戦略を立て、熾烈な誘致競争を勝ち抜いていく、そのことが必要であります。
こうしたことも踏まえて、東京がMICE誘致における国際競争力を高めていくためには、外部の方の意見などを踏まえた戦略の策定が必要であると私は考えますが、今回の改定をどう進めてきたのかについても伺います。
○築田観光部長 このたびの誘致戦略の見直しに当たりましては、MICE市場における変化も踏まえて、MICEに加え、デジタルや環境の分野の専門家を委員とした会議を設置いたしまして、意見交換を行いました。
委員からは、デジタル化や環境に関する取組を促進するためには、コスト面での負担軽減やガイドラインの活用、さらに人材育成の必要性などのご意見がありました。また、MICEの受入れに対する地域住民の理解促進や、KPIを設定し、戦略による効果の検証を行う必要性なども挙げられました。
これらの意見を踏まえまして、新たにデジタル技術や環境に配慮した取組を促進するとともに、地域との連携をさらに推進するなど、五つの戦略を掲げたところでございます。
今後は、この戦略の下、国際競争力を強化し、効果的なMICEの誘致を進めてまいります。
○鈴木委員 目標達成に向けた五つの戦略ということでございます。誘致促進、最大化、あるいは付加価値の向上、そして、多様な主体や地域との連携、環境に配慮した社会づくりに資するこのMICEの促進というような戦略を五つしっかりとつくってというようなことを今お伺いしたところでございますけれども、東京にMICEを誘致する上で、都内に数多くある魅力的な地域の特色を生かしていくことが有効ではないかというふうに考えます。
MICEを受け入れるためには、会議等の開催に必要となる会議場や宿泊施設などの機能を整えることはもちろんですが、国内外から参加した人々が開催地の魅力を感じて、またそこに足を運ぶといった、こういった好循環を生み出して、この地域の活性化につなげていくことが重要であります。
そのためには、ハード面だけではなくて、そこにつながってくる地域の商店街や、そこに暮らす住民の方々が、もっとMICEに関心を持って、一体となって、そしてこれを受け入れていく、歓迎をするという機運を醸成していかなきゃならないんだろうなというふうに私は思っております。
こうしたことを踏まえて、都は、都内の各地域におけるMICEの受入れ環境を一層向上させるべきと考えますが、見解を伺います。
○築田観光部長 都はこれまで、会議場やホテル等が確保できる都内の九つのエリアを重点的に支援する拠点として選定し、受入れ体制の強化に向けてサポートしてまいりました。
来年度は、新たに地域が一体となったMICEの受入れ環境の整備を推し進めるため、各拠点におきまして、MICEの開催に対する住民などの理解促進に向けた取組を支援いたします。
具体的には、地域で誘致活動の中心となる団体が、住民や事業者を対象に、MICEの開催が地元にもたらすメリットなどを学ぶセミナーや、海外の参加者との交流を体験するワークショップの開催などに取り組む場合、それに要する費用の二分の一を、三百万円を上限に助成いたします。
こうした取組によりまして、地域の活性化につなげてまいります。
○鈴木委員 MICEって、その施設で完結をしてしまうというようなイメージが強いんですけれども、やっぱりキーワードは、地域の活性化だと思うんです。そこにどうつなげていくのか、そういったことをしっかりとこの施策を進める上で私はやっていただきたい、この施策を推進していただきたい、そのように要望したいというふうに思っております。
最後に、都市農業の振興についても、ぜひお伺いをしておきたいと思うんです。
住宅の中に農地が点在する東京農業は、世界的にも希少な事例であり、そこで収穫された新鮮な野菜は、私たちの食卓に彩りを与えてくれております。東京の農地、とりわけ区部やその近郊の貴重な生産緑地をしっかりと次世代に引き継いでいくということは、私たちの重要な責務ではないかと考えております。
農業者の高齢化が進む中で、農地の保全を図るためには、営農を続けることが困難な農地の所有者と新たに就農を希望する人とのマッチングによって、貸借を促進することが有効な解決策の一つであります。
さきの第四回定例会では、我が会派の質問に対して、都からは、生産緑地の貸借を一層増やすための支援を検討している旨の答弁がありました。
そこで、来年度都は、生産緑地の貸借を増やすためにはどのように取り組むのか、具体的に伺います。
○山田農林水産部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都は来年度、生産緑地の貸借の促進に取り組む区市への支援を強化するとともに、自治体の区域を越えた広域的なマッチング等を開始いたします。
具体的には、区市や農業委員会、JA等による協議会を設置し、貸借の成功事例などを共有することにより、各区市に貸手と借手のマッチングを行う生産緑地バンクの創設を促します。加えまして、貸借を希望する方のデータベースを作成し、区市に提供いたします。
また、自治体の区域を越えて農地を探したいというニーズに対応するため、広域的なマッチングを行う専門窓口を農業会議に設置し、生産緑地バンクと連携して、きめ細かな助言を行ってまいります。
さらに、生産緑地の所有者が新規就農者等と新たに十年以上の賃貸借契約を締結する場合、都が貸手に対して、区部では十アール当たり三十万円、市部では二十万円の奨励金を交付いたします。
こうした取組によりまして、生産緑地の貸借を一層促進してまいります。
○鈴木委員 今具体的にお話を伺いました。区部では十アール当たり三十万円、市部では二十万円の奨励金を交付するということです。こういったことも、しっかりとPRをしていただきたいなというふうに思っております。
生産緑地の貸借については、貸手である農家や借手である新規就農者など、双方が不安を抱えているわけであります。行政が間に入って、こうした不安を取り除いて、きめ細かな相談を行うことで、生産緑地の保全につなげていくべきであります。
こうした取組を行ったとしても、一たび相続が発生すると、相続税を納めるために生産緑地を売却する農家が多いわけであります。生産緑地の売却に当たっては、まず、相続人が区市に対して買取り申出を行う必要がありますが、その際、区市がその土地を買取り、市民農園などとして整備すれば、都市部の貴重な畑を残すことができるわけであります。
都は、区市が買取り申出のあった生産緑地を購入する場合に、この買取り経費の二分の一を助成しておりますが、我が会派は、さきの事務事業質疑におきまして、区市による生産緑地の購入がさらに進むよう、この補助率のかさ上げなど、支援の強化を要望させていただきました。
そこで、都は来年度、どのように取り組むのかをお伺いいたします。
○山田農林水産部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都は、区市が相続などで買取りの申出のあった生産緑地を購入して農的に活用する場合に、その取組を後押しするため、農林水産振興財団に設置した基金を通じまして、買い取りに必要な経費の一部を助成しております。
今年度は、二月末現在で六千六百四十八平方メートルの買取りに対しまして、約十四億六千万円の交付決定を行いました。来年度は、区市の買取りをさらに促進するため、補助率を購入費用の二分の一から三分の二に引き上げるとともに、基金に追加で二十億円の出捐を行い、区市への支援を拡充いたします。
こうした取組によりまして、区市による生産緑地の買取りを後押ししてまいります。
○鈴木委員 ここで、畜産業について一言付け加えておきたいと思います。
ウクライナ危機の長期化によるこの飼料価格の高騰は、収束の兆しが見えておりません。酪農家や養豚農家の経営は厳しい状況が今も続いております。
都は昨年、我が会派の要望を受けて、畜産農家への緊急的な対策、飼料価格に伴う畜産経営、この高騰対策の緊急支援というものを実施したわけでありますが、これまでに四十八件の農家が支援を受けたと聞いております。この支援があって経営を継続することができた、大変助かったとの声が私どもの会派にも寄せられているところであります。
今後も、飼料価格の動向などを注視して、必要に応じて適切な対応を行っていただきたいと、このようにお願いをしておきたいと思います。
今日はここまで、中小企業や農家の支援など、来年度の取組について細かく、詳しくお伺いをさせていただきました。エネルギーや原材料の価格が高止まりする非常に厳しい中でも、何とか経営を続けようと日々奮闘する中小零細企業の事業者にこれらの支援が確実に届くよう、区市町村や経済団体、地域の金融機関などとしっかり連携して、来年度の事業を進めるよう、産業労働局には改めて要望をしておきたいと思います。
私をはじめ、都議会自民党はこれまで一貫して、地域の事業者の皆さんの声に耳を傾け、現場のニーズを把握した上で、都や国に対し、その時々の社会や経済の情勢も踏まえ、必要な施策の提言を行い、その実現につなげてまいりました。
私も引き続き、産業労働局の諸施策、諸政策と、大田区の産業経済政策を連動させて、大田区の産業政策を牽引してまいりたい、このように考えております。これからも地域に根差して一人一人としっかり向き合い、東京の産業を支える事業者が真に必要とする血の通った施策の実現に向けて、力を尽くすことをお誓い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○あかねがくぼ委員 では、私の方から、まず最初に産業の施策について伺ってまいります。
都は、世界一のスタートアップ都市を目指しておりますけれども、そのためには、資金調達の支援というところが非常に重要であります。これまでも商品やサービスへの共感や応援の気持ちを広く資金調達につなげていくような購入型や寄附型のクラウドファンディングの利用に対する支援の事業を実施してきまして、創業者の資金調達やテストマーケティングに支援をしてきたところです。
最近、クラウドファンディングにおいて、より調達金額の大きい株式を活用したような手法も出てきておりまして、創業者が必要としている資金調達の多様化に向けた、こういった新しい手法の活用や普及が重要であると考えます。
このたび、都としても株式を活用したクラウドファンディングによるベンチャー企業支援事業を新たに実施するということでありますが、どのように取り組むのか伺います。
○高野金融支援担当部長 都はこれまで、創業希望者等が商品開発等のために資金を募る購入型や、社会的活動等への共感を基に寄附を募る寄附型のクラウドファンディングを利用した際に支払う手数料について助成してまいりました。
来年度、これに加えまして、創業から五年以内のベンチャー企業が株式を発行することにより、その企業の理念や取組を応援する多くの人から資金を集めるクラウドファンディングを利用した際の支援を行います。具体的には、クラウドファンディング取扱い事業者に支払う手数料の二分の一、限度額三百万円までを助成いたします。
また、利用するベンチャー企業の主たる事業がHTT、ゼロエミッション、DXに資する場合には、特例として手数料の助成率を三分の二、限度額を四百万円まで引き上げます。
あわせまして、無料セミナーの開催や相談窓口の設置により、株式を活用したクラウドファンディングの仕組みや成功事例の紹介を行います。
ベンチャー企業による新しいビジネスへの挑戦を後押しするとともに、新しい仕組みでございます株式を活用したクラウドファンディングの普及も図ってまいります。
○あかねがくぼ委員 このように株式を活用しまして、クラウドファンディングの活用、推進をしていく、また、普及を図っていくということで、今まで実績がなくて通常の融資で資金調達が難しいような企業、こちらに選択肢を広げていくということになりますので、ベンチャー企業の新たな挑戦を支援して、都が世界一のスタートアップ都市になるということにつながっていくと思います。
今後とも、金融の様々な手法を用いて、企業の資金需要に応えていただきたいと思います。
実際、私の知り合いの経営者からも、クラウドファンディングを使ってやってきたけれど、やはり手数料が非常に高いと、こういうのはお声として非常にいただいておりましたので、今回その半分、また、都の推進する政策に関連する場合は三分の二ということで、非常によい取組になっていると思いますので、期待をしたいと思います。
次に、中小企業等の脱炭素化について伺ってまいります。
脱炭素社会の実現に向けまして、大企業だけでなく、中小企業等も含めたサプライチェーン全体でのグリーントランスフォーメーション、この取組が必要不可欠であります。中小企業等の多くは、カーボンニュートラルについての自社の経営に何かしらの影響があると考えておられますけれども、具体的な方策、この検討にはなかなか至っていない状況だと思います。
そこで、中小企業等によるGXの意欲的な取組を、資金面、そして情報面から支援をしていくということが今必要です。
都は、来年度の新事業で、カーボンクレジットを活用した中小企業等の脱炭素化を促進する、そのために排出量の取引事例を創出する取組等を予定しています。
中小企業等における排出量取引創出事業について、さきの予算特別委員会で、我が会派の藤井議員の質問に対しまして、専門家を派遣、設備投資、クレジット認証取得費補助等を実施する旨の答弁がありましたけれども、具体的にはどんな企業が対象になると考えているのか、また、何社ぐらいが対象となると見込んでいるのか伺います。
○米澤産業政策連携促進担当部長 本事業は、中小企業等が削減したCO2排出量を、市場システムを通じ取引ができるよう後押しするものでございます。
具体的には、中小企業が国内の排出量取引であるJ−クレジット制度の市場に提供するクレジットをつくる取組と、自社での削減に加え、クレジットを買い取る取組をサポートいたします。
支援対象といたしましては、CO2を多く排出するボイラーや空調等の設備を使用する事業者が、設備の改修や更新により排出量を削減する取組などを想定してございます。
また、支援規模につきましては、クレジットをつくる取組と買い取る取組のそれぞれで三社ずつ、合計六社程度を予定してございます。
○あかねがくぼ委員 これは、国のJ−クレジットという制度の下で行うということで、削減をしたCO2の排出量、これをクレジットとして市場で売買できるという仕組みなわけですけれども、この都の支援におきましては二パターンありまして、クレジットをつくって、そして、それを売ると、そういう側に対しての支援、これが三社。さらに、自社でCO2排出量の削減をして、さらにクレジットを買って、企業のさらに買うところまでやると、そういった企業の支援でさらに三社程度を予定していると、そういうことでございます。
J−クレジットを購入する企業というのは、クレジットをつくって売る企業よりもさらに高い目標、意欲的な削減目標を掲げているというのが条件でありまして、専門家の派遣と設備投資の補助というところに加えまして、クレジットの購入費の補助、サステーナブル融資というものが支援の内容に上がっています。
クレジット購入費補助とサステーナブル融資につきまして、それぞれどのような要件を満たせば補助の対象になるのかを伺います。
○米澤産業政策連携促進担当部長 J−クレジットの購入支援は、自社でのCO2排出量削減の取組に加え、市場から購入したクレジットを充当することで、より意欲的な削減に取り組む企業を後押しするものでございます。
具体的には、企業が自ら設定し、都が認めた削減目標に対して、一定割合を自社での取組により達成した上で、残りを市場から購入したクレジットで充当することを求め、削減目標を達成した企業には、クレジット購入費の二分の一を助成いたします。
これに加えまして、こうした企業に対して、都の中小企業制度融資において、融資利率を〇・六%優遇する特例を創設するとともに、民間の金融機関から優遇利率を適用したサステーナブル融資を受けられる仕組みも導入いたします。
これらを通じまして、CO2の排出量取引を促進し、中小企業等の脱炭素化を後押ししてまいります。
○あかねがくぼ委員 こういった事業がまずは六社程度ということですので、先行事例になって、そして二〇五〇年のカーボンニュートラルに向けた取組、カーボンクレジットを活用して、中小企業の脱炭素化が推進をされていくように期待をしていきたいと思います。
次に、ファッション、アパレル産業についての支援について伺います。
ファッションやアパレル産業というのは、川上から川下まで、実に多くの種類の中小企業が関わっているという大変裾野の広い産業です。コロナ禍で大打撃を受けてしまった産業の一つでもあると考えます。
私の知り合いも、百貨店に婦人服卸をしていたアパレル、創業五十年という地元の杉並の企業様でしたけれども、外出自粛などの影響を非常にもろに受けたということで、コロナ禍に廃業を余儀なくされてしまったと、こういったお話を聞いております。
ようやくまちに活気が戻ってきつつある、それで今こそこの産業を回復させて、さらに発展をさせていくようなチャンスだと思います。
都は来年度、ファッション・アパレル産業活性化促進事業を新たに実施することとしていますが、事業の趣旨と内容について伺います。
○緑川商工部長 コロナ禍における外出自粛などの影響を受けたファッションやアパレルの分野の事業者を活性化するため、その魅力を発信し、東京のプレゼンス向上につなげることは重要でございます。
都はこれまで、三月に開催されるファッションウイークに合わせ、ファッション、アパレル産業の企業が中心となって、ショーや被服の展示などのイベントを開催する場合に支援をしてまいりました。
来年度は、こうした支援に加えまして、地域や民間企業等と連携し、都内の複数のエリアでファッションとデザインを軸にした、まち全体でファッションの魅力を実感できる様々な体験型の企画やイベント等を展開してまいります。
こうした取組によりまして、東京のファッション、アパレル産業の発展につなげてまいります。
○あかねがくぼ委員 ちょうど今週の三月十七日から、都心の六か所で開催されるイベント、東京クリエイティブサロン、これも都が支援をしているということでございます。今までも支援していたということです。
そして、今まではコロナ禍での制約がありましたのでやりにくさがあったと思いますが、今年からはもう本当に思う存分盛り上げていただき、また来年度はさらに都内の各地でこういったイベントを展開していただき、ファッションとアパレル産業の活性化につなげていただくことを期待しまして、次の質問に移ります。
次は、農業について伺います。
私は、昨年の事務事業質疑におきまして、都内産農産物の学校給食への活用について質問しました。地元の野菜を使うということは、農家の販路の確保はもとより、食育の推進にもつながるような大切な取組であります。
子供たちの中では、日頃食べている野菜の形をあまり知らない子もいたり、根がついたままの枝豆、また、農家から届いたばかりの新鮮な野菜を見ると、非常に興味津々といった目つきで見たりしているところです。
こういった取組を一層拡大して、地産地消も推進をしていくために、私自身も地元の区といろいろな意見交換なども行っています。
都は来年度、自治体の区域を越えまして、取組に対する助成を開始すると聞きましたが、具体的な内容を伺います。
○鈴木安全安心・地産地消推進担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都は来年度、多摩地域で収穫した野菜を区部の学校等に提供するため、自治体の区域を越えて集荷や配送を行うJA等の取組に対して助成を開始いたします。
具体的には、JAやNPO法人等の団体に対し、参加する農家の募集や配送に必要な車両のリース代などにつきまして、三年間にわたり助成を行います。初年度の補助率は三分の二、上限額は一千万円とし、助成金は、年々、団体の自己負担を増やすことによりまして、その自立的な取組を促す仕組みとしております。
また、学校給食での東京産農産物の活用を進めるため、教育庁と連携し、学校給食関係団体や生産者団体等を構成員とする食育推進協議会におきまして、都内小中学校の取組状況等に関する情報を共有し、今後の検討に向けた議論を行っております。
こうした取組によりまして、東京産農産物の利用拡大を図ってまいります。
○あかねがくぼ委員 大変充実した支援ということが分かりました。一層、地産地消を進めていただきたいと思います。
次に、農業者の出産、育児への支援、これについて伺ってまいります。
都内では新規就農者は年々増加をしている傾向があります。その中で、女性というのは四分の一程度で、若い世代の方もいらっしゃる、多いということです。これからの時代の都市農業に女性の力が入っていくと大変すばらしいことだと思います。
一方で、農業と出産や育児を両立していくということは、デスクワークなどと比べましても難しい、非常に困難が伴うということは明らかであります。実際に新たに農業を始められた女性の経営者が、ご自身の出産で仕事との両立に大変苦慮されていると、こういったお話があったということでございます。
農業経営者に対しても、安心して子育てに取り組めるようなサポートが必要であると考えますが、見解を伺います。
○山田農林水産部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都は来年度、出産や育児等で農作業を行うことができない農業者への支援を開始いたします。
対象は、認定農業者など経営者として農業に従事している方であり、出産前の休業期間から、出産後、子供が一歳となる日の前日までの間、農業者に代わって農作業等を行うアルバイト等を雇用する経費の二分の一について、百万円を上限に助成をいたします。
子供が保育園に入園できないなど、やむを得ない事情がある場合には、三歳となる日の前日まで支援を継続いたします。
また、農家を対象にシンポジウムを開催し、家族内での役割分担を明確にし、労働環境の改善につなげる家族経営協定の普及を図ってまいります。
こうした取組を通じまして、女性をはじめ全ての農業者が安心して農業経営を継続できる環境を整備してまいります。
○あかねがくぼ委員 出産から一歳になるまで、農業者に代わって農作業をやっていただくアルバイト等の経費二分の一、百万円までということで、大変、これがあるかないかで大きく違うと思いますので、すばらしい施策だと思います。ぜひしっかり支援を継続的にしていただきたいと思います。
次に、雇用就労の分野についてお伺いしてまいります。
セカンドキャリアを始めるシニアへの支援について伺います。
我が国では、総人口が減少していく中で、六十五歳以上のシニアの人口は三千六百二十七万人と、年々上昇している。また、就業者に占めるシニアの割合も一三・五%と、過去最高であります。少子高齢化が進展する中で、知見や経験を有するシニアが、セカンドキャリアにおいて、円滑に社会で即戦力として活躍していただくことは、不足をする中小企業の人材確保といった観点からも非常に重要です。
こうしたニーズに対応するため、都はこれまで、定年後のシニアが、就業や起業、NPOやボランティア等の選択肢も含めて、それぞれのセカンドキャリアを描く約半年間の講座を開講して、新たな挑戦を後押ししてきたところでございます。
来年度は、こうした取組に加えて、就職を希望するシニアを対象に、短期集中のプログラムを予定しているということでございますが、短期集中型のプログラムとした理由と事業の具体的な内容についても伺います。
○山崎雇用就業部長 都は来年度、大企業などで新たな事業展開の知識や経験を身につけたシニア人材が、中小企業で円滑に実力を発揮する手法を学び、就職できるよう後押しする事業を開始いたします。
本事業は、早期の再就職を目指すシニアのニーズに対応することを目的としておりまして、就職後に即戦力として活躍するためのノウハウを短期間で習得する講座としております。
具体的には、これまでの知識や経験を中小企業の職場で生かすために、期待される役割やコミュニケーションスキルなどを五日間で集中的に学ぶセミナーを開きます。これに合わせまして、就職を実現したシニアや経営者との意見交換の場を設け、新たな職場で働く気持ちへの切替えを促します。
こうした取組を年六回、計百二十名の規模で実施いたしまして、きめの細かい支援により、企業とのマッチングにつなげてまいります。
これらにより、シニアの就労を推進いたします。
○あかねがくぼ委員 短期とした理由としては、早期の再就職、五日間で集中的に学んでいただいてということ。非常に現場からの声をしっかりと反映した改善になっていると思います。
大企業などで活躍されていた方が、定年後に中小企業でもまたご活躍いただくということで、これは結構あるんです。ただ、コミュニケーションの課題とか文化の課題というのが、今までと違うフィールドのところでの配慮が必要だったりというところで、やはりこういった、コミュニケーションスキルと書いていただいていますけど、恐らくそういった中でいろいろと丁寧に、学ぶというか、知っていただいた上で、新たな場所でご活躍いただく、これは非常に合理的ですし、受講の方からも喜ばれると思います。
あと、年六回ということでありますが、実際、結構需要が高いと思います。どうしても遠方なので行けないということがあろうかと思いますので、シニアに関しても、ぜひとも都内各地で開催ができるようにご尽力をいただけるとありがたいなと思います。
続きまして、女性のキャリアチェンジに向けた支援を伺ってまいります。
昨年十二月の第四回定例会の私の一般質問におきまして、非正規雇用で働く女性が、身近な地域で正規雇用や自分に合った働き方につながる様々な知識や情報を得るセミナーや相談の機会をこれまでよりも増やして、職業訓練をeラーニングにより効果的に提供しながら、専門家が適切な助言を行う支援、それに合わせて、就職の後押しも一体的に進める新たな取組を検討して仕事の選択の幅を広げていくと知事より答弁いただきました。
非正規雇用で働く女性のキャリアチェンジや再就職を目指す女性に向けた能力開発や就職活動を支援する、キャリアカウンセリングやeラーニング等の具体的な取組内容について伺います。
○山崎雇用就業部長 都は来年度、女性がキャリアチェンジに向け、必要となるスキルなどを身につけ、希望に応じて正社員等で働けるよう、女性の再就職に向けた支援を充実いたします。
具体的には、育児中の方などに向けて、都内各地で就職活動のノウハウを学ぶセミナーと個別相談会をセットで行うイベントを、年間五十回から八十三回に拡充いたします。
また、非正規等から正規雇用での就職を目指す女性が幅広い職業を選択できるよう、eラーニングによる様々な講座や受講者同士の交流の場を提供するなど、能力開発と就職支援を一体的に行う事業を五百人規模で新たに開始いたします。
こうした取組に加え、しごとセンターにおきまして、専任のカウンセラーが個別にフォローアップを行ってまいります。
○あかねがくぼ委員 いろいろと、本当にこの分野は充実を図ってきていただいたと思います。
私も実際、先月、杉並区荻窪で開催をされました女性向けのセミナー、これに行ってまいりましたけれども、参加者の方からも非常に好評でございましたし、実際、本当に活発にやっていただいて、あと、家からやはり近い、自転車で行けるというところで、本当に参加者も喜んでおられました。
こういった取組を、先ほどのは育児の方の再就職ですけれども、いろんな女性がいらっしゃいます。非正規雇用から、コロナ禍で飲食業から、また別のスキルを身につけて正社員を目指す方もたくさんいらっしゃいました。
そういった方も、今後も引き続き、より一層充実した支援をしていただきますように要望申し上げまして、次に行きます。
次に、年収の壁についてでございます。
本定例会の我が会派の代表質問において質疑をさせていただいたんですけれども、現在、非正規やパートタイムで働いている女性などの就業や活躍を阻害している要因の一つとして、年収で百三万円、百三十万円などと、壁といわれている年収の壁が指摘をされています。
これは実態として、パートタイムで勤務をしている女性に話をいろいろ聞いてみますと、社会保険料が発生しないように収入は調整するんですと。具体的には、年末になると、ちょっとオーバーしそうだからシフトに入れないでと、入れませんという、そういった、働く時間を減らす、こういった方法を取っておられる方がほとんどというか、大変多いと思います。
これは、企業側からすると、時給を上げていったり処遇をよくしてといった措置をしていってそうなってしまうということで、時給が上がると時間が減るというふうになってしまいますので、非常に逆効果になっているという状態でございます。
本来は、国の制度改正でこういった課題は解決をしていくべきものですけれど、都としても、年収の壁の手前で止まってしまうということが、見方によっては、これはメリットではなくてデメリットになるんだと、そういうことを、気づきを促すような、こういったことも重要であると考えます。
つまり、年収の壁というものを受け入れて、働くことを控えようとしてしまうということは、将来に向けた、ご自身の収入の、もっと増加をするとか、キャリアアップをしていくといったこととちょっと逆行する行動になってしまうということを認識してもらうことも必要でございます。
また、年収の壁に対しては、自分の人生計画の中で最適な選択をしていくために、税とか社会保障の仕組み、こういった理解を促していくようなことも喫緊の課題でございます。
都は、こうした年収の壁がもたらす弊害というものを解消して、働く方の意欲、これを醸成させていくということも重要であると考えますが、来年度の都の取組を伺います。
○内田事業推進担当部長 都は来年度、従業員が税や社会保障などに関する、より正確な知識を基に、それぞれに最適な働き方を選択し、所得の確保の実現につなげるための取組を開始いたします。
具体的には、こうした税制や社会保険制度などの情報を提供するオンラインセミナーを年三回実施し、企業や従業員への理解を促してまいります。
また、単年度の年収の多寡により、従業員が労働時間を調整している企業などに専門家を派遣し、講習会や個別相談会を通じて、労働時間と所得の関係を十分に説明いたしますとともに、より多くの時間働く場合のメリットや、今後のキャリア形成などについて、きめ細かくアドバイスをしてまいります。
こうした取組によりまして、多様な人材が活躍する職場づくりを後押ししてまいります。
○あかねがくぼ委員 ありがとうございます。
ちょっとの理解が進んでいくことで、ご自身の選択というのが納得をしていただいて、変えるという方も一定数いらっしゃると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
次に、結婚、妊娠、出産、育児等の様々なライフステージに応じて、仕事との両立を実現できる職場環境の整備、これが急務となっております。
令和五年度予算では、結婚から子育てまでのライフステージに応じたトータルサポート展開として、様々な支援の拡充が掲げられています。
ライフステージの充実には、従業員が安心して働ける環境を整備することが必要でありまして、都内雇用の約四割を担う中小企業が、生産性の向上を図るとともに、非正規雇用者をはじめとする従業員の処遇改善を推し進め、賃金上昇、賃金の引上げにつなげていくということが重要です。
都は来年度、正規雇用等転換安定化支援事業やエンゲージメント向上に向けた職場環境づくり推進事業により、中小企業の職場環境の整備に向けた支援を強化していくとしていますが、来年度の予定件数、伺ってまいります。
○内田事業推進担当部長 正規雇用等転換安定化支援事業は、国のキャリアアップ助成金の支援を受けた中小企業が、非正規から正規に転換した従業員の人材育成計画を作成し、メンターによる指導などを実施した際に助成を行うものでございまして、来年度は千九百件の規模で実施いたします。
また、エンゲージメント向上に向けた職場環境づくり推進事業は、会社の生産性と従業員の意欲を高めるため、多様な勤務制度の導入のほか、賃金の引上げを行う事業者に奨励金を支給するものでございまして、来年度は千二百件の規模で実施いたします。
○あかねがくぼ委員 しっかりと規模感のある件数であるということが分かりました。
また、都は来年度より、これらの事業において、子供を安心して産み育てられる環境整備に取り組むこととしていますが、その支援内容も伺っていきます。
○内田事業推進担当部長 都は来年度より、正規雇用等転換安定化支援事業におきまして、新たに結婚休暇や小学校在学中も取得できる看護休暇の導入のほか、産前産後休暇の充実などに取り組む事業者への助成を開始いたします。
また、エンゲージメント向上に向けた職場環境づくり推進事業では、短時間正社員制度や、子供の誕生日や学校行事に出席する際に取得できる休暇制度の導入のほか、育業を取得した従業員の周囲の社員を支援する制度などの取組も、奨励金の対象に追加をいたします。
これらによりまして、子育てと仕事が両立できる職場環境の整備を後押ししてまいります。
○あかねがくぼ委員 いろいろと理由、休暇の種類が出てまいりましたけれども、大変充実した内容になってきているということが分かりました。こういった支援策を中小企業に積極的に利用してもらうことが、環境整備を進める上で重要でございます。
そのためには広報というものを工夫していく必要があると考えますが、都は、どのように広報に取り組んでいくのか伺っていきます。
○内田事業推進担当部長 都は、正規雇用等転換安定化支援事業につきまして、国のキャリアアップ助成金の支援を受ける企業に向けてリーフレットを直接送付するほか、区市町村やハローワーク、社会保険労務士会等にリーフレットを配布して、事業を着実にPRしてまいります。
また、エンゲージメント向上に向けた職場環境づくり推進事業におきましては、専用ウェブサイトやSNSを活用して幅広く事業を周知するほか、トレインチャンネルの活用や都内中小企業へのチラシ送付などによりまして、きめ細かく広報を行ってまいります。
○あかねがくぼ委員 こちらも非常にしっかりと件数をこなしていただいているということからも、都の充実した広報をしていただいて、今後もやっていただくということが分かりました。新年度も多くの中小企業に活用いただくことを期待しまして、次に移ります。
従業員のライフステージに応じた支援として欠かせないものが、育児休業です。とりわけ男性の育業の推進が重要ですが、取組を伺います。
○内田事業推進担当部長 都は、男性の育業を推進する企業の取組を積極的に発信するとともに、企業に対して、育業に係る助言を行う専門家の派遣や、育業中の従業員の代わりとなる人材確保の経費への支援等を行ってございます。
来年度は、二名以上の男性の従業員が一か月以上の期間育業した企業に対しまして、最大百七十万円の奨励金を支給する制度を新たに開始いたします。
この取組により、男性の育業を一層後押ししてまいります。
○あかねがくぼ委員 男性の育児休業、非常に近年充実をして、国も制度改正しておりますし、都の方の制度もかなり利用されているというところでございます。一層、男性育業というものを推進していただきたいと思います。
一方で、男性は仕事で女性は子育てだといったアンコンシャスバイアス、まだまだ世の中には存在しています。こういった偏見を払拭して、育児休業を取得しやすい職場の雰囲気をつくることも重要です。
また、日本は諸外国に比べ労働生産性が低いということが、長時間労働につながって、子供を産み育てる余裕がなくなっていると、こういった分析もあります。長時間労働を是とする昭和時代の働き方、これは見直すべきときが来ています。
社会全体で働き方そのものを見直す機運を高めていくことが必要と考えますが、見解を伺います。
○内田事業推進担当部長 男性が育業しやすい環境づくりを進めるためには、企業への支援と併せまして、社会全体で働き方そのものを見直す機運を高めていくことが必要でございます。
都はこれまで、ライフ・ワーク・バランスEXPOや都の専用ウェブサイトなど様々な場面で、長時間労働の見直しや柔軟な勤務形態の導入に関する先進事例等を紹介してございます。
来年度は、仕事との両立に関するポータルサイトによる発信を充実させ、従業員の出産や子育てなどのライフイベントを支援する企業の特色ある取組の紹介を増やしてまいります。
こうした取組を多面的に展開し、男性の育業の取得や働き方改革を着実に進めてまいります。
○あかねがくぼ委員 しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
次に、リスキリングの環境整備について伺います。
DXやGXにより、産業構造の転換が加速をしていく中で、働き手に求められる能力やスキル、変化が生じております。個人のリスキリング意欲というものも高まっております。
一方で、従業員が百名以下の企業では、約半分の企業はリスキリングには取り組めていないと回答しております。
そこで、都は、DXやGXを支える人材の確保、育成に向けまして、幅広い世代のリスキリングの取組を支援することとしています。
結婚前や育児期など、個々の状況に応じて、学び直しやスキルアップを自発的に取り組めるような勤務制度など、職場づくりの後押しもしていくべきですが、具体的にはどのように取り組むのか、見解を伺います。
○内田事業推進担当部長 企業で働く方が、生活と仕事の両立を図りながら新しい知識やより高度なスキルを習得できるよう、職場環境面で応援することは重要でございまして、都は来年度、そうした企業への、取組への支援を開始いたします。
具体的には、本事業の実施に当たりまして、企業の労務担当者を対象に、社員のリスキリングを後押しする必要性を伝えるセミナーを開催するとともに、その内容を踏まえまして、リスキリングに活用できる休暇制度や資格取得支援制度、育業中のベビーシッター利用への補助制度などを整備する場合に、二十万円の奨励金を支給いたします。
また、企業の希望に応じて専門家を派遣するとともに、奨励金の支給に当たりましては、整備した制度が社内で活用され、実効性が確保されるように、社内研修などを実施し、社員に説明することを要件としてございます。
これらによりまして、従業員のスキルアップのための環境づくりを支援してまいります。
○あかねがくぼ委員 リスキリングに対する意欲があっても、仕事や家事、育児、忙しいために時間をつくるのが難しい、こういった現状があると思います。
リスキリングに使えるような休暇ですとかベビーシッター利用補助、こういったものが充実をしてくれば、実際にリスキリングに取り組めるといった人が増えるはずですので、こういった企業の環境整備、しっかりと推進していただきたいと思います。
最後に、働く女性のライフ・キャリアプラン応援事業について伺います。
新年度の取組としまして、我が会派の提案を受け、ライフキャリアプラン選択肢の一つとして卵子凍結に関する取組を進めていただいているということ、高く評価申し上げます。
卵子凍結に対する正しい知識や認識、これは一部の専門家あるいは当事者にとどまっておりまして、一般的にはまだまだこれからでございます。
社会的な適応といわれる、健康な女性に対する卵子凍結に対する正しい知識や認識が広まり、適切な活用が進むように、普及啓発を行っていくことが重要です。
また、先進的な企業の中には、従業員の福利厚生、女性のライフプランの選択肢を増やしていく取組の一環として、従業員の卵子凍結に係る費用、これを補助するといった動きも見られております。
このように、卵子凍結に係る各種制度を率先して導入をして、より仕事とプライベートの両立を実現する職場環境の整備に取り組むような企業を支援していくことも重要であると考えますが、具体的にはどのように支援をしていくのか伺います。
○内田事業推進担当部長 都は来年度、企業に対して、卵子凍結の正しい知識を広めるとともに、職場環境の整備により、従業員の卵子凍結の支援に取り組む会社への助成を新たに実施いたします。
具体的には、都が開催するシンポジウムやセミナーを受講し、その内容を社内での研修に活用する場合等につきまして、百社に対してその費用を助成いたします。
また、従業員が卵子凍結のための通院に利用できる休暇を導入する場合、二十万円を助成し、凍結や保管に係る費用への補助を行う福利厚生制度の整備等に取り組む場合は四十万円を加算いたします。来年度は二十社への支援を予定しております。
こうした取組により、女性が卵子凍結を選ぶことのできる職場環境の整備を進めてまいります。
○あかねがくぼ委員 社会適応の卵子凍結というのは、社会的不妊に悩む、キャリアのある女性から強い要望のあったものでございますが、何か特効薬のようなものではありません。あくまでもライフプランの選択肢が一つ増えるといったことでありまして、一人一人がよく考えて選択をしていくべきものであります。
東京都は、晩婚化、これが非常に顕著でございますけれども、三十五歳を超えてくると妊娠をしにくくなるというのも事実でございます。卵子凍結の対象も、医学的には三十五歳までが望ましいとされています。
妊娠適齢期の普及啓発や、出産、育児後からでもキャリアを築くことができる環境整備など、複合的な施策展開が必要です。
東京に暮らす女性特有の課題、これを理解して、今後もキャリアとライフイベントの両立に寄り添う、こういった支援をお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
○まつば委員 七日の予算特別委員会総括質疑におきまして、私は、中小企業支援、また、雇用就業対策、被災地応援ツアーなど様々な観点から質疑をさせていただきまして、坂本産業労働局長より前向きな答弁をいただいたところです。来年度、着実に進めていただくことを改めて要望させていただきます。
私は、東京しごとセンターにつきまして、大変に関心を持って今まで取り組んでまいりました。
二〇〇五年、今から十八年前ですが、初めて本会議で、十二月、一般質問をさせていただきましたときに、しごとセンターを利用される子育て中の女性の方々が利用しやすいように、託児の提供を、サービスの提供をすべきであるという、そういう提案もさせていただいて、そうした取組もスタートするというようなところも含めて、今まで様々提案をさせていただいてきたところです。
そうしたことから、今日は、しごとセンター多摩を中心に、何点か質問させていただきたいと思います。
多摩地域雇用就業支援拠点は、東京しごとセンター多摩とハローワーク、また、労働相談情報センター多摩事務所が同じ建物内に入り、開設をされたものであるということであります。
都議会公明党も視察をさせていただきましたが、JR立川駅と多摩都市モノレール立川南駅からペデストリアンデッキ直通で行くことができる場所にありまして、都民が利用しやすい環境にあることを実感いたしました。
そこでまず、東京しごとセンター多摩について伺ってまいります。
都は、国分寺にあった東京しごとセンター多摩を昨年十月に移転し、開設をしたわけでありますけれども、パソコンコーナー、また、託児施設など、設備も充実をしているというふうに拝見をさせていただきました。
ハード面は整備をされたということでありますが、多くの都民の方に利用していただける施設となるためには支援の充実が必要であります。
そこでまず、東京しごとセンター多摩では、開設以降、どのような支援を強化して取り組んできているのかお伺いをいたします。
○山崎雇用就業部長 しごとセンター多摩では、ハローワークや市町村などと連携し、多摩広域を対象に求職者の支援を実施しております。
昨年十月には、非正規雇用などにより不安定な就労が続いている方を対象に、年齢や就職準備度別に企業内実習やマッチングなどによる手厚い支援を行う、全四コースのプログラムを新たに開始いたしました。
また、女性の方の支援におきましては、きめ細かい相談に応じることができる東京都の女性しごと応援テラスと、職業紹介に強みを持つ国のマザーズハローワークが同一建物内に入居したことによりまして、一層の連携強化を図り、専門的な支援を提供しております。
○まつば委員 女性しごと応援テラスとマザーズハローワークが連携をしていくことで、より充実した就労支援になることを提案させていただいてまいりました。
この連携による成果につきましては、引き続き、質問の機会ごとに確認をさせていただきたいと、このように思っております。
国分寺において展開してきたしごとセンター多摩の事業は、就職への準備段階の支援から、企業の紹介、就職後の職場定着までをワンストップで一貫して支援を行う点がよさであったと考えております。
今般の移転を契機に、同じ建物に国のハローワークが入居することになったわけでありますが、このしごとセンターの特色というのは、今申し上げたように、求職者に寄り添った相談支援であると、そのように思っております。
また、ハローワークは、雇用保険制度を活用しつつ、多くの求人による求職者支援の強みがあると、このように思っています。
このしごとセンターとハローワークが同じ建物に入ったことで、双方の特色を生かし、求職者が就労に結びつく支援を強化することが求められています。
そこで、連携した支援の展開が重要であると思いますが、多くの方にしごとセンター多摩をご利用いただくための取組についてお伺いをいたします。
○山崎雇用就業部長 都は来年度、しごとセンター多摩のサービスをより多くの求職者に利用していただけるよう、東京労働局と連携し、取組の一層の強化を図ります。
具体的には、求人情報の確認のため、しごとセンター多摩の同一建物内のハローワークを訪れる求職者に対しましても、しごとセンターで実施している就職準備プログラムなどの様々な支援情報を案内し、幅広い就労支援の機会を提供いたします。
また、ハローワークとしごとセンターの連携内容を協議する仕組みを設けまして、それぞれの窓口を訪れる求職者のニーズを把握し、それに応じた対応を行うなど、支援の充実を図るとともに、効果的な支援策の検討や実施につなげてまいります。
○まつば委員 ご答弁で、ハローワークとしごとセンターの連携内容を協議する仕組みを設けていくということや、また、ハローワークを訪れる求職者の方に対して、しごとセンター多摩の支援内容を案内するなど、両方の窓口が連携をしていくという旨のご答弁をいただきました。
しごとセンター多摩をまだご存じないという方もいらっしゃるかと思いますので、広報にもしっかりと取り組んでいただきたいと、このように思っております。
これまで、国分寺のしごとセンター多摩では、専任の就職支援アドバイザーが、支援の初めに求職者の方の希望や条件を伺い、その方に応じた支援を行ってきました。そうした支援方法は非常に重要であると思います。ハローワークの求人だけではなく、求職者が希望する仕事を見つけるための、求職者に寄り添った求人の確保、これも大事だと思っております。
そのため、職業紹介について、ハローワークのみで行うというのではなくて、一人一人の状況に応じた丁寧な支援についても、一歩踏み込んだ取組も、新しいしごとセンター多摩においても、手法は工夫しつつも行っていくべきであると考えております。
そこで、しごとセンター多摩において、支援強化の観点から、どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
○山崎雇用就業部長 来年度は、しごとセンター多摩が民間職業紹介事業者を活用しまして、就職活動のノウハウなどに関するセミナーや就職面接会、キャリアカウンセリングを実施するプログラムを新たに開始いたします。
このプログラムは、多くの求職者が参加しやすいよう、多摩の幅広い地域におきまして、アウトリーチ型で十回開催いたします。また、就職面接会で採用に至らなかった方に対しましては、引き続き、しごとセンター多摩で就職決定に向けたサポートを丁寧に行います。
具体的には、本人の希望や状況を確認し、就職先を改めて考える機会を提供するとともに、就職先の探し方や採用面接に役立つスキルの習得など、きめ細かな支援を行ってまいります。
こうした取組によりまして、しごとセンター多摩を訪れる求職者の方への総合的な就労支援を強化してまいります。
○まつば委員 来年度の具体的な取組について、ご答弁をいただきました。
新たにプログラムを開始するということでございまして、多摩地域の幅広い地域において、アウトリーチ型で十回開催をするというお話でございました。ぜひとも丁寧な支援を実施していっていただきたいと思います。
次に、労働相談情報センター多摩事務所についてお伺いをいたします。
労働相談情報センター国分寺事務所と八王子事務所が移転、統合して、多摩地域雇用就業支援拠点に多摩事務所が誕生いたしました。
二つの事務所が統合され、機能が集約された多摩事務所は、多摩地域の労働相談の新しい拠点であります。広範な多摩地域の労働相談をお受けすることになったということであります。
遠隔相談やオンライン相談など、新たな取組が実施されているのも拝見をさせていただきましたが、こういった取組によりまして、多摩地域での労働相談が充実することを願うものであります。
そして、多摩地域の方々に広く存在を知っていただくとともに、移転統合したメリットを実感していただくことが必要であるとも考えます。
多摩事務所がスタートして半年近くがたちましたが、現在の取組状況と来年度に向けての取組についてお伺いをいたします。
○山崎雇用就業部長 労働相談情報センター多摩事務所では、昨年十月から、来所や電話による相談のほか、土曜相談や弁護士による相談を新たに実施しております。
また、テレビ会議システムを用いて、市役所や東京たま未来メッセなど五か所と多摩事務所をリモートでつなぐ遠隔相談や、スマートフォン等から行えるオンライン相談を開始したほか、労働問題の基礎知識などの利用者からの質問にチャットボットで自動的に回答する取組も行っております。
来年度は、多摩地域のより多くの方々に労働相談を利用していただけるよう、市町村等と連携した周知を強化するとともに、労働相談を紹介する若者向けの動画を新たに作成しまして、ウェブやSNS等を通じて発信するなど、広報の充実を図り、多摩地域における労働相談の拠点として、労働者等に対するきめ細かなサポートを展開してまいります。
○まつば委員 労働相談情報センター多摩事務所で、テレビ会議システムを用いて、市役所など五か所と遠隔で結ぶ相談というものもされていらっしゃるということですし、また、スマートフォン等からも行えるオンライン相談、これも開始をしているという実績について、ご説明いただきました。
来年度は周知に力を入れていくということでしたので、その点もよろしくお願いいたします。
多摩地域雇用就業支援拠点は、今お話しいただきました労働相談情報センター多摩事務所も含めまして、しごとセンター多摩、ハローワークが一体となって、ワンストップの多摩地域における雇用就業支援の拠点となったわけであります。
今後、様々充実を図っていただきながら、多摩地域の皆様の支えとなる存在となることを期待し、質問を終わります。
○慶野委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後二時四十七分休憩
午後三時五分開議
○慶野委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○清水委員 最初に、資料提出をいただきありがとうございました。
最初に、農業支援についてお伺いします。
飼料代の高騰が、畜産農家に深刻な影響を与えています。乳価は十円上がるけれども、原乳一キロ当たり、飼料代が三十円から四十円になっており、とてもやっていけない。配合飼料だけでなく、粗飼料も三割から四割も価格が上昇し、乳代だけで飼料費をカバーできません。配合飼料のコストを削ると、牛の病気が多発します。生乳生産量も減少してしまいます。畜産農家の方々からは、こうした切実な声が寄せられています。
こうした中で、今年度都は、飼料価格高騰に伴う畜産経営緊急支援事業を行いました。
政府の飼料価格高騰対策が牛一頭につき一万円だったのに比べて、東京都は、牛一頭当たり五万四百円、豚一頭当たり二万七千二百円、鶏一羽当たり三百二十円と手厚いものでした。非常にありがたいという声が上がっています。
最初に、飼料価格高騰に伴う畜産経営緊急支援事業について、実績、それから畜産農家からどのような声が届いているのかお伺いいたします。
○山田農林水産部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 今月十日時点の支援の件数は四十八件でございます。
畜産農家からは、経営を継続する上で助かったという高い評価をいただいております。
○清水委員 経営を継続する上で助かったという声が、当局に寄せられているということでした。私たちにも、そうした声がたくさん届いています。それでも、この東京都の緊急支援で穴埋めできるのは半年程度ということでした。飼料価格高騰は、まだ当分の間継続すると見込まれており、引き続きの支援が必要です。
飼料価格高騰に伴う緊急支援、来年度も実施すべきと考えますが、いかがでしょうか。
○山田農林水産部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 本事業につきましては、畜産農家の経営を下支えするために緊急的に行ったものでございます。
○清水委員 東京の畜産、酪農家は、飼料価格高騰以前から、近隣住民からの苦情、後継者問題、高額な固定資産税などの困難を抱えています。そこに飼料価格高騰、これが襲ってきたわけで、東京の畜産にとっては存亡の危機という事態になっています。
東京の畜産農家を維持、継続するためにも、ぜひ、来年度も飼料価格高騰に伴う畜産経営緊急支援事業を実施していただくように、また、併せて配合飼料、粗飼料に対する支援も実施するように、強く求めます。
次に、地場産農産物の学校給食へのさらなる利用促進についてお伺いします。
昨年、私は一般質問で、農業者や団体が学校給食へ地場産農産物を供給する、そういう取組について、学校と農家をつなぐコーディネーターの配置や配送への支援、これを求めました。
これまでの質疑の中で、都は来年度、多摩地域で収穫した野菜を区部の学校などに提供するため、自治体の区域を越えて集荷や配送を行うJAなどの取組に対して助成を開始することや、農家の募集などについても支援を行う、さらに、この支援は三年間の補助事業で、初年度は三分の二、上限一千万円であるけれども、これは三年間の間、段階的に補助が減っていく仕組み、こういう説明がございました。
小平やJA東京中央会など、先行してこうしたことを行っている団体からお話を伺いましたけれども、学校給食に納品するための野菜の売上げだけで配送や人件費を賄うことはできないというふうに伺っています。
この補助制度については、段階的に減額をして、さらに時限的なもの、こういう制度では、こうした仕組みを支え続けるということはできないというふうに思います。
もともと採算が取れない、自治体が支援してようやくやっている、団体が支援してようやく続けている、こういう制度、こういう仕組みなものですから、ぜひ継続的な支援をしていただくように、重ねて求めておきます。
多摩地域の野菜を区部に納入しているJAにお話を伺いました。
地元に農業者やJAがない場合、区部では、学校と農業者のつながりがないことが課題として出されました。学校の栄養士さんと農業者のつながりがないと、栄養士さんの方は価格だけで選択をしがちになる。また、農家の方は、売れるかどうか確定がしないので思い切って作れない、こういう声を伺いました。
東京全体で学校給食への地場産農産物の利用を拡大するには、教育庁と産労局の連携、これが欠かせないというふうに思います。どちらか一方だけでは、学校給食に地場野菜を取り入れていく、二つの局にまたがったことを進めていくというのはなかなか難しいものがあるというふうに思います。
この解消のために、どのような取組をされておりますでしょうか。
○鈴木安全安心・地産地消推進担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 学校給食での東京産農産物の活用を進めるため、教育庁と連携し、様々な団体を構成員とする食育推進協議会におきまして、既に議論を行っております。
○清水委員 食育推進協議会において、既に議論をされているというふうなことでした。
しかし、例えば教育庁の方では、都内の小中学校で都内産の農産物をどれぐらい利用しているのか、その量や金額は把握をしていないんです。例えば、一回使ったかどうか、こういう把握にとどまっているんです。これでは、なかなかそれを伸ばしていくということにつなげることは難しいというふうに思います。
しかし、地元にJAとか取引先があれば、そこから出荷している量を出していただければ、すぐに量も金額も分かるんだけれども、そういうところがない卸業者から買っているところは、それが都内産のコマツナなのか、そうでないコマツナなのか、それすらも学校では把握できないというふうな声を聞きました。これではなかなか、学校給食に都内産農産物をというふうな取組をしようと思っても難しいというふうに思います。
そのためには、まず、やはり農業者団体と、そこの区市町村の学校、これをつなぐパイプをつくるということが、まず第一の課題だというふうに思います。
先ほど、都内の小中学校の取組を共有しているということでありましたけれども、こういう仕組みを都内全域につくれるようにするために、両局で力を合わせていただきたい、そのように、重ねて要望しておきたいと思います。
次に、生産緑地を購入した自治体への補助制度の仕組み、実績についてお伺いしようと思いましたけれども、先ほど答弁にありました。
これまで、生産緑地、自治体が購入したときに対して補助制度をつくってきて、補助率を二分の一から三分の二に今度は引き上げる。そうした買取り制度の充実の中で、実際に購入する自治体がようやく出てきたということで、評価をしたいと思います。
今年度は二月末現在で六千六百四十八平米、この買取りに対して、約十四億六千万円の交付を決定したと。この買取りのための資金というのは、農林水産振興財団に設置した基金、ここに東京都がお金を出して、そのお金を使って購入の支援を行っている。
来年度については、この基金についても二十億を追加するというふうなご説明でした。
こうした取組は評価をしていきたいというふうに思いますし、今後も制度の拡充に努めていただくとともに、購入した自治体の活用例、これもぜひ紹介していただきながら、自治体の生産緑地購入を後押ししていただくように求めて、次の質問に移ります。
新規就農者への支援についてですが、新規就農者、それから規模拡大を図りたい若手の農業者にとって、生産緑地の貸借制度、これは大きな力になっています。より使いやすい制度にするためには、まだまだ課題も残されています。
私はこれまで、一般質問等々、都議会の質問の折に、生産緑地の貸借について、長期貸出しの促進支援、相続などで急遽返納しなければならなくなった場合の支援、こうした具体的な提案を行ってまいりました。
先ほどの質疑の中で、都は来年度、生産緑地の貸借の促進に取り組む区市への支援を強化するとともに、自治体の区域を越えた広域なマッチングを開始する、生産緑地バンクやデータの共有、専門窓口の設置も行っていくこと、また、長期の貸借契約をする場合、土地の所有者に対して奨励金を交付するというふうな答弁もありました。
この長期貸借を締結する場合、土地の所有者に対しての奨励金、よく聞き取れませんでしたので、もう少し詳細にご説明を再度お願いできますでしょうか。
○山田農林水産部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都が貸手に対しまして、区部では十アール当たり三十万円、市部では二十万円の奨励金を交付いたします。
○清水委員 ありがとうございました。
長期の賃貸借契約をしてくれる土地の所有者に対しては、区部では十アール当たり三十万円、市部では二十万円の奨励金を交付するということでした。
今回、議会に報告されて、報告事項として上がっています農業振興プラン、農地の確保が困難な就農希望者に対しては、農地が見つかるまでの間、都有地などの活用による支援を行っていく、こういうことが述べられています。
都内で新規就農者が増えているのに対して、借りられる農地が限られている。こういう状況の中で、とても重要な取組だというふうに思いますが、その取組の概要、規模についてお伺いします。
○山田農林水産部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都は、都有地を活用し、新規就農希望者が農地を貸借できるまでの一定期間、営農の経験を積めるよう支援をいたします。
現在は、運営方法などを決める取組を進めているところでございます。
○清水委員 具体的な詳細についてはこれからということですが、都有地を活用して、こうした新規就農者が農地を貸借できるまでの間、一定期間、営農の経験を積むことができる、とても大事なことだというふうに思います。
特に、都市部で畑がない、借りたいと思った畑がない、そういう人たちにとっては大きな力になるというふうに思います。
あわせて、ぜひ検討していただきたいのは、今、生産緑地の貸借が始まりました。相続が、これからそういう土地で発生してくる、こういうことになるというふうに思います。
相続が発生した場合には、そこを次の人が貸せない、お子さんたち相続人が貸せないというふうに判断した場合には数か月以内に返さなければならない。こういう事態が生まれてきます。
そうすると、畑がなくなるのはもとより、そこで作っていた農作物、こういうものも収穫することができないということになってしまいます。生産、営農の基盤を失ってしまうということになってしまうんです。
ぜひ、新規就農者だけではなくて、こうして生産緑地を借りて就農した農業者が、生産緑地の相続によって返すことになって生産基盤を失う、こういう事態に対しても、この都有地をぜひ活用できるように検討していただきたいというふうに思います。
これで、農業に関しての質問を終わります。
次に、適正な価格転嫁などへの支援についてお伺いします。
大手企業の賃上げがニュースで報道されていますが、中小企業では、物価高騰の中で、それを価格に転嫁することができず、利益幅が減っている中で賃上げは厳しい、こういう声が上がっています。
そのような中で、取引先の中小企業から価格交渉があったらそれに応じること、適正な価格転嫁を行うこと、こうしたことを内外に宣言するパートナーシップ構築宣言をする企業を増やしていく、これはとても大切な取組だというふうに思います。
都内パートナーシップ構築宣言企業の総数、それと都の取組についてお伺いします。
○緑川商工部長 パートナーシップ構築宣言のウェブサイトで公開されております東京都内の宣言企業数は、本日時点では三千七百十一社となっております。
また、都は、パートナーシップ構築宣言制度の周知に努めており、当該制度に参加する企業を対象に、取引を行う際に留意すべきことを学ぶ講習会などを実施しております。
○清水委員 印刷関係の事業者の方からお話を伺いました。
用紙は、二〇二一年十一月以降、大手製紙業者が一五%以上の値上げを三回にわたって行っているそうです。インクは、二〇〇七年以降、六回の値上げで約一・七倍になっているそうです。用紙については、直接資材として計上することができるために、渋々ですが、一定の理解をいただいているそうです。
しかし、印刷用の版代、インク、エネルギー費、こういうものは、間接資材として版代、印刷代として計上するため、値上げを待ってほしい、他社は値上げはしていないなどといわれて、なかなか値上げできない事例が多数あって、値上げ分を価格に転嫁できないというのが実情だそうです。
また、自分のところは直接発注を受けているので、まだ取引先と直接交渉できているけれども、印刷業界は多重下請構造となっているので、交渉を受け付けてもらえない、そういう状況が多発しているとも伺いました。
都内の中小企業について価格交渉や価格転嫁が難しい状況に置かれていると考えますが、都の認識をお伺いします。
○緑川商工部長 事業活動に必要な原材料等の高騰によりまして、中小企業の経営に影響が生じております。
都内中小企業を対象に毎月行っております景況等に関します調査の中で、販売原価の上昇分を十分に価格に反映できていないなどという中小企業の声も聞いております。
○清水委員 なかなか厳しい状況を、東京都の方でもつかんでいると。必要な原材料などの高騰が、中小企業の経営に影響を及ぼしていること、それから、原価の上昇を十分に価格に反映できない、こういう中小業者の声も聞いているということでした。
価格交渉や価格転嫁に本来だったら応じなければならない、そういう企業がそこに応じていない、そういうこともあると思いますが、こういうことについて、価格交渉や価格転嫁に応じない企業に対する取組についてお伺いします。
○緑川商工部長 都は、中小企業振興公社に専門の組織を設置いたしまして、企業同士の取引に係る相談への対応や紛争の解決を図っておりまして、引き続き、取引の適正化に向けた取組を実施してまいります。
○清水委員 相談窓口は設置をしています、紛争の解決に取り組んでいますというふうなことでした。
今、東京都は、パートナーシップ構築宣言の周知、これに努めていて、当該制度に参加する企業を対象に、取引を行う際に留意すべきことを学ぶ講習会を実施しているということでした。こういう中で、価格交渉の申出があったら必ず受ける、こういうことを徹底していくということも大事だと思います。
中小企業庁の発表した調査では、パートナーシップ構築宣言を出しておきながら、それを下請企業に知らせていなかったり、価格交渉に応じていない企業が一定数あるということが、また、今回の調査でも明らかになっています。
こうしたことはできないのだということを、まずは参加する企業に対するセミナーで周知をしていただく、それと同時に、こうした価格転嫁に応じてもらえない、交渉に応じてもらえない企業が、中小企業、下請企業が、それを訴え出るというのはなかなか難しいものがあります。これから先の交渉、取引を考えたら、それはいえないのだというところが多いというふうに思います。それは中小企業庁のアンケートでも、やはり表れています。
だとしたら、相談窓口を設けて相談に乗るのもそうなんですが、紛争にはなかなか持っていけないというふうに思うんです。だとしたら、まずは東京都の方で、実効性の確保に向けて、取組状況の調査、それぞれのパートナーシップ構築宣言の企業がどんな取組をしているのかという調査をする。その結果を公表する。さらに、下請中小企業振興法に基づく助言や指導を行う。悪質な企業の名前を公表する。こういうことも行っていくことが大事だと思いますので、そのことをぜひ求めておきたいと思います。
次に、中小事業者の賃上げへの支援についてお伺いします。
先ほどの質疑の中で、正規雇用等転換安定化支援事業について、来年度は一千九百件の規模で実施をすること、エンゲージメント向上に向けた職場環境づくり推進事業については、来年度は千二百件の規模で実施をする、こういう質疑がございました。
今日提出していただいた資料にあるように、都内の一般労働者の平均月額賃金は、令和元年度には五十二万一千九百九十六円だったものが、令和三年度には五十万七千百三円へと、月額約一万五千円も下がっています。
そういう中で、賃上げをする中小企業を支援していく、それはとても大事なことだと思いますし、ただでさえ利益幅が減って苦しい思いをしている、そういう中で賃上げをしていただくには、それなりの支援が必要だというふうに思います。
この二つの事業を東京都としては始めたわけですが、この事業、今年度の九月補正で計上されたエンゲージメント向上に向けた職場環境づくり推進事業、この事業は、九月補正で計上されて、半年間で百回掛ける五回、五百件の募集がありました。これに対して、延べ二千六百六十件の申込みがあったと伺っています。想定を上回る多くの応募があったということは、本当に期待の大きさを物語っているというふうに思います。
この二千六百六十件というのは延べの件数なので、実数ではないというふうにも伺っていますが、そうだとしても、来年度の想定件数、一千二百件、これはちょっと少な過ぎるのではないかというふうに思います。
これから事業が始まりますので、応募状況を見て、賃上げをはじめとした職場づくりに取り組もう、こういう厳しい中でも取り組もう、そういう中小業者の皆さんがいるのであれば、その応募にはきちんと応えられるような適正な補正予算を組んで規模拡大を図っていただくことを強く求めておきます。
また、この二つの事業、やっぱりまだ認知度が低い。これから広報を、トレインチャンネルなども使って広報していくというふうなお話でしたけれども、積極的にPRをしていただくように重ねてお願いをして、次の質問に移ります。
ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業の対象事業者数については、先ほど答弁がありました。
燃料代の高騰対策として、また、CO2削減のためにも大変重要な事業です。
来年度の予算規模は、中小企業などが省エネ設備の導入や運用改善の実践を図る場合には、上限二千五百万円掛ける三百六十件、さらに、効果が大きいと認められる設備を導入する場合には、補助率は四分の三に引き上げて上限五千万円で十件の支援を行うということでした。
こうした事業のチラシを商店街にお持ちしたところ、商店の方に、これはとてもいいことだというふうにお声をいただきました。一方で、都制度のこういうものについては大変申請が難しい、こういう声も伺っています。よく分からなくてなかなか申請しにくい、こういうことなんですね。
期待は高く、利用したい、そういう事業者がたくさんいるのに、事業のPR、相談窓口の周知、こういうところが不足して、なかなか制度が活用されない。これはいかがなものかというふうに思いますので、何を導入すれば効果的なのかといった専門的なアドバイスが受けられるようにすること、手続の簡素化、こうしたこともぜひ進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○阿部産業・エネルギー政策部長 都におきましては、これまでも省エネ診断等を通じまして、事業者のサポートをしております。
また、様々な補助金の申請等につきましても、窓口での案内等、簡素化等に努めているところでございます。引き続き取り組んでまいります。
○清水委員 また、今回、環境関係のものでも事業者支援の場合には、産業労働局の方に移ってきた。だけど、この制度の周知については、やっぱり環境関係の窓口のところに入っているんですね。なので、中小企業の事業に関して、支援事業について探している方々がきちんとこうした制度を見つけることができるように、両局併せてどちらからでも入れるような、そういう仕組みについても、ぜひ改善を図っていただければというふうに思います。
最後に、商店街の街路灯の電気料金などの支援についてお伺いします。
商店街の街路灯の電気代など、維持管理経費への支援についての要望は、地域の商店街を訪問すると、いつも出される要望の一つです。物価高騰によって電気代が高騰する中で、ますますその要望は強まっていますが、東京都は、残念ながら、まだ実施をしていません。
そこでお伺いしますが、都内の自治体で、商店街の街路灯に関して電気料金などの維持管理経費を補助しているところはどのくらいありますでしょうか。
○緑川商工部長 確認いたしましたところ、令和五年三月時点で四十七の自治体となっております。
○清水委員 都内のほとんどの自治体が商店街の街路灯への電気料金などの補助を行っている、こういうことです。
これは、やっぱり商店街の街路灯というのが公共的な役割を担っている、負担が重い、そういうことを自治体が認識していると。で、制度をつくっているということだというふうに思いますが、商店街の街路灯が果たしている役割、このことについて、都はどのように認識をされておりますか。
○緑川商工部長 商店街の街路灯は、住民が快適に買物ができる環境を提供し、地域ににぎわいを創出するとともに、防災、防犯など、地域コミュニティを支える役割を果たしていると認識しております。
○清水委員 東京都も、商店街の街路灯は商店街個人の利益のためだけではなくて、やっぱり商店街の街路灯というのは、住民が快適に買物ができる環境を提供する、それだけではなくて、地域ににぎわいを創出する、それから、防災や防犯など、地域のコミュニティを支える、そういう役割も果たしているんだというふうな認識を示されました。
今、商店街では、商店主が高齢化したり後継者不足などによってお店の数がどんどん減っていって、商店街そのものとしての機能を維持する、活動することそのものが難しい、こういう商店街がたくさん出ています。そういう中に襲ってきた電気代の高騰です。
商店街の街路灯が果たしている公的な役割、これを踏まえれば、やはり都としても電気料金などの補助をする、このことはもう必要だというふうに思います。改めて強くこのことを求めまして、私の質問を終わります。
○西崎委員 よろしくお願いいたします。
予算案の中から、初めに、緑の冊子の七三ページに、新規事業としてプロジェクションマッピングの展開と示されております。
これは十八億と、かなりの金額が計上されているわけですけれども、この内容について伺います。
○築田観光部長 都は来年度、プロジェクションマッピングを魅力的な観光資源とするため、都庁舎や民間の高層ビルのほか、再開発中のエリアで投影いたします。
また、年末には、これを効果的に演出に用いたイベントを開催いたします。
○西崎委員 端的にご説明をいただいたものかと思いますが、幾つかのスポットや、またエリアでプロジェクションマッピングが行われて、年末、クリスマスの時期とかになるんですかね、イベント開催も想定をしているというお答えでございました。
観光資源があるということにこしたことはないと思いますし、多くの観光客に東京を訪れていただいて、まちが活性化したり、東京都のプレゼンスが上がったり、経済も回っていくということは非常に重要であるかと思いますけれども、一方で、プロジェクションマッピングというのは民間の取組というのも多々あろうかと思います。
そこで、なぜ、わざわざ東京都がプロジェクションマッピングの事業を実施する必要があるのか、その見解を伺います。
○築田観光部長 プロジェクションマッピングは、数多くの観客を国内外から引きつける魅力がございまして、これからの観光振興の重要なツールとして活用する視点が不可欠と考えております。
○西崎委員 そのプロジェクションマッピングが今後の観光に重要だと考えていることは分かりましたけれども、民間に任せておいては駄目なんだとか、東京都がやる必要があるんだという理由がちょっとよく分からないというのが正直な受け止めでございます。
まして、財源も無尽蔵にあるわけではなくて、コストとの見合いというものもしっかりと考えなければならないわけでありまして、十八億円というのはかなりの金額だと思います。
加えて、この十八億という予算額になった経緯というのもちょっと釈然としないところがございまして、予算関連の資料を見させていただきましたけれども、産業労働局の予算案概要、横使いの資料です。こちらでは、プロジェクションマッピング拠点整備事業に七億円、そして民間との協力によるプロジェクションマッピング事業に十億五千万円で、これは合計十七億五千万円で、十八億というのはこれを表しているんではないかなと推察をいたします。
しかしながら、予算要求の段階では、常設プロジェクションマッピング支援事業の五億円のみだったものが、財務局査定で、先ほど申し上げた拠点整備事業、七億円に置き換えられるような形になりまして、さらに、知事査定を経て、もともと要求していた常設支援事業、ここに五億五千万円を乗せる形で、今の民間との協力事業、十億五千万円の予算となったということでございます。
ちょっと言葉でいうと分かりづらいですが、要するにもともとの要求では五億円だったものが、予算案になったら十七億五千万円にまで膨らんだということです。幾ら大規模のプロジェクションマッピングでも、十八億というのはとんでもない数字です。規模としてとんでもない数字です。
例えば、東京都が観光財団を通じて実施しているプロジェクションマッピング促進支援事業助成金というのがありますけれども、これは今年度の取組で見てみますと、助成率が対象経費の三分の二以内で、一団体当たりの限度額は二千万円となっていまして、ほぼ桁が二つ違うわけでございます。
とはいっても、じゃあその相場観ってどうなんだろうなと、なかなかそのプロジェクションマッピングって分からないので、民間の取組で大規模なものを少し調べてみました。
すると、日本で最も有名なテーマパークの一つが、その象徴ともいえるお城に投影をしてプロジェクションマッピングを行っていたショーがありましたけれども、これの総工費が二十億円といわれています。つまり、五千円を軽く超えるチケットを買って、毎日数万人が入場する施設で、およそ三年半にわたって毎日二回行われていたプロジェクションマッピングが二十億円ということなんです。
そう考えると、今回の事業において、都がどんな規模で実施するのかというのが、率直にいって想像ができないわけでございます。まして、ここに投じられた税金に対する政策効果を測ろうと思っても、対象を広域にするものでしょうから、相当困難が伴うものだと思います。
長々と話してきましたけれども、どうお聞きしても、必要性があるからやるんだということだとは思いますので、もうやめにしますけれども、改めて、この費用対効果というものをしっかりと踏まえて事業を検討していただくことを、ここでは強く求めておきたいと思います。
次に、次といいますか、ここからは昨日と同じパターンでございまして、お聞きしたかったことがほとんど、さきの委員の皆様に既に話に上げていただいたということでございますので、意見を交えながらまとめていきたいと思いますが、ファッション・アパレル産業活性化促進事業、先ほども中身の説明がございました。
興味深いのは、本事業が、産業労働局の予算案概要では、中小企業対策の中の総合的支援に位置づけられている中で、緑の冊子の方では、国際観光都市東京の実現の中で紹介されているというのが興味深く拝見をいたしました。
つまり、このファッション、アパレル産業が活性化することが、そのまま東京の魅力向上にも直結をするという、そんな考え方を示しているのかなというふうに受け止めさせていただきます。
コロナ禍で、先ほどもありました打撃を受けた事業者を支援していくということに加えて、東京や各地域の魅力にもつながるという、一粒で二度おいしいような事業として、ぜひこれは成果を上げられるよう、私からもお願いをしたいと思います。
次に、予定をしていたのが、ライフイベントと仕事の両立へのスキルアップ等応援事業と男性育業もっと応援事業を予定しておりましたが、先ほども議論がありましたので、私の意見を述べまして、最後、ちょっと予定にありませんでしたが、一つお聞きしますのでお願いをできればと思います。
まず、男性育業もっと応援事業、これは趣旨も取組内容も、もう大賛成です。ぜひ進めていただきたいと思います。
やはり一方で、男性育業という表現に、道のりの長さ、遠さみたいなものを感じるわけでございます。これはなかなか女性育業とは、なかなかいわないわけです。関連して付言いたしますけれども、先日、予算特別委員会で私も、育業中スキルアップ支援事業に関して質問をさせていただきましたけれども、知事がご答弁の際に、最後、ご自身のコメントをおっしゃっていたんですけれども、正直に申し上げると、そのとき、何をいっているか全く分からなかったんです。何でだろうと考えたんですけれども、恐らく、お互いの想定が全くかみ合っていなかったんですね。
私は、育業というのが、都の問題意識というのもすごい理解しているんですが、育休取得率の低い男性に向けたものであるというような受け止めをして考えていて、要は、育業という言葉が男性に向けられたものなんじゃないかと思っていて、これは私のアンコンシャスバイアスだったと、反省を込めて、今思っています。
一方で、速記録を見る限り、知事は、私が女性を念頭に置いて話していると受け止めたようです。そうすると、これもアンコンシャスバイアスであり、それぞれ全然違う方向を向いて発言していたんだろうなというふうに、今受け止めています。
その上で、さらに申し上げてまいりたいと思います。
私自身も三人の子供がおりまして、今、一番下が三歳でありますが、下二人のときは、それぞれ一か月ほどの育休宣言を行った経験がありますけれども、やっぱり実感するのは、大事なのはそれ以降だと思っています。その当時よりも、今の方が圧倒的に思うように仕事ができていないです。
細かな話をして申し訳ないですけれども、朝起きたら、子供のご飯を作って、下の子には食べさせて、着替えさせて、洗い物して、前日の洗濯物を畳んでから、仕事に出て、日中働くと。夕方も−−先日、ライフ・ワーク・バランスEXPOで、男性学の田中俊之先生がおっしゃっていたことに全く私も同感なんですけれども、夕方十七時半には家にいないと戦力にならないんですよね。子供を風呂に入れて、夕食を食べさせて、洗い物して、遊び相手して、歯磨きをして、寝かしつけて、それから、夜、残った仕事に取りかかるというような状況です。当然、土日も祝日もありません。
ちなみに、我が家は片働きです。共働きではありません。それでも、これぐらい家庭も仕事も両立しなきゃというのが、多分、我々の世代の感覚の標準だと思うんですね。そうじゃないと、夫婦どちらかが潰れます。場合によっては、これは虐待にもつながっていくというような話でもあります。
そう考えると、予特のときにも、岸田総理が育休中のリスキリングで炎上したというような話を出しましたけれども、知事の先ほどの最後の答弁でも、その間にスキルアップをするんですよと、さも当たり前のようにおっしゃっていましたけれども、率直にいって、子育ての大変さを本当に理解しているのかというのは、はっきりいって疑問に思います。
だからこそ、こういった事業の、こういったというのは、例えば、ライフイベントに応じたというような、ごめんなさい、正式名称はですね、ライフイベントと仕事の両立へのスキルアップ等応援事業、こういった事業のよい点、メリットというのも重々理解をいたしますけれども、一方で懸念を感じるわけです。
もちろん、それぞれの家庭で、それぞれ事情は異なると思いますけれども、子育てや仕事でいっぱいいっぱいで、もうスキルアップ、リスキリングどころではないという人々がいることも、きちんと踏まえなければいけないと思います。育児も、仕事も、スキルアップもできて一人前みたいな空気感をつくることに加担するようなことがあってはならないと思います。
そこで、最後に、もう本当に大きな話でお聞きをしたいと思いますけれども、こうした一連の事業、取組を通じて、子育てや仕事などに追われる方々がさらにあおられるようなことのないように社会全体で応援していくということが極めて大事であると考えますが、見解をお伺いして質問を終わりますので、ご答弁のほどお願いいたします。
○内田事業推進担当部長 企業で働く方が生活と仕事の両立を図りながら、新しい知識や高度なスキルを習得できるように、職場環境面を含めて応援することが重要だと考えてございます。
例えば、本事業では、育業中のベビーシッター利用の補助制度なども、奨励金の対象としてございます。
また、奨励金の支給に当たりまして、支援制度が社内で活用され、実効性が確保されますように社員に説明するといったことも求めているところでございます。
○石島委員 それでは、まず初めに、観光振興に関係してお伺いさせていただきます。
コロナ禍を経て、私たちの生活は様々な面で大きく変わりましたが、その中の一つに、働き方の変化があります。多くの企業では、従業員の感染拡大防止の観点からテレワークが導入されましたが、既に定着したといっても過言ではなく、満員電車に揺られて、郊外から都心部のオフィスに出勤するという、少し前までの当たり前のワークスタイルは、もはや常識とはいえなくなりました。
こうした変化は、例えば、私の地元日本橋は非常に業務機能が集積した地域ですが、この日本橋駅の乗降人員を見ますと、コロナ前の二〇一九年度は、一日の平均が約二十万人であったのに対し、コロナ禍の二〇二一年度には約十三万人へと大きく減少しており、オフィスの空室化率も高くなっています。在宅勤務の普及により、都心部へ足を運ぶ人が減ったことという裏づけになります。
このような変化は、働き方の多様化という面では、多くの方にメリットがもたらされるものである一方、都心部のビジネス街で事業を営む、特に飲食店や小売業にとっては、利用客の減少に伴い、経営への影響につながっています。
事業者は、コロナ禍で起きた社会環境や人々の意識の変化に柔軟に対応する必要があり、今後、減った集客を取り戻すために、戻りつつある観光客もターゲットにすることも考えられます。
都も、このような取組への支援も図るべきであり、そのような観点に立って質問させていただきます。
まず、都心部の飲食店についてですが、ビジネスマン利用客の減少によって、コロナが落ち着いた今でも、厳しい状況に置かれています。
そうした中、昨年の十月から水際対策が大幅に緩和され、今月からは中国に対する臨時措置も緩和されており、まち中で外国人旅行者を見かけることが多くなってきました。そうしたインバウンド需要を飲食店がしっかりと取り込めるようにすることが重要であります。
旅行先での食は旅の楽しみの一つでもあり、東京は、ミシュランガイド掲載店が世界で一番多く、和食だけではなく世界中の多彩な食を楽しむことができる都市であり、そうした魅力を海外に売り込んでいくことが必要であります。
そこで、食の魅力を積極的に海外にPRしていくべきであると考えますが、今後の取組についてお伺いをいたします。
○築田観光部長 外国人旅行者から人気の高い東京の食は、観光都市としての強みであり、その魅力を活用して観光振興を図ることは効果的でございます。
そのため、都は、本年五月十九日から三日間、星つきレストランをはじめとしたレベルの高い飲食店が一堂に会し、様々なジャンルの料理を提供する食のフェスティバル、Tokyo Tokyo Delicious Museumを開催いたします。
また、来年度は新たに、海外の著名なインフルエンサーやメディアを招聘するとともに、東京の食をテーマとしたデジタルパンフレット等を制作し、シェフの技や料理の味わいなど、都内飲食店の多彩な魅力をSNSなどを通じて紹介いたします。
こうした取組により、東京の優れた食の魅力を幅広く発信し、インバウンド誘致につなげてまいります。
○石島委員 私の地元の日本橋のおすし屋さんなんですけれど、標準的な規模のお店で、夜八時過ぎぐらいですか、外国のお客さんが来店されて、二組目、三組目と、みんな外国の方が入っていらっしゃったんです。そこの大将に、外国の方が多いですねとお尋ねしたら、自分がPRしたわけではないんだけれど、これはヨーロッパですけれど取材に来てくれて、向こうの観光情報誌に載っけてくれたと。そのことによって非常にインバウンドのお客さんが多くなったと、こういった事例がありました。
いわゆるコロナ禍で大きな痛手を受けた飲食店、これを後押しするためにも、様々な機会を通じて東京の食を海外に売り込んで、都内に多くの人を呼び込むことで、飲食店がチャレンジする機会を生み出していくことになると思います。
一方、コロナ禍で大きな打撃を受けたのは飲食店に限らず、そこで、観光関連事業者への支援についてお伺いしたいと思います。
海外の旅行者を対象とした民間の調査によりますと、次に観光旅行したい国として日本が一位となるなど、今後、インバウンドの回復が大いに期待されています。
観光業界も、長引くコロナの影響で大変厳しい状況にありましたが、国内外の観光需要の回復を見据え、今後は、集客に向けた取組を強化したいとのニーズが高まることが見込まれます。
一方で、多くの中小観光事業者は、コロナ禍で受けた打撃により、資金面では依然厳しく、意欲はあっても新たな取組にチャレンジできない状況にあることも考えられます。
このため、今後増加が見込まれる観光需要の獲得に向けて新たなサービスの提供などを行う事業者に対し、一層の支援が必要であると考えますが、見解を伺います。
○築田観光部長 都はこれまで、観光事業者のインバウンドの受入れに向け、多言語対応や海外へのPRなどに関し、セミナーを開催するほか、アドバイザーの派遣を実施してまいりました。
また、観光事業者の収益力強化を図るため、生産性向上への対応や観光客向けの新たなサービスの開発などを行う場合に、必要な経費の二分の一を、最大一千五百万円まで助成してまいりました。
来年度は、この助成について、補助率を三分の二に引き上げるとともに、さらなる集客や旅行者の消費拡大を図るため、事業者が日本の伝統文化やアウトドアなどに関する体験型コンテンツを開発する場合に、必要な経費の三分の二を、五百万円を上限に助成を開始いたします。
こうした取組によりまして、観光事業者の経営力の向上につなげてまいります。
○石島委員 観光事業者への支援については分かりました。着物の着つけ体験や茶道体験などは、外国人観光客に非常に人気で大きなチャンスに結びつくものであり、加えて、関連事業者への波及効果も見込まれるため、事業者への一層の後押しをお願いしたいと思います。
次に、インバウンド需要の取り込みについて伺います。
一昨年、オリンピック・パラリンピックが東京を中心とした地域で開催されました。無観客の開催となったことは非常に残念でしたが、数々の感動が生まれる、多くの人々の記憶に残る大会でありました。
都は今年度、大会一周年記念事業として、会場となった国立競技場などの施設を周遊するイベントを開催し、国内観光の活性化につなげてきました。
現在、急激に回復しつつあるインバウンド需要ですが、これを確実に取り込むためには、大会施設などのレガシーを最大限に活用した誘客を行うことが重要です。
そこで、都は、こうした旅行者誘致の取組をより一層充実すべきと考えますが、見解を伺います。
○築田観光部長 都はこれまで、東京二〇二〇大会施設と周辺の観光スポットをめぐるスタンプラリーや、専用ウェブサイトで観光ルートの紹介など国内に向けたPRを行ってまいりました。
来年度は、インバウンドの本格的な回復に向け、近隣県と連携し、大会のレガシーを活用した外国人旅行者の誘致の取組を新たに開始いたします。
具体的には、埼玉県、千葉県、神奈川県、山梨県と連携し、大会の競技施設を巡る観光ルートを作成し、外国人インフルエンサー等に体験してもらい、SNSなどを通じ、紹介いたします。
また、観光ボランティアやバリアフリー化された施設など、大会によって生み出されたレガシーと各地の観光スポットをPRする映像を制作し、イベントの機会などを活用して発信いたします。
こうした取組により、外国人旅行者誘致を着実に進めてまいります。
○石島委員 インバウンド需要を確実に取り込むことは、旅行事業者のほか、関連する飲食や小売などの事業者の経営の下支えには不可欠であります。これまでビジネスマンをメインにしていた事業者も、コロナ禍を経た今後においては、新たな顧客層としてインバウンドを狙うことが必要であると考えますので、今後引き続き取組をお願いしたいと思います。
次に、脱炭素社会の実現に向けた重要な取組となる水素の活用について伺います。
脱炭素社会の実現に向けて、水素は重要な選択肢であります。国が先月閣議決定しましたGX実現に向けた基本方針においても、水素は、カーボンニュートラルの実現に向けた突破口となるエネルギーの一つとして位置づけられています。
私の地元中央区晴海では、選手村跡地のまちづくりにおいて、水素ステーションや水素のパイプラインなどの整備が進められており、未来を担うエネルギーとして期待されています。
日本では、モビリティー分野での水素活用が先行しており、この分野での一層の活用を進めるには、供給インフラである水素ステーションの整備拡大が不可欠です。
そこで、現在の都内の水素ステーションの整備状況と利用状況について伺います。
○榎園新エネルギー推進担当部長 現在、都内には二十三か所の水素ステーションが整備されております。
また、都が運営に対して助成を行い、運営状況の報告を受けることになっている都内の水素ステーションでは、一か所の一日平均で最大三十台程度の利用があると聞いてございます。
○石島委員 水素ステーションの状況は分かりました。
水素は、大型車両での活用が特に期待されています。既に導入が進んでいる燃料電池バスに加えて、燃料電池トラックについても、都内での導入が計画されていると聞いていますが、そこで、燃料電池トラックの普及と、これに対応する水素ステーションの整備促進についてはどのように取り組んでいくのかお伺いします。
○榎園新エネルギー推進担当部長 都は、燃料電池バスへの支援に加えて、今年度から、燃料電池小型トラックに対して、上限千三百万円の助成事業を開始いたしました。
また、来年度は、既存の水素ステーションがトラックにも対応できるよう設備を増強する場合、上限四億円まで助成する支援も開始いたします。
こうした取組を通じて、大型車両での水素活用を進めるとともに、これに対応可能な水素ステーションの整備を促進してまいります。
○石島委員 大型車両での水素の活用が広がることは、運輸部門の脱炭素化が進むだけでなく、水素の需要が拡大し、さらなる供給のインフラである水素ステーションの整備につながるなど、意義が大きいため、しっかりと取組を進めていただければと思います。
一方で、都内では、臨海部には水素ステーションが多くありますが、二十三区の内陸部や多摩地域では、まだ水素ステーションがない地域も多くあります。燃料電池車の普及を加速させるには、水素ステーションが様々なエリアに整備され、燃料の充填の利便が高まることが必要であります。
今後、こうした水素ステーションの空白地をどのように解消していくのか伺います。
○榎園新エネルギー推進担当部長 都はこれまで、水素ステーションの整備を促進するため、企業に対する支援を行っており、設備の導入等に対して、中小企業へは国と合わせて全額、大企業へは国と合わせて五分の四を、それぞれ上限の範囲で助成してまいりました。
来年度からは、これに加え、空白地で水素ステーションを整備する企業に対しましては、管理棟などの建築物の工事費も助成対象に加えてまいります。
こうした取組により、都内の水素ステーション整備を促進し、空白地の解消を図ってまいります。
○石島委員 水素ステーションの整備には時間がかかるため、先んじて取り組むことが重要です。事業者ともしっかり連携を図っていただくよう要望させていただきます。
さきの国のGX基本方針においても、水素は、運輸だけでなく、産業など幅広い分野での利用が期待されています。将来的に様々な分野に活用を広げていくためには、水素を安定的に供給する仕組みづくりに、今から取り組んでいく必要があります。
先日、川崎市の臨海部が海外からの液化水素の受入れ地に選定されたとの報道もありました。
そこで、水素の供給体制の構築に向けたこれまでの取組と今後の展開について伺います。
○榎園新エネルギー推進担当部長 水素を幅広い分野で大量に活用する社会の実現に向けましては、供給体制を検討する必要がございます。
これまで、東京グリーン水素ラウンドテーブルにおきまして、パイプラインを含めた水素供給体制の事例や在り方、課題、水素利用拡大の方向性等につきまして、企業等と意見交換を行ってまいりました。
また、川崎臨海部での水素受入れを想定し、空港、臨海エリアにおけるパイプラインを含めた水素供給ネットワークに向けて、川崎市や大田区と三者で検討を行っていくことを確認いたしました。
来年度は、パイプラインなどのサプライチェーンに関する様々な調査を実施するほか、水素利用の拡大に向けたイベント等を通じた機運醸成も行ってまいります。
こうした取組を関係自治体等とも連携しながら推進し、将来の水素供給体制の構築に向けて検討を進めてまいります。
○石島委員 ここまで、カーボンニュートラル実現の鍵となる水素の利活用について伺ってきました。産業労働局が様々な業務分野での活用を見据え、積極的に取組を展開していくことは理解しました。
今後、取組を進めていく上で、都が自らCO2フリーのグリーンな水素を製造するとともに、率先してその活用を図ることを求めておきます。
また、水素は、多くの事業者にとって、将来的に事業活動の基盤となるエネルギーになることが見込まれています。そのため、都には、パフォーマンス的な取組や一過性のものとしてではなく、地に足のついた、息の長い事業として取り組んでいただきたいと思います。
そのためにも、川崎市をはじめとする関係自治体や企業、国などと丁寧に議論を重ねるとともに、都庁の中でも、港湾局はじめ関係局としっかりと連携をして進めることを要望して、質問を終わります。ありがとうございました。
○藤井委員 産業労働局の予算案等について質疑をいたします。
まず、スタートアップに関連して確認をさせていただきます。
昨年十一月に、東京都の新しいスタートアップ戦略、Global Innovation with STARTUPSが発表されまして、都は、異次元のスタートアップ戦略を展開するとしております。
その三つの柱として、グローバル、裾野拡大、官民協働の三点を五年間で十倍にするとしておりまして、それぞれ、世界で戦う東京発のユニコーン企業を十倍とする、そして、東京の起業数を十倍とする、東京都の協働実践数を五年で十倍にするとしております。
スタートアップ戦略自体は、来年度からのスタートアップ・国際金融都市戦略室ですか、が中心となっておりますが、都庁内でも、Team Tokyo Innovationとしてワンチームで動いておりまして、実際の施策の観点からは、これまでもスタートアップの育成を担ってきた産業労働局が中心になるものと考えております。
産業労働局の施策、この重心を、こういった新しい産業やビジネスをつくるスタートアップにもっと移すべきという観点で質疑をさせていただきます。
三つの柱の一つであります官民協働の観点からは、スタートアップと東京都で都政課題を解決するピッチイベントから導入支援まで行いますUPGRADE with TOKYOというものをこれまでも行っておりまして、観光分野やアフターコロナの分野など、様々なスタートアップのサービスをこれまでも採用してきたところであります。
先日のCity-Tech.Tokyoにも、採用された企業がピッチコンテストに残っているとか、様々出展しておりまして、話を聞きましたが、都政課題や、また社会の課題を解決できる大きな可能性を感じるスタートアップが多かったですし、それ以外にも、そういった都政課題、また社会の課題を解決できるスタートアップが多くいたなと感じているところであります。
このUPGRADE with TOKYOについて、これまで、区市町村を含めて拡大すべきと私は提案をしてまいりましたが、協働の規模感を含めて、来年度の取組についてお伺いをいたします。
○緑川商工部長 都は今年度、産業振興や省エネルギーなど、様々なテーマで七回にわたりピッチコンテストを実施いたしました。優れた提案をしたスタートアップと過年度分を含め、十件を超える協働した取組を進めております。
来年度は、この取組をさらに進めるため、区市町村等も対象に加え実施いたします。
具体的には、都内の自治体等からもテーマを募集し、ピッチコンテストを実施いたします。優勝したスタートアップには、製品やサービスの導入等に必要な経費のサポートを行うほか、ほかの区市町村や庁内各局にもその製品等を紹介することで、協働の実績の倍増を目指してまいります。
また、コンテストへの参加意欲を高めるため、都及び区市町村の職員等を対象としたセミナーを新たに四回開催いたします。
これらによりまして、行政とスタートアップの協働の機会を一層創出し、スタートアップの成長を後押ししてまいります。
○藤井委員 これまで都庁内、都政の課題解決としていたところを、区市町村へさらに拡大するというご答弁、また、セミナー等を開催して、都庁内外へ周知をしっかりとしていくというご答弁でありまして、その中で協働の実績を倍増させるということで、これも、なかなか高いハードルを設けたなと、あ、高い目標を掲げているなと思うところでありますが、一方で、五年間で、この官民協働の数を十倍にするという野心的な目標を掲げておりますので、さらに取り組んでいただきたいと思います。
例えばですけど、来年も実施、開催されるといっていますCity-Tech.Tokyoで、このUPGRADE with TOKYOを単独でブースを出して紹介するとか、そういったことも、ぜひご検討いただければなと思っております。
また、これは知事にも提案をしておりますが、SusHi Tech Tokyoとして、海外にいろいろとスタートアップを連れていったらどうだということもいっていますので、そういったところに、このUPGRADE with TOKYOの採用企業と一緒に行くとか、そういったことも、ぜひ考えていただきたいと思います。
来年度に向けて、産業労働局内新規のスタートアップ事業が幾つかありまして確認をさせていただきます。
都のスタートアップ戦略で掲げるユニコーン数と起業数を十倍にするためには、都単独では、やはりどうしても足りませんので、民間の協力というものが欠かせません。
都は来年度、新たに多様な主体によるスタートアップ支援を行うということですが、その内容についてお伺いいたします。
○緑川商工部長 都内では、アクセラレーター、ベンチャーキャピタル、大企業など、国内外の様々なプレーヤーがスタートアップを支援しております。
都は、こうした多様な主体の有機的なつながりを促し、スタートアップの成長を加速させていくための新たな取組を開始いたします。
具体的には、ベンチャーキャピタルやアクセラレーターなどから、スタートアップを育成する提案を募集いたします。それを専門家等が新規性や社会的意義などの面から審査し、五十件の優れた取組を選定いたします。選定された事業者に対しましては、成果の指標となるKPIの達成状況等に応じて、そのうち四十件について、最大五千万円を都が負担いたします。
これらによりまして、スタートアップを支援する様々なプレーヤーとの連携を一層深め、スタートアップの創出と成長を促してまいります。
○藤井委員 ベンチャーキャピタルやアクセラレーター、また事業会社等がスタートアップを支援する、その達成状況に応じて、KPI等を設けて、最大で五千万円を負担、支援するということであります。これまで、スタートアップとの協働を進めてこなかった企業の参加や、新たな領域での支援などを期待するところであります。
一方で、ベンチャーキャピタルやアクセラレーターというのは、スタートアップ支援がそもそもの事業でありまして、この事業というのは、彼らにとっては当然なことではないかと思うところであります。
加えて、エネルギーや気候変動対策を進めるクライメートテックを含む、HTTだったりとか、女性を支援するフェムテックなどの都政の重要課題については支援を強化するべきと考えます。
こうした事業者からの提案についての具体的な選定方法や、都政の重要課題への支援についての見解を伺います。
○緑川商工部長 選定に当たっては、学識経験者やベンチャーキャピタルに従事した経験者など、スタートアップ支援に詳しい複数の専門家等が、提案内容や盛り込まれた目標値の妥当性などにつきまして審査を行ってまいります。
具体的には、提案内容を、新たな分野や業種への支援となっていること、社会的な課題を解決するスタートアップを生み出す取組となっていることなどの観点から審査いたします。
なお、HTTやフェムテックなど、都の政策課題の解決に資する取組につきましては、都の負担額を最大一億円まで引き上げてまいります。
こうした取組によりまして、スタートアップの成長を促してまいります。
○藤井委員 HTTやフェムテックなど、都の重要課題の解決につながるものに関しては、二倍の一億円まで負担するということでありまして、より大きなインセンティブを与えているということを、まず理解することができました。
私もかねてから提案をしております、東京をクライメートテックなど気候変動の対策を進めるスタートアップのハブ都市にするべきという観点からも非常に重要な取組と理解をいたしました。
また、その審査は専門家がされるということで、学識経験者やベンチャーキャピタルに従事した経験者ということでありましたが、ぜひスタートアップの当事者というか、実際の経験者、何らかの形で経験している方を入れていただいて、当事者の目線もぜひ入れてほしいなと思います。スタートアップにとって意義のあるものにしていただきたいと要望させていただきます。
多様な主体によるスタートアップの支援というのは、先ほどのGlobal Innovation with STARTUPSは、特にユニコーン企業をつくるであったりとか起業数を増やすというために絶対必要な取組でありますので、着実に進めてください。
次に、多摩ものづくりスタートアップ起業家育成事業について伺います。
多摩地域に集積するものづくり企業の力を生かして、ものづくりのスタートアップ起業家を支援するということであります。
私も実は、十年ぐらい前ですが、スマートフォンを使ったキャッシュレス決済端末の開発ということに携わってきたことがありまして、そのとき、ものづくりという観点で、深センの会社に製造を依頼して、いろいろとやり取りをしました。
その中で、やっぱりちょっと距離があるので、やり取りのコミュニケーションに課題を感じたり、いざとなったら直接深センに、僕はちょっと行けなかったんですけど、社長が行ったりとかしながら、直接交渉をしなきゃいけないということで、なかなか手間がかかるなというふうに思っていた記憶があります。
また、一方で、近年ですと、ウクライナへのロシア侵攻等で、経済安全保障の意識が高まる中で、国内での製造を支援するということは非常に重要だと考えております。
ところが、一方で、コストメリットがなければビジネスは成り立たないと思っておりまして、その観点から、来年度、新たに実施するこの事業について、どのようにものづくりスタートアップを支援するのか伺います。
○緑川商工部長 スタートアップが製作した製品の事業化には、試作品の製作とその検証を繰り返す必要がございますが、それを請け負う事業者や資金の確保などが重要でございます。
このため、都は来年度、創業間もないスタートアップのうち、試作品を有する事業者等を十者選定し、少ないロットでも受注が可能な中小製造業などとのマッチングを行うとともに、試作品の量産化に向け、必要な費用につきまして最大三百万円を支援する取組を開始いたします。
支援する事業者のうち、より成長が見込まれる三者につきましては、製品改良や顧客ニーズの検証など、事業化に向けて必要な取組につきまして最大一千万円を支援いたします。
これらによりまして、ものづくりスタートアップを適切に後押ししてまいります。
○藤井委員 ご答弁の中でですね、二段階で支援をしていくということでありまして、まずは試作品の量産化に向けた取組に三百万円、そして、さらに成長が見込まれるスタートアップには最大一千万円を、これは先ほどの事業と違いまして、スタートアップに直接支援をしていくということであります。
経済安全保障の観点からも、国内の優れた中小企業を守ることというのは非常に重要となっておりまして、さらに、若い、まあ新しい、ビジネスをするスタートアップとのマッチングで、新しいビジネスができることに大きな期待をするところであります。
続きまして、大企業と連携した中小企業・スタートアップの成長促進に向けた人材交流支援事業についてお伺いをいたします。
本事業は、大企業に所属する優秀な人材をスタートアップに出向させるということであります。
派遣に当たりましては、出向者と受入先の相性や求めている職務領域、このマッチングというのが非常に重要と考えますが、本事業をどのように進めていくのか、見解を伺います。
○米澤産業政策連携促進担当部長 本事業は、大企業と中小企業等との人材交流を通じて、人材の流動化を進め、東京の産業の活性化につなげることを狙いとしてございます。
具体的には、幹部候補となる優秀な人材を外部に出向させて経験を積ませたいというニーズを有する大企業と、即戦力となる人材を求める中小企業やスタートアップをマッチングし、一年程度出向させることで、大企業の人材育成と中小企業等の成長を促してまいります。
事業実施に当たりましては、事業効果を最大限に発揮できるよう、参加企業の掘り起こしやマッチングにおきまして、双方の企業のニーズを丁寧に聞き取った上で、出向者の経験やスキルに応じて出向先で果たす役割や業務内容を適切にコーディネートしてまいります。
加えまして、人材交流に関する契約手続等の出向先企業へのサポートや、出向者に対する事前研修の実施など、きめ細かなフォローを行ってまいります。
こうしたことによりまして、円滑な企業間の人材交流を促進してまいります。
○藤井委員 ありがとうございます。
最近、大企業からスタートアップに転職するという方も増えておりまして、私の周りにも、非常に優秀な方が転職をしていくというのを見てまいりました。あと、私も、比較的大きな企業から、スタートアップというかベンチャー企業というかに転職をした経験がございます。やはり、外から見ていたよりも、スタートアップで実際働いてみると、全然、想定していたことと違ったり、できること、やれることだったり、まだ全然形になっていないので、そこを整えることから始めなければいけなかったり、また、文化が全然違ったというような経験をいたしました。
大企業では比較的、職務の領域が整っている、例えば、何か提案するにも資料が整っていたりとかしますし、そのスタートアップの規模にもよるんですが、全員野球で何でもやらなきゃいけないという必要があるかと思いますので、このマッチングというのは本当に非常に重要で、せっかく一年間派遣していただくので、しっかりと実績を積み重ねられるようにしていただきたいと思っております。
適切にコーディネートするということでありますので、極力ミスマッチがないように、大企業側、スタートアップ、双方にとって効果を最大化できるようにご支援をお願いしたいと思います。
続きまして、金融機関等と連携した海外誘致の促進事業についてお伺いをさせていただきます。
優れた海外企業、まあ優れていなくてもですね、海外企業が多く東京に集まってくるということは、スタートアップの環境としても、また、国際金融都市東京の実現の観点からも重要であるということで、政策企画局がこれまで都庁内でも取り組んできたかと思っております。
海外企業誘致については、都庁内の他局でも、特区制度や相談窓口の運営など、既に実施しております。
効果的な海外企業の誘致につなげるため、この事業は、都の他の外国企業誘致と連携すべきですが、見解を求めます。
○米澤産業政策連携促進担当部長 本事業は、海外企業とのネットワークや外国との取引に係る知見やノウハウを有する金融機関等と連携することで、効果的な海外企業の誘致につなげるものでございます。
具体的には、金融機関が外国の拠点等における商取引や融資相談等から収集した様々な情報を基に、東京に進出し、都内中小企業等との取引が見込まれる海外企業を都が選定した上で、金融機関と共に誘致の働きかけを行ってまいります。
進出を具体的に検討する企業には、外国企業向けに法律や税務等の相談対応を行う窓口や、特区制度をはじめとした活用可能な支援策を紹介するなど、各局の施策と連携し、きめ細かなサポートを提供してまいります。
また、進出が実現した場合には、法人登記の手続やオフィスの借り上げなどに必要となる経費の三分の二を助成いたします。
こうした取組によりまして、海外企業を着実に誘致し、都内中小企業との取引等に結びつけてまいります。
○藤井委員 ありがとうございます。
この事業は、金融機関が外国の拠点で取引などがある海外企業に対して、東京に単に誘致をするだけではなくて、実際の進出まで支援をするということでありまして、法人登記の手続やオフィスの借り上げなどに必要となる経費の助成までしっかりとするということで、これまでの事業と違うということも理解をすることができました。
また、他局の相談窓口等ともしっかりと連携をして、この海外の企業が日本でビジネスができるように支援をしていくということでありました。一方で、いろいろな誘致の窓口がありますので、当たる先が同じにならないようにとか気をつけて、しっかりとそこは連携をしていただきたいということは要望させていただきます。
続きまして、予算特別委員会でも取り扱ってまいりました脱炭素化に向けた取組について、一点確認をさせていただきます。
パリ協定において、企業等の非政府主体における排出削減が求められておりまして、グローバルに活動を行う大企業を中心に、SBT、サイエンス・ベースド・ターゲッツというそうですが、脱炭素経営の取組というのが広がっております。
脱炭素に向けた取組を個別個別の一つ一つの企業における取組だけではなくて、サプライチェーン全体に広げていくということが求められておりまして、つまり、脱炭素に貢献していない企業については、ビジネスやサプライチェーンからはじかれてしまうというリスクがあるという状況になっております。
サプライチェーン全体での脱炭素化に向けて、温室効果ガスの排出という視点から、事業者が自ら直接排出をするスコープ1、そして、電気、熱等の使用に伴い間接排出をするスコープ2、他社から排出されるスコープ3という三つの指標全ての削減が必要という状況になっております。
中小企業におきましては、サプライチェーンの一員として生き残るために、このスコープ3、他社から排出されるCO2の削減、この対応を契機とする温室効果ガスの削減が求められております。
そのためには、安定した資金の確保はもちろん、経営面での新たな取組が必要となりまして、多くの中小企業は対応に苦慮していると聞いております。
こうした取組を支援するには、融資ではなくて、出資等を通じて経営への参画も可能な支援というのが有効だと考えます。
都は来年度、スコープ3対応に取り組む中小企業を支援するファンドを設立すると聞いていますが、具体的にどのような支援を行うのか伺います。
○高野金融支援担当部長 脱炭素化を進めるため、取引先からのCO2排出の削減要請に適切な対応を行う中小企業を金融面から支援することは重要でございます。
こうしたスコープ3対応に向けた中小企業の資金需要に応えるため、都は来年度、新たな支援を開始いたします。
具体的には、都は、複数の民間ファンドへの出資を行うファンド・オブ・ファンズに対し、六十億円を出資いたします。このファンド・オブ・ファンズから出資を受けた複数の民間ファンドが、自ら調達した資金を加え、全体で合計百二十億円以上の規模となることを想定しております。
これらの民間ファンドは、中小企業のスコープ3対応に必要な資金の提供に合わせ、脱炭素化に役立つ計画づくりや人材確保などの支援も行います。
これによりまして、中小企業への金融支援を進めてまいります。
○藤井委員 複数の民間ファンドが、さらに都のお金に加えて自分たちの資金を加えて投資をしていくということであります。
予算特別委員会でもちょっと申し上げたんですが、一方で、そのファンドの先に、EMという新興の業者を入れるということも非常に重要な観点だと思いますので、その点も併せてご検討いただきたいと思います。
都は今年度、カーボンニュートラル達成への貢献が期待できるベンチャー企業等を支援するファンドにも出資をしておりまして、ファンドの力を活用して、産業分野全体における脱炭素化というものを進めていっていただきますように要望いたします。
サプライチェーンに関連いたしまして、サプライチェーンにおける人権の尊重についてお伺いをいたします。
日本政府は二〇二二年九月に、責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドラインを策定、公表しております。このガイドラインは、国連ビジネスと人権に関する指導原則等の国際的な枠組みを踏まえた内容となっています。
これを機に日本企業も、自社とそのサプライチェーン全般に存在する人権への負の影響をデューデリジェンス等によって把握し、対応を進めていく必要があります。
例えば、児童労働については、各国の児童労働の状況について、ILO、国際労働機関がまとめた資料によりますと、日本企業がビジネス上関係性の深い東アジア、東南アジアでは、農業、繊維・アパレル、卸売・小売、工業・エネルギー、輸送・保管の五つというのが、直接の児童労働のリスクが高い産業として挙げられております。
都内企業がサプライチェーンにおける人権尊重の取組を進める後押しを行うべきと考えますが、見解を伺います。
○緑川商工部長 東京の中小企業が国内外の様々な情報を的確に収集し、人権尊重のルールを守る会社と適切な取引を行うことができるよう後押しすることは重要でございます。
このため、都は、海外での販路開拓を進める中小企業に対しまして、現地での生産や取引に詳しい専門家が助言を行うハンズオンの取組や、産業技術研究センターを通じ、外国の技術面での規格に関する情報提供などを行ってまいりました。
来年度は、中小企業に対して、幅広く様々な国や地域の人権尊重に関し、きめの細かい知識の提供を行ってまいります。
また、海外展開に向けたハンズオン支援を受けている約百社に対しまして、外国の取引先に係る人権尊重の現状を把握するノウハウの提供等を開始いたします。
これらによりまして、人権を尊重した適切なサプライチェーンづくりを後押ししてまいります。
○藤井委員 続いてですが、商店街のデジタル化について伺います。
私の地元町田市では、今年度、都の商店街デジタル化推進事業補助金を活用して、町田市商店会連合会がアプリを開発しまして、来街者の増加や集客力の向上につながる取組を実施しています。
こうした商店街でのデジタル化を着実に浸透させていくためには、デジタル化に取り組んだ後、それをしっかりと軌道に乗せていくための継続した支援を行うことが重要です。
デジタル化に取り組んだ商店街に対するフォローアップを行っていくべきと考えますが、都の取組について伺います。
○緑川商工部長 都は、商店街が取り組むデジタル化を後押しするため、機器の導入など、必要な経費につきまして助成を行っております。
今年度は、デジタルスタンプラリーや商店街に関するお知らせ機能を搭載したアプリを開発し、若者など新たな顧客の獲得につなげる商店街の事例などを支援いたしました。
こうした商店街に対しましては、商店街の連合組織や区市町村と連携し、現地に専門家を派遣するなどして、今後とも適切にサポートを行うことで、商店街のデジタル化を一層進めてまいります。
○藤井委員 町田市商店会連合会の事例の方の紹介もいただきまして、ありがとうございます。今後もしっかりと支援をしていただけるということで、ぜひ定着に向けたサポートをよろしくお願いいたします。
次に、私が都議になってからずっと取り組んでおりますテレワークの推進についてお伺いをさせていただきます。
ちょっと蛇足ですが、五年半前ですかね、初当選直後に、ちょうど九月、最初の一般質問で、都職員のテレワークについて質問をしました。そのとき、ちょうどやり取りをしたのが、そこにいらっしゃる内田事業推進担当部長だったことを、今、ふと思い出しまして、懐かしく思っているところであります。
このテレワークですが、コロナ禍で一気に普及したところでありますが、コロナ禍で分かるとおり、パンデミックや自然災害は当然として、そのときも提案をしていたんですが、例えば、育児をしながらであったりとか親の介護をしながら仕事を続けるためにも非常に重要な取組だというふうに認識をしております。
私も、家族、妹を看病しながら仕事を続けた経験がございまして、テレワークできる環境があったからこそ、そういうこともできたなと思っていて、このテレワークの整備というのは非常に重要だと考えて提案をしております。
もう、このコロナ禍を経た今ですと、テレワークがあるかないかというのが職場選択の理由の一つにもなりますし、また、コロナ禍で自社のテレワークを経験した従業員の多くがその継続を望んでいるという調査もあるようです。
都は、「未来の東京」戦略において、二〇三〇年度のテレワークの導入率八〇%というものを目指していますが、毎月確認をしている、この実施率というのを確認しているんですが、コロナ禍の緊急事態宣言で六五%というのが最大値でありまして、現在は五〇%程度まで減少しているという下落傾向にあります。
目標達成にはまだまだ遠い状況だというふうに認識をしておりまして、まずはこの下落を止めて定着させるということが非常に重要だと考えております。
コロナが落ち着く中で、テレワークの利用も今後減ってくると思いますが、どのように取り組むのか、テレワーク定着の課題と併せてお伺いします。
○山崎雇用就業部長 テレワーク定着の課題は、社内手続の電子化やコミュニケーションの取り方など、企業により様々であり、その課題を明確化し、どのような解決策が効果的であるかを見極めることが必要でございます。
また、課題解決のためのツールの導入に係る費用も、企業にとって大きな負担となります。
こうした課題を解決し、テレワークのより一層の定着を図るため、都は来年度、テレワークの課題診断、専門家の助言、ツール導入への最大百万円の助成をパッケージにした新たな支援を八百社の規模で開始をいたします。
また、来年度、都とテレワーク推進リーダーが参加するオンライン座談会を開催し、テレワークの運用上の課題や解決法を共有できるようにするなど、都と推進リーダーが双方向で情報共有できる仕組みを構築し、企業が抱えるテレワークの課題を自ら解決できるよう、サポートいたします。
こうした取組により、テレワークのさらなる定着を後押ししてまいります。
○藤井委員 ありがとうございます。
定着に向けてハンズオンで支援をするなど、八百社の規模で開始をするということでありまして、まずはその定着に向けてしっかりと取り組んでいくというご答弁をいただきました。
二〇三〇年のテレワークの導入率八〇%という、この実現に向けては、まだまだ六五%の実施率までしかいっていないわけでありまして、残り一五%以上、最大値で上げていかなきゃいけないというところがございます。非常に高いハードルだと思っておりますが、ぜひ、この広げる取組もご検討をいただきたいと思います。私も今後、具体的な提案を、ぜひしていきたいなと考えております。
最後に、観光に関連いたしまして、何点か確認をさせていただきます。
都が一月に公表しましたTOKYO MICEテクノロジー導入ガイドラインというものがございます。こちら、拝見させていただきましたが、会議や会場運営の効率化、また会場に足を運ぶことが困難な方の障壁を取り除くテクノロジーの紹介などがされておりまして、特に具体的に、公募によって選定された十五のテクノロジーというのが大変に分かりやすい形で紹介されておりまして、私も、この次世代のMICEに、わくわくと期待をしたところであります。
MICEの主催者におけるこうしたテクノロジーの導入をどのように支援をするのかお伺いいたします。
○築田観光部長 都は、MICEの主催者による先端のデジタル技術を用いた会議の運営効率化などの取組を促進するため、本年一月にTOKYO MICEテクノロジー導入ガイドラインを策定いたしました。
ガイドラインでは、テクノロジーの活用に関する理解を促すため、MICEにおける開催の準備から開催後まで様々な場面での活用方法について、その効果の概要や費用の目安などを分かりやすく示したところでございます。
このガイドラインの内容を踏まえて、MICEの開催時に、展示会場を誘導するロボットや混雑状況の可視化など、先端テクノロジーを導入する場合には、その必要となる経費の十分の十を三千万円を上限に助成いたします。
こうした取組によりまして、MICE誘致の国際競争力を高めてまいります。
○藤井委員 ご答弁いただいた中で、必要となる経費の十分の十を三千万円を上限に助成するということでありまして、大きなインセンティブを与えることによってMICEの競争力を高めようとしている、産業労働局との、大きく力を入れて取り組んでいるということが理解することができました。
このガイドラインですが、先ほど申し上げた十五の具体的な事業者のものが入っておりまして、このソリューションごとに提供する事業者の紹介などがありますが、その狙いをお伺いさせていただきます。
○築田観光部長 このガイドラインにテクノロジーの活用事例を掲載するに当たりましては、公募により事業者から提案のあったものについて、学識経験者や業界団体の方々がMICEの主催者における有用性や実装による効果などの観点から審査を行い、選定いたしました。
多くの主催者にその活用を促すため、様々な機器の効果や利便性、コストなどについて、利用者として適切に判断し、速やかに導入を図れるための工夫をして紹介いたしました。
○藤井委員 ありがとうございます。
紹介されているそのソリューション、十五のソリューション等を見ますと、提供できる会社さんというのは、もっとありそうな気がします。他社でも実現できそうなものが多いのではないかというふうに思いました。一部の企業に限らず、幅広く導入につなげていただきますように、ぜひご検討をお願いしたいと思います。
最後に、アニメ、漫画コンテンツの拠点に関して、二点お伺いさせていただきます、観光に関連しまして。
今後、感染症の分類が変わりまして、コロナ禍との闘いというのも新たな段階へ移行してまいります。今後は、インバウンドに関しても回復していく中で、東京の新たな魅力や、ほかの国にはない独自の魅力を磨き、発信していくことが必要です。
例えば、アニメ、漫画、ゲーム等のコンテンツについても、改めて脚光を当てて、日本の魅力や観光資源として活用していくべきです。
都は、観光資源としてのアニメ、漫画等のコンテンツに着目した拠点を整備するとしておりますが、世界に対してどのように売り込んでいくのか、見解を伺います。
○築田観光部長 都はこれまで、外国人旅行者に対し、アニメで登場するスポットを紹介するほか、民間の制作会社等から預かり保管する約五万点のセル画などの一部を様々なイベント等で活用し集客に結びつけてまいりました。
来年度は、アニメ関連の店舗等が集まる池袋に拠点を整備し、都の保管するセル画等を活用して、企画展示を行います。
また、最新のデジタル技術によりアニメの世界をリアルの空間で体験できる機会を設けます。
さらに、国内外の旅行者に向けたアニメ制作等に関するワークショップやセミナーを開催し、SNSなどを活用して広く発信してまいります。
こうした取組により、アニメを優れた観光資源として活用し、世界中の旅行者の誘致に結びつけてまいります。
○藤井委員 池袋への拠点整備を通じて、また、デジタル技術等によって、アニメの世界をリアルに体験できるということであります。
旅行者や人というのは、やはり、そこでしか見られないもの、体験できないことのために集まったりすると思いますので、お話にありましたセル画など、有効に活用していただきたいなと思います。
また、例えばですけど、コミケ、コスプレなんかもありますので、しっかりとそういったところとも連携をされてはいいのではないかというふうに考えております。
こうした拠点の整備により、アニメ等のコンテンツを活用することは非常に意義深いものであると考えておりますが、近年、この分野においては、中国や韓国に相当追いつかれておりまして、世界展開や収益化などのマーケティング面では追い抜かれているといわざるを得ない状況だと考えております。
韓国のスマホに最適化されたウェブトゥーンという縦型の漫画というのが世界に広がっていたり、それをアニメにしたものが世界で広がっていたりという状況があると考えております。
そのため、アニメに関する人材育成や戦略的なマーケティングなどこうしたコンテンツの日本の競争力を高める取組が必要と考えますが、見解を伺います。
○緑川商工部長 これまで都は、海外展開を目指し、コンテンツの制作を行う中小企業等が外国の見本市に出展する場合の支援などを行ってまいりました。
現在は、今年六月に開催される海外見本市の出展に向けまして、商談ノウハウやピッチの技法などに関するビジネスレッスンを行うほか、現地の商談先の開拓等について支援を進めております。
来年度は、新たに設置される池袋の拠点等を活用いたしまして、海外展開に必要な知識のほか、ノウハウを学ぶためのセミナーやワークショップを六回程度開催するとともに、セミナーなどの参加者を対象にコンテストを行い、優れた五社に対し、外国の見本市に出展するための支援を行ってまいります。
こうした取組によりまして、コンテンツ分野における中小企業の海外展開を後押ししてまいります。
○藤井委員 外国の見本市に出展するための支援を行うなど、海外に打って出る事業者を支援するということで、しっかりと進めていただきたいと思います。
特に、アニメ産業なんですが、これは課題は何よりも人、人材不足だと思っております。低賃金で中国や韓国に仕事を依頼している間に、いつの間にか実力をつけてしまって、その中心が韓国や中国に移っていってしまっているというのが今の現状だと思います。
やはり、賃金の問題というのがここで出てきますので、業界の賃上げという視点でも支援をしていただきたいなと考えております。
以上、東京大改革を爆速で進めるといっていました今年度予算について質疑をさせていただきました。
特に、スタートアップ、脱炭素等の視点から質疑をさせていただいてまいりましたが、これまでの産業労働局が進めてきた支援の部分から、やはり、スタートアップをはじめとした成長産業をしっかりと育てる、つくっていくという視点に、より重心を移していただきたいと強く要望をさせていただきまして、私の質疑を終えさせていただきます。ありがとうございました。
○慶野委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後四時四十五分休憩
午後五時五分開議
○慶野委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○斉藤委員 よろしくお願いいたします。
産業労働局におかれましては、このコロナ禍、三年間の間に、国に先駆けて様々な現場のお声に応える形で、東京独自の施策を展開いただきまして、特に中小零細の事業者につきましては、本当に懸命に、それを耐え忍んで頑張って、テレワークなどにも協力したり、様々な業態転換も行いながら、いよいよ二類から五類へということで、新しい年度を迎えようとしております。皆様の、局を挙げての様々な事業につきまして、本当に感謝している方が多いので、改めて、この場を借りて皆様にも感謝を申し上げたいと思います。
そういった中にありまして、いよいよインバウンドでございますが、これも物すごく変化率が激しくて、本当についこの間まで、こんな高級なホテル安くて大丈夫かなと思うぐらい空室率が高く、様々ホテル業界も苦慮しておりましたけれども、今では本当に宿泊する場所、民泊事業で一回撤退したような方々も、やはり民泊的な事業も必要なんじゃないかということで、いろいろ皆さん集まり始めております。
今日は、そういう中では、テーマを絞って質問させていただきますので、数点、よろしくお願いいたします。観光に絞って今日は質問させていただきたいと思っております。
初めに、日本各地と連携した外国人旅行者誘致について質問したいと思います。
日本各地には、その土地ならではの歴史や文化、自然などの多様な魅力にあふれた観光資源が数多く存在します。最近ネットを見ますと、様々なランキングがまた出始めています。やはり、コロナが明けたら一番行きたい国ナンバーワンは日本であり、そして、東京の魅力ももちろんですけれども、「未来の東京」戦略の中にも掲げられているとおり、東京だけでなく、日本全体に対して様々な連携を行うことも、その戦略の中に入っております。観光はその中の一丁目一番地であると考えますが、日本を挙げて、その先頭に東京が立ちながら、日本のインバウンド需要の確実な取り込み、これに挑戦していくときが来ていると思います。
競争相手は世界各地の国際観光都市でもあるし、国でもあります。今後の本格化するインバウンド需要を確実に取り込み、海外の他の観光都市に打ち勝つため、そして、他の国に勝つために、東京の力だけでなく、多様な魅力にあふれた日本各地と連携した取組がいよいよ重要になってまいります。
そこで、都は、各地と連携した外国人旅行者誘致を一層充実させていくべきであると考えますが、見解を伺います。
○築田観光部長 東京と日本各地が連携した旅行者誘致は、それぞれの魅力を生かした相乗効果を発揮し、滞在時間の延長や消費拡大を促す効果的な取組でございます。
このため、都は、東京を訪れた外国人旅行者に、日本各地にも足を延ばしてもらうため、東北、中国、四国、九州、北陸の各地域と連携して、特設ウェブサイトやSNSにより各地の様々な観光スポットを紹介するなど、日本各地の魅力をPRしております。
来年度は、東京と各地域を結ぶ、自然や食、文化などを楽しめる観光ルートを新たに作成するとともに、国際的に有力なメディアを招聘し、実際にそのルートを周遊した旅行記などを発信いたします。
こうした取組によりまして、海外から東京と日本各地への旅行者誘致につなげてまいります。
○斉藤委員 最近では盛岡市のような、ニューヨークタイムズですかね、掲載された都市に行ってみたいという方が非常に盛岡にやって来まして、大変ににぎわっているというような報道も出ております。
外国人旅行者を誘致するには、外国人が興味を持つようなストーリー性のある観光ルートの開発や、海外メディアによる情報発信が効果的であろうと思います。ぜひ、東京都も日本各地との連携を充実させて、外国人旅行者の誘客を促進し、そして、東京から送出をしていただきたいと思います。
次いで、アクセシブル・ツーリズムについて、一つ、ちょっとテーマとして、ドローンを活用したアクセシブル・ツーリズム推進について質問したいと思います。
昨今では、個人向けにも販売されるようになりまして、以前よりもずっと、比べるとずっと一般的となったドローンでありますが、実は以前から、大規模な施設の点検ですとか、消防なんかもそうですけれども、農業における農薬散布など、様々な場面で活躍をしているようであります。
昨年十二月からは、有人地帯における目視外飛行が可能となる新しい制度が開始されるなど法整備も進んでおります。これまで以上に活用の場が広がってきておりますけれども、観光の分野においても、私はその可能性、大いに期待を持っている者の一人であります。
例えば、ドローンを使うことで、高齢者や障害のある方であっても自宅にいながら山頂からの景色を眺めることができたり、自分の体を使ってなかなか難しい旅行でも、誰もが気軽に旅行を楽しむことができる、このアクセシブル・ツーリズムとの親和性も非常に高いと考えます。メタバースとか、そういう方向に行く前に、まずはこういうドローンを活用して、自分の目で見て、リアルな世界を楽しんでいただきたい。
そこで、ドローンを活用したアクセシブル・ツーリズムの推進について、都のこれまでの対応と今後の取組を伺いたいと思います。
○築田観光部長 都は今年度、高齢者や障害者の方々が施設にいながら自らドローンを遠隔操作し、画面を通じて多摩・島しょ地域の自然豊かな景観を楽しむモニターツアーを実施いたしました。
来年度は、取組の規模を都内三か所から五か所に拡大し、東京二〇二〇大会のレガシーである競技会場等を体感できるツアーを新たに実施するなど、ドローンを使って、より多くの魅力的なスポットを観光できるようにいたします。
また、この成果をシンポジウムやウェブサイトを通じて観光関連事業者に幅広く発信し、ドローンを活用した旅行商品づくりにつなげてまいります。
こうした取組によりまして、誰もが楽しめるアクセシブル・ツーリズムを着実に推進してまいります。
○斉藤委員 できれば高齢者の方も障害のある方もその現場に行って、実際に風とか、においとか、そういったものを全身で感じていただくような観光の楽しみを体感していただきたいんですけれども、その前にドローンを使って、そういう気持ちが醸成されるような、こういう旅行の在り方もあるのかなと私も思います。高齢者や障害のある方が、先端技術であるドローンの操作を通じて、新しいスタイルの旅行を主体的に楽しんでいただけることを期待します。
また、都には、誰もが旅を諦めない社会の実現、SDGsの考え方にも通じますが、様々な施策に取り組んでいくことを要望して、次のテーマに移りたいと思います。
次は、食の話なんですが、一般的な食の話は他の委員から出ておりますので、私の方からはベジタリアン、ビーガンにちょっと着眼して一問質問したいと思います。
海外からの旅行者も回復傾向にありまして、今後、多くの国や地域から様々な文化、習慣を持つ、ムスリムの方もそうですが、外国人旅行者が東京を訪れることとなります。中でも、このベジタリアン、ビーガンは健康志向や環境意識の高まりを背景に世界的に増加傾向にあると聞いております。
しかし、都内にある飲食店は、多くは中小事業者であって、ベジタリアン、ビーガンに関する知識、ノウハウに乏しく、専門店や対応店が日本の場合十分に多いとはいえないと思います。
また、旅行者からは、一見して、どのお店がベジタリアンなどに対応したお料理を提供してくれるのか分かりにくく、食の面から東京の観光を存分に楽しめないということもあるのではないかと思います。
私は、ワールドカップ二〇一九日本大会の前、二〇一九年の九月の定例会質問で、ラグビーワールドカップ二〇一九や、二〇二〇の東京の大会を契機に、東京でも多様な食を楽しむ環境が整っていることをしっかりと、もうおもてなしの体制ができていますよというのを外国人旅行者に情報提供するべきだということを質問して、その後、観光部の方で東京大会に向け、ビーガンを含むベジタリアンに特化したパンフレットを作成した経緯がございます。
その後、コロナになってしまったということで、大変残念だったんですが、今後インバウンドを積極的に迎え入れるためには、ベジタリアン、ビーガンに向けての料理の提供を行う店舗を後押しして、海外からの旅行者が安心して都内飲食店で食事ができる環境を整備していく必要があると考えます。
そこで、ベジタリアンやビーガンである旅行者への対応力強化に向けて、都内飲食店に対する支援が重要であると考えます。今後の取組を伺いたいと思います。
○築田観光部長 都はこれまで、多様な文化や習慣を持つ外国人旅行者を受け入れる飲食店を増やすため、そのノウハウなどについて、アドバイザー派遣による助言やセミナー開催による普及啓発を実施するとともに、ベジタリアンなどに向けた飲食店を紹介する冊子を作成してまいりました。
来年度は、都内飲食店が食の多様性に対応できるよう、ベジタリアン、ビーガン向けのメニューを開発し、ウェブサイトなどを通じた発信を行います。
また、食を通じてインバウンド獲得を目指す飲食店に対しまして、ベジタリアンやビーガンなどに対応した店舗であることを示す認証の取得に要する経費の二分の一を、二十万円を上限に助成いたします。
こうした取組によりまして、誰もが安心して東京の食を楽しめる環境を整備してまいります。
○斉藤委員 私の目黒区に、自由が丘というまちがありますが、ビーガンの方が安心して食事が楽しめるレストラン、ティーズレストランというんですけれども、ございます。おいしいんです。こうしたお店を都内に一層増やしていくためにも、都の積極的な店舗への支援を期待したいと思います。
最後に、MICEについて、簡単に質問させていただきます。
MICE、様々な角度から議論があると思いますが、MICEの開催については、開催地に多くの人が集まる、宿泊や交通など多岐にわたる産業が関わることで経済効果が非常に高い、個人の旅行よりも、こういった大きなMICEといわれる規模のイベントを誘致することは、大変、経済波及効果があるということがメリットとして知られております。
一方で、開催には大規模な会場が使用されるほか、多くの人の行動を伴うことで、CO2や廃棄物の排出などによって環境に与えるインパクトも少なくございません。こうした課題に対しまして、東京都は、新たに改定した誘致戦略において、環境に配慮した社会づくりに資するMICEの推進ということで、戦略の一つに柱を掲げておりますけれども、環境配慮への取組を推進するためには、業界、携わる方々について、その機運の醸成が大切でございます。
そこで、都が二〇一九年三月に策定したガイドラインについて、主催者などに持続可能なMICEを実施する際の指針として活用してもらうことが重要であると考えます。あっても使われなければ意味がございませんので、活用してもらうことが重要であると考えますが、来年度の取組について伺いたいと思います。
○築田観光部長 都は、会議の主催者や宿泊、飲食などの事業者に持続可能な取組を浸透させ、東京が国際的な誘致競争で選ばれる都市であり続けるため、平成三十一年三月にTOKYO MICEサステナビリティガイドラインを策定いたしました。このガイドラインでは、MICEに関連する主催者などのステークホルダーが対応すべき持続可能な取組について、調達や廃棄物、コミュニティなど、五つの観点で分類し、その具体的な取組例などを示しております。
来年度は、このガイドラインを活用し、海外の見本市やMICEの専門誌などを通じた普及啓発を強化いたします。
こうした取組により、環境に配慮した取組を推進してまいります。
○斉藤委員 東京二〇二〇大会自身が、ショーケースとして、このような取組を世界に見てもらう場であったはずなんですが、インバウンド自体が消滅してしまったという残念なことでございました。
そして、調達や廃棄物というお話ありましたけれども、実は様々なことを決めて臨んだ大会でしたが、例えばお弁当をめぐってその処理の問題ですとか、開催している主催側に対して大変厳しい世論の目が向けられたことは、これは忘れてはならないことであります。
来年度は、このガイドラインを活用しまして、海外の見本市やMICEの専門誌などを通じた普及啓発を強化していただくということでございます。様々な機会で啓発をすることで、環境に配慮した取組をしっかりと進めていただきたいと思います。
一方で、主催者にとっては、ガイドラインを読まれても、環境の配慮の重要性について分かっても、どうしていいかということ、その具体的な行動が重要です。何らかの取組を始めたいと思っても、開催予定のMICEに当てはめた場合にどうしたらいいか分からないというお声があります。また、取り組むにも費用負担が大きくて、どうしてもそういうところの予算を確保するのが難しいという事業者の声もあると伺っております。
こうした主催者が、MICEにおいて環境配慮に向け取組を行動に移すために、都が後押しをしていくべきと考えますが、都の見解を伺いたいと思います。
○築田観光部長 都は来年度、主催者等によるMICE開催時の環境に配慮した取組への支援を開始いたします。
具体的には、主催者等の問合せに一元的に対応するサポートデスクを開設いたします。そこでは、会場や参加者の規模等を踏まえた環境配慮への取組について、専門家によるアドバイスなどを行います。
また、そのアドバイスを通じて、主催者が物品調達方法の変更や廃棄物の抑制などを行う場合に必要となる経費の十分の十を、七百万円を上限に助成いたします。
こうした取組により、持続可能なMICEの開催を推進してまいります。
○斉藤委員 質問は以上にしたいと思います。ほかにも産業労働局は多岐にわたっているのでたくさん質問したいことがあったんですけれども、順番が最後の方なものですから、重ならないわけないんですよね。
ただ、今観光の話を一つ最後にいたしましたが、実はこれから間もなく、三月には生物多様性に対する配慮を求めた国家戦略が国から出され、そして、その後、東京都としても戦略を出すことになっておりますが、環境配慮といった、生物多様性に配慮した話も重なってきますので、ぜひ、サポートデスクに入る方には最新の知見も生かしたアドバイスをお願いしたいと要望いたしまして、質問を終わります。
○あぜ上委員 それでは、まず第一に、東京グリーン水素ラウンドテーブルについて伺います。
これは、昨年の八月十九日から四回、会議が行われたというふうにホームページに出ておりましたが、この四回のラウンドテーブルでどのような意見交換が行われたのか、まず伺います。
○榎園新エネルギー推進担当部長 グリーン水素の普及について先進的な取組を行う企業等と各回のテーマに即した意見交換を実施いたしました。
○あぜ上委員 各回のテーマというお話なんですけれども、そうすると、グリーン水素以外のことも議論したという理解でよろしいんでしょうか。ちょっとそこだけ確認。
○榎園新エネルギー推進担当部長 繰り返しになりますが、グリーン水素の普及について先進的な取組を行う企業等と各回のテーマに即した意見交換を実施したところでございます。
○あぜ上委員 私はホームページを見たんですが、議事録はありません。そして添付されていた各企業の取組の資料だけあったんですけれども、それを見ると、再生可能エネルギーの取組の資料なども添付されておりました。しかしながら、今のお話だと水素の取組についての意見交換だということであります。
二〇三〇年カーボンハーフと二〇五〇年の脱炭素社会に向けて、都は政策を総動員して取り組むんだというふうにしていらっしゃる。それにもかかわらず、なぜ水素だけなんでしょうか。問題なのは、都の水素ビジョンでは、私は、水素は様々な資源から製造可能なため、エネルギーの調達先の多様化を実現できるというふうに書いてあるところに、ちょっと引っかかりました。
グリーン水素やCO2フリー水素、この研究は否定するものではありませんが、しかし、現在水素に特化することによって、結局、グレー水素を拡大してしまうということになるのではないでしょうか。そして、このラウンドテーブルにおいてどのような意見交換をしているのか、議事録も公開されていないということでは、やっぱり意見交換した中身が全く分からないわけです。
今年の二月十七日に川崎市と大田区と行ったラウンドテーブル、ここでは水素供給ネットワークに向けて三者で検討を行っていくことを確認したというふうに書かれていましたが、確認した内容はどういうことなんでしょうか。伺います。
○榎園新エネルギー推進担当部長 二月十七日の第四回東京グリーン水素ラウンドテーブルでは、川崎臨海部での水素受入れを想定し、空港臨海エリアにおける水素の利活用拡大と、パイプラインを含めた水素供給ネットワークに向けて三者で検討を行っていくことを確認いたしたところでございます。
○あぜ上委員 三者で検討していくんだと。そうしますと、川崎市と大田区とはどういう場で今後検討していくということなんでしょうか。
○榎園新エネルギー推進担当部長 引き続き、関係自治体等とも連携し検討をしてまいります。
○あぜ上委員 つまり、先ほども申し上げたように、引き続きの三者の協議というのがこのラウンドテーブルであれば非公開なわけですよね。そもそもラウンドテーブルがなぜ非公開なんだというふうに思うわけです。民間と、また、行政同士が連携して脱炭素化に向けてどう取り組むのかと。これ、本当に大事な話合いだと。それを、やっぱり本来であれば公開にすべきだと思うんです。
そもそも、気候危機打開の課題というのは都民と共に進めていく、そういう大事な課題であって、公開すべきだというふうに思うわけです。
どのような議論が進められて、都として脱炭素社会をつくるためにどう取組を進めていくのかということを、その考え方を知る上で、やはり情報公開すべきだということを申し上げたいと思うんです。
知事は、知事就任のときに、直後に職員の訓示をされていましたけれども、この中で、こうおっしゃっていたんですよね。いつ誰が何を、どこでどのように決めたのかということを明確にしていく、この情報公開がポイントなんだというふうにおっしゃっていたと。私は、今後このラウンドテーブルが続くのであれば、きちんと議事録も取って都民に公開すべきだと、公開することを求めたいというふうに思います。
知事は、COP27の場で、先ほどの川崎と大田の話なんですけれども、世界で作られたグリーン水素を受け入れるための基幹パイプラインを含めた供給体制を構築する考えがあるんだと、こういった旨の発言をされていましたけれども、そもそも、現在、再生可能エネルギーを利用して製造される、そういうクリーンエネルギー、クリーン水素ですね、これはIEAの、国際エネルギー機関によると流通はほとんどないと。二〇二〇年なんですけど、全体の供給量の〇・〇三%しかないんだということがいわれています。
さらに、輸入水素の発電コスト、これは太陽光の発電コストなどに比べても非常に高く、とても今現実的だということはいえません。エネルギーの自給率の問題でも、現在、輸入天然ガスが高騰して、エネルギーを海外に依存することが大きな問題にもなっているわけです。そんなときに水素を海外から輸入すること、これはやはりエネルギーの自給率や電力コストや、カーボンハーフの目標からいったって、私は問題だというふうに思います。そのことは意見として述べさせていただきたいと思います。
あわせて、水素ステーションについても伺おうと思っていたんですが、先ほどご答弁がありました。現在は都内に二十三か所あるんだということで、そして、一日最大三十台程度の利用があるというご答弁がありました。
このご答弁の中で、運営状況報告を受けているというふうにご答弁があったんですが、そうであるならば、別に最大じゃなくて一日平均の台数も出せるんじゃないかと思うんですが、ご答弁できますでしょうか。どうですか。
○榎園新エネルギー推進担当部長 ステーションからの報告につきましては、法令等による報告の義務等がございませんので、報告を受けている範囲内での数字ということで、ご答弁させていただいているところでございます。
○あぜ上委員 報告の範囲内で最大だということでありますが、水素ステーションにはこれまでも、先ほど来お話もありましたが、バス対応の水素ステーションの整備費には、国と合わせて七億八千万円くらいの全額補助をしておられます。また、バス対応以外のステーションの場合は、国と合わせて、中小企業の場合、五分の五、二億九千万円の整備補助をしてまいりました。さらに、運営費でいえば補助があったり、都の単独で土地の補助も行っています。
そういう中で、今後、新たにトラック対応で上限四億、先ほど管理棟の整備の補助も報告がされたところですが、来年度予算案を見ますと、水素ステーション関連だけで四十三億九千五百十二万円なんです。
やっぱり、私はこの水素ステーション、私の地元の江東区にも四か所ありますけれども、水素バスも結構走っているんですけれども、場所によっては、地域の住民の方からは、全くこの水素ステーションを使っているのを見たことないよ、ほとんど使われていないよと、そういうお話も伺っているところです。
やっぱり、水素ステーションの利用状況が、これだけの税金を投入されている状況があるわけですから、きちんと実態を明らかにするというのは、私は行政として必要な責務であるというふうに思います。ぜひ、そういう意味では利用状況の実態は明らかにしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
観光事業についても質問したいと思うんですが、やはり、ちょっと質問がダブっていましたので、一つは富裕層向けのプロモーション、この内容と金額はご説明がありました。目的と三億五千万円という予算案のご答弁がありました。
私が伺いたいのは、この三億五千万円、これをどう使うのかと。先ほどは誘致に向けてPRなどを実施していくというふうにご答弁あったんだけど、具体的にこの三億五千万というのがどう使われるのかということをご説明いただければと思います。
○築田観光部長 富裕層向けプロモーションですが、ウェブサイトやコンテンツなどを活用いたしまして、東京の魅力のPRなどを行うものでございます。
○あぜ上委員 つまり、ウェブサイトなどを活用して観光をPRするというのに三億五千万円だということなんですね。これが高いか安いかというのは、評価はいろいろ分かれるところだと思うんですが、私は、これが本当に必要なのかという疑問を持っています。
こうした背景に、やっぱり国の観光政策の転換が私はあると思うんです。国の上質なインバウンド観光サービス創出に向けた観光戦略検討委員会、ここで二〇二一年の六月にまとめた報告書、これを読みましたけれども、ここで日本はインバウンドの富裕旅行の受入れにかじを切るべきだと、そういう指摘をして、地域の伝統工芸、高級衣服、宝飾品などの購買層は富裕層であり、VIP優遇政策により、高級宿泊施設、高級食材等を提供する一部の富裕層向けサービス提供にスポットが当たる施策を推進するんだというふうになっています。
そういう中で、やっぱり東京都も富裕層の誘致、これが一層進められるようになっているんじゃないかというふうに思うわけです。
一部の富裕層の誘致というのは、そういう旅行商品というのは、もう既に民間が先行して結構やっているわけですよね。日本は遅れているというふうにいわれますけれども、このコロナの間も、大手の旅行会社なんかは非常に研究をして、そして、既にやっているわけです。そういう意味では、わざわざ税金を使って本当にやることなのかなという、私は疑問を呈したいと思います。
また、来年度の予算案で、プロジェクションマッピングの関連、先ほども十八億ということでご質問がありました。この点についても、私も疑問を持っている一つです。なぜ都が民間とプロジェクションマッピングをやるのかというご質問に、今後の観光事業に非常に重要だからだというご答弁がありましたが、具体的に一つ伺わせていただきたいと思うんですが、民間との協力によるプロジェクションマッピング展開事業というのがございますが、ここで、都として十億五千万円、支出する予算案になっているわけです。
この支出の内容、十億五千万円の中身についてお答えいただけないでしょうか。
○築田観光部長 来年度は、プロジェクションマッピングを魅力的な観光資源とするため、民間の高層ビルや再開発中のエリアで投影するとともに、年末には、これを効果的に演出に用いたイベントを開催いたします。そのための経費として計上しております。
○あぜ上委員 イベントの費用なのかというふうに思うんですが、プロジェクターなどのリースをしたり、そういうお金も入っているというふうに事前には伺っているんですが、やはりこれも、先ほども質疑の中で、他の委員の方からもお話がありましたけれども、やはり、国際的にも活躍する、そういう事業者がこの日本にはあって、民間でどんどん事業として進められているものであります。あえてここに税金を支出する根拠というのが私はよく分からないんです。
もちろん、日本の文化や歴史遺産など、日本の魅力、これが広がること、日本の魅力を発信する取組というのは歓迎すべきことだというふうに思っています。だけど、やっぱりインバウンドの目標数に固執し続けて、それこそ民間ができることをあえて莫大な税金を投入して行う観光政策で本当にいいのかと。私はやっぱり誰もが旅行を楽しめる、そういう東京をつくる、そして小規模な旅行業者、そういった方々や、小規模な宿泊施設、もう本当に環境を守りながら事業が継続できるように、それをしっかり支援する、こういう観光産業こそ進めていくべきじゃないかというふうに思います。
意見として、そのことを申し上げさせていただいて、私の質疑を終わりたいと思います。ありがとうございます。
○星委員 最後、よろしくお願いいたします。
私からは、まず、障害者の雇用の促進について伺ってまいります。
東京都の民間企業における障害者雇用率は、年々着実に上昇しているものの、厚生労働省の調査によると、令和四年度は、法定雇用率二・三%に対して二・一四%とまだまだ十分とはいえない状況であります。
本年一月、国の定める法定雇用率が現在の二・三%から段階的に引き上げられ、令和六年に二・五%、三年後の令和八年には二・七%になることが発表をされました。法定雇用率は経営体力のある大企業の多くで達成できているものの、企業規模が小さくなるほど達成できていない傾向にあり、都内には、障害者を一人も雇用していない中小企業も多い状況にあります。
一方、中小企業にとって障害者を新たに採用していくことは簡単なことではないと思いますし、企業からは障害者雇用の必要性は理解しているが、ノウハウがないから何から始めたらいいのか分からない、支援制度を調べる余裕もないといった声も聞かれます。
そうした企業に対して障害者を初めて採用したり、人数を増やしていくために役立つ情報をしっかりと届けていく必要があると思います。
都は、国や就労支援機関等と連携し、障害者を採用できていない中小企業などに出向いて必要な情報を提供するなど、企業への支援を一層強化していくべきと考えますが、見解を伺います。
○内田事業推進担当部長 都は、ハローワークや地域の就労支援機関等と連携をして、法定雇用率が未達成の中小企業等を障害者雇用に精通した支援員が訪問し、各企業ごとの実情に応じた助言を行う事業を実施しております。
具体的には、障害者を採用する上で必要となるノウハウや補助金等の支援メニューを個々の企業の状況に応じて伝えるとともに、求人の意向が示された場合には、管轄のハローワークやサポート機関につなぐなど、雇用の実現に向けてきめ細かに対応する支援を行ってございます。
来年度は、この事業の規模を千二百社に拡充をいたしまして、より多くの企業に、情報提供やサポートを行い障害者の雇用につなげます。
こうした取組を通じまして、中小企業における障害者雇用を促進してまいります。
○星委員 これから障害者雇用を進めようとする企業が最初の一歩を踏み出せるよう、関係機関とのネットワークを生かした東京都ならではの支援をしっかりとお願いをいたします。
続いて、コロナ禍では、大企業や中堅企業を中心にテレワークの導入が進み、広く普及をしてきました。障害者の中には通勤による負担が就労を継続する上でのハードルとなっているケースも多く、テレワークを活用した在宅での勤務であれば働くことができるという方も多くおります。
また、既に企業で働いている障害者の方についても、テレワークを活用することでストレスが軽減され、企業に定着がしやすくなるなどのメリットもあると思います。今後はこうしたテレワーク導入に向けた企業の取組を中小企業の障害者にも広げていくための支援の強化が必要と考えます。
このため、都は、多くの障害者の方がテレワークを活用し、職場で活躍できるよう、中小企業のテレワーク導入に向けた取組を一層後押ししていくべきと考えますが、見解を伺います。
○内田事業推進担当部長 都は、障害者がテレワークを適切に活用し働くことができるよう、東京ジョブコーチを企業に派遣し、テレワークの導入を支援するとともに、ICTに関するサポートデスク機能を活用し、テレワークに関する問合せに丁寧に対応してございます。
来年度は、こうした仕組みをより多くの企業に活用していただけるよう、会社を訪問してサポート内容などを紹介する二名の推進員を新たに設けます。
また、障害者を初めて雇用する中小企業に専門家を派遣し、テレワークの導入から定着までを伴走型で後押しするとともに、必要な機器の導入経費の三分の二を助成する事業につきまして、来年度は、障害者を既に雇用している中小企業が障害者の安定就労のためにテレワークを導入する場合にも利用できるようにいたします。
これらにより、テレワークの活用を進め、障害者の雇用の促進につなげてまいります。
○星委員 テレワークの導入により柔軟な働き方が可能となることで、今既に働いている障害者の方も職場に定着しやすくなるなど、企業にとって大きなメリットが期待できます。多くの企業にテレワークの選択肢を伝えて、障害者雇用の拡大につなげていくよう、よろしくお願いをいたします。
障害者雇用を進める上では、障害者が担う業務を企業の事業動向に合わせて開拓し、活躍の幅を広げていくことが重要であります。特に、近年のデジタル化の急速な進展に伴ってペーパーレス化などが進む中で、企業で働く障害者の方が担う業務に変化が生じており、行政の支援もこうした変化をしっかりと捉えたものとしていく必要があります。
都は先日、予算特別委員会において、我が会派の渋谷委員に対し、デジタル化の進展により障害者の方の仕事に変化が生ずることが見込まれる、こうした新たな状況に適切に対応した業務の事例を取りまとめ、企業に提供していくと答弁をしました。
令和五年度予算案では、持続可能な障害者雇用における業務開拓・実践事業としてニューロダイバーシティなどの好事例も発信していくことが示されていますが、都は、障害者の新たな業務開拓に、具体的にどのように取り組んでいくのか伺います。
○内田事業推進担当部長 都は来年度、発達障害の方をIT企業において雇用し、定着に成功した国内外の先進事例を調査するとともに、そうした障害を持つ方が中小企業五社で約二か月間トライアルで仕事をする機会を設け、受入れ準備から採用、定着までの各段階で生じた課題や解決に向けた支援の内容を整理いたします。これらにより得られた知見は、業界団体とも連携して発信し、企業への普及を図ってまいります。
また、デジタル化の進展など社会環境の変化に対応しまして、障害者が企業で担っている業務の内容や職場における支援の工夫など、新たな状況に適切に対応した事例を取りまとめ、企業に提供をいたします。
さらに、近年、仮想空間を活用した新たなビジネスモデルが広まってきていることを踏まえまして、通勤困難な重度身体障害者等の新たな働き方の可能性を調査し、経営者等が多く集まるイベントで紹介してまいります。
これらにより、障害者の就労を後押ししてまいります。
○星委員 障害者就労支援が来年度デジタル化にも対応し、さらに充実されることを確認いたしました。今後、テクノロジーの進展により、障害者の方の活躍の幅は一層広がっていくと考えます。企業の参考となる情報発信をお願いいたします。
次に、がん患者の就労支援について伺います。
人生百年時代を迎え、シニアの活躍が期待される中、定年の延長などもあって、在職中にがんに罹患する方も増えています。
一方で、昔は不治の病といわれてきたがんは、治療の進歩や新たな治療法の開発による治る病気に変化しつつあります。治療のための入院期間も短くなっており、入院により一定期間休んでも、復帰して働き続けられるケースも増えています。
こうしたがん患者の方が治療を受けながら仕事を続けるには、周囲の理解とサポートが必要であります。都内企業の中には、がん治療と仕事の両立ができる職場づくりに積極的に取り組んでいる企業も多くあり、行政としても、企業のこうした取組を後押ししていく必要があると考えます。
こうした考えから、第四回定例会において、我が会派のほっち議員が、より多くの企業が活用できる支援とするよう課題提起をし、都からはこの制度の活用を図る会社を増やすため、要件の改善を検討するとの答弁がありました。
都は、がん患者の方が発症後も安心してその職場で働き続けられるよう、企業におけるがん患者の雇用を支援していく必要があると考えますが、その具体的な方法について見解を伺います。
○内田事業推進担当部長 都は、がん患者の方を新たに雇い入れ、継続就業に必要な支援を行う中小企業に採用奨励金を支給するとともに、がんの治療により十四日間以上連続して休職した社員を職場に復帰させ、継続就業に必要な支援を行う企業に対しまして、雇用継続助成金を支給してございます。
来年度は、雇用継続助成金の支給要件である入院期間を十四日間以上から十日間以上に短縮をいたしまして、より多くの企業に利用していただける内容といたします。
これにより、がん患者の就労を支援してまいります。
○星委員 がん患者の方の就労支援についても都として積極的に支援を行っていくということが確認をできました。企業の取組が一層進むよう、こうした助成金を活用した都内企業の取組事例をまとめて広く紹介するなど、企業における治療と仕事の両立に向けた取組のさらなる後押しをお願いいたします。
次に、観光振興について、まず、MICE誘致の取組について伺います。
コロナ禍における水際対策により国際的な交流が制限されたため、国際会議の開催に当たっては、オンラインとリアルを併用した、いわゆるハイブリッドでの開催方法を用いるなど、デジタルの活用が浸透をいたしました。今後も、社会全体としてDXの流れは大きく変わっていくものと考えます。
現在では水際対策も緩和され、リアルでの開催に戻りつつあり、MICEの開催を通じた大規模な集客によって得られる経済波及効果も期待できる状況となっております。こうしたMICEの開催に当たっては、リアルを軸としながら、デジタルの技術も有効に活用することで得られる効果をより高め、都内の産業の活性化につなげていくことが重要であります。
そこで、都は、メタバースを活用したMICEの誘致に取り組むこととしておりますが、具体的な内容を伺います。
○築田観光部長 都は来年度、メタバースの技術を活用し、MICEの開催地としての魅力を高める仕組みづくりを行います。
具体的には、メタバースの空間で、都内のMICE施設や会場周辺の観光スポットなど、東京の多彩な魅力を効果的にPRいたします。
また、リアルの会議の開催時にはバーチャルの会議場も設置し、障害がある方など、様々な事情で開催地を訪れることが困難な方が、会議や基調講演へ参加し交流できる場を提供いたします。
こうした取組によりまして、東京へのMICE誘致を後押ししてまいります。
○星委員 MICEの誘致などにおいては最新のデジタル技術を活用して進めていくことを確認させていただきました。MICEは、会場となる施設や参加者の宿泊するホテルだけでなく、飲食や小売など幅広い業種に波及効果が及ぶものであるため、ぜひ様々なツールを活用して誘致に取り組んでいただきたいと思います。
次に、観光事業者による環境対策の支援について伺います。
コロナ禍において旅行者意識が大きく変化したといわれており、SDGsへの関心の高まりとともに、持続的な観光を重視する旅行者が多くなっております。
世界三十か国を対象としたサステーナブルトラベルに関する民間の調査では、パンデミックの影響で今よりサステーナブルに旅行したいと思うようになったと回答した人が六一%に上っているということであります。今後、インバウンド需要を確実に取り込むため、観光事業者は、こうした旅行者の意識変化に合わせた取組を進めることが重要であります。
そこで、都としても環境に配慮した取組を行う事業者を支援すべきと考えますが、見解を伺います。
○築田観光部長 都では、多摩・島しょ地域の事業者や観光協会等が行う環境負荷の少ない自転車などを活用したツアーや、豊かな自然を生かした林業体験などの旅行ルート開発に取り組む経費への助成をしております。
来年度は、宿泊や観光バス等の事業者が作成するSDGsに関する計画を実行する取組を新たに支援いたします。
具体的には、事業者が計画に基づき行うフードロスの低減を図るための食材の在庫管理システムの導入や、節水型の洗車設備の設置等に必要な経費の最大三分の二を、一千五百万円を上限に助成いたします。
また、事業者が旅行者に対してSDGsに関する取組をPRする際に必要な経費についても支援いたします。
これらにより、持続的な観光への取組を後押しし、誘客に結びつけてまいります。
○星委員 環境への配慮は、もはやグローバルスタンダードともいえるものであります。中小の事業者でもしっかりと取り組めるよう、都として支援をお願いして、次の質問に移ります。
水産業の振興について伺います。
島しょ地域の漁業は、地域の基幹産業であるとともに、キンメダイをはじめとする新鮮な水産物の供給を通じ、都民の豊かな食生活を支える重要な産業であります。しかし、近年、気候変動の影響による海洋環境の変化や、頻発する台風などにより漁獲が不安定な状態にあることに加え、資源管理の観点から漁獲を抑制する国の動きもあり、漁業者は、経営の行き先に不安を感じております。
一方、国は、漁獲収入の変動による経営への影響緩和を目的とした漁獲共済を設け、漁業経営のリスク軽減を図っています。
都は、漁獲共済への加入を促進し、漁業者の経営継続をサポートすべきと考えますが、取組を伺います。
○山田農林水産部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 漁獲共済は不漁や魚価の低迷等により漁獲金額が減少した場合に、漁業者と国で支払った掛金を原資といたしまして、その減少分の一部を補填する制度でございます。
都は来年度、漁業者の支払う掛金の二分の一に相当する額を助成することによりまして、漁業者の負担軽減を図り、加入促進につなげてまいります。
また、資源管理のため、計画的に漁獲の抑制を行う漁業者に対しましては、掛金の三分の二を助成し取組の後押しを行います。
これらによりまして、漁業者の経営の安定化を図ってまいります。
○星委員 島しょ地域では、海洋環境の変化などにより水産資源が減少し、漁獲量は長期的に減少傾向にあります。こうした状況の中、漁業者は自主的にキンメダイ等の漁獲制限を行うなど資源管理に取り組んできましたが、先ほども触れたとおり、国は新たな漁業法の下、数量管理による資源管理を進めており、漁業者はさらなる規制の強化につながるのではないかと不安を募らせています。
持続可能な漁業を実現していく上で、着実な資源管理を行うことは避けて通れないことでありますが、操業実態の把握をしっかりと行うことにより、漁業者の合意を得た上で実施する必要があると考えます。
今後、島しょ地域での適切な資源管理に向けて、どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
○山田農林水産部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 資源管理を適切に行うためには、現状の資源量や漁獲が資源に及ぼす影響などを正確に推定することが必要でございまして、都はこれまで、漁業者からの聞き取りや漁業調査指導船での調査等を通じまして、漁獲量などに関する情報収集を行ってまいりました。
来年度は、新たにデジタル技術を活用し、詳細な操業情報を迅速に収集できるシステムを構築いたします。
具体的には、島しょ地域の漁船九十六隻にデジタル化した操業日誌を配備した上で、漁業者に漁獲量や操業場所、操業時間等のデータの入力を依頼し、都においてこれらの情報を分析いたします。
こうした取組によりまして、資源量等の推定の精度を高め、漁業者の理解も得ながら適切な資源管理につなげてまいります。
○星委員 ありがとうございます。
透明性、客観性の高い資源管理に向け、都が漁業者と協力し、こうした取組を進めていくことは評価をしたいと思います。
一方、伊豆諸島周辺海域では、他県の漁業者も多く操業していることから、水産資源の持続性の確保に向けて、国に効果的な対策を求めていくことを要望いたしまして、次の質問に移ります。
次に、島しょ地域の農業について伺います。
島しょ地域では、温暖な気候を生かして、切り葉やアシタバ、パッションフルーツなどの栽培が盛んであります。しかし、離島という厳しい環境において、若者の多くが進学や就職で島を離れる中、各島の農家数は大幅に減少をしているのが現状です。それぞれの島では担い手を増やすため、農業体験ツアーの実施や研修センターの運営等を行っていますが、一層の取組が求められます。
また、島しょ地域の農業協同組織は、パッションフルーツやレモンの産地化を進めるなど営業努力を行っていますが、厳しい状況が続いています。こうした課題を解決し、島しょ地域の農業を活性化するため、都は来年度どのように取り組んでいくのか、具体的に伺います。
○山田農林水産部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都は来年度、持続可能な島しょ農業の実現に向けまして、島外からの担い手の確保、育成を図るとともに、各島の農業協同組織の体制強化に向けた取組を開始いたします。
具体的には、各島における新規就農の状況や研修体制などについてヒアリングを行った上で、町村職員や農業者が参加する検討会を設置し、新たな就農者を島に呼び込むための具体策を検討いたします。
また、島しょ地域での就農に関心を持っていただくためのポータルサイトを構築し、各島の農産物や農家の生活等をPRする動画を掲載するとともに、農業体験ツアーや就農に関する相談窓口などを紹介いたします。
さらに、各島の農業協同組織の経営の発展に向けまして、販路開拓や農産物加工などの専門家を派遣し、きめ細かな支援を実施いたします。これらの取組によりまして、島しょ農業の持続的な振興を図ってまいります。
○星委員 島しょ地域において、漁業と農業は基幹産業であります。島しょ地域の経済の持続的な発展のためにも、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
次に、農業の獣害対策について伺います。
区部や、私の地元町田のある南多摩地域など、住宅と農地が密接する市街地では、ハクビシンやアライグマなどの中型動物が農地に侵入し、収穫直前のブドウ、梨などの食害が深刻となっております。農業者にとっては、農業収入の大幅な減少につながることから、早急な対策が求められています。
第四回定例会の一般質問で我が会派の磯山議員から、都市部の農作物被害にしっかり対応するよう求めており、都からは支援を検討していくとの答弁がありました。そこで、来年度の具体的な取組について伺います。
○鈴木安全安心・地産地消推進担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都は来年度、市街地におきまして、ハクビシン等の中型動物による農作物被害を軽減するための支援を開始いたします。
具体的には、農作物被害が深刻な区市町村やJAが地域の農業者と共に効果的な対策を検討する協議会を設置する場合や、被害を防ぐためのノウハウを幅広く伝える講習会を開催する場合などに必要な経費を支援いたします。
また、農業者がハクビシン等の農地への侵入を防止する簡易型の電気柵を農地の周囲に設置する場合、その経費の三分の二を助成いたします。
これらによりまして、市街地における野生動物による農作物被害の軽減を図ってまいります。
○星委員 獣害による被害は収入減になるだけでなく、営農意識の減退につながってしまうと考えます。都は、市区町村やJAと連携をしっかりとして今後も取り組んでいただきたいと思います。
最後になります。多摩産材の活用の促進について伺います。
多摩産材の利用拡大は、森林の適切な整備や林業振興など幅広い効果が期待をされます。
一方で、一昨年来のウッドショックは、外国産木材から多摩産材等に切り替える好機であり、この機会を逃すことなく多摩産材の利用を積極的に進める必要があります。そのために、生産、加工、流通、需要の創出まで切れ目ない支援が求められています。我が会派ではこれまで、多摩産材の活用の促進に向けて燃料費の高騰に伴う輸送コストの上昇という流通面での課題や新たな販売先の開拓の必要性を主張してきましたが、都の来年度の取組を伺います。
○山田農林水産部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都は来年度、多摩産材を取り扱う製材業者への支援を強化するとともに、新たな需要を増やす取組を開始いたします。
具体的には、多摩産材を加工して工務店に出荷する製材業者が、その取扱量を増やした場合、その移送に必要な経費について一件当たり二万円の助成を実施いたします。
また、多摩産材の合板などでの利用を進めるため、新たに合板メーカー等を対象に現地見学会を開催しまして、伐採現場や市場等を案内した上で、多摩産材の太さや品質等を説明し商談につなげてまいります。
こうした取組によりまして、多摩産材の流通を促進し、利用拡大を図ってまいります。
○星委員 ここまで農林水産業の振興について幅広く伺ってまいりました。一次産業は、後継者の確保など従来からの構造的な課題に加えて、円安やウクライナ危機等による燃料や資材価格の高騰の影響を大きく受けています。
都には、今後も社会情勢の変化を踏まえるとともに、農林水産の現場の方々などの声に耳を傾け、臨機応変に寄り添った支援を行うことを要望して、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○慶野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○慶野委員長 異議なしと認め、予算案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で産業労働局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後六時八分散会
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