委員長 | 慶野 信一君 |
副委員長 | あかねがくぼかよ子君 |
副委員長 | 鈴木あきまさ君 |
理事 | 石島 秀起君 |
理事 | 西崎つばさ君 |
理事 | あぜ上三和子君 |
清水とし子君 | |
星 大輔君 | |
斉藤やすひろ君 | |
風間ゆたか君 | |
山崎 一輝君 | |
藤井あきら君 | |
本橋ひろたか君 | |
まつば多美子君 |
欠席委員 なし
出席説明員中央卸売市場 | 市場長 | 河内 豊君 |
管理部長 | 松田 健次君 | |
事業部長 | 前田 豊君 | |
市場政策担当部長 | 渡邉 貴史君 | |
渉外調整担当部長 | 北島 隆君 | |
財政調整担当部長 | 萩原 功夫君 | |
環境改善担当部長 | 萩原 清志君 | |
港湾局 | 局長 | 矢岡 俊樹君 |
技監 | 山岡 達也君 | |
理事総務部長事務取扱 | 相田 佳子君 | |
企画担当部長 | 石井 均君 | |
調整担当部長 | 堀内 弘君 | |
港湾経営部長 | 野平雄一郎君 | |
港湾振興担当部長 | 猪倉 雅生君 | |
臨海開発部長 | 松本 達也君 | |
開発調整担当部長島しょ空港技術担当部長兼務 | 佐藤 賢治君 | |
臨海副都心まちづくり推進担当部長 | 大野 克明君 | |
臨海副都心開発調整担当部長 | 小原 昌君 | |
港湾整備部長 | 片寄 光彦君 | |
計画調整担当部長 | 山本 康太君 | |
担当部長港湾計画担当部長兼務 | 水飼 和典君 | |
離島港湾部長 | 村田 拓也君 |
本日の会議に付した事件
意見書について
中央卸売市場関係
予算の調査(質疑)
・第十二号議案 令和五年度東京都と場会計予算
・第二十号議案 令和五年度東京都中央卸売市場会計予算
港湾局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和五年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為
港湾局所管分
・第二十二号議案 令和五年度東京都臨海地域開発事業会計予算
・第二十三号議案 令和五年度東京都港湾事業会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第六十一号議案 東京都海上公園条例の一部を改正する条例
・第六十二号議案 東京都漁港管理条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・東京港カーボンニュートラルポート(CNP)形成計画(案)について
・東京湾沿岸海岸保全基本計画(東京都区間)の改定について
○慶野委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
初めに、意見書について申し上げます。
委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申出がありました。
お諮りいたします。
本件については、取扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○慶野委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○慶野委員長 予算の調査について申し上げます。
令和五年度予算については、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
公文の写しはお手元に配布してあります。
朗読は省略いたします。
令和五年三月九日
東京都議会議長 三宅しげき
(公印省略)
経済・港湾委員長 慶野 信一殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
このことについて、三月九日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月十六日(木)午後五時
(別紙1)
経済・港湾委員会
第一号議案 令和五年度東京都一般会計予算中
歳出
繰越明許費
債務負担行為 経済・港湾委員会所管分
第九号議案 令和五年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
第十号議案 令和五年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計予算
第十一号議案 令和五年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
第十二号議案 令和五年度東京都と場会計予算
第二十号議案 令和五年度東京都中央卸売市場会計予算
第二十二号議案 令和五年度東京都臨海地域開発事業会計予算
第二十三号議案 令和五年度東京都港湾事業会計予算
(別紙2省略)
○慶野委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、中央卸売市場及び港湾局関係の予算の調査並びに港湾局関係の付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
これより中央卸売市場関係に入ります。
予算の調査を行います。
第十二号議案及び第二十号議案を一括して議題といたします。
本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○松田管理部長 去る二月十日の当委員会で要求のございました資料につきまして、お手元に配布してございます経済・港湾委員会要求資料に基づきましてご説明申し上げます。
表紙をおめくりいただき、一ページをお開き願います。1、市場別・月別取扱数量及び取扱金額の推移(令和四年水産物・青果物)についてでございます。
一年間の取扱数量及び取扱金額につきまして、市場別、月別に、一ページから三ページにかけまして、それぞれ記載してございます。
恐れ入ります、四ページをお開き願います。2、豊洲市場開場後の地下水管理システム維持管理経費の推移についてでございます。
地下水管理システム維持管理経費につきまして、豊洲市場開場後から令和五年度までの推移を記載してございます。
以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○慶野委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
発言を願います。
○石島委員 それでは、まず初めに、令和五年度予算案の全体像について確認をさせていただきたいと思います。
物価高が進行する中、生鮮品等を都民に安定的に供給する東京都中央卸売市場の役割は極めて重要でありますが、昨今のコロナ禍、光熱水費の高騰、ドライバー不足の深刻に伴う物流二〇二四年問題など、市場を取り巻く社会情勢や環境の変化は、より一層厳しさを増しています。
市場は令和四年三月に経営計画を策定しましたが、この計画に記載した内容を確実に実現するためには、こうした環境の変化に迅速に対応しながら、取組を絶えず進化、発展させ、毎年度の予算案に反映していくことが不可欠であると考えます。
そこで、令和五年度中央卸売市場会計及びと場会計の予算編成の考え方についてお伺いいたします。
○松田管理部長 令和五年度中央卸売市場会計につきましては、市場が都民に生鮮品等を円滑かつ安定的に供給する基幹的なインフラとしての役割を将来に向かって果たすことができるよう、卸売市場が直面する環境変化に的確に対応するとともに、二年目を迎える経営計画で掲げた施策を具体化、加速化させていくとの考え方に基づき予算編成を行ったところでございます。
具体的には、厳しい社会経済情勢に直面する市場業者を後押しするため、一層の実効力向上を図りながら、経営強靱化推進事業を継続して実施するとともに、市場業者の省エネ対策や輸出拡大促進などの取組を推進いたします。
また、老朽化が進む市場施設の維持補修を適切に実施するとともに、物流の高度化、効率化を図るなど、市場機能の強化に向けた取組を進めます。
令和五年度と場会計につきましては、芝浦と場を適切かつ安定的に運営するとともに、必要な施設整備等を着実に進めていくとの考え方に基づき、と場施設の衛生対策や作業環境改善に必要な施設改修工事等を推進してまいります。
○石島委員 令和五年度予算を経営計画の取組を一層推進していくための予算として位置づけ、市場業者への支援、市場施設の改修や機能強化の取組を行うとの都の基本的な考え方について、改めて確認しました。
ぜひ、市場業者の状況に配慮しながら予算案に掲げている事業に迅速に着手することを要望して、次の質問に移らせていただきます。
新型コロナの感染拡大から三年が経過し、感染が急激に拡大し、外出自粛など厳しい行動制限が行われた時期と比べて、現在はかなり異なる状況になっています。市中ではワクチン接種が進み、感染法上の位置づけが五類感染症に見直されることも予定されているなど、新型コロナと共生する社会への移行が進んでいることを感じています。
社会経済状況に目を向けますと、昨年は、ウクライナ情勢の影響もあり、原油高、原材料費高、円安やそれに伴う物価高騰などにより、経済状況も大きく変容し、卸売市場を取り巻く環境は一層厳しさを増した状況にありました。
特に、昨年末には正月食材であるカニやイクラの価格が高騰したことがニュースになるなど、日本の豊かな食生活を支える水産物においても、こうした環境の変化による影響を大きく受けたのではないでしょうか。
そこでまず、令和四年における水産物の取扱金額や取扱数量について、前年と比較した状況及びその増減の原因をどのように分析しているのかを伺います。
○前田事業部長 令和四年における水産物の取扱数量は、前年と比べますと六・九%減少しておりまして、これは、主に飲食店等で提供される活魚などの業務用需要はコロナ禍による低迷から回復しつつあるものの、全体としては、海洋環境の変化等による漁獲量の減少や流通チャネルの多元化などにより減少しているものと分析してございます。
一方、単価は前年と比べますと一九・七%上昇しており、これは原油高、飼料高、円安などの影響によるものと分析してございます。
この結果、取扱金額につきましては、単価上昇の影響が取扱数量の減少による影響を上回り、前年と比べますと一一・五%増加してございます。
○石島委員 売上げが上昇したとはいえ、水産物の消費量の減少や生産コストの上昇など、将来の事業展開に懸念があるといわざるを得ない状況にあります。こうした中で、将来を見据え、市場取引を担う市場業者をしっかりと支えていくことが重要です。
市場業者の経営を持続可能なものとしていくためには、業務の効率化等により収益性を高めながら利益を維持していく経営の安定化と、商品の付加価値を高め、競合他社との差別化を図ることで新たな顧客を獲得していく経営革新の双方に取り組んでいく必要があります。
昨年十一月の経済・港湾委員会における私の質疑において、都は、市場業者の経営の安定化や、革新に向けた取組を後押しするため、中央卸売市場経営強靱化推進事業を実施していると伺ったところであります。
そこでまず、令和四年度の経営強靱化推進事業の進捗についてお伺いします。
○前田事業部長 都は、取引の担い手である市場業者が環境変化に柔軟に対応できるよう、経営基盤の強化を図るため、中央卸売市場経営強靱化推進事業により、事業者の行動変革に向けた取組などに関わる費用の一部を支援してございます。
また、本事業を活用した取組を促進するため、事業者向けの経営セミナーなどの機会に制度内容や好事例などの周知を図るとともに、令和四年六月には、エネルギー問題や物価上昇などの影響を踏まえて、LED照明器具の導入などを促す枠組みを新設するなど、状況の変化に応じた見直しを実施しております。
こうした取組によりまして、令和四年度は現時点で、全十一市場において計百三十三件の取組に対し支援を決定しており、令和三年度の実績である七十七件を上回る状況となってございます。
○石島委員 エネルギー問題や物価上昇などの影響を踏まえ、事業を適時適切に見直すことで、昨年度を上回る件数について支援を実行しているとのことです。
さて、こうした環境変化に対応するための取組も重要ですが、卸売市場を取り巻く環境が大きくかつ急速に変化する中、変化に負けない強靱な企業に発展していくためには、経営の安定化はもとより、経営の革新を図り、事業成長させていくことが重要であります。
市場業者の取組を事業の成長につなげていくためには、自社の置かれた状況を分析した上で、課題を的確に設定し、課題解決に向けた取組等を計画的に行う必要があります。しかし、市場業者の多くは、経営規模が小さく、資源にも限りがあるため、自社の現状を振り返り、行動変革に着手することが困難な状況に置かれています。
そこで都は、今年度から、中小企業経営に精通する専門家を派遣し、経営者との対話を重ねながら課題を設定し、その改善に共に取り組む伴走型の支援を開始したということです。
私、前の経済・港湾委員会の質疑におきまして、都にその取組状況をただしたところ、市場業者三社が伴走型支援を利用していますが、専門家と経営課題を共有するためには、経営実態の分析に多くの時間が必要であるため、今後、支援を行う期間の在り方を見直すなど、効果的な制度運用について検討していくとの答弁がありました。
そこで、このような課題を解消し、伴走型支援の実効性を高めるため、令和五年度はどのような見直しを行っていくのかお伺いします。
○前田事業部長 市場業者が経営革新に向けた取組を通じて事業の成長や発展につなげていくためには、経営の専門家のサポートを受けながら、経営の現状と課題を明確にした上で、計画的に取り組み、成果に応じて適切に見直すといったPDCAサイクルを実行していくことが重要でございます。
こうした観点に立って、令和四年度に開始した伴走型支援におきまして、人材確保に取り組む仲卸業者の事例では、専門家の支援の下、雇用のミスマッチを防ぎ、人材の定着を図るため、採用情報をホームページなどで分かりやすくPRする取組に着手しております。
この仲卸業者は中小企業で、人事専門の部署を持たないため、求める人材像や採用条件の検討に大幅に時間を要しており、一年間の限られた期間では、ホームページの制作などの成果に到達することが困難な状況となっております。
こうした課題に対応していくため、令和五年度予算案において、会計年度を超えて支援策を実行できるよう、新たに債務負担行為を設定し、市場業者の経営分析から課題解決までを中長期的な視点で支援を講じることができるよう、制度を見直すこととしてございます。
○石島委員 経営環境の変化が激しく、先を見通すことが困難な昨今の情勢において事業を成長させていくには、経営者をサポートするため、専門家などの第三者視点で関わる重要性やニーズが高まっていると思います。
都におきましては、市場業者にとって魅力的な、効果的な支援策となるよう、引き続き取り組んでいただくことを要望して、質問を終わります。
○藤井委員 予算案に関連しまして、市場におけるデジタル化、脱炭素、そういったような取組について確認をさせていただきます。
まず、市場におけるDXの推進について伺います。
昨年十一月の事務事業質疑の際には、我が会派のあかねがくぼ副委員長が、市場における監視カメラを活用した画像解析等の検討について質疑をさせていただきましたが、関連して確認をさせていただきます。
中央卸売市場は、全国各地から荷物を運んで荷を搬入するトラックや買い出し人の車など、多くの関係者が車両で出入りをしておりまして、セキュリティ上、個々の車両の動向把握などが課題となっていると聞いております。
デジタル技術が目覚ましいスピードで進化する中、市場の管理運営業務においても、最新のデジタル技術等を活用することでセキュリティを強化し、場内の安全を確保していくことが重要です。広大な敷地を有する市場の特性や導入コストの課題から、先端技術の導入に当たっては、市場の現場に即した検討を進めていくことが必要となりますが、着実に取組を進めていく必要があります。
都は、先端技術を活用した市場のセキュリティ強化等にどのように取り組んでいくのか伺います。
○渡邉市場政策担当部長 中央卸売市場が最新のデジタル技術等を活用して場内秩序の保持やセキュリティの強化に取り組むことは、市場で働く事業者の方々が安心して働くことができる環境整備につながるものでございます。
このため都は、多数の車両が出入りしていることに伴い、場内警備等における車両把握等が課題となっている大田市場におきまして、監視カメラ映像の高度な画像解析技術等を用い、場内セキュリティを一層強化する検討を進めております。
今年度は、入退場管理や警備における場内車両の正確な把握に向けた課題整理を行っており、来年度は、場内における車両の特定に向けて、AIによる画像認識技術の導入を検討するなど、技術の絞り込みを行うこととしております。
これらの技術により、デジタル技術の活用を通じたセキュリティの強化など、市場の管理運営業務の一層の高度化に取り組んでまいります。
○藤井委員 ご答弁の中で、大田市場における画像解析などの取組を挙げていただきました。現場の実態に即したデジタル技術の活用ということで、場内セキュリティの強化に取り組んでいただいているというご答弁でありました。
昨今、やはりカメラ、画像解析の技術というのも非常に進んでおりまして、例えば、交通量の調査とかもそういったもので代替するというようなことが国や東京都でも取り組んでいるところでありますので、ぜひそういったセキュリティの面でもご活用いただきたいと思います。様々な先端技術等の活用可能性をしっかりと検討していただきまして、市場の管理運営業務の高度化に向けた取組を着実に進めていただくようお願いいたします。
続きまして、グリーントランスフォーメーション、GXの推進につながる、市場における二〇五〇年の脱炭素、ゼロエミッション東京に向けた取組について確認をさせていただきます。
気候危機が一層深刻化する中、都は、二〇五〇年までにCO2排出実質ゼロを目指すゼロエミッション東京を掲げております。ネットゼロ、脱炭素に向けては、既存の技術のままではなかなか厳しくて、イノベーションも今後必要になってくると考えております。
加えて、二〇三〇年までに二〇〇〇年比で温室効果ガス排出量を五〇%削減するカーボンハーフに向けても取り組んでいるところでありまして、こちらに関しては、既存の技術、再エネや省エネ技術の徹底活用というものが必要になっております。
都庁内でも温室効果ガスの排出量というのは毎年公表しておりまして、最新のものが二〇二〇年度のものなんですが、こちらの変動というところで、市場が約九万トンの排出。知事部局全体では六十五万八千トン余りなので、全体の一三・七%を市場が排出しているという状況であります。
中央卸売市場は、事業活動を行う上で、大量の荷物、荷や車両が行き交いまして、設備等に多くのエネルギーを消費していることから、このゼロエミッション東京を実現するためには、率先して市場のゼロエミッション化に取り組む必要があります。
中央卸売市場は、市場のゼロエミッション化にどのように取り組んでいくのか伺います。
○渡邉市場政策担当部長 中央卸売市場では、深夜、早朝に照明を使うことや、多くの小型特殊自動車が荷の運搬等に使用されているといった市場の実態に即した形で、市場のゼロエミッション化に向けた取組を推進していくことが重要でございます。
そのため都では、卸売場等の照明のLED化によるエネルギー消費量の削減を計画的に推進しており、来年度も引き続き、各市場におきまして、LED化工事を実施してまいります。
また、市場内の小型特殊自動車のZEV化を推進するため、来年度は、フォークリフトの使用台数の多い大田市場におきまして、充電設備の増設場所の調査を行います。
こうした取組に加えまして、市場業者の省エネルギー対策等への支援を行っていくことで、中央卸売市場におけるゼロエミッション化を推進してまいります。
○藤井委員 特に既存の技術の徹底という意味で、カーボンハーフに向けて、LED化や市場施設の省エネ、そしてフォークリフトのZEV化に向けた取組をしていくというようなご答弁でありました。
気候変動対策は、これはもう何度もいろんなところでいわれていますが、待ったなしでありまして、脱炭素に向けては、市場業者の皆さんが取り組む省エネルギー対策等についてもしっかり支援をしていただきたいと要望させていただきます。
また、ネットゼロ、脱炭素に向けては、やはりイノベーションも必要になってまいりますので、これは私たちの会派でも提案をさせていただいていますが、様々なスタートアップの技術やイノベーションというものもしっかりと取り入れたり、あとは、活用する場として市場を使ってもらうとか、一緒に解決していくような取組も進めていただきたいと思います。
続きまして、市場業者のデジタル化に向けた支援について確認をさせていただきます。こちらも昨年十一月の事務事業質疑であかねがくぼ副委員長が質疑をさせていただきまして、答弁をしているところでありますが、その後の状況等を確認させていただきます。
新型コロナウイルス感染症の流行を契機として、テレワークや非接触の取引が普及するなど、デジタル技術の活用が急速に進んでいるところであります。
中央卸売市場においても、事業者が新たにウェブ販売サイトを構築したり、取引先との打合せをオンラインで実施したりするなど、コロナ禍を契機として、デジタル技術を活用する取組が増加をしていると聞いているところであります。
経営基盤の強化には、デジタル技術を有効に活用して業務効率化や販路開拓に取り組んでいくことが重要でありまして、都として積極的に支援を行っていくべきです。
市場業者のデジタル技術の活用に向けた取組に対して、どのように支援をしているのか伺います。
○前田事業部長 都はこれまで、中央卸売市場経営強靱化推進事業により、デジタル技術の導入をはじめとした経営の革新につながる自律的な取組に対しまして、必要な経費の一部を補助する支援を行っております。
支援に当たりましては、専門家と連携したセミナーを開催し、デジタル技術を導入する際のメリットや留意点などを紹介するとともに、デジタル技術の具体的な活用事例を広く周知することにより、多くの市場業者に利用していただけるよう、普及啓発を図ってございます。
来年度は、パソコンや通信機器の導入経費を対象とした補助区分を新たに設けるとともに、申請に必要な手続を簡素化することによりまして、市場業者がより迅速に業務のデジタル化を実現できるよう支援に取り組んでまいります。
○藤井委員 ありがとうございます。
来年度はパソコンや通信機器の導入経費を対象とした補助区分を新たに設けるということでありまして、まずはやはりそこからかなと思いますので、ここをしっかりと支援していっていただきたいと思います。
その上で、デジタル技術を活用した業務の効率化の観点で申し上げますと、今年の十月に開始をされるインボイスの制度、これもデジタル化の取組を促進する一つの契機となるのではないかと考えております。
インボイス制度では、請求書に登録番号や適用税率などの記載を追加する必要があるなど、煩雑な対応が必要でありまして、事業者の負担が非常に大きいものとなっております。一方、このインボイスへの対応の遅れは競争力の低下にもつながりまして、デジタル技術を活用して効率的に対応する必要があります。
そのため、市場業者の業務の効率化、競争力の維持向上といった観点からも、都としても積極的に支援をしていくことが必要と考えます。
市場業者がデジタル技術を活用してインボイス制度に対応するため、どのような支援を行っていくのか伺います。
○前田事業部長 都は、市場業者のインボイス制度への理解を促進するため、専門家と連携して、市場業者向けのオンラインセミナーを開催いたしました。
セミナーでは、制度の概要や、制度開始に伴い必要となる対応について丁寧に説明するとともに、新たに生じる経理業務の負担を軽減し、効率化を図るためのデジタル化の方策について紹介いたしました。
来年度は、経営強靱化推進事業による支援策を広く周知することにより、インボイスに対応していくためのシステムの導入や改修等を促すことで、市場業者の業務の効率化や円滑な取引の実現を後押ししてまいります。
○藤井委員 インボイスの導入など支援をしていくというご答弁でありまして、こういった大きな変化が起こるタイミング、そして事業者の負担が大きいということなんですが、こういったところをしっかりと支援しながら、デジタル化を通じた経営の効率化にしっかりとつなげていっていただきたいと思います。市場業者の、特に経理等、バックヤードのデジタル化、これをしっかりと支援していただきたいと要望させていただきます。
最後に、市場業者の働き方改革についてお伺いさせていただきます。
卸売市場で働く方々は、都民に生鮮食品等を提供する役割を担っているエッセンシャルワーカーでありまして、小売店等が営業開始までに店頭に商品を取りそろえられるよう、深夜から早朝にかけて作業をしているなど、その労働条件は、一般的なものと比べて非常に厳しいものであると認識をしております。
昨年策定されました経営計画においても働き方改革の推進というものが掲げられておりまして、その中でも触れられているように、中央卸売市場の開場日と休業日、これは毎年、市場で働く従業員等の労働環境の確保にも配慮して決定しているとのことでありまして、労働条件に深く関わっているところであります。
一方で、各市場業者が雇用主として率先して労働環境の向上に向けて取り組むことが非常に重要だと考えております。
市場業者が行う働き方改革につながる取組に対して、どのような支援を行っているのか伺います。
○前田事業部長 生産年齢人口の減少などにより、今後、市場におきましても人材確保が難しくなることが見込まれる中、持続可能な市場運営に向けて、誰もが働きやすい環境を整備していくことが重要でございます。
そのため都は、業界団体と連携して開催するセミナーなどにおきまして、労働環境を取り巻く法改正の動向等について情報発信し、機運を醸成するとともに、適切な労務管理に資するノウハウを社会保険労務士が提供する取組を行ってございます。
さらには、経営強靱化推進事業により、テレワーク環境の整備など、市場業者の働き方改革につながる取組を後押ししてございます。
○藤井委員 先ほども申し上げましたが、都民の皆様を支えていただいているエッセンシャルワーカーである市場業者の皆様においては、今、ご答弁にありましたテレワーク環境の整備など、なかなかテレワークの実施など難しい面もあると思うんですが、やはり人材確保が非常に難しくなっている中、人材獲得競争というのは厳しくなっておりまして、しっかりと、働き方の改革であったりとか、働き方の環境整備、これをご支援いただきたいと思います。
最後になりますが、これまで市場におけるデジタルトランスフォーメーションやグリーントランスフォーメーション、そういったことについて確認をさせていただきました。また、市場業者への支援について、幅広く確認をしてまいりました。
引き続き、市場運営の高度化、またゼロエミッション東京やカーボンハーフの実現、働き方改革といった社会的課題にも継続的かつ積極的にご対応いただきますように要望させていただきまして、質問を終わらせていただきます。
○まつば委員 昨年十一月の本委員会の事務事業質疑におきましても、様々な課題につきまして、都の取組の方向性について質問をさせていただきましたが、本日は、市場を取り巻く環境の変化を捉えながら、来年度の市場運営をどのように進めていくのか、幾つかの論点に沿って伺っていきたいと思います。
初めに、市場業者に対する経営支援について質問します。
市場業者の方々は、コロナ禍による消費行動の変容に伴う環境の変化の中、生鮮品流通を一日たりとも欠かすことなく担うといった重要な使命をしっかりと果たしていただいてきました。まずはそのことに改めて敬意を表したいと思います。
新型コロナウイルス感染症も、令和五年五月八日以降、感染症法上の位置づけを五類感染症に変更するとの方針が示されるなど、新たな局面を迎えています。
一方で、現在、原油高などの影響による物価高騰やエネルギーコストの上昇に直面しておりまして、食品産業をはじめとして、コストを反映した取組をどのように実現していくのかという課題に直面をしています。
市場で取り扱う野菜や魚介類といった生鮮品は、消費者の価格に対する反応も敏感であり、そのまま販売価格に転嫁することも難しいことから、産地から消費者までのサプライチェーンの中間に位置する市場業者がコスト上昇の影響を抱え込むことになるのではないかといった切実な声を伺っています。
こうした声に応えていくためにも、コスト縮減に向けた経営努力はもとより、取引先の理解促進に向けた市場業者の取組などを都としてしっかりサポートしていく必要があるのではないかと考えております。
そこで、市場業者がコストの上昇をはじめとした社会経済情勢の変化に的確に対応できるよう、どのような支援に取り組んできたのか、また、今後、どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
○前田事業部長 市場取引を担う市場業者の経営の安定化を進めていくためには、社会経済情勢の変化に的確に対応しながら、売上げの向上や費用の節減に向けた対策を講じることが重要でございます。
このため、仕入れに伴う経費や光熱水費の上昇など、コストの上昇を販売価格に適切に転嫁することができるよう、取引先との円滑な交渉に役立つ情報を市場業者に提供する取組を行っております。
また、省エネ性能に優れた空調設備やLED照明機器などを導入する市場業者に対しまして、その経費を補助する取組を通じて、環境への負荷軽減と経営支援を両立させた取組を行っております。
来年度は、これらの取組に加えまして、商取引に精通した弁護士などによるセミナーを新たに開催し、市場業者の経営力向上に向けた支援策を講じてまいります。
○まつば委員 さきの事務事業質疑におきまして、都は、事業者に寄り添いながら課題解決をサポートする伴走型の支援を新たにスタートさせたとの答弁がありました。
この伴走型の支援につきまして、市場全体での効果を高めていくためには、制度をブラッシュアップしていくことはもちろん、その上で、多くの事業者にその成功事例を知っていただき、利用していただくことが重要だと思います。
そこで、令和四年度において、伴走型支援の実行状況と、経営者がどのように対応してきたのか、具体的にお伺いをいたします。
○前田事業部長 伴走型支援について、令和四年度におきましては、三件の利用がございました。
このうち、コロナ禍の影響を受け、取引先が減少したことにより、売上げが大幅に減少し、資金繰りに窮したことで借入れせざるを得ない状況にある水産仲卸業者に対しましては、中小企業診断士を派遣し、伴走型の支援を実行してございます。
具体的には、売掛金の回収期間が長期化しており、資金繰りが悪化しやすくなっていることから、計画的な資金調達が可能となるよう指導したほか、多くの受発注業務を担う経営者の負担を軽減し、新規顧客の開拓に専念するため、受発注システムを導入し、効率化を図る計画を立案いたしました。
今後、計画に基づいた対策の実行を引き続きサポートするとともに、都が、システム導入に必要な経費の一部を支援することとしてございます。
支援を利用した経営者からは、今回の相談を通じて、漫然と業務を行うのではなく、会社が目指すべきゴールに向けて具体的な対応策が明確になったとの評価の声をいただいております。
○まつば委員 答弁のあった事例では、経営者の方から、具体的な対応策が明確になったという趣旨の感想が聞かれたということでありました。
そこで、より厳しい経営状況にある事業者に対し、伴走型支援の活用をしていただけるよう、どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
○前田事業部長 これまで都では、取引の担い手である市場業者の経営安定化を促進するため、あらゆる機会を通じて各種支援策の周知に努めることはもとより、条例等に基づき行う経理検査の機会などを通じて、経営改善が求められる事業者に対しまして、伴走型支援の活用を促してまいりました。
来年度は、経営改善に向けた経営者自身の意欲を高めていくため、都の行う検査などの結果、速やかに経営改善に取り組むことが求められる事業者には、事業に要する経費に高い補助率を適用するとともに、年度を超えた取組を支援できるよう、制度の見直しを行います。
さらには、これまで蓄積した事例や、利用者からの声をまとめたパンフレットを作成し、施策の有効性などを分かりやすく事業者に伝えてまいります。
こうしたことによりまして、多くの事業者が支援策を活用し、経営の安定化を実現できるよう取組を進めてまいります。
○まつば委員 この伴走型支援を通じまして、厳しい経営状況にある市場業者が一社でも多く経営を安定化していただけますように、各種支援策の一層の活用促進に取り組み、市場全体の活性化につなげていただきたいと思います。
次に、被災地支援の取組について質問をいたします。
都議会公明党は度々、福島県の小名浜漁港などを訪問させていただいてまいりまして、県漁業協同組合連合会の皆様から、取扱量の増加など、東京からの支援について要望を承ってまいりました。そして、産地と消費者を結ぶ中央卸売市場が、市場業者の方々と連携しながらしっかりと取組を前に進めるよう求めてまいりました。
昨年十二月には、国において、三陸、常磐地域の水産業の本格的な復興や持続的な発展を後押しするため、魅力発見!三陸・常磐ものネットワークを設立する新たな動きもありました。
このネットワークは、賛同する企業等を募り、三陸、常磐地域の水産物をお弁当や社食のメニューなどの食材として活用する取組を支援することで、売手と買手をつなぎ、被災地産品の魅力を発信し、消費拡大を図ろうとするものであります。ネットワークには、企業だけでなく、福島県、宮城県、岩手県などの被災県と並んで、東京都も参画をしていると聞いております。
三陸、常磐地域の水産物は、常磐物として知られておりまして、親潮と黒潮の二つの海流が交わる福島県沖の豊かな漁場で水揚げされた魚介類は、東京の卸売市場でも高く評価されて取引されてきたとのことであります。
しかし、東日本大震災後の影響により減少した需要がまだ十分に回復し切れておらず、水揚げ量は震災前のレベルまで及んでいない状況であるとのことであります。このままでは、日本の貴重な水産物ブランドの価値が失われるだけでなく、食文化の継承さえも危ぶまれる状況になりかねません。
こうした状況の下で、全国から商品を集荷し、販売する役割を担う中央卸売市場におきまして、市場業者による適正な評価を通じて被災地産品の消費普及拡大に取り組むことは、大変意義があると考えております。
そこで、都が国のネットワークに参画した機を捉えて、中央卸売市場においても、三陸、常磐地域の水産物など被災地産品の消費普及拡大に積極的に取り組んでいくべきではないかと考えますけれども、都の見解をお伺いいたします。
○前田事業部長 都民に対する生鮮食料品等の供給を担う中央卸売市場におきまして、市場業者による取引などを通じて、被災地産品の品質や価値を実需者や消費者にPRし、普及拡大していく取組は効果的でございます。
これまで都は、市場まつりなどの機会を活用して被災地産品のPRに努めてきたほか、市場業者や小売業者による被災地訪問などを通じて理解を深めることにより、被災地産品の流通拡大に取り組んでまいりました。
来年度は、新たに、水産物の商品知識や評価に強みを持つ豊洲市場の仲卸業者団体が、豊洲市場に来場した見学者等に常磐物などの被災地産品を販売する事業を立ち上げます。
事業の実施に当たりましては、中央卸売市場だけでなく、都庁内各局や福島県などとの連携を図り、効果的な事業となるよう、運営面や財政面から市場業界を後押ししてまいります。
○まつば委員 来年度、新たに、豊洲市場に来場した見学者の方などに常磐物などの被災地産品を販売する事業を立ち上げるというご答弁でございました。
風評被害を乗り越えて、消費の拡大に向けて、サプライチェーンの真ん中にある市場業者の強みを生かしながら取組を進めていただくことを評価したいと思います。こうした取組を通じて、常磐物の普及とブランド価値の向上につなげていくことができますように、都もしっかりとしたサポートをお願いいたします。
次に、豊洲市場の安全・安心について質問をいたします。
豊洲市場における安全・安心の確保に当たりましては、都の取組が中長期的な時間軸の中で行われていることを踏まえ、議会での質疑の機会を捉えて、都の対策をしっかりと確認し、都民や事業者の理解と安心につなげていくことは意義があることだと考えております。
本日は、事務事業質疑以降のこれまでの都の取組と、令和五年度における対応について確認をしていきたいと思います。
都では、地上部における空気の安全に万全を期すとの考えの下、環境対策の取組を進めており、その中心的な役割を担う地下水管理システムを運用し、水位を管理することが重要であると承知をしております。
そこで、豊洲市場における地下水管理の状況についてお伺いをいたします。
○萩原環境改善担当部長 豊洲市場は、各街区の周縁が遮水壁で囲まれ、地下には不透水層があり、降雨によって地下水位が上昇する構造となっていることから、地下水の管理を適切に実施していくことが重要でございます。
このため、地下水管理システムにより地下水を揚水し地下水位の低下を図っており、令和五年三月八日現在、地下水位は、目標水位であるAPプラス一・八メートルに対しまして、全街区平均でAPプラス一・五八メートルとなってございます。
これまでの運用におきまして、近年、増加傾向にあるゲリラ豪雨などの大雨の影響により一時的に地下水量が増加し、地下水位が高くなる箇所があることから、システムの運用上の課題が明らかになりました。
こうした課題に対応するため、今年度、七街区の一部に有孔管を設置し、地下水位の上昇抑制を図るとともに、五、七街区におきまして貯留槽の増設に着手し、地下水管理システムの運用の効率化、安定化を図ってございます。
令和五年度は、引き続き六、七街区における地下水位が上昇しやすい箇所で有孔管を設置するとともに、六街区において貯留槽の増設を行ってまいります。
今後も、地下水管理システムの機能を十分に発揮できるよう、適切な地下水位の管理に取り組んでまいります。
○まつば委員 豊洲市場の地下水位について、運用の中で新たに顕在化した課題に対して、必要な取組を進めているということでございました。今後もしっかりと対策を講じることを求めておきます。
さきの事務事業質疑において、私は、豊洲市場における地上部の空気について質問をいたしました。令和四年八月には、これまでの測定結果と比べて高い数値のベンゼンが測定されていることに対して、理事者より、その原因については、都内の一般環境大気における濃度が上昇したことによる可能性が高いと分析しているという答弁がありました。
そこで、事務事業質疑以降の豊洲市場における空気及び地下水質の状況についてお伺いをいたします。
○萩原環境改善担当部長 豊洲市場では、地上部の安全を確認するため、建物一階部分や屋外、地下ピットで毎月、空気中のベンゼン、シアン、水銀を測定してございます。
測定結果では、昨年八月に空気中のベンゼン濃度が上昇したものの、九月には著しく低下いたしました。これらはいずれも区部の一般環境大気の濃度と同様の動向を示してございます。
また、その後の測定結果におきましても、ベンゼン、シアン、水銀いずれも、全ての箇所におきまして、大気環境基準に適合した状態が継続してございます。
また、地下水質の状況を把握するため、三か月ごとに、地下水中のベンゼン、シアン、ヒ素の濃度を測定してございます。
令和四年十一月の測定結果は、ベンゼン、ヒ素ともに一リットル当たり〇・〇一ミリグラムとなっている環境基準に対しまして、ベンゼンは最大〇・八六ミリグラム、ヒ素は最大〇・〇六六ミリグラムでございました。
また、検出されないことが環境基準となっているシアンは一・一ミリグラムでございました。
○まつば委員 豊洲市場の空気は、大気環境基準等に適合した状態が継続している一方で、地下水質は依然として環境基準を超えているという答弁だったと思います。
そこで、空気や地下水質の調査結果に関する専門家の評価について、確認をさせていただきます。
○萩原環境改善担当部長 地下水質調査や空気調査の結果に関しまして、専門家の方々からは、地下水は箇所によって濃度が異なっている一方、空気中のベンゼン濃度は建物一階、屋外、地下ピット内で同程度であり、地下水の濃度変動は空気測定結果に影響を与えていないものと考えられるとの評価をいただいてございます。
また、空気中のベンゼン濃度と一般環境大気中濃度は、開場直後からおおむね同じ動向を示していることが認められたとの見解が新たに示されてございます。
その上で、豊洲市場の空気は、継続して大気環境基準等に適合しており、科学的な視点から安全は確保された状態にあると考えられるとの評価をいただいてございます。
○まつば委員 豊洲市場の空気については、科学的な視点から安全は確保された状態にあると考えられると、こういう評価をいただいているというご答弁でした。こうした調査結果や分析結果について、より分かりやすく伝えていくことが重要であると、そのように思います。
そこで、令和四年度では、より分かりやすく市場関係者の方々などに伝えていくため、どのような取組を重ねてきたのか、それに対する市場関係者の受け止めはどうであったのかお伺いをいたします。
○萩原環境改善担当部長 まず、毎月実施しております空気調査の結果、そして、三か月ごとに実施しております地下水質調査の結果につきましては、専門家の評価と併せてホームページに掲載してまいりました。
また、豊洲市場の地下水等の管理状況に関しまして、情報共有、意見交換を行うため、市場業界や地元区、学識経験者、都民などで構成する豊洲市場における地下水等管理に関する協議会を、直近では令和五年二月九日に開催いたしました。
協議会では、開場以降の都内区部における一般環境大気と比較したグラフを用いるなど、説明資料の工夫を図りました。
協議会の各委員へご説明をしたところ、視覚的に捉えることができ、分かりやすく理解することができたとのご意見をいただいているところでございまして、一定の評価が得られたものと認識をしてございます。
○まつば委員 豊洲市場を利用されている方々と現状についてしっかりと情報共有することは、環境対策を進める上での大前提となる取組であり、今後もしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
あわせて、こうした情報を広く都民にも公表し、理解を深めていただけるよう取り組んでいただくことをお願いしておきます。
さて、事務事業質疑において、私は、情報発信に当たっては、子供たちを含む幅広い世代に対し伝えていくことが効果的であると申し上げてきました。
そこで、豊洲市場が環境負荷に配慮した市場であることをより多くの方々にお伝えしていくため、より幅広い世代に分かりやすい形で情報発信をしていくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
○萩原環境改善担当部長 豊洲市場が将来にわたって地域の一員として親しまれる存在となるためには、幅広い世代に対する情報発信を通じて、市場運営に対する理解を深めていただくことが重要でございます。
このため、情報発信に当たりましては、豊洲市場における空気や地下水の現状や対策といった情報に加えまして、電気や水道など多くのエネルギーを消費する市場の特徴などを踏まえて、太陽光発電や雨水の利用など環境負荷軽減に向けた取組につきましても分かりやすく発信していくことができるよう、イラストや写真を活用した媒体を活用するなど、子供を含めた幅広い世代に対するPRの在り方を検討してまいります。
○まつば委員 これまで行ってきた環境対策をこれからも着実に積み重ねていくとともに、豊洲市場の幅広い取組についてもしっかりと情報発信をしていくことで、都民の皆様の理解と安心につなげていっていただきたいと思います。
最後に、チルドレンファーストの観点から、子育て支援の取組について質問をいたします。
妊娠、出産、授乳期に当たっては、心身のバランスも崩れやすいことから、妊娠前から妊娠期の健康な体づくりや、子育てにおいても、適切な食習慣の形成は重要であると考えております。
これまで中央卸売市場では食育事業などを行ってきており、食に関するノウハウが蓄積されていると思っています。そうした市場の食に関するノウハウを活用して、親が安心して子育てに励めるように、離乳食の作り方等、妊娠、出産、授乳期等のあらゆるライフステージに対応した食育を行っていくことが大切であると思います。
そこで、卸売市場が持っている食育のノウハウを生かして、妊娠、出産、授乳期及び子育て期のライフステージに応じた食育の今後の取組についてお伺いをいたします。
○松田管理部長 生産者と消費者とを結び、多種多様な食材を扱う卸売市場がこれまで取り組んでまいりました食育事業等を踏まえて、子育てのあらゆる場面を念頭に、食育を通じた支援に取り組むことは重要でございます。
そのため都では、令和五年度には、従来から行っている食育、花育事業に加えまして、都民が子育てしやすい環境を食の面から支援するため、離乳食から幼児食といった子供の成長に合わせた食育講座等の動画配信を行います。
こうした取組によりまして、委員ご指摘のように、妊娠、出産、授乳期等の各ライフステージを通じた食育事業を推進することで、子育て世代に寄り添った支援をしてまいります。
○まつば委員 市場における食育の強みを十分に生かした取組を期待したいと思います。
本日は、市場取引を担う市場業者への支援から、その土台となる市場施設の安全・安心の確保に向けた取組、市場という仕組みを活用した被災地支援、そして子育て支援と、都の取組について伺ってまいりました。
食の流通拠点である卸売市場が活気ある取引をしっかりと行っていただき、さらに、食育など主体的に社会と関わりを深めていただくことで、都民の方々の豊かな生活の実現に寄与していただくことを要望いたしまして、質問を終わります。
○あぜ上委員 資料の作成、ありがとうございます。
まず第一に、卸売市場の公的役割についてです。
中央卸売市場法、この法律ができたのはちょうど今から百年前になります。関東大震災で倒壊した日本橋に代わって、築地に仮設の魚市場ができた、そういう頃です。
一九三五年に、築地、江東、神田に東京都中央卸売市場が開設されたわけですが、この公設市場の下で、公正、公平な取引が進められるようになったわけです。そして、市場関係者の皆さんや、また東京都ご自身の本当にご努力で、生鮮食品の流通の中心に位置し、公正な価格を形成して、生産者や消費者、地域の流通業者を守る重要な社会インフラとして発展してきたというふうに思っております。
そこで、私は、改めて、消費者にとっての卸売市場の役割、これについて伺いたいと思います。
○渡邉市場政策担当部長 都の中央卸売市場は、都民に生鮮品等を円滑かつ安定的に供給し、食の安全・安心を確保するなど、都民の消費生活を支える基幹的なインフラとしての役割を果たしております。
○あぜ上委員 その役割につきましては、都民のアンケートでも示されております。二〇二〇年度に行った都の生鮮食料品等の購買意識についてのインターネット都政モニターアンケート、ここでは、卸売市場を経由した生鮮品等のよいところは、品質管理や検査が行われ、商品の安全性が確保されているということ、また、競り取引や取引情報の公開により、適正な価格とともに取引の透明性が確保されているという点でした。
そして、そのネットアンケートでは二百五十三件の意見も寄せられていましたが、その意見をずっと読んでみますと、その多くが、消費者にとって、卸売市場は大変重要な役割を担っているんだなという認識がこもごもつづられておりました。まさに、より安全で新鮮、おいしいものをできるだけ低廉な価格で安定して購入したいと、こういう消費者の願いに応える重要な役割を卸売市場が担っているんだと、そういう理解も広がっていることが、このアンケートでも分かりました。また、そうした生鮮品をそろえるために、多くの小売業者が市場を仕入先にしているというふうにいわれております。
青果物と水産物の小売業者の仕入先別仕入れの金額割合、これをお示しいただければと思います。
○渡邉市場政策担当部長 農林水産省が平成二十九年度に国産の青果物及び水産物の一部品目を対象に実施した調査によりますと、青果物では、小売業者の仕入先別仕入れ金額割合は、卸売業者からの仕入れが一五・八%、仲卸業者からの仕入れが六八・五%となり、両者を合わせた卸売市場からの仕入れは八四・三%を占めております。
また、水産物では、卸売業者からの仕入れが二四・四%、仲卸業者からの仕入れが四四・三%となり、両者を合わせた卸売市場からの仕入れは六八・七%を占めております。
○あぜ上委員 国産品の品目で実施した調査なんだというご説明でありました。つまり、最近は卸売市場の経由率が下がっている、それが実態と思いますが、それはやはり輸入の加工品などが増えているということで、食料自給率を上げる上でも、私は、市場の役割は重要だなというふうに思いました。
私、市場審議会の委員もやらせていただいているんですが、昨年の八月の市場審議会で中央卸売市場の卸の会長さんがご発言をされていたんですが、その内容が大変すばらしいなと感銘したところなんです。
どういうお話だったかというと、日本の食文化のお話をされていたんですけれども、少量多品種と鮮度を非常に重視する、こういう消費行動、食文化に基づいて日本の市場は形成されているんだよというお話だったんですが、だからこそ、スーパーマーケットのシェアが大手で五〇%を超えるような海外と日本は違って、買参人、あるいは中小のスーパーが非常に多く存在するんだという、そういうお話でございました。
都の卸売市場は、きめ細やかな単位での流通、多品種を流通させる機能も担っており、そのことで東京の多彩な食文化を担っているというふうに思うわけですが、いかがでしょうか。
○渡邉市場政策担当部長 都の中央卸売市場は、生鮮品等流通の基幹的なインフラとして、産地から様々な生鮮品等を集荷し、東京に集積する多数の小売店や飲食店など実需者のニーズに応じた品目や量に分荷することなどを通じまして、我が国の食文化や潤いのある消費生活を支える役割を担っております。
○あぜ上委員 食文化も消費生活も支える役割を担っているんだということですね。
それでは、災害時の卸売市場の役割について伺います。
○渡邉市場政策担当部長 都の中央卸売市場では、東京都地域防災計画に基づき、災害の状況に応じて、生鮮食料品の確保や緊急輸送の拠点としての場内スペース等の確保などの役割を果たすこととされております。
○あぜ上委員 災害時に輸送に困難を来す場合があること、これは十二年前の東日本大震災で経験しましたけれども、災害時にも、市場は生鮮食料品の確保や緊急輸送に大変大きな役割があるということであります。
この卸売市場の公的な役割を維持していくことは大変重要だというふうに思うんですが、都の認識を伺いたいと思います。
○渡邉市場政策担当部長 都の中央卸売市場は、生鮮品等を円滑かつ安定的に供給するとともに、地域社会との共生など多様な社会的役割を発揮することにより、都民生活を支える基幹的なインフラとしての役割を担っていると認識しております。
○あぜ上委員 卸売市場の現場からは、都の直営を堅持してほしいと、市場条例の改定のときにもそういう意見が上がりましたけれども、やはり市場の管理運営については、都の直営でこそ、この間、質疑でるるお答えいただきました食文化を守り、そして持続可能な日本の農業、そして畜産業、水産業、これを支えて、災害時にも機動的に対応でき、消費者にも求められる、そういった卸売市場の役割を発揮できるんだというふうに考えます。私は、改めて、この直営を堅持していただくことを求めたいと思います。
次に、市場業者の経営基盤強化についてです。
今年度から、市場業者による省エネ対策を促進するために、白熱灯などの照明機器をLEDに交換する取組に対して新たに支援を始めたこと、先ほどもお話ありましたが、それは大変重要だというふうに思っております。
その実績を伺いたいと思います。
○前田事業部長 都では、令和四年六月から、中央卸売市場経営強靱化推進事業により、売場や事務所における照明器具をLEDに交換する取組を支援しております。
令和四年度は、現時点で四十五事業者に対して支援を決定してございます。
○あぜ上委員 これは仲卸業者の方々からも要望されていました。大変よかったというふうに思うんですが、ぜひこの事業について、始めたばかりということで、まだ知らない方も結構いらっしゃるので、周知を徹底していただければというふうに思います。三百万円の上限で補助率五分の四ですから、そういう意味ではこの機会にLED化にしようという業者の方も多いと思うので、ぜひその辺はよろしくお願いしたいと思います。
都は伴走型の支援なども始めたこと、大変重要だというふうに思うんですが、やはり、厳しい経営環境の中で皆さん頑張っているわけで、そういう中で、仲卸業者に、私は市場の使用料や光熱水費の減免制度も検討すべきだというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○萩原財政調整担当部長 中央卸売市場会計は、公営企業会計として独立採算を原則としております。
市場使用料や光熱水費の減免措置につきましては、このような前提の下、受益者負担の原則や社会情勢などを踏まえまして、慎重かつ総合的に判断するものと認識しております。
○あぜ上委員 私も地元の豊洲市場、時々伺うんですけれども、市場業者の方からも、この間、コロナで大変だったところに物価高騰ということで、さらに厳しい状況に追い込まれているというお話もありました。そういう意味では、仲卸業者をはじめ市場業者の皆さんがあってこその卸売市場でございます。ぜひ市場業者の皆さんの意見も反映した、そういう必要な対策、支援、これをぜひお願いしたいなというふうに思います。これは意見として述べさせていただきます。
最後に、豊洲市場の地下水管理システムについてなんですが、先ほど土壌汚染対策の追加対策、今年度から実施している理由などご説明がありましたので、一点だけ伺わせていただきたいと思うんですが、今年度の追加対策と来年度の追加対策の経費について伺います。
○萩原環境改善担当部長 地下水管理システムの効率的な運用に向けた施設改良費として、令和四年度予算におきましては四億六千万円、令和五年度予算案におきましては約一億九千万円を計上してございます。
○あぜ上委員 六街区の場合は、来年度新たに貯留槽を造ることになったという先ほどのお話だったんですが、二月九日の時点での水位、改めて私も資料を見させていただいたんですが、少し下がったものの、九か所中八か所で、つまりほとんどのところで、やはり水位が一・八メートルを超えているという状況だったんですね。
この間、ウエルポイントも設置してきたわけです。そもそも、地下水位については、土壌汚染対策や液状化対策として、目標水位を日常的にAPプラス一・八と管理するんだということになっていたわけです。今、地下水の管理システムが本格稼働して六年半近くになりますけれども、そういう意味では、残念ながらいまだ達成できていないという状況なわけです。
来年度の地下管理システムの経費というのは、先ほど資料を頂きましたけれども、予算では約六億一千九百七十万円余ということであります。そしてさらに、ご答弁にあったように、貯留槽の分が約一億九千万円ということで、合わせますと八億円を超える経費が市場の支出になるということになるわけですね。
私は、この場所ゆえの経費という点で考えると、やっぱり市場会計じゃなくて一般会計で、これは対応すべきものだというふうに考えるわけです。ぜひその辺は、市場局としても、財務と話し合っていただきたいなというふうに思います。
同時に、水位が下がらない原因、この分析をしっかり行っていただいて公表していただきたいということを申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○西崎委員 よろしくお願いいたします。
初めに、エシカル消費に関連してお伺いいたします。
エシカル消費は、本来、環境問題に限らず、人権をはじめ様々な問題意識に基づく消費行動ということであると思いますけれども、最近、特に話題に上がるということが多くなっているように感じております。
市場の開設者としても、こうした人々の消費に関する意識の変化というものにつきましては、きちんと捉えておくということが必要であると考えますが、まず、市場におけるエシカル消費をめぐる課題、これどのように認識をされているのか伺います。
○渡邉市場政策担当部長 消費者の生鮮品等に対するニーズが多様化し、人や社会、環境に配慮した消費行動であるエシカル消費などの動きが高まる中、中央卸売市場におきましても、こうしたニーズへの対応が求められております。
都は、エシカル消費など、消費者ニーズを捉えた取組事例を収集し、市場業者と共有するとともに、市場業者の創意工夫による取組を支援してまいります。
○西崎委員 ありがとうございます。
消費者ニーズを捉えた取組事例を収集して共有するというお話がありましたけれども、これは様々、恐らく市場業者の皆様も努力をされて工夫をされていることかと思いますけれども、じゃあ、具体的に一体どういうような事例が出ているのかということをお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○渡邉市場政策担当部長 エシカル消費など、消費者の多様なニーズを捉えた取引活性化の事例としましては、市場の近郊で栽培された地場野菜を集荷、販売すること等により地産地消を進めた取組や、産地と連携した食品ロスの削減に向けた取組などがございます。
○西崎委員 地産地消であるとか、食品ロスの削減であるとか、やはり今日的な課題に対しての取組、そうしたものを今お聞かせをいただいたところでございます。
もちろん、こうした事例を業者の皆様の間で共有をしていただく、それを支援していくということが重要であると思いますけれども、当然、共有した後、さらにその先の支援というものが必要になってくるかと思います。
そこで、今お聞きをしているような新たな消費者意識に対応するための市場業者に対する支援について伺います。
○前田事業部長 エシカル消費など、多様な消費行動に応える実需者のニーズに対応する市場業者の取組に対しまして、都は、中央卸売市場経営強靱化推進事業により支援を行ってございます。
具体的には、喫食には問題がない規格外の野菜の流通を促進するため、普及啓発に取り組む市場業者などに対しまして、必要な経費の一部を補助する支援をこれまで行ってまいりました。
引き続き、市場業者が多様な消費者のニーズに応え、生鮮食料品などを安定的に供給することができるよう、市場業者の取組を下支えしてまいります。
○西崎委員 ありがとうございます。
今日も何度も出てきていますけれども、経営強靱化推進事業により支援を行っていただいているということでございます。
これはそういう単純な話でもないですけれども、やはり消費者のニーズが満たされて、市場が活性化をし、さらに環境負荷も低下をさせられるというのは、まさに三方よしとなるようなお話なのかなと思います。引き続き取組を進めていただくよう期待をいたしまして、次の質問に移らせていただきます。
次に、一問だけ、大きく環境関連について伺いたいと思います。
今年に入ってから、これは世界的にだと思いますけれども、話題となったニュースに、オゾン層の回復というものがあったかと思います。モントリオール議定書以降、破壊物質、これは九九%削減をされていて、このままであれば、あの南極でも二〇六六年頃には以前のレベルまで回復すると、国連の専門家組織から報告をされたということでございます。
市場でもフロンにまつわる話というのはいろいろ出てきていることかと思いますけれども、オゾン層破壊の原因物質であるフロン、これがいわれていますが、これは同時に高い温室効果も併せ持っているということでございまして、気候変動に対する観点からも抑制が重要であるといわれております。
そこで、市場におけるこうしたちょっと総合的な観点から、環境負荷の軽減、地球温暖化等に対する課題認識と取組についてお聞かせいただけますでしょうか。
○渡邉市場政策担当部長 地球温暖化やオゾン層破壊の防止に向けましては、フロンなど、その原因となる化学物質の排出量を削減することに取り組んでいくことが求められておりまして、中央卸売市場では、地球温暖化等の防止に向けて、市場業者と連携して、温室効果の高いガスを冷媒としない冷蔵庫設備等の導入や省エネルギー対策に取り組んでおります。
○西崎委員 対策としては様々これまでも議論されておりますけれども、なぜあえてお聞きをしたかといいますと、オゾン層の破壊という一つの環境問題、これは私が小学生の頃、年代でいうと一九九〇年前後になろうかと思いますけれども、学校で教わったということを強く覚えています。
昨今、いわゆる環境問題にまつわるニュースというと、まあ大体ほとんどが悪い内容であると。このままだとどうなっちゃうみたいな、そういう話が多い中で、今年の初めに出てきたこのオゾン層の回復というニュースは本当に数少ないよい事例であると思っておりまして、世界全体で真剣に取り組むことで、様々な問題がありますけれども、よい方向に好転をするという貴重な事例だと思っています。
今、省エネ、脱炭素が様々ありますが、特にこの気候変動対策というのも、本当に今、総力を挙げて各局やられているかと思いますが、なかなか将来が見通せないというのが今の現実だとは思いますが、とはいえ、こうした努力を積み重ねていくことで、これが結実するんだという自信を持って取り組んでいく、そんな後押しの一つになっているんじゃないかなと思いまして、あえてちょっとここで取り上げさせていただきました。ありがとうございます。
それでは、次の質問に移ります。
物流の問題について伺いたいと思います。
改めてでありますけれども、働き方改革関連法が二〇一八年に成立をし、順次施行されているという中で、自動車運転業務など、一部の業務における時間外労働の上限規制については五年間の猶予が設けられているということですが、いよいよ来年、二〇二四年四月一日から施行となるわけでございます。
いわゆる二〇二四年問題、トラックの運転手の皆さんへの時間外労働の上限規制というのは、これは相当大きな問題として取られている一方で、じゃあ、来年、来ても大丈夫だというような抜本的な対策が取られてきたとはなかなかいい難いというのが実情であると私も認識をしておりますが、そうはいっても、来年に施行を控えているということでございます。
これは市場だけではなくて様々な所管が絡んでくるかとは思いますけれども、少なくともこの市場においても大きな影響を及ぼすのではないかなと考えます。
そこで、この二〇二四年問題、これがある中で、市場における物流に関する課題について伺います。
○渡邉市場政策担当部長 物流の大きな課題として、二〇二四年四月からトラックドライバーに時間外労働の上限規制等が適用されることに伴い、従来から課題となっていたトラックドライバーの人材不足や物流コスト上昇などに拍車がかかる懸念がございます。
産地から卸売市場を結ぶ生鮮品等流通は、トラックによる輸送が大部分を占めていることから、市場におきましても、トラックドライバー等の作業負担の軽減や省力化が課題となっております。
○西崎委員 今のご答弁の前半にもありましたけれども、本来であれば労働環境を守るという目的であるはずの法が、逆に様々な課題を抱えているトラック物流業界にのしかかってしまうというような構図になりかねないとも、かねてから指摘をされているということでございます。
これは、繰り返しますが、市場だけではなくて様々な所管であったり、もっといえば東京都だけで対応できるという課題でもないとは思いますけれども、市場当局としても、ドライバーの作業負担の軽減や省力化などを課題としているということでございました。
それでは、こうした物流に対する課題について、今年度、どのような取組を行ってきているのか伺います。
○渡邉市場政策担当部長 都は、令和四年度の取組として、場内物流の現状を把握し、改善策を検討する基礎資料とするために、一部市場で物流の実態調査などを実施しました。
また、場内混雑の緩和に向けた交通ルールの見直しを行うとともに、パレット化の推進に向けて、国などと連携して検討を進めてきたところであります。
○西崎委員 ありがとうございます。
実態調査であるとか交通ルールの見直し、パレット化に向けた取組などが行われてきているということでありますが、本当に物流の機能が大きく低下をしていってしまうというおそれもあるともいわれている中で、こうした一つ一つの対策を積み重ねることというのは、市場の安定的な運営というものにも寄与するものであると考えます。
それでは、これからの話といたしまして、今回の予算案及び今後の取組の方向性について伺います。
○渡邉市場政策担当部長 都は、令和五年度予算案におきまして、引き続き物流の実態調査を行うなど、物流改善に向けて必要な予算を計上しております。
今後も、場内混雑の緩和に向けた業界との調整や、パレット化の推進に向けた国などの取組との連携などにより、市場における物流の高度化、効率化に向けて取り組んでまいります。
○西崎委員 なかなかウルトラCのような解決策というのが見当たらないのがこの課題の難しいところであると思いますけれども、ぜひ引き続き、様々な取組を着実に進めていただきたいと思います。
市場における物流の高度化、効率化につきましては、DXの推進など新たな技術の活用というものも重要であると考えます。
経営計画の方でも、市場関係者によるトラック予約受付システム、これに言及されているわけでありますけれども、この予約受付システムの導入というのはどういう状況になっているんでしょうか伺います。
○渡邉市場政策担当部長 トラック予約システムの導入は、荷下ろしのためのトラックドライバーの待機時間の短縮や、入荷時間の平準化による場内物流の円滑化につながります。
都の中央卸売市場では、市場業者により、大田市場の青果部でトラック予約システムが導入されており、入荷時間の平準化等で効果を発揮していると聞いております。
○西崎委員 ありがとうございます。
大田市場の中で導入されて効果を発揮しているというお答えがございました。ぜひこうした取組が横展開をされるように、さらに都による支援も充実をさせていただきたいと思います。
最後になりますけれども、この二〇二四年問題は、来年四月一日が来たらそれでおしまいというものではなくて、相当しばらくの間、継続的な課題となるということが想定をされます。
今お聞きをしてきたような様々な取組の強化であるとか、また、新たな支援というものによって、市場における物流の課題解決、これに引き続き取り組んでいただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○鈴木委員 私からは、大田市場について質問をさせていただきたいと思います。
大田市場が開場してから、既に三十四年ほどがたとうとしているわけです。
この間、世の中は大きく変わりました。当時は、いわゆるバブルのさなかでした。誰もが右肩上がりを疑うことなく、拡大をし続ける、そのことが最良だと誰もが信じていた時代でした。
しかし、現在はといえば、改めてここで私が語る必要もないと思います。インフラの世界では、老朽化、集約、縮小均衡、こうした話題ばかりが目につく状況であり、人口全体の縮小により、消費量の減少ばかりか、トラックドライバーをはじめ、あらゆる現場で人が足りない、こういう実態にさいなまれているわけであります。
その中で、異例ともいえる発展をしてきたのが大田市場であります。大田市場の取扱数量は、例えば青果部においては、この三十年で約十万トンも増加をしてまいりました。
開場したばかりの頃は、こんな広い敷地にこんな広い売場を造って、一体どうやって使っていくのだろうか、無用の長物ではないかという批判が大変多かったというふうにも私は聞いております。
開場以来業界で働く皆さんは、当初は慣れない大田の地で苦労をして、工夫をして、やがて地の利を生かすようになってきたわけであります。全国の産地から信頼を得て、小売店やスーパー、業務需要などの幅広い顧客からのニーズにも応えてまいりました。現在の発展は、長年のこうした努力とそれを支える東京都との緊密な連携によってもたらされたものだと私は思っております。
私は、大田市場がこれまで果たしてきた大きな役割を今後も継続をして、さらには時代の流れを的確につかんで、さらなる発展をしていくことが何よりも重要であると信じております。こうした観点から、本日は幾つか質問をしてまいります。
まず初めに、大田市場が果たしてきた役割について確認をしたいと思います。
将来を見越して大田市場にどのような投資をし、運営していくかを論じる上で、現在、果たしている役割をいま一度分析をして、その上で将来像を描く必要があろうかと思います。今後の効率的な整備を進めるべきであります。
まず、大田市場が東京の十一ある中央卸売市場の中で、また、首都圏の生鮮品の流通の中で占めている役割について、改めて確認をさせてください。
○渡邉市場政策担当部長 大田市場は、平成元年に、青果物市場である神田市場、荏原市場、蒲田分場と、水産物市場である大森市場を統合する形で開設され、その後、平成二年に花き地方卸売市場も組み込むことにより、青果部、水産部、花き部の三部門を持つ総合市場として発足いたしました。
青果部と花き部にあっては、日本最大級の取扱規模を有し、全国各地から集荷した多種多様な生鮮品等を、大消費地である東京都のみならず、首都圏などにも幅広く供給するハブ機能や、全国の価格形成の指標となる建値市場としての機能なども有する中核的な市場として大きく発展してまいりました。
令和三年度に策定した東京都中央卸売市場経営計画におきましては、豊洲市場と並び、全国拠点型の市場に位置づけており、とりわけ青果物や花き流通におきましては、都の青果九市場、花き五市場の中で、それぞれ取扱量の約五割と約六割を占めるなど、中核的な役割を担っております。
○鈴木委員 大田市場の玄関には、天と地を結ぶ、こういったプレートがあるわけなんです。大田市場はハブ機能や建値市場としての機能なども有する中核的な市場であると、全国的拠点の市場として位置づけられているわけであります。一言でいえば、大田市場が果たしている役割は非常に大きいということであります。
私は、大田市場に度々足を運んで、現場を見て、そこで働く業界の皆さんの生の声を聞いて、意見交換を重ねてまいりました。
そこで感じるのは、何よりも、全国の産地からトラックが入場して、大量の荷物が入荷して、そこに卸売業者や仲卸業者、買い出し人など多くの関係者が集まって、喧騒の中で取引が行われて、やがてそれぞれの顧客へと大急ぎで向かっていくという、その流れなんです。ダイナミックに経済を動かす現場が、そこにあるわけです。
いうまでもなく、市場というのは、人と荷物がよい意味で交錯をして、限られた時間の中で荷物が、荷が引き取られて、慌ただしくその日の取引が終わるという世界なわけです。トラブルや予想外などは当たり前のことなんです。そうしたことが起きるたびに、現場で工夫をして日々乗り切っていく、解決をしていく、そうした先人たちの世代から行ってきたわけなんです。
つまり、市場というのは、非常に大小多くの問題が日々発生して、それを解決することによって発達をしてきたわけであります。だからこそ、開設者である東京都、つまり市場当局は、こうした問題をできるだけ早く発見して、業界と共有をして、その解決に向けて取り組んでいかなければならないわけであります。
問題といっても大小あります。さらには短期的、長期的、慢性的なものなど、様々なものがあるわけであります。
また、東京はもちろん、全国の生鮮品流通のパイが縮小している中で、大田市場、特に青果部は数量を伸ばし続けてきている。この点は本当にすばらしいことだと思っております。
そこで、大田市場の置かれている状況、特に青果物、花きについて数量を伸ばしている状況にあって、市場当局はその課題を大きくどのように捉えているのか、見解を伺います。
○渡邉市場政策担当部長 大田市場は開場以来、取扱数量の増加が続いておりまして、多数の仲卸業者、売買参加者等の市場業者が場内で取引を行っていることに加え、流通環境の変化に伴う他市場への転配送業務など、新たな対応も行ってきたことなどにより、場内混雑が激しくなっております。
また、量販店や飲食店等から加工パッケージなどへの対応が求められておりますが、狭隘化により、機能強化に向けた施設を設置するスペースが不足するなどの課題がございます。
さらに、開場して三十年以上が経過し、基盤施設が更新期を迎えていることに加え、活発な取引を支え続けてきたことによる施設や設備の消耗が激しいことも相まって、老朽化への対応が迫られております。
○鈴木委員 これまでの大田市場の歩みを考えれば、ある意味当然のことだと思います。開場以来、飛躍的に荷物が増えれば、場所は足りなくなるわけです。生鮮流通を取り巻く環境が変われば、それらに対応していかなければ生き残れないわけです。ましてや、三十年もたてば当然のように老朽化が進み、市場に求められる機能が変われば、それらの対応もしなければなりません。
そこで重要なことは、先ほど答弁のあった、大田市場の果たしている役割であります。
大田市場は、まさしく東京、さらには首都圏、もっといえば全国の生鮮品流通を支えている存在であります。野菜や果物、魚や花、どれを取っても、東京に暮らしていて、大田市場と関わりのないこれらの品物を見つけることが困難なほど、深く都民生活に関わっているわけであります。こうした観点を忘れず、つまり、東京の消費生活を日々支える存在である大田市場がその機能を低下させたり、ポテンシャルを発揮できないようでは困るわけであります。
一口に狭隘化といっても、その弊害は、市場の取引という目で見た場合に、多面的な影響が出るものと思います。日々の仕事を通じてそこで働く皆さんが最も身近に感じているのが、場内の混雑、特に外周道路の混雑などに起因するものではないかと思います。
そこで、大田市場における場内物流をどのように円滑化していくのか。そのための考え方と具体的な取組について確認をさせていただきます。
○渡邉市場政策担当部長 大田市場は、全国の生鮮品等流通におきまして重要な役割を担う中核的な市場であり、生鮮品等の安定供給に向け、その機能を十全に発揮することが求められておりますが、産地からのトラックが市場内で荷下ろし待ちの列をつくるなど、本来の市場機能に影響を及ぼしかねない状況が生じております。
これらの課題に対応するため、都は、市場関係者と共に交通対策専門部会を令和三年九月に設置し、場内混雑の解消に向けて、駐車禁止エリアの明確化や長時間駐車の禁止など、場内ルールの改正を実施しました。
また、手積み手降ろし等の手荷役作業が多い場内物流の効率化、高度化のため、パレット化の促進と、場内におけるパレット管理ルールの構築等に向け、青果卸売業者、仲卸業者を中心としたパレット利用検討会を令和四年八月に設置し、市場業者と共に検討を進めております。
今後、これら会議体等の場で市場業者と協議を重ね、具体的な方策を取りまとめるなど、大田市場における物流の高度化、効率化に向けた効果的な取組を推進してまいります。
○鈴木委員 場内の物流をスムーズに進めるためには、今答弁がありましたように、外周道路やパレット、荷さばき施設など、場内施設の使用ルールについて、業界と都がよく話し合って確立させていくことはとても重要です、大事です。
さらには、卸売場をはじめとしたこの市場の施設全般について、卸売業者や仲卸業者などのプレーヤーの皆さんたちが、市場外流通も含めて、生鮮品の流通を支えていく上で何が足りないのか、何が必要なのか、それを市場当局も共有することが重要であります。その上で、業界とよく話し合って対応していくことが欠かせないと考えております。
大田市場においては、市場の機能強化についても、業界と都が連携して取組を進めていくことが大事だと考えておりますが、これまでどのような取組を行ってきたのか、さらに今後の方向性についても見解をお伺いいたします。
○渡邉市場政策担当部長 日本全国から多くの生鮮品等が集まり、取扱量が増え続けてきた大田市場におきまして、急激に変化する流通環境に対応していくためには、時期を逃さずに機動的、弾力的な取組を行う必要がございます。
そのため、大田市場では、業界と都が協力しながら、都の市場用地貸付制度の活用による北口立体荷さばき場の整備に加え、卸売場の一部については二層化を進めるなど、多様な手段で市場機能の強化を図っているところであります。
今後も、都と業界が機能強化に向けた方策を共に検討し、取り組んでいくことにより、大田市場の取引の一層の活性化を図ってまいります。
○鈴木委員 機能強化を進めていくには、業界と市場当局とがよく話し合い、その上で、方向性や具体的内容、さらには市場当局と業界との役割分担などを決めていくプロセスが重要だと考えます。そして、答弁にあったように、業界と都が協力して、多様な手段で機能強化を進めるなど、様々な知恵を出しながら進めていっていただきたい。
卸売市場の機能強化というのは、その進め方が難しいものだとは感じております。流通というものは生き物、生ものであり、変化のスピードが極めて速いわけです。少しでもよいアイデアがあれば改良して、駄目ならばまたすぐに改善をする、そういう世界であります。そうあるべきなんです。
乗り遅れたものは衰退していかざるを得ません。機能が陳腐化すれば、産地や顧客はそっぽを向き、他の流通チャンネルを使う。当たり前です。それは市場の衰退につながるわけです。こうしたことを肝に銘じて、流通関係の動向にも目を配りながら対応していってもらいたい。市場当局には求めておきたいと思います。
続いて、次に大きな課題として、施設の老朽化を取り上げます。
冒頭申し上げましたように、大田市場は、開設されて今年で三十四年、花き部にあっては三十三年がたつわけでございます。
市場の朝は早く、実は夜も長い。切れ目がないのが市場であります。休日でも荷物が動き、休むことを知らない。その現場である市場施設は、そんな毎日の取引の舞台となって支え続けて、そして消耗をして傷んでいくわけです。
大田市場の施設にあっては、単に古くなったというだけではなくて、これまで発展を下支えしてきた反面、酷使せざるを得ず、傷みも激しくなってきているわけです。いわば発展の代償ともいえます。
それに加え、大田市場は敷地面積しかり、建物の規模しかり、他の市場とは桁違いに規模が大きいわけです。老朽化対策にも時間がかかります。例えば、青果棟の屋上の防水工事は令和二年から始まっているわけで、本当に複数年かけて実施しているという、続いているわけで、ボリュームが非常に大きいわけです。
さらには、日々の取引では、場内は常に混雑し、暇な時間帯などありません。
つまり、大田市場の老朽化対策は、極めて困難なものだといえると思います。
そこで、大田市場における老朽化対策の取組内容についてお伺いをいたします。また、実施に当たってどのようなことに注意していく必要があるのかも伺います。
○渡邉市場政策担当部長 大田市場は、開場後三十年以上にわたり、年々増加する全国からの生鮮品等を取り扱い、さらには、トラックによる他市場への転配送機能等を担うことにより、場内道路の路面の劣化をはじめ、市場の各施設や設備の老朽化が進行しております。
これまで都は、市場機能の基盤を支えている受変電設備やエレベーター等の設備機器の交換、建物の外壁改修など大規模更新工事や、日常的に利用されている周回道路の路面補修工事、トイレ改修工事等の市場の施設整備を継続的に実施してきました。
こうした施設設備の更新に当たりましては、市場業務を継続しながら更新工事を行うため、場内混雑など厳しい制約を伴うことから、工事を分割するなどの配慮をしつつ、市場業者の方々の協力を得ながら取り組んでおります。
都は、大田市場の機能を維持するため、今後も、更新時期を迎えている施設設備の維持更新に着実に取り組んでまいります。
○鈴木委員 非常に毎日多忙な市場の中で、様々な部分が老朽化していくことは当たり前のことで、それを適時適切に改修をしていってもらいたい。そのことはぜひお願いをしておきたいと思います。
トイレも、非常に女性の方も使いやすい、いいトイレになりました。私も視察で世界の市場を見せてもらいましたけれども、世界に冠たる大田市場、これは日々の改修の中でその機能というのが強化されていくんだというふうに信じております。
老朽化対策といっても、大田市場においても、勢い大規模なものとならざるを得ない。時間も費用も手間もかかるわけです。今申し上げましたような、まさに改修をしつつ、日々の取引を続けているのが現実なわけです。
老朽化を放っておくようなことがあっては、最低限の市場機能を維持することはできません。時間がかかるとは思いますが、しっかりと対応していただきたいと思います。
大田市場が開場した後、市場内に、大田市場会館が敷地に建設をされました。神田などから移転して、大田という土地に初めて来て総合市場としてのスタートを切るに当たって、そこでは会議をする必要もあるし、泊まる必要もあるということで、会議場や宿泊施設を備えた施設として、この大田市場会館がオープンしたわけです。
産地をはじめとした市場での取引関係者が大田市場を訪れる際に必要な施設として運用されてきたものの、この間、社会経済状況や周辺環境が大きく変化をいたしました。流通環境の変化や産地との意見交換の多様化などの変化はもちろん、羽田空港の国際化に伴い、大田市場の周辺地域にも同様の施設が多数整備されるようになってきたわけであります。
これらの変化も相まって、市場会館は、その役割を終えて、既に閉鎖をされており、今年度の解体工事が開始されることが本年度の予算上も明記をされておるわけですが、取扱数量の増加によって狭隘化が著しい大田市場においては、解体によって生じるこの跡地について、市場機能を維持拡充するという視点からも、ぜひ有効に活用することが求められているというふうに考えておりまして、業界からも有効利用を求める要望が出されております。
この大田市場会館の解体工事について、そのスケジュールを確認させてください。また、跡地活用の考え方についてもお伺いをいたします。
○渡邉市場政策担当部長 大田市場会館につきましては、今年度、解体工事に着手し、令和六年度までの三年間で解体を完了する予定でございます。
これに伴い、業界からは、大田市場での場内混雑が深刻化していることを受け、市場会館の用地の効果的な活用につきまして、検討すべきとの要望をいただいております。
また、今後も設備等の大規模な更新工事が相次いで控えており、市場業務への影響を最小限にしながら円滑に工事を進めていく上で、工事ヤードの確保などが喫緊の課題となっております。
これらに対応していくため、解体後の市場会館の用地につきましては、大田市場内の施設等の利用実態を把握した上で、業界と共に検討を進めてまいります。
○鈴木委員 卸売市場にとって、大規模改修や再整備は、大抵の場合は困難な課題となるわけです。多くの場合、種地となる空き地がなく、施工上どうしても無理が生じやすく、それによって業界の合意も得られにくくなる、得られにくいという、そういう場合が多いわけです。
大田市場は現状において既に敷地が狭隘化しており、さらに、今後の機能強化や老朽化対策について、敷地の確保に迫られております。こうした状況にあるから、市場会館の跡地については、市場当局と業界とが意見を出し合って、活用方法の方向性をぜひ打ち出してもらいたいと思います。
最後に、視野を市場外に広げて、私から問題提起をさせていただきたいと思っております。
大田市場は、取扱数量を増やし、狭隘化が進み、混雑が激しくなり、新たな機能強化も必要となってまいりました。また、三十年以上、稼働を続けてきた結果、老朽化も進んでまいりました。
今日の質疑では、そういった中身を今議論させていただいたんですが、市場の外で、つまり世の中全体を見ると、市場流通そのものに大きな影響を与えかねない問題が起こっております。
トラックドライバーの就業時間の規制を強化することに伴って、物流コストが大幅に上昇することはもとより、人材の確保が一層困難となることが危惧されております。いわゆる二〇二四年問題であります。
当然のことながら、全国の産地からの荷物は、そのほとんどが大型トラックによって運搬され、市場にやってくるわけです。コスト上昇はもちろん大問題ですが、さらに危機的なことは、ドライバーが確保できない、できないと荷物そのものが入ってこなくなるわけです。卸売市場にとって、これは死活問題であります。ましてや、全国で最も多く青果物や花きが入荷する大田市場でこのようなことが起きたら、都民生活に大きな影響を与えかねないわけであります。
よって、法改正の趣旨を尊重し、トラックドライバーの労働時間の短縮に寄与できるよう、市場に入場する際の待ち時間や荷を積んで出発するまでの待ち時間を短縮するなどの取組を進めることが重要であります。
そのためには、卸売会社を中心に、入場してくるトラックドライバー、荷物を引き取る仲卸や買参人、運送会社などが市場内の混雑状況を共有して、また、荷の置場をそれぞれ把握できるようなシステムをデジタルの技術を用いて開発するなど、一歩進んだ対策が重要だという声を、多くの関係者から、現在聞いております。
卸売市場は基幹インフラとしての機能を果たすことが求められているわけですが、そのためには、電気、ガス、水道といった従来から整備されてきたものに加えて、このように新たに生じた課題を解決するための、例えばWi-Fiなども積極的に整備していく必要があると考えております。
そこで、二〇二四年問題を解決するための施策を展開していく上で、その基盤となるWi-Fiなどの環境整備を促進していくべきと考えますが、市場当局の見解をお伺いしたいと思います。
○渡邉市場政策担当部長 二〇二四年度からトラックドライバーに時間外労働の上限規制等が適用されることに伴う、物流を担う人材不足や対応コストの増加等の課題など、市場流通を取り巻く環境は厳しい状況にございます。
特に、全国の産地から多くのトラック等が集まることなどにより、場内混雑が深刻化し、ドライバーの待機時間の長さ等が課題となっている大田市場は、大きな影響を受けるものと考えております。
これらの課題の解決に向け、デジタル技術を用いたトラックドライバーの労働時間の短縮など、物流効率化に向けた市場業者の取組を推進するため、Wi-Fi等による通信環境の新たな基盤整備に取り組むことが重要であります。
具体的な取組として、Wi-Fiの整備を進めるため、都と市場業界による協議体におきまして、整備の方向性などの課題を検討し、対応策を速やかに取りまとめてまいります。
○鈴木委員 システムのデジタル化は必須であります。Wi-Fi整備をスピーディーに進めるよう、強く要望させていただきます。
今日の質疑で、大田市場の役割、狭隘化を原因とする様々な課題、老朽化への対応、市場会館の跡地の問題、そしてデジタル技術を用いた二〇二四年問題へのチャレンジなど、山積する課題に対し、多面的な視点から検討するよう、私からも提案をさせていただいたところであります。
大田市場は、東京都民を中心に生鮮品等を供給する一大拠点であり、その影響力は極めて広範囲にわたります。こうした活動を支えているのは、市場業者であります。その多くは中小企業の方々であり、コロナやウクライナ問題など逆風下にあっても、日々努力をし、安定供給に汗を流しております。
とりわけ、令和二年一月に都内で初めて新型コロナ感染者が確認されて以来、コロナ禍が三年以上続いておりますが、この間、大田市場の業者の皆様は、一日も休むことなく、新鮮な野菜や果物、魚や花を、都民はもとより、首都圏など幅広い方々に着実に届けてきてくれました。このような業界の皆様の努力は、もっと評価されるべきであります。
私は、こうした重要な役割を果たしている大田市場について、さらに多くの都民に知ってもらう必要があると思います。
そのため、現在、コロナ禍で中断しておりますが、これまで隔年で開催してきた大田市場まつりの際に、多くの方に市場に足を運んでいただき、理解を深めてもらうことは効果的だと考えております。ぜひ、開設者である東京都と市場業界の皆様で、この市場まつりの再開に向けて検討を進めていただきたい。このように切望するものであります。
また、将来にわたって大田市場が生鮮品等を安定供給していけるよう備えることも必要です。
今後、再びコロナの感染が拡大しないとも限りませんし、あるいは新たな感染症が流行することなども考えられます。中小企業が多い市場業者の皆様が、今後も安心して活発な取引を続けていけるように、都には、感染症など様々なリスクを想定した上で、万全の備えを講じていただきたいと考えております。
地元区である大田区は、皆さんご存じのとおり中小企業が集積し、我が国のものづくりを支え、たくみの技術を伝承するために日々汗を流している。そういう方々がまちの活力を生み、地域にも貢献をしております。
大田市場も、地元にあって、多くの事業者が汗を流し、働き、生鮮品の流通を支える多くの事業者が集積する場でもあります。こうした施設と、そこで働く多くの人々が頑張っていることを、地元の人間としても誇りに思っております。
私はこれまでの間、十六年間、経済・港湾委員会に多く在籍をさせていただきました。中央卸売市場の経営について、多くの課題をこの目で確認して、具体的な提案をさせていただいてまいりました。
今後も、大田市場が都民生活を支えるインフラとして、目まぐるしく変化する流通環境にあって、その機能をさらに強化し、なくてはならない存在として日々運営されるよう、強く要望をさせていただき、私の質問を終わらせていただきます。
中央卸売市場の皆様、都民のために引き続き頑張っていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
○慶野委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時一分休憩
午後三時二十分開議
○慶野委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○斉藤委員 私の方からも、冒頭、このコロナ禍の三年間、市場関係者の皆様には、休むことなく、命をつなぐ食を都民、そして首都圏に届けていただきましたこと、心から敬意と感謝を申し上げて、質問を始めたいと思います。本当にありがとうございます。
私の方からも、大田市場について、簡単に質問をしたいと思います。
休憩前に、鈴木副委員長から、地元の大田市場についてお話がありましたが、目黒区としても大変に市場関係者も多くて、ぜひともこの問題をということで、私もお話を伺ってきたのが、この大田市場の開場以来、本当に取扱量が増加して大変にうれしい悲鳴なんですけれども、その結果、やっぱり近年、場内の混雑状況が著しくなっているということで、円滑な場内物流の確保が課題になっているということでの質問でございます。
特に、青果部と水産部の市場用地全体を結ぶ周回道路が渋滞が発生していることは、他の委員が指摘したとおりでございますが、業界から対策を求める声が上がっていると聞いております。
これに対し、先ほどの質疑でも明らかになっておりますけれども、都は先般、市場関係者と共に、場内交通や駐車場等の在り方について検討する会議体を設置して、改善に向けた検討を経て、周回道路において守るべきルールを定めて、一定の効果を上げていると聞いております。
市場関係者と話合いを重ねてルールを見直したことで、場内物流の改善を勝ち取ったこと、これはすばらしい取組でありまして、工夫次第で、ハード面での整備はもちろん望まれるんですけれども、工夫次第で、他の課題も解決に近づくのではないかと思います。
そこでまずは、この大田市場の重要な課題であります周回道路の交通渋滞や駐車場対策等に向けて、市場関係者、市場業者と共に取り組むこととなった経緯を伺いたいと思います。
○渡邉市場政策担当部長 大田市場では、場内道路における不適切な駐車や荷さばきなどにより、円滑な物流や場内交通に支障を生じかねない状況となっておりました。
特に、周回道路での荷下ろし、駐停車禁止場所での駐停車、二重駐車、荷待ちの場所取りなどが発生しており、通行可能となる車線が減少することなどによる周回道路における渋滞及び場内混雑が問題になっておりました。
こうした状況に対応するため、都は、現場を熟知している青果、水産、花き、それぞれの業界団体代表者や輸送団体、市場協会、東京都を構成員とする交通対策専門部会を大田市場取引業務運営協議会の中に設置し、場内の交通ルールや交通に関する課題への対応策につきまして議論を重ねてきたところであります。
○斉藤委員 この現場を皆さんで担っていく、皆さんの協力において、知恵を出し合って、この改善が勝ち取れるということは、市場として非常に重要な視点だと思います。
この周回道路を含む場内物流の円滑化に向けて、実効性のある取組を進めるためには、市場業務の担い手である業界と緊密な意見交換を行うことがこれからも不可欠でありまして、専門部会での議論をすることは有意義であると思います。
一方、市場業者の皆様にとっては、二重、三重駐車、通行障害が発生すると、これは皆さんがご指摘しているように、日々の取引に支障を与えかねない周回道路の渋滞をいち早く解消してもらいたいというのが本音であります。
この周回道路における渋滞の早期解消に向けて取組を強化するべきであると考えますが、見解を伺います。
○渡邉市場政策担当部長 都は、令和四年十月の交通対策専門部会におきまして、場内道路における車両通行の妨げとなる利用を制限するなど、周回道路を含む場内の交通ルールを改正する方針を取りまとめ、都と業界が合意して、令和五年二月から運用を開始したところであります。
具体的には、周回道路は片側三車線でありますが、そのうち中央車線については、車両の駐車や荷置き、荷さばきを禁止するとともに、それ以外の車線につきましても、二重駐車や長時間駐車等を禁止しました。
市場業者に対する周知徹底を図るとともに、都と業界が一体となり、ルールの遵守を呼びかけた結果、周回道路における長時間の駐車等が減少するなどの効果を上げております。
○斉藤委員 この大田市場は、生鮮品等の流通の中核市場であります。多様な市場関係者が日々の取引を支えるべく働いておられまして、今回伺った場内混雑の問題をはじめ、ほかにも課題がございます。この課題解決は一朝一夕に終わるものではないとは思います。
こうした課題解決に向けては、今後も、市場関係者と丁寧な議論を重ねていただきまして、都と業界が連携して取り組んでいただくことを要望いたします。
特に最近、若手の中にも改革思考といいますか、今まで、無理だよと諦めていたようなことについても果敢に挑戦する機運が、大田市場の関係者にございますので、ぜひ、都と業界関係者が団結をして、持続可能な大田市場発展の願いたいと思います。
次の質問に移ります。次は、環境対策についてであります。
中央卸売市場における環境負荷の低減に向けた取組について、簡単に伺います。
現下のエネルギー危機に伴う電力料金の高騰、そして、事業活動を行う上で多くのエネルギーを使用する市場業者の経営は、大変に物価高騰等の、エネルギー高騰の影響を受けているわけであります。
こうした状況におきまして、都が省エネルギー対策に取り組み、そして市場業者の電気料金の負担軽減を図ることは、市場取引の担い手である市場業者の方々の経営安定化にもつながる施策でございます。
また、気候危機が一層深刻化する中で、省エネルギー対策を進めることは、CO2の排出量を限りなくゼロにしようとするゼロエミッション、二〇三〇年にはハーフ、二〇五〇年にはゼロ、こういったことに向けた重要な取組でもございます。
そこで、市場業者の省エネルギー対策に関する取組を一層進めるべきと考えますが、見解を伺います。
○渡邉市場政策担当部長 中央卸売市場が市場業者の電気料金の負担軽減を図るとともに、ゼロエミッション化を推進していくためには、省エネルギー対策などに積極的に取り組むことが重要であります。
これらの取組を具体的に進めていくため、今年度は、各市場の電力使用実態を検証し、節電に向けた課題の抽出や解決策の提案を行う省エネルギー診断を実施しております。
来年度は、この診断結果を踏まえ、具体的な省エネルギー対策等に焦点を当てた市場業者向けのセミナーや相談会を開催するとともに、希望する市場業者に対しては、専門家による個々の店舗の診断を実施し、助言や提案を行ってまいります。
こうした取組により、市場業者の省エネルギー対策を積極的に後押ししてまいります。
○斉藤委員 東京都が市場業者の節電等の取組を支援していただきまして、市場のゼロエミッション化を目指す取組は、電気料金の負担軽減による市場業者に対する経営支援につながっていくものでございまして、しっかりと推進していただきたいと思います。
また、市場では、事業活動を行う上で冷蔵、冷凍設備等を多く使用しているということで、先ほどの他の委員とも重なってしまいますので省略するところは省略しますが、冷媒としてのフロン、これが使用されているものがございます。
環境負荷の低減に向けては、この省エネ対策に加えて、環境に配慮したグリーン冷媒を用いた設備等を導入することも重要であると考えます。
そこで、令和五年度におけるグリーン冷媒機器の普及に向けた取組、これは非常にコスト的には高い、経営が大変な中で導入するのは大変でございますが、この普及に向けた取組について伺いたいと思います。
○渡邉市場政策担当部長 中央卸売市場では、生鮮品等の鮮度保持等の観点から、市場業者を中心に、多くの冷蔵設備などを使用しております。
そこで都は、温室効果ガスの削減に向けた脱フロンの取組として、今年度から、市場業者に対して、フロンに代わりグリーン冷媒を使用する省エネルギー型の冷蔵設備への更新を促進するための補助事業を実施しております。
来年度は、市場業者の費用負担のさらなる軽減を図るため、補助率を三分の一から二分の一に引き上げることで、事業の活用を促進し、一層のゼロエミッション化に努めてまいります。
○斉藤委員 ただいまのご答弁で、来年度は補助率を三分の一から二分の一に拡充するということでございます。
このグリーン冷媒機器につきましては、より多くの市場業者の方々に使ってもらうことが大事でありまして、そのためには、都は、価格等の問題によって、グリーン冷媒機器の更新が進まない、ためらっている市場業者の実態をしっかりと捉えた上で、寄り添いながら、共に課題解決に向けて取り組むことが重要であると考えます。
今日、質問は以上でございますが、この市場における環境負荷の低減を図るために、今後とも、市場業者としっかりと連携した上で、引き続き、市場業者に対する支援を積極的に推進していただくことを要望しまして、私の質問を終わりたいと思います。
○星委員 よろしくお願いいたします。
私から、初めに、各市場における施設の維持更新について質問をさせてもらいます。
昨年十一月の事務事業質疑において、私は、市場施設の維持更新をしっかりと進めていくよう求めたところであります。
市場業者の方々にとって、日々使用している市場施設について適切に維持更新が行われることは、業務を行っていく上で当然の前提であります。
そこでまず、各市場の施設の維持更新について、どのように取り組んでいくのか、改めて見解を伺います。
○渡邉市場政策担当部長 中央卸売市場が生鮮品等流通の基幹的なインフラとしての役割を果たしていくためには、市場業務を担う市場業者の方々が安心して活発な取引を行うことができるよう、市場施設の維持更新を計画的に進めていくことが重要であります。
このため、これまで行ってきた各市場施設の維持補修に加え、今年度から二か年で、対象となる全市場において、卸売場などの主要な施設等の劣化度の調査を実施するほか、建物の利用状況などの現況把握を行うことで、施設の維持更新計画の策定につなげてまいります。
その上で、各市場における施設の更新工事が市場業務に与える影響をできる限り最小限となるよう配慮しつつ、市場ごとに工事を集中的に実施していくためのマスタープランを策定し、予防保全の手法により、業界と連携しながら、計画的な施設の維持更新を進めてまいります。
○星委員 都民生活を支えている中央卸売市場は、工事を行う際にも業務を止めることができず、営業を続けながら工事を行わなければならないという制約があります。
劣化度調査等により、各市場の状況を正確に把握した上で、市場業務への影響が最小限となるよう、業界と十分に情報共有を図るなど、緊密に連携しながら市場施設の維持更新を計画的に進めていただきたいと思います。
私の地元町田市に隣接する多摩市にある多摩ニュータウン市場のように、地域に密着した小規模な市場に設置されている施設は、昭和の時代に整備されたものが多く、老朽化対策が喫緊の課題となっている、そう聞いております。
今後、各市場において老朽化がさらに進行し、電気設備やエレベーターなど、基盤となる施設や整備に支障が生じた場合には、市場業務に大きな影響を与えかねないと考えます。
そこで、各市場における老朽化した施設の維持更新について、令和五年度の取組を伺います。
○渡邉市場政策担当部長 中央卸売市場が安定的に市場運営を継続していくためには、施設設備の劣化の程度等を正確に把握した上で、適時適切に対策に取り組むことが重要であります。
都はこれまでも、場内道路の路面補修など、日常的な維持補修に加えて、維持更新の取組を行ってきており、令和五年度は、劣化度調査の結果等を踏まえ、多摩ニュータウン市場で受電設備改良工事を実施するほか、葛西市場で、花き棟エレベーター改修工事等を実施してまいります。
引き続き、各市場において維持更新に着実に取り組み、市場業者の円滑な取引環境を確保してまいります。
○星委員 老朽化対策をしっかりと進めていくには、日々現場で施設を使用している市場業者の方々の声に真摯に耳を傾けることが不可欠であります。
市場業者の方々と緊密に連携して老朽化対策を進めていただくことを要望いたしまして、次の質問に移ります。
次に、品質衛生管理の強化に向けた取組について伺います。
昨年十一月の事務事業質疑で、我が会派から、食品衛生法の改正により、HACCPに沿った衛生管理が義務化されたことを踏まえて、中央卸売市場においても、食の安全・安心を確保するために、HACCPに沿った衛生管理を着実に実施していくよう求めたところであります。
HACCPに沿った衛生管理の定着は、単に法令を遵守するという受け身の姿勢で取り組むのではなく、これを機会に品質衛生管理に対する意識を高め、市場流通における付加価値の向上につなげるように取り組むべきだと考えます。
市場当局の答弁によれば、今年度から、HACCPに沿った衛生管理の定着も含め、品質衛生管理の強化を図るため、外部講師によるワークショップ事業を開始したとのことでありました。
将来にわたって卸売市場における食の安全・安心を確保していくためには、不断の努力で、品質衛生管理の徹底を実施していかなければならず、継続した取組が非常に重要であり、それが中央卸売市場の活性化にもつながっていくのではないかと思います。
そこで、HACCPに沿った衛生管理の定着を図るワークショップ事業について、今年度の取組による効果及びそれを踏まえた今後の予定について伺います。
○前田事業部長 HACCPに沿った衛生管理は、品質衛生管理の徹底として必要な取組であるとともに、市場を流通することによる付加価値を高めることにもつながるものでございます。
そこで、今年度から、HACCPに沿った衛生管理を定着させることはもとより、さらなる品質衛生管理の向上を推進していくため、外部講師によるワークショップ事業を開始いたしました。
受講者からは、ふだんはHACCPに関する情報に触れる機会が少なかったが、衛生管理の知見が豊富な講師が、売場などの状況や衛生管理の実施状況等の現場の実態を視察した上で、具体的に指摘をいただいたことで、HACCP等についての理解促進につながり、大変有意義な取組であったとの意見が寄せられました。
こうした成果も踏まえまして、来年度は受講対象を拡大した上で講習の充実を図り、HACCPに沿った品質衛生管理を強化するとともに、取引に対する信頼性の向上に向けて取組を進めてまいります。
○星委員 ここまでは、市場全体の老朽化対応や品質衛生管理について確認をしてまいりました。
次は、芝浦と場における取組について伺ってまいります。
私は、昨年度、芝浦と場を視察いたしましたが、現場では日々、多くの職員がと畜解体作業に従事しており、こうした取組が、都民に安心で安全な食肉を提供する上で欠くことのできない重要な役割を担っていることを、この目で確認をしてまいりました。
一方、芝浦と場は、築四十年近く経過した施設であることから、設備面の老朽化が進んでいる印象を受けました。
また、過去には、O157による食中毒の発生やBSE問題など、食品に関する様々な事件や事故が発生し、これらを契機として、都民の食の安全性に対する関心も高まってきております。
令和五年度の予算案においても、と場整備に関わる予算がしっかりと計上されていますが、今後も、芝浦と場が広く都民の信頼を得て食肉安定供給機能を十分に発揮していくためには、ハード及びソフトの両面から、品質衛生管理を向上させることが重要な課題であります。
そこで、令和五年度の芝浦と場における品質衛生管理の向上に向けた取組について伺います。
○渡邉市場政策担当部長 芝浦と場では、これまでも品質衛生管理の向上に向けて、老朽化した設備等の更新や、HACCPに基づく衛生管理に取り組んでおります。
令和五年度は、牛の解体ラインの一部で、と室内における作業環境改善のための空調設備の更新工事の機会を捉えて、品質衛生管理の向上に向けた設備等の改修工事も実施してまいります。
また、HACCPに基づく衛生管理の向上に向けた作業手順等に係る取組として、PDCAサイクルによる検証と改善を繰り返し、作業現場での衛生管理に対するルールの徹底及び職員の作業技術のより一層のレベルアップを図っていきます。
今後も、これらの取組を適切に実施することにより、芝浦と場の品質衛生管理の向上に取り組んでまいります。
○星委員 令和五年度においても、芝浦と場では、品質衛生管理の向上に向けた取組を継続して実施するということが確認をできました。
私は日頃より、品質衛生対策を推進していく上で、ソフト面での取組も不可欠でありますが、抜本的な対策として、設備等の更新によるハード面が重要だと考えております。
そこで、令和五年度における芝浦と場の品質衛生管理向上に向けた設備等の改修工事の内容について伺います。
○渡邉市場政策担当部長 令和五年度は、三つある牛の解体ラインのうち、一つのラインを約一年程度停止し、改修工事を実施します。
具体的には、と室内の老朽化した天井の空調機、配管、ダクト設備の全てを更新する際に、清掃やメンテナンス用の空間を創出することで、枝肉にほこりや汚れが付着しにくい施設構造といたします。
また、と畜解体作業で発生する高温水の跳ね水により枝肉が汚染されることを防ぐため、専用の配管工事を併せて実施し、排水を直接床に流さない構造に変更します。
さらに、内臓搬送コンベヤーの設置位置の変更等により、枝肉と機械設備等との接触による汚染の防止を図ってまいります。
これらを通じて、海外の国、地域ごとに定められている衛生基準に、より一層適用できるよう努め、食肉の輸出拡大につなげてまいります。
○星委員 本件工事は、おおむね約一年程度の工期が必要とのことでありました。工事に多くの時間がかかるのは仕方ないと思いますが、都民の食肉需要に対して安定的に供給をすることができるかが懸念をされます。
そこで、工事期間中においても、食肉安定供給を維持するためにどのような対策を講じるのか伺います。
○渡邉市場政策担当部長 工事期間中においても、可能な限り、と畜機能及び食肉の集荷機能を維持することが重要であると考えております。
具体的な方法としては、工事期間中に限り、残る二つの解体ラインで処理頭数を見直し、できるだけ芝浦と場全体で、と畜機能を維持することや外部のと場との連携による食肉の集荷機能の維持に努めてまいります。
また、改修工事におきまして、効率的な施工方法の検討などを通じて、工事期間そのものの短縮を図ってまいります。
これらの方策を業界と密接に連携し、着実に進めることにより、都民等に食肉を安定して供給できるよう、引き続き取り組んでまいります。
○星委員 食肉市場は、都内唯一の食肉流通の基幹的インフラとして極めて公共性の高い役割を担っており、今後も、その機能を十分に発揮していく必要があります。
そのため、このような衛生対策を通じて品質衛生管理の向上を図ることは、食肉の安全性の確保に加え、商品の付加価値を高め、食肉市場の魅力向上にもつながると考えます。
今回の工事により、品質衛生管理等の機能が強化されることで、食肉市場の魅力がますます向上することを希望いたしております。
最後に、公平、公正な取引環境の確保に向けた取組について伺います。
サプライチェーンの中間に位置する中央卸売市場が、産地で収穫された生鮮食品等を消費者等に安定的に送り届ける役割を着実に果たしていくためには、公平、公正な取引環境を確保し、取引の相手となる産地の実需者から信頼を得ることが極めて重要であります。
加えて、近年は、法令やルールを遵守することだけでなく、SDGsに貢献する取組やCSRなどの社会的な責任を果たしていくことを、消費者が購買行動に重視する傾向があるとのことであります。
先日、私が近所のスーパーで買物をした際も、持続可能な漁業により水揚げされた魚であることをPRするステッカーが貼られた商品に、買物に来た方が関心を持たれているのを見かけました。市場局に確認をしたところ、そのような持続可能な漁業を通じた流通を推進していこうと取り組んでいる事業者もおられると伺ったところであります。
今後も、中央卸売市場において、公平、公正な取引環境を確保していくためには、こうした消費者の動向にも表れてきている社会的な要請も踏まえて、あらゆる側面から市場に対する信頼を得ていくことが求められます。
そこで、事業運営に当たり、市場業者が法令を遵守することはもとより、社会的な責任も果たすことにより、取引等の信頼性を高めていくことが必要と考えますが、都の見解を伺います。
○前田事業部長 卸売市場が基幹的なインフラとしての役割を着実に果たしていくためには、公平かつ公正な取引環境を確保することはもとより、取引に関わる様々な方々から信頼を得ることが重要でございます。
そこで、来年度、市場業者が業務を行う上で、法令遵守だけでなく、環境負荷の軽減やSDGsの達成などにつながる企業行動を市場業者自らが点検し、自律的な改善を図ることができる方策について検討してまいります。
検討に当たりましては、他の業界での先行事例を調査するとともに、有識者へのヒアリングを行い、望ましい行動例を明らかにいたします。
また、これらを基に業界と意見交換を重ねた上で、行動を実践するための点検項目や改善方法を取りまとめ、業界と共有いたします。
これらによりまして、市場業者が社会的な責任をより一層果たすことができるよう取り組んでまいります。
○星委員 ありがとうございました。
ここまで、施設の老朽化対策や品質衛生管理、そして公平、公正な取引環境の確保に向けた取組について確認をしてまいりました。
いずれも中央卸売市場が基幹的インフラとしての役割を果たしていく上で欠かせないものであり、今後もしっかりと取り組んでいただくことを要望させていただいて、私の質問を終わります。
○山崎委員 私の方から、何問か質問をさせていただきたいと思いますが、初めに、市場業者の輸出力の強化、以前から私も、この事柄に対して質問を続けてまいりましたが、お聞きをしていきたいと思います。
人口減少による国内需要の減少が見込まれる中で、卸売市場の活発な取引を維持していくためには、市場業者が、やはり海外に目を向けて販路開拓に取り組み、収益力を高めていくことが重要であると考えます。
そして、昨今の円安の状況、市場業者による輸出の取組を推進するチャンスともいえると思います。例えば、豊洲市場では、シンガポールなどアジア圏に向けて、ウニやマグロなどの高単価商品、そういったものや、ホタテなど水産物等の輸出に力を入れる市場業者も少しずつ出てきていると聞いております。
そこでまず、市場業者による輸出拡大に向けて、都はどのような支援に取り組んできたのか伺います。
○渡邉市場政策担当部長 中央卸売市場が生鮮品等流通の基幹的なインフラとして、将来にわたって生鮮品等を安定的に供給していくためには、都が市場業者の輸出力強化の取組を支援し、市場業者の経営基盤を強化することが重要であります。
具体的には、令和元年度から、商談会等の販売促進活動や国際的な第三者認証取得への補助などにより、輸出力の強化に向けた市場業者の取組への支援を継続しております。
これらの取組に加え、令和二年度から、多様な品ぞろえや豊富な商品知識等を有する市場業者の強みを生かした海外販路開拓に向け、意欲のある業者同士をグループ化した上で、事業計画の策定支援やマーケティング研修を実施しており、今年度は、複数のグループがアドバイザーによる支援を活用しながら、具体的に海外企業などとの商談を進めているとの報告を受けているところでございます。
○山崎委員 令和元年度から、いろいろと取組を進めている。令和二年度からは、意欲のある業者同士をグループ化した上で、いろんな計画を策定して、マーケティングの研修などを支援している。で、今年度、複数のグループがアドバイザーによる支援を活用しながら、具体的に海外企業などと商談を進めているという報告を受けているというふうに、今答弁がありました。
そこで、ちょっとお聞きしたいんですが、この海外に向けた様々な取組、単体、グループ、いろんな方たちが参画をされていると思いますけれど、東京都が今、把握をしている単体はどのくらいあるのか、グループではどういった形の、数が大体ノミネートされているのか、把握している範囲で結構ですから教えてください。
○渡邉市場政策担当部長 昨年、豊洲市場の卸売業者にヒアリングをしたところ、台湾、東南アジア等に、合計で約三十五億円の輸出を行っている実績がございました。
また、グループでの活動につきましては、現在、七グループで、二十三社の業者の方に参画いただいて取組を進めているところでございます。
○山崎委員 今、七グループ、二十三社という数字をお答えいただきました。
令和元年から取組を進めてきている中で、いろいろと各年各年、輸出に向けて、いろいろと取り組んでいただいているのは分かるんですけれど、今、七グループ、二十三社とお聞きをすると、いささかまだ少ないのかなと。もちろん意欲のある人たちは、まだまだいっぱいいると思いますし、これからの販路拡大に向けても、そういったことは取組を継続してしっかりと進めていかなくてはならないと思っております。
ある意味、裾野をもう少し広げていくということも大変重要なことだと思いますが、輸出に取り組む市場業者の裾野を広げていく、そういったことに対してどのように取り組んでいくのか、併せて伺います。
○渡邉市場政策担当部長 中央卸売市場が市場全体で輸出に取り組む市場業者を増やすためには、市場業者の自主的な取組に加えて、都として後押ししていくことが重要であります。
このため、中央卸売市場では、新たに輸出による販路開拓を目指している市場業者の後押しができるよう、今年度の輸出グループによる取組の活動成果や輸出に係る相談機関等を取りまとめ、リーフレットやウェブを通じて情報発信を行ってまいります。
また、輸出に関心のある市場業者を対象に、直近の輸出動向等を踏まえたオンラインセミナーを開催することで、輸出に向けた検討の足がかりとなる場を提供してまいります。
さらに、認証の取得に至るまで長い期間を要する国際的な第三者認証の取得を一層促進するため、補助事業において債務負担行為を設定し、年度をまたぐ取組に対しても支援を講じてまいります。
○山崎委員 市場業者の輸出の取組の裾野を広げて、輸出力の強化を推進していくとの考え方、こういったことが、この考え方は確認ができましたが、もう一問、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
やはり、いろいろとこの輸出に向けて、今、渡邉部長がお話ししたように、答弁の中でいろんな債務負担行為を設定して、年度をまたぐ取組に対しても支援をしっかり講じていくよ、こういったことも大変重要なことです。裾野を広げていくよということも重要だと思います。
しかし、やはり東京都として、これは私の考え方を皆さんにぜひ判断をしていただきたいんですけれど、海外の輸出に向けて、東京都の市場当局が目標値、いつまでに、このくらいの目標を持って、例えば金額ベースでも結構です。どのくらいの取扱量でも結構です。どのぐらいのロットを持っていくでも結構です。そういった目標値というものをしっかりと立てていく、その必要性が私は絶対にあると思います。
やはり、いろいろな全国にも市場があります。各地各地の市場、例えば海外と取引している市場もあります。そういったところと、どうやってこの東京の中央卸売市場は戦っていくのか。まさに今、円安の中でチャンスともいえるこういった状況の中で、どうやって輸出に対する、そういう支援策を本気でやっていくのかということが今問われていると思います。
ですから、そういう意味も含めて、目標値というものをしっかりと掲げていかなくてはならないと思いますが、管理部長でも結構です、これは通告で、私、質問調整していませんでしたから、もしお答えがあるんだったら、管理部長、お答えいただきたいと思います。
○松田管理部長 今、委員からのご質問でございます。
私ども、輸出ということをやっていく、業界の方々とやっていくということでございますけれども、国内の需要、消費というものがなかなか上がらない、減少しているという中で、私ども、第一義的には開設者としまして、都民、国民の方々への食を満たすということでやってございますけれども、それ以外にも、輸出に向けて積極的にやっていくというスタンスはとても大事だというふうに思ってございます。
その中で、私ども、これは業界の方々がビジネスの中で創意工夫を重ねながら今まで進めてきたという経緯がございまして、それを私どもとしては後押しをしていくということも、遅ればせながらやってきたという状況がございまして、その中で、私ども、ご報告申し上げているとおり、七グループに、まずはやってみていただきたいということで、後押しも含めてやっているという状況でございます。
まずは、その七グループの方々がどういった取組をなさって、私どもがどんなサポートをして、その上で、成果、先ほど委員ございました数量的なものもそうですけれども、そういったものがどれだけ上がるかというものもしっかりつかみながら、私どもは、取扱数量であるとか金額であるとか、そういったものを常に把握する立場でもありますので、しっかり把握をした上で、その先に目標というものも踏まえながら、見据えながら対応していきたいというふうに考えてございます。
○山崎委員 突然で申し訳ございません。海外に新たな販路をやはり見いだして、市場業者の輸出力の強化に向けた取組を引き続いて継続して、しっかりと反映をしながら、都が積極的に支援をしていただくことを強く求めておきたいと思います。
次の質問に入ります。
次に、一般会計から市場会計への繰入れについて何点か伺います。
市場会計は、公営企業会計として独立採算を原則として運営をしており、市場業者が負担する市場使用料を主な収入としています。一方で、中央卸売市場が公的な役割を果たしていくための経費として、一般会計から繰入れが行われています。
私は、昨年十一月の事務事業質疑において、市場を取り巻く環境が大きく変わる中、都の中央卸売市場がその重要な使命を将来にわたり果たしていくために、一般会計からの繰入れの在り方について、しっかりと検討することを要望させていただきました。
そこで、令和五年度中央卸売市場会計予算案における一般会計からの繰入れの状況について伺います。
○萩原財政調整担当部長 令和五年度予算案におけます一般会計からの繰入額は約三十一億一千万円となり、令和四年度と比較いたしまして、約一億一千万円の増加となってございます。
増加した主な理由は、これまで一般会計からの繰入れ対象としてまいりました公正取引の実現を目的とした業務等に加えまして、淀橋市場の拡張整備に合わせて行う自動搬送など先端技術を活用した物流の高度化、効率化に係る実証事業につきまして、広く社会的な波及効果が見込まれることから、一般会計からの繰入れにより事業を実施することなどによるものでございます。
今後も、中央卸売市場が果たすべき社会的な役割の変化を踏まえまして、都民に対する説明責任を果たすことを前提として、一般会計で負担すべき行政的経費と、市場使用料で負担すべき営業的経費の対象の見直しに向けて取り組んでまいります。
○山崎委員 社会的波及効果が高い事業などを対象に、一般会計からの納入額の確保に向けて取り組んでいる、今の答弁で分かりました。
市場を取り巻く環境の変化とともに、卸売市場が担うべき公的な役割の範囲も変わってきております。こうした取組を好事例としながら、持続可能な市場運営の実現のため、財政当局としっかりと議論を重ねながら、継続的な見直しに向けて取り組むことを引き続き要望させていただきたいと思います。
続いて、豊洲のにぎわいに向けた取組の現状について伺っていきたいと思います。
本来であれば、豊洲市場の開場と同時に開業する予定であった千客万来施設、これまで紆余曲折があり、様々な理由が重なり、そのたびごとに施設の開業時期が遅れることとなりました。
昨年十一月の本委員会の質疑においては、それまでアナウンスされておりました竣工時期が令和五年の九月、開業予定時期が令和五年度冬期といったスケジュールについて再度確認をし、都側は、これ以上の遅れは許されないとの認識の下、工程管理を徹底していくということでありました。
また、開業に向けては、事業者は、開業日や施設の名称などを決定し、効果的なタイミングで公表していくことが重要であることも指摘をさせていただいたところです。
そして、先月、事業者である万葉倶楽部が開業予定日等について、令和六年二月一日に開業するという公表をされました。ちょうど開業から一年前となる節目の時期での公表となったわけであります。
施設の開業予定日が決まったことは、今後、建設工事やテナントリーシングなどのスケジュールを管理していく上で大変重要なことであります。そして、これらがいよいよ本事業にとって大切な時期になってくると思います。
それでは、初めに、先日の事業者による開業に向けた公表内容を改めて確認するとともに、今後、建物の竣工を経て、開業に至るまでの段取り、特に施設の核となるテナントに関わる部分のスケジュールについて伺います。
○北島渉外調整担当部長 事業者はこれまで、令和五年度冬期としていた開業予定について、施設の開業予定日を令和六年二月一日として、本年二月九日に公表させていただきました。
併せて、施設の仮の施設名称として、施設全体を千客万来施設、商業棟を豊洲場外江戸前市場、温浴棟を東京豊洲万葉倶楽部とすることや、施設の特徴についても公表させていただきました。
今後、事業者は、開業までの詳細なスケジュールを検討していくこととなりますが、本年九月の建物の竣工予定時期を目途に、主なテナントを決定していくとともに、各テナントは、おおむね十月から十二月に内装工事を行い、一月に施設の設備の試運転ですとか従業員の育成といった流れを経て、開業となる予定でございます。
○山崎委員 先日の事業者による公表内容と、今後の開業までのスケジュールについて確認ができました。しかし、内外の情勢や物価の上昇などをはじめとして、今後も事業が遅延するリスクはいろいろあると思います。引き続き、都による工程管理がより重要であることを指摘しておきます。
一方で、豊洲市場、豊洲のにぎわいのためには、千客万来施設の開業だけでなく、開業までの間、取組も重要だと考えます。
都は、十一月の私の質疑の中で、千客万来施設開業までの間、にぎわいの中核となる江戸前場下町の延長について、新たな運営方法を検討しているという答弁でありました。
江戸前場下町はこれまで、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により、来場者数が低迷し、苦しい状況が続いてきたところでありますが、千客万来施設の開業までのにぎわいにとって、なくてはならない重要な施設であります。
そこで、今後の江戸前場下町の運営について伺います。
○北島渉外調整担当部長 江戸前場下町は、千客万来施設が開業するまでの間、にぎわいを継続していくために不可欠な施設であり、今後も責任を持って対応していきます。
江戸前場下町は、当初は、今年度中に営業を終了する予定でありましたが、千客万来施設の開業予定時期が変更になったことに伴い、千客万来施設の開業まで、同施設の運営を行うことといたしました。
来年度は、新たな委託事業者からの企画提案を活用したにぎわいの創出に向けた新規の取組等を、都として実施していきます。
具体的には、体験イベントの開催や期間限定の物販等の展開、中庭等のスペースを活用した季節感のある催しの実施に加え、現在の店舗を活用した飲食等の営業について、これまでの開業日に加え、日曜の営業を実施するなどの取組を実施していきます。
○山崎委員 江戸前場下町は、千客万来施設が開業するまでの間、豊洲地区のにぎわいにおいて、最低限確保するべきものであります。都は、危機感を持って、責任を持って運営するとともに、活性化に向けた取組を行っていただきたいと思います。
また、豊洲地区のにぎわい確保については、江戸前場下町だけでなく、都は、開業までのにぎわいの創出に向けて、新たなイベントを実施するという、今の答弁でもありました。
そこで、都は来年度、どのようなイベントを実施する予定なのか、併せて伺います。
○北島渉外調整担当部長 都は来年度、にぎわいを面的、量的に充実させるため、江戸前場下町で実施するイベントに加え、千客万来施設のコンセプトを体験できる新たなイベントを実施していきます。
具体的には、四街区にある豊洲MiCHiの駅のオープンスペースの一部で、令和五年五月から十二月に定期的にイベントを実施することにより、地域のにぎわい創出をするとともに、千客万来施設の認知度向上も図ってまいります。
内容としては、豊洲市場ならではの新鮮な魚介類、青果等の素材を生かした商品の販売や飲食の提供、万葉倶楽部による千客万来施設のPRや足湯体験コーナー、市場業者や地域の商店によるブースの出展、販売などを予定しております。
○山崎委員 今、四街区のイベント、豊洲MiCHiの駅、こういったところと連携をしながら、そこを活用しながらイベントを実施するということが分かったんですけれど、江戸前場下町のあの場所は五街区ですよね。「ゆりかもめ」から降りて、もう目の前の、ある意味、あそこが一等地なんですよね。ですから、ある意味、その一等地である現在の場所、現在のあの場所で、五街区でやはり行うことが本来の意義だと、私は思いますよ。
ですから、もう一度、ちょっと聞きたいんですけれど、先ほど、今、答弁にあった四街区だけでなくて、五街区のイベント、こういったものを都がこれからやっていくという話ですけれど、イベントの予定というもの、もし、今、何かあるんだったらお聞かせをいただきたいと思います。
○北島渉外調整担当部長 現在の江戸前場下町におきましても各種イベントを実施する予定でございます。特に、江戸前場下町の中庭の部分のスペースでございますが、ああいったところで、実際ににぎやかしを得るようなイベント、そういったものを活用していきたいと考えております。
また、現在、空き店舗が出ておりますが、その空き店舗も使った形で新たなイベントを実施していく、そういったことを、今回、新たな事業者を使ってやっていく準備をしております。また、それは具体的には四月以降、そういった事業を展開していくような形での準備は進めている、そんな状況でございます。
以上です。
○山崎委員 ありがとうございました。
あくまでも四街区の方は、豊洲の市場ではないですから、そこはよく考えていただいて、昨年からイベントを四街区の方でもやられているのは、私、見ていますから、よく分かるんですけれど、やはり、今の五街区のあの場所でどういったことができるのか、都が主体を持ってやっていくにはどうしたらいいのかということを、運営事業者も替わるわけですから、しっかりと都がイニシアチブを持って取り組んでいただけたらありがたいなと思いますので、その点をよろしくお願いをしたいと思います。
その中で、地元の商店街の皆さんとも連携していくということも必ず必要なことだと思いますし、地元江東区とも連携をしていくことも重要だと思います。
また、豊洲と築地という関係性を見ると、やはり築地の皆さんとの連携というものも大変重要ですし、豊洲もいろんな、いつもいつも、私、お話ししていますけれど、各いろんな施設がありますよね。そことの連携というものも必須だと思いますので、そういったところも考えながら進めていただけたらありがたいなと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
地元で私も、豊洲のまち並み、いろんなところを歩いていると、やはり目につくのが千客万来施設であって、そこの建設現場をこうやって通ってみますと、商業棟の方の瓦の屋根や温浴棟の外壁が仕上がっていくのが非常に楽しみであるんですね。
豊洲のぐるり公園というところを歩きながら、つぶさに見ておりますと、そろそろ、こうなってきた、ああなってきたという進捗を確認しながら、私もウオーキングしたりしたこともあるんですけれど、そういった、ある意味、巨大な建物の全体像がこうやって、しっかりと分かってくるような、こういった時期になっております。建設が進むにつれて、地元の皆さんにも、新しい建物について興味や関心が高まっている、そういうふうにも感じております。
ほかの多くの施設と同じような施設を造っても私は意味がないと、正直思います。豊洲にしかないものとして誇れる、そういったものができるような施設、それが人々を引きつける要素となるといってまいりました。そのためには、当然、テナントリーシングが重要となりますが、外観を含む施設そのものの特徴も大切です。
そこで、改めて、施設の特徴について、ほかの施設にないような、どのような特徴を、売りがあるのか確認をしたいと思います。
○北島渉外調整担当部長 事業者は、商業棟では、伝統的な建築資材や多摩産材などを採用した木造建築により、江戸の古いまち並みを再現するとともに、築地の伝統を引き継ぎ、豊洲ならではの新鮮な食材等を生かした飲食、物販店舗等を展開する予定にしております。
また、温浴棟では、豊洲の景観を一望できる露天風呂や展望足湯庭園など、来場者が快適に滞在できる空間を提供いたします。
こうした施設が豊洲市場と一体となって運営されることにより、豊洲ならではのにぎわいを創出していくことができるよう、引き続き事業を推進してまいります。
○山崎委員 都内には多くの商業施設が存在しておりますけれど、人を引きつけるような印象に残る、そして居心地のよい建物であることは大変重要だと思います。ぜひ、新しい東京の顔になるような、そういう立派な施設に仕上げていただきたいと思います。
そして、本体施設の進捗とともに気になるのは、その周辺との関係についてであります。先ほど、豊洲ぐるり公園というお話もしましたけれど、豊洲のぐるり公園は、市場とその周辺一帯を、まさにぐるりと取り囲むような配置をされた公園であります。休日などには、多くの地元の方々や観光客が散歩をしたり、ジョギングをしたり、サイクリングなど、思い思いに過ごす憩いの場所となっております。
このぐるり公園と千客万来施設が安全にスムーズに往来ができる、こういったことが、公園にとっても、本施設にとっても、私は大変重要だと思います。
そこで、千客万来施設と周辺施設との円滑な往来に向けた取組について伺います。
○北島渉外調整担当部長 千客万来施設の整備によって、地域のまちづくりや活性化に貢献するためには、豊洲市場周辺の回遊性を向上させることが重要であります。
そのための取組の一つとして、都は、豊洲市場周辺の豊かな水辺空間を生かしたぐるり公園と千客万来施設の間を、市場内を通らずに直接、安全、快適に行き来できるよう、連絡橋を整備することとしております。
この連絡橋については、令和四年十一月に工事に着手し、これまで整地作業や配管工事等を実施してきており、千客万来施設の開業時に合わせて供用できるよう整備を進めてまいります。
○山崎委員 豊洲のぐるり公園との回遊性を高めるために、連絡橋を整備するとのことでありました。千客万来施設がにぎわいを生み出していくためには、周辺施設との連携をし、一体となって人を呼び込み、地域全体として活性化していくことが重要であると考えます。
まさに、このぐるり公園から千客万来施設に直接行ける、千客万来施設から直接ぐるり公園の方に散歩に行けるとか、ジョギングに行けるとか、これは大変大きなことだと思いますので、そういったところはしっかりと進めていただいて、また、この工事の期間、ぐるり公園に支障がないように、うまい工事の設定だとか、そういう取組を進めていただきたいと思います。
先ほども私ちょっと指摘をしましたけど、施設の特徴だけでなくて、施設の中身がどのようになるか、こういったことも最も重要であり、開業に向けて施設の中に出店するテナントは、千客万来施設の肝となる部分であり、にぎわいの成功を決めるといっても過言ではありません。
特に、過去の質疑でも確認をしてきましたが、市場業者や築地場外からの誘致に加え、地元の商店街等の連携など、豊洲ならではのにぎわいを創出していくというコンセプトに沿ったテナントリーシングを行うことは最も重要であります。
では、そこで、実際に現在のテナントリーシングの状況がどのようになっているのか、まず伺います。
○北島渉外調整担当部長 都は、テナントリーシングについて、事業者が築地場外からの誘致、市場業者や地元江東区の事業者等との連携といったテナントリーシングのコンセプトを踏まえた活動を行うよう、進捗管理を行っております。
現在、事業者は、テナントリーシングのコンセプトを踏まえた店舗構成となるよう、出店を希望するテナント企業との間で、出店に必要な様々な条件面での交渉を進めており、引き続き、百を超えるテナント企業との出店交渉を続けているとの報告を受けております。
○山崎委員 とにかく、このテナントリーシングは重要ですから、早く契約を結んで、万葉倶楽部と契約を結んでいただきながら、遅れのないように、出店者がちゃんと開業の時期にはそろう。例えば江東区、地元との連携も、もちろんです。東京全体との連携も、もちろんです。やはり築地の場外の皆さんとのいろんな連携も、もちろんです。
そして、テナントリーシングをしている、万葉倶楽部が主体となっているところが、この施設でどういったものがメインなのか、そういったことを考えた、目玉になるような、そういったところの事業者も、やっぱりしっかりと入れて、どの人たちが活用しても、すばらしいテナントリーシングであるよ、あったよというときに、開業時にちゃんといえるような、そういった出店をしていただければありがたいのかなと思いますので、よろしくお願いをさせていただきたいと思います。
築地の場外の人たちを取り込んでいくということは、私は、築地の場外の人たちが、その人たちだけが来いという話で来てほしいということだけではなくて、もちろん築地の場外でもやっていただきながら、豊洲のこの場外、ここにも参画をしてもらう、そういう意味合いでお話をしておりますので、そこは勘違いをしないでいただければと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
開業日が決定をし、建設工事にしても、テナントリーシングにしても、待ったなしの時期に突入をしております。都内では毎年のように新たな商業施設が誕生しておって、どの施設も、都民や観光客を楽しませる、それぞれに工夫を凝らした、たゆまぬ努力を続けておられます。千客万来施設についても、そうした施設に負けないよう、魅力的な店舗で埋め尽くされた状態でグランドオープンを迎えるように、しっかりと取り組んでいただくよう、引き続き開業に向けた努力をいただきたいと思います。
最後に、これまでの取組を踏まえて、千客万来施設が大きなにぎわいを創出できるよう、開業に向けてどのように取り組んでいくのか、改めて都の考え方を、市場長に最後聞きます。
○河内中央卸売市場長 千客万来施設は、築地特有の貴重な財産であるにぎわいを継承、発展させるとともに、豊洲ならではの活気やにぎわいを生み出すことで、豊洲市場の魅力を高めつつ、地域のまちづくりや活性化に貢献することを目的とし、整備を進めているものでございます。
こうした目的の実現に向けまして、事業者による建設工事が着実に進行しており、江戸のまち並みを再現する建物が姿を現しつつあります。本年九月の竣工に向けまして、都としても、より一層気を引き締めて、進捗管理を徹底してまいります。
また、豊洲でしか体感のできない、ほかにはない魅力を持った店舗が多く集まることで生み出される、にぎわいのある施設を目指していかなければなりません。そのため都は、事業者に対して、こうしたにぎわいを創出するというコンセプトに沿ったテナントリーシングを継続的に求めてまいります。
そして、令和六年二月一日の開業予定日まで既に一年を切っている現在、これから開業までの間、都民や地元区民に施設の魅力をしっかりとお伝えできるよう、事業者と都が連携し、施設のコンセプトや具体的な内容等につきまして丁寧な情報発信を実施してまいります。
これらの取組によりまして、この施設が都民や地元区民の期待や歓迎の中で開業するとともに、五十年間という長きにわたり、地元の皆様に親しまれ、地域のにぎわいに貢献できるよう、都は、事業者と共に、千客万来施設事業に全力を尽くしてまいりたいと考えております。
○山崎委員 千客万来施設が東京の新たな顔になるように、私もしっかり注視をしていきたいと思いますし、応援をさせていただきたいと思います。
以上で終わります。
○慶野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○慶野委員長 異議なしと認め、予算案に対する質疑は終了いたしました。
以上で中央卸売市場関係を終わります。
○慶野委員長 これより港湾局関係に入ります。
予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
第一号議案、令和五年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、港湾局所管分、第二十二号議案、第二十三号議案、第六十一号議案、第六十二号議案及び報告事項、東京港カーボンニュートラルポート(CNP)形成計画(案)について外一件を一括して議題といたします。
本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○相田理事 去る二月十日の当委員会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元の経済・港湾委員会要求資料をご覧願います。
表紙をおめくりいただきますと、目次に八件の資料の件名が記載してございます。
それでは、一ページをご覧ください。臨海副都心地域の土地処分実績でございます。
平成二十九年度から令和三年度までの五年間における土地処分の実績につきまして、各年度の面積、金額及び実績の内訳を記載しております。
単位については、面積は平方メートル、金額は百万円でございます。
二ページをご覧ください。臨海副都心地域を除く埋立地の土地処分実績でございます。
平成二十九年度から令和三年度までの五年間における土地処分の実績につきまして、各年度の面積、金額及び実績の内訳を記載しております。
単位については、面積は平方メートル、金額は百万円でございます。
三ページをご覧ください。臨海副都心における公共用途での土地処分実績でございます。
平成二十九年度から令和三年度までの五年間における土地処分の実績につきまして、それぞれ用途、面積及び金額を記載しております。
単位については、面積は平方メートル、金額は百万円でございます。
四ページをご覧ください。臨海副都心地域を除く埋立地における公共用途での土地処分実績でございます。
平成二十九年度から令和三年度までの五年間における土地処分の実績につきまして、それぞれ用途、面積及び金額を記載しております。
単位については、面積は平方メートル、金額は百万円でございます。
五ページをご覧ください。臨海副都心のまちづくりの都市基盤整備に要した事業費の推移と内訳でございます。
平成二十九年度から令和三年度までの五年間における臨海副都心のまちづくりの都市基盤整備に要した各年度の事業費と、その財源を一般会計、臨海地域開発事業会計、国費等の三つに区分して記載しております。
単位は、億円でございます。
六ページをご覧ください。港湾整備費におけるふ頭等の新規整備の事業費でございます。
令和元年度から令和五年度までの五年間の港湾整備費につきまして、ふ頭の新規整備分と道路等の新規整備分、その他の三つに区分して記載しております。
単位は、百万円でございます。
七ページをご覧ください。輸出、輸入別のコンテナ個数の推移でございます。
平成二十九年から令和三年までの五年間のコンテナ個数につきまして、全国、京浜港、東京港、それぞれの輸出、輸入、合計を記載しております。
単位は、千TEUでございます。
八ページをご覧ください。伊豆諸島各島への就航率の推移でございます。
平成三十年から令和四年までの五年間の就航率につきまして、大島から青ヶ島まで各島の貨客船と高速ジェット船、それぞれの就航率を記載しております。
単位は、パーセントでございます。
以上をもちまして、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○慶野委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○鈴木委員 私からは、大きく三項目について質問をさせていただきます。
まず、東京港における脱炭素化に向けた取組についてお伺いをさせていただきます。
東京港は、海外からの貨物や国内貨物を取り扱うふ頭が広範囲に配置され、ふ頭の背後には倉庫、冷凍冷蔵倉庫等の物流施設が集積するなど、東京や首都圏の産業と生活を支える一大物流拠点となっております。
とりわけ、港湾物流は、船舶輸送や荷役、トラック等の輸送に始まり、輸送された貨物を扱う工場や倉庫など、様々な民間事業者が一体として関わっており、港湾の脱炭素化を図るためには、こうした様々な民間事業者と協力して取り組んでいく必要があるわけでございます。
さきの我が党の代表質問において、都は今後、事業者と連携し、脱炭素化に向けた取組を進めていくとのことでありましたが、本日は、目標実現に向けた今後の取組などについて、具体的に質問をさせていただきたいと思っております。
そこでまず、確認のために、東京港カーボンニュートラルポート形成計画案を策定するに当たり、民間事業者の意見をどのように聞いてきたのかお伺いをいたします。
○猪倉港湾振興担当部長 東京港のカーボンニュートラルを実現するためには、東京港で活動する様々な民間事業者等と連携し、脱炭素化を官民一体で推進する必要がございます。
このため、令和四年六月に、東京港を利用する船会社や港湾運送事業者、倉庫事業者に加え、港湾機器メーカーやエネルギー事業者なども交えて、東京港カーボンニュートラルポート検討会を設置し、これまで計四回開催した会議の中で意見交換を重ねながら、脱炭素化に向けた取組や目標実現に向けたロードマップ等を検討してまいりました。
○鈴木委員 検討会を設置して、四回、その会議を開催して、ロードマップを検討中だということを、今確認をさせていただきました。いずれにしても、都が様々な民間事業者の意見をしっかりと聞いた上で、計画を策定しているというようなことでございます。
今回の形成計画案では、東京港の現状のCO2排出量が示されておりますが、排出量の多くは、民間事業者の事業活動に由来しているものと聞いております。民間事業者の脱炭素化が進まないことには、このカーボンニュートラルの実現は困難であるわけでございます。
しかしながら、東京港で物流活動を行っている事業者は、大手の事業者から中小企業まで様々であり、脱炭素化に取り組まなければならない意識は持ちつつも、具体的な取組を検討するまでには至っていない事業者も多いと聞いております。
また、脱炭素化に向けた設備投資等には相当の費用がかかるとともに、情報面や知識面等での制約もあるわけで、どのように取り組むのが適切なのか分からないという声も上がっております。
このため都は、計画策定後も、民間事業者の声にしっかりと耳を傾け、事業者の意向を踏まえながら、脱炭素化の取組を丁寧に進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
○猪倉港湾振興担当部長 カーボンニュートラルポート検討会では、民間事業者の皆様から、東京港の脱炭素化に向けた忌憚のないご意見を伺っており、一部の事業者の方々からは都に対し、脱炭素化の具体的な取組方法等を示してもらいたいとのご意見もいただきました。
このため今後、各業界の意向に沿って、民間事業者との意見交換の場を改めて設け、関係局と連携して、省エネや再生エネルギー活用に向けた支援制度の紹介等を通じて、民間事業者の実情に沿った取組を具体化してまいります。
今後とも、民間事業者の皆様から丁寧に意見を聞きながら、脱炭素化の取組を推進してまいります。
○鈴木委員 東京都には、今後も民間事業者にしっかりと寄り添って、事業者をサポートしながら、この脱炭素化の取組を促してもらいたいと、このようにお願いをしておきます。
さて、東京港のカーボンニュートラルを実現するためには、現在使用されているエネルギーをグリーン化に向けて大きく転換していく必要があります。
特にコンテナターミナルにおいては、数多くのコンテナを取り扱う荷役機械が日々大量の電力や軽油を使用しており、大きなCO2排出源となっていることから、東京港のカーボンニュートラルを実現する上で、この荷役の機械の脱炭素化を図ることが重要であります。
大型の機械等は更新サイクルも長くて、二〇三〇年のカーボンハーフ、あるいは二〇五〇年のカーボンニュートラルを実現するためには、早々に脱炭素化に対応した機械等に更新をしていく必要があるわけですが、そのためには民間事業者に大きな負担が生じることが懸念をされるわけです。
そこで都は、この荷役の機械の脱炭素化に向け、どのように取り組んでいくのか。この民間事業者の負担をどういうふうに軽減をしていくのかという、その辺をお伺いしたいと思います。
○猪倉港湾振興担当部長 東京港のカーボンニュートラルポートの実現に向けましては、コンテナターミナル等で使用されている荷役機械等の使用エネルギーにつきまして脱炭素化を図っていくことが大きな課題となってございます。
これまで、ハイブリッド型の荷役機械等の導入を促進し、荷役作業における省エネ化等が図られてはきておりますが、カーボンニュートラルを実現するため、さらに使用電力のグリーン化や水素エネルギーへの転換を進めてまいります。
具体的には、昨年七月に、品川・中央防波堤外側コンテナふ頭にグリーン電力を導入しており、令和六年四月には、全てのコンテナふ頭にグリーン電力を導入してまいります。
また、軽油で稼働しているタイヤ式トランスファークレーンを、将来、水素エネルギーで稼働させるため、来年度から水素燃料電池へ換装が可能な荷役機械を導入する場合、その費用の二分の一を補助する支援制度を開始してまいります。
○鈴木委員 来年度、令和五年度から導入費用の二分の一を支援するという大変踏み込んだ取組だと評価しております。民間事業者の脱炭素化が加速していくことを大いに期待しております。
さて、ただいま、水素エネルギーの活用について答弁がありましたが、再生可能エネルギー等で製造した水素は、カーボンニュートラルの実現に向けたエネルギーの一つとして期待されておりますが、これまで東京港ではあまり活用された実績はないものであります。
また、荷役機械等で大量の水素を利用することとなると、この供給体制の構築も大きな課題になると考えられます。
今後、東京港において水素エネルギーを本格的に活用していくため、都はどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
○猪倉港湾振興担当部長 荷役機械等で水素エネルギーを本格的に活用していくためには、まず、現在の荷役作業の中で期待される稼働時間や性能に水素エネルギーで対応できるのか、検証が必要となります。
このため来年度、大井ふ頭に導入されている既存の荷役機械を活用し、燃料電池に換装した上で、水素の運搬、充填、荷役作業を行い、運用における課題等を検証してまいります。
さらに、将来、東京港で円滑に水素が使用できるよう、供給体制についても検討が必要でございます。
このため、川崎市で検討が進められている川崎臨海部での海外からの水素受入れや、大田区での水素利活用の取組等を念頭に、パイプラインを含む水素の供給方法や水素供給に必要な施設整備等につきまして、関係局と連携して、関係する自治体やエネルギー事業者等と検討を進めてまいります。
○鈴木委員 先日、小池知事と私どもの松原区長と川崎の市長さんと会見が行われたわけでございまして、この水素活用の取組には、私どもの区としても大変期待をしているところでございまして、今、答弁をいただいたような十分な支援というものをしっかりとやっていただきたいと、このようにお願いをしておきたいと思います。
大田区は、空港臨海部グランドビジョン二〇四〇において、水素を重要な次世代エネルギーの一つとして位置づけ、羽田空港の周辺地域における水素需要の調査を実施しており、今後、水素などの次世代エネルギー供給ステーションの整備など、新たなエネルギーインフラの整備や構築の支援を行うとしております。
ぜひ今後も、大田区を含めた関係者としっかりと連携し、水素の需要創出や供給体制の構築に向け、様々な角度から検討を進めていただきたいと思います。
今後とも、東京港が首都圏の経済活動を支え、持続的に利用されていくため、脱炭素化に向けた取組を着実に推進していくことを要望させていただきたいと思います。
次に、気候変動の影響に対応した防潮堤のかさ上げについてお伺いをさせていただきます。
東京湾沿岸海岸保全基本計画についてなんですが、都議会自民党は、海岸保全施設の整備推進を長年にわたり強く都に求めてまいりましたが、伊勢湾台風級の台風による高潮にも対応できる防潮堤が概成して、今日の東京は、高潮に対する安全性が確保されている状況にある、このようにいわれているわけでございます。
しかしながら、現在、地球温暖化の問題が深刻化しつつあることによって、新たなリスクが生じているわけです。国連の気候変動に関する政府間パネル、IPCCの報告によると、将来、気温が二度上昇した場合に、二一〇〇年には世界の平均海面水位が最大で約六十センチ上昇すると予測をされているわけです。海面水位そのものが上昇すれば、当然、高潮も高くなることから、現在のこの防潮堤の高さで本当に大丈夫なのかという懸念が生じているところであります。
この課題に対し、都は今般、東京湾沿岸海岸保全基本計画を改定をして、海岸保全施設の機能強化を推進していくことを明らかにいたしました。気候変動の影響を考慮した基本計画の改定は、全国初の取組とのことであり、都の迅速な行動は評価できるものでありますが、本日は、今回の改定案の柱である防潮堤のかさ上げについてお伺いをさせていただきたいと思っております。
まず、初めに、基本計画案に示されている防潮堤のかさ上げの高さは、地区により異なっていますよね。異なっているが、どのような考え方により設定をしているのか、まず伺います。
○片寄港湾整備部長 防潮堤の高さにつきましては、満潮時における東京港の水位に、台風による気圧低下に伴う水位の上昇分と、波の高さを加えて設定しております。
満潮時における水位は、将来、気温の上昇によって東京港内のいずれの地区でも同じ高さで上昇すると見込まれておりますが、台風による気圧低下に伴う水位の上昇や波の高さにつきましては、地形や防波堤などの構造物等により地区ごとに差が生じてまいります。
このため港湾局では、令和二年度に有識者等による技術検討会を立ち上げ、これらの要素を踏まえて気候変動による影響についての検討を進め、今後整備すべき防潮堤の高さを設定したところでございます。
○鈴木委員 今後整備するとしている防潮堤の高さについては、水位の上昇の高さだけではなくて、東京港内の地形等の状況も踏まえ、有識者の議論を経て設定したとのことであります。丁寧な分析と議論を行っていることは、都民の安全・安心を確実に確保していくという点からは評価をさせていただきます。
首都東京という都市の重要性に鑑みて、海面水位の上昇という将来の危機に対して着実に対応していくことは極めて重要なことであると思いますが、今回の計画案によると、防潮堤のかさ上げは、今後十か年で整備する地区や、その後二一〇〇年までに整備する地区など、整備時期に相当な違いが生じているわけであります。
防潮堤のかさ上げの時期が、地区によって異なっている理由と整備の進め方についても伺います。
○片寄港湾整備部長 海面水位の上昇は、主に南極の氷床が解けることにより発生するものであり、経年的に少しずつ上昇すると予測されていることから、防潮堤の高さもこれに応じて徐々に不足していくことが見込まれております。
このため、現在の防潮堤の高さと今後予測される水位上昇の高さを箇所ごとに比較検討した上で、早期に高さが不足することが予測される地区から、順次防潮堤のかさ上げを実施していくことといたしました。
具体的には、まずは、今後十か年で、品川区、大田区の京浜運河沿いなど、約二十四キロメートルにおいてかさ上げを行う計画でございます。その後二一〇〇年までに、港区の竹芝ふ頭付近など、約九キロメートルについてかさ上げを行う予定でございます。
なお、残りの約二十三キロメートルにつきましては、二一〇〇年までにかさ上げを行う必要はないと判断しております。
○鈴木委員 今、かなりはっきりと今後の整備の仕方というものもお示しをいただきました。防潮堤の高さに不足が生じる時期が地区ごとによって異なるために、このかさ上げを行う時期にも違いがあるとのことでありますが、一方で、気候変動の影響は長期的な現象であることから、将来の海面水位の上昇は、必ずしも想定どおりとはならない可能性もあるのではないかというふうにも思っております。
そこで、防潮堤のかさ上げに関しては、気候変動による影響の予測が今後変わる場合があることも想定した上で適切に進めていくべきであると私は考えるんですが、見解を伺います。
○片寄港湾整備部長 気候変動の影響は長期に及ぶものであり、予測には不確実性が含まれていることから、防潮堤のかさ上げに当たりましては、状況の変化に的確に対応していくことが必要でございます。
このため、防潮堤のかさ上げは段階的に整備することとし、コンクリート構造物の耐用年数などを踏まえ、まずは、おおむね五十年後を見据えた高さで整備を行い、その後、改めて必要なかさ上げを実施していくこととしております。
加えて、海面水位の上昇について定期的にモニタリング調査を行うとともに、IPCCなどによる最新の知見を踏まえながら計画の見直しを行い、求められる高さの防潮堤の整備を進めてまいります。
こうした取組により気候変動の影響に確実に対応していくことで、都民の安全・安心を万全なものとしてまいります。
○鈴木委員 状況の変化に的確に対応する、あるいは定期的にモニタリング調査を行う、計画の見直しを行う、そういったことをしっかりとやりながら、都民の安全・安心な、万全な対策をしっかりとやっていただきたいと、このように要望しておきたいと思います。
IPCCによる海面水位の上昇予測は、将来の気温が二度上昇した場合のものであります。パリ協定では、世界共通の長期目標を二度未満としているわけでありますが、国連の報告書では、これまでの気候変動対策の実施状況のままでは、気温がさらに上昇をする見込みと示されているなど、予断を許さない状況ともいえるわけです。
気候変動の影響が上振れした場合でも、海岸保全施設が的確に機能をして、都民の生命、財産を守れるよう、適時、計画を見直しながら取組を進めていただきたいと思います。
いずれにしても、都民のための安全で安心な都市を実現していくために、引き続き、海岸保全施設の整備推進を計画的な予算づけをして進めていただきたい、このように要望をさせていただきます。
三点目なんですが、大島空港の活性化について、ぜひお伺いをしたいと思います。
私が初めて大島を訪れたのは高校時代なんですが、ちょうど修学旅行がなくなりまして、クラスごとに企画をして旅行をすることになりました。私が幹事で、大島に行こうと。大島のツバキを見に行こうじゃないか、そんなことで企画をさせていただいたのが、大島に行った初めてのことでございますけれども、それから何度か大島を訪れさせていただいて、島のすばらしさ、東京にもこんなオアシスがあるんだなということをいつも感じております。
島しょ地域の経済を活性化していくためには、主要産業の一つである観光の振興に取り組む必要が不可欠であります。島にある港や空港は、観光客や島民が本土との間を行き来する際に必ず利用する交通拠点でありますが、この空港ターミナル等の施設を活用して、島の魅力を発信していくことも観光振興を図る上で大変有効だと思っております。
特に大島空港については、にぎわい創出を図るための取組が進められていると聞いておりますが、本日は、大島空港の活性化について質問をしておきたいと思います。
本土から大島へのアクセスは船舶と航空機がありますが、航空機は調布飛行場から僅か二十五分で行ける点が強みですよね。しかし、船でのアクセスが比較的容易なため、航空機の存在が埋もれがちな面もあるのではないかと考えております。また、現在の大島空港への定期便はプロペラ機のみであるが、かつては羽田からジェット機が就航しており、滑走路はジェット機にも対応できる長さとなっているわけであります。
こうした大島空港の特徴を積極的にPRし、活性化を図れば、全国から観光客を誘致することにもつなげられるのではないかと思っているわけです。
そこで、東京都はこれまで、大島空港の活性化にどのように取り組んできたのかお伺いします。
○村田離島港湾部長 これまで都は、大島のさらなる観光振興に向け、空の玄関口である大島空港を活用して、にぎわい創出を図る取組を展開してまいりました。
昨年度は、大島空港の愛称を一般公募し、ツバキの英語名であるカメリアを用いて、東京大島かめりあ空港と命名しました。二千人を超える方から応募いただき、空港や大島の知名度向上に寄与したと認識しております。現在は、グーグルマップの表示や路線バスの停留所名も愛称に変更されるなど、着実に浸透しているところでございます。
また、ジェット機の離着陸が可能な滑走路を有しているというメリットを生かしてチャーター便を誘致するため、運航事業者による大島の視察を実施するとともに、ジェット機への乗り降りの際に必要となる旅客用ステップなどの資機材の調達支援などを行いました。その結果、これまでに、広島、新潟、仙台など、全国各地の空港から計十二便の就航を実現させ、地域の活性化につながったと考えております。
今後とも、地元自治体等と連携しつつ、大島空港のPRを積極的に展開し、チャーター便のさらなる誘致に向けて積極的に取り組んでまいります。
○鈴木委員 空港の愛称に、ツバキを表すカメリアという名前を入れることで、大島の特色が端的に伝わって、観光地としての魅力をアピールすることにつながっていると思います。今後も積極的にPRを行ってもらいたいとお願いをしておきます。
また、チャーター便は、全国各地の空港から直接大島に行けることが大きなメリットであり、観光客の新たなアクセス手段として期待できるわけです。町や観光関係者とも連携しながら、引き続き誘致活動を積極的に行ってもらいたいと思います。
こうした大島空港の活性化に向けたソフト面での取組に加え、大島を訪れる観光客が最初に目にする建物である、この空港ターミナルを魅力ある施設としていく取組というのも重要ではないかと考えています。
都は、今後、空港ターミナルの改修を行う予定であるとは聞いておりますが、空港ターミナルを利用者にとって利便性のよいものとするとともに、にぎわいの向上にも資する建物にすべきではないのかなというふうに考えているんですが、具体的な取組について伺います。
○村田離島港湾部長 大島空港ターミナルは、老朽化が進行していることから、今後改修を行う予定であり、現在、設計を進めております。
改修に当たっては、現在、二階にある搭乗口を一階に移動し、搭乗のための全ての手続を一階で完結できるようにすることで、乗客の利便性を向上させてまいります。
また、二階部分は、搭乗口の移動により空いた場所を広いオープンスペースとし、現在あるレストランと併せて、イベントやリモートワークを行える場所として活用できるようにすることで、地域のにぎわい向上につなげてまいります。
さらに、利用者が航空機や富士山の景観などを楽しめる展望エリアを施設内に設けるなど、島民を含め多くの人たちに楽しんでいただける魅力ある施設としてまいります。
○鈴木委員 私の住んでいる大田区にある羽田空港も、区民が、お休みになると買物に行ったり、お食事に行ったりという、そういったにぎわいの場にもなっているわけでして、大島の島民の皆様にとっても本当にいい施設になっていただけるように、ぜひお願いをしたいなというふうに思っております。
さらに、利用者が航空機や富士山の景観などを楽しめる展望エリアを施設内に設けるなど、島民を含めた多くの人たちに楽しんでいただける魅力ある施設としていくというようなことでございますので、期待をしております。
乗客の利便性向上と地域のにぎわいづくりの双方に配慮することに加えて、リモートワークも可能な場所を設けるというのは新たな視点だと思っております。リモートワークが定着をしたことで、これまでの仕事を継続しながらこれを機に島に移住する、ワーケーションとして長期に滞在することも可能になってくるわけです。来島者の増加につながる取組であり、空港には、ぜひ、そうした環境も必要だと考えます。よい施設となるよう改修を進めていただきたいと思います。
ところで、大島空港は、都と調布市、府中市、三鷹市の協定に基づいて調布飛行場から移転させることとされている自家用機の受入先でもあるわけです。大島にとっても、自家用機が大島空港を利用するようになれば、パイロットや乗降客が観光で訪れて、宿泊や食事をしたり、お土産物を購入することなどが期待をされて、地域経済の活性化にもつながるのではないかと考えております。
都は、大島空港への自家用機の移転を積極的に進めていくべきと考えておりますが、見解を伺います。
○村田離島港湾部長 調布市などの地元三市との協定に基づき、調布飛行場の自家用機の分散移転を進めることは重要であると認識しております。
都はこれまで、調布飛行場に最も近い都営空港である大島空港を有力な移転先とし、分散移転の取組を進めてきており、令和三年には格納庫の整備を完了させました。
現在は、自家用機団体と移転に関する協議を重ねつつ、自家用機が大島空港に常駐するために必要な給油設備について、来年度の完成を目指し、工事を進めているところでございます。
さらに、来年度、自家用機所有者に対する支援策として、大島空港の利用に伴って生じる交通費や備品購入費等を想定し、必要な費用を補助する新たな制度を創設することとしており、こうした取組によって大島空港への移転推進を図ってまいります。
なお、調布飛行場からの分散移転の取組を前進させるため、移転先のさらなる確保に向けた首都圏の空港に関する調査も進めてまいります。
こうした取組を進めながら、所有者と粘り強く交渉を続け、分散移転の実現を目指してまいります。
○鈴木委員 自家用機の分散移転は、地元市が強く求めているというふうに伺っておりますし、一方で、大島にとってもメリットがあることから、少しでも早く実現できるよう、都は引き続き、積極的に取り組んでいただきたいと思います。
これまで、大島空港の活性化に関する取組についてお伺いをしてまいりました。
大島は、噴火がつくり出した景観を備え、三百万本ものツバキが咲き誇るなど、本土からも近い風光明媚な観光地として、さらに多くの人を引きつける可能性を秘めた島であります。
港湾局は、アクセス拠点である空港を管理する立場から、今後も大島空港の活性化に取り組み、大島の観光振興につなげていただくよう要望いたしまして、私の質問を終わります。
○藤井委員 私からも、報告事項と予算案についての確認、質問をさせていただきます。
まずは、東京港カーボンニュートラルポート(CNP)形成計画(案)についてお伺いをいたします。
二〇五〇年のゼロエミッション東京を目指して、CO2排出量の削減を進めている中でありまして、東京港においても、港湾物流活動から排出されるCO2の削減というのが必要になってまいります。
今回報告のありましたCNP、この形成計画案では、二〇二〇年時点の東京港のCO2排出量は、都全体の排出量の約一%に相当する五十八・六万トンとなっておりまして、二〇三〇年カーボンハーフ、そして二〇五〇年までのカーボンニュートラルを実現することを目標としております。
ちなみにですが、都庁、この知事部局全体で六十五・八万トンのCO2排出をしているということで、それに相当する、同じぐらいの量ということで、これを減らしていくのは大変難しいところではあるんですが、非常に重要なものと認識をしております。
先ほど来、ちょっと私、繰り返させていただいているんですが、二〇三〇年のカーボンハーフに向けては既存技術の徹底的な活用が必要で、そして、二〇五〇年の脱炭素、カーボンニュートラルを実現するためには、さらなるイノベーションが必要といわれております。
現在、気候変動対策をテクノロジー等で解決をするクライメートテックなどのスタートアップをはじめとした新技術にも期待が集まっているところでありますが、東京港のカーボンニュートラルポート実現に向けて、都はどのように進めていくのかお伺いをいたします。
○猪倉港湾振興担当部長 東京港におきまして二〇五〇年カーボンニュートラルを実現するためには、使用されている機器等の省エネ化や使用電力のグリーン化などに加え、化石燃料から水素等次世代エネルギーへの転換などが必要でございます。
このため形成計画案では、外貿コンテナふ頭における全てのタイヤ式トランスファークレーンのFC換装型等への転換や、フォークリフトやトレーラーヘッドなどの電動化、FC化等の取組を位置づけているところでございます。
現在、こうした機器につきましては、各メーカー等において開発中のものも多く、来年度、タイヤ式トランスファークレーンの動力をFCに換装し、水素の運搬、充填、荷役作業を行うプロジェクトを実施するなど、運用面、技術面の課題を検証しながら取組を進めてまいります。
クライメートテックに取り組むスタートアップ等によるイノベーションにも期待しつつ、民間の技術開発動向を注視しながら、東京港のカーボンニュートラルポート実現に向けて取り組んでまいります。
○藤井委員 ありがとうございます。
今すぐできる電動化、またFC化の取組に加えて、脱炭素に向けましては、まだない技術、例えば、CO2の回収の技術などありますが、こういったものを東京港において、スタートアップも含めた新技術やイノベーションを積極的に試したり活用する場として、民間も巻き込みながら、脱炭素に向けて進めていただくことを要望させていただきます。
続きまして、グリーン水素を活用した臨海副都心の脱炭素化に向けた取組について伺います。
近年、気候変動対策は、経済的な制約や社会的なコストとしてではなくて、成長の機会として捉えるということが、ヨーロッパやアメリカ、世界の潮流となってきております。そういった視点から、私たち都民ファーストの会東京都議団もこれまで、東京版グリーンニューディールを提案してまいりました。
このグリーン分野というのは産業をつくることができる、日本が、東京が、世界に貢献できる分野だと考えております。脱炭素の取組を加速することによって東京のプレゼンスを高めていくことが、今求められております。とりわけ、これまでも環境に配慮したまちづくりを進めてきた臨海副都心では、脱炭素化に向けた施策を一層推進する必要があります。
そこで、臨海副都心では、これまでどのような取組を行ってきたのか、改めてお伺いします。
○佐藤開発調整担当部長島しょ空港技術担当部長兼務 臨海副都心では、開発当初から、地域に冷暖房機能を提供する地域熱供給を導入するなど、環境に配慮した取組を進めてまいりました。
具体的には、地域内の複数の建物の冷暖房需要をまとめ、大規模な機器を導入することにより、スケールメリットを生かし、効率的な熱供給を行っております。加えて、地域内の清掃工場から排出される熱エネルギーを地域熱供給に有効活用しております。
こうした取組により、建物ごとに冷暖房機能を設置する場合に比べ、エネルギー消費を抑え、CO2の排出を削減しております。
○藤井委員 ご答弁いただきまして、臨海副都心では、これまでも地域熱供給を導入するなど、清掃工場から排出されるエネルギーを有効活用しており、開発段階から環境に配慮したまちづくりを進めてきたということを確認させていただきました。
二〇三〇年カーボンハーフ、そして二〇五〇年のカーボンニュートラル達成のためには、まず、現状を把握する必要があると思います。
そこで、臨海副都心におけるCO2の排出量をお伺いいたします。
○佐藤開発調整担当部長島しょ空港技術担当部長兼務 都では、臨海副都心におけるCO2排出量を把握するため、今年度、台場、青海及び有明南地区の進出事業者を対象に調査を実施し、CO2排出量の推計を行っております。
その結果、コロナ禍以前の二〇一九年度時点におけるCO2排出量は、年間約二十八万トンと推計されました。主な内訳としましては、業務部門からの排出が全体の約九割を占めており、オフィスビルや商業施設が立ち並ぶ臨海副都心の特色が反映される結果となっております。
○藤井委員 臨海副都心におけるCO2等の排出量というのは二十八万トンと推計されたということであります。先ほどの東京港では五十八万トン、そして知事部局全体では大体六十五万トンということでありまして、やはり、二十八万トンというのも非常に多い量だと思います。
加えて、調査の中で、やはり臨海副都心の特色として業務部門の九割ということでありまして、CO2の削減に向けては、この業務部門での取組が必要であるということを確認させていただきました。
先日の私たちの代表質問において、カーボンニュートラル、脱炭素に向けた先進的な取組を臨海副都心で展開していくべきとの提案をさせていただきまして、都から、研究機関と連携して、地域熱供給にグリーン水素を活用した水素混焼ボイラーを全国で初めて実装するとの答弁がありました。
この取組は、先ほどのご答弁で明らかになりました臨海副都心におけるCO2排出量の約九割を占める業務部門の脱炭素にも寄与するものと期待をしております。
水素混焼ボイラーの実装に向けて具体的にどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
○佐藤開発調整担当部長島しょ空港技術担当部長兼務 臨海都心では、オフィスビルや商業施設などの業務部門の施設が地域熱供給を利用しており、水素混焼ボイラーを実装し、グリーン水素を活用することは、業務部門の脱炭素化を図る上で重要な取組でございます。
本取組は、これまで前例がないことから、安全かつ安定的な稼働の実現に向けては、水素エネルギーの活用に関する高度な専門知識が必要となります。
そこで、先月、都は、臨海副都心における水素を活用した脱炭素化の推進に関して、水素や再生可能エネルギーに関わる最先端の研究を行う国の産業技術総合研究所と協定を締結いたしました。
本協定に基づき、地域熱供給における水素の安全な貯蔵技術や、水素混焼ボイラーへの安定的な水素供給技術に関する研究開発を行い、実装へとつなげてまいります。
○藤井委員 これまでに前例がない全国初の取組をされるということでありまして、最先端かつ最大級の国立研究機関であります産業技術総合研究所と協定を結んで進めているということであります。しっかりと技術的課題を乗り越えて、確実に実装できるように進めていただきたいと思います。
臨海副都心の脱炭素化に向けては、地域熱供給でグリーン水素を活用し、その効果を地域全体に波及させていくということに加えて、進出事業者自らの取組というのも不可欠であると考えます。
都は、脱炭素化に向けた進出事業者の取組を促していくべきと考えますが、見解を伺います。
○佐藤開発調整担当部長島しょ空港技術担当部長兼務 臨海副都心の脱炭素化を進めるためには、オフィスビルや商業施設から排出されるCO2を削減する取組を促進していくことも重要でございます。
そこで都は、グリーン水素と太陽光を活用したハイブリッド型の電力供給モデルを構築することにより、再エネ由来による電力を安定的に創出し、ビル照明等に活用することといたしました。こうした脱炭素化モデルを示すことで、進出事業者の取組機運の醸成につなげてまいります。
さらに、新たに脱炭素化の推進に関する検討委員会を進出事業者と共に立ち上げ、事業者同士の情報交換や、国や都の支援制度の紹介などを通じて、進出事業者による取組の具体化を後押ししてまいります。
○藤井委員 民間事業者の皆さんと検討委員会を立ち上げて、まさに脱炭素化を進めていくということであります。脱炭素化の必要性に関しては理解していても、具体的に何をしていいのか分からないという事業者さんも多いと思いますので、しっかりと地域と一緒に取り組んでいっていただきたいと思います。
先ほど来、ちょっと繰り返しになってしまうんですが、やはり、カーボンハーフに向けては、今あるもので何とか達成できる、これも大変なんですが、徹底的に取り組むことで達成できると思います。一方で、やはり脱炭素、ネットゼロを目指すというところに関しては、まだまだ技術的にも足りないところがありますし、非常に厳しい状況だと認識をしております。
先ほど来申し上げておりますとおり、スタートアップであったり、そういった新しい技術、また、実際、都も取り組んでおりますが、そういった新しいものへの取組をしっかりと進めていただいて、先駆的な取組をしっかりと進めていただいて、この臨海副都心のプレゼンス向上につなげていただいて、さらに、まち全体の脱炭素に向けた取組を加速させていただきたいと要望させていただきます。
以上で質問を終えさせていただきます。
○慶野委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後五時十八分休憩
午後五時三十五分開議
○慶野委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○斉藤委員 よろしくお願いします。
私の方からは、気候変動の影響に対応した津波、高潮対策について伺いたいと思います。
パリ協定では、気温上昇を二度未満に抑えることが目標とされておりますけれども、先ほど鈴木副委員長からもお話がありましたが、将来、気温が二度上昇した場合、二一〇〇年には世界の平均海面水位が最大約六十センチ上昇すると。
また、降雨量につきましても、関東地方で二〇四〇年頃までに約一・一倍になるという予測がそれぞれ、例えば国連関係とか国からデータが出されているところであります。
この問題に関しましては、昨年の経済・港湾委員会におきまして、我が党のまつば委員が、こうした予測を踏まえまして、津波、高潮対策の強化を図るべきことを指摘いたしまして、都からは、今年度中に東京湾沿岸海岸保全基本計画を改定して、防潮堤や排水機場などの海岸保全施設の機能強化に取り組んでいくという答弁をいただいたところでございます。
今定例会では、まさにその基本計画の改定案が港湾局から報告されているわけでありますけれども、防潮堤のかさ上げについては先ほど質疑がございましたので、私の方からは、排水機場に関する今後の取組について確認をさせていただきたいと思います。
排水機場は、水門閉鎖時に運河や川の水位が雨によって上昇し氾濫することを防ぐために、ポンプで強制的に排水する施設でありますけれども、気候変動によって降雨量が増大することが予測されている中で、その機能強化が大きな課題となっているところであります。
そこでまず、港湾局が設置している各排水機場の現在の排水能力について確認をさせていただきたいと思います。
○片寄港湾整備部長 東京港における排水機場は、砂町運河や辰巳運河等のある江東地区、芝浦運河や天王洲運河等のある芝浦地区、築地川及び汐留川のある浜離宮地区にそれぞれ整備されております。
各排水機場には、それぞれの地区の必要排水量に応じたポンプが設置されており、江東地区の辰巳排水機場は一秒間に六十九立方メートルを排水できる能力を有しております。これは、学校の標準的なプールを約三秒で空にすることができるほどの強力な排水能力でございます。
同様に、芝浦地区の芝浦排水機場は一秒当たり四十四立方メートル、浜離宮地区の浜離宮排水機場は一秒当たり四十二立方メートルの排水能力を有しております。
○斉藤委員 この排水の能力をイメージするために、プールの水を思い浮かべていただいた場合に、その学校の標準的なプールの水を約三秒間で空にする、それぐらいの勢い、すごい強力な排水の能力があるということですが、この強力なポンプを設置して、運河の水を強制的に排水しているということでありますけれども、この気候変動の影響によって、先ほど申し上げましたが、降雨量が増大することになれば、当然この排水機場の能力を強化することが必要になってくるわけであります。
そこで、この降雨量が増大することによって既存の施設の排水能力が不足することになると思いますけれども、どの程度の排水能力が必要となるのかを次に伺いたいと思います。
○片寄港湾整備部長 排水機場に必要とされる排水能力につきましては、降雨量に加え、運河等に下水道を通じて流入する雨水など、全ての水量の変化を考慮する必要がございます。このため港湾局では、将来の降雨量や下水道施設の計画等を考慮してシミュレーションを実施し、それぞれの地区で将来必要となる排水量の検討を行いました。
この結果、江東地区につきましては現在の約一・三倍、芝浦地区につきましては約一・六倍の排水能力が必要とされることが明らかになりました。
なお、浜離宮地区につきましては、下水道幹線の整備によって地区外へ雨水が排出されるようになり、内水氾濫の危険性がなくなったため、排水機場そのものを廃止する予定でございます。
○斉藤委員 この三地区のうち、一地区、浜離宮地区につきましては、下水道幹線の整備によって排水機場の用途がその使命を終える、廃止する予定であるということで、二地区について、現在の排水能力では対応できないので、それを強化しなきゃいけないという、その前提となるデータのお話でございました。
これらの地区には、商業施設や交通インフラなどの都市機能が高度に集積しております。今後、この気候変動に伴います自然災害の激甚化が予測される中で、都民生活の安全・安心を守るとともに、首都東京の機能を確実に維持していくためには、防潮堤のかさ上げに加えまして、この排水機場の機能強化が必須であります。
東京都は、この排水機場の機能強化を進めていくべきでありますけれども、具体的な取組について伺いたいと思います。
○片寄港湾整備部長 気候変動による降雨量の増大に適切に対応していくためには、排水機場の機能強化に向けた施設整備が必要でございます。このため、芝浦地区につきましては、既存の排水機場に隣接する用地に排水機場を増設してまいります。
また、江東地区につきましても、江東区辰巳や新砂を候補地として排水機場の増設を行うことで、必要な排水能力を確実に確保してまいります。
今後、具体的な整備内容やスケジュール等に関する検討を行った上で、排水機場の増設に速やかに着手し、施設整備を着実に進めることで、都民の安全・安心の確保に万全を期してまいります。
○斉藤委員 この気候変動に伴う降雨量の増大という危機に対しまして速やかに行動して、都民生活の安全・安心と首都東京の機能維持を図っていくことは極めて重要でございますけれども、要するに、災害というのは、発災したときに事後的に大変だということにならないようにしなければいけないんですが、事前にその必要性を都民自身が、やっぱり納税される都民自身が、共に災害に強い都市づくりに参加していかなきゃいけないわけですけども、なかなかその予算の面でも、大変大きなコストと時間がかかる事業だと思います。
この排水機場の増設は大規模な事業でございまして、相当な費用がかかることが予想されることから、この事業の実施に当たっては、当然そのコストの圧縮、これは必要以上に膨らんでいかないように十分に検討していただく必要もありますけれども、併せて都市機能を守るためにも、生命、財産を守るためにも、都民の理解、これがぜひ必要だということで、議会側も地域に対しまして、都民に対しまして、そういったことをしっかりとお訴えをしていかなきゃいけないと思います。
共に協力をいたしまして、スピード感を持って取り組んでいくことを強く要望しておきたいと思います。
災害に関しては、防災関係は以上でございます。
次にもう一点、ブルーカーボン生態系について取組状況を伺いたいと思います。
都は、二〇五〇年にCO2排出実質ゼロに貢献するゼロエミッション東京の実現を目指しておりますけれども、この実現のためには、CO2の排出削減だけでなく、CO2を吸収するという視点を持つことが重要だというのがこのブルーカーボンの特徴でございます。
そこで、今、注目を集めている、海草など海の生物の作用で取り込まれる炭素、いわゆるブルーカーボンでありまして、ワカメやアマモ等の藻場、干潟や湿地等はブルーカーボン生態系と呼ばれているエリアでございます。
このブルーカーボンは、投資の側面からも大きな可能性を秘めておりまして、創出されたCO2吸収量が温室効果ガスの排出削減量を売買するカーボンクレジットとして試行的に取引されるなど、環境問題に関心を持つ企業などからは大きな注目を集めているものであります。
東京港は日本一のコンテナ貨物量を取り扱う国際貿易港であることから、藻場等が整備できる場は限られるかもしれません。また、羽田国際空港の、羽田を擁しているような東京の、東京港という全体の姿がございますけれども、この首都東京において、ブルーカーボン生態系を創出していくことは、東京のみならず全国に脱炭素化の重要性を広く発信することにつながるものと確信をいたします。
都議会公明党といたしましては、このブルーカーボン生態系に関しては、昨秋の事務事業質疑で私も取り上げましたが、それに先立つ昨年の予算特別委員会や先日の一般質問では、江東区選出の細田都議もこの取組について質問を行ったところでございます。
都からはその際、藻場等を創出するため、現況調査を踏まえて生育状況の検証を進めているとの答弁があったところであります。
そこで、今日は、都が進めている藻場等の整備に向けた海草等の生育実験の内容について何点か確認をしていきたいと思います。
まず初めに、東京港でこのブルーカーボンの取組を進めていくに当たりまして、水質等の状況を把握することが必要であると思います。都が今年度実施した現況調査の内容についてお伺いしたいと思います。
○片寄港湾整備部長 東京港において、ブルーカーボン生態系と呼ばれる藻場等を創出していくためには、船舶の航行に影響がない場所であり、かつ、海藻などが光合成を行うことができる場所を選定していく必要がございます。
このため、海藻等の生育実験の場所を選定するに当たりましては、航行船舶の支障とならない港内の複数か所において光合成が可能であるかを確認するための光量子調査や、塩分濃度、濁りの状況を確認する水質調査等をそれぞれ実施いたしました。
この結果を踏まえ、生育実験の場を二か所選定し、京浜南運河の羽田空港側の水域にアマモ、新海面処分場東側の水域にワカメの移植を行ったところでございます。
○斉藤委員 私も、生物多様性については比較的勉強をしている議員の一人だというふうに自負しているんですが、港湾局の議論の中で、このブルーカーボン生態系といいますか、光合成の話を東京港の話でする時代が来るとは、実は私自身、想像しておりませんでしたが、実は大変にすばらしい取組であるというふうに考えております。
東京港は、国際貿易港として首都圏四千万人の生活と産業を支えており大事な港でございますが、その機能をしっかりと確保することがこれは大前提ですが、その上で、藻場等を創出していく挑戦をしているところであります。これはとても必要な取組であります。
藻場等の創出に向けた生育実験のための現況調査では、今ご説明にございました光量子の調査や塩分濃度などについて調査をしまして、その上で、その海藻の生育に適した地が果たしてこの東京港の中にあるのかどうか、その実験場所に選ばれるべきところを選定しているということでございました。
既に、この港内の二か所に移植が行われているということでありますけれども、そこで、現在、都が実施しているワカメやアマモの生育実験の状況について、もう少し詳しくお伺いたいと思います。
○片寄港湾整備部長 生育実験の場所として選定した京浜南運河につきましては、海底面が砂泥であり、アマモ等の海草の生育に適している可能性があることから、昨年十一月にアマモ約三百株を移植したところでございます。
本年一月に潜水による生育状況の調査を行ったところ、移植したアマモは枯れることなく根づき、順調に生育していることが確認できました。
また、新海面処分場東側の水域につきましては、海底面が岩礁であり、ワカメ等の海藻の生育に適している可能性があることから、今年一月にワカメ約百株を移植したところでございます。
ワカメは冬から春にかけて成長することから、アマモと同様にモニタリング調査を実施し、生育状況を確認してまいります。
○斉藤委員 この京浜南運河に移植したアマモにつきましては順調に生育しているということでありまして、このまま成長すれば新たなアマモ場の創出も期待できるのではないかと思います。
ワカメにつきましては、移植したばかりのようでございますので、こちらもしっかりと根づいていくことを期待していきたいと思います。
現在はまだ生育実験の段階ではありますけれども、こうした藻場をCO2の吸収源としていくために、さらなる拡大についても検討を始めることが必要であります。
そこで都は、生育実験の結果をしっかりと検証した上で、東京港における藻場等の整備を着実に推進していくべきでありますが、今後の取組について伺いたいと思います。
○片寄港湾整備部長 今年度、ワカメとアマモを移植した二か所におきましては、来年度も引き続きモニタリング調査を実施し、生育状況の検証を行うとともに、来年度の繁殖期までにさらに移植株数を増やすことで、藻場造成への取組を進めてまいります。
また、今年度実施した調査により、海水の流れが急であったり、水深が深いことにより光合成が困難であるなどの課題が明らかになった場所においては、藻場造成に当たり、ワカメやアマモ等が生育可能な環境を整備していくことが必要でございます。
このため来年度は、生育環境の改善策の検討を進めるとともに、東京港における具体的な藻場等の整備箇所や整備方法、スケジュール等について計画を取りまとめてまいります。
今後、この計画に基づき、藻場等の造成を行うことで、ブルーカーボンの取組を着実に進めてまいります。
○斉藤委員 船舶の往来が多い東京港にありまして、ワカメやアマモなどの藻場等を整備拡大していくことは簡単なことではないと思います。
東京港というのは非常に、取引量に関しまして非常に狭い航行ルートが、大変に危険な水路というのもあるんですけれども、何でその狭いところに、混雑しているところに藻場やアマモやワカメなんだという声を乗り越えて、このすばらしい取組、世界に私は強く発信できるすばらしい取組だと思いますので、この首都東京で、このブルーカーボンの取組をぜひ着実に行っていただきたいと思います。
東京港においてブルーカーボン生態系を創出していくことは、多くの人々の注目を今後しっかりと集めることができるでしょう。脱炭素化の動きが加速していくことにつながってまいります。
また、CO2の吸収源となるにとどまらず、水質浄化や、そして今月出てくる国家戦略、生物多様性の国家戦略や東京都の戦略、生物多様性の戦略といったものとも相互作用がございまして、期待が高まってまいります。
ゼロエミッション東京の実現に向けまして、吸収源対策としてのブルーカーボン生態系の取組を着実に進めていただくことを要望しまして、私の質問を終わりたいと思います。
○あぜ上委員 まず、資料の作成ありがとうございます。
第一に、東京湾沿岸海岸保全計画の改定について質問しようと思ったんですけれども、防潮堤のかさ上げの順番の基準とか工事の進め方や排水機場の増強の必要性など、ご答弁がもうありましたので、意見だけ述べさせていただきたいと思います。
これまでも港湾局は、海岸保全施設の耐震化、耐水化、そして整備、計画にのっとって整備をされてこられましたが、内部護岸は営業船の関係などもありまして、なかなか大変な困難の中でのお仕事だというふうに思います。そういう点でもご苦労が多いと思うんですけれども、ぜひ海岸保全施設の整備とともに、気候変動の影響に伴う、先ほど来お話があった増強、これを、やっぱりこの重要性を都民にぜひ周知するとともに、都民の生命と財産を守る、そういう安全対策の着実な推進を図っていただきたいと。そのことを意見として述べて、次の質問に移りたいと思います。
晴海ふ頭の客船ターミナルについてです。
まず、来年度の晴海客船ターミナルの整備費とその内訳について伺います。
○猪倉港湾振興担当部長 東京国際クルーズターミナルに二バース目を整備するまでの当面の対応といたしまして、晴海客船ターミナルの跡地に客船受入れ施設の整備を進めており、その整備に係る令和五年度の予算額は約九億一千三百万円でございます。
その内訳は、解体工事費が約三億五千八百万円、新築工事費が約五億一千万円、その他工事監理費等が約四千六百万円となってございます。
○あぜ上委員 客船の受入れ施設を整備するということなわけですが、客船ターミナルは、どのような客船を受入れ対象として検討されているんでしょうか伺います。
○猪倉港湾振興担当部長 東京国際クルーズターミナルに大型船が寄港しているときにおきましても、日本籍船やラグジュアリー船等の中小型船が安定して寄港できる環境を整えるため、東京国際クルーズターミナルに二バース目を整備するまでの当面の対応といたしまして、晴海客船ターミナルの跡地に客船受入れのための低層で簡易な構造の施設の整備を進めております。
○あぜ上委員 そうしますと、「にっぽん丸」とかの客船も受け入れられる、寄港できるターミナルだということは分かりました。
仮設の客船ターミナルということなんですが、いつ完成の予定なのか伺います。
○猪倉港湾振興担当部長 既存の晴海客船ターミナルの跡地における新たな客船受入れ施設につきましては、令和六年度中の供用を目指しております。
○あぜ上委員 再来年度完成ということでございます。
昨年の一月に打ち出されました東京港第九次改訂港湾計画に向けました長期構想では、青海の新客船ふ頭の二バース化を打ち出しておりますが、この間、新客船ふ頭の二バース化はどのぐらいの経費がかかるのかと、見積もっていらっしゃるのかということを伺ってきましたが、今のところ、まだ見積もっていないという、ずっとお答えでしたが、改めて伺いたいと思うんですが、この新客船ふ頭の二バース化における経費の見積りについて伺います。
○片寄港湾整備部長 東京国際クルーズターミナルの二バース化における経費の見積りにつきましては、今後、事業化後に調査設計に着手し、詳細設計の結果等を踏まえて算出することとなります。
○あぜ上委員 まだこれから算出するということでありますが、私も全国的にどうなのかなということで、いろいろインターネットとか調べてみたんですが、長崎港でやはり客船ふ頭の二バース化が進められていて、その経費を見たら百三十六億円かかっていたんです。
私はこの間、繰り返し、晴海ふ頭を壊さないで使うべきじゃないかというふうにいってきたんですが、今、解体されて新しい仮設の客船ターミナルができるということになりました。
晴海ふ頭は仮設とはいえ、水の深さも十メートルあるわけです。今の質疑でも、「にっぽん丸」などの中型の船も寄港が可能だということも分かったわけです。せっかく、この晴海のところに客船ターミナルを仮設とはいえ整備するわけですから、やはりここを活用して、新客船ふ頭の二バース化、これは見直すべきではないかということを意見として述べさせていただきたいと思います。
次に、廃棄物の処理場の整備についてです。
都民生活に伴って生じる一般廃棄物や事業活動に伴って生じる産業廃棄物、また、建設残土やしゅんせつ土を最終処分する、最後の最終処分場となっているのが新海面処分場なわけです。
まず伺いたいのは、廃棄物等の埋立処分計画と実際の処分量の推移、これについて伺いたいと思います。
○片寄港湾整備部長 新海面処分場で受け入れている建設発生土、しゅんせつ土の埋立処分量について、令和二年度は、計画百二十一万立方メートルに対し、実績は六十八万立方メートル、令和三年度は、計画百二十万立方メートルに対し、実績は七十三万立方メートルとなっております。
なお、新型コロナウイルス感染症が確認される前の平成二十九年度及び三十年度の実績の平均は百十六万立方メートルでございますが、感染症が拡大した令和二年度以降、実績は減少しております。
○あぜ上委員 令和二年度以降の実績はコロナの感染症の影響で減っているということであります。
この新海面処分場をできるだけ長く使用するために、港湾局としてはいろいろ取り組まれていると考えているんですが、現時点での新海面処分場の延命対策、これについて伺います。
○片寄港湾整備部長 新海面処分場の受入れ容量の増大を図るため、処分場内の海底面を掘り下げる深掘り工事や、埋立てを行った地盤等を圧縮、沈下させる沈下促進工事を実施しております。
また、令和二年度からは処分場内にプラントを設置し、受入れ済みのしゅんせつ土を脱水、改良することで、土木材料として有効活用する取組も開始したところでございます。
○あぜ上委員 新海面処分場の新たな延命対策にも取り組んでいらっしゃるということは分かりました。
では、新海面処分場整備の今後の見通しについて伺います。
○片寄港湾整備部長 新海面処分場は、段階的に護岸整備を進め、完成したブロックから、順次廃棄物等の埋立処分を行っているところでございます。
現在、Dブロックの護岸整備を進めており、引き続き工事を着実に実施し、求められる埋立処分可能容量を確保してまいります。
○あぜ上委員 そうしますと、新海面処分場は残りどれくらいの期間、廃棄物等の受入れが可能なのか伺います。
○片寄港湾整備部長 新海面処分場の残余期間につきましては、今後の経済状況や新たな技術の進展など、将来における埋立処分の総量が捉えにくいことから、正確な推計は困難でございますが、現在の埋立処分量から単純に類推すると、五十年以上と見込んでおります。
○あぜ上委員 残余期間の正確な推計は難しいということなんですが、この間の局の取組などで、受入れ期間が延びる、そういう見通しもあるということが分かりましたが、これは大変大事なことだというふうに思っています。
しかし、この新海面処分場というのは、都の廃棄物の処分の最後のとりでということでありまして、やっぱり延命には、各都内の自治体、それから都民が力を合わせて、ごみの減量や資源化の転換に全力で取り組むとともに、港湾局としても新しい延命策なども工夫されていらっしゃいますけれども、さらに延命策に力を尽くしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
予定より大分早くなってしまったんですが、最後になりますが、カーボンニュートラルポートの取組についてです。
カーボンニュートラルポートの早期形成に向けた計画を立てられて、東京港における脱炭素化を進めることはとても重要だというふうに思っています。そして、都は、検討会での四回の議論、これを踏まえて、カーボンニュートラルポートの取組として、温室効果ガス削減計画案、これをお示しされました。
この計画案を中心に今日は質疑したいんですが、そこでまず伺いますが、温室効果ガス削減計画では、東京港の現在のCO2排出量は、先ほどもありましたが五十八・六万トンで、二〇三〇年までには三十一万トン減らす、そういう計画になっております。これをやり切ることの意義、これについて、まず伺いたいと思います。
○猪倉港湾振興担当部長 都は、令和三年一月に、二〇三〇年までの今後の十年間の行動が重要であるとの認識の下、二〇三〇年までに都内の温室効果ガス排出量を、二〇〇〇年比で五〇%削減するカーボンハーフを表明しております。
東京港カーボンニュートラルポート形成計画案におきましては、この東京都全体の目標を踏まえ、二〇三〇年までに二〇〇〇年比で五〇%削減するカーボンハーフを目標としております。
○あぜ上委員 この温室効果ガスの削減は、二〇三〇年までが勝負の十年だというふうにいわれております。本当に大幅な削減に成功しなければ、この気候危機、この回避に失敗する可能性もあるんだと、そういう厳しい指摘もなされているところであります。
まさにこのカーボンハーフに間に合うかどうか、できるかどうか、これが東京の未来、そして日本の未来にかかった、私は切迫した課題であるというふうに思います。だからこそ、しっかりとこの計画目標を達成させなければならないと思うわけです。
それで、計画案について具体的に伺いたいと思うんですが、この計画に、削減に向けた取組が載っていますが、例えば荷役機械、ガントリークレーンは再エネ電力と水素活用というふうになっていますけれども、その内訳について伺います。
○猪倉港湾振興担当部長 外貿コンテナふ頭におけるガントリークレーンは、全て電力で稼働しており、東京港埠頭株式会社が電力会社と契約をしております。
これまで、令和四年七月に品川コンテナふ頭及び中央防波堤外側コンテナふ頭におきまして、再生可能エネルギー由来の電力を導入したところでございまして、今後、令和六年四月までに全ての外貿コンテナふ頭の電力を再生可能エネルギー由来の電力に切り替えていく予定でございます。
○あぜ上委員 ガントリークレーンは全て再エネの電力でやるんだと、そしてその見通しも立っているということは大変重要だというふうに思います。
それでは、ヤード内の荷役機械は、再エネ電力とやはり水素活用というふうになっていますが、その内訳はどうなっているのか伺いたいと思います。
○猪倉港湾振興担当部長 形成計画案では、外貿コンテナふ頭における全てのタイヤ式トランスファークレーンについて、FC換装型の機器等を導入することとしており、将来は水素エネルギーの活用を想定しております。
また、フォークリフトやトレーラーヘッドなどタイヤ式トランスファークレーン以外の荷役機械につきましては、その動力源を再生可能エネルギー由来の電力や水素エネルギーに転換することで脱炭素化を図ることとしておりますが、その内容につきましては、今後の技術開発の動向や民間事業者の取組によるものと考えておりまして、形成計画案では内訳等を定めてございません。
○あぜ上委員 それでは、上屋や倉庫などでの水素を活用した自立分散型の発電設備の整備などで、どのくらいのCO2削減効果があると考えていらっしゃるんでしょうか伺います。
○猪倉港湾振興担当部長 形成計画案では、上屋や倉庫等で使用されている設備や車両等について、脱炭素化に向けて、省エネや化石燃料からの転換が図られることを想定しております。
こうした取組に伴うピークカットや新たな電力需要等に対応するため、系統電力を補完する電源として、水素を活用した自立分散型発電設備を整備することとしております。これにより、電力使用に伴うCO2発生を削減できるものと考えております。
○あぜ上委員 計画によると、再エネのガントリークレーンは、二〇三〇年には、先ほどご答弁あったようにCO2排出量はゼロとはっきりしているんだけれども、今ご答弁がありましたように、水素活用の自立分散型の設備などの計画では、これは系統電力を補完する電力としてやるんだよ、活用するんだよと。だから、今のところCO2の排出量は示せないということでありますが、二〇五〇年にはCO2ゼロの目標になっていますが、五十八・六万トンのうち、それでは、水素によるCO2の削減量というのは何%を見込んでいらっしゃるのか伺いたいと思います。
○猪倉港湾振興担当部長 形成計画案では、二〇二〇年に使用されていた化石燃料が全て再生可能エネルギー由来の電力や水素エネルギーに置き換わることを前提として、二〇五〇年時点の水素需要量を年間で約一・三万トンと推計しており、それに相当するCO2削減量は七万トン程度と算定されます。
将来の水素の利用状況は、水素の供給状況や技術開発の動向、民間事業者の取組状況により変動していくものと考えております。
○あぜ上委員 将来の水素の利用状況は、水素の供給状況等によって変動するのでということも含めて、加味して、現時点ではCO2の削減量は七万トン程度だというご答弁でありましたが、この水素によるCO2削減量というのは五十八・六万トンで見ますと一二%、七万トン程度ということは、約一割強だということなわけです。
私たちは、グリーン水素やCO2フリー水素、こういったものの研究開発、これ自身は全く否定するものではないんですけれども、やはり現時点で、水素はメインにならない、この現実をしっかり見据えた取組をすべきではないかというふうに思うわけです。
そこで伺いますが、水素、アンモニアは、この製造過程でCO2を大量に排出することについて、その認識について伺います。
○猪倉港湾振興担当部長 水素につきましては、将来は国内の再エネでつくられるグリーン水素のほか、国外の大規模な再エネ等によるCO2フリー水素が輸入されることも想定しております。
また、国によれば、アンモニアにつきましても、将来、ブルーアンモニアやグリーンアンモニアの供給が拡大していくこととされており、形成計画案では、東京港でこうした水素やアンモニアを活用することを想定しております。
○あぜ上委員 CO2フリー水素を想定しているというお話もあったんですけれども、このCO2フリー水素はまだ実証実験段階で、将来的な話だというふうに思うんです。現時点では、海外から受け入れる水素というのは、海外で低品質の石炭を使って生産され、CO2を排出するわけです。都は、その水素をパイプラインで火力発電所に送って、化石燃料と混ぜて発電することも想定されていると。
そして、国はどうやっているかという先ほどもご答弁ありましたけれども、国も同じように水素やアンモニアを活用するというふうにいっていますけれども、国内外のNGOは、こうした気候危機打開のNGOの団体は、気候変動に対する日本政府のこうした水素やアンモニア、LNGなどによる対策については、気候危機打開に逆行していると抗議の声も上げている状況です。
やっぱり将来、国内のグリーン水素だというお話もありましたけれども、現時点で考えれば、再生可能エネルギーを使った電力で水素を再生したとしても、やっぱりエネルギーロスが生まれるわけですよね。そのまま電力としてむしろ使った方が効率的なわけです。
この計画案の二〇三〇年温室効果ガス削減計画では、水素の活用というのが大きく打ち出されているわけですが、やはり本当に二〇三〇年の目標達成がこれでできるのかということは疑問を投げざるを得ないというふうに思うわけです。
新技術の開発というのは、先ほども申し上げましたが必要だということは、そのとおりだというふうに思うんですが、しかし、先々の将来の話を前提にして、二〇三〇年までのCO2、カーボンハーフを本当にできるのか、CO2削減の先送りになるだけではないか、そのことを本当に心配しています。本当にこれでいいのかということが今問われているのではないでしょうか。
やはり二〇三〇年までに緊急にCO2の大幅な削減が求められている状況では、既存の技術や実用化のめどが立っている技術を積極的に普及、導入することで、きちんと目標を達成していく、そのために努力を積み重ねていただきたいということを意見として述べさせていただきたいと思います。
それで、この計画策定に当たって、港湾事業者との連携は不可欠だということは、先ほども質疑の中でご答弁もありました。検討会の議事要旨も改めて読ませていただきましたが、中小企業からは、どのように脱炭素を進めていけばよいのか、具体的な取組の方法などを提案してほしいとか、やっぱりその支援をきちんとしてほしい、こういう声が載っていました。
また、港湾の脱炭素化を進めていかないと、東京港がユーザーに選ばれなくなっていくという危機感も出されていました。
排出量の多い産業においては、私は削減計画と削減の見える化をするように求めるべきだと思いますが、いかがでしょうか伺います。
○猪倉港湾振興担当部長 東京港における脱炭素化を進めるためには、都はもとより、CO2排出量の多くを占める民間事業者の活動の脱炭素化が必要でございます。
このため、形成計画案の策定に当たりましては、港湾運送事業者や倉庫事業者の業界団体、船会社など様々な港湾関係事業者を構成員とした検討会を令和四年六月に設置し、温室効果ガス削減に向けた取組などにつきまして意見交換を重ねてまいりました。
今後も引き続き、民間事業者と連携し、事業者の実情に沿って脱炭素化の取組を具体化してまいります。
○あぜ上委員 民間事業者との連携は大事だと思うんですが、やはり特に排出量の多い場合においては、見える化をしていかなければ目標は達成できません。現状がどうなのか、どこまで削減されているのか、やはりその仕組みをつくることをぜひ急いでいただきたいと思います。
この計画策定の過程において、港湾で働く人などの意見を反映することも大事だと思うんですが、こうした港湾で働く人などの意見も反映する計画にすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○猪倉港湾振興担当部長 形成計画案の策定に当たりましては、港湾関係者を構成員とした検討会を通じて、温室効果ガス削減に向けた取組などにつきまして意見交換を重ねてまいりました。
その上で、広く都民から意見を求めるため、形成計画案につきまして、本年一月二十五日から二月二十七日までの約一か月間、意見公募を行ったところでございます。
今後、こうした都民からの意見等を踏まえ、年度内に形成計画を策定してまいります。
○あぜ上委員 意見公募、パブコメは大事だと思いますが、ぜひまとまったら、またその報告をいただけたらと思います。
港湾で働く人、また、港湾関係者にとっては、やっぱりこの問題というのは日々の仕事に関わる大事な課題でございます。こうした皆さんの意見が反映される中で、やっぱり一緒に脱炭素の取組を考え、共に取り組むことができる環境整備、これが大事だと思います。ぜひそのために努力していただきたい、そのことを申し上げまして私の質疑を終わります。ありがとうございました。
○西崎委員 私からは、まず初めに、第六十二号議案の漁港管理条例の改正について少し伺います。
今回、提案をされている改正案は、国の方で模範漁港管理規程例、これを改正したことに合わせて、漁港内での工作物等の設置に係る占用許可期間の上限について、現在の一年から十年に延長するというものでございまして、一見、規定の整備なのかなと思うんですが、一方で、国の水産庁水産政策審議会漁港漁場整備分科会の資料を見ると、この規程例が一九九六年に占用許可期間の上限が一年から三年に延長されていて、今回さらに十年に延長されたということが示されています。
一方で、今回お示しいただいている条例案、そしてまた新旧対照表を確認すると、現行の都の漁港管理条例では、許可期間の上限を一年としたままであって、三年に延長するという改正がこれまで行われてきていなかったわけです。
繰り返しになりますけれども、国の規程例の前の改正が一九九六年で、今回のこの国の新しい、新たな規程例の改正、これも二〇一九年ですから四年前ということなんです。ですので、こうしたことを踏まえて、今回、国の規程例の改正に合わせて、このタイミングで十年に延長するという理由についてお聞かせをいただけますでしょうか。
○村田離島港湾部長 国の模範漁港管理規程例は、漁港漁場整備法に基づき、農林水産大臣が定めるものであり、全国の漁港管理者はこれを参考にしつつ、それぞれ管理条例を定めております。
国による平成八年の規程例改正においては、申請者の負担軽減や行政事務の簡素化を図ることを目的として、工作物等に係る占用期間の上限が一年から三年に変更されましたが、都が管理する漁港におきましては、占用許可の申請者が行政や電力事業者等であり、三年の許可を必要とする事例がなかったため、条例改正を行わなかったものでございます。
一方、占用期間の上限を十年に延長するとの今回の規程例の改正は、民間活力の導入等により、漁港をにぎわい創出の場として有効活用していくことを目的としたものでございます。
昨年、都は、漁港漁場の整備計画を見直し、地域のにぎわい向上に資する取組を進めていくこととしたことから、今回、国の規程例の改正に合わせ、都においても占用許可期間の上限を十年に延長したものでございます。
○西崎委員 ありがとうございます。大変分かりやすい説明をいただいたものと思います。
つまり、以前の、国が規程例を改正した際は、これは一年から三年ということでしたけれども、当時は、そもそも改正の必要性があまり見いだせなかったということです。
しかし一方で、今回の国の規程例の改正というのは、これまでと趣旨が少し違うと。民間活力を導入してにぎわいを創出していくというような目的があるということで、さらに東京都においても、昨年、漁港漁場の整備計画を見直したということで、国が示すような方向性で考えが入りまして、改めて条例改正の必要性が出てきたということかと理解をさせていただきました。
一方で、その新たな東京都の整備計画の中で、地域のにぎわいを創出する取組を進めていくことになったということでありますけれども、恐らく、じゃあ具体的に何をどうするかというのは今後の課題なのかなと思っておりますので、今日は、ここは実情に合わせながら取組を進めていただくということを求めておきまして、次の質問に移ります。
ここからは予算の中から伺ってまいります。
緑色の冊子、予算概要七四ページに示されている新規事業で、東京港における新たなランドマークの設置とありますけれども、まずはこの事業の目的について伺います。
○松本臨海開発部長 国内外から多くの方々に東京を訪れていただくためには、水の都である東京の魅力を広く発信していくことが重要でございます。
このため都は、東京を代表する水辺の景観を楽しむことができる臨海エリアにおきまして、シンボリックな存在となる新たなランドマークとして、モニュメントや噴水を設置することで多くの方々に楽しんでいただくとともに、SNSを通じた発信等によりまして、東京の新たな魅力を創出することを目的として、本事業を実施するものでございます。
○西崎委員 ありがとうございます。
東京の特に臨海エリアでの魅力を高めるということは、当然その目的としては否定をされるものではないかと思いますけれども、この四億円をかけてモニュメントや噴水を設置するということを東京都がやらなきゃならない必要性というのが、ちょっとこう釈然としないというのが私の受け止めでございます。
それでは、その予算の内訳といいますか中身について伺いますが、いかがでしょうか。
○松本臨海開発部長 予算の内訳についてでございますが、新たなランドマークとなるモニュメントに関しましては、計画検討や設計、設置に要する経費を計上しております。
また、噴水に関しましては、設置位置やデザインの検討などに要する経費について計上しており、モニュメントと噴水を合わせまして、合計約四億円の予算計上を行っております。
○西崎委員 つまり、単純に、噴水やモニュメントの設計や設置に関する費用が計上されているということかと思います。
まだこの中身といいますか、その具体的な場所であるとか内容も決まっていないということでしょうから、なかなかコメントもしづらいわけでありますが、この臨海エリアは今でも様々魅力的なスポットがあると思いますし、実際問題、噴水もモニュメントも様々あるかと思います。逆に、そういうのがない場所に設置をしようというのも、それはそれで大丈夫なのかなと思ってしまうところです。
設置に四億円の費用がかかって、恐らく維持管理費用というものもかかる一方で、こういう類いの事業というのは、その政策の効果を測定するというのが相当難しい性格があろうかと思います。今後、その詳細な検討を進めていく中で、非常に説得力のあるプランというものをお示しいただく必要があろうかと思いますので、ぜひそれについてはお願いをしたいと思います。
次に、本来であれば、東京湾沿岸海岸保全基本計画、そしてまた、臨海副都心の脱炭素化、この辺りを伺おうと思っていたんですが、さきの委員の皆々様にかなりいろいろな議論をいただいたということで、ほとんどお聞きをすることがなくなってしまいましたので、意見だけ申し上げたいと思います。
今回、様々な、この委員会全体を通じても、脱炭素化であるとかについて話がありますが、川上と川下の話を同時にやっていくというような状況にあろうかと思います。つまり、カーボンハーフ、ゼロエミッションに向けて、いわゆる上の部分ですね、根本的に気候変動を抑えていこうということ、一方で川下の部分、そうはいっても、例えば湾岸沿岸の保全でいえば、二一〇〇年に二度上がった状態の対策を万全にしていこうということを、両方ともそれぞれ全力で取り組まなければならないというのが、非常に苦労があるというか困難であるということかと思います。
これ一方、じゃあどっちか限定してやるというような話ではなくて、それぞれ皆様が努力して取り組んでいかれるものかと思いますけれども、一方でどこかのタイミングでそれぞれの、何というんでしょうね、方向性のバランスというか事業の出し入れみたいなものは、やはりどこかで検証する必要があろうかと思います。
さきの委員からも、もしこれで気候変動がより深刻になってしまったら、当然その対策の方を今度は強化をしていかなければならないということになろうかと思いますし、一方で、逆に、これは市場のときに申し上げたんですけれども、オゾン層みたいに、本当に全世界の努力が実って気候変動が抑えられたということであれば、対策の方を改めて検証しなければならないという、様々なバランスの取り方が必要になるかと思います。
もちろんそれぞれのタイミングで、都としても皆様の日々の事業の進捗を確認しつつ、検証しつつやられているかとは思いますけれども、これは非常に、中期というか長期的なお話になりますので、ぜひ、日々の事業に全力で取り組まれるということと、また改めて、それをどこかでしっかりと検証して、見直すところは大胆に見直すというような姿勢を、ぜひ引き続きお持ちをいただきたいということを意見として申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○石島委員 それでは、私からは、東京港の交通混雑対策について、都営空港におけるRESAの整備等について、二点にわたり質問をさせていただきます。
まず、東京港の交通混雑対策についてですが、東京港のターミナル周辺では、季節や時間帯によって交通混雑が発生し、その対策が長年の課題となっています。その要因としては、東京港のコンテナ取扱量は、既にターミナルの貨物処理容量を超過しており、トラックへの貨物の引渡しに時間がかかっている状況があることが挙げられます。
加えて、トラックドライバーは荷主からの要請により、コンテナターミナルから引き取った貨物を朝一番に納品するという配送サイクルがあるため、夕方にコンテナ車両がターミナルへ集中する傾向があることも一因となっています。
昨年の事務事業質疑において、我が党の鈴木副委員長からは、港へ来場するトラックの時間を分散するために、コンテナ貨物の搬出入予約制を積極的に進めるべきとの立場から質疑を行いました。この予約制は、トラックへのコンテナ受渡し時間を予約する制度で、海外の一部の港でも行われ、東京港においても有効な交通混雑対策になると思います。
本日は、この予約制の実施状況や今後の展開など、より掘り下げて確認していきたいと思います。
まず、改めての確認になりますが、昨年から東京港において実施している予約制の概要についてお伺いします。
○野平港湾経営部長 都は、昨年八月から、コンテナターミナルへ来場するトラックの数を時間的に分散させるため、国が開発したCONPASと呼ばれるシステムを活用して、大井ふ頭の二つのターミナルでコンテナ搬出入予約制を開始いたしました。
関係者の習熟を図る観点から、平日の十日間を一つの事業期間といたしまして、これまでに合計三回実施しておりまして、回を重ねるごとに、一時間当たりの予約枠や参加するトラック事業者数を段階的に拡大しております。
○石島委員 現場の混乱を避けるため、一時間当たりの予約数を、参加するトラック事業者を絞ってスタート、徐々に拡大してきたとのことですが、予約制の取組内容を具体的にどのように拡大してきたのかお伺いします。
○野平港湾経営部長 予約制の利用者数を増加させるため、予約枠の拡大や普及啓発等の取組を行ってまいりました。
具体的には、一時間当たりの予約枠につきまして、八月から九月にかけて実施した一回目では約十五台でございましたが、十一月に実施した二回目では三十台に、二月に実施した三回目では五十台に拡大いたしました。
また、参加するトラック事業者数につきましては、一回目が十八者でございましたが、二回目は四十七者へ、三回目は五十六者へ増加させております。
さらに、トラック事業者向けの説明会の場やウェブサイト等を活用いたしまして、待機時間の削減という予約制の利用メリットをPRするなど、利用促進に向けて普及啓発を実施してまいりました。
こうした取組の結果、一回目の利用台数は、二ターミナル合計で四百九十三台でございましたが、二回目は千九百二台に、三回目は三千九十五台に大幅に増加しております。
○石島委員 予約制を実施した二つのターミナルで、利用台数が十日間の合計で約三千台ということは、一つのターミナルで約千五百台、一日平均すると百五十台ということになります。
東京港では、一ターミナル当たり、一日で千台程度のトラックが来場してコンテナ貨物の受渡しをしていると聞いていますので、単純計算で約一五%のトラックが予約制を利用していることになります。
既に着手しているターミナルにおいては、予約制の利用実績が着実に伸びているとのことでしたが、まだ二ターミナルで実施した中での話であり、ほかのターミナルへ予約制の導入を拡大するなど、一層の底上げを図っていく必要があると思います。
一方、予約制を導入するのはターミナル事業者であり、事業者の負担が大きければ予約制の拡大は容易ではない。ターミナル事業者にとって予約制を導入しようとする際に、どのような課題があるのかお伺いします。
○野平港湾経営部長 予約制を導入するに当たりましては、あらかじめターミナル事業者がトラック事業者など多くの関係者と調整の上、対象とする貨物の種類や一時間当たりの予約枠数、予約車専用の車両動線の配置等を盛り込んだ実施計画を策定する必要がございます。
また、導入後の一定期間は、予約制の利用拡大や利便性向上に向けて、効果測定や課題整理を実施した上で、順次改善策を講じる必要がございます。
これらは、予約制を導入し、定着するまでの間に必要となる取組でございますが、専門的な知見を有する人材や現場で作業を行う人員を確保しなければならないことから、ターミナル事業者に大きな負担がかかり、このことが、予約制導入における課題の一つであると認識しております。
○石島委員 予約制は、軌道に乗れば交通混雑対策として大きな効果が見込めますが、東京港のコンテナターミナルには、一日当たり約一万台のトラックが来場、現状では複雑なオペレーションが行われていることから、とりわけ導入当初は、ターミナル事業者にとって、いわば産みの苦しみといえる大きな負担が発生することは理解しました。
事業者が通常のターミナル営業を続けながら、こうした新たな取組を実施するのはなかなか困難であり、予約制を拡大するためには、当然、都の支援も必要であると考えます。
予約制のさらなる利用拡大に向けて、来年度、具体的にどのような取組を考えているのかお伺いします。
○野平港湾経営部長 予約制を拡大していくためには、取り扱っている貨物の量や種類など、それぞれのターミナルの特色や事業者の実情を踏まえて、専門的な知見から事業者をサポートしていくことが重要であると認識しております。
このため都は、新たに専門家による支援体制を設け、実施計画案の作成、課題への対応策の提案、運用マニュアルの作成などを当該専門家が行うことにより、予約制を導入しようとする事業者を強力に後押ししてまいります。
こうした取組を通じ、都は来年度、予約制実施ターミナルを二か所から五か所へと拡大することを目指してまいります。
○石島委員 ぜひ予約制拡大を積極的に進めていただきたいと思います。
東京港が国際物流拠点としての役割を担い続けていくためには、ふ頭周辺の交通混雑の解消は喫緊の課題であります。また、交通混雑の解消は、待機しているトラックから排出されるCO2の削減という観点からも非常に重要な課題ともいえます。
港湾局には、関係事業者とこれまで以上に緊密に連携することはもとより、積極的に事業者の取組も後押ししながら、港湾物流の円滑化に向けて、スピード感を持って取り組んでいただくことを要望いたします。
続いて、都営空港におけるRESAの整備等についてお伺いします。
現在、都営空港で進められている安全対策の取組ですが、島と本土を結ぶ航空路は、島の生活と産業にとって欠かすことのできない重要な交通手段であります。こうした航空路の安全な運航を維持していくためには、航空会社が機材点検などの安全対策をしっかり実施するとともに、滑走路などの空港施設が法令等に定められた安全基準に適合したものとなるよう、適切に維持管理をすることが極めて重要であります。
この点に関して、現在、都は、滑走路端安全区域、いわゆるRESAを新たな安全基準に適合させるための取組を進めていると聞いています。
RESAとは、着陸した航空機が滑走路を越えて停止する、いわゆるオーバーランなどを起こした際に、航空機の損傷を軽減させるよう、滑走路の両端に設けられた区域のことですが、我が会派は以前、本委員会において質疑を行い、RESAの拡張を着実に行っていくよう求めたところです。
東京都は順次対応を図っていることと思いますが、改めて、現在、都営空港に求められているRESAの拡張の概要について伺います。
○村田離島港湾部長 滑走路端安全区域、いわゆるRESAに関しましては、航空法施行規則により、その長さ等が規定されておりますが、RESAの国際基準を所管する国連機関からの勧告を受けて改正がなされ、新たな基準が示されたことに伴いまして、現在、全国の空港においてRESAの拡張が進められている状況にございます。
都営空港に関しましては、既存のRESAは滑走路の両端部から外側方向に四十メートルの区域となっておりますが、法令改正に伴い、必要とされる長さが九十メートルとされたことから、それぞれさらに五十メートル、合計で百メートルを拡張していくこととしております。
○石島委員 平地の少ない島しょ地域では、空港を整備した際に、用地を確保するため、山の一部を削るなどの取組を行ったところもあったと聞いております。さらに百メートルも拡張するのは大変なことだと思いますが、そこで、RESAの拡張に必要な用地を確保するためにどのような取組を行っているのか伺います。
○村田離島港湾部長 島しょ地域の空港は、崖や海に面していることなどから、RESAの拡張に必要な用地をいかにして確保するかが大きな課題となっております。
このため都は、各空港の立地条件や周辺地域などの特性に合わせ、最も適切な方法により、RESAの拡張に必要な用地を確保することといたしました。
具体的には、空港の敷地に余裕がある場合は、滑走路の位置変更や短縮を行うことにより、必要な用地を確保してまいります。
また、滑走路の両端に平たんな用地がない空港につきましては、大規模な盛土造成を行い、新たにRESA用地を整備してまいります。
大規模な工事が必要となる空港につきましては、事業費の確保も課題となることから、予算確保に向けた国への要望等を積極的に実施しつつ、都は着実に事業を推進してまいります。
○石島委員 平地が極めて少ない島しょでRESA拡張に必要な用地を確保するために、それぞれの空港が立地する環境に応じた取組を進めていく方針であることが確認できました。
空港によっては、大がかりな盛土造成工事を行うため、相応の事業費が必要になるとのことであります。答弁にもあったとおり、国へも積極的に要望しながら、都として必要な財源をしっかりと確保していかなくてはなりません。
また、こうしたRESAの拡張は、費用だけではなく時間も相当かかるのではないかと思いますが、安全に関わることであり、少しでも早く最新の基準に対応させられるよう、着実に進めていくことが必要であります。
そこで、都営空港におけるRESA拡張のこれまでの取組と来年度の予定について伺います。
○村田離島港湾部長 これまで都は、空港敷地内に用地を確保することができた調布飛行場及び大島空港において、RESA拡張工事を既に完了させるとともに、その他の空港につきましては、具体的な工法の検討や必要な手続等に関する調整を行ってまいりました。
来年度は、新島空港及び三宅島空港の滑走路の位置変更に向けた航空法に基づく公聴会の手続を進めるとともに、三宅島空港においては、航空機に対して滑走路の位置を示す施設である航空灯火の移設工事にも着手する予定でございます。
大規模な盛土造成が必要となる八丈島空港と神津島空港につきましては、造成に伴い必要となる道路の移設や施工ヤードの確保等に向けて地元自治体と協議を行うとともに、国が求めている令和八年度までの工事着手に向けて、造成に使用する材料や工法等についてさらに検討を進めてまいります。
○石島委員 六つの都営空港において、順次RESAの拡張が進められていることについては理解しました。大規模な工事を実施するに当たっては、島民の生活路線である定期航空路への影響を極力抑えるとともに、地元自治体とも連携しながら、周辺住民等の意見にもしっかりと耳を傾け、丁寧に進めていくことを要望いたします。
平地が極めて少ないという島しょ地域特有の地理的な要因がある中、RESAの拡張は困難を伴う事業であると思いますが、都は、早期の安全基準への適合を目指し、引き続き計画的に整備に取り組んでいくことを重ねて要望して、質問を終わります。ありがとうございます。
○清水委員 私からは、調布飛行場の自家用機移転のための大島空港の整備についてお伺いします。
先ほど、来年度工事がされるというふうなお話がありましたが、実はこの給油施設に関する工事、一昨年、工事は不調になり、昨年も不調になっています。その後、工事ができるような段階になったのか、進捗状況について確認させてください。
それから、来年度の給油施設の工事で、調布飛行場の自家用機移転のための整備、これが完了するのかどうか、この二点についてお伺いします。
○佐藤開発調整担当部長島しょ空港技術担当部長兼務 大島空港の給油施設に関する工事につきましては、昨年十月に不調になりましたが、その後、速やかに給油設備の工事を発注し、本年一月に契約となっております。
現在、来年度末の完成を目指し工事を進めているところであり、給油施設が完成すれば、移転に必要な施設の整備は完了する予定でございます。
○清水委員 調布飛行場の自家用機が大島空港に移転するために必要な施設整備、これが来年度末には完了するということでした。いよいよ移転をしていただくことが可能な段階に来ました。
調布飛行場の自家用機の移転について、所有者の方々の承諾は得られているでしょうか。
○佐藤開発調整担当部長島しょ空港技術担当部長兼務 都はこれまで、大島空港を有力な移転先として自家用機所有者と継続的に交渉を行ってまいりました。
今後も、自家用機の分散移転に向けて粘り強く交渉を続けてまいります。
○清水委員 そういう努力を重ねていらしたということは十分承知をしています。
それで、来年度末にいよいよ工事が完了という段階になって承諾が得られているのかどうか、その点についてお伺いをいたしました。承諾を得られた人はおられますか。
○佐藤開発調整担当部長島しょ空港技術担当部長兼務 都はこれまでも、大島空港を有力な移転先として自家用機所有者と交渉を図ってまいりました。
これからも、自家用機の分散移転が進むよう、自家用機所有者の意向を探りつつ、これまでどおり粘り強く交渉を続けてまいります。
○清水委員 粘り強く交渉を継続していくということは、現時点では、やっぱりまだ交渉中で、大島空港への移転を承諾した自家用機の所有者はいないということではないかというふうに思います。
二〇一五年の七月、調布飛行場の事故以来、都は、自家用機の移転について所有者との交渉を続けており、もう八年近くがたとうとしています。この間、大島空港に格納庫を造り、給油施設の整備を進め、あと一年ほどで整備が完了する、こういう段階に来てもなお、一機も移転について承諾が得られていないということです。一日も早い移転を望んでいる調布飛行場周辺の住民の皆さんに、一体この状況をどういうふうに説明をされるのでしょうか。
住民の方からは、飛行場の危険性は事故当時と何も変わっていない、こういうふうな厳しい声が寄せられています。大島への移転に同意を得られない自家用機の所有者について、このまま調布飛行場での使用を引き続き認める、こういうふうになっていけば、なし崩し的に調布飛行場の使用が固定化されてしまう、そういうことになりかねません。今が本当に、今後の対応の重要な局面を迎えているというふうに思います。
さらに後押しをするような取組が必要ではないかというふうに思いますが、都の認識と取組についてお伺いします。
○佐藤開発調整担当部長島しょ空港技術担当部長兼務 地元三市との協定に基づき、自家用機の分散移転を進めることは重要であると認識してございます。
このため都は、来年度、自家用機の所有者に対する支援策として、大島空港の利用に伴って生じる交通費等を想定し、必要な費用を補助する制度を創設いたします。
また、移転先のさらなる確保に向け、首都圏の他の空港についても調査を進めてまいります。
○清水委員 今、首都圏の他の空港についても調査を行っていくということでした。大島を整備して、そこで駄目だったら調布ということではなくて、ほかの空港というふうに、今までの状況をずっと続けていくということはもうできないんだというふうなことで話をしていかなければならないというふうに思いますし、そもそもこの調布の飛行場は移転をする、こういう約束であったわけですから、そのもともとの責任は国にもあるわけですよね。ですから、国交省に対しても、首都圏の空港についてあっせんを求めていくべきだというふうに思います。
昨年の決算委員会の質疑の中で、都は国に対して、毎年春と秋に関東圏における自家用小型機専用の飛行場の整備に向けた調査検討を提案要求している、こういうふうなご答弁がありました。しかし、これに対して具体的な回答はない、こういうことでした。回答も得られないような形での要請を繰り返していて、本当に国が動くんでしょうか。もう来年にはやっぱりめどをつけていかないと、このまま固定化されるような危険もある、そういう重大な局面になっています。
まずは、とりわけ危険な自家用機の移転について、もう一つは、そもそも調布の飛行場そのものの移転、こういうことについて、国にもきちんと小池都知事を先頭に個別具体的な要請を行って動かす、こういうことを強く求めて、私の質問を終わります。
○慶野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○慶野委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で港湾局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後六時五十八分散会
Copyright © 1999
Tokyo Metropolitan Assembly All Rights Reserved.