経済・港湾委員会速記録第十五号

令和四年十一月十日(木曜日)
第八委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長慶野 信一君
副委員長あかねがくぼかよ子君
副委員長鈴木あきまさ君
理事石島 秀起君
理事西崎つばさ君
理事あぜ上三和子君
清水とし子君
星  大輔君
斉藤やすひろ君
風間ゆたか君
山崎 一輝君
藤井あきら君
本橋ひろたか君
まつば多美子君

欠席委員 なし

出席説明員
産業労働局局長坂本 雅彦君
次長根本 浩志君
総務部長松本 明子君
産業企画担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務向井 一弘君
企画調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務勝見 恭子君
企画調整担当部長飯野 雄資君
商工部長緑川 武博君
商工施策担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務福田 哲平君
金融部長戸井崎正巳君
金融支援担当部長高野  豪君
産業・エネルギー政策部長阿部 泰之君
産業政策連携促進担当部長米澤 鉄平君
新エネルギー推進担当部長榎園  弘君
観光部長築田真由美君
観光振興担当部長天津 利男君
農林水産部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務山田 則人君
安全安心・地産地消推進担当部長
新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務
鈴木のり子君
雇用就業部長山崎 太朗君
事業推進担当部長内田 知子君
労働委員会事務局局長桜井 政人君

本日の会議に付した事件
労働委員会事務局関係
事務事業について(質疑)
産業労働局関係
事務事業について(質疑)

○慶野委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 初めに、今後の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、労働委員会事務局及び産業労働局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより労働委員会事務局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○藤井委員 労働委員会におけるデジタルトランスフォーメーション、デジタル化の取組について、質疑をさせていただきます。
 都では、昨年四月から東京デジタルファースト条例を施行しまして、デジタルファースト推進計画をその下に立てて、都の約二万八千手続の原則デジタル化の取組を進めているところであります。労働委員会の中でも対象となる手続は、六十一手続あるという状況です。
 あわせて、東京都が進めております構造改革、シン・トセイの中では、DX、デジタルトランスフォーメーションをてことした構造改革を進めるとしておりまして、全庁を挙げて都政のQOS、サービスの質を向上するための改革が爆速で進められているという状況であります。
 そういった中で、労働委員会においても、都民、労働者などの利便性を上げるといった観点から、また、その生産性を上げるという観点から、DX、デジタル化の推進が求められているところであります。
 そこで、労働委員会は、DX、デジタル化にどのように取り組んできたのか伺います。

○桜井労働委員会事務局長 労働委員会では、コロナ禍の状況等も踏まえ、令和二年度から、デジタル技術を活用した運営が可能となるよう、各種モニター等の機器類を配備するとともに、委員全員にタブレット端末を貸与するなどの対応を行ってまいりました。
 令和三年度は、調査手続や公益委員会議といった、当委員会の利用や運営にウェブ会議システムを活用した非対面型の手法を導入し、加えて今年度はこうした手法を相談業務にも拡充いたしました。
 また、令和四年七月には、労働委員会制度や利用方法を分かりやすく案内し、利用者の利便性の一層の向上を図るため、東京都労働委員会ホームページでチャットボットサービスを開始いたしました。

○藤井委員 今ご答弁の中で、令和二年度からタブレット端末の委員への配備や、昨年度等は会議や相談業務へのウェブ会議システムを導入する、また今年度はチャットボットのホームページへの採用ということで、着実にデジタル化、DXの取組を進めているということが確認を取ることができました。
 また、このチャットボットですが、私もホームページの方でも確認をさせていただきましたが、二〇一八年の私の一般質問で、今のデジタルサービス局に対して、都庁で一括してまとめて、全庁横串を刺してしっかりと統一したプラットフォームでつくってくれとお願いしたものが、まさに着実に全庁的に広がっているというところでありまして、この活用を一層進めていただきたいと思います。
 また、利用者が増えることによって、使い勝手の改善というものもされていくと思いますので、そういったフィードバックもしっかりしていただきたいと思います。
 労働委員会の中で、着実にデジタル化の取組が進められているということを確認させていただきました。
 一方で、デジタル化、DXを進めるに当たりましては、法律の壁など課題もあるのではないかと考えるところであります。労働委員会がデジタル化を進めていく中で、どのような課題があるのかお伺いをいたします。

○桜井労働委員会事務局長 労働委員会は、労働基本権の保護と労使関係の安定、正常化を図ることを目的とする機関でありまして、IT機器を使い慣れていない利用者であっても、不当労働行為の審査等手続ができるよう対応する必要がございます。
 また、申立書や答弁書など、慎重な対応が求められる機密性の高い書面や、審査等のために必要な膨大な量の書面を扱っておりまして、デジタル化に当たっては、情報セキュリティの強化やシステム上の対応も求められております。

○藤井委員 IT機器を使い慣れていない利用者の方が多いなど、課題があるということであります。一方で、今ご答弁の中に、特に法的な面での課題というものはなかったのかなというふうに受け取りました。
 社会が大きく、デジタルを含めて変化していく中でございますので、将来を見据えて、デジタル化の着実な対応を進めていただきたいと思います。
 そういった、今ご答弁いただいたような課題を抱える中にあっても、労働委員会がどのようにDX、デジタル化を推進していくのか、今後の取組を伺います。

○桜井労働委員会事務局長 当委員会では、最大限のデジタル化を進めつつ、IT機器の使用を望まない利用者も想定し、対面や紙書類による方法と、ウェブ会議システムや電子申請システムなどを活用する方法の双方を併用するハイブリッド型の取組を進めていくこととしております。
 今年度は、東京都及び区市町村で進めている東京共同電子申請・届出サービス等を活用し、不当労働行為の審査等手続のうち、一部の手続からオンライン上での書類の提出等を可能とするよう準備を進めております。
 また、機密性の高い書面やデータ容量の大きい書面の提出についても、課題や運用ルールの整理を行いつつ、今後、可能なものからオンライン化を進め、利用者のさらなる利便性の向上を図ってまいります。

○藤井委員 今ご答弁の中で、ハイブリッド型で対面、非対面、オンラインだったりオフラインだったりも組み合わせて進めていくということのご答弁でありました。
 ハイブリッド型、まずは第一歩としていいと思いますが、一方で、両方対応が必要になってしまって、職員であったりとか対応する方の手間がかなり増えてしまうとか、こちら、課題もあると思います。デジタル化のメリットを享受できないような面もあるかと思っておりまして、そういった面から、東京都のデジタルファースト条例、これは原則をデジタルとしているものでありまして、しっかりと、この労働委員会におけるDX、デジタル化の取組も、原則をオンラインとしまして、希望する方には対面や紙書類で対応するというような形で、ぜひご検討をいただければと思います。必要なところはぜひ残していただきたいとは思うんですが、あくまで原則として、そういう対応ができればと思っております。
 ご答弁中で、セキュリティの面だったりとか、また、多くの書類を扱うといったところでも、今後検討していくということでありますので、期待をするところであります。
 また、東京都が都内の区市町村等と提供する共同電子申請・届出サービスを利用するということであります。こちらも、先ほどのチャットボットの話ではないんですが、やはりこれは使い勝手が非常に重要で、実際に申請される方の満足度にも関わってくるかと思いますので、これは今後、よりよくしていかなければいけない課題の一つであるという認識をしておりますので、ぜひ、そういった使った実際の声などもまた届けていただければと思います。
 引き続き、このデジタル化、DXの取組を進めていただきまして、ぜひ、生産性の高い労働委員会事務の実施を続けていただきたいと思います。
 以上で、労働委員会事務局への事務事業質疑を終わります。

○斉藤委員 早速、質問に入らせていただきます。
 ビジネスや働き方の多様化がコロナ禍を経て一層加速する状況にあっても、良好な労使関係の構築のため、労働委員会が果たす役割の重要性は変わりないと思います。
 使用者の不当労働行為をやめさせ、正常な労使関係を築く措置を取るなど、その事務事業の性格上、本来的に都民からは比較的見えにくい事業ともいえると思います。しかし、その仕事の内容はといいますと、憲法に規定された労働三権の守り手としての地方自治法による独立行政委員会でございます。
 改めて、東京都労働委員会が扱う事件の状況、そして取組状況について、都民向けにお伺いしたいと思います。

○桜井労働委員会事務局長 労働委員会における不当労働行為審査事件の取扱件数は年々増加しておりまして、令和三年度においては四百五十五件となり、これは平成二十九年度の実績三百九十六件と比較すると、五十九件増加をしております。
 また、近年の新規申立てで最も多い不当労働行為の類型は団体交渉の拒否でありまして、おおむね七割から八割程度で推移をしております。
 調整事件の取扱件数は、令和三年度は八十七件で、昨年度と比べて八件増加しておりまして、近年は七十から八十件程度で推移をしております。
 調整事項として最も多いのは団体交渉の促進であり、毎年同様の状況でございます。
 当委員会における不当労働行為審査事件の取扱件数は全国の約半数を占めておりまして、調整事件の取扱件数は全国の約三割を占めているという状況でございます。

○斉藤委員 ご答弁にございました取扱事件数が国内で多くを占め、三割ということでございますが、まさに首都の経済発展の根幹である労使関係の安定化を担う東京都労働委員会の役割の重さを改めて認識をさせていただいたところであります。
 労使双方が納得できる解決を導くことは重要ですけれども、コロナ禍を通じまして、労使関係が急速に悪化したケースや働き方の多様化による様々な事案が発生していると仄聞しております。
 つきましては、近年の労働環境の変化について、労働委員会が把握している状況についてお尋ねしたいと思います。

○桜井労働委員会事務局長 昨今はコロナ禍を理由にする事件が多数に及んでおりまして、具体的には、団体交渉の未開催や経営悪化による給与削減、退職勧奨等が大きな論点となっております。
 また、近年の就業者の考え方の変化やインターネット及びスマートフォンの利用拡大などから、これまでになく労働環境が変化をしております。
 国のガイドラインの示すフリーランスとは、実店舗がなく、雇人もいない自営業主や一人社長であって自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者と定義づけられておりまして、国の複数の調査では、こうした就業者が三百から四百数十万人とされておりまして、全体の就業人数の五%程度に及ぶという試算が示されております。
 また、いわゆるギグワーカーについては、公式な定義はございませんが、インターネット上でサービスやシステムを提供、運営する事業者から、スマホアプリ等を通じ、企業に雇用されることなく、一度限りの仕事を請け負い働く者とされております。
 このような、これまでにない働き方が広がる中で、それぞれの労働環境において、例えば、報酬を一方的に減額されたり、業務遂行中に事故に遭った場合の補償などの問題が事業者との間で争点となり、労働委員会へ相談、申立てするケースが近年発生しております。

○斉藤委員 ともすると、コロナ禍の中で、業態転換を推進するということで、その店舗の在り方とかを応援する様々な助成とか支援とかあるんですけれども、結局、それを動かしているのは人であって、その担い手の中に、例えばこのギグワーカーといわれるような、今まで私が若い頃には見られなかったような働き方も出てきている中で、このコロナ禍の中で様々な労使関係の問題が発生し、労使関係に係る社会状況がこれまでにない変化を迎えていることを理解させていただきました。
 そうした中にありまして、この働き方の多様化に伴って、労使関係に係る新たな問題が顕在化をし、対応が容易でなくなっていること、複雑化していることがうかがえるわけであります。
 こうした状況において、労働委員会に持ち込まれる事件も複雑困難化していると思われますが、労働委員会の取組状況を伺いたいと思います。

○桜井労働委員会事務局長 フリーランスのような働き方に係る紛争は、過去の労働委員会の命令や裁判例、判例において同様の事例が少なく、かつ個々の事件に応じて事情や背景が様々でございます。
 そこで、新規の事件については、参考となり得る過去事例や文献の検証等を進めるとともに、社会動向や世界情勢等を随時把握し、労働委員会の判断の客観性、合理性を確実に担保できるよう、日々努力をしております。
 また、具体の調整におきましては、事件を担当する審査委員の考えを基に、企業、就業者間の契約形態等の形式のみにとらわれることなく、業務遂行の実態などを丁寧に見極めながら、的確な判断となるように努めております。

○斉藤委員 労働委員会が幅広い視野に基づきながら取り組んでいることが分かりました。
 一方で、労使紛争に当たりましては、迅速に解決するため、当事者同士が歩み寄ることも重要であります。
 その手助けをする労働委員会の調整機能として、あっせんの制度があるかと思いますが、このあっせんの制度の概要と、昨年度、労働委員会で取り扱ったあっせん事件の状況について伺いたいと思います。

○桜井労働委員会事務局長 自主的に解決することが困難となった労使紛争について、労働関係調整法に基づき、当事者からの申請を受け、労働委員会があっせんを行っております。
 あっせんは、労働委員会会長から指名されたあっせん員が、労使双方から主張の対立点や事件の背景等について事情を聴取し、争点を整理しながら両者が納得できる接点を求めて調整することにより、紛争を解決するものでございます。
 昨年度の終結事件六十八件のうち、協定締結等による解決は三十五件、労使主張の不一致等による打切りが三十件、申請した組合の都合等による取下げが三件となっております。

○斉藤委員 あっせんは、裁判に比べまして、決して目立つ調整の仕方ではないかもしれません。マスコミ等で取り上げられることがなく、不当労働行為の審査以上に、都民や中小企業の経営者の皆様は、このあっせんの仕組みを知る機会は少ないのではないかと思います。
 労働委員会のあっせんは、労使双方にとって専門家の知識を活用できる有効な解決手段と考えます。あっせんによる労使双方の具体的なメリットについてお伺いしたいと思います。

○桜井労働委員会事務局長 不当労働行為の救済申立てと異なり、あっせんは労使双方が申請でき、不当労働行為の審査や裁判と比べますと、書面等を準備する必要がなく、高度な専門知識がない場合でも、当事者が大きな労力をかけずに紛争を解決することができます。
 また、当委員会では、経験豊富な委員や職員によるあっせんを実施しておりまして、労使双方をきめ細かにサポートしながら、比較的短期間での事件解決を図っております。
 さらに、あっせんを開始しても双方の主張に隔たりがあり解決が見込まれない場合には、状況に応じ不当労働行為審査や裁判等、他の手続に切り替えることも可能でございます。

○斉藤委員 裁判にいきなり入るのではなくて、そのあっせんという手法を使って、半分近い方の解決を導いていることも、今のご答弁の流れの中で分かったわけでございます。労働委員会の役割の重要性を改めて認識をさせていただいた次第です。
 事件が複雑困難化している状況においても、労働委員会がその使命を果たしていくには、委員を補佐する事務局職員の高い能力が欠かせないと考えます。
 そこで、人材の話でございますけれども、労働委員会における人材育成の現状を伺いたいと思います。

○桜井労働委員会事務局長 当委員会が取り扱う事件の多くを占める不当労働行為の審査には、委員の指揮の下、事務局職員が事件の調査や命令素案の準備をする必要がありまして、専門性の高い人材が必要でございます。
 また、事件の解決には、これまで蓄積した紛争解決に関するノウハウを生かすことはもちろん、企業の再編に伴うリストラや非正規労働者など、社会経済の動向を反映した知識を習得することが求められます。
 このため、事務局職員に対しましては、交付した命令を素材とした事例研究など、局独自の専門研修の実施や、OJTを通じた専門知識や事務処理能力の向上に努めております。
 また、弁護士資格を持つ特定任期付職員を二名採用し、法務の経験を事件処理に活用するほか、きめ細かく事務局職員の指導にも当たることとし、組織的な人材育成に取り組んでおります。

○斉藤委員 労働委員会が日頃から人材育成に取り組み、事件を解決するための高い能力を維持する努力を重ねられていることを確認させていただきました。
 質問の最後になりますけれども、この労働委員会の使命を着実に果たしていこうとする事務局長の所見を伺って、質問を終わりたいと思います。

○桜井労働委員会事務局長 当委員会は、全国の不当労働行為事件の約半数を取り扱うとともに、労働組合法上の労働者の新たな定義づけが必要な先進的な事件を扱うなど、量並びに質の両面で全国の都道府県労働委員会の先陣を切ってまいりました。
 また、当委員会が行う手続は訴訟と異なりまして、個別事件の解決にとどまらず、審査等の過程において、労使関係のルールや紛争解決のノウハウ等を的確に労使双方へ提供することで、紛争の予防や早期解決にも貢献しております。
 今後とも、公労使の三者委員と事務局職員とが経験、ノウハウを共有しながら、複雑困難化する労使紛争の迅速かつ的確な解決に取り組み、東京の労使関係の安定や経済の発展に資するよう努めてまいります。

○斉藤委員 ありがとうございました。
 東京の発展に向けまして、良好な労使関係を構築していくことは重要なことだと思います。
 労働委員会の使命として、都内の労働者や企業の労使における紛争を速やかに解決されますよう、今後も確実に取組を進めていただくよう要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

○風間委員 重複するところは省きまして、簡潔に伺います。
 労働委員会としては、不当労働行為の審査と調整というお話が今あったかと思います。その中でも、調整の中ではこのあっせんがほとんどであり、その中でも団交促進が圧倒的に多い、例年そんな状況だというお話が先ほどもありました。
 この団交促進が最も多くなっているというのはなぜなんでしょうか。教えてください。

○桜井労働委員会事務局長 労働関係調整法におきましては、労働争議が発生したときは、労働関係の当事者は誠意を持って自主的にこれを解決するように努力するものとされております。
 このため、当事者は団体交渉によりまして紛争の解決を図ろうといたしますが、団体交渉では利害関係が対立し交渉が進展しない場合が多く、当委員会に対して労働争議の調整を申請いたします。
 こうしたことから、令和三年度で見ると、調整事件の調整事項別取扱件数百二十三件のうち、八十三件が団交促進というふうになっております。

○風間委員 労働者の立場でいえば、調整が難航することも含めて早期に解決をしてほしいと望むわけでありますけれども、東京都の労働委員会としては、この早期化ということに関しても取り組んでいることは認識をしております。
 どういった目標を掲げて、実績はどのような状況なのかを教えてください。

○桜井労働委員会事務局長 審査手続におきましては、複数回の調査及び審問を詳細に実施し、さらに状況及び対応方法等の整理を確実に進めております。
 当委員会では、審査期間の目標を、平成二十年一月から原則として一年六か月として、審査の迅速化に取り組んでおります。
 その結果、目標を設定した平成二十年一月以降、令和四年三月末までに処理の終わった事件のうち、約七割を目標期間内に処理しておりまして、事件の平均処理日数につきましては、四百四十三・七日、一年三か月程度となっております。

○風間委員 実績も出ているということですので、具体的にどういったことを取り組んでいくのかという、先ほど人材育成の件のお話はありましたけれども、そういった専門家の登用等も含めて重要なんだろうと思います。具体的に教えてください。

○桜井労働委員会事務局長 迅速化に向けた対応といたしましては、具体的には、調査期日の日程を次回以降三回まであらかじめ設定するとともに、審問は主尋問と反対尋問を原則として同一期日に実施をしまして、短期間に集中的な審問を行うなど対応に努めております。
 また、審査の終了後は、担当委員と職員との間で連携を密に取り、事件の終結に向けて組織的な進行管理を行っております。
 さらに、多様な労使紛争に迅速かつ的確に対応することを目指し、当委員会では、公益委員が、労働関係の法令に限らず、多様な法律分野の専門家で構成されております。また、現役の弁護士を事務局職員として採用し、具体の事件処理を担当させております。

○風間委員 体制を含め、しっかり取り組んでいることが確認できました。
 労働者の権利をしっかりと守っていくことは重要だと認識しておりますので、引き続き、この迅速化も含めて取り組んでいくよう求めまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○慶野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○慶野委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で労働委員会事務局関係を終わります。

○慶野委員長 これより産業労働局関係に入ります。
 初めに、過日の委員会で紹介できませんでした幹部職員について、局長から紹介があります。

○坂本産業労働局長 過日の委員会で欠席をしておりました当局の幹部職員を紹介させていただきます。
 観光振興担当部長の天津利男でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○慶野委員長 紹介は終わりました。

○慶野委員長 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○松本総務部長 去る十月二十五日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の経済・港湾委員会要求資料の表紙をおめくりください。
 目次でございます。資料は全部で十二項目ございます。
 一ページをお開きください。政策課題対応型商店街事業につきまして、令和四年度の申請状況を内容別にお示ししてございます。
 二ページをご覧ください。二ページから三ページにかけまして、中小企業制度融資の過去十年間の目標と実績の推移をお示ししてございます。
 四ページをご覧ください。都内製造業の事業所数、従業者数、製造品出荷額及び付加価値額につきまして、直近の調査結果として公表されている平成二十七年までの推移をお示ししてございます。
 五ページをご覧ください。働くパパママ育休取得応援事業につきまして、直近五年間の実績をお示ししてございます。
 六ページをご覧ください。介護休業取得応援事業につきまして、令和元年度以降の実績をお示ししてございます。
 七ページをお開きください。女性・若者・シニア創業サポート事業につきまして、過去五年間の実績をお示ししてございます。
 八ページをご覧ください。都立職業能力開発センターにつきまして、過去五年間のデータをお示ししてございます。八ページが応募状況、おめくりいただきまして、九ページが職業紹介の実績及び就職率でございます。
 一〇ページをご覧ください。委託訓練につきまして、過去三年間の科目、委託先の定員、応募状況及び就職率をお示ししてございます。
 一一ページをお開きください。雇用形態別、男女別、年齢別の都内就業者数につきまして、直近の調査結果として公表されている平成二十九年までの推移をお示ししてございます。
 一二ページをご覧ください。内水面漁業の従業者数、主な魚種別漁獲量及び養殖量の推移をお示ししてございます。
 一三ページをお開きください。林業の就業者数の推移をお示ししてございます。
 一四ページをご覧ください。東京都への国外からの旅行者数につきまして、過去十年間の推移をお示ししてございます。
 以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○慶野委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○鈴木委員 質問に入る前なんですが、今日十一月十日は、技能の日ということでございます。なかなかあまり知られていないんですが、この時期に名工などの技能者の表彰が行われるわけでございます。
 私どものデスクにも、雇用就業部から十一月八日に、技能五輪全国大会、全国障害者技能競技大会で東京都代表選手が優秀な成績を収めましたというペーパーをいただきましたけれども、十一月四日から七日まで開催されました第六十回技能五輪全国大会では、配管技能職種で、私の地元の嶺井政明さんが金賞をお取りになられました。
 また、十一月四日から十一月六日まで開催されました、全国アビリンピックといわれておりますが、第四十二回全国障害者技能競技大会では、歯科技工競技種目で、やはり大田区の吉田勇己さんが金賞をお取りになりました。本当におめでとうございます。
 雇用就業部が直接主催ではありませんけれども、技能五輪全国大会は、原則二十三歳以下の青年技能者の技能レベルを競う大会です。各業界に携わる方々の技能レベルアップ、これが東京の産業の発展を支える源泉でもあるわけですから、産業労働局としても、それぞれの大会のバックアップをよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 さて、質問に入らせていただきます。
 まず、商工部ですが、魅力ある商店街づくりに向けて、将来を見据えた戦略的な取組にチャレンジする商店街に対して、幅広い支援を行う七つの事業のメニューの一つとして、この令和四年度の新規事業、未来を創る商店街支援事業があります。
 商店街は、地域に密着した買物の場であるとともに、高齢者の見守りや子供の預かりなど、身近な生活圏の中で地域住民の生活を支える存在として重要な役割を果たしております。まさに商店街は、都民、区民、市民の生活を支えるプラットフォームであります。
 一方、ネット販売など買物スタイルの変化への対応や後継者の不足による空き店舗の増加など、商店街を取り巻く状況は厳しさを増しております。
 こうした中、商店街が今後とも地域の中で中核的な役割を担い、発展していくためには、商店街自らが社会の変化や課題に的確に対応して、戦略的に取り組んでいくことが大切であります。
 東京都では、今年度から商店街の計画づくりやその実現に向けたサポートを行う取組を開始しておりますが、その支援内容と取組状況をまずお伺いします。

○緑川商工部長 都は、商店街の活性化に向けた計画的な取組を後押しするため、今年度から、専門家の派遣と助成金を組み合わせた三年間にわたる継続した支援を新たに開始いたしました。
 具体的には、商店街に専門家を派遣し、課題への対応策をまとめた計画づくりをサポートするとともに、計画の実行に必要となる経費について、都が二分の一を、区市町村が三分の一を助成いたします。
 今年度は五件の取組を採択しており、デジタル技術を活用して地域情報を発信し、それを機会に地元住民との交流を深め、にぎわい創出を図る商店街や、スタートアップと連携して魅力ある店舗を誘致し、新たな顧客の開拓につなげていく商店街などを支援の対象としております。
 今後は、商店街ごとに、都や区市町村、専門家などから成るサポート会議を設置し、計画の内容や取組の進捗状況に合わせたアドバイスを行ってまいります。
 こうした取組によりまして、意欲ある商店街をきめ細かく支援し、さらなる活性化につなげてまいります。

○鈴木委員 未来を創る商店街支援事業というのは、これは名前がいいですよね。社会状況が変化する中で、地域コミュニティを支える事業として使われるように、私も事務所が商店街の中にありまして、商店街の顧問などをやらせていただいておりますけれども、私どもとしてもしっかりと応援をしていきたいと思っております。
 そこで、同じく商店街チャレンジ戦略支援事業のメニューの一つであります、若手や女性が参画するイベントへの支援についてもお伺いをさせていただきます。
 東京都が、今年度予算で商店街の未来を見据えた戦略的な取組を後押ししているということは、今分かりました。
 ですが、一方で、商店街が将来に向けて持続的に発展していくためには、そうした計画に基づく取組を実際に実行に移すことができる担い手の存在が必要不可欠なわけであります。若手や女性など、商店街活動の新たな担い手となることが期待できる方々が活躍できる場をつくり、将来のリーダーをしっかりと育成していくことが重要であります。
 都は今年度から、若手や女性が参画したイベントに対する新たな助成を開始していますが、その取組状況についても伺います。

○緑川商工部長 都は、若手や女性が中心となり企画するイベントの実施に必要な経費につきまして、都が九分の五を、区市町村が三分の一を助成する支援を今年度から実施をしております。
 十月末時点で二十三件の交付決定を行っており、若手や女性の発想力を生かした様々なイベントの申請がございました。
 具体的には、デジタル技術に精通した若手経営者等のアイデアにより、アプリを利用したクイズラリーを行う事例や、女性が企画した商店街とパワースポットである神社などを巡る周遊イベントの事例などがございます。
 こうした取組を通じて、新たな担い手の育成を図る商店街を着実に支援してまいります。

○鈴木委員 若手経営者のアイデアやこういったアプリを活用して、商店街をますます活性化していく、それに東京都がしっかり応援していこう、僕は、これは本当にいい支援だというふうに思っております。
 私の地元の大田区の蒲田でも、十一月三日に開催された、大田区の蒲田東口商店街主催、大蒲田祭というので、若手経営者が起業した、クーポンを使って飲食店を使う、こういったアプリを紹介するブースには、本当に大勢の方の行列ができておりました。商店街でもアプリ加盟店が増えているということでございます。
 都内では、多くの商店街において後継者不足が課題となっております。答弁いただいたような若い方々や女性の考えを取り入れた取組は、商店街の持続的な発展にとって重要なものであります。引き続き、しっかりと取り組んでいただくことを要望しておきたいと思います。
 コロナの感染拡大は依然として予断を許さない状況ではあるものの、入国制限の緩和もあり、まち中は外国の観光客などでにぎわいを見せておりまして、今お話をさせていただいたような、私の地元でも、ようやくリアルでイベントを行う光景が戻りつつあります。
 長らく続いているコロナ禍では、感染拡大の波がいつ起こるか見通すことが難しく、商店街による様々なイベントの開催を急遽、見直さざるを得ない状況というのもあるんですよね。
 そういった中で、都が、中止となったイベントについて、その準備に要した、費やした費用やキャンセル費用などを補助対象としたことは、私は大変評価をしております。評価できるものであって、地元からも非常にありがたかったという声をたくさん聞いております。
 都には、引き続き、地元の声を丁寧に聞いて、寄り添った対応を行っていただくことを要望して、次の質問に移ります。
 さて、次は、東京大会のレガシーを活用した観光振興についてです。
 昨年、二度目のオリンピック・パラリンピックが東京を中心に開催をされました。コロナ禍で無観客開催となったものの、メディアやウェブ等を通じて、多くの感動が国内外に広く伝えられたことは記憶に新しいところでございます。
 また、大会のレガシーとして、会場施設等の有効活用が期待をされておりますが、開会式、閉会式の会場となった国立競技場では、現在、一般向けのスタジアムツアーが定期的に開催されており、ロッカールームや競技トラックなど、ふだん、通常入ることのできないエリアを見ることができるというようなことで、既に国内の観光客から大変好評を得ていると聞いております。
 こうしたスポーツ施設などは東京への誘客につながる観光資源になるものと考えますが、これらの活用に関する都の取組状況について伺います。

○築田観光部長 都内への観光客誘致を進める上で、東京二〇二〇大会の施設を活用することは重要でございます。
 都は今年度、大会一周年の時期に合わせまして、旅行者が大会の感動を思い出し、東京の魅力を実感できるイベントを開催いたしました。
 具体的には、一都八県の大会施設や周辺の観光スポットを周遊する、リアルでもオンラインでも参加可能なデジタルラリーを二回開催いたしまして、延べ約六千七百人の参加がございました。
 また、国立競技場などの大会施設を核とする五つの観光ルートを新たに作成し、レガシーを活用した誘客を促しております。
 こうした取組によりまして、国内観光の活性化につなげてまいります。

○鈴木委員 今お話があったように、TOKYO二〇二〇レガシーミッションということで、大会の記憶を巡れ!ということで、二回にわたって開催されて、延べ六千七百人が参加した。私は、肝はリアルに行われる、リアルにできる、こういうことなんだというふうに思いますよね。
 東京二〇二〇大会の感動と、その記憶を将来に引き継いでいくため、今後も大いに大会のレガシーを活用した観光振興に取り組んでいただくことを要望しておきたいというふうに思います。
 さて、次は、中小企業制度融資についてです。中小企業の資金繰りを支えるための対応についてお伺いをさせていただきます。
 新型コロナウイルス感染症が現在も東京の経済活動に大きな影響を及ぼしている中、ロシアのウクライナ侵攻による原油や原材料価格の高騰、円安などによって、中小企業の経営環境はますます厳しさを増しております。
 一方で、こうした危機的状況をビジネスチャンスと捉えて、これを契機に新たな取組を進める中小企業も出てきております。
 こうした将来を見据えた脱炭素化や再生可能エネルギーの導入、DXの推進など、新たな課題に挑戦する取組を資金面から支援していくことも重要であります。
 また、こうした様々な課題に対し、資金面から都内中小企業を下支えしていくためには、事業者の実情を熟知する地域の金融機関の協力が不可欠であり、金融機関と密接に連携を図りながら、確実な資金繰り支援を進めていくことが、いうまでもなく重要であります。
 そこで、東京都は、制度融資や地域の金融機関と連携し実施する融資制度において、様々な資金繰りのニーズを持つ中小企業をどのように支えているのかお伺いいたします。

○戸井崎金融部長 都は、本年四月、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化を受けまして、令和二年度に実施した実質無利子融資の返済負担に苦慮する中小企業のため、制度融資において新たに感染症対応緊急融資の借換えメニューを創設いたしました。
 七月からは、ウクライナ情勢や円安等による資金需要にも加え、感染症対応緊急融資等の借換えにも対応するため、新型コロナウイルス感染症・ウクライナ情勢・円安等対応緊急融資を実施しております。
 また、政策課題に対応した融資メニューでは、DXやSDGs、テレワーク等に対する新たな取組を融資対象に加えました。
 こうした取組を進めることによりまして、制度融資の実績は、九月末時点で融資件数が約三万九千件、金額は約五千六百億円となっております。
 さらに、地域の金融機関と連携し実施する融資制度では、本年度から融資限度額を引き上げたことにより、利用が進んだ結果、九月末時点で当初想定していた年間の融資実行額の七割を上回る約三百八十億円の実績を上げております。
 こうした取組を進め、中小企業の様々な資金ニーズに的確に対応しております。

○鈴木委員 長期化する経済危機に加えて、ウクライナ情勢や円安などの要因により、都内中小企業の経営が極めて厳しい状況にある中で、こうした事業者を資金面から下支えしているということを今確認させていただきました。
 都内の倒産件数、負債額一千万円以上は、前年同月比一〇・五%増、九十五件、前年同月を二か月連続上回るということになっておりまして、これは十月現在の東京商工リサーチの調査なんですけれども、なかなか厳しい状況は、残念ながらというか、まだまだ続いていく状況だというふうに思いますよね。
 まずはコロナ禍を乗り越える支援、次に中小企業が収益を上げるためにDXやSDGs、テレワーク、脱炭素、ゼロエミッション、こういったものに対する新たな支援が、大いに中小企業の皆さんに使っていただきたい、こういうふうに思うわけなんです。
 これから、こういう状況の中、年末に向かっていくわけで、今後とも、社会経済の情勢を的確に捉えて、中小企業の実情を踏まえた着実な資金繰りに対する手厚い支援を強く要望しておきます。
 さて、次は、原油価格高騰の長期化への対応なんですが、厳しい経営状況にある中小零細事業者に対しましては、資金繰り支援に加えて、コスト削減に対する新たな設備の導入等を後押しすることが重要だと考えております。
 東京都は、今年の三月から、中小零細事業者の固定費等の削減を図るため、高効率の空調機器やLED照明器具といった省エネ機器などの導入を支援し、経営改善を後押しする取組を行いました。
 さらに、原油、原材料価格高騰の長期化を踏まえて、六月には、我が会派の要望を受けて、中小の運輸業やクリーニング業など、コスト面で大きな負担が生じる事業者に対して、エネルギーコストの削減につながる工夫や機器導入の後押しを行ってまいりました。
 そこで、まず、三月から実施している事業の内容とこれまでの実績、具体的な支援の例について伺います。

○緑川商工部長 都は、本年三月から、省エネ対策のアドバイザーや経営の専門家を中小企業の現場に派遣し、光熱水費等の削減につながる助言を行うとともに、その実現に必要な経費の二分の一を、百万円を上限に助成をしております。
 また、六月には、事務所や工場などの断熱性を高めるため、断熱シートや断熱材などを導入した場合も支援の対象に加えました。
 さらに、十月には、前期に比べ売上げの減少が続くなど、厳しい経営状況にある中小企業に対しまして、助成率を五分の四に引き上げる充実を図りました。
 こうした取組によりまして、これまで百五十一社から申請を受け付けており、具体的なアドバイスを行っております。
 例えば、製造業に対して、空調効率を高めることでさらなる省エネにつなげるため、高効率の空調機器の導入に合わせて、サーキュレーターの設置や出入口をビニールカーテンで間仕切ることを提案した事例などがございます。

○鈴木委員 単なる省エネ設備や機器の更新にとどまらず、専門家が一歩進んだ取組となるようアドバイスを行って、現場の実態に合った、より効果的な支援が行えているということが、今ご説明がございました。
 加えて、支援策の効果をしっかり検証して、この支援策の充実、年末に向かってしっかり図ってほしいなと、こういうことも要望しておきたいと思います。
 さて、同じく長期化への対応なんですが、六月から実施している中小の運輸業やクリーニング業など、コスト面で大きな負担が生じる事業者に対しての支援内容とこれまでの実績、具体的な事例などについてもお伺いをさせていただきます。

○緑川商工部長 都は、本年六月から、原油や原材料価格の高騰の長期化により、厳しい経営環境に置かれている中小企業に対しまして、経営の専門家を現場に派遣するとともに、固定費やエネルギーコストを減らす工夫などについてアドバイスを行い、その実現に必要な経費の五分の四を、一千万円を上限に助成をしております。
 これまで百五社から申請を受け付けており、具体的なアドバイスを行っております。
 例えば、車両の急発進を防ぐ機器の設置に合わせ、運行ルートや運転速度等のデータを把握できるシステムの導入を提案し、燃費の向上のほか、適正な運行計画や配車管理によりコストの削減を図る運送業の事例や、高効率のボイラーの導入に当たって、時間帯によって変わる業務量に応じた活用ができるよう、小型の機器を複数設置することを提案し、一層の省エネにつなげるクリーニング業の事例などがございます。
 こうした取組によりまして、厳しい経営環境にある中小企業のエネルギーコスト削減に向けた取組を着実に後押ししてまいります。

○鈴木委員 企業が比較的取り組みやすい機器のほか、ボイラーなどの大型設備等の導入を支援することで、中小零細事業者のエネルギーコスト削減につながっているということを今お伺いしました。
 省エネ効率の高い機器や設備等の導入は、ランニングコストの削減にもつながる大変有意義な取組であります。こうした事業者を数多く支援することで、電力需給の安定化にもつながっていくため、しっかりと腰を据えて継続して取り組んでいくことを要望して、次の質問に移ります。
 次は、生産性向上のためのデジタル技術活用推進事業についてです。
 厳しい経営環境が続く中、中小企業が事業を継続していくためには、生産性の向上はもちろんのこと、有能な人材を確保する意味でも、従業員の待遇改善などにも取り組むことが不可欠であります。
 近年では、技術革新が目覚ましいデジタル技術を活用したDX化により、こうした経営改善に取り組む企業が増えてきておりますが、ノウハウや資金的な余裕がない中小企業においては、十分な対応ができていない実態というのもあります。
 この点、我が党が令和四年第三回定例会で質疑を行い、規模、内容が充実された生産性向上のためのデジタル技術活用推進事業は、中小企業のデジタル化を強力に後押しする効果的な取組であると考えております。
 そこで、その事業の概要とこれまでの支援事例についてお伺いをさせていただきます。

○緑川商工部長 都は、生産性の向上を目指して、AIやロボットなどのデジタル技術を活用した設備やシステムの導入に取り組む中小企業に対して支援を行っております。
 具体的には、設備の導入計画の策定や機器の活用方法などについて、専門家が企業の現場に出向き、二年間にわたり最大二十回まで助言を行うとともに、必要となる経費の二分の一を、三百万円を上限に助成をしております。
 また、設備導入による成果を計画的に従業員の収入増加に結びつける場合には、助成率を四分の三に引き上げる拡充を十月下旬より開始をいたしました。
 支援している事業者の中には、各店舗の顧客データをクラウド上で管理し、全店舗で共有することで、営業活動の効率化を図る小売業のケースや、見積りから契約や支払いまでを一元的に管理するシステムを導入することで、管理業務の省力化を図る情報通信業の事例などがございます。
 こうした取組を通じまして、中小企業のDXを適切に後押ししてまいります。

○鈴木委員 中小企業の経営者の多くは、ITなどのノウハウを持たずに、デジタル化には苦労するとの声も聞かれております。この点、本事業は、専門家が企業に寄り添って、きめ細かくアドバイスし、DX化につなげるというところが重要である、このように考えております。今後は、こうした専門家によるサポートのさらなる充実を求めておきたいと思います。
 次は、設備投資です。
 アフターコロナを見据え、V字回復を目指す中小企業が、生産性を高め、競争力を強化していくためには、AIやロボット等の最先端のデジタル技術を活用した機械設備の導入に対する支援が必要であります。
 ものづくり中小企業が多く存在する私の地元大田区においては、区や地域の工業団体などが中小企業の人材確保に向けた若者とのマッチングや、ものづくり人材の育成などに取り組んでおりますが、人手不足が大きな課題となっております。
 このような課題を抱える中小企業から、製造工程の自動化や品質管理の省人化など、DXに取り組むための設備投資を希望する声を多く聞いております。
 都は、躍進的な事業推進のための設備投資支援事業において、DXに取り組む中小企業に対して、機器設置等の購入経費を支援しておりますが、その実績について伺います。

○緑川商工部長 都は、中小企業が競争力強化やDX推進のほか、省エネ化などの取組を行う際に、最新の機械設備を導入する場合、必要な経費の最大四分の三、一億円を上限に支援をしております。
 今年度は二回募集することとしており、六月に行った一回目の募集では百九十七者から応募があり、九十三者を採択いたしました。
 採択した案件の中には、半導体の製造装置に必要な樹脂部品の製造に当たり、ロボットが内蔵された自動加工機械を導入することで生産性が二倍になる事例や、下水道管の点検において遠隔操作が可能な管内検査用カメラを導入することで作業日数を四割削減する事例など、DX機器を活用した優れた取組がございます。
 こうした取組を通じまして、中小企業のDXを積極的に後押ししてまいります。

○鈴木委員 中小企業のDXを活用した設備投資をしっかりと支援していることが確認することができました。引き続き着実に行っていただくことを要望して、次の質問に移ります。
 次は、地域産業のデジタル化支援についてです。
 中小企業のDXに向けて、個々の企業を対象に、専門家によるサポートやその助言を踏まえた設備導入などの支援に取り組んでいることは分かりました。
 中小企業は、地域に根づいた事業展開や雇用を創出するなど、地域経済を支える基盤となる重要な存在です。
 東京には多様な産業が集積しており、地域ごとにその特性も異なることから、地域の実情に詳しい区市町村と連携した取組により、中小企業のデジタル化を図っていく視点は重要だと考えております。
 都は今年度から、区市町村による地域の産業特性を踏まえたデジタル化の取組を支援しておりますが、その取組状況について伺います。

○緑川商工部長 都は今年度から、区市町村が行う中小企業のデジタル化を支援する取組に対しまして、助成率三分の二、最大四千万円の支援を行っており、十月末現在、交付決定の件数は十九自治体、金額は約四億円となっております。
 具体的には、中小企業のデジタル化を支援する相談窓口の設置や専門家派遣に要する経費への助成、オンライン商談会への出展やECサイトの構築などの販路拡大に向けた取組に対する費用への助成、地域の店舗で使える独自のデジタル通貨の導入に係る経費への助成など、幅広い取組を支援しております。
 今後とも、区市町村の実情を踏まえた取組をサポートすることで、中小企業のデジタル化を進め、地域産業の活性化につなげてまいります。

○鈴木委員 中小企業にとって、デジタル化に取り組むことは、今や生産性向上や売上げアップに欠かせない大変重要なものとなっております。
 今後とも、それぞれの会社、個社支援、区市町村を通じた支援など、重層的な観点から中小企業のデジタル化のサポートにしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 最後に、中小企業の人材確保と育成についてお伺いをさせていただきます。
 中小企業の人手不足感は、建設業や運輸業などを中心に厳しい状況が続き、事業の担い手の早急な確保が急がれております。
 一方で、企業では、コロナ禍に加え、原材料価格の高騰や円安の進行など、事業を取り巻く状況が目まぐるしく変わっている中で、人材確保まで手が回らないというのが実情であります。
 また、採用しても、キャリアプランが立てられずにすぐに離職してしまうという状況で、人材の育成や定着に悩む例が見られております。
 業界そのものが人材不足に苦慮している場合、個々の企業で努力しても限界があります。業界のマイナスイメージの払拭や従業員の高齢化、資格の取得者の不足といった業界固有の課題と、業界内で連携して解決していくことが必要であります。
 都は、こうした業界ごとの課題解決を積極的に支援していくべきであり、そのためには実情に応じた取組を後押ししていく柔軟な支援スキームも重要であります。
 都はこれまで、業界団体を通じて支援を行ってまいりましたが、今年度リニューアルをして開始した業界別人材確保オーダーメイド型支援事業、これについて取組内容と実施状況をお伺いします。

○内田事業推進担当部長 都は、業界全体の人材確保力の向上を図るため、業界を取り巻く状況や課題に精通した業界団体を通じた支援に取り組んでございます。
 具体的には、採用ノウハウの習得をはじめ、テレワークの推進や人材育成、定着など、業界が希望するテーマに沿って、都としてセミナーや合同企業説明会を開催するほか、専門家の派遣など、オーダーメード型の支援を実施してまいります。
 今年度は、建設や介護等に関連する六団体を選定いたしまして、二か年にわたる支援を行ってございます。
 さらに、業界団体が自主的に行う独自の取組に必要な費用につきまして、補助率二分の一、三千万円を上限に助成してございます。
 今年度は、運輸等の分野で七団体を選定し、各業界が来年度にかけて実施する業界固有の資格や免許の取得支援、人材確保のための魅力発信の取組などに助成してまいります。
 各業界への支援の成果につきましては、業界内や他の業界に広く波及させられるよう、好事例集の作成など、情報発信にも積極的に取り組んでまいります。

○鈴木委員 オーダーメード型の支援をはじめ、経費の助成や業界内における成果の波及など、幅広い支援に取り組んでいることが分かりました。今、状況を伺わせていただきました。
 せっかく経済や人の動きが戻ってきたのに、肝腎の人手が足りずに事業が回らないと歯がゆい思いをしている事業者も多いのではないでしょうか。
 例えば、運輸業界では、慢性的なドライバー不足や高齢化で人手不足が本当に深刻な状況になっていると聞いております。トラック業界では、人材確保のために、いまだにドライバーを獲得するために、他県のこういった雇用部門へ働きかけを続けているというようなことも実は聞いております。
 都としても、こうした業界ごとの状況に真摯に向き合いながら、効果的な支援を実施することを要望させていただきます。
 ここまで中小零細の事業者や商店街を支える取組などについて伺ってまいりました。長引くコロナ禍、エネルギーや原材料の価格高騰、また、人材の不足など、事業者が直面している様々な課題に対応して、この支援策が用意されていることを確認することができました。それをいかに使ってもらえるかが大事であります。業界団体への情報提供などもしっかりと引き続き行っていただきたいと思います。
 東京の経済を支える中小の事業者が安心して事業を継続し、さらなる成長につなげられるよう、今後とも、事業者の声に耳を傾けて、実情に合った支援策をより一層充実していくことを強く求めて、私の質問を終わります。

○あかねがくぼ委員 初めに、ソーシャルファームについて伺います。
 障害者やひとり親、ひきこもり経験の方など就労に困難を抱える方々が、企業的な形態の中で必要なサポートを受けながら無理なく働くことができる職場であるソーシャルファームは、社会的に意義のある取組です。
 都は、我が会派の提案により、ソーシャルファーム創設に関する条例を制定し、令和二年度から全国に先駆け認証制度を開始しており、就労に困難を抱える方の新たな活躍の場が着実に拡大をしてきています。
 まず、東京都認証ソーシャルファームの現在の実施状況について伺います。

○山崎雇用就業部長 東京都認証ソーシャルファームにつきましては、十月末時点で、令和二年度から令和三年度に申請があった事業所のうち、認証事業所が二十七事業所、予備認証事業所が八事業所となっております。
 今年度は、令和二年度に認証した事業所には、運営経費に対する助成を行い、令和三年度に認証した事業所には、事業所の立ち上げに必要な整備改修等の経費に対する助成を行っております。
 認証事業所におきましては、十月末時点で、就労に困難を抱える方、百三十六名の雇用が実現しており、社会の担い手として、その個性や能力を生かして活躍をされております。

○あかねがくぼ委員 予備の認証も含めますと、都内三十五事業所がソーシャルファームとして誕生して、既に百三十六名の雇用が実現しているということで、誕生二年間で着実に前進をしているということを評価したいと思います。
 一方で、都内で障害をお持ちの方、ひとり親、また、ひきこもりの経験のある方など、就労に困難を抱えているという方々は、相当な数いらっしゃいます。十倍、百倍と事業の規模を拡大していくことが望まれています。
 ソーシャルファームは、従来の障害者の就労を支援している福祉事業所とは思想が異なっており、企業的な経営を目指して、いずれは独立採算で運営をしていくということが特徴であります。
 従来の福祉事業では、予算の都合で規模を拡大し続けていくということは難しいところがありましたけれども、ソーシャルファームの事業であれば、そういった制限はかなり少ないと思います。
 一方で、就労に困難を抱える方を多数雇用して、必要なサポートをしながら、経営を軌道に乗せていくということは、事業者側にとっては容易なことではありません。特に就労困難者の雇用に関しては、マッチングや定着に向けた支援が難しいという声を聞いています。
 社会的企業として名のりを上げたソーシャルファームの経営者が、その事業を撤退せずに継続していけるように、経営面や雇用面、しっかりと支援をしていくことが、SDGs社会を実現していくためには極めて重要です。
 東京都の認証ソーシャルファームの一層の促進に向けて、今年度、都の取組について伺います。

○山崎雇用就業部長 今年度は、就労に困難を抱える方の雇用と採用後の定着を支援するため、都の関係機関をはじめ、国や民間の就労支援団体などの支援機関と認証ソーシャルファームをマッチングさせるなど、連携を促進してございます。
 また、ソーシャルファーム支援センターにおきまして、事業者からの相談にきめ細かく対応するとともに、経営や雇用ノウハウ等に関するコンサルティングを延べ三十六回実施するなど、事業の検討段階から運営に至るまで、伴走的な支援を実施しております。
 今月には、認証ソーシャルファームと就労困難者の面接会を新たに開催するとともに、認証ソーシャルファームの交流会を開催し、十四の認証ソーシャルファームが参加して、事業者間の連携強化や就労困難者の雇用に関する事例の情報交換等を行うことで、ソーシャルファームの自律的経営に資する支援を行ってまいります。
 さらに、来月下旬に普及イベントを開催いたしまして、認証されたソーシャルファームの表彰を行うほか、取組事例を会場からオンライン等で効果的に発信することで、その創設をより一層促進してまいります。

○あかねがくぼ委員 ソーシャルファームの取組には、多くの都民の方からの期待が寄せられております。私も様々な機会を捉えまして、経営者の方には、ソーシャルファームというものがありますと説明を申し上げますと、大変興味を持っていただいております。
 また、ひきこもりの保護者団体の方々とお会いして話すこともありましたけれども、やはりそういった方々は、社会参加を進めたくても、一般就労というのはとてもハードルが高いということで諦めていると、そういったお話をいただきます。そして、ソーシャルファームというものがありますよというお話をしますと、大変希望が持てるということで喜んでいただいたりしております。
 しかし、まだまだ潜在的な就労の希望者に対しては、ソーシャルファームの絶対数というものは不足をしております。
 今後、ソーシャルファーム創設を目指す事業者の裾野を広げると同時に、就労に困難を抱える方に対しては、最新情報をプッシュ型で発信をしていただくなど、こういった取組も着実に進めていただいて、ソーシャルファームを社会に根づかせていただくことをご要望し、次の質問に移ります。
 コロナ禍は女性不況とも呼ばれておりまして、女性の就労が多いサービス業等が大きな影響を受け、雇い止め等により非正規の労働者が減少するなど、女性の就労に対して、非常に深刻な影響を及ぼしました。
 求職活動に十分な時間をかけられない、特にひとり親の方など、女性の中にはそういった事情がある方も多くいらっしゃいます。子育てをしながら就職活動、あるいは学び直しには大きなハードルがあるため、行政の支援が欠かせません。
 都は、女性が抱える状況に寄り添い、再就職を目指す女性が希望の仕事に就けるように支援をしていくべきでありますが、現在の取組状況について、実績を含めて伺います。

○内田事業推進担当部長 都は今年度、コロナ禍などで離職をした女性が早期に再就職できるよう、アウトリーチ型の支援として、都内各地に出向きセミナーと就職相談を行う、女性応援キャラバンを新たに開始いたしました。
 具体的には、就職活動を成功させるために必要な市場理解やノウハウ習得などを内容とするセミナーと個別相談会を、年間五十回開催することとしており、十月までに二十七回実施し、七百三十三人が参加をしてございます。
 ひとり親など、きめ細やかな支援が必要な女性に向けましては、しごとセンターに専門のカウンセリング窓口を設置するとともに、求人開拓の体制も強化し、十月末までに百七十三人にカウンセリングを実施いたしました。
 また、パソコンやWi-Fiをひとり親の方に無償で貸与し、eラーニングによる職業訓練を就職支援と一体的に実施をしており、十月末までに三百四人が受講してございます。
 事業に参加した方からは、育児で自分と向き合う余裕がなかったが、少し気が楽になった、一人で抱え込んでいたので、相談できてよかったなどの評価を得てございます。

○あかねがくぼ委員 子育て中で時間がないような女性にとって、身近な地域で出前講座や出張相談が受けられるということは、非常に意義深いことです。
 ひとり親に理解のあるような求人を積極的に開拓をして、一人でも多くの女性、そういった状況にある女性の再就職がかなうよう、丁寧に取り組んでいただきたいと思います。
 我が会派の実施をしましたアンケート調査では、四十代以上の世代で、育児のために正社員を辞めたり、何らか時間を減らすと、そういったことをされた女性が実に四割に上りました。
 かつては大手企業などで働いて、子育てのために離職をした、そういった女性が地元の企業で再就職をするためには、柔軟な勤務時間に対応できる、または前職でのスキルや経験を生かせる、こういった視点が非常にポイントになってまいります。
 一方、近年では、出産、育児などで一時的に離職をするという女性は減ってきておりまして、今まさに子育て奮闘中の世代というのは、共働きが主流となってきています。十年前では、離職をするような女性が多かったわけですけれども、今は、離職をしたいと思っても、家計を支えるために仕事をしなければいけない、こういったやむを得ない事情だというところもよく聞こえてまいります。
 育児と就労の両立というものは、従来から、女性の負担というのは過剰にあるというところが実態であります。男性の育休の普及など、格段に両立がしやすい環境の整備が進んでいるところでありますが、大企業に比べて中小企業では、女性の働きやすさという意味では、まだまだ道半ばであります。
 都は、中小企業に勤める女性社員、あるいは子育て世代が、仕事とプライベートの両立しやすい環境づくりやテレワークの推進に取り組んでいると認識をしておりますが、その好事例を求職者にも広く発信をしていただいて、人材確保の戦略として浸透していくということも重要です。
 そこで、中小企業における女性が働きやすい職場づくりを推進するとともに、優れた取組を、求職者を含めて広く情報発信をしていくべきだと考えますが、都の取組、現状を伺います。

○内田事業推進担当部長 都は、女性が働きやすい職場環境づくりを促すため、テレワークを導入した上で、育児と仕事の両立支援制度を整備した企業に奨励金を支給するほか、社内のライフ・ワーク・バランスを推進し、効果を上げた中小企業を募り、優れた企業を認定して広く公表するなどの取組を行っております。
 また、在宅勤務やテレワークを新たに取り入れたい、男性社員が育児休業を取りやすくしたいなどの課題を抱える企業に専門家が赴き、人事制度や賃金制度など、状況に応じた助言を行っており、十月末までに四十九社へ百十七回派遣いたしました。
 求職者への情報発信につきましては、中小企業の魅力を就活生等に発信するプロジェクトを展開してございまして、その一環として、女性の活躍に積極的に取り組む企業と子育てや介護等で離職し再就職を目指す女性との交流会を開催してございます。
 参加者からは、社会の意識が変わってきていることが分かった、女性の働き方について柔軟に対応しようとしている中小企業が多く驚いたなどの声をいただいております。

○あかねがくぼ委員 働き方改革に取り組んで、女性も積極的に採用していこうとされている中小企業は多いということであります。
 これらの好事例を多くの中小企業にも波及させて、女性の働く選択肢が広がっていくように、引き続き取組をお願いしたいと思います。
 次に、ハラスメント防止の対策について伺います。
 今年四月から、改正労働施策総合推進法、いわゆるパワハラ防止法が中小企業にも適用され、全ての事業主に対して、パワーハラスメントをはじめとするハラスメントの防止措置を講ずることが義務づけられました。
 いうまでもなく、職場のパワハラやセクハラ等の様々なハラスメントは、個人としての尊厳や人格を不当に傷つける社会的に許されない行為であるとともに、働く人が能力を十分に発揮することの妨げにもなります。
 それはまた、企業にとっても、業務への支障につながり、社会的評価に悪影響を与えかねない問題です。
 都では、職場でのハラスメントについて、事業者や従業員の方々からどのような相談を受け、どのように対応してきているのか伺います。

○山崎雇用就業部長 労働相談情報センターにおきますハラスメントに関する労働相談件数は、令和二年度は九千五百七十一件、令和三年度は九千九百十八件、令和四年度は九月末時点で五千九十九件となっております。
 直近三か年ともパワーハラスメントの相談件数が最も多く、主な内容は、上司のパワハラ的言動により、体調不良や休職になったケースなどでございます。
 同センターでは、ハラスメントに関する労働相談を受け付け、紛争解決に向けたアドバイスを行うとともに、労使いずれかから要請があった場合にあっせんを行っており、ハラスメントに関するあっせんの件数は、九月末時点で四十七件となっております。
 また、法律に基づく助言指導等が必要な事案につきましては、国の総合労働相談コーナー等につないでおりまして、国においては、紛争調整委員会によるあっせんも実施しております。
 なお、ハラスメントに関する相談は、心身の不調などにつながる内容が多いため、労働相談情報センターの各事務所に専門相談員を配置いたしまして、必要に応じ、心の健康相談を実施しております。

○あかねがくぼ委員 都において年間一万件ほどあるようなハラスメント相談に、しっかり対応した体制で問題解決の支援をしていただいているのが分かりました。
 引き続き、許されない行為でありますハラスメント防止に努力をしていただくことをお願いしまして、次に移ります。
 コロナ禍は、サービス業、特に観光や飲食に対して大きな打撃となりました。十月十一日以降は水際対策が緩和され、長らく冷え込んだ観光産業に、明るい兆しが舞い込んでいるところであります。
 円安が追い風にもなりまして、インバウンド特需ともいうべき状況を、都として最大限活用して、都内経済の活性化につなげていくべきと考えます。
 都としては、訪都旅行の需要確保に向けたビジネス交流の推進や海外旅行者のニーズを捉えたプロモーションなど、外国人旅行者の誘致に向けて、意欲的に取り組んでいるところと伺っています。
 そこで、インバウンドの誘致につながる、効果の高い観光プロモーションを行っていくため、どのような取組を行っているのか伺います。

○築田観光部長 都では、観光プロモーションを展開している海外各都市におきまして、海外旅行者の動向に関する調査を行っております。
 具体的には、海外各都市の市民と現地旅行事業者を対象に、観光地としての東京に対する認知度や関心の高さ、旅行地に関する情報収集の方法などについて調査いたしまして、現状の把握と分析を行っております。
 この調査結果は、そのほかの調査と併せまして東京観光レップ等に提供し、現地での宣伝に役立てるとともに、プロモーションのターゲットや発信方法などの検討に活用しております。
 加えまして、SNSなどオンラインでのPRの実施後は、サイト閲覧者数等から東京に関する興味や関心の傾向を分析し、より訴求力の高い情報発信に結びつけることとしております。
 こうした取組によりまして、効果的なプロモーションを展開し、海外からの旅行者の誘致につなげてまいります。

○あかねがくぼ委員 様々な手法で海外のプロモーションというのを展開していただいているということが分かりました。
 デジタルマーケティングの時代でありますので、より効果的なプロモーションを実施していくためには、アナリティクスなども活用して、データに基づいたPDCAサイクル、これを回していただくように、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 次に、飲食業について確認していきます。
 飲食産業も、長引くコロナからようやく持ち直しをしてきている状況ではありますが、コロナ以前と同じ状態に戻ってきたというわけではありません。収益を確保していくためには、業態転換などビジネスモデルを転換していくといったことも余儀なくされています。
 一方で、限られた運転資金の中での新たな取組への挑戦というのは困難を極めますので、赤字が続いて廃業となってしまう、こういったことも懸念されます。
 我が会派は、飲食業への支援として、協力金の創設をはじめ、デリバリーなど業態転換を促す支援など、提案をして実現をしてきたところであります。
 東京都は、飲食事業者向けの支援を継続的に行っておりますが、改めてその内容を伺うとともに、具体的な支援の例について伺います。

○緑川商工部長 都はこれまで、中小飲食事業者を取り巻く厳しい経営環境を踏まえまして、テークアウトや宅配などに業態を転換する取組をサポートするほか、専門家のアドバイスに基づき、本格稼働に向けた取組を後押しする経営基盤強化支援を継続的に行っております。
 業態転換支援は、令和二年四月の制度開始から今年十月末までに、一万一千九百六十五件の申請を受け付け、一万九百六十六件、約六十三億円の交付決定を行っており、高価格帯のメニューを提供するレストランが、ワインをセットにしたテークアウトメニューなどを開発し、新たな売上げ確保につなげた事例や、居酒屋を営んでいた事業者が、移動販売車による営業に取り組み、新規の顧客確保につなげた事例が出ております。
 また、経営基盤強化支援は、令和三年十一月の制度開始から今年十月末までに、千八百八十一件の申請を受け付け、千六百六十七社に専門家を派遣しております。
 専門家のアドバイスを受けた企業千百三十三社に約十七億円の交付決定を行っており、省エネによる経費節減に加え、調理や配膳などの効率を高めるため、冷蔵庫や食洗機などの設備更新を行うとともに、デジタルサイネージを導入して集客効果を高めた事例などが出ております。
 こうした取組を通じまして、中小飲食事業者の経営を下支えしてまいります。

○あかねがくぼ委員 コロナ禍から現在まで、飲食店に向けた支援、これを確実に成果につなげているということが確認できました。
 今後しばらくは、円安によるインバウンド、この特需があると思いますので、それを生かして、観光、飲食業としては、コロナ禍の痛みをはね返すような絶好の機会であると考えます。
 感染症対策との両立が重要となりますが、観光業と飲食業の景気回復、この機運というものをですね、水を差すことがないように、都としても全力で応援していただくようにお願いしまして、次に移ります。
 中小企業の設備投資助成について伺ってまいります。
 世界市場は急ピッチでイノベーションを繰り返しており、都内の中小企業も、国際競争とは無関係ではいられません。
 都内の中小企業は、コロナ禍以前から約七割は赤字経営となってしまっており、生産性の向上という意味では、待ったなしでございます。
 そして、競争力強化につながる事業としては、躍進的な事業推進のための設備投資支援事業というものがございまして、これは先ほどご質問がありましたので一部割愛をいたしますけれども、これらが、AI、ロボットなど第四次産業技術を使ったイノベーション、これを推進していくというものでありまして、私もこれを推進している立場でございます。
 近年の円安の影響、また、長引く原油、原材料の高騰などが加わりまして、競争力や生産性の向上のみならずエネルギーコストの削減につながるような設備投資、これがまた後押しをしていくということが重要となってきております。
 都は、躍進的な事業推進のための設備投資支援事業におきましても、二十億円の予算を措置して、競争力強化に加えて、省エネや脱炭素に取り組む事業者の設備投資に対して、新たな支援を開始しておりますが、その概要とこれまでの支援事例について伺います。

○緑川商工部長 都は、中小企業におけるエネルギーコストの削減対策として、今年度新たに、競争力を強化しながらCO2排出量の削減や省エネを図る設備投資を支援する、競争力・ゼロエミッション強化区分を設け、導入に必要な経費の最大四分の三、一億円を上限に支援をしております。
 採択した案件の中には、図面データを入力することで、切断や穴開けなどの加工を自動で連続して行うことができる最新の機器を導入する建材業の事例や、高い精度が要求される燃料電池検査システム用の部品を加工できる装置を導入し、高品質化と量産化を図る部品製造業の事例など、生産性や競争力を向上させながら省エネ等を図る優れた取組がございます。
 こうした取組によりまして、中小企業の脱炭素化や省エネに向けた取組を支援してまいります。

○あかねがくぼ委員 中小企業の生産性向上、加えまして脱炭素や省エネを図るような設備投資、しっかりと支援をいただいていることが分かりました。
 私も地元企業、中小企業から、この事業に対して、何社か取り組んだということをご報告いただいております。一社は採択をいただいたということですが、それ以外の会社さんはちょっと、残念ながら不採択だったということで、ほかの支援の対象になるということはありますので、不採択になってしまいました企業様にも丁寧にガイドを行いまして、都内企業全体の底上げにつながるように、サポートをお願いしたいと思います。
 次に、新たな産業の創出支援について伺います。
 既存企業の多くは、外部環境の変化、また時代の変化によって、厳しい経営環境に置かれております。
 一方で、これから成長が期待できる分野としては、グリーン、デジタル、シェアリングエコノミー、クリエーターエコノミーなどが挙げられます。これらの新たな産業に、都内経済を牽引する一翼を担ってもらうということも、都政運営において極めて重要な視点です。
 そこで、世界市場の中でも日本の存在感が高いクリエーターエコノミーについて伺います。
 クリエーターエコノミーとは、動画や文章、イラストなどデジタルコンテンツの提供や自身で制作したグッズやスキル、また、クリエーターの活動を多面的に支援する、周辺のサービスも含めた経済圏のことであります。
 このクリエーターエコノミーの国内市場規模は、三菱UFJリサーチ & コンサルティングの調査によりますと、一兆円を超えてきているということです。
 こうしたクリエーターエコノミーを含むコンテンツ産業に従事する事業者に対して、都として、今まではどのような支援を行ってきたのか伺います。

○緑川商工部長 都は、海外でも評価が高く、国内外での市場の成長が見込まれるコンテンツ産業の振興に向けた支援を行っております。
 具体的には、アニメで海外展開を目指す事業者や個人などを対象に、必要な知識やノウハウを身につけるためのセミナーやワークショップを開催しており、現在、年間八回のうち五回開催し、延べ百名が参加をしております。
 あわせて、コンテストによって選出された優れた企画力を持つ事業者等に対しまして、海外の見本市への出展支援などを行っており、今年度は五者が出展し、百二十三の商談が実現いたしました。
 また、ゲームや映像などを制作する事業者や個人などには、NFTやウェブスリーなどの新しい技術に関する最新の情報を提供するとともに、新たな事業展開に向けた相談対応を実施しております。

○あかねがくぼ委員 今までもいろいろな形で支援をいただいているということが分かりましたが、新しい産業でもありまして、様々な課題があると聞いております。
 クリエーターの活動を行っていく上での課題の中で、例えば、法律や税金等の事務処理や個人と企業の交渉、また、トラブルの対応など、専門的な事務をやるということが非常に難しいという課題が上がっているとのことです。
 また、クリエーターの四人に一人が誹謗中傷を受けたという経験があって、個人で活動している人が多いので、行政としても、今後、このような課題に寄り添った対応、支援を、業界とも協力しながら取り組んでいただきたいとご要望申し上げます。
 続きまして、商店街に対する振興について伺ってまいります。
 都は、様々な行政課題の解決に向けて、地域特性を踏まえた特色ある商店街の取組を支援していくために、政策課題対応型商店街事業を実施しております。
 この事業は、地域社会の中で、コミュニティの核として重要な役割を担っている商店街ならではの取組といえ、行政施策の推進と商店街振興の両面に寄与する重要な取組です。
 この事業の令和三年度の実績は延べ六十七件で、補助対象事業ごとに見ますと、LED街路灯の設置などの環境が十九件、アーチの撤去など防災、防犯が四十五件となっていると聞いています。
 政策課題対応型商店街事業の令和四年度の申請状況について伺います。

○緑川商工部長 都は、環境負荷の低減や防災、防犯など、東京が直面する行政課題の解決につながる商店街の取組を支援しております。
 今年度は、十月末時点で延べ九十一件の申請がございます。主な内訳は、LED街路灯の設置など環境が二十九件、アーチの撤去など防災、防犯が三十八件などとなっております。

○あかねがくぼ委員 政策課題対応型商店街事業というのは幅広いメニューが用意をされていますけれども、中でも、防災、防犯のほか、環境分野の申請が多いということが分かりました。
 都では、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けまして、都民、事業者のご協力もいただきながら取り組むべく、様々な施策を展開しています。
 我が会派は、こうした取組を社会全体に浸透させ、広げていくためには、都民にとって最も身近な活動の場であります商店街のご協力は欠かせない、そういった認識の下、商店街による環境に配慮した取組を一層後押しするように提案してまいりました。
 都はこれを受け、今年度から新たに、再生可能エネルギーや省エネルギーの推進に取り組む商店街の支援を開始したところですが、その取組の内容について伺います。

○緑川商工部長 都は、二〇三〇年のカーボンハーフ実現に向け、環境に優しい魅力ある商店街づくりを後押しするため、今年度から、商店街が行う再生可能エネルギー、省エネルギーの推進を図る取組を支援しております。
 具体的には、街路灯などへのソーラーパネルの設置や環境価値証書の購入等、再生可能エネルギーを推進する取組を行う場合、街路灯などのLEDランプを、より性能が高いLEDランプに交換できる仕組みとしております。
 こうした取組に必要な経費につきまして、助成率五分の四、一億二千万円を上限に支援することとしており、本年度は二十一の商店街から申請が出ております。
 こうした取組を通じまして、環境に配慮した商店街の取組を着実に支援をしてまいります。

○あかねがくぼ委員 ありがとうございます。
 最後に、農業振興について伺ってまいります。
 私の地元であります杉並区では、学校給食の中で、区内産の野菜を利用したメニューを提供していく地元野菜デー、こういったものを年に二回、実施したりしております。
 こうした取組は、児童生徒の食育に役立つのみならず、地域の農家にとっても安定的な販路の確保につながっていく好事例だと思います。
 東京都は、地域で生産された農産物の学校給食への供給など、区市町村が行う地産地消の取組を支援しておりますが、今年度の具体的な支援内容について伺います。

○鈴木安全安心・地産地消推進担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都は、地産地消を一層推進するため、区市町村における地場産農産物の消費拡大に向けた取組に対しまして、三年間の助成を行っております。
 初年度の補助率は三分の二、上限額は一千万円であり、順次助成金を低減することによりまして、区市町村の自立的な取組を促す仕組みとしております。
 今年度は、八区市に交付決定を行い、地域で収穫された野菜を販売するマルシェの開催や親子で行う野菜の植付け体験など、様々な取組を支援しております。
 このうち、三鷹市と西東京市の二市が学校給食への供給に取り組んでいます。
 三鷹市では、市立の全小中学校二十二校と保育園十八園で、市内で収穫した野菜を、定期的に給食用として提供しております。
 また、西東京市では、小中学校二十七校の児童生徒が、地域の野菜を使って約三千のメニューを考案し、その中から栄養士が、十月末時点で三十八メニューを選び、学校給食へ提供いたしました。

○あかねがくぼ委員 地元杉並区では、実は都の助成制度というものは使われてはおりませんけれども、さらに地産地消というものを推進していけるように、杉並区に都の制度も紹介をしながら、意見交換を重ねていきたいと思います。
 次に、米粉パンの普及についてでございます。
 ウクライナ情勢等の影響により、小麦価格の高騰が続いていく中で、小麦の代わりに、国内で生産が可能となっている米粉の消費を促していくということは重要です。
 日本の貴重な食材であります米をご飯として食べるだけでなく、粉に加工することで新たな販路が生まれ、消費量も高まるということになります。
 私も先日、コンビニで米粉パンの、まあ菓子パンをいただいたんですけれども、大変おいしくて、非常に、はやっていくのではないかなと思いました。
 都は、米粉を使ったパンの普及を図る取組を進めておりますが、その取組状況について伺います。

○山田農林水産部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都は、小麦の代わりとなります米粉の利用拡大を図るため、米粉を使ったパンの魅力を伝えるキャンペーンを推進しております。
 具体的には、農業者の団体であるJAや大手コンビニエンスストアと連携し、新潟産の米粉を使ったパンの商品開発を支援いたしました。
 また、キャンペーンの特設ウェブサイトを制作しまして、都内で米粉パンを製造、販売しているパン屋のうち、キャンペーンの趣旨に賛同する店舗とその商品を紹介しておりまして、十月末現在で六十五店舗を掲載してございます。参加店には、店頭で使用するのぼり旗やポスター等のグッズを配布しまして、米粉パンのPRに活用していただいております。
 さらに、米粉パンの普及を推進するPR動画をSNS等で発信するとともに、十一月から東京メトロ等の車内広告で随時放映してまいります。

○あかねがくぼ委員 今、米粉パンの普及については、事業者の裾野を広げているという段階であると聞いています。この取組を継続していく中で、米粉パンという、ブランドをつくり、新たな市場として拡大をしていってほしいと思います。
 最後に、堆肥の利用促進について伺います。
 化学肥料の高騰が続いており、農業経営には深刻な影響を及ぼしております。十月末にはJA全農が化学肥料価格を最大で約三割引き上げると発表し、主な肥料価格が再び過去最高を更新しました。
 一方で、化学肥料に代わるものとして堆肥の活用への関心が高まっています。
 都は、農家のコスト負担の軽減を図るため、化学肥料の削減や堆肥の利用促進に向けた取組を行っていますが、具体的な対応について伺います。

○鈴木安全安心・地産地消推進担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都は、農家が農地に含まれる肥料の成分や量を把握し、化学肥料を削減して堆肥の活用が進むよう、無料の土壌診断などを実施しております。
 今年度は、秋用の作付に向けまして、約一千の圃場の土壌を診断し、JAや農業改良普及センターの指導員が診断結果に基づきまして、作物に応じた肥料の種類や使用量について助言を行いました。
 現在、来年春の作付に向けまして、約八百の圃場の土壌診断を実施しております。土壌診断に基づき、農家が必要な肥料の一部を堆肥等で代替する場合には、その購入経費の一部を助成することとしておりまして、十月下旬から申請の受付を開始いたしました。

○あかねがくぼ委員 化学肥料を減らして堆肥を活用するということは、環境負荷の軽減にもつながります。引き続き、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 農家を取り巻く経営環境は厳しさを増していますが、こうした中にあっても新たに都内で農業に取り組みたいという方は少しずつではありますが出てきています。都は、こうした方に対して、基礎的な栽培技術や経営を体系的に学ぶ研修を実施しています。
 また、都内には千六百八十五の認定農業者がおり、生産性が高く、高品質な農産物の生産に取り組んでいます。
 東京農業の活性化に向けて、新たに農業を始める方からベテランの方まで、それぞれの抱えている課題を踏まえ、農業者に寄り添った丁寧な支援をお願いしまして、私の質問を終わります。

○まつば委員 雇用対策、就業支援に絞って質問をさせていただきます。
 私は、二〇〇五年、平成十七年の初当選でございますが、最初の一般質問で、女性の再就職支援について取り上げさせていただきました。
 その際、東京しごとセンターでの相談の際に、託児サービスを提供すべきであると、こういう質問をいたしまして、その際、託児サービスの検討をするというご答弁もあり、その後の展開があったわけであります。
 まだその当時は、国もまだマザーズハローワークをスタートする前の話でございまして、そうした意味では、東京都が一歩先に行きながら、様々な就労支援も進めてきたというふうに私も考えているところでございます。
 そういった意味では、それ以来、就労支援については強い関心を持って取り組んでまいりました。事務事業質疑でもありますので、産業労働局が行っている事業について質問しつつ、私の課題認識も若干お話をさせていただきたいと思います。
 最初に、育業の推進について質問をいたします。
 チルドレンファーストの社会の実現というのを私はずっと目指してまいりまして、先進的な政策の必要性も一貫して訴えてまいりました。
 都におきましても、令和二年にこども未来会議の設置がございまして、また、議員提案条例でございます、こども基本条例の制定もあり、また、今年度からは子供政策連携室が設置されるなど、取組加速への体制が整ってきていると思っております。
 こどもスマイルムーブメントといいます、子供を大切にする社会の実現に向けた機運醸成のための、そうしたムーブメントも都はスタートをさせたわけでありますが、そのキックオフ・アクションにおきまして、小池知事を中心とする対話の中で、育休の名称について課題があるねという話になりまして、その後、公募がされて、そして、六月に育児休業の休むというイメージを一新する愛称、育業が発表されたと、このように認識をしております。
 十月からは改正育児・介護休業法が施行されまして、母親の肉体的、精神的な負担が特に重い産後八週間に父親が仕事を休むことを想定した産後パパ育休や育児休業の分割取得が可能となるなど、家庭に合わせた柔軟な育児休業取得ができるようになりました。来年四月には男性の育休取得率の公表が大企業に義務化されます。
 そこで、この法改正の節目に、育児休業が取得しやすい職場づくりに向け、都として充実させてきた施策についてどう進めているのかお伺いをいたします。

○内田事業推進担当部長 都は今年度、企業における従業員の育児休業取得を促す奨励金、働くパパコースの規模を拡充し、十月末までに二百を超える企業に支給決定を行ってございます。
 加えまして、十月の法改正に合わせて、母親に引き続き父親が育児休業を取得する場合などに奨励金を支給する取組を新たに開始いたしました。
 また、男性の育児休業取得への理解を広げるため、男性育業の取得率が一定割合を達成した企業に登録マークを付与する制度を創設し、その事例を幅広く発信するキャンペーンを七月末から実施しており、この三か月で約六十件の問合せを受け付けてございます。
 さらに、男性育業の普及啓発のため、経営者や管理職、従業員向けのセミナーやポータルサイトによりまして情報発信を実施するほか、年度内にフォーラムを開催いたしまして、講演会や事例紹介等を行うこととしてございます。
 こうした取組により、育業の理解促進と育業取得率の向上を目指してまいります。

○まつば委員 子供政策連携室ともまたしっかり連携していただいて進めていただきたいと思います。
 次に、働く人のチャイルドプランサポート事業について質問いたします。
 令和四年四月から一部の不妊治療について保険適用が開始をされまして、また、都におきましても、先進医療の助成もスタートすることになりまして、子供を持ちたいと望む方々への妊娠支援が大きく前進をしております。
 しかし、不妊治療は長期間の通院が必要になるなどの課題もあり、また、不育症につきましても、検査の助成も行っているところでありますけれども、入院ということも必要になるという可能性もあるわけであります。
 そうした意味では、体力的、精神的な負担が大きく、仕事と両立ができずに退職せざるを得ない状況になってしまう方も少なくありません。
 都は、平成三十年度より、働く人のチャイルドプランサポート事業を実施し、不妊治療や不育症治療に必要な休暇制度の整備など、企業における環境整備を推進しており、多くの企業で休暇制度の導入が進んでおります。
 都がかねてより取り組んできました不妊治療や不育症治療と仕事の両立に関する事業について、現在の状況をお伺いいたしますとともに、この事業で整備された休暇制度が実際に活用されるよう、どのように取り組んでいるのかお伺いをいたします。

○内田事業推進担当部長 都は、企業における不妊治療、不育症治療に必要な休暇制度の整備等に対して奨励金を支給してございまして、今年度は規模を二百五十件に拡充し、十月末までに二百二十五社に対し交付決定をしてございます。
 休暇制度の活用促進に向けましては、本事業を利用した企業のインタビューを雑誌掲載するなどによりまして、不妊治療等に配慮した職場づくりの重要性を広めるとともに、社内での理解促進のために、今年度から新たに管理職全員の研修受講を要件に追加しております。
 また、休暇制度については、年間五日以上であること、有給であることなどの要件を満たせば、時間休などの企業の実情に応じた仕組みを設けることも可能でございます。
 休暇の名称につきましても、不妊治療等を社員が周囲に知られたくない場合も想定をいたしまして、企業が自由に設定できることとしており、例えばチャイルドプラン休暇など名称を工夫した事例も見られます。
 今後も、働く人が仕事を続けながら不妊治療、不育症治療に取り組めるよう、事業の運用や情報発信を工夫しながら、企業の職場環境整備を支援してまいります。

○まつば委員 次に、都の非正規雇用対策についてお伺いをいたします。
 直近の国の調査によりますと、現在も全国で二千百万人以上もの非正規雇用者の方がおられ、増加傾向にあります。非正規の増加を抑制するためには、正規雇用への転換を図る努力をする中小企業を増やすということとともに、正規雇用に転換後の従業員の方々が円滑に職場に定着できるよう、人材育成や能力開発に向けた取組を後押ししていくことが重要であると考えます。
 都は、非正規から正規雇用へ転換した後の雇用環境の整備への支援に取り組んでおりますが、今年度の実績と取組内容についてお伺いをいたします。

○内田事業推進担当部長 都は、正規雇用に転換した従業員が安心して働けるよう、国のキャリアアップ助成金の支援を受けた中小企業が、正規雇用転換後の従業員の人材育成計画を作成し、メンターによる指導や計画に基づく研修などを実施した場合に、最大七十万円を助成する制度を実施しております。
 今年度は十月末時点で千百六十二件、対象人数二千百二十二人に対して交付決定を行いまして、顧客先にメンターが同行して実地で営業指導を行う卸売業や、次代を担うリーダーの育成に向けたスキルアップ研修を実施する情報通信業など、多岐にわたる取組を支援してございます。
 こうした取組により、正規雇用転換後の従業員の意欲を喚起し、職場への定着を後押ししてまいります。

○まつば委員 都が多くの非正規の方々の正規転換を後押ししていくということを理解いたしました。後ほど非正規雇用の方々への支援につきましては、また職業訓練という角度から質問をさせていただきたいと思います。
 次に、就活ハラスメント対策についてお伺いいたします。
 来月十二月は、厚生労働省が定めた職場のハラスメント撲滅月間となっています。ハラスメントが問題になる場面も様々で、パワハラ、セクハラ、マタハラ、パタハラ、SOGIハラ、カスハラなど、その類型は多岐にわたります。就ハラもその一つです。
 昨今、就職活動中の方に対する、いわゆる就活ハラスメントによる被害が問題化しています。就活ハラスメントは、企業と採用担当者などが社会的に優位性のある立場を利用して、就職活動中の方に対して行われる、決して許されない行為であります。
 そこで、都における就活ハラスメントの相談状況についてお伺いをいたします。また、都の就活ハラスメント対策についても答弁をお願いしたいと思います。

○山崎雇用就業部長 東京しごとセンターの就活相談窓口では、就活ハラスメントに関する相談が九月末現在で四件ございました。相談のうち、法律に基づく助言指導等が適切な事案につきましては、国の総合労働相談コーナー等につないでおります。
 また、都は今年度から、企業におけるハラスメント防止対策の取組への機運醸成を図るため、ハラスメント防止対策推進事業を実施いたしまして、特設サイトの開設や動画コンテンツの公開を実施しております。
 さらに、十二月と一月をハラスメント防止対策の集中取組期間と位置づけまして、一月には就活生等向けへのオンラインセミナーや相談会等を実施してまいります。

○まつば委員 一月に就活ハラスメント防止対策を集中的に取り組むということでございますので、企業の方々や、また、就活生の方々にも、こうしたハラスメントについての理解、これを広げていただきたいと思います。
 次に、職業訓練についてお伺いをいたします。
 まず、職業能力開発センターにおける職業訓練についてでございます。新型コロナウイルスの影響による社会のデジタル化や企業のDXの加速をはじめ、世界の潮流となっている脱炭素化の波は、業種や規模にかかわらず、あらゆる産業、企業を巻き込み、こうした社会経済状況への対応が喫緊の課題となっております。
 都は、今年発表しました第十一次東京都職業能力開発計画におきまして、社会のデジタル化や脱炭素化に対応した職業訓練を推進していくとしております。
 都は、職業能力開発センター等で実施するものづくり分野などの訓練科目について、応募状況や就職状況を踏まえ毎年度見直しを行っておりますが、科目の見直しに当たっては、経済状況や社会状況など、その時々の時代のニーズにマッチした訓練内容を提供していく観点が極めて重要であると考えております。
 そこで、職業能力開発センターにおける訓練科目の見直しについて、どのように取り組んでいるのか、現状の応募状況等も併せてお伺いをいたします。

○山崎雇用就業部長 職業能力開発センター等では、今年度、民間に委託している訓練を除きまして、全百四科目の訓練を実施しておりまして、十月末時点で三千八百八十名の定員に対しまして三千二百九十三人が応募し、二千三百四十八人が受講をしております。
 また、令和三年度に訓練を修了した方の就職率は八四%となっております。
 訓練科目につきましては、デジタル化や脱炭素化などの社会経済状況等に応じまして、利用に変化が生じております。応募率や就職率が低い科目につきましては、企業や求職者のニーズなどを踏まえながら見直しを図っております。
 具体的には、今年度、印刷工程を学ぶ科目におきまして、需要が急拡大しているデジタル印刷機を操作する訓練を新たに開始するほか、プラスチック成形を行う科目におきまして、植物を原材料とする環境に配慮したプラスチック製品の作成を学ぶ訓練を開始するなど、企業ニーズに応じた実践的な訓練内容の見直しを行っております。

○まつば委員 それでは、職業能力開発センターにおける女性に対する職業訓練についてお伺いをいたします。
 非正規雇用で働く女性の方々は大変多いわけですけれども、安定した職や希望する職に再就職したくても、なかなか十分に職務経験を積む機会に恵まれてこなかったり、育児や介護などで新たなスキルを学ぶ余裕がなかったなど、様々な事情によって希望する職種に転換をすることができないといったような課題もあるわけでございます。
 そうした意味では、職業能力開発センター、ここにおいて知識や技能の習得を支援することが重要であると思っております。
 そこで、職業能力開発センターで実施する職業訓練受講者のうち女性はどのぐらいの割合を占めるのか、また、女性の受講が多い訓練科目はどのようなものがあるのかお伺いをいたします。

○山崎雇用就業部長 職業能力開発センター等の受講者のうち女性の占める割合は約三割となっております。
 女性受講者の多い訓練としましては、パソコンでポスターなどのデザインを行う技能を学ぶ訓練では訓練受講者の約七割が女性となっておりまして、全受講者の約八割の方がデザイン事務所や印刷関連の企業などに就職しております。
 また、家事代行や生活支援サービスの提供に必要な技能を学ぶ訓練では、訓練受講者の約六割が女性となっておりまして、全受講者の約八割の方が家事支援の企業などに就職をしております。

○まつば委員 職業能力開発センターは、様々なご努力をされていらっしゃると思います。それで就職率八四%と高い就職率であるというふうに認識をするわけでございます。
 であるならば、ここをしっかり活用していくということが非常に重要だと、その中で、女性の占める割合が受講者のうち三割ということになっているということについて、私は課題があるというふうに思っています。
 ぜひ、女性の占める割合、三割ということについては、様々な当然要因があるというふうには思いますけれども、やっぱりこの割合を増やしていく、そういう検討をぜひ進めていただきたいと、このように要望をさせていただきます。
 次に、女性デジタル人材の育成についてお伺いをいたします。
 長引くコロナ禍は、特に飲食サービス業などで働く非正規雇用の女性たちに大きな影響を及ぼしております。
 一方、デジタル分野は雇用が増加しておりまして、経済産業省はデジタル人材が二〇三〇年に最大七十九万人不足すると試算しております。そうした状況を踏まえ、公明党の要請を受け、政府は四月に女性デジタル人材育成プランを策定いたしております。
 都におきましても、今年度よりデジタル人材プロジェクトとして、デジタル人材の育成、確保することを掲げており、プロジェクトの事業の一つとして、女性向けデジタル・ビジネススキル習得訓練事業を開始しております。
 本事業は、民間教育訓練機関を活用し、デジタル分野の業務経験の少ない女性や、育児中の女性などが短期間でスキルを習得できるよう支援するものですけれども、具体的な取組やこれまでの実績についてお伺いをいたします。

○山崎雇用就業部長 都では、今年度、デジタル人材プロジェクトを開始いたしまして、年間で一万人のデジタル人材を確保、育成することとしております。このうち女性向けデジタル・ビジネススキル習得訓練事業では、出産や育児等を理由に退職した女性などを対象として、事務処理ソフトの操作やローコードによるシステム開発などを、十人程度のグループで三週間学ぶ職業訓練を託児サービスつきで実施しております。
 育児中の女性などが身近な地域で受講できるよう、全三十回の訓練を都内二十区市で開催することとしておりまして、十月末までに三百八十五名の応募があり、二百三十名が受講しております。
 訓練修了後は、eラーニングによるスキル向上の支援やキャリアカウンセリング等、個々の状況に応じて、二か月間のフォローアップを行っております。

○まつば委員 少人数での訓練や、また、訓練終了後のフォローアップまで含めて、きめ細やかな丁寧な支援をされるということでありまして、応募状況にもこのことが表れていると、こういうふうに思っております。ぜひ、さらに進めていただきたいと思います。
 その上で、こうした訓練を受けた方々がさらに専門性を高めて、所得をさらに引き上げるためのスキルアップ、こういう取組もさらに必要かと思っておりますので、ぜひそういうことについても、今後検討をしていただきたいと思います。
 ほかにも質問を用意いたしておりましたが、時間になってきましたので終了したいと思います。委員会の円滑な運営のために協力したいと思っております。
 先月の十月でございますが、しごとセンター多摩も開設をいたしました、しごとセンター飯田橋に加えまして。こうした多摩地域の雇用就業支援拠点としての機能を発揮するということになってまいります。こうした、しごとセンターについての今後の取組などにつきましても、引き続き議論をさせていただきたいと、このように思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。

○慶野委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時九分休憩

   午後三時二十五分開議

○慶野委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○あぜ上委員 それでは、まず第一に、賃金の引上げなどの中小企業支援などについて伺いたいと思います。
 急激な物価高騰の下で日本の労働者の賃金を引き上げる、そういう課題は喫緊の課題と思っています。十月から今年度の東京の最賃が千七十二円というふうになったわけですが、依然、生活は大変厳しい。そういう中で、政府も賃上げをいわざるを得ない状況になっております。
 都の賃金指数の動きについての資料を見ましても、二〇一五年平均を一〇〇としますと、実質賃金は昨年で九九と、下がっているわけです。
 そこで、まず伺いますが、都は、実質賃金が下がっている状況をどう受け止めていらっしゃいますか。早急に賃上げが必要という、この認識はありますでしょうか伺います。

○山崎雇用就業部長 賃金などの労働条件は、労働者と使用者が対等な立場において、労使間の協議で自律的に定めることが基本でございます。

○あぜ上委員 私は受け止めを伺っているんですが、労使間の問題だというお答えでした。
 内閣府が明らかにした資料によりますと、日本の賃金は下がり、再分配前も、そして再分配の後も、全ての世代にわたって所得が低下していると、こういう現状を考えたらば、賃金の引上げの政策というのは、国と自治体の大きな課題だという認識を持ってほしいと、そう思って伺っているわけです。
 賃上げの取組は政策的な課題だという、そういう認識はあるんでしょうか。

○山崎雇用就業部長 賃金に関しましては、労働者と使用者が対等な立場において、労使間の協議で自律的に定めることが基本でございます。

○あぜ上委員 質疑にお答えいただいていないんですよね。政策的な課題という認識があるのかと、あるのかないのかでいいから答えてください。

○山崎雇用就業部長 繰り返しになりますが、賃金に関しましては、労働者と使用者が対等な立場において、労使間の協議で自律的に定めることが基本でございます。

○あぜ上委員 時間がないので次に進みますけれども、全国の知事会も、この十月十七日に、全国的な物価高騰等を受けた総合経済対策への緊急提言、これを出しております。ここには、総理の物価高騰や賃上げへの取組など総合経済対策の策定が指示されたこと、全国知事会としても国とともに全力で取り組むんだと、こういう決意が示されていたわけです。
 今のご答弁を伺っていて、私はやっぱり、もっと東京都は働く人たちの暮らしに思いを寄せていただきたいなと率直に思いました。
 さて、そうであるからこそ、国に対して最賃の引上げ、この十月、行われましたけれども、再度行うように求めるべきだと思うのですが、いかがですか。

○山崎雇用就業部長 最低賃金は労働者の生活の安定や経済の健全な発展に寄与することを目的として定められるものでございまして、その額は、法に基づき、労働者、使用者、公益の三者の代表が審議し、地域の労働者の生計費や賃金、企業の支払い能力を考慮して、国が決めております。
 都といたしましては、この制度が国において適切に運用されるべきものと考えております。

○あぜ上委員 最低賃金決定の仕組みはご答弁のとおりなわけですけれども、今の物価高騰の中での都内の労働者の実態から、都としてどうすべきなのかということが私は問われているんだと思うんです。
 賃金の底上げに重要なのが最低賃金なわけです。今年の人口を加味した最賃の全国の加重平均、九百六十一円。これで昨年から三十一円、三・三%の増となったわけですけれども、この間の生活必需品の物価高騰、これは四%を超えているわけです。物価高騰に見合っていないと。
 こういう中で、物価高騰の中で最低賃金近傍で働く労働者は、女性のパートでいえば四割いらっしゃるんですよ。こういう方たち、そして、単身も、あるデータでは四割は蓄えがないと、そういう中で厳しい冬を迎えざるを得ないと。
 日本の最賃法でも、実は引上げというのは、必要があれば、最賃は再引上げもできるわけです。ですから、国に対してもしっかり求めていただきたいと思います。
 この賃金引上げで重要なことは、やはり中小企業の支援を抜本的に強化するということであると思います。東京都の中小企業の景況調査でも、先ほど来の皆様方の質疑の中でも、本当に中小企業は今厳しい状況に置かれていると。賃金を引き上げたいけれども、自分たちの努力だけではどうにもならないという事態にもなっているわけです。
 賃上げのための中小企業支援、これが急がれると思いますが、賃上げのための中小企業支援の重要性に対する認識、伺います。

○内田事業推進担当部長 中小企業が事業の発展に向け、生産性を高め、賃金の引上げを図ることは必要であると考えております。

○あぜ上委員 そのためにも、やっぱり中小企業に対する支援、ここを拡充して経済の好循環を生み出していくということが求められるんだと思うんです。
 国は賃上げと設備投資のための制度、業務改善助成金、これをつくっています。ところが、残念ながら使い勝手があまりよくなくて、利用が大変少ないというのが実態なわけです。
 東京労働局に資料をいただきましたが、この間、年間、何と二桁台の申請と交付決定で、昨年度ようやく三百二十六件の申請があったけれども、二百十九件の交付にとどまっていると、あまりにも少な過ぎるわけです。
 この業務改善助成金、国の、そういう意味では賃上げの制度、これの改善を国に求めるべきだと思いますが、いかがですか。

○山崎雇用就業部長 業務改善助成金につきましては、制度を所管する国において適切に対応すると考えております。

○あぜ上委員 適切に対応されていたら、もっと実績が上がっていると思うんですよね。ですから、私は改善を求めて、本当に中小企業を抜本的に支援ができるように、支援強化につなげていく、そういう努力も東京都としてぜひやっていただきたいと思います。
 東京都として中小企業の賃上げを支援する助成制度、先ほどもお話がありましたけれども、改めてこの助成制度をつくるべきだと私は思いますが、いかがでしょうか。

○内田事業推進担当部長 都は、中小企業が効率的な設備を導入する支援について、その成果を計画的に従業員の収入増加に結びつける場合、助成の率を引き上げてございます。
 また、働き方のルールを改善し、勤務の仕組みなどを見直すとともに、賃金の引上げを行う事業者に奨励金を支給してございます。

○あぜ上委員 新たに第三回定例会の補正予算で、魅力ある職場づくり推進奨励金制度、これを創設したことは大変重要だというふうに思っています。
 まだスタートしたばかりで、実績はこれからだと思いますけれども、都内の中小企業四十一万二千九百六、そして、そのうち小規模企業、ここが約三十一万五千ほどですよね。一回百社で五回ということで、五百社が対象ということで、規模拡大がもっと必要なのではないでしょうか。
 都の二年前のデータなんですけれども、毎月勤労統計調査を見ても、事業所規模別の一人当たりの平均月額の給与総額、小規模になればなるほど賃金が低くなっているんです。だからこそ、やっぱり都としてこの賃上げに対する支援の強化、これをしっかり図っていただきたいと思います。
 同時に、国に対しては、中小企業が賃上げをすることができるように、社会保険料の負担軽減とか、事業規模別に応じた賃上げの補助制度を拡充するなど、ぜひ求めていただきたいというふうに思います。
 キャリアアップ助成制度、非正規労働者を正規労働者に転換して直接雇用した場合に賃金アップして、制度の規則化をして、キャリアアップ計画を立てるという条件が満たされれば、国が事業主に補助をするという、このキャリアアップ助成制度も非常に重要な制度だというふうに思っていますが、ここに東京都は、支給決定を受けた中小企業に対してさらに支援をするという事業もされています。
 正規雇用等転換安定化支援事業、先ほど実績数のご答弁がありました。それで、交付決定数が千百六十二件で、対象が二千百二十二人だというふうにご答弁がありました。
 これは最大助成額が六十万で、事業規模が千七百件の予算でありますから、事業規模を増やして、やはりさらなる促進を図るように求めたいと思いますが、ぜひ、来年度に向けて正規化を促進し、賃金アップを支えることができる、そのことが中小企業の発展にもつながっていく、こうした事業をさらに拡充する必要があると思いますけれども、その点、検討されているんでしょうか。

○内田事業推進担当部長 事業につきましては、非正規雇用者のニーズを踏まえて適切な規模を計上し、必要な支援を実施しているところでございます。

○あぜ上委員 検討についてはお答えがありませんでしたけれども、ぜひ、来年度に向けて拡充を図っていただきたいと、これは要望しておきたいと思います。
 次に、ハラスメント対策についてです。
 これもかなりご答弁がダブっていたので省きますが、職場のハラスメントに苦しむ労働者が増えています。精神障害に関する労災認定件数というのは過去最多に今なっていると聞いております。その原因はパワハラがトップだということです。
 先ほど実績のご答弁もございまして、対応もご答弁がありましたが、やっぱり多くの被害者の方がどこにも相談できずに泣き寝入りを余儀なくされている。裁判で告発して損害賠償請求が求められるなど勝訴した場合でも、職場復帰をはじめ、被害者の権利回復を保障する仕組みが残念ながらまだないと。こういう状況の最大の要因は何かと考えると、やっぱり現行法にはハラスメントそのものを禁止する規定がない、こういう大きな弱点があるからだと思うんです。
 そのために、事業主には相談窓口設置などハラスメントの防止の措置、この義務はあるんですけれども、行政の是正指導は防止の措置の履行に対するものであって、ハラスメント自体に対するものではないわけです。違反した企業名の公表はこの間一件もないというのが実態です。
 国に実効性ある取組を求めると同時に、やはり都としても、私は本格的にハラスメント対策、これに乗り出すべきだというふうに思うわけです。
 先ほどのご答弁の中で、年間九千件、令和二年度、三年度、四年度と直近三年間、やはりパワハラが多いというご答弁がありましたけれども、その中で、あっせんは何件やられたのか伺います。

○山崎雇用就業部長 ハラスメントに関する件数でございますが、今年度九月末時点で四十七件となっております。

○あぜ上委員 これは今年度という理解でよろしいんですね。今年度の相談件数が五千件を超えていて、そういう中であっせんが四十七件ということは、やはりあっせんまで行くのが本当に大変なんだということが分かると思いました。
 やはり私は、都としてハラスメントの救済窓口をつくって、国と連携して事業主に対する是正指導、これを強化すべきではないかと思うわけです。
 国の被害の認定と加害者からの謝罪、それから、被害者の権利の回復などを行う独立した救済機関を国に求めるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。都の認識を伺います。

○山崎雇用就業部長 法律に基づく助言指導が必要な事案につきましては、国の総合労働相談コーナー等につないでおりまして、国におきましては、紛争調整委員会によるあっせんも実施をしてございます。

○あぜ上委員 都も国も助言、あっせんにとどまっているのはやはり先ほども申し上げた現行の法律では、ハラスメントと認定して加害者に謝罪、慰謝料の支払いなどを求めることはできないという法的な制限があるからだと。そういう意味では、本当に国際的に見ても日本は大変遅れていると思うわけです。
 ILOは二〇一九年に、ハラスメントを包括的に禁止する条約と勧告を、日本もこれは賛成しましたけれども、圧倒的多数で採択したわけです。で、二一年の六月に発効したわけです。しかしながら、日本はまだ批准はしていません。日本も一日も早く批准すべきだというふうに私は考えていますが、同時に、ハラスメントの定義と禁止を明確にするとともに、被害者の救済窓口機関をつくること、このことを都として積極的に働きかけていただきたいと、ぜひこれは要望として述べておきたいと思います。
 次に、就活ハラスメントについてなんですが、私は二〇一九年の十一月に就活ハラスメントの深刻な実態も示して、就職前ということで労働者扱いにならないから、東京労働局に聞いても、実際には相談に行っても相談できる窓口が実質的にはなかったということを問題にしてまいりました。
 そうした中で、東京都として就活ハラスメント相談窓口、これを設置したというのは私は大変重要だというふうに思っていますが、この就活ハラスメントの件数は、先ほど、今年十月まで四件というご答弁がありました。これは、就活ハラスメント相談窓口を開設して以降の件数という理解でよろしいんでしょうか。ちょっとそこを確認させてください。

○山崎雇用就業部長 就活ハラスメントに関する相談は、今年度九月末現在で四件でございます。

○あぜ上委員 つまり、この窓口を開設して、これまでのトータルが四件という理解でよろしいんでしょうか。

○山崎雇用就業部長 今年度の件数が四件でございます。

○あぜ上委員 四件という数字をどう見るのかという点では、就活生へのいろんなセクハラの実態、また、ハラスメントの実態からいって、私は少ないんじゃないかと思いますけれども、この件数については、都としてどう受け止めていらっしゃるんでしょうか。
 私は、やっぱり周知の課題もあると思うんですが、それだけ、これから就職しようという学生は弱い立場に置かれていて、なかなか相談ができないと、大変しにくいんだと、そういう実態がこの四件という数字には表れているんじゃないかというふうに思いました。被害者の救済窓口機関をつくったことは重要ですけれども、先ほどいったように、法的にもきちんと位置づけられた救済窓口、これをつくっていくことがやっぱり重要じゃないかと改めて思ったわけです。
 今年度策定された男女平等参画推進計画、ここにも、この就活ハラスメントの根絶、これが位置づけられました。そして、根絶に向けて従業員に対する意識啓発や、ハラスメントの起こりにくい採用プロセスなどの対策を講ずるよう事業者に求めるということが推進計画に盛り込まれました。
 そこで伺いたいんですが、就活ハラスメント対策として、事業者に対しては具体的にどう啓発されているんでしょうか。

○山崎雇用就業部長 今年度から、十二月と一月をハラスメント防止対策の集中取組期間と位置づけまして、一月には就活生等向けのオンラインセミナーや相談会等を実施してまいります。

○あぜ上委員 厚労省の職場ハラスメントに関する実態調査報告書があります。この報告書では、受けた就活セクハラの内容については、性的な冗談やからかい、食事やデートへの執拗な誘い、性的な事実関係に関する質問などが上位を占めておりました。
 就活ハラスメントの根絶に向けて、被害に遭った若者が相談できるということを周知するとともに、体制の充実と各企業に対する啓発活動、これを積極的に都として行っていただきたい、そのことを強く求めまして、質疑を終わりたいと思います。ありがとうございました。

○風間委員 私は九月の一般質問で、スケートボードの振興の文脈でスポーツツーリズムの話をしたところであります。インバウンドが回復しつつあるような状況で、二〇二〇大会での会場となった、また、アーバンスポーツが特に東京大会から始まったというところで聖地になっていくというようなことから、特にこういったインバウンドの外国人向けの聖地巡礼といいますか、参加型のスポーツツーリズムというようなことが今後期待できるのではないかという趣旨で質問を行ったわけです。
 先ほど国内の旅行者向けにはイベントやこういったプログラムがあるというようなお話がされていましたけれども、外国人向けに、例えば多言語で記されているとか案内がされているだとか、そういったことは、このイベントだったりとかツーリズムを意識したものということはなされているのか教えてください。

○築田観光部長 都では、先ほど申し上げましたが、東京二〇二〇大会一周年の時期に合わせまして、旅行者が東京をはじめとする大会開催地の魅力を実感できるよう、大会施設や周辺の観光スポットを周遊するイベントを開催するとともに、大会施設等を巡る五つの観光ルートを新たに作成したところでございます。
 また、こういったイベントの際には、スポットを周遊する周辺にございます観光案内標識とかは、東京二〇二〇大会に向けてこれまでも整備したところでございまして、また、情報の発信につきましても多言語化に取り組んでおるところでございます。

○風間委員 今は国内向けが中心なのかなと答弁を聞いていて感じましたけれども、今後はインバウンド向けに旅行代理店等々と連携をしながら、外国人観光客で、特にアーバンスポーツ愛好者たちがその聖地で楽しめるような企画といいますか配慮といいますか、そういったことも促進することによって、それを目的に東京に来てみたいというような外国人が増えていくことをぜひ期待したいと思いますので、検討していってもらえればなと思います。
 続いて、このコロナ禍で多くの事業者が苦しんでいるというような状況は、この三年間ずっと続いてきていることかと思いますし、東京都としても様々な支援をしていることかと思います。特に事業者に対して直接的な支援を多々行っている、この産業労働局に関しては、多くの事業者に対する支援が行われていると思いますけれども、一方では、その事業者がどのようなビジネスを行っているのかということに関しては注意をする必要があるんだと思います。
 委託事業者等については、東京都全体でも与信は慎重にされていることかと思いますし、当然、様々な手を打っていることだとは思いますけれども、こういった中小企業含めて、創業支援含めて、支援をしていく事業者の信用状況というのは統一的なガイドラインがあるのかどうかということをまずは聞かせてください。

○緑川商工部長 都などが助成金の募集を行う場合、その申請要件といたしまして、暴力団関係者や風俗関連業といった社会通念上適切でないと判断される業態を営む者でないことや、連鎖販売取引や催眠商法、霊感商法など、公的資金の助成先として適切でないと判断される業態を営む者ではないことなどを定めるとともに、申請者に対しても、助成金の申請書の提出の前に同様の要件を満たしているか確認することを原則としております。

○風間委員 暴力団関係だとか風俗関連業だとかについては、そういったことを確認しているということでした。
 私は、少し前まで文教委員会に所属していましたので、消費生活の領域に関しても、先般かなり様々な議論が多くの会派からなされてきたことであり、特に最近では旧統一教会関連に関わりがある企業であったりとか、霊感商法であったりとか、または最近では、大きなネットワークビジネスの企業が摘発されるというようなこともありましたので、ネットワークビジネスとか情報商材、またはねずみ講といったような、そういった被害相談なんかもかなり消費生活相談にはあるというようなことも耳にしていますけれども、こういった事業者に支援をしないようなガイドラインというようなことはあるのか教えてください。

○緑川商工部長 統一教会関係の企業がどこまで含むのか、あるいはネットワークビジネスなどが連鎖販売取引などに該当するのか明確ではございませんけれども、先ほども申し上げましたとおり、都などが助成金の募集を行う場合、その要件として、暴力団関係者や風俗関連事業者といった社会通念上適切でないと判断される業態を営む者でないことや、連鎖販売取引や催眠商法、霊感商法など、公的資金の助成先として適切でないと判断される業態を営む者でないことなどを定めるとともに、申請者に対しましても、助成金の申請書の提出の前に同様の要件を満たしているか確認することを原則としております。

○風間委員 確認することを原則としているということでした。特に創業支援ということになりますと、これから事業を起こしていくだとか、立ち上げていくというようなところも多いかと思いますので、それまでの経緯等もなかなか調べるのも困難なこともあろうかなと思いますが、今のお話だと、統一教会関連企業がどこまで含むのか明確でないというお話もありましたので、都としては、その辺の明確なラインはないのかなということを、話を伺っていて少し感じたところであります。
 こういった企業が入り込んでこないようにというか、申請をしてきた段階で防ぐために、何らかの手を打っているのかという質問に関しては、今のように事前にチェックをしていくということだったりとか、当事者に確認をするということなんだと思います。
 創業助成については、倍率も高くなってきているということでありますけれども、採択する企業については、その辺りどのようなプロセスで、または基準で行っているのか教えてください。

○緑川商工部長 創業助成事業では、助成金の申請書の提出の前に申請要件を満たしているのか確認しております。
 また、提出された申請書類につきまして、事務局が申請要件に適しているかをチェックするとともに、外部の審査員が事業の実現性や資金調達の妥当性などについて審査を行います。
 さらに、書類審査を通過した申請者に対しまして、外部の審査員等が創業助成の趣旨に合致しているかどうか面接審査等を行いまして、採択企業を決定しております。

○風間委員 申請している当事者がその辺りのことを隠していたりだとか、万が一そういう事業者が通ってしまった場合ということがあったとすると、東京都としても知らなかったということもあろうかと思います、特に統一教会関連企業がどこまでなのかということがまだ明確でないというお話もありましたので。
 とはいえ、この今の状況からすると、マスコミ等でも様々な統一教会関連企業みたいなところが報じられていたりもしますから、そういうところはチェックされるのかなと思いますけれども、助成を決定した後にこういったことが発覚した場合には、東京都としてどのような対応を取るのかということを教えてください。

○緑川商工部長 申請要件を満たさないことが確認できた場合は、交付決定の取消しや助成金の返還請求などにより適切に対応してまいります。

○風間委員 こういう質問を行ったのは、具体的にちょっと懸念があるなという企業が今年度の事業者の中に入っていたというところからなんですけれども、先般の一般質問で米川議員が質問をしていた件と少し重なるわけですけれども、旧統一教会と関わりのある人物が創業した事業者、4kizという会社ですね。その事業者が今年度の創業助成事業、第一期ですか、採択されているようです。これは東京都として適切であるとお考えでしょうか。

○緑川商工部長 個別の案件につきましてお答えすることはできませんが、申請要件を満たさないことが確認できた場合には、交付決定の取消しや助成金の返還請求などによりまして適切に対応してまいります。

○風間委員 申請要件の中に旧統一教会関連企業であるかないかというところをチェックする項目があるとは思えませんけれども、今回、五百九十八件の申請があった中で採択事業者が七十七件だったということで、なかなかの高倍率です。この選定については、将来性だったりとか様々な観点でということで選定されているということですけれども、この事業者が、旧統一教会と関わりのある方が創業した会社だということは東京都は分かっていて採択したのかどうか教えてください。

○緑川商工部長 繰り返しになりますけれども、個別の案件につきましてお答えすることはできませんが、いずれにしましても、申請要件を満たさないことが確認できた場合は、交付決定の取消し、あるいは助成金の返還請求などによりまして適切に対応してまいります。

○風間委員 私もベンチャー企業を立ち上げて経営してきた経験がありますから、行政の事業を請け負ったりとかした場合に、実際に国の事業を請け負ったりした場合には、それを宣伝材料として使うわけです。会社としての信用度が上がるといいますか、期待されるということも含めてですけれども。
 東京都がこういった助成をするということは、東京都がある程度、そのビジネスに期待をしているというふうに捉えられかねないなと思うわけです。
 この4kiz社がどんなビジネスをしているのかなということをホームページ等をちょっと見てみましたところ、子供向けのSNSの開発ということなんです。私も少しそのアプリをダウンロードして見てみたんですけれども、まず、親子の個人情報を入力するところから始まるわけです。
 これ東京都が助成しているとなった場合には、一般的に、都民はもしかすると信用してしまうのかなという懸念があったり、そういうような声が届いたものですから、この事業者が、東京都が助成するということに対して少し懸念があるという観点から質問をしたわけですけれども、ある意味では、都がお墨つきを与えてしまうのではないかという懸念がありますけれども、都としては、現段階で問題ないとお考えでしょうか。

○緑川商工部長 繰り返しになりますけれども、個別の案件についてお答えすることはできませんけれども、何度も申し上げますように、申請要件を満たさないことが確認できた場合は、交付決定の取消しや助成金の返還請求などによりまして適切に対応してまいります。

○風間委員 さきの米川議員の一般質問では、こどもスマイルムーブメントにこの4kiz社が参加していたわけですけれども、ホームページから削除されていたということについて質問されていました。その答弁は、子供政策連携室長が、お話の事業者につきましては、このホームページへの掲載を行わないなど、こどもスマイルムーブメントホームページ掲出ガイドラインの規定に基づきまして、適切に手続を行ったものでございますと答弁しているわけです。
 産業労働局としても同様に、適切な手続を問題が起こる前に行った方がいいのではないかなと思うわけですけれども、いかがでしょうか。

○緑川商工部長 創業助成事業の募集あるいは申請の要件を満たさないことが確認できた場合は、適切に対応してまいります。

○風間委員 この事業者のホームページや情報をいろいろ調べていますと、東京都の環境局も名前が出てくるわけです。おうち節電チャレンジ、#妖怪クールホームキャンペーンby東京都環境局、エコチル、4kizというタイトルのニュース記事、これ、現在はホームページで削除されているようですけれども、私もこのページのキャッシュを拝見しました。
 東京都環境局が削除要請したのかどうかは確認できませんでしたけれども、やはり今、こういった旧統一教会関連に関しては多くの皆さんが懸念を抱いているという状況だと思います。国の方でも、講演を行ったりした政治家が問題として追及されるような状況でありますから、そういった方が立ち上げた企業ということで、そこにお墨つきを与えるようなことがあってはならないのではないかなという懸念から今回質問させていただきましたけれども、本件につきましては、産業労働局としても早めに対処されることを求めておきます。
 同じように、こういった創業支援は、助成金を出すということだけでなく、様々な支援を行っているかと思います。起業する方々向けの支援ということで、アクセラの領域、こういったところでも採択をするに当たり、どのような基準で行っているのか確認させてください。

○緑川商工部長 例えば、女性ベンチャー成長促進事業におけるプログラムの採択に当たっては、申請者が代表を務める企業が公序良俗に反する事業を行っていないこと、都が支援することが適さないと判断した企業等でないことを応募の条件としております。
 また、申請するに当たりまして、暴力団等の反社会的勢力でないことや、反社会的勢力との関係性を有しないことのほか、公序良俗に問題のある企業に係る募集でないこと、公的資金の使途として、社会通念上不適切であると判断される事業に関わる募集でないこと等を確認する仕組みとしておりまして、ほかのアクセラプログラムについても、原則として同じように取り扱っております。

○風間委員 私が相談を受けたのは、APT Womenの採択を受けたという企業がセミナー事業を行っていて、勧誘されたということで、その受講した方が新規獲得のためにまた勧誘をしてきたというような相談があったわけです。これがねずみ講なのか、ネットワークビジネスなのか、それとも通常のビジネスの領域内なのかということは、なかなか判断は難しいところだと思うんですけれども、先ほど申し上げたように、東京都から選ばれた会社なんだというようなことを宣伝として使うことについては、もう少し慎重になってもらわなければならないのではないかなと感じるわけであります。
 例えばこういった事業者に対して消費生活相談などが増えているかどうかも確認する等も含めて、産業労働局としては、こういった事業者に対してはどのような対処をしていくのか教えてください。

○緑川商工部長 まず、女性ベンチャー成長促進事業では、申請書の提出の前に応募要件を満たしているのか確認をしております。
 また、提出された申請書類に基づいて、申請要件に適しているかをチェックするとともに、国内外での事業展開における実現の可能性や将来性など、幅広い観点から審査を行っております。
 さらに、書類審査を通過した申請者に対しまして、外部の審査員等が事業の趣旨に合致しているかどうか、面接審査を行って採択者を決定しております。
 なお、申請要件を満たさないことが事後に確認できた場合については、採択の取消しなどによって適切に対応してまいります。

○風間委員 採択の取消しを行うということを確認できましたので、少し安心しました。起業をした事業者が次々と新しいビジネスを立ち上げていくというのは容易に想定できることですけれども、もともとこのプログラムを受けた段階で提案をした事業と、そうでない事業を次々と行っていく可能性というものも大いにあるわけですし、そういった際に、こういったネットワークビジネスとか、ねずみ講といったような類いのもので被害相談があるということは東京都としても本意ではないと思います。
 今後もこういった事業は続けていくことが望ましいと私も考えておりますし、起業家を輩出していくということの支援は重要だと考えておりますけれども、そういった東京都の名義を悪用されないようなガイドラインをつくっていく等々は、今後もさらに検討していく必要があろうかと思います。そういったことを行っていくことを求めまして、私の質問は終わります。

○星委員 私からは、まず、多摩地域の産業と観光の活性化の取組についてお伺いをさせていただきます。
 多摩地域には、高度なものづくり技術を有する多くの中小企業や大企業、また、大学などが立地をしております。これらを結びつけ、高付加価値な技術や製品の開発につなげることで、多摩地域全体のイノベーション創出を図っていく必要があります。
 都では、多摩地域の中小企業や団体などによるネットワーク形成を目指した事業を実施していますが、この事業の取組内容と実績についてお伺いさせていただきます。

○緑川商工部長 都は、多摩地域を中心とする大企業や大学等とのネットワークを活用し、成長産業分野への参入を目指す中小企業の新たな製品やサービスの開発を支援しております。
 具体的には、企業訪問や勉強会等により掘り起こした企業を対象とした個別面談会や交流会などを行い、それにより組成されたプロジェクトに対しまして、製品の実用化や、受注契約の成立に向けて、技術や経営などの専門家がチームを組んで総合的に支援をしております。
 これまで製造工程の自動化を希望する大手医療機器メーカーと、半導体製造装置等の自動化技術を持つ中小企業をマッチングさせ、新たな受注が生まれた事例などがございます。
 また、今年度は、交流会等の開催に加え、民間企業のOBが企業や中小企業等を個別に訪問し、ニーズやシーズを把握しながら、随時マッチングを行っており、十月末時点で約五百九十件のマッチングが成立いたしました。
 こうした取組を通じまして、多摩地域における中小企業の製品開発などを後押ししてまいります。

○星委員 都がイノベーション創出のために、多摩地域の中小企業や大企業等との連携を支援していることが理解できました。
 引き続き、多摩地域における中小企業のイノベーション創出のために支援を行っていくことを期待しまして、次に、多摩地域の観光振興についてお伺いをさせていただきます。
 十月二十日から、都においても全国旅行支援、ただいま東京プラスが開始をされたことにより、全国各地から都内の観光地へ多くの旅行客が訪れ、地域ににぎわいをもたらしております。私の地元である町田のみならず、奥多摩に至るまで、広く多摩地域の全体への誘客が期待されるところであります。
 多摩地域には、奥多摩湖や御岳山など美しい自然景観や、深大寺などに代表される歴史ある建造物が数多く存在をしており、国内外問わず、多くの観光客を魅了するポテンシャルを秘めているところであります。
 都はこれまでも、多摩地域の自治体や観光協会などの観光振興の取組をしっかりと支援してきたと伺っております。
 そこで、今年度、多摩地域の観光振興に向けた支援の状況について、具体例を含めて伺います。

○築田観光部長 都では、都内自治体による観光施設の整備、観光協会等による集客イベントや、周遊を促すまち歩きの実施などを支援しております。
 具体的には、観光地における観光トイレや遊歩道の整備、自転車を活用した地域イベントや、デジタルスタンプを活用したまち歩きなど、地域の特色を生かした取組を支援しております。
 今年度、多摩地域におきましては、地元の伝統的な食であります、うどんの手打ちを親子で楽しむ体験講習会のほか、自然豊かな夏の山で風鈴や夕刻のライトアップ等によりまして、一服の清涼を体感するイベントなど、新たな観光資源の発掘や磨き上げに取り組んでおります。
 こうした多様な主体による様々な取組への支援を通じまして、多摩地域の観光振興を着実に後押ししてまいります。

○星委員 東京を訪れる観光客の多くが多摩地域へと足を運び、滞在を楽しんでもらえるよう、都においては、引き続き、地元自治体や観光協会等による観光資源の開発や磨き上げの取組を支援して、多摩地域の観光振興を関係者と一体となって推し進めてほしいと思いますので、ぜひとも、今後もよろしくお願いをいたします。
 次に、多摩地域を中心に展開されている東京の農業や林業の振興について、何点か伺ってまいります。
 まず、都市農地の保全について伺います。
 東京農業は、都民に新鮮な農産物を提供するとともに、地域の環境保全や防災など、様々な役割を果たしております。
 しかし、その生産の基盤となる生産緑地は、都市化の影響や相続などを契機として、年々減少を続けております。
 高齢化や後継者がいないなどの理由から、今後の農業経営に不安を抱く農家に農地の保全を決断してもらう上で有効な方策の一つが、貸借制度の活用であると考えます。自ら耕作できなくても、新規就農者や耕作地を広げたいと考えている農業者に農地を貸すことができれば、都市部の生産緑地を維持していくことが可能であり、東京農業の活性化にもつながってまいります。
 東京の貴重な緑である農地を次世代に継承するため、都は、農地の貸借の促進に取り組んでおりますが、その具体的な内容について伺います。

○山田農林水産部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都は、都市農地の保全に向けまして、貸借可能な生産緑地の掘り起こしを行うとともに、農地の貸手と借手のマッチングを促進してございます。
 具体的には、地域の農業委員会が農地の巡回や相談を通じまして、貸借制度の利用に関心を持つ農業者等の情報を収集しておりまして、都は、こうした活動をサポートしております。
 また、専門のコーディネーターを活用し、農地の貸手や借手からの相談に対応しまして、両者のマッチングに取り組んでおり、今年度はさらにきめ細かな支援を行うため、コーディネーターを増員して、支援体制を強化いたしました。
 九月末時点で、自ら耕作ができないために農地を貸したい農業者や、都内で新規就農を希望する方などから、二百七十九件の相談を受け付け、必要な対応をしてございます。
 こうした取組の結果といたしまして、今年度の生産緑地の貸借の実績は、九月末時点で二十七件、約四ヘクタールとなっております。

○星委員 東京の農地を保全する上で、貸借の促進は有効でありますが、そうした取組を行ったとしても、相続などにより、やむなく生産緑地を手放す農家も出てくると予想されます。
 このため、農業者から、区市の生産緑地買取り申出があった場合に、区市が計画的に買い取って、市民農園などとして効果的に活用できるよう後押しをすることも重要であります。
 そこで、区市による生産緑地の買取りや活用の支援に向けた都の取組について伺います。

○山田農林水産部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都は、生産緑地を購入して、農的に利用する区市の取組を後押しするため、必要な経費の一部を助成しております。
 今年十月末現在で、約〇・六ヘクタールの買取りに対しまして、約十三億四千万円の交付決定を行っております。
 対象は、区部で一か所、市部で一か所でございまして、区部では、農福連携農園や区民農園として、市部では、児童向けの環境学習の場や市民向けの農業体験の場として活用することとしております。
 また、区市が買い取った生産緑地を効果的に活用するためのモデルといたしまして、高齢者等が農作業のノウハウを身につけることができるセミナー農園を運営しておりまして、市民農園の運営に関心を持つ十五団体に対しまして、施設の案内や事業内容の紹介などを行っております。

○星委員 都内の生産緑地を守ることは、都の重要な責務であります。農地の貸手と借手のマッチングを強化するとともに、農業者が安心して農業を続けられるよう、長期の貸借を促進するためのインセンティブもぜひ考えていく必要があるのではないかと考えます。
 また、区市に対して生産緑地の買取り申出があったときに備えて、区市に対する補助の充実を要望させていただきます。
 次に、地産地消の推進について伺います。
 地産地消や安全・安心な農作物などへの関心の高まりから、都心部の住民や飲食店などの間でも、東京産農産物を購入したいという声をよく聞くようになりました。
 しかし、東京で生産される野菜などの多くは、生産地に近い地域の直売所や小売店などで販売されることが多く、都心部では購入できる場所が限られております。
 私も、多摩地域に住む一人といたしましても、都心部の皆様にも東京産野菜をぜひとも味わっていただきたいと思っております。
 都心で働き、暮らす都民の皆さんが、旬を感じる新鮮な農産物を購入できるよう、都では、販売ルートや販売先の拡大を進めておりますが、現在の取組について伺います。

○鈴木安全安心・地産地消推進担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都は、都内産農産物の地産地消をより一層推進するため、多摩地域などで生産された農産物を都心部でも入手しやすい仕組みづくりに取り組んでおります。
 具体的には、都心部の都民がウェブサイト上から、東京産の野菜や果樹を購入できるシステムを構築いたしまして、十月から来年一月までの四か月にわたり、運用を行っております。
 利用者は、希望する農産物をスマートフォン等で注文し、注文を受けた事業者は、JAの直売所七か所の出荷拠点を週三回巡回しまして、農産物を積み込み、配送いたします。コンビニエンスストアなど、都内約五百か所で注文した品を受け取ることができます。
 また、日本橋や銀座などの百貨店四店舗におきまして、東京産農産物の販売コーナーを順次設置し、新鮮なトマトやコマツナ等のPR販売を行っております。
 生産者の声を店頭で紹介するとともに、鮮度の低下が早いスイートコーンや枝豆は、早期に収穫して、朝取れ野菜として販売し、取れたてのおいしさをアピールいたしました。
 事業を開始した七月から十月末までの販売実績は、三十八品目、五千六百三十六点でございます。

○星委員 地産地消の推進に向けて、多くの都民が東京の野菜や果物を味わえるよう、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 次に、森林整備の推進について伺ってまいります。
 森林は、地球温暖化の緩和や土砂災害の防止、水源の涵養などの公益的な機能を有しており、国は、私たちの貴重な財産である森林の整備を国民と一体となって進めるため、森林環境譲与税を創設いたしました。
 この譲与税を、森林のない都市部の自治体の多くは、公共建築の木質化等に活用をしております。こうした取組はもちろん重要であり、しっかりと進めていただきたいと思っております。
 一方で、森林を管理するためには、適切な間伐や植林などが不可欠であり、こうした経費に対しましても、都市部の自治体の譲与税を活用すべきであると考えます。
 都は、多摩地域の森林整備の推進に向け、森林環境譲与税を活用した市区町村の取組を後押ししておりますが、その具体的な内容について伺います。

○山田農林水産部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都は、区市町村の森林環境譲与税が多摩地域の森林整備に有効に活用されるよう、その取組を後押ししております。
 今年度は、都内の区市町村を対象に、譲与税の効果的な活用に関する説明会を開催いたしまして、森林を持つ自治体と都市部の自治体が協定を締結して、森林整備に取り組んだ事例などを紹介いたしました。
 また、都市部の職員向けに、奥多摩町と檜原村で森林現場の見学会を開催し、十五の区市から二十三名が参加いたしました。
 見学会では、伐採現場や木材市場を案内し、林業の現状や森林整備の必要について説明を行ったほか、林業関係者と交流する機会を提供いたしました。
 さらに、都市部の複数の自治体におきまして、連携して多摩の森林整備に取り組みたいという機運が生じていることから、都がコーディネートを行い、中央区など四区と多摩地域の六市町村の参加による新たな森林整備の仕組みづくりを開始したところでございます。

○星委員 森林環境譲与税は、地球温暖化の緩和や災害防止等を図るため、森林整備等に必要な財源の安定的な確保に向けて創設したものであります。新たな連携の動きも出てきているとのことであります。引き続きこうした取組をしっかりと後押ししていただきたいと思います。
 ここからは、再生可能エネルギー導入への支援について、何点か伺ってまいります。
 私は昨年、環境・建設委員会の事務事業質疑の中で、事業所に再生可能エネルギーの導入を補助する地産地消型再エネ増強プロジェクト、このことについて質疑を行いました。
 本事業は、今年七月から産業労働局の所管になっております。
 そこで、まず、エネルギー施策における環境局と産業労働局の役割分担について伺います。

○阿部産業・エネルギー政策部長 東京における社会経済活動に関わるエネルギー政策につきましては、業務、産業部門と家庭部門など、おのおのに応じたきめの細かい施策が必要でございます。
 そのため、産業労働局においては、事業所向けの省エネルギーや再生可能エネルギー導入支援のほか、水素エネルギーの利用促進、事業所が使用するZEVの導入支援などを行っております。
 また、環境局では、都民や家庭、住宅向けのエネルギーに関する支援策や、環境確保条例に基づく各種制度の運用などを行っております。
 両局の緊密な連携の下、脱炭素社会の実現に向けて、着実に取り組んでまいります。

○星委員 エネルギーの安定供給や脱炭素化への取組は、企業経営に大きな影響を与えるため、産業労働局で担うこととなったメリットを生かして、事業者のニーズに合わせた支援を迅速に進めてほしいと思います。
 一方で、気候変動への取組が縦割りにならないよう、両局でしっかり連携をして取り組んでいただきたいと思います。
 ここからは、災害対策の観点からも、地産地消型の再エネ設備導入の拡大を図ることは重要であると考えます。
 昨年度の事務事業質疑で、私は、地産地消型再エネ増強プロジェクトの意義や実績について確認するとともに、予算規模を充実するよう要望したところであります。
 都は、地産地消型の再エネ設備導入のより一層の促進に向けて、どのように取り組んでいるのか伺います。

○榎園新エネルギー推進担当部長 東京の事業所がエネルギーを確実に確保するためには、事業所内でエネルギーをつくり出し、消費する取組が重要でございます。
 そうした機運が高まる中で、事業所向けの太陽光発電設備の想定件数を昨年の七十件から百二十件に増やし、予算規模を約五億円拡充いたしました。
 令和四年度は、十月末時点で、太陽光発電設備が百二件、太陽熱利用設備が一件の計百三件が申請されております。これによって確保されるエネルギーは、家庭用太陽光パネルに換算しまして約千四百軒相当の約五千七百キロワットとなってございます。
 また、事業所内に太陽光発電設備の導入に合わせて蓄電池を設置した事業者は、申請者の約三割に当たる三十二件となってございます。
 これにより、蓄電池に蓄えられるエネルギーの容量は、合計で約九百十キロワットアワーとなってございます。
 こうした取組により、事業者の再生可能エネルギーの導入拡大や災害時等のレジリエンス確保などを後押ししてまいります。

○星委員 大幅に予算を拡充し、積極的に取り組んでいることは評価をいたしたいと思います。
 しかしながら、本年三月や夏に生じた電力需給逼迫、また、ロシア、ウクライナ情勢を契機とした原油、そして原材料価格の高騰といった状況を踏まえると、エネルギーの安定確保に向けた取組をさらに進めていくべきだと考えます。
 都は、第二回定例会で、都外の工場などにおいて再エネ電力をつくり、その工場などで消費する取組に対しても新たに支援の対象とするなど、事業の拡充を図っておりますが、現在の状況について、最後に伺います。

○榎園新エネルギー推進担当部長 都は、東京の企業が電力を安定して確保できるよう、七月から一定の条件の下、東京電力管内の都外に再エネ設備を導入する場合についても支援対象に加えてございます。十月末現在で約二百七十件の相談を受けてございます。
 また、蓄電池は、電力の安定確保につながることから、これを単独で整備する場合にも助成を開始し、これまでに約二十件の相談を受けてございます。
 引き続き、こうした支援制度を分かりやすく発信することにより、多くの事業者の活用が図られるよう取組を進めてまいります。

○星委員 申請に当たっては、事業者も一定の準備期間が必要であると認識しております。多数の問合せがあり、事業者の関心は高いようであるために、さらに利用事業者が増えるよう取組を進めていっていただくことを要望しまして、私の質問を終わります。

○藤井委員 産業労働局の事務事業に対して質疑をさせていただきます。
 最初に、七月から産業政策としてのエネルギー施策を進めるために、産業労働局に移管となりましたエネルギー関係の施策について伺います。特に、グリーン水素の普及拡大について伺わせていただきます。
 現在、エジプトで開催中の国連の気候変動枠組条約の締約国会議、いわゆるCOP27において、小池知事は、海外のグリーン水素を受け入れるために、都の臨海部にパイプラインを敷設する考えを示すなど、グリーン水素の活用に関する発言をされております。
 グリーン水素は、再生可能エネルギー由来の電力を利用してつくられ、保存もしやすく、脱炭素社会に向けて重要な役割を持つものでございます。
 東京都では、十月十二日にタイム・ツー・アクト、水素フォーラム二〇二二というのも開いておりまして、水素の活用等に向けて、力を入れているところであると認識をしております。
 先月、都は、グリーン水素の活用促進に関する基本合意書を山梨県と締結をいたしました。山梨県は、グリーン水素の製造に関して、世界最大級の施設を計画しているなど、このグリーン水素で先行する自治体であります。エネルギーの大消費地であります東京都と山梨県が連携するということは、非常に意義深いものと考えております。
 都は、今回の合意を基に、山梨県と連携して、どのようにグリーン水素の普及拡大に取り組んでいくのか伺います。

○榎園新エネルギー推進担当部長 山梨県では、太陽光発電による再エネ電力を活用したグリーン水素の研究開発を行い、効率的に製造する設備を運営することで、様々な知識や経験を有してございます。
 このため、都は将来、再エネを大量に導入する時期が来ることを見据え、グリーン水素の利活用を進めるため、山梨県と合意書を締結し、都内におけるグリーン水素の利用や、製造から利用における技術開発の促進、広報、普及啓発に関し、連携して進めていくことといたしました。
 まずは、既に製造が始まっている山梨県産のグリーン水素を都有施設で活用し、その様子を分かりやすく発信することで、都民にグリーン水素への理解を深めていただき、認知度を高めるとともに、水素を円滑に輸送する仕組みを構築してまいります。
 今後は、山梨県の水素製造のノウハウも参考にしながら、都における実装化を進め、グリーン水素の普及拡大を図ってまいります。

○藤井委員 ご答弁の中で、グリーン水素で先行する山梨県のノウハウも参考に、都において、グリーン水素の製造も含めた実装化を進めて、検討していくということであります。
 今、どちらかというと、やはり水素の活用の方の議論が多いかと思うんですが、また、環境局の事業ではありますが、住宅への太陽光パネルの設置の話等もありまして、つくった電気をどのようにためていくのかというのは非常に重要な論点だと考えております。しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 また、この協定の柱の一つに、グリーン水素の広報、普及啓発に関することも含まれておりまして、こちらは山梨県にとってもウイン・ウインの関係になるためにも、山梨県産のグリーン水素を活用しているということもしっかりと積極的に発信をお願いしたいと思います。
 ご答弁の中で、グリーン水素について、普及の第一歩に手をかけて取組が広がっているということも確認ができました。世界でもグリーン水素に関する取組が始まっておりまして、都としても、その取組を着実に進めていただきますよう要望いたします。
 次に、EVバイクの普及に関してお伺いいたします。
 バイクといいますと、ホンダ、ヤマハ、カワサキ、スズキなど、日本のメーカーが世界のトップシェアを占めているなど、日本のお家芸ともいえる分野であります。
 一方で、EVバイクの分野に関しましては、中国であったりとか、アジア諸国が先に行くなど、なかなか海外が先行している状況というのが現状です。
 都でも、小池知事の就任後、警視庁にEVバイクを導入したり、昨年は、EVバイクコレクション二〇二一というイベントを開催するなど、機運醸成に努めているところでございます。
 また、先月、東京都は、民間事業者と共同して、バイクメーカー四社が規格を統一したEVバイクのバッテリーシェアサービスを西新宿で開始いたしました。
 私も視察をさせていただきました開始式では、都内バイクの販売店が加盟する東京オートバイ協同組合との協定を締結して、EVバイクの今後の普及に大きく期待を持ったところでございます。
 この新たなサービスでありますバッテリーシェアを開始したことを踏まえ、EVバイクのさらなる普及に向けて、今後どのように取り組むのかお伺いいたします。

○榎園新エネルギー推進担当部長 都は、EVバイクの利活用の促進につながるアイデアを民間事業者から公募し、そのアイデアをビジネスとして実現するための後押しを今年度から開始いたしました。
 この十月には、EVバイクのバッテリーを交換できるスポットを都庁近くの駐車場の敷地を活用しまして整備し、充電済みバッテリーにいつでも換えられるシェアサービスを開始いたしました。
 こうしたスポットを増やすことを通じて、今後は、バッテリーを交換することにより長距離を走行することが可能となり、バッテリー切れの不安を解消することも期待できます。
 都は、スポットの拡充や、このサービスの普及に向けた取組を行う民間事業者を支援し、ビジネスとしての展開につなげてまいります。
 さらに、身近な場所でEVバイクの購入やメンテナンスができるよう、先般協定を締結いたしました業界団体の協力なども得ながら、普及を促進してまいります。

○藤井委員 ありがとうございます。まずは、このEVバイクのバッテリー交換のできるスポット等を活用して、特に事業者の利用を促していくということであります。
 例えば、このコロナ禍で普及したフードデリバリー、ピザのフードデリバリーだったりとか、そういったものもあると思いますし、たしか締結式当日には、ALSOKさんだったかな、もいらっしゃったと思います。こういった様々な事業者を巻き込んでいただくことを期待しております。
 また、先ほどの協定を結びました東京オートバイ協同組合が加盟するバイク販売店、これはバイクの購入を希望する都民とのまさに入り口、窓口でありまして、EVバイクに関しては補助金等もありますので、そういったものもしっかりと都民の皆様にお伝えして、情報提供等をしっかりと協力して進めていただくようにお願いいたします。新しい取組が広がることを期待しております。
 続きまして、企業等におけるLGBTQ等、性的マイノリティーに対する差別解消、理解促進のための取組についてお伺いをいたします。
 今月、十一月一日から、東京都パートナーシップ宣誓制度が始まりまして、この制度ができて、どのように活用されていくかというのが非常に重要なところであります。
 東京都でも、都庁内の福利厚生に関して条例を変更するなど、都庁内の職員の皆様の取組を始めているところであります。
 当事者の方々にとっては、やはり企業での活用というのが非常に重要になると考えておりまして、そういった観点で質問をさせていただきたいと思います。
 ちょうど本日は、企業、団体等でLGBTQプラスが働きやすい職場づくりを日本で実現するwork with Prideという団体の年に一度のイベントが開かれているところでございます。
 この団体は、各企業や団体がPRIDE指標というものを設けて、LGBTQにフレンドリーな職場をつくっているかどうかといったことを判定しておりまして、このイベントの中でも発表されるところであります。
 そういった中で、企業ごとの取組や事例というものも共有されておりまして、これはぜひ参考にしていただきたいと思うところであります。
 加えて、東京都では、オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例第五条の規定に基づきまして、性自認及び性的指向に関する基本計画というものを策定しておりまして、その中で、人権部が中心となりながらも、例えば、教育の現場でどのような対応をするかであったりとか、様々記載があります。
 この基本計画があるんですが、産業労働局の企業、特に中小企業の取組が計画の中で物足りないなというところを感じているところがあります。
 今回、十一月にパートナーシップ宣誓制度が始まりまして、企業で活用されて、LGBTQ等への理解が進み、性的マイノリティーの皆様が働きやすい職場環境づくりが促進されるべきと考えますが、産業労働局の取組についてお伺いをいたします。

○山崎雇用就業部長 都では、職場での性自認及び性的指向に関する課題につきまして、労働相談を行うほか、事業者向けのセミナーを開催しております。
 また、職場における性的マイノリティーの方々への理解を効果的に広げるため、人事担当者や従業員向けのオンラインによるセミナーを実施するほか、事業者に専門家を派遣し、会社の状況に応じた助言を行っております。
 各種セミナーにおきましては、十一月から始まった都のパートナーシップ宣誓制度を紹介するほか、企業の取組事例を説明いたします。
 さらに、今年度から、十二月、一月をハラスメント防止対策集中取組期間としまして、様々な取組を行う中で、SOGIハラ防止対策を学べる動画コンテンツを公開してまいります。
 こうした取組によりまして、誰もが働きやすい職場環境の整備につなげてまいります。

○藤井委員 ありがとうございます。様々取組をいただいていることを理解できました。
 SOGIハラスメントなどがあると、やはり当事者の方々は安心して、例えばこのパートナーシップ宣誓制度に申し込むこともできないと思いますので、そういった理解の促進、差別の解消のための取組、これをしっかりと進めていただきたいと思います。
 また、総務局の人権部の方で、LGBTフレンドリー宣言の取組をしている企業や団体というものの認定もしておりますが、まだ二十団体程度で、都内の企業さんであったりとか、中小企業さんといったところも、ぜひ、この宣言をしていただければと思っておりまして、人権部とここはしっかりと連携をとって進めていただきたいと思います。
 パートナーシップ宣誓制度ができたことを契機に、経済団体等とも連携をして進めていくと聞いておりますので、都の産業政策を進める産業労働局としても、一緒にぜひ進めていただきたいと思います。
 まさに先ほど申し上げました東京都性自認及び性的指向に関する基本計画の見直しが今されているところでありまして、ここの中小企業、都内の企業に対する働きかけ、一緒にこの理解促進を進めるという取組をぜひ進めていただきまして、次の改定版では、充実させていただくように要望をさせていただきたいと思います。
 職場環境に関する課題というのは多くあると思いますが、この性的マイノリティーの課題、こういったものにもしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 続きまして、行政手続のデジタル化についてお伺いをさせていただきます。
 先ほどの労働委員会の質問でも同じことを申し上げたんですが、東京都では、昨年四月から、東京デジタルファースト条例を施行しておりまして、その条例の下、デジタルファースト推進計画というものを立てて、都の二万八千手続の原則デジタル化の取組を進めているところでございます。
 その対象手続の棚卸しをしたエクセルを見ると、もしかしたら産業労働局の手続の数が変わっているかもしれないんですが、四千七百七十四個の手続がありまして、農林水産部が千九百四十一個、商工部が千百五十四個、観光部が六百七十個、雇用就労部が四百八十一個などなど、結構多くの手続がありまして、これはそれぞれしっかりと取り組んでいただいていることと期待をしているところであります。
 一方で、この条例で義務ではなくて、努力義務となっているのが、政策連携団体等の手続になっておりまして、特に産業労働局が事業者と多く関わるところとしては、この政策連携団体の手続のデジタル化も非常に重要だと考えておりまして、ここでは商工部が所管する東京都中小企業振興公社について確認をさせていただきます。
 東京都中小企業振興公社では、申請に関して、国のGビズIDの活用や、オンラインフォームでの受付をしていますが、中小企業振興公社で、この申請のデジタル化等の対応状況についてお伺いをいたします。

○緑川商工部長 中小企業振興公社では、コロナ禍においてDXが進展する中で、二〇二三年度までに助成金事業の電子申請の対応を完了することを目標といたしまして、申請手続のデジタル化を推進しております。
 具体的には、感染症対策助成事業におきまして、国の電子申請システムでありますJグランツを活用して申請手続のデジタル化を行っており、令和三年度の電子申請件数は全体の約四割にあります約一万二千件となっております。
 こうした取組をほかの助成金事業にも展開しており、令和四年度は、展示会出展助成事業や生産性向上のためのデジタル技術活用推進事業など、二十二事業の申請手続のデジタル化を完了しておりまして、さらに、年度内に二事業のデジタル化の完了に向けて取り組んでおります。
 これによりまして、中小企業振興公社が行います助成金事業の約七割に当たります三十の事業におきまして、申請手続のデジタル化が完了することとなります。
 今後とも、デジタル技術をより一層活用し、さらなる利用者の利便性の向上を促進してまいります。

○藤井委員 コロナ禍での対応も踏まえて、既に約七割の三十事業の手続のデジタル化が完了しているということであります。
 また、二〇二三年までに一〇〇%の電子化を進めていくということでありまして、着実に進めていただきたいと思います。
 今回は、事業者等の申請の数が多い中小企業振興公社について確認をさせていただきましたが、例えば、ほかの政策連携団体、東京しごと財団なども都民からの申請が多いものと思います。
 産業労働局内の他の政策連携団体についても、手続の原則デジタル化をしっかりと進めていただきたいと思います。
 続きまして、大きなテーマとしては最後なんですけれども、スタートアップに関連して、幾つかお伺いをさせていただきます。
 アメリカでは、新興企業でありますグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、いわゆるGAFAといわれる企業が経済成長を牽引しているといわれております。
 スタートアップは成長のドライバーであり、さらには、将来の雇用、所得、財政を支える担い手となる非常に重要なものだと考えております。
 日本でも、世界でも戦えるスタートアップというのを早急に創出していかなければ、世界との差が開くばかりでありまして、停滞するこの日本経済の活性化のためには、スタートアップの成長が欠かせないものと考えております。国内のスタートアップの多くが集積する東京の担う役割というのは非常に多いものと考えております。
 東京都も、今年の八月二十六日にスタートアップ戦略担当局長を設置して、スタートアップの取組のギアを一段階上げたところかなと認識をしております。これまで何度も私が要望してきた都のスタートアップ施策、今、産業労働局や政策企画局、あと、デジタルサービス局であったりとか、様々なところにばらばらあるこの施策を、横串を刺してほしいという要望に対しても応えていただいたものと考えておりまして、期待をしているところでございます。
 その前の今年の二月には、スタートアップ協働戦略ver.一・〇というのができておりまして、公表されているところで、これを十一月末に向けて、今、バージョンアップを予定していると聞いております。
 この協働戦略の中では、スタートアップのコースマップといわれている施策等をまとめたものを整理しておりまして、この中でスタートアップ関連で三十五の東京都の施策があって、そのうち二十四個の施策、約六八・五%は産業労働局の所管でありまして、都庁内のスタートアップ関連施策において、何といっても産業労働局の担う役割というのは非常に大きいというか、中心を占めているものというふうに認識をしております。
 一方で、先日の産業労働局の事務事業説明の事業概要要旨でこれを確認させていただきますと、スタートアップと出てきたのは三か所だけでありまして、ちょっと正直物足りないなという感想を持ったところでございます。
 産業労働局は、もっとスタートアップ施策に軸足と重点を置くべきとの視点で、幾つか質疑をさせていただきたいと思います。
 まず、産業労働局では、スタートアップ関連施策をどのように整理をして実施をしているのかお伺いいたします。

○緑川商工部長 都は、スタートアップの成長段階や、社会課題の解決につながる取組を行う事業者に向けた多様なプログラム等を提供するとともに、法人化や資金調達に関するサポートなど、スタートアップが成長していくために必要な支援を行っております。
 具体的には、創業希望者などに対し、創業のノウハウの習得から事業化までをワンストップで支援する創業ステーションを運営するほか、創業のモデルケースになり得る事業者に対し、経費の一部を助成しております。
 また、国内外での活躍が期待できるスタートアップに対しまして、海外アクセラレーターとの交流機会等を提供するとともに、成長志向を持つ女性ベンチャー等に短期集中型育成プログラムを実施いたしまして、海外に派遣するなど、グローバル市場で活躍ができるよう支援を行っております。
 さらに、スタートアップと都との協働による都政課題の解決に向けまして、ピッチコンテストを開催し、優れた製品やサービスは、政策目的随意契約を活用した公共調達を行っております。
 こうした取組を総合的、複合的に展開し、都内スタートアップの成長を支援しております。

○藤井委員 スタートアップに関連して、様々な施策を行っていただいているということが理解をできました。
 そのスタートアップの入り口のところ、起業家、創業者を増やすというところが第一段階にあって、その中心になるのが、今ご答弁の中で、創業ステーション等を使って、ここで創業のノウハウの習得から事業化までワンストップで支援をしているということでありました。
 また、創業経費の一部を助成するだったりとか、起業するための資金の提供というものもしているというところであります。
 また、つくった製品などを実際に東京都が調達をして、使ってブラッシュアップをしていく、そういったような取組もしているという答弁でありまして、入り口で生まれてきたスタートアップ、起業家の皆さんを東京都が育てる様々な機会を提供する、コンサルするなどをしているということ。さらに、さらに伸びそうなところに関しては、グローバル展開ができるようなアドバイス等もしているような形であると、アクセラレーターやベンチャーキャピタルを通じた情報提供を行うなど、取組をしているということでありまして、ご答弁いただいて、しっかりと取り組んでいただいているなと思うところであります。
 一方で、このカオスマップというものにまとめていただいていて、さらに東京都のスタートアップの施策は結構いっぱいあるんですが、やはりぱっと見たときに、どの施策をいつ使えばいいのか分からなかったり、あと、私も知り合いのスタートアップに聞いても、都のスタートアップ支援策を知らないという声もよく聞くところでありまして、せっかくある都のスタートアップ関連施策が、スタートアップの当事者などに伝わっていない面があるのではないかと考えております。
 産業労働局として、これはどのように改善に向けて取組を行っていくのかお伺いいたします。

○緑川商工部長 都はこれまで、SNSやホームページのほか、経済団体と連携いたしまして、スタートアップ関連施策の周知を図ってまいりました。
 これによりまして、年間二千八百社を超えるスタートアップを支援いたしまして、利用者からも支援内容について高い評価を得ております。
 こうした都の取組をさらに多くのスタートアップに利用していただくことで、支援の裾野を広げるとともに、そこからグローバルに活躍するスタートアップを生み出していく必要がございます。
 このため、これまでの取組に加えまして、スタートアップコミュニティに直接アプローチするなどして、PR活動の強化を図っております。
 具体的には、虎ノ門に開設いたしましたスタートアップ施策の窓口におきまして、同じフロアに入居する民間の支援施設に対する情報発信のほか、アクセラレーターやベンチャーキャピタルなどを通じた情報提供など、都の取組がスタートアップへ効果的に届くよう改善を図っております。

○藤井委員 これまでのスタートアップへの経済団体等を通じて、連携しての情報提供に加えて、さらにスタートアップのところに直接アプローチをするための取組を進めているというところであります。
 これは、全庁横串で今取り組んでいただいているところだと思いますので、しっかりとスタートアップと直接コミュニケーションをとっていただいて、様々な改善などをしていただければというふうに考えております。ぜひしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 ちょっと話が変わってしまうんですが、私がここでぱっと見てちょっと分からなかったのが、支援策で、資金調達の中で、ファンドを活用したDXスタートアップ成長支援と、また、ベンチャーファンドというものがあります。両方ともこのファンドを活用したものだと思うんですが、この事業はどう違うのか伺いたいと思います。

○高野金融支援担当部長 ベンチャーファンドは、都が平成二十九年度に出資し、業種、産業分野等の範囲を限定せず、リスクが高く、資金が集まりにくい起業初期段階の企業を支援しているものでございます。
 一方、DXスタートアップ成長支援ファンドは、都が令和三年度に出資し、DXの普及が遅れている医療、教育等の分野を中心に、デジタル化を促進するスタートアップを創業期から継続的に支援しているものでございます。

○藤井委員 ご答弁でよく理解できました。出資のタイミングが違うのと、あと、スタートアップの成長段階や、その分野を絞っているか、絞っていないかなどの違いがあると確認をさせていただきました。
 しっかりとこういったファンドを通じたベンチャースタートアップの支援というものも重要と思いますので、またこちらも引き続き確認をさせていただきたいと思います。
 国でも、今、スタートアップ担当大臣ができるなど、注力をしているところでありまして、五か年計画として、スタートアップの数を今後十倍にしていくというような報道も出ていて、今、具体的にどう進めるかというのが年内に発表されるというところでございます。
 やはりスタートアップの数を増やすためには、起業、創業の裾野を広げていく必要があると考えておりまして、まずはこのスタートアップの入り口になります都の起業家、創業者を増やすための取組について確認をさせていただきます。この入り口のところですね。
 特にその予備軍となる人たちへの働きかけが重要と考えますが、どのように支援をしているのか、具体的な取組についてお伺いいたします。

○緑川商工部長 起業に挑戦する若者を増やすためには、起業家マインドの醸成のための情報発信や、気軽に相談できる環境づくりが必要でございます。
 そのため、都は、丸の内と立川の二か所に、起業に関心のある、誰もがワンストップで利用できる創業ステーションを設置しており、特に二十五歳以下に限定した起業家育成プログラムを実施しております。
 また、丸の内では、起業家教育を強化する大学とメディアが連携したイベントを開催するとともに、立川では、多摩地域に多く存在する大学と連携し、学生を対象とした起業セミナーを行うなど、それぞれの立地特性を生かした取組を行っております。
 さらに、意欲的な若手起業家の掘り起こしを行う国内最大級のビジネスプランコンテストを開催しております。今年度も千百十四名の応募があり、最終審査に進む十名に対しまして、企画内容に応じたアクセラレーションプログラムを提供するとともに、全ての応募者を対象といたしましたビジネススクールを開講し、起業家を支援しております。
 こうした取組を通じまして、起業に対する機運を醸成し、若手起業家を適切に支援してまいります。

○藤井委員 起業家の予備軍である、特に若者に対するこの取組についてのご答弁をいただきました。丸の内と立川に二か所ある創業ステーションを中心として、若い方、二十五歳以下に限定をした起業家育成プログラムを実施するなどしているということでありました。
 また、ビジネスプランコンテスト、国内最大級で、今年度は千百十四名もの応募がある、非常に大きなビジネスプランコンテストも行っているということでございまして、こういった起業家の掘り起こしをしていただいているということであります。
 先ほども、一個前の質問で、年間二千八百社を超えるスタートアップを産業労働局として支援しているということでありまして、千を超えるという数字、これ自体はすごく大きいものと考えておりますが、一方で、今後、国の目標が五年間で十倍にしていくというところになると、これはより大きな構えをして、もっと増やしていかなければならないというふうに考えておりまして、そこに向けた取組というものもしっかりと進めていく必要があると考えております。
 そのために、若者に限らず、様々な方面、女性、若者、シニアの創業サポートであったりとか、また、大企業からの新規事業を生み出すであったりとか、様々取り組んでいると思うんですが、十倍ですので、かなり大きな取組、枠組みを変更するような取組が必要であると考えております。
 続きまして、都政の政策課題をスタートアップの力で解決を目指すUPGRADE with TOKYOについてお伺いさせていただきます。
 このUPGRADE with TOKYOは、都のスタートアップ調達の一環でもありまして、スタートアップに話を聞くと、やはりもっと使ってほしいと、東京都に使ってほしいということをたくさんいわれますので、今後さらに公共調達を拡大して取り組むべきだと考えております。
 UPGRADE with TOKYOの今年度の具体的な取組内容について伺います。

○緑川商工部長 UPGRADE with TOKYOは、スタートアップの優れた製品やサービスを活用いたしまして、都政の課題解決を図っていく取組で、ピッチコンテストを通じた都とスタートアップとの協働プロジェクトでございます。
 今年度は、これまで伝統工芸品の魅力発信や商店街情報の効果的な発信をテーマにピッチコンテストを二回開催しておりまして、計十社のスタートアップが参加をしております。
 具体的には、商業施設やホテル等のショールームに伝統工芸品を展示し、興味を抱いた方や購入した方の属性などを画像解析することでマーケティングにつなげる提案や、商店街のホームページに掲載されたイベント情報を、AIを活用してSNSでも自動で発信できるサービスの提案をした事業者が優勝しておりまして、現在、具体的な都との連携スキームについて検討を始めております。
 また、昨年度のピッチ会で優勝した事業者三社と政策随意契約を締結しており、指定したエリアから外れると走行が自動的に停止する、安全性に優れたキックボードの社会実装など、サービス開始に向けた具体的な取組を進めております。

○藤井委員 このUPGRADE with TOKYOですが、これまで二十五回開催されておりまして、今、具体的にご答弁いただきましたとおりですが、今年度ですと、伝統工芸や商店街などの取組など、進んでいるというところであります。
 また、さらに社会実装など、サービス開始に向けた具体的な取組が進んでいるというところでありまして、非常に期待をしているところであります。
 最近ですと、何というか、どんどん政策課題もより具体的になってきていて、そこに対して、スタートアップがどういう解決ができるのかというのを提案していただいているものと思います。
 ちょうど昨日、九日に二十六回目のUPGRADE with TOKYOの募集がリリースされましたが、参考までにですがこれは、都民の力を活用した盛土の見守り(安全性確保)サービスの開発・普及・利用促進となっていて、かなり具体的な内容だなというふうに思っております。
 一方で、先ほど申しましたとおり、公共調達の拡大という観点から見たときに、今のご答弁もそうですし、過去二十五回分もざっと見ますと、テーマの多くが、産業労働局内のものが、観光であったりとかが多いかなというふうに思っておりまして、しっかりと他局の抱えている政策課題というものもあると思いますので、そういったところの掘り起こしというものをしっかりと進めていただきたいなと思います。他の局、部、課とも連携をして、しっかりとその政策課題のあぶり出しをしていただきたいと思っております。
 また、今は政策目的随意契約ということで、ピッチコンテストをして、有識者の方々にご判断をいただいて、入札をすることなく契約できるというものになっておりまして、ピッチコンテストを経ないと、今、契約ができないような状況かなと思っております。
 一方で、政策課題はやはりいっぱいありますし、海外の団体とかですと、行政の持っている政策課題を一覧にして、そこに対してスタートアップがどういう解決をできるか等、提案してもらうような仕組みを持っているケースもありますので、そういったことも参考にしながら、ぜひ進めていただきたいなと思います。
 国の方でも、スタートアップの公共調達に関しては拡大をしていくという方向性を出しておりますので、多分、新たな仕組みであったりとか、出てくると思いますので、そういったところも注視しながら、しっかりと進めていただきたいと思います。
 次に、スタートアップで、先ほど来、その入り口の部分と、あと成長するための行政課題、解決のための都政での活用であったりとか、そういったところに対して質問してまいりましたが、今度は、グローバルに活躍できるスタートアップについてお伺いしたいと思います。
 グローバルに活躍するスタートアップを生み出すためのX-HUB TOKYOやAPT Women、こちらはコロナ禍での事業実施も踏まえて、具体的な取組内容と実績をお伺いさせていただきます。

○緑川商工部長 スタートアップ・グローバル交流HUB事業では、スタートアップのグローバルな事業展開に向けて、海外での商談や資金調達等のサポートを行っております。
 今年度は、十月末現在、二十七者を採択いたしまして、そのうち十者をニューヨークへ派遣するとともに、残りの十七者につきましては、海外のアクセラレーターがオンラインによりまして海外展開に向けた支援プログラムを行っております。
 過去には、スタートアップが開発したAIを使った内視鏡の画像診断がアメリカの食品医薬品局に認証され、世界へ展開する足がかりとなった事例などが生まれております。
 また、女性ベンチャー成長促進事業では、本年度、四十者を採択し、海外展開に向けたアクセラレーションプログラムを実施しております。
 過去には、女性向けキャリアスクールを提供する事業者が転職とリスキリングを同時に行えるプラットフォームを開発し、海外のベンチャーキャピタルから支援を獲得した事例など、グローバルに活躍できるスタートアップが生まれております。
 こうした取組を通じまして、スタートアップのグローバルな成長をサポートしてまいります。

○藤井委員 アメリカのFDAで認証された事例や、また、海外のベンチャーキャピタルから支援を獲得した事例など、着実にグローバル展開に向けて結果を残してきたということを確認させていただきました。
 一方で、これは産業労働局の施策云々という話よりも、日本の抱える大きな課題として、スタートアップの数と併せて、やはり質の問題というのもあるかと思っております。
 これは、特に海外と比べて、ユニコーンといわれるような、時価総額一千億円を超えるような大きなスタートアップの数が圧倒的に足りないというところであったりとか、あと、日本の場合ですと、どうしても日本の市場の中だけに閉じてしまって、先ほどの大きくならないというところと一緒なんですが、海外への思考をなかなか持てないであったりとか、多くの課題があると思います。
 やはり、国も力を入れている、東京都もこの協働戦略を見直して、大きな目標を掲げようとしている中で、どうやってそういうスタートアップを東京から生み出して、日本の経済成長のエンジンとしていくかということが非常に大きな課題となっていると思っておりまして、ここに関しては、引き続きご検討いただきたいのと、今後、私からも様々提案をさせていただきたいと思います。抜本的な取組も必要になるのではないかと思っております。
 なかなか、やはりこれは難しいところで、様々な自治体がスタートアップの支援というのをやっていて、有名なところですと、神戸市や福岡市さんというのがありますが、福岡市さんは十年前からスタートアップ都市宣言ということをしておりまして、ちょうど十年間の振り返りというのを先日していたのを拝見したんですけれども、そういうスタートアップをする企業自体は増えてきていて、成長が見込まれる企業を数多く輩出しているものの、一方で、上場するような会社がまだ出ていないであったりとか、グローバルに市場を取りに行けるような会社が出てこなかったというところは、まだまだの課題であるというような話も出ておりました。
 やはり日本の場合ですと、どうしても日本の市場の中でのビジネスを考えてしまいますが、最初から海外に行くということも考えることも必要なのではないかなと思っております。
 ちょっと繰り返しになりますが、国では、年内にスタートアップ育成五か年計画を策定して、その数を十倍にするということであったりとか、また、経団連も同じようにスタートアップの数を十倍の十万社、また、年間の投資額も十倍の十兆円、ユニコーンを十倍の千社、デカコーンといわれるような海外でも活躍するようなユニコーンも二社との目標をつくっておりまして、東京の果たすべき役割というのは非常に大きいです。
 東京都も十一月末に公表するスタートアップ協働戦略のバージョンアップでは、東京のさらなる成長によって日本の成長を牽引するため、スタートアップの数を増やすと同時に、グローバルに活躍するユニコーンを目指すという非常に難しい挑戦が必要になると考えております。
 事業者の最前線であります産業労働局として、スタートアップのさらなる育成に向けてどのように取り組んでいくのかお伺いさせていただきます。

○緑川商工部長 東京の経済成長を生み出し、雇用機会を創出するためには、優れた技術やアイデアを持ち、イノベーションを生み出すスタートアップの力を活用していくことが重要でございます。
 このため、都では、起業家マインドの醸成といった掘り起こしや、様々なアクセラレーションプログラムのほか、海外展開のサポートなど、成長段階に応じたきめ細かい支援や、社会課題の解決を図るスタートアップに向けた分野別の支援など、ニーズに応じたサポートを行っております。
 こうした支援により得られるノウハウや成果を庁内に共有し、スタートアップ支援の専門組織でありますTeam Tokyo Innovationの一員といたしまして、経済団体とも連携を図りながら、これまで以上にスタートアップ支援に取り組んでまいります。

○藤井委員 産業労働局には、都のスタートアップ関連施策の中心を担うということを期待しております。日本経済の成長の牽引となることを期待して、産業労働局への事務事業質疑を終えさせていただきます。ありがとうございました。

○斉藤委員 私の方からは、中小企業支援策、観光、そして、農林水産関係では林業関係について少し触れられればと思っております。
 初めに、中小企業のSDGs経営の推進について伺いたいと思います。
 東京が将来にわたり持続可能な成長を続けていくためには、行政はもちろんのこと、都内事業所の九九%を占めるといわれている中小企業におきまして、SDGsを推進していくことが重要です。
 加えて、金融分野におけるESG投資の主流化や取引先やサプライチェーンなどに、このSDGsを踏まえた経営を求める企業も世界的に増える流れがございまして、長期的な企業価値を高めていく意味でも、重要性は増してきていると思います。
 我が党は、以前より、この中小企業におけるSDGsを踏まえ経営に注目をいたしまして、取組の促進を強く求め、都もこれに応える形で、SDGsの意識調査を踏まえた上で、中小企業SDGs経営推進事業を実施しております。
 そこで、本事業における具体的な取組内容を改めて伺うとともに、支援事例についてお伺いしたいと思います。

○緑川商工部長 都では、中小企業におけますSDGsへの取組を推進するため、普及啓発に加えまして、SDGs経営に向けたアドバイス等を行っております。
 具体的には、SDGsの考え方や企業における導入方法などを学ぶ経営セミナーを開催するとともに、実践事例を紹介するウェブサイトを作成し、好事例を広く発信しております。
 また、SDGs推進に向けた専門家が企業を巡回し、支援する企業の掘り起こしを行うとともに、導入を検討する企業を対象に、計画の策定過程を学べるワークショップを開催いたします。
 さらに、専門家によるSDGs経営に向けた目標の設定や、宣言した取組の実現に向けた実践的な支援等を実施しております。
 具体的には、社内でSDGs推進のためのプロジェクトチームを立ち上げ、経営方針の見直しに取り組んだ小売業のケースや、経営層が中心となって、SDGsを踏まえた中長期計画の策定に取り組み、CO2の年間排出量の削減目標をウェブサイトで公開した廃棄物処分業のケースなどが出ております。
 こうした取組を通じまして、中小企業におけますSDGs経営を適切に支援してまいります。

○斉藤委員 普及啓発から実行支援まで、きめ細かい支援をされているとの答弁でございました。
 SDGsそのものは、国連、特に欧州各国が主導してつくられた国際目標ともいえるんじゃないかと思うんですが、国際比較をすれば、欧州の企業が優位に立つ目標であるというような感じで、それは初めから分かっていながら、しかしながら、国際的な金融の動き、特に投資原則がSDGsと親和性のあるESG投資が主流化すれば、経営者もSDGsを無視しては発展はし得ない。
 東京の企業の強みは、渋沢栄一翁の「論語と算盤」、つまり、道徳経済合一説に原点を持つような企業も、企業理念としてある企業が多いんですけれども、大事なことはデザイン力だと思います。
 やってきたこと、今実施していることをいかにSDGs的に発信するか。さらに、SDGsの取組が中小企業の価値を高めることにつながるように、引き続き継続的な支援をお願いしておきたいと思います。
 ここで中小企業支援ということでいえば、制度融資が非常に重要な支援でありますので、この点について、簡単に一点、ご質問したいと思います。
 ウクライナ情勢などがありまして、世界的なサプライチェーンの混乱とか原材料の高騰、円安の影響など、様々、中小企業など影響を受けているわけでありますが、都は、この三月から、こういったウクライナ情勢の影響を受けて、特に売上げが減少している事業者を対象としたウクライナ情勢対応緊急融資を創設しております。
 都内の中小企業からは、コロナ禍に加えまして、ウクライナ情勢の影響によって経営が非常に厳しいと、令和二年度の実質無利子融資の返済にも苦慮している中、新たな借入れに係る費用も負担となっているといった切実な声が、我が党にも届いておるところであります。
 こうした声を受けまして、都議会公明党として、中小企業の命綱ともいえる資金繰りを支えるために、今年の第二回定例会で、こうした危機的状況を打開する新たな融資メニューを創設し、信用保証料の補助に加えまして、利子補給の実施によって、事業者の負担軽減策を講じるよう要望し、実現を図ってきたところであります。
 そこで、この融資メニューのこれまでの利用実績をちょっと伺っていきたいと思います。

○戸井崎金融部長 都は今年度、実質無利子融資の返済負担軽減のための借換えメニューを創設するとともに、ウクライナ情勢などで厳しい経営環境にある中小企業の資金繰りを支援するための融資メニューと併せて、信用保証料の補助等により事業者の負担軽減を図ってまいりました。
 令和四年七月からは、感染症の影響の長期化やウクライナ情勢、円安の進行等の様々な経営課題に対応できるよう、新型コロナウイルス感染症・ウクライナ情勢・円安等対応緊急融資を創設いたしまして、借換えなどの資金ニーズにも対応することにより、充実を図りました。
 このメニューでは、借入れや借換えに係る事業者の負担を抑えるため、全事業者に対して信用保証料を融資額八千万円までは全額、八千万円を超える分については、四分の三を補助するほか、借入れ後、一年間に生ずる利子については二分の一を助成し、中小企業の資金繰りを着実に支援しております。
 この融資の実績でございますが、九月末時点で、融資件数が約五千九百件、金額は約一千四百五十億円となっております。

○斉藤委員 利用実績は五千九百件、金額は一千四百五十億円という規模であります。
 これから年末に向かって、毎年資金繰り、年末も大変になってきますけれども、引き続きこういった制度融資を使いまして、頑張っている企業を応援していただきたいと思います。
 次に、人材の話に入りたいと思います。
 中小企業の中核人材確保に向けた支援について伺いたいと思います。
 生産年齢人口の減少はもとより、急速なデジタル化、DX化、グローバル化、あるいはさきに質問しましたSDGsを目指す経営ですとか、ESG投資ですとか、従来の経営者はなかなか聞き慣れない言葉とか、様々な変革のスピードが速まっています。
 そうした経営をめぐる環境が大きく、激しく変わる中で、中小企業も新しい時代への変革が求められていることはいうまでもありません。
 その多くの企業が、人材の不足を経営課題として捉え、人材の獲得競争はますます激化しているわけであります。
 一方、多くの中小企業は、日々の業務でもう手いっぱいでありまして、慢性的な人手不足にも悩まされる中、高度な業務を担う人材や、経営者の右腕となるような経営の中核となる人材を社内で自力で育てることもままならないわけでありまして、外から連れてくることもなかなか容易ではありません。
 こうした課題を乗り越えるために、都議会公明党はこれまで、経営者の右腕となって企業の成長を支える人材の確保に向けて効果的な支援を行うよう、再三再四、都に求めてまいりました。
 都はこれに応えまして、中小企業の人材確保に関する施策を展開し、充実させてきたものと認識しておりますが、先行きが読めない時代において、今後、特に重要となるのは、やはり専門人材や中核人材を戦略的に確保していくことであります。
 そこで、都がこれまで取り組んできた中小企業における専門、中核人材など、人材確保への支援に関して、現在の取組状況及び今年度の実績を伺いたいと思います。

○内田事業推進担当部長 都は、中小企業の人材確保や人材の活用に関する課題解決を総合的にサポートするため、事業の成長につながる専門的技術や知識を持つ人材確保の課題を含めて、専門家による相談対応やコンサルティングなどを行ってございます。
 今年度は、中核人材を採用する計画づくりや方法など、人材確保に関する八百件を超える相談に対応するとともに、九月末時点で百六十二社に対しましてコンサルティングを行ってきてございます。
 また、人材確保の知識やノウハウを提供するセミナーを開催しておりまして、今年度は、転職希望者の採用に向けた中小企業ならではの取組や面接手法などについて、九月末までに四回のセミナーを実施し、二百二十二社が参加いたしました。
 さらに、経営者向けに中核人材の育成に役立つ講座を開き、その内容を社内で実践する際に専門家がサポートをしており、これまで百四社が参加してございます。

○斉藤委員 大変コロナ禍が続いている中で、本当に様々な知恵を出していただきながら、事業が進んでいることが分かりました。
 多くの企業が活用していることが分かりましたが、一方で、コロナ禍からの経営活動の再開が進んでいく中で、中小企業における中核人材の需要がますます高まっています。
 その背景として、先ほどから申し上げましたように、コロナや不安定な国際情勢を踏まえた持続可能なビジネスモデルが求められるということに加えまして、リモートワークや非接触サービス、AIや仮想空間を活用した製品やサービスの開発、デジタルによるマーケティングや顧客対応などの進化があるわけであります。当然、脱炭素も大きなテーマでありまして、全ての企業に共通するこの難しい課題が山積しています。
 先般の第三回定例会での代表質問において、我が会派は、中小企業を支える中核人材の確保に向けた支援について都の見解を求めまして、都は、支援を検討していくと答弁をされたところであります。
 中核人材の重要性は日に日に高まっており、専門の中核人材の確保は、経営者にとって待ったなしとなっております。
 都の支援をさらに加速させていくべきでありますが、改めて伺いたいと思います。

○内田事業推進担当部長 都はこれまでも、専門、中核人材の確保に向けた支援に取り組んでまいりました。
 企業の取り巻く環境が大きく変化する中、中小企業の経営者や職場にとって、デジタル化や脱炭素への対応など、課題解決に寄与する人材がますます不可欠になっているものと認識してございます。
 今後、こうした人材の確保をより効果的に進めることができるよう、金融機関や経済団体等と連携し、人材マッチングの体制づくりなどの支援を検討してまいります。

○斉藤委員 国も早くから、こういった中核人材の確保に注目をいたしまして、国は国で、全国、東京都を除く道府県、含めて進めているようですが、東京都も、都自ら、都ならではの形でそういったことをどんどん進めていっていただきたいと思います。
 次に、リスキリングについて、一点質問します。
 成長産業分野キャリア形成支援事業について伺いたいと思います。
 政府は、先日、個人のリスキリングを含む総合経済対策を閣議決定いたしました。社会のデジタル化や脱炭素化が加速している中、求められる知識や技能も変わっていくために、今後は全ての働く人たちにリスキリングが必要となっているといっても過言ではありません。
 特に解雇や雇い止めで職を失う不安を抱える多くの非正規雇用の方が、安定的な就業に結びつくスキルや資格の取得を促すことは非常に重要であると考えます。
 都は今年度、我が会派からの要望も受けまして、非正規で働く方などのリスキリングによるキャリアアップを支援する成長産業分野キャリア形成支援事業の支援を拡充しております。
 そこで、この成長産業分野キャリア形成支援事業の具体的な取組や、これまでの実績について伺いたいと思います。

○山崎雇用就業部長 本事業は、非正規雇用で働く方などに対しまして、デジタル関連のスキルなどをeラーニングで取得できる職業訓練と就職支援を一体的に実施しまして、成長分野等への人材シフトと雇用の安定化を促進していくものでございます。
 今年度は、二か月から六か月の期間に学習する訓練を、デジタル関連五コース、資格取得関連五コースの全十コースで実施しており、千七名が受講をしております。
 訓練の受講中は、各コースに専属のメンターを配置し、理解しにくかった学習内容を個別にオンラインでフォローするなど、伴走型の支援を実施しております。
 訓練終了後は、キャリアカウンセラーによる支援のほか、訓練で習得したスキルを生かせる求人を重点的に紹介し、効果的なマッチングにつなげております。

○斉藤委員 ありがとうございます。
 続きまして、人材という点では、未来の人材について、一点質問したいと思うんですが、小中学校における起業家教育について伺いたいと思います。
 東京の成長を目指して、稼ぐ東京を実現していくためには、新たな発想を持ち、イノベーションを起こす起業家の存在は不可欠であります。スタートアップの話も先ほどしっかりございましたけれども、都内の開業率は六%程度であり、職業の選択として起業を入れる人はまだまだ少ない状況にあります。
 都では、二〇三〇年に開業率一二%を目標としておりまして、その実現に向けては、早い段階からの起業について、起こす業ですね、起業について知る機会を提供し、起業そのものを身近な存在にしていくことも重要であると考えます。
 特にこれからの産業を担う若い世代である小中学生に対し、早期の起業家教育を行うことは、起業への関心を高めるための有効な方策と考えるわけであります。
 都では、小中学校向けに、起業家教育を推進する事業を行っておりますけれども、本事業の目的と具体的な取組内容について伺いたいと思います。

○緑川商工部長 都は、小中学生が起業に関心を持ち、将来の進路における選択肢の一つにできるよう、小中学校を対象に、二か年にわたり起業家教育プログラムの策定から取組の実施までを支援しております。
 具体的には、初年度に、資金の調達方法などを実践的に学ぶプログラム案を学校のニーズを踏まえながら提案するほか、地域の金融機関や地元企業など、プログラムに協力をいただく企業等との調整を行います。
 また、二年目には、策定したプログラムの実施をサポートするとともに、プログラム終了後の課題を整理しフォローアップを行うことで、学校側が自律的にプログラムを運営できるよう支援しております。

○斉藤委員 産業労働局の事業が本当に幅広いなと思ったのは、文教委員会と間違えるぐらいの質問ではありますけれども、小中学校向けの起業家教育を推進しているということで、産労の予算をつけて、現場の小学生の輝く瞳を見た同僚の都議会議員が、ぜひこれを多くの方に知ってもらいたいという話で取り上げさせていただいたわけであります。
 地域の金融機関や地元企業など、産業振興施策ならではの強みを生かしながら、ネットワークがあるわけですから、二か年をかけて、各学校のニーズに寄り添いながら、じっくりと伴走型の支援を行っていることが分かるわけであります。
 こうした支援によりまして、昨年度採択した小中学校では、今年度は具体的にどのような事例を支援しているのか、また、実際に体験した児童生徒ですね、どんな声が聞かれているのかを伺いたいと思います。また、どのような効果を実感しているかというのを伺いたいと思います。

○緑川商工部長 本年度は、昨年度選定しました小学校九校、中学校二校、計十一校に対しまして、起業家教育プログラムの実施に向けた支援を行っております。
 具体的には、生徒複数人が学校のよさを広める商品を製作する模擬の会社を設立いたしまして、商品の企画や事業計画を策定した上で、プロの融資審査を受ける体験などを行った小学校の事例や、地域の特産品を生かした商品を開発し、模擬通貨を使って校内で販売した中学校の事例などの取組に対し、サポートを行っております。
 生徒からは、皆と協力し、社会のためになる取組が行われたといった声や、お金を借りることが大変だったが、ためになった、赤字になったが次に生かせるように学ぶことができたといった声をいただいております。
 実施したアンケートでは、三割を超える小中学生が、将来会社をつくってみたいと回答していることから、今後ともこうした取組を通じまして、小中学生の起業への関心を高めてまいります。

○斉藤委員 本プログラムを受けまして、三割を超える小中学生が起業に関心を持ったということでございました。一般的な小中学生の起業への関心の割合は数%ということですので、民間企業の調査もあり、プログラムの効果といえるのでないかと思います。
 これは将来、この子たちの中で、本当にスタートアップというか、本当にそういうふうに稼ぐ東京の担い手になっていくような人材も出てくることを楽しみにしております。
 私も実は、高校生のレベルでですね、従来から、十六歳の仕事塾というNPOが行っている高校生向けのキャリア教育支援の活動に長年携わってきたんですが、ただいまのご答弁もありますように、プロに来ていただいて、実際に体験するということが、起業家教育を行う際の重要なポイントになると思います。
 また、児童生徒の声にもありますように、本事業は、単に起業家を目指すために必要なスキルだけでなくて、他者との協力、そうした協働の重要性や、失敗しても、それを乗り越えるように次に生かす、そういうポジティブなチャレンジ精神など、これからの時代を生きていくために必要な力も学べると考えます。引き続き、取組をしっかりと行っていただきたいと思います。
 時間がどんどん過ぎていきますので、観光について、中心的に質問していきたいと思います。
 観光産業振興実行プランを踏まえた上での質問であります。
 先月十一日から水際対策が大幅に緩和されまして、都内でも、外国人旅行者を見かけることが多くなってまいりました。
 また、先月二十日からは、全国旅行支援、ただいま東京プラスも開始し、いよいよ本格的に観光振興をリスタートする時期にきております。
 観光は、その土地の文化、歴史に触れる機会や、地元の人々との交流を生み出しまして、人々に感動を与えてくれるものであります。私は、この新型コロナウイルス感染症で傷んだ社会に再び立ち上がってもらうためにも、立ち上がっていただくためにも、観光の力に大いに期待をしているわけであります。
 都では、本年二月に、観光産業振興実行プランを策定いたしました。私も昨年来、東京都観光事業審議会の委員として議論に参加してまいりましたが、このプランの策定後も、第七波が到来するなど、思うように観光施策を進められなかったと思います。
 今後は、現在の円安のピンチを、ピンチだけじゃなくてチャンスに変えるためにも、インバウンド誘致を積極的に進めて、観光による消費拡大を図ることで、地域の活性化につなげていくべきであります。
 そこで、まず、観光産業振興実行プランを踏まえた都の観光振興への取組について伺いたいと思います。

○天津観光振興担当部長 都は、観光産業振興実行プランに基づき、来年度までの二か年の計画期間の中で、コロナ禍からの観光事業の回復段階に応じて、様々な施策を進めております。
 先月から水際対策が大幅に緩和されたことを踏まえまして、インバウンド誘致に向けた取組を強力に推進してまいります。
 具体的には、海外の十五都市に設置している東京観光レップも活用し、都内観光事業者とともに、現地の旅行博や商談会に参加することで、海外事業者とのネットワーク構築や広報活動を支援いたします。
 また、外国人旅行ニーズに応じて、自然や文化などを活用した観光コンテンツの開発や発信を進めてまいります。
 さらに、日本各地とも連携しながら、本格的な海外向けプロモーションを展開し、東京への誘客を図っていきます。
 これらの取組によりまして、東京の観光産業の早期回復につなげてまいります。

○斉藤委員 今後、インバウンド向けに様々施策に取り組むということなので、東京の観光産業の早期復活、リスタートを期待したいと思います。
 また、ようやく観光がリスタートしたといえども、観光産業はコロナで大きな痛手を受けていますので、引き続き、事業者への支援はしっかりと行っていただきたいと思います。
 次に、今年度新たに設置されました東京観光産業ワンストップ支援センターについて伺いたいと思います。
 コロナ禍におきまして、観光産業は大変に厳しい状況に置かれてきましたが、この間、都は、観光事業者を支援するために様々な支援メニューを準備しまして、事業者の経営を後押ししてきました。こうした支援がデジタル化のきっかけとなり、事業の効率化を進めることができたなど、事業者の声も聞いております。
 一方で、国の事業も含めまして、支援メニューがたくさんあるんです。あるんですけれども、事業者が自分の状況に合った支援にたどり着くことがなかなか難しくなったという面もあると多々聞いております。
 このような状況を踏まえまして、事業者が自らの課題に合った支援に活用できるように、ワンストップ支援センターが設置されたことは意義があるものでありまして、観光産業をさらに後押しする上で力を発揮するものだと思います。
 そこで、本センターの利用実績と、利用した事業者からどのような声が上がっているかを伺いたいと思います。

○築田観光部長 都は今年度、宿泊業や旅行業のほか、飲食業や小売業など、幅広い観光関連事業者が抱える様々な経営課題について、情報提供、相談から課題解決まで一元的に対応するワンストップ支援センターを設置いたしました。
 センターでは、ウェブサイトにより支援メニューを紹介するほか、最新の観光市場の動向や業務改善に役立つ情報を提供するセミナーを開催しております。
 また、電話、オンライン及び対面による相談に加えまして、事業者ごとの課題に応じた専門家を派遣し、必要な支援につなげております。
 七月の設置以降、センターのサイト閲覧数は約二万回、セミナーの参加者は約二百名、相談件数は約二百七十件となっております。事業者からは、活用できる国と都の補助金が分かったといった声や、専門家のアドバイスにより新商品の開発に結びついたなど、センターを評価する声がございました。
 こうした取組によりまして、観光関連事業者の経営力向上につなげてまいります。

○斉藤委員 都民の中には、都内だけでなくて、他府県で事業を展開している事業者もいます。東京は全国の縮図といいますか、実家は地方なんですけど、東京に出てきているような方がいて、実家が観光を担っているような方がいるんです。
 先日、私の友人も、日本のスキーメッカ、蔵王温泉の近くに外国人スキーヤー向けの日本初のヨーロピアンスタイルのプチホテルを、スコーレという名前なんですけど、創業した経営者の、まあ娘さんですね、がおります。その方から相談を受けたんですが、コロナ禍でインバウンドが消滅してしまって、政府の観光支援などはあるんですけれども、山形での観光協会、なかなか先端的なことを全部使いこなせないというか、伝え切れていない実態があって、東京に住んでいる者が向こうに行くと、いろんな情報を持っていくことになるんですけど、非常にここは歯がゆいというか、そういった、現場は地方にあるけれども、都民が東京で住んでいるときに、ぜひワンストップセンターで相談ができないかというふうにも思ったわけですが、このように二地域居住している方とか、こういう観光事業者も東京にはたくさんおられると思うんです。
 ですから、こういった方々、都民の税金をそういった地方の事業に充てることは難しいですけれども、相談をしっかり聞いて、逆に東京の強みを地方に届けるというのは、東京施策の大きなベクトルでありますので、観光という事業を通じて、ぜひともそういう方々にも相談に乗っていただきたいと思いますし、また、そういったプラットフォームなんかにもなっていったらいいんじゃないかなと、このワンストップサービス窓口を期待して、応援をしていきたいと思っております。
 そういったことで、次の質問に移ります。
 長く続きましたコロナの中で、外国人の旅行者をどうやってこれから誘致するかということなんですが、外国人旅行者の誘致のリスタートを進めるに当たりましては、コロナによって変化した様々なものがある中で、嗜好の変化を踏まえた視点も必要じゃないかと思うわけです。
 日本各地には、その土地ならではの歴史、文化、自然など、様々魅力にあふれた観光地が多くありますけれども、都としては、日本各地と連携しながら、海外向けのプロモーションを展開しているとのお話もございました。
 東京を訪問した外国人旅行者が、東京から全国に足を運んで、数週間から一か月程度の長期国内滞在など、大きな経済効果も期待できます。
 ラグビーを愛する人なんかが結構長期に滞在したのは、二〇一九年のワールドカップのときだったんですけれども、そこで、日本各地と連携して、外国人旅行者の誘致を進めていくに当たって、都の取組状況を伺いたいと思います。

○築田観光部長 都は今年度、コロナ禍におきましても、東京や日本各地への関心をつなぎとめるため、東北、九州などの自治体や交通事業者等と協力しながら、ウェブサイトやSNSによりまして、継続的に各地域の魅力を発信しております。
 具体的には、自然や文化などを共通テーマとした東京と北陸各県を結ぶ四つの観光ルートにつきまして、海外メディアや外国人インフルエンサーを招聘し、SNSや観光情報サイトなど、様々な媒体によりまして旅行体験を紹介することで、観光客誘致につなげてまいります。
 また、東京を起点とした長期滞在など、旅行スタイルの変化を踏まえた商品づくりを促すため、連携自治体の意向も踏まえまして、アメリカ及びオーストラリアの旅行会社を対象としたオンライン商談会を初めて開催し、二十七自治体のご参加がございました。
 こうした取組によりまして、日本各地と連携した観光振興を着実に進めてまいります。

○斉藤委員 この観光ルートの開発に当たりましては、外国人に興味を持っていただけるようなストーリー性を取り入れることも大切だと考えます。
 国土交通省の関東運輸局では、官民一体の観光振興策として、江戸街道プロジェクトに取り組んでいると報道がありました。
 東京日本橋を起点とした東海道や中山道、甲州街道、奥州、日光街道などの五街道と、水戸街道、成田街道などの脇往還というんですか、五街道ではないんですけれども、重要な街道を一体的に捉えまして、江戸街道と名づけて、歴史的背景をもとにストーリーを設定して、観光資源、温泉、食文化などのコンテンツを組み合わせた周遊プランを考案するということであります。
 ぜひその中心は東京にありますので、東京都もしっかりと連携しているということですが、しっかりと連携を続けていただきまして、今後、日本各地との観光の創出というか、そういったものにも力を発揮していただきたいと思うわけであります。
 最後に観光のテーマで、世界自然遺産について触れておきたいと思います。
 コロナ禍において、混雑や密集を避ける目的で、自然豊かな離島や人が密集しない観光地への需要も高まっていると聞いております。
 昨年七月に奄美、沖縄が世界自然遺産に認定されたこともありまして、今後、ますますそうした地域への観光が活発となることが見込まれます。
 東京でも、豊かな自然を有しており、多くの固有種が存在する小笠原諸島が世界自然遺産に登録されておりまして、国内外から多くの観光客の来島が期待されます。
 しかしながら、一度に多くの観光客が押しかけますと、オーバーツーリズム、観光客のごみの放置などによる地域住民の生活環境や景観の悪化のみならず、小笠原の貴重な生態系の破壊にもつながりかねません。
 こうした問題は、国内の他の世界自然遺産地域でも同様であると考えられまして、解決に向けては、他の登録地と協力して取り組んでいくべきであると思います。
 そこで、他の世界自然遺産地域と連携して、環境に配慮した観光を推進していくことが重要と考えますが、都の取組の状況をお伺いしたいと思います。

○築田観光部長 都は、世界自然遺産のある五つの自治体と協議会をつくりまして、それぞれの自然環境や多様な生き物の情報とともに、観光地としての魅力を発信しております。
 また、世界自然遺産を目的地とする環境に配慮した旅行商品づくりを進めるため、国内の旅行会社を対象にいたしました商談会を現地などで開催し、本年十月には、知床地域で実施いたしました。
 さらに、各地域の自然保護活動等を紹介するデジタルパンフレットを新たに作成し、今月下旬にホームページで公開いたします。
 加えて、来年一月に開催予定のシンポジウム等を通じまして、国内外の旅行者に対し、世界自然遺産地域を観光する上で守るべきルールやマナーの啓発も実施いたします。
 こうした取組によりまして、各地と連携し、環境に配慮した旅行者誘致を推進してまいります。

○斉藤委員 デジタルパンフレットを新たに作成して、下旬に公開すると。楽しみにしております。
 現在、環境局におきまして、東京都生物多様性地域戦略の改定というか、策定が進められております。国際的な締約国会議も十二月に控えているわけですけれども、地球規模の持続可能性に配慮し、自然と共生する豊かな社会を目指すことがこの基本理念に掲げられております。ネーチャーポジティブ、保全だけじゃなく、回復ということが大きく入ってくる大事な戦略になります。
 こうした東京全体の施策の動きとも連携しながら、環境に配慮した観光の推進を進めていくことを要望しておきたいと思います。
 最後にですね、幾つか、大きなテーマではないんですが、どうしても伺いたいのは森林の問題なんです。多摩の森林の問題。
 私は目黒なんですが、林試の森公園はあるんですけれども、森林があるわけじゃないですが、都民にどうしても多摩の森林の重要性について分かっていただきたいので質問します。
 木は二度生きるといわれておりまして、一度目は自然豊かな森林として、そして二度目は伐採、加工された後に、柱や家具などの木材製品として私たちの生活を支えてくれている存在です。
 多摩地域の森林は、豊かな水を育むとともに、レクリエーションの場としても利用されておりまして、私たちはその恵みに対する感謝をすべきだと強く思っております。
 私の地元である目黒区など、都心部に住む住民の皆様にも、この貴重な多摩の地域の森林の価値を知っていただき、都民にとっての財産であると理解してほしいと願っております。
 そこで、森林や林業に対する都民の理解促進に向けた都の取組状況を具体的に伺いたいと思います。

○山田農林水産部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都は、森林の役割や多摩産材に関する都民の理解を深めるため、林業に触れる機会を提供するとともに、多摩産材を活用した製品や木造建築の魅力を発信しております。
 具体的には、多摩地域の森林の一部を企業の協力を得て整備する企業の森におきまして、協賛企業の社員やご家族の方に対して、植林や下刈りなどの森づくり体験の機会を提供しております。
 また、多摩産材等のショールームでありますMOCTIONにおきまして、テーブルなど木材製品の展示を行うとともに、著名な建築家や研究者によるセミナーを今年度三回開催いたしまして、木造建築の断熱効果や優しい質感などを説明しております。
 さらに、木のぬくもりや木目の美しさなどを効果的にPRするため、ショッピングセンターや駅舎など、多くの人が集まる施設の壁や床、塀などに多摩産材を活用する取組に対して助成を行っておりまして、十月末現在で計六件の交付決定を行っております。

○斉藤委員 この多摩産材は、子供たちにもぜひ伝えていきたいんです。
 また、子供たちに森林の大切さや木材利用の必要性を理解してもらうために何をしていったらいいのか、次世代を担う子供たちには、多摩地域の木々に対して愛着を感じていただいて、大事に育てていくという気持ちを持って、育っていってほしいと思っております。
 そこで、子供たちに対しまして、木材への親しみや木の文化への理解を深める木育が重要であると考えますが、都の取組状況を伺いたいと思います。

○山田農林水産部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都は、子供たちに木の魅力を実感してもらい、将来にわたる木材活用を促すため、木育を推進しております。
 具体的には、保育園等で多摩産材を活用した遊具の設置や、森林への遠足などを行う場合、その経費の一部を助成しており、今年度は四十一園の取組を支援しております。
 また、保育士など保育園関係者を対象に、木育の重要性についての理解を深めるセミナーをオンラインで開催いたしました。九十六名の参加者に対しまして、木育に取り組んでいる六つの保育園から、その意義や情操教育への効果などを報告し、意見交換を行いました。
 さらに、都内の小中学校四百校に、工作などの材料として多摩産材を無料で配布し、活用してもらうことで、子供たちが木に触れ、親しむ機会を提供してございます。

○斉藤委員 ありがとうございます。
 時間が参りまして、エネルギーについては、もう一問しか伺いません。
 最後に一点だけ、EVバイクについて、先ほど他の委員からもありましたが、私もバイクの組合の皆さんとは長く仕事をしてきましたので、質問したいと思います。EVバイクの普及について、最後に伺いたいと思います。
 都は、CO2を排出しない環境先進都市、ゼロエミッション東京の実現に向けて、都内で新車販売される二輪車を二〇三五年までに一〇〇%非ガソリン化することを目標に掲げています。
 しかしながら、このEVバイクの普及には、コストの面に加えまして、一回の充電で走行できる距離が短い、充電時間がかかるなど、様々な課題もございます。今日、カワサキが新しい、またすごいEVバイクをつくりましたという報道がありました。また、二〇三五年の目標達成に向けては、バイクのハード面での技術開発とともに、ユーザーが使いやすい環境づくり、ユーザーの不安払拭なども必要なことはいうまでもありません。
 そこで、今後の都の取組を最後に伺って、終わりたいと思います。

○榎園新エネルギー推進担当部長 都は、EVバイクの利活用の促進につながるアイデアを民間事業者から公募し、そのアイデアをビジネスとして実現するための後押しを今年度から開始いたしました。
 この十月には、EVバイクのバッテリーを交換できるスポットを都庁近くの駐車場の敷地を活用し整備し、充電済みのバッテリーにいつでも換えられるシェアサービスを開始いたしました。このほか、EVバイクのレンタルサービスや目的地の近くで返却ができるEVバイクのシェアサービスの開始も予定してございます。
 これらの事業は、来年度まで共同で実施し、その後は、事業者による自立的展開につなげ、EVバイクをより身近に利用できる機会づくりに結びつけてまいります。
 さらに、身近な場所でEVバイクの購入やメンテナンスができるよう、先般協定を締結した業界団体の協力なども得ながら、普及を促進してまいります。

○慶野委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後五時五十一分休憩

   午後六時十分開議

○慶野委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○清水委員 最初に、商店街支援についてお伺いをいたします。
 地域の商店街は、市民の日々の生活を支えるとともに、地域コミュニティの中心的な存在としての役割を担ってきました。しかし、地域住民の高齢化やインターネット販売の広がりなどによって商店街の利用客は減少傾向にあります。さらに、事業者の高齢化や後継者不足による閉店は、商店街組織そのものの存続を危うくしています。
 そのような中で、コロナと物価高騰によって閉店を余儀なくされる、そういう店が相次いでいます。今、都民の暮らしを支え、地域のコミュニティの核としての商店街をどう支えていくのか、東京都の在り方が問われています。
 最初に、二〇一三年以降の都内商店街の数の推移についてお伺いいたします。

○緑川商工部長 平成二十五年度は二千六百二十五件、平成二十八年度は二千五百三十五件、令和元年度は二千四百四十七件となっております。

○清水委員 コロナ前から三年ごとに、今、数字がご紹介ありましたが、約九十の商店街が減っていっていると。三年ごとに約九十の商店街そのものがなくなっているというふうなことでした。直近の数字が出たら、さらにコロナ、物価高騰によって減少傾向が加速しているのではないかと思われます。
 では、地域の商店街に対するコロナ禍や物価高騰の影響について、都はどのように認識をしておられますでしょうか。

○緑川商工部長 商店街は、買物のスタイルの変化など、様々な課題に直面していると考えております。

○清水委員 お話を伺った飲食店の方は、コロナ禍に続いて、今度は物価高騰で、あらゆる原材料が値上がりし、光熱費まで上がった。長年商売を続けているけれども、こんな事態になったことはいまだかつてなかったと影響の深刻さを訴えておられました。
 今、商店街は、もともと苦しい状況に置かれていたところにコロナ禍と物価高騰の打撃を受けて、しかも、それがいつ終わるのか見えない、こういう状況下に置かれています。中には、資力があるうちに店じまいをしよう、こういう店も出てきていると伺いました。都も、商店街は様々な課題に直面している、こういう認識を示されました。
 そのような中で、今年度新たに、未来を創る商店街支援事業が始まったということで質問を通告していましたけれども、既にもう質疑があるので省略をさせていただいて、しっかりと支援をしていただくように求めて、次の質問に移ります。
 商店街チャレンジ戦略支援事業についてお伺いします。
 コロナ前の二〇一九年度には、この事業の交付決定数は千九百八十八件、実績は千八百六十一件で、大体九四%が実行されました。
 しかし、コロナ禍が始まった二〇二〇年度の実績というのは、交付決定数の四二%に落ち込みました。二〇二一年度は五八%。若干上がったものの、まだ半数が中止になっているというふうな状況にあります。
 市長会の来年度の予算要望書には、台風やゲリラ豪雨などの天候不順や感染症の影響等により、イベント等が急遽中止になった場合の準備段階に要した費用や委託契約のキャンセル料についても補助対象とすることを求めています。近年、大型台風が来襲していることやコロナ禍の感染拡大を踏まえて、当然の要望だというふうに思います。
 やむを得ない事情で中止された事業の準備段階、委託契約のキャンセル料についても補助対象とすべきと考えますが、いかがですか。

○緑川商工部長 都では、緊急事態宣言などによりまして商店街がイベントの中止などを行った際、事前準備やキャンセル費用などを補助の対象としております。

○清水委員 緊急事態宣言等により中止した場合には、事前準備やキャンセル費用などを補助対象としていたということでしたか、では、二〇一九年度以降、台風やコロナ禍で中止したイベントのうち、補助金を交付した事例は、それぞれ何件ありますか。

○緑川商工部長 令和元年度以降、台風による商店街イベントの中止等に係る補助実績は十七件、新型コロナウイルス感染症の影響によるものは三十二件となっております。

○清水委員 令和元年度以降の補助実績は、恐らく八千件を超えるというふうに思われます。そのうち、台風などで十七件、コロナウイルスで三十二件。かなり少ないのではないでしょうか。
 事前準備などの経費が認められる新型コロナウイルス感染症の影響、それから、台風などの天災地変、具体的にどういうものか、ご説明をお願いいたします。

○緑川商工部長 感染拡大防止や台風の接近等によりまして、都民や事業者に不要不急の外出を控えていただくようお願いをいたしまして、それに応じ、イベントの中止等に至った場合、事前準備等に係る費用の補助を行ったことがございます。

○清水委員 感染拡大防止や台風の接近により、都民や事業者に不要不急の外出を控えていただくようにお願いをして、それに応えてもらった場合ということで、主催者だけが判断しただけでは駄目だということかというふうに思います。
 ここに、東京都商店街チャレンジ戦略支援事業の補助金交付要綱に係る特別要綱、つまり、新型コロナウイルス感染症対応でキャンセル料等を見ますよという、その要綱があります。
 これを見ますと、令和三年の四月二十五日から令和三年の五月三十一日までに予定している事業、令和三年六月一日以降に予定している事業で、令和三年の四月一日から令和三年五月十一日の期間に発注、契約または支払いを行い経費が生じた事業というふうに定められています。適用期限として、本要綱の適用は、令和三年四月一日に遡って適用し、期限については、令和三年度予算事業限りとするというふうになっています。
 つまり、令和三年については、四月の二十五日から五月の三十一日まで、僅か一か月足らずというふうになると思いますが、そういう理解でよろしいでしょうか。

○緑川商工部長 令和三年度におきましても、感染防止等によりまして、都民や事業者に不要不急の外出を控えていただくようお願いして、それに応じてイベントの中止に至った場合、事前準備に係る費用の補助を行ったことがございます。

○清水委員 つまり、要約をすると、東京都が都民にお願いをした期間というのは、四月の二十五日から五月の三十一日までだと。それ以外のところは、コロナの感染を考慮して中止をしても駄目だということだというふうに思います。
 それでは、もう一つお伺いします。この夏、感染拡大は過去最高の第七波が起きました。コロナを理由にキャンセル料を支払った、認めた、そういうイベントは、先ほどの三十二件の中に今年度のはありますか。

○緑川商工部長 まず、令和三年度のお話でございますけれども、令和三年度は、都民向けに外出とか移動等をお願いした期間は、先ほど、委員が述べた期間だけではなくて、複数ございます。その要望をお願いしたときに中止をしたイベントについては補助の対象としております。
 また、今年度の状況でございますけれども、区市町村からの実績報告がまだ完了しておらず、現時点では把握しておりません。

○清水委員 それでは、お伺いします。まだ申請が出ていないから分からないというふうにおっしゃいましたが、令和三年度にあるような令和四年度の感染拡大第七波の期間、つまり、東京都から要請は出ていないんですよ、行動制限をしてほしいというような要請は出ていない。そういう期間に対しても認めるというふうな要綱は設置されたんですか。

○緑川商工部長 令和三年度にも法に基づく要請も行っておりますし、また、法に基づかずとも、都民に向けて協力を依頼していること、事実もございますので、それに基づいてイベントを中止した商店街に対しては補助の対象としております。

○清水委員 もう一度、正確にお答えをいただきたいんですが、令和四年度に関して、今、申請がないから実績は分からないというふうなお答えがありました。令和三年度については、これこれこうで交付しましたというふうなご説明がありました。
 それでは、令和四年度については、令和三年でつくったような要綱に基づいて、いつからいつまでの期間は認めますよというふうな要綱を設置されたんでしょうかということについてお答えください。

○緑川商工部長 何度も繰り返しになりますけれども、令和四年度におきましては、区市町村における実績報告が完了しておりませんので、現時点では把握しておりません。

○清水委員 自治体や事業主体の人たちが申請をするにしても、こうした要綱に基づいて、事前のキャンセル料とかの申請をしなければならないというふうに思うんです。だから、申請できるかどうかは、この要綱があるかないかによると思うんです。
 ただ、今まで出ている要綱には令和三年度限りというふうに書いてあるんです。令和四年ではつくったんですか。

○緑川商工部長 令和三年度から令和四年度にまたがって都民の皆様方に要請をした期間がございますので、それは令和四年度の対象とさせていただいております。

○清水委員 では、質問を替えます。
 令和四年度、感染拡大第七波、東京都からは行動制限の要請は出ていません。出ていませんが、その期間でも認められるような要綱はありますか。

○緑川商工部長 先ほども申し上げましたように、令和四年度におきましても、令和三年三月二十二日から五月二十二日までの間、協力依頼は行っておりますので、その間にイベントを中止した商店街の皆様方には補助の対象としております。

○清水委員 どうしてもお答えにならないんですけれども、令和四年度の感染拡大第七波の期間というのは、非常事態宣言も出ていなければ蔓延防止措置もなくて、東京都は行動制限はしなかったわけですよね。都民には行動を自粛していただかなかった。だから、こういう事前のキャンセル料とかは認められていないということだというふうに思います。
 例えば、今年八月六日から八日に予定されていた八王子まつり。これは、新型コロナ感染防止対策に重点を置いて、行事の内容も変更を検討して、ずっと、何とか開催したいと思って準備を進めてきたんです。行動制限がかかっていないので、何とかできないんだろうか、直前まで努力が重ねられました。しかし、新規感染者が大幅に増えて医療も逼迫しつつある、そういう状況を踏まえて中止を決定されたんです。
 日野でもたくさんのイベントが中止になりました。緊急事態宣言などが発令されていたときよりもたくさんの新規の感染者が出た。さらに医療の逼迫も起きた。中には交通機関が、運転士さんたちが足りなくて運休になった、こういう地域も出ていました。そういう時期は対象とならないのでしょうか。

○緑川商工部長 繰り返しになりますけれども、このイベントの中止に対する補助につきましては、都民の皆様に対して行動制限等をお願いしているときに発動するものでございます。この特例要綱につきましては、それぞれの、その時々の感染状況等を勘案して、その都度、適切に対応しております。

○清水委員 今は、感染が広がっても行動制限はかけないでいくんだというふうな形で、令和三年とは明らかに違う対応になってきています。今、また感染が広がってきていて、このままいけば、年末商戦や年明けのいろいろな行事、こういうものも感染第七波と同じような状況になるのではないかというふうに思います。
 しかし、きっと、恐らく東京都は行動制限はかけないんじゃないか。そうすると、令和三年のような特別対応というのはされないということになるのではないかというふうに思います。ぜひ、これはきちんと実態を見ていただいて、感染が広がって医療も逼迫している、こういう状況があったら、主催者が判断したら、住民の安全、参加者の安全を思って中止を決断したら、きちんと事前の準備にかかったもの、キャンセル料も対象にするように強く求めておきたいと思います。
 次に、台風についてもお伺いします。
 先ほど、台風については十七件、交付されているということでした。交付された台風というのは、どのような台風だったんでしょうか。

○緑川商工部長 都が災害対策本部を設置して、都民や事業者に対して不要不急の外出を控えていただくようメッセージを発出した台風でございます。

○清水委員 それでは、その台風というのは幾つありましたか。

○緑川商工部長 委員がお話をされた状況にあった台風というのは、令和元年に一つあった台風でございます。

○清水委員 つまり、いっている台風というのは台風十九号なんですよね。激甚災害に指定された台風。その場合には事前のキャンセル料は認めますよと。いわゆる普通の台風、大型台風、テントを張ったら危ないような台風、そういうものが出てきても、それは中止してもキャンセル料は認めないということだというふうに思います。
 コロナや台風などによる中止でも準備段階でかかった費用というのをきちっと補助をする、これが当たり前だと思う。東京都はやっているというんだけれども、その範囲というのはあまりに限定的、極めて限定的ではないでしょうか。
 不特定多数の人が来るお祭りなどのイベントでは、感染対策を講じてもなお、感染拡大のリスクを高める、このことは避けられません。今、再び新規感染者数が増加していて、インフルエンザとの同時流行も懸念をされています。夏と同じように、東京都が緊急事態宣言も蔓延防止措置も行わない、こういうふうになったら、やっぱり年末年始のイベントが中止されても全く補償はされないということになるのではないでしょうか。
 また、台風についても、激甚災害に指定されていない台風であっても巨大な台風の場合には設営準備者や参加者に危険を及ぼす、そういう可能性があります。
 改めてお伺いしますが、地域の実情を一番よく知っている、そういう危険性を一番よく知っている主催者が地域住民の安全・安心のために中止を判断した場合には、準備段階で要した経費、キャンセル料等の補助、これを対象とすべき、拡大すべきと考えますが、いかがですか。

○緑川商工部長 感染拡大防止や台風の接近等によりまして、都民や事業者の皆様方に不要不急の外出を控えていただくようお願いをいたしまして、それに応じ、イベントの中止等に至った場合、事前準備等に係る費用の助成を行ったことがございます。

○清水委員 主催者は様々な努力をして、イベントをさせようとぎりぎりまで努力をされています。安易に中止などということは絶対にありません。それでも地域の住民の安全・安心のために中止せざるを得ない、こういう状況を判断して行っているわけです。準備段階で要した経費やキャンセル料の補助の対象を拡大することを改めて強く求めて、次の質問に移ります。
 次に、商店街の街路灯への電気代の補助についてですが、この補助対象の状況についてお伺いします。

○緑川商工部長 商店街の街路灯に係る電気料金については補助対象としておりません。

○清水委員 空き店舗の増加に伴う商店会員の減少や、店舗そのものの売上げも減少する中で、商店街にとって街路灯の電気代の負担というのは、常々、重いという声が寄せられていました。この間の物価高騰でさらに負担が増しています。
 商店街の街路灯は、単に商店街個々のためではなくて、地域の美観や防犯などの公共的な役割を担っている。だから、自治体では、区市町村では補助を行っているところがあります。東京都としても、ぜひ電気代の補助を行うことを求めます。
 光熱費が高騰する中で、街路灯のLEDへの転換、こういうものを促す好機でもありますが、都の取組についてお伺いします。

○緑川商工部長 都では、LED街路灯の設置などを行う商店街を支援しております。

○清水委員 商店街の街路灯をLEDに交換する際、高いところにある街路灯の交換には高所作業のための人員に係る経費が必要になったり、老朽化したポールの交換、撤去、こうしたものにも費用がかかる。その負担は決して軽くないというふうに伺いました。市長会の来年度の要望書にも、商店街の街路灯の維持管理に要する経費に対する補助率の引上げの要望が出されています。
 都として、街路灯の交換などに関係する経費への補助を拡充すべきと考えますが、いかがですか。

○緑川商工部長 都では、商店街が街路灯の撤去などを行う場合の支援を行っております。

○清水委員 ぜひ、支援の拡充を求めます。
 補助金申請の簡素化の要望が寄せられています。この問題について、都の取組をお伺いします。

○緑川商工部長 申請書類につきましては、簡素化の観点から、これまでも必要最小限の資料の提出を求めております。

○清水委員 私も申請書類を確認させていただきましたけれども、お祭りなどはかなり細かい項目にわたって記入をしなければならないようになっています。高齢化した商店街でも負担なく記入することができるように、申請できるように、引き続き、簡素化の努力をしていただくように求めます。
 最後に、買物弱者対策についての取組についてお伺いします。
 都では、どのような取組をされていますでしょうか。

○緑川商工部長 都では、商店街が行う移動販売等の取組を支援しております。

○清水委員 日野市では、丘陵地や古い団地の商店街の閉店が相次いでいます。日用品を販売するスーパーなどが閉店して撤退してしまうと、免許を返納した高齢者は本当に困ってしまいます。野菜など重たいものを敬遠するようになると健康にも悪影響を与えます。
 今後、こうした支援がますます必要とされてくるものと思います。しっかりと取り組んでいただくよう求めまして、次の質問に移ります。
 中小企業振興対策審議会についてです。
 この設置の目的、所管事項、委員の構成について最初にお伺いします。

○緑川商工部長 中小企業振興対策審議会は、中小企業の振興を図り、産業の発展に寄与するために設置しております。
 所掌事項は、知事の諮問に応じまして、中小企業の振興対策の基本方針に関すること、中小工業機械類の貸付け、譲渡に関すること、中小企業施設改善資金の貸付けに関することを審議し、答申することとなっており、学識経験者、業界代表者、関係行政機関職員から組織することとなっております。

○清水委員 この五年間の開催状況についてお伺いします。

○緑川商工部長 開催実績はございません。

○清水委員 コロナ禍、物価高騰の影響、また、気候危機打開をはじめとする持続可能な社会の構築といった新たな課題に対応するためにも、今、中小企業振興対策審議会を開催すべきと考えますが、いかがですか。

○緑川商工部長 都は、社会経済状況の変化を踏まえまして、多様な施策を迅速に展開をしております。
 また、中小企業の経営は、中長期的には大きな構造変化に対応することも求められていることから、こうした変化に計画的かつ機動的に対応するため、中小企業振興のビジョンを作成いたしました。

○清水委員 この中小企業振興ビジョン、有識者会議が設置をされてつくられましたけれども、有識者会議というのは審議会とは異なって、あくまでも行政運営上の意見交換、懇談の場です。聴取した意見は、答申や意見書など、合議体としての結論と受け取られないような呼称を付さなければならない。国も注意を促しています。
 今、中小企業を取り巻く環境は大きく変化しています。コロナ禍やスタートアップなど、様々な課題が山積しています。こういうときだからこそ、中小企業に関わる各分野の方々にしっかりと議論をしていただき、提言をいただく、こういうことが求められているのではないでしょうか。改めて、中小企業振興対策審議会の開催を求めて、次の質問に移ります。
 農業振興についてお伺いします。
 最初に、国連家族農業の十年について、都の認識と取組を伺います。

○山田農林水産部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 家族農業の十年は、食料安全保障の確保と貧困、飢餓撲滅に大きな役割を果たす家族農業における施策の推進等を求め、国連で定められたものでございます。
 都は、持続可能な東京農業の実現に向け、農業者を支援しております。

○清水委員 もう一つお伺いします。
 農業経営基盤強化促進法において、農業経営の改善を計画的に進めていく農家、市町村が認定する認定農業者の制度が創設されましたが、都内の農業者のうち、認定農業者の数についてお伺いします。

○山田農林水産部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 令和三年度末時点では、千六百八十五でございます。

○清水委員 日野市の農業委員会の資料によりますと、日野市の農家の総戸数は二百七十三戸。そのうち、農産物を販売している販売農家、これは約半数弱の百二十戸でした。
 そして、認定農業者は四十六なんです。経営数で、農家の戸数ではないので直接四十六戸というわけではないんですけれども、それにしても、農家の中で認定農業者の数というのは少なく、むしろ、庭先販売や自給的な農家、こういうものが多いというのは、これは東京全体の傾向でもあるというふうに思います。
 しかし、東京の農業施策を見ると、例えば、農産物のブランド化に向けた支援などを行うチャレンジ農業支援事業、これは、対象事業費は三十万円からと下限が設定されているんです。ですから、一定規模の事業でないと補助を受けられないようになっています。
 さらに、都市農業経営力強化事業補助金、これは認定農業者に対象が限られている。補助対象事業は二百万円という下限が設けられていますので、昨年度の実績を見ると、複数のハウスが連なった鉄骨の大規模な施設、こういうものが多く見られます。
 小規模な農業者が多い東京の農業の状況を踏まえて、こうしたチャレンジ農業支援事業や都市農業経営力強化事業補助金、こうしたものの下限を撤廃して対象を拡大する、また、補助率を引き上げるなど、制度の拡充が必要と考えますが、いかがでしょうか。

○山田農林水産部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 チャレンジ農業支援事業と都市農業経営力強化事業につきましては、適切な事業内容により農業者を支援しております。

○清水委員 適切に支援をしているということなんですけれども、東京の農家というのは小規模な農地を家族で経営している、そういう農家が多数を占めている。ここをきちんと下支えをしなければ、東京の農業を持続していくことはできません。
 都の支援制度を都の実情に合わせたものに拡充していただくように求めて、次の質問に移ります。
 次に、東京農業アカデミー八王子研修農場の取組についてお伺いします。

○山田農林水産部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 八王子研修農場では、農外からの就農希望者が基礎的な栽培技術や経営を体系的に学ぶ研修を実施しております。

○清水委員 私も東京農業アカデミー八王子研修農場を視察させていただきました。露地野菜の栽培方法から始まって、ハウスでの施設栽培や農業経営そのもの、こういうものを二年間で習得して、卒業した後には、新規就農するための農地を一緒に探すところまで支援をしています。
 ですから、卒業生の皆さんは、皆、新規就農されているということでした。農業を志す若者を独り立ちできるまで付きっきりで育てて送り出す、本当に大事な取組だというふうに思います。
 最初、一学年五人の定員は少ないというふうに思ったんですけれども、こういうことをやり遂げるには今の体制で手いっぱいだというふうに伺いました。都内の農外からの新規就農者は、年間七十名近くに今上っています。今後もさらに増えていくものだというふうに思います。
 また、農業の研修、現在は基礎的な部分、二年間の研修ですけれども、今後は、新規就農してから何年かして、中級クラスの研修についてもぜひ検討していただきたいというふうに思います。そのためにも東京農業アカデミー八王子研修農場をはじめとする体制の拡充を求めます。
 次に、生産緑地の貸借については先ほど質疑がありましたので、意見を述べさせていただきます。
 日野市の農業委員会の資料では、やはり肥培管理ができず、農地を貸したい農地所有者からの相談はあるけれども、小規模で新規就農者が収益を見込むことが難しいというふうにありました。農業アカデミーでも卒業生が農業経営できる広さの農地を借りることに大変苦労している、こういうお話を伺いました。法改正や制度ができても生産緑地の貸借が進んでいない。先ほどの質疑では、二百七十九件も相談が寄せられているけれども、成立したのは二十七件、四ヘクタール、こういうことでした。もっともっと貸借を進めていかなければなりません。どこに進んでいかない問題があるのか、しっかりと把握をしていただいて、強い後押しをしていただくように求めます。
 次に、公園や街路樹の落ち葉、畜産農家から出る鶏ふんや牛ふんなどを堆肥にして地域の農地に戻す取組は、持続可能な農業、気候危機打開の上でも重要です。
 都の認識と取組についてお伺いします。

○鈴木安全安心・地産地消推進担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都では、経営コストの削減と環境負荷の低減に向けまして、農業者の堆肥等の利用促進を図っております。

○清水委員 国は、みどりの食料システム戦略で、二〇五〇年までに化学肥料の使用量を三〇%低減して、有機農業に取り組む農地を二五%まで引き上げる、こういう大きな目標を掲げています。東京都としても、こうした目標を達成するために積極的な取組を求めて、農業に関する質問を終わります。
 次に、職業能力訓練校についてです。
 ものづくりの現場では、後継者や担い手不足が進んでいて、このままでは、ものづくりの技術が途絶えてしまう、こういう声が寄せられています。
 そうした中で、都立職業能力開発センターの役割は重要ですが、新聞報道では、都立職業能力開発センターの定員割れや老朽化の問題が相次いで取り上げられました。
 先ほど質疑がありましたので、基本的な点は明らかになりましたから、意見だけを述べさせていただきます。
 職業能力開発センターは、社会経済の動向により利用の状況が異なる中で、企業や求職者のニーズを踏まえながら科目などの見直しを行っている、こういう答弁がありました。
 例えば、台東分校には、日本で唯一の製くつ科、靴を作る、そういう公共職業訓練が行われていて、応募の倍率は、今年は二・七倍、以前は五倍を超えていました。こういう高い倍率の科もある一方で、ものづくりに関係する部分というのは、なかなか定員が充足できない、苦労している、こういう状況がありました。ぜひ、求職者のニーズを踏まえた見直しを進めているということでしたので、引き続き行っていただきたい。
 ただ、注意をしなければいけないのは、定員割れをしているから統廃合していいかというと、そういうものではないというふうに思うんです。職業能力開発センターの、例えば機械関係の職業訓練コース、これを見ると就職率は一〇〇%なんです。なので、大体百名近い人員をものづくりの現場に送り込んでいる、こういうことだというふうに思います。これは、人材不足に悩んでいるものづくりの分野に若い人をしっかりと送り出すという重要な役割を果たしているということになります。
 こういうところは、定員が割れているから統廃合というよりは、むしろ、ハローワークや学校訪問、訓練校の見学会やPR、こういうものを充実させて、受講生を増やすための積極的な取組、これをやっていただきたいと思います。
 最後に、技術が次々と革新されていく中で、それに応じた訓練は一層求められていると思います。しかし、太陽光パネルや空調などについては、訓練校の設備が旧式のもので現場に追いついていない、こういう実態がある。これは早急に改善しなければ、訓練校としての役割は果たせません。
 ぜひ早急な改善を求め、私の質問を終わります。

○西崎委員 大分質問が重複している部分がございまして、かなり割愛しながらお聞きをしてまいりますので、予定時間より恐らく大分短くなってしまうかと思いますが、ご容赦いただきますようお願いを申し上げて、質問に入りたいと思います。
 まず、商店街振興の部分でありますけれども、今日も何度も出てきている政策課題対応型商店街事業ということで、本日の質疑と、また、要求資料等を見ても、かなり環境であるとか防災、防犯というところに、いってしまえば偏っているというふうに見ています。
 一方で、補助対象事業を見ると、いわゆる福祉であるとか、物流であるとか、国際化対応であるとか、様々、その地域である商店街の課題を対象とする、こういう分野も非常に重要なんだろうなと思っておりまして、今後の可能性を感じるわけでございまして、そこには期待する部分も持っています。
 一方で、じゃあ、そうした環境、防災、防犯というもの、当然、これは重要だから使われているということでありますけれども、今年度から新規事業となりまして、新規といいますか、さらに発展するような形で再エネ、省エネ推進ということが取り出しで支援事業になっているわけでありますけれども、これが地元からは、要件が厳しいんじゃないのという声が実は届いておりました。
 特に目黒区におきましては、東京都に先行するような形で、昨年度からLEDランプの交換費用の補助というのを実施していたところです。それだけ、そのニーズを感じていたからということでありますが、一方で、その目黒区の補助が補助率二分の一で、一灯当たり二万円ということで、どうしても東京都の今年度始まっている事業の方が補助率、金額等々、圧倒的に高いのでこちらを使いたいという背景があったわけですけれども、これ、双方の話を聞いていくと実は勘違いでして、再エネ活用、この要領を見ていきますと、補助三要件があって、補助要件、これを一つ満たせばいいんだというような話というふうにお聞きをしました。要は、地域では、この三つを全部満たさないと申請できないんじゃないかと、そういうような受け止めをされていたということであります。
 これは区の担当者も誤解していましたから、皆さんからしたら、きちんと広く使えるように制度設計しているよということだと思うんですけれども、その地域の方々に伝わっていなかったというのは事実でありますし、皆さんにおかれましては意外に思われるかもしれませんが、やはり丁寧な周知を心がける必要があるのかなと思っているところでございます。
 そうした都の取組の詳細が地域の方々に伝わっていないとすると、当然、その地域の商店街であるとか連合会の方々のご意見というのが届いていない可能性もあるわけであります。
 そこで、せっかく今回、今年度から始められた、いい事業をやっているわけでありますから、そうした地域の方々のご意見も聞きながら、この事業の、例えば補助対象の見直しや拡大ということも含めて、また継続的に検討していくべきと考えますけれども、見解を伺います。

○緑川商工部長 都は、環境負荷の軽減を図るため、商店街における太陽光パネルの導入など、再生可能エネルギーを推進する取組などを円滑に実施できるよう支援しております。
 その際、街路灯などのLEDランプを、より性能が高いLEDランプに交換できる仕組みとしております。

○西崎委員 意見を聞くのかどうか、よく分かりませんでしたが、せっかく制度があるので、使ってもらわなければ意味がないということですので、引き続き取り組んでいただきたいと思います。
 次に、商店街のいわゆる振興策というところで、様々な支援メニュー、今日も議論があったところでありますけれども、都内、目黒区も含めてそうなんですけれども、いわゆる元気があるところと、なかなか苦しい状況に置かれている商店街というのが、かなり格差が生まれてしまっているように日々感じています。
 私の地元周辺でも、武蔵小山だとか戸越銀座だとか、これはかなり有名なところでありますけれども、そうじゃなくても、しっかりと頑張って盛り上げているというところもあれば、残念ながら寂しい状況になっているというような商店街があるというのも事実でありまして、それぞれの立地であるとかブランドみたいなものって、どうしてもあると思います。
 目黒区内でも、中目黒だとか自由が丘だとか、そういうところは本当に活気にあふれているということもありますが、そうじゃなくても様々な努力をすることによって商店街を盛り上げていっていると、こういう事例も実際にあることかと思いますので、そうしたものを見ながら全体を引き上げていく、こういう考え方も必要になろうかと思います。
 そこで、こうした商店街振興の先進事例であるとか、ないしは成功事例、こういったものを横展開していくという取組について伺います。

○緑川商工部長 都では、都内の商店街の活性化に向けた優れた取組を表彰し、広くPRするため、東京商店街グランプリを開催しております。

○西崎委員 商店街グランプリということで、これは頑張って、よし、受賞したら我々これだけやっていますよというだけじゃなくて、それを見て、じゃあうちもやろうかなという、そういう波及効果といいますか、そういうのもあるんだということで、今グランプリということでお答えをいただきました。
 これ、目黒でも実は商店街グランプリを受賞したという例が、ちょっと前になりますが、ありまして、そこの商店街を見ると極めてクリエーティビティーの高さみたいなものを感じるわけでありますけれども、一方で、じゃあそれをほかのところがまねできるかというと、なかなかこんなことできる人いないよという属人的な部分があるというのも否めないわけでございます。
 これは、全国様々、私も商店街の振興事例というものを見てきましたけれども、やっぱり同様でありまして、誰か、一人なのか複数なのか、キーパーソンが非常に重要な役割を果たすという、そういった方が前例にとらわれない振興策を打ち出していくというのが非常にキーポイントの一つなんだろうなと思っています。
 例えば、いわゆる商店街の重鎮の方が、かつてアーケードを架けて、それを誇りにしているというようなときに、それを取っ払っちゃうみたいなことってなかなかしづらい一方で、新しい方がそのアーケードを取っ払ったことで新しい商店街の顔として盛り上げているというような事例も実際に見たことがありますけれども、そうした新しい視点、こうした方々による商店街振興というのも一つ、大きな一面なんだろうなと思っています。
 すると、やはり新たな担い手、人材の発掘や育成というものが重要になってくるかと思いますけれども、先ほどそうした取組に関連した質問がありましたので、ここではお聞きをしません。
 やはり、最後は当然、商店街の自主的な取組が必要になるということでありますけれども、そうしたグランプリの話もありましたけれども、そうした様々な新進気鋭の人材による新たな取組をしっかりとサポートしていく、また、商店街がそういうことが必要だということに気づいていただくようなサポートというのも必要であるかと思いますので、この場ではそういった取組を求めて、次の質問に移ります。
 観光の部分でありますけれども、まず、民泊について伺います。
 コロナ禍で少し懐かしいというか、かつて大問題になったほどではないかと思いますけれども、住宅宿泊事業につきましては、やはりコロナ前、かつて地域トラブルということでかなり大問題になって、都内各地で様々議論になったことかと思いますし、個人的な話で恐縮ですが、私の自宅のごく近くにも、これは法施行前ですけれども、民泊物件があって、実際のトラブルというものを目の当たりにしたところでありまして、うちの地元区でも相当厳しい営業制限をかけたという経緯がございます。
 そこで、まず伺いたいのが、都の所管する範囲において、住宅宿泊事業、これ、現況がどうなっているのか伺います。

○築田観光部長 都は、住宅宿泊事業法等に基づきまして、多摩・島しょ地域において、保健所設置市を除く市町村で、住宅宿泊事業の届出受付や、住宅宿泊事業者への指導監督等を実施しております。
 令和四年十月二十四日現在の住宅宿泊事業者の届出件数は二百四十五件となっております。

○西崎委員 都が管理している地域において二百四十五件ということで、これ、多いか少ないかというのはなかなか判断が難しいところでありますけれども、コロナ禍において間違いなく出足が鈍っていたんだろうなと思われる一方で、インバウンド事業ということで、今日も様々議論がありますが、今後、気になる要素の一つなのかなと思っております。
 ここで伺いたいのは、今後、さらにインバウンド需要の回復という局面を迎えるであろう中において、都の観光施策において住宅宿泊事業ってどう考えているのか、その考え方について、基本的な部分で恐縮ですけれども、伺いたいんですが、いかがでしょうか。

○築田観光部長 住宅宿泊事業は、多様な宿泊需要に応えることが期待される一方で、ごみ出しや騒音等による住民生活への影響などが生じることのないよう、住宅宿泊事業法や都のガイドライン等に基づきまして、その健全な普及を図っていくことが必要であると考えております。

○西崎委員 ごみ出しや騒音等の影響ということもあって、まさにかつて多くの意見をいただいたところでありますけれども、ただ一方で、そういった捉え方が半ば主流になっちゃっているということが、私は非常に残念に思っています。
 もちろん、事実、そういう問題が起きているというのは承知をしておりますけれども、いわゆるマンション一棟丸々、家主不在型の民泊みたいなそういうところはさておき、本来であれば、家主居住型で国内外のお客様を招き入れて、ホテルであるとか旅館では提供し得ない、日本人の文化であるとか地域との関わり、コミュニケーションであるとか、そういったものを味わっていただく、まさにおもてなし文化の象徴みたいな、理想論かもしれませんが、そういった考え方が本来、あったかと思います。
 ただ、残念ながら、しかも住宅宿泊事業法はそもそも国の所管でやっているわけでありますから、都の皆さんにいっても仕方ないかもしれませんが、そうした法制度で運用されていく中で、いまだにいってしまえば迷惑物件みたいな捉え方をされているというのも一つの事実であろうかと思いますが、今後、コロナ禍で多くの外国人、まあ主に外国人、これ、民泊になると国内外関係ないんですけれども、様々な方が東京都を訪れるときに、一つの可能性であると思います。
 やはり、いいおもてなしの文化というのはまさに日本の観光の象徴の一つであると思いますので、そうした可能性を私は信じて、様々トラブルを解決しつつ、東京都としても、推進とはなかなかいい難い部分はありますが、そうした観点も大事にしてほしいなという私なりの希望をちょっとここで申し上げておきます。
 次に、そうしたインバウンドの話も続いておりますけれども、東京ひとり歩きサイン計画についてちょっと伺いたいんですけれども、これは二〇二〇大会も一つの契機として進められてきたものかと思いますが、オリンピック・パラリンピックも終了して、一旦落ち着いた感があると思いますけど、現状どうなっているのか伺います。

○築田観光部長 都は、外国人旅行者が快適に観光できるよう、案内サイン標準化指針にのっとりまして、歩行者用の観光案内標識の整備に取り組んでまいりました。
 現在、既存の案内板の表示内容について、更新を行っているところでございます。

○西崎委員 いわゆる新規でどんどんというよりは、ルーチンワークとして更新等の取組が続いているということかと受け止めました。
 いつも地元の話なので恐縮なんですが、目黒区でいうと、当然観光ビジョンというものを定めて独自にやっていますが、目黒川の桜というキラーコンテンツがありまして、これは期間中、三百万人以上の方が押し寄せるという、コロナ禍の前ですけどね、非常に象徴的な事例はあるんですが、一方で、それは期間限定的なものでありますし、区のごく一部ということで、目黒区の基本的な観光スタンスはまち歩き観光というふうに位置づけられていて、つまり、旗を持って次はこっちですよみたいなツアーではなくて、それぞれ思い思いの場所を訪ねていただいて、ちりばめられた魅力を探していただく、味わっていただくという、こういうまち歩き観光を進めているわけであります。
 そうすると、この案内表示って非常に大事になるのかなと思っていますが、一方で、区議会でもそうした議論がなかなかあまり見られなかったということで、今回というか、これまでの東京都の計画というのは注目をさせていただいたんですが、この東京ひとり歩きサイン計画について、現状、各区市町村との連携というのがどうなっているのか伺います。

○築田観光部長 区市町村が計画的に進める多言語対応の観光案内標識の設置及び更新につきまして、都が支援することにより、歩行者用の観光案内標識の整備を連携して進めております。

○西崎委員 都が支援しながら整備等を進められているということでございます。これはもう何度も何度も繰り返して恐縮ですが、今後のインバウンド対応というのは非常に重要かと思いますので、さらなる連携をここでは求めておきたいと思います。
 最後に、働く人のチャイルドプランサポート事業について伺いたいと思いますが、先ほども、さきの委員の質疑と、また大分丁寧なご答弁もあって、ほぼ網羅されて聞くことがなくなってしまったということですので、少し別の観点から一問だけ伺って終わりたいと思います。
 これが、もう五年目になりますかね、拡大しながら安定的に運用されているような状況になろうかと思います。
 これが、数が増えているというだけじゃなくて、じゃあ中身はどうなんだということを考えたときに、民間シンクタンクの調査では、いわゆる不妊治療の課題として、多目的休暇としての制度を求める声であるとか、急な申請や時間休に対応してほしいというような声というのが多く見られまして、柔軟な制度設計が望まれているということでありますが、そうしたものにも、さきの委員に対する答弁では、網羅して、細かな制度設計だとかその名称もかなり自由に組む、これを支援する事業だということを伺いました。伺いましたというか、お聞きをしました。
 一方で、今年度も既に十月末時点で二百二十五社ということで、非常に順調に利用していただいているということでありますけれども、じゃあそうした企業が、どのぐらいこういった休暇制度が実際に使われているのかということ、これを把握するというのは非常に難しい複雑な事情があろうかと思います。
 つまり、さきの民間のシンクタンク調査においても、それぞれの利用する側は、会社に知られたくないであるとか、だから多目的休暇を求めるということはあるわけですし、一方で、会社側も、従業員が不妊治療をしているかどうか、これを把握している数というのは非常に少ない。これが別に増えるべきだとも思いませんし、そういう事情がある中で、じゃあ今、多くの企業がこの制度を使って、不妊治療休暇等の制度を使っていても、一体どれぐらい利用されているかというのはなかなか把握することに課題があるというふうに受け止めています。
 すると、うがった見方ですよ。うがった見方ですが、様々企業の規模であるとか状況というのはありますけれども、制度制定をすれば合わせると五十万円入ってくるというようなことでありますから、これ、そういうふうに使われちゃっているんじゃないのというようなことをいってくる人もいかねないわけです。
 すると、そうした疑念に対して東京都はどのようにお答えになりますか。見解を伺います。

○内田事業推進担当部長 制度が使われるということにつきましてですけれども、本事業を利用した企業を幅広く紹介することなどにより、不妊治療等に配慮した職場づくりの重要性を広めてございまして、今年度からは、新たに管理職全員の研修受講を要件に追加してございます。

○西崎委員 いや、これ、ぜひ自信を持って、そんな疑念は当たらないといっていただきたかったんですが、つまり、確かに使われているかどうか分からないです。一方で、不妊治療等の理解、そういったことによって休暇を取るということの理解を広めていくのって、今、過渡期にあるかと思います。
 つまり、様々な企業が、この都の制度を使って、うちも制定しちゃおう、じゃあうちもやってみようかなとかと広がっていくことが今、非常に大事な局面なんだろうなと思いますし、それで今、順調に増えていっているというのは私はいいことだと思いますし、もし仮にこれが実際に使われなかったとしても、そういった理解が広がっていくということが非常に大事だと思うので、この都の制度はすばらしいものだと思っているので、ぜひ大目標といいますか、最後はこの事業、支援事業がもう要らなくなるというのが理想だと思います。
 つまり、多様な人材の多様な働き方、そういったもののために、そういう制度をつくるのは当たり前だよねと、休暇制度を用意するのは当たり前だよねという、こういう環境に持っていくというのが最後の目標かと思いますが、当然まだまだそれは先の段階でありますから、ぜひこの制度をさらに充実させていただいて進めていただいて、多くの様々な方が自分らしく働けるという、人生も仕事も諦めないという、そうした環境づくりに引き続き努めていただくよう要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○石島委員 それでは、私からは、観光振興、江戸東京きらりプロジェクト、中小事業者の省エネ対策について質問をさせていただきます。
 まず初めに、観光振興についてお伺いします。
 私の地元中央区は、洗練された大人のまち銀座や、下町情緒豊かなもんじゃのまち月島など、東京の中でも代表する多くの観光地があります。
 先月十一日、国の水際対策が大幅に緩和されたことを受け、まち中には、海外からの旅行者が少しずつ増えてきているという実感があります。しかしながら、コロナ禍前と比べますと、まだまだ回復が十分とはいえない状況にあります。
 海外の都市を見ますと、既に観光客の誘致に向けて積極的なPRが展開されており、こうした取組に後れを取ることがないように対応していかなければなりません。
 そこで、インバウンドの早期回復につなげていくための海外向け観光PRの取組状況についてお伺いします。

○築田観光部長 都は、インバウンドの本格的な再開を見据え、海外旅行者の訪都意欲を喚起するため、旅行者のニーズを踏まえた観光PRを実施してまいりました。
 具体的には、今年度、欧米豪やアジアなど各地域における旅行者の興味や関心を捉え、東京の自然を生かしたサステーナブルな観光などをテーマとしたPR映像や、日本食をはじめ、ハラール料理など東京の多様な食の魅力を伝える記事を制作し、全世界へ発信しております。
 また、富裕な旅行者を誘致するため、海外の富裕層旅行に特化した旅行事業者を東京へ招き、都内観光関連事業者との商談会や、伝統的な日本の文化体験などを提供するイベントを今月十三日から三日間、開催いたします。
 こうした取組によりまして、海外からの誘客を促進し、東京の観光の活性化を図ってまいります。

○石島委員 コロナ禍ももう約三年に及びますので、観光関連の事業者の皆さんは、インバウンドの回復を本当に心から期待していると思います。水際対策の緩和に加え、円安が進行するなど、海外からの旅行客を呼び込むチャンスであります。インバウンドがコロナ前の水準に近づけるように、さらなるプロモーションに積極的に取り組んでいただくよう、要望させていただきます。
 次に、世界の観光都市の中でも東京の弱点といわれております夜間観光の振興についてお伺いしたいと思います。
 国内外の旅行者を引きつける新たな観光コンテンツの一つに、夜間観光があります。旅行者の滞在期間の延長を図り、消費を促すため、夜間の観光を振興することは重要であることから、世界の各都市では、こうした点に着目して、ユニークなコンテンツを用意するなど、様々な工夫を凝らした取組を行っています。
 夜間の観光は外国人旅行者からのニーズも高いことから、これを充実させ、滞在中も満足していただくことにより、外国人旅行者をより一層増やしていくことが重要だと思います。
 東京都では、その取組の一環として、ライトアップを行う団体に対して支援する施策を行っていると聞いていますが、そこで、このライトアップへの取組への支援について、取組の内容をお伺いします。

○築田観光部長 夜間に楽しむことができる観光の選択肢を増やすことは、旅行者の満足度を高め、滞在時間の延長を図る上でも重要でございます。
 そのため、都は、都内の建造物や身近な自然をライトアップし、夜間にも楽しむことができる観光スポットを創出する観光協会等の取組を支援しており、これまで旧国立駅舎や石神井川の桜並木、音無親水公園の紅葉へのライトアップなどに対する支援を行ってまいりました。
 今年度は、橋梁や公園にある樹木等のライトアップについて、三件の採択を行いました。
 こうした取組によりまして、地域のにぎわいや観光資源の創出につなげ、外国人旅行者の誘致を図ってまいります。

○石島委員 インバウンドの回復に向けて、都がライトアップを活用した取組への支援を行っていることは理解しました。こうした夜間観光を推進する取組は、インバウンド向けだけではなく、地域の振興にも非常に役立つものだと思います。今後も積極的に推進していただくことをお願いしたいと思います。
 次に、都の全国旅行支援、ただいま東京プラス、これが十月二十日より販売開始されました。
 令和二年度に実施された類似の事業であるGO TOトラベルは、国が事業主体となり、全国を一つの事務局で担当していましたが、今回の全国旅行支援では、都道府県ごとに事務局を設置し、それぞれで制度を運用しています。このため、一部の報道によりますと、グループ旅行においてワクチンを接種していない方が含まれていた場合のルールや、地域クーポンの受渡し方法などが自治体によって異なり、旅行者や旅行事業者に混乱が生じているとされています。
 こうした混乱を生じさせないためには、事前の丁寧な広報活動が必要であり、さらに、事業開始後も、利用者の声に耳を傾けていくことが不可欠であります。
 そこで、本事業の開始に当たり、どのように事業周知を行ったのか、また、事業開始後に生じた課題について、どのように改善を図ったのか、併せて見解をお伺いします。

○築田観光部長 都は、十月二十日の販売開始に先立ちまして、十月七日より、ただいま東京プラス公式サイトを立ち上げ、旅行助成制度の詳細や地域クーポンの利用方法等を説明する旅行者や事業者向けの専用ページを設けるとともに、業界団体を通じた情報提供により周知を進めてまいりました。
 また、事業開始後には、旅行者から、割引対象となる宿泊施設を簡単に探したいとの要望がありましたため、これを踏まえて、公式サイトの更新を行い、対象となる宿泊施設を容易に検索できるよう改善いたしました。
 事業者からは、登録やクーポン発行手続に関する問合せが多いことから、宿泊施設、旅行事業者、クーポン加盟店のそれぞれに対応した業務フローなどを説明する動画を作成することで、制度の理解を促進いたしました。
 今後も、旅行者や事業者のニーズに速やかに対応し、分かりやすく使いやすい制度の運用に努めてまいります。

○石島委員 公式サイトの立ち上げ、ニーズに応じた更新など、事業周知、課題解決に向けた都の取組については理解しました。
 一方、ネット上には、ただいま東京都プラスの情報が非常に氾濫しているんですね。何が正しい情報なのか、見極めるのもなかなか難しい状況にあります。そういう意味では、引き続き分かりやすい事業周知に努めていただくことを求めて、次の質問に移らせていただきます。
 次に、東京ならではの老舗の魅力を高める取組についてお伺いします。
 江戸東京きらりプロジェクトは、江戸から受け継いできた技や老舗に光を当て、世界にPRしていく事業ですが、様々な事業者が参加しています。
 江戸の中心、日本橋。私は日本橋で生まれ育ちまして、私で三代目になりますが、そうしたことから、かねてから、歴史と伝統を残しつつ、令和の新しさを加えたまちづくりをするべきだと訴えてきましたが、産業においても、東京の魅力の一つである江戸からの伝統の技や老舗の魅力をさらに伸ばしていく必要があると思います。
 そこで、まず江戸東京きらりプロジェクトの狙いと、どのような事業者が参画しているのかをお伺いします。

○勝見企画調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 江戸東京きらりプロジェクトは、東京を代表する優れた伝統技術や老舗の名品を持つ事業者を選定いたしまして、ブランディングの手法を用いて価値を高め、国内外に発信するため実施しています。
 プロジェクトでは、おおむね百年以上続く技術やノウハウに根差した商品やサービスを基に、新たな視点から事業展開を行う企業等をモデル事業者として選定してまいりました。
 平成二十九年度から毎年公募を行い、和装、日本料理、刃物など、衣食住の各分野から計二十八のモデル事業者を選定しています。

○石島委員 これまでに二十八の事業者を選定してきたとのことですが、私の地元の中央区からも、江戸以来数百年の歴史を持つ多くの事業者が選ばれています。これからインバウンドの回復も期待されるところでありまして、選ばれたモデル事業者の成長を図り、海外から見ても魅力的な東京ブランドにつなげるとともに、広く伝えていくことが重要であると思います。
 そこで、事業者をさらに成長させていくための具体的な取組についてお伺いします。

○勝見企画調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 都は、専門家チームによりまして、マーケティング調査、ブランディング、商品のブラッシュアップなどの磨き上げ支援を行い、それぞれのモデル事業者の新しい事業展開をサポートしています。
 また、江戸東京きらりプロジェクトとして、新しいファン層の拡大につながるよう、SNSでの魅力あるコンテンツの発信、雑誌等とのタイアップによるPRを行うとともに、販路開拓を後押しするため、越境ECの取組や海外展示会への出展準備などを進めているところでございます。
 さらに、海外ブランドとの共同開発や新たな領域での商品販売など、モデル事業者のビジネスの拡大やブランド力の強化につながる後押しをしております。
 こうした取組によりまして、江戸東京きらりプロジェクトのモデル事業者のビジネス展開を支援しています。

○石島委員 東京には本当に、観光のコンテンツや老舗の商品など、世界の人々を魅了するものが数多く存在しています。こうした資源をさらに効果的に活用して、観光振興や都内事業者のビジネスの後押しを進めることを要望して、最後の質問に移ります。
 最後は、中小の事業者の省エネ対策についてお伺いします。
 都内では、業務、産業部門のCO2排出量の約六割が中小規模事業所によるものであり、二〇三〇年温室効果ガス半減を実現するためには、こうした事業所への対策が重要であります。
 原材料価格の上昇や円安の影響等によるエネルギー価格の高騰は、事業活動にも大きな影響を及ぼしており、今般、国が取りまとめた総合経済対策においても、省エネ対策の抜本強化を図っていくとされています。
 省エネ対策の推進に当たっては、具体的な進め方や効果的手法を分かりやすく伝えていくことが重要であり、都は無料の省エネ診断を実施していますが、令和四年度のこれまでの実績についてお伺いします。

○阿部産業・エネルギー政策部長 省エネルギー診断は、都内の中小規模の事業者や工場などに省エネの専門家が直接訪問し、空調や照明、ボイラー等の使用状況等を現地で確認した上で、省エネに関する具体的な提案を無料で行い、運用改善や設備更新につなげていくものでございます。
 今年度は、十月末時点で、前年度の同じ時期の実績を上回る三百五十三件の診断を実施しております。
 省エネ診断を実施した事業者からは、エネルギー使用量を確認するようになったといった取組意識の変化や、不要時の照明の消灯、省エネ型照明器具への更新や空調の設定の見直しなど、簡便に取り組むことができる運用改善等の実践につながったなどの声が多く寄せられております。
 引き続き、この事業を通じて、中小規模事業所の省エネ対策を後押ししてまいります。

○石島委員 多くの事業者が省エネ診断を利用し、運用改善につなげていることは理解しました。今年度は実績が増加しているとのことですが、希望する事業者が省エネ診断を受けることができるよう、十分な支援規模の確保を取っていただくよう要望させていただきます。
 一方で、コロナ禍での省エネに対する支援策として、都は、令和三年度より換気、空調設備導入補助を実施していますが、その内容と今年度の実績についてお伺いします。

○阿部産業・エネルギー政策部長 本事業は、中小規模のオフィスビルなどを対象に、空調における電気、ガスの消費量の抑制と、コロナ禍における換気の確保を図るものでございます。
 具体的には、エネルギー効率の高い空調設備や、換気による室内の温度変化が少なく、省エネに寄与する換気設備を導入する場合に、一千万円を上限に補助率三分の二の助成を行うものでございます。
 今年度の実績につきましては、十月末時点で百五十三件の申請を受け付けております。
 こうした取組により、中小のオフィスビルなどの省エネ対策を進めております。

○石島委員 本事業は、CO2削減やエネルギー抑制に有意義な取組でありまして、これから暖房需要の増加する冬に向けて、しっかりと支援していただきたいと思います。また、都内中小事業者の現場では、換気、空調以外にも様々な設備を用いています。
 電気料金が高騰する中で、省エネ対策は経営の安定にも寄与する取組であり、こうした観点からも施策の充実や利便性の向上に取り組むよう要望させていただきまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○慶野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○慶野委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で産業労働局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後七時二十七分散会

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