委員長 | 慶野 信一君 |
副委員長 | あかねがくぼかよ子君 |
副委員長 | 鈴木あきまさ君 |
理事 | 石島 秀起君 |
理事 | 西崎つばさ君 |
理事 | あぜ上三和子君 |
清水とし子君 | |
星 大輔君 | |
斉藤やすひろ君 | |
風間ゆたか君 | |
山崎 一輝君 | |
本橋ひろたか君 | |
まつば多美子君 |
欠席委員 一名
出席説明員中央卸売市場 | 市場長 | 河内 豊君 |
管理部長 | 松田 健次君 | |
事業部長 | 前田 豊君 | |
市場政策担当部長 | 渡邉 貴史君 | |
渉外調整担当部長 | 北島 隆君 | |
財政調整担当部長 | 萩原 功夫君 | |
環境改善担当部長 | 萩原 清志君 | |
港湾局 | 局長 | 矢岡 俊樹君 |
技監 | 山岡 達也君 | |
理事総務部長事務取扱 | 相田 佳子君 | |
企画担当部長 | 石井 均君 | |
調整担当部長 | 堀内 弘君 | |
港湾経営部長 | 野平雄一郎君 | |
港湾振興担当部長 | 猪倉 雅生君 | |
臨海開発部長 | 松本 達也君 | |
開発調整担当部長島しょ空港技術担当部長兼務 | 佐藤 賢治君 | |
臨海副都心まちづくり推進担当部長 | 大野 克明君 | |
臨海副都心開発調整担当部長 | 小原 昌君 | |
港湾整備部長 | 片寄 光彦君 | |
計画調整担当部長 | 山本 康太君 | |
担当部長港湾計画担当部長兼務 | 水飼 和典君 | |
離島港湾部長 | 村田 拓也君 | |
島しょ・小笠原空港整備担当部長 | 川崎 卓君 |
本日の会議に付した事件
中央卸売市場関係
事務事業について(質疑)
港湾局関係
事務事業について(質疑)
○慶野委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
初めに、過日の委員会で紹介できませんでした本橋委員を改めてご紹介いたします。
○本橋委員 どうぞよろしくお願いいたします。
○慶野委員長 紹介は終わりました。
○慶野委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、中央卸売市場及び港湾局関係の事務事業に対する質疑を行います。
これより中央卸売市場関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○松田管理部長 去る十月二十五日の当委員会で要求のございました資料につきまして、お手元に配布してございます経済・港湾委員会要求資料に基づきましてご説明申し上げます。
資料は全部で五項目ございます。
恐れ入ります、一ページをお開き願います。1、中央卸売市場における市場別業者数の推移(十年間)についてでございます。
過去十年間の水産物、青果物、食肉及び花きの市場別の業者数の推移をお示ししてございます。一ページに卸売業者、一枚おめくりいただきまして、二ページに仲卸業者、そして三ページに売買参加者につきまして、それぞれ記載してございます。
四ページをお開き願います。2、中央卸売市場における取引方法別割合及び取扱金額の推移についてでございます。
四ページに取引方法別割合の推移、五ページに取扱金額の推移を記載してございます。
六ページをお開き願います。3、卸売業者・仲卸業者の数及び経営状況についてでございます。
卸売業者及び仲卸業者につきまして、取扱品目ごとに業者数とそのうちの赤字業者数を区分して記載してございます。
七ページをご覧ください。4、コロナ禍と燃油高騰における市場業者への支援の実績についてでございます。
市場業者への支援の実績につきまして、市場使用料及び光熱水費の支払い猶予、業界と一体となった感染症対策などを記載してございます。
最後に八ページをご覧ください。5、五街区を活用した賑わい創出事業に係る補助金の交付実績についてでございます。
補助金の交付実績につきまして、年度ごとの金額及び財源内訳を記載したものでございます。
以上、簡単ではございますが、要求のございました資料につきましてのご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○慶野委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○山崎委員 それでは、私の方から、事務事業の質疑、早速入らせていただきたいと思います。
初めに、まず、東京都の中央卸売市場経営計画について何点か伺っていきたいと思います。
これまで都では、整備計画を五年ごとに策定をしてきましたが、国の法改正によって整備計画に係る規定が廃止をされたもの、また、引き続いて計画に卸売市場の整備、運営を行っていく必要があるという考え方に基づいて経営計画が策定されたものであると理解をしております。
都は、本年三月、目指す市場の姿である二〇四〇年代の中央卸売市場の姿と持続可能な市場経営の実現に向けて、今後五年間で都が取り組む施策と財政計画を内容とする東京都経営計画を策定したところでありますが、本年三月に開催された本委員会において、整備計画との違い、そして、経営計画における都の基本的なスタンスなどを伺ってきたところであります。
経営計画、計画期間に入っておりまして、もう半年が経過をしました。当然のことながら、計画はそれをつくって満足するものではなくて、計画で掲げた事項を現実に実行していくことが初めて意味があるわけであります。そうでなければ単なる絵に描いた餅となってしまうと考えております。
そこでまず、経営計画で掲げた施策の推進に向けて、都の基本的な考え方を伺います。
○渡邉市場政策担当部長 中央卸売市場が都民の消費生活を支える基幹的なインフラとしての役割を着実に果たすためには、長期的な視点に立ち、計画的に市場経営を進めていくことが重要となります。
このため、都は、経営指針の掲げる二〇四〇年代の中央卸売市場の姿及び持続可能な市場経営の実現に向け、市場の開設者、施設の管理者、市場会計の管理者という三つの立場から、中央卸売市場の経営全般に係る経営計画を策定したところであります。
経営計画の推進に当たりましては、重点的に推進する施策の考え方と具体的事項を設定していくことで、その取組を加速化していくこととしております。
また、業界と緊密な意見交換を行うとともに、学識経験者のご意見も聴取し、その知見も生かしていくことで、施策の実効性を高めてまいりたいと考えております。
○山崎委員 経営計画を見たところ、課題も山積をしている感があります。これらの課題についてやみくもに対処しても効果的ではありません。例えば、日々、市場業者の方々が取引を行う上で生じている課題と、市場財政の大幅な経常赤字の問題は区別をして扱うことが適切であるとも考えます。
そこで、都は、経営計画で掲げた施策に対し具体的にどのように取り組んでいくのか伺います。
○渡邉市場政策担当部長 経営計画で掲げた施策を着実に推進するためには、卸売市場を取り巻く環境の変化を迅速に捉え、計画で示した課題に対し効果的かつ着実に取り組む必要がございます。
このため、五年間の計画期間の前半となる令和四、五年度は、市場の課題を性質ごとに三つに分類し、計画に掲げる取組を実施しております。
一つ目として、公平かつ公正な取引環境の確保など、円滑な市場運営を確保する上で必要な現場での日々の課題解決に向けた取組に的確に取り組んでおるところであります。
二つ目として、物流の高度化、効率化や輸出力強化など、各市場の機能強化や、市場全体として最適な機能が発揮されるよう、市場を取り巻く課題に迅速に取り組んでおります。
三つ目として、市場会計の収支改善、施設の計画的な維持更新など、段階的に進めるべき中長期的な課題に対し、着実に取り組んでおります。
これら課題の解決に向け、意見交換の積み重ねなどを通じ、業界と共にしっかり取り組んでまいります。
○山崎委員 今、答弁の中でもございました一つ目、二つ目、三つ目と、課題解決に向けて業界と意見交換を積み重ねて、業界と共に取り組んでいくという話がございました。本当にこれ、大切なことだと思います。このことが全て、取組が一つ目、二つ目、三つ目と積み重ねられていく上で、全ての問題が解決できると私は考えております。ただし、非常に大変なことだと思います。
私は、かねてから、市場関係者との合意形成が重要であるということを再三にわたって委員会でお話をさせていただきながら、ただしてまいりました。卸売市場が生鮮品等の流通の基幹インフラとして役割を果たすためには、開設者である都が施設をしっかりと維持をし、その上で市場業者が生鮮品を流通させていくことが両輪となっていくことが必要不可欠であるからであります。
そのためにも、都は、市場業者の思いにしっかりと応えていかなければ、市場の課題を解決することはもちろん、市場を将来にわたって維持することさえ危うくなるものと考えます。
そこで、経営計画の着実な推進に向けて、業界とどのように意見交換を行っているのか伺います。
○渡邉市場政策担当部長 中央卸売市場を円滑に運営していく上では、取引の担い手である市場業者と緊密な意思疎通を図りながら取り組んでいくことが重要でございます。
このため、市場業者の方々とは、各市場の現場におきまして、日々の市場運営など様々な事項につきまして率直な意見交換を行っております。
このような取組を通じ、業界のご意見やご要望を積極的に吸い上げ、施策に反映させていくことで、経営計画で掲げた取組の実効性を確保してまいります。
○山崎委員 都は、市場業界の方々と日々、密に意見交換を重ねているとの答弁でありますが、これは本来、当たり前の話であり、しっかりと取り組んでいくことが市場当局の務めであるものと考えております。
この点、業界の団体の代表者の皆様や、生鮮品等の流通等の分野における学識経験者の皆様等で構成される卸売市場審議会の活用というものを今まで以上に重要視すること、これは計画に掲げた都の取組の実効性を高める意味からも大変有効な手段であり、それでなければならないと私は考えております。
そこで、経営計画の着実な推進に向けて、都は、卸売市場審議会の役割をどのように捉えているのか伺います。
○渡邉市場政策担当部長 東京都卸売市場審議会は、都における卸売市場の整備計画、その他卸売市場に関する重要事項につきまして調査、審議するため、条例に基づいて設置されております。
経営計画でお示しした様々な課題を解決するためには、業界の方々のご理解とご協力、審議会の委員の皆様の専門的見地からのご意見も聴取し、その知見も活用させていただくことが重要と考えております。
このため、本年四月の計画期間開始後、八月に審議会を開催し、審議会の活用についての考え方を改めて共有させていただくとともに、計画で掲げた取組を確実に実施するため、意見交換を行ったところであります。
今後も、審議会などの開催頻度等を増やし、経営計画に掲げた取組の進捗を定期的にご報告し、それに対する専門的見地からのご意見をいただくことで、施策の実効性をより一層高めてまいりたいと考えております。
○山崎委員 今答弁の中で、審議会の開催頻度を増やす、こういう答弁がございました。これは非常に重要なことだと思います。今まで審議会の、年に開催される、そういった今までの積み重ねじゃないですけれど、必ず年に数回、市場が移転する際にはいろいろとあったと思いますけれど、豊洲市場がね。ただ、毎年の開催というものが決められているわけではないですから、ちゃんと皆さん方で審議会の中で開催頻度を増やすことができるわけですから、やはりこういった、まず開催頻度を増やすこと、それに伴ういろいろな説明をしっかりと、その審議会のメンバーにしていくことが大変重要なことだと思います。
審議会のただ開催を増やすだけではなくて、いかにその人たちを、審議会、いろいろなこれから問題点があることをちゃんと皆さんに伝えていくか、それが業界に対しても、業界の人たちが、今度そのトップの人たちが下にどのように皆さんが説明していくか、そういうところまでしっかりと皆さん方がこの審議会に対しての取組、そういったものを果たしていただかなければならないと思っておりますので、その点もよろしくお願いをさせていただきたいと思います。
市場を取り巻く環境の変化のスピードが速くなっている今だからこそ、取引に直面している市場業者の現状をしっかりと把握した上で、都と市場業者が一体となって経営計画に魂を入れることを要望して、次の質問に移りたいと思います。
続いて、市場の施設整備について何点か伺っていきます。
卸売市場は、いうまでもなく、生鮮品等の安定的な供給を通じて、都民生活を支える基幹的なインフラとして役割を果たしております。一方、新型コロナウイルス感染症の長期化、また、ウクライナ情勢等のエネルギーの問題、卸売市場を取り巻く環境は大きく変化をしております。
このような状況にあっても、卸売市場の機能を止めることは許されず、将来にわたり都民生活をしっかりと支えていくことが求められております。そのためには、これらの環境変化に対応できるよう、老朽化した施設の維持更新はもとより、各市場の機能強化につながる整備を進めることが重要と考えます。
そこでまず、市場の施設整備の基本的な考え方、伺います。
○渡邉市場政策担当部長 中央卸売市場が生鮮品等流通の基幹的なインフラとしての役割を将来にわたって果たしていくためには、市場を取り巻く環境や市場の実態に合わせた施設整備を行っていくことが重要であります。
このため、経営計画におきまして、老朽化した施設の更新はもとより、施設規模や築年数等に応じ、施設の劣化度等を踏まえた計画的な維持更新に着実に取り組むとともに、産地や実需者の多様なニーズに対応していくため、各市場の特色に応じて機能強化に向けた施設整備を推進してまいります。
○山崎委員 基本的な考え方は分かりましたが、しかし、私が今まで一貫して、今日の事務事業だけでなく、今までの委員会の中でお話をさせていただいていることは、卸売市場は開設者である都が施設をしっかりと維持し、その上で市場業者が生鮮品等を流通させていくことが両輪となっており、それが崩れてしまったら市場ではなくなるということです。
したがって、都だけ市場の機能強化を幾ら声高に訴えたところで、市場の機能を担っているのは市場業者であり、いかに立派な施設を造っても、協力して市場運営を進めなければ、市場運営は成り立たないわけであります。
市場を取り巻く環境が大きく変化をする中においても、市場業者の経営を支え、安定的に運営できる卸売市場を実現していく必要があると考えます。そのためには、市場機能の強化に向けた取組が極めて重要であります。
そこで、市場機能の強化に向けた都の取組を伺います。
○渡邉市場政策担当部長 中央卸売市場が持続可能な市場運営を行っていくためには、社会、経済情勢が日々変化する中、市場を取り巻く課題に迅速に取り組み、市場機能を強化することが必要であります。
このため、都として、物流の高度化、効率化や輸出力の強化、DXの推進等による市場業務の効率化などの取組を推進していくことにより、市場機能を強化し、業界と共に市場のさらなる活性化を図ってまいります。
○山崎委員 市場機能の強化に向けて、都は物流の高度化、効率化や輸出力の強化、DXの推進の取組を推進していく考え方というのは今の答弁でも分かりました。これは今までも、長年にかけてずっと課題であるということは私も認識をしております。
しかし、市場を取り巻く環境が厳しさを増す中、市場業者の方々からは、将来にわたり市場機能が維持できるかどうかという懸念をしているとの声を最近はよく聞くところであります。そのための時間的な猶予は長くないと考えております。
都は、市場業者の方々と真摯に議論を重ね、市場機能の強化に向けて着実、しかもスピード感を持って進められるよう要望をしておきたいと思います。
さて、市場機能の強化を進めるに当たっては、その財源、どうするかということも重要であります。市場会計は公営企業会計であり、市場業者が負担する市場使用料を主な収入としております。
一方、中央卸売市場が公的な役割を果たしていくための経費として一般会計からの繰入れが行われております。市場を取り巻く環境、大きく変わる中においても、都の中央卸売市場がその重要な使命を将来にわたり果たしていくためには、一般会計の繰入れの在り方についても、見直すところは見直しを図る必要があるのではないかと考えております。
そこで、一般会計からの繰入れの対象となる経費について、現行の考え方と今後の見通しの方向性、お伺いいたします。
○萩原財政調整担当部長 一般会計からの繰入れにつきましては、これまで、現場取引業務の指導監督等の公正取引の実現を目的とした業務などを対象としてまいりました。
今後は、繰入れの対象となります経費の在り方につきまして、災害対応やデジタル化対応、環境問題への取組など、市場を取り巻く環境の変化に応じて、中央卸売市場が果たすべき社会的な機能や役割の発揮に向けて見直しを図る必要があるものと認識しております。
そのため、都民に対する説明責任を果たすことを前提といたしまして、一般会計で負担すべき行政的経費と、市場使用料で負担すべき営業的経費の対象の見直しに向けた検証を行うこととしております。
○山崎委員 持続的な市場経営の実現のためには、市場の機能強化の取組と併せて、その裏づけとなる財源についても検討が必要だと思います。機能強化に向けた取組をスピード感を持って進めるためにも、一般会計からの繰入れの在り方について、しっかりと検討することを改めて要望して、次の質問に移っていきたいと思います。
続きまして、輸出力の強化について、ちょっと何点かお聞きをしたいと思います。
先ほど市場機能の強化に向けた取組の一つ、取り上げられて、輸出力の強化ということも伺っております。少子高齢化によって人口減少が伴い、生鮮品等に対する国内需要は減少が見込まれており、市場業者の方々からも将来に対する不安の声も聞いております。
このような状況の中、市場業者の活発な市場取引を維持するためには、海外への販路を開拓することが重要な、また、一つの手段だと思います。
我が党の三宅都議会議員が第三回の定例会の代表質問で述べたとおり、現在の円安などの貿易環境は輸出には追い風であり、取組を推進する好機と考えるという、そのような代表質問をさせていただきました。
そこで、市場機能の強化に向けて海外への販路の拡大は重要であると考えますが、都の見解をお伺いします。
○渡邉市場政策担当部長 人口減少に伴い、国内需要の減少が見込まれる中、中央卸売市場は、都民の消費生活を支える生鮮品等流通の基幹的なインフラとして、将来にわたって生鮮品等を安定的に供給していく必要があります。
そのためには、都が市場業者による販路拡大に向けた海外の新規顧客開拓等の取組を支援し、市場業者の経営基盤の強化を図ることが重要であると考えております。
○山崎委員 市場業者の輸出促進に取り組む都の考え方は今、改めて確認ができました。
そこで、市場業者による輸出拡大に向けたこれまでの都の取組についても伺います。
○渡邉市場政策担当部長 都は、多様な品ぞろえや豊富な商品知識などを有する市場業者の強みを生かした海外販路開拓に向け、意欲ある業者同士をグループ化した上で、事業計画の策定支援やマーケティング研修など、輸出力向上に向けた取組を後押ししております。
こうした取組により、複数のグループが海外企業などと商談を進めているところであります。
都はほかにも、商談会などの販売促進活動や、国際的な第三者認証取得の支援など、輸出力の強化に向けた市場業者の取組の支援を進めております。
○山崎委員 グループ化して輸出拡大に向けた事業化の支援をしておる、そういう話は私も以前から聞いております。一方で、輸出拡大に興味を示しておりますが、いま一つ踏み切れない市場業者の方々、こういった方々を置き去りにしている面があるのではないかという、そういった一面もあります。
そこで、輸出に取り組む業者を増やすため、増やしていくための施策、こういったものが必要であると思いますけれど、都の見解を伺います。
○渡邉市場政策担当部長 中央卸売市場が輸出力を強化するためには、輸出に取り組む市場業者を増やすことなど、市場全体で輸出に向けた取組の裾野を広げていくことが重要であります。
市場業者の中には、輸出に関心はあるものの、実行までは踏み切れない業者の方もおり、そのような業者の方からは、現地の習慣や食品安全等に関する規制といった、輸出を行うに当たって必要となる情報をどこから得ればよいのか、どこに相談すればよいのか分かりにくいという声が寄せられております。
このような声に応えるため、都として、専門家による経営相談の場を活用して助言を行うとともに、市場業者による輸出に関する好事例を共有するなど、市場業者の後押しとなる取組を検討してまいります。
○山崎委員 今の取組を共有することは効果的だと考えます。今答弁があったように、スピード感を持って検討をしっかりしていただきたいと思います。
また、もう一つの方、やりたいけれど、よく分からない、そういった人たち、潜在的なニーズに対する後押し、都が輸出力の強化に向けた支援を今後も継続的に進めることも、このことも強く求めておきたいと思います。
さきにも述べたとおりでありますが、全国の多種多様な生鮮品を取り扱い、輸出ができるのが市場の強みだと思います。一方で、東京には島しょ地域の豊かな漁場を背景とした優れた水産物もあります。
そこで、市場業者による海外販路の拡大に向け、都は、都内の漁業者と市場業者との連携についてどのように取り組むのか、方向性、教えてください。
○渡邉市場政策担当部長 東京をはじめとした全国の産地から集荷を行っている中央卸売市場の市場業者が海外販路の開拓に取り組む際には、産地との情報交換を行うことにより、その価値や魅力を理解した上で適切に発信し、販売につなげることが重要であります。
委員ご指摘のとおり、東京には豊かな漁場を背景とした優れた水産物があり、豊富な商品知識等を有する市場業者の強みを生かし、これらを全国や海外の実需者に広く供給することは、市場業者の経営基盤の強化はもとより、市場取引の活性化の観点からも重要であります。
このため、今後、都内漁業者と市場業者との意見交換や交流の場を設け、東京産水産物の漁獲状況などの一層の共有を進めてまいります。このことにより、市場業者が東京産水産物の魅力や特徴への理解を深め、海外現地の販売先にPRすることを通じて、海外販路の拡大につなげられるよう取り組んでまいります。
○山崎委員 私は、市場の輸出力の強化、市場取引の活性化や産地支援にとどまらないで、日本の食の魅力発信、さらにはインバウンドの拡大と、都内経済の活性化に寄与するものと考えております。都にしっかりと輸出力強化の取組を進めていただくことを要望しておきたいと思います。
例えば成田の、これ地方市場ですけれど、成田空港が近い、その立地を生かした海外へ対しての輸出、もちろん東京の中央卸売市場と比べれば、全く規模も大きさも全然違う小さいものですけれど、やはりああいったところもHACCP対応だとか、そして海外の輸出に向けた様々な加工パッケージのものですとか、そういうのがワンストップでちゃんとできるような、ああいった市場をぜひ、当局の皆さんは成田に行かれてみた方もいらっしゃると思いますけれど、私も現地に行って見てきましたけれど、やっぱりこういった、東京だって、そりゃ羽田空港、控えていますからね。こういったところで、もちろん今、円安の問題、いろんな問題ありますけれど、海外に東京の、また、日本全国のそういったものがしっかりと海外に輸出ができる体制というものを、ぜひ、国との関係もありますよ、だけれど、中央卸売市場、東京都がその先駆者となって、どんどん販路を拡大していける、こういった取組をぜひまた改めて推進をしていただきたいと思います。
次の質問に移りたいと思います。
市場外の流通の現状と課題について、ちょっと教えてください。青果や水産物など、これまで卸売市場流通を中心としてきた生鮮食料品が、市場外の流通システムにより供給されている事実をどのように受け止めているのか、また、今後どのように対応していくのか伺いたいと思います。
これはどういうことかというと、今、産地と、例えばスーパーでも何でも、卸売市場を通さないでマーケットとしてこうやって進められているところがあります。こういった問題というものが非常に全国的にももちろん話題になっておりますし、東京の市場当局として、やはり市場外取引というものをどのように受け止めているのかという意味でお聞きをしたいと思います。
○渡邉市場政策担当部長 卸売市場経由率を見ますと、水産物は四六・五%、青果物は五三・六%、食肉は七・八%となっておりまして、十年前の平成二十一年度と比較しますと、青果は一一ポイント程度、水産物は一一ポイント以上、食肉は二ポイント以上減少しておりまして、長期的にこの卸売市場経由率は低下傾向にございます。
都として、この件につきまして、市場業者の方々とは日頃から様々な意見交換を行っておりまして、例えば市場外流通が増大し、市場経由率が低下傾向にある背景としまして、出荷団体の大型化、量販店のシェア拡大、大口需要者による産地との直接取引などの流通チャネルの多様化など、生鮮品等流通の構造が大きく変化していること、また、加工品や輸入品といった卸売市場を経由することが少ない物品の流通の増加などの事情があるとお聞きしております。
さらに、本年八月に開催いたしました東京都卸売市場審議会におきましても、市場外流通と市場経由率について、委員から、ただいま述べたようなご意見をいただいたところでございます。
○山崎委員 非常にこのことというのは、卸売市場当局としては重要なことだと思います。年々、十年前、平成二十一年度と比べてこうだ、こういったものを拡大−−流通取引、メリット、デメリットあると思うんですよね。だけど、基本的なスタンスとして、当局としては、やはりこの市場をしっかりと通して、それが安全・安心につながっていくんだという、そういったものも踏まえた取引というものをしっかりやっていただくように、これは全国の生産者の皆さんにももちろん同じことがいえます。そして、東京都内で事業を営んでいらっしゃる皆さんにも同じことがいえると思います。
こういったことを踏まえて、今後どのような形を取っていくのか、改めて伺います。
○渡邉市場政策担当部長 市場外流通を市場に取り込むことによりまして、各市場の取扱数量及び取扱金額を伸ばすことは、持続可能な市場経営を実現する上で重要なことであると考えております。
そのためには、市場業者による産地との連携を通じた市場の集荷力の向上や、各市場の個性や特徴を生かしつつ、時代のニーズに即した機能を柔軟に導入していくことが必要であると考えております。
具体的には、今後五年間の主な取組といたしまして、市場業者が行う産地や実需者との結びつきを強化する取組の支援や、産地や実需者が求めるニーズを踏まえた造作等による柔軟な対応ができるよう配慮した施設整備を実施してまいりたいと考えております。
○山崎委員 今答弁あったことをしっかりと進めてください。ここで、もちろんいったお話ですから、それなりに大きな話だと思いますけれど、やはりこれからは、いつまでにとか、どのくらいの目標を掲げて、どういう形で増やしていくんだというやっぱり具体的な数字、そういったものを示していただきたいと思いますので、これからはそういったことも踏まえて答弁をいただきたいと思います。
豊洲市場の件でちょっと一点、お話をお伺いしたいと思います。
豊洲市場における店舗移動のこういった実施について、要は仲卸の店舗ですね。豊洲市場の水産仲卸業者の業界団体は、開場後四年から八年を経過した後に、現在使用許可をしている店舗の場所を移動する、いわゆる店舗移動を行うとしておりましたが、豊洲市場、開場して四年たちましたが、現在の検討状況、教えてください。
○萩原財政調整担当部長 築地市場の水産仲卸売場におきましては、店舗位置によって営業上有利、不利があるといわれてきたことから、その影響を緩和させるために、抽せんによる店舗の一斉移動が実施されてまいりました。
豊洲市場の水産仲卸売場におきましては、店舗の一斉移動を実施するかどうかにつきましては、水産仲卸業者で構成いたします東京魚市場卸協同組合の意向を踏まえた上で対応していくものと考えてございます。
今後、東京魚市場卸協同組合により店舗移動の要望がございましたら、都は、使用許可をしている開設者の立場といたしまして、関係業界の意見を踏まえながら適切に対応してまいります。
○山崎委員 豊洲の現状を見ると、もう造作もしっかり各店舗やってしまっている。引っ越しの話がここまで造作、造っちゃって大丈夫なのかなという、私は現場を見ていつも思っておりましたが、やはりこれも東卸の組合の皆さんとしっかりと意見交換をしながら、やはり初めの基本的な決まりというか、こういったものもありますから、現状こういう形であるというところもあります。ですから、ある意味、東卸の組合の中に全てを任せるというわけにもいかないことだと思います。いろいろな意見、出てきますから、それをまとめるのが市場の皆さんの役割だと思いますので、その点もぜひよろしくお願いをしたいと思います。
もう一点、現在の使用料の減免の実施、こういったものについてお考えがあるのかどうなのか、率直な意見を聞かせてください。
○萩原財政調整担当部長 中央卸売市場会計は、公営企業会計として独立採算を原則として運営しており、市場業者が負担いたします市場使用料を主な収入といたしております。
市場使用料の減免措置につきましては、このような前提の下、受益者負担の原則や社会情勢なども踏まえまして、慎重かつ総合的に判断するものと認識してございます。
○山崎委員 今答弁の中で、社会情勢という、慎重かつ総合的に判断するものと認識をしておるというお話がありました。現在の社会情勢は、いわずもがな、もう皆さんもお分かりだと思います。こういった中で、いかに市場業者の皆さんのことをしっかりと考えて進めていくのかということが重要な世界になってくる。
ただし、当局にとって使用料の収入というものが非常に大きな部分がある。先ほども質問の中でいいましたけれど、一般会計の繰入れ、こういったものとの財政的な考え方も出てくる。東京都の財政の考え方、それと、市場当局の皆さん方の考え方、そして市場業者、業者の皆さんの考え方、いろんな考え方があると思います。これを取りまとめをまずしていくのも、当局の皆さんのお力だと思います。
私個人的には、社会情勢という部分で考えれば、いろんな部分で今やるべき話かもしれないとも思います。しかし、これはやはり慎重な考え方、慎重な判断というものも重要なことだと思いますので、この使用料の減免、いろんなところでお話出てくると思います。こういったことは丁寧に皆さん方もお考えをいただきながら、決めるときには決めなきゃいけない、そういった話だと思いますので、ぜひ今後とも検討課題の一つとして、しっかりと捉えていただきたいと思います。
続きまして、豊洲市場の千客万来施設事業について伺っていきたいと思います。
私は、この年の三月に質疑をしたときに、都はしっかりと進行管理を行い、また、事業者との緊密な連携をして千客万来施設開業後のにぎわい創出に向けて、事業者と共にあらゆる努力をしていただきたいという要望をさせていただきました。こうしたことを踏まえて、豊洲のにぎわいについて、その後、取組状況を何点か伺っていきます。
工事は進んでいるように外から見ると見受けられますが、まず、建設工事の進捗状況、確認をいたします。
○北島渉外調整担当部長 事業者はこれまで、くい工事や基礎工事、鉄骨組立て工事を終え、現在、外壁工事及び木造部分の建設工事を順次進めております。
令和五年九月竣工に向け、工事は予定どおり進行しているとの報告を受けております。
○山崎委員 現在のところ順調に進んでいるようでありますが、前回の委員会で、都は工程管理が不十分だったと回答を私にしております。これ以上の遅れ、要はこの間は遅れたんですね、はっきりといえば。
これ以上の遅れがないようにするために、現在どのような工程管理を都が行っているのか伺います。
○北島渉外調整担当部長 都は、建設工事を着実に進めていくため、基本的に毎週、事業者と打合せを実施するなど、定期的に工事の進捗を管理しております。
また、庁内の専門職員に加え、外部の建築の専門家による工程のチェックを実施するなど、工程管理を徹底しております。
○山崎委員 そこまで進捗管理をしているとすれば、令和五年九月の竣工は万が一にも遅れないということでよいのか、改めて確認します。
○北島渉外調整担当部長 都は、事業者との打合せの中で、その都度工事の状況について詳細な確認を行っております。具体的には、内装工事や設備工事に関する詳細な工程表についても内容を確認するとともに、資材の調達状況についても聞き取りを行い、現在のところ、工期が遅れるような問題は発生していないと聞いております。
都は、引き続き、これ以上の遅れは許さないとの認識の下、工程管理を徹底してまいりたいと考えております。
○山崎委員 なぜ私がここまでこだわるかというと、この千客万来施設は、築地から豊洲市場に移転をして、同時に開場するというお話だったわけです。四年前ですね、もう。四年前に同時に開場するというのが初めのスタンス、初めの基本的な考え方。豊洲の市場の周りを見ても、もう開発が全て進んでおります。
そういった中で、一番初めに千客万来施設が出来上がっていなければいけないものであったにもかかわらず、現在を見ると、隣の環状二号線を挟んだ四街区のところには、清水建設が造ったホテルも、また、商業施設も出来上がっております。
これも、本来であれば同時に、そこの豊洲市場の千客万来と同じ時期に開場、オープンする予定だったんですけれど、もうとにかく一番最後に残ってしまったというところだからこそ、ここまで私は、これから大丈夫ですかという質問をさせていただいているわけであります。
次に、工事の話も大事なんですけれど、建物というハード以上に魅力的なテナントが入るというソフトの部分も非常に重要だと思います。
改めて、テナントリーシング、このコンセプト、それとテナントリーシングに対して積極的に関わっていくべきだと私も考えております。どのような取組をしてきたのか伺います。
○北島渉外調整担当部長 千客万来施設事業は、築地特有の貴重な財産であるにぎわいを継承、発展させるとともに、豊洲ならではの活気やにぎわいを生み出し、地域のまちづくりや活性化に貢献することを施設の整備目的として募集要項に規定しております。
これに基づき、事業者は、市場事業者や築地場外からの誘致に加え、地元の商店街等との連携など、豊洲ならではのにぎわいを創出していくことをテナントリーシングのコンセプトとして定めております。
都としても、こういった事業者と定期的に打合せを実施し、事業者への助言等を実施するとともに、テナントリーシングにつきまして、基本協定に基づき、事業者がコンセプトに基づいたリーシングを行うよう継続的に調整状況を把握し、進行管理を行っております。
これに基づき、事業者は、市場関係者や築地場外市場、地元商店街の団体等を訪問し、テナントリーシングに関する説明を実施しており、都も随時同行するなどでバックアップしてきておりました。
○山崎委員 それでは、現在のテナントリーシングの状況、どうなっているのか伺います。
○北島渉外調整担当部長 現在、事業者は、千客万来施設におけるテナントリーシングのコンセプトを踏まえ、全体の店舗構成について、一階には飲食店舗に加えて日用品の販売店舗など、商業棟の中核をなす二階には新鮮な野菜、魚等をはじめとした市場ならではの物販や飲食店を配置するとともに、築地場外のような横町の雰囲気を体感できる店舗などを、三階には団体来場客にも対応できる大型飲食エリアなどを配置する方向で、テナントリーシングを進めていると報告を受けております。
具体的には、百を超えるテナント企業と出店交渉を行うとともに、コンセプトを踏まえた店舗構成となるよう、新たな企業及び団体への出店の呼びかけを継続的に行いつつ、市場関係者をはじめとした出店を希望するテナント企業との間で出店に必要な様々な条件面での交渉を進めていると報告を受けております。
○山崎委員 現在の状況で、きちんと開業までテナントを集められるのか、進捗管理はどのようにしているのかも伺います。
○北島渉外調整担当部長 都は、テナントリーシングについても定期的に事業者と打合せを行い、調整状況を把握し進行管理に努めるとともに必要に応じて助言等を行うなど、実効性のあるテナントリーシングになるようサポートをしております。
引き続き、事業者と緊密に連携し、開業に向けて進捗を徹底してまいりたいと思っております。
○山崎委員 建設工事について、これまで大きな遅れを生じることとなっており、都による進捗管理の甘さが露呈しました。いま一度大きな反省の上に立って、事業者の活動をしっかりと進捗管理をしていただきたいと考えております。
次に、にぎわい施設である千客万来施設がこのように後れを取った関係で出来上がっている現在の江戸前場下町についても伺います。
都は三月の質疑の中で、千客万来施設の開業までの間、にぎわいの中核となる江戸前場下町の延長について、事業者と協議をしているというお話でありました。
豊洲のにぎわいのためには、千客万来施設だけでなく、開業までの間、取組も重要であると考えますが、まず、江戸前場下町の延長について、調整状況はどのようになっているのか伺います。
○北島渉外調整担当部長 これまで、現在の運営事業者とは延長に向けた調整を行ってきましたが、来場者数の低迷が続いており、このままの運営形態では、にぎわいの継続が困難な状況であると認識しております。
しかしながら、六街区の千客万来施設開業までの間、豊洲市場周辺におけるにぎわい創出事業を、都として責任を持って実施していく考えに変わりはございません。
このため、現在の施設や継続するテナント等を生かした新たな運営方法を検討しております。
○山崎委員 新たな検討状況ということで、新たな形で検討していくというお話でありますけれど、やはり、この江戸前場下町というものは、都の方でしっかりとやっていくという方針に基づいた上で、このように進められてきているわけであります。
私も先日、江戸前場下町、数か月ぶりかな、行ってきました。日曜日はやっていないですね。今、土曜日はやられている。ただ、市場の休市の日は営業はされておらない。三店舗、四店舗ぐらいか、今、閉じていたと思います。
そういった意味も踏まえて、やはり−−ただ、「ゆりかもめ」の駅からもう目の前で、本当は一等地なんですよね。ですから、非常にいろいろなことで使い道がある場所だと思いますので、今の状況の中、これからどのようにやっていくのか、来年以降も踏まえてしっかりと考えていただきたいと思います。
これは、都が地元に対しての約束だったと思いますし、地元江東区としても、どのようなことを考えていくか、一緒に多分、考えていかれている話だと思いますので、この辺も踏まえて検討を、スピード感を持って進めていただければありがたいのかなと思いますので、よろしくお願いをさせていただきたいと思います。
それでは、次は、時間も結構限られておりますので、いろいろと聞いてきましたけれど、江戸前場下町、五街区のところの終わった後の話は今日は聞きません。
それを聞いてしまうと、やはり、これからまだ期間がある中でどうやって進めていくのかということもこれから検討していくというお話ですから、その後の話はあえて質問はいたしませんけれど、とにかく豊洲のにぎわい、そして、豊洲のまち、臨海部をどのように盛り上げていくかというものが、また、さらに万葉倶楽部がやられるああいったものにも、非常に重要なところ、ポイントになってくると思います。
例えば、船との、船着場の問題、四街区の方ではもう先行して船着場が出来上がって、どんどんスタートをしている。今度、千客万来施設のところとの船着場、これのこともちゃんと進めていかなきゃいけない。
やはり、船着場の問題一つ取り上げても、その専門の人たち、業者、一つのところが使えるということではなくて、いろいろな方々がちゃんと使える船着場にしなきゃいけない。それのためには使用料を取らなきゃいけないとか、いろんなことがありますけれど、これは必ずしっかりと考えていただきたいと思います。
それによって、あそこの千客万来施設が出来上がることによって、例えば豊洲のららぽーとや東京ガス開発だとか、豊洲市場だとか、隣の清水さんが持っているホテルとの兼ね合いだとか、スポーツクラブとの兼ね合い、あそこで必ずそういう協議体みたいなものをつくってもらいたいんですよ。
一番最後に出来上がるのが、ある意味、千客万来施設なわけです。そういったところとの兼ね合いも踏まえて、要するに、自分たちのところだけがいいということではなくて、豊洲全体の新豊洲のあのエリアをどのように、要は相乗効果ですよ、これは前にもお話しさせていただきましたけれど、豊洲市場の中の関連事業者も同じことをいえます。関連事業者にしてみると、千客万来施設が出来上がることによって、私たちの売上げが下がってしまう、そういうおそれがあるというお話を私も耳にします。
しかし、同じように、同時に、やっぱり皆さん方の歴史もある、だけど、新しいものが出来上がることによって相乗効果、こっちにもお客さんが来る、こっちにもお客さんが来るという、同じような相乗効果みたいなものを得られるような、そういう仕掛けというものも、当局がしっかりとやっていただきたい、そのように考えております。
とにかく、千客万来施設については絶対に遅れはもう生じられない、遅れてはならない。そのためには、当局がしっかりと進行管理、建築の部分もそうですし、テナントリーシングのところもそうです。ソフトもハードもしっかりと気を遣って管理をしていただきたいことを、改めて最後にお願いをさせていただきたいと思います。
これまで、取組を踏まえて、千客万来施設が今後大きなにぎわいを得るために、開業に向け効果的な情報発信を行うことで、都民や地元区民に期待され、また、歓迎される中で開業することが、私は最後に重要だと考えております。
千客万来施設事業の推進に向けた、最後に市場長の決意を伺います。
○河内中央卸売市場長 千客万来施設事業でございますが、これは豊洲市場と連携して、豊洲ならではのにぎわいを創出していくための大変重要な事業でございまして、地元である江東区をはじめ、都民の皆様のご理解をいただきながら事業を進めていくべきものと認識しております。
千客万来施設の開業に向けましては、都民をはじめ多くの方々に、出店するテナントなど施設の内容に関する情報や施設名称、さらには開業日などについて、的確な時期に効果的に情報発信をすることが重要だと考えております。
事業者からは、今後の情報発信について、専門的な知見を有する者と共に効果的なPR方法や開業方法を検討しているというふうに聞いておりまして、現時点では、事例として、大型の商業施設の開業については、一般的に開業日の一年程度前に情報発信を行うのが、そういう傾向があると、そういう報告を受けておるところでございます。
都といたしましても、来年度の実施を予定している新たなにぎわいのイベント等の機会も活用しながら、千客万来施設の開業に関する情報をはじめ、豊洲周辺地域の魅力発信、これを全体的に協力して努めていきたいと考えております。
千客万来施設事業は、五十年間という長い期間にわたりまして、地域とともににぎわいを創出していく事業であります。都民や地元区民の期待や歓迎の中で、施設が開業しまして、地元の皆様に長く親しまれる施設となれるよう、事業者と共に千客万来施設事業を全力で取り組んでまいりたいと考えております。
○山崎委員 情報発信、もちろん中央卸売市場だけで情報発信をするのではなく、千客万来事業者だけが情報発信するのではなくて、東京都が責任を持って、東京都中央卸売市場以外の東京都全体で千客万来施設というものがオープンをする、そういった情報発信に向けてもしっかりやっていただきたいことを、改めて求めておきたいと思います。
地元との連携ですとか、いろんなことがあります。やはり、ここまで延びてきたものですから、しっかりと最後まで積み上げてやっていかなくてはならないと思います。それが東京都の責務だと思いますし、小池知事がやられてきた、千客万来事業者との関係、関連性、いろんなことがあったと思いますよ。もう三年、四年前ですね。ああいった時期は、私も忘れられない時期だと思いますけれど、非常にいろんなことがあった千客万来施設ですから、最後は、皆さんのお力で、しっかりと責任を持って、進行管理も含めて、開業に向けて頑張っていただきたいことをお願いして、質問を終わります。ありがとうございました。
○あかねがくぼ委員 初めに、市場の管理運営業務の先端技術の活用について伺います。
DXによる業務効率化がいわれて久しくなりますが、DXの実現を支えていく技術も様々、その技術の開発というものが進んでいます。
例えば、画像解析の技術を使い、監視カメラの映像から施設内の混雑状況を把握したり、転倒した人を検知してすぐ駆けつけられるというようにするなどの試みが進められていると聞きました。
もちろん、こうした技術がそのまま市場で使えるというものではないかもしれませんが、様々な技術の活用可能性を検討し、市場の現場に取り入れていくということで、管理運営業務を効率化していけるのではないかと考えます。
そこで、都が令和四年度に実施をしている先端技術の活用調査について、具体的内容と現在までの進捗状況を伺います。
○渡邉市場政策担当部長 日々の市場管理運営業務への先端技術の活用は、市場の業務を効率化していく上で重要でございます。
令和四年度、都は、先端技術の活用調査として、大田市場におきまして、監視カメラ映像を活用したセキュリティの強化及び場内物流全体最適化に資する技術の導入調査を実施しているところであります。
具体的には、場内警備や車両入退場管理業務などの施設管理業務の実態調査を行うとともに、監視カメラ映像の解析による車両特定技術の導入に向けた検討を行うものでございます。
○あかねがくぼ委員 市場の管理運営業務に先端技術を活用することによって、市場運営が一層効率化をされるというふうに考えますので、今後も先端技術導入に向けて、しっかりと前に進めていただきたいと思います。
次に、市場業者への支援について伺っていきます。
新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけとしまして、一般的な企業においても、非接触型の取引やテレワークの普及が進み、デジタル技術の活用に向けた機運が以前に増して高まっているところです。
中央卸売市場で取引を行う市場業者の方々においても、コロナ禍を契機として変化をしていった消費者や取引先のニーズに応えていく、そのためにも、ECサイトの導入やシステムの導入による業務の効率化など、デジタル技術を積極的に活用し、企業としての競争力を高め、稼ぐ力を強化していくといったことが重要であります。
卸売市場のこれまでの現場の状況を鑑みれば、全ての市場業者がデジタルトランスフォーメーションを速やかに進めていくということはなかなか難しいと思われますが、一歩一歩、着実に歩みを進めていくということが重要であり、そのために、都が市場業者のデジタル化に向けた取組、これを後押ししていく必要があると思います。
そこで、都は、市場業者のデジタル技術を活用した販売力強化等の取組をどのように促しているのか伺います。
○前田事業部長 市場業者の稼ぐ力の向上に当たりましては、コロナ禍等による取引環境の変化に対応するため、デジタル技術を活用した販路開拓や業務効率化などに取り組んでいくことが有効でございます。
そのため、都が市場業者向けに作成した情報誌などにおきまして、デジタル活用の事例を紹介するとともに、活用を目指す事業者をターゲットとした経営セミナーを開催し、機運の醸成を図っております。
また、ECサイトの構築などを検討している市場業者に対しまして、専門家が機能面や運用面からの助言を行うとともに、その取組に要する経費の一部を補助することで、より実効性の高いものとなるよう、きめ細かく支援してございます。
○あかねがくぼ委員 補助事業による支援ということだけではなく、情報発信から事業計画段階の助言まで、幅広く市場業者のデジタル化に向けた取組、これを実施しているということが確認できました。
今後とも、より多くの市場業者がデジタル化に取り組んでいけるよう、業界等の意見を伺いながら、使い勝手の向上など、制度の見直しに努めていただくことを要望しまして、次の質問に移ります。
市場会計の収支改善の取組について伺ってまいります。
東京都中央卸売市場会計、これは地方公営企業法の財務規定が適用されている独立採算を原則として運営されているものであります。先ほど、一般会計の繰入れの議論ということもありましたけれども、経常収支の黒字化ということが非常に重要なわけであります。
そこでまず、近年、直近の三か年、この経常収支の推移について伺ってまいります。
○萩原財政調整担当部長 直近三か年におけます市場会計の経常収支につきましては、継続して赤字となっておりまして、各年度における経常損失の金額は、令和元年度は約百三十一億円、令和二年度は約百二十一億円、令和三年度は約百十四億円で推移してございます。
○あかねがくぼ委員 市場会計収支、経常収支のことを伺いました。毎年百億円を超える赤字があるということ、また一方で、令和三年度は元年度と比べますと十七億円の改善ができたということであります。
我が会派はかねてより、市場会計黒字化に向けて様々な改善をするよう求めてきたところでありますが、これまでどのように経営改善に取り組んできたのか、具体的な内容について伺います。
○萩原財政調整担当部長 中央卸売市場が将来にわたりまして持続的な市場経営を実現していくために、経営改善に取り組むなど、財務基盤の強化を図ることが重要でございます。
そのため、都ではこれまで、遊休施設の有効活用による使用料収入の増加や、組織、人員体制の見直し、新規企業債の発行抑制による支払い利息の圧縮など、経営改善に取り組んでまいりました。
○あかねがくぼ委員 収支黒字化に向けての経営改善、おっしゃっていただきましたが、様々取組をしていただいているということは分かりました。
しかしながら、先ほど申し上げましたけど、毎年百億円を超える赤字になっているということであります。これは非常に重く受け止めるべきです。
令和三年度策定しました東京都中央卸売市場経営計画においては、このままの状況で推移した場合、令和四十六年度に資金ショートが発生する、こういった推計が示されているところであります。
それを避けていくために、収支改善、取組を加速させる必要があると考えますが、そこで、経常収支の黒字化に向けた今後の取組についてお伺いします。
○萩原財政調整担当部長 持続可能な市場経営を実現するためには、収支全般にわたり見直しを行っていく必要があると認識してございます。
そのため、市場運営費の縮減や収入確保等の経営改善に取り組むとともに、経営状況等をより精緻に分析した上で、さらなる経営改善策を検討、実施してまいります。
また、市場業者の稼ぐ力の強化につながります市場の活性化に向けた取組を通じまして、使用料収入の増加を図っていくとともに、現行の使用料の在り方につきましても検討を行ってまいります。
○あかねがくぼ委員 運営費縮減とか、収入を増やしていくとか、それは当然のことではありますけれども、それに向けて取り組んでいくということが、確認はできました。一方で、現状の見える化、こういったところがまだ十分ではないというふうに考えます。
例えば、市場別あるいは品目別にどのような収支になっているのかというところ、これは管理会計的に明らかにしていくことを、我が会派として何年前からか求めています。(発言する者あり)無理かどうかというのは、私は以前の仕事の中で、この規模以上の、一兆円規模以上のものを、管理会計的にしっかりと見える化していくということはやったことがありますが、いろいろな間接コストの配布ロジックというものは検討することができます。やらないことでは、やはり解決の方向性というのは正しく示していけないと思いますので、ぜひとも、これは専門家の力を借りてでもやっていくべきと考えます。
こつこつと積み上げていくことも大事ですけれども、ちょっと焼け石に水になっていくというリスクもありますので、本質的な解決、これがやはり、それぞれの品目別あるいは市場別に見ていく中で、どんなふうになっているのか、これが見えないことには、打ち手も正しく取っていけないと思いますので、これはぜひとも、本質的な方策を打ち出していくために取り組んでいただくよう強く要望して、質問を終わります。
○まつば委員 私からは、市場運営に関して、市場と人の関わりに焦点を当ててお伺いをしていきたいと思います。
具体的には、今般のコロナ禍などを踏まえた厳しい経営環境にある市場業者にどのように向き合っているのか、そして、取引の基盤となる市場施設、特に豊洲市場における維持管理を通じた安心の確保について、さらには、卸売市場が公共性の高い社会インフラであることを踏まえた社会的役割の観点から、被災地支援の取組や未来を担う子供たちに対する取組についてお伺いをしたいと思います。
まず、市場業者に対する経営支援策についてお伺いをいたします。
新型コロナウイルス感染症につきましては、令和二年一月に国内で最初の感染者が確認されて以降、七回にわたって大きな感染の波を繰り返し、緊急事態宣言等の発令もあり、社会経済活動においても大変困難な状況となりました。
こうした中にあっても、中央卸売市場は、都民に生鮮食料品等を安定的に供給する役割を果たすため、取引の担い手である市場業者がしっかりと事業を継続できるような環境づくりが必要であると思います。
特にコロナ禍におきましては、外食需要の減退や食の志向変化などにより、市場業者、とりわけ仲卸業者を中心として、大きな売上げの減少に直面したと聞いております。売上げが減少しているにもかかわらず、店舗の使用料や光熱水費などのコストは変わらず発生するわけでございますので、市場業者の方々にとって大きな負担であるとの声が寄せられているとのことでございます。固定費の負担に苦しむ市場業者の方々を支え、市場機能を停止させないよう、支援策を講じることが重要であります。
そこで、市場業者の固定費の負担を軽減するため、どのような支援を行っているのか、具体的にお伺いをいたします。
○萩原財政調整担当部長 新型コロナウイルス感染症により市場流通に大きな影響が出る中におきましても、市場機能を確保していくため、都では感染症の影響に伴い、売上げが減少した市場業者に対しまして、令和二年四月支払い分から、市場使用料と光熱水費の支払い猶予を開始し、現在も継続して実施してございます。
実施に当たりましては、分割納付をはじめ、市場業者の経営状況に配慮した弾力的な運用を行うとともに、内容の拡充や丁寧な周知を行ってまいります。
さらに、都や国の各種支援制度の分かりやすい情報提供を行うなど、きめ細かな支援に努めております。
○まつば委員 長期化するコロナ禍の影響に加えまして、ロシアのウクライナ侵略などによるエネルギーコストや物価の上昇など、市場業者にとって新たな経営上のリスクが顕在化しております。
このような状況の中で、支払い猶予などによる固定費の負担を軽減するための支援はもとより、外部の環境要因により上昇が見込まれる経営上のコストについて、それらを低減するための取組に対する支援も併せて進める必要があるのではないかと思います。
そこで、市場業者が今後見込まれる固定費等のコストの上昇に対処するため、どのような支援に取り組んでいるのかお伺いをいたします。
○前田事業部長 ウクライナ情勢で顕在化した原材料や燃料等の価格高騰の影響など、市場業者を取り巻く環境が一層厳しくなる中、電気料金など固定費の節減につながる取組は、市場業者の経営の安定化のために重要でございます。
そのため、都は本年六月、中央卸売市場経営強靱化推進事業について、エネルギー効率の高い空調設備やLED照明器具の導入など、コスト縮減にもつながる省エネ対策に取り組む市場業者に対して、高い補助率を適用できるよう制度を改めました。
また、業界団体と連携して、電力市場の動向や電気料金の仕組み、市場業者が実践できる省エネ対策などを紹介するセミナーを開催するとともに、関係局が実施する原油価格高騰の影響などを踏まえた各種支援制度についての情報提供を行ってございます。
○まつば委員 都は、経営資源の乏しい市場業者に寄り添って、共に解決に向けた道筋をつけていくということが重要であると考えております。
都は、事業者が自らの経営上の課題を掘り起こし、専門家のサポートの下で自律的に課題解決を図ろうとする伴走型支援を今年度から開始したと聞いております。
そこで、伴走型支援の今年度の取組の状況について、具体的にお伺いをいたします。
○前田事業部長 今年度から、現状の分析から課題の解決に至るまで、専門家が経営者を一貫してサポートする、いわゆる伴走型支援の制度を開始いたしました。
現在、支援を行っている一例といたしましては、コロナ禍の影響により売上げが減少した仲卸業者に対しまして、中小企業診断士を派遣し、財務状況を分析して課題を明確化した上で、経費の見直しに関する助言などを行ってございます。
具体的には、利益率が低い顧客の把握とその対応策を検討するため、顧客別の損益管理を実施することや、コストダウンを図る手段として、商品の配送に一部外部委託を取り入れるなどの財務体質の改善に向けた提案を行ってございます。
また、販売力を高めるため、取引先の状況や事業者の経営資源を踏まえ、その強みや弱みなどの分析も進め、具体化した改善策を提案してまいります。
こうした取組によりまして、市場業者が経営上の課題を的確に捉え、その課題の解決に向けた実効性のある取組を自律的に行っていくことができるようになるものと考えてございます。
○まつば委員 この伴走型支援でございますが、市場業者の方々が利用しやすい環境を整えていく取組も、併せて進めていく必要があると思います。
そこで、伴走型支援の活用促進に向けた都の取組についてお伺いをいたします。
○前田事業部長 伴走型支援をより多くの市場業者の方に利用していただくためには、あらゆる機会を通じて、広く周知に努めていくことが重要でございます。
そのため、都が開催するセミナーや市場業者向けの情報誌により情報提供するとともに、現時点で経営コンサルタント等が各市場に計三十五回訪問などし、延べ五十三社の相談に対応いたしました。その場において直接事業者に働きかけを行うなど、様々な機会を活用いたしまして施策の周知を図ってございます。
また、条例等に基づき、都が市場業者に対して行う経理検査の結果などを契機として、その事業者に対して、伴走型支援の活用を促す取組を行ってございます。
今後とも、より一層市場業者が利用しやすい制度となるよう、現場の声に耳を傾けるとともに、その活用促進に向けた制度の改善に取り組んでまいります。
○まつば委員 市場業者を取り巻く環境の変化のスピードが速く、より複雑さが増している状況にありまして、変化に柔軟に対応していくためには、市場業者の方々への都の支援は不可欠であると思います。
引き続き、様々な課題やニーズに対応できるよう、あらゆる角度から市場業者に働きかけを行い、支援につなげていくことを要望いたしまして、次の質問に移ります。
次に、豊洲市場の施設の安心の確保について質問いたします。
生鮮食料品を扱う市場においては、食を扱う方々が安心して取引できることが何よりも大切であります。
豊洲市場への移転に際しては、豊洲市場における地下水管理について、地元住民の方々はもとより、多くの方々が不安に感じられ、都議会公明党からも、都の対策の在り方について要請をさせていただいてまいりました。
開場から四年がたった現在、都はこれまでどのように取り組み、その結果、どのような現状と課題に直面をしているのか、確認をしていきたいと思います。
初めに、直近の地下水と空気の調査結果及びこれらに対する専門家の見解についてお伺いをいたします。
○萩原環境改善担当部長 豊洲市場では、地下水質の状況を把握するため、三か月ごとに、地下水中のベンゼン、シアン、ヒ素の濃度を測定してございます。
令和四年八月の調査結果は、ベンゼン、ヒ素ともに一リットル当たり〇・〇一ミリグラムの環境基準となっているのに対しまして、ベンゼンは最大〇・七七ミリグラム、ヒ素は最大〇・〇五六ミリグラムでございました。
また、検出されないことが環境基準となっているシアンは一・一ミリグラムでございました。
こうした結果につきまして、専門家の方々からは、濃度が上昇傾向を示した地点や低下傾向を示した地点も存在しているが、全体的に見れば、大きく汚染状況が変化した傾向は確認できないとの評価をいただいてございます。
また、空気につきましては、建物一階部分や屋外、地下ピットで、毎月ベンゼン、シアン、水銀を測定してございまして、全ての箇所において、調査開始以来、大気環境基準等に適合した状態が継続してございます。
空気調査の結果につきまして、専門家の方々からは、科学的な視点から安全は確保された状態にあると考えられるとの評価をいただいてございます。
○まつば委員 豊洲市場の地上部の空気は、調査開始以来、大気環境基準等に適合しており、科学的な視点から安全は確保された状態にあると専門家の評価を得ているとのことでありましたが、去る九月二十七日に都の公表した八月の調査結果では、空気からは環境基準を超える値のベンゼンが検出されたとのことであります。
これまで一貫して、空気は安全とされてきたと認識をしていますが、令和四年八月の空気調査結果をどのように受け止めているのかお伺いをいたします。
○萩原環境改善担当部長 ベンゼンの大気環境基準は、長期間暴露することによる健康影響を考慮したものでございまして、一回の測定で得られた測定値ではなく、一年平均値を上限として定められてございます。
令和四年八月に実施いたしました空気調査では、ベンゼンにつきましては、屋外及び建物一階部分で一立方メートル当たり〇・〇〇三六から〇・〇〇三九ミリグラムが測定されており、これまでの測定結果と比べて高い数値が測定されましたが、一年平均値では〇・〇〇一二から〇・〇〇一四ミリグラムでございまして、大気環境基準の〇・〇〇三ミリグラムを大きく下回っております。
こうしたことから、豊洲市場の安全は確保されているものと認識してございます。
○まつば委員 結果は環境基準に適合しているとはいえ、このような濃度上昇はこれまでになかったと記憶をしております。一時的だとしても、上昇した要因について、移転当初の関心の高さを踏まえると、しっかりとした説明が求められるのではないかと思います。
そこで、豊洲市場の空気中のベンゼン濃度の上昇要因についてお伺いをいたします。
○萩原環境改善担当部長 ベンゼンは、ガソリンや自動車の排気ガス、たばこの煙などに含まれていることから、一般大気中に存在しておりまして、環境中濃度の変動原因は、一般的に特定できないものとされてございます。
一方で、これまで豊洲市場の屋外と建物一階でベンゼン濃度が上昇した際、同じ時期に測定した都内の一般環境大気中のベンゼン濃度が同様に上昇していることから、豊洲市場におけるベンゼン濃度の上昇は、一般環境大気中の濃度上昇による影響を受けている可能性が高いとの見解が、平成二十九年三月に開催された専門家会議により示されてございます。
こうした知見を基に、令和四年八月の都内の一般環境大気中のベンゼン濃度の速報値と豊洲市場の空気調査の結果を比較したところ、いずれもおおむね同じように上昇していることが分かりました。
また、屋外と建物一階、いずれの箇所におきましても、同程度の濃度のベンゼンが空気中から検出されている一方で、今までと同様に、地下水中のベンゼン濃度は、箇所により異なっていることが分かりました。
以上のことから、専門家の方々からは、地下水の濃度変動が空気測定結果に影響を与えているとは考えにくいとの見解が、今回、改めて示されたところでございます。
こうした専門家の方々の評価を踏まえ、市場当局といたしましては、令和四年八月の市場内の濃度上昇は、都内の一般環境大気中の濃度上昇による可能性が高いものと分析してございます。
○まつば委員 豊洲市場の空気中のベンゼン濃度の上昇について、専門家の方々は、地下水の濃度変動が影響を与えているとは考えにくい、市場当局は、都内の一般環境大気中の濃度の上昇が影響しているのではないかと分析をしているという旨のご答弁であったと思います。
都が様々な方法を用いて、科学的分析により、安全、そして安心に向けた理解を深めようと努力していることは理解をいたしますけれども、都民の皆様に安心していただくために、都は努力を重ねていかなければならないと思います。そのためには、幅広い世代にわたって、多くの都民の方々に分かりやすく伝えていくことが重要であると考えます。
そこで、調査結果の分析に基づいて、豊洲市場が科学的に安全であるということをより分かりやすく都民に伝えていくため、今後どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
○萩原環境改善担当部長 豊洲市場の地上部の空気や地下水質の状況について、都民の皆様をはじめ、豊洲市場を利用される方々に対しまして、正確で分かりやすい情報を提供していくことは、豊洲市場の安全・安心の確保に向けた重要な取組でございます。
今後の調査結果の公表に当たりましては、さきに述べました空気中のベンゼン濃度の比較をはじめといたしまして、これまで蓄積したデータを基に科学的に分析した結果を、子供から高齢者の方々まで正確にご理解いただけるよう、グラフを用いるなど分かりやすい説明の方法を検討し実施してまいります。
○まつば委員 しっかりと取り組んでいただくことを要望させていただきます。
次に、被災地支援の取組についてお伺いをいたします。
東日本大震災から十年以上が経過をいたしましたが、被災地と手を携えての支援がこれからも必要だと思っております。震災前から、その土地の特色を生かして生産してきた代表的な商品である桃や、常磐物と呼ばれるヒラメなどの鮮魚といった、いわゆる被災地産品がしっかりと我々消費者の下に届けられていくことも重要なことであると考えております。
本日は、生産と消費を橋渡しする中央卸売市場が、岩手、宮城、福島の被災地産品の流通促進についてどのように取り組んでいくのかお伺いをしていきたいと思います。
そこでまず、被災地産品の流通促進に向けたこれまでの取組についてお伺いをいたします。
○松田管理部長 被災地産品の流通を促進し、消費の拡大を進めていくためには、産地と消費者とを結ぶ中央卸売市場が率先して取り組むことが重要でございます。
このため、中央卸売市場におきましては、これまで復興イベントや各市場で開催される市場まつりにおきまして、福島県PRコーナーを設置して、来場する地域住民など多くの方々に対し、福島県産品の消費拡大に努めるとともに、福島県知事によるトップセールスへの協力等を通じまして、被災地産品の魅力をPRしてまいりました。
また、岩手県、宮城県、福島県にご協力をいただき、豊洲市場七街区の見学者通路に、三県で漁獲される豊かな魚介類等を紹介したパネルを設置するとともに、被災地三県の花を使用した親子フラワーアレンジメント教室の開催を通じたPR等を行ってございます。
○まつば委員 中央卸売市場がこれまで、様々なイベントの機会を通じて、被災地産品のPRを行い、流通促進を図っているということを理解させていただきました。
こうした取組も、産地と消費者を結ぶ中央卸売市場が取り組んでこそ意義があることだと思っております。また、被災地産品の流通促進を図るためには、継続した取組が非常に大切であります。
そこで、被災地産品の流通促進に向けた今後の取組についてお伺いいたします。
○松田管理部長 中央卸売市場におきましては、市場業界の方々と連携して、食育や花育を目的とした料理教室やフラワーアレンジメント教室におきまして、被災地産品の食材や花等を使用するとともに、新型コロナウイルス感染状況を見極めながら、市場まつり等において、積極的に被災地産品のPRを行ってまいります。
また、被災産地が行うトップセールスに引き続き協力するとともに、様々な広報媒体を活用いたしまして、一人でも多くの都民の方々に被災地産品に対するご理解を深めていただけるよう、着実に取り組むことにより、流通の促進を図ってまいります。
○まつば委員 私ども都議会公明党は、大震災の発災以来、幾度となく被災地に足を運び、被災地の方々のお声を様々伺ってまいりました。
被災地産品の流通を促進し、広く国民の方々に食の味わいや彩りを楽しんでいただくためには、産地と消費者を結ぶ中央卸売市場が大きな役割を担っていると思っております。
コロナ禍の中で、これまでにない様々な工夫が求められていると思いますが、市場業者の方々と連携を図りながら、しっかりと取組を前に進めていただくことを要望いたします。
最後に、食育等推進の取組についてお伺いをいたします。
私はかねてより、チルドレンファーストの視点に立って、都議会でも議論を重ねてまいりました。中央卸売市場が生鮮品等の基幹的なインフラとしての役割を将来にわたって維持していくためには、今と将来の消費の担い手である子供たちに、その大切さが伝わる取組も重要であると思っております。
子供たちが理解を深めていくためには、現場に触れ、関心を持ち、進んで探求を深めていくような参加型の取組がふさわしいと思っております。
市場の取引が行われる市場施設は、産地から私たちの食卓の間を結ぶ現場そのものであり、こうした場を活用して、子供たちに理解を深めていただくことは重要であると考えます。
そこでまず、子供たちが市場の果たす役割について理解を深めるため、これまで都が行ってきた取組についてお伺いをいたします。
○松田管理部長 子供をはじめ、多くの都民の方々に市場見学や食育、花育等での学びを通じ、市場の果たす役割や食材等の理解を深めていただくことは重要でございます。
そのため、コロナ禍前の令和元年度におきましては、親子で市場への理解を深めていただく、こどもいちば教室やお肉の講習会、フラワーアレンジメント教室等を十九回開催いたしました。
本年度、三年ぶりに、新型コロナウイルスの感染防止対策を講じた上で、豊洲市場におきましては、こどもいちば教室を三回、食肉市場におきましては、お肉の親子教室を二回、大田市場におきましては、親子フラワーアレンジメント教室を実施いたしました。
○まつば委員 冒頭申し上げたとおり、市場施設を活用して学びを深めていくためには、現場を体感することが重要だと思います。
そこで、体感や実感、伝わりやすいメッセージの活用など、子供たちがより一層、市場流通や食の大切さを学ぶことができるようにしていくべきと考えますが、今後の取組についてお伺いをいたします。
○松田管理部長 中央卸売市場におきましては、市場業界の方々の協力を得ながら、夏休み親子見学会での模擬競りの体験や、冷凍マグロを保管するマイナス三十度の冷蔵庫に入る体験を通じまして、実際に市場を体感していただくとともに、こどもいちば教室でのかまぼこ作り体験等を通じた食材に関する知識の習得や、市場の果たしている役割等の理解促進を図ってございます。
次世代の担い手となる子供とその保護者の方々が、市場の果たしている役割や、生鮮食料品等に関する商品知識について理解を深めることは非常に重要でございまして、新型コロナウイルス感染症による制約がある中にありましても、市場見学や対面型による食育、花育等を着実に行ってまいります。
○まつば委員 今日は、市場運営に関しまして、市場業者への支援、市場施設における安心の創出、そして被災地産品や子供への関わりなどについて確認をさせていただいてまいりました。
都は開設者といたしまして、市場業者の方々、そして、地域の方々の小さな声にも耳を傾けて、連携しながら取組を重ね、都民の皆様のお声を大切にしていただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○あぜ上委員 資料の作成、ありがとうございました。
私からは、まず、市場業者への支援などについて伺いたいと思います。
中央卸売市場の取引の状況、取扱数量などを見てみますと、ここ数年間見ても、水産物の取扱数量、減少しております。
例えば、二〇一六年、ここを一〇〇としますと、二〇二一年は八〇%と減少しているわけです。
そこでまず、伺いますが、中央卸売市場の水産物の取扱数量の減少、この原因をどう分析されているのか伺います。
○前田事業部長 中央卸売市場における水産物の取扱数量は、少子高齢化など人口構成の変化に伴う消費者ニーズの多様化、食の外部化の進展、流通チャネルの多元化、漁獲量の減少など、複合的な要因により減少していると分析してございます。
○あぜ上委員 複合的な要因であると。人口の構造の変化、また、海洋環境の変化、いわゆる気候変動にも影響を受けているということだと思うんですが、なかなか市場業者の努力だけでは打開できない、そういう状況もあるということだと思います。
こうした厳しい経営環境の中でも、市場業者の皆さんは本当にご努力されているんですが、水産物の仲卸業者の中で、赤字事業者の割合というのはどんな状況なのか伺います。
○前田事業部長 令和二年一月から十二月までの間に決算期を迎えた水産仲卸業者における経常赤字の業者の割合は六〇・二%でございます。
○あぜ上委員 コロナの影響、そして物価高騰、本当に市場業者の経営を取り巻く環境がこの間、大きく変化して、大変厳しい状況だということであります。
私も先日、豊洲市場に改めて行ってきたんですが、水産物の仲卸さんも、店舗によるんですけれども、店じまいが早くなってきていると聞いています。
先日、日刊食料新聞に書いてあったんですが、全国の水産物卸組合連合会が今年の八月に実施した新型コロナによる水産仲卸業者への売上高への影響調査、これは八割程度の事業者が売上高の回復に至っていないと、そして、利益面での減少幅が大きいことが分かったと分析されておられました。そして、資材高、物価高騰、この影響も受けて、水産仲卸業界は、コロナ禍以前の業績回復どころか、危機的な状況に陥っていると、そういうふうに書いてありました。
本当にそういう意味では、東京都としても、市場局としても、経営強靱化推進事業で、水産仲卸業者に対して販路拡大に向けた第三者認証取得とか、それから、業務の効率化に向けたシステム導入の支援など、本当にご努力されていることは理解しております。
しかしながら、水産仲卸業者などの中には、やはり取り扱う品目によっては、また、規模によっては、なかなか販路拡大をすることも難しいと、こういうところの支援の内容も、私は異なってくると思うんです。
先ほども、伴走型支援が今年度からスタートしたというお話もありました。しかしながら、こうした支援策もなかなか活用できないでいらっしゃる、そういう業者の方もいるのが、私は実態ではないかというふうに思います。
こうした方々が、今後、そうした様々な支援を活用できるようになるために、都はどのように取り組んでいらっしゃるのか伺います。
○前田事業部長 経営支援策の活用促進につきましては、広く市場業者に情報提供できるよう、様々な媒体を活用するなど工夫するとともに、経営の専門家と連携して定期的に各場を訪問し、市場業者に直接面談するなどを通じて、制度の周知に取り組んでおります。
○あぜ上委員 直接面談と。これは非常に、私、大事だというふうに思います。なかなか業者の方々も苦しいことを声に出せないで苦しんでいらっしゃる方もいらっしゃるので、ぜひ、面談をして、こんな支援もあるよということをお話ししていただけたらなと。
同時に、やはり、この間の、これだけ厳しい環境の中で使用料の減免、これ、繰り返し私も求めてきましたけれども、こうした使用料の減免制度や、それから、あと直接支援、こういったものも、私は、ぜひ具体化していただきたい、そして、支援を強化していただきたい、そのことを強く求めたいと思います。
この間、私、繰り返し、中央卸売市場が果たしている役割は、やっぱり都民の安全・安心の食生活や日本の食文化を守る基幹的なインフラとして大事な役割を担っていて、その機能を、都としてしっかり維持、発展させることが大変重要であるということを主張させていただいてきました。
都として、こうした公的な役割をしっかりと堅持して、市場業者も役割を発揮できて、事業を安定的に進めていくことができるように、業者の皆さんの厳しい経営環境であることも踏まえて、ぜひ、分野別、また、市場別の業者の皆さんと丁寧に意見交換もしながら進めていっていただきたいと思います。
経営計画の中に書かれています使用料の改定、これについて、東京中央卸売市場経営計画に協議をするというふうに記載されているわけですけれども、事業者の合意と理解の下で使用料は決定をするように求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
○萩原財政調整担当部長 使用料体系や料額につきましては、受益と負担の観点から検証を行った上で、これまでの使用料改定と同様に、業界の意見等も踏まえながら、将来を見据えて検討してまいります。
○あぜ上委員 私は、この使用料の改定については、やはり市場の事業者の皆さんの合意と、そして納得、これが大前提でなければならないと思います。ぜひ、そのことを改めて求めたいと思います。
さて、先ほど一般会計の繰入れの見直しに向けて検証するというご答弁がありました。そして、今、市場も、市場会計へ一般会計の繰入れは、施設の管理費とか、それから、行政指導に係る人件費等を入れているわけですが、そこに限っているわけです。昨年度の決算でも約二十五億円の繰入れだったというふうに記憶しております。
どのようなものを一般会計の繰入れにすることを検討されているのか、先ほどご答弁あったんですけれども、もう少し具体的に、いえるのであればお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
○萩原財政調整担当部長 一般会計からの繰入れにつきましては、これまで現場取引業務の指導監督等の公正取引の実現を目的とした業務などを対象としてまいりました。
令和三年度に策定いたしました東京都中央卸売市場経営計画におきましては、繰入れの対象となります経費の在り方につきまして、災害対応やデジタル化対応、環境問題への取組など、市場を取り巻く環境の変化に応じまして、中央卸売市場が果たすべき社会的な機能や役割の発揮に向けて見直しを図る必要があるものとしてございます。
そのため、都民に対する説明責任を果たすことを前提といたしまして、一般会計で負担すべき行政的経費と市場使用料で負担すべき営業的経費の対象の見直しに向けた検証を行うこととしてございます。
○あぜ上委員 私は、一般会計の繰入れについても、現場と話合いをしっかり行うこと、これ、大事だと思っていますが、やっぱり建値市場として安定的な運営ができるようになる、これ、大前提なんですが、先ほどご答弁でもあったように、災害時に果たす役割、これを考慮すること、それから、環境に配慮した市場になるための取組への支援、これは本当にもちろんのこと、コロナの検査の対策など、コロナ対応、こういった支援なども含めて、私は検討すべきではないかと考えます。
中央卸売市場の役割、機能を維持するためには、やはり行政としての責務にふさわしい一般会計の繰入れを検討していただきたいと、このことを強く求めたいと思います。
さて、千客万来施設について伺いますが、先ほど来お話がありまして、私も現場へ行ってみたんですが、外側から見た範囲でしか分からなかったんですが、かなり工事も進んできたんだなということが分かりました。そして、現在の進捗状況については、先ほどご報告もございました。
二点、確認したいんですが、一点は、千客万来施設の土地使用料、これは幾らを見込んでいらっしゃるのか伺います。
○北島渉外調整担当部長 都は、千客万来施設事業の事業者との間で、豊洲市場六街区の千客万来施設事業用地に係る事業用定期借地権設定契約を締結しております。この契約の規定に基づき、事業者が支払う土地の賃料は月額六百十万円であります。
○あぜ上委員 ありがとうございます。今日は、この点についてはちょっともうあれなんですが、温泉、ホテルのほかに、飲食店をはじめ様々なお店が並ぶということ、先ほどもお話がありました。それで、場内の関連事業者であります物販への影響、これをどう見ていらっしゃるのか、また、物販とはどのような話合いをされているのか、この点、伺いたいと思います。
○北島渉外調整担当部長 千客万来施設は、豊洲市場本体と連携することにより、豊洲ならではの活気やにぎわいを生み出すことで、地域のまちづくりや活性化に貢献するとともに、相互に魅力を高めていくものと考えております。
都は、物販店舗を取りまとめる組合に対し、千客万来施設の整備スケジュールやテナントリーシング等についての情報提供を行っております。
○あぜ上委員 豊洲市場の物販のところにも、私も行ってきたんですけれども、業者の方ともお話ししましたけれども、やはり海外の取引など、うまくいったところは非常にいいんですけれども、物販業者の皆さんもなかなか経営が厳しいなという状況でした。
お客さんは確かに少し戻ってはきました。しかしながら、十時半頃に行ったんですけれども、もう二十数店舗はシャッターを下ろしているというような状況でありました。
先ほど物販には情報提供されているというご答弁だったんですが、場内での物販売場というのは非常に奥まっているわけです。一番奥にあるわけです。だから、一般の方や観光客の方が入場すると、千客万来の方に流れていって、自分たちには相当の影響があるんじゃないかという、率直に不安な声も実は伺っているところです。
場内の物販から既に千客万来のテナントに移るよという業者の方もいらっしゃるようですが、場内の、やっぱり関連事業者であります物販への営業の影響についても、ぜひ、ご配慮いただきたいと思うので、実態はどうなっているのか調べていただき、また、物販の方々とも十分な話合いをして対応していただきたいと、そのことは要望しておきたいと思います。
今日は、この大綱二点について伺わせていただきましたが、私の質疑をこれで終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○西崎委員 まず、財政の部分から伺おうと思っておりましたけれども、大分質問が重複している部分がありますので、恐縮ですが、意見だけちょっと最初の一分、申し述べたいと思います。
経営計画でも財政の長期推計ということをお示しいただいているところですけれども、相当厳しいことが示されているように受け止めております。使用料収入が毎年五・五%ずつ、毎年毎年増加して、それでやっと二十七年後、経常収支が黒字化ということですが、雲をつかむような話なのかなと、正直、印象としては受け止めております。
すると、やはり市場会計の在り方そのものが問われなければならないというふうに私も思っておりますし、この間、本日も、さきの委員からも一般会計の繰入れに関しまして議論があり、また、今後の見直しについて、一般会計の繰入れの対象となる経費の在り方について、いってみれば時代の変化であるとか、新たな課題に対して見直しを図る必要があるという認識をお持ちであるのかと思いますけれども、率直にいって、それで足りるんですかという印象です。
私もまだ二年目の新人でして、正直に申し上げて、市場会計の財政であるとか、ないしは長期推計というのをしっかり見るようになったのは、ここ最近の話でありますけれども、率直にいって、より根本的な部分に踏み込んで議論していかないといけないんだろうなと、ごく率直な意見として感じたところです。
いわゆる一般会計繰入金の行政的経費、これにつきましては、中央卸売市場の公的な役割を果たしていくための経費を対象として、今、繰入れを受け入れているということでありますけれども、じゃあ、このまま続けていって、最終的には当然避けると思いますが、仮に資金がこのままショートして、市場が運営できないとなったら、公的な役割を果たしているといえないですよね。当然、都民生活にも多大な影響を及ぼすものであろうかと思います。
すると、もちろん経営計画で定められているような市場の機能の最適化であるとか、業者さんの売上げの増加に向けた取組というのは徹底的に進めるというのは、当然、大前提になるかと思いますけれども、一般会計からの繰入金の哲学の部分というのは、果たして適正なのか、今、経営計画でお示しをいただいているような新たな課題に対応するためだけの見直しでいいのかというのは、なかなか一足飛びにいく部分ではないかと思いますが、継続的に検討を進めていただきたいと、ここでは意見として指摘をさせていただくにとどめますが、ぜひ、お願いをしたいと思います。
それでは、質問の方に入ります。BCP関連からお聞きをさせていただきます。
災害−−震災というのは、もうかねてからいわれているところでありますけれども、本年も、そして、ここ数年、気象災害の激甚化というのも深刻なところです。先ほども申し上げましたけど、公的な役割を担うという、そういう市場にとって、有事の際の対応力というのはますます重要になってきているというふうに考えます。
そこでまず、初めに、現在の中央卸売市場の災害時等における事業継続体制について伺います。
○渡邉市場政策担当部長 中央卸売市場は、都民へ生鮮食料品等を円滑かつ安定的に供給する基幹的インフラとしての役割を担っており、大規模災害等が発生した際でも、事業を止めることなく、その責務を果たしていくことが必要であります。
このため、都は、震災等の自然災害や新型コロナウイルス感染症の発生時におきましても、市場機能を維持するための危機管理マニュアルや事業継続計画を策定しております。
また、大規模災害時における生鮮食料品の調達に関する協定を締結している市場業者に対して、大規模災害等の有事の際に協力を要請することで、都民への生鮮食料品の供給を確保することとしております。
○西崎委員 現在でも、市場と、またそして協定を締結している業者さんも含めて、災害等の有事の際の体制というのは想定をしているということかと思います。
一方で、新たな経営計画、こちらにもうたわれているところでありますけれども、事業継続体制を今後見直していくというような記載があるわけでございますけれども、それでは、今お答えいただいたような現在の事業継続体制の見直しの必要性についてお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○渡邉市場政策担当部長 昨今、大規模地震のみならず、大型台風による風水害など、市場運営に影響を及ぼしかねない多様なリスクが生じております。
そうした中におきましても、中央卸売市場が基幹的インフラとして、止まることなく、その役割を着実に果たしていけるよう、事業継続体制の見直しを図っていくことが必要であると認識しております。
本年三月に策定した東京都中央卸売市場経営計画におきましても、事業継続体制の確保、強化を図っていくこととしております。
○西崎委員 現在、多様なリスクが生じているということでございまして、今回ちょっと念頭に置いているのは違うかもしれませんけれども、まさに皆様がこれまで必死の思いで対応してこられた新型コロナなんていうのも、まさに、これまでリアルには想定をしづらかったリスクかと思いますし、こうした様々な経験を踏まえて見直しを図っていくということは非常に重要であると感じております。
一方で、これまで業務継続計画であるとか危機管理マニュアルというものを策定して備えをしてきたということは理解をいたしますけれども、いわゆる中央卸売市場としての特出しのBCPみたいな側面というのは、正直、やや弱かったのではないかというふうに受け止めています。当然、公的な役割を担う市場としての果たすべき役割、これは認識をされていても、業者さんも含めて、いつ、誰が、どのように対応するのかという、きめ細かく対応しておかなければ、やはり、いざというときになかなか役立ちづらいことになってしまうかと思います。
昨今、よく想定外ということが、特に災害のときにいわれるわけでありますけれども、そうはいっても、きちんとした想定がないときに、いよいよ想定外というのが対応困難になるということでございます。だからこそ、皆様も、今、新たな体制の確保、強化を目指していることかと思います。
そこで、この経営計画の中でもありますけれども、まずは全市場を対象としたリスクアセスメント調査から実施するとされておりますけれども、この調査の実施状況についてお聞かせください。
○渡邉市場政策担当部長 昨今の気候変動の影響に伴う異常気象といった災害など、多様なリスクに対応するため、事業継続体制の見直しが必要となっております。
そのため、今年度実施しているリスクアセスメント調査は、自然災害等が発生した際に市場運営に与える影響について洗い出し、検証を行うものであります。
現在、市場業者等に対してアンケート調査や聞き取り調査を行っているところであります。
○西崎委員 現在、業者さん等も含めてアンケート調査や聞き取り調査ということを行っているということでありまして、ゼロベースというといい過ぎかもしれませんけれども、まさに、もう一度根本からこうした対応を見直していくということで皆様が今動かれているということかと思います。
今後は、浸水シミュレーションとか、そうしたものも予定をされているということを掲げておりますけれども、あまり拙速というのもいけないわけでありますが、一方で、あまりに時間がかかるということでもやはりいけないということでありますので、的確な体制強化ということに努めていただきたいと思います。
続けて、この流れで、最後にいたしますけれども、市場業者のBCPについて伺いたいと思います。
特に市場という性格上、やはり、それぞれの業者さんが中央卸売市場のBCPと連携するようなBCPを持っているということは、見方によっては不可欠とすらいえるかと思います。
一方で、やはり業者さんの規模、様々な状況によって、なかなかBCP策定までは至りにくいということも当然考えられるわけでありますので、ここに対する支援が必要であるというふうになってくるかと思います。
そこで、こうした市場業者のBCP策定支援の考え方について伺います。
○渡邉市場政策担当部長 中央卸売市場の災害対応力をより一層高めていくためには、開設者である都だけでなく、取引の担い手である市場事業者におきましても事業継続計画を策定し、都と市場業者が連携して取り組むことが重要であります。
今後、都は事業者に対して、BCPの策定状況などの調査を実施するとともに、BCPを策定していない事業者に対しましては、作成のサポートなどを行ってまいります。
○西崎委員 今後、様々な支援も行っていくということでありますけれども、現段階で、そもそも中央卸売市場のBCPが見直しの俎上にあるということでありますから、ある意味では、断定的、確定的な方向性を、今、業者さんとこうやって連携していきますと明確に打ち出すというのはなかなか難しい段階かと思いますけれども、一方で、今、ご答弁にもありましたように、業者さんと連携した非常時の体制を構築していくという、この方向性については確固たるものなんだろうなというふうに考えております。
特に災害に関しましては、今、こうしてお話をしている間にも、いつ大きな地震が来るか分からないということでありますので、これまでの取組にさらに加えて、様々、経営計画でお示しをいただいている取組もしっかりと進めていただくことで、効果的な事業継続体制、こちらを整えていただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○慶野委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時七分休憩
午後三時二十五分開議
○慶野委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○鈴木委員 いよいよ今日から十一月一日ということで、テレビをつけると、やはり様々な値上げの問題が、今日もテレビのニュースのどの局も報道しておりました。正直いって、新型コロナウイルスの感染症の本当に長期化といっていいと思うんですけれども、加えてウクライナ情勢などの、それに伴う原材料の原油価格の高騰、さらには電力不足や円安による物価高騰など、中央卸売市場を取り巻く環境は厳しさをさらに増している、このようにいえるんじゃないかというふうに思います。
しかしながら、このような厳しい状況にあっても、中央卸売市場は、都民の消費生活を支える基幹的なインフラとして、生鮮品などの安定供給に取り組む使命があるわけでございます。こうした重要な使命を果たしていくためには、都として、市場の現場で日々の取引業務等を担っている市場関係者の方々の声を吸い上げて、真摯に受け止め、市場運営に生かしていくことが不可欠でございます。
本日の私の質疑では、こうした問題意識の下、まず、卸売市場が果たしている役割について確認をしたいと思います。
国の公表したデータによると、青果や水産物の市場経由率はおおむね五〇%程度とされています。流通の多元化や加工品のニーズの高まりなど、様々な要因が指摘されていますが、こうしたことを受けて、もはや卸売市場に役割はないというふうに主張する方もおられると聞いております。
現実的に、私も取引の方の審議会の委員をさせていただいておりますけれども、学者の先生は、私が今いったような表現じゃないんですよ、もう市場無用論みたいな、そういったご意見を本当に発言をされる。
私にとっては驚きもあるんですけれども、そういった意見に対して、市場というものがいかに都民、そして国民にとって大事なのか、そういった役割を果たしているのかということをしっかり示していかなければいけない。
しかしながら、国産青果物は約七〇%が卸売市場を経由しているというデータを拝見しますと、流通の形態は多様化しても、いまだに全国の産地は、卸売市場という流通の仕組みに一定の期待を寄せているのではないかと強く感じております。
そこで、本日は、産地や小売業といった、市場を利用されている方々のニーズや問題意識は何かを伺った上で、改めてこの卸売市場の意義について確認していきたいと思います。
産地や小売業者のニーズを把握するのは、まずは取引を担う市場業者の方々と思いますが、市場業者の方々と目線を合わせて、将来の市場の在り方を考えていくためには、開設者である東京都中央卸売市場当局もしっかりとした理解が必要でございます。
そこでまず、産地や小売店等のニーズを把握する必要について、都の考えをお伺いいたします。
○前田事業部長 サプライチェーンの中間に位置する卸売市場に求められる役割は、生鮮食料品などの供給を担う産地の生産者と消費者の需要に応える小売店などの実需者を結ぶことにより、産地で収穫された生鮮食料品などを消費者まで安定的にお届けすることでございます。
さらには、こうした役割を通じまして、産地における再生産の確保と安定した消費生活の実現に寄与しております。
卸売市場が集荷力や販売力の向上を図り、求められる役割を継続的に果たしていくためには、公平かつ公正な取引環境を確保するとともに、産地や実需者のニーズに的確に応えていくことが必要であると認識してございます。
○鈴木委員 この集荷力や販売力の向上により生鮮品等の安定供給を確保、維持していくため、ニーズの把握が必要との見解ですが、産地や小売店等のニーズを把握するため、どのような取組を行っているのかお伺いします。
○前田事業部長 卸売市場の開設者である都は、産地や小売店などの実需者と日々取引している卸売業者や仲卸業者との意見交換や、各市場で定期的に開催している取引委員会などを通じまして、産地や実需者の現状や課題、ニーズなどをヒアリングしてございます。
さらには、産地などの実情を実際に見聞し、直接生産者や実需者の方々と対面して意見交換を図ることは、相互理解を深め、開設者として施設整備や市場運営の在り方に反映することができるなど、非常に有用であると認識してございます。
このため、令和四年度におきましては、大規模な圃場を有し、単一作物を集中的に栽培する生産者、ハウスなどの園芸施設や先進的な集出荷施設などを活用して計画的な出荷を行っている生産者などを訪問したほか、都内に多くの店舗を展開し、市場を主な仕入先として利用している量販店とのヒアリングを行いました。
○鈴木委員 現場の視察や量販店とのヒアリングを行っていると今ご答弁をいただきましたが、市場を利用される方々の声に、開設者自らが耳を傾ける取組を行っていることは、卸売市場が信頼を得て運営していくために非常に重要なことだと私は思います。
そこで、視察やヒアリングにより、生産者からは市場に対するどのようなニーズと課題を把握することができたのか伺います。
○前田事業部長 生産者からは、例えば収穫期に集中的に収穫したものを余すことなく出荷するためには、卸売市場の需給調整機能は不可欠であり、卸売市場のおかげで安心して生産に注力できるという声がございました。
そうした評価の声に加えて、卸売市場に対して、産地で適切な温度管理を行っているものの、市場施設の老朽化や設備の陳腐化などにより品質に与える影響や、狭隘な施設に伴う物流の混雑が生じていることなどの課題解決を求める声がございました。
○鈴木委員 ややもすると、市場経由率が低下傾向を続けて、中間流通が効率性を阻害しているのではないかと議論されている中で、産地が市場における需給調整機能を評価する声があったことは、私は大変心強いというふうに思っているんです。
そこで、量販店へのヒアリングにおいても、市場に対するどのようなニーズと課題を把握することができたのかもお伺いします。
○前田事業部長 量販店からは、例えば産地直送などにより特定品目を特定量で断続的に集荷するだけでは、消費者が求める需要の変動に柔軟に対応することはできないため、必要な商品と数量を確実に仕入れることができる卸売市場の需給調整機能は重要だという声がございました。
また、産地と太いパイプを量販店などが個社の力で築くことは難しく、産地とのつながりは、消費者に対する商品説明などの面からも、市場業者の役割に期待しているという声がございました。
しかしながら、取扱品目ごとに市場の開市日が異なることがあり、統一的な対応を求めるなど、課題解決を求める声がございました。
○鈴木委員 お伺いをしていると、量販店等の方々は、消費者の需要にしっかりと応えるため、卸売市場や直送などをうまく使い分けながら対応しているのではないかと、このように理解をしております。こうした期待に応えるためには、提示された課題にはしっかりと対応していくことが重要であります。
そこで、ヒアリング等で把握した生産者や量販店のニーズを踏まえて、今後どのような取組が必要と考えているのか伺います。
○前田事業部長 生産者や実需者へのヒアリングなどにより、生産者にとっては出荷先として、量販店などの実需者にとっては仕入先として、卸売市場の需給調整機能に対する期待が大きいことを改めて認識いたしました。
引き続き、条例等に基づいた指導監督を適切に実施していくことなどにより、安心して取引ができる公平、公正な取引環境を確保し、産地や実需者からの信頼を得ていくとともに、各市場の施設の適切な維持更新と機能強化を図りながら、産地や実需者のニーズに対応した市場運営を行うことで、信頼される市場づくりに取り組んでまいります。
○鈴木委員 これまで、開設者である中央卸売市場当局においては、市場業者とは現場などで緊密に意見交換などを行ってそのニーズを把握してきたと思いますが、直接の接触機会を持たない産地や小売店などとは意見交換を行う機会が少なかったのではないかと思います。
本日お伺いしたヒアリング結果によれば、卸売市場は産地や小売店等の皆様にとっても欠かせない存在であり、その機能をいかんなく発揮することに期待が寄せられていることを、改めて確認をすることができました。
産地や小売店等に期待される卸売市場となるよう、ハードとソフトの両面から、開設者としてしっかり課題解決していくことが、ひいては場内の市場業者の活性化につながるものと思います。引き続き、様々なステークホルダーに耳を傾けた取組を続けてほしいと要望いたします。
次に、公平かつ公正な取引環境と同様に、卸売市場の根幹を支える重要な事項である品質衛生管理についても伺います。
品質衛生管理については、食の安全や安心に対する意識が高まってきたことなどを背景に食品衛生法の改正があり、令和三年六月から、食品等を扱う事業者に対して、HACCPに沿った衛生管理が義務化をされました。中央卸売市場においても、食の安全・安心を確保することは重要であるため、市場業者においてHACCPに沿った衛生管理を着実に実施していくことが求められていると思います。
そこでまず、市場業者におけるHACCPに沿った衛生管理の必要性及び効果についてお伺いします。
○前田事業部長 消費者などにおける食の安全・安心に対するニーズの高まりなどを踏まえて、食の安全を確保するため、平成三十年に食品衛生法が改正され、令和三年六月から、原則全ての食品等事業者に対して、HACCPに沿った衛生管理を行うことが義務化されました。これにより、卸売市場内の卸売業者や仲卸業者においても、HACCPに沿った衛生管理の実施が必要となりました。
HACCPに沿った衛生管理を実施することで、入荷から出荷までの各工程で注意すべき事項を適切に管理できるようになることから、取り扱われる食品の安全性の確保や信頼性の向上につながり、それが市場流通における安全・安心の確保にも資することになると考えてございます。
○鈴木委員 卸売市場の信頼性を確保するためには、一部の市場業者だけがHACCPに沿った衛生管理の実践ができていても意味がありません。全ての業者が足並みをそろえて取り組むことが信頼を得るためには欠かせないため、都による支援が必要なわけでございます。
そこで、市場業者におけるHACCPに沿った衛生管理の実施に当たって、都が今まで行ってきた支援についてお伺いいたします。
○前田事業部長 HACCPに沿った衛生管理につきましては、各事業者で作成した品質・衛生管理マニュアルに基づき、PDCAサイクルを回すことで適切な衛生管理を実施していくことが必要となります。
そこで、都では、まずマニュアル作成に当たって参考となるガイドラインを作成した上で、講習会の開催などにより、当該ガイドラインに準拠して、各事業者がおのおののマニュアルを作成できるように支援いたしました。
また、市場業者がマニュアルに基づいてHACCPに沿った衛生管理を実施できるように、福祉保健局の市場衛生検査所と連携しながら、現場の巡回や記録のチェックなどにより、実施状況を確認し、必要に応じて指導監督を行ってございます。
○鈴木委員 マニュアルの作成や記録のチェックなどによって、市場業者によるHACCPに沿った衛生管理の実施を支援してきたと、今こういった答弁をいただきましたが、安全・安心を築いていくためには、これを継続していくというのかな、継続した取組が不可欠じゃないかと思うんです。そのためには、HACCPに沿った衛生管理の定着を図っていくことが重要であると思います。
そこで、HACCPに沿った衛生管理の定着に向けて、都はどのような取組を行っているのか伺います。
○前田事業部長 市場業者におけるHACCPに沿った衛生管理は、卸売市場における食の安全・安心を確保する上で基本となる取組であり、品質衛生管理の徹底を図るため、その継続的な実施が重要だと考えてございます。
そこで、都は、HACCPに沿った衛生管理の定着を図るため、市場衛生検査所と連携して各市場で講習会を開催し、意義や実施すべき基本的な内容などを改めて受講できるようにしてございます。
また、定着のためには市場業者に自律的な取組を促すことも重要となるため、今年度からは、外部講師による品質衛生管理の強化に向けたワークショップを開催し、市場業者が主体的に実践的な取組を進められるよう後押ししてございます。
○鈴木委員 HACCPに沿った衛生管理の定着を図るため、講習会やワークショップを開催しているということを今伺いましたが、そのような取組により、自分たちの衛生管理に対する振り返りを行うことは非常に重要であります。やっていて当たり前というレベルまで定着を図っていくためには、このような取組を地道に継続していくことが必要だと私は思います。
HACCPについては、諸外国では、輸入に当たってHACCPに基づく衛生管理が必要となっているケースもあるというふうにも伺っております。品質衛生管理の強化は、食の安全・安心の確保だけではなく、輸出を含めて販路開拓のチャンスを広げることにもなるため、取引の活性化に向けても重要な取組だと思います。
そこで、品質衛生管理の強化を通じた販路開拓などに向けた市場業者の取組を、都はどのように支援しているのかお伺いいたします。
○前田事業部長 都では、海外を含めた販路開拓などのため、食品安全に関する国際規格でありますISO22000やFSSC22000などの取得を目指す市場業者に対しまして、経営強靱化推進事業により、取得に要する経費の一部を補助してございます。
また、品質・衛生管理マニュアルの運用講習会や市場業者向けの情報誌などにおきまして、当該支援制度やその活用事例の周知を図るとともに、経営相談事業により、品質衛生管理に関する相談に対応することで、第三者認証の取得をはじめとする品質衛生管理の強化を図る市場業者の自主的な取組を支援してございます。
○鈴木委員 次に、十一の中央卸売市場の中でも、特に開場以来、取扱数量が飛躍的に増大した反面、市場の狭隘化が著しくなるなど様々な課題が生じている、私の地元にある大田市場について、何点か質問をさせていただきたいと思います。
平成の幕開けとともに開場した大田市場、開場して三十年以上が経過をいたしました。都内の中央卸売市場の中で唯一、青果、水産、花きという三つの品目を取り扱う市場でございます。その中でも、青果及び花きについては、施設規模及び取扱量ともに我が国で最大の市場であります。
一方で、取扱量の増大に伴い、大量の荷物、それと車両など、こういったものが集まることで場内の狭隘化が著しくなっているなど、駐車場不足等が大変深刻な状況にあります。
そこで、大田市場において、狭隘化に伴う場内混雑や駐車場不足など、場内交通の課題に対する都の取組をお伺いいたします。
○渡邉市場政策担当部長 大田市場は、開場以来、取扱量が増加傾向で推移しておりまして、開場当初の計画数量を大きく上回っていることから、近年、市場の狭隘化に伴う場内混雑が著しく、円滑な場内物流の確保が重要な課題となっております。
このため、都は令和三年度に、大田市場協会をはじめとする市場関係者と共に市場内における交通及び駐車場などの在り方について検討する会議体を設置し、令和四年度には場内の交通ルールを改正し、周回道路等の規制強化を図ったところであります。
今後、市場全体の利用状況を踏まえ、さらなる交通ルールの徹底や場内秩序の維持、場内混雑に伴う駐車場不足などへの具体的な方策の取りまとめに向けて検討を進めてまいります。
○鈴木委員 今、様々な会議体を設置して、様々な対策を立てているというような答弁をいただいたわけなんですけれども、実際には駐車できるスペースというのは増えたんですか。増えているんですか。
○渡邉市場政策担当部長 駐車できるスペースにつきましては、現在、純粋に増えているというところまでは至っておりません。
○鈴木委員 大田市場が開設されて三十年余りたって、業務量の拡大、そして狭隘化、これはもう本当に現実の問題となっているわけでございまして、私は、大田市場に隣接する港湾局用地の活用というものは待ったなしなんじゃないかなというふうに思うんです。
私自身も大田臨海部まちづくり協議会というものを、市場協会の皆さんや、実際に様々な臨海部の五つの島の連合会の皆さんや、臨海部、島しょ部の魅力を高めていこうという皆さんと一緒に会議を続けているんですけれども、大田市場の周りにある、本当に東京都でも活用できる、数少なくなったこういった港湾局用地というものを活用して、平日は駐車場用地として、そして日曜や祭日は、いってみれば場外市場のような一つのにぎわいをつくりながらイベントにも活用できる、私はそんなような用地として活用していくべきなんだろうということで、皆さんと一緒に、そういったプランも毎年のように港湾局の方にも要望書を提出しているわけでございまして、これは答弁は要りませんが、こういった港湾局用地の活用というものも、そろそろ−−そろそろじゃないよね、大田市場の周りで、残された東京都の、それは所管が違うんだからなかなか難しいところはある、そんなことは十分知ってこのように発言しているわけですけれども、ぜひ活用をできるよう、私は港湾局に中央卸売市場当局からも申入れをしっかりとすべきではないのかな、そのように考えております。
大田市場に毎日、各国、各地から大量の荷が集まってくること自体は、市場業者の方々による長年の努力のたまものであり、評価すべきことであります。
一方で、大量の荷が集まることに伴い、大田市場には、産地などから大量のパレットが持ち込まれ、その結果、場内における適切なパレット管理の徹底や、破損した木製のパレットなどが大量に廃棄物となって排出されることへの対応を求める声があります。
そこで、狭隘化している場内スペースの有効活用に向けて、大田市場に集積している大量のパレットへの対応について、どうするのか、これについて伺いたいと思います。
○渡邉市場政策担当部長 産地等から大田市場に搬入されるパレットにつきましては、場内におけるパレット管理の仕組みづくりや、破損した木製パレット等の適切な処理等が課題となっております。
このため、都は、市場業者と連携し、場内にあるパレットの管理ルールや、プラスチック製パレットを活用した産地などとのパレット循環体制の構築などに向けた検討を進めるとともに、場内における木製パレットの廃棄量削減及びリサイクルの推進等に取り組んでいるところであります。
今後、国と連携した青果物流通標準化に向けた取組などを踏まえつつ、これらの施策を進めることで大田市場の場内スペースが一層有効活用されるよう、業界と共に取り組んでまいります。
○鈴木委員 木製パレットの廃棄量の削減、リサイクルの推進は、業界と共に取り組む問題であることは間違いありませんが、市場当局としても、しっかりこういった予算化をする必要があるんだというふうに考えています。
市場業者の方々の日々の努力の結果、大田市場が基幹的な市場として、地位を確固たるものとして都民の消費生活を支えてきましたが、こうしたパレットの問題などがボトルネックとなって円滑な場内物流が損なわれ、市場運営の支障となることは避けなければなりません。開設者である東京都は、日々の市場取引を担っている市場業者の方々が円滑に業務が行えるよう、駐車場不足や場内混雑などの課題に対して適切に対応するよう、強く要望いたします。
大田市場は、先ほど申し上げましたように、開場から三十年以上が経過しており、施設や設備が老朽化しております。業界の方々が円滑に取引などを行うためには、その器であるこの市場施設が適切に維持管理され、使い勝手のよいものとなっていることが前提であります。破損における箇所や設備に手を入れて維持更新をするように、市場協会と共に、私も毎年予算要望をさせていただいているところでございます。
そこで、大田市場における老朽化対策の取組についてお伺いいたします。
○渡邉市場政策担当部長 日々の市場取引などが円滑に行われるためには、市場業者の方々が日常的に使用している市場施設につきまして、適切に維持更新を行うことが重要であります。
開場から三十年以上経過する大田市場におきましては、施設や設備の更新期を迎えており、これまでに事務棟の給排水やエレベーター等の設備機器の取替え、建物の外壁などの大規模更新工事を継続的に実施してまいりました。
令和三年度には、青果棟の屋上防水改修工事や、青果棟卸売場のオーバースライドシャッターの改修工事を行っております。また、令和四年度からは、青果部等の外周道路、花き部の構内道路につきまして路面舗装の改修工事を開始したところであります。
今後も、基幹市場である大田市場の機能を着実に維持していくため、市場施設の計画的な維持更新に取り組んでまいります。
○鈴木委員 我が国を代表する市場である大田市場の機能が確実に維持されるよう、今後も計画的にしっかりと老朽化対策に取り組んでいただきたい、そのように要望いたします。
施設や設備の更新期を迎える大田市場においては、様々な更新工事などを行うことが必要であります。
一方、複数の工事が同時並行で実施されることにより、市場関係車両に加えて、多数の工事車両が進入するとともに、場内に工事ヤードを確保することとなり、狭隘化が進む大田市場の場内混雑にますます拍車がかかってしまうのではないかということは大変危惧されるわけです。
都民に生鮮品などを届ける使命を持つ中央卸売市場は、営業を止めることはできませんが、日本最大規模であり、毎日、全国各地から大量の荷が集まる大田市場においては、大規模な工事を行う場合であっても、生鮮品等流通を円滑に継続する使命を果たすことが求められております。
そこで、場内混雑など厳しい制約のある大田市場において、施設の維持更新工事を行う際には、市場業務への影響に配慮しながら進めていく必要があると考えますが、見解をお伺いします。
○渡邉市場政策担当部長 青果物や花きの基幹市場である大田市場におきまして、業務を継続しながら施設の維持更新工事を行う際には、場内混雑など厳しい制約を伴うことから、市場業者の方々の協力を得ながら効率的に取り組んでいくことが重要であります。
このため、卸売場など個別の建物の更新に当たりましては、まず、建物ごとの維持更新計画を策定し、その後、工事を市場単位で効率的かつ集中的に実施していくための市場全体の計画として取りまとめた上で、市場業者と早期に内容の共有を図ってまいります。
こうした取組を通じまして、市場業者の方々の理解と協力を得るとともに、工事期間中における市場業者の動線確保など、適切な配慮の下で円滑に工事を進め、市場業務に及ぼす影響をできる限り小さくするよう努めてまいります。
○鈴木委員 市場業務に及ぼす影響をできるだけ小さくするよう計画を取りまとめて、市場業者や市場協会への情報提供、情報共有をするとともに、安全面への配慮、くれぐれも事故がないように取り組んでいただきたいと思います。
全国の生鮮品等流通において中核的な役割を持つこの大田市場が、今後もその重要な役割を確実に果たしていけるよう、市場業者の方々の声をしっかりと受け止めて、大田市場が抱えている様々な問題に的確に対応するよう要望しておきます。
これまで大田市場が置かれている現状と課題に、開設者である東京都中央卸売市場当局が、市場業者とどのように向き合いながら対処しているのかという点について確認させていただきました。
東京都がこれからの課題の解決に向けて、経営計画で定めた施策を着実に推進するためには、市場業者としっかりと向き合いつつ、強いリーダーシップを発揮することが必要であると考えております。
そこで、最後に、大田市場が将来にわたって都民に生鮮食料品等を供給する基幹市場であり続けるために、大田市場の今後の在り方について市場長の見解をお伺いします。
○河内中央卸売市場長 平成元年五月に開場いたしました大田市場は、青果部と花き部にありましては日本最大級の規模を有しまして、特に青果部におきましては取扱量が増加傾向で推移しておりまして、令和三年の取扱数量は約九十八万トンに至るなど、開場以来、大きく成長してまいりました。
令和三年度に策定いたしました東京都中央卸売市場経営計画におきましても、豊洲市場と並び、全国拠点市場に位置づけておりまして、我が国の青果物や花きの流通に欠かせない市場となっております。
一方で、建設当初の計画数量を既に大幅に上回るなど、ご指摘がありましたとおり、市場の狭隘化や場内の混雑等の問題が顕在化しております。さらには、開場から三十年以上が経過したことによりまして、老朽化に伴い、施設や設備が相次いで更新期を迎えております。東京の市場にあって、特に重要な役割を担う大田市場におきましては、老朽化対策はもとより、市場機能の維持強化を図っていくことが必要であると認識しております。
このため、大規模更新工事等を着実に実施するとともに、産地や実需者の多様なニーズに応えるための対応を通じまして、今後とも大田市場がより一層発展できるように努めてまいります。
○鈴木委員 今日は、この新しい任期が始まった経済・港湾委員会において、市場の役割に私は光を当てて確認するとともに、地元である大田市場の現状と課題等について質疑を行わせていただきました。
これまでも卸売市場は、斜陽産業であるとか、中間流通を排除すべきだとか、果てには民営化するべきだとか、現状をしっかりと理解しないままに主張されることも多かったわけですが、私がこれまで市場関係者の方々と意見交換を重ねてきました市場流通の活性化を通じて広く社会に貢献するという重要な市場、市場の役割を改めて私は認識をすることができました。
市場当局におかれましては、今後も、この環境変化にしっかりと対応した市場運営がなされますように、着実に取り組んでいただきたいと要望します。河内市場長の強いリーダーシップにも大いに期待して、私の質問を終わります。
○斉藤委員 私、久しぶりの経済・港湾委員会でございます。中には所管替えの議論にも参加させていただいたこともありますし、市場の問題、私も都議会議員四期目でございますけれども、前任者の東野秀平都議会議員が当選した頃に大田市場が開設されまして、私、それまで千代田にもなじみがあったのですが、やっちゃ場跡地が物すごく大きく、再開発の流れの中で変わっている。
大田市場は、目黒区が私、選挙区ですから、市場まつりにもご招待いただいて、青果だけでなく、例えば魚にしても、確かに築地、豊洲というビッグネームはありますけれども、生けすによって様々売り方を工夫したり、そういった工夫の中で大田市場が発展してきたことを大変うれしく、また、感謝をしているものでございます。
それから、花きにおきましては、大変にやっぱり愛されているのが分かるんですね。お祭りに行ったら、花き、ぜひお花を分けてほしいという地域の方々のお声もありまして、この地域にある大田市場を中心に、私は、この市場をしっかりと支えていく側として質疑に立たせていただきたいと思います。
私の方からは、廃棄物処理についてテーマを絞りまして、その現状と課題について、まずお伺いしたいと思うんです。
市場では、流通の過程で多くの廃棄物が排出されますけれども、こちらの冊子になった経営計画の大体六六ページぐらいに、市場事業のサステーナブル化の中に環境問題についての大きな章立てもございますが、こうしたサステーナブルな社会を実現するためにも、廃棄物処理というのは非常に重要なテーマであると考えます。
青果物と花きにつきまして、我が国最大の取扱量を誇る基幹市場である大田市場においては、廃棄物処理費用の高騰や不法投棄、ルールを無視して不法に投棄する者の増加などの問題、大変悩ましい声が聞こえてまいります。業界によりますと、廃棄物処理の経済的な負担が高まっているというふうに、協会だより等も含めまして、協会の側からもお話を伺っているわけであります。
廃棄物処理につきましては、その排出事業者が一義的に責任を負うのは、これは当然です。市場業者が主体的に行うべきものではありますけれども、業界全体のガバナンスを高めて、市場業者の自律的な取組を促していくためには、この開設者、東京都の取組が不可欠であるという視点に立って質問したいと思います。
まず、大田市場における廃棄物処理の現状について伺いたいと思います。
○渡邉市場政策担当部長 大田市場で発生した廃棄物は、排出事業者責任の原則の下、市場業者を構成員とする大田市場協会が、廃棄物処理法上の許可を受けた事業者に委託するなどして処理をしております。
令和三年度は大田市場におきまして、野菜くずや魚腸骨を含む一般廃棄物が約九千百トン、木製パレットや発泡廃棄物を含む産業廃棄物が約三千六百トン排出されております。
同年度の大田市場協会の廃棄物処理に係る収支は、廃棄物処理費用の高騰や不法投棄の処理等により赤字であると聞いております。
○斉藤委員 今のご答弁で令和三年度の数字が紹介されましたけれども、野菜くずや魚腸骨などを含む一般廃棄物は約九千百トン。これは二十五メートルプールが五百トンというふうにいわれていますので、大体プール十九個分というか二十個分ぐらいの量が、毎年そのように一般廃棄物となっていますし、また、先ほど鈴木副委員長の話、パレットの話がありました。木製パレットもごみになっちゃうんです。そういったものが約三千六百トンということですので、大変多くの産業廃棄物があるわけです。
こういった、市場がただでさえ大変な中で、その処理費用の高騰や不法投棄の数がちゃんと減って、ゼロになっていかないと、そういった負担も増していくということは火を見るよりも明らかであります。
今のご答弁で、廃棄物処理は、一義的に市場業者の責任の下に行われていることを確認いたしましたが、市場業者は今申し上げましたように、その多くが本当に中小零細事業者なんですね、中心が。その市場業者の方々が団体をつくって支え合っている。廃棄物処理の取組を進めている中で、廃棄物の不法投棄に伴う処理費用等がこの団体の財政を圧迫している。大体こういうことをするのは、協会に対して非常に非協力的であったり、あるいは歴史についてあまり認識をされない、最近は外国人の方も増えておりますけれども、そういった文化的な背景もあるかもしれませんが、とにかくみんなで協力してやっている世界なんですね。その運営に支障を来しかねない事態が続いていると聞いております。
この不法投棄問題は、市場協会にその対応を任せるだけでは限界があることから、市場施設の管理者である東京都も、卸売市場も自らの課題として対応策を考えることが必要であると思います。
そこで、市場内の不法投棄の現状と都の対応について伺いたいと思います。
○渡邉市場政策担当部長 令和三年度は、大田市場におきまして四十三件の不法投棄があったことを確認しております。
不法投棄を行った者が発覚した場合は、中央卸売市場条例などに基づき、再発防止に向けた指導を行うなどの対応をしておりますが、悪質な事案につきましては、入場停止等の行政処分を行う場合がございます。
○斉藤委員 今、四十三件というお話がありましたけれども、市場の中は、市場協会の方で管理しているエリアと、例えば道路とか、そういう周辺のインフラだと思いますけど、東京都が管理するところ、様々な箇所が考えられますが、四十三件の中には、協会じゃない、東京都が共有部分として管理しているところも含めて四十三件というふうに伺っております。
今、そういった現状が分かりましたけれども、この不法投棄対策としては、発生後の事後処理を追いかけるだけでは不十分だと。要するに、元をしっかり絶たないといけないということで、不法投棄の発生そのものを未然に防ぐ取組こそ重要であると考えるわけです。
そこで、不法投棄を未然に防ぐためにどういった取組を行っているかを伺いたいと思います。
○渡邉市場政策担当部長 不法投棄を未然に防ぐ取組として、都は、令和三年度に入退場者の管理を徹底するため、大田市場内の監視カメラを四台増設し、警備体制を強化したところであります。
また、都と大田市場協会が協力し、市場業者に対し、不法投棄を防止し、適正な廃棄物処理を徹底するための注意喚起や啓発活動を実施しております。
○斉藤委員 この不法投棄、ご答弁というか、お話だけじゃなくて、本当になくなるように、とにかく、なくなるためにはいろんな知恵を出していかなければいけないと思います。
大田市場協会だよりをいただきました。これは令和四年五月二日号ですが、この中に事務局がどうすればいいのでしょうかというコラムの中に、大量の不法投棄があって大変困っているということで、これは反則金を支払うことで、違反した人もちゃんと話合いの話になって、合意をしましたということなんですけれども、その中に行政処分、こういったこともしっかりと果敢に、本当に悪質な場合はしっかり行ってほしいという声が上がっているんですけど、実際にやると、本当に悪質なものについてはやるんだという、今、ご答弁を確認させていただいたところであります。
また、最近はインターナショナル化というか国際化、本当に海外の方は非常に熱心に一生懸命仕事をされますので、どんどんどんどん勢いを増しているようなお話も聞いていますけれども、そうした文化の背景、ごみを本当にどう見るかということについても、生まれ育ってきた背景が違うと、こちらがそういうことに対して、それがいけないことであるということをきちんとやっぱり伝えていく力が重要であるというふうに思うんです。ですから、そういう市場内の国際化というか、そういうことについても、この不法投棄との関係をちょっと分析された上で、丁寧な未然防止策を徹底していただきたい、このように思います。
次に、木製パレットについて一つだけちょっと触れていきたいと思うんです。
市場の現場を拝見しますと、生鮮品等を産地から市場へ運ぶ際に、今、木製のパレットが用いられるようになっております。再利用している過程で破損することも多くございまして、廃棄物として排出されているというふうに先ほどご答弁もございました。
そこで、木製パレットの現在の廃棄状況と廃棄量削減に向けた都の取組について確認したいと思います。
○渡邉市場政策担当部長 令和三年度、大田市場では、産業廃棄物として木製パレットが約二千八百トン排出されております。都は、木製パレットの廃棄量削減及びリサイクル推進の観点から、再生処理に要する費用の一五%を支援しております。
今後、木製パレットと比較して相対的に耐久性の高いプラスチック製パレットの活用につきましても、市場業者と共に検討してまいります。
○斉藤委員 作ったものは自然物ではないので、必ずごみになるんですけれども、木製がごみになってしまうから、今度プラスチックでとなると、プラスチックはプラスチックで、また環境にどうのこうのといろいろあるかもしれませんが、ここはやっぱりそれぞれの物質の特性がありますから、長く長期的に使う、そういったバックキャストというか、そういう視点で、物をきちんと長く使う、そして、それが仮に更新期が来た場合にはリサイクルに回していく仕組み、今はもう廃プラスチックであろうが、例えば災害廃棄物だろうが、くずのような木材でも、それが原料となって新しいものに再構築することができる技術もあります。
コストの問題もあるでしょうけれども、そうした再生利用にそういったものも資源として使えるかもしれないですし、ごみは黙って放置すればごみですが、大切に分別して扱うと、それは宝になるということもありますので、今、悩んでいる様々な廃棄物の問題も多角的な知恵を働かせて、ぜひとも市場の活性化に生かしていただきたい、このように思います。
ここまで大田市場を通じて、廃棄物処理における都の取組について確認をさせていただきました。引き続き適切な廃棄物処理を図るために、市場業者の方、現場の方、業者の皆さんとしっかりと連携するとともに、事業者に対する支援を推進していただくことを要望して、次の質問、テーマに移りたいと思います。
もう一つのテーマでありますけれども、環境負荷軽減策であります。これも市場事業のサステーナブル化の流れに入っております。
次にお伺いする話ですが、この中央卸売市場全体で発生する廃棄物が及ぼす環境負荷の軽減に向けた取組について伺います。
この環境負荷軽減の取組は、廃棄物削減だけでなく、サーキュラーエコノミーにつながるものでありまして、卸売市場の公共性を踏まえますと、率先して取り組むべき課題とした上で、都の取組を質疑したいと思います。
まず初めに、中央卸売市場におけます環境負荷軽減策に向けた取組の意義について認識を伺いたいと思います。
○渡邉市場政策担当部長 中央卸売市場では、日々、大量の生鮮食料品等が取引されており、梱包材や容器類など多くの廃棄物が排出されております。
環境負荷の軽減に向けて、さらなる廃棄物の排出量削減に取り組むとともに、廃プラスチック製容器などのリサイクルに取り組むことは、地域社会の一員として社会的責任を果たす観点からも重要であると考えております。
○斉藤委員 廃棄物削減やリサイクルについては社会全体で取り組む課題、SDGsもそういった位置づけでありますけれども、作る責任、使う責任と様々ございますけれども、当然、中央卸売市場におきましても推進していく必要があります。
中央卸売市場からは日々、各種の梱包材などをはじめとする多くの廃棄物が排出されております。特に日本一の水産物の流通量を誇る豊洲市場におきましては、その流通過程で多くの発泡スチロール製の容器が産業廃棄物として発生していく、これもこの計画に書いてありますけれども。
この廃プラスチック削減の観点からも、難しいんですが、発泡容器のリサイクルを推進することが重要であると考えますが、発泡容器のリサイクル処理に当たりましては課題があるとも聞いています。
そこで、豊洲市場におけます発泡容器のリサイクルの現状と課題、今後の取組について併せて伺いたいと思います。
○渡邉市場政策担当部長 豊洲市場では、生鮮品等を搬送する過程で発生した発泡スチロール製の容器を、市場内に設置された処理施設で圧縮等で体積を減らした上で、廃棄物処理業者により海外に輸出され、再生ペレットとして再生利用されております。
有害廃棄物の国際的な貿易を規制するバーゼル条約の改正により、汚れた廃プラスチックの輸出基準が厳格化されたことを受け、今後は、国内メーカーでの利用拡大が可能となるよう、再生ペレットの品質向上等に取り組んでまいります。
○斉藤委員 このバーゼル条約によって、海外に出していたごみの行き場に困って、国内でしっかりと処理をしなきゃいけないということ、これはもう本当に数年前から大きな課題となっておりますけれども、技術革新、再生ペレットの品質向上に取り組んでいくということでございました。
発泡容器のリサイクルについてもご努力しているということでありますが、こうした国内外のリサイクル動向を注視しつつ、発泡容器のリサイクル推進に取り組んでほしいと思います。
また、市場では多くの食品廃棄物ですね、今度、食品廃棄物、これが出ておりまして、環境負荷を軽減するためには、再生利用に取り組むことが重要であると思います。
そこで、次は食品廃棄物について、中央卸売市場における現状について伺いたいと思います。
○渡邉市場政策担当部長 青果、水産物、花きを取り扱う十市場における令和三年度の一般廃棄物の排出量は約二万四千トンであります。そのうち、荷傷みや商品の小分け等により発生する野菜くずが約千トン、魚腸骨が約五千トン排出されており、飼料やバイオマス発電の燃料などとして再生利用されております。
○斉藤委員 飼料やバイオマス発電の燃料として再利用されている、いわゆる形を変えて、エネルギーとして利用されているということですね。
市場における食品廃棄物の現状は分かりました。生鮮品等の流通をなりわいとされる中央卸売市場におきましては、持続可能な調達に向けた取組を行っていくことは非常に重要であります。廃棄量を減らすための食品ロス対策に積極的に取り組んでいく必要があると思います。
この食品ロス対策につきましては、公明党、国の方の取組、呼びかけによりまして、超党派で大きく、この食品ロス削減が進んでいるところでございますけれども、国民の間にも大分、食品ロス削減に対する意識が高まっている昨今であります。
市場業者の中には、SDGsやエシカル消費など−−賢い消費ですね、倫理的消費ともいわれますけれども、エシカル消費など、消費者の意識の高まりを、この機運を生かして食品ロス削減に向けて取り組んでいる市場業者もいると聞いております。都は、こうした市場業者の取組を積極的に後押しをしていくべきと考えます。
そこで、食品ロス削減に向けた市場ならではの取組の具体例やこれに対する支援、また、今後の取組の方向について伺いたいと思います。
○渡邉市場政策担当部長 食品ロス削減に向けた市場業者の取組の具体例としましては、通常は市場に流通しない規格外の農産物等を活用した商流を構築するため、規格外商品を使った料理の試食会など需要喚起に向けたイベントを開催した事業者や、規格外商品に対する新たな顧客層の開拓や需要の創出のため、ECサイトを構築した事業者の例がございます。
また、市場業者が小売店の店頭に設置したモニターを通じ、リアルタイムで品ぞろえや価格設定につきまして、その目利き力を生かした助言を行うことで、小売店の商品の廃棄ロス削減につなげる取組も行われているところであります。
都では、こうした市場業者の取組に要する経費を補助事業で支援しており、今後も食品ロス削減など、市場事業のサステーナブル化に資する市場業者の取組を積極的に後押ししてまいります。
○斉藤委員 ありがとうございます。私の知る事例としましては、ChefooDoという料理人の皆さんなどで組織された一般社団法人では、食品ロス削減への取組として、未利用の野菜の活用に向けたイベントを行っております。
実は私の大学の先輩に、おからの料理専門家として有名な高橋典子先生という先生がいるんですけれども、おからというのはもともとお豆腐を作るときに出てくるそういったものを、もったいないということで、おからをできるだけ消費するような、そういったアイデアの料理を−−最初プロじゃなかったと思います、ご主人が海外にいろいろ行く中で、いろんなところの事例を見ながら料理研究家という形になっていったわけですけれども、そうした取組などは大変に多くの方々を結びつける力にもなっております。私も近々、またそのイベントに、高橋先生のところにお伺いすることになっております。
例えばそうした団体と連携して、都民への普及啓発活動などに取り組んでいくことも有効であるというふうに考えますので、これを要望しておきます。
今日は長い委員会になります。時間の関係で質問は以上にいたしますけれども、例えばフロンの対策なども本当は重要な取組なんです。フロンというのは、ルールの実効性についていろいろいわれているところなんですけれども、業態におけるフロン対策は非常に大きな課題ですから、事業者任せでなく、都としても取り組んでいただきたいと思います。
本日は中央卸売市場における廃棄物処理に着眼をしまして、事業者のガバナンス向上に向けての、どうやって取り組んでいくかということを中心に、そして、廃棄物削減に向けたサーキュラーエコノミーにもつながる環境負荷軽減の取組をどういうふうに行っていくかということを中心に質問させていただきました。
市場は、いろんな経済的な持続可能な市場を考えるときに、使用料をどうするかという受益者負担、受益と負担、利便性を片方でいいながら、必ず負担の問題が出てきますけれども、やっぱり都民に愛される施設にしていかない限り、なかなか負担を上げるということについては、私は簡単にはいかないと思います。
ですから、やっぱりいろんな取組の中で市場の持続性を考えた場合に、いろんな連携も強化されていることも書かれておりますけれども、市場があることがありがたいということを都民の皆様に本当によく分かってもらいたいんです。品ぞろえがたくさんあるのはなぜなのか。一つ一つの品物について産地の方々がやるなんて不可能なんです。
ですから、それは市場が、しっかりとした目利きがいて、衛生面でもしっかりしている中で、安心していろんなものを集めていただける、これが市場のすばらしさなわけですが、子供たちの方がよっぽど分かるんじゃないかなと思うんです。
ですから、学校の教育の中でも、市場の学びですよね、例えば物を集めて人に買ってもらう、そこでごみが出てきたらそれはどうしようかとか、そうしたものも含めまして、体験しながら、私は市場を愛していく人を都民の中に増やしていきたい、私自身が市場を大切に考えていきたい、そのような決意を申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
○風間委員 私の方からも、経営計画について少し伺いたいと思います。
既に質疑があって答弁も出ている部分もありますけれども、私が気になったのも、やはり売上高割の使用料収入、これが毎年五・五%ずつとなっていけば黒字化になる。しかも二〇四九年ですか、なかなか非現実的な見立てだなと思いながらこの計画を見ていたわけですけれども、むしろ、昨今の社会情勢や経済状況なんかを見てみますと、マイナス三%ずつというところの方が現実的なラインなのかなと見ていて感じたわけです。
しかし、これが続いていくと、何十年か後には資金がショートするというふうにも書かれているわけであり、先ほどもこれに対してどのような対応、対策を取っていくのかという答弁があったかと思います。
その答弁の中には、使用料の在り方についても検討を行っていくという話がありました。計画にも、こういった使用料の在り方ということについては触れられていることかとも思いますけれども、具体的に使用料額の見直しについて、どのように検討を行っていくのか伺います。
○萩原財政調整担当部長 市場使用料の料額の改定につきましては、受益と負担の観点からの検証を行った上で、市場会計の今後の見通しや市場を取り巻く状況に加えまして、業界の皆様の意見も踏まえながら検討してまいります。
○風間委員 今日も皆さんから様々な意見が寄せられておりますし、社会情勢、経済状況を鑑みれば、事業者の皆さんも大変に苦しいという状況の中で、一方的に使用料を上げていくということが実現するともなかなか容認されがたいものだということも感じているわけです。
では、この市場使用料収入がなかなか増えていかないということなのであれば、収入の部分が見込めないということであれば、経費の部分の削減ということも当然考えていらっしゃることかとも思います。計画の中には、市場の統廃合などというようなキーワードも出てきているわけですけれども、統廃合についてはどのように考えているのか伺います。
○渡邉市場政策担当部長 経営計画における統廃合という記載は、現在の財政状況をはじめとする市場をめぐる状況につきまして、業界と危機感を共有した上で、計画期間内に都自らが経営改善の取組を着実に実施すること、市場の活性化や収入確保に向けて業界と共に取り組むことなど、こうした取組が重要であるとの認識を示したものであります。
○風間委員 今日の議論でも市場の重要性ということがかなり意見としても出てきておりますし、私自身もこの統廃合を安易に進めていくことが必要だとも現段階で感じているわけでもありませんけれども、それも、この赤字続きの状態、資金ショートというのも数十年後ということになってくると、先延ばし、先延ばしということの検討になっていくことによって、気づいたときには、もうショート間近ということになりかねないという懸念もあるわけです。ですから、今後の取組についても注視をしていきたいと思いますけれども、この計画の詳細も今後詰めていくことを私たちとしても注目をしていきたいと思っています。
少し視点が変わりまして、市場に関して、今後、観光資源としてどのように位置づけていくのかということを伺いたいと思います。
インバウンドがまた見込めるという状況になって、かつて築地市場にインバウンドの外国人観光客が押し寄せたというようなこともあったかと思いますけれども、海外の事例では、こういった市場を観光資源にしているということもあると耳にしております。
豊洲ということに限らず、空港近くに市場が幾つかあるということも含めて、市場を観光資源に活用していくという考え方について見解を伺います。
○渡邉市場政策担当部長 中央卸売市場は、都民に生鮮品等を円滑かつ安定的に供給する基幹的なインフラとしての役割を果たすことが求められておりまして、市場の仕組みや役割等を多くの都民に伝えていくことが重要でございます。
このため、国内外を問わず、多くの方々が訪れる市場見学や、多くの地域住民の方々が訪れる市場まつりなどの機会を通じまして、生鮮品等における卸売市場の果たす役割に対する理解を深めていただけるよう、着実に取り組んでまいります。
○風間委員 本来の目的を考えれば、観光資源ということは少し外れた視点かもしれませんけれども、もちろん都民の皆さんに知っていただく広報活動というものの充実は重要だと思います。そこを観光という位置づけにするべきでもありません。
しかし、インバウンドの外国人観光客が押し寄せるというようなことによって、通常業務が滞るというような報道もかつてあったわけです。こういったところを観光資源と仮に位置づけるのであれば、その市場の入場に関する有料化等も含めて、目的外収入ということも今後はあり得るのではないかなと考えますので、今後、少し検討いただければなとも思います。
最後に、市場全体のインクルーシブな実現ということについて伺いたいと思います。
特に、花き市場に関わる事業者の中には、最近、身体障害だけではなく、知的障害を持つ方の就労というか、採用している事業者さんも増えているというようなことを耳にします。
市場全体として、こういったインクルーシブ社会の実現ということにおいてどのような取組をしているのか、また見解を伺います。
○渡邉市場政策担当部長 中央卸売市場では、市場業者による障害者等の雇用を促進するため、ハード面では、各市場におきまして施設の利用状況等を勘案し、計画的に施設のバリアフリー化等への対応を進めております。
また、ソフト面では、障害者の雇用の好事例などの情報を収集し、活用することで、事業者による障害者等の雇用を促す取組の検討を行っております。
○風間委員 事業者の皆さんは中小零細事業者が多いということですから、なかなか障害者の雇用ということに関しては難しい側面もあろうかと思います。
しかし、インクルーシブな社会実現ということで、市場としても積極的に支援していくことが今後求められることかと思いますので、ぜひこういった取組を進めていただきますように求めまして、私の質問を終わります。
○石島委員 それでは、私からは、新型コロナ感染症対策の関係についてお伺いさせていただきます。
新型コロナウイルス感染症につきましては、二〇二〇年一月十五日に国内で最初の感染者が確認されてから、もう少しで三年が経過することになりますが、依然として感染の終息は見通せていない状況であります。これまでに七回の感染拡大の波があり、その中でも第七波は感染力が強いオミクロン株の影響により、過去最大規模の感染拡大となっています。
卸売市場は、感染が拡大する中にあっても、都民に生鮮食料品等が行き届くように市場流通を止めることが許されないという使命があるわけですが、そこでまず、市場関係者におけるこれまでの感染状況についてお伺いします。
○前田事業部長 中央卸売市場における市場関係者の感染者数は、令和二年七月に最初の感染者が報告されて以降、令和四年九月までの二年三か月間の累計で二千九百三十八人となっております。本年七月から八月にかけましては、感染力の強いオミクロン株により全国的に感染者数が増加したことに伴いまして、エッセンシャルワーカーとして感染対策に努めていた市場関係者におきましても感染者数が増加いたしました。
しかしながら、基本的な感染対策の徹底はもとより、厳格な体調管理やワクチン接種の促進、さらには業界による積極的な自主検査や職域接種にも取り組み、市場内での感染拡大をできる限り防止することにより、市場流通を停滞させることなく事業継続を確保してまいりました。
○石島委員 まずは、国内における感染者の発生以降、感染拡大防止に腐心されてきた市場関係者の努力には敬意を表したいと思います。
一方、国内や東京都において、第七波はこれまでにない感染拡大となったにもかかわらず、行動制限がされることはほとんどなく、現在はコロナとの共存に向けて社会経済活動の正常化が進められている状況にあります。
例えば、マスクの着用についても、屋外では原則不要となるなど、ワクチン接種の進展なども踏まえ、感染対策が以前より緩やかになりつつあります。
しかしながら、市場関係者については、エッセンシャルワーカーとして生鮮食料品等の流通を支えるという役割を果たし続けていかなければなりません。卸売市場には市場ならではの特性があるため、一般よりも徹底した感染対策が求められます。
そこで、社会経済活動の正常化が進められる一方、市場の特性も踏まえて、市場関係者における今後の感染対策についてどのように考えているか、見解をお伺いします。
○前田事業部長 中央卸売市場におきましては、コロナが感染拡大する中にありましても、基幹的なインフラとして、生鮮食料品などを安定的に供給する役割を果たしていかなければならないため、引き続き気を緩めることなく感染対策を徹底していくことが必要であると考えております。
具体的には、マスクの着用をはじめとした基本的な感染対策はもとより、業界と相互に情報共有を図りながら、ワクチン接種の推進など複合的に感染対策に取り組み、市場内での感染拡大の防止に取り組んでまいります。
一方で、政府におきまして、社会経済活動との両立といった課題への対応や、科学的な知見の広まりなどを踏まえ、これまでの対策の見直しを求めていることから、手指を乾燥するためのハンドドライヤーの再稼働など、臨機応変に対策の見直しや強化を図り、引き続き実効性ある感染拡大防止策を実行してまいります。
○石島委員 ただいま答弁にありましたように、引き続き気を緩めることなく柔軟に見直しを強化しながら感染対策に努めていくことで、生鮮食料品等の流通を止めることのないよう、しっかりと取り組んでいただくことを要望させていただきます。
続いて、市場業者の経営支援についてお伺いをいたします。
人口減少に伴う食料消費の減少や流通の多元化、消費者ニーズの多様化などといった社会構造そのものの変化に加え、長期化するコロナ禍、緊迫化する国際情勢、急速な円高の進行など、市場業者の経営を取り巻く環境は絶えず変化しており、厳しい状況が続いていると思います。
都は、こうした環境変化を踏まえ、施策の内容を充実させながら市場業者の経営支援に取り組んできていると聞いているところですが、市場業者への支援策について、現在に至るまでどのような歴史をたどり、どんな意義を持ってきたのか。そして、現在どのような取組を行い、どのような課題を抱え、解決に取り組もうとしているのか確認をさせていただきたいと思います。
そこでまず、都は、市場業者の経営支援にこれまでどのように取り組んできたのかお伺いします。
○前田事業部長 市場業者の経営支援につきましては、バブル経済崩壊後の経済情勢、産地の大型化や専門小売店の減少、流通チャネルの多様化などといった卸売市場を取り巻く環境の変化に市場業者が的確に対応するため、平成十二年度に仲卸組合等が開催する研修会などに対する講師派遣を開始し、平成十三年度には専門家による経営相談を開始いたしました。
その後、平成二十四年度に築地市場から豊洲市場への移転に伴う支援事業を開始し、平成三十一年度には、取引の規制緩和等を内容とする改正東京都中央卸売市場条例の施行などを踏まえ、市場全体の活性化を促進するための補助事業を創設いたしました。
令和三年度からは、コロナ禍等の環境変化に即した行動変革を後押しするため、経営基盤の強化につながる取組を行う市場業者への補助を開始してございます。
また、セミナーや情報誌による情報発信に取り組むとともに、定期的な訪問相談などにより、個々の経営状況に応じた支援に取り組んでございます。
○石島委員 市場業者に対する経営支援の歴史を振り返っていただきましたが、本来、卸売市場の開設者と市場業者は市場施設の大家と店子の関係にあるわけで、例えば市中のショッピングモールのオーナーが資源を投じてテナント支援をするということは一般的な事例としてはないと思います。
経済原則に従えば、環境変化に対応ができずに顧客の支持を失い、売上げを上げることができなければ経営力のあるテナントと交代するということになるわけですが、それではなぜ、中央卸売市場では、市場業者に対し、二十年以上も前から市場業者の時代の変化に合わせた経営ができるように制度の新設や見直しを図り支援に取り組んできたのか、市場業者に対する支援の重要性を改めて今お聞きしたところですが、そこで、開設者である都が市場業者に対する経営支援を行う意義について、改めてお伺いします。
○前田事業部長 中央卸売市場は、生鮮食料品などの流通における基幹的なインフラとしての役割を果たしており、都民の日常生活に欠かすことのできない必需品である生鮮食料品などを毎日絶やすことなく産地から集荷し、供給を行ってございます。
卸売市場のこうした役割は、取引参加者が自然条件に左右されやすい特徴を持つ生鮮食料品などの需要と供給を調整し、その状況に応じて、安定した価格を形成することにより支えられております。
このため、都が卸売市場の開設者として取引の基盤となる施設の整備や運営を行うとともに、市場業者が商品や流通に関する豊富な知識やノウハウなどを生かして将来にわたり安定的に取引ができるよう、実効性ある支援策を的確に講じていく必要があるものと考えてございます。
○石島委員 流通経路の多元化やEコマースの進展により、生鮮品等の卸売市場経由率が低下しているといわれて久しいわけですが、大正十二年の卸売市場制度創設以来、市場が持っている商品力や取引先の多様性は、一朝一夕で代替できるものではありません。
また、そうした多様性が日本の豊かな食文化や消費生活を支えているのではないかと考えます。
そして、市場機能を根本から支える市場業者を持続可能な形となるようしっかりと支援する。そのことにより、生鮮食料品等の流通を確固たるものとしていくというのであればこそ、今ご答弁にありましたとおり、環境の変化に応じて実効性ある支援を講じていかなければなりません。
そこで、都は、市場業者の経営改善等に向けた取組にどのように取り組んでいるのかお伺いします。
○前田事業部長 都では、市場業者の経営の健全性を確保するため、東京都中央卸売市場条例に基づき、業務や会計に関し、必要な指導及び助言を行う検査を行ってございます。
また、中小企業診断士などの専門家と連携をして、その知見を活用した情報発信を行い、行動変革に向けた機運を醸成するとともに、経営上の課題に関する相談対応などを実施してございます。
さらに、市場業者の意欲ある取組に係る費用の一部を補助事業で支援するとともに、今年度からは、専門家を派遣し、事業者の経営課題の発見から補助金を活用した課題解決までを切れ目なくサポートする伴走型の支援を開始してございます。
○石島委員 条例に基づく検査の場を通じて、業務や会計に関する指導や助言を行うとともに、企業経営の専門家の知見を活用しながら市場業者の経営力向上に向けた意欲ある取組を促していること、また、先ほどの質疑でもやり取りがありましたが、補助事業においては、今年度から、問題発見から解決に至る過程を専門家のサポートを受けることができる伴走型の支援を展開しているとの答弁がありました。
そこで、今年度始めた専門家による伴走型支援の狙いについて改めてお伺いしたいと思います。
○前田事業部長 市場業者の経営を取り巻く環境は、人口減少に伴う食料消費の減少などの社会の構造的な変化に加えまして、物価高騰などの影響が生じており、これまで以上に厳しい状況にございます。
こうした中、市場業者が経営の安定と革新を図るためには、環境の変化を適切に捉え、自社の置かれた状況を分析した上で課題を的確に設定し、課題解決に向けた取組などを行うことが重要でございます。
しかしながら、経営規模が小さく経営資源に限りのある市場業者は、自社の経営状況を振り返り、行動変革に着手することが困難な状況に置かれております。
こうした状況に対処するため、都は本年度から、中小企業経営に精通する専門家を派遣し、経営者との対話を重ねながら課題を設定し、その改善に共に取り組む伴走型の支援を開始いたしました。
○石島委員 これまでもインターネットの普及やグローバル化の進展など、社会経済環境の変化は起こってきましたが、近年の変化は特にそのスピード感が速く、また複雑化していると感じています。
そのような状況の中、企業として成長を続けていくためには、環境の変化に即して経営戦略を柔軟に見直していくことが重要であり、そのためには適切な現状分析や課題設定が重要となってきます。
都が今年度から取り組んでいる伴走型支援は、環境の変化に即した市場業者の経営革新を促そうという取組ということは理解しました。自社の状況を振り返る余裕もないような市場業者にとっては非常に有用な取組であり、かつ、そのような方々こそ、この支援策を活用してもらう意義は大きいと思います。
一方で、都が派遣する専門家とはいえ、自社の経営の内容を第三者である専門家に対してつまびらかにすることは、ためらい、思いとどまってしまう事業者も少なくないのではないかと考えますが、そこで、伴走型支援の現在の取組状況と課題についてお伺いします。
○前田事業部長 伴走型の支援を実施するに当たりましては、経営者と専門家が対話を重ねる中で信頼関係を構築し、実情に即した実効性ある解決策を検討していく必要がございます。
現在、市場業者三社が伴走型支援を利用しており、専門家との意見交換を重ねてございますが、専門家と経営課題を共有するためには、取引や業務の複雑な流れを可視化する必要があるなど、経営実態を分析するために多くの時間が必要であるという課題が明らかになってございます。
このため、今後の伴走型支援の実施に当たりましては、支援を行う期間の在り方を見直すなど、効果的な制度運用の在り方について検討してまいります。
○石島委員 経営改善に向けた取組を実行するのも、それに関してリスクを取るのも経営者であることから、分析内容や改善策の方向性にきちんと納得してもらった上で取組を進めていくことが重要であり、今後も市場業者との丁寧な対応に努めていただきたいと思います。
また、経営改善に向けた取組は、一つの取組をこなして終わるものではなく、トライ・アンド・エラーを繰り返して成果を積み重ねていくものであり、ぜひ、そういった点も含めて、伴走型の支援を展開していただくことが大切だと思います。
その中で、制度的な課題が生じるようであればしっかりと施策を見直し、施策の利用者である市場業者にとって、より魅力的で活用しやすいものとなるよう、経営支援策の質や継続性の向上等に向けて引き続き取り組んでいただくことを要望して、質問を終わります。
○星委員 私の地元町田市に隣接をする多摩市にある多摩ニュータウン市場は、多摩地区唯一の中央卸売市場として、地域における青果物の流通拠点としての重要な役割を果たしております。
また、この駐車場の一部は、私がかつて在籍もしておりましたJリーグクラブ、FC町田ゼルビアのホームグラウンドである町田GIONスタジアムとの間を結ぶシャトルバスの発着場となるなど、地域の皆様にとっても身近な存在であり、親しみを感じる施設であると思っております。
そこで私からは、豊洲市場、大田市場などの大規模な市場ではなく、地域に密着して、豊かな食生活や彩り、そして潤いある生活を地域に供給している多摩ニュータウン市場のような市場について、都はどのように取り組んでいくのかという視点から質問をさせていただきます。
このような身近な地域を支えている市場を見ますと、そこに設置されている卸売場などの施設の多くは昭和の高度経済成長の時代に整備されているものが多く、老朽化が進んでいると聞いております。市場の現場においても、日々の取引等を担っている市場業者の方々にとって、市場施設は業務を円滑に行うための土台であり、老朽化対策を着実に進めていくことが必要であると考えております。
そこでまず、市場施設の老朽化対策について、都の見解を伺います。
○渡邉市場政策担当部長 中央卸売市場が都民に生鮮品等を円滑かつ安定的に供給していくためには、施設の老朽化対策を適切に行うことにより、流通を担う市場業者の方々が安心して活発な取引を行うことができる環境を維持していくことが重要であります。
都はこれまで、老朽化対策として場内道路の路面補修や建物の漏水補修工事など、日常的な維持補修工事につきまして適時適切に実施してまいりました。
また、令和三年度に策定した東京都中央卸売市場経営計画におきましては、各市場の老朽化した施設や設備につきまして、更新時期の平準化や工事の集約化を図るなど、長期的な視点に立って計画的に維持更新に取り組むこととしております。
円滑な市場業務の確保に向けて、引き続き、市場施設の老朽化対策や計画的な維持更新に取り組んでまいります。
○星委員 市場業者の方々が活発な取引を続けていくためには、施設や設備に不具合が生じた場合、速やかに維持補修が行われるとともに、先を見据えて計画的な維持更新工事が行われることが必要だと思います。
そこで、市場施設の計画的な維持更新について、今後、都はどのように進めていくのか伺います。
○渡邉市場政策担当部長 中央卸売市場が今後も生鮮品等流通の基幹的なインフラとしての役割を果たしていくためには、施設のライフサイクルコストの低減と更新時期の平準化等を図るため、計画的に市場施設の維持更新を進めていくことが重要であります。
経営計画の計画期間の初年度である令和四年度から、アセットマネジメント手法を活用した計画的な維持更新の実施に向けて、平成三十年度に開場した豊洲市場を除く全市場を対象とした卸売場など主要な市場施設の劣化状況についての調査を開始しました。
今後、調査結果等を踏まえ、各市場の主要な建物について、改修や長寿命化などの方針を検討した上で計画的に維持更新を行ってまいります。
○星委員 都民に対する生鮮食品等の供給機能を担う卸売市場では、工事を行う際、市場業務を途切れさせることなく実施しなければならないという規制があるということでございました。このため、計画的に維持更新を実施していくことは、市場業務の継続性の確保にもつながることから、極めて重要であるといえます。
今後も、市場業者の方々が安心して日々の市場業務に取り組んでいけるよう、しっかりと施設や設備の老朽化対策、そして維持更新に取り組むよう要望し、次の質問に移ります。
気候変動の影響等が一層深刻化する中、世界は二〇五〇年、CO2排出実質ゼロという共通のゴールに向けて急速に歩みを進めております。
都は、二〇三〇年までに二〇〇〇年比で温室効果ガス排出量を五〇%削減するカーボンハーフを表明するとともに、ゼロエミッション東京戦略をアップデートし、取組を加速させております。
中央卸売市場では設備や照明などの多くのエネルギーを消費していることから、ゼロエミッション化に率先して取り組む必要があると考えております。
そこでまず、中央卸売市場がゼロエミッション化に取り組む意義や取組の方向性をお伺いいたします。
○渡邉市場政策担当部長 中央卸売市場は、生鮮品等の鮮度保持などのため、冷蔵庫設備などエネルギーを消費する施設や設備を多く使用していることから、再生可能エネルギーの利用や省エネルギー化などにより、CO2の排出量を限りなくゼロにしようとするゼロエミッション化の取組を推進していくことが重要であります。
このため、大規模な敷地や施設等を有している中央卸売市場の特性を踏まえ、施設の維持更新等の機会を捉えて、太陽光発電装置の設置等により再生可能エネルギーの導入を進めており、今後もそうした取組を推進してまいります。
また、深夜から早朝にかけて産地から荷が入荷し、競りなどの取引が行われる市場業務の特性上、照明に要する電力消費が大きいことから、照明器具のLED化への更新工事を計画的に実施しており、今後も消費電力の削減を図っていきます。
さらに、市場内におきましては、荷の運搬等のため、多数の小型特殊自動車が使用されていることから、そのような車両の電動化を推進しておりまして、今後もかかる取組を進めることにより、排出ガスの削減等に向けて取り組んでまいります。
○星委員 ありがとうございます。ゼロエミッション化に向けた取組は様々なものがあると思いますが、ただいま、照明器具のLED化、こちらが効果的だという答弁がありました。
照明器具のLED化は環境負荷を低減する効果が大きいだけでなく、卸売場等を明るくして市場業者の方々の仕事をやりやすくする、そういうことにもつながる重要な取組だと思います。
そこで、市場におけるLED化の取組についてお伺いいたします。
○渡邉市場政策担当部長 市場のゼロエミッション化を推進する取組の一つとしまして、卸売場等で多数使用されている照明器具につきましてLED化を進めていくことは、エネルギー消費の削減等の観点から重要でございます。
中央卸売市場では、平成二十八年度から卸売場など主要な市場施設におきまして、照明器具のLED化を計画的に進めてまいりました。
引き続き、工事に伴う市場業務への影響等に配慮しながら、各市場におきまして照明器具のLED化を着実に進めてまいります。
○星委員 中央卸売市場が照明器具のLED化に計画的に取り組んでいくことを確認させていただきました。
LED化は、ゼロエミッション化のみならず、消費電力量が抑えられることによって電気料金の削減にもつながることから、市場業者の皆様からは期待が大きい、そう聞いているところでもあります。
引き続き、業界の皆様の声にしっかりと耳を傾けつつ、LED化の取組を着実に進めていただくことを要望し、次の質問に入らせていただきます。
次に、市場運営における課題についてお伺いをさせていただきます。
都民に生鮮品等を供給するためには、市場には多くのトラックなどが出入りするとともに、市場内においても荷物の仕入れのためにフォークリフトなどの小型特殊自動車が大量に使用をされております。
このため、市場では、駐車スペースの確保が重要となりますが、一方で、場内ルールに基づかずに、駐車スペースの白線をまたいだ駐車であったり、大型車用のスペースに別の車両が停車するなど不適切な駐車があり、業務の妨げになっている、そういった声も聞いているところであります。
そこで、市場内における不適切な駐車について、都の対応をお伺いいたします。
○渡邉市場政策担当部長 中央卸売市場には、産地からの車両や買い出し人の車両等に加え、場内運搬用のフォークリフトなど多数の車両等が場内を走行していることから、円滑な市場運営を行うためには、不適切な駐車への対応など、市場内の秩序維持を図ることが重要でございます。
このため、各市場におきまして、警備員等による巡回指導に加え、監視カメラを活用して場内交通の状況を把握するとともに、不適切な駐車を発見した場合には、原因者を特定した上で、指導監督を行っております。
令和三年度におきましても、多摩ニュータウン市場など二市場におきまして、監視カメラを設置し、引き続き市場内の監視体制の強化に取り組んでいるところであります。
○星委員 ルールを守らない駐車車両は、事故の発生原因のみならず、物流の阻害要因にもつながるものであると考えます。市場業者の業務が阻害され、市場機能が損なわれることのないよう、毅然とした対応をお願いいたします。
一方、淀橋市場など、小規模な市場では、不適切な駐車車両を取り締まったとしても、そもそも慢性的な場内の混雑や場内物流の非効率が発生しているようでは意味がありません。
そこで、市場の場内物流の改善等に向けて、都はどのような取組を行っているのか、最後にお伺いをいたします。
○渡邉市場政策担当部長 大量の荷の搬出入や荷さばき等が行われる中央卸売市場におきましては、市場業務を効率的に行うため、円滑な場内物流を確保することが重要であります。
都はこれまで、荷さばき場などの整備に加えて、場内動線の見直しや場内の交通ルールを徹底するための普及啓発活動等に取り組むとともに、小規模市場の中で、場内混雑が激しい、委員ご指摘の淀橋市場では、場内物流の改善に向けた実態調査を実施しております。
引き続き円滑な場内物流の確保に向けて、業界と共に取り組んでまいります。
○星委員 ありがとうございました。市場内の混雑や物流の非効率を解消して、場内物流を円滑化することは、市場取引の活性化だけでなく、業務が効率化されることによって、市場で働く人たちの働き方改革にもつながると考えております。
地域に密着して、地域を支えている市場が、今後さらに活性化していくよう、都として業界と共にしっかりと取り組んでいくことを要望させていただいて、私の質疑を終わらせていただきます。
○慶野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○慶野委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で中央卸売市場関係を終わります。
○慶野委員長 これより港湾局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○相田理事 去る十月二十五日の当委員会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元の経済・港湾委員会要求資料をご覧ください。
表紙をおめくりいただきますと、目次に三件の資料の件名が記載してございます。
それでは、一ページをご覧ください。臨海地域開発事業会計における企業債償還の推移でございます。
臨海副都心開発の基盤整備に関わる企業債を転貸債、建設元利金債の二つに区分し、平成元年度から令和六年度までの発行額及び償還額等を百万円単位で記載してございます。
なお、令和二年度までは決算額、令和三年度は決算見込額、令和四年度は予算額、令和五年度以降は計画額を記載してございます。
二ページをご覧ください。臨海副都心における有償処分予定地の現況一覧でございます。
有償処分予定地を開発確定面積と今後開発予定面積の二つに分けてございます。
そのうち、開発確定面積を処分済み及び処分手続中に区分し、また、今後開発予定面積を公募中及び今後処分予定に区分してございます。
そのおのおのの項目について、昨年度末時点の面積をヘクタール単位で記載してございます。
三ページをご覧ください。建設発生土・しゅんせつ土の埋立処分計画と実績でございます。
平成二十九年度から令和三年度までの五年間における計画土量及び実績土量を万立方メートル単位で記載してございます。
以上をもちまして、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○慶野委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○山崎委員 私の方からは、まず、東京港の橋梁の耐震化について、何点か伺っていきたいと思います。
東京都防災会議の被害想定では、マグニチュード七クラスの首都直下地震が、今後三十年以内に約七〇%の確率で発生するといわれております。
今年五月に、首都直下型地震の被害想定が見直されましたが、都内で一番被害が多いとされる都心南部直下地震では、震度六強以上の地震の範囲が区部の約六割を占め、多くの建物が倒壊をし、多数の死者が出るなど、甚大な被害が想定をされております。
首都圏の生活と産業を支える物流拠点である東京港においても、大部分で震度六強以上の揺れが想定されているが、震災時には緊急物資等の受入れを行う重要な役割を担っていることから、都は岸壁の耐震強化を進め、港湾機能を維持できるよう取組を進めているところであります。
しかし、耐震化された岸壁に船が寄港して、緊急物資を受け入れることができても、その先の陸上輸送ルートが機能しなければ、防災対策としての意味を持たないわけであります。
特に東京港には運河が多く、緊急輸送道路には幾つもの橋梁があることから、それが震災時に被害を受ければ、輸送上のボトルネックとなるおそれがある。このため、都は、橋梁の耐震化についても取組を進めてきたと伺っておりますが、橋梁の耐震化に関するこれまでの取組状況を伺っていきます。
○片寄港湾整備部長 都は、震災発生時の緊急物資輸送や震災後の経済活動を支える物流を確保するため、東京都地域防災計画において、防災対策上重要な陸上輸送ルートを緊急輸送道路として位置づけるとともに、その道路上にある橋梁の耐震化を進めてまいりました。
港湾局が所管する緊急輸送道路につきましては、十五の橋梁があり、既に十四の橋梁で耐震化が完了しております。残る青海有明南連絡線のあけみ橋につきましては、現在、令和七年度の完成を目指して耐震化工事を実施しているところでございます。
なお、緊急輸送道路以外にも港湾局が所管している橋梁は四橋梁ございます。そのうち二橋は工事中であり、残る二橋につきましても、耐震化に向けた設計を進めているところでございます。
○山崎委員 東京港の緊急輸送道路上の橋梁については、着実に耐震化が進められてきており、今お話しのあったあと一つの橋が完了すれば、全ての橋梁で耐震化が完了するということであります。
しかし、震災時に通行できない橋は緊急輸送道路としての役割を果たすことができず、迅速な対応が必要であるということもいえます。
先ほど、あけみ橋、このあけみ橋というのは、簡単にいいますと、臨海部のビッグサイトから旧パレットタウン、ヴィーナスフォートに向けての、ちょうどビッグサイトを背にして、左に曲がって、真っすぐ行ったすぐの前の橋のことをいわれているあけみ橋、これは江東区のところにある橋なんですけれど、このあけみ橋の耐震化は令和七年度完成とのことで、まだもう少し時間がかかるようでありますが、現在の耐震化に取り組んでいるあけみ橋の具体的な工事内容について伺っていきます。
○片寄港湾整備部長 あけみ橋は、江東区青海と有明を結ぶ有明西運河に架かる、長さ二百八十九メートル、幅四十・八メートルの道路橋でございます。
本橋梁の耐震化工事は、三基の橋脚を鉄筋コンクリートなどにより補強するとともに、地震により橋桁が落下することを防止する落橋防止システムを五か所に設置するものでございます。
橋脚の補強に当たりましては、運河を航行する船舶への影響を最小限に抑える必要があることから、一基ずつ工事を実施しているところでございます。
現在、二基の橋脚の補強と二か所の落橋防止システムの設置が完了しており、残る一基の橋脚の補強につきましては令和六年度、三基の落橋防止システムの設置につきましては、事業最終年度となる令和七年度までに、それぞれ完了する予定でございます。
○山崎委員 緊急輸送道路の橋梁の耐震化は大変重要なものでありますが、地震はいつ発生するか分からないため、何より早急に完了させることが必要であります。
引き続き迅速な整備を進めていっていただきたいと思います。
一方、耐震化を進める橋梁は、建設後三十年以上経過しているものも多いと伺っております。また、臨海部にあることから、海風の影響によって劣化も早いのではないか、そういった懸念もあります。
緊急輸送道路の橋梁を安全に利用できるようにするためには、耐震化を完了させるだけでなく、日常の適切な維持管理が必要であります。
重要なインフラである橋梁を長期間にわたり安定的に使用できるようにするためには、適切な維持管理を行い、計画的に修繕を実施していく必要があると考えますが、都の見解を伺います。
○山本計画調整担当部長 港湾局では、東京港港湾施設等予防保全基本計画に基づき、橋梁ごとに維持管理に関する実施計画を作成し、日常点検や施設の健全度を詳細に調査する定期点検を実施するとともに、必要に応じて修繕を行っております。
また、橋梁を取り巻く周辺環境により健全度の状況が異なるため、最新の点検結果に基づいて、五年ごとに維持管理計画を見直し、修繕の規模や実施時期の更新などを行っております。
このような取組を実施していくことにより、橋梁としての機能を確実に確保するとともに、ライフサイクルコストの低減を図ってまいります。
○山崎委員 最新の点検結果に基づいて維持管理計画を見直し、計画的に修繕を行っていくことで、橋梁の機能を確実に維持し、併せてライフサイクルコストの低減にもつなげていることが今の答弁でありました。
港湾施設は、震災時には重要な海上輸送拠点となるわけであって、港湾と市街地を結ぶ緊急輸送道路上の橋梁が被害を受け、通行ができなくなるような事態が起これば、支援や復興に大きな支障となるわけです。
橋梁の耐震化を進めるとともに、耐震化が終わった後も計画的かつ的確な維持管理を行うことで、緊急輸送道路としての機能を維持していくことは、災害に強い東京港をつくっていく上で極めて重要であるわけであります。引き続きしっかりと取り組んでいただきたいことを求めておきたいと思います。
続いての質問、東京港第九次改訂港湾計画の検討状況について質問をしていきたいと思います。
東京港第九次改訂港湾計画、九次改ともいいますが、このことについて、東京港は、首都圏四千万人の生活と産業を支える極めて重要な物流拠点であり、外貿コンテナ貨物の取扱量は二十四年連続で全国一位となっております。
この実績は、東京港の関係者のハード、ソフト両面にわたる様々な努力のたまものであり、改めて関係者の皆様に敬意を表したいと思います。
一方で、世界各国との自由貿易協定の締結や国際的な電子商取引の拡大などに伴い、今後、国際貿易、特にアジア地域との貿易量がますます増大をしていく予想がされております。
加えて、世界的にコンテナ船の大型化が進展するとともに、コンテナ船間のアライアンスの再編も進むなど、国際海上物流の情勢が大きく変化をしつつありますが、東京港が首都圏を支える物流拠点としての役割を果たしていくためには、こうした変化に取り残されることなく、引き続き世界の潮流に適切に対応をしていく必要があります。
現在、都は、本年一月に東京都港湾審議会から答申された東京港の長期構想を踏まえ、第九次改の計画の検討を進めていると聞いておりますが、まず確認のため、現行の第八次改訂港湾計画に基づく港湾機能の強化に向けた取組状況について伺っていきます。
○片寄港湾整備部長 第八次改訂港湾計画では、港湾機能の強化を目指し、新規コンテナふ頭などの整備や既存ふ頭の再編、道路ネットワークの強化を進めることとしております。
コンテナふ頭につきましては、中央防波堤外側地区において、新たにY1及びY2ターミナルの供用を開始いたしました。Y3ターミナルにつきましても、国と連携して整備を進めており、昨年度、工事に着手したところでございます。
また、既存のコンテナふ頭の一つである青海ふ頭では、現在、コンテナターミナルの再編や荷役機械の更新等を進めるとともに、品川ふ頭については、船舶大型化に対応するための岸壁改良等に向けた取組を開始いたしました。
さらに、世界最大級のクルーズ船が寄港できる東京国際クルーズターミナルや、東京港内の新たな幹線道路である臨港道路南北線の整備を進め、いずれも令和二年度に供用を開始したところでございます。
今後も港湾計画に基づく整備を着実に進めていくことで、東京港の機能強化に取り組んでまいります。
○山崎委員 今、八次改の中での様々な取組、着実に進めているということが確認できました。
その一つには、Y1及びY2ターミナル、東京国際クルーズターミナル、そして臨港道路南北線などの供用を開始した、こういったことによって、東京港の機能が大きく強化をされたということを評価したいと思います。
また、ただいま答弁のあったY3ターミナルについては、整備を早期に完成させるべく、我が党は、国に対して繰り返し整備の推進を要請してきたところであります。都としても、国との連携をしっかりと図りつつ、整備を加速させるよう、引き続き全力を挙げて取り組んでいただきたいと思います。
さて、都は現在、第九次改の検討が進められておりますが、いまだ完了していないY3の整備や、既存のふ頭の再編整備を引き続き実施するとともに、冒頭で申し上げたとおり、さらなる貨物量の増加と船舶の大型化への対応策をしっかりと打ち出す必要があると考えます。
第九次改の計画は、二〇四〇年代の東京港の将来像を明らかにした長期構想を踏まえて検討を進めると聞いておりますが、長期構想では、今後の貨物量の見通しと船舶の大型化の動向についてどのように捉えているのか伺います。
○水飼担当部長港湾計画担当部長兼務 長期構想では、生産拠点の海外移転や世界各国との自由貿易のさらなる進展などにより、東京港のコンテナ貨物量は輸入貨物を中心に引き続き増加すると予測しており、現在の約五百万TEUから、二〇四〇年代には五百七十万TEUから六百七十万TEUになると試算しております。
また、船舶の大型化の動向につきましては、スケールメリットによる輸送コストの削減や環境負荷低減などを図るため、コンテナ船の大型化がより一層進展すると見込んでおり、東京港に寄港する船舶についても、同様に大型化が進むと想定しております。
港湾計画の改定に当たりましては、こうした貨物量の増加や船舶の大型化に対応した施設能力の確保を図っていく必要があると認識しております。
○山崎委員 東京港のコンテナ貨物量は、今後二十年で一・一倍ぐらいから一・三倍ぐらいに増える見込みであるということであります。
東京港は、現時点で既に標準的な貨物処理能力を超えたコンテナ貨物を取り扱っており、コンテナヤード内は混雑をし、ふ頭周辺ではトラックによる交通混雑が発生をしている。これがさらに多くの貨物を取り扱うとなると、抜本的な対応策としては、新たにふ頭を整備することが必要不可欠なのではないかと思います。
また、コンテナ船の大型化もさらに進むことでありますが、東京港に入港できない船が増えると、海外の主要港と結ばれた航路が維持できなくなり、首都圏ひいては我が国の経済に大きな影響を与えるおそれがあります。この点からも、大型船に対応した新たなふ頭を整備することが必要であるという考えに結びつくわけです。
このため、我が党は、さきの第三回定例会において、十分な広さのヤードを有する国内最大級の新たなふ頭整備の必要性を指摘したところであります。
そこで、今後予想される貨物量の増加や船舶の大型化に適切に対応するため、現在検討を行っている第九次改の計画では、新たな大型ふ頭の整備を計画化すべきであると考えますが、見解を伺います。
○水飼担当部長港湾計画担当部長兼務 現在検討を進めている第九次改訂港湾計画では、長期構想を踏まえ、北米等の基幹航路を維持するとともに、アジア貨物の急激な伸びに対応していくため、新海面処分場地区に国内最大級の新たなふ頭の整備を検討することとしております。
具体的には、現在の港湾計画で計画化されているZ1ターミナルの規模を拡張し、貨物処理能力を大幅に向上させることを検討しております。
これにより、中央防波堤外側ふ頭と併せて、国内最大級となる水深十六メートル以上、延長約千七百メートルで、複数の大型船の同時寄港にも対応できる新たなふ頭が整備され、国内最多のコンテナ貨物を取り扱っている大井ふ頭に匹敵する貨物処理能力を確保できることとなります。
今後、都は、新海面処分場地区における新たなふ頭整備の計画化に向け、国や関係事業者等との調整を精力的に行っていくとともに、既に着手している中央防波堤外側Y3ターミナルの整備と既存コンテナふ頭の再編を着実に進めることで、将来予測されている貨物量の増加と船舶の大型化に適切に対応してまいります。
○山崎委員 東京港の抜本的な機能強化に向け、新海面処分場地区における新たなふ頭整備の計画は必要不可欠な取組であると思います。ぜひとも検討を進めていただきたい。そして、国に対しての要望も引き続きお願いされたいことを求めておきたいと思います。
一方で、この新たなふ頭は、計画化されても工事着工までにはまだ年月を要すると思います。答弁にもありましたが、まずは既に着手しているY3ターミナルの整備と既存ふ頭の再編整備を着実に進め、一日も早く東京港のさらなる機能強化を実現させるよう、改めて求めておきたいと思います。
もう一点、東京港の再編の件、いろいろと拡張、また、Z1、Y3を早く進めていく、そういった話もさせていただきましたが、やはりこの東京港の位置づけというもの、確かに取扱量がどんどん増えていく、数十年間、全国で一位、取扱量を含めている東京港の位置づけでありますけれども、もう一方で、やはり、よく皆さんも考えていただきたいのは、東京だけよければいい、首都圏だけが助かればいいという問題ではなくて、東京港の位置づけというものは、やはり世界の港から見ますと、ハブ港なんです。
東京港を経由して、ほかのところの各国、上海、釜山やいろんなところ、また、北米ルートやいろんなところ、また、南や北へ回っていく、そういうハブ港の位置づけもある。ですから、東京港の機能強化をすることによって、世界の物流がどんどん、港の物流が動いていく、そういった重要な東京港の位置づけでもあるということをぜひご理解をいただきたいと思います。
やはりそういったことが、東京だけではない、首都圏だけ守ればいい、そういう問題ではなくて、世界の港の位置づけであるという東京港の位置づけというものをぜひ多くの皆様にもご理解をいただきたいと思うわけであります。
さて、東京港の中央防波堤外側地区には、現在、埋立造成中の広大な土地が存在をしております。この土地は、都内に残された最後の大規模な未利用地であります。
これは、これまでの答弁のあったとおり、Y3ターミナル及び拡張を含めたZ1ターミナルの整備など、必要な土地であるということは確実な話であり、承知をしております。
しかし、そのふ頭の背後にある広大な土地の利用については、今でいうと「未来の東京」戦略の主要プロジェクトの一つであって、東京ベイeSGプロジェクト、前には東京のグランドデザインですとか、もちろん、皆様にとっては一番重要な港湾計画、こういったものにおいて、いろんなテクノロジーの大規模な実験エリアの創出や、水辺や緑を活用したフィールドなどとして検討をしていく考え方が示されております。また、地元区にも様々な考えがあると聞いております。
そこで、第九次改の計画の検討を進めるに当たって、中央防波堤外側地区における土地利用の計画について、地元区などの関係者の意見にしっかりと耳を傾けつつ、十分な調整を行うことが重要であると考えますが、見解を伺います。
○水飼担当部長港湾計画担当部長兼務 港湾計画は、東京港の今後十年から十五年間の土地利用等の基本となるものであるため、関連計画等と整合を図るとともに、地元区などの意見を踏まえながら検討を進めていくことが重要であると認識しております。
そのため、関連計画等を所管する関係局との連携を図るとともに、地元区をはじめ、関係者の方々の意見や要望を丁寧に伺い、調整を図りながら、港湾計画の改定を進めてまいります。
○山崎委員 今答弁にもあったように、中央防波堤外側地区の土地利用の計画は、やはり関係者の方々の十分な理解を得て進めていかなくてはならないわけです。ですから、ぜひこういった面はよく認識をして進めていただきたいと思います。
繰り返しとなりますが、この土地の利用については、特に地元区の強い思いがあるということは、港湾局の皆様も理解をされていると思います。また、将来どのような利用ができるのかという期待感もあるわけです。慎重に検討を進めていくことを改めてお願いをしておきたいと思います。
さて、将来の土地利用を検討する際、併せて考えておかなければならないのは、地域の発展を左右する交通アクセスの問題であります。
交通ネットワークを構築することは一朝一夕にできるものではなくて、将来を見据えて、その整備を戦略的に検討していくことが重要であります。
改めて申し上げますが、臨海部、特に中央防波堤地区は交通不便地域、要は何も、まあ道路はつながっておりますけれど、交通ネットワークというものに対しては、非常に、まだまだ全く進んでいない、そういったところであります。ですから、その発展のためには、交通ネットワークの充実が必要であるということになるわけです。
将来を見据え、中央防波堤地区の交通ネットワークの充実を図っていくべきと考えますが、まず見解を伺います。
○石井企画担当部長 中央防波堤地区の交通ネットワークの充実を図ることは、人や物の自由な移動を支え、地区の魅力向上や活動の基盤となるなど、この地区の発展に欠かすことのできない役割を果たすものとなることから、大変重要な課題であると認識をしております。
将来的なまちづくりの展開も見据え、本地区の交通ネットワークの充実に向けて、引き続き関係各局と連携を図ってまいります。
○山崎委員 臨海部、とりわけ中央防波堤地区の今後の発展を考えていけば、交通ネットワークの充実は極めて重要な課題であります。改めて、関係局、もちろん港湾局だけでなくて、関係局と積極的な検討をしていただくことを強く求めておきたいと思います。
あわせて、東京の手つかずの更地として、最後の土地といわれる中央防波堤、この地区に対して、やはり今からフリーハンドで計画が立てられるようにしていく必要が私はあると思います。
それは様々なことを柔軟に、適切に進めていくためには、やはりそういった部分を含めて、今、用地の問題、港湾用地や、また、緑地、そしてふ頭用地、いろいろなそういった中央防波堤、特に新海面の方も含めて、そういうものもありますけれど、中央防波堤に向けて交通のネットワークを引いていくためには、いろんな、様々な、乗り越えていかなくてはならないことがあると思います。
なぜ私は中央防波堤、その先を見据えているかというと、その先には羽田空港があって、やはり羽田空港から中央防波堤、そして外側、内側と、そしてまた臨海部につながるような、こういう大きな交通ネットワーク、そういったものを考えながら、東京都の九次改、十次改、様々なその計画について進めていくのが東京都の責務だと私は思っておりますので、ぜひそういったことも考えて、これからの計画を進めていただければと思います。
いろいろとお話をさせていただきましたが、今日はこの辺にさせていただきますが、どうぞ九次改に向けても、さらなる皆様の協力、よろしくお願いをさせていただいて、私の質問を終わります。
○あかねがくぼ委員 まず、臨海副都心における自動運転の取組について伺います。
臨海副都心は、台場や青海、有明地区といった複数の個性的な拠点が形成されており、都内でも他に類を見ない、魅力的なエリアであります。一方、広大な敷地が広がる中、一つ一つの区画も大きいことから、まち全体の魅力を高めるために、エリア内の回遊性をいかに向上させるかが課題であります。
この解決のために、都では昨年度から、臨海副都心において、自動運転サービスの導入に向けた取組に着手をしております。
昨年度は、シンボルプロムナード公園内の夢の広場からセントラル広場まで往復をするルートにおきまして、自動運転車両の走行検証が実施されました。初めての取組であったことから、公園内を歩く歩行者の安全確保を最優先にするために、自動運転車両が走行するルート上にはフェンスが設置をされましたが、まちの関係者からは、車両の乗り心地や安心感に加えて、利便性についても評価が得られるといった、自動運転車両の導入については一定の理解が得られたと聞いています。
まずは、自動運転車両が安全に、そして快適に走行できるかということを検証する昨年度の取組が、おおむね目標達成できたと評価をしております。
都は、臨海副都心における自動運転の実装に向け、さらに取組を推進していくべきでありますが、今年度は、自動運転技術を活用したサービスの導入をどのように進めていくのかを伺います。
○小原臨海副都心開発調整担当部長 自動運転の実装に向けまして、都は、今年度も引き続き、シンボルプロムナード公園におきまして、自動運転の検証を行ってまいります。
具体的には、緊急時に対応を行う保安員が自動運転車両に添乗し、走行の安全性を十分確保しつつ、昨年度の検証からさらに条件を緩和して、車両の走行ルートと歩行者が歩くルートとをフェンス等で物理的に分けない環境下で自動運転車両の運行を行います。
あわせて、回遊性の向上を目的といたしまして、エリア内の施設との連携により実施するスタンプラリー等の効果の検証や、アプリによる自動運転車両利用者の乗降データの取得なども行う予定でございます。
また、今年度は、公園内での走行に関する検証に加え、公道における自動運転の検証も初めて実施いたします。
中型の自動運転バスを用いて、主に台場、青海地区を回遊するルートを走行し、利便性や利用者ニーズ等を把握いたしますとともに、円滑な運行や安全性向上のための技術的検証を行い、社会実装に向けた課題を整理してまいります。
なお、いずれの取組も来年一月から二月に実施する予定でありまして、公募により一般都民の方々に試乗していただくことを予定いたしております。
○あかねがくぼ委員 今年度は、公園に加えて、公道においても検証を行うとともに、一般都民の方々の乗車も予定をしているということであり、より実装を意識した取組が進められる予定であるということを確認しました。
臨海副都心エリアにおける自動運転の実装に向けて、今後どのように取り組んでいくのかを伺います。
○小原臨海副都心開発調整担当部長 自動運転の実装に向けましては、安全な走行に関する技術的な検証や採算性を踏まえた効果的な運行ルート等に関する検討を進めることと併せまして、自動運転の導入に対する地域の方々からの理解を得ていく必要がございます。
今後、都は、公道における自動運転の取組を繰り返し実施し、技術面、安全面での検証を深めますとともに、運行ルートの拡大や事業化に向けた検証に取り組んでまいります。
また、試乗体験の実施などを通じた積極的なPRを行うことによりまして、自動運転に対する地域の方々の理解度を高めるほか、実装に向けた交通管理者との調整を着実に行ってまいります。
今後も都は、自動運転の実装の実現に向け、積極的に取り組んでまいります。
○あかねがくぼ委員 自動運転サービスの社会実装に向けて、今後も多くの課題があるかと思いますが、臨海副都心エリアにおいては、この地域ならではの自動運転技術を活用したサービスの導入につなげるとともに、未来の技術を体験することができる、そういった魅力あるまちづくりを進めていただきたいと思います。
続きまして、離島について伺っていきます。
シン・トセイの中でも、港湾局の各局リーディングプロジェクトに位置づけられています離島港湾DX事業の推進については、衛星やドローン、ライブカメラ等により現地の状況を把握し、都民や関係機関への情報発信、迅速な災害対応を行うとしています。
そこで、このシステムにおいては、一部オープンデータ化を行うとのことですが、どのような情報をオープンデータにするのか、あわせて、都のデジタルツイン実現プロジェクトと港湾局のオープンデータについて伺っていきます。
○村田離島港湾部長 離島港湾DXは、災害発生時などにおいて港の被災状況を速やかに把握するため、人工衛星やドローンなどから得たデジタル情報を活用し、島の港に関する様々な情報を関係者間で迅速に共有するとともに、港の施設情報を三次元データ化していく取組でございます。
この過程で得られた情報は、セキュリティ上、課題のある水道管や光ファイバーなどの重要施設に関する情報を除き、民間事業者や個人が自由に活用できるようにすることで、新たなサービスの提供や都民生活の向上につなげられるよう、港の施設情報の公開に向けて検討を進めてまいります。
また、都が進めているデジタルツイン実現プロジェクトにおいて、離島港湾DXで得た港の施設情報が反映されるよう、関係局と連携して取り組んでまいります。
○あかねがくぼ委員 デジタルサービス局との連携というところもしっかりと取っていただきながら、オープンデータ化に取り組んでいただきたいと思います。
次に、島しょ地域の観光振興について伺ってまいります。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大が始まりまして、既に二年半経過しています。この間、社会経済活動の停滞により、多くの産業は影響を受けてきましたが、とりわけ観光業が厳しい状況に置かれてまいりました。
しかし、外国人の入国に関しては、先月からは一日当たりの入国者数の上限の撤廃や個人旅行の解禁など、一層の緩和がなされるとともに、全国旅行支援、ただいま東京プラスも開始されたことから、旅行需要の回復への期待が高まっています。
豊かな自然と独自の文化を持つ東京の島しょ地域も、このコロナ禍によって観光客が大きく減ってしまいましたが、現在は回復傾向にあると聞いています。
今後も、再び感染が拡大をする可能性がありますが、島しょ地域の経済を活性化していくためには、主要産業である観光の振興に取り組むことが必要不可欠であります。
港湾局が島しょ地域の港湾や空港を管理していることから、本日は、離島へのアクセスに関する利便性の向上やアクセス方法の充実という観点から、島しょの観光振興に向けた取組について確認をしていきたいと思います。
まず、都が開発をした伊豆・小笠原諸島への交通情報検索サイト、東京宝島うみそら便について伺います。
島しょ地域への観光客を増やしていくためには、島の魅力を知ってもらうことに加えまして、船や航空機の利用に関する利便性を高めていくことが重要です。
島しょ地域へ移動するには、東京港から出港する大型船及び高速ジェット船や、調布飛行場及び羽田空港から出発する航空機など様々な手段がありますが、運航事業者ごとに季節や曜日によってもダイヤが異なっており、加えて、全てのダイヤを一括して簡単に調べるという手段がない。そうしたことから、悪天候によって突発的に欠航が発生した際などには、代替の交通手段を調べるということが非常に面倒で手間がかかると、こういった声が以前から寄せられていました。
このため、我が会派は、島しょ地域の交通情報を分かりやすく提供することで、島を訪れる観光客などの利便性を高めていくべきと主張してまいりましたが、これを受け、東京都は、昨年の七月に交通情報検索サイト、東京宝島うみそら便をリリースしたところであります。
本土と島しょ地域を結ぶ船舶や航空機の交通情報検索サイトは、これまでになかった初のサービスであると伺っていますが、改めて、この東京宝島うみそら便の概要についてお伺いします。
○村田離島港湾部長 東京宝島うみそら便は、本土と島、また、島と島を結ぶ大型客船、高速船、航空機、ヘリコプターについて、全ての運航時刻や運賃を一括で検索できるとともに、運航情報を一覧で見ることができるウェブサイトとスマートフォンアプリによるサービスでございます。
このうみそら便を利用することで、島への経路検索が容易になるほか、遅延や欠航が発生した際には、代替の交通手段を素早く調べることも可能となります。
また、各島の観光情報を掲載するとともに、英語、中国語、韓国語にも対応しておりますので、訪日外国人も含め、多くの利用者にとって使いやすいものとなっております。
○あかねがくぼ委員 電車の時間や経路などを簡単に検索できるというサービス、今ではもう広く普及をしておりまして、ほとんどの方が使ったことがあるということです。
東京宝島うみそら便は、本土と離島を結ぶ船、飛行機、ヘリコプターの時間や経路を、まさに同じように一括で簡単に検索ができるといったサービスでありまして、本当に今までなかったものであり、大変画期的であります。実際使ってみましたけれども、とても便利で、これがないと非常に不便だというふうに感じたところであります。
しかし、よいサービスでも、多くの人に知ってもらって、実際に使っていただける、そうならなければ意味がないわけであります。より多くの観光客に島しょ地域に足を運んでもらうためにも、このうみそら便を広くアピールしていくべきと考えますが、都の取組について伺います。
○村田離島港湾部長 東京宝島うみそら便を積極的に周知し、より多くの方々に使っていただくようにすることは、島しょ地域の観光振興に資する有効な取組であると認識しております。
このため、都は、案内チラシやポスターを作成し、船客待合所などでの広報に努めるとともに空港等の待合スペースに設置したデジタルサイネージでも、うみそら便を操作できるようにするなど、船や航空機の利用者へのPRを積極的に行っております。
また、運航事業者と連携し、乗船チケットを入れるホルダーにうみそら便の案内やQRコードを掲載するとともに、今年度は夏のシーズンに向けて、ウェブ広告によるPRも実施したところでございます。
この結果、今年の夏は行動制限がなかったこともあり、昨年の同じ時期と比較して、アクセス数が二倍以上に増えるなど、大きな効果がございました。
今後とも、各町村と観光協会などと連携しながら積極的な広報展開を図り、東京宝島うみそら便の認知度向上に努めてまいります。
○あかねがくぼ委員 観光シーズンに合わせて、積極的な広告を出すということは非常によいことだと思います。うみそら便の周知に向けて、様々取組を行っていただいた結果、アクセス数が本当にしっかりと伸びているということであります。
今後も、地元自治体や観光協会等と連携をしまして、効果的なPRを展開していただくなど、引き続きの工夫をしていただきたいと思います。
また、多くの人々に利用されるようになるためには、PRだけでなく、コンテンツそのものも絶えず改善をしていく、こういった努力が必要であります。交通情報検索サイトをリリースしておしまいにするのではなくて、常に課題を洗い出しまして、より使いやすいものへと改良し続けていただくことをお願いいたします。
今後も都は、ユーザーの意見にしっかりと耳を傾けつつ、うみそら便をより使い勝手のよいものにしていくべきであると考えますが、その見解を伺います。
○村田離島港湾部長 うみそら便をより多くの人に継続してご利用いただけるようにするためには、利用者からのご意見やご要望をしっかりと受け止め、改善を続けていくことが必要でございます。
都は、うみそら便を本格的にリリースする前にユーザーテストを実施し、いただいたご意見を踏まえ、改善に取り組んでまいりました。
具体的には、検索結果で表示する交通ルートの数をさらに増やして、利用者の選択肢を増やすとともに、表示された交通ルートに船や飛行機の図柄のアイコンを追加することで、利用者にとってより分かりやすい画面とするなどの改善を行いました。
今年度は、トップページから各島の観光情報を掲載したページに直接移動できるようにするとともに、島しょ地域の観光情報サイトにリンクするバナーを多言語で作成し、外国人観光客にとって使いやすいものとするなどの取組を行う予定でございます。
都は、引き続き、利用者のご意見を踏まえながら、東京宝島うみそら便がより使いやすいものとなるよう、改善の努力を続けてまいります。
○あかねがくぼ委員 多言語対応に関する改善ということで、今後予想されるインバウンドの回復を見据えた取組であり、評価をしていきます。ぜひ、ウイズコロナ、ポストコロナにおける観光需要の高まりをしっかり捉えていけるよう、多様なユーザーを想定して、改善に努めていただきたいと思います。
続いて、島しょ地域へのアクセス手段の多様化という観点から質問をいたします。
島へ行く交通手段は、船や航空機の定期便以外にも、個人が所有するプレジャーボートや航空機のチャーター便などがあります。こうした多様な交通手段による移動を後押しすることは、島しょ地域の一層の観光振興を図っていく上で重要でありまして、これまでも我が会派は、プレジャーボートの受入れ環境の整備や、チャーター便の誘致を進めるべきと主張をしてきたところです。
プレジャーボートはマリンレジャーの一つであり、密を避けられるということから、コロナ禍で人気が高まったと聞いています。しかし、利用者からは、島しょ地域で船を係留できる場所に関する情報が不足しているということで、なかなか足を伸ばしにくい、こういった声が寄せられております。
そこでまず、島しょ地域におけるプレジャーボートの受入れ環境の整備について、これまでの取組を伺います。
○村田離島港湾部長 島しょ地域の観光需要を喚起するためには、プレジャーボートなどを受け入れる環境を整備していくことも重要でございます。
都はこれまで、プレジャーボートの利用実態に関する調査を実施するとともに、地元自治体や漁業関係者などと連携し、受入れ促進に向けた取組を進めてまいりました。
具体的には、プレジャーボートの利用者に向け、係留場所を写真つきで詳しく紹介するとともに、利用申請についても、これまでの電話による受け付けから、スマートフォンなどからのオンライン申請に変更し、利便性を向上させたところでございます。
また、地元からの意見を踏まえ、釣りを行う場合のマナーなど、港を利用するに当たってのルールも明確化し、周知を図っております。
都は、引き続き、関係者と連携しつつ、プレジャーボートの受入れ環境を整備し、観光客の増加につなげてまいります。
○あかねがくぼ委員 プレジャーボートの人気が高まりつつありますが、その一方で、利用マナーについては様々な意見があるということを承知しております。
島の港での受入れを促進するに当たっては、地元関係者のご理解、そしてご協力が不可欠であるということはいうまでもございません。
ただいまご答弁のあった新島でのプレジャーボートの受入れに関しても、都は、地元自治体や漁業関係者等と連携をして取組を進めたとのことでありますが、今後もぜひ地元の方々との調整を丁寧に行っていただいて、プレジャーボートの受入れ拡大に向けて、引き続きの努力をしていただきたいと思います。
続きまして、空からのアクセスとして注目されるチャーター便について伺っていきます。
チャーター便については、これまで八丈島に名古屋空港や広島空港などから便が就航し、多くの観光客が訪れていたと聞いています。八丈島には羽田空港との間を結ぶ定期便がありますが、チャーター便は羽田を経由する必要がないため、地方からの観光客にとっては利便性が高いと思われます。
しかし、せっかく定着をしていた利用も、このコロナ禍で落ち込んでしまったのではないかといった懸念もございます。
そこで、八丈島空港における近年のチャーター便の受入れ実績をまず伺います。
○川崎島しょ・小笠原空港整備担当部長 八丈島へのチャーター便は平成二十九年に開始され、以後、毎年春と秋に実施されてまいりました。
コロナ前の令和元年度は計十六便で、約千人の観光客が島を訪れております。
令和二年度は、緊急事態宣言の影響により、春のツアーが中止となったものの、秋のツアーがGO TOトラベルの時期と重なったことなどから、結果としてチャーター便による観光客数は、令和元年度と同規模の約千人となりました。
令和三年度は、度重なる緊急事態宣言などの影響を受けまして、チャーター便による観光客数は約七百人と、コロナ前と比較して約三割の減少となりましたが、今年度は春のツアーにおいて既に千人を超える観光客が訪れており、チャーター便の需要は堅調であると考えております。
○あかねがくぼ委員 昨年度は人数が減少したということでありますが、今年の春のツアーだけで既にコロナ禍前を上回る観光客がチャーター便で訪れているということであります。
八丈島に関しては、チャーター便が観光客の新たなアクセス手段として定着をしつつあり、今後の観光振興を図る上で重要な要素となっていくと思いますが、八丈島空港と同様に、ジェット機のチャーター便が離着陸できる滑走路を持つ空港が大島空港であります。
この環境を生かさない手はないということで、大島にも地方空港からダイレクトにチャーター便が来るということで、多くの観光客が訪れるようになるとよいのではと思います。
大島空港についても、チャーター便を誘致する取組を積極的に進めていくべきであると考えますが、都の見解を伺います。
○川崎島しょ・小笠原空港整備担当部長 大島空港は、ジェット機の離着陸が可能な千八百メートルの滑走路を持つ、潜在能力の高い空港でございます。
これまでも都は、空港を活用した大島の活性化策の一つとして、チャーター便の誘致を進めてまいりました。
具体的には、運航事業者がツアーを実施しやすい環境を整備するため、ジェット機の就航に必要となる旅客用ステップなどの資機材の調達支援や、地元の観光協会等との調整を行ってきたところでございます。
この結果、本年三月に初めてチャーター便が岡山空港から就航して以降、これまでに計九便、三百二十人以上の乗客が大島を訪れております。
今後とも地元の方々とも連携しながら、さらなるチャーター便の誘致に向けまして、積極的に取り組んでまいります。
○あかねがくぼ委員 資機材の調達支援や地元との調整など、都が積極的に誘致の取組を進めたということが、今回初めての就航につながったものであると考えております。
今後さらに多くのチャーター便の就航を図っていくために、運航事業者やチャーター便の利用者などからのご意見、また、ご要望にしっかりと対応していく必要があると思います。
チャーター便が新たなアクセス手段として定着をしていけば、全国から多くの観光客が島しょ地域を訪れようになることが期待できます。都には、引き続き積極的に取り組んでいただくよう要望をいたします。
ここの質疑を通じまして、都が交通アクセスの利便性向上やプレジャーボートの受入れ環境の整備、また、チャーター便の誘致などには、非常に積極的に取り組んでいる、そして、観光振興につなげているということを確認させていただきまして、私の質疑を終わります。
○慶野委員長 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
午後六時九分休憩
午後六時四十分開議
○慶野委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○まつば委員 私からは、防災対策について質問をさせていただきます。
初めに、東京港の海岸保全施設の機能強化についてお伺いをいたします。
東京に台風が接近した際、最も心配されるのが高潮による被害であると思っております。区部東部に広範囲の低地帯を抱える東京は、かつて台風による高潮の被害を度々受けていた都市でありました。特に昭和二十四年のキティ台風では、台風が通過する時刻と東京港の満潮時刻が重なったために、区部東部を中心に大規模な水害が発生し、約十三万戸以上の家屋が浸水被害を受けたという記録も残っております。
一方、東京の臨海部では、南海トラフ巨大地震などが発生した際に、津波が押し寄せてくることも想定をされております。
このため、都はこれまで、市街地を高潮や津波から守る防潮堤や水門等の海岸保全施設の整備を進めてきたところでございます。
そこでまず、東京港における海岸保全施設の整備に関する基本的な考え方について、改めてお伺いをいたします。
○片寄港湾整備部長 これまで都は、甚大な被害が発生した昭和三十四年の伊勢湾台風級の台風による高潮を想定して、海岸保全施設の整備を進めてまいりました。
具体的には、干潮時の潮位を基準として、プラス四・一メートルから五・一メートルの高潮が襲来するとの想定の下、プラス四・六メートルから八メートルの高さの防潮堤の整備を進めてきたところであり、整備はおおむね完了しております。
なお、津波の高さにつきましては、本年五月に見直された首都直下地震等による東京の被害想定によると、東京港内で最大プラス三・八メートルと想定されており、津波に対しても十分な高さの防潮堤となっております。
○まつば委員 防潮堤を整備して以降は、東京で高潮による浸水被害は発生していないと聞いております。防潮堤や水門等の海岸保全施設が有効に機能している証左であり、評価したいと思います。
一方、首都直下地震におきましては、東京港の広い範囲で最大震度六強の揺れが発生するとされているために、地震によって防潮堤や水門が損傷しないように、耐震化の取組を進めることも重要でございます。
そこで、東京港の海岸保全施設における耐震化の進捗状況についてお伺いいたします。
○片寄港湾整備部長 平成二十三年に発生した東日本大震災を踏まえ、港湾局では、平成二十四年に東京港海岸保全施設整備計画を改定し、マグニチュード七・三の首都直下地震等を想定した耐震対策に取り組んでいるところでございます。
海岸保全施設の耐震化の進捗状況でございますが、昨年度末時点において、防潮堤につきましては全延長約六十キロメートル中、約五十七キロメートルの耐震対策が完了し、現在、残る約三キロメートルを事業化しており、このうち約二キロメートルで工事を実施中でございます。
水門につきましては、全十五か所のうち十四か所、排水機場につきましては二か所のうち一か所で耐震対策が完了しており、残りの箇所につきましても工事に着手したところでございます。
また、水門の内側にある内部護岸につきましては、全延長約四十六キロメートル中、約三十二キロメートルで耐震工事が完了し、現在、残る約十キロメートルで事業化しており、このうち約三キロメートルにおいて工事を実施しているところでございます。
都は、海岸保全施設の耐震化の完了に向け、引き続き全力で取組を進めてまいります。
○まつば委員 防潮堤や水門、排水機場の耐震対策については、着実に進んでいるようでございます。ただ、内部護岸については、防潮堤などと比べると進み方が遅いということかと思います。
この内部護岸の耐震対策について、今後どのように進めていくのかお伺いいたします。
○片寄港湾整備部長 内部護岸につきましては、護岸の前面水域を占用し事業等を行っている水域利用者が多いことから、耐震対策工事の実施に当たりましては、事業活動への影響を最小限に抑えるよう、様々な調整を行いながら進めております。
具体的には、仮移転先を確保することで、工事期間中に水域利用者が事業を継続できるよう配慮したり、工事の影響で利用が制限される水域を最小限とする施工手順を提案するなど、水域利用者の立場に立った調整を図ることが必要でございます。
引き続き、水域利用者など関係者との調整を丁寧に行いながら、内部護岸の耐震対策工事を着実に進めてまいります。
○まつば委員 今、水域利用者の立場に立った調整を行っていると、その上で進めているというご答弁がありましたが、大変に大切なことだと思います。
その上で、内部護岸の耐震対策工事は、都民生活の安全・安心を守るために必要な工事であると考えます。水域利用者との調整を十分に行い、ご理解をいただきながら、着実に耐震化工事を進めていただきたいと思います。
さて、近年、世界各地で異常気象に伴う災害が多数発生をいたしております。こうした自然災害の激甚化の大きな原因の一つとして考えられているのが、気候変動による影響であるというふうにいわれております。
二〇一五年に締結されたパリ協定では、気温上昇を一・五度に抑える努力を追求しつつ、二度未満とすることを長期目標として設定することが合意をされておりますが、この目標が達成されたとしても、平均気温が一・五度から二度上がることに伴って、海面水位が上昇するということも予想をされております。
これまで、高潮や津波への備えである海岸保全施設の整備状況について確認をさせていただきましたが、前提となる海面の水位そのものが上昇するということになるのであれば、新たな対策が必要になるのではないかと考えます。
そこで、気候変動は東京港における高潮、津波対策にどのような影響を及ぼすのか、見解をお伺いいたします。
○片寄港湾整備部長 国連気候変動に関する政府間パネル、IPCCの報告によれば、将来気温が二度上昇した場合、二一〇〇年には世界の平均海面水位が現在より最大約〇・六メーター上昇すると予測されており、将来、防潮堤の高さが不足するおそれがございます。
また、国の気候変動を踏まえた治水計画のあり方提言では、同じく将来気温が二度上昇した場合、関東地方では降雨量が一・一倍に増大すると予測されております。
水門を閉鎖した際には、その内側にある運河が降雨による水位上昇であふれないようにするため、排水機場のポンプにより水門の外側へ排水を行っておりますが、降雨量が増大すると、排水が間に合わず運河が氾濫する可能性が生じます。
このため、港湾局では、令和二年度から有識者等による技術検討会を立ち上げ、専門的知見を得ながら気候変動の影響に対応できるよう、海岸保全施設のさらなる機能強化について検討を行っているところでございます。
○まつば委員 海面水位の上昇によりまして、将来、防潮堤の高さが不足するとともに、降雨量が増大することで、水門閉鎖後に運河が氾濫する危険性が増す事態が発生するというようなご答弁でありました。
かつて東京は度々浸水被害を受けておりますが、海岸保全施設の整備により、そうした被害はなくなり、都民は安心して生活を送ることができるようになりました。
しかし、気候変動により、将来の東京がかつてのような浸水被害が頻発する都市に戻ってしまうおそれが生じつつあることから、海岸保全施設の強化に向けた取組を直ちに始めるべきであると考えます。
今後予測される気候変動を踏まえ、都は高潮、津波対策の強化を図るべきであると考えますが、見解をお伺いいたします。
○片寄港湾整備部長 海面上昇や降雨量の増大が予測される中、引き続き、海岸保全施設が都民を守る施設として適切に機能していくためには、長期的な視点に基づいた対策を着実に実施していくことが重要でございます。
このため、都は、技術検討会の意見を踏まえ、今年度中に東京湾沿岸海岸保全基本計画を改定し、海岸保全施設の機能強化に取り組んでまいります。
具体的には、将来想定される高潮の高さを改めて算定し、これに十分対応できる高さの防潮堤となるよう、かさ上げを実施してまいります。
また、今後予測される降雨量の増大を踏まえ、水門閉鎖後に必要とされる排水量を改めて算定し、これを確実に排水することができるよう、排水機場のポンプの増強に取り組んでまいります。
都は、この計画に基づいて海岸保全施設の機能強化を着実に進めることで、将来にわたり都民の生命と財産を守ってまいります。
○まつば委員 都は、既に防潮堤のかさ上げや排水機場のポンプの増強などの検討を進めているということであり、迅速に取り組んでいるものと評価するものでございます。今後想定される海面上昇や降雨量の増大に対して万全を期せるよう、将来を見据えた海岸保全施設の機能強化に着実に取り組んでいただきたいと思います。
また、「未来の東京」戦略のversion up 二〇二二や、また、都市強靱化プロジェクトの論点などにも記載がございますけれども、海面水位の上昇の影響は港湾区域だけではなく、建設局所管の区域にも及ぶということになるかというふうに思います。港湾局が先行してこういった取組をされているかなというふうにも理解をしておりますので、しっかりと建設局とも情報共有をしていただいて、全庁的な対策を取っていただくことを要望させていただきます。
次に、島しょ地域における防災対策についてお伺いをいたします。
伊豆・小笠原諸島では、台風による強風や高波により、被害が毎年のように発生をしております。また、南海トラフ巨大地震により、最大で高さ約二十八メートルの津波が押し寄せると想定されているとともに、伊豆大島や三宅島などでは周期的に火山噴火も発生をしております。東京の島しょ地域では、台風、津波、噴火といった複数の大規模自然災害にどう向き合っていくかが常に大きな課題になっているといえると思います。
以前より我が党は、島しょ地域の防災対策を極めて重要な課題と捉えておりまして、これまでも津波避難施設の整備状況を現地で確認するとともに、必要な施設の一刻も早い整備について繰り返し要望をしてまいりました。本日の質疑では、台風、津波、火山噴火というそれぞれの災害への取組について確認をさせていただきたいと思います。
まず、台風時の暴風対策として、無電柱化の取組についてお伺いいたします。
島しょ地域は、急傾斜地や山間部が多いために、台風の襲来時には土砂の崩落や倒木等による断線で停電が度々発生をしており、島民の生活に重大な影響を与えております。
人口が密集する都市部と比べて、電力供給のルートが限られ、バックアップ機能が弱い島しょ地域においては、一か所の断線で停電が広範囲に及ぶことがあると伺っております。このため、無電柱化によって電線を地中化することは、土砂の崩落や倒木、電柱倒壊等による断線等を防ぎ、停電発生を防ぐという点で極めて効果的な取組であると考えております。
中でも、港や空港は島民の生活と産業を支える重要なインフラでありまして、停電によって機能が停止するという事態は極力避けなければならないことから、無電柱化を進めることは重要でございます。
そこで、島しょ地域の港や空港においても計画的に無電柱化を進めていくべきであると考えますが、都の取組をお伺いいたします。
○村田離島港湾部長 災害時においても重要な社会インフラである港と空港の機能を維持し続けるためには、無電柱化を積極的に進め、停電や通信障害を発生させないようにすることが重要でございます。
このため、都は、本年一月に東京都島しょ地域無電柱化整備計画を策定し、無電柱化の取組を積極的に進めていくことといたしました。
具体的には、定期船が発着する十八の港と五つの空港の無電柱化を二〇三〇年代までに完了させることを目指してまいります。
このうち、特に令和元年の台風十五号で被害が発生した大島や新島などにある四つの港と二つの空港につきましては二〇二五年度までに完了させることとしており、今年度、調査、設計などに着手したところでございます。
さらに、本年八月には、電柱のない島の実現に向け、先行整備する島として利島と御蔵島を選定し、利島・御蔵島無電柱化整備計画も策定したところでございます。
今後とも、地元自治体や都道の管理者である建設局、関係事業者と緊密に連携しつつ、島しょ地域の無電柱化に向けた取組を全力で進めてまいります。
○まつば委員 今年度から島しょ地域における無電柱化の取組が本格的に動き出していることを確認いたしました。特に、電柱のない島の実現は、防災という観点に加え、美しい島の景観を保護するという点でも大いに期待をしたいと思います。
今後、整備計画に即して着実に進めていただきたいと思いますが、無電柱化を進めるに当たっては、極力経費を削減し、施工上の工夫を行っていくことも必要ではないかと考えております。
そこで、無電柱化を進めるに当たっては、島の特性を踏まえた施工方法を検討し、事業のスピードアップとコスト縮減を図るべきと考えますが、都の取組について伺います。
○村田離島港湾部長 島しょ地域の無電柱化を進めるに当たって、事業期間の短縮とコスト縮減を図っていくことは重要でございます。
島しょ地域では、本土に比べ電線が少ないため、電線を収容して地下に埋設する管路の数が比較的少なくて済むという利点がございます。このことから、管路を地下に埋設する際に掘削する土砂についても、可能な限り減らしてまいります。
また、管路は歩道の下に埋設することが一般的でございますが、道路に隣接した緑地や路肩などの地下を活用することで、アスファルトやコンクリートで舗装されている歩道での掘り返し作業を減らす取組も進めてまいります。
都は、こうした工夫により、コスト縮減と作業の効率化を図りつつ、港や空港における無電柱化を効率的かつ効果的に進めてまいります。
○まつば委員 スピード感を持って島の無電柱化を推進をしていただきたいと思います。
続いて、島しょ地域の津波対策についてお伺いをいたします。
冒頭でも述べましたとおり、島しょ地域では、南海トラフ巨大地震の発生時に最大で約二十八メートルの津波に襲来されることが予測されております。
我が党は、平成三十年に、当時、大島岡田港で整備中であった津波避難施設を視察いたしました。岡田港の津波避難施設は、船客待合所と一体となったタワー型のものでありましたが、港によっては背後の崖に階段を設置した例もあると伺っております。
そこで、各港における津波避難施設の整備の考え方についてお伺いをいたします。
○村田離島港湾部長 津波避難施設は、津波が到達するまでの時間内に、利用者が安全に避難することが困難な九か所の港において整備することとしており、本年八月に全ての整備を完了させております。
津波避難施設の整備に当たりましては、港周辺の地形やコストなどを考慮した上で施設の構造を決定しており、港から高台までの距離が長い大島岡田港と新島港、神津島港では、港内に避難タワーを整備いたしました。
また、港のすぐ背後に高台があります神津島三浦漁港と新島若郷漁港では、港から高台へつながる斜面に階段を整備するとともに、大島の波浮港、元町漁港、岡田漁港や三宅島三池港においては、背後の高台へのアクセスが容易となるよう、避難通路などを設置いたしました。
○まつば委員 津波避難施設というと、タワー型のものというふうに思っておりましたが、それに加えまして、港周辺の地形を考慮した上で様々な避難施設を整備してきたということを確認いたしました。この八月に整備を全て完了させたとのことであり、評価したいと思います。
しかし、この津波避難施設の整備を完了させることで防災対策が終わるわけではありません。いざというときに、港にいる観光客や荷役従事者など全ての方々が津波避難施設を使って安全に避難できるよう、日頃から取組を行う必要があると考えます。
津波襲来時において、港にいる人々の安全をしっかりと確保するためには、関係者による避難訓練を行うことが必要であると考えますが、都の見解をお伺いをいたします。
○村田離島港湾部長 津波避難施設が防災上の役割を十分に果たしていくためには、発災時において施設が適切に利用されるよう取組を進めていくことが重要でございます。
このため、都は、津波避難施設が設置されている港におきまして、地元自治体や関係事業者などと連携して避難訓練を実施しており、昨年度は大島の岡田港、今年度は新島の新島港と若郷漁港において、それぞれ訓練を実施いたしました。これらの訓練でいただいたご指摘やご意見は、他の港の津波避難施設の運用にも十分生かしてまいります。
これに加え、都は、津波避難施設に関する看板を港内に複数箇所設置するとともに、通路上などに誘導用の矢印を表示する取組を行っているところでございまして、初めて島を訪れた観光客でも津波発生時に迅速に避難できるよう万全を期してまいります。
今後は、津波避難施設が設置されている全ての港において避難訓練を実施していく予定であり、島民や観光客などの安全確保に向け、引き続き全力で取組を進めてまいります。
○まつば委員 今ご答弁の中でございましたけれども、初めて島を訪れた観光客の方への配慮ということで、津波避難施設に関する看板を複数箇所設置、また、通路上などにも誘導用の矢印を表示するという取組を行っているというふうなご答弁でした。
もう一方、やはり配慮していかなければいけない方々というのは、やはり高齢者や子供、障害がある方々などの災害弱者の方々だというふうに考えております。
そういった意味では、避難訓練を行うに当たっては、高齢者や子供、障害がある方々などが津波避難施設に避難することも想定をして実施すべきであると考えますが、見解を伺います。
○村田離島港湾部長 島しょ地域の港は、健常者だけでなく、高齢者や子供、障害を持つ方なども利用することから、津波発生時に港にいる全ての人々の安全な避難を実現させるためには、こうした方々を想定した避難訓練を実施することが重要でございます。
このため、都は、今後、津波避難施設が設置されている港で実施する避難訓練におきましては、例えば車椅子利用者や介助を必要とする方などの避難を想定した、より実践的な訓練を実施してまいります。
加えて、津波避難タワーに備蓄している食料やアルミブランケット、また、乳幼児用のミルクなど、実際に利用していただくことで、高齢者や乳幼児の保護者の方などにも使いやすいものであるか、ほかに備えるべき備蓄品がないかなどについて検証を行ってまいります。
都は、こうした訓練を繰り返し実施していくことで、港を利用する全ての人々の安全かつ円滑な避難の実現を目指してまいります。
○まつば委員 私はずっと女性視点の防災対策ということに取り組ませていただいてまいりましたが、やはりお子さんや高齢者の方、障害がある方、そうした方々の視点を持っていくということが非常に重要であると思います。そうした意味では、今ご答弁いただきましたけれども、常に訓練を実施する中で、課題を洗い出して改善につなげる、こういった姿勢で取組を進めていただくように要望させていただきます。
さて、都の被害想定によれば、南海トラフ巨大地震で発生する津波によって、島しょ地域全体で約一千二百棟の建物が倒壊すると予測されております。被災後の復旧活動が円滑に進められるようにしておくことも重要な防災対策であります。
復旧のためには、人や救援物資、大量の資材等の搬入が必要となりますが、陸路で緊急輸送することができる本土と異なり、島しょ地域ではそのほとんどを船で輸送することとなるため、災害時においても港湾が利用できる状態となっていなければならないと考えます。
港湾機能を災害時にも維持し続けるためには、大規模な地震や津波にも耐えられる岸壁を整備すべきであると考えますが、取組についてお伺いをいたします。
○村田離島港湾部長 都では、災害発生時においても大型船舶などが着岸できる緊急輸送用岸壁を、伊豆・小笠原諸島の住民が居住する全ての島に原則一つずつ確保することとしております。
これらの岸壁について、想定される最大級の地震や津波に耐えられるか検証を行った結果、八丈島八重根漁港、三宅島阿古漁港、式根島野伏漁港、小笠原二見港の四つの港の岸壁で追加の整備が必要であることが判明いたしました。
このため、現在、八重根漁港と阿古漁港において岸壁の整備を進めるとともに、野伏漁港と二見港については、効果的な補強方法などについての調査検討を進めているところでございます。
都は、島しょ地域が被災した際の復旧、復興活動が円滑に行われるよう、引き続き、これらの緊急輸送用岸壁の整備を進め、早期完成を目指してまいります。
○まつば委員 大規模な地震や津波が起こった場合でも、本土と島の結節点となる港の機能は必ず維持をしていかなければならないものでございます。
平成二十五年に伊豆大島で大規模な土石流災害が発生した際は、緊急物資や救援資機材の搬入、さらには島民の一時避難などに港湾が重要な役割を果たしており、災害時における港湾の重要性を改めて認識したことは、今でも記憶に新しいところでございます。
災害はいつ発生するか分からないものであります。残された緊急輸送用岸壁の整備についても、ぜひ加速化させていただくように要望をいたします。
最後に、噴火災害対策についても確認をさせていただきます。
伊豆諸島の中でも大島や三宅島は噴火活動が周期的に起こっております。直近では、大島の三原山が昭和六十一年に、三宅島の雄山が平成十二年に噴火し、いずれも全島避難という大変な経験をされたということがございました。
一たび噴火すれば、大きな被害をもたらすことはいうまでもございません。島のそれぞれの集落から速やかに人々が避難するためには、複数の港の確保が必要でございます。
そこで、噴火の際に避難の拠点となる港の整備状況についてお伺いをいたします。
○村田離島港湾部長 都では、大島、三宅島における過去の噴火災害などを踏まえ、噴火時に島外へ避難するための船舶を受け入れる港を大島と三宅島にそれぞれ三港ずつ定めております。
これらの港では、大型船舶が接岸できる岸壁や、港内の静穏度を確保するための防波堤の整備を行うこととしており、岸壁につきましては、全ての港において既に整備が完了しております。
また、防波堤については、現在、大島波浮港と三宅島伊ヶ谷漁港などにおいて整備を進めているところでございます。
さらに、大きな噴石が飛んでくるおそれのある三宅島三池港においては、今後、船客待合所の建て替えを行う際に、噴石を考慮した強度の屋根を設置する予定でございます。
引き続き、各施設の早期完成に向け、着実に整備を進めてまいります。
○まつば委員 火山の噴火時に島民が避難するのに必要となる港湾施設の整備がしっかりと進められていることを確認させていただきました。必要とされる港湾施設の整備を着実に進めていただき、噴火災害に対する島の防災力を強化していただきたいと思います。
今日は簡潔に質問させていただきましたが、明快なご答弁、大変にありがとうございました。引き続き、島民のために、各施設の早期完成を進めていただきまして、安全対策を強化していただくように要望いたしまして、質問を終わります。
○あぜ上委員 資料の作成、ありがとうございます。
それでは、私からまず、東京港の防災対策について伺いたいと思います。
私の地元江東区には、海岸保全施設や河川がたくさんありまして、その整備がいかに大変な工事なのかということを身近に見てまいりましたが、耐震化、そして防災整備、これを着実にぜひ進めていただきたいと、そういう思いで何点か伺わせていただきたいと思います。
それで、海岸保全施設の耐震化対策については、ただいま質疑がございまして、ご答弁もありましたので、この海岸保全施設については二点だけちょっと伺いたいと思うんです。
それで、一点は、防潮堤の耐震化なんですが、先ほどのご答弁で、防潮堤の耐震化の工事に着手されていないのは残り一キロだということが分かりました。その見通しは立っているというふうに伺っているんですけれども、防潮堤の耐震化の完了の目途はどんな感じなんでしょうか。そこだけをお答えいただければと思います。
○片寄港湾整備部長 防潮堤の残り約一キロメートルにつきましては、橋梁との交差部など施工が困難な箇所でありますが、現在、施設管理者と調整し、測量や設計などの事業化をしているところでございます。
引き続き、耐震化の完了に向け、取組を進めてまいります。
○あぜ上委員 具体的な年数はありませんでしたけれども、頑張るということで、災害対策はぜひ、そういう意味では最優先で、いつ来るか分からないこの災害に対応していただくためにも、総力を挙げて頑張っていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
それから、内部河川の耐震化についてもご答弁があったんですが、確かに事業者の事業活動との兼ね合いなので、大変難しいだろうなということはよく分かります。まずは整備計画、耐震化計画、これを着実に執行できるように、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
そして、ハード整備とともに、やはり万一のときの対応が的確にできるということが非常に重要だというふうに思うんです。それで、水門、陸閘の防災訓練、これについては今年度どのように実施されたのか伺います。
○片寄港湾整備部長 都では、台風襲来を想定した総合高潮防災訓練や、地震発生を想定した地震防災訓練を高潮対策センターにて毎年実施しております。
今年度は九月に開催し、地震により津波が発生したという想定の下、実際に水門や陸閘を開閉するとともに、関係区や関係機関への情報発信等、水防活動で必要となる業務の訓練を実施いたしました。
○あぜ上委員 毎年、防災訓練はされているということは大事なことだと思います。
陸閘も、地震や津波、台風のときに完全に閉まらないという事態が起こらないように、よろしくお願いしたいと思うんですが、陸閘は遠隔操作システムも既に導入されていますが、近隣に住宅があるなど、都民生活に密着している場所にも陸閘があるところもありますね、まだ。そういう意味では、近隣住民とも一緒に訓練を行う必要があるんじゃないかと私は考えますが、ぜひ地元区とも協議をしていただいて、定期的な訓練を行っていただくように求めたいと思います。
次に、防災船着場についてなんですが、防災船着場は、被災直後は医療搬送、それからあと、緊急物資輸送、こういうことに使われ、少し落ち着いた段階では帰宅困難者の輸送も使われるということでありますが、東京港防災船着場配置計画というのを読ませていただきましたが、計画では三十八か所ありますけれども、完了した船着場は何か所あるのか伺います。また、どのような防災訓練を実施されているのかも伺います。
○片寄港湾整備部長 都では、平成二十八年三月に策定した東京港防災船着場整備計画において、東京港内に合計三十八か所の防災船着場を配置することとしており、これまでに三十三か所の整備が完了しております。
また、防災船着場を活用した防災訓練は、被災者や物資の輸送に関する調整を行う地元区及び総務局や、船舶の運航を担う民間事業者等と連携し、それぞれの役割の確認や課題の抽出を目的として、平成三十年度から毎年、実施場所を変えながら行っております。
○あぜ上委員 三十三か所の整備完了ということです。
江東区の防災マップというのがあるんですが、そこにも防災船着場が記載されているんです。しかしながら、切下げは既に行っているんですけれども、まだ標識がないところなどは記載されていません。標識や照明などの設置を進めて、着実な配置と自治体との連携をぜひお願いしたいと思います。
また、照明なんですけれども、近隣との調整も必要な場所もあるなというふうに思いました。丁寧な話合いで、近隣住民の理解と合意の下に対策を進めていただきたいと思います。
東京港の防災船着場は、今後さらに増設する計画というのはあるんでしょうか。
○片寄港湾整備部長 現在、整備計画に位置づけている三十八か所の整備完了に向けて取り組んでいるところでございまして、現時点におきましては、東京港防災船着場をさらに増設する計画はございません。
○あぜ上委員 まずは現計画の整備を着実に実施するということであります。
隅田川をはじめとした内部河川の防災船着場は、建設局、それから、区の船着場も多くあるんです。沿岸部の人口もこの間急増しておりまして、そういう中で災害時の緊急輸送経路を確保して、連携して対応することは大変重要だというふうに思います。ぜひ関係者とも連携して、防災船着場を拡充していただくことを求めたいと思います。
さて、橋梁の耐震化については先ほど質疑があってご答弁もありました。それは省きますが、東京港の係船岸壁の耐震化の進捗についてだけお答えいただけるでしょうか。
○片寄港湾整備部長 東京港内で整備を計画している係船岸壁、耐震化した場合、耐震強化岸壁と呼んでおりますが、四十八バースございます。当該岸壁は、新規ふ頭整備や既存ふ頭の再編等に合わせて整備を進めており、現在、十九バースについて工事が完了、五バースで事業中でございます。
○あぜ上委員 ありがとうございます。物流機能の拠点として、また、災害時の緊急物資の輸送にとっても大変重要な係船岸壁だと思います。着実に耐震化を進めていただけることを求めます。
そして、港湾整備の技術者育成と調査研究、このことも大変、防災対策には欠かせないと私は考えているんですが、その認識と対策について伺いたいと思います。
○片寄港湾整備部長 災害に強い岸壁や防潮堤などの施設を着実に整備し、維持管理していくためには、施設ごとの設計や工事等に関する専門知識に加え、東京港の地盤特性などに関する知識を持った技術者の育成や調査研究が重要となります。
このため、港湾局では、港湾構造物の設計、施工管理など、業務遂行に必要な研修を職種や職級ごとに行うとともに、防災対策に欠かせない液状化対策や軟弱地盤対策に関する研修も実施しております。
また、東京港内における地震や波浪、地盤沈下などの観測や、それら蓄積したデータの解析を継続的に行っており、東京港の特性を反映した施設整備の基礎資料として活用しているところでございます。
今後とも、こうした技術者の育成や調査研究を計画的に実施し、防災対策を含む様々な事業に着実に対応できるようにしてまいります。
○あぜ上委員 忘れられないのが、二〇一一年の三・一一、東日本大震災のときだったんですが、私のところにも、臨海地域からも、また、市街地の皆さんからも様々な声が寄せられまして、私は翌日から数日かけて区内を回ったんですけれども、特に湾岸地域、ここからの声が非常に大きかったので、湾岸地域をつぶさに回らせていただきました。
激しい液状化の状況のあるところ等も見て回りましたけれども、そういう中で、本当に臨海地域の災害対策を講ずる上で、施設ごとの設計とか工事等に関する専門的な知識に加えて、やっぱり東京港、東京湾岸の地盤の特性、こういうことに関する知識を持った技術者の育成、調査研究というのは本当に大事なんだなということを痛感した次第です。
調査研究は、引き続きご努力されていることは、ホームページの報告データ、いつも更新されているのを読ませていただいていますが、それを見ると分かるんですが、その大事な役割を担う港湾局の技術職の職員の推移、これを見てみますと、さすがに東日本大震災後の経過を見ると、少し技術職の職員数は伸びているんですが、これは五輪の大会の影響もあるんですけれども、二十年前に比べたら六十人も減っているんですよね、港湾局の技術職の職員の方々が。
これから湾岸地域の耐震化の問題、それから海面、水面の上昇対策どうするか、そして環境に優しい港づくりをどういうふうにつくっていくのか、こういう安全対策とか環境対策などを万全に進めていくためには、やはり大事な技術職の職員の育成、継承は、私は不可欠であるというふうに思うわけです。
東京港の地盤の特性や環境の特性などに関する知識を持つ技術者をしっかり育成、継承していただくとともに、必要な体制を維持できるように、技術職の職員の方々の増員を強く求めたいと思います。これは意見としていわせていただきます。
二番目の質疑は、東京港の各施設におけるトイレについてです。東京港の各施設におけるトイレの総数と女性トイレの数をまず伺います。
○野平港湾経営部長 東京港内の主に現場の港湾事業関係者が利用する都有施設におきましては、全体で二百四十九か所のトイレがあり、そのうち百か所が女性専用でございます。
施設ごとの内訳でございますが、上屋や荷役連絡所におきましては、総数百八十七か所のうち七十三か所が女性専用であり、休憩所等の福利厚生施設や車両待機場におきましては、総数六十二か所のうち二十七か所が女性専用となっております。
○あぜ上委員 現場で働く方々からはまだ女性トイレがないところがあると伺っていましたが、具体的な数をご答弁いただきまして分かりました。調べていただいたということでありがとうございます。
昨年度からこの間、改修し、女性トイレを増設されたところはあるんでしょうか。伺います。
○野平港湾経営部長 昨年度は大井ふ頭の上屋におきまして、また、本年度は青海ふ頭の休憩所におきまして、それぞれ女性トイレを一か所ずつ増設しております。
○あぜ上委員 私は、女性の港湾労働者も増えてきていることを示して、現場で働く女性は大変なご苦労などもしているんだということ、そういうことを紹介して女性トイレの拡充を求めてきましたけれども、増設されたということは重要だと思います。
現場からは、どのような要望が、今寄せられていますでしょうか。伺います。
○野平港湾経営部長 東京港における港湾事業関係者からは、女性専用トイレの設置を含め、良好な労働環境の確保などにつきまして、様々なご意見をいただいております。
都は、こうしたご意見も踏まえ、例えば、青海ふ頭の休憩所に女性専用トイレを増設するなどの対応を図っております。
○あぜ上委員 現場の声を聞いて労働環境の確保に努めること、これは大事なことだと思います。女性トイレを増やすことや、全体のトイレや手洗い場を増やして衛生管理をしっかり行うことは、喫緊の課題だと思います。
今後の衛生施設整備計画と女性トイレの整備計画というのはあるんでしょうか。伺います。
○野平港湾経営部長 都は、港湾事業に関連する業界団体と共に、港で働く方々にとって快適で働きやすい環境を確保するよう努めております。
今後とも、女性トイレを含め、衛生設備の整備につきましても、港湾事業関係者からのご意見や現場の実情等を踏まえながら、適時適切に対応してまいります。
○あぜ上委員 ぜひ現場で働く皆さんへのアンケート調査なども行って、女性トイレや誰でもトイレの増設や、働きやすい衛生環境整備計画をぜひつくっていただいて、着実に実施するよう求めたいと思います。
さて、最後の質問は、IR、カジノについてです。
この間、私たち日本共産党都議団は、人の不幸を土台にした経済対策はやるべきでないとカジノ誘致に反対し、都としてのカジノ調査費は計上すべきでないと指摘をしてまいりました。
しかし、この九年間、カジノ調査費は計上され、二〇二〇年度と二〇二一年度は未執行となりました。にもかかわらず、今年度もまたカジノ調査費を計上してしまいました。
今年度のIR、カジノの調査費の執行状況を伺います。
○堀内調整担当部長 今年度の予算にはIRの検討調査に要する費用として、約一千万円を計上してございますが、調査委託につきましては現時点で発注してございません。
○あぜ上委員 現時点で発注していないということは、今年もまた未執行になる可能性が大きいということだと思います。
この間、都は六年間、毎年IRのカジノ調査を続けてきましたが、IR推進法の成立を機に、二〇一九年度の調査では、踏み込んで都内のギャンブル依存症に関する調査を行っています。
そのときの調査目的には、IRに関する検討を進めるに当たっては、国内におけるギャンブル等依存症への取組等の現状を把握することと、IR誘致の検討に前のめりになっていて大変心配していたところ、先ほどいったように、二〇二〇年、二〇二一年と二年連続して委託調査が見送られたわけです。
国による基本方針公表の遅れや新型コロナ感染の状況から見送ったということでありますが、もう委託調査はきっぱりやめるべきではないでしょうか。
来年度もIR、カジノ調査費を計上するつもりなのかどうか伺います。
○堀内調整担当部長 IRについて、都はこれまでも、メリット、デメリットの両面から総合的に検討を行ってきたところでありまして、今後も引き続き検討を行っていくことに変わりはございません。
来年度の予算につきましては、現在検討中でございます。
○あぜ上委員 まだメリット、デメリットの検討をするんでしょうか。既に何年もかけて調査を行っても、そういわざるを得ないような姿勢を続けていることは、私は許されないと思います。
私は、今年の五月にIR、カジノの区域整備計画の認定申請受付の所管であります国土交通省の観光庁の担当官に聞き取りに行ってきましたが、申請期間は二〇二一年の十月から二〇二二年の四月二十八日までであって、これは政令で定められているんだと、そして政令を変える予定はないんだというふうにはっきりおっしゃっていました。そのことを聞いてまいりました。
現在、申請自治体が大阪と長崎の二つで、三か所にならないからといって申請を延ばすという予定はないということをおっしゃっていたわけです。それでも東京都は、国に、来年以降に申請受付するように働きかけるということなんでしょうか。国と何らかの相談をされているんでしょうか。
都はもうIR、カジノを誘致しないと、私はきっぱり宣言すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○堀内調整担当部長 IRについて、都は、メリット、デメリットの両面から総合的に検討を行っているところでありまして、このスタンスに変わりはございません。
○あぜ上委員 担当官も、今のところ申請の受付の期間を延ばすとかそういうことはないよと、予定はないよといっているんです。まだそんなことをおっしゃっているんでしょうか。
厚労省の研究班の調査で、ギャンブル依存症の人は、日本には約三百二十万人もいると推定されています。その上、新たに公然とした賭博であるIR、カジノを誘致しようというのでしょうか。
さらに、政治家のIR、カジノ事業での汚職事件もありました。IR、カジノのデメリットは明白ではないでしょうか。
手を挙げていた横浜市、また、和歌山県では、住民の反対の声が強くなるなど、中止となったわけです。
都も、私はきっぱりもう断念すべきだと思います。そのことを強く求めまして、私の質疑を終わります。ありがとうございました。
○風間委員 私からは、湾岸に関する安全対策と住民サービスの向上という観点から、何点か質問をさせていただきます。
週末に城南島の方の状況をちょっと見てきました。夕方だったんですけれども、たくさんの人たちが、夕日を眺めたりとか、お散歩をしたりとか、楽しむ様子を見てきたわけですけれども、私も散歩をしていてふと気になったのが、今、大地震があって津波があったらどうしようということだったんですね。
先ほど津波に関するご答弁もありましたけれども、城南島に関していえば、現在地が海抜何メートルなのかという表示はあるものの、もし大きな津波があったときにどこに逃げればいいのかということが、私自身が見つけることができませんでした。ですので、車で行ったわけですが、どこまで行っても、車で逃げたとしても、平たんな地が続いている状況ですし、駐車場もかなり埋まっている状態でしたから、あのまま車で、じゃあ逃げようとなったときに、出口は一つしかありませんので、相当なパニックになるだろうなと思ったんですね。
一方で、城南島の公園の中にも高い施設が幾つかあって、そこに関しては、入れるのかどうかも分からないという状況でした。周りの倉庫とかも週末ですと閉まっているところ等も多いと思うので、津波が来る、来ないはさておき、利用している方々は東京湾だから津波は大丈夫だと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、やはり多くの方は、パニックになって、どこに逃げようかということになるかと思います。
ですので、この湾岸エリアに関する津波の際の避難所の案内というのは、もう少し津波対策として強化をしていく必要があるのではないかなと思いますが、見解を伺います。
○松本臨海開発部長 海上公園ではこれまで、津波の危険性を知らせる多言語の海抜表示板を全ての公園に設置するとともに、非常時に来園者が円滑に避難できるよう、出入口や園路を拡幅するなどの取組を進めてまいりました。
また、指定管理者では、災害対策マニュアルの整備に加え、マニュアルに基づいた避難誘導の訓練を行っており、施設面、運営面の両面から津波対策を進めております。
今後も海上公園を安全に、安心してご利用いただけるよう、都及び指定管理者が一体となり、津波対策を進めてまいります。
○風間委員 公園利用者は、必ずしもその公園をいつも使っている方とは限りません。初めて来た方もいらっしゃるかと思いますし、そんなときに万が一、大きな地震があって、津波があったとなったときにでも、誰でもどこに行けば避難できるということが分かるような表示は、今後設置していくことをぜひ検討してもらえればなと思います。
城南島を少し散歩していて感じたことの中で、幾つかあるんですけれども、大変釣りを楽しんでいる方々もいらっしゃいました。釣りを楽しむのは、ぜひ東京湾でやっていただくこととして環境を整えていることかと思いますけれども、釣りをする上ででも、危険なエリアもあるんだろうなと思います。
ほかの県では、ふ頭等で立入禁止エリアに入り込んで釣りをして、高波に遭って亡くなるなんていう報道なんかもあったりしましたけれども、東京湾における釣り可能エリア、また、釣りの禁止エリア、これはどのような区分けで、どのように案内をしているのかということをお聞かせください。
○松本臨海開発部長 海上公園は、都民が自然と触れ合いながら、スポーツやレクリエーションを楽しめる場として整備してきた施設でございまして、現在、釣りにつきましては原則として可能としております。
ただし、自然環境への配慮が必要な場所や船舶航行に支障を来す場所、また、砂浜部分など周囲の利用者の安全性への配慮が必要な場所等につきましては、釣りに適さないことから、禁止エリアを設けております。
○風間委員 釣りをしている中でも、投げ釣りが禁止であったりとか、まき餌が禁止であったりとかという案内もありますけれども、実際には、そういったことをしている方々も散見されました。管理をしている方々も巡回しているというようなお話ですけれども、そういったことも含めて、皆さんが安心して取り組める環境が必要だなと思います。
釣りの禁止エリアにおける管理体制についてはどのようになっているのか、お聞かせください。
○松本臨海開発部長 釣り禁止エリアでは、海沿いの柵に看板を設置するとともに、巡回警備において釣りをしている人を見かけた際には注意喚起を行うなど、管理の適正化に努めております。
また、釣り可能エリアにおきましても、利用方法によっては、他の公園利用者への迷惑行為となるおそれがございます。このため、巡回により適正な利用を促すとともに、海釣りの専用施設のある若洲海浜公園におきましては、釣りのマナー教室を開催し、利用者のマナー向上に努めているところでございます。
○風間委員 釣りに関しては、ほかの人もやっているから少しルールを逸脱してもというようなことがないように、管理体制もしっかりしてもらえればなと思います。
次に、そういった巡回の監視等々も指定管理者がしっかりとされているということでもありますし、城南島に関しても、地域猫で少し話題になって、地域猫をかわいがる人たちと、餌やりをやって、そのまま餌を放置して帰る人とのトラブルがあるだとかというようなことも耳にしたことありますし、ドッグランなどでも度々、利用者間でのトラブル等々もあるというようなことを聞いていますが、おおむね、公園について、日常的に利用して楽しんでいるという声もよく聞こえてくるところであります。
この指定管理者については、ちょうど期間が終了して、今、公募を終えて選考しているというような状況だと聞いておりますけれども、指定管理者の公募を行う上で、利用者サービス向上に向けて、今回どのような工夫を行ったのかということを教えてください。
○松本臨海開発部長 今年度は、東京港野鳥公園、若洲海浜公園、辰巳の森海浜公園など八公園及び大井ふ頭中央海浜公園など十五公園、この四つの区分におきまして指定管理者の公募を実施しております。
今回の公募に当たりましては、利用者サービスの向上を図るため、より一層の情報発信やデジタル化に積極的に取り組むことを指定管理者に対して求めております。
また、さらなる利用者サービスの向上を実現させるため、指定管理者の創意工夫が自らの収入増にもつながる利用料金制を全ての施設に導入することとしております。
○風間委員 海上公園におけるスポーツ施設に関しては、かなり人気のところもあるということの中で、その中でも最もなかなか取りにくいといわれているのは若洲ゴルフリンクスなのかもしれません。なかなか予約が取れないというような話を耳にするところですけれども、その中でも、薄暮の枠をつくったり等、いろいろ工夫されていると認識をしています。
これまで、より多くの方々に利用してもらうためにどのような工夫を行ってきたのか、教えてください。
○松本臨海開発部長 若洲ゴルフリンクスでは、より多くの方にプレーしていただけるよう、利用者ニーズや社会環境の変化を的確に踏まえた改善に取り組んでおります。
例えば、夕方の時間帯を活用した薄暮プレーの拡大等によりまして、利用者枠を可能な限り増やすとともに、直前のキャンセルにより空いた枠をSNSで広くお知らせするなど、利用者枠のロスを生じさせないようにする工夫を行っております。
○風間委員 キャンセルが出てタイムリーに案内をしていくなどというような取組は、非常にすばらしいと思います。
もう一つ人気の施設といえば、私が見てきたのが城南島のキャンプ場ということで、都立公園、二十三区の中では唯一ということになろうかと思います。
これも、週末はずっといっぱいですし、年内もかなり、平日も含めて満員というような状況だということも確認をしていますけれども、ここはそこまで利用枠について細かくなっていないというところから、実際、私が日曜日に見に行ったときには、夜の時間帯にテントが一つしか立っていなかった。宿泊するというのが恐らくテント一基なんだろうなというふうに見てきたわけですけれども、管理事務所に聞いたところ、満員ですと、予約できませんということだったんですね。つまり、デーキャンプで帰ってしまう人も夜の枠を押さえられちゃっているということで、宿泊をしたいと思っていても、なかなかそういった人たちが取れないような状況なんだなということを理解しました。
これも、なかなか予約ができないといわれている城南島のキャンプ場をより多くの人に使ってもらうためには、今、キャンプのニーズも様々でして、夜、一人でたき火をたきながら宿泊だけできればいいというようなニーズもありますし、こういった予約枠の分割ということに関しては、公設公営のキャンプ場、各県にも様々ありますが、やっぱり午前中枠、午後枠、夕方枠、宿泊枠みたいな形で、細切れに分けて予約を受け付けているなどというところも結構あるわけですね。
今後は、こういったことでより多くの方々に利用してもらえるようなサービスというのも指定管理者と協議しながら進めていってもらえればなと思いますが、いかがでしょうか。
○松本臨海開発部長 城南島海浜公園キャンプ場は、一九九一年に開設して以来、都心で手軽にアウトドアレジャーが楽しめる都民の憩いの場として、大変多くの方に親しまれております。
近年、コロナ禍を経て、キャンプニーズが高まっていることから、引き続き、城南島海浜公園キャンプ場に対する利用者ニーズや市場の変化を見極めつつ、より多くの都民の方にご利用いただける施設運営を行ってまいります。
○風間委員 キャンプのニーズが多様化しているということで、より多くの利用者となるように工夫してもらいたいなと思っているのが、ほかに、冬の期間、十二月から二月の間ですか、宿泊を受け付けていないというようなことでありました。今、雪が降るような地域でも冬のキャンプがブームになっているような状態ですから、こういった都心に気軽に行けるような冬のキャンプを望んでいる方々も多いんだと思います。
まずは週末だけでも構いませんので、冬のキャンプも宿泊可能とするようなことをぜひ検討いただければと思いますし、また同時に、第二キャンプ場は宿泊をそもそもやっていないと。確かに第一キャンプ場よりもエリア的には狭いわけですけれども、例えばそこもソロキャンプ用とかデュオキャンプ用に宿泊を開放するというようなことを含めて、より多くのあそこでキャンプをしたいと思う人たちが利用できるような工夫というのはまだまだ余地があると思いますので、指定管理事業者と協議しながら、指定管理者にとっても、これは新たな収益源になる可能性がありますので、協議をして進めていっていただければなと、これは要望しておきます。
最後に、現在、整備が進む海の森でも、キャンプについてはトライアルでやったというようなお話も伺っていますけれども、ぜひここも、新たなキャンプができる場所として、特に森の中ということですから、ニーズはあると思うんですね。この辺りも検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○松本臨海開発部長 海の森は、ごみの島を都民参加により美しい森によみがえらせるプロジェクトであり、現在、開園に向けた整備を進めております。
このプロジェクトの重要なコンセプトの一つが協働であり、多くの都民や企業等の協力を得て苗木づくりや植樹といった森づくりを進めてまいりました。
また、海の森の事業趣旨に賛同する企業等と海の森倶楽部を設置いたしまして、これまでも、公園整備と並行して倶楽部会員の協力を得て多様で魅力的なイベントを開催しており、この秋には宿泊キャンプのプログラムも実施したところでございます。
今後も、海の森倶楽部会員と連携し、都民がキャンプ等を楽しめる機会の提供に努めてまいります。
○風間委員 ご答弁ありがとうございました。
ぜひ、こういった都民のニーズに応えていけるよう、これからも検討を進めていただきますようにお願い申し上げて、私の質問は終わります。
○鈴木委員 私からは、東京港におけるコンテナターミナルの効率化についてお伺いをしてまいります。
近年、経済のグローバル化が進み、国際貨物の輸送量は大きく増加してきております。国内最多のコンテナ貨物を取り扱う東京港においても、貨物取扱量は増加し続けており、標準的な貨物処理能力を大幅に超える量のコンテナ貨物を取り扱う状態が続いております。その結果、コンテナターミナル周辺では、貨物の受渡しを行うために来場したトラックによる交通混雑が発生しており、大きな課題、問題となっております。
貨物処理能力を抜本的に向上させるためには、新規のふ頭整備や既存ふ頭の再編整備など、ハード的な対策が必要不可欠でありますが、こうした対策は効果が現れるまでには時間を要するわけでございます。そのため、比較的早期に効果が現れやすいソフト対策も講じながら、円滑な物流の実現を図ることが重要であると考えます。
こうした問題意識の下、物流円滑化に資するソフト面の対策について、確認をしていきたいと思います。
まず、東京港のコンテナ取扱量について確認をさせていただきます。
世界的な新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、国際海上物流が大きく混乱し、世界各国の主要な港で貨物取扱量が落ち込んだと伺っております。
新型コロナの感染拡大が始まった一昨年は、東京港でも貨物取扱量が減少したと伺っておりますが、東京港の外貿コンテナ取扱量の直近の状況について、改めて伺いたいと思います。
○野平港湾経営部長 東京港の本年上半期の外貿コンテナ取扱個数は、速報値ではございますが、二百十五万TEUとなりました。前年同期比で一・三%増加しておりまして、コロナ前の令和元年と比べてもほぼ同水準に戻っております。
その主な要因といたしましては、コロナ禍で制限されていた経済活動が徐々に回復していく中、製造食品等の取扱量が増加している点などが挙げられます。
○鈴木委員 上半期での比較ではありますが、東京港の外貿コンテナ貨物は、ほぼコロナ禍前の水準に戻っているとの、今、答弁を伺いましたが、経済が回復しつつあることを示す明るい兆しであろうかとも思います。
一方で、冒頭で申し上げたとおり、港で取り扱うコンテナの数が増えれば、貨物の受渡しのために港に来場するトラックも増えることとなり、ふ頭周辺の道路における交通混雑が激しくなることが懸念されるわけでございます。
そこで、東京都は現在、交通混雑対策としてどのような取組を行っているのか、確認のためにお伺いいたします。
○野平港湾経営部長 コンテナターミナル周辺の交通混雑を解消するためには、港へ来場するトラックを時間的に分散させることが重要でございます。
東京港では、荷主からの要請により、コンテナターミナルから引き取った貨物を朝一番に納品するという配送サイクルがございますため、納品前日の午後、特に夕方にコンテナ車両がターミナルへ集中する傾向がございます。
そのため、都は、貨物引取りのタイミングを前日夕方から当日朝へシフトさせることを目的といたしまして、コンテナターミナルのゲートオープン時間を一時間前倒しする、いわゆる早朝ゲートオープンを実施しております。
また、ウェブカメラによるふ頭周辺道路の交通状況の配信に加えまして、昨年七月からは、GPS端末の活用によりコンテナターミナルに入場するまでの待機時間等をリアルタイムで公表する混雑状況の見える化の取組を開始し、港へ来場するトラックの時間的な分散を促進しているところでございます。
○鈴木委員 約千二百台近くのトラックにGPS端末を設置して取組を促進しているというようなことも伺いました。
早朝ゲートオープンを通年で実施しているのは東京港だけであり、実施に当たっては港湾関係事業者の相当なご苦労があると聞いております。改めて関係者の方々に敬意を表したいと思っております。
また、コンテナターミナルに入場するまでの待機時間をリアルタイムで公表する取組については、私も実際にやってみましたが、スマートフォンで簡単に確認することができるものでありました。交通混雑解消に向けて、デジタル技術を活用した新たな取組を開始したことは、評価したいというふうに思っております。
しかし、港に来場するトラックのさらなる時間的な分散を図るためには、海外の一部の港では既に実施されているということですが、コンテナターミナルで貨物の受渡しを行う時間をあらかじめ指定する、いわゆる予約制を促進していく必要があると考えております。
さきの第三回定例会の我が党の代表質問において、東京都からは、国と連携して八月から予約制を開始したとの答弁がありましたが、その具体的な内容を確認していきたいと思います。
そこでまず、今般開始したコンテナ貨物の搬出入予約制の概要についてお伺いしたいと思います。
○野平港湾経営部長 コンテナ貨物の搬出入予約制は、時間帯ごとに設定された予約枠の中で、貨物の受渡しのためにコンテナターミナルへ来場する日時をトラック事業者があらかじめ選択することができる制度でございます。
ターミナルへ来場するトラックの数を時間的に分散させることから、ふ頭周辺の交通混雑の緩和につなげることができるとともに、トラック事業者にとっては、ターミナルでの貨物の受渡しに要する時間が予測しやすくなり、配送効率の向上を図ることができる取組でございます。
今般開始した予約制は、国が開発したCONPASと呼ばれるシステムを利用して行うものでございますが、関係者の習熟を図る必要があることから、まずは二つのコンテナターミナルで、八月下旬から九月上旬の間の十日間、一時間当たりの予約枠を十三台から十五台に設定して行いました。
○鈴木委員 ふ頭周辺の交通混雑緩和だけではなくて、トラック事業者にとっても配送効率を改善させることができる取組であると、こういうふうに今、伺ったわけでございますが、東京港を利用するトラック事業者からは、コンテナターミナルへの入場の待ち時間がどれぐらいになるのかは、実際に行ってみないと分からないので、配送計画を立てづらいという声をよく聞くわけですが、予約制では貨物の受渡しの時間をあらかじめ指定するので、事業者は効率的な配送計画を立てることができるのではないかと思います。
今回は、まず二つのターミナルで十日間にわたって予約制を試行したということでありますが、実施状況はどのようなものであったのかを伺います。
○野平港湾経営部長 今回、二つのコンテナターミナルで予約制を利用したトラックは、それぞれ三百十台と百八十三台でございまして、予約枠数に対する予約率で見ると、それぞれ、四〇%、一八%でございました。
コンテナターミナルのゲート前での平均待機時間は、受渡しを行う貨物の種類にもよりますが、予約をせずに来場したトラックと比較すると、最大で五十八分削減されました。
実施期間を通じて大きなトラブルはなく、安定的に予約制を運用することができましたが、予約率が低迷した点は今後の課題であると認識しております。
○鈴木委員 まずは安定的な運用が確認できたこと、また、待機時間の削減につながったことは、今後に向けた大きな第一歩だというふうに思っております。
一方で、今お話しのように、予約率が低かったということが課題ですね。
予約率の向上に向けて、都は今後どのように取り組んでいくのか、その点もお伺いします。
○野平港湾経営部長 都は、予約制の利用拡大に向けて、今般の実施結果や関係事業者の意見を踏まえ、参加事業者数や運用方法を見直した上で、改めて十一月十六日からの平日の十日間、二回目の予約制事業を実施いたします。
具体的には、八月から九月にかけて実施した一回目の事業では、円滑な運営を図るために、参加できるトラック事業者を十八事業者に限定いたしましたが、二回目の事業では東京都トラック協会海上コンテナ専門部会に加盟している百九の事業者に対して広く打診いたします。
また、一時間当たりの予約台数を約二倍の三十台に拡大いたします。
さらに、待機時間の削減という予約制利用のメリットを、港湾物流関係者のウェブサイトである東京港ポータルサイトで掲載するなど、利用促進に向け積極的にPRしてまいります。
○鈴木委員 このような新しい取組を広く広報していただいて、スモールスタートから徐々に拡大をさせる、そういう形でしっかりやっていただきたいと思います。
私も、この事業に関して、事業者から、時間短縮につながったとか配車の選択肢が広がり助かったといった声があったというふうに聞いております。
一方で、先ほどの答弁にもありましたが、東京港を利用する荷主は朝一番での納品を求める傾向があるために、午後から夕方にかけた時間帯の予約が埋まりやすいとも聞いております。
予約制の拡大に向けては、単にトラック事業者の協力を求めるだけではなく、広く荷主の協力を得る必要もあると思います。長年の慣行で続いてきている物流サイクルを変えるのは非常に大変なことだと思いますが、ぜひ積極的に取組を進めてもらいたいと思います。
ここまでの質疑を通じて、予約制の導入によってコンテナターミナルのゲート前における待機時間が削減されたことは確認ができました。
しかしながら、トラック事業者にとっては、ゲート前での待機時間の短縮だけではなくて、ターミナルの中でコンテナの受渡しに要する時間の短縮も重要であります。
現状では、この受渡しにも相当時間がかかる場合があると聞いております。特に、東京港で取扱いの多い輸入貨物を受け取る際に、時間がかかるケースが多く見られるようであります。
コンテナターミナルでのトラックへの貨物の受渡しに時間がかかることについて、その原因を都はどのように分析をしているのかお伺いします。
○野平港湾経営部長 輸入貨物が多い東京港では、取扱貨物量と比較してコンテナヤードの面積が狭隘でございますため、時期やターミナルによって状況は異なりますが、輸入されたコンテナ貨物を多いときでは四段から五段積みで保管しております。
一方で、ターミナル事業者は、トラックがどの貨物をいつ引取りに来るのかについて、現状では事前に把握できないため、引き渡す順番等を考慮して効率的にコンテナを保管しておくことが困難な状況となっております。
このため、例えばトラックが引取りに来たコンテナが一番下の段に保管されていた場合は、当該コンテナの上に載っているコンテナを全て一旦ほかの場所に移動させた上で、目的のコンテナを取り出すという作業が発生いたします。
こうした作業が頻繁に繰り返されていることから、コンテナをトラックへ引き渡すまでに時間がかかってしまう状況にございます。
○鈴木委員 私自身、コンテナターミナルの現場に何度か足を運んでおりますが、ターミナル内に輸入されたコンテナ貨物が五段積みにされている風景を本当によく見るんですよね。目にするんです。
それで、ターミナル側では、取引の予定日時を踏まえた上でコンテナを段積み保管することが困難なため、引渡しに当たって余計な作業が発生をして、時間がかかってしまっているということなわけですね。
そこで、先ほど来、議論している予約制を通じて事前に取得した貨物情報を活用すれば、トラックへの貨物引渡しの際の余分な作業が発生しないようにすることができるのではないかと考えるわけです。
予約情報を有効に活用することで、ターミナル内での貨物の受渡し作業を効率化すべきであると考えますが、都の見解を伺います。
○野平港湾経営部長 コンテナターミナルでの貨物引渡し時間を削減し、ターミナル運営の効率化を図っていくためには、CONPASで取得した予約情報を活用することにより、短時間で引渡しを行えるコンテナ配置を実現させることが有効でございます。
ターミナルにおけるコンテナの配置につきましては、ターミナル事業者の運営システムで管理されているため、コンテナ配置の最適化に当たっては、事業者のシステムとCONPASとのデータ連携を行うためのシステム改修が必要となります。
このため、都は、システム改修に向けた課題などについて具体的に検証を進めるとともに、改修経費の一部を補助するなど、事業者の取組を後押ししてまいります。
今後とも、都は、円滑な港湾物流の実現に向け、関係事業者と連携しながらデジタル技術を積極的に活用することにより、コンテナターミナルのさらなる効率化を図ってまいります。
○鈴木委員 予約制の導入によってコンテナターミナルのゲート前における待機時間を削減するとともに、ターミナル内における貨物の引渡しに要する時間もスピードアップさせなければ、港湾物流の効率化にはつながらないわけでございます。
この点、予約制のシステムであるCONPASと各事業者の運営システムとをデータ連携させ、どの貨物をいつ引取りに来るのかといった情報をコンテナターミナルの運営にも活用していくことで、効率的な貨物の引渡し作業を可能とする取組は、大変期待が持てると私は思っております。
ぜひ、コンテナターミナルのさらなる効率化につなげていただきたく強く要望いたしまして、コンテナターミナルの周辺のトラックによる交通渋滞が緩和されることを期待しております。そのように申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
○斉藤委員 斉藤やすひろでございます。久しぶりの経済・港湾委員会、今日は、大きな港のバース等は既にほかの議員の方がされましたので、環境についてを中心に、絞って質問したいと思います。
まず初めに、海上公園として大変著名な葛西海浜公園についてであります。
葛西海浜公園は、二〇一八年にラムサール条約湿地に登録されました。都議会公明党はかねてより、先進国の首都において、都心から至近距離にラムサール条約湿地があるということは、本当にすばらしいことだと。東京駅から十五分ぐらいでしょうか、高く評価してまいりました。
特に、地元出身の上野和彦前都議会議員は、大変に熱心にラムサール条約湿地の登録を推進してこられました。地元の区議会議員もまたそうです。区を挙げて、SDGs先進都市として、現在は、この輝かしい海浜公園を持っているわけでございます。
東京都は、この葛西海浜公園に、新たにビジターセンターを整備することとしております。ビジターセンターは、ラムサール条約の理念であります、ワイズユース、保全、再生、そして交流、学習、これを実現するための拠点ともなる施設でありまして、我が党は、本会議等において、その整備を進めるべきであると重ねて主張してきたところであります。
また、私は、持続可能な開発目標、いわゆるSDGsの取組を推進していくことが、これからの地球環境と次の世代の人々のために何よりも重要だと考えておりますが、SDGsでは十七の目標に、海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用するという目標がございます。
葛西海浜公園のビジターセンターは、干潟の保全活動や、海水浴体験など海に親しむイベント活動の拠点としての役割を担うにふさわしい場所であることから、まさにSDGsにふさわしい施設として大変期待しているところであります。
ビジターセンターの早期の整備が待たれるところでありますけれども、一方で、景観や環境に配慮してほしいという意見も多く寄せられていると聞いております。ビジターセンターが多くの人々に親しまれる施設となるためには、そうした様々な声を反映させた施設として整備を進めていくべきであると考えます。
そこで、葛西海浜公園ビジターセンターの検討を進めるに当たりまして、この様々な都民からの声をどのように反映させているのかを伺います。
○松本臨海開発部長 葛西海浜公園ビジターセンターは、干潟の重要性や魅力を発信するとともに、環境学習や交流等を行うための拠点として建設するものでございます。
このビジターセンターにつきましては、その景観等について多くの関心が寄せられていたことから、ラムサール条約湿地にふさわしい、よりよい建物とするため、建物デザインに関するアイデアを都民等から広く募集し、その中から投票によって選定されたものを設計に反映させることといたしました。その結果、延べ二十件のアイデアが寄せられ、提案内容が同様のものを集約するなどした上で、十一件のイメージパース図を作成し、投票を行いました。
投票は、葛西海浜公園のほか、地元のイベント会場やオンラインでも行えるようにし、多くの都民等からの声の反映に努めたところでございます。
○斉藤委員 大変にすばらしいコラボ、共同作業といいますか、応募については、スケッチでいろいろ描いたものをパースにして、きれいにデザインをして、みんなで投票したりしているという、そういう選び方をされていますし、また、惜しくも選に漏れた方についても、なぜそれが選に漏れたかを、例えば、防災上、津波が来たときに、干潟のエリアは非常に低いですから、そういうふうに危険だから今回は残念ですとか、コメントをちゃんとつけて返されているという、すばらしく丁寧な選び方をされているというふうに拝見しました。
広くアイデアを募るだけでなくて、設計に反映させるアイデアを公園利用者や地元の江戸川区の方々などの投票によって選定したことは、適切な取組であると評価したいと思います。
投票によって選ばれたアイデアが建物の設計に反映されることによりまして、より多くの人が葛西海浜公園に関心を持ち、そして愛していただくような公園になるのではないかと思います。その結果、貴重な干潟の存在が広く認知されまして、草の根の保全活動がさらに進むきっかけにもなると考えるものです。
国や自治体、企業だけでなく、一人一人の活動があって初めてSDGsの目標が達成されるという、まさにSDGsの精神にふさわしい施設となることを期待したいと思います。
今後、投票によって選ばれたアイデアを反映させた上でビジターセンターの設計を進めていくことになりますけれども、一方で、先ほどのご答弁にあったとおり、情報発信や環境学習、交流といった様々な用途で使用される施設であることから、多くの方が快適に利用できるように、機能性にも十分配慮した設計を行う必要があると思います。
そこで、ビジターセンターの整備に当たりまして、デザイン性と機能性を両立させた施設にする必要があると考えますが、今後の設計の方向性を伺いたいと思います。
○松本臨海開発部長 都は、投票結果を踏まえた設計を進めていくために、環境や観光等の専門家で構成しておりますラムサール条約湿地葛西海浜公園保全活用推進のための有識者会議に対し、ビジターセンターの設計で配慮すべき基本的な考え方についての意見を求めました。
有識者会議からは、隣接する葛西臨海公園からの眺望や周辺環境への配慮がなされていること、観光交流拠点ともなる象徴性のあるデザインであること、展示や展望の機能が十分に確保されたデザインであることの三点が基本的な考え方として示されました。
また、機能性や利便性の観点から、海側に広く開かれた構造とすることとともに、ユニバーサルデザインや環境負荷の低減へ配慮することなども示されたところでございます。
今後、都は、これらの提言を反映させた設計を進めてまいります。
○斉藤委員 専門性と都民目線がうまく融合するためには、提言がきちんとなされて、それに応ずる形で都民が参加していくという、すごく丁寧な仕組みになっているというふうに拝見しましたし、また、その設計の方向性も、多分に技術的な話でありながら、ユニバーサルデザイン、インクルーシブデザインといいますか、利用する側の方々、楽しんでいただく方が少しでも増やせるようにということで、恐らくバリアフリー的な視点も必要であろうと思います。そうしたことも設計の方向性に取り入れられているという、一般都民と専門家双方の意見、提言をしっかりとまとめられている設計の方向性を伺うことができました。
今後、ラムサール条約湿地の保全活動や交流拠点にふさわしい施設にしていただきたいということを要望しておきたいと思います。
一方で、私は、ビジターセンターにつきましてはデザインのようなハード面だけでなく、今、一部申し上げましたが、利用方法や展示内容といった、いわばソフト面についても、葛西海浜公園で活動されている方々や利用者の声を反映しながら進めていくことがよいのではないかと考えます。フィールドワークがあっても、拠点がないために、ちょっとした場所がないために非常にロスをするという、そういったレポートもございましたけれども、そうしたことを解消するためにも、そうした活動をされている方々の目線も必要であろうかと思います。
そこで、ビジターセンターの運営の在り方についても、公園で活動する団体等や利用者の意見を踏まえ検討していくべきと考えますが、見解を伺います。
○松本臨海開発部長 これまでも都は、海浜清掃や環境学習、里海体験プログラムなどの活動を展開する団体等と連携し、葛西海浜公園の保全活用に関する取組を推進してまいりました。
ビジターセンターは、干潟の重要性や魅力を発信するとともに、環境学習や人々の交流等を行うための拠点でもあることから、その運営方法や展示内容等につきましては、これらの団体や大学等の研究機関、公園利用者等のご意見に十分に耳を傾けながら検討を進めてまいります。
今後とも、多くの方々からの声を受け止めながら、ラムサール条約湿地にふさわしいビジターセンターの設置に向け、全力で取組を進めてまいります。
○斉藤委員 この大都会、一千四百万人を擁する首都東京において、水鳥を中心ですけれども、そういったラムサール条約の湿地として登録されるような海上公園を造られたということは、開発中心だった一九七〇年代に、先人の先輩たちが本当によくそういったレガシーを残していただいたなと。これは野鳥の公園から始まってですけれども、本当に干潟を人工的につくる、これが国際的に自然であっても人工的であってもいいわけですから、そういったラムサール条約の登録が成ったことは大変にすばらしいことだと思います。古くですと尾瀬ですとか、釧路湿原ですとか、宍道湖ですとか、そういった地域の鳥が生息するような公園と併せて、この海上公園、葛西海浜公園がラムサールの登録湿地として認められたことは大変すばらしいと思います。
冒頭でも申し上げましたが、SDGsの目標達成という、一面はそうですけれども、そういったことを待たずしても、日本はもともと、里海など、生活する方と自然とがうまく折り合いながら様々な自然との共生を図ってきた国でございますので、そういったものも語り合えるようなすばらしい拠点として、このビジターセンターが、皆さんから育てていただけるような、そういった施設になればいいなと心から期待をしております。
ラムサール条約湿地としての魅力をこれまで以上に国内外に発信していただくことを要望いたしまして、次のテーマに移りたいと思います。
次は、ブルーカーボンについてでございます。
海上公園のこういったなぎさにも関係する部分がありますけれども、港湾局におけるブルーカーボンの取組について伺いたいと思います。
二〇一五年に採択されましたパリ協定では、全ての参加国がCO2排出削減の努力を行うこととされまして、我が国も、国際公約として、CO2削減に向けた取組が急速に進んでいるところであります。
昨年には、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略が閣議決定されまして、CO2全体の排出量から森林などによって吸収されるCO2の量を差し引くことで、CO2の排出量の実質ゼロを目指すことが掲げられたところであります。これは皆様、よくご存じのことだと思います。
そのため、CO2の吸収源をいかにして拡大するかが課題となっているわけであります。その中で、今、大きな期待が寄せられているのが、海の生物の作用によって取り込まれるCO2、ブルーカーボンであります。
海に溶け込んだCO2を海中の植物が光合成で吸収し、やがてその植物が海底に堆積することで、結果的にCO2が貯留されるという一連の流れは、ブルーカーボン生態系と呼ばれておりまして、その代表的な場が、藻場や干潟であります。まさに西、東のこの干潟がそういうところなんですね。
特に、国土を海に囲まれている我が国は、ブルーカーボンの可能性を多く秘めておりまして、東京港においてもブルーカーボン生態系を創出する取組を推進していくことは、国としても大変重要で意義の高いものであると思います。
都議会公明党は、今年の予算特別委員会におきまして、ブルーカーボンの取組の重要性を指摘したところでありますけれども、本日も何点か確認していきたいと思います。
まず初めに、ブルーカーボン生態系の創出の必要性について、改めて都の港湾局の見解を伺いたいと思います。
○片寄港湾整備部長 ワカメやアマモなどの海洋生態系に取り込まれた炭素、いわゆるブルーカーボンは、二〇〇九年の国連環境計画の報告書において、CO2吸収源の新たな選択肢として示されたものでございます。
都は、二〇五〇年までにCO2排出量を実質ゼロとするゼロエミッション東京の実現に向け取組を加速させているところでございますが、ブルーカーボン生態系を創出することは、CO2排出量の実質ゼロを達成するための有効な取組の一つであると認識しております。
これまでも都は、東京港の環境改善を目的として、海上公園における干潟や、護岸を活用した浅場等の整備を行ってまいりましたが、今後はこれらに加え、ワカメやアマモ等、ブルーカーボン生態系に欠かせない植物を育む藻場についても、整備を進めてまいります。
○斉藤委員 ブルーカーボンの重要性を認識して、その生態系を創出する藻場等を整備していくということでございます。港湾局の前向きな取組に期待をしたいと思います。
これまでも東京都港湾局は、東京港野鳥公園、これは大変に歴史のある象徴的な公園でございますが、こうした野鳥公園やラムサール条約湿地に登録されている先ほどの葛西海浜公園など、海上公園におきまして干潟等の整備に取り組んでまいりました。
東京港というこのエリアでブルーカーボン生態系を創出していくためには、これらの海上公園以外の水域でも藻場等の整備を進めていく必要があると思いますけれども、東京港は日本有数の国際貿易港でありまして、かつエリアが非常に狭い。船の航行も大変に、ある面では、専門家からいうと危険な、本当に航路が狭い港もあります。様々なバースもあります。そういう面で、あれもこれもというわけにはいかないのが東京港でございますけれども、そうはいいながらも、ブルーカーボン生態系をその中で創出していくには、知恵を出していくべきだと思います。課題があるんですけど、乗り越えていくべきであると思います。
そこで、東京港においてブルーカーボン生態系の創出を進めるに当たっての具体的な課題について、まず伺いたいと思います。
○片寄港湾整備部長 ブルーカーボン生態系を創出していくためには、海藻等が光合成を行うために必要な量の太陽光を得ることのできる水深や、生育に適した水温及び潮の流れの速さ、塩分濃度など様々な生育条件を満たす場所に藻場等を整備していく必要がございます。
加えて、東京港は船舶の往来が多いことから、藻場等を整備する場所は、これらの航行の妨げとならない場所とする必要がございます。
このため、海域が狭い東京港において、これらの条件を満たす場所を選定するとともに、東京港の環境で生育可能なワカメやアマモ等の種類を特定することが課題となっております。
○斉藤委員 東京港としてやるべきことはたくさんあります。事務事業の中でもいいましたけれども、環境について、項目はまだまだ決して多いわけじゃないんですね。その中での、私、環境に絞っている質問なので、余計なことをいって困らすなという方もいるかもしれませんが、大事なことなんです、これは。
東京港においてブルーカーボン生態系創出の取組を推進していくに当たりまして、クリアしなければいけない課題、確かに、非常に船舶の往来が多い、狭隘である、様々あると思いますが、そうした課題については今、共有させていただきましたが、そうした上で、この課題に対して、どう対応していくのか、それをお伺いしたいと思います。
○片寄港湾整備部長 藻場等の造成に適した場所や、生育すべき植物の種類を特定するため、都は今年度、東京港内の水質等についての調査を実施いたしました。
具体的には、港内の八地点で、光合成が可能であるかを確認するための光量子調査、塩分濃度や濁りの状況を確認する水質調査、海底面の土質調査等を実施いたしました。
これらの調査結果を踏まえ、船舶の航行に支障がなく、生育条件を満たす二地点を選定いたします。その上で、今年度中に海藻等を移植させる生育実験を開始し、その生育状況の確認、検証を行い、東京港の環境に適した植物の種類等を特定してまいります。
○斉藤委員 非常に具体的なご答弁を賜りまして、これ、ぜひとも都民の皆様にも発信をしていかなきゃいけない大事なお話だと思うんですね。港内に八地点で調査を様々な角度から行って、その中で、生育条件のいいところ、満たすところを二地点、選定をすると。そういうことで今年度中に海藻等を移植させる生育実験を開始するという、そういう明快なご答弁がございました。
東京港の中で二地点で生育実験を行うとのことでありまして、ブルーカーボンの取組の第一歩として大変期待をしております。
私が調べたところによりますと、神戸市や福岡市では既にブルーカーボンの取組を開始して、運河や海岸などで藻場造成を始めているようであります。
東京港におきましても、これらの自治体に後れを取るなということで、様々な場所で藻場等を造成して、ブルーカーボン生態系の形成を着実に進めていくことが重要と考えますが、ブルーカーボン生態系の創出に向けた今後の取組について見解を伺います。
○片寄港湾整備部長 ブルーカーボン生態系の創出に向けては、今年度実施する生育実験の検証結果を踏まえ、海底面の土質を改良するなどの生育環境の改善や、ワカメやアマモなどの効果的な移植方法に関する検討を行った後、来年度中に東京港内における藻場等の整備計画を策定していくこととしております。
この計画に基づき、各整備エリアにおいてワカメやアマモ等の移植を行うとともに、必要に応じて生育環境の改善を行い、藻場等の拡大を図ってまいります。
東京港内におけるブルーカーボン生態系の取組を積極的に進め、ゼロエミッション東京の実現に貢献してまいります。
○斉藤委員 我が国は海に囲まれている。また、東京都は海洋都市というべき非常に広い海を持っている自治体でもございますが、そうした地勢的な点からいっても、CO2削減を進めるに当たって、ブルーカーボンの取組を進めることは極めて重要であると思います。ゼロエミッション東京の実現はもとより、日本をリードする、そうした政策であると思います。
海域が狭くて、多くの船が行き交う東京港におきまして、ブルーカーボン生態系を創出していくことは容易なことではないと思いますけれども、この取組を首都東京の目の前に広がる江戸前で実施することは、多くの人々にブルーカーボンの重要性を知ってもらうきっかけにもなると思います。
環境の問題というのは、かつては経済成長にとってとても難しい問題として、時に対立するような場面もありましたけど、今はそうでありません。そうしたことが、逆に経済を大きく推進するシンボリックな事業として経済の発展につながっていくのが世界的なSDGsの発想でありますし、ぜひとも都民の皆様に、こうした港湾局の地道な取組を知っていただいて、東京港をすばらしい、環境に配慮した港であるという目で見ていただきたいと思います。
今年は、環境に関しては、地球温暖化の防止のためのCO2削減の話だけじゃなくて、生物多様性の締約国会議が開かれて、国家戦略や東京戦略ができる象徴的な時期にも入っております。生態系に配慮したものがCO2の削減、ゼロエミッションにもこういうふうに重要な役目を果たしているということを、港湾局が挙げて政策として掲げているということを多くの都民の方に知っていただくように、都議会議員としてもしっかり働いてまいりたいと思いますので、どうぞこれからもよろしくお願いします。
質問は以上でございます。
○慶野委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後八時三十三分休憩
午後八時五十分開議
○慶野委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○清水委員 最初に、東京港のヒアリの防除についてお伺いします。
まず、ヒアリとはどういうものか、ご説明をお願いします。
○野平港湾経営部長 ヒアリは、南米原産で、攻撃性が強く、刺されるとやけどのような激しい痛みが生じ、体質によってはアナフィラキシー症状を起こす可能性があるなど、人体にとって危険な外来生物でございます。
また、在来のアリ類を駆逐してしまうなど、生態系等への影響も懸念されていることから、特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律に基づく特定外来生物に指定されております。
○清水委員 東京港でヒアリが発見されてから現在まで、ヒアリは年間どのくらい確認されていますか。
○野平港湾経営部長 東京港におきましては、平成二十九年七月に大井ふ頭で初めてヒアリが確認されました。
その後、令和元年度に六件、令和二年度に五件、令和三年度に九件、今年度は現在までの間に三件確認されております。
なお、これまで確認されたヒアリにつきましては、確認後速やかに駆除が終了しており、人への健康被害の報告はございません。
○清水委員 東京港でヒアリの確認された場所、状況についてお伺いします。
その場所は、住宅や公園から離れていますか。一般の方の立入りはできますか。
○野平港湾経営部長 東京港におきましては、大井ふ頭や青海ふ頭などの外貿コンテナターミナル内でヒアリが確認されておりますが、それ以外の場所では確認されておりません。
なお、外貿コンテナターミナルは、法令等に基づき、保安上の理由から、原則として一般の方が立ち入ることができないエリアとなっております。
○清水委員 ヒアリが確認された場合の対応についてお伺いします。
○野平港湾経営部長 ヒアリが確認された場合には、環境省が直ちに駆除を行うとともに、侵入経路の調査等を行います。
同時に、都は、地元区や国、港湾事業者団体等から構成される東京港におけるヒアリ等対策連絡会を通じて、関係者に対して迅速な情報提供を行っております。
また、速やかに環境省と報道発表を行うほか、ホームページやSNSなどにより、広く都民への情報提供を行うとともに、確認地点の周辺にある海上公園内にヒアリに関する情報を記載した看板を設置するなど、住民や公園利用者に対する注意喚起を図っております。
○清水委員 ヒアリの定着とはどういうことでしょうか。都は、東京港のヒアリの定着について、どのように認識をされていますか。
○野平港湾経営部長 環境省によりますと、ヒアリが定着した状態とは、総合的に見て同一由来のヒアリの集団の発達を抑えることができなくなった状態と定義されております。
例えば、発達したヒアリの集団が確認され、さらに複数年にわたってこれに由来した次世代の集団が形成されるなどといった場合が想定されており、現在のところ、国内においてはヒアリの定着は確認されていないとの見解でございます。
東京港におきましては、国や港湾事業者などの関係者と連携し、早期発見と早期駆除に取り組むことで、ヒアリの定着を水際で阻止することが重要であると認識しております。
○清水委員 東京港では、早期発見や拡散防止に向けて、どのような取組をされていますか。
○野平港湾経営部長 都は、ヒアリの早期発見や拡散防止に向けて、国や地元区と連携し、全てのコンテナふ頭や、ふ頭周辺の港湾施設、海上公園などにおきまして年二回の調査を行うとともに、港湾関係者や公園管理者等に対して講習会を開催するなど、日常の監視体制強化に向けた取組を実施しております。
また、ヒアリが確認された際には、ヒアリを駆除した後も、発見地点の周辺において、国と連携して、継続的なモニタリング調査を実施しております。
○清水委員 これまでの質疑で、ヒアリは特殊外来生物で、令和元年以降は毎年数件確認はされているけれども、しかし、発生している場所は、大井ふ頭や青海ふ頭の外貿コンテナターミナルの中で、一般の人は入れない、そういう場所になっているし、確認後は速やかに駆除がされている、人体への被害は発生していない。そして、そのヒアリが定着したり、拡散したり、そういうこともないというふうなことでした。
そのような中で、近隣の住民の方から、ヒアリについての心配の声が寄せられました。都は、近隣住民や公園利用者の皆さんにどのような情報を、どのような形でお伝えしていますか。
○野平港湾経営部長 都は、ヒアリ発見後、速やかに発見場所や発見日などにつきまして、環境省と報道発表を行うほか、ホームページやSNSなどにより、広く都民への情報提供を行っております。
また、確認地点の周辺にある海上公園内におきまして、ヒアリの一般的な特徴、注意点、相談先等を記載した看板を設置するなど、住民や公園利用者に対する注意喚起を行っております。
○清水委員 私も公園各所に掲示されている看板を確認してまいりました。
掲示されているのは、ヒアリの特徴や危険性、いつ、どこでヒアリが発見されたのか、捕まえたりしないようにという注意と連絡先です。残念ながら、住民や公園利用者が一番知りたい、ヒアリは駆除されたのか、公園や住宅、こういうところは安全なのか、そういう情報は書いてありません。
住宅や公園利用者の不安に応える丁寧な情報の提供が必要と考えますが、いかがですか。
○野平港湾経営部長 都はこれまでも、住民や公園利用者の安全確保のため、必要な情報提供を行ってまいりました。
これまで答弁いたしましたように、報道発表や注意喚起の看板などによりまして、ヒアリの一般的な特徴、注意点、相談先などについて周知を行っております。
引き続き、国や地元区などと緊密に連携し、迅速かつ丁寧な情報提供や注意喚起に努めてまいります。
○清水委員 住民や公園利用者が一番知りたい、ヒアリはきちんと駆除をされていること、公園や住宅地は安全だという情報、こうしたことをきちっと看板にも書き込んでいただくように要望いたしまして、次の質問に移ります。
調布飛行場についてです。
調布飛行場の自家用機の分散移転のための大島空港の整備についてお伺いします。
今年度の大島空港の整備の計画、工事の入札が不調になった理由についてお伺いします。
○川崎島しょ・小笠原空港整備担当部長 調布飛行場の自家用機の分散移転に向けた大島空港の整備状況についてでございますけれども、今年度は、給油施設の整備に向けて発注を行ったところでございますが、先日、その工事の契約が不調となりました。
現在、入札に参加した企業に対してヒアリングを行うなど、不調原因を調査しているところでございます。
○清水委員 それでは、再発注の見通しについてお伺いします。
○川崎島しょ・小笠原空港整備担当部長 今回の不調原因について、速やかに調査を行い、原因分析を行った上で、必要な対策を講じ、早急に再発注し、早期の完成を目指してまいります。
○清水委員 近隣の住民の皆さんからは、昨年度予定されていた工事が入札不調でやっぱり中止になった、今年度予定されていた工事も、また中止になった。この報告が、何で不調になっているのか、不調でできないということがちゃんと伝わっていません。ですから、東京都は二年間全く何もしていないというふうにも映っていて、それが不信感にもつながっています。
地元市と近隣住民へのお知らせ、どのように行われているんでしょうか。
○川崎島しょ・小笠原空港整備担当部長 入札結果につきましては、地元市に対して速やかにお知らせをいたしました。
また、今後とも、地元市と緊密にコミュニケーションを図りながら進めてまいりたいと考えております。
○清水委員 調布飛行場の近隣の住民の方からは、分散移転がどこまで進んでいるのか全く分からないという声が上がっており、そのことが東京都への不信感にもつながっています。
都は、先ほどの答弁で、地元市には情報を速やかにお知らせしたというふうにおっしゃいましたけれども、近隣の住民には直接お伝えはしていない、市から伝えてもらうようにも伝えていないということだと思います。
都として、分散移転の進捗状況について、きちんと近隣住民の皆さんにお知らせなどを配布していただくように求めまして、私の質問を終わります。
○西崎委員 私からはワントピックのみ、港湾局自転車通行空間整備計画について伺います。
私事になりますけれども、この夏、臨海部を自転車で通行するという経験が何度もございました。例えば、都心部から勝どき、晴海を通って豊洲に行くとか、あと、お台場から有明、辰巳を通って新木場に行くとか、いろいろレクリエーションから、単純な移動ということまで、自転車で通行したということでありますけれども、非常にやはり便利であるなと実感をしたところでございます。
港湾局自転車通行空間整備計画ということですが、二〇二二年十月、すなわち、先月改定をしたばかりということで、変えたてほやほやということでございますけれども、これはそもそも最初に策定されたのが二〇一五年三月ということでございまして、当初のそもそもの本計画の背景や目的について、初めにお聞かせください。
○佐藤開発調整担当部長島しょ空港技術担当部長兼務 臨海副都心を中心とします臨海部には、商業施設やコンベンション施設に加えまして、港の景観が楽しめる海上公園など、多くの人々が訪れる施設が立地してございます。
このため、自転車を利用することで回遊性が向上し、臨海部のまちを楽しんでいただけるよう、港湾局が管理する道路におきまして、自転車通行空間の整備計画を定め、誰もが自転車で安全かつ快適に走行できる自転車通行空間の整備を推進してきたところでございます。
○西崎委員 ありがとうございます。よくいわれることでありますけれども、かつて、東日本大震災であるとか、直近ではコロナ禍ということもありまして、自転車の利用自体が、これは臨海部に限りませんけれども増加傾向にあると、この間いわれ続けている中で、まち中を歩いていたり、車を運転していても、やはり自転車が多いということを実感する場面というのは非常に多いわけでございます。
その中において、やはり臨海部に関しましては、回遊性の向上という面から、自転車が果たす役割は大きいと個人的には感じているところでございます。
今おっしゃっていただいたような経緯で定められているということでありますけれども、今回改定をされたということでありますけれども、今回の改定の目的と概要について伺います。いかがでしょうか。
○佐藤開発調整担当部長島しょ空港技術担当部長兼務 臨海部の自転車通行空間のさらなる充実を図るため、本年十月に港湾局自転車通行空間整備計画を改定いたしました。
改定の主な内容といたしましては、これまで整備の対象としてきた路線に加え、既存の自転車通行空間と公園等をつなぐ路線や、自転車通行空間のネットワークの連続性を確保できる路線を新たに整備の対象としたものでございます。
○西崎委員 つまり、既存の対象路線をある意味で補完する路線等を整備対象に加えるという、そんな性格を持っているのかなというふうに受け止めております。
それでは、これまでの整備対象路線の整備状況はどういうことになっているのか伺います。
○佐藤開発調整担当部長島しょ空港技術担当部長兼務 整備の状況でございますが、これまで都は、東京二〇二〇大会の競技会場周辺を中心に、自転車通行空間の整備を進め、自転車通行空間のネットワークの形成を図ってまいりました。
これにより、昨年度までに、お台場周辺や夢の島、若洲地区等におきまして、合計約三十二キロメートルの自転車通行空間の整備が完了しているところでございます。
○西崎委員 これまで約三十二キロと、一定程度の整備が進んできているということでございます。
今回、またさらに追加をして、残り二十キロ程度になるんですかね。これを拡張するような形でさらに整備を進めていくというような改定であるということかと思います。
私が自転車で実際に走ったという経験から考えても、やはり臨海部の道路というのはかなり特殊な状況にあるというふうに思います。大きな道路で大型のトラックがばんばん通行するということもありますし、また、大規模な工事というものもやはり行われていたりして、どっちの道を通ればいいのみたいな、そういうエリアもありますし、普通に走っていたと思ったら、これは高速じゃないので、表現が適切かどうか分かりませんが、下道におろされちゃって、もう一回歩道橋で上がって道路の方に戻るというような、様々な事情がありまして、非常に特徴があるんだなということを実感したところでございます。
そこで、この臨海部における自転車通行空間の課題と、そしてまたこれまで、また、これからも整備を進めていくということについては、どのような点に配慮して整備をされているかということについて伺います。
○佐藤開発調整担当部長島しょ空港技術担当部長兼務 東京港の周辺では、大型の物流車両が数多く通行していますので、自転車の通行空間の整備に当たりましては、円滑な物流及び自転車の安全性の確保に十分配慮する必要がございます。
このため、特に大型の物流車両の通行が多いコンテナふ頭背後の道路以外を整備の対象とするとともに、整備の対象とした道路におきましては、交差点での自転車待機エリアの設置や歩道の一部を活用した自転車通行空間の整備等を進めまして、自転車通行の安全性を確保してございます。
○西崎委員 やはり一番は、大型車両が多く、安全面の課題もあるということで、整備に当たって様々な工夫も凝らしているということでございます。
いうまでもなく、物流に支障を来すというのは本末転倒になってしまいますけれども、一方で、コンテナふ頭背後は、そもそも整備対象外路線ということになっているというご答弁でございました。
一方で、今回の改定で追加されたところを含めても、まだ整備対象となっていない、それ以外の道路ということもあるように見受けられますけれども、そうしたエリアの今後の方向性について伺います。
○佐藤開発調整担当部長島しょ空港技術担当部長兼務 港湾局自転車通行空間整備計画におきましては、多くの都民や観光客が集まる台場、青海など、臨海副都心エリアの道路を中心として、自転車通行空間の連続性が確保できる路線等を整備の対象としてございます。
それ以外の路線につきましては、検討路線と位置づけておりまして、今後、道路周辺の開発状況等に応じまして整備を検討していくこととしてございます。
○西崎委員 今後の検討路線と位置づけられているということでございます。
特にこの臨海部は、次々と新しい顔を見せるというようなこともありますので、折に触れて積極的な展開を求めたいと思いますけれども、計画でも、道路の工事であるとか新設に伴っては、自転車の走行環境ということも考慮するというようなことも、計画の中にうたわれているということでありますので、恐らくそういうようなおつもりなのかと思いますが、そこは期待をしたいと思っております。
さて、冒頭、私も臨海部を走ったというようなことを申し上げました。これは全てシェアサイクルで通行させていただいたということでございます。
日頃は、まち中でもよく使っておりますし、都庁でも第二庁舎のところにシェアサイクルのポートがあるということで、よく使ったりしているわけでありますが、この臨海部においても非常に利便性の高いサービスになるんだろうなというふうに受け止めております。
多くは、各区と、また民間が一緒になって整備を進めている、さらには各区で連携しているというようなことかと思いますけれども、本計画を考えたときに、これは無視はできない存在なのかなと思っております。
そこで、自転車シェアリング事業をそれぞれ進めているところかと思いますけれども、この自転車シェアリングとの連携について、考え方を伺います。
○佐藤開発調整担当部長島しょ空港技術担当部長兼務 近年、自転車の利用が拡大するとともに、複数の区が連携して取り組んでいる自転車シェアリングの広域利用も進められております。
このため、各区が進めています自転車シェアリングのためのサイクルポートにつきまして、海上公園内に設置することを支援するなどの連携した取組を通じまして、臨海部における良好な自転車利用環境の整備を推進してございます。
○西崎委員 自転車シェアリングの、シェアサイクルの肝は、ポートのロケーションと再配置だと思っています。要は、ポートが便利なところにあるかということと、また、再配置、ここのポートにはいっぱい自転車があるけれど、ここには全くないということでは使えないということでありますので、再配置といって事業者がやっているということでありまして、これは別に港湾局が直接やることではないということではありますけれども、今おっしゃっていただいたように、連携の効果というものは確実にあるんだろうなというふうに私も感じております。
今、ポート設置支援という話もありましたけれども、協力できる余地があるというときには、ぜひ積極的に取り組んで、利便性の向上に努めていただきたいと思っております。
最後にいたしますけれども、何度も何度も申し上げて恐縮ですが、臨海部を自転車で走ったとき、本当に楽しかったです。広い道路を走って、眼下には運河があり、空は広がり、それも天気もよかったので、非常に気持ちよく自転車で走行させていただいたところでありますが、いわゆるガチのサイクリストという方が楽しいかどうかは分かりませんが、私のような多くのライトユーザーが気軽に自転車で移動して、楽しめる環境というのが出来上がりつつあるんだろうなというふうに感じているところでございます。
臨海部については、各エリアに様々な見どころがあるということでございますけれども、こういう自転車が活用されることで、相乗効果が発揮されるというふうに思いますし、また、そうあるべきであると思います。
そこで、本計画を推進することで、臨海部の魅力をさらに高めていくべきと考えますけれども、最後に見解を伺って、私の質問を終わります。ご答弁のほど、よろしくお願いします。
○佐藤開発調整担当部長島しょ空港技術担当部長兼務 臨海部は、多くの観光施設や水辺の景観が楽しめるエリアとなっておりますので、自転車通行空間の整備を進めていくことで、このエリアを訪れる多くの観光客が自転車で観光スポットなどを快適に回遊できるようになってまいります。
今後とも、誰もが快適に自転車を利用できる環境の一層の充実を図ることで、臨海部の魅力を十分に満喫できるよう取組を進めてまいります。
○星委員 私からは、離島港湾DXの取組について伺ってまいります。
東京の島しょ地域は、台風が多く襲来するとともに、周囲を全て海に囲まれていることから、これまでも強い風や波による被害が度々発生をしてきました。
平成三十年の台風二十四号では、利島港にある二つの岸壁の一つが高波によってずれるという甚大な被害も発生をしております。
幸い利島港を利用する船は、被害のなかったもう一つの岸壁に接岸することができたために、運航に大きな影響は出なかったと聞いておりますが、台風の襲来によって、岸壁のような巨大で頑丈な構造物も被災することがあり、その状況によっては、人の移動や物流の停止に直結する場合があり得ることを改めて実感したところであります。
島しょ地域の港湾は、台風に加え、南海トラフ巨大地震に伴う津波による被災も懸念されているところでありますが、島の生活と産業を守っていくためには、被災した際に一刻も早くその状況を把握し、復旧につなげていくことが極めて重要であります。
このため、我が党は、本年第一回定例会において、近年急速に進化しつつあるデジタル技術を活用し、災害対応の迅速化に生かすべきとの観点から質問を行い、都は今年度より、離島港湾DXの取組を推進していくことを明らかにしたところであります。
本日は、この離島港湾DXについて、何点か質問をしてまいります。
まず、改めて、都が今年度から取り組むとしている離島港湾DXの概要について伺います。
○村田離島港湾部長 島しょ地域の港湾は、人や物資の輸送拠点としての重要な役割を担っているとともに、災害発生時には、復旧に必要な資材などの輸送に使用される施設であることから、台風などで被災した際には、その状況を迅速に把握し、速やかに復旧作業を進めることが必要でございます。
このため、都は今年度から、最新のデジタル技術を活用する離島港湾DXの取組を開始したところでございます。
具体的には、災害発生時に人工衛星やドローン、ライブカメラなどを利用して、港湾施設の被災状況に関する情報を速やかに収集するとともに、これらの情報をプラットフォーム上で集約、管理し、関係者間でリアルタイムに共有できるようにしてまいります。
また、岸壁などの港湾施設に関する情報をあらかじめ三次元データ化しておくことで、災害時に得られたデータと重ね合わせ、被害の状況を簡単に把握できるようにしていきます。
これらの取組により、被災状況の調査や復旧方針の検討の迅速化を図り、その後の復旧作業を効率的、効果的に進めることを可能としてまいります。
○星委員 離島港湾DXの取組を進めることで、被災した港湾施設に関する情報の収集や復旧業務がこれまで以上に迅速になるということであります。ぜひスピード感を持って進めてもらいたいと思います。
一方で、ただいまの答弁によると、この離島港湾DXでは、人工衛星やドローンなどを活用するということでありますが、私の知る限り、島しょ地域において、都が災害時にこうした技術を本格的に活用したことは今までないのではないかと思っております。
現在、人工衛星やドローンは、民間でも様々な分野で利用が進められておりますが、島しょ地域では、本格的な活用は初の試みであることから、災害時にはこれらの新たな技術が有効に機能するかについて、検証しておく必要があると思っております。
そこで、災害時の情報収集に関して、人工衛星やドローンの活用性を事前に確認すべきであると考えますが、都の取組を伺います。
また、導入した場合、これまでのやり方と比べてどのような効果があるのか、併せてお伺いをさせていただきます。
○村田離島港湾部長 新たな技術を導入するに当たっては、事前に試験的な運用を重ね、その有効性について検証を行うことが重要でございます。
このため、都は、平成三十年の台風二十四号で被災した利島港について、被災前と被災後、それぞれの時点で人工衛星から撮影した画像を用いて検証を行い、これらの画像の比較から現地の被災状況を十分に把握できることを確認いたしました。
また、昨年七月、大雨により新島若郷漁港の背後にある斜面の崩落が発生した際、人が立ち入って測量することが非常に困難な場所で、ドローンを活用してデータを取得する取組を実施し、実用可能であることを確認いたしました。
また、この結果、測量に必要な期間を三か月程度短縮することができました。さらに測量結果を三次元データ化することで、迅速かつ精度の高い設計が可能となり、速やかに工事に着手できるという効果も確認できたところでございます。
都は、引き続き、様々な機会を捉えて、新しい技術の検証を進め、実際の業務への導入を進めていくことで、離島港湾DXをより効果的なものへと進化させてまいります。
○星委員 ありがとうございます。新たな技術を実際に使いながら、実用性を検証しているということであり、離島港湾DXがさらによいものとなることを期待したいと思います。
また、ただいま答弁いただいたように、若郷漁港の事例では、測量や設計に必要な期間が短縮される効果があったということであり、非常に画期的なことであると思います。これは平時の工事にも生かせる取組であり、今後も活用できる場面では、どんどん取り入れてほしいと思っております。
また、工事の準備段階で行う測量や設計だけでなく、工事そのものについても効率化すべきであり、本年第一回定例会において我が党は、最新の技術を用い、事業期間を短縮していくべきというところを指摘したところであります。
島しょ地域の港湾施設の整備工事において、最新技術を積極的に導入することで事業期間の短縮を図るべきと考えますが、都の取組をお伺いいたします。
○村田離島港湾部長 我が国有数の厳しい気象、海象条件の下にある伊豆・小笠原諸島では、港湾整備の着工から完成までに相当な期間を要することから、新たな技術を積極的に活用し、整備期間の短縮につなげていくことは重要でございます。
都はこれまで、海上の工事におきまして、最新の技術を用いた機械での施工に試験的に取り組んでまいりました。
具体的には、利島港の岸壁の基礎部分の工事を行うに当たって、従来、人が潜水して行っていた作業を、GPSを活用しつつ、機械に代替させる方法へと変更した結果、施工期間の短縮が図られました。
今後、都は、この機械による工法を他の港の工事現場にも展開していくとともに、引き続き、新たな技術の導入を積極的に進め、整備期間の短縮に取り組んでまいります。
○星委員 工事そのものに新たな技術を使った取組に着手しているとのことでありました。
東京の島しょ地域は、答弁にもあったとおり、海が荒れることが多く、現場で港湾整備に従事している方々は非常に現在は活動を苦労されていることと思いますが、最新技術を積極的に導入することによって、港湾整備をよりスピーディーに行えることを期待したいと思います。
本日は、デジタル技術を活用した災害対応の迅速化や、港湾整備の効率化について確認することができました。
技術は日進月歩で進化をしております。今後とも、都は、アンテナを高く張って、新たな技術の活用に努めていただくことを要望いたしまして、質問を終わります。
○石島委員 まず初めに、旧晴海鉄道橋の遊歩道化についてお伺いします。
臨海部は、都心にありながらも豊かな緑と潤いのある水辺空間が広がっており、都民にとっても貴重な憩いの場となっています。
とりわけ、私の地元中央区にあり三方を海で囲まれている晴海地区は、東京二〇二〇大会の選手村跡地を中心に、新たなまちづくりが進みつつあるエリアですが、海沿いの緑道では、家族連れの方々が水辺に触れ合う姿をよく見かけることができます。
また、隣接する豊洲地区においても、水辺に沿って、通称ぐるり公園と呼ばれる公園が整備されており、誰もが快適に体を動かせ、水辺の景観を眺めながら、ゆったりと散策できる場所となっています。
この二つの地区の間には、現在は使用されていない旧晴海鉄道橋と呼ばれる橋が架かっています。この鉄道橋は、かつて港と都心とを結び、戦後の復興と高度経済成長を支えた臨港鉄道の貨物列車が走っていた歴史的に貴重な橋と聞いています。
現在、都は、歴史的価値を有するこの旧晴海鉄道橋を遊歩道として整備し、水辺の歩行空間とする取組を進めていますが、旧晴海鉄道橋の遊歩道化に向けた整備について、その意義と特徴をお伺いします。
○佐藤開発調整担当部長島しょ空港技術担当部長兼務 旧晴海鉄道橋は、新たなまちづくりが進む晴海地区と駅周辺の再開発が進む豊洲地区とを結ぶ位置にありまして、臨海部における回遊性を高める上で重要な施設でございます。
このため、都は、この旧晴海鉄道橋を遊歩道化することで、晴海地区から豊洲地区に至る連続した水辺のネットワークを形成し、ウオーカブルなまちづくりと新たなにぎわいの創出につなげていくことといたしました。
また、旧晴海鉄道橋は歴史的な鉄道遺産であることから、現地に残されています鉄道のレールを歩道部に埋めて活用するとともに、橋梁のアーチの部分等につきましては、建設当時の色合いを復元した塗装を施すなど、その特徴を生かした遊歩道に生まれ変わらせる予定でございます。
○石島委員 東京二〇二〇大会の主要なエリアである晴海地区と豊洲地区とを結んでいる旧晴海鉄道橋の遊歩道化が実現すれば、このエリアの新たなランドマークとなり、多くの人が訪れるようになるのではないかと思います。新たなにぎわいにもつながり、大変意義のあることと考えます。
地元住民からも期待が寄せられており、ぜひ、一日も早い遊歩道化の実現に向け、着実に整備を進めていただきたいと思いますが、旧晴海鉄道橋の遊歩道化に向けた整備スケジュールについてお伺いします。
○佐藤開発調整担当部長島しょ空港技術担当部長兼務 旧晴海鉄道橋の整備につきましては、橋の安全性を確保するために、耐震補強工事を令和二年度から進めております。晴海地区側の補強工事は既に完了しておりまして、現在は豊洲地区側の工事を進めているところでございます。
また、今年度は、歩道部の舗装や照明等の詳細設計に着手するとともに、老朽化した橋梁のアーチの部分等の補修工事を進めていく予定でございます。
今後は、令和七年度中の完成を目指して整備を着実に進めていくとともに、詳細な工程の精査等を行い、引き続き事業の迅速化にも努めてまいります。
○石島委員 整備が着実に進められているとともに、早期の供用開始を図るための取組も行われていることを理解しました。
旧晴海鉄道橋の遊歩道化は、地元の関心や期待が高いことから、早期の供用開始に向けて整備を円滑に進めていただきたいと思いますが、そのためには、地域住民に対して工事状況などをしっかりと周知していくことも重要と考えます。
そこで、工事を円滑に実施していくためには、地元住民等に対して事業内容を丁寧に周知すべきでありますが、都の取組についてお伺いします。
○佐藤開発調整担当部長島しょ空港技術担当部長兼務 旧晴海鉄道橋の遊歩道化を進めるに当たりましては、事業内容が広く周知されるよう、設計調査や工事着手等の各段階で、地元区や地元町会に対して丁寧に説明を行ってきたところでございます。
さらに今年度は、旧晴海鉄道橋を見渡せる水辺の公園の中に、通常の工事説明用の看板に加えまして、旧晴海鉄道橋の概要や遊歩道化事業の完成イメージパースを掲載した看板を設置いたしました。
この看板には、往年の臨港鉄道の様子が分かる紹介動画のQRコードを添付しておりまして、スマートフォン等により、歴史的な鉄道遺産であるこの旧晴海鉄道橋の遊歩道化事業を分かりやすく理解できるよう工夫しているところでございます。
引き続き、地元区や地元町会への丁寧な説明や、工事情報等の適切な提供を行いまして、地元の方々等へのご理解とご協力を得ながら、円滑に整備を進めてまいります。
○石島委員 旧晴海鉄道橋の遊歩道化工事を円滑に進めるためには、地元住民のご協力が不可欠であります。工事の内容を丁寧にお知らせすることに加えて、かつての旧晴海鉄道橋の様子を動画で見られるような取組を行うことは、旧晴海鉄道橋への関心をさらに高め、遊歩道化への期待を集める効果があると思います。引き続きしっかりと取り組んでいただくことをお願いいたします。
臨海部の歴史や景観を踏まえ、鉄道橋を人々が行き交う遊歩道として生まれ変わらせる本事業には、大変期待を寄せているところです。ぜひ、整備を着実に推進することを強く要望し、次の質問に移らせていただきます。
次は、晴海地区における海上公園についてお伺いします。
先月、晴海ふ頭公園が再開しましたが、これまでリニューアル工事を進めてきた公園であり、約五年ぶりの開園となります。この晴海ふ頭公園は、海上公園として初めて開園した由緒ある公園だと聞いています。正面にレインボーブリッジを望むとともに、広々とした都会の風景を眺められる都民の憩いの場であり、多くの方がその再開園を待ちわびていたことと思います。
そこでまず、再開園された晴海ふ頭公園の概要についてお伺いします。
○松本臨海開発部長 晴海ふ頭公園につきましては、東京二〇二〇大会の選手村の一角として位置づけられましたことから、平成二十九年度より休園し、大会終了後に再整備を進めてまいりました。
今回の再整備に当たりましては、公園の面積を二・四ヘクタールから三・六ヘクタールに広げることによりまして、広大な芝生園地とランニングも可能な園路を配置するとともに、新たなにぎわいの創出に向け、海辺にふさわしい船をかたどった大型遊具やモニュメンタルな噴水を設置いたしました。
また、海上公園では初となる官民連携事業を導入することによりまして、コワーキングスペース等を併設したカフェを設置いたしました。
○石島委員 オリンピックの選手村跡地の晴海フラッグ、このまち開きが令和六年四月を予定していますけれど、それに先立って、この海上公園を再開園していただいたことには、大変、地域の方々からも喜びの声が寄せられています。
これからも多くの方々に愛される施設となるように、管理運営もしっかり取り組んでもらいたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
さて、今回の晴海ふ頭公園の大規模なリニューアルでは、先ほど答弁にもありましたが、官民連携事業によってカフェが設置されました。このカフェは、先週土曜日、二十九日にオープンとなりまして、地域の自治会の方等を招いていただいたということで、大変地元でも喜びが上がっておりまして、翌日からはもうこのカフェに長蛇の列ができているというふうにも伺っています。
ガラス張りの明るく開放的な建物で、水辺の美しい風景を満喫できる、すばらしい施設となっています。これまでの海上公園にない、魅力的な施設であり、リニューアルオープンをした晴海ふ頭公園の大きな売りの一つになっていると思います。
そこで、晴海ふ頭公園に官民連携事業を導入した経緯と、その事業内容についてお伺いします。
○松本臨海開発部長 都は、平成二十九年に策定した海上公園ビジョンにおきまして、海上公園のにぎわいの創出を図るため、民間事業者とも連携して取組を進めていくこととしております。
この方針を踏まえまして、民間事業者へのヒアリングを行った結果、最も高い関心が寄せられました晴海ふ頭公園において、官民連携施設の事業者を公募選定することといたしました。
その結果、飲食の提供だけではなく、コワーキングスペースや地域コミュニティの活動拠点、交流イベントなど、多彩なカフェ利用を提案した事業者を選定し、整備を進めてきたところでございます。
三日前の先月二十九日にオープンしたカフェでございますが、今後、建物に併設したバーベキューエリアも拡充する予定でございます。
引き続き、魅力的な施設運営により来園者へのサービスの充実が図られるよう、事業者と連携してまいります。
○石島委員 官民連携事業の内容については、理解をいたしました。
今、答弁がありましたとおり、今後、何とか年内にはバーベキュー施設も利用できるようになるというふうにお伺いしておりますので、大変期待をいたしているところです。
海上公園は、海に接していることが大きな魅力の一つであります。民間事業者によるカフェの運営等は、上野公園等でも見ることができますが、水辺を望むことができるすばらしいロケーションを生かし、今回の晴海ふ頭公園のカフェのような、民間事業のノウハウを生かした取組を積極的に進めれば、海上公園はこれまで以上に、都民にとって極めて魅力的な施設になると思います。海上公園ならではの特徴を生かしたサービス提供の実現に向けて、今後も様々な公園において民間活力の導入を検討してもらいたいと思います。
さて、晴海ふ頭公園の開園から一か月弱が経過しました。新しいカフェもオープンし、地元からも非常に評価が高く、すばらしい公園でありますが、この晴海ふ頭公園がオープンしたのが十月七日の金曜日で、この日は土砂降りの豪雨の大変な天候でありました。
翌日、天候が回復したので、いわゆる晴海フラッグには、まだ住民は入居していませんが、近隣から多くの方が晴海ふ頭公園に駆けつけ、家族連れでにぎわっていましたが、遊具周辺は大変水はけが悪いということで、水たまりができているということがSNS等に大変投稿されておりましたので、私も翌日の日曜日に現場を見に参りました。この日曜日も、大変多くの家族連れでにぎわっており、その遊具周辺でもたくさんの子供たちが泥んこになって遊んでいましたけれど、まさにそこは水たまりというか、池ができていたというのが適切かなというふうに思います。
早速、週明けに局の方に話しまして、迅速な対応をしていただいたことにつきましては、大変感謝をしておりますが、この水たまりを防止するため、今後どのような取組をしていくのかお伺いいたします。
○松本臨海開発部長 遊具周辺に発生した水たまりにつきましては、速やかに現場を確認し、直ちに砕石と養生材を用いた緊急対策を実施いたしました。併せて先月末には、当面の水たまり等の防止対策として、遊具周辺全体に範囲を広げ、砕石等による対策を施したところでございます。
遊具周辺は、週末になると子供たちで大変なにぎわいとなっていることから、利用者への影響を極力抑える形で、今後ともさらなる水はけ対策等を講じてまいります。
○石島委員 それと併せて、この晴海ふ頭公園では、スケートボードの利用が禁止されています。
これは多分、近隣か遠方から来た若い人たちだと思うんですが、スケートボードの利用が禁止されているにもかかわらず、その対策として設置した突起物、これを壊して、スケートボードを行っていると。まさに、まだ晴海フラッグは入居者がおりませんが、今後、環境問題等も関わってくる可能性があります。
そこで、晴海ふ頭公園でスケートボードの禁止を徹底するため、どのように今後取り組んでいくのかお伺いします。
○松本臨海開発部長 海上公園では、騒音や安全管理の観点などから、スケートボード等の利用を禁止しております。このため、注意喚起の看板等を設置するとともに、警備員の巡回等により、禁止の徹底を呼びかけてまいりました。
また、スケートボード対策として、走行路とされやすい箇所に突起状の障害物を設置するなど、構造上の工夫を行ってまいりました。
一方で、障害物が破壊されるなど、不適切な利用も散見されたところでございます。このことから、スケートボードの走行があったエリアを中心に、注意喚起の看板を増設するとともに、新たに路面にもスケートボード禁止の表示を追加することといたしました。
今後とも、夜間の巡回警備を強化するなど、海上公園の適正利用に取り組んでまいります。
○石島委員 まさにその不適切な利用については、しっかりと対応していただきたいと思います。今後とも多くの方々が安心して利用することができるよう、しっかりと管理運営をお願いしたいと思います。
さて、晴海地区では、新たに晴海緑道公園も整備され、これも先月開園したところです。水辺に親しめる憩いの場として、多くの方々に利用される公園になることを期待していますが、晴海緑道公園の整備のポイントについてお伺いします。
○松本臨海開発部長 晴海緑道公園は、対岸に豊洲のまちを望む水辺沿いに整備した公園でございます。幅の広い散策路を延長九百メートル以上にわたって配置するとともに、その両側には四季折々の花が楽しめる植栽を施しており、水辺を眺めながら、ゆったりと散策を楽しめる公園となっております。
また、晴海ふ頭公園とともに、東京二〇二〇大会のレガシーを継承する公園として、選手村のビレッジプラザに使われた木材を活用したベンチなどを設置しております。
さらに、晴海ふ頭公園と中央区立晴海臨海公園とをつなぐ役割を果たすとともに、背後の住宅街区に整備された緑地とも接続しており、晴海地区の水辺における緑のネットワークを形成する上で重要な公園となっております。
○石島委員 晴海緑道公園が一年を通じて水辺の散策を楽しめる空間であること、晴海地区のネットワーク形成に大きく寄与するものであることが理解できました。
東京は水の都といわれますが、水辺に親しめる空間が意外に少ないことが課題として指摘されてきました。しかし、晴海ふ頭公園と晴海緑道公園、さらには区立晴海臨海公園という海に面した緑地が結ばれ、気軽に散策し、遊べる空間が整備されたことで、晴海地区はまさに水の都東京にふさわしいエリアになったと思います。
今後もこの二つの公園を適切に管理運営し、都民にさらに親しまれる施設としていくことを要望して、次の質問に移ります。
最後の質問は、クルーズ客船誘致の取組についてお伺いします。
東京は、海外からの旅行客にとって大変魅力的な都市であるといわれています。先般、水際対策が緩和されたことに伴い、日本を訪れる外国人観光客が増加しているとの報道もよく耳にするようになりましたが、都内の観光地にも再び多くの外国人観光客が訪れるようになることが期待されます。
その外国人観光客が、訪日する際の移動手段としているものの一つがクルーズ客船であります。クルーズ客船の寄港は、インバウンドの獲得により大きな経済効果をもたらすものでありますが、新型ウイルス感染症の感染拡大により、この間、その多くが運航を停止してきました。
一部のクルーズについては再開しつつあると聞いていますが、クルーズ客船の現在の運航状況についてお伺いします。
○猪倉港湾振興担当部長 新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、我が国のみならず、世界的にクルーズ客船の運航は停止しておりましたが、現在、アジア地域を除く欧州や米国等では本格的な運航が再開しております。
日本国内につきましては、日本籍船による国内クルーズが、出航日当日に乗客全員にPCR検査を実施するなど、感染拡大防止の取組を行いながら運航を再開しているものの、外国籍船の寄港など、国境をまたぐ外航クルーズは現状認められていない状況が続いております。
先般、入国者数の上限撤廃や外国人旅行客の個人旅行受入れ再開など、日本国内におきましても水際対策の緩和が進んでおりまして、外航クルーズにつきましても、現在、国におきまして再開に向けた検討が進められていると聞いてございます。
○石島委員 海外との間のクルーズ客船の運航は、いまだ停止しているとのことですが、国も再開に向けて調整を進めているということであれば、近いうちに外航クルーズも再開することが期待されます。
再開を心待ちにしている利用者やクルーズ業界の皆さんも多いと思いますが、そうした機運を確実に捉えるためには、クルーズ船の寄港で東京港を利用してもらえるよう、東京港のPRなど、積極的な客船誘致活動や受入れ環境の整備を進めていくべきと考えます。
そこで、クルーズの本格的な運航再開を見据え、都はどのような取組を進めているのかお伺いします。
○猪倉港湾振興担当部長 東京港は、都心に近く、観光地へのアクセスに優れ、国際空港にも近いことから、クルーズ船の寄港ニーズは高いものと認識してございます。
このため、海外のクルーズ船社に対しまして東京港の魅力を効果的に発信するため、世界のクルーズ関係者が集う海外の展示会に出展し、東京港のPRを積極的に行ったところでございます。
また、都民の方々にクルーズの楽しさを知っていただくため、国内船社と協力して割安でクルーズを体験できる都民クルーズ等も実施しております。
さらに、国際クルーズターミナルに大型船が寄港しているときにおきましても、日本籍船やラグジュアリー船等の中小型船が安定して寄港できる環境を整えるため、東京国際クルーズターミナルに二バース目を整備するまでの対応といたしまして、晴海客船ターミナルの跡地に客船受入れのための低層で簡易な構造の施設の整備を進めております。
○石島委員 船会社に対する誘致活動に加え、クルーズの魅力や楽しさを都民に体感していただく取組を行うことは、クルーズの振興を図る上で非常に意義があると思います。こうした取組をぜひ続けていってほしいと思います。
さて、ただいまの答弁の中で、晴海客船ターミナルの跡地に客船受入れのための施設を整備する旨の説明がありました。
私の地元中央区にある晴海客船ターミナルは、平成三年の開業以来、数多くの客船を受け入れてきましたが、選手村の運営など、東京二〇二〇大会の開催に伴い、客船の受入れを中止し、本年二月に閉館をしました。
しかし、東京国際クルーズターミナルには現在、一バースしかないことから、当面の間の対応として、晴海客船ターミナルの跡地に客船受入れのための施設を整備し、東京港での客船受入れ体制をツーバースとすることは、繁忙期においてもクルーズ客船のニーズを確実に受け止めるために重要であります。
本格的なクルーズ再開を見据えて、施設整備を着実に進める必要があると考えますが、晴海における客船受入れ施設の整備スケジュールについてお伺いします。
○猪倉港湾振興担当部長 客船受入れ施設の整備に向けましては、まず、既存の晴海客船ターミナルを解体する必要がございます。
これまで周辺の安全確保や騒音、振動対策のため、解体工法や運搬車両の通行ルートなどにつきまして、地元関係者の皆様と調整を進めてまいりまして、本年七月から解体工事を実施しているところであり、来年度終了する予定でございます。
新たに整備する施設につきましては、現在、中小型船に対応した低層で簡易な構造のコンパクトな建物として設計を進めておりまして、乗下船時に税関や出入国管理、検疫などの一連の手続がスムーズに行えるレイアウトなどにつきまして検討を行っているところでございます。
施設の建設工事は、現在の晴海客船ターミナルの解体工事終了後に着手する予定でございまして、令和六年度中の供用を目指し、着実に取り組んでまいります。
○石島委員 現在、解体工事が進められていますが、引き続き地元からの意見を丁寧に聞き、しっかりと安全を確保した上で、整備を進めていくことを求めておきます。
また、新たに整備する客船受入れ施設は、コンパクトな建物にするとのことでありますが、クルーズ客船のお客様が快適に利用できる施設となるように配慮をお願いしたいと思います。
さて、現在解体中の晴海客船ターミナルは、客船の寄港時や催しの際などにも大変にぎわっていた施設であり、特徴的な外観や展望のよさなどからも人気を集め、私の地元中央区の皆さんをはじめ、広く都民に親しまれてきた施設であります。
今後整備する施設についても、引き続き地元の方々にも親しまれる施設とするべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
○猪倉港湾振興担当部長 晴海客船ターミナルは、平成三年の開業以降、クルーズ客船寄港時のほか、様々なイベントや撮影等でも利用されるなど、地元の方々をはじめ、広く都民に親しまれてきた施設でございました。
本年二月の閉館時には、複数の方々から敷地内への立入りや写真撮影等のご要望もあったことから、本年三月に一時的に建物周辺を開放する機会を設け、数多くの方々にご来場いただきました。
今後整備する施設につきましても、引き続き親しまれる場所としていくことが重要と考えてございまして、人気スポットとなっておりました臨港広場のオブジェを残し、来場者が憩える空間とするなど、地元をはじめとする関係者の皆様のご意見を伺いながら整備を進めてまいります。
○石島委員 ターミナル周辺を解放した際に、数多くの方々が来場されたのも、本ターミナルが親しまれてきた証拠であると思います。そして、オブジェを残されたことも、皆さん大変喜ばれています。
今回整備する施設についても、地元の方々をはじめ、都民が親しめる施設となるよう、関係者と丁寧に調整しながら、整備を進めてほしいと思います。
本日は、晴海地区にある旧晴海鉄道橋や晴海ふ頭公園、晴海緑道公園に加え、晴海客船ターミナルの今後について質問をさせていただきました。
晴海地区は、選手村整備などを通じて、その姿を大きく変え、公園や緑道等の整備も進むなど、東京二〇二〇大会が残した最大のレガシーの一つでもあります。このレガシー$を引き継ぎ、将来にわたって都民や地域の方々に快適で豊かな環境が提供されるよう、今後も取り組まれることを強く求めまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○慶野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○慶野委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で港湾局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後九時五十五分散会
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