経済・港湾委員会速記録第四号

令和四年三月十五日(火曜日)
第八委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長細田いさむ君
副委員長後藤 なみ君
副委員長松田 康将君
理事中田たかし君
理事山崎 一輝君
理事あぜ上三和子君
清水とし子君
玉川ひでとし君
磯山  亮君
本橋たくみ君
田の上いくこ君
阿部祐美子君
入江のぶこ君
高倉 良生君

欠席委員 なし

出席説明員
産業労働局局長坂本 雅彦君
次長根本 浩志君
総務部長松本 明子君
産業企画担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務米澤 鉄平君
企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長
新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務
勝見 恭子君
商工部長緑川 武博君
商工施策担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務荒井 芳則君
金融支援担当部長高野  豪君
観光部長築田真由美君
観光振興担当部長小林あかね君
農林水産部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務山田 則人君
安全安心・地産地消推進担当部長
新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務
龍野  功君
雇用就業部長村西 紀章君
事業推進担当部長鈴木のり子君
中央卸売市場市場長河内  豊君
管理部長松田 健次君
事業部長西坂 啓之君
市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務佐々木 珠君
渉外調整担当部長村上  章君
財政調整担当部長渡邉 貴史君
環境改善担当部長萩原 清志君

本日の会議に付した事件
中央卸売市場関係
予算の調査(質疑)
・第十二号議案 令和四年度東京都と場会計予算
・第二十号議案 令和四年度東京都中央卸売市場会計予算
報告事項(質疑)
・東京都中央卸売市場経営計画(案)について
産業労働局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和四年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為 
産業労働局所管分
・第九号議案 令和四年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
・第十号議案 令和四年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計予算
・第十一号議案 令和四年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第七十八号議案 東京都産業労働局関係手数料条例の一部を改正する条例
・第七十九号議案 東京都立皮革技術センター条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・PRIME観光都市・東京 東京都観光産業振興実行プラン-観光産業の復活と持続的な成長に向けて-について
・第十一次東京都職業能力開発計画(案)について
・中小企業の知的財産活用のための東京戦略(案)について

○細田委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、中央卸売市場及び産業労働局関係の予算の調査、産業労働局関係の付託議案の審査並びに中央卸売市場及び産業労働局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより中央卸売市場関係に入ります。
 予算の調査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第十二号議案、第二十号議案及び報告事項、東京都中央卸売市場経営計画(案)についてを一括して議題といたします。
 本案及び本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布をしてあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○松田管理部長 去る二月十五日の当委員会で要求のございました資料につきまして、お手元に配布してございます経済・港湾委員会要求資料に基づきましてご説明申し上げます。
 恐れ入ります、表紙をおめくりいただき、一ページをお開き願います。1、市場別・月別取扱数量及び取扱金額の推移(令和三年水産物・青果物)についてでございます。
 一年間の取扱数量及び金額につきまして、市場別、月別に、一ページから三ページにかけまして、それぞれ記載してございます。
 恐れ入ります、四ページをお開き願います。2、豊洲市場開場後の地下水管理システム維持管理経費の推移についてでございます。
 地下水管理システム維持管理経費につきまして、豊洲市場開場後から令和四年度までの推移を記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料のご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○細田委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○松田委員 私からは、本日は、先週の予算特別委員会でも取り上げさせていただきました、私の地元の板橋市場の機能強化の取組と令和四年度中央卸売市場会計について質疑を行いたいと思います。
 先日もお話をさせていただきましたが、昭和四十七年二月二十八日開場の板橋市場は、先月末でちょうど五十年という節目を迎えました。管理棟が築五十年となり、施設の老朽化が進んでおります。この老朽化対策は喫緊の課題であります。
 こうした現状を踏まえて、板橋市場の施設整備について、令和四年度、どのように取組を行うのか伺います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 板橋市場につきましては、令和四年度、お話にございました管理棟のエレベーターの更新工事のほか、青果部の給排水管の改修工事の実施設計などを行います。
 また、花き棟につきましても、受変電設備改修工事などを実施いたします。
 これらのための経費として、約一億三千八百万円を計上してございます。

○松田委員 ありがとうございます。
 今、管理棟のエレベーター工事というお話が出ましたが、管理棟は五階建てでありまして、一時的に使えなくなるとやはり不便も生じると思いますので、その際、どのような対応とか配慮とか、考えていることがありましたら教えてください。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 お話の管理棟のエレベーターでございますが、設置から二十五年超が経過しております。
 また、耐震の対策も必要であることから、来年度、改修工事を行うものでございます。
 一方で、管理棟にはエレベーターが一台しかございませんので、改修工事に当たりましては、エレベーターの利用者である市場業者の方々などにご不便をおかけするなど、一定程度の影響が生じます。
 一般的に、エレベーターの運行を実際に止めなければならない期間は、耐震基準を最新のものに合わせるといったことなどが必要となりますため、四週間程度とされております。
 こうした状況の下で、工事に伴う市場業務への影響をできる限り抑制するために、現場での工期の短縮に向けた検討を行うこと、繁忙期を避けまして閑散期の時期に工事を実施すること、いろいろ工夫を講じまして、円滑な工事に努めてまいりたいと思います。

○松田委員 お話しいただきましたとおり、エレベーターが一つしかないので、工事をする間は一つもないということになってしまう。これは仕方のないことで、なるべく工期を縮めるということ、四週間、つまり一か月程度で、なるべく繁忙期を避けるということでありますので、またその際のインフォメーション、しっかりと市場協会の方とも連携を取って、ご不便をおかけしますがということでご理解いただければと思っております。この管理棟のエレベーター、多くの青果部や仲卸業者、卸が入っておりますので、それぞれの方々に丁寧な説明をお願いしたいと思います。
 こうした働く人の利便性や仕事の効率化、こういったところにもきちんと適切に維持管理を行っていくということを確認させていただきました。
 次に、板橋市場の将来に目を向けた機能強化について質問をさせていただきます。
 先週の総括質疑、予算特別委員会の質疑におきまして、板橋市場については、今月中に業界と都による検討会を立ち上げ、具体的な検討に着手するという答弁をいただきましたが、この検討会では、板橋市場の稼ぐ力の強化に資するビジネスモデルなどについて検討するというようなことでありました。
 具体的にはどのような検討を行っていくのか伺います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今般取りまとめました経営計画案において、板橋市場については、道路交通の利便性が高い立地にあるメリットを生かし、青果物流通の広域的な物流拠点としての機能を維持強化していくと位置づけております。
 お話の検討会におきましては、こうした位置づけを踏まえ、板橋市場の収益確保に向け、稼ぐ力を強化するための集荷戦略や販売戦略などについて、業界が主体となった実現可能なビジネスモデルを検討いたします。
 検討に当たりましては、卸売業者が示すビジネスモデル案を基に、板橋市場の業界全体としての合意形成を図り、そのようなビジネスモデルとリンクした施設整備の方向性についても検討を行ってまいります。

○松田委員 板橋市場の再整備、業界にとっては長年の悲願であります。これからいよいよ検討が動き出すに当たって、業界からは様々な声が届いていると思います。
 板橋市場の業界の皆様方からは具体的にどのような声が届いているのかお伺いをします。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 板橋市場の業界からは、今後の板橋市場について、集荷力が重要だ、我々が取扱量を増やしていかないといけない、顧客として量販店を取り込むことが必要だ、立地を生かして転配送を強化したいなど、様々な声を伺っております。
 また、今後の検討につきましても、スピード感を持って検討を進めたい、卸が先頭に立たないと進んでいかない、合意形成は大仕事だなど、こちらも様々な意見を頂戴しております。

○松田委員 今、様々なご意見が寄せられているということでありました。私もいろんな方々から、板橋市場へ行くことも何度もありますので、直接ご意見を伺っております。それぞれがなかなか一つということはないとは思いますが、大きな方向性として一つの方向を向けるように、取りまとめをぜひお願いをしたいと思います。
 これから立ち上げる検討会は、こうした人々の様々な思いを持って動き始めることになりますが、この検討会はどのような体制で臨むのか伺います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 検討会は、卸売業者や仲卸組合、買参組合、市場協会など、板橋市場の各業界の代表者の方々によって構成されることとなります。
 また、検討会の下に、青果部と花き部、それぞれの部会を設置し、取扱品目に応じた検討を深めていくこととしております。
 都も検討会に参加し、業界の主体的な検討を積極的にサポートするべく力を尽くしてまいります。

○松田委員 ありがとうございます。卸、仲卸、買参、市場協会、いろいろな方々がいて、いろいろな思いがある。そして、長い歴史がある。そして、次の世代をつくっていかなきゃいけない。
 私はこの間、予特のときは地域の方々もという話をしましたが、まずはやはり業界の方々の意見を、しっかりと市場当局が中心となって取りまとめていただく。その上で、あそこは高島平という--高島平も、できてから昨年で五十周年を迎えました新しいまちでありますので、それとともに誕生したのが板橋市場、ちょうど板橋市場の一か月後に高島平団地という団地ができたんですが、その発展とともにこの板橋、高島平というのはありますので、こういった歴史的経緯も踏まえて、ぜひ、業界の皆様方の声をまず第一に、それを責任を持って取りまとめていただくのが市場当局であっていただきたいというお願いをさせていただきます。
 次に、中央卸売市場会計の令和四年度予算案の審議に当たっての予算案全体像について、幾つか確認をしていきたいと思います。
 まず、この令和四年度予算編成に当たって、考え方と具体的な取組についてお伺いします。

○松田管理部長 令和四年度予算におきましては、中央卸売市場が生鮮品等流通の基幹的インフラとしての役割を将来にわたって果たしていくため、現場における日々の課題解決を図るとともに、本年一月に公表した経営計画案に盛り込んだ内容を今後着実に推進していくための予算として編成を行ったところでございます。
 具体的には、今般のコロナ禍において厳しい経営状況にある市場業者をしっかりと支え、様々な危機に直面する中におきましても安定的に運営できる強靱な卸売市場を実現できるよう、市場業者による徹底した感染症予防対策や、市場取引の活性化を後押しする補助事業として、経営強靱化推進事業を新たに立ち上げます。
 また、市場業者の様々な経営課題に向き合い、個々の経営状況に応じた的確なアドバイスを行うため、中小企業診断士などの専門家を活用した経営支援事業の充実化を図ってまいります。
 さらに、経営計画案で示した中央卸売市場の将来像の実現を図るため、淀橋市場の拡張整備に向けた基本設計に着手するとともに、板橋市場の機能強化に向けた検討調査を実施いたします。
 加えまして、卸売市場が多様な社会的役割を発揮していくため、市場業者が自然冷媒を用いた冷蔵機器等を導入する際における補助事業を新たに実施するなど、環境負荷低減に向けた取組を行ってまいります。

○松田委員 今、具体的に、経営強靱化推進事業を新たに立ち上げる、また淀橋市場の拡張整備に向けた基本設計着手、板橋市場の機能強化に向けた検討調査を実施と、かなり具体的にお話をいただきました。ぜひ積極的によろしくお願いいたします。
 都は、一月に、二〇四〇年代の中央卸売市場の将来像の実現に向けた今後五年間の中長期計画として、経営計画案を公表されました。
 長期化をしている新型コロナウイルスへの対応、そしてウクライナ情勢に伴う貿易環境への影響、自然災害の脅威など、様々な危機や環境の変化に直面しても、経営計画に掲げられた取組をしっかり前に進めていくためには、市場会計の財務基盤をより強固なものにしていく必要がございます。
 そこで、経営計画初年度である令和四年度予算における経常収支の状況について伺います。

○松田管理部長 令和四年度予算案におきまして、まず、収入面では、コロナ禍の影響等による売上金額の減少を見込み、使用料収入を減と見込んだことなどによりまして、令和三年度と比べて約三億七千万円の減少とした一方、支出面におきましては、維持管理経費の縮減等により、同様に約四億四千万円の減少としており、経常収支は約百三十五億円のマイナスとなってございます。
 これを令和三年度と比較いたしますと、経常収支は約七千万円の改善となっているものの、平成三十年度に開場した豊洲市場の整備に伴いまして増加した減価償却費を約百三十億円計上している影響などによりまして、依然として大幅な赤字となってございます。
 こうしたことから、市場会計における強固で弾力的な財務基盤を確保していくため、市場運営費のさらなる縮減と収入確保策の両面の方策に引き続き取り組み、経常収支の着実な改善を図ってまいります。

○松田委員 今のご答弁から、豊洲市場の減価償却費百三十億、これが非常に大きなところを占めているのかなということは分かりました。こうした努力によって、市場運営費の削減、こういったことで弾力的に財務基盤を確保していく、こんな答弁でありました。都においては、この内部努力の取組を進めていくことは非常に重要であります。改めて、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 先日の予算委員会でも、しっかりと入りを管理するとともに、出も管理する、この両面からお話をさせていただきましたが、市場においても、やはり公営企業会計であります。支出面だけじゃなくて、収入確保、この取組も非常に重要であります。
 そこで、安定的に市場運営を行っていくために、収益を確保する取組が重要であると考えますが、令和四年度の取組について伺います。

○松田管理部長 経営計画案におきましては、持続可能な市場経営に向けて、各市場における未利用資産の市場業者による利用促進を図るとともに、市場業者以外の利用など、さらなる利用方法を検討していくこととしてございます。
 令和四年度予算案におきましては、大田市場において空き店舗となっている水産仲卸店舗や関連事業者の店舗の新規募集に向けた環境整備に係る経費や、中央区築地五丁目に市場会計が保有する土地建物の利活用を図るための経費を計上しており、こうした取組を通じまして、市場会計における収益の確保を図ってまいります。

○松田委員 ご答弁で、大田市場の空き店舗をしっかり対策をしていく、そして築地の土地の利活用というようなお話をいただきました。こうした無駄な経費の削減と収入の確保、非常に重要な取組であります。これからも様々な工夫を凝らしながら、しっかりと取り組んでいくことを求めておきます。
 また、市場自身がしっかりと稼ぐ力というのをつけること、それもぜひ市場当局にお願いをしたいと思います。
 一方で、活発な市場取引を生み出す土台となるのは市場の施設そのものでありますが、中央卸売市場の施設の多くは老朽化が非常に著しく、先ほども板橋市場のお話をさせていただきましたが、こうした老朽化への対応は喫緊の課題でありまして、しっかりと必要な予算を措置して対応していくことが重要であります。
 そこで、令和四年度予算においては、市場施設の改修などを行う建設改良費、この予算額が前年度と比べて減少しておりますが、その理由を伺います。

○松田管理部長 市場施設の多くは建設から三十年以上が経過し、電気設備や給排水管、昇降機といった卸売市場の基盤となる各種設備についても、老朽化が進んでいるところでございます。
 中央卸売市場の運営を安定的かつ円滑に継続していくためには、市場内で事業を営む市場関係者の方々の意見も踏まえながら、必要性や緊急性に応じた予算措置を行い、市場施設の着実な改修を行っていく必要がございます。
 こうした考え方の下、令和三年度におきましては、大田市場青果棟の屋上防水工事や葛西市場青果卸売場の屋根改修工事など、大規模な工事を予定していたため、約四十八億円の予算額といたしました一方、令和四年度予算案におきましては、今後控える維持更新工事の準備段階に当たる設計等を多く予定していることから、予算額自体は約三十九億円となっているところでございます。
 今後も、各市場の運営実態や工事の進捗状況、さらには、来年度から順次実施を予定しております各市場施設の劣化度等調査の結果などを踏まえながら、建設改良費の予算を的確に措置し、計画的かつ着実な事業執行を図ってまいります。

○松田委員 今ご答弁で、令和三年度は大規模工事を予定、そして令和四年度は設計を多く実施している、だからこれは少なくなっているんだよというようなご答弁をいただきました。単に予算が減っているのではなくて、今後も見据えた施設整備予算となっていることが分かりました。
 工事の施工に当たっては、今般のコロナ禍や国際情勢に伴う原材料不足、さらには市場内の営業に配慮しながら工事を行う必要があるなど、現場での様々な困難が伴うことがあると思いますが、市場業者の方々としっかりとコミュニケーションを図って、様々な工夫を行いながら、予算で措置をされた事業を着実に実施していただきたいと思います。
 都議会自民党はこれまでも、施設整備の重要性、そして市場施設の老朽化の対応、この重要性を指摘してまいりました。
 施設整備予算において、年度ごとに予定をされている工事の内容によって金額の増減があるということは分かりましたが、経営計画案においては、更新時期や財政負担の平準化を図るために、アセットマネジメント手法を活用して市場施設の計画的な維持更新を図っていくとのことであります。このアセットマネジメント手法を活用しながら、老朽化への対応を計画的かつ着実に行っていただきたいと思います。
 先ほど板橋市場の機能強化に向けた取組について確認を行いましたが、こうしたアセットマネジメントの考え方も踏まえながら、市場取引の活性化を図っていく観点で、市場業者の方々の声やニーズにもしっかりと耳を傾けて、各市場の強みや特徴を引き出して、機能強化につながるような施設整備にしっかりと取り組んでいただくことを求めまして、私の質問を終わります。

○後藤委員 私からも、東京都中央卸売市場経営計画(案)の概要について質疑を行いたいと思います。
 都は、将来にわたり持続可能な市場経営の実現に向け、今後五年間でどのような施策を取り組むかということと、あとは財政計画というものを示す経営計画案というものを取りまとめたところであります。
 この中には何が書いてあるかというと、市場の活性化とともに市場会計の財政状況の改善という、この二本立てで中身が記されてありまして、本日は、この中身について、一つ一つ確認をしてまいりたいというふうに思います。
 まずは、この経営計画をまとめている東京都中央卸売市場の足元の状況について、少し確認をしてまいりたいというふうに思います。
 取引品目別の取引量と市場業者数について、二十年前と比較してどのように推移をしているのか伺いたいと思います。

○西坂事業部長 都の中央卸売市場における令和三年の取扱数量は、二十年前の平成十三年と比べまして、水産物は五一・五%の減少、青果物は二四・二%の減少、食肉は八・〇%の減少、花きは切り花に換算いたしまして二六・九%の減少となっております。
 市場業者数につきまして、令和三年と平成十三年のそれぞれ四月一日付で比べてみますと、水産物の卸売業者は十二者が十者に、仲卸業者は千八十六者が五百五十七者に、売買参加者は四百六十七者が三百四十者になっております。
 青果物の卸売業者は十九者が十五者に、仲卸業者は四百四十二者が三百二十五者に、売買参加者は六千六百二十七者が三千二百五十八者になっております。
 食肉の卸売業者は一者で変わりません。仲卸業者は四十二者が二十四者に、売買参加者は二百七十二者が百五十九者になっています。
 花きの卸売業者は六者が七者に、仲卸業者は四十六者が四十五者に、売買参加者は四千六百六十者が三千九百三十一者になっております。

○後藤委員 ありがとうございます。様々、細かなデータを出していただきましたけれども、やはり特筆すべきは、水産物が五〇%以上減少している、青果も二五%近く。これは二十年前なので随分昔ですけれども、やはり長期的なスパンで財政状況などを、取引量を見ていくと、非常に減少していくということが分かりました。
 それに伴って市場業者も大きく減っているということでございますけれども、この取引量が減っている理由について、どのように分析をしているのか、見解を伺います。

○西坂事業部長 都の中央卸売市場の取扱数量が減少している背景といたしましては、少子高齢化の進行、外食や中食の利用増加など食の外部化の進展、産地と量販店などの直接取引や加工品も含めた生鮮品等の輸入の増大などによる流通チャネルの多元化など、市場を取り巻く環境が大きく変化していることがあると認識しております。
 また、令和三年の取扱数量につきましては、緊急事態宣言に伴います飲食店の休業、イベントの自粛や簡素化、コロナ禍における生活様式の変化などの影響を受けたと考えております。

○後藤委員 直近に関しては、コロナ禍ということもありまして、飲食店の休業等の影響を受けているというお話がありましたけれども、やはり五か年計画という意味では、全体感を見ていくということでございまして、今のご答弁の中では、外部環境の変化が大きな理由であるというようなご答弁がございました。
 こうした外部環境の変化というものを都はどのように捉えているんでしょうか。見解を伺います。

○西坂事業部長 人口減少や少子高齢化の進展は、食料需要の減少や働き手の確保への課題となる可能性があります。また、単身世帯や共働き世帯の増加は、加工食品へのニーズの高まりや中食化を一層進行させる可能性がございます。
 都の中央卸売市場といたしましては、これらに的確に対応していくことが重要だと考えております。

○後藤委員 おっしゃるとおりで、今、様々な外部環境の変化をどのように捉えているかというご答弁がありましたけれども、市場の取引というものは、先ほど水産に関しては半分近くというような減少傾向という話がありましたけれども、市場の取引量が減っているからといって、世の中のニーズがなくなったわけではないというふうに思っています。
 例えば、今ご答弁をいただいたような加工食品のニーズや中食化みたいなところでいくと、食の外部化みたいなところが今現在叫ばれておりまして、外部化率も五〇%近くなっておりますし、こうした市場環境の変化から、例えば業務用の野菜の需要割合も、今五〇%を超えているなどなどございまして、こうした外部環境の変化、二十年前と比較をしたときに大きく社会も変わっておりますので、しっかりと市場そのものも、この社会変化のニーズを捉えて稼ぐ力を高めていく、そんな取組が重要であるというふうに思っております。
 そして、その外部環境が変化する中においても、しっかりと市場が果たす役割を果たしていく、これが重要だというふうに思いますが、今回、都は、収支を改善していくために各市場の取引量や取引金額を伸ばすというような計画を掲げておりますが、この取引量や取引金額をどのように伸ばそうとしているのか、具体策について伺いたいと思います。

○西坂事業部長 都は、中央卸売市場条例を改正し、公正な取引環境や食の安全・安心を確保するための規定を設けるとともに、取引に関するこれまでの規制を緩和し、多くの市場業者、産地や実需者がより活発に取引を行える環境を整備しております。
 こうした環境を生かし、DXの推進などによる商流の高度化、効率化や、海外輸出の拡大などの取組を市場業者が自ら行い、稼ぐ力を強化していくことが重要でございます。
 都は、中央卸売市場強靱化推進事業などによりまして、これらの市場業者の意欲ある取組を支援し、市場の活性化につなげていきます。

○後藤委員 今は、ご答弁の中で、DXを進めたり、規制緩和をしたり、こうした取組を通じて市場業者の意欲ある取組を支援して活性化していきますというご答弁がございましたけれども、私自身、この二十年間の取引量の減少の傾向、割合などを見ていくと、やはり並大抵のことを--今までの政策の延長線ではなかなかこうした改善というのは難しいのかなというふうに思っておりまして、今ご答弁の中では、中央卸売市場強靱化推進事業等でこうしたものをしっかり進めていくというお話がありましたけれども、しっかりとそれが市場の活性化につながっていくのか、ちょっとさらに踏み込んで質問をしていきたいというふうに思います。
 都は、市場業者の意欲ある取組を支援する、そして稼ぐ力を強化していくというお話でございましたけれども、近年、ICTやAⅠなど先端技術の開発が進み、DXの波というものが、もうこれは市場業者に限ったことではなく、全ての産業で進んでいるものでありますが、じゃあ、翻って卸売市場はどうかと現場に即して見てみると、私自身も地元に二つ市場がありますので、何度も行かせていただいたことがあるんですが、なかなかDXの推進をしていくというのは、やはり現場の皆様からすると並大抵なことではないのかなというふうに思っております。
 しかしながら、コロナ禍では非接触型の取引が求められるであったりとか、あるいはデジタル技術の活用など、様々な環境変化を迎えていくということもありまして、ぜひともこの市場取引の活性化に当たっては、卸売市場のプレーヤーとなる市場業者が将来を見据えてDXの推進に取り組んでいく必要があると考えます。
 そこで、都は、商取引等のデジタル技術の活用に取り組む市場業者に対して、これまでどのような支援を行っているのか伺います。

○西坂事業部長 都は、令和元年度から、中央卸売市場活性化支援事業によりまして、ICTを活用した競り取引の強化など、市場全体の活性化につながる意欲ある取組を支援してまいりました。
 本年度は、Eコマースや販売管理システムの導入など、個々の市場業者の経営基盤強化のきっかけとなる取組につきましても幅広く支援できるよう、中央卸売市場強靱化推進事業におきまして、簡易な手続で申請可能な変革スタート枠を設けまして、より積極的に後押ししております。

○後藤委員 ただいま、これまでも局を挙げて市場業者のデジタル化推進の取組を後押ししてきたということで、本年度も、変革スタート枠ということで新たな事業もスタートするということが確認できました。
 令和四年度も市場業者のDXの推進に対する積極的な支援を継続すべきだと考えますが、その方策について伺います。

○西坂事業部長 令和四年度に創設する中央卸売市場経営強靱化推進事業におきましても、これまで同様の枠組みを設け、引き続き市場業者のDX推進を支援していくとともに、補助上限額の見直しなどを行っていきます。
 この見直しなどによりまして、市場業者の経営基盤強化につながるEコマースや販売管理システム導入といったデジタル化の取組を一層加速させていきます。

○後藤委員 ありがとうございました。引き続き、支援とともに補助上限額の見直しなどを行っていくというご答弁がありました。
 様々なDX事業の新設をいただいてとてもありがたいんですが、やはりこれまでなかなかDXが市場の中で進まなかったというところも、市場業者の皆さんが、そういったデジタルの取組に対しての抵抗感であったりとか、なかなか一歩を踏み出すのに抵抗感がある方が非常に多いなという感触がありまして、ぜひとも、こういった事業を進めて創設していただくのもすばらしいことなんですが、例えば、学校の教育現場においては、デジタルサポート支援員みたいなものがいて、DXの推進を後押ししていくサポーターみたいな方がいて、しっかりと手取り足取り推進の後押しをしていく制度がありますけれども、こうした事業などを参考にしていただきながら、きめ細かに支援をしていただきたいなというふうに思っております。
 デジタル技術というものは、積極的にぜひ活用していただきまして、新たな取引形態への対応や業務の効率化などを進められるように、引き続きご支援をいただきたいというふうに思います。
 そして、外部変化の対応、そして業務改善といった取組を着実に進めていくことに加えて、個々の事業者が稼ぐ力を高めるために、我が会派ではかねてから、少子高齢化などで国内需要が減少する中でも、限られた需要を奪い合うのではなくて、外に出していくということで、海外輸出の取組についてもしっかりと支援するようにということで要請をしてきたところであります。
 そこで、都がこれまで支援をしてきた市場業者の海外輸出の取組について伺います。

○西坂事業部長 海外輸出に関しまして、これまで中央卸売市場強靱化推進事業などにより、水産仲卸業者による海外展示会への出展や、業界団体主催による組合員向けの輸出セミナー、海外バイヤーとの交流会の取組などを支援してまいりました。
 また、コロナ禍におきましても、青果卸売業者による海外輸出に向けた人材確保、育成の取組や、食肉仲卸業者による輸出業務に対応した販売管理システム導入など、創意工夫ある取組を後押ししております。

○後藤委員 ありがとうございました。輸出セミナーや海外バイヤーとの交流会の取組をしてきたなどなど、ご答弁がございました。これからは、コロナ後も見据えて、ぜひとも力強い後押しが必要だというふうに考えます。
 そこで、令和四年度においても市場業者による海外輸出の取組を力強く支援すべきだと考えますが、見解を伺います。

○西坂事業部長 市場業者の稼ぐ力を高めていく方策の一つといたしまして、海外輸出の取組が重要であり、その販路開拓につきましては、個々の市場業者で取り組むのではなく、複数の事業者が連携して、それぞれの強みを生かし、品ぞろえ力や交渉力などの強化を図っていくことがより効果的であると考えております。
 このため、令和四年度の中央卸売市場経営強靱化推進事業におきましては、グループによる新たな取組を支援する枠組みを設け、品目や業態、市場間を超えた複数事業者による海外販路の開拓の取組に対しまして、より高い補助率を適用して積極的に後押しいたします。

○後藤委員 恐らく、これまでやってきた事業から集まってきた声から、さらに施策の実効性を高めていく、そういった取組であるということが確認ができました。
 輸出事業は様々な参入障壁やリスクがございまして、なかなか個社単位でやるというのには限界がありますし、また、輸出事業に限らず、横同士の連携を広めていくというものは、市場全体の稼ぐ力を高めていくという観点でも非常に重要な取組であるというふうに思います。
 そして、今は稼ぐ力の取組ということで海外輸出についての事業をお伺いいたしましたけれども、長年ずっと低迷をし続けている取引量の推移などを見ていくと、じゃあ、海外輸出に関する事業だけでいいのかという議論は、やっぱり私はあると思います。
 先ほど外部環境の変化の中で、食の外部化や高齢化など、様々な問題があります。その外部環境の変化に、じゃあ、これまで市場はしっかりと対応をしてきたのかといわれると、私は、全てその対応を、社会変化に対応し切れているわけではないというふうに思っています。それが、この今回の経営計画の中に入っている財政状況、収支の見込みなんかを見ていると、やはり非常に苦しい状況、このままだと市場そのものの在り方が問われている、そういう状況だというふうに思っています。
 そういう意味でいうと、まさにその稼ぐ力をどのように高めていくか。輸出だけではなく、ほかに何かないのか、様々なニーズの変化があると思います。そうしたものを、市場業者の皆様と危機感を共有しながら、しっかりと組織を強くして、ニーズを膨らまして、そして取引量を大きくしていく。様々な新規事業に、これから期待をしていきたいというふうに思います。
 本事業をてこに、様々な稼ぐ力に関する取組が進むことを期待して、次の質問に参ります。
 ところで、昨年度の事務事業質疑におきまして、私は、市場業者への経営支援について質疑をさせていただきました。そのところ、都は、本年度から経営セミナーを実施し、市場業者の行動変革につながるような情報を提供しているというようなご答弁がございまして、市場業者と都が同じ課題意識を持って取組を進めるということが大事だというふうに思っています。
 私の地元の足立市場でも、この案内を持っていくと、ぜひこの経営セミナーに参加したいという事業者も複数おりまして、自分のニーズに合ったテーマがあれば、ぜひ受講したいというようなお話がありましたけれども、経営セミナーの実施状況、こちらが今どうなっているのか、実施状況と今後の取組について伺いたいと思います。

○西坂事業部長 経営セミナーの実施状況についてでございますが、本年度は、中小企業診断士や公認会計士をセミナーの講師として迎えまして、事業計画書の作成及び決算書の経営への活用方法をテーマにオンライン形式で二回開催し、延べ約七十社が受講いたしました。また、リアルタイムでの参加が難しい市場業者向けに、セミナーの内容をアーカイブとして配信しております。
 さらに、セミナー後は、アンケートや業界団体などへのヒアリングを行い、商売に直結するような具体的なテーマ設定がよいといった声や、周知方法を工夫し従業員等にも直接セミナーをPRしてはどうかといった、現場ならではのニーズやアイデアをいただいております。
 令和四年度は、こうした意見も踏まえまして、より多くの方に受講してもらえるよう、テーマ設定などについて業界の声を積極的に取り入れまして、制度改善に努めていきます。

○後藤委員 ありがとうございました。既に七十社が受講して、さらにヒアリングなどで受講の内容などについても制度改善に努めていただいているということで、ありがとうございます。
 今回、コロナ禍というものがあって、卸売市場、業者の皆さんも、大きく商売をどう変えていこうとか、新しいことをやってみようというような形でマインドチェンジをしている、大きなきっかけになっているなというふうに思っております。ぜひとも現場に足を運んでいただいて、そうした業者の皆さん、どのようなマインド、そしてニーズがあるのか、しっかりと足を運んで目線を共有していただいて、ぜひとも市場業者の稼ぐ力の向上というものにつなげていただきたいというふうに思います。
 そして、続いて、計画案の財務基盤の確保の部分についてお聞きをしていきたいというふうに思います。この計画案の中では、市場会計の管理者の立場から、強固で弾力的な財務基盤の確保についてお示しをされておりまして、その観点から何点か確認をしていきたいというふうに思います。
 都では、強固で弾力的な財務基盤の確保に向けて、既に経営改善の取組を実施しているというふうに記載がありましたけれども、そこで、これまでの経営改善の取組状況について伺いたいというふうに思います。

○渡邉財政調整担当部長 都は、収入確保や執行体制の見直し、市場運営費の縮減等の取組により、令和十五年度までに約二十四億円の経営改善を段階的に行うこととしております。
 このような考え方に基づきまして、既に維持管理費の縮減等により、令和四年度予算までの累計で約二十二億円の経営改善を行ったところであります。

○後藤委員 約二十二億円の経営改善を既に行っているというお話でございましたけれども、この収支の計画を見ると、売上高割の使用料収入が五年置きに三%減少していくと、そういう想定をしていくと、令和四十六年には資金がショートするというような記載がありまして、先ほどのご答弁の中でも、毎年、百三十億円近くの赤字が生じているというお話もありまして、そういった意味では、この計画案で示されている長期的な収支では、経営改善を行っているものの、やはり大幅な赤字が続くということが想定をされているところであります。
 そうした意味からも、今後、これまで以上に収支の改善に抜本的に取り組んでいく必要があるというふうに考えますが、都の見解を伺います。

○渡邉財政調整担当部長 二〇四〇年代に経常収支黒字化を達成し、持続可能な市場経営を実現するためには、収支全般にわたり見直しを行っていく必要があるものと認識しております。
 そのため、市場運営費の縮減等の当面の経営改善策に引き続き取り組むとともに、新たに経営に関するレポートを作成し、経営状況等をより精緻に分析した上でさらなる改善策を検討、実施してまいります。
 また、淀橋市場の拡張整備事業におきましてDXの推進を図るなど、市場業者の稼ぐ力の強化につながる市場の活性化に向けた取組を通じまして、使用料収入の増加を図っていくとともに、現行の使用料の在り方についても検討を行ってまいります。

○後藤委員 ありがとうございました。今回の経営計画からは、現行の使用料の在り方についても明記がされたということで、これはやはり市場業者の皆さんからすると大きな話でありまして、これはどうなるのかと、大変多くの、不安の声も含めて、お寄せいただいているところであります。
 現行の使用料の在り方についても検討をしていくというお話がありましたが、具体的な検討内容について伺いたいというふうに思います。

○渡邉財政調整担当部長 現行の使用料体系につきましては、持続可能な市場経営の実現に向けて、受益と負担の観点から検証を行った上で、業界の意見を踏まえつつ、外部の知見も入れた検討会などにおいて検討を行い、市場業者の経営等への影響も考慮しながら、必要に応じて見直しを行ってまいります。
 また、現行の使用料額につきましても、今後の市場会計の見通しや市場を取り巻く状況を踏まえた上で、必要に応じて改定について検討してまいります。

○後藤委員 経営等への影響も考慮しながら必要に応じて見直しを行うと。そして、使用料を幾らにしていくかという金額についても検討を今後していきますということでありました。
 使用料の部分に関しては、重ねて申し上げますけれども、市場業者の皆さんの経営に直結する部分でありまして、私自身はすごく重要だなと思っているのが、もちろんコストカットをして財政基盤を強くしていくことは重要、そして稼ぐ力を高めていくことが重要。そして、その先に市場業者の皆さんが安心して長きにわたって経営を継続する見通しが見えて初めて、こうした使用料を含むコストカットの部分に対して納得ができるものなのかなというふうに思っていまして、なので、ある意味ですごく重要なのは、稼ぐ力を高めて、先ほどもちょっと長々と演説させていただきましたけれども、やはりこの先を見据えて、しっかりこの市場はこの先も未来が見えるんだねと、そのためにだったら自分たちも頑張ろうと思うようなビジョンが必要であり、そのための政策、指針が、私はやはり求められているんだというふうに思います。
 そういったものが充実して、納得できるものがあって初めて、使用料の在り方についても納得がいただけるものだというふうに思いますし、やはりこのあたりは、ぜひ業界の皆さんとしっかりと意思疎通していただきたいというふうに思います。
 この使用料については、長らく使用料改定がされてきていないので、そういう意味では、社会の中での幾らが適正なのかという話ももちろんあろうかというふうに思っておりますので、ぜひともしっかり丁寧なご説明、特に今コロナ禍で、市場業者の皆さん大変なご苦労をされている中での使用料というところでいくと、なかなか大きな、えっ、今、使用料をやるのという声もやはり一部ではあったりしますので、ぜひ丁寧にご説明をいただくことをお願いしたいというふうに思います。
 何問か、これまでの質疑を通じて、この経営計画案につきまして、稼ぐ力、そして財政収支の問題など、様々確認をしてまいりましたけれども、私自身は、この環境が変化する中においても、しっかりと都民に生鮮品を供給するという中央卸売市場の役割の重要性というのは、やっぱり変わらない。そして、変わらないように、しっかりと都としてもサポートしていただきたいと、そのように思っております。
 そうした観点から、持続可能な市場経営の実現に向け、今後どのように取り組んでいくのか、市場長の見解を伺います。

○河内中央卸売市場長 近年、卸売市場を取り巻く環境は、少子高齢化や人口減少による影響、地球環境への負荷を軽減する持続可能性社会を志向した漁獲量枠の設定やフードロスの解消の要請、さらにはコロナ禍や地政学上の影響による生鮮品等流通の激変など、大きな変革の時期を迎えております。
 このような状況下におきましても、中央卸売市場は、生鮮品等流通の基幹的なインフラとして、全国各地、世界各地から多種多様な商品を集荷するとともに、小売業者等の実需者ニーズに応じて迅速かつ効率的に分荷を行い、また、需給を反映した透明性の高い価格形成や販売代金の出荷者への迅速、確実な決済機能を有するなど、非常に重要な役割を果たしております。
 こうした基幹的インフラとしての役割を将来にわたって維持し機能させていくことが都の責務であるというふうに考えております。
 一方、市場の現場で、日々の取引を担い、運営を行っているのは市場業者の方々でありまして、都の卸売市場は、東京都と市場業界が協力して運営することで成り立っていると考えております。
 これらの市場運営におきまして、今回策定する経営計画を出発点として、都自らの経営改善の取組や、市場業者の皆様へのきめ細かな支援、率直な意見交換などを通じまして、将来を見据えながら、経営計画において示す取組の具体化等を図ってまいります。

○後藤委員 今の市場長のご答弁、大変力強く、そして、市場業者の皆様からすると、本当に安心ができるご答弁だったと思います。特に、市場というものを将来にわたって維持し機能させていくことが都の責務であるというお話、さらには、今回のこの経営計画は出発点なんだと、この経営計画を出発点にして皆さんとしっかりと話をしていくんだというお話でございましたので、ぜひとも事業者の皆様と様々意見交換を重ねていきながら、よりよい市場づくりに向けて、いろいろな様々な施策を進めていただきたいというふうに思います。
 この卸売市場は、目利きの力、そして誰にでも開かれた市場であること、これは大きな社会変化の中でも変わらない価値であるというふうに私は思っております。
 そして、今後、さらなる社会的貢献なども求められているところでもありまして、ぜひともこうした事業を進めていただきながら、しっかりと社会の変化に伴って市場自体も変わっていく、そうした取組を推進していただきまして、皆様に愛される市場、これからもぜひ取組を進めていただくことを要望をいたしまして、私の質問を終わります。

○高倉委員 それでは、まず豊洲市場の安全・安心の観点から、取組をお伺いしたいと思います。
 市場当局では、平成三十年十月に築地から移転をした豊洲市場において、定期的に地下水質や空気に関する調査を実施しております。調査によって、地下水質の状況を継続的に確認するとともに、空気については、開場以来一度も環境基準値等を超えたことはなく、科学的な安全が確保された状態が完全に維持されていること、地下水位については、地下水管理システムがその機能を発揮することにより着実に管理されていることが確認されております。
 昨年十一月の事務事業質疑において、今後も地下水管理システムを適切に運用していくために、どう取り組んでいくのかと質問したことに対しまして、理事者からは、地下水管理システムの稼働により、これまでに得られた知見を生かして揚水井戸や送水管の清掃を効果的に実施するなど、維持管理を充実させ、地下水管理システムの適切な運用管理に努めていくと、こういった答弁があったわけであります。
 そこで、まず、地下水管理システムを適切に管理運用するための具体的な取組についてお伺いしたいと思います。

○萩原環境改善担当部長 地下水管理システムは、地下水位を適切に管理するとともに、同システムの揚水機能を発揮し、中長期的に水質の改善を図るものでございます。このシステムの機能を十分に発揮できるよう、定期的に揚水井戸や送水管などの洗浄を実施しております。
 これまでに得られた知見を踏まえ、送水管などの洗浄効果を高めるため、今年度、送水管にバルブを設置するとともに、フランジ口と呼ばれる清掃のための穴などを設置いたしました。これらの設備を活用して洗浄を実施することにより、地下水管理システムを適切に管理し、より安定的に運用してまいります。

○高倉委員 開場以来、日々の運用の中で、管の目詰まりを清掃するなど、機能維持にご苦労されていると聞いております。現場を下支えするこうした事業に必要な予算を措置して対応することが重要でありまして、しっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。
 地下水管理システムの日常的な運用を適切に行うことにより、豊洲市場の地下水位は確実に管理できているものと受け止めております。
 市場当局が地下水管理システムの運用を始めて五年が経過をいたしました。この間、雨の多い年もあれば、少ない年もあったわけであります。こうした様々な状況の変化がある中で、豊洲市場は三十五ヘクタールもの広大な敷地面積でありまして、三十以上の水位観測井戸で地下水位を計測しております。これら地下水位の計測データを見ますと、地点や季節などにより差異、違いがあるようであります。
 地下水位の計測開始から現在までの計測データをどう評価していらっしゃるのか、答弁を求めたいと思います。

○萩原環境改善担当部長 平成二十八年十月に地下水管理システムの本格稼働を始め、本システムを適切に運用することによって地下水を管理してまいりました。
 この間、長雨や台風などを何度も経験してきた中で、様々な知見を得ることができました。豊洲市場近傍の気象庁の降雨データと、毎週測定してございます観測井戸の地下水位のデータを把握、分析したところ、降雨の影響により、局所的に地下水位が高くなりやすいエリアが何点かあることなどが分かってまいりました。
 こうした水位が高くなりやすいエリアの地下水管理を効果的に行うためには対策が必要であり、対応に向けて取り組んでおります。

○高倉委員 地下水管理システムを運用してきた中で、水位が高くなりやすい箇所が分かってきたといった、今、答弁でありました。また、対策の必要性を認識もされているというご答弁であったと思います。
 そこで、水位が高くなりやすい箇所にどう対応してきたのかということについてお伺いしたいと思います。

○萩原環境改善担当部長 地下水管理システムの運用開始からの知見も踏まえ、昨年九月に、六街区の水位が高くなりやすいエリアに、新技術であり、集水能力の高い有孔管を試行設置いたしました。
 現在は、水位上昇の抑制効果を把握するため、水位変動と流量データを計測しております。

○高倉委員 地下水管理システムの運用開始時からの知見を踏まえまして、六街区の水位が高くなりやすい箇所に有孔管を試行設置して、水位の上昇抑制効果を把握するための計測を実施していると、こういったお話であったと思います。
 そこで、試行設置をした有孔管の評価についてお伺いしたいと思います。

○萩原環境改善担当部長 有孔管を試行設置しました令和三年九月からこれまでの期間におきまして、大雨時の地下水位の上昇抑制を確認したとともに、短期間で水位を低下させる効果を確認しております。
 また、この有孔管の設置に当たりましては、推進工法を採用することで、市場運営への影響を最小限にとどめることができました。

○高倉委員 今、答弁で、試行設置をした有孔管によって、水位上昇抑制効果が確認できたということ、そして、それに加えて、短期間で水位を低下させるという高い水位上昇抑制効果もあったというようなご答弁をいただいたわけであります。
 そこで、具体的な効果が確認をできたということでありますけれども、今後、どう展開をしていこうとされているのか、答弁をいただきたいと思います。

○萩原環境改善担当部長 有孔管の設置により、地下水位の上昇抑制効果が確認されたことから、令和四年度は、同様の効果を得ることが期待される区域への有孔管を設置いたします。
 引き続き、日々積み重ねられる知見を生かし、効率的な運用管理につながる取組を行うことで、適切に地下水管理システムを運用し、地下水位を管理してまいります。

○高倉委員 今、質疑の中でお話がありましたこの有孔管ですけれども、大雨のときの水位上昇に対しまして効果が見込まれるということから、関係者と調整しながら取組を進め、引き続き維持管理の充実を図りながら、地下水管理システムの適切な運用に取り組んでいっていただきたいというふうに思います。
 本年一月に、業界団体や地元区との情報交換の場であります豊洲市場における地下水等管理に関する協議会が開催をされまして、そこで意見交換が行われたというふうにお聞きをしております。
 私ども都議会公明党としては以前から、豊洲市場の安全・安心については、開設者として適切な対策を継続して、そしてそれを担保することはもちろん重要ですけれども、それとともに、利用する市場業者の方々、さらには地元の方々、そして広く都民の皆さんに対して、説明や情報提供を十分に行っていくこと、様々なご意見にもしっかりと耳を傾けて理解を得ていくことが重要であるというふうに申し上げてまいりました。
 市場当局に対しましては、様々な機会を活用して、積極的に豊洲市場の安全・安心を訴えていただきたいというふうに思います。そのことを改めて要望いたしておきたいと思います。
 次に、経営計画案についてお伺いしたいと思います。
 今後五年間の取組として、DXの推進等による商流の高度化、効率化を図ることとしているわけでありますけれども、具体的にどういった取組を進めようとされているのかお伺いしたいと思います。

○西坂事業部長 生鮮品等流通の中核に位置する中央卸売市場におきましても、DXの推進などにより、これまで紙に頼っておりました取引相手とのやり取りをデジタル化することなどで、商流の高度化、効率化を図り、市場取引の活性化を促していくことが必要です。
 そのため、令和三年度は、市場業者に対してアンケート調査やヒアリングなどを実施し、取引業務に関するデジタル化の状況や課題の把握などに取り組みました。
 令和四年度からは、本年度に行った調査などを踏まえまして、市場取引のデジタル化などにつきまして、都と市場業界が意見交換を行い、共同して具体的な検討を進めていくこととしております。

○高倉委員 来年度から、業界と共同してDXの推進等による商流の高度化、効率化について検討を進めていくという、今ご答弁をいただきました。
 DXの推進は、商流だけではなくて物流の効率化にも資するものでありまして、市場運営そのものの改善につながるというふうに思います。そのことによりまして、市場業者の皆さんや市場で仕入れなどを行う方々、さらには市場の開設者として業務に携わる都の職員の皆さん、こうした様々な人たちの業務の高度化、効率化が図れることになりまして、そのことが市場が提供する価値の向上につながっていくものというふうに思います。
 そこで、市場においてDXを推進することによって、どういった可能性を見いだしていこうとしているのか、このことについてお伺いしたいと思います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 中央卸売市場は、卸売業者、仲卸業者等に加え、産地や実需者など、多岐にわたる関係者が業務に携わっており、生鮮品等流通の中間結節点に位置する市場がDXをてこに業務の高度化、効率化を図っていくことが重要でございます。
 物流面においては、トラック予約システムの導入によりまして、ドライバーの荷下ろしのための待機時間の短縮や入荷時間の平準化により場内物流を円滑化すること、自動搬送技術の活用などにより荷役作業の効率化を図ることなどが、まずは視野に入ってまいります。
 また、市場の運営面におきましては、監視カメラ映像の画像解析技術を活用し場内セキュリティの強化を図ることや、市場施設の図面のデジタル化を図ることで保守管理等の高度化、効率化につなげることなどが考えられます。
 さらに、市場に集積する取引情報等のビッグデータの活用を図ることで、産地に対する生産支援や小売の過剰在庫の解消、さらには需給予測の精緻化による食品ロスの削減などにもつながる道が開けてくるものと考えております。
 こうしたDXの取組を着実に推進していくことによりまして、産地や実需者をはじめ、様々なステークホルダーから支持される市場を目指してまいります。

○高倉委員 今、DXの取組についてのかなり詳細、具体的なお話をいただきました。
 ツールとしてのDX、これは活用によっては大変大きな効果が期待できるというふうに思います。一方で、DXの推進に当たっては、市場業者の方々も、必要な機器をそろえたり、ICTに係るスキルを習得をするといったことについて、一定のコストや手間もかかっていくということだと思います。
 市場業者には中小事業者もおりまして、そうした方々がこういう取組に取り残されることがないように、ぜひとも十分な配慮をしながら取組を進めていただきたいと、このことはお願いしておきたいというふうに思います。
 次いで、市場会計の財政状況の改善についてお伺いしたいと思います。
 持続可能な市場経営のために、遅くとも二〇四〇年代の市場会計の経常収支黒字化に向けた取組を推進するとしていらっしゃいます。
 二〇四〇年代ということで大分先のことになるんですけれども、二〇四〇年代を目標時期とした意義についてお伺いしたいと思います。

○渡邉財政調整担当部長 市場を取り巻く環境が変化する中におきましても、中央卸売市場が重要な使命を将来にわたり果たしていくためには、強固で弾力的な財政基盤を確保することが必要でございます。
 そのため、内部努力等による経営改善に取り組むことに加えまして、各市場の取扱数量や取扱金額を伸ばし、使用料収入を増加させるとともに、市場使用料の在り方の検討などを行うこととしております。
 これらの取組は、長期的かつ計画的に実施していく必要があることから、一世代先を見据えた二〇四〇年代の経常収支黒字化を目指すこととしたものであります。

○高倉委員 強固で弾力的な財政基盤を確保していくということは、一朝一夕にできることではないというふうには思います。市場の重要な使命を将来にわたって果たしていくためにも、着実に、できることからしっかり取り組んでいただいて、先の話ではありますけれども、先だから何かちょっとよく分からないというような状況ではなくて、一つ一つ、やっぱり目に見える形で着実に、私は取り組んでいただきたいというふうに思います。
 市場運営費の縮減等の内部努力につきましては、市場の運営が滞るようなことがあっては、これは本末転倒でありますので、市場運営に及ぼす影響といったことは十分に踏まえつつ取り組んでいただきたいというふうに思います。
 多くの市場業者、産地や実需者がより活発に取引を行える環境を整備し、市場業者が自ら行い、稼ぐ力を強化することも重要でありまして、都としても、こうした取組を、ぜひしっかりとサポートをしながら進めていただきたいというふうに思います。
 それから、先ほど来、質疑も行われておりますので、簡潔にお聞きしておきたいと思いますが、経営計画案では、以上のような取組を通じて市場会計の財政状況の改善を図るとともに、使用料の在り方を検討するということにしております。
 この使用料の在り方についてですけれども、これはどういうプロセスを踏まえて検討していこうとされているのか、このことについてお伺いしておきたいと思います。

○渡邉財政調整担当部長 市場使用料は、市場業者の経営に大きな影響を与えるものと認識しております。そのため、市場使用料の在り方につきましては、これまで、外部有識者等を委員とする検討会などで幅広く検討を重ねてまいりました。
 これらを参考に、今後、計画期間内におきましては、受益と負担の観点から検証を行った上で、検討会の実施など外部の知見を活用するとともに、業界の意見を踏まえながら、将来を見据えて市場の使用料の在り方を検討してまいります。

○高倉委員 今、プロセスについて、簡潔にお答えをしていただいたということだと思います。外部の知見の活用、それから業界の意見を踏まえて検討を行っていくと、こういうような話でありました。使用料については、市場業者の経営にも大きな影響を及ぼしてまいりますので、ぜひともしっかりと業界のご意見をお聞きしながら、丁寧に進めていただきたいというふうに思います。
 次いで、東日本大震災の被災地支援についてお伺いしたいと思います。
 先週の三月十一日で、あの未曽有の被害をもたらした東日本大震災から十一年が経過をしたわけであります。
 これまでも何度も申し上げてきていますけれども、私ども都議会公明党は、この大震災の発災以来、福島、宮城、岩手、それぞれの支援チームをつくりまして、何度となく被災地に足を運びまして、被災地の方々の生の声をお聞きしてきたわけであります。私は福島のチームに入っておりましたので、繰り返し福島に行ってまいりました。
 そうした中で、被災地は、いまだに魚や野菜、果物を含む被災地産品が風評被害といったことに直面をしておりまして、価格に関しては、震災前の価格の水準に戻っていないと、こういった状況がいまだにあるわけであります。
 生産地でもある被災地の方々の、大消費地である東京に対する期待は、引き続き大きいんですね。私たちがもう何度も行ったときに、やはりそのことはもう毎回毎回、聞いてまいりました。産地と消費者を結ぶ中央卸売市場では、これまで様々な被災地支援を行ってきたことというふうに思っております。
 そこで、福島県をはじめとした東日本大震災の被災地における農産品の風評被害を払拭し、消費地東京における消費を向上させていくための、まず、これまでの取組についてお伺いしたいと思います。

○松田管理部長 中央卸売市場におきましては、各市場で開催される市場まつりにおいて、福島県PRコーナーを設置し、来場される多くの方々に広く福島県産品の風評被害の払拭や消費の拡大に努めるなど、被災産地の支援に取り組んでまいりました。
 加えまして、東京都が発行する広報誌への掲載や、福島県知事によるトップセールスへの協力等を通じまして、被災産地の農産物のおいしさと安全性のPRを行ってまいりました。

○高倉委員 昨年の事務事業質疑の際にも、被災地支援について取り上げさせていただきました。十一年が経過をしましたけれども、引き続き被災地支援には力を入れていく必要があろうかと思っております。
 これまで、中央卸売市場の皆さんが力を合わせて被災地の支援に取り組んでこられたということは、私も十分に承知をしております。本当に、中央卸売市場の皆さんへの被災地の方々の期待というのは非常に大きいんですね。ぜひともあの大災害を忘れることなく、引き続き、さらにこれまで以上に力を入れて被災地支援に取り組んでいただきたいというふうに思います。
 そこで、令和四年度における被災地産品の普及に向けた取組についてお伺いしたいと思います。

○松田管理部長 被災地産品に対する風評被害の払拭や消費拡大を進めていくためには、産地と消費者とを結ぶ中央卸売市場が率先して取り組むことが必要でございます。
 このため、新型コロナウイルス感染症の状況を見極めながら、市場まつり等において積極的に被災地産品の紹介を行うとともに、料理教室やフラワーアレンジメント教室におきまして、被災地の食材や花等を使用いたします。
 加えまして、被災産地が行うトップセールスに引き続き協力するとともに、様々な広報媒体を活用しまして、都民の方々に被災地産品に対する理解を深めていただけるよう、着実に取り組んでまいります。

○高倉委員 ぜひとも力強いご支援をお願いしたいと思います。特にここ二年ほどは、新型コロナ禍の中で、思うようにいろんなイベントを開催したりすることも難しかったといったような状況もあります。人と人が往来をすることも非常に制限があったと。こういう中でも、本当に皆さん、被災地に思いをはせながら一生懸命やってこられたということについては高く評価を申し上げたいと思います。ぜひ、まだまだコロナは続きますけれども、しっかりと被災地の支援に取り組んでいただきたいというふうに思います。
 次いで、公正で公平な取引の推進ということについてお伺いしたいと思います。
 卸売市場は、市場を利用される方々同士の取引、経済活動が円滑になされて初めて効率的な生鮮品の供給が実現をされるということであります。
 円滑な経済活動に必要なことの一つに、公平で公正な取引環境の確保といったことが挙げられます。私ども都議会公明党の令和四年度の予算要望におきましても、公正な取引の確保を掲げさせていただきました。
 今般のコロナ禍をはじめとして、直近のウクライナ情勢に伴う貿易環境の不安定化が懸念をされております。原材料費の値上げなどによります小売価格への転嫁の難しさなど、様々な声を日々の報道からも耳にしているわけであります。産地、小売店、消費者と、サプライチェーンに関わる全ての方々は、こうした流通の変化に敏感に反応し、その動きを注視していると思います。
 こうした中で、東京都は、経営計画案におきまして、市場流通に対する信頼性のさらなる向上に向けて、公平かつ公正な取引環境の確保を図るというふうにしております。計画案策定という時期におきまして、改めて、市場の存在意義とも考えられる公平かつ公正な取引の在り方についてお伺いをしたいと思います。
 計画案では、令和二年の改正法施行、これに基づいた条例施行によって指導監督事務を大幅に見直したということであります。
 この指導監督事務をどう見直したのかということについてお伺いしたいと思います。

○西坂事業部長 令和二年六月に施行された改正中央卸売市場条例は、生鮮食料品等流通の合理化と公正な取引環境の確保を促進することにより、消費者ニーズ等への的確な対応を図るという卸売市場法改正の趣旨を踏まえつつ、多くの市場業者、産地や実需者がより活発に取引を行えるよう、これまでの規制を緩和いたしますとともに、卸売市場がその公共的役割を引き続き果たしていくため、公正な取引環境を確保するための規定を設けております。
 例えば、卸売業者に対しまして、取引の数量や価格に係る従前からの公表義務に加えまして、新たに取引条件の公表を義務づけております。
 また、売買取引の方法につきまして、それまでの一律の規制を改めまして、各場の取引委員会でその市場の実態に即した取引ルールの設定が可能となったことから、適切なルールの設定や運用について指導しております。
 さらには、不適正な取引となる行為の事例を新たに作成し、市場関係者に周知することで、売買取引の原則に反する行為の明確化を図っております。

○高倉委員 計画案におきましては、公平、公正な取引を確保するために、取引ルールの遵守の徹底、取引情報等の透明性の確保、市場業者の健全な経営が必要としております。
 まず、取引ルールを遵守させるために、どういう取組を行っていこうとされているのかお伺いしたいと思います。

○西坂事業部長 取引ルールの遵守を徹底するため、都は、取引現場の日常的な巡回指導に加えまして、必要に応じて、卸売業者に対して卸売の記録の提出を求め、販売方法の適法性などを確認しております。
 また、卸売業者及び仲卸業者の業務運営の実態把握に向けて、定期的な業務検査を行いますとともに、卸売業者の一日の取引状況など全般につきまして、事前の通告なしでの現場確認、関係帳票類の調査、関係者からの聞き取りを行うといった随時の巡回調査を実施しております。
 さらに、各場で都職員と市場関係者により構成する取引委員会を運営し、競り売りなどにより売買取引を行う物品の種類及び数量などを調査審議し、決定した内容について市場関係者に周知するほか、競り人の資質向上を図るための研修会を実施するなど、様々な取組を行ってございます。
 今後も、現場の実情を踏まえた上で、こうした取組を適切に実施していきます。

○高倉委員 今、ルールのことについてご答弁があったわけであります。
 一方で、ルールの適正、これが硬直化してしまいますと、市場業者の創意工夫あふれる事業活動の妨げになってしまうということが懸念されるわけであります。したがって、このルールが硬直化してしまいますと、市場業者の稼ぐ力、これを強調する経営計画の趣旨を損ないかねないといったような懸念も一方ではあるわけであります。いわば取引の自由と、それから規制をどうバランスよく取っていくのかといったことがやはり重要ではないかなと思います。
 そのためには、取引の実態を正確につかむことが重要だと思いますけれども、まず、取引形態はどのように多様化をしていくのか、また、その取引をどう把握して適切な指導監督事務につなげていくのか、ご答弁をいただきたいと思います。

○西坂事業部長 条例改正により、それまで例外的な取引として認められておりました第三者販売や仲卸の直荷引きなどの規制が緩和されましたことによりまして、例えば加工業者や輸出向けニーズに柔軟に対応できるようになっております。
 また、ECサイトや移動販売車を活用するなど、販売の多角化に取り組んでいる例などがあり、取引形態には多様化の動きが見られます。
 都は、こうした取引の状況などについて、市場業者に義務づけられている実績報告、取引に関する検査や巡回調査などを通して詳細に把握し、適切な指導監督事務につなげていきます。

○高倉委員 この指導監督を行っていくに当たりましては、監督を受ける側である市場業者の理解と納得が不可欠であるというふうに思います。
 市場業者がルールの理解を深め、自ら遵守することができるように、どういった取組を進めていこうとされているんでしょうか。また、都の指導監督に従わない市場業者がもしいた場合、どう対応するのか。やはり丁寧な対応といったことも、私は必要ではないかなと思います。そういったことについての対応についてお伺いしたいと思います。

○西坂事業部長 都は、各場における取引委員会におきまして、取引に関する情報共有を図り、関係者の協議を踏まえ、その市場に適した取引ルールを設定いたしますとともに、当該ルールの運用や、疑義が生じた場合についても、同様に関係者で協議しております。また、都は、各市場における日常的な指導や定期的な検査など、様々な機会を通して、市場業者が取引ルールを十分理解し遵守していけるよう取り組んでおります。
 指導を行っても改善が見られない場合は、指導の目的や趣旨を繰り返し丁寧に説明することなど、事業者の理解を得られるよう努めております。

○高倉委員 市場運営は、市場業者の経営基盤がしっかりとしたものでなければ、安定したものにはならないと思います。
 これまでも、卸売市場法で、市場業者の適格性の判断に市場業者の経営状況を用いていたものというふうにお伺いしております。市場業者の方々の粗利益率は他の中小企業とも比べて相対的に低いわけでありまして、非常に厳しい経営環境の中で、生鮮品の流通という公的な役割を果たしているということだと思います。経営状況が厳しい市場業者に対しては、指導監督の視点において、その結果を経営状況の改善に結びつけていかなければならないと思います。
 そこで、市場業者に対する経営改善の指導を効果的なものとするためにどう取り組んでいくのか、答弁を求めたいと思います。

○西坂事業部長 都は、市場業者の経営状況に関しまして、市場業務に精通した公認会計士と共に、財務や損益の状況、会計処理方法などについての検査を実施しております。
 検査の結果、改善が必要な場合には、改善措置を求め、具体的な取組について報告を受けるとともに、適宜実施状況を確認しております。また、必要に応じて、公認会計士や中小企業診断士による経営相談につなげるなど、効果的な指導に取り組んでおります。
 これらに加え、経営に関する指導の実効性を一層高めるため、令和四年度には、検査の手法などを見直し、検査マニュアルの改定を検討するなど、より効果的に経営改善の指導が行えるよう取り組んでいきます。

○高倉委員 今、質疑を行わせていただきました。変化の厳しい取引環境の中では、その実態に即したものとしていくために、都の指導をまつまでもなく、市場業者の自発的な取組といったことが効果的であるというふうに思います。
 今後は、取引ルールの遵守に向けまして、市場業者自らが適切に業務を遂行できているか、自律的にチェックできる仕組みも検討していただくようにお願いをしておきたいと思います。
 最後の質問になりますが、卸売市場は、消費者にとっては、市場を経由した商品は、適正な価格が値付けされ、しっかりと管理された流通過程の中で品質衛生管理がなされて、まさに安心を生み出す生鮮品の基幹インフラであるというふうに思っております。
 最近、中国から輸入されたアサリを、定められたルールに従わずに熊本県産と表示されているとの農水省の調査結果が公表されまして、熊本県は、アサリの出荷を二月八日から二か月間、全面禁止いたしました。
 アサリは食卓でよく目にする消費者に身近な食材でありますが、出荷停止されたことで流通にも影響が生じていると聞いて、大変心配な声が上がっております。
 特に、農水産物がどこで収穫されたのかというトレーサビリティーに関する情報は、消費者の商品選択において重要な項目でありまして、食品安全の一丁目一番地であるというふうに思います。したがって、これに誤りや偽りがあってはならないというふうに思います。
 そこで、市場における安全・安心の確保についてお伺いしたいと思います。
 まず初めに、確認のためにお伺いしますけれども、熊本県産のアサリの豊洲市場における流通状況について、農水省の調査結果の前後でどういった変化があったのかについて、答弁をいただきたいと思います。

○西坂事業部長 豊洲市場で取引が行われました熊本県産アサリにつきまして、農林水産省が広域小売店におけるアサリの産地表示の実態に関する調査結果を公表した本年二月一日前後の取扱数量を見てみますと、一月三十一日が六千三百九十七キロ、二月一日が四千九百八十一キロであったのに対しまして、二月三日が二千二百七十キロ、二月四日が百九十三キロ、二月五日が百三十四キロとなっており、大幅に減少してございます。

○高倉委員 今、大幅に減少している実情を明らかにしていただきました。産地表示の誤りによって、食のサプライチェーンに大変大きな影響が出ているといったことを確認させていただきました。
 そこで、農水省の調査結果や熊本県の出荷禁止の指示などを受けて、都は、アサリの流通に関して、市場業者に対してどういった対応を行ったのかについて答弁を求めたいと思います。

○西坂事業部長 都は、豊洲、大田、足立の水産三市場の市場業者に対しまして、消費者庁、農林水産省、水産庁から連名で発出されましたアサリの原産地表示適正化推進に係る通知及び農林水産省が公表いたしました調査結果につきまして、直ちに情報提供するとともに、当該通知に基づきまして、アサリの取扱時には産地伝達の確認を徹底するよう指導いたしました。
 また、市場流通に対する信頼性を維持するため、取扱物品全般につきまして、食品表示法をはじめとする関係法令を遵守するよう、併せて指導いたしました。

○高倉委員 今、アサリについての質疑をさせていただきましたけれども、市場で取り扱う商品の産地表示は、一般にどのように行われ、適正さが保たれているのか。青果、水産、花き、食肉など、商品の種類ごとにご答弁をいただきたいと思います。

○西坂事業部長 都の中央卸売市場で取り扱っております水産物、青果物、食肉など生鮮品の原産地に関する表示内容等につきましては、食品表示法等によって規定されております。
 市場業者は、出荷者から送付される送り状や物品の容器包装などに記載された原産地を確認し、食品表示法等に基づき、適正に表示しております。
 花きにつきましては、食品表示法等における原産地表示義務はないものの、市場業者は、生鮮品と同様に、送り状などに記載された産地を確認し、必要に応じて、販売先に適切に伝達しております。

○高倉委員 今、産地表示についてご答弁をいただいたわけであります。
 適正な産地表示を怠ってしまった市場業者に対して、どういった対応を取っていらっしゃるのか、このことについても答弁をいただきたいと思います。

○西坂事業部長 市場で取引される生鮮品等につきまして、食品表示法等に基づいて適正に原産地表示を行わなかった市場業者に対しましては、監督官庁と情報共有するとともに、開設者として事実確認を行い、必要に応じて指導等を行っております。
 また、こうした事案等が発生した場合には、卸売市場に対する産地、実需者及び消費者の信頼を損なうことのないよう、全市場に対して、改めて法令遵守の徹底及び適正表示の実施について注意喚起を行っております。

○高倉委員 経営計画案では、中央卸売市場における品質衛生管理の徹底、強化を掲げております。取引の多様化が進み、流通経路も複雑になっている中で、トレーサビリティーの確保に向けた取組は、こつこつと地道に積み重ねていくことで成果を上げるものと思います。市場業者の理解を得ながら、時に的確な指導監督も行って、消費者に信頼される中央卸売市場の実現に向けて、ぜひ取り組んでいただきたいというふうに思います。
 本日は、豊洲市場の安全・安心の確保、そして経営計画案について、さらに被災地産品の普及に向けた取組、そして産地表示といったことについて質疑を行ってまいりました。これらは、いずれも市場が果たすべき重要な使命であるというふうに思います。
 皆様におかれましては、本日、答弁のあった取組を着実に推進をしていただくことで都民、消費者の安心につなげていただくということを強く要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。

○あぜ上委員 資料の作成、ありがとうございました。
 私からは、まず、豊洲市場の地下水質及び地下水管理システムについて伺います。
 昨年十二月二十七日に公表されました豊洲市場における空気調査及び地下水質調査結果によりますと、空気測定結果は環境基準を満たしているものの、地下の水質、これは環境基準を四十五か所中三十七か所で超過をしております。その上、汚染濃度が上昇したところも出てきておりまして、引き続き注意深く管理する必要があるというふうに思います。
 そこで、まず伺いますが、地下水質の調査の直近のデータにおいて、環境基準値を超える汚染の状況についてご説明ください。

○萩原環境改善担当部長 豊洲市場では、地下水中のベンゼン、シアン、ヒ素の濃度を三か月ごとに調査しております。
 令和三年十一月の調査結果におきまして検出された調査物質の濃度の最高値は、それぞれ一リットル当たり、ベンゼンは一・一ミリグラム、シアンは一・一ミリグラム、ヒ素は〇・〇三八ミリグラムでございました。
 専門家の方々からは、濃度が上昇傾向を示した地点や低下傾向を示した地点も存在しているが、全体的に見れば、大きく汚染状況が変化した傾向は確認できないとの評価をいただいております。

○あぜ上委員 変化をしていないということは、汚染がまだ残っているということでありまして、最高値は環境基準の、ベンゼンは百十倍、ヒ素は三・八倍と、検出されないことが基準になっているシアンも検出されたということであります。
 環境基準値を超えている状況をどのように受け止めているのか伺います。

○萩原環境改善担当部長 地下水質の現状に対しまして、専門家の方々からは、現時点で、全体的に見れば、大きく汚染状況が変化した傾向は確認できないとの評価をいただいております。
 一方、市場業務が行われております地上部などの調査につきましては、毎月実施をしており、調査開始以来、全ての箇所において大気環境基準等に適合しております。これにより、豊洲市場の安全は確保されていると考えております。
 今後も、地下水管理システムの適切な運用を積み重ねていくことが豊洲市場の安全・安心につながるものと認識しております。

○あぜ上委員 空気に出ていないということは大変重要なことだと思います。しかし、二〇一六年十一月から二〇二一年十一月までの地下水質調査結果、これを改めて見てみますと、一旦は濃度が落ちているのにまた濃度が上がっているところとか、ずっと変わらずに環境基準を超えた状況が続いているところもありました。引き続き、しっかり管理する必要があるというふうに思います。
 地下水管理システム稼働から五年半が経過していますけれども、水質が改善していくのに、あと何年ぐらいかかるという見通しを持っていらっしゃるのか伺います。

○萩原環境改善担当部長 豊洲市場用地は、街区周縁が遮水壁で囲まれておりまして、新たな汚染の可能性はございません。
 引き続き、地下水管理システムにより地下に浸透した雨水を継続的に揚水していくことで、徐々に汚染地下水は回収されるものと考えており、中長期的には地下水質は改善されるものと認識しております。

○あぜ上委員 遮水壁につきましては、これまでも様々議論してまいりましたけれども、今日はその問題は繰り返しませんけれども、一言いわせていただければ、都も認めてきたように、有楽町層というのは部分的には切れているところもあるんだと。そういう意味では、プールのような状態とは断言できずに、だからこそ、やっぱり汚染状況も上がったり下がったり、変化もあって、見通しもなかなかつけられないんじゃないかというふうに思うわけです。
 では、伺いますけれども、地下水位がなかなか下がらない、その原因はどう分析されているんでしょうか。

○萩原環境改善担当部長 地下水位につきましては、降雨の状況などにより変動するものでございます。
 令和三年七月から八月にかけまして、例年の三倍の降雨量を記録した影響により、一時的に地下水位が上昇いたしました。こうした状況におきましても、豊洲市場の地下水位は、地下水管理システムにより地下水を揚水することで、着実に低下してございます。
 なお、令和四年三月九日時点では、全測定地点の平均でA.P.プラス一・七四メートルでございました。

○あぜ上委員 平均だと、今ご答弁あったように、管理基準には達しているということであります。私もデータを見ましたけれども、三月九日の直近の地下水位、確かに平均ではご答弁のとおりだったんですが、管理基準値を超えている箇所数というのを調べますと、やはり半数はあるんですね。
 こうなると、やっぱりウエルポイント工法、これを引き続きやる必要があるんだというふうに思ったわけですが、そのウエルポイント工法はいつまで続ける見通しなのか、この工法による支出が年間どのぐらいになるのか伺います。

○萩原環境改善担当部長 ウエルポイントは、街区周縁部など降雨の影響を受けやすいところを対象に設置し、揚水量や水位の状況を勘案しながら運用しており、専門家会議の評価を踏まえ、必要に応じて適切に運用してまいります。
 設置当初は二十一か所で稼働しておりましたが、揚水の効果などを考慮し、令和四年度は十二か所を予定しており、その経費として、維持管理経費六・二億円のうち、約二億円を計上してございます。

○あぜ上委員 地下水位については、目標水位を日常的にA.P.プラス一・八と管理すると。これは、土壌汚染対策、そして液状化対策の大前提だったはずです。しかし、地下水管理システムが本格稼働して五年五か月になりますけれども、いまだに達成できていないという、こういう状況については、やっぱりしっかりと分析をしていただいて、総括していただきたいというふうに改めて申し上げたいと思います。
 先ほど意見交換の場のお話も出ておりましたが、やはり豊洲市場の関係者の方々からは、今も不安の声、心配の声が出ています。豊洲市場の市場関係者の方々に、引き続き適宜情報提供を行うとともに、不安や疑問にはしっかりと応えていただきたいと、そのことを申し上げて、次の質問に移ります。
 次に、中央卸売市場経営計画案についてでございます。
 ある専門家の方が、日本で卸売市場があることが、やはり欧米諸国に比べても、大手資本のスーパーの小売業界の寡占化を緩やかにしているんだと、そして、私たち消費者が食料品の購買先の選択肢を持つことができている、そういう力になっているのが卸売市場なんだというふうにお話しされていましたが、本当にそのとおりだなと思いました。
 また、栄養バランスの取れた日本食の食生活、これは大変、今、国際的にも高い評価を得ておりますけれども、そうした食生活を支えてきた社会の仕組みとして、生鮮食料品の全国的な受給の調整機能を発揮してきた卸売市場の存在というのはやはり大きいんだというふうにその方も指摘をされていましたが、私も同感です。まさに卸売市場は、消費者の願いに応えるとともに、生産者を守り、育てる、こういう大きな役割を果たしているわけです。
 しかしながら、中央卸売市場は、水産も青果も、先ほどご答弁の中にありましたように、取扱数量が減少しているのが実態です。
 そうした中で、都の中央卸売市場が責務を果たすためにはどうしていくのか、そのビジョンを示して計画を策定するということは大変重要なことだと思っていますが、問題は、策定に当たって、どれだけ市場関係者の意見が反映されているのか、また、都が市場機能を守るために開設者の責任をどう果たしていくのかということを考えることだと思います。
 そこで、中央卸売市場の集荷及び分荷機能、そして評価、価格形成、代金決済などの機能の重要性に対する認識を、まず伺います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 中央卸売市場は、生鮮品等流通の基幹的なインフラとして、全国各地から多種大量の物品を集荷するとともに、小売業者等の実需者のニーズに応じて、迅速かつ効率的に必要な品目、量へと分荷する機能を担っております。また、需給を反映した迅速かつ公平な評価による透明性の高い価格形成や、販売代金の出荷者への迅速、確実な決済などの機能を果たしております。
 このような集荷及び分荷、価格形成、代金決済等の機能は、中央卸売市場が有する重要な機能でございます。

○あぜ上委員 大変重要な機能だと。また、これらの機能は何によって担保されてきたと考えていらっしゃるか伺いたいと思います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 中央卸売市場が有する集荷や分荷、価格形成、代金決済などの機能は、市場の開設者である都が整備する取引環境の下、集荷を担う卸売業者や物品の評価及び分荷を担う仲卸業者等の市場業者による日々の取引を通じて実現されているものと認識をしております。

○あぜ上委員 大事な認識だと思います。それで、やはりこの計画策定に当たっては市場業者の皆さんの意見をしっかり聞いてというご意見が他の会派の委員からも質疑もございましたが、市場関係者の意見をどのように聞き取りしたのか伺います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 市場業者の方々とは、日々の市場運営など、様々な事項について、日頃から意見交換を行っておりますが、計画案の策定に当たっては、十一市場全てにおいて、水産、青果、花き、食肉といった取扱品目ごとに、業界団体の代表者の方々と意見交換の場を設け、率直な意見交換を行ってまいりました。
 また、取りまとまった計画案に対しても、改めて業界の皆様からご意見を伺っておりまして、いただいたご意見も踏まえて経営計画を策定してまいります。

○あぜ上委員 市場を担う卸、仲卸をはじめ市場関係者の意見を踏まえた計画にぜひしていただきたいというふうに思うわけですが、指針のときに、意見聴取もされておりました。その中には、ご夫婦で小売業をされている方から、小売業のことが書かれていないとのご意見もありましたが、市場を支える様々な声を、そしてまちの中では大切な役割を果たしております小売業の方々の声などにも耳を傾けていただくよう求めておきたいと思います。
 使用料の在り方についてなんですが、このことにつきましては、ほかの皆さんからもいろいろ発言がございました。そして、業者の不安の声があること、また、本当に続けられるのかと、こういった声があることなど、私も伺っていますが、そもそも、中央卸売市場会計が赤字になっているのは、原因は豊洲市場の減価償却費が非常に大きいというのは紛れもない事実だというふうに思うわけです。しかしながら、今回の計画案の中では、経常収支の黒字化、これが非常に強調されているわけです。
 私は、そういう意味でも黒字への転換というのはなかなか厳しいというふうに考えるわけですけれども、都としてはどのように考えていらっしゃるのか伺います。

○渡邉財政調整担当部長 市場を取り巻く環境が大きく変わる中におきましても、都の中央卸売市場がその重要な使命を将来にわたり果たしていくためには、経常収支の黒字化など、強固で弾力的な財政基盤に裏打ちされた、持続可能な市場経営を実現していくことが必要となります。
 そのため、二〇四〇年代の経常収支黒字化に向けて、市場運営費の縮減等の当面の経営改善に引き続きしっかり取り組むとともに、新たに経営に関するレポートを作成し、経営状況等をより精緻に分析した上で、さらなる改善策を検討、実施してまいります。
 また、市場の活性化に向けた取組を通じて、使用料収入の増加を図っていくとともに、現行の使用料の在り方についても検討を行ってまいります。

○あぜ上委員 経営改善というのはもちろん大事なことではありますけれども、しかし、それでも、使用料の改定が行われることによって廃業に追い込まれる、こういう市場業者が生まれるんじゃないかと非常に心配していますが、その点はどう考えているのか伺います。

○渡邉財政調整担当部長 市場業者が廃業を選択することにつきましては、業者によって様々な理由があるものと認識しております。
 市場使用料は市場業者の経営に影響を及ぼすことから、使用料体系や料額については、市場会計の厳しい財政状況を踏まえ、今後、業界の皆様と様々な形で幅広く議論していく課題と考えておりまして、本計画はその出発点と位置づけるものであります。

○あぜ上委員 廃業の理由はもちろん個別の事情もあるかと思いますけれども、私も豊洲市場は地元にありますので、仲卸の方々や市場関係者の方々と話す機会が多くございます。
 そういう中で、私が一番実感するのは、例えば仲卸業者の方でいえば、本当に誇りを持ってこのお仕事を続けていらっしゃる。大変厳しい、本当にこのコロナの下で厳しい状況に追い込まれているけれども、やっぱり自分は仲卸の役割を果たしているんだという、本当にそういう誇りを持って頑張っていらっしゃるわけなんですね。こういう方々が、使用料の値上げによって、商売を諦めざるを得ないと、こういう状況をつくっていくことはやっぱり避けるべきだというふうに思うわけです。
 使用料の改定に当たっては、事業者の合意と理解の下で使用料の決定をすること、これを大前提とすることを求めたいと思います。
 また、今ご答弁の中で、これは出発点なんですよというお話がございました。今後も議論していくと。その際には、ぜひ、業界のトップの方々と話し合うのは当然なんですが、やっぱり様々な現場で働く方々、たくさんいらっしゃいます。様々な形で、小規模な仲卸業者さんなども含めて声を聞いていただくことを求めたいと思います。
 この計画の期間内において、市場会計の財政状況の改善に向けた確実な第一歩を踏み出せなければ統廃合は避けられないと、この計画案の中に書かれているんですがこの統廃合について、具体的な話合いはなされているのか伺います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 これまでの卸売市場整備計画においては、市場間の機能集約等を視野に入れた検討を行う旨を掲げてきており、今回の経営計画案においても、引き続きそのような検討を行うこととしております。
 計画案における理事お話しの部分の記載は、現在の財政状況をはじめとする市場をめぐる状況について危機感を共有し、計画期間内に都自らが経営改善の取組を着実に実施すること、市場の活性化や収入確保に向けて業界と共に取り組むこと、こうしたことが極めて重要であるとの認識を示したものでございます。
 お話の市場会計の財政状況に起因するような形での統廃合については、現在、具体的な検討を進めているものではございません。

○あぜ上委員 ご答弁にありました二〇一七年二月にできた都の卸売市場整備計画を改めて読んだんですが、ここには、豊洲市場について、周辺市場との連携強化及び機能集約を視野に入れた検討というふうに書かれておりました。現段階では具体的には財政状況を鑑みての統廃合の検討はしていないというお話でしたが、いずれにしても、現場を抜きにした検討などはあり得ないと思います。そのことは指摘しておきたいと思います。
 最後に、市場の管理運営なんですが、都の直営でこそ、消費者に求められる卸売市場の役割を発揮でき、災害時の機動的対応もできるというふうに考えるわけですが、都のその点に対する認識を伺いたいと思います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都は、都内十一の中央卸売市場の開設者として、卸売市場に求められている役割、すなわち集荷や分荷、価格形成、代金決済などの機能をはじめ、生鮮品等流通の基幹的なインフラとしての役割を着実に果たすべく、日々の市場運営を行っておりまして、これにより、都民への安定的な生鮮品等の供給を実現しております。
 また、災害時においても生鮮品を迅速に供給できるよう、市場業界と災害時の生鮮品の調達に関する協定を締結するなど、大規模災害等の緊急事態を見据えた体制の構築にも取り組んでおります。
 こうした対応は、都の中央卸売市場のみならず、全ての卸売市場に対して期待され、求められているものと認識をしております。

○あぜ上委員 二〇二〇年の卸売市場法改正、これによって、中央卸売市場の民営化が可能となったわけです。しかし、当時の日本農業新聞の自治体アンケート、これでは、開設自治体が引き続き整備や運営を指導するというところが八九%、九割近くであったわけです。
 そして、自治体からの最も大きな意見が、公正な取引や安定供給を確保し、高い公共性を保つためには、自治体が開設者となり指導監督する必要があるということでありました。条例改正のときには、東京魚市場卸組合連合会、ここからも公設の維持、これが要望されておりました。
 資本の大きさに左右されない、そういう中で取引を公正に行う、その努力が積み重ねられてきた。その中で地域経済を支えてきたのが中央卸売市場であります。そして、ご答弁にもありましたけれども、災害時の対応も大変重要でございます。
 直営を堅持すること、そのことを強く求めまして、私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○阿部委員 私からは、中央卸売市場会計から、食肉市場についてお伺いをしたいと思います。
 食肉市場は、都民に食肉を安定的に供給するための施設であり、また、まちの精肉店とのつながりも深く、そして、私の地元であります品川区とも隣接していて、市場の祭り、イベントは、地域の方々も楽しみにしている、そうした催しとなっております。コロナ禍で二年ほど開かれていないのは大変残念に思っております。
 さて、そうした食肉市場、将来にわたりその機能を良好に維持し、また、運営をしていくことが求められていると思います。
 中でも、牛や豚などの生体を受け入れて、と畜解体し、そして枝肉にまで加工する工程を担うと場、これは、その機能を持つことが他の市場と大きく異なる点だと思っておりますが、そういう、いわばオーダーメードでの設備や、あるいは機械の塊のような施設です。
 令和四年度予算案には、と場の施設整備費として約八億五千万円が計上されており、そのうち約二億六千万円は水処理センターの関連の予算であるということですが、この水処理センター、どのような施設であるかということを、まず確認したいと思います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 と畜業務では大量の水を使用することから、排水処理機能は、と場における業務を円滑に継続していく上で欠かせない機能の一つでございます。
 水処理センターは、と畜解体作業で発生する排水を曝気処理、この曝気と申しますのは微生物が有機物を分解するのに必要となる空気を送り込むことでございますけれども、この曝気処理をいたしまして、下水道法に定める排除基準を満たした上で公共下水道に排出するという役割を担っております。

○阿部委員 この水処理センター、市場内外の環境を、そして衛生を保っていくのに不可欠な施設であるということが分かります。
 では、この水処理センター、令和四年度、先ほども申し上げましたが約二億六千万円、この具体的な内容はどのようになっているのでしょうか。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 水処理センターに関する令和四年度予算としては、まず、設備の経年劣化に対する喫緊の対応として、中央監視設備の改修工事や、水処理の過程で発生した汚泥から水分を分離するための遠心脱水機の分解整備工事などに約一億六千二百万円を計上しております。
 また、水処理センターの設備機器の抜本的な再構築として、排水処理機能の本格的な更新工事に先立つ準備工事や、施設構造物の耐震診断等を行うこととしておりまして、こうした経費に約九千四百万円を計上しております。
 水処理センターの再構築の実施に当たりましては、工事期間中も通常の業務を継続することを前提に、排水の処理ルートを常時確保できるよう、工程や工事手法を工夫しながら実施をしてまいります。

○阿部委員 ありがとうございます。老朽化に対する対策ということだけではなくて、耐震化を含め、様々な将来を見据えた再構築ということで理解をいたしました。
 と場の中での仕事は日々動いております。その中での水処理センターの工事ということですので、その機能が一時的にでも低下すれば、それは先ほどもおっしゃっていた市場内外への環境あるいは衛生ということにも影響を及ぼしかねないということで、ぜひしっかりと取り組んでいただければと思います。
 また、水処理センターだけではなくて、芝浦と場の中では、様々な施設がそれぞれ老朽化が進んでいるという印象を持っております。
 こうしたそれぞれの施設設備に対して、今後、さらに修繕あるいは改修といったことが必要になってくるかと思うんですけれども、今後のと畜の施設設備について、どのような取組をしていくのかお伺いしたいと思います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 食肉市場における業務は、牛や豚など生体の搬入から食肉の販売まで、一連の業務が連続して行われる工程となっており、一たびと畜の工程がストップすれば、市場業務全体に影響が及んでしまう可能性がございます。
 このため、老朽化した設備等の維持更新に計画的に取り組むことが重要でございます。
 来年度は、複数台ある牛の内臓を搬送するコンベヤーや豚の皮剥ぎ装置の改修工事に着手するとともに、牛の係留所の屋根について、本年度行っている実施設計を踏まえて改修工事に着手するなど、水処理センターのほかにも、と室や係留所の設備等に係る工事を実施いたします。
 今後も、市場業務への影響に配慮しながら、計画的な維持更新に努めてまいります。

○阿部委員 今後も計画的に取り組んでいくということでした。全体に老朽化が目立つ施設だなという印象を持っておりますけれども、それぞれが老朽化して、もうせっぱ詰まった状態になってから考えていく、あるいは更新を行うということではなくて、その一歩前、予防的な観点で、ぜひ取組を進めていただきたいと思います。
 特に、昨年は、この場でも質問させていただきましたけれども、機械の落下事故などもありました。あれも、耐用年数より前に機械が--部品といったらいいんでしょうかね、部品が破断するという内容の事故だったと思います。そうしたことを考えると、老朽化一歩手前の、いわゆる予防保全という考え方の中で整備を進めていくことが大切だと思っております。
 また、その際に、単に新しくしていくというだけではなくて、と場の中の職員の方々の労働環境を改善していくという視点もとても大切だと思っております。夏場での高温あるいは多湿の中で働くということが事故にもつながりやすいということですので、ぜひ、新しい設備、より労働環境を改善していくための様々な設備の更新ということも併せて考えていただければと思っております。
 食肉市場だけではなくて、どの市場も、市場の通過率が下がり続けたり、あるいは日本の人口が減っていく中で、市場の在り方というのが全体として問われていると思います。
 流通が時代とともに変化する中で、市場が果たす役割、あるいは都内各市場の様々なそれぞれの機能、それを守るための収益構造、そうしたことを--まあ収益構造なども含めて、今後も経営計画に沿って、あるいはその先を見据えて議論を進めていただければと思います。
 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

○細田委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後三時九分休憩

   午後三時二十五分開議
○細田委員長 それでは、休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○山崎委員 私の方からは、市場関係者の合意形成について、まず何問かお聞かせをいただきたいと思います。
 昨年度の経営指針の策定の際にも、私は市場関係者との合意形成が重要であるということを、この委員会を通じて、また様々な場所を通じて取組を教えていただきながらただしてまいりました。
 それは、卸売市場が生鮮流通の重要なインフラ、基幹市場として、その役割を果たすためには、開設者が基盤となる施設をしっかりと維持すること、そして、その基盤の上で市場業者が産地や小売店、飲食店の方々との間で農水産物を流通させていくこと、その二つが両輪となっていることが必要不可欠であるからであります。
 開設者である都が、こうあってほしい、将来はこうあるべきだと幾ら声高に叫んでも、開設者は、いわゆる東京都は大家であって、たな子である市場業者がどのように商売を進めていくか、都が市場業者の思いにしっかりと応えていかなければ市場の将来を描くことなど決してできないと私は思っております。
 そうした観点から質問に入らせていただきたいと思います。
 これまで都では、整備計画を五年ごとに策定をしてきましたが、先日の予算特別委員会、ここにいる松田委員からの質疑でもあったように、国の法改正により、その必要がなくなったとのことであります。経営計画案では、整備計画に係る規定は廃止されたが、引き続き計画的に整備、運営をしていく必要があると示してあります。
 本文を読む限り、これまで策定してきた整備計画を引き継ぐ計画として、今回の経営計画案は同じ性質を持つものではないかと考えております。
 では、これまで策定してきた整備計画と経営計画との位置づけに違いがあるのか、まず伺います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 卸売市場整備計画は、お話にございましたとおり、平成三十年の改正前の卸売市場法に規定されているものでございまして、この中では、卸売市場の整備を図るための計画と規定されており、施設整備に主眼を置いた計画となっております。
 都においては、これまで十次にわたる整備計画を策定し、施設整備を進めてまいりました。
 平成三十年の法改正により、整備計画に係る規定は、お話にございましたとおり廃止されましたけれども、都は、一つの地方公共団体としては最も多い十一の中央卸売市場を開設しておりまして、引き続き計画的に市場の整備や運営を行う必要があることに加えまして、中長期的に事業を安定的に継続していくため、財政上の計画も必要でございます。
 こうしたことから、都は、経営指針に掲げる二〇四〇年代の中央卸売市場の姿及び持続可能な市場経営の実現に向けて、市場の開設者、施設の管理者、市場会計の管理者という三つの立場から、中央卸売市場の経営全般に係る経営計画を策定することとしたものでございます。
 施設の管理者という要素もございますので、卸売市場整備計画の考え方を引き継いでいるものと考えてございます。

○山崎委員 要するに、主役である市場業者の活動を、施設整備や支援策を通じて、開設者である東京都が下支えをする、その意味では両者の位置づけに大きな違いはないのであります。
 昨年度策定をした経営指針では、二〇四〇年代の中央卸売市場の姿として、中核機能の強化による市場の強靱化、そして、最先端技術等による高付加価値のサービスの提供、多様な社会的役割の発揮を掲げて、それを支える持続可能な市場経営を実現していくこととしております。
 今回、本委員会の報告であった経営計画案の策定に当たっては、経営指針の策定以降、都はどのようなスタンスでその具体化に取り組んだのか伺います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 昨年三月に経営指針を策定した後、経営計画の策定に向けた検討に当たっては、指針に掲げた方向性を踏まえ、市場を経営する都の立場を改めて多面的に捉え直すことといたしました。
 具体的には、市場を経営する都の立場を、市場の開設者、施設の管理者、市場会計の管理者という三つの立場から捉え直した上で、中央卸売市場全体の機能の最適化と各市場の機能強化や市場施設の計画的な維持更新、強固で弾力的な財務基盤の確保についての考え方と今後の進め方、さらには、市場の活性化に向けた取組などについて検討を進めてまいりました。
 こうした検討に当たっては、指針の策定の際に市場業者からいただいたご意見などを踏まえるとともに、計画の策定過程においても、できる限り市場業者のご意見等を伺う機会を設けられるよう努めてきたところでございます。

○山崎委員 今、部長からも答弁がありました。検討を進めてきたということと、努めてきたということだと思います。
 今、この答弁をもらってから改めてちょっと話をさせていただくと、やはりこういったことが、本来は当たり前の世界でね、しっかりと取り組んでいくということが、私は本来の市場当局の務めであったとも考えております。ですから、こういったことを踏まえて、しっかりとそれは取り組んでいただきたい、そのことは改めて指摘をさせていただきたいと思います。
 指針の最後では、本指針の具体化に向けての中で、計画の策定に当たっては、個々の市場の特色を最大限発揮できる環境づくりについて検討していく、そのように提示をしております。
 これまで都は、特色ある市場運営を実現していくため、経営戦略を策定し、市場の外部環境や経営資源を踏まえた取組を進めてきたということも聞いております。計画案においても、これまで策定してきた経営戦略と整合性を図るとしています。
 そこでまず、経営戦略の策定状況について伺います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 各市場におきましては、それぞれの特性を踏まえ、創意工夫をしながら特色を生かした市場運営を行っていくことが重要であり、このため、都と業界代表者により構成される会議体において、各市場が持つ強みや弱みなどを整理し、戦略的に取り組むべき内容を各市場の経営戦略として策定してきました。
 策定状況につきましては、令和二年度末までに十市場において策定済みとなっており、コロナ禍の下で一時中断している豊洲市場におきましては、策定に向けた基礎資料を取りまとめております。
 今般の経営計画案につきましても、各市場が策定した経営戦略との整合を図った上で策定をしております。

○山崎委員 今、答弁の中で、策定の状況については、令和二年度末までに十市場において策定済みだということを、お答えをしていただきました。残る一市場、いわゆる豊洲市場だと思いますけれど、コロナ禍の中で一時中断をしている豊洲市場は、策定に向けて基礎資料を取りまとめをしているというお話がございましたが、改めて、なぜ豊洲市場だけ経営戦略を策定していないのか、なぜこの策定に至っていないのか伺います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 豊洲市場の経営戦略についてでございますけれども、コロナ禍において業務継続を優先したため、一時的に作業を中断しているというところでございます。
 その中におきましても、昨年度末までに基礎資料を取りまとめるという形での検討を業界と共に進めてまいりました。現在におきましても、業界団体との意見交換を行っている状況でございます。

○山崎委員 今、同じような答弁をしていただいたと思いますけれど、いわゆる、ほかの市場が経営戦略、この策定について進めている。もう終わっている。だけど、豊洲市場だけコロナでいろいろとある。基礎資料を取りまとめている。なぜこんな開きが出てきてしまっているのか私には理解ができないので、もう一度伺いたいと思います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 豊洲市場におきましては、コロナ禍において大きな影響を受けておりまして、規模的にも大きな市場ということで、合意形成にも一定の苦労があるものと承知をしております。
 そういった中におきまして、現在も業界団体との意見交換を行っているという状況になってございます。

○山崎委員 各市場でコロナの影響はそれぞれ皆さんあると思います。その中でも、特に豊洲市場の中ではコロナ禍の影響というものが非常に大きい影響が出ている。大きな影響が出ているからこそ、いち早く経営戦略を立てていくのが、私は豊洲市場のあるべき姿だと思いますし、それをしっかりと指導していくのが、まさに豊洲市場を管理している中央卸売市場の私は役目だと思うんですけど、いかがでしょうか。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 理事お話しの趣旨も踏まえまして、現在、業界と意見を交換しているところでございますので、策定に向けての検討を引き続き進めてまいりたいと思っております。

○山崎委員 ほかの市場が、策定がもう終わっているわけですから、やはりいつまでに、今、業界とこれから検討していくというお話、今もやっていると思いますけれど、いつまでに答えを出すのか教えてください。目指していくのか、それでも結構です、教えてください。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 現時点において、期限を明確にお示しできる状況にはございませんけれども、ご趣旨を踏まえまして、業界との検討も含めて取り組んでまいりたいと思っております。

○山崎委員 今お示しできないというお話ですけれど、そんなことで本来の市場当局の役割が務まっているのかと私は感じております。やはり決めたことはしっかり守って、このルールに沿ってやっていく、それを促していく、それを理解してもらう、そういった一つ一つのこのような出来事というものが積み重ねになっていって、要するに市場を取り巻く関係者の皆様にも同じような理解を得ることだと私は思います。
 特に、今までも私、質疑を何回もさせていただいておりますけれど、市場関係者の理解を得るということは、もう並大抵のことではないと思います。今までこのような状態の中で、こういう歴史があって、このようにずっと、ある意味続けてこられた、先ほど来もDXの話だとかいろんなことありましたけれど、一つ物を進めていく、変えていく、その力というものをどれだけ市場当局の皆さんが力を発揮して、納得、理解をしてもらってやってもらうのか。要するに、計画はこうですよ、ああですよといったって、それをやってもらわなかったら意味ない話ですよね。私、この話は前にもさせていただきましたけれど、しっかりとそういったことも踏まえて取り組んでいただきたいことを指摘させていただきたいと思います。
 もう一点、経営戦略の策定方法についてでありますが、国の第十次中央卸売市場整備基本方針の中では、開設者及び市場関係者が一体となって、当該卸売市場が置かれている状況について客観的な評価を行った上で、卸売市場として経営戦略を確立するとされております。
 この方針に沿って、各市場の経営戦略はどのように策定したのか伺います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 各市場の経営戦略の策定に当たりましては、それぞれの特性を踏まえ、創意工夫をしながら特色を生かした市場運営を行っていくという考え方の下、都と業界代表者により構成される会議体において、各市場が持つ強みや弱みなどを整理した上で戦略的に取り組むべき内容を策定してまいりました。

○山崎委員 市場流通を取り巻く環境は、今般の新型コロナの影響などをはじめ、経営戦略策定当時から、大きく私は変化をしてきていると思っております。こうした変化を捉えなければ、特色ある市場運営は実現できません。先ほど伺った各市場の経営戦略を策定してからも、刻一刻現場は変化をしているわけであります。
 経営計画の策定に当たっては、都は、市場関係者と各市場の置かれた現状をどのように把握をして、また共有をし、経営計画の施策を反映したのか伺います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 各市場の市場業者の方々とは、日々の市場運営など様々な事項について日頃から意見交換を行っておりますが、経営計画案の策定に当たりましては、十一市場全てにおいて、水産、青果、花き、食肉といった取扱品目ごとに業界団体の代表者の方々との意見交換の場を設け、各市場の現状等を含めて率直な意見交換を行ってきたところでございます。
 さらに、取りまとめました計画案につきましても、改めて業界の皆様などからの意見を伺っておりまして、こうした意見も踏まえて経営計画を策定していくこととしております。

○山崎委員 第十次整備計画を策定する際には、都の担当者が各市場へ直接出向いて、市場の現状を共有するため、全ての市場において水産、青果等の業界別、卸、仲卸等の業種別にヒアリングをし、施策づくりに反映したと今の答弁でもございました。
 都は、経営計画策定に当たって、どのように市場関係者へのヒアリングを行ったのか、第十次整備計画の策定時と異なる点、違う点があれば、どういったところなのか伺います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今回の経営計画案の取りまとめにおきましても、さらに、これまでの卸売市場整備計画の策定におきましても、同じように各市場の業界の方々との意見交換を行っております。
 そういった意味では、現在も、過去の卸売市場整備計画におきましても、業界との意見交換を重視した策定を進めてきたということがいえると考えてございます。

○山崎委員 今、答弁の中で、業界との意見交換を行ってきたという、過去もそうだというお話もございました。
 今回の経営計画案を審議した卸売市場審議会、ここで水産業界を代表している伊藤裕康委員、市場協会の会長ですね、伊藤裕康委員からは、今回の経営計画は、東京都と市場業界とが、今後、互いに議論をし、どのように進めていくのかの出発点であるという話と、また、何といっても都と業界とが腹を割って本音で話し合うことが重要だ、こういう発言をされておりました。
 市場関係者と意見交換をして計画策定したにもかかわらず、なぜこういうような発言が出てしまうのか。こうした発言をするに当たって、市場業者との話合いが不十分であったのではないか、このように私は感じてしまいます。この発言を都はどのように、伊藤会長のこの発言をどのように受け止めているのか伺います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 卸売市場審議会におけますご意見、貴重なご意見を数多く頂戴いたしました。
 ただいま理事からお話のございましたとおり、私どもといたしましても、市場の現場で日々の取引等を担って運営を行っているのは市場業者の方々でございます。都の卸売市場は、こうした市場業界の方々と都が協力して運営することで成り立っているということを認識してございます。このため、今後、経営計画案でお示ししている事項を含めた様々な課題につきまして、市場業者の方々との議論を深めていく必要があると強く認識しているところでございます。
 ただいま伊藤委員からのご発言ということでご紹介がございましたけれども、その意味で、本当にこの計画は、都と業界の双方にとっての出発点になるということについて意を同じくしているというふうに考えてございます。

○山崎委員 捉え方だとは思うんですよね、今のも。今、佐々木部長お話しするように、前向きな多分捉え方をされていると。ですから、そういう答弁が多分、今出てきたと思うんだけれど、伊藤会長、私もいろいろな場面でお話をしていただいたり、いろんな接触ももちろんしている一人なんですけれど、ちょっとそのようには、伊藤会長は捉えているわけではなかったと思います、そのときにお話聞いたときには。やはりそういう意見が--もし何もなければ、こんなふうに意見いわないですよ、新たな出発点って。じゃ、今までどうだったのかと、今までどういうことをしてきたのかということを問われているから、このような発言が出てしまったと私は認識しております。
 ですから、そういったところは真摯に市場当局も認めていただきながら、一緒にやっていくということをやっぱりやっていかないと、皆さんとの信頼関係で成り立つ話ですから、ぜひそういったところはよろしくお願いをしたいと思いますけれど、今の意見に、管理部長、何かありますか。

○松田管理部長 山崎理事のお話でございまして、特に卸売市場審議会におきます伊藤裕康委員のご発言へのお話ございました。
 伊藤会長という方は、私どもが申し上げるのもなんですが、非常に長きにわたって卸売市場、特に築地の業界に身を置かれて、豊洲の移転というときに大きな仕事をされたということだけではなくて、市場流通全般に長きにわたって身をささげられてきたという方だというふうに思ってございます。
 私どもなりに市場をよくしたいという気持ちを持って、審議会の運営もそうですし、今回の計画も局の人間一丸となってやらせていただいているつもりではございました。
 その一方で、伊藤会長のような長きにわたって市場流通を一生懸命やられてきた方々から見れば、私どもの取組に足りない点、至らない点というものがあったのかなというふうに思ってございます。
 そういったものを今後、まさに出発点というふうにいっていただいたということで、私どももやはり出発点とさせていただいて、この五年間でしっかりした市場というものを将来に向かってやっていきたいというふうに思ってございますので、そういったことを私どもも胸に刻んで対応していきたいというふうに思ってございます。

○山崎委員 ぜひ、管理部長からも今の答弁ありましたから、よろしくお願いをしたいと思います。
 経営指針では、計画の策定に当たっては、開設者である都と市場関係者との協働の取組、仕組み、計画の定期的な見直しなど、計画の実効性を確保するための方策を検討することとしております。その検討結果は、計画にどのように反映されているのか伺います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 実効性を高めるための取組として掲げました、都と市場関係者との協働の仕組み、あるいは計画の定期的な見直しといったことについてでございます。
 まず、都と市場関係者との協働の仕組みについてでございますけれども、経営計画案で取り上げている項目は多岐にわたりますけれども、この計画は策定して終わりというものではございませんで、ただいまお話にございましたとおり、これを出発点として、今後とも市場業界の方々との議論を深めていくという必要がございます。
 市場の現場で日々の取引等を担いまして運営を行っているのは市場業者の方々でありまして、都の卸売市場は、都と市場業界が協力して運営することで成り立っていると認識しております。
 こうした認識の下、市場業者の方々とは日頃から意見交換などを行っておりますけれども、これらに加え、今後、計画の具体的な取組に関する話合いや進捗状況の共有などを図ってまいります。
 また、経営計画案で掲げております受益と負担の観点から検証を行うこととしている使用料体系の検討につきましては、市場業者の方々を含めた検討会を設置する予定でございます。
 次に、計画の定期的な見直しについてでございますけれども、本計画に基づく取組を着実に推進していくため、毎年度、進捗状況を確認し、各市場において市場業者と情報を共有し、共に取り組んでいくこととしておりまして、さらに、五年後を目途に、市場を取り巻く環境の変化や市場会計の財政状況などを踏まえ、本計画の見直しを行ってまいります。

○山崎委員 卸売市場審議会は、東京都卸売市場審議会条例に基づいて設置をされた知事の諮問機関であります。審議会には、学識経験者だけでなく、消費者の代表や市場業界団体の代表の皆様が委員に就任をしており、我々都議会議員も数名委員となっております。
 卸売市場審議会条例の第一条には、卸売市場の整備計画に関する事項その他卸売市場に関する重要事項を調査審議すると明記されております。
 都は今回、この審議会に計画案を報告事項として付議したことでありますが、これまでの整備計画はどのように調査審議を行ったのか伺います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 ただいま理事お話のございましたとおり、経営計画案につきましては、一月三十一日に開催された第七十九回東京都卸売市場審議会で議論を行っていただきました。
 また、直近の卸売市場整備計画につきましては、平成三十年六月策定の第十次東京都卸売市場整備計画改定版となりますけれども、その策定に当たりましては、知事の諮問に基づき、計画の前提となる東京都卸売市場整備基本方針を審議会で取りまとめていただいておりまして、この基本方針に基づいて整備計画を策定の上、審議会にご報告を行っております。

○山崎委員 経営指針は、ある意味、問題提起を含めて、将来の市場運営の方向性を示すものであり、具体化に向けた前段階として審議会の報告事項としたことは一定の理解ができます。
 しかし、条例で整備計画に関することと付議事項から明らかにしていることを加え、たとえ法改正により整備計画策定の必要はなくなったとしても、都として計画的な整備運営を行っていくために経営計画案を策定したということであるのは計画案本文より明らかであります。そうであれば、経営計画案を審議会に諮問し、私は答申を受けるべきではなかったのかと思いますけれど、見解を伺います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今般の経営計画案は、昨年度末に策定いたしました中央卸売市場経営指針に基づき取りまとめたものでございます。
 この指針は、外部有識者により構成される市場の活性化を考える会の議論のまとめを踏まえ、二〇四〇年代を見据えた今後の市場経営のビジョンとして都が作成したものでありまして、また、市場の活性化を考える会は、食品流通など多様な専門家の方々を委員として迎え、既成概念にとらわれない幅広い議論を行っていただくために設置されたという経緯がございます。
 卸売市場審議会につきましては、お話にございましたとおり、卸売市場の経営に関することなど重要事項を調査審議するため、条例に基づいて設置しているものでございまして、重要な附属機関でございます。
 今後、経営計画の見直しなどに当たりましては、審議会のご意見を十分に頂戴する機会を設けてまいります。

○山崎委員 今、市場の活性化を考える会、外部有識者の皆様が議論を取りまとめて、二〇四〇年代の市場経営のビジョンとして都が作成をしたものであると。市場の活性化を考える会のメンバーはいろんな方がいらっしゃったというお話だったと思います。既成概念にとらわれない幅広い議論、しかし、私いろいろとこれ調べてみると、市場の活性化を考える会の皆様を否定するわけではもちろんありませんけれど、果たして現場に即した、そういったことを分かっていらっしゃる方がいろんなご意見を出されていたのかなというところは、非常に私は少し不安に思うところが正直ございました。
 ですから、こういったことも踏まえて、卸売市場のこの審議会の場、卸売市場審議会、この場が、ある意味、最上位に当たるこういった計画を最後に取りまとめていく、業界の団体の代表者の皆様もそれぞれ出ておりますし、その審議会に至るまでの説明だとか理解だとか、そういったものを踏まえて、この審議会に臨むということが一番最後の手段だと思いますので、やはりそういった意味も含めて、この審議会の活用というものをより今まで以上に大切に思っていただきながら、重要視をしていきながら、次の審議会に向けても汗をかいていただければと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 都は、経営計画案の中で、計画に基づく取組を着実に推進していくため、毎年度、進捗状況を確認して、その内容を公表するとともに、五年後を目途に計画を見直すとしております。
 これまでの質疑も踏まえて、毎年度の進捗状況の確認や、五年後を目途にした計画の見直しに当たって、卸売審議会の関与の在り方についてどのように考えているのか伺います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 卸売市場審議会につきましては、卸売市場の経営に関する重要事項を調査審議するという趣旨を踏まえまして、今後の経営計画で取り上げるテーマ、見直しも含みますけれども、見直しに当たりまして、あるいは進捗状況、あるいは様々なテーマにつきまして審議会のご意見を十分にいただく機会を設けてまいりたいと、そのように考えてございます。

○山崎委員 卸売市場は、生鮮食品の流通の基幹インフラとして高い公共性を実現するため、公である東京都が開設者として市場取引を行う場である施設を整備し、民間が、市場業者がその中で生鮮品の流通を担うという、地方自治体の仕事の中であまり見られない形であると思います。
 こうしたシステムはこれまでの歴史の中で培われてきたものであり、そうしたシステムが必要とされるからこそ、情報技術や物流機能の進化した今なお、青果や水産では流通全体の半分が卸売市場を利用しているわけであります。
 卸売市場の機能を生かしていくためには、冒頭も申し上げたように、開設者、いわゆる都と市場業者がしっかりと向き合い、議論をしていくことが何よりも重要であると思います。
 計画策定のプロセスしかり、審議会しかりであります。環境変化のスピードは速くなってきており、取引に直面している市場業者の現状をしっかりと把握した上で、都と市場業者が一体となって経営計画に魂を入れることが、こうした難局を乗り切る際には、むしろ必要だと思います。
 こうした覚悟を都は持つべきであり、今まで以上にしっかりと市場運営をしていただきたいということを強く要望して、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 昨年十一月の事務事業質疑において、豊洲のにぎわいについて現状を伺ってまいりました。本来であれば、市場と同時に開業する予定であった千客万来について、その工期がさらに遅れるという報告が事業者である万葉倶楽部から都に対してあったということであったと思います。
 千客万来施設の開業については、豊洲市場の開場に当たり、都が江東区側に提示をした条件の一つになっていた件であり、区民の期待も大変大きなものがある。その開業時期が遅れそうだということ、また、どのくらい遅れるのかもはっきりしないということで、区民の皆さんや都民の皆さんに不安を与えてしまう状況となっており、そうした不安を払拭していかなくてはならないと思います。
 そのためには、都と事業者とがしっかり連携をし、事業を円滑に進めていくことはもとより、豊洲のにぎわい、臨海部のにぎわい創出に向け、あらゆる手を尽くしていくことが重要だという点を前回の事務事業質疑において指摘をさせていただきました。
 こうしたことを踏まえ、豊洲のにぎわい、そして臨海部のにぎわいについて、その後の取組状況について伺っていきたいと思います。
 まず、千客万来施設事業の工期について伺います。
 昨年九月に建設工事が本格化したとのことでありましたが、千客万来施設の用地の近くを通ると、大型クレーンや掘削機、建設機械が稼働しているようであり、工事が進められている様子がうかがえます。
 確かに工事は進んでいるようでありますけれど、問題は本事業のスケジュールであります。
 昨年の事務事業質疑では、事業者が、千客万来施設の建設工期が、当初予定である令和四年十二月から十か月遅れの令和五年十月になるという報告をしてきたことに対し、都は了承をしていないという、そのときは話だったと思います。その後、工期に関する調整状況と現時点での竣工予定時期を改めて伺います。

○村上渉外調整担当部長 千客万来施設事業の事業者である万葉倶楽部から、建設工事の本格化に当たり、施設の竣工時期について、これまでの令和四年十二月から十か月遅れの令和五年十月として都に報告を受けましたが、都としては、その報告内容を了承せず、工期の短縮を求めたところでございます。
 都の要請を踏まえて、事業者が全工程を再度見直した結果、一か月程度の短縮を見込むことができるとの報告が事業者からなされました。
 都が事業者からの報告を受け、さらに、建築に関する外部専門家の意見を聞くなど、改めて工期を精査した結果、工事の安全性等も考慮すると、これ以上の工期短縮を求めることは難しく、施設竣工予定を令和五年九月として事業を進めていかざるを得ない状況でございます。

○山崎委員 一か月の短縮、都の要請を踏まえて、事業者が全ての工程を再度見直した結果、一か月の短縮、そういった答弁だったと思います。そして、施設の竣工予定を令和五年の九月として事業を進めていかざるを得ない状況であるという今の答弁だったと思います。こういった今の答弁の中で、区民の皆さんや都民の皆さんが理解、また、納得できるんでしょうか。
 私は、今までの経過、オリンピックが延長する、そして、それに伴って、なぜだか千客万来施設の事業も延長していく。
 その前には、振り返りますと、小池知事が万葉倶楽部の会長ととあるホテルでお会いをして、そして急転直下をして万葉倶楽部が引き続いてやっていく。リーガルチェックをする、訴えられる、どうだこうだ、いろんなお話があったと思います、その当時。だけれど、小池知事はあのときに万葉倶楽部との約束の中で、しっかりとオリンピックの延長関係なくやっていくという話だったと思いますよ。
 それがこういうふうにどんどんどんどん延びて延びて延びて、周りを見渡せば四街区の施設、商業施設も踏まえて、この四月にはもうホテルも商業施設も、そこもオープンします、四街区の目の前ね、環状二号線を挟んだ反対側。一番初めに計画をしているものが一番最後に着工して、一番最後に開場するという、こんな理不尽な話はないと思いますよ。今まで何年かけてきたんでしょうか、あそこの場所に対して。
 それでは、改めて聞きますけれど、その千客万来の開業時期についてはどう考えているのか伺います。

○村上渉外調整担当部長 開業時期については、千客万来施設の竣工後、施設に入居する各テナントの内装工事や、運営スタッフの教育訓練などの開業に向けた準備に一定の期間が必要であると万葉倶楽部から報告を受けております。
 都としては、こうした状況を踏まえ、全面開業予定が令和五年度冬期になると見込んでおります。

○山崎委員 令和五年春といっていた予定が冬となると、大きなこれも遅れであります。繰り返しとなりますが、本来であれば、豊洲市場の開業と同時に千客万来施設も開業しているはずだったわけであります。それが地元江東区との約束でもあり、東京都に対しての、都民に対しての約束だったと私は思いますよ。
 竣工時期や開業時期が遅れるといったこのような事態については、都はどのように考えているのか伺います。

○村上渉外調整担当部長 にぎわい創出事業は、江東区での豊洲市場受入れ条件の一つであり、その中核である千客万来事業の推進に取り組んできたところでございます。
 しかしながら、今回、これまでの都としての工程管理が十分でなかったことなどにより、竣工時期や開業時期が遅れてしまうことについて重く受け止めております。地元である江東区をはじめ、都民の皆様にご心配をかけ、大変申し訳ないと思っております。

○山崎委員 都と区の行政同士の約束を守れないというゆゆしき事態であるということを十分認識して取組を進めてもらいたいと思うんですが、大変申し訳ないと思っているという、今、村上渉外調整担当部長が答弁してくれましたけれど、これで終わる話じゃないと思うんですよね。開業時期の、先ほど答弁であった令和五年度の冬期になる見込み。竣工後の施設に入居する各テナントの内装工事だとか運営スタッフの教育訓練とか、こんなの当たり前の話ですよ。こんなことで数か月もかける。それは、もちろん現場でやる、そういういろんな場所で、その場所で行う研修だとかもあるかもしれないけれど、こういったところで、一か月でも半月でもいいから、開業時期をもうちょっと早めるっていう努力をやっぱり事業者にちゃんと理解をしてもらって、それをやらせないといけないですよ。
 今までの東京都と江東区、都民の皆様との約束、区民の皆様との約束、どこ行っちゃうんですか。そんな簡単に謝らないで、まだまだ引き続いてやっていくっていうことをはっきりいってくださいよ。

○村上渉外調整担当部長 竣工から開業につきましては、一般的には、やはり準備等に数か月かかるというのが一般的だという声も聞いております。
 ただ、都としては、区とのお約束でございますにぎわいを創出するという重要な事項を十分認識しておりまして、万葉倶楽部と連携をしまして、一日も早いにぎわい創出、千客万来事業の開業に向けまして取り組んでいきたいと考えてございます。

○山崎委員 竣工時期というものについて法的側面からいえば、都と万葉倶楽部との間で基本協定書を結んでおります。その中では、竣工時期は令和四年の十二月と記載をされていると思いますけれど、基本協定書どおりの竣工時期が守れない場合、先ほども竣工時期は違うお話を、もう遅れるという話をされましたけれど、守れない場合には、その責任が私は生じてくると思いますけれど、どのように考えておりますか。

○村上渉外調整担当部長 都と万葉倶楽部は、千客万来施設事業を成し遂げるため、基本協定書を締結し、お互いに協力して事業に取り組んでございます。
 都は、事業者から工期延伸に至った理由につきまして、新型コロナウイルス感染症拡大による経営環境の変化により事業内容を再検討したことや、コロナ禍による経営環境の変化に伴う資金調達の調整の長期化に加えまして、東京二〇二〇大会の開催に伴う交通規制の影響があったと聞いてございます。
 都としては、一日も早く千客万来施設を開業させることができるよう取り組むとともに、基本協定書上の問題につきましては、聞き取った延伸理由の内容について慎重に確認し、検討していきたいと考えてございます。

○山崎委員 基本協定書どおりのものが守れないという、本当にそんなことは本来はあってはならない話です。あってはならない話。それが変わる場合には、しっかりとこの対応は適切にやっぱりしていただきたいと思います。
 そういう一つ一つの事柄が、どれくらい事業者の人は重きを置いているのか、そういったことが全く理解できないんですね。伝わらない、こっちに。区民に対しても都民の皆様に対しても、その豊洲の地元の皆様に対しても伝わっていないですよ、正直いって。
 それではまた、昨年の事務事業の質疑において確認をしたところでもありますけれど、事業者である万葉倶楽部に対して、土地の賃借料の支払い猶予を行っているというお話でございました。万葉倶楽部に対する支払い猶予について、その後、状況を改めて確認をしたいと思います。

○村上渉外調整担当部長 現在、市場において実施している支払い猶予は、コロナ禍により厳しい経営環境に置かれている市場業者等を対象に、市場使用料や土地賃借料等の支払いを猶予する制度でございます。
 千客万来施設の事業者である万葉倶楽部も対象となっておりまして、その申請に基づき、賃料の支払い猶予が実施されておりますが、昨年度末に猶予を行っていた賃料につきまして、今年度末までに支払う予定でございます。

○山崎委員 前にもお話ししましたけれど、まだスタートもしていないところの、もちろん基本協定があって契約を結んでいますから、賃料というものは発生しているのは分かるんですけれど、支払い猶予を適用しているということも、ちょっとなかなか理解できないところもあります。
 コロナで苦しい状況はわかりますけれど、これから豊洲で事業を行う者としては、千客万来施設事業にしっかり取り組んで、契約者としての責任を果たしていくべきであると考えます。
 竣工時期について先ほどの答弁で、令和五年の九月ということでありましたが、竣工時期を守るということは、事業を進めるに当たっては最低限守らなければならないことであり、これ以上の遅れは絶対に許されません。これ以上竣工時期を遅れさせないために、都はどのような取組をするのか伺います。

○村上渉外調整担当部長 都は、これまでの都としての工程管理が十分でなかったことにより、竣工時期が遅れることになったことにつきまして重く受け止めております。地元区民並びに都民の皆様に対し、大変申し訳ないと思っております。
 都は今後、万葉倶楽部とより一層緊密にコミュニケーションを取るとともに、建築に関する知識と経験を有する外部の専門家による知見なども活用し、施設の竣工に向けまして工程管理を徹底してまいります。

○山崎委員 進捗管理もままならないようなこれまでの都の体制では、さらなる遅れが生じるのではないかと危惧するものであります。都は原点にしっかりと立ち返っていただいて、進捗管理を根本から見直すべきであることを指摘させていただきたいと思います。
 竣工予定時期や開業時期については伺ってきましたが、竣工時期が遅れるということであれば、なおさら一日でも早くにぎわいを創出していく努力をするのは当然のことであると思います。
 昨年の事務事業質疑では、商業棟の先行開業について事業者に検討を要請したということだったというお話を、その質疑によってお聞かせをいただきました。
 商業棟の先行開業について、その後の検討状況はどうなっているのか伺います。

○村上渉外調整担当部長 都が万葉倶楽部に対し、商業棟の先行開業について要請を行い、万葉倶楽部が検討を行った結果、技術上、法令上の課題があるということが分かり、商業棟全体の先行開業については実現が困難と認識してございます。
 このため、都は、事業者に対しまして、商業棟の一部について、温泉、ホテル棟よりも早期に開業できるよう、改めて要請をしているところでございます。

○山崎委員 法令上の様々なことがあるということが課題であるということが確認は取れましたけれど、もちろん商業棟とホテル、温浴施設の棟は違うわけですから、そういった意味も含めて、ぜひ、この千客施設というものは豊洲市場のにぎわい施設、にぎわいを創出するという根本的なところの考えからしてもしっかりと--ホテルや温浴施設がメインではないんですよね、商業施設がメインであって、そこに付随するホテルや温浴施設だと私は思っております。ですから、商業棟の方の一部でもいいですから、何とか早く開業ができるような、そういったことも踏まえて、今後事業者としっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 引き続いて、その目の前、五街区の江戸前場下町、現在行われている江戸前場下町の延長に向け、現在どのような取組を行っているのか伺います。

○村上渉外調整担当部長 江戸前場下町は、千客万来施設が開業するまでの間、豊洲地区においてにぎわいを創出するための重要な施設でございます。
 都としては、千客万来施設の開業が予定よりも九か月遅れとならざるを得ない状況であるため、豊洲地区のにぎわいを継続的に創出していくための具体策として、江戸前場下町の延長が必要と認識してございます。
 このため、現在、運営事業者である三井不動産株式会社と延長に向けた協議を進めてございます。

○山崎委員 これ、どうしても千客万来、万葉倶楽部の事業に引っ張られてしまっている江戸前場下町の立ち位置だと思います。
 私も大体、月一度、二度ぐらいは江戸前場下町に行ってくるんですけれど、ちょっとお客さんが少なくなっている。もちろんコロナのこともあるんですけれど、土日は結構入っているんですけど、平日がちょっとかわいそうでならないんですよね。だから、それに対してのやっぱりにぎわいを創出していく、また延長してもらう、そういう考え方が東京都があるんであれば、何か江戸前場下町のテナントの皆さんにもしかり、事業者の皆さんにもしかり、何らかのそういう措置というものを与えるべき、そしてにぎわいを、とにかく万葉倶楽部の開場、開業までしっかりやってもらいたい、そういったことをぜひ東京都としても取り組んでいただきたいと思いますけれど、いかがでしょうか。

○村上渉外調整担当部長 東京都は、江戸前場下町と連携しまして、にぎわいを創出するためにこれまで、例えば、コロナの感染予防対策の徹底をいろいろ連携で取り組んできたり、また、日曜営業などの工夫もしましてにぎわい創出に取り組んできたところでございます。
 今後も、コロナの影響等続くと思いますが、延長に向けまして、江戸前場下町とどんなことができるか、三井不動産並びに各テナントに対しても意見を聴取しながら調整を進めてまいりたいと考えてございます。

○山崎委員 もちろん、江戸前場下町も一つのにぎわいの、開業までの盛り上げの一環だと思いますけれど、にぎわいのイベントの実施について、現時点の検討状況はいかがでしょうか。
 例えば四街区のところで、たしか高知県だったかな、ちょうど二階のフロアのところで高知県を呼んで、多分、清水建設さんがいろいろとイベントを組んだ。キッチンカーを入れていろんなことをやっただとか、そこには実は豊洲市場の仲卸の皆さんにも協力をしてもらったというお話も聞いております。青果の皆さんにも協力をいただいた。
 ですから、あそこの一帯というものが、ただ市場だけがいいとか、何かの商業施設がいいとか、そういうことではなくて、豊洲のあそこの新豊洲の部分の一帯というもの、臨海部のあそこの一帯の地域というものが、それぞれが相乗効果でこういうふうにどんどんどんどんみんなで高めていけるような、そういった状況という、そういう雰囲気づくりというものを、ぜひ東京都にやっぱりつくってもらいたいんですよ。
 東京ガスのいろいろな賃借でやっている事業者もいっぱいいますよ。四街区のところにはいろんな施設もあります。五街区、六街区、七街区、その裏側の八街区だって、突先のところだっていろんな事業者がいますよ。それで一番手前の豊洲の駅側にはららぽーとがあったり、いろんなものの商業施設もあります。
 ですから、あそこの一帯を、市場の皆さんも一体となって、皆さんがインセンティブをしっかりと持ちながら、みんなでこの地域、臨海部を盛り上げていこうよというような先頭になって東京都がやってもらいたいんですよね、本音をいえばね。ぜひその点もよろしくお願いをしたいと思います。
 また、改めてちょっとお伺いしますけれど、千客万来施設のテナントリーシング、これをどのように行っていくのか、確認をさせてください。

○村上渉外調整担当部長 千客万来施設事業は、築地特有の貴重な財産であるにぎわいを継承、発展させるとともに、豊洲ならではの活気やにぎわいを生み出し、地域のまちづくりや活性化に貢献することを目的としたものでございます。
 そのため、事業者は築地場外市場からの誘致に加え、市場業者や地元の商店街等との連携など、豊洲ならではのにぎわいを創出するというコンセプトに沿ったテナントリーシングを実施すべきものと考えてございます。

○山崎委員 この方針については当然のことであると思います。こうしたコンセプトをいかに実現していくかが重要であると考えます。これからの取組に、この施設の命運がかかっているといっても過言ではないと思います。
 ですから、何がいいたいかというと、このテナントリーシング、万葉倶楽部さんが中心となってもちろんやるんですけれど、店舗がただ集まればいいという問題じゃないんですよ。店舗が集まるのは当然の話であって、どういったものが今の世間の皆さん、都民の皆さんに対してニーズがあるのか、どういったお店がはやっていくのか、やっぱり皆さんここで事業を行っていくわけですから、万葉倶楽部だってここで事業を行うわけですから、ただ、どこでもいいからここに入ってくれ、どんどんどんどんお店、テナントで入ってくださいっていうことじゃないんですよ。
 そういったところまで東京都はしっかりと目を向けて、テナントリーシングに向けても目を向けていただきたいと思いますけれど、いかがでしょうか。

○村上渉外調整担当部長 万葉倶楽部は、テナントリーシングの取組を開始したところであり、都としては、万葉倶楽部が市場業者への周知活動等を効果的に実施できるように、業界団体への引き合わせや助言などを行っております。
 万葉倶楽部は、都の助言などを踏まえ、豊洲市場における各業界団体や地元の商店街等の団体を訪問し説明を実施するなど、積極的に取り組んでございます。

○山崎委員 千客万来施設の機能を十分発揮させるためには、来場客を強く引きつけるような魅力的なテナントに多く出店をしていただくことが重要であります。先ほど竣工時期の遅れが許されないことは指摘をしましたが、テナントリーシングについても遅れは当然許されるわけではありません。引き続き、都はしっかりと進行管理を行い、また事業者と緊密に連携をして、千客万来施設開業後のにぎわい創出に向け、事業者と共にあらゆる努力をしていただきたいと思います。
 これまで、竣工、開業時期の遅れや、それに伴いにぎわいをつないでいくための取組など、事業の現状について伺ってきました。それぞれ課題は山積をしております。これまでの都と事業者の取組を見ていると私も不安であるし、また、地元の区民の皆様をはじめ、都民の皆様は大きな不安を持って見守っておられることと思います。
 今後は、そうした不安を払拭して、また事業に期待を持ってもらえるよう、一つ一つの取組を着実に前へ進めていくべきであると考えます。
 そして、前回も指摘をさせていただきましたが、千客万来事業は、これから五十年間という長きにわたる事業であります、五十年間。これを成功させるためには、何よりも地元の江東区や、そして区民の皆さん、そして東京都や都民の皆さんの理解が不可欠であります。そのためには、丁寧な情報提供に努め、また地元との関係を大切にしながら事業を進めていただきたいと思います。
 最後に、千客万来施設事業が遅れている現状と今後の事業の進め方について、本事業の責任者としての総括を市場長にお願いしたいと思います。

○河内中央卸売市場長 千客万来施設事業は、豊洲地区におきまして、豊洲ならではのにぎわいを創出していくための重要な事業であり、地元である江東区をはじめ、都民の皆様のご理解をいただきながら事業を進めていくべきものと認識しております。
 今回、市場当局として工程管理が十分でなかったことにより、工期がさらに遅れる結果となってしまいましたことを、地元の皆様をはじめ、多くの都民の方々に深くおわびを申し上げます。
 今後、施設の竣工に向けましては、建設工事に係る工程管理をより一層徹底していくとともに、開業までの間ににぎわいを絶やさぬようにイベントを実施するなど、新たな取組を展開してまいります。
 さらに、魅力的なテナントが数多く誘致できますよう、テナントリーシングにつきましても進行管理を徹底していきたいと考えております。
 都といたしましては、千客万来施設が理事ご指摘のとおり五十年間という長い期間にわたり、地域と共ににぎわいを創出していくこと、このことが重要であると考えておりまして、地元の皆様に長く親しまれる施設となるよう、事業者である万葉倶楽部と共に千客万来施設事業に今後も全力で取り組んでまいりたいと思います。よろしくお願いします。

○山崎委員 最後にしますけれど、今、市場長がまとめていただいたことだと思います。
 五十年間の定借ってやっぱり長いですよね。東京都の中でもこれだけの期間を要する定借っていうのはなかなかないと思います。それだけ万葉倶楽部の皆さんにも、東京都と仕事をするということはどういうことなのか、また、地元の皆様の理解をいただくにはどういったことなのかということを、改めて、ぜひ皆様もひざ詰めで--恐らく小田原の方には何回も何回も通っていらっしゃると思いますよ、いろんなことで皆さんも協議をしていると思います。
 しかし、皆さんは、やはり中央卸売市場として、東京都の代表として、あの土地をどのように創出に向けてこれからやっていくのかという大きな責任があるんです。その責任をしっかりと事業者の皆様にもご理解をいただくということが大変まず重要な話であって、やはり結果ですから、結果を出してもらわなくてはなかなか前に進んでいかない。
 いろんなことがあったと思いますよ。今までの今日の質疑のことだとか、私が質問したこと、小池知事、これ恐らく知っているのか、小池知事にどうやって報告されているのか、私はそこは聞きませんけれど、ぜひ中央卸売市場として最後までしっかり取り組んでいただきたいことをお願いをして、質問を終わります。

○入江委員 食肉市場について伺います。
 私の地元港区の食肉市場は、全国の産地から牛や豚の生体などを集荷しており、その取扱数量は、全国十ある食肉の中央卸売市場の中で最大です。
 と畜解体を行う芝浦と場を併設し、長い歴史と伝統を有する都内で唯一の食肉を扱う市場であり、都民に安全な肉を安定供給する上で欠くことのできない重要な役割を担っております。
 一方で、設備の老築化が進行するなど、更新や改修が課題となっています。昨年六月にと場の牛のと畜解体ラインにおいて、レールリフトという設備の部品が落下し、ラインが長時間停止する事故が起きたことは、この委員会でも発言がありましたけれども、業界から再度お問合せがありましたので改めて確認します。
 レールリフトというのは、つり下げてある牛のと体を別のレーンにかけ替えるための設備ですが、上下動の動きが必要となるため、チェーンを用いて上げ下げしております。事故の原因は、このチェーンの摩擦にあったということですが、こうしたことは決して繰り返しあってはならないことです。
 食肉市場でのこの事故を踏まえ、どのような取組を行うのか、今年度中の取組と併せて詳細なご説明をお願いいたします。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 昨年六月に起きたレールリフト設備の部品の落下事故につきましては、重大な事故として重く受け止めております。
 このため、再発防止に向けて、今年度、レールリフト設備の点検の頻度を二か月に一回から一か月に一回に増やし、チェーンの摩耗量の計測等を新たに点検項目に加えるなど、点検の強化に取り組むとともに、レールリフト設備の構造そのものについても、落下事故の原因となったチェーンの摩耗がより生じにくくなるよう改修工事を実施いたしました。
 また、レールリフト設備だけでなく、同様のチェーンを用いて、つり上げ、つり下げを行う構造のほかの設備、例えば、横になっている、と体をレールにつり上げるための設備であるランディングマシンといった設備につきましても、今年度、順次チェーン等の交換を行っておりまして、来年度も引き続き実施してまいります。

○入江委員 ご丁寧にありがとうございます。設備の改修も含め、対応していくということであり、気を引き締めて再発防止に努めていただくことを強く要望します。
 次に、牛の背骨の脱骨への対応について伺います。
 と場では、牛の背骨の脱骨事故というものが頻発しています。この脱骨事故というのは、と畜解体時に牛の背骨が脱臼骨折してしまうものであり、また、部位ごとに切り分けていない状態の枝肉の一部が損傷し、商品価値の毀損につながるものです。
 脱骨事故の原因は、と畜の過程において、牛のと体に一定の衝撃が加わることが避けられないことや、近年、牛の大型化により、と体をぶら下げたときの骨への負担が増していることなど複合的な要因によるということですが、このため、整備上の対応だけで完全に解決できるという単純な話ではないと思います。
 しかし、業界からは何度も、設備側の工夫により、少しでも状況を改善できないかという要望が私どもにも寄せられておりまして、都民ファーストの会としても、都に積極的な対応を求めてきたところです。
 そこで、背骨の脱骨対策に、来年度どのように取り組んでいくのか伺います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 牛の背骨の脱骨への対策としては、現場での検証を重ねた結果、電気ショッカーを用いてと体に電流を流すことで一時的にと体を硬直させ、皮を剥ぐ際の背骨にかかる負担を軽減させることが対策として有効であることが確認できました。
 このため、来年度から、皮剥ぎ機に連動して自動的に作動する電気ショッカーを順次導入することとしておりまして、脱骨事故の防止に役立ててまいります。

○入江委員 電気ショッカーの順次導入ということで業界も喜ばれていると思います。苦労して牛を育てた生産者の努力に応え、価値ある商品を生み出すためにも、引き続き設備面からしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 また、このほかに、と場で働いている方々から、近くで話かけていただいたりするんですけれども、高温多湿の中では作業は大変で、冷房の効きが少し悪いのではないかというお話も伺います。都には、よりよい労働環境の改善に努めていただくことを要望します。
 続いて、コロナ対策なんですけれども、この新型コロナとの闘いは二年にわたるわけですが、特にこの一月以後、非常に多くの方々が感染しています。食肉市場の市場業者においても感染者が頻繁に発生しております。
 食肉市場は、牛や豚の肉を取り扱う都内唯一の中央卸売市場であり、他の市場と同様、その機能を止めることができない重要な施設です。
 そこで、食肉市場における感染拡大防止対策の強化について伺います。

○西坂事業部長 食肉市場では高度な衛生管理を実施しておりまして、食肉を取り扱う作業開始前の手洗いや、作業中の帽子やマスクの着用など感染防止にも資する取組を従前より行っております。
 こうした状況を踏まえ、コロナ禍におきましては、体調不良者の出勤抑制の徹底や競り場での検温など基本的な衛生対策を着実に実施するとともに、休憩スペースなどにおけるアクリル板の設置や座席の間引き、エレベーターの乗員人数の制限などの感染拡大防止対策を実施しております。
 また、都は、複数の感染者が判明した事業者等に対しまして、職場や執務室における関係社員や感染者と接触のあった社員などを対象とした抗原検査キットなどでの自主検査による確認を促しております。
 卸売市場の機能を維持し、食肉等を安定的に供給する基幹的インフラとしての役割を果たしていくため、引き続き感染拡大防止策を徹底していきます。

○入江委員 今後も緊張感を持って感染拡大防止対策に取り組んでいただくことを要望いたします。
 最後に、コロナ禍においてインバウンド需要の創出や飲食店等に対する営業の自粛は、市場業界の経営にも深刻な影響を及ぼしています。
 一方で、日本の牛肉はその品質が世界から評価され、人気も高いことから、海外に目を向けて販路を広げていくことが重要ではないかと考えております。食肉市場では、平成三十年度からHACCPに基づく衛生管理の取組を開始していますが、より一層の衛生管理の高度化を図り、輸出の拡大につなげていただきたいと思います。
 そこで、食肉市場における輸出対策の現状と今後の取組について伺います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 輸出の状況につきまして、現在、芝浦と場でと畜の扱いがなされた牛肉は、タイやベトナムなど四か国に輸出されております。
 今後のさらなる輸出の拡大に向けては、引き続き、HACCPに基づく衛生管理を維持向上させていくことに加え、と畜場などが輸出の相手国の求めるレベルの衛生管理等の要件を満たしていくことが必要であり、よりレベルの高い衛生管理を実現することが重要となります。
 このため、引き続きHACCPに基づく衛生管理の向上に取り組むとともに、来年度、牛のと畜を行うラインの一つで、健康状態に疑いのある牛を確実に隔離するための隔離所を新設する実施設計や、と室内の給排水設備工事の実施設計等を行います。
 こうした施設整備上の対応に加えまして、集荷や取引方法等について輸出対応に即した手法を導入するなど、市場業者による主体的な取組も不可欠であることから、引き続き業界と連携をして取り組んでまいります。

○入江委員 ありがとうございます。輸出の対応拡大については、よく市場関係者ともお話合いを重ねていただきたいと思います。
 食肉市場は、これまでの質疑でもありましたが、設備の老築化対策など、克服していかなければならない課題が多々ございますが、ここから出荷される肉は、その豊富さや品質が高く評価されています。
 今後も、消費者からの信頼を得る市場として食肉市場が発展し、そして芝浦発のおいしい肉が、より多くの都民、国民、そして世界の人々に食べていただけるようになることを期待して、質問を終わります。ありがとうございました。

○玉川委員 さきの本会議一般質問でも取り上げました中央卸売市場のSDGsの取組、環境対策について質問いたします。
 今般取りまとめられた経営計画案におきまして、市場のゼロエミッション化が掲げられており、とても重要な取組だと思います。
 市場のゼロエミッション化に向けては、ソーラーパネルの設置を推進し、太陽光発電の積極的導入を図るべきと考えますが、中央卸売市場における太陽光発電の導入状況について伺います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 現在、中央卸売市場では、豊洲市場、食肉市場、北足立市場の三市場において太陽光発電を導入しております。
 そのうち、豊洲市場の発電容量は二千キロワットでありまして、発電容量が千キロワット以上の太陽光パネル、いわゆるメガソーラーの設置施設となっております。

○玉川委員 私の地元大田市場にも、卸売場など大きな屋根を持った建物がありますが、現状では太陽光パネルは設置されていないようです。SDGsに高い意識を持ち、環境対策にもしっかりと取り組む市場としまして、大田市場もゼロエミッションに貢献する市場であってほしいと思います。
 そこで、大田市場における省エネの取組、さらには太陽光発電を利用した再エネの取組を進めていくべきと考えますが、見解を求めます。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 大田市場では、まず、省エネの取組として、照明器具のLED化の拡大を進めております。
 令和四年度予算案には、花き物流棟などのLED化のための経費を計上しており、引き続き着実に取り組んでまいります。
 また、太陽光発電につきましては、大きな面積を占める大田市場の卸売場の屋根は、現在、市場業者の駐車場として日々利用されている状況でありまして、また、建物自体が築三十年以上経過する中で、長期にわたる屋根の大規模防水工事が進行しているところでございます。
 このため、太陽光パネルの設置については慎重な検討を要する様々な課題があるものと認識をしております。

○玉川委員 大田市場も地域社会の一員として積極的にゼロエミッション化を進めるよう、ぜひともよろしくお願いいたします。
 次に、令和四年度の新規事項である、グリーン冷媒機器の導入支援事業について質問いたします。
 市場では、生鮮品等の鮮度保持等の観点から、多くの冷蔵機器が使用されています。現状、冷蔵機器の冷媒としては、フロン類が多く使用されていますが、地球温暖化防止の観点からは、フロン対策を一層推進していくことが必要であります。
 令和四年度、都は、市場業者がグリーン冷媒を用いた冷蔵機器を導入するための支援制度を創設するとしていますが、似たような趣旨の制度はほかにもあったのではないかと思います。市場当局が創設する支援制度である以上、市場業者にとって使いやすい制度にするべきと考えますが、見解を求めます。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 委員のお話にございましたとおり、グリーン冷媒の導入に向けては、ほかの主体が実施する支援制度などもございますが、補助対象となる冷蔵機器の種類がショーケース型のものに限定され、市場業者が多く利用する小型冷蔵冷凍機器等が補助の対象外となっているなど、市場業者にとって必ずしも使い勝手がよいとはいえない状況にございます。
 このため、来年度、市場当局として、市場業者の冷蔵機器の利用実態に即したグリーン冷媒導入の支援制度を創設することといたしました。
 制度の実施に当たりましては、分かりやすい説明や手続にも十分配慮し、市場業者にとって利用しやすい制度として運用してまいります。

○玉川委員 一般質問の際、私から、都内十一か所の中央卸売市場は、それぞれ地域社会を構成する一員であり、事業活動を行っていく上でも、地域の一員として環境配慮に取り組んでいくことが重要であると指摘いたしました。十一の市場がそれぞれ地域の一員として積極的にSDGsの環境対策を推進するようお願いをしまして、次の質問に移ります。
 令和四年度予算案の債務負担行為に計上されています大田市場会館解体工事について伺います。
 令和五年度から令和六年度にかけて約十四億円の限度額が設定されておりますが、先日、市場当局にお話を伺ったところ、既に大田市場会館としての利用は長くなされておらず、令和四年度予算に大田市場会館の解体に伴う建物等の除却損として、令和四年度予算では約二十三億円の予算を計上しているとのことであります。
 そこでまず、大田市場会館のこれまでの整備の経緯などについて伺います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 大田市場会館は、神田市場や荏原市場などから大田市場への移転統合に伴い、業界からの要望を踏まえ、同市場で働く従業員の福利厚生と産地等の市場来訪者に対する利便の向上を図ることなどを目的に、ホテルやスポーツクラブを有する施設として平成八年度に竣工し、業界団体が主体となって運営をしてまいりました。
 しかし、平成二十三年度に、採算等の理由により運営受託事業者が撤退し、その後、都と業界とで協議を行いながら複数回の事業者募集が行われたものの、決定には至らず、平成二十六年度に業界団体から都に対し施設が返還されたものでございます。

○玉川委員 大田市場会館の開場時と比べると、大田市場周辺には多くのホテルが整備されるなど、当時と状況は大きく変わってきていると思います。
 平成二十六年度に都に施設が返還されて以降、使用されていない状態が続き、その後の活用については、日々、市場を利用される方々も不安に思われたのではないかと思いますが、大田市場の業界の皆さんからは、大田市場会館の活用についてどのような声が寄せられていたのか伺います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 大田市場業界からは、大田市場青果部の取扱量が開場時の計画を上回って増加し、今後も増加を続けると見込まれることから、市場会館の用地の効果的な活用について検討してほしいという趣旨のご要望をいただいております。

○玉川委員 大田市場の業界の皆さんからは、市場のポテンシャルをさらに高めていくため、大田市場会館の用地の有効利用の要望が上がっているとのことであります。そうであれば、除却損を計上してまで解体するのではなく、まずは速やかに、今ある建物を生かしながら、業界の声に沿った活用をしていくことが望ましいのではないかと思います。
 先般公表された経営計画案では、市場会計が保有する資産の有効活用もテーマの一つとなっていますが、市場会館を解体せず有効活用する方策がなかったのかどうか伺います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 調査を行いましたところ、大田市場会館の内装や設備は劣化や損傷が著しく、再利用に当たっては、給排水管や電気設備をはじめとする設備等全般について全面的な改修が必要な状況となっております。加えて、大田市場会館の構造上の特徴として、低層棟がスポーツジム施設として設計されているため、天井が低く、段差が多い構造となっております。
 また、高層棟はホテル施設として設計されているため、部屋が細かく区切られた構造となっているなど、現在の建物を生かして利活用を図るには、用途が極めて限定的にならざるを得ない状況でございます。こうした実態を踏まえまして、令和四年度から六年度にかけて建物の解体を行うことといたしました。

○玉川委員 大田市場会館の建設当初と状況が変わっている中で、コストや構造上の理由で大田市場会館の建物をそのまま利活用することは現実的ではないということが分かりました。
 一方で、大田市場会館を速やかに解体、更地化し、業界の皆さんと丁寧な議論を重ねた上で大田市場会館用地を有効に活用していく必要があります。
 そこで、大田市場会館解体後の土地の有効活用策について伺います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 大田市場は、青果市場として全国一の取扱規模であるとともに、開場以来、取扱量が増加傾向で推移しており、開場当初の計画値を大きく上回っております。このため、場内の狭隘化が著しく、円滑な場内物流の確保が課題となっております。
 また、大田市場は開場から三十年超が経過し、今後、設備等の大規模な更新工事が相次いで控えておりまして、市場業務への影響を最小限にしながら円滑に工事を進めていく上で、工事ヤードの確保などが大きな課題となっております。
 解体後の会館用地の活用に当たっては、こうした大田市場における課題を捉え、中長期的な大田市場のさらなる活性化を図っていく観点から、今後、業界とも協議し、検討をしてまいります。

○玉川委員 取扱数量の増加により、大田市場のみならず、青果物流通における役割がますます重要となってきている中、限られた市場用地の中で、市場業者の方々がより円滑に、そして効率的に業務を進めることができるよう、しっかりと未来につなげていくことを都に要望しまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○磯山委員 本日の質疑では、市場の活性化を図るために重要となる市場業者に対する支援や、取引業務を支える市場施設の維持更新について確認していきたいと思います。
 このたび、都が策定した経営計画案では、持続可能な市場経営のために、二〇四〇年代に経常収支を黒字化することを目指しています。これを達成するためには、長期収支の改善に向け、内部努力によるコスト削減など、都が自ら汗をかいて収支改善に向けた取組を行っていくことは当然でありますが、併せて各市場の活性化を図り、取扱数量や取扱金額を伸ばして収益を上げていくことも必要であります。
 まず初めに、市場業者に対する支援についてお聞きします。
 経営計画案では、今後五年間で都が取り組むべき施策が計画的に示されています。本計画案に掲げる取組を市場業者と共に着実に推進し、活気ある市場をつくっていかなければなりません。そのためには、市場業者に対し、経営を取り巻く環境の変化に対応した取組を促す力強い支援が必要です。
 そこで、都は、市場業者の先駆的な取組を補助事業により支援していますが、まず、令和三年度の実績について伺います。

○西坂事業部長 中央卸売市場強靱化推進事業では、令和二年度までの活性化支援事業が補助対象としておりました産地からの集荷力向上など、市場全体の取引拡大などを牽引する先駆的な取組に加えまして、環境変化に即した市場業者の経営基盤強化につながる取組につきましても幅広くその対象としております。
 具体的には、非対面、非接触の取引などデジタル化への対応や、様々なリスクに備えたBCP策定など、自社の行動変革の取組を支援しております。
 また、補助金を活用した好事例の情報発信や、経営の専門家を活用した手続や内容面でのサポートの充実など、市場業者の取組を促すよう、環境づくりに努めております。
 こうした取組の結果、現時点では、全十一市場で前年度を上回る七十九件の申請があり、約四億二千万円を交付決定しております。

○磯山委員 補助対象の拡大などに取り組み、申請件数が前年度を上回ったとのことですが、いい換えれば、それだけ現状に問題意識を持ち、変えたいという意欲を持つ市場業者が増えてきたということだと思います。
 しかし、市場業界特有の構造的な課題として、時間やノウハウがない、また、社長の相談相手がいないなど、現状を変えたくてもできない事業者の方も少なくないはずであります。
 都は、経営計画案において、将来の市場取引の担い手となるべく、経営改善などに取り組む市場業者に伴走してサポートをするとしていますが、こうした事業者の意欲をしっかりと支え、これを結実させ、自立を促すことも、長い目で見れば市場の活性化に必要だと考えます。
 そこで、都が令和四年度に創設する経営強靱化推進事業では、専門家が市場業者に伴走し、経営改善の取組等を推進していくとしておりますけれども、具体的な内容についてお伺いいたします。

○西坂事業部長 都はこれまでも、経営の専門家と連携して行動変革の契機となるよう、質の高い情報発信に努めますとともに、補助事業により、市場業者の経営改善の取組を後押ししております。
 一方で、市場業者の中には、日々の取引業務により、自社の経営状況についての振り返りや、新たなビジネスモデル検討を行うには至らない事業者もいるものと考えられます。
 そこで、新たに創設する中央卸売市場経営強靱化推進事業では、市場業務に精通した中小企業診断士などの専門家を派遣し、経営状況の見える化や経営改善策の検討に取り組む意欲ある市場業者をサポートするとともに、改善策の実行を補助金で後押しするなどの枠組みを構築しております。
 こうしたいわゆる伴走型への改善を通じまして、より多くの市場業者に経営強靱化の取組を促し、卸売市場の活性化を目指していきます。

○磯山委員 多様なプレーヤーが同じ場所で取引をしていることも卸売市場の魅力の一つであり、活力の源泉であります。こうした各プレーヤーの抱える経営課題は様々であり、個々の状況に向き合いながら支援に取り組み、活力ある市場づくりを進めてもらいたいと思います。
 また、持続可能な市場経営という観点では、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中においても、市場業者が安定的に取引業務を行う環境が維持されていることが前提だと考えます。そのためには、オミクロン株などの変異型が発生し、感染症の終息の兆しが見えない中、今後も引き続き感染症対策を進めていく必要があります。
 そこで、感染症対策に取り組む市場業者をしっかりと支援していくべきと考えますが、所見を伺います。

○西坂事業部長 都では、昨年八月の第五波以降、複数の感染者が判明した事業者に対して自主検査の実施を促進するとともに、感染拡大防止に向けたこうした業界団体などの取組を中央卸売市場強靱化推進事業により後押ししております。
 令和四年度の中央卸売市場経営強靱化推進事業においても、同様に業界団体などの感染症対策の取組につきましては、補助率を五分の四とし、引き続き積極的に支援していきます。
 また、都のワクチン大規模接種に関する情報を速やかに周知するとともに、業界団体が実施する職域接種につきまして、国や医療機関などとの調整をサポートするなど、市場内の感染拡大防止に努めていきます。

○磯山委員 コロナ禍においても、こうした市場業者の取組が、生鮮食品、食料品等の安定的な供給の維持につながっており、卸売市場の役割が改めて見直されています。
 食の安定供給を担っている卸売市場がその機能をしっかりと果たすことで、都民の信頼につながり、市場の持続可能な経営を支える源泉になるのではないかと考えております。
 都においては、感染症の脅威に大きな不安を抱えながら、都民の食生活を守るために働いている市場業者の経営を支えていくよう改めて要望して、次の質問に移ります。
 次に、市場施設の維持更新についてお聞きします。
 昨年十一月の本委員会で、私は、施設や設備の老朽化が進んでいるという状況を踏まえると、今後は、市場全体を見ながら、長期的かつ計画的な観点からの維持更新がより一層重要になることを確認させていただきました。これからの市場経営を考えていく上で非常に重要な論点の一つであると思いますし、実際、今回の経営計画案においても大きなテーマの一つとなっております。
 そこで、市場施設の計画的な維持更新について、計画案に込められた考え方を確認いたします。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 生鮮品等流通の基幹的なインフラである中央卸売市場をハード面から支えている市場施設について、適切に維持更新を行うことは都の重要な役割でございます。
 市場施設の多くは高度経済成長期に整備され、建設から四十年以上が経過するなど、施設や設備の老朽化が進んでいることから、都は、十一市場の施設管理者として、ライフサイクルコストの低減と更新時期の平準化を図りつつ、計画的でめり張りある維持更新を行っていくこととしております。
 経営計画案にもそのような趣旨を盛り込んでいるところでございます。

○磯山委員 市場施設は、一旦整備をすると数十年という長期にわたり使用することになります。何十年先の社会経済環境の変化を予測し、それを見越した施設をつくり込めればいいんですけれども、残念ながら、そういったことは現実的には非常に難しいことであると思っております。
 むしろ、施設の整備に当たっては、将来起こり得る社会経済環境の変化にも、しなやかに対応し得る柔軟性を備えた整備を行っていくことが大事になってくるのではないかと思っております。
 そこで、長期的な使用に耐え得る施設の整備にどのように取り組んでいくのか、都の見解を伺います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 長期的な使用に耐え得る施設整備を進めていくための取組として、まず、既存建物については、各市場の主要な建物を抽出しまして、劣化度調査などを来年度から順次行うこととしており、その結果等を踏まえ、個別の建物の大規模改修や長寿命化改修等に取り組んでまいります。
 加えて、建物の中で、例えば、建物本体を保護する外壁や屋上防水などの特に重要な部位や受変電設備などの重要な設備については、損傷や劣化が進行する前に必要な対策を行う予防保全を実施し、めり張りある維持更新を行います。
 次に、建物の改築や新築を行う場合については、施設機能が陳腐化することを避け、将来における用途変更など様々な状況変化にも対応できるようにするため、柔軟性の高い整備を行います。
 具体的には、柱や、はり、床などの構造体--これらをスケルトンと呼んでおりますけれども、そちらと、内装や設備など--こちらをインフィルと呼んでおりますけれども、このスケルトンとインフィルというものを区別いたしまして設計する、スケルトンインフィルという考え方の下で両者を構造的にも分離しておくことで、内装や設備の臨機応変な改修を行いやすくいたします。
 実際に、市場業者からも、流通環境や顧客ニーズの変化に応じて、必要なタイミングで自分たちにとって都合のよい形に内装や設備をつくり替えたい、そういうことが容易にできるような使いやすい施設にしてほしいと、そういうお声もいただいております。
 こうしたことから、スケルトンインフィルの考え方は、業界の利便にも沿ったものと考えておりまして、建物の長期的な使用を可能にすることにもつながると考えております。

○磯山委員 施設整備に当たって、工事を行う際にも、市場は営業を止めることはできず、多くの市場業者の皆さんがご商売をしている中で工事を進めることになります。
 そこで、市場の施設整備を行う際には、市場業務への影響に配慮しながら進めていく必要があると考えますが、見解を伺います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 市場においては、営業を継続しながら工事を行うため、工事場所や工事時間に制約のある、そのような中で市場業者の協力を得ながら効率的に取り組んでいくことが重要でございます。
 このため、卸売場など個別の建物の更新に当たっては、建物ごとの維持更新計画を策定し、その上で、市場ごとに工事を集中的に実施していくための全体計画を取りまとめ、そうした内容について、市場業者と共有を図っていきたいと考えております。
 こうした取組を通じて、市場業者の理解と協力を得るとともに、工事期間中における市場業者の動線確保など、適切な配慮の下で円滑に工事を進めていくことによりまして、市場業務への影響をできる限り小さくするよう努めてまいります。

○磯山委員 施設整備について確認してきましたが、スケルトンインフィルにせよ、営業を続けながらの工事にせよ、市場業者の皆さんにとってやりやすいということはいいことだと考えます。市場業者の皆さんにとって使い勝手のよい施設となるよう、整備を進めていっていただくよう要望をいたします。
 最後になりますけれども、本日は、持続可能な市場経営に向け、卸売市場の活性化に重要となる市場業者への支援と施設整備を切り口に質問いたしました。
 経営計画で掲げた意欲的な目標値を達成することは容易ではないと考えますが、同じ目標に向かって市場業者と都が一緒に取り組むことは大変重要でございます。
 しかし、経営環境等は常に変化をするものです。都においては、きめ細かく進捗を把握し、常に足りない点に手を打つ、PDCAサイクルのマインドを持って取り組むよう要望し、質問を終わります。

○細田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議はございませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○細田委員長 異議なしと認め、予算案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で中央卸売市場関係を終わります。

○細田委員長 これより産業労働局関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 篠原金融部長は、病気療養のため、本日の委員会にご出席できない旨の申出がありました。ご了承願います。
 予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、令和四年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、産業労働局所管分、第九号議案から第十一号議案まで、第七十八号議案及び第七十九号議案並びに報告事項、PRIME観光都市・東京、東京都観光産業振興実行プラン、観光産業の復活と持続的な成長に向けてについて外二件を一括して議題といたします。
 本案及び本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○松本総務部長 去る二月十五日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の経済・港湾委員会要求資料の表紙をおめくりください。
 目次でございます。資料は全部で十二項目ございます。
 一ページをご覧ください。過去十年間の予算額、決算額の推移につきまして、一ページに中小企業対策、また、次のページをお開きいただきまして、二ページに農林水産対策、三ページに雇用就業対策をそれぞれお示ししてございます。
 なお、雇用就業対策につきましては、内訳としまして国基金事業関係費を記載してございます。
 四ページをお開きください。平成十五年以降の従業者規模別都内製造業の推移をお示ししてございます。
 五ページをご覧ください。商店街チャレンジ戦略支援事業につきまして、過去八年間の実績の推移をお示ししてございます。
 六ページをお開きください。過去十年間の都内労働者の賃金の推移をお示ししてございます。
 七ページをご覧ください。過去五年間の派遣元事業所数、派遣労働者数、派遣労働者の賃金の推移につきまして、全国と東京都、それぞれについてお示ししてございます。
 八ページをお開きください。過去三年間の都立職業能力開発センターにおける能力開発訓練、普通課程の授業料収入の推移をお示ししてございます。
 九ページをご覧ください。過去五年間の都立職業能力開発センター校別の就職支援推進員の配置状況の推移をお示ししてございます。
 一〇ページをお開きください。過去十年間の東京の農地面積の推移をお示ししてございます。
 一一ページをご覧ください。平成二十四年以降の区市町村別農地面積、市街化区域内農地面積、生産緑地面積の推移をお示ししてございます。
 一一ページが区市町村別農地面積の推移、次のページをお開きいただきまして、一二ページが市街化区域内農地面積の推移、一三ページが生産緑地面積の推移でございます。
 一四ページをご覧ください。島しょ地域の旅行者数につきまして、過去五年間の推移をお示ししてございます。
 以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○細田委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○松田委員 本日は、令和四年度の産業労働局の予算、また、それに関連する形で、改定する知的財産活用のための東京戦略や、職業能力開発計画などについてお伺いをいたします。
 まず初めに、先週の予算特別委員会でも取り上げさせていただきました知的財産の取得や保護に関する都の取組についてお伺いをいたします。
 私はこれまで、企業がビジネスを展開する上で保有する知的財産を権利化して保護していくことは重要と考え、中小企業への知的財産に関する支援について、八年前の都議会の本会議一般質問以来、ずっと一貫して都議会の質疑において、その充実について求めてきたところであります。都も支援施策の充実を図ってきたと認識しております。
 そのような中で、都はこのたび、平成十五年に策定をして都の知的財産施策の礎となっている中小企業の知的財産活用のための東京戦略を十八年ぶりに改定するとのことであります。
 そこでまず、平成十五年に策定をした中小企業の知的財産活用のための東京戦略に基づいて実施している様々な支援策の実績についてお伺いします。

○緑川商工部長 都はこれまで、中小企業の知的財産活用のための東京戦略に基づきまして、知的財産の保護や活用に役立つ様々な施策を展開してまいりました。
 具体的には、平成十五年度には知的財産総合センターを設置いたしまして、相談の対応やセミナーなどの普及啓発を行っております。
 また、外国での特許出願に対する支援では、中小企業等のニーズに合わせまして順次拡充し、現在では十の助成事業を実施しております。今年二月末時点におけます主な実績は、普及啓発事業では、知的財産の制度や活用方法を学ぶためのセミナーなどを約六十回開催しており、助成事業では、延べ二百十六者の中小企業を支援しております。
 また、相談事業では、電話や面談に加えオンラインを活用しておりまして、平成十五年度、三千七十五件だった件数は、令和二年度には六千六百七十八件と増加し、今年度二月末までに六千百八十七件となっております。

○松田委員 国の方でも、経産省をはじめとして様々な支援をしていただいていると思いますが、東京都だからこそ中小企業に特化をして、特に中小企業に目を向けて支援してきていただいたものと認識をしております。
 今ご答弁いただきました平成十五年から現在に至るまで、施策の充実を図り、相談件数も今いただいたとおり倍増ということで、多くの中小企業に支援策が活用されているということを確認させていただきました。
 しかし、創業間もない企業では、資金面、そして人材面の制約もあって、知的財産を活用したこうした事業展開ができていないという声も聞いております。
 こうした中で、東京戦略を十八年ぶりに改定するということでありますが、その理由について伺います。

○緑川商工部長 都はこれまで、東京戦略に基づきまして、中小企業における知的財産の保護や活用のための支援メニューを充実させてまいりました。
 一方で、感染症拡大の影響や環境負荷低減に向けた社会的な要請など、中小企業を取り巻く状況は大きく変化をしております。
 また、近年、革新的な技術を持つスタートアップ企業が数多く誕生しておりますが、人材や資金などの経営資源が限られておりまして、自社の知的財産を生かし切れていない状況でございます。
 こうした現状を踏まえまして、東京の中小企業振興を考える有識者会議におきまして改定に向けた検討が提起され、中小企業における知的財産戦略のあり方に関する検討会を設置し、今後の在り方などにつきまして検討が行われました。
 その結果、これまでの基本的構成や施策の方針、支援施策の体系などは引き継ぎ、スタートアップ企業への支援や知的財産の活用に向けた支援の充実などを取り込むことなどの改定に向けた提言がなされました。
 都はこの提言を受けまして、東京戦略を改定することといたしました。

○松田委員 あり方検討会が設置をされて、そこからスタートアップ企業の支援、また、知的財産の活用に向けた支援ということが出てきたということが分かりました。
 そのうち、スタートアップ企業についてなんですが、数多く生まれることによってオープンイノベーションの重要性が非常に高まっている。さらに、知財の制度も大きく変わってきております。
 こうした中、中小企業、スタートアップ企業を取り巻く状況が変わっていく中で、東京戦略を改定しようとしておりますが、そのポイントについて伺います。

○緑川商工部長 都は、改定に当たりまして、六百五十二者に対しましてアンケート調査を実施したところ、約七割の企業で知的財産の担当者を置いておらず、その理由といたしまして、知見、ノウハウを持つ人材がいないという回答が多くございました。
 また、知的財産は自社の競争力を高め、技術やブランドなどを保護する重要な役割を果たすことから、経営戦略と一体となった活用戦略を作成することが重要でございますが、約八割の企業が知的財産戦略を策定しておらず、その半数は必要性を感じていないことも分かりました。
 これらのことから、東京戦略の改定におきましては、経営戦略やビジネスモデルと一体となった知的財産戦略の策定や、知的財産の活用を担う中核的な人材の育成など、ニーズに合った支援を行うことなどをポイントとしております。

○松田委員 ありがとうございます。六百五十二者にアンケートを行って、これは中小企業だと思うんですけれども、そのうちの、今ご答弁にありました八割が知財戦略を策定していなくて、そのうちの半分の必要性すら感じていない。つまり、全体の四割が必要性すら感じていないということが今のご答弁で分かりました。
 こうした改定のポイントを受けて、今回、東京戦略の改定案が示されましたが、スタートアップ企業を支援していくためには、戦略の策定に加えて、その実行までをサポートしていくことが必要であります。
 この改定によって来年度の都の施策をどのように充実していくのか、先日の予算特別委員会でも私から質問したところでありますが、改めてスタートアップ企業へのより具体的な支援内容について伺います。

○緑川商工部長 都は来年度、スタートアップ支援施策等を使いまして、知的財産の保護や活用などに関するセミナーを開催いたします。
 また、知的財産のノウハウが十分でない中で、他社と契約を締結しようとしているスタートアップ企業に対しまして、特許の実務経験を持つ民間のメーカーOBを派遣いたしまして、取引を行う際の注意点などに関する助言を行ってまいります。
 さらに、優れた技術やアイデアを持ち、積極的に知的財産の取得や活用を目指すスタートアップ企業五社に対しまして、弁理士や中小企業診断士等がチームを組んで、三年間にわたり支援を行ってまいります。
 具体的には、知的財産の活用を取り入れた経営戦略の策定や、新技術を開発し特許化する取組にアドバイスを行うとともに、それらに必要な経費の二分の一を、一千五百万円を上限に助成いたします。
 こうした取組によりまして、スタートアップ企業の成長を支援し、競争力の強化につなげてまいります。

○松田委員 来年度からスタートアップ企業五社に対して、弁理士や中小企業診断士が三年間にわたり--まあ五社はちょっと少ないなという気はするんですけれども、ただ、この三年間、弁理士さん、そして中小企業診断士さんがサポートしてくれるというのは大変ありがたい制度であるということが分かりました。
 もう一つの改定のポイントであります中核的な人材育成、このことについて都は来年度、どのように施策充実を図っていくのか伺います。

○緑川商工部長 都は来年度、新たにスタートアップ企業などにおきまして、知的財産の活用などを担当する方を対象とした講座を実施いたします。
 具体的には、知的財産の活用や戦略の策定に必要な知識につきまして、年間約二十回開催する講座等を通じまして、基礎から応用までを集中的に学ぶことにより、中核的な人材へと育成してまいります。
 こうした取組によりまして、スタートアップ企業等の知的財産を使った新たな事業展開を後押ししてまいります。

○松田委員 知的財産の大切さというのはなかなか気づけない、それを東京都からきっかけとして気づいていただくというのは大変重要なことであると思います。
 中小企業やスタートアップの企業が継続的に発展していくためには、知的財産は欠かすことができない権利であると思います。そして、自ら申請するのは非常に書類が煩雑で、また、弁理士さんに頼むとお金が非常にかかる。少しでもこういった負担を軽減していただけるようにお願いをいたします。
 今後とも、都は、この改定後の戦略に基づいて、しっかりと支援に取り組んで、中小企業の成長を後押ししていただきたいと思います。
 そして、次に、DXの方の質問に移ります。
 スタートアップに関連して、DXの推進におけるスタートアップの新たな製品やサービスの活用についてであります。
 これまで、本会議や先日の予算特別委員会の質疑の中で、中小企業のDXを進めるための都の取組について議論をしてまいりました。
 中小企業自らがDX化を進める取組を支援することは重要でありますが、スタートアップ企業の中には特にDXに強みを持つ企業もあります。こうしたスタートアップ企業の斬新な製品やサービスを中小企業の現場で活用することができれば、生産性の向上や競争力強化につながるだけではなくて、スタートアップ企業にとっても大きなビジネスチャンスになると思います。
 都は来年度から、中小企業のDX推進に係るスタートアップ企業の支援を始めますが、その取組について伺います。

○緑川商工部長 都は来年度、スタートアップ企業が持つDXに関した革新的な製品やサービスを中小企業に紹介するイベントを実施いたします。
 また、導入された製品などを中小企業の現場の実情に応じて改良などを行う場合、その許認可手続や必要となる費用につきまして、五百万円を上限にサポートいたします。
 こうした取組によりまして、中小企業のDX化とスタートアップ企業の新たな事業展開を後押ししてまいります。

○松田委員 中小企業のDXの推進にスタートアップの力を使うというのは非常に意義のあることだと思います。
 また、スタートアップの中には、優れた製品を持っていても中小企業の実情が分からない、そういった企業もあるかと思います。また、中小企業にとっても、スタートアップとこれまで付き合ったことがなくて、不安に感じる可能性もあります。
 このため、この事業を進めるに当たって、都には、中小企業とスタートアップの間に入ってお互いの理解を深めていけるよう、フォローアップをしっかりしていただくことをお願いして、次の質問に移ります。
 ここからは、厳しい経営環境にある中小零細企業の支援についてお伺いします。
 長引くコロナ禍によって多くの事業者の経営に影響を与えています。さらに、今般のウクライナ情勢によって、燃料、原料の価格高騰は、コロナ禍の影響を比較的受けにくいとされている製造業にも大きな影響が出ることが懸念をされています。
 こうした状況で事業の継続を支えるためには、当面の資金繰りへの支援が不可欠であります。しかし、都内の中小企業の中には、コロナの緊急融資など既に制度融資をかなり利用しているところも少なくないと思います。
 そこで、東京プラスサポートという融資制度についてお伺いをいたしますが、このプラスサポートは、制度融資だけでは十分な資金調達ができない中小企業などに対して、信用金庫、信用組合など、地域の金融機関と連携して事業資金を融資する制度として創設をされました。保証協会による保証の限度まで借入れを行っている事業者などが、この制度を使って資金を調達しています。今年度はその利用が高まっていると聞いています。
 そこでまず、その実績についてお伺いします。

○高野金融支援担当部長 東京プラスサポートは、民間の保証機関が持つ審査ノウハウと地域の金融機関の目利き力を活用して迅速な融資を行う都独自の制度で、制度融資と併せて中小企業の資金調達を支援しております。
 今年度の実績は、一月末時点で千九百八十四件、約三百二十億円と、昨年度の通期実績を上回り、コロナ禍前の令和元年度の同月末時点での実績も超えております。

○松田委員 昨年度、一昨年度を上回る、実績が拡大しているというご答弁でありましたが、先ほど申し上げたような制度融資では十分でない事業者のニーズに対応しているということが分かります。
 都は、主に制度融資によって都内中小企業の資金繰りを支えておりますが、コロナ禍、そしてウクライナ情勢の影響で厳しい経営環境が続く中、制度融資に加えて多様な手段で手厚い資金繰り支援を行っていくことも重要であります。
 我が党も昨年の本委員会で、東京プラスサポートについて、制度の充実と利用促進を要望させていただきました。現下の状況も踏まえて、制度をより充実させていく必要があると思いますが、都の取組について伺います。

○高野金融支援担当部長 来年度は、中小企業の高い資金ニーズに応えるため、融資限度額を現行の二千五百万円から三千万円に引き上げます。
 また、今年度、これまでに二つの信用金庫が新たに取扱いを開始し、取扱金融機関を全体で三十二から三十四に拡大することで、より多くの中小企業の利用機会の確保に努めております。
 これらによりまして、コロナ禍などで厳しい経営環境にある中小企業の経営を資金繰りの面から下支えしてまいります。

○松田委員 融資限度額が二千五百万から三千万、そして、取扱金融機関も二つ増えるということで、東京プラスサポートをさらに充実していくということは、厳しい経営環境にある都内の中小企業にとって、多様な資金調達につながる重要なことであると思います。
 今後もこの制度融資と併せて、中小企業の資金繰り、しっかりと支えていくことをお願いして、次の質問に行きます。
 当面は融資で乗り切ったとしても、中小企業が持続的に発展していためには、現状の課題をしっかりと把握した上で、新たな事業展開などを検討して、中長期な視点で経営計画の作成、そして見直しを図っていくことが必要と考えます。
 先日の我が党の代表質問においては、都は来年度から、経営状況が厳しい中小企業に専門家を派遣し、経営計画の作成や見直しをサポートする新たな取組を開始するとの答弁がありましたが、具体的な支援内容について伺います。

○緑川商工部長 都は現在、商工会議所等と連携いたしまして、中小企業に専門家を派遣し、経営の診断とそれを踏まえた経営計画の作成などをサポートしております。
 来年度は、この取組を継続し、千二百社に対する経営診断と計画づくりをサポートするほか、新たに経営計画を策定している中小企業への支援も開始をいたします。
 具体的には、中小企業三百社に対しまして、専門家を最大九回まで派遣し、経営計画の進捗状況を確認しながら経営診断を行い、必要な見直しのための助言と改定に向けたサポートを行ってまいります。
 こうした取組によりまして、中小企業の経営力の向上に向けた取組を支援してまいります。

○松田委員 中小企業三百社に対して専門家九回まで最大派遣をしますと。経営診断を実施した上で、新たな計画づくりをサポートする、こういったご答弁でありましたが、併せて、これを実行する際の支援についても必要であると考えます。
 売上げの減少に苦しむ中小企業にとって、新たな販路開拓に向けた支援は有効な取組であります。コロナ禍で外出や対面の商談が制約される中、オンラインで商談を行う企業も一般的になってきています。デジタル技術を活用した新しい販路開拓の手法が普及をしてきており、中小零細企業がコロナ禍を乗り越えて業績を回復していくためには、こうした新しい手法を用いて販路拡大に取り組む企業を積極的に後押ししていくことが重要であります。
 都は、コロナ禍で非常に厳しい状況にある中小零細企業の販路開拓支援強化を図るべきと考えますが、見解を伺います。

○緑川商工部長 都はこれまで、専門家が販路の開拓が必要と診断した中小企業に対しまして、販路の拡大に向けた助成を実施してまいりました。
 一方で、デジタル技術を活用した販路開拓のニーズが高いことから、来年度、新たにECサイトの出店に要する経費を対象に加えまして、展示会の出展やウェブサイト構築等に必要となる経費の三分の二を、百五十万円を上限に、八百八十件まで助成を行ってまいります。
 こうした取組によりまして、DXを活用して販路の拡大に取り組む中小企業を支援してまいります。

○松田委員 ただいまのご答弁で、新しい販路を切り開く中小企業を積極的に支援していくというご答弁でありました。今後も中小零細企業に寄り添った支援をしていただくことをお願いして、次の質問に移ります。
 次に、事業復活支援金を受給した中小企業に向けた支援についてお伺いをいたします。
 国は、コロナ禍で大変大きな影響を受けて売上げが大幅に減少した中小企業を対象に、本年一月から事業復活支援金による支援を開始いたしました。これによって、事業の継続に向けた資金の給付を行っております。
 都は、今年度の第四回定例会における我が会派の代表質問を受けて、事業復活支援金等を受給する事業者に対する支援を行っておりますが、引き続き、こうした厳しい状況にある中小企業の支援を継続して実施していくべきだと考えますが、見解を伺います。

○緑川商工部長 都はこれまで、国の一時支援金等を受給した中小企業をサポートするため、専門家の派遣や設備投資などの助成を行ってまいりました。
 また、本年二月より、事業復活支援金を受給した中小企業も対象に加えまして、展示会の出展やウェブサイトの構築等に要する経費につきまして、助成率五分の四、百五十万円を上限に支援を行っております。
 販路開拓支援では、これまで二千百十三件の申請があり、千四百七十一件の交付決定を行っております。
 設備投資支援では百三十三件の申請があり、十七件の交付決定を行っております。
 来年度も、国の事業復活支援金を受給する中小企業を対象に、特にニーズの高い専門家の派遣や販路開拓の支援につきましては引き続き実施し、中小企業の事業継続を後押ししてまいります。

○松田委員 来年度も専門家の派遣、販路開拓支援、引き続き行っていただけるということで、ぜひさらなる支援、よろしくお願いいたします。
 続いて、ものづくり人材の育成について質問をさせていただきます。
 私の地元の板橋区では製造業などの中小企業が数多くありますが、経営者からは、コロナ禍で外国人材が確保できないですとか、従業員の高齢化が進んでいるけれども若い人がなかなか入ってきてくれない、また、後継者が育たない、様々な声を聞いております。
 私は、先日の予算委員会の質疑におきまして、ものづくり人材の確保について質疑を行って、都からは、派遣就労を活用したマッチング支援をすることによって、次世代の人材確保をサポートする新たな取組を開始するといった答弁をいただきました。
 こうした新たな取組にも大いに期待するところではありますが、これまで都が実施をしてきた職業訓練の強化によって、ものづくり人材を着実に育成していくことも重要であります。
 育成に当たっては、いずれ企業の中核人材となることを見据えて、昨日の港湾でも、今日の市場でも出ていましたが、脱炭素に向けた、時代のニーズに合った、時代のニーズに対応する、そういった人材の確保も求められております。
 今回、報告されている新たな職業能力開発計画においても、脱炭素化に対応したカリキュラムを取り入れるとありますが、その具体的な取組について伺います。

○村西雇用就業部長 今後、加速する脱炭素化に対応する人材を育成するため、都は、職業能力開発センターにおきまして、環境配慮の視点を重視したものづくりの技能人材を育成してまいります。
 具体的には、ハイブリッド車や電気自動車などの整備や、省エネ住宅の建設、屋上緑化や壁面緑化の設置など、ものづくり分野の職業訓練科目におきまして、脱炭素化に係る技術や技能を習得するカリキュラムを導入いたします。
 また、脱炭素に積極的に取り組むものづくり企業の技術者を講師に招き、業界の最新の技術動向を学ぶ特別講座を開催いたします。
 こうした取組によりまして、ものづくり企業の脱炭素化に向けたニーズに応える人材の育成を図ってまいります。

○松田委員 ありがとうございます。先ほどの知財もそうですが、脱炭素もなかなか企業の方から気づきづらいという側面もありますので、ぜひ都が率先してこういった取組によって後押しをしていただきたいと思います。
 二〇五〇年のカーボンニュートラル、この実現に向けて脱炭素に取り組まなければならないのは、大企業だけではなく、能力開発センターの修了生が就職することも多い地域の中小企業も同様であります。時代のニーズに即した人材を育成して、中小のものづくり企業の取組を支えていただきたいと思います。
 さて、本日の質疑では、中小企業の知的財産活用のための東京戦略、この改定を踏まえた中小企業やスタートアップ企業の知的財産を活用した事業展開の支援策のほか、中小企業の経営力向上に向けた資金調達支援、さらには経営計画の見直しなどのサポート策についてお伺いをしてまいりました。
 新型コロナウイルスの感染拡大に昨今のウクライナ危機も加わり、中小企業を取り巻く経営環境は、大きく変化をしている上、先行きの見通しも立ちにくい状況にあります。
 こうした中にあっても東京の産業の持続的な成長を図るため、東京の産業の活力の源泉ともいえる中小企業の事業継続に向けた支援と併せて、イノベーションを生み出す、成長につながる事業展開への支援をより一層強力に進めていかなければならないと考えますが、坂本産業労働局長の見解を伺います。

○坂本産業労働局長 一連の感染症の長期化に加えまして、現在、ウクライナ情勢が東京の産業に影響を及ぼす中、まさしく東京の産業の基盤、礎であるところの中小企業、この経営をしっかりと下支えするとともに、今後の成長を盤石で確固たるものにするために、投資を様々な形でしっかり着実に進めていかなければいけないと、このように考えているところでございます。
 このため、都は来年度、厳しい経営環境に置かれている中小企業の資金繰りをまず支援しなければいけないと、こういった観点に立ちまして、昨年度の制度融資による実質無利子の、いわゆるゼロゼロといわれている制度融資の資金でございますが、これを利用した事業者を対象として、新たな借換えのメニューを創設するということに加えまして、ウクライナ情勢を踏まえて、融資メニューの受付を、これは本日から開始したところでございます。
 また、地域の金融機関と連携した融資の仕組み、これは東京プラスサポートということで先ほどご案内させていただきましたが、こちらの仕組みの充実を図るというような、重層的、複合的な様々な支援策によりまして、まずは金融面から、事業継続をしっかりと後押しをしていこうと考えてございます。
 さらに、併せまして、知的財産の保護のみならず、この活用ということをしっかりと後押しをしながら、さらには経営改善全般に関する助言、そしてオンラインを含めて販路開拓の支援、こうしたことを中小企業の経営力向上にしっかりと結びつけていくという、こういう観点からきめ細かいサポートを実施してまいりたいと考えてございます。
 さらに、今後、DX化が進んでまいりますが、これに対する対応、これを中小企業がしっかりと競争力を高めるものにつなげていけるように、さらに、それを持続的な成長に企業としてしっかり結びつけられるようにしていきたいと考えてございます。
 事例によっては、プロジェクトに応じて大企業と連携して技術開発を行うような場合も出てくると思っておりますので、そういった部分についての支援もしっかりと進めていくと同時に、イノベーションの創出に取り組む、そういう事業に対する設備投資への助成、これも着実に進めていきたいと思っております。
 そして、これを進めていくには、何はともあれ、やはり担い手となる人材が、これは非常に重要だと思います。DXであれイノベーションであれ、そして基盤技術であるところのものづくり、そしてものづくりの中で着々と進んでいこうとしている脱炭素、こういった部分もしっかりと受け止めて、次へつなげることのできる担い手、これの育成にも取り組んでいこうと考えてございます。
 今後とも、中小企業の事業継続に向けた支援、これはもうもとよりベーシックにしっかりとやっていきますが、さらにその事業の発展を通じて東京の経済を力強い成長軌道に乗せていく、こういった取組に全力を尽くしてまいりたいと思います。

○松田委員 ただいま局長から、中小企業の支援について、資金繰り、事業継続、知的財産保護、DX、オンライン化、設備投資、脱炭素、そして何よりも大事なのが人材育成であるというお話をいただきました。
 何度も申し上げているとおり、今、コロナ禍、さらにはウクライナ危機ということもあり、全く先の読めない状況でありますので、機動的に、柔軟に、様々な直面する課題に対応していくことが非常に重要であります。
 先週の予算委員会でも知事ともやり取りさせていただきましたが、なかなか決断できないところもあるというのを目の当たりにしました。
 ぜひ、都の職員一丸となって、目の前の危機に、そして中小企業者に寄り添った対応を産業労働局にはお願いをして、東京都を、そして事業者を引っ張っていただきたいことをお願いいたしまして、質問を終わります。

○入江委員 私からは、今回、蔓防が延長、そしてウクライナ侵攻による原油、食材の値上がり、深刻な人手不足という厳しい状況が続く中、飲食業界とライブエンターテインメント業界の現状を伺いました。
 都心部を拠点とされていて、都や国に要望活動を行うオーナーシェフやレストランの経営者、ミュージックバー、クラブ、ライブハウス、プロダクションの経営者、アーティストの皆さんなどからのお訴えです。
 どちらの業界でも、コロナ禍の二〇二〇年四月から二〇二二年現在まで、休業要請、営業時間の制限、酒類の提供禁止などで、売上げは半減、決算は赤字、債務超過に陥った会社や個人事業主ばかりで、やむなく閉店、倒産、廃業に至るケースが多いです。現在も、各種支援策を受けながら、蔓延防止等重点措置の要請に従い、経営努力や工夫によって事業をぎりぎり維持はしていますが、瀕死の重傷で、業界全体が資金的にも精神的にも限界を迎えていますとのことでございます。
 世界からポストコロナには必ず訪れたいと思う東京の魅力、これは、多彩でおいしい食と、豊かで個性的な文化芸術、ライブエンターテインメントでございます。これらの業界の皆さんの困窮が続く今、東京都も国も、全力を挙げて、できる限りの支援策をお示ししなければならないと思います。
 昨年度、都が制度融資で実施した、利子と信用保証料の負担をゼロとする、いわゆるゼロゼロ融資は、資金繰りの改善に大変役立ちました。しかし、営業制限やライフスタイルの変化によって、業績が回復せず、苦しい資金繰りが続いている最中での返済に大変苦慮しているという業界のお声が、これまでも大変多く寄せられているところです。
 一方で、飲食業界、ライブエンターテインメント業界は、コロナと共存しながらも会社を成長させていくために、次のアイデアをいろいろと実現するために取り組んでいきたいというところなんですけれども、設備投資や新規事業などに回せる新たな資金を金融機関に頼んでも、貸し渋ることがあり、どうにもならないとの声がございます。
 そこで、都は来年度の制度融資において、様々な資金繰りのニーズを持つ、こうした中小企業をどのように支えていくのか、改めて伺います。

○高野金融支援担当部長 コロナ禍が長引く中、都内の中小企業の経営は様々な影響を受けていることから、都は来年度の制度融資におきまして、経営の安定と成長の両面を資金面から支える取組を充実いたします。
 中小企業の経営の安定の面では、昨年度の実質無利子融資等を利用した事業者向けの借換えメニューを新たに創設いたします。この借換えによりまして、既存の保証付融資の返済期間の延長等が可能となることで、資金繰りの改善につながります。
 加えまして、借入れの際に必要となる信用保証料につきましても、借入額八千万円までは全額、八千万円を超える部分につきましては四分の三を都が補助を行うことで、事業者の負担を軽減いたします。
 また、金融機関に対しましては、引き続き、事業者からの借換えなどの申出に柔軟な対応を行うよう要請を行ってまいります。
 成長支援では、予約システムや非接触による接客など、デジタルトランスフォーメーションを活用した生産性の向上を進める企業や、SDGs、脱炭素化に計画的に取り組む事業者などを資金面から支えるため、それらに対応したメニューについて、利用対象の拡大や融資目標額の拡充を行います。
 こうした取組を進め、中小企業の様々な資金ニーズに的確に対応してまいります。

○入江委員 ありがとうございます。
 飲食業界、そしてライブエンターテインメント業界を支える中小企業や個人事業主の皆さんは、コロナ対策による営業時間の制限や休業によって、二〇二〇年、二〇二一年と連続して赤字決算のために、融資に関する金融機関の対応が大変厳しいとのことです。今回の都の制度融資の中の新しい取組を、窓口となる金融機関にしっかりと理解していただき、事業者にできるだけ寄り添い、柔軟な対応をするように、ぜひとも要請していただきたく、強く要望いたします。
 続いて、長引く感染症の影響では、事業者だけではなく、そこで働く従業員の方も、事業活動の縮小や休業などに伴い収入が減少し、困難に直面しています。こうした方々の生活を守るためのセーフティーネットが強く求められます。
 都は、コロナ緊急対応として、中小企業の従業員に向けた生活資金の無利子での貸付けを実施しております。この貸付けは非正規雇用の方も含めてご利用いただけるもので、労働者の生活の安定に大きな役割を担っています。
 中小企業の従業員融資について、これまでの実績と来年度の実施規模について伺います。

○村西雇用就業部長 新型コロナウイルス感染症緊急対策における中小企業従業員融資につきましては、令和二年三月の制度開始以降、令和四年二月末時点で約四千二百件、約三十八億円の融資が実行されており、多くの方にご利用いただいております。
 来年度、令和四年度につきましては、今年度の実績などを勘案して、融資予定件数を五百件とし、貸付金の原資となる預託金として四億五千五百万円の予算を計上しております。

○入江委員 令和四年度も引き続き融資を予定していただくということですので、今後とも、中小企業の従業員の方の雇用と生活を守るための施策の充実を、ぜひお願いいたします。
 飲食事業者向け経営基盤強化支援事業について伺いますが、こちらは、中小企業診断士を店舗に派遣し、新たな取組などをする事業者を支援するということで、大変多くの申請があったことを私も分かっております。また、それに対してもきちんと産業労働局は対応していただきまして、ありがとうございます。
 そこで、これまでどのような支援事例が出ているのか、また来年度も継続して取り組むべきだと考えておりますが、見解を伺います。

○緑川商工部長 飲食事業者向け経営基盤強化支援事業は、専門家が店舗に出向いてアドバイスを行い、その助言を受けて飲食事業者が行う取組に対しまして、必要となる経費の三分の二を、二百万円を上限に支援しております。
 昨年十一月の開始以来、多くの申請をいただいておりまして、十二月には、追加で予算措置を行い、速やかに二回目の募集を行ったところでございます。
 申請の中には、カフェを営んでいた事業者がカウンターを設置し、夜の時間帯に居酒屋を営業する事例のほか、オンライン予約やキャッシュレス決済用のタブレットを購入し、利用者のニーズに応える事例などが出てきております。
 来年度も、新規の募集を早期に実施し、継続して支援を行うことで、飲食事業者の新たな事業展開を適切にサポートしてまいります。

○入江委員 来年度も新規の事業を早期に行うということで、期待しております。今回、お訴えを受けました両事業者からは、地方自治体の中でも、東京都は大変いろいろな支援策を講じていただいているという感謝のお声もございましたことをお伝えしておきます。
 続きまして、PRIME観光都市・東京、この実現について少し伺わせていただきます。
 観光産業の振興は、旅行業、宿泊業、飲食業、運輸業、小売業、そしてともにライブエンターテインメント産業やコンテンツ産業など、幅広い産業に経済面の波及効果や雇用の創出などを生み出しております。
 コロナ禍で、インバウンドは激減し、こうした業界が大きな打撃を受けています。
 これまでインバウンドの一翼を担っていたMICE誘致では、国の統計によると、東京で開催された国際会議の件数は、二〇一九年には三百五件の実績でした。しかし、コロナ禍の二〇二〇年には百二十二件まで大幅に減少し、これに伴う大きな経済効果が失われたといえます。
 こうした状況を踏まえ、ポストコロナには、再び世界中から多くの人々が東京に集まり、ビジネス交流や食、伝統芸能、ライブエンターテインメントなどの文化に触れるなど、かつてのにぎわいを取り戻していただくことが重要だと考えます。
 このため、ポストコロナを見据えて、国際会議を中心としたMICEの誘致に積極的に取り組んでいく必要があると考えますが、都の取組について伺います。

○築田観光部長 都はこれまで、東京での国際会議の開催を増やし、都市のプレゼンスの向上を図るため、誘致の際のPR活動や開催時におけます会場借り上げ等に係る経費への助成を行ってまいりました。
 来年度は、国際会議を開催する上での費用負担を一層軽減するため、助成割合を四分の三から十分の十に引き上げます。また、助成限度額につきましても、誘致に関しては六百万円から八百万円に、開催に関しましては一億一千三百万円から一億五千万円に拡充いたします。
 さらに、東京の島の魅力を国内外にPRし、誘客につなげていくため、通常の対象経費に、島しょ地域での開催に必要な機材の輸送費や島内での移動費などを加え、新たな助成制度を創設いたします。
 こうした取組によりまして、東京へのMICE誘致を強力に推進してまいります。

○入江委員 ありがとうございます。
 コロナ禍で国際的に人の往来が制限されたことで、MICEは従来のような、多くの参加者が一つの場所に集まる、そして開催するということが実質的に困難となりました。オンラインでの開催方法を取り入れることが通常となっております。
 コロナを契機としたこのデジタルテクノロジーの進歩や活用というのは今後もさらに加速しますが、MICEにおいてもリアルとオンラインのハイブリッド型の開催手法を有効活用して、またさらに進化させて、世界の都市とのつながりを広げていくことが大変重要です。
 都は、MICEにおけるDXを推進するため、来年度どのような取組を行うのか伺います。

○築田観光部長 コロナ禍における開催形態の変化を踏まえまして、様々なデジタル技術を活用した会議等の開催を後押しするため、都は来年度、次世代型のMICEを推進する取組を新たに開始いたします。
 具体的には、対面とオンラインを併用する会議にも柔軟に対応できるよう、通信や映像の設備の導入に係る経費について、最大六百万円まで助成いたします。
 また、顔認証を用いた入場管理システムなどの先端技術について、その活用に必要な経費を最大三千万円まで助成するとともに、国内外の事例などをまとめたガイドラインを策定し、会議等の主催者による導入を促進いたします。
 こうした取組によりまして、東京で開催するMICEのデジタル化を進め、国際競争力の強化を図ってまいります。

○入江委員 さらに、SDGsに配慮した取組の重要性が増しております。
 実際に、知り合いのアーティストは、コンサートの開催を全て再生可能エネルギーで賄う取組を行っております。アーティスト電力といって宣伝されております。
 東京が持続可能な都市として世界から注目されるためにも、こうしたSDGsに資する取組を推進していく必要がございます。MICE開催時においては、大変大きなエネルギーを消費するケースもありますので、より環境に配慮した取組が求められると考えます。
 都は、こうした状況を踏まえ、環境に配慮したMICEの実現に向けて、どのように取り組むのかを伺います。

○築田観光部長 国際会議では、持続可能性の観点を踏まえた開催が求められていることから、東京で行われます会議におきましても、環境に配慮した取組を促進していくことが必要でございます。
 このため、都は、主催者等が会議運営に当たり留意すべき事項を自らチェックできるガイドラインを策定するとともに、プラスチックの削減に資するウオーターサーバーの機材を導入する経費などを助成の対象としております。
 これに加えまして、来年度は、主催者がCO2削減に向け、会議の準備段階で活用できるよう、想定される参加者の規模や会場の冷暖房など、エネルギーの使用予測等のデータを基にCO2排出量を推計するツールを作成いたします。
 こうした取組によりまして、東京での持続可能なMICEの実現につなげてまいります。

○入江委員 ありがとうございます。
 こうしたMICEなどで訪れた旅行者が必ず東京で楽しむコンテンツの一つが食です。日本の食文化は世界トップクラスの高品質、低単価であり、訪日旅行客が日本を訪れる理由のナンバーワンとして食文化を挙げております。
 しかし、飲食業界が二年以上のコロナ禍との闘いで多大なダメージを受ける中、東京の食を守り、進化させていかなければなりません。
 私たち都民ファーストの会は、「未来の東京」戦略の柱の一つとして食文化を盛り込むことを提言し、実現されました。
 昨年、第三回定例会で、私は、東京の食を守り、進化させ、その魅力のさらなる向上を図るべきと一般質問いたしました。小池知事からは、食の多様な担い手が日々磨いている技や味わいを多くの方々に楽しんでいただく大規模なグルメフェスティバルを春と秋に開催して、東京の優れた食の魅力を国内外に広く発信し、都市のプレゼンスを高めていくとご答弁いただきました。
 そこで、春の食フェスティバルの内容と取組状況について伺います。

○築田観光部長 東京の食の魅力を国内外に発信し、観光都市としてのプレゼンスを高めるため、本年五月二十日から三日間、多彩な料理を楽しめるフェスティバル、Tokyo Tokyo Delicious Museumを、地元とも協力しながら臨海部で初開催いたします。
 屋外会場のシンボルプロムナード公園では、イベントステージや飲食ブースを設け、和食をはじめ、東京に集う世界の料理やスイーツなどを提供いたします。また、屋内会場では、食をテーマとしたワークショップなどを実施いたします。
 今年度は開催に向けた準備を進めておりまして、十二月末から二月上旬まで飲食店及びワークショップの公募を行うなど、現在、出店者の調整を行っております。
 また、東京の食の様々な魅力を紹介するため、特設ウェブサイト及びSNSを開設し、ホテルでのフードロス削減の取組や、東京のビーガンフードなどの記事を順次公開しております。
 こうした取組を通じまして、東京の食のさらなる魅力の向上を図ってまいります。

○入江委員 ありがとうございます。飲食業界のさらなるPRの機会となり、そして多くの方に東京の食の魅力を楽しんでいただきたいと思います。
 今後、東京の食を未来につなげるには、食のフェスティバルを開催するだけではなく、東京の食の価値をさらに向上させていくことが必要です。
 そこで、東京の食のブランディングに向けて、どのように取り組んでいくのか伺います。

○築田観光部長 東京の食は観光都市としての強みであり、そのブランド価値を高めていくことは重要でございます。
 そのため、都は来年度、国内外の他都市での取組を調査するとともに、シェフやフードアナリストなど食の専門家へのヒアリングや、訪都旅行者へのアンケートを実施し、今後伸ばすべき点などを明らかにいたします。
 これらの調査結果を踏まえまして、春の食フェスティバルと秋の東京味わいフェスタの企画内容を工夫し、効果的な集客につなげてまいります。
 具体的には、新鮮で高品質な東京産食材などを使用した多彩な料理に焦点を当てたプロモーションを展開し、そのおいしさや担い手の技術を多くの方々に体験していただきたいと思っております。
 こうした取組により、東京の食のブランドイメージを浸透させてまいります。

○入江委員 東京の食のブランド、確かに確立されてはいるところなんですけれども、コロナ禍を乗り越えてさらに発展できるように、そして東京の魅力として輝き続けるように、ぜひよろしくお願いしたいと思います。そして、東京の飲食業と東京産食材のさらなる発展のために、秋のフェスティバルにも期待をしております。
 さて、MICEなどで東京を訪れた旅行者が、今後はもちろんインバウンドの回復も期待しておりますが、ディナーを楽しみ、そしてさらにコンサートやDJやダンスなども一緒に楽しむことができるよう、東京のナイトカルチャーを再び盛り上げていく必要があります。
 また、夜の観光資源の充実に加え、密を避けるという意味で、比較的空いている早朝の時間帯の活用も、観光の分散化に効果的と考えられます。
 都はこれまで、ナイトライフの観光振興を推進してきましたが、来年度はどのように取り組んでいくのか、これまでの取組と併せて伺います。

○築田観光部長 都はこれまで、東京の夜に新たな楽しさとにぎわいをもたらすため、桜のライトアップや夜間のコンサートなど、地域が実施する取組への支援を行ってまいりました。
 今年度は、プロジェクションマッピングの国際大会を初めて開催し、感染防止対策を徹底した上で、世界中から集められた上位十九作品を四日間上映するとともに、オンラインを活用して国内外に発信いたしました。
 来年度は、日中の時間帯以外の観光コンテンツを一層充実させるため、地域の特色を生かした取組を新たに支援してまいります。
 具体的には、区市町村や地元の観光協会等に対し、ナイトツアーや早朝マルシェなどのイベントの開催等に必要な経費を、最大三分の二まで、二千万円を上限に助成いたします。
 こうした取組によりまして、地域の観光資源をより効果的に活用し、旅行者の誘致につなげてまいります。

○入江委員 ありがとうございます。このプロジェクションマッピング国際大会は、大変レベルが高く、本来でしたらクリエーターの方が皆さん東京にいらしたと思うんですけれども、オンラインでもしっかりつながって、皆様、いろいろとコメントされていたことが記憶に残っております。これもまさに夜のエンターテインメントということでございます。
 日中の時間帯以外の観光コンテンツを一層充実させるということは大変すばらしいことだと思いますし、また、日本は、観光立国日本あるいはナイトタイムエコノミーという政策をずっと続けてきまして、この二年間のコロナでそれは縮小してきたわけなんですけれども、ぜひポストコロナに向けて、東京もまたしっかりと観光施策に取り組んでいただきたいと思っております。
 しかし、大切なナイトライフなどを支えるライブエンターテインメント関連企業とアーティスト、そして照明とか撮影、音響などを担当するフリーランスの技術者、そうした方たちの事業機会の損失は長期化しているのが実態です。皆さん、大変苦しい状況にございます。
 「未来の東京」戦略には、東京二〇二〇大会で広がった東京の魅力をレガシーとして、アート、伝統芸能、ライブエンターテインメント、食などの強みを生かし、何度でも訪れたくなる東京へ進化と書かれております。
 また、間もなくまとめられる東京文化戦略二〇三〇では、コロナ禍において、国内外の観光客が大幅に減少、「未来の東京」戦略においては、観光的な魅力の向上に資する芸術文化の重要性が示されている、その際、対象とする芸術文化の範囲として、これまで都の文化施策で主に対象としてきた領域にとどまらず、主に民間が牽引しているエンターテインメントなども含めて、総合的に展開することが重要と書かれております。
 このPRIME観光都市の冊子、大変読み応えがあって、楽しく、すばらしいと思ったんですけれども、残念なことに、エンターテインメントという言葉が出てきていなかったんですね。
 今ご説明したように、東京の大きな魅力であるインバウンド観光やナイトタイムエコノミーを支えるライブエンターテインメント産業の救済や発展のための施策を、今後、産業労働局でぜひ取り組んでいただくことを強く要望いたします。
 質問を終わります。ありがとうございます。

○細田委員長 議事の都合により、おおむね三十分間休憩といたします。
   午後六時十二分休憩

   午後六時四十五分開議
○細田委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○高倉委員 最初に、観光についてお伺いしたいと思います。
 今回のコロナ禍の中で、最も打撃を受けている分野、これはその一つが観光であるというふうに思います。業界としての観光だけではなくて、やはり一般の都民の方々についても、長引くコロナ禍の中で移動ができない、外に行けない、旅行に行けないと、これはとても、何ていうんでしょうか、大きな影響が、心身ともに影響があるというふうに思います。
 旅行というと、余暇活動みたいな感じがちょっとするんですけれども、私たち人間の暮らしの中で、やはり旅行というものは極めて不可欠のものであるということを、改めて今実感をしているような状況がございます。
 私はこれまでも、例えば障害のある方、あるいは高齢の方がまさに不自由することなく旅行ができる、こういうことを取り上げながら推進をしてきたつもりでいるんですけれども、障害者、高齢者が観光する、いわゆるアクセシブル・ツーリズム、こういった言葉もあるんですけれども、こういったことに関して、今日は特に障害のある方のための観光というところにちょっと視点を置いて、まず、質問させていただきたいと思います。
 以前私、都議会で取り上げたことがあるんですけれども、私は山登りが大好きですので、登山を楽しむ方の中にも、例えば車椅子でもって都内の御岳山に登るとか、あるいは視覚障害のある方がサポートしてくれる方と一緒に、そういった山に登るとか、やりようによっては、いろんな方がいろんなハンデが仮にあったとしても、それはしっかり楽しめるというようなことが十分可能なんだなということを感じているわけであります。
 観光地等に行きますと、施設などがあって、バリアフリー化というのは進んでいるわけですけれども、一方で、至るところに例えば段差があるとか、それからおトイレが仮にあったとしても、そこはいわゆる誰でもトイレでない場合があったり、そういうトイレなのかどうかという情報も十分でなかったりしているわけですけれども、そういった細かな情報を入手できると、障害のある方も含めて誰もが快適に観光を楽しめると。私は、東京の観光を考えたときに、東京というところをそういう都市にしていかなければならないというふうに思っております。
 私の知っている車椅子の障害のある方が、車椅子のままずっと有名な観光地も含めて移動ができますよというのを、全部ずっと動画で撮って、それを紹介をしているというような方もいて、非常に分かりやすいですね、ああいう情報はいいですね。私も車椅子だけれども、あそこへ行けるんだということが物の見事にその動画で分かるわけですね。こういったことを試みていらっしゃる方もいて、そういうきめ細かな情報発信をしていくということが、私は必要ではないかなと思います。
 そこで、障害者などが観光する際に必要な情報の提供に関して、都のこれまでの対応と今後の取組についてお伺いしたいと思います。

○築田観光部長 障害者や高齢者の方々などが安心して都内観光を楽しむためには、バリアフリー情報の発信を充実していく必要がございます。
 このため、都は、宿泊施設や観光施設、交通機関のバリアフリー情報等を収集しやすくするためのポータルサイトを運営するとともに、東京観光バリアフリー情報ガイドを作成し、都内の人気観光スポットをつなぐ三十コースについて、障害がある方の協力を得ながら、コース上の留意事項を集約し、ウェブサイト等を通じて情報提供しております。
 今年度は、観光バリアフリー情報ガイドについて、ルート上の段差や勾配などをあらかじめ確認できる三百六十度動画を一部のコースで作成しておりまして、年度末までに公開いたします。来年度は、こうした動画を他のコースでも増やすとともに、多摩地域の観光コースを新たに五つ作成するなど、情報提供の充実を図ってまいります。

○高倉委員 今、答弁の中でも、都内の人気観光スポットをつなぐ三十コースというお話がありました。これを多摩の方で、さらに五コース増やすということで、ぜひお願いしたいと思います。実は、多摩の方がちょっと少ないんですよね、数が。多摩地域というのは非常に自然豊かで、観光地としても、とても魅力があるところじゃないかなと思っています。
 あまり知られていませんけど、東京にも自然公園というのがいろいろあるんですけれども、都道府県の自分のところの県に占める自然公園といいますか、自然公園の面積の割合が、東京都は実は全国第二位なんですよ。非常にそういう自然が豊かなところでもあるんですね。ぜひ魅力をしっかり発信していただきたいと思います。
 それから、最近は、デジタル技術の進歩が著しくて、VRですとかAR、また5Gといった先進技術が医療、また交通など様々な面で利用されています。
 観光の面でも、VR等を活用したオンラインツアーといったことを利用することによりまして、障害のある方、あるいは高齢者の方でも気軽に観光体験ができると。単に仮想空間だけ見るんじゃなくて、これは組み合わせることによって非常に魅力的なことがまた可能なんですね。
 バリアフリー観光を進める上でも、こうした技術を積極的に取り入れることが重要だというふうに考えますけれども、来年度、どういう取組をされるのか、答弁を求めたいと思います。

○築田観光部長 障害者や高齢者の方々などに新たな観光体験を提供するため、デジタル技術を活用することは効果的でございます。
 このため、都は来年度、ドローン操作体験のできるモニターツアーを三回程度実施いたします。
 具体的には、障害がある方が観光地を訪れたり、自宅等から参加して、技術指導を受けながらドローンを操作し、これまで見ることのできなかった上空や山頂などからの映像を、VRゴーグルやモニターでライブ体験していただきます。
 また、参加者の声や企画のポイントなど、モニターツアーにより得られた成果をウェブサイトやシンポジウムを通じて、観光事業者の方々に幅広く紹介いたします。
 こうした取組により、誰もが楽しめる新たな旅行商品や観光コンテンツの創出につなげてまいります。

○高倉委員 先ほど申し上げましたけれども、実際、現実のリアルな観光地と併せてデジタルを組み合わせることによって、また違った魅力が出てくるんですね。
 今、答弁では、ドローンの操作体験ということで、これはめったに操作することはできませんね。こういったことを組み合わせて観光するということで、これは、とても私、期待をしたいなと思いますので、ぜひ大成功されるように頑張っていただきたいというふうに思います。
 こうしたデジタルの活用といったことは、今申し上げたように、広く観光でも活用ができるということでありまして、特に今、感染症が広がっている中では非常に有効なツールの一つではないかなというふうに思います。
 もう二年以上にわたって感染症が私の身の回りをずっと襲ってきていて、一番、観光が影響を受けているものの一つなわけです。感染が広がったら、もう我慢するしかないという、じっとして我慢するというか、動かないで、ようやくまた感染がちょっと、終息ではありませんけど、ずっと下火になってきたらば、何とかまたちょっと観光地に行くとか、あるいは飲食店に行くとか、こういったことを少し緩和してやっていく。ところが、また感染が広まると、また、じっとしていなきゃならないと。この繰り返しなんですね。
 したがって、一番大きな打撃を観光が受けてしまうわけですけれども、今後、こうした感染症というのは、今回に限らず、ちょっとはっきり分かりませんけれども、また新たな感染症ということが出てくるかもしれません。
 そういうときに、やっぱり感染症が出てきて、もちろん、最初ばっと感染が広がるときはじっとしていた方がいいと思いますけれども、しかし、ある程度対処方法が分かったときには、なるべく普通の生活に戻っていくということで、私は観光についても、こういう感染症と共存をしていくという、そういう考え方、つまり、感染があったらもうやめちゃう、また感染が下がったら行くというんじゃなくて、長く続くときには感染症と共存をする観光の在り方、考え方、こうしたことをしっかり考えて、場合によっては、いろんな観光に関わる計画にも、今回、非常に二年間という、もう既に二年以上に多分なると思います。
 ずっと、もっと長くなるかも分かりませんが、この間経験したこと、また、いろいろ対策を講じたことは、そういう観光の面においての感染症との共存はいかにあるべきか。これがしっかりできれば、もちろん打撃はあるとは思いますけれども、共存する中で、やっぱり観光産業においても、ある程度持続ができていくと。そして、私たち一般の都民にとっても、まさにじっとしていて、ストレスがどんどんたまっていくということではなくて、やっぱり観光を楽しむことができる。
 したがって、ぜひ感染症と観光の共存といったことを、計画になるのか、あるいはしっかりとした対処法になるのか分かりませんけれども、こういった道を探って、何らかの形で、遺産として、遺産というか今回の感染症における一つの大きな情報として残しておいていただければというふうに思います。
 そこで、この感染拡大を抑えつつ、観光を動かしていくという方法も当然考えられるというふうに思います。
 都は、観光の安全性を高めつつ、旅行者の受入れを進める事業者に対してどういうふうに支援をしていくのか、答弁を求めたいと思います。

○築田観光部長 都はこれまで、観光事業者による感染防止対策を支援するほか、非接触サービスの導入など、密を回避するための事業者の取組事例をウェブサイトで周知すること等によりまして、安心して旅行ができる環境の整備を後押ししてまいりました。
 来年度は、優良事例の掲載をさらに充実させることで、事業者による新しい日常への対応を促進してまいります。
 また、新たにデジタル技術の活用に取り組む観光事業者に対しまして、観光施設等での密を避けるためのAIを活用した混雑予測の情報提供や、宿泊施設における生体認証によるスマートキーの設置などに必要な経費の三分の二を、二千万円を上限に助成いたします。
 こうした取組により、観光事業者による新たなサービスの創出をサポートし、観光産業の活性化につなげてまいります。

○高倉委員 今、具体策についての答弁がありましたけど、ぜひよろしくお願いしたいと思います。そして、また大きな観点から、観光と感染症の共存といったことも考えていただきたいと思います。
 次に、キャッシュレスが利用できる店舗といいますか、キャッシュレスが利用できる環境の拡大についてお伺いしたいと思います。
 コロナの感染拡大によりまして、地域住民の買物や飲食の場である商店街では、レジでの接触をなくすキャッシュレスの利用ニーズが高まっております。また、都内では、キャッシュレス決済でポイントが還元されるキャンペーンを多くの自治体が行っておりまして、対応の有無が商売に大きく影響していくということも考えられるわけであります。
 今は、コロナの影響によりまして海外からの旅行者も大きく減ってはおりますが、コロナ後も見据え、早期にキャッシュレス化を進めていく必要があると考えております。
 そこで、まず、都内の商店街において、キャッシュレスが利用できる店舗の割合がどの程度あるのか、また、キャッシュレスの導入に当たってどういった課題があるのか、答弁をいただきたいと思います。

○緑川商工部長 商店街の連合組織が令和二年度に実施をいたしました商店街に店舗等を構える事業者へのキャッシュレスに関するアンケート調査によりますと、キャッシュレスを導入していると回答した事業者は約四割となってございます。
 業種別では、スーパーマーケットなどチェーン店では全ての店舗で導入されているものの、小売業や飲食業の導入率は約五割、サービス業では約三割程度にとどまっております。
 また、キャッシュレス化の課題といたしましては、手数料が高い、現金化にタイムラグが生じる、決済業者、決済方法が多過ぎるといった回答が多く挙げられております。

○高倉委員 スーパーなどチェーン店での導入が進んでいる一方で、個人の店舗ではキャッシュレス化が進んでいないという、そうした実態があるようであります。
 また、商店街に店舗を構える個人商店などでは、利幅が少ないといったケースもありまして、なかなかキャッシュレス化に踏み切れない店舗が多いということ、こういった現実があると思います。
 しかし、消費者の目線に立てば、小銭の支払いの煩わしさや、コロナ禍での非接触ニーズの高まりなどもありまして、今後、キャッシュレスは、ますます広がっていくということが予想されます。こうした流れに乗り遅れることで消費機会を失うようなことがあっては、売上げの増加も望めないと思います。
 近年、スマートフォンの普及などにより、キャッシュレス決済も多様化をしておりまして、手数料の引下げや現金化のサイクルも短期化しているなど、これまでデメリットとされてきた要因も少しずつハードルが下がってきているのではないかと思います。
 先ほどの答弁でも、どの決済手法が最適なのか分からないといった声も多いということでありまして、現在のキャッシュレス決済に関する状況の説明や選び方など、導入に向けた丁寧なサポートが必要であると思います。
 都では、商店街に対し、キャッシュレスをはじめとしたデジタル化の取組を支援しておりますけれども、今年度の支援内容と来年度の取組について答弁を求めます。

○緑川商工部長 都は、商店街が行うキャッシュレスをはじめとするデジタル化の取組に対しまして、専門家の活用や機器の購入などに要する経費につきまして十分の九を一千万円を上限に助成をしてございます。
 今年度は、多様化する決済サービスの特徴や操作方法等について専門家の助言を受け、様々な電子決済を一台で対応できる機器を導入し、加盟店のキャッシュレス化、キャッシュレス比率を大幅に増加させた事例など、六件の取組を支援しております。
 来年度は、この支援規模を二十件に拡大し、より多くの商店街による自主的な取組をサポートすることで、キャッシュレス化をはじめとするデジタル化を一層後押しし、さらなる活性化につなげてまいります。

○高倉委員 ぜひ、しっかりと取組をお願いしたいと思います。
 次いで、障害者向けの製品開発の支援について質問します。
 北京で先日まで開催されていた冬季のパラリンピックは、日本人選手をはじめ、世界各国の選手の活躍によりまして、大変な盛り上がりを見せたと思います。コロナ禍やロシア軍のウクライナ侵攻といった大変暗いニュースが続く中で、障害を持つパラアスリートの活躍は、世界中に勇気と感動を与えたと思います。
 昨年の東京パラリンピック競技大会では、バドミントン用車椅子で東京都中小企業振興公社が、そして、バスケットボール用車椅子で大田区が、中小企業を支援しまして、開発された障害者スポーツ用具を使用して、アスリートがメダルを獲得いたしました。
 東京都が中小企業の技術開発の後押しという形で支援ができたということで、私もとても喜ばしいことだと感じています。
 これを大会のレガシーとしまして、今後も、障害者スポーツ用具の開発や製品化をサポートするとともに、技術力の向上に取り組む中小企業を支援していくべきと考えますけれども、来年度の取組について答弁を求めたいと思います。

○緑川商工部長 都産技研では、中小企業との共同研究により開発したアスリートが使うバドミントン用車椅子の軽量化で得たノウハウを活用いたしまして、今年度、障害者がバドミントンを気軽に楽しめる車椅子の開発などを中小企業と共同して行っております。
 また、来年度は、強度が強く軽い部材を使用することなどにより、運搬が容易なことに加え、障害者も使いやすい車椅子など、高性能な用具を中小企業と共に開発をしてまいります。
 都は、こうした都産技研の取組に対しまして、令和三年度は約六千四百万円であった予算額を、来年度は約八千二百万円に拡充し支援をいたします。
 このような取組を通じまして、技術力のレベルアップに取り組む中小企業を支援してまいります。

○高倉委員 すばらしい製品を開発するということは本当に喜ばしいことだと思いますけれども、手元資金の不足などがネックとなりまして、開発後の製品の販売がうまくいかずに普及が進まない企業も存在をしておりまして、販路開拓に向けた支援が大変重要であると思います。
 都は来年度、障害者向けスポーツ関連の製品等の製造に取り組む都内中小企業に対しまして、販路開拓の支援を開始するということにしておりますけれども、その具体的内容について答弁を求めます。

○緑川商工部長 都は来年度、障害者向けスポーツで必要な車椅子や義肢、義足などのほか、日常生活に必要な点字器や歩行器など、多様な製品の普及をサポートしていくため、これらを製造、販売する中小企業の販路開拓に対する支援を開始いたします。
 具体的には、福祉用具の専門展示会等への参加やECサイトの出店に要する経費のほか、ウェブサイトの構築などに要する経費につきまして、その三分の二を、百五十万円を上限に助成いたします。
 こうした取組によりまして、障害者向け用具の開発において優れた技術を持つ中小企業の事業活動を後押ししてまいります。

○高倉委員 今、パラスポーツに対する、非常に注目、そして盛り上がりがあります。ただし、今、スポーツ用品のお話をしましたけれども、利用する方は必ずしも多いというわけではありません。したがって、ちょっと高いということがあるんですね。ぜひいろいろな支援をしていただいて、価格の面でもですね、それが抑えられるように、そうすることは、やっぱりパラスポーツがさらに発展していく上でも大きな要因となりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 最後の質問になりますけれども、若者の雇用対策についてお伺いしたいと思います。
 先月、民間の就職支援企業が公表しました来春卒業する学生の採用予定調査によりますと、企業の採用意欲は回復傾向にありまして、昨年の調査と比較しますと、採用予定数を増やすと回答した企業の割合が増加しています。
 しかしながら、コロナ禍は、いまだ先が見通せずに、今般のウクライナ情勢が経済や雇用環境に影響を与えるリスクは否定できないものであります。特に若者が、かつての就職氷河期世代の方と同じような試練に直面することがないように、しっかりと支援していく必要があります。
 また、若年者の採用面接においては、学生時代に力を入れたことは何ですかと、こういった質問が定番であるようでありますが、コロナ禍における活動の制限から、アピールできることが乏しく、回答に窮するという方も多いと聞いております。
 こうした状況を踏まえ、都は、就職活動を行う若者を後押しする支援の充実を図るべきと考えますけれども、見解を求めます。

○村西雇用就業部長 都は来年度、若者を対象として、就職活動における実践的なスキルを習得する新たな就労支援プログラムを開始いたします。
 具体的には、専任の就職支援アドバイザーがカウンセリングを行い、応募書類の作成方法や自己PRを効果的に行う面接対策、業界研究といった就職活動のノウハウを提供するセミナーの中から、若者の準備が不足している分野のセミナーを選択し、受講を推奨してまいります。
 また、この就活セミナーのプログラムは、学生はもとより、非正規雇用で働く若者の求職者も受講できるよう、平日の夜間や土曜日も含め、様々な時間帯で実施し、年間を通じて百回のセミナーを提供してまいります。

○高倉委員 本日は、これまでの質疑の中で、障害者スポーツ用具の製品の開発や普及に取り組む中小企業の支援、また商店街のキャッシュレス化、あるいは若者の雇用対策、さらには障害者が安心して観光を楽しめる観光の環境づくり、こういったことについてお伺いをさせていただきました。
 コロナ禍が長期化し、都内中小企業は依然として厳しい経営状況が続いております。こうした中、中小企業が、障害のある方、高齢者、若者など、多様な人材を活用しながら事業展開を行うことへの支援やその成長を後押しする取組によりまして、東京の経済の活性化につなげていくことが重要であるというふうに考えます。
 最後に、産業労働局長の見解を伺いまして、質問を終わりたいと思います。

○坂本産業労働局長 コロナ禍に伴うデジタル化の進展や脱炭素化への様々な動き、こうした社会環境の変革に、このたびのウクライナ情勢の影響も加わっております。
 こういう中で、中小企業を取り巻く事業環境、これはもう本当に日々刻々と変化をしているといっても過言ではないと考えております。中小企業がこうした変化にしっかりと的確に対応して発展を遂げ、それがひいては東京の産業の持続的な成長へとつながる、こういうような支援をしっかりと我々もやっていかなければならないと思っております。
 そのためには、そういう職場で就労を希望する方が自らの個性、能力を生かして、そうした職場で働くこと、そして、多様な人材を事業活動に取り入れていく、こうしたことを後押しをするということと、そういう取組を含めて積極的にいろいろな事業展開をやるという中小企業、これをやはり重点的に後押しをしていくことが重要であろうと思っております。
 都では、障害者や高齢者、若者など、誰もが活躍できる職場の就労環境の整備に加えまして、例えば地域社会におきましても、先ほど申し上げたような形で、商店街において、意欲のある女性や若者の開業を支援していく、活動を支援していくというようなことに力を入れております。
 こうした例えば商店街における女性や若者は、別の面では、商店街における新しい流れであるキャッシュレスの導入、こういったものにも前向きに取り組んでもらえるのではないかというふうに期待をしておりまして、しっかりとしたサポートをしていきたいと考えております。
 また、脱炭素社会の実現につながる技術開発や東京二〇二〇パラリンピック大会のレガシーを受け継ぐ障害者向けの製品開発など、新たな事業に果敢にチャレンジをする中小企業の取組も着実に後押しをしていこうと思っております。
 また、一方で、非常に今ダメージが大きいのが、やはり観光産業だと。これは冒頭でご指摘もございました。感染拡大の防止をしっかりとやりながら事業活動をやるという、この両立を際立って求められているのが、まさしく観光産業ではないのかと、このように考えております。
 そういう観光産業については、やはり、デジタル化ということによってサービスの質を高めて経営の効率化を図るという部分と、新たな潮流であるSDGs、こういう観点からアクセシブル・ツーリズム、こういったものにもしっかりと取り組んで、それをまた我々が後押しをしていくというのも重要なテーマになろうと思います。そして、その新しい担い手を観光産業の中に生み出していくと、こういったこともまた大切になろうと思います。
 こういうことを含めましても、今、現時点でも動きがどんどん始まっているこのウクライナ情勢の都内経済への影響を、その時々で的確に捉えながら、産業の活性化や新たな成長につなげるよう、局一丸となって取り組んでまいります。

○清水委員 質問に先立ちまして、委員会審査に当たり、資料の提出をいただきました。ありがとうございます。
 今、新型コロナ感染症の拡大の終息も見えずに、さらには、原油高、ウクライナ情勢などの影響によって、資材や原材料の高騰も加わって、中小業者を取り巻く環境は一層厳しさを増しています。このような中で、東京都の産業を中心になって支えている中小業者、これをどのように支えていくのか、このことは新年度の最優先課題の一つではないでしょうか。
 それでは、順次質問をさせていただきます。
 最初に、今の都内中小業者の状況、国の事業復活支援金への上乗せや横出し及び家賃やリース代など固定費への助成の必要性について、東京都の認識をお伺いいたします。

○緑川商工部長 都は、厳しい経営環境にある中小企業を下支えするため、資金繰り支援を行うほか、国の事業復活支援金の支給を受けた中小企業に対しまして、販路開拓に必要な経費の助成を行っております。

○清水委員 一時支援金等受給者向けの事業について実績をお伺いすると通告しておりましたけれども、先ほどの質疑でご答弁がありましたので、ここについては省略をさせていただきます。
 一時支援金等受給者支援事業、これはコロナの影響をとりわけ深刻に受けた方々への制度です。ですから、通常の制度に比べて、販路開拓だったら、通常は三分の二補助が五分の四に、設備投資だったら二分の一が五分の四にというふうに、既存の支援制度よりも事業者の負担を軽くしている、このことはとても重要だと思います。
 販路開拓の支援は、来年度も引き続き実施をする、このことが先ほどの答弁でありました。しかし、設備投資については、約百三十件の申請があるものの、十七件の交付しか行われていない。しかし、新年度も、この制度を続けていくというふうなことは表明されませんでした。なぜこの時期にやめてしまうのでしょうか。引き続き手厚い支援を行うべきではないかというふうに思います。
 先ほどの質疑の中でも、今の中小業者の中には、かなり経営が厳しくて、二年連続で赤字決算になってしまっているので、設備投資をしたいと思っても融資が受けられない、こういう実態も紹介されました。ぜひ、引き続き手厚い支援を行っていくべきと考えますが、いかがでしょうか。

○緑川商工部長 国の事業復活支援金の受給を受けた中小企業に対しまして、ニーズの高い販路開拓等の支援につきまして、来年度は実施をしてまいりたいと考えております。

○清水委員 お聞きしたのは、つまり、そういう事業はあるんだけれども、確かに販路開拓のニーズが高いことは承知をしています。それはそれでとても大事なことだというふうに思います。
 しかし、事業を継続していくため、または充実させていくために設備投資が必要だと、専門家の支援を受けて販路開拓の検討をして設備投資が必要だというふうになったときに、じゃ、融資を受けてやろうと思っても赤字決算だとそれが受けられない、こういう実態があるわけですよね。
 そういう中で、この一時支援金等受給者向けの設備投資というのは五分の四の補助で受けられるわけです。そうすると、二割負担で設備投資ができるということになりますよね。一般の事業だと二分の一補助なんですよ。大きな違いがあると思います。
 そういう点では、販路開拓のニーズが高いというのは、それはそれでやっていただくんだけれども、やっぱり設備投資についてもきちっとやるべきではないかというふうに思います。
 新型コロナの第六波では緊急事態宣言が出ませんでした。ですから、月次支援金はありません。飲食店などへの協力金も減額をされました。一方で、感染拡大がいまだ続いていて客足は戻っていません。そんな中に、さっきご紹介したように原油高やウクライナ情勢、こうした状況も加わって厳しさが一層増しています。
 中小業者への直接的な支援、特に深刻な影響を受けている一時金等受給者に向けた支援、中でも設備支援、こういうものは継続して行うことを重ねて強く求めておきます。
 次に、観光事業者への支援についてお伺いします。
 先ほども産業労働局長が、最もダメージを受けた、そういう分野だというふうなご答弁がありました。島しょの宿泊業者からお話を伺いましたけれども、このコロナで、これまでどおりお客を受け入れている宿泊業の方は約三割になっているそうです。あとは、これまでの常連さんから行きたいというふうにいわれて、そういう方だけを受け入れている、または休業している、こういう状況に陥っているという話でした。
 島しょにとって、観光というのは、これまで基幹産業だったと。これまでは従業員やアルバイトなどを雇って、島の雇用を中心になって支えていた。それが今は逆に、家族がほかに働きに出るような、こんな状況に陥っているんだというふうに伺いました。
 都は、観光関連事業者への支援として、宿泊施設の感染対策の防止への助成、また、旅行業者等の経営活力向上に向けた支援、こういうものを行っております。これも確かに大事な事業ではある、支援ではあると思います。
 しかし、観光客が来ないということは現金収入がないんですよね。ここをどう支えていくのか。しかも、それが長期化しているわけですから、ここを何とかするというのは、とっても大事なことだというふうに思うんです。
 改めて、観光関連事業者への直接支援の必要性について、都はどのような認識を持っておられるのか、また、今後の支援の方針についてお伺いします。

○築田観光部長 厳しい経営状況にある観光関連事業者の事業継続を後押しすることは重要でございます。都はこれまで、感染防止対策への助成のほか、事業者の業務改善や新たな事業展開などの取組を支援してまいりました。
 今後とも、観光関連事業者の経営基盤の強化に取り組んでまいります。

○清水委員 厳しい経営状況にあるというふうな認識は示され、そこを事業継続、つまり、事業を継続していけるような後押しをするということはとても大事だというふうな認識は示されました。
 しかし、そこの対策、どういうものをというと、感染防止対策への助成、それから事業者の業務改善や新たな業務展開などの取組を支援するということで、観光業者、一体どうしていくのか。今、現金収入がなくて困っているというところに対してどうするのかというふうなことが言及されません。直接支援には言及をされません。
 観光関連事業者の経営基盤の強化、こういうお言葉がありましたが、観光関連事業者の経営基盤の強化、これは具体的にはどういうふうな取組になりますか。

○築田観光部長 観光関連事業者によるデジタル技術を活用した取組や、専門家の助言を受けて行う経営改善などを支援してまいります。

○清水委員 DXの取組と経営改善ということでしたが、やっぱり収入には直接的には結びつかない、そういう支援になっているというふうにいわざるを得ません。
 お客さんが来なくて現金収入がない中で苦境に立たされている、そういう観光関連事業者への支援というのは、やっぱり今は直接的な支援を待ったなしに行わなければならないというふうに思います。改めて強く要望して、次の質問に移ります。
 次に、職業訓練についてお伺いします。
 初めに、東京障害者職業能力開発校についてお伺いします。
 民間の障害者雇用は増加傾向にあって、発達障害など精神障害者の雇用が伸びています。全体の約半数を占めるほどになっています。
 一方で、発達障害など精神障害は、一人一人の障害の様相も様々であることから、障害特性に配慮したきめ細かな訓練やマッチングが求められています。
 東京障害者職業能力開発校では、具体的にどのような取組をされていますか、説明を求めます。

○村西雇用就業部長 東京障害者職業能力開発校では、体調が不安定な精神障害者の方などを対象として、訓練時間に配慮しながら、基本的な事務作業、清掃作業等の実習を行い、作業適性を見いだす訓練科目を設置しております。
 また、ビジネスマナーやコミュニケーションスキルの取得とともに、事務や物流サービス、販売、接客などの業務を習得できる職域開発の訓練科目を設置するなど、個々の障害の特性や能力に応じた訓練を実施しております。

○清水委員 発達障害の方の中には、対人関係で困難を抱えている方も多く、専門家を交えて丁寧に説明すること、訓練生に寄り添った支援を行うことが重要だと考えますが、東京障害者職業能力開発校ではどのような対応をされていますでしょうか。

○村西雇用就業部長 障害者職業能力開発校では、技能の習得を担当する職業訓練指導員に加えまして、精神保健福祉士などの生活指導相談員を配置し、きめ細かな支援を実施しております。
 この生活指導相談員は、訓練に関する様々な相談に対応するとともに、生活面における助言も併せて行っております。こうした相談体制につきましては、入校時等に案内をしております。

○清水委員 受講生の特性は一人一人異なります。時には、職業訓練指導員の指導が通らない、こういうこともあります。その際には、受講生が理解できるようになるまで、また課題が達成できるようになるまで粘り強く指導していただくことを求めます。
 また、このような状況で困っている受講生と職業訓練指導員との間に入って、専門的な知見から生活指導相談員が相談、助言を行うこと、これはとても重要だというふうに思います。
 しかし、実際、受講生から、どこに相談をしていいか分からない、こういう声が寄せられました。入校時に案内をしているということでしたけれども、まだまだ受講生に十分に周知されているとはいえないのではないでしょうか。丁寧な周知をしていただくように求めるとともに、また、受講生がいつでも気軽に相談できる場所を分かりやすく設置をしていただくことを求めます。
 さらに、様々な受講生に丁寧に寄り添った助言をしていくには十分な体制が求められます。この五年以上、障害者職業能力開発訓練校では、職員数が増えていません。ぜひ増員を求めます。
 また、いただいた資料では、都立の職業能力開発センター全校で、この五年間、やはり一人も職員が増えていません。併せて、増員を求めておきます。
 次に、業界団体が行う人材育成などへの支援についてお伺いします。
 昔は、ものづくりの技術というのは、現場の親方から職人さんへと伝えられてきました。しかし、親方も職人さんも減って、このままでは、ものづくりの技術を伝えられなくなる、こういう思いから、業界団体が職業訓練校をつくり、技術を伝える努力を行っています。ものづくりの事業や技術の継承のためには、こうした業界団体が従業員に対して行っている認定職業訓練校が重要な役割を果たしています。
 第十一次東京都職業能力開発計画では、業界団体などの認定職業訓練の充実のために、運営費や設備整備に要する経費の一部を補助するとしています。
 現在、国や都がそれぞれ三分の一の補助をしていますが、さらなる支援の充実を求める声が寄せられています。都は、今後どのように支援を充実させていくのかお伺いします。

○村西雇用就業部長 都は、国の基準に基づきまして、認定訓練に係る補助金を交付しており、国に対して、基準額の算定基礎となる単価等の引上げを要望しているところでございます。

○清水委員 国や都、合わせて三分の二を補助している、そういうことになっているんですけれども、答弁にあったように、単価は長く引上げがされていません。この設定について、引上げを要望しているということでした。
 ある職業訓練校では、申請した費用のうち交付されたのは、その二分の一程度になるというふうに伺いました。つまり、対象事業に対して上限も設定されているために、経費の三分の二が必ず補助されるというものではないということなんです。
 しかも、この交付額は、その他の経費も含めた職業訓練校全体の運営経費に照らしてみると、約二割にも上らないんです。二割弱なんです。ほとんどを業界団体が負担をしなければいけない、そういう形になっています。
 やっぱり、額面どおりといいますか、三分の二補助というのであれば、その看板どおりに訓練校の運営経費の三分の二に相当するような支援となるように、国に単価の引上げを求めるとともに、当面の間は東京都として、補助基準の引上げなど、独自に支援を強めていくことを求めます。
 認定訓練校の補助は、雇用保険を財源としているために、雇用保険に入っていない個人事業主や親御さんと同居している家族従業員の分については補助対象外となってしまいます。ある職業訓練校では、生徒の約二割がこの対象外になってしまいます。
 こうした方々に対しては、都独自に補助金を交付することが求められます。認定訓練校への補助対象経費の算定基準に、雇用保険に入っていない家族従業員なども加えて支援すべきと考えますが、いかがでしょうか。

○村西雇用就業部長 先ほども答弁いたしましたが、都は、国の基準に基づき、認定訓練に係る補助金を交付しております。
 国に対しては、雇用保険に加入できない同居親族等の訓練生につきましても、補助対象とするよう要望をしているところでございます。

○清水委員 国に対して要望していただくのは、ぜひやっていただきたいんですけれども、そうはいっても、やっぱり今の補助金と運営経費の実態はあまりに乖離をしているわけです。二割しか補助で見てもらえない、八割を業界団体が負担というふうになると本当に重いので、ぜひこれについては都独自の補助を検討していただきたいと思います。
 もう一つ、認定職業訓練校の受講料、これは原則として全額事業主が負担することになっています。しかし、雇用保険に加入している事業者は、厚生労働省の人材開発支援助成金を受けることができて負担が軽くなるんです。
 しかし、先ほど紹介したような個人事業主、同居親族で雇用保険には加入していない、こういう事業者は助成を受けることができません。国の助成制度が受けられない方々に対する費用を都独自に支援することも必要だと考えますが、いかがでしょうか。

○村西雇用就業部長 国におきましては、雇用保険を活用し、助成金を支給しておりまして、その対象については、国が取り決めるものと考えております。

○清水委員 それは十分に分かっているわけです。ただ、その実態が、その制度が実態に見合っていない、そこは問題だろうと。そのことについて東京都としてどうするのか、このことが、今、問われているわけです。
 業界団体が大きいときはよかったんですけれども、業界団体もだんだん小さくなってきています。特にものづくりのところというのは、物すごく従業員も事業者も減っているんです。なかなか支えるのも難しくなっている。そんな中で、こういうところがなくなってしまったら、ものづくりの技術を伝えていくことができなくなってしまうわけですよ。そうしたら、せめて、国の制度で漏れてしまうこういう人たち、ここに支援をするということは、ぜひ東京都としてやっていただきたいというふうに改めて強く求めて、次の質問に移ります。
 知的財産に対する関心、知的財産の重要性の認識は高まっているものの、いまだ半数程度にとどまっている、こういう結果が東京都の調査で明らかになりました。
 まずは、知的財産の重要性を理解してもらう、このことが急がれますが、都の認識と施策についてお伺いします。

○緑川商工部長 知的財産は、自社の競争力を高め、技術やブランド等を保護する重要な役割を果たします。
 このため、都は来年度、スタートアップ企業などを対象に、知的財産の活用や戦略の策定に必要な知識につきまして、基礎から応用までを学ぶ講座等を実施いたします。

○清水委員 広く知らせるための様々な講座を開催するということでした。
 もう一つ、中小企業やスタートアップ企業は、人的、財政的な余裕がないために、知的財産活用の必要性、重要性は十分認識をしているんだけれども、人も配置できない、対策も取れない、こういう状況に置かれているということも東京都の調査で明らかになりました。
 こうした企業に対しては、弁理士や弁護士など専門家をはじめ、都の関係機関、または都以外の他の支援機関などにつないでいくこと、それから継続的寄り添い型の支援、また、待っているだけではなくて、こちらから出かけていくアウトリーチ型の支援も必要と考えますが、都の認識と施策についてお伺いします。

○緑川商工部長 スタートアップ企業の多くは、資金などの経営資源が限られており、自社の知的財産を活用し切れていない状況でございます。
 このため、都は来年度、スタートアップ企業等に対しまして、専門家がチームを組んで、知的財産の活用等についてアドバイスを行う取組を実施いたします。

○清水委員 東京都知的財産総合センターの支援事業に関する要望のうち、最も多かったのは、出願費用などの助成の拡充で二〇・一%でした。
 とりわけ経営資源が限られている中小企業やスタートアップ企業にとって、財政面での手厚い支援、これが求められていますが、都の施策についてお伺いします。

○緑川商工部長 都は来年度、新技術を開発し、特許化を目指すスタートアップ企業に対しまして、専門家による助言と必要な経費について助成をいたします。

○清水委員 知的財産の活用、まだまだ取組は端緒、始まったばかりというふうなところにあるかと思います。
 まずは広く知らせていただくこと、そして相談に乗っていただくこと、経済的な資源が限られている人たちへの手厚い支援、こういうものを改めて求めて、次の質問に移ります。
 男女の賃金格差の是正についてお伺いします。
 都内事業者の男女の賃金格差の実態について、都はどのような認識を持っておられますでしょうか。

○村西雇用就業部長 国の調査によりますと、女性の賃金は男性の約七四%となっております。

○清水委員 女性の賃金は男性の七四%、ただ、国の調査だということですが、都として、男女の賃金格差をなくすための取組が求められておりますが、いかがでしょうか。賃金格差の原因を見極めるための実態調査、それぞれの企業の実態の公表、こうしたものが必要と考えますが、いかがでしょうか。

○村西雇用就業部長 都は、労使間の協議の参考となるよう、都内中小企業の賃金や賞与等に関する調査を行い、男女別の平均賃金などを公表しております。
 なお、国におきましては、男女の賃金格差は、平均勤続年数や管理職比率に差異があることを主な要因としております。

○清水委員 今ご答弁にあったように、男女の賃金格差が生まれる主な要因というのは、平均の勤続年数や管理職の比率に差異があることだ、これが国の調査で明らかになっています。
 この背景にあるのは、家事や育児と仕事との両立が困難な仕組みが、配置面での男女差を生むこと、配置や人事評価で男女間に偏りがあると、そのことで経験や能力の差が生まれて管理職比率に差が生じるんです。採用、給与表、昇進試験、表面上は全く差がないのに、見えない形の差が歴然としてあるといわざるを得ません。
 また、保育、介護など福祉の仕事は、歴史的に女性が無料で家庭内労働として担ってきたものでもあります。また、女性は、女性の仕事は扶養控除の範囲内で、こういった経過もあって、安く低い賃金になっています。この男女の賃金の格差というのは本当に構造的に生まれているものであります。
 この格差をなくしてきた国々があります。そういう国々の取組を見ると、男女の賃金格差の把握、そして、その公表によって、格差解消のインセンティブが働くことが明らかになっています。
 先ほど東京都は、男女別の平均賃金などを公表しているというふうに答弁がありましたが、企業ごとにその企業で男女の賃金にどういう格差があるのか、こういう公表の仕方をすると、インセンティブが働いて、なくなっていくんだそうです。
 これは経費もかかりませんから、ぜひやっていただきたいというふうに思いますし、東京都で、まずはぜひやっていただきたい。東京都の職員の中でも、男女の歴然とした格差があるのではないかというふうに思いますので、ぜひこれは調べていただいて、積極的に公表していただきたい。
 こうした取組を東京都として積極的に進めていくことを改めて求めるとともに、今回、男女間の賃金格差の是正に向けた施策の推進に関する意見書案を皆さんのところに提案をさせていただいておりますので、ぜひ都議会としても国に働きかけていくことを、委員の皆さんに呼びかけます。
 最後に、農業支援についてお伺いします。
 提出していただいた資料によると、この十年間で東京都の農地面積は一千ヘクタール減少しています。そのうち、生産緑地は四百十二ヘクタール減少しています。
 また、今年は、生産緑地の指定を受けている農地面積の約八割が、指定から三十年の期限を迎え、一気に宅地化が進むのではないか、こういうふうに憂慮されています。
 都は、生産緑地買取・活用支援事業を行っていますが、これまでの実績について説明を求めます。

○山田農林水産部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 生産緑地買取・活用支援事業では、今年度、区市や農業団体への事業説明会を開催し、九の区市から相談や問合せがあり、このうち、個別相談の要望があった三区市に対しましては直接訪問し、事業要件の具体的な説明などを行っております。
 なお、本事業の開始以降、現時点まで、区市からの生産緑地の買取り、活用についての申請はございません。

○清水委員 今年度については、十二の区市から問合せがあって、ご説明をしたり相談に乗ったんだけれども、実際に申請はない。それから、この事業が始まってから今まで、その実績もないというふうなご説明でした。
 今年度、申請に至らなかった理由については、どういうものがあるのでしょうか、ご説明をお願いします。

○山田農林水産部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 今年度は、生産緑地の指定後三十年を経過しておらず、買取り申出の主たる要因は相続の発生でございます。
 そのため、区市による計画的な買取りが難しいことが主な理由と考えられます。

○清水委員 つまり、三十年が経過して計画的に解除をするというふうなことではなかったので、相続なので、短期間に買うかどうかを決めなければいけない、こういうこともあって計画的な買収が難しかった、買取りが難しかったというふうなことが主な原因だというふうなことでした。
 二〇二一年度、今年度、日野市では、生産緑地の買取り申出があった農地は十五件でした。希望価格ではなく公示価格で計算して、十五件、総額約五十三億四千万円です。一件当たり平均三億五千万円、二分の一を補助していただいたとしても、日野市の財政力で到底買い取れる、そういうことができるようなものではありません。
 補助率を抜本的に引き上げる、こういうことが必要だと思いますがいかがでしょうか。

○山田農林水産部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都は、都市農地の保全の観点から、区市が生産緑地を買い取る場合に、その経費の二分の一を補助しております。引き続き、区市を適正に支援してまいります。

○清水委員 せっかく買取り制度を始めて、たくさんの予算をつけながら、一件もそれが利用できないというのは、やっぱり制度上も問題があるのではないかというふうに思います。
 生産緑地の買取りというのは、必ずしも財政的な手当てをすればよいというものでもありません。日野市の中で、例えば十五件の買取り申請が出たときに、全部は買えない。そのときに、どこを優先して買うのか、こういう計画もつくっておかなければいけません。
 また、買い取った農地をそのまま置いておくわけにもいきません。どういうふうに、それを耕作してもらうのか、そうしたことも考えなければいけない、様々なハードルがあります。ぜひ、東京都のさらなる支援の強化充実を求めます。
 次に、学校給食への支援ですが、地場野菜を学校給食に使う取組が全国でも広がっています。日野市では、農家が朝取った野菜を学校に直接納品されていますが、高齢化に伴って、集荷、配送が大変だとの声が寄せられています。
 学校給食に出荷している農家や生産者グループに対する支援について説明を求めます。

○龍野安全安心・地産地消推進担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都は、令和二年度から、地域が一体となって地産地消を進める区市町村の取組を支援しており、農業者が地場産農産物を学校給食で提供する際の集荷や配送などに係る経費も支援対象としております。

○清水委員 農家の方にお伺いしましたが、施設栽培、ハウスのトマトですとか、イチゴだとか、単価が高い施設栽培、それと学校給食、安定的に契約してもらえる、それから農業体験農園、これは年度頭に使用料を一括して納めてもらえるので、現金収入としてきちっと手当てできる。この施設栽培、学校給食、農業体験農園、これを組み合わせることで、都市の農業を安定的に経営していくことができるんだというふうに伺いました。
 地場野菜の学校給食への供給、これは地域の住民にとっても、農業への理解や関心を広めて、都市農地を守ることの意義を知っていただく重要な役割を担っています。さらなる支援の拡充を求めて、私の質問を終わります。

○中田委員 私の方からは、まず、シニアの方の就業応援プロジェクトについてお聞きをいたします。
 高齢者の方が生き生きと働くことができるように、高齢者の就業を後押しするとともに、企業において高齢者活用が促進されるような施策を総合的に展開を行うシニア就業応援プロジェクトについて、来年度、予算が増となっておりますが、事業の内容、また、増の理由についてお伺いをいたします。

○村西雇用就業部長 都は、シニア世代の方が豊富な経験やスキルを活用し、職場で活躍できるよう、シニア就業応援プロジェクトを行っております。
 本事業では、シニア世代の方の再就職に向け、これまで培ったスキルの強みを見いだす方法等を学ぶ東京セカンドキャリア塾などを実施しております。
 来年度は、このセカンドキャリア塾における規模の拡充などを図るため、予算を増額したものでございます。

○中田委員 人生百年時代といわれる中で、セカンドキャリアを考えることを後押しすることは、とても重要であると考えております。
 この東京セカンドキャリア塾は人気があり、倍率が高くなっていると聞いておりますが、今回、予算を増したことによって需要に応えることができるのか、また、この事業の告知はどのように行っているのか、併せてお伺いをいたします。

○村西雇用就業部長 セカンドキャリア塾につきましては、今年度、五十五歳以上のプレシニアのコースにおきまして、オンラインによる講座を開始したことに加えまして、先ほど申し上げたとおり、来年度も規模の拡充を行うこととしておりまして、利用者のニーズへの対応を図っております。
 また、本事業につきましては、これまで、区市町村やハローワーク等に事業案内等を送付しているほか、ウェブ広告や新聞広告など、多様な広報媒体を活用し、幅広く周知をしております。

○中田委員 ぜひ需要を見込んだ規模の拡大を適宜行っていただき、講座を受けたい方がしっかりと受けられる体制づくりを行っていただきたいと思います。
 また、今年度から始まった五十五歳以上のプレシニアコースでは、生涯現役を考えて、十年後の自分に何ができるか考えたセカンドキャリアに向けた生涯学習が行える点で、人生の幅を広げるという観点からも、とてもいい事業だと考えておりますが、このコロナ禍での対応、またプレシニアを対象としていることから、現在働いている方など、仕事と両立することへの対応など、どのように行っているのか伺います。

○村西雇用就業部長 プレシニアコースは、定年退職前の働いている方を対象としたコースであることを踏まえ、平日の夜間や土曜日の二種類のコースで提供しております。
 また、今年度は、これに加えてオンラインによる講座を開始し、受講生のライフスタイルに合わせた受講を可能としており、コロナ感染対策にも資するものと考えております。

○中田委員 感染状況などを踏まえてオンラインでの開催をしているとのことですが、ハイブリッドの対応など、コロナ禍の受講生の方々に配慮した形式での開催など、様々検討を引き続き要望いたします。
 また、この東京セカンドキャリア塾では、受講していただいた後の就労につなげるアフターフォローがとても重要となってくると考えておりますが、アクターフォローについてはどのように行っているのか伺います。

○村西雇用就業部長 セカンドキャリア塾では、この講座に加えまして、個別のキャリアカウンセリングを行い、受講修了後の希望についてもヒアリングを実施しております。
 それを踏まえ、就業を希望する方には、シニア世代の雇用に積極的な企業の説明会を行うほか、職場体験の機会を提供する事業につなぐなど、講座修了後の就業を後押ししております。

○中田委員 就労に意欲のある方々をしっかりとセカンドキャリアへと結びつけられるよう、手厚く丁寧なアフターフォロー、そしてキャリアカウンセリングを行っていただき、意欲のある方に寄り添っていただくこと、さらには連携する企業を拡大していただき、就労意欲のある方々のニーズにも応えられるような体制づくりをお願いいたします。
 次に、飲食事業者向け経営基盤強化支援事業についてお聞きしようと思いましたが、先ほども質問が出ましたので、一言意見を申し述べさせていただきます。
 この事業は、私の周りの飲食店でも、利用したとの声が多くあります。来年度以降も募集を行っていただけるということは評価するとともに、ぜひ、申込みしたい方がしっかりと支援される規模の拡充もお願いをいたします。
 また、現在、蔓延防止等重点措置が出ており、飲食店の状況も日々変わってしまっています。この事業は、専門家のヒアリングを受け、それを基に専門家が報告書を作成しますが、それが中小企業振興公社に提出されてしまいますと、それ以降の報告書の変更が利かなくなってしまっています。
 相談当初は、厨房機器等の更新をしようと申請をしましたが、蔓延防止の延長により、東京都の要請に従い休業したために、その間にアルバイトなどが辞めてしまったため、広告費等に申請内容を切り替えたいなど、要望などがある中で、それをしっかりと産業労働局としても、日々変わる、刻々と変わるこの状況に、変化に対応をしていただきたいと思います。東京都には、しっかりと、飲食店に対しての要望に応えていただきたいと思います。
 また、今回の飲食店の時短、休業に伴う協力金について、蔓延防止等重点措置が延長、再延長されたことに伴い、延長分が再延長となり、一緒の申請ができなくなってしまいました。
 明日の仕入れもままならないと声が上がっている中で、小規模の飲食店からは、追加の融資を受けるのは大変厳しいものがありますから、協力金に関しても、早期の支給を改めて求めます。
 次に、アクセシブル・ツーリズムについて質問をいたします。
 先ほども、話が他の委員からもありましたが、東京都が行っているアクセシブル・ツーリズム、障害者や高齢者など、移動やコミュニケーションにおける困難さに直面する人々のニーズに応えながら、誰もが旅行を楽しめることを取り組む仕組みについては、先ほど現状について説明がありました。
 それに伴い、私からは、観光事業者に対してはどのような取組をしているのかを伺います。

○築田観光部長 都は、アクセシブル・ツーリズムの推進に向けまして、観光事業者に対しましては、障害者の方々などが施設を利用する際のポイントを紹介するセミナーの開催などによりまして、受入れ環境の整備に向けた取組を促しております。

○中田委員 ありがとうございます。
 また、先ほども他の委員の質問に対して、来年度からドローンを活用したアクセシブル・ツーリズムの推進については答弁がありましたので質問は省略をさせていただきまして、一言、また意見を述べさせていただきたいと思います。
 国内外から多様な旅行者を迎えるに当たり、高齢者や障害者の方々が安心して都内観光を楽しめるための取組の推進を、ぜひ様々な自治体に多く広めていただきたいと考えております。
 新型コロナウイルス終息後に予想される旅行機会の拡大に伴い、安心で安全で快適に旅行が楽しめる環境づくり、心のバリアフリーや合理的配慮の考え方など、国内外のアクセシブル・ツーリズムの考えを周知していただくこととともに、また、環境配慮型の旅行、サステーナブルツーリズムの推進も、ぜひしていただくことを要望いたします。
 次に、知的財産について質問をいたします。
 これも、今回の改定経緯については先ほども話がありましたので、この質問については、まず初めに、今回、改定に至ったところについて、十八年ぶりの改定となりました。中小企業への支援の変化は、中小企業の環境が様々変わるという、先ほども話がありましたが、あまりにも十八年という年月は長いのではないかと考えてしまいました。
 知的財産に対する支援はとても重要なことであると考えますが、今回の改定に伴って、中小企業への変化は生まれるのか、また、今回、産業労働局としても東京戦略、様々なものもあると考えておりますが、その他の計画も含めて、定期的に点検等を行い、改定作業を行っていくべきと考えますが、見解を伺います。

○緑川商工部長 東京戦略の改定では、経営戦略など、一体になった知的財産戦略の策定や、知的財産の活用を担う人材の育成など、企業のニーズに合った支援を行うことをポイントとしておりまして、その内容に沿い、施策の充実を図ることとしております。
 また、東京戦略などの改定等につきましては、必要に応じて対応してまいります。

○中田委員 必要に応じてとのことでしたが、ぜひ、これを機会に様々な戦略の点検を行っていただき、今の社会状況、中小企業を取り巻く状況に応じたものに改定を行っていただくことを要望いたします。
 東京都知的財産総合センターの、先ほど、相談件数や利用実績なども話がありましたので、最後に、私からは、知的財産に関する中小企業の支援を行っている自治体なども様々ありますが、それらとの連携をどのように考えているのか伺います。

○緑川商工部長 中小企業が事業拡大を図るためには、様々な機会を通じて交流を深め、イノベーションを創出していくことが必要でございます。
 知的財産支援に関しましては、都産技研を通じた様々な研究機関とのネットワークを持つ都と、地域の実情に詳しい自治体とが連携し、未活用特許を持つ研究機関と、それを生かしたい地域の中小企業とのマッチング交流会を行っております。

○中田委員 日本の企業が、世界とこれからもしのぎを削っていくためにも、知的財産の部分での行政からの支援は欠かせないものとなっていると考えております。
 しっかりと様々な自治体と連携を図っていただき、支援を拡充していただくこと、そして、来年度からはスタートアップの知的財産支援事業なども始まりますので、ぜひそれと連携をしていただくことを要望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○本橋委員 まず、ウクライナ情勢への対応についてお伺いしてまいります。
 ロシアによるウクライナへの侵攻は、原油や飼料などの価格の高騰を引き起こし、船で出漁するたびに燃油を消費する漁業者や、家畜の餌やりに日々飼料を必要とする畜産農家に影響が及んでおります。
 先日の予算特別委員会で、我が会派は、この問題について取り上げ、都から、漁業者や畜産農家の負担を減らすための支援を行うとの答弁がありました。
 一方で、情勢は改善の兆しが見られず、長期化も予想されております。
 そこで、これらの支援の具体的な内容とともに、さらなる取組が必要だと考えますが、見解を伺います。

○山田農林水産部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 漁業におきましては、燃油価格高騰時における漁業者の負担軽減を図るため、都と国と漁業者が積み立てた基金から補填金が支払われる漁業経営セーフティーネット構築事業がございます。
 都は、セーフティーネット発動時に漁業者が支払う積立金に対し、三分の二を助成することとし、制度の窓口となる東京都漁業協同組合連合会と連携し、関係資料の配布や個別訪問などにより、漁業者に制度をPRすることで利用促進をしてまいります。
 また、畜産業では、配合飼料の輸入原料の価格が、直前一か年の平均を超えて上昇した場合に補填金が交付される国の配合飼料価格安定制度がございます。
 この補填金は、国や配合飼料メーカー、畜産農家が積み立てた基金から支払われますが、この基金の残高が減少すると、畜産農家が支払う積立金が増額される仕組みであるため、畜産経営の負担となっております。
 都は、畜産農家が負担する積立金の三分の二を助成する予定としており、生産者団体などと協力して、農家を対象とした説明会などを通じ、制度を周知してまいります。
 今後も、ウクライナ情勢に伴う影響の長期化などを見据え、スピード感を持って機動的、弾力的に対応してまいります。

○本橋委員 ありがとうございます。ぜひスピード感を持って、弾力的に対応をお願いしたいと思います。
 経営に影響を受けるこうした方々への支援は、とても重要であると考えます。今後、この影響が長引くことが予想されることから、さらなる支援の充実も検討していただくよう要望し、次の質問に移ります。
 続いて、農業振興についてお伺いします。
 私の住む国分寺市では、江戸時代の新田開発以来三百年の長きにわたり、農地が大切に受け継がれ、そこで営まれる農業は、地域の人々の食や暮らしを支えてまいりました。近年では、地元の農家や飲食店などが協力し、市内で育まれた野菜を地元の飲食店で味わえる、こくベジプロジェクトが展開されており、地域の活性化や農業の発展に地元が一体となって取り組んでいるところでございます。
 都内の各地においても、こうした地域に根づいた農業が脈々と受け継がれており、今後も都市における農業を次世代に確実に引き継ぎ、発展させていかなければなりません。
 本日は、そのために必要な取組について何点かお伺いしてまいります。
 農業を振興するためには、基盤となる農地を守っていく必要があります。今年の秋以降、都内の生産緑地の多くが指定から三十年を経過し、区市に買取りを申し出ることが可能となります。その多くがいわゆる特定生産緑地に移行すると聞いておりますけれども、今後も一層の働きかけを行う必要があります。
 一方で、高齢などの理由から、特定生産緑地への移行を決めかねている方もおり、そういった方に対しては、生産緑地の貸借制度の活用を促すことが重要であります。
 それでも、やむを得ず区市に対して買取りの申出をせざるを得ない場合も出てくるため、区市が生産緑地を買い取れるよう、都として十分な財源を確保し、支援をしていくことが必要であると考えます。
 これらの状況を踏まえ、都は、農地保全に向けた取組を一層充実させるべきと考えますが、見解を伺います。

○山田農林水産部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都は来年度、特定生産緑地への移行をさらに促進するため、地元の農業委員会やJAなどと連携し、農家を対象にした巡回訪問や個別相談を行い、個々の農家経営の状況に応じたきめ細かなアドバイスを行ってまいります。
 また、農地の貸借制度の活用を促進するため、意欲ある新規就農希望者の紹介や就農地の調整など、貸手と借手の希望を調整し、マッチングを行うコーディネーターを増員いたします。さらに、今後、生産緑地の買取り申出の増加が見込まれることから、区市による買取りや農的な利用を後押しするための基金を二十億円増額し、支援の充実を図ります。
 加えまして、区市が買い取った生産緑地を効果的に活用できるよう、高齢者の活躍を促進する農園や、最先端の農業の技術を学べる研修農場を開設するなど、優れた活用事例を発信してまいります。
 こうした取組によりまして、都市農地の保全を図ってまいります。

○本橋委員 ありがとうございます。基金を二十億増額していただけるということで、ただ、やはり、いわゆる貸借の制度自体がまだまだ周知をされていないといったところもあるかと思いますので、都市農地の保全に向け、ぜひ特定生産緑地への移行や、貸借の促進、さらには区市による買取りへの補助など、多面的な支援をさらに充実していただくようお願いいたします。
 続きまして、新規就農者の確保、育成についてお伺いをしてまいりますが、都市の農地を守るためには、その担い手を確保し、育成をしていくことが重要であります。
 都内農業者の平均年齢が六十五歳を超えるなど、高齢化が進展をしており、東京の農業の担い手不足が深刻化しております。高齢化が進む東京の農業では、農家の後継者への支援はもとより、農外から新規に参入する就農者を確保して育成していくことも重要な課題であります。
 都は、新規就農者の確保、育成に向けて、八王子研修農場を開設し運営をしておりますが、これまでの取組状況についてお伺いをいたします。

○山田農林水産部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都は、東京農業の新たな担い手を確保、育成していくため、令和二年度に東京農業アカデミー八王子研修農場を開設し、二年間で実践的な技術や知識を身につける研修を実施しております。
 この研修では、栽培技術の座学講習や農場での実習に加え、経験豊富な農家への派遣研修、経営計画の策定などを通じて、農業経営に必要なスキルやノウハウの習得を後押ししております。
 また、研修生が卒業と同時に就農できるよう、就農地の確保を図っており、この三月には、四名の第一期生が研修農場を卒業し、都内各地で新規就農者として農業を開始する予定でございます。

○本橋委員 既に四名の一期生が卒業されているとのことでありますけれども、八王子研修農場で学んでいる新規就農希望者は、自宅に近い場所や都心部で就農したいとの希望を持っていると聞いております。
 都市農地貸借円滑化法の施行により、農地を借りやすくなったとはいえ、希望どおりの地域で就農候補地が見つけられるとは限りません。研修を通じて農業に関する知識や技術を習得しても、就農候補地がすぐに都内で見つからない場合は、他県で就農したり、就農を断念するケースも想定されます。
 こうした状況を踏まえ、新規就農希望者が就農候補地を見つけることができるまで継続した支援が必要と考えますが、都の見解を伺います。

○山田農林水産部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都内では、新規就農を希望する方が増加傾向にあるものの、就農に当たっては、自宅との距離など様々な条件から、すぐに希望する農地が見つからない場合も起こり得ます。
 そのため、都は、未利用となっている都有地を活用し、新規就農希望者が農地を貸借できるまでの一定期間、営農の経験を積めるよう支援をいたします。
 具体的には、自ら立てた生産計画を基に農作物を栽培するとともに、それを現地で販売するなど、就農後の農業経営に向けた実践の場を提供いたします。
 来年度は、都有地を活用した農園の整備に向けまして、具体的な運営方法などを定めた都としての基本計画を策定いたします。
 こうした取組により、農外から新規に就農する方が着実に都内で就農し、早期に安定した農業経営が行えるよう支援してまいります。

○本橋委員 都有地も活用していただきながら、農外からの就農希望者に実践の場を提供していただき、都内での就農を後押しすることは、担い手を増やしていく上で大変重要であると考えます。
 新規就農者が地域にも溶け込みながら確実に定着できるよう、ぜひ、都としての精力的なサポートをお願いいたします。
 次に、農業者の経営力を強化するための取組についてお伺いします。
 農業者が就農後に安定した経営を行えるよう、収益力の向上に向けて生産性を高めていくことが重要であります。都内の狭い農地でも、農産物の収穫量を増やし、収入につなげていくためには、新たな技術を取り入れた施設などを整備して、効率的に生産を行うことが有効であります。
 都が開発した東京フューチャーアグリシステムでは、自動でハウス内の環境をコントロールすることで、トマトが通常の二倍から三倍も収穫できると聞いております。ぜひ、トマト以外の様々な作物の栽培にも活用できるよう取組を進めていただきたいと思います。
 また、東京は、限られた農地で多くの品目が栽培をされるといった特徴がありますが、都内の農業者のニーズを踏まえ、東京の農業の特性に合った技術を開発することが必要であると考えます。
 デジタル技術などを活用したスマート農業の技術開発と普及に向けて一層の取組を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。

○山田農林水産部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都は、東京フューチャーアグリシステムについて、現在、栽培しているトマトやキュウリ、パプリカ以外の新たな品目として、イチゴ栽培のシステムの開発を進めるとともに、システムの低コスト化などに向けた研究を行っております。
 また、都では、民間企業や研究機関、生産者などの多様なセクターで構成するプラットフォームを設立し、それぞれが持つ技術や知見を生かして先端技術を活用し、小規模な農地でも高収益を確保できる東京型スマート農業の研究開発に取り組んでございます。
 この研究の一つとして、少量多品目の農産物を効率的に栽培するための東京型農作業スケジュール管理アプリを、スタートアップ企業と共同開発してリリースしており、多くの農業者に利用されております。
 さらに、都内に多くある庭先の直売所にウェブカメラを設置し、消費者が農産物の売れ行きや品切れなど、売場の様子をリアルタイムで確認できるアプリの開発を民間企業や大学と共同で進めているところでございます。
 今後も、農業者のニーズを踏まえた研究開発とその普及に取り組むことで、農業者の生産性向上を後押ししてまいります。

○本橋委員 なかなか農家さんだけでは手が届かない部分だと思いますので、ぜひ、都としての後押しをお願いしたいと思います。
 農産物の収穫量を飛躍的に向上させる施設や、農作業の効率化を図るための技術の開発は、大変有意義な取組であると考えます。
 一方で、導入コストが高いものは現場に普及しにくいため、ぜひ、費用を抑えた施設や機械の開発を進めていただくよう要望をさせていただきます。
 農業者の収益力を高めるためには、栽培した農産物の販路拡大や高付加価値化への支援も重要であります。稼ぐ農業の実現に向けて、新たな販路の開拓や農産物のブランド化など、農業者の方々の積極的なチャレンジを都としてしっかりと後押しをしていく必要があります。
 都では、農業者の新たなチャレンジに対して、専門家による助言や経費の助成などの支援を行っておりますが、こうした支援が農業者の経営改善にしっかりとつながるよう、実効性を高めていく必要があると考えますが、見解を伺います。

○山田農林水産部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都は、農業者の稼ぐ力を応援するため、農産物のブランド化戦略やマーケティング、農産物のパッケージやシールなどのデザイン、ホームページの開設、加工品の開発など、農業者の要望に応じて専門家を派遣するとともに、実践に要する経費に対して助成を行っております。
 本事業では、これまで多くの農業者に専門家を派遣するなど、チャレンジを後押ししてきており、来年度は、支援の効果をより一層高めるため、農業者へのフォローアップの仕組みを新たに導入いたします。
 具体的には、売上げの増加や消費者の満足感につながっているかなど、支援による効果を検証するとともに、それにより判明した改善点について、専門家がアドバイスを実施いたします。
 こうした取組を通じまして、農業者の経営改善に着実につなげてまいります。

○本橋委員 ぜひ、専門家の派遣による助言や助成などが農業経営にどれだけ貢献をしているのか十分に検証していただいて、農業者の前向きな取組が確実に成果に結びつくよう、より効果的な支援を進めていただきたいと思います。
 農業所得を一層向上させるためには、新たな取引先を安定的に確保していくことも重要であります。特に外食、中食産業は、国内の農業にとって大きな需要先であり、近年、特に中食消費の増加が見られる中、農産物の需要も増えていくことが考えられます。
 東京には、外食、中食産業が集積しており、今後こうした産業において、東京の農産物を活用してもらうとともに、消費者にその魅力を知っていただくことが必要であります。
 都は、生産者の販路拡大に向けて、東京農産物の新たな需要を創出するための取組を行うべきと考えますが、都の見解を伺います。

○龍野安全安心・地産地消推進担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都は今年度、レストラン等における東京産農産物の利用を促進するため、都内の約百五十店舗に、東京産食材のサンプルを提供し、新たなメニュー開発を支援するとともに、その店舗をグルメサイトの特集ページでPRしてまいりました。
 来年度は、生活スタイルや都民のニーズの変化等に伴い、消費の増加が見込まれる中食産業における活用を促進するため、メニューに東京産農産物を使用し販売する事業者の取組を後押しするとともに、農産物のPRを図ってまいります。
 具体的には、二十三区内の大型商業施設に出店しているテークアウト専門の総菜等の製造販売者を百店舗募集し、食材の購入に要する経費の二分の一について、一店舗当たり二十万円を上限に助成いたします。
 加えまして、各店舗がメニューについて、店頭やSNS、ホームページで発信することで、東京の農産物を広く紹介いたします。
 こうした取組により、東京産農産物の需要を喚起し、生産者の販路拡大を支援してまいります。

○本橋委員 生産者にとっては、消費者ニーズに合った販路を見つけることは最重要課題の一つといえます。ぜひしっかりと支援することをお願いいたします。
 最後に、持続可能な農業を進めていく上で、安全・安心な農産物を都民に提供していくといった視点も重要であります。
 都では、こうした観点から、東京都GAP制度を創設し、環境にも配慮した適正な工程管理がなされた農業を支援しております。
 東京二〇二〇大会では、東京の農業者がGAP認証農産物を選手村に供給し、東京産の食材をPRできたことは、まだ記憶に新しいところであります。
 東京都GAP認証を取得した農業者は、現在、約百三十人いるとお伺いをしております。こうした高い目的意識や理想を持つ農業者をより増やしていくことが重要であります。そのためには、農業者がGAP認証を取得するメリットを実感し、さらなる認証取得の促進につながるよう取り組んでいくことが必要であると考えますが、都の見解を伺います。

○龍野安全安心・地産地消推進担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都は今年度、消費者のGAPに対する認知度向上を図るため、都内の百貨店やスーパーマーケット延べ十七店舗において、動画やパンフレットを活用しながら、認証農産物のPR販売を実施してまいりました。
 さらには、今年度初めて開催いたしました小売店やレストラン等のバイヤーとのオンラインによるマッチング商談会に十二名の農業者が参加し、十件の商談が成立するなど、農業者の販路拡大につなげたところでございます。
 来年度は、認証農産物の認知度を一層向上させ、農業者の販売力を強化するための取組を進めてまいります。
 具体的には、レストランや百貨店等の多くのバイヤーに認証農産物をPRするため、都が大規模な食品展示会に出展するとともに、マッチング商談会の開催期間を五日間から二十日間に増やすことで、商談成立の増加を図ってまいります。
 こうした取組により、認証農産物の需要を高め、取引量を増加させることで、農業者が意欲的にGAPに取り組めるよう支援してまいります。

○本橋委員 私の地元でも、GAPを取得した農家さん、いらっしゃいますけれども、まだまだそのメリットを実感していない部分もありますので、ぜひ様々な取組をお願いいたします。
 ここまで、東京の農業振興について幅広く質問を行ってまいりました。
 農地の保全や担い手の確保、育成、さらには、稼ぐ力を高めるためのスマート農業や、農産物の新たな販路開拓など、都における多様な取組について確認をさせていただきました。
 大都市東京において営まれる農業は、新鮮で安全・安心な農産物を都民に提供するとともに、環境の保全や防災などの多面的な機能を発揮しております。とりわけ、都市に潤いと安らぎを与える農地の緑は、都民の貴重な財産でもあります。
 代々受け継がれたこの貴重な農地を次の世代に確実に引き継ぎ、未来に向けて、東京の農業が持続的に発展できるよう、都としてのさらなる取組の強化、支援の充実を要望して、質問を終わります。

○田の上委員 ファンドによる脱炭素化ベンチャー支援について伺います。
 今回の都予算案においては、企業のDX化や稼ぐ力の強化など、東京の経済成長に向けた取組が充実しております。その中で、ソーシャルインパクト投資ファンドや、ファンドによる脱炭素化ベンチャー支援など、金融施策が特徴的です。
 ソーシャルインパクト投資ファンドは、社会的課題解決という大きなくくりでの社会的事業を展開している企業の育成が主な目的だと考えますが、一方で、ファンドによる脱炭素化ベンチャー支援は、どのような目的で創設をするのか伺います。

○高野金融支援担当部長 来年度新たに設立いたしますファンドは、脱炭素社会の実現に資する革新的なイノベーションの創出に取り組むベンチャー企業を支援していくことを目的としております。
 支援対象といたしましては、カーボンニュートラル達成への貢献を目指し、再生可能エネルギーやリサイクルなどの分野で事業活動を行うベンチャー企業を想定しております。

○田の上委員 脱炭素社会の実現に資する革新的なイノベーションの創出に取り組むベンチャー企業を支援するというご答弁でありました。
 革新的なイノベーションの一方で、実績がないであるとか、また、新しい分野であるために、技術的に金融機関が判断しにくいということなどにより、市場では評価されにくい脱炭素化ベンチャー企業を支援するファンドということだと思います。
 今回のファンドは、ファンド・オブ・ファンズにより投資をすることになると聞いておりますが、都はどのような形で出資し、ファンドの構成はどのようになるのか、今回のファンドの仕組みについて伺います。

○高野金融支援担当部長 来年度、まず、複数の民間ファンドへの出資を通じまして、ベンチャー企業支援を行うファンド・オブ・ファンズを、都が六十億円を出資して立ち上げます。
 このファンド・オブ・ファンズから出資を受けた複数の民間ファンドが、ベンチャー企業に対して資金提供と併せ、ファンド運営事業者による経営面からのサポートも行うことで、脱炭素社会の実現に資するベンチャー企業の取組を後押ししてまいります。

○田の上委員 ファンドにも様々な特徴がありますが、今回、複数の民間ファンドによるサポートという仕組みを取ることで、民間ファンドの特色を生かしたベンチャー企業の選定ができるということかと思います。
 脱炭素化の取組に挑むベンチャー企業にとっては資金が必要であり、優れた技術や発想があっても、資金を集めることが大変なベンチャー企業にとっては有意義な支援の仕組みであると考えます。
 ファンドの目的と仕組みについて伺いました。東京都は、温室効果ガス排出総量削減義務と排出量取引制度、すなわちキャップ・アンド・トレード制度を採用し、事業所認定も行っていますが、業種によっては温室効果ガス排出削減が難しい業種もあり、年々事業規模を縮小したり、廃業するところもあります。こういったベンチャー企業のアイデアや商品がカーボンニュートラルに資し、また、厳しい中小企業の二酸化炭素削減に貢献できることを期待します。
 まず、第一段階であるファンドで成長したベンチャー企業が実際に市場で成功するためには、資金のみならず、販路やさらなる技術開発、信用度などの課題もあります。二〇三〇年カーボンハーフ、二〇五〇年ゼロエミッションを達成していくために、脱炭素化企業が市場で大きな影響力を持って、脱炭素の意味を社会に浸透させていく必要があると考えます。このためには、ベンチャー企業などが自らの技術力を生かし、環境に配慮した製品やサービスを開発して、その普及を進めていくことが重要です。
 そこで、ゼロエミッションに取り組むベンチャー企業や中小企業における技術支援について伺います。

○緑川商工部長 都は今年度より、環境分野のベンチャー企業等がオープンイノベーションにより、ゼロエミッションに向けた技術開発を行う取組に対して支援を行っております。
 具体的には、ベンチャー企業等と、資金や人材のほか、販路などの経営支援を提供する大企業等が共同して行う開発プロジェクトに対しまして、専門家による技術的なアドバイスのほか、開発経費の三分の二を六億円を上限に三年三か月にわたり支援を行っております。
 今年度は、住宅のほか、大規模商業施設や大学、病院などが集積する街区全体をCO2フリーとするために、太陽光発電と蓄電池や燃料電池を組み合わせたエネルギーシステムの開発プロジェクトなど、二件の取組を採択いたしました。
 こうした取組によりまして、環境分野で優れた技術を持つベンチャー企業等を支援し、技術の開発を促してまいります。

○田の上委員 オープンイノベーションプロジェクトとして、大企業と共同して行う開発事業に支援をするとのことです。また、開発経費の三分の二を六億円上限で三年三か月にわたり助成を実施するとのことで、思い切った研究開発に取り組むことができるものと期待をいたします。脱炭素化の社会貢献に至るような積極的な技術開発支援を要望するものです。
 次に、中小企業のデジタル化支援についてです。
 先日の一般質問でも、職場内デジタル人材育成について質問をいたしました。DX人材リスキリング支援事業についてご説明をいただきまして、専門家の派遣やDXの推進役となる従業員を訓練する取組を一体的にサポートする伴走型の支援をするとのご答弁をいただきました。
 中小企業においての課題は多く、人材はもちろんのこと、デジタル基盤が整っていない、PC等があっても、業務効率化を図るためのソフトが導入できていない、また、何を選んだらよいのか分からないということもあります。
 こうした課題に適切な専門家の助言と導入支援が必要と考えますが、取組について伺います。

○緑川商工部長 都は、デジタル技術の導入に取り組む中小企業が自社の課題などについて相談が行えるよう、中小企業振興公社に専門の窓口を設け、ITコーディネーターなどがアドバイスを行っております。また、中小企業の現場に専門家を派遣し、会社の実情に合った適切な助言を行っております。
 来年度は、これらに加えまして、業務運営の効率化に向けて、初めてDX化に取り組む中小企業などを対象とした取組を開始いたします。
 具体的には、会計処理等の事務手続をデジタル化するソフトウエアなどの購入経費につきまして、百万円を上限に、小規模事業者などに最大三分の二を助成いたします。
 こうした取組を通じまして、中小企業におけるDX化を後押ししてまいります。

○田の上委員 ありがとうございます。中小企業振興公社に専門の窓口を設けたり、直接、専門家派遣も行っているとのことです。また、初めてDX化に取り組む中小企業にソフトウエアなどの購入経費助成も来年度始まるとのことでした。そもそものデジタルシフトへの取組への意識が不足している経営者もいます。
 IPA、情報処理推進機構のDX白書二〇二一によりますと、企業変革を推進するためのリーダーにあるべきマインド及びスキルという調査結果では、テクノロジーリテラシーを選択した米国企業が三一・七%に対して、日本企業は九・七%でありました。
 今後、中小企業のデジタルシフトを積極的に進めていく上で、経営者にどのような働きかけをしていくのか伺います。

○緑川商工部長 都は、来年度も引き続き、中小企業のDX化への意欲を高めるためのセミナーや情報発信などを行ってまいります。
 具体的には、ICTやロボットの具体的な導入事例や効果などを学ぶセミナーを十回開催するほか、専用のウェブサイトにおきまして、DX機器を導入したコスト削減につなげた取組など、新たな事例を発信してまいります。
 また、中小企業二百四十社を専門家が巡回し、デジタル技術を導入しようとしている事業者を発掘するとともに、導入に向けたアドバイスを行ってまいります。
 こうした中小企業のデジタル化に対する意識を高める取組を継続して行ってまいります。

○田の上委員 DX化への意識を高めるためのセミナーや情報発信のほか、直接、中小企業を専門家が訪問し、アドバイスをしているとのことです。今後も意識啓発を進めることで、社会全体のDXへの底上げにご尽力いただきたいとお願いをいたします。
 中小企業に限らず、デジタル人材の需要は高いですが、デジタル人材といっても様々であり、エンジニアやプログラマーはいても、必要なIT人材がいないと聞きます。
 前述のDX白書二〇二一によりますと、デジタル人材で重要とされ、育成したいとされるのは、プロダクトマネジャーやビジネスデザイナー、そしてテックリードなどが続きます。また、プロダクトマネジャーの質の確保についても、不足していると答える企業が多くあります。
 サービスを提供する際に、プログラミングに特化するだけでは対応できず、いろいろな機能を合わせていかなくてはならないです。
 企業ニーズと戦略的視点に立った人材確保が必要と考えますが、見解を伺います。

○村西雇用就業部長 中小企業におきましてDXを推進するためには、ITに関するスキルと自社事業の知識、経験の双方を保有し、事業を牽引する人材が必要となります。
 このため、都は来年度、中小企業がそれぞれの経営戦略に基づき、社内で必要となるデジタル人材を育成できるよう、従業員に民間教育機関等が実施するDXに関する講習を受講させた場合に、その費用の三分の二を助成する事業を開始いたします。
 この事業においては、最先端のITスキルを習得するプログラミング講師に加え、デジタル技術を活用して新たなビジネス展開を進めるAI講習など、民間教育機関が提供する豊富な講習メニューを、中小企業がそれぞれのニーズに応じて選択できる仕組みとしておりまして、これによりましてDXに関するリスキリングを後押ししてまいります。

○田の上委員 ありがとうございます。来年度始まる民間教育機関等が実施するDXに関する講習の助成事業の中で、豊富な講習メニューがありますので、それを必要なデジタル人材育成に際して選択できるということでご答弁をいただきました。AI講習もニーズが高いと聞いております。今後も、中小企業のニーズを聞きながら適切な支援を充実していただきたいとお願いをいたします。
 人材の確保、育成につきましては、企業側の努力も必要であると考えます。企業が苦労してデジタル人材を確保しても、需要の高い人材は転職の可能性も高いです。今後は、職場定着のための環境づくりやスキルアップの機会の提供なども企業に求められるものと考えます。
 そこで、職場定着の支援について伺います。

○村西雇用就業部長 都は現在、採用意欲の高いデジタル分野等の求人を重点的に開拓し、派遣就労により業務スキルを身につけ、正社員就職を支援する事業を展開しております。
 また、中小企業がこの事業を利用し、正規雇用として採用した労働者のスキルアップを図るため、資格取得やデジタル技術など、職務に必要な技能を習得する研修を行った場合には、一人当たり二十万円、最大三人分六十万円まで助成を行うなど、人材の定着に向けた支援を実施しております。

○田の上委員 ありがとうございます。雇用創出・安定化支援事業として、トライアルで派遣就労をする場合の例をお示しいただいたものと認識しております。需要の高い職種は売手市場となるため、定着しにくい傾向があります。今後は、派遣以外のトライアルなど、支援の工夫をお願いしたいと考えております。
 これまで、多々、デジタルシフトと人材の育成について質疑をしてまいりました。経済産業省のDXレポートでは、IT人材は、二〇三〇年には最大で七十九万人不足するとされており、また、DXの遅れにより、二〇二五年には最大で年間十二兆円の経済損失が発生する可能性があると予測がありました。
 デジタル人材の雇用のみならず、育成が大変重要と考えますが、これからのデジタルシフトにおける坂本産業労働局長の見解を伺います。

○坂本産業労働局長 今後、生産年齢人口が減少する中におきまして、東京の産業競争力を引き上げていくためには、DXによる生産性の向上が不可欠でございまして、やはり、その場合には、担い手となるデジタル人材の育成こそが重要な鍵になると、このように考えてございます。
 このため、都は来年度から、求職者の方に向けた職業訓練やマッチングとともに、中小企業のリスキリングを支援するデジタル人材プロジェクトを開始いたします。このプロジェクトにおきまして、職業訓練とリスキリングへの支援を重点的に実施することによりまして、デジタル人材の育成を加速させてまいります。
 そのうちの一つ、職業訓練ですが、こちらは実践的なプログラミングからAI等の最先端の知識まで、様々なデジタルスキルを習得する訓練によりまして、企業ニーズに応える多様な人材を育成してまいります。
 また、もう一方のリスキリングへの支援でございますが、こちらの方は、経営資源にやはり限りのある中小企業で、人材育成単体でやるというのは、なかなか厳しい状況があります。これを効果的に進めてもらえるように、デジタル教育の計画づくりからその実施までを伴走型でサポートを行うという取組を行います。
 また、社外にあります様々なリソースをそのまま使うということも有効な手だてだと思っておりまして、社外にあります民間の教育機関のノウハウを活用できる支援の仕組みをつくり上げていこうと、このように考えているところでございます。
 こうした総合的な取組によりまして、デジタル人材を集中的に育成して、幅広い産業分野において、DXを進展させてまいります。

○田の上委員 様々お答えをいただきまして、ありがとうございます。東京の産業競争力を引き上げていくために、DXによる生産性向上が必要であり、デジタル人材育成が重要であるというご答弁をいただきました。職業訓練とリスキリングへの支援を重点的に実施するとのことで期待をするものです。
 また、リスキリングの支援では、計画から実施までの伴走型サポートや民間活用など、多様な支援を展開していただいているものと理解をいたしました。
 デジタルシフトにおいて、日本は、世界から周回遅れといわれてきましたが、東京がDXでリードをし、日本を牽引していただきたいと思っております。今後ともよろしくお願いいたします。
 次に、失業者対策です。
 コロナ禍の中で離職を余儀なくされたという方の相談をよく受けております。
 このたび計上されている長期失業者等に向けたフォローアップ支援では、カウンセリングや職業紹介とともに、職業能力開発センターなどでの職業訓練を組み合わせるとされておりますが、この内容について改めて伺います。

○村西雇用就業部長 都は、職業能力開発センターにおきまして職業訓練を実施するほか、しごとセンターにおきましては、キャリアカウンセリングや就職面接会などのマッチング支援を実施し、職を失った方の再就職を支援しているところでございます。
 来年度は、職業能力開発センターとしごとセンターの連携を強化し、長期にわたり失業が継続している方の再就職支援を効果的に実施してまいります。
 具体的には、職業能力開発センターの職業訓練を修了した後、就職に至らなかった求職者の方に対し、しごとセンターが行う就職面接会などのマッチング支援を提供するなど、相互の強みを生かした一体的な再就職支援を展開していきます。
 また、こうした一体的な支援を実施するため、職業訓練やマッチング支援に関する情報を一元的に提供する専門のスマートフォンアプリを開発し、失業された方等に支援情報をタイムリーかつ確実に届けることができるようにしてまいります。

○田の上委員 様々な工夫をしていただいているとのことです。職業能力開発センターのみならず、しごとセンターとの連携強化で個別対応をしていただけるとのことです。また、職業訓練を修了した後に就職に至らなかった方に対してはマッチング支援をするとのことで、今後を期待いたします。
 コロナ禍での失業におきましては、住宅ローンや子供の教育費など、人生のプランが狂ってしまったという声も聞くところです。特に高等教育段階の子供を抱える保護者の課題は切実で、年齢の壁があり、正規の就職にはたどり着けず、非正規、非常勤となってしまった方もおります。
 応募段階では年齢は問わないとはいえ、実際には厳しい現実と向き合っている中高年の失業対策につきまして見解を伺います。

○村西雇用就業部長 都は、コロナ禍で離職を余儀なくされた中高年の方に対して、特別な支援プログラムによるきめ細かな支援を行ってまいります。
 具体的には、正社員の求人を開拓し、就職活動のノウハウを提供するセミナーから自己PRを効果的に行うためのカウンセリングや、就職面接会までを一貫して行う中高年の求職者専用のプログラムを実施いたします。
 また、グループワークや企業内実習によりまして、実践的な職務スキルを磨くプログラムを提供するなど、様々な支援策により、中高年の方の再就職を後押ししてまいります。

○田の上委員 しばらく面接など就職活動から遠ざかっていた中高年の方々のノウハウまで含めた求職者専用のプログラムを実施していただいているとのことです。今後も、きめ細やかな支援をお願いいたします。
 コロナ禍の中では、ミドル世代のみならず、若年層など様々な世代の失業と就職が課題となっています。就職氷河期世代の支援として、これまで東京都就職氷河期世代雇用安定化支援助成金の事業において支援プログラムを実施されてまいりました。
 様々苦しんでいる方のために、今後も、いろいろな世代の就職支援を引き続きお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

○玉川委員 若者に対する職業訓練について伺います。
 コロナ禍において雇用情勢は厳しい状況が続いていますが、若者の失業率は、他の年代と比較しても高く、非正規雇用で働く方も多い状況となっています。
 家庭の事情などで高校を中退した方、職場の人間関係での悩みなどから離職した方など、様々な事情でつまずき、就労に向けて、次の一歩を踏み出せない方もいます。こうした若者は就職活動自体が難しいと感じてしまい、働くことにちゅうちょしてしまう場合も多いのではないでしょうか。
 今回報告された第十一次職業能力開発計画案においては、こうした就職活動に踏み出せない若者に対する支援の強化として、職業能力開発センターにおける若年者就業支援科のプログラムの充実を打ち出していますが、その具体的な取組について伺います。

○村西雇用就業部長 若年者就業支援科は、就業経験の少ない若者や働くことに自信が持てない若者などを対象として、溶接や塗装などの技能の習得と併せて、コミュニケーション力やビジネスマナーなど、社会人としての基礎的なスキルを学ぶ訓練科目でございます。来年度は、本カリキュラムの内容の充実を図ってまいります。
 具体的には、若者が訓練修了後に、実際に職場で働くイメージが持てるよう、業界で活躍する若手の職人を招き、自由なディスカッションを行える場を設けるとともに、企業見学や就業体験の機会を拡充してまいります。
 また、職業能力開発センターの他の職種の訓練における体験実習を新たに実施し、そこで学ぶ若者との交流を行い、初めて会う方ともコミュニケーションを取りながら、共に協力して作業する経験を積む機会を提供してまいります。

○玉川委員 今ご説明いただきました若年者就業支援科の訓練は、城東地域、城南地域、そして多摩地域の職業能力開発センターで実施されると伺いました。ぜひ、地元の区市町村とも連携し、多くの若者に受講していただけるよう取組をお願いいたします。
 次に、職業能力開発センターの訓練体制について伺います。
 社会のデジタル化が進み、企業の現場で使用される機械や機器なども日進月歩で進化しています。私の地元である大田区でも、とりわけ先端的なものづくりを行っている製造業などは、常に最新の生産設備への改善を図っていると聞きます。また、IoTやAI、ロボットなどの活用により作業自体が自動化し、技能人材の業務自体が変わってきているところもあります。
 職業能力開発センターの指導員がこうした企業現場の状況や新しい技術の動向などに関する知識や技能を持った上で、訓練生の指導に当たることが求められています。
 そこで、社会のデジタル化の進展に対応した訓練体制の強化について伺います。

○村西雇用就業部長 都は、加速する産業のデジタル化に対応した職業訓練を実施するため、職業能力開発センターの指導員のICTスキル等の向上を図ってまいります。
 具体的には、AR、VR技術を活用した効果的な技能訓練を新たに導入できるよう、指導員のスキルのさらなる向上を図る研修を行います。
 また、企業の現場の状況に即した訓練を提供していくため、DXの先駆的な取組を行っている民間企業等に指導員を派遣する研修を実施し、これまで数日程度であった派遣期間を最大五か月まで拡大するなど、研修機会の充実を図ってまいります。

○玉川委員 DXにより、ものづくりの現場が進化を遂げる中で、都の職業能力開発センターで教える内容が後れを取ることがないよう、指導員の知識や技能もアップデートしていくことが重要であり、その取組に大いに期待しております。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

○あぜ上委員 それでは、まず第一に、MICEの誘致についてです。
 日本、そして東京の文化や歴史、遺産などの魅力が広がっていくこと、そして、東京の魅力を発信する取組や、国際的な学術や産業の交流、これは歓迎すべきものだというふうに考えているわけですが、このインバウンドの目標数をつくって、それに固執して、行政が大規模な国際会議開催や誘致などに税金を投入する、こういうやり方が、果たして都民の暮らしを豊かにしていくものなのかと、このコロナを通じて改めてMICEの誘致戦略が、私は問われているんじゃないかというふうに考えています。
 来年度の予算では、MICE誘致の推進で三十七億円余と、今年度より十五億三千万円ほど増えているわけです。特に増えているのが国際会議の誘致と国際会議の開催支援事業になっております。支援件数の増とともに、補助率を十分の十というふうにいたしました。
 そこで、まず伺いますが、国際会議誘致・開催支援事業を今年度に比較して、八億円増やして二十二億円となったわけですが、補助率十分の十にした根拠、これを伺います。

○築田観光部長 東京でMICEを開催することは、高い経済波及効果が期待できるとともに、都内産業の活性化にも寄与するため、誘致における海外競合都市との競争力を一層強化することといたしました。

○あぜ上委員 この国際会議なんですけれども、日本政府観光局が二〇二〇年に、国際会議統計を発行しております。これを見ますと、東京での国際会議というのは、コロナ前の二〇一九年までの八年間、ずっと五百件を超えているんですね。既にたくさんの国際会議が開かれているわけです。
 にもかかわらず、国際会議開催の補助金が、上限額が一億五千万、そして補助率十分の十と、たくさんの国際会議から、補助対象とする会議をどう選定していくのでしょうか。補助の対象と考える国際会議の定義をお示しいただきたいと思います。また、補助対象とするのはどこで決定をするのか、お示しいただきたいと思います。

○築田観光部長 MICE誘致に向けて助成を行うに当たっては、MICEの国際組織であります国際団体連合、いわゆるUIAにおいて定義する国際会議を対象としております。
 また、助成対象は、東京観光財団において申請内容を審査し決定しております。

○あぜ上委員 いわゆるUIAの定義するものということであります。それを東京版にしているものが、国際会議開催資金助成事業実施要綱、そして国際会議誘致資金助成事業実施要綱となるわけです。
 この実施要綱を読みました。それで、この実施要綱に補助対象について書かれているわけですけれども、外国人参加者の延べ泊数が四百泊以上、そして参加国が五か国以上、そして会議の目的が、いずれかに該当するものということで四つ書かれているわけですね。その一つが、都の国際的プレゼンスを向上することに寄与する、それから東京の経済、産業の振興に寄与する、それから東京の学術、文化、国際交流に寄与する、それから都民福祉の向上に資するなど特に必要と認められるものというふうに書かれているわけです。
 そうしますと、会議の目的は、こうした国際会議までやるものであるなら、ほとんどの会議が該当するんじゃないかと思うわけなんですね。
 補助するか、しないかの選定というのは非常に難しい、非常に分かりにくいなというふうに思ったんですが、財団が補助対象を決める、その際に、できるだけたくさんの参加者がある、そういう国際会議を優先するということなんでしょうか。それとも、基準をクリアした全ての国際会議に補助するということなんでしょうか。ちょっとその辺教えてください。

○築田観光部長 東京観光財団において助成の対象を決定する際の主な要件といたしましては、東京が開催候補地であること、外国人参加者の会期中の延べ宿泊数が合計で四百泊以上であることなどを定めまして審査を行っているところでございます。

○あぜ上委員 では、伺いますが、コロナ禍の影響を受ける前の二〇一九年度に都内で開催された国際会議のうち、補助の対象となった国際会議、その実績はどういうものか教えてください。

○築田観光部長 二〇一九年度は、海外から多くの参加者が見込まれる国際会議八件に対して助成を行いました。

○あぜ上委員 たくさんの国際会議、その中で、この八件が選定された。その理由は明確に示されなければならないというふうに、私は思うわけです。税金が投入されるわけですから、補助した会議、どういう会議だったのかと、その主催団体を明らかにするのは、私は当然じゃないかと思うんですが、東京都は、現時点においては、補助した国際会議を公開していません。しかし、お隣の横浜市などでは、誘致した国際会議は公表しているんですね。補助した国際会議、これが公表できないというふうになると、やっぱり都民の理解は得られないんじゃないでしょうか。
 二〇一九年に全国で開催された国際会議の都市別の実績、これはどういうものか伺います。

○築田観光部長 日本政府観光局の国際会議統計によりますと、二〇一九年の実績は、東京が三百五件、京都が八十一件、横浜が三十一件、名古屋と大阪が二十五件、神戸が二十四件となっております。

○あぜ上委員 つまり、都が断トツ一位ということなんです。
 政府観光局の国際会議統計を見ても、都がMICE誘致を進めるために、二〇一五年に東京都MICE誘致戦略を作成したわけですが、それ以前から、二〇一一年からのデータ、他都市に比べてみても、東京が一番、国際会議の開催が多くありました。国際的に見ても、現在六位でしたか、大変国際会議が多くなっているのが実態です。
 この間、大きなホテルも東京都内にはできて、東京には四つ星、五つ星ホテル、これは二十、既にありまして、国際会議の場所として選ばれる条件は持っているということだと思います。それでも、十分の十の補助まで都が行う必要性が本当にあるんだろうかと、私はそういうふうに思いました。
 また、報奨の旅行などの誘致についても伺いたいと思います。報奨旅行等誘致・開催支援事業において、二〇一九年度に報奨旅行等の開催を支援した実績、これを伺います。

○築田観光部長 二〇一九年度に開催されました企業の報奨旅行等三十四件に対しまして、東京の魅力を体験できるプログラムの提供などの支援を行いました。

○あぜ上委員 報奨旅行とは何かと、東京のMICEの資料にも出ていたんですが、優秀な成績を上げた従業員、また販売店を対象に、企業側から報奨として実施される旅行だと。
 そして、具体的にどう支援するのかと伺いましたところ、企業系会議や報奨、また研修旅行の東京誘致を進めるための支援で、魅力的なツアーのプログラム作成に当たっての財団への補助なんだということを伺いましたが、そこまで行政が果たしてやるべきなのかと、私はこの点も検証が必要なんだということを指摘したいと思います。
 また、来年度の予算では、島しょのMICE誘致の新規事業八千万円がついておりますが、この島しょのMICE誘致については、島しょから要望があったのでしょうか。

○築田観光部長 島しょ地域の町村からは、観光振興の充実と強化について要望を受けております。

○あぜ上委員 町村会からは、きちんと文書で要望書が出ております。
 この文書は、島しょ地域の豊かな海洋資源を生かした産業及び観光振興の充実強化というふうに求められておりまして、豊かな海洋資源というのは、例えば新島の、サーフィンができたり、それからイルカウオッチングの御蔵島や大島の釣りとか、それから八丈島の八丈富士の登山とか、やはり島しょ地域ならではの観光資源を生かした、こういう観光の支援を要望されているんじゃないでしょうか。
 島しょでのMICEの具体化は、八丈島には五百人が入るようなホールは一つしかないよ、そして、大きなホテルも二つ最近なくなって、今はプチホテルが主流だというふうにも、島の方からも聞いております。
 島しょの要望を生かすのであれば、やはり、こうした八丈島など、島しょの豊かな自然をフルに生かした観光支援の拡充だと思うんです。
 昨年六月、観光庁の上質なインバウンド観光サービスの創出に向けた観光戦略検討委員会の報告書が出ました。この報告書を読むと、日本は、インバウンド富裕旅行の受入れにかじを切るべきだと、こう指摘しています。そして、地域の伝統工芸、高級衣服、宝飾品など、購買層は富裕層であり、VIP優遇政策によって、高級な宿泊施設、高級な食材などを提供する一部の富裕層向けサービス提供にスポットが当たる施策に切り替え、高額な宿泊施設への誘致への自治体補助などを進めるべきだと、こういった報告書になっています。
 やはり私は、地域の観光資源を本当に生かして、地域の方が誇りと愛着を持てる持続可能な観光のまちづくりや、先ほど来、皆さんからもお話があったアクセシブル・ツーリズムの推進や、それから、コロナで大打撃を受けている中小、小規模事業者、小規模な旅行業者の支援にこそ、もっと力を入れるべきではないかと、そのことを求めて、次の質問に移りたいと思います。
 そして、次の質問で、中小企業の従業員の融資を質疑しようと思ったんですけれども、ほかの委員の方から質疑がありましたので、重なるので、これについては意見だけ述べさせていただきたいと思います。
 長引く新型コロナウイルス感染で経済活動が大きく制限されて、日本経済は、甚大な被害を受けました。とりわけ感染防止や外出自粛などで、飲食業、宿泊業、イベント業などのサービス業が大きな影響を受けて、その結果、働く人々にも大きな打撃となったわけです。そのしわ寄せは、一番立場の弱い非正規労働者に押し寄せ、休業補償ももらえなかったなど、深刻な声が寄せられているところです。
 この中小企業従業員融資は、こうした非正規で六か月以上、現在の中小企業で働いていれば、百万円を無利子で借りられる大事な制度であります。
 予算で見ると、二〇二〇年度当初予算では約三十四億円、今年度が四億円余です。長引くコロナの下で、さらなる拡充が必要ですけれども、来年度は四億円余にとどまっております。
 さらなる周知とともに、予算枠を拡大して、現在の勤務先に六か月以上勤務していることという条件を緩和して、希望する方が全て受けられるような制度に拡充することを求めたいと思います。
 また、都として、雇用継続のための支援、これは、雇用調整助成金の特例などの実施事業者への環境整備費の一事業所十万円と、この中小企業従業員融資ということになっています。
 私は、中小、小規模事業者で働く労働者の方々が安心して働き続けられるためには、都としてさらなる施策を拡充していただきたい、そのことを強く求めて、質疑を終わりたいと思います。ありがとうございました。

○細田委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後九時七分休憩

   午後九時二十四分開議
○細田委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○阿部委員 私からは、まず、ウクライナ情勢についてお伺いします。
 ウクライナへのロシアの攻撃は激しさを増し、それに対する日本を含む各国の経済制裁も段階的に強められております。今週中にもデフォルトという見方も出てきており、また、国内企業に影響が広がっております。
 一部企業では決済の困難ということにも直面しておりますが、都として、どのような支援というのは先ほど議論の中にありましたので、どのような形で情報収集をし、対応しているのかお伺いしたいと思います。

○緑川商工部長 都は、都内中小企業を対象に景況等に関する調査を行っているほか、日々の事業執行の中で中小企業の様々な声を適宜聞いております。

○阿部委員 景況等に関する調査ということで、スピード感はどうなのかなという思いも少々ありますけれども、今、本当に動きが早いと思います。為替も動いています。状況がさらに悪化する可能性も念頭に置きながら、ステージの変化を見逃さずに、適切に支援策を強化することを期待いたします。
 次に行きます。中小企業のサイバーセキュリティ対策の重要性は高まっており、四年度の予算でも充実策が出ているところです。このことについて評価をしたいと思います。
 また、なかなか対策が進んでいかない背景として、資金や人材だけではなくて、一つには、中小企業側の意識、これがまだ意識が薄いというか、苦手意識といったものもあるというような調査も出ているところです。
 今後、どのように意識づけを図っていくのか、また、サイバー攻撃を受けた後への対応や助言なども支援されるのか、併せて伺いたいと思います。

○緑川商工部長 都は、中小企業のサイバーセキュリティ対策を向上させるため、専門のウェブサイトやSNSなどを活用し普及啓発を行っております。
 また、今回のウクライナ情勢の中で、サイバー攻撃に対するセキュリティ強化の重要性が高まったことから、中小企業に向けた注意喚起を行っております。
 さらに、セキュリティ機器の導入支援に加えまして、実際に攻撃を受けた際には、専門家が現地で応急対応も行っており、来年度も実施してまいります。
 こうした取組によりまして、中小企業のサイバーセキュリティ対策を適切に支援してまいります。

○阿部委員 サプライチェーンの攻撃なども、中小企業にとって非常に可能性が高くなったといいますか、危機が大きくなってきていると思います。機運がいやが応にも高まっている中で、中小企業のDX導入の支援の際にも、サイバーセキュリティ対策といったことも一体的に支援するということも、あってもいいのではないかと思っておりますが、いずれにせよ、東京都が困ったときに頼れる存在になるよう、働きかけを強めていただきたいと思います。
 次に、ソフトコンテンツ、ソフト業界の海外展開支援についてお伺いしたいと思います。
 ソフトコンテンツの海外展開は大変重要な分野だと考えておりますが、東京都として、現在、どのような業界に、どのような支援をしているのか教えてください。

○緑川商工部長 都は、海外への展開を目指すアニメーション制作会社等を対象といたしましたコンテストを行っておりまして、優れた事業者には、海外の見本市への出展支援などの取組を行っております。

○阿部委員 ありがとうございます。資源の少ない日本にとって、ソフトコンテンツというのは非常に重要な産業であると思っております。
 また、ネット上で、世界で価値を共有する、こうした市場もコロナの中でどんどんと広がっているところです。
 今のご答弁の中で、現在はアニメ制作会社等を対象としているとのことで、成果を期待しております。
 ただ、ソフトコンテンツというのは、アニメやゲームだけではありません。例えばドラマ、今、イカゲームという海外ドラマがはやっているのを、世界的な大ヒットになっているということをご存じの方も多いかと思います。こうしたものの、ドラマのベースとなる考え方、結構日本のお家芸だったような内容でありますけれども、それがビジュアル的な見せ方ですとか、あるいはディテールの設定によって、世界的な大ヒットへとつながっていたという分析もあります。
 こうした日本のものをローカライズするというだけではなく、最初から世界展開を考えていく、あるいは映像、ドラマ、音楽、アート、様々なソフトコンテンツ、デジタルコンテンツを幅広く応援していっていただければと考えております。よろしくお願いいたします。
 次に、女性の創業支援についてお伺いをしたいと思います。
 女性の起業は、いわゆる身の丈起業が多い中、規模の大きな起業を後押しする事業も大切ですが、比較的小規模な起業への伴走型の支援を求める声も根強くあります。
 私の地元の品川区でも、女性起業家交流会というNPO組織がありますが、そこでは、例えば先輩起業家によるメンター制度ですとか、あるいは創業から三年程度、ちょっと長い期間で事業継続について学べる講座などが欲しいという声もあります。
 ぜひ、こうした声も取り入れて仕組みをつくっていただいてはと思いますが、いかがでしょうか。

○緑川商工部長 都は、TOKYO創業ステーションにおきまして、起業に関心のある女性を対象とした女性プチ起業スクエアを実施しており、起業における基礎知識の習得や参加者との交流を通じまして、起業への行動に結びつけております。
 また、ビジネスアイデアを具体化するために、ビジネスプランの策定方法を学ぶ女性起業ゼミを実施するほか、女性専用の相談窓口を設け、オンラインでも起業に関して相談できる体制を整えております。

○阿部委員 ありがとうございます。女性の起業に向けて、様々なきめ細かな相談に応じてくださるということで、ありがたいことだと思います。
 ただ、キーワードとしては、それだけではなくて、起業後、あるいは伴走型、ちょっと長めといったこともあるかと思います。ぜひ、そうしたところにも目配りをしていただければと思います。
 さて、女性に対して今のような創業支援策があります。また、創業支援策だけではなくて、就労支援策も様々なメニューをつくっていらっしゃいます。先ほど議論がありましたように、シニア層に対しても就労支援、そして創業支援、様々な施策を行っております。
 障害者の場合には、就労支援策はあっても、残念ながら創業支援策としてはメニュー化されておりません。障害者にとって、自分の障害特性に合った職場環境を設定しやすい創業というのは、選択肢の一つであると思います。
 こうした障害者の起業ということも支援をすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○緑川商工部長 都は、障害のある方も含めまして、起業に関心のある誰もが利用でき、サポートが受けられるTOKYO創業ステーションを運営しております。
 これまでも障害のある方がこの施設を利用しており、都の支援を受けて起業された方もいらっしゃいます。
 また、障害のため来所が困難な方に対しましては、オンラインにより起業の相談を行うなどの対応を行っております。

○阿部委員 ありがとうございます。
 東京都の創業支援策が、別に障害者は受け付けていないとは思っていないんです。ただ、先ほどもお話があったように、女性に対して様々なメニューがある、あるいはシニアに対しても様々なメニューがある。やっぱり、それぞれの特性の持つハードルというものに対して、それに合わせた支援策、そのハードルを取り除くような支援策というのを、いろいろな属性に対して行っていくというのがきめ細かい支援だと思います。
 そうした意味では、やはり、障害のある方が起業するという意味でも、様々な障害特性に応じたハードルというのがそれぞれにあると思いますので、そうしたことをきめ細かく配慮した、そうした障害者向けの創業支援策というのがあってもいいのではないかなというふうに考えております。
 また、今申し上げたように、とはいっても、障害のある方にとって創業というのは、やはりハードルが高いものであろうかと思います。そうした意味では、障害者自身だけではなくて、家族、あるいは支援者の方々と一体になって障害者向けのサービスを展開する、このことが、逆に障害特性を熟知した障害者の方こそ、障害者関連市場に入っていくには、逆に有利な点もあると思いますので、こうした観点からも、一定の支援をしていくことが必要ではないかなというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○緑川商工部長 都は、TOKYO創業ステーションにおきまして、障害のある方のみならず、そのご家族や支援機関の意見も取り入れながら、事業計画の作成などの支援を行う体制を整えております。

○阿部委員 ありがとうございます。
 例えば都内では、ファブラボという形で、肢体不自由の方と、その支援をする方々がタッグを組んで、3Dプリンターなどを使って自助具をつくっていく。障害を持った方というのは、ご本人が一番その障害にとってどういったものが使いやすいかというニーズを熟知しているわけですから、ニーズノウアーとしての価値というものを提供していく中で、ものづくりに生かしていく、そのような活動がいろいろなところで始まっております。そうした形で、ぜひ、そうした活動を東京都としても注目して、できれば支援していただきたいと思っております。
 障害を何らかの形で持っている方というのは、全体の一五%いるといわれております。ということは、その一五%の方々、今仕事をもちろん持っている方もいらっしゃるかと思いますけれども、そうした方々はまだまだ人材の宝庫であり、そしてまた、消費のという意味でも、ニーズによりきめ細かく応えていくということが、まだまだ、これは発展の余地がある分野だと思っております。
 そうした意味で、産業と、そして、福祉の間ということでありますけれども、ぜひ、そういったところを伸ばしていくというのが、例えば東京都では、ソーシャルファームなどの取組もされているわけです。産業と福祉を結びつけていく、あるいはそういうニーズというのが、今は東京都の組織図の中になかったとしても、組織図に現実を合わせるのではなくて、現実のニーズに組織が合わせていくというような発想で、ぜひ考えていただければと思っております。
 これは、ぜひ考えていただきたいという意味での要望にとどめておきます。
 職業能力開発センターについてもお伺いしたいと思います。
 職業能力開発センターは、卒業後の就職というのを目指すのが基本となっております。しかしながら、多様な働き方が広がる昨今、企業等への就職だけではなくて、学科によっては個人事業主、起業、あるいはインディペンデントコントラクター、そうした働き方も視野に入れたサポートをしていってはいかがかと思いますが、いかがでしょうか。

○村西雇用就業部長 職業能力開発センターにおきましては、訓練生の進路について話を聞きながら、それぞれの内容に応じた助言を行っておりまして、きめ細かい対応をしておるところでございます。

○阿部委員 きめ細かく対応されているとのご答弁でした。
 働き方は多様化しておりますし、特にデザインですとか、そういった分野では、本当に個人で働く、あるいは個人の立場で組織の中で働く、様々な形態が出てきております。センターの人的、あるいは物的な資源も活用しながら、ぜひ背中を押していただきたいと思います。
 次に、観光についてお伺いをいたします。
 新年度予算案における産業労働局関係の予算、約五千八百億円になりますけれども、約三分の二は金融支援ということになっておりますけれども、残り約二千億円のうち、観光産業の振興だけで二百億円に上っております。
 観光産業、産業分類では一つにはくくれない内容にはなっておりますけれども、その中で観光に二百億円という考え方について、都の来年度の観光産業振興の中で、この観光というものが占める立ち位置といったらいいんでしょうかね、どういう位置づけの中でこれだけの金額を割いているのかという考え方を教えていただければと思います。

○築田観光部長 観光産業は裾野が広く、幅広い分野に経済効果が波及し、雇用を創出するなど、東京の成長を牽引する重要な産業でございます。
 そのため、来年度予算案では、観光産業の活性化に向けまして、観光事業者の経営基盤の強化に加え、旅行者ニーズや社会の変化を踏まえた観光資源の開発への支援、東京の旅行地としての魅力の発信や、MICE誘致の推進などに必要な経費を計上いたしました。

○阿部委員 観光産業は裾野が広く、そして、東京の産業を牽引する、そうした位置づけの中での、これだけの金額を割いているということで受け止めさせていただきました。
 その中で、新年度予算の中でも幾つか富裕層向けのプロモーション、富裕層の誘致ということが書かれております。これまでの取組と、それから、成果についてお伺いをしたいと思います。
 また、富裕層を誘致するというのはなかなか簡単なことではないと思いますが、キーコンテンツをどう磨き上げていくのか、そのような取組についても、併せてお伺いをしたいと思います。

○築田観光部長 都はこれまで、富裕層旅行専門の国際的な組織が主催する商談会を誘致するなど、多くの消費が期待できる海外の富裕な旅行者に向けまして、東京の魅力のPRを行ってまいりました。こうした取組の積み重ねによりまして、昨年、富裕層向け旅行雑誌の米国版及び英国版におきまして、東京が世界で最も魅力的な都市の一位に選出されました。
 今後も、東京の文化の魅力などを紹介することで、富裕層のニーズを踏まえまして、着実に誘客を進めてまいります。

○阿部委員 魅力的な都市の一位に選ばれたということで、PRをして、そして、意識づけをして評価される、これは大変大切なことだと思います。ただ、実際にそれが消費行動にまで結びついて、初めて成果といえるものであると思います。そのプッシュまで確実に進めていただきたいと思います。
 富裕層の誘致というのは、単に利益が大きいといったこと、市場の拡大ということだけではなくて、高い要求水準に応えていく、そのことが日本における観光各商品やサービスの品質を上げていく、高品質な商品やサービスの基盤をつくっていく、そういった意味でも、非常に独特な価値を持っているものだと思っておりますし、そのクオリティーを今度は海外展開させていく、その可能性も開くものだと思っております。
 ただ一方で、先ほども申し上げたように、やっぱり、富裕層に来てもらうというのは簡単なことではありません。富裕層の誘致、それから、先ほどお話のありましたMICEの誘致、こうした攻めの観光をしていくためには、やはり、本腰を入れていく必要があろうかと思います。
 東京都は、海外の現地事務所を持たず、全てネットでの対応を、今されているかと思います。現地事務所とネットとどっちがいいかと、これは一概にいえるものではないと思いますし、本当、一長一短あるものだと思っております。
 ただ、最近の他県の動きを見ておりますと、現地事務所でかなりいい動きをしているようにも、これは主観的な見方ではありますけれども、やはり、その中で人脈を築いていく、あるいは現地での、例えば大使館ですとか、政府系機関ですとか、そういったところとの関係をつくっていくという点では、現地事務所というのも、一つ、大きな働きができる可能性を持ったものだと思っております。
 世界中オンラインでつながれる今だからこそ、現地の関係者とじかに付き合えるというのも、やはり、価値が大きいことだと思っております。
 どういう選択をするかというのは、本当、人次第という部分もありますけれども、ぜひ攻めの観光をするのであれば、そうした点も考えていただければなというふうに、これは考えることを要望しておきます。
 最後に、東京の農業についてお伺いします。
 農産物の地産地消についてお伺いしたいと思います。多摩地域など、農産物の産地では、地産地消への取組が盛んに進められていると思います。
 ただ、残念ながら、例えば私の地元の品川区には農地がありません。東京産の農産物を購入することで、地産地消の消、つまり、消費の面では貢献できるのではないかなというふうに思っております。
 ついては、地産地消を広く捉えて、特定の各自治体で行っていくというだけではなくて、オール東京での地産地消の推進ということも考えていただきたいと思いますが、都の見解をお伺いいたします。

○龍野安全安心・地産地消推進担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都は、地域における地産地消はもとより、都内全域において、東京産農産物への理解や消費を促進するため、都心部の学校給食等に食材を提供するほか、その魅力を都民に発信しております。
 来年度は、多摩地域等で取れた農産物を都心でも購入できるよう、受発注や集荷配送の仕組みを構築し、東京における地産地消を進めてまいります。

○阿部委員 多摩地域等で取れた農産物を都心でも購入できるように、受発注や集荷配送の仕組みを構築する事業を新たに始められるということで、これには期待をしたいと思います。
 都市部を単に消費者として位置づけるのではなくて、産地から消費地への一方通行と見るのではなくて、やっぱり、東京というエリアの中で、地産地消のサイクルの中に都市部もぜひ位置づけていただきたい。ちょっと概念的な話になって申し訳ないんですけれども、でも、やはり、そうした意識を持ってオール東京での地産地消をつなげていくという、そうした形で進めていただければと思います。
 以上で私の質問を終わります。

○磯山委員 私の地元では、地域を盛り上げてきた商店街のイベントも、コロナの影響で多くが中止となり、まちに元気がなくなってきたように感じています。コロナの治療薬の開発が進むなど明るい兆しも見え始めていますが、地元の商店街では、実質二年間活動が休止状態であったこともあり、会員の高齢化も相まって、今後、再びイベントで地域を盛り上げていこうという気力すらそがれてしまっていないか懸念しております。また、実際そういった声も耳にします。
 コロナがすぐに終息するわけではありませんが、コロナとうまく向き合いながら、徐々に活動を再開していく時期に差しかかっているのではないかと考えています。そのためには、コロナ禍でも開催できる工夫や、IT技術の取り入れなど、新しい生活様式も踏まえたイベントの見直しも必要であり、これまで商店街活動にあまり携わっていなかった若手や女性の発想の活用も効果的です。
 先日の我が党の一般質問において、都は来年度から、若手や女性が中心となって企画する商店街のイベントに対する新たな助成を開始するとの答弁がありましたが、具体的な支援内容について伺います。

○緑川商工部長 都は現在、区市町村と連携いたしまして、商店街が取り組む季節の催しやセールなどのイベントの実施に必要となる経費につきまして、都が三分の一を、区市町村が三分の一を助成しております。
 来年度はこうした取組に加えまして、まちのにぎわいの創出と商店街活動の活性化のため、若手や女性が参画した新しい発想のイベント開催を後押ししてまいります。
 具体的には、商店街の若手や女性が中心となって企画するイベントの実施に必要となる経費につきまして、都が九分の五を、区市町村が三分の一を助成いたします。こうした商店街の新たな担い手による取組を支援いたしまして、商店街の活性化を図ってまいります。

○磯山委員 若手や女性が中心となったイベントの立ち上げを手厚く支援するとの答弁であり、評価するものでありますが、多くの商店街が取り組めるよう市区町村ともしっかりと連携していただくよう要望しておきます。
 さて、大型店の台頭やネット販売など、商店街を取り巻く状況は厳しさを増しています。長引くコロナの影響や、後継者がいないといった理由により、残念ながら空き店舗となるケースも見られます。
 商店街に店を連ねる店舗の強みは、やはり、専門的な知識を持つ店主との会話や、ほかでは手に入らない特色ある商品、飲食の提供です。特色ある店舗の出店も商店街の魅力を高め、集客につながる重要な要素であり、商店街での開業を後押しすべきと考えますが、見解を伺います。

○緑川商工部長 都は、独創的なアイデアを持つ方が商店街に店舗を構える場合に、改装経費のほか、設備や備品の導入にかかる初期費用と開業後の家賃につきまして、その三分の二を、最大五百八十万円まで、二年間にわたり助成をしております。
 今年度は、地元の食材を使った料理などを提供する飲食店のほか、カフェとアクセサリー等を加工できるスペースが併設した工房などの開業を支援しております。
 来年度は、支援規模を三十件から六十件に倍増し、商店街における新規開業等を一層後押ししてまいります。

○磯山委員 都が商店街での開業を、二年間にわたり定着までを支援していることが確認できました。来年度は規模を倍増するとのことであり、意欲ある開業予定者の取組をしっかりと後押ししていただきたいと思います。
 さて、本日は、コロナ後も見据えながら商店街に活気を取り戻せるよう、イベントへの支援や、開業の後押しについて質疑を行ってきました。
 新たな人材の活用や、外部から商店街へ入ってくる方への支援をしっかりと行っていくことは、商店街の新たな魅力の創出といった点でとても大事な取組です。しかし、商店街の多くを占めコロナの影響を受けながらも懸命に事業を続けている飲食事業者の経営回復に向けた支援も、当然重要なことであります。
 私は、昨年の第三回定例会の質疑において、飲食事業者への個々の実態を踏まえたきめ細やかな支援を要望いたしました。都も補正予算を組み、収益の倍増や経営基盤の強化につながる経営面や資金面での支援を開始し、既に多くの申請があったと聞いています。
 飲食事業者に丁寧に寄り添った支援を、今後も着実に行っていただくよう、改めて要望し、次の質問に移ります。
 都は、東京二〇二〇大会に向け、様々な旅行者が安心かつ快適に滞在できるよう、受入れ環境の整備等に計画的に取り組んできました。そうした成果もあり、東京を訪れるインバウンドの旅行者数は、二〇一九年には過去最多となりました。
 しかしながら、二〇二〇年以降は、新型コロナの感染拡大により、渡航制限や移動の自粛が繰り返されるなど、観光産業は大変深刻な影響を受けています。観光産業の裾野は広く、その振興は経済波及効果や雇用の創出等を生み出し、地域の活性化や都民の生活の豊かさにもつながります。都は、感染症の終息後も見据え、これまで取り組んできた観光振興策を進化させ、推し進めていくことが必要です。
 こうした中、都は先月、新たな観光産業振興実行プランを公表しました。都では、観光に関する有識者会議も設置しており、このプランを策定する過程でも様々な議論があったことと思います。
 そこで、本プランには有識者の意見がどのように反映されているのか伺います。

○小林観光振興担当部長 東京の観光振興を考える有識者会議では、今年度、サステーナブルリカバリーの実現に向けた観光施策の展開をテーマに、三回にわたりご議論をいただきました。
 委員からは、インバウンドの回復見込みや、コロナ禍での観光事業者による創意工夫、持続可能な観光に取り組む意義などにつきましてご意見をいただき、プランの骨格となる戦略やロードマップに反映させていただきました。
 また、具体的な取組といたしましては、観光事業者同士の連携促進やデジタル化など、環境変化への対応による生産性の向上、地域住民に対する観光客の受入れに向けた意識の醸成などへのご意見を踏まえまして、来年度の新規事業として盛り込んだところでございます。
 本プランは、こうしたご議論やパブリックコメントなどを経て作成しておりまして、これに基づき、今後二年間の観光施策を適切に展開してまいります。

○磯山委員 次に、観光事業者への支援について伺います。
 感染拡大の影響が長引く中、今年の桜の開花時期も近づく中でも、観光需要を期待していた多くの事業者にとっては先の見えない状況が続いています。
 また、資金繰りの悪化に直面しているなど、コロナ禍に苦しむ事業者がいる一方で、苦境が続く中でも活路を見いだすべく、新たな事業展開を模索している方々もいます。こうした状況に対応できるよう、都は、個々の事業者の経営をしっかりと支える仕組みが必要であると考えます。
 そこで、観光事業者の経営力の強化をどのように支援していくのか、都の具体的な取組について伺います。

○築田観光部長 都はこれまでも、コロナ禍における観光事業者の経営力強化に向けまして、業務改善や新たな事業展開などの取組を支援してまいりました。
 来年度は、観光事業者が抱える様々な経営課題につきまして、相談、情報提供から課題解決までを一元的に対応するワンストップ支援センターを設置いたします。
 具体的には、個々の事業者の課題を明らかにするため、相談に応じる専門家を最大五回まで無料で派遣いたします。
 また、観光事業者向け支援策の情報収集が容易にできるウェブサイトを開設するとともに、業種ごとの出張説明会を開催し、補助制度などの周知を強化し、迅速な支援に結びつけてまいります。
 さらに、経営のレベルアップに取り組む事業者に対しまして、最新の観光市場の動向や業務改善に役立つ情報を提供するセミナーを開催するとともに、異業種とのネットワークづくりに向けた交流会を実施いたします。
 こうした事業者の状況に応じてきめ細かなサポートを提供することによりまして、観光事業者の経営力の向上につなげてまいります。

○磯山委員 観光関連の事業者の皆様は、日々の経営に本当に多くの悩みを抱えておられます。来年度開設するワンストップ支援センターにおいては、相談に的確に対応するとともに、寄せられた様々な声を参考に、観光事業者の皆様にとって、より利用しやすい仕組みとなるよう運営していくことを要望しておきます。
 次に、旅行事業者に対するDX支援について伺います。
 コロナ禍を機に、海外から国内の近場へ、また、少人数の旅行へと旅行需要の変化が見られます。また、業務運営に関しても、テレワークやオンライン会議の活用が進んでいるほか、ロボットや人工知能の活用など、最小限の人数で業務を進めるためのデジタル化が加速しており、観光産業においても、こうした技術の利用により業務の効率化が期待できます。
 旅行事業者のDXは、新たなビジネス展開につながる可能性もありますが、中小の旅行事業者からは、人材や資金が不足しており、対応が困難な場合もあると伺っております。
 そこで、都は、こうした旅行事業者の実情を踏まえたDXの促進に向け、来年度どのように取り組むのか伺います。

○築田観光部長 都はこれまで、中小の旅行事業者による顧客管理システムの導入や、オンラインでの広報など、デジタル化の取組を支援してまいりました。
 来年度は、デジタル技術の導入の促進を図るため、旅行事業者の業務の効率化とサービス向上に向けた支援策を新たに実施いたします。
 具体的には、旅行事業者百社程度を対象にいたしまして、専門家を三回まで無料で派遣し、オンライン予約の導入など、DXによる業務改善に向けた計画の策定を支援いたします。そのうち優良な計画を策定した事業者に対しましては、計画の実現に向けたアドバイスを行うとともに、必要なシステム開発や機器の導入などに係る経費の四分の三を、三百万円を上限に助成いたします。
 こうした取組事例については、ホームページで紹介するなど、旅行事業者にデジタル技術の活用を促すことで、さらなる生産性の向上につなげてまいります。

○磯山委員 移動の自粛が続く中で、厳しい経営状況にある旅行業界ですが、社会のデジタル化にも対応していくことが今後の成長には欠かせません。都には、中小の旅行事業者によるDXの導入が着実に生産性の向上、経営改善につながるよう、今後も後押しすることを求めておきます。
 次に、観光事業者の連携促進について伺います。
 コロナ禍においては、遠方への旅行を控える動きもあり、近場の旅行を楽しむ、いわゆるマイクロツーリズムが注目されています。多くの旅行者に都内各地に足を運んでいただき、観光による消費を増やしていくためには、その地域ならではの魅力を楽しめるツアーを提供し、再来訪につなげることが効果的です。
 そのためには、旅行事業者が地域の観光施設等と手を携えて、ツアーのコンテンツをつくり上げ、誘客を促すことにより、地域のにぎわいや個々の事業者の収益につなげることが重要と考えます。
 そこで、都は今後、観光事業者が連携した誘客の促進に向け、どのように取り組むのか伺います。

○築田観光部長 コロナ禍で影響を受けた観光事業者が経営の改善を図る上では、地域の主体が連携して旅行需要を確実に取り込むことが重要でございます。
 このため、都は来年度、旅行事業者が宿泊施設や飲食店、観光施設等、多様な事業主体と協力して行う、それぞれの強みを生かした地域の特色ある旅行商品づくりへの支援を開始いたします。
 具体的には、旅行者が地元のガイドの案内による史跡見学や、伝統工芸品の制作体験を楽しみ、地域の食材を活用した料理を堪能できるツアーづくりを行う旅行事業者に対しまして、企画や販売促進等に必要な経費の三分の二を、最大三百万円まで助成いたします。
 こうした取組を通じまして、各地の独自の魅力を活用したツアーを増やしまして、旅行者の消費に着実につなげることで、観光事業者の経営改善を図ってまいります。

○磯山委員 本事業により、地域ごとの魅力にあふれるツアーが生まれ、誘客が促進されることで、旅行事業者だけでなく、飲食店や小売店をはじめ、多くの観光関連事業者に広く効果が行き渡るよう期待しています。
 また、観光事業者の連携促進には多様な主体とのネットワークづくりも重要です。ワンストップ支援センターで開催する交流会をはじめ、様々な施策に取り組んでいただくことを要望して、次の質問に移ります。
 次に、多摩の観光振興について伺います。
 先ほども近場への観光、いわゆるマイクロツーリズムが注目されていると指摘しましたが、一方で、昨年の春の奥多摩町には、都内からたくさんの観光客が車で訪れ、深刻な交通渋滞が起きたという話も伺っております。観光振興を図る上では、こうしたオーバーツーリズムを防ぎ、地域住民の暮らしを守っていくことも重要です。
 多摩地域には豊かな自然だけではなく、例えば私の地元の小平にある、本物の下水道管の中に入ることができる日本で唯一の施設であるふれあい下水道館のように、特色のある美術館や博物館などの見どころが数多くあります。
 こうした観光スポットを、エリアとしてはかなり広い多摩地域において、旅行者が限られた滞在時間の中で、バスなどの公共交通機関を使って巡るには何らかの工夫が必要です。とりわけ、昨今のデジタル化の流れで情報入手の手段も日進月歩の状況ですので、観光情報の入手や、交通手段の確保にもデジタルを活用していくことは効果的だと考えます。
 都は、多摩地域において、スマートフォンのアプリなどを活用した観光型MaaSの導入に向けた事業に取り組んでいますが、その取組状況と来年度の展開について伺います。

○築田観光部長 都は、多摩地域に点在する魅力ある観光地を巡る際の利便性の向上を目指しまして、昨年十一月、青梅市において観光型MaaSの実証実験をいたしました。この取組では、スマートフォンのアプリにより観光情報の検索や旅の行程作成、バス等の交通機関、美術館、そして、飲食店で使えるチケットの購入と利用ができるサービスを提供いたしました。
 また、予約制で相乗り型のデマンド交通を運行し、駅などから離れた観光スポット間をつなぐことによりまして、利用者の効率的な移動を確保いたしました。
 来年度は、対象のエリアを青梅市からさらに拡大するとともに、実証実験で得られたノウハウを公表し、新たに多摩の自治体や観光協会、交通事業者等が取り組む観光型MaaSの導入等に係るシステム開発やPRなどに必要な経費を最大三分の二まで、二千五百万円を上限に支援いたします。
 こうした取組によりまして、地域の回遊性を高め、多摩の特色を生かした観光振興を進めてまいります。

○磯山委員 ここまで、観光産業の振興に向けた来年度の取組について伺ってきました。繰り返し述べてきましたが、観光に関わる事業者の方々は新型コロナの影響により長期にわたり厳しい経営状況が続いています。
 都には、こうした事業者の立場に立ち、的確に施策を展開していくことで、プランのタイトルのとおり、観光産業の復活と持続的な成長の実現を目指していただくことを要望し、質問を終わります。

○後藤委員 都民ファーストの会の後藤でございます。もう既に十時を過ぎておりまして、理事者の皆様も委員の皆様も大変お疲れのところだと思いますが、最後の質疑となりますので、お付き合いをいただければと思います。
 私からは、今般発表されたウクライナ危機に関する施策全般について伺います。
 都は、三月十一日、ロシアのウクライナ侵攻に伴う原油や穀物などの様々な価格高騰というものが危惧されております。こうした状況が東京の産業に与える影響を抑えるべく、様々な支援メニューというものを発表いたしました。
 さきの予算特別委員会におきましても、私からも、ほかの政党の皆様からも、大枠について質疑はされておりますけれども、このたび十一日にこの概要が発表されたということがありますので、一つ一つ確認をしてまいりたいというふうに思います。
 まず、金融支援からであります。
 都は、現在の経済状況を踏まえ、中小企業の資金繰りを後押しする新たなメニューを創設し、しっかり支援をしていくというふうにしておりますが、まずはどのように取り組んでいくのか伺いたいと思います。

○高野金融支援担当部長 新たな融資メニューは、ウクライナ情勢の影響により売上げが減少している事業者の資金繰りを改善するためのメニューとして創設をいたします。
 具体的には、最近三か月の売上げ実績または今後三か月の売上げ見込みが、直近同期と比較して一〇%以上減少している事業者が対象となります。
 このメニューでは一億円を限度額とし、低利の融資を行うとともに、借入れの際に必要となる信用保証料についても、都が、小規模事業者に対しては四分の三、その他の事業者には三分の二を補助することで、中小企業の負担を軽減しております。
 なお、本メニューにつきましては、本日から融資の受付を開始しております。

○後藤委員 ありがとうございました。これまでの質疑の中でも、新型コロナの影響で、都は様々な金融支援を行ってきているということで、それに加えて、今回ウクライナ危機に合わせて支援メニューを拡充したということでありました。
 特に、今のご答弁では、一〇%以上の売上げ減少で制度が利用できるということがございまして、これを機会に、これまで対象にならなかった事業者も使っていただけることが想定をされるわけでありますから、多くの事業者に知っていただけるような周知を、ぜひお願いしたいというふうに思います。
 次に、中小企業への支援でございます。
 都は、原油高の影響を受けやすい様々な業種がありますが、こうした中小企業を対象に専門家を派遣し、光熱水費などを減らす設備の導入経費の補助を行うという発表をしておりまして、どのように支援を行っていくのか伺いたいと思います。

○緑川商工部長 都は、原油価格の高騰によりエネルギーコストの上昇が見込まれるため、中小企業の省エネによる取組を通じた経営改善を後押しする緊急的な支援につきまして、本日から受付を開始いたしました。
 具体的には、省エネ対策のアドバイザーや経営の専門家を企業の現場に延べ八百回まで派遣し、光熱水費等の削減に役立つ機器の導入や経営改善へ向けたアドバイスを行ってまいります。また、専門家の助言に基づいて設備等を導入する場合、必要となる経費の二分の一を、百万円を上限に助成いたします。
 こうした取組によりまして、厳しい経営環境にある中小企業の事業継続を適切に支援してまいります。

○後藤委員 省エネアドバイザーを八百回まで派遣して、経費の二分の一、百万円上限に助成するということでご答弁がございました。
 省エネを支援するということでありますけれども、電力の消費を抑える機器というものは、百万円が上限ということでありますので、具体的にどのようなものをイメージしているのか伺いたいと思います。

○緑川商工部長 支援の対象は、LED照明機器をはじめ、高効率の冷凍冷蔵庫や空調設備のほか、エネルギーの使用量をリアルタイムで把握できる機器など、省エネ対策の専門家などがエネルギーコストの削減に有効とアドバイスをした設備や機器を想定しております。

○後藤委員 省エネ効率の高い冷蔵庫や空調設備などが対象ということでございましたが、こうした取組は、都が進めるゼロエミッション東京の実現にも資する取組だというふうに思っておりますので、多くの事業者に使っていただくことを期待し、次の質問に参ります。
 次に、製造業における原油価格高騰への対策について伺います。
 製造業に関しては、中小企業等、原油をエネルギーとして利用するだけではなく、原材料にも使っており、他の業種よりも価格高騰の影響を受けやすい、そうした状況があります。
 こうした状況を踏まえて、都は、電力などの固定的なコストを減らす設備等の導入を後押しする緊急的な支援を開始したというふうにしていますが、具体的にどのように支援をしていくのか伺いたいと思います。

○緑川商工部長 都は、原油価格高騰の影響を受けやすい製造業種の中小企業などに対しまして、電力などの固定的なコストを減らす設備等の導入を後押しするための緊急的な支援につきまして、本日から受付を開始いたしました。
 具体的には、中小製造業百社に専門家を二回まで派遣いたしまして、設備の導入やコスト改善に向けたアドバイスを行ってまいります。
 また、こうした助言に基づきまして、高効率の空調設備やLED照明機器などを導入する際に必要となる経費につきまして、その五分の四を、三百万円を上限に助成いたします。
 こうした取組によりまして、製造業種の中小企業における事業継続をきめ細かくサポートしてまいります。

○後藤委員 先ほどのご答弁と少し似ているんですけれども、高効率の空調設備やLED照明機器などの経費について、三百万円を上限に五分の四補助ということでありまして、やはり、原油価格の高騰の影響を受ける中小企業の皆さんからは、こうした省エネ対策、国でもいっていますけれども、こうしたものもいいんだけれども、側面支援ではなく抜本的な対策をしてほしいという声も上がっているのは事実だと思います。
 国では、今、トリガー条項の解除に向けての議論なども進んでいるところでありますけれども、国への支援の働きかけなども含めまして、ぜひとも積極的な対応をお願いしたいというふうに思います。
 次に、中小企業の海外取引への支援について伺います。
 ウクライナ情勢の緊迫は、ロシアなどと海外取引を行う都内企業にも甚大な影響を及ぼしています。
 都は、ロシア企業との決済の停止などにより販売や仕入れが困難となる中小企業に対して、今般、緊急的な対策を実施したというふうに聞いておりまして、どのような対策なのか伺いたいと思います。

○緑川商工部長 都は、ロシアの企業との取引に影響が生じている中小企業を対象に、三月十一日から、海外取引や貿易実務の専門家によります特別相談窓口を開設いたしました。そこでは、新たな輸出入取引に係る相談に応じるとともに、必要な手続等につきまして無料でアドバイスを行っております。
 また、今後、海外のビジネス事情に精通した専門人材によるマッチングや、越境ECの出品などについても支援を予定しております。
 こうした取組によりまして、中小企業の新たな仕入先と販売先の確保を適切にサポートしてまいります。

○後藤委員 今のご答弁では、相談窓口を開設して丁寧にアドバイスをしていくという話があったんですけれども、案内のチラシを見ると、相談方法が原則として来訪ということになっておりまして、昨今、新型コロナのまさに今、蔓延防止措置の期間中でもあるわけですから、原則訪問とかということではなくて、やはり、オンラインでの相談をもっと積極的に周知すべきだなと思います。米印で希望に応じて対応もできますというふうに書いてありますけれども、これだけオンライン対応、様々な業種、業態で進んでおりますので、ぜひ先陣を切って対応していただきたいというふうに思っております。
 そして次に、漁業、畜産業への支援につきましては、先ほど別の委員の方より質疑がありましたので、割愛をさせていただきます。
 次に、肥料価格高騰への対応について伺います。
 都内では、現在一万人近くの農家が農業を営んでおります。ロシアは化学肥料の主要な産地ということで、農業者の経営を圧迫するということが懸念をされているところであります。
 今回、農家への影響を軽減するため、肥料の購入量を減らすことで、コストの増加を抑える支援を実施していくということですが、どのように取り組んでいくんでしょうか伺いたいと思います。

○龍野安全安心・地産地消推進担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 化学肥料の価格高騰に伴う農業者の経営コストの上昇を抑えるため、都は、農地の土壌診断を無料で行い、土壌の状態を把握することで肥料の適切な使用を後押しいたします。
 具体的には、三月十一日から十八日までの間、土壌診断を希望する農業者からの申込みを受け付け、民間の検査機関が土壌に含まれるリン酸やカリウムなど、様々な養分の量について検査を実施いたします。
 さらに、検査機関から農業者に送付された診断結果に基づき、農業経営の指導を担う農業改良普及センターの指導員が土壌に適した肥料の種類や作物ごとの使用量などについて助言を行ってまいります。

○後藤委員 ありがとうございました。この土壌に含まれる様々な養分の量を検査して、土壌の省エネ化をやっていくというようなことのご答弁でありましたけれども、専門家の方などに聞くと、農家の皆さんの中には必要な肥料よりも過剰に肥料をまいているというケースも多々あるというお話を聞いておりまして、そういった意味では、農業の省エネ化の取組としては意味があるのかなというふうに思っています。
 一方で、やはり、先ほどもそうなんですけれども、農業者の皆様からは抜本的な対策ということで、例えば肥料高騰分の補填となるような施策など、さらなる対策を求める声が上がっていますが、いかがでしょうか。見解を伺いたいと思います。

○龍野安全安心・地産地消推進担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 農業生産において化学肥料は、土壌に合った適切な使用や堆肥などの代替品の活用により、その使用量を削減することが可能でございます。化学肥料の削減は、農家における肥料の調達コストを軽減するとともに、環境の保全にもつながる効果的な取組でございます。
 今後も、ウクライナ情勢に伴う影響の長期化などを見据え、スピード感を持って機動的、弾力的に対応してまいります。

○後藤委員 効果的な取組なので、まずはやっていくんだという話なんですけれども、今ご答弁いただいたように、昨今の状況というのは刻一刻と変化をしているというわけでありますので、ぜひ現場の声なども聞きながら、二の矢、三の矢ということで対策を講じていただきたいというふうに思います。
 かなり駆け足に、ここまで今般のウクライナ情勢に関わる中小企業等、まあ企業等への経済支援対策ということで伺ってまいりました。経営支援から金融支援、そして、農林水産の事業者支援ということで、様々、多岐にわたっていますけれども、これだけ一気に制度がリリースをされておりますので、まだ多くの事業者の皆様に情報が届いているかということ、そして、これからしっかりと情報を届けて、ウクライナ関連で非常に経営的に瀕している事業者の皆様にしっかりと使っていただく、そのラストワンマイルまでの支援を、まずここからは、都として取組を進めていただくということが非常に重要になってくるというふうに思います。
 しっかりと内容を分かりやすく事業者へ伝える工夫が必要であると考えますが、見解を伺います。

○松本総務部長 事業者向け支援策につきましては、都のホームページのほか、SNSも活用するなど、幅広く情報発信を行っているところでございます。また、中小企業や農業、水産業の関係団体、あと、金融機関、また、区市町村などと連携して、支援策の具体的内容を事業者に伝えるなど、きめ細やかな周知も展開いたします。
 さらに、経営や金融に関する相談窓口では、個別の事業者からの相談に応じて、適切な支援メニューの紹介を行っていきます。
 こうした取組により、ウクライナ情勢の影響を受け、支援を必要とする事業者に適切に情報が行き届くよう努めてまいります。

○後藤委員 都のホームページ等の周知に加えて、中小企業や農業、水産業の関係団体、そして金融機関、区市町村などとも連携をしていただけるということで安心をいたしました。
 特に、話を聞いていると、やはり、各区市町村の窓口、そして、例えば地域でいえば信金の営業マンさんなんかが、地域をくまなく回る中で、この新型コロナの対応策などについては情報が周知されているというのも、実態としてはあるというふうに思います。
 引き続きしっかりと、情報の周知を行っていただくことをお願いいたしまして、最後に雇用面の対策について伺いたいというふうに思います。
 さきの予算特別委員会でも質疑をいたしましたが、今回のウクライナ危機は、コロナ禍で冷え込んでいる雇用市場をさらに悪化させるという懸念がございまして、今回のウクライナ危機に関連し、離職を余儀なくされた方々の支援に向けて、今回、都は、速やかに就職特別相談窓口をしごとセンターに設置したというふうに聞いております。
 そこで、この窓口では、具体的にどのような支援を行うのか、また都民にしっかりと、こちらも併せて周知を図っていくべきだと考えますが、見解を伺います。

○村西雇用就業部長 しごとセンターに設置しました就職特別相談窓口におきまして、専門のアドバイザーが電話や来所での就職に関する様々な相談に対して、早期の再就職に向けた助言を行います。
 具体的には、カウンセリングを実施し、求職者の希望や経験等を踏まえた求人を紹介するとともに、最大六か月間の派遣就労を通じ、正社員就職を支援する事業を案内し、再就職を後押ししてまいります。
 また、こうした支援につきましては、区市町村への情報提供に加え、ホームページやSNSなど多様な媒体を活用し周知を行ってまいります。

○後藤委員 今のご答弁をお伺いしていて、都がこれまで、コロナ禍の中で様々な雇用対策を実施してきていると思いますけれども、これに重層的に重なっていく、少しオーバーラップする部分もあるかと思うんですが、それでもなお、やはり、ウクライナに関わる雇用の環境悪化の中で、個別具体の対策を求めていると、そういう方もいらっしゃると思いますので、例えば携帯で検索をしたときにすぐに上に上がってくるとか、区市町村とも連携をしてしっかりと個別にきめ細かにサポートできる、そうした体制の整備、お願いをしたいというふうに思います。
 ということで、様々、この支援、網羅的に質問をしてまいりましたけれども、今回ウクライナ、ロシアの侵攻が始まったのが二月の末、そして、今回、本事業の、まあ今日から始まるという事業も非常に多いんですけれども、この事業のリリースが発表されたのが三月十一日ということで、かなりのスピード感で都内事業者の支援策を、まずは講じてこられたということで、この間の産業労働局の皆様の働きと機動力というものに、率直に感服をしているところであります。
 恐らく、この事業の検討がスタートした当初は、まだまだウクライナ情勢の事業者への影響に関する現場の声というところは、都の方に吸い上げられているわけではないというふうに思っています。
 しかしながら、まだまだウクライナ情勢、緊迫をしておりまして、解決の糸口がまだ見えていない中でありますので、ぜひ第二弾、第三弾、恐らく補正予算等を組まれることもあると思うんですけれども、ここから先は事業者の生の声、ぜひ、しっかりと耳を傾けていただきまして、対策を講じていただきたいというふうに思います。
 また、新型コロナが感染拡大したこの二年間は、都の補正予算の多くが産業労働局と福祉保健局、この二つの局が占めているということで、まさに感染拡大防止というところと経済の両輪を回していく、この難しいかじ取りの中で、産業労働局の皆様が果たしてきた役割というものは、私はすごく大きいというふうに思っています。
 この二年間、まさに不眠不休で、皆さんも私たちと同じようにご家庭などがある中で、昼夜を惜しまずに働いてくださって、つくっていただいた支援策の一つ一つが都内の事業者の経営を、そして暮らしを守っていく、そうしたことにつながっていったんだというふうに思っております。
 こうした皆様の奮闘にエールを送るとともに、今後も、都内事業者の皆様のとりでとなっていただくことを要望して、質疑を終わります。

○細田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、ご異議はありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○細田委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で産業労働局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後十時二十八分散会

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