委員長 | 細田いさむ君 |
副委員長 | 後藤 なみ君 |
副委員長 | 松田 康将君 |
理事 | 中田たかし君 |
理事 | 山崎 一輝君 |
理事 | あぜ上三和子君 |
清水とし子君 | |
玉川ひでとし君 | |
磯山 亮君 | |
本橋たくみ君 | |
田の上いくこ君 | |
阿部祐美子君 | |
入江のぶこ君 | |
高倉 良生君 |
欠席委員 なし
出席説明員中央卸売市場 | 市場長 | 河内 豊君 |
管理部長 | 松田 健次君 | |
事業部長 | 西坂 啓之君 | |
市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 佐々木 珠君 | |
渉外調整担当部長 | 村上 章君 | |
財政調整担当部長 | 渡邉 貴史君 | |
環境改善担当部長 | 萩原 清志君 | |
港湾局 | 局長 | 古谷ひろみ君 |
技監 | 山岡 達也君 | |
総務部長 | 相田 佳子君 | |
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 石井 均君 | |
調整担当部長 | 若林 憲君 | |
港湾経営部長 | 戸井崎正巳君 | |
港湾振興担当部長 | 猪倉 雅生君 | |
臨海開発部長 | 松本 達也君 | |
開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務 | 佐藤 賢治君 | |
臨海副都心まちづくり推進担当部長 | 赤木 宏行君 | |
臨海副都心開発調整担当部長 | 小原 昌君 | |
港湾整備部長 | 片寄 光彦君 | |
計画調整担当部長 | 薮中 克一君 | |
担当部長港湾計画担当部長兼務 | 水飼 和典君 | |
離島港湾部長 | 村田 拓也君 | |
島しょ・小笠原空港整備担当部長 | 川崎 卓君 |
本日の会議に付した事件
港湾局関係
事務事業について(質疑)
中央卸売市場関係
事務事業について(質疑)
○細田委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、港湾局及び中央卸売市場関係の事務事業に対する質疑を行います。
これより港湾局関係に入ります。
初めに、過日の委員会で紹介できませんでした幹部職員について、港湾局長から紹介があります。
○古谷港湾局長 公務のため、過日の委員会を欠席させていただきました幹部職員をご紹介させていただきます。
港湾振興担当部長の猪倉雅生でございます。臨海副都心まちづくり推進担当部長の赤木宏行でございます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
〔理事者挨拶〕
○細田委員長 紹介は終わりました。
○細田委員長 次に、事務事業に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○相田総務部長 去る九月二十二日の当委員会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元の経済・港湾委員会要求資料をご覧ください。
表紙をおめくりいただきますと、目次に三件の資料の件名が記載してございます。
それでは、一ページをご覧ください。臨海地域開発事業会計における企業債償還の推移でございます。
臨海副都心開発の基盤整備に関わる企業債を、転貸債、建設元利金債の二つに区分し、平成元年度から令和六年度までの発行額及び償還額等を百万円単位で記載してございます。
なお、令和元年度までは決算額、令和二年度は決算見込額、令和三年度は予算額、令和四年度以降は計画額を記載してございます。
二ページをご覧ください。臨海副都心における有償処分予定地の現況一覧でございます。
有償処分予定地を開発確定面積と今後開発予定面積の二つに分けてございます。そのうち、開発確定面積を処分済み及び処分手続中に区分し、また、今後開発予定面積を公募中及び今後処分予定に区分してございます。そのおのおのの項目について、昨年度末時点の面積をヘクタール単位で記載してございます。
三ページをご覧ください。建設発生土・しゅんせつ土の埋立処分計画と実績でございます。
平成二十八年度から令和二年度までの五年間における計画土量及び実績土量を万立方メートル単位で記載してございます。
以上をもちまして、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○細田委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○松田委員 私からは、東京港の港湾計画と施設整備の状況及び伊豆諸島における就航率の向上及びしゅんせつ土砂の活用について、順次お伺いをさせていただきます。
まず、東京港からご質問をさせていただきます。
東京港の港湾計画と施設整備の状況についてでございますが、我が国最大のコンテナ港である東京港は、東日本を支える重要な物流拠点としての役割を担っております。
昨年のコンテナ貨物量は四百七十五万TEUで、貿易額は十六兆円であり、日本経済を牽引する重要なインフラとなっております。
先週、我が会派でも、大井や青海などのふ頭の見学、さらに外国船への対応やコンテナの取扱いと管理、渋滞対策などを直接見て確認をさせていただいたところでございます。
最近、ロサンゼルス港などでは、新型コロナウイルス感染症の影響などによって大量のコンテナが滞留をし、コンテナ船が入港できないなどの混乱が起きているという報道がありました。一部においては、品不足や物価の上昇も生じているということで、改めて、安定した物流の重要性を感じたところであり、東京港が担う役割は大きいと考えます。
東京港がこうした物流拠点としての重要な役割を果たしていくためには、コンテナふ頭をはじめとする港湾施設を計画的に整備し、十分な機能を確保していくことが重要であります。我が党は、以前から、貨物量の増加に対応するために、コンテナふ頭や臨港道路の整備を進めるべきと主張してまいりました。
こうした中、都は、東京港の港湾計画に基づいて、港湾施設の整備を進めてきたと聞いております。
そこで、現行の東京港第八次改訂港湾計画に基づくコンテナふ頭や臨港道路の整備状況について伺います。
○片寄港湾整備部長 平成二十六年に策定した東京港第八次改訂港湾計画では、港湾機能と都市機能が有機的に結合した港湾を目指し、新規コンテナふ頭の整備や既存ふ頭の再編、高度化、道路ネットワークの強化を進めることとしております。
このうち、コンテナふ頭につきましては、中央防波堤外側地区において、大型船に対応した水深十六メーターの高規格バースを含むコンテナターミナル、Y1、Y2、Y3を計画化し、順次整備を進めてまいりました。
Y1は平成二十九年十一月、Y2は昨年三月にそれぞれ供用を開始しており、Y3については今年度から工事に着手する予定でございます。
また、増大する交通量に対応する道路ネットワークの充実に向け、東京港内における南北方向の新たな幹線道路である臨港道路南北線を計画化し、整備を進めてきたところであり、昨年六月に供用を開始いたしました。
○松田委員 ありがとうございます。現在の港湾計画に基づいて、中央防波堤外側の新規コンテナふ頭や臨港道路南北線の整備が進められ、東京港の機能が着実に強化をされてきたことを確認させていただきました。我々も海上からY1、Y2の整備状況を先日も確認させていただいたところであります。今ご答弁ありました残るY3のターミナルについても、早期完成を目指して引き続き取り組んでほしいと思っております。
一方、現行の港湾計画では、策定から七年ほど経過をしておりますが、この間、東京港を取り巻く環境は大きく変化をしていると思われます。現在、第九次改訂港湾計画に向けた長期構想の検討が進められており、年度内に取りまとめられると聞いております。長期的な視点で東京港を発展させるためには、現状をしっかりと把握をし、将来の見通しを立てた上で、東京港の将来像を明らかにしていくことが重要だと考えます。
そこで、長期構想の検討を行うに当たって、東京港の課題や情勢変化をどのように捉えているのか伺います。
○水飼担当部長港湾計画担当部長兼務 東京港では、アジア貨物を中心に取扱貨物量が増え続けているとともに、世界的に船舶の大型化が進展していることから、ふ頭機能のさらなる強化が必要であると認識しております。
また、少子高齢化による労働力不足や、AI、IoT等の情報通信技術の進化などを踏まえ、DXの推進による港湾物流の効率化も必要であると考えております。
さらに、首都圏の生活と産業を支える物流の一大拠点としての役割を確実に果たしていくため、切迫性の高まる首都直下地震や強大化しつつある台風、高潮等に耐えられる強靱な港の構築、脱炭素社会の実現に向けたカーボンニュートラルの取組も必要であると認識しております。
長期構想では、こうした課題や情勢変化に適切に対応できるよう、二〇四〇年代を見据えた長期的視点で取り組むべき施策の方向性を検討しているところでございます。
○松田委員 ご答弁いただいたとおり、様々な課題や社会情勢の変化を踏まえて検討されていることが分かりました。今ご答弁ありましたカーボンニュートラルに関しても、先日の視察でも、コンテナの移動にハイブリッドの機械を事業者が導入しているというのも見させていただきました。
こうしたことは、今後の東京港を考える上でどれも重要なことでありまして、引き続き検討をしっかり進めてもらいたいと思いますが、やはり東京港に関する最重要課題は、首都圏、ひいては東日本の四千万人の経済活動を支える円滑な港湾物流をいかに維持していくかということだと思います。
そのためにも、これまでも我が党が繰り返し主張してきたように、港湾施設の整備をしっかりと進めていくことが必要でありますが、今後の施設整備を考える上で、まず検討しなければならないのは、東京港の取扱貨物量、特にコンテナ貨物量がどのように推移をしていくかということであります。
そこで、長期構想において、東京港の将来のコンテナ貨物量はどのような見通しになっているのか伺います。
○水飼担当部長港湾計画担当部長兼務 東京港のコンテナ貨物量はこれまで堅調に増加してきており、今後予想されている国内の経済成長を踏まえると、引き続き増加していく見込みであり、二〇四〇年代のコンテナ貨物量の見通しは、五百七十万TEUから六百七十万TEUと試算しております。
加えて、RCEPなど、世界各国との経済連携協定による自由貿易の拡大や、国際的な電子商取引の拡大などから、将来のコンテナ貨物量がさらに増加する可能性もあり、今後、必要に応じ、考慮していくこととしております。
○松田委員 コンテナの貨物量はGDPにも比例するといわれております。さらに、国際的な新たな貿易構造、今ご答弁ありましたRCEPですね、こちらでは参加国全体で九一%で関税が撤廃されるということとなっておりまして、これからコンテナの貨物量は増加する可能性が高いということであります。
一方、東京港は、現時点においても既に施設能力を上回る貨物量を取り扱っていることから、コンテナターミナルのゲートの前などで交通混雑が生じております。先日の視察の際も、最初に入ってからトラックが荷を下ろすまで大体三十分から一時間かかるということで、列をなしている状況も確認をさせていただきました。
また、今後、さらに貨物量が増加する見込みであることを考えると、さきの第三回定例会代表質問で我が党が指摘したように、新たなふ頭整備も含めた抜本的、戦略的なふ頭の再編によって、東京港全体の機能強化を行っていくことがいよいよ不可欠であると考えます。
そこで、将来のコンテナ貨物量のさらなる増加に対して、ふ頭機能の抜本的な強化が必要でありますが、今後どのように進めていくのか伺います。
○片寄港湾整備部長 東京港が今後も首都圏を支える物流の拠点としての役割を適切に果たしていくためには、現在検討を進めている長期構想の下、貨物量の増加に対応した港湾施設の整備を進め、東京港全体の施設能力を向上させていく必要がございます。
抜本的な機能強化といたしましては、現在整備を進めている中央防波堤外側Y3ターミナルの早期の完成を目指すとともに、隣接する新海面処分場地区において計画化されているZ1ターミナルについても機能をさらに拡充し、貨物処理能力を大幅に向上させることを目指してまいります。
あわせて、大井ふ頭や青海ふ頭等の既存ふ頭の再編整備を進め、貨物量の増加や船舶の大型化に適切に対応できるようにするとともに、AI、IoTを活用したDXの推進による物流効率化にも取り組んでまいります。
今後とも、都は、将来を見据えて戦略的に施設整備を推進し、東京港全体の機能強化を実現させてまいります。
○松田委員 Z1ターミナルにも言及していただきましてありがとうございます。ぜひよろしくお願いをいたします。
今るるお話を伺い、港湾施設の整備を計画的に進めていくことを確認させていただきました。現在検討を進めている長期構想を今年度中に取りまとめた後、これを指針として、具体的な港湾の整備計画である第九次改訂港湾計画の策定に取りかかる予定と聞いております。港湾事業者などの意見にもしっかりと耳を傾けながら、東京港の未来を支える港湾計画を策定していただきたいと考えます。
東京港の機能強化に向けた取組を引き続き積極的に進めていただくことをお願いして、伊豆諸島の質問に移ります。
伊豆諸島は太平洋に点在する島々から成り、全国でも有数の強風地帯であることから、特に冬場は波が高く、波浪条件が厳しいということで知られております。そのため、船の運航も厳しい面がありますが、島民にとっては、台風などの場合を除き、島と本土を必要なときにいつでも行き来ができることが望まれております。
本土と島、また島と島を結ぶ定期船は人々の移動手段であるだけではなくて、物流の要としての役割を担っていることから、島しょにとっての生命線であり、安定的な船の就航は島民の願いでもあります。
このため、東京都はこれまで、就航率の向上に向けて、大型船が接岸できる岸壁などの港湾施設の整備を進めてまいりました。港湾工事も、当然厳しい気象、海象条件に左右されることから、岸壁を一つ完成させるのも容易ではありませんが、長年にわたって努力を重ねてきた結果、定期船の就航率は確実に向上してきていると聞いております。
我が党は、離島に関する港湾整備費を確実に確保するよう、日頃から都に対して強く働きかけており、国費も活用しながら、都が着実な整備を行ってきた成果であると考えます。さらなる就航率の向上を図るためには、引き続きしっかりと港湾の整備を進めていくべきであります。
そこで、改めて確認をさせていただきますが、東京都は、島しょ地域においてこれまでどのような考え方で港湾施設の整備を進めてきたのかを伺います。
○村田離島港湾部長 伊豆諸島は、我が国の中でも厳しい気象、海象条件の下にあり、定期船の就航率向上のためには、風向きや波の大きさ、地形など、各島の特性に応じて港湾施設を整備する必要がございます。
港が位置する方角やその日の風向きなどにより、波浪の影響を受ける場所が異なることから、都では、気象、海象状況によって使用する港や岸壁を使い分けることができるように整備を進めてまいりました。
この方針に基づき、大島や八丈島など比較的大きな島では、一つの島の異なる方角に二つの港の整備を行っております。
一方、地形的な要因などから複数の港を整備することが困難な利島や青ヶ島などの小離島においては、一つの港に二つの突堤の整備を進め、二つの突堤の内側の静穏度を高めることで、定期船の就航率の向上を図っております。
○松田委員 ありがとうございます。島の地形的な特性に合わせて、例えば大きな島では二つの港を整備する。そして、小さな島では、二つの−−突堤って飛び出した堤っていうんですかね、二つを造ることによって、その間に波を立たないようにすることによって、船を着けられるようにするという工夫をされているということが確認できました。
そこで、こうした厳しい気象、海象状況は避けられない条件なので、複数の選択肢を持つのは非常に合理的な対応だと思います。
それでは、実際、昨年度、定期船の就航率はどうなったのか伺います。
○村田離島港湾部長 一つの島に二つの港を持つ大島や八丈島などでは、昨年の大型定期船の就航率は九〇%を超えており、中でも最も高い大島はおおむね全便が就航しております。
また、一つの港で定期船を受け入れている小離島においては、二つ目の突堤が既に完成している利島は約八〇%、現在整備中の御蔵島と青ヶ島は約六〇%でございました。
○松田委員 ご答弁ありましたとおり、大きな島の就航率は九〇%を超えているとのことであって、風向きや波によって使用する港を使い分ける手法は有効であることが示されています。
一方で、小離島にとっては、利島が約八〇%と比較的高いですが、御蔵島と青ヶ島は六〇%ということでありまして、決して十分とはいえない状況であります。空港のない小離島においては、港に定期船が着かないと、島の外との交通手段は少人数しか乗れないヘリコミューターだけになりまして、予約で満席のことも多いためになかなか島を出られないという事態も生じております。
さらに、欠航が続くと、生活物資は届かず、島の特産品を本土に送ることもできないため、島民の生活や産業に大きな影響を与えてしまいます。安定的な就航を確保するため、小離島においてはさらに港湾整備を進め、就航率を向上させていくことが求められます。
そこで、利島、御蔵島、青ヶ島における現在の施設の整備の状況についてお伺いいたします。
○村田離島港湾部長 厳しい気象、海象条件の伊豆諸島の中でも、とりわけその影響を受けやすい小離島では、突堤などの港湾施設の整備がより困難な状況にはございますが、これまで都は、様々な工夫を行いながら着実に整備を進めてまいりました。
最も整備が進んでいる利島では、平成十二年度に着工した二つ目の突堤が既に完成しており、現在は港内の静穏度をさらに高めるため、防波堤の整備を進めております。二つ目の突堤が完成したことによって、大型定期船の就航率は約一〇ポイント向上し、さらに、波浪の影響を受けやすい高速ジェット船についても、平成十四年の就航当時は約三〇%であったものが、現在では約七〇%と飛躍的に向上しております。
青ヶ島、御蔵島におきましては、それぞれ平成二十一年度と二十九年度に二つ目の突堤の工事を開始し、現在、計画的に岸壁延長を延ばすなど整備を進めているところでございます。
今後とも、二つ目の突堤の早期完成を目指し、着実な整備に取り組み、就航率向上を図ってまいります。
○松田委員 ありがとうございます。小離島は入り江などもないことから、天然の地形を生かして港を造ることができず、波の影響を直接受けるため、同じ伊豆諸島の中でも特に厳しい環境に置かれております。
我々も大島の災害のときに視察で行ったとき、途中で高速船が止まったとき、物すごい揺れを感じました。このように、行く途中という、海上の高さという影響もありますが、ですので、港の静穏度、この湾の中の静穏度だけで要因となっているわけではありませんが、利島においては二つの突堤が整備された成果で就航率が向上しているということを、今ご答弁をいただいたところであります。
御蔵島や青ヶ島においても、整備が進むことによって港の静穏度が上がり、船が着岸しやすい状況になってくることが期待をされます。港湾の整備は一朝一夕にできるものではありませんが、引き続き着実な整備に取り組んでいただくことをお願いいたします。
ところで、船舶の就航を確保するためには岸壁などの施設を整備するだけでなく、航路や船が転回するスペースである泊地を適切に管理をしていくことも重要であります。
島によっては、航路や泊地に土砂が流入することによって、船舶が航行するために必要な水深が確保できなくなるということから、海底にたまった土砂のしゅんせつが必要になってまいります。
港湾局によると、神津島や新島の港では定期的にしゅんせつを実施しているということでありますが、これらの島で発生する砂は、島内のビーチの砂と同様のきれいな白砂であり、大変貴重なものであります。
そこで、神津島や新島でのしゅんせつによって発生した土砂については、有効活用を図るべきと考えますが、都の見解を伺います。
○村田離島港湾部長 一般に、しゅんせつ土砂は異物の混入が多いなど再利用が難しいですが、神津島や新島で発生したしゅんせつ土砂は異物の混入が少ない良質な砂でございます。このため、定期的なしゅんせつにより発生する土砂につきましては、島内の砂浜などに投入しているほか、利島の人工海浜やお台場海浜公園の砂浜にも活用しております。
こうした取組により、台風などにより浸食が進み、海岸線が後退している砂浜を守るとともに、人工海浜を良好に維持し、地元の人々や観光客が楽しめる環境を提供していくことが重要であり、今後とも、島しょ部のしゅんせつ土砂の有効活用を図ってまいります。
○松田委員 ありがとうございます。しゅんせつ土砂の有効活用は、安全な船舶の航行を確保するだけではなくて、島の観光資源でもある美しい海岸を守ることにもなる、まさに一石二鳥の取組であります。
また、この貴重な白砂が、島内のみだけではなくて、お台場の砂浜にも使われているということでありまして、自然豊かな東京の離島に関心を持ってもらうきっかけにもなると思います。
しかし、このことはあまり知られていないのが残念でありますので、ぜひとも、今後ともしゅんせつ土砂の活用に積極的に取り組むとともに、こういったところに使われているんだということも積極的にPRを、力を入れていただくことをお願いして、私の質問を終わります。
○入江委員 私からは、ウイズコロナにおける臨海副都心の活性化について伺います。
臨海副都心には、港区の台場エリアと江東区の青海エリアと有明エリアがありますけれども、私は台場のランドマークである企業、テレビ局に二十年勤務しまして、台場や青海での多くのイベントやエンターテインメントの実施に関わりました。そして、民間の立場で、この地区のにぎわい創出を担ってまいりました。そのために、大変、私としては思い入れのある場所でございます。
臨海副都心エリアはこれまで、国内有数の観光地としてだけではなく、世界的なイベントが開催される多様な魅力を有する場所として、国内外から多くの人々を引きつけてまいりました。
特に青海地区は、東京二〇二〇大会の開催に合わせて、東京国際クルーズターミナルが開業し、青海アーバンスポーツパークなど会場で各種競技が行われ、スポンサーブースもあり、多くの観光客が訪れることで、さらなるにぎわいが創出されることを期待されてまいりました。
しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大により、東京二〇二〇大会は無観客開催となり、インバウンド客はなく、まちのにぎわいの面でも大きな影響を受けています。
このエリアは羽田空港からも近く、都市部の観光拠点として、従来から高いポテンシャルを有しております。今後は、ウイズコロナ、あるいはポストコロナの時代を見据え、非接触、非対面などの可能となるデジタル技術などの先端技術を活用した新たなまちづくりを進めていくことも大変重要であると考えております。
都は、令和二年二月にスマート東京実施戦略を策定し、臨海副都心エリアを含む五つの地域を先行実施エリアとして指定し、それぞれの地域特性を生かした取組を推進することとしています。
昨年度は、先行実施エリアの一つである西新宿において、自動運転タクシーの実証実験が実施されるなど、都においても自動運転の実装に向けた取組が開始されたところです。
この臨海副都心エリアにおいても自動運転の実証実験に取り組むとのことですが、その目的について伺います。
○小原臨海副都心開発調整担当部長 臨海副都心は、その骨格となるシンボルプロムナード公園を軸に、台場や青海、有明地区といったそれぞれ魅力的な拠点が形成される一方、四百四十二ヘクタールという広大な街区であるがゆえに、各拠点間の回遊性については必ずしも高いとはいえない状況にございます。
このため、臨海副都心エリアに自動運転の実装を促し、域内の回遊性を高めることを目的として、自動運転の実証実験に取り組むことといたしました。
今年度は、安全対策を万全にした上で、シンボルプロムナード公園内に自動運転の車両を走らせる実証実験を行う予定でございまして、一般都民の方々による自動運転車両への試乗体験も予定いたしております。
○入江委員 ありがとうございます。臨海副都心における自動運転の実証実験を行う目的をご説明いただきました。将来的な実装につながるよう、しっかりと検証していただきたいと思います。
また、検証を行う上では、単なる自動運転技術の実験だけではなく、臨海副都心ならではの特色を生かした実証実験を行うべきであると考えます。
そこで、今年度の自動運転実証実験の具体的な実施方法について伺います。
○小原臨海副都心開発調整担当部長 臨海副都心地域は、集客力のある商業施設や観光施設が集積し、オープンスペースを活用したイベントが開催されるなど、多くの来訪者を魅了してきたエリアでございます。
そのため、今年度の実証実験では、この地域の特色であるエンターテインメント性を生かしたコンテンツにより、試乗される方に対して、ほかでは得られない乗車体験を提供する予定でございます。
具体的には、移動中において、外の景色に合わせた映像コンテンツを車窓に映し出すことや、バーチャルなキャラクターが乗車案内を行うなど、デジタル技術を活用することにより、乗車した方に楽しんでいただける内容を検討いたしております。
○入江委員 今回の実証実験は、技術実証に加えて、先端技術にエンターテインメント性を加味した新しい取組になるとのことを伺いました。そうしたこれまでにない自動運転の乗車体験ができれば、臨海副都心エリアの認知度向上にもつながるものと考えられ、期待しております。
しかし、東京二〇二〇大会の選手村では、残念なことに、自動運転機能を持つ電気自動車がパラリンピック選手に接触する事故がございました。自動運転は発展途上の技術でもありますので、臨海副都心においても、安全で、確実で、なおかつ最先端の楽しみがある実証実験を行うことをお願いいたします。
先月、新型コロナウイルス感染症に伴う緊急事態宣言は解除され、ようやく経済活動、社会活動、文化活動の拡大が期待されますが、臨海副都心のまちのにぎわいという面では、まだまだ回復の途上です。まちの活力を取り戻すための新たな取組を加速させなければならないと思います。
そのような中、今後に向けて有力視されるのが、急速に進展するデジタルトランスフォーメーションの活用であると考えます。例えば、MICE施設においても、オンラインとリアルを融合したハイブリッド会議が当たり前となりますので、5Gや、最先端の映像機器や、VRのバーチャルリアリティーの仕掛けなども重要となります。
臨海副都心において、新たにデジタルを活用した様々なサービスを提供しようとする事業者を支援し、まち全体にデジタル技術を広げていくことが必要だと考えます。
そこで、新たにデジタル技術を導入しようとする事業者を支援すべきと考えますが、見解を伺います。
○小原臨海副都心開発調整担当部長 デジタルテクノロジーの活用は、来訪者へのサービスや利便性の向上につながり、まちの魅力や活力を高める手段として有効でございます。
このため、事業者による地域への先端技術の導入等を促進することを目的といたしまして、ベイエリアDIC推進事業を創設いたしました。これにより、例えば、施設内における5G通信設備の整備や、スマートフォンから見る景色にデジタルコンテンツを融合させる、いわゆるAR技術に関する機器の整備、あるいはアプリによるデジタルサービスの導入費用等を支援してまいります。
今後とも、ハード、ソフトの両面から、デジタルを活用した地域のにぎわい創出等に寄与する取組を支援し、地域の事業者とともに、次世代に継承される先進的なまちづくりを推進してまいります。
○入江委員 臨海副都心開発が始まってから三十年以上が経過し、その間には様々な変還を経て今を迎えております。このエリアに行けば楽しい体験ができる、新しいテクノロジーに触れられるという、こういう地歴、イメージはしっかりと定着しております。
今後も、自動運転をはじめとする先端技術の実証実験や地域へのDXの実装により、まちのにぎわいを取り戻していただきたいと思います。
さらに、民間企業の力を生かし、世界に誇る東京港の美しいロケーションとともに、臨海副都心は常に一歩先、最先端を行くエリアであり続けるよう取り組んでいただくことを強く要望いたします。
続いて、防災船着場について伺います。
十月七日に千葉県を震源とする地震が発生し、東京二十三区でも震度五強が観測されました。東京二十三区で震度五強の揺れを観測したのは、十年前の東日本大震災以来となりますが、改めて防災事業の重要性を認識したところです。
この地震により、交通機関にも影響が発生し、一部の地域では、朝になっても駅の入場規制が行われるなど、混乱が続きました。東日本大震災で経験したように、東京で大地震が発生した場合には、多数の帰宅困難者が想定され、これに伴い、食品や医療品などの緊急物資の輸送が必要となります。
私の地元である港区では、地震などの災害発生時には、民間企業などの協力を得て、一時滞在施設も多く用意されておりますが、食料や医療品の確保が課題です。
こうした中、東京の沿岸部には海や運河などで囲まれている地区が多く、交通渋滞の発生により車両での運送が困難な場合に備え、船舶を活用した水上ルートでの輸送が期待されています。東京港には応急対策活動の要となる防災船着場が多数設置されていて、災害時にこれらの施設を確実に活用させていくことが重要です。
そこで、まず、発災時に東京港の防災船着場はどのように使用されるのか、具体的な方法を伺います。
○片寄港湾整備部長 防災船着場は、災害発生時において、船舶による傷病者の輸送や、医療、緊急物資の輸送など、東京港における水上輸送の拠点となる施設でございます。運用に当たりましては、関係者が連携し、確実に物資の輸送等を行うこととしており、都の災害対策本部の指揮の下、東京港防災船着場発災時運用マニュアル等に基づき、関係者が適切に行動することとなっております。
具体的には、地元区等が傷病者や物資を船舶により輸送する場合、使用希望の船着場や輸送物資の品目、数量等を明らかにした上で、都の災害対策本部に防災船着場の使用を要請いたします。
港湾局は、輸送拠点や輸送手段の確保の役割を担っており、災害対策本部からの要請に基づき、航路、運河の航行可否の確認、防災船着場の施設点検等を行うとともに、船舶確保の要請がある場合には、協定を締結している舟運事業者等に船舶の調達を依頼いたします。
使用に際しましては、施設を管理する東京港管理事務所や高潮対策センターまたは区が施設の安全性を確認した上で、施設の扉を解錠し、必要な物資等を船舶に積み込むなど、水上輸送拠点としての運用を開始することとしております。
○入江委員 ありがとうございます。災害時に防災船着場を使用する際の手順についてはよく分かりました。しかし、重要なのは、これらの手順が円滑に実施され、防災船着場が水上輸送拠点として確実に機能することです。
私の地元である港区に設置されている芝浦アイランドの防災船着場では、今年度、改修工事が行われまして、近隣のお住まいの方々からは、災害時にしっかりと活用してもらいたいと期待が高まっております。こうした声に応えるためにも、ぜひ、芝浦アイランドの防災船着場も含め様々な場所で実際に訓練に取り組んでいただきたいと思います。
そこで、港湾局は、防災船着場を活用した防災訓練にどのように取り組んでいるのか伺います。
○片寄港湾整備部長 港湾局では、災害時に確実な水上輸送を実施するために、平成三十年度より毎年、関係行政機関や舟運事業者等と連携して、防災船着場における水上輸送訓練を実施しております。
実施に当たりましては、被災者を被災場所から災害拠点病院に輸送するなど、事前にシナリオを設定し、情報伝達方法や役割、手順について、地元区や舟運事業者等と十分に調整を行うこととしております。
令和二年度は、港区、中央区、江東区と連携し、各区内にある防災船着場を使用した防災訓練を行い、臨海部で被災者が発生したことを想定し、傷病者を水上タクシーで、お台場海浜公園の防災船着場から災害拠点病院に近接する田町の防災船着場へ輸送する訓練などを実施いたしました。
これまでの訓練を踏まえ、発災時に防災船着場に配置する人員を増やすなどの改善を図るとともに、こうした経験が様々な地域の関係者に共有できるよう、芝浦アイランド等を含め、より多くの防災船着場での訓練を検討してまいります。
○入江委員 ご丁寧にありがとうございます。ぜひ、改修工事が完了したこの芝浦アイランドの防災船着場での実際の水上輸送、防災訓練の実施をお願いいたします。
ところで、現在、東京港の運河部にある防災船着場のうち、田町と品川の防災船着場については、民間事業者が運航する水上タクシーの乗降場所として開放されていまして、日の出や天王洲、お台場など東京港の様々な船着場へのアクセスが可能となっています。この水上タクシーについては、水上タクシーそのものが観光資源となるだけではなく、東京港の水辺を結ぶ新たな交通手段として期待されております。
今回、改修工事が行われた芝浦アイランドの防災船着場は、超高層マンション四棟が街区をつくり、人口約一万人といわれる芝浦アイランドに隣接しております。こちらを水上タクシーに開放していただければ、付近にお住まいの方々の日常の足として十分に利用される可能性があると思います。
そこで、地元のご意見もございまして、芝浦アイランドの防災船着場を水上タクシーに開放すべきと考えますが、都の所見を伺います。
○戸井崎港湾経営部長 都は、舟運の活性化のため、平成二十八年度から、JRの駅から比較的近い田町の防災船着場と品川の防災船着場を対象に、水上タクシーの乗降場所として開放する社会実験を実施しております。
この社会実験を開始するに当たりまして、舟運事業者の団体や地元区などをメンバーとする検討会を立ち上げまして、周辺の水域利用者の意見などを聞きながら、田町及び品川の防災船着場の民間事業者への開放や今後の活用方策について調整を進めたところでございまして、その後も検討会におきまして、社会実験の実施状況や課題について検証を行っております。
お話の芝浦アイランドの防災船着場の開放につきましても、検討会の活用を視野に入れまして、社会実験の実施状況や利用者のニーズを十分踏まえた上で検討をしてまいります。
○入江委員 様々な関係者とご調整を要することは理解ができますけれども、ぜひ地元の要望でもありますので、検討をお願いいたします。
芝浦アイランドの防災船着場は、一たび災害が発生したときには、芝浦地区における物資輸送や傷病者輸送に加え、帰宅困難者対策の拠点ともなる重要な施設です。災害発生時において防災船着場を有効に機能させるためには、日頃から防災訓練を実施することはもとより、平常時から船舶に船着場を利用させることで、設備不良などの点検や運用上の課題の洗い出しが可能となり、発災時における船着場のより確実な運航につながることともなります。
都におきましては、ぜひ舟運の活性化と同時に、防災上の観点からも、防災船着場の有効活用を促進していただくことを強く要望いたします。
これで質問を終わります。ありがとうございました。
○高倉委員 まず初めに、旧晴海鉄道橋の遊歩道化についてお伺いしたいと思います。
東京二〇二〇大会では、臨海部に選手村や多くの競技施設などが設置され、世界中から集まったアスリートたちが多くの感動や希望を与えてくれました。今後は、大会のレガシーを生かし、多くの人々が集い、にぎわうまちづくりを進めることが必要であります。
都議会公明党はこれまで、臨海部は水辺の活用が可能な大きなポテンシャルを有する地域であり、新たなにぎわいを創出するためにも、魅力ある水辺空間の形成に取り組んでいくべきというふうに主張してまいりました。
臨海部の中でも選手村エリアは、三方を海で囲まれている晴海地区に位置しておりまして、水際沿いには緑地が整備されるなど、都民にとって貴重な水辺空間が形成されております。
本年三月に公表された未来の東京戦略においては、晴海地区とその対岸に位置する豊洲地区とを結ぶ旧晴海鉄道橋の遊歩道化等を進め、魅力的な水辺のネットワークの形成を図っていくということが掲げられておりますけれども、これは大変に重要な取組というふうに思います。
そこで、まず、旧晴海鉄道橋を遊歩道化する意義についてお伺いします。
○佐藤開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務 臨海部におきましては、大会のレガシーを継承したサステーナブルな都市を実現するため、誰もが楽しめる回遊性の高い水と緑のネットワークを形成し、水辺の魅力を高め、ウオーカブルなまちづくりを進めていくことが重要でございます。
旧晴海鉄道橋は、大会後に新たなまちが生まれる晴海地区と、駅周辺の再開発が進む豊洲地区とを結ぶ位置にあり、臨港鉄道の歴史的なシンボルとして地元からも有効活用が望まれていることから、遊歩道化を進めることといたしました。
この橋梁の遊歩道化整備によりまして、両地区をつなぐ新たなランドマークとなるとともに、連続した水辺のネットワークが形成され、これまで以上のにぎわいが創出されることが期待できます。
○高倉委員 この鉄道橋は、戦後の復興と高度経済成長を支えた臨港鉄道の一部でありまして、かつては港からの貨物を載せた列車が走っておりましたが、平成元年に廃止をされ、歴史的に貴重な橋ということになります。
そこで、旧晴海鉄道橋の遊歩道化に当たりましては、今ある橋の特徴を生かしながら整備をしていくべきであるというふうに思いますが、ご見解をお伺いします。
○佐藤開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務 旧晴海鉄道橋は、日本で初めて採用されたローゼ橋と呼ばれるアーチ形式の鉄道橋であり、歴史的な鉄道遺産として、建設当時の面影を残す遊歩道に生まれ変わらせることを計画してございます。
そのため、現地に残置されている鉄道レールを歩道部分に埋めて活用し、歩く人に鉄道遺産であることを感じてもらえるよう、鉄道橋の形跡を残すなど、歴史的価値を踏まえた整備を進めてまいります。
さらに、橋梁のアーチ部等につきましては、現状のさびを落とした後、塗装を行い、建設当時の色合いを復元していく予定でございます。
○高倉委員 今ご答弁で、日本で初めて採用されたローゼ橋と呼ばれるアーチ形式の鉄道橋というご答弁がありましたが、こうした旧晴海鉄道橋の歴史的価値に着目をして、可能な限り当時の様子を思い起こすことができるように整備を進めているということについては評価をいたしているところでございます。
もちろん、鉄道橋を安全かつ快適な遊歩道として生まれ変わらせるための整備には、一定の時間がかかるということは承知をしております。
一方で、晴海地区のまちづくりが順調に進められている中で、遊歩道の整備についても早期に供用を開始できるように、ぜひ着実に推進をしていただきたいと思います。
そこで、旧晴海鉄道橋の遊歩道化に向けた今後の整備スケジュールを明らかにしていただきたいと思います。
○佐藤開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務 旧晴海鉄道橋の遊歩道化には、橋の安全性を確保するため、橋脚部分の補強や橋の落下を防止する装置の設置等、耐震補強工事が必要でございます。
そこで、本年二月には鉄道橋の晴海地区側から耐震補強工事に着手したところであり、引き続き今年度末には豊洲地区側の着手を予定しております。
その後、老朽化した橋梁のアーチ部等の補修や歩道部の舗装等を実施し、令和七年度中の完成を目指して整備を着実に進めてまいります。
○高倉委員 本事業は私も大変期待をしておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
次いで、舟運の活性化について質問をいたします。
東京港では、水上の交通手段として、定期運航する水上バスや、観光目的で不定期に港内を運航する屋形船、小型クルーズ船、水上タクシーなど様々な船が往来をし、港内にはこうした船の発着地となる船着場が複数整備されております。
このうち、公共船着場については、移動手段としての公共性の高い定期航路の利用が優先をされておりましたけれども、我が会派は、公共船着場のさらなる利活用により、観光目的での舟運の活性化を図るため、屋形船をはじめとした不定期航路事業者にも開放すべきということを繰り返し意見を述べてきたわけでございます。
その結果、東京港においては、公共船着場の不定期航路船への開放が実現をしまして、これまで多くの都民や観光客が船の上からの眺望を楽しんでいるわけであります。
そこで、まず、確認でありますが、不定期航路事業者に対するこれまでの公共船着場の開放の状況についてご答弁いただきたいと思います。
○戸井崎港湾経営部長 都は、舟運の活性化に向けた取組の一環として、平成二十六年度から公共船着場を不定期航路事業者向けに開放しております。
具体的には、竹芝、有明、お台場、日の出、青海の五か所の船着場を昨年度までに順次開放してまいりました。
また、本年四月からは、お台場海浜公園に新たに整備した船着場を開放しており、東京港において現在利用可能な全ての公共船着場を不定期航路事業者に開放しているところでございます。
○高倉委員 開放の状況について確認をさせていただきました。
一方で、コロナ禍における社会経済活動の停滞によりまして、実際に公共船着場を利用する定期航路や不定期航路の舟運事業者にとっては大変厳しい状況が続いておりまして、私ども都議会公明党に対しても、舟運事業者から支援を求める切実な声が寄せられております。
このため都としても、舟運事業者がコロナ前の状況にいち早く持ち直せるような施策を実施していただきまして、舟運の早期復興に尽力をしていくということが大変重要であるというふうに思います。
そこで、舟運事業者への支援の実施状況について答弁をいただきたいと思います。
○戸井崎港湾経営部長 舟運事業者は、長引くコロナ禍の影響で、長期にわたり休業を余儀なくされるなど、大変厳しい経営状況にあるものと認識しております。
このため都は、昨年度、屋形船等を係留する水域の占用料や港湾局の施設使用料の支払いが一時的に困難になった事業者等を対象といたしまして、支払いを最長で一年間猶予する措置を実施しており、今年度も引き続き同様の措置を継続しております。
また、国が実施いたしました家賃支援給付金につきましても、給付金の内容を事業者団体等に周知するとともに、占用料等の納付猶予を受けている場合におきましても申請が可能である旨を案内するなどの対応を行ったところです。
都は、新型コロナウイルス感染症の感染状況や舟運事業者の経営状況等を引き続き注視し、必要に応じて舟運事業者への支援を行ってまいります。
○高倉委員 現在、新型コロナの感染については、さらに第六波が予想されるといったような予断を許さない状況がありますので、ぜひ支援については継続的に取り組んでいただきたいと思います。
国内においては、ワクチンが多くの方々に行き渡りまして、現在は各都道府県における緊急事態宣言も解除をされております。今後は、観光などを目的とした都内への人の移動が活発になることが予想されるなど、舟運の復興に向けた明るい兆しも見え始めているわけであります。こうした中、舟運の早期復興に向けた取組に加えまして、ポストコロナを見据えた舟運の活性化策に同時に取り組んでいくということが大切になってくると思います。
特に、新たな航路開設に向けまして、船着場の利用を増やしていくためには、開放する船着場を増やしていくことも大事でありますけれども、舟運事業者からは、船着場の空き状況が分からず、予約が取りづらいといった声もあるわけであります。
船着場の利便性向上のためには、新型コロナウイルス感染症によりましてますます重要となっているICT技術を積極的に活用し、船着場をより使いやすくしていくことが必要でございます。
都は、舟運事業者にとって船着場をより使いやすくするために、具体的にどう取り組んでいかれようとしているのか、見解をお伺いしたいと思います。
○戸井崎港湾経営部長 舟運事業者による船着場の利用を促進するためには、事業者にとっての船着場の利便性を向上させていくことが必要です。このため都は、舟運事業者の日々の業務となっている船着場の予約とゲートの解施錠につきまして、ICT技術を活用して改善を図ることといたしました。
予約方法につきましては、従来、電話等による申込みでございましたが、令和元年度から、公共船着場におきまして、インターネットによる予約システムを順次導入しておりまして、今年度には利用可能な全ての公共船着場への導入を完了いたしました。これにより、舟運事業者は、二十四時間三百六十五日、利用日の前日まで予約申込みを行うことが可能となっております。
また、船着場のゲートの解施錠につきましては、現在は、舟運事業者が船着場の管理者に連絡をして解施錠を行ってもらうという手続が必要となっておりますが、事業者の負担軽減に向けた取組として、舟運事業者がQRコードを活用して直接解施錠できる実証実験を、五か所の船着場のうち日の出ふ頭の船着場において年内に実施する予定です。
今後も、都は、船着場のデジタル化を推進し、船着場の利便性向上に努めてまいります。
○高倉委員 ICT技術等を活用した新たな実証実験を開始するということでありますが、実験後には結果をしっかりと検証した上で、その成果を舟運の活性化に確実につなげていただきたいと思います。
多くの人々に舟運を利用してもらうためには、船着場の利便性を向上させることに加えまして、舟運そのものの魅力を発信していくということも必要であります。
先日、都は、コロナ禍における夜間の営業時間の短縮要請の解除に合わせて、夜間のライトアップなどの消灯の依頼を終了いたしました。今後は、ライトアップの再開を機にしまして、夜間の人の動きが活発になることが予想されておりますが、こうした動きに舟運事業者からも期待の声が上がっているわけであります。
ほかの港では、工場群の夜景を楽しむクルーズが人気であるというふうにも聞いておりますが、先日の東京二〇二〇大会で選手村から眺めた東京の夜景が世界で大きな反響を呼んだように、東京の臨海エリアの夜景は非常に魅力的であるというふうに思っております。今回のライトアップの解禁を契機としまして、船の上から見る東京の夜景を積極的にPRをしていけば、多くの人が舟運を利用したいというふうに思うのではないかと思います。
都として、東京港の夜景をPRしながら舟運全体の活性化を図るべきと考えますけれども、ご見解をお伺いしたいと思います。
○戸井崎港湾経営部長 東京港には、お台場やレインボーブリッジ、ゲートブリッジなど、美しくライトアップされた魅力ある夜景スポットがございます。舟運のさらなる活性化を促していくためには、これらの夜景スポットを船上から楽しめるようにしていくことが重要でございます。
このため、都は、これまで舟運になじみのない人にも東京の夜景を楽しむことのできるナイトクルーズを体験してもらうため、短時間で少人数でも気軽に利用できる企画船の実施について、新型コロナウイルス感染症の感染状況を考慮しながら、舟運事業者とともに検討してまいります。
また、企画船の運航時には、ホームページやSNS等を積極的に活用し、東京の夜景の魅力や楽しみ方などを発信し、舟運の利用を促進してまいります。
こうした夜景を生かした取組を契機に、舟運の魅力を向上させ、にぎわい創出に寄与してまいります。
○高倉委員 国内で最大のコンテナ貨物港であります東京港では、コンテナ貨物の積卸しに使われるガントリークレーンが何十基も設置をされておりますけれども、これらは夜間にはオレンジ色にライトアップをされておりまして、大変圧巻な光景が広がっているわけであります。
ふだん、一般の人にはなかなか意識されない東京港ではありますけれども、舟運を利用しまして、その魅力ある夜景を間近に眺めることで、東京港を広く知ってもらうきっかけにもなっていくんではないかというふうに思います。都として、夜景を活用した舟運活性化策を積極的に進めていただきたいと思います。
こうした取組によりまして、舟運の利用客の増加にしっかりとつなげていただいて、より多くの人々に東京の水辺の魅力を実感していただきたいというふうに思います。
最後に、「ゆりかもめ」の安全対策についてお伺いしたいと思います。
先月、首都圏で最大震度五強を観測した地震が発生をいたしました。この地震によりまして、日暮里・舎人ライナー線が緊急停止をしまして、五両編成の列車のうち先頭から三両目までの車両が脱輪をしまして、三名の軽傷者が出る事故が発生をしたということがございました。
この日暮里・舎人ライナーは、運転士と車掌は乗車しておらず、コンピューター制御による自動運転で運行する新交通システムを採用しておりますけれども、臨海部の主要な交通インフラであります「ゆりかもめ」についても同様のシステムが採用されているわけであります。
「ゆりかもめ」は、新橋と豊洲の間に計十六の駅を有しておりまして、昨年度のコロナ禍においても年間二千三百万人が利用するなど、臨海部を訪れる多くの方々の移動手段として、なくてはならない交通機関となっております。
「ゆりかもめ」では、阪神・淡路大震災クラスの地震に耐えられるように、インフラの耐震補強等のハード対策を十分に実施をしているというふうにも聞いております。
しかしながら、「ゆりかもめ」は多くの方々が利用するがゆえに、万が一の災害発生時には混乱が起こりやすいということ、また、乗客への周知や避難誘導などの対応についても、これはしっかりと準備をしていく必要があるんではないかというふうに思います。
そこで、災害発生時の具体的な対応はどうなっているのかお伺いしたいと思います。
○佐藤開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務 災害発生時の対応につきまして、「ゆりかもめ」では、独自のマニュアルを定め、円滑かつ安全に乗客への周知や避難誘導ができるよう取り組んでおります。
具体的には、大規模地震等が発生し、列車を緊急停車させた場合、本社指令所から駅及び車内に案内放送を流して、列車の運行状況等を乗客に周知することとしております。
また、モニターで把握している全列車の位置情報を踏まえ、駅間で停車している列車があった場合には、誘導要員を急行させ、走行路上の安全を確認した上で、乗客を最寄り駅まで避難誘導することとしております。
さらに、誘導要員等が不足する万が一の場合に備えて、維持管理に携わる社員も支援できる体制を整えておくなど、社を挙げて災害発生時の対応に備えております。
○高倉委員 災害時の対応について、今ご答弁をいただいたわけであります。
様々準備をされて、いざというときに迅速に対応していくということにしていると思いますけれども、それをしっかりと確実にやっていくためには、日頃の防災訓練も大変大事ではないかなというふうに思います。
そこで、「ゆりかもめ」での防災訓練、これはどう取り組んでいらっしゃるのか、答弁いただきたいと思います。
○佐藤開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務 「ゆりかもめ」では、地震等に強い交通インフラを目指し、防災訓練についても、不測の事態に備えて日頃から力を注いでいるところでございます。
具体的には、「ゆりかもめ」の各部署が連携して、乗客への周知や避難誘導等を行う総合的な防災訓練を行うとともに、緊急時の情報伝達訓練、列車の減速運転訓練等を定期的に行っております。
さらに、過去に発生した「ゆりかもめ」の事故事例等を振り返り、異常時における対応力強化を図る研修を繰り返し実施するなど、防災に関わる研修訓練の充実にも努めているところでございます。
○高倉委員 ぜひ訓練はしっかりやっていただきたいと思います。
やはり非常事態といいますか、災害等があったときには、また、その後は非常に意識も高くて、気持ちの上でもしっかり取り組んでいこうという気持ちがあると思いますが、またそこから日にちが経過をしますと、だんだんだんだんマンネリ化をしてくるというんでしょうか、そういったことも心配をされますので、ぜひ新たな視点からも含めてやっていただければというふうに思います。
先月、京王線の電車内で、男性が可燃性の液体をまきながら乗客を刃物で刺し、十七名に重軽傷を負わせるという事件が発生をしております。
犯人は、八月に発生した小田急線での事件を模倣したというふうにもいっているようでありまして、私は、「ゆりかもめ」においても同様なことが発生する可能性は全くゼロではないといった思いを持つということは大変大事であるというふうに思います。
これまで防災対応についての答弁をいただきましたけれども、今後は、殺傷事件のような事例にもしっかり対応できるように、巡回警備の徹底など、防犯対策についても強化をしていくべきであると思います。
そこで、今回の京王線での事件を受けて、「ゆりかもめ」ではどのような対策を取っているのかお伺いしたいと思います。
○佐藤開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務 京王線の事件を受け、「ゆりかもめ」では、国土交通省からの巡回警備の徹底指示を踏まえ、対策を強化しております。
具体的には、腕章をつけた駅員や委託した警備会社の社員が定期的に「ゆりかもめ」に乗車し、駅及び車内の巡回警備を行っています。
また、車内の案内放送を活用して、乗客への注意喚起の頻度を高めるとともに、駅構内の案内表示板や車両に配備されている電光掲示板により、不審者等への注意を呼びかけるなど、対策の拡充にも努めております。
○高倉委員 「ゆりかもめ」は、自動で運転をされているという状況なんですね。乗務員は列車にはいないわけなんですよ。当然、駅には職員もいらっしゃる。ただ、時間帯によっては、職員がいないような駅もあるやに聞いてはいるんですね。
何かあったときには、駅と駅との間で、しかも走行中に何かが起こるというようなことも当然想定されるわけですね。これはもう当然というか、想定されるという以前の話として、実際にそういうことがもうあちらこちらで起こっていると。しかも、それを模倣する人たちがいるということにもなっているわけであります。
やはり、現場の状況をリアルタイムで把握をしていくというような体制というのは大変重要ではないかと思いますけれども、現場の状況を知るためにどういう対策を取っていらっしゃるのか、答弁いただきたいと思います。
○佐藤開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務 「ゆりかもめ」では、現場の状況をリアルタイムで把握する監視カメラを全駅に設置し、モニターで常時監視する体制が築かれております。
あわせて、監視カメラの映像を警察で常時確認できるよう、「ゆりかもめ」と警察とが専用回線でつながった非常時映像伝送システムを既に構築済みであり、万が一の事態にも迅速に対応できるようにしてございます。
また、全ての車両内部に防犯カメラを設置することで、犯罪等の未然防止にもつなげております。
さらに、全車両に指令所と連絡を取れるインターホンを配備し、対応する社員を常時待機させるなど、乗客が不審者等を通報できる体制も築いております。
○高倉委員 今、答弁をいただきまして、駅には監視カメラがあると。それから、モニターで常時監視をしていると。それから、警察とも常時連携できるように、非常時映像伝送システムといったようなものも稼働しているということであります。また、全車両にインターホンもありますと。乗客が直接指令所とお話ができるようなものだと思います。
その答弁の中で、全ての車両内部に防犯カメラを設置しておりますと、こういう話だったんですが、この防犯カメラは恐らく、何というんでしょうか、リアルタイムで映像をどこか指揮所で見られるような状況ではないんじゃないかと思うんですね。
よく車にはカメラはついていますけど、後で何かあったときにそれを見る、つまり、録画しているという意味ですよね。通常、防犯カメラというのは二つあって、リアルタイムで見れるものと、それから録画しておいて、いざというときにそれをもう一回見てみるというのがあるんだと思いますが、この電車についているのは、今、「ゆりかもめ」についているのはそちらの、今私がいったいわゆる記録をしていくためのカメラではないかなと思うんですね。
昨今起こっている、車内で可燃性の液体をまいたり、あるいは刃物で乗客に切りつけたりする、そういう状況では、列車の中で何が起こっているのか、もうなかなかそれがよく分からないという、それから、運転手や車掌がいても、なかなかそれを把握できない。当然、列車が入ってくる、駅でもすぐに把握できないんですね。
先般の事件では、列車が入ってきて、止まる位置が若干ずれたために、ホームドアも開けられなかったというような、なかなか想定しづらいような事態もどんどん生じてきているわけですね。
やはり乗務員のいない「ゆりかもめ」でもあります。これは当然、いろんな技術が進展してくると、こういうような交通システムはどんどん増えるというふうに思うんですけれども、しかしながら、現場の状況をきちっと把握をしていく、車内の状況もリアルタイムで把握をして、適切な手を一刻も早く打っていくというようなことを考えていかなければならないような、今、事件が発生をしてきているというふうに思いますので、ぜひそうした事件も踏まえて、どうしたら適切な対応を取っていけるのか、またぜひしっかり考えていただきたいということをお願いしまして、質問を終わりたいと思います。
○あぜ上委員 それでは、私から、大綱二点、伺いたいと思います。
最初は、東京港の海岸保全施設の整備計画についてです。
都の二〇二〇年に向けた実行プランにおいて、新型コロナウイルスにより事業の進捗に影響が出た事業というのが六十九件あったというふうに伺っています。その中には、例えば、建設局の所管であります堤防の耐震対策のうち、特に緊急性の水門外側の堤防等も含まれているということを伺いました。
そこで、まず伺いますが、新型コロナ感染拡大によって、港湾局所管の海岸保全施設の耐震対策などの事業進捗に影響が出ているものはあるのでしょうか伺います。
○片寄港湾整備部長 港湾局では、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向け、一部の工事におきまして、工事受注者が社員の出勤抑制等のために業務を中断せざるを得ない場合などには、受注者の申出を受け、工事の一時中止や工期の延伸等の対応を行ってまいりました。
これらに伴い遅れが生じたものにつきましては、工程の見直し等を行うことにより、事業全体に支障が生じないように対応を図っております。
現時点におきまして、海岸保全施設の耐震対策に、新型コロナウイルス感染症による大きな影響は生じておりません。
○あぜ上委員 工程の見直しなどで、事業全体で支障が生じないように対応されたということは分かりました。
では、東京港の海岸保全施設整備計画の進捗状況を伺います。
○片寄港湾整備部長 海岸保全施設につきましては、東京港の沿岸を第一線で守る重要な施設である外郭防潮堤等の耐震対策を優先して進めているところでございます。
令和二年度末までの進捗状況についてでございますが、防潮堤の耐震対策につきましては、計画延長約十七キロメートルのうち、約十四キロメートルが完成しており、残り約三キロメートルで事業中でございます。
また、防潮堤の内側にある内部護岸の耐震対策につきましては、計画延長約二十六キロメートルのうち、約十一キロメートルが完成し、約十一キロメートルで事業中でございます。
○あぜ上委員 二〇一二年十二月にこの東京港海岸保全施設の整備計画が策定されたわけですが、その前の年の三月、東日本大震災、これを踏まえて、耐震対策の海岸保全区域を延長されたということで、進捗状況については今のご答弁で分かりました。
防潮堤、あと三キロだけれども、既に着手はしているということであります。そして、内部護岸は未着手が四キロということであります。
昨年度も質疑をさせていただいたときに、進捗状況を伺ったときに、内部護岸整備は、水域利用者等との調整に時間を要しているというご答弁でした。
東京港の海岸保全施設整備計画は今年度末に一応計画としては終了となるわけですが、残された施設の耐震化の完了はいつになるというふうに見通されているんでしょうか。
○片寄港湾整備部長 防潮堤につきましては、江東区の東雲地区等において耐震化工事を実施するなど、残された全ての区間において事業に着手しております。
内部護岸につきましては、水域利用者等への影響が最小限となる施工手順の提案を行うなど、引き続き水域利用者や地元住民等への丁寧な対応に努め、早期に事業着手できるよう取り組んでまいります。
○あぜ上委員 本当に、この耐震化を早期に実施するということは重要だと思うんですが、やはり内部護岸につきましては、水域利用者等にとっては営業が関わってくることでもありますし、また、地域住民の生活にも関わる問題でもございます。内部護岸周辺の環境もかなり変わってきています。
そういう点では、現在も影響が最小限になるように取り組まれているという、ご努力されているということが分かったわけですけれども、耐震化工事の大切さや具体的な工事の内容、工事の時間の説明や生活への影響などの説明を、ぜひ地域住民などの声も聞いていただきながら十分行っていただいて、丁寧な対応をお願いしたいというふうに思います。
海岸保全施設の、早急な耐震強化を進めるためには、やはり私は国に対して強力な財政支出を求める必要もあるというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○片寄港湾整備部長 都は毎年、国の施策及び予算に対する提案要求を取りまとめ、国に対し、東京港の地震、津波、高潮対策の推進に必要な財源を確保するよう要請活動を行っております。
加えて、毎年、建設局や地元区などと連携して、海岸保全施設の耐震、耐水対策等に必要な財源を確保するよう要請しており、必要な財源は確保されております。
今後もこうした要請活動を継続し、高潮対策等に必要な財源を確保し、事業推進に努めてまいります。
○あぜ上委員 この間、都においては、海岸保全施設整備として、防潮堤や内部河川の耐震対策、そして水門、排水機場の耐震、耐水化、こういった対策、そして海岸保全施設の補修なども行っていらっしゃるわけですが、その経費が、毎年約百八十億前後の予算が組まれております。今年度も百七十九億三千七百万となっておりますが、大事な事業とはいえ、大きな経費の負担になっております。
国の補助は五分の二ということでありますから、やはり国に対して、都民の生命と財産を守る、こうした大事な海岸保全施設の整備については、早急に、そして着実に実施ができるように、例えば補助率を引き上げるなど具体的な提起を行っていただいて、引き続き財政支出を強く求めていただきたいと思います。
次に、東京クルーズビジョンについてです。
都は、二〇一四年一月、約十五年後に東京港のクルーズ利用人口五十万人、クルーズ客船利用回数は二百八十回、これを目標とした東京クルーズビジョンを策定され、新客船ふ頭の新設なども行ってきたわけです。
しかし、今、コロナの影響も受けて、世界各地で誘客方針、これ自身を転換するなどの動きも起こっております。
そこで、まず伺いますが、東京クルーズビジョンについては、コロナ感染などの社会的状況の変化を踏まえた再検討などは行っていらっしゃるんでしょうか。
○猪倉港湾振興担当部長 東京クルーズビジョンでございますが、今、理事の方からお話ございましたとおり、新型コロナウイルス感染症感染拡大以前の平成二十六年一月に策定したものでございます。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴いまして、令和二年二月以降、クルーズ客船の寄港の多くが見送られてきたが、現時点では、まだ外国籍船の日本国内における運航再開のめども立っていない状況でございます。
こうした状況を踏まえまして、私どもといたしましては、まずは新型コロナウイルス感染症の感染状況を見つつ、クルーズ客船の今後の本格的な運航再開時期を見極めていく必要があると考えているところでございます。
○あぜ上委員 感染状況を見ながら、本格的な運航再開時期を見極めるというご答弁でございます。
当初の東京クルーズビジョンの検討会では、改めてこの検討会の議事録を読んだんですが、環境の専門家の方などは入っておりませんでした。そしてまた、もともとこのクルーズ船というのは、横浜港とどう連携するのかという課題もあったと思います。また、バスのストックヤードの問題なども含めて、やはり検討が求められていることから、私は、時期を見極めながら、再度、幅広く意見を聞く場も設けて検討し、見直すべきだというふうに思います。
とりわけ環境問題、これは待ったなしの課題になっていると思います。
イタリアのベネチア港、ここは今年の夏から、環境問題などから大型クルーズ船の停泊は禁止されるという、新たなこうした動きも出てきて、新たな課題も明らかになっていますが、都は、こうした大型クルーズ船の環境問題などをどのように考えていらっしゃるのか伺います。
○猪倉港湾振興担当部長 大型クルーズ船をはじめといたしまして、船舶は、世界の海上を移動することから、環境対策につきましては国際的な枠組みを基に取組が進められておりまして、国連の専門機関でございます国際海事機関におきまして、国際海運における様々な環境規制に関する各種国際条約、規則の採択、発効及び検討がなされているところでございます。
例えば、硫黄酸化物の規制につきましては、令和二年一月に船舶用燃料油の硫黄分濃度の上限が従来の三・五%から〇・五%に強化されるなど、規制の厳格化も進んでいるところでございます。
今後とも、様々な環境規制等につきましては、国をはじめ関係機関と適切に連携しながら取り組んでまいりたいと思います。
○あぜ上委員 今、国際的に大型クルーズ船のオーバーツーリズムの問題とか、やはり環境問題が大きな課題になっています。
おっしゃるように、国際機関や国土交通省と連携して対策を講ずること、それはそのとおりだというふうに思いますが、船会社も、LNG、液化天然ガスの船に替えるとか、対策は始まっております。しかしながら、まだ実際にはこれからという段階です。
港湾局としては、今年度から、液化天然ガスを燃料とする船舶等に対するインセンティブの制度を導入されたり、ご努力されているのは理解しているつもりですが、都としても、やはり大型クルーズ船のオーバーツーリズムの問題や環境問題についても、大変重要な課題だというふうに位置づけて取り組んでいただきたいなというふうに思うわけです。
観光振興という課題と環境問題という課題、これはやっぱり相反するところもありまして、これをどう本当に両面を解決していくのかということについては局だけの問題ではないというふうに思いますが、本当に全体として誰のための観光振興なのかという、私は原点が問われてくる問題ではないかというふうに思っております。今後の、この問題は大きな課題だというふうに思っております。
また、昨年度の東京港のクルーズ船の寄港実績は、コロナの影響もあったということで五回ということですが、今後も急激に増加するということは予想されていません。
そもそも、国内船の「飛鳥」等のクルーズ船は、横浜港が主流だったわけです。来年度の春、予定していました「クイーン・エリザベス号」、この日本寄港も、つい最近キャンセルになったというふうに伺っています。まだまだ、そういう点では、クルーズ船の見通しが定まっていない、こういう状況でございます。
最後に伺いますが、晴海ふ頭客船ターミナルは、今後どうするのでしょうか。また、解体するというふうに伺っていますけれども、それに関わる総経費が分かれば教えていただきたいと思います。
○猪倉港湾振興担当部長 世界で大型クルーズ船の建造が、現在進められているところでございます。大型船の寄港が可能な東京国際クルーズターミナルで二バース体制を確保していくことも、私どもとしては重要と考えているところでございます。
一方で、今お話のございました晴海客船ターミナルでございますけれども、現在、邦船三社が運用するクルーズ船など、中小型のクルーズ船の寄港ニーズに的確に対応していくことが必要でございまして、大型船と同時に寄港する場合に備えまして、当面の間は、晴海客船ターミナルも活用することで二バース体制を確保してまいりたいと考えております。
このため、維持管理コストが課題となってございます現在の晴海客船ターミナルは、今後、解体の上、代替の施設を整備していく予定でございます。
なお、お話のございました解体工事についてでございますが、現在、工法や工程について検討中でございまして、解体に伴う経費は確定していないところでございます。
○あぜ上委員 晴海ふ頭客船ターミナルは解体するけれども、仮設施設を整備して、ターミナルとしては当面は活用するということでありました。
晴海客船ふ頭は、水深が十メートルありまして、大型船でなければ、今のご答弁でも触れられていましたけれども、中型客船は十分利用が可能であります。
ご答弁にもありましたように、都の計画では、新客船ふ頭をさらに延長して二バースにするというふうになっているわけですが、その点については、まだ総工費も明らかにされていないわけです。
また、今、質疑を通して、晴海客船ターミナルの解体に係る総工費も、また、新たな仮設施設整備費も、今の時点では明らかにはなっていないということであります。
少なくとも、私は、全く現時点で見通しが立っていない新客船ふ頭の東京国際クルーズターミナルの二バース計画、これについては凍結し見直すことを求めたいと思います。
そのことを強く求めまして、私の質疑を終わります。ありがとうございました。
○阿部委員 よろしくお願いします。私は、まず防災船着場についてお伺いしたいと思います。先ほど質疑もありましたので、できるだけコンパクトに行いたいと思います。
まず東京都は、平成二十八年、大震災等の災害時の物資輸送に資するため、防災船着場整備計画を策定されました。私の地元品川区も東京湾や運河に面しており、災害時の物資輸送等にその力を発揮してくれるものと大いに期待をしております。
この計画によると、当初十三か所の船着場が指定をされ、その後も順次していくこととなっておりましたが、その後、防災船着場の指定は、どのように進んできたのでしょうか。また、防災船着場の整備の進捗状況についてもお伺いをいたします。
○片寄港湾整備部長 都は、東日本大震災を契機に、災害時における様々な輸送手段の確保の必要性が高まったことから、従来より整備されていた十三か所の船着場を、東京都地域防災計画において、防災船着場として指定いたしました。
また、平成二十八年三月に、災害時に機能する水上輸送体制をさらに強化することを目的に東京港防災船着場整備計画を策定し、災害拠点病院や備蓄倉庫などの位置等を踏まえ、新たに二十五か所を追加し、東京港内に合計三十八か所の防災船着場を配置することといたしました。
令和元年度時点におきまして、十九か所の整備が完了しており、現在、合計三十二か所が防災船着場に指定されております。残る六か所のうち、大森南、羽田、晴海の三か所におきまして、都が防災船着場の新規整備を進めており、他の三か所につきましても、整備主体である区や民間事業者が整備に向けた検討を行っております。
今後、本計画に基づき、防災船着場の整備を推進し、災害時の水上輸送体制を一層強化してまいります。
○阿部委員 整備計画に基づき、着々と防災船着場の整備を進められていることが確認できました。
ただ、災害時に実際に水上輸送やけが人等の輸送を行うためには、東京都と区の船着場を結び、東京都と自治体、舟運事業者、あるいは陸上の運送事業者、そして医療機関等々、多様な主体が一体となって機能する必要があります。
整備計画に書かれている災害時の運用マニュアルに基づく防災訓練はどのように行われているのでしょうか、改めてお伺いしたいと思います。また、今後、まだ訓練の行われていない、品川区、大田区など城南地域でも関係自治体や舟運事業者との連携の上、防災訓練を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。
○片寄港湾整備部長 都は、平成二十九年三月に東京港防災船着場災害時運用マニュアルを策定し、関係行政機関や舟運事業者との役割分担、情報伝達方法に加え、協定を締結した舟運事業者による船舶の提供方法等について取りまとめを行いました。
また、このマニュアルに基づき、災害時の水上輸送を有効に機能させるため、地元区や舟運事業者等と連携し、平成三十年度から毎年、水上輸送訓練を実施しております。訓練では、参加者が各自の役割や業務手順について確認し、理解を深めるとともに、実際に水上輸送を行うことで課題を把握し、改善を図ることとしております。
令和二年度は、港区、中央区、江東区において訓練を実施し、傷病者をお台場海浜公園の防災船着場から、災害拠点病院に近接する田町の防災船着場へ輸送する訓練などを行いました。
こうした経験が様々な地域の関係者にも共有できるよう、城南地域の品川区や大田区内の防災船着場も含め、今後も多くの場所で訓練を行うことで、災害時における防災対応力の向上に努めてまいります。
○阿部委員 ありがとうございます。防災船着場は複数の自治体にまたがって整備をされており、それぞれの関係者がおります。それぞれ自分の地域で訓練が行われることで、役割分担や課題が明確になると思われます。今後も順次防災訓練を行っていかれるかと思いますけれども、その中で、特に未実施の自治体をなくすという視点で訓練を進めていただければと思います。
さて、先日、品川区内にあります都立大井ふ頭中央海浜公園内にある防災船着場を現地調査してまいりました。ふだんは施錠しておりますが、桟橋の表面はひび割れており、また、桟橋に係留されているボートも部分的に破損が見られ、全体として改修が必要な時期ではないかなと感じさせられました。
現在の管理体制並びに今後の改修計画等ありましたら、お伺いをいたします。
○松本臨海開発部長 大井ふ頭中央海浜公園の船着場につきましては、平成四年に設置された後、平成二十年までの間は、水上バスのルートの一部として活用されておりました。しかし、水上バスルートの廃止に伴いまして、現在は閉鎖管理を行っておりまして、水域管理用の小型船舶を係留させているところでございます。
また、この船着場は、平成二十八年三月に、東京港防災船着場整備計画により防災船着場として位置づけられておりまして、その機能を果たせるように、公園管理者が定期的な点検や補修等の管理を実施しております。
昨年度につきましては、点検の結果、床板などの一部に破損が見られたために補修を行ったところでございます。なお、水域管理用の小型船舶につきましても、運航には支障のない状況にございます。
今後とも、防災船着場としての機能を発揮できるよう、適切に維持管理を行ってまいります。
○阿部委員 水上バスルート廃止後も一定の補修等は行われているとのことで、安心をいたしました。
ただ、これを防災船着場として活用すると捉えた場合、例えば、公道から船着場までは公園の森の中を抜けてくることになり、災害時にも分かりやすいサイン表示が必要なのではないか、あるいは、陸路部分で安全な輸送ルートは確保できるのかなど、いろいろ感じるところはあります。それらも含めて、できるだけ早い時期に防災訓練を企画、実行することで、具体的、合理的な輸送ルートを確保するよう改めてお願いをいたします。
さて、品川区内の海浜公園として、都立みなとが丘ふ頭公園があります。公園面積の少ない品川区にあって、ここも貴重な公園の一つではありますが、住民の居住エリアとは運河や倉庫街で分断されており、アクセスが困難なため、なかなか利用しづらいというのが率直なところです。
まずは、みなとが丘ふ頭公園の利用状況についてお伺いをいたします。
○松本臨海開発部長 みなとが丘ふ頭公園は、大井ふ頭と東京貨物ターミナルの間に位置する約五ヘクタールの公園でございまして、港を一望できる小高い丘やガマなどの水生植物も観察できる池などを有する公園でございます。
平日は、周辺施設に勤務する人々の憩いの場として活用されており、丘周辺の樹林地につきましては、地元品川区のキャンプ場として、年間を通じてボーイスカウト等に利用されております。
また、本公園とその周辺部につきましては、自転車ロードレース大会、ツアー・オブ・ジャパンのコースの一角として位置づけられておりまして、自転車愛好家にも親しまれているところでございます。
○阿部委員 いろいろご紹介いただきました。ただ、反面、一般の利用は極めて限定的であるというのも事実だと思います。また、区民の間でもこの公園はあまり存在も知られていない面がありまして、今のところ親子連れなどにも利用がしてもらえておりません。都市部にありながらこの利用状況は、さすがにちょっともったいないのではないかなというふうに感じております。
東京都としては、みなとが丘ふ頭公園について、今後の活用をどのように考えているのかお伺いをしたいと思います。
○松本臨海開発部長 みなとが丘ふ頭公園は、港を一望できる小高い丘や様々な生き物が生息する池、そして希少なキンランなどの植物も見られる樹林地など、様々な魅力を有しておりまして、今後の活用を検討していく際には、こうした資源を生かしていく必要がございます。
今後とも、公園の利用状況や利用者のニーズを踏まえつつ、みなとが丘ふ頭公園の多様な資源や魅力を発揮できるよう、適切な維持管理等に取り組んでまいります。
○阿部委員 おっしゃるとおり、その場所まで行けばいろいろな魅力のある公園だと思っております。ただ、その資源が知られていないことも課題の一つですし、何よりも、そのアクセスの不便さを乗り越えても足を運んでもらうには、やっぱり行く目的となるものというものが必要ではないかなというふうに思います。
既に無料のバーベキュー場ですとか、あるいはトイレなども整っているわけですから、その自然や景色を生かしつつ、デーキャンプサイトですとか電源、あるいは子供をダイナミックに遊ばせることのできるユニークかつユニバーサルな遊具、その他、地元自治体のニーズも踏まえながら、さらなる活用に向けて検討されることを要望いたします。
次に、東京港、特に大井ふ頭周辺の渋滞対策について伺います。
ふ頭周辺では、三車線道路の二車線がトレーラーで埋まってしまうなど、渋滞が今も頻発しております。また、路線バスも運行されておりますけれども、渋滞発生時には路線バスがバス停に着けられないまま乗降せざるを得ないなど、危険な状態が続いております。
港湾局として、ふ頭周辺の渋滞の原因をどのように捉えているのかお伺いしたいと思います。
○戸井崎港湾経営部長 東京港のふ頭周辺では、季節や時間帯、場所によって、コンテナ車両による交通混雑が依然として発生しておりますが、その主な原因として、東京港では、標準的な貨物処理能力を大幅に超える量の外貿コンテナ貨物を取り扱っていることが挙げられます。また、東京港は輸入貨物が多い港となっておりまして、荷主が貨物の配送時間を午前中に指定するといった物流サイクルが慣習化しております。
このため、遠方の荷主へ配送するトラックが配送指定日の前日の夕方にコンテナターミナルに貨物の引取りのために来場することから、特にその時間帯が混雑する要因となっております。
○阿部委員 標準的な処理能力を大幅に超えるコンテナ貨物を扱っている、また、荷主のニーズが夕方に集中するという構造的な問題があるということで、特にハード面については、中長期的な整備計画あるいは港湾計画といったレベルでも対応する必要があるということだと思います。
ただ、様々、東京港は特に面積として拡張ができないという制限がある中で、これまでどのような対策を行ってきたのか、また、その結果どのような改善が見られたかお伺いをいたします。
○戸井崎港湾経営部長 これまで都は、平成二十六年に策定いたしました東京港総合渋滞対策に基づき、交通混雑の解消に向け、ハード、ソフト両面で様々な取組を積極的に進めてきました。
抜本的な対策といたしましては、東京港の施設容量を拡大させるために、中央防波堤外側にコンテナふ頭の整備を進めております。また、東京港の道路ネットワークの強化に向けて、臨港道路南北線の整備を進めました。
そのほかの主な取組といたしましては、港湾関係事業者の協力の下、コンテナターミナルのゲートオープン時間を通常より一時間前倒しして、貨物の引取りを夕方から早朝へシフトさせる、いわゆる早朝ゲートオープンを実施してきました。
また、ストックヤードと呼ばれる二十四時間利用可能な貨物の一時保管場所の設置や、ウェブカメラによるふ頭周辺道路の交通状況のリアルタイム配信により、混雑する箇所や時間帯を避けるよう促してきたところでございます。
さらに、車両待機場を複数箇所運営するとともに、コンテナ車両の台車部分を道路上に放置する、いわゆる台切りシャーシーに対する取締りの強化にも取り組んでまいりました。
こうした取組の結果、ふ頭周辺における渋滞の平均長は、約十年前と比較いたしますと約七割減少しております。
○阿部委員 私も、品川区の区議会議員として十五年間、この大井ふ頭の渋滞の問題というのは様々にご要望いただいたり、また、見てきたわけですけれども、確かにおっしゃるとおり、以前に比べればかなり渋滞の解消というのが進んできたなというふうに実感をしております。こうした、今おっしゃったような様々な対策を行うことによって渋滞の解消が進んでいることは、大いに評価したいと思います。
ただ、冒頭にお伝えしたように、まだ渋滞や駐車車両の長い列による危険な場面がなくなったわけではありません。今も残る渋滞に対して、今後どのような対策を取っていくとお考えでしょうか。
○戸井崎港湾経営部長 東京港におきましては、これまで進めてきた渋滞対策を継続し、さらに、港への来場時間を平準化する取組を強化してまいります。
例えば、ふ頭周辺の混雑状況を見える化する取組として、トラックドライバーに配布したGPS端末を活用して、ターミナルへの入場までに要した待機時間等をリアルタイムで公表することを本年から開始しております。
当初はトラック三百台にGPS端末を配布して取組を開始いたしましたが、今後、より多くのトラック事業者に対しましてGPS端末を配布してまいります。
これらの施策を一層推進し、併せて新規ふ頭の整備や既存ふ頭の再編整備などハード面での取組も進め、円滑な港湾物流につなげてまいります。
○阿部委員 トラックのGPS端末配布による見える化にも大いに期待をしたいと思います。現在は三百台配布ということでしたけれども、ふ頭に入るトラックの台数からいえば、より正確な待機時間表示のためには、さらなる配布が必要だと思われます。また、バスが停留所に着けられないといった個別の状況に対しても、また、運用面での安全確保の強化も必要ではないかと思います。
地元ではさらなる対策を求める声もまだ少なくないということをお伝えいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○磯山委員 それでは、まず初めに、東京二〇二〇大会時における円滑な港湾物流の確保の取組について伺います。
本年七月二十三日から九月五日まで開催された東京二〇二〇大会では、東京ビッグサイトに開設されたメディアプレスセンターや有明アリーナなど、多くの競技会場や関連施設が臨海部に設置されたところであります。
大会運営に当たっては、選手や大会関係者がスムーズに競技会場等に移動できるよう、選手村と競技会場を結ぶ道路に専用レーンや優先レーンが設けられたほか、時間帯によっては高速道路の料金が上乗せされたことにより、一般車両が一般道へ誘導されるなど、東京港のふ頭周辺の交通混雑がより助長されかねない状況にありました。
このことから、都議会自民党は繰り返し、大会運営と円滑な港湾物流の両立に向けた取組を求めてきたところでありますが、今回の質疑を通じて、都の取組と成果について確認していきたいと思います。
まず、大会運営と港湾物流の両立に向けて、どのような考え方に基づき取り組んできたのか伺います。
○猪倉港湾振興担当部長 東京港は、首都圏を支える物流拠点といたしまして重要な役割を担っておりまして、東京二〇二〇大会期間中でありましてもその機能を確保していくことが求められます。大会開催に伴う交通混雑を抑制し、大会運営と円滑な港湾物流の両立を図るためには、大会関係車両が移動する時間帯を考慮しつつ、物流関係車両の動きをコントロールする必要がございました。
そのため、荷主や港湾関係事業者の方々に、大会期間中の貨物量の抑制や配送時間、ルートの変更についてご協力いただくため、減らす、変えるを基本的な方針といたしまして、様々な取組を実施してまいりました。
○磯山委員 港湾局は、大会期間中の貨物量を減らす、貨物の配送時間やルートを変えるという方針の下、臨海部の交通混雑の抑制に取り組んできたことを改めて確認をさせていただきました。
大会開催に伴う交通混雑を抑制していくためには、荷主や物流関係事業者等に、交通量の抑制、分散化、平準化、いわゆる交通需要マネジメントの必要性をご理解いただき、サプライチェーンを見直していただくなど、具体的な行動に移してもらうことが重要であります。
それでは、最初に、貨物量を減らすという方針の下、具体的にどのように取り組んでこられたのか伺います。
○猪倉港湾振興担当部長 大会期間中の貨物量を減らすためには、主に荷主の協力が不可欠でございまして、当初、大会開催が予定されました二〇二〇年七月の約一年半前から、輸出入のタイミングを大会前後に変更し、大会期間中の貨物の取扱いを減らしていただくよう要請してまいりました。
具体的には、オンラインも活用した説明会の開催や、全国紙における一面広告をはじめ、メールマガジンやホームページなど様々な媒体を活用した広報により、大会開催直前まで要請を続けてまいりました。
また、コンテナターミナルのヤードに長期に保管されている貨物が搬出入作業の効率を低下させ、ひいてはゲート周辺の交通混雑の要因にもなっていることから、国土交通省及び東京税関と連携いたしまして、貨物を早期に引き取っていただくよう要請文書を発出いたしまして、ターミナル内の貨物蔵置量を減らすことで、荷役作業の効率が確保されるよう努めてきたところでございます。
○磯山委員 大会開催以前の早い段階から、大会期間中は貨物の取扱いを減らしていただくよう荷主へ要請してきたとのことでありますけれども、荷主さんが輸出入のタイミングを変更するためには、配送計画の変更のみならず、サプライチェーン全体を見直す必要があり、相応の時間を要するものであったのではないかと思っております。
都議会自民党としては、早期に要請を行う重要性をこれまでも何度も指摘してきており、荷主にしっかりと浸透するよう徹底した周知を行うことを求めてきました。
大会の延期が決定された後は、特に新型コロナウイルスの感染拡大に留意する必要があったものの、ITやメディアを活用して荷主への要請を継続してきたことが確認できました。
それでは、次に、もう一つの方針である、変えるについても聞いていきたいと思います。
貨物の配送時間やルートを変えるという方針の下、具体的にどのように取り組んだのか伺います。
○猪倉港湾振興担当部長 ふ頭周辺の交通混雑を緩和するためには、従来、来場車両数がピークとなる日中の時間帯におきまして、コンテナ車両の総量を抑制する必要がございまして、平準化に向けた取組が重要となります。
そこで、混雑する日中を避けた早朝、夜間の貨物配送を促すため、二十四時間利用可能な貨物の一時保管場所であるストックヤードを増設するとともに、ターミナルのゲートオープン時間を早朝及び夜間に大幅に拡大する取組を実施いたしました。
具体的には、通常のゲートオープン時間が朝八時半から十六時半までのところ、大会期間前後におきましては、朝七時半から十八時までに拡大しました。
さらに、特に混雑が見込まれるオリンピック期間中と直前の三日間につきましては、朝七時半から翌朝の四時までの二十時間半と、大幅に拡大をいたしました。
加えまして、都はこれまで、コンテナ車両による輸送を船舶や鉄道による輸送へと転換する事業者に対しまして支援を行ってきたところでございますが、大会期間中はその取組を強化したところでございます。
○磯山委員 こうした取組は、荷主、コンテナターミナルの事業者、陸運事業者など、様々な関係者の協力や努力なしには実現できなかったものと捉えております。特にゲートオープン時間の拡大については、港湾管理者である都も、よりよい仕組みとするべくトライアルを重ねて検討してきており、都議会自民党としても、これまで本委員会の質疑で確認をしてまいりました。
ここまで、減らす、変えるという方針の下、東京二〇二〇大会時における臨海部の交通混雑の抑制に向けて、どのように取り組んできたのかを確認してまいりましたが、改めて主な取組の成果について伺います。
○猪倉港湾振興担当部長 ゲートオープン時間の拡大を実施した計二十八日間におきましては、早朝約三万本、夜間約三万二千本のコンテナ搬出の利用がございまして、これは期間中に搬出入されましたコンテナ全体の約二〇%に当たるものでございます。
ストックヤードにつきましても、コンテナターミナル近傍に一時保管スペースを設けることで、一日平均二百九十一本の利用がございまして、その多くが早朝に搬出されたことで、混雑する日中を避けた配送が促進されたところでございます。また、船舶や鉄道への転換支援につきましては、七月から九月の間で約二万本の取扱いがございました。
大会開催前の昨年三月に中央防波堤外側Y2ターミナル、六月には臨港道路南北線が新規供用したこともございまして、これらの取組を通じて、コンテナ車両の分散化や走行時間帯の平準化が図られまして、大会期間中、港湾物流に大きな混乱は生じなかったところでございます。
○磯山委員 早朝、夜間のゲートオープン時間の拡大やストックヤードの増設、輸送モード転換支援などの取組に加えて、Y2ターミナルや臨港道路南北線の新規供用といった機能面での増強もあって、大会期間中の港湾物流は円滑に行われたとのことであります。
東京二〇二〇大会の開催に当たり、競技会場や関連施設が臨海部に集中する中で、大会運営と円滑な港湾物流をいかに両立していくかが課題であったと思いますが、しっかりとした準備と対策を行ったこと、また、荷主や港湾関係事業者の皆様のご理解とご協力があったことにより、その両立が成ったということが分かりました。
東京港は、国内最多のコンテナ貨物を取り扱う港であります。また、製造拠点のアジアへの移転などを背景に、今後もコンテナ貨物量は堅調に増加していくものと思われております。増加する貨物を適切に処理していくために、東京港の物流の円滑化は引き続き取り組むべき課題であり、今般の大会時の経験を踏まえれば、やはりハード、ソフトの両面から総合的に取り組んでいただくことが重要であります。
そこで、東京港における円滑な物流の実現に向けて、今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
○戸井崎港湾経営部長 東京港におけるふ頭周辺の混雑緩和を確実に進めていくためには、短期的な対策と中長期的な対策を総合的に実施していくことが必要でございます。
このため都は、大会時に得られた知見を踏まえ、ふ頭周辺の放置車両対策や、船舶、鉄道へのモーダルシフト支援など、これまで取り組んできた対策を着実に実施していくとともに、コンテナ車両の来場時間の分散化に有効なコンテナ搬出入予約制の早期本格導入に向けて、関係者との具体的な調整を進めてまいります。
また、現在、検討が進められている長期構想を踏まえまして、新規ターミナルの整備や既存ふ頭の再編整備を推進する中で、物流に関連する施設を効果的に配置するなど、狭隘な東京港の機能を最大限に発揮させる取組を検討してまいります。
今後とも、都は、ハード、ソフト、その両面から戦略的に対策を行い、円滑な物流の実現に向けて全力で取り組んでまいります。
○磯山委員 東京港の物流円滑化に向けては、東京二〇二〇大会の経験を生かしつつ、引き続き荷主や港湾関係事業者など、関係者の皆様と連携しながら取組を進めていくことが重要であります。大会時に得られた知見を踏まえ、今後、コンテナ車両の来場時間の平準化に向けた予約制を早期に本格導入するとのことですが、関係者の皆様の理解と協力が得られるよう、しっかりと調整していただきたいと思います。
繰り返しになりますが、東京港は国内最多のコンテナ貨物を取り扱う港であり、東日本を支える重要な物流拠点であります。今般の大会で得られた経験を生かしながら、ハード、ソフトの両面から様々な取組を力強く推進していただくことを要望して、次の質問に移ります。
次に、臨海副都心におけるデジタルイノベーションシティの取組について伺います。先ほど同様の質疑もございましたので、かぶらないようにやらせていただきたいと思います。
これまで我が党では、東京二〇二〇大会の競技施設が集積した臨海副都心エリアについて、大会後を見据えたまちづくりを進めていくべきであると主張してきたところであります。
臨海副都心を含むベイエリアは、都が策定したスマート東京実施戦略の先行実施エリアに選定されており、臨海副都心では、デジタルイノベーションシティの実現に向けた取組を進めていくとのことであります。
今後、臨海副都心エリアが目指すデジタルイノベーションシティのまちづくりにおいては、先ほどほかの委員からもご指摘がありましたけれども、行政の力だけではなく、民間企業等との連携がますます重要になってくると、私どもも考えております。
新たなデジタル技術を定着させ、何より、それを都民に還元できる具体的な成果を生み出すことが重要であり、そのためには、行政と民間企業とが互いに知恵を出し合い、都民サービスの向上やまちの課題の解決に向けた取組を進めていくことが必要だと考えております。
そこで、デジタルイノベーションシティの実現に向け、民間企業等とどのように連携し、取組を進めていくのかお伺いをしたいと思います。
○小原臨海副都心開発調整担当部長 最先端のテクノロジーを活用した新たなまちづくりを進めていくためには、このエリアに進出している企業や団体と一体となって取組を進めていくことが重要でございます。
そのため、エリアマネジメント団体、研究機関、地元企業、地元団体の参画を得まして、協議会やプロジェクトチームを設置し、検討を開始したところでございます。
具体的には、都と民間企業が連携し、5Gやセンサー、カメラなどのデジタルインフラをエリア内に整備することにより、人流などの様々なデータを蓄積、分析する仕組みを整えてまいります。
このような取組から得られたデータを民間企業等へ提供することにより、例えば、三次元地図情報と人流データを組み合わせ、発災時の避難誘導システムを構築し、まちの課題を解決するなど、新たな発想により、まちの魅力を創出してまいります。
○磯山委員 デジタルイノベーションシティに向けた取組については、都をはじめとした行政だけでなく、臨海副都心に進出する企業等の参画も不可欠であり、それぞれが力を合わせて取り組むことを期待しております。
また、次々と生まれてくる新たなデジタル技術を活用するためには、機動力や柔軟な発想を有するスタートアップとの連携が極めて重要であると考えております。
スタートアップは、デジタルトランスフォーメーションの鍵となる技術やサービスを生み出すイノベーションの担い手であり、多様化する社会課題を解決する上で重要な役割を果たすことが期待されております。
そのため、デジタルイノベーションシティの実現に向けては、高度な専門性を有するスタートアップの力を生かしたまちづくりが必要だと考えますが、見解を伺います。
○小原臨海副都心開発調整担当部長 臨海副都心においてデジタル技術の社会実装を進めるためには、エリア内における進出企業だけでなく、独創的なアイデアを持つスタートアップの参画を得ながら取組を進めることが、先進性を保つ上で重要でございます。
このため、Digital Innovation City協議会を活用することにより、様々な先進的な技術を持つスタートアップとの交流を促し、従来の枠にとらわれない斬新なアイデアを掘り起こしてまいります。
例えば、スタートアップのアイデアや技術をビッグデータの分析等に生かすことによりまして、臨海副都心内の混雑を回避する予測システムを構築するなど、まちの課題解決に向けた新たな取組を進めてまいります。
○磯山委員 ぜひ、スタートアップのアイデアやサービスをまちづくりに生かしてほしいと思います。
これまでの質疑により確認された取組に加え、昨年度には、有明南地区への新たな進出予定事業者として、先ほど来お話出ておりますコナミ・ホールディングス株式会社やテレビ朝日が決定したと聞いております。これらの事業者がまちへ進出することにより、新たなイノベーションの創出が期待されるだけではなく、まちのにぎわいや活性化にも寄与していくものと考えております。
そこで、こうした新たな事業者の進出により、臨海副都心においてデジタルを中心とする新たなエンターテインメントの創出が期待されておりますけれども、見解を伺います。
○小原臨海副都心開発調整担当部長 都は昨年十二月に、有明南地区における新たな進出予定事業者として、コナミ・ホールディングス株式会社のグループと株式会社テレビ朝日を公募により決定いたしました。
コナミ・ホールディングスを中心とするグループにつきましては、グループの幅広い分野の研究開発拠点が集積し、eスポーツなど、デジタルエンターテインメント事業の新たなイノベーションの創出につながるものと考えております。
また、テレビ朝日につきましては、多目的ホールやエンターテインメントスペースが設置されるとともに、同社が持つ豊富なコンテンツを活用することで、さらなるにぎわい創出を期待いたしております。
こうした新たな進出事業者が有する様々なデジタル技術を活用し、周辺施設との共同イベントを開催するなど、事業者の進出を相乗効果の高いものとすることによりまして、臨海副都心のプレゼンス向上につなげてまいります。
○磯山委員 今後も、Digital Innovation City協議会や様々な関係機関と連携していただきながら、先端技術を活用した質の高いまちづくりに取り組んでほしいと思います。
臨海副都心における先進的な取組により、東京の経済を新しい成長へと導くとともに、魅力と強さを兼ね備えた持続可能なまちへとさらに発展させていくことを期待して、質問を終わります。
○細田委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
午後三時十五分休憩
午後三時三十分開議
○細田委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質問を続行いたします。
発言を願います。
○田の上委員 私からは、ライトアップについて、まず伺います。
平成三十年三月に、港湾局では、運河エリアライトアップ・マスタープランを発表しました。対象エリアは、公共施設等のライトアップ基本方針の隅田川、臨海部の重点エリアのうち、運河沿いの水辺空間とし、日の出・竹芝地区、芝浦港南、天王洲をはじめとし、豊洲や大井・大森なども対象になりました。
これまで暗いイメージしかなかった倉庫や水門などがライトアップされ、イメージ一新とともに、観光にも寄与するものになったと評価いたします。
コロナ禍で経済の回復が望まれる中で、ライトアップは社会を明るくするものと考えますが、現在、運河エリアにおけるライトアップの状況はどのようになっているのか伺います。
○片寄港湾整備部長 都は、平成三十年三月に運河エリアライトアップ・マスタープランを策定し、運河の水辺空間の資源を活用した良好な夜間景観を創出し、観光資源としての魅力向上や、船旅の活性化につなげていくことといたしました。
マスタープランでは、日の出・竹芝、芝浦港南、天王洲の三つの地区を重点地区に定め、都が中心となり、区や民間事業者等とライトアップ促進協議会を設置いたしました。
この協議会での検討を踏まえ、令和元年度より、民間事業者等と連携したライトアップを開始し、新たに日の出ふ頭の上屋、新芝運河にかかる新芝橋、天王洲水門などを光で演出することにより、広がりのある魅力的な夜景景観を創出いたしました。
その後、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、多くの施設でライトアップの自粛を行っておりましたが、感染者数の減少傾向を踏まえ、順次再開しているところでございます。
○田の上委員 感染拡大に伴い自粛していたライトアップが、順次再開されたとのことで、今後の各地区の活性化に期待したいと思っております。
観光資源としての魅力向上や、船旅の活性化につなげていくということでございました。
また、各重点地区では、ライトアップ促進協議会が設置され、都、区、民間事業者等が連携して魅力的なライトアップが実施されているものと思いますが、一方、運河の中には、全体的に暗く、夜間景観の魅力が低い地区も依然として見られる中、夜間の散策を楽しむことができる水辺空間は限られていると思います。
そこで、都は重点地区のみならず、ほかの運河エリアにおいてもライトアップの取組を広げていくことが必要であると考えますが、見解を伺います。
○片寄港湾整備部長 重点地区以外の運河エリアでは、運河にかかる橋梁や運河沿いの駅舎などの建築物等、ライトアップとしての資源は多数あるものの、十分に活用されていない地区もございます。
例えば、橋梁や建物単独でのライトアップは行われているが、連続性に乏しく、色調に統一感がないなど、一体性が感じられず、その効果が十分とはいえない地区もございます。
このような地区に対し、都は、重点地区におけるにぎわい創出の事例を紹介するなど、地元区や民間事業者等の意欲を高め、面的な広がりのあるライトアップの実現に向けた新たな協議会の設立を目指してまいります。
○田の上委員 連続性等の課題もあるということでございます。都は、重点地区以外にも新たな協議会の設立を目指していくとのことであり、民間事業者や地元区との調整を進め、早期に協議会が設置されるよう要望いたします。
さて、コロナ禍におきまして、都庁舎やレインボーブリッジなど公共施設では、医療従事者への応援のため、青色によるライトアップが行われました。
また、一方、新規陽性者数や医療体制を示す、注意喚起としての赤いライトもともされたところでございます。
しかしながら、これからは、明るいニュースや乳がん、糖尿病等の啓発時に積極的に水辺空間でライトアップを実施するべきと考えますが、見解を伺います。
○片寄港湾整備部長 様々な啓発活動への支援メッセージ等を、そのシンボルカラーのライトアップによって積極的に伝えていくことは有意義なことと考えております。
港湾局ではこれまでも、運河エリアにおきまして、乳がんの予防啓発を目的としたピンクリボンデーや、糖尿病の予防、治療、療養の啓発を目的とした世界糖尿病デーに合わせたライトアップを実施するとともに、コロナ対応に当たる医療従事者を応援するためのライトアップを実施してまいりました。
引き続き社会運動の啓発や明るいニュースなどに合わせて、そのシンボルカラーなどを活用したライトアップを都、区、民間事業者などが一体となって実施できるよう、ライトアップ促進協議会において検討を進めてまいります。
○田の上委員 その時々の社会運動の啓発のカラーのライトアップも促進協議会で検討していただけるということでございます。かつてのようなインバウンド観光の復活が期待されていると考えます。
運河エリアのライトアップがコロナによって落ち込んだ経済の復活につながるよう、都の取組に期待をいたしまして、次の質問に移ります。
次は、私の地元であります葛西海浜公園のビジターセンターについてです。
葛西海浜公園は、平成三十年にラムサール条約湿地に登録されました。今後の維持管理や調査活動等、干潟の保全及び利活用を進めるための方向性を示す葛西海浜公園保全活用計画が策定され、西なぎさにはビジターセンターが建設されることになっております。
葛西海浜公園は、葛西臨海公園から接続し、私たち江戸川区区民が、自然との共生を条件に、埋立て、公園化に賛成してきたものでございます。平成元年に開園し、長く区民、都民に愛されてきました。
葛西沖は、従前、ごみ投棄があったり、ごみの漂着などが問題になっておりましたが、ボランティアによる清掃活動などにより、目に見えるごみはかなり減ってきたように見受けられます。
人工の西なぎさと東なぎさがありまして、スズガモや絶滅危惧種のコアジサシをはじめとする多くの渡り鳥が飛来し、希少種の生き物がたくさんいるため、東なぎさは、通常立入りできない、生物の生息地となっております。
二〇二〇東京大会のカヌースラローム会場の設置に当たっても、生物に影響を与えないよう大変苦慮し、当初の予定地から、野鳥の会などの要望により、下水道局用地に変更していただいたものと認識をしております。
このラムサール条約湿地登録区域には、国指定鳥獣保護区には指定されている約十二ヘクタールの西なぎさが含まれておりませんが、その理由を改めて伺います。
○松本臨海開発部長 葛西海浜公園につきましては、二万羽以上のガンカモ類の生息を支える湿地であることが評価されまして、その大部分の区域が二〇一八年にラムサール条約湿地に登録されたところでございます。
また、葛西海浜公園の全域が鳥獣保護管理法に基づく鳥獣保護区域に位置づけられておりまして、その中でも、特に鳥獣の保護や生息地を守る必要がある区域につきましては、特別保護地区の指定がされております。ラムサール条約湿地に登録されたのは、この特別保護地区でございます。
二〇一八年に国におきまして特別保護地区の指定がなされたときに、海水浴体験などの利活用が進む西なぎさの陸域は除外されたと聞いておりまして、結果として、西なぎさはラムサール条約湿地の登録区域から外れることとなっております。
○田の上委員 ご答弁をいただきました。特別保護地区が指定されたというか、登録されたということでございます。
しかしながら、西なぎさの隣接する海面の区域は登録地になっておりまして、西なぎさも含めて、海浜公園として最大限の配慮は望まれるところでございます。
ラムサール条約の基盤となる考え方は、保全・再生とワイズユース(賢明な利用)、これらを促進する交流・学習の三つとのことです。
改めて、西なぎさに新たに設置するビジターセンターの目的を伺います。
○松本臨海開発部長 ラムサール条約に基づき策定いたしました葛西海浜公園保全活用計画におきましては、湿地の自然環境を保全することはもとより、この公園が国内外から注目され、多くの人々でにぎわう交流の場となるよう、ビジターセンターを開設することとしております。
このビジターセンターは、湿地の価値や魅力を多くの人に知っていただくと同時に、誰もが気軽に利用でき、海岸清掃等の環境保全や環境学習をはじめとする利活用等、多様な活動の拠点となるものでございます。
このため、ビジターセンターの中には、沖合まで一望でき、干潟に飛来する野鳥を間近に観察できる展望室や、海の自然や文化等を伝える展示施設、各種環境学習会のためのスペース等を予定しております。
○田の上委員 これまでボランティアによって行われてきた清掃等の活動拠点や野鳥観察も含め、ビジターセンターの開設をするとのご答弁でございました。
西なぎさの砂浜では、毎年、絶滅危惧種のコアジサシの営巣が見られます。特に令和二年の繁殖期は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のために公園の利用制限が行われていましたが、コアジサシの営巣保護活動もボランティアで行われていたと認識をしております。
ビジターセンターの建設予定地設定におきまして、コアジサシの営巣地域を配慮したのか、そのほかの生態への影響をどのように考えて設定したのか伺います。
○松本臨海開発部長 葛西海浜公園におきましては、継続的な自然環境調査を実施するとともに、コアジサシの繁殖場所を記録するなど、生物の生息環境状況を確認しております。
ビジターセンターの建設予定地につきましては、利用者の利便性に考慮しつつ、これまでの確認結果から、生物の生息環境に影響を与えない場所を選定しております。
なお、この建設予定地につきましては、これまでも駐車スペースや作業員詰所、イベント時の仮設建築物の設置場所等に活用されてきた場所でございまして、自然環境への新たな負荷は生じないと考えております。
○田の上委員 生物の生息環境に影響を与えない場所を選定していただいたとのことでございます。
コアジサシは、一般的に四月に飛来し、五月から七月に産卵、繁殖し、十月にまた飛去していきます。昨年、令和二年四月、五月の間、数百羽のコアジサシが西なぎさの東側の砂浜に飛来しまして、営巣を開始しました。先ほども申しましたが、コロナの影響で西なぎさは閉鎖されていました。このときには工事用の仮設建物等もありませんでした。
今年、二〇二一年はなぎさ橋の塗装工事がありまして、それに伴う仮設平屋プレハブ建物が設置されておりました。そして、作業用の駐車スペースとして活用されていました。先ほどのご答弁のとおりであります。
そして、この二〇二一年、コアジサシは数十羽程度、飛来しました。西なぎさの東側の営巣は確認ができませんで、西なぎさの西側に数羽の営巣が確認されたとのことでございます。少なからず、この影響を懸念する声があります。コアジサシは砂礫を好むので、自然の砂浜環境とは異なるところに飛来しなくなるのではないかというご意見をいただいているところでございます。
ふるさと東京の海水浴体験のときには、監視員の控え所というものが設置されています。この壁はよしすだれ張りで、自然的になるように配慮をされています。天井もまたよしすだれでございまして、雨はしのげないんですけれども、工作物にはこういった配慮を今までにもしてきました。
ちなみに、これは七月から八月という時期であり、コアジサシの営巣時期とは外れておりました。様々なご意見もあるかと思いますが、ぜひ専門家等のご意見も聞きながら計画をしていただきたいと要望いたします。
保全や利活用について意見を行うため、平成三十年に、このエリアで活動する主な団体が参加する葛西海浜公園海の保全活用懇談会を設置したと聞いております。
また、令和三年二月から三月に葛西海浜公園保全活用計画についてのパブリックコメントが募集され、様々な意見が寄せられたものと認識しております。都内唯一のラムサール条約湿地であり、ほかの海浜公園とは異なり、保全という言葉がまず先頭にあるものというふうに私は捉えております。
西なぎさは臨海景観拠点地区であり、条例規則上は高さ十五メートル以上、または延べ床面積三千平方メートル以上が届出対象となっています。しかしながら、都内で水平線が見られる、また、自然動物が見られる地域におきまして、建築物の設置においては、最大限の配慮が必要だと考えます。
自然保全はもちろんですが、景観をも考慮に入れたビジターセンターの設置をするべきと考えますが、見解を伺います。
○松本臨海開発部長 葛西海浜公園保全活用計画の策定に当たり実施いたしましたパブリックコメントにおきましては、五十件の意見が寄せられ、このうちビジターセンターに関する意見は六件でございました。ビジターセンターの整備につきましては、位置や規模、デザインについて、周囲の環境や景観に配慮すべきとの意見が寄せられております。
今後、ビジターセンターのデザイン等を決定する際には、高さや色等、景観に配慮したものとなるよう検討を進めてまいります。
○田の上委員 私も葛西海浜公園にはよく参ります。つい先日も行ったところでございますが、なぎさ橋を臨海公園側から渡ると、砂浜と海が広がりまして、景観が大変魅力的であります。なぎさ橋の歩道高は、最高部でAP八・八五八メートルで計算しました。ビジターセンターの一階の高さ、二階の床面高は約八メートルでございまして、ほぼ同じであります。二階建てとし、陸屋根の高さを計算すると大体十一メートルなんですが、パブリックコメント等にも見られましたが、一階の屋上を屋根のない展望スペースとすることも、私の下に意見としていただいているところでございます。先ほど景観も含めた配慮をしてくださるということですが、改めて景観を含めた配慮を要望するものでございます。
二月、三月のパブリックコメントでは、膨大な量の計画書の中でビジターセンターの設置計画に気がつかない方もいたかもしれません。今後も様々な機会を捉えて意見収集を行っていただきたいと考えますが、見解を伺います。
○松本臨海開発部長 ビジターセンターがその目的を果たし、多くの利用者の交流拠点となり、親しまれる施設となっていくためには、利用者のニーズ等を的確に整備に反映させていくことが重要でございます。このため、整備に当たりましては、地域や公園利用者などに幅広く意見を聴取していくとともに、景観にも配慮し、親しみやすい施設としていく必要がございます。また、干潟の保全活用の次世代の担い手ともなります子供たちの声を反映させることも重要でございまして、その手法につきましても、検討を行っているところでございます。
今後とも、様々な機会を捉えて意見聴取を行い、葛西海浜公園の利用者に愛着を持って活用していただける施設となるよう、工夫を重ねてまいります。
○田の上委員 ぜひ、様々な機会を捉えて意見聴取を行っていただきたいと改めて要望いたします。
葛西海浜公園は、海水浴も楽しむことのできる人々でにぎわう公園です。また、今後ビジターセンターが設置されることにより、シャワー室やトイレが一新され、さらに来園者が増えることが見込まれます。しかし、環境、景観保全の観点から、廃棄物の扱いや動植物の扱いなど、一定のルールが守られなければならないと考えるところです。
葛西海浜公園保全活用計画における保全のための指導管理について見解を伺います。
○松本臨海開発部長 葛西海浜公園保全活用計画におきましては、豊かな干潟の自然環境が維持されている姿を目指しており、サンクチュアリの設定や適切な維持管理、さらなる自然回復を目指した生物生息環境の改善等に取り組むこととしております。
来園者に対しましては、こうした趣旨をご理解いただくとともに、ボランティアや周辺自治体と連携したごみ拾いや、砂浜等に流れ着いた漂着物の回収を実施するなど、来園者が豊かな干潟の自然環境を楽しむことができるような取組を進めております。
今後とも、葛西海浜公園保全活用計画や海上公園条例等に基づきまして、適切な維持管理と来園者指導を徹底するとともに、貴重な干潟の保全と利活用に努めてまいります。
○田の上委員 保全活用計画といいますが、環境保全や自然保護とたくさんの人に利活用される施設建設というのは相反する部分であり、なかなか難しいことと思います。皆さんに楽しんでいただきながら、なおかつ、この環境を守る大変な命題があるかというふうに思います。利便性を追求することで生態系が破壊されることのないよう、いま一度サステーナブルの意味を考えて、ぜひ計画を進めていただきたいと要望をいたします。
今まで三十年以上にわたりまして、都民、区民、とりわけ私も含めまして、葛西住民に愛され親しまれてきた葛西海浜公園が、これからますます愛される公園となるようお骨折りをお願いいたしまして、質問を終わりにします。
○玉川委員 東京港の橋梁とトンネルの長寿命化について伺います。
先月の十月三日、和歌山市において、建設後四十六年が経過している水道管の橋が折れて川に落下する事故が起きました。維持補修における経年劣化への対応の重要性について痛感したところであります。
東京港には、埋立地の間を結ぶ多くの橋梁やトンネルがあり、建設後五十年後を経過している古い施設もあるようですが、これらは首都圏の生活と産業を支える物流を確保するために重要な施設であり、もし通行できなくなる状況が発生すれば、その影響は計り知れないものとなります。
このため、都では、本年九月に東京港橋梁・トンネル長寿命化計画を策定し、橋梁、トンネルのさらなる延命化を目指していると聞いております。
そこで、今回策定した長寿命化計画について、改めてその考え方や目的を伺います。
○薮中計画調整担当部長 都は、老朽化が進む港湾施設等について、平成二十三年度に策定した東京港港湾施設等予防保全基本計画に基づき、定期的な点検と計画的な維持補修を実施してきました。しかしながら、今後百年程度の使用を考慮した場合、徐々に性能が低下することは避けられず、いずれ更新工事が必要となります。
港湾施設のうち、道路ネットワークとして機能している橋梁とトンネルについては、新たに一から造り変える更新工事を行う場合、車両の迂回や交通渋滞による経済的損失が大きくなることに加え、膨大な事業費が短期間に発生することが想定されるなど、実施上の課題が多いと考えられます。
このため、これまでの予防保全の取組に加え、東京港の橋梁とトンネルについて、その機能を確保しつつ、さらなる延命化を図るための取組を行うこととし、本年九月に東京港橋梁・トンネル長寿命化計画を策定しました。
○玉川委員 東京港における橋梁とトンネルについては、これまでの計画的な予防保全型の維持補修を行うことに加え、新たに長寿命化対策を行うことで、さらなる延命化を図るとのことであります。これは非常に期待できる取組ではないかと考えますが、新たな取組であることから、どういったものであるのかイメージしにくいものがあります。
そこで伺いますが、長寿命化対策は、これまでの予防保全型の維持補修とどのように異なるものなのでしょうか。具体的な取組内容についてお聞かせください。
○薮中計画調整担当部長 これまでの予防保全型の維持補修は、定期的な点検診断に基づき、施設の劣化や損傷が進む前に計画的に補修を行うことで機能を回復するものでございます。これに対し、長寿命化対策は百年程度のさらなる延命化を図ることを目指し、必要とされる性能を確保するための大規模な改修を行うものであります。
具体的には、トンネル内の舗装を耐久性に優れた材料に打ち替えたり、橋梁の通行路を支えるコンクリート床版の取替えや、劣化状況に応じて上部工である橋桁の架け替え等を行うことを想定しております。
○玉川委員 長寿命化対策はこれまでの維持補修とは異なり、大規模に施設の改良等を行うことで、さらなる延命化を図るということで理解できました。東京港の道路ネットワークを長期にわたって安定的に機能させていくため、長寿命化対策を進めていくのは意義があります。
そこで、東京港の橋梁、トンネルの長寿命化対策をどのように進めていくのか、対象となる施設や整備スケジュールについて伺います。
○薮中計画調整担当部長 長寿命化対策は、道路ネットワークとしての機能を確実に維持していく観点から、橋梁及びトンネルのうち緊急輸送道路に位置づけられているもの、または延長百メートル以上のものを対象施設としており、港湾局が所管する十四の橋梁と四つのトンネルが該当いたします。
このうち、建設から四十年以上経過した施設で点検、調査結果を踏まえ、対策の必要性が高いと判断された施設から優先的に実施していくものとし、令和五年度までに事業着手してまいります。
具体的には、今年度から有明ふ頭橋、城南大橋及び第二航路海底トンネルに着手し、次年度以降、大井中央陸橋及び大井北部陸橋に着手してまいります。
○玉川委員 長寿命化対策は、緊急輸送道路や延長百メートル以上のものを対象とし、計画的に実施されていくということが分かりました。令和五年度までに四つの橋梁と一つのトンネルに着手し、将来的には十四の橋梁と四つのトンネルの長寿命化を実施していくこととなります。
しかし、長寿命化対策は大規模な改修を行うことから、相当な事業費が必要になると思われます。これまでの予防保全型の維持補修に比べて、長寿命化対策を行うことにより、全体の事業費が増加しないようにしなければなりません。
そこで、長寿命化対策を行うことで、これまでと比べ、どの程度全体の事業費に違いがあるのか伺います。
○薮中計画調整担当部長 長寿命化計画の対象施設である十四の橋梁と四つのトンネルについて、従来の予防保全型の維持補修のみで使用し続けた場合、今後、百年間継続して使用していくためには、維持補修に係る費用に加えて、施設の更新費用が必要となります。このことから、必要となる全体の事業費は、全施設合計で約九千億円と試算しております。
一方、長寿命化対策を行う場合は、一時的に事業費がかかるものの、施設を更新する必要がないことから、全体の事業費は約四千二百億円と試算され、約四千八百億円のコスト縮減が見込まれます。
○玉川委員 長寿命化対策の実施によって、百年間の全体の事業費は、従来の予防保全型の維持補修に比べ、半分以下に大幅に縮減するということが分かりました。
東京港の橋梁やトンネルは、首都圏の生活と産業を支える道路ネットワークに欠かすことのできない重要な施設であります。東京港の港湾機能を長期にわたって確保するよう、しっかりと長寿命化対策に取り組んでいただくことを要望いたしまして、次の質問に移ります。
島しょ地域における防災対策について伺います。
伊豆諸島は火山帯に属していて、特に大島や三宅島は噴火活動が周期的に起こっています。記憶にあるところでは、大島の三原山が昭和六十一年に、三宅島の雄山が平成十二年に噴火して、全島避難を経験されました。いざ噴火が発生した場合、四方を海に囲まれた島から人々が速やかに避難するためには、それぞれの集落からアクセスしやすい場所に船が接岸できる港があることが必要であります。
我が会派は、昨年の事務事業質疑において、噴火時の島外避難に備え、それぞれの港が必要なときに利用できるよう整備していくことが重要と指摘し、都は、定期船が就航する主な港に加え、避難港となる港の整備を進めていくとのことでした。
そこで伺いますが、噴火の際に避難港となる港の整備状況についてお聞かせください。
○村田離島港湾部長 都では、大島、三宅島における過去の噴火災害等を踏まえ、平成二十六年に策定した伊豆・小笠原諸島における港湾等防災対策基本方針に基づき、噴火時に船舶で島外へ避難するために必要な港の整備を進めております。
具体的には、火山噴火により溶岩流や土石流が発生し、避難経路となる外周道路が分断されることも予想されることから、集落に近い港から避難が可能となるよう、大島、三宅島に三港ずつ、それぞれ避難用岸壁を整備することとしております。
対象となる港では、大規模な避難を速やかに行えるよう、避難のための大型船舶が接岸できる岸壁の整備や、岸壁の静穏度を確保するための防波堤の整備、また、避難する人々を乗せた複数のバスが同時に駐車できるスペースの確保などを行うこととしております。
既に避難用の岸壁につきましては全て整備が完了しており、現在は、大島波浮港などにおいて、港内の静穏度を確保するための防波堤の整備等を進めております。また、三宅島伊ヶ谷漁港においては、駐車スペースの拡張工事に今年度着手したところでございます。
○玉川委員 船での避難が基本になる島の特殊性や過去の噴火災害などの経験を踏まえ、島民の避難に必要な港湾施設の整備が計画的に進められているとのことですが、引き続き早期の完成を目指して着実に整備を進め、噴火災害に対する島の防災力を強化していただきたいと要望しておきます。
噴火災害への対応がなされていることは分かりましたが、島では、大規模地震や津波への備えも必要であります。例えば、南海トラフ巨大地震の想定において、新島では三十メートルを超える津波が襲来することが予測されており、島しょ地域全体では、千二百棟の建物が津波により倒壊すると予測されています。
島しょ地域における港湾は、人や物を輸送する上で核となる重要な施設であり、地震や津波などの災害が起こった際にも、この輸送機能は維持されなければなりません。
そこで、大規模な地震や津波にも耐えられる岸壁を整備すべきであると考えますが、都の見解を伺います。
○村田離島港湾部長 災害後の応急復旧活動に必要な人員や緊急物資、救援用資機材などの搬送を行うためには、各島において災害時にも大きな損傷がなく継続して利用することができる岸壁を確保することが重要でございます。
そのため、都では、基本方針に基づき、発災時にも人や物資を運ぶ大型船舶などが着岸できるよう、伊豆・小笠原諸島の十一島全ての島に、原則一つの緊急輸送用岸壁を確保することとしております。緊急輸送用岸壁には、想定される最大級の地震や津波に対しても耐える力があること、また、輸送用の車両が岸壁上で転回できるスペースが確保されていることが求められます。
対象となる港全てについて検証を行った結果、四つの港の岸壁で追加の整備が必要であることが判明したため、現在、補強などの整備を進めております。
○玉川委員 四つの港の岸壁で追加の整備をしていくとのことですが、いつ起こるか分からない大規模地震のことを考えますと、島しょ地域における緊急輸送用岸壁は、一刻も早い整備が必要だと考えます。
そこで伺いますが、現在の緊急輸送用岸壁の整備状況についてお聞かせください。
○村田離島港湾部長 現在、津波などの襲来に備えて、補強などが必要な四つの岸壁全てについて、既に事業着手しております。具体的には、八丈島八重根漁港において、想定される最大級の津波にも耐え得る強度を持つ岸壁の整備を行っているほか、三宅島阿古漁港においても、輸送用の車両が転回できるスペースの確保に向けた岸壁の拡幅工事を進めております。また、残る式根島野伏漁港、小笠原二見港につきましては、港の形状や地盤条件などを踏まえた効果的な補強方法などについて調査検討を行っております。
引き続き早期完成に向け着実に整備を進めてまいります。
○玉川委員 補強等が必要な岸壁について、各港の状況に応じてしっかりと整備が進められているということが確認できました。離島においては、気象、海象条件が厳しく、工事ができる時期も限られていることから、整備には困難も伴うことと思いますが、引き続き島民のために早期の完成に向けて取り組んでいただくことをお願いしておきます。
災害発生時において港は、緊急物資等の輸送に大変重要な役割を担っており、特に島しょ地域においては、陸路からの支援が行えないという特殊性があります。島の外部との結節点である港は、平常時においても島民にとって不可欠な施設でありますが、非常時においては、ふだん以上にその役割の重要性が高まります。
都は、災害時に港が果たすべき役割を改めて認識し、港湾施設の整備に引き続きしっかり取り組んでいただきたい旨を要望いたしまして、質問を終了いたします。
○中田委員 これまで様々議論をされてきましたが、私からは、東京港におけるふ頭の再開発の質問と、あと、クルーズターミナルの二点について質問をさせていただきます。
まず、東京港において古くから建設されてきました竹芝ふ頭、日の出ふ頭、芝浦ふ頭ですが、再開発については、竹芝、日の出ふ頭は昭和五十一年の東京港第三次改訂港湾計画において、離島との交流を緊密化及び旅客の利便性の増進を図るために、ふ頭機能を更新するとともに、埋立てを行い、都民が港に親しみ、かつ周辺市街地の活性化に寄与する都市機能施設を一体的に整備することが計画をされていました。
そして、芝浦ふ頭については、昭和五十六年の東京港第四次改訂港湾計画において、新たな輸送方法や船舶の大型化に対応するとともに、内貿雑貨ふ頭として再開発すると計画をされていましたが、今の現状をまずお聞きする前に、再開発の質問の前に、まず、現在の竹芝ふ頭と日の出ふ頭、芝浦ふ頭をそれぞれどのように利用をされているかお伺いをさせてください。
○戸井崎港湾経営部長 竹芝ふ頭は、伊豆・小笠原諸島方面への旅客定期船の発着地として利用されており、島民をはじめビジネス、観光で島に訪れる方の交通手段や、島民の生活と産業を支える物資の輸送拠点となっております。
日の出ふ頭及び芝浦ふ頭につきましては、国内を往来する貨物船に利用されており、都民生活を支える国内貨物の輸送拠点として機能しております。また、日の出ふ頭につきましては、水上バスやレストランシップなど、様々な観光船の発着地としても利用されております。
○中田委員 日の出ふ頭については、水上バスなどの発着地として利用されているとのことでしたが、具体的に今どのような運用をされているのか教えてください。そしてまた、国内貨物の輸送拠点として機能しているとのことでしたが、日の出ふ頭で取り扱っている主な取扱品目についても併せて教えてください。
○戸井崎港湾経営部長 日の出ふ頭におきましては、浅草、お台場方面への水上バスが発着しているほか、港内を周遊する屋形船や、小型クルーズ船などの観光船も発着しており、多くの都民や観光客に利用されております。
また、日の出ふ頭には、主に広島県や愛媛県からの不定期貨物船が就航しており、鉛、銅板、ニッケル等の非鉄金属や化学薬品が取り扱われております。
○中田委員 ありがとうございました。再開発については、芝浦ふ頭に関しては平成六年度に岸壁、護岸及び埋立整備が竣工しており、上屋についても、一号、二号、三号が現在供用中でありますが、大正十四年に建設をされました日の出ふ頭は、東京港で最も古い施設となっており、老朽化も著しい中で、現在までに未着手とのことですが、日の出ふ頭の背後には都市化が進んでおり、ふ頭施設の更新等、都民に親しまれるウオーターフロントの整備が必要とされていますが、今後、どのように日の出ふ頭の再開発を進めていくのか伺います。
○戸井崎港湾経営部長 先ほどもご答弁したとおり、日の出ふ頭は、水上バスや屋形船、小型クルーズ船、レストランシップなどの様々な船が発着していることから、桟橋が立地しているエリアを中心に多くの人が集い、にぎわう舟運の拠点として再整備することとしております。
現在、日の出ふ頭周辺では、民間事業者により商業施設やホテル、オフィスなどを一体とする複数の大規模再開発事業が行われております。日の出ふ頭を再整備するに当たりましては、こうした再開発事業の動向や、現にふ頭を利用している舟運事業者及び港湾関係事業者の意見も踏まえて進める必要がございます。
既に、日の出ふ頭におきましては、令和元年八月に、民間事業者と連携して、小型船ターミナルHi−NODEを開業したところでございますが、様々な関係者や地元区などとも緊密に調整をしながら、日の出ふ頭の再整備の方向性について検討を進めてまいります。
○中田委員 ありがとうございます。ぜひ、民間活力等をしっかりと活用し、地域一帯の再開発をさらに進めていただくとともに、首都直下型地震等の発生や、頻発化、激甚化する高潮、暴風雨等のリスクの増大が懸念されることから、老朽化しているふ頭施設の早期の更新に努めていただくことを要望して、次の質問に移ります。
世界のクルーズ市場では、クルーズ人口が急増するとともに船舶の大型化が進んでいます。クルーズ客船の寄港は多くの観光客を呼び込むことができ、さらに、東京港のイメージアップ、臨海エリアにおけるMICE、国際観光拠点化の推進など、経済効果、観光振興に大きく寄与をします。
現在、クルーズ業界は新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けています。日本においても新型コロナウイルスの恐ろしさを知った最初のきっかけもクルーズ船でした。
しかしながら、大型クルーズ船の寄港地としての東京はアクセスのよさや観光資源の充実など潜在能力が高いのも事実であり、船会社からの寄港ニーズに適切に応え、寄港による経済効果を確実に取り込むため、令和二年九月に世界最大の大型クルーズ客船に対応可能な東京国際クルーズターミナルを開業し、老朽化した晴海客船ターミナルビルの代替となる客船受入れ施設の整備を行います。
ここで質問をいたします。このコロナ禍の東京国際クルーズターミナルについて、令和二年九月に開業してからのクルーズ船の寄港実績とターミナル施設の活用状況について伺います。
○猪倉港湾振興担当部長 まず、今、理事からお話のありました寄港実績についてでございますが、昨年九月に開業した東京国際クルーズターミナルには、数多くの寄港予約が入っていたものの、今、理事からお話ありましたとおり、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、その多くがキャンセルとなっておりまして、開業以降、クルーズ客船の寄港数は五回で、いずれも東京発着、無寄港のクルーズに伴うものでございました。
次に、ターミナル施設の活用状況についてでございますが、緊急事態宣言の発令等に伴いまして、外出の自粛が求められる中、当施設を利用したイベントの開催等は非常に困難な状況でございましたが、感染対策を徹底いたしながら、本年七月から十月までの間、空港等を舞台に世界に日本文化の魅力を発信する文化庁主催のイベントに参加いたしまして、東京国際クルーズターミナルの知名度向上を図ったところでございます。
また、MICE等の利用を念頭に、東京ユニークベニューに登録するとともに、雑誌やCM、映画等の撮影にこの施設を数多くご利用いただくなど、有効活用も図っているところでございます。
○中田委員 現在、クルーズ客船の受入れに当たっては、コロナ対策として、国の指針に基づき、衛生主管部局を含む地域の関係機関と構成される協議会において、クルーズ客船の感染症対策について確認を行うとともに、市中の感染状況を踏まえて受入れ可否の判断を行っているということと、さらに、東京国際クルーズターミナルでは、乗下船時における乗客同士の間隔の確保、設備の消毒など感染拡大防止を徹底していると伺っています。これらのことも踏まえ、コロナの状況、感染を見据えてとはなりますが、東京の観光業の経済回復のためにも、今後も東京国際クルーズターミナルの、クルーズ以外でも積極的な活用を行っていただきたいです。
答弁の中にもあったように、東京ユニークベニューに登録するなど様々な方法で施設のPRを行っていただいており、さらには、東京港のクルーズ客船の寄港を誘致するため、船舶の入出港に要する費用に対するインセンティブ制度や補助制度を実施して、実施に関しても、世界の各港と比較しても東京に寄港するメリットをより大きく打ち出せるよう要望いたしまして、私の質問を終わります。
○細田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○細田委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で港湾局関係を終わります。
○細田委員長 これより中央卸売市場関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
それでは、資料について理事者の説明を求めます。
○松田管理部長 去る九月二十二日の当委員会で要求のございました資料につきまして、お手元に配布してございます経済・港湾委員会要求資料に基づきまして、ご説明申し上げます。
資料は全部で四項目ございます。
恐れ入ります、一ページをお開き願います。1、中央卸売市場における市場別業者数の推移(十年間)についてでございます。
過去十年間の水産物、青果物、食肉及び花きの市場別の業者数の推移をお示ししてございます。一ページに卸売業者、一枚おめくりいただきまして、二ページに仲卸業者、そして三ページに売買参加者について、それぞれ記載してございます。
続きまして、四ページをお開き願います。2、中央卸売市場における取引方法別割合及び取扱金額の推移についてでございます。
四ページに取引方法別割合の推移、五ページに取扱金額の推移を記載してございます。
六ページをお開き願います。3、卸売業者・仲卸業者の数及び経営状況についてでございます。
卸売業者及び仲卸業者につきまして、取扱品目ごとに業者数とそのうちの赤字業者数を区分して記載してございます。
最後に、七ページをご覧ください。4、コロナ禍における市場業者への支援及び実績についてでございます。
市場業者への支援及び実績につきまして、市場使用料及び光熱水費の支払い猶予、業界団体と一体になった感染症対策などを記載してございます。
以上、簡単ではございますが、要求のございました資料につきましてのご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○細田委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○山崎委員 それでは、質問に入らせていただきたいと思います。
私は、都議会議員に当選して以来、一貫してこの豊洲市場移転をめぐる問題に向き合ってまいりました。移転してから三年が経過いたしました。開場日は平成三十年の十月のたしか十一日だったと思います。あの日を迎えられた開場記念式典、本当に多くの皆様が、この移転に対して様々な、数十年間いろんな出来事があったのを、今でも私はこの脳裏に焼きついております。
何とか市場としての日々の運営をなされるようになったし、もとより不十分ではあるが、豊洲市場に訪れる観光客も、コロナ以前の状況に少しずつ、少しずつでありますけれど、今、戻りつつあります。
つくづく思うのは、豊洲というまちの見せる表情が昔と比べて大きく変わったということであります。人に人生の歩みがあるように、まちにも同じように重ねてきた時間があり、やがてはそれが歴史と呼ばれるものになっていく。そういう意味でも、豊洲という場所が劇的な変貌を遂げてきた、江東区選出の私から見ると、特にそのように感じております。
ほんの二十数年前までは、豊洲という場所、まさにこれはエネルギーの工場であったり、造船場、こういったまちでありました。もちろん、そこには多くの方々が日々働き、そこにふさわしい活気もありました。
私、子供の頃、この新豊洲をはじめ、その先はもちろん、その先の青海とか、向こうの方はもう空き地、お台場もそうだったんですけれど、非常に夜になれば誰も人がいないような、工場というか、江東区の昔ならではのそういう光景だったと思います。
その反面、この豊洲というまちの印象は、工場、先ほどもお話ししましたが、工場のまち、夜になると人がいない、近づき難い、そういった場所のイメージもあって、都心に近い場所であるにもかかわらず、まちとしては認知度が残念ながら低いままでありました。
そうした中、地元区である江東区は、平成二十三年、築地市場からの移転を受け入れる決定をいたしました。区民にとってこういう経験は実は初めてではありませんでした。江東区は、皆さんもご存じのとおり廃棄物処理、つまり、都民の皆さんからの、排出されたごみの埋立てを一手に受けてまいりました。
区民は、区内を走り回るごみの収集車、パッカー車ですね、それが夏になると埋立地から発生するハエの大群に悩まされ続けてきたわけです。それだけでも苦しい思いをしてきたのに、それに加えて市場までが来るのかという、私たちの年代ではなく、先輩方、多くの先輩方は、そういったことを、また昔みたいに戻ってしまうんじゃないか、そんなような嘆きのこともいわれておったわけであります。今のごみ戦争やこういった問題というものは、昭和四十年代終盤から、後半にかけての話でございました。
このわざわざ昔のことを申し上げるには、私は理由があります。豊洲はいわば江東区が一世紀を超える間、重ねてきた負の歴史の象徴であり、それを将来に向け価値のあるものにしていくことが重要である、そのことを分からないと、この問題の本質に迫ることはできないということを分かっていただきたいからであります。
つまり、多くの江東区民にとっては、かつての豊洲が変わり、新しい形で区民に親しまれ、新たな江東区の顔となる、まさにそれは悲願でもあって、こうしたことが、まさに東京の発展につながるということであるわけであると思います。
豊洲市場のにぎわいとは、単なる集客施設ではなく、区民のこうした積年の思いを受け止め、具体化し、そして花開かせるべきものであります。
都は、事業者においてはこうした気持ちを少しでも受け止め、事業を進めていただくことが、ある意味最も大事なことだと思ってもらいたいと思います。このような気持ちで豊洲のにぎわいについて、現在の状況を伺ってまいりたいと思います。
まず、現在のにぎわいの方について伺います。
五街区にあります江戸前場下町、これは六街区の千客万来施設が開業するまでの間、豊洲市場の開場に伴うにぎわい事業を展開することを目的として、東京都が主導し、民間事業者のアイデアで行われているものであります。
コロナ禍において、当初のもくろみに少なからず影響を与えたのではないかと思いますが、令和二年度の五街区−−「ゆりかもめ」の市場前駅の目の前、徒歩でいうと駅から三十秒ぐらいですかね、この江戸前場下町の営業実績、コロナ禍ではどのような推移をしたのか、まず伺います。
○村上渉外調整担当部長 江戸前場下町は、国内外の観光客や市場関係者、地元の方々に来場していただけるよう、豊洲市場の新鮮な食材を身近に感じることができる飲食店や、イベントなどを開催できる多目的広場などから構成され、令和二年一月に開業いたしました。
千客万来施設事業用地では、これまで暫定的ににぎわい創出に向けたイベントを開催していたことから、江戸前場下町への関心も高く、開場直後は多くの方々に来場していただいておりました。その後、コロナ禍に伴う緊急事態宣言により、令和二年四月から五月にかけて全館休業に至りました。同年六月以降、営業を再開し、徐々に来場する方々が増加しましたが、昨年十二月から本年十月までの間、豊洲市場の見学中止や外出自粛などの影響もあり、開業直後のにぎわいには至っておりません。
○山崎委員 この五街区の江戸前場下町のお話、実績、コロナ禍でどのように推移をしたかと伺っておきながら、ちょっとその前段に改めて確認をしたいんですけれど、六街区の千客万来施設が、この形がしっかりとスタートを切って、着実に進んでいれば、この施設は本来は必要なかったわけですよね。その辺、ちょっと確認をしたいんですけど、いかがでしょうか。
○村上渉外調整担当部長 江戸前場下町は、六街区の千客万来施設が開設するまでの暫定施設という位置づけで開業してございます。
○山崎委員 暫定施設ということは、本来であれば、この施設は必要なかったかもしれない、そういう意味合いでもあります。
それでは、五街区の江戸前場下町、これに対して、都としてにぎわいを確保するためにどのような尽力をしたか伺います。
○村上渉外調整担当部長 江戸前場下町は、開場直後から新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け厳しい経営環境に置かれており、都としては、豊洲地区でのにぎわいを絶やさず継続してにぎわいを創出していく重要性に鑑み、江戸前場下町の運営面を支える取組を行ってまいりました。
まず、コロナ禍においても、来場者が安心して施設を利用できるよう、事業者と連携し、感染防止対策の徹底に取り組んでおります。具体的には、都からの要請に応じ、飛沫飛散防止シートの設置、フロアマーカーによる人と人との間隔の確保、飲食店内の客席の間引きなどの対策の徹底を図っております。
また、車での来場者の利便性を高めるため、千客万来施設事業者が運営する駐車場について、江戸前場下町のホームページにおいて、案内図を掲載しPRするなどの調整も実施いたしました。
さらに、コロナ禍の影響により、経営上厳しい環境に置かれている江戸前場下町の各店舗に対し、国や都が実施しています各種支援制度の概要や、問合せ先等の情報を適宜提供いたしました。
○山崎委員 暫定施設である江戸前場下町、三井不動産が中心となって、急遽こういったものが必要であるという、東京都のある意味、英断だったと思いますけれど、そういった形でオープンをして、今現在に至るわけであります。
六街区の千客万来施設が完成するまでの間、まだまだ時間がかかりそうな、そういった意味合いも聞いておりますので、しっかりとこの部分に関しても、まずは、やはりこの江戸前場下町、豊洲のにぎわいの拠点と今なっている部分もありますから、そういった意味も含めて、しっかりと支援をしていただきたいと思います。一層のサポートを期待を私はしておりますので、その辺もよろしくお願いをさせていただきたいと思います。
それでは、次に、六街区の千客万来施設、このことの質問にちょっと移っていきたいと思います。
千客万来施設は、昨年の十月、去年の十月に着工しており、来年の十二月に竣工、令和五年の春に開業の予定であると公表されております。既に述べたとおり区民の期待はとても大きく、オープンを待つ声が非常に私のところにも周辺から聞こえてきます。
その一方、現場を見に行きますと、全く現場が動いていない状態、今の現場を見て計画どおり本当に進んでいるのか、また、非常に難しいのではないか、そういう不安や心配の声も同時に私のところにもお寄せをいただいております。
その中で、この基本協定書の中にもしっかりと記されております、令和四年の十二月に竣工予定と書かれておりますけれど、これまで都議会にどのように説明をしているのか、また、直近の状況はどうなっているのかお伺いをしたいと思います。
○村上渉外調整担当部長 千客万来施設事業については、平成三十年に事業者である万葉倶楽部との間で基本協定書を改定し、令和四年十二月を竣工時期としました。
事業者は、昨年十月から工事に着手し、本年四月には建設工事に係る建築確認が下りたことを踏まえ、本格的な建設工事に取り組んでいるところでございますが、今般、建設工事の本格化に当たり、事業者から、施設の竣工時期について、基本協定書に定められた令和四年十二月から十か月遅れの令和五年十月として報告を受けたところでございます。
市場としては、この変更については了承しておらず、事業者から変更となった理由や工期に与える影響などについて聴取するとともに、予定どおりの開業に向け、工期短縮などに取り組むよう指示しております。
○山崎委員 これは地元区民が心配する状況であると思います。また、豊洲市場の開場に当たって、都が区側に提示した条件の一つにもなっていた件であります。よって、この場で現状の確認を改めてさせていただきたいと思います。
それでは、今、先ほど直近の状況をお聞きしましたが、十か月遅れ、令和四年の十二月が十か月遅れで令和五年の十月と報告を受けたといって答弁がありましたけれど、その報告というものは、都は一体いつ、その申出を聞いたのか伺います。
○村上渉外調整担当部長 事業者からは、本年八月に報告を受けたところでございます。
○山崎委員 さきにも述べたとおり、千客万来施設事業は、都が豊洲市場を開場するに当たり、地元区、その実現を約束した事業であります。開業時期についても、令和五年の春だといってきました。事業者である万葉倶楽部側から遅れるといってきたから、そのまま受けてしまうというものでは私はないと思います。
事業者であるこの万葉倶楽部のホームページを私は確認しました。そうしたら、千客万来施設二〇二三年の春グランドオープン、こういって書いてあります、いまだに。やってもらうのかな、どうなのかなと思うんですけれど、とにかく、東京都との約束、基本協定で結ばれている中での約束事、そして、地元区や多くの関係者にそのような形で告知をしている中、十か月遅れるということは、私にはちょっと理解ができない。しっかりとした理由も何も述べていない中で、どのような形になっているかというのが、全く私たちには説明責任を果たしていない、そういう状態であると思います。
万葉倶楽部側、申出について、都はどのように受け止めているのか、所感を改めて伺います。
○村上渉外調整担当部長 千客万来施設事業は、江東区での豊洲市場受入れ条件の一つであり、都は、一日も早くにぎわいの創出が重要と認識し、平成二十八年から事業者である万葉倶楽部との間で基本協定書を締結し、令和四年十二月竣工というスケジュールを踏まえ取り組んできた事業でございます。
今回、事業者から基本協定書上のスケジュールより遅れた工期について報告があったことについて重く受け止めており、了承することはできず、事業者に対し厳しく理由を聴取しているところでございます。
○山崎委員 都が万葉倶楽部との間で交わされたスケジュールを遵守すべきだというスタンスであることは今の答弁でよく分かりましたが、同時に、彼らがどのような事情によって延期を申し入れてきたのか、こういったことをちょっと確認しておきたいと思います。
万葉倶楽部は、遅延の理由をどのように説明しているのか、ぜひ具体的に説明をしていただきたいと思います。
○村上渉外調整担当部長 事業者である万葉倶楽部は、コロナ禍に伴う経営環境の変化、資金調達の調整や、東京二〇二〇大会の開催に伴う交通規制などを延伸理由に挙げております。
都は、引き続き事業者から変更理由の詳細につき聞き取りを行い、その一つ一つを厳しく検証しているところでございます。
○山崎委員 コロナ禍で多くの民間企業が業績悪化に苦しみ、歯を食いしばって事業継続を取り組んでいるということは、一般論としては理解できます。
一方で、千客万来施設事業は五十年にわたるプロジェクトである。万葉倶楽部は長期的な収支計画を立て事業を実施することになっているはずであります。事業の遅れが、コロナ禍の影響が、こうした計画に大きく影響しているのではないかと不安になる声も聞かれているところであります。
ここで−−その前に、私思うんですけれど、市場の皆さんはよくお分かりだと思うんですけど、隣の四街区のホテル棟と、また、オフィス棟、これございますよね。これの隣は清水建設さんがたしかやられていたと思います。これは二〇一九年の、たしか七月に着工していますよね。もうこの二〇二一年の秋、来年の春には、また、豊洲MiCHiの駅という都市型の初めての、日本初の、こういった道の駅みたいな、都市型のやつがオープンするとか。これはBRTとかの発着があったり、様々なロータリーがあったり、車のメーカーのトヨタが自動運転の車を利用しながら、様々なそういったものが出来上がる。
こういったものが、まさに隣の、大きさ的にはたしか一・四ヘクタールで、千客万来施設、六街区は一・一ヘクタールだったと思います。こういったほぼ同じぐらいの大きさの中で、二〇一九年から始まっているもの、そして、本来であれば二〇二〇年の十月に始まっていなければいけない万葉倶楽部の事業がずっと遅れている。それで、また遅れる。着工したというけれど、私は着工したとは思っていないです、正直いって、二〇二〇年の十月には。
万葉倶楽部がどのような状態でやっているか。隣はもう完成しちゃっていますよ。オリンピックの環状二号線の通りだって隣同士で挟んでいますよ。オリンピックの影響といえるんでしょうか。コロナの影響といえるんでしょうか。銀行さんとのどういう契約になっていたのか。銀行に借りて、メインバンク、向こうの静岡県の方だと思いますけれど、そういったものも含めて、随時やってこられたわけですよ。しかも、東京都と基本協定というものをしっかりと結んだ中で進められている中、地元の江東区に対しても、いろんな形でお話をされてきた事業だと思いますよ。
その前に、ちょっと皆さんにもよくお分かりいただきたいのは、三年前、五月、小池知事が万葉倶楽部の会長とお会いをして、それで、二〇二〇年のオリンピックの後に着工していくよと。
本来は、その前にもっとスタートしていなきゃいけないはずだったですよね。それが小池知事と、最終的なトップ同士の会談によって、オリンピック、延期する前の、二〇二〇年の十月から着工するという話でまとまっていたと思います。しかし、オリンピックが延期となって、オリンピックが延期をしたから、二〇二一年の十月に着工するという、何だかお話が全然変わってきちゃった。
その間、東京都中央卸売市場はどのような対応を取ってきたのか。皆さん方だって、それをずっと見守ってきたと思いますよ。
小池知事が、二〇二〇年のオリンピックの後、延期する前のオリンピックの後、繰り返しになりますけど、そこでしっかりと進めていくという、そういうトップ同士の決断があったわけですよね。その前にも、いろんなことがありました。もう話せば一時間ぐらいになりますから、やりませんけれど。
そういう小池知事は、このことに対して、しっかり皆さん方は報告をされているんですか。万葉倶楽部がこのような形になっていることを小池知事に対して報告されているのか教えてください。
○村上渉外調整担当部長 千客万来施設事業の進捗状況につきましては、その都度、知事に報告をしてございます。
○山崎委員 その都度というのは何回ぐらいか、ちょっと教えてください。
○村上渉外調整担当部長 千客万来事業につきましての様々な節目節目であったり、状況が変化した都度、その状況についてご報告させていただいております。
○山崎委員 何回、いつと聞いているんですよ。その都度その都度じゃなくて、何回、いつ、今分かる範囲で結構ですから教えてください。
○村上渉外調整担当部長 千客万来事業につきましては、契約の改定があったり、また、事業の進捗の報告があったり遅れがあったりした分がございますので、その都度、知事には報告をさせていただいているところでございます。
○山崎委員 なぜ、知事にちゃんと報告しているかと、こういうふうに繰り返し聞いているかというのは、知事と万葉倶楽部の高橋会長がトップ同士で決めた話なんですよ。
だから、このことを知事はしっかり認識されているのか。だって、高橋会長と小池知事が話し合って、最終的に決めたことですから。間違いないですよね、市場長、それはそういう形ですよね。−−だから、ちゃんと報告して、知事が決めてきたことなんだから、やっぱり知事の中でしっかりと、この後どうしていくのか。その前に、皆さん方がどうされるのかということももちろんですけれど、やっぱり、そういったある意味の責任はあると思いますよ、このことに関して、遅れていることに関しての。
だから、この遅れていることに関しての様々な事項というものを、これから東京都の中央卸売市場としてどのように対応していくのかというのが、またこれは大きなポイントになってくると思います。
そこで、東京都は、この万葉倶楽部、事業者に対しての賃料、これ五十年の定借でもうスタートしている話ですからね、賃料はいつから発生しているのかお伺いいたします。
○村上渉外調整担当部長 都は、事業者である万葉倶楽部との間で事業用定期借地権契約を締結しており、当該契約に基づき、事業者は、令和三年四月から千客万来施設事業用地に係る賃借料の支払い債務を負っております。
なお、コロナ禍の影響を踏まえ、現在は市場業者と同様に、万葉倶楽部に対しても賃借料の猶予を行っております。
○山崎委員 今答弁の中で、コロナ禍の影響を踏まえ、現在は市場業者と同様、万葉倶楽部に対しても賃料の猶予を行っている、こういう答弁がありました。
私、思うんですよ。こういう規定になっているかどうかということもちゃんと確認を改めてしたいと思うんですけれど、市場業者と同様って、万葉倶楽部さんは、申し訳ないけれど、まだ事業が完成もしてないですよね。着工も、何だかしているのかどうなのかよく分からない。
このような状態の中、完成して、ある意味オープンしてから事業がスタートしているという判断の中、市場業者さんは、もちろん動いているわけですよ。
ですから、私は何がいいたいかというと、まだ何も、未着手、完成もしていない、オープンもしていない、竣工もしていない中で、なぜ、契約だけがこのようにあるからといって、コロナの中で、その支払い、そういったものが、賃料の猶予、これが当てはまるのか。ちょっと私が納得できるように説明してください。
○村上渉外調整担当部長 万葉倶楽部の事業用定期借地権に基づく賃借料につきましては、十一市場で事業用定期借地権を結びまして事業を行っているほかの市場業者も対象として、この制度を実施しているところでございます。
また、万葉倶楽部につきましては、現在、当該用地を、まだ収益を上げておりませんが、全面を使用して建築工事に取りかかっているところがありますので、貴重な都有財産を使っているというところがありまして、賃料を適正な額、支払いの債務を確保しているところでございます。
○山崎委員 全部使っているから、そういった意味で賃料が発生している。それを猶予になるという、今、お話ですけれど、じゃあ一か月の賃料は幾らですか。それでどのくらいの猶予になっているか教えてください。
○村上渉外調整担当部長 賃料は、月六百十万円ほどになってございまして、四半期ごとに支払いを受ける形になってございます。
今は、第二・四半期分までの支払い猶予となってございます。
○山崎委員 猶予ということは、要するに支払いを、今の段階では払わなくていいですと、でも、しっかり最後には払ってもらうという意味合いでよろしいですか。確認です。
○村上渉外調整担当部長 賃借料の支払いにつきましては、理事ご指摘のとおりでございます。
○山崎委員 このことは、賃料のことも含めて、万葉倶楽部は納得されているんですか。理解されているんですか。
これは分かりましたと、コロナ禍ですから、猶予を与えていただいている東京都のそういったもの、しっかりと、この数か月間、遅れる中、どういう理由があったかよく分からないけれど、とにかく遅れる中の賃料は発生しているわけですから、発生している分はちゃんと支払いますというふうに万葉倶楽部さんは理解されているか教えてください。
○村上渉外調整担当部長 現在行っております支払い猶予につきましては、制度上、申請のあった事業者から、基準に基づいた場合、支払い猶予を適用してございます。
万葉倶楽部も、そういった基準を了承した上で申請し、現在支払い猶予を行っているところでございます。
○山崎委員 万葉倶楽部は、この二つのホテル棟と、これはたしか十階だったかな−−十階、そうですよね、商業施設の方の商業棟、これが一階半ぐらいの建物になると思います。当初、スケジュールで少しいわれていたのが、商業棟を先に開業して、そして温浴棟、ホテル棟をその後に開業させるという計画だった、そんなような話もありました。
このスケジュールが今、私ははっきりいって認めてはおりませんけれど、遅延がいわれている今回こそ、再び、ある意味改めて検討をさせるべきだと思うんですけれど、いかがでしょうか。
○村上渉外調整担当部長 千客万来施設は、築地特有の貴重な財産であるにぎわいを継承、発展させ、豊洲市場と連携し、にぎわいを創出することを目的とした重要な施設であると認識でございます。
現在、商業棟と温浴棟の両方を同時開業する計画となっており、一般的には、計画を変更しようとする場合には、技術的、法的な困難も予想されますが、都は、事業者に対しまして、商業棟の先行開業の実現可能性について、改めて検討するよう指示を行ったところでございます。
○山崎委員 万葉倶楽部に対して、例えば賃料の話ですとか、工期の遅れの話ですとか、東京都は、これから万葉さんといろいろと話合いをしていく形、現在も、今アイ・エヌ・ジーで進んでいると思いますけれど、納得をさせてもらわなきゃいけないわけですね、向こうに。理解してもらって、東京都の方針というものをしっかり守ってもらいたいと。
結果を出さなきゃ意味ないんですよ。ただ向こうにいって、いいましたいいました、こういうふうにやっています、ああいうふうに指示しています。でも、現在の状況の中で、そんなふうな答えはまだ出てきていないわけですよね。向こうに一方的に、今年の八月に、遅れます、十か月遅れます、そんなことをいわれて、そのままになっている。それでは意味ないはずですよ。小池知事と約束してきたことが全く守られていないわけですから。
そういった意味も含めて、しっかりとその辺は、万葉倶楽部に対しては対応していただきたいと思います。それじゃないと、東京都の基本協定とか、そういったものが全く守られていないということですから。
これ、法的な手段というものももちろんありますよ。法的な手段を取らざるを得ないという場面が、もしかしたら出てきたらどうされるんですか。管理部長、教えてください。
○松田管理部長 今、理事ご指摘の件でございますけれども、私どもは、理事がおっしゃられております基本協定、こちらは東京都と万葉倶楽部との間で締結をされたものでございまして、いってみれば根本的な約束事といいますか、そういったもので決めているというものでございます。
もちろん、これは当事者間で、これは一般的な契約でもそうですけれども、約束が残念ながら守れなかった、守らなかった、そういったことにつきましては、ペナルティーといいますか、守っていただくために担保すべき条文といいますか、そういったものがあるという条項でございます。
私どもは、もちろん千客万来施設、これは豊洲のにぎわいをしっかり守っていくためのものでございますので、とにかくいい方向にやっていくということでございますけれども、同時に、基本協定の重みといいますか、そういったものをしっかり両者が守っていくということも頭に入れながら、やっていきたいというふうに考えてございます。
○山崎委員 何代にわたる市場長が、このことで向こうの小田原まで行ってお話をされてきたか。私も随分そういった現状というものをお聞かせいただいてきましたよ。何代にわたって、市場長が替わるたびに振り回されてきたか。振り回されてきているという事実をしっかりと認識をする。それと同時に、しっかりとどのようにしたら守ってもらえるかということも同時に考えていかなきゃいけない。
これから五十年、あそこの中で営業されていく。五十年間もあそこの施設が続いていくわけですよ。途中で、いや、どこかの海外のそういったところに売却しちゃうだとか、何が起こるか分からないですよ。だけど、少なからず五十年間の定借でこういうふうになっているわけですよ。
地元の江東区の人たち、豊洲を中心とした臨海部の人たちだって、どうされるわけですか。江東区は何も聞いていないですよ、この話。こういったことで、本当に信頼関係というものが、まちづくりというものが展開できるんでしょうか。
本来であれば、豊洲の市場がオープンと同時に、この千客万来施設というものは当初オープンする予定でした。豊洲の市場も、移転問題でいろんなことがありました。遅れました。様々な出来事がありました。しかし、何とか豊洲の本体の方の開場は、平成三十年十月十一日に開場されています。今、一体いつですか。
この周りを見渡しても、豊洲の周りを見渡しても、隣の四街区の清水建設、このオープンだって、もうこの秋、来年の春に完成で、もう完全のオープンですよ。いろんなことがあったのは分かりますけれど、あり過ぎですよ。
東京都と万葉倶楽部の信頼関係ってどうなっているのか。しかも、基本協定まで結んでいるわけですよ。こういった大きな事実というものをしっかりと捉えていただかなくては、東京都がなめられているという話ですよ、簡単にいえば。そんなことでよろしいんでしょうか。
私には理解がまだできません。しっかりとこの問題に対しても、まだまだ引き続き注視をしていきたいと思います。
それと、もう一点。先ほど、前段で五街区の江戸前場下町のことをお話しさせていただきました。
この江戸前場下町、暫定施設であるわけは間違いありませんけれど、この市場の休市日には、その施設は休んでいたわけですよね。しかし、やはり観光の部分を考えれば、土日のそういった部分もオープンをさせるべきだという、地元のいろんな期待もありました。
そういった意味で、現在、日曜の営業試行をされたと思います。日曜の営業試行の結果、どのようなものだったのか教えてください。
○村上渉外調整担当部長 江戸前場下町の日曜日営業の試行に関しましては、まず、本年六月二十七日から四回にわたり実施しました。
その結果を踏まえ、期間を八月二十九日まで延長し、合計で十回にわたり日曜日営業を毎週継続して実施いたしました。
運営事業者によれば、その日の天候や緊急事態宣言等により増減はあったが、地元はもとより、豊洲市場に隣接するぐるり公園などに来場した方々も立ち寄るなど、コロナ禍の状況下においても需要があり、おおむねふだんの土曜日と同程度の来場数があったとの報告を受けてございます。
○山崎委員 千客万来施設の隣の、こっちの江戸前場下町の、今、日曜のことを聞きましたけれど、この五街区の江戸前場下町、これは仮の話になっちゃうんですけど、私は千客万来施設、六街区の方が遅れるということは認めていませんから、ある意味、東京都もそれは同じ気持ちだと思うんですけど、仮の話で申し訳ないんですが、この千客万来施設が開業までの間という趣旨に基づくと、開業が、要するに千客万来施設がもし仮に遅れた場合、こっちの五街区の江戸前場下町は延長されるのか。そういった考えでよろしいのか、ちょっと教えてください。
○村上渉外調整担当部長 現在、六街区の千客万来施設事業については、万葉倶楽部に対して、工期の変更の理由などを聴取、検証しているところでございまして、報告を受けた工期の変更については了承しておりませんが、都としては、豊洲地区のにぎわいを継続的に創出することが重要と認識しており、そのための具体策として、江戸前場下町の延長に向けた条件整理等を進めてまいります。
○山崎委員 とにかく、できることは何でもやっていただきたい。可能な限り手を尽くし、にぎわいをとにかく途中で止めない。この五街区のいろんなイベントをやってきましたよね、コロナの前に。
まだそのときには、江戸前場下町ができていなかったとき、あのときのイベント、とにかく千客万来施設が出来上がる前に、東京都の中央卸売市場の皆さん方もいろんな知恵を絞っていただいて、にぎわいのイベントをやってきましたよ。
その結果、まだまだやっぱり万葉倶楽部の方とのいろんな兼ね合いの中で、時間がかかる。このままで、あの土地を野ざらしにしていいのかということで、五街区のあの場所に、駐車場はその後ですけれど、そういった部分も含めて、江戸前場下町というものが、暫定としてああいう形でオープンをして、あれだって、相当短い期間でああいったものを完成させるというのは非常に大変なことだったと思いますよ。一年数か月ですよね、あれを完成させたのは。
そういったことも含めて、とにかくいろんなことをやっていただきたい。せっかく豊洲の市場ができて、これは江東区の、ある意味、豊洲市場を受け入れる三つの条件、いろんなことがありましたよ。その中の、三つの条件のうちの一番大きな、にぎわい施設をしっかりと、江東区は、受け入れる条件として、こういったものが必要であるということを長年にわたっていってきたわけです。
そのにぎわいの施設というものが、いまだに着手されているのか着手していないのかよく分からない状態。これは何で、江東区は何を信じていいのか分からないと思いますよ、ある意味。そういった意味も含めて、しっかりとやれることは全てやっていただきたいと思います。
江戸前場下町、この事業は、都による豊洲のにぎわいの創出の一環であって、実際にそれを直接実施する事業者へのサポートは欠かせないと思います。延長になれば、それはますます重要になってくるとも思います。
以前、本委員会において、私は、五街区の江戸前場下町の事業者への補助について、その財源はどこから出ているのか、そういったものも質問させていただきました。この問題については、延長に向けた検討の進捗状況を見ながら、またこれは改めて質問をしていきたいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
開業時期のことに、現在、問題になっておりますが、これが同様重要なのは、千客万来施設に出店する店舗が、どれだけ楽しく豊かで顧客を飽きさせないものになるか、そういった問題もあります。
この六街区の千客万来施設に出店するテナントは、どのような考え方に基づくものなのか。これは万葉倶楽部の六街区の方です。改めて確認させてください。
○村上渉外調整担当部長 千客万来施設は、築地特有の貴重な財産であるにぎわいを継承、発展するとともに、豊洲市場と連携をし、豊洲ならではの活気やにぎわいを生み出すことで、豊洲市場の魅力を高めつつ、地域のまちづくりや活性化に貢献することを目的とする施設であり、こうした考え方に基づき、テナントの募集や店舗配置を行っていくことが重要でございます。
○山崎委員 千客万来施設事業にとって、これは非常に重要な点であると思います。
豊洲市場本体、これと一体となって、我が国の食文化を発信する、豊洲市場でしかできないものを内外に普及する、それが千客万来施設のコンセプトであったと私は思います。
それに加えて、豊洲らしさという点では、地元との連携といった視点も欠かせないと思います。
将来を見据えれば、築地にあったものを再現することだけでなく、新しい豊洲という場所とのつながりを生かすという目線を加えれば、さらに新しいものができるはずであると思います。
テナントを、ある意味どのような形でやっていくのかということを、ぜひ事業者である万葉倶楽部さんの方にも確認をしていただきたいと思います。
この豊洲の周りを見渡すと、隣の、先ほどからいっている四街区の清水建設のオフィス、ホテル棟には、同じような温浴施設が上には出来上がります。完成しています。それと同時に、隣の有明に行けば、有明ガーデンというところにも温浴施設があります。
そして、今、今年の年内で終わりですけれど、お台場の先の青海のところには大江戸温泉物語というものが、これは今年でなくなりますけれど、とにかく、その周辺に温浴施設が数か所、こうやって乱立するわけですね。
その中で、テナントリーシング、まさに商業施設、商業棟、要するにホテルや温浴施設というものは、万葉倶楽部さんの、何というのかな、自分たちの専門というか、そういったところだと思います。
しかし、我々がやっているのは商業棟であって、これを築地の場外のような、ああいったものと同じような、そういった施設というものをしっかりと造り上げていく。それが様々な、観光客に向けても大きな働きかけになる。そういった商業棟のテナントリーシング、これをどのようにやっているか。
ただオープンさせて、百何十店舗、二百店舗、そういったものが入りました、はいおしまいですと東京都がただ見ているのではなくて、内容はどういうものなのか。そういったものをしっかりと事業者に対して、ただ貸して、皆さん方、どうぞ好きにやってください、そうではなくて、そこの中身までしっかりと手を突っ込んで、一緒にこの商業棟を造り上げていく。そのぐらいの意気込みでぜひやっていただきたいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
それに加えて、市場の業者さん、そして地元の商店街とのこういった連携も、また築地の場外施設の誘致、豊洲市場ならではの新しいまちづくりに貢献していくことが重要であり、このタイミングで万葉倶楽部にもしっかり伝えるべきであると思いますが、改めて都の見解を伺います。
○村上渉外調整担当部長 千客万来施設の整備により、豊洲地区ににぎわいを創出し、地域のまちづくりや活性化に貢献していくことが重要でございます。
その実現のためには、築地場外市場の事業者を積極的に誘致するとともに、市場業者や地元の商店街とも連携していくことが必要であると認識してございます。
今後、テナントリーシングを担う万葉倶楽部に対し、都からは、こうした認識をしっかり伝えるとともに、都としても、事業者と連携しながら、千客万来施設の開業に向けた取組を進めてまいります。
○山崎委員 豊洲市場がせっかく開場したのだから、区民にとって魅力的な場所にしたい、よい場所にしたいとみんな思っています。
千客万来施設を中心に、水辺と近く、景色もすばらしいといったあの場所ならではの特徴を生かす工夫ももちろん必要であると思います。そういう意味では、例えばぐるり公園との接続をよくすることで、訪れる方々の回遊性を高め、より楽しめるような取組も必要ではないでしょうか。
これまで質疑をしてきて改めて思ったことは、豊洲市場は、卸売市場としての機能だけではなく、我が国を代表する魚市場というほかにない特色を生かし、豊洲市場ならではのにぎわいの拠点として可能性を持っているということであります。区民の皆さんや都民の皆さんの不安は、裏返せば、それだけたくさんの期待の声があり、そうした声を待っております。
しかし、千客万来施設の当初の開業時期が遅れる、しかも、それがなかなか明確に伝わらず、情報が錯綜し、うわさが先行し、一体何が起きているのか何が正しいのかが分からなければ、不安と不信を持ってしまうわけであります。
豊洲市場の開場への長い道のりにおいて、こうしたことが少なからずあった。明るいよい話なのに、伝え方を誤ると、ボタンの掛け違いになりかねません。とにかく地元との丁寧なコミュニケーションを図り、タイムリーな情報提供にも努めていただきたいと思います。
また、千客万来施設事業は、事業期間が五十年、先ほどからいっているように五十年という長期間にわたるものであります。事業者は、地域に根差し、豊洲の新たなまちづくりや、都や区と共に担っていくことが求められるわけです。都は大きな責任を負っております。
最後に改めて申し上げますが、豊洲市場とにぎわい施設の開業は、これまで江東区が歩んだ近世のある意味総仕上げであり、特ににぎわい施設は、新たな豊洲、新たな江東区の歴史を踏み出していくためにも欠かせないものであります。
こうした視点を、都は絶対に忘れないでいただきたいと思います。形ばかりのものではなく、そうした思いを受け止めるつもりで、しっかりとやっていただきたいと思います。
これまで、経緯を受け止め、質問してきました。五十年間の事業であること、こういったものも認識をし、都として、にぎわい創出に向けてあらゆる努力をすべきと考えますが、最後に市場長の見解をお聞きいたします。
○河内中央卸売市場長 ただいま理事からご指摘いただきましたとおり、千客万来施設事業は、豊洲地区におきまして、豊洲市場と一体となり、にぎわいを創出するための重要な事業でございまして、今後五十年という長い期間にわたりまして継続していく事業でありますことから、地元である江東区に受け入れられ、にぎわいを創出し、地元と共に魅力を高め、発展していくべきものであると、こういうふうに認識しておるところでございます。
そのためには、一日も早く開業することが必要でございまして、今後は、建設工事に係る工程管理をより一層精緻に行い、事業者や工事関係者に対して、工事の全工程を改めて見直させるなど、工期を短縮するよう、さらに強く求めてまいります。
都といたしましては、豊洲への市場の移転に関する経緯などを踏まえ、千客万来施設事業が将来にわたって地域に根差し、着実に事業を展開していくことが重要であると考えておりまして、こうしたことを都と事業者が改めて共有し、豊洲ならではの、にぎわいの創出に向けて、事業の推進に全力で取り組んでまいる所存でございます。
○山崎委員 ありがとうございました。ぜひ、この千客万来施設というものが完成するに当たって、それが最後の豊洲の市場の、ある意味、本体とのオープン、これは一体となっての話だったと思います。千客万来施設事業と豊洲の本体、五街区、六街区、七街区、これは一体となってのオープンだったと、私はそのように今までも聞いてきましたし、そういうふうに今でも思っています。ですから、最後まで、最後までしっかりと、この大きな千客万来施設というものを成し遂げていただきたいと思う。ぜひ一緒になってやっていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いをしたいと思います。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○後藤委員 私からは、都の市場業者の新型コロナ対策全般についてお聞きをしていきたいと思います。
昨年の十一月には、豊洲市場を中心に新型コロナウイルス感染症の確認が相次いだということで、社会的にも大きなニュースになったわけであります。生鮮食品などの流通にとって欠かせないインフラ機能となっている中央卸売市場において、この感染症、新型コロナの感染症リスクに直面する中にあっても、いかに市場機能を維持していくかというレジリエンスの部分は非常に重要なところだと思っておりますので、幾つか質問をさせていただきます。
まず、これまでの市場関係者の新型コロナウイルスの感染状況について伺います。
○西坂事業部長 中央卸売市場における市場関係者の感染者数は、令和二年七月に最初の感染者が報告されて以降、令和三年十月までの十六か月間の累計で九百七十六人となってございます。
令和二年十一月から令和三年一月にかけて増加いたしましたが、令和三年二月以降は減少してございます。
また、本年七月から八月にかけて再び増加しましたが、九月には減少し、この十月は、十一市場において感染者は確認されておりません。
市場関係者の感染者数が増加した時期は、都内の感染者数が増加した時期と重なっておりまして、豊洲市場、食肉市場、大田市場などで複数の事業者から散発的に感染者が確認されてございます。
○後藤委員 これまでに十六か月間の間で九百七十六名の感染者が出たというご答弁でございました。感染状況の推移を見ても、都内の感染状況に比例をして感染者が推移しているということで、特定の市場に限定をして感染状況が広がっていると、そういうことではないということは分かりました。
特に、冬に向けて懸念される第六波がありますけれども、こういったところに向けて、市場内で今後も新型コロナ対策の徹底というのが改めて不可欠なものになってくると思っております。
そこで、お聞きをいたしますが、市場内における新型コロナウイルス感染症対策について、これまでどのような取組を行ってきたのか伺いたいと思います。
○西坂事業部長 コロナ禍におきましても、市場機能を維持し、生鮮品等を安定的に供給する基幹的なインフラとしての役割を着実に果たしていくため、都は、市場業界と共に新型コロナウイルスの感染拡大防止対策を行っております。
具体的には、正しいマスクの着用や手洗い、体調不良者の出勤抑制などを徹底するとともに消毒液を設置するなど、基本的な衛生対策を着実に実施してございます。
こうした取組の徹底と情報収集を迅速、円滑に行うため、都と業界団体との間で連絡体制を構築してございます。
また都は、複数の感染者が判明した事業者などに対しまして、職場や執務室における関係社員や感染者と接触のあった社員などを対象とする自主検査による確認を促進しております。
加えまして、豊洲市場協会が実施するワクチンの職域接種に際し、国との調整や医療人材の確保などをサポートいたしますとともに、関係局と調整の上、全市場の事業者を都庁などの会場で実施されているワクチン大規模接種の対象とし、事業者にアナウンスをするなど、ワクチン接種を推奨してございます。
こうした取組によりまして、市場内における感染拡大防止対策に努めてございます。
○後藤委員 基本的な感染症対策の徹底であったりとか、ワクチンの職域接種の推進など、そんなご答弁がありましたけれども、業界団体と連携しながら行っているということが分かりました。
加えて重要なのは、青果と水産では、新型コロナ対策に関しても必要な対策が異なるように、市場の機能であったり規模など、こういった特徴に応じて対策をしっかりと進めていくということが重要であると思います。
感染症対策におきましては、各市場の課題をよく知る業界団体や協会と共に密接に連携をしていただきまして、ぜひニーズに合った取組を進めていただきたいと思いますけれども、ご所見をお伺いします。
○西坂事業部長 新型コロナウイルス感染症の拡大防止のためには、業界団体等と連携して基本的な衛生対策を着実に実施いたしますとともに、業界団体等による自主的な取組を促進していく必要がございます。
このため、競り場等の飛沫防止対策やハンドブック作成などによる意識啓発、ホームページ等を活用した情報発信や、体温測定装置の設置などによる水際対策、複数の感染者が発生した場合等における自主検査など、各市場の業界団体等が行う衛生管理強化や円滑な市場取引に資する取組について、都は、協力を行うとともに支援をしております。
引き続き各市場の実態に即して感染拡大防止対策に取り組んでまいります。
○後藤委員 既に様々、業界団体等とも連携して対策を行っていただいているということが分かりました。
今後も、各市場の感染症対策を強化していただきまして、今後、第六波におきましては、変異株の状況なども心配な部分がございます。こうした予測し得ない事態にも、ぜひとも柔軟に対応していただきながら、この冬の感染症対策、こうしたものに、第六波に耐え得る方策というものをしっかりと行っていくことを要望させていただきます。
次に、各市場における新型コロナウイルス感染症の経済的な影響についても伺いたいというふうに思います。
まず、伺いたいんですけれども、この新型コロナウイルス感染症の流行によって、各市場の取引金額について、どのような推移となっているのか伺いたいと思います。
○西坂事業部長 中央卸売市場の取扱金額につきまして、コロナ禍以前の状況と比較するため、令和二年の実績を令和元年と比較いたしますと、水産物は一〇・三%の減少、青果物は二・八%の増加、食肉は七・五%の減少、花きは七・九%の減少となってございます。
また、本年、令和三年一月から九月までの取扱金額の実績を前々年の平成三十一年、令和元年の同じ期間と比較いたしますと、水産物は九・八%の減少、青果物は一・五%の増加、食肉は一・九%の増加、花きは一・四%の増加となってございます。
○後藤委員 ありがとうございました。今、ご答弁をいただきましたけれども、中央卸売市場当局として、この取引金額の推移というものをどのように分析しているのか伺いたいと思います。
○西坂事業部長 卸売市場における取扱金額は、流通環境や天候など複合的な要因により変動するものでございまして、令和二年におきましては、コロナ禍により生じた環境の変化などが加わり、市場取引に影響を及ぼしたと考えております。
また、令和三年におきましては、水産物では、活魚類の取扱金額が大きく減少するなど、緊急事態宣言などによる飲食店向け需要の減少が継続しており、コロナ禍以前の状況には戻っておりません。
青果物、食肉、花きについては、いわゆる巣籠もり需要があったものと聞いておりまして、前々年と同程度となってございます。
○後藤委員 青果物、食肉、花きなどは、巣籠もり需要で、前々年の水準に戻ってきていると。一方で、水産がなかなかコロナ前に戻っていないということで、やはり今年は、長らく緊急事態宣言などが続いておりまして、飲食店向けの需要が落ち込んでいるということが改めて分かりました。
こうした状況下の中で、特に水産など、取引高の減少などによって苦しんでいる事業者に対して、市場業者のニーズをきめ細かく把握している中央卸売市場が、独自に支援策を講じるということは重要だというふうに考えます。
そこで、これまでの新型コロナウイルス感染症に対する市場事業者の支援について、まず、課題認識、どのような課題認識を持っているのか伺いたいと思います。
○西坂事業部長 都はこれまで、市場業者の声やニーズを踏まえまして、仲卸業者のみを対象としておりました中小企業診断士等による経営相談の対象を、卸売業者や関連事業者等に拡大いたしますとともに、市場使用料や光熱水費の支払い猶予を実施するなど、コロナ禍において厳しい経営状況にある市場業者を支援してきました。
こうした取組を通じまして、市場業者と意見を交換し、個々の状況に応じたきめ細かな支援を行っていくことが重要との認識に至っております。
○後藤委員 市場業者と意見交換を行って、個々の状況に応じたきめ細かな支援の必要があると、そういうお考えのご答弁をいただきましたけれども、こうした課題認識から、本年度、中央卸売市場独自で経営支援メニューを創設したというふうに認識をしております。
この辺りを伺いたいと思うんですけれども、市場業者の経営支援策として、本年度は、どのような取組を行っているのか具体的に伺いたいと思います。
○西坂事業部長 都は、公認会計士を含む専門家と連携した各場への訪問相談を今年度から定期的に行い、個々の市場業者が抱える経営課題や補助事業を活用した取組などに対しまして、専門的な知見による助言などを提供しております。
また、中小企業診断士などによる経営セミナーをオンラインで開催し、市場業者が行動変革につながるような情報を提供するとともに、希望者には個別の相談に対応するなど、きめ細かな経営支援に取り組んでおります。
○後藤委員 割と経営相談みたいなものが中心であるというようなお話がありまして、先日、私の地元である足立市場にも、ご担当の方に足を運んでいただきまして、市場内の飲食店の皆さんに一店舗一店舗、各制度、市場の場内の皆さんが使える制度の普及啓発、ご案内をしていただいたりとか、何に困っているのかというような課題のヒアリングなどを行っていただいておりまして感謝を申し上げるところなんですが、やはりそういった場を設けていただいたことで、複数の事業者さんから、制度を使いたいというような声も実際にありまして、その後、実際に申込みに至ったという声も聞いております。
既に様々、猶予の話であったりとか、使用料の話であったり、いろいろな既に使える国や都の制度も含めての制度の周知というものは、やっていただいていると思うんですけれども、やっぱり実際に膝を突き合わせていただいてお話をいただくと、まだまだ制度を知らなかったりとか、あるいは、これで申し込んでいいのかという形で、利用を躊躇している事業者もたくさんいるんだなということを実感したところでありました。
そうした意味からも、今後はさらにこうした各種の支援制度について、ぜひアウトリーチで周知をしていただきたいと思いますけれども、見解を伺います。
○西坂事業部長 都や国の各種支援制度につきましては、市場業者にその内容や利用方法を分かりやすく伝えることにより周知を図り、利用を促していくことが必要でございます。
そこで都は、こうした支援制度について適切に情報提供を行いますとともに、市場業者のニーズが高かった雇用調整助成金などに関する説明会を業界団体と連携して実施するなど、広く情報が行き渡るように取り組んできました。
今後、市場業者の声を聞きながら、より一層、資料の内容や情報提供の方法などについて工夫していくとともに、専門家と連携した定期的な各場訪問などにより関係を深めながら制度の周知を図ってまいります。
○後藤委員 今後は、より一層、工夫をしていただけるということ、前向きなご答弁をいただきましたので、ぜひよろしくお願いいたします。
ぜひその際には、市場の中も、さきに挙げたような飲食店であったり、飲食店なので、数としては少ないけれども、非常に経済的に困っていると。そんな事業者さんもいらっしゃいますので、偏りがないように、幅広く皆さんにしっかり平等に事業が周知できるような、きめ細かなフォロー体制というものをお願いしたいと思います。
ここまでは、各市場における新型コロナの影響と対策について伺ってきたわけであります。ここから先は、私の地元である北足立市場と足立市場について伺いたいと思います。
まず、足立市場については、城北地域の水産物市場として、地域の需要に応えるとともに、消費者向け事業など、地域に密着をした事業に取り組んでおります。一方、近隣の小売店など、買い出し人の減少によりまして、取引高が十年間でおおむね半数になってしまうということで、こうした課題を抱えているわけであります。
北足立市場におきましては、青果、花き市場として、流通上の立地を生かしながら地域密着、こちらも地域密着の事業を通じて運営をしてきたということであります。足立市場と同様に、売り買いの参加者や仲卸の減少によって、取引高が十年前と比較をして、おおむね三割減と、こうした課題を抱えているわけであります。
中央卸売市場は、特色のある市場づくりに向けて、市場ごとに経営の戦略等を策定し実行をしております。北足立市場においては令和元年度、足立市場においては令和二年度に経営戦略を策定し、市場ごとの施策を進めているという認識を持っておりまして、ここで伺いたいんですが、北足立市場及び足立市場における経営戦略と、現時点で進めている施策について伺いたいと思います。
○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都では、各市場が自らの特性を踏まえ、創意工夫をしながら特色ある市場づくりを進めるため、各市場において経営戦略を策定し、戦略的な取組を行っていくこととしております。
お話にありましたとおり、北足立市場においては令和元年度に、足立市場におきましては令和二年度に、それぞれ市場を取り巻く環境を分析し、強みや弱みを整理した上で経営戦略を策定し、これに基づく取組を進めております。
北足立市場では、青果部において、東日本の産地との関係強化に向けて、産地訪問の実施に加えまして、リモートによる商談の仕組みを整えたほか、花き部においては、情報発信、相互交流の活発化などに向けて、業界団体が花き量販店の販売方法のノウハウなどを学び合うオンラインセミナーを実施するなどの取組を行っております。
足立市場では、基本戦略として、集荷力の強化と販売力の向上、市場の総合的な魅力の創出、発信などを掲げており、これに基づき市場業者や業界団体がホームページのリニューアルを行ったほか、SNSを活用した情報発信の取組を行っております。
○後藤委員 今のご答弁で、様々戦略を策定して取組を進めているということが分かりました。
特に北足立市場においても、足立市場においても、その経営策定上の弱みとして、市場の認知度の低さというものが挙げられておりまして、やはり私も地元の住民として、そこは課題だなというふうに認識をしております。
一方で、足立市場においては、千住大橋という駅があるんですけれども、そこから本当に歩いて徒歩五分以内という、立地の面でも優れていると。こういうことに加えて、江戸からの宿場町といったような特徴もありまして、観光資源としてのポテンシャルも高いというふうに認識をしております。
今後、足立市場においても、豊洲なんかで、先ほどいろいろ質疑がありましたけれども、様々な観光客向けの施策やイベントを行っていると思いますが、こうしたものを参考にしながら、より一層、にぎわいの創出に向けた施策展開をぜひ行っていただきたいというふうに考えておりますが、見解を伺いたいと思います。
○松田管理部長 足立市場は、地元である足立区や城北地域の小売店、飲食店などへの水産物の供給を担ってございまして、地域に密着した市場の特徴を生かし、地域住民の方々との関係構築を図る取組が重要でございます。
このため、足立市場におきましては、平成二十六年七月より、あだち市場の日を開催しておりまして、来場する方々に市場への理解を深めていただくとともに、対面販売を通じた対話などにより、魚食、食育への関心を高めていただく取組を行ってきたところでございます。
今後は、今月から再開されました市場見学や、一般の方々も利用が可能な飲食店の周知などを通じて、足立市場の役割や魅力を実感していただけるよう、ホームページやツイッターを活用し、情報発信に努めてまいります。
○後藤委員 地域密着の市場の特徴を生かして、あだち市場の日など様々取組を進めていただいているというご答弁でありましたけれども、ご答弁の中で、ホームページやツイッターを活用して情報発信などを行っていただけるというところはありがたいんですけれども、情報発信という意味では、やはり都のホームページであったり、ツイッターなどでは限定的な部分もあるのかなというふうに思っております。
例えば、独自に市場業者の魅力であったり、飲食店も幾つかありますので、そういった情報をリーフレットにまとめるなどして、地域に、例えば配布をすれば、近隣、子育て世代向けの新しいマンションがたくさんあるんですけれども、そういった人たちは、市場は入っていいものなのか、まだご存じない方もたくさんいらっしゃいます。そうした人たちに対しても、ぜひ実効性という意味では、積極的な取組を期待をしたいなというふうに思っております。
また、豊洲市場では、子供向けの競り体験であったり、キッチンカーなどを集めたイベントなども行っているというふうに認識をしておりまして、既に、あだち市場の日も、すごくたくさん来場者数も多くて、いいイベントだとは思うんですけれども、ぜひ幅広い層をターゲットとした、こうした豊洲市場などの例も前例に参考にしていただきながら、そうした企画なども、にぎわいの創出という意味では重要だと思っておりますので、今後もそうした前向きな施策を検討していただくことを求めまして、質問を終わります。
○細田委員長 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
午後五時四十一分休憩
午後六時十五分開議
○細田委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○玉川委員 市場における新型コロナウイルス感染の防止対策や影響につきまして、私の地元大田区にあります大田市場について質問をいたします。
大田市場は、青果物、そして花きについては、我が国最大の取扱量を誇る基幹市場であります。また、都内の中央卸売市場では、水産物も含め、三つの品目を取り扱う唯一の市場であります。令和二年の取扱金額を見ると、青果物は約三千億円で、都内の中央卸売市場取扱総額の約五四%、花きは約四百五十四億円で、約六〇%を占めている大変重要な市場であります。
この重要な大田市場におきまして、今年の七月から八月にかけて、第五波といわれる時期に多くの新型コロナウイルス感染症の感染者が確認されたと聞いております。
都内で一日当たり五千人以上もの感染者が確認されるような状況下においては、市場関係者にも感染者が発生してしまうということは決して特別なことではありませんが、市場機能を維持していくためには、感染を拡大させないということが最も重要であります。
先ほど、全体においては同様の質問がございましたが、大田市場におきまして、どのような感染拡大防止対策を講じてきたのか伺います。
○西坂事業部長 大田市場は、青果物と花きに関しまして、都内の中央卸売市場の中でも最大規模を取り扱う中核的な機能を担っており、コロナ禍において、その市場機能を維持し、生鮮品等を安定的に供給する基幹的なインフラとしての役割を着実に果たしていくため、都は、市場業者と共に新型コロナウイルスの感染拡大防止対策を行っております。
具体的には、正しいマスクの着用や手洗い、体調不良者の出勤抑制などを徹底するとともに消毒液を設置するなど、基本的な衛生対策を着実に実施してございます。
こうした取組の徹底と迅速な情報共有を図るため、大田市場では、市場業者との間で、新型コロナウイルス対策本部会議を随時開催してございます。
また都は、複数の感染者が判明した事業者などに対しまして、職場や執務室における関係社員や感染者と接触のあった社員などを対象とした自主検査による確認を促進しております。
加えまして、関係局と調整の上、都庁などの会場で実施されているワクチン大規模接種において、大田市場をはじめとする全市場の事業者を対象とし、その旨を事業者に対し広くアナウンスするなど、ワクチン接種を推奨しております。
こうした取組によりまして、市場内における感染拡大防止策に努めており、直近の本年十月におきましては、大田市場においても感染者は確認されておりません。
○玉川委員 大田市場においても、様々な対策を通じて感染拡大が落ち着く状況になったことが確認できました。緊急事態宣言は解除されましたが、まだまだ気を緩めることなく、引き続き感染拡大防止にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
次に、大田市場の花き部の状況について質問いたします。
コロナ禍においては、三密を避けるため、卒業式や謝恩会などの自粛や、冠婚葬祭の延期や見直しなどにより、花き業界も大きな影響を受けたことと思います。令和二年の中央卸売市場の市場全体の花きの取扱金額は、前年に比べて七・九%の減少とのことであります。
そこで、大田市場における花きの取扱いについて、新型コロナによる取引の影響について伺います。
○西坂事業部長 令和二年の大田市場における花きの取扱金額は、令和元年と比べまして約七%減少しております。これは、都内で初めて新型コロナウイルスの感染が確認された令和二年一月以降、感染拡大に伴って各種イベント等が自粛された三月や、初めて緊急事態宣言が発出された四月、五月におきまして、前年の同月に比べ取扱いが大きく減少したためでございまして、六月以降は回復し、六月から十二月の累計では、コロナ禍以前の水準に戻っております。
令和三年におきましては、再び緊急事態宣言が発出された一月に大きく減少したものの、二月以降は、いわゆる巣籠もり需要といわれる観葉植物などの鉢物の取扱金額が増加したことなどに伴い、取扱金額はコロナ禍以前の水準を上回っております。
○玉川委員 大田市場における令和二年の花きの取扱金額は、前年に比べて約七%の減少ということで、大きな影響を受けたということではありますが、一方、令和三年については、いわゆる巣籠もり需要に支えられ、二月以降は堅調とのことであります。
このような需要の増加を一時的なものとせずに、花や緑を楽しむ生活を定着させていくためには、従来からの取引形態ばかりではなく、インターネット等によるEC販売が効果的であり、花きについては、積極的に乗り出す事業者も多いと聞いております。
そこで伺いますが、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、デジタル技術を活用した新たな販路開拓などに取り組んでいる大田市場の花き事業者に対する支援の状況についてお聞かせください。
○西坂事業部長 新型コロナウイルス感染症は、非対面、非接触型の取引など、デジタル化を加速させており、市場業者においても、こうした変化への対応が進んでおります。
具体的には、仲卸業者においては、ECサイト構築による販路開拓の取組や、既存のECサイトをほかのシステムと連携させることで、業務の効率化や営業力強化を図る取組が行われております。
また、卸売業者におきましては、感染症対策や、仲卸業者等、取引先の利便性向上を図るため、在宅競りシステムをモバイル対応させ、場所の制約にとらわれることなく競り取引に参加できるような環境を構築する取組が行われております。
これらのデジタル技術を活用した新たな取組に対しまして、中央卸売市場強靱化推進事業で支援してございます。
○玉川委員 引き続き市場業者の新たな取組に対しての支援の充実を図ることを要望いたします。
本日は、大田市場を通じて、コロナ禍における都の取組について確認をしました。感染症については、第六波も懸念されますので、引き続き東京のみならず、日本全国の青果、花き流通の基幹市場である大田市場が止まることがないように、都と業界とが一体となって対策を進めていただきたいです。
また、コロナ禍は、デジタル技術の活用等による新たな取引形態を生み出しました。東京都においては、市場業者の経営を支える守りの支援も大切ですが、アフターコロナに向けた新しい取組を後押しする攻めの支援についても一層重要であると考えます。
引き続き都に対して、感染症対策と市場業者の取組支援の両面にしっかりと取り組んでいただき、都民の消費生活に欠かせない卸売市場を安定的に運営していくようお願いをしまして、質疑を終了いたします。ありがとうございました。
○あぜ上委員 それでは、私から、大綱二点、伺います。
一つは、東京都中央卸売市場における取扱数量などの状況と、コロナ対策についてです。
まず、東京都中央卸売市場における取扱量の状況についてです。
先ほど、取扱金額でのお話がありましたけれども、卸売業者の取扱数量、この推移を見てみますと、令和二年は、平成二十八年を一〇〇としますと、水産物の取扱数量は八〇・五と減少しておりますが、これはコロナの感染の影響ですか。また、今年はどんな状況なのか伺います。
○西坂事業部長 中央卸売市場における水産物の取扱数量につきましては、平成二十八年は四十三万四千二百九十トン、平成二十九年は四十万七千六百五十三トン、平成三十年は三十八万五千百二トン、令和元年は三十六万五千三百八十八トン、令和二年は三十四万九千七百四十六トンとなっております。
平成二十九年以降の各年の取扱数量を前年と比べてみますと、平成二十九年は六・一%の減少、平成三十年は五・五%の減少、令和元年は五・一%の減少となっております。
また、令和二年におきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、初めて緊急事態宣言が出された四月、五月につきましては大きく減少しましたが、年間を通じて見ますと、前年と比べて四・三%の減少でございました。
令和三年につきましては、一月から九月までの累計を前年の令和二年及び前々年の平成三十一年、令和元年の同じ期間の累計と比べますと、前年からは〇・八%の減少、前々年からは五・一%の減少であります。
水産物の取扱数量は、コロナ禍以前の状況には戻っておりません。
○あぜ上委員 取扱いの数量は、経年的に減っていると同時に、コロナの影響もあったということであります。そして現在も、コロナ禍以前の状況には戻っていないということでありました。
この水産物の取扱数量の状況は、仲卸業者の販売先や売買参加者の内訳によっても違いがあるのでしょうか、共通した状況なのでしょうか。お答えいただければと思います。
○西坂事業部長 中央卸売市場における水産物の取扱数量が減少傾向にある主な理由といたしましては、少子高齢化の進展や、中食の利用増加などによる食の外部化など、市場を取り巻く環境が大きく変化する中におきまして、加工食品の需要増や、流通チャネルの多様化などの状況が生じていることなどによるものと認識しております。
令和二年及び三年につきましては、コロナ禍以前と比べて、活魚類の取扱数量が大きく減少するなど、緊急事態宣言等による飲食店向け需要の減少が継続した影響が見られます。
また、仲卸業者の販売先や売買参加者につきましても、飲食店向けの取引に影響があったものと考えられます。
○あぜ上委員 今のご答弁で、活魚類の取扱いが大きく減少したのは、やはり共通していて、飲食店向けの取引に影響があったということですね。
そして、水産物の取扱量の減少の主な理由についてもご答弁があったわけですが、この点についていえば、確かに市場を取り巻く環境の変化は非常に大きく、多様化などの状況は生まれていると思いますが、卸売市場経由が今も約五〇%と大事な役割を担っております。豊富な情報量を持っている卸、仲卸の役割が発揮されていて、公平、公正な価格設定が行われているし、豊富で多様な品ぞろえを確保して、市場としての役割を担っていることには変わりないというふうに私は認識しております。
さて、青果物と食肉においては、コロナ禍において、卸売業者の取扱数量は、水産物に比べて下がっていません。その理由の分析を伺おうと思ったんですが、先ほどご答弁がありました、いわゆる巣籠もり需要ということですが、確かにおうちご飯が増えまして、商店街の同じ八百屋さんでも、飲食店に卸しているお店と、一般消費者を対象としているお店では、お話を伺う限り、本当に大きく違うなという印象を私自身持っているところです。
さて、この間、仲卸業者の方々の赤字業者は、令和元年には、水産物も青果物も、また食肉も増えているのが現状ですが、その理由については、どう分析されているのか伺います。
○西坂事業部長 市場業者の経営状況につきましてのご答弁でございますが、すみません、先ほど、私、市場を取り巻く環境のところで、ちょっと一ついい間違えて、訂正をいたします。
加工食品の需要増や、流通チャネルの多元化というところを、多様化と申し上げてしまいました。すみません。流通チャネルの多元化の状況が生じていることが、その環境変化に関わっているということでございますので、失礼いたしました。
ただいまのご質問にお答えいたします。仲卸業者の経営状況につきまして、平成三十年と令和元年を比べますと、赤字業者数は、水産物、青果物、食肉で、それぞれ増加してございます。
赤字となりました仲卸業者より提出された事業報告書によりますと、売上高の減少や、販売費及び一般管理費の増加などが見られ、その理由については、個々の事業者により異なるものと考えております。
○あぜ上委員 個々に異なるということなんですが、やはり一般管理費などの増加を考えますと、令和元年の十月から、食料品は八%の軽減税率でありますけれども、消費税が一〇%になったということも影響があったんじゃないかなというふうに私は推察したところなんですけれども、その上に、さらにコロナで追い打ちをかけられた市場業者の皆さんというのは、本当に厳しい状況なわけです。
市場の果たす役割からいえば、やはりこうした市場業者の経営を支えていくこと、これは都の大事な責務であるというふうに考えるわけです。
こうした、今、本当に傷ついた業者を都として全力で支えることが重要な局面だというふうに考えているわけですが、いかがでしょうか。
○西坂事業部長 中央卸売市場が生鮮品等流通の安定供給の役割を果たしていくためには、経営安定化に向けた市場業者の取組を支援していくことが重要でございます。
このため、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い売上げが減少した市場業者に対しまして、市場使用料や光熱水費の支払い猶予を実施するとともに、都や国の各種支援制度の分かりやすい情報提供等によりまして、市場業者の経営をしっかりと支えてまいります。
○あぜ上委員 国の昨年実施された家賃支援金、また、豊洲市場でいえば、江東区が家賃支援金を独自に行いましたが、国及び都の月次支援給付金もそうなんですが、大変大事な支援策だったというふうに思います。
市場業者におけるこの国の家賃支援給付金の利用状況はどのぐらいあったのか、分かったら教えてください。
○西坂事業部長 国の家賃支援給付金の利用状況につきましては、申請期間が終了した本年二月の時点で、都内十一の中央卸売市場における市場業者を対象として調査を行いました。
この調査によりますと、その時点で申請中の場合も含めて、国の家賃支援給付金を利用しているのは、仲卸業者及び関連事業者でありまして、利用者の割合は、全体の約四割となってございました。
○あぜ上委員 家賃支援給付金の利用は、仲卸業者、また関連事業者で約四割ということであります。
私たち日本共産党都議団としては、改めて、全国の市場における行政支援の状況がどうなっているのかなということで調査をかけてみました。
それによりますと、市場は家賃支援給付金の対象となったわけですけれども、全国的に見ますと、市場の使用料について、十二の県または自治体が減免を実施していたことが分かりました。
例えば、奈良県では、国の家賃支援金の受給資格がない場合、事業者を対象に施設使用料の減免を行っていました。これは昨年度なんですけれども行っていました。
家賃支援給付金は、先ほどのご答弁でもあったように、昨年度の施策ですから、大阪府では、今年度、六か月間ではあったんですけれども、卸の売場と仲卸の売場の面積割利用料、そして事務所、関連商品売場の利用料減免、これを実施していることが分かりました。
東京都はどうかといえば、使用料の支払い猶予などの実施になっております。使用料の支払い猶予対象の事業者はどのぐらいいるのでしょうか。
○渡邉財政調整担当部長 支払い猶予は、市場施設で使用の許可を受けている市場業者のうち、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い売上げが減少した業者を対象としております。
市場業者の経営状況を把握するため、本年二月初めに実施した聞き取り調査では、多くの業者が前年同月比で売上げが減少している状況が確認されており、令和二年度は、延べ二百四十二業者の方々に支払い猶予をご利用いただいたところでございます。
○あぜ上委員 延べ二百四十二業者が利用したと。使用料の支払い猶予は大事な取組だというふうに思います。
同時に、先ほども他自治体の事例を紹介いたしましたが、業者は減免も望んでいます。業者を支え、市場機能を守るためには、都として減免や補助などの検討も、私はすべきだというふうに思います。
新潟市は、減免という形ではなく、施設使用料の二分の一を支給するという業務継続支援金支給事業というやり方で支えていることが分かりました。
例えば、こうした業務継続支援金事業、これを実施するとか、使用料の減免も検討するなど、市場の役割を担う個々の業者に対する支援を検討する必要があるのではないかと思います。
市場業者の卸業者さん、また仲卸業者さんなどと事業支援についての話合いはされたのでしょうか。
○西坂事業部長 市場業者に対する支援制度の設計や見直しに当たりましては、市場業者の意見などを踏まえますとともに、随時、業界団体等と意見交換を行ってございます。
また、市場業者が制度の活用などについて相談を希望する場合には、経営の専門家と連携した訪問相談などにより個々の事業者が抱える課題を聞き取りながら、それぞれの状況に応じた助言を行っております。
○あぜ上委員 専門家と訪問相談等を行っていることも、それはそれで本当に大事なことだというふうに私も思うんですが、報道では、昨年のことでしたけれども、豊洲市場の豊洲市場協会が使用料の減免を東京都に要請したけれども、都は減免の実施は見送ったとされていました。
私は、地元の豊洲の市場の様子を時々見に行っているんですけれども、中には入れないときもありましたので、外からだけで、お話だけ聞き取りをするということもありましたけれども、コロナで、飲食、物販なども含めて本当に閑散としておりました。仲卸業者さんの中には、朝、いつもより早く店を閉めてしまうことが多くなっているんだという声も伺っています。
十一月に入って少しずつ人が戻り、増えてきているというお話も伺っているところなんですが、やはり卸、仲卸業者、飲食、物販などの業者さんの意見や要望を丁寧に聞いていただいて、やはり東京で市場業者の支援をさらに進めていただきたい、このことは強く求めておきたいと思います。
次に、豊洲市場の江戸前場下町と千客万来施設についてです。
この質疑については、山崎理事からも質疑がございましたので繰り返すことはしませんが、一点だけ確認をさせていただきたいと思います。
先ほどのご答弁で、千客万来施設は、本来、二〇二二年十二月完成の基本協定だったんだということ、そして、完成時期が延びるというふうに万葉倶楽部がいったけれども、東京都としては、今の時点では了承はしていないということで、事業者から変更理由などを聴取して、今、検証をしているところですというお話でした。
万葉倶楽部は、完成時期の変更について都に報告したのは、先ほどのご答弁でも八月というふうにおっしゃっていたんですが、八月から話合いが行われたということだったら、私は都議会にも早く報告ができたんじゃないかなというふうに思ったんですが、伺いたいのは、この問題では、八月から都と万葉倶楽部で話合いが−−そうすると、八月以降、何回話合いがされて、その八月以降のこうした事態が分かった以降の話合いに、知事も入った万葉倶楽部との話合いというのはあったのかどうか。その点だけ、ちょっとお答えいただけますか。
○村上渉外調整担当部長 千客万来施設の工期の変更につきましては、八月に万葉倶楽部から報告があったところでございます。
変更の状況につきましては、知事にもきちんと報告の状況は入れているところでございます。
八月以降、やはり東京都としては、基本協定書の工期ではございませんので了承しておりません。それにつきましては、今現在、逐一、様々な方法を使いまして、なぜ、理由ですとか、工期に与える影響などにつきましてもヒアリングをしているところでございまして、対面だったりメールだったり、様々な方法を駆使して、今、一つ一つを、詳細を検討しているところでございます。
○あぜ上委員 知事がその話合いに、知事が、八月以降の話をするときに、知事自身がそこの話合いの場にいたのかどうかということです。
○村上渉外調整担当部長 万葉倶楽部との話合いにつきましては市場がやりまして、そのやった状況ですとか、そういった取組の状況ですとか、結果につきましては、逐一、知事にも報告をさせていただいているところでございまして、知事は、その場にはいらっしゃいませんでしたが、状況についてはきちんとご報告してございます。
○あぜ上委員 重大な変更にもかかわらず、知事が入っていなかったということは分かりました。それで、この問題については、地元の江東区議会には十月十九日に報告をされています。都議会でも、経過や今の状況については、やっぱり私はきちんと報告すべきだというふうに思うわけです。
いずれにしても、今日はこれ以上いいませんけれども、万葉倶楽部とどのような話合いが行われてきたのか、やっぱり不透明さを残すことはあってはならないというふうに思うわけです。
既に今年四月には土地の貸付けもスタートしたわけです。きちんとした説明を当委員会でも報告していただきたい、このことを申し述べまして、私の質疑を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○阿部委員 私から、初めに、中央卸売市場における新型コロナウイルスの影響についてお伺いをしたいと思います。もう既にこれまでの質疑の中で、コロナにより大きな影響が出てきているとのことでしたけれども、各部門によって、度合いや動きは少しずつ異なっているかなというふうに思います。
水産物、青果物、食肉、花きの各部門で、令和二年の取扱数量並びに取扱金額は、コロナ前と比べてどう変動したか改めてお伺いします。
○西坂事業部長 中央卸売市場の取扱数量及び金額につきまして、コロナ禍以前の状況と比較するため、令和二年の実績を令和元年と比較いたしますと、まず、取扱数量については、水産物は四・三%の減少、青果物は二・四%の減少、食肉は一・七%の増加、花きは、切り花に換算、切り花換算と申しますが、これは鉢物も含めました花きの全てを切り花とみなして換算した数字になりますが、切り花換算で七・六%の減少となってございます。
取扱金額につきましては、水産物は一〇・三%の減少、青果物は二・八%の増加、食肉は七・五%の減少、花きは七・九%の減少となってございます。
○阿部委員 ありがとうございます。コロナ前と比べて一律に減少というわけではなくて、青果物は取扱量が減っても取扱金額は上がっていたり、あるいは、食肉は取扱量が増えているものの金額が減ったりと、それぞれ異なる動きがあるようです。こうした様々な特性も踏まえ、また、一つの部門の中でも、事業者の規模や取引先などによって、影響の出方は大分異なってくるかと思います。
繰り返しは避けたいと思いますので、それぞれの状況を踏まえた支援策をお願いしたいと思います。
次に、食肉市場の労働安全環境について伺います。
食肉市場は港区にありますけれども、隣接する品川区の住民にとっても、コロナ前まで毎年開かれていた市場まつりは、なじみの深いものでした。この食肉市場に併設されている芝浦と場では、牛や豚の生体を食用にするためのと畜解体作業が行われています。
当然ながら、消費者に日々食肉を提供するために不可欠な作業であり、ここで働く方も、コロナ禍でも仕事を止めるわけにはいかないエッセンシャルワーカーといえます。そして、この作業では、各工程でナイフなどの器具が用いられており、かなりの危険が伴うものであるとも聞いております。
そこで、と畜解体作業に携わる職員の方々の公務災害の過去三年間の発生状況と、そして、都職員全体の件数に占める割合についてお伺いしたいと思います。
○松田管理部長 と畜解体作業に携わる職員の公務災害の発生件数は、平成三十年度は七十七件、令和元年度は六十五件、そして令和二年度は五十一件でございます。
また、東京都の知事部局全体に占める割合につきましては、平成三十年度は約二九%、令和元年度は約二七%、令和二年度は約一八%となってございます。
○阿部委員 ありがとうございます。年々減少してきているとはいえ、と畜作業に関わる職員の方々の人数から見ても、五十件以上、知事部局の中では一八%、そして、件数で見ても五十件以上まだあるという数は少なくないと思います。
と畜作業に関わる職員の方々の安全の観点から、そしてまた、こうした事故を少しでも減らしていくことが重要ですし、また、事故が減れば作業の効率性の確保にもつながるかと思います。
東京都では、と畜解体作業における公務災害の発生防止に向けて、どのように取り組んでいるか教えてください。
○松田管理部長 食肉市場におきましては、定期的に開催する安全衛生委員会におきまして、過去の事例から、事故が起こりやすい環境や作業方法等を確認し、職場への注意喚起を行うとともに、事故の発生状況について産業医へ報告し、助言をいただいているところでございます。
加えまして、と室内の温度が高くなる夏場に、ナイフによる切り傷の事故が多く発生する傾向があることから、高温多湿な作業環境を改善するため、各作業現場に冷気を送風する装置を設置するとともに、脱水症状にならないよう、冷水器による水分補給を促しているところでございます。
○阿部委員 ありがとうございます。いろいろと取組をされていることについては評価をしたいと思います。
ただ、事故が発生しやすい背景として、特に夏場の高温多湿な作業環境など、作業工程に起因する日々の労働環境の厳しさが存在するということも否めないかと思います。さらなる労働安全環境の改善を図るとともに、現状の危険手当等が十分なのかどうかも含めて検討が必要なのではないかと思います。
今後も全国の官民のと場の見本になるような運営をしていただきたいと思います。
さて、職員の方々の安全を確保するとともに、作業の円滑化を図っていく上では、と畜解体に用いる機械や設備の安全管理も大切です。けれども、と場では、設備の不具合により作業が止まってしまう、そういった事故もしばしば発生していると聞いております。
設備の不具合によってラインが止まってしまうような事故は、どの程度起こっているのでしょうか。その発生状況をお伺いいたします。
○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 芝浦と場には、牛のと畜解体ラインが三ライン、豚のと畜解体ラインが二ライン、合計で五つのラインがございます。
今年度、設備の不具合によりラインが一時的に停止し、設備点検等の対応を行った件数は、十月末の時点で十七件となってございます。
○阿部委員 ラインが止まるような事故も、今年度からの十月末時点、半年余りで十七件起こっているということですが、こうした事故の中には、大きな事故につながりかねないものもあります。
実際、今年の六月には、牛のラインで、レールリフトが落下をして、長時間にわたり作業が停止したということがプレス発表でも行われました。幸い人的な被害はなかったとはいえ、重さ百キロ近い部品が落下してきたわけですから、これは極めて重大なことではないでしょうか。
そこで、今回のレールリフト落下の事故の原因と、それを踏まえた対応についてお伺いします。
○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 レールリフト設備は、鎖状のチェーンや、その巻き上げ機械、レールなどによって構成される設備でございまして、今回の事故は、磨耗によりチェーンの破断が生じ、部品の落下につながったものでございます。
このため、レールリフト設備の点検の頻度や項目を増やすなど、点検の強化を図ることとしたほか、レールリフト設備の構造そのものにつきましても、チェーンの磨耗がより生じにくくなるよう改修をすることを予定しております。
○阿部委員 この部品は、まだ耐用年数内であったと聞いております。耐用年数内にある部品が、特段の外的な要因がなく、経年劣化によって破断したということであれば、こうした事故は、どの部品でも起こり得るということになります。メーカー側とも十分な検証が必要だと思っております。
と場の設備は、それぞれが、ある意味、オーダーメードという部分もあり、耐久性など十分なデータがそろいにくい面もあるかと思いますが、それだけに、点検項目の見直しはもちろん、日々の小さな不具合や異音などに気づき、報告、対応できる体制づくりも大切だと思います。幅広い観点での再発防止を求めます。
さて、中央卸売市場の食肉の経由量を見ますと、全国での食肉の市場経由率、これは平成三十年で約八%と、水産物や青果物に比べても極めて低い状況になっています。食肉の九割以上が卸売市場を経由せずに流通しているという中で、東京の食肉市場が今後とも発展していくためには、集荷も重要な要素であると思います。
そこで、食肉市場において、牛や豚の生体を安定的に確保するための取組について伺います。
○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 産地からの生体の集荷については卸売業者が中心となって取り組んでおり、都といたしましては、牛については、食肉市場で開催される品評会を後援するなど、長年の努力の積み重ねにより築き上げてきた、いわゆる芝浦ブランドを生かした業界による生体の確保の取組を後押ししております。
また、豚につきましては、牛と同様、品評会による後援を行っているほか、出荷頭数の減少する夏の時期における対策として、業界が行っている集荷促進事業に対して補助を行うなど、年間を通じた安定的な生体の確保を図っております。
○阿部委員 日本の人口が減少に転じ、また、流通がますます多様化する中で、どのように食肉市場の規模と質、そしてブランド価値を維持していくのか。市場を海外に広げていくなどの努力は、卸売業者さんのお仕事ではありますけれども、市場としても、マーケット全体の動向にアンテナを立てて、生産者や事業者と共に守り立てていただければと思っております。
また、豚については、特に夏場は集荷しにくいという環境要因もありますので、ぜひ支援を続けていただければと思います。
品川区内にも古くからやっているお肉屋さんがあって、私も行きつけのお肉屋さんがありますが、お肉屋さんのお肉は、やっぱりおいしいですよね。薄切りの肉を塩こしょうするだけでも結構おいしいなというふうに、全然味が違うなと感じております。
こうしたまちのお肉屋さんが仕入れているのが芝浦のお肉です。今、まちのお肉屋さんはどんどん減っておりますけれども、こうした店のよさを消費者に伝えていくことも大切ではないかと思っております。生産から消費まで、また、そこに関わる多くの職種の方々が、安全に、そして今後の見通しを持って働けるための、さらなる努力を期待しております。
以上で私の質問を終わります。
○本橋委員 私の方からは、市場法改正後の取引環境の変化について、主にお伺いをさせていただきます。
昭和四十六年に施行された卸売市場法は、これまで平成十一年や十六年などに改正をされてまいりました。平成三十年六月の改正は大幅なものであったと伺っております。今回、卸売市場法が改正されたことを受け、市場法改正後の取引環境の変化等について明らかにしてまいりたいと思います。
まず、初めに、卸売市場法改正の趣旨についてお伺いをいたします。
○西坂事業部長 平成三十年六月の卸売市場法の改正は、卸売市場を取り巻く環境の変化を踏まえ、生鮮食料品等流通の合理化と公正な取引環境の確保を促進することにより、消費者ニーズなどへの的確な対応を図るものでございます。
また、卸売市場を食品流通の核としつつ、新たな需要の開拓や付加価値の向上につながる食品流通構造を確立していくことが重要としてございます。
改正法では、取引情報の公表義務など、公正な取引環境を確保するための規定を整備する一方、取引ルールに関しましては、規制を大幅に緩和するとともに、開設者が取引参加者の意見を聞くなど公正な手続を経た上で、市場ごとの実態に合わせて柔軟に取引ルールを設定することを可能といたしますことなどにより、取引の適正化と流通の円滑化を図ることとしてございます。
○本橋委員 改正法では、これまでの全国一律の取引ルールを改め、開設者が市場ごとの実態に合わせて柔軟に取引ルールを定められるとのことであると理解をさせていただきました。
都においても、法改正の趣旨を踏まえ、条例を改正し、取引に係る規制緩和をしているところでありますけれども、改正条例は、昨年六月、改正市場法と同日に施行し、一年が経過をしたところでもございます。都は、主にどのような規制緩和をし、それによって市場取引にどのような変化が生じたかを把握することは、今後の市場運営を考える上で重要な要素であると考えます。
都の中央卸売市場における規制緩和後の取引状況についてお伺いをいたします。
○西坂事業部長 今般の法改正に伴いまして、都は、東京都中央卸売市場条例を改正し、卸売業者が仲卸業者、売買参加者以外の者に卸売を行う、いわゆる第三者販売に関する規制や、仲卸業者が当該市場の卸売業者以外の者から買い入れて販売する、いわゆる直荷引きに関する規制などを緩和してございます。
条例改正後の取引状況につきまして、令和元年度と令和二年度を比較いたしますと、卸売市場の取扱金額に占める第三者販売の割合は、水産物で一七・四%が一七・九%に、青果物で四・六%が四・五%に、食肉で一・三%が〇・九%に、花きで二・一%が三・八%となってございます。
また、卸売市場の取扱金額に対する仲卸業者の直荷引きの割合は、水産物で三・六%が三・二%に、青果物で一六・三%が一六・七%に、食肉で六・四%が五・九%に、花きで六・六%が五・六%となっており、いずれも大きな変化は見られません。
○本橋委員 現時点では規制緩和による大きな変化は見られないとのことでありますけれども、一方、個別に見ると、規制緩和により営業活動の自由度が増したことから、卸や仲卸に外部の企業が資本参加する形で卸売市場に参入するなど、新たな動きもある実態があると聞いているところでもございます。
条例改正後の外部からの中央卸売市場への新規参入の具体的な状況について伺います。
○西坂事業部長 都の中央卸売市場におきましては、法や条例の改正を契機といたしまして、各市場において、市場外の企業が卸売業者等に資本参加するなどの動きが生じております。
具体的には、卸売業者では、豊洲市場において、米穀の販売などを手がける企業が、青果の卸売業者をグループ化し多角化を図っております。
また、世田谷市場においては、ICTを活用し、中古車販売や花き園芸事業などを手がける企業が、花きの卸売業者の株式を取得し子会社化しております。
仲卸業者では、大田市場において、都外の市場の卸売業者が、水産の仲卸業者をグループ化することにより、首都圏での販売力強化を図るなどの動きがございます。
○本橋委員 資本参加などの形で市場外の企業が新規に参入してきていることを認識させていただきました。このような動きは、これまでにはない発想で、新たな事業を生む可能性もあり、市場の活性化に資するものとして注視をしていく必要があります。
また、市場業者側でも、制度改正による規制緩和を踏まえた新たな取組を既に始めている業者もいると聞いているところでありますが、法改正後に新たな挑戦に取り組む事業者の例について伺います。
○西坂事業部長 卸売市場法や都の条例の改正に伴いまして、取引に関する規制が緩和されたことから、新たな事業を展開する市場業者も現れております。
具体的には、仲卸業者につきましては、市場外における販売行為の規制が緩和されたことから、ECサイトや移動販売車を活用した販売の多角化に取り組んでいる例がございます。
○本橋委員 取引に関する規制緩和により、ECサイトを活用した販売の多角化の事例があるとのことでありました。制度改正に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機とした環境の変化に伴い、今後、事業者の皆さんからこうした新たな挑戦が増えてくることが予想されます。新型コロナウイルス感染症が事業者の経営に与える影響も大きい中で、開設者である都が、事業者の皆さんの挑戦にきちんと向き合うことが重要であると考えます。
卸売市場法改正をはじめとする取引環境の変化を受けて、市場業者が行う新たな挑戦に対して、都はどのような支援を行っていくのか伺います。
○西坂事業部長 都では、環境変化に迅速かつ柔軟に対応できる強靱な中央卸売市場づくりを推進するため、中央卸売市場強靭化推進事業を実施し、経営の専門家の知見も活用して、取引の担い手である市場業者の行動変革を促進しております。
こうした支援によりまして、仲卸業者等による販売の多角化や、新型コロナウイルス感染症により高まった、いわゆる巣籠もり需要を取り込むためのECサイトの構築などの取組が進められております。
引き続き制度改正に伴う規制緩和等を契機として展開される市場業者の新たな取組に対しまして、本補助事業により後押ししてまいります。
○本橋委員 本日は、卸売市場法改正後の取引環境の変化を中心に質問をさせていただきました。現時点では、規制緩和による大きな変化は見られないものの、新たな挑戦に取り組む例が出てきており、そうした取組も中央卸売市場強靱化推進事業で支援していくことも理解させていただきました。
今後も、取引環境の変化に対応して行う個々の市場業者の取組に対する支援を通じて、さらなる市場の活性化を図るようお願いをさせていただいて、私の質問を終わります。
○高倉委員 初めに、新型コロナウイルス感染症により影響を受けた市場業者に対する支援についてお伺いをしたいと思います。今日は、この点についてはいろいろ質問があったと思いますけれども、簡潔に二問だけ質問させていただきたいと思います。
現在、新型コロナウイルス感染症の感染状況は落ち着きを見せているものの、その影響は長期化をしておりまして、市場業者の経営環境は厳しい状況にあるわけです。
都の中央卸売市場が、生鮮品等流通における基幹的なインフラといたしまして、生鮮品等を安定して供給していくためには、取引の担い手である市場業者をしっかりと下支えしていくことが必要であります。
新型コロナウイルス感染症の影響により厳しい経営環境にある市場業者に対して、さらなる支援が必要というふうに考えるわけですが、これについてのご所見をお伺いしたいと思います。
○渡邉財政調整担当部長 新型コロナウイルス感染症により市場流通に大きな影響が出ている中におきましても、市場機能を確保していくため、都では、感染症の影響に伴い売上げが減少した市場業者に対し、昨年四月支払い分から、市場使用料と光熱水費の支払い猶予を実施しております。
実施に当たりましては、分割納付をはじめ、市場業者の経営状況に配慮した弾力的な運用や、支払い期限を来年度末までとするなどの内容の拡充を行うとともに、今年度についても猶予を継続して実施しております。
さらに、都や国の各種支援制度の分かりやすい情報提供などもきめ細かく行っており、都としては、今後の取引の状況などを踏まえ、こうした取組を継続することにより、市場業者の経営をしっかりと支えてまいります。
○高倉委員 コロナ禍は、市場業者の経営だけではなくて、取引環境にも大きな影響を及ぼしているわけであります。業界の方の中では、従来の対面型の取引を避けて、ECを活用した取引というのも広がっているわけであります。また、取引先の休業等で売上げが減少して、これまでとは違う新たな販路を模索中であるといったような声も届いております。
一方で、取引先との関係でデジタル化が急速に進んでおりまして、慣れていないとか、得意ではないと、こういったようなことで、大変心配であるといったような声も聞こえてくるわけであります。
このように急激な変化に直面をして、これからの商売を続けていくために、新たな取組の必要性を痛感している市場業者も少なくないのではないかというふうに思います。
市場使用料や光熱水費の支払い猶予といった経営安定化につながる支援を行うというのも、これはもちろんでありますけれども、卸売市場の安定運営を見据えた際に、こうした新しい変化に向き合えるように、市場業者の背中を後押ししていくということも大変重要ではないかというふうに思います。そのために、都では、中央卸売市場強靭化推進事業といったものを創設しているというふうにも認識しております。
そこで、コロナ禍の中、市場業者が環境変化に対応していくために、都は、中央卸売市場強靭化推進事業により、どういうふうに具体的に支援をしているのか、このことについてご答弁をいただきたいと思います。
○西坂事業部長 都は、コロナ禍をはじめとして、卸売市場を取り巻く環境が変化する中、個々の市場業者の経営基盤強化につながる取組についても幅広く支援できるよう、これまでの事業を見直し、中央卸売市場強靭化推進事業として実施してございます。
本事業では、売上高が減少している市場業者に対して高い補助率を設定し、その取組を後押しするとともに、デジタル技術を活用した販売管理システムの導入や、水産資源管理などへの取組を証明する水産エコラベルであるマリン・エコラベル・ジャパン、いわゆるMEL認証等の第三者認証取得など、新たなビジネスや業務改善の契機となる取組につきましては、より簡易な手続で申請を可能とする枠組みを導入してございます。
また、より多くの市場業者が本事業を活用して行動変革に取り組めるように、補助金を活用した先駆的事例などを紹介した情報誌の発行や、補助金の申請に際して経営の専門家が助言やサポートを提供する体制の整備などに取り組んでございます。
本事業の着実な推進を通じて、引き続き厳しい経営環境に向き合う市場業者をきめ細かく支援してまいります。
○高倉委員 いろいろと工夫をされているというご答弁であったというふうに思います。
こうした工夫はもちろんでありますけれども、市場業者の申請を待つだけではなくて、業者の声に耳をしっかり傾けて、寄り添った支援を行っていくと。いわゆるプッシュ型支援ですけど、私たちも、都議会公明党としても、こうしたことをかねて要請してきたわけでありますけれども、しっかりと、感染が落ち着きつつある状況にはありますけれども、ポストコロナに向けて変わっていこうとしている市場業者の取組といったことを、開設者としても力強く支援をしていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
次いで、被災地支援についてお伺いしておきたいと思います。
先月、十月七日の夜にも、千葉県北西部を震源とする強い地震がありまして、足立区でも震度五強を観測するというような大きな揺れがありまして、都内で震度五強を、こうした揺れがあったのは、東日本大震災以来であるということなんですね。
東日本大震災以後、全国各地で様々な地震あるいは大雨などの災害が頻繁に発生をしているわけでありますが、東日本大震災が、震災規模においても、また、その犠牲になられた方々の多さといいますか、数においても、非常に大きな災害であったわけであります。
この東日本大震災が発生をしてから、私たち都議会公明党は繰り返し被災地を訪れまして、お話を直接お伺いしたり、あるいは現場の状況を見たりさせていただいたわけであります。そうした中で、やはり被災地にとっては、大消費地を抱える東京に対する期待が非常に大きいんですね。したがって、東京からの被災地支援ということにおいては、市場の役割といったものは、私は大変大きいんではないかなというふうに思っております。
そこで、被災地支援についてこれまで取り組んできたイベント等の実施状況、このことについてご答弁いただきたいと思います。
○松田管理部長 中央卸売市場におきましては、被災産地である福島県の要望により、平成二十四年度から、市場関係者と都が福島県を訪れ、出荷者等との意見交換会を行う被災産地支援研修会を実施いたしました。
また、各市場で開催される市場まつりにおきまして、福島県PRコーナーを設置して、福島県産品の風評被害の払拭や消費の拡大に努めるなど、被災産地の支援に取り組んでまいりました。
令和二年度及び令和三年度、今年度につきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、福島県知事による被災地の農産物のおいしさと安全性のPRなどのトップセールスをオンラインで実施する取組に協力してまいりました。
○高倉委員 イベント等をこれまでいろいろと繰り返していただいたと。私たちも様々な要望をしてきたわけですけれども、そのご苦労に対しては心から敬意を表したいというふうに思います。
昨年、それから、今年と新型コロナがずっと続いている中では、なかなかこうしたイベントも開くことが難しいというような状況であったと思いますが、今年は、ご承知のとおり、震災からちょうど十年が過ぎた節目の年というふうにもいわれているのかもしれませんし、一年延期になったオリンピック・パラリンピックを今年開催されて、そうした中で、できる限りの被災地支援といったことも発信してきたというふうに思っておりまして、やはり本当にこれからどう粘り強く東京都として、また、市場として被災地の支援を行っていくのかということが、これからますます大事になってくるんじゃないかと思うんです。十年たったから、そろそろ大丈夫かなということではなくて、むしろこれからが、やはり非常に大事ではないかなというふうに思っております。
もちろんまた、イベント等も活発にやっていただきたいとも思いますし、やはり被災地産品の取扱量といったものが、具体的に現実にどんどん増えてくるといったようなことが、また見えてこないと、本当に被災地の具体的な支援にはつながっていかないと思いますので、その辺をしっかり目配りをしていただきながら支援を行っていただきたいと思いますが、被災地支援について今後の対応といったことについて、見解をお伺いしたいと思います。
○松田管理部長 産地と消費者を結ぶ卸売市場が、都民に対する生鮮品等の安定供給という使命を着実に果たしていくためには、被災地産品に対する風評被害の払拭や、消費拡大などに資する取組を積み重ねていくことが重要でございます。
このため、被災地の産地が市場を訪問して行うトップセールスなどに協力するとともに、市場まつりにおける被災地産品の紹介や、料理教室やフラワーアレンジメント教室において被災地の食材や花等を使用するなど、様々な機会を通じて、都民の方々に被災地産品に対する理解を深めていただけるよう、着実に取り組んでまいります。
○高倉委員 ぜひしっかりとお願いをしたいというふうに思います。
最後に、豊洲市場について質問をさせていただきます。
豊洲市場は、都民の食を支える市場でありまして、何よりも安全・安心な市場であるということが求められる、これは当然のことでありますが、豊洲市場の安全性に関しまして、地下水から汚染物質等が検出されるというようなことがありますが、専門家会議の報告書では、地下水経由のリスクについては、豊洲市場において地下水の飲用、その他の利用は予定されていないため、問題は生じないと。また、汚染土壌の直接摂取によるリスクといったことについては、汚染土壌の直接摂取の可能性はなく、問題は生じないと、このように明確な見解が示されているわけであります。
都は、開場前の平成二十九年の五月から、定期的に地下水質や空気に関する調査を継続しておりまして、地下水質の状況を確認するとともに、建物一階部分の空気及び地上部の空気は、科学的な安全が確保された状態で維持されているということを確認してきておりまして、健康への影響は生じないとしているわけであります。開場から三年が経過をした現在、改めて豊洲市場が安全であるということについて確認をさせていただきたいと思います。
初めに、直近の地下水質調査と空気調査の結果及びこれらに対する専門家の方々の見解について、ご答弁をいただきたいと思います。
○萩原環境改善担当部長 地下水質につきましては、過去の調査で、調査物質の濃度が高い箇所を中心に選定した二十九か所と、街区全体のバランスを考慮し選定した十七か所の、合わせて四十六か所で三か月ごとに調査しております。
令和三年八月の調査結果では、最大値はそれぞれベンゼン及びシアンで一リットル当たり一・二ミリグラム、ヒ素で一リットル当たり〇・〇四九ミリグラムでございました。
この結果につきまして、専門家の方々からは、濃度が上昇傾向を示した地点や低下傾向を示した地点も存在しているが、全体的に見れば、大きく汚染状況が変化した傾向は確認できないとの評価をいただいております。
空気につきましては、建物の一階部分で五か所、屋外で四か所、地下ピットで十か所、合わせて十九か所で、ベンゼン、シアン、水銀を毎月調査しており、全ての箇所において、調査開始以来、大気環境基準等に適合した状態が継続しております。
空気調査の結果につきましては、専門家の方々からは、科学的な視点から安全は確保された状態にあると考えられるとの評価をいただいております。
○高倉委員 今、答弁で明確におっしゃられたように、しっかりと安全は確保されているということであります。それを確認させていただきました。
四年前の我が会派の質問に対して、地下水の管理システムのことですが、この地下水の管理システムによりまして、地下水におけるベンゼンやヒ素などの物質が回収をされて、中長期的には水質は改善をしていくといったような答弁が当時あったわけであります。
今後も、地下水管理システムの適切な運用を積み重ねていくことが、豊洲市場の安全・安心の確保につながるというふうに私は確信をしております。
豊洲市場の用地は、各街区周辺部が遮水壁で囲まれておりまして、また、底部、底ですね、底部には不透水層があるために、降雨によって地下水位が上昇するといったような構造にはなっているんです。この地下水管理システムを適切に機能させることによりまして、地下水位を管理しているというふうになっているわけであります。
近年、各地で大雨といったことが記録されております。今年も七月、八月に都内でもかなり大きな雨が降ったことがありました。
そこで、豊洲市場における直近の地下水位の状況について、これもちょっと明確にご答弁いただきたいと思います。
○萩原環境改善担当部長 豊洲市場では、地下水管理システムを常時運用しており、地下水位につきましては、各街区で十一か所、合わせて三十三か所で週一回測定しております。
本年六月末時点の地下水位は、全街区の平均でAPプラス一・九二メートルでございました。その後、七月、八月は例年の三倍の降雨量がありまして、それに伴い、八月中旬には、一時的に平均でAPプラス二・八六メートルとなり、約一メートル上昇いたしましたが、十月二十七日時点で、平均でAPプラス二・二三メートルまで低下いたしました。
○高倉委員 大雨が降れば、水位が上がるのは当然でありますけれども、今、ご答弁で、このシステムが機能することによって着実に低下をしているという明確な答弁があったわけであります。
このことからも、豊洲市場の地下水位の適切な管理につきましては、地下水管理システムは大変重要な役割を担っているというふうに私は思っております。
今後も、地下水管理システムを適切に運用していくためには、どう取り組んでいくのか、最後にこれをお伺いしておきたいと思います。
○萩原環境改善担当部長 先ほど先生がおっしゃいましたとおり、この地下水管理システムは、地下水位を適切に管理するとともに、同システムの揚水機能を発揮し、中長期的に水質の改善を図るものでございます。
このシステムは、揚水井戸とウエルポイントを合わせて百七十二か所、送水管総延長約十二キロメートル、汚染物質の浄化設備などを備え、用地内の地下水を揚水し、下水排除基準に適合させて公共下水道へ排水するものでございます。
地下水管理システムの稼働によって得られましたこれまでの知見を生かして、揚水井戸や送水管の清掃を効果的に実施するなど、維持管理を充実させ、地下水管理システムの適切な運用管理に努めてまいります。
○高倉委員 いろいろとご答弁ありがとうございました。本日は、コロナ禍における市場業者への支援、また、東日本大震災の被災地支援、さらには豊洲市場について、局の認識、取組を確認させていただきました。
振り返りますと、豊洲市場が開場しまして、改めて卸売市場全体が活気づいてきたところに、新型コロナの問題が、感染が発生したわけであります。この未曽有の危機にさらされてきたこの二年間、市場関係者の皆さんにとっては、大変に厳しい毎日ではなかったかなというふうに思います。
まだまだ安心できる状況にはないかもしれませんけれども、危機が今、落ち着きつつあると思うんですね。そうした中で、改めて卸売市場全体が次のステージに向けて一歩踏み出していくべきときであるというふうに思います。
今後も、都は、開設者としてしっかりと市場業者に寄り添っていただいて、市場業者と共に安定した市場運営を推進していただきたいというふうに思います。
今日もお話を申し上げましたけれども、東日本大震災の復興というのは、まだまだというか、まだ道半ばであります。震災の記憶といったことが、これからまたさらなる風化が心配されますけれども、これを風化させることなく、被災地の支援についてもぜひしっかりと取り組んでいただきたいと、このことを要望しまして、質問を終わりたいと思います。
○松田委員 私からは、この中央卸売市場、十一市場の施設整備の状況と、それから、地元板橋市場における整備状況、また、現況、そして、将来について質疑をさせていただきたいと思います。
今、お話ありましたとおり、都内、この中央卸売市場、十一市場があり、都内を中心に首都圏の生鮮品流通を支える役割を果たしてまいりました。かつて築地は守る、豊洲は生かすですとか、食のテーマパークといった、訳の分からないことをいって混乱を起こした時期はありましたが、その中でも、市場当局はしっかりと計画的に施設整備を行いながら運営してきていただいたものと思っております。
そこで、まず、この都の整備計画を踏まえた施設整備の経緯について伺います。
○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 卸売市場の整備については、昨年六月の改正卸売市場法の施行以前は、国が定める卸売市場基本方針等に即して、都道府県が卸売市場整備計画を策定することとされており、都においても、昭和四十七年からこれまで十次にわたる整備計画を策定し、計画的に施設整備を進めてきました。
平成二十八年度から令和二年度までを計画期間とする第十次東京都卸売市場整備計画においては、中央卸売市場が生鮮品等流通の基幹的なインフラとしての役割を着実に果たしていくため、老朽化設備の維持更新や品質衛生管理の高度化など、時代の要請に応えるための機能強化の取組等を進めることとしており、こうした方向性に基づき、市場施設の整備を進めてまいりました。
○松田委員 国の定める卸売市場基本方針に即して、都道府県の整備計画を策定してきたという経緯は分かりました。そして、今のご答弁で、平成二十八年度から令和二年度で十次が終わって、昨年の六月に改正後の卸売市場法が施行されたということで、整備計画に関する法律上の規定は既に廃止をされております。
このような状況を踏まえて、これからの施設整備の考え方についてお伺いをいたします。
○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 ただいまお話にもございましたとおり、昨年六月の改正卸売市場法の施行に伴い、整備計画に関する規定は削除されましたが、都内十一の中央卸売市場が将来にわたりその機能を維持し、市場を取り巻く環境変化にも適切に対応していく上では、市場施設の整備を引き続き計画的に進めていくことが重要でございます。
このため、今年三月に策定した経営指針では、各市場の施設の更新時期や財政負担の平準化を図りつつ、長期的視点に立ち、計画的に施設の維持更新を進めていくこととしており、こうした考え方を踏まえて、施設整備に取り組んでまいります。
○松田委員 整備の方針は、今年三月に策定した経営指針で、計画的に施設の維持更新を進めていくということで、都民に生鮮品などを安定供給する使命を担っている中央卸売市場におきましては、業務に支障が生じることのないよう、計画的に施設整備を進めていくことが重要であります。今後もしっかりと各市場の施設整備を進めていっていただきたいと思います。
また、市場において施設整備を進める上では、日々の市場取引の担い手である業界の皆さんの意見に真摯に耳を傾けることも重要であります。そこで、市場業者の意見を踏まえた施設整備に当たり、どのように取り組むのかをお伺いいたします。
○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 中央卸売市場が円滑な市場取引の環境を確保していく上では、取引の担い手である市場業者と緊密な意思疎通を図りながら施設整備に取り組んでいくことが重要でございます。
これまでも各市場において、市場業者と施設の維持管理等について日常的に意見交換などを行っているほか、毎年度の予算要望などを通じて、業界の意見も踏まえた施設整備予算の確保に努めております。
今後とも、市場業者の意見も踏まえ、計画的な施設整備に取り組んでまいります。
○松田委員 世代交代などによって経営者が替わったり、また、時代とともに考え方も変化をしてきております。引き続き市場業者の皆様方の意見をよく聞いた上で施設整備を進めていただくようにお願いいたします。
続いて、私の地元板橋市場についてお伺いをいたします。
三定の一般質問でも確認いたしましたが、開場から約五十年が経過をして、老朽化が進んでおります。また、時代の変化に応じて、昨年もお願いをして、女子トイレの整備をしていただいたりもしましたが、この時代の変化に適切に対応していくためには、未来を見据えた戦略的な取組が必要であります。
まず初めに確認ですが、板橋市場が整備された経緯をお伺いいたします。
○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 板橋市場は、高度経済成長期における周辺区部の消費人口の増加と既存市場の過密化に対処するため、豊島市場の板橋、王子の二つの分場を整理統合することを軸に、西北部流通業務団地内に建設され、昭和四十七年に開場いたしました。
開場後、取扱量などの増加により、昭和五十九年には、狭隘となった青果の卸売場を増設したほか、昭和六十二年には関連事業者棟を建設し、平成五年には花き棟を整備するなど施設を拡充し、市場機能の向上を図ってまいりました。
○松田委員 昭和四十年代の高度成長期に開場した板橋市場が、取扱量を伸ばし、施設を拡大しながら機能強化を図り、平成五年には花き棟が整備されたとのことであります。
昭和四十七年の二月開場なんですが、この一か月前に、ちょうど板橋区の高島平団地、今、URになっていますが、当初、公団の団地が造られ、第一期が入居され、それで三月には竣工、完全に完成をしました。ちょうど昨年が、この高島平というまちができてからちょうど五十周年。そこの板橋市場の歩みというのは、この高島平の五十年の歴史と重なるものであります。
しかし、その後、少子高齢化などの社会環境の変化に伴って、先ほども足立市場などでお話がありましたが、板橋市場の取引状況についても大きく変化をしてきていると聞いております。
そこで、板橋市場の市場業者数、取扱数量、金額の推移についてお伺いをします。
○西坂事業部長 板橋市場における、まず、青果物の市場業者数につきまして、平成六年は、その前年の平成五年に取扱いを開始いたしました花きと、それから青果物、この現行二つの品目の取扱いが平年化した年であります。平成六年と本年、それぞれ四月一日付で比べますと、卸売業者は二者で変わらず、仲卸業者十六者が九者に、売買参加者五百九十四者が二百二十七者になってございます。
青果物の取扱数量及び金額につきまして、取扱数量は、平成六年が十八万四百四十八トンで、令和二年は九万九千四百七十二トン、取扱金額は、平成六年が約四百二十七億円で、令和二年は約二百三十七億円になってございます。
花きの市場業者数につきまして、平成六年と本年、令和三年、それぞれ四月一日付で比べますと、卸売業者は二者が一者に、仲卸業者は十者が七者に、売買参加者は八百三十二者が五百十者になっております。
花きの取扱数量及び金額につきまして、取扱数量は、先ほどご説明した切花換算でございますが、平成六年が約二億九十一万本で、令和二年は約一億一千二百二十万本でございました。
取扱金額につきましては、平成六年が約百十三億円で、令和二年が約六十一億円になってございます。
○松田委員 ありがとうございます。先ほどの足立、北足立でも五割減、また、三割減というお話をいただきました。今のご答弁で、板橋市場においても、青果物、また、花き共に、取扱金額は半数程度にまで減少しております。社会状況の変化などによって、板橋市場は、今厳しい状況に置かれております。このような状況であるからこそ、今まさに将来を見据えて、板橋市場が活性化する取組を進めていくことが必要であります。
そこで、板橋市場における活性化の取組状況について、市場当局の考えを伺います。
○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 板橋市場においては、市場の将来像を都と業界とで共有することなどを目的に、市場を取り巻く環境を分析し、板橋市場の持つ強みや弱みなどを議論してきました。
こうした議論を踏まえて、本年三月、区部北西部における流通の拠点として、産地や地域のお客様と共に発展することなどを掲げ、板橋市場が目指すべき将来像と今後の方向性を経営戦略として取りまとめております。
また、将来の施設整備を見据えて、今年度、市場施設の利用実態や市場内物流の状況などについて調査を行うこととしており、こうした調査なども踏まえ、活性化に向けて、施設整備の在り方なども含め、検討を行ってまいります。
○松田委員 経営戦略として、本年三月、区部北西部における流通の拠点として、産地や地域のお客様と共に発展すると。もちろん産地、作っている生産者の方々、そして地域、地元の方々、プラスして事業者も一緒に発展をできるようにお願いをしたいと思います。
都と業界とで取りまとめたこの経営戦略、また、今年度実施される調査などを基に、ぜひ地域に開かれた市場として、施設整備を含めて、板橋市場の活性化に積極的に取り組んでいただくようお願いをいたします。
また、人口が増加をしている区部北西部から埼玉県南部地域を商圏としている板橋市場は、多くのポテンシャルを有していると思います。その中でも、幹線道路、首都高の高島平インターがすぐ近くにあり、外環道や関越も非常に近い状況でありますので、交通アクセスに非常に恵まれた立地にあることが、板橋市場にとって大きな強みであると考えます。
こうした強みなどを踏まえ、板橋市場に期待される役割についてお伺いいたします。
○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 板橋市場は、首都圏を支える物流拠点として、区部四か所に整備された流通業務団地の一つである西北部流通業務団地内に位置しており、ただいまお話しいただきましたとおり、首都高をはじめ、外環道を通じて、東北道、関越道、常磐道へのアクセスに恵まれていることから、物流面での優位性を生かし、機能を発揮していくことが求められております。
このため、産地と連携した品ぞろえの充実や、区部北西部における流通拠点としての販売力の強化など、板橋市場の経営戦略に掲げる取組を推進していく上でも、こうした立地の強みを十分に生かしていくことが期待されていると認識しております。
○松田委員 ありがとうございます。集荷や販売など、市場における様々な業務面において、立地の優位性を生かすことが期待されているとのことであります。
また、電車のアクセスも、三田線の新高島平駅は目の前でありますし、また、今は船は通っていないですが、すぐ後ろに新河岸川、荒川といった川もありますので、こういったことも将来的には一緒に地域を盛り上げていく、市場を盛り上げていくことにつなげていければと考えております。
こうした板橋市場への期待を現実のものとしていくためには、現場で市場業務を担っている市場業者の皆さんと共に知恵を出し合って取り組んでいくことが大事だと考えます。
そこで、板橋市場の将来像の実現に向けて、市場関係者とどのように連携を図っていくのかお伺いします。
○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都はこれまで、板橋市場の経営戦略の策定に当たり、都と業界の代表者により構成される会議で議論を行うなど、市場業者と連携しながら将来像の検討を進めてまいりました。
今年度、施設整備を含む板橋市場の在り方について検討を行う際にも、今年度策定予定の経営計画の取りまとめに向けた意見交換の場などを活用することなども含めまして、市場業者と緊密な意思疎通を図りながら連携を図ってまいります。
○松田委員 板橋市場の持つ強みやポテンシャルを生かして、その将来像を実際の市場取引において実現していくためには、市場業者の皆さんと一体となって検討を進めていくことが重要であります。
先ほど山崎理事の質疑の中で、豊洲の顔も時代とともに変化をしてきたとありますが、この板橋市場のある高島平にも顔があり、それが変化をしてまいりました。
かつて徳丸ヶ原といわれ、高島秋帆が砲術訓練を行ったことによって高島平と名づけられました。その後、昭和の時代に、湿地帯であった徳丸田んぼと呼ばれていましたが、先ほどお話ししたとおり、昭和四十年代にまちとして発展をしました。ちょうど昨年が五十年。次の五十年に向けて、ぜひこの高島平地域の新しい顔として、板橋市場、隣には都市整備局が持っているトラックターミナルもありますし、先ほどお話ししたとおり、三田線も通っております。
都として、この高島平地域、板橋市場を中心として、そして、地域に愛されて、その中で輝けるように、事業者の皆様方、さらに地元高島平の皆様方の声を聞きながら、再整備にこれからも取り組んでいただくことをお願い申し上げまして、質問を終わります。
○磯山委員 それでは、本日の質疑では、今後の市場運営を考えていく上で特に重要と考えるテーマについて確認していきたいと思います。
まず初めに、さきの公営企業会計決算特別委員会の分科会においても取り上げさせていただきました、市場運営を支える重要な基盤である市場設備の整備についてお聞きいたします。
市場施設の多くは、建設後三十年以上が経過しており、老朽化対策は喫緊の課題となっております。また、近年では、高度な品質衛生管理や物流の効率化など、産地や小売業者などから卸売市場に対する要求水準は高まっており、こうしたニーズに適切に対応していくことも重要です。
一方、施設整備に当たっては、厳しい収支状況が続く市場会計に与える影響についても考慮していくことが必要ではないだろうかと考えております。
そこで、市場施設の老朽化対策や施設の維持更新について認識を伺います。
○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 中央卸売市場は、生鮮品等流通における基幹的なインフラであり、円滑で安定的な供給確保などの重要な役割を将来にわたり果たしていくことが必要でございます。
こうした市場運営をハード面から支える土台となっているのが市場施設であり、市場機能の維持を図るとともに、産地や実需者のニーズの変化に的確に対応していく上でも、施設の適切な維持更新を行っていくことが重要でございます。
一方、市場施設の多くは、人口増加が顕著であった高度経済成長期に集中的に整備されたことに伴いまして、施設や設備の老朽化が進んでおります。
このため、市場施設全体の管理者である都といたしましては、十一市場全体を俯瞰しつつ、長期的な視点に立ち、計画的に維持更新に取り組むことがより一層重要になってくると認識をしております。
○磯山委員 中央卸売市場は、施設規模やその特性から多くの設備を有しており、また、都においては、十一の中央卸売市場を管理運営しています。そのため、施設や設備の老朽化が進んでいるという状況を踏まえると、今後は、市場全体を見ながら、長期的かつ計画的な視点、観点からの維持更新がより一層重要になってくるということだと思います。
そこで、計画的な施設整備を行っていくに当たり、どのような考え方で進めていくのか伺います。
○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 老朽化が進む多くの施設の維持更新を行っていく上では、限られた予算という制約の下、更新時期や財政負担の平準化を図りながら、各市場の機能の維持強化につながる整備を計画的に実施していくことが重要でございます。
また、市場施設は、一たび整備すれば、長期間にわたり使用することとなるため、将来にわたる使用形態や利用状況の変化などにも柔軟に対応でき、長期的な使用に耐え得るような施設とするよう配慮していくことも重要でございます。
このような考え方を踏まえて、市場施設の計画的な整備に努めてまいります。
○磯山委員 五度の緊急事態宣言が発出されたコロナ禍においても、止めることなく営業を続けてきた中央卸売市場は、都民の消費生活を支える上で、いわば事業継続が最大のミッションであるともいえます。こうした役割を十分踏まえながら、市場業者の営業に支障が生じないよう調整を行った上で、計画的に整備を推進していただきたいと思います。
次に、今年六月に食肉市場で発生した事故について伺おうと思ったんですけれども、先ほど同様の質疑がございましたので、少しお話だけをさせていただきます。
都議会自民党でも、業界の方からお話を伺いました。牛の、と畜解体作業で使用しているレールリフトが落下して、一歩間違うと非常に大変危険な事故だったと伺ったわけであります。
こうした事故は本当にあってはならないものであります。施設や設備の維持管理は市場機能の土台を支えるものであり、都には今回の事故を重く受け止めてもらいたいと思っております。先ほど、設備の改修も含め対応していくとのご答弁もありましたので、しっかりと取り組み、再発防止に努めていただきたいと思います。
今回のような事故は、作業に従事する人たちの安全に関わる問題であると同時に、産地が丹精込めて育てた牛や豚の商品価値を損ねてしまうという事態にもつながるものであり、そうした観点からも適切な対応をお願いしたいと思います。と畜解体作業で一たび事故が起これば、その影響は市場業者にも直結するということを十分認識し、気を引き締めて取り組んでいただきたいと思います。
次に、中央卸売市場の環境問題について伺います。
中央卸売市場では、商品である生鮮品等の鮮度保持や食品安全の観点から、冷蔵庫などの設備に多くの電力を消費しています。また、産地から農産物や水産物などを運んでくるためには、木製パレットや発泡スチロールの容器が必要であり、こうした容器が市場から大量に廃棄されております。
近年、民間企業では、社会的課題に率先して対応することにより、取引先や消費者からの信頼を得て事業を発展させようという動きが活発です。中央卸売市場においても、大きな社会的課題の一つである環境負荷の低減に向けて取り組んでいく必要があると考えます。
そこでまず、中央卸売市場が環境問題に取り組むに当たっての課題認識について伺います。
○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 中央卸売市場には、冷蔵、冷凍設備や低温倉庫など、電力を大量に消費する施設や設備が多いことから、持続可能な社会の実現に向けて、市場が環境負荷の低減に取り組み、脱炭素社会に向けて寄与していく上では、電力消費量の削減や再生可能エネルギー電力の導入に向けた取組の推進が課題となっております。
また、市場からは、木製パレットや各種の梱包材などをはじめとする多くの廃棄物が排出されておりますが、中でも生鮮品等の搬送に不可欠な発泡スチロール製の容器については、廃プラスチック削減の観点から、リサイクルを一層促進していくことが課題となっております。
こうした環境問題に取り組んでいく上では、市場業務に与える影響に配慮をしつつ、市場関係者の理解と協力を得ながら進めていく必要があると認識をしております。
○磯山委員 大量に消費される電力や廃棄される発泡スチロールは、市場に特徴的な環境問題であり、開設者である都がリーダーシップを発揮し、市場業者の皆さんの理解と協力を得て進めていくことが重要だと思います。
そこで、電力の消費や発泡スチロールなどの問題に対してどのように取り組んでいくのか伺います。
○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 中央卸売市場では、消費電力の削減に向けた取組として、各市場において、照明器具のLED化や、冷蔵、冷凍設備を省エネ型のものに交換するなどの取組を推進しております。
また、とちょう電力プランの活用など、使用する電力の再生可能エネルギー化に向けた検討にも着手をしております。
発泡スチロールにつきましては、循環利用のために、現在、豊洲市場外四市場におきまして、使用済みの発泡スチロールを市場内で溶融固化した上でリサイクル業者に譲渡し、再生利用を図っております。
また、プラスチック製品を手がける製造業者と連携し、市場から排出された発泡スチロールに由来する再生プラスチックにつきまして、新たな国内での循環ルートを組成することができないかなどについても調査を行っております。
このような取組を通じまして、市場として環境問題に積極的に取り組んでまいります。
○磯山委員 電力の問題も、発泡スチロールをはじめとするプラスチックの問題も、二〇五〇年の温室効果ガス排出量実質ゼロを目指す、ゼロエミッション東京の実現に大きく寄与する取組であります。市場当局としてしっかりと進めていただきたいと思います。
次に、市場の認知度向上について伺います。
卸売市場が生産者と消費者を結びつける基幹的なインフラであることの認知度を高めることにより、卸売市場の価値を再発見し、取引の活性化につなげていくことが必要だと考えます。特に東京では、都市部に卸売市場が立地している強みを生かした魅力ある市場のPRが必要であると考えます。
そこで、卸売市場におけるこれまでの取組について伺います。
○松田管理部長 卸売市場は、都民への生鮮品等を安定的かつ円滑に供給するための基幹的、公共的インフラとしての役割を担っており、その役割や意義について、広く都民の皆様に理解を深めていただくことが重要でございます。このため、中央卸売市場のホームページやパンフレット等によりまして、市場の仕組みや役割等を広く紹介しているところでございます。
さらに、食育、花育を目的とした料理教室やフラワーアレンジメント教室の開催、小学生などを対象とした団体見学などを実施するほか、市場関係団体と連携いたしまして、各市場において市場まつりを実施してまいりました。
○磯山委員 これまで食育、花育、市場まつり等を通じて、市場のPRに努めていることは理解しました。コロナ禍においてウェブなどのデジタルの活用を通じ、市場機能に対する理解の促進や食文化の発信拠点としての役割など、市場PRに努めていくことも必要であると考えます。
また、新型コロナウイルスの感染状況を見極め、感染対策に万全を期した上で、市場まつり等において、都民の方々に直接卸売市場に触れて、感じてもらう取組も必要だと考えます。
そこで、コロナ禍の経験を基に、コロナ後を見据えた新たなPRの在り方も必要と考えますが、取組について伺います。
○松田管理部長 コロナ禍における市場のPRに当たりましては、非対面、非接触でコミュニケーションが可能となるデジタル環境を用いた手法と、市場の雰囲気を体感できるリアルの強みを生かした手法を組み合わせることによりまして、市場の仕組みや役割等を効果的に伝えていくことが重要でございます。
このため、ポストコロナを見据え、映像を利用したオンデマンド型の料理教室やフラワーアレンジメント教室等の開催など、自宅などでも楽しむことのできるPRの取組を新たに検討してまいります。
また、感染防止対策を徹底した上で市場見学を実施するとともに、特に都民の方々に人気のございます豊洲市場のマグロ卸売場の見学も実施するなど、生鮮品等流通における卸売市場の果たす役割に対する理解を深めていただけるよう、着実に取り組んでまいります。
○磯山委員 中央卸売市場の認知度向上のため、コロナ禍においても積極的にPRに取り組んでいただきたいと思います。
さて、都内には、都が開設者である中央卸売市場とは別に、民間事業者が開設者である地方卸売市場があります。地方卸売市場については、一般的にあまり知られていませんが、十一か所あり、そのうち十か所は、私の地元である多摩地域に立地しております。それぞれの地方卸売市場ごとに沿革は様々でありますが、多くは古くから運営されている歴史ある市場であり、生鮮品等流通の一翼を担っております。
そこで、中央卸売市場との違いなども含め、地方卸売市場の役割などについて質問いたします。
まず、地方卸売市場の法令上の位置づけについて伺います。
○西坂事業部長 現行の卸売市場法では、業務の運営体制や運営に必要な資金の確保、取引ルール等に関する業務規定の整備など、法に掲げる要件に適合しているものは、都道府県知事の認定を受けて、地方卸売市場と称することができるとしてございます。
中央卸売市場との主な相違点は、地方卸売市場は、認定権者が都道府県知事であること、施設の規模要件がないことなどが挙げられます。
令和三年十一月現在、青果物市場五か所、水産物市場二か所、花き市場を四か所認定しており、中央卸売市場と同様、生鮮品等を安定的に供給する上で重要な役割を担っていることから、都においては、東京都地方卸売市場条例を定め、地方卸売市場の適正かつ健全な運営の確保に努めております。
○磯山委員 生鮮食料品等の流通において、中央卸売市場と同様に重要な役割を担っているとのことであります。現在の都内の地方卸売市場は民設民営であり、その取扱規模も、中央卸売市場に比べると小さい市場が多く、様々な環境の変化などに対応していくためには、運営面や資金面での支援が必要と考えます。
そこで、市場当局は、地方卸売市場に対してどのような支援を行っているのか伺います。
○西坂事業部長 都は、地方卸売市場に対しましては、その適正かつ健全な運営を確保し、生鮮品等の流通の円滑化と消費生活の安定化を図ることを目的として、指導監督や助成を行っております。
具体的には、運営面では、職員による定期的な巡回指導のほか、公認会計士など専門家による経理面での助言などを行っております。
また、資金面では、廃棄物の処理経費に対する補助、食育等の普及促進を図るために行う市場見学の経費に対する補助を行っておりますとともに、多摩地域の水産物、青果物の市場開設者が市場機能の維持向上を図るために行う整備事業に対する補助を行っております。
○磯山委員 運営面でのアドバイスや資金面での補助を行っているとのことであります。それぞれの地方卸売市場が役割を果たしていくことはもちろん重要ですが、立地や経営体制等に鑑みると、中央卸売市場と連携することが、公共的な役割を果たしていく上で一層効果的であると考えます。
そこで、中央卸売市場と地方卸売市場の連携について伺います。
○西坂事業部長 東京都の卸売市場は、中央卸売市場が相互に補完しながら、地方卸売市場も含めたネットワークを形成し、その機能を発揮してございます。
両者の連携の具体的内容といたしましては、中央卸売市場と地方卸売市場の卸売業者間で本支店関係や資本関係を構築し、集荷力の強化を図っている例がございます。
○磯山委員 地方卸売市場が、都の支援を活用しつつ、中央卸売市場と連携して、生鮮品等の流通に重要な役割を果たしていることが確認できました。
また、私は以前、東久留米の地方卸売市場を訪れましたが、そこにはおいしい飲食店等もありました。先ほど市場のPRについてお伺いしましたが、そうした地方卸売市場の役割や魅力についても積極的にPRしていただき、多くの方々に知ってもらうことで、市場全体の活性化につなげていただきたいと思います。
本日の質疑では、これからの市場運営を考える際に重要なポイントとなる市場の施設整備や環境問題への対応に加えまして、市場の魅力を伝えるPRの取組や、私の地元である多摩地域に多く立地している地方卸売市場の役割などについてお伺いをしました。
いずれのテーマも、市場の現場において取引を担っている市場業者の皆様との連携が不可欠であり、業界の意見や要望をしっかりと受け止め、事業運営を行っていくことを改めて要望し、私の質問を終わります。
○細田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○細田委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で中央卸売市場関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後八時九分散会
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