経済・港湾委員会速記録第十三号

令和三年十一月九日(火曜日)
第八委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長細田いさむ君
副委員長後藤 なみ君
副委員長松田 康将君
理事中田たかし君
理事山崎 一輝君
理事あぜ上三和子君
清水とし子君
玉川ひでとし君
磯山  亮君
本橋たくみ君
田の上いくこ君
阿部祐美子君
入江のぶこ君
高倉 良生君

欠席委員 なし

出席説明員
産業労働局局長坂本 雅彦君
次長根本 浩志君
総務部長松本 明子君
産業企画担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務米澤 鉄平君
企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長
新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務
勝見 恭子君
商工部長緑川 武博君
商工施策担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務荒井 芳則君
金融部長篠原 敏幸君
金融支援担当部長高野  豪君
観光部長築田真由美君
観光振興担当部長小林あかね君
農林水産部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務山田 則人君
安全安心・地産地消推進担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務龍野  功君
雇用就業部長村西 紀章君
事業推進担当部長鈴木のり子君
労働委員会事務局局長鈴木  勝君

本日の会議に付した事件
労働委員会事務局関係
事務事業について(質疑)
産業労働局関係
事務事業について(質疑)

○細田委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、労働委員会事務局及び産業労働局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより労働委員会事務局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○玉川委員 労働委員会事務局の事務事業について、何点か質問させていただきます。
 新型コロナウイルス感染症との闘いが始まり、もうすぐ二年がたとうとしています。ワクチン接種が進み、第五波の波を越え、やっと感染者数が落ち着いてきたという状況であります。
 しかしながら、この間の感染拡大防止に向けた協力要請等により、飲食業や観光業をはじめ、あらゆる産業が打撃を受けております。
 事業概要によれば、昨年度の不当労働行為の審査事件の取扱件数は、過去五年で最も多く、四百三十三件となっていることからも、企業の経営環境はもちろんのこと、雇用環境が厳しさを増し、労使関係にも大きな影響を及ぼしているものと認識しております。
 労働委員会の使命は、労使間の紛争を適切に処理し、相互の関係の安定化、正常化を図ることであると理解しており、その事務局である皆さんが果たす役割は、以前にも増して非常に重要となっています。
 そこで、労働委員会が取り扱う事務事業の中で、大きなウエートを占める不当労働行為の審査に焦点を当てて質問していきたいと思います。
 不当労働行為と思われる使用者の行為があった場合、労働組合等は労働委員会に対して救済の申立てをすることになると思いますが、不当労働行為の審査手続はどのように行われるのかお伺いいたします。

○鈴木労働委員会事務局長 労働委員会では、不当労働行為の救済申立てを受けて、審査委員である公益委員と参与委員である労働者委員及び使用者委員の三名が担当委員として選任され、審査手続を行うこととなります。
 審査は、調査手続と審問手続で構成されております。
 調査では、当事者の提出した申立書、答弁書等を基に双方の主張を整理するとともに、主張を裏づける証拠の提出を求めるなどして争点を明確にいたします。
 審問では、原則として公開の場で、当事者双方が出席して、陳述や証人に対する尋問を行います。
 これらの過程で、労使双方が将来に向けて円滑な労使関係を構築できるよう、和解による解決を促しております。
 当事者間の和解が成立せず、審査が終了いたしますと、参与委員の意見を聞いた上で、公益委員会議において、使用者の行為が不当労働行為に当たるか否かを判定し、救済または棄却の命令等を発出することになります。

○玉川委員 和解や命令の発出に向け、丁寧に労使双方の主張を聞き、事件の争点を整理した上で公開の審問を開き関係者から証言を求めるなどして、事実関係について審査を行うとのことでありました。
 一方で、昨年来、コロナ禍に伴って、審査手続が思うように進められないケースも多かったと推察いたします。
 昨年の我が会派、けいの都議による事務事業質疑においても、おおむね七十日間程度、事件の調査や審問等を休止したとの答弁がありました。
 そこで、具体的にコロナの影響でどれくらいの件数が休止を余儀なくされたのか伺います。

○鈴木労働委員会事務局長 労働委員会では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況や、それに伴う緊急事態宣言の発出等を踏まえ、令和二年三月九日から五月三十一日までの間、おおむね七十日間、当事者が出席して行う事件の調査、審問等手続を一旦休止いたしました。
 このことに伴いまして、当該期間において百八件の審査手続が休止となったところでございます。

○玉川委員 七十日間の間に百件を超える事件処理の中断を余儀なくされたとのことで、労使紛争の解決に向け大きな影響があったものと考えます。
 そこで、昨年度の不当労働行為の審査事件の取扱件数はどうなっているのか、また、休止等に伴う影響があるのであれば、その要因をどのように捉えているのか、見解を伺います。

○鈴木労働委員会事務局長 令和二年度の不当労働行為事件の取扱件数は四百三十三件でございまして、このうち、新規に申立てがあった事件は百十件でございました。これは、前年度に比べて十三件、約一三%増加しておりまして、過去五年間の中で最も多くなっております。
 この主な増加要因としては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、業績が低迷した企業で労使関係の悪化が見られたこと等によるものと認識しております。
 一方、和解や命令発出等により終結した事件は七十一件で、前年度に比べて二十四件、約二五%減少しており、これは過去五年間の中で最も少ない件数となっております。
 その主な要因といたしましては、調査、審問等の手続を一定期間休止したことにより、事件の審査手続に遅れが生じたこと、また、コロナ禍による企業の経営環境の悪化に伴い、労使双方の和解機運が停滞し、和解による終結件数が減少したことなどが挙げられます。

○玉川委員 コロナ禍で企業の業績が悪化したことなどにより、新規事件が増加する一方、終結事件が減少するなど、コロナの感染拡大に伴い、事件の進捗に大きな影響が出たとのことです。
 新型コロナ感染者が低減し、十月から緊急事態宣言が解除されることとなりましたが、冬を控え、リバウンドが発生するおそれもあり、いまだ予断を許さない状況といえます。
 このような中で、労働委員会としても、事件の円滑な進行、早期の解決に向けて、ウイズコロナ時代を見据えた対応が必要と考えます。
 現在、都は、シン・トセイ都政の構造改革QOSアップグレード戦略を本年三月に策定し、デジタル、DXをてこに、各局事業のサービス提供の在り方や仕事の進め方そのものの構造改革を進める各局リーディングプロジェクトを展開するとしています。
 労働委員会事務局も、行政手続、行政相談など都民サービスの利便性向上を図るため、遠隔による審問・調査プロジェクトを掲げており、昨年の事務事業質疑でも、対面で行ってきた調査手続について、電話会議方式の調査を試行的に実施した旨の答弁がありました。
 そこで、電話会議方式の調査を試行実施してみて、どのような課題が見えたのか、見解を伺います。

○鈴木労働委員会事務局長 労働委員会では、事件当事者の利便性を向上させるとともに、新型コロナウイルス感染症の拡大防止を図る観点から、調査手続について、対面のみによる手法から非対面での実施も可能とするため、昨年度から電話会議方式による手法を試行的に実施しております。
 試行実施に当たっては、実際に電話会議方式による調査に参加した労働委員会委員や当事者等から意見聴取を行い、導入効果等について検証を進めてまいりました。
 委員、当事者等からは、都庁に出頭する必要がなくなり、移動に伴う負担軽減につながったとの声がある一方で、相手の顔が見えず心証がつかみづらい、話す内容が限定的になる、非公開で行われる調査手続の録音禁止をどう担保するかが難しいといった声も聞かれました。
 電話会議方式につきましては、活用できる場面や秘匿性の確保などについての課題があるものと認識しております。

○玉川委員 電話会議方式の調査は遠隔地の当事者にとって大きなメリットがあるものの、当事者の顔が見えないこと、秘匿性の確保等の課題があるということであります。
 審査手続を行うに当たっては、対面が基本ということはいうまでもありません。非対面でも手続を進めることができる取組は非常に重要であり、コロナ禍はもちろんのこと、コロナ禍のみならず、今後の社会動向を見据えれば、当事者の利便性をさらに向上させるため、様々な選択肢を当事者に対して用意していくことが求められます。
 そこで、電話会議方式の調査の試行実施から見えた課題等も踏まえ、労働委員会を利用する方々のさらなる利便性の向上を目指し、デジタルを活用した審査手続の実施に取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。

○鈴木労働委員会事務局長 社会経済情勢の変化に合わせて、デジタルの力を活用し、絶えずよりよいサービスを提供していくことで、都民のQOS、クオリティー・オブ・サービスを向上させていくことが重要でございます。
 労働委員会では、こうした認識の下、コロナ禍の状況等も踏まえ、デジタルを活用した調査手続が可能となるよう、国に対して働きかけを行ってきた結果、本年二月には、都の要望に沿った国の規則改正が実現したところでございます。
 労働委員会といたしましては、こうしたデジタル化の前提となる環境が整備されたことを受け、新たにウェブ会議システムによる調査手続が可能となるよう準備を進めてまいりました。
 具体的には、電話会議方式による様々な課題も踏まえながら、運用ルールや適用範囲などを整理し、機器類等の配備や規程類の見直しを進め、今月から運用を開始いたします。
 今後、こうした取組を深化させ、対面とデジタルによるハイブリッド型の審査手続を実現し、利用者のさらなる利便性の向上を図ってまいります。

○玉川委員 対面を原則としつつも、デジタルを活用した調査手続を導入するという積極的な答弁をいただきましたが、ぜひしっかりと進めていっていただきたいと思います。
 このような取組を着実に積み上げていくことが、都民サービスの利便性を高め、東京の発展の礎となっていきます。コロナとの長きにわたる闘いで、社会経済情勢は厳しい状況となっております。ますます労使間の紛争が顕在化することが容易に想定されます。
 このような中にあっても、健全な労使関係が築かれ、維持されるよう、労使紛争の解決機関である労働委員会の使命と役割を十分に果たしていただきたいということを要望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○細田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議はありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○細田委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で労働委員会事務局関係を終わります。

○細田委員長 これより産業労働局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、産業労働局長に坂本雅彦君が就任されました。
 坂本局長から挨拶並びに交代のありました幹部職員の紹介があります。
 坂本雅彦君を紹介いたします。

○坂本産業労働局長 去る十月二十五日付で産業労働局長に就任いたしました坂本雅彦でございます。
 細田委員長をはじめ、各委員の皆様のご指導、ご鞭撻を賜りまして、微力ではございますが、産業労働行政の一層の推進に全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 引き続きまして、人事異動によりまして当局の幹部職員に交代がございましたので、ご紹介させていただきます。
 次長の根本浩志でございます。総務部長の松本明子でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○細田委員長 挨拶並びに紹介は終わりました。

○細田委員長 これより事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○松本総務部長 去る九月二十二日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の経済・港湾委員会要求資料の表紙をおめくりください。
 目次でございます。資料は全部で十四項目ございます。
 一ページをお開きください。政策課題対応型商店街事業につきまして、令和三年度の申請状況を内容別にお示ししてございます。
 二ページをご覧ください。二ページから三ページにかけまして、中小企業制度融資の過去十年間の目標と実績の推移をお示ししてございます。
 四ページをご覧ください。都内製造業の事業所数、従業者数、製造品出荷額及び付加価値額につきまして、直近の調査結果として公表されている平成二十七年までの推移をお示ししてございます。
 五ページをお開きください。女性の活躍推進加速化事業につきまして、平成三十年度以降の実績をお示ししてございます。
 六ページをご覧ください。女性・若者・シニア創業サポート事業につきまして、過去五年間の実績をお示ししてございます。
 七ページをお開きください。都立職業能力開発センターにつきまして、過去五年間のデータをお示ししてございます。七ページが応募状況、八ページが職業紹介の実績及び就職率でございます。
 九ページをお開きください。委託訓練につきまして、過去三年間の科目、委託先の定員、応募状況及び就職率をお示ししてございます。
 一〇ページをご覧ください。雇用形態別、男女別、年齢別の都内就業者数につきまして、直近の調査結果として公表されている平成二十九年までの推移をお示ししてございます。
 一一ページをお開きください。内水面漁業の従業者数、主な魚種別漁獲量及び養殖量の推移をお示ししてございます。
 一二ページをご覧ください。林業の就業者数及び多摩産材の活用実績の推移をお示ししてございます。
 一三ページをお開きください。島しょ地域の旅行者数につきまして、過去十年間の推移をお示ししてございます。
 一四ページをご覧ください。感染症対応に関する制度融資につきまして、過去二年間の実績をお示ししてございます。
 一五ページをお開きください。東京都への国外からの旅行者数につきまして、過去十年間の推移をお示ししてございます。
 一六ページをご覧ください。市街化区域内農地の貸借面積につきまして、過去三年間の実績をお示ししてございます。
 以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○細田委員長 説明は終わりました。
 ただいまより、資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○本橋委員 新型コロナウイルス感染症の新規陽性者数が減少し、経済活動の回復に向けた期待感は高まっていますが、コロナ禍前の水準まで経済が回復するにはまだまだ時間がかかる状況にあります。
 本日は、こうした状況を踏まえ、産業労働局がどのような経済対策に取り組んでいるのか、何点か伺ってまいります。あわせて、多摩地域の産業振興、観光振興について、どのような取組を進めているのか伺ってまいります。
 まず、飲食店への時短要請の協力金について伺います。
 協力金は、昨年春の緊急事態宣言から感染拡大の波に合わせ、繰り返し、申請の受付と支給が行われてまいりました。要請に協力した事業者にとって、協力金は事業継続の命綱となるものですが、まず、これまでの協力金の支給実績とその経過、今後の取組について伺います。

○米澤産業企画担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都は、営業時間の短縮要請等の実効性を確保するため、昨年四月以降、十七回にわたって要請にご協力いただいた事業者に協力金を支給してまいりました。
 支給実績につきましては、令和三年十一月八日時点で、事業者から全体で約百十八万七千件の申請を受け付け、延べ約百十一万件の支給決定を行っており、支給額の合計は約一兆三千七百四十二億円となってございます。
 都が七月から九月にかけて実施した見回り調査では、都内飲食店の約九六%が要請に応じていただいていることなどからも、協力金の支給が感染拡大の防止にも寄与したものと考えてございます。
 要請の実効性を高めるためには、事業者に安心してご協力いただけることが重要であることから、今後も引き続き、協力金の一層の支給迅速化を図るとともに、きめ細かく、分かりやすい情報提供に努めてまいります。

○本橋委員 協力金の支給が多くの事業者の協力につながったものと考えますが、一方で、協力金のウェブサイトに掲載されている協力金の処理状況を見ると、申請期間が終わり、一か月以上経過しているにもかかわらず、現時点でまだ支給されていないものがあります。それはどういった背景で発生しているのか、今年度の要請に係る協力金のうち、申請を受け付けたが支給に至っていないものの件数とその内容について伺います。

○米澤産業企画担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 今年度の要請に係る協力金のうち、九月十七日に申請受付を締め切った六月二十一日から七月十一日までの要請に係る協力金まで、計五回の協力金に対しまして、合計約三十六万八千件の申請を受け付け、約九八%に当たる約三十六万三千件の審査を完了してございます。
 残りの約六千件のうち、継続して申請者に確認してきたものの、要件を満たさず、不支給となる見込みのものが約二千件、提出書類の不備によりまして複数回連絡しているものの、再提出がないものが約二千件、申請者の死亡や店舗の管理者が不明確な場合などの状況によりまして、支給の可否を慎重に検討しているものが約二千件となってございます。

○本橋委員 営業時間の短縮により経営が厳しい事業者にとって、申請したものの長期間にわたり支給が受けられない状態は非常に不安であり、場合によっては、店を畳むことにもつながりかねません。未支給事案の解消に向けて、具体的にどのような工夫を講じてきたのかお伺いをいたします。

○米澤産業企画担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都は、協力金を迅速に支給するため、民間の力を活用し、審査体制を二千三百名規模にまで拡充することなどにより、審査のスピードアップを図ってまいりました。
 また、支給の遅れの原因となる書類の不備があった際には、確認書等の提出や、ホームページ、電話等による事実確認により手続を進めるなど、運用上の工夫により、審査の効率化を図ってございます。
 さらに、判断が容易でない審査事例をまとめたデータベースを構築し、判断の基準を担当者で共有することで、審査の均質化を図ってございます。
 加えまして、支給事務が円滑に進むよう、日々の審査実績を毎日報告させ、進捗を管理するとともに、判断が難しい複雑な案件につきましては、都と受託事業者の間で一週間に複数回のミーティングを行い、対応方法を整理してございます。
 今後もこうした工夫を積み重ねることで、未支給事案の早期解消を図ってまいります。

○本橋委員 迅速な支給を行うためには相応の事務体制を組む必要があり、給付業務のノウハウを有する民間の力を活用することも重要です。
 先日の各会計決算特別委員会における我が会派の質問に対して、今後も民間の力を一層活用し、様々な改善を重ねることで、さらなる支給の迅速化に努めていくとの答弁がありました。
 そこで、民間の力のさらなる活用に向けた取組状況について伺います。

○米澤産業企画担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 これまで都は、利用者の円滑な申請手続と迅速な審査を実現するため、利用者からの相談に対応するコールセンター業務や給付業務のノウハウを有する民間事業者に委託することで、支給の迅速化を図ってまいりました。
 一方で、緊急事態宣言等の要請が続き、それぞれの要請に係る支給事務が重複することで業務が増大し、ふくそうすることとなりましたことから、他自治体において協力金支給事務に経験のある事業者にも委託することといたしました。
 この事業者が有するノウハウを活用し、従来よりも短期間で申請受付システムを構築することで、リバウンド防止措置期間に係る協力金につきましては、養成期間終了の翌日からの申請受付開始を実現しておりまして、これにより、さらなる支給の迅速化につなげてまいります。

○本橋委員 新たな民間事業者も活用して業務の質を高めるよう取り組んでいるものと理解しますが、迅速な支給のため、不断に見直しを図るよう求めておきます。
 次に、月次支援金について伺います。
 月次支援給付金は、飲食店の時短営業等の影響により売上げが減少した事業者に対して、国の月次支援金への加算等を行うものであり、業種を問わず幅広く事業者を支援するのが特徴です。
 九月七日の新型コロナウイルス感染症対策特別委員会における我が会派の質問に対して、想定対象事業者数十一万二千者に対して三万二千者から申請を受け付けているとの答弁がありました。
 現在の申請実績と審査の処理状況について伺います。

○荒井商工施策担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 申請受付から四か月が経過した現在、約九万六千の事業者から申込みをいただいております。
 審査は月ごとに一者ずつ行いますため、審査の対象となります件数は延べ約二十七万四千件となっておりまして、そのうち八割を超える約二十二万六千件の処理を完了したところでございます。

○本橋委員 この九月七日の質疑では、実績とともに事業周知の取組についても質問をしたところであり、質疑の時点から六万者増えて、約九万六千者まで申請が出ており、しっかりと周知に取り組んできたものと理解しています。
 六月分までの申請は十月三十一日をもって終了しましたが、七月分から十月分については、それぞれ来年の一月から二月末にかけて申請期限を迎えることとなっており、まだ二か月以上あります。
 業種を問わず支援対象とする本給付金について、多くの事業者が申請できるよう、さらに周知に力を入れるべきと考えますが、事業周知に関してどのような取組を行っていくのか伺います。

○荒井商工施策担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都はこれまで、申請受付要項やパンフレットに加え、制度の内容を分かりやすくまとめたチラシを作成いたしまして、多くの事業者に知っていただけるよう、区市町村や金融機関などへ広く配布いたしますとともに、SNSやホームページを活用した事業周知に努めてまいりました。
 また、経済団体などの協力を得まして、会員向けにホームページを活用した情報発信や、経営相談の際に事業を紹介するほか、会報誌や講習会の機会を捉えまして事業の案内を行っております。
 これらの取組に加えまして、新たに、東京商工会議所や商工会が行います小規模企業等に対する巡回指導や、中小企業団体中央会の職員が組合を訪問する際など、様々な機会を捉えまして事業の周知を図ってまいります。
 引き続き、制度の周知を徹底し、より多くの事業者が月次支援給付金を利用できるよう取り組んでまいります。

○本橋委員 まだまだ周知のスピードや認識をしている事業者は少なく感じています。この月次支援金は国の月次支援金がベースとなっているわけでありますから、国の月次支援金のホームページなどに都の月次支援金のホームページのリンクを張ってもらうなど、国に対しても一緒に周知ができるように働きかけをしてもらうことを提案、要望させていただき、次の質問に移ります。
 厳しい経営環境に置かれた事業者にとって、これまで伺ってきた給付金は貴重なものですが、これだけで事業継続に必要な資金が賄える事業者は僅かです。
 そこで、保証がついた制度融資が必要となりますが、保証協会による保証の限度まで借入れを行っている事業者も少なくありません。東京プラスサポート制度は、制度融資だけでは十分な資金調達ができない中小企業などに対して、地域の金融機関と連携し、事業資金を融資するもので、平成二十一年にスタートしたと聞いています。
 現在、このようなコロナ禍による経済への影響が見通せない状況においては、この制度の利用を促進するなど、多様な手段で中小企業の資金繰りを支援していくことが重要と考えます。
 そこで、改めて本制度の意義と利用促進に向けた取組及び最近の実績について伺います。

○高野金融支援担当部長 東京プラスサポートは、民間の保証機関が持つ審査ノウハウと、地域の金融機関の目利き力を活用して迅速な融資を行う都独自の制度でございまして、制度融資と併せて中小企業の資金調達を支援する仕組みでございます。
 制度開始以来、より多くの中小企業の利用機会を確保するため、融資限度額の引上げや取扱金融機関の拡大などを行ってまいりました。本年度も多摩地域を拠点といたします金融機関を今月新たに指定し、現在、全体で三十三の金融機関での取扱いとなっております。
 今年度の実績につきましては、九月末時点で千三百三十九件、約二百十一億円でございます。

○本橋委員 コロナ禍による厳しい経営環境に加えて、昨今の原油価格の高騰は、石油を原料として利用する製造業や燃料として利用する運送業者など、多くの中小企業に影響が出ることが懸念されています。
 こうした状況を踏まえ、中小企業の資金繰りをしっかり支えていくために、制度融資や東京プラスサポート制度の充実と利用促進を図ることを求めて、次の質問に移ります。
 ここからは多摩地域の産業の振興について伺っていきます。
 コロナ禍で傷ついた都内経済の回復に向けて、企業の収益力の向上と産業の活性化を図るには、イノベーションが重要です。多摩地域には、開発型の中小企業や大企業の研究所、大学等が集積しており、これらを結びつけることで、イノベーションの活性化や産業競争力向上を図ることが期待できます。
 都では、多摩地域の企業、団体などによるイノベーション創出に向けたネットワーク形成を目指した事業を実施していますが、今年度の取組の実績などについて伺います。

○緑川商工部長 都は、多摩地域の優れた技術を有する中小企業と大手企業及び大学研究機関等とが連携強化することで、多摩地域におけるイノベーションの活性化や競争力向上を図ることを目的に、イノベーション多摩支援事業を実施しております。
 具体的には、中小企業が大手企業のニーズを把握するためにセミナーや研究会を開催するほか、随時、コーディネーターが、大企業や大学、研究機関等の技術課題などのニーズを解決できる中小企業の掘り起こしを行っており、九月末時点で百五十六件のマッチングが成立をいたしました。
 また、九月に実施いたしましたオンライン交流会においても、六十七件のマッチングが成立をいたしました。今年度実施したこれらのマッチングにより、既に中小企業に対しまして、十七件の受注が生まれております。
 このうち、大手企業との連携や技術の革新性など、特に優れた取組に対しましては、コーディネーターが製品の実用化までを伴走しながらサポートを行ってまいります。
 これらの取組によりまして、多摩地域における中小企業の成長産業分野への参入や新事業創出を促してまいります。

○本橋委員 都が、イノベーション創出のため、コロナ禍においてもオンラインを活用するなどにより、多摩の開発型の中小企業や大企業等との連携をしていることが分かりました。マッチング支援で生まれた連携体による製品開発等の取組を事業化まで結びつけていくためには、設備投資が必要です。
 都は、中小企業が新たに事業を果敢に挑戦するための設備投資を支援していますが、今年度から実施している躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の実績について伺います。

○緑川商工部長 躍進的な事業推進のための設備投資支援事業は、中小企業の競争力強化やDX推進などの取組に必要となる最新の機器設備を新たに導入する場合に必要な経費につきまして、最大三分の二、一億円を上限に支援をしております。
 今年度は二回募集することとしており、六月に行いました一回目の募集では三百二十三者から応募があり、四十四者を採択いたしました。
 採択案件の中には、医療機器に使用されている特殊な樹脂の精密加工を行うため、穴空けや平面削りなどを一台で行う高精度なマシニングセンターを導入する事例など、新事業展開に取り組む多くの中小企業から優れた提案がございます。
 現在、大企業と比較して導入が伸び悩む中小企業におけるDX化の推進に重点を置き、今年度二回目となる募集を開始しております。
 今後とも、都内中小企業の設備投資を積極的に後押しし、新たな事業活動によるイノベーションの創出を支援してまいります。

○本橋委員 多くの企業が新しい事業を展開し、稼ぐ力を高めていこうとする強い意欲を持っていることが分かりました。こうした前向きな取組に対する支援のさらなる充実を図るよう求めて、次の質問に移ります。
 最後に、多摩地域の観光振興について伺います。
 コロナ禍が長引く中で、都内各地域への旅行者数が減少し、観光産業は深刻な影響を受けています。まずは都民をはじめ国内の旅行者をターゲットにし、さらには、将来のインバウンドの回復も視野に入れて、観光需要を確実に取り込み、地域の活性化につなげていくことが重要です。
 コロナ禍を経て、人々の自然志向が高まっているといわれていますが、多摩地域には、まちのにぎわいと調和する緑豊かな自然や、その土地ならではの歴史や食など、多くの魅力的な観光資源があります。
 多摩地域への観光需要の回復に向けて、都は地域の観光協会などの取組を支援し、新たな観光資源の開発や魅力の発信などをしっかり進めることが重要です。多摩地域の観光振興について、都の取組状況を伺います。

○築田観光部長 都は、都内の自治体が取り組む観光施設の整備や、観光協会等による史跡や名所、地元の食等を活用したまち歩きツアーの実施、パンフレットやウェブ等を活用した情報発信など、地域の観光振興の取組を支援しております。
 また、多摩地域におきましては、今年度、川魚を活用したメニュー開発や、地域の美術館を自転車で巡るイベントなど、観光協会をはじめ、多様な主体による地域のアイデアを事業化する取組を支援しております。
 これらに加えまして、新たに多摩地域を対象に、一か所に宿泊し、地元の食や周辺のアクティビティーを楽しむ滞在型旅行に取り組む事業者を募集しております。
 体験コンテンツの開発や宿泊先等に関するPRに要する経費のほか、デジタル機器など必要な備品購入に要する費用の二分の一、一千万円を上限に十件程度を助成いたします。
 今後も、多摩地域の特色を生かした様々な観光振興の取組を後押ししてまいります。

○本橋委員 長期間にわたる外出自粛が終わり、多くの人が観光を楽しみたいと考えています。こうした中、国内の様々な地域では、魅力をPRし、観光客の誘致を開始しています。
 多摩にも多くの魅力的な観光資源があります。ほかの地域に遅れを取ることのないよう、しっかりと事業者などの取組の後押しを進めることを求めておくものです。
 ここまで、産業労働局の事業の本年度の取組状況を伺ってきました。コロナ禍の影響が続く厳しい経営環境の中で、中小零細事業者の経営を回復軌道に乗せるには、引き続き行政によるサポートは欠かせません。産業労働局では、補正予算による対応も行い、多岐にわたる事業に取り組んでいますが、地域で前向きに頑張る事業者のニーズを捉え、常に施策の充実を図るよう要望して、質問を終わります。

○入江委員 お願いします。本日は、特に女性が稼ぐ力をアップしていただき、キャリアを継続していただくという観点から質問させていただきます。
 まずは、女性の就職支援について伺います。
 コロナ禍では、非正規雇用で働く女性の占める割合が高い飲食や宿泊などのサービス業を中心に、解雇や雇い止めが数多く発生し、女性が困難な状況に直面しております。
 中でも、国の調査によると、ひとり親の女性の失業率は、夫と子供のいる女性と比べて高い結果となっています。これは、勤務時間や勤務日数の減少、いわゆるシフトの減少や、子供の学校の臨時休校など、コロナ禍の影響により、家計を維持する必要のあるひとり親の女性の失業が増加したものと考えられます。
 私たち都民ファーストの会は、都に対し、コロナ禍における女性に対する支援の強化を要望してまいりましたが、ひとり親の方など非正規雇用で働く女性の再就職支援について、具体的な取組を伺います。

○村西雇用就業部長 都は、非正規雇用の女性など、コロナ禍で離職を余儀なくされた方々に対しまして、IT等の成長産業や介護分野など、人手不足が継続している分野の求人を重点的に開拓し、トライアルでの派遣就労によるマッチングを通じて正社員での就職を進める事業を展開しております。
 十月末時点で、本事業によりトライアル派遣就労を行った方は七百五十八名でございまして、女性が約六割となってございます。また、既に百三十六名の女性が情報通信業などの企業に再就職することが決定しており、うち九十五名は正社員としての採用となっております。

○入江委員 ありがとうございます。トライアル派遣就労というのは大変よい取組だと思います。マッチングはしても、いざ働いてみると、相性がよくないという場合もございます。コロナ禍で職を失った多くの女性は、まずはトライアル派遣就労を活用し、その後、正規雇用での再就職を果たせば、雇用の安定化、そして長期化につながります。効果的な事業ですので、今後も着実に進めていただくよう要望いたします。
 非正規雇用で働く方々を正社員として再就職につなげていく支援は大変重要ですが、現在も非正規雇用で継続して働いている方の給与や福利厚生などの処遇の改善を図る取組も必要です。また、有期労働契約が五年超えで更新された場合の無期転換ルールの啓発も重要です。
 働き方改革関連法の施行により、企業には計画的な休暇の取得、長時間労働の是正、同一労働同一賃金への対応が順次求められています。今年の四月からは、同一労働同一賃金の制度が中小企業にも適用されました。
 令和元年の国の調査では、これまでに正社員とそれ以外の労働者の間の不合理な待遇差をなくすために取組を行ったと回答した企業の割合は、まだ三割ほどにとどまっています。また、特段、取組を行っていないと回答した割合は、従業員規模が小さい企業ほど高くなっています。
 同一労働同一賃金など、非正規雇用の待遇改善に向けた対応を促進するため、中小企業への支援が重要だと考えますが、都の取組について伺います。

○村西雇用就業部長 都は、同一労働同一賃金への対応など、中小企業における働き方改革を促進するため、社会保険労務士などの専門家が対応するワンストップ相談窓口を今年度新たに設置しておりまして、これまでに約二百件の相談に対応しております。
 また、各企業が主体的に働き方改革に取り組めるよう、人事労務担当者向けの集中講座を実施しておりまして、同一労働同一賃金につきましても、法令の内容をはじめ、基本給や各種の手当、福利厚生、研修機会など、非正規雇用労働者の待遇改善を進めていく上で実践的なノウハウを習得できるようにしております。これまでに四回開催し、百十三人が受講しております。
 さらに、職場におきまして、同一労働同一賃金に対応する就業規則や社内制度の見直しなど、具体的な取組を実践する企業に対しては、社会保険労務士などの専門家を派遣し助言を行っておりまして、これまでに七社に派遣しております。
 無期転換ルールの周知促進につきましては、労働相談情報センターにおきまして労働セミナー等を開催し、事業主や従業員の方への普及啓発を図っているところでございます。

○入江委員 非正規雇用労働者に女性の占める割合は大変高く、同一労働同一賃金などへの対応を進めることは、多くの働く女性にとって、給与や賞与、福利厚生の改善、そして研修機会の確保を通じたスキルの向上につながるものと考えます。引き続き、中小企業がこの取組を実行できるように支援をお願いいたします。
 コロナ禍で新たな就職先を確保するには、自分の希望に合った求人を探すこととなります。特に事務系の仕事の求人においては、基本的なパソコンスキルを前提としているものが多いです。
 しかし、これまで飲食や宿泊といったサービス業で働いてきた女性の中には、仕事でパソコンを使用する機会が少なかったために、希望する求人への応募すら難しい方々もいます。また、新たなスキルを身につけようと思っても、育児などの理由により、時間の確保が難しい方もいます。
 女性のコミュニケーション能力の高さとデジタルスキルが結びつけば、新たな可能性も広がるはずです。こうした女性の再就職を促進するため、都は女性向けの職業訓練を実施していますが、我が会派もより多くの女性が訓練を受けやすい環境ができるように要望してまいりました。その具体的な取組について伺います。

○村西雇用就業部長 都は、事務系職種等への再就職を目指す女性を対象として、基礎的なOAスキルを習得する訓練を実施しておりまして、ワードやエクセルの基本的な操作等を五日間の講習で実施しております。
 訓練の実施に当たりましては、育児中の女性でも参加しやすいよう、講習時間を午前十時から午後三時までとしているほか、区市と連携して駅から近い会場を確保し、託児サービスも提供しております。
 また、家事や育児等と両立できるよう、女性の希望など、就労ニーズの高い経理事務や医療事務などの職に必要なスキルや資格の習得を目指す短時間の通所による三か月間の訓練や、ウェブサイト制作などのeラーニングによる訓練を実施しております。
 女性向け訓練全体として、昨年度は四百八十八名が訓練を受講し、百七十二名が企業の総務部門や医療機関等に再就職しております。
 今年度は、十月末時点で三百二十五名が受講しておりまして、引き続き、女性のキャリアチェンジを支援してまいります。

○入江委員 デジタルスキルを身につける機会を提供するということは、雇用のニーズが高い業種へのキャリアチェンジを目指す最初の一歩を支援する効果的な取組です。
 ワードやエクセルという基本のみならず、パワーポイントでのプレゼン、オンライン会議の設定、宣伝のための動画の撮影や編集といった講座も増やすなど、今後の訓練のさらなる充実を要望いたします。
 私はこれまで、女性が自ら稼ぐ力をつけることが重要だと申し上げてまいりました。人生において、例えば離婚や夫との死別ということがあっても、自ら稼ぐ力があれば、依存型ではなく、ご自身で人生における決定や判断を行えるからです。そのための具体的な手段としては、今後成長が期待されるIT業界へ職域を拡大することも必要です。
 都は、昨年度から、我が会派の要望を受け、成長産業分野であるIT分野のスキルを身につけ、再就職を支援するデジタル人材育成支援事業を実施していますが、その取組状況について伺います。

○村西雇用就業部長 都は、コロナ禍で離職を余儀なくされた若者等を対象としまして、実践的なITスキルを付与する職業訓練と、求人開拓などの再就職支援を一体的に実施する都独自の訓練を実施しております。
 今年度は、昨年度の百人から四百人に規模を拡充し、三か月間程度のプログラミングコースや先端ITコース等を実施し、多様なデジタル人材を育成しております。
 訓練の実施に当たりましては、育児等の理由により通所が困難な女性も受講が可能となるよう、通所による訓練のほかに、オンラインによる訓練も用意しております。
 本訓練では、十月末時点で百八十三名の受講生が参加しており、そのうち女性の割合は約四割に当たる七十九名となっております。
 訓練終了後に新たに開拓した求人を紹介し、デジタル関連業務の再就職を支援してまいります。

○入江委員 ニーズの高い業種の職業訓練、そして、トライアル派遣就労なども挟みながら、就職先のマッチングを一体的に行う支援、つまり、一気通貫のワンストップサービスが非常に重要です。職業訓練受講者の希望や適性に合った求人紹介を実施し、お一人お一人への伴走型の支援となるよう、発展型の取組をお願いいたします。
 また、こうして都が実施している様々な就職支援の情報がより多くの方々に分かりやすく届くよう、SNSの効果的な活用など、さらに工夫した広報に努めていただくことを要望いたします。
 さて、女性が稼ぐ力をつけていくためには、起業することも選択肢の一つです。とりわけ、子育てと仕事を両立したい女性や、子育て後に仕事を始めたい女性にとって、個人で始められるプチ起業は、自らの経験や趣味などを生かすことができるため、初めての起業として大変適しています。
 例えば、手作りのアクセサリーやマスクやパンなどをネットショップで販売することでも、個人事業主として起業が成立します。小さな始まりでも、自らのアイデアで対価を得るということが女性の自信につながり、自立を促します。
 都は、丸の内と、さらに立川にあるTOKYO創業ステーションにおいて、女性の起業を促進するための支援を行っておりますが、今年度の取組状況について伺います。

○緑川商工部長 都は、丸の内と立川にございますTOKYO創業ステーションにおきまして、起業に関心のある女性を対象とした女性プチ起業スクエアを実施しております。これは、起業における基礎知識の習得や参加者との交流を通じまして、起業への行動に結びつけていくプログラムで、十月末までに丸の内と立川それぞれで二回開催いたしまして、延べ百七十六名の方にご参加をいただいております。
 また、ビジネスアイデアを具体化するために、ビジネスプランの策定方法を学ぶ女性起業ゼミも実施しておりまして、十月末までに丸の内と立川それぞれで二回開催し、合計二十三名の方にご参加いただいております。
 このほか、女性専用の相談窓口を設けまして、オンラインでも起業に関して相談ができる体制を整えております。

○入江委員 この女性の起業や創業アイデアのお問合せだと、例えば小規模飲食店、レンタルスペース、パン教室、レンタルキッチン、美容サロンのコンサルタントなどがあったと聞きました。
 このように、女性の創業予定者がビジネスプランを作成してから創業に至るまでには資金調達が必要となります。無理なく始められる女性のプチ起業の場合だと、自己資金で可能な場合もありますが、女性の創業予定者が金融機関などへ融資の相談に行くことは大変ハードルが高いです。
 そして、現在、起業がきちんといっている女性経営者でも、融資を受けることは大変難しいというのが実態です。創業ステーションでは、創業に向けて資金調達が必要な女性に対して、どのような支援をしているのかを伺います。

○緑川商工部長 丸の内と立川のTOKYO創業ステーションにおきましては、創業を予定している女性に対しまして、金融機関などから資金調達する際の支援を行っております。
 具体的には、丸の内では、日本政策金融公庫等と連携いたしまして、融資相談窓口を設けておりまして、九月末時点で百十九件の融資相談を実施しております。
 立川では、資金調達に関する専門相談員を配置しておりまして、九月末時点で五十四件の相談を受け付けております。

○入江委員 こうした女性の自立のための起業支援においても、まずは起業のノウハウを教え、アイデアを具体化させる、そして資金調達の道筋をつけ、さらに創業後も必要であればフォローアップをさせる、していくという一気通貫のワンストップサービスをさらに充実していただくことを要望いたします。
 オリ・パラ大会でも有名となりましたが、ノーベル平和賞受賞者のムハマド・ユヌス博士は、貧困や生活困窮の状況にある方々に、低利で無担保の少額融資、マイクロファイナンスを行うグラミン銀行を創設いたしました。日本では、グラミン日本として、起業や就業のためのデジタルスキルなどを教えると同時に、少額融資も実行していらっしゃいます。こうした一般社団法人とも連携するなど、実効性の高い支援をお願いしたいと思います。
 さて、長期化したコロナ禍では、非正規雇用の女性だけではなく、障害者など就労に困難を抱える方の雇用関係も深刻な影響を与えています。
 都は一昨年、我が会派の要望を受けて、就労に困難を抱える方が企業的な形態の中で必要なサポートを受けながら生き生きと働き、活躍できるソーシャルファームの設立に関する条例を制定いたしました。昨年度から都による事業所の認証が開始され、今年の三月には初めての東京都認証ソーシャルファームが誕生しています。
 現在も予備認証を受けた様々な事業所が、就労に困難を抱える方の雇用を進めるなど、認証に向けた取組を行っているところです。
 今後、ソーシャルファームの認証をさらに進め、就労に困難を抱えている方の雇用創出につなげていくべきと考えます。
 そこで、これまでに認証されたソーシャルファームの具体的事例と、さらなる普及に向けた取組について伺います。

○村西雇用就業部長 ソーシャルファームにつきましては、十月末現在で七事業所が認証を受けたほか、予備認証を受けた十六の事業所が就労困難者の雇用を計画的に進めるなど、認証に向けた取組を行っているところでございます。
 これまでに認証した事業所におきましては、障害者をはじめ、難病を抱える方やひきこもりを経験された方、ひとり親の方など、就労に困難を抱える多様な方々の雇用が進んでおります。
 都は、ソーシャルファームの創設を一層促進するため、今月下旬に普及イベントを開催し、認証されたソーシャルファームの先駆的な取組事例をオンライン等で発信してまいります。
 また、ソーシャルファームに関する専用ポータルサイトを普及イベントに合わせて新たに開設し、ソーシャルファーム創設のための都の支援や、認証されたソーシャルファームが提供する製品、サービスの情報を都民や事業者に対して提供してまいります。

○入江委員 今ご答弁いただきました専用ポータルサイトにおいて、認証されたソーシャルファームの製品やサービスなどを積極的に紹介していくということは、ソーシャルファームの販路開拓を通じた経営支援にもなり、大変効果的な取組だと思います。
 ソーシャルファームを運営される経営者の皆様には、大変特別なご苦労もあるかと存じます。引き続き、ソーシャルファームの普及を進め、就労に困難を抱える方々の雇用の拡大に努めるよう、また、経営者サイドが安定して事業所の経営をできるよう要望いたします。
 さて、女性が働きやすい職場環境の整備について伺います。
 職場における女性の活躍を推進していくためには、キャリア形成の重要な時期に子育てで離職することなく、安心して就業を継続できるよう、働きやすい職場環境を整えることが求められています。
 国の調査では、第一子出産を機に離職する女性の割合は、いまだ約五割となっており、高い水準です。妊娠、出産前後に両立の難しさから退職した女性の多くが、退職理由に、育児と両立できる働き方ができそうではなかった、そして、職場に両立を支援する雰囲気がなかったなどを挙げています。
 こうしたことから、出産を機に女性が離職することがないよう、さらに職場の理解促進を図ることが必要だと考えます。
 都では、育児と両立しやすい職場環境の整備を支援していますが、具体的な取組内容と、その実施状況について伺います。

○鈴木事業推進担当部長 都は、育児と仕事が両立できる職場環境づくりを促進するため、中小企業が法を上回る休暇制度や育児休業制度等を導入するとともに、従業員に対して育児・介護休業法の概要や社内の支援制度等を周知する研修会を実施する場合に、最大八十万円の奨励金を支給しております。
 今年度は、育児と仕事の両立を支援する休暇制度等の導入や、男性の育児参加の推進に向けて管理職の意識向上に取り組む中小企業など、二百十八社に対して交付決定を行いました。
 また、中小企業の経営者や人事労務担当者等を対象といたしまして、育児と仕事が両立できる職場環境の実現や、育児休業取得後の職場復帰に向けた支援の在り方などに関する研修会を七回開催することとしておりまして、これまでに四回実施しております。

○入江委員 特に、従業員が少ない中小企業では、なかなか育児休業制度などを完備できないというお声を聞いております。引き続きのきめ細やかな支援をお願いいたします。
 女性活躍の推進に向けては、パートナーである男性の協力も重要です。
 私の前職は民放テレビ局員ですけれども、先日、後輩の男性アナウンサーが司会を務める報道番組で、二週間、育児休暇を取るため番組司会を休むということが発表されまして、視聴者の好感度がアップしました。そして、彼は、男性の育休は絶対取った方がいいし、取りやすくあるべきだとSNSなどで大変発信してくれ、フォロワー数が増えています。
 国の調査では、夫の家事、育児時間が多いほど、妻が就業を継続する割合が高く、第二子以降の出生割合も高い傾向にあるとの結果が出ています。しかし、日本の夫の家事、育児時間は、一日当たり一時間程度と、国際的にも低くなっているのが現状です。
 こうした状況において、男性の育児休業取得率は近年上昇はしているものの、令和二年度でも一二・六五%にとどまっているほか、取得日数は二週間未満が七割を超えるなど短い傾向にあります。
 そこで、男性の育児休業取得を促進するために、都はどのような取組を行っているのか、実施状況と併せて伺います。

○鈴木事業推進担当部長 都は、男性の育児休業取得を後押しするためのインセンティブとして、企業が男性従業員に連続十五日以上の育児休業を取得させ、復帰後に三か月以上継続雇用した場合に、十五日ごとに二十五万円、百八十日以上で最大三百万円の奨励金を支給しております。
 今年度の申請件数は、九月末現在で二百四十九件でございまして、昨年同時期の約一・六倍となっております。また、このうち支給件数は百五十八件でございまして、その約九割の百四十六件は取得日数が三十日以上、約三割の四十八件は百八十日以上となっております。

○入江委員 企業側にとっては、従業員が、特に男性の従業員が育児休業を取ることによる戦力低下が一番の課題です。今ご説明あった奨励金を活用して、短期的にアルバイトスタッフを導入したり、そもそもの業務フローを省力化したり、育休推奨企業にシフトチェンジしていただきたいと思います。
 そして、この制度の利用企業においては、男性育休の取得日数が比較的長いということが、大変、この事業が効果的に利用されているということが分かります。
 男性の育児休業については、国において、来年秋から産後パパ育休または出生時育児休業といわれる新たな制度が始まります。これは、現行の育児休業とは別に、産後八週以内に四週間まで休みを取得できるというものです。
 出産後、身体的、精神的に不安定な時期の女性にとっては大きな助けになりますし、男性も出産直後から育児に関わることで、子育ての大変さや喜びを実感し、育児に積極的に関わるようになると期待されます。また、育児を深く体験することで、その後のビジネスアイデアが大きく深化したとのお声も聞きます。
 都としても、引き続き、出産直後の男性育休の動きを後押ししていくべきと考えますが、見解を伺います。

○鈴木事業推進担当部長 出産直後の時期に男性が育児休業を取得しやすいよう支援するため、都は国に先駆けて、今年度から新たに、中小企業が男性従業員に対し、子の出生後八週以内に三十日以上の育児休業を取得させた場合に、育児休業取得の奨励金に二十万円を加算する支援を開始いたしました。
 今年度の申請のうち、この加算を利用した企業数は、九月末現在で百十四件となっておりまして、本奨励金全体の約五割を占めております。

○入江委員 この産後パパ育休に関する育児・介護休業法改正は来年十月に施行される予定となっておりますけれども、これに先駆けて出産直後の支援を強化したことは大変評価できるものです。男性が当たり前に育児休業を取得できるよう、こうした取組の充実と企業への啓発を引き続きお願いいたします。
 最後ですが、女性が働きやすく、活躍できる職場づくりに向けては、パワハラやセクハラなどのハラスメントの防止も重要な課題です。職場のハラスメントは、従業員の能力発揮を妨げるとともに、企業にとっても貴重な人材の流出や社会的評価の低下につながる大きな問題です。
 社会の関心も高く、例えばセクハラについては二〇一七年にアメリカに端を発し、被害を受けた有名女優なども含め女性たちが声を上げるミー・ツー運動が世界に広がった事例などがあります。
 国においては、セクハラやパワハラの防止対策に関する法改正を行っており、昨年六月に施行されました。努力義務となっていた中小企業のパワハラ防止対策についても、来年四月からの適用が予定されています。
 都においても、セクハラやパワハラなどのハラスメント防止に向けて、啓発事業や労働相談などを実施していますが、具体的な取組内容と実施状況について伺います。

○村西雇用就業部長 都は、労働相談情報センターにおきまして、セクシュアルハラスメントやパワーハラスメントの防止に向けた労働セミナーを開催しているほか、各種のハラスメントに関する労働相談に対して、労働者、事業主双方に対して助言を行っております。
 労働セミナーにつきましては、ハラスメントの関係法令の解説や職場における相談体制の整備など、ハラスメントの防止のために事業主が講じる措置、ハラスメントが起きた際の事後対応のポイント、コロナ禍におけるリモートハラスメントなどに関しまして、今年度、九回開催することとしておりまして、十月末現在で六回実施し、二百七十六名が参加しております。
 また、ハラスメントの労働相談件数につきましては、九月末現在で、パワハラを含む職場の嫌がらせが四千三百四十四件、セクシュアルハラスメントが六百二十六件、マタニティーハラスメントが百四十八件となっております。
 主な相談内容としましては、セクハラでは、対価型や環境型に関する相談などがあり、マタハラにつきましては、妊娠、出産、育児休業等を理由とする不利益な取扱い、上司、同僚による就業環境を損なう言動、人事管理上の相談などが寄せられているところでございます。

○入江委員 ハラスメントの防止に向けては、まずは、経営者や管理職層などに対する意識啓発の取組が重要であるとともに、実際に起こった際の相談体制の整備も必要です。都においてもさらなる取組を進め、ハラスメントのない職場づくりに向けた機運醸成に努めていただくようお願いいたします。
 企業においては、入社時、昇格時、あるいは管理職になる際に社内研修があるのが通常です。私もよく傾聴についてなどという研修を受けてまいりました。
 しかし、最近では、ハラスメントについてやLGBTQについて、あるいはフェムテックによる健康管理についてなどを研修に取り込む企業も増えてきていると聞いております。
 そうした事例も広く紹介し、誰もがその能力を最大限に生かすことができ、相互理解がある働きやすい職場が増えるよう、都としても取り組むことを強く要望いたします。
 初の女性都知事である小池百合子都知事の下、女性議員も増えました。そして、都の管理職の皆様にも女性の方が増えたと思います。そうしたことが反映して、大変、東京都の女性に対する様々な応援施策は充実していると存じます。
 困難を抱えるのは決して女性だけではございませんけれども、特になかなか、その稼ぐ力のアップやキャリアの継続ということがなおざりにされてきた女性に対してのさらなる支援、そして啓発等を、ぜひぜひよろしくお願いしたいということを改めてお願いして、この質疑を終わらせていただきます。ありがとうございます。

○高倉委員 それでは、最初に、コロナ禍における観光事業者への支援についてお伺いしたいと思います。
 コロナ禍が長く続いておりまして、特に東京において新規感染者数がずっと長く続いてきた。そういう中で、なかなか東京から都外に出ていくことが難しいような状況もあり、また、東京都内においても、いろいろ移動を活発に行うということも難しい状況にあったんだと思います。
 私も登山愛好家の一人でありますけれども、この間、昨年以来、どこにも行けないというような状況にあったわけであります。旅行なんかも、本当に思うように、東京からどこかに行くというようなことが非常に難しかったんではないかと。まして、東京の方に、旅行者が東京へ入ってくるということ、これはさらに難しい状況がずっと続いてきたんじゃないかなというふうに思っています。
 そういう中で、深刻な影響を受けているのが宿泊業、また、旅行業、あるいは交通事業者といった観光事業者でありまして、この支援について、取組をお伺いしていきたいというふうに思っています。
 昨年の十月に観光庁が発表した旅行取扱状況速報によりますと、八月の国内旅行、海外旅行を含めた総取扱額、総額は、コロナ前の令和元年同月比で約二割程度、大きく減っているということがございます。また、観光産業においては、事業を継続するだけでも大変な苦労があるわけであります。
 現在、全国的に感染者数が抑えられてはいますけれども、今後については、まだまだ不透明なところがあるんではないかなと思います。インバウンドを含めまして、観光需要が回復をするまで、まだ時間を要するという状況にはあると思います。そうした中で、観光事業者の今後の経営といったものについては、まだまだ楽観視できない状況があろうかと思っています。
 苦境に立つ観光事業者への支援については、私ども都議会公明党は、様々な機会を通じまして、都に要請をしてきたところであります。それを受けて、都はこれまで、様々な支援をしてきたというふうに思っていますが、まず、主にどういう支援を行ってきたのかということについて、改めてお伺いしたいと思います。

○築田観光部長 都は、厳しい経営状況にある観光事業者に対しまして、感染防止の取組とともに、収益確保を図るため、新たなビジネス展開を支援しております。感染防止の取組に対しましては、昨年度より宿泊施設が行う機器類の導入に要する経費を助成しており、本年七月からは、施設改修や消耗品の購入に係る経費を対象として拡充しております。
 また、バスやタクシー事業者が実施する飛沫感染防止シートや高効率空気清浄機の導入などにつきましても、支援を行っているところでございます。
 さらに、テレワークや長期滞在などの新たな需要の創出に向けて、宿泊施設が行う環境整備について助成を行うとともに、観光事業者の経営改善に向けて、専門家のアドバイスを受けて実施する経費削減や顧客獲得などの取組を支援しております。

○高倉委員 今、様々な支援について、主なものについて答弁をしていただいたわけであります。いろんな支援を行っている中で、ただ、やはり感染者数が、ずっと長い期間、特に東京で高い水準で継続をしてきたということがありましたので、なかなか観光関連の事業者の方々が動くということは、実際難しい、そういう客観的な状況というのもあったんではないかなというふうには思います。ただ、都としてはできる限りの支援に努めてきたということは、私も承知をしているつもりであります。
 そこで、今、答弁いただいた様々な取組といったようなものは、この間、どの程度利用されてきたのかと、そういったこともしっかりと把握をしながら、今後の対応をしていくことは重要ではないかというふうに思っていますけれども、事業実績について答弁を求めたいと思います。

○築田観光部長 感染防止対策に関する支援につきましては、昨年六月からの一年間で約四百八十の宿泊施設にご利用いただき、本年七月の制度拡充以降は、十月末時点で五百を超える施設から申請をいただいております。
 また、バス、タクシー車両につきましては、昨年度は合わせて約二万一千台に感染防止対策が講じられ、今年度はこれまでに約一千五百台の申請をいただいております。
 テレワークのための環境整備への支援につきましては、昨年度は約百五十の宿泊施設にご利用いただき、今年度は百件を超える申請となっております。さらに、長期滞在向けなど、新たな客室等の活用への支援につきましては、六月の受付開始以降、約六十件、専門家のアドバイスを受けて実施する経営改善等への支援につきましては、六月以降、約三十件の申請をいただいているところでございます。

○高倉委員 今、利用実績についてご答弁をいただいたわけであります。観光関連の事業者の方々については、とにかくこうした都の支援策も使いながら、しかしながら、なかなか人の移動がないという状況の中で、非常に大変な状況の中で頑張ってきたというふうに思います。
 それで、今、非常に状況が変わってきているわけでありまして、これは、もうご承知のとおり、この夏は非常に新規感染者数、とても多かったわけですけれども、これが今激減をしてきておりまして、毎日のように、東京都内でも二桁ぐらいの新規感染者数になっていると。当然、重症者数も減ってきているわけであります。
 いずれまた波が来るんじゃないかと、こういう、いろんな人のご意見もあるんですけれども、しかしながら、人出はそれなりにずっと続いている中で、やはり低い感染者数でずっと推移をしてきていると。
 私なんかは、やはりこの間、新型コロナのワクチン接種が大きく進んできているということと全くこれは無関係ではない、むしろ、そのことの効果が、やはり大きく出ているんではないかと、私はそういうふうには思ってはいますけれども、現在は、都民の七〇%以上が二回目のワクチン接種を終えているわけであります。それが要因の一つであると私は思っていますけれども、そうした中で感染が落ち着いていると。
 したがって、観光関連の事業者の方々も、これまで都が様々な支援をしてくる中、支援があっても、しかしながら、感染の環境といいますか、感染拡大の客観的な環境が非常に難しい状況があったので、なかなか動くに動けない状況というのが、それなりにあったんだと思うんですね。
 しかしながら、今、減ってきている。特にこの年末年始、またどれぐらいの感染者が出てくるかみたいなことが、ちょっと心配はもちろんされるんですけれども、今、事業者の方々も、それから一般の方々も、この長い、昨年来の期間の中で、非常に神経を使いながら、やはり感染防止に取り組んできているわけですよね。特に日本人の勤勉性といったことも反映しているのかもしれませんけれども、非常に皆さん、やはり神経を使って取り組んできていると。
 そういう中で、感染者数が激減をしてきているということは、一番大きな打撃を受けてきた観光関連の事業者の方々にとっては、やはり一つの明るい兆しが、もしかすると見えつつあるんではないかと、こういう思いも恐らく持っていらっしゃるんじゃないかなというふうに思います。
 したがって、今後は、当然ながら、感染の拡大防止対策をしっかりとっていくということが大前提ではありますけれども、やはり都として、これまで取り組んできた以上に、しっかりと、こうした大きな打撃を受けている事業者への支援といったようなことは行っていく必要があるんではないかなと思っています。
 そこで、観光の再開に当たって、都としてどういう取組をしていこうというふうにお考えになっているのか、お聞きをしたいと思います。

○築田観光部長 東京の観光産業の着実な回復に向けては、感染防止対策を徹底しつつ、観光需要の創出につながる取組を進めていくことが必要でございます。
 そのため、地域内観光の推進に向けて、宿泊施設が取り組む周辺の観光資源を活用したマイクロツーリズムのプランづくりを後押しいたします。また、都内全区市町村の観光スポットや、地域ゆかりのデザインマンホール蓋などを巡るデジタルスタンプラリーを十月末から年末まで開催し、地域への誘客を促進してまいります。
 さらに、埼玉県や山梨県と連携して、特設サイトを開設し、歴史や文化等のテーマに沿ったお勧め観光ルートや特集記事を順次紹介していくことで、東京の魅力を着実に発信してまいります。
 今後とも、こうした取組を通じまして、訪都を促し、観光産業の活性化につなげてまいります。

○高倉委員 今、質疑をさせていただきましたけれども、やはり経済をどう取り戻していくかという中では、観光関連の分野というのは非常に重要であるというふうに思います。ぜひ、もちろん感染の状況を見ながら、また、しっかりとした対策を取りながらということにはなりますけれども、的確な支援を行えるように、特に関係する事業者の方々から十分なヒアリングをしながら、的確な対応をしていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 次に、中小企業の制度融資についてお伺いしたいと思います。
 東京都は、昨年来、新型感染症の影響を受けて、大変厳しい経営状況にあります都内の中小企業に向けて、独自の新型コロナ対応融資を創設するとともに、昨年の五月には、私たち都議会公明党の要望に応えて、融資の実質無利子化を図るなど、中小企業の事業継続といったことを資金面から支えてきたわけであります。
 この結果でありますけれども、昨年度の新型コロナ対応融資の実績は、全体で約二十一万七千件と、約五兆六千億円ということになっておりまして、これは、いわゆるリーマンショックの際に緊急対策として実施をした支援メニュー、これの二年五か月間の実績の約二兆七千億円を超えるという結果になっているというふうにお聞きをしております。
 こうした実績はもちろん、東京都が国制度に独自の上乗せを行いまして、他の道府県に比べても非常に手厚い資金繰り支援をしたということも、私どもは高く評価しているというところであります。
 この実質無利子融資の制度は、残念ではありますけれども、昨年度末でその利用は終了しておりますが、感染症の事業者への影響というのは、今もなお続いているわけであります。
 そこで、今年度の都の制度融資においては、感染症への対応をどう行っているのか、これについてご答弁をいただきたいと思います。

○篠原金融部長 今年度の制度融資では、中小企業の経営や事業継続をよりきめ細やかに支える観点から、低利融資による資金の供給に加えまして、金融機関の継続的なサポートにより、経営の安定や生産性等の向上を図っていく、新たな融資メニューを実施しております。このメニューは、昨年度の感染症対応融資の利用者であっても、一定の条件を満たせば、新たな借入れが可能となっております。
 さらに、信用保証料につきまして、当初、融資額四千万円まで、年〇・二%の事業者負担とし、四千万円超から八千万円までに対して、都が四分の三、八千万円超に対して、都が二分の一を補助しておりましたが、本年六月からは、融資額の合計が八千万円まで、事業者負担なし、八千万円超は四分の三に補助率を引き上げ、支援の拡充を図りました。
 また、この融資メニューとは別に、例えば、飲食店がテークアウト販売を始める、あるいは生活用品の販売を始めるなど、業態転換、事業転換によりコロナ禍を乗り越えようとする中小企業の積極的な取組を、資金面から支援する新たなメニューの取扱いを六月から開始したところでございます。

○高倉委員 引き続きしっかり行っていただきたいと思います。資金面からの支援というのは、やはり事業者にとっては極めて重要なものでありますし、大変大きな効果が期待できるものだと思いますので、しっかりお願いしたいと思います。
 その一方で、先ほど昨年度--もちろん今年度の状況もお聞きをしました。特に昨年度は非常に大きな融資の額になっているという話もお伺いしました。今後、やはり借りているものはお返ししなきゃならないということでありますので、返済をどうしていくのかという、事業者にとっては、またさらに大変な課題も待ち受けているわけでありまして、こういったところについても、単に融資をどうこうしていくということだけではなくて、返済についても、十分事業者の要望等も聞きながら対応していくということが、このコロナ禍での対応の一つとしては重要ではないかというふうに思っておりますので、その点はお願いをしておきたいと思います。
 そして、現在は原油高という新しい課題も今出てきているわけであります。報道によりますと、世界的な需要の高まりから、原油価格は七年ぶりの高い水準に達したというふうにされておりまして、国内のガソリン価格なども値上がりが続いておりまして、これも経済活動への影響が大変懸念をされているわけであります。
 そこで、現在の都の制度融資が、こうした原油価格の高騰に対応できているのか、また、対応できているとしても、こうした制度の周知がきちんと行われているのかということについて、ご答弁をいただきたいと思います。

○篠原金融部長 都の制度融資では、経営一般メニューにおきまして、原油価格の上昇により事業活動に影響を受けている中小企業に向けた融資を実施しておりまして、融資限度額一億円、融資期間十年以内、また、小規模事業者については、信用保証料の二分の一を補助しております。
 具体的な融資対象としましては、売上原価の二〇%以上を原油または石油製品が占めている事業者で、原油等の仕入価格が二〇%以上、上昇しているにもかかわらず、販売価格等への転嫁が著しく困難である場合などとなっております。
 こうした制度は、他の融資メニューを含めまして、都のホームページやパンフレット等によりPRしますほか、金融機関や中小企業団体等と連携しながら周知を図っております。
 さらに、都の金融相談窓口におきましても、事業者からの相談に応じて適切なメニューへと誘導しているところでございます。

○高倉委員 今のご答弁で、経営一般という中で対応が可能であるというご答弁であったと思います。ぜひこうしたことを、今本当に困っていらっしゃる事業者の方々は、どうしていったらいいかという思案の毎日だと思いますので、しっかりと情報提供を行っていただきたいというふうに思います。できる限り、あそこに載っていますからということだけじゃなくて、丁寧過ぎるぐらいこちらから発信をしていくというようなことが大変重要であると思います。後になって、あのときそういうのがあったんですかと、知らなかったんで使えませんでしたみたいな、そういうことにならないように、ぜひ積極的な情報発信をお願いしたいと思います。
 最後に、若者に対する職業訓練についてお伺いしたいと思います。
 長期化するコロナ禍は、飲食業をはじめとするサービス業の経営に大きな打撃を与えました。そして、そこで働く非正規雇用の方々が数多く解雇や雇い止めになっていますが、雇用環境はいまだ回復の兆しは見えておりません。特に若者は、飲食業などで働く方も多く、さらに厳しい状況に置かれているというふうに思います。
 こうした状況のままでは、若者自身の職業的自立やキャリア形成に支障が生じるだけではなく、社会にとっても大きな損失となるわけであります。
 一方、職業能力開発センターにおいて職業訓練を受けた方の就職率は、コロナ禍においても八割程度という高い水準になっております。意欲のある若者の安定的な就業を実現するためには、職業訓練により、技能や知識を身につけることが大変効果的でありますけれども、就業経験の少ない若者を対象とした職業訓練である若年者就業支援科の具体的な取組、また、これまでの実績について、ご答弁をいただきたいと思います。

○村西雇用就業部長 都は、職業能力開発センターにおきまして、就業経験の少ない三十歳未満の若者を対象とする訓練科目である若年者就業支援科を設置しております。
 若年者就業支援科は、コミュニケーション能力やビジネスマナーなど、社会人としての基礎力を習得することに加えまして、溶接や塗装などに関する専門知識や技能を習得した上で、企業で実務実習を経験できる実践的な訓練となっております。
 これまで、就業経験の少ない若者をはじめ、高校中退者やひきこもりを経験された若者などが受講してきておりまして、過去十年間では二百六十九名の若者が就職を実現しております。

○高倉委員 若年者就業支援科は、人手不足になっております、ものづくり業界の人材の確保、あるいは若者の安定的な就労につながる有効な科目とされております。今後は、就業経験の少ない若者が職場で働くことを具体的にイメージするための企業での実務実習の機会を増やしていくことを期待したいと思います。
 最近は、先ほどの答弁にもありましたが、ひきこもりを経験された方のほか、発達障害を抱える方など、配慮を要する方が訓練を受講するということが増えているというふうにお聞きをしております。
 職業能力開発センターにおける職業訓練は、一年以上の長期にわたる科目もあるために、こうした方々が訓練を継続できるよう、フォロー体制をしっかり取っていくということが大変重要なんですけれども、この点についての取組について、ご答弁いただきたいと思います。

○村西雇用就業部長 職業能力開発センターでは、精神保健福祉士等の専門家を訓練運営アドバイザーとして配置しまして、受講生からの相談にきめ細かな対応を行っております。近年、発達障害を抱える方など配慮を要する受講生が増加していることから、今年度から全ての職業能力開発センターにおきまして、週一回、訓練運営アドバイザーに相談できるよう体制を強化したところでございます。
 今年度は、九月末時点で、昨年九月末時点の二百九十七件を上回る五百六十二件の相談に対応しております。

○高倉委員 昨年度の二倍近い相談が寄せられているということであります。引き続き、しっかり取組をお願いしたいと思います。
 受講生の悩みは、訓練中の人間関係や将来への不安など様々であるというふうには思いますが、中には経済面での不安もあるかというふうに思います。これまで非正規雇用で働いてきた方の中には、雇用保険に加入しておらず、訓練中に雇用保険を受給できない方もいるのではないかと思います。
 雇用保険を受給できず、かつ収入が少ない方に対しては、国において職業訓練受講給付金というのを支給する制度があるんです。職業能力開発センターにおける受講生の職業訓練受講給付金、これの受給について、昨年度と今年度の状況についてお伺いしたいと思います。

○村西雇用就業部長 雇用保険を受給できず、本人の一か月の収入が八万円以下であることなど、一定の収入要件等を満たす場合には、訓練期間中、月額十万円の職業訓練受講給付金の受給が可能となっております。職業能力開発センターにおきましては、給付金を受給した受講生は、前年度の年間受給者数の九十五名に対し、今年度は十月末時点で百六十名となっております。

○高倉委員 今ご答弁にもありましたけれども、受給者数が昨年度の年間実績を大幅に上回っているということであります。コロナ禍において生活に困窮している方がいかに多いかということが、こうした数字にも現れているんではないかと思います。
 就職率も高く、訓練運営アドバイザーや給付金といった支援体制も整っている職業能力開発センターではありますが、若者をはじめとする求職者への認知度は、まだまだ伸ばしていく、そうした余地があるんではないかというふうに思います。
 都として、職業能力開発センターの職業訓練の支援を周知するために、広報、これについてどう取り組んでいるのか、ご答弁いただきたいと思います。

○村西雇用就業部長 都は、ハローワークと連携し、窓口に来訪された方に対して、職業訓練を案内しているほか、インターネット広告などを活用して、職業能力開発センターの周知を図っております。また、都内の高校生に対して、進路の選択肢の一つとして考えてもらえるよう、推薦入校の案内も送付しております。
 さらに、工業高校の生徒等に対しては、職業能力開発センターの有する設備等を活用し、授業科目として認定される実習講座や、資格取得に向けた対策講座なども実施しております。
 今後も、効果の高い広報手段を組み合わせ、周知に力を入れてまいります。

○高倉委員 いろいろご答弁いただきましてありがとうございました。特にこの周知については、ぜひいろいろ工夫をしていただきたいと思います。
 特に今日は若い方ということで、そういうふうな観点から質問させていただきました。したがって、周知についても、単なる文字情報だけではなくて、例えば動画なんかも適切に使いながら、実際に入校した人がこういう訓練を受けて、こうしてこういう職業に、就業につながっているみたいなことを、簡単なといいますか、分かりやすい動画で紹介するなんていうことも、そんなに難しいことはないと思うんです。
 いろんな工夫をしていただいて、今、大変な社会的な状況がありますけれども、こういう選択もあるんですよということを、ぜひ分かりやすく周知をしていただきたいというふうに思います。
 以上で質問を終わります。

○あぜ上委員 それでは、私から、大綱二点伺いたいと思います。
 一つは、男性の労働者の育休についてです。先ほど男性の育児休暇のお話もございましたので、ダブらないように質疑をしたいと思います。
 産労局では、企業における家庭と仕事の両立支援制度の整備状況などを調査されていますが、昨年度の調査では、男性の育休取得率は一四・五%と増加傾向にはあるものの、大変低いと。この男性の育休取得が低いことについての都の認識をまず伺います。

○鈴木事業推進担当部長 都が令和二年度に行っている調査によりますと、都内企業における男性の育児休業取得率は一四・五%でございまして、前年度に比べ二・七ポイント増加しております。

○あぜ上委員 都内では増えていますよというお答えなわけですけれども、私は男性の育休の取得率が低いこと、このことの認識を伺ったんですが、その点についてはちょっとお答えがなかったのは残念です。
 政府は二〇二〇年の、昨年ですね、少子化大綱で男性の育休取得率の目標、二〇二五年までに三〇%と定めたわけですが、東京においても、そういう点から見ても、まだまだの状況だということであります。なぜ男性の育休取得が進まないのかと、東京都としてもしっかりと私は分析していただきたいなというふうに思います。
 男性が育休を取りたいというふうに思っていても、いざ育休が必要な、そういう場面になったら、安心して育休を取れる代替の要員がいない、収入の保障が心配だ、前例がないと、など、職場環境に育休取得を困難にする場面が存在しているのが現状だというふうに思います。
 男性の育休取得を困難にしている要因のトップが、先ほど冒頭申し上げたアンケートでは、代替要員ということになっています。この対策について私は伺うつもりでしたが、先ほどの委員のご答弁の中で、企業の男性の育休を後押しするためのインセンティブとして働くパパママ育休取得応援事業を実施していますよというご答弁がありましたので、そして、その実績についてもご答弁がございました。
 都として、この事業の評価だけ伺いたいというふうに思います。

○鈴木事業推進担当部長 働くパパママ育休取得応援事業のパパコースにつきまして、パパコースの支給数は、平成三十年度の制度開始以降、年々増加しております。

○あぜ上委員 利用は増えているんだということでありますが、増えていること自身は大変大事なことなわけですが、やはり男性の育児休業は、先ほど都の冒頭述べた調査でも、一か月未満が約五割なんです。僅か五日以内という方も一六%いらっしゃった。現在整備されている育休の法制度は、子供が一歳、最長二歳に達するまで申出によって育休取得が認められているわけです。法律にも、育休を申し出たり取得することが労働者にとって不利益に作用しないようなための条項も盛られております。そして、育休の給付金の支給も制度化されていると。しかしながら、実際には、育休の取得率が抜本的には増えていないという現状があると。
 この育休の取得について、男性の労働者の取得が進まない要因の一つには、やはり男性は仕事、家庭、子育ては女性といった性別役割分担に固執する考え方が、残念ながら根深くこの社会にはまだ残っているということ、このことは、私は見過ごすことはできないというふうに思っています。
 そもそも女性の育休取得率も、先ほどの調査では九五・九%というふうになっておりましたが、出産しても就業を継続している人の中での割合なわけです。確かに増えてはおりますけれども、第一子の出産後の就業継続は、いまだ四割台というのが実態なわけです。結婚、妊娠での退職を入れれば、結婚、出産した女性の六割から七割が職場から一旦退場せざるを得ないというのが現状なわけです。
 そこには、やっぱり育休制度があっても請求しにくい、そういう職場の雰囲気だったり、また、無理解によるパタニティーハラスメントや、女性へのマタニティーハラスメントも残念ながらあるということであります。
 都の労働相談窓口でのマタニティーハラスメント、それから、パタニティーハラスメントの相談件数と、その主な内容についてお示しいただきたいと思います。

○村西雇用就業部長 労働相談情報センターにおける労働相談のうち、パタニティーハラスメントも含め、マタニティーハラスメントに関する相談は、九月末現在で百四十八件となっております。主な相談内容としましては、妊娠、出産、育児休業を理由とする不利益な取扱いや、上司、同僚による就業環境を損う言動のほか、人事管理上の相談などが寄せられております。

○あぜ上委員 相談の実績六百七十件というのは非常に多いなというふうに思うわけですけれども、今のご答弁だと、マタニティーハラスメントとパタニティーハラスメントは区別しないでカウントされているということなので、これは、ぜひ今後カウントする際には、その内訳も取っていただきたいなと。男性の育休取得に対するハラスメントなのか、それとも女性のマタニティーハラスメントなのか、その辺、やっぱり内訳をぜひカウントしていただきたい。これは要望しておきたいと思います。
 育児・介護休業法、これは今年法改正されまして、来年度からの施行となるわけです。今回の法改正は、男性の育児休業取得促進のための、子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みの創設、それから、有期雇用労働者の育児、介護休業取得要件の緩和など、前進もあるというふうに思います。
 しかしながら、非正規雇用の労働者は申し出られない、そういう場合があることや、労働者に対する不利益の措置、これを禁ずる規定が事実上、実際上、機能していない問題などの課題は残っているというふうに思っています。
 東京都としても、局としても、男性も女性も育児休業を取得しやすい職場づくりの啓発活動や支援対策のさらなる拡充、そして、先ほど申し上げたマタハラ、パタハラの実態調査なども積極的に位置づけていただいて、育休取得が進むように、ぜひ取組を進めていただきたいと、これは要望しておきたいと思います。
 次の質問は、感染拡大防止協力金の事務経費についてであります。
 新型コロナ感染症の感染拡大は、現在は落ち着いてきておりますけれども、今年は年頭から緊急事態宣言が続いて、春には蔓延防止等重点措置、この期間に入って、再び緊急事態宣言が続いて、飲食店をはじめ多くの事業者の皆さんが、大変困難、そして、ご苦労をされたわけです。先ほども、他の委員からもそういったご指摘もございました。
 産労局の職員の皆さんも本当に大変な事態だったということでありますが、飲食店のこの協力金についてですけれども、現在も九月以降の要請に対する協力金の申請手続が続いている状況でございます。協力金については、この間も取り上げてきて、早急な支給などの提案などもさせていただいたわけですが、今日は協力金の事務経費について、何点か確認させていただきたいというふうに思っております。
 今年に入って約半年間で八回の感染拡大防止協力金がありました、一月からですね。その八回分の事務委託経費、これを私も積算してみたんですが、八回分の総額が二百七十五億九千三百十九万というふうになっていました。大変大きい金額になるわけですが、その全てが特命随意契約で博報堂となっていたわけです。
 そこでまず伺いたいと思いますが、この八回は全て博報堂との契約になっておりますけれども、相談業務と運営事務局業務と分けて契約していらっしゃるんですが、その理由をお示しいただきたいと思います。

○米澤産業企画担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 協力金の支給事務につきましては、事業運営の体制構築に必要となる運営事務局業務委託を総価契約で行うほか、相談や審査に係る業務につきまして、申請件数などの実績に応じて支払いを行う単価契約による相談申請業務委託の二つの契約としてございます。

○あぜ上委員 総価方式と、それから単価方式と契約の仕方が違うからだよということでありました。仕様書を情報開示請求して読みましたけれども、再委託の承諾が書かれておりました。再委託をする内容について伺います。

○米澤産業企画担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 協力金の支給事務のうち、専門的なノウハウや知見が特に必要とされますコールセンターの運営業務や申請受付システムの構築、運用業務などにつきまして、再委託を認めているところでございます。

○あぜ上委員 では、この委託事業の下請は何次にまで及んでいるのか伺います。

○米澤産業企画担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 協力金の支給事務におきまして、専門的なノウハウや知見が特に必要とされる業務につきましては、再委託を認めているところでございます。

○あぜ上委員 私が聞いたことに答えていただきたいんですけれども、では、聞き方を変えますが、下請が何次に及んでいるのか、把握をされているのか、把握されていないのか、お答えください。

○米澤産業企画担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 契約上、再委託先について、都の承認を得ることとしてございまして、都といたしましては、委託先及び再委託先におきまして、適切に業務が行われているものと認識してございます。

○あぜ上委員 下請が何次に及んでいるのか把握しているのかどうかということを、再度お答えください。

○米澤産業企画担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 繰り返しになりまして恐縮でございますけれども、再委託を行う際には、再委託先につきまして、都の承認を得るということとしてございまして、都といたしましては、委託先及び再委託先において適切に業務が行われているものと認識してございます。

○あぜ上委員 国も、下請が何次に及んでいるかということは、国会でも明らかにしているわけですよね。やっぱり東京都がそれを明らかにできないというのは、私は問題だというふうに思うんです。
 それで、協力金は、事業者からも、各委員も、委員会でも随分ご意見ありましたが、様々な意見が寄せられているわけです。そういう中で事業が円滑に遂行されているのかどうか、しっかり把握する上では、やはり流れや仕組みも私は把握するべきだと思いますし、下請にしわ寄せが行っていないかどうかということについても、きちんと把握するのは大事だというふうに思うわけです。
 そこで、先ほど来、この下請について伺ったところですが、残念ながらご答弁は、何次まで下請をしているかということについてのご答弁はありませんでした。
 では、運営事務局の業務の内容というのはどのようなものなのか伺います。

○米澤産業企画担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 運営事務局業務とは、プロジェクトの全体総括や進捗管理、都との連絡調整に加えまして、協力金の申請方法等の情報提供を行うポータルサイトや申請受付システムの構築、運用業務、申請受付要綱の印刷業務、審査事務局やコールセンターの運営スペースの確保、パソコンなどの各種OA機器を調達する業務などを指してございます。

○あぜ上委員 それでは、この運営事務局業務の再委託はあるんでしょうか。

○米澤産業企画担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 運営事務局業務のうち、専門的なノウハウや知見が特に必要とされます申請受付システムの構築、運用業務などにつきまして、再委託を認めているところでございます。

○あぜ上委員 運営事務局として統括し責任を負うのは都が委託した委託事業者でありますが、専門的な業務については再委託をしていらっしゃるということであります。
 この業務委託の再委託などについて、私が今幾つか伺ったのは、やはり委託費の扱いについては不透明さを残してはならないというふうに思うからです。先ほども申し上げましたけれども、今年の前半の八回の金額だけでも約二百七十六億円に上るわけですよ。これだけの大きな金額の委託については、しっかりと不透明さを残さないでいただきたいなというふうに思うわけです。
 国会では、持続化給付金事業の業務委託をめぐって、経産省からサービスデザイン推進協議会に七百九十六億円で委託され、電通に七百四十九億円で再委託され、その後、六百四十五億円で電通グループ五社に外注していることが明らかになりました。外注を重ねて利益が膨らむ構造をめぐって、中抜きではないかという批判の声も上がっていたわけです。
 そういう中で、国も、契約の在り方の見直しについて国会で言及されました。国の場合は再委託先や再委託の費用については明らかにされていましたが、都の場合は再委託費については明らかにされていません。再委託先の契約金額の非公開というのは、産労局の判断によるものなのか伺います。

○米澤産業企画担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都におきましては、専門的なノウハウや知見が特に必要とされる業務につきまして、再委託を認めてございます。その場合には、業務の内容や対応能力に基づいて適切な再委託であるかを判断しておりまして、そういった業務の内容を踏まえて、そうした経費の範囲の中で委託を受けた事業者及び再委託先事業者が適切に業務を行っているものと認識してございます。

○あぜ上委員 全くかみ合っていないですね。私が聞いたのは、再委託先の契約金額が明らかにされていない、その判断について伺ったわけです。再委託の内容は把握しているけれども、再委託の金額までは把握していないという理解でよろしいんでしょうか。

○米澤産業企画担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都におきましては、業務の内容を踏まえ、適切な経費によりまして受託事業者との間で契約をしてございまして、そうした経費の範囲の中で、委託を受けた事業者や、再委託先の事業者が適切に業務を行っているものと認識してございます。

○あぜ上委員 もう一度伺いますが、再委託の金額までは把握しているのか、していないのかだけお答えいただけますか。

○米澤産業企画担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 繰り返しになりまして恐縮ではございますけれども、都といたしましては、業務の受託事業者との間で契約をした経費の中で適切に事業が執行されているものと認識してございます。

○あぜ上委員 再委託の契約金額は把握しているかどうかも明らかにできないというのは非常に残念でなりません。少なくとも、都として、やはり再委託先の金額は把握していただきたいというふうに思うわけです。それは、必要な場合においては、東京都としても調査ができるという、契約事務規則でもそういうふうになっているわけですから、しっかりと把握していただきたいなというふうに思うわけです。
 東京都が博報堂に特命随契したのは、受託者が得た知識や情報、構築した体制を生かして円滑な業務遂行ができるからだというふうに入札の情報では出ておりました。先ほどの質疑を通して、多くの部分が再委託されていることも分かったわけですが、やはり博報堂本体が実際にどのような業務をして、また、幾らで再委託をしたのかも明らかにできないということは、非常に問題だというふうにいわざるを得ません。民民の問題なんだと、だから承知はしていない、もしそういうことであれば、やはり私は税金の使われ方として非常に不透明さを残してしまうというふうに思うわけです。
 本来だったら、再委託情報、これを公開すべきだというふうに思いますけれども、せめて、都として事業を委託した再委託情報についての公開については、情報公開条例の規定もありますので、なかなかすぐにするということは難しいかもしれません。しかしながら、せめて都として、事業を委託した先の事業者が幾らで再委託したのか、どのような内容を、どういう形で再委託したのかをチェックできるような体制、産労局としてチェックができるような体制、システムを構築すべきだというふうに思います。
 ぜひとも、そういった改善をして、やはり貴重な税金、国庫もたくさん入っているわけですけれども、貴重な税金でありますから、不透明さを残さないで執行に当たっていただきたいということを申し上げて、私の質疑を終わります。ありがとうございました。

○細田委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後三時八分休憩

   午後三時二十五分開議

○細田委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○中田委員 まず、私からは商店街支援について質問をさせていただきます。
 長引く新型コロナの影響により、商店街活動は厳しい状況にありますが、飲食店なども営業の時短緩和など、事業者に明るい兆しも見え始めている現状があります。今後に目を向けた取組への支援も着実に進めていくことが重要であり、地域の商売の根幹を担っている商店街に対しての支援は、今後の経済の回復には欠かせないものです。
 しかし、今回のコロナ禍で撤退を余儀なくされ、地元商店街にも空き店舗が目立つ状態が続いています。
 その中で、都は、商店街による空き店舗の先進的な活用モデルを支援する事業を行っていますが、商店街空き店舗活用モデル事業の支援内容と支援事例について伺います。

○緑川商工部長 都では、空き店舗を活用した先進的な取組を行う商店街のモデルとなる事例を支援しております。
 具体的には、空き店舗の改装費用などを、四分の三の助成率で最大三年間にわたって支援しております。
 支援事例といたしましては、例えば、地域住民の交流と高齢化に対応するため、カフェを併設したデイサービス施設を運営している事例などが挙げられます。

○中田委員 空き家の活用だけではなく、商店街としての存続も考えていかなければならないほど深刻な商店街があるのも事実です。
 閉店している店舗の方が多くなってしまい、商店街の今後の活性化に向けた道筋を描けないケースについて、都では、専門家を活用して商店街の再生を図る商店街リノベーション支援事業を行っていますが、この支援内容と支援事例についてもお伺いをいたします。

○緑川商工部長 都は、集客力不足や空き店舗の増加など、課題を抱えている商店街がまちづくり的な視点を持って活性化を図る取組を支援しております。
 具体的には、全体構想の作成から実現に向けた側面支援を行う専門家の派遣費用を、最長三年間にわたり支援をしております。
 支援事例といたしましては、例えば、有効活用されていない貸出し可能店舗の掘り起こしや、創業者等とのマッチング支援などにより、減少続きでありました会員店舗が増加に転じた事例などがございます。

○中田委員 都として様々、商店街支援のメニューをつくっていることは大変すばらしいことだと思っておりますが、なかなかそれを活用し切れていない商店街があるのも事実です。今、おっしゃられていたリノベーションの事業も、これは東京都が全額負担で支援をするというものですから、ぜひその支援事例、結構いろいろといい事例が出てきている現状がある中で、それをしっかりといろんな商店街へ波及していく、入り口のハードルを下げる努力を東京都には求めます。
 そして、東京都商店街チャレンジ戦略支援事業についても伺います。
 コロナの影響で当初計画どおりのイベント実施が難しい中、計画変更せざるを得ないケースが少なくありません。
 計画変更や、キャンセル等を行う場合の事前の支出に対して、東京都としてはどのような対応を行っているのか伺います。

○緑川商工部長 今年度は、新型コロナウイルス感染症の見通しが不透明なことを踏まえまして、事業内容を変更する場合には、区市町村を通じて事前協議をいただくことで計画変更に対応するとともに、例年一回としておりました新規イベントの申請受付を二回とする仕組みも取り入れております。
 また、イベントを中止した際には、事前準備やキャンセル費用などに係る経費も補助対象としております。

○中田委員 イベントを中止した際や、事前準備やキャンセル費用なども補助対象にしていることは評価をいたしますが、なかなかこれに対して補助が出るということを知らない商店街もあるのが事実です。しっかりと、東京都としては、商店街に寄り添って支援を広めていただきたいと思います。今後の支援をお願いいたします。
 続いて、テラス営業の支援について伺います。
 道路占用許可基準の緩和を活用してテラス営業を行う飲食店に対して支援を現在行っていますが、その事業概要と実績について伺います。

○緑川商工部長 テラス営業支援事業は、商店街等の団体が、道路等におきまして、国や都などから占用許可基準の緩和を受けた場所を活用し、飲食事業者が臨時的にテラス営業を行う場合、それに必要となる経費の三分の二を、一実施場所につき十万円を上限に支援する事業でございまして、昨年度の事業開始から本年十月末までの間に五十件の申請を受け付けております。
 本年九月には、国による道路占用許可基準の緩和の期限が今年度末まで延長されたことを受けまして、申請受付期間を延長することといたしました。

○中田委員 この支援は国の事業が基となっており、現在の助成期間が今年度末までとなっております。ぜひ関係部局とも連携をしていただき、国には延長を求め、飲食店等の通常営業に戻る中の支援をさらに行っていただければと思います。
 今、なかなか、このコロナ禍というところで、室内で飲食をするより、やはりテラス等で飲食をしたいという方がいるのも実際です。ですので、ぜひ引き続きの支援を東京都としても求めるよう要望をいたします。
 続いて、東京二〇二〇大会に向けた宿泊施設、飲食店の受動喫煙防止対策支援事業について、この事業の目的と、大会が終わった今、これまでの施設ごとの実績について、そしてこの事業を実施することによって得られた効果について伺います。

○築田観光部長 都では、東京二〇二〇大会に向けて、国内外の旅行者が東京での滞在を楽しむことができるよう、宿泊施設や飲食店による喫煙専用室の整備等を支援してまいりました。
 令和元年度の事業開始以来、五百五十件の飲食店と十三件の宿泊施設でご利用いただきました。
 この事業の実施によりまして、受動喫煙防止対策が円滑に進むとともに、旅行者がこれらの施設を快適に利用できる環境が整備されたと考えております。

○中田委員 受動喫煙の防止については、都としても条例を制定し取り組んできたものであり、ぜひこの支援についても、東京二〇二〇大会等に関係なく、宿泊施設、飲食店の喫煙専用室の整備については、東京都として支援をさらにお願いいたします。
 そして、続いて都内の観光産業について伺います。
 観光事業者、宿泊業、そして観光バス等のコロナ禍での経営状況について、東京都としてはどのように認識をしていて、どのように支援に取り組んでいくのか伺います。

○築田観光部長 感染症拡大の影響で国内外からの旅行者が大きく減少し、本年八月の都内の宿泊施設における客室稼働率は三九・五%と二〇一九年八月と比べて半減するなど、都内の観光産業は厳しい経営状況に置かれております。
 都は、宿泊施設等の感染防止対策とともに、観光事業者による新たなビジネス展開や、旅行需要の回復を見据えた準備を支援しており、引き続き、感染症対策の徹底と事業活動の両立に向けた取組を後押ししてまいります。

○中田委員 今、コロナの新規陽性者数の数が減る中で、国内旅行の需要も上がっています。もちろん感染者数に注視しながらではありますが、都民割等の再開もぜひ検討していただき、観光業界への支援を引き続きお願いいたします。
 そして、海外からのビジネス客の入国制限が緩和され、次の段階として、海外からの旅行者の来訪に備える必要があります。
 一方で、PCR検査体制や接触アプリなどの普及が進んでいない日本は、来訪先として避けられる可能性もある中で、今後どのような課題があり、東京都としてはどのような対策が必要と考えているか伺います。

○築田観光部長 海外の十五都市に設置しております東京観光レップからは、東京への旅行意欲が高いことに加えまして、東京の感染防止対策や観光地の情報を望んでいる声があるとの報告を受けております。
 そのため、都は、インバウンド回復を見据えまして、外国人旅行者の訪都意欲をつなぎ止めるため、都内の観光施設等における感染防止対策などの情報を発信してまいりました。
 引き続き、安心して訪都旅行が楽しめるよう、的確な情報の発信に努めてまいります。

○中田委員 東京観光レップの話にもあるように、東京への旅行意欲が高いことをプラスと捉え、しっかりと誘致ができるように、感染防止対策の情報発信を積極的に行っていただくこと、そして、旅行を受け入れる側の事業者がしっかりと感染対策を取れるように、今までも支援していただいているのは重々承知はしていますが、これからも十分対応ができるよう、都として様々な面からの支援をお願いいたします。
 そして、訪日旅行客に向け、東京の産業の魅力発信を引き続き行っていく必要があると考えます。都としては、東京二〇二〇大会の機会を捉えて、有楽町の東京スポーツスクエアでイベントを行いました。
 この取組の実績と成果はどうだったのか、また、その成果を今後どう生かしていくのか、併せてお伺いをいたします。

○勝見企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 東京二〇二〇大会の機会を捉えまして、東京や日本各地の産業や食などの魅力を発信するため、東京スポーツスクエアで、Tokyo Tokyo ALL JAPAN COLLECTIONを開催いたしました。
 本イベントでは、応募いただいた全国自治体や都内中小企業、団体など八十者が参加し、展示、販売、実演などを通じて、伝統や技術、観光や農林水産のPRを行いました。
 東京スポーツスクエアには、オリンピック及びパラリンピックの期間に約三万九千人の来場がございまして、海外メディアにも取材していただきました。
 本イベントにつきましては、来場者の方々の声などを参加団体や関係部署へ共有を図りまして、施策に反映させてまいります。

○中田委員 今、答弁にもありましたように、ぜひ関係部署としっかりと共有を図って、これで終わりのイベントではなくて、しっかりと今後の施策に反映をお願いいたします。
 そして、訪日旅行者誘致に向けては、アジア十都市と連携してウエルカム・アジアキャンペーン事業が行われています。
 まず、この事業の内容について伺います。

○築田観光部長 ウエルカム・アジアキャンペーンは、都をはじめとするバンコク、デリー、ハノイなどアジア十都市が連携し、旅行者誘致に向けまして、各都市における観光振興の取組に関する情報交換や、専用のポータルサイトを通じた観光情報の発信などを行う事業でございます。

○中田委員 続きまして、この事業へのコロナの影響は今どのようなことになっていて、その対応についてどのように行っているか伺います。

○築田観光部長 世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大によりまして、オンラインで、各都市における感染状況や観光産業への支援策などの情報交換を行っております。
 また、コロナ終息後の誘客促進に向けまして、世界中の人々から各都市の思い出の観光スポットの写真を募集するフォトキャンペーンや、相互観光PRを実施しております。

○中田委員 ありがとうございます。
 繰り返しにはなりますけれども、このコロナ禍で、観光業界は大変な打撃を受けています。コロナの今の状況もしっかりと推移を見極めなきゃいけない中ではありますが、訪日観光客誘致のための活動、そして東京の魅力アピールを引き続きお願いいたします。
 最後に、コロナ禍におけるMICE、とりわけ国際会議誘致に向けた質問をいたします。
 MICEの開催は多くの訪日旅行者を呼び込むことで高い経済波及効果をもたらすとされていますが、現在、都の支援の状況について伺います。

○築田観光部長 都は、数年先の国際会議の誘致に向けまして、主催者への支援や施設のPRなど、様々な施策を展開しております。
 また、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、国際会議は対面での開催が困難となっていることなどから、オンライン会議設備の導入に必要な経費の助成などを行っております。

○中田委員 ありがとうございます。
 このコロナ禍で、会議の方法も多種多様になっています。答弁にあったように、オンラインの会議の設備導入への支援をするとともに、ハイブリッド会議等に対して柔軟に支援を行っていただき、国際会議の誘致、そしてそこから訪日旅行客の誘致を行って、経済の回復への寄与を含め、総合的に誘致、支援を行っていくことをお願いをいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○磯山委員 それでは、私からは、産業労働局の事業について、農業、テレワーク、アニメやゲームといったソフトパワーを生かした産業振興の観点から、今年度の取組状況について伺ってまいります。
 東京二〇二〇大会は、一年遅れの開催にはなりましたが、国内外から多くのトップアスリートが東京を訪れました。
 そのアスリートが宿泊した選手村では、メインダイニングをはじめ、全国の食材を使用した日本食を提供するカジュアルダイニング等において、様々な飲食が提供されました。これらの様子について、各国の選手がSNSでダイニングのメニューを紹介して話題になるなど、大会の食に関する話題は記憶に新しいところであります。
 これまで都は、大会開催都市として、食の面から大会の成功に貢献すべく、東京産の食材供給に関わる生産者や団体への支援を行ってきたと聞いております。こうした取組により、東京二〇二〇大会を契機として東京産食材が広く知られることは、大変意義があると考えます。
 そこで、選手村ダイニングへの食材供給について取組内容と実績を伺います。

○龍野安全安心・地産地消推進担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都は、東京二〇二〇大会への東京産食材の供給に向け、生産者の意向調査や食材供給に関する説明会の開催、さらに、生産者団体等と供給量の調整などを実施してまいりました。
 あわせまして、選手村で使用する食材の調達要件となっておりますGAP認証農産物などを確実に供給できるよう、生産者団体に対しまして、集荷、加工、納品のコーディネートに要する経費を支援いたしました。
 その結果、東京産食材は、コマツナやアシタバなどの農産物やソデイカなどの水産物に加え、トウキョウXやノリの佃煮など計十四品目が供給され、カジュアルダイニングでは、食材を供給した都道府県の中で最多の品目数となっております。
 また、都立農業系高校の全八校が食材供給に参画し、次世代の農業を担う生徒の皆さんが育てたトマト、ナス、メロンが提供され、新鮮なサラダやフルーツ盛りでアスリートに提供されたところでございます。

○磯山委員 東京で生産された様々な食材は東京二〇二〇大会を契機として広く知られたところでありますが、今後も東京産食材の魅力をより一層発信していただきたいと思います。
 ただいまの答弁にあったように、東京二〇二〇大会の選手村に提供された東京産の農産物は、大会の食材調達基準を満たすGAP認証を取得しているとのことであります。
 都は、農林水産省のGAPガイドラインに準拠し、都独自のGAP認証制度を創設し、認証取得を推進してきたと伺っております。
 そこで、改めて東京都GAPに取り組む意義とこれまでの実績について伺います。

○龍野安全安心・地産地消推進担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 GAPは、適切な工程で農産物を生産することにより食の安全や生産性の向上を実現するものであり、農業経営の改善が図られることはもとより、環境保全にもつながり、東京農業の持続的発展に資する重要な取組でございます。
 都は、国の制度に加えまして、住宅地と隣接しているなど都市農業の特徴を反映した都独自の東京都GAP認証制度を平成三十年度に創設しており、これまで、都内農業者の認証取得拡大に向け、普及指導員によるきめ細かな指導や、認証取得に必要な施設整備等の支援を行ってまいりました。
 その結果、現時点で累計百二十七件の農業者が東京都GAP認証を取得しております。

○磯山委員 ただいまの答弁で、東京都GAPの実績等を示していただきました。今後も、東京都GAP認証の取得を希望する農業者が円滑に認証を取得できるよう、引き続き農業者の支援に積極的に取り組んでいただくことを要望しておきます。
 東京の農業は、生産地と消費地が近接しており、収穫直後の新鮮な農産物を供給できることなどから、令和二年度のインターネット都政モニターアンケートにおいても、約八割が東京に農業、農地は必要と回答するなど、都民の農業に対する期待は高まっております。
 この東京の農業を次世代に着実に引き継ぎ、残していくためには、農業の持続的発展が必要不可欠であります。そのためにも、東京都GAP認証のより一層の取得促進を図っていく必要があります。
 しかしながら、私の地元小平市では、東京都GAPの認証を取得した農業者数は、都内最多であるものの、まだ約一割程度と伺っております。
 東京二〇二〇大会への食材供給が終了した今こそ、都内の農業者がGAP認証を取得するメリットを実感できるように取り組んでいくことが重要であると考えますが、都の取組を伺います。

○龍野安全安心・地産地消推進担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 東京都GAPの認証を促進していくためには、認証を取得することが販路拡大による収益向上等の農業者のメリットにつながっていくよう取組を進めていくことが重要でございます。
 このため、都は昨年度から、都内の百貨店やスーパーにおきまして認証農産物の販売イベントを開催し、GAPや認証農産物に対する一般消費者の認知度向上を図るなど、認証取得者の販路開拓を支援しております。
 加えまして、本年十月には、認証取得者を対象に、認証農産物をECサイト等で販売するためのノウハウを学ぶ販路開拓セミナーをオンラインで実施しており、十八名が参加しております。
 今後は、新たな取組といたしまして、百貨店やスーパー、レストラン等のバイヤーが参加するオンライン商談会を十一月に開催するなど、多様な支援策を展開し、東京都GAPの認証取得者を後押ししてまいります。

○磯山委員 都民の声に応えるためにも、東京農業の持続的発展のために、東京都GAP認証取得者数の増加に向けて、しっかりと取り組んでいただきますことを要望しておきます。
 次に、地産地消の推進について伺います。
 東京都GAP農産物も含め、地元の新鮮な野菜が直売所で人気を博しており、都においても地産地消が進んでいると感じております。
 私の地元小平市では、日本栽培発祥の地であるブルーベリーなんですけれども、ブルーベリーをはじめ、梨やブドウなどの果樹、トマトやナス、トウモロコシなどの新鮮な野菜が盛んに栽培され、季節ごとに旬の農産物が直売所をにぎわしております。
 また、地産地消は、生産地から消費地までの輸送距離が近いため、エネルギー消費量やCO2排出量が少ないなど、環境負荷が少ないというメリットがございます。
 一般のスーパーマーケットの生鮮食料品コーナーではほとんどが他県産であり、地元の農産物を楽しみたいという都民の期待に応えるためにも、東京産農産物の地産地消を推進していくことが重要であると考えますが、都の取組をお伺いいたします。

○龍野安全安心・地産地消推進担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都は、地域における地産地消をより一層推進するため、令和二年度から、区市町村等における地場産農産物の消費拡大に向けた取組を支援しております。
 具体的には、区市町村、JA、NPO等が実施するマルシェ等の販売イベントや、地元野菜の学校給食への供給、情報発信のためのPR等に係る経費の一部を三か年にわたり補助しております。
 特に、初年度の補助率を高く設定し、手厚い支援を行うことで、地域の創意工夫による新たな取組が早期に軌道に乗り定着につながるよう後押ししており、今年度は四区市に対して支援を行っております。
 こうした取組を通じまして、東京における地産地消の一層の拡大を図ってまいります。

○磯山委員 地産地消に期待する都民の声に十分に応えるためにも、この事業を都内の各地域で積極的に展開し、今後も地産地消の取組を後押ししていただきますようお願いを申し上げます。
 次に、テレワークについて伺います。
 テレワークの実施は、コロナ禍において、感染拡大防止のための人流抑制策として、大幅に拡大をしてまいりました。そうした中で、自宅でのテレワークは、通信環境などが整っていないことや、テレビ会議が可能なスペースがないことなどが課題となっております。また、キッズスペースなど、多様な機能を持つワークスペース、施設を求める声も聞いております。
 その解決に向けては、テレワーク環境が整備されたサテライトオフィスが有効であります。都は、サテライトオフィスの普及に向けて、施設の少ない多摩地域におけるモデルオフィスの運営や、整備費等の補助を実施していますが、これまでの取組内容と実施状況について伺います。

○村西雇用就業部長 都は、自宅以外の場所でもテレワークを実施できる環境の整備を進めるため、多摩地域において、職住近接を実現するサテライトオフィスをモデル的に整備しております。
 府中市、東久留米市、国立市の三か所に設置しておりまして、今年度は九月末までに延べ約一万四千人の方が利用しております。
 また、民間事業者等が多摩地域にサテライトオフィスを設置する際の整備や運営に係る経費の補助も実施しておりまして、昨年度までに十九施設、七百九席を支援するとともに、今年度は十二施設、四百四十八席の申請を受け付けております。
 今年度の補助金の申請では、通信設備や個室スペース、会議室などが整った施設のほか、子供の見守りサービスを提供するなど、育児との両立を図る多様な働き方を可能とする施設計画も提案されております。

○磯山委員 子育てスペースなどのあるサテライトオフィスの整備は、働く方々の選択肢を増やすものであり、評価できるものであります。
 こうした施設に加えて、自宅に近い地域の身近な会議施設や飲食店など、テレワーク専用の施設でなくとも、通信環境などが整っていれば、仕事をする場として利用する方も多いと考えます。また、事業者にとっても、既存スペースを有効活用した経営の多角化が可能となります。
 私の地元小平の喫茶店でも、都と経済団体がモデル事業として実施しているテレワークコーナーがありますが、この事業の取組内容と実施状況について伺います。

○村西雇用就業部長 都は、地域の身近な場所でテレワークが実施できる環境を整備するため、経済団体と連携し、空き店舗等を活用して小規模なテレワークコーナーを設置するモデル事業を、八月末から多摩地域の五か所で実施しております。
 各施設におきましては、喫茶店の空きスペースやショッピングモールの空き店舗のほか、学習塾の空き時間などを有効活用し、通信環境などの整った個室やブース席を備え、低額で利用できる施設となっております。
 モデル事業の開始以降、十月末までに五施設で約百四十名の方に利用されておりまして、引き続き利用促進に向けた周知に努めてまいります。

○磯山委員 モデル的に整備された五か所のテレワークコーナーは、これまでに延べ百人を超える方々に利用されていますけれども、施設を実際に利用した方や事業者からは、どのような意見が寄せられているのか伺います。

○村西雇用就業部長 モデル事業の施設の利用者からの意見としては、なじみの店なので利用しやすかったや、在宅に比べ適度な緊張感があり、作業がはかどったなどの声がございました。
 また、運営事業者からは、新たなサービス導入により初めて来店された方もいて、当店を知っていただくよい機会になったといった声も寄せられております。
 一方、利用時間を時間単位から十五分単位としてほしい、ウェブ会議や電話ができるスペースが欲しいなど、利用者からの要望があり、運営事業者からも、テレワークコーナーとしての認知度の向上が課題との声もあります。
 都としましては、こうした様々な意見を今後も引き続き調査し、モデル事業の成果を取りまとめ、テレワークコーナーの設置を検討する事業者に提供するなど、身近な場所でテレワークが実施できる環境の整備を進めてまいります。

○磯山委員 第五波が終息した今、第六波への備えも重要でありますけれども、アフターコロナのテレワーク支援の在り方を検討しておくべきであるとも考えております。危機時には人流抑制策が必要でありますけれども、コロナ後は、生産性の向上と、女性や障害者の方々など、活躍推進といった観点からテレワークを推進し、多様な働き方の選択肢の一つとして、一層の定着を図っていくことが重要です。
 こうしたサテライトオフィスのモデル事業においても、地域のコミュニティビジネスや様々なイベントなどとも連携するなど、地域振興に資する取組に発展させていただきたいと思います。
 また、サテライトオフィスを運営する事業者が、例えば保育施設やカフェなどを併設することでサービスの付加価値を高めることは、さらなる利用の促進に向けて効果的な取組だと考えております。
 今後も、運営事業者や利用者の様々な声に耳を傾けていただきながら、引き続きテレワークの一層の推進につなげていただきますようお願いを申し上げます。
 最後に、ソフトパワーを生かした産業振興について伺います。
 まず、アニメ等を活用した観光振興についてですが、都内には、アニメや漫画、ご当地キャラクターなどの観光資源が数多く存在しており、作品ゆかりの場所やアニメ関連施設等を訪れて観光を楽しむ方々がいらっしゃいます。
 私の地元小平市でも、栽培発祥地であるブルーベリーをモチーフにしたキャラクターやご当地ヒーロー、また、お隣の東久留米市では、手塚アニメ「ブラック・ジャック」などを活用した観光振興に取り組んでおり、こうしたコンテンツは地域の魅力の発信に大変効果的であります。
 そのため、アニメなどの観光資源を活用した地域の取組を後押しすることなどが重要と考えますが、都の取組状況について伺います。

○築田観光部長 都は、区市町村や観光協会などを対象に、地元ゆかりのアニメ等のコンテンツを観光資源として活用し、国内外の旅行者の誘致につなげる取組を支援しております。
 今年度は、地域の観光施設等で行うアニメやご当地キャラクターの企画展示などのイベント、モニュメントやデザインマンホール蓋の制作など十四件を採択いたしました。
 また、こうした支援に加えまして、都内に点在する公園や博物館等の観光資源を一体的に紹介することによりまして地域の回遊性を高めるため、本年十月末から年末まで、都内の全区市町村の観光スポットやデザインマンホール等を巡るデジタルスタンプラリーを開催しております。

○磯山委員 先日、スマートフォンのアプリを使って老朽化したマンホールを撮影し、投稿するとポイントや特典が得られるというゲームイベントに多くの人が参加しており、地域貢献にも一役買っているということを耳にいたしました。
 また、答弁にもあった、地域にゆかりのあるキャラクター等のデザインマンホール蓋の制作支援や、それらを巡るスタンプラリーも、インフラを観光コンテンツとして活用する取組であり、地域の活性化にもつながるものと考えます。
 都には、幅広い旅行者の誘客や地域の回遊性向上のため、アニメやインフラなどの地域資源を活用した観光振興に引き続き積極的に取り組んでいただくことを要望いたします。
 続いて、東京eスポーツフェスタについて伺います。
 eスポーツは、バーチャルリアリティーなどの新たな技術が取り入れられており、日々、新たなコンテンツが創出されています。オンラインで世界中のプレーヤーとの対戦を通じたコミュニケーションを図れることもあり、コロナ禍にあって、その市場を急激に伸ばしてきております。
 また、子供から高齢者、性別や障害の有無にかかわらず楽しむことができることもeスポーツの特徴であります。リアルスポーツとは異なり、障害者の方も健常者の方と同じ大会などに参加できるのも魅力の一つであり、その産業自体に多くの可能性を秘めております。
 都においては、他の自治体に先んじて、eスポーツ関連産業の振興のため、東京eスポーツフェスタを開催しておりますが、障害者の方など、様々な方が参加できる大会運営を行っていくべきであります。
 今年度もフェスタの開催が予定されていますが、これまでの取組状況と、障害者をはじめ様々な方々が参画できる工夫について伺います。

○緑川商工部長 東京eスポーツフェスタは、eスポーツ関連産業の振興などを目的といたしまして、産業の盛り上げにつながりますeスポーツ競技大会と、中小企業のビジネスマッチングを創出する関連産業展示会などを実施しております。
 昨年度は、感染症の影響を踏まえまして、オンライン形式により開催をしておりまして、動画配信プラットフォームで競技の模様などをライブ配信した結果、開催期間中におけます総視聴者数は約十四万回に達しております。
 今年度は令和四年一月二十八日から三十日までの三日間で開催を予定しておりまして、東京ビッグサイトの会場とオンラインの双方でフェスタに参加していただけるよう準備を進めております。
 また、多様な方々が楽しむことができるeスポーツの魅力を発信するため、過去のフェスタでは、障害を持つeスポーツプレーヤーが登壇し、その活動を伝えるセミナーなどを開催しております。
 今回のフェスタにおきましては、障害を持つ方が使いやすいよう改良いたしましたコントローラーが使用できるようにするなど、多様な方々にご参加いただけるよう工夫を凝らした運営を行ってまいります。

○磯山委員 障害を持つ方も楽しんでもらえるような工夫がなされていることが分かりました。
 このように、eスポーツは、多くの方が楽しむことができ、地域の活性化にもつながるものと考えております。
 これまでのフェスタは主に区部での開催でありますが、より裾野を広げた活性化を図るため、新たに多摩地域でのイベント開催も期待して、私の質問を終わります。

○田の上委員 私からは、障害者の就労支援について伺います。
 ご案内ではございますが、本年三月より、障害者の法定雇用率が二・二%から二・三%に引き上げられ、国、地方公共団体は二・六%へ、都道府県の教育委員会は二・五%となりました。
 以前より指摘されていたことではございますが、大企業では法定雇用率の達成割合が高い一方、企業規模が小さくなるほど達成割合が低くなります。
 厚生労働省の令和二年障害者雇用状況の集計結果によると、千人以上の規模の企業では六〇・〇%に対し、四十三・五人から百人未満の企業では四五・九%であります。
 従来、身体障害者の方は多く採用されますが、比較すると知的や精神の方の雇用はなかなか難しい状況であるといわれてきました。
 中小企業の方からは、大企業、官公庁において身体障害者の方の積極的雇用が多く、知的や精神障害者の採用を大企業、官公庁でもっと進めてもらいたいというご意見もいただいているところです。
 障害種別雇用状況では、五十七万八千二百九十二人中、身体障害が三十五万六千六十九人で六一・五七%、知的が十三万四千二百七人で二三・二%、精神は八万八千十六人で一五・二二%となっております。
 四十三・五人以上の規模とはいえ、中小企業では全体の雇用人数の少ない中での採用であり、大企業とは異なる雇用の課題を抱えていると認識しております。
 そこで、障害種別の就職の状況と近年の傾向、中小企業における雇用促進のための対策を伺います。

○鈴木事業推進担当部長 東京労働局によりますと、昨年度、都内の障害種別ごとの就職件数は、身体障害では新規の求職申込み五千六十五件に対して就職が千二百三十二件、知的障害では二千七百五十七件に対して千四百四十七件、精神障害では八千二百五十九件に対して二千四百五十二件でございまして、精神障害の新規求職申込件数及び就職件数は、身体障害、知的障害に比べて多くなっております。
 また、コロナ禍の影響を受けた昨年度を除き、平成二十七年度から令和元年度までの五年間の推移で見ますと、身体障害者及び知的障害者の新規求職申込件数及び就職件数はおおむね横ばいか減少傾向となっておりますが、精神障害者は増加傾向が続いております。
 このため、都は、精神障害者等の雇用の促進と定着に向けまして、精神障害者等を初めて雇用する中小企業に対し、雇用前の環境整備から定着まで、専門的な知見を有する経験豊富なアドバイザーが伴走型でサポートする事業を実施しております。
 昨年度は、新たに四十三社の中小企業に対して支援を開始しており、このうち、本年九月末までに二十二社が、本事業を利用して初めて障害者を雇用しております。

○田の上委員 数字だけ見るとなかなか分析が難しいところではございますが、新規求職申込件数、また就職件数とも、数では精神障害が多いということでございます。
 また、都の方では、精神障害者等を初めて雇用する中小企業に対して、アドバイザーが伴走型でサポートする事業を実施していただいているということでございます。現場の意見もございますが、定着の難しい障害種別に対して、今後ともより一層のサポートを展開させていただきたいと要望いたします。
 昨今、障害者雇用において、テレワークやサテライトオフィスが職場の選択肢の一つとなっております。
 環境面、制度面の整備と、サテライトオフィス勤務場面における障害特性に合わせた雇用管理という二つの事業者側からの課題の解決として提示されているものと認識しております。
 コロナ禍において、障害者にもテレワークを適用している事業者もあると考えますが、障害者就労におけるテレワークの状況について伺います。

○鈴木事業推進担当部長 都が昨年度実施したアンケート調査によりますと、障害者を雇用している企業のうち、テレワークを全員に導入しているは四一・八%、障害者へは導入していないは二〇・八%、導入していないは三六・三%でございました。
 また、障害のある社員のテレワークの導入形態につきましては、複数回答で、在宅勤務が一〇〇%、自社専用のサテライトオフィス勤務が六・八%、シェアオフィス等のサテライトオフィス勤務が五%でございました。

○田の上委員 障害者に対して導入していない企業も二〇・八%とのことでございます。また、テレワークの導入形態は、在宅がほとんどというか全部であるという、中心であるということでございます。
 事業者側からしますと、雇用においてサテライトオフィスを勧められることがありますが、本来の障害者雇用と異なるようで違和感があるという意見もあります。コロナ禍でのテレワークでほとんど家にいるために、家族の負担が増大したという話もあります。また一方で、人間関係を築きにくい被雇用者にとっては、テレワークで安心感を得ているという声も聞いているところです。
 このように、テレワークを進めることによる障害者のメリット、デメリットはどのようなものがあると考えているのか認識を伺います。

○鈴木事業推進担当部長 都のアンケート調査によりますと、テレワークを導入した結果、よかった点は、障害のある社員の通勤負担を減らすことができたが六五・九%、障害のある社員が落ち着いた環境で業務をすることができた、感染症等の非常時でも障害のある社員が業務を続けることができたがともに三七・二%でございました。
 また、テレワークを導入した結果、課題に感じた点は、コミュニケーションを取りづらいが四一・五%、テレワーク時に行う業務を質、量とも十分に提供できないが三二・二%でございました。

○田の上委員 令和二年度障害者の新しい働き方調査報告書も拝見をいたしましたが、おおむねコロナ禍でのテレワークでよかった点が目立つと思います。
 今後、テレワークを定着させる企業も多いかと思います。そうしていかなければいけない方向性もあります。
 一方で、課題として、コミュニケーションを取りづらいということをはじめ、モチベーション維持が難しいというような意見もあります。障害特性もございますが、今後もヒアリングや分析を重ねて、課題の解決に向けてのご努力をお願いしたいと思います。
 コロナ禍の影響で、売上げが減少したり、回復がなかなか難しい事業者もいるかと見ております。この中で障害者の法定雇用率を達成することはなかなか容易ではないと推測いたします。
 国では、ミスマッチを防ぐための障害者トライアル雇用制度があり、本年度からはテレワークも見据えてトライアル雇用期間を延長するという拡充策が打ち出されております。
 コロナ禍の障害者雇用における施策について見解を伺います。

○鈴木事業推進担当部長 都は今年度、障害者のテレワークに取り組む企業を対象に、専門のアドバイザー等が、テレワークの導入コンサルティングから障害者の職場定着まで二年間にわたり一体的な支援を行いますとともに、業務上必要な文字入力ソフトなど機器の導入経費の一部を助成するモデル事業を開始いたしました。
 十月末時点で、情報通信業や物流業など九社を採択しておりまして、テレワークで行う業務の切り出しや円滑なコミュニケーションの取り方等について、具体的な助言を行っております。
 また、今月中旬に中小企業向けの障害者雇用支援フェアをオンラインで開催し、企業の先進的な取組事例やテレワークに必要な就労支援機器等を紹介するなど、コロナ禍における障害者雇用の促進に向けて情報発信を行ってまいります。
 さらに、障害者を正規に雇い入れた企業等に対しては、従来より、障害者一人当たり最大で百五十万円の奨励金を支給しております。

○田の上委員 コロナ禍における障害者雇用としては、やはりテレワークが中心になっているものと見受けられます。先ほどの、導入から職場定着まで二年間にわたり支援するという事業もしていただいているということでございます。
 また、テレワーク以外では奨励金の例を挙げていただきましたが、これは従来からあるものですが、六か月間、雇用をしないと奨励金は申請できないんですけれども、この六か月間の雇用というものまで続かないという例も結構ありまして、特にこのコロナ禍では、また、法定雇用率の達成できていない企業にとって、初めて雇用する場合には導入支援というものにさらに力を入れていただきたいと思っております。今後、回復をしていかなければいけない、コロナの影響を受けた企業に対しての障害者雇用を進めるに当たっては、工夫を重ねていっていただきたいとお願いをいたします。
 さて、特別支援学校では、高等部で三年間、作業に取り組んでいく中で、就労への道を開くための教育を進めているところと、福祉就労先は生活介護でよいと早々に決めてしまうケースがあります。
 教育庁にも及ぶ事項ではありますが、障害のある学生が就業することの意味と目的を関係局で共有する必要があると考えます。
 障害者就労の本来の意味について産業労働局の見解を伺います。

○鈴木事業推進担当部長 都内在住、在勤の障害者一人一人がそれぞれの個性や能力を生かして活躍できる社会の構築が重要であると考えておりまして、関係局とも連携しつつ、障害者の働く機会を拡大するとともに、就労支援や定着支援の取組を実施してまいります。

○田の上委員 それぞれの個性や能力を生かして活躍できる社会の構築が重要であるというふうにおっしゃっていただきました。
 私は、長年にわたりまして、保育などをはじめ、働いている人たちの政策をたくさん取り組んできたものでございますが、その中で、働くということの意味を常々考えてまいりました。
 先ほど入江委員もおっしゃっておりましたが、労働による対価を得ることで自信につながるとおっしゃっていたかと思います。私も同じように思いまして、賃金という価値を生み出す労働というものは、それを経験することは、障害がある、なしにかかわらず、どんな人にとっても重要であるというふうに考えております。
 先ほど来、テレワークの話にはなっておりますが、個性と能力をどのように生かせるかということは、やはり機会をどれだけ広げられるかというところから始めなければならないと思います。ぜひとも、教育庁を含め関係局との連携をさらに密にしていただき、取組を進めていただきたいとお願いいたします。
 さて、民間企業に就職したのはよいが、その後続かないという例を多く聞くところであります。
 二〇〇二年から、障害者の雇用の促進等に関する法律、雇用促進法によりまして、職場適応援助者、ジョブコーチが配置されております。そして、東京都でも独自にジョブコーチの事業をこれまでずっと進めてきたものと認識をしております。
 国のジョブコーチの制度は、配置型、訪問型、企業在籍型ジョブコーチの三種類があるものと認識していますが、このうち企業在籍型ジョブコーチは、企業において雇用されていることもあり、企業側に立っているため、働いている者からすると、相談等もままならないという声を聞いております。
 民間企業の就業において、第三者的な立場でのジョブコーチを配置する必要があると考えますが、都の取組を伺います。

○鈴木事業推進担当部長 都は、障害者が安心して働き続けられる職場環境の整備を通じて障害者の定着を支援するため、豊富な経験やノウハウを持つ東京ジョブコーチの派遣を実施しております。
 本事業のジョブコーチは、都の養成研修を修了した方が、有償ボランティアとして東京ジョブコーチ支援センターに登録する方式を取っておりまして、障害者が就業している企業を訪問して、業務内容の検討や職場内の支援体制づくりなど、様々な助言を行っております。
 障害者一人につきおおむね二十回以内を目安に支援を実施しており、各職場のニーズに応じて、一週間連続しての訪問や、一年間にわたる月一回のサポートなど、柔軟な対応を行っております。
 現在、本事業では七十七名のジョブコーチが登録しておりまして、昨年度と今年度の事業規模八百件に対し、昨年度はコロナ禍の影響等を受けて六百四十件、今年度は九月末までに四百九十一件の支援を実施いたしました。

○田の上委員 このジョブコーチにつきましては、もう十年ぐらい前からずっと質問をして、ほかの方もそうですけれども、いろいろ増やしていただいたり、検討していただいたものだと思います。一人につきおおむね二十回以内が目安ということでありますが、ニーズにより柔軟な対応もしているということでございます。
 東京ジョブコーチは、企業在籍型ジョブコーチがいる企業内においても、就業者の意思によって活用できるものであるかどうか確認をいたします。

○鈴木事業推進担当部長 東京ジョブコーチは、障害者を雇用している企業が国の制度である企業在籍型ジョブコーチを選任している場合にも、都内在住、在勤の障害者を対象に支援を行う仕組みとなっております。
 また、本事業は、雇用企業からだけではなく、障害を持つ就業者等からも申込みを受け付けておりまして、障害者のニーズに応じたきめ細かな助言や調整を実施することにより、その職場定着を支援しております。

○田の上委員 雇用企業からだけではなくて、障害を持つ就業者からも申込みを受け付けているということでございます。
 しかしながら、先ほど一人につきおおむね二十回以内ということが目安ということもありまして、常にいてくれるという人とはまたちょっと違うのかなというふうに思っておりますが、この先、障害者の立場、それから事業者の立場、両方に寄り添った支援を進めていかなければいけないと思います。例えば、事業所の中では、先に就職した障害を持った方の先輩がメンター役となって、相談役となっているというような事例も聞いております。
 今後、様々な研究を、私も含め重ねていきたいと思いますので、今後ともご支援のほどよろしくお願いいたします。
 次に、外国人の労働についてです。
 出入国在留管理庁によりますと、令和三年上半期における外国人入国者数、新規入国者数と再入国者数の合計は十四万一千百六十七人で、前年同期に比べ、三百九十四万九千百二十四名減少、九六・五%減少でございます。新規入国者数は、五万五千百四人で、九八・四%減少とのことです。
 その新規入国者の中では、技能実習一号ロ、二万一千八百八十六名、前年比四二・七%減ではありますが、それが最も多くて、全体の三九・七%を占め、次いで短期滞在、留学という順番になっております。
 このコロナ禍におきましても、技能実習で来日する方はいらっしゃったかと思います。平成三十年に外国人の技能実習の適正な実施を妨げる不正行為を行ったと認められる旨を通知した外国人技能実習生の受入れ機関は百十二機関とのことです。平成二十九年に不正行為を通知した機関は二百十三機関、その前の年、平成二十八年は二百三十九機関なので年々減少はしているものの、それでもまだ不正行為が認められているだけでもかなり多くあります。
 労働時間や賃金不払い等に係る労働関係法令の違反に関する不正行為が九十四件で五五・〇%と最も多く、次いで不正行為を隠蔽する目的で偽造、変造文書等を行使または提出したことに関する不正行為が三十八件、二二・二%となっています。
 外国人の相談については、東京都労働相談情報センターなどで受けているものと思いますが、労働問題など、相談の内容の状況について伺います。

○村西雇用就業部長 労働相談情報センターでは、外国人労働者の労働問題の解決やトラブルの未然防止を図るため、様々な労働相談に対応しております。
 センターにおける外国人労働者等からの今年度の労働相談の件数は、九月末現在で、一千百七件となっております。主な相談項目としては、解雇や退職に関することのほか、職場の嫌がらせや休業、賃金不払いに関することなど、労働条件に関わるものが多くなっております。

○田の上委員 相談項目としては労働条件に関わるものが多いということでございます。
 技能実習制度は、労働力不足で担い手を必要とする事業者側、外国人労働者側の双方にメリットがあるといわれてきました。
 厚生労働省のデータ等を勘案すると、外国人労働者の多い産業は、製造業、卸売業、小売業などが挙げられます。製造業などの場合、単純作業が多く、業務委託のような形で働いている労働者もいると考えられます。
 東京都の最低賃金は、本年十月より時間額一千四十一円に引き上げられましたが、業務委託にした場合などは出来高払いとなってしまうので、そういった時給額にも達しません。
 他県の事例ではありますけれども、この単純労働により、本当に長時間、休憩もなく働いていて、かなりの低賃金であったというような問題がありました。裁判にもなりました。
 今後、外国人労働者を守るためにも、労働関係法等の周知徹底をするべきと考えますが、技能実習生を受け入れるなど、外国人労働者を雇用する事業者に対して、どのように啓発をしていくのか伺います。

○村西雇用就業部長 労働相談情報センターでは、外国人に関する法令改正などの際に、外国人労働者を雇用する事業主に対しまして、労働関係法令等の基礎知識のほか、労務管理のポイントやトラブルへの対処法などを内容とする労働セミナーを開催してきております。
 今後も、外国人労働者の雇用環境の改善を図るため、こうしたセミナー等を開催するなど、外国人労働者を雇用する事業主に対して普及啓発を行ってまいります。

○田の上委員 ぜひ普及啓発をしっかりとしていただきたいと思います。
 問題があっても発覚しないケースもあるかと思いますし、外国人労働者がなかなか声を上げられないというケースもございます。
 東京都労働相談情報センターにおける相談対応の言語について伺います。

○村西雇用就業部長 労働相談情報センターでは、外国人からの労働相談に対応するため、英語と中国語の通訳を配置しております。
 また、より多くの外国人労働者の相談に対応するため、テレビ電話による通訳も導入しておりまして、対応言語は、英語、フランス語、中国語のほか、タイ語やベトナム語、ネパール語など、十三の言語での相談に応じております。

○田の上委員 十三の言語で相談に応じてくださっているとのことでございます。
 SNS対応の相談については、現状、実施していないものと認識をしておりますが、どのように外国人に情報提供をし、相談を受け入れているのか伺います。

○村西雇用就業部長 都は、労働相談情報センターが実施している労働相談に外国人労働者の方がアクセスし利用できるよう、ウェブサイトにおきまして、センターの労働相談サービスを英語で案内しております。
 また、労働契約や賃金、休暇、解雇などに関する日本の労働法の規定のほか、社会保険制度などを解説するハンドブックやリーフレットを複数の外国語に翻訳し、ウェブサイトにおいて提供しております。
 今後も、外国人労働者の方に対する労働相談の情報提供等につきまして、効果的な取組を引き続き研究してまいります。

○田の上委員 外国人の労働者は、何が労働法違反なのかそもそも分からないという場合がありますので、労働法や社会保険について翻訳をしてリーフレット等にまとめていただいたりしているということ、評価をいたします。
 そのハンドブックやリーフレットは、詳細版、簡易版含めて六言語で作成とのことでございます。
 これは一例でございますが、外国人技能実習機構というところの令和二年度の業務統計によりますと、国籍、地域別の職場実習計画認定件数の構成比では、ベトナム、中国、インドネシア、フィリピン、ミャンマー、タイ、カンボジア、モンゴルなどの順番でありました。大体おおむねほかのところもそんな感じだと思います。
 今後も、英語ができない方というのも結構いますので、様々工夫をしていっていただきたいと思います。
 そして、最後にSNSについて要望をさせていただきます。
 私が取り組んでいる中で聞いた事例がございます。
 外国人の方で、携帯電話を本国から持ってきて、ただ電話の契約は日本ではしないで使っていると。インターネットだけ使っているんですけれども、インターネットの料金を払うこともないので、フリーWi-Fiのところに行く。例えばコンビニに行くなどして情報を得る。ですので、電話の通話ができないという方がかなりいらっしゃるというふうに聞いております。
 そういった事例も考えますと、今後の相談ツールとしましては、やはりSNSを増やしていくべきではないかというふうに考えております。
 本当に外国人の方は情報量不足であります。その中で労基法違反、自分たちでは気がつかないこともあります。
 気がついても、おかしいなと思っても誰に相談したらよいか分からないということがありますので、まず、このアクセスの方法、それから、情報のリーチの仕方、こういったものも常に研究していただきまして、ぜひとも今後とも対応を要望したいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。
 以上で終わります。

○玉川委員 まずは産業交流展について伺います。
 中小企業が新たな取引先を開拓する上で、展示会は非常に有効な手段であります。
 私が大田区議会議員として在職していたときには、大田区内で開催される展示会場に足を運ぶ機会が何度もありました。出展されている町工場や中小企業の方々、また、来場された方たちと直接お話をした際に、新たな販路拡大につながったという声を多く耳にし、展示会の重要性を改めて認識したところであります。
 昨年度東京都は、コロナ禍の中にあっても展示会を中止することなく、DXを活用し、完全オンラインで産業交流展を開催したと聞いております。商談の機会を確保するという観点からも非常に有意義な取組であったと思います。
 しかし、オンライン展示会と聞くと、講演会やセミナーの配信などは容易に想像がつくのですが、それ以外の部分については、運営に当たって難しい点も多かったと想像いたします。
 そのような中で、オンライン展示会を開催した成果について伺います。

○緑川商工部長 昨年度オンラインで開催いたしました産業交流展は、製品、サービスのPR動画や講演、セミナーの配信に加えまして、オンライン商談機能等を活用いたしました結果、約七百の企業、団体が出展いたしまして、約一か月間の開催期間中に千二百四十三件の商談が行われました。
 出展した企業からは、オンラインにより時間や場所の制約を受けることなく円滑な商談が進み、成約につながった、首都圏外の事業者との新たな契約につながったなど、多数の声をいただいております。
 コロナ禍により、リアルによる展示会の開催が難しい状況の中でも、オンラインにより開催したことで、中小企業の新たな販路開拓の機会確保につながったものと認識をしております。

○玉川委員 一か月間の会期中に千二百件以上の商談、平均して一日四十件ほどの商談が行われたということになります。コロナ禍という状況でありながらも、よい成果なのではないでしょうか。
 初めてのオンラインでの展示会で、出展者と来場者は不慣れな面も多く、商談などの進め方について不安を感じたところもあったことと思います。
 現在は緊急事態宣言も解除され、コロナの新規感染者数は落ち着きを見せております。経済活動も徐々に再開し、イベントの人数制限も緩和されたことで、リアルの展示会の中止が減少してきていると聞いています。
 そのような中、今年度は昨年度のオンライン展示会の成果も踏まえながら、リアルとオンラインを併用したハイブリッド形式で産業交流展を開催すると聞いていますが、今回、ハイブリッド形式で開催する理由を伺います。

○緑川商工部長 リアルで開催してまいりました産業交流展では、来場者と出展者が直接コミュニケーションを図れることに加えまして、展示品に直接触れることでよさが実感できるなどのメリットがございました。
 一方、オンライン展示会では、チャットやウェブ会議の各機能を用いることで、時間や場所の制約を受けず、簡単に商談ができるなどのメリットがございました。
 こうした双方の強みを生かすとともに、三密防止などの基本的感染対策の徹底を図る観点から、今年度はリアルの展示会とオンラインの展示会を組み合わせたハイブリッド型の展示会を開催することといたしました。

○玉川委員 基本的な感染対策の徹底を図り、リアル展示会とオンライン展示会との双方の強みを生かしたハイブリッド形式で開催する理由は分かりました。
 現在、新型コロナウイルスの新規感染者数は低く抑えられていますが、中小企業にとって重要な販路開拓の手段である展示会については、アフターコロナを見据えた新しいやり方を模索していくことが重要です。
 産業交流展は、これまでの実績も踏まえながら、よりよいものにしていく必要があると思いますが、今後の開催についてどのように考えているのか伺います。

○緑川商工部長 コロナ禍でリアルによる展示会開催が制限される中、昨年度、DXを活用したオンライン展示会を開催し、リアル開催と同等の成果が得られたと考えております。
 一方、直接交流できるリアル展示会に大きな期待を寄せている出展者や来場者も多くいらっしゃいます。
 このため、今後の感染状況や、来場者、出展者双方の声も参考にしながら、ハイブリッド形式による産業交流展の開催方法について検討してまいります。

○玉川委員 リアルの展示会では、展示品に直接触って、手触りや硬さ、重さなど、五感で感じることができたり、出展者との名刺交換の際にはここだけの話ができたりなどのメリットもありますが、時間や場所の制約を受けないというメリットのあるオンライン形式との双方の強みや、さらなる新技術を生かして、今後も進化を続けていく展示会の開催を期待いたしまして、次の質問に移ります。
 中小企業の従業員の人材育成に対する支援について伺います。
 コロナ禍が長期化し、中小企業の経営は大変厳しい状況にあります。
 今後、中小企業が競争力や生産性を高めて業績を回復させるためには、従業員一人一人のスキルアップが経営戦略上の重要な取組となります。
 都は昨年度、我が会派の要望も踏まえ、コロナ禍において中小企業の従業員が休業やテレワークなどの在宅勤務で生まれた空き時間を有効に活用して、オンラインでスキルアップを図るための支援を新たに開始しておりますが、この事業の今年度の実施状況について伺います。

○村西雇用就業部長 都は、中小企業が行う従業員の方のeラーニングを活用した研修など、スキルアップを図る取組に対して、助成金による支援を実施しております。
 本事業が助成対象としている研修の具体的内容としては、新入社員や管理職層ごとに行う職層別の研修や、建築土木関連の施工管理技士等の資格取得の講座、さらにはマーケティングなどの実務に役立つ講座など、各企業の人材育成の目的に応じた多様な内容となっております。
 今年度は、これまでに四百七十七社の中小企業が本事業を利用し、三千三百三十六人の従業員のスキルアップの向上に活用されております。

○玉川委員 コロナ禍で導入した支援ではありますが、三千人を超える大変に多くの中小企業の従業員の方たちに利用されており、ニーズに合った効果的な支援であると思います。
 オンラインでの訓練は、中小企業の人材育成の新たな方法として定着することが見込まれますので、引き続き継続して実施していかれることを願います。
 次に、高齢者雇用の促進について伺います。
 今年の四月に改正高年齢者雇用安定法が施行され、七十歳までの就業確保措置を講じることが企業の努力義務となりました。
 人生百年時代を迎え、高齢者の方が元気に働き続けられる社会をつくることは、東京の持続的な成長を維持していくことにも資するものであります。
 このような中で、第二の人生における職業、すなわちセカンドキャリアをどのように過ごすか、どう充実させるかについて思い悩む方も多いと聞きます。
 今後、シニアの方が、年齢にかかわらず生き生きと活躍し続けるためには、現役時代に培った経験やスキルを生かせるよう、あらかじめ準備しておくことや、新しい分野、職種にもチャレンジしていくことのマインドチェンジが求められます。
 都は、シニア世代の方に対して、セカンドキャリアの形成に向けた準備やマインドチェンジへの支援を進めていくべきと考えますが、その取組状況について伺います。

○村西雇用就業部長 都は、シニアの方が定年後にも自分に合った働き方で活躍できるよう、セカンドキャリア塾として、六十五歳以上の方向けのコースや、五十五歳以上六十四歳までの現役世代の方向けのコースを設置し、高齢期の就労に必要な知識を付与する講座を開催しております。
 六十五歳以上の方向けのコースでは、キャリアの棚卸しやマネープラン、高齢者が活躍している企業への見学など、六か月間の講座内容としております。
 また、現役世代の方向けのコースは、定年後のキャリアデザインや高齢者の求人の状況、多様な働き方などにつきまして、平日夜間と土曜日に学ぶ二か月間程度の講座となっております。
 今年度は、六十五歳以上のコースにおきまして、多数の応募者がいる状況を踏まえ、定員を九十六名から百五十名へ拡充しているほか、現役世代の方向けのコースでは、オンライン講座を新たに開始するなど、シニア世代のセカンドキャリア支援を強化しております。
 十月末時点におきまして、六十五歳以上の方向けのコースは受講者百五十四名、現役世代の方向けのコースは受講者五十名となっております。

○玉川委員 セカンドキャリア塾は、講座の内容が高齢期のセカンドキャリアを形成する上で大変役に立つ内容となっており、大変人気があると聞いております。
 また、今年度は、現役世代の方向けに新たにオンライン講座の開設など、規模の拡充を行っているとのことですので、広報にも力を入れていただきたいと思います。
 高齢者雇用をより一層推進していくためには、高齢者が働きがいを持って取り組める仕事の創出も大事です。これまで培ってきた経験や能力を生かしてまだまだ仕事をしたいと考える高齢者の方は数多くいらっしゃいます。
 しかし、企業の求人内容は清掃や警備等の職種が多く、シニアの就業ニーズとのミスマッチが起きている状況です。
 このようなミスマッチを解消するために、都はキャリア・トライアル六十五を創設し、高齢者の人材活用ニーズのある企業とのマッチングを図っていますが、本事業の実施状況について伺います。

○村西雇用就業部長 都は、高齢者就業におけるミスマッチを解消するため、高齢者の就業ニーズが高い事務職やIT技術職等でトライアルでの派遣就労を行い、実践的な業務スキルをOJTで身につけながら再就職につなげる事業を実施しております。
 今年度は、派遣先で円滑な就労が可能となるよう、シニアを受け入れる企業のニーズや、自らの経験を職場で生かすノウハウなどについて学ぶ研修を新たに派遣前に実施するとともに、トライアル派遣就労の機会を二回まで拡大することによりまして、マッチングの効果を高めております。
 今年度の九月末時点で、本事業による派遣就業希望者として、百九十八名の方の登録がなされております。

○玉川委員 トライアル派遣就労の機会が二回まで実施できることによって、高齢者が自らの希望や適性に見合った再就職が実現できるようになったことは効果的な改善だと思います。引き続き、高齢者雇用の取組の強化をお願いいたします。
 セカンドキャリアで同業種の仲間たちと一緒に小さな会社を起業して、大きな企業にいたときには制約があってできなかった夢であった製品を開発できたといった喜びの声を聞いたことがあります。
 人生百年時代、シニア世代であってもまだまだ夢を追うことができる、そのような可能性を開いていけるような多角的な取組を今後も続けられていくことを要望しまして、全ての質問を終了いたします。

○清水委員 それでは、私から農業の問題と中小企業支援についてお伺いしたいと思います。
 先にまず、農業の支援についてです。
 生産者の顔が見える安全・安心な地場野菜、地場農産物に対する、消費者のニーズだけではなくて、今は防災や景観など、農地が持つ多面的な機能などから、都市部の農業、農地に対する評価は高まっています。
 しかしその一方で、輸入農産物などによる価格の低迷や相続税などの負担の重さ、高齢化や後継者不足などによって、農家や農地の減少が続いています。
 さらに来年二〇二二年には生産緑地の約八割が期限を迎え、一気に農地が宅地化して失われる危険性をはらんでいます。
 そのような中で、国は都市農業振興基本法を制定して、地方公共団体に都市農業の振興に関する基本計画の策定を求め、東京都では新たな東京農業振興プランが策定され、都市と共存し、都民生活に貢献する力強い東京農業を目指して、担い手の確保、農地の保全、持続可能な農業と地産地消の推進、地域の特色を生かした農業の推進を柱に取組が進められています。
 最初に、農地の保全についてお伺いします。
 東京農業振興プランでは、減少した農地の多くは市街化区域内の農地で、特に宅地化農地の減少率は三八・八%と大きいことを指摘しています。
 農地の保全のためには、長期間にわたって営農することが保障される生産緑地を確保する、このことが大切です。今ある生産緑地をできる限り残すことはもちろんですけれども、新たな生産緑地の追加指定を行っていかなくてはなりません。
 二〇二二年に期限を迎える生産緑地の意向調査が区市町村によって、今行われていますが、生産緑地を継続する、この意向はどのくらい確認されておりますでしょうか。

○山田農林水産部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 現在、八割を超える都内の農家が特定生産緑地へ移行する見通しとなっております。

○清水委員 ありがとうございました。八割を超える都内の農家が特定生産緑地へ移行する見通しということでした。
 東京都の農業振興プランでは、二〇一五年時点での生産緑地は三千二百二十四ヘクタール、この八割が移行したとすると約六百五十ヘクタールは失われる、二割、つまり六百五十ヘクタールが失われる可能性があるということになります。
 日野市では、所有者が余裕を持って特定生産緑地への移行の手続ができるように、二〇一九年から指定手続を進めて、生産緑地の所有者に資料を送付する、繰り返し地域で説明会を行う、こうした生産緑地を残す努力を繰り返し行っています。それでも二〇二〇年三月末の時点で、対象者約四百人のうち申請をされたのは六割という厳しい状況になっています。
 来年の期限までに、今ある生産緑地を残すためにあらゆる手だてを尽くす本気の構えが求められています。
 さて、都市農地を保全していくための法整備によって、生産緑地の貸借も可能になって、市民農園や福祉農園、農業公園など、農地保全の取組の選択肢が広がりました。
 東京都は、都市農地保全支援プロジェクト、それから生産緑地買取・活用支援事業、都市農地活用推進モデル事業、これを実施して都市農地の保全、生産緑地の拡大の取組を進めています。
 これらの事業について、三年間の実績をお伺いします。

○山田農林水産部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都市農地保全支援プロジェクトでは、平成三十年度から令和二年度までの三年間におきまして、防災兼用農業用井戸や、農薬飛散防止施設などの整備を行う二十三区市に支援いたしました。
 生産緑地買取・活用支援事業では、事業を開始した令和元年度から二年間で、区市から生産緑地の買取り、活用についての申請はございません。
 都市農地活用推進モデル事業では、生産緑地の買取りのモデルとなりますインキュベーション農園につきましては、令和元年度に用地を取得し、二年度に施設を整備いたしました。
 また、生産緑地の貸借のモデルとなりますセミナー農園につきまして、令和元年度に候補地を選定し、二年度に農園設計と事業者の決定を行いました。

○清水委員 ありがとうございました。
 生産緑地買取・活用支援事業、つまり、自治体が生産緑地を買取りの申出があったときにそれを買い取って活用する、こういう事業を始めているんだけれども、また、東京都はそういうことを活用してこういうことができるというようなモデル事業もやっているんだけれども、この二年間でその制度を実施したいと申請したところはないというふうな話でした。
 日野市でも、相続などで生産緑地の買取りの申出が出た場合には、大体は宅地として売り出されますから、大きな農地ですと億単位になります。これを買取り申請が出されても、なかなか購入できるというものではありません。
 来年生産緑地の期限を迎えて、買取り申請が一斉に出てきたときに、区市がこれを買い取るというのは、今の制度のままではとてもできないというふうに思うんです。この制度を抜本的に強化をする、こういうことをしないと、そのチャンスが失われるということになるのではないでしょうか。ぜひこの制度を財政的に抜本的に強化することを求めておきたいと思います。
 次に、都内の農業は、地方に比べて面積が小さい農地を家族で経営している、こういう特徴を持っています。
 そこで収益を上げるためには、例えばハウスのトマト栽培のような収益性の高い施設栽培、やりがいがあってかつ安定的な収入が見込める学校給食、まとまった現金収入が年度頭に入る農業体験農園、こうしたものを組み合わせると経営が安定して収入も増える、こういうふうに農家から伺いました。
 最初に、都市農業振興施設整備事業についてお伺いします。
 日野市では、ヤシガラ栽培、ヤシガラの培地をたる容器に入れて、溶液栽培でトマトを生産する、たるトマトの生産が行われています。高い収益を上げられる一方で、ハウスを覆うビニールなどの更新や燃料代、水や培養液を、コンピューターシステムで管理もしなければいけないので、多額の費用がかかります。
 ハウスを建設するときの支援だけではなくて、こうしたビニールや燃料、システム、維持管理や改良に関わる経費についても支援をすべきと考えますが、いかがでしょうか。

○山田農林水産部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 農業経営におきましては、初期投資の負担軽減を図ることが特に重要であることから、都市農業振興施設整備事業につきましては、施設整備に係る経費を対象としており、維持管理や改良など、通常農業者が負担すべきランニングコストにつきましては、対象とはしておりません。

○清水委員 初期投資がメインでランニングコストについては対象としていないというふうな答弁でしたけれども、都の農業振興プランでも、狭い農地で高い収益を上げられる施設栽培というのは推進しているんですよね。
 しかし、その支援は立ち上げの時期に限定されるというふうになって、しかも東京の農地は狭いので、大きなハウスを造ってたくさんの収益を上げるということができないので、コスト負担はかなり重くなるんです。そういう中で、維持管理の支援、こういうところの支援なくては、都市農業は守っていくことはできないというふうに思います。
 ぜひ、ハウス整備後の維持管理、ビニールなどの張り替えや燃料代への補助、こうしたものも行えるように制度の拡充を求めます。
 次に、都市農業振興施設整備に対する補助についてお伺いします。
 この制度は、最低金額二百万円以上が対象となっています。
 都市化が進んだ都内の農地は小規模な農地が多くなっている、このことを踏まえて、小規模な施設も補助対象となるように、補助事業の対象額の下限をなくす、こうした制度の拡充が必要だと考えますが、いかがでしょうか。

○山田農林水産部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都市農業振興施設整備事業では、認定農業者の経営力の強化や新技術の導入、生産基盤の高度化を目的としておりまして、一定の機能や規模を有する施設等を補助対象としていますことから、一事業当たりの下限額を二百万円としております。

○清水委員 この補助制度は、認定農業者、つまり一定の規模、一定の収益を上げられる、地域でいえばかなり大きな農家が対象なので、一事業当たりの下限を二百万円としているということでした。
 しかし、繰り返し述べていますように、東京の農業の特徴というのは、家族経営の小規模農家が多いということです。
 規模や売上額が大きい認定農業者だけではなくて、即売所への出荷を中心にしているような、そういう小規模農家まで残さなければ東京の農地はなくなってしまいます。補助対象の拡大、対象額の下限の撤廃を求めておきたいと思います。
 次に、農業体験農園についてお伺いします。
 農業体験農園は、一区画年間四万円から六万円の利用料を年度頭に支払いまして、農家の指導を受けながら、畑作り、野菜作りをする、こういうふうなシステムで、農家にとっては、作物ができてから収入が入るのではなくて、年度頭にまとまってお金が入るということで、農業経営の安定につながります。
 また、農家と利用者が農家の指導を受けながら野菜作りをするので、交流をしたりもできるので、農業への理解を深めることができる。また、生産緑地の貸借ができるようになって、後継者がいない農地を残すためには有効な手段となり得るなど、本当に大事な事業だというふうに思っています。
 しかし、体験農園の講習会の準備、交流会の企画、こうしたことを農作業と一緒に進めるというふうになりますと、講習会と農作業は大体同じ時期にやることになってしまうので、手が足りなかったり、なかなか負担が大きくて、理解をしていただける農家がやっていただいているというところが実情ではないかというふうに思います。なかなか、制度は始まったけれども、爆発的に増えていくというふうにはなっていません。
 こうした面を補うために、講習会や日常の管理のお手伝いを行う人材支援が求められていると思いますが、いかがでしょうか。

○山田農林水産部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都は、農業経営の一助にもなります広域援農ボランティアを育成しておりまして、農業体験農園の運営につきましてもその活用が可能となってございます。

○清水委員 農家が高齢化する中で、草刈りなどに手が回らない、高額な耕運機の更新ができずに廃棄をしてしまって、更新をされずに今度は耕作する手が回らない、耕作放棄の農地が出てしまうなどの事態が起きています。
 高齢になっても農業が続けられるように、続けていただくためには、そうしたところへの支援が必要です。
 都の広域ボランティア事業の今年度の実績について、まずお伺いしたいと思います。

○山田農林水産部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 令和三年十月末現在の広域援農ボランティアの登録会員数は、千五百三十五人でございまして、新型コロナウイルスの影響もある中で、四月から十月までで延べ五百四十人を登録農家に派遣しております。

○清水委員 また、身近な区市町村でも援農ボランティアの養成の事業を行っています。そうした援農ボランティアが卒業後、グループをつくって農家への支援、こうしたことも行っています。
 私が知っている事例では、高齢化してなかなか畑の草取りとかができなくて、そういうところに援農ボランティアが行ってトラクターをかけている、こういう事例もありました。
 しかし、援農ボランティアは農業機器そのものは持っていないんですね。たまたま農業委員の方が貸してくれたのでそういうことができたんですけれども、これから高齢化していく、こういうことを考えると、そうしたことへの支援、それから、区市町村が行っている援農ボランティアの育成事業、こうしたところへの支援が求められていると思いますが、いかがでしょうか。

○山田農林水産部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 区市町村が行っております援農ボランティアの養成につきましては、都の政策連携団体の東京都農林水産振興財団が各地域のボランティアに対して、農業技術に関する就業研修を実施するなどの支援を行っております。
 また、日常の農作業に使用する農機具等につきましては、ボランティアを受け入れる農業者が提供すべきものと考えております。

○清水委員 ボランティアを受け入れる農業者が農機具を提供すればいいということなんですが、話がかみ合っていないんですけれども、高齢化して後継者がいないと高額な農機具が壊れたときにそれを新たに買い直す、更新するということがなくなるんですよ。
 そうすると、農家なのに耕運機だとか大型の農機具を持っていない、そういう農家が出てきているんです。そのためには、農業機械の共同利用、こういうものが必要になってきているんです。そうしたことへの支援というものを求めています。ぜひご検討いただきたいと思います。
 近年、B級品の農産物などをフードバンクに提供する、こうした取組が行われていますけれども、コーディネーターがいないとなかなかマッチングがうまくいかないなど、様々な課題も抱えています。
 こうした農産物の活用に対する支援も求められていますが、いかがでしょうか。

○山田農林水産部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 農業経営の観点から、都は、規格外など販売が難しい農産物を加工品の材料などに活用できるよう、加工のための施設を導入する場合の支援や、専門家によるアドバイスなどを実施しております。

○清水委員 大量に出る規格外品というのは、加工品にするという方法は大変有効だというふうに思うんですけれども、私がイメージしているのは、地域の農家が作って、売ることができない規格外品というとかなり少量、多品目なんですね。
 なので、一つの品目を大量に一時期に必要とする加工品の原材料とはなかなかうまくいかないんじゃないか。むしろ、そのまま生で食べていただく、こうした提供の仕方が一番有効だというふうに思います。
 食品ロスをなくすという観点からも、様々なところでフードバンク、また子供食堂への提供、こうしたことがボランティア団体で行われています。こうしたところに出荷ができるような支援ができないか。
 例えば、出荷そのものはただで提供していただくんだけれども、品物を集めに回るボランティアの費用ぐらいは出そうとか、そういうふうなことが、支援が検討できないか、ぜひ検討をしていただきたいというふうに思います。
 これで農業の関係の質問は終わります。
 次に、中小企業関係についてお伺いします。
 長期間にわたるコロナ禍の下、広範囲に及ぶ事業者が深刻な影響を受けています。とりわけ飲食店などは、繰り返し発令された緊急事態宣言などに伴う時短、自粛要請によって打撃を受けました。
 日本共産党は、自粛は補償とセットで行うよう繰り返し求めてきましたけれども、東京都は補償は国が行うものとの立場にとどまっています。
 しかし、国の持続化給付金も家賃支援もたった一回きりで、繰り返される自粛要請に対する補償は極めて不十分です。今、緊急事態宣言が全面解除されましたが、客足は戻ってはいません。
 しかし、支援は終了し、本格的な不況がやってきた、こういう懸念の声も上がっています。中小業者、小規模事業者の皆さんが安定した経営の軌道に乗るまで、都の丁寧な支援が求められています。
 最初に協力金についてお伺いしますが、先ほどの質疑の中で、実績については説明がございました。その質疑の中で、今後の課題については、協力金の一層の支給の迅速化を図ることが必要だというふうな認識が示されました。
 議会でも度々、協力金がなかなか支給されない、遅い、こういう議論が続いてきました。
 お伺いしたいんですが、今年度、一番最初に行われた四月一日から四月十一日分の協力金についてお伺いしたいと思います。
 受付件数は七万二百、十一月五日現在の処理件数は六万九千六百ということですので、処理されていない件数が六百残されています。
 つまり、申請から四か月たっても、恐らく業務委託の期間も終わっているだろうけれども、まだ残っている、こういう件数が六百ということですが、その理由、内訳についてお伺いしたいと思います。

○米澤産業企画担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 令和三年四月一日から四月十一日までの要請に係る協力金で未処理となっております五百五十八件のうち、要件を満たさず不支給となる見込みのものが四百八十二件、提出書類に不備があり再提出がないものが六十六件、現在、支給の可否を慎重に検討しているものが十件となってございます。
 なお、現在こちらの期間の協力金支給事務については、現在も委託期間中ということで、受託事業者において鋭意処理を進めているところでございます。

○清水委員 ありがとうございました。
 内訳を見ると、要件を満たさずに不支給となる見込み、これが圧倒的多数を占めているんですが、その中身というのはどういうものなんでしょうか。ご説明をお願いします。

○米澤産業企画担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 不支給となる見込みのものの具体例でございますけれども、テークアウト専門店やネットカフェといったような、営業時間短縮要請の対象ではない店舗からの申請などがございます。

○清水委員 テークアウトやネットカフェの対象外のものということであればすぐに判断がつくような気がするんですが、なぜ四か月以上たってもこれが残っているんでしょうか。

○米澤産業企画担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 テークアウト専門であるか否かなどにつきまして、申請者との間で複数回やり取りを重ねることなどによりまして時間を要しているものでございます。

○清水委員 了解です。
 先ほどの質疑の中で都は、支給事務が円滑に進むように、日々の審査実績を毎日報告させるとともに、判断が難しい複雑な案件については、都と受託事業者の間で一週間に数回のミーティングを行い、対応方法を整理することで、申請や審査の進捗を適切に管理していることや、体制を増やしたり民間活力を生かすことで、協力要請の期間が終了後すぐに申請ができるような、こういう体制を取って速やかな支給に努めているというふうなご説明がありました。
 しかし、その一方で、先ほどの答弁の中では、提出書類に不備があって再提出がないものは六十六件、こういうご答弁もありました。
 なぜ、これだけの進行管理をしながら提出書類の不備というものが残ってしまうのか。一体そういうところにどういう連絡方法で連絡をしているのか。四か月も--申請している以上、申請した協力金が欲しいわけですよね、事業者としては。それをなぜ--申請書類を出すだけ、例えば私たちのところに相談に来たのは、時短営業していることを証明する貼り紙の写真、これをつければいいということだったんです。それが分かればすぐ出せるわけですよね。
 多分それに類することではないかというふうに思うんですが、なぜこういうものが四か月たっても残されてしまうのか。こういう進行管理というのが果たして本当に適正というふうにいえるのかどうか、ちょっと疑問に思いました。
 資金繰りが厳しい事業者にとって、協力金の支給の遅れというのは事業の存廃にも影響するものです。
 感染は今、収まっているんですけれども、昨年は年末年始に急に人流が増えて感染拡大のピークが来ました。再びこういう緊急事態、蔓延防止、そういう事態がないということはいえない、いい切れないというふうに思います。
 再度の事態に備えて、協力金の速やかな支給に向けて、こうした改善、例えば書類の不備ということで何か月も残されるというふうなことはあってはならないというふうに思いますので、そうしたシステムの改善、連絡の改善をしていただきたい。
 特に、これまでの質疑の中で、あぜ上議員との質疑の中で、委託、さらに再委託、さらにはそのまた再委託というものがたくさん行われている可能性についてお話しされました。
 現場とどんどん離れていけばいくほど、そういうことが見えなくなる可能性があるわけですから、再委託を何回されてもきちんと進行管理ができる、そういうシステムをちゃんと構築する、都として事業全体を把握して適切な運用をしていただくことを強く求めておきたいというふうに思います。
 次に、経営支援についてお伺いします。
 中小企業などによる感染症対策助成事業の今年度の実績についてお伺いします。

○緑川商工部長 都は、感染症防止ガイドライン等に沿った中小企業等の感染症対策を支援しておりまして、制度開始からこれまで、約一万五千件の事業者等に交付決定を行っております。

○清水委員 緊急事態宣言が完全に解除されて、経済再生に向けて事業者の動きが強まっています。年末年始に再度の感染拡大を引き起こさないようにするためには、感染症対策をより徹底していただくこと、今までやっていないところにもきちっとやっていただくこと、それが大事だというふうに思います。
 だとすると、やっぱり感染症対策事業のさらなる普及促進、制度の拡充、これが求められていると思いますが、いかがでしょうか。

○緑川商工部長 中小企業等によります感染症対策助成事業では、東京都中小企業振興公社のホームページで制度を広く周知するとともに、地域の自治体等とも連携いたしまして、普及促進に取り組んでおります。
 なお、十月末までといたしておりました申請受付期間を十二月末まで延長しております。

○清水委員 次に、総合的な支援についてお伺いします。
 コロナ感染はいまだに終息が見えません。また、コロナ禍を通して人々の生活様式にも変化が起きています。そのような中で、たとえ感染が終息しても、単純にコロナ前に戻るということは難しいというふうに思います。事業者も社会の変化に応じた工夫や事業の転換、業態転換が求められます。
 都は、コロナの影響を受ける飲食事業者に対して、業態転換の支援を行っています。今年度の実績についてお伺いしたいと思います。また、この事業についても、やっぱり制度の拡充が必要というふうに考えますが、東京都の認識をお伺いします。

○緑川商工部長 業態転換支援事業では、制度開始から本年十月末までで九千五百八十件の交付決定を行っております。
 また、多くの飲食事業者から活用いただいている状況を踏まえまして、十月末までとしておりました申請受付期間を十二月末まで延長しております。

○清水委員 次に、一時支援金などの支給を受けた事業者への緊急支援事業についてお伺いします。
 一時金などの支援を受けた事業者というのは、大幅な売上げの減少があった事業者であるということでもあります。
 そうした事業者に、新たな販路の開拓のサポートや経営課題の解決のための設備投資支援、これが行われていますけれども、今年度の販路開拓、経営課題解決のための設備投資支援の実績について、また、この制度も今後の拡充が求められていると思いますが、東京都の認識についてお伺いします。

○緑川商工部長 一時支援金等受給者向け緊急支援事業では、本年七月から八月の二か月間で、販路開拓への支援は約一万二千件、新事業展開のための設備投資支援は約八十件の申請を受け付けております。
 また、コロナ禍で厳しい状況に置かれる中小企業を支援するため、これらの取組につきまして、本年十月に追加募集を行っております。

○清水委員 ありがとうございました。中小業者の支援については、期間の延長、また、追加募集、こうした拡充がされているということでした。引き続きの制度の拡充を求めたいと思います。
 最後に、障害者雇用への支援についてお伺いをいたします。
 発達障害を持つ方に就労する上での困っていることについてお話を伺いました。
 発達障害を持つ方からは、何かアクシデントがあった場合に、毎日スケジュールを決めていて、突然急な仕事や物がなくなったとなったらパニックになって混乱し、その日一日それを引きずってしまう、こうしたお話を伺いました。
 また、発達障害について理解のない方に、どうして同じミスを繰り返すのかと怒鳴られる。ほかの同僚の目も気になる。そうなると会社を辞めてしまう、こういうケースもあるということでした。
 障害者雇用を促進して、雇用の定着を図るためには、やっぱり受入れ体制をまず整えるということ、受け入れてから後のトラブルの解決まで継続的に支援していく、このことが大事だというふうに思っています。
 先ほどの質疑の中で、そうした寄り添い型の支援として東京都が派遣している東京ジョブコーチ支援事業について、実績の説明がありました。
 そこで、一点お伺いしたいのは、このジョブコーチ事業、昨年度はコロナの影響もあって派遣が減ったんだけれども、今年度はもう既に四百九十一件になっていて、事業規模八百とすると、もう半分以上派遣をしているということになります。
 やはり精神の障害、特に発達障害を持った、知的には遅れはないんだけれども、コミュニケーションがうまく取れない、こういう方たちも働きたいという意欲はあり、事業者も採用したいというふうなニーズはあって、その人数はだんだんと増えているというふうなご報告もありました。
 そういう中で、こういう事業というのはこれから本当に大事になってくるし、拡充が必要だというふうに思うんですけれども、その辺についてのご見解を伺いたい。

○鈴木事業推進担当部長 先ほどご答弁させていただきました実績につきましては、前年度からの継続支援分も含んでおりまして、現状の事業規模におきまして、必要なニーズに対応しているものと考えてございます。

○清水委員 現状ニーズは満たしていますということでしたけれども、やっぱり実態に応じて、これからぜひ拡充も検討していただきたいというふうに思います。
 一言で発達障害といっても、一人一人に違いがあります。こだわりが強い人、自分の思いを伝えたり、人の気持ちを酌み取ることが苦手だといった人、その人の障害の特性を理解して一人一人にしっかりと寄り添う、こういう支援が必要です。やっぱりマンパワーを増やさなきゃいけないというふうに思うんですね。
 それともう一つは、アクシデントが起きたときに、気持ちを沈めるクールダウンのスペース、こうした環境整備、職場の方々への理解、こういうことを広めるための研修や相談体制も不可欠です。
 障害を持った方たちが誰もが安心して働き続けられるように、東京都としての支援を拡充していただくように求めて、質問を終わります。

○細田委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後五時二十六分休憩

   午後五時四十一分開議

○細田委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○阿部委員 よろしくお願いします。まず、私からは、コロナ禍で厳しい状況が続く雇用への対策、特に、女性の雇用、労働環境の整備に関してお伺いしたいと思います。
 今年四月から六月の間の未活用労働力は、男性六・三%、女性八・六%と依然として高く、経済回復に向けた雇用対策、特に東京における雇用と労働所得の改善、不安定雇用と低所得の方が多い女性のそれらを改善することが重要です。
 雇用を改善、維持していくため、就労支援の中心的な政策として、公的な、または官民が連携した職業訓練のさらなる拡充、民間職業訓練等への支援強化が必要であると考えます。
 職業能力開発センターは、現在、技能系に特化をしていますが、これは、特段の技能の素養を持たない多くの求職者にとってハードルが高いものです。現在は民間への委託により実施しているような、より間口の広い科目、訓練機会へと拡大を図るべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○村西雇用就業部長 職業能力開発センターにおいて実施する訓練につきましては、原則としまして、民間の教育訓練機関では実施が難しく、十分な提供がなされていない分野や、都として政策的に必要な分野について行うこととしております。
 今後もこうした考え方の下、職業能力開発センターにおける訓練と民間委託訓練を効果的に組み合わせまして、求職者に対し、就職に必要な知識、技能の習得を支援してまいります。

○阿部委員 コロナ禍で、総務省の調査では、六か月以上仕事を失った女性は昨年秋から増え始め、今年四月から六月でも三十四万人と高止まりをしております。また、こうした状況に対応して、これまでと同じ考え方のままでいいのか、若干疑問の残るところです。
 また、委託訓練の中で、女性向け委託訓練を実施していることは評価したいと思います。ただ、女性向け委託訓練の訓練内容が求人の低い事務系やウェブ系となっており、需給双方のニーズを調査、把握し、また、求人のある業種、職種の受けやすい職業訓練を増やすなどの工夫も必要と考えますが、ご見解をお伺いいたします。

○村西雇用就業部長 都は、求人ニーズに加えまして、求職者の希望など、就労ニーズも踏まえた上で女性向けの訓練の科目を設定しているところでございます。
 具体的には、OAスキルやウェブサイト制作のほか、経理事務や医療事務などの訓練を実施しております。

○阿部委員 本日、提出をしていただいた資料の中でも、女性向け委託訓練は、応募倍率は高いのに就職率は三〇%台と、他の種別に比べても大変低くなっております。こうした状況に対して、職業訓練の量や、あるいは内容を見直していく必要があるのではないかと思いますので、ぜひご再考をお願いしたいと思います。
 さて、東京都の最低賃金が十月一日から千四十一円に引き上げられました。最賃の引上げは喜ばしいものの、最低賃金周辺の賃金の労働者などの失業を生まないよう、国の業務改善助成金の活用の周知を含め、公的な支援の拡充が必要です。
 最低賃金の周辺で働く労働者は、女性の割合が圧倒的に多いという状況も続いております。東京都には、国と連携をして、非正規雇用者の賃金の支援、無期転換の促進、女性の正規雇用就労への支援が求められます。
 具体的には、最低賃金引上げに伴う賃金改善の支援など、労働契約法二十条の同一労働同一賃金の推進支援、促進、また、労働契約法十八条の無期雇用への転換ルールの周知促進が考えられますが、これまでの東京都の取組をお伺いいたします。

○村西雇用就業部長 同一労働同一賃金への対応支援につきましては、都は、ワンストップ相談窓口を設置するとともに、人事労務担当者向けの法令やノウハウ等に関する集中講座の開催、企業への社会保険労務士等の専門家派遣を実施しております。
 また、無期転換ルールの周知の促進につきましては、労働相談情報センターにおきまして労働セミナー等を開催し、事業主や従業員の方への普及啓発を行っているところでございます。

○阿部委員 事業主や従業員の方々へのセミナー等を開催されている、そのことは評価をいたしますが、それは十分なものでしょうか。
 二年前に独立行政法人労働政策研究・研修機構がまとめた調査によると、調査時点で有期契約労働者のうち、無期労働契約に申し込む権利が発生し、既に移行を申し込んだ割合は三・一%にすぎませんでした。
 また、厚労省の令和三年有期労働契約に関する実態調査では、有期労働者のうち無期転換ルールについて、知らない、または名前は聞いたことがあるが内容は知らないという答えをされた方は、実に五七・七%に上っています。
 また、知識の入手先のうち、セミナーやシンポジウムは僅か〇・三%でした。入手先で最も多いのは派遣先や勤務先であり、このルートから徹底して繰り返し周知を図ることが効果的ではないかと思います。
 当事者の過半数が内容を知らないままで転換が進むはずはありません。実際にどれだけ移行が進んでいるかの調査も含め、結果につながる施策を求めて、次の質問に移ります。
 次に、テレワークについてお伺いいたします。
 コロナ禍の下でテレワークも進みました。東京都のテレワーク推進のための取組と、都内事業者のテレワーク実績の推移、これを踏まえた今後の施策の考え方についてお伺いをいたします。

○村西雇用就業部長 これまで都は、テレワークの導入を促進するため、セミナーによる情報提供や機器等の整備経費に対する助成などによりまして、企業を支援してまいりました。
 これらにより、都内企業のテレワーク実施率は、昨年三月の約二割から本年九月には六割を超えておりまして、引き続き、テレワークの定着と促進を後押ししてまいります。

○阿部委員 ありがとうございます。東京都の支援もあって、テレワークが進んでいるというご答弁だったと思います。
 ただ、テレワークが進み、在宅勤務が可能となっても、家事、育児の母親への負担割合はあまり変化が感じられません。
 テレワークに関しては、今年二月に連合さんがコロナ禍におけるジェンダー平等課題に関する意見交換会を開催されましたが、その中で、テレワークの影響を性別や業種、職種別、そして企業規模別に分析した上で、テレワーク下で女性の無償、有償労働の負担が過剰にならないよう、様々な施策を提言されました。
 東京都として、テレワークに伴う労働負担の増大を防ぐため、どのような取組を行っているのでしょうか。

○村西雇用就業部長 都は、テレワーク推進センターにおきまして、テレワークにおける労働時間の把握や長時間労働対策などを解説する労務管理セミナーを開催しておりまして、事業者の方、従業員の方に対し、普及啓発を図っております。

○阿部委員 ご答弁ありがとうございます。ただ、今のご答弁の中では、なかなか女性の無償労働の部分、家庭労働の部分については言及がなかったかなというふうに思います。
 このテレワークがもたらす、いわゆる負の部分、負の側面については、これもまた就業の継続に関わる深刻な問題であり、普及啓発だけで十分とはいえません。
 実態調査による課題の可視化に加え、テレワーク下でも男性の育児、家事参入を促進する、あるいはテレワークを行う親に対する保育サービスの利用支援、そしてまた、気軽に相談できるメンターカフェなどのPRの促進、こうしたことを他の部局と連携しながら、総合的に取り組むことを求めたいと思います。
 また、男性の育児、家事参入は、テレワーク下だけの課題ではありません。ワーク・ライフ・バランス全体の中で推進していくことが重要です。
 東京都が実施する働くパパママ育休取得応援奨励金の働くパパコース等の利用実績、先ほども少し質疑に出ておりましたけれども、改めてお伺いをいたします。と同時に、男性の育児参加、家事参加についての事業者側の意識醸成、あるいは男性管理職や子育て期の男性労働者に伝わる広報の強化が重要ですが、この点での東京都の取組もお伺いいたします。

○鈴木事業推進担当部長 働くパパママ育休取得応援事業のパパコースにつきまして、九月末現在の申請件数は二百四十九件となっております。
 また、中小企業の経営者や人事労務担当者等を対象に、育児と仕事が両立できる職場環境の実現や、育児休業取得後の職場復帰に向けた支援の在り方などに関する研修会を実施しております。

○阿部委員 ありがとうございます。いろいろと努力をされているということなんですけれども、従業員数の少ない中小企業においては、育休、特に男性の育休取得については、意識の問題だけではなく、人員配置の面でもハードルが高いのかなというふうに感じております。
 そうした意味では、代替人員の雇用の予算化などの取組もされていると思いますけれども、働き方の改革のポイントでもあります仕事の切り分けと見える化、こうしたことを進めていく、そうしたことの支援も必要ではないかと思いますので、ぜひ進めていただければと思います。
 次に、社会経済界での女性の活動について、一点お伺いをしたいと思います。
 まず、東京都では、全国の女性首長と、そして女性経営者が意見交換、あるいは情報交換を行う会議として、びじょんネットワークを開催されております。
 こうした取組、こうした枠組みの会議を行うこと自体は大変意義深いと思いますけれども、一点、このネーミングですね。びじょんネットワーク、わざわざこのビジョンが平仮名になっておりますけれども、そして、役所の中でも、(通称びじょネット)という通称までも役所の文書の中に書いております。このネーミングというのは非常に違和感、不快感を覚えます。自治体の中にも、このびじょネットというのを、いわゆる美しい女性のネットと誤解している例もございました。
 こうしたネーミングの選定の経緯を伺うとともに、見直しも求めていきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○緑川商工部長 女性首長によるびじょんネットワークは、女性活躍のビジョンを全国の女性首長が経営者と連携して生み出すことを目的に、令和元年度より、東京都と山形県のほか、各経済団体の協力を得ながら実施しており、この会議体の名称を略してびじょネットと称しております。
 今後とも、これまでと同様に取り組んでまいります。

○阿部委員 今のお答えでは、選定の経緯までは分かりませんでした。
 東京都が、一昔前のルッキズムを引きずるようなネーミングを行うことは、都民への誤ったメッセージになりますし、東京都が感度の鈍い自治体であるとの印象を全国に与えることになっては、都政へのマイナスにもなります。
 会議の内容自体を否定するものではありませんが、このネーミングは速やかに見直すべき性質のものであることを再度指摘しておきます。
 次に、eスポーツについてお伺いします。
 先ほども一部質疑がございましたけれども、東京都におけるeスポーツの産業振興の目的と実績、そして、今後の方向性をお伺いいたします。

○緑川商工部長 東京eスポーツフェスタは、eスポーツ関連産業の振興などを目的といたしまして、eスポーツ競技大会と中小企業でビジネスマッチングを創出する関連産業展示会などを実施しております。
 感染症の影響を踏まえましてオンライン開催となった昨年度は、競技大会と併せて実施した中小企業向けの展示会には五十社が出展をいたしました。
 今年度は、令和四年一月二十八日から三十日まで三日間の開催を予定しておりまして、中小企業の取組の後押しとなるよう準備を進めてまいります。

○阿部委員 eスポーツは今後も大きな成長が見込まれるだけでなく、関連産業も幅広い分野だと思います。また、その発展が別の産業分野を生み出す可能性もあるかと思います。
 東京都の支援は今年が三年目という、一つの節目にあるかとは思いますけれども、業界の成長段階に応じた行政としての適切な支援の在り方を今後も探っていただければと思います。
 さて、スポーツに目を向けると、経済産業省では今月、新たにスポーツ産業室を開室いたしました。東京都もスポーツそのものをビジネスとして捉え直す視点が必要ではないかと思いますが、ご見解をお伺いいたします。

○緑川商工部長 都はこれまでも、障害者スポーツに供する優れた技術、製品開発に取り組む中小企業や地域を支援してまいりました。
 引き続き、技術的なアドバイスや開発費の助成等によりまして、スポーツ用具などの開発に取り組む中小企業をサポートし、事業化に向けた支援を行ってまいります。

○阿部委員 障害者スポーツも含めたスポーツ関連産業の技術開発等の振興は大変貴重な分野であると思います。ぜひ今後も力を入れていただきたいと思います。
 また、ビジネスとしてのスポーツといった場合、こうしたものづくりの視点に加え、クラブチームの創設や育成、スポーツイベント、各種教室経営など、ソフト産業としてのスポーツという側面もあろうかと思います。東京都として広く振興を図っていただきたいと思います。
 次に、島しょ部の観光産業にコロナ禍が与えた影響についてお伺いしたいと思います。
 新型コロナウイルス感染症が観光産業全般に与えた打撃は極めて深刻です。島しょ部でのコロナ発生前からの三年間の来訪者数の推移を伺いたいと思います。また、それによる各島並びに島の観光事業者への経済への影響をどのように捉えていらっしゃるかお伺いしたいと思います。

○築田観光部長 島しょ地域におけます観光客数の推移でございますが、感染症発生前の令和元年は約四十九万人でございましたが、感染が拡大いたしました令和二年は約二十五万人と大きく減少いたしました。
 感染拡大が続きました今年はさらなる減少が見込まれることから、観光客の大幅な減少は島の観光産業や経済に深刻な影響を与えていると認識しております。

○阿部委員 本当、深刻だと思います。島という特殊性の中で、特に、そうですね、一旦来訪が止まってしまうと様々なことがそこでなくなってしまう、そのことが観光産業そのものの存続にも大きく影を落としている、非常に厳しい状態ではないかと思います。
 こうしたコロナ禍での観光客の減少への対応、また、島しょ部の観光業の収入基盤の強化のためにも、地域の特産品の発掘や開発支援、そしてまた、ブランディング、あるいは販路拡大、PR等が重要だと思います。
 東京都としてどのような取組をされているのでしょうか。

○築田観光部長 島しょ地域の活性化を図るため、都は、島しょ地域の特産品について、観光サイトなどで情報発信をしております。
 また、観光協会等による地域の特産品開発のアイデアを、民間のノウハウを活用いたしまして、事業化する取組を実施しております。
 本事業により、これまでキンメダイやアシタバなど地元の特産物を使ったお土産物の開発やパッケージのデザイン制作などを支援しております。

○阿部委員 ありがとうございます。様々な支援によって魅力的な商品ができていっている、そのこと自体は確かにそうだと思うんです。
 でも、そうやってできた商品が、では、今どこでどれだけ売られていて、そしてどれだけ売り上げて、それがどれだけ島の人たちの収入になっているのか、あるいは利益になっているのか、そうしたところまで、さっきの言葉を借りれば一気通貫で見通していくという視点が必要だと思っております。
 事前にいろいろお話を伺ったところによると、なかなかそういったことまでは局の中では分からない、あるいは把握をしていないということでした。しかし、どれだけいいものを開発しても、最終評価者というのは消費者であって、結局、売れているかどうかというのが、その開発の成否の最大の分かれ目だと思うんですよね。
 しかも、島の場合は、現地に行くのでなければ、送料がどうしても高くついてしまいます。内地の産品と比べて常に不利な競争を強いられているという状況の中で、どうやって利益にしていくのか、非常に大きな問題だと、大きなハードルを持っていると思っております。
 今、島しょ部のアンテナショップは竹芝にありますけれども、ここは島と往来がある人しかなかなか足を運ばない場所で、アンテナショップとしては不向きなのではないかと思います。にもかかわらず、ここにあり続けるということ自体に私は疑問を感じております。
 物は、いいものを作れば黙っていても自然に売れて利益が出るというわけではありません。先ほどのご答弁でも、島の観光産業、非常に深刻な影響を受けているとの認識を示されましたけれども、であれば、ぜひ収益に結びつけるところまで見通した支援をすべきではないかと思います。
 この支援の、先ほども申したように、組織として、一つの組織の中でこれが取り組めないというのであれば、まずは枠組み自体の見直し、あるいは少なくとも複数の組織にまたがってこうした振興を行っていくのであれば、目的と、あるいは熱量の共有をしていくということが必要なのではないかと思います。ぜひお考えをいただければと思います。
 最後に、アニマルウエルフェアの観点から、畜産業とその流通についてお伺いをしたいと思います。
 東京オリンピックでの食料調達については、GAP認証は満たしていたものの、ロンドン大会やリオ大会と続いたフリーケージの卵という新しい調達基準が途絶え、その意味では、残念ながら負のレガシーとなってしまいました。
 けれども、アニマルウエルフェアへの対応は今後さらに求められていくのは必至です。東京都として、その需要にどう応えていくのかお伺いいたします。

○龍野安全安心・地産地消推進担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都は、アニマルウエルフェアの考え方に即した飼育を行うため、青梅畜産センターの改築に当たり、国の指針を上回る飼育スペースを確保するとともに、冷却パネルを採用した暑熱対策などを導入しております。
 さらに、都内畜産農家が指針に沿った飼育が実践できるよう、施設整備等に対する経費の支援や技術面での指導を実施しております。

○阿部委員 一定の努力をされているということは評価したいと思いますし、また、東京という畜産農家にとって非常に制約の多い立地の中で、様々なご苦労もあるかと思います。
 しかし、国内外でアニマルウエルフェアの基準を求める消費者の声はさらに拡大をしていくことが予見をされますし、また、価格は高くてもフリーケージの卵といった多彩なニーズというのが今後さらに出てくるということは、これまた推測ができるところです。
 生産や流通の場で、これに応えるような選択肢をつくっていく、これはビジネスチャンスとしてもつくっておく必要があるのではないかと思います。
 こうした方向性はなかなか現場の農家さん、あるいは流通業者単体で打ち出しにくく、また、行政としてビジョンを示して支援をしていく必要があるのではないかと思っております。行政としての取組を期待しております。
 以上で私の質問を終わります。

○松田委員 私からは、創業と守成というテーマで幾つか質問させていただきたいと思います。
 「十八史略」の中で唐の太宗が、創業と守成いずれが難きやという話があるんですが、業をなすとき、始めるとき、そしてそれを守っていくこと、このどちらも大切だという観点で、この両観点から質問をさせていただきたいと思います。
 まず、創業について質問をさせていただきます。
 我が国は、海外と比較して創業に無関心な層の割合が高いことが課題といわれております。開業率向上のためには、起業家マインドの醸成や起業に必要な知識の習得などを通じて、起業にチャレンジしやすい環境を整備していくことが重要であります。
 東京都は、創業希望者が気軽に情報収集や相談のできるTOKYO創業ステーションを丸の内に設置をし、昨年度は立川にTOKYO創業ステーションTAMAを開設して、創業支援の強化を図っております。先ほども女性の創業について質疑がありました。
 そこで、まず、丸の内に設置をしたTOKYO創業ステーションの今年度の取組状況についてお伺いをいたします。

○緑川商工部長 都は、起業に関心のある誰もが利用でき、イベント等を通じた交流やビジネスプランの作成、融資相談、事業化支援までをワンストップで行う創業支援拠点を運営しております。
 丸の内にございますTOKYO創業ステーションでは、起業への興味を喚起するためのセミナーや交流会を、コロナ禍にあっても途切れることなく支援ができるよう、オンラインを活用し開催しておりまして、九月末までに百八十回、延べ一万四千九百二十八人の方にご参加をいただいております。
 また、起業に関する悩み、疑問に対応するコンシェルジュを設置しておりまして、九月末までに延べ千六百七十件の相談に対応するとともに、ビジネスプランをまとめ上げるためのコンサルティングを延べ三千百五十八件、弁護士や税理士、金融機関等によります専門相談といたしまして、延べ八百二十四件対応いたしました。

○松田委員 オンラインセミナーですとか、また、コンシェルジュを設置して対応していただいているというご答弁でありました。
 同じように、立川に設置をしたTOKYO創業ステーションTAMAについてはいかがでしょうか。取組状況を伺います。

○緑川商工部長 都は、創業に関する総合支援拠点でございますTOKYO創業ステーションTAMAを昨年七月、立川に設置をいたしました。
 多摩地域には多くの大学が集積していることや、子育て世代の主婦層等が多く住んでいることから、TOKYO創業ステーションTAMAでは、大学との連携や、学生、子育ての主婦層等を対象といたしました起業支援など、多摩の地域特性を踏まえた支援を行っております。
 具体的には、オンライン等を活用した起業への関心を喚起するためのセミナーや交流会を九月末までに二百二十九回開催いたしまして、延べ一万四千九百七十一人の方にご参加をいただいております。
 また、コンシェルジュによります相談対応が延べ八百八十二件、ビジネスプランをまとめ上げるためのコンサルティングを延べ九百九十件、資金調達やマーケティング等に関する専門相談として延べ三百二十三件対応するなど、丸の内のTOKYO創業ステーションとともに積極的な創業支援に取り組んでおります。

○松田委員 ありがとうございます。今ご答弁いただきまして、丸の内とTAMA、ちょっと比較してみますと、コンシェルジュに関する質問に関して、取組に関しては丸の内が、これはやっぱり立地の問題だと思うんですが、圧倒的に多いのに対して、オンラインではほとんど変わらない数ということで、これからはやはりオンラインを通じたことも非常に重要になってくるのかなと、今のご答弁で感じさせていただきました。
 そして、この起業マインドをつくるというのは、小さい頃から気持ちを醸成していくというのは、非常に大事なことであります。
 またこれは中国なんですけれども、孟母三遷という言葉がありまして、孟子のお母さんは、三遷、漢数字の三に、移る、遷都の遷ですね、何度も家移りをしたと。一番最初に住んだところがお墓の近くだと、お葬式ごっこをする。次に市場の近くに住むと、今度は商売のまねをする。最後に住んだのが学校の近くだと、孟子が勉強をするようになりましたというお話なんですけれども、子供の頃に住んだ環境、得た知識、経験というのは、非常にその後の人生に大きく影響を及ぼしますので、ぜひ小学校、中学校から起業マインドを持っていくというのが非常に大切だという視点から質問をさせていただきます。
 今、小学校の学習指導要領には、児童が社会的、職業的自立に向けて必要な基盤となる資質や能力を身につけていくためのキャリア教育の充実が明示をされております。早期の起業家教育が有効な方策と考えております。
 そこで、都は、令和元年度から小中学校向けの起業家教育推進事業を始めておりますが、今年度の取組状況についてまず伺います。

○緑川商工部長 都は、都内の小中学校における起業家教育の推進を図るため、二か年にわたりまして、起業家教育プログラムの策定や実施等を支援しております。
 今年度は、起業家教育に関する教職員向けの相談窓口を設置いたしまして、九月末までに二十四件の相談がございました。
 また、夏休みやシルバーウイークを活用した小中学生向け起業家教育体験イベントをオンラインにより四回開催いたしまして、延べ七十三名の児童生徒にご参加をいただいております。
 さらに、起業家教育プログラムの導入を希望する小中学校を公募いたしまして、小学校九校、中学校二校、合計十一校を選定いたしました。
 今後は、来年度のプログラム導入に向けまして各校に専門家を派遣し、ニーズに応じたプログラムの策定のサポートなどを行うこととしておりまして、これらの取組を通じまして、小中学生の起業への関心を高めてまいります。

○松田委員 ありがとうございます。今年度はやはりコロナの影響もあって、オンラインを中心として行ったというご答弁でありました。また、来年度は小学校九校、中学校二校、合計十一校を選定されたというお話をいただきました。
 実はこの令和元年度、私もちょうど小学校のPTAの会長を務めていて、自分の校長先生に、この産業労働局のプログラム、やりませんかというご相談をしたときに、やはり校長先生だけでは判断できないで、学年主任の先生に聞いてみると。そうすると、なかなかこれ、年八回のプログラムだったので、学校の年間スケジュール、学習指導要領が変わってだんだん複雑化する、時間が取れないという中で、年八時間は難しい、四時間ぐらいだったらというお話があって、そうすると、一方で起業家教育を請け負ってくださる方に聞くと、四時間では足りない、こんな話がありました。
 やはり学校現場に周知をするということは非常に重要なことと考えますが、こうしたコロナという状況も含めながら、教育現場でこの事業をどのようにPRをしたのかを伺います。

○緑川商工部長 事業の周知に当たりましては、調査の結果、起業家教育に関心のあった都内の小中学校千二十九校に対しまして、事業を分かりやすく解説したリーフレットを配布いたしました。
 また、教育庁の協力を得ながら、区市町村の教育委員会に対しまして、各小中学校への事業周知を依頼するとともに、起業教育と親和性の高い総合教科の科目別研究会におきまして、事業の目的や効果、教材の作成など、都の支援内容について説明をいたしました。
 これらの取組に加えまして、今年度新たに、業務多忙な小中学校の教員でも参加しやすいよう、オンラインによる事業説明会を開催いたしまして、起業家教育プログラムを実施した小中学校の教員による体験談など、成功事例を共有いたしました。
 これらの取組を通じまして、教育現場に本事業が広く普及し、起業家教育に取り組めるよう積極的にPRしてまいりました。

○松田委員 ありがとうございます。来年度は十一校で実施ということですが、またこれはぜひ拡充をしていくように、産業労働局としても教育庁と連携をして、ぜひ取り組んでいただきたいと思っております。
 次に、創業守成の守成、事業継承、次にこの事業を続けていく、つなげていく、このことについてお伺いをさせていただきます。
 多くの中小企業の経営者が高齢化によって引退することが見込まれて、そのうち半数以上の企業で後継者が未定と。これは国の調査でも出ております。このままでは中小企業の廃業が増加をして、これまで培われてきた技術や経営ノウハウが失われてしまうことが懸念をされます。
 また一方で、経営者の多くは、まだ将来の承継について十分な検討もできていないという実態があります。このために、支援に当たっては、単に窓口で待つだけではなくて、積極的に企業を回って気づきを与えていくことも重要であります。実際に、急遽事業者が体調を崩してしまって、会社がなかなか難しくなってしまったということにも私も何度も出くわしたことがあります。
 こうした観点から、都においては、これまで中小企業の事業承継を後押しするために巡回支援などを行ってきておりますが、どのような取組を行ってきたのか伺います。

○緑川商工部長 都は、中小企業の事業承継を後押しするため、支援対象企業の掘り起こしから事業承継計画の策定まで幅広い支援を実施しております。
 具体的には、十名の巡回相談員が中小企業を直接訪問いたしまして、承継に向けたアドバイスを実施しており、今年度は半年間で四百八十六社の企業訪問を実施いたしました。
 加えまして、希望する四十一社に対しまして専門家などを活用した支援を行うとともに、最長三年にわたり専門家チームを組成し、事業計画の策定や実行に向けた集中的な支援を三十三社に対して行っておりまして、これまでに製造業者が在庫管理などの経営改善を達成し、親族に事業承継をした事例などが出てきております。

○松田委員 ありがとうございます。具体的に支援につながっているということが分かりました。
 また、この中小企業を直接訪問して事業承継について気づきを与えていくという点では、資金提供に加えて様々な経営サポートを行っている地域の金融機関の役割も重要であります。信用金庫や信用組合など地域の金融機関は、地域密着型の営業によって地元企業の経営状態をよく把握して、中小企業のアドバイザー役として身近な存在であるともいえます。
 今、コロナ禍でなかなか難しいですが、新年会などがあると、各町会などにも信金さんなどは来て、ライバル同士の信金さんが一緒にカラオケでデュエットするなどして、地域にも溶け込んでいる、こういった方々を活用するというのは非常に重要なポイントだと思っております。
 この事業承継、企業の存続に関わる大変な問題であります。そして、このコロナ禍では、事業継続、業態転換や再構築などと併せて考えなければならない場合もあります。日頃から付き合いのある地域の金融機関による助言や様々な形の支援は、経営者の行動を促す上でも効果的な取組であります。
 東京都は、こうした状況を踏まえて、地域の金融機関による事業承継促進事業を行っておりますが、この事業の具体的な取組と実績について伺います。

○高野金融支援担当部長 地域金融機関による事業承継促進事業におきましては、まず、信用金庫、信用組合などが取引先企業を訪問し、事業承継の必要性について啓発を行います。
 その後、事業承継の準備状況についてヒアリングを行い、経営者の求めに応じ専門家を無料で派遣し、承継計画の作成を支援するほか、計画の実行に必要な資金の融資相談にも応じております。
 最近支援を受けた企業の中には、多角化に向けた新規事業開発などの取組を行いながら事業承継の計画を策定し、融資を受けた企業もございます。
 今年度は二十七の金融機関が千二百九十九社を訪問し、三百九社に対して専門家の派遣を実施しておりまして、今後とも、都内の中小企業の事業承継を着実に後押ししてまいります。

○松田委員 ありがとうございます。先ほどとの単純比較はできませんが、やはり地域の金融機関、公社に比べて千二百九十九社、約三倍の訪問をして、三百九社、約七倍の専門家派遣というのを実施しているということで、やはり身近なところでやっていくというのはとてもいいことだなというふうに考えます。
 こうした取組によって気づきを与えて支援を行ったとしても、実際の承継に当たっては、税理士などの専門家の委託経費など、想定し得なかった思わぬ経費がかかることがあります。円滑な承継へのハードルとなることもあります。
 都においては、こうした実態を踏まえて事業承継に関わる助成事業を行っておりますが、その取組状況についてお伺いをいたします。

○緑川商工部長 都は、中小企業の事業承継に係る経費負担を軽減いたしまして、円滑な引継ぎなどを後押しするため、経費の助成を行っております。
 具体的には、専門の相談員による支援を受けた中小企業に対しまして、相続手続に要する専門家への委託経費などを対象に、助成率三分の二、二百万円を上限として支援をしております。
 助成対象期間は採択を受けてから最長八か月となっておりまして、昨年度は十四件採択をいたしました。採択案件の中には、後継者に自社株を引き継ぐ際の株価を税理士などに算定してもらう経費や、相続に向けて、企業の財務内容などを明らかにするデューデリジェンスに係る経費への助成を行った事例等がございます。
 引き続き、事業承継に取り組む際に中小企業が直面する一つ一つの課題に対しまして、丁寧に対応したきめ細かい支援を行ってまいります。

○松田委員 中小企業を取り巻く状況は厳しさを増してきております。各企業の実態に即した手厚い支援が必要であります。
 また、事業を承継した後継者が企業を担う経営者に成長するためには、同業者とのつながりや経営ノウハウの習熟が不可欠であるため、支援の拡充を求めて、次の質問に移ります。
 最後に、農地を守っていくというところの観点から質問をさせていただきます。
 先ほども都市農地の保全について質問がありましたが、特に、二十三区では今農地が残っているというところは非常に少なくなってしまっております。世田谷、杉並、練馬、そして私の板橋でも、ここ十年で生産緑地の一割以上が宅地化をされて、十ヘクタールを切るまでになってしまっています。
 先ほど質問も少しありましたが、私も区民農園を借りておりまして、約十五年前に借りた場所、五年間で相続によって、やはり特別養護老人ホームに今変わっていて、去年まで借りていた場所、これも相続で売られて、今また高齢者施設に変わっていく。今年はまた別のところを借りている。どんどんどんどん減ってきてしまっている。
 防災の面からも非常に重要な観点がありますので、ぜひ都市の農地の保全については東京都も取り組んでいただきたいと思います。
 先ほど特定生産緑地に関しては、八割強が今移行にということでお話がありました。それに向けて、東京都は地域の農業委員会やJAなどと連携をして、少しでも多くの生産緑地が特定生産緑地に移行するように、説明会や個別訪問を行って、特定生産緑地の指定に伴う税制上のメリットや貸借による活用方法などの周知を図るとともに、相談会を開催して、個別の農家経営の状況に応じたアドバイスを行っていると聞いております。
 そこで、持続可能な東京農業を実現していくためには、都市の農地を特定生産緑地として、引き続き持ち主である農業者が自ら耕作することが最も望ましいと思いますが、農業者も、高齢化など様々な理由で自身での耕作が難しくなることも想定がされます。
 平成三十年には都市農地貸借円滑化法が施行され、生産緑地を貸借し、別の農業者に耕作してもらうという選択肢も可能になっております。この新しい貸借制度も十分に活用して、生産緑地の保全につなげていく必要があると考えます。
 こうした現状を踏まえて、生産緑地の保全に向けた貸借の促進について、都の取組状況を伺います。

○山田農林水産部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都は、農業者が自ら耕作できず、後継者もいない場合には、地域の農業委員会やJAと連携いたしまして、新規就農者等の新たな借手とのマッチングを図るなど、生産緑地の貸借を推進しておりまして、令和二年には約十二・五ヘクタールの生産緑地が貸借されました。
 また、都は、生産緑地の貸借のモデルといたしまして、高齢者の活躍を目指すセミナー農園につきまして、年明けの開設に向けて準備を進めているところでございます。

○松田委員 ありがとうございます。都民の貴重な財産である生産緑地、これを次世代に確実に引き継いでいくためには、農業の後継ぎという問題、農業における守成ということも一つ重要なテーマになります。
 農家からは、後継者がいないために農業を続けることができない、農地を手放さざるを得ないという声も聞いております。
 そこで、この農家の後継ぎである農業後継者の確保と育成に向けて積極的に取り組んでいく必要があると考えますが、都の取組状況について伺います。

○山田農林水産部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都は、就農検討期から、就農を開始し、さらに経営を発展させるまでの各ステージに合わせまして、農業に関する技術や知識を学ぶことができる総合的な育成プログラムである東京農業アカデミーを開設してございます。
 農業の後継者に対しましては、就農準備期に東京都農林総合研究センターで栽培技術を一年間体系的に学ぶ技術研修を実施するとともに、就農初期に技術や経営のフォローアップを行う二年間の研修をJAと連携して実施しております。
 さらに、DXを活用したスマート農業の研修や、収益力の向上、経営の高度化を目指す講座を実施するなど、意欲的な農業者の経営発展を支援しております。
 こうした取組によりまして、後継者の育成を後押しすることで、都市農地の保全と東京農業の持続的な発展を図ってまいります。

○松田委員 ありがとうございます。東京農業アカデミー、今年も五名ということで、先ほど来、女性活躍というお話もありましたが、女性の方も卒業されていて、来年も同じ人数ということで進められているということでありました。
 ただ、都市の農地というのは、もっとすごい速い勢いで今失われている。年間、東京都だけで九十ヘクタール、一人一ヘクタールとしても、九十人の方がいなくなる計算になります。
 板橋でも、毎年一ヘクタールずつなくなっている現状があります。人口は、板橋では二〇四〇年がピークといわれていて、そこから減っていく。そうなったときに、農地が失われて、今どんどん高齢者施設も建つ、マンションが建つ、そういったときに、人口が減っていったとき、空き家になってしまう状況も想定をされます。
 この都市の農地というのを守っていくということは、子供たちの影響にも非常にいいですし、高齢者の活動としても非常にいい、ここを守っていくことは、東京都全体の課題として非常に重要な点と考えております。
 そこで、最後に、この都市の農地の保全に対して、局長のお考えを伺って、質問を終わります。

○坂本産業労働局長 ただいま、都市の農地の保全、そういったことのありようについて考え方をというご質問でございました。
 今回、都市の農地がこれだけ、かまびすしく問題視されているという部分については、やはり二〇二二年、この時期になると、これまで三十年営々として続いてきた生産緑地のありようがどうなっていくのか、宅地化されてしまうのではないのか、それによって農業そのものがなくなってしまうのではないのか、そういう危機意識が裏腹にあるものと考えております。
 実際、私がバブルの前後に都内の住宅街を歩いておりますと、当然--先生の板橋区、世田谷区などを歩いておりますと、バブルの前ですと、栗の木などが植わっていて、いかにも農業を続けますよ、その代わり固定資産税は少し減らしてくださいという、制度化されていない中でどうやって農業を続けるかと。ただ、その当時は、宅地化という非常に圧力が強かったので、ある意味では農家は、売って宅地にするのか、このまま三十年間農業を続けるのかという厳しい選択を迫られた時期だと思っております。
 私は、そういう中で生産緑地という農業を続けるということを選択した農家の皆さん方が、この三十年の時を経てしっかりと農業をどう考えていただけるかということを常々気にしていたところでございます。
 そして、今日の事態で見ますと、約八割の方が引き続き特定という形で、特定生産緑地という形で農業を続けていただけるというようなお話をいただいております。こういう方々の熱い思いにしっかりと応えて、農地を保全して、東京の農業の保全をしっかりと進めなければいけないのであろうと、このように考えております。
 そこで、もう一つあるのが、農地は、農地だけにして存続するものではないと考えております。
 農地は、当然、農業の生産基盤でありますから、当然のことながら、農業生産物をこの大消費地が近い東京というところにしっかりと提供する販路開拓、これをやっていかなければいけない。さらには、農地を耕す、いわゆる人材の確保をしっかりと進めなければいけないと考えております。
 私どもは、八王子の東京農業アカデミーなどを活用いたしまして、新規に参入できる農業人材、これをしっかりと確保していこうと思っております。
 さらには、DXなど、そういうようないろんな手法を使って農業の生産性をこの狭い東京でいかに高めていくかと、これをしっかりとやろうとしております。
 さらには、販路開拓についても、今までのように農協とかいろんなルートを使うだけではなくて、Eコマースを使うとか斬新なやり方で新しい販路をしっかりと築いて、その上で、農業が業として成り立つと、こういう後押しをしっかりとやりたいと思っております。
 この三十年の歳月を経て、農業を続けたいといっていただいている方が非常に多いわけなんですけれども、これが特定といっても、これはまずは十年間です。十年たった時点で、農地をしっかりとまた守って農業をやっていただけるかというのがポイントになるかと思います。
 十年間だからいいんだというふうに手を抜いてはいけないと。我々としては、この十年間も引き続き、人材や販路開拓、さらには農地の保全、買取り請求なども区市をしっかりと応援しながら支えていって、この十年後も、また農業をしっかりとやっていきたいと。農地を保全すると、こういうような東京をしっかりと築き上げていきたいと、このように考えているところでございます。

○松田委員 ありがとうございました。販路開拓と人材確保を長期的視点でという熱い局長の思いをいただきました。
 共に生産者の方々、そして地元の方々と協力をして、東京都と一緒になって取り組んでいきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。

○後藤委員 私からは、テレワークの推進、若年層の雇用対策、そして、ダブルケアと仕事の両立支援という三つのテーマにわたって質疑を行ってまいりたいというふうに思います。
 テレワークに関しては、先ほども様々な、複数の委員から質疑がございました。本当にこのコロナ禍の中で、人流抑制という観点で、テレワークはかなり強力に進められたというふうな認識を持っております。
 ここで、やはり大事なのは、人流抑制の観点から進められてきたテレワークを働き方改革につなげて定着をさせていくというようなことであるというふうに思っております。
 コロナの感染状況も、今落ち着いてきているという状況の中で、また新しいフェーズに、これから企業の働き方もなっていくという中で、しっかりと振り返りをして、そしてレガシーを残していくと、こういったことが重要であるという観点から質問をさせていただきます。
 テレワークに関しては、先ほども申し上げましたけれども、本当にこの一年半、東京都もテレワークの施策を様々進めていただいた効果もありまして、テレワーク実施率につきましても、直近九月に関しては六三・九%ということで、コロナ前の三倍近くに上がっているということで非常に急速に普及しているという現状がございます。
 そうしたテレワーク、先ほど申し上げたように、人流抑制の観点から進んだ、そして東京都の施策も後押しをしたと。これをやはり定着させるということが大事でございまして、この定着に向けた施策に関して、まず、都としてどのような取組を行っているのか伺いたいと思います。

○村西雇用就業部長 都は、テレワークを感染拡大防止のための一過性の取組にすることなく、その定着を促進するため、各企業がテレワークを経営戦略に位置づけ、創意工夫による取組ルールを設定する東京ルール宣言制度を昨年十二月に開始し、これまでに約六千八百社の企業が宣言を行っております。
 東京ルール宣言企業に対しましては、都のウェブサイト上での自社PRの掲載支援のほか、制度融資による資金調達への支援、テレワークを希望する求職者とのマッチングイベントの開催など、人材確保の支援を実施しております。
 また、特に優れたモデル的な先進事例をTOKYOテレワークアワードとして表彰することとしておりまして、今年三月に第一回の推進賞二十社と、うち大賞二社を選定し、その取組をウェブサイトで広く発信しておりまして、今年度につきましては、現在、募集を行っているところでございます。

○後藤委員 今年の六月も、私、委員会でテレワークに関して質疑をさせていただきまして、その際に、東京ルール宣言企業数についてお聞きをしたところ、約千九百社というようなご答弁がありましたけれども、今回、六千八百社ということで、本当に加速度的に企業が増えたということが分かりました。
 また、資金調達の支援やマッチングイベントなど、事業者側にメリットの出る施策とセットで行っていただいているというご答弁がありまして、こうしたことも効果の後押しになったのかなというふうに思いました。
 今回、このテレワーク東京ルールが約一年間で六千件を超えるほどに拡大したということで、本当に多くの企業がテレワークというのを経営戦略に位置づけて、ライフ・ワーク・バランスの実現や生産性の向上ということに取り組んで、定着に向けて様々な施策をやられているということが確認ができたわけでありますけれども、そこで、働き方改革に有効なこのテレワークというのが普及をしたことによって、実際、どのような働き方の変化があったのか、そして企業や従業員が感じているメリットについて伺いたいと思います。

○村西雇用就業部長 都が昨年度、企業に対して実施したテレワークの実態調査では、導入効果につきまして、感染症の拡大など非常時の事業継続対策のほか、従業員の通勤時間、移動時間の削減や生産性の向上、育児や介護中の従業員への対応などの回答が多くなっております。
 また、従業員に対する実態調査では、テレワークのメリットにつきまして、感染症対策として有効のほか、通勤時間、移動時間の削減や生産性の向上、育児や介護との両立、家族と過ごす時間の増加のほか、自律、自己管理的な働き方の実現などの回答が多くなっておりまして、今年度の調査でも同様の声が寄せられております。

○後藤委員 ありがとうございました。ライフ・ワーク・バランスの充実や生産性の向上などなど回答があったということで、やはり私の下にも、通勤時間が非常に減って身体的な疲労がかなり減りましたみたいな話だったりとか、あとは、子育て中の方からは、夫婦でテレワークをすることで、夫が子育てをしてくれる時間が増えたとか、そういう声を多くいただいているわけでありまして、直近のニュースでは、IT関連の企業の楽天さんというところで、緊急事態宣言が明けたということで、今後は週四日、一日在宅というハイブリッド出社を行うと、こんなようなニュースもあるわけであります。
 今後は、今は人流抑制の観点から、七割ということで、テレワークの実施をお願いしていたわけでありますけれども、在宅で行える効率的な業務は在宅で、そして対面の方が生産性が高いという業務もありますので、そういうものはオフィスでということで、すみ分けながら、何というんでしょう、アフターコロナ後の働き方というものが恐らく進んでいくんだろうというふうに思うわけであります。
 そういった意味では、ぜひとも、こうした先行事例を、今後、大手企業を中心に様々出てくると思いますので研究をしていただいて、その業務の棚卸し、テレワークができる業務は何なのかとか、逆に対面で必要な業務は何なのかというところを、ぜひいろいろと分解をしていただいて、中小企業などを中心に、今後も継続をしてテレワークが定着できるように、ぜひ支援をしていただきたいなというふうに思います。
 今、様々ご答弁の中からも、このテレワークというものが働き方改革に資する有効なツールであるということが分かります。
 このテレワークをてこに、今後さらにテレワークを普及させていく必要があると考えますが、一方で、テレワークの実施というのは、現場作業のある業種などではなかなか難しいという側面もあります。
 都の調査では、業種によってテレワーク実施率がどのようになっているのかということを伺いたいというふうに思います。

○村西雇用就業部長 本年九月の都内企業におけるテレワーク実施率は、全業種では六三・九%となっておりまして、業種別では、情報通信業が約九七%、卸、小売業やサービス業が約六〇%、製造業が約五〇%、医療、福祉、飲食、宿泊業が約四〇%となっております。

○後藤委員 ありがとうございました。業種別に見ると、情報通信産業が九七%ということで、一方で、医療、福祉や飲食、宿泊業が約四〇%ということで、かなり業種によって偏りがあるというのが分かりました。
 今後、こうしたテレワークの働き方が進んでいくことで、私自身、すごく懸念をしているのが、こういったテレワークの対応が可能な、いわゆるデスクワーカーの皆さんの働き方改革というのが進んでいく一方で、いわゆる、さきに挙げたような業種であるノンデスクワーカーの皆さんの働き方改革が進まないという事態になってはいけないというふうに思っておりまして、そうした、なかなかテレワークの推進が難しいノンデスクワーカーの皆さんの働き方改革というのは非常に急務であるというふうに思っております。
 今後は、業種によりテレワーク実施率に大きな差があるという、今のご答弁で分かりましたけれども、こうしたそれぞれの状況をやはり踏まえて支援を行っていくということが重要であるというふうに考えております。
 そこで、東京都は、テレワークが難しい業種などにおける導入促進についてどのように取り組んでいるのか伺います。

○村西雇用就業部長 テレワークは、業種や職種によりまして、その活用方法はもとより、導入時の課題なども異なっております。
 このため都は、業種ごとのテレワークの導入、活用の事例や効果的な運用ノウハウなどを業界別のハンドブックとして取りまとめ、テレワークの普及促進を図っているところでございます。
 具体的には、製造、建設、卸売・小売、金融・保険、医療・福祉、サービス業の合計六業種のテレワーク導入、活用ハンドブックを作成しておりまして、例えば、建設業では、現場の事務所をサテライトオフィスとして活用することで、移動時間の短縮につなげた事例等を紹介しております。
 ハンドブックは、業界団体を通じて広く配布するとともに、TOKYOテレワークアプリやウェブサイトにも掲載し、周知を図っているところでございます。

○後藤委員 ハンドブックなどを作成して、なかなかテレワークの浸透が難しい業種に関しても広く周知を行っているというご答弁がありました。
 特に建設業界とか物流業界とか、そういったところなどでは、なかなかペーパーレスが進んでいなかったり、いまだに勤怠や業務記録を紙媒体で行っていたりとか、そうした背景から、建設、警備、運輸など、こうした業界の人手不足が本当に非常に深刻化をしておりまして、有効求人倍率を見ても、ほかの業種と比較をして非常に高い数値となっている、いわゆるマッチングがうまくいっていないという現状があると思います。
 こうした働き方改革のハンドブックなど、周知していただくというのも重要なんですけれども、やはり今後は、こうした求人倍率が高い、そして働き方改革がなかなか進みにくい業種における労働環境の改善であったり、あとはDXの推進など、やはり業界に対して実効性の高い施策というのが求められるのかなというふうに思っております。
 ぜひ、さらに一歩進んで、導入が難しい業種の企業においては、伴走型で支援を行うなど、きめ細かな対応の検討をお願いしたいと思います。
 次に、若年者の雇用対策について伺いたいと思います。
 新型コロナウイルス感染症の長引く影響が雇用市場に大きな影響を及ぼしているというのはいうまでもありません。
 若年者の雇用問題につきましては、これまでも二〇〇〇年前後に、いわゆる就職氷河期の問題があり、そして二〇一〇年前後にはリーマンショック、私自身が就職活動をしたときもリーマンショックなどで大変な就職環境だったんですけれども、そうした内定取消し、実は私自身も、新卒で決まっていた会社が卒業間際に内定取消しのようなことがありまして、非常に本当に困った思い出もありました。
 そうしたことから、このコロナショックにおける新卒採用や若年者の雇用環境というのを非常に心配しておりまして、質問をさせていただきたいというふうに思っております。
 新卒の採用市場におきましては、就職氷河期の頃には、一九九八年とか、そのぐらいなんですけれども、就職氷河期には千七十七人、リーマンショック時には二千人以上の内定取消しが確認をされていたということで、現状ということを確認したいと思います。
 今年三月の新卒者の内定取消し状況、また、若年者の雇用状況について伺いたいと思います。

○村西雇用就業部長 国の発表によりますと、今年三月に大学や高等学校などを卒業して就職予定であった学生のうち内定取消しとなった学生は、全国で百三十六人となっております。
 また、九月の完全失業率は全国で二・八%でございますが、年齢別に見ると、十五歳から二十四歳までは四・二%、二十五歳から三十四歳までは三・七%と高い数値を示しておりまして、若年者の雇用は厳しい状況にあると考えております。

○後藤委員 ありがとうございます。内定取消しとなった学生が百三十六人ということで、リーマンショックや就職氷河期と比較すると、新卒採用市場において、現在は内定取消しや雇い止めの学生が大量に発生しているというわけではないという状況が分かって安心をしております。
 今年三月に新卒採用において内定取消しに至った事例などは、やはりリーマンショックなどに比べると少数ではあるものの、今、ご答弁があったとおり、若年者の失業率というのは、ほかの年齢層よりも高いということで、対策の必要があるというふうに思います。
 また、若年者の雇用就業形態を見てみると、十五歳から二十四歳までの層では、非正規で働く人たちの割合が約五割、半数ということで、多くの若者が不安定な雇用状態に置かれているという課題もあります。
 若年者の雇用問題は、これまでも、さきのリーマンショックなど、度々発生をしてきたものの、就職氷河期でもしかり、リーマンショック時もしかり、行政は発生してから対策を講じてきたという歴史がありまして、課題があるのであれば、今後、都としても先手を打って対応していく必要があるというふうに考えております。
 そこで、都が実施をしている若年者雇用対策の具体的な取組について伺いたいと思います。

○村西雇用就業部長 都は、非正規雇用で不安定な雇用状況が続いている方や就労経験が少ない方など、若年者の方に対し、そのニーズに応じた多様な支援を実施しております。
 具体的には、非正規雇用が継続している方に対しては、履歴書や採用面接における効果的な自己PRの方法や、企業内実習などによる実践的な職務スキルの習得など、正規雇用を目指す就労支援プログラムを実施しておりまして、今年度は十月末時点で五百八十一名の方を支援しております。
 また、ひきこもりを経験し就労経験が少ない方など、意欲はあっても就職活動に踏み出せない方に対しては、グループワークにより就労への意欲を高め、就職活動につなげる支援プログラムを実施しておりまして、十月末時点で十九名の方を支援しております。
 さらに、内定を得られていない新卒の学生等に対しては、東京労働局と連携し、人材を求める中小企業との就職面接会を開催しており、十月末時点で、求人企業五十二社、学生など二百八十六人が参加しております。

○後藤委員 ありがとうございました。特にひきこもりなど、民間の就職会社などがなかなか扱っていない方々、雇用に対して非常に苦労されている方に対してもセーフティーネットを張っていただいているということで、こうした事業自体は非常に重要なものだというふうに思います。
 一つお願いなんですけれども、今後、新卒採用に関しては、先ほど、内定取消しの数はそこまで大量ではないというお話、認識が共有できましたけれども、リーマンショックのときには試用期間中の解雇というのも大変大量に発生をいたしまして、試用期間中の解雇というのはなかなか問題が表面化しづらい、実態がつかみにくいということがあって、大変問題になったということがありました。こうした課題に対しても実態把握を行っていただくなど、きめ細かな対応を求めたいと思います。
 ぜひ引き続き、若年者の失業や不安定な雇用状態にある方の解消に向けて、ぜひ先手先手で対応を行っていただくことを要望しておきたいというふうに思います。
 最後に、ダブルケアについて質問をしたいと思います。
 近年、少子高齢化と女性の晩婚化に伴いまして、子育てと親の介護が同時に直面をするダブルケアという問題が表面化をしてきております。
 本日の質疑では、子育てと仕事の両立など様々質疑がありましたけれども、それに介護まで加わるということで本当に大変なご苦労があるということから、私もこれまでダブルケアの問題に、各所で取り組んでおりまして、三つの負担が襲いかかるということで、育児、介護、そして仕事、この三つの負担が襲いかかるという意味から、精神的、体力的、そして時間的な負担がとても大きいというふうにいわれております。
 東京都におきましては、初婚の年齢が夫婦ともに三十歳を超えているということもありまして、日本で一番晩婚化が進んでいる都市であるというふうにいわれております。そうした都市的な特性もありまして、ダブルケアの問題は、今後、社会的にも大きな課題になってくるというふうに思っております。
 ここで、進捗の確認を、最後しておきたいというふうに思っておりまして、今年の第一定例会の委員会質疑でも、この問題を取り上げさせていただきまして、都からは、ダブルケアの実態や事例紹介など発信を行っていくと、情報発信を行っていくというご答弁がありました。
 そこで、ダブルケアと仕事の両立支援に向けた今年度の都の取組について伺いたいと思います。

○鈴木事業推進担当部長 都は今年度、ダブルケアに対する社会的な理解の促進に向けて積極的な情報発信を行っております。
 具体的には、経営者や人事労務担当者を対象に開催している育児、介護と仕事との両立に向けたオンラインのシンポジウムや研修会におきまして、ダブルケアの事例などを紹介しております。
 今年度は、こうした研修会等を十三回行うこととしておりまして、これまでに七回開催し、六百三十一名が参加いたしました。
 また、ライフ・ワーク・バランスの推進に向けた啓発イベントにおきまして、テーマの一つにダブルケアを取り上げ、セミナーやパネル展示等を行うほか、家庭と仕事の両立を支援するポータルサイトにおきまして、企業の取組事例等の発信を行ってまいります。

○後藤委員 本当に、いろいろセミナーをやっていただいたり、ホームページ、ポータルサイトで発信などを今年度していただきまして、ありがとうございます。様々な機会を活用して、ダブルケアの課題を発信していただいているということが分かりました。
 まだまだ、このダブルケアの課題に関しては、社会的に顕在化していない側面があるというふうに思っておりまして、まだまだ企業人事の方や経営者の方は気づいていないけれども当事者は困っていると、そんな課題だというふうに思っておりますので、引き続き周知啓発活動にぜひ全力で取り組んでいただきたいというふうに思いますし、私自身も、こうした子育て世代に直面する新たな政策課題に関して、引き続き長期的な視点で取り上げていきたいというふうに思っております。
 ぜひ産業労働局の皆様におかれましては、取組の充実を図っていただくようにお願いを申し上げまして、質疑を終わります。

○山崎委員 私からも、何点かお伺いをさせていただきたいと思います。
 日本の文化の魅力の発信について、これからの観光振興にどうやってこういったことを生かしていくのかという観点で、何点か質問をさせていただきたいと思います。
 東京の二〇二〇大会、オリ・パラ大会でありますけれども、皆さんもご承知のとおり、本来は、国内外から訪れた多くの方々に、東京の観光地はもとより、伝統文化など、東京が持つ多様な魅力を伝える絶好の機会であったと思います。最大のチャンスだったわけです。
 しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響で、無観客の大会や、海外からの来訪者が選手と大会関係者に限定される、また、人数制限の中こういったことがあって、過去に類を見ない厳しい状況下での開催となったわけであります。
 オリ・パラ時のこうした状況において、世界中の人々に対し、このような状態であったけれど、将来の誘客に向けて東京の魅力を、どのようにPR、発信をしたのかお伺いします。

○築田観光部長 都は、東京二〇二〇大会期間中に、国内外の多くの方々に東京の魅力を効果的に伝えるため、大会関連施設等におきましてPRを実施いたしました。
 具体的には、メインプレスセンターなどに情報発信拠点を設置いたしまして、大会で訪れた海外メディアに対し、東京と日本各地の観光スポットや歌舞伎などの文化を紹介するとともに、有楽町の東京スポーツスクエアにおきましては、伝統工芸の展示、実演や、全国各地の特産品の販売などを行うイベントを実施いたしました。
 さらに、海外の十五都市に設置しております東京観光レップを通じまして、現地のメディアや旅行会社に対し、ロボット技術や銭湯の文化などの情報を提供いたしました。
 これらの取組により、東京の多様な魅力を発信し、将来の訪都意欲の喚起を図ったところでございます。

○山崎委員 今、観光部長から、将来の訪都意欲の喚起を図ったと。このコロナ禍の中の様々なイベント、そういったものが中止になってしまった中での、まさに東京都を挙げて、こういった今できること、そういったことをやっていただいたこと、また、これに携わった関係者の皆様に対して、準備も一年、また様々な期間を経て、そういったことをやられてきた中で、最終的にはこの形しかできなかったという、もっと最大限、最大の形で、いろんな形ができればよかったな、これは誰しも思うことだったと思いますけれど、それに対して、産業労働局の皆様、東京都全体も含めて、しっかりやっていただいたことには敬意を表させていただきたいと思います。
 私も、このオリ・パラに関しては招致の時代から関わってきた一人として、今でも正直複雑な思いはあります。しかし、これからどのように結びつけていくかという前向きな観点から、しっかりやっていかなくてはならないという、また新たなそういう思いというか、そういったものも皆さんと一緒に共有をさせていただいて進めていきたいと思っておりますので、その点はよろしくお願いをしたいと思います。
 そこで、都が大会前から取り組んできましたTokyo Tokyo FESTIVAL、また、日比谷公園での大会中の日本文化の発信のイベント、また、他局でありますけれども、もちろんライブサイトのイベントや、オリンピックのプロムナード、臨海部のプロムナードで様々なイベントなどなど、都民、国民が一緒に一体となって参加ができるようなこの気持ちを、先ほどもいいましたけど味わえなかったわけでありますが、その中で、残念ながら規模を大幅に縮小して、オンラインでの発信のみとなるなど、直接その魅力を感じてもらうことができず、協力していただいた文化芸術団体も、とにかく不完全燃焼であったというのが正直なところだったと思います。
 いうまでもなく、祭りや文化のイベントは、外国人観光客にも人気であって、多くの人々が現地に足を運んで飲食や買物などを行うため、地域経済にも大変大きな効果があります。
 今後の観光産業の活性化に向けて、こうした日本文化の魅力を効果的に活用した、また一体となってやっていく、このような取組が重要であると考えます。
 そこで、今年度都は、日本文化を活用した観光振興に取り組むということでありましたが、その事業内容について、まずお伺いをいたします。

○築田観光部長 東京には、伝統芸能やアニメなど多様な文化があり、これらは国内外からの旅行者を引きつける重要な観光資源でございます。
 このため、都はこれまでも、自治体や観光協会等が取り組む文化財等の情報発信や伝統芸能体験など、地域の特色ある文化資源を活用した取組に対し、支援を行ってまいりました。
 今年度は新たに、都内で活動する文化芸術団体と観光協会等が連携し、伝統芸能や現代アートなどの文化芸術と、神社仏閣や史跡などの観光スポットとを効果的に結びつけたイベント等の取組に対しまして、経費の二分の一、最大一千万円を助成いたします。
 本事業によりまして、東京の多様な文化を生かした新たな観光コンテンツの開発や発信を進めてまいります。

○山崎委員 都が日本文化を活用した観光振興について、文化芸術団体とも連携した取組への支援という、こういったものを開始したということは、私は非常に意義深いものだと思っております。
 では、具体的にはどのような取組を支援しているのか、現在の取組状況についてもお伺いいたします。

○築田観光部長 感染状況の先行きが不透明でありました本年五月から、本事業の支援対象を募集いたしまして、盆踊りや能などの伝統芸能を活用するイベント二件を採択いたしました。
 このうち、町田の旧白洲邸を運営する文化団体と地域の観光協会とが連携して取り組む、おはやし体験や能の上演などを行う観光イベントが十月末に開催されまして、多摩地域だけではなく、区部や近隣県から八十名が参加いたしました。
 本事業は十件の支援を予定しておりまして、現在は、二回目の募集を十二月中旬まで行っているところでございます。
 今後も感染防止を徹底しつつ、こうした都内各地の文化を活用した誘客の取組を支援することで観光需要を喚起し、地域のにぎわいの創出につなげてまいります。

○山崎委員 今、答弁があった本事業は十件の支援を予定していて、二回目の募集を十二月中旬まで行っているという状況です。
 コロナとの兼ね合いの中で、どこまでこれができるか。まさに私、今、この質疑の中で感じているのは、産業労働局の観光部が、文化の視点を捉えて、どちらかというと生活文化局みたいなそういった視点、そちらの方が強いのかもしれませんけれども、まさに観光部が産業労働局を挙げて、こういう文化と一緒になって観光振興を行っていくということが、私は非常に大切なことだと思いますし、予算的に見ても、まだまだ、来年、これは大きな予算をしっかり獲得していただきながら前に進めていただきたいなと思うところであります。私も応援しますので、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。
 我々都議会自民党は、東京の二〇二〇大会、単にスポーツの祭典にとどまらず、やはり文化の祭典であるということを何度も訴えてまいりました。
 都もこれに応えて、大会の開催に合わせた様々な企画を準備し、多くの都民や団体も参加をした一大ムーブメントとなる予定でありました。しかし、大会開催期間がコロナの感染の第五波と重なって様々な制約のある中で、やむを得なかったと私は思います。
 ただ、東京の文化の発信は大会の終了とともに終わるのではなくて、この夏の成果、課題をしっかりと踏まえて、さらに取組を強化し、多くの人々が、日頃からその魅力を感じ、親しんでもらえる環境整備をすることが重要であって、まさにオリ・パラ後の東京の観光振興の発展につなげていくには、先ほどもお話をさせていただきましたが、この文化というもののキーワードというものが非常に大事だと認識をしております。
 ぜひ産業労働局には、今年度開始した事業を契機として、都内各地にある祭りや伝統芸能など文化を活用した観光振興に、今後は、生活文化局など都庁内の関係局とも密に連携をしながら、しっかりと取り組んでいただいて、まさに東京の文化の魅力の発信と、都内各地の活性化につなげていただきたいと思っております。
 最後の要望をいたしたいと思いますが、局長から最後、何かあれば、感想でも結構です、ぜひお答えをいただいて、質疑を終わりたいと思います。

○坂本産業労働局長 ただいま、文化ということをキータームにしながら観光振興をしっかりと進めるべき、さらには、この文化というものを、これからの様々な東京の発展につなげるべきという、そういう大局的なご質問であったと、このように理解をしております。
 文化というものは、ある意味では都市の一つの成熟度、国としての成熟度を表すものでございまして、やはりこれの多寡によって都市が尊敬されるのか、さらには繁栄されるのか、これが大きく決まってくる重要な点になるかと思っております。
 今まで文化を文化として振興するということも大切だったんですが、私ども、今回、この東京二〇二〇大会、文化の祭典、これを一つのきっかけといたしまして、これを観光振興という脈絡で後押しをするということをやってまいりました。
 こういう中で、やはり東京の観光資源というのはいろいろあるんですけれども、やはり広い意味では文化が観光資源になるであろうと。そう考えた場合、ますますこの文化というものに着目した観光振興に力を入れていく、まさしく今回がその一つのスプリングボードになる機会であろうと、このように考えているところでございます。
 今後とも関係各局とも連携いたしまして、この文化というところをしっかりと活用しながら、観光振興という形で、東京に多くの観光客、来訪者を呼び込んで、消費に結びつけて、これを経済の循環にさらにいい形で結びつける、こういうような大きな取組をしっかりと進めるべく力を尽くしていきたいと考えております。

○細田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議はございませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○細田委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で産業労働局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会といたします。
   午後七時十四分散会

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