経済・港湾委員会速記録第三号

令和三年三月十五日(月曜日)
第八委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長菅原 直志君
副委員長けいの信一君
副委員長菅野 弘一君
理事奥澤 高広君
理事滝田やすひこ君
理事尾崎あや子君
平慶翔君
福島りえこ君
後藤 なみ君
長橋 桂一君
あぜ上三和子君
高倉 良生君
山崎 一輝君
三宅しげき君

欠席委員 なし

出席説明員
中央卸売市場市場長黒沼  靖君
管理部長豊洲市場活性化担当部長兼務松田 健次君
事業部長西坂 啓之君
企画担当部長猪倉 雅生君
市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務佐々木 珠君
財政調整担当部長渉外調整担当部長豊洲にぎわい担当部長兼務村上  章君
移転支援担当部長石井 浩二君
施設担当部長渡辺 正信君
環境改善担当部長佐々木宏章君
港湾局局長古谷ひろみ君
技監原   浩君
総務部長相田 佳子君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務深井  稔君
調整担当部長若林  憲君
港湾経営部長戸井崎正巳君
臨海開発部長中村 昌明君
開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務佐藤 賢治君
臨海副都心まちづくり推進担当部長赤木 宏行君
臨海副都心開発調整担当部長松本 達也君
港湾整備部長山岡 達也君
計画調整担当部長薮中 克一君
離島港湾部長片寄 光彦君
島しょ・小笠原空港整備担当部長高野  豪君
労働委員会事務局局長松山 英幸君

本日の会議に付した事件
意見書について
労働委員会事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和三年度東京都一般会計予算中、歳出 労働委員会事務局所管分
中央卸売市場関係
予算の調査(質疑)
・第十一号議案 令和三年度東京都と場会計予算
・第十九号議案 令和三年度東京都中央卸売市場会計予算
報告事項(質疑)
・東京都中央卸売市場経営指針(案)について
港湾局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 令和三年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為
港湾局所管分
・第二十一号議案 令和三年度東京都臨海地域開発事業会計予算
・第二十二号議案 令和三年度東京都港湾事業会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第七十号議案 東京都海上公園条例の一部を改正する条例
・第七十一号議案 東京都営空港条例の一部を改正する条例

○菅原委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 初めに、意見書、決議について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○菅原委員長 異議なしと認め、そのように決定をいたしました。

○菅原委員長 次に、予算の調査について申し上げます。
 令和三年度予算については、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

令和三年三月十二日
東京都議会議長 石川 良一
経済・港湾委員長 菅原 直志殿
   予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、三月十二日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月十八日(木)午後五時

(別紙1)
経済・港湾委員会
 第一号議案 令和三年度東京都一般会計予算中
        歳出 繰越明許費 債務負担行為 経済・港湾委員会所管分
 第八号議案 令和三年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
 第九号議案 令和三年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計予算
 第十号議案 令和三年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
 第十一号議案 令和三年度東京都と場会計予算
 第十九号議案 令和三年度東京都中央卸売市場会計予算
 第二十一号議案 令和三年度東京都臨海地域開発事業会計予算
 第二十二号議案 令和三年度東京都港湾事業会計予算
 第百一号議案 令和三年度東京都一般会計補正予算(第一号)中
         歳出 経済・港湾委員会所管分

(別紙2省略)

○菅原委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、労働委員会事務局、中央卸売市場、港湾局関係の予算の調査及び港湾局関係の付託議案の審査並びに中央卸売市場関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより労働委員会事務局関係に入ります。
 予算の調査を行います。
 第一号議案、令和三年度東京都一般会計予算中、歳出、労働委員会事務局所管分を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○菅原委員長 発言がなければ、お諮りをいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○菅原委員長 異議なしと認め、予算案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で労働委員会事務局関係を終わります。

○菅原委員長 これより中央卸売市場関係に入ります。
 予算の調査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第十一号議案、第十九号議案及び報告事項、東京都中央卸売市場経営指針(案)についてを一括議題といたします。
 本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布をしてあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○松田管理部長豊洲市場活性化担当部長兼務 去る二月十二日の当委員会で要求のございました資料につきまして、お手元に配布してございます経済・港湾委員会要求資料に基づきましてご説明申し上げます。
 表紙をおめくりいただき、一ページをお開き願います。1、市場別・月別取扱数量及び取扱金額の推移(令和二年水産物・青果物)でございます。
 一年間の取扱数量及び金額につきまして、市場別、月別に、一ページから三ページにかけまして、それぞれ記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○菅原委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を一括して行います。
 発言をお願いいたします。

○福島委員 今定例会の代表質問で、我が会派は、食卓における魚の消費量の減少、そして食材の市場経由率の低下は深刻であること、また、年間百三十億円にも上る市場会計の赤字をなくすためにも、十一ある市場別の財務状況を明らかにするとともに、財務状況やKPIとなるデータを見える化し、具体的かつ実効性ある経営計画を策定すべきと訴えまして、知事からは、今後の市場経営の羅針盤となる経営指針の案を策定、来年度、この指針に基づく経営計画を策定し、実効性のある取り組みを進める、具体的には、管理会計の導入やデジタル化への対応、エシカル消費などの消費者ニーズに即した販路開拓など、付加価値の高いサービスを創出するとの答弁を得ています。
 そこで、まずこの経営指針を策定した趣旨、目的について確認をいたします。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 経営指針案は、市場を取り巻く環境が変化する中にあっても、都民生活における重要な使命を将来にわたり果たすことができるよう、今後の市場経営のビジョンを示すために策定いたしました。
 指針案では、都の中央卸売市場が目指すべき終局的なゴールを都民生活の幸せの実現として再定義し、二〇四〇年代の中央卸売市場の姿と持続可能な市場経営の双方を実現するための七つの方向性を明らかにいたしました。
 指針で掲げたビジョンの実現に向けた具体的な取り組みについては、令和三年度に策定する経営計画の中でお示しをする予定でございます。

○福島委員 これまでの市場業者の個別の努力や取り組みだけでは市場の持続性に課題があるからこそ、都として令和三年度に経営計画を策定することとし、今年度はそれに先立つ経営計画を作成したという理解でおります。
 本来、あのゴールは具体的な目標であるべきなのに、これを都民生活の幸せの実現としたことや、ビジョンが二〇四〇年代の中央卸売市場の姿とか持続可能な市場経営を指すとすると、この中身が方向性になっていて、そのまとめ方でちょっと個人的には気になるところはございますけれども、都と市場業者が、暁の姿であるビジョンを共有し、達成するべきゴールを共有して取り組むことは大変重要だと思っております。
 来年度策定するこの経営計画では、指針で掲げたビジョンの実現に向けた具体的な取り組みを示すというご答弁でしたけれども、市場経営を担う都はもとより、十一市場、さらには市場取引を行う個別の事業者が具体的にどう取り組むかまでブレークダウンしなければ、行動変容に結びつけることは難しいです。
 そこで、ビジョンに示した方向性の実現に向けて、市場業者の経営体質の強化をどのように図っていくのか伺います。

○西坂事業部長 卸売市場が基幹的なインフラとしての役割を着実に果たしていくためには、取引の担い手である市場業者が、社会経済環境の変化に柔軟に対応できるよう、販路の多角化などを通じまして、みずからの経営体制の強化を図っていくことが重要でございます。
 このため都は、日々の指導監督により市場業者の経営状況を把握いたしますとともに、検査業務などを通じまして、経営状況に即したきめ細かな経営指導や助言を実施いたします。
 加えまして、個々の市場業者が抱える経営上の課題解決に向けまして、公認会計士や中小企業診断士など、課題に対応した専門家による経営相談を行うことなどにより、市場業者の経営力強化に向けたサポートを行っていきます。

○福島委員 都が市場業者の日々の経営状況を把握し、きめ細かな経営指導をするとともに、専門家による経営相談を行うことにより経営力強化を行うとのご答弁でした。
 ここで要望があります。
 都政改革本部や市場問題プロジェクトチームの検討結果からも明らかなように、市場会計の健全性が損なわれたのは、豊洲市場の開設に伴う維持費や減価償却費等の増大が原因です。今後の市場会計においては、これらを克服するための明確な経営指針が求められます。
 そこで、来年度策定する経営計画においては、市場会計の健全化に向けて必要な、そして具体的な目標値を定める。例えば、取引量であったりとか市場経由率、そしてこれらに関連する各事業者の利益率や生産性など、経済的側面の指標を数字であらわすことを強く求めます。
 これらの数字が、十一の市場別、そして個々の市場業者の目標値にブレークダウンできて初めて、ご答弁にもあった日々の経営状況を把握することに意味が生じ、専門家による適切な経営指導も可能になります。逆にいえば、数字なくしては、日々経営状況を把握しても意味がなく、また、専門家も目標達成に必要な指導をすることはできません。
 繰り返しになりますけれども、来年度の経営計画を策定するに当たっては、持続性にかかわる、特に経済側面の指標を数字で設定することを強く求めます。
 それでは、指針で掲げられたそれぞれの方向について質疑をいたします。
 最初に、方向性の1、生鮮品等流通の基幹的なインフラとしての機能の強靱化についてお伺いいたします。
 一月三十日の報道によれば、コロナ禍に伴う緊急事態宣言の影響を受け、スーパーや量販店向けのアジやサバといった大衆魚の売れ行きは堅調に推移しているのに対し、例えば、マグロの一月下旬の取扱量は前年の四割減にもかかわらず、卸値は感染拡大前の前年同時期に比べて二から三割下落。そして、魚の種類によっては、例年の半値に近いものもあるということでした。
 コロナ禍により、卸値の低下や取扱量の減少を抑制するためには、多様な販路を平時から確保しておく必要があります。
 市場業者は、多様な販路の確保に向けてさまざまな取り組みを行ってきたと思いますけれども、それに対して、都はこれまで、具体的にどのような支援を行ってきたのか、また、今回の経営指針を踏まえて経営計画を策定するとのことですけれども、今後どのような方向性で取り組んでいくのかをお伺いいたします。

○石井移転支援担当部長 都では、市場業者の販路開拓を初めとしたさまざまな取り組みや経営上の課題に対しまして、中央卸売市場活性化支援事業や、中小企業診断士等の専門家を活用した経営相談などにより支援を行っております。
 とりわけ、市場業者の多様な販路の確保に対しましては、これまで、ECサイトの構築による販売ルートの多様化、海外取引等の販路拡大等の取り組みについて後押ししてまいりました。
 経営指針案では、市場業者による販路の多角化等を通じて経営体質の強化を図っていくとしておりまして、今後も、社会経済環境の変化に即したさまざまな経営課題を抱える市場業者に寄り添い、意欲ある取り組みについては、来年度創設する中央卸売市場強靭化推進事業で強力に後押しするなど、経営の専門家とともに密接に連携し、市場業者の経営を支えてまいります。

○福島委員 来年度創設する中央卸売市場強靭化推進事業で、販路拡大に向けた意欲的な取り組みを強力に後押しするとのご答弁でした。
 他道府県の市場では、一般消費者に向けたドライブスルー方式の販売形態などの取り組みもなされたと聞きます。
 また、巣ごもり需要でニーズが高まっている冷凍食品や加工食品など、入荷と出荷のタイミングが調整できる分野に回すという方法もあります。
 市場を経由せずに商材の行き先を前もって決める直接取引に比べると、市場には、日々の商材の行き先を変えられるという機能があります。市場の存在意義を高めるためにも、積極的に販路開拓に取り組むことを要望いたします。
 また、生鮮品の海外輸出に関して提案があります。
 令和二年第三回定例会の代表質問で、新たに策定する都の長期戦略の中で、食を東京の都市としての競争力の一つと明確に位置づけるべきと訴えまして、知事からは、東京が持つ食の魅力は、都市の競争力の源泉であり、大きな強みである、東京がコロナ後も世界の台所としてさらに輝き続けるための取り組みを長期戦略に盛り込むとの答弁を得ています。
 指針にも、国内のみならず、世界から多様な食材を集め、世界各国の多様な食を楽しみ、洗練された食文化を支える世界の台所としての役割を果たしているとの記載がございます。
 二〇一三年末のユネスコ第八回政府間委員会では、和食が無形文化遺産に登録されました。また、森記念財団が行っている世界の都市総合力ランキング、これも二〇一九年で、東京は食事の魅力指標で世界ランキング一位、これを維持しています。このように、和食に、そして東京に食の魅力があることは間違いございません。
 そこで、生鮮品の海外輸出にダイレクトに取り組むだけではなくて、料理人を東京で育てること、これを提案いたします。
 料理人としての基本をつくる時期に、豊洲の食材を使った和食の基本を、銀座を中心とした東京で学ぶことで、自国に戻り、店を構えたときに、本物の和食をつくりたければ豊洲市場の食材で、本物の和食を食べたければ東京でという語り部になることが期待できます。これによって、和食のさらなる地位向上や東京の外国人旅行者のさらなる獲得、そして日本の食材の海外展開につながるというふうに考えます。
 提案するに当たり先行事例を調べてみたんですけれども、京都府立大学が二〇一九年四月に和食文化学科を創設しておりまして、ここでは和食の成り立ちやだしの成分、料亭の経営を研究するとともに、京都にある料亭や和菓子屋などに直接足を運び、学ぶ機会も設けられているということでした。
 一方、国の推進策もさまざまあるんですけれども、食分野における日本の国際的発信力、展開力の強化という記載にとどまっています。
 ですが、ここで考えてほしいんですけれども、学生時代に過ごした場所に知人が仕事や旅行で訪れると聞いたときに、その地のB級グルメをソウルフードとして熱く紹介したことはないでしょうか。冷静に見ればそれほど特徴のない、大学の、具の控え目なカレーを懐かしむ人も少なくありません。
 ちなみに、私は、学食で初めて盛岡冷麺に出会いまして、好んで食べ続けました。その結果、理想の冷麺は今でも学食の冷麺です。
 我々が推薦しても素人の思い出話だと割り引かれて受け取られますけれども、これが、日本で学び、自国でレストランを営む料理人が、本物の和食をつくりたければ豊洲市場の食材で、本物の和食を食べたければ東京でと語ると、信憑性は桁違いに高くなると考えられます。
 他局ではありますけれども、例えば都立大学に、日本食文化を研究、料理人を育てる学科を設置し、豊洲市場や築地の跡地に分室を誘致し、市場の品々や食文化に日々触れてもらう、そんな取り組みを検討していただきたいと思います。
 以上、提案になります。
 次に、買い回りバスについてお伺いをいたします。
 取扱量の減少を抑制するためには、多様な販路の確保に加えて、多くの買い出し人へ市場に足を運んでもらうことも重要だと考えます。
 例えば、豊洲市場では、市場業者が利用しやすいように、場内を巡回する買い回りバスをさらに拡充して、築地地区と豊洲市場間のシャトルバスとして運行し、交通アクセスの向上を図っています。これは非常に買い出し人の皆様からは好評をいただいているというふうに伺っています。
 豊洲市場の買い回りバスの来年度の計画についてお伺いをいたします。

○村上財政調整担当部長渉外調整担当部長豊洲にぎわい担当部長兼務 買い回りバスについては、業界からの要望を踏まえ、豊洲市場の開場時から場内を循環するバスとして試行的に運行を行い、翌年度からは、築地地区と豊洲市場との間のシャトルバスとして運行経路を拡大し、利用者の増加につなげてきました。
 引き続き、買い出し人の利便性向上を図るため、来年度も現在と同様の運行を行ってまいります。

○福島委員 利用者から好評の買い回りバスが来年度も継続して運行すること、これを確認させていただきました。
 豊洲市場の活性化には、多くのお客様に来ていただくことも重要です。引き続き、買い出し人の利便性向上に努めていただきたいと思います。
 次に、災害対策についてお伺いをいたします。
 今回のコロナ禍においては、各市場業者の感染予防策の努力により、これまで市場を着実に運営し、生鮮品等の流通を確保してきたというふうに認識をしています。
 しかしながら、新しい感染症のみならず、社会に大きな影響を与える有事が発生した場合には、食品流通におけるハブ拠点である市場が閉鎖される事態になれば、生鮮品等の安定供給に与える影響は甚大です。
 指針では、取引の継続に向けたBCPの取り組みを強化することとしておりますけれども、今後どのように取り組みを進めていくのかをお伺いいたします。

○西坂事業部長 都はこれまで、地震などの自然災害や新型インフルエンザの発生などを見据えまして、事業継続計画や危機管理マニュアルなどを策定し、こうしたリスクへの備えを講じてきました。
 これらに基づきまして、都は、大規模災害などの有事の際に、市場業者に対する在庫品放出の要請や、卸売業者を通じた産地、出荷者に対する出荷の要請を行うほか、市場取引を維持し、価格の安定を図るため、市場業者と協議や調整の上、販売方法の変更を行うなど、市場業者と連携し、生鮮品の円滑な供給の確保を図っていくこととしております。
 また、昨年三月には、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けまして、新型インフルエンザ等発生に伴う事業継続計画、BCPを改定いたしまして、この計画に基づきまして、市場業者と連携して、ハード、ソフト両面において感染防止対策を徹底するとともに、感染者発生等に係る情報連絡を着実に実施しております。
 今後は、こうしたことに加えまして、生鮮品等を扱う卸売市場において想定されますさまざまなリスクに備えた実効性あるBCPの策定を図りますとともに、シミュレーションや訓練を通じまして、市場業者と連携した強固な事業継続体制を構築していきます。

○福島委員 市場業者と連携した強固な事業継続体制の構築というご答弁をいただきました。
 今ご答弁いただきましたように、都がBCPを策定することはもちろんですけれども、市場業者にも策定を促していくべきだと考えております。どの程度の事業者が策定できているのかを把握するとともに、経営相談等の機会を捉えて、策定できていない理由などを踏まえた支援策、例えば規模と業態に応じたBCPのひな形を用意する、そしてそれを提供するなどの取り組みを要望いたします。
 また、今般のコロナ禍においては、トイレットペーパーの不足やマスクの転売が問題となりましたが、食料品についても、買い占めにより、スーパーなどにおいて品薄の状態になる、こういった事例が発生いたしました。今のところ品薄で済んでいるとはいえ、首都直下地震などの大規模災害の発生時には、食の安定供給を担う中央卸売市場の役割は大変大きいです。
 災害発生時に都が調達した食料品を輸送する車両については、財務局の確認を受け、緊急通行車両として扱われるというふうに聞いております。また、総務局は来年度から、帰宅困難者対策オペレーションシステムを開発、使用や運用方法について今後定めていくというふうに聞いています。
 これら他局の取り組みとも連携しながら、災害時の食料の安定供給体制を充実することを要望いたします。
 次に、方向性2、市場取引の活性化に向けた取り組みの強化についてお伺いいたします。
 市場取引の活性化を図っていくためには、デジタル化などを初めとした商流や物流の効率化、高度化を図ることと記載してあります。
 消費者ニーズに即したきめ細やかな品ぞろえや食品ロスの削減、高値での取引には、小売から産地に向けて消費者情報を届ける必要があります。
 業界は異なりますけれども、例えばドイツの中小企業活性化策である産業クラスター政策では、ニーズに応えて中小企業が連携し、一つの大企業のように製品を一気通貫して開発するために、川上、すなわち生産から川下、販売までをつなぐためのデータプラットフォーム、インダストリー四・〇を整備しました。
 また、昨年の事務事業質疑では、生産者や流通過程におけるGAPやHACCP、MELやエシカルなどのさまざまな取り組みについては、その意義や価値を消費者に理解してもらうとともに、対価を得なければ持続、拡大が難しいこと、このためには生産者から小売に向けた情報伝達も重要であるというふうに述べました。
 世界では、改ざん耐性が高いという性質があるブロックチェーンを使って生産地から小売までトラッキングする、米国ウォルマートによる実証実験なども行われております。
 中央卸売市場は、既に中央卸売市場活性化支援策で、ICTを利活用する市場業者の取り組みを支援しています。
 しかしながら、これも事務事業質疑でも述べましたが、国内で先行する他業界のICT導入プロセスでは、民が主体の取り組みを放置した結果、データフォーマットが乱立、かつ、業者によるユーザー囲い込みによって、データフォーマット間の互換性が担保できないなどの問題が繰り返し起きています。同じ轍を踏んではなりません。
 そのためには、データの標準化など、協調領域においては都がしっかりと調整役を果たしていくことが重要です。
 DXの取り組みに当たっては、都がリーダーシップを発揮してコーディネート役を果たしていくことが必要だと考えますが、都の見解を伺います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 市場におけるDX、デジタルトランスフォーメーションの取り組みを進めていくためには、使いやすく効果的な情報プラットフォームの構築が必要であり、商品や取引の情報等のフォーマットを標準化することや、それを取引の手続とあわせてデジタル化することにより、集約された情報をビッグデータとして活用するなど、業者間で相互に連携すべき部分について、都がしっかりとコーディネート役を果たしていくことが重要と認識をしております。
 指針案では、市場取引の活性化に向けた取り組みの強化として、商流や物流の基盤強化を図ることとしており、商流、物流の高度化、効率化に向けた取り組みをしっかりと進めてまいります。

○福島委員 業者間で相互に連携する部分について、都がしっかりとコーディネート役を果たしていくことが重要と認識しているというご答弁でした。
 市場復活のかなめは市場業者の目きき力であるという意見もございますけれども、私は、DX推進こそ、市場の持続性向上のためのかなめであると考えています。ICTを導入し、衛生管理や品質管理、トレーサビリティー、情報公開ができて、ようやく国際水準に追いつくことができます。
 商流や物流の高度化、効率化とのことですけれども、新設されるデジタル局の専門人材とも連携し、来年度策定する経営計画は、日本全国から食材を集める豊洲市場を抱く中央卸売市場として、世界の市場と伍するという視座で、効率化、省力化に伴う働き方改革はもちろん、ニーズに合わせた生産や調達など、価値創造の観点も盛り込んだ戦略的なDX推進計画を盛り込まれたい。このように希望をいたします。
 次に、方向性3、中央卸売市場におけるネットワークの形成についてお伺いをいたします。
 指針案において、都は、中央卸売市場が全体として最適なネットワークとして機能するように、そのあり方について検討していくこととしています。
 そもそも都内には十一の市場がありますが、最適化するのであれば、前提や制約は最小限にとどめ、大胆に検討するべきと考えます。
 そこで、今後、都の市場が相互にネットワークを形成し、市場が持つ機能を最大限に発揮できるよう、ネットワークの形成に向けてどのような考え方で検討を進めていくのかお伺いいたします。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 指針案では、人口の動向やデジタル化の進展など、今後の生鮮品等の需給環境の変化を見据え、都の中央卸売市場が全体として最適なネットワークとして機能するよう、そのあり方について検討することとしております。
 市場の機能を最大限に発揮できるネットワークの形成に向けて、市場の規模や立地、これまで培ってきたサプライチェーンにおける機能や役割なども踏まえ、機能の集約や連携の強化、市場施設の有効活用などの方策も含めて幅広く検討してまいります。

○福島委員 ありがとうございます。
 いうまでもございませんけれども、利益率に直結する生産性は、アウトプット、すなわち付加価値の額もしくは生産額を、インプット、つまり労働投入量、これは労働者数掛ける労働時間ですけれども、これで除して求めます。
 市場では、卸、仲卸と仲介業者が入る分、どうしても労働者数がふえます。取扱量をふやすことで利益率を高めている大手スーパーが市場を介さない直接取引を選択する、こういった流れはどうしてもございます。
 市場の持続性をこれから高めていくためには、市場を経営することによる付加価値を高めるなどして取扱量をふやすか、労働効率を高めるかであり、いずれもDXとは切り離すことができません。
 今後、中央卸売市場のネットワークを最適化するのであれば、ICT導入前提で検討することはもちろん、この市場を取り巻く商流のビッグデータの収集、分析が不可避だと考えます。経営計画には、ICT利用も含めたネットワークをどうやって最適化するかということを具体的に描くことを要望いたします。
 次に、方向性7、強固で弾力的な財務基盤の確保についてお伺いをいたします。
 中央卸売市場が基幹的なインフラとしての機能を持続的に遂行していくため、経常収支の黒字化を目指し、強固で弾力的な財務基盤を確保していくことは重要です。
 我が会派はかねてより、黒字化に向けて、経費圧縮など具体的な経営改善を求めてまいりました。都では、市場会計の持続可能性の確保に向けて、既に経営改善の取り組みを実施していると聞いております。
 そこで、これまでの経営改善の取り組み状況についてお伺いいたします。

○村上財政調整担当部長渉外調整担当部長豊洲にぎわい担当部長兼務 都は、執行体制の見直しや市場運営費の縮減等によりまして、令和十五年度までの間に約二十四億円の経営改善を段階的に行うこととしております。
 こうした考え方に基づきまして、既に、維持管理費の縮減等により、令和二年度予算において約十三億円、令和三年度予算において新たに約七億円、合計で約二十億円の経営改善を行っております。

○福島委員 当初の予定では、令和十年度までに年間十九億円の経営改善に取り組む計画だったと聞いております。計画を上回る経営改善が行われていることを確認させていただきました。大変だと思いますけれども、引き続き取り組みを進めていただきたいと思います。
 さらなる経営改善と経常収支の黒字化に向けて、指針では、管理会計の手法を活用し、経営状態等を精緻に把握、分析していくこととしております。
 そこで、経常収支の黒字化に向けて、管理会計の手法をどのように活用していくのか、都の見解をお伺いいたします。

○村上財政調整担当部長渉外調整担当部長豊洲にぎわい担当部長兼務 いわゆる管理会計とは、企業の経営管理に有用な情報を提供するための会計でございまして、そこで得られた情報は、企業経営上の将来に向けた意思決定に資することが目的とされております。
 公営企業である都の中央卸売市場においても、市場会計の収益性と効率性の観点から原価計算や財務分析などを行い、経常収支の黒字化に向けて、どのような経営改善策や手法が有効なのかを検討していくためのツールとして活用を図ってまいります。

○福島委員 収益性と効率性の観点から取り組むという大変重要な取り組みです。数字で捉え、経常収支の黒字化に向けた具体的方策や市場業者の事業設計、そして評価に生かすことで、確実に市場の持続性向上につなげていただきたいと思います。
 経常収支の黒字化を実現していくためには、徹底したコスト削減だけでなく、いかに収入を確保していくかという観点も重要です。
 指針では、収入確保に向けて、市場業者以外の利用の検討を行い、収入の多様化を図っていくとありますが、具体的にどのようなことを行っていくのか、都の見解を伺います。

○村上財政調整担当部長渉外調整担当部長豊洲にぎわい担当部長兼務 市場使用料を負担することになる市場施設の使用許可の対象者は、中央卸売市場条例第四十三条によりまして、原則として、卸売業者、仲卸業者、関連事業者となっております。
 収入の確保に向けては、将来的にも市場業者による利用が見込めない場合において、利用者の利便性の向上や未利用施設の有効活用の観点から、買い出し人等の市場の業務に密接に関連する者など、多様な事業者による利用の促進について検討してまいります。

○福島委員 ありがとうございます。
 多様な事業者による利用の促進といっても、ご答弁にあったように、市場を利用できる者は、原則として、卸売業者、仲卸業者、関連事業者に限られています。市場の場所に加え、出入りする卸、仲卸事業者などの関係性に魅力を感じる関係事業者側の希望があって初めてこの利用が促進できることから、当然のことではございますけれども、関連事業者のニーズを踏まえ、着実に利用を促進していただきたいと思います。
 指針に関する最後の質問になりますけれども、この指針に示されている今後の財政収支の見通しでは、資金が令和五十一年でショートする、そういった試算になっています。
 来年度策定することとしている経営計画では、令和五十一年度の資金ショートの回避に向けて、数値目標を示すとともに、現状との乖離を踏まえた計画を具体的に示すべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○村上財政調整担当部長渉外調整担当部長豊洲にぎわい担当部長兼務 経営指針においては、強固で弾力的な財務基盤を確保するため、経常収支の黒字化を目指すこととしており、これにより、令和五十一年の資金ショートを回避することとしております。
 経常収支の黒字化に向けては、達成するべき経常収支の水準について、本指針で示す方向性の具体的な取り組み等を踏まえ、今後必要となる資金需要や財源を明らかにした上で、今後策定する経営計画の中で示してまいります。
 計画の策定に当たりましては、経営状況等の状況を精緻に把握した上で、経常収支の黒字化に向けた具体的な方策の検討を行ってまいります。

○福島委員 達成するべき経常収支の水準、これをしっかりと経営計画の中で示していくというご答弁をいただきました。
 指針の構成に沿ってさまざまな点について質問してまいりましたけれども、冒頭申し上げたとおり、大切なことは、指針の内容を具体的に落とし込み、これを実現していくことです。指針は、いわばスタートにすぎず、市場当局による具体の行動こそ重要になってまいります。
 そこで、中央卸売市場が都民生活に重要な施設であればこそ、この困難な状況を乗り越えていく必要があり、そのことを強く意識して、新しい時代にふさわしい卸売市場を具現化していただく、この必要があると考えますが、市場長の見解をお伺いいたします。

○黒沼中央卸売市場長 都の中央卸売市場は生鮮品等流通における基幹的なインフラでございまして、将来的な人口減少、自然災害や気候変動の影響等に伴う生産や消費における環境変化、さらには今般のコロナ禍に伴う生鮮品等の需要環境の大きな変化など、厳しい環境下にあっても、円滑で安定的な供給を確保し、都民生活における重要な使命を将来にわたりしっかりと果たしていく必要がございます。
 そのため、ポストコロナの社会も見据えまして、目指すべき市場の姿を明らかにした上で、戦略的な市場経営をしっかりと進めていく、このことが私、市場長としての役割でございます。
 本日の質疑でご議論いただきましたとおり、今回策定いたしました経営指針案では、市場業者による販路の多角化や取引継続のためのBCPの策定の推進など、市場機能のさらなる強靱化を図るとともに、デジタル化の進展への対応など、市場取引の活性化に向けて取り組むこととしております。
 さらに、市場の中核となる機能を持続的に遂行できるよう、財務体質の改善を通じた経常収支の黒字化に向けて着実に取り組むこととしております。
 こうした指針案で示した方向性の具現化に向けまして、今後とも局一丸となって取り組んでまいります。

○福島委員 戦略的な市場経営を局長みずからの役割と明言されるとともに、質疑を通じて取り上げました販路の多角化、BCP策定、DX推進などの市場取引の活性化、そして財務体質の改善に、着実に、それも局一丸となって取り組むとのご答弁をいただきました。
 私が好きな言葉に、ピンチはチャンスという言葉があります。平時に改革はなかなか難しいですけれども、追い込まれたからこそできること、チャレンジもございます。ピンチこそ得意を見きわめて伸ばし、強みとする取り組みが重要です。
 日本全国の研究熱心で丁寧な仕事をできる生産者様による多種多様な食材が集まり、大消費地であるだけでなく、世界的に魅力を認められた食文化を有し、そして港も空港もある、こういった東京に立地する中央卸売市場の特徴を生かした持続性と競争力の向上に向けた改革に期待をいたしまして、質疑を終えさせていただきます。ありがとうございました。

○山崎委員 私からも質疑をさせていただきたいと思います。本日は、基本的な事柄について伺っていって、本委員会でのやりとりをしっかりと分析をして、今後の質疑にもしっかり生かしていきたい、そのような観点から質問を始めさせていただきたいと思います。
 まず最初に、新型コロナ感染症について伺っていきます。
 昨年の春から、マスク着用や、また外出の自粛など、新たな生活様式が定着をした結果、売り上げが激減し、市場関係者の皆さんも大変困り果てておりました。
 そこで、昨年六月、第二回都議会定例会の代表質問で、我が党は、コロナ禍で失われた市場の活気を早急に復元をするために、市場関係者によるBツーB取引の新たな販路開拓を支援すべきだと主張をし、都の見解を伺いました。
 黒沼市場長は、消費動向を捉えた新たな商材の開発や、市場業者それぞれが有する強みを生かした事業連携など、販路の多角化や経営基盤の強化に向けた取り組みにつきまして、都は、感染症による影響を考慮し、活性化支援事業の補助率をさらに拡充して支援をすると答弁をされました。このことについて伺っていきます。
 まず、活性化支援事業の補助率をさらに拡充して支援すると答弁されたことについて、昨年の六月以降、どんな取り組みをされて、実績はどのようなものだったのか、初めにお伺いいたします。

○石井移転支援担当部長 中央卸売市場活性化支援事業につきましては、今年度、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、補助率の拡充等を行った上で、感染拡大防止事業への活用を業界に呼びかけるとともに、補助上限額の見直し等を行ったことにより、昨年度を上回る実績となってございます。
 今年度は、業界団体等による感染拡大防止の取り組みやECサイト等を活用した販路拡大などの取り組みを支援しておりまして、本事業の実績は、今年度の精算等により変動する可能性がございますが、現時点では、都内全十一市場における六十一件の取り組みを交付決定し、約四億九千九百万円の執行を見込んでございます。

○山崎委員 もとより市場業者の−−もともと利益率、これは低い。そして、経営基盤は強固ではないわけです。
 本年一月の緊急事態宣言を受けて、さらに市場の取扱実績や市場業者の経営にどのような影響が出たのか伺います。

○西坂事業部長 本年一月七日に発出されました二度目の緊急事態宣言に伴います飲食店の営業時間短縮やイベント自粛などの影響を受けまして、都の中央卸売市場全体における一月の取扱金額は、青果物及び食肉につきましては前年と同水準でありましたが、水産物は前年同月比で約八三%、花きは約七七%でございました。
 さらに、市場業者につきまして、より詳細に個々の事業者の経営状況を把握するために、全十一市場の卸売業者、仲卸業者など、合計五百七十四者を対象といたしまして、二月初めに聞き取り調査を実施いたしました。
 その結果、特に飲食店を主な取引先とする水産仲卸業者や青果仲卸業者に影響が生じており、水産仲卸業者では、その売り上げが前年同月比で二〇%以上減少した業者数が前回宣言よりも増加するなどの状況が確認されました。
 また、再度の宣言で手元の資金繰りが悪化し、経営体力に不安を抱えているといった声なども聞かれたところでございます。

○山崎委員 今の両方の答弁から聞いてのとおり、さらに厳しい状況になっている現状を、市場当局も理解をしているという認識をさせていただきました。その上で、こうした市場当局の理解や、緊急事態宣言が再発令されている状況などを踏まえると、市場業者へのさらなる支援が必要と考えますが、見解を伺っておきます。

○村上財政調整担当部長渉外調整担当部長豊洲にぎわい担当部長兼務 新型コロナウイルス感染症により市場流通に大きな影響が出る中においても市場機能を確保していくため、都では、感染症の影響に伴い売り上げが減少した市場業者に対し、昨年四月支払い分から、市場使用料と光熱水費の支払い猶予を実施しております。
 実施に当たりましては、分割納付を初め、市場業者の経営状況に配慮した弾力的な運用を行うとともに、昨年八月支払い分からは、本年一月分に至るまでの最長六カ月分の支払いを猶予しまして、支払い期限を来年度末までとするなど、内容の拡充も行いました。
 また、本年二月と三月の支払い分につきましても継続して猶予を行っており、昨年四月から本年二月の支払い分までの実績は、延べ二百三十二業者に対しまして、約五億六千万円の猶予を行っております。
 さらに、都や国の支援メニューのわかりやすい周知や申請手続のサポートなどをきめ細かく行っており、都としては、今後の取引の状況等を踏まえて、こうした取り組みを継続して、市場業者の経営をしっかりと支えてまいります。

○山崎委員 我が党といたしましても、支払いの猶予ですとか、こういったことは再三、市場当局の方にもお願いをさせていただいてきました。そういった結果も踏まえた今の現状だと思いますが、やはり下支えをするだけでなく、これから経営基盤そのものをより強固にしていくことも重要であると考えております。
 来年度は、活性化支援事業をリニューアルし、強靱化推進事業を創設するということでありますが、どのような点が異なるのか伺っておきます。

○石井移転支援担当部長 これまでの中央卸売市場活性化支援事業は、海外販路の拡大や産地からの集荷力向上等、市場全体の取引拡大などを牽引する先駆的な取り組みを補助対象としてまいりました。
 新たに創設する中央卸売市場強靭化推進事業は、こうした市場全体を牽引する取り組みに加えまして、取引の担い手である市場業者の経営基盤強化につながる取り組みにつきましても幅広く補助対象といたします。
 具体的には、コロナ禍を契機に加速する非対面、非接触の取引等、デジタル化への対応、環境変化に柔軟に対応するための販路多角化や事業連携の取り組み、さまざまなリスクに備えたBCP策定など、市場強靭化に向け、自社の行動変革に取り組む市場業者を後押ししてまいります。

○山崎委員 今の答弁で、支援を拡充するということを理解いたしました。意欲ある市場関係者に柔軟な対応をしっかりしていただきながら後押しをしてもらいたいということもつけ加えさせていただきたいと思います。
 次に、アフターコロナを見据えた取り組みについて何点か伺います。
 市場流通では、迅速かつ効率な物流の実現が欠かせません。生鮮品等を取り扱う商いでは、流通ロス、時間ロス等を解消する手法としてサプライチェーンマネジメント、SCMが用いられますが、需要予測のもとに、いつ納入され、いつ出荷するかなどを導き出し、合理的な流通ロジを追求しています。
 こうしたSCMの高度化を事業者任せにせず、市場当局が市場関係者に店舗、事務所とデジタルとの融合を働きかけ、DXを活用したSCMを推奨し、市場全体でより高質な商品流通ロジの実現を目指していく必要があると考えます。
 そこで、DXを活用したサプライチェーンマネジメント、SCMの高度化を市場内で実現する上で、現時点でどのような課題があると認識をしているのか、見解を伺います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 市場における商流や物流の高度化、効率化を図るためには、DX、デジタルトランスフォーメーションを推進することが有用でございます。
 卸売市場は業務の種類や規模などが多様な関係者により運営されており、デジタルトランスフォーメーションを実現する上では、関係者の理解や意思の統一、データやプロセスの標準化、導入コストなどの課題を乗り越えていく必要があると認識しております。

○山崎委員 技術進歩とともに課題は変遷していく可能性があるので、現時点の課題として、今のはお伺いをさせて、認識をさせていただきました。まずは市場内の現状を把握し、市場内でのDXを活用したSCMのあり方を調査研究することが重要です。そうした検討を要望しておきたいと思います。
 さて、豊洲市場の隣接地に江戸前場下町が開設をされております。コロナ禍の影響を受け、場下町の多くの店舗が営業を縮小し、先月末には土産店が閉店をいたしました。
 入国制限が続き、インバウンド需要が期待できない一方で、都県境を越える移動自粛が求められ、地元の人々は近隣の憩いの場を求めております。
 江戸前場下町は、にぎわい暫定施設として、地域に貢献する役割があります。その役割を果たすためにも、緊急事態宣言発令解除後を見据えて、市場当局は、事業者や地元に呼びかけ、ウイン・ウインの関係を築きながら、地元の方々が少人数の家族でつつましく楽しめ、また、豊洲市場を身近に感じてもらえるように、土日を手始めに、にぎわいを徐々に取り戻すことに対して汗をかいていくべきと考えますが、見解を伺います。

○村上財政調整担当部長渉外調整担当部長豊洲にぎわい担当部長兼務 江戸前場下町は、豊洲ならではのにぎわいを創出して地域の活性化に貢献する重要な施設でありまして、地元の方を初めとする、より多くの方に訪れていただくことが大切であると考えております。
 現在、休館としている日曜日の営業等も含め、江戸前場下町が今まで以上ににぎわいを創出し、地元に親しまれる施設となるための工夫や取り組みについて、事業者である三井不動産と連携し、調整をしてまいります。
 また、江戸前場下町でこうした新たな取り組みを行う際には、これまでと同様に、都として地元の町会等に呼びかけを行うなど積極的にPRをしてまいります。

○山崎委員 江戸前場下町、いろいろなことがあって、ああいった形での、たしか三年間でしたっけ、スタートを切っているわけです。ただ、市場の休開市との兼ね合いだけで、そこに全てを合わせて日曜日を営業されないというのは、やはり都民や地元の皆さんにとってはなかなか理解がしがたい部分だと思います。やはり、そういった部分も含めて、三井不動産さんと連携を、調整をしていただきながら、日曜日、そういったものも含めての営業というか、その日あけるということも含めて、今の答弁の内容をしっかりと実行していただきたい。そのように思っております。
 また、江戸前場下町を初め、六街区のにぎわい施設に関することは常に注視をしていきたいと思いますので、その点もよろしくお願いをさせていただきたいと思います。
 続いて、市場関係者との合意形成について伺います。
 これまで都は、市場整備を進めるため、五年ごとの整備計画を策定してきました。
 直近の整備計画では、有識者、関係者との意見交換の場は、卸売市場審議会の中に設置される部会を含めて、計画策定まで何回開催をされ、どの程度の議論を重ねているのか、都に伺います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 直近の計画は平成三十年六月に策定した第十次東京都卸売市場整備計画改定版ですが、その策定に当たっては、計画の前提となる東京都卸売市場整備基本方針を東京都卸売市場審議会で取りまとめていただいており、この基本方針に基づいて計画を策定の上、卸売市場審議会にご報告を行っております。
 基本方針の取りまとめに当たりましては、知事の諮問に基づき、卸売市場審議会が四回、審議会に設置された計画部会が二十回開催され、基本方針についての議論が行われました。

○山崎委員 今聞いたのは計画の策定ですよね。卸売審議会での計画の策定ということで、市場計画の部分でお聞きをさせていただきました。
 では、今回の経営指針の案、有識者、関係者との意見交換の場は、市場の活性化を考える会を含めて、指針案作成まで何回開催をされ、どの程度の議論を重ねているのか、都の所見を伺います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 経営指針案は、外部有識者により構成される市場の活性化を考える会の議論のまとめを踏まえて都が作成したものでございます。
 市場の活性化を考える会における検討状況については、令和元年十一月に開催された第七十七回東京都卸売市場審議会に報告をしており、また、この議論のまとめの取りまとめに至るまで、市場の活性化を考える会は十一回開催され、議論が行われたところです。
 また、経営指針案については、先月に開催された第七十八回審議会でご議論をいただくとともに、その後も市場関係者からも直接ご意見を伺っており、いただいたご意見を踏まえて経営指針を策定してまいります。

○山崎委員 先ほどの答弁で、十次の整備計画では計画部会は二十回開催されたと。今の答弁で、経営指針案をつくるための考える会は十一回開催をされたと。回数だけで判断はなかなかしがたい部分もあるんですが、やはり、この指針案の議論の場、十次計画の、回数だけいえば半分であったということであります。
 しっかりと丁寧な議論を進めるべきではなかったでしょうか。私はそう感じております。やはり回数だけではなかなか判断しがたい部分もあるかもしれないけれど、それだけこのことに関してしっかりとした議論が尽くされたのかどうなのかというところが、今、私は感じているところであります。
 これまでの計画づくりに当たり、市場の流通実態を把握するため、調査を実施している、そのように聞いております。今回の経営指針案の作成に当たり、議論の前提となる同様の調査は行ったのか、ないのか、都の見解を伺います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都や国では、中央卸売市場の取引状況等を業務統計として把握しており、経営指針案の検討に当たっては、こうした統計データを活用し、市場経由率や取扱量、取扱金額等について分析をしております。
 また、令和二年以降、新型コロナウイルス感染拡大に伴う影響が広がったことから、こうした影響について把握するため、取引データ等の分析や市場業者へのヒアリング調査を実施しており、これらの結果も参考として、指針案の検討を進めてきたところでございます。

○山崎委員 五年ごとに、整備計画とあわせて、その中に市場流通推計調査というものもあわせて、各市場の流通実態の調査を含めたそういった調査もされております。
 基本的には、この市場流通推計調査というものは、たしか整備計画にブラッシュアップ、そっちに流れていく形になるんですけれど、今回のこの市場流通推計調査というもの、多分やられていると思うんですけれど、これは経営指針の方の案の方には反映されているのかどうなのかお伺いをしたいと思います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 ただいまお話のございました市場流通推計調査、こちらにつきましては、市場から搬出される生鮮品等についての流通実態を把握するため、市場運営の基礎資料とするために、おおむね五年ごとに実施をしているもので、直近では令和二年の三月に調査結果を取りまとめております。
 先ほど申し上げました、中央卸売市場の取引状況等を業務データとして把握をしているということ、さらには、令和二年以降の新型コロナウイルスの感染拡大に伴う影響が広がったことからヒアリング等も含めた調査を実施しておりますこと、こういったものを活用いたしまして指針案を策定いたしました。
 今後の経営計画の策定に当たりましては、先ほどお話のございました市場流通推計調査等も含めまして、このような形でのデータ等を活用していく予定でございます。

○山崎委員 指針案をつくるに当たって、いろいろと市場当局も、いろんな方からヒアリング、関係者からしている。自分たちが今まで整備計画をつくるに至ってのいろいろなプロセスがあるわけですよね。そういったものを全て、結局この指針案が整備計画につながっていくわけですから、そういったことを、最後の最終章も含めた今までの調査のいろんなものをちゃんと活用しながら指針案に取り込んでいくべきだと私は考えております。
 なぜかといえば、活性化を考える会だけの意見をというわけではないのはよく私も理解しておりますけれど、やはりどうしてもそう見えてしまうおそれというのが、業界団体の皆さんからも、お声をいただいているんですね、私のところに。ですから、そういった部分はしっかりと、きめ細かいそういう対応を、やはり整備計画というものは非常に重要なものでありますから、これからの市場のあり方、どういうふうにしていくのかということも含めた、そういった部分の対応というものは、ここでしっかりしていただかなくては、私はならないと思いますよ。
 やはり、指針というものを出す以上、整備計画につなげていく重要な、今、プロセスの期間だと思いますので、しっかりとその点は危機感を持ってやっていただきたいことを改めて強調させていただきたいと思います。
 コロナ禍の中でも生鮮食料品の供給を続け、市場の役割を果たしてきておりましたが、市場流通の新しい動きや課題も顕在化をしています。
 これらの検証とそれに基づく方向性を、どのように捉えているのでしょうか、都の見解を伺います。

○西坂事業部長 新型コロナウイルス感染症の拡大は、生鮮品等のサプライチェーンにも大きな影響を及ぼしておりまして、都は、コロナ禍における市場取引の状況や市場業者の経営への影響等につきまして、取扱品目別の取引データの分析や市場業者へのヒアリング調査、中央卸売市場活性化支援事業による支援等を通じて把握してきました。
 新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえますと、社会経済環境の変化に柔軟に対応できるよう、販路の多角化等を通じて市場業者の経営体制の強化を図ることや、非接触、非対面へのニーズの高まりを背景としたEコマースなど、デジタル化への対応を加速することなど、新たな動きに対応していく必要があると考えております。
 中央卸売市場は、新たな感染症の感染拡大といった事態におきましてもその機能を維持し続ける必要があり、コロナ禍によって顕在化、先鋭化した課題を乗り越えていけるよう取り組んでいきます。

○山崎委員 続きまして、市場の新たな役割についてもお尋ねをしていきたいと思います。
 コロナ禍でおうちご飯の機会がふえ、改めて健康長寿の食の安全・安心への関心が高まっております。
 家庭料理が見直され、こうした変化に継続的にかかわっていくことも、公設市場の役割ではないでしょうか。コロナ禍に伴う変化を見据え、都民の健康長寿を支える市場経営を進めることが、卸売市場の活発な取引を下支えすることになるはずです。
 まず、市場長の見解を伺います。

○黒沼中央卸売市場長 安全・安心な食材の供給は、都民の健康や長寿、これを支える基礎となるものでございます。
 健康志向や食の安全・安心に対する意識の高まりといった消費者ニーズの変化に的確に応え、都民生活の幸せの実現に貢献すること、これが中央卸売市場の使命でございます。
 このため、市場業者と連携をしながら多様なニーズに対応するための品ぞろえの充実を図るとともに、HACCPに沿った衛生管理への対応などにより、品質衛生管理の徹底強化を図り、市場に流通する商品に対する信頼を保持してまいります。
 こうした取り組みにより、取引の活性化を図るとともに、取引を通じて消費者等に対し、安全・安心や健康を初めとした豊かさといった価値を訴求してまいります。
 コロナ禍のような大きな社会変化に直面しましても中央卸売市場としての使命をしっかりと果たすことができるよう、経営指針案で示した方向性も踏まえまして、必要な取り組みを着実に推進してまいります。

○山崎委員 大量消費を追求する市場経済システムは、選択肢の拡大で豊かさを実感できるようになった一方で、飽食を招き、食品ロスを発生させてきてしまいました。
 コロナ禍では、多くの飲食店が営業を縮小したために、図らずもSDGsの目標十二、つくる責任、使う責任に沿い、資源の無駄遣いを極力避ける考え方が浸透しました。健康的な都民生活維持と持続的な資源管理を並行して実現することは重要であり、生産者や都民を結ぶ卸売市場は、その推進役を担うべきであります。
 こうしたマーケットメカニズムでははかれない価値を創造すべく、卸売市場は、健康、資源、文化などの点から、食育にもかかわっていくことも大切だと思います。見解を伺います。

○猪倉企画担当部長 今回の経営指針案では、市場の事業運営そのものが持続可能な社会の実現に寄与する形となるよう取り組みを進め、多様な社会的要請に応えて、多面的な役割を果たす中央卸売市場を目指すこととしております。
 都の中央卸売市場は、都民を初めとする消費者の多様なニーズに応えるため、さまざまな産地から多種多様な生鮮品等が流通しており、市場業者は食材等に関する情報やノウハウを豊富に有してございます。
 これまでも、都民の健全な食生活を実現するため、こうした市場業者と連携をいたしまして、料理講習会や市場見学会などを実施いたしまして、旬の食材の見きわめ方や適切な調理方法、食の大切さなどを伝える市場ならではの食育等を進めてまいりました。
 今後、生鮮品の持続可能性への配慮や生鮮品が支える文化など、生鮮品に関するさまざまな役割や背景にも着目いたしながら、食育等の取り組みを進めてまいります。

○山崎委員 このような市場の新たな役割を考えると、取扱数量の減少はあるものの、生鮮品等の安定供給という点では、生産者と都民の結節点として、価格を含めて、安定化に大きな役割を発揮しているということは明らかであります。
 取扱数量の低迷などを理由に、効率性の追求やコスト削減に向けて、民活手法や財政基盤の俎上にのせて大なたを振るう前に、卸売市場についての多面的な評価が必要ではないでしょうか、都の見解を伺います。

○村上財政調整担当部長渉外調整担当部長豊洲にぎわい担当部長兼務 都の中央卸売市場は、都民生活の幸せの実現に貢献する重要な施設でありまして、経営指針案では、こうした使命の重要性を踏まえた上で、中央卸売市場の機能について、基幹的なインフラとしての中核となる機能はもとより、生鮮品等流通において付加価値を高める機能や、SDGsや環境配慮等の多様な社会的役割を果たす機能と整理し、多面的に評価しております。
 こうした重要な機能を将来にわたり発揮していくことが重要でございまして、経営指針案では、持続可能な経営基盤の実現に向けて、その土台となる強固で弾力的な財務基盤の確保や、民間の創意工夫、多様なノウハウ、技術を活用していくことを掲げてございます。

○山崎委員 目ききにたけた市場関係者が真剣勝負でBツーB取引を望むなりわいの場であるからこそ、活気と躍動感にあふれる市場となり、都民の食卓を豊かにすることにつながるわけであります。
 しかし、都は、経営指針案で施設の複合的利用に道を開き、あたかもショッピングセンターをつくるような議論につなげるのではないかと、私は大変危惧をしております。
 市場とショッピングセンターの違い、何だと考えているのか、市場長、教えてください。

○黒沼中央卸売市場長 都の中央卸売市場は、今回の指針案でも掲げましたとおり、終局的には都民生活の幸せの実現に貢献するという重要な社会的施設でございます。
 その使命を将来にわたり、しっかりと果たしていくことができるよう、持続可能な市場経営を公営企業として実現していく必要がございます。
 市場が保有する資産、これは経営資源でございますが、これを有効に活用して収入を確保していくことは、持続可能な市場経営を実現する上で有効と考えております。
 今般の指針案では、各市場における資産活用の現状をまず踏まえまして、こうした資産の物理的、空間的、時間的な高度利用、さらには複合的な利用を図る方向性を示してございます。
 しかしながら、もとよりこうした資産の有効活用は、今、ご指摘もございましたとおり、中央卸売市場としての基幹的な機能、これをしっかり発揮することを前提として行う必要があると考えておりまして、市場機能そのものを変質させるような利用を考えているものではございません。
 都としては、強固で弾力的な財務基盤を構築し、市場経営の持続可能性を確保できるよう、資産の有効活用も含めた民間経営手法の検討をしてまいります。

○山崎委員 市場機能そのものを変質させるような利用を考えているものではないと、市場長もはっきりお答えをいただきました。
 私が強調したいのは、最大のステークホルダー、これは都民なんですね。ということを開設者として絶対忘れてはならない、そのように思っております。強固な財政基盤づくりも、都民のためであります。目的と手段を取り違えないように、強く指摘をしておきたいと思います。
 経営指針案では、市場整備にPFIなど民活導入を視野に入れております。PFIの本質は、施設整備後の公共サービスの提供にあります。サービス提供が長期間、独占的になされるために、サービス内容は低コストなものに固定化しやすく、自然災害など突発的な事態への緊急対応、ニーズに左右されない基本的な機能維持への対応が鈍くなりがちです。
 PFIなど民活を用いる場合には、単に民間事業者の創意工夫に依存するのではなく、発注者である市場当局自体が求めるサービス内容を明確にする必要があると考えますが、都の見解を伺います。

○村上財政調整担当部長渉外調整担当部長豊洲にぎわい担当部長兼務 民間経営手法の活用は、持続可能な市場経営の実現を目的として実施するものでございまして、活用に際しては、中央卸売市場としての機能をしっかりと発揮することを前提に行うべきものと考えております。
 このため、民間経営手法を導入する場合には、中央卸売市場として果たすべき機能やサービスの内容、多様なステークホルダーとの調整、適切な事業環境や条件整備のあり方の検討などについて、都としてしっかりと関与する必要があると考えてございます。

○山崎委員 いろいろと質問をきょうはさせていただきましたが、やはり、豊洲市場だけでなく、各市場の皆さんは、常に商いをしながら、営業しながら、いろいろと東京都と、どのような形をしていくのかということを、日々模索をされておると思います。
 例えば、この経営指針案、こういったものが出たときに、どこまで皆さんにご理解をいただくのか、どこまでそれをしっかりと理解をしていただけるのかということが非常に重要であると思います。
 私も、地元に豊洲市場がありますから、市場の関係者の皆さんとは、日々いろんなお話をしております。そういった中で、やはり皆さんが、東京都が出せばいい、東京都が指針を出せばいい、そういうことではなくて、その出したものをいかに理解をしてもらえるかという努力をどのように積み重ねていくのかということが非常に私は問われていると思いますので、ぜひ整備計画に向けても、これは重要な期間でありますから、しっかりとして、市場の当局の皆さんも取り組んでいただきたいことを要望させていただきたいと思います。
 また、豊洲市場の隣接地にはにぎわい施設、いろいろとありますが、まだこれは実現に至っていないわけですね。結果的には実現に至っていない。こういったことを見ると、事業者には事業者側の理由、事業者側のいろんなさまざまな理由で、東京都が求めているそのまま実現をしないこと、こういったことは、現実論として私は目にしているわけであります。ですから、こういった点も含めた、市場とは何かという本質的な議論を、これからもしっかりとしていく必要があると考えます。
 そういった点もしっかりと踏まえさせていただいて、市場運営をしていくことを改めてご期待を申し上げて、私の質問を終わります。

○長橋委員 それでは、私からも、中央卸売市場について何点か質問をさせていただきたいと思います。かぶる点もあろうかと思いますので、なるべく省略して質問をしていきたいと思っております。本当に都民の感覚で質問ができればと思っております。
 中央市場、これは本当に、都民生活を支える重要な役割を担っているわけでありますけれども、なかなか都民については、中央市場の役割、わかっていますけれども、その実情についてはそんなに詳しくないんだろうと思うわけであります。
 私の地元にも豊島市場があります。東京でも古いといわれていますけれども、都民の皆さんが市場の中に入る、利用するというのは市場まつりぐらいしかないわけでありまして、そう考えると、市場というのは、ある面では市場関係者、プロの方々のためにあるというふうに思うわけであります。
 そうした中で、今回は市場の経営指針、これについて議論がありますので、ぜひ都民にわかりやすいような答弁をいただければと思っております。
 まずは、連日、私にも委員の皆さんにも報告があろうかと思いますけれども、市場関係者の感染状況について報告があります。そこで、都民の皆さんは、市場は大丈夫なんだろうかと、こういうふうに当然思うんだろうと思うんですね。
 そこで、この中央市場におけるこれまでの新型コロナウイルス感染の対応、それから市場機能への影響はどうだったのか、まず伺いたいと思います。

○西坂事業部長 都は、生鮮品等の安定供給の役割を担う基幹的なインフラとしての機能を着実に発揮するため、市場業者と緊密に連携しながら、中央卸売市場における新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に努めてきました。
 具体的には、都と市場業者との緊急連絡体制等を構築し、迅速な情報共有を図るとともに、マスク着用や手洗い等を初めとする基本的な衛生対策に加え、主要施設の入り口を初めとした動線となる場所に消毒液を設置するなどの対策を実施してきました。
 これまで取り組んできたこうした対策によりまして、基幹的インフラとしての市場機能を維持してきました。

○長橋委員 市場機能は維持してきたということであります。
 今までも議論がありましたけれども、やはり影響はいろんな面にわたっているわけでありますので、この新型コロナ、今、緊急事態宣言のさなかでありますし、そうした中では、先の状況もなかなか見通せない、こういうふうになっているわけでありまして、そうすると、今後とも、今までもやってきたけれども、さらに強化していかなきゃいかぬ部分は多いんだろうと思います。
 感染者が発生するリスクを踏まえながら日々の市場運営を行っていく必要があるわけでありますけれども、今後はさらにどう取り組んでいくのか、強化していくのか。感染者を出さないという方向をさらに強めていく必要が重要だと思いますけど、いかがでしょうか。

○西坂事業部長 中央卸売市場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止していくためには、保健衛生当局の指導助言を得ながら、これまで実施してきた基本的な衛生対策を着実に継続していくことが重要であると認識しております。
 加えまして、競り場等における飛沫防止や三密対策、ハンドブック作成などによる従業員の意識啓発、体温測定装置による水際対策の強化など、業界団体等が行う衛生管理強化の取り組みを支援してきておりまして、引き続きこうした取り組みを後押しするなど、都と市場業者が連携し、対策に努めていきます。

○長橋委員 もう昨年の緊急事態宣言以降、市場業者の皆さんは、まだ大変厳しい経営状況にあるわけであります。その中でも、都民生活にあって不可欠な生鮮食料品を切らしてはならない、まさにそうした思いで、市場業者と、そして市場が本当に連携をとりながら、市場の維持、流通に取り組んでいることは本当に評価したいと思っております。
 連日、感染が報告されるものですから、もしかしたらクラスターになるんじゃないかと、こんなことを思っている方もいらっしゃるようでありますけれども、もしクラスターが起きたら大変な影響でございますので、ぜひしっかりと取り組んでいただきたい。気を引き締めて頑張っていただきたいと思っております。
 それでは、今までも議論がありました経営指針について、何点か伺いたいと思っております。
 私は、昨年のこの委員会で、第十次卸売市場整備計画、これについて聞いたわけでありますけれども、そのときに議論したのは、少子高齢化の進行、食品流通の多元化など、市場を取り巻く環境が大きく変化してきたことにより、全国的な市場経由率の低下や取扱数量の減少といった事態が生じていると。その結果、市場業者は、経営悪化して深刻な危機にある、深刻な危機に直面していると、こういうことでありました。
 また、実際に私の地元でも、まあどこでもそうでしょうけれども、まち場の魚屋さんでありますとか八百屋さんだとか、それから肉屋さんも、専門の小売店がどんどんなくなってきている、このようにも思っているわけであります。
 昨年、聞いたときには、全国の市場経由率、これについてはご答弁があったわけでありますけれども、現状、東京の状況はどうなのか、全国と比べてどうなのか。そしてまた、いわゆる魚屋や八百屋さんや肉屋さん、こうした専門小売店ですかね、商店街にある小売店が実際どれだけ減少したのか、まずは伺いたいと思います。

○西坂事業部長 東京は一千四百万の人口を擁する大消費地であるとともに、豊かな食文化を誇る都市であり、大量かつ多種多様な食のニーズが存在しております。花きもまた同様でありまして、卸売市場は都民の消費生活を支える役割を担っております。
 一方で、卸売市場における取引状況を見ますと、全国の卸売市場経由率は、部類によって異なりますが、平成の初期をピークに、その後は低下傾向と厳しい状況となっております。東京の中央卸売市場の取扱数量、取扱金額とも、長期的に同じように減少傾向で推移しております。
 市場取引を担い、地域の食を支える専門小売業の状況について見てみますと、平成二十六年の店舗数になりますが、十年前の平成十六年と比べまして、鮮魚小売業で約五〇%、野菜、果実小売業で約五三%、食肉小売業で約三九%減少しております。
 加えまして、人口減少や少子高齢化の進展等が、加工食品の増加や中食化の進行など、生鮮食品等に関する需要の変化をもたらしております。
 そうした中にありましても、都の中央卸売市場は、国内外の産地からさまざまな生鮮品等を確実に供給することで、変化する消費者ニーズにしっかりと対応し、都民の食生活や東京の文化を支える基幹的なインフラとして、その役割を将来にわたって着実に果たしていくことが重要であると認識してございます。

○長橋委員 ありがとうございます。
 全国の卸売市場経由率、厳しい状況だけれども、東京も長期的に減少傾向であると、こういうことであります。
 ご答弁では、魚屋さん五〇%、野菜、果実、八百屋さん、これも五三%、半分以下に減ってきているわけでありまして、確かに厳しい状況であることはうかがえるわけであります。
 ただ、この経営指針を策定するに当たって、東京の市場経由率はどうなのかといったら、なかなか出せないという話でありましたけれども、十一の市場があるわけですから、それを調べれば、ある面では出てくるんじゃないかと思ったんですけれども、今、ここで聞きませんけれども、そういった意味では、人口減少という大きな中にあって、市場の経由率が減ってきているということも大きな要因だと思いますけれども、東京は、全国に比べたらまだ人口減少が、今の時点ですよ、これから減るんですけれども、何とか保っているということを考えると、これからの取り組みが大変重要だろうと思ってくるわけでございます。
 そこで、経営指針において大事なのは、東京都の市場の特徴は何なのかと。それをどう捉えて策定したのか伺いたいと思います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都の中央卸売市場は、全国各地から集荷した多種多様な生鮮品等を供給することによって、東京の食文化や潤いのある都民生活の実現を支える機能を担っており、また、大消費地である東京都や首都圏を抱える市場として、全国の価格形成の指標となる建て値市場としての機能なども有しております。
 今回取りまとめた経営指針案では、こうした機能を基幹的なインフラとしての中核となる機能として明示するなど、都の中央卸売市場としての特性を踏まえて策定をしております。
 また、市場が目指す終局的なゴールを都民生活の幸せの実現とした上で、今後の取り組みの方向性として、基幹的なインフラとしての機能の強靱化など、七つの方向性をお示ししております。

○長橋委員 もちろん経由率だけを捉えてどうというんじゃなくて、さまざまな角度から捉えていかなきゃいけないと思うんですけれども、今ご答弁のあった都民生活の幸せの実現、これを終局的なゴールとするということであります。これはもう、ある面では当然のことであるわけでありまして、市場にとって重要な課題である市場の活性化を語っていく上で、取扱数量の増加も重要でありますけれども、食料需要の低迷、量だけでははかれないこともあるわけであります。市場を通じて新たな価値が付加され、産地や実需者、さらには消費者の方々にそうした価値がめぐっていく。こうしたことが大変重要ではないかと思っているわけであります。
 そこで、市場の付加価値、どう向上を図っていくのか伺いたいと思います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 指針案においては、二〇四〇年代の中央卸売市場の姿の一つとして、最先端の技術の活用や加工需要への対応の充実などにより、物流、商流に関する付加価値の高いサービスを提供することを目指すとしております。
 デジタル化を通じた商流の高度化や業務の省力化を通じた物流の効率化などを図ることで、より透明性が高く、公正かつ迅速、確実な取引ができる環境を整えること、また、消費者ニーズに即した多様なチャネルに対応していくため、市場業者による加工、パッケージ機能などを提供できるよう環境整備を図っていくこと、このような取り組みが、市場が提供する付加価値を高めていくものと考えております。

○長橋委員 新たな付加価値ということでご答弁いただいたわけでありますけれども、昨年、私もこの委員会で活性化支援事業、これについて聞いたんですけれども、そのときには、なかなか執行率が上がっていなかったと。去年はまだ決算が出ていなかったんですね。だけれども、そうした状況を踏まえて、都は、ここにもありますけれども(資料を示す)補助率を三分の二まで上げたとか、また、対象事業の拡充を図ったということで、昨年度を上回る執行率を生むことができた、こういうことでございました。
 今、質疑では、今年度は、活性化支援事業の後継事業として、強靱化推進事業、これをやるということでありまして、それについては既に答弁が、今、質疑があったわけなのでお伺いしませんけれども、そのときに、本事業の申請に当たって、専門家からの助言を受けられるように体制を強化していくと、こういうことがありましたけれども、ちょっと質問したかったんですけれども、この専門家というのはどういう人たちを指すのか。また、大事なのは、市場業者から、こういう人からアドバイスを受けたい、こういう専門家からアドバイスを受けたいということだと思うんですけれども、どういう専門家、市場業者の要望があったのか、これを伺いたいと思います。

○石井移転支援担当部長 新たに創設いたします中央卸売市場強靭化推進事業におきましては、これまでいろいろ改善の取り組みをしてきた趣旨を引き継ぎまして、より多くの市場業者が環境変化に即した行動にみずから取り組めるよう、本事業の申請に当たって、専門家からの助言が得られるように体制を強化して市場業者に寄り添ってまいります。
 具体的に申しますと、中小企業診断士ですとか公認会計士、そういった方の助言をいただいて、新たな事業の申請に結びつけていただければというふうに考えてございます。

○長橋委員 中小企業診断士とか公認会計士ということでありますけれども、後で質疑もしようかと思いますけれども、マーケティングのことについて、ある面ではそういう専門家もいらっしゃるわけなので、そうした方のアドバイスも市場業者は恐らく聞きたいんじゃないかと思うわけであります。そうしたことを踏まえて、この強靱化推進事業、ステップアップしてでの事業でありますので、ぜひ取り組んでいただきたい、このように思うわけでございます。
 市場の果たすべき役割は、生鮮品の流通等はもとより、社会の一員として、将来に向けた持続可能な社会の実現に貢献していくことが、今、大きな課題であろうかと思っております。
 いわゆるサステーナブル経営を推進していく、これもSDGsの理念にもあるわけでありますけれども、その大きな理念の一つに、食品ロスの取り組み、これは市場としても大変重要な取り組みであろうかと思いますけれども、食品ロスの取り組みについてどう取り組んでいるのか伺いたいと思います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 指針案では、サステーナブル経営の推進に当たり、市場の事業運営そのものが持続可能な社会の実現に寄与する形となるよう取り組みを進めていくこととしており、食品ロスへの取り組みについても、こうした観点から向き合うことが重要でございます。
 具体的には、産地から集荷した生鮮品等を実需者にしっかりと販売し売り切るという市場本来の役割をしっかりと果たすことはもちろんのこと、大きさや外見上の理由などにより流通ルートに乗らない生鮮品等に、例えば生産時の工夫や苦労などのストーリーを見出して付与し、消費者が新たな価値を感じられる商品とすることで市場の流通ルートに乗せ、広く販売に結びつけることなどが考えられ、こうした観点から、市場流通ならではの食品ロスの削減に向けて取り組んでまいります。

○長橋委員 ぜひ、食品ロスの取り組みは、市場が、何といいますか、ひな形となるような取り組みをしていただきたいと。けさも私はニュースで見ましたけど、食品ロスの取り組みは、民間でも、また利用者の方々、いろんな取り組みをされているわけでありますので、ぜひしっかりと取り組んでいただきたいと思いますし、万が一ですね−−この食品ロスの取り組みはなかなか難しいんですけれども、そうした取り組みを市場がやっているということが大変重要なことだろうと思いますので、しっかりとお願いしたいと思います。
 もう一点は、水産物、水産資源の方が注目されていますけれども、気候変動などの影響で、これまで潤沢にたくさん漁獲できた水産物が手に入らないなどの課題が生じています。これも話題になっているところでありますけれども、水産物流通の中間的位置にある市場が持続可能な水産業に貢献していくことは大変重要であろうかと思います。
 そこで、水産資源を持続可能な形で調達していくための取り組みを行っていくべきと考えますけれども、今後どう取り組んでいくのか伺いたいと思います。

○西坂事業部長 生鮮品等の流通の中間結節点である中央卸売市場におきまして、産地や消費者の期待に応えて、市場の強みである目ききの力を生かしながら持続可能な水産業の実現に貢献していくことは重要と考えます。
 近年、意欲的な卸売業者や仲卸業者の中には、生態系や資源の持続性に配慮した方法で漁獲、生産された水産物であることの認証であるMSC認証や、日本初の水産エコラベルであるマリン・エコラベル・ジャパン認証を取得し、持続性に配慮した商品を消費者が選択的に購入できる取り組みを行う事業者も出てきており、都はこれまで、こうした取り組みを後押しすることで、水産資源の持続可能な調達を促進してきました。
 今後、市場業者に対する認証取得の推進に向けた普及啓発を図ることなどにより、市場の運営を通じて持続可能な社会の実現に寄与していきます。

○長橋委員 市場業者に対する認証取得の推進をしていくと。これも重要な取り組みであると思いますし、そうしたことによって持続可能な経営が市場取引においても取り組まれていくということだと思います。
 特に十一ある市場が、それぞれ特徴も違いますし、地域性も違うわけでありますけれども、それぞれが地域の中でサステーナブル経営をやっているんだということをアピールしていくことが大変重要だろうと僕は思っております。
 そこで、指針案でも地域社会との共生を図っていくというふうに出ておりますけれども、具体的な取り組みについて伺いたいと思います。

○西坂事業部長 中央卸売市場が地域との関係構築につながる取り組みを進め、地域との共生を図っていくことは重要でございます。
 このため、中央卸売市場が持つ生鮮品等に関するさまざまな情報をホームページなどを活用して積極的に発信し、都民にとって身近な食の宝庫などとして、市場を社会に紹介していきます。
 また、児童の社会科見学の積極的な受け入れに加えまして、地域の幅広い年代の方々を対象とする食育や花育につながるイベント等を実施いたしますとともに、地域住民が直接、市場の生鮮品等に触れる機会を設けることで地域住民に市場への理解を深めてもらうなど、開かれた市場とすることにより、地域社会との共生を図っていきます。

○長橋委員 今までは市場まつり、これが、私の地元でも市場まつりの日は大変な人気で、もう開場前から多くの人が行列をして待ち望んでいるわけでありますけれども、それ以外はなかなか入る機会がないという中で、児童の社会科見学だけではなくて、地域の幅広い年代の方々も対象とする食育や花育、こうしたことも、高齢社会にあっては重要な取り組みでありますので、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 十一ある市場ですから、水産の市場もあれば、野菜の市場もあれば、花きの市場もあるわけでありまして、それを特徴を生かして、さらにアピールをしていただきたいと思っているわけであります。
 昨年の事務事業質疑で、先ほど申し上げました地元の豊島市場の活性化の取り組みについて伺いました。その際に、区部西北部の商圏を踏まえて、板橋市場との連携強化を図る、調査するという答弁がありました。豊島市場の売買参加者が板橋市場に出向いて実際に取引に参加をする試行的取り組みを予定しているというお話もございました。
 この試行取引、どういうものだったのか、まず伺いたいと思います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 板橋市場との連携強化に向け、今月の一日から十二日まで、豊島市場の売買参加者が板橋市場に出向き、実際に取引に参加する試行取引を実施いたしました。
 参加した豊島市場の売買参加者からは、取引の選択肢がふえた、仕入れたい産地の野菜を手に入れることができたなど、板橋市場での取引にメリットを感じた声がある一方で、豊島市場と比べて自社店舗からの距離が遠い、なれない環境のもとでスムーズに商談ができなかったなど、課題を指摘する声も寄せられております。
 今回の試行取引の結果を検証いたしまして、豊島市場と板橋市場との連携のメリットを感じていただける機会の提供などに引き続き取り組んでまいります。

○長橋委員 板橋市場と豊島市場との連携ということについて、前回も質疑をしましたけれども、今回、それが初めてだということですね。今、お声は、メリット、それからまたデメリットといいますか、両方あったということでありますけれども、参加者がどれぐらいあったかは聞きませんけれども、引き続き、豊島市場と、それから板橋市場との連携というのは既に始まっているわけでありますから、こうした取引をさらに重ねていって集約していっていただきたいと思いますし、また、今後のこうした取り組みを、また結果が出ましたら、地元なので教えていただければと思っております。よろしくお願いをいたします。
 そこで、もう一つは、今回の指針の中で市場関係者の関心が高いテーマの一つが、民間経営手法の活用でございます。指針では、持続可能な市場経営の実現を見据えて、民間経営手法を効果的に活用していくというふうにしております。
 一口に民間経営手法といっても、この内容は本当に幅広いと思いますし、また、実際に活用する際には、さまざまな課題があると考えております。
 そこで、民間経営手法を活用する趣旨の内容、そしてまた今後の取り組みについて、改めて都の見解を伺いたいと思います。

○村上財政調整担当部長渉外調整担当部長豊洲にぎわい担当部長兼務 都の中央卸売市場を取り巻く環境変化に的確に対応し、求められる役割を果たすとともに、その土台となる強固で弾力的な財務基盤を構築する上で、民間の創意工夫や多様なノウハウ、技術を活用していくことは有用でございます。
 指針では、民間経営手法として、PFIや指定管理者制度といった官民連携や、未利用資産の有効活用や施設の高度、複合的な利用など、さまざまな類型、形態等について幅広く検討していくこととしております。
 都は、こうしたさまざまな民間経営手法を活用する際の課題等を踏まえて、導入による効果等の研究や、活用するべき事業の範囲等の精査、適切な事業環境や条件の整備のあり方の検討などに取り組んでまいります。

○長橋委員 基本的にはこれから検討していくということだろうと思いますし、答弁では、PFIとか指定管理者となると、間にそういうPFI等の事業者が入るということは、東京都からちょっと離れちゃうんじゃないかというふうに思う方もいらっしゃるんじゃないかなと思いますから、やはり大事なのは、PFI、指定管理者制度ということの前に、市場業者としっかりと話をして、どういう市場であるべきかと。二〇四〇年の姿を目指すといっているわけでありますから、そこら辺は、具体的な検討はこれからだと思いますので、よろしくお願いをしたいと思っております。
 もう一つは、同じく昨年の事務事業で、市場におけるデジタル化の取り組みについて質疑をいたしました。その際にご答弁であったのは押印廃止の議論でありましたけど、それ以外は余りなかったように思うわけであります。
 指針案においても市場のデジタル化の取り組みを進めていく姿勢が示されておりまして、これは東京都全体で取り組んでいく中にあって、市場もそれにしっかりと取り組んでいくということでありますけれども、なかなか市場業者の皆さんは、利便性が高まるとか活性化されるということはイメージはできるんだと思いますけど、実際に市場業者の皆さん方について、デジタル化について得意な方が多いかというと、そうでもないんじゃないかと思っております。
 そういう意味でいうと、やっぱり東京都がデジタル化に向けて余り速く走ってしまうと、市場業者の方はついていけないという方もいらっしゃるんじゃないかと私なんかは思うわけでありますので、大事なのは市場業者との協働であるということを思っております。
 そこで、市場取引の活性化に向けた取り組みの強化として、デジタル化をしていく、それによって商流の高度化、効率化を図っていくということでありますけれども、デジタル化の今後の取り組みについて、市場業者との協働について答弁を求めたいと思います。

○西坂事業部長 デジタル技術の進展など卸売市場を取り巻く環境が変化している中、市場取引の活性化を図るためには、先端技術の活用などにより、市場における取引や決済などの商流について、業界と連携して高度化、効率化を図っていくことが重要でございます。
 このため、サプライチェーンの中間結節点として、さまざまな取引情報が集積する中央卸売市場において、産地や実需者と連携し、商品情報等をデジタル化して活用することにより、市場業者による集荷力の向上や、実需者ニーズに応えた販売力の強化につなげていきます。
 また、デジタル化された商品情報等を活用して、市場業務におけるペーパーレス化やキャッシュレス化を推進することにより、市場における決済の効率化を図っていきます。

○長橋委員 デジタル化というのは、さまざまな可能性を秘めているんだろうと思います。私もデジタル化ということを去年の一般質問でも取り上げて、東京都としても、条例をつくる、いよいよ新しい組織もつくると、こういうふうになってきているわけでありますけれども、そうした中で、単なる書類の簡素化とかスピード感だけではなくて、先ほど申し上げましたけれども、日々刻々と変わるマーケティングの情報とか、そうしたことを市場業者と、そして、都民の皆さんの動向をどう伝えていくのか、それによって日々刻々と変わっていくことが重要だと思いますので、ぜひマーケティングについても、デジタル化の中で、ぜひ業者と一緒になって取り組んでいただきたいと思っております。
 そこで、昨年、事務事業で質問して、そのときには押印の廃止などを含めてやっていくとありましたけれども、具体的な答弁がなかなか、これからだったと思うんですけれども、昨年以来、行政手続のデジタル化、どう推進をしてきたのか、まずは伺いたいと思います。

○松田管理部長豊洲市場活性化担当部長兼務 中央卸売市場が豊かな都民生活を支える大切な役割を今後も果たしていくためには、委員ご指摘のように、進展が著しいデジタル技術を市場における業務の各場面に取り入れ、構造改革に向けた取り組みを積極的に進めることが必要でございます。
 そのため、まずは開設者として、市場に係る各種手続のデジタル化を推進し、市場業者の利便性の向上、行政運営の簡素化及び効率化を図ってまいります。
 昨年十一月と本年一月の二回にわたりまして調査を行ったところ、五百を超える手続がデジタル化推進の対象となることが明らかになったところでございます。
 これらの手続につきまして、今年度、押印の廃止に伴う規則、要綱の改正を行った上で、来年度以降、受け付け件数の多い手続から電子申請の仕組みを導入してまいります。

○長橋委員 改めてデジタル化について調査を行ったら、五百を超える手続が対象になるということでありますから、もちろん、今後さらにデジタル化に伴う取り組みは加速をしていくんだろうと思うわけでありまして、重ねて申し上げますけど、ぜひ市場関係者の皆さんとよく連携をとっていただきたいと思うわけであります。
 これまで、経営指針、また、市場のあり方について質疑をしてまいりましたけれども、私なんかも、東京の食、これが世界に冠たる食だと。先ほども質疑で、和食は高い評価を受けている、こういうこともありました。
 私も以前、随分前でありますけれども、東京の食は、おいしいということとともに、いつでも安全・安心で食べられる、こんなことを質疑したことがありました。そのためには、外国人でも安心して行けるんだから、一人でも行けるんだから、外国語のメニューをつくったらどうかというような質問をしたことがある。今ちょっとインバウンドはできませんけれども、世界の人も、できたら東京に行きたい、日本に行きたい。これからオリンピックがどうなるかあれですけれども、オリンピックはどういう人たちが来られるかということがまだ議論されていますけれども、東京に来たいという中には、東京の食を味わいたいと大きな要望がある方もあります。未来の東京戦略でも、世界に冠たるグルメ都市東京を目指す、こういっているわけでありまして、そうなれば、この中央市場の役割は大変重要であります。
 世界に冠たるグルメ都市、これを目指すに当たって、市場長の決意を伺いたいと思います。

○黒沼中央卸売市場長 東京は、和食はもとより、世界中の多種多彩な食をいながらにして楽しむことができる、まさに豊かな食文化を世界に誇る都市でございます。
 都の中央卸売市場は、全国各地から出荷された野菜、果物、水産物、食肉といった生鮮品を、日々の食卓を支えるまちの小売店、人々のコミュニケーションの場となる飲食店などに、切れ目なく、委員ご指摘ございました安全・安心を保ちながら提供することで、東京の豊かな食生活、食文化を支える重要な役割を担ってございます。
 こうした役割、使命を将来にわたって果たしていくため、今般のコロナ禍を初めとしたさまざまなリスクに対応した市場機能の強靱化を通じて事業の継続を図りますとともに、Eコマースの増加、中食への志向の高まりなど新たなニーズに即して、多様な販路の開拓や、加工、パッケージ機能などを強化してまいります。
 これらの取り組みにより、市場の強みを生かした付加価値を産地や実需者の方々に提供できるように、環境の整備を図っていく必要がございます。
 今回、経営指針で示しました七つの方向性、これを具体的な施策として着実に実現していくことによりまして、世界一の美食都市を目指す、食の魅力あふれる東京の実現を、しっかりと市場として下支えをしてまいります。

○長橋委員 市場長、ありがとうございました。
 冒頭、市場からは、目指すべきゴールは都民生活の幸せの実現というようなことであります。幸せの実現、これはいろんな角度がありますけれども、やはりおいしいものをいつでも安心に食べられるというのは本当に大きな幸せだと私は思います。
 その役割を中心的に担う市場にさらなる取り組みを強化していただきたい、心からお願いして、質疑を終わります。ありがとうございました。

○あぜ上委員 それでは、私からも質疑をさせていただきます。
 他会派の方々からも、中央卸売市場における新型コロナ感染の影響についての質疑がございました。まず、私の方からも、第一に、コロナ禍における市場関係者への支援について伺いたいと思います。
 私の地元にあります豊洲市場、この豊洲市場の仲卸業者の皆さん、それから飲食、物販の方々から、本当に切実な声が寄せられているところです。
 最近も、ある仲卸業者の方から、とにかく先が見えない、お客が減って苦しいと融資などの支援を求める、そういう声が寄せられたところです。物販でも飲食でも、早く店じまいをしていると。また、呼び込みしても、そもそもお客さんがいないと。今、立ちんぼっていう、皆さんいっているようですけれども、立っていてもお客さんが来ないと、そういう状況、本当に深刻です。
 そこでまず、伺いたいんですが、豊洲市場における取扱数量など、ことしに入ってからの状況について、傾向を伺います。

○西坂事業部長 豊洲市場における本年一月の取扱数量でございますが、水産物が前年同月比で約九二%、青果物が約八九%となっています。
 また、取扱金額につきましては、水産物が前年同月比で約八三%、青果物が約九三%となっております。

○あぜ上委員 今のお答えを伺っていても、なかなか厳しいことが、取扱量や取り扱いの金額からもわかりました。
 持続化給付金はすぐに使い果たしてしまったと、これまでで一番の危機だという、こういう声も寄せられているんですが、市場の場合は使用料となっておりますが、国の家賃支援給付金の対象ともなりました。
 実績について把握をされているんでしょうか伺います。

○石井移転支援担当部長 国の家賃支援給付金につきましては、都内十一の中央卸売市場における市場業者を対象として、申請期間が終了した先月の時点で、利用状況に関する調査を行っております。
 これによりますと、申請中の場合も含めまして、国の家賃支援給付金を利用しているのは仲卸業者及び関連事業者でございまして、利用者の割合は全体の約四割となっております。

○あぜ上委員 四割が利用されていると。この家賃補助、本当に助かったという声も伺っていますが、該当しなかったという事業者の方もいらっしゃいました。そうした事業者の方々は、江東区が独自に実施しました食品卸等支援家賃給付金、これを利用したという方もいらっしゃったんですが、しかしながら、コロナの終息が見えない中で、今後の不安が高まっているところです。
 事業者の方々からは、引き続き国も都も支援してほしい、こういった声が寄せられております。国は、家賃補助の再度の実施の方針、また都も、組んでいません。
 そういう中で、市場としては、ぜひ新型コロナ対策として使用料の減免制度、これを求めたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

○村上財政調整担当部長渉外調整担当部長豊洲にぎわい担当部長兼務 都では、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い売り上げが減少した市場業者に対し、昨年四月支払い分から市場使用料と光熱水費の支払い猶予を実施し、その後も、内容の拡充を図りながら、分割納付を初め、市場業者の経営状況に対応した弾力的な運用を行っております。
 また、国や都の支援メニューを市場業者に幅広く利用してもらうため、市場使用料も対象となっている国の家賃給付金等の給付に関して、業界団体と連携した説明会を実施するなど、わかりやすい周知や申請手続のサポートなどをきめ細かく行っております。
 都としては、こうした取り組みにより、市場業者の経営をしっかりと支えてまいります。

○あぜ上委員 市場当局として、猶予、それから分割納付など実施されているということでありますが、業界団体と連携した説明会の実施などもご努力されているということは伺っておりますけれども、やっぱり業界団体、それからあと市場関係者の皆さんの声、また、今の現状をよく聞いていただいて、本当に厳しい経営に追い込まれている、こうした仲卸業者などの要望に応えていただきたいなというふうに思います。
 次に、市場におけるPCR検査についてです。
 豊洲市場のみならず、各中央卸売市場でも新型コロナ感染が発生していますが、この状況についてはどのように分析されているのか伺います。

○西坂事業部長 新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴いまして、中央卸売市場におきましても、これまで複数の陽性者が散発的に確認されている状況でございます。
 こうした陽性者につきましては、体調不良や家族等の濃厚接触者と判定されたことなどを契機として判明しておりますが、保健所による調査において感染経路不明とされる場合が多くなっております。
 都といたしましては、基幹的なインフラである卸売市場の事業継続を確保するため、業界と連携して、基本的な衛生対策を徹底することにより、市場内における感染拡大の防止を図ることが重要であると考えております。

○あぜ上委員 基本的な衛生対策の徹底ということ自身はとても大事なことだというふうに思うんですが、同時に、今、本当に重要なのは検査なんだと思います。
 基本的対処方針等諮問委員会の尾身会長が、リバウンド防止の対策強化を求める見解を、三月五日に発表いたしました。
 七項目のうち五項目は、情報の集約や分析を強化し、大都市では見えにくいクラスターを捉えるための検査、感染リスクが高い集団や場所を特定し、軽症者や無症状者に焦点を当てた検査、そして、最近では変異ウイルスが出てきているわけですけれども、この変異ウイルスの検査、そして、感染が再拡大する予兆が見られた場合の対策など、検査や調査の拡充を求めているところです。
 先ほど来、皆さんからもお話ありましたけれども、中央卸売市場というのは、食品流通のかなめでございます。事業は絶対にとめることができないわけです。
 そういう意味では、実際、豊洲市場で、昨年の秋に大規模な検査を行って感染拡大を抑え込んだという経験をお持ちです。
 あのときは、業界として臨時総会を開いて決断をされたということを伺っていますけれども、やっぱり私は、都としても実施する必要があるんじゃないかというふうに考えるわけです。
 卸、仲卸、飲食、物販など、市場関係者の皆さんはエッセンシャルワーカーとして位置づけ、定期的に大規模なPCR検査を実施することを求めますが、いかがでしょうか。

○西坂事業部長 コロナ禍にありましても、都民の消費生活を支える基幹的なインフラである中央卸売市場は確実な事業継続を求められており、そのため、都はこれまで、業界とともに感染拡大防止対策に取り組んできました。
 具体的には、各市場において、マスク着用、手洗い、手指の消毒等を初めとする基本的な衛生対策を徹底いたしますとともに、業界と連携した巡回指導等も実施してきました。
 お話の大規模なPCR検査の定期的な実施につきましては、保健衛生当局により、その必要性が判断されるべきものと考えますが、市場当局といたしましては、今後とも業界と一体となって、それぞれの市場の状況に応じた対策に取り組み、市場内の感染拡大を防止することにより市場機能を確実に維持していきます。

○あぜ上委員 確かに検査については、都全体としての方針を定めるということが重要だというふうに思いますが、保健衛生当局とも連携していただいて、ぜひ市場関係者の方々とも協議をしていただいて、積極的検査を実施していただきたいと思います。
 最後に、豊洲市場のモニタリング調査結果について一言申し上げたいと思います。
 知事は、豊洲市場の地下水汚染の問題については、最近は一言も触れなくなってしまったわけですけれども、直近のデータでも、空気測定結果は環境基準を満たしているものの、地下の水質、これは環境基準を四十六カ所中三十七カ所で超過をしております。
 その上、汚染濃度が上昇したところも出てきておりまして、引き続き注意深く管理する必要があると思います。
 また、地下水位についてですけれども、三月三日の測定で、三十三カ所中十二カ所において、地下水位の管理基準、A.P.一・八メートルを超えております。
 地下水位は、目標水位を日常的にA.P.一・八メートルに管理するということについては、土壌汚染対策、それから液状化対策の大前提だったはずです。
 しかし、地下水管理システムが本格稼働して二年半以上たつ、こういう状況にもかかわらず、いまだに達成できていないという、こういう状況については、しっかりと分析をしていただいて、総括をしていただきたいというふうに思います。
 こうした中で仕事をされております豊洲市場の市場関係者の皆さん、本当にさまざまな不安や苦労を抱えながら、必死で事業を続けられております。そこにコロナの追い打ちで、まさに心が折れそうな、そういう状況になりながらも本当に頑張っていらっしゃるわけです。
 市場関係者、関連事業者の方々に心を寄せた伴走型の対応を重ねてお願いを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

○菅原委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後三時六分休憩

   午後三時二十二分開議
○菅原委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言をお願いいたします。

○奥澤委員 私からも、東京都中央卸売市場経営指針(案)について質問していきたいと思います。
 その内容については、私は率直に意欲的であると期待をしていますけれども、では、実際に市場運営にどう落とし込んでいくのかという観点では、まだまだ確認しなければいけないところがあるというふうに思っています。
 本指針のポイントは、都民生活の幸せを実現するということを規定していることだと思いますけれども、つまり、ここに示されていること、都民の皆様一人一人まで届くまで一貫して目配りをしていかなければいけない、これが一番重要なことだと思います。
 そのような意味で、まず確認したいのは、多様なステークホルダーをいかにして取りまとめていくのかという視点です。
 ステークホルダー、日本語にしますと利害関係者ということで、市場を取り巻く環境においては、生産者から消費者まで、さまざまな方々がいらっしゃいます。
 こうした方々に本指針へのご理解をいただいて、ご納得していただいて、ともに進んでいく仲間といいますか、運命共同体といいますか、そういった存在になっていくには、相当な苦労がこれからも残っているんだろうというふうに推察をします。
 そこで、まず初めに、市場を取り巻く多様なステークホルダーへの配慮、これが非常に重要だと思いますけれども、どのような考え方で進めていくのか伺います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 経営指針案では、市場が地域社会の一員として社会的責任を果たしながら持続的に発展していくサステーナブル経営を推進するとしております。
 こうしたことから、指針案に示した方向性の実現に当たっては、都の中央卸売市場が市場業者を初め、産地や小売業者などの実需者、消費者、地域の住民など、さまざまな関係者とかかわりを持ちながら事業運営を行っているということを踏まえ、多様なステークホルダーに配慮した市場経営を行っていくことが重要であると認識をしております。
 こうした考え方のもと、具体的な施策を進めてまいります。

○奥澤委員 多様なステークホルダーへの配慮、また、今、市場が地域社会の一員としてというお話もありましたので、考え方そのものには、私自身も納得をするところです。
 これから具体的な施策を進めていくということですので、丁寧な説明、合意形成、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。
 そういった意味で、ステークホルダーの利害というのは必ずしも一致するとは限らない。むしろ、一致しない場合の方が多いというのが、こういった議論を進めるときに往々にしてあることだと思います。
 先ほど、ご答弁にもありましたけれども、持続的に発展していくという部分でも考えなければいけないのは、それぞれの利害関係者にどんなメリットがあるか。つまり、もうかるかどうか、稼ぐことができるかどうかというのは重要にしなければいけない。これはきれいごとじゃなく、考えていかなければいけないことだというふうに思っています。
 一言でいうと、それは市場の活性化という言葉に尽きるのかもしれないですけれども、そのために都としてどのように取り組んでいくのかお伺いしたいと思います。

○西坂事業部長 都の中央卸売市場において、市場取引の担い手である市場業者と一体となって、商流と物流の基盤強化を通じて市場取引の活性化に取り組むことは、品ぞろえの充実した生鮮品等の供給につながるとともに、市場業者の経営に資するものであり、重要であると認識しております。
 経営指針の案におきましては、キャッシュレス化を実現するプラットフォームの構築や、自動搬送装置等による場内荷役業務の省力化など、市場取引を支える商流及び物流の高度化、効率化を通じて、豊富な物の流れをスムーズにすることで市場取引の活性化を促していくこととしており、今後、都は、市場業者と連携しながら、こうした取り組みを進めていきます。

○奥澤委員 市場取引の活性化、これを市場の業者と連携をして進めていくということで、ぜひとも取り組んでいただきたいんですけれども、この場合にも、客観的に見えていく指標であったり数値、こういった目標も持っていただきたいということも、あわせてお伝えしておきたいと思います。
 東京都の市場取引は、日本全体の流通にも影響を与える大きな存在だと思っています。大消費地である東京都の消費動向は全国を牽引しているものだというふうに思っています。
 市場単体のみでなくて、流通全体の動向を数値で追いかけていただきたい。それから、市場は今や世界に広がっているという部分も、しっかりと頭に置いて、世界の成功事例、こういったものもよく研究していただきたいというふうに思います。
 また、もうかるかどうか、稼げるかどうかという部分というのは、これは収入と支出のバランスが重要ですから、支出についても伺いたいと思います。
 消費者の目線で見ても、高い、安いというのは、下世話な話かもしれないですけど、消費に大きな影響を与えるということは皆さんもご存じのことだと思うんですけれども、消費者に行き着くまでの間にしっかりとコストカットしていくこと、それが消費者自身はよいものが安く手に入るということにつながりますし、そうすれば、そこにある、出ている商品をどんどんどんどん使おうと、流通も回っていくというようなことにもなるんだろうというふうに思います。それは、すなわち個人の消費機会の拡大にもつながっていくんだろうと思っています。
 そういった意味で、業務効率化を図っていくこと、コストを削減していくこと、こういったことに対して、都としてはどのように事業者を支援していくのか、また、市場運営に取り組んでいくのかお伺いしたいと思います。

○石井移転支援担当部長 都では、市場全体の活性化に資する市場業者の先駆的な取り組みにつきまして、中央卸売市場活性化支援事業により支援をしております。
 これまで、デジタル取引を促進するための商品コード体系の整備等、ICTを活用した業務改革の取り組みなどを後押しいたしました。
 今後も、新たに創設する中央卸売市場強靭化推進事業において、コロナ禍等の環境変化に向き合い、経営基盤の強化に取り組む市場業者を幅広く後押しするなど、意欲ある市場業者を支援していきます。
 こうした取り組みを通じまして、より強固で安定した市場運営を実現してまいります。

○奥澤委員 新たに創設する事業において後押しをしていくとのことでした。
 これは市場業者というものに限らずなんですけれども、コロナ禍にあって、中小企業のBPR、業務プロセスの見直しが進んでいるというお話があります。
 ただ、これはなかなか通常業務をこなしながら並行して行うことが難しいというご意見も伺っておりますので、おせっかいだといわれるかもしれませんけれども、市場に出入りする事業者さんに対しても、好事例の共有、丁寧な助言を行うよう、改めて求めておきたいと思います。
 業務の効率化という観点では、パレット化の推進についても、今回の指針案には記載をされているところです。
 これは以前の委員会でも少し取り上げたこともあったかと思いますけれども、どのように進めていくのかお伺いしたいと思います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 指針案では、物流の高度化、効率化を図るため、パレットの規格や外装の標準化、運用ルールの確立等によるパレット化の推進を図ることとしております。
 これまで、産地関係者や市場業者、物流事業者により構成される農産物パレット推進協議会が実施するパレットの共同利用、管理の事業に、都の市場の卸売業者も参加してきており、事業の現状や課題を市場業者と共有することなどにより、業界とともに必要な方策について検討を進めてまいります。

○奥澤委員 物流の高度化、効率化のために重要なことであって、必要な方策を検討していくということでした。ぜひお願いしたいと思います。
 ただ、流通過程での破損あるいは紛失、場合によっては盗難されるといったケースもあると聞き及んでいまして、例えば、ICチップ、GPSの管理、そういったことも必要になるのかなということを想像するところですけれども、いずれにしろ、よい仕組みの構築、やや時間は要するとは思いますけれども、しっかりと進めていただきたいと思います。
 大変、私ごとで恐縮ですけれども、大学時代、冷凍食品の積みおろしといったらいいんですか、倉庫からトラック、トラックから倉庫にという、そういうバイトをしたことがあるんですけれども、大変な苦労で、何十キロも何キロもあるやつを四トントラックに、ただひたすら積み込んでいくという仕事なんですけど、これ、運動部に属していた私でも翌日動けないぐらいの本当に重労働だったんですね。
 確かにパレットがあると、積載容量が減ってしまう。そこに、物そのものを積んでいった方が効率的に運べるというか、一回に運べる量が多いということはよくわかっているんですけれども、これを企業によっては、積みおろしをトラックの運転手にもやらせている。それは給料とは別のところでやらせているという企業さんも、物流会社の方にあるということも聞くんです。
 あの大変な重労働をした後に、長時間の運転をしていくということは、これは安全性の面でも、交通事故の危険性が増すだろうということは容易に想像できるわけで、パレット化の推進というのは、こうしたトラック運転手の安全を守るという側面があることも念頭に置いて、ぜひとも取り組んでいただきたいというふうに申し述べておきます。
 さて、ここから、持続可能性という観点から幾つか質問します。
 これについては、我が会派、斉藤れいな議員が事あるごとに取り上げてきた内容でありますけれども、きょうは私がかわって質問させていただきます。
 SDGsに代表される持続可能性を高める取り組みは、今や世界のスタンダードであり、むしろ取り組んでいない事業者は選ばれないといった機運も醸成されつつあります。
 環境配慮や食の安全・安心への情報アクセスのしやすさ、トレーサビリティーや、エシカル、倫理的な消費、あるいは労働環境、ダイバーシティーといった取り組みについても社会の評価指標が大きく変化していて、市場も取り残されるわけにはいかないというふうに思います。
 一方で、こうした取り組みを進めていくには市場単体でできるものではなくて、例えば、産地との協働が必要なことも出てくると思います。
 どのように取り組んでいくのかお伺いします。

○西坂事業部長 近年、SDGsなど、持続可能な社会への関心の高まりや地域社会との共生、働き方改革など、社会的な要請は多様化しておりまして、中央卸売市場が地域社会の一員として社会責任を果たしながらサステーナブル経営を実現していくことは不可欠であると認識しております。
 今後は、エシカル消費への志向の高まりなどを踏まえまして、環境への配慮など社会的課題の解決に取り組む産地との連携を図るなど、持続可能な社会の実現に寄与するよう市場運営を行っていきます。

○奥澤委員 ありがとうございます。エシカル消費への志向の高まりなどを踏まえて、産地との連携も図っていくというお答えでございました。
 以前は、社会的責任というのを果たすというのは、どちらかというと不採算部門というか、これをやることでコストがかかってしまうというような側面があったと思いますけれども、今は社会的責任を果たしていくことが、むしろ経営にとってもプラスになっていくというような時代に変わってきたというふうに思っています。
 そういった部分の、ぜひ市場に出入りする事業者さん、あるいは産地の方々ともお話をして、あるいは消費者にも選んでいただける、そういった仕組みをぜひ講じていただきたいというふうに申し述べておきます。
 同じような観点になりますけれども、市場で取り扱う生鮮食品については、それがとれなくなってしまう、例えば漁業で、おいしい魚があっても漁業資源がなくなってしまえば続けていくことができないというのも一つ大きな課題になっています。
 そういったことを解決するために、サステーナブルシーフードという取り組みについてお伺いしますけれども、将来の、お魚を食べ続けていくことができるように、おいしいお魚を食べていけるように、水産資源や環境に配慮し適切に管理された漁業でとられた水産物、あるいは環境と社会への影響を最小限に抑えた養殖場で育てられた水産物、こういったものを選んでいこうという考え方であります。
 持続可能性を高めていくためには、サステーナブルシーフードの考え方に基づいて漁業のあり方、これを漁師の皆さんにも、あるいはそのご家族の皆さんにもご理解いただいて、その方々の暮らしも支えていきながら構築をしていかなければならない、そういったものだと思います。見解をお伺いします。

○西坂事業部長 中央卸売市場は、社会の一構成員として、流通過程におけるSDGsに配慮した取引等を推進し、持続可能な社会の実現に貢献していくことが必要であります。
 このため、産地から集荷した水産物を、中央卸売市場の強みである目ききの力で適正に評価し、実需者に確実に販売するという市場本来の役割を着実に果たしていくことにより産地の期待に応えていきます。
 近年、生態系や資源の持続性に配慮した方法で漁獲、生産された水産物であることを示す水産エコラベルを取得して、消費者が選択的に水産資源の持続性に配慮した商品を購入できるよう取り組んでいる意欲的な卸売業者や仲卸業者が出てきております。
 都はこれまで、こうした事業者を後押しすることを通じまして、持続可能な水産資源を確保する取り組みを支援してきました。
 今後とも都は、水産エコラベル認証を取得した商品の取り扱いが普及するよう支援していくとともに、食育のイベント等を活用して、水産エコラベルの認知度を高める啓発活動に取り組むなど、持続可能な水産物の漁獲、生産を下支えし、将来にわたって持続可能な調達を実現していきます。

○奥澤委員 ありがとうございます。水産エコラベルの認知度を高めていく啓発活動も、ぜひ消費者に選ばれる取り組みとして推進していただきたいと思います。
 まさに川上から川下までといいますか、そこを、間にいる市場だからこそ、いろんなところとお話ができるんだと思いますので、ぜひとも取り組み、よろしくお願いします。
 続いて、職場におけるダイバーシティーという観点からご質問します。
 消費者ニーズが多様化している昨今においては、多様な人材がかかわること、これ自体がよりよい市場運営に不可欠であるというふうな観点から、私たちはこれまでも取り上げてきたところです。
 これも同じく、例えば、以前であると、社会的責任を果たすために、例えば、障害のある方を雇うことは、どちらかというと不採算だというように捉えられてきた企業風土なんかも、今、変わってきました。障害のある方々の視点が、商品開発だったりサービスの開発だったりにつながるんだという視点に徐々に変わってきていると思います。
 こういった機運は、ぜひ市場運営、そして市場にかかわる事業者の皆さんにとっても、ぜひ取り入れていただきたい観点だというふうに私は思っています。
 そうした意味で、誰もが働きやすい環境をつくっていく。そのために、事業者の仕事を切り分けて、集約して、一括して業務を行う、そういった工夫も必要なんじゃないか、そういったことも提案をしてきました。今回の指針を見ますと、障害者雇用を初めとするダイバーシティーの観点が記載されている、これは私は大変期待をしています。
 今後どのように取り組んでいくのかお伺いします。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 指針案では、市場の事業運営を通じて持続可能な社会の実現を目指すこととしており、障害者を初め、多様な人材がその能力と適性を十分に生かしながら働くことのできる場を創出するなど、ダイバーシティーの推進を図ることとしております。
 流通の拠点である卸売市場の施設の特性や市場業務の作業の状況などを踏まえながら、市場におけるダイバーシティーの推進について、障害者雇用の観点も含め検討してまいります。

○奥澤委員 今後、障害者雇用の観点も含めて検討していく、多様な人材がその能力と適性を十分に発揮できる環境をつくっていくというお話だったかと思います。
 以前の質問だったかと思いますけど、市場の中では、少し危険性があったり、そういった考えなければいけないこともまだまだあるんだということは聞いていましたけれども、ぜひ一つ一つクリアしていっていただくこと、これが必ず消費者のところまでよい影響を与えていくと私は確信していますので、どうぞよろしくお願いします。
 最後に、財務基盤という観点から見た持続可能性について質問させていただきます。
 これについては、いろいろな考え方があることは承知しております。賛否両論あることも承知をしております。
 幾ら都民にとって必要な機能といえど、ずっと赤字を改善できない、このままでは、やはり持続可能性には限りがあるのは確かなことだと私は考えていますし、経常収支の黒字化を目指していく、これは当然のことだというふうに思っています。
 そういった意味で、先ほど、ご答弁の中で、これまで果たしてきた市場の機能、これは損なうことなくやっていくんだという考えも述べられておりました。民間的経営手法を上手に活用していく、これもその選択肢の一つであるというようなことは、これまでるるお話があったというふうに理解をしております。
 その部分に関しては私も考えを同じくするところなんですけれども、一方で、具体的にどのように検討を進めていくのかということが重要なわけです。
 そこは結論ありきではなく、しっかりと検討過程だったりだとか、どんなメリット、デメリットがあるんだとか、そういったことを広く都民の理解を得ながら進めていく、これが重要なんだと思います。
 これは広く、私たち、この四年間ずっといってきていますけれども、情報公開という、もうそれなんだと思います。自分たちによいことも悪いこともしっかりと公開していく、これが理解を得られることにつながるんだということを改めて申し述べておきたいと思います。
 そのような意味で本指針を見ていくと、まずは検討するための材料をそろえていく、そういった段階にあるんではないかというふうなことが読み取れますけれども、都としては、今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺いたいと思います。

○村上財政調整担当部長渉外調整担当部長豊洲にぎわい担当部長兼務 民間経営手法の活用に当たっては、民間経営手法のあり方や導入による効果等について十分研究をし、都の中央卸売市場における民間経営手法の活用可能性について検討を行ってまいります。
 また、各種の規制や制限の緩和、財政的な関与も含め、事業者が積極的に参画し、その内容を競い合うことができる適切な事業環境や条件の整備のあり方等についても、あわせて検討してまいります。
 こうした検討を幅広く行えるよう、検討に有用な材料や情報を整理してまいります。

○奥澤委員 まずは有用な材料や情報を整理していくということですので、これは都民にとってもぜひわかりやすい、そして正しい情報といったらいいんですか、隠すことなく、ぜひ整理を進めていく、検討を進めていただきたいと思います。
 市場移転の問題で、繰り返しになってしまいますけれども、やっぱり一番学ぶべきは何だったのかということをもう一度思い出してやるべきだと思っています。
 それは、私たちは情報をいかにして都民の皆さんに理解していただくか、そして合意形成を丁寧に進めていくか、これが一番重要なことだと思っています。繰り返しになりますけれども、しっかりと情報が公開されている、開かれた場所で検討を進めていく、そして計画を策定していく、これを進めていただきたいというふうに思います。
 最後に、きょうは質問しませんでしたけれども、一言だけ申し述べておきたいことがあります。それがリスクに備えた実効性あるBCP、事業継続計画の策定について言及されている点です。
 これ、私たち独自に調査をしたんですけれども、一昨年の台風十五号と十九号のときに、かなり大きな被害が千葉の方であったと思います。あのときに大規模な停電が発生して、生鮮食品が大きな打撃を受けたということを聞いています。
 つまり、停電してしまって冷蔵庫が全部とまって、中に保存していたものが全部腐ってしまったと。誰がこれ責任とるんだという話で、誰もとれる人がいないという中で、結果的には、それはもう廃棄せざるを得なかったということを聞いています。
 今後もこうした自然災害、これは避けることができないものだと思います、この日本にあっては。
 ですので、そういったものが発生したとき、大規模な災害が起きたときのエネルギー供給という面からも、ぜひ市場の運営、よく見直しをしていただいて、今後の備えを万全に取り組んでいただきたいということを求めまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

○尾崎委員 私の方からも、東京都中央卸売市場経営指針(案)について伺っていきたいと思います。
 最初に、市場の活性化を考える会の議論のまとめは、今回の東京都中央卸売市場経営指針(案)にどのように反映されたのか伺います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 市場の活性化を考える会による議論のまとめは、市場の基幹的なインフラとしての機能を踏まえつつ、新たな時代の環境変化に適応し得る戦略的な市場経営の構想を検討し、市場の活性化のための新たな知見を提起する、そのようなものとして取りまとめられまして、戦略的な市場経営に向けて取り組むべき七つの具体的な課題提起が示されております。
 これを踏まえ、東京都中央卸売市場経営指針(案)では、二〇四〇年代の中央卸売市場の姿と持続可能な市場経営の実現に向け、これからの市場経営が目指す取り組みについて七つの方向性をお示ししております。

○尾崎委員 今回の東京都中央卸売市場経営指針(案)の、私は肝となっているものが中央卸売市場が目指すべき七つの方向性だと思っていましたけれども、市場の活性化を考える会の議論のまとめが反映されているということがよくわかりました。
 中央卸売市場は、卸売業者、仲卸業者、産地などの関係者が一体になって支えています。しかし、市場の活性化を考える会には、中央卸売市場の関係者が一人も入っていません。
 まとめるに当たり、市場関係者との意見交換は行ったのか伺います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 市場の活性化を考える会では、中央卸売市場の戦略的な市場経営のあり方について、既成概念にとらわれない幅広い議論を行っていただくため、食品流通、企業経営、財務会計など、外部の有識者の方々を委員とし、議論のまとめを取りまとめていただきました。
 委員の方々には、議論の過程において、産地市場である丸勘山形青果市場、豊洲市場及び淀橋市場の関係者と意見交換を行っていただきました。
 また、都の経営指針案の公表にあわせまして、東京都卸売市場審議会やパブリックコメントに加えまして、市場関係者から直接ご意見を伺っております。

○尾崎委員 今、既成概念にとらわれない幅広い議論を行っていくため、外部の有識者の方々を委員として議論のまとめを取りまとめたということのご答弁がありましたが、それでは不十分だといわなければなりません。
 市場関係者の方々、当事者を外して議論して、実践で頑張れといっても、それはうまくいかないんじゃないかなと思います。当事者の思いを尊重することが、今、一番求められていると厳しく指摘をしておきたいと思います。
 次に、資料要求でまとめていただきました二〇二〇年の市場別、月別取扱数量及び取扱金額をまとめていただきまして、ありがとうございます。
 中央卸売市場の水産、青果、花きの取扱量と金額について、それぞれのピーク時と、二〇二〇年を比較して、二〇二〇年はどうなっているのか伺います。

○西坂事業部長 都の中央卸売市場における取扱数量及び取扱金額につきまして、ピーク時と令和二年とを比較いたしますと、水産物につきましては、取扱数量のピークは昭和六十二年の八十九万トン、取扱金額のピークは平成二年の八千四百三十七億円でございまして、令和二年の取扱数量は三十五万トン、取扱金額は三千七百五十七億円となっております。
 青果物につきましては、取扱数量のピークは、同じく昭和六十二年の二百九十三万トン、取扱金額のピークは平成三年の七千七百五億円であり、令和二年の取扱数量は百九十万トン、取扱金額は五千六百五億円となっております。
 花きにつきましては、切り花、鉢物などによって数量の単位が統一的ではないため、取扱金額のみの比較となりますが、そのピークは平成十九年の九百九十八億円でありまして、令和二年の取扱金額は七百五十六億円となっております。

○尾崎委員 今、詳しく数字を挙げていただきましたが、私の方でも、この間のそれぞれのピーク時と二〇二〇年度、比較をして、どういう状況になっているのかというのをまとめてみました。
 今、答弁いただいた数字をまとめたものですけれども(パネルを示す)私はこの表を改めてつくる中で、ピーク時と二〇二〇年、水産物の取扱量は三九・三%になっていて、比較をすると五十四万トン減っているわけですけれども、取扱金額は、比較して、ピーク時と二〇二〇年、四四・五%、金額でいえば四千六百八十億円がマイナスにはなっています。
 青果物は、ピーク時と比べて、取扱量は六四・八%、金額でいえば七二・七%、花きについては、ピーク時と比べれば七五・七%となっています。
 水産物は、全国的に見るとかなり減少していますけれども、青果物や、特に取扱金額、そして、花きの取扱金額では、ピーク時を踏みとどまっているという表現をしてもいいのかなというふうに思っているわけです。
 そこで伺いますが、取扱量減少の原因はどのように分析していますか。

○西坂事業部長 少子高齢化の進展、中食の利用増加など食の外部化、食品流通のグローバル化、出荷団体の大型化など、市場を取り巻く環境が大きく変化しております。
 こうした変化に伴いまして、加工食品の需要増や、流通チャネルの多元化などの状況が生じており、中央卸売市場の取扱数量の減少につながっているものと認識しております。
 令和二年におきましては、三月以降、都内で拡大いたしました新型コロナウイルス感染症の影響による飲食需要の減少や各種イベントの自粛等につきましても、取扱数量の減少の一因となっているものと考えられます。

○尾崎委員 水産物の減少は、先ほどグラフにしてご紹介しましたけれども、取扱数量のピーク時と比べると三九・三三%の状況ですけれども、ちょっと数字は古いんですが、私もこの間、全国的な取扱量など、それぞれ市場はどうなっているのかなということで調べました。
 二〇一八年度とピーク時で調べたところなんですが、東京の水産物は四三・三%でした。
 ほかの市場も二〇一八年度で調べたんですけれども、横浜市中央卸売市場は、二〇一八年度とピーク時を比較すると一九・九%になっています。かなり大幅に減っているという状況です。福岡市中央卸売市場は二五・七%、神戸市中央卸売市場は一九・七%です。
 ですから、東京以外の全国の状況を見ますと、水産物については大幅な減少傾向があるということがはっきりしています。
 その中でも、東京の中央卸売市場は、水産物、頑張っているんじゃないかなと。その要因の一つが、二〇一八年でピーク時の四三・三%ですから、やはり踏みとどまる大きな要因としては、築地ブランドがあったんじゃないかなということは推測できると思います。
 現状の分析と正確な評価が、今、必要なんだと思います。現状をよく踏まえて、今後の方向性について検討することはいうまでもなく重要だと思っています。
 東京都中央卸売市場経営指針(案)の七つの方向性の中でも、私、個人的にではありますけれども、慎重に進めるべきだなというふうに思っているところが幾つかあります。
 そこの点について質問していきたいと思います。
 東京都中央卸売市場経営指針(案)では、方向性3で、機能の集約とありますが、具体的にはどのようなことでしょうか。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 機能の集約につきましては、例えば、商圏が近い市場の機能を集約することを通じて、集荷力を高めて品ぞろえを充実させ、多くの取引参加者への販売力を向上させることなどが想定されますが、機能の集約や連携の強化なども含めたあり方につきましては、市場間のネットワーク形成による市場全体の機能を強化していく観点から検討をしていくこととしております。

○尾崎委員 ただいまのご答弁の中で、商圏が近い市場の機能を集約するということですが、これは統廃合するということでしょうか。
 具体的にはどのような検討状況になっているか伺います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 ただいまご答弁させていただきました商圏が近い市場の機能を集約するというのは、市場におけるネットワーク形成に関する一つの例でございます。
 市場機能を最大限に発揮できるネットワークの形成に向けては、今後、機能の集約のほか、連携の強化などの観点も含めまして、市場関係者との調整を図りながら検討をしてまいります。

○尾崎委員 統廃合とは明確にはお答えがありませんでした。市場におけるネットワークの形成ということですけれども、そういう方向なのかなというふうに私は受けとめられる部分があります。
 東京には十一の市場があり、それぞれの地域で、なくてはならない役割を果たしています。機能の集約、ネットワークを理由に、市場の統廃合を進めることのないように要望しておきたいと思います。何よりも、市場業者の皆さんの意見をしっかりと聞いていただきたいと思います。
 次に、方向性6で、民間連携として、PFI、コンセッション方式、指定管理者制度などを挙げていますが、現在、全国の市場の中で、PFI、コンセッション方式、指定管理者制度などを導入しているところはあるのか伺います。

○村上財政調整担当部長渉外調整担当部長豊洲にぎわい担当部長兼務 中央卸売市場については、神戸市中央卸売市場がPFI手法を、大阪府中央卸売市場が指定管理者制度を導入していると承知しております。

○尾崎委員 今のご答弁で、神戸市中央卸売市場がPFI手法を導入しているということです。
 私もホームページなど、ちょっと見てみましたけれども、二〇〇九年から二十五年間の契約で結んでいるようです。
 大阪府中央卸売市場は、二〇一二年四月から指定管理者制度を導入しているようです。指定管理者は大阪府中央卸売市場管理センター株式会社ですが、これまでの大阪府中央卸売市場が、二〇一一年に管理センター株式会社を設立しています。
 そもそもPFIは、公共施設等の建設、維持管理、運営に、民間の資金、ノウハウを活用する手法です。
 東京都でも、二〇一〇年三月に都立病院の小児総合医療センターが開設しましたが、このとき、PFI手法が導入されました。駐車料金が有料になって困っているという話や、開設後すぐに雨漏りが起きたというようなことも聞きまして、私は当時、都議ではなかったんですが、実際に病院に行って見学したことを覚えています。
 病院経営本部では、多摩メディカルキャンパス内の神経病院の建てかえに伴い、新たに改築される難病医療センター、がん検査・治療センターと、既にPFIが導入されている多摩総合、小児総合と一体で実践すること、駒込病院や松沢病院でもPFI事業が導入されています。しかし、設計段階で、利用者やそこで働く医師や看護師などの職員の声を聞いていただけずに進めているために、使いにくいんだという声なども、私たちは聞いています。
 PFIというのは、本来、東京都が責任を持って運営すべき業務を、例えば、三菱商事や清水建設など、大手ゼネコンや総合商社などに一括で発注して都の財政負担を削減する、減らすための手法であることははっきりしています。
 東京都中央卸売市場は全国の中でも規模が大きく、PFI手法やコンセッション方式、指定管理者制度で、本来の役割が果たせるのかと私は疑問を持っています。市場の専門家も、PFIやコンセッション方式、指定管理者制度は、中央卸売市場にはふさわしくないと話しています。
 市場の活性化を考える会の議論のまとめには、官民連携を導入すれば全てがうまくいくわけではない点に留意が必要であるとも記載されています。
 東京都中央卸売市場条例改正について、都議会のこの常任委員会でも質疑した際に、卸売市場は、公正な取引の場としての役割、公共的な役割を果たすため、都は開設者として、取引業務及び施設使用の適正化等を図り、市場を管理運営していくと都の答弁がありました。これは大変重要な答弁です。
 私は、そうであるならば、官民連携ではなく、都の直営でこそ、中央卸売市場の役割を発揮することができると厳しく指摘をしておきたいと思います。
 次に、方向性7は、強固で弾力的な財務基盤の確保となっていますが、経常収支が赤字になっている原因について伺います。

○村上財政調整担当部長渉外調整担当部長豊洲にぎわい担当部長兼務 中央卸売市場会計の令和元年度決算における経常収支は百三十一億円の赤字となっております。
 経常収支が赤字となった主な原因は、豊洲市場の運営に伴い、警備委託費用等の管理費や減価償却費及び企業債の支払い利息が増加したことでございます。

○尾崎委員 豊洲市場の建設、移転にかかわって、経済・港湾委員会でも、この間、議論を重ねてきました。私も、財政的な継続できるのかという観点から厳しく指摘もしてきました。
 二〇一九年度の決算書を見ると、減価償却費は百二十八億二千四百万円ですが、二〇一八年度は八十四億一千八百万円でした。四十四億円、前年度比で一五二・三%にも減価償却費はふえているわけです。減価償却費がふえたのは、まさに豊洲市場の減価償却費分がふえたのだというふうに思われます。
 豊洲市場の減価償却費が少なくなる時期には、ほかの市場、豊洲市場の改修も必要になる時期になってくるわけですから、そう簡単に減価償却費は減っていかないというふうに思います。
 支払い利息についても、二〇一九年度決算で十八億六千六百万円でしたが、二〇一八年度は八億三千九百万円ですから、十億二千六百万円が前年度比でふえて、パーセントでいえば二二二・四%にもなっていっているわけです。
 企業債償還は今後も続いていきます。これらのことを考えると、そう簡単には黒字に転換できないと思っています。
 そこで伺いますが、経常収支を黒字にできると考えているのかどうか伺います。

○村上財政調整担当部長渉外調整担当部長豊洲にぎわい担当部長兼務 市場を取り巻く環境が大きく変わる中にあっても、都の中央卸売市場がその重要な使命を将来にわたり果たしていくため、経常収支の黒字化など、強固で弾力的な財務基盤に裏打ちされた持続可能な市場経営を実現することが必要でございます。
 そのため、収支と資金両面から検討を行い、経常収支のあるべき水準と備えるべき資金を明確にするとともに、財務体質の改善を通じた経常収支の黒字化に向けて着実に取り組んでまいります。

○尾崎委員 経常収支の黒字化に向けた具体的な検討として、市場使用料について、東京都中央卸売市場使用料算定要領に基づく改定は、平成十二年度、二〇〇〇年度以降実施していないということも書かれているわけです。
 今、コロナの影響もあって、卸売業者、仲卸業者の経営は、今までよりもより厳しくなっています。黒字に向けて、安易に使用料を引き上げるようなことはあってはならないと思います。この点も厳しく指摘をしておきたいと思います。
 市場の活性化を考える会の議論のまとめの中で、現在の都の中央卸売市場会計は、余裕どころか、中央卸売市場事業全体の経営状況を示す経常損益が赤字に転落しており、しかも、今後も、その赤字が拡大し継続していく見込みがあると指摘しています。
 そして、市場別の収支状況を初め、現場施設の運用実態が経常的に把握、分析、管理されていることが必要不可欠であるが、現在、市場別収支さえ十分に把握されていない状況は大きな問題であるとも書かれているわけです。
 そこで伺いますが、市場ごとの決算を行い、分析する必要があると思いますけれども、いかがですか。

○村上財政調整担当部長渉外調整担当部長豊洲にぎわい担当部長兼務 都では、経常収支の黒字化に向けて、市場の実態を踏まえて、管理会計の手法を検討した上で、市場別の収支構造など、経営状況等を分析することとしております。

○尾崎委員 市場の経営指針をつくるには、各市場の経営状況を分析することや、市場業者の皆さんと丁寧に話し合うことが大前提になると思います。
 パブコメは当然ですが、市場関係者との意見交換をきちんと行うよう求めまして、質問を終わります。

○菅原委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○菅原委員長 異議なしと認め、予算案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で中央卸売市場関係を終わります。

○菅原委員長 これより港湾局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、令和三年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、港湾局所管分、第二十一号議案、第二十二号議案、第七十号議案及び第七十一号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○相田総務部長 二月十二日開催の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の経済・港湾委員会要求資料をごらん願います。
 要求のございました資料は、表紙をおめくりいただきまして、目次に記載のとおり九項目でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。臨海副都心地域の土地処分実績でございます。
 平成二十七年度から令和元年度までの五年間における土地処分の実績について、各年度の面積、金額及び実績の内訳を記載しております。
 単位については、面積は平方メートル、金額は百万円でございます。
 二ページをお開き願います。臨海副都心地域を除く埋立地の土地処分実績でございます。
 平成二十七年度から令和元年度までの五年間における土地処分の実績について、各年度の面積、金額及び実績の内訳を記載しております。
 単位については、面積は平方メートル、金額は百万円でございます。
 三ページをお開き願います。臨海副都心における公共用途での土地処分実績でございます。
 平成二十七年度から令和元年度までの五年間における土地処分の実績について、それぞれ用途、面積及び金額を記載しております。
 単位については、面積は平方メートル、金額は百万円でございます。
 四ページをお開き願います。臨海副都心地域を除く埋立地における公共用途での土地処分実績でございます。
 平成二十七年度から令和元年度までの五年間における土地処分の実績について、それぞれ用途、面積及び金額を記載しております。
 単位については、面積は平方メートル、金額は百万円でございます。
 五ページをお開き願います。臨海副都心のまちづくりの都市基盤整備に要した事業費の推移と内訳でございます。
 平成二十七年度から令和元年度までの五年間における臨海副都心のまちづくりの都市基盤整備に要した各年度の事業費と、その財源を一般会計、臨海地域開発事業会計、国費等の三つに区分して記載しております。
 単位は、億円でございます。
 六ページをお開き願います。港湾整備費におけるふ頭等の新規整備の事業費でございます。
 平成二十九年度から令和三年度までの五年間の港湾整備費について、ふ頭の新規整備分と道路等の新規整備分、その他の三つに区分して記載しております。
 単位は、百万円でございます。
 七ページをお開き願います。輸出、輸入別のコンテナ個数の推移でございます。
 平成二十二年から令和元年までの十年間のコンテナ個数について、全国、京浜港、東京港、それぞれの輸出、輸入、合計を記載しております。
 単位は、千TEUでございます。
 八ページをお開き願います。伊豆諸島各島への就航率の推移でございます。
 平成二十八年から令和二年までの五年間の就航率について、大島から青ヶ島まで各島の貨客船と高速ジェット船、それぞれの就航率を記載しております。
 単位は、パーセントでございます。
 九ページをお開き願います。大型クルーズ客船寄港回数の推移でございます。
 平成二十八年から令和二年までの五年間の大型クルーズ客船の寄港回数について、実績を記載しております。
 以上をもちまして、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○菅原委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を一括して行います。
 発言をお願いいたします。

○後藤委員 私からは、令和三年度における港湾局関連の予算案について、四つのテーマにわたって質疑をさせていただきます。
 まず、一つ目は、東京港における物流の効率化について伺いたいと思います。
 東京港は、我が国最大のコンテナ港でありまして、首都圏を支える物流拠点としての重要な役割を担っているというのはいうまでもありません。
 一方で、貨物量の増加に伴い、季節や時間帯によっては、コンテナターミナルに多くのトラックが集中しておりまして、交通混雑の発生というのが大きな課題となっております。
 ターミナルへの入場を待つトラックの行列が長くなりますと、ふ頭周辺の交通の妨げになるおそれもあります。また、トラックがターミナルに到着してから出発をするまでに必要となる時間も長くなるということもありまして、場合によっては、時間どおりに荷物が配送されないといったような問題が生じているというふうに聞いております。
 こうした課題の解決に向けまして、東京都は、平成二十六年の二月に東京港総合渋滞対策というものを策定しておりまして、取り組みの強化を図ってきたというふうに聞いております。
 東京港における交通混雑の解消のためには、ソフトとハード、この二つの対策が急務であるというふうに思っておりまして、ハードに関しては、ふ頭整備など、過去もさまざま議論をされてきておりました。東京港を抜本的に強化をするという意味では非常に重要な取り組みであるものの、なかなかハードの整備に関しては時間がかかるという課題もあります。
 こうしたことから、これまで東京都では、例えば、コンテナターミナルのゲートのオープンの時間を通常より一時間早める、いわゆる早朝ゲートオープンというような取り組みなどを通じて、ソフトの対策についても、しっかりと対応してきたというふうには聞いております。
 こうしたソフトの対策、極めて重要だというふうに思っておりますが、ここで、まず伺いたいんですけれども、東京港のふ頭周辺における交通混雑の緩和に向けて、これまで都がどのように取り組んできたのか、取り組みについて伺いたいと思います。

○戸井崎港湾経営部長 これまで都は、東京港総合渋滞対策に基づき、交通混雑の解消に向けたソフト対策を積極的に進めてまいりました。
 具体的には、ただいまお話にもございましたが、港湾関係者の協力を得て、早朝ゲートオープンを実施して、混雑する夕方の来場車両を午前中にシフトさせてまいりました。
 また、ストックヤードと呼ばれる二十四時間利用可能な貨物の一時保管場所の設置や、ウエブカメラによるふ頭周辺道路の交通状況のリアルタイム配信によりまして、混雑する道路や時間帯を回避した貨物輸送を促してきたところでございます。
 さらに、車両待機場を複数カ所運営いたしまして、道路において渋滞し通過交通の妨げとなっておりますコンテナ車両の減少も図ってまいりました。
 こうした取り組みの結果、ふ頭周辺における渋滞の平均長、平均の長さでございますが、こちらは東京港の外貿コンテナ取扱個数が初めて四百万TEUを突破した平成二十三年と令和元年を比較すると約七割減少しております。

○後藤委員 ありがとうございました。さまざまなソフト対策、お話をいただきまして、七割も減っているということで、年々取扱量自体はふえているという状況の中で、ふ頭周辺における渋滞緩和、七割減というのは大きな成果であるというふうに思っております。
 引き続き、こうしたソフト対策については継続をしていただきたいと思うんですけれども、トラック事業者の皆様にお話を聞くと、依然として時間帯によっては、まだまだ交通混雑があるというようなお話も伺っておりまして、円滑な港湾物流というものを実現していくためには、さらなる取り組みというものが必要であると考えます。
 これに関して、我が会派に関しては、昨年度の予算特別委員会の総括質疑において、ふ頭周辺で発生している混雑緩和ということに対して、予約制を導入すべきというような主張をさせていただいておりました。
 予約制を導入することで、コンテナターミナルに来場するトラックの数についても、時間帯で平準化できるというような効果もあると考えます。加えて、例えば、コンテナターミナル側にとっても、トラックが引き取りにくる貨物とその日時というのが事前にわかるということで、短時間で貨物の引き渡しができるというようなメリットもあるというふうに思います。
 こうした港におけるトラックの滞在時間の短縮であったり、ひいては、こういうことをやっていくことで交通混雑の緩和になるというようなさまざまなメリットがあるというふうに思っておりまして、こうしたことからも、東京港において、最大の課題である交通混雑の解消に向けて、都は、予約制を迅速に導入すべきと考えますが、予約制の導入に向けて、都は、来年度どのように取り組んでいくのか、見解について伺います。

○戸井崎港湾経営部長 コンテナターミナルへの予約制の導入は、東京港のふ頭周辺における交通混雑の緩和に大きく寄与するものと認識しております。
 一方で、予約制の導入に当たりましては、荷主への貨物配送時間の変更も検討しなければならないことから、荷主など港湾物流に携わる多くの関係者の合意形成を図る必要もございます。
 このため都は、今年度、海外の港における先行事例の調査を行うとともに、港湾物流の関係者等と予約制に関する調整を進めてきたところでございますが、これらを踏まえまして、来年度より予約制の実証事業を開始することといたしました。
 具体的には、一部のターミナルにおきまして、最も適切な予約枠の時間設定のあり方や、円滑に受け入れられる車両台数について検証を進めてまいります。また、予約時間前に到着したトラックの待機場所としての車両待機場の有効性についても、あわせて検証いたします。
 これらの検証結果を踏まえまして、より利用しやすい運用ルールを構築していくことで、関係者の理解促進を図り、全てのコンテナターミナルへの予約制の導入につなげてまいります。

○後藤委員 ありがとうございました。ことしは実証実験を開始したというようなお話がありましたし、非常に調整をする関係者が多いというようなことで、さまざまなご苦労もあろうかと思います。新たな施策を導入する際には、さまざまな調整が必要になるとは思うんですけれども、東京港における混雑緩和というのは本当に大きな課題だというふうに思っておりますので、ぜひ着実に取り組みを進めていただきたいと思います。
 東京港においては、これまでのさまざま取り組みを聞かせていただきました。こういった取り組みによって、ふ頭周辺における渋滞時間というのは大きく改善をされたというお話でありますけれども、トラックの待機時間が長いということに関しても課題であるというふうに認識をしています。
 もちろん、先ほど、予約制の話がありましたけれども、この予約制が完全に導入をされれば、基本的に待機時間はかなり減少をしていくという理解であります。答弁にもあったとおり、かなり物流関係者の理解関係の調整が必要となるということで、全てのコンテナターミナルに、こうした予約制を導入していくというのはちょっと時間がかかるのかなというふうに思っております。
 現在、東京港では、ウエブカメラを用いて道路の混雑状況をリアルタイムに発信をしているわけでありますけれども、コンテナターミナルに入場するまでのトラックの待機時間まではわからないというのが現状です。
 トラックの事業者からは、港でどのくらい待機時間が発生するかは実際行ってみないとわからないという声や、港での時間が読めないので、効率的な貨物の配送計画を立てるのがなかなか難しいという声が上がっているのも事実であります。
 こうしたことから、予約制の完全導入が実現するまでの間は、何らか新たな策や取り組みを講じていただくような必要があるのかなというふうに考えております。
 そこで、港湾物流の効率化に向けては、トラックの運転手が港でどのぐらい待機しているのかがわかる仕組みというものも、ぜひ構築していただきたいと思いますけれども、都の見解について伺います。

○戸井崎港湾経営部長 コンテナターミナルに入場するまでのトラックの待機時間を明らかにすることは、トラック事業者の貨物配送の効率化を促進させる点において極めて有効であるというふうに認識しております。
 このため、都は来年度より、我が国で初めて、ターミナルへの入場までに要した待機時間等をGPS端末を活用してリアルタイムで公表して、ふ頭周辺の混雑状況を見える化する取り組みを新たに開始いたします。
 これは、東京都トラック協会の協力を得て、コンテナターミナルへ来場するトラックにGPS端末を配布し、その位置情報を活用することで、待機時間等を計測、公表し、スマートフォン等でいつでも参照できるようにするものでございます。
 現在、トラック事業者の協力のもと、本格稼働に向けた検証を進めているところでございまして、東京二〇二〇大会前における運用開始を目指してまいります。

○後藤委員 ありがとうございます。GPSを活用して、ふ頭周辺の混雑状況を見える化するというようなご答弁がありました。
 GPSを活用した取り組みというのは日本初ということで、ぜひ、この取り組みを前向きに進んでいただきたいなというふうに思っております。
 それでは、ここまでは、予約制や混雑の見える化といった新たな取り組みを確認してきたわけでありますけれども、交通混雑の緩和や港湾物流のさらなる効率化に向けては、ICT等を活用して、ぜひとも今後も積極的に進めていただきたいと思います。
 昨年度の事務事業質疑におきましても、我が会派の滝田議員からも指摘をさせていただきましたが、世界の主要港では、デジタル技術がもう大いに活用されていると、これが当たり前の姿であるというふうに思っておりまして、ぜひ東京港が世界で戦える港となっていくためにも、自動化など、DXを積極的にぜひ進めていただきまして、物流の効率化につなげていただきたいということを要望して、次の質問に参ります。
 次に、スマート東京の推進について質問をいたします。
 急速な高齢化や労働生産人口の減少、そして新型コロナウイルス感染症など、都が直面するさまざまな課題に対応していくためには、AIやビッグデータ、ロボットなどのテクノロジーを活用して、都民ファーストの視点で、さまざまな進化を図るということは、もう我が会派はこれまで何度も何度も繰り返し、さまざまな分野において東京都に求めてきた問題でございます。
 昨年度策定されたスマート東京実施戦略においては、五つの先行実施エリアというものが設定をされておりまして、各エリアの特性を生かした取り組みが既に行われております。
 例えば、西新宿では、自動運転タクシーの事業化に向けた実証実験が行われたり、スマートポールの設置や、八王子の南大沢の都立大学では、ローカル5G基地局などの設置など、一歩ずつ、今取り組みが進んでいる状態だというふうに認識をしております。
 そこで伺いたいんですが、まずは同じく先行実施エリアであるベイエリアにおいて、今後どのような取り組みを行っていくのか伺いたいと思います。

○松本臨海副都心開発調整担当部長 ベイエリア、特に臨海副都心は、DIC、デジタルイノベーションシティーとして、デジタルテクノロジーの実装とスタートアップの集積を目指しております。
 このため、まちの関係事業者を中心とする協議会を立ち上げるとともに、5G基地局の設置の促進や、自動運転など先端技術の実証実験やイベントの実施に取り組んでまいります。

○後藤委員 デジタルテクノロジーの実装とスタートアップの集積を目指すというお話がありました。今後、協議会設置をしていくというご答弁ありましたけれども、こういった協議会の設置や実証実験などを行っていく際には、当事者、スタートアップの関係者、そうした方々の意見をぜひ聞いていただきながら、使い勝手のよい施策になるように、ぜひともお願いをしたいというふうに思っております。
 また、臨海副都心には、海上公園や開発ポテンシャルのある未利用地といったような大きな空間が広がっているということでありまして、デジタルイノベーションシティーを推進する上で、こうした空間を自動運転やパーソナルモビリティーなど先端技術の実証実験の場として積極的に活用していただきたいと思います。
 こうすることで、スマート東京の取り組みがさらに加速をしていくと思いますが、都の所見について伺います。

○松本臨海副都心開発調整担当部長 これまで都は、臨海副都心におきまして、民間事業者とともに、自動運転を初め、次世代モビリティーやドローンなど、先端技術の社会実装に向けて取り組んでまいりました。
 デジタルイノベーションシティーを推進する上で、今後の成長が期待できるスタートアップや先端技術を持つ企業などがチャレンジできる環境を整備することが重要でございます。
 このため、都が保有するオープンスペースを実証フィールドとして積極的に事業者に開放することによりまして、臨海副都心から新たなイノベーションを創出し、スマート東京の実現につなげてまいります。

○後藤委員 ぜひ臨海副都心のポテンシャルを最大限に活用して、スマート東京の取り組みを推し進めていただきたいというふうに思いますし、こうした取り組みに関しては、この臨海副都心だけにとどまらず、今回の施策から得られた成果をぜひ都内各地に広げていただくということを要望しておきたいと思います。
 次に、東京港及び島しょにおける無電柱化について伺いたいというふうに思います。
 近年激甚化する自然災害において、電柱倒壊による道路の閉塞や長期の停電など、全国各地で多数の被害が発生をしております。
 ここ東京におきましても、二十年以内にマグニチュード七以上の地震が来る可能性というのは七割以上というふうにいわれておりまして、こうした事態に備えて無電柱化を加速させていく、整備していくということは大変重要な課題であるというふうに考えております。
 一方で、無電柱化事業というのは、供用中の道路の工事ということもあって、非常に関係者との調整や、地面の中に埋まっている埋没物の移設など、非常に時間もかかって大変な労力もかかるというふうに聞いております。
 都がこれまでも、都内の無電柱化を着実に進めてきたということに関しては評価をしておるところでありますが、いつ発生してもおかしくない自然災害に対して万全の備えをするためには、これまで以上に、今回、東日本大震災から十年たったという節目でもありますが、いつ東京において大震災が起きても安心なように、スピード感を持って対策を前に進めていただきたいというふうに思っております。
 そこで、このような状況のもと、都内全域におけるさらなる無電柱化の推進に向けて、無電柱化を所管する建設局、都市整備局、港湾局の三局が連携をして、無電柱化加速化戦略というものが二月に策定をされ、公表されていると認識をしております。
 そこで、まず初めに、無電柱化加速化戦略における取り組みの方針について伺いたいと思います。

○山岡港湾整備部長 都ではこれまでも、都道、臨港道路等で無電柱化を進めてまいりましたが、いつ発生してもおかしくない首都直下地震や、島しょ地域に被害を与えた令和元年台風第十五号のように、激甚化する台風などの自然災害に備えるためには、無電柱化をさらに加速することが重要でございます。
 このため、無電柱化加速化戦略では、電柱を減らす、これ以上電柱をふやさない、無電柱化の費用を減らすの無電柱化三原則を定めるとともに、無電柱化をこれまで以上に推進するための七つの戦略を取りまとめております。
 具体的には、都道や臨港道路等のスピードアップ、島しょ地域の推進、電柱の新設禁止の拡大などを図ることとしてございます。

○後藤委員 ありがとうございました。無電柱化三原則というものを定めまして、整備のスピードアップや、島しょ地域への推進などなど、さまざまな、今までよりもさらに前向きな、意欲的な観点で計画をつくっているということがわかりました。
 無電柱化というのは、防犯上、防災の観点から大変重要だということはいうまでもありませんけれども、今回、港湾局で審議の対象になっている東京港につきましては、物流の本当に大きな拠点であるということで、首都圏の生活や産業を支える重要な役割を担っているということでありますから、災害発生時に港湾からの物流が分断されてしまうとなれば、社会経済活動において極めて大きな影響を及ぼすことになるということであります。
 そういった意味からも、東京港における無電柱化の取り組みというのは非常に重要だというふうに考えます。
 そこで、次に、東京港における無電柱化加速化戦略の取り組みについて伺いたいと思います。

○山岡港湾整備部長 東京港ではこれまで、東京二〇二〇大会競技会場周辺の臨港道路等や、全ての緊急輸送道路の無電柱化に向けた取り組みを進めてまいりました。
 今回の無電柱化加速化戦略においては、これまでの取り組みに加え、東京港の防災力をさらに高めるため、整備対象に緊急輸送道路以外の臨港道路やふ頭敷地等を含めるなど、東京港の全エリアに拡大することといたしました。

○後藤委員 ご答弁では、対象エリアが大きく広がったというようなご答弁がありました。
 整備対象をふ頭敷地などにも拡大していただいて、東京港のエリア全体で無電柱化を進めるということでありまして、これは非常に大事であるし、着実に進めていただきたいなというふうに思いますし、一方、整備の対象が拡大されたということで、これまで以上に、ぜひスピード感を持って取り組みを進めていただきたいというふうに考えております。
 そこで、東京港における無電柱化の具体的な整備目標について伺っておきたいと思います。

○山岡港湾整備部長 東京港における無電柱化をこれまで以上に加速化するために、今回、新たに整備目標を設定いたしました。
 東京港全エリアの無電柱化につきましては、二〇四〇年度の完了を目指し、このうち、東京港の防災力強化の観点で特に重要な緊急輸送道路の無電柱化につきましては、二〇三五年度の完了を目指すこととしております。
 また、これらの整備目標を達成するため、執行体制の強化などにより、年間当たりの整備規模を、これまでの約二キロメートルから令和七年度には約四キロメートルへと倍増し、無電柱化工事の大幅なペースアップを図ってまいります。

○後藤委員 ありがとうございました。具体的な整備目標をお伺いしたわけでありますけれども、緊急輸送道路の無電柱化は二〇三五年度の完了ということで、さらに整備規模も倍になっているということで、これは結構大変だと思います。
 既に対応する人員もかなり強化をしていただいているというふうに聞いておりますけれども、なかなか高い目標に向けて、ぜひ、しっかりと取り組みを進めていただきたいというふうに思います。
 一方で、島しょ地域においても、台風による停電など甚大な被害が発生をしているわけでありまして、今後、激甚化することが想定される自然災害に対しても、停電や通信障害が発生しないように、島しょ地域の港や空港でも無電柱化、ぜひ推進していただきたいというふうに思いますが、どのように進めるのか伺います。

○片寄離島港湾部長 災害に強い島しょ地域を実現するため、島民の生活と産業を支える港と空港におきまして、無電柱化を進めることは重要でございます。
 そこで、今回の無電柱化加速化戦略では、定期船が発着する十八の港と五つの空港を対象として無電柱化の整備を推進することとしております。
 このうち、各島で利用者が多いなど主要な港となっている十一港と、島しょ地域にある五つの空港全てについては、二〇三〇年度までの完了を目標とし、その他を含めた全ての対象港で二〇三〇年代の整備完了を目指してまいります。
 来年度は、整備に向けた調査を進めるとともに、地元町村や電線管理者の意見を聞きながら、無電柱化の整備計画を策定してまいります。

○後藤委員 島しょ地域におきましても、多くの港において無電柱化の整備を進めていくというようなことがわかりました。
 物流の拠点である東京港が、災害発生時にも確実にその機能を発揮できるように、東京港全体における無電柱化の完了に向けて、ぜひ全力を挙げて取り組んでいただきたいと思いますし、島しょ地域におきましても、これまで以上に無電柱化の推進を進めていくことで、安心・安全の確保を行っていただきたいというふうに要望をさせていただきまして、最後の質問に参ります。
 次に、災害時における船舶による緊急物資や負傷者の搬送について伺いたいというふうに思います。
 私の地元足立区は、四方を川で囲まれているということから、災害時に陸路が寸断された際に、負傷者を運ぶ手段として水路の活用というものが、地元の方々から非常に期待をされているところであります。
 現在、足立区では、千住、新田、足立、既にこの三つの既存施設がありまして、加えて追加で、今、七カ所の防災船着き場の整備というものが進められている状況であります。
 その一つである千住の船着き場周辺の常東地域におきましては、半径三キロメートル以内に浅草病院があって、半径十キロメートル圏内に聖路加病院があるということで、住民からは、災害時に隅田川を流れる水路を活用して負傷者を病院に搬送できるのではないかということが非常に期待をされております。
 昨年九月二十六日には、地域の町会、自治会を巻き込んだ合同訓練が行われまして、私も参加をさせていただきました。消防艇を用いた訓練も行われておりまして、地元からは、こうした取り組みが大震災の際に着実に実施されるように、実効性のある計画や整備をしてほしいという声が上がっております。
 負傷者を河川で、隅田川を渡って負傷者の搬送をしていく、緊急物資を入れていくというようなためには、船舶の確保というものも非常に重要な課題でありまして、東京都は既に、大震災において陸路が寸断された際に備えて消防ヘリコプターや消防艇というものも配備をしているものの、まだまだ数が足りないという課題があります。消防ヘリコプターは八機、消防艇が十隻ということで、何かがあったときにこれで対応できるのかという不安があるわけであります。
 このことに関して、私は、昨年の第三回定例会の一般質問で質問をさせていただいておりまして、民間船舶との連携というものを、民間連携を強化して輸送体制を強化してほしいというような提案を行いました。
 東京都は、それに対して、災害時に利用できる船舶の拡大に向けて、舟運の事業団体との協議を重ねるとともに、事業者と連携をして輸送訓練等を実施するなど、船舶による輸送体制の強化に資する取り組みを進めていきますという力強い答弁があったわけでありますけれども、そこで、まず災害時に利用できる船舶数の拡大に向けて、具体的にどのような取り組みを行ったのか伺いたいと思います。

○戸井崎港湾経営部長 都は、舟運事業者の団体等と協定を締結いたしまして、東京都災害対策本部から負傷者等を搬送するために必要な船舶の提供につきまして要請があった際には、可能な限り船舶を提供していただくこととしております。
 災害対策本部からの要請に適切に対応するためには、より多くの船舶を確保することが重要なことから、今年度、新たに三つの舟運事業者団体と協定を結びまして、災害時における船舶の提供につきまして、協力をいただくことといたしました。
 これによりまして、防災船着き場への係留が可能な小型船で、協定に基づく協力要請の対象となる船舶の数は、現時点で約百四十隻から約二百三十隻へと増加をする予定でございます。

○後藤委員 ご答弁では、三つの舟運事業者団体と協定を新たに結んでいただいて、船舶の数も百四十隻から二百三十隻とふえる予定であるということで、非常に地元の皆さん、安心をされております。すぐにご対応いただきまして、感謝を申し上げます。
 そして、昨年、この一般質問の後、十一月二十一日に東京都総務局と足立区の合同で行われた防災訓練というものに、私もまた参加をさせていただきました。その訓練には民間の船舶事業者も参加をしていただきまして、千住の防災船着き場を出発点として、水上バスを活用して負傷者搬送の実践的な訓練というものを行っていただきまして、非常に充実した内容であったというふうに理解をしております。
 この訓練は、河川の防災船着き場を使用した訓練であったということで、総務局の総合防災部と建設局が中心になって実施をされているわけですけれども、港湾局でも毎年、東京港の防災船着き場において防災訓練が行われているというふうに伺っております。
 河川と東京港は一続きでありまして、河川の防災船着き場から東京港へ輸送するということも想定されるのではないかなと思います。そういった意味では、港湾局と建設局、そして、総務局との連携を図りながら施策を進めていくということが重要だというふうに考えております。
 災害時には、関係局が一体となって取り組んでいただいて、民間事業者等と連携を図る必要があることから、それぞれが役割分担をし、実践的な訓練をすることが求められています。
 そこで、防災船着き場の防災訓練を、今後、災害時における輸送にどう生かしていくのか、今年度の訓練の振り返りも含めて伺いたいと思います。

○山岡港湾整備部長 発災時に水上輸送を担う防災船着き場が有効に機能するためには、関係する行政機関や船舶による輸送を行う民間事業者等が連携して対応することが重要でございます。
 防災船着き場を管理する港湾局、建設局は、防災船着き場の損傷状況や使用可否について確認し、東京都災害対策本部に報告を行うとともに、本部の要請に基づき、港湾局が災害協定を締結している水上バスや屋形船などの舟運事業者等と連携して船舶の確保を行うこととなっております。
 本年二月に実施した防災訓練は、建設局が所管する防災船着き場から東京港の防災船着き場への水上輸送を含む三つのルートで、地元区や舟運事業者等と連携し、人や物資の輸送を行い、現地での情報伝達や具体的な役割、手順を再確認するなど、より実践的な形で実施いたしました。
 引き続き、こうした訓練で得られた経験や課題を踏まえ、翌年度の防災訓練に反映していくことで、より実効性のある水上輸送体制の構築につなげてまいります。

○後藤委員 ありがとうございました。さまざまな取り組みをしていただいているということで、私も昨年の防災訓練の際に、水上バスに実際に乗り込んでみて思ったんですけれども、民間船舶を活用しての負傷者や緊急物資の搬送というのは、緊急物資の搬送については、もともとそれを前提として想定をしているものの、総務局も含めて、負傷者の搬送ということに関しては、まだまだ細則の部分が決まっていない部分もあるというふうに聞いておりまして、実際に乗った水上バスの中にも、AEDがあるのかないのかとか、実際、負傷者がどの程度のレベルの方々が、搬送してきたときに必要な物資はきっと異なってくると思います。
 そういった細かい部分も、細かにシミュレーションをしていただきながら、今後、河川を、舟運を活用してしっかりと、大災害が起きたときに都民の命をしっかり守っていただきたいというふうに思いますし、こうした実践的な訓練を重ねることで、関係区や関係局、民間事業者とのより一層の連携を図っていただいて、災害時の水上輸送体制というのを、ぜひ強化を、これからも不断の努力でしていただきたいということを要望して、質問を終わります。

○菅野委員 それでは、私の方から、まず初めに東京港の機能強化についてお聞きしたいと思います。
 我が国最大のコンテナ港である東京港は、首都圏四千万人の生活と産業を支える社会インフラとして重要な役割を担っています。
 しかし、貨物取扱量の増加により、ふ頭周辺では交通混雑が慢性的に発生していて、大きな課題となっています。今後も貨物取扱量はふえ続けると予測されているため、東京港が引き続き物流の一大拠点としての機能を適切に維持し続けていくためには、抜本的な機能強化が必要であります。
 このことについて、我が党はこれまで繰り返し強く主張してきたところであり、さきの本会議での山崎幹事長の代表質問においても、東京港が引き続き東日本を支える物流拠点であり続けるためには、将来を見据えた戦略的な取り組みが必要であるということを指摘させていただきました。
 本日は、この東京港の機能強化について、来年度以降の取り組みを中心に幾つか質問をしていきます。
 東京港の機能強化は、増加し続けている貨物取扱量に適切に対応するために必要な取り組みではありますが、昨年は新型コロナウイルス感染症の影響により、貨物量にも影響が出ていると聞いています。
 そこで、近年の東京港における外貿コンテナ貨物の取扱量の傾向と、昨年の貨物量の状況について、改めて確認をしておきたいと思います。

○戸井崎港湾経営部長 東京港における外貿コンテナ貨物取扱個数は、ほぼ一貫して増加してきておりまして、平成二十三年に国内の港湾で初となる四百万TEUを突破し、平成三十年には過去最高となる四百五十七万TEUを記録いたしました。
 この間、アジア貨物が大きく取扱量を伸ばしておりまして、例えば二十年前の平成十二年と比べますと約四倍近くとなっております。
 昨年の取扱量は、主にコロナ禍の影響により、速報値ではございますが、四百二十六万TEU、前年比五・六%の減少となりましたが、国内のほかの主要港と比べますと低い減少率となっております。
 東京港では、北米航路の貨物取扱量が特に輸出を中心として大きく減少した一方で、全体の約七割を占め、生活必需品等の輸入も多いアジア貨物では小幅な減少にとどまっておりまして、このことが国内他港と比較して低い減少率となった要因であるというふうに考えております。

○菅野委員 こうしたコロナ禍にあっても、東京港の昨年のコンテナ貨物取扱量は、ほかの港と比べて小幅な減少にとどまっているとのことであります。改めて、東京港が東日本の生活や産業を支える極めて重要な物流拠点であることが確認できます。
 さて、今の答弁によれば、アジア貨物の伸びが近年著しく、新型コロナが経済に大きな影響を与えた昨年においても、アジア貨物の取扱量は小幅な減少にとどまったとのことであります。アジア貨物の需要がいかに強いものであるか、再認識させられたといえると思います。
 国際分業の進展に伴って、生産拠点が国内からアジアへ移行するという流れは、基本的に今後も続くといわれていますので、東京港におけるアジア貨物の取扱量も引き続きふえ続けていくことが予測されます。
 こうした貨物量の増加に対して、船会社は船を大型化することで、より多くのコンテナを輸送できるようにすると思うわけですが、東京港におけるアジア航路のコンテナ船の状況について、どのように分析をされているのか伺いたいと思います。

○戸井崎港湾経営部長 東京港に寄港するアジア航路のコンテナ船につきましては、入港隻数で見ますと、令和元年と約二十年前の平成十二年とを比較すると、ほぼ横ばいとなっております。
 一方で、一隻当たりで積載できるコンテナの最大個数は、同じく令和元年と平成十二年とを比較すると約七割増加しており、大型化が進んできております。
 一般的に、欧米航路のコンテナ船の大型化が進みますと、アジア航路についても、欧米航路ほどではないにしても大型化が進むというふうにいわれておりまして、東京港に関しましても、今後、アジア貨物の増加を踏まえますと、引き続きアジア航路のコンテナ船の大型化が一定程度進むものというふうに考えております。

○菅野委員 欧米航路のコンテナ船の大型化はこれまでも繰り返し指摘されてきたところでありますけれども、アジア航路についても大型化が進んできているということであります。
 私は、昨年の本委員会事務事業質疑において、東京港の機能強化に関する質問を行い、都からは、東京二〇二〇大会終了後に青海ふ頭の再編整備に本格的に着手していくとの答弁をいただいているところでありますが、この青海ふ頭は、まさに東京港におけるアジア航路の主力ふ頭であると聞いており、ふえ続けるアジア貨物を的確に受け入れていくためにも、大型船への対応が急がれるところであります。
 青海ふ頭の再編整備を実施するに当たっては、アジア航路におけるコンテナ船の大型化を踏まえた整備を進めるべきと考えますが、これに対する都の取り組みを伺いたいと思います。

○戸井崎港湾経営部長 一定程度大型化が進むと予想されるアジア航路のコンテナ船を円滑に受け入れるためには、着岸するコンテナターミナルの岸壁の長さを延長させる必要がございます。
 青海ふ頭には、昨年まで三つのコンテナターミナルが立地しておりましたが、このうちA3ターミナルにつきましては、運営事業者が中央防波堤外側Y2ターミナルへ移転したため、現在、荷役を行う場所であるヤードがあいた状態となっております。
 青海ふ頭では、旧A3ターミナルに隣接する青海公共ターミナルでのアジア貨物の取扱量が特に多く混雑が発生しているため、都は、旧A3ターミナルのあいたヤードを活用して、青海公共ターミナルを大幅に拡張いたします。
 これにより、青海公共ターミナルの岸壁の長さは、現在の八百七十メートルから千百七十メートルに大幅に拡大され、大型化した複数のコンテナ船を同時に、円滑に受け入れることが可能となります。

○菅野委員 アジア貨物を中心に取扱量が特に多いコンテナターミナルの岸壁を延長することで、コンテナ船の大型化に対応していくということは妥当な対応であると思います。
 一方で、コンテナ船の大型化によって一回当たりの入港で取り扱う貨物量そのものがふえてしまうことから、コンテナターミナルではこれまで以上に大量の貨物を円滑かつ迅速に処理できるようにしなければなりません。
 岸壁の延長のみならず、コンテナターミナル内における貨物の処理能力を向上させることが必要不可欠であると考えますが、具体的な整備の内容を伺いたいと思います。

○戸井崎港湾経営部長 青海ふ頭では、先ほども答弁したとおり、今後、青海公共ターミナルの敷地を大幅に拡張いたします。
 これに加えまして、ヤード内で使用している荷役機械につきましても、現在のストラドルキャリアといわれる旧来型の機械から、テナークレーンと呼ばれる最新型の荷役機械へと変更いたします。
 これらの取り組みによりまして、青海公共ターミナルのヤードでは、受け入れ可能なコンテナの数が従来の約二倍となる予定でございます。
 今後も都は、関係事業者と緊密に連携をしつつ、再編整備を着実に進めることによりまして、アジア貨物の主な受け入れ先である青海ふ頭の機能強化を実現させてまいります。

○菅野委員 来年度からいよいよ始まる青海ふ頭の再編整備工事によって、今後もふえ続けることが予想されているアジア貨物への対応力が強化されることを確認できました。
 今後、都は、船会社や港湾関係事業者等としっかり連携して、確実に整備を進めていってもらいたいと思います。
 また、私の地元に近い品川ふ頭に関しても、さきの事務事業質疑において、貨物量の増加とコンテナ船の大型化に対応するべく、今後、再整備に向けて関係者との調整を進めていくと答弁をいただいております。
 都は、今後、長期構想の中で、土地が狭隘な東京港の機能を最大限に発揮させるための取り組みの方向性について取りまとめていくということですが、青海のみならず、ぜひ品川や大井といった既存のコンテナふ頭に関しても、抜本的な機能強化に向けて、長期的な視点から検討を進めて、しっかりと取り組んでもらうことを強く要望しておきます。
 次の質問に移ります。晴海客船ターミナルについてお伺いします。
 クルーズ客船については、世界的な新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって、現在、多くの国で運航が停止されている状況であり、我が国においても、日本の船会社による短期の国内クルーズが実施されているのみになっています。
 東京港においては、昨年、世界最大の大型客船にも対応できる東京国際クルーズターミナルが開業し、当初は、開業後の半年間で約五十回の寄港が予定されていたものの、これまでのところ国内を運航するクルーズ客船が数回入港したのみで、海外の船会社の客船はいまだに入港実績がない状況であります。
 しかし、ヨーロッパの一部の国や台湾、シンガポールなどでは、乗船客を半減させるなどの対策をとりながら、徐々にクルーズを再開しているとも聞いています。クルーズ復活の兆しが少しずつ世界では見え始めているのかなと思います。
 このような状況にあっても、クルーズの人気はいまだ衰えていない、多くの人が本格的な再開を待ち望んでいるということであります。クルーズ客船の寄港は高い経済効果が期待されることから、多くのクルーズ船に寄港してもらうことは、コロナ終息後に東京の観光を再び盛り上げていくための一つの大きな切り札になると思います。
 昨年の本委員会事務事業質疑でも質問しましたが、コロナ後を見据え、都は引き続き、積極的に客船誘致の取り組みを進めるべきであるとの観点から、何点かお聞きしたいと思います。
 まずは、現時点で海外の船会社からの東京港への入港予約というのはどれぐらいあるのでしょうか伺いたいと思います。

○戸井崎港湾経営部長 海外の船会社からの入港予約につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響はあるものの、現時点では、来月から本年十二月までの間で約四十回となっております。
 このうち約八割は、晴海客船ターミナルへの入港ができない大型の客船でございまして、東京国際クルーズターミナルに対する海外の船会社の期待は、引き続き非常に高いというふうに認識しております。

○菅野委員 今後のコロナの状況にもよりますけれども、引き続き海外の船会社の関心は高いということをお聞きしました。将来、必ず客船が戻ってくることが期待できそうです。
 こうした寄港ニーズに的確に対応するため、国際基準ともなっている複数バース体制を確保することが重要となっていて、都は、東京国際クルーズターミナルの二バース目が整備されるまでの間、晴海客船ターミナルを引き続き使用して、東京港における二バース体制を確保しようとしています。
 前回の質疑では、現在の晴海客船ターミナルビルは、老朽化による高い維持管理コストが課題となっているということで、これを解体し、代替の施設を整備していく方針であるとのことでありました。
 そこで、現在のターミナルビルの解体と代替施設の整備スケジュールについてお伺いしたいと思います。

○戸井崎港湾経営部長 現在の晴海客船ターミナルビルにつきましては、東京二〇二〇大会の選手村の関連施設として使用される予定でございますが、大会が終了し、大会組織委員会から返還を受けた後に、速やかに解体に着手をいたします。
 その後、解体したビルの跡地に、代替となる客船受け入れ施設を整備することとしております。代替施設の供用開始時期は令和五年度中を目指しておりまして、着実に取り組みを進めてまいります。

○菅野委員 大会が終了した後に現在のターミナルビルを解体して代替施設の整備に入っていくということでありますけれども、先ほども申し上げたとおり、東京国際クルーズターミナルの二バース目ができるまでの間の施設であるということから、設計に当たっては、機能とコストのバランスを慎重に考える必要があると思います。
 例えば横浜港では、より多くの客船の寄港を実現させるため、自動車を運搬する大型船が利用するふ頭に、非常に簡易な客船受け入れ施設を整備し、運営しているとも聞いています。
 そこで、現時点で、都としては代替施設をどのような施設にしていこうと考えているか伺いたいと思います。

○戸井崎港湾経営部長 代替施設につきましては、コストを抑えた簡易な施設を前提として、晴海ふ頭において受け入れ可能な客船のサイズや、乗船客の人数や、国内他港の事例等も踏まえまして、必要な機能や面積を検討してまいります。
 具体的には、乗船客のための待合スペースや税関、入国管理などの乗下船の手続に必要なエリア、荷さばきのためのスペースなど、こういったものを備えることを想定しております。
 円滑な乗下船を行うために、必要なこれらの機能、面積を確保しつつ、送迎デッキなどの付加的な機能はなくして、低層階の簡易な構造の建物としてまいります。

○菅野委員 簡易なということで、客船の受け入れに必要な機能に絞ったシンプルな施設にするとのことでありましたけれども、東京国際クルーズターミナルの二バース目ができるまでの間の施設であるという点を考慮すれば妥当であると思います。
 しかし、簡素化を重視することで、今度は使い勝手が悪くなってしまうとか、実際は何か余りにも陳腐というか、せっかく東京におり立とうとしたときに、がっかりするようなものでも困るでしょうから、その辺は、簡素化を図りつつ、あくまで利用者が使いやすい施設としていただく必要があると思います。
 さらに、コロナウイルス感染症の動向は不透明であります。一定の終息状態になった場合であっても、新しい日常に対応した安全な施設としていくことが重要だと思います。
 都は、施設の利用者の声にもしっかりと耳を傾けて感染症対策に配慮しながら円滑で快適な乗下船を可能とする使いやすい施設を整備していくべきだと考えますが、見解をお伺いします。

○戸井崎港湾経営部長 客船の受け入れ施設を整備するに当たりましては、乗船客が入国審査や税関、検疫など一連の手続をスムーズに行える施設としていくことが重要でございます。
 このため、まず、船会社を初め税関や検疫所などの関係機関へのヒアリングを行いまして、それぞれの業務を円滑に行うための要件を把握いたします。
 その上で、感染症対策用の機材の配備等につきましても十分考慮しつつ、寄港が想定される客船の乗船客数も踏まえまして、円滑かつ効率的な乗下船が可能となる最適なレイアウトについて検討を進めまして、設計に反映させてまいります。
 加えて、建物に隣接する場所には、乗船客が観光地へ向かうための大型バス等を収容できる駐車場を整備して利便性を高めてまいります。
 こうした取り組みによりまして、乗船客にとって快適で使いやすい施設としていくことで、東京港へのさらなる客船誘致につなげてまいりたいと思います。

○菅野委員 ぜひ、利用者に喜んでもらえるような使いやすい施設となるよう努力をしていただきたいと思います。
 冒頭にも述べたように、客船の寄港は東京に大きな経済効果をもたらすものであります。客船誘致は、ポストコロナにおける東京の観光振興を図る上で不可欠な取り組みであると考えます。
 今後、晴海客船ターミナルの代替施設の整備を着実に進めていくことを要望して、次の質問に移ります。
 次に、臨海副都心のまちづくりについて伺います。
 以前から我々自民党は、臨海副都心地域については、東京二〇二〇大会後を見据えたまちづくりを進めていくべきと主張してきたところであります。
 都は、有明南地区の二区画において、進出事業者の公募を実施したところであります。昨年末に進出事業予定者を決定したと承知しております。
 そこで、まず今回の公募の目的について伺います。

○赤木臨海副都心まちづくり推進担当部長 臨海副都心につきましては、東京二〇二〇大会の主要な会場となりますことから、競技会場やショーケーシング会場、あるいは関係車両の待機場などのさまざまな大会関連用地として、多くの未処分地や海上公園を活用することとなっております。
 一方、大会後のまちの持続的な発展を進めてまいりますため、有明南地区におきましては、東京ビッグサイトを中心とした国際コンベンションゾーンの形成を進めることとしておりまして、昨年一月に、残る二区画につきまして、デジタルテクノロジーなどの先端技術の導入に向けた創意工夫ある提案を期待して、進出事業者の公募を開始したものでございます。

○菅野委員 今回の公募によって、有明南地区の最後のピースが埋まることが確認できました。
 昨年の一月に公募を開始したとのことでありますけれども、そのすぐ後から、新型コロナウイルス感染症の拡大が本格化したところでもあります。そのため、今回の公募についてもその影響が懸念されたところでありますが、進出事業予定者の選定にまで至ったことは喜ばしいことと考えています。
 そこで、今回の進出事業予定者の進出によって期待される効果と、今後の進出スケジュールを伺いたいと思います。

○赤木臨海副都心まちづくり推進担当部長 今回、公募をした二区画につきましては、昨年十二月にコナミ・ホールディングス株式会社外二社から構成されるグループと、株式会社テレビ朝日を進出事業予定者として決定をいたしました。
 コナミ・ホールディングスを中心とするグループにつきましては、グループの幅広い分野の研究開発拠点が集積することにより、eスポーツなどデジタルエンターテインメント事業の新たなイノベーションの創出につながるものと考えております。また、テレビ朝日につきましては、多目的ホールやエンターテインメントスペースの設置により、多くの来場者が見込まれているところでございます。
 二区画ともに令和七年ごろの開業が予定されておりまして、その進出により、さらなるにぎわいがもたらされ、有明南地区におけるMICE機能の強化や、先端技術のまちへの実装につながることが期待されております。

○菅野委員 さまざまな発信能力とか、いろいろ人を集めたりするような力のありそうな、そういった事業者が入ってくるというようなことで、期待できるところでありますが、今回の事業者選定は、いわばスタート地点であります。
 まちづくりというものは、そのまちを継続して発展させるため、行政や進出事業者などの多様な主体が連携協力することによって、その活力と魅力を高め続けていくことが大切だと思います。土地を売却したら終わりというのではなくて、その後の地域活性化に都が積極的にかかわっていくことが重要です。
 そこで、にぎわい創出など、この地域の継続的な活性化に向けて、都は、進出事業者とともにどのように取り組んでいくのか伺いたいと思います。

○赤木臨海副都心まちづくり推進担当部長 まちの持続的な活性化のためには、にぎわいやMICE機能の強化につながる施設などのハード面における整備だけではなく、ソフト面を充実させることが重要であると考えております。
 今後は、進出事業予定者から提案を受けた施設の整備とあわせまして、その具体的な運用方法や地域との連携によるにぎわいの創出について調整を進めてまいります。
 例えば、進出事業者の有するさまざまなデジタル技術を活用した周辺施設との共同イベントの開催など、事業者の進出を相乗効果の高いものとすることによりまして、臨海副都心のプレゼンスの向上につなげてまいります。

○菅野委員 繰り返しになりますが、今回の進出事業者はいずれも発信力の高い企業であります。都としても、今後とも、これらの事業者との連携を深めて、事業者と一体的なまちづくりを進めるとともに、この地域のさらなる発展につなげていただきたいと思います。そのことを要望し、期待して、次の質問に移りたいと思います。
 最後に、都営空港条例の一部を改正する条例案について伺いたいと思います。
 都営空港は、調布飛行場のほか、島しょ地域に五つの空港があり、本土と島しょ地域を結ぶ拠点として島民生活の安定や暮らしに寄与するものであり、また、観光客やビジネス客が島しょ地域を往来するための玄関口として、島の活性化にもつながる重要な施設です。
 とりわけ、大島空港は本土から最も近い空港で、調布飛行場から片道二十五分程度で行くことができます。また、千八百メートルの滑走路も整備されていて、非常にポテンシャルの高い空港であると考えます。
 昨年の第二回東京都議会定例会では、大島空港に定期便やジェット機の燃料給油車や、航空機の移動を容易にする牽引装置を新たに設けるための条例改正が行われており、空港施設の充実が図られてきています。
 今回、大島空港に格納庫を新たに設置するとのことでありますが、もう少し詳しく内容を確認したいと思います。
 そこで、初めに、なぜ大島空港に航空機の格納庫を整備することになったのか、目的を伺いたいと思います。

○高野島しょ・小笠原空港整備担当部長 大島空港の格納庫は、主として調布飛行場に登録している自家用機を停留させるために整備するものでございます。
 この調布飛行場につきましては、国から移管を受けた平成四年に都と調布市、府中市、三鷹市の三市で、地域の安全確保や騒音防止に関する協定を締結しており、この中で自家用機を分散移転することとしております。
 都は、この協定に基づきまして、自家用機の共同所有による集約等で、自家用機の削減に取り組んでまいりましたが、平成二十七年七月に起こりました調布飛行場周辺での小型機墜落事故を受けまして、さらに自家用機の分散移転を進めるため、調布飛行場に最も近い都営空港でございます大島空港に格納庫を設けることとしたところでございます。

○菅野委員 平成二十七年の小型機墜落事故のことは、私も鮮明に覚えています。この事故で被害を受けられた方々には、改めてお見舞いを申し上げたいと思います。
 調布飛行場では、この事故を受け、安全対策の強化が図られたと認識しています。さらに、この大島空港に分散移転が進めば、大島空港の活性化にもつながるのではないかと思います。
 そこで、自家用機の分散移転を進めていくためには、移転先である大島町の理解が必要であると思いますが、これまで大島町にはどのように説明し、理解を得られるよう取り組んできたのか伺いたいと思います。

○高野島しょ・小笠原空港整備担当部長 都は、調布飛行場の自家用機の大島空港への分散移転を推進するため、格納庫整備を行うことを平成二十九年十月に大島町議会と住民に説明をいたしました。
 大島町議会では、騒音や危険性について質問があったものの、おおむね理解が得られたものと認識をしております。
 また、住民説明会では、観光の視点から自家用機の受け入れに積極的な声や、空港の活性化を期待する声もございました。

○菅野委員 都が住民説明会を実施して、地元からは一定の理解が得られているということがわかりました。
 一方で、円滑な分散移転を進めていくためには、当事者である自家用機所有者の理解と協力も欠かすことができません。
 そこで、自家用機所有者とはどのような調整をしてきたのか伺いたいと思います。

○高野島しょ・小笠原空港整備担当部長 都は、調布飛行場の自家用機団体と協議する場として、東京都調布飛行場の自家用機分散移転推進検討会を設置いたしまして、大島空港に整備する格納庫や、さらに、今後整備する予定の給油施設等についても協議を行ってまいりました。
 昨年十月の検討会は大島空港で開催をし、自家用機団体の方々に整備中の格納庫を見学していただくとともに、自家用機を格納庫から容易に出し入れできる牽引装置の操作を体験していただいたところでございます。

○菅野委員 昨年は、実際に大島空港で自家用機団体の方々に格納庫の整備状況を見てもらったということであります。整備中であっても、実物を見ることで格納庫の大きさや形などイメージを膨らますことができたと思います。
 そこで、現在整備を行っている格納庫について、具体的にはどのような設備や機能を備えているのか伺いたいと思います。

○高野島しょ・小笠原空港整備担当部長 現在整備をしております格納庫は、庫内に柱を設けない構造で、格納スペースを有効に活用できる設計としております。
 また、航空機を潮風等から守るため格納するだけでなく、航空機の整備も行える構造にしておりまして、格納庫のはりの一部に耐荷重性能を待たせ、チェーンブロックを設置できるようにし、機体のエンジンなどの重量物をつり上げて取り外せるようにしているほか、床面には、航空機の整備の際、機体が動かないよう固定する金具を設置しております。
 加えて、取り外した部品類を手入れする整備室や、整備記録簿の作成等に使用する事務室も設けております。

○菅野委員 格納庫の概要はお聞きしましたが、航空機を潮風などから守るための格納、単なる車庫というか、ではなくて、格納庫内での整備、さまざまなそういった整備等にも対応できるようなつくりであるということで、移転する自家用機の所有者にとって非常に使い勝手のよい仕様になっているのだなというふうに感じました。
 なお、先ほどの分散移転推進検討会の答弁で、今後、給油施設も設置するということでありましたが、その目的と効果についても伺いたいと思います。

○高野島しょ・小笠原空港整備担当部長 現在、調布飛行場には給油施設が整備されており、調布飛行場の自家用機は離陸前に給油が可能となっておりますが、大島空港には小型機用ガソリン給油施設がないことから、移転機が大島空港を離陸する前に給油できるよう施設を整備する予定でございます。この給油施設は、小型機用ガソリンの地下貯蔵タンクや給湯装置等を整備するもので、来年度着工予定でございます。
 さらに、この給油施設が完成いたしますと、移転機の給油だけでなく、給油のため他の空港から小型機が来島するきっかけにもなるものと考えております。

○菅野委員 私も知り合いに自家用機を持っている人間がいまして、その人からも聞いたことがあるんですが、実際、小型機のガソリンを給油できる公共空港というのが、調布飛行場を除くと、仙台、または大阪の八尾空港まで行かないとないというようなことで、そういった意味では、この大島空港、実際、今回移転する機体にとっては必要な施設でありますし、さらに、お話があったように、給油施設があるということで、調布飛行場からだけではなくて、より多くの小型機が大島に立ち寄るきっかけになると思います。
 給油の際、パイロットや搭乗者が島に立ち寄り、観光や食事、お土産の購入などがあれば、大島の魅力をより多くの人に知ってもらうことができて、大島の活性化にもつながります。
 今回の格納庫や給油施設整備を契機に、さらに多くの方が大島を訪れるものと期待されますが、これをきっかけに空港全体を充実させ、島の活性化につなげていくべきと考えますけれども、都の見解を伺いたいと思います。

○高野島しょ・小笠原空港整備担当部長 島民や定期便の乗降客だけでなく、自家用機による来訪者など、より多くの人に大島空港を利用していただくためには、空港施設をさらに充実させていく必要がございます。
 このため、供用開始から約十八年経過し、老朽化が進んでおりますターミナルを、より使いやすい施設とするため内部の改修を行ってまいります。
 具体的には、搭乗待合室等の配置がえなどを行い、レストランスペースの拡大や、イベント、観光PR等に活用できる多目的スペースの設置などを検討しております。
 こうした取り組みによりまして、大島空港の魅力を向上させ、多くの人に利用される空港とすることで、大島の活性化につなげてまいります。

○菅野委員 今回の条例改正案というのは、新たに整備をしている格納庫を供用開始するためのものでありましたけれども、いろいろとやりとりをしている中で、大島空港ではさらに給油施設の整備、そして、今ターミナルビルの改修も行われることがわかりました。
 空港の充実と大島の活性化が着実に進むことを期待しまして、私の質問を終わりたいと思います。

○菅原委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後五時二十七分休憩

   午後五時四十五分開議
○菅原委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言をお願いいたします。

○高倉委員 最初に、臨海副都心について質問いたします。
 昨年から続く新型コロナウイルス感染症の拡大は、臨海副都心にも深刻な影響を与えておりまして、来訪者が減少して、まちの様相が一変をしたというところであります。
 感染症が発生する以前においては、この地域ではさまざまなイベントが開催をされておりまして、そのにぎわいの創出に一役買っていたところであります。現在は、そのイベントの開催も大変難しい状況にあるというふうに思っております。
 そこで、これまで臨海副都心において開催されてきた各種のイベントは、現在どういう状況になっているのか答弁を求めます。

○赤木臨海副都心まちづくり推進担当部長 これまで臨海副都心では、マラソンなどのスポーツやお祭りに関するイベント、あるいは文化系のイベントなど、年間を通じて多様なイベントが開催されておりまして、例年、都の後援名義を付与したイベントにつきましては、約三十件が開催され、四百万人以上の方々の来場がございました。
 しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた令和二年度につきましては、現在までの開催件数は二件であり、そのいずれもが来訪者がいないオンライン開催によるものでございます。

○高倉委員 今、答弁にありましたけれども、新型コロナウイルスの影響によりまして、臨海副都心においても、今年度は来場者を伴うイベントの開催が事実上困難になっているということであると思います。
 今後しばらくは、ウイズコロナにおける日常生活を余儀なくされるところではありますけれども、そのような中においても、にぎわいの灯を消してはならないというふうに思います。
 そのためには、これまで都が進めてきたバリアフリー化や暑さ対策など、快適なまちづくりや環境整備への支援だけではなく、今般の新型コロナウイルス感染症によるまちへの影響を十分に踏まえた対策をとる必要があるというふうに思っております。
 そこで、再び多くの人々に安心してこのまちに来訪してもらうようにするために、感染症対策を徹底していくということが必要であるというふうに思いますが、どう取り組んでいくのか、答弁を求めたいと思います。

○赤木臨海副都心まちづくり推進担当部長 これまで都は、臨海副都心に来訪する外国人旅行者の利便性向上や、快適で魅力的なまちづくりに資する事業者の取り組みを支援することによりまして、にぎわいにあふれたまちづくりや、まちのブランド力の向上につなげてまいりました。
 現在、新型コロナウイルス感染症拡大により来訪者が大幅に減少しておりますことから、感染症の終息後に向けて、臨海副都心の安全・安心な受け入れ環境整備に向けた取り組みを講ずる必要があると考えております。
 そこで、来年度、新たな支援事業として、臨海副都心感染症拡大防止事業を創設いたします。
 この事業により、例えば非接触型設備の設置など、感染症拡大防止に資する民間事業者の取り組みに対して補助を行い、ポストコロナの新しい日常に必要な設備投資を進めることによりまして、安心して来訪していただける環境づくりを進めてまいります。

○高倉委員 今、新しい支援事業として臨海副都心感染症拡大防止事業の答弁がありました。
 新型コロナウイルス感染症による臨海副都心への影響を踏まえて、まちの感染症対策への取り組みを都として支援するということで、多くの来訪者の方々に安心感を与えることができる意義ある取り組みであるというふうに思います。
 そして、その次に重要となってくるのが、にぎわいの復活であります。コロナの終息後に向けまして、まちが一丸となって、再びお客様を迎え入れる意欲があったとしても、多くの事業者の体力が落ち込んでいる中で、以前のようにイベントを開催するというのは容易なことではないというふうに思うわけであります。
 今後、新型コロナウイルス感染症が一定の終息状態を迎えるときを見据えて、これまでまちづくりを主導してきた東京都が、民間事業者が行うさまざまなイベント等のにぎわい創出に向けた取り組みを、さらに後押しをすべきであるというふうに思いますけれども、見解をお伺いします。

○赤木臨海副都心まちづくり推進担当部長 これまで都は、地元の企業を中心に構成されるまちづくり協議会などと連携しまして、さまざまな大規模イベントの開催を支援するなど、臨海副都心におけるにぎわいを創出してまいりました。
 令和三年度におきましては、先ほど答弁をいたしました、安心してこのまちに来訪できる環境整備を進めるとともに、新たに臨海副都心にぎわい創出事業を創設いたします。
 この事業は、ポストコロナにおける臨海副都心への来訪者の回復を促進し、地域活性化につなげてまいりますため、まちづくり協議会の会員が共同で実施するイベントに対して補助を行うものでございます。
 今後も引き続き、必要な感染症対策を講じた上で、地域に進出した民間事業者と連携をしまして、臨海副都心におけるにぎわいの回復を図ってまいります。

○高倉委員 都として、新たに臨海副都心にぎわい創出事業を創設するというお話が今ありました。まちづくり協議会の会員の皆さんが共同で実施をするイベントに対して補助を行うものという、その内容の説明もありました。
 来年度には、いよいよ東京二〇二〇大会が開催をされるわけでありまして、大会後のにぎわいの回復に向けて、引き続き不断の取り組みを進めていただくように要望いたしたいと思います。
 続きまして、防災船着き場についてお伺いしたいと思います。
 先ほどもこのテーマについては質問がありましたので、重複を避けて質問させていただきたいと思います。
 先月、福島で震度六強を観測した地震がありまして、東京二十三区でも震度四を記録するなど、改めて地震の恐ろしさを感じたわけであります。
 首都圏では、今後三十年以内に大地震が発生する確率が七〇%以上とされておりまして、いざ、こうした地震が発生をした場合には、多数の負傷者や帰宅困難者の発生が想定をされるとともに、医療、緊急物資など、さまざまな輸送が必要となってまいります。
 こうした輸送を確実に実施し、迅速に応急対策活動を進めていくためには、災害発生後の緊急輸送のためのルートを確保することが重要でありまして、陸上輸送に加えまして、水上輸送を含めた多様なルートの確保が不可欠であります。
 特に、東京港沿岸部は海や運河等で囲まれている地域が多いわけであります。河川とも接続をしておりまして、河川や運河等に配置をされている防災船着き場を接続する水上ルートを確保していくということは極めて重要であるというふうに思います。
 防災船着き場は、応急対策活動時のかなめとなる緊急輸送ルートを早急かつ確実に確保するために欠くことのできないものでありまして、その整備を着実に進めるとともに、発災時には確実に機能する運用体制を確保していただきまして、防災力の強化を図っていくということが重要であるというふうに思います。
 そこで、東京港における防災船着き場の整備の考え方と現在の状況について答弁を求めたいと思います。

○山岡港湾整備部長 都では、平成二十八年三月に東京港防災船着場整備計画を策定し、災害時において水上輸送を確実に行うための拠点として防災船着き場の整備を推進してまいりました。
 この計画においては、災害拠点病院や広域輸送基地などに近接する防災船着き場については都が、地域内の輸送拠点となる区の庁舎などに近接する防災船着き場については区が整備をすることとしており、背後地の開発に合わせて民間事業者が整備するものも含めて、東京港全体で三十八カ所の整備を予定しております。
 これまで、地元区等とも連携し、現在三十二カ所の整備が完了してございます。

○高倉委員 この防災船着き場でありますけれども、今答弁にありましたとおり、都が整備をする、それから区が整備をする、あるいは民間が整備をすると。多様な主体が連携をして、この整備を進めているということであると思います。
 また、三十八カ所のうち三十二カ所の整備が完了しているということでありまして、残りの六カ所についても早急な整備が望まれると思います。
 そこで、この残り六カ所の防災船着き場の整備予定について答弁を求めたいと思います。

○山岡港湾整備部長 今後、整備を予定しております六カ所の防災船着き場のうち、三カ所につきましては都が、残り三カ所につきましては区及び民間事業者が整備を予定しております。
 都が整備する三カ所につきましては、既に設計に着手しておりまして、このうち災害拠点病院に近接する大森南四丁目の防災船着き場につきましては、令和三年度から工事に着手する予定でございます。
 早期の完成を目指し、引き続き防災船着き場の整備に着実に取り組んでまいります。

○高倉委員 今、大森南四丁目の防災船着き場のお話がありまして、災害拠点病院にも隣接をしているということで、極めて重要な施設であると思います。ぜひ、早急に整備を進めていただきたいというふうに思います。
 この一方で、平時から近隣住民等に防災船着き場を認識してもらい、災害時には有効に利用できるものであるというふうにすることが必要、重要であります。
 このため、防災船着き場への案内やサインによる周知を図るとともに、夜間の発災時においても安全に活動できるように、照明などの設置も必要であるというふうに思います。
 そこで、こうした観点から、サインなどの施設についてどのような取り組みを行っていくのか、答弁を求めたいと思います。

○山岡港湾整備部長 防災船着き場は、発災時に船舶により避難者や緊急物資を輸送するための施設でございまして、平時から、住民等に対し最寄りの防災船着き場の場所を周知するとともに、夜間の発災時の活用を想定して備えることが必要でございます。
 このため都では、令和元年十一月に東京港防災船着場付帯施設整備ガイドラインを策定し、災害時において水上輸送を有効に機能させるために、サインや照明など必要な附帯施設の整備を図ることとしております。
 サインなど案内施設につきましては、設置場所が誰にでも容易にわかるようにピクトグラムを採用するとともに、多言語での表記を行うことといたしました。
 また、夜間における緊急性の高い輸送なども想定されることから、適切な照度を確保するとともに、災害時には商用電源が途絶している可能性があるため、太陽光パネルなどの簡易な発電設備を備えた照明の設置等を行うこととしております。
 今年度は、これらの施設の設計を行い、来年度以降、順次工事に着手する予定でございます。

○高倉委員 このサインでありますとか、あるいは夜間のための照明、これは本当に、機能するためには大変重要なものでありますので、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。
 これらの防災船着き場が、発災時には確実に機能するということが必要であります。その場合に、発災時に防災船着き場を混乱なく運用していくためには、各主体がその役割に応じて適切に業務を遂行していくことが重要であるというふうに考えます。
 そこで、防災船着き場を所管する港湾局の役割はどうなっているのか、答弁を求めたいと思います。

○山岡港湾整備部長 発災時の防災船着き場の運用につきましては、人員や物資の緊急輸送活動を円滑に行うため、総務局が運用マニュアルを定めており、港湾局は輸送拠点や輸送手段の確保を担っております。
 これを踏まえ、港湾局では、平成二十九年三月に東京港防災船着場発災時運用マニュアルというものを策定し、平時から各主体との連絡体制を構築するとともに、発災時において各担当が行う具体的な作業手順や情報伝達方法を定めております。
 輸送拠点の確保に当たっては、防災船着き場が安全に使用できるかどうかの点検方法や、その結果の速やかな報告手順について定めるとともに、輸送手段の確保に当たりましては、災害協定を締結している水上バスや屋形船などの舟運事業者への連絡方法を明確にするなど、確実な水上輸送活動を行う体制を確保しております。

○高倉委員 今、災害時にも極めて重要な防災船着き場のことについて質疑をさせていただきました。
 東京は海に面しているわけであります。災害時などには陸や空などだけではなくて、海からの支援も重要であるというふうに私は考えております。
 国会では、私ども公明党と自民党を中心とする議員連盟ができておりまして、今は超党派の議員連盟になっておりますが、民間団体と協力をしまして、病院船、日本にはまだありませんけれども、この病院船を導入するということを目指して活動をされております。
 東京港内でも、過去に二回実証訓練というのを行っています。一回は民間の船を使って、もう一回は自衛隊の護衛艦の「いずも」を使った訓練でありまして、私も微力ではありますけれども、協力をさせていただいたわけであります。
 また、国会の議連の皆さんがアメリカ海軍の病院船「マーシー」という名前の病院船があるんですが、これの日本寄港を要請しまして、実は東京港に「マーシー」が来ているんですね。そのときも私は船内を見学させていただきましたけれども、大変すばらしい設備を持った病院船でありました。
 今、議連と協力をする民間団体が、ことしのオリンピック・パラリンピックのときに、独自の民間救急艇を用意して、陸上が使えない場合というのを想定して、救急搬送に取り組むといったような準備をしているわけであります。
 そういった中でも、本当に今後、災害時には海からの支援をしっかり行っていくという観点からも、防災船着き場というものは極めて重要な役割を私は持っているというふうに思っておりまして、ぜひ今後とも、着実にその整備を進めていただきたいというふうに思います。
 次いで、高潮対策について質問します。
 近年の大型台風である令和元年十月の台風十九号においては、多摩川流域を中心に水害が発生をいたしましたけれども、東京港沿岸では、第一線で高潮から市街地を守る外郭防潮堤が概成しておりまして、この台風による高潮浸水などの大きな被害はなかったというふうに聞いております。
 しかしながら、港湾局によりますと、この台風で観測史上最大の潮位偏差を観測したということでありまして、近年の台風の大型化による脅威は増してきているのではないかというふうに思います。
 東京二十三区東部では地盤が潮位よりも低い、いわゆるゼロメートル地帯が広がっております。東京港沿岸におきまして、高潮による被害が一たび発生をしますと、多くの人命、財産に影響を及ぼすということが想定をされます。このため、万が一の場合に備えまして、都民に防災意識を高めてもらうことが極めて大事でありまして、防災情報を容易に得られるような環境整備といったことが必要だと思います。
 国においては、こうした近年の台風の大型化や激甚化、また、頻発化する豪雨災害の状況を踏まえまして、既に平成二十七年に水防法を改正しまして、ハード対策のみならずソフト対策を強力に推し進めることとしまして、都においても、さまざまな取り組みがなされているというふうに伺っております。
 そこで、確認のためでありますけれども、水防法の一部改正を踏まえた高潮に対するこれまでの取り組みについて答弁を求めたいと思います。

○山岡港湾整備部長 都では、平成二十七年に一部改正されました水防法を踏まえ、想定し得る最大規模の高潮による浸水に対しては、避難などのソフト対策を強化することとし、平成三十年三月に高潮浸水想定区域図を作成し公表しております。
 この浸水想定をもとに、令和二年四月には、高潮による浸水が発生する前に、都民が避難することによって身を守る時間が確保できる最終段階の水位を、高潮氾濫危険水位として設定し公表しております。
 設定した水位につきましては、関係地元区に対して個別に説明会を開催することで情報共有を図るとともに、連携をより強化しながら、ホームページ等で広く都民に周知を行っているところでございます。

○高倉委員 都においては、高潮浸水想定区域図の作成、また、高潮氾濫危険水位を設定する等、ソフト対策にもしっかりと取り組んでいるということであると思います。
 これらの情報を災害時にはしっかりと活用してもらえるように、多くの都民に知ってもらうことが必要であるというふうに思います。
 実際に台風が発生した際に、高潮による浸水が発生する危険性の有無について、どうすれば情報を得ることができるのか、万が一高潮による浸水が発生した場合、自分が住んでいる地域は浸水をするのか、こうしたことを都民の方々に迅速かつ体系的に発信をすることで、都民の高潮に対する備えを十分に講じてもらうということが必要であると思います。
 そこで、今後の高潮に関する防災情報の発信の取り組みについて見解を求めたいと思います。

○山岡港湾整備部長 都民の高潮に対する防災意識を高めていくためには、高潮に対する正確な情報をわかりやすく迅速に発信していくことが重要でございます。
 このため都では、都民に対して高潮に対する正しい知識を身につけてもらうとともに、万が一高潮等の災害が発生した場合には、的確な避難行動につなげられるよう、高潮防災総合情報システムを構築し、防災情報の発信を行うこととしております。
 具体的には、今月中に、都民の個々のお住まいなど、特定の場所における高潮のリスクをピンポイントに検索できる高潮リスク検索サービス、これの運用を開始いたします。
 さらに、ことしの台風シーズンまでには、潮位などの気象情報や、水門の開閉情報、海面のライブ映像などをリアルタイムでウエブ上に公開いたします。また、浸水が予測される非常時には、システムを活用した報道機関等への一斉メール配信及びウエブ上における高潮氾濫危険情報の発信を行います。
 こうした取り組みを通じまして、高潮への情報発信を強化し都民の防災意識を高め、防災力向上を図ってまいります。

○高倉委員 新しい情報システムを構築するというお話がありまして、高潮に関する防災情報の発信力は非常に強化をされるというふうに、今、答弁を確認させていただきました。
 引き続き、情報システムの構築に当たっては、都民にわかりやすいものとなるように、さらに工夫を凝らしていただきまして、高潮防災情報の発信強化に着実に取り組んでいただきたいと思います。
 最後に、海上公園についてお伺いをしたいと思います。
 私は、かねてより大都市東京における人と自然の共生が重要であると主張を重ねてまいりまして、例えば鳥獣保護施設の推進などについても深くかかわってまいりました。
 港湾局の案件としましては、我が党が強く主張し実現をしてきたラムサール条約湿地への登録や、その保全活用についても質問をしてまいりまして、その後の取り組みについても注目をしているところであります。
 私は、今般のコロナ禍からも、いま一度、人と自然の共生について深く考えるべきであるというふうに強く感じております。
 海上公園は、市街地内の公園と比べまして水辺に接していることが特徴であり、その結果、魚介類や鳥類なども身近に感じられる、こうした生き物が豊かな空間で過ごすことは、自然との共生について深く考えるきっかけにもなりまして、海上公園は非常に大切な施設であるというふうに思います。
 そこで、現在の海上公園の開園状況と来年度の主な整備事業について答弁を求めたいと思います。

○中村臨海開発部長 都はこれまで、都民が海や自然と触れ合い、スポーツやレクリエーションを楽しめる場として海上公園の整備を進めてきており、現時点での開園状況は、三十九公園、約八百七十ヘクタールとなっております。
 令和三年度の主な事業としては、東京二〇二〇大会の会場となる海の森公園や有明親水海浜公園などの整備を初め、葛西海浜公園のビジターセンターに係る設計等を予定しております。

○高倉委員 来年度は、二〇二〇大会の会場周辺を初めとするさまざまな公園で整備が進められる、工事が進められるということであります。大会後にはリニューアルされた公園が利用できるようになり、ますます多くの人々が海上公園を訪れ、憩い、豊かな自然環境を楽しめるようになると期待されると思います。
 さらに、ペット連れで公園を訪れるという方も今ふえておりまして、動物と触れ合う上で公園が果たす役割は非常に今大きくなってきているんですね。特に、ドッグランは犬を自由に運動させることができる場であるとともに、犬を連れてきた方々のコミュニティの場として、大変大切な居場所にもなっているわけであります。
 そこで、ドッグランの箇所数と運用状況について答弁を求めたいと思います。

○中村臨海開発部長 ドッグランについては、辰巳の森海浜公園、大井ふ頭中央海浜公園、城南島海浜公園の三つの公園に設置しており、利用に当たっては、狂犬病等のリスクを回避するために、予防接種等の実施を確認の上、利用者登録をすることをルールとして運用しております。
 現時点の利用登録者数は四千件を超え、年間を通じ、多くの人々に利用していただいているところでございます。
 なお、辰巳の森海浜公園のドッグランについては、東京二〇二〇大会会場の一部として利用されるため、現在閉鎖しており、大会後、原状回復の上、利用を再開する予定でございます。

○高倉委員 今、ドッグランの現時点での利用登録者数が四千件を超えているというご答弁がありました。ペットと過ごす空間としても海上公園が大変多くの方々に活用をされているということであります。
 今後も、他の海上公園整備の中でも、地域のニーズをしっかり踏まえていただきまして、動物と触れ合える空間の整備を進めていただきたいと、このように強く要望させていただきたいと思います。
 最後に一つ、ちょっと要望を申し上げたいと思っています。これは犬のことではなくて猫のことなんです。かねがね海上公園には飼い主のいない猫がいるというお話を私は聞いております。民間のいろんな飼い主のいない猫に対する取り組みを進めている団体があるんですね、そういうところからお話を聞いています。
 この民間団体では、こうした飼い主がいない猫がふえていかないように、猫は放っておきますと、どんどんふえてきてしまうわけですけれども、ふえないような取り組みをしていくことが実は大事なんですね。
 動物の施策は福祉保健局の所管であると思いますけれども、海上公園の管理ということについていえば、これは港湾局さんの所管であるというふうに思っております。
 したがって、今後、飼い主のいない猫の対策を、実は民間の団体が非常にしっかりとしたノウハウを持っていて、取り組みをかなりしっかりとしているんですけれども、例えばそういう民間の団体の方々が海上公園における飼い主のいない猫の対策を進めるというような場合には、その活動を、ぜひうまく生かしていただけるように、港湾局としても協力、配慮といったようなことを、ぜひお願いしたいというふうに思っております。
 先ほど申し上げましたように、所管は福祉保健局であるとは思いますけれども、公園を管理するという観点から、港湾局としても、ぜひそういった協力、配慮をお願いいたしたいと思います。
 以上申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

○あぜ上委員 まず、資料の作成、ありがとうございました。
 第一番目には、青海地区の事業提案についてです。
 港湾局は、二〇一九年十一月一日から二〇二〇年一月八日まで、青海地区の民間事業者からの事業提案を募集し、昨年の七月二十八日に、その結果発表をされました。三十二の事業者から百七件の提案があったと、研究施設、大学、特定複合観光施設など、さまざまな提案が出されていることがわかりました。
 そこで、まず伺いますけれども、事業提案を募集した目的は何だったのでしょうか。

○松本臨海副都心開発調整担当部長 青海地区のサウンディング調査は、まちづくりの方向性を検討するに当たりまして、情報収集の一環として実施したものでございます。

○あぜ上委員 そうしますと、こうした事業提案を今後どうしていくつもりか伺いたいと思います。

○松本臨海副都心開発調整担当部長 提案につきましては、引き続きまちづくりの方向性を検討する上での基礎資料や検討材料としてまいります。

○あぜ上委員 そうしますと、来年度なんですが、青海地区の土地の売却予定というのはあるのでしょうか。

○松本臨海副都心開発調整担当部長 現時点におきまして、今後の土地売却につきましては未定でございます。

○あぜ上委員 今のところは売却予定はないということですね。
 では、青海地区において現在どのぐらいの都有地が残っているのか伺います。

○松本臨海副都心開発調整担当部長 未処分区画と暫定利用区画を合わせました都有地は、約二十一ヘクタールでございます。

○あぜ上委員 そもそも臨海副都心まちづくり推進計画、これでは、青海地区ということについては都民提案型で、都民とともにまちづくりを進めるためのまちづくり方針だったわけです。この間の見直しが何回かありまして、今は売却方針に変わってしまったわけです。
 しかし、かけがえのないこの都有地をどう使っていくのか、新型コロナ、これを体験して、本当に、新しい段階で私は再度検討が必要だというふうに思うわけです。
 そこで伺いますが、都民の貴重な都有地は、やはり都民参加で活用については検討する必要があると思うわけですが、都の認識を伺います。

○松本臨海副都心開発調整担当部長 都有地の土地処分につきましては、まちづくりの方針を踏まえまして、今後の不動産市況等を見ながら検討してまいります。

○あぜ上委員 現在、青海地区というところは江東区にあるわけですけれども、都立の産技研があったり、それから国立研究開発法人の研究所もございます。日本科学未来館もあったり、また、臨海青海特別支援学校もございます。東京港湾の合同庁舎もございます。都有地の貸し付けで日帰りの温泉、それから、複合商業施設もございます。先ほどお話がありました新客船ターミナルもある、そういう地域でございます。
 二十一ヘクタールという非常に貴重な都民の土地でございますから、やはり地元の江東区を初め都民の意見をよく聞くこと、そのためにも、私はやはり安易に売却しないで、都有地として確保していくことを、改めて求めておきたいと思います。ましてやカジノ、IR用地にするなどということがないように求めたいと思います。
 そのIR、カジノについて、次に伺いたいと思います。
 コロナ禍のもと、昨年五月に副知事が依命通達を出しました。その内容は、不急な事業を見直すなどというものでありましたが、調査活動も不急な事業ということで入っておりました。
 そのために、委託のIR調査についてもその対象なのかということを、以前の委員会で質疑をさせていただきましたが、委託IR調査も不急の事業に含まれるということでありました。
 そこで伺いますが、今年度の委託IR調査は今どういう状況になっているか伺います。

○若林調整担当部長 IRに関する今年度の委託調査につきましては、国による基本方針の公表がおくれたことや、新型コロナウイルス感染症の状況等から、これまで発注を見送ってきたところでございます。

○あぜ上委員 これまで発注を見送っているということでありますが、そうなりますと、年度末まであと十数日ということでありますから、今年度はなしという理解でよろしいんでしょうか。

○若林調整担当部長 適正な工期を確保するという観点から考えますと、今年度の委託調査の発注は難しいものと考えております。

○あぜ上委員 今年度は難しいと、発注はしないということでありますが、しかし、また来年度の予算には委託IR調査費が一千万円計上されております。
 来年度の委託IR調査については、どのような検討を経て予算を計上したのでしょうか、その点について伺います。

○若林調整担当部長 IRにつきましては、メリット、デメリットの両面から総合的な検討を行っているところであり、来年度も引き続き検討を行うため調査費を計上いたしました。

○あぜ上委員 私は、これを機に、カジノ、IRを東京に誘致するかどうかの調査は、やっぱりやめるべきだと考えますが、少なくともこのコロナ禍のもとで予算計上したことは、不急な調査を見送るといった都の依命通達の方針からいっても矛盾しているといわざるを得ないわけです。委託調査はもうやめるべきだということを改めて指摘しておきたいと思います。
 また、局として調査検討をされていると思いますけれども、所管としての調査検討されているものはどのような内容なのか伺います。

○若林調整担当部長 所管部署といたしまして、IRに関連する法令や国の基本方針のほか、国内においてIR誘致を目指す各自治体が掲げる基本構想の分析等に取り組んでおります。
 また、各種媒体の報道等に触れまして、コロナ禍における海外のIRの最新状況等についても情報収集を行っております。

○あぜ上委員 国の基本方針についても調査検討されているということであります。
 国のIR整備に関する基本方針、これは二〇一九年の九月に案が出て、昨年の十二月に国や自治体が定めるべき接触ルールの基本事項が新たに追加されたわけです。
 IR担当の副内閣相だった衆議院議員の汚職事件を受けての加筆だったと報道されておりますけれども、国のIR基本方針に接触ルールがつくられたことについて、どう受けとめているのか伺います。

○若林調整担当部長 国は、IRの整備に対する国民の信頼と理解を確保する観点から、収賄等の不正行為を防止するとともに、公正性及び透明性の確保を徹底するため、基本方針の中に接触ルール策定に関する記述を盛り込んだものでございます。

○あぜ上委員 そうですよね、不正行為を防止すると。そして、公平性、透明性を確保するために盛り込まれたと。
 しかし、国の接触ルールは、事の発端になりました議員は対象から外れているという問題もあると思っています。同時に、本来公務員には倫理規程というのがあるにもかかわらず、わざわざ接触ルールをつくらなければならないというところに私はIR整備の問題があるんだと思います。
 都はこの間、数年にわたってIRの委託調査を行ってきたわけですけれども、二〇一六年度以降、六事業者と十七回カジノオペレーターと面談していたことが以前の議会のご答弁でわかりました。
 来年度、カジノオペレーターへの聞き取り計画はされていらっしゃるんでしょうか。

○若林調整担当部長 IRにつきましては、引き続き総合的な検討を行うこととしておりますが、ご指摘のカジノオペレーターへの聞き取りにつきましては、現時点では計画しておりません。

○あぜ上委員 計画はしていないということであります。
 IR整備地については、自治体と事業者をセットで選ぶという仕組みになっています。そのために、やはり収賄などの不正につながりやすい、そういう構造的な問題があるんだということを専門家が指摘をしております。
 そういう点でも、IR整備の検討はやめるべきだというふうに私は思うわけです。
 さて、政府の基本方針を受けて、IR、カジノ誘致を目指す自治体が、ことしの十月から来年の四月までに区域整備計画を策定することとなっております。長崎県や和歌山県、実施方針など、相次いで決定して公表をしております。
 その実施方針では、それぞれIR事業の事業期間を定めておりますけれども、大阪もそうでしたし、また横浜や和歌山、長崎、こういった県を調べてみますと、三十五年とか四十年という非常に長期にわたってのカジノ事業を継続する内容となっておりました。
 さらに、県側の都合で契約解除した場合には、違約金が発生すると、県が負担することにもなっております。
 つまり、知事がかわったりして、もうやっぱりカジノはやめた方がいいんじゃないかという世論になって、やめましょうというふうに自治体が判断する、またそうした世論が広がる、そういう判断をしても、実は途中でやめるということは非常に難しいんだということが、この間のそういった整備計画案を見るとよくわかるわけです。
 私は、だから今、本当にやめる判断をする大事なチャンスだし、その機会じゃないかというふうに思うわけです。
 海外のカジノの状況というのは、今どうなっているでしょうか。

○若林調整担当部長 海外のIR施設におきましては、それぞれの国、地域における新型コロナウイルス感染症の状況により、閉鎖と再開を繰り返している状況ではありますが、営業再開に当たっては、マスクの着用や顧客間の距離の確保、消毒の徹底など、事業者によりまして、従業員や顧客に対する感染予防策が図られております。

○あぜ上委員 今ご答弁あったように、閉鎖と再開を繰り返しているということでありますが、私自身は、カジノそのものが人の不幸を土台にした経済活動で、反対の立場でありますけれども、たとえ富裕層をターゲットにした新しい経済活動だと主張される、そういう方々の立場で見たとしても、この新型コロナ感染で、カジノ業界は今、オンラインカジノに切りかえる、そういう動きにもなってきていますし、また大型ホテルと観光施設などとの併設でのIR、カジノをつくるということの見直しもされてきています。
 世界最大規模のマリーナ・ベイ・サンズ、この収益はここ数年落ち込んできまして、日本からの撤退も決めたと昨年大きく報じられたところでもあります。やっぱりカジノの事情は大きく変わっているということであります。
 IR、カジノ誘致の検討、これはきっぱりやめるべきではないでしょうか、ご答弁をお願いします。

○若林調整担当部長 IRにつきましては、日本の経済成長や国際競争力を高める観光拠点として期待される一方で、ギャンブル依存症等の懸念の声もあると認識をしております。
 都は、メリット、デメリットの両面から、引き続き総合的な検討を行ってまいります。

○あぜ上委員 IR、カジノは、マネーロンダリング、そして治安の悪化を生み、今でも約三百二十万人という、日本はギャンブル大国といわれていますけれども、ギャンブル依存症の方がいらっしゃると。そういう方をさらにふやす、そういう大きな問題を抱えているわけです。
 だからこそこの間、どの世論調査を行っても、直近では世論調査はないんですけれども、ここ数年の世論調査をずっと経年的に見ても、ずっと六割台、少なくても五八%ぐらいなんですね。つまり過半数以上の人がどの世論調査でも反対なんです。
 都民の不幸を土台として観光振興や経済活動を進めるなどということ自体、納得できるものではありません。
 先ほど申し上げたように、一度誘致してみて、やっぱり途中でやめるということが簡単にできる仕組みではないということもはっきりしたわけです。
 今こそ、カジノ、IR施設整備とはきっぱり決別をして、やっぱりコロナ感染症から都民の命を守って、そのために総力を挙げてほしいという都民の皆さんの声に応えていただきたい、そのことを強く求めて、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○奥澤委員 私からは、来年度予算のDigital Innovation City推進事業に関連して、幾つか質問していきたいと思います。
 先日来、本会議、予算特別委員会において、さまざまベイエリアについても取り上げられているところですけれども、そこに、東京の魅力向上に欠かせない場所であるということはいうまでもない、私もそこは同じ見解ですけれども、少し議論の中で気になる部分があるのでお伺いしていきたいと思っています。
 先般、ドラフトが示された東京ベイeSGプロジェクト、これは他局の取り組みではありますけれども、を見せていただいたり、あるいは先ほども申した本会議や予算特別委員会のやりとりを見ていくと、後藤新平氏の帝都復興計画、あるいは中国の深センにおける未来都市ともいうべき都市計画をイメージされているのかなというふうに思うところがあります。
 ただ、帝都復興計画というのは、関東大震災後の東京が舞台であって、それまでの東京をゼロからつくり直さなければいけない、そういったものだったと認識しています。
 また、中国の深センには私も一昨年お伺いしましたけれども、その土地のみならず、周辺を見渡す限り何もないところに、国家を挙げてお金と人と技術を集結させている、そういった場所でありました。
 つまり、東京ベイeSGプロジェクトでイメージしている都市像というものが、余り現在の東京と合致しないといいますか、そういったところがあるなというふうに思っています。
 もちろん、かなり完成度の高い都市である東京にあって、臨海副都心が土地の特性から見ても可能性を秘めた場所、空間であることは否定しませんけれども、既に多くの民間開発がなされていますし、ゼロから線を引き直すことはできないというふうに認識しています。
 また、規制という観点から見ても、中国の深センで視察をしたような、自動運転あるいは無人コンビニといった技術を即座に社会実装できるような自由な場所ではないというふうに考えています。
 そのような考えから、改めてこのベイエリアをどういうふうに魅力的にしていくかということのもとになっていると思われるスマート東京実施戦略、こちらを読み解いていきますと、西新宿、南大沢、都心、ベイエリア、島しょ地域という特性の異なる五つの先行エリアでテクノロジーを社会実装していくということが書かれていて、その目的は、都民のクオリティー・オブ・ライフ、生活の質を向上させていくことだということが記載されています。
 その中でベイエリアについては、デジタルテクノロジーの実装とスタートアップが集積するエリアとして、ベンチャー企業やライブエンターテインメント産業の一翼を担うeスポーツ関連企業等の集積を目指すというふうに書かれています。
 そこで確認をしますけれども、この社会像を目指すに当たって、ベイエリアはほかのエリアと比べてどのような特徴があって、伸ばしていきたいと港湾局としては考えているのか、見解を伺います。

○松本臨海副都心開発調整担当部長 ベイエリア、特に臨海副都心は、研究開発機関や観光、商業施設が集積し、加えて大きなオープンスペースを有することが強みでございます。
 こうした観点から、今年度、民間事業者や有識者などにヒアリングを行いまして、このエリアにおけるニーズを把握するとともに、具体的な取り組みについて検討を進めているところでございます。

○奥澤委員 強みを今お話しいただきました。こういった集積していることだったり、大きなオープンスペースもある、これは私も認識は同じです。
 一方で、今年度ヒアリングを行ってニーズを把握すると、してきたといったらいいんでしょうか、というお話があったことにはちょっと正直驚いています。
 これまで検討を進めてきた東京ベイエリアビジョンの策定に向けて、民間事業者とのまさにフラットなパートナーシップのもとで積み重ねた議論の中で、当然そういったニーズも把握してきたものだというふうに思っていましたし、方向性は定まっているものだと思っていました。
 今年度は、もし新型コロナの影響がなければ、東京二〇二〇大会が開催されて、それを契機としたテクノロジーのショーケーシング、こういったものを期待されていたわけですから、ベイエリアにも一定程度というか、かなりの注目が集まったはずなわけです。
 そういった意味でも、絵に描いた餅にしてはいけないというか、こういう質問をしているのも、別にベイエリアで開発するなとかそういったことがいいたいんではなくて、期待をしていたからこそ、いつまでやっているんですかと、この計画を何度も何度も話す話を。
 私たち常々お伝えしてきたのは、民間事業者、とりわけ実際に開発を行っている事業者がいるわけで、先ほど他会派さんの質問の中で、今後、有明の方ですけれども、また事業者も出てきたと。
 臨海副都心をどんどん開発していきたいという事業者もいるわけで、また、テクノロジーを社会に実装させていきたいという事業者もいる中で、こういった人たちとどうやって連携して進めていくんですかということがすごく重要な話なわけです。
 東京二〇二〇大会と軌を一にして本来取り組む予定であった各種イベントというのは、残念ながら、新型コロナウイルス感染症の影響で、大規模な展開は難しい状況に今追い込まれています。
 そのような状況にあっても、スマート東京の実現に向けて歩みを進めていくためにはどのように取り組んでいくのか、見解を伺いたいと思います。

○松本臨海副都心開発調整担当部長 最先端技術のまちとして臨海副都心のプレゼンスを向上させていくためには、日々進歩するさまざまなデジタル技術を有する民間事業者や、その技術を効果的にPRするノウハウを有する民間事業者との連携が必要でございます。
 具体的には、都のアセットの開放などによりまして、先端技術の基盤となる5G基地局の設置を民間事業者と進めていくとともに、民間事業者の技術やアイデアを生かした訴求力のある実証実験やイベントを実施していく予定でございます。

○奥澤委員 民間事業者の技術やアイデアを生かした訴求力のある実証実験やイベントを実施していくということでありました。
 繰り返しになりますけれども、こういった事業が、より多くの方々にベイエリアの魅力をしっかりと伝えていくことにつながって、あるいは産業を育てて、結果的に都民のQOL向上につなげていくという、最終到達地点を忘れずに取り組んでいかないといけないんだということを改めて、指摘をしておきたいと思います。
 そのような意味で、これまでのまちづくりの検討においては、官民連携で取り組みを進めてきたと思います。
 それを踏まえて、今後どのように取り組んでいくのかお伺いさせていただきます。

○松本臨海副都心開発調整担当部長 スマート東京の実現には、民間と都が目的や将来像を共有しつつ、さまざまな課題を整理しながら取り組んでいくことが重要でございます。
 臨海副都心におきましては、進出事業者と協働した実証実験やイベントを実施するなど、官民連携した取り組みを進め、まちへの早期実装を目指してまいります。

○奥澤委員 ありがとうございます。今、将来像を共有していく、そしてまちへ早期に実装していくという見解が示されたことは大変重要だと思います。
 実際、計画というものを描いて、私、さっきもいった中国の深センを見たから思うんですけれども、あれというのは計画を描いたら本当にすぐにやれてしまうような国なわけですよね。意思決定の仕組みも全然違えばお金のかけ方も全然違う。また、土地のあり方も全然違うわけですよね。
 東京というのはそういう場所じゃないわけです。いい計画をつくったからといって、そこからすぐに、あしたから、来年からまちが変わるわけではないわけですよ。そこから物すごくいろんな合意形成が必要になったりだとか、制度を変えなきゃいけなかったりだとか、いろんなことをやらなきゃいけないわけです。
 そういった部分で、これまで本当に事業者と、あるいは都庁の中でも若手の方々がその中に入ってずっと議論を交わしてきた官民連携ワーキンググループのイレブンカラーズという将来像というのは、これは本当に実現できるんだということも含めてすごくわくわくしたんですね、私は。
 当然、これは港湾局だけができる話ではないということはよくわかっているんですけれども、コロナ禍で職を失う方もふえています。その対策を産業労働局なんかでは進めていますけれども、やっぱり新たな産業を興していかないと、仕事そのものをふやしていかないと、根本解決にはならないわけですよね。そういった可能性を秘めているのがベイエリアだと私は思っているんです。
 臨海副都心において、あるいはこのベイエリアという全体を通して、このまちをどう、東京という場所をどうアップデートしていくのか、それが今コロナを乗り越えていくために非常に重要なことだと思っているし、それをまちに早期に実装していくというこの思いを、港湾局だけじゃなくて、共有していただいて取り組んでいただきたいということを申し述べて、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

○尾崎委員 私の方からも、ベイエリアビジョン、仮称ではありますが、これについて幾つか質問していきたいと思っています。
 最初に、ベイエリアビジョンについて、当初は二〇一九年度内にはまとめていくということでしたけれども、現在、どのような状況になっているのか伺います。

○中村臨海開発部長 ベイエリアビジョンについては、大局的な視点に立った長期戦略と十分に連携を図りながら、東京二〇二〇大会を通じて生み出されるハード、ソフトにわたるレガシーを未来に継承していくエリアとして検討を進めております。

○尾崎委員 私が一番今知りたかったのは、ベイエリアビジョンは、当初二〇一九年度内にまとめていくということでしたけれども、もう一年が経過しようとしている二〇二〇年度末に今来ているわけですが、動きがほとんど見えないわけです。
 今検討を進めているというご答弁でしたけれども、今どうなっているのかよくわかりません。
 私は、二〇一八年度の決算特別委員会でこの問題、質疑をしましたけれども、官民連携チームの報告書には、東京臨海リング、自由、気ままなパブリックスペース、シャトルフェリー、ロープウエー、MICE、IR、トランジットツーリズム、制約からの開放など、十一の項目で提案されていたわけです。
 十一の項目では、すぐに実現できるようなものから、私個人としては、果たして実現できるのだろうかと思われるものまでさまざまな内容でした。
 しかも、MICE、IR、トランジットツーリズムの中には、青海エリアにおいて、東京の国際競争力強化と稼ぐ東京のために、MICE、IR施設を整備し、国内外から人を集めると記載され、しかも国内のMICE、IR施設との差別化を図りとまで書かれて、MICE、IRなどが整備されるイメージ図まで掲載されていました。
 官民連携チームの報告書は参考だという位置づけでしたけれども、IR、カジノの問題や交通政策については大規模な開発の提案もあり、臨海副都心の大規模再開発につながるものになっていました。
 東京ベイエリアビジョンにかかわる地元自治体や住民の皆さんとの議論がない中で、私は進めるべきではないと当時も思っていました。
 ベイエリアビジョンの策定の期日が先送りになっている中ですけれども、政策企画局の所管ですが、東京ベイeSGプロジェクト−東京湾から日本の未来を創り出す−が今回の第一回定例会に報告されました。
 東京ベイeSGプロジェクトとベイエリアビジョンとの関係について伺います。

○中村臨海開発部長 東京ベイeSGプロジェクトとベイエリアビジョンとの関係については、今後、整理していくことになっております。

○尾崎委員 ただいまのご答弁ですと、今後、整理していくこととなっているとのことですが、せっかくなので地元自治体や都民の声をまずよく聞いていただきたい。都民の望むまちづくりを進めるべきだと強く指摘をしておきたいと思います。
 次に、調布飛行場の自家用機について、幾つか質問していきたいと思います。
 調布飛行場を離陸した自家用機が直後に住宅地に墜落事故を起こし、パイロットや乗客、住民の三人が死亡、五人が負傷する最悪の事態が起きたのは二〇一五年七月二十六日でした。事故後、関係する自治体や住民から厳しい声が東京都に届きました。
 私はこの間、機会あるごとに調布飛行場の安全対策の問題、自家用機と飛行場の移転についても検討を求めてきました。今回、東京都営空港条例の一部改正の提案が行われたことは、一つの大きな節目を迎えたと感慨深いものがあります。
 そこで、まず伺いますが、現在、自家用機は何台になっているか伺います。

○高野島しょ・小笠原空港整備担当部長 現在、調布飛行場の自家用機の登録数は十七機でございます。

○尾崎委員 事故直後の自家用機は、運航自粛中で二十二機でしたから、事故後、この間に五機減ったということになります。
 今回提案の東京都営空港条例の一部改正で、大島空港格納庫の新設に伴い、設備使用料に係る規定が改正されることは重要です。
 使用料は、一カ月四十九万四千五百円ということですが、格納庫に入る台数によって一台の使用料が決まるということでいいんでしょうか伺います。

○高野島しょ・小笠原空港整備担当部長 設備使用料の四十九万四千五百円は、現在整備しております格納庫の全面積を一カ月使用した場合の料金でございます。
 航空機一機当たりの設備使用料は、格納庫の利用面積に応じて使用割合により算出した額になります。

○尾崎委員 格納庫は、自家用機の大きさや入れ方によって入る台数が変わってくるということも伺っておりますけれども、ぜひ工夫して、一台でも多く入るようにしていただきたいと思います。
 都は、調布飛行場の自家用機の分散移転の取り組みを推進するため、都と自家用機の所有者等で構成される東京都調布飛行場の自家用機分散移転推進検討会を二〇一八年、平成三十年ですが、七月に設置をして、これまで六回開催したことは、事務事業質疑で明らかになっています。
 十月二十一日には、工事の進捗状況について報告したということですが、その後の開催状況はどうなっているのか伺います。

○高野島しょ・小笠原空港整備担当部長 都は、調布飛行場の自家用機団体と協議する場として、東京都調布飛行場の自家用機分散移転推進検討会を設置いたしまして、これまで六回開催してきております。
 昨年十月には、大島空港で検討会を実施し、自家用機所有者に格納庫工事の進捗状況等を現地で確認していただいております。
 現在、新型コロナウイルス感染症の状況を見ながら、次回の検討会開催に向け、実務的な調整を行っているところでございます。

○尾崎委員 現地を見ていただいたというのは大変重要なことだと思いますし、今後、移転促進の後押しになると期待をするものです。
 それでは、大島空港の格納庫への移転は、どのようなスケジュールで進められるのか伺います。

○高野島しょ・小笠原空港整備担当部長 今後、自家用機の給油に必要な設備も整備するとともに、検討会の場を活用して、引き続き、大島空港への自家用機移転に向けた協議を行ってまいります。

○尾崎委員 格納庫だけでなく自家用機の給油に必要な設備も整備するというご答弁でしたけれども、調布飛行場の事故後、安全対策として自家用機の飛行前の点検が二〇一八年に強化されました。再発防止のために、出発前確認のチェックシートの提出を義務づけ、二人の航空機専門員の配置が調布飛行場では行われています。
 大島空港の滑走路は調布飛行場よりも長く、調布は住宅街の中に飛行場がありますが、大島空港は海が近いという環境は大きく違っています。しかし、二度と墜落事故を起こさないための対策が必要だと思います。
 大島空港に格納庫が完成し、自家用機の発着が始まれば、安全対策として最低でも出発前確認のチェックリストなどを実施すべきだと思います。
 このことを要望しまして、質問を終わらせていただきます。

○菅原委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○菅原委員長 異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で港湾局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後六時五十八分散会

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