経済・港湾委員会速記録第十八号

令和二年十一月十九日(木曜日)
第八委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長菅原 直志君
副委員長けいの信一君
副委員長菅野 弘一君
理事奥澤 高広君
理事尾崎あや子君
理事伊藤 ゆう君
福島りえこ君
栗下 善行君
長橋 桂一君
滝田やすひこ君
あぜ上三和子君
高倉 良生君
山崎 一輝君
三宅しげき君

欠席委員 なし

出席説明員
産業労働局局長村松 明典君
次長総務部長事務取扱坂本 雅彦君
産業企画担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務築田真由美君
企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務勝見 恭子君
商工部長土村 武史君
商工施策担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務荒井 芳則君
金融部長篠原 敏幸君
金融支援担当部長井上  卓君
観光部長松本 明子君
観光振興担当部長小林あかね君
農林水産部長上林山 隆君
安全安心・地産地消推進担当部長龍野  功君
雇用就業部長村西 紀章君
事業推進担当部長鈴木のり子君
労働委員会事務局局長松山 英幸君

本日の会議に付した事件
労働委員会事務局関係
事務事業について(質疑)
産業労働局関係
事務事業について(質疑)

○菅原委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、労働委員会事務局及び産業労働局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより労働委員会事務局関係に入ります。
 初めに、過日の委員会で紹介できませんでした幹部職員について、松山事務局長から紹介がございます。

○松山労働委員会事務局長 去る十月二十九日に当委員会を欠席いたしました幹部職員をご紹介させていただきます。
 本委員会との連絡に当たります担当部長で総務課長事務取扱の山中淳でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○菅原委員長 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○けいの委員 よろしくお願いします。
 新型コロナウイルスが世界的に大流行する中、何よりもなすべきことは、感染症の脅威から都民の命と健康、そして生活を守ることであります。
 今月六日に発表された厚生労働省の調査では、新型コロナウイルスの影響で仕事を失った方は、見込みも含め全国で七万人を超えるなど、多くの方の暮らしと仕事の基盤が脅かされています。
 ことし四月には、雇用形態における格差をなくすべく、労働者派遣法における同一労働同一賃金が施行されたものの、感染拡大防止と社会経済活動の両立に苦慮する経営者もおり、労使の意識に生じる隔たりが広がることを懸念いたします。
 こうした状況のもとで、健全な労使関係が築かれ維持されていくために、労使紛争の解決機関である労働委員会の役割は、より一層重要になってまいります。
 そこで、まず、新型コロナウイルスの感染拡大が東京都労働委員会の業務にどのような影響を及ぼしたのかお伺いします。

○松山労働委員会事務局長 東京都労働委員会では、感染拡大の初期段階において、仕切りやアルコールなどの感染予防策を講じる必要性と、その後の都の緊急事態措置を受けまして、ことしの三月九日から五月三十一日までの間のうち、おおむね七十日間、当事者が出席して行う事件の調査、審問及びあっせんを一旦休止いたしました。
 なお、休止期間中も、電話での相談や、郵送での事件に関する書面の受け付け手続など、対面での接触なしにできる業務につきましては継続して取り組んできております。

○けいの委員 事件の調査、審問及びあっせんについて休止していた期間があったということでありました。そのおくれを少しでも取り戻すよう、引き続きお願いいたします。
 一方で、インフルエンザとのダブル流行が懸念されるなど、コロナとの闘いは長期化する様相を呈しており、労働委員会としても、ウイズコロナの時代に合わせ、柔軟な対応が必要となってまいります。
 休止した事件の円滑な進行に向けてどのような工夫を行っているのかお伺いします。

○松山労働委員会事務局長 東京都労働委員会では、休止期間中から、労働委員会と紛争当事者、あるいは当事者間での書面のやりとりを促進するなど、対面せずに行える手続を優先して事件を進行してまいりました。
 再開後も、事件関係者の認識する事実関係をまとめた陳述書を活用することで、証人を絞り込むほか、命令書の作成期間を短縮するなど、少しでも多くの事件を適正かつ迅速に処理できるよう努めております。

○けいの委員 紛争当事者の方々にとっては、事件の解決は、いわば待ったなしの切実な問題であります。
 コロナ禍により進行が滞っていた事件を円滑に進めることももちろん大切でありますが、最近では、都内でも感染者数が三百人、四百人とふえてきております。緊張が高まる中、再び事件の進行をとめることのないよう、感染対策に万全を期す必要があります。
 労働委員会ではどのような感染予防策を講じているのかお伺いします。

○松山労働委員会事務局長 東京都労働委員会では、当事者が出席して行う事件の調査やあっせん、審問においては、出席人数を制限するほか、会議室内ではパーティションの設置や定期的な室内換気、終了後の消毒作業等、徹底した感染防止に取り組んでおります。
 また、今回の新型コロナウイルスの感染拡大を契機に、これまで対面で行ってきた調査やあっせんについても、裁判所の民事裁判における取り組みに倣い、これまで三件の事件の進行を試行的に電話会議方式で行いました。
 さらに、審問においては、傍聴人が多数の場合、審問室に設置したビデオカメラによる映像と音声を別室のテレビ画面を通じて視聴するようにするなど、いわゆる三密を回避する取り組みを行っております。

○けいの委員 現在、完全失業率が上昇し、有効求人倍率が低下するなど、雇用情勢が悪化しております。経済活動の回復にも業種ごとにばらつきが見られ、例えば、巣ごもり需要が業績を押し上げる業種がある一方で、飲食業、宿泊業や娯楽業では回復がおくれる懸念が強くなっております。加えて、飲食店は、休業や時短営業の要請への対応も求められたところであります。こうしたことから、労働委員会に持ち込まれる事件も多いのではないかと推測しています。
 そこで、今年度の新規事件の状況についてお伺いします。あわせて、コロナ禍の影響が疑われる事件の内容についてもお伺いします。

○松山労働委員会事務局長 昨年度と今年度の実績を十月までの累計で比較いたしますと、不当労働行為の申し立て件数は、令和元年度が四十九件、二年度が六十四件でございまして、前年度の同期間と比較して三一%増加しました。
 同様に、あっせん申請の件数は、令和元年度が二十六件、二年度が三十件で一五%、来庁及び電話相談の件数は、元年度が五百二十三件、二年度が七百五十二件で四四%増加しました。
 事件の内容といたしましては、経営環境の悪化による解雇や雇いどめ、対面でのやりとりによる感染を防ぎたいといった理由による団体交渉の拒否や引き延ばし等がございます。

○けいの委員 コロナ禍で、希望退職を募集する上場企業が急増し、休廃業や解散をした企業が増加するなど、厳しい経済雇用情勢が続いております。今後も事件数がふえるのではないかと思われます。このため、労働委員会はより効率的に事件処理を進めていく必要がありますが、単に効率的に処理すればいいというものではなく、事件の終結に当たっては、当事者の納得も不可欠であります。
 そこで、こうした事件の早期解決に向けてどのような工夫を行っているのかお伺いします。

○松山労働委員会事務局長 東京都労働委員会では、事件の当事者が早期の解決を希望する場合、不当労働行為事件と比較して短期間での解決が見込めるあっせんの利用を案内しております。
 また、不当労働行為事件におきましても、事前に争点や証拠を明らかにするなど、事件の効率化を進めるほか、困難な事件であっても、命令に至る事件の半分程度の期間で終結する和解による解決を可能な限り目指しております。
 今後とも、両当事者間における和解の機運醸成や事件の計画的な進行管理に努め、早期解決に取り組んでまいります。

○けいの委員 コロナ禍で、都民の命と健康を守りながら、経済再生に向けて産業と雇用を支援することは重要であります。そのために感染防止対策を徹底しつつ、雇用の維持や確保に向けた支援を充実する必要があります。
 労働委員会制度は、労使紛争の解決を通じて、雇用を安定させ、経済を下支えする役割を持ち、その役割を果たすことで雇用の維持や確保に貢献するものであります。
 質疑を通じまして、東京都の労働委員会が感染防止対策を講じながら、工夫を凝らして事件処理していることを教えていただきました。確認いたしました。
 引き続き、労使紛争の解決を通じ、雇用の維持や確保に取り組むことで、課された責務を全うしていただくことを要望し、質問を終わります。

○あぜ上委員 それでは、私からも質疑をさせていただきます。
 労働組合法の七条では、使用者の不当労働行為を禁止しております。にもかかわらず、残念ながら使用者の不当労働行為と思われる事案が後を絶たないのが実態です。
 そうした中で、労働委員会は、使用者による不当労働行為があった場合における労働組合や組合員の救済など、集団的労使関係を安定、正常化させることを主な目的として、地方自治法及び労働組合法に基づき設置された合議制の行政委員会で、大変重要な役割を果たされていると思っております。
 そこで、まず伺いますが、二〇一九年の不当労働行為、新規の申し立て内容は年報を見ますと、団体交渉拒否が七八・九%、支配介入が五八・九%、不利益取り扱いが三一・六%となっていましたが、申し立て内容で特徴的なことがあるか伺います。

○松山労働委員会事務局長 新規の申し立てにつきましては、解雇や賃金、一時金の減額、雇いどめなどを端緒に、労働者が個人加盟の合同労組に加入し、組合を通じて企業側に交渉を求める紛争が多く発生しております。
 なお、ご指摘の割合につきましては暦年の数値でございまして、事業概要に掲載した年度別の数値では、団体交渉拒否が四二・八%、支配介入が六一・七%、不利益取り扱いが六四・四%となっております。

○あぜ上委員 年度の数値で、複合型が六割近くあるということであります。
 組合員であることによる不利益な扱い、それから支配介入など、人権侵害ではないかと思われる深刻な声も寄せられております。また、賃金や賞与の団体交渉拒否が最多というふうに、都労委の年報には記されておりました。
 労働者を救済し、労使関係を正常化する都労委の役割がますます求められているというふうに思っております。
 最近の傾向について資料を改めて見させていただきましたが、二〇一九年度の不当労働行為の新規申し立ては九十五件、ここ数年、百件程度で推移されているということがわかりましたが、全国の新規申し立ては、昨年は二百四十五件ということですから、都は、その約四割、三八・八%を占めていると。そういう点では、東京に企業が集中していることと、それから就労人口が都内の比重が大きいということがわかるわけですが、あわせて、不当労働行為の事件の申し立てというのは、会社所在地、それから組合の所在地、あるいは不当労働行為が行われたところということで、いずれでもできるというふうにされていて、そういう意味からも、都労委の担う役割は非常に大きいんだなということを、改めて私自身も資料を読んで感じたところでございます。
 現在三十八名の職員定数となっていますが、現員数はどうなっていらっしゃるんでしょうか。また、増員する必要があるのではないかと思いますが、いかがですか。

○松山労働委員会事務局長 令和二年四月一日現在の労働委員会事務局の現員数は、管理職を含めて四十名でございます。
 一方、昨年度までの過去十年間の新規申し立て件数は、おおむね百件から百三十件の範囲で推移しております。今年度は増加基調にあるものの、おおむねこの範囲におさまるものと見込まれます。このため、当面は、局独自の研修等により職員の専門性を向上させながら、現行体制で適切に対処してまいります。

○あぜ上委員 ご答弁のように、質的な向上の努力というのも、私も大変重要なことだというふうには思います。
 資料には、新規の係属事件九十五件のうち、合同労組からの申し立てが増加していて七十四件あると、七七・九%となっておりますけれども、こうした状況を都労委としてはどのように受けとめていらっしゃるのか伺います。

○松山労働委員会事務局長 合同労組からの申し立てにつきましては、これまでも新規申し立て事件数の七割前後で推移しておりまして、雇用契約の打ち切りや賃金の不払いなどを受けた労働者が合同労組に加入して解決を図ろうとする動きがあるものと認識しております。
 合同労組の場合には、さまざまな事情から代理人弁護士をつけずに臨むことも多いため、主張の整理や裏づけとなる証拠の提出等に労働委員会が積極的に関与するなど、代理人がいないことを補うようにきめ細かな対応を心がけております。

○あぜ上委員 そうしたきめ細かな対応は大変重要だというふうに思いますが、主に組合のない中小企業の労働者が加入している合同労組からの申し立てが多くなっているということは、やはり中小企業で働く労働者が声を上げられる場がふえている、そういったあらわれでもあると、私はそう思っております。
 労働組合数そのものは減っていますけれども、組合員数は、この間増加をしているということを見ても、合同労組の役割は大きいんだなということを改めて実感しております。
 また、新型コロナの影響により、雇いどめや解雇、賃金や一時金などでのトラブルがふえているのではないでしょうか。
 そこで伺いますが、先ほど、今年度は四月から十月までの事件数は六十四件と、対前年度比三一%ふえているというお話がありましたが、このコロナ禍のもとでの労働をめぐる状況、どのように認識されているのか伺います。

○松山労働委員会事務局長 まず、事件数につきましては、今、委員からお話があったとおりでございますが、ことしの五月以降、新型コロナウイルスの拡大感染や緊急事態宣言を理由とする使用者の対応に関する不当労働行為の救済申し立てが発生してきております。

○あぜ上委員 先ほどもお話がありましたけれども、雇いどめが七万人を超えたということで、新型コロナ関連の解雇が今後もふえるのでないかというふうに非常に心配しております。
 私のところにも、工場閉鎖で解雇された、また、派遣で経理の仕事をしていたけれども雇いどめになったなど、そういった深刻な声も寄せられております。また、パワハラ、退職勧奨などが起こり、パートや派遣、外国人にしわ寄せが出ている実態も伺っているところです。コロナ感染症の感染が高どまりの中、これから年末年始に向けて、ますますこうした深刻な紛争がふえていくのではないでしょうか。
 新型コロナという、かつて私どもが経験したことのないような、中小企業の使用者側にとっても大変困難な状況もあります。そういう点では、本当に紛争の解決には時間を要するのではないかなというふうに心配をしております。
 昨年度の終結事件の状況を見てみますと、約七五%が命令に至らず和解で終結などしておりますけれども、命令による終結や、中央労働委員会の再審査で和解解決など、さまざまです。
 二〇一九年度の終結事件に係る平均所要日数は五百十三・三日というふうになっておりましたが、ことしの終結事件の状況はどのような見通しを持っていらっしゃるのか伺いたいと思います。

○松山労働委員会事務局長 新型コロナウイルスの感染拡大による社会経済への影響が徐々に顕在化しておりまして、東京都労働委員会で取り扱う事件数は増加基調にございます。
 今後とも、迅速かつ的確な事件処理に努めてまいります。

○あぜ上委員 早く解決できるということは望ましいことだとは思いますが、やっぱりそのためには当事者の意向をしっかり把握していただく、そして、紛争の解決を的確に進めていただく、その必要があるんだというふうに思っております。
 使用者の不当労働行為を改めさせて、正常な労使関係にしていくことは並大抵なことではないというふうに思っております。
 事務局もご苦労が多いんではないかというふうに思いますが、ぜひ、先ほど、現体制で頑張っていらっしゃるということはわかったんですが、コロナの渦中のことを考えますと、やはり人員体制も強化していただいて、労働法制などにも熟知した職員の育成、研修にもご努力いただきたいと、そのことを強く求めまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

○菅原委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○菅原委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で労働委員会事務局関係を終わります。

○菅原委員長 これより産業労働局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○坂本次長 去る十月二十九日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の経済・港湾委員会要求資料の表紙をおめくりください。目次でございます。資料は全部で十三項目でございます。
 恐れ入りますが、一ページをお開きください。商店街助成事業につきまして、平成三十年度以降の実績をお示ししてございます。
 二ページをごらんください。政策課題対応型商店街事業につきまして、令和二年度の申請状況を内容別にお示ししてございます。
 三ページをお開きください。三ページから四ページにかけまして、中小企業制度融資の過去十年間の目標と実績の推移をお示ししてございます。
 続きまして、五ページをお開きください。都内製造業の事業所数、従業者数、製造品出荷額及び付加価値額につきまして、直近の調査結果として公表をされている平成二十七年までの推移をお示ししてございます。
 六ページをごらんください。女性の活躍推進加速化事業につきまして、平成三十年度以降の実績をお示ししてございます。
 七ページをお開きください。女性・若者・シニア創業サポート事業につきまして、過去五年間の実績をお示ししてございます。
 八ページをごらんください。都立職業能力開発センターにつきまして、過去五年間のデータをお示ししてございます。八ページが応募状況、九ページが職業紹介の実績及び就職率でございます。
 一〇ページをごらんください。委託訓練につきまして、過去三年間の科目、委託先の定員、応募状況、就職率をお示ししてございます。
 一一ページをお開きください。雇用形態別、男女別、年齢別の都内就業者数につきまして、直近の調査結果として公表されている平成二十九年までの推移をお示ししてございます。
 一二ページをごらんください。雇用・就業対策審議会につきまして、平成二十八年度以降の予算、決算の推移をお示ししてございます。
 一三ページをお開きください。内水面漁業の従業者数、主な魚種別漁獲量及び養殖量の推移をお示ししてございます。
 一四ページをごらんください。林業の就業者数及び多摩産材の活用実績の推移をお示ししてございます。
 一五ページをお開きください。島しょ地域の旅行者数につきまして、過去五年間の推移をお示ししてございます。
 以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○菅原委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。

○福島委員 私からは、再就職支援から取り上げたいと思います。
 就職氷河期によって、多くの非正規雇用者や失業者が生まれました。
 私自身、ちょっと私語りが入ってしまいますけれども、修士卒で就職したのは一九九五年で、実際、非常に採用面接で厳しかったのを覚えています。経済面に課題を抱えていることが明らかだったにもかかわらず、長らく、この世代に対する対策はなされてきませんでした。
 国は、二〇一九年の秋に就職氷河期世代支援プログラムを開始、都も、第四回定例会の我が会派の中山ひろゆき議員の質疑を受け、氷河期世代の方々が派遣先企業において正規雇用を目指す事業など新たな支援プログラムの検討に着手をしました。
 まず最初に、マッチングと職場内実習を経て正規雇用に結びつけるミドルチャレンジ事業と、非正規雇用の正規化を目指し二週間の職務実習を経て正規雇用に結びつける東京しごと塾事業の三年間の実績と具体的な就労先についてお伺いいたします。

○鈴木事業推進担当部長 ミドルチャレンジ事業は、平成三十年度の事業開始以降、四百十九名が参加し、うち二百六十四名が就職しておりまして、主な就職先は、情報通信業、サービス業、卸売、小売業でございます。
 東京しごと塾は、平成三十年度の事業開始以降、三百五十三名が参加し、うち二百二十三名が就職しておりまして、主な就職先は、サービス業、情報通信業、卸売、小売業でございます。

○福島委員 経験がなかった人に業務内容を体験していただき知っていただくことで、情報通信産業など、これから伸びる産業への就労につなげているというご答弁でした。
 コロナ禍という特殊状況にあり、事業三年目に当たる今年度は実施が難しかったようですけれども、落ちついた後に一層の拡充を求めます。
 そして、今年度から開始した氷河期世代を対象に、研修後に一カ月の派遣を経て正規雇用に結びつける就職氷河期世代キャリア・チャレンジの取り組み状況についてお伺いいたします。

○鈴木事業推進担当部長 就職氷河期世代キャリア・チャレンジは、十月末現在で五百八十三名の方に派遣登録をいただいており、登録した方々の希望に応じて、専任のキャリアアドバイザーによるカウンセリングや、IT、福祉、介護など、さまざまな企業とのマッチングを実施しております。
 また、派遣先が決定した方は五十八名、正社員としての雇用が決定した方は二名でございます。

○福島委員 事業開始から四カ月ということです。実績が出てくるのはこれからですけれども、雇用側、就労側の両方を支援する取り組みで、結果も出つつあることがわかりました。継続の実施を求めます。
 さらには、同じ産業労働局が取り組む漁業人材確保、そして東京都交通局が取り組む都営バスの運転手の募集などもあります。異なる素養が求められる多様な選択肢を用意することで、より多くの人材の受け入れにつながると考えます。連携を求めて、次の質疑に移ります。
 コロナ禍を踏まえ、雇用緊急対策として実施した労働者派遣スキームを活用した雇用安定化就業支援事業、これの実績についてお伺いいたします。

○鈴木事業推進担当部長 雇用安定化就業支援事業は、十月末現在で六百五十五名の方に派遣登録をいただいておりまして、そのうち五十五名の方は、ITや建設などの企業への派遣が決定しております。

○福島委員 早期の対応を評価いたします。
 カウンセリングや就職準備等のセミナー、そして就職面接会までを短期間で集中して行う就職1dayトライなども開始すると聞いております。重要な施策であり、申し込み状況によっては枠の拡大も含め、丁寧に取り組んでいただくことを要望いたします。
 ミドルや氷河期の世代の再就職支援に関する内容を取り上げさせていただきました。いずれも人手不足の産業につなぐという内容で成果を上げていらっしゃいますけれども、本来は、ジョブ型、すなわちこれまで担ってきた業務の専門性を磨き、その分野で再雇用されるのが理想だと考えています。
 国の雇用制度の課題はありますけれども、最大の生産年齢人口を抱える都が、専門性を高める学び直しの場を提供し、就労実績をつくることで、国の施策にも影響を与えられるのではないでしょうか。今後に期待をいたします。
 次に、女性の再就職支援事業についてお伺いいたします。
 女性の就労率のM字カーブが解消しつつあるとはいっても、その多くはパート、アルバイト、派遣などの非正規雇用であり、こうした層は新型コロナウイルスによって最も打撃を受けました。
 厚生労働省によれば、新型コロナウイルスの感染拡大に関連した解雇や雇いどめの人数、これは十一月六日時点で七万二百四十二人、うち三万三千人超を非正規雇用労働者が占めているということです。
 世帯収入の柱を正規雇用の男性が担い、女性は非正規雇用で補助的収入を得るという一昔前の家族形態を前提とした考え方が現行制度の根底にあり、現在の多様化した家族形態に対応できておらず、その結果、ひとり親家庭、特にシングルマザーにしわ寄せが来ているというふうに考えています。女性が世帯主であることも想定した就労支援が求められます。
 まずは、女性に向けた就職の支援のためのさまざまなサービスを、時間的、距離的制約があっても受けられるようにオンラインを活用していくべきと考えますが、見解を伺います。

○鈴木事業推進担当部長 都は、コロナ禍における女性の就職活動を支援するとともに、家事や育児で忙しい女性が自宅においても就職支援サービスを受けることができるよう、オンラインによるキャリアカウンセリングや企業説明会を実施しております。
 今後も、利用者のニーズを踏まえ、必要なサービスのオンライン化を検討してまいります。

○福島委員 ありがとうございます。
 そして、来春から中小企業に適用される同一労働同一賃金は、非正規雇用の割合が高い女性や氷河期世代にとって非常に重要な施策です。
 来年度の中小企業への適用に向けて、経営者向けの支援をしっかりと行っていくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○村西雇用就業部長 同一労働同一賃金の関連法が来年四月から中小企業に適用されることを見据えまして、都は先月、中小企業の経営者や人事労務担当者を対象に、法改正のポイントや具体的な取り組み方法を解説するシンポジウムに加えまして、専門の相談員による個別相談会を開催いたしました。
 また、労働相談情報センターにおきましても、同一労働同一賃金に関し、事業主や労働者向けのセミナーを実施するとともに、啓発資料を作成し広く配布するなど、その周知を図っております。
 今後も、さまざまな機会を活用しまして制度の周知等を図ってまいります。

○福島委員 今年度は啓発、周知に取り組まれていることを確認させていただきました。来年度以降は、都内中小企業の取り組み状況について調査するなど、徹底に取り組むことを求めます。
 そして、今後のテレワーク推進について質疑をいたします。
 都は、東京二〇二〇大会開催期間中の渋滞解消を機会と捉え、中小企業へのテレワークシステムの導入に着手をしました。コロナ禍において、ある意味、強制的に体験した結果、ライフワークバランスの改善に資する取り組みであることを初め、より多くの人々が、働くためのインフラとしての有用性を認識することができました。これが定着することができれば、過密が問題になっている公共交通機関網への負担を減らすことにもつながります。
 私は、都政、そして都議会議員の役割は、今起きている課題にただ対処して、もとに戻すだけではなくて、これからの東京のあるべき姿を描き、そこに向けた取り組みを着実に進めることだと考えています。その意味では、テレワーク導入は先見性のある取り組みであったと高く評価いたします。しかしながら、定着には引き続き丁寧に対処する必要があると考えます。
 都は、テレワーク東京ルールの普及推進などにも既に着手しています。そこで、都が実施しているテレワーク導入実態調査において、テレワークを導入しない理由はどのような回答が多いのか、また、都が実施する導入支援についてお伺いをいたします。

○村西雇用就業部長 テレワーク導入実態調査では、テレワークを導入しない主な理由としまして、テレワークに適した仕事がないが八六・九%と最も多く、顧客等外部対応に支障があるからが二〇・五%、情報漏えいが心配だからが一七・六%となっております。
 都は、テレワークの導入に取り組む中小企業に対して、テレワークで実施する業務の洗い出しなどの業務改善や、ICTに精通した専門家を派遣するコンサルティングを実施するとともに、テレワーク推進センターにおきまして、情報セキュリティー等の問題に対し、広く企業の相談に対応しております。

○福島委員 テレワークを導入するに当たっての課題を把握し、それに丁寧に対応していること、これを確認いたしました。
 現状、働くに当たって、地理的、時間的制約を受けることが多いのは圧倒的に女性です。その女性が七割を占める非正規雇用労働者がテレワークできていないという課題について一般質問で取り上げまして、非正規雇用の方々のテレワーク利用の促進に向けて施策の充実を図ることを既に確認させていただいております。
 先ほどのこのテレワーク導入実態調査などにおいて、本当に多様な人の活躍につながっているのか、非正規雇用の利用状況やテレワーク勤務ができない理由などを調査した上で、こうした課題の解消につながるよう好事例を発信すべきと考えますが、見解を伺います。

○村西雇用就業部長 都は、テレワークに関する実態調査の中で、導入率や導入効果などを調査しておりますが、今後は、非正規雇用の方のテレワーク実施状況等につきましても把握し、効果的な事例の発信ができるよう検討してまいります。

○福島委員 非正規雇用の実態調査にも取り組んでいただけるとのご答弁でした。この非正規雇用の方々がテレワークできない理由を踏まえた具体的な対応策の発信につなげていただきたいと思います。
 次に、テレワークなど、この働き方の変化に伴う費用、例えば家庭の通信、執務環境の整備やテレワークの継続に伴う通信費などが、特にシングルマザーなど貧困家庭の新たな負担とならないように取り組むべきと考えます。見解をお伺いいたします。

○村西雇用就業部長 テレワークなど在宅勤務に係る通信費や情報通信機器の費用につきましては、あらかじめ労使で十分話し合い、就業規則などに定めておくことが原則的な取り扱いでございます。
 都は、こうした対応につきまして、テレワークセミナー等で周知啓発してまいります。

○福島委員 労使で十分話し合うことを周知啓発するとのご答弁でした。組合がない中小企業もあります。特に経営者に丁寧に伝えていくことを望みます。
 続いて、テレワーク関連事業の二件について確認をさせていただきます。
 まず、TOKYOテレワークアプリについてお伺いいたします。
 テレワーク導入推進に向けて開発、そのダウンロード数は一万件というふうに聞いています。なぜ都庁のホームページやSNS、APIによる提供ではなくてアプリにしたのか、また、ダウンロード後の活用状況についてお伺いいたします。

○村西雇用就業部長 都は、都民による事業提案制度や実態調査での行政への要望を踏まえ、スマートフォンからでも導入事例や助成金等の支援など、テレワークに関するさまざまな情報を一元的かつ容易に入手できるよう、TOKYOテレワークアプリを開発したものでございます。
 また、アプリの多様な機能のうち、現在地から近くのサテライトオフィスを検索できる機能やテレワーク勤務の際に活用できる勤怠管理ソフトのほか、セミナー等の支援情報の通知機能などが多くの方々に利用されております。

○福島委員 ありがとうございます。
 約七〇%のアプリは、ダウンロードされて数日後には使われなくなるという調査結果もあります。情報の更新などアプリの維持管理にも費用がかかります。民間地図アプリでサテライトオフィスで検索をすると、最近はきちんとこういったオフィスが検索できるようにもなってきています。新しい日常におけるテレワークの普及状況を踏まえ、アプリの継続率なども確認しながら、継続の要否をご判断いただきたいと思います。
 そしてもう一件、TOKYOテレワーク・モデルオフィス事業、こちらもございますけれども、区部と比べて、民間のサテライトオフィスが少ない多摩地域において、サテライトオフィスを体験する機会を多くの方々に提供し、そのメリットを実感していただくための事業として設計されたというふうに伺っています。
 制度設計していた時点に比べてテレワークが普及し、民間のサテライトオフィス設置の動きも出てきていると聞いております。テレワークの定着に向けた効果的な事業へのブラッシュアップを求めて、テレワーク関連の質疑を終えます。
 次に、女性の就労環境整備についてお伺いをいたします。
 一九八五年に制定された雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律以降、女性活躍の重要性が認識されてから三十年以上が経過をしています。
 二〇一八年に母校に招かれまして、男女共同参画シンポジウムというところで講演する機会がありましたけれども、当時、修士二年の後輩の女性が、職場、配偶者、そして義理の両親の理解がないと働き続けたくないというふうに発言をしていました。働き続けることにほかの誰かの了解が必要だなんてということで、私が就労したころと大きく状況が変わっていないことにショックを受けました。
 家庭と仕事の両立支援の企業に対する制度整備支援の執行状況についてお伺いをいたします。

○鈴木事業推進担当部長 都は、家庭と仕事が両立できる職場環境づくりを促進するため、社内における相談窓口の設置や研修の実施、法を上回る育児休業、介護休業制度の充実等に取り組む企業に奨励金を支給しております。
 今年度の十一月一日現在の交付決定数は、予算規模三百件に対し、二百八十五件でございます。

○福島委員 介護と仕事の両立支援シンポジウム、こちらに対する経営者等の参加状況についてもお伺いをいたします。

○鈴木事業推進担当部長 都は先月、介護と仕事の両立をテーマとするシンポジウムを行い、テレワークなどウイズコロナにおける新しい働き方の紹介や企業の取り組み事例の発表などを行いました。
 シンポジウムの参加者は、経営者や人事労務担当者など六十四名でございます。

○福島委員 ありがとうございます。枠は限られているものの、経営者や人事労務者など、女性の働く環境に影響する人々に向けた取り組み、これを行っていることを確認いたしました。
 次に、続いて、コロナ禍における妊娠中の女性労働者に係る母性健康管理措置促進事業、これの申し込み状況についてお伺いをいたします。

○鈴木事業推進担当部長 都は、新型コロナウイルス感染症への感染のおそれに関する心理的なストレスが母体等の健康保持に影響があるとして、医師等から休業が適当と指導された女性労働者に有給休業を取得させた中小企業に対しまして奨励金を支給しております。
 六月下旬の募集開始以降、十月末現在の申請件数は七件でございます。

○福島委員 緊急措置ではありますけれども、現在、第三波のおそれもある中で、母体、そして胎児への影響も未知数です。来年一月末まで申請可能ということですけれども、丁寧な周知を求めます。
 続いて、女性の役職者の育成についてお伺いをいたします。
 二〇二〇年までに女性の役職者三〇%の目標未達は、二〇三〇年に先延ばしされました。当然ながらジェンダーギャップ指数も低迷をしています。課題として認識をするのと、この解決に取り組むのには大きな違いがあります。
 ちょっと個人的な話で申しわけないんですけれども、私は、眼鏡を使わなくても見られる3Dテレビ、液晶テレビを世界で初めて製品化したことで、そして、家庭と両立したことを評価されて、ウーマン・オブ・ザ・イヤーの二〇一一年の大賞やAPECの女性イノベーター賞受賞などの機会がありまして、さまざまな国内外の女性リーダーのディスカッションにも参加する機会がありました。共通するのは、性別によらず登用してくれる、多くは男性の上司がいたこと、そして、その結果、責任ある立場で経験を積むことができたということです。
 経験が大切なことは男女関係ありません。特に子育て世代に当たる三十代から四十代というのは、少しずつ大きな仕事にチャレンジをして、その結果に責任を持つ経験を積み重ねる、そういった経験が血肉となり成長する大切な時期です。女性のM字カーブが解消されているとはいっても、子育てを理由に一旦離職してしまったり、もしくは就労継続してもサポート的な立場でしか経験を積めないと、四十代以降、リーダーシップを発揮せよといわれても、非常に難しいのではないでしょうか。
 小池都政のもと、我が会派も推進に尽力してきた待機児童対策としての保育所の拡充というのは、この男女かかわりなく、子育ての世代、こういった三十代、四十代が、子育てと同時にキャリアアップを両立し、持てる力を発揮するための社会インフラと考えています。
 ちょっと前置きが長くなりましたけれども、女性の管理職育成のためのイベントへの男女の出席率についてお伺いをいたします。

○鈴木事業推進担当部長 都は、女性管理職を生み出し、支援する機運の醸成を図るため、今年度から、働く女性のキャリア形成に向けた講演会を開催しております。
 講演会は、女性管理職候補者、女性管理職、女性管理職を支える男性管理職等を対象としておりまして、今年度の参加者は九十六人、そのうち十一人が男性で、男性の割合は一一・五%でございます。

○福島委員 ありがとうございます。男性の参加がやや低調ということがわかりました。
 私は、先ほど述べた眼鏡を使わなくても見られる3Dテレビの製品化に当たりまして、チームで取り組み、リーダーを務める機会もいただきました。そして、専門や能力の異なる人には随分助けられました。
 しかしながら、この多様性の価値というのはそれだけではありません。違いそのものから学べることがあります。似たような人ばかりがあうんの呼吸で仕事をしていても、相手の立場に立って物を考える機会が圧倒的に不足をします。そんなことで他者のための精神、そしてサービスを考えることができるのでしょうか。多様性の欠如が成長の機会を奪い、そして日本の競争力低下につながっている、このように確信をいたします。
 今後のイベントには、多様性こそ創造力の源泉であり、その一つが女性活躍であるというたてつけで、男女同数、特に決定権のある男性役職者、こういった方の参加に向けた働きかけを強化するべきと考えますが、見解を伺います。

○鈴木事業推進担当部長 今後は、より多くの男性経営者、男性管理職等が講演会に参加していただけるよう、男性経営者等にとっても関心の高い講演テーマを設定するとともに、幅広い周知を行ってまいります。

○福島委員 ありがとうございます。
 加えて、周知方法の改善も重要です。これらの事業に申し込んできた経営者に何がきっかけで申し込んだかを聞くアンケートを実施するなどして、伝達方法の改善、強化に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。

○鈴木事業推進担当部長 女性の活躍推進に向けた講演会や研修会におきましては、事業の実施に当たり、申し込みのきっかけを質問するアンケートを実施しております。
 昨年度のアンケート結果では、ポスターやチラシなどの紙媒体が約三割と最も高く、メールマガジン、SNS等が続いております。
 今後も、効果的な周知方法を分析し、積極的なPRを行ってまいります。

○福島委員 ありがとうございます。紙や電子媒体を中心としたご答弁でした。
 ここで私から提案があります。都内の中小企業を支え、そして都の事業に関するさまざまな手続を支援する士業の皆様や、制度融資の手続を行う銀行窓口の業務を担う人など、都内には人的資源があります。ムーブメントにするためには、これらの方々が都の事業を取り次ぐ際に、女性活躍や多様性推進の意味を正しく理解し、伝えられることは大切です。東京都と経営者の間にいる人材の活用も視野に入れた検討を望みます。
 その意味では、我が会派の女性要望を通じて実現していただいた女性活躍のための環境整備に取り組む企業に対する制度融資特例、TOKYOウィメン・ビズ・サポートは、都内中小企業の四割が利用する制度融資に絡めたからこそ、都の相談窓口や銀行窓口という接点で、人が説明する効果が期待できます。
 都の事業に申し込み、女性活躍に向けた環境整備に取り組む、そういった企業に対して制度融資特例、TOKYOウィメン・ビズ・サポートを紹介するべきと考えますが、見解をお伺いします。

○鈴木事業推進担当部長 都は、女性活躍推進法に基づく行動計画策定のノウハウを学ぶ研修の機会などを活用し、参加中小企業に対して、制度融資の女性活躍推進特例、TOKYOウィメン・ビズ・サポートを紹介しております。
 今後は、労働相談情報センターや東京しごと財団の窓口も活用し、広く周知を行ってまいります。

○福島委員 このTOKYOウィメン・ビズ・サポートを企業が利用するためには、厚生労働省の女性の活躍推進企業データベースに登録し、十四の項目を公表する必要があります。ご答弁にあったさまざまな窓口でこの制度融資を紹介するチラシを活用し、データベース上で公表する入力項目などについて説明することは、特例に申し込めるだけではなく、説明する側、される側の理解促進にもつながると考えます。ぜひわかりやすい内容で作成していただくようお願いいたします。
 次に、中小企業の知財戦略についてお伺いをいたします。
 先ほど述べた眼鏡を使わなくても見られる3D液晶テレビの開発を初めとして、共願も含めれば百件以上の特許出願経験があります。そして、発明協会の発明表彰第二区分で最上位の二十一世紀発明賞を受賞したこともございます。それらの経験を踏まえて知財戦略について質問させていただきます。
 昨今、日本の特許出願件数が減少しておりますけれども、出しても使えない、すなわち出願登録した先の活用の視点が足りなかったというふうに考えています。そして、一口に弁理士といってもさまざまです。中小企業の立場に立って利益につながる出願を支援できる弁理士に職務についていただきたいと切に願うものです。
 知的財産総合センターにおける実績について、出願を通じて得られた利益や利用者満足度などの視点から伺います。

○土村商工部長 都の知的財産総合センターは、すぐれた技術やアイデアを持つ中小企業が、それらを知的財産として戦略的に保護、活用するための支援を行っております。
 同センターでは、大手メーカー等で知的財産の実務経験を積んだアドバイザーのほか、弁理士や弁護士などを配置し、中小企業に対し、実践的かつ総合的なアドバイスを提供しております。相談件数は増加傾向にございまして、昨年度は六千九百六十九件、今年度は十月末時点の速報値で三千七百七十一件となっております。
 同センターの利用者に対するアンケート調査によりますと、九割以上の方から支援内容に満足したとの回答を得ておりまして、的確なアドバイスのおかげで難解な手続がスムーズになった、知財の活用を通じて販売戦略が立てやすくなったなどの声が寄せられております。

○福島委員 高評価であることを確認させていただきました。
 ここであったアドバイザーというのは一年任期で、一方、権利化したことによる効果、さらには利益が確認できるには数年を要します。このためにアドバイザー当人へのフィードバックは難しいんですけれども、よりよい支援のために知的財産総合センターが支援をして、登録された特許がその後も生きているか、すなわち毎年特許料を支払い続けられているかをトラックすることも役に立つのではないでしょうか。中小企業の競争力向上のための重要な取り組みであるからこそ、指標を設けた継続的な改善を求めます。
 次に、内閣官房が手がけた知的財産推進計画二〇一五で求める大企業が保有する知的財産を中小企業に開放し、それを活用して中小企業の新たな事業の創出につなげていく産産連携を後押しする基盤の整備についてお伺いをいたします。
 都が実施している知的財産活用製品化支援事業の実績についてお伺いをいたします。

○土村商工部長 都は、大企業や試験研究機関等が保有します知的財産を中小企業が活用し、新製品の開発などに取り組むことを支援しております。
 具体的には、大企業等から提供可能な知的財産を募集しまして、活用を希望する中小企業とのマッチングを行い、両者が合意に至った場合には、大企業からの技術の導入に当たってのアドバイスや契約交渉の支援等を行っております。昨年度は十六の大企業等から知的財産の提供を受け、九十七の中小企業に対して、技術の活用へ向けたマッチングを実施いたしました。
 また、マッチングが成立した中小企業による製品開発のための助成制度を昨年度から開始し、二件を支援対象として採択をいたしました。

○福島委員 実績をご紹介いただきました。先行する川崎市では、他自治体と連携し、マッチング相手を全国に広げるよう、そういった取り組みもしています。重要な取り組みですので、たゆまぬ改善を求めます。
 次に、生産性向上についてお伺いをいたします。
 二〇〇一年より経産省主導で取り組んだ産業クラスター計画がございましたけれども、その後の検証はほとんどなされていません。一方、ドイツのクラスター政策は現在も機能をしています。私が考える両者の違いは、中小企業の競争力を大企業並みに高めるという目標が明確であることと、クラスターを形成するために必要な要素、すなわちインダストリー四・〇というデータ基盤の整備とその分野の世界的研究者をリーダーに据える、こういったことを具体化、実現したことだと考えています。
 東京都は昨年一月に、中小企業振興ビジョンを策定しました。個人的には大きな戦略を描いていただきたかったのですが、ここでは業況DIの改善、そして働き方改革を本当の意味で成功させるためにも大切な生産性を取り上げます。
 中小企業振興公社が担う生産性向上のためのIoT、AI、ロボットなどの導入支援、この生産性の面での評価についてお伺いをいたします。

○土村商工部長 都は、生産性の向上を目指して、IoTやAI、ロボットなど、最先端技術の導入に取り組む中小企業に対して専門家を派遣し、導入に際してアドバイスを行うとともに、機器導入経費を支援する事業を行っております。
 この事業では、ICTツール等の導入に必要となる経費に対する助成を行っておりまして、助成金の申請時には生産性向上の数値目標などを盛り込んだ計画を立てていただき、助成金の審査に活用しております。
 本事業を通じまして、バーコードを活用した出入庫管理システムを導入して在庫管理業務の効率化につなげた事例や、各従業員が個々の端末から生産状況を把握できるデータベースを構築し、生産業務の円滑につながった事例も出ており、中小企業の課題解決に寄与しているものと考えております。

○福島委員 続いて、東京都生産性革新スクール卒業生が所属する自社での生産性革新、これの実績についてお伺いをいたします。

○土村商工部長 都は、企業内において生産性向上を進める中核人材の育成を支援するため、講義と現場実習を組み合わせた生産性革新スクールを実施しております。
 スクール修了生によるこれまでの改善報告では、製品の検査工程のレイアウトや作業員の動線を改善し作業の円滑化に結びつけた事例や、煩雑に放置されていた資材などを色分けしたラインで区画を定めて整理することにより、在庫の管理を容易にした事例などが出ております。
 今後も、中小企業による生産性向上の取り組みを後押しするため、企業の現場で着実に改善の成果に導くことのできる人材を育成できるよう、適切にサポートをしてまいります。

○福島委員 いずれも成果を上げているということを伺いました。しかしながら、定性的、エピソード的なご報告でした。生産性をテーマにするのであれば、事業実施前後の生産性の数値の報告を義務づけるべきです。少なくとも前者は、事業設計時に生産性の目標値を設置したわけですから、測定が可能なはずです。
 例えば、厚生労働省の取り組みですけれども、業務改善助成金という制度では、生産性向上のための設備投資などを行い、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部を助成しています。また、生産性の伸び率が生産性要件を満たしている場合には、労働関係助成金を割り増すなどしています。
 先ほどの女性活躍において、士業や、そして各種窓口の皆様に期待するところを述べましたけれども、産業労働局の所管する事業を賃金の上昇や生産性の向上などで評価できるよう、こういった制度設計をすることで、この各種窓口や士業の皆様も生産性の側面のアドバイスをすることになります。報告を義務づけることが、かかわる全ての人々のマインド改善につながるというふうに考えます。その点も含めて取り組みを求めます。
 次に、観光事業についてお伺いをいたします。
 都は、多摩地域において観光型MaaS支援事業を実施するというふうに伺っています。このMaaSの取り組みの成果については、一日に立ち寄れる場所がふえた、あるいは訪れた観光客が地域に落とした金銭の多寡など定量的な評価が必要と考えますが、見解を伺います。

○松本観光部長 多摩地域は観光スポット間が離れているため、誘客に向けましては観光地をめぐる際の利便性の向上が課題となっております。このため、都は、今年度新たにスマートフォンのアプリなどにより、複数の交通機関等に関する情報検索から予約、決済までが一括して可能となる観光客向けサービス、観光型MaaSの実証実験を行います。
 実施に当たりましては、観光客と参加事業者の双方に対するアンケート調査や事業で取得したデータ分析を通じて、観光客の消費の状況や本事業に対する満足度などを把握しまして、導入のメリット、課題を検証してまいります。

○福島委員 この実証実験を秋に行いまして、来春と比較するというふうに聞いていますけれども、季節の違いやコロナの状況に影響を受けます。これを差し引くためには、差の差分析といって、同じように観光地が点在している地域の秋、春のデータをとって比較することも有効だといわれています。ここでは細かいことをいいたいのではなくて、終わってしまうととれないデータもありますので、事業評価を行うことを念頭に入れた事業設計、これを行っていただきたいと思います。
 次に、ビッグデータを活用した観光行動分析事業についてお伺いをいたします。
 データ収集、情報提供をなりわいとしている民間業者が少なくない中で、都が自身でデータ収集や分析に投資できない中小零細観光事業者の支援を行っているという内容だと聞いておりますけれども、これまでの取り組み状況についてお伺いをいたします。

○松本観光部長 都は、観光事業者等の事業展開を支えるため、訪都外国人旅行者の観光行動に関する情報を収集、分析しまして、情報発信する実証事業に取り組んでおります。
 これまでSNSの投稿やGPSによる人の流れ、クレジットカードによる消費など、外国人旅行者の具体的な行動データを分析して、潜在的な人気スポットや適切な情報発信手段等を明らかにし、その結果を観光事業者等を対象としたセミナーなどにおいて情報提供してまいりました。
 セミナーに参加した事業者からは、従来の統計ではわからなかった新たな気づきが得られたとの声が多く寄せられるとともに、より詳細な分析を期待する意見もございました。

○福島委員 ありがとうございます。
 今後、観光の国際間競争に勝ち抜くためには、観光客の行動分析抜きでは考えられず、その意味では、都が観光関連のデータを収集、分析、提供する役割の是非を検討する際には、都から情報提供された中小観光関連事業者の行動変容、そして利益増大に結びついたかを常に検証し、投資に見合うかどうかを検証する、確認するなど、丁寧なこの事業フレームの検討を望みます。
 最後に、ソーシャルファームについてお伺いいたします。
 我が会派は、小池百合子都知事の取り組むソーシャルファームの実現に向けた取り組み、これを強く支援してまいりました。ソーシャルファームの説明会の参加者数と、そしてどのような方が参加していたかをお伺いいたします。

○村西雇用就業部長 都は先月、区部及び多摩でソーシャルファームの事業者向け説明会を開催いたしました。
 説明会には、ソーシャルファームの創設を検討している事業者や障害者等の就労支援団体の方々など、約百四十名の参加がございました。

○福島委員 大変盛況であることを確認いたしました。より多様な人がその人らしく活躍できる東京、これの実現に向けて、大変重要な取り組みです。引き続き積極的な事業推進を求めて、質疑を終えさせていただきます。ありがとうございました。

○菅野委員 それでは私の方から、まず今の中小企業、零細企業も含めた支援からちょっとお聞きしたいと思います。
 我が国の経済は、やや持ち直しの動きも見られるものの、ここに来て新型コロナウイルスの新たな感染者数が過去最高を更新するなど、依然として新型コロナウイルス感染症の影響というのが非常に甚大であります。これまでにない試練に今さらされている状況といえます。
 東京の産業を支える中小零細の事業者も極めて厳しい現実に直面をしていて、私の地元の経営者からも、先行きが全く見えない、リーマンショック以上の打撃だというような悲痛な訴えが数多く寄せられています。
 こうした声に対して、事業の継続や経営力の向上につながる効果的な支援策を速やかに実行できなければ、多くの企業が倒産や廃業に追い込まれかねず、今、東京の産業はまさに存亡の危機に立たされているといっても過言ではありません。
 本日は、こうした現状も踏まえて、コロナ禍における中小企業支援や観光産業の振興の取り組みを中心に、産業労働局の事業について何点か伺っていきたいと思います。
 まず初めに、コロナ禍における中小企業の事業継続に対する支援策についてお伺いしたいと思います。
 新型コロナウイルス感染症の影響により、多くの中小企業は売り上げが大幅に減少するとともに、感染防止対策のためのコスト負担が新たに発生するなど、大変厳しい経営を強いられています。何よりも深刻なのは、こうした状況が長く続いていること、そして、先行きが全く見通せていないということであり、このことが中小企業に重くのしかかっています。経営者の方からは、感染症終息の見通しが立たなければ、店を畳むことも検討せざるを得ないなどの切実な訴えも耳にしています。
 かつてのリーマンショックのように、これまでも東京の経済は危機的な状況に見舞われてきましたが、過去の教訓からいえることは、中小企業が倒産や廃業を選択する手前の段階で、危機を乗り越えられるように手を差し伸べることであり、こうした支援の重要性について我が党は再三質疑の中で訴えてきました。
 東京都は、感染症により厳しい経営環境にある中小企業を支援するために、事業再生のための特別相談窓口も設置していますが、これまでの取り組み状況について、まずは伺いたいと思います。

○土村商工部長 都は、新型コロナウイルス感染症により、急激に経営状況が悪化するなど深刻な影響を受けている中小企業の経営改善を支援するため、ことし九月より、中小企業振興公社に事業再生特別相談窓口を設置いたしました。
 この窓口では、専任のアドバイザーが中小企業からの相談を受け付けるとともに、中小企業診断士や弁護士、公認会計士などの専門家を最大十六回まで無料で派遣して、経営改善に向けて短期集中の支援を提供するものでございます。
 窓口設置から約一カ月となる十月末時点で十七件の相談を受け付けており、今後、個々の中小企業の状況を踏まえて、専門家の派遣や経営改善計画の策定支援などを行ってまいります。
 本事業の実施に当たりましては、信用金庫や信用組合などの地域金融機関に対して連携を要請しており、今後とも、早急に経営改善を図る必要がある中小企業に対し、着実に支援が行き届くよう取り組んでまいります。

○菅野委員 事業継続か倒産かという瀬戸際に立たされている経営者は、日々、懸命な努力を続けています。企業の実情をよく把握している、今お話がありましたような金融機関などの関係機関と東京都がしっかりと連携を図って、倒産や廃業を食いとめる実効性のある支援を実行することを求めておきます。
 次に、感染症の影響による倒産や廃業を防ぐには、売り上げの回復が何よりも欠かせません。しかし、今までの対面販売から非対面へのシフトなど、取引環境が劇的に変化したことに伴い、多くの中小企業が顧客や取引先の減少に悩んでいます。また、中小企業にとって大きなビジネスチャンスでもある商談会も軒並み中止となっていて、厳しい経営環境に拍車がかかっています。
 そもそも、中小企業にとって新規顧客の開拓はかなりハードルが高い上に、コロナ禍における営業活動への制約が重荷となっており、販路が拡大していく取り組みは困難をきわめているというふうに思われます。
 東京都は、感染症により経営に影響を受けている中小企業に対して、新たな商談機会を生み出すための支援を実施していますが、現在の取り組み状況を伺いたいと思います。

○土村商工部長 都は、新型コロナウイルス感染症の影響により受注が減少している中小企業を支援するため、発注企業とのマッチングにより商談機会を創出する取り組みをことし九月から開始いたしました。
 具体的には、販路開拓等の専門家のサポートにより、大企業などの発注企業に売り込みを行うマッチング商談会を開催するとともに、ウエブを活用しましたオンラインによるマッチング商談会も実施いたします。これらの商談会に参加する発注企業については、中小企業振興公社が大企業等を直接訪問するなどして積極的に掘り起こしを行った結果、合計三十五社の参加希望がございました。
 今後は、大企業等からの具体的な発注案件の提示を踏まえ、受注を希望する中小企業を募集し、新たな販路開拓を強力に後押ししてまいります。

○菅野委員 都が主導する形で大企業を初めとする発注企業と都の商談機会を生み出していくことは、中小企業の売り上げ拡大に直結する有効な取り組みであります。先ほど質問した相談窓口とあわせて、コロナ禍に苦しむ中小企業をぜひ強力にサポートしていくことをお願いいたします。
 次に、中小企業制度融資について伺いたいと思います。
 現在の厳しい状況下で中小企業が事業を継続していくためには、資金繰りが最大の課題です。東京都は現在、新型コロナ感染症の影響を受けている中小企業に対し、貸付額一億円まで無利子となる手厚い融資を行っていますが、今後も感染による影響が予断を許さない状況を考慮し、引き続き資金繰りへの支援をしっかりと行うよう、まずは求めておきたいと思います。
 加えて、コロナ禍以前から課題となっている事業承継への支援も重要であります。中小企業の事業承継を困難にしている課題の一つが、借入金の経営者の保証だといわれています。経営者保証によって将来多額の債務を負う可能性があるために、後継者の確保が困難になっているといわれています。
 東京都は、制度融資において事業承継をメニューとしていますが、こうした経営者保証の問題にどのように対応しているのか、利用実績とあわせて伺いたいと思います。

○篠原金融部長 都の制度融資の事業承継メニューでは、本年度から財務状況などの一定の要件を満たす中小企業の事業承継に関しまして、経営者保証なしで事業承継に必要な資金を融資することや、既存の保証つき融資の借りかえの際に経営者保証をとらないことができるようになっております。
 さらに、信用保証料の補助を行うことや、東京商工会議所、中小企業振興公社などから特定の支援を受けている場合の金利の優遇を実施することによりまして、利用者の負担軽減を図っているところです。
 本年度の事業承継メニューの融資実績は、九月末までで八件、約二億六千万円でございます。

○菅野委員 経営者保証なしで事業承継に必要な資金を確保できるということは大変重要なことであります。しっかりと活用され、特に現場できちんとそうした形で融資が受けられるように、それを伝えていただくこと、そして、積極的にこの制度をPRするなど、都として一層の努力をしていただくようお願いをしたいと思います。
 次に、東京プラスサポートについて伺います。
 コロナ禍による経済への影響が見通せない状況において、制度融資に限らず、多様な資金調達の手段を中小企業に提供していくことが重要です。
 東京都は平成二十一年度から、地域の金融機関と連携した東京プラスサポートという新しい融資制度を立ち上げ、こうした対応を図ってきていますが、これまで十年を超える間でどのように利用拡大が図られてきたのか、また、そのためにどのような制度改善などを進めてきたのかお伺いしたいと思います。

○篠原金融部長 都は平成二十一年度に東京プラスサポート事業を開始して以来、制度の充実と取扱金融機関の拡大に努めてまいりました。
 制度としましては、当初五百万円、一千万円と設定しておりました融資限度額を段階的に引き上げ、本年度から二千五百万円に一本化しております。
 また、取扱金融機関は、二十一年度当初が地方銀行一、信用金庫四、信用組合八の十三機関でございましたが、現在では地方銀行二、信用金庫十八、信用組合十二の合計三十二機関となっております。
 こうした取り組みによりまして、制度開始の二十一年度は約八十七億円であった融資実績が、六年目の平成二十六年度で約九十七億円、十一年目となる昨年度で約三百二十九億円と、活用が広がってきております。

○菅野委員 東京プラスサポート制度が充実をして利用が広がっているということがわかりました。今後も、特に現下の経済情勢を踏まえて、こうした資金繰り支援をさらに多様化して強化していくことが重要と考えます。今後も、制度を充実、拡大していくことを求めて次の質問に移りたいと思います。
 それでは、資金面からの支援に加えて、中小企業に寄り添った経営サポートもますます重要となっています。中小企業は社員の確保や育成、生産性の向上、取引先の新規開拓など、さまざまな経営課題に直面をしています。こうした課題を一つずつ解決する地道な取り組みが大切でありますが、まず何から始めていいのか思い悩み、最初の一歩を踏み出せない経営者が数多くいるのではないかと考えます。
 また、取り組み以前の問題として、経営者がみずからの会社の課題を十分に認識していないケースもあり、成長を阻害している要因がどこにあるのか、外部のサポートを受けながら見出していくことも必要であります。
 都は、さまざまな経営課題を抱える中小企業に対し、課題の掘り起こしから、その解決策を明らかにするまで、きめ細かくサポートすべきと考えますが、現在の取り組み状況を伺いたいと思います。

○土村商工部長 都では、中小企業の経営力の向上を後押しするため、中小企業に対して専門家を派遣することで、経営状況の診断から計画づくり、その実行支援まで伴走型のサポートを提供しております。
 今年度は、九月末までに六百八十一社に対して経営診断を行い、個々の中小企業の経営課題を把握するとともに、延べ三百六十六社に対して課題解決に向けた継続的な支援を実施しております。
 具体的には、売り上げ回復を図るために販路開拓が必要と診断された中小企業に対して、インターネット販売を始めるためのECサイトの作成や他業種への転換に関するアドバイスのほか、見本市への出展やウエブサイトの構築、PR映像の作成などを支援しております。
 こうした取り組みによりまして、経営課題の抽出から解決支援に至るまで、中小企業の経営力強化を一貫して支援してまいります。

○菅野委員 経営課題の抽出から出口支援まで、専門家も活用して支援を行うということは、経営者の方々にとって大変心強い取り組みといえます。こうした支援策は中小企業にとって、地道ではありますが大切な取り組みであります。今後も、売り上げ回復など具体的な成果に結びつけるための経営支援の充実をぜひお願いしたいと思います。
 次に、中小企業の収益力向上に欠かせない設備投資支援について伺いたいと思います。
 中小企業は、国内市場の縮小や労働人口の減少など外的環境の変化に的確に対応するとともに、新たな消費者ニーズにも応えていかなければなりません。そのためには、新たな製品やサービスを開発したり生産効率を飛躍的に高めていく必要があり、それを可能とするのが最新設備の導入であります。
 しかしながら、中小企業にとって設備投資は経済的負担が大きいため、なかなか踏み出すことができないのが実情です。設備投資は大きなコスト負担となりますが、長い目で見れば収益力の向上という形で返ってくるものであり、中小企業が積極的にその一歩を踏み出せるよう手厚く支援を行って、確実に成長に導いていくことが重要と考えます。
 東京都は中小企業の生産性向上に向けた設備投資に係る費用の助成を行っていますが、その取り組み状況を伺いたいと思います。

○土村商工部長 都は、競争力の強化や成長産業への参入など、中小企業の積極的な事業展開を強力に後押しするため、設備投資に係る経費の一部を助成しております。
 この事業では、助成率二分の一、一億円を上限に助成を行っており、特に、医療や環境などの成長産業分野に参入する場合やIoTやロボットを活用して生産性向上を図る場合などについては、助成率を三分の二に引き上げております。今年度は、これまでに第一回募集を行っておりまして、七十二件を採択いたしました。
 具体的には、飲料等の宅配サービスの需要拡大に対応するために最新鋭のリサイクル容器洗浄設備を導入した事例や、印刷に係る時間や用紙のロスを大幅に削減してシール製品の納期短縮を可能とする高性能印刷機を導入した事例などがございます。
 今後とも、中小企業が最新技術の導入により生産性や競争力の向上を図ることができるよう、着実に支援してまいります。

○菅野委員 さらに、今度は小零細の下請企業にとっても設備投資は重要であります。大手メーカーへの部品供給などにより、東京の経済全体を下支えしているのが下請企業であります。現在、こうした受注型の下請企業は、従来からの価格競争に加えて、コロナ禍における大手メーカーの経営悪化などにより受注が減少するなど、一層厳しい経営環境に置かれています。
 このような厳しい状況の中でも、下請企業が継続的に受注機会を確保し、新たな顧客を獲得していくためには、技術力や提案力に磨きをかけていくことが不可欠であります。そして、その源泉となる設備投資をしっかりと後押しすべきであります。
 東京都は、下請企業の技術力向上を図るための設備投資支援を実施していますが、その取り組み状況と成果を伺いたいと思います。

○土村商工部長 都は、受注型中小企業の技術やサービスの高度化や高付加価値化に向けた取り組みなどを支援する助成事業を実施しております。この事業は、発注企業の仕様に基づいた製品やサービスの提供に必要となる新たな設備等を導入する場合に、助成率三分の二、二千万円を上限に助成を行っております。
 今年度は、これまでに二回の募集を行っており、九十九件を採択いたしました。採択した取り組みの中には、生産ラインの見直しにより納期の短縮やコストの低減を図る事例や、加工技術の精度を向上させて製品の薄型化や小型化を実現する事例、さらには、高度なプレス成型技術を開発して軽量な電気自動車用バッテリーケースの製作に取り組む事例などがございます。
 引き続き、本事業の活用を広く促すことにより、受注型中小企業の経営基盤の強化を後押ししてまいります。

○菅野委員 経営基盤の弱い中小企業にとって、オンリーワンの技術やサービスを提供できることが大きな武器であります。設備投資にちゅうちょする中小企業に対して、何とか一歩踏み出して取り組んでいただけるよう、東京都の手厚い助成制度のさらなる利用促進を図ることとともに、支援の一層の充実を図ることを求めて、次の質問に移りたいと思います。
 続いて、ことし九月に開館した産業貿易センター浜松町館について伺いたいと思います。
 産業貿易センターは、これまで見本市や展示会の会場を低廉な料金で提供しており、多くの中小企業がこうした場を活用して新たな販路の開拓などに取り組んでいる重要な施設であります。
 私の地元港区にある浜松町館は、駅周辺の再開発を機に、平成二十七年十月に閉館をしてリニューアル工事を行ってきましたが、五年の期間を経て、ようやくこの九月に開館をいたしました。浜松町館は、地域の新しいシンボルともなる複合施設、東京ポートシティ竹芝の中に整備されており、今後のさまざまなイベントでの活用が期待されているところであります。
 この新しく整備された産業貿易センター浜松町館は、多様な催事にも対応できるような工夫が施されていると聞いていますが、まず、その施設の概要とその特徴を伺いたいと思います。

○土村商工部長 産業貿易センター浜松町館は、官民複合施設であります東京ポートシティ竹芝の一階から五階までの低層部に整備され、本年九月に開館いたしました。二階から五階までの四層に配置されている展示室は、ホール内を柱のない空間とすることにより、幅広い展示に活用できる仕様となっており、遮音性を持つ可動式の間仕切りによる半室単位での利用も可能となっております。
 また、大型の電動映写スクリーンを設置しており、大規模な講演会やセミナーなどにもご活用いただけます。
 こうした展示室のほかに、四階には大中小の三つの広さの会議室を設けるとともに、展示会等の迅速な設営準備ができるよう貨物エレベーターを四基設置するなど、幅広いイベントに対応できるようさまざまな工夫が施されております。

○菅野委員 今お話もいただきましたが、今度は柱もなくて、何か話によると、今度見せてもらおうと思っているんですが、天井もかなり高いということで、展示会だけではなくて多様なイベント開催にも対応できるような工夫が講じられていることがわかりました。
 浜松町館は鉄道やモノレールの駅からも近くて、羽田空港からのアクセスも良好なことから、日本各地や海外からの参加者が見込まれるイベントなどでの活躍も期待されています。こうした利便性の高い立地条件や、先ほどのご答弁でいただきました施設の特徴などを広くPRをして、多くの事業者に施設の利用を促していくことが大切だと思います。
 開館から約二カ月が経過しましたが、現在の利用状況とあわせて、活用促進に向けた取り組みについてお伺いしたいと思います。

○土村商工部長 産業貿易センター浜松町館では、開館した九月から十月末までの約一カ月半の間で、展示室について二十七件、会議室については六十件のご利用がございました。このうち、展示室利用の約三分の一は中小企業団体などによる展示会や見本市でございますが、そのほかにも、民間企業による新商品発表会や就職説明会、採用試験会場など幅広い用途に活用されております。
 施設の利用促進を図るため、中小企業向けの各種広報誌やウエブサイトなどを活用してPRを行うほか、展示会場の検索サイトに施設の情報を登録するなどの取り組みを行っております。
 今後とも、浜松町館をより一層ご活用いただけるよう、広く周知を図ってまいります。

○菅野委員 浜松町館は、開館直後からの展示会のみならず、説明会や試験会場などに幅広く活用されていると伺いました。今後のますますの利用が期待されます。
 一方で、展示会などを行う主催者からは、新型コロナウイルス感染症の影響によってイベントの開催が難しく、延期や中止を検討しているとの声も多く聞かれています。多くの人が集まるイベントでは、感染防止のガイドラインにのっとった対策を適切に講じる必要があります。
 浜松町館としても、展示会などの主催者と連携して、安心で安全なイベントを実施すべきと考えますが、現在の取り組み状況を伺いたいと思います。

○土村商工部長 浜松町館では、イベントの開催に当たり、感染防止対策の徹底を図っております。
 例えば、館内の床や設備、備品などの消毒を徹底するとともに、換気設備を使用した展示室内の空気の定期的な入れかえや来場者に対する感染防止対策の呼びかけなどを行っております。
 これらに加えまして、イベント主催者に対して、来場者が密にならないようにするための動線の確保など、ガイドラインに沿った適切な対応を求め、取り組み内容についてチェックリストにより確認を行っております。
 引き続き、イベント開催に当たりまして、感染防止対策に万全を期してまいります。

○菅野委員 イベントの開催というのは、東京の経済を活性化させるために必要不可欠な一つであります。感染拡大防止対策を徹底し、その両立を図っていくことが大前提であります。コロナ禍にあって、リニューアルした浜松町館が、多くの都民や事業者に安全に利用していただけるよう、施設管理者とも連携してしっかりと取り組むことを要望して、次の質問に移りたいと思います。
 先月から国のゴー・ツー・トラベルキャンペーンに東京が追加されるとともに、都の都内観光促進事業が開始され、都内の観光地にも人出が戻りつつありますが、まだ本格的回復には至っていない状況にあります。また、ここに来て新規感染者数が一気に増加傾向になるなど、今後の先行きも不透明となっており、こうした中で旅行者に東京での観光を楽しんでもらうためには、感染防止対策の徹底など安心して観光ができる環境づくりを推進していくことが一層重要となってきています。
 東京都は、第二回臨時会の経済・港湾委員会における我が会派の質問に対し、感染防止等の先進的な取り組みを行う観光事業者への支援やウエブサイトでの情報発信を行うとの答弁がありましたが、これまでの取り組み状況を伺いたいと思います。

○松本観光部長 都は、新型コロナウイルスの感染防止だけでなく、生産性向上にも資する観光事業者の先進的な取り組みに対する支援を開始いたしました。これまでに十件、合計約八千万円の支援を決定しまして、現在、追加募集を行っております。
 また、他の観光事業者等の参考となる取り組み事例を紹介するウエブサイトを先月末開設いたしました。現在、宿泊施設や飲食店、観光施設などの取り組みを十事例掲載しておりまして、今後、紹介事例を充実させてまいります。

○菅野委員 その後、事業が着実に進められているということが今わかりました。
 そこで、先進的な取り組みへの支援対象としてどのような案件を選定したのか、また、ウエブサイトでどのような事例を紹介しているのか、それぞれ具体的な内容を教えていただければと思います。

○松本観光部長 先進的な取り組みへの支援事例としましては、宿泊施設がチェックインからチェックアウトまでのサービス提供や精算手続全体をオンライン化する取り組みや、観光バス事業者の社員が予約受け付けや決済業務等をテレワークで実施できるようシステムを改修し、働き方改革につなげていく取り組みなどがございます。
 また、ウエブサイトでの紹介事例としましては、小売店の販売員が利用客に対し、ズームを活用してきめ細かな商品説明や販売を行い、実店舗と同様のサービスを提供するなど、安価な経費で新たな顧客獲得にもつながった事例がございます。
 今後も、他の事業者等への波及効果のある取り組みを支援、紹介し、都内観光業界全体の新しい日常への対応を促進してまいります。

○菅野委員 旅行者が安心して観光ができる環境づくりに向けた取り組みを観光業界に広げていくためには、東京都が紹介する事例というのは、ちょっとした創意工夫によるものなども含めて、ほかの事業者などにとっては取り組みの参考になるものであると思います。また、その内容が、取り組みの参考になる、結びつくことが重要であります。今後もそうした視点を持って事業を進めていただくことを要望して、次の質問に移ります。
 次に、農業支援について伺いたいと思います。
 新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、学校給食の休止や飲食店の利用減少など、東京産農産物についてもこれまでの販路での販売が困難になるなどの事例も見られてきます。こうした状況を受け、都はことしの第二回定例会において、緊急対策事業の補正予算を計上し、農業者の新たな販路開拓に向けた支援を実施しています。
 農業者における新たな農産物の加工品開発や販売方法の多様化といった取り組みは、新型コロナウイルス感染症の対策だけでなく、将来的な収益力向上にもつながる重要な取り組みだと考えますが、東京都の取り組みを伺いたいと思います。

○上林山農林水産部長 都は今年度、新型コロナウイルス感染症の影響による消費動向の変化等に対応するため、都内農業者に対し、農産物の新たな販路開拓や六次産業化に向けた加工設備等の導入などを支援しております。
 Eコマースへの出店等を通じて販路の拡大を目指す農業者から、ホームページの開設や発送用パッケージのデザイン等に関する相談を受け、このうち十月末時点で十八件に対し支援を決定しております。また、庭先に設置する農産物の販売機や鮮度保持のための保冷庫、加工用施設などを導入する百件の農業者の取り組みに対して支援を決定いたしました。
 こうした取り組みによりまして、農業者の収益力向上を後押ししてまいります。

○菅野委員 Eコマースの導入など、都内の農業者が消費者のニーズを踏まえた新たな取り組みを進めることは、販売力の強化にもつながり大変有意義であると思います。引き続き、そうした支援をお願いしたいと思います。
 続いて、東京の農業は、大都市において農業が営まれているという特徴を有しており、都民にとって収穫直後の農産物を消費できる機会が得られるといったメリットがあります。そして、東京農業に対する期待というのは高まってきています。
 都ではこの機を捉えて、食の安全・安心の確保と生産性の向上により持続可能な農業を推進するため、平成三十年度に東京都GAP認証制度を創設し、農業者の認証取得を支援してきています。
 今後、東京都GAPが一層普及していくためには、生産者への支援はもとより、GAP農産物の流通と消費の拡大が重要となります。しかしながら、今年度のインターネット都政モニターアンケートでは、東京都GAPの認知度は約七%と低い状況にあり、都民の認知度の向上が課題となっています。
 そこで、これまでの東京都GAP認証取得の実績と東京都GAPの認知度向上に向けた東京都の取り組みを伺いたいと思います。

○龍野安全安心・地産地消推進担当部長 都は、東京都GAPの認証取得を促進するため、都の普及指導員等による農業者へのきめ細やかなコンサルティングや認証取得に必要な施設整備等を支援しており、これまで百三件の農業者が認証を取得いたしました。
 また、消費者や流通事業者の認知度向上を図るため、シンポジウムを開催するとともに、動画サイトやSNSなどを活用し、認証を取得した農業者がGAP農産物の安全性を伝える取り組みを実施しております。
 さらに、来年一月以降、都内各地のスーパーマーケット等でGAP農産物の販売イベントを実施し、消費者の認知度と消費機運の向上を図ってまいります。

○菅野委員 都民に安全・安心な農産物を供給していくためにも、より多くの消費者にGAPの意味を理解してもらって、GAP認証を取得した食材を選んでもらえるよう、その普及にしっかりと引き続き取り組んでいただきたいと思います。
 続いて、林業について伺います。
 森林は、木材の生産や水源の涵養、土砂災害の防止に加え、レクリエーションの場の提供など、都民が豊かに生活するために欠かすことができないさまざまな機能を持つ貴重な財産であります。
 昨年度からは、こうした森林の整備や木材利用を進めるための森林環境譲与税が都や区市町村に交付されており、森林や木材への関心が高まっています。多摩産材を初めとする木材を活用していくことは、森林の循環を牽引し、森林の機能を高めていくことにつながる極めて重要な取り組みであります。
 私の地元港区では、区立施設に積極的に木材を使用しているほか、まあ国産材、東京都のあきる野市や檜原村を初めとした全国七十以上の市町村と協定を結び、これらの自治体で産出された木材をスターバックスなど民間の施設の内外装や家具などに活用する取り組みを支援しています。
 東京都においても、都市部の区市に対し働きかけを行うなど、森林環境譲与税を有効に活用し、多摩産材の利用を促進していくことが重要であると考えますが、そこで、多摩産材の利用拡大を図るための都の取り組みを伺いたいと思います。

○上林山農林水産部長 都は、多摩産材の利用拡大に向け、都有施設などの公共施設に加え、商業施設や駅舎、文化施設など、多くの都民が訪れるPR効果の高い施設への利用促進を図っております。
 今年度は、木材利用推進アドバイザーが、森林環境譲与税を活用した多摩産材を初めとする国産木材の利用等に関する相談などに応じているほか、森林のない区市の自治体担当者向けに多摩の森林、林業を紹介する現地見学会などを実施しております。
 来月には国産木材の常設展示場、MOCTIONを新宿に開設し、大消費地である東京において、多摩産材など国産木材の魅力を発信することで、さらなる利用拡大に向けて取り組みを進めてまいります。

○菅野委員 来月にはMOCTIONということで、何かいただいたニュースだと、隈研吾先生が館長を務めるということで、非常にその機能を発揮することを期待するものでありますけれども、先ほどの農業と同様に、この多摩産材についても、大消費地である都心部を含め、消費を拡大し地産地消を促進していくということが、都の林業振興にとっても大変重要であります。今後も、しっかりと多摩産材の利用拡大に向けて取り組んでいただきたいと、このことをお願いいたします。
 さて、これまでコロナ禍における中小企業の経営の下支え、設備投資への支援、そして、観光事業者の新たな対応への支援などについてお伺いをしました。これらの事業には、都内の事業者のもとへ赴き、それぞれの企業の実情を的確に把握し、必要となる支援を着実に実行していく地道な取り組みも多くありました。私は、そうした地道な取り組みを積み重ねていくことこそが、事業者に寄り添った実効性のある施策となり、かつてない厳しい状況に直面する小零細企業の事業継続や今後の発展に資するものになると考えます。
 産業労働局の皆様には、今後とも実効性の高い支援策を展開するために、コロナ禍の厳しい経営情勢の今だからこそ現場に足を運び、経営者の悩みにしっかりと耳を傾けることを要望して、私の質問を終わりたいと思います。

○長橋委員 それでは、私からも質疑をさせていただきます。
 コロナ禍の中で、都民の皆様からさまざまなご相談、ご要望をいただいているわけでありますが、その中で、特に産業労働局に関係あることについて何点かお伺いしたいと思っております。
 まず、商店街対策でございます。
 皆さんご案内のとおり、ことしのゴールデンウイーク、まさにステイホーム週間でございました。そうした中で、商店街の皆さんからすると、ゴールデンウイークの中で、本来であれば多くのお客様が来ていただいてにぎわう、そういうことが通例であったわけでありますけれども、そこがまさにステイホーム週間になったわけであります。
 そこで東京都が、一つは、緊急対策事業として、商店街新型コロナウイルス感染症緊急対策奨励金を始めました。この対象者は、商店街の中で加盟店舗数が百店舗以上、隣接した二つの商店街を合わせて百店舗以上でもオーケーですよということでありました。
 またもう一つが、同じように百店舗以上で、新型コロナウイルス感染症対策緊急事業、これもやっていただきまして、これは十分の九の補助があるということで、商店街の皆様には、まさに相対でお客様に対するわけでありますので、こうした事業を東京都がやっていただいたということであります。
 私の地元は豊島区、巣鴨の商店街に、こうした事業が始まりますということで、お知らせにといいますか、ぜひどうかとお話をしたわけです。巣鴨の地蔵通りって有名なので、ここは大きなインパクトになるだろうと思ってお話をしに行ったら、そこはもう既に百店舗以上あるわけであります。だけれども、商店会長にお会いしてご説明したら、一体でやりたいと。巣鴨はこの巣鴨、地蔵だけじゃなくて、駅前とか向こう側の商店街もあるので、一体的に取り組みをやりたいと。これはすばらしいということで東京都にも伝えましたし、そういうことでやっていただきました。
 そうした中で、早速、私も初めて見ましたけれども、また商店街として初めての取り組みだと思いますけれども、フラッグにステイホームって、うちにいてくださいというフラッグを掲げて取り組んでいただいたということであります。
 そこでまず、ゴールデンウイーク期間中に緊急対応事業として商店街対策、東京都がやったわけでありますけれども、その取り組み、実績について伺いたいと思います。

○土村商工部長 都は、感染症の感染拡大防止を図るため、加盟店舗数が百店舗以上などの大規模な商店街が、命を守るステイホーム週間の期間中に、自主休業の取り組みを行う場合に奨励金を交付いたしました。その結果、四百十六の商店街にご協力をいただき、商店街からは、おおむね通常時の七割から八割程度まで来街者が減少したとの報告がございました。
 また、ソーシャルディスタンスの確保など、商店街による三密を回避するための取り組みに必要な経費に対しまして、補助金を交付いたしました。この補助金では、百五十六の商店街の取り組みを支援しており、例えば、商店街のキャラクター等を活用したポスターやフラッグの作成、来街者にソーシャルディスタンスを呼びかける巡回活動用ユニホームの購入などを支援しております。

○長橋委員 こうした緊急事業であったわけでありますが、一方で、ご相談いただいたのは、百店舗に満たないと、こういうことであります。
 先ほど、この事業の中には、隣接して百店舗超えれば大丈夫ですよ、こういったんですけれども、その隣接という考え方もなかなか難しくて、結果的にはだめだったんですけれども、同じ商店街で、商店街同士連携があるわけですから、一緒にやりたいといっていたんですけれども、ちょっと隣接するにはいかなかったということがあって、この事業を使えなかったということはあります。
 けれども、同じようにこのコロナの中で本当に苦しんでいるさまざまな事業がある、それは商店街ももちろんその一つだったと思いますので、そこで東京都は、ガイドライン対応型商店街特別支援事業、これも始まって、このガイドラインに基づいて、さまざまな取り組みをした場合には、必要なときは支援しますよ、こういったわけであります。
 当時は、九月一日から十月三十日までということで発表したわけでありますけれども、十二月まで延長した、このようにも聞いておりますけれども、そこで、大型商店街だけではなくて、そうした商店街を含めて、この事業の取り組みについて実績を伺いたいと思います。

○土村商工部長 都では、感染症対策を適切に講じながら事業活動が行われるよう、ことし九月から、商店街の規模にかかわらず、都内の全ての商店街を対象に、感染拡大防止ガイドライン等に基づく対策に必要な費用への支援を新たに開始いたしました。
 十月末現在で三百五件の申請がございまして、感染拡大防止に必要な動線を区切るためのカラーコーンの購入やテークアウト営業を行っている店舗のマップを作成するなどの取り組みを支援しております。
 本補助金につきましては、感染症の影響が長引いている現状などを踏まえ、ことし十月末までとしていた申請期間を十二月末まで延長しており、引き続き、感染防止対策に取り組む商店街を後押ししてまいります。

○長橋委員 ご答弁がありましたとおり、感染症の影響が長引いているので、十二月、年内まで延長するということでありますけど、ここに来て、また感染症も逼迫しているような状況が続いているわけでありますので、含めて、さらに延長ということもあるかもしれないと思いますので、そこら辺のところも検討していただきたいと思っております。
 そこで、この商店街対策として、未来の東京戦略ビジョンというのがあります。ここにスタートアップ都市東京戦略、こういう取り組みがあるわけでありまして、まさに産業労働局がこのスタートアップにしっかりと取り組んでいただきたい。
 その中に、もちろん商店街じゃなくて、次々と新しい産業が生まれるスタートアップ都市東京を目指すと、世界一を目指すというぐらいまでいっているわけでありますけれども、一方で、行政課題の解決にこのスタートアップの力を生かしていきたいと、こういうふうにいっているわけであります。そこで、この未来の東京戦略ビジョンにも、東京が抱えるさまざまな行政課題の一つに、商店街、地域産業振興、こういうのが明記されているわけであります。
 そこで、さまざまお話を聞くと、商店街とIT企業が一緒になってこの実証実験に取り組んでいる、こんなお話も聞いているわけであります。私も読んだ記事によると、やはり商店街というのはなかなかIT化についてはおくれていると、こういうことでありますので、この商店街のIT化について、東京都もしっかり支援してもらいたい、こう思うわけであります。
 特に、まずは今取り組んでいるのは、地元でもやっぱりキャッシュレス化が大きな取り組みだと思いますし、わかりやすいんですけれども、そうしたことを踏まえて、この商店街のIT化に向けて、課題は何なのか、そしてまた、今後どう支援していくのか、まずはこのキャッシュレス化の取り組みは今どうなっているのか、あわせて伺いたいと思います。

○土村商工部長 商店街のキャッシュレスの推進につきましては、どこから手をつけてよいかわからない、ノウハウがない、あるいは相談相手がいないといった声が多く、導入を進める上での課題であるというふうに思っております。
 都では、商店街のキャッシュレス導入のモデルとなる事例を創出するため、コーディネーターの派遣や機器導入などに係る経費の助成など、導入支援を行う事業を今年度より開始いたしました。
 現在、二つの商店街の取り組みをモデルケースとして支援しており、今後、導入のプロセスや成果などを掲載した事例集の配布に加えまして、ホームページで発信するなど他の商店街へ幅広く周知するとともに、機器の導入や専門家派遣などの支援事業の活用を促すことで、より多くの商店街の自主的な取り組みを後押ししてまいります。

○長橋委員 ありがとうございます。モデルとして、二つの商店街でキャッシュレス化ですか、導入支援をやっていると。二つということでありますから、今後拡充していくんでしょうけれども、なるべく早く進めていただきたいと思っております。
 最初にご答弁があった、課題は何かというと、どこから手をつけていいかわからないとか、ノウハウがない。商店街の皆さんは、日々そういった商売に行っているわけなので、IT化についてはなかなか得意な人はいないんだろうと思う。もう一つが、相談相手がいないというのもご答弁でありましたけど、まさに相談相手ということを考えると、行政が、そして東京都が相談相手にいち早くなっていただければと思うわけでありますので、よろしく要望しておきたいと思っております。
 それでは、次にテレワークの推進について伺いたいと思います。
 ことし、六月に第二回定例会で、私、このテレワークのことについて取り上げたんですけれども、最初はテレワークの助成金について、申請とか、それから審査、これについてご相談をいただいたんですね。なかなかこの申請についても、行政ですから審査をしっかりするということで、何回もやりとりがあった、こういうことがございまして、そこで、第二回定例会で私も久しぶりに一般質問に立たせていただいたものですから、テレワークの推進について質問しまして、デジタル化、これをしっかりと図ってもらいたい、こんなことを質問したわけであります。
 そこで、そのときにご答弁で−−ご答弁というか調べたら、行政手続の九八%を二年間でデジタル化に取り組むと、こういうことでありましたので、知事に聞いたら、第二回でいったことについて、デジタル化条例を目指すと答弁がありまして、第三回定例会で東京デジタルファースト条例が可決をしたわけであります。
 そして、テレワークの助成金を立ち上げた当時は、三月からスタートしたんですかね。それで、その後、助成金を立ち上げて、五月にテレワーク導入について緊急調査を行ったということでありますけど、まずはその緊急調査の結果について伺いたいと思います。

○村西雇用就業部長 都が実施いたしました緊急調査における都内企業のテレワーク導入率は、本年三月の二四・〇%から、四月には六二・七%まで大幅に上昇しておりました。
 また、テレワークを実施する社員の割合につきましても、昨年十二月の約二割から、四月には約五割まで上昇しておりました。
 さらに、テレワークを実施した勤務日数につきましては、全勤務日数二十日のうち、三月は四・二日、四月には十二・二日となり、大きく増加しておりました。

○長橋委員 今、五月の調査では導入率が大幅に上昇したと。二四%から六二・七%、およそ二・六倍、大幅な上昇だと思います。そしてまた、この申請受け付けが、当初五月十二日が締め切りだったんだけれども六月一日まで延長したけど、応募があったんでしょう、さらに七月まで延長したということでありました。
 これだけ応募期間を延長していったわけでありますから、当然その理由があるんだと思いますけれども、その募集期間を延長した経過とその理由について、また、その現状についてもあわせて伺いたいと思います。

○村西雇用就業部長 事業継続対策のテレワーク助成金につきましては、当初想定した規模である百件を大幅に上回る申請が続いていたこと、また、導入が十分進んでいない小規模な企業等への支援を引き続き実施する必要があることなどを踏まえ、七月末まで申請期限を延長して対応いたしました。その結果、約二万九千件の申請がございました。
 この緊急対策助成金の終了後は、新たにテレワーク定着促進助成金を立ち上げ、引き続き、中小企業に対し、テレワーク機器等の助成を実施しております。

○長橋委員 今ご答弁で、想定した規模は百件だったと。だけれども、七月まで申請期限を延ばした結果、二万九千件の申請があったと。百件が、およそ三百倍近くあったわけでありまして、私もご相談いただいたんですけれども、この審査が滞っている、または手続が大変だ、こういうご相談があったわけでありますけれども、産業労働局もこの募集期間、申請期間を延長してくれたんです。
 一方で、この交付を決定したけれどもまだ手続が終わらないとか、それから、審査が滞っているので、産業労働局としても審査の体制を相当強化したと聞いているんですけれども、いまだにまだその受け付けが済んでいないところがあるということでありますので、ぜひこの体制強化をさらにしていただいて、今度はせっかくこれだけテレワークの需要が伸びてきたわけでありますから、ここで受け付けが終わって皆さんにお支払いする、これもしっかりとやっていただくこと、重要なことだと思っているわけであります。
 その中で、今ちょっと最後に答弁がありましたけれども、これは七月末までの申請があったんですけれども、この答弁だと、新たにテレワーク定着促進事業、これを八月から始めたというんですけど、ちょっと質問していなかったですけど、この八月から始める定着促進事業、いつからやってどんな事業なのか伺いたいと思います。

○村西雇用就業部長 テレワーク定着促進事業につきましては、緊急対策に引き続き、中小企業に対して支援する必要性があることから実施した事業でございます。助成率は三分の二、上限額二百五十万円で実施しております。

○長橋委員 確かに大変多くの、二万九千ですかね、申請があって、それももう一〇〇%ですよね、十分の十の事業だったわけですけれども、引き続き、そうした多くの方があったわけなので、この形を変えて、三分の二の補助でありますけれども、続けていく、こういうことでございますので、これこそ大事なことだと思いますのでしっかりと、さっき申し上げた、この交付決定からスピード感を持ってやっていただきたい。大変な事業だと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 一方で、この民間の調査、商工会議所の調査によると、先ほどは五月の緊急調査で二四%から六二・七%、二・六倍になった、こうでありますけれども、九月から十月の東京商工会議所の調査だと、導入企業の三割が中止をした、こんな報道がありました。テレワーク経験のある都内企業七百八十のうち、約三割の二百三十二社が現在取りやめていると、こういうふうにいっているわけであります。
 そういうことを考えると、前回の調査よりも、この九月、十月の調査の方が下落しているわけであります。そういうことは、もう産業労働局の皆さんも、担当の方も認識しているんだろうと思います。改めてこの課題が明らかになってきたわけであります。
 このテレワークの導入については今までも議論がありましたけれども、要は、環境だとか、そうした課題があったと思うんですね。そこで、東京都は、宿泊施設のテレワーク利用促進事業とか、サテライトのオフィスを利用促進するだとか、テレワーク月間を決めているとか、テレワークの推進セミナー、こうした取り組みをやっているわけでありまして、このテレワークが始まったのは、まさにコロナの対応として始まったんですけれども、感染防止のための緊急避難的なものではなくて、一過性のものではなくて、これから働き方改革の大きな要因になるんだろうと思っております。
 私が六月に質問したときも、知事も、介護と仕事の両立などライフワークバランスを実現する働き方改革を実現していきたい、企業活動で東京モデルを構築していく、まさにテレワークをもとに、この新たな働き方改革を東京からモデルをつくっていきたいと、このように知事がいったわけであります。
 そこで、九月に公労使会議でテレワーク東京ルール、この普及に向けて共同宣言を行ったと聞いておりますけれども、その取り組み内容について伺いたいと思います。

○村西雇用就業部長 都は、公労使会議におきまして、働き方改革や人材の有効活用などテレワークで実現するビジョンを踏まえ、各企業が具体的な実践ルールを定めるテレワーク東京ルールの普及に向けた共同宣言を行い、官民一体でテレワークの促進と定着に向けて取り組んでいく体制を整えました。
 今月のテレワーク月間では、都や国はもとより、経営者団体や労働者団体も含む官民一体で、テレワークデーやテレワークウイークの設定の呼びかけのほか、民間のサテライトオフィスと連携した利用促進のキャンペーンなどを展開しております。
 また、今後、東京ルールの普及に向けまして、テレワーク東京ルール実践企業宣言制度を創設し、専用のウエブサイトを立ち上げ、一万社を目標に各企業の実践ルールを掲出し、事例を発信するなど、テレワークの機運醸成を図ってまいります。

○長橋委員 ありがとうございます。
 まさに、繰り返し申し上げますけれども、テレワーク、これが大きな働き方改革にもつながっていくわけでありますし、それの東京ルール、これを宣言したわけであります。知事は、それこそ東京モデルにしていくんだ、こういっているわけでありますので、しっかりと取り組んでいただきたいと、このように思っております。
 そこで、そうしたテレワーク東京宣言の一万社ですかね、目標に取り組んでいくということでありますけれども、一方で、東京が大きくテレワーク、公労使がやっているんだけれども、中小企業は、先ほども商店街でも出ましたけれども、どうすればいいんだということもあるので、中小企業に対しては、テレワーク東京宣言をもとに働き方改革を進めていく、東京モデルをつくっていくに当たって、中小企業にこそ支援をしていくべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

○村西雇用就業部長 都は、テレワーク東京ルールの宣言企業に対して、自社のPR、資金調達、人材確保の面から支援を行い、取り組みを促してまいります。
 具体的には、東京ルール実践企業として、都のウエブサイト上で自社PRを行えるようにするとともに、特にすぐれたモデル的な取り組みを実施している宣言企業をTOKYOテレワークアワードとして表彰をいたします。
 また、信用保証料を補助する融資制度の新たなメニューを創設し、資金調達への支援を行うほか、テレワークを希望する求職者とのマッチングイベントを開催するなど、人材確保の支援もあわせて行ってまいります。

○長橋委員 ぜひこのテレワーク東京ルール、これを中身のあるもの、そして、中小企業の皆さん方にもしっかりとこのルールに乗れるよう支援をしていただきたいと思っております。
 この融資の支援、それから人材の支援、まさに今、中小企業がこの東京の取り組み、テレワークを通じたデジタル化の取り組みに乗りおくれたら、これこそまさに東京全体にとっては大きな損失だと私は思うわけでありまして、ぜひ産業労働局が中心になって、この中小企業の支援、しっかりと取り組んでいただきたいことをお願いして、質問を終わります。

○尾崎委員 私の方からは、最初に、農業支援について伺っていきたいと思います。
 私は、農業の振興に重要な役割を持っているのは、一つは、農業の担い手の育成と定着、もう一つは、農地の保全だと思っています。
 都内の新規就農者数は、二〇一五年には六十人でしたが、年々減少し、二〇一九年度には二十八人でした。新規就農者をふやすことは、なかなか難しい問題だと痛感しています。
 新聞の報道によると、世田谷区の農業委員会に、新たな委員として若い女性が加わったことが紹介されていました。この記事を読み、東京の農業に希望が与えられた内容だとうれしく思いました。
 農業アカデミーは、二年間の研修で、卒業後に就農できるよう都が支援するということになっていますので、農業の担い手の育成では、農業アカデミーに期待するものです。コロナ禍のもとで、農業アカデミーは開講できるのか心配もしていましたが、六月から本格的にスタートし、六月九日に開講式が開催されたということです。
 そこで伺いますけれども、八王子研修農場の指導体制はどうなっていますか。

○上林山農林水産部長 研修農場には、農場長外二名の職員が常駐し、研修生の指導に当たっております。
 このほか、専門的な講義につきましては、外部の講師を招聘し研修を実施しております。

○尾崎委員 ホームページを見ると、研修農場新聞を発行して研修生の様子を紹介するなど、広報にも力を入れているということがよくわかりました。研修農場新聞を見た人が農業アカデミーや農業に興味を持っていただけることに期待するものです。研修農場新聞には、八王子研修農場で収穫した農産物を、研修の一環として近隣住民向けに直売するとともに、フードバンクを通じて、子供食堂や福祉施設等へ提供していることが掲載されていました。
 また、都庁職員食堂において、八王子研修農場で生産されたジャガイモを使用したメニューを提供していることなども伺いました。
 農業者として農産物の生産についてだけではなく、子供食堂や福祉施設にかかわっていくことは大変意義のあることだと思います。環境問題や社会の問題に目を向けて、農業者として社会的役割を自覚できるように取り組んでいただきたいと思います。
 東京の農地面積の推移を見ると、二〇一〇年には七千六百七十ヘクタールありましたが、二〇一九年は六千七百二十ヘクタールで、九百五十ヘクタールの減少になっていることがわかります。二〇一八年には六千七百九十ヘクタールでしたから、一年間で七十ヘクタールの減になります。そういう点では、減少に少し歯どめがかかったのではないかと思います。
 都市農地活用推進モデル事業の高齢者活躍に向けたセミナー農園整備事業の進捗について伺います。

○上林山農林水産部長 高齢者活躍に向けたセミナー農園整備事業は、生産緑地の貸借制度を活用して、農地保全と高齢者の活躍等をあわせて進めるモデルとして整備するものでございます。
 本年度は、セミナー農園の開設予定地として小金井市内の生産緑地を選定し、現在、運営を担う事業者を公募により選定しているところでございます。

○尾崎委員 セミナー農園の開設予定地として小金井市内の生産緑地を選定し、現在、運営を担う事業者を公募により選定ということです。ぜひ実現できるようお願いしたいと思います。
 ことしの新規事業で、生産緑地買取・活用支援事業がありますけれども、この事業の進捗について伺います。

○上林山農林水産部長 今年度は、区市や農業団体への事業説明会を開催し、十二の区市から相談や問い合わせがございました。
 このうち要望のありました七区市に対しては、個別に訪問し、事業要件の具体的な説明などを行いました。

○尾崎委員 ただいまのご答弁で、十二区市から相談や問い合わせ、そして、要望のあった七区市に対しては、個別に訪問して説明を実施ということで、大変重要な進展があると思っています。
 農家の皆さんからは、以前から、二〇二二年には地権者は市に対して買い取り申し出が可能となる、生産緑地地区の買い取り申し出があった場合に、市民農園として市が積極的に買い取ることができるように、都独自の支援を検討してほしいと要望が寄せられていました。
 農地を減らさないためには、生産緑地地区の買い取り、そして貸借などを進めることが必要であり、都の支援が鍵になると思います。生産緑地の保全についての本格的事業は、今後さらに拡充することを要望するものです。
 農業分野でのコロナ対策として、補正予算が盛り込まれたEコマースの相談件数について伺います。実績については先ほどほかの委員からもありましたので、相談件数だけ伺いたいと思います。

○上林山農林水産部長 都は、新型コロナウイルス感染症対策として、新たな販路の開拓を目指す農業者等に対しまして、Eコマース等への出店支援を行ってございます。
 ご質問の相談件数でございますが、十月末時点で四十二件の相談がございます。

○尾崎委員 四十二件の相談があって、十八件に対して支援が決定したということになるわけですけれども、新型コロナ感染症は終息の見通しがまだ見えないどころか、この十一月に入って新規陽性者がふえ続けているわけです。農業の分野でも感染症拡大防止策の強化が求められます。
 しかし、高齢の方に対して、Eコマースに挑戦しようということになると、大変難しい問題もあると思っています。ぜひ丁寧な説明、指導、支援を行うように求めておきたいと思います。
 また、農家の庭先での販売なども、区市町村と連携し支援を強めることを要望するものです。
 次に、就職氷河期世代への支援についてです。
 私はこの間、就職氷河期世代への支援、アラフォークライシスなども委員会で取り上げ、本人の努力ではなく、そのときの社会状況によって、正規雇用を目指して二十社、三十社と面談しても雇ってもらえず、仕方なくアルバイトや派遣など非正規雇用になっているのが就職氷河期世代だと思っています。企業の側から見ても、次の会社を担っていく世代がいないということは深刻な状況であり、都として支援を行うよう求めてきました。
 最初に、九月一日から始まった三カ月のステッププログラム、東京ミドルワークチャレンジの定数は何人ですか。また、応募は何人なのか伺います。

○鈴木事業推進担当部長 東京ミドルワークチャレンジの今年度の定数は、三十名でございます。
 また、今年度の募集は、八月と十二月の二期に分けて実施することとしておりまして、第一期の応募者は十五名でございます。

○尾崎委員 就職氷河期世代の正社員への就職をサポートする就職氷河期世代キャリア・チャレンジの登録人数、派遣社員として勤務している人数、正規雇用として採用されている実績についても、先ほどほかの委員からもご質問があってご答弁がありましたので、重複は控えさせていただきますけれども、五百八十三人の方が派遣登録していて、トライアル就労派遣が決定した方は五十八人、正社員として雇用が決定した方は二名ということです。
 都は、今年度の新規事業として、就職氷河期世代雇用安定化支援事業を予算に盛り込んでいますが、正規雇用として採用されて六カ月後、定着して六カ月後に企業に助成金を交付するという事業です。
 コロナ禍の中でもありまして、助成金の交付の実績は、今年度には間に合わないということも伺いましたが、これはぜひ重要な取り組みでありますので、来年度も拡充して実施していただくよう要望するものです。
 次に、就職氷河期世代特別支援窓口を九月三十日に開設しましたけれども、まだ始まったばかりですが、相談件数はどうなっているでしょうか。また、相談窓口の体制はどうなっているのか伺います。

○鈴木事業推進担当部長 就職氷河期世代特別支援窓口の相談件数は、十月末現在、十七件でございます。
 相談窓口では、経験が豊富な就職支援アドバイザーが対応しております。

○尾崎委員 相談窓口の体制は、延べ五十人の就職支援アドバイザーが対応しているということも聞いてはいるわけですけれども、相談できる窓口ができたことは非常に重要で、この窓口ができたことを広く周知することそのものも重要であると思っていますので、周知に、より一層力を入れていただくよう要望するものです。
 私は、国の地域就職氷河期世代支援加速化交付金について、ことしの三月の経済・港湾委員会で質問しましたが、国は二月十二日に、地域就職氷河期世代支援加速化交付金に関する道府県、指定都市への説明会を受けたことは、このとき答弁がありました。そして、このときには、東京都が交付金を受けられるかどうかわからないということでした。
 そこで伺いますが、この内閣府での地域の創意工夫を生かし、就職氷河期世代の方々の就労や社会参加の取り組みを支援する自治体に対する交付金制度を創設したわけですけれども、都はこの交付金の対象になったのかどうか、また、対象となった事業の名称と交付金額は幾らなのか伺います。

○鈴木事業推進担当部長 都の就職氷河期世代雇用安定化支援事業は、内閣府の地域就職氷河期世代支援加速化交付金の対象となっておりまして、交付決定額は二億二百五十万円でございます。

○尾崎委員 国の交付決定額は二億二百五十万円ということです。国からの交付金があれば、事業費のうち、都の負担額は減るんじゃないかというふうに素人の私は考えるわけですけれども、そうであるならば、事業の拡充もできるのではないかと思っています。ぜひ国の交付金をフルに活用して、就職氷河期世代の雇用安定化事業の拡充をお願いしたいと思います。
 東京就職氷河期世代活躍支援プラットフォームが設置されて、東京都からは産労局と福祉保健局が構成員になっていますけれども、産労局の役割はどんな役割なのか伺います。

○鈴木事業推進担当部長 当局は、東京労働局とともに、プラットホームの事務局として、事業実施計画の取りまとめや事業の進捗管理を行いますと同時に、各種支援策の広報等を実施いたします。

○尾崎委員 このプラットホームの問題についても、私はことし三月の経済・港湾委員会で質問しました。そのとき、第一回目の会議は第一・四半期ということ、おおむね六月ころになると思うということで答弁があったわけですが、会議には、ぜひ当事者の方たちやNPO法人などの支援団体の方たちも参加できるようにと、そのとき要望しました。
 しかし、東京就職氷河期世代活躍支援プラットフォームの構成員には、支援団体は入っていません。支援団体などは、地域レベルのプラットホームの構成員になるようですけれども、プラットホームの都道府県レベルと地域レベルの役割の違いについて伺います。

○鈴木事業推進担当部長 東京就職氷河期世代活躍支援プラットフォームは、官民が協働して就職氷河期世代の支援に社会全体で取り組む機運を醸成するとともに、支援策の取りまとめ、進捗管理等を行います。
 一方、地域レベルの区市町村プラットホームは、社会参加に向けた支援を必要とする方のニーズ等を把握し、適切な支援につなぐ取り組みを推進いたします。

○尾崎委員 就職氷河期世代への支援を進めるには、都と区市町村、国との連携が重要だと私は思います。また、都庁横断での支援が推進の鍵になると思います。本人の努力だけでは切り開くことができない問題でもあります。
 コロナ禍で、より困難になっている人もいますので、産労局として、就労支援の前段階という支援になると思いますけれども、相談活動やアウトリーチに積極的に取り組むことを要望しておきたいと思います。
 次に、テレワークについてです。
 都は、今年度の新規事業として、多摩地域にテレワーク・モデルオフィス設置促進事業が盛り込まれているわけですけれども、そこで幾つか質問していきたいと思いますが、TOKYOテレワーク・モデルオフィスは、府中、東久留米、国立の三カ所で設置されました。この三カ所に設置を決めた理由について伺います。

○村西雇用就業部長 TOKYOテレワーク・モデルオフィスの設置場所につきましては、区部と比べて民間のサテライトオフィスが少ない多摩地域におきまして、利用者が多く見込まれる駅の近辺に立地していること、多摩地域の三つの主要鉄道路線上にあること、一定の座席数を設置できる広さが確保可能な施設があることなどを考慮し選定いたしました。

○尾崎委員 それでは、三カ所を決める前、または設置後に地元自治体との懇談などは行っているのか伺います。

○村西雇用就業部長 地元自治体に対しましては、TOKYOテレワーク・モデルオフィスを設置した際に情報提供を行い、リーフレットの配架など、住民の方々への周知にご協力をいただくとともに、モデルオフィスを視察した地元自治体に対しましては、施設の詳細な説明も実施いたしました。

○尾崎委員 TOKYOテレワーク・モデルオフィスは、利用登録が必要とも聞いています。企業の利用登録、利用者の登録はどうなっているでしょうか。
 また、この間の利用者数はどうなっているのか伺います。

○村西雇用就業部長 十月末現在の企業の利用登録数は、三施設合計で約千三百社、利用者の登録数は約千九百人となっております。
 また、十月末までの延べ利用者数は約六千九百人となっております。

○尾崎委員 七月からスタートですから、十月末までの延べ利用者数が約六千九百人というのは、かなり活用されているのではないかなというふうに思います。単純に三施設で割っても、一カ所で一カ月の利用者が五百七十五人になる計算になります。今後、コロナ禍で、ますます利用者がふえる可能性があると思われます。
 TOKYOテレワーク・モデルオフィスは使用料は無料です。料金の検討はどのように行ったのか、運営は株式会社パソナに委託していますが、幾らで委託しているのか伺います。

○村西雇用就業部長 TOKYOテレワーク・モデルオフィスは、区部と比べて民間のサテライトオフィスが少ない多摩地域において、職住近接を実現するサテライトオフィスを体験する機会を働く方々に提供し、そのメリットを実感していただくことにより、利用ニーズを掘り起こし、民間事業者や自治体のサテライトオフィス整備の促進につなげていくために設置したものでございます。このため、利用料は無料といたしました。
 整備、運営に係る今年度の予算額は、三つの施設の合計で約二億七千万円となっております。

○尾崎委員 私は先日、国立のテレワーク・モデルオフィスを見学させていただきました。駅から歩いて三分、大変便利な場所でした。コピー機は一回二十枚まででありますけれども、コピー機の使用も含めて全て無料であることに、率直にいって私は驚きました。
 ただ、今のご答弁で、多摩地域は区部と比べて民間サテライトオフィスが少ない、体験する機会を働く方に提供し、メリットを実感してもらうため、民間事業者や自治体のサテライトオフィス整備の促進につなげていくためということで、検討した結果、使用料は無料にしたということです。
 今年度はモデル事業だということですけれども、今年度だけでの事業ではなく、引き続きテレワーク・モデルオフィスとして運営するのであれば、この間の検証をきちんと行って、利用料は全て無料ではなく、利用者の本人負担もしていただくと。軽減する支援は必要だと思いますけれども、同時に、民間企業への委託費用を削減し、税金の使い方についても見直すことを要望するものです。
 コロナ禍でテレワークに取り組む中小企業がふえているといわれます。しかし、テレワークを経験した企業からは、テレワークだけでは不十分で、出勤して会議や打ち合わせをすることがどうしても必要だと実感しているという声や、新入社員だが、出社することなくテレワークになったので、仕事も人間関係も不安だったという声も出ています。
 テレワークになれば、労働時間の管理はどうしても自己責任になりがちです。長時間労働にならないよう、企業側も働く側も法令を守り、意識的に取り組むことが必要になります。テレワークについては、実際にテレワークを経験した人たちの声も集め、今後の方向について深めることを強く要望するものです。
 資料要求で出していただいた雇用・就業対策審議会の予算、決算の推移ですが、今年度予算に百七十七万四千円が計上されていますが、まだ開催されていません。ことしはコロナ禍という、これまで経験したことのない状況です。テレワークに取り組む企業もふえて、働く環境が大きく変わっています。しかもコロナの影響で経営悪化になり、倒産、廃業がふえると同時に、非正規雇用の首切りなどで失業者がふえています。専門家からは、今後も失業者はふえるだろうといわれています。
 厚労省と文科省は十一月十七日、二〇二一年三月卒業予定の大学生の就職内定率が十月一日時点で六九・八%となり、前年同時期より七ポイント低下し、リーマンショック後の二〇〇九年調査に次ぐ、過去二番目の大きさと発表しました。深刻な事態です。
 今こそ雇用・就業対策審議会を開いて、コロナ禍での新たな状況を分析し、都の支援の拡充を講じるべきだと要望しておきたいと思います。
 次に、TOKYO創業ステーションTAMAについて伺います。
 私は、丸の内にTOKYO創業ステーションができたとき見学させていただきながら、経済・港湾委員会で多摩地域にも創業ステーションをつくってほしいと要望していました。今年度の新規事業として、創業ステーションTAMAが盛り込まれたことは重要です。
 TOKYO創業ステーションTAMAは七月三十日からスタートしましたが、登録者は何人になっているのか伺います。

○土村商工部長 TOKYO創業ステーションの会員登録システムは、丸の内と立川の二施設を一括で管理しております。十月末時点におけます今年度の新規登録会員数は、二施設合わせて七千七十一名となっております。
 なお、このうち多摩地域に在住している方は千二百三十二名でございます。

○尾崎委員 TOKYO創業ステーションTAMAの目的、コンセプトは何ですか。

○土村商工部長 本施設は、創業希望者の掘り起こしから各種相談への対応、先輩起業家との交流など、さまざまな支援をワンストップで行う創業支援拠点として開設いたしました。
 多摩地域は、大学が多く集積するとともに、子育て世帯の主婦層やシニア層も多く住んでいることから、学生、主婦、シニア等の多様な主体が自身に適した起業を目指せるよう、後押しすることとしております。

○尾崎委員 先日、TOKYO創業ステーションTAMAの見学をさせていただき、スタートアップハブの事業について説明もしていただきました。セミナーは毎日開催し、テーマも多岐にわたっていました。コロナ禍なので、オンラインでの開催と実際に集まっての開催と、両方工夫もされながら開催していました。企画力の高さに驚きもしました。
 スタートアップハブの事業は、株式会社蔦谷書店に委託していると聞きましたが、委託にした理由について伺います。

○土村商工部長 Startup Hub Tokyoは、相談のしやすい創業相談の提供、創業希望者と先輩起業家との交流やネットワークの促進、創業の最新動向やSNS等を駆使した効果的な情報発信などを行うことが求められます。
 よりよい支援を提供するためには、民間による創意工夫が重要であることから、創業支援の実績のある民間企業に業務を委託しております。

○尾崎委員 私は、コロナ禍なので難しいとは思うんですけれども、リモートだけではなく、実際に同じ場所でのセミナーを受けた人たちが感想を出し合い、自分たちの夢を語り合う交流の場が必要だと思います。ぜひ工夫していただき、参加者同士での交流をきっかけに、起業という夢に向かって刺激し合える仲間になっていただきたいとも思っています。
 多摩地域には、大学のキャンパスが六十くらいあるともいわれています。多摩地域の活性化のためには、大学を卒業しても多摩地域で定着できるようにすることが課題だと思います。自治体や大学との連携はどのように行っているのか伺います。

○土村商工部長 これまでに自治体が主催する創業セミナーの会場として、イベントルームを提供しているほか、みずから起業した経験のあるコンシェルジュや、プランコンサルティングを担当している専門家を近隣の大学に講師として派遣しております。
 また、多くの大学生に本施設の利用を促すために大学を訪問して、広く校内に周知してもらうよう働きかけを行っております。

○尾崎委員 中小企業、小規模企業白書二〇二〇では、経営者という働き方を選択した理由について掲載されているところがありました。大変興味深く読んだのです。
 社会課題を解決するため経営者という働き方を選んだのは三七・五%ということですが、この理由で経営者を選んだ人たちは利益が増加傾向にあるという結果が出ているということを示しているんです。
 また、起業した場合に事業を通じて実現したことはの問いに、消費者、利用者に対する喜びを提供できたと答えたのは六十歳以上の人たちが多くあったということ、六十歳以上を除く全ての年代では、高い金銭報酬の獲得が多かったということです。男性に比べて女性は、高い金銭報酬の獲得と答えた人は少なく、消費者、利用者に対する喜びの提供や、地域社会課題の解決と答えた方が多かったという特徴も書かれていました。
 起業したいと思う理由はさまざまだと思いますが、おもしろいデータだと思いましたし、今後の支援を検討する材料になるのではないかと思いました。起業した先輩の話をどういう角度で深めるか、セミナーなどで中小企業、小規模企業の役割について考える企画も必要だと痛感しているところです。
 次に、中小企業支援、コロナ対策についてです。
 補正予算が盛り込まれ、コロナウイルス感染症対策として、感染拡大防止協力金は第一弾、第二弾と支給されました。これらの業務は、株式会社博報堂、デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社に委託を行ったということですけれども、委託の内容、委託の事業者を選定した理由と契約額について伺います。

○築田産業企画担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 契約情報として既に公表されておりますが、コールセンターの運営、専用ポータルサイトの構築、運営、申請内容の形式的な審査等につきまして、短期間で体制の構築が可能であり、給付業務の経験のある広告代理店に委託し、その契約額は、第一回、第二回合わせまして約三十一億五千万円でございます。
 このほか、専門的かつきめ細やかな対応が必要となる案件の事務サポートにつきまして、実績があるアドバイザリー会社に約一億二千万円で委託をいたしました。

○尾崎委員 感染防止の協力金の第一弾、第二弾の支給にかかわる業務について、株式会社博報堂に約三十一億五千万円、デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社に約一億二千万円で委託したということですけれども、協力金の業務について、委託の総額は、合わせると約三十二億七千万円となります。
 協力金が対象となる業種と対象にならない業種の線引きが難しく、事業者の皆さんからは、うちは出るのかわからないという声が当時たくさん寄せられました。しかも、コールセンターなどに問い合わせて出ると思っていたら出なかったという声もあり、混乱が生じました。
 協力金の支給にかかわる業務には、都の職員も産業労働局だけでなくほかの局からも応援の支援が入り、アルバイト先がなくなった学生も採用して行われました。大変ご苦労だったということは承知をしていますけれども、書類の簡素化をして、申請があった事業者に迅速に支給することにすれば、委託の総額はもっと減額になったのではないかと思っています。
 東京都は民間企業に業務委託する場合、原則は競争入札を行うことになっています。しかし、協力金については、入札ではなく特命での契約になっています。契約の期日は今年度末までになっているということも聞いています。契約に時間が多少かかったとしても、特命ではなく競争入札で事業者を決めるべきだったのではないかと思います。
 営業自粛要請そのものも突然で、休業が一日おくれた事業者は協力金の対象になりませんでした。本来であるなら、事業者に徹底して周知する期間を保障すべきだったのではないかと思います。
 デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社への委託業務は、協力金に係る特別処理支援等業務委託だということがわかっています。具体的には、特別処理案件整理、問い合わせ対応窓口の運用となっています。特別処理案件を最初から想定していたということになります。
 そもそも自粛要請に協力してくださった事業者への協力金の支給ですが、最初からトラブル、紛争とならないようにと、原発事故のときの実績があるデロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社に委託したことに私は疑問を感じます。新型コロナ感染症の拡大防止に協力してくださった事業者を信頼し、敬意を払うことが前提でなければならないのではないでしょうか。
 協力金については、都の取り組み、申請制度の仕組み、委託事業についてもどうだったのか検証することを強く要望しておきます。
 東京都家賃等支援給付金も、コールセンター業務等の委託を同じく博報堂に行ったということですが、委託の内容及び契約金額について伺います。

○荒井商工施策担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 東京都家賃等支援給付金では、事業者からの問い合わせや相談等に対応するコールセンターの運営のほか、入力内容や添付書類の漏れなどの確認を行う形式的な審査及び専用ポータルサイトの構築、運営を委託しております。こちらも公表されているものでございまして、契約の総額は、税込みで約二十七億七千万円となっております。

○尾崎委員 東京都家賃等支援給付金の委託先も株式会社博報堂で、委託総額は約二十七億七千万円ということです。こちらは競争入札で決まったということも伺っています。
 東京都家賃等支援給付金は、国の家賃支援給付金に上乗せで、国の給付決定を受けた人が都の対象になるという条件になっています。ポータルサイトの立ち上げなどにはそれなりの費用はかかると思いますが、書類を簡素化して行うなら、書類の審査などは人を減らすことも可能だと考えます。
 東京都家賃等支援給付金については、国の対象は六カ月になっていますが、都の対象は三カ月です。改めて東京都も、対象を国と同様に六カ月に拡大することを強く要望するものです。
 都内の中小業者からは、国や都、地元自治体の支援策を全部活用したけれども、手元の資金はほとんどない状況で、このままでは年を越すことができない、廃業してしまった仲間がいる、自分もいつまで商売できるか心配など、切実な声が出されています。
 昨日、十一月十八日に発表された都内のコロナ感染症の新規陽性者は四百九十三人で過去最多となりました。お昼の時間のニュースで、本日は五百人超えもあるのではないかというような報道もされており、全都で市中感染が広がっており、重症者、高齢者の感染者もふえています。このまま推移すればどうなるのか。飲食店経営の方は、北海道すすきののように、東京も営業時間の短縮が求められるのではないかと不安の声も出されています。
 飲食店にとって年末年始は稼ぎどきです。当然これまでと同じようにはいかないと覚悟していると話しています。感染拡大防止には、徹底したPCR検査と必要な補償を行うことで、営業と暮らし、雇用を守ることにつながります。
 東京の経済を支えている中小業者が経営を継続できるように支援するのは、都の役割です。年末に向けて、年越し給付金のような思い切った支援を行うよう要望して、質問を終わります。

○菅原委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後三時四十三分休憩

   午後四時開議
○菅原委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言をお願いいたします。

○奥澤委員 私たち無所属東京みらいは、あらゆる機会を捉えて、これからの財政が厳しくなるであろう局面においては、施策の優先順位をつけざるを得ない状況がいや応なくやってくるというふうに考えており、そのときに、業界団体の声の大きさや、時の政治的なパワーバランス、あるいはこれまでやってきたか否かということではなくて、客観的な指標を持って、都民に説明できるよう取り組んでいく必要があるというふうに訴えてまいりました。
 財務局の取りまとめる事業評価や、総務局による政策評価、あるいは実行プランがその指標に当たるということは伺いましたが、そこに欠け落ちているのは外部からの視点であり、比較する視点だと考えています。その手法が最も効果的なのか、公平、公正なのか、本当に都がやらなければならないのかといった観点から、きょうは質問していきたいと思います。
 まず、成果指標について、事務事業概要を見ると、観光部の取り組みにおいて、成果指標、KPIを用いた効果測定という表記がありますが、どのような指標を用いていて、達成状況はどうなっているのか、また、どのように事業構築に生かしているのかお伺いします。

○小林観光振興担当部長 都では、平成二十五年度より、観光プロモーションを展開している海外各都市の市民と現地旅行事業者に対し、観光地として東京を認知しているか、東京への旅行に関心を持っているかなどにつきまして調査を行っており、全体的に東京旅行への意識は高まってきております。
 この調査の分析結果は、そのほかの調査とあわせて、海外でプロモーション活動を行う東京観光レップなどに提供し、PRなどに役立てるとともに、プロモーションのターゲット層や旅行博などへの出展、また、発信するコンテンツの検討などの施策立案に幅広く活用しております。

○奥澤委員 事前の打ち合わせ、意見交換をさせていただいた際に、このプロモーションに関して、アテンション、インタレスト、デザイア、アクションの頭文字をとったAIDMAモデルを念頭に置いて取り組んでいるというお話がありました。
 しかし、この観光は、東京では産業という視点から見ているわけですから、しっかりと経済効果が成果指標の大上段にあって、その上で政策全体を論じていくということが当然必要なわけです。これは観光に限らずですけれども、目の前にある事業に注力をした結果、全体像を見失うということがないように、その意識を強く持って、全庁的に取り組んでいただきたいということをまず申し述べておきます。
 先日、国における、外部有識者によるチェックである行政事業レビューが行われましたが、これは毎年のように、補助金の効果への疑問や、規制緩和で代替できないかという議論がなされています。
 たしか二年前の予算特別委員会だったと思いますが、一つ一つの事業の効果や成果については、なかなか思ったような答えをいただけなかったことを記憶しています。
 そこで、幾つかの事業を取り上げて質問していきますが、事務事業概要の中では、中小企業事業革新支援事業の取り組みにおいて、フォローアップ調査を行っている旨の記載がありました。ここではどのような回答が得られ、特に経済効果という観点からは、どのような成果を見てとることができるのかお伺いしたいと思います。

○土村商工部長 都は、中小企業が新たに事業活動など、経営の向上を図ることを目的に策定する経営革新計画の承認を行っており、承認後には、計画の進捗状況等を把握し、その後の支援の方向性の検討などにつなげるため、アンケート調査を行っております。
 令和元年度のアンケート結果によりますと、百九十四社から回答が得られ、計画の策定によって、営業利益に人件費などを加えた、いわゆる付加価値額が伸びる見込みと回答した企業は全体の約八割、計画前と比べ、経常利益が伸びた企業は全体の約六割となっており、本事業が経営改善に寄与しているものと考えております。

○奥澤委員 同じような観点から、幾つかお伺いします。
 世界発信コンペティションという事業がありますが、こちらについては、どのような成果を得られているのかお伺いしたいと思います。

○土村商工部長 都は、中小企業が開発したすぐれた製品や技術、サービスを消費者や市場にPRし、ビジネスチャンスの拡大を図るため、表彰制度を実施しております。
 昨年度は、ドローンの姿勢を制御する技術や、IoT技術とスマートフォンを利用した紛失物防止サービス等が受賞しております。
 中小企業からは、実績がない中で技術を評価していただいた、金融機関や取引先への信頼度が高まった、商談がスムーズになった等の声が寄せられております。

○奥澤委員 同じように、もう一つお伺いします。
 先進的防災技術実用化支援事業については、どのような成果が得られているのかお伺いしたいと思います。

○土村商工部長 都は、中小企業が開発した災害対策に資する新製品や新技術で、その実用化に至っていないものを対象としまして、試作品の実用化や製品の普及に係る経費の一部を助成しております。
 本事業により支援を行った百三十八件のうち、約五割が既に実用化されており、例えば、医療現場における医療用衛生水の提供を可能にする浄水装置などが実用化に至っております。

○奥澤委員 ここまでの三つの事業については、一定の成果を得ているというお答えをいただきました。
 支援を受けている企業にとっては、つまりミクロな視点といったらいいでしょうか、効果的な事業なのだと思いますし、必要かと問われれば必要だというふうに思います。もちろん、重要かといわれれば重要なんだというふうに思います。
 一方で、これは都が補助することが最も効果的なのか、あるいは都がやらなければいけないのかというふうにいわれると、私には、正直、自信を持ってイエスだと答えることができないというのが思うところです。
 というのも、昨年の産業労働局全体の予算というのは四千三百億円強だったと思いますけれども、都内の中小企業は四十五万社程度いるわけで、仮にこちらに、全ての会社に還元するということを考えたら、百万円ずつ還元できるわけですね。これをどこかの企業に、一定の企業に振り分けて投資をしているわけですから、その投資を得られなかったところからの理解というのも得られるかどうかという観点も持たなきゃいけないんだというふうに私は考えるわけです。
 先ほどお話をした行政事業レビューには、実はお墨つきにもなるという効果があるという話を聞いています。外部からの視点というのは、必ずしも厳しい視点というだけではなくて、その事業の必要性や優先度、これを示す証明にもなる。つまり武器にもなるということです。これを機に、外部評価、これを取り入れるべきだということも申し述べておきたいと思います。
 ここからは、あくまでもこれは私見、私個人の価値観にはなってしまいますけれども、都がやるべき事業、都がやらなければ進みにくい事業について質問をします。
 例えば、防災という観点から企業のBCPを進めること。これは、いざというときのダメージを減らしていくという意味で、都が力を入れて取り組むべきものであると考えます。
 東京都では、企業のBCP策定を支援していますが、都内企業のBCP策定状況を伺うとともに、どのような支援を行い、どの程度策定支援に貢献できていると認識しているのかお伺いします。

○土村商工部長 ことし四月、公表されました中小企業白書によりますと、全国の中小企業のうち、BCPを策定済みと回答した企業の割合は全体の一二%、現在策定に取り組んでいる企業の割合は全体の七%となっております。
 都は、中小企業によるBCP策定を後押しするため、普及啓発セミナーや策定講座を行っており、昨年度は六百五十九社が参加しております。このうち、専門コンサルタントを派遣して、自社に適したBCP策定完了まで支援したのは七十五社となっております。
 このように、普及啓発から計画の策定や実行まで一貫した支援を提供することにより、中小企業におけるBCP策定の推進に寄与していると考えております。

○奥澤委員 一定程度寄与しているということは理解をいたしました。
 しかし、そもそもBCPを策定する企業の数、これは一二%というお話もありました。まだまだ少ないという状況に鑑みたときに、今の仕組みが果たして最もよい手段なのかということは、常に考えなければならないのだというふうに思います。
 企業のBCP、これは息の長い取り組みだということもいえますので、一時的な補助金よりも、場合によっては政策減税との組み合わせ、こういったことが必要なのではないかという視点も持って、ぜひ検討いただきたいというふうに思います。
 次に、同じように、これは都がやらなければならないという部分であると考えています農業について質問をします。
 農業は、そもそもの収益構造の問題があり、また、担い手不足も顕著であるということから、持続可能性に課題があるといわざるを得ない状況です。この状況を脱するためには、一定程度、行政が手をかけなければならないというふうに考えます。
 ある農家さんにお話を伺うと、農業は代々農家さんがやるものでしょうという固定観念のようなものが存在する、つまり、家業としての農業だというのが今まであるお話で、家業から産業へと転換を促していかないと、結果的には持続できないというのが現実なんだというお話を伺います。
 そこでまず、担い手不足という点について伺いたいと思いますが、東京農業の支え手育成支援事業を通じて、農業人材の掘り起こしを行っていますが、その実績と内容についてお伺いしたいと思います。

○上林山農林水産部長 東京農業の支え手育成支援事業は、農作業ボランティアを育成するとともに、区市町村の枠を超えて活動する広域型の農作業ボランティアの登録、派遣等を行っている事業でございます。
 十月末時点で六百九十八名のボランティアが登録されており、今年度は、延べ九百八十二名を農作業のボランティアとして派遣しております。

○奥澤委員 コロナ禍にあって、自然回帰の潮流が起こっています。農業へと関心が向いている方も多いと聞きますので、このボランティアさんを根づかせていく、そういったシステムをご検討いただきたいと思います。
 なお、町田の農家さんと話をしたところ、ボランティアさんを年間で延べ二千人、受け入れているという方がいらっしゃいます。この話をベテランの農家さん、あるいは市役所の方々とお話をすると、そんなビジネスモデルが通用するわけないじゃないかというふうに当初はお叱りを受けたそうです。しかし、これまでの当たり前のやり方にとらわれていたら、新しいビジネスモデルというのは当然生まれません。
 また、この方は新規参入をされた方ですけれども、その難しさの一つに、新規参入者が借りることのできる農地は、段差があったりして農業が困難な土地が多いというお話も伺っています。こうした新規参入を阻む壁のようなものを解消していくこと、これに本腰を入れていかなければいけないというふうに思います。
 そうした意味で注目すべきということは、農業を農業だけの枠組みで考えないということです。これは総務局の取り組みの一環でありますけれども、国際競争力強化プロジェクトの報告書を読ませていただくと、産業労働局からはオランダに行っていて、エネルギー分野と産業の枠を超えた農業の連携を行っている、こういった視察をしてきているというふうに聞いております。
 農業の持つ多面的な機能を理解していただくこと、そして農業の裾野を広げていくことも重要な取り組みです。東京都では、レクリエーションや福祉、教育等の機能発揮のための農地活用を行っていると思いますけれども、その取り組み状況や実績についてお伺いしたいと思います。

○上林山農林水産部長 都は、都市農地が持つ防災やレクリエーションなどの多面的機能を一層発揮させることを目的とした都市農地保全支援プロジェクトによりまして、区市が行う市民農園や農業公園の整備等に対し支援を行っております。
 今年度は、農地の防災兼用井戸を三十五カ所設置するほか、市民農園二カ所、農業公園、福祉農園各一カ所の整備などに対して支援を行っております。

○奥澤委員 防災や市民農園、福祉農園といった取り組みを着実に進めているということで、これはもちろん進めてほしいというふうに思いますけれども、さらに、先ほどもオランダの話で紹介をしたエネルギー分野との連携という意味でいうと、ソーラーシェアリングなどの取り組みも少しずつ広がりを見せているところですので、ぜひとも、こういったことを取り入れながら、収益を生むことを可能にする事業の構築、あるいは手続の煩雑さの解消、こういったことを念頭に取り組んでいただきたいというふうに思います。
 なかなか規模で勝負ができない東京の農業の立地特性がある中では、産業として農業の持続可能性を高めていくには、農産物の高付加価値化をしていく、これが必須です。結局のところ、高く売れなければやっていけないというわけですから、諸外国とも戦える環境になるまでは、高付加価値化や競争力の向上を後押しする必要があります。
 その一つが、食に対する安全・安心への要請の高まりです。環境に配慮した農業に取り組んでいる農業者も多いと聞いており、都では、安全・安心で環境に優しい農産物を生産するために、エコ農産物認証制度に取り組んでいるということですが、この制度の目的や内容についてお伺いします。

○龍野安全安心・地産地消推進担当部長 東京都エコ農産物認証制度は、環境への負荷軽減に配慮した持続可能な農業を推進するために、化学合成農薬と化学肥料をそれぞれ削減して栽培された農産物について、都が認証する制度でございます。
 具体的には、堆肥や防虫ネット等を導入し、通常の栽培で使用される化学合成農薬と化学肥料の使用量を基準として、それぞれ二五%以上、または五〇%以上を削減、あるいは両方とも不使用の三つの区分で認証するものでございます。

○奥澤委員 現在は、この認証というところで、なかなか取り組みがとまってしまっているのかなというふうに受けとめられる答弁だったんですけれども、これは消費者への働きかけを強めて、積極的に選んでもらえるような状況をつくらないと、なかなか高く売るというところにはつながらないというふうに思います。
 生活文化局の取り組みではありますが、エシカル消費の普及促進、この動きとも連動しながら、消費行動が変わるような取り組みも今後取り組んでいただきたいということを思います。
 高付加価値化に関連して、トウキョウXのブランド強化支援事業について、以前、青梅の畜産センターを視察させていただくなど、これまでも注目をしてきました。
 一方で、なかなか市場には出回らないなというのも率直に感じているところでありますが、トウキョウXのブランド化と普及における取り組み状況についてお伺いします。

○上林山農林水産部長 都は、生産者への技術指導等による品質の維持向上に加え、種豚の購入や出荷に要する輸送経費の補助など、トウキョウXのブランド化と普及に向けた取り組みを実施しております。
 今後は、青梅畜産センターの再整備等を通じ、高い需要に対応する生産体制を確保してまいります。

○奥澤委員 なかなか、付加価値が高まっているけれども、それに合う生産体制、つまり生産者が育っていかないという難しさに直面しているということかと思います。生産者が育たない、ふえていかない。このボトルネックになっていることをしっかり検証して、手を打っていただきたいというふうに思います。
 さて、新型コロナの影響は農業にも及んでいたということだと思いますが、東京都では緊急対策事業を行っていたと認識しています。新たな販路開拓に資する施設の整備などを補助する取り組みだったと思いますが、実際にはどのような取り組みが生まれたのか、また、新販路開拓という面でどのように寄与したのかお伺いしたいと思います。

○上林山農林水産部長 都は、新型コロナウイルス感染症対策として、農産物の直売用施設や保冷庫、加工用施設などの導入を支援したほか、Eコマースの導入支援などを行っております。
 こうしたことにより、農家が庭先に野菜の販売機を設置し、近隣住民に農産物を直接販売するほか、みずから開発した農産物の加工品販売やインターネットによる販売などにより、新たな販路の拡大につながっております。

○奥澤委員 ここでも、ある種の業態転換があったのかなというふうに推察をいたします。
 直接販売や加工は、高く売るための有効な手段である一方で、安定した卸先の確保に難しさがあると聞いています。この間に聞こえてきた声、ここに次の一手のヒントがあると思いますので、しっかりと検証していただきたいと思います。
 また、政策評価シートを見させていただくと、ビジネスとしての農業、経営力の向上、こういったことの必要性に関して、記載を読み取ることができました。新規就農者を初めとして、意欲的に取り組む方々とともに、どうしたら、もうかる農業、稼ぐ農業が実現できるのか、一緒に考えていただきたいというふうに思います。
 ここからは、公平性という面から質問していきたいと思います。
 今、農業への支援を取り上げましたが、特定の業界、業種、こういったことを支援するのであれば、なぜ、その業界、業種だけを支援するのかということに正面から答えていかなければならないというふうに思っています。そうした中で、この新型コロナ対策において、大変、私自身は違和感を持っていた事業があるので、質問させていただきます。
 まず、商店街の新型コロナ緊急対策奨励金交付事業について質問しようと思いましたけれども、こちらは重複するので、質問は割愛させていただきます。人の密集を避けるために自主休業を求めるという内容で、正確な人流データではなかったとは記憶していますけれども、結果として来街者が減ったということで、目的は達成できたんだと思います。
 しかし、そもそもなぜ商店街に人が密集してしまったんだろうかということを考えると、それはお店があいてたからですよね。休業要請に従わないお店を閉めてもらうために、たくさんお金を投入しなきゃいけなかった。あるいは、休業要請の対象になっていないお店、生活必需品を売っているお店を閉めてくれという話だったのだとしたら、それはむしろ個別の店舗にお金を支払わないといけない事業だったと思うんですね。
 この奨励金は商店街に支払われていますけれども、商店街に入っているか否かでその扱いが違っているということも、なぜだかよくわからないという声も伺っております。
 当時は、時間もない中で、何とかして人の密集を避けようと頭をひねって取り組んだことであると思いますし、私自身も予算には賛成をしていますから、それをだめだぞという話ではないんですけれども、今後しっかりと検証しなきゃいけないということは申し述べておきたいというふうに思います。
 もう一つなんですけれども、タクシー事業者の支援がありました。これは飛沫防止のパネルの設置を補助していた事業だと思いますけれども、その実績とあわせて、なぜタクシー事業者にこの補助を行ったのかという理由をお伺いしたいと思います。

○松本観光部長 旅行者や都民の移動を支える重要な交通インフラであるタクシーにおきまして、乗客、乗務員の安全・安心を確保していくことは重要でございます。
 そのため、都は、都内のタクシー事業者が新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、運転席と客席の間に仕切りを設置するなどの取り組みに対する支援を開始いたしまして、先週末までに約一万一千台分の申請がなされております。

○奥澤委員 タクシーが重要な交通インフラであるという、これはもちろん否定するものではありません。
 ただ、例えば障害者、高齢者、福祉サービスの送迎バスをしているだとか、こういった方々も同じように、自助努力で、当時、間仕切りをつけたりをしていました。でも、これには補助はなかったわけですね。
 最近の動きになりますけれども、タクシー業界から国に対して要望されて、マスクを着用していないお客さんの乗車拒否をできるようになるということです。これでは何のためにあの取り組みがあったんだというふうに私は思ってしまうんですよね。
 乗務員さんの安全を守りながら、重要な交通インフラとしての働きを維持するために支援したのに、結果的には、マスクをしないというのは悪意があってしない人ばかりではないわけですよね。例えば、敏感でマスクをできないという人も中にはいるわけです。こういった方々も含めて乗車拒否ができてしまうようになるというのだとすると、これは何だったんだというのが私は思います。
 さらに、もう一つ問題提起をしておくと、ガイドラインに沿った感染防止対策、これは個別の店舗に対するものですけれども、これは十万円未満の物には補助はありません。しかし、商店街が行う対策、これについては、十万円未満の消耗品の購入も可能となっています。さらにいうと補助率も違います。
 今お話ししたタクシー、これは補助上限が八千円までということです。私は、この差がついている合理的な理由というのが全くわからないというか、説明ができないんですよね。なぜ違うんだといわれたときに答えられないんです。
 年末に向けて、国でも今ガイドラインの見直しを検討しているということです。あるいはというか、例えばなんですけれども、感染拡大を防止する取り組みについても、CO2の見える化によって換気のタイミングを促す機器、こういった効果的な対策がまた新たに生まれたりしている。あるいは、備品や消耗品の値段も下がってきているというのが今の状況です。都の感染防止対策の要件も、これに合わせて再考していくべきだということを申し述べておきたいと思います。
 いずれにせよ、新型コロナ対策、これは何とかして感染拡大を抑えようということであったこと、そして、各業界からいろんな声が寄せられていて、それに応える形で予算を逐次投入していった。これは、当時でいえば仕方なかったと私は思います。
 ただ、私も賛成したわけですけれども、だからこそ一度立ちどまって、全体像を俯瞰して、もう一度、これまでの取り組みが本当に東京の経済、雇用を守ることにつながっていたのかと検証を行うべきであるという旨を申し上げて、次の質問に行きたいと思います。
 次は、都がやるべきか否かという点についてお伺いします。
 これは新型コロナ対策ではありませんが、東京都では、eスポーツにかかわる産業振興に取り組んでいます。これまで行政の支援などを得ずに成長してきた産業です。ここに対して、都が介入していく理由とは一体何でしょうか。
 例えば、何らかの規制が問題となっており、その問題を一緒に解決していこうということなら納得をします。しかし、イベントを開催し、あわせて展示会を行うことが必要な取り組みなのかというと、私には大変疑問です。
 そこで、eスポーツ振興にかかわる事業に都がかかわる理由についてお伺いします。

○土村商工部長 日本のeスポーツ市場規模は、民間の調査結果によりますと、三年後には百五十三億円と飛躍的な伸びが見込まれております。eスポーツへの関心の高まりにより、競技者や観戦者がふえることは、関連技術や周辺機器などの新たなニーズを生み出すことにもつながると考えております。
 そのため、都は、昨年度、初めて東京eスポーツフェスタを開催し、競技大会とあわせて関連産業の展示会を実施することにより、中小企業のすぐれた製品やサービスを広く発信し、新たなビジネスチャンスにつなげる機会を創出いたしました。

○奥澤委員 成長産業であるということは理解をしました。しかし、成長産業であればこそ、なぜ都が手をかける必要があるのかということをしっかりと考えていかなければいけないんだと思います。
 例えばですけど、5Gを進めよう、デジタル化を進めようという話は、これはみんな、オールオーケーというか、皆さん、ほぼほぼ賛成するんだけれども、そうしたら東京都がやることは何なんですかといったら、例えばポールを立てるのだとか、インフラを整備するんだということが明確なわけですよね。
 じゃあ、このeスポーツにおいて、都がやるべき理由というのは何なのかというのを、ぜひとも今後も引き続き考えながら取り組んでいただきたいというふうに思います。
 ここで観点を変えますけれども、コロナ禍における個人事業主、フリーランスへの支援について伺います。
 これまでの行政の施策というのは、業界団体などを通じて支援を行うものも多かったと思いますが、業界団体の加入率の低下、フリーランスの増加といった社会環境の変化を考えれば、これまでどおりの考え方を漫然と続けてはならないというふうに考えます。
 その意味では、コロナ禍において、個人事業主向けの相談事業を行ったことは重要だと思っています。取り組み状況を伺うとともに、その間に得られた個人事業主の抱える課題や、都が果たすべき役割について得られた知見があればお伺いします。

○土村商工部長 都は、新型コロナウイルス感染症に対応した中小企業支援の一環として、本年三月より、中小企業振興公社に、フリーランスを含む個人事業主を対象とした経営や資金繰りに関する特別相談窓口を設置しております。
 この窓口では、十月末までに千五十八件の相談に対応しており、学習塾の講師やダンススクールのコーチなどから、売り上げの急減に伴う手元資金の調達や、取引先からの急な契約解除への対応などについての相談がございました。
 個人事業主は、コロナ禍を含め、外的環境の変化による影響を受けやすいため、こうした実態を踏まえた迅速な支援につなげているところでございます。

○奥澤委員 相談窓口を設置したとき、実は私、それはどんな価値があるんだろうかと懐疑的だったんですけれども、思った以上にフリーランスの方々が弱い立場で働いていることなども気づく結果となりました。ここで寄せられた相談などを検証して、今後の施策に生かしていただきたいということで、要望しておきたいと思います。
 次に、地方との共存共栄の取り組みについて、新型コロナの猛威は、東京のみならず日本全国に及んでいます。その意味では、地方との共存共栄を図っていく必要性は一層増していると思いますし、改めて事業を見直していく必要があるのかもしれません。
 事務事業を見ますと、地方との共存共栄を図るベンチャー育成事業、あるいは連携促進型オープンイノベーションプラットフォーム事業という記載がありますが、これらの取り組みの目的や内容、取り組み状況についてお伺いします。

○土村商工部長 都は、創業初期を乗り越えたスタートアップのさらなる成長に向け、地域や業界、業種にとらわれていない連携の促進を後押しするベンチャー育成事業を実施しております。
 本事業では、全国での販路拡大を目指す都内のスタートアップと、東京での事業展開を目指す地方のスタートアップを五社ずつ選定し、ビジネスモデルの磨き上げやビジネスパートナーとのマッチングを行うプログラムを年二回、オンラインにより実施しております。
 ことし九月には、これらのスタートアップの支援拠点であるNEXs Tokyoを丸の内に開所いたしました。
 また、連携促進型オープンイノベーションプラットフォーム事業は、全国の大企業や自治体等が有する事業課題について、スタートアップの知見を活用して解決を図るため、コーディネーターが両者のマッチングを行い、事業化を支援するものでございます。
 全国から参加者を募り、都内でピッチイベントを行うことを前提とした事業スキームでございますので、感染症の影響を踏まえて今年度の実施を見合わせております。

○奥澤委員 今年度の実施は見合わせているという話ですけれども、地方の課題を東京のベンチャーと解決していこうというのは大変興味深い取り組みだと思います。
 課題解決型の事業を支援するということは、これは行政のスリム化と経済発展による税収増という、こういった二つのメリットをつくっていく、両立する可能性があるという意味で期待をしています。
 世界ではあまたのユニコーン企業が登場し、日本はそこに乗りおくれているといういわれ方もしますが、日本には、日本の目指す社会、あるいは経済の成り立ち方というのがあるというふうに思っています。それは、課題解決の先進都市としての道を歩んでいくことだと思います。課題解決と経済活動の両立を図っていく、ゼブラ型企業といいますが、こういった企業を数多く生み出していく道、ここを模索していただきたいと思います。
 そのような意味から、都では、行政課題解決型スタートアップ支援事業として、課題解決型のベンチャー企業によるピッチイベントを開催していますが、この取り組み状況と、そこから得られた成果についてお伺いします。

○土村商工部長 東京が抱えるさまざまな行政課題の解決に、最先端の技術や独創的なアイデアを持つスタートアップの力を活用するため、都は、政策分野のテーマを掲げたピッチイベントを実施しております。
 今年度は、都庁の働き方改革や、西新宿のまちの魅力向上、防災等をテーマに、七月から十一月までに五回開催し、さまざまなスタートアップから、課題解決に資する製品やサービスの提案をいただきました。
 イベントでは、感染症対策として、水道のない場所に設置できる手洗い設備や、ビル敷地内の空き地にキッチンカーを派遣するサービス、災害時におけるドローンの情報収集システム等を課題解決に資するものとして選定いたしました。
 現在、都とスタートアップの間で、導入に向けて具体的に協議を進めているところでございます。

○奥澤委員 具体的な協議が進んでいるとのことですので期待をしたいところですが、今ご紹介があった三事例、いずれも、規制の壁がもしかするとあるんじゃないかということも考えてしまうところです。
 規制緩和は、お金をかけない経済対策ともいわれて、今後の都政にとって重要な要素です。アメリカでは、規制緩和による経済効果とともに、規制強化による経済損失をはかることが一般的であって、規制の総量をふやさない政策である二対一ルールが導入されるなどしてきました。
 産業労働局においては、新たな都政改革に書かれている、縛る事前規制ではなくて、サポート主眼の事後規制への転換についても、こうした事業からノウハウを得ながら取り組んでいただきたいというふうに思います。
 同じような観点ですけれども、コロナ禍にも補正予算が組まれました新事業分野開拓者認定・支援事業について、取り組みと得られた成果についてお伺いします。

○土村商工部長 都は、感染症の拡大防止に効果的な中小企業の新商品等を認定し、都庁内の各部署で購入して評価を行うことで、市場での普及拡大を後押しする取り組みを実施しております。第一回の募集では、百二十一件の申請の中から五件を認定いたしました。
 認定事例としましては、病院等の受付でスタッフのかわりに必要な問診や検温を行う感染症対策の問診ロボットや、飲食店やレジャー施設等で三密を回避するためのスマートフォン等による混雑情報サービスなどがございます。
 今後は、商品を購入し、実際に使用して評価を行う予定でございます。

○奥澤委員 市場での普及拡大の入り口をつくるということで、意義ある取り組みだろうと思いますけれども、より一層効果的にするという意味で、評価の部分、こちらで商品の改善に役立つフィードバックをできるかどうかということも非常に重要だと思いますので、ぜひ工夫を講じていただきたいというふうに思います。
 さて、ここから開業率のお話を少ししたいんですけれども、二〇二〇実行プランを見ますと、東京都の開業率一〇%を目標にしているという話ですけれども、二〇一九年度末時点で五から六%程度ということで、伸び悩んでいるようです。
 国際競争力強化プロジェクト報告書には、日本はリスタートへの不安が大きいこともその理由として挙げられています。特に、スタート時に資金面の不安、失敗したときのリスクを軽減することは、永遠の課題ともいえます。そうした課題を解決するために、共感による投資ともいわれるクラウドファンディングは非常に有効です。
 東京都では、クラウドファンディングを活用した資金調達支援を行っており、コロナ禍においては、その対象や募集期間にも工夫をしたと聞いていますが、取り組み状況、実績についてお伺いします。

○井上金融支援担当部長 この事業では、事業者がクラウドファンディングを利用する際にサイトの運営事業者に支払う手数料の一部を助成しており、第二回定例会で議決いただいた補正予算によりまして、助成内容を拡充いたしました。
 具体的には、新型コロナウイルス感染症により経営に影響を受けている創業間もない方などに対しまして、特例として、助成率を二分の一から三分の二に、助成限度額を三十万から四十万に引き上げました。
 本年度の助成申請につきましては、補正予算成立後の六月から受け付けておりますが、助成対象につきましては、四月以降に資金調達を開始したプロジェクトとしております。
 今年度の手数料助成の実績は、九月末時点で百七十九件でございまして、このうち約四割は、コロナによる特例の助成案件となっております。

○奥澤委員 以前、同僚、我が会派の森澤議員から指摘をさせていただきましたが、ことし五月のクラウドファンディング流通額は三十八・九億円、前年同月比の五九〇%増加ということですから、四月以降に立ち上げたプロジェクトも、さかのぼって対象とするように工夫したということは、これは重要なことだったというふうに思います。
 先ほど、開業率に関連して、リスタートへの不安についてお話ししましたが、起業家のセーフティーネットについても、再チャレンジ支援を行っていますけれども、雇用就業部と連動して、もう一度会社に戻ってやり直す、力を蓄える、こういったことの支援も有効な取り組みになると思いますので、ぜひご検討いただきたいと思います。
 さて、ここからは、コロナ禍にあって最も大きい影響を受けた産業の一つである観光産業についてご質問します。
 これまでのように、とにかく観光客をふやしていこうという方向性、特にインバウンド、外国人旅行者を中心にした観光施策、これはしばらくの間といっていいでしょうか、見直さざるを得ない状況が続くと思います。
 宿泊業界に勤める方のお話では、そもそもですが、供給過多の状態で、宿泊料の過当競争、安く安くという方向の競争が起きていて、コロナ禍でもう耐えられないと倒産に追い込まれている企業も出てきてしまったということです。
 新型コロナは、日本が抱えていた産業の構造上の課題を浮き彫りにしたともいわれています。これは観光産業も同じことがあるのかもしれません。いや応なく転換を迫られているということです。
 そこでお伺いしますが、都は、宿泊施設テレワーク事業や観光事業者の経営力強化、オンラインツアー造成支援などのさまざまな施策を講じてきました。これらを通じて、観光産業が今後どのように変化していくことを見据えて取り組んでいるのかお伺いします。

○松本観光部長 新型コロナウイルス感染症の影響により、観光事業者は、事業経営の変革を迫られております。
 そのため、都は、宿泊施設のテレワーク利用や旅行業者等のオンラインツアー造成を支援しまして、観光事業者が新たな需要を開拓して収益を確保する取り組みを促進しております。
 また、経営ノウハウを提供するセミナーや専門家派遣を実施しまして、観光事業者が新サービスの開発やDXによる生産性向上等により、事業継続や成長を図れるよう支援してまいります。

○奥澤委員 観光事業者自身の意識変革、経営の変革を求められているという危機感を理解することができました。
 今までの産業構造を守っていこうという視点だけでは、次の時代を迎えることはできないと思いますので、意欲的な事業者の転換、これを後押ししていただかないといけないのかなというふうに思います。
 新しい観光サービスという意味では、奈良県の斑鳩町というところで、まちの自然の音を、オーディオストック社という会社と提携をして、自然の音を世界に配信するという観光プロモーションを行っています。
 東京都では、VR等新技術を活用したツアー造成支援も行っていますが、どのような取り組みが生まれてきているのかお伺いしたいと思います。

○松本観光部長 都は、障害者や高齢者など、さまざまな方々が観光を楽しむことができるよう、今年度から、VR等新技術を活用した旅行商品の造成に対する支援を開始いたしました。
 これまでに十一件の支援を決定しておりまして、今後、自宅などにいながら、VR映像で鍾乳洞の探検やケーブルカーの乗車などを体験できるツアー、また、水中映像をライブ配信して島しょでのダイビングを体験できるツアーなどが実施される予定でございます。

○奥澤委員 現地に足を運ぶことができなくとも、VRで観光体験ができるというのは意義深い取り組みだというふうに思います。
 今はアバターといわれるものを使って、本人の意思のとおりにまち中を移動できるような、そういったロボットの開発も進んでいます。足を運べないという意味では、コロナ禍にある現在、海外にいる方にとっても同じ状況だと思います。新しい観光体験の掘り起こしによって新たな収益につながっていくこと、ぜひ実証していただきたいというふうに思います。
 さて、コロナ禍の変化として自然回帰が挙げられます。多摩・島しょ地域では、今後の経済の起爆剤としての期待も高まっています。
 その意味では、観光情報をどのように国内外の方々に届けていくのかという視点は重要であって、特に、立川にある東京観光情報センターの情報発信においては、工夫を講じていかなければならないと考えます。
 そこで、立川の東京観光情報センターの利用状況とあわせて、コロナ禍を経て、どのような情報発信をしていくべきかといった視点から講じるべき工夫についての見解をお伺いします。

○松本観光部長 都は、東京観光情報センター多摩におきまして、多摩地域の魅力をさまざまな手法で発信しており、昨年度は約十六万人の利用がございました。
 センターでは、市町村や観光協会と連携し、四季折々の観光スポットやイベント情報を映像などで発信するとともに、各地域お勧めの特産品などを紹介しております。
 また、コロナ禍におきましては、観光スポットの感染症対策に加え、ウオーキングやバーベキューなど、自然志向の高まりに対応した情報提供の充実に取り組んでおります。

○奥澤委員 二〇二〇実行プランを読ませていただくと、観光案内の充実に向けて、拠点の設置目標が掲げられていて、それは達成したようです。大切なのはこの先です。
 観光案内拠点があることで、どれだけ行動を変えられるかです。訪れた十六万人へのサービスの質の向上や魅力的な情報提供ができているのか、また、リピーターへとつなげることができているのか、あるいは、そこで得た情報を事業者や区市町村へ還元できているのかといった視点で、取り組みを常に見直していただきたいということで要望しておきます。
 観光は、地域のにぎわい創出や消費喚起といったメリットがある一方で、ごみのポイ捨てなどの問題が生じることもあります。つまり、地域の観光資源を掘り起こすのであれば、それによって周辺にお金が落ちるような仕組みをセットで考えなければならないということです。
 都では、アニメ等を活用した観光コンテンツをつくることにも力を入れていますが、中でもデザインマンホールぶたスタンプラリーについては、どのような経済波及効果が出ているのか余りぴんときません。
 そこで、このスタンプラリーについては、どの程度の人数が参加し、消費につながっていると考えているのか、見解をお伺いします。

○松本観光部長 都は、地域にゆかりのあるアニメ、漫画等のキャラクターを活用した、下水道のデザインマンホールぶたの設置を促進し、新たな観光資源として活用する取り組みを行っております。
 ことし三月上旬から一カ月程度、都内四十二カ所のデザインマンホールを活用したモバイルスタンプラリーを実施したところ、都内及び都外から合計約二千人が参加いたしました。
 こうした参加者の皆様が、各地のマンホールをめぐり、宿泊や飲食、買い物などを行うことで、地域の観光消費につながっていると考えております。

○奥澤委員 二千人が参加したということですが、二〇一二年に実施された、これはJRによる全国縦断スタンプラリーというものがありますが、これは十八万人が参加して、五十四億円の経済効果があったといわれています。その際のJR東日本エリアでの参加者数、これは六万八千人だったということです。このデザインマンホールスタンプラリーについては、検証すべきことが多い事業なのかなというふうにどうしても思ってしまいました。
 ただ一方で、マンホールのふたというのは、これからもずっとあるわけですから、それをどう生かすかという視点では、ここで得られた知見というのを区市町村にぜひとも還元していただきたいというふうに思います。
 今、アニメと同じく、聖地巡礼などの効果も期待されるものとして、映画やドラマ、あるいはアーティストのプロモーションビデオなどを誘致する東京ロケーションボックス事業というものがあります。
 昨年の予算特別委員会において、我が会派の斉藤れいな議員より、東京ロケーションボックスの強みは、公道使用などに当たって、警察との連携、自治体との調整も行うという点であって、これは民間にはできない特筆すべき点であるということを指摘した上で、さらなる周知をお願いしていました。
 この点について、東京ロケーションボックスの取り組み状況をお伺いしたいと思います。

○松本観光部長 東京ロケーションボックスは、都内で映画やテレビなどの円滑なロケ撮影を支援するため、都内での撮影に関する情報提供や、施設管理者等との撮影許可の調整などを行っておりまして、昨年度は、三千五百五十七件の相談を受けるとともに、百九十五件の撮影現場に立ち会いました。
 こうした取り組みの周知と理解促進を図るため、ロケ施設情報や撮影現場などを紹介する動画をホームページに掲載するほか、映画情報サイトを活用して情報発信を行っております。

○奥澤委員 撮影許可の調整を行っているという点では、これはやはり魅力的なんだと思います。
 ただ、例えばドローンを使った撮影の許可がなかなかおりないとか、そういったお話、理由から、海外の方々からは、チャンスを逃しているね、残念だねという話も聞くところです。規制緩和は、先ほどもいいました、お金をかけない経済対策です。都が間に入るからこそ、こうした規制への働きかけ、ぜひ力を入れていただきたいというふうに思います。
 さて、少し話題を変えて、ビッグサイトの運営についてお聞きします。
 ビッグサイトは、二〇二〇年十一月末までオリ・パラ開催時の放送センターとして予定されていたことから、工事が始まった二〇一九年四月から、東展示場と新東展示場が使えずに、展示会が開ける会場が限定的になっています。
 オリ・パラの延期に伴って、この限定的になる期間がさらに一年延びて、二〇二一年十一月末まで開けなくなるということから、さらに一兆五千億円の損害につながるという事業者からの訴えもあります。
 このオリ・パラに関連する事情に加えて、本年はコロナにより、開催予定だった西展示場、南展示棟での展示会も中止などが相次いでいて、そもそもコロナ以前のように展示会が開催されていない状況です。
 そこでまず、東京ビッグサイト展示場や、そこで開催される展示会を取り巻く現在の状況や課題についてお伺いします。

○土村商工部長 東京ビッグサイトでは、東京二〇二〇大会の延期に伴い、利用が制限される期間が延長されるため、現在、一つでも多くの催事が開催できるよう、別の日程を提示するなどの調整を進めているところでございます。
 多くの催事が中止となった上半期から、直近の十月では前年度比で利用率が約四割まで回復しておりますが、依然として、感染症が展示会の開催に影響を及ぼしていると考えております。

○奥澤委員 大変厳しい実情であるということが浮かび上がっています。
 関連産業の落ち込みは免れない状況ではありますが、中にはオンライン開催を試みるイベントなどもあって、ことしはコミケなどもオンラインとして開催されていました。ですが、オンラインで代替することができないこと、あるいは感じられない熱気なども多くて、やはり対面での開催を求める声も多数届いています。
 やはり都に求められるのは、リアルな展示会を少しでもコロナ以前のように戻していけるように、しっかり感染防止対策や検査体制の強化を行うことだということも忘れてはならないと思います。その上で、今できることとして、展示会を開催したいという方々に対する感染防止対策の支援、あるいはオンラインだとしても販路開拓を支援していくこと、これもまた重要です。
 そこで、従来のような展示会開催の支援や、中小企業の販路開拓への支援という観点から、都として今後どのように取り組んでいくのかお伺いしたいと思います。

○土村商工部長 都は、感染症の影響により受注が減少している中小企業の団体やグループ等が、展示会の開催など販路開拓に向けた取り組みを行う場合に、必要となる費用の最大五分の四を補助しております。
 また、展示会の中止などにより影響を受けている中小企業に、新たな商談機会を提供するため、オンラインによるマッチング商談会を新たに実施する予定であり、こうした取り組みにより、中小企業の販路開拓を着実に支援してまいります。

○奥澤委員 今のご答弁を聞くと、オンラインの商談会などで一定の努力をされていく、これはわかるんですけれども、なかなかこれまでのような展示会へと歩みを進めていくこと、これは踏み出せない、そういった考えがにじみ出ているのかなというふうに感じたところです。
 別の分野ではありますけれども、スポーツにおいて、観客をふやす中での感染リスク低減を目指す取り組みが起こり始めています。確かにバッシングをする方々もいらっしゃいますけれども、では、どうしたら開催ができるのかという視点で事業者と一緒に考えていくこと、これが本当の意味での寄り添った支援だと思いますし、行政にしかできないことだと私は考えています。ぜひ関連事業者との対話を続けていただきたいと申し述べておきます。
 ここから雇用就業対策について質問いたします。
 コロナ禍による失業者は全国で七万人といわれていて、まだまだ伸びていくだろうというふうに予測されています。失業率と連動するといわれる自殺者数も大きく増加をしています。ここのところ感染者数が大幅に増加していて、第三波の到来だともいわれますが、一方で、医療的な視点だけで判断してはならない、そういった状況だともいえるというふうに思います。経済をとめることのリスク、これもしっかりと考慮した上で、総合的な判断をしていかないければいけないということです。
 ですので、産業労働局の皆さんにも、ぜひとも主体的に、発言権を持って取り組んでいただきたいということをまず申し述べた上で、質問していきたいと思います。
 雇用安定化就業支援事業は重複しましたので、割愛をいたしますが、まだなかなか就労に結びつけていない実情が浮かび上がってきていたかなと思います。やりながら改善していくしかないとは思いますので、その一手、その一つの支援が一人の命を救うことになるかもしれないという強い使命感を持って、取り組んでいただきたいということを思います。
 これはコロナ対策ということには限りませんけれども、都では、さまざまな段階に応じた就労支援をしています。その一つに公共職業訓練の存在があると思います。
 この取り組み状況、とりわけ参加者数や継続率、就職率といった観点についてお伺いします。

○村西雇用就業部長 都は、求職者の方を対象に、都内十三カ所にある職業能力開発センターや東京障害者職業能力開発校などにおきまして、就職に必要となる知識や技能を習得するための職業訓練を実施しております。
 令和元年度の主な実績は、入校者数約三千九百人、そのうち約八五%の方が訓練を修了し、就職率は約七二%となっております。

○奥澤委員 就職すること、これを一つのゴールとするならば、公共職業訓練については一定の成果を得ているということが確認できたと思います。
 一方で、先ほどの雇用安定化就業支援を初めとして、なかなか成果につながっていないのかなと思う事業も散見されると思います。
 私は、ここに見立ての問題があるというふうに考えています。就労できていない方の場合、自分自身も、どの位置にいるのか、何が強みなのかを理解していないというケースは多いと聞いています。
 特にコロナ禍で失業した方々は、予想だにしなかったみずからの状況を受けとめ切れていない、そのような可能性、あるいは心身の不調を来しているという可能性も考慮しなければいけないと思います。
 その意味から、相談窓口での適切な見立て、そして場合によっては福祉や医療、あるいは住宅といったことも含めた適切な支援、これと連携した対応が求められるというふうに思います。つまり、職業相談が窓口になって、各種支援のハブ機能になっていく、こういったことも必要なんじゃないかということも、ぜひ頭に置いて取り組んでいただきたいというふうに思います。
 コロナ禍の解雇や雇いどめ、これは特に女性、あるいは障害者にふえているという調査があります。正社員でフルタイム、同じ職場で働くことを前提としてきた習慣に起因する、女性や障害者の働きにくさが背景にあると考えます。
 まず、女性の働き方について伺います。
 二〇二〇年に管理職レベルに占める女性の割合を三〇%にしようというのが、安倍政権が掲げてきた成長戦略の目玉の一つでありました。しかし、管理職に占める女性の割合は二〇一九年時点で一五%弱ということで、ここに対しての対策は、達成目標の時期をおくらせるということであって、多くの落胆の声がありました。
 先日、菅首相は、二〇二〇年代の可能な限り早い時期に指導的地位に占める女性の割合が三〇%程度となるよう取り組むとしていますが、女性管理職の登用拡大は、性別を問わず働きやすい環境を整備していくという意味に加えて、世界では、女性役員比率が高い企業の方がROE、ROS、ROICなどの経営指標がよい傾向があるという調査もあり、女性管理職をふやしていくことは、日本の企業の競争力をさらに伸ばしていくという面でも必要です。
 一方で、残業が前提など、仕事での拘束時間が多かったり、そもそも男社会という文化がまだまだ残っている上に、現時点では、家事、育児分担が男性よりも圧倒的に多い女性にとっては、そもそも不利な立場でキャリアを築かなくてはならず、管理職に対しても消極的になるという実態が指摘をされています。
 そのような意味で、まず、コロナ禍において、働く女性に負担が集中したという指摘もある介護についてお伺いします。
 コロナ禍で介護サービスが受けにくい状況となって、リモートワークで介護との両立の困難さに直面した方々もたくさんいらっしゃったと聞いています。
 東京都では、奨励金によって、介護休暇、休業を取得しやすい職場づくりに向けた取り組みを支援していますが、その内容と実績についてお伺いします。

○鈴木事業推進担当部長 都は、介護休暇、休業を取得しやすい職場環境づくりを促進するため、介護休暇、休業制度の充実等に取り組む企業や、従業員に一カ月以上の介護休業を取得させた企業等に奨励金を支給しております。
 今年度、制度の充実に取り組む企業に対する奨励金の交付決定数は、十一月一日現在で百九十四件、介護休業を取得した企業に対する奨励金の交付決定数は、十月末現在で六件でございます。

○奥澤委員 制度の充実に取り組んだ企業、これは百九十四件。しかし、実際に介護休業を取得したというところまでつながっているのは六件だということで、やはり事業の必要性というものは認められるとは思いますけれども、この実効性という観点からいうと、再構築をしなきゃいけないんじゃないかというふうに思います。
 リモートワークが広がる中で、男女かかわらずですけれども、これは家の中で仕事も家事も育児も介護も全部行っていくのは無理だということも明らかになったと思います。
 こうした問題意識に対して、都では、お試しサテライトオフィス事業あるいは設置補助の事業を実施していて、これは有意義な取り組みだという評価もある一方で、特にお試しサテライトオフィス、これは無料で使用できるということから、民業圧迫ではないかという声も聞こえています。
 先ほど他会派で質問がありましたので、質問自体はいたしませんけれども、実際に、先ほど聞いていると、利用者ニーズ、これはもう掘り起こされているだろうというふうに思います。であれば、これ以上、都がやる必要というのはどこにあるのかということですね。
 あくまでも民間事業者、あるいは自治体の取り組みへとつなげていくということだと思いますので、どう引き継いでいくのか、出口を描いて取り組んでいただきたいということを申し述べておきたいと思います。
 総論としては、働き方改革を進めていくこと、特に男女ともに子育てや介護をしていても働きやすい環境を整備していくこと、これには多くの方が賛成をすると思います。しかし、先ほども申し述べたように、無意識に刷り込まれている価値観あるいは考え、それが制度にある場合もあります、こういったことを変えていく必要があるというふうに考えています。
 日本では、これまで女性活躍という文脈で、言葉で、労働力としての女性という見方が根底にあったように私には思えてなりません。諸外国では、ウーマンエンパワーメント、これまで社会的に弱い立場にあった女性を勇気づける、自分らしく生きられるように背中を押すといった意味で進められてきたのが女性政策だったというふうに思います。
 我が会派の森澤議員は、早く女性活躍という言葉をなくしたい、家事、育児における男性活躍を進めたいといったさまざまな表現で、これまでの女性政策の転換を訴えてきています。東京が率先して、ウーマンエンパワーメント政策を進めるべきだというふうに考えます。
 そのような意味から、先ほど指摘をした、管理職になることに消極的になりがちな女性を動機づけしていく、勇気づけていくような、そういった取り組みが必要だと考えますが、見解をお伺いします。

○鈴木事業推進担当部長 都は、女性従業員の管理職へのキャリアアップに向けて、モチベーションの向上を図る研修を実施しております。
 今年度の研修は、メンタリングやコーチングのスキルを学ぶとともに、ロールモデルとなる女性管理職等との意見交換を通じまして、自分自身のキャリアについて考えるプログラムとなっております。

○奥澤委員 女性自身への取り組みをしていることは理解しました。
 では、男性へのアプローチ、つまり、女性管理職を育成する男性管理職の意識改革についてお伺いしたいと思います。

○鈴木事業推進担当部長 企業の女性管理職をふやすためには、男性管理職など、上司の理解と協力が重要でございます。
 都は今年度から、男性管理職、男性リーダーが社内で女性の活躍を推進し、女性リーダーを育成するために必要なスキルを学ぶための研修会を実施しております。

○奥澤委員 政治の世界もそうですけれども、見えないげたを履いていることに気づいていない男性も数多くいます。まず、男性が気づく、男性がげたを脱ぐところから始められるように、男性のアプローチをしっかりと行うように求めておきたいと思います。
 もう一つ指摘をすると、女性管理職がいまだ少ないということに、男性中心の文化に合わせるように強要されている、精神的に追い込まれて、時には続けることができないケースもあると聞きます。そうした社内でまだ同志が少ない女性管理職にとっては、会社や業種を超えた横のつながりが心強いものになるといえます。
 直面する悩みや課題を共有できるような取り組みを行って、女性管理職となった後もさらなる飛躍へと支えていくことが必要だと思いますが、見解をお伺いします。

○鈴木事業推進担当部長 都は今年度から、女性管理職がマネジメントを行う上で必要となるスキルを学ぶ研修プログラムを実施しております。
 この研修プログラムの中で、さまざまな企業の女性管理職及び女性管理職候補者相互の交流会を開催し、女性管理職共通の不安や課題を共有するとともに、社外ネットワークを拡大する機会を提供しております。

○奥澤委員 大事な取り組みであるとは思いますけれども、先ほどから聞いていますと、スキル、スキルというふうな話でいっています。どのような意味でスキルという言葉を使っているのかはわかりませんが、必要なのは価値観を転換することであって、技術を学ぶことでありません。まずは正しい知識を得ること、みずからの価値観や行いを振り返ること、その上でどうしたらよりよい行動をとることができるのかという手法を学んで実践していくということだと思います。
 都の実施する研修やセミナーに来る方々が、その後、周辺の意識改革を促していく、そういったインフルエンサーになっていくということも念頭に取り組んでいただきたいと思います。
 五月に閣議決定された少子化社会対策大綱では、二〇三〇年までに男性の育休取得率三〇%を政府目標に掲げています。
 一方で、取得すればいいという問題ではありません。民間調査では、育休を取得した男性の取得期間を尋ねたところ、最も多かった回答は一日から一週間程度、次に多かった回答は二週間から一カ月程度、半年間以上の育休を取得した家庭は一一%にとどまったということです。
 そういった中で、働くパパコースでは、企業に対して、男性に育休を取得させた場合、十五日以降、十五日ごとに二十五万円の奨励金を出し、最大百八十日、六カ月間の取得を支援していますが、一カ月以上の取得の割合と、そのうち最大六カ月取得した割合についてお伺いします。

○鈴木事業推進担当部長 都は、男性の育児休業の取得を促進するため、男性従業員が連続して十五日以上の育児休業を取得した場合に、育休取得期間に応じて企業に奨励金を支給しております。
 本事業では、今年度、十月末までに百七十六件の交付決定を行っておりまして、育児休業を三十日以上取得した割合は八一%、このうち百八十日以上取得した割合は一七%でございます。

○奥澤委員 働くパパコースに申し込むような意識の高い企業では長期間の休暇をとっているということがわかりました。民間調査との数値の乖離があるということは、恐らく企業間の格差が大きいということだと思います。
 まだまだ企業や上司に理解が足りず、男性が育休をとりたいと思ってもとれない状況があることも指摘されていますが、都としてどのように啓発しているのか見解を伺いたいと思います。

○鈴木事業推進担当部長 都は、本奨励金制度を多くの男性従業員にご利用いただけるよう、都のウエブサイトや経済団体のメールマガジン等で周知を図りますほか、各種セミナーや区市町村の母子保健窓口、都内の医療機関等でリーフレットを配布するなど、広く普及啓発を行っております。

○奥澤委員 本奨励制度をご利用いただけるようにというご答弁でしたが、結果的に男性の育休取得が促進されて、男性も女性も、仕事に家事に育児にと充実した毎日を過ごせるようになるのであれば、手段は何でもいいわけです。表彰や奨励金というのは一種の広報啓発効果も含んでいるものと思いますが、広告換算としてどの程度の価値を出すことができているのかということも検証していくべきではないかと申し述べておきます。
 実行プランには、男性も家事、育児を行うことは当然であるというイメージを持つ方の割合を七〇%にするという目標がありますが、二〇一九年度末で五九%ということで、取り組みを見直す必要もありそうです。
 また、五九%の方がそう思ってなお民間調査では、男性の育休取得期間は一日から一週間が最多という状況なわけです。次々と新しい取り組みをふやしていくのではなく、これまでの取り組みを一度整理して、決して目標年次の先送りのような対応とならないように取り組んでいただきたいと思います。
 さて、私は、女性や障害者、高齢者、介護、育児休暇などを必要とする方などが働きやすい環境をつくることは、個人にとっても社会にとっても将来の可能性を広げるものと認識して、だからこそ、能力や特性を生かせる機会の創出を求めて質疑を重ねています。
 そのような意味から、昨年より実施しているシニア就業支援キャラバンについては、どれほどのニーズがあるのだろうということを注目していますが、実績や成果をお伺いします。

○村西雇用就業部長 シニア就業支援キャラバンは、地元近隣での就業を希望する高齢者に対して、面接対策セミナーから合同就職面接会まで一日で完結する就労支援イベントでございまして、昨年度は十二区市で開催し、約千八百名の高齢者にご参加をいただきました。
 参加者のアンケートによりますと、合同就職面接会に参加するのは初めてという方が八割を占め、地元地域で働きたいという高齢者の求職ニーズを掘り起こし、就労につなげることができたものと考えております。

○奥澤委員 思っていた以上にニーズがあったということかと思います。つまり、それだけの可能性を埋没させてしまっているのが今の日本だという見方もあります。
 都としての支援も重要ですが、そもそも論としての社会保障制度や定年制度、年功序列などの雇用慣習についても見直していくべきだということも、そういう示唆もあったのかというふうに思いますので、今後さらに検討を重ねていただきたいと思います。
 次に、障害者就労について、以前から取り上げております短時間就業支援事業について、取り組み状況を伺います。

○鈴木事業推進担当部長 短時間就業支援事業は、週二十時間未満の職場体験実習を通じて、体力や体調等の面からフルタイム労働が難しい障害者の就業の場を開拓するとともに、障害者雇用のきっかけづくりを行うことを目的とする事業でございまして、昨年度は中小企業五社が障害者七名を受け入れて実施いたしました。今年度は、受け入れ企業数を最大十五社まで拡大して実施いたします。
 また、業務の切り出し方や障害特性に合わせた業務指示の工夫など、受け入れ企業の具体的な取り組みを新たに事例集として取りまとめまして、ホームページ等を通じて広く発信しております。

○奥澤委員 まだ数としては大きくありませんが、障害者の就労にとって時間と場所は大きなハードルでした。法定雇用率制度は、旧来の日本の働き方や価値観における障害者雇用をふやす意味合いを果たしてきたと思う一方で、障害者自身の選択肢を狭めてきた可能性も考えなければならないというときを迎えていると思います。
 今後の障害者就労のあるべき姿、障害者自身の豊かな暮らしの実現を見据えて取り組んでいただきたいと思いますが、その意味からも、コロナ禍で障害者の解雇がふえた理由の一つに、テレワークになったことでサポート環境が失われたことがあるという指摘があることを考えなければなりません。
 東京都では、ジョブコーチ支援事業を実施していますが、その取り組み状況や課題、今後の方向性などについてお伺いします。

○鈴木事業推進担当部長 都は、障害者雇用に取り組む企業に対して、豊富な経験やノウハウを持つジョブコーチを派遣し、社内のサポート体制づくりなど、障害者が安心して働き続けられる職場環境の整備を通じて、障害者の定着支援を行っております。
 今年度は、コロナ禍のため事務所訪問による支援が難しい時期もございましたが、オンラインや電話、メール等も活用し、十月末現在で、前年同月比の九割に相当する四百六十件の支援を実施しております。
 引き続き障害者や企業のニーズを踏まえ、障害者の職場への定着をサポートしてまいります。

○奥澤委員 オンライン等での支援も多いということで、一定の役割を果たせているということは、引き続き進めていただきたいと思いますが、ここで一点、実行プランを読ませていただくと、その数値目標の中に、福祉施設から一般就労への移行についての数値目標が掲げられていました。しかし、なかなか思うように進んでいないような印象を受けます。
 今後、テレワークがさらなる広まりを見せようという中では、福祉施設においてもテレワークの可能な方への支援に取り組む必要があります。
 民間事業者ではありますが、オンラインやアプリを活用したジョブコーチ機能、仕事ログ機能を開発されている方がいますので、こうした方々や福祉施設とも連携して取り組みを求めておきたいと思います。
 ソーシャルファームについては質問が重なりましたので割愛させていただいて、最後に、働き方改革についてお伺いします。
 コロナ禍の解雇や雇いどめ、これは先ほども申し上げたように、女性や障害者にふえている調査があります。これは、正社員でフルタイム、同じ職場で働くことを前提としてきた習慣に起因すると。逆を返せば、女性や障害者も働きやすく、成果を出していける職場環境を整備していくことが今求められているし、そのような観点からも、東京都が進めてきた働き方改革について、改めて目的やその取り組みの方向性、こういったものを確認しておきたいと思います。

○村西雇用就業部長 都は、働く方のライフワークバランスの実現と企業の生産性の向上を図るため、働き方改革を推進しております。
 働き方改革の推進に向けては、中小企業の具体的な取り組みを促すため、TOKYO働き方改革宣言企業制度を実施し、長時間労働の削減や有給休暇の取得促進などを進める企業を支援するとともに、テレワークを強力に推進しております。

○奥澤委員 この働き方改革ですが、当初、こういった動きが始まったときというのは、労働者側の目線、余りにも仕事の時間が長過ぎるブラック企業だとか、そういった話からスタートしていた話だったとは思いますけれども、労働生産性が向上しなければ、結果的には経営が縮小していって、雇用を守ることもできなくなってしまうということになります。
 テレワークもそうですけれども、働き方改革という言葉自体が浸透してきた今、定着させていく段階では、生産性向上とひもづく支援のあり方をしていかなければならないと考えますが、見解をお伺いして、私から質問を終わります。

○村西雇用就業部長 都は、働き方改革宣言企業に対して経営の専門家を派遣し、生産性の向上に向けたコンサルティングを実施しております。
 コンサルティングにおきましては、業務改革やIT推進のほか、生産管理、人材育成等の経営課題の解決に向けた支援を実施しております。

○伊藤委員 まず、私からは、二月、三月から発生をしているコロナに対して、産業労働局の皆様方が積極的に中小企業支援、あるいはまた、中小の飲食店の支援をされてこられたことに、心から敬意を表したいというふうに思います。
 特に、四月の六日ころだったと思いますが、東京都の協力金というのを創設するという話が出てきてから、六月中には、大方の飲食店さん初め、協力金対象企業に給付を行うことができたというのは、大変な尽力のたまものだというふうに思います。
 そういう意味で、先ほどの質疑の中で、これがあたかも不適切な契約行為であったかのような、疑問を感じるというような指摘があったことは甚だ遺憾だといわざるを得ません。むしろ、そういった疑問だということをいわれるのであれば、根拠を示されるべきだというふうに思います。
 改めて、この契約行為、そしてまた、六月中に大方給付ができたことについて敬意を表しますし、そして、そういう意味では、皆様方にとっても限られた時間の中で精いっぱいの努力をされたものというふうに思いますが、これ、必ずしも、通告していませんけれども、その認識として、限られた時間の中での精いっぱいの契約行為であったという認識を持っていらっしゃるかどうか、確認をさせていただきたいと思います。

○坂本次長 ただいまお話しいただきましたように、限られた時間の中で、この協力金、さらには、それに続くような対応、さまざまやらせていただいたわけですけれども、やはりこれは限られた資源、そして、かなり高まっている期待、そういったものの最適解をどういう形で達成していくのかという形で鋭意進めさせていただいたものだと思っております。
 そういった中におきましては、先ほど契約のお話もありましたけれども、契約の選定の過程におきましても、さらには、その効果を最大に発揮させるためのさまざまな手法に関しても、全て適切に進めさせていただいたと、このように考えているところでございます。

○伊藤委員 答弁ありがとうございました。一日でも早く給付金が行き届くということが、多くの事業者からも求められていた声で、やはり切実な思いでありました。そういう意味では、何度も申し上げますけれども、皆様方の取り組みに敬意を表したいと思います。
 関連しますけれども、今後、一方で、これまで東京都においても、そしてまた国においても、今回さまざまな給付を行ってまいりました。その中で明らかになってきたこととして、やはり事務には一定の時間がかかる、そしてまた、給付行為にも一定の時間がかかるということでありました。そういう意味では、これは今後ということになると思いますけれども、やはりデジタルの力を利用していくということが必須ではなかろうかというふうに思います。
 今後、給付金の支給方法についても、今、国でもマイナンバーカードと連動させて口座をひもづけて、迅速に給付できるようにしようというような議論も出てきておりますので、デジタルの力を活用することで、さらに利便性を高めるとともに、行政サービスの質の向上を進めていくことで、委託に係る時間とか手数料の削減に努めていくべきと考えますけれども、見解を伺いたいと思います。

○築田産業企画担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 感染拡大防止協力金では、オンライン申請を受け付けるとともに、申請サイトにマイページ機能を設けることで、過去の申請情報を利用して提出書類を簡素化するなど、デジタルの力による利便性の向上に努めてまいりました。
 また、申請サイトは、利用者の意見を取り入れることができる対話型サイトといたしまして構築し、公開後も適宜システムの見直しを図るなど、デジタルの特性を生かして、サービスの質の向上につなげてまいりました。
 このように、デジタルの力を活用することで、給付金等の迅速な支給や事務処理の低コスト化などにつなげていくことは重要だと認識しております。

○伊藤委員 今答弁があったとおりですけれども、迅速化にもつながるというふうに思いますし、また、委託料の低減にも大いに貢献するものと期待をしております。
 あわせて、今、国が行っているゴー・ツー・イートの例をとれば、ポイントで付与をすることによって、一回そのポイントが行くたびにたまって、そしてたまったものをまた使いに行くと、またそこでポイントがいただけるということで、非常にこう、一過性ではなくて消費の繰り返し効果がそこで発生をするというのは、現金で給付をしたら一回でおしまいということになりますけれども、ポイントを使うデジタルの力を利用することによって、限られた期間の中で繰り返し消費効果を生むというふうに考えられます。
 そういう意味では、今後ますます、東京都のこうした係る給付金において、デジタルの力を活用していけるように検討を進めていただきたいというふうに思います。
 あわせて、今度は中小企業同士、あるいは大企業も含めた企業同士の商取引におけるデジタル通貨についてですが、もうこの十年くらいの間で、ビットコインも最初のころは、本当にどういう形で定着をするのかということがまだ判然としませんでしたが、今や投機的金融商品というよりは、むしろ実際にもう企業間の取引でビットコインで支払いをしてもらうというようなことも始まっています。将来的には、企業間の取引において、さまざまな仮想通貨、デジタル通貨においては課題もはらむと思いますけれども、しかし、確実にこの企業間取引における通貨としての役割を近い将来果たすことになっていきます。
 そういう意味では、今既に都庁の中でも、違う部局でもご検討いただいていると思いますけれども、やはり企業の商取引を所管する産業労働局として、このデジタル通貨、あるいは仮想通貨のあり方について、企業とともに課題をぜひ検証して、そして研究を進めていただきたいということは、これは要望にしておきたいと思います。
 さて、あわせてICT人材について伺いたいと思います。
 都民ファーストの会は、五月に都民ファースト版のロードマップというものをお示しさせていただくとともに、既に予想されていた失業対策としての経済対策プランというものを知事に提出させていただきました。
 その中で、私たちは、かつての緊急失業者支援のようなことでいえば、例えば単純労働だけお願いをして賃金を払うというようなことも、かつてリーマンショックの後などには行われていましたけれども、むしろやはりこういう失業対策においては、そこでスキルが身について、そして新産業の、成長産業の人材として、新たに戦力になっていただくというような仕組みが必要なんじゃないかというような視点で、その当時もプランを提出させていただいたところでございます。
 特に、我が国では、デジタル化が加速をしている一方で、ICT人材の不足というものがかねてから指摘をされてきました。そういう意味で、コロナ禍において失業を余儀なくされてしまった方々に対して研修を行って、そして、研修だけ都で補助するのではなくて、そこからまさにICTの人材が必要だという事業者に対してしっかり就職まで一貫して支援をする、そういうサポート体制が、このコロナの危機において築けないのかということを提案させていただいてまいりました。
 今回、そういう意味では、ICT人材への転換支援というものを事業化していただいたわけですけれども、その取り組み状況について伺いたいと思います。

○村西雇用就業部長 都は、民間事業者のノウハウを活用してIT関連のスキルを付与する職業訓練と、きめ細かい再就職支援を一体的に行うIT人材育成支援事業の受講生募集を現在行っておりまして、二百名を超える受講希望者に対して事業説明会を実施しております。
 本事業は、コロナ禍によって離職を余儀なくされた方や、非正規雇用が長いなど安定した職につけていない方に対して、他業種からIT分野への職種転換を図り、正社員としての就職を後押しすることを目的としております。
 今後、面談を実施した上で、こうした事業趣旨に合致した受講者を選考してまいります。

○伊藤委員 二百名を超えるというところに、何か今、力点を置いてご答弁をいただきましたが、まさに新しい取り組みでありますので、まずはスタートしていただいたというところに敬意を表したいと思います。
 やはりこれから、もう今既に起きているかもしれませんが、飲食店など廃業を余儀なくされてしまったところの従業員さんたちが再就職を希望しているということもあろうかと思います。そういう意味では、二百人ということにとどまらないと思いますので、今後、一層この事業を拡充していただきたいということは、あわせて申し上げておきたいと思います。
 そして同時に、こうした取り組みをしっかり、まさに失業を余儀なくされてしまった若い方々に見ていただくということが必要だというふうに思います。ああ、なるほど、こういう支援を東京都はしてくれるんだということにまず気づかないと、応募されないということになりますので、その辺の発信の仕方について見解を伺いたいと思います。

○村西雇用就業部長 本事業の情報を想定する対象の若者に届け、受講の申請につながるようにするため、都では募集チラシやSNSなど、さまざまな広告媒体を通じたPRを展開しております。
 今後は、事業の詳しい内容や訓練の様子などを利用者にわかりやすく情報発信できるよう、メディアへの取材情報の提供を積極的に働きかけるなど、事業のPRの充実を図ってまいります。

○伊藤委員 ぜひ、メディアなどへの働きかけをお願いしたいと思います。
 よくこうした発信をお願いすると、ホームページっていうような答弁が間々というか、よくあるかと思うんですけれども、むしろ、ホームページも大事ですけれども、それはやっぱり受け身の発信なので、それよりも積極的に年代に合わせた発信をお願いしたいと思います。
 特に今回、やっぱりこのICTの研修を、聞くところ三カ月程度受けて、そして就職までいくということでいうと、やはり若い方々が対象になってくるんだろうと思います。そういう二十代とか三十代の方々が見ているSNSのメディアというのは何か、そしてまた、わかりやすく伝えるのは何かというのは、例えば一つにはユーチューブもあるかもしれません。
 これまで産業労働局でユーチューブをつくって、その事業を紹介したというのはあんまり聞かなかったわけですけれども、まさにこういう対象世代が明確な部分については、そうしたソーシャルメディアの選定というのもしっかり行って、訴求していただきたいというふうに思います。
 改めて伺いますが、まさに先ほど申し上げたように、これから二百人にとどまらない、もっと多くの方々を失業対策として救っていかなければならない中で、本事業を拡充すべきというふうに考えますが、所見もしっかり伺っておきたいと思います。

○村西雇用就業部長 ポストコロナの社会では、オンラインサービスや行政手続のデジタル化などが進展していくことから、こうした産業を支えるIT関連企業で必要とされる人材を育成することは、雇用対策としてはもちろん、東京の持続的な成長のためにも重要と考えております。
 こうした観点から、本事業につきましては、現在の実施状況等も踏まえまして必要な対策を講じてまいります。

○伊藤委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 次に、ICT人材とともに、これからも注目される外国人人材について伺いたいと思います。
 日本は、とかく移民政策が進んでいない移民後進国だというふうに思われがちですけれども、実際に、国際的な基準でいうと、既に技能実習生、あるいは留学生、あるいは最近でいえば特定技能者などなど、さまざまな形で外国人の方々が今、日本で生活をされており、国際的な基準で申し上げますと、世界第四位の移民大国でございます。
 この移民がいいとか悪いとか、制度的に整っているかどうかということはちょっと一回置いておきますが、少なくても世界から見れば、それだけもう既に第四位の移民大国になっているということです。
 一方で、日本語教育や生活サポートがそれに伴って十分用意をされているかという部分については、もっと注目をしていかなければいけないというふうに思っております。
 中小企業も、今さまざまな形で、例えば先ほど申し上げたような技能実習生を、今もう何万人の単位で受け入れていますけれども、しかし、実際には来てみると、日本語が足りないとか、日常会話もなかなかできなくて、社員さん同士のコミュニケーションもできず孤立化してやめてしまう。場合によっては、やめてしまった方が不法滞在者になってしまうというようなこともあって、社会問題化しています。
 そういう意味では、この日本語教育というものを、本来、技能実習生に対しては監理団体がやらなきゃいけないとか、仕組みとしてはあるとはいえ、名目に、あるいはまた形骸化してしまっているものもありますので、実質的な支援がこれから都として必要ではないかというふうに考えています。
 中小企業支援として日本語サポートをする必要があるのではないかと思いますが、見解を伺いたいと思います。

○鈴木事業推進担当部長 都は、中小企業が外国人材を受け入れるに当たり、職場でのコミュニケーションが円滑に進むよう、日本で働きたいと考えている留学生等を対象に、ビジネス日本語やビジネスマナーの講座を実施しております。
 ビジネス日本語講座は、企業で働くための敬語表現や電話応対等を学ぶ講座でございまして、今年度は五日間の講座を定員十五名で三回実施いたします。
 ビジネスマナー講座は、名刺交換など、日本の商習慣を学ぶ講座でございまして、定員二十名で三回実施いたします。

○伊藤委員 まずスタートを切っていただいたということで、人数も限られていますけれども、しかし、いろんなところで知見が得られるのではないかということを期待しております。
 ただ、私もさまざま中小企業さんで技能実習生を、例えば雇用していたり、あるいは技能実習生に限らず、いわゆる技人国という、高度人材を採用されている企業さんの声を拾いましても、先ほど申し上げたように、やはり、例えば、ビジネス日本語がなかなかできないとかいうようなお悩みを抱えていらっしゃって、そういう意味では、仕事が終わった後に日本語学校なり、あるいは日本語教室のようなところに通わせたいというような経営者の方も結構いらっしゃいます。
 ただ、先ほどお話にあったような、今は多分、研修場所を一カ所にして、そこに来ていただくというようなことになっていると思うんですけれども、やはり就業場所が、都内だけで考えてもさまざまあります。働いている外国人の方なので、終わった後に行くというと結構もうみんな疲れていて、とてもその勉強が身に入ってこないとかいうようなこともあろうかと思います。
 ですから、やっぱりその地域地域、近場で通えるような仕組みをつくっていかないと定着しないのではなかろうかというふうに考えるんですけれども、その点についての認識を伺いたいと思います。

○鈴木事業推進担当部長 都は、中小企業で働く外国人社員が、時間や場所の制約を受けずにビジネスに必要な日本語力の向上を図ることができるよう、約三カ月間のeラーニング研修を実施しております。
 この研修は、外国人社員の日本語レベルに応じたコース別に実施しておりまして、今年度は新たに、特定技能資格の外国人の受講を想定した初級コースを設置いたしました。
 年間二百名の規模を予定しておりまして、十月末現在、百十八名の外国人社員が研修を受講しております。

○伊藤委員 そういう意味では、場所の限りのないeラーニングということで、アクセスをすればどこからでも学ぶことができるという、今、仕組みも構築をしてくださっているということでございます。
 あわせて申し上げると、やっぱり日本語はもともと難しいので、eラーニングでももちろん学べる人は学べるし、そしてまた、修学意欲というんですかね、学習意欲の高い人はeラーニングでも十分に成果が出ていきますけれども、私はやっぱり日本語というのは、教えて、そしてeラーニングを通じて教えたときには、とりわけて学習効果測定というのをやっぱり対面式でやっていかないと難しい側面があるというふうに思っています。
 そういう意味では、申し上げたように、一カ所に限って来てくださいというとなかなか行けないし、そしてまた、eラーニングをうまく織りまぜていかないと、広い地域でできないしということもあろうかと思いますので、その辺をベストミックスしていっていただきたいなというふうに思っています。
 具体的には、実は福祉保健局さんに、介護人材に対する日本語教育支援のプログラムがございまして、つまるところ、介護士として外国から日本に来られて、そして日本で、日本人と同じように介護の資格を取って就労される方−−しかしそこに対して、つかさつかさ、日本語の勉強をされるに当たっては、この福祉保健局の方で、日本語の教材費だったりとか、あるいは先生に対する謝礼に対しても二分の一補助を出しますというようなメニューを福祉保健局さんがもう持っていらっしゃいます。
 これは、本当に深刻化している介護人材不足を、何とか外国人で少しでも補っていくための一つの方策なんだというふうに思うんですけれども、二分の一補助をやっぱりしていくということであれば、別にeラーニングでも二分の一補助が出ますし、それから、どこか場所に行っていただくことでも、学校に行っていただくことに対しても二分の一補助が出ますし、そういう意味では幅広の支援になっているので、非常に使い勝手がいいのではなかろうかと思います。
 これは介護人材に限らなくて、ぜひ、この産業労働局が所管をする中小企業が、技能実習生で、あるいは特定技能者で採用してみたものの、例えば日本語が足りないというようなときには、この二分の一補助のような形で自由度の高い支援をしていただくと大変喜ばれるのではないかというふうに思うんですけれども、見解を伺いたいと思います。

○鈴木事業推進担当部長 都は、ただいまご答弁させていただきましたとおり、東京で就職を希望する留学生や、東京で働く外国人に対する日本語教育の支援を実施しているところでございますが、日本貿易振興機構が平成三十年度に実施した調査によりますと、外国人社員採用、雇用の課題として、最も多くの企業が、日本語力が求める水準に達していない、日本人社員とのコミュニケーションに支障が多いという課題を挙げております。
 今後、中小企業のニーズを踏まえまして、必要な支援のあり方について検討してまいります。

○伊藤委員 ぜひその検討をよろしくお願いしたいと思います。
 それから次に、創業助成金について伺いたいと思います。
 私も実は、創業助成金については、申請にかかわったことがありますので、自分の体験としても申し上げておきたいと思います。この創業助成金については、今までにも既にその書類の簡易化をさまざまなところから局が求められてきて、そして取り組まれているということを承知しています。
 私の方で伺った話でご紹介をさせていただければ、今まで、例えば発注の確認に当たって最大七点の書類を求めていたものを、今は原則として発注書か契約書のいずれか一点でも出していただければ助成しますよというようなこともしているということで、かつてに比べると随分書類が少なくなってきているというふうには承知をしています。
 ただ、創業助成金ということは、創業したばっかりの会社ということで、多くは十人も二十人も社員を抱えているわけじゃなしに、本当に二、三人とか、あるいは社長さんだけとか、そういう形で創業されている方が多い中で、私も見ましたけど、二、三百万円の創業助成金をいただくのに、これぐらいの厚みのファイルをつくらなきゃいけなくて、そして、買った商品一つ一つにもラベルをつけて、写真を撮って、添付してお出しをすると。
 もちろん、不正があってはいけないということだと思いますので、それは東京都の姿勢として、しっかりチェックをする、そして、不適切な支出にならないようにするというところは大事だと思います。ただ一方で、本当につくったばっかりの会社の中で、営業活動もしなきゃいけないし、売り上げも立てなきゃいけない中で、これだけの書類をつくるというのは物すごい労力になる。
 という意味で考えますと、やっぱり創業助成金なので、そういう意味では、スタートアップの企業の後押しになるよう、ぜひ簡易化というのを改めてお願いをしておきたいと思います。
 そして、あわせて申し上げると、この支払いの時期なんですけれども、実際に創業助成金を−−会社を立ち上げましたといったところからまず早々に、中小企業診断士さんのチェックも受けて、そして採択をされると、その書類を改めてお出しして申請するわけですけれども、実際にお金が入ってくるのが、結局一年以上かかっている。私の経験だと大体一年半後ぐらいになると。
 ただ、やっぱりスタートアップの企業にとって一番きついのが一年目の、自分のお給料もほとんど取れない状態の中で、例えば一千万の資本金なら、それを食い潰しながら何とか売り上げを立てていくというところの一年目が一番厳しいので、一年半後とか二年近くなってしまうと、そういう意味では、一番大事なときにお金が入らないという残念な結果になりかねません。
 そういう意味で、ぜひ創業から半年程度で給付できる仕組みにできないかということを伺いたいと思いますが、見解いかがでしょうか。

○土村商工部長 創業期の事業者は、十分な売り上げを計上することが難しく、経営状況が不安定でございます。
 特に最近では、新型コロナウイルス感染症の影響により、資金面の不安はより一層深刻なものとなっております。こうしたことから、創業期の事業者にとって、より一層効果的な支援策となるよう、創業助成金をより迅速に交付するための仕組みを検討してまいります。

○伊藤委員 ぜひ検討していただいて、創業期の一番苦しいときにお金が行き渡るようにお願いをしたいと思います。
 次いで、コロナ禍における抗原検査について伺いたいと思います。
 ここは産業労働局でございますので、この抗原検査を用いた、いわば中小事業者支援という観点で伺いたいと思います。
 とりわけて、このコロナが発生してから、イベント、あるいはホール経営とか観劇など、密になりやすい空間を使って売り上げを立てている事業者さんは、大変な状況に今陥っております。
 一方で、いつでも誰でもPCR検査を受けさせてほしいというような議論もこれまでにありましたが、私自身も、これ、一回二万円以上するPCR検査を税金で全て賄うというのは、公平性や、あるいは現実性の観点から、なかなか難しいのではないかということは申し上げてまいりました。
 そしてまた、お仕事用、あるいは例えばレジャー用とか、さまざま、このPCR検査やその陰性検査を受けたいという方々の理由や動機がある中で、まさに申し上げた公平性を担保するというのは非常に難しくなってまいります。
 一方で、抗原検査についていえば、一回当たり、最近では千円程度とか、もっと安くできますよというような、いわゆる検査キットであったり、検査機器というものができてくるようになっています。
 厚生労働省によれば、この抗原定量検査は、イベント開催時の検査対象と想定される無症状者についても適用が可能とのことでありました。
 すなわち、例えば、これから東京二〇二〇大会もありますし、また、日常的にも今、既にイベントなどが地域地域で開催をされています。こういった、特に密閉型の空間の中におけるイベントにおいて、やはり、とはいえ、その中で感染しないだろうかという不安がありますので、例えばですけれども、この抗原検査というものを出入り口のところでまず受けて、そして陰性だということがわかれば、少なくてもPCR検査と比べたときに、大ざっぱなことを申し上げますけれども、大体一〇%から二〇%ぐらいその正確性というものが落ちるようですけれども、しかし、一定程度のスクリーニングは、この抗原検査ではかることができるというふうに思います。
 今後、やはりだんだんとイベントを再開していくという過程の中において、例えば、この抗原検査の機械、百万とか、二百万とか、高いものだと五百万ぐらいするみたいですけれども、その機械をイベント会社が購入するに当たって、これを、逆に都として補助してあげる。そうすると、抗原検査機器が、ある種そうした事業者さんたちに行き渡って、入り口の段階で陰性確認をして、大体十五分ぐらいでこれは結果が出ますので、十五分ぐらいはお待ちいただきますけれども、どんどんどんどん、それで会場の中に流し込んでいくことができるんじゃないかというふうに思います。
 こうした抗原検査機器を用意するような支援というものが、現実的で効果の高い取り組みになるのではないかと考えるんですが、見解を伺いたいと思います。

○築田産業企画担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 イベント等を開催する事業者が、コロナ禍におきまして三密を避ける、人と人との間隔を確保するといった基本的な感染防止策を講じるとともに、参加者の感染状況を事前に把握し、適切に事業を展開することは重要でございます。
 イベントの開催に当たりましては、スタッフや来場者の安全・安心の確保を図ることが前提となるため、それらに係る負担を含めた事業展開に向けて、経営の知識、ノウハウを提供することは重要であり、専門家によるアドバイスを行っております。
 具体的な機器等の導入につきましては、業界ごとに定めておりますガイドラインの中で対象となる場合には適切に助成を行ってまいります。

○伊藤委員 今お話にあったように、業界ごとに定めているガイドラインの中で対象となる場合には適切に助成を行っていくということで、これはあれですよね、一事業者につき一回の申請に限り内装、設備工事であれば百万円を上限に、そしてまた、備品購入費であれば五十万円を上限に三分の二助成をすると、そういう仕組みであるということでよろしいですよね。−−このガイドラインというのは、ご承知のとおり国と業界で基本的には定められているガイドラインということで承知をしています。
 ですので、現状、抗原検査を例えば出入り口で行えば、これぐらいイベントをやっていいですよというようなガイドラインにはなっていないというふうに思いますので、むしろこのガイドラインの方で変えていただくということも一つの方策かなとは思います。
 その辺の、やっぱり実情、事情というのも、ぜひ皆さんの方から、これまた特にイベントとかホールとか、それから、芸能とかというと業界団体がまるっと一つになっているわけではなくて、割とそれぞれ業界団体が、小さな業界団体として独立していたりもしますので、ぜひ皆さんの方でニーズを聞いていただいて、そして、むしろガイドラインを変えていただくことで今の事業にのせるというのも一つだと思いますし、また、ガイドラインを変えなくても、むしろこういう、私は抗原検査機器に対しては補助を行って行き渡らせていくことが必要だというふうに思ってますので、ぜひ、その点はご検討をいただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 それと、もう一つ申し上げたいと思うんですが、ガイドラインに基づく、今申し上げた百万円を上限にするもの、あるいはまた、備品購入費五十万円を上限にする助成については、これは今さっき私が申し上げたように、一事業者につき一回の申請で一カ所ですよね。ですから、例えば十店舗経営している飲食店でも一個しかやれない。一回しか工事できないというようなことにもなると思いますし、あるいは一店舗が物すごい大きいのに、しかし、例えばサーキュレーターみたいなものを一個か、あるいはまた五十万円以内か、限定的にしなきゃいけないということだと思います。
 そういう意味では、もっと面積に応じてとか、店舗数に応じてとかというふうに、もう少し柔軟に、ガイドラインに基づく感染防止設備機器購入費については、あるいは工事費については緩和をしていただきたいということは申し上げておきたいと思います。
 それから、最後に国際会議について伺いたいと思います。
 コロナ以前から、東京はMICE誘致について積極的に支援を行ってきていることは承知をしています。まさにMICEは成長産業ということで、下支えをしていただくことが東京の経済を大きく発展させていくことにつながると私も確信をしていますが、本当に二月以降、まさに展示会やら国際会議などがなかなか開催できない状況に陥っています。
 そういった中でだんだんと、先般、東京都の方でも行われました産業交流展二〇二〇もバーチャルで開催をされたんですかね。−−これからする、じゃあこれからバーチャルでするということでありますので、そういう意味では、だんだんとこうハイブリッドにしたり、あるいはバーチャルにしたりという形で、展示会とか国際会議のあり方も変わってくると思います。
 既に今年度、MICE誘致のための補助金というのは、都は用意をされてきているわけですけれども、例えばもともとはリアルにやろうと思っていた中で、まさにこれからやるバーチャル産業交流展のように、バーチャルでやることになりましたという国際会議を行う事業者に対して、しっかり支援できないだろうかというふうに思います。
 仮にも、もともとの予算編成は今年度の予算編成段階ではリアル国際会議に対する補助だったと思うんですけれども、これを事業者がオンライン会議に変えてやりたいんですといったようなときには、どのように支援できるのか、お答えをいただきたいと思います。

○松本観光部長 感染症拡大に伴い予定されていた国際会議の多くが中止または延期となっているものの、当面の措置としてオンラインを取り入れた会議も一部開催されております。
 都では、会議の主催者に対して、会場借り上げに係る経費や機材費への支援を行っておりまして、オンライン会議に必要なスタジオやモニター、スピーカー等の機器も支援の対象としております。また、都内のMICE施設に対しても、オンライン会議に必要な設備の導入等を支援しております。さらに、会議の主催者に対しては、実際に訪都できない状況にある中でも、参加者の満足度を高めるため、東京の魅力を紹介する動画の配信等のプログラムを提供しております。
 こうした取り組みにより、コロナ禍においても、主催者や施設のニーズを踏まえながらMICEの誘致を進めてまいります。

○伊藤委員 そういう意味では、今、答弁にあったように、オンライン会議に必要な設備の導入などを支援しているという答弁でありました。そういう意味では、都としてできる限りの精いっぱいの支援をもともと設計していた制度設計以上にというのか、幅広に見て事業者支援をされているということがよくわかりますが、私たちはよくわかったんですけれども、多分、実際にMICE誘致をされてきた事業者さんたちは、オンラインに切りかえても、今あるメニューで支援してもらえるんだというふうにはなかなか理解されていないかもしれません。
 そういう意味で、しっかりここも、事業者さんたちに見えていると思いますので、どうぞ皆さんの方から、オンライン会議でも、例えば今、答弁にあったようなスタジオ代でも出しますよというようなことを周知していただきたいと思います。
 実際にオンラインで国際会議をやろうと思ったときに、会社の中の会議室だけでできるかというと、それこそ一定のやっぱり設備が必要だというようなことがあって、スタジオを借りるとかということもあろうかと思います。
 そこに東京都がしっかり補助を出してあげるんだというふうには、余り多くの方々が思っていらっしゃらないと思うので、ぜひそこは、今みたいな答弁の内容をしっかり皆さんにお伝えをいただき、傷ついている事業者さんの支援を積極的に行っていただきたいということを改めて申し上げて、質疑を終わらせていただきたいと思います。

○山崎委員 私からも、都政において懸案になっている課題について、産業労働局の事業を通じた視点から、まず、築地市場の跡地の再開発について、MICE施策等とのかかわりから、産業労働局としての考え方について質問をしていきたいと思います。
 平成三十一年の三月に策定された築地まちづくり方針では、MICE施設について、創発MICE機能を持つ国際的な交流拠点の形成が掲げられ、そのコア施設として、国際競争力に資する、展示機能を備えた一定規模の国際会議場、そのように記載がされております。
 また、都の観光産業振興実行プランでは、誘致の国際競争力強化に向けた施設整備については中長期的な課題である、このようにも記載をされております。
 都は、経済波及効果の高いMICE誘致に向けて取り組んでおりますが、MICE誘致推進の観点から、この築地まちづくり方針をどのように捉えているのか、産業労働局の立場でお答えをいただきたいと思います。

○松本観光部長 都は、東京都MICE誘致戦略に基づき、東京の魅力を国内外にアピールする機会であるとともに、高い経済波及効果が期待できるMICE誘致を積極的に推進しております。
 本戦略では、海外競合都市において、MICE受け入れ施設の大型化、複合化が進展しているとの認識のもと、大規模都市開発等の機会を捉え、民間事業者等が行うMICE関連施設の整備を促進し、MICE開催都市としての東京のプレゼンスを高めていくと記載してございます。
 こうした観点から、築地まちづくりの方針の内容は、本戦略の方向性とも合致するものであると認識しております。

○山崎委員 しかし、築地に近い場所には、東京ビッグサイトや東京国際フォーラムが立地をしており、既に多くの展示会や国際的な会議が開催されるなど、重要な役割を担っております。仮に、築地に新しいMICE施設ができた場合は、既にあるこれらの施設にも影響を及ぼすことが考えられます。
 そこで、東京ビッグサイトと東京国際フォーラムの両施設を所管する産業労働局の立場から、築地まちづくり方針に示されているMICE施設についての認識を伺います。

○土村商工部長 東京ビッグサイト及び東京国際フォーラムのそれぞれの施設の特色を生かしながら、新たな施設との連携を図り、相乗効果を高めていくことが必要であると認識をしております。

○山崎委員 それではお聞きをいたしますが、築地のまちづくり方針の作成に当たり、商工部長、また観光部長、答弁いただきましたが、産業労働局のそれぞれの現場の担当部長のところに、この築地まちづくり方針に当たっての相談や協議など、どのように取り組みに参加をし、また、どのような意見を話をしたのか、具体的に教えていただきたいと思います。

○松本観光部長 MICEは経済波及効果が高く、東京の観光産業を初めとした産業力の強化につながり、ひいては都市のプレゼンス向上に寄与することから、都は、MICE誘致を戦略的に進めてまいりました。MICE機能を含むまちづくりについては、全庁的な検討体制において、関係各局において連携を図ってございます。
 こうした総合的な観点のもと、産業労働局として、今後激化することが見込まれるMICEの誘致を引き続き積極的に推進してまいります。

○山崎委員 それでは、築地まちづくりの方針に対しては、いろいろな協議が産業労働局の皆さんともされたという認識でよろしいでしょうか。

○松本観光部長 繰り返しになりますが、東京都では、東京都MICE誘致戦略に基づき、東京の魅力を国内外にアピールする機会である、また、高い経済波及効果が期待できるMICE誘致を積極的に推進しております。
 こうした観点から、築地まちづくりの方針の内容は、東京都MICE誘致戦略の方向性とも合致するものであるという認識でございます。

○山崎委員 よくわかりました。また引き続き、この件についても教えていただきたいと思いますし、また、質疑の中で明らかにしていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 私の方から意見をちょっとお話をさせていただければ、我々都議会自民党といたしましては、これまで、築地市場の跡地にMICE施設の整備をすることについて、有償所管がえに要した五千四百二十三億円の改修見通しがはっきりと示されないなど課題を指摘し、多額の都税を投入したまま再開発するのではなく、計画的に売却をしていくことこそが有効と主張をしてまいりました。
 また、都が作成するまちづくりの計画では築地のほかに、港湾局がこれ中心となっておりますが、ベイエリアビジョンにおいて、青海にもMICE施設の整備が提案をされております。そのほか民間でも臨海部にMICE施設の整備が計画されていると、また聞いております。
 観光産業の振興を図る上で、国際競争力を高めるためにMICE誘致を積極的に進めることはもちろん重要でありますが、臨海エリアにどれだけのMICE施設が必要で、そのうち都みずからが整備をするべきものがどれだけ必要なのでしょうか。
 ここまでの答弁から、産業労働局は築地まちづくり方針について肯定的な立場であるということが、今の答弁でも確認がとれました。しかし、今述べたようにさまざまな課題がある中、果たしてそれで本当によいのでしょうか。
 MICE施設は産業労働局のほか、都市整備局、また港湾局などが所管をしておりますが、それぞれの局がばらばらに考えるのではなく、全庁を挙げてしっかりと議論をし、現実的なMICE戦略を練り上げるべきだと考えます。
 産業労働局は、MICEの誘致戦略を所管する中で、世界のMICE事情に通じており、ビッグサイトや国際フォーラムを所管するため、MICE施設を経営する観点も持ち合わせております。
 産業労働局にはそうした強みを生かし、築地のまちづくりも含むMICE施策に関する都庁内の議論において、現実的で説得力のある意見をぶつけるべきと指摘をし、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 一つ、つけ加えるとなると、皆さんもよくおわかりのように、ビッグサイトの立地、また国際フォーラムの立地、その間にまさに築地があるような感じですよね。ですから、ビッグでは何をするのか、フォーラムではどういうものをやるのか、それによって、またお客さんの取り合いにならないように、やっぱりしていかなきゃいけないと思いますよ。
 民間がやるMICEももちろんある、また、大田区の羽田の方ではいろいろな建物もできていますよね。そういった観点から、東京都内のMICE施設というものを総合的にやっぱり考えていかなきゃいけない。その先頭にも、ぜひ産業労働局にもなっていただきたい、そういう意味で質問させていただいたわけであります。
 続いて、ビジネスチャンス・ナビについて何点かお伺いをいたしたいと思います。
 私は、さきの第三回定例会の代表質問で、東京大会の開催がコロナ禍を乗り越え人類が一つにつながることの大切さを伝える機会になると訴えました。
 今週はバッハ会長が菅総理大臣や小池知事と会談をし、来年の夏に観客を入れて開催をすることに確信を持つことができたと述べたことは、招致開始以来、多くの人々の努力が無にならなかっただけでなく、大きな困難に直面しても夢や希望を実現させるという点で、極めて意義のある発言だったと考えております。
 私は、コロナ感染症対策を万全な対策、また、体制を進めていきながら、そして行うことがまず大前提の中、大会を開催することとあわせて、もう一つ大事なことがあると思います。大会を契機に経済の回復をしっかりと図っていくということであります。感染症の影響により疲弊している中小企業は、それを実感できることこそが重要であります。
 都は、この東京大会を契機として、東京のみならず全国の中小企業の取引拡大を支援するビジネスチャンス・ナビ二〇二〇を展開しております。大会が一年延期となったことを踏まえれば、ビジネスチャンス・ナビの一層の利用拡大を図り、より多くの中小企業がメリットを受けられるよう、取り組みの強化が必要だと考えます。
 そこで、ビジネスチャンス・ナビの現在の取り組み状況と今後の課題について伺います。

○土村商工部長 ビジネスチャンス・ナビ二〇二〇は、東京二〇二〇大会等を契機とする官民の調達情報を一元的に集約した受発注取引のマッチングサイトでございます。
 東京二〇二〇大会組織委員会を初め、都の二十八の政策連携団体等の電子入札のほか、民間企業間の受発注マッチングシステムとしても活用されております。
 ナビの利用促進に向けて、昨年度は六つの展示会に出展してPRを行うとともに、現在の道府県や商工団体等を通じた周知を行っており、ことし十月末のユーザー登録数は三万五千四十八件となっております。
 ナビを活用した商談をより一層活発なものとしていくためには、今後もユーザー登録を促すことにより、発注側と受注側の双方の企業をふやしていく必要があると認識しております。

○山崎委員 来年開催される東京大会はもちろんのこと、その先を見据え、東京だけでなく、全国の中小企業の取引を活性化させていく必要があると考えます。
 現在、三万五千の登録企業とお話がありました。ちなみに、これはロンドンの大会を参考にしながら進めたことと思います。ロンドンはたしか十八万件に上っている。その目標を掲げて今までやってきたわけですよね。それがまだ三万五千という、そういった数字になっている。皆さん方もご努力をされていることはよくわかっておりますが、やはり、まずは登録企業をもっともっとふやしていく必要があると思います。
 この登録企業をしっかりと我々の宝として、このビジネスチャンス・ナビを大会終了後もどのように生かしていくのか、また、バージョンアップも図っていくのか、そういった視点で今後の事業展開を検討をしっかりとしていただいて、さらなる取り組みの充実を図ることを求めて、次の質問に移りたいと思います。
 商店街のオリンピックのフラッグについてお伺いいたします。
 去年はラグビーのワールドカップ、大変盛り上がりました。商店街でもさまざまなフラッグの掲出は、いろんな地域から、幅広い盛り上げに大いに効果があったと思います。
 東京大会は新型コロナウイルス感染症を乗り越えたあかしとなるものであり、大会が終了するまで東京のまち全体の機運を盛り上げ続けなければなりません。
 都は、この東京大会の機運を醸成するため、商店街フラッグ掲出に取り組んでおられますが、一回、何かやめる、途中で一回しまうみたいなお話もあったんですけれど、これまでの取り組み状況について伺います。

○土村商工部長 都では、昨年四月に商店街連合組織等の協力を得て実行委員会を立ち上げ、関係機関が一丸となってフラッグ掲出を推進する体制を構築いたしました。
 昨年度は、ラグビーワールドカップ用のフラッグを掲出し、大会終了後に東京二〇二〇大会用のフラッグにかけかえを行っております。
 東京二〇二〇大会の延期を受け、本年七月に改めて商店街へ意向調査を行ったところ、継続したいとの意向のほか、新たに掲出したいとの要望もあり、最終的に約四万九千枚の掲出を予定しております。
 多くの商店街の協力を得ながら、大会終了時まで掲出を続け、地域を挙げた盛り上げの実現と商店街の活性化を図ってまいります。

○山崎委員 観光プロモーションの取り組みについてもお伺いいたします。
 都では、東京の観光産業が飛躍的に成長する絶好の機会となる東京大会に向けてさまざまな観光施策の準備をしてきたと思いますが、新型コロナウイルス感染症の影響によって、東京大会が延期になったため、事業の休止も余儀なくされたものも多いと思います。
 一方で、東京大会は海外からの観客受け入れも含め、来年の開催に向けて準備が進められていることから、観光プロモーションについて本格化していくことが必要となると思います。
 そこで、観光プロモーションの今年度の取り組み状況について伺います。

○松本観光部長 都は、コロナ禍におきましても、旅行者の東京への関心をつなぎとめるため、海外の旅行事業者等に対するメールニュースの定期的な配信や、オンラインイベント等を通じて情報発信を行っております。
 今後、東京二〇二〇大会に向けては、海外メディアによるCMやミニ番組の放映により、世界約二百の国、地域に対し、都内の観光施設等の感染症対策や、東京観光の最新情報を広く発信してまいります。
 さらに、現地に出向いてのプロモーションができない状況を踏まえまして、海外メディア等に対し新たにオンラインセミナーを開催し、都内観光関連事業者に商談の機会を提供してまいります。

○山崎委員 東京大会開催は、インバウンド受け入れ再開の観点からも大きな節目になると思います。感染症の状況を踏まえながらも、この逆境をチャンスと捉え、東京の感染防止対策など安全・安心の取り組みを国内外に発信しながらプロモーションを展開し、インバウンド需要の回復につなげてほしいと思います。
 産業労働局では、今年度、東京大会に合わせて東京が持つさまざまな魅力のPRや、経済波及効果を生み出す事業など多くの計画をしてきましたが、その多くが中止や延期を余儀なくされております。東京大会では、コロナ禍で延期になったがゆえに大会の開催の意義は一層大きくなっております。
 大会に関連した事業も、感染症の影響で内容や運営体制に変更が生じることが想定されますが、しっかりと実施することが東京全体での大会の盛り上げと経済の活性化につながるものと考えます。
 産業労働局には、来年の夏に向けて大会に合わせた事業の準備を万全に期すよう改めて要望し、私の質問を終わります。

○菅原委員長 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩をいたします。
   午後六時十一分休憩

   午後六時四十分開議
○菅原委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言をお願いいたします。

○高倉委員 それでは、雇用就業対策について質問をしたいと思います。
 既に、きょう私がこれから質問しようとすることのテーマは質問されておりますけれども、質問の内容は違いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 新型コロナウイルス感染症の拡大は、雇用情勢にも大きな影響を及ぼしております。国の発表によれば、解雇や雇いどめなどで離職を余儀なくされる方は、十一月六日現在の数字ですけれども、全国で約七万人、東京でも約一万七千人に上るというふうに見込まれているわけであります。
 都内の有効求人倍率も、一倍は維持をしているものの、七カ月連続で低下をしておりまして、完全失業率も三・二%と、昨年の同じ時期と比べて大きく上昇をしております。
 この間、国はもとより東京都におきましても、数次にわたる補正予算案の編成を通じまして、コロナ禍における雇用の緊急対策を講じてきておりまして、きょうはそうした取り組み内容について質疑をしたいと思います。
 まず、雇用調整助成金についてお伺いしたい思います。
 私ども公明党は、働く方々の雇用の維持に向けまして、企業に対し休業手当等の一部を助成する雇用調整助成金につきまして、助成率や限度額の引き上げ、また、支給対象要件の緩和など、助成金の特例措置の拡充を推進してまいりました。
 都においても、私ども都議会公明党の要望を受けまして、雇用調整助成金の活用を後押しするさまざまな支援を実施してきているわけですけれども、これまでの都の取り組み状況についてお伺いをしたいと思います。
 あわせて、特例措置の期限であります十二月末が迫ってきている中で、都内の経済、雇用情勢は依然として深刻な状況が続いております。
 そこで、都として、特例措置のさらなる延長を国に強く要望すべきと考えますけれども、見解をお伺いしたいと思います。

○村西雇用就業部長 都は、雇用調整助成金の活用を促進するため、社会保険労務士の中小企業への派遣による申請手続のサポートに加えまして、助成金制度の基本的内容や申請手続などをわかりやすく解説するオンラインセミナーを実施しております。
 また、助成金の支給決定を受けた中小企業が休業手当の規定整備など、非常時における雇用環境整備に取り組む際に奨励金を支給しております。
 十月末までの実施状況でございますが、社会保険労務士の中小企業への派遣は九百四十五社、オンラインセミナーの受講者数は百七十一人であり、雇用環境整備の奨励金は七千件を超える申請を受け付けております。
 雇用調整助成金につきましては、現下の都内における厳しい経済、雇用情勢等を踏まえまして、特例措置を令和三年以降も延長するなど、柔軟に対応するよう、都として国に要望してまいります。

○高倉委員 今、ご答弁にありましたけれども、東京都としての支援、社会保険労務士の派遣でありますとか、あるいはオンラインセミナーの実施、それから、雇用環境整備に取り組む際の奨励金、こういったことは、私は評価できるものであるというふうに思いまして、ぜひしっかりと継続をしていただきたいというふうに思います。
 また、雇用調整助成金の特例措置の延長を都として国に要望するという、今、重要なご答弁もありました。要望の際には、労働者の方に直接給付されます休業支援金、あるいは給付金、こうしたものについての周知の強化を図るように、あわせて国に要望していただきたいと思います。
 次に、オンラインスキルアップ支援事業についてお伺いしたいと思います。
 コロナ禍におきまして、感染症の防止と経済活動との両立を図ることが求められている中では、休業やテレワークなどの在宅勤務で生まれた空き時間を有効に活用して、従業員のスキルアップを図り、雇用の維持や生産性向上につなげていくということが重要であるというふうに思います。
 都は、都議会公明党の要望を踏まえて、中小企業がオンラインを活用した人材育成を支援する事業を行っておりまして、先般の第三回定例会では、補正予算で拡充も行っているわけであります。
 そこで、この事業の具体的な取り組み内容と実施状況について、ご答弁をいただきたいと思います。

○村西雇用就業部長 都は、休業や在宅勤務が継続している機会を有効に生かし、従業員のスキルアップを図る中小企業を支援する中小企業人材オンラインスキルアップ支援事業を実施しており、中小企業が従業員に対してeラーニング研修を受講させた際の受講料等の経費を補助率五分の四、上限額三十二万円で助成しております。
 eラーニング研修の講座の具体的な内容としましては、新入社員や管理職層ごとに行う職層別の研修や、電気工事士、社会保険労務士等の資格取得講座、さらには貿易やマーケティングなどの実務に役立つスキルアップ講座など、各企業の人材育成の目的に応じて多様な内容となっております。
 本事業につきましては、十月末時点で約七百社の中小企業から申請があり、利用が進んでおります。

○高倉委員 今、活用が進んでいるというご答弁がありました。この事業については、ポストコロナというときにおいても非常に役立つのではないかなというふうにも思います。
 感染症の拡大防止と経済活動の両立に向けて、さらに充実を目指していただきたいと思います。
 コロナ禍におきましては、雇用調整助成金による休業手当の助成など、雇用の維持に向けた対策とともに、離職を余儀なくされた方々の再就職支援にも力を注ぐ必要があるというふうに思います。
 コロナ禍の雇用環境の特徴としまして、宿泊、飲食業など一時的に雇用過剰となった業界がある一方で、介護業界など人手不足が続いている業界もあるわけであります。したがって、マッチングの機会を図っていく、そして早期の再就職を支援していくということが重要であると思います。
 都は今月から、離職された方々の早期の再就職に向けた短期集中型の新たなマッチング支援といったものを開始しておりますけれども、その取り組み内容についてご答弁いただきたいと思います。

○村西雇用就業部長 都は、新型コロナウイルス感染症の影響による解雇や雇いどめで離職を余儀なくされた方々の早期の再就職に向けたマッチングの機会を創出するため、雇用の緊急対策として、新たな再就職支援プログラム、就職1dayトライを今月から開始いたします。
 本事業は、キャリアカウンセリングや業界研究、面接対策などのセミナー、合同就職面接会を一日で集中的に実施する短期集中プログラムでございまして、若者、中高年、女性求職者などのニーズを踏まえ、成長産業であるIT業界や人手不足が顕著な福祉、介護業界など、コロナ禍でも採用意欲の高い企業とのマッチングを効果的に行ってまいります。
 今月開催する第一回の新宿会場を皮切りに、多摩地域での二回も含め、全六回の開催を予定しております。

○高倉委員 今、就職1dayトライの事業内容について説明があったわけであります。キャリアカウンセリングとかセミナー、そして合同就職面接会、これを一日で集中的にやってしまう、大変有効な取り組みではないかなと思います。
 特に離職を余儀なくされた方は、就職活動からも遠ざかっているというようなことがありまして、自分が経験をした職種以外に、どういう業種に申し込んでいいのかよくわからない、そういうことでありますとか、あるいは自己アピールの方法もよくわからない、こういった方も恐らく多いのではないかなと思います。非常に有効な取り組みだと思いますので、ぜひともしっかり取り組んでいただくようにお願いをしたいと思います。
 次に、女性の再就職支援についてお伺いしたいと思います。
 コロナ感染症の拡大は、非正規雇用労働者、そして、先ほども申し上げましたように宿泊、飲食業等への影響が大変大きいことから、その就業割合が高い女性の雇用に特に影響があらわれているのではないかと思います。
 都はこれまで、私ども都議会公明党の要望を受けて、飯田橋の東京しごとセンターに設置をしております女性しごと応援テラスにおいて、出産とか子育てから、一度離職をした女性に対するきめ細やかな再就職支援に取り組んできたわけであります。
 こうしたテラスの支援を受けまして再就職を実現した女性の方も数多くいらっしゃるということから、私ども都議会公明党は、この取り組みを一貫して応援してくるとともに、取り組みのさらなる充実の強化、そして、とりわけ多摩地域での開設といったことも要望してきたわけであります。こうした中、ことしの十月に、都は女性しごと応援テラスの多摩ブランチというのを立川市に開設いたしました。
 そこで、この多摩ブランチにおける取り組みと、開設後の利用状況について答弁をいただきたいと思います。

○村西雇用就業部長 都は先月、女性しごと応援テラスの多摩ブランチを開設し、専任のアドバイザーによるキャリアカウンセリングや就職活動に役立つ面接対策のセミナーなど、多様な就職支援サービスを提供するとともに、近隣に立地するマザーズハローワーク立川と連携した職業紹介を実施し、就職まで一貫した支援を展開してまいります。
 また、今後、多摩地域の市町村とも連携し、出張就業相談などを各所で開催するなど、潜在的な女性労働力を掘り起こし、多摩地域における女性再就職支援を強化してまいります。
 多摩ブランチのオープニング記念として実施しましたオンラインセミナーの受講者は七十一名であり、開設後一カ月で約六十名の方に対しキャリアカウンセリングを実施いたしました。

○高倉委員 今のコロナ禍においては、女性の雇用対策というのは大変重要なポイントだと思いますので、ぜひともしっかりとお願いをしたいと思います。
 都は昨年、都民の就労の支援に係る施策の推進とソーシャルファームの創設の促進に関する条例を制定しまして、就労を希望しながらも障害や社会的、経済的、その他のさまざまな事情から就労に困難を抱える方々に対しまして、その実情等に応じた支援にしっかりと取り組んでいくということにしたわけであります。
 こうした方々への支援には、働くための準備から就職活動、そして就職後の定着といったところまで、本当に本人に寄り添った丁寧な対応というのが必要であります。とりわけコロナ禍におきましては、より深刻な状況に置かれている方々もふえておりますので、いち早く就労に向けた支援につなげていただきたいというふうに思います。
 都は、こうしたさまざまな事情から就労することが困難な方への支援を専門的に実施をする支援窓口として、それをしごとセンターに開設をしたわけでありますけれども、この窓口の支援サービスと支援状況についてご答弁をいただきたいと思います。

○村西雇用就業部長 都がしごとセンターに開設いたしました専門サポートコーナーでは、臨床心理士やキャリアカウンセラーなどの専門スタッフが就労に向けた支援をチームで行っていくことに特徴がございます。
 具体的には、個別支援計画の作成、ビジネスマナーやパソコンなどの基本的スキルを身につける講座の実施、職場見学、体験、本人が抱える事情に合った働き方が可能な求人企業の掘り起こし、就労後の定着まで、きめ細かい支援で就労をサポートしてまいります。
 九月の開設以降、障害者の就労支援機関や地域若者サポートステーション等に周知を行い、障害者の方や生活困窮者の方など、二十二名に対して支援を実施しているところでございます。

○高倉委員 専門分野のスタッフがチームを組んで実施をするということは大変効果的な取り組みであると思いますので、さらに強化をよろしくお願いしたいと思います。
 次に、学生の就職活動支援について質問したいと思います。
 コロナ感染症の拡大は、近年、売り手市場が続いていた新卒学生の就職活動にも大きな影響を与えることとなりました。
 企業説明会や大規模ホールで開催が予定をされておりました合同就職面接会も、これは相次いで中止になっております。それにかわりまして、オンライン面接といったものが導入されるなど、ふなれな就職活動に大変苦労した学生も多いというふうにお聞きをしています。
 また、国は先月、ことし三月に大学や高等学校を卒業し就職を予定していた人のうち、全国で百三十名が、主に新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、内定を取り消されたり、あるいは入社時期が延期になったということも公表したわけであります。
 都は、第二回定例会におきまして、私ども都議会公明党の要望を受けて、コロナ禍においても新卒者の就職活動を支援することが可能となるように、学生向けの就活専用のウエブサイトを立ち上げたわけですけれども、その具体的な支援内容についてご答弁をいただきたいと思います。

○村西雇用就業部長 しごとセンターでは、コロナ禍での学生の就職活動を支援するため、新卒学生を対象とした就活ウエブサイトを六月に立ち上げ、多様な支援メニューを提供しております。
 ウエブサイトにおきましては、ビデオ会議システムを利用したオンラインでのキャリアカウンセリングが可能であり、これまでのところ延べ約二百八十名の新卒学生に対し、就活カウンセリングを実施いたしました。
 また、オンライン面接のコツや自己PRのポイントなどを解説するセミナー動画の配信、オンラインによる企業説明会、LINEによるチャット相談などのコンテンツを提供するなど、コロナ禍における就活を支援しております。

○高倉委員 最後の質問になりますけれども、職業訓練の取り組みについてお伺いしたいと思います。
 コロナの影響によりまして、学生だけでなく、若者の雇用環境も厳しさを増しております。若者の失業率は他の年代よりも高いわけでありまして、こうした若者が安定した雇用につけるように、都では職業能力開発センターにおいて、就職に必要な知識や技能を習得する職業訓練というものを実施しているわけであります。
 私も、以前のことになりますけれども、城東地域の職業能力開発センターにありますジョブセレクト科の訓練というのを拝見させていただきました。やりたい仕事がなかなか見つけられずに就職にちゅうちょをする方とか、あるいは高校を中退して、その後、進路を探せないでいる方々、こういった方に対して、指導員の方が幾つもの、ものづくり技術をきめ細かく指導していたわけでありまして、今でもその光景というのは覚えているわけであります。この訓練は、都が独自に開発をしたカリキュラムでありまして、今般のコロナ禍における若者の就職支援だけではなくて、人手不足が続いておりますものづくりの分野の人材確保にもつながっていく、大変重要な取り組みであるというふうに思います。
 地域の関係団体ともよく連携を図りながら、多くの若者にさらに周知をしていただきたいと思います。
 そこで、最後に、ジョブセレクト科の訓練内容や募集の取り組みについてお伺いをして、質問を終わりたいと思います。

○村西雇用就業部長 ジョブセレクト科は、これまで働いたことがない方や、就業経験が少なく自分に合った仕事を探している方などを対象に設置した二カ月間の訓練科目でございまして、城東と多摩の職業能力開発センターで実施しております。
 具体的な訓練の内容としましては、入校後、初めの一カ月では、機械、建築、電気、福祉などのさまざまな業種を体験する中で、みずからの適性に合った仕事を見つけていただき、二カ月目においては、ビジネスマナーや文書作成、接客対応、パソコンなどに関する基礎的な知識を習得する訓練となっております。
 また、修了後にさらに技能を深めたいという希望を持つ受講生に対しては、他の科目を続けて訓練することができる仕組みとしてございます。
 また、募集に関しては、ハローワークはもとより若者サポートステーション等に訓練科目をPRするなど、国や地域の就労支援機関と連携して支援対象者の若者の掘り起こしに取り組んでおります。

○あぜ上委員 それでは、私から、大綱三点について伺いたいと思います。
 第一に、雇用におけるジェンダー格差についてです。
 ほかの委員の方からもお話がございましたが、コロナのもとで女性はより困難な状況に追い詰められています。私のところにも、アパレル関係、それから、経理の事務などをしていらっしゃる女性の派遣社員の方々の雇いどめや、パートの女性から、解雇されたといった声などが寄せられました。また、子供の一斉休校や介護のために仕事をやめざるを得なくなったという女性も多くいました。
 総務省の七月の労働力調査によりますと、役員を除く非正規の職員、従業員数は対前年度比で百三十一万人減っておりますが、比較可能な二〇一四年一月以降、最大の下落幅となったわけです。そのうち女性は八十一万人減ということで、非正規の多い女性にしわ寄せが集中したわけです。
 そこで、まず伺いますが、コロナ不況による雇用危機が女性を直撃していることに対する認識について伺います。

○村西雇用就業部長 今般の新型コロナウイルス感染症の拡大は、女性がその多くを占める非正規労働者への影響が大きいことなどから、女性の雇用環境は厳しい状況に置かれていると認識しております。

○あぜ上委員 そうですね。この間、女性の就業者数というのは三千万人を突破したんです。
 しかし、ふえたのは主に非正規雇用で、働く女性の非正規率は一九八五年の三二%から、二〇一九年は五六%へと大幅に増加をしております。そして、男女の賃金格差も歴然としていて、女性労働者の平均年収というのは二百九十三万円と男性の約半分なわけです。
 子供を産み働き続ける、そういう女性は確かにふえております。しかしながら、第一子出産前後に四六・九%の女性は仕事をやめております。また、このコロナ対策の最前線で働いておられます医療や介護、保育など、女性の多いケアワーク、こうした職種は、多職種の賃金よりも十万円も低いという賃金となっております。
 このように、雇用におけるジェンダー格差があるところに、さらにコロナ感染症、感染拡大の問題が発生して格差が露呈したということだと思っております。
 このコロナ禍における女性の雇用の影響について、私は実態調査を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。

○村西雇用就業部長 新型コロナウイルス感染症の拡大が女性の雇用等に与えている影響につきましては、国におけるコロナ下の女性への影響と課題に関する研究会におきまして、労働力調査等に基づく分析がなされております。
 都は、こうした分析等も参考に雇用就業施策を推進しているところでございます。

○あぜ上委員 私は、都の認識を深めていく上でも、このジェンダー格差の実態をしっかりと都として把握して、やはり国任せにしないで、都として調査分析をしていただきたいなと思います。
 そもそも、女性の低賃金、非正規労働が多いなどの根底には、古い性別の役割分業、この意識のもとで、女性の非正規労働者の賃金が家計の補助的なものとみなされていることが一因でもあるわけです。
 そしてもう一つには、女性活躍といいながら、結局、男女の賃金格差、それから不安定、低賃金の非正規雇用など女性の活躍をこの間本当に阻んでいる、こういう問題に対策を講じてこなかったことと、むしろ、非正規雇用や雇用によらない働き方を多様な就業ニーズに応えるなどとして、低賃金、不安定雇用を拡大してきた、こういう問題があるのだというふうに思っております。
 今、コロナ禍のもとで、新自由主義の考え方の脆弱性というのが私は露呈しているんじゃないかというふうに感じているところです。
 同時に、この間、格差と貧困が広がる中で修正をしていく、そういう動きもありました。国税庁の調査では、昨年の平均給与は正規五百三万に対して、非正規は百七十五万と、三分の一になっているという実態がありました。なぜそうなっているかという分析の中では、基本給とともに一時金の有無が賃金の格差の大きな要因となっているということも明らかになりました。
 そういう中で、ことし四月施行されました働き方改革一括法を受けて、厚労省は同一労働同一賃金のガイドラインを発表したわけです。その周知徹底については伺おうと思いましたけど、ほかの委員の方のご答弁もありましたので割愛いたしますが、私からもぜひシンポジウムやセミナーを引き続き実施していただきたいということを要望しておきます。
 あわせて、この根拠になっている一括法には重大な弱点があるというふうに考えます。この法律につきましては、労働条件の均衡を図ればいいという、そういう使用者の恣意的な判断が容認されるという弱点があって、やはり法改正をして、均等待遇をきちんとこの法律に明記させる、その必要があるんじゃないかというふうに思うわけです。
 ぜひとも東京都として、均等待遇を法律に明記するように国に求めていただきたいと、これは要望しておきたいと思います。
 また、ひとり親世帯では、相対的貧困率が四八・一%と、ただでさえ生活が苦しいのに失職してとても大変な事態になっております。
 また、女性の自殺者が急増していると先ほどもほかの委員の方からもお話がありましたが、厚労省の指定法人のいのち支える自殺対策推進センターというところがありまして、その代表理事の方は、コロナ禍のもと、女性の非正規就労者の著しい減少やDV被害の増加などが起こっている中で、自殺要因になりかねない問題が深刻化し、女性の自殺者の増加に影響を与えている可能性があるというふうに指摘をされていました。
 コロナ対策として、東京都としても、雇用安定化支援事業等、ご努力されていることは理解しておりますけれども、やっぱり年を越せるかどうか、本当に緊迫した方々に対して緊急対策、緊急の支援が私は必要だというふうに考えます。
 コロナ禍のもと失職したひとり親家庭や若年女性などの雇用安定化支援事業などを実施する緊急支援対策を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

○村西雇用就業部長 都は、コロナ禍の影響を大きく受けている非正規雇用の女性など、離職者等の方々の安定就労に向けまして、労働者派遣制度を活用したトライアル就労を通じ、派遣先企業での正規雇用を目指す支援プログラムの実施など、この間、補正予算により、さまざまな雇用の緊急対策を講じてきているところでございます。

○あぜ上委員 補正を組んだのは前進ですけれども、これは対象者が五百人ということで、先ほどほかの委員のご答弁の中で、申請は六百五十五人いるということでありますから、もう既に対象数を超えているわけです。私はこれで本当に十分なのかという問題提起をさせていただいているつもりです。
 ぜひ、そういう意味では、失職したひとり親家庭の女性や若年女性など、一、二カ月働くことができないだけで生活が破綻するほど追い込まれている、そういう事態の方もいらっしゃいます。さらなる緊急対策を求めたいと思います。これは要望しておきます。
 第二に、LGBTの労働者も働きやすい職場づくりについてです。
 東京二〇二〇大会の持続可能性に配慮した調達コードでは、オリンピック・パラリンピックにかかわる全ての企業が社内でのLGBTへの差別やハラスメントをなくすことを求められて、LGBTに対して差別的な企業はオリンピック・パラリンピックに関与できないということが明記されるまでになりました。
 差別禁止の明文化や経営層の支援宣言など、LGBTについての基本方針がある企業なども、この間ふえてきております。
 一方、職場環境をめぐるLGBT、主にトランスジェンダー関連の訴訟は続発していると聞いております。職場におけるLGBT当事者の方は八%いらっしゃるといわれております。多様性を認め合う職場づくりは重要な課題だと思います。
 そこで、まず伺いますけれども、LGBTに対応する施策の実施状況の調査を行うべきと考えますけれども、いかがでしょうか。

○村西雇用就業部長 国におきましては、令和元年度に、職場における性的指向や性自認に関する取り組みを促進するため、企業と労働者の双方に施策の実施状況等に関する調査を行い報告書に取りまとめております。
 都は、こうした調査も参考に相談等に対応しているところでございます。

○あぜ上委員 私も厚労省の報告書を読みましたけれども、厚労省の調査も、確かに今後の施策に役立つ内容だというふうに思いましたが、東京に企業が集中しているのに、調査の対象となった東京の中小企業は全国の一四・八%の事業者だけだったんです、厚労省の調査では。
 やっぱり東京都として、企業側の職場環境の状況とか、それから、厚労省の調査では非正規労働者の状況は入っていませんでした。非正規労働者の状況も含めた労働者の状況を調査して、把握していただいて、LGBTの方も、誰もが働きやすい職場環境づくり、ぜひとも促進していただきたいというふうに思います。
 そこで伺いますが、労働相談情報センターの相談窓口は、LGBTの労働相談に対応していらっしゃるんでしょうか。
 それから、各労働相談情報センターにLGBTに関する本、また資料などを置くことを求めますけれども、いかがでしょうか。

○村西雇用就業部長 労働相談情報センターでは、LGBTに関連した労働問題の相談を行っているほか、LGBTに関する説明を記載した公正採用選考の広報冊子などを配架するなど周知啓発を図っているところでございます。

○あぜ上委員 それでは、LGBTの理解を深める研修を労働相談情報センターの職員に実施することを求めますけれども、いかがですか。

○村西雇用就業部長 労働相談情報センターでは、相談担当の職員に対して、LGBTにかかわる職場のハラスメント防止も含め、労働法全般に関する研修を実施しているほか、都の性自認及び性的指向に関するハンドブックを配布するなど、理解を深める啓発を行っております。

○あぜ上委員 研修は行っているということなんですけれども、ぜひ、研修を重ねていただきたいなと思うわけです。
 都の労働相談情報センターの相談窓口の担当者を初め、産労局において性的指向、性自認に関する知識やハラスメント事例、相談対応において二次被害を起こさないためのスキル、これはやっぱり非常に大事じゃないかと思っております。研修を重ねていただきたいと思いますし、また、局として対応マニュアルを作成していただいて、適切な相談体制を確保していただきたいと、これも要望しておきたいと思います。
 これは民間調査なんですけれども、当事者の方、約一万人を対象とした意識調査があるんですね。それが結構直近の調査なんですが、二〇二〇年の八月三十一日に発表されました。
 その調査は、当事者の意識調査ということで、世の中の変化と、当事者の生きづらさというタイトルの調査報告書なんですけれども、これによりますと、社会人当事者の七八・九%の方が職場で差別的な発言を聞いた経験があると回答しているんですね。これ二回目の調査なんですが、前回の調査よりもふえているんです、そういう方が。
 やっぱり職場内におけるアウティングの事例を示して、絶対にやってはならないという、この周知啓発が私は必要だと考えますけれども、認識と対策を伺いたいと思います。

○村西雇用就業部長 アウティングは、職場におけるハラスメント行為の一つであり、働く方の個人としての尊厳や人格を不当に傷つけるなどの人権にかかわる許されない行為でございます。
 このため、都は、労働相談情報センターにおきまして、アウティングの防止も含め、LGBTの従業員にも対応した職場環境の整備などにつきまして、就業規則や福利厚生のほか、取り組み事例などを解説するセミナーを実施するなど、企業の経営者や人事労務担当者に周知啓発しております。

○あぜ上委員 先ほど申し上げた厚労省のアンケートなんですけれども、ここにも、企業側の方からも社会に向けた理解促進の啓発や会社の取り組みなどに対する情報提供、よい事例などをぜひ広げてくれという要望も出されておりました。周知啓発は繰り返し取り込むよう求めたいと思います。
 LGBTの求職者や労働者の方は、何よりも身近にいるんだということを共通認識として職場環境の現状を調査し、相談しやすい環境をつくって、理解を深められる研修を重ねていただいて、職場の家族対象の福利厚生を同性パートナーも利用できるようにするなど、LGBTの方にとっても働きやすい職場づくりを積極的に推進していただくことを重ねて求めたいと思います。
 次に、東京障害者職業能力開発校について伺います。
 この間、同行支援の必要な障害者の方々、ぜひとも同行を認めるべきではないかという質疑も行ってきましたが、そうした障害者の方々の運動も実りまして、ようやく通勤の場合の同行支援補助、これが実現をいたしました。
 しかしながら、職業訓練の方はまだ追いついていないということが問題であると私は感じています。
 身体障害者の受け入れについて、訓練対象者の訓練期間中の介助者の同行も認めるべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○村西雇用就業部長 身体障害者の方の職業訓練中の介助者の支援につきましては、施設の状況や訓練の内容などを考慮する必要があります。その際、応募の際に、事前に相談をしていただくこととしております。

○あぜ上委員 今、事前相談というご答弁があったんですけれども、現実問題として、東京障害者職業能力開発校において、重度身体障害者の方の同行支援、この実績はないわけです。
 肢体不自由児の特別支援学校、東京全体のPTAの皆さんからは、同行支援の要望も毎年出されております。事前に聞き取りをさせていただいたときに伺ったら、確かに問い合わせは年に一、二件ありますよということだったんですけれども、そういった申請が少ない、また、問い合わせが少ないというのは、職業能力開発校の申請を、自立している人以外難しいのではないかという、カリキュラム六時間でそれに耐え得る方ということになると、やはり条件的にも厳しいと考えていらっしゃるからじゃないかなと私は考えました。
 ストレッチャーの方でもテレワークできるという方もいらっしゃいますし、それこそ障害者の方々の柔軟な働き方、あり得るわけですから、そういう方々の職業訓練も、私はきちんとできるように門戸を広げていただきたいというふうに強く要望したいと思います。
 そういう点では、肢体不自由者の多様な実態に合わせたカリキュラムや設備の導入など、より多くの肢体不自由者が能力を発揮できるように職業能力開発のさらなる拡充を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

○村西雇用就業部長 東京障害者職業能力開発校におきましてはこれまでも、訓練受講者のさまざまな障害特性に加えて、訓練修了後の就業の受け皿となる業界等のニーズを踏まえまして、訓練科目の設定を行うとともに、訓練内容の充実や必要な設備機器の導入などを進めてきております。

○あぜ上委員 業界等のニーズということもありましたけれども、それだけではなく、やっぱり障害者の方自身の潜在能力をいかに引き出すかという、そういう観点も私は必要だというふうに思うんですね。
 障害者といっても障害の内容はさまざまなわけです。ぜひ多様な実態に合わせて、肢体不自由の障害を持った方々が自分らしく豊かに能力を発揮できるように最善を尽くしていただきたいと、これも要望しておきたいと思います。
 また、訓練校の中には寮がありますが、寮の入所状況について伺いたいと思います。また、寮の利用者の入所基準はどうなっているんでしょうか。

○村西雇用就業部長 東京障害者職業能力開発校の附属寮には、現在四名の訓練生が入寮しております。
 入寮につきましては、障害の状況や能力開発校に通う時間など、校に通うことが困難な方に対し、面接を行った上で総合的に判断しております。

○あぜ上委員 総合的な判断ということなんですが、現在、二十四人の定員の中で四名と。
 簡単なキッチンも、みずからつくれる人しか使えませんし、近所のスーパーなどに買い物に一人で行ける、そういう方、しかも遠距離の通学の方しか寮生活はできないということだからこそ、やっぱり入寮者ががらがらという状況なんじゃないでしょうか。
 介助が必要な肢体不自由者の方も寮を使えるようになれば、通学時間が大幅に減って、体力的にも職業訓練が可能になる方もいらっしゃると思いますし、また今このコロナ禍のもとで感染予防にもなりますので、ぜひ、そういった点も改善を検討していただきたいと、これも要望しておきます。
 最後に、コロナ禍のもと失職した障害者に対する就職支援対策の強化や、それからあと、職業訓練などの社会復帰プログラムの拡充を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

○村西雇用就業部長 都はこれまでも、来年三月の法定雇用率の引き上げなどを見据えまして、障害者の職場体験実習の充実や初めて障害者雇用に取り組む企業への支援を強化しているほか、障害者職業能力開発校で行う専門知識や技能を習得する訓練に加えまして、民間事業者のノウハウを活用した委託訓練も実施するなど、障害者雇用の促進に取り組んでいるところでございます。

○あぜ上委員 このコロナ禍で解雇されてしまったという高次脳障害の方からも切実な声が寄せられました。
 かつて経験したことのないこうしたコロナ禍の厳しい現状の中、真っ先に解雇、そして雇いどめされてしまうのが、障害を持っている方や女性、そして非正規の労働者の方です。そうした方々が本当に希望を持って仕事が続けられる、再就職ができる仕組み、そのことを取り組むことが、やっぱり全ての人が豊かに働ける、そういう社会へとつながっていくんだと私は考えます。
 そういう立場でぜひ、当局も取り組んでいただきたいとそのことを強く求めまして、私の質疑を終わります。ありがとうございました。

○栗下委員 私からは、まず東京ビッグサイトについて質問します。
 都が所有する東京ビッグサイトは、この日本最大の展示会場であり、年間を通じて極めて高い稼働率で活用されてまいりました。
 九五年に開場してから約二十五年の歴史を経て、今ではイベント主催者や出展企業、来場者、本当に多くの方々にとってなくてはならないインフラとなっております。
 しかしながらこの二〇二〇年は、このビッグサイトの歴史においても過去にない大きな二つの問題が起こっておりまして、それらによって関連する事業者はまさに、かつてない危機に直面をいたしております。
 まず一つ目の問題は、ご承知のとおり、新型コロナウイルスの感染拡大の問題です。
 流行が本格化をした本年三月からイベント開催を自粛するところが相次ぎ、四月には緊急事態宣言が発出されました。五月末に解除され、その後、政府のガイドラインが徐々に緩和の方向に向き、開催されるイベントも少しずつふえてきたというのがこれまでの大まかな経緯であります。
 まず、このコロナ禍の中において、イベント事業者さんたちが、イベント産業がどういった状態にあるのか。それを知るために、昨年と比較をした今年度のビッグサイトの利用延べ床面積の比率は、月別でどのようになっているのかお伺いをいたします。

○土村商工部長 利用状況でございますが、今年度の四月から六月までの利用はゼロ件でございました。
 その後、七月は利用延べ床面積ベースで前年度比一・二%、八月は同じく一三・八%、九月は同じく三三・九%、十月は同じく四一・六%まで回復してございます。

○栗下委員 緊急事態宣言下の四月から六月にかけて三カ月間、完全にゼロであったと。そしてその後、七月は前年の約一%、八月は約一四%、九月は約三四%、十月は約四二%と少しずつ戻ってきたということではありますけれども、これは本当に想像以上に大きなダメージを受けているということがわかると思います。
 三月の当委員会でもお伝えをしてまいりましたが、このイベント関連の事業者さんは、開催がゼロの期間、収入がほとんど途絶えてしまったという企業が少なくないというところであります。そしてこの間も、多くの社員を雇い続けなければならなかった。
 飲食、観光も、最も厳しいというふうにいわれて、政府も大型の対策をとってきておりますが、それらの業種と同じように、イベント産業の事業者さんたちが極めて大きなダメージを受けている。まだ、最新でも四二%ですから、半分も回復をしていないということがわかるかと思います。
 そして、このコロナ禍が始まって以降、イベント事業者にとって大きな懸案となっておりますのが、イベントをキャンセルしなくてはならなくなってしまったときの会場費の問題であります。この点については、昨年三月の質疑においても、新型コロナウイルスの影響でイベントを中止することをちゅうちょしないように、高額に上るビッグサイトの会場費がイベント事業者に追い打ちをかけることのないように、イベント中止時の会場費については返還をしていくべきだということを私たちも強く求めて、それに応える形で、この間、キャンセル時の会場費返還については、その都度延長がされてきたわけでありますけれども、現在、最新の状態は一体どうなっているのか。キャンセル時の会場費の返還について、どういった対応になっているのかお伺いをいたします。

○土村商工部長 ビッグサイトでは通常、施設利用の取り消しまたは変更があった場合、利用者から取り消し料を徴収する取り扱いとなっておりますが、本年二月二十二日から七月三十一日までの利用分につきましては、取り消し料は不要とし、八月一日から十一月三十日までの利用分につきましては、中止の申し出があった催事の取り消し料は不要としております。
 また、十二月一日以降の利用分につきましては、東京二〇二〇大会の延期によります利用調整の過程で中止の申し出があった催事の取り消し料は不要としてございます。

○栗下委員 十一月三十日までの利用分、開催については、事業者が中止を申し出た場合には会場費は返還されてきたということです。
 それで、ここからが重要なんですけれども、十二月一日から、来年二〇二一年の三月三十一日、すなわちことしの十二月いっぱいと来年の一、二、三月分の返還については、これは条件つきになっているということであります。
 今ご答弁の中では、東京二〇二〇大会延期による利用調整に伴い中止の申し出があった場合、このように表現されましたけれども、実際は六月ごろに、主催者の方々に意思の確認を五月雨式にやられていて、その際に、やりません、中止をします、そういう判断をされるときには、年度内、三月までのイベントが会場費返還になっている。
 一方で、六月ごろに確認をした際に、やりますと判断をされた場合には、開催が年度内であったとしても会場費は取られるようになったわけです。
 三カ月前までに判断をしないと満額取られてしまうということで、ビッグサイトの会場費、中型から大型イベントともなれば数千万円にもわたります。今これが、イベント事業者さんたちにとっても非常に大きな脅威になっているわけです。
 きのうも五百人近くの新規感染者が東京都で出ました。きょうはまた新しい動きが今まさに起こっているわけですけれども、こういったことを六月の段階で果たして誰が予測することができるのかと。
 新型コロナ感染拡大防止の観点からも、イベント事業者さんが迅速な決断を下せるように、利用調整以降に中止を決断されたイベントについても会場費の返還、あるいは減免をするように強く求めたいと思います。
 実際に、中部最大の展示会場でありますポートメッセなごや、こちらの会場においては、今年度のイベントについてはキャンセル費用を取らないようにしているということであります。
 さて、少しコロナからお話がそれますけれども、昨年の台風上陸の際、交通機関が計画運休をして、都が事前に外出自粛を呼びかけたにもかかわらず、中止に際してのイベント会場費返還がなかったということで、イベント主催者がイベントの中止を逡巡した問題について、昨年の一般質問で取り上げてまいりました。これはコロナへの対応と同じです。
 都民の安全を最優先する上で、災害時のキャンセル料についても、これはきっちりと規定をしていくべきだということを三月の質疑でもお伝えをし、その際に検討していくというご答弁をいただいておりましたけれども、台風などの緊急災害時のキャンセルの対応状況についてお伺いをいたします。

○土村商工部長 近年、台風等の被害が拡大していることから、今後、都内に大雨や暴風などの特別警報が発表され、かつ、公共交通機関の計画運休が実施された場合には、通常は徴収している取り消し料を徴収しない取り扱いとすることとしてございます。

○栗下委員 これは本当にすばらしいご決断をいただいたと思います。
 実際、去年の今ごろ、台風十九号が来て、実際にそれでイベントが中止になって、でも会場費が約二千万円、これは支払わなくてはいけない中小企業さんが実際におられたわけです。こういったことだけでなしに、イベント事業者にとって、台風の多い季節、こういったときにイベント開催をするのはそもそも不安であると。
 こういった規定があれば安心をしてイベント開催を行っていけると、そういうお声をたくさんいただいておりましたので、この点については本当に高く評価をさせていただきたいと思います。
 さて、話はコロナに戻りますけれども、五月末に緊急事態宣言が解除されて以降、事業者はイベントを開催すること自体は許されたわけですが、今なお多くの問題に直面をいたしております。
 まず、社会のイベント開催に対する抵抗感が高まっていることから、イベントに対してなかなか人が集まらないということです。
 イベントにもよりますけれども、押しなべていうと、来場者は例年のよくて六割くらいしか集まらないといわれております。当然、イベント事業者にとっての収益というのはこれによって大幅に減ってしまうわけです。
 そしてさらに深刻なのは、この収益が減る一方でイベント開催のコスト、これは平常時よりも増加してしまっているという問題です。
 例えば、入場者の管理、イベントごとのコロナ対策を策定する労力、消毒液の用意、ソーシャルディスタンスの確保、ハイブリッド展示会への対応などなど、既に大きなダメージを負っているにもかかわらず、こういった対策に苦慮されているということであります。
 そこで、改めて確認したいと思いますが、東京ビッグサイトは新型コロナウイルスの流行前と比較をして、イベント主催者に対して、どのような条件を満たすように求めているのかお伺いをいたします。

○土村商工部長 東京ビッグサイトが策定しました対応指針及び展示会団体が策定した感染症拡大予防ガイドラインに基づきまして、主催者に対し、来場者へのマスクの着用や検温の徹底、展示会の上限人数の厳守などを求めるところでございます。

○栗下委員 ビッグサイトの対応指針と、そして展示会団体のガイドラインにのっとってやらなくてはだめだよということでありました。
 このガイドラインの中には、現在においては、入場者数を会場定員の半分以下にすること、来場者のトラッキングができるように個人情報を取得すること、換気を十分に行っていくこと、手指の消毒などを十分に行える環境をつくること、入場者に対して検温を行うこと、ソーシャルディスタンスを保つようにすることなど、今お聞きしただけでもたくさんと感じられたと思いますけれども、コロナ禍以前と比較すると、本当に多くの条件を満たさなくてはならなくなってきているということであります。
 これは防疫の観点からすると当然、それぞれ必要なことだというふうには思いますけれども、これらを満たすためにイベント主催者さんたちは、今、我々が思っている以上の大きな人的、物的コストの増、これを強いられているというのが大変に大きな問題だということであります。
 まず、入退場の管理、以前にも増して多くの人員が必要になります。また、来場者の方々にアプリケーションで個人情報を事前登録いただく、入場者管理を行うシステムや機器を導入する、そういった企業さんもありました。検温器を購入あるいはリースして借りる、こういったアクリルの仕切り板を大量に買わなくちゃいけないので、これだけでも二百万円かかった、そういう事業者さんもいました。
 また、春や秋、ちょっと前ごろの時期のイベントまでは、これまでは空調を余り使わない、そういったイベントも多かったようでありますけれども、換気のために利用がほぼマストになりまして、空調のコストが非常にかかるようになった。
 私たちが聞くと、空調のコスト、小さなことに聞こえますけれども、ビッグサイトクラスの大きさになりますと、空調の電気料金は一ホール、一時間当たり四万円にもなるんです。だから一イベント当たり数十万円から百万円以上のコスト増になっているそうです。
 また、ハイブリッド展示会、昨今、コロナへの対応で、オンラインの配信も同時に行うところがふえました。この対応も実は大変にお金がかかることだそうでありまして、例えばセミナーをやりつつ、動画配信を同時にやって、それを中継をする。
 こういったことをやっていこうとすると、ビッグサイトの既設のWi-Fi環境では足らないということで、そのシステムを主催者側が構築をしなくてはいけないということが多いそうであります。実際に、一日のイベントでこれをつくるために七百万円かけた、そういう事業者さんがいらっしゃいました。
 さまざまな例を挙げさせていただきましたけれども、何がいいたいかというと、こうしたものが積み重なって、もともと大きなダメージを受けているイベント事業者さん、彼らに対しての追い打ちになっているという実態があるということであります。
 新型コロナ感染拡大防止の観点からしても、可能な限り事業者に寄り添った対応をしていくことが重要、そういう観点で幾つか伺います。
 まず、ホール内のトイレについてお尋ねをいたします。
 かねてより、ホール内のトイレについては、各イベント主催者が自前で消毒液を用意し、設置をするということになっているということでありましたが、先般、視察に伺わせていただいたときには、ビッグサイト側で用意をするようになったとお聞きをいたしました。
 展示ホール内のトイレに消毒液を置くようになった経緯についてお伺いをいたします。

○土村商工部長 新型コロナウイルス感染症の拡大当初から、感染防止対策の一環によりまして、ホール内のトイレに手指用の消毒液を置いておりました。
 しかし、感染拡大に伴いまして、消毒液の入手が困難となったことから、利用者が多く行き交う入り口などの場所に優先的に消毒液を設置し、展示ホール内のトイレへの設置を一旦取りやめたものでございます。
 現在は、消毒液の入手が通常の状態に戻ったため、ホール内のトイレへの設置を十一月上旬に再開をしております。

○栗下委員 ありがとうございます。
 この消毒器の設置、小さなことのようですけれども、多くの事業者さんたちから望まれていたことでありまして、事業者さんたちの声に耳を傾けていただいているということなんだろうというふうに思います。
 このトイレに関してさらにいうと、現在コロナ対策として、手を乾かすドライヤー、これが利用できないようになっておりまして、手を洗った後に手を拭くペーパータオルの設置、これを望む声も多く上がっております。新型コロナ感染拡大防止の観点からしても重要なポイントだと思います。ペーパータオルの設置についても改めて求めたいと思います。
 また、イベント主催者は、ソーシャルディスタンスの確保にも大きな苦労があるようです。先般、このようなことが実際にありました。
 イベント開催の際に、待機列に、並ぶ列にソーシャルディスタンスを確保しようと設定をしたところ、待機列が長蛇になることがわかり、その入場前に待機していただく方々のためにホールを丸ごと一つ借りなくてはいけなかった。こういうことが実際にあったそうです。
 ホールを一つ借りるのに数百万円の会場使用料がかかったということでありますが、こういうケースが私に届いている分だけでも、複数件、これは確認されております。
 最初に確認をさせていただいたとおり、会場の稼働率は今、決して高くはありませんので、防疫の観点からいっても、イベントの性質によって条件をつけながら空いているホールのスペースも活用できるようにしていくと、そういった配慮があってもよかったのではないかと思います。
 無論、イベントの性質やケースによって条件はさまざまではありますが、ソーシャルディスタンスを保つために主催者が待機列の場所を確保する取り組みに対して、施設管理者であるビッグサイトとして可能な限りの協力をしていくべきと考えますけれども、見解を伺います。

○土村商工部長 東京ビッグサイトでは、催事の開催に当たりまして、主催者から待機列の配置案を事前に提示していただいております。
 その中で、展示ホール内で十分な間隔の確保が困難な場合には、ほかのホールで開催されている催事に影響が出ない範囲で、共用部を待機列用スペースとして提供しております。
 さまざまな制約がある状況を十分踏まえ、主催者からのご相談に対し、適切に対応してまいります。

○栗下委員 新型コロナ感染拡大防止は、いうまでもなく都の責任でもあります。今申し上げたことに限らず、多くの要望があるより高性能な検温器の導入、Wi-Fi環境の強化なども含めてできる限りイベント事業者に寄り添った対応を検討いただけるようにお願いをいたします。
 さて、お話の最初に戻りますけれども、東京ビッグサイト利用者を悩ませているこの二〇二〇年に起こった一つ目の問題は、新型コロナの問題でした。
 そして、二つ目の懸案は、東京二〇二〇大会の開催であります。
 これについてもこれまで当委員会の中で取り上げてまいりましたが、二〇二〇大会のために会場の大部分が国際メディアセンター等として占用され、長期にわたって利用不能になるという問題がありました。
 今、改めて、わかっていただいている方には見るまでもないかもしれませんけれども(パネルを示す)これが、この青い期間がビッグサイト、一般の事業者さんに貸し出すことができなくなってしまう、利用不能になってしまうという期間ですね。この青い期間を最小限にするように我々も求めてきまして、それについてもご努力をいただいてきましたし、ここにあります南展示棟、青海展示棟、こういった新たな延べ床面積の確保等についても進めてきていただいたところかと思います。
 しかしながら、それをおいても、利用できる延べ床面積というのは、実際調整をしていただいた上でも例年の約八割にとどまる。イベント事業者への負荷というのは依然として大きい。そして、それに対してのサポートというのは必要です。そういったことをこれまでもお伝えをしてまいりました。
 ここまででも、普通に開催されてもお仕事が減ってしまうと、そういうことで十分懸案だったんですけれども、この新型コロナの感染拡大によって、オリンピックが一年間延期になったことによって、会場の半分を占める東展示棟が丸々一年間、もう既に設備が入っていますので塩漬けになってしまうなど、当初予定されていたよりも懸案ははるかに大きくなっているということがあります。
 ビッグサイトで行われるような大きなイベント、通常一年以上かけて準備をされます。施設の利用計画は早目に決定し、迅速かつ丁寧な対応をしていかなくてはいけませんけれども、まず、お聞きをいたします。
 東京二〇二〇大会の延期によって、二〇二一年の東京ビッグサイトが利用できなくなる期間、これは確定をされているんでしょうかお伺いをいたします。

○土村商工部長 東京二〇二〇大会の延期に伴う国際放送センターの撤去工事やメーンプレスセンター等の工事着手及び撤去工事後の引き渡し日を大会組織委員会との間で協議しているため、利用制約期間は確定してございません。

○栗下委員 五輪の期間は、まさにこの期間というのは利用できないことは決まっているわけですけれども、その前後、この準備や撤去の部分について、どれぐらい利用不能な期間が出るのかということについては、今まさに組織委員会も交えて調整を行っていただいているというところでした。
 これまでも求めてきましたけれども、そもそも利用可能なキャパシティーというのは逼迫しているわけでありまして、この期間を最小限に抑えて、その分の会場を事業者に有効活用していただけるように配慮しながら、その組織委との調整にも臨んでいただきたいと思います。
 二〇二〇年大会で利用不能になる予定が、これがそのまま二〇二一年にずれたことによって、本来であれば、二〇二一年は青海の展示棟はなくなりますけれども、ここが全部黄色になる予定だったわけですね。それにこれが飛び込んでくると、当然それによって押し出されるイベントが発生をすることになります。
 この延期によって影響を受けたイベントの件数、これはどれぐらいあったんでしょうか。そして、それらのイベントに対しては、当然、別の時期にずらしていただかなくてはいけない、調整をしていかなくてはいけないんですが、その調整がどの程度進んでおられるのかについてお伺いいたします。

○土村商工部長 今年度に開催予定の催事のうち、利用調整の対象となる延べ六十三件の催事主催者に対しまして開催時期の変更等を依頼し、既に全ての調整を終了してございます。
 また、来年度に開催予定の催事のうち、利用調整対象となる延べ二百四十四件の催事主催者に対して開催時期の変更等を依頼し、現時点で八十二件の調整をしております。残りの百六十二件につきましては、現在調整中でございます。

○栗下委員 全部合わせると、実に三百以上のイベントが調整を余儀なくされてしまったということでありました。そして、今年度に予定されていた、ここに入っていた部分については(パネルを示す)六十三のイベントについては調整が終わったと。来年度のイベントについては、二百四十四件中八十二件が終了、調整をされたということでありました。
 そこで、次にお伺いをしますけれども、この調整が完了する中で、当初契約をしていたよりも延べ床面積が減ってしまったという、こういったイベントはどれぐらいあるんでしょうかお伺いをいたします。

○土村商工部長 調整が完了しました百四十五件のうち、利用延べ床面積が減少することになったのは六十一件でございます。

○栗下委員 百四十五件中六十一件ということですから、実に半分弱の事業者さんが、本来確保できていたはずの面積、これを確保できなくなってしまったということであります。
 実際、私のところにも、調整の結果、会場の面積が実に五〇%程度まで下がってしまった、確保できなくなってしまった、そういう事業者さんの悲痛な声というのも届いております。主催者さんにとって、延べ床面積というのは、イベントの基盤になる最も大切な部分でありますので、これが半分になってしまったら、どれほどそのイベントの収益構造にはね返ってくるのかというのは、もう想像にかたくないかと思います。
 また、調整によって日程変更を余儀なくされたイベントについて、既に広報費をかけてしまったというケースもある。そして、予定変更の周知等々に係るコストについて実際に嘆かれていると、そういう声もたくさん届いております。
 この二〇二〇年大会の延期自体は、本当に誰のせいでもありません。ありませんけれども、これらの事業者さんは、本当に完全なる被害者ですよね。これらのことも、コロナで弱っているイベント事業者さんのここで行く手を塞いで、重くのしかかっている、そういう実態をぜひとも産労局の皆さんには、もう認識をされていると思いますけれども、改めてご認識をいただきたいと思います。
 今お話をしてきましたとおり、五輪延期でイベント会場が圧倒的に足りていないということなので、我々からも働きかけをさせていただきまして、本来であれば二〇二〇年内に撤去を開始するはずであった青海の仮設展示棟について、使用期間の延長、一年延長というものをやっていただきました。
 このたび、青海展示棟の延長がどういった手続で行われたのかお伺いをいたします。

○土村商工部長 青海展示場の整備につきましては、平成三十年三月に、建築基準法に基づく仮設建築物の許可申請を行い、令和三年三月までの期限で許可を受けました。
 その後、東京二〇二〇大会の延期を受けまして、ことし五月に、同法に基づく再度の許可申請を行い、撤去期間も含めて令和四年三月までの期限で許可を受けたものでございます。

○栗下委員 この青海の仮設展示棟については、コストが低廉であること、また、アクセスが非常によいということもあって、本当に多くのイベント事業者さんにご好評いただいております。オリンピックが予定どおりに行われる、そういう前提のもとでもその延長を望む声というのは非常に多くありました。
 現在極めて厳しい環境にあるこのイベント産業を後押しする、そういった意味でも、青海仮設展示棟のさらなる期間延長についてもご検討いただけるようにお願いをいたします。
 さて、さまざま質問させていただいてきましたけれども、もうたくさん質問し過ぎてお疲れでいらっしゃるかもしれませんけれども、一言でいうと、本当に今イベント事業者さんは大変な状況に置かれている、このことをお伝えしたいんですね。特にこの二週間、コロナの感染患者がどんどんふえてきて、そして、きょうも警戒レベルを引き上げる、そういう決定をされたやに聞いておりますけれども、本当に毎月毎月のやりくり、これだけでももう大変なのに、少なくとも二月の末まではガイドラインを据え置き、こういうことが先日発表されまして、今、業界には非常に沈鬱なムードが漂っております。
 こういった事業者さんたちがいっておりましたのは、もう本当にその先もどういうふうにこのコロナ禍が明けていくのかが全く見通しがつかないから、まさにもう絶望というほかない、そういう表現をされましたけれども、そういった状態にあるということを念頭に置いて、もちろん、今、感染が爆発的に広がっているこの状況においては、感染拡大防止、これを最優先すべきだと思いますけれども、じゃあ、それが明けてきたときに、さっきの事業者さんのお言葉をかりるなら、その絶望、その暗闇を照らすような希望、これが必要になってくるんだろうと私は思います。
 その希望についてちょっとお話をさせていただきたいんですけれども、ごらんのとおり大阪市においては(パネルを示す)西日本最大の展示会場、インテックス大阪さんが会場費用の五〇%減免を既に六月からスタートをさせております。もちろん、単純にうれしいことでもありますし、主催者さんたちにとっては、その分で浮いたお金をコロナ対策に充てられるということで、コロナの感染拡大に貢献しているという声も多くあります。そして、中部最大の展示会場、ポートメッセなごや、こちらにおいても、五〇%減免を既にスタートしております。
 もう三大都市においては、実は、やっていないのは東京だけになっちゃっているんですね。きょう、質問の中でいろいろお話をしました。新型コロナ対策に係る費用、我々が想像している以上に大変なことになっている、そういったところに対する支援というのも、横浜市、千葉県、福岡市、福井県、そういったところでもやっている。こういうふうなことが今、全国に広がっております。
 こういったことに対して、東京都は、じゃあどうなのか。確かに中小企業の組合に対する支援、オンライン開催の支援、そういったのはやっているかもしれませんけれども、やはり趣旨も違いますし、スケール、規模でいっても、今申し上げたようなイベント事業者さんたちの苦しみには十分に応えられていないというのが実情であります。首都東京としてこれでいいんですかね。
 大阪、名古屋がやっているということでわかるとおり、このイベント産業というのはやはり大都市にとって重要な産業であります。この東京がそういったことに対してしっかりと支援を行っていく、これは非常に重要なことだというふうに思います。
 また、先ほど来お話をしてきましたけれども、東京二〇二〇大会、これによって余分な負荷がかかっているというのもあります。ですので、本当であれば、ほかの都市よりも東京都は頑張らなくちゃいけない、こういった状態であるというふうに思います。
 大阪市においては、半額減免を実現するために、大阪市がこの年度内で十四億円の予算を用意されたそうです。名古屋も市の予算を充当された。都も予算を確保して、ぜひこういった施策をやっていただきたいというふうに思っております。
 東京ビッグサイトの会場費収入これは年間でいうと百二十億円程度でありますから、イベントの数自体、大分減っておりますので、数十億円あれば形になるわけであります。数十億円、これ、もちろん小さなお金ではありませんけれども、中小事業者、そして広くは多くの都民に還元をされる、都のコロナ支出の中では非常に経済効率性の高い、そういう支出になるんじゃないかというふうに思っております。今は感染拡大局面でありますけれども、これから必ず来る回復期を見据えて、こういった施策について引き続き求めていくということを申し上げて、次の質問に移ります。
 次に、eスポーツフェスタについて質問します。
 東京都主催のeスポーツイベントである東京eスポーツフェスタは、昨年一月に二日間にわたって開催をされ、約八千人を超える入場者と動画も十二万回以上視聴をされました。私も視察に実際行かせていただきましたが、とてもお若い十代前後の出場者の方々が大観衆の前で自分たちのわざをぶつけ合って競い合うと、そういう姿はまさにスポーツマンシップ、そういったものを体現しているものであり、これは大変に感慨深いものを感じました。
 このイベントの大きな目的である中小企業支援についても、会場内にさまざまなブースが出展をされて、事業者さんたちがそれぞれ頑張っておられました。この出展者の方々からもご好評をいただいているということで、より深化、発展をした形での開催をしていこう、そういうことで、本年は、昨年度の五千万円から一億円に予算を倍増したわけですが、やはり新型コロナの感染拡大という大きな問題にぶつかることとなりました。
 先ほど来お話ししてきたとおり、イベントというのは継続性が命であります。昨年ともしたイベントの灯を絶やさないように、ことしも工夫しながら開催をしていくべきだと考えるところでありますが、まず、このeスポーツフェスタの開催について、現在決まっている点と今後の予定についてお尋ねをいたします。

○土村商工部長 今年度の東京eスポーツフェスタは、新型コロナウイルス感染症の影響も踏まえ、オンライン形式により来年二月十二日から十四日までの三日間開催する予定でございます。
 昨年度に引き続き、eスポーツの競技大会、関連産業展示会、関連技術等のセミナーや学習企画を予定してございます。
 今年度の実施に向けて、本年十月には業界団体とともに実行委員会を立ち上げておりまして、引き続き準備を着実に進めてまいります。

○栗下委員 今回はオンライン開催で行っていくということでありました。昨年度の開催では初年度ということもありまして競技種目は三つでありましたが、よりeスポーツの裾野を広げていくために家庭でプレーをできる、いわゆるコンシューマーゲームのタイトルも含めていくべきということは昨年の質疑でも求めてきましたが、新タイトルの追加にも大いに期待をしております。
 コロナ以降、オンラインイベントの数は着実にふえてきておりますが、ビジネス創出という点においては、リアルの展示会になかなか追いついていないという課題もあります。従来の目的であります中小事業者のビジネスチャンス拡大のために、特に工夫を凝らしていくべきと考えますけれども、どのような工夫を行っていくのかお伺いをいたします。

○土村商工部長 関連産業展示会をオンラインにより実施するに当たりまして、昨年度の展示会と同様に、中小企業がみずからの製品やサービスのすぐれた点をしっかりと発信し、新たな販路開拓に着実につなげていくことが重要でございます。
 そのため、運営事業者の募集に当たっては、オンラインの活用に不なれな中小企業に対し、製品やサービスの魅力を訴求するPRページの作成や、オンライン上での商談について、きめ細かくサポートするための専門のスタッフを配置することなどを求めております。
 今後、決定いたします運営事業者と中小企業への具体的なサポートについて検討を進めてまいります。

○栗下委員 これは昨年の質疑でも述べさせていただきましたけれども、ネット上のプレゼンスを高めていくということは、コロナのない平常時においても重要なことでありまして、例えばこういうイベントでありますと、民間のイベントであれば、キャラクターがつきもの、CGの着ぐるみを動かすバーチャルユーチューバー等、新たな試みもどんどん進んでいます。
 先ほど、このイベントは都がやるべきことなのかと、そういう指摘もありましたけれども、これまでの行政のやり方の中で縛られれば、そういわれてしまうのも無理はないというふうに思います。ですので、こういったイベントを四角四面にやってもそもそも受け入れられない中で、やはりこれまでの官の発想を超えた新しい視点といいますか、そういったことについても率先をしてチャレンジをしていくべきだというふうに思っております。
 そして、これはそれに対する応援の意味でお尋ねをいたしますけれども、特にこのeスポーツフェスタにおいては、前例に縛られずに新たな取り組みに果敢に挑戦していくべきだと思いますけれども、改めてお考えをお聞きしたいと思います。

○土村商工部長 日本のeスポーツ市場規模は、民間の調査結果によりますと、昨年度は約六十一億円でございましたが、ことしの推計では約七十六億円、三年後には約百五十三億円と見込まれるなど、飛躍的な成長が期待されております。
 eスポーツ関連産業は、VRなどの最新技術を生かした新たなコンテンツやオンラインでのコミュニケーションツールなど幅広い技術やサービスを生み出している企業も多く、これらがビジネス向けのサービスに派生する可能性を持つ分野でございます。
 こうしたことから、eスポーツフェスタにおいて、競技大会や関連産業の展示会のほか、eスポーツ関連企業が生み出す新たな技術やサービスの発信などについて検討してまいります。

○栗下委員 ありがとうございます。力強いご答弁をいただきました。
 コロナ禍にあって、ゲームの価値というのが再認識をされております。特に緊急事態宣言下では、任天堂を初めとするゲームメーカーが収益の大幅増を記録するなど、感染リスクのない娯楽としてゲームの価値が改めて評価をされてきているところでもあります。
 ぜひとも、本年度のeスポーツフェスタを通じて、この業界で頑張っている中小企業の方々を強力に後押ししていただけるよう最後にお願いを申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。

○けいの委員 さあ、それではテンポよく行わせていただきます。中小企業の支援についてでございます。
 中小企業は眼前のコロナと闘いつつも、将来に向けては人材不足、人手不足、深刻化による労働力の確保という大きな問題を抱えております。そうした中で成長を続けていくためには、東京の経済の中心を担う中小企業が、みずからの経営資源を活用して最大限の効果を得られるよう、生産性の向上を図っていく必要がございます。
 ICTやロボットを生かした生産工程の管理など、さまざまな設備や技術が生み出されていますが、中小企業の経営者からは、最新技術に関してのノウハウがない、あるいは導入したくても初期投資が難しいといった声が聞かれます。
 都では、こうした中小企業の生産性向上を後押しするため、専門家によるアドバイスと設備導入の助成を組み合わせた支援を行っております。その特徴と具体的な活用事例についてお伺いいたします。

○土村商工部長 都では、生産性の向上を図るため、ICTやAI、ロボットなどの最先端技術の導入に取り組む中小企業に対する支援事業を実施しております。その特徴としましては、導入前の検討段階から支援に着手し、最終的な機器の導入まで伴走型で支援をしている点が挙げられます。
 本事業では、まず無料で専門家を派遣し、生産ラインなどにおける課題を抽出し、生産性の向上に最適な機器の選定などのアドバイスを行っております。あわせまして、ICTツール等の導入に必要となる経費について助成を行っております。
 今年度の支援では、データ分析を行うソフトウエアの導入により、販売予測の精度向上につなげて在庫管理の効率化を図る事例や、複数の工場への生産管理システムの導入により、受発注の一元管理を可能とするなど業務の円滑化を図る事例などが出ております。
 今後もこうした取り組みを通じまして、中小企業の生産性向上の取り組みを着実に後押ししてまいります。

○けいの委員 今ご答弁いただいたICT技術、それからロボットの導入、ニーズはたくさんあるんですけれども、さらにはコロナ禍でデジタルトランスフォーメーションなど新技術の活用の動きが一層進むことが想定されます。なかなか導入に至らない、伝統的な、古く、長くやっているご高齢の経営者等々、一歩先を見据えてサポートの充実を図っていただきたいと思います。
 続きまして、都内に製造業、小売業、飲食サービス業などさまざまな産業が集積しているわけですが、各地域の経済や生活を支えておりますが、近年のグローバル化や企業間競争の激化に加えて、新型コロナウイルス感染症の影響などにより、地域の中小企業は厳しい状況に置かれております。
 私の地元荒川区も、金属加工業や衣服等の生活関連産業を中心に、ものづくりのまちとして発展してまいりました。しかし、事業者数の減少傾向が続くほか、事業承継や販路拡大、生産性向上の課題が生じております。
 地域経済を活性化させていくために、地域の実情に精通した区市町村が地域ごとの特性に応じて行う対策が効果的であると考えます。
 都では、区市町村による産業基盤の強化など、地域経済の活性化を図るためのさまざまな取り組みをしていただいております。その取り組み状況をお願いいたします。

○土村商工部長 都では、東京の経済を支える多様な産業の発展を図るため、区市町村が地域の実情を踏まえて行う産業活性化の取り組みに対しまして、最長三年間の支援を行っております。
 今年度は、十五自治体の取り組みを支援しており、異業種交流による製品開発や地域ブランドの創出、地域金融機関等と連携した事業承継支援といった地域のネットワークを生かした取り組みのほか、地場産業の活性化に向けた創業支援などの取り組みが行われております。
 今後も、こうした地域の特性を生かした区市町村の取り組みを支援し、都内産業の活性化を図ってまいります。

○けいの委員 十五自治体の取り組みを支援ということですが、もっと広く支援の輪が広がるようにしていきたいと思います。
 地場産業は地域で栄えて、地域を守ってきた事業ですけれども、昨今は大変厳しい状況に置かれております。地域の魅力ある産業がコロナ禍を乗り越えられるように、区市町村と連携して後押しをお願いしたいと思います。
 続いて、ニューマーケット開拓支援事業についてお聞きします。
 すぐれた技術力を持ち、積極的に製品開発を行う中小企業が、その製品の販路を拡大していくために、取引先との強固なコネクションや、販売ノウハウに秀でた営業担当者の育成など、こうしたさまざまな取り組みを行っているわけですけれども、中小企業は人的資源が乏しくて、取引先の開拓までなかなか手が回らないという声もございます。また、営業担当者を抱えているものの、営業ノウハウの不足から業績が低迷しているというケースも見受けられます。
 都では、こうした中小企業の課題に対応するため、ニューマーケット開拓支援事業を実施しております。今年度の実績と取り組み内容についてお答えください。

○土村商工部長 都は、営業力が弱いために販路の確保が難しい中小企業に対しまして、営業経験の豊富な大企業OBのナビゲーターが、自身の持つ人的ネットワークを活用し、販路開拓の後押しを行う支援を実施しております。
 今年度は、十月末時点で三百六十社を支援しており、七十名のナビゲーターが出身企業など延べ四千六百四十件の巡回を行い、中小企業の製品を積極的にPRいたしました。また、大企業等から引き合いがあった場合は、ナビゲーターが商談の場を設定し、中小企業の同席のもと製品の売り込み方を示すとともに、成約に向けたサポートを行いました。
 こうした取り組みの結果、これまで三百五十五件、約七億五千万円もの成約実績を上げておりまして、災害時でも快適な睡眠ができるエアマットや、コンパクトに畳める紙製エコバッグといった中小企業のすぐれた製品の販路開拓に結びついております。

○けいの委員 今ご答弁いただいたように、民間企業、大企業のOBのナビゲーターが中心となって三百六十社も支援して、七十名の方で四千六百四十件回って歩く、その実績は七億五千万円もの成約実績を上げるという、これは単にOBを送り込むということだけではなくて、中小企業に営業ノウハウを何千件と回っていく中でしっかりと伝えていく、これはすばらしい、中小企業にとってはありがたい事業であると思います。今後も、こうして中小企業に寄り添って手厚いサポート、さらに支援を強化していただきたいというふうに思います。
 続きまして、制度融資についてお伺いします。
 新型コロナの影響により、今、多くの中小企業が資金繰りに苦慮しております。本年三月に都独自の新型コロナ対応融資を創設しました。我が党の要望に応え、五月には限度額一億円まで三年間無利子となる融資を開始いたしまして、今日に至っておりますけれども、これまでの都のこうした取り組みを大いに評価させていただきます。
 この実質無利子を実現している新型コロナウイルス対応融資の概要と仕組みについて、改めて確認させてください。

○篠原金融部長 都が実施しております新型コロナウイルス対応融資には、感染症対応、感染症借りかえ、危機対応及び感染症全国の四つのメニューがございます。このうち、感染症全国は融資限度額四千万円で、国の補助を受けて実質無利子としているメニューでございます。他の三つは都の独自メニューでございまして、それぞれの融資限度額は二億八千万円でございます。そして、感染症全国と都の独自メニューを合わせて一億円まで、三年間無利子としているところです。この三年間の無利子化につきましては、融資を実行した金融機関に対し、都が利子部分を補助する仕組みにより実現しております。
 また、信用保証料については、都が東京信用保証協会に直接補助することとしておりまして、借り受ける事業者は一時的にも利子や保証料を負担することがなくなっております。
 さらに、元本返済の据置期間を最大五年間とするなど、中小企業の負担軽減を図っております。

○けいの委員 ありがとうございます。
 年末や年度末に向けて、再度の借り入れをしたいというご要望も、私、お聞きしておりますけれども、金融機関の方に確認すると、やはり与信枠が限られていて、せっかくこの先、二の手、三の手と用意していても、なかなか現実は、中小企業、次の融資に結びつかないという課題も残されております。何とかこの中小企業、年末、年度末を乗り越えられるように尽力していきたいと、このように思っております。
 続きまして、事業者の負担を軽減するためのさまざまな配慮、制度融資の続きですけれども、この一方で、年末、年度末、資金需要が増加する懸念、今お話ししました。
 この制度融資により資金繰り支援を今後も継続していくべきだと考えますけれども、新型コロナウイルス対応融資の最近の実績と今後の対応についてお伺いします。

○篠原金融部長 新型コロナウイルス対応融資の最近の実績でございますが、四つのメニューを合わせまして、九月は約二万一千件に対し約五千六百億円、十月には約一万二千件に対して約二千八百億円でございまして、今年度の累計は約四兆二千七百億円となっております。なお、十月の実績はピーク時であった六月の三割程度でございます。
 今後とも、国や経済の動向などを見きわめながら、必要な金融支援を行ってまいります。

○けいの委員 実質無利子融資を、まずは来年三月まで継続していただくことを強く要望して、次の質問に移ります。
 クラウドファンディングについて、さまざま質疑がございましたので、二問ほど飛ばさせていただきます。
 第二回定例会で補正予算を組みまして、手数料の助成率、上乗せ特例を設けました。こうした取り組みに感謝いたします。そして、手数料の助成だけではなく、セミナーや相談も実施して、今年度、実績というお話も先ほど出ておりました。
 ただ、このクラウドファンディング、こうした無料のセミナーなどを生かしながら、クラウドファンディングで集めた資金といえども、ここに後に課税されるということもしっかり、集めていく企業側にお伝えしておかないと、一千万円欲しいという目標で一千万使い切った後に、後で税金がかかってきて、そのお金がないということがないような、そうした課税の方のアドバイスもぜひ同時に行っていただきたいと思います。
 駆け足になりましたが、最後になります。
 我が党はかねてから、コロナ禍において顕著となってきたさまざまな地域課題を解決するために、地域のNPO等の役割が重要であると指摘してまいりました。ニーズが高まっているソーシャルビジネスには多くのNPO事業者などが参画しており、その活動を支援することは、経済のみならず社会的な意義が大きいと考えます。
 都は、我が党の要望を受けて、補正予算により六月からソーシャルビジネス支援事業を実施しておりますが、現在の取り組み状況についてお伺いします。

○土村商工部長 都は、感染症の拡大に伴い顕在化しました社会的課題の解決に向け、新たにソーシャルビジネスに取り組むNPO法人等に対し、その活動に必要となる広報費やシステム開発費などの一部を助成する事業を、ことし六月より開始いたしました。
 本事業には二百三十二件の申請がありまして、面接審査等を経て三十件を採択いたしました。採択事例としては、コロナ禍のために中断した保育士や幼稚園教諭に対する研修をオンラインで提供するサービスや、医療機関等に使い捨て防護服を安価で提供するプロジェクトなどでございます。
 本事業を通じまして、コロナ禍において、新たな社会的価値を創出しようとする意欲的なNPO法人等の取り組みを支援してまいります。

○けいの委員 ありがとうございました。
 ソーシャルビジネスに取り組むNPO法人などは、経済活動と地域の課題解決の両立を実現する、地域社会にとって大変貴重な存在であります。採択した事業が着実に成果に結びつくために、助成金だけではなく適切な経営支援を提供することが重要であります。
 引き続き適切なサポートを求めまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○滝田委員 私で最後になりますが、ちょっと重複的な部分もありますので、できるだけスピーディーにいきたいなというふうに思います。きょうは多摩地域のことを中心に取り上げてまいりたいというふうに思います。
 まず、テレワークの推進です。
 小池都知事就任以降、テレワークの推進に特に力を入れてまいりました。都は、中小企業などへのテレワーク導入支援や普及啓発事業を実施し、二〇一九年度に都内企業のテレワーク導入率は二五・一%まで高まっており、そうしたベースがある中で、感染症への対応により、都民や事業者の意識の変化を経て、普及が大きく進み、テレワーク導入率は約六割に達しました。昨年末に策定をした戦略ビジョンでは、二〇三〇年に七割を目指すとの内容でありましたので、大幅に時代が加速をした形であります。
 感染症からの回復においては、元に戻すのではなくて、ビルド・バック・ベターの考えで、働き方の変化や生産性、競争力の向上などにつなげることが非常に重要であります。テレワークについても、劇的な環境変化に対応して、施策をブラッシュアップし、テレワークの拡大、定着につなげていくことが重要であります。
 都では本年度、サテライトオフィスモデル事業として、国立など三カ所でテレワーク拠点をつくりました。私も先日視察をさせていただきました。同モデル事業では、多摩地域の中で、サテライトオフィス等のテレワーク拠点が余りないエリアを中心に整備をしたと聞いています。
 まず、多摩地域のサテライトオフィス等のテレワーク拠点について、現状をどのように認識しているのか、その立地状況について伺います。

○村西雇用就業部長 都が開発したTOKYOテレワークアプリに登録されているサテライトオフィスの施設数は、区部が三百九十一施設、多摩地域の市町村部が三十五施設となっており、多摩地域のサテライトオフィスの施設数は、区部と比較して極めて少ない状況となっております。
 多摩地域につきましては、テレワークのさらなる促進と定着により、通勤など区部への移動が減少することに伴い、サテライトオフィスの利用ニーズも増加するものと考えております。

○滝田委員 先ほどの答弁では、多摩地域の市町村部では三十五施設程度しかなかったということでありました。
 TOKYOテレワークアプリで多摩地域の各駅周辺を私も確認してみましたけれども、そうした三十五施設についても一部の駅に集中をしているというふうに理解しております。確認したところ、吉祥寺、三鷹、立川、八王子、町田、多摩センターあたりに集中しているというふうに確認をしております。
 現在、都市整備局の方では、改定中でありますけれども、都市計画区域マスタープラン、鉄道乗車人員の多い駅を中心に、中核的な拠点や地域の拠点を設定し、拠点性を高めようとしているというふうに理解をしております。
 例えば、私の地元の八王子市の中でも、八王子駅以外に、南大沢駅は中核的な拠点、八王子みなみ野駅や高尾駅は地域の拠点というふうにされておりますけれども、良好な住宅街で都心に通う都民も多く、こうした地域においてもサテライトオフィス等のテレワーク拠点のニーズは高まっております。
 ちなみに、現在まだ立地しているサテライトオフィス等はないというふうに認識しておりまして、もちろん八王子市以外でも、感染症を経て、住宅地に近い地域の拠点周辺にもニーズが高まっているというふうに想定されます。改めて、多摩地域の拠点駅を中心に、個別の駅やエリアごとに、どのように立地をしているのか分析することや、潜在的なテレワークニーズを掘り起こしていくための検討といったことも必要ではないかというふうに考えます。
 多摩地域の主要拠点において、サテライトオフィスモデル事業の拡大や民間事業の立地を推進し、テレワークの拠点づくりを展開していくべきと考えますが、見解を伺います。

○村西雇用就業部長 都は、区部と比べて民間のサテライトオフィスが少ない多摩地域の三カ所におきまして、TOKYOテレワーク・モデルオフィスを開設し、利用者ニーズを掘り起こすことで、民間事業者や自治体によるサテライトオフィスの整備の促進を図っております。
 また、民間事業者や自治体が市町村部に新たにサテライトオフィスを設置、運営する際には、その整備費と運営費の補助も行っております。
 このサテライトオフィスの補助事業につきましては、平成三十年度の開始以降、交付決定は二年間で五件でございましたが、今年度は、申請を検討している事業者が十社を超えており、コロナ禍におけるテレワークの普及に伴い、事業所の設置ニーズが高まっております。

○滝田委員 民間事業者からの補助事業の申請件数等も拡大しているということでありまして、これらをさらに後押しするとともに、民間事業者の進出において、優先順位が劣後しがちな住宅街の拠点駅などについては、やはり都がモデル事業をさらに進めてテレワークの土壌を掘り起こしていくことも、今後も必要だというふうに考えております。
 多摩地域の主要拠点において、都が設置するモデルオフィスの拡大や、民間事業者等のサテライトオフィス設置支援を来年度もさらに促進することを強く求めておきたいというふうに思います。
 また、南大沢については、都市整備局で進めているまちづくりの方針の議論や、先日立ち上がった南大沢スマートシティ協議会の中でも、一つの切り口としてテレワークやサテライトオフィス等の働く場の必要性についても言及がされております。連携をして産業労働局からもしっかりと後押しするように求めておきたいというふうに思います。
 テレワークの導入によりまして、生産性が下がったというふうに回答している企業や従業員が多いといった調査もございます。テレワーク定着のためには、単に機材や通信環境があるというだけではなくて、働く環境を整え、企業の運用も改善を行うことで、生産性をむしろ上げられるようにしていく必要がございます。
 また、先ほど我が会派の福島都議からも質問がありましたが、業種ごとの課題であったり、あるいは非正規雇用などの就労形態の課題といったものもございます。今後は、それらも調査分析をした上で、丁寧に対応策を講じていく必要があるというふうに考えております。
 普及率といった量の問題からテレワークの質にも焦点を当てていくべき段階が来ているという中で、サテライトオフィスのモデル事業などにおいては、都民や事業者が新しい働き方に加えて、新しい働く空間、働く環境についても体感できることが重要な意義の一つであるというふうに考えております。
 生産性の高い働く空間とはどういうものか、創造性を高め新たな事業を生み出しやすい働く空間とはどういったものなのか、働く空間の提案、働く空間を新しく体感する場面としてもモデルオフィス等を活用するべきではないかと考えますが、見解を伺います。

○村西雇用就業部長 テレワークという新たなワークスタイルを含め、業務の内容や目的等に合わせて働く環境を変えることは、労働環境の面からも生産性の面からも有効な取り組みでございます。
 都が設置しましたTOKYOテレワーク・モデルオフィスでは、パーソナルワークスペースとして、個人が業務に集中できるよう周囲の視線を遮断したブース席を配置しているほか、イノベーションワークスペースとして、目線や気分を変えて新しい発想を広げることに適したハイカウンターやソファー席を設置するなど、業務内容や目的に合わせて活用できるさまざまなスペースが用意されております。
 新たな働く空間を体験できるモデルオフィスのこうした機能につきましても、利用者にPRしてまいります。

○滝田委員 創業マインドやイノベーションを高めたり、支援策やさまざまな学びの場との接点としても活用するなど、単なるテレワークだけではない環境をつくることで、政策効果をさらに高めていただきたいというふうに求めておきます。
 なお、料金設定が無料であるということについて、先ほど別の会派の質疑でもありましたけれども、こちらについて私も見直すべきではないかなというふうに指摘をさせていただきたいと思います。もともとのモデル事業においては普及啓発といった部分が強かったというふうに思いますけれども、コロナを経まして、普及啓発という観点においてはかなり進んでいっているというふうに認識をしておりまして、今後、より一層テレワークの拠点を拡大していく中で、事業のやり方ということについては、たてつけをよくブラッシュアップしていただきたいなというふうに考えております。
 さて、ワーケーションについても伺います。
 感染症の拡大を経まして、働き方の常識が大きく変わりました。また一方で、観光の新しい形として、マイクロツーリズムの振興など、都民が都内の魅力を再発見して観光消費をすることも、ウイズコロナ期だけではなく、ポストコロナにおける裾野の長い観光需要を創出していくための重要な観点であるというふうに考えます。そのような中で、ワーケーションの取り組み意義はさらに大きく拡大をしておりまして、今後の取り組みの加速を期待しています。
 今年度、コロナの前に、実施を決めたワーケーションの拠点づくりの事業を、来年度さらに活用していくべきではないかと考えますが、見解を伺います。

○村西雇用就業部長 都は、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方を実現するテレワークのさらなる普及を図るため、今年度、多摩・島しょ地域において、テレワークで働きながら、地元観光や地域活動などを行うワーケーションのモデル事業に取り組んでおります。
 具体的には、今月下旬から観光施設やレジャー施設等にサテライトオフィスを試験的に設置し、ワーケーションの体験機会を提供することにより、利用ニーズや課題について調査分析しております。
 モデル事業の成果は、地元自治体等に提供することで、各地域におけるワーケーションの取り組みを促進してまいります。

○滝田委員 国でも動きがありますけれども、自然公園の活用など、新しい形で仕事と憩いや楽しみと融合させていくということも今後はテーマとなってまいります。環境局や建設局など、他局とも連携した取り組みについても検討していくことを求めておきたいというふうに思います。
 ワーケーションは、都にとっても事業者や地域にとっても、まだ新しいテーマであります。今年度の事業者が決まりましたけれども、ワーケーションを実際に利用する方々や事業者に対して、都としても情報の収集を行って、どのような魅力づくりや体験活動等との組み合わせができれば、より付加価値を高めることができるのか、観光面も含めて分析をして、事業者、地域等とアイデアを膨らませていくことも重要であります。次の一手に向けた取り組みの深化を求めたいと思います。
 次に、多摩地域の創業拠点について伺います。
 立川に設置をしたStartup Hub Tokyo、TOKYO創業ステーションTAMAは非常に期待する取り組みでございます。先日視察もさせていただきましたが、施設内容やコンシェルジュ、運営主体などが洗練されたサービスであるというふうに私も感じたところでございます。
 TOKYO創業ステーションTAMAを設置した意義のほか、利用状況や利用者の評価等を含め、これまでの初期の取り組み状況について伺いたいというふうに思います。

○土村商工部長 TOKYO創業ステーションTAMAは、多摩地域を中心に東京の創業活性化を図るための支援拠点として開設しております。希望する方々が着実に起業を実現できるよう、事業アイデアの具体化に役立つ基本的な知識やノウハウの習得から、事業計画の策定やその実行まで、きめ細かいサービスを一貫して提供しております。
 取り組み状況としましては、起業への興味を喚起するためのセミナーや交流イベントを実施しており、十月末までの間に、オンラインを含めて百二十四回開催しておりまして、延べ四千八百十八人の方が参加いたしました。
 また、起業に関する悩みや疑問に対応するコンシェルジュが延べ三百六件の相談に対応するとともに、事業計画をまとめ上げるためのコンサルティングを延べ三百五十四件、資金調達やマーケティングの専門家による専門相談を延べ七十三件実施いたしました。
 施設の利用者からは、担当者の対応を含め施設内の雰囲気がよい、また、起業に向けた適切なアドバイスが受けられたなどの声が寄せられております。

○滝田委員 今、取り組み状況を伺いましたが、コロナの中で開始をしたという中で、四カ月間の実績としてはかなりのものではないかなというふうに思いまして、今後の創業につながるように期待をしたいというふうに思います。
 一方で、戦略ビジョンにおいては、都内開業率を現在の約二倍程度の一二%に高めるというふうにしておりまして、また、都立大学発ベンチャー企業も二〇三〇年までに累計四十社を目指すというふうにしております。難易度の高い目標ではありまして、さまざまな取り組みが求められるというふうに思いますが、多摩地域においては、八王子市内だけでも二十一もの大学キャンパスがありまして、大学の集積は大きな強みであります。同時に、今後、創業率、開業率を高めていく上で、若年層が当たり前のように創業を一つの選択肢として見られるようなマインドの醸成は非常に重要であるというふうに考えます。
 今後、都立大学も含め、多摩地域に所在をする各大学の創業支援の取り組みと連携をして、若年層から起業に対しての基礎知識やマインドなどを養成することが重要であると考えますが、具体的な連携の事例と今後の取り組みについて見解を伺います。

○土村商工部長 多くの大学が集積します多摩地域は、新しいビジネスを生み出す可能性のあるアイデアを持つ大学生も多く存在するため、こうした地域の特性を生かして大学生に焦点を当てた取り組みを行い、多摩地域の創業を活性化させていく視点も必要と考えております。
 TOKYO創業ステーションTAMAでは、これまでに二つの大学に、みずから起業した経験のあるコンシェルジュやプランコンサルティングを担当している専門家を講師として派遣し、事業計画の策定に係る講義等を実施しております。
 また、起業に関心のある大学生に本施設を知っていただき利用を促すために、スタッフが大学を訪問して広く校内に周知してもらうよう働きかけを行っております。
 今後も、こうした取り組みを一層強化し、大学と連携して多摩地域の創業活性化を図ってまいります。

○滝田委員 東京全体の開業率を上げるということであると、相当マスへの影響ということが必要でありまして、大学をてこにしてレバレッジをきかせるということが必要ではないかなというふうに考えております。まずは連携の実施、今、二大学というふうに聞いておりますけれども、これを大きくふやせるようにしっかりと営業していただきたいというふうに思います。
 また、戦略ビジョンには、仮称多摩イノベーションパーク構想ということを掲げておりまして、このことについては評価をしたいというふうに思いますが、構想の具体化、施策を積み上げて連携させることで、多摩地域のエコシステム形成に向けた取り組みの加速を強く求めておきたいというふうに思います。
 次に、農業について伺います。
 高齢化が進む農業においても、後継者や新規就農者の育成は重要であることはいうまでもありません。また、農外からの就農希望者が増加をしておりまして、受け皿をしっかりつくり、地域に根づいた農業、そしてしっかり稼いでもらう農業につなげていくことが重要であります。そうした中で、今年度スタートした東京農業アカデミー八王子研修農場では、農外から新規就農を志す五名の熱意ある方々が学んでいるというふうに聞いております。
 先日も、私、視察をさせていただきまして、さまざまな作物を生産している研修現場を見させてもらいました。農場として再整備しながら進めているということでありますので、初年は研修現場をつくることも大変な苦労があったというふうに聞いておりまして、関係者の皆様方のご尽力にまずは感謝をしたいというふうに思います。
 一方で、農業アカデミーの研修期間は二年を予定しておりますので、事業の二年目を迎える中で、今度は卒業生が肝心の就農、これが確実にできるように支援をしていかなければなりません。
 来年度、学んだ後にしっかりと就農ができるように農地の確保等に取り組んでいく必要がありますが、どのように取り組んでいくのか伺います。

○上林山農林水産部長 八王子研修農場の研修生が、研修終了後に都内で円滑に就農するためには、農業技術や知識の習得に加えて、研修終了後に速やかに農地を確保することが重要でございます。このため、二年間の研修期間中に研修生が農家派遣研修を体験することで、就農希望地域でのネットワークづくりを支援しております。
 また、地域の農地情報が集約される区市町村農業委員会や農地あっせんのコーディネーター役である東京都農業会議などと連携し、研修生への農地のマッチング体制を整備して着実な就農を支援しております。

○滝田委員 就農希望地域でのネットワークづくりを支援するといったようなお話が答弁の中にもございました。研修期間中の段階から、農地を提供する側や地域と、お互いに人を知って関係づくりをしていくということは重要な要素であろうというふうに思います。
 また、さまざまな形で研修生の支えや参考となる人脈を形成することが必要でもあります。特に、若手就農者、先輩新規就農者、新しい取り組みに積極的に取り組んでいる農家さんなどとのネットワーキングについてもしっかりと行っていただくように求めておきたいというふうに思います。
 次に、稼げる農業という観点から伺いますが、東京農業アカデミー八王子研修農場の卒業生を初めとした都内の新規就農者に永続的な都市農業を実施していただくためにも、農業生産技術だけではなく、販売、マーケティング、加工、経営など、付加価値を上げていくためのノウハウやネットワークづくりなどに対する支援を就農初期から行っていくことも重要と考えますが、都の取り組みを伺います。

○上林山農林水産部長 農外から就農した新規就農者が、自立した農業経営を行っていくためには、栽培技術の習得だけではなく、販路の確保や農業者同士のネットワークづくりなどが大切でございます。このため、都は、東京都農業会議と連携し、安定した販路を確保するため、スーパーや飲食店等の販売先に関する情報提供に加え、農産物を共同で出荷するグループを形成する際のサポートなどを行っております。
 また、農産物の加工、販売などの六次産業化やEコマースの活用などについても、経営コンサルタントなどの専門家を派遣して需要が見込まれる加工品の開発に関する助言やECサイトの紹介を行うとともに、必要な経費の補助を行うなど、農業者の経営安定に向けた支援を実施しております。

○滝田委員 永続的な東京の都市農業というものを実現するべく、意欲ある就農者が稼げる農業を体現できるよう支援をお願いしたいというふうに思います。
 一方で、東京の農業、農地の問題としては、二〇二二年に生産緑地の期限を迎え、大量の都市農地が宅地化しかねないという懸念がございます。これまで区市や農業委員会等とともに特定生産緑地への移行を進めているということは重要でありますが、二〇二二年、もう再来年であります。
 生産緑地の二〇二二年問題を間近に控える中で、都市農地の保全に向けた取り組みが重要でありますが、現在の取り組み状況について伺いたいと思います。

○上林山農林水産部長 二〇二二年問題などによる生産緑地の減少を防ぐためには、特定生産緑地への移行や貸借制度の活用に加え、農地の買い取りに向けた区市への支援が重要でございます。このため、都は、特定生産緑地への移行に向けて、区市や農業委員会、東京都農業会議と連携して、農業者への制度の周知に取り組んでおります。
 また、高齢化等により、みずから耕作ができない農地については、生産緑地の貸借制度を活用し、意欲ある農業者等への貸借を促進しております。
 さらに、相続等により、農業者からの生産緑地の買い取り申し出があった区市に対しては、その買い取り経費の支援を行っております。
 こうした取り組みによりまして、都市農地の保全を図ってまいります。

○滝田委員 今、答弁には、特定生産緑地への移行がどれぐらいあるかという見込みについてまではご答弁がありませんでしたけれども、都内に約三千ヘクタール程度、生産緑地があります。貴重な緑、オープンスペースでもありますけれども、もし仮に、一割程度でも特定生産緑地に移行せず、宅地化してしまうとなれば、三百ヘクタール近くもの緑やオープンスペースが失われてしまうという可能性もございます。
 改めて危機感を持って、特定生産緑地への移行、区市の買い取りの加速、その財政的支援強化などを取り組んでいただくようにお願いをしたいというふうに思います。
 最後に、テラス営業支援について伺いたいというふうに思います。
 我が会派の緊急要望を踏まえまして、都道における道路占用許可基準の時限的な緩和措置、都立公園等での臨時営業許可、そして産業労働局によるテラス営業支援の施策、これらを早期に整えてスタートさせたということについては高く評価をしております。
 産業労働局では、テラス営業を行う都内の飲食業等に対する支援を行っていますが、これまでの取り組み内容と実績について、まず伺いたいと思います。

○土村商工部長 都は本年七月より、都内の飲食事業者が、道路や公園などにおいて国や都などから占用許可基準の緩和を受け、臨時的に行うテラス営業に必要となる経費のうち三分の二について助成する事業を開始いたしました。
 事業開始から十月末までの申請件数は四十一件でございまして、都道で飲食店がテークアウト用の料理などを提供する事例や、市道で複数店舗が店内の三密を回避しテラス席で料理を提供する事例など、感染防止対策を講じながら営業を継続する飲食事業者の取り組みを後押ししております。

○滝田委員 今、四十一件の申請があったというご答弁がありましたけれども、これが多いか少ないかというのはなかなか難しい評価ではあるんですけれども、新しい制度でありますし、道路空間を活用して営業等を行うということで、安全性なり、あるいはその場の環境等にも影響されることでありますので、まずは一つ一つ事例を重ねていくということが重要であるというふうに考えております。これまで、十月までの間に四十一件、申請と事例が出てきたということについては評価をしたいというふうに思います。
 国土交通省は先日、道路占用許可基準の緩和措置をさらに延長して、もともと十一月末までであった期限を来年三月末までといたしました。
 感染症対策と経済、生活を両立していくための取り組みとしまして、屋外空間を利用するテラス営業支援の取り組みについて、関係局と連携し期限を延長するとともに、より一層使いやすい制度への改善や好事例の横展開などにより、取り組みの広がりを促していくべきであると考えますが、今後の取り組みについて伺いたいと思います。

○土村商工部長 国による占用許可基準の緩和措置の延長を受け、都道等においても同様に実施していた緩和措置も延長されたことから、テラス営業支援の助成制度についても追加募集を開始し、十二月末までの申請を受け付けることといたしました。
 中小企業振興公社の申請窓口では、十月末までに三百七十六件のお問い合わせをいただいております。
 今後は、より多くの事業者に活用を促していくために、窓口に寄せられた意見や要望は、関係局や区市町村等との間で適切に情報共有を図るほか、本事業の活用事例をホームページへの掲載や郵送などにより商店街等へ周知してまいります。加えて、占用許可を受けた事業者に対しても本事業の活用を改めてご案内するなど、積極的に事業PRに取り組んでまいります。

○滝田委員 歩いて楽しい魅力的なまちを形成するということで、商店、商店街等のにぎわいを生み出していくということは、感染症のあるなしにかかわらず重要な課題であるというふうに考えております。大規模商業施設に負けない、あるいはそうした施設にはない異なる魅力を商店や商店街等が出していくためにも、テラス営業等は有効な手段の一つであるというふうに考えます。
 国において、新たに歩行者利便増進道路、通称ほこみち制度がスタートをするということでありまして、道路等の公共空間を活用し、テラス営業等、今後も時限ではなく実施をしていく、そのためにも交通の安全性や公平性などの諸課題をどこでどのような形であればクリアできるのか、関係局や区市町村とともに今回の取り組みなどを通じて検証していくことを求めていきたいというふうに思います。
 以上をもちまして、私からの質問を終わります。ありがとうございました。

○菅原委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○菅原委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で産業労働局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後八時四十七分散会

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