委員長 | 菅原 直志君 |
副委員長 | けいの信一君 |
副委員長 | 菅野 弘一君 |
理事 | 奥澤 高広君 |
理事 | 尾崎あや子君 |
理事 | 伊藤 ゆう君 |
栗下 善行君 | |
長橋 桂一君 | |
福島りえこ君 | |
滝田やすひこ君 | |
あぜ上三和子君 | |
高倉 良生君 | |
山崎 一輝君 | |
三宅しげき君 |
欠席委員 なし
出席説明員中央卸売市場 | 市場長 | 黒沼 靖君 |
管理部長豊洲市場活性化担当部長兼務 | 松田 健次君 | |
事業部長 | 西坂 啓之君 | |
企画担当部長 | 猪倉 雅生君 | |
市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 佐々木 珠君 | |
財政調整担当部長渉外調整担当部長豊洲にぎわい担当部長兼務 | 村上 章君 | |
移転支援担当部長 | 石井 浩二君 | |
施設担当部長 | 渡辺 正信君 | |
環境改善担当部長 | 佐々木宏章君 | |
港湾局 | 局長 | 古谷ひろみ君 |
技監 | 原 浩君 | |
総務部長 | 相田 佳子君 | |
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 深井 稔君 | |
調整担当部長 | 若林 憲君 | |
港湾経営部長 | 戸井崎正巳君 | |
臨海開発部長 | 中村 昌明君 | |
開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務 | 佐藤 賢治君 | |
臨海副都心まちづくり推進担当部長 | 赤木 宏行君 | |
臨海副都心開発調整担当部長 | 松本 達也君 | |
港湾整備部長 | 山岡 達也君 | |
計画調整担当部長 | 薮中 克一君 | |
離島港湾部長 | 片寄 光彦君 | |
島しょ・小笠原空港整備担当部長 | 高野 豪君 |
本日の会議に付した事件
中央卸売市場関係
事務事業について(質疑)
港湾局関係
事務事業について(質疑)
○菅原委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
速記をとめてください。
〔速記中止〕
○菅原委員長 速記を始めていただけますでしょうか。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、中央卸売市場及び港湾局関係の事務事業に対する質疑を行います。
これより中央卸売市場関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○松田管理部長豊洲市場活性化担当部長兼務 去る十月二十九日の当委員会で要求のありました資料につきまして、お手元に配布してございます経済・港湾委員会要求資料に基づきましてご説明申し上げます。
資料は全部で三項目ございます。
恐れ入りますが、一ページをお開き願います。1、中央卸売市場における市場別業者数の推移(十年間)についてでございます。
過去十年間の水産物、青果物、食肉及び花きの市場別の業者数の推移をお示ししてございます。一ページに卸売業者、二ページに仲卸業者、そして三ページに売買参加者につきまして、それぞれ記載してございます。
四ページをお開き願います。2、中央卸売市場における取引方法別割合及び取扱金額の推移についてございます。
四ページに取引方法別割合の推移、五ページに取扱金額の推移を記載してございます。
六ページをお開き願います。3、卸売業者・仲卸業者の数及び経営状況についてでございます。
卸売業者及び仲卸業者につきまして、取扱品目ごとに業者数と、そのうちの赤字業者数を区分して記載してございます。
以上、簡単ではございますが、要求のございました資料につきましてのご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○菅原委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言をお願いいたします。
○栗下委員 中央卸売市場は、いうまでもなく都民の消費生活を支える基幹的なインフラとして重要な役割を担っております。しかし、市場を取り巻く環境は変化しており、さまざまな課題が山積する中、今般のコロナ禍によって大変に厳しい状況にあります。
そこで、こうした厳しい状況における卸売市場の運営について、現在、そして将来にわたる課題とその取り組みについて質問してまいりたいと思います。
先般、大幅な規制緩和を盛り込んだ改正市場条例が施行されました。施行からまだ四カ月という状況で、市場業者による新たな事業展開が本格的に行われていくのはこれからだというふうに思いますが、市場業者による活性化に向けた創意工夫ある取り組みを都が支援していくことは重要であり、これまで我が会派も強く求めてまいりました。
活性化支援事業では、こうした市場業者の取り組みも支援の対象になると聞いております。活性化支援事業の概要とこれまでの実績について、まずお伺いいたします。
○石井移転支援担当部長 都では、市場を取り巻く環境の変化や、大幅な規制緩和を盛り込んだ改正条例の施行を踏まえ、卸売市場のさらなる活性化を図るため、令和元年度から中央卸売市場活性化支援事業を実施しております。
昨年度は、合計四十事業に対しまして約二億六千万円の補助金を交付し、都内十一の中央卸売市場全てでさまざまな取り組みが行われました。
今年度は、十月現在で、合計二十九事業に対しまして約一億五千万円の補助金の交付決定を行っております。
これまで、ECサイト構築による販売ルート多様化に向けた取り組みを初め、海外取引等の販路拡大やICTを活用した販売力強化の取り組み等、市場業者による意欲的な取り組みを後押ししております。
○栗下委員 この支援のポイントとして、市場全体を底上げしていくということがあると思いますので、昨年度、十一ある全ての市場でこの補助が活用されたということは、評価されるべきことなんだろうというふうに思います。
今年度は、新型コロナウイルスの影響もありましたので、前半戦は恐らく大変なご苦労があったことと思われますが、コロナの影響が少しずつ和らいできて、これから市場業者の方々の再スタートを力強く後押ししていっていただけるようにお願いをいたします。
特に、新型コロナウイルスによって高まる巣ごもり需要に合わせて、ECサイト構築のニーズが事業者の間で高まっているようであります。
私の地元大田市場におきましても、このECサイトとの連動で、仲卸の方々が目ききでえりすぐった野菜をドライブスルー形式で販売をする、ドライブスルー八百屋が注目を集めておりました。
こういった新しい事業を始めたいという市場業者の方々に、必ずこの制度が届けられるように、使っていただけるように、さらなる浸透への努力をお願いしたいと思います。
さて、市場業者の方々から、この活性化支援事業を利用するに当たって、手続が煩雑であるといったお声もいただいてまいりました。
これまで、都度改善を求めてまいったわけでありますが、運用面でどういった改善が行われてきたのかお伺いをいたします。
○石井移転支援担当部長 本支援事業を活用し、中央卸売市場のさらなる活性化を図っていくため、市場業者から寄せられた、手続を簡素化してほしいといった声などを踏まえ、より使いやすい制度となるよう、運用について必要な改善を行っております。
今年度からは、事例が多く、申請内容が定型化された取り組みにつきましては、審査手続を簡略化するとともに一部の書類を簡素化するなど、市場業者における手続面での負担軽減を図っております。
○栗下委員 昨年度の経験を生かして、しっかりと簡略化が進んでいるということでありました。
すばらしい制度も、その利用にバリアがあるようだと、やはりその価値を十分に発揮することができません。この点については、これからも不断の努力をお願いしたいと思います。
新型コロナウイルスの影響によって、市場業者の方々も、今、将来に不安を感じておられまして、新しいチャレンジに二の足を踏むというケースも多いというふうに聞いております。
こういった事業者に対しても、挑戦を後押しできるように、さらなる働きかけを行っていくべきと考えますが、見解を伺います。
○石井移転支援担当部長 コロナ禍による市場業者の経営への影響を踏まえると、より充実した支援を迅速に行う必要がございます。
このため、活性化支援事業では、新たな販路の開拓や販売方法の多様化など、コロナの影響を乗り越えていく取り組みに対して補助率を拡充するとともに、新たに交付決定額の七割を前払いする仕組みを設けるなどの見直しを行い、コロナ禍にあっても、市場業者にとってチャレンジしやすい制度となるよう改善を図っております。
○栗下委員 このたび新型コロナ特例を新たに追加されて、補助率を拡充、そしてその補助金の一部を前払いにしていくという工夫がされているのは、市場業者の方々にとって大変大きな助けになるんだろうと思います。
加えて、改めて私からお願いをしたいのが、この制度を使うに当たって、可能な限り、市場業者それぞれ固有の問題に寄り添って、ともに対応していくということであります。
例えば、市場業者の方がこの制度を使って、昨年度、市場でイベントを開いてこられました。今年度も当然、それに継続してイベントを開くという予定であったんですが、ご承知のとおり、コロナが直撃をいたしまして、緊急事態宣言が発令をされたわけであります。
コロナ禍においては、本当に今年度の中でこのイベントが開催できるのかどうかと、その事業者さんは大変に迷われまして、都にも一応相談はしたそうでありますが、都全体としても、その後どうなるかわからない中で、どういう対応をしていくかと決まっていない中で、その事業者さんにこれは決断いただくしかないと、大まかにいうとそういうご対応だったということであります。
事業者さんの目線からすると、実際そのイベントをやるという前提で進めて、それが本当にできなかったときに、そこまでにかかった費用、これを事業者さんが丸ごと持たなくちゃいけないんじゃないかと。この新型コロナで、ただでさえ先行きが不透明な中でそういうリスクを背負うことはちょっと難しいということで、その申請を見送られたそうでありますけれども、例えば、実際に申請いただいて、それが採択された後に新型コロナウイルスの影響でそのイベントが中止にならざるを得なくなってしまったときには、そこまでにかかった費用に対しても補助が適用されるんだとか、そういった寄り添った対応があったならば、あるいはその決断の結果は違ったものになったのではないかというふうに思っております。
新型コロナウイルスは、この問題に限らず、社会のあらゆるところに、これまでなかったような、あり得なかったような問題を発生させております。そういった問題に立ち向かう市場業者の方々に、もう既に努力していただいていると思いますけれども、さらに寄り添った対応をいただければ大変ありがたいというふうに思っております。
また、かねてから、海外輸出の拡大にチャレンジする事業者への支援を我が会派としても求めてまいりました。市場業者の方々からは、コロナが発生して以後、輸出事業は大変厳しい状況にあると聞いております。
この活性化支援事業で、海外輸出に向けて取り組む市場業者を手助けしていくべきだというふうに考えますが、これまでの取り組み状況についてお伺いをいたします。
○石井移転支援担当部長 海外への販路拡大に向けた取り組みにつきましては、昨年度は、仲卸業者による海外展示会への出展や海外顧客向けに特化した受注システムの構築の取り組み、業界団体主催による組合員向けの輸出セミナーや海外バイヤーとの交流会の取り組みなど、計十件の取り組みを支援いたしました。
今年度は、コロナ禍において海外展示会等のイベントが中止となるなど、海外展開を取り巻く厳しい環境下におきましても、仲卸業者による海外営業用のコミュニケーションアプリを構築する取り組みや、卸売業者による海外輸出に向けた人材確保、育成の取り組みなど、市場業者のコロナ禍における創意工夫ある取り組みを後押ししております。
○栗下委員 ご答弁の中でも、海外輸出の動向というのは今大変に厳しいんだというお話がありました。しかし、そういった中でも果敢に海外への販路拡大を目指そうとしている事業者の後押しを行っていくというご意思も、同時にお示しをいただいたのかと思います。
輸出に関しては、輸出先の国々の動向、これがまず第一にあることと思いますけれども、今後、世界的にコロナのダメージから回復がされてきたときに、この輸出に関しても、しっかりと施策で後押しをしていけるように、その動向については特に注視をしていただきたいというふうに思います。
さて、都民の食生活に対するニーズは多様化をしており、特に安全・安心に対する関心は、コロナ禍で家庭消費が増加する中、大きな高まりを見せております。生鮮食料品を扱う卸売市場において、品質、衛生管理に取り組むことは極めて重要な使命でありますので、続けて、衛生管理について質問をいたします。
令和三年六月から改正食品衛生法が施行をされてまいります。食品衛生法というのは、もともと食品汚染や腐敗、食中毒を防ぐために、戦後間もないころに制定をされてまいりました。二〇〇三年にBSEや中国産農作物の残留農薬の問題があり、抜本的改正が行われましたが、その後、久しく改正が行われてきませんでした。
昨今、インターネットの普及やワークスタイルの変化で、食の流通形態、販売形式、食そのもののあり方が大きく変化をする中で、加工食品の増加など、食品衛生に求められるニーズも変わってきております。
このたび、十五年ぶりに食品衛生法が改正をされ、これまで必ずしも国際基準となっていなかった日本の衛生基準を引き上げるために、HACCPの制度化や営業届け出制度の創設などが決定をされ、いよいよ来年の六月から施行されることとなります。
中央卸売市場においては、HACCPに沿った対応が市場業者にも求められることとなりますが、まず、HACCP対応に向けた市場業者の取り組みと、その取り組みに対する都の支援についてお伺いをいたします。
○西坂事業部長 食品衛生法の改正によりまして、令和三年六月から食品等取扱事業者は、HACCPに基づく衛生管理、またはHACCPの考え方を取り入れた衛生管理、このいずれかを業種やその規模に応じて実施することが必要となっております。これら二つの衛生管理の総称が、HACCPに沿った衛生管理とされております。
中央卸売市場といたしましては、最初に申し上げた、HACCPに基づく衛生管理の要件を満たしますISO22000やFSSC22000、このFSSCは食品安全マネジメントシステムに関する国際規格でございますが、などの認証取得に取り組みます卸売業者等に対しましては、品質・衛生管理に係る認証等取得補助金交付事業や中央卸売市場活性化支援事業により、財政的な支援を行っております。
また、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理に関しましては、その実施に向けて取り組みます卸売業者及び仲卸業者に対しまして、食品衛生法に定められております衛生管理計画と事業者みずからが作成する品質・衛生管理マニュアル、これは施設の衛生管理や温度管理、従事者の健康管理、事故対応について手順を定めたマニュアルでございますが、これらの作成に関しまして、福祉保健局の市場衛生検査所等と連携協力いたしまして、講習会を開催するなどの支援を行っております。
○栗下委員 ありがとうございます。HACCPに基づく衛生管理とHACCPの考え方を取り入れた衛生管理、二つの側面から市場業者を後押しいただいているということでありました。
来年に向けて、都の支援によって取り組みが進んでいるということでありますが、最新の進捗状況についてお伺いをいたします。
○西坂事業部長 東京都の中央卸売市場全体の令和二年十月末時点における卸売業者、仲卸業者の取り組み状況でございますが、先ほどご答弁いたしましたHACCPの考え方を取り入れた衛生管理の実施に向けまして、衛生管理計画及び品質・衛生管理マニュアルにつきまして、水産物の卸売業者の六〇%、仲卸業者の七五%、青果物の卸売業者の五六%、仲卸業者の五三%、食肉の卸売業者は一〇〇%、仲卸業者の七四%が作成済みでございます。
今申し上げた数字には、HACCPに基づく衛生管理の要件を満たしますISO22000などの、より高度な品質、衛生管理が要求される第三者認証を取得した卸売業者等も含んでおります。
本年度後半は、市場衛生検査所等と連携した講習会を青果仲卸業者を主に対象として実施する計画でございまして、本日も大田市場で開催しているところでございます。
その開催を継続するなどにより、来年六月のHACCPに沿った衛生管理の義務化に向けまして、都として確実に支援していきます。
○栗下委員 大まかにいいますと、食肉については最も進んでいる、そして水産は約六割強、青果は五割強ということだというふうに思いますけれども、来年の六月には、いずれもこれを一〇〇%にしていかなくてはいけないわけであります。
各市場における施設整備も含めて、このHACCP準拠に向けた市場業者の対応に、きめ細やかにサポートができるよう、引き続きのご尽力をお願いいたします。
さて、これまでの質疑の中で、市場業者への取り組み支援、HACCPへの取り組み状況について質問をしてまいりました。より強固な市場運営のためには、ソフトへの対応だけでなく、ハードへの対応も必要であります。
そこで、次に、施設整備について質問をしていきたいと思います。
十一ある中央卸売市場が、その特色を生かしていくために、その基盤となっているのが、それぞれの市場の施設や設備です。都には大小さまざまな規模の市場がありますが、中には老朽化が相当程度進んだ施設もあり、市場の方々から、施設整備に関しては多くの要望が寄せられております。
私の地元大田市場におきましても、壁面塗装、水漏れ防止対策、荷受け、荷さばきスペースの確保、違法駐車取り締まりの徹底、駐輪場の確保など、さまざまな要望をいただいております。これらについても早急に進めていただきたいと思いますが、近年では、特に時代の要請に合わせて、省エネについても要望をいただいております。
都は、照明器具のLED化を推進しているということでありますが、その取り組み状況についてお伺いをいたします。
○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 卸売市場では、卸売り場などの照明器具の使用に伴うエネルギーの需要が高く、省エネ対策を推進していくことは、コストの削減につながるだけでなく、環境への負荷を低減していく上でも重要な取り組みでございます。このため、卸売り場や事務室などの照明器具の新設や更新に当たりましては、原則としてLEDを導入することとしております。
大田市場では、これまで青果卸売り場や青果冷蔵庫棟、花き卸売り場や都の事務室にLED照明を導入してまいりました。
今後、仲卸売り場や関連事業者棟などへの導入に向けまして、工事に伴う市場業務への影響を考慮しながら、計画的な整備を進めてまいります。
○栗下委員 ありがとうございます。今後は、仲卸売り場や関連事業者棟などへも導入を進める検討を行っていただけるということでありました。
繰り返しになりますけれども、この施設整備につきましては、その他の市場におきましても、市場業者の皆さんから最も望まれていることの一つだというふうに思いますので、今後も積極的に推進していただけるようお願いして、次の質問に移りたいと思います。
次に、市場における新型コロナウイルス対策について質問をいたします。
新型コロナウイルス感染症は、懸念された爆発的な感染拡大を何とか防ぎ、医療体制もいっときに比べれば安定してはきましたけれども、一日当たりの新規感染者数が二百名を超える日があるなど、依然として予断を許さない状況にあります。
中央卸売市場においても、感染患者が発生した際には細やかな対応とそしてご報告をいただいておりますけれども、万が一にも、都民の食を支える市場機能に大きな影響を与えることのないように、油断することなく、対策をこれからも徹底していかなくてはなりません。
新型コロナウイルス感染を防ぐ防止策、これも重要でありますけれども、どんなに注意をしても感染を完全には防げないということは、昨今の事例を見ても明らかかと思います。感染してしまうことを前提とした対策を講じていくことが重要であります。
そこで、このコロナ禍においても市場運営を継続していくためのこれまでの対応について、まずお伺いをいたします。
○西坂事業部長 今般のコロナ禍におきましても、都民の消費生活を支える基幹的なインフラとしての機能を確保するため、都は、市場関係者と連携しながら、感染拡大防止対策に努めております。
具体的には、施設入り口や主要なエレベーターホールなど、人の動線となる場所にアルコール消毒液を設置するとともに、接触感染のおそれがある箇所について重点的に清掃を行うなど、衛生対策の強化を図っております。
また、都と市場関係者とで、感染者が発生した際の緊急連絡体制等を構築するとともに、手洗いやせきエチケットの徹底についてポスター等で周知するほか、市場業者に対し、手洗いや手指消毒等の徹底や、従業員の健康管理などを強く要請しております。
こうした対策について、適宜見直しを図りながら、市場業者とともに日々取り組んでおりまして、今後とも、感染拡大防止に向けてしっかりと対応していきます。
○栗下委員 このところ、コロナの問題が非常に長期化をしてきていることで、社会全体が、よくも悪くもコロナに対してなれてきたということをとみに感じます。
市場業者の方々にも、この基本的な感染拡大防止の取り組みを徹底いただけるように、引き続きの啓発を行うとともに、感染があった際には、迅速かつ柔軟な対応をいただけるよう改めてお願いをしたいと思います。
さて、市場業者の間の対策というのも重要でありますが、開設者である都の職員が感染するリスクもある中、いざというときのための都側のバックアップ体制を整えることも重要であります。
都としてどのような備えをしているのかお伺いをいたします。
○西坂事業部長 中央卸売市場では、大田市場や豊洲市場などの大規模な市場を除きますと職員数の少ない市場が多いという特性を踏まえまして、都の本庁による支援体制を整えております。
具体的には、本庁におきまして消毒作業に必要な資器材を確保しておりますほか、作業手順をまとめたマニュアルを整備いたしまして、各市場に提供し、共有化しております。
また、本庁が直ちに各市場をバックアップできるよう、あらかじめ消毒作業等に従事する要員や市場業務を交代する要員、本庁と市場との連絡調整役としてのリエゾン要員を指定しております。
現時点では、都の市場関係職員で感染者は発生しておりませんが、引き続き、業界と一体となって感染拡大防止に取り組み、市場業務を着実に継続していきます。
○栗下委員 本庁においても、人員の検討など、いざというときのさまざまな準備というのをしていただいているということでありました。
ありていではありますけれども、災害は忘れたころにやってくるというのが、これ、世の常でありますので、備えよ常にの精神を忘れずに、これからも尽力をいただけるようお願いしたいと思います。
この新型コロナウイルスの発生時には、当初、食品を介したコロナ感染及びその風評被害も心配されておりました。現段階におきましては、大きな問題は起こっていないと承知をしておりますけれども、既に大きなダメージを負っている市場業者の方々にとって、今後、万が一にも事案の発生、そしてそれによる風評被害が起こらないように、市場当局としても、引き続き目配りをいただけるよう、これも要望をさせていただきます。
次に、市場の経営計画について質問をいたします。
中央卸売市場が、都民生活を支えるという役割を今後もしっかりと果たしていくために、卸売市場をさらに活性化させていくことが求められております。
これからの市場の活性化を図る上で、その前提となるのが、持続可能な市場経営であると私たちは考えております。安定した経営基盤が確立されてこそ、生鮮食品などを安定的に供給する使命が全うでき、都民の期待に応える市場を実現することができます。
こうした視点に立った我が会派の要望に応えて、都は昨年七月に、食品流通や企業経営、財務、会計の専門家の方々によって構成される市場の活性化を考える会を立ち上げ、市場のさらなる活性化と持続可能な市場運営を実現するための強固な財務基盤の確保に向けて、視察や会議を重ねられてきたことと思います。
市場の活性化を考える会の議論の状況と今後のスケジュールについてお伺いをいたします。
○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 現在、市場の活性化を考える会において、提言の取りまとめに向けた議論がなされておりまして、年内をめどに取りまとめられる予定となっております。
この取りまとめを踏まえまして、今後の市場経営のビジョンを、仮称でございますが、経営指針として今年度中に策定をしていくこととしております。
その後、この経営指針で示す方向性に基づきまして、経営計画を令和三年度に策定することとしております。
○栗下委員 もう十一月に入りましたので、ことしも残すところあとわずかでありますが、ことしじゅうに会の議論を取りまとめるということですので、仕上げに向けて、引き続きご注力をいただきたいというふうに思います。
さて、さまざまに質問を行わせていただいてまいりました。この新型コロナウイルスの影響は、今、いっときに比べれば和らいではきましたけれども、完全に終息する日、本当に我々がマスクを外して外出をできるようになる日がいつ来るのか、本当にわからないといったところもあるかというふうに思います。
そういう先行きが非常に不透明な中で、都民の食を守る、そのことと、時代の要請に合わせて革新を行っていく。その二つのことを同時に行っていくというのは、これは大変なことでありますけれども、質問の最後に、市場を取り巻く環境が大きく変化する中において、厳しいコロナ禍にも直面しておりますが、今後の市場運営に向けた市場長の決意をお伺いしたいと思います。
○黒沼中央卸売市場長 卸売市場を取り巻く環境が厳しさを増し、さらには新型コロナウイルスによる影響が食品流通全体に及ぶ中にありましても、都の中央卸売市場が生鮮食料品等を安定的に供給する役割を着実に果たしていくためには、その中核を担う市場業者の活発な取引による市場の活性化を実現していくことが極めて重要でございます。
このため、大幅な規制緩和を盛り込んだ今回の条例改正を契機といたしまして、新たに販路の拡大、開拓や販売方法の多様化等に取り組む意欲のある事業者に対しまして、活性化支援事業により取り組みを後押しするなど、さらなる市場の活性化を図ってまいります。
また、令和三年六月に控えますHACCPに沿った衛生管理の義務化に向けまして、市場業者が確実にこれに対応し、適切な品質、衛生管理が達成できるよう、支援を行ってまいります。
新型コロナウイルス感染症の長期化が懸念される中、開設者である都としてバックアップ体制を構築するなど万全の備えを講じますとともに、都と市場業界が連携をし、必要な見直しを図りながら徹底した感染拡大防止対策に取り組むことで、いかなるときにおいても市場機能を維持してまいります。
さらに、今後の市場経営の羅針盤となるビジョンを経営指針として今年度中に策定するとともに、これに基づき、実効性のある経営計画を策定して、持続可能な市場経営を戦略的に推進してまいります。
引き続き、都と市場業者とが一体となりまして、都民の豊かな消費生活を支え、都民から支持される卸売市場としてまいります。
○栗下委員 ありがとうございます。黒沼市場長から大変力強い宣言をいただきました。
一つ確実にいえることは、一昨年の豊洲市場への移転、市場法の改正、食品衛生法の改正、また、この新型コロナウイルスの問題等、中央卸売市場は、本当にこれまでにかつてない激動の時代を迎えているということがいえるのだというふうに思います。
そういう中にあって、前例がない、ある意味では明確な答えがない、非常に難しい問いに日夜取り組まれている市場当局の皆さんのご尽力に、心から敬意を表したいと思います。
今後も、これまでの市場の枠にとらわれない発想を持って、市場業者の方々の活動を力強くご支援いただけるよう改めてお願いをいたしまして、私からの質問を終わらせていただきます。
○菅野委員 それでは、私の方からは、最初に豊洲市場についてお伺いをいたします。
豊洲市場が開場してから、先月でちょうど二年が経過しました。移転の延期や盛り土の問題など、一時的な混乱はあったものの、今は市場運営も落ちつきを取り戻し、平常どおりの運営がなされていると思います。
移転が延期された当時から、我々都議会自民党は一貫して豊洲市場への移転を進めるべきと指摘し、この立場から、さまざまな場を通じて我々の主張を訴えてまいりました。豊洲市場が平常どおりの運営ができるようになったこの時期を捉えて、改めて豊洲市場の運営状況等について確認をしていきたいと思います。
まず初めに、開場後の豊洲市場の運営状況について、都としてどう総括をしているのか、見解を伺いたいと思います。
○村上財政調整担当部長渉外調整担当部長豊洲にぎわい担当部長兼務 豊洲市場は、開場から二年目を迎えたところでございますが、全国の産地から多種多様な品を集荷し、とりわけ水産物については、価格形成の指標となる建て値市場としての機能を発揮しておりまして、我が国の基幹市場として大きな役割を果たしております。
引き続き、高度な品質、衛生管理が可能となる閉鎖型施設など、施設の持つ特色を生かし、コロナ禍においても生鮮食料品等を安定的に供給し、水産物、青果物の中核市場としての役割をこれまで以上に果たしていけるよう、市場業界と緊密に連携しながら、取引の活性化に取り組んでまいります。
○菅野委員 豊洲市場が、築地市場の時代と変わらずに、全国の建て値市場として基幹的な機能を発揮しているとのお話でした。
そもそも豊洲市場への移転は、築地市場の老朽化や狭隘化といった課題があることを踏まえて進められたものであり、高度な品質、衛生管理が難しいといった築地市場の課題を踏まえて、閉鎖型の施設として整備をされました。
また、生鮮食料品等の流通において加工需要が高まっていることも踏まえて、加工パッケージ施設も整備をされました。
そこで確認をしておきますが、閉鎖型施設や加工施設が整備されたことによって、どのような効果が生まれているのか、見解を伺いたいと思います。
○村上財政調整担当部長渉外調整担当部長豊洲にぎわい担当部長兼務 豊洲市場は、生鮮食料品を低温で温度管理ができ、高温、風雨による品質劣化や、鳥、小動物などからの被害を防ぐため、卸売り場や仲卸売り場の施設を閉鎖型とし、品質、衛生管理を強化しております。
また、消費者ニーズの変化に伴う多様な顧客ニーズに的確に対応していくため、加工パッケージ施設なども整備してございます。
こうした施設の特性を生かしまして、市場業者は、品質、衛生管理に係る第三者認証の取得や加工需要に対応するなど、新たな販路拡大、販路開拓等に向けた取り組みを進めておりまして、出荷者や顧客などの取引関係者からも評価をいただいているところでございます。
○菅野委員 そうした閉鎖型施設や加工施設の整備というものが、取引関係者からの高い評価につながっているということが今わかりました。
一方で、豊洲市場における取扱量については、今なお厳しい状況が続いています。流通の中間拠点である市場は、産地における生産量や消費者の消費量の増減による影響を受けるわけです。その影響が取扱量にも及ぶことは理解はできます。
ただ、そうした中にあっても、閉鎖型施設の優位性等は生かして、豊洲市場をさらに活力ある市場として育てていく努力を積み重ねることが重要だと思います。
そこで、活力ある豊洲市場を実現する上での課題とそれに対する今後の対応について、都のお考えを伺いたいと思います。
○村上財政調整担当部長渉外調整担当部長豊洲にぎわい担当部長兼務 活力ある豊洲市場を実現するには、高度な品質管理など、先進的な市場流通を実現できる市場の特性を十分生かしながら、産地や実需者などの多様なニーズに対応していくことが重要でございます。
このため、条例改正による規制緩和で、多くの市場業者や産地及び実需者がより一層活発な取引を行うことができる環境のもと、豊洲市場の強み等を踏まえた戦略的な経営について、業界との議論を深めるとともに、さまざまなニーズに対応する意欲ある取り組みに対して支援を行うなど、都と業界が一体となって市場の活性化を図ってまいります。
○菅野委員 今答弁にもありましたとおり、ぜひ、そこのところ、しっかりとした戦略を持って、豊洲市場をさらに発展させていただきたいと思います。
次に、中央卸売市場全体の施設整備についてお伺いをします。
豊洲市場が開場するまでの間、豊洲市場以外の十市場の市場業者の方々は、自分たちが働く市場の施設整備が進むことをずっと待ち望んでいたと思います。豊洲の整備が終われば自分たちの市場もよりよい施設となると願っていた市場業者の皆さんからは、我が党に多くの要望が寄せられています。
各市場の施設は、日々の活力ある取引を実現するための基盤であり、その施設が有効に機能してこそ、業界の皆さんの力を十分に発揮していただくことができるものと思います。
そこで、豊洲市場が開場して以降、都として各市場の施設整備にどのような取り組みを進めてきたのか、その状況を確認しておきたいと思います。
○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都では、第十次東京都卸売市場整備計画に基づき、各市場において市場運営に支障が生じることのないよう、老朽化に伴う受変電設備等の更新など、市場機能の基盤を支える設備の更新工事を実施してまいりました。
また、環境への対応として、北足立市場、世田谷市場及び多摩ニュータウン市場で、特定フロンにかわる冷媒を使用した設備とするため低温設備の更新工事を実施したほか、足立市場など四市場において、照明器具のLED化を実施してまいりました。
このほか、品質、衛生管理の高度化や加工パッケージへの対応など、販売先の多様なニーズに応えていくための加工、荷さばき施設を大田市場に整備いたしました。
○菅野委員 都として、これまでの取り組みの状況というのはわかりましたが、業界の皆さんからは、さらなる施設整備を望んでいるものと思います。我々の耳にも入っているのは、そういった声が大変多いので、明らかだと思います。
そこで、今後の施設整備について、どうやって進めていくつもりであるのか、都の見解を伺いたいと思います。
○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 中央卸売市場が生鮮食料品等流通における基幹的なインフラとしての役割を果たしていくためには、各市場の機能維持に加えて、取引の活性化につながる施設整備を着実に進めていくことが重要でございます。
具体的には、老朽化や環境対策に必要な設備の更新を計画的に進め、市場機能の維持を図るとともに、各市場の規模や機能、特色を踏まえ、品質、衛生管理の高度化や物流の効率化など、産地や実需者のニーズに即した施設整備に取り組んでまいります。
○菅野委員 ぜひ、しっかりと業界の声を踏まえながら、計画的な施設整備を着実に進めていただきたいと思います。
次に、私の地元にあります食肉市場について伺いたいと思います。
食肉市場は、豊洲市場と同様に、食肉の分野における全国の建て値市場としての機能を有している中核市場の一つであります。しかしながら、施設の老朽化が進み、近年、さまざまな設備について更新工事が進められていると聞いています。
そこでまず、食肉市場における近年の設備更新工事として、どのような工事を行ってきたのか、行われたのか確認したいと思います。
○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 近年の主な設備更新としては、市場部門におきまして、センタービルの牛の枝肉用の冷蔵庫内部の床面が滑りやすくなっていたことから、作業員の安全を確保するため、令和元年度に防滑工事、これは滑りにくくするという意味でございますけれども、防滑工事を行いましたほか、腐食が課題となっていた冷蔵庫の扉を支える枠、三方枠と申しますけれども、そちらの枠の改修工事を行うなど、経年劣化により生じたふぐあいへの対策工事を実施いたしました。
と場部門におきましては、令和元年度に、牛の枝肉をつるして搬送するための高架レールや、豚の足の切除など一連の前処理作業を行うためのコンベア設備など、と室内の設備の更新を行い、老朽化更新に合わせた衛生管理の向上を図っております。
また、令和二年度からは、と畜解体作業に伴う排水の処理を行う水処理センターについて、全体的な機能更新を見据え、中央監視設備の更新工事に取りかかっております。
○菅野委員 さまざまな設備更新工事が行われていることをお聞きしましたが、これで全ての更新が完了したわけではありません。食肉市場は、と場施設と一体的な施設として整備されていますので、そうした施設の構造上、工事を実施する際には、取引業務と解体業務の双方に影響が及ばないように、さまざまな配慮が必要だと思います。とりわけ大規模な設備更新工事を進めようとする場合には、この工事の困難度が非常に高くなります。
そこで伺いますが、今後の設備更新を進める上でどのような課題があって、また、その課題に対して、都として今後どのように対応していくおつもりなのか、お考えを伺いたいと思います。
○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 食肉市場内の業務は、牛や豚などの生体の搬入から食肉の販売まで、一連の業務が継続して行われる工程であり、一部の機能が停止すれば全体の業務に影響が及ぶため、狭隘な敷地の中にあっても、計画的な更新に取り組み、市場業務に支障を来さないようにすることが重要でございます。
このため、現在、実施設計を進めている牛の枝肉の冷蔵庫や競り場が入る市場棟の改修工事においても、工事の範囲を細分化しまして、ローリング方式で行うことで取引業務の継続につなげることとするなど、市場運営への支障が最小限となるよう配慮しております。
今後とも、業界と綿密な調整を図りながら、計画的な設備の更新に努めてまいります。
○菅野委員 食肉市場は、狭隘な敷地で、かつ施設の構造も入り組んでいる難しい状況でありますが、業界団体と十分に意見交換をしながら、相互に知恵を出し合いながら、着実に設備更新を進めていってほしいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、次に、活力ある市場づくりについて伺いたいと思います。
東京都は、よく中央卸売市場は基幹的なインフラであると答弁していらっしゃいますが、この基幹的なインフラとしての機能とは何なのかを考えてみたいと思います。
この点を突き詰めて考えると、産地から荷を集め、これを再分配する、いわゆる集荷、分荷という機能や、卸売業者と仲卸業者が、それぞれ産地と消費者を代表して競りなどをすることで適正な価格を決める価格形成といった機能が、その代表的な機能といえると思います。
そこで、ここで指摘しておきたいのは、こうした機能は、市場における取引を通じて初めて発揮されるものであるということであります。いいかえれば、市場機能を発揮する上で、中核的な役割を果たしているのは市場業者であるともいえます。
今般のコロナ禍においても、中央卸売市場の機能をとめることなく維持できたのは、市場業者がその事業を継続してくれたことによるところが大きいわけであります。都議会自民党は、こうした彼らの役割の重要性を踏まえて、市場業者の経営を支えるためのさまざまな支援策の実施を求めてきたところであります。
いずれにしましても、活力ある市場を実現するためには、開設者である都が市場業者の意欲を引き出すとともに、彼らと同じ目標を共有して、相互に連携をして取り組むことが不可欠です。
そこで、まず初めに、市場業者との連携に関して、都としての基本的な認識を確認したいと思いますが、市場を取り巻く環境が厳しさを増す中にあって、活力ある市場をつくるためには、業界としっかりと向き合いながら、相互に連携した取り組みを進めるべきと考えますが、今後、都としてどう取り組んでいくのか、市場長からお考えを伺いたいと思います。
○黒沼中央卸売市場長 都の中央卸売市場は、都民の豊かな消費生活を支える基幹的なインフラでございまして、その役割を着実に果たしていくためには、ただいま副委員長からお話がございました市場機能の主要な担い手であります市場業者と開設者である都が連携をして取り組みを進めていくことが極めて重要でございます。
新型コロナウイルス感染症の影響もあり、卸売市場を取り巻く環境は厳しさを増しておりますが、さらなる市場の活性化を図り、卸売市場としての役割を果たしていくことが何よりも必要でございます。
このため、市場業者と連携をいたしまして、それぞれの市場の特色に沿った戦略的な経営を進めますとともに、計画的な施設整備を通じて、市場機能の維持向上を図ってまいります。
また、今後のコロナ禍により、厳しい環境にある市場業者の経営をしっかりと下支えすることに加えまして、意欲のある市場業者の先駆的な取り組みなどを力強く後押しすることによりまして、市場業界との連携を強化し、さらなる活性化に取り組んでまいります。
今後とも、市場業者と一体となった取り組みを重ね、最終消費者であります都民から信頼される中央卸売市場としてまいります。
○菅野委員 都と市場業者、業界との連携というのは、活力ある市場づくりのための第一歩であります。しっかりと連携していくことを改めて求めておきます。
その上で、いかにして市場の活力を取り戻していくのかという点についても確認をしておきます。市場の活力を取り戻すためには、集荷力の強化や販路の拡大など、市場の物流や商流を太くする取り組みを業界自身が積極的に進める必要があると考えます。
都は、業界の取り組みをどうやって推し進めていくのか伺いたいと思います。
○石井移転支援担当部長 都では、今回の条例改正を契機といたしまして、都と市場業者との間で、さらなる市場の活性化に向けた意見交換などに取り組みますとともに、中央卸売市場活性化支援事業により、生鮮食料品等流通の中間結節点に位置する卸売市場の機能を一層強化するため、産地からの集荷促進や実需者への販路拡大に向けた取り組みなど、市場業者の意欲あるさまざまな取り組みを支援しております。
集荷促進に向けた取り組みでは、卸売業者による品質、衛生管理の高度化やトレーサビリティー機能の構築など、産地に選ばれるための取り組みを支援いたしました。
また、販路拡大に向けた取り組みでは、仲卸業者によるICTを活用しコロナ禍に適した海外営業ツールの開発や、取引先と連携した季節の行事に合わせたフェアの開催など、取引先との関係強化や販売力強化の取り組みを支援いたしました。
○菅野委員 業界をしっかりと後押しをして、着実に取り組みを進めていただきたいと思います。
一方で、中央卸売市場の市場経由率を見ると、全体として右肩下がりの傾向にあるのは否めません。市場法改正などにより、食品流通全体の効率化が求められる中にあって、都内の中央卸売市場が生き残るためには、産地を初めとした出荷者と消費者の代表である実需者の双方から選ばれる市場づくりを進めていく必要があります。
都内十一の中央卸売市場は、それぞれ特色や商圏等が異なり、集荷や販路についても強い点や弱い点などが異なっています。これらをしっかりと分析した上で、各市場の特色を生かした市場ブランドの確立など、選ばれる市場となるための取り組みを進めるべきと考えますが、見解を伺いたいと思います。
○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都内に十一ある中央卸売市場の活性化を図るためには、各市場の規模や立地などの特性を踏まえ、創意工夫をしながら特色を生かした市場運営を行っていくことが重要でございます。
このため、都と業界代表者により構成される会議において、各市場を取り巻く環境を分析した上で、それぞれが持つ強みや弱みなどを整理し、戦略的に取り組むべき内容を経営戦略として策定することとしております。
これまで、大田市場の青果部と水産物部、淀橋市場、北足立市場、葛西市場において策定し、経営戦略に基づいた取り組みを進めております。
そのほかの市場においても、経営戦略の策定など、戦略的な経営に向けた取り組みを進め、各市場の特色を生かした市場運営に向けて取り組んでまいります。
○菅野委員 ぜひ業界の皆さんと十分に意見交換をしながら、戦略的な取り組みを進めていただきたいと思います。
中央卸売市場の基幹的なインフラとしての機能はいうまでもなく都民生活を支えるための機能であります。この機能を十分に発揮するためには、活力ある市場を実現することが不可欠であり、だからこそ、取引業務の中核を担う市場業者と開設者である都の連携が重要であり、また、市場により多くの荷を集めるために、市場の物流、商流をこれまで以上に太くしていくことが求められています。
そのための取り組みを進めることが、都民の豊かな食生活や彩りと潤いのある生活の実現につながっていくものと考えます。
今後とも業界と緊密に連携をして、活力ある市場づくりをしっかりと進めていただくことを強く求めまして、私の質問を終わります。
○長橋委員 それでは、私からも質疑をさせていただきます。
私からは、第十次卸売市場整備計画、これに関連して何点か確認をしておきたいと思います。
この計画は今年度が最終年度ということでありますので、私も読ませていただきました。特にことしはコロナ禍の中での最終年度ということで、大変なご苦労もあったと思いますけれども、これから質疑に当たって、しっかりと活性化に向けた取り組みをお願いしたいと思っております。
まずは、市場整備計画で書いてあるのが、生鮮食料品の流通を取り巻く環境は大きく変化をしたと。市場経由率の低下、取扱数量の減少、市場業者の経営悪化など、かつてない深刻な危機に直面していると。新たな変革へ踏み出す卸売市場、新たな変革ということをテーマといいますか、大きな命題にしたわけであります。
そこでまず、市場経由率、取扱数量の減少、具体的にどうだったのか、そして、その原因は何なのかお伺いをしたいと思います。
○西坂事業部長 卸売市場経由率につきましては、全国の値となりますが、農林水産省の公表資料によりますと、最新は平成二十九年度のデータでございまして、青果は五五・一%、水産物は四九・二%、食肉は八・三%となっております。
十年前の平成十九年度と比較しますと、青果は六ポイント以上、水産物は一〇ポイント以上、食肉は二ポイント程度減少しておりまして、長期的には低下傾向にございます。
また、都内の中央卸売市場の取扱数量につきましては、水産物及び青果物は、昭和六十二年をピークといたしまして、令和元年は水産物で約四一%、青果物で約六七%、食肉は平成元年をピークといたしまして、令和元年は約六二%となっております。
こうした状況の背景といたしましては、少子高齢化の進行、中食の利用増加など食の外部化、食料品流通の多元化やグローバル化、出荷団体の大型化など、市場を取り巻く環境が大きく変化していることがあると認識しております。
○長橋委員 今、ご答弁がありました。この計画にも、かつてない危機に面しているということでありますけれども、都内はピークを一〇〇とすると水産物はおよそ四割、四割です。それから、青果物は七割を切っている。また、食肉も六割、まさに危機的な状況だと思います。
一つは、今、答弁なかったんですけれども、市場外流通、これもふえてくるのは当然要因だと思います。その意味で、やはり市場業者の皆さん方の目きき、これをしっかりと守っていかなきゃいかぬと、そんな思いが、今、しているわけでありまして、そうした意味では、市場業者の目きき、何といいますか、力といいますか、蓄えた、そうした皆さん方の力を市場はしっかりと守っていかなきゃいかぬと、こう思うわけであります。
そこで、この第十次卸売市場整備計画において、まず、都として統一的に取り組んだ取り組み、ミニマムスタンダードというんですか、これがどんな取り組み状況だったのかお伺いをしたいと思います。
○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 全ての中央卸売市場において共通して求められる統一的な取り組み、ミニマムスタンダードについてでございます。
まず、品質、衛生管理の確保に関しましては、卸売業者、仲卸業者が食品衛生法の改正に伴い取り組んでいる品質・衛生管理マニュアルの作成等を支援しているほか、東京都受動喫煙防止条例等も踏まえ、各市場の指定場所以外での喫煙禁止を明確化するなど、喫煙ルールの徹底を図っております。
災害等の危機への対応といたしましては、各市場における対策を実態に即した形で取りまとめるなど、応急復旧対策の実効性を高める観点からBCPの見直しを行いました。
環境問題への対応としては、特定フロンにかわる冷媒を使用した冷蔵、冷凍設備への計画的な更新や照明器具のLED化を進めるとともに、自動車排出ガスの削減に向けて、市場で使用する新たに登録する小型特殊自動車を電動車または低排出ガス車に限定する取り組みを進めるなど、低公害化を推進いたしました。
○長橋委員 今、ご答弁で品質、衛生管理、それから災害、環境問題、こうしたことを統一的に取り組んできたと、こういうことであります。
既に議論があったのでしませんけれども、もちろん老朽化の問題もこれは大きな課題だと思うわけでありますけれども、一方で市場は、これも議論ありましたけれども、施設規模、立地、取扱量など市場ごとに違うわけでありますから、各市場ごとの機能強化はどう図るのかというのが大変重要であろうかと思います。
全ての市場で経営戦略の検討、確立を進めているということでありますけれども、現在の状況について伺いたいと思います。
○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都内に十一ある中央卸売市場の活性化を図るためには、各市場の規模や立地などの特性を踏まえ、創意工夫をしながら特色を生かした市場運営を行っていくことが重要でございます。
このため、都と業界代表者により構成される会議体において、各市場を取り巻く環境を分析した上で、それぞれが持つ強みや弱みなどを整理し、戦略的に取り組むべき内容を経営戦略として策定することとしております。
これまで大田市場の青果部と水産物部、淀橋市場、北足立市場、葛西市場において策定し、経営戦略に基づいた取り組みを進めております。そのほかの市場におきましても、経営戦略の策定など戦略的な経営に向けた取り組みを進め、各市場の特色を生かした市場運営に向けて取り組んでまいります。
○長橋委員 全ての市場で経営戦略の検討をしているということでありますけれども、今お話あったのは、例えば、例として大田市場、淀橋市場、北足立市場、葛西市場、こういった例示もあったわけでありますけれども、各市場の機能強化ということで、以前に、私は、ほぼ地元なんですけど、板橋市場の取り組みについて伺ったことがあります。
前回はロジスティクス、産地から市場を経由して顧客、消費者に至るまでの一貫した物流システム、構築していくということで、ロジスティクスについて質疑をいたしました。
板橋市場については、これを取り組んでいくということでございまして、そのときには場内のLAN回線を整備し、ロジスティクスの機能が十分に発揮できるような情報基盤を整備しましたと、そんな答弁もあったわけでありますけれども、お伺いすると、東京都としては、情報基盤、LANを整備したわけでありますけれども、それを市場業者の方々が、ある面では生かし切れなかったんだろうと思うわけであります。
私も地元に豊島市場があるんでお伺いをするわけでありますけれども、あの人たちは、やはり朝早く市場に来て、朝九時、十時にはもうお店に戻るわけです。そうした方々が、いわゆる情報基盤を整備していくというのは、なかなか難しいことだろうと思いますので、ぜひ、産地から市場を通して顧客に至るまでの、これが大変重要であろうかと思いますから、引き続きシステムを、やはり都が一生懸命バックアップしてあげることが大事だと思います。
このときの質疑で申し上げたのは、じゃあ豊洲市場はどうなんですか、こんな話をいたしました。そのときはまだ、私が質疑したときには豊洲市場は開場していなかった。世界一の市場を目指す、こういうことでありました。
そういう意味では、情報基盤の整備、豊洲市場は世界一の市場を目指して、今はもう開場したわけでありますから、この整備についてはいかがでしょうか。
○村上財政調整担当部長渉外調整担当部長豊洲にぎわい担当部長兼務 豊洲市場では、流通環境の変化に対応し首都圏の基幹市場としての役割を果たしていくため、都が情報通信用光ファイバーケーブルの基盤整備を行い、市場業界がこの基盤を活用し電話やインターネットなど通信用のネットワークの整備を行っております。
こうした情報基盤を活用しながら、市場業者はクラウドシステムの構築による業務改善や顧客対応力の強化といった事業などに取り組んでおります。
○長橋委員 豊洲市場はしっかり取り組んでいるということでありますけれども、実は私、第二回定例会で行政手続におけるデジタル化、これについて質疑を本会議でさせていただきました。
そのときの質疑は、住民の方、都民の方や事業者が来庁しなければできない行政手続をデジタル化して、来庁しないで事務処理ができる環境整備を急ぐことが重要だと、こういうことで、これによって働き方の新しいスタイルができるんじゃないかと、こんなことで取り上げさせていただきまして、また一方で、デジタル化によって、今、人手不足とか、いろいろいわれていますけれども、潜在的な働き手の掘り起こしもできるんじゃないかと、こういうことで答弁を求めたわけでありまして、知事からは、このときに初めてデジタル化の条例改正を検討しますという答弁があって、第三回定例会でそれが可決をされたわけであります。
そこで、市場においても、市場業者の利便性を高めていく、そうした取り組みが必要でありますし、市場業者が行う行政手続についても、なるべく早くデジタル化を進めるべきだと思いますが、現在の中央市場の行政手続、デジタル化について伺いたいと思います。
○松田管理部長豊洲市場活性化担当部長兼務 中央卸売市場が豊かな都民生活を支える大切な役割を今後も果たしていくためには、進展が著しいデジタル技術を市場における業務の各場面に取り入れ、構造改革に向けた取り組みを積極的に進めることにより、デジタルを軸に急速に変化する外部環境に的確に対応していくことが必要でございます。
そのため、開設者として市場に係る各種手続等のデジタル化を推進し、市場業者の利便性の向上、行政運営の簡素化及び効率化を図ってまいります。
現在、手続ごとに市場業者の方々から提出される書類等につきまして、押印の廃止の可否の調査を行うなど、早期のデジタル化に向けて取り組んでいるところでございます。
○長橋委員 市場でのデジタル化の取り組みについて伺いましたけれども、具体的な答弁は押印の廃止ということでありまして、まだまだやることはたくさんあろうかと思いますし、先ほども申し上げましたけれども、市場業者の方は、ある面では、こういったことには、デジタル化ということ、さっきいった情報基盤のこと、そんなに得意じゃないんだろうと思うわけでありまして、しっかりとこのデジタル化を取り組んでいくに当たっては、特に市場業者の皆様方には、まさに市場が、職員の皆さんが応援していただきたい。九八%をデジタル化するといっているわけでありますから、まだまだやることはたくさんあろうかと思いますので、よろしくお願いをいたします。
次に、私の地元の豊島市場の活性化、全ての市場で検討しているということでありますけれども、豊島市場の活性化について伺いたいと思います。
豊島市場は、東京の一番、最も古い−−よく私も聞いておりますし、また、ある面では非常に利便性が高い、こういうことでありますし、私もそうした意味では、地元なんで、市場まつりに局長なんかとか部長もいらして、私も参加させていただいて、大変なにぎわいがあるわけでありますけれども、そうした中でも、だんだんと豊島市場も以前と比べるともっと元気になってもらいたいなという思いが私は個人的にすごくするわけであります。
そこで、先ほども議論があったわけでありますけれども、中央卸売市場活性化支援事業、豊島市場でもこの事業に取り組んでいるということでありますけれども、この活性化支援事業について、豊島市場はどう取り組んできたのか伺いたいと思います。
○石井移転支援担当部長 豊島市場におきましては、卸売業者による冷蔵設備の増強やHACCPに関するセミナー実施など、品質、衛生管理強化のための取り組みを活性化支援事業により実施いたしました。
本事例の事業者からは、産地からの集荷力が向上し販売力の強化にもつながったといった声や、社員の衛生面に関する意識の向上などレベルアップにつながったという声が上がってございます。
○長橋委員 今のご答弁では、評価の声が寄せられている、販売力の強化につながったとか、意識の向上などレベルアップということでありますけれども、一方で、これは活性化支援事業、もう今、質疑あったんで聞きませんけれども、お伺いすると、予算は五億円、ところが執行したのは二億六千万、およそ五割なわけでありまして、これもある面では、市場業者が申請をするところから始まるわけであります。
今回、こうしたコロナ禍の中で活性化支援事業をぜひ取り組んでみたいということがあったと思いますけれども、執行率は五割だったということでありますので、ぜひこうした取り組みを、もっと市場業者が使いやすいようにする、さっき補助率のアップなんかということも出ましたけれども、ぜひ、この活性化支援事業をもっともっとレベルアップして、より皆さんに使えるような、それが活性化につながるわけでありますから、取り組んでいただきたいということをお願いしたいと思います。
さらに、この第十次卸売市場整備計画では、豊島市場は区部北西部の商圏を踏まえて、周辺市場との連携強化及び機能集約、これを視野に入れた検討を行う、こういうふうに書かれているわけでありますけれども、そこで、連携強化、機能集約、これについて豊島市場ではどういう検討が行われているのか伺いたいと思います。
○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 豊島市場では、同じく区部北西部に立地し、商圏が近い板橋市場との連携強化や機能集約に向けて中長期的なあり方を検討しております。
具体的には、都と業界代表者により構成される豊島市場のあり方検討委員会をことし二月に設置いたしまして、豊島市場の活性化に向けた取り組みや、板橋市場との連携強化等についての議論を重ねているほか、今年度、両市場の連携強化等に向けた調査を実施いたします。
○長橋委員 今のご答弁で、板橋市場との連携強化について議論を重ねていったということであります。
豊島市場のあり方検討委員会の報告書がここにあるわけでありますけれども、ここに大項目で板橋市場との連携強化等により市場取引の活性化を図る、こういう視点で検討していくというふうに書いてあるわけでありまして、それはなぜかというと、豊島市場と板橋市場の卸売業者が同一であるメリットを生かした両市場の連携強化等の検討が必要だと、こう書いてありますし、だけれども、一方で、現在の取引環境が激変することのないように豊島市場の活性化などを対応する検討が必要だと、連携も大事だけれども、まずは豊島市場の活性化を図ることが必要だと、こういうふうにあり方検討委員会では書かれているわけでありまして、そこで、それも踏まえているんだと思いますけれども、豊島市場の活性化に向けた取り組み、いかがでしょうか。
○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 豊島市場のあり方検討委員会において、卸売業者から板橋市場との連携等を見据えつつ、当面の豊島市場の活用方策などについて考え方が示され、これに基づく取り組みを進めることとなっております。
具体的には、集荷力の向上を図るため、板橋市場で入荷した商品を豊島市場に供給することで、豊島市場の品ぞろえの充実を図るとともに、販売力の強化に向けて卸売業者と仲卸業者との商談会を月一回程度開催し、小売業者などの顧客動向の共有を図っております。
○長橋委員 今ご答弁で、一旦板橋市場に入荷した商品を、そこからさらに豊島市場に供給する、こういうこともやっていくと。
ちょっとお伺いしたら、こういうことは市場同士でもよくある−−よくあるといいますか、行われているということでありますけれども、そう本当に考えると、板橋市場というのは高速から近いところでありますし、板橋市場と豊島市場というのはそんなに距離がないわけでありまして、私の地元では兄弟みたいな市場というふうに捉えているわけでありますので、こうした取り組みを強化することによって、より消費者に喜ばれる商品が届く、それによって豊島市場が活性化されると、そういうことを願っているわけであります。
今、そういったご答弁がありましたけれども、やはり豊島市場からすると、板橋市場も活用して、商圏の問題と地理的な問題もありますから、活用して、豊島市場内の販売力の強化に取り組んでいくということが重要であると思うわけであります。
そこで、板橋市場との連携強化、さらに深めていってもいいんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今年度、豊島市場と板橋市場における業務の状況や施設利用の実態、産地や実需者など顧客ニーズ等について調査を行うとともに、両市場の連携を踏まえた活性化策について検討することとしております。
また、検討委員会における議論を踏まえ、年明けに豊島市場の売買参加者が板橋市場に出向き、実際に取引に参加をする試行的取り組みを行うことも予定しております。
こうした取り組みを着実に進めることで、両市場の連携強化に向けて取り組んでまいります。
○長橋委員 連携強化をしていくということでありますけれども、一方で、このあり方検討委員会の仲卸業者とか売買参加者の意見の中には、このまま取扱量の低下傾向が続けば板橋市場との機能集約も考えざるを得なくなると。しかし、そのときになってから議論は遅いですよと。遅い。豊島市場の活性化に向けて一緒に頑張っていきながら、同時に長期的な視点で板橋市場との連携についても考えていくべきだと、こういう意見もあります。
さらには、豊島市場は立地条件がいい、先ほど申し上げましたけれども。ここで商売をしていきたいと思っている人も多い。機能集約には不安を感じている。豊島市場の今後の活用方法の議論をさらに進めていただきたい。
ということで考えると、市場の皆さんがその検討会に参加しているわけでありますけれども、まずは、よく市場業者の声を、意見を聞いて−−築地のときもありました、残りたいという人も当然出てくるわけでありますから、その人たちに対して、しっかりと受けとめていただいて、何がいいか知恵を出していただきたい、このように思っております。
最後に、今、市場づくりということでありますけれども、実際の物が流れる、それからお金が流れる、そして取引に当たって情報が流れる、物と金と情報が流れる、これが、きょうの質疑でいろいろとさせていただいたわけでありますけれども、この市場経由率の低下、まさに危機的な状況、そういう中にあって大消費地東京を支える機能は今後も重要だと思っております。市場はなくてはならない、このように思っております。
先ほど申し上げましたけれども、市場業者の目ききの力を残さなきゃいけない、そういう意味では、そこに当たって、やはり市場業者だとデジタル化の問題、情報の問題、なかなか難しいところはあろうかと思います。それを市場長がリーダーシップをとって、その人たちを守っていく、そして市場をさらに活性化していく、さらには東京ならではの特色ある市場に仕上げていく、そうした取り組みをぜひ行っていただきたいと思いますが、市場長、いかがでしょうか。
○黒沼中央卸売市場長 卸売市場を取り巻く環境は大きく変化をしておりまして、産地の出荷者の大型化や少子高齢化の進展に伴う消費者ニーズの変化に加えまして、市場間競争の激化や新型コロナウイルスの影響など、まさに非常に厳しい局面に直面してございます。
こうしたさまざまに変化する時代の潮流をしっかりと見定めながら、市場業界とも緊密に連携をし、各市場の力を束ねて市場経営全体のかじ取りを的確に行っていくこと、これこそが私に課せられた使命であると認識をしてございます。
このため、品質、衛生管理の確保や災害等への危機の対応、環境問題への対応など、全ての中央卸売市場に共通して求められる機能につきましては、これを確実に発揮できるよう市場業界とも連携しつつ、都として主体的な取り組みを進めてまいります。
また、各市場の特性の違いを踏まえまして、それぞれの特色を生かした市場運営を進めるべく業界団体と一体となって経営戦略の策定を進めるとともに、市場間の連携を強化するなど、十一の中央卸売市場を有する都ならではの取り組みを進めてまいります。
さらに、情報技術の進展が著しい現代の潮流に乗りおくれることのないよう、まずは東京都みずからの取り組みとしまして、行政手続のデジタル化を着実に進めるなど、デジタルトランスフォーメーション、DXの実現に向けた取り組みを推し進めてまいります。
いかなる時代の変化に直面しても、中央卸売市場が引き続き、豊かな都民生活を支える役割をしっかりと果たすことができるよう局一丸となって全力で取り組んでまいります。
○長橋委員 ありがとうございます。しっかりと取り組んでいただいて、一点、まさに市場長がリーダーシップをとって局一丸で取り組んでいく、そうした中で十一の市場、それぞれ近隣の方々がいらっしゃるわけであります。
私は豊島市場が地元であるものですから、近隣の方々からもお声を聞くわけであります。そうすると、もう早朝から大きな車、トラックが出入りをするわけでありますし、また、それに伴う騒音だとか振動もあると聞いています。そうした方々に対しても、私もそういう意味で、まさに近隣の方々の相談を受けたので、市場に近隣の対策についてもお願いしたら本当によくやってくれました。
そういうことによって、長年、市場のそばに居住している方々も、市場だから、ある面では騒音とか振動なんかも、ある人は我慢しようと、こういうふうに思っているし、大事だから我慢しようと思っているんだと思うんですけれども、一歩これが崩れると、市場が、近隣の方からここがちょっと迷惑だといわれるような施設になったら、これは大変なことになるわけでありまして、ぜひそうした意味では、近隣対策についても、そのようなお声がありますし、我々、都議会でも寄せられるわけでありますけれども、そうしたことについても、十一市場、それぞれあろうかと思いますけど、しっかりと取り組むことによって、市場がその地域に愛される市場として取り組んでいただきたいことをお願いして、質問を終わります。
○あぜ上委員 それでは、私からも質疑をさせていただきます。まず、中央卸売市場におけるコロナ禍の事業者支援について伺います。
市場業者の方々からは、新型コロナ感染症禍のもとで、少し持ち直した業種もあるけれども、依然厳しい状況が続いているというふうに伺っています。市場で働く労働者の方からも雇いどめに遭ったなどの深刻な声も実は寄せられています。
個々の事業者の皆さんから聞き取りなど実態の調査をされていらっしゃるのでしょうか、まず伺います。
○石井移転支援担当部長 都内十一の中央卸売市場における仲卸業者及び関連事業者等を対象に、これまで三回の聞き取り調査を行っております。
具体的には、三月及び四月から五月にかけて新型コロナウイルス感染症による経営への影響などについて二回の調査を行うとともに、五月から六月にかけて都や国の支援制度の利用状況等について聞き取りを行いました。
○あぜ上委員 三回、個々の事業者から聞き取りを行ったと、そのことは大変重要だというふうに思っております。
その実態調査の結果はどのような内容だったのか伺います。
○石井移転支援担当部長 三月に行った一回目の調査では、市場業者の約八割が新型コロナウイルス感染症によって経営への影響が発生していると回答しております。
四月から五月に行いました二回目の調査では、市場業者の約九割が新型コロナウイルス感染症によって売り上げが減少したとする一方、その約七割は都や国の各種支援制度を利用していないと回答しております。
五月から六月に行いました三回目の調査では、都が市場業者に対しまして持続化給付金等の制度周知を継続的に行ったこともあり、支援制度を利用または検討していると回答した市場業者が約八割に達しております。
○あぜ上委員 そうしますと、その結果から市場の仲卸、また、物販、飲食、関連事業者の新型コロナ感染症による影響、どのように市場当局として見ていらっしゃるのか伺います。
○西坂事業部長 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴いまして、外食産業やホテル等における飲食需要の減少、各種イベントの自粛等によりまして、都の中央卸売市場においては本年三月以降さまざまな影響を受けてきております。
取扱品目により差はございますが、全体といたしましては、緊急事態宣言が出された四月から五月にかけまして市場取扱金額が大きく落ち込んでおりまして、主に飲食店向けの高級食材の取り扱いが大幅に減少したものと考えられます。
先ほど移転支援担当部長が答弁いたしました調査によりますと、仲卸業者、関連事業者について経営が厳しくなっているとの声を聞いておりまして、都ではこうした事業者の状況を踏まえまして、さまざまな支援策を実施しております。
○あぜ上委員 確かにまちを歩きますと、飲食店など本当に深刻で、あるお店では週六日営業していたけれども、今は週三日しか営業できなくなったという声なども伺っております。そうした需要減に伴う影響が非常に大きくなっているんだなということがわかりました。
中央卸売市場としてどのような相談体制をとっていらっしゃるんでしょうか。また、寄せられる相談の内容はどのようなものなのか伺います。
○石井移転支援担当部長 新型コロナウイルス感染症の影響を受ける市場業者からの相談に対しましては、各市場の東京都事務室の窓口において対応を図っております。コロナに関する支援制度などについて相談が寄せられており、都や国の各種支援制度をわかりやすく取りまとめた資料を用いた説明や関係機関に適宜確認をとるなど、市場業者のさまざまな不安や悩みに寄り添った対応を図っております。
また、専門家による経営相談事業につきましては、コロナの影響を踏まえ、相談対象を従来の仲卸業者のみから卸売業者と関連事業者にも体制を拡充いたしますとともに、リーフレットを用いて相談の利用を促しており、コロナ禍における資金繰りの相談などに対応して専門的な見地からの対応を図っているところでございます。
○あぜ上委員 コロナ禍のもとで、仲卸業者の方たちや市場内の物販、飲食店の皆さん等、関連業者の皆さん等の中には、やはり経営が本当に深刻な事態に追い込まれているという業者もいらっしゃるわけですね。
特に豊洲市場、私も地元ということもあっていろいろお話を伺うんですが、豊洲市場の関連事業者の方は、一般客の入場禁止期間が二月二十九日から六月八日まで続きました。そういう中で、本当に閑古鳥が鳴くような状況が三カ月以上続いたわけです。しかし、東京都が行った協力金の対象にはなりませんでした。
最近様子を見に行ったんですけれども、少しお客様は来ていらっしゃったんですが、各店舗は本当に品を変えるなどしてご努力されていました。しかしながら、以前のような状況とは全く違っていました。
市場局としても、相談窓口を開設されて支援制度の周知など取り組まれていることは今のご答弁でもわかりましたが、丁寧な相談対応や支援が必要だというふうにつくづく思ったわけです。
それで、国の家賃支援給付金については、当初、市場関係者は家賃ではなく使用料だから対象にはならないだろうと、はなから諦めている人もいらっしゃいました。しかし、国の家賃支援給付金は国有財産の使用許可を受けている者、また、卸売市場における市場使用料を支払う者などが国の家賃支援給付金を申請できるようになったということが明らかになって、それに連動して都の家賃補助も対象となったわけです。
家賃支援給付金や雇用調整交付金等の施策をぜひ積極的に知らせて、相談にも対応すべきと考えますが、いかがでしょうか。
○石井移転支援担当部長 都や国で行われている各種の支援策につきまして、わかりやすく取りまとめ、適宜情報更新の上、市場業者に周知を図っているところでございます。
国の家賃支援給付金や雇用調整助成金につきましては、制度の理解促進を図るため、業界団体等と連携した相談会を実施するなど丁寧な対応を行っているところでございます。
○あぜ上委員 現場の事業者の皆さんからは、業界団体とも連携して相談会を開いてくださっているというお話も伺っておりましたが、そのことは大変重要だというふうに思っております。
事業者の方々からは、相談会には行ったんだけれども、やはり申請書を書くには一日腰を据えてやらなければちょっと難しいのかなという率直なご意見などもたくさん寄せられております。
そういう点では、引き続き丁寧な対応で関連事業者も含めて中小、小規模事業者を支えていただくことを強く要望しておきたいと思います。
二番目の質問なんですが、中央卸売市場取引業務運営協議会の委員委嘱についてです。中央卸売市場条例の第六十五条で、市場における業務の運営に関し必要な事項を調査審議するため、知事の附属機関として東京都中央卸売市場取引業務運営協議会(以下運営協議会という)を置くとしております。
では、まず、中央卸売市場の取引業務運営協議会の役割について伺います。
○西坂事業部長 東京都中央卸売市場取引業務運営協議会は、ただいま委員からお話ありましたとおり、中央卸売市場条例の規定に基づいて設置されているものでございます。
その役割についてでございますが、次の第六十六条に記載してございます。開場の期日に関することや売買取引に関することなど、市場における業務の運営に関し必要な事項を調査審議するものでございます。
○あぜ上委員 そうですね。今ご答弁ありましたが、市場がいつ休業をするのか、それから、売買取引を行うに当たって、いかに公正かつ効率的な売買取引を確保するのか、それから市場における卸売の業務を行う者、また、その取扱品目をどうするのか、卸売の業務に係る物品の品質管理の方法をどうするのかなど、市場の業務を運営する上で大変重要な協議会でございます。
協議会のメンバーの選定に当たって、どのような基準で判断しているのか伺います。
○西坂事業部長 東京都中央卸売市場取引業務運営協議会のメンバー、委員についてでございますが、次の条、条例の第六十七条の規定によりまして、卸売業者、仲卸業者、売買参加者、その他利害関係者及び学識経験者から、知事が委嘱することとされております。
○あぜ上委員 知事が委嘱をするんだと。そして、中央卸売市場条例の規定に基づいて判断をしているということでありました。
条例の第六十七条でご答弁の判断基準が示されていたわけですけれども、では、伺いたいと思うんですが、条例で二十八名以内とし、知事が委嘱するというふうになっています。これまではこの条例に基づいて二十八名の委員だったわけですが、今回なぜ二十四名に削減したのか伺います。
○西坂事業部長 取引業務運営協議会についてでございますが、条例で、ただいま委員からお話ありました六十七条で、委員二十八名以内で組織すると規定されてございます。
平成三十年に、生鮮食料品等流通の合理化と公正な取引環境の確保を促進することにより、消費者ニーズ等へ的確に対応していくといった趣旨で、卸売市場法が改正されました。その改正の趣旨を踏まえ、昨年十二月に東京都中央卸売市場条例が大幅に改正されたことや、今般のコロナ禍における審議のあり方を見直す必要性などから、委員の二年間の任期満了機会に協議会のスリム化を図るとともに、本年度については書面による開催方式としたためでございます。
○あぜ上委員 今のご答弁を伺いますと、全く減らす理由にはなっていないと思うんです。
一つは、条例を大幅に改正したからということなんですが、むしろ条例改正で、取引の実態がどうなっていくのか、また消費者のニーズから見てどうなのか、市場で働く人にとってどうなるのか、実態を把握して協議する上で、今の構成メンバーを減らすべきではなかったんじゃないでしょうか。そういうふうに思いませんか。
○西坂事業部長 繰り返しになりますが、昨年十二月、東京都の中央卸売市場条例が大幅に改正されたことや、今般のコロナ禍における協議会の審議のあり方を見直す必要性を踏まえまして、委員の二年間の任期満了機会に、協議会のスリム化の観点から委員数の減員を図ったところでございます。
○あぜ上委員 今、同じご答弁、繰り返されたんですが、では、局内で議論をされたんでしょうか。
○西坂事業部長 ただいま申し上げましたとおり、委員の二年間の任期満了機会に、今回、協議会のスリム化の観点から委員数の減員を図ったものでございますが、それは昨年十二月に東京都の中央卸売市場条例が大幅に改正されたことや、今般、これは今年に入ってからでございますが、コロナ禍、これにおける協議会のあり方を見直す必要性を踏まえたものでございます。
○あぜ上委員 済みません。質問したことに答えていただきたいんです。局内で議論をしたのかどうかということです。
○西坂事業部長 先ほど私がご答弁いたしましたとおり、委員の二年間の任期満了の機会が今年度ございますが、それについて、今回、東京都中央卸売市場取引業務運営協議会の委員についての見直しを図ったものでございます。
○松田管理部長豊洲市場活性化担当部長兼務 ただいま事業部長、答弁ございましたけれども、つけ加えさせていただきますと、任期の満了という契機を捉えまして、先ほどご答弁ありましたけれども、条例改正であるとか、そういった契機を捉えまして、運営協議会そのもののスリム化を図るということも含めまして、体制を検討したという経緯がございます。
そうした検討の中で、本来、条例に基づきまして定められてございます運営協議会の権能であるとか、役割であるとか、そういったものは今回の体制においても十分に果たせるものというふうに判断いたしまして、このようにさせていただいたというところでございます。
○あぜ上委員 今、任期満了に伴っていろいろ検討したというふうにおっしゃったんですけれども、本当に局内で議論したんでしょうか。
どうして減らすことを決めたのか、その理由がわからなかったので、私は情報開示請求を行いました。
そこでは、運営協議会のメンバーを減らした理由と、そのことを決めた会議の記録を開示請求したわけですけれども、ここにあるんですけれども、その議事録では、協議会の運営についてとして、考え方は先ほど、今お話あったように、コロナ禍のもとでの審議のあり方を見直す必要性を踏まえということと、それから、市場条例改正されたからということしか書いていないわけですね。
じゃ、何で四人なのかと。誰を減らすというような変更内容についての議事録を調べたら、この変更内容についての議事録を見ますと、二十八名から二十四名へと、学識経験者は、市場分野を専門とする委員は二名から一名、労働者団体は二名から一名、消費者団体は三名から一名と書いてあるのみなんです。減らすメンバーを誰が選定したのか、また、なぜそのメンバーになったのかという理由も全く書いていないわけです。
開示請求したこの議事要旨、何度も繰り返し読んでも、意見なしということで出ているわけです。まともに議論もしていないで決めていると。
さらに、知事が委嘱する協議会のメンバーだと先ほどもご答弁がありましたが、その知事ブリーフィングの議事録も読ませていただきましたが、この知事のブリーフィングもたった五分で、こんな大事な協議会のメンバーを減らすことが決められてしまっていると。しかも、意見なしということであります。一体どこでこれを議論したんでしょうか。開示請求しても、その議事録が全く出てこないわけです。
おまけに、コロナ禍における審議会のあり方を見直す必要性も理由に挙げておられたんですが、今回、運営協議会がありました。それは書面でやったわけですけれども、そういうやり方の工夫というのはもちろん理解できるわけです、コロナのもとでね。だけど、コロナ禍だからという理由でメンバーを減らすというのは、合理的な判断といえるんでしょうか。二十八名がだめで、なぜ二十四名なら大丈夫というふうに判断されたのか、ちょっとそこはご答弁いただけますか。
○西坂事業部長 中央卸売市場取引業務運営協議会の委員を今回、見直すということに当たりましては、全体のスリム化を図ったという中で、それぞれの分野について議論をしたものでございます。
まず、学識経験者につきましては、全体四名だったところを、三名に一名減員、労働者団体については二名を一名に、消費者団体は三名から一名にいたしましたが、いずれの団体につきましても、それぞれの代表の団体から一名を残しております。また、もちろん業界の団体、それから都議会議員の代表については一名でございます。
これは先ほども申し上げましたとおり、昨年十二月に東京都の中央卸売市場条例が大幅に改正されたこと、それから、コロナ禍における協議会の審議のあり方を見直すことで、全体の中でのスリム化を図ったものでございまして、それぞれの団体を、消費者団体であるとか労働者団体をそれぞれ集約化したものでございます。
○あぜ上委員 それは、じゃあ一体どこで議論したんでしょうか。開示請求しても議事録は出なかったんですが、どこで決めたんですか。
○西坂事業部長 取引業務運営協議会については、先ほど来申し上げているとおり、中で検討いたしましたが、中央卸売市場の中で、今回の条例改正、それから新型コロナ禍の状況を踏まえまして、議論して決定したものでございます。それは全体の委員の枠を、先ほど申し上げましたように、スリム化するという目的で実施いたしました。
○あぜ上委員 本来、開示請求した場合には、そうした内部の検討もきちんと議事録は出すことになっております。その点については厳しく指摘をしておきたいと思います。
ちなみに、先ほどコロナのことが理由として挙げられたんですが、ほかの局の審議会など知事委嘱の協議会もどうなっているのかなと思いまして調べてみました。そうしましたら、港湾局も、都市整備局も、生活文化局、それから環境局も改選はあったんですね。だけど、委員の人数は減らしていないんですよ、どこも。福祉保健局だけ一人減らしていたんで聞いたら、それは団体の側からの都合でやめたんだということなんですね。コロナで減らしたわけではないんです。市場局のように、コロナだからとメンバーを減らしたというのは成り立たないと私は思うんですね。
例えば港湾審議会、ここも同じように知事が委嘱する、そして三十七名以内というふうになっているんですけれども、やはり今回も三十七名の委員に委嘱をしているわけです。ほかも同じだったわけですけれども、しかも、港湾審議会も今、新しい局面に入ってきておりまして、次の九次計画でしたっけね、計画も新しい局面に入っているんですよね。それでも人数を変えていないと。ほかの局も変えていないと。なぜ審議会のメンバーを変えないのかというと、これまで委嘱してきた理由があったからこそ、そんなに簡単には削らないんですよ。
四名の削減された方々には団体代表の方もいらっしゃいます。事前に団体またはそのご本人の意向は確認されたんでしょうか。
○西坂事業部長 まず、東京都中央卸売市場取引業務運営協議会の委員につきましては、二年ごとに知事が委嘱するものでございます。今回の委嘱に当たりましては、卸売業者を初めとする市場関係者や生産者などのその他利害関係者の委員について、関係団体に委員の推薦を依頼し、当該団体から推薦があった方に委員の委嘱を行ってございます。
先ほど委員ご指摘ございましたが、繰り返しになりますが、新型コロナ禍における審議会の協議のあり方を見直す必要性を踏まえる前に、市場といたしましては、昨年十二月に東京都中央卸売市場条例が大幅に改正されたこと、これが今回の考え方の一つのもとになってございます。
○松田管理部長豊洲市場活性化担当部長兼務 委員ご指摘の部分につきまして、当協議会、これは地方自治法に基づいて置く知事の附属機関という位置づけがそもそもございます。
これは、知事が行政、職務執行するに当たりまして、これはご案内のこととは思いますが、必要に応じまして、私ども市場行政をやっているわけでございますけれども、市場行政をどうやるかという中におきまして、必要に応じて、必要な範囲において、もちろん条例上の検討項目ございますけれども、その中でどういったことを審議していただくかということにつきまして、メンバーであるとかそういったものも含めて、こういった議論をしていただきたいということに基づきまして、私どもお願いをしているというところでございますので、そういったものにつきまして今回の措置もやらせていただいているというところが、基本的な私どものスタンスとしてあるのかなというところでございます。
○あぜ上委員 私の質問に答えていないので、再度質問したいんですが、私が聞いたのは、削られた四人の方が団体の代表の方もいらっしゃったよと。そういう方たちの団体に事前にお話をされたんですかと。お話をされたのかされていないのか、そこを聞いてるんです。そこだけお答えください。
○西坂事業部長 今回の見直しに当たりましては、先ほど申し上げたような経緯で、各団体に対して東京都から委員の推薦を依頼し、当該団体から推薦があった方に委員の委嘱をしております。
その団体は、先ほど申し上げたとおり、それぞれの団体についても一団体ずつそれぞれございまして、それぞれの団体の中で選んで、こちらから委員の推薦をしております。こちらの方から委員の推薦を依頼したところでございます。
○あぜ上委員 全然私の質問に答えていないんですけどね、先ほど知事の附属機関だからというお話があったんですけれども、それはもう重々承知の上です。知事の附属機関であり、条例上も二十八名以内というふうに書いてあります。そして、知事が委嘱するということも当然理解していますが、今まで、長年にわたり代表を出していた団体に事前に全く話もしないで、突然委嘱しないと。私は余りにも乱暴なやり方だというふうに思うわけです。
しかも、先ほどのメンバーを減らす理由も、全く納得のいく説明ではありませんでした。労働者の代表の方も削られておりますけれども、休業日は労働条件にも大きな影響をもたらすものという、そういう認識はあるんでしょうか。
○西坂事業部長 中央卸売市場の開場の期日、休業日の設定に当たりましては、都民の食生活への影響、産地への出荷事情のほか、市場関係者の適正な労働環境の確保という観点が重要と考えております。
このため、社会経済情勢に配慮しつつ、取引参加者の意見を聞きながら順次休業日をふやしてきました。
平成三十年からは、完全週休二日に相当する年間休業日数が確保されておりまして、令和元年及び令和二年についても確保されております。
○あぜ上委員 今、週休二日のお話が出ましたが、今回外された労働組合は、旧業務運営協議会の時代から長年協議を積み重ねてこられたと伺っています。都は、築地市場時代からの卸、仲卸、小揚げ、行政など幅広い労働組合、従業員組合から成り立っている市場の労働組合従業員組合連絡協議会の、その推薦による労働者代表を外してしまったわけですよ。
先ほど協議の問題についてはまともにお答えありませんでしたけれども、全く協議はしておりません。事前の話もしていないと伺っています。
改めて、私は臨時休開市日の設定を見てみたんですけれども、水産部も青果部もそれぞれ、やっぱり話し合いによって変わっているわけですよね、それぞれのところで。それは、そこで働く労働者や関連業界との事前の調整会議が重要な役割を果たしていることを示しているのだと考えるわけです。
こうした労働者の代表を外してしまって、京浜地区青果卸売会社の従業員連絡協議会のみとすることは、やっぱり労働者の意見を取り入れていく上でも大変問題だと私はいわざるを得ない。
市場条例がことし六月、改定の施行となったわけですけれども、今後、消費生活や市場内の運営にも大きな影響をもたらす可能性がある、そういう認識はあるのかどうか伺います。
○西坂事業部長 ただいまのご質問についてでございますが、卸売市場が取り巻く環境が変化する中、中央卸売市場がこれまで果たしてきた基幹的なインフラとしての役割を確実に果たし、また、消費者ニーズ等への的確な対応を図るため、より活発な取引を可能とする環境を整えるべく今回の条例改正を行ったところでございます。
都といたしましては、今後とも取引の活性化と公平、公正な取引環境の確保を図りますとともに、条例改正後の取引等への影響につきましては、各市場における取引委員会等において、影響の有無も含めてしっかり把握しておるところであります。
また、少し補足いたしますと、先ほど水産物部の労働者の意見の話がございましたが、本協議会の委員として水産物部からは、卸売業者、仲卸業者、売買参加者である委員が委嘱されておりまして、消費者からの意見も聴取されております。
また、繰り返しになりますが、平成三十年からは、完全週休二日に相当する年間休業日数が確保されており、令和元年、令和二年についても確保されてございます。
なお、今回、各団体に対しては、長年、団体として委員を出していただいた方には、事業部長名で、それぞれ今回、これまでの委員推薦に対する感謝の意を込めてお礼状を送付しているところでございます。
○あぜ上委員 お礼状はいただいたということも伺っておりますが、委嘱をやめるということは全く知らなかったと聞いております。
条例改正については、運営協議会でさまざまなご意見が業界や労働者代表からも出ていたわけですね。例えば、目ききの資格の問題も条例改正で変わってしまったと。また、業界からは、公設での市場が基本であるというご意見なども出されてきたわけです。
私も運協の一人ですけれども、市場の取引の第三者販売について危惧する問題や、条例改正がむしろ日本の食文化を築き上げてきた目ききの力を弱め、消費者のニーズに相反する市場の役割の衰退につながりかねないんじゃないかと、そういう危険性があるんじゃないかなどの意見を述べさせていただいたわけですが、こういう市場条例が改定されて、今後、消費生活や市場内の運営にも大変大きな影響をもたらす可能性があることは、市場条例の改正に賛成の人も、それから、反対の意見をいった人も、そうした賛成、反対の違いを超えて、皆さん、認識しているところなわけですよね。そういう意味では、非常に今後も重要な役割を果たす運営協議会です。
それなのに、消費者団体の代表、三名いました。それも消費者団体の代表です。三名のうち二人も削ってしまった。それから、市場の専門家である学識経験者の方は一名、そして、労働者の代表、計四名、運営協議会のメンバーから削ってしまったと。そのことはやっぱり到底納得できるものではありません。私は、ぜひ再考を求めたいと思います。
以上で私の質問を終わります。
○奥澤委員 私からは、中央卸売市場の今後のことについて、過去の資料等もひもときながら質問をさせていただきたいというふうに思っています。
まず、市場の見える化の取り組みについて質問させていただきます。
平成三十一年三月四日の経済・港湾委員会においては、市場移転をめぐる経緯を知事に質問する機会をいただきました。その際、知事からは、これは築地のまちづくりに関することではありますけれども、都政の要諦である見える化ということも念頭に進めていく、そういった考えをお示しいただきました。
市場移転を通じて私たちが学ぶべきことは、都政を見える化していくこと、それが都政の信頼を高めていくこと、そして、よりよい都政をつくっていくという上で非常に大事なことだという認識を当時も述べさせていただきました。
事務事業概要を見させていただいても、都民の信頼回復を図ることが重要という記述が見られますが、ここにも見える化をする意義というか、そういったものが描かれているのかなということで、私はその精神をしっかりと根づかせていただきたい、そのように考えております。
そこでまず、中央卸売市場が取り組んできた見える化についての取り組み状況や見解をお伺いしたいと思います。
○村上財政調整担当部長渉外調整担当部長豊洲にぎわい担当部長兼務 中央卸売市場の事業につきまして、都民の理解と信頼を得ていくためには、取引状況はもちろんのこと、運営状況などについても、その透明性を確保していくことが重要と考えてございます。
築地市場から移転した豊洲市場については、市場移転に至るまでの過程において、これまで市場のあり方戦略本部や関係局長会議などの会議を公開で行い、移転にかかわる議論を都民に開かれた形で実施してまいりました。
また、豊洲市場における環境データについて、専門家の評価もあわせて都民にわかりやすく公表するなど、透明性の確保に努めているところであり、引き続き、こうした取り組みを継続し、都民の理解と信頼につなげてまいります。
○奥澤委員 透明性の確保に努めているということで、これが都民の理解と信頼につながっていくということ、その見解も述べていただいたところです。
引き続き取り組んでいただきたいとは思いますけれども、現在開かれている市場の活性化を考える会については非公開となっております。これは忌憚なき議論をするためという理由があるとは聞いておりますけれども、この間の議論についてはしっかりと残しておいていただきたいというふうに思います。この議論を踏まえて、中央卸売市場の経営指針や経営計画を決めていくという大切な会議体であります。しかるべきタイミングで意思決定プロセスを公開していくこと、これが広く関係者や都民の理解を得ることにつながるということを念頭に取り組んでいただきたいということを申し述べておきたいと思います。
続いて、都政のデジタルトランスフォーメーションに関連して質問したいと思います。
改めて、平成二十九年六月の市場のあり方戦略本部の報告などを読み返していくと、実はそこにも既に市場の抱える課題について網羅的に記載されている中に、デジタル化、ICTの活用をする有効性ということが述べられておりました。
こういった当時の資料に書かれていたことというのをしっかりと解決を図っていくこと、これが今後やっていかなければいけないことだというふうに思っています。
そこで、三年前に既に記載をされていたICT活用の有効性について、中央卸売市場におけるICT活用に対して認識をお伺いしたいと思います。
○西坂事業部長 少子高齢化の進展などを背景といたしまして、物流や商取引の多様化が加速度的に進んでおります。また、今般のコロナ禍によりまして、Eコマースが急速に進展するなど、生鮮食料品等のサプライチェーンを取り巻く環境に大きな変化が生じております。
都の中央卸売市場が、引き続き都民の消費生活を支える役割を確実に果たしていくためには、デジタルの力を有効に活用し、環境の変化に的確に対応していく必要があると認識しております。
都といたしましては、デジタル技術を活用したサービスの提供や新たな技術に関する調査を進めますとともに、市場業者による取り組みを促進するため、デジタル技術を利用した業務の効率化などの取り組みを支援し、中央卸売市場におけるデジタル活用を図っていきます。
○奥澤委員 中央卸売市場においても、コロナ禍による社会の変化を捉えてデジタル化を進めていくということでありました。
第八回の市場の活性化を考える会の配布資料を読み進めますと、デジタルとリアルのよいところ、価値を相乗効果で発揮させていく必要性、そういったことが述べられているというふうに思います。
もちろん、事業者の皆さんの工夫や努力が前提にあるとは思いますが、これまで培ってきたリアル、これは目ききのお話なども先ほどからありますけれども、こういった力だと思います。こういったものの強み、それをさらに強めていくデジタルの活用を後押ししていく、そういったことをお願いしておきたいというふうに思います。
さて、コロナ禍における社会の変化としてもう一つ挙げられるのが、安全や安心をより一層求めていく、そういった心理的な変化が起きていることを、これは消費者に特に起こっていることですけれども、見逃してはならないというふうに思います。
特にこれは世界の潮流として見られておりまして、各国や地域の基準を満たした衛生管理やトレーサビリティーの向上といった課題への対応をしていくことが、これは輸出を増加させていくという意味でも重要になってきます。
人口減少が進む日本においてパイを拡大していくことは現実的ではないというふうに考えていて、輸出を増加させていく方向性、これが市場を今後も活性化させていく、そのために必要な取り組みだというふうに認識をしております。
そこで、豊洲市場のお話を伺いますけれども、豊洲市場の事業者の中で、こうした取り組みをする方に対して都としても積極的にサポートしていただきたいと思いますが、見解をお伺いします。
○村上財政調整担当部長渉外調整担当部長豊洲にぎわい担当部長兼務 豊洲市場は、高度な品質、衛生管理ができる施設として整備しており、こうした施設の特性、機能も生かしながら、海外取引等の販路拡大も視野に、品質、衛生管理に係る第三者認証等の取得のほか、営業や販売力の強化に取り組んでいる事業者もおります。
都としては、こうした市場業者の先進的な取り組みに対して活性化支援事業を通じて支援しており、今後も、こうした取り組みをサポートしております。
○奥澤委員 今、衛生管理、あるいはトレーサビリティー、そういったことも含めて活性化支援事業の中でサポートをしているということでありました。
先日の決算特別委員会において、斉藤れいな議員からサステーナブルシーフードのお話をさせていただきました。これは流通の川上を適切に管理することで、サステーナブルな流通を実現していこう、これからも持続的に実現をしていこうというような考え方です。
また、市場のあり方戦略本部の報告書には、荷物や商品を載せて運ぶパレットを統一することで効率的な運営を目指していくパレチゼーションを進めるべきとの記載がありましたが、これは川上から川下までにわたる課題になります。
何がいいたいかというと、本当の意味で日本の農水産業を活性化させていこうというふうに考えたときに、川上から川下まで全ての関係者が協調して連携して取り組んでいかなければいけないということです。生産者と消費者をつなぐ位置にいる中央卸売市場だからこそ、この協調、連携に果たせる役目があるのではないかということを申し述べておきたいと思います。
ここで一点、質問ではなく提案をしておきたいというふうに思います。第七回市場の活性化を考える会の配布資料には、災害への対応や環境問題への率先した取り組みを通じて、SDGsの推進など社会的課題の解決にも積極的に貢献をしていくべきという記述があります。
社会的課題の解決という観点から、障害者雇用についてお話をさせていただきます。
中央卸売市場の事業者の中には、従業員四十五・五人以上とはなっていない、つまり障害者雇用を義務づける対象とはなっていない小規模な事業者も多いというふうに推察をしています。実はこれは商店街なども同じ状況があるのですが、神戸市のとある商店街では、超短時間雇用モデルといって、各事業者から仕事を切り出してみんなで障害者雇用をするという取り組みをしています。
例えば銭湯では、毎日使うタオルを折り畳む仕事、飲食店ではアナゴに串を刺していくという仕事、こういった仕事を切り出して障害者雇用を行って、事業主さんは、新規顧客の開拓などの自分にしかできない仕事に集中をしていけるようになったという取り組みです。
ちなみに、障害者の特性に合致したのだと思いますけれども、アナゴの串を刺すこの作業は、従業員の中でもトップレベルの技術を身につけているということです。
また、別の事例ですが、川崎フロンターレでは、試合前の掃除やチケットのもぎり、誘導などを一定数、障害者にお願いをしているそうです。すると、この晴れの舞台で働くことで自己肯定感が高まっていくこと、それによって就労意欲が非常に高まっているという成果が出ているそうです。
この二つの事例をもって考えると、中央卸売市場というのはもってこいの舞台ではないかというふうにも思います。中央卸売市場の社会的役割の幅はまだまだ広いと思いますので、その存在価値をみずから高めていくためにも、こうした事例の研究もしていただきたいというふうにお話をしておきます。
さて、最後の質問になります。
市場のあり方戦略本部の報告書に書かれていたことで大変気になったところがありました。それは、水産出荷事業者へのヒアリングの部分にあったことで、今後の豊洲市場に期待することといった部分での記載だったと思いますけれども、漁業量や従業者が減少を続ける水産業の未来を考えたときに、豊洲移転は水産の大きな転機になるのではないかと関心を持っていた、ぜひ市場移転を機に、東京から日本の水産業を変えてもらいたいというものです。
先ほども述べました中央卸売市場の社会的役割と同様に、中央卸売市場ならではの日本の水産業を牽引する役割についても、今、策定に向けて議論を重ねている経営方針について検討していただきたい重要な視点だと思います。
そこで、改めて、日本の水産業を変えていく、リードしていく市場であるためにどのように取り組んでいくのか、見解をお伺いします。
○村上財政調整担当部長渉外調整担当部長豊洲にぎわい担当部長兼務 豊洲市場は、流通環境の変化に対応した高度な品質、衛生管理機能や、実需者の多様なニーズに対応する機能を備え、先進的な市場流通を実現する卸売市場として整備しております。
卸売市場を取り巻く環境が大きく変化している中においても、サプライチェーンの中間結節点として、全国の産地から多種多様な品を集荷し、水産物の価格形成の指標となる建て値市場としての機能を発揮するとともに、小売店や飲食店などのニーズも的確に対応し、我が国の水産物流を支える基幹市場としての役割を果たしていくことが重要であると認識してございます。
このため、条例改正による規制緩和で、多くの市場業者や産地及び実需者がより一層活発な取引を行うことができる環境のもと、豊洲市場の強み等を踏まえた戦略的な経営について業界と議論を深めるとともに、さまざまなニーズに対応する意欲ある取り組みに対して支援を行うなど、都と業界が一体となって市場の活性化を図ってまいります。
○奥澤委員 我が国の水産物流を支える基幹市場としてという言葉がございました。ぜひその言葉どおりの経営指針、経営計画が今後でき上がっていくことを期待したいと思います。
これからも必要とされるためにどうするのかという議論がるるあるんだと思いますけれども、社会の変化やニーズが物すごいスピードで変化していると思いますので、それに合わせてみずからの役割も変化させていくことを恐れずに取り組んでいただきたいというふうに思います。
また、途中、障害者雇用のお話もしましたけれども、公営企業ならではの社会的責任、使命といったことも十分に自覚をして、今後の議論に臨んでいただきたいということを要望して、質問を終わらせていただきます。
○菅原委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時十九分休憩
午後三時三十五分開議
○菅原委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言をお願いいたします。
○福島委員 まず最初に、特色ある市場づくりについてお伺いいたします。
少し古いですが、平成二十年版の国民生活白書に興味深いデータがあります。日本とノルウェーの消費者力の違いを示したもので、日本の消費者が価格に敏感であるのに対し、ノルウェーの消費者は、経済、金融、そして生産者の環境、倫理的取り組みに敏感であるという内容です。
また、先日、日本の残留農薬基準が甘いため、日本の農産物が諸外国に輸出できない事態になっているという報道も見ました。
日本の生産者の前向きな取り組み、例えば、GAP、HACCP、無農薬、エシカル、そしてSDGsに沿った取り組み、このような取り組みを日本の消費者が理解し、対価を払わなければ活動も広がりません。
仮に、そのような社会的、環境的取り組みにお金を払ってもいいという消費者がいたとしても、そこまでその情報が届かなければ選ぶことはできません。生活文化局が都内スーパーマーケットで、エシカル消費のPRに取り組んでいますけれども、それだけでは不十分です。
市場において、これらの取り組みの意義を説明し、卸、仲卸ともに理解し、これらの取り組みに社会的、環境的価値があり、その価値に対して支払う消費者もいることを小売に説明し、末端の小売が消費者に対して説明できるようになって初めて消費者が知ることができて、対価を払うことができます。
対価を払ってもらえることで、生産者が取り組む、すなわちサイクルが回り出します。
市場において、これらの社会的取り組みの意義について、卸、仲卸の理解を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
○石井移転支援担当部長 消費者の生鮮食料品等に対するニーズが多様化し、人や社会、環境に配慮した消費行動、いわゆるエシカル消費などの動きが高まる中、市場業者におきましても、こうしたニーズに対応する取り組みが見られてきております。
具体的には、仲卸業者による水産資源管理や環境配慮への取り組みを証明する水産エコラベルであるマリン・エコラベル・ジャパン、MELの流通加工段階の認証取得や、それを活用した業界団体による卸売市場流通モデルの構築を目指した情報発信の取り組みなどが始まっております。
こうした市場業者の意欲ある取り組みにつきまして、都は、中央卸売市場活性化支援事業により積極的に後押しするなど、取り組みを促進しております。
○福島委員 市場業者の取り組みを支援しており、その一つとして、水産エコラベルの事例をご紹介いただきました。
例えば、野菜についても、消費者が見た目を重視するために、味は同じなのに規格外の野菜が流通に乗らず、生産者の負担になることともに、食品ロスにつながるという課題は長く知られています。
さきの国民生活白書ではありませんけれども、私は消費者を育てることが長期的には生産者を助けることになるというふうに考えています。
中央卸売市場の役割は、消費者に対する迅速で安定的な生鮮食品等の提供、生産者に対する確実で速やかな販路の提供、小売業者に対する取引の場の提供とのことですけれども、取扱量が減少する中、日本の一次産業を支えるための消費者教育という新しい役割を担う必要があると考えますので、検討をお願いいたします。
次に、市場のICT化についてお伺いいたします。
世界では、米国のウォルマートの実証実験が有名ですけれども、改ざんに対する耐性が高いという性質があるブロックチェーンを使って、生産地から小売までトラッキングする流れがあります。
HACCPを初め、さきに述べた生産者の前向きな取り組み、プロセスを全て改ざんなく伝えることができます。加えてブロックチェーン上でのプログラムとして、スマートコントラクトを使えば、支払い遅延もなくすことができます。
先ほど、我が会派の栗下都議により、中央卸売市場活性化支援事業の執行状況を確認、ICTを利活用する取り組みについても都が支援していることをお伺いいたしました。
既に日本のあらゆる業界のICT導入プロセスにおいて、民が主体の取り組みを放置した結果、データフォーマットが乱立、かつ、ICTの導入を請け負った企業によるユーザー囲い込みによってデータフォーマット間の互換性が担保できないなどの問題が既に繰り返し起きています。
今後、ICT導入に取り組む中央卸売市場においては、市場利用者の自主的な取り組みを支援するだけではなく、生産者、市場の国際競争力強化のため、最先端の技術動向についても調査研究し、ビジョンを持ってICT導入に取り組むべきと考えます。
日本は今が挽回の最後のチャンスだといっていいと思います。世界有数の水産物市場である豊洲市場を初め十一の中央卸売市場の開設者である都は、ICTをただ導入するだけでは後追いにすぎず、世界の市場と戦うビジョンを持って、デジタルトランスフォーメーションの取り組みを能動的に進める必要があると考えますが、見解を伺います。
○西坂事業部長 ICT技術の進展により、物流の効率化が加速度的に進む中にありまして、食品流通の中間結節点であります中央卸売市場におきましても、DX、デジタルトランスフォーメーションへの対応が求められております。
市場業務は、取扱品目や規格が日々変化する物品をさまざまな関係者が扱っており、かつ、その業務の中核を市場業者が担っておりますことから、DX、デジタルトランスフォーメーションの対応に当たりましては、都の取り組みはもちろんのこと、都と市場業者とが連携した取り組みが不可欠であります。
このため、ICT技術を活用した新たなビジネス展開など、市場業者による意欲的な取り組みを都は後押ししております。
加えまして、都として、行政サービスにおけるICT技術のさらなる活用を図りますとともに、最先端技術に関する調査を進めるなど、市場業務のICT化に向けて取り組んでおります。
時代の変化に即しました中央卸売市場の実現を目指していきます。
○福島委員 平成二十九年十月の農林水産省の卸売市場を含めた流通構造についてという資料によれば、流通分野においてもさまざまな情報通信技術が導入されているものの、卸売市場を初めとして生鮮食品等流通分野においては情報通信技術の導入がおくれているとされており、平成二十五年度の食肉を除いた中央卸売市場における生鮮EDI標準や電子タグの導入状況は、導入していないが七四%に上ったと示されています。
そして、導入しなかった理由の第一位が関係者の意思統一ができないのが六四%、次点の導入のためのコストが高いの六〇%を上回っており、三位は物流業務の効率化が図られるかわからないの四二%となっています。つまり、関係者を束ね、電子化の意義を説明するリーダーシップを担う組織がないと難しいことがわかります。
中央卸売市場における取引が減少する中で、中央卸売市場を利用する事業者は中小零細が多い。そんな中、TPPなど、自由貿易協定のもと、国を越えた交易が増加する中で、事業規模で劣る国内の一次産業の持続性を高める切り札が事業者連携の高速化と最適化に不可欠なデジタルトランスフォーメーションであることは間違いなく、中でも個々の生産者の生産、管理、流通プロセスにおける創意工夫を正しく記録、伝えることができるブロックチェーン技術は重要であると考えます。
単独でICT化を進められない事業者も少なくないことが予想される中、都は、これらの事業者が国際競争を勝ち抜くためのDX、デジタルトランスフォーメーション戦略を描いた上で、卸、仲卸事業者のICT化の支援事業を設計するべきであり、そのためにはご答弁にあった最新、最先端技術に関する調査は不可欠です。
これらの調査をもとに、支援事業の継続したブラッシュアップを求めて、質疑を終わります。
○けいの委員 私の地元荒川区に隣接していて非常になじみ深い足立区にある青果と花きを取り扱う北足立市場、それから水産物を取り扱う足立市場について、市場の現状と今後の取り組みについて取り上げさせていただきます。
事業概要によりますと、足立市場は、古くは江戸幕府の御用市場として栄え、その後、昭和五十四年に青果部門が現在の舎人公園近くの流通業務団地に移転をしました。北足立市場として新設され、さらに六十三年には近隣の花き市場を統合して、花き部門も併設されたわけでございますが、古くから食と花を通じて地域の皆さんの生活に豊かさと潤いを提供する流通の拠点として運営を続けてまいりました。
これまでの質疑でも確認されてきたとおり、今般のコロナ禍においても、事業を継続しながら、生鮮食品等の供給を安定的に行ってきたことは、まさしく評価に値するものと考えます。
都民生活を支える大切な役割を引き続き果たしていくことを期待しております。
まず、足立市場と北足立市場の取引の現状について、これまでの推移と、今般のコロナ禍の影響についてお伺いします。
○西坂事業部長 足立市場と北足立市場は、足立区、荒川区を初めといたします区部北東部における生鮮食料品等の供給の重要な拠点となっております。
加えて、北足立市場につきましては、隣接する埼玉県を含む広域的な供給の拠点ともなっております。
直近三年間の取扱数量の推移でございますが、足立市場における水産物は、平成二十九年は一万五千三百八十トン、平成三十年は一万四千七百九十七トン、令和元年は一万三千八百五十三トンとなっております。
次に、北足立市場における取扱数量の推移でございますが、青果物は、平成二十九年は十四万九千六百七十二トン、平成三十年は十三万七千百六十九トン、令和元年は十三万二千七百四十七トンとなっております。
花きは、鉢物等を切り花に換算し合計した数量、いわゆる切り花換算で、平成二十九年は一億六千八百三十八万本、平成三十年は一億六千二百四十八万本、令和元年は一億五千六百十一万本となっております。
今般のコロナ禍におきまして、本年三月ごろから両市場の取引にも影響が出始めまして、特に水産物、そして花きにつきましては、四月に取扱数量が大きく減少し、前年同月比で七割程度まで落ち込みました。その後は徐々に回復傾向となってございますが、九月時点ではまだ前年並みの水準には戻っておりません。
青果物につきましては、四月に前年同月比で約九割程度に減少して以降、九月までおおむね同水準で推移しております。
○けいの委員 ありがとうございます。わずかずつとはいえ、取引数量が減少してきており、非常に厳しい経営環境にあるということがうかがえますが、都は、卸売市場を取り巻く環境の大きな変化に対応していくために、各市場において経営の戦略等に基づいて特色のある市場づくりに取り組んでいるということであります。
戦略とは、市場を取り巻く環境のもとで、あるべき姿、ゴールを見定めて計画的に取り組みを進めていくことであると思います。
そこで、足立市場と北足立市場において、市場取引の活性化に向けてどのような戦略的取り組みを行ってきたのかお伺いいたします。
○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都では、各市場がみずからの特性を踏まえ、創意工夫しながら特色ある市場づくりを進めるため、全ての中央卸売市場において経営戦略を策定し、戦略的取り組みを実行していくこととしております。
足立市場では、平成二十三年度に経営戦略を策定し、あだち市場の日など、地域に密着した取り組みを進めてきており、現在、これまでの取り組みなどを踏まえた新たな経営戦略の策定に向けて検討を進めております。
北足立市場においては、平成二十九年度に都と市場関係者により構成される経営戦略検討委員会を設置し、市場を取り巻く環境を分析し、強みや弱みを整理した上で、令和二年三月に経営戦略を策定しまして、経営戦略に基づいた取り組みを進めております。
○けいの委員 全ての市場で経営戦略を策定した、その上で、北足立市場では、都と市場関係者によって経営戦略検討委員会を設置したということで、東京都が積極的にかかわっていただいております。
この北足立市場での検討委員会を設置した上で、都と市場関係者が一体となって戦略をつくり上げたというご答弁でしたけれども、北足立市場の経営戦略における戦略的な取り組み内容をお伺いします。
○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 北足立市場では、青果部の将来像として、産地や地域から認知、信頼される市場を目指していくこと、花き部の将来像として、ほかの場とは異なる存在感を高め、業界一体となっていくことを掲げ、いずれも産地との連携強化による集荷力の強化や、小口の店舗から量販店までのいわゆる実需者の多様なニーズに応えることができる販売力の強化などに取り組むこととしております。
また、食育や花育等を通じた地元密着型の活動により、青果や花きの消費拡大を目指すとしております。
○けいの委員 ありがとうございます。
先日、花き業者と少しだけ懇談してきたんですけれども、こうしたアドバイスをいただいて、小さな企業ですけれども、コロナ禍でも、実はほとんど売り上げが下がらなかったという、うれしいご報告いただきました。
今まで売っていたところ、卸先、売り先というんでしょうか、コンビニエンスストアのようなところにも店先にたくさん並べさせてもらえるような、そういうアドバイスももらったりして、あとはお寺のそばとか、そういうところで思いのほか売り上げが上がったことで、コロナ禍を何とか過ごせているというお話を伺いました。
東京都と一緒になって戦略検討委員会を立てた一つの成果だなというふうに思います。
戦略は、これから実行すべき取り組みのメニューを示したにすぎません。市場業者の具体的な取り組みに落とし込まなければ、市場の活性化を進めていくことはできません。都も一体となって作成した戦略であり、市場業者の取り組みをしっかりと後押ししていく必要が今の例のようにあると思います。
そこで、北足立市場では、市場から仕入れを行う実需者への戦略的な取り組みに対してどのような支援を行っているのか伺います。
○石井移転支援担当部長 都では、令和元年度から中央卸売市場活性化支援事業により市場業者の意欲的な取り組みを支援しております。
北足立市場におきましては、仲卸業者による自社が持つ商品情報や知識、経験等のノウハウを生かし、取引先である小売店舗に対しまして商品の陳列方法等の助言を行う仕組みを構築する取り組みなどを支援いたしました。
本事業の事業者からは、支援した小売店とともに着実に利益が上がり、その実績をきっかけに、新たな販路拡大につながっているといった声が上がってございます。
○けいの委員 ありがとうございました。今、ご答弁いただいたように、需要の拡大を図るため、店舗の先、消費者にもアプローチをしていただいている、食育活動に積極的に取り組んでいただいているということです。
食はまさしく健康長寿に直結するもので、消費者の野菜や果物に対する認知を高め、野菜や果物を毎日しっかりと、そしておいしくいただくことは大変重要なことであり、それが市場業者にとっても取引の活性化につながることとなります。
食育、花育など、地域密着型の活動ということでしたけれども、北足立市場における食育に関する取り組みの実施状況、そして、あわせて区と連携した取り組みについてお伺いいたします。
○猪倉企画担当部長 北足立市場では、平成二十三年度に調理設備を有する食育・花育PRルームを整備しておりまして、昨年度は、小学生や都民向けに講習会を開催し、三回合計で百十八名の方にご参加いただきました。講習会では、市場関係者と連携して、旬の野菜の選び方に関する講義や、野菜を使った調理実習を行いました。
また、地元である足立区と連携した取り組みにつきましては、平成二十五年度に足立区、北足立市場協会、東京都の三者で、区民の健康増進を目的といたしました区のあだちベジタベライフ事業に協力する覚書を締結してございます。
昨年度は、食育・花育PRルームを会場に、市場関係者も協力いたしまして、区主催の食育教室を開催するほか、北足立市場まつりでベジタベライフ事業の表彰式を行うなど、健康増進や食育に関する取り組みを行っております。
○けいの委員 これは足立区にある市場なので、足立の学校と、こういうふうにやっていただいておるわけですけれども、道路一本反対側、荒川区で、ぜひ荒川区の子供たちにも、こうした機会を与えていただければありがたいと思います。戦略の実行に向けた、引き続き、荒川区も交えた取り組みを期待したいと思います。
最後に、足立市場の取り組みについてでありますけれども、現在、経営戦略の策定に向けた検討を進めていると、るるありましたけれども、環境変化のスピードを考えると、取引の活性化は待ったなしでございます。水産物の取り組みが何よりも重要ではないかと思います。
足立市場では、低温卸売り場においてマグロの競りが行われているということですけれども、特に事業者の品質、衛生管理の向上に向けた取り組みが重要です。
足立市場では、品質、衛生管理の向上に向けた事業者の取り組みをどのように支援しているのかお伺いいたします。
○石井移転支援担当部長 足立市場におきましては、品質、衛生管理の高度化に対するニーズに的確に対応できますよう、低温施設等の整備を進めております。
そうした施設整備による強みを発揮するためにも、市場業者の取り組みを促進することが重要であり、卸売業者による食品安全マネジメントシステムの国際規格でありますISO22000の取得などを活性化支援事業により支援してございます。
本事例の事業者からは、認証取得により、輸出事業を含め高度な食品の安全衛生管理を求めるホテル、病院等の顧客対応が可能になるなど、荷主、仲卸業者、売買参加者等への波及効果が見込まれるとの声が上がってございます。
○けいの委員 水産物の九十数%は豊洲での取引ということでありまして、足立ではほんの数%の取引しかないわけですけれども、こうした市場業者の自律的な取り組みも、ぜひ、今後策定する経営戦略に盛り込んでいただいて、足立市場のさらなる発展につなげていただきたいというふうに思います。
個人的には、大きく発展して、たくさんにぎわうのも理想なんですけれども、私なんかは、ぱっと行けば、いつでもすいていて、中にある店舗が並ばずに利用できる。そこら辺のお店に行くよりも本当に安く、おすしを食べられたり、定食食べられたりするということで、年中使わせてもらっていますけれども、本日は、足立市場と北足立市場に絞って、これまでの戦略的な取り組みと都の支援について、しっかりと支援していただいているということを確認させていただきました。
今年度は、コロナ禍を踏まえた社会変化も見据えまして経営指針を策定するとのことでありましたけれども、都民の消費生活を支える重要な役割を引き続き果たしていくために、それぞれの市場の立地や規模など、特色を最大限生かすことができるように、しっかりと検討を進めていただきたいというふうに申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。
○尾崎委員 私の方からは、最初に、二〇一九年七月に立ち上げました市場の活性化を考える会について伺っていきたいと思います。
市場の活性化を考える会は、第一回の議事録を見ると、開催は二カ月に一回程度を予定しているとありましたが、今年度の開催状況について伺います。
○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 市場の活性化を考える会につきましては、今年度五月十三日に第七回会議、八月十九日に第八回の会議、十月十六日に第九回の会議、十一月四日に第十回の会議を開催いたしました。
なお、五月十三日の第七回の会議は、新型コロナウイルスの感染の状況を踏まえまして書面開催といたしました。
○尾崎委員 新型コロナの感染症の影響でどうなっているのかなと思いまして伺いました。五月十三日に開催された第七回会議は書面開催だったということです。八月の十九日、そして十月の十六日、十一月四日、昨日ですが、第十回会議が開催されたということです。
第一回会議でも提案されていましたけれども、今年度中に取り組みをまとめて、都が作成する経営計画に反映するということでした。
先ほど、ほかの委員の方からも質問がありましたので重複は避けたいと思いますが、大事なことなので−−市場の活性化を考える会においては、提言を取りまとめていくと。年内をめどとしてまとめる予定だということ、取りまとめを踏まえて、経営指針、仮称だということですけれども、今年度中に策定をしていく。その後、この経営指針で示す方向性に基づき、経営計画、これも仮称だと思いますけれども、令和三年度に策定をしていくということですけれども、経営計画は各市場ごとに策定するのですか。
○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 経営計画は、十一の市場の開設者である東京都が中央卸売市場全体の経営の基本的な考え方を示すとともに、今後の経営の方向性を明らかにするために策定するものでございます。
○尾崎委員 ただいまのご答弁ですと、経営計画は、中央卸売市場全体の経営の基本的な考え方を示すということでした。
市場の活性化を考える会は、第一回会議は議事録が出ましたけれども、それ以降は議事録は公開されていません。議事録のかわりに議事概要が公表されています。しかし、この間、市場の視察も行っているようですけれども、視察の様子も詳細には公開されていません。
二〇一九年十二月二十六日開催された第四回市場の活性化を考える会、二〇二〇年二月十二日に開催された第六回市場の活性化を考える会は、視察を行っていることがわかります。
それぞれ視察は、どこの市場をどのような目的で視察したのか伺います。
○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 昨年度十二月の第四回会議では、産地市場について調査するため、丸勘山形青果市場を視察いたしました。同じく二月の第六回の会議では、都の市場の現状を調査するため、豊洲市場と淀橋市場を視察いたしました。
○尾崎委員 第四回会議では、山形県の丸勘青果市場を視察したということですけれども、視察の目的は、産地市場について調査するということです。丸勘山形青果市場は株式会社の市場で、独自の物流システムを持っている市場だということも、私はホームページなどを見てわかりました。仲卸業者はいなくて、卸売業者だけの市場だということも書いてありました。
第六回では、豊洲市場と淀橋市場、都内の市場を視察したということですけれども、具体的にはどのような視点で、何が明らかになったのかは公表されていませんけれども、私は今後に重要な中身があると思いますので、公表すべきだと要望しておきたいと思います。
議事録が公表されていないために、議事概要だけではどのような議論を行ったのかわかりませんけれども、第七回市場の活性化を考える会の主な意見に、卸売市場の公共性の再定義、基幹インフラの存在意義を再確認したとありましたが、具体的にどのようなことを確認したのか伺いたいと思います。
○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今年度五月の第七回の会議は書面開催で実施いたしました。
お話のご意見は、会議の資料を踏まえ、市場の活性化を考える会の一委員の認識として示されたものでございまして、会議資料にも記載のあるサプライチェーンの中核として、いつでも必要な量を確かな品質で公正な取引環境のもとで供給するという中央卸売市場の役割などについて述べられたものであると捉えております。
○尾崎委員 それでは、同じく第七回の市場の活性化を考える会で、卸売市場の機能は、ほかのプレーヤーでは代替が困難とありましたけれども、これはどのような議論になったのか伺います。
○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 外部有識者の方々から忌憚のないご意見を伺うため、会議を非公開で行うこととしているという趣旨を踏まえて、具体的なお答えは差し控えさせていただきますけれども、委員からは、卸売市場の機能は、ほかのプレーヤーでは代替が困難ということをより詳細に検討する必要があるという趣旨のご意見が書面で寄せられました。
これは会議資料にある事業継続や開かれた取引など、サプライチェーンの中核として、いつでも必要な量を確かな品質で公正な取引のもとで供給するなどの機能を中央卸売市場がしっかりと担うことが大事であり、検討を深める必要があるという趣旨のご意見であったと受けとめております。
○尾崎委員 第七回会議はコロナの影響で書面開催だったということですが、寄せられた意見について議事概要で紹介しているということがわかりましたけれども、これは大変重要な内容だと私は思いました。
中央卸売市場の役割について改めて確認する内容だと思います。やはり会議の中や、書面での開催であっても重要な意見が出たわけですから、市場関係者も含めて深め合うことが重要だと思います。
私は昨年の事務事業でも、市場の活性化を考える会の委員には市場関係者が入っていないために、市場関係者の声を聞くため、分科会のようなものを開催すべきだと要望しました。
そこで伺いますが、市場の活性化を考える会のメンバーには市場関係者は入っていないわけですけれども、市場関係者との話し合いはどのように行ってきたのか伺います。
○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 市場の活性化を考える会は、中央卸売市場の戦略的な市場経営のあり方について、既成概念にとらわれない幅広い議論を行っていただくため、食品流通、企業経営、財務、会計などの外部の有識者の方々を委員として委嘱したものでございます。
なお、会における議論の参考とするため、産地市場である丸勘山形青果市場、豊洲市場及び淀橋市場の関係者と意見交換を行っております。
○尾崎委員 今のご答弁ですと、市場を視察したときに意見交換を行ったということですけれども、それはほんの一部の方との意見交換だと思います。
視察に行って現場の状況を聞いて、市場関係者の話を聞いたなどというのは、余りにも市場関係者を軽視しているんじゃないかと厳しく指摘しなければならないと思います。
私は昨年の事務事業で、市場関係者を市場の活性化を考える会に呼んで話を聞くべきではないかとただしました。このとき、都は、市場の活性化を考える会での検討に際しては、設置要綱において、座長は、必要があると認めるときは、委員以外の者に会議に出席を求め、または意見を聞くことができることとされており、適切に対応するとご答弁されました。
委員以外の方に会議に出席を求め、また意見を聞くような対応はあったのか伺います。
○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 昨年度十一月の第三回会議において、株式会社農林中金総合研究所主事研究員の一瀬氏から、「わが国とEU主要国の青果物流通の現状−卸売市場を中心に−」というテーマでプレゼンテーションをしていただきました。
○尾崎委員 市場関係者ではなく、株式会社農林中金総合研究所主事研究員の一瀬氏からプレゼンテーションをしてもらったということでした。
私は、農林中金総合研究所のホームページを見ていましたら、一瀬氏が書いた「スペインおよびオランダの青果物流通・小売構造−公的セクターと卸売市場の関係に着目して−」という論文を見つけました。この論文の内容は、多分、市場の活性化を考える会でお話しした内容だと思いまして、私も勉強のために読ませていただきました。
一瀬氏は、各国における卸売市場の仕組みについてまとめています。国、地方、政府、公共セクターがどのように卸売市場にかかわっているのかという点を比較検討したものです。
スペインは、日本の中央卸売市場のシステムを参考にして卸売市場を開場したという経緯もありますけれども、民営化の議論は一部であったようですが、公的セクターが食料の安定供給を担い続けているということが明らかになったと書かれていました。
一方、オランダは、かつて公的セクターが所有、運営していた卸売市場を民間に売却した事例があると報告してあります。
一瀬氏は、論文のまとめのところで、歴史的、地政学的位置、消費者行動、商習慣、食文化など、さまざまな要素との相互作用の末に、現在の流通構造が国ごとに形成されてきたはずである、それゆえに、公正かつ効率的な流通構造とは各国に共通する普遍的で画一的なものではなく、時代によっても不断に移ろうものであろう、こうした点を鑑みると、ある国をモデルと定め、我が国の卸売市場を中心とした青果物の流通構造をそれへと一挙に転換するような改革を行う必要はなかろうと述べています。大事な指摘だなと思いながら読ませていただきました。
国の卸売市場法改正を受けて、東京都中央卸売市場条例も改正されました。都は、条例改正について質疑の中でも、卸売市場は、公正な取引の場としての役割、公共的な役割を果たすため、都は開設者として、取引業務及び施設使用の適正化等を図り、市場を管理運営していくと、そのときご答弁されています。この立場は大変重要だと思います。
市場の活性化を考える会の第七回の議事概要を見ると、新型コロナウイルス感染症拡大の影響についても意見がたくさん出されたようです。
新型コロナの影響を踏まえた検討は重要だと思いますけれども、今年度末までに取りまとめる中に反映させるのですか伺います。
○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 現在、今後の市場経営の方向性について、コロナ禍を契機とした社会変化なども踏まえ、提言の取りまとめに向けた議論がなされているところでありまして、この提言を踏まえ、経営指針を今年度中に策定していくこととしております。
○尾崎委員 コロナ禍を契機とした社会変化なども踏まえて、提言の取りまとめに向けて議論されているところだということですけれども、そうしたこの提言を踏まえて経営指針を今年度中に策定していくと。
都のホームページには、八月十九日に開催された第八回会議の資料と議事概要が掲載されていましたので読ませていただきました。新型コロナ感染拡大の影響が、それぞれの市場の取引状況、取引金額の数字、特徴的な動きのあった品目の取扱状況などが表として示されていました。
深刻だと思ったのは、花きの四月の取引金額は前年の五九%、水産の四月の取引金額は前年の六五%だったことです。
水産の六月の取引金額は昨年の九四%で、前年比よりも減少したままであることがわかりました。
食肉は四月から前年の六七%、五月が八三%、六月が前年の八九%と、なかなか回復していないこともわかりました。
市場関係者の方たちは、ユーチューブで発信したり、ドライブスルーでの販売、フードトラックやキッチンカーでの販売など、新たな挑戦も始まっていますが、商売を継続させるための支援強化が必要だと思います。
コロナ禍での市場関係者の思いや要望などをきちんと受けとめながら、丁寧に提言をまとめるべきだと強く要望しておきます。
そこで伺いますが、市場の活性化を考える会、第七回の議事概要には、新型コロナウイルス感染症拡大を踏まえた追加検討の必要性についても、今後の取引の方向性等について議論を深化させていくべきと書かれています。市場関係者を含めて、新型コロナの影響と当事者の意見、要望を聞く必要があると思いますが、どのように議論を進めていくのか伺います。
○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今後取りまとめられる予定の市場の活性化を考える会の提言を踏まえ、経営指針を今年度中に策定していくこととしておりまして、その際には、市場関係者などに広く意見を伺うこととしております。
○尾崎委員 今のご答弁ですと、経営指針を策定する際に、市場関係者などに広く意見を伺うということですけれども、それでは私は遅いと思うんです。
市場関係者を抜きに提言をまとめることはあってはならないと思います。提言をまとめる前に、市場関係者などに広く意見を聞く場を必ず設けることを強く要望するものです。
次に、豊洲市場水産仲卸売り場棟のエレベーターについて質問します。
エレベーターの事故や故障は、今年度どのような状況になっていますか。
○村上財政調整担当部長渉外調整担当部長豊洲にぎわい担当部長兼務 豊洲市場には合計で六十三台のエレベーターが設置されています。
ことし四月から九月末までの故障、事故件数は七十九件となっております。
○尾崎委員 わずか六カ月で七十九件のエレベーターの故障、事故があったとのことですが、豊洲市場に、先ほどご答弁ありましたが、六十三台のエレベーターが設置されているということですから、故障、事故が私は多いんだというふうに思いました。原因の究明が必要だと思います。
単純に考えると、七十九件を六カ月で割ると、一カ月十三台が何らか故障して事故を起こして使えないということになりますから、深刻な問題だと指摘しておきたいと思います。
次に、ターレのタイヤについてです。
ターレのタイヤの改善はどのように進んでいるのか、進捗状況について伺います。
○村上財政調整担当部長渉外調整担当部長豊洲にぎわい担当部長兼務 市場内の運搬で使用されるターレのタイヤの研究については、業界団体や販売、修理、点検等を行う関連会社とともにメーカーの協力を得まして、数種の試作タイヤを用いて市場内で走行テストを実施しております。
メーカーなどのヒアリングでは、タイヤの摩耗度については一定の期間で比較すると、かたいタイヤの方がわずかに少ない状況にあることなどがわかっておりますが、タイヤのかたさによっては、商品を載せる荷台への振動面の課題があるほか、タイヤを実用化するには、研究、製造、販売のそれぞれの段階におきまして、多くのクリアすべき課題があることから、引き続きこれらの状況について把握してまいります。
なお、豊洲市場では、清掃作業の充実などを通じまして粉じんが舞うような状況になく、空気環境測定による浮遊粉じんの測定結果も法令に定める基準値を下回っておりまして、今後もこれらの取り組みを通じて良好な衛生環境を確保してまいります。
○尾崎委員 空気環境測定による浮遊粉じんの測定結果も法令に定める基準値を下回っているということですが、測定している時間も、市場の仕事がおおむね済んだ時間に測定しているもので、本来であれば、粉じんに含まれている重金属の調査を実施して、働く人の立場に立って健康診断を行うべきです。このことは、この間、我が党は繰り返し要望してきたにもかかわらず、都は依然、空気環境測定しか行っていません。
数種の試作タイヤを用いて場内で走行テストを行っているというご答弁もありましたけれども、タイヤの改善はそう簡単なことではないと私も思っています。時間も当然かかるのだと認識していますが、粉じんは市場で働く人たちの健康にかかわる重大問題ですので、市場の開設者として最善を尽くしていただくことを強く要望して、質問を終わります。
○高倉委員 それでは、被災地の支援ということについてお聞きをしたいと思います。
東日本大震災の発生から、来年の三・一一で、ちょうど十年ということになるわけであります。私たち都議会公明党は、この間、岩手、そして宮城、そして福島、特にこの三県の被害が大きかったわけですけれども、三つのチームに分けて、繰り返し被災地を訪れまして、そして、例えば、漁港関係者と意見交換をして、しっかり要望をお聞きしたり、あるいは農地の除染作業の現場に参りまして、さまざまな生のご意見をお聞きをしたり、あるいは福島県の知事さんとも何度も意見交換をいたしまして、特に県産品について、特にこの東京での消費ということについて、さまざまな形で強いご要望も受けてきたわけであります。
先ほど申し上げましたように、来年がちょうど十年という、いわば節目を迎えると。そういう中で、私は、また今、改めて被災地の支援というところに思いを寄せて、しっかり、さらに強化を図っていく必要があるんではないかなというふうに思っています。
中央卸売市場においては、被災産地支援研修会の開催のほか、市場まつりを通じた被災産地の農産品などに対する情報発信など、被災産地に対する支援にこれまで取り組んできたわけであります。
震災により大きな被害を受けた被災産地にとりまして、被災産地の情報が取引関係者や消費者に伝わるとともに、水揚げされた魚や大事に育てた農産物などが消費者の手元に安定的に届けられるということは、復興に向けて大変重要なことであると思います。
そこでまず、中央卸売市場がこれまで行ってきた被災地支援の取り組みの内容と成果についてご説明いただきたいと思います。
○猪倉企画担当部長 中央卸売市場では、これまで市場関係者などを対象といたしました被災産地支援研修会や、市場まつりなどを通じまして被災産地を支援してまいりました。
被災産地支援研修会は、平成二十四年度から実施しておりまして、これまで市場関係者や消費者団体など、六回、延べ四百七十一名の方が福島県を訪れまして、放射性物質の検査体制の視察や、現地の出荷関係者との意見交換を行ってまいりました。
また、市場まつりにおきましては、福島県PRコーナーなどのブースを設けまして、来場する多くの都民の方々に被災地産品を紹介し、パネル展示などをごらんいただくことで、福島県産品に対する理解の促進や不安の解消に努めてまいりました。
こうした取り組みを、震災以来、継続的に行ってきたことで、取引関係者や消費者の被災県産品に対する理解を促進し、消費拡大にも貢献できたと考えてございます。
○高倉委員 今、被災地支援ということで取り組んでこられたことについての具体的なご説明がありました。本当にこの間、中央卸売市場が被災地のために懸命に頑張ってこられたということについては、私も十分承知しているつもりでありますし、そのご努力については改めて心から感謝を申し上げたいというふうに思います。
そうした中で、本当に一生懸命頑張ってこられた、そういう中で、しかしながらなかなか被災地の品目、被災地の県産品について、震災前と、例えば中央卸売市場での取り扱い、こういったものがまだ被災前まで戻っていないと、こういう状況にあるのも事実であります。
そこで、都の中央卸売市場における被災産地との取引状況について明らかにしていただきたいと思います。
○西坂事業部長 東京都中央卸売市場年報によりますと、都の中央卸売市場への福島県、宮城県、岩手県の被災三県の出荷数量につきまして、震災前の平成二十二年と比較いたしますと、福島県の令和元年の出荷数量は、水産物が三三%、青果物が七六%、食肉が八〇%となっております。また、宮城県につきましては、水産物が六〇%、青果物が八一%、食肉が八七%となっておりまして、岩手県につきましては、水産物が六九%、青果物は一〇五%、食肉が八〇%となっております。
○高倉委員 今、具体的に震災前の数字と比較をされて、わかりやすく説明をしていただいたと思います。皆様の支援の努力があって、少しずつ震災前に戻ってきていると、これもまた事実であります。
その一方で、やはりこの数字を見ますと、ごく一部は震災の前に戻ってはおりますけれども、おおむね、特に水産物などは大変厳しい状況にありまして、青果物とも、まだもう一歩といいますか、もう一歩も二歩も、まだまだ戻ってきていない状況があるというふうに思います。
とりわけ、やはり福島県が県産品の全体にわたって厳しい状況にあるということが今の数字でも見てとれるんではないかなというふうに思います。特に福島県の場合は、震災による直接的な被害に加えて、原発の事故も重なりましたので、いわば風評被害にも、ずっと苦しめられた地域であります。
皆様もこの風評被害の払拭には全力を挙げて取り組んでこられたということでありまして、このことについても改めて感謝を申し上げたいというふうに思っておりますが、これからも、しっかりと寄り添って支援を続けていく必要があると思います。
そこで、中央卸売市場として、この風評の払拭、これについては引き続き取り組みを強めていく必要があると思いますけれども、これからの取り組みについて見解をお伺いしたいと思います。
○猪倉企画担当部長 これまで市場まつりにおける福島県PRコーナー等を通じまして、風評被害の払拭に向けた支援を行ってきたことに加えまして、本年二月には豊洲市場の関係者がいわき市を訪問いたしまして、現地の漁業関係者との意見交換や放射性物質の検査施設の視察などを行いました。
また、本年七月には大田市場におきまして、新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえつつ、福島県の内堀知事がオンラインでトップセールスを行い、市場関係者へ福島県産の農産物のおいしさと安全性をPRいたしました。
このように、取引関係者が被災産地と交流を続けていくことで、被災産地の安全・安心確保に向けた取り組みを知っていただくことで、風評被害の払拭につながっていくものと私ども考えているところでございます。
○高倉委員 福島県の沿岸漁業などでは、放射性物質のモニタリングの結果から安全が確認をされている、そういう魚の種類、魚種などでは試験操業が実施をされておりまして、こうした地道な取り組みが必要な状況ということに置かれていると思います。
現時点では、先ほどの答弁にもありましたけれども、被災産地の農畜水産業は、やはり苦戦が続いておりまして、被災産地の支援を継続していく必要があろうかと思います。
そして、震災から十年近くがもう経過をしている中で、被災地の方々の要望、また抱えている課題、こういったことも変わってきている部分もあるんではないかなというふうに思います。
そこで、中央卸売市場として被災産地の支援の取り組みを今後も継続していただくとともに、さらなる支援に当たっては、被災地の要望をしっかりと踏まえて進めていただきたいと思いますけれども、ご見解をお伺いしたいと思います。
○西坂事業部長 被災産地に対する支援に当たりましては、産地の要望を的確に酌み取り、その要望に沿った支援を行っていくことが重要でありまして、各県からもさまざまな要望をいただいているところでございます。
例えば、福島県からは、これまで行ってきた桃などの果実に加えまして、水産物についての県知事によるトップセールスを実施したいとの要望、また、市場まつりなど、多くの都民が来場する機会でのブース出展により、広く市場関係者や消費者に対するPRの機会を引き続き設けてもらいたいとの要望を受けております。
また、いわき市からは、先ほど企画担当部長が答弁いたしました豊洲市場の関係者等による産地との交流について継続を要望されております。
このほか、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえまして、オンラインによるトップセールスといった新たな取り組みが始まったところでございまして、今後も、それぞれの被災産地の要望をしっかりと酌みますとともに、新たな生活様式への対応等についても考慮しながら、被災地支援の取り組みを進めていきます。
○高倉委員 きょうは被災地支援に絞って質疑をさせていただきました。
先ほど、来年の三・一一でちょうど十年、これはまさに節目のときであるというふうに思います、迎えるという話をしましたけれども、当初、この震災があった後、盛んにこういう質疑の中でもお話がされていたのが、やはり震災の記憶の風化ということがずっと、お話がありました。
今、まさに十年経過してみて、これが本当に震災の記憶の風化といいますか、こういったものが本当に現実になりつつあるというような客観情勢も、それはあるんだと思います。
したがいまして、きょう改めて取り上げさせていただきましたけれども、これまでのこの十年間の中央卸売市場の、市場長を初めとして皆さんのご努力については改めてご評価をし、そして感謝を申し上げますとともに、まさにこの十年目の節目のときに当たって、まさに世の中では、やはりこの震災の記憶の風化といったことが現実のこととして、それはあるんだと思います。
したがって、よりしっかりと支援をしていただきたいと。先ほど数字のこともお聞きもしましたけれども、やはりまだまだ復興においては、途上といいますか、復興の取り組みはまだ続いている、こういう状況でもあろうかと思います。
そして、来年はオリンピック・パラリンピックが東京で開催されますけれども、被災地においても、野球、サッカーなどが行われるわけで、被災地の方々もこういう復興に取り組む中で、一生懸命、東京のオリンピック・パラリンピックに対しても、もう本当に協力をしていただいているわけであります。
したがって、ぜひ市場の皆さんにおかれましては、より一層の支援に取り組んでいただくようにお願い申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○菅原委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○菅原委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で中央卸売市場関係を終わります。
○菅原委員長 これより港湾局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布をしております。
資料について理事者の説明を求めます。
○相田総務部長 十月二十九日開催の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
資料は、表紙をおめくりいただきまして、目次に記載のとおり三項目でございます。
それでは、一ページをお開き願います。臨海地域開発事業会計における企業債償還の推移でございます。
臨海副都心開発の基盤整備にかかわる企業債を転貸債、建設元利金債の二つに区分し、平成元年度から令和六年度までの発行額及び償還額等を百万円単位で記載してございます。
なお、平成三十年度までは決算額、令和元年度は決算見込み額、令和二年度は予算額、令和三年度以降は計画額を記載してございます。
二ページをお開き願います。臨海副都心における有償処分予定地の現況一覧でございます。
有償処分予定地を開発確定面積と今後開発予定面積の二つに分けてございます。そのうち、開発確定面積を処分済み及び処分手続中に区分し、また、今後開発予定面積を公募中及び今後処分予定に区分してございます。そのおのおのの項目について、昨年度末時点の面積をヘクタール単位で記載してございます。
三ページをお開き願います。建設発生土・しゅんせつ土の埋立処分計画と実績でございます。
平成二十七年度から令和元年度までの五年間における計画土量及び実績土量を万立方メートル単位で記載してございます。
以上をもちまして、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○菅原委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言をお願いいたします。
○滝田委員 今回から経済・港湾委員会の委員となりましたので、一年間よろしくお願いいたします。
私の大学時代の専攻は、都市計画、まちづくりでありましたので、これまで三年間担当してきました都市整備委員会、あるいは環境・建設委員会の事業、まさに専門に近い領域でありました。両委員会でも申し上げてきましたけれども、これまでの都市化の流れの中で、いわば犠牲にされてきた水辺、緑、空、こうしたものを都市に取り戻す、人の手に取り戻す転換点に来ているというふうに考えております。その観点から、さまざま質疑を重ねてまいりました。
港湾局におきましても、臨海部におけるヒューマンスケールのまちづくりへの転換、特に水辺を生かすまちづくり、舟運の活用の加速など、重要な役割を担っていただいておりまして、都市整備局や関係各局と連携して取り組むことを期待いたしております。
初めに、臨海部の都市づくりについて伺ってまいります。
臨海副都心は、ヒューマンスケールではないまちとなってしまっているといった指摘、かつて私が大学で学んでいたころには既にいわれておりました。
臨海副都心が計画された当初と時代や価値観が変わり、大規模で車が中心のまちではなく、人が住み、働き、憩うといったことにおきまして、人間の目線や大きさに合わせて居心地のいい空間や歩ける回遊性の高いまちをつくるべきであると、一般的にまちづくりの基本的な考え方が変わってまいりました。
臨海副都心において、今後のまちの更新や機能強化もしていく上で、あるいは新規に開発するエリアにおいて、ヒューマンスケールの観点から、回遊性の向上、新たなモビリティーの活用、用途の混合などを実現していくべきであります。また、新技術の実現で、東京全体をリードする取り組みも実現していくべきであります。
中長期での臨海副都心の都市づくりにおいて、ヒューマンスケールなまちづくりを目指していくべきと考えますが、現在の都市についてどのような課題認識をし、今後取り組んでいくのか、見解を伺いたいと思います。
○中村臨海開発部長 臨海副都心は、シンボルプロムナード公園を中心とした大規模な区画によるまち並みを整備し、現在では、ビジネス、観光でにぎわうまちに発展しております。
一方、道路、公園などの公共空間を十分にとっていることから、建物間の距離が離れ、エリア内の移動が不便といった声もございます。
今後、商業、観光施設やコンベンション施設などが集積しているまちの強みをさらに伸ばし、にぎわいを活性化させるためには、エリア内の回遊性を向上させていく必要があると認識しております。
○滝田委員 今、回遊性を向上させていく必要があるといった認識を示していただきました。
一方で、有識者や民間事業者などの話を聞きますと、臨海副都心では、さまざまな制限がかなり細かく定められているということで、新たなニーズに合った魅力的なまちづくりをしにくい硬直性を生んでいるのではないかというふうなこともいわれております。
容積や高さの制限、用途の制限などが細かく設定されており、統一的なまち並みを形成している一方で、近年のまちづくりでは重要とされている用途を混合させることでの魅力づくりなどが行いにくいという指摘もありますけれども、見解を伺いたいと思います。
○中村臨海開発部長 これまで臨海副都心は、計画に基づき、職、住、学、遊のバランスのとれたまちづくりを進め、にぎわいのあるまちとして発展してまいりました。
一方、都内各地で大規模な再開発等が行われていく中、引き続き臨海副都心が東京の持続的な成長を牽引していくためには、民間の発想を活用し、今後の時代の変化に柔軟に対応できるまちづくりを進めていくことが必要と考えております。
○滝田委員 都市間競争であったり、答弁にありましたけれども、都内の中でも新規の再開発地との競争という面もございます。臨海副都心を初めとする副都心を戦略的にバージョンアップしていくことは重要な課題であるというふうに考えております。
今後、より魅力的なまちづくりに向けて方針を定めて、きょう明確には答弁なかったというふうに思いますけれども、柔軟に容積率や用途などを検討していくことを強く要望したいと思います。
また、開発ポテンシャルのある未利用地として、青海や有明北地区などもあります。東京二〇二〇大会後を見据えて、どのようなまちづくりを行っていくのか、今後検討していく上でも、回遊性を高める工夫というものは重要であるというふうに考えます。歩きやすく、歩いて楽しいまちを形成するとともに、新しい技術の活用も図るべきであるというふうに考えております。
臨海副都心においては、高規格の道路網や都有地も多く、自動運転やパーソナルモビリティーといった新たなモビリティーなど、先端技術を社会実装していく上での適地であるというふうに考えますが、見解を伺いたいと思います。
○中村臨海開発部長 臨海副都心の魅力をさらに高める上で、歩いて楽しいまち並みの整備や自動運転を初めとする新たなモビリティーの導入は、来訪者の回遊性を向上させ、まちのにぎわいを活性化することができる取り組みとして期待されております。
都では昨年度、域内交通の円滑化を見据えて、臨海副都心における自動運転の事業スキームに関する検討調査を実施したほか、国においても、今年度、自動運転の実証実験が行われるなど、自動運転の社会実装に向けた取り組みを展開してきております。
一方、自動運転をまちに実装していくためには、法令の整備や、さらなる技術開発の必要性に加え、安全性や事業性の確保など、さまざまな課題があるため、引き続き国や民間企業等の動向も踏まえながら、これらの課題を整理し、実装に向けた取り組みについて検討してまいります。
○滝田委員 実装に向けた取り組みを進めていきたいということで、力強い答弁をいただきました。ありがとうございます。
先端技術の実現ということで続けて伺いたいというふうに思いますが、ドローンによる物流であったり、あるいは空飛ぶタクシーなど、空の活用についても、臨海部で社会実験をするなど、推進していくべきだというふうに考えますが、見解を伺いたいと思います。
○中村臨海開発部長 臨海副都心では、シンボルプロムナード公園でのセグウェイや自動運転の走行など、さまざまな最先端技術の実証実験を行っております。
昨年度は、臨海副都心で開催された東京モーターショーにおいて五百機のドローンによる編隊飛行の実証実験が行われました。
実施に当たっては、会場となったシンボルプロムナード公園において、公園利用者の安全確保のため、警備員配置や通行制限の措置を講じた上で、多くの来訪者にドローン飛行とともに展開された光と音のショーを楽しんでいただいたところでございます。
こうした実証実験は、臨海副都心の強みであるショーケース機能をまちの魅力として引き伸ばしていくことにつながるものであり、引き続き最先端の実証実験を展開してまいります。
○滝田委員 先ほどのモビリティーにつきましても、空の活用ということにつきましても、実証実験から実装の段階へと今後進んでいくためにも、技術面のショーケースというだけではなくて、規制の緩和、あるいは関係者間の調整などにおいても、他の地域に先駆けてモデルとなっていくということを進めていくよう求めておきたいというふうに思います。
さて、冒頭で述べましたけれども、水辺を生かすまちづくりにおいて、港湾局の役割は大変重要であるというふうに考えております。
にぎわいや人が集う空間を水辺に向けて創出をし、また、それらが連続的につながり、あるいは舟運でつながっていくなど、水辺に顔を向けたまちづくりが臨海部で集積するように取り組んでいくべきだというふうに考えております。
港湾局は、東京二〇二〇大会で活用される選手村エリアのまちづくりにおいて、水辺の空間づくりを担っておりますけれども、どのような考え方のもとに取り組みを進めてきたのか伺いたいというふうに思います。
○中村臨海開発部長 大会時に選手村の一角として利用される晴海ふ頭公園は、大会後に生まれる新たなまちの住民を初め、地域の人々がレインボーブリッジなど、水辺の風景を楽しみながら憩える空間となることを目指し、公園の再整備を行ってまいりました。
さらに、再開発事業エリアの南側に、新たな晴海緑道公園、約三・六ヘクタールを整備することにより、先ほどの晴海ふ頭公園とあわせて、このエリアの歩いて楽しめる水辺空間の拡充を図ったところでございます。
今後も良質な水辺空間の創出を通じて、臨海地域の魅力向上に取り組んでまいります。
○滝田委員 晴海の整備におきまして、水辺空間の創出に力を入れていくということがわかりました。
例えば、建設局の所管ですけれども、河川や橋の活用、あるいは、港湾局の所管でもあると思いますが、運河であったり、ふ頭の魅力づくり、海上公園の活用など、東京湾の湾の中をぐるっと魅力的な空間をつなげていけるように今後方針を定めて、水辺の空間を生かしたまちづくりということを、取り組みを重ねていただくことを求めたいというふうに思います。
一方、海上公園の魅力向上については、民間活用の観点で取り組んでいく必要もあるというふうに考えております。
近年、民間の知見を生かした公園活用というものが、海上公園だけではなくて公園全般におきましてですけれども、重要なテーマというふうになっておりまして、私も一般質問等でもさまざまこのテーマについて取り上げてまいりました。全国を見渡しても、魅力的な空間と機能を持った公園が民間の知見を生かして生まれてきているというような状況にあります。
そのような中で、条例設置の海上公園においても、民間の提案を積極的に活用したにぎわいづくりを行っていくべきであるというふうに考えますが、現在の取り組み状況と今後の方針について伺いたいと思います。
○中村臨海開発部長 海上公園における官民連携の取り組みについてですが、都は、平成二十九年に海上公園ビジョンを策定し、民間事業者との連携を行うなどし、地域ニーズへの対応とにぎわいの創出に取り組んでいくことといたしました。
この方針に基づき、事前のヒアリングにおいて民間事業者から最も関心の高かった晴海ふ頭公園で官民連携施設の事業者を公募いたしました。その結果、飲食の提供だけでなく、コワーキングスペース、地域コミュニティ活動拠点、交流イベントなど多彩な利用に対応するカフェを提案した事業者を選定し、本年九月に公表したところです。
今後も、海上公園の魅力を高めていくため、民間事業者からの幅広いアイデアを取り入れながら、官民連携施設の導入の拡充を進めてまいります。
○滝田委員 海上公園における官民連携施設の導入ということで、第一弾というふうに理解をしておりますけれども、期待をしたいと思いますし、ほかの海上公園での民間連携の取り組みへの展開を求めたいというふうに思います。
また、より一層、民間のアイデアを幅広く取り入れていく方策としまして、民間施設の単純な導入というだけではなくて、指定管理のあり方にもかかわってまいりますけれども、今後、公園の企画運営も含めた民間提案を受け入れられるように検討することも求めたいというふうに思います。
次に、舟運の復興に向けた取り組みについて伺いたいというふうに思います。
先ほど、臨海部における水辺を生かしたまちづくりについて質問をいたしましたが、魅力的な水辺空間を都民や来訪する方々が楽しめる環境としても、また、今後は日常生活における移動の手段の一部としても、舟運の活用は重要であるというふうに考えます。私も都市整備委員会等でも取り上げてまいりました。
一方、これまでも、我が会派、都民ファーストの会東京都議団では、モビリティ政策研究会を設けて、その中でも特に舟運について注力して取り組んでまいりました。本年、令和二年予算特別委員会などにおいても、会派としてさまざまな角度から舟運について質疑をさせていただきました。
舟運が観光だけではなく日常的な移動手段として定着していくための取り組みや、今後も舟運を活性化し水辺の魅力を復活させるためにも、東京二〇二〇大会時こそ絶好の機会であるとして、今年度の新たな取り組みを求めてまいりました。
その後、新型コロナウイルス感染症の拡大や大会の延期となってしまいましたが、東京の競争戦略の一つとして、水辺を生かしたまちづくり、舟運の活用、定着が重要であることは変わりがないというふうに考えます。しかしながら、目下のところ、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けまして、舟運の利用客は大幅な減少が続いておりまして、屋形船などを運航する舟運事業者は大変な苦境に置かれております。
舟運を担う事業者の基盤が大きく揺らいでいる状況にあるということでありまして、こうした状況に対して、我が会派では、新型コロナウイルス感染症の影響により売り上げが大幅に減少するなど深刻な影響を受けている舟運事業者などから寄せられた要望を踏まえて、都に対して積極的な支援を強く求めてまいりました。
そこで、舟運事業者への支援として、都はどのような取り組みを行っているか、改めて確認として伺いたいというふうに思います。
○戸井崎港湾経営部長 今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響によりまして、舟運の利用客数は大幅に減少しておりまして、舟運事業者は厳しい経営状況にあるものと認識しております。
このため、都は、現在、屋形船等を係留する水域の占用料や港湾局の施設使用料の支払いが一時的に困難になった事業者等を対象といたしまして、支払いを最長で一年間猶予する措置を実施しております。取り組みを開始した本年の四月から九月末までの半年間において、支払いを猶予した事業者の数は全体で三十事業者、金額は約一億六千五百万円となっておりまして、うち舟運事業者の数は十一事業者、金額は約一千五百万円となっております。
また、本年七月には、ウエブを通じて船着き場の利用予約を行う舟運事業者を対象といたしまして、利用料金を半額に引き下げるとともに、乗船客から人気の高いお台場海浜公園の新たな桟橋の供用開始を、当初予定していた本年秋ごろから夏休みが始まる七月末に前倒しをするなど、舟運事業者のニーズを踏まえた取り組みを実施したところでございます。
○滝田委員 ただいま答弁のありました占用料等の支払いの猶予は、我が会派からも強く要望していたものでありまして、最長一年間猶予するという港湾局の対応を高く評価したいというふうに思います。
また、船着き場の利用料金の大幅な引き下げやお台場船着き場の新たな桟橋の前倒し開放など、舟運事業者からも強く要望されていたものと聞いておりまして、これらに適切に対応した取り組みを評価したいというふうに思います。
新型コロナウイルス感染症の終息がまだ見えない中で、依然として多くの事業者が厳しい資金繰りを強いられております。今後の感染症の状況によっては、特に占用料等の納付猶予をさらに延長していただくことも要望しておきたいというふうに思います。
一方で、舟運の復興に向けては、何よりも舟運を安全に利用していただける環境を整えることが重要でありまして、徹底した感染症対策が求められるところでございます。
特に、屋形船については、ことし二月の感染拡大の初期のころに利用客などの感染が確認されたことでイメージが悪化してしまい、誤った風評被害が広がってしまったというところもございます。
舟運事業者の話によりますと、こうした風評被害を払拭するために、船員のマスク着用や船内の徹底した消毒、あるいは換気、大皿での料理提供の中止などの対策に努めているということであります。
一方で、新型コロナウイルス感染症対策は、船内だけではなく、乗客が乗船前後で利用する船客待合所においても徹底していくということが重要だというふうに考えます。
そこで、船客待合所における感染症対策として、どのような取り組みが行われているのか伺いたいと思います。
○戸井崎港湾経営部長 多くの方に舟運を安心してご利用していただくためには、船内だけでなく、船客待合所においても徹底した感染症対策を実施していくことが重要でございます。
このため、船客待合所では、待ち合い中及び乗下船時における乗客同士の間隔の確保や施設内の換気、設備等の定期的な消毒など、感染拡大防止に向けた取り組みを実施しております。
さらに、感染リスクをお知らせするサービスを導入し、万が一、新型コロナウイルス感染症のクラスターが発生した場合には、同一時間帯に利用していた乗船客等へメールにより通知することとしております。
今後も都は、舟運事業者等と連携し、こうした取り組みの徹底を図ることで、多くの人々が舟運による船旅を安心して楽しめる環境を整備してまいります。
○滝田委員 繰り返しとなりますけれども、舟運の復興に向けては、舟運を安全・安心に利用してもらえる環境を整備していくということが極めて重要でありまして、答弁にもございましたけれども、今後もこうした感染拡大防止の取り組みを一つ一つ着実に実施していただくことを求めておきたいというふうに思います。
一方、こうした感染症対策がしっかりと取り組まれているということを多くの人々に知ってもらうことに加えて、舟運の魅力や楽しさを改めて多くの人に認識してもらわなければ、舟運の利用客数の回復にはつながらないというふうに思います。
こうした観点から、我が会派からは、舟運を幅広くPRするとともに、風評被害の払拭等につながる取り組みの実施を要望してきたところであります。
そこで、都は、イベント等と連携をし、東京の水辺の魅力を存分に楽しめる船を企画、運航し、多くの人に乗船していただける機会を設けることで、舟運の魅力と安全性を積極的にPRしていくべきだというふうに考えますが、都の見解を伺いたいと思います。
○戸井崎港湾経営部長 多くの人々に広く舟運の安全性をPRするとともに、舟運の楽しみや魅力を改めて認識していただくためには、船着き場周辺で開催されるイベントに合わせて企画船を運航することが有効でございます。
このため、都は、ご指摘も踏まえ、今年度、日の出ふ頭Hi-NODEやお台場海浜公園で開催されるイベントに合わせ、舟運のPRに資する企画船を運航いたします。
具体的には、Hi-NODE芝生広場で開催される音楽イベント等に合わせて、日の出ふ頭を発着し東京港を周遊する船を運航いたしますとともに、毎年多くの人に楽しんでいただいているイルミネーションアイランドお台場の開催時に臨海副都心の夜景を楽しめる船を運航いたします。
さらに、本年九月に開業した東京国際クルーズターミナルにつきましては、今後、都民向けの見学会の開催を予定しておりますが、この見学会に合わせ周遊船を運航する予定でございます。
都は、こうした企画船の運航を通じまして、多くの人々に舟運の安全性や魅力を認識していただくことで、舟運の利用客の回復につなげてまいります。
○滝田委員 感染症の拡大防止と経済活動や日常生活を両立させていくウイズコロナの局面にある中で、出おくれている舟運利用について、回復に向けた転換点となるメッセージ性のある企画というのは重要であるというふうに考えています。
都は、今、答弁にありましたけれども、舟運事業者への支援や利用客数の回復に向けた施策を、情報発信や企画なども含めて積極的に進め、舟運の復興が早期に実現するよう、しっかりと取り組んでいただきたいということを求めます。
東京は水の都でありまして、特に屋形船は江戸情緒を今に残す極めて重要な観光資源であるというふうに考えます。今年度実施ができなかった二〇二〇大会との関連事業については、来年度取り組みができるように検討を求めたいというふうに思います。
また、新型コロナウイルス感染症が終息した後には、改めて舟運の活性化に全力を注いでいただいて、舟運を東京の伝統的な文化や新たな魅力としても国内外に積極的に発信していただくことを強く要望いたしまして、次の最後のテーマに移りたいというふうに思います。
最後に、港湾の国際競争力について伺ってまいりたいというふうに思います。
私自身、三年前、都議会議員になるまでは商社に勤めておりまして、さまざまな貿易、物流を担っておりました。北米、南米、欧州、アフリカまで、さまざまな貿易で東京港を利用させていただいておりました。実感としまして、正直、直行便が減ってタイムリーな物流が難しくなってしまった、あるいは、直行便ではないためにトラブルがふえて商機を失ってしまうといったような経験もしております。
こうした経験がありますので、改めて今回、国土交通省が取りまとめをしている資料、国際コンテナ戦略港湾政策というものがありますけれども、確認をさせていただきました。我が国に寄港する欧米基幹航路の便数というのは減少が続いているということがこの資料からも確認をできました。
京浜港における寄港便数は、一九九八年に週五十二便であったものが、二〇〇八年には週四十便、二〇一八年には週二十三便まで減少をしております。
二〇〇〇年代前半には既に上海や釜山などにハブ機能として港湾の能力的には大きく水をあけられておりましたけれども、そこからさらに十数年が経過をいたしまして状況が悪化しているというふうに考えております。
基幹航路の寄港が減ることによりまして、コストの増加に加えて、輸送日数、つまりリードタイムが大きくなることが、我が国の各産業の競争力に深刻な影響を与えているのではないかというふうに考えます。
欧州から日本の間の航海所要日数はおおむね三十日程度ということでありますが、直行ではなくて経由をすることによりまして、五日程度この日数が増加をすることになります。
例えば、在庫を余分に持たなければならなくなれば、キャッシュ・フローの負担もふえます。新規のビジネスや需給変動に機敏に対応することも難しくなります。こういったことが重なりますと、輸出入全般の産業の競争力低下、ひいては雇用環境も含めた経済の悪化要因になるというふうに捉えております。
東京、そして日本の国際競争力を高める上で、港湾の競争力は非常に重要でありますが、競争力を高めるために、特にコストの削減や輸送時間の短縮に向けてどのような取り組みを行ってきたのか、また、今後の課題について認識を伺いたいと思います。
○戸井崎港湾経営部長 東京港の国際競争力を高めるためには、船会社や荷主のニーズに的確に対応したサービスを提供し、使いやすい港としていくことが重要でございます。
このため、都は、大型船にも対応できるふ頭の整備を進めるとともに、荷役機械の更新等を行うことにより、貨物処理能力の向上を図ってまいりました。
また、東京港への入港を促進するため、一定の大きさを超えるコンテナ船の入港料の減免や新たに開設した航路の初回入港料の免除を行ってまいりました。
さらに、京浜三港を連続して寄港するコンテナ船の入港料について減免を行っているところでございます。加えて、ふ頭周辺における交通混雑を緩和させるため、我が国初となるコンテナターミナルのゲートオープンの時間の延長を実施しております。
こうした取り組みの結果、東京港のコンテナ取扱量は増加が続いておりまして、平成二十九年には我が国の港湾で初めて五百万TEUを突破するなど、多くの船会社や荷主に利用され続けております。
今後も東京港が選ばれる港であり続けるためには、ふえ続ける貨物に適切に対応し、効率的な港湾物流を実現するための取り組みを進めていくことが必要であるというふうに認識しております。
○滝田委員 さまざま取り組みをご説明いただきまして、取扱量も国内の記録を更新してきたというご説明でございました。このこと自体は、これまでのご努力、取り組みを高く評価したいというふうに思いますけれども、しかしながら、世界の物流環境ということを見ますと、コンテナ船を含む船舶の大型化というものは近年ますます進んでおりますし、競争相手である世界の主要な港もさらに投資を行って競争力を高めているという状況でございまして、戦略の再構築というのが必要ではないかというふうに考えます。中でも、港湾の自動化、AI活用のおくれは深刻であるというふうに捉えております。
国土交通省の資料によりますと、世界のコンテナ取扱個数上位二十港のうち、既に十三港が自動化を導入済みということでありますが、日本の港ではいまだ実証実験や検討をしている状態にとどまっているということであります。
自動化にも段階がありまして、第一段階として、テナークレーン等の遠隔操作の導入、第二段階は、ヤード内を自動化すること、第三段階は、ガントリークレーンも含めてターミナル全てを自動化するというふうに整理をされておりますが、世界では上海やロッテルダムなど既に複数の港湾がこの第三段階の完全自動化を実現し、コンテナ船からの荷おろし、ヤード内での積みおろし、トラックでの搬出、倉庫への輸送まで全て自動化がされているというふうに聞いております。
本来、自動運転化やAIの活用は、おくれていた東京港がその地位を向上するためのラストチャンスの転換点であるというふうに私は捉えております。
加えて、例えば釜山新港では、用地価格、賃貸料の低廉化、手厚い税制優遇策等によって流通加工系企業を誘致するなど、港湾の後背地まで含めた効率化を実現するよう取り組みを強化しています。
先端産業や製造業を中心とする輸出産業はもとより、輸入増大にも対応した流通加工系企業の臨海部への誘致を図り、我が国のロジスティクス、ハブ機能を強化する必要があるというふうに考えます。
また、圏央道沿線の物流拠点の活用など、保税輸送や内陸での税関処理など、内陸部も含めた物流戦略が本来は必要であるというふうに考えております。
そうした観点から、私は三年前の都市整備委員会におきまして、十年間更新されていない東京都の物流戦略を更新するべきだということを指摘しておりますが、港湾局主導でぜひ検討すべきではないかというふうにご提案を申し上げます。
また、貿易手続の自動化、電子化も取り組みを加速するべきというふうに考えます。我が国経済の国際競争力を強化し、雇用と所得を維持、創出していくためにも、船舶の大型化への対応のみならず、後背地や内陸も含めた物流の最適化、港湾の自動化、手続の電子化などの抜本的な取り組みにより、東京港を世界で戦える港に転換しなければなりません。
港湾戦略、物流戦略を刷新し、早期に具体的な実現に取り組む必要があると考えますが、見解を伺います。
○山岡港湾整備部長 これまで都は、国内の港湾では最も早くからコンテナふ頭の整備を進めるとともに、船舶の大型化に対応できるよう、ふ頭の大規模改良を実施するなど、港湾物流を取り巻く環境変化に適切に対応し、東京港を国内最大のコンテナ貨物取扱量を誇る港へと成長させてまいりました。
その一方で、輸入貨物の急激な増加により、施設能力の不足や、ふ頭周辺での交通混雑の発生が依然として大きな課題となっており、港湾施設のさらなる整備や物流の効率化が強く求められている状況でございます。
こうした課題に適切に対応していくに当たっては、新たなふ頭の整備や、ふ頭背後地の効率的な活用などに加え、AI、IoTなどの最先端技術を活用した物流の効率化や港湾手続の電子化等の幅広い視点から施策を検討していく必要がございます。
このため、都は、有識者を交え、最先端技術の活用を含む、おおむね二十年先を見据えた施策の方向性を長期構想として来年度中に取りまとめる予定でございます。
今後は、この長期構想に基づく取り組みを積極的に進め、東京港をさらに進化させてまいります。
○滝田委員 私が貿易の仕事をしていた初期のころ、十数年前、二〇〇〇年代前半から後半にかけてでありましたけれども、日本の港湾の競争力が落ちており、国として国際競争力の高い港湾をつくっていくといった議論が既にあったというふうに記憶をしておりますが、その後の状況としては芳しいものではないと私は認識をしております。
今般、AI、IoTなどの最先端技術の活用や港湾手続の電子化等についても検討していくという形で答弁をいただきました。今回の取り組み、ラストチャンスであるとの危機感を持ちまして取り組んでいただくように強く求めまして、私からの質問を終わりたいと思います。
○菅野委員 久しぶりの経済・港湾委員会の港湾局さんとのやりとりになります。
私の地元港区は、特に東側については、港や運河、また海浜公園など、日ごろから港湾局の皆様方には大変、まちの魅力づくりや発展のためにお力をいただいております。本当にそのことに感謝を申し上げて、きょうは五つの大きな課題について何点かに分けて質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
まず、東京港の機能強化についてお伺いをしたいと思います。
我が国最大のコンテナ港である東京港は、東日本を支える重要な物流拠点としての役割を担っています。昨年のコンテナ貨物取扱個数は五百一万TEUであり、特に国際貿易で扱われる外貿コンテナ貨物個数は二十二年連続日本一となっています。これは、東京港が荷主や船会社などの利用者から高く評価されていることのあらわれであると思います。東京港の現場を支える港湾関係事業者の方々に改めて敬意を表したいと思います。
ことしは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、世界の多くの港湾でコンテナ貨物取扱個数が大きく減少している中、東京港では上半期の取扱個数が昨年同期比で三・三%減と小幅な減少にとどまったと聞いています。このことは、生活必需品などの輸入が多いという東京港の特徴を色濃く反映した結果であると考えられ、改めて東京港が東日本にとって極めて重要な港であるということを再認識いたしました。
一方で、近年、国際分業の進展に伴い、特に中国や東南アジアからの輸入貨物が急増していて、その結果として東京港では交通混雑が発生をしています。また、世界的にコンテナ船の大型化が顕著であり、東京港への寄港を維持するためには、ハード面での大型化対応はもちろんのこと、一層の輸送の効率化なども求められているところであります。
今後も、東京港が東日本の物流の一大拠点であり続けるためには、このような課題を解決し、国際競争力を強化していくことが不可欠であります。
こうした状況にどのように対応していくのか、まずは都としての基本的な課題認識をお伺いしたいと思います。
○戸井崎港湾経営部長 現在、東京港においては、標準的な貨物処理能力を大幅に超える量の外貿コンテナ貨物を取り扱っておりまして、抜本的な受け入れ容量の拡大が必要となっております。
また、最近では一万TEUクラスのコンテナ船が入港するなど、大型化に対応した施設整備が求められております。
こうした状況に対応するためには、大型コンテナ船にも対応できる広さや水深を有する高規格バースを新たに整備することが必要であるというふうに考えております。
また、製造拠点のアジアへの移転の傾向は続いていることから、コンテナ貨物取扱量は今後もふえ続けることが見込まれておりまして、既存のコンテナふ頭についてもヤードの面積の拡張などに向けた再編整備を行い、貨物処理能力の向上を図ることが不可欠であるというふうに認識しております。
○菅野委員 貨物処理能力の向上に向け、新規のコンテナふ頭の整備に加えて、既存のふ頭の再編整備も行っていくという基本認識は確認できました。
まず、新規ふ頭の整備としては、中央防波堤外側地区のコンテナふ頭がその代表例であると思います。
そこで伺いますけれども、中央防波堤外側地区において進められている新たなコンテナふ頭の整備状況は今どうなっているか伺いたいと思います。
○山岡港湾整備部長 東京港の抜本的な機能強化に向けて、都は、中央防波堤外側地区に約百二十万TEU分のコンテナ貨物処理能力を有する新たなコンテナふ頭、Y1、Y2、Y3ターミナルを計画し、順次整備を進めてございます。
Y1ターミナルは平成二十九年十一月に、Y2ターミナルは本年三月にそれぞれ供用を開始しており、合わせて約七十五万TEUの貨物を処理することが可能となっております。
特にY2は、東京港で初となる延長四百メートル、水深マイナス十六メートルの岸壁を備えた高規格バースであり、大型コンテナ船にも対応可能となっております。
Y2と同様の水深と貨物処理能力を有するY3ターミナルについては、国の直轄事業として岸壁の設計や施工に関する検討が進められております。
都は、事業主体である国に対して、Y3の早期完成に向けて、必要な財源を確保するとともに、速やかに本体工事に着手し、整備の着実な推進を図るよう、現在協議を続けているところでございます。
○菅野委員 今後も東京港が物流の一大拠点としての重要な役割を果たし続けていくためには、中央防波堤外側、今お話があったY3ターミナルの整備を早期に実現させることが必要であります。このことを我が党は繰り返し主張し、国に対しても要請してきたところであります。引き続き、我が党としても、Y3の早期完成に向けて後押しをしていきたいと思います。
一方で、先ほどの答弁にもあったように、物流の効率化を進めるためには、新規ふ頭の整備のみならず、既存ふ頭をより使いやすくするための再編整備も不可欠であり、早急に着手していくべきであります。既存のふ頭といっても、東京港には複数のコンテナふ頭が存在し、それぞれ立地条件なども異なっており、抱えている課題も異なっていると思います。
そこで、既存のコンテナふ頭にはそれぞれどのような課題があるのか明確にすべきと考えますが、見解を伺いたいと思います。
○戸井崎港湾経営部長 東京港では、中央防波堤外側ふ頭のほかに、大井ふ頭、品川ふ頭、青海ふ頭において、コンテナ貨物を取り扱っております。
大井ふ頭には、北米航路及び欧州航路のコンテナ船が多く寄港しておりますが、これらの航路の船舶は大型化の傾向が顕著でございまして、ふ頭の水深をさらに深くすることが求められております。
また、品川ふ頭や青海ふ頭では、同じく船舶の大型化の傾向が見られることに加えまして、アジア地域からの輸入貨物の急増により、コンテナヤードが手狭となっておりますとともに、荷役機械が古いため、大量の貨物を効率的に処理する上での課題となっております。
○菅野委員 それぞれのふ頭における課題を的確に捉えて、効果的な再編整備を行ってほしいと思います。
しかし、既存のコンテナふ頭では、日々コンテナ貨物の荷役作業が行われており、営業しながら並行して再編整備を進めるのは非常に困難が伴うものと思います。
このため、都は、中央防波堤外側地区に新たなコンテナターミナルを整備し、ここに取扱貨物の一部を移転させ、既存コンテナふ頭に種地をつくることで、再編整備に取り組んでいくこととしています。
中央防波堤外側地区でのコンテナターミナルの新規整備は、決定的に不足している東京港の貨物処理能力の向上に寄与するとともに、あわせて必要とされている既存のコンテナふ頭の貨物処理能力の向上に向けた再編整備のためにも必要であるということを改めて指摘しておきます。
この点、青海ふ頭は、本年供用を開始したY2に、青海ふ頭を運営していた事業者の一部が移転したとのことであり、こうした機会を活用して着実に再編整備を進めるべきと考えます。
そこで伺いますが、青海ふ頭の再編は具体的にどのように進めていくのかお聞かせください。
○戸井崎港湾経営部長 青海ふ頭には三つのコンテナターミナルがございましたが、このうちの一つであるA3ターミナルを運営していた事業者等がY2に移転したため、この跡地を青海ふ頭の再編整備を進めるための種地として活用することが可能となりました。
この跡地は、当面の間、東京二〇二〇大会時における円滑な物流を確保するための対策用地として活用いたしますが、大会終了後、ここを活用し、青海ふ頭の再編整備に本格的に着手してまいります。
具体的には、三つのコンテナターミナルを二つにいたしまして、それぞれのコンテナヤードを拡張いたします。また、荷役機械を、これまでのストラドルキャリアといわれる荷役方式から、より多くの貨物を効率的に処理できるテナークレーンへと変更いたします。
都は、関係事業者と緊密に連携しつつ、着実に整備を進め、青海ふ頭の機能強化を図ってまいります。
○菅野委員 コンテナふ頭を稼働しながら再編整備を進めることは非常に困難を伴うものと思いますが、ぜひとも事業者ともしっかり連携をして、一日も早い機能強化の実現を目指してもらいたいと思います。
いよいよ青海ふ頭は再編整備に向けて本格的に動き出すことがわかりましたが、先ほど答弁にもありましたとおり、私の地元に近い品川ふ頭や東京港の主力ふ頭である大井ふ頭など、そのほかの既存のコンテナふ頭についてもそれぞれ課題があり、これらの課題解決に向けた再編整備を進めていくことが、東京港全体の機能強化を考える上では大変重要だと思います。
東京港全体の機能強化を図るためには、青海のみならず、品川や大井などの既存のコンテナふ頭についても再編に向けた検討を進めるべきと考えますが、見解を伺いたいと思います。
○戸井崎港湾経営部長 東京港全体の機能を抜本的に強化していくためには、それぞれのコンテナふ頭の再編整備を計画的かつ着実に実施していくことが必要でございます。
このため、品川ふ頭や大井ふ頭につきましても、順次再編整備を進め、機能強化を図っていくことが重要であるというふうに認識しております。
品川ふ頭につきましては、貨物量の増加とコンテナ船の大型化に対応するため、岸壁の前出しによりコンテナヤードを拡張いたしますとともに、水深をマイナス十メートルからマイナス十一・五メートルへとする予定でございまして、今後、早期の事業化に向け、関係者との具体的な調整を進めてまいります。
大井ふ頭につきましては、Y3へ航路の一部を移転させた後、再編整備に着手することとしておりまして、関係者とともに検討を進めてまいります。
今後とも、首都圏の生活と産業を支えるため、将来を見据えた東京港の機能強化に全力で取り組んでまいります。
○菅野委員 国内最多のコンテナ貨物を取り扱う東京港は、首都圏、ひいては東日本の生活と産業を支える重要な役割を果たしている港であります。
今後も東京港が利用者に選ばれる港であり続けるためには、港湾関係事業者と緊密に連携を図りながら、ハード、ソフト双方のさまざまな取り組みを引き続き積極的に展開していくことが不可欠であります。
将来を見据えた東京港全体の機能強化に向け、港湾局にはぜひとも引き続き全力で取り組んでもらうことを強く要望して、次の質問に移りたいと思います。
次は、ポストコロナに向けて客船誘致をどうするかみたいな話になるんですが、クルーズ客船について伺いたいと思います。
この秋、東京国際クルーズターミナルが開業いたしました。我が党はこれまで、拡大するクルーズ市場の需要を捉え、さらなるインバウンド獲得につなげるため、大型客船にも対応可能なクルーズターミナルの必要性を強く訴えてきましたが、いよいよオープンとなったことは感慨深いものがあります。
大型客船は、一隻の乗客定員が数千人にも上ることから、東京国際クルーズターミナルの開業後は、多くの大型客船が寄港することで、高い経済効果が得られると期待をされていました。
しかし、現在、世界的な新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、クルーズ客船の運航は、一部の国で実施されている国内クルーズを除いては、全世界で全面的に運航が停止しているというふうな状態と聞いています。
そこでまず、この感染拡大によって、東京港への客船の寄港にどのような影響があったか伺いたいと思います。
○戸井崎港湾経営部長 新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大の影響によりまして、東京港では、二月十八日に外航客船を受け入れたのを最後として、客船の寄港はない状況でございます。
今年度は、当初七月に開業予定でございました東京国際クルーズターミナルに、十二月までの半年間で約五十回の寄港が予定されておりましたが、現時点でこれらの予約は全てキャンセルとなっております。
○菅野委員 ことしの春以降、東京港へのクルーズ客船の寄港はゼロとなっているとのことであります。これまで、東京港への寄港は年間で三十から四十回程度であったことから、半年で約五十回というのは本当は大変好調な滑り出しであると期待をしていましたんですが、これは原因がコロナとはいえ残念なことであります。
しかしながら、最近、国内においては、日本の船会社による短期クルーズが再開されたとも聞いています。東京港にも寄港する予定があるとのことであります。まずはこうしたクルーズ客船を受け入れるところからでも始めていただきたいと思います。
現在、ヨーロッパでは再び感染が急速に拡大しており、外出制限などの規制強化が相次いでいます。こうした状況を踏まえると、海外からのクルーズ客船の運航再開にはまだまだ多くの時間がかかるのではないかと思います。
しかし、新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、いずれは必ず終息する時期を迎え、クルーズ客船の本格的な運航が再開されるものと信じています。
クルーズ客船の寄港はインバウンドの獲得にとって極めて重要であり、大きな経済効果が期待されます。ポストコロナにおける東京の観光振興を図る上では欠くことができないものであります。
新型コロナウイルス感染症の終息の見通しは現時点では不透明でありますが、来るべきクルーズの本格的な再開の日に備えて、今後の東京港への寄港ニーズをしっかりと把握した上で、今から準備を進めるべきであります。
そこで、都は、新型コロナウイルス感染症の終息後におけるクルーズ客船の東京港への寄港ニーズを現時点でどのように認識しているか伺いたいと思います。
○戸井崎港湾経営部長 海外の船会社からは、新型コロナウイルス感染症が一定程度終息し、入国制限の緩和が行われた際には、東京港に寄港したいというご相談を数多くいただいております。
都心に近い東京港は、さまざまな観光地へのアクセスにすぐれておりまして、また、国際空港にも近いことから、外航クルーズ客船の寄港地として、以前より高いニーズがございましたが、これは現時点においても基本的には変わっていないというふうに認識しております。
○菅野委員 東京港のポテンシャルは依然として高く、クルーズ客船が運航できるようになれば、国内外から多くの観光客をお迎えすることを期待できることが確認できました。
東京港に寄港したいという船会社のニーズが高いこともわかりました。よくマスコミでも報じられておりますが、世界の、特に欧米諸国の方々へのアンケートなどで、もしコロナが終息した後、最初にどこの国に行きたいですかというアンケートでは、日本がいろんな国で第一位ということで、非常に注目をされている。もちろん東京オリンピック・パラリンピックの開催もあるんですけれども、今、日本が注目されていますので、そうしたものが期待できると思います。
そうした方々も含めた多くの客船の寄港の実現につなげていくためには、乗船客となる国内外の多くの人々に、東京の新たな玄関口となるこの東京国際クルーズターミナルを知ってもらうことも重要であると思います。
世界最大の大型客船が寄港できて、観光地へのアクセスにもすぐれているクルーズターミナルがあることを広く知ってもらうことは、東京港へのクルーズ客船の寄港の増加にも、すなわちつながるということを考えます。
都は、東京国際クルーズターミナルを国内外に向けて積極的にPRしていくべきと考えますけれども、見解を伺いたいと思います。
○戸井崎港湾経営部長 ポストコロナを見据えた客船の誘致活動を進めるに当たりましては、東京国際クルーズターミナルの知名度を向上させ、東京港への関心を高めることが重要でございます。
先日、東京国際クルーズターミナル開業のプレイベントとしてファッションショーが開催され、このショーの模様が世界に向けて同時配信されましたが、さまざまなメディアで取り上げられ、ターミナルの知名度を高める上で大きな効果があったというふうに認識しております。引き続き、こうしたイベントを誘致することで、ターミナルのPRにつなげてまいります。
また、ターミナルやクルーズ客船を海からも眺めることができる都民向けの見学会を実施するとともに、小中学校の社会科見学等についても積極的に対応いたしまして、クルーズターミナルに対する都民の認知度を向上させてまいります。
今後も、東京国際クルーズターミナルの積極的なPRに努め、国内外のより多くの人に知っていただくことで、クルーズの拠点としての東京港への関心を高め、より多くの客船の寄港につなげてまいります。
○菅野委員 私は、開業の際に東京国際クルーズターミナルを視察させていただきましたが、非常に開放的で気持ちのいい展望デッキや、ガラス張りの吹き抜けの空間があって、さまざまなイベントに活用できるのではないかと感じました。
ただいまご答弁にありましたファッションショー、ルイ・ヴィトンだったと思いますが、そういった世界的なブランドのショーなどを開いたということは、ターミナルを広く世界にPRする上で効果的なイベントであったと思います。
都は引き続き、さまざまな機会を捉えて東京国際クルーズターミナルのPRに努めて、知名度を向上させることで、さらなる客船誘致につなげてもらいたいと思います。
さて、先ほどの答弁によりますと、東京港への寄港ニーズはコロナ後も変わるものではなく、船会社からは引き続き高い期待が寄せられているとのことでありました。こうした寄港ニーズにはぜひともしっかり応えていかなければなりません。
今は運航停止を余儀なくされているとはいえ、近年、クルーズ市場は急成長してきました。多くのクルーズ客船でにぎわう世界の主要港では、複数のバースを整備し、同時に二隻以上の客船が寄港できるようにすることで、客船の寄港ニーズに的確に対応していると聞いています。よく海外の映画なんかにもありますけれども、有名なリゾート地なんかはもう本当にビルみたいな大きな客船が何隻も係留というか停泊している様子があります。まさにそうしたのが世界的なレベルなんだと思います。
東京港がポストコロナにおける寄港ニーズにしっかり対応して、世界に誇るクルーズ拠点として成長していくためには、海外主要港と同様に、複数のクルーズ客船を同時に受け入れられる体制を整備していく必要があります。
都はこれまで、東京国際クルーズターミナルに二バース目が整備されるまでの間は、晴海客船ターミナルを引き続き使用して、東京港における二バース体制を確保していくとしていたところであります。
都は、晴海客船ターミナルを活用して二バース体制を確保することにより、ポストコロナにおける東京港への寄港ニーズに確実に対応し、経済効果を高めていくべきと考えていますが、見解を伺いたいと思います。
○戸井崎港湾経営部長 高い経済効果が期待できるクルーズ客船をより多く東京港へ誘致することは、ポストコロナにおける東京の観光振興を図る上で極めて重要な取り組みであると認識しております。
このため、当面の間は、東京国際クルーズターミナルに加え、晴海客船ターミナルも活用することで二バース体制を確保し、船会社の寄港ニーズに的確に対応してまいります。
現在の晴海客船ターミナルビルは、老朽化による高い維持コストが課題となっておりますことから、東京二〇二〇大会終了後に解体する予定でございますが、代替の施設を整備し、引き続き客船の受け入れを行ってまいります。
今後とも、都は、船会社のニーズを逃すことなく、東京港への寄港に確実につなげていくことで、インバウンドの獲得と経済効果の創出を目指してまいります。
○菅野委員 繰り返しになりますけれども、客船の寄港は東京に大きな経済効果をもたらすものであります。今厳しい状況にある観光産業を後押しして、コロナ禍で大きな影響を受けた経済の回復をより力強いものとしていくためにも、客船の寄港を促進していくことは、東京にとって必要不可欠な取り組みであると考えます。
都は、晴海も活用しながら、さらなる客船誘致に向けて、ぜひご尽力をしていただきたいと思います。
それでは次の質問に移ります。次は、日の出ふ頭のにぎわい創出について伺いたいと思います。
私の地元港区にある日の出ふ頭は、多くの水上バスやレストラン船の発着拠点となっていて、さまざまなクルージングを気軽に楽しむことができる東京で最大の舟運の拠点であります。
日の出ふ頭においては、昨年八月、民間事業者との連携によって、新たな小型船ターミナルHi-NODEが開業しました。開業式典には私も出席しましたが、食事やイベントを楽しむことのできる芝生広場やオープンデッキを兼ね備えて、オープンデッキからはレインボーブリッジやお台場など、観光客に人気のあるスポットを一望することもできます。これまでの東京港にはない斬新なターミナルであります。
舟運の楽しさや魅力を実感してもらうには、まずは多くの人々に船着き場周辺に足を運んでいただけるようにすること、このことが重要であると考えます。そのためには、船着き場周辺でさまざまなイベントを開催し、にぎわいを創出していくことが必要であると思います。この点、Hi-NODEは大きな可能性が期待できる施設であると思います。
そこで、Hi-NODEでは、これまでどのようなイベントが行われたのかを伺いたいと思います。
○戸井崎港湾経営部長 昨年八月のHi-NODE開業時には、オープニングパーティーとして、二日間にわたって、音楽イベントや東京港内をめぐる周遊クルーズの乗船会などさまざまなイベントが開催され、延べ五千人を超える来場客でにぎわいました。
また、その後も、ヨガや料理教室などを楽しめるガーデンフェスや、Hi-NODE内のレストランと連携した音楽イベント、ダンスレッスンなど、多種多様なイベントが開催されたところでございまして、幅広い世代が足を運び、多くの人々でにぎわっておりました。
なお、今年度に入り、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響によりまして、一時イベントは中止されておりましたが、現在は、徹底した感染症対策を実施した上で、海外自動車メーカーの展示会や地元地域主催の音楽イベントが開催されたところでございます。
○菅野委員 今お話がありました地元地域主催の音楽イベント、つい先日、これもずっと延期延期で、天気のせいもあったしコロナのせいもあったんですが、港区の観光協会、そして東京都の観光財団等が主体となって、このHi-NODEを中心に、水辺の魅力に触れるというか、観光施策としてそういうイベントを開きました。あいにく一日雨だったんですけど、二日目の晴れの日は多くの方が来て、いろいろ船に乗って楽しんだり、水上タクシーだとか、あとは台船の上に仮設のバーみたいなものをつくったりして、海の上で臨時につくられたバーを楽しんだり、そういうのを楽しまれたということでした。
そうした意味で、このHi-NODEは、陸と海が一体となったイベントを行うことができる貴重な場所であります。今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響によって、一時イベントの中断を余儀なくされていた期間があったとのことでありますけれども、ぜひ、ターミナルの運営事業者や舟運事業者に加えて、地元の地域とも緊密に連携して、感染症対策を徹底した上で、引き続き船着き場周辺におけるイベントを開催して、にぎわいづくり、これを継続的に取り組んでもらいたいと思います。
一方で、日の出ふ頭のにぎわいを創出していくためには、やはり鉄道駅とか周辺エリアとのアクセスの向上、これが重要であります。
隣接する竹芝地区では、オフィスやレストラン、住宅などから成る東京ポートシティ竹芝やウォーターズ竹芝が新たに開業いたしました。これもコロナ禍ということでちょっとひっそりと開業してしまったんですが、大変に、地元にとっては期待を持てる施設であります。周辺では船着き場も整備されて、また、JR浜松町駅方面からの歩行者用デッキも、まだ完全じゃないんですが、整備されるなど、人の往来を活発にする取り組みが進んでいます。
また、同じく隣接する芝浦地域において、今後、大規模な再開発が予定されて実施されることになっています。これであわせてビジネスや観光で多くの人が訪れるにぎわいのあるエリアへ生まれ変われるというふうに期待を持って迎えられています。
そこで、この日の出ふ頭についても、こうした再開発が進む周辺エリアと効果的に連携することで、多くの人をふ頭に呼び込むことが必要ではないかと考えます。
そこで、都は、周辺の再開発事業者と連携し、この日の出ふ頭への人の流れをつくり出すため、取り組みを行っていくべきだと思いますけれども、見解を伺いたいと思います。
○戸井崎港湾経営部長 日の出ふ頭のにぎわいを創出するためには、再開発事業によって生まれる人の流れをいかにして呼び込むかが大きな鍵となります。
このため、都は、芝浦地区の再開発事業者と連携いたしまして、芝浦地区と日の出ふ頭を結ぶ横断歩道をHi-NODE近くに移設して、アクセスに要する時間を改善させるとともに、日の出ふ頭と竹芝ふ頭を結ぶ人道橋を再整備して、竹芝地区からの歩行者のアクセスの改善を図りました。
また、本年十月には、竹芝地区の再開発事業者が東京駅と竹芝地区、日の出ふ頭を周回する水素シャトルバスの試験運行を開始しておりますが、この運行が円滑に行われるよう、都は、日の出ふ頭内への停留所の設置に協力したところでございます。
今後とも、都は、日の出ふ頭周辺の再開発事業者等と連携して、日の出ふ頭におけるにぎわいの創出に向けた取り組みを進めてまいります。
○菅野委員 日の出ふ頭のにぎわい創出に向けては、今後も引き続き、民間事業者との連携をしっかりと図ってもらいたいと思います。
さて、日の出ふ頭の活性化をさらに進めていくためには、これまでも繰り返し指摘してきましたけれども、閑散としていることが多い現在の水上バスやレストラン船の船客待合所、これをぜひにぎわいのある施設として生まれ変わらせる必要があるかと思います。
これはHi-NODEではなくてHi-NODEの隣にある今も使っている待合所なんですが、都は、老朽化を理由に、この船客待合所を建てかえるということを予定していると聞いていますけれども、単に施設を新しく建てかえるという狭い視点にとどまらないで、先ほど述べた日の出ふ頭を取り巻く周辺地区の大きな変化を踏まえて、地元の意見も十分耳を傾けていただいて、あるべき施設の姿を検討していくこと、これが必要だと思います。
そこで、日の出ふ頭の船客待合所再整備に向けては、地元の意見をしっかりと踏まえて検討を進めるべきと考えますが、見解を伺っておきたいと思います。
○戸井崎港湾経営部長 日の出ふ頭の活性化に向けましては、大きく変貌しつつある周辺地区の状況を踏まえた施策の推進が必要不可欠でございます。
このため、船客待合所の再整備に当たりましても、こうした視点からの取り組みが重要であるというふうに認識しております。
都は現在、船客待合所の再整備に向けた検討を進めているところでございますが、周辺地域と一体となったにぎわいを創出することが求められることから、区や地域住民、民間事業者を交え、再整備の方向性について議論を重ねてまいります。
○菅野委員 船客待合所の再整備は、周辺の再開発事業との相乗効果を生み出し、日の出ふ頭及びその周辺を魅力あふれるエリアに大きく変貌させる可能性を持っていると思います。
日の出ふ頭を国内外から多くの来訪者でにぎわうエリアとすること、これを目指していただく。既に、実はゴー・ツーの影響もあるのか知りませんけれども、最近、たまに休日など港の方に出かけると、Hi-NODEに関しては結構、若いカップルなど含めて、大分レストランなども人が入るようになってきたと感じました。やはりあの雰囲気とか、食事をした後、そこから船に乗ってすぐにまた、例えば浅草の方に行ったり台場の方に行ったり、いろいろできますので、そうした新たな水辺の楽しみ方をまた徐々に徐々に皆さん復活してきたのかなと思いますが、さらなるその取り組みをぜひ行っていただくことを要望して、次の質問に移ります。
次は、臨海地域について伺いたいと思います。臨海地域開発事業会計について伺います。
臨海地域開発事業会計は、臨海地域における埋立事業や都市基盤整備に要する経費を起債により調達して、先行的に整備を行った後に、土地を売却や長期貸付によって処分し、その収入で起債を償還していく仕組みであります。
東京二〇二〇大会の開催を控えて、本会計が所管する土地の一部については、競技施設や大会関連用地として供出しており、その処分を中止しておりますけれども、大会後は、開発を再開して推進していくことが期待されます。
ところが、新型コロナウイルス感染症の拡大で、東京二〇二〇大会の延期を初め、日本の社会経済活動に重大な影響を与えています。中でも、臨海副都心は、日ごろは観光や展示会など多くの人々でにぎわうまちなので、この影響というのは大きいものだというふうに考えられます。
そこで初めに、新型コロナウイルス感染症による臨海副都心への影響を伺っておきたいと思います。
○中村臨海開発部長 臨海副都心は、土地の開発処分とあわせ、まちのにぎわい創出や魅力の向上に向けたさまざまな取り組みを展開しており、今では、ビジネス、観光の拠点として、国内外から多くの人が訪れ、にぎわいあふれるまちへと成長しております。
しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、本年四月には訪日外国人旅行者や国内旅行者による往来は途絶え、臨海副都心でも大きな影響を受けているところでございます。
観光施設や商業施設へのヒアリングによると、本年九月期の施設利用者数は前年同期比で約五〇%減少するなど、来訪者が大幅に減少し、まちのにぎわいに大きな影響が出ております。
○菅野委員 答弁からもありますけれども、新型コロナウイルス感染症による臨海副都心への影響の大きさというのは本当にわかります。実際に現場を見ても明らかに来ている人が少なくなったなというのは感じましたので、その影響というのは多分大きなものとして出ているんだと思います。
現在は、臨海地域を初め国内各地において、感染防止対策と経済活動の両立を目指す取り組みが展開されているものの、新型コロナウイルス感染症の影響がいつまで続くのか、予測がつかない状況が続いています。
先ほど申し上げたとおり、臨海地域開発事業会計は、埋立事業や都市基盤整備に要する経費を土地の売却や長期貸付による土地処分の収入で回収する仕組みとなっていて、土地処分を進めていくことが重要であります。
このような状況下で、臨海地域の土地処分についてはどのような見通しを持っているのか、見解を伺いたいと思います。
○中村臨海開発部長 臨海副都心は、進出意欲のある事業者を公募して土地処分を進めてきております。
このうち、有明南地区の開発予定地については、新型コロナウイルス感染症の拡大前から土地処分の準備を進めてきたこともあり、本年八月に事業者の応募を受け付けることができました。
しかしながら、同感染症の拡大により、社会生活、消費動向など企業の経営環境が著しく変化しているため、今後の土地処分については慎重に判断していく必要があると考えております。
○菅野委員 今後の土地処分については慎重に判断するとのことでありますけれども、一方で、公表されている資料によりますと、今年度末に約八百九十八億円、令和六年度には約九百七十五億円、合計で千八百七十三億円の大量償還が予定されています。
土地処分が進まない可能性がある中で、企業債の大量償還を迎えることとなりますが、会計の当面の財政運営に問題がないのかどうか、ちょっと見解を伺っておきたいと思います。
○中村臨海開発部長 当会計は、昨年度末の時点で二千四百八十三億円の資金残高を確保しております。令和六年度末までに一千八百七十三億円の企業債償還を迎えますが、十分な資金残高と適切な会計運営により、資金運営上、問題はないことから、企業債については全額償還する予定でございます。
今後、新型コロナウイルス感染症の影響により、仮に土地処分が進まなかったとしても、引き続き長期貸付等の安定的な収入確保に努めるとともに、施設の維持管理等を計画的に実施することにより、収支のバランスを確保してまいります。
○菅野委員 仮に土地処分が進まないとしても、資金運営上は問題はなくて、企業債の全額償還が可能ということでありますけれども、やはり新型コロナウイルスの影響は不透明であります。ですから、引き続き財政の健全性を確保していただくこと、このことをしっかりと進めていただくことを要望しておきたいと思います。
ここまでコロナ禍での厳しい条件についての財政運営について確認をしてきましたが、終息後の活気を取り戻したまちづくりに向けての取り組みについて、ここで確認をしておきたいと思います。
新型コロナウイルス感染症の拡大や東京二〇二〇大会の延期という大きなニュースの陰に隠れてしまっていますが、臨海副都心の新たなにぎわいの種について取り上げたいと思います。
実は一昨年前、おととしから私の地元港区と二〇二四大会の開催都市でありますパリ市とで協定を結びまして、パリのセーヌ川で夏場、バカンスのシーズンに開催されるパリ・プラージュというイベントがあるんですが、それをモチーフに、お台場海浜公園において、お台場プラージュという海水浴イベントが開催されました。
東京大会の盛り上がりの灯を消さないためにも、この夏もお台場プラージュを開催すべく関係者で準備、努力を進めてまいりましたが、残念ながら感染症拡大防止の観点からやむなく中止となりました。昨年開催したお台場プラージュにおいて、実は新しいにぎわい創出に向けた試みが行われ、現地では、同じデザインの日傘を差したお客様が大変多く見られました。
この日傘は利用者から好評であったと聞いていますけれども、まず、この事業の狙い、目的を伺っておきたいと思います。
○赤木臨海副都心まちづくり推進担当部長 昨年度から臨海副都心における新たなにぎわい創出の一つといたしまして、アートによるまちの魅力づくりに取り組んでおります。
お話にございました日傘は、このアートプロジェクトのPRの一環として、オリンピック・パラリンピックエンブレムのデザイナーである野老朝雄氏のデザインによる日傘を制作したものでございます。
昨年夏にお台場海浜公園で開催されました海水浴イベントお台場プラージュにおきまして、日傘の無料貸し出しを行い、来訪者の暑さ対策とともに同プロジェクトのPRを図ったものでございます。
○菅野委員 お台場海浜公園は、臨海副都心でも最もにぎわう場所の一つであります。野老氏がデザインした日傘、これは印象的でした。ちょっと風車みたいな模様で人目を引いたと思われます。
これまで臨海副都心は、観光やエンターテインメントで多くの人々を引きつけてきましたが、アートの要素はこれまで少なかったのではないかと思います。欧米の魅力的な諸都市を見渡すと、アートなどの文化がまちに根づいていて、至るところにそういったものがあって、人々を引きつけていることからも、新たなまちの魅力づくりとして可能性を感じたところであります。
そこで、アートプロジェクトのこれまでの取り組みについて伺いたいと思います。
○赤木臨海副都心まちづくり推進担当部長 昨年度、アートプロジェクトの主体となる実行委員会を組織するとともに、今年度にかけまして、プロジェクトの活動拠点となるARTBAY HOUSEをシンボルプロムナード公園に期間限定で整備いたしました。
このARTBAY HOUSEそのものが、デザイン性の高いアート作品となっており、施設内外にさまざまなアートプログラムを展開できるスペースを設置しましたほか、カフェを併設することによりまして、来訪者に楽しんでいただける空間を創出いたしました。
また、本年九月には、文化庁が主催するメディア芸術祭と連携をしたイベントを開催いたしまして、感染症拡大防止対策を講じた上で、約五千人のお客様にアートに触れ、感じる体験をしていただくことができました。
○菅野委員 残念ながらちょっとそのイベントは、私は行けなかったんですが、確認したところによれば、さきのイベントは大変斬新な企画だったというふうに聞いています。こうした取り組みは、やはりまちの新しい魅力を上げる意味でも、試みとして次も期待される、今後が期待されるところであると思います。
そこで、今回は新型コロナウイルス感染の影響を踏まえた展開だったと思いますが、コロナにより大きな影響を受けたまちを活性化させるため、まちのさまざまな主体と連携してこうしたことを発展させていくべきと考えます。そこでお考えを伺いたいと思います。
○赤木臨海副都心まちづくり推進担当部長 この取り組みがまちの魅力、文化として根づくよう、地域と連携した取り組みを行うことが重要と考えております。
そのため、まちの事業者が実施するイベントと連携したプロジェクトを継続して企画いたしますとともに、まちの魅力を発信する効果的なPR活動を展開することによりまして、臨海副都心のにぎわいの活性化、回遊性の向上を目指してまいります。
○菅野委員 来年にはいよいよ東京二〇二〇大会が開催されます。大会後はスポーツというレガシーが生まれますが、ぜひ、アートもこのまちのレガシーとして根づくよう取り組みを進めていただくことを要望して、最後の質問に移りたいと思います。
最後は、伊豆諸島を航行する船舶について、その支援について伺いたいと思います。
伊豆諸島を航行する船舶には、本土と島しょ地域間で多くの旅客や生活必需品などの貨物を乗せて運航する大型客船や、比較的短時間で移動できる高速ジェット船、また、八丈島−青ヶ島間など、島しょ地域間を航行する中規模な船舶があります。
これらの船舶は、伊豆諸島において島民生活には欠かせない存在であり、離島航路を維持していく上で、まさにかなめとなるものであります。
しかし、島民や観光客、ビジネス客の足として活躍してきた船舶が経年とともに老朽化していることから、快適性が徐々に損なわれ、修繕費用がかさんでくるなど、適切に更新していくことが課題となっています。
また、船舶の建造には莫大な費用がかかり、数億円から数十億円にもなる新船の建造費を船会社だけで負担するのは大変厳しいものがあります。
このたび、本土と大島、神津島間を往来する船が新造され、高速ジェット船の「セブンアイランド結」と三代目の「さるびあ丸」がこの夏に就航を開始しましたが、都の建造費補助なくしては実現困難であったと考えます。
このように船舶建造費補助は大変重要な取り組みであることから、我が党はこれまでも都議会で繰り返し取り上げてきましたが、中長期にわたる課題であることから、ぜひ将来も見据え、この場でしっかりと確認をしておきたいと思います。
まず、伊豆諸島を航行する船舶の建造に当たって、これまで都が運航事業者に行ってきた補助の内容について、改めてお伺いしておきたいと思います。
○片寄離島港湾部長 都は、伊豆諸島への安定したアクセスを確保するため、老朽化した船舶の更新が円滑に進むよう運航事業者に支援してまいりました。
伊豆諸島を運航している現行の船舶で、都が建造費補助を行っているものは、八丈島−青ヶ島間を航行している「あおがしま丸」と、下田と伊豆諸島を結ぶ「フェリーあぜりあ」、そして、本年七月に就航した高速ジェット船「セブンアイランド結」であり、建造費に対し、おおむね五割程度の補助を実施しております。
また、竹芝−神津島間を航行する「さるびあ丸」につきましても、一部、建造費の補助を実施しております。
なお、竹芝−八丈島間を航行する「橘丸」につきましては、建造費補助を行っていないものの、その減価償却費分を事業者に対する運航費補助に含めることにより、実質的に支援をしております。
○菅野委員 伊豆諸島で就航しているほぼ全ての船舶について、これまで都がさまざまな手法で運航事業者に支援をしてきた経緯がわかりました。
それでは次に、今後、更新を予定している船舶で、支援を実施するものがあるのか伺いたいと思います。
○片寄離島港湾部長 今後につきましては、「あおがしま丸」や「フェリーあぜりあ」、父島−母島間を航行する「ははじま丸」、この三隻が法定点検等の期間中に代替船として運航する「ゆり丸」につきましては、老朽化が進み更新の必要があることから、運航事業者に対し、本年度と次年度で建造費の五割を補助する予定でございます。
○菅野委員 「あおがしま丸」や「ははじま丸」などの代替船として運航している「ゆり丸」についても、島民生活を支える大事な船でありますけれども、島の住民の方からは、「ゆり丸」は速度が遅くて、揺れが大きくて乗り心地も悪い、俗に揺れ丸とも呼ばれているそうですが、といった声が上がっています。
そこで、新たに建造される「ゆり丸」については、島民や観光客などにとって快適で利便性の高い船であるべきと考えますが、新造されることにより具体的にどのようなメリットがあるのか伺いたいと思います。
○片寄離島港湾部長 新造される「ゆり丸」につきましては、運航事業者の計画上、総トン数や全長など大きさにつきましては大きな変更はないものの、航海速力が三ノットほど上がり、「あおがしま丸」や「ははじま丸」と同程度のスピードになると聞いております。
例えば、八丈島−青ヶ島間では、現行の「ゆり丸」では片道三時間三十分ほどかかりますが、更新後は片道三時間となり、三十分短縮されます。
また、船の揺れを抑える設備であるスタビライザーが新たに搭載されて乗り心地が改善され、さらには、船舶の省エネルギー化やバリアフリー化が進み、環境面や高齢者、障害者等の利用客にも配慮した設計であることを確認しております。
○菅野委員 今、答弁にもありましたけれども、新造船を建造するということは、単に老朽化した船をそのままつくり直すということではなく、さまざまな利便性の向上、また環境、バリアフリーといった行政課題の解決にもつながる重要なきっかけとなりますので、ぜひ積極的に進めていただきたいと思います。
先ほど、高速ジェット船「セブンアイランド結」についての答弁がありましたが、聞くところによりますと、この高速ジェット船は、航空機を製造しているボーイング社が開発したエンジンを搭載し、船体もアルミを使って重量を軽くするなど、さまざまな技術の粋が集結して建造されているとのことであります。
そのため、建造費も相当にかかってきますが、短時間で伊豆諸島と本土を往来するには欠かせない船であります。
現在、伊豆諸島を航行している高速ジェット船は合計四隻あります。先ほど答弁のあった大型客船なども含めると、伊豆諸島には実に合計九隻の船舶が存在していることから、しっかりと先を見据えて老朽化への対応も行っていかなければならないと思います。
そこで、今後も離島航路をしっかり守り、また、乗船客の利便性向上を図っていくために、船舶の更新に当たって適切に運航事業者への支援を継続していくべきと考えますが、見解を伺いたいと思います。
○片寄離島港湾部長 島しょ地域と本土を結ぶ定期航路は、移動や輸送の手段として、島民生活と産業を支える重要な役割を担っております。
特に、船舶は、定期航路を確実に維持するために必要不可欠で、乗船客の快適な移動を提供する上でも、適切に更新されていくことが重要でございます。
今後とも、都といたしましては、伊豆諸島を航行している全ての定期船について、老朽化等の状況や利用者の声などを適時把握するとともに、建設費用が高額となることを考慮し、国にも財政支援を要望しながら、建造時期が重ならないよう、計画的に船舶を更新できるように運航事業者への支援に努めてまいります。
○菅野委員 伊豆諸島と本土を往来する船舶は、島民にとってはまさに日常生活の一部であり、観光客にとっては島ならではの非日常的な体験について期待を膨らませる場でもあります。
繰り返し申し上げますけれども、島しょ地域の発展のためにも、運航事業者が適時適切に船舶の更新を行えるよう、都としてさまざまな手段を講じて、継続的に支援を行っていくことを強く求めまして、私の質問を終わります。
○菅原委員長 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
午後六時七分休憩
午後六時三十五分開議
○菅原委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言をお願いいたします。
○高倉委員 東京港が引き続き、首都圏四千万人の生活や産業を支える物流拠点としての役割を果たしていくためには、東京港を取り巻く状況や想定される変化を的確に捉える必要があると思います。そして、今後求められる役割や機能をあるべき将来像として定め、その実現に向けて着実に港湾機能の充実強化やサービスの向上に取り組んでいくべきと思います。
その中で、世界的な規模で大きく変化をする課題に対応するためには、近接する港が連携をしていくということも重要であるというふうに思います。その点で、東京都がこれまで取り組んできた川崎港、横浜港との、京浜三港の連携というのは意義深いものであるというふうに思います。
そこでまず、京浜三港連携の基本的な考え方について答弁を求めます。
○戸井崎港湾経営部長 京浜港を構成する東京港、川崎港、横浜港は、基本的には、それぞれがその特色や強みを生かしてサービスの質の向上に取り組む、いわゆる健全な競争関係を維持しております。
一方で、京浜港全体の国際競争力の強化や利用者本位の使いやすい港の実現に向けた入港コストの低減や物流の効率化などにつきましては、自治体の枠を超えて三港が連携、協調して取り組んできたところでございます。
○高倉委員 競争を維持しつつも、自治体の枠を超えて連携、協調するというようなお答えであったと思います。
この京浜三港連携において、具体的に実施をしてきた施策について答弁をいただきたいと思います。
○戸井崎港湾経営部長 京浜三港は、各港に寄港する航路の維持拡大を図ることを目的として、いわゆる入港料の一元化の取り組みを実施してまいりました。
この取り組みは、京浜港内の各港に連続して寄港する船舶が入港するたびごとに課せられる入港料を、三港を一つの港として捉え、一港分の入港料とするものでございます。この結果、昨年度の実績では、京浜各港に入港する船会社の負担が約一億九千万円軽減されたところでございます。
また、京浜三港間の円滑な貨物輸送を実現させるため、各港を結ぶ、はしけと呼ばれる貨物運搬船の入港料の全額免除を実施しております。
さらに、京浜三港の自治体間での職員派遣や、海外港湾の先進事例の現地調査を合同で実施するなど、共通の課題に一体となって取り組む下地を整えてきたところでございます。
○高倉委員 この後、第八次の港湾計画について、その内容や進捗状況をお伺いする、そういう予定でありましたけれども、先ほど質疑の中で、ご答弁等でかなり重なった部分がございますので、飛ばさせていただきますので−−二問飛びますからね。
港湾は、その立地環境や背後地における経済構造等によりまして、求められる役割というのがそれぞれ異なっていると思います。例えばシンガポールや釜山などは、アジアと欧州、北米をつなぐ貨物の積みかえ港としての役割を担っておりますけれども、東京港は首都圏の生活、あるいは産業活動に必要な貨物を取り扱う港としての役割を担っているわけであります。
将来、我が国では人口が減少することが予想されている一方で、情報通信技術の進歩によるさらなる社会構造の変化が予想されております。さらに、首都直下地震の発生や近年頻発化、激甚化する高潮、あるいは暴風等の自然災害リスクの増大も懸念をされています。
今後も東京港が首都圏を支える物流拠点としての役割を適切に果たしていくためには、こうした将来における社会の変化を的確に捉えまして、あるべき東京港の姿をしっかりと見据えた上で取り組みを進めるべきと思いますけれども、この点についての見解を求めたいと思います。
○山岡港湾整備部長 東京港は首都圏を支える物流拠点として重要な役割を担っており、多くの船会社や荷主に利用されております。
首都東京という大消費圏を背後に抱え、高い利用ニーズがある一方で、都心に近接し、エリアの狭隘な東京港が今後もその機能を最大限に発揮し続けるためには、将来の貨物量の動向を的確に捉えた施設整備や既存施設の機能強化、AI、IoT等の最先端技術の進歩も踏まえた物流の効率化を進め、生産性の高い港を実現させることが必要でございます。
また、災害発生時にも物流機能を維持できる強靱な港の構築に向けた取り組みが必要でございます。
このため、都は、今後策定する次期改訂港湾計画の指針とするため、おおむね二十年後の東京港を見据え、これらの施策の方向性につきまして、有識者を交えて幅広く検討を開始し、来年度中に長期構想として取りまとめていくこととしております。
○高倉委員 先ほどクルーズ船のことについても質疑がございました。ちょっと角度を変えて、済みませんが質問させていただきたいと思います。
先日から報道がなされておりますけれども、日本のクルーズ会社については、国交省が九月に指針を出したことを受けまして、今月から本格的に国内クルーズの運航を再開するということであります。
日本の船会社のホームページを見たところ、東京国際クルーズターミナルへも十二月に寄港が予定をされているようでありまして、これが実現をしますと実に十カ月ぶりの東京港への寄港になるということであります。
しかしながら、クルーズ客船の寄港に当たりましては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大につながるのではないかといった懸念が依然としてあるのではないかと思います。
したがって、こうした不安を払拭するためにも、客船の受け入れの再開に当たっては、徹底した感染症対策の実施が不可欠であると思います。
そこで、クルーズ客船の船内での感染防止対策についてご答弁をいただきたいと思います。
○戸井崎港湾経営部長 国内クルーズを実施する船会社は、国土交通省の監修のもと、日本外交客船協会が策定したガイドラインを踏まえた対策を行うこととされております。
具体的には、当面の間、乗船客数を約半数にして、船内において十分なソーシャルディスタンスを確保できるようにいたします。
また、乗船前の検温、問診を実施いたしますとともに、乗船中も定期的に検温を実施いたします。さらに、各客室では一〇〇%外気を取り込む換気を行います。
なお、有症者が発生した際には、医師が速やかに検査、診断をして、陽性が確定した場合には、あらかじめ設定したエリアに隔離することとしております。
○高倉委員 徹底した感染症対策がとられるというご答弁であったと思います。
しかしながら、クルーズ客船の東京港への寄港に当たりましては、こうした対策が確実に実施をされているということを十分に確認ができなければ、やはり入港をさせられないということになるわけでありまして、この受け入れの可否を判断するというのは大変大事な取り組みになってくると思います。
そこで、東京港においては、客船の感染症対策をどう確認し、受け入れについての判断を行っていくのか、答弁をいただきたいと思います。
○戸井崎港湾経営部長 クルーズ客船の受け入れに当たりましては、国土交通省の通達により、衛生管理部局を含む地域の関係機関で構成される協議会において、寄港についての合意を得ることが必要とされております。
協議会では、入港を希望するクルーズ客船の感染症対策がガイドラインに則したものとなっているかについて確認を行いますとともに、市中の感染状況等も踏まえて、受け入れについての判断を行うこととしております。
都においても、今後、関係者との調整を進め、協議会を設置する予定でございまして、東京港へのクルーズ客船の受け入れについては、本協議会で決定することとしております。
○高倉委員 大変慎重な対応であるというふうに思います。クルーズ客船の再開に向けた一歩としては適切な対応であるというふうに思います。
しかし、さきに答弁していただいた客船における感染症対策ですけれども、まだまだ広く知られていないという状況もあるというふうに思います。クルーズ業界の復興に向けましては、こうした取り組みに対する都民、国民の理解を得ていくこと、これは極めて重要であると思います。
そこで、この東京港におけるクルーズ客船の受け入れに当たりまして、船会社の感染拡大防止の取り組みを積極的にPRしていくべきというふうに思いますけれども、見解を求めたいと思います。
○戸井崎港湾経営部長 ウイズコロナ、ポストコロナにおけるクルーズ客船の寄港促進を図るためには、クルーズ客船に対する都民の不安を払拭することが極めて重要であると認識しております。
このため、都は、港湾局や東京国際クルーズターミナルのホームページにおきまして、クルーズ客船の感染症対策をわかりやすく紹介いたしますとともに、船会社や国と連携して実施した合同訓練の様子についても情報提供を行ってまいります。
また、ターミナルにおいては、大型ビジョンやサイネージを使った情報発信やパネル展示等を実施いたしますとともに、都民向けの見学会を開催いたしまして、広く周知する機会を設けてまいります。
こうした取り組みによりまして、クルーズ客船に対する都民の理解を深めることで、クルーズを復興させて、再び多くの客船でにぎわう東京港の実現を目指してまいります。
○高倉委員 国内のクルーズの再開については動きが始まったわけでありますけれども、外航クルーズの再開についてはまだ白紙の状態であるというふうに伺っています。
海外においては、ヨーロッパを中心に再び感染が拡大している状況があります。こうした中で、外航クルーズの再開というのは非常に容易ではないというふうにも思います。まずは、国内クルーズをしっかりと定着をさせるということが、外航クルーズの再開に向けた必要不可欠な一歩であるというふうに思っています。
都においては、国や船会社などの関係者と密接に連携をしまして、しっかりとした取り組みを進めていっていただくように要望をしたいと思います。
次いで、臨海部の自転車通行空間の整備について質問をしたいと思います。
私ども都議会公明党は、これまでの事務事業質疑で、自転車は利便性の高い交通手段となり得るものであって、広大な臨海部において、まちを活性化していく上でも自転車を活用すべきというふうに主張してまいりました。
さらに、今般の新型コロナウイルス感染症対策としまして、新しい日常が模索をされている中で、電車などの人混みを避けられる、そうした交通手段として、自転車が改めて注目されていると思います。
一方、利用者の増加に伴いまして、交通事故全体に占める自転車事故の割合が依然として高い水準にあります。自転車の安全性を確保し、誰もが安全かつ快適に通行することができるように、自転車通行空間を整備していくということは大変重要であるというふうに思います。
臨海部においては、建設局と、あるいは国とも連携をして、臨港道路において整備を進めていると聞いております。首都圏四千万人の産業と生活を支える東京港があることから、コンテナ車を初めとする大型の物流車両が頻繁に通行しているというエリアでもあります。
そこで、自転車通行空間の整備においては、臨海部の状況に合わせて積極的に進めるべきというふうに考えますけれども、どういう点に配慮して整備をしているのか答弁いただきたいと思います。
○佐藤開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務 首都圏の産業活動や住民の生活に必要な物資の流通を担う東京港の周辺におきましては、東京港と生産地や消費地とを結ぶ大型物流車両が数多く通行しております。
そのため、臨海部の自転車通行空間の整備に当たりましては、円滑な物流及び自転車の安全性の確保に十分配慮する必要がございます。
そこで、特に大型物流車両の通行が多い道路を整備対象から除外するとともに、その他の道路においては安全性を確保するため、歩道を活用した通行空間の整備等を進めています。
さらに、歩行者と自転車とが接触しないよう、通行エリアを植栽等で構造的に分離する整備形態を基本とするなど、臨海部の特徴を踏まえた整備を進めております。
○高倉委員 東京二〇二〇大会、来年に延期をされておりますけれども、開催まで残り一年を切っている中で、競技会場の周辺部においては、大会の開催までに整備を完了することが不可欠であると思いますけれども、この進捗状況についてお伺いしたいと思います。
○佐藤開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務 都は、自転車通行空間の整備対象路線のうち、東京二〇二〇大会競技会場周辺の臨港道路などにおいて、優先的に整備を進めることとしております。
具体的には、臨海副都心内や東京二〇二〇大会競技会場を結ぶ新木場若洲線等の臨港道路など、大会開催までに整備すべき約三十二キロメートルにつきまして、全ての整備を完了しております。
今後も、臨海部における自転車利用の快適性や魅力をさらに向上させるため、残る約十三キロメートルの整備を着実に推進してまいります。
○高倉委員 今ご答弁で、大会開催までに整備すべき約三十二キロメートルについては、整備を全て完了したというお話でありました。高く評価をしたいと思います。
これまで答弁がありました臨港道路のほかにも、水辺や緑の景色を見ながら自転車を楽しめる空間として海上公園があるわけであります。こちらの方は、自転車通行空間というよりは、サイクリングルートというふうに呼んだ方がふさわしい名称のようなところであるというふうに思います。
海上公園の魅力を多くの方々に知ってもらう上でも、臨港道路などと連続をしたサイクリングルートの整備を進めていくべきというふうに思いますが、どう今後取り組んでいくのか、ご答弁をいただきたいと思います。
○佐藤開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務 海上公園は、海辺や広場周辺の園路等を中心に自転車等を楽しめる場として親しまれてきましたが、さらに周辺道路の自転車通行空間とあわせて魅力的なサイクリングルートとなるよう、必要な公園内での整備を進めています。
具体的には、未舗装で自転車走行が困難だった緑道公園等の約十一・五キロメートルのルートについて、自転車が走行しやすい舗装路や、自転車利用者の休憩するスポットなどを整備することとしております。
これまでに、先ほどの新木場若洲線の臨港道路と近接する夢の島緑道公園から、新木場、若洲を回遊するエリアの約七・五キロメートルにつきましては既に完了しており、今後、残り四キロメートルにつきまして着実に整備を進めてまいります。
○高倉委員 最後に、伊豆諸島の港湾施設の整備について三問お聞きをしまして、質問を終わりたいと思いますけれども、伊豆諸島の小さな離島、すなわち、利島、御蔵島、青ヶ島においては、船が本土と結ぶ島民の足でありまして、生活物資の輸送に必要不可欠であります。そのために、港湾施設が重要な役割を果たしております。
ただ、近年は、地球温暖化等の気候変動における台風の大型化によって、波とか、あるいは西風が大変強くなる、そういうことがありますし、冬場には波が荒くなって岸壁に船が着けなくなると、こういう状況があるわけでありまして、その場合には、大型船などの就航率といったものが非常に悪くなるという現状があります。
例えば、利島では、冬場の最も厳しい時期には、大型船の就航率というのは約六〇%に落ち込むわけです。それから、高速ジェット船の就航率も約二〇%と非常に落ち込むわけであります。したがって、島民の生活に必要な食料品を初めとして、生活物資を島の方に仕入れることができずに、商店から商品がなくなるといったお話も聞いているわけであります。
そこで、私たち都議会公明党は、ことしの十月の中旬に、利島の港湾施設の現状と課題について調査をするために視察団を派遣いたしました。利島港の西側岸壁は、これまで台風によりまして三回岸壁がずれてしまいました。特に、平成三十年に、台風二十四号により岸壁が四メートルもずれてしまったために、現在復旧工事を、この視察に行ったときに行っておりました。岸壁の右側が大きくずれたということで、表面がかなり傷んでいたという状況も目にしたわけであります。
そこで、この西側岸壁の復旧工事の現状と今後の取り組みについて、見解を求めたいと思います。
○片寄離島港湾部長 平成三十年の台風二十四号により、利島港の西側岸壁が甚大な被害を受けたため、発災直後から復旧工事に取り組んでまいりました。昨年十一月には岸壁の一部が完成し、大型定期船が暫定的に接岸できるようになっております。
現在、本格復旧に向け、船舶をより安全に接岸させるための岸壁長の確保や、防波対策のための工事を進めているところでございます。この復旧工事により、被災前よりも岸壁の重量が大きくなることで、波に対する安定性が向上いたします。
さらに今後、最新の気象データ等に基づき、波の大きさ等を想定し、これに耐えられる強度を確保するよう検討してまいります。
○高倉委員 今、西側の岸壁のお話をしましたけれども、もう一つ、東側岸壁、これは海側の方ですが、この海側の先端部分は消波壁を乗り越えて波が来てしまうと。そのために人や物が海に流されてしまう、こういうような危険があるわけであります。そのために、大型船やジェット船が岸壁に着けられないケースが大変多いというふうにも聞いております。
船の就航率を上げるためには、東側岸壁の消波壁を乗り越えて波が来ないように、早急に対策を講ずる必要があると思います。具体的な対策について答弁を求めたいと思います。
○片寄離島港湾部長 東側岸壁におきましては、北東の風が強いときに岸壁上まで波をかぶることがあるため、その北東側に消波ブロックを設置していくことで、このような越波の抑制を図っております。
今後とも、越波を抑制し、港湾利用者の安全性を高めることで就航率の向上に取り組んでまいります。
○高倉委員 利島に高速ジェット船が東側岸壁に接岸をしておりますけれども、接岸をする際に、波がちょっと高いだけでも欠航になってしまうというふうにも聞いております。
そこで、東の岸壁と防波堤の間の静穏性を高めまして、高速船の就航率を高めるべきというふうに思います。ぜひ、こうした取り組みをしっかり行っていただきまして、島民の暮らし、そして産業を守っていただきたいと思います。
今申し上げたことについての見解を求めまして、質問を終わりたいと思います。
○片寄離島港湾部長 東側岸壁において、高速ジェット船が接岸する箇所の静穏度を高めるため、東側沖合に防波堤の整備を行っております。これまで防波堤の本体部分が完了し、さらに越波を抑制するため、現在、上部のかさ上げ部分の整備に取り組んでいるところでございます。
引き続き、高速ジェット船の就航率向上に向けて防波堤の整備を進めてまいります。
○あぜ上委員 それではまず、防災事業についてです。
ことしも全国各地で豪雨被害が発生をいたしました。気候変動による政府間パネルの第五次報告書では、気候システムの温暖化についてはもう疑う余地はないとして、気象庁は、このまま温室効果ガスの排出が続いた場合には、短期間の豪雨の発生件数は現在の二倍以上に増加する可能性があると。降雨強度のさらなる増加と降雨パターンの変化が見込まれるとしております。
激甚化、頻発化している豪雨災害の対策を強める、そのことは急務だというふうに思っております。
また、首都直下型地震、巨大地震対策についても着実に整備をしておく必要があると思います。安全点検の徹底なども含めて、防災対策は待ったなしです。
私は、昨年の事務事業でも、対策強化の立場から海岸保全施設の整備計画について質疑をさせていただきましたが、それを踏まえて伺っていきたいと思います。
まず、海岸保全施設の整備計画で、内部護岸の整備については、現時点で何%完了したのか伺います。
○山岡港湾整備部長 令和元年度末までの内部護岸における進捗状況でございますが、計画延長約二十六キロメートルのうち、約十キロメートルが完成しており、進捗率としては約三八%となります。
なお、令和元年度末時点におきまして、残り約十六キロメートルのうち、約十二キロメートルで事業中でございます。
○あぜ上委員 海岸保全施設整備計画は来年度までの計画となっております。コロナ禍のもとで工事が進まない問題もあるのかと思いますが、内部護岸整備がおくれている要因と今後の取り組みについて伺います。
○山岡港湾整備部長 内部護岸の整備につきましては、護岸の前面水域を活用し、船舶事業などを営んでいる水域利用者や、事業箇所に隣接して生活しておられる住民に影響を及ぼすことなどから、事業に対する理解や協力を得るまでに時間を要しております。
このため、事業の実施に当たり、事業への理解を得られるよう、水域利用者等への影響が最小限となる施工手順の選定を行うとともに、工事の早期着手に向けて、引き続き執行体制を強化することなどにより、内部護岸の事業の推進に一層努めてまいります。
○あぜ上委員 水域利用者や近隣の事業者の理解と合意を得ること、そして具体的執行に当たっての調整などには、今ご答弁にもありましたけれども、多くの時間が必要となると。さまざまなご努力があるのだというふうに思います。
内部護岸の耐震化、老朽化対策の整備が来年度末には必ず完成できるようにするためには、やはりこの調整にかかわる人員体制、これをしっかり確保しないと目標の達成は難しいんじゃないかなというふうに思うわけです。
安全にかかわる内部護岸の耐震化、そして老朽化対策の整備を促進するためには、やはり思い切った人員体制強化を図っていただいて、しっかりと取り組んでいただきたいと強く求めておきたいと思います。
同時に、橋梁の耐震化も重要です。万一の災害の際、港湾地域は橋でつながっておりますから、避難や緊急輸送をする上でも、橋が壊れてしまえば大変な事態になってしまうわけです。
東京港港湾区域内の港湾局所管の橋梁の耐震化率、これはどうなっているでしょうか。
○山岡港湾整備部長 港湾局が所管している橋梁は十九橋ございます。
橋梁の耐震化につきましては、震災対策上重要な緊急輸送道路上の十五橋を優先して耐震工事を進めており、十三橋につきましては工事を完了し、耐震化率は六八%でございます。残る二橋につきましては、現在工事中でございます。
この緊急輸送道路以外の四橋の耐震化につきましては、一橋で工事中であり、残る三橋につきましても順次工事を進めてまいります。
○あぜ上委員 港湾局所管の橋の耐震化率が六八%ということであります。橋の耐震化を着実に推進していくためには、やはり国に対しても、しっかり財政措置を講ずるよう求めていただきたいと思います。
同時に、港湾地域には国や区の橋梁もございます。その耐震化促進もあわせて、それぞれの機関に連携して推進できるように要請していただきたいと、そのこともあわせて求めておきたいと思います。
それから、東京港の防災船着き場についてです。
東京港防災船着場整備計画を見ますと、既に東京都地域防災計画で指定されている十三の施設のほかに新たに十八施設を位置づけていて、そのほかに晴海五丁目や有明一丁目など七カ所、新規整備することとなっております。
東京港防災船着場整備計画の進捗状況についても伺いたいと思います。
○山岡港湾整備部長 都は、災害時におきまして、人や緊急物資を輸送できるよう、東京港の運河等における水上輸送体制を構築するため、平成二十八年三月に策定した東京港防災船着場整備計画に基づき、地元区等と連携し、防災船着き場の整備を推進してございます。
現在、計画で位置づけております三十八カ所のうち三十二カ所が完成しており、三カ所で事業中でございます。
○あぜ上委員 現時点では八四%の完成ということになりますね。この地域にとっては、船での災害時の帰宅困難者の移送や緊急物資等の輸送は大変重要であります。
私は、忘れられないのが二〇一一年の東日本大震災、三・一一のときです。都内も交通渋滞となって、電車もとまり、歩く人が道路にあふれ大変な事態となったわけですが、災害時の緊急対応や帰宅困難者の移送、支援物資の輸送などのためには、やはり防災船着き場はしっかり位置づけておくということが必要だと思いました。
それで、防災船着き場については、管理主体が都であったり、地元区であったり、あるいは民間の場合もあるわけですが、日常的にどのような連絡調整を行っていらっしゃるのか、また、災害時の対応訓練はどのように行っていらっしゃるのか伺いたいと思います。
○山岡港湾整備部長 東京港防災船着場整備計画におきましては、防災船着き場ごとに、災害時に果たす役割や、整備や管理を行う主体を明示してございまして、この役割分担に基づき、都、区、民間それぞれが適切に運用を行うこととしております。
これらの防災船着き場の運用につきましては、都がマニュアルを定め、平時から各主体との連絡体制を構築し、災害時における人や緊急物資の水上輸送が確実に行えるよう準備をしております。
また、毎年、災害時の対応訓練を実施しておりますが、実施に当たっては、事前に災害のシナリオを設定し、舟運事業者や地元区等と調整を重ねた上で、防災船着き場を使用して船舶による人や物資の輸送を実施するなど、より実践的な形で行っております。
○あぜ上委員 毎年災害時の対応訓練を行っているということは非常に大事だというふうに思います。船の事業者はもちろんなんですが、近隣の企業や、また住民なども共同の訓練を重ねていただきたいということを求めたいと思います。
また、防災船着き場となりますと、そのための表示も大事になってくるんじゃないかと思います。舟運として既に活用している船着き場もあるわけですが、日常は使用していない、そういうところもあるわけですね、この防災船着き場の場合は。ですから、その点も考慮した対策をお願いしたいと思います。
災害時にやはり船着き場の役割、機能がしっかりと果たせるように取り組んでいただきたいということを重ねて申し上げておきたいと思います。
二つ目のテーマは、新型コロナ感染の影響についてです。
新型コロナ禍のもとで、海上コンテナ輸送の労働者など港湾関係者から、感染についての不安の声が私のところにも寄せられております。実際、東京港ではありませんけれども、全国では感染の発生がありまして、二週間業務が停止になった、そういう港もあると伺っています。
また、新型コロナ対策の水際対策として、日々入港する貨物船等の対応は欠かせない課題であると思っております。
そこで伺いますが、都は、各港湾施設及び関連事業所における感染状況や取り組み状況をどのように把握されているんでしょうか。また、港湾関連事業者におけるコロナ感染予防について、どのような認識を持っていらっしゃるか伺います。
○戸井崎港湾経営部長 港湾関係事業者の社員等の感染が確認された場合、事業者や業界団体から報告を受けております。
新型コロナウイルス感染症対策につきましては、港湾運送事業者の業界団体である一般社団法人日本港運協会が専門家の監修を経て策定いたしましたガイドラインに基づきまして、各事業者が実施することになっております。
各事業者は、このガイドラインに基づく取り組みの徹底を図っているものと認識しております。
なお、東京港では、これまでクラスターの発生など、港湾物流に支障を来すような事態は起こっておりません。
○あぜ上委員 確かに、東京港ではクラスターの発生はないと伺っていますが、船員や港湾労働者の方の感染は生じていると伺っています。船員と港湾労働者の間で感染拡大を防止する上で、何よりも正確な情報が現場で働く労働者まで徹底して提供され、共有される、そのことが私は大事なんじゃないかと思っております。
都として、今ご答弁があったように、報告を受ける、それは大事なことなんですが、報告を受けるだけじゃなくて、積極的に感染防止のための情報提供をすることを各港湾関連事業者に徹底していただきたいと、これは強く求めておきたいと思います。
それでは、港湾労働者のPCR検査の実施状況は把握されているんでしょうか。
○戸井崎港湾経営部長 港湾関係事業者の社員等の感染が確認された場合は、PCRの検査の実施結果も含めて、事業者や業界団体から報告を受けているところでございます。
○あぜ上委員 感染が確認された場合は報告を受けるということです。検疫所がありますけれども、検疫所は入港の際、もちろんチェックはしているわけですが、発熱している人などがいなければPCR検査は行っていないというふうに伺っています。
世界各地でコロナ感染症が猛威を振るっている、こういう中で、無症状の感染者も多いわけですから、入港する側も、また受け入れる側も必要と思われる範囲でのPCR検査、これを私はやっぱり実施すべきではないかなというふうに考えているわけです。
大事な港湾物流をとめるわけにはいかないからこそ、やっぱりしっかりPCR検査を行うよう求めたいと思います。これは、業界団体がどう判断をするかっていう問題はあるかと思うんですけれども、ぜひ東京都としても積極的に働きかけていただきたいなというふうに思っております。
海外または国内各地との接点である港で働く港湾労働者の方々からは、船舶の荷役のために船舶内で仕事をしなければならない、また、ヤードでは消毒されていないパネルなどに触れる等々、コロナ感染症に対する不安を抱えながら港湾の仕事を続けているというふうに伺っております。
そうした中、事業者からは東京都に対して、消毒液の配布などを、これはかなり前の、春ごろですけれども、要望しているというふうに伺っています。
都としても、港湾施設において、感染予防についてどのような対策を講じてきているのか伺います。
○戸井崎港湾経営部長 港湾関係事業者が利用いたします都有の港湾施設におきましては、業界団体が策定いたしましたガイドラインに基づく取り組みの徹底を都からも要請しているところでございます。
○あぜ上委員 各事業所によっても対策が異なっております。今も労働者から不安の声があることをしっかり踏まえていただいて、取り組みを徹底していただきたいと思います。
また、都としても、こうした取り組みを講じていますよという情報提供もぜひしていただいて、安全・安心を確保していただきたいと思います。
事業者の経営も大変厳しい状況に追い込まれているとも伺っています。日通の総合研究所は、これも春の発表だったんですけれども、二〇二〇年度の経済と貨物輸送の見通しを発表されていました。二〇二〇年度の国内貨物輸送は、上期に消費税増税と新型コロナ感染の影響により民需が総崩れし、消費関連貨物、生産関連貨物、建設関連貨物とも引き続き大幅マイナスが避けられないというものでありました。下期には消費関連貨物、生産関連貨物が、持ち直しはあるものの、今年度全体の総輸送量は三・四%のマイナスだとしていました。
港湾局のデータでも、上半期取扱貨物量は、外貿、内貿全体で前年度比九一・二%と減少していることがわかりました。さらに、小型船、そして先ほどもお話が出ていました屋形船などは大打撃を受けているわけです。
消費税増税に追い打ちをかけた新型コロナ禍のもとで厳しい経営状況に追い込まれている事業者もいると思いますけれども、先ほど舟運事業者の使用料の猶予、この答弁はあったわけですけれども、その舟運事業者も含めた港湾利用全事業者の現時点での港湾使用料などの猶予の実績、これはどうなっているか教えてください。
○戸井崎港湾経営部長 都は現在、水域の占用料や港湾局の施設使用料の支払いが一時的に困難になった事業者等を対象といたしまして、支払いを最長で一年間猶予する措置を実施しておるところでございますが、取り組みを開始した本年の四月から九月までの半年間におきまして、支払いを猶予した事業者の数は三十事業者、金額は約一億六千五百万円となっております。
○あぜ上委員 新型コロナ感染の高どまりの中で、先が見えない、そういう中で苦しんでいる事業者の方もいらっしゃいます。支払い猶予の期間の拡大、減額など、やはり港湾関連事業者を守る立場で支援策をぜひ拡充していただきたいと、このことを求めたいと思います。
また、客船ターミナルの新型コロナ対策も重要だと思います。具体的に、各客船ターミナルのコロナ対策について、都はどのように把握されているのか伺います。
○戸井崎港湾経営部長 不特定多数の都民が来場いたします客船ターミナルにおきましては、出入り口に消毒液を設置いたしますとともに、施設の清掃や換気の徹底に努めております。
また、感染リスクをお知らせするサービスを導入いたしまして、万が一、新型コロナウイルスの感染症のクラスターが発生した場合におきましては、同一時間帯の利用者へのメールにより通知をすることとしております。
○あぜ上委員 とりわけ、伊豆・小笠原諸島の海の玄関口として日々利用されています竹芝客船ターミナル、私も状況を見に行ってまいりましたけれども、手荷物の窓口には消毒液が配置してありました。それから、椅子やトイレも全部リニューアルされていて非常にきれいになっていて、衛生的になっているなというふうに、率直にそう思いました。ドアノブ等の清掃やドアの開放による換気、また乗船前の検温を行っていると伺っています。
小笠原諸島については、都及び小笠原村と船会社においてPCR検査も事前に実施しているということでありますが、島の場合は、とりわけ最善の感染防止対策が必要だと思います。
伊豆諸島の場合は、航路もさまざまありますし、また、一日の便数も複数あるということで、なかなか検査は難しいというふうに思うわけですが、各客船ターミナルにおいては、やはり乗船の際などの密にならない対策など、島のターミナルも含めて、感染予防対策をしっかり講じていただきたいなというふうに思いました。
ちょうど下船するところを見たんですけれども、どうしても下船のときには、皆さん早く帰りたいというのもあって、密になりがちになっていたので、そういったところも含めて、ぜひ対応していただきたいということを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○奥澤委員 私たち無所属東京みらいでは、これまでも臨海副都心の秘めた可能性というものを強く感じていて、東京、ひいては日本全国を牽引する地域としての発展を願う立場から質問や提案を重ねてまいりました。
きょうは、魅力を高めるために必要な不安の解消という観点から質問をさせていただきます。テーマとしては、今までの他会派の皆さんと重複する部分もありますけれども、切り口が異なりますので質問はさせていただきたいというふうに思います。
まず初めに、臨海副都心の域内交通についてお伺いします。
臨海地域の魅力の一つは、その広大な敷地を生かした取り組みであるとは思いますけれども、一方で、その魅力を存分に知っていただくためには、域内交通の利便性を高めていく必要があります。自動運転技術の実証実験などを私たちが後押ししてきたのも、こうした課題への対応を念頭に置いていました。
しかし、電車やバス、また自動運転のコミュニティバスといった公共交通を張り巡らせることには限界がありますし、臨海地域が目指している自然と共生するまちづくり、これを感じることもできません。
そうした環境下では、有効な交通手段として利用が急増しているのがシェアサイクルです。これは議事録を読み返してみても、数多くの会派が取り上げているところでありまして、東京都では第一回定例会において海上公園条例を改正して、これまで実証実験として取り扱ってきたシェアサイクルのポートを正式に設置できるようになっていて、着実に進めてほしいというふうに考えています。
そこで、海上公園におけるサイクルポートの設置状況とシェアサイクル活用による回遊性の向上についての見解をお伺いします。
○中村臨海開発部長 臨海地域では、臨港道路等における自転車通行空間や海上公園内のサイクリングルートのネットワーク化を進め、安全で快適な自転車利用環境の整備を進めております。
自転車利用の環境整備を進めていく上で、シェアサイクルのポート設置は有用であり、現在、四公園十カ所においてポートが設置されているところです。
シェアサイクルの活用が進むことにより、臨海地域全体の回遊性が高まり、海上公園利用者の利便性も向上することが期待されるものと考えております。
○奥澤委員 私たち初めとして、議会側の意識とも、局の皆さんとの意識はしっかりすり合わせができているのかなというふうに感じるようなご答弁でありました。引き続き、臨海地域の魅力をより一層感じていただけるような取り組みを進めていただきたいというふうに思います。
もう一つ、域内交通の利便性を高めることに加えて、今後、先進的な取り組みを進めてほしい、そういったエリアであるということの認識から、新しいモビリティーの導入可能性について質問をいたします。
シンガポールなどでは当たり前のように公道を走り回る電動キックボードですが、日本ではいまだ規制があって公道を自由に走ることはできません。
先日、西新宿の公道における電動キックボードの実証実験が行われるとのニュースがあって、大変期待をしているところです。
話を臨海地域に戻して、臨海地域は観光客も多くて、広大なエリアを徒歩だけで観光するのは難しい。また、先ほどのシェアサイクルと同様ですけれども、自然との共生を感じていただく、そういった魅力を存分に感じていただく、そういった意味で、先進性、そして楽しみの創出、こういったことを兼ね備えた新たなモビリティーの必要性を強く感じております。
そこで、臨海副都心において電動キックボードなどの新たなモビリティーを取り入れていくべきと考えますが、見解をお伺いします。
○中村臨海開発部長 まちの回遊性を高める上で、シェアサイクルを初め、さまざまなモビリティーの活用が有用と考えております。
これまでも臨海副都心では、民間事業者と連携し、シンボルプロムナード公園内で搭乗型移動支援ロボット、Wingletの体験走行の実証実験を行ってまいりました。
また、昨年度は、東京モーターショーにおいてパーソナルモビリティーや電動キックボード、超小型モビリティーの試乗体験の場としてシンボルプロムナード公園を提供し、約九千四百人が試乗しております。
引き続き、民間事業者とともに幅広い検討を進めてまいります。
○奥澤委員 臨海副都心は、先進的な実験を行うショーケースのまちとしても注目されておりますので、積極的に取り組んでいただきたいというふうに要望しておきます。
昨年だったと思いますけれども、秋葉原で開催をされていた電動キックボードの実証実験の試乗会にも参加させていただくなど、実際に体験をこれまでさせていただいております。こういった話を聞いていると、日本ならではの工夫といいますか、多くの方に乗っていただけるようにということで、操作性や安全性を高めている、そういった取り組みが行われておりまして、こういったことに大変安心感を覚えました。
一方で、ご利用いただいたことのない方々にとっては、事故が起こったらどうするのかといった不安がつきまとうのも無理はありません。こうした不安を解消していくためにも、臨海地域を初めとする場所で実証実験を行っていくこと、そこで得られた知見を民間事業者へ還元していくこと、それを制度づくりに生かしていくことという、こういったサイクルを回していくことが重要だというふうに思います。
臨海副都心の取り組みが全国の課題解決へと広がっていくこと、課題解決の先進都市としての臨海副都心に期待をしたいと思います。
次に、臨海地域の災害対策についてお伺いします。
臨海地域は、広大かつ独立しているような立地特性もあるからこそ、発展の可能性を秘めた場所にもなりますが、いざ災害が起きたときには、ほかの地域とは異なる対応を強いられる可能性が高い場所であります。
特に、滞在している人々の属性として、働きに来ている人や観光に来ている人が大部分を占め、特に自助、共助において不安が残る部分を否定はできません。
一方で、人員や物資の海上輸送を行うような場所だからこそ、平時からの備え、あるいはシミュレーションを重ねておかなければいけないということが重要な観点であって、東京では、先ほどもお話がありましたけれども、臨海副都心の防災ガイドをやったりだとか、防災船着き場発災時運用マニュアルといったものを作成して、もしものときの備えを進めているというふうに聞いております。
そこで、きょうは、確認させていただきますのは、臨海副都心の災害時の対応について、防災船着き場を活用した災害訓練の実施状況についてお伺いしたいと思います。
○山岡港湾整備部長 災害訓練の実施に当たりましては、事前に災害のシナリオを設定し、舟運事業者や地元区等と調整を重ねた上で、防災船着き場を使用して、船舶による人や物資の輸送を実施するなど、より実践的な形で行っております。
臨海副都心におきましては、平成三十年度に、お台場海浜公園船着き場から浜町防災船着き場まで帰宅困難者を搬送する訓練や、港区の備蓄倉庫からお台場海浜公園へ医薬品を搬送する訓練を実施いたしました。
今後も、臨海副都心を含む臨海部におきまして定期的に訓練を重ね、発災時における防災船着き場を活用した水上輸送体制を強化してまいります。
○奥澤委員 舟運事業者や地元区等との調整を重ねつつ、実践的な訓練を重ねているということで、引き続き取り組んでいただきたいと思います。
先ほどお話もしたとおり、臨海地域がほかの地域と異なる点として、滞在している人々の特性があります。初めて来たような方々も多いことを想像すると、日ごろから臨海地域で過ごす方々からの適切なサポート体制を構築しておくことが非常に重要だと考えます。
そういった意味で、災害時における東京臨海ホールディングスの果たす役割は大きいというふうに考えています。
グループ経営計画を見てみると、地域防災力を強化するという役割が記載されており、一時滞在施設として一万人強の受け入れ枠があると記載されています。それは重要なことですが、より広く災害対応力を強化してほしいと思うところから質問をいたします。
臨海副都心地域の防災力を高めるために、東京臨海ホールディングスが行っている取り組み、あるいは果たすべき役割についての見解をお伺いします。
○深井企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 東京臨海ホールディングスグループでは、地域の基盤インフラの管理運営を担うグループといたしまして、各事業において着実に防災対策に取り組むとともに、まちづくり協議会と連携し、地域企業と情報共有する体制を構築するなど、地域の防災力強化に取り組んできております。
帰宅困難者対策につきましては、オフィスビルなどグループが管理する施設を都立一時滞在施設として指定を受け、約一万人の受け入れを想定し、必要な備蓄を管理してございます。
また、昨年度は、グループでの情報連絡体制の確認等を中心とした訓練に加え、まちづくり協議会と連携し、発災時の滞留者を一時滞在施設へ誘導することを想定した訓練を行いました。
今後も、東京臨海ホールディングスグループにおきましては、地元区や地域企業等との連携をより強化し、地域の防災力の強化に取り組んでまいります。
○奥澤委員 これまでもまちづくり協議会と連携をして訓練をしていること、そして、これからも地元区あるいは地域企業等との連携を強化していくということで、しっかりと進めていただきたいというふうに思います。
ここからは、東京臨海ホールディングスグループについて幾つか質問をしたいと思います。
本年三月、臨海地域の魅力向上に向けて、二〇二〇年度から二〇二四年度の五年間における東京臨海ホールディングスグループの経営方針や具体的な取り組みを示すグループ経営計画を策定しています。そこにはグループ経営の意義として、グループ全体の経営資源の適正な配分や、グループ各社の企業価値増大を図っていくことが示されていて、その中にはグループ全体の人材育成の重要性が述べられています。
特に、臨海地域のエリアマネジメントについて、東京都と方向性を一つにして進めるとあって、ダイバーシティーを推進する東京都にあっては、多様な人材が活躍できる環境整備は重要です。
そこでまず、東京臨海ホールディングスグループ各社の女性雇用率をお伺いしたいと思います。
○深井企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 常勤職員に占める女性職員の比率につきましては、令和元年八月一日現在で、株式会社東京臨海ホールディングスが約二七%、東京臨海熱供給株式会社が約一八%、株式会社ゆりかもめが約六%、株式会社東京テレポートセンターが約一七%、株式会社東京ビッグサイトが約二三%、東京港埠頭株式会社が約一四%となってございます。
○奥澤委員 率直に、女性雇用率が総じて低いなというふうに感じますけれども、女性の雇用率向上に向けて、女性が働きやすい職場環境づくりが重要だと考えますけれども、どのような取り組みを行っているのかお伺いします。
○深井企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 臨海ホールディングス各社の事業は、現場の業務が多いところではございますけれども、女性にとっても働きやすい職場環境づくりは重要と考えておりまして、育児や介護に関する特別休暇制度の導入、ライフワークバランスに関する研修、テレワークや時差勤務の推進などに取り組んでございます。
また、女性用休憩室や仮眠室の設置、女性更衣室の拡張、リニューアルなどにも取り組んでございます。
今後とも、女性が働きやすい職場環境づくりをグループ全体で進めてまいります。
○奥澤委員 さまざまな取り組みはしているけれども、まだまだ数値としては足りていないのかなというふうに思います。
臨海副都心のエリアマネジメントを行っていくという上では、臨海地域を訪れる方々のニーズを的確につかんで具体化させていく必要があります。そこには多様な目線が必要なことはいうまでもありません。ぜひ女性の働きやすい職場環境づくりを進めていただきたいと思います。
同じような観点から、臨海地域の障害のある方の目線というのも重要だというふうに思っています。グループ各社の障害者雇用率はいかがでしょうか。
○深井企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 障害者雇用促進法におきまして、障害者を一人以上雇用し、ハローワークに報告義務があるグループ会社は、現在三社ございます。
令和二年度の障害者雇用率は、株式会社ゆりかもめが約〇・七%、株式会社東京ビッグサイトが約二・三%、東京港埠頭株式会社が約二・三%となってございます。
○奥澤委員 ゆりかもめについては技術職の方が多いということで、障害のある方にとっては働くことが難しいといったことも推察はできますが、なかなか厳しい数字が出ているなというのが率直なところです。
これは、とある民間企業、これもグループ経営をされているところだと、ホールディングスの会社だったと思いますけれども、なかなか職種によっては障害者雇用が向かないというところの会社もある中で、そういったところの部分をどうにか補うことはできないだろうかということを必死に考えていらっしゃいました。
確かに法定雇用率は関係がないかもしれないですけれども、なかなか障害者雇用が難しい業務を抱えている会社の分を、ほかのグループ会社でより多く雇用しようと、そういったような取り組みをしているところもあります。なかなか難しいといって片づけてしまうんではなくて、どうしたらできるだろうかということをぜひとも考えていただきたいというふうに思います。
先ほどの防災事業もそうですけれども、政策連携団体として求められている社会的責任、この幅も広がりを持っているというふうに思います。本日は問題提起にとどめますけれども、社会をリードしていく、そして臨海地域をリードしていくという役割も自覚して、今後の経営に臨んでいただきたい、そのために港湾局からもぜひとも声をかけていただきたいと、働きかけていただきたいということを要望して、私から質問を終わります。
○福島委員 私からはまず、運河エリアのライトアップについてお伺いをいたします。
私は、かつて臨海部に住んでいたことがあります。散歩やジョギング、そして保育園帰りの娘を連れて、路面店で買った焼き鳥をベンチで食べるなど、水辺の魅力を満喫してきました。
水辺には、都市部ではなかなか得られない視界の広がりがあります。臨海部の朝潮運河、豊洲運河、芝浦運河、京浜運河などは、昼間だけではなく夜間も人々を魅了し、楽しめるポテンシャルを有していると考えています。
臨海副都心では、民間事業者が中心となって、まちぐるみでライトアップに取り組んでいるエリアがありますが、これらの運河についても、魅力ある夜景の創出に向けてライトアップの取り組みをより面的に広げていくべきだと考えます。
昼間だけではなく、夜間でも運河にかかる橋や周辺の建物などのライトアップに連続性を持たせることができれば、散歩や遊覧船等で楽しむなど、運河のエリアの景観が観光資源となり、さらなる東京の魅力向上につながると考えます。
加えて、このたびの新型コロナウイルス感染症の拡大により落ち込んだ経済の再生と東京の集客力をよみがえらせるためにも、このような取り組みは一つの方策になると考えています。
そこで、港湾局ではどのような考えによりライトアップを行っているのか、改めて伺います。
○山岡港湾整備部長 港湾局では、平成三十年三月に、運河エリアライトアップ・マスタープランを策定し、運河の水辺空間の資源を活用した良好な夜間景観を創出し、観光資源としての水辺空間の魅力向上や舟運の活性化につなげていくこととしております。
このマスタープランでは、区や民間事業者等と連携し、インフラ施設などのライトアップにより、夜景のブラックスポットを解消するとともに、周辺ビル群や遊歩道照明と、夜景の背景となる光環境と調和のとれたライトアップを行うこととしております。
これにより、船旅や水辺の散策などが楽しめる魅力的な夜間景観を創出することを目指しております。
○福島委員 運河エリアライトアップ・マスタープランにより、東京港の水辺空間の魅力向上や舟運の活性化につなげるという目的で取り組んでいることがわかりました。実施に当たっては、地域の特色や実情、地元の意向を十分踏まえて取り組んでいくべきだと考えます。
そこで、運河エリアでライトアップを進めるために、都はどのような取り組みをこれまで行ってきたかを伺います。
○山岡港湾整備部長 マスタープランでは、ライトアップに対して、既に地域の取り組みが一部進んでおり、舟運拠点としての整備等が見込まれる日の出・竹芝地区、芝浦港南地区、天王洲地区、この三地区を東京二〇二〇大会までに取り組むべき重点地区として設定しております。
これら重点地区における取り組みを推進し、良好な夜間景観を創出していくため、都は、平成三十年度より、各重点地区にライトアップ促進協議会を設置いたしました。
各協議会では、都と地元区、民間事業者などが連携し、水門、橋梁などそれぞれの施設と、周辺の建物や遊歩道の照明との色調の調和などについて、色彩の専門家を交えて検討し、魅力的な夜景スポットの創出を図ってまいりました。
このような取り組みの結果、各重点地区におきまして、令和元年度よりライトアップを開始し、日の出ふ頭の上屋、高浜運河にかかる御楯橋、天王洲水門など、東京港内に新たな夜間景観が創出されたところでございます。
○福島委員 運河エリアのライトアップ・マスタープランの重点地区においては、ライトアップ協議会が設置され、そこで話し合われた結果をもとにして魅力的な夜間景観を創出したとのご答弁でした。
ライトアップの取り組みを広げるためには、最初は行政が水門や都立公園などの都有施設を中心にライトアップを始めるとしても、今後は、民間事業者が運河周辺の建物のライトアップなどに率先して取り組んでいく必要があると考えます。
そのためには、これまで取り組んできた先行事例において、例えばライトアップ前後の駅の乗降客数の変化や人の流れの変化など、成果を定量的に示すことが取り組みへの理解を広げることになると考えます。
そこで、運河エリアにおけるライトアップのさらなる推進に向けて、今後どのように取り組んでいくのかをお伺いいたします。
○山岡港湾整備部長 重点地区につきましては、東京二〇二〇大会に向けて、引き続きライトアップ施設の充実を図っていくとともに、ライトアップの機運が醸成されつつあるその他の運河エリアにおいても新たな協議会の設立を目指し、地元区と連携しながら関係者との調整を進めてまいります。
その際、各重点地区におけるにぎわいの創出事例を紹介するとともに、委員ご指摘のように、ライトアップ前後における最寄り駅の乗降客数や船着き場を発着する船舶利用客数の推移といったデータなども示しながら、地元区や民間事業者等の機運をさらに高めていくことが必要と考えております。
また、舟運事業者等とも情報共有を図り、ライトアップされた運河の美しい景観が楽しめるコースの提案など、舟運観光とも連携を図りながら、観光資源としての船旅や水辺の活性化につなげてまいります。
このような取り組みにより、運河エリアのライトアップを推進し、来訪者を魅了する東京の水辺空間を創造してまいります。
○福島委員 新たに最寄り駅の乗降客数や船着き場を発着する船舶利用客数の推移といったデータを調べ、地元区や民間事業者等の機運を高めるとのご答弁でした。
コロナの影響もあるかと思いますが、そこは差の差分析といって、そのほかの状況、駅の乗降客数の変化からコロナの影響を求めまして、これを差し引くことができれば、理論的にはライトアップの効果を出すことができます。そういうことをお伝えしておきます。
運河エリアライトアップ・マスタープランについて、これまでの取り組みと今後の整備方針について伺いました。ライトアップの取り組みにより、魅力的な夜間景観を創出して東京の集客力を高め、コロナ禍の中で落ち込んだ経済の再生につながるよう、都の一層の頑張りに期待をいたします。
次に、国の進める港湾の電子化に対する都のスタンスに関してお伺いいたします。
東京港のコンテナ取扱量がふえる一方で、江東地区におけるトラックの長時間待機問題、これは既に議論されてまいりました。港湾局は、ターミナルゲート時間の早朝拡大やコンテナ引き取り時間の予約の検討に着手するなど、待ち時間の削減のための取り組みを既に行っております。
これらの取り組みをさらに進めるためには、数多くのコンテナ貨物を船舶からおろし、またターミナル内へ蔵置し、さらに多数の海上コンテナ輸送車両に渡すという作業をいかに効率的かつ短時間で行うかという最適化が必要であり、手続はもちろん、事象を丸ごと電子化することで一層の効率化が期待できます。
内閣府及び国土交通省が中心となって検討が進められている港湾物流にICTを活用する動き、いわゆるサイバーポートの位置づけに向けた取り組みについてお伺いいたします。
○戸井崎港湾経営部長 AIやIoTの情報通信技術が著しく発展する中で、諸外国におきましては、情報通信技術を活用した港湾物流の効率化の取り組みが加速しております。
こうした状況を踏まえまして、国は港湾の国際競争力を強化する観点から、平成三十年に港湾の電子化(サイバーポート)推進委員会を立ち上げまして、ICT技術を活用した貿易手続等に関する情報の電子化や、関係者間でのデータの利活用の推進など、港湾の全体の最適化についての取り組みを進めております。
○福島委員 国が主導する電子化やデータ利活用、港湾の全体最適化についてご紹介いただきました。
しかしながら、この最適化というのは、港湾設備、すなわちハードとシステム、ソフトのハイブリッドで行うべきものです。ハードが不十分な場合、幾ら最適化しても限界があります。ハードの整備には一定の時間を要するものであり、都は今後のハードの充実を視野に入れながら、情報の電子化やデータの利活用などソフトの充実を速やかに図っていくべきと考えます。
競争力のある仕組みとしていくには、現場の声、意見が重要です。国が推進するサイバーポートの実現に向けて、都は、より主体的にかかわるべきと考えますが、見解を伺います。
○戸井崎港湾経営部長 港湾の電子化推進委員会におきまして、現在、国は、サイバーポートの実現に向けまして、その基礎となる港湾関連データ連携基盤というプラットホームを構築して、物流関係者間の貿易手続の共通化に向けた取り組みを実施しております。
現在、主として民間事業者間の手続の電子化、ペーパーレス化や税関手続等との連携などを検討しております。
あわせまして、今後、港湾行政手続との連携につきましても予定されておりまして、その議論が開始されたところでございますことから、都は、港湾の現場を持つ強みを生かして積極的に意見を発信してまいりたいと思っています。
○福島委員 ありがとうございます。今のご答弁は手続の電子化に関するものが主でありました。私は、より広い概念で電子化に取り組んでいただきたいと思っています。
国土交通省は、まさに東京湾が直面している大型コンテナ船の寄港の増加による荷役期間の長期化やコンテナターミナルのゲート前渋滞の深刻化に対応するため、生産性向上と労働環境の改善を目的としたAIターミナルへの実現に向けた目標と工程を昨年度末に公表しました。
そこで扱われている五項目のうち、三つ目、保管ヤードにおけるコンテナ蔵置場所の最適化については、この品名、荷主名、過去の搬入搬出日時等のビッグデータをAIで分析し、コンテナの蔵置場所を最適化したり、荷役機械等の配置作業タイミングを最適化し、本船荷役と外来トレーラー荷役を両立するという内容で、港湾設備や東京港を利用するコンテナ船、海上コンテナ輸送車両、すなわちハードと切っても切り離せない、こういったものを取り組んでいくという内容になっています。
国土交通省が手がけるこのサイバーポートシステムを使うのは東京港です。先ほど、都は、港湾の現場を持つ強みを生かして積極的に意見を発信していく、そういうご答弁をいただきましたけれども、主体的な取り組みを求めて、次の質疑に移らせていただきます。
次、離島航空路についてお伺いをいたします。
島民の足である航空路の便数増減は、商工業者や観光関連業者に大きな影響を与えます。コロナウイルス感染症の影響で減便されたものの、このコロナの感染状況が改善次第、例えば、羽田−八丈島航路は二便に減便されていますけれども、三便体制に戻すべきと考えます。見解を伺います。
○高野島しょ・小笠原空港整備担当部長 離島航空路は、島しょ地域の住民にとりまして、本土との往来の移動手段であり、さらに羽田−八丈島航路につきましては日用品や生産品の輸送手段としても必要不可欠であることから、都はこれまでも、国とともに離島航空路運航費補助などで運航事業者を支援してまいりました。
加えまして、コロナ禍による運航事業者の減収分も六月の補正予算で支援をしております。
都といたしましては引き続き、運航事業者の支援を確実に行い、航空路の維持を図るとともに、島民生活の安定と島しょ地域の産業等を守るため、コロナウイルス感染症の状況を踏まえ、適切な時期に、便数の復旧を運航事業者に働きかけてまいります。
○福島委員 丁寧な対応をしていただけることを確認いたしました。
以上で私の質疑を終えます。
○長橋委員 私からも質疑をさせていただきます。
港湾局の質疑は初めてでございますが、地元は港湾がないものですから教えていただければと思うところであります。
事業概要に、港湾局は、東京二〇二〇大会の開催時には中心的なエリアになる、臨海地域を東京全体の活力の牽引力となるよう総力を挙げて取り組んでいくと、こういうふうにうたっているわけであります。
そこでまず、東京二〇二〇大会の主要会場となる臨海副都心のまちづくりの取り組みについて、私の観点から伺っていきたいと思っております。
臨海副都心は、大会時には多くの競技会場、またスポンサーのパビリオンなどが配置をされ、大会を契機として、国内外から注目が一層集まる地域となる。これはもう、来年のオリンピックがあるわけでありますけれども、オリンピックの開催も含めて、ぜひ期待をしているわけであります。
そのためにはこの機会を捉えて、大会後も見据えた臨海副都心の魅力向上への取り組みを求められているんだろうと思います。
そこで、都はこれまで、地域の特性や潜在力を生かしてまちづくりを進めてきたということでございます。この臨海地域には、ほかにはない魅力はまだまだたくさんあろうかと思います。
その魅力の向上に向けて、具体的にこの地域の開発、どう進めてきたのか伺いたいと思います。
○中村臨海開発部長 臨海副都心が東京二〇二〇大会に向け、また、大会後も見据えて魅力あるまちとして発展していくためには、この地域の特性を生かしたまちづくりを進めていくことが重要だと考えております。
都はこれまで、ウオーターフロントの魅力に加え、都心や空港に近接する立地特性を生かし、MICE、国際観光拠点化のまちづくりを進めてまいりました。
現在では、多くの来訪者でにぎわう観光、商業施設を初め、研究開発拠点、コンベンションゾーンの集積が進み、多様な交流の拠点として成長してきております。
○長橋委員 大変に臨海副都心が多くの人でにぎわうまちづくりに発展した、私も本当にそう思うわけであります。
私も以前はそんなに行かなかったわけでありますけれども、最近では、観光や商業施設に行ってまいりましたし、昨年はたびたびオリンピックのイベントにも参加をさせていただきました。いよいよこの東京大会に向けて多くの選手、観客がこの臨海地域に集まってくるわけであります。
そこで、MICE、国際観光拠点として、また、ユニバーサルデザインの観点からも、多くの人が快適に不自由なく過ごせるよう取り組みを進めていくということは重要であろうかと思います。
このことが東京二〇大会にあっても非常に重要なことだと思いますけれども、この点について取り組みを伺いたいと思います。
○中村臨海開発部長 臨海副都心は、開発当初よりその基本方針として、バリアフリーのまちづくりを推進しており、現在の基準を満たさなくなった箇所や老朽化した箇所についても、計画的な改修工事を実施しております。
また、東京大会では、国内外から多くのお客様が臨海副都心に来訪することとなるため、まちの民間事業者などと連携し、バリアフリー化を初め、多言語対応やキャッシュレス化など、多様な来訪者の受け入れ環境整備をさらに進め、大会後の快適なまちづくりにつなげてまいります。
○長橋委員 多くの外国人も訪れるということであります。
先日は臨海地域にある英語村、TOKYO GLOBAL GATEWAYというんですかね、英語だけの世界ということが売りであろうかと思います。私も行ってまいりました。
まさにそうした英語村のような、語学に特化したものがこの東京の中にあって、臨海地域にある、これも大変重要なことだろうと思っております。
そこで次に、東京湾の水質改善、東京港の水質改善ですね、これについて伺いたいと思います。
東京港が含まれる東京湾、かつては江戸前の魚介類を育む豊饒な海であったと聞いているわけであります。
しかし、戦後の高度経済成長に伴い、急激に都市化が進展し、多量の生活排水、工場排水が流れ込むことで富栄養化が進むなど水質は悪化の一途をたどってきたわけであります。
ところが現在では、下水道の整備や排水の総量規制などが強化されたことにより、東京湾の水質はかなり改善されているというところであります。その一方で、いまだに赤潮等が発生する等、さらなる水質改善は必要だといわれているわけであります。
この水質改善をさらに進め、海の再生を図ると。国は、平成十四年二月に七省庁及び東京湾周辺の九つの自治体から構成される東京湾再生推進会議を設置して、東京湾全体の環境改善に向けた取り組みを行っているというふうに聞いております。
この再生会議にもちろん、東京都からは港湾局がメンバーとして参加をしているわけであります。
再生会議の目標として、快適に水遊びができて、江戸前を初め多くの生き物が生息できる親しみやすい美しい海を取り戻すとなっているわけであります。
東京港を抱える東京都としても、臨海部の水質改善を考えるときに東京湾全体で取り組んでいくことも大切であると考えますが、まずは都としての取り組みをしっかりと行っていただきたいと思いますが、そこで、港湾局が取り組む水質改善に向けた東京港の取り組みについて伺いたいと思います。
○山岡港湾整備部長 港湾局では、美しく快適な水辺を再生して豊かな自然環境と共生する水辺空間を創出することを目指し、環境に配慮した取り組みを進めてまいりました。
具体的には、運河部において水質悪化の原因となる汚泥のしゅんせつを行うとともに、沿岸の海域では自然浄化能力の回復を図るため、浅場や干潟など、水生生物が生息しやすい場の整備を進めております。
これまで、葛西海浜公園での干潟の再生や、芝浦アイランドでの護岸改修に合わせたいそ場等の整備に取り組み、その結果、近年ではカニやハゼなどの多様な生物の生息が確認されるようになっております。
こうした取り組みにつきましては、東京湾再生推進会議において報告するとともに、再生会議の取り組みの一つであるイベント、東京湾大感謝祭において、広く都民に対して水質改善などに関するPRを行っているところでございます。
○長橋委員 港湾局では、汚泥のしゅんせつ、また、水生生物が生息しやすい場を整備をしていこう、こういうことでありますし、東京湾再生推進会議では、東京湾大感謝祭、これにも参画をして広くアピールをしていると。
私、この前に、東京湾大感謝祭、イベントを見せてもらったんですけど、ぜひ行ってみたいなと思ったところであります。ことしはオンラインだったので参加できなかったんだろうと思います。
まさにこの水辺の再生が進んでいると、水質改善が進んでいるということはわかったわけであります。
葛西海浜公園では夏に海水浴イベントが開催されると。芝浦アイランドのいそ場では小学生の環境学習の場として利用されていると、成果があるわけでありますが、私のイメージだと、先ほどいったとおり港湾局は初めてなんですけれども、随分前に行きましたけど、まさか海水浴ができるなんていうふうには思わなかったわけでありまして、相当な努力があったんだろうと思うわけであります。
来年七月には東京二〇二〇大会が開催され、お台場海浜公園でトライアスロン、それからマラソンスイミングの会場となっていると。その水質については、昨年特に話題になりましたね。高い関心が寄せられましたし、心配の声も当然あったわけであります。
私のところには、バイオを使って浄化してはどうか、そういう声もあったわけでありますが、広い東京湾、東京港、バイオを使ってといってもなかなか難しいんじゃないかというふうに思うんですけれども、そうした取り組みがほかの地域では成果が上がっているというようなことを聞いたものですから、既にお話は聞いているかと思いますけれども、検討に値するのかなと思ったわけでございます。
そこで、オリ・パラ局と大会組織委員会では、オリンピックの開会期間中において、公園内の水域に水中スクリーンを設置して、競技に必要な水質を高めていると。まさにスクリーンを張って、このお台場の水質をきれいにしようということであります。
また、その水質改善については、もちろんオリ・パラ準備局が取りまとめを行っているわけでありますけれども、そこには港湾局、さらには下水道局や都市整備局、環境局、建設局が一体となって取り組んでいると、このように聞いているわけでありますけれども、そこで、このお台場海浜公園の水質改善について、港湾局としてどのような取り組みをされているのか伺いたいと思います。
○山岡港湾整備部長 お台場海浜公園では、競技会場の海底を良質な砂で広く覆う覆砂工事を昨年からことしの七月にかけて行ってきたところでございます。
これは、水質の浄化機能を持つアサリなどの二枚貝やゴカイ類の生息環境を創出し水質改善を図ることを目的としたものであり、覆砂には、神津島の三浦漁港の工事で発生した白砂を有効活用いたしました。
生物相の回復には一定の時間を要することから、今後、モニタリング調査を通じまして、覆砂による生物生息環境の回復状況を確認してまいります。
○長橋委員 港湾局では覆砂工事をやると。砂を持ってきて、白砂、これが何と神津島の三浦漁港から白砂を持ってきて、そこに覆砂をしているということであります。それによって、生物生息の環境の回復を目指していくということであります。
これは短期間でできるものではないので、引き続きこういうことができるのは港湾局だろうと思いますので、取り組んでいただきたいと思っております。
そこで、先ほども菅野副委員長が、港区選出なので大変恐縮なんですけれども、このお台場、次のオリンピックは二〇二四年に行われるパリ大会であります。
パリ五輪でも同じように、このお台場と同じように、トライアスロンの水泳とマラソンスイミングがセーヌ川で行われると、こういうことでございまして、皆さんもご存じですし、菅野先生にはもうあれですけれども−−お台場の自由の女神像が立っているわけでありまして、これはパリ市公認の複製像であるということでありまして、そういう意味では、東京都と次回開催地であるパリ市とは、非常に縁がある、そういうふうに思うわけでありまして、そんな中で、もう既に港区とパリ市とは意見交換を行って、もう見ましたけれども、協定も結んでいるということでございます。港区とパリ市では、オリンピックや環境等について協定を結んだと。
一方で、東京都もパリ市と意見交換、そして合意書を作成している、このように聞いたわけでありまして、当然、東京都庁にパリ市が来られて合意をしたわけでありますけれども、そこには、オリンピック・パラリンピック準備局と東京の各局も呼ばれたやに聞いているわけであります。お伺いすると、港湾局はパリ市が来たときにはいなかったんですかね、呼ばれなかったのかどうか知りませんけれども。
そういう意味では、東京大会においても多くの競技会場がある臨海地域でありますので、今後、東京大会をぜひとも成功させて、次回のパリ大会に向けて、やはりこの港湾局とも、オリ・パラ準備局と連携とって、パリ市の成功に向けても、港湾局の力を発揮していただければと思うところでございます。
そこで、多くのオリンピック会場が海上公園にあるわけであります。この海上公園というのはお伺いすると、誕生からもう五十年が経過している。当初は、ふ頭で働く人々や関係者など憩いの場として整備をされてきた。しかし、東京港の周辺地域がご案内のとおり市街化する中で、多くの利用者が訪れるようになって、その性格は変わりつつあるわけであります。
お台場海浜公園などでは、海外からやってくる方も多く見られますし、観光やレジャーの場としても本当に人気が高まってきているわけであります。
そこで、東京二〇二〇大会の会場に位置づけられた海上公園には、大会後も多くの方が訪れる施設になるんだと思います。これまで以上に魅力的で利便性の高い公園になるよう整備をしていくべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○中村臨海開発部長 東京二〇二〇大会では、トライアスロン等の会場となるお台場海浜公園を初め、ホッケー会場となる大井ふ頭中央海浜公園、水泳競技の行われる辰巳の森海浜公園など、多くの海上公園が競技会場に位置づけられております。
これらの公園については、競技施設の整備に合わせ、駅から競技施設までの動線となる園路について歩きやすくするよう拡幅したり、トイレや休憩舎を美しく快適な施設に建てかえるなど、公園施設全体について大規模なリニューアルを実施しており、現時点で、大会までに必要な整備は完了しております。
今後、大会終了後も大会レガシーを継承する場として、海上公園の魅力を効果的にPRするとともに、引き続き多くの人々が水辺の風景や緑を楽しみながら憩える空間となるよう整備を進めてまいります。
○長橋委員 大会終了後も大会レガシーを継承する場として取り組んでいくということであります。
今ご答弁では、トライアスロンだとかホッケーだとか、こういうオリンピックの競技種目がご紹介あったわけでありますけれども、一体どれぐらいの競技種目があるのかということでお伺いしようと思ったんですけれども、事前に教えてくれましたので聞きましたら、海上公園の六つの中にオリンピック競技が、今いったホッケーだとかだけじゃなくて、テニスだとかボートだとか、もちろんトライアスロンもありますけど、バスケットボールの会場もある。パラリンピックの会場も五種目ある。こういうことでありますから、そう考えると、本当に大会後は、レガシーを継承する場というのがこれだけ多くあるわけであります。
私は地元豊島区なので、オリンピック競技会場、全くないわけなのであります。
いろんな思いがあって、大会後、さまざまな選手やまた、東京都民の皆さん方が、全国の皆さん方が臨海地域を、レガシーの場として再び訪れることがあるんだろうと思うわけであります。
地元豊島区は全く競技会場ないんで、ちょっと調べましたら、実は昭和三十九年の、前回のオリンピックのレガシーがあるんですね。それがオリンピックの、国立競技場に世界の国旗がたなびいていたポールがあるんですね。知っている方、一人いるかと思いますけどね。
そういう意味では、地元では、前回の昭和三十九年のオリンピックで使われたポールを目白駅の駅前に持ってきて、ちゃんと書いてあるんですね、そういうことが。
地元のそうした目白駅を中心とする、美化同好会というんですけれども、そこが大切にして、来年のオリンピックに向けて豊島でも機運を盛り上げていこう、こういう取り組みがされているわけなのでご紹介をしておきたいと思います。
それで、最後、東京港の水質改善、海上公園の整備について伺ってきたわけでありますが、二〇二〇大会後も引き続き、今いった取り組みを進めていただいて、さらに東京湾の環境改善に資する取り組みをぜひとも進めていただきたい。
まさにレガシーの場となるわけでありますから、取り組みを進めていただきたいと思いますけれども、東京港の環境改善に向けた取り組みについて伺いたいと思います。
○山岡港湾整備部長 都はこれまで、第八次改訂港湾計画に基づき、世界をリードする環境先進港湾として良質な環境形成に向けた緑地整備、自然環境再生の推進等に取り組んでまいりました。
環境と調和のとれた東京港の整備は、引き続き大変重要な課題であると認識しておりまして、今後、次期改訂港湾計画の指針となる長期構想を策定していく中で、長期的な視点に立って検討を進めてまいります。
○長橋委員 この海上公園を含めた臨海地域、このオリンピックを機に大きく状況変化することは間違いないんだと思うわけであります。ぜひ、開発が進む中で、本当に臨海部の魅力が高まるよう計画をつくるっていっているわけでありますけれども、さらに練っていただいて、東京一の魅力ある場所につくり上げていただきたいとお願いして、質問を終わります。ありがとうございました。
○尾崎委員 私の方からは、最初、調布飛行場について質問したいと思います。
調布飛行場を飛び立った自家用機が住宅街に墜落し、三人が亡くなった事故から五年がたちました。
日本共産党都議団は事故直後から、安全性の問題から、住宅街に飛行場があることそのものが問題であり、とりわけ自家用機については急いで移転することを要望してきました。
自家用機の分散移転を積極的に推進するための東京都調布飛行場自家用機分散移転推進検討会を設置していますが、この間の検討会の開催状況について伺います。
○高野島しょ・小笠原空港整備担当部長 都は、調布飛行場の自家用機の分散移転の取り組みを推進するため、都と自家用機の所有者等で構成される東京都調布飛行場自家用機分散移転推進検討会を平成三十年七月に設置し、これまで六回開催しております。
○尾崎委員 六回、この間開催しているということですが、ことしは十月二十一日に開催し、工事の進捗状況などについても報告したことも伺っています。
調布飛行場の自家用機分散移転にかかわる、都営大島空港での自家用機の常駐に必要な格納庫等の整備費を計上していますけれども、予算額と進捗状況について伺います。
○高野島しょ・小笠原空港整備担当部長 調布飛行場の自家用機分散移転に係る今年度の予算額は約六億四千万円となっておりまして、都営大島空港におきまして、自家用機の常駐に必要な格納庫等の整備について設計、工事を進めております。
○尾崎委員 工事を進めているということですので、一日でも早い完成と、全ての自家用機の移転がスムーズに進むことを希望するものです。
次に、IR、カジノについて伺いたいと思います。
東京都はこの間、IR、カジノについて毎年調査を行っています。二〇一九年度の調査は、一千万円の予算で、みずほ総合研究所株式会社に委託しました。過去の調査では、海外のIR、カジノ施設について調査しています。二〇一九年度の調査では、特定複合観光施設等に関する調査を行っています。
国内のギャンブル等依存症に関する調査は、都として初めてだと思いますが、具体的にどのような調査を行ったのか伺います。
○若林調整担当部長 昨年度は、ギャンブル等依存症に関しまして、国内における実態のほか、国、自治体、民間団体等による依存症対策への取り組みの調査やこれらを踏まえた課題整理を行いました。
○尾崎委員 国内におけるギャンブルの実態と依存症対策の取り組みを調査したとのことですけれども、現在、日本では競馬、競輪、モーターボートの競走、オートレース、パチンコがあります。それぞれの施設がどうなっているか、利用者数の推移、売り上げの推移などもグラフになって掲載されています。
私は、これだけの調査では不十分だなと感じました。私は、これらの推移を見ながら、テレビなどのCMやポスターにどのくらいのお金を費やしているのか。
特に若者に人気のある俳優や女優、タレントを起用して、親しみやすい、楽しいというイメージを植えつけようとしていることが問題だと思います。ギャンブルにのめり込み、お金をつぎ込むギャンブルのデメリットについては国民に知らせない、今のやり方に疑問を感じています。
しかも、サラ金のCMは、住民運動があり、テレビも自粛し、以前は深夜番組だけの時期がありましたが、今は朝から深夜まで流れっ放しで、簡単に借りられるというイメージを垂れ流ししています。
日本のパチンコやスロットなどのギャンブル用電子ゲーム機の設置台数は、四百五十九万台で世界一です。世界の二位はアメリカで八十八万台、三位はイタリアの四十一万台、四位はドイツの二十六万台、五位はスペインの二十四万台です。世界のギャンブル用電子ゲーム機の六割が日本に設置されているのです。
しかも、世界のカジノゲーミング市場の規模は、北米が一位で七兆一千八百五十八億円、二位がマカオで四兆五千億円、三位が日本で三兆六千三百億円、四位が欧州で七千五百億円、五位がシンガポールで六千億円です。カジノがない日本で、パチンコやパチスロなどの市場規模が世界で三位という異常な状況だといわなければなりません。
そこで伺いますが、国内のギャンブル等依存症に関する調査で、何が明らかになりましたか。
○若林調整担当部長 依存症対策につきまして、自治体における取り組みとして、独自の回復トレーニングプログラムの開発や家族向けの支援などの取り組みが行われている事例が確認できました。
また、民間団体の活動事例として、家族会などの自助組織の設置、回復支援施設の運営などのほか、業界団体の取り組みとして、普及啓発、相談窓口の設置などがあることが確認できました。
○尾崎委員 島根県や長野県、山梨県、埼玉県の取り組みを紹介したり、パチンコ業界などの取り組みも紹介していました。
ギャンブル依存症問題に関するセミナーや啓発活動、ギャマノンの取り組みも紹介していますが、ただ載せているとしか伝わってきませんでした。私は何か違和感を感じました。
私は、東京都はじゃあ何をしているのかと思い、インターネットで調べました。二〇一九年十月号「こころの健康だより」は、ギャンブル等依存症の特集をしていることを見つけました。
これは東京都立中部総合精神保健福祉センターが発行しているもので、独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター副院長の松下幸生さんが、ギャンブル障害の現状、治療、課題について、そして、東京都立中部総合精神保健福祉センター副所長で精神科医の菅原誠さんが、東京都依存相談拠点におけるギャンブル等依存症への取り組み、そして行政書士の方、浦和まほろ相談室の代表の方、ギャンブル依存症本人の手記が掲載されていて、読んでいて心が揺さぶられる思いがしました。
ギャンブル依存症本人の手記には、二十四歳から本格的に始めた競馬。軍資金がなくなるとサラ金から借りて、気がつけば借金は七百万円を超えていた。取引先からの小切手を現金化してサラ金に返済し、会社に発覚したときには千二百万円横領していた。このとき母親がお金を会社に支払い、会社は依願退職。次の会社でも、会社のお金を二十四万円使い込み、会社に発覚。今度は警察沙汰になり、留置場に入り、自宅を追い出された。今はギャンブル依存者の施設から、これは自助グループですが、ギャマノンに通っているということです。
この人は、ギャンブルをやめてしばらくすると、自分の頭の中はギャンブルと借金に支配されていたことが理解できた。そんなギャンブル依存症真っただ中の自分より今の自分の方が好きですし、何よりも楽です。自分自身は仲間の中で続けられてよかったと心から思っています。そして、これからギャマノンと仲間の中で回復したいと思っていますとつづっています。
しかし、ギャンブル依存症は完治するものではありません。国内のギャンブル依存症等の実態はどうなっていますか。
○若林調整担当部長 国立病院機構久里浜医療センターが、二〇一七年度に実施した疫学調査によりますと、過去一年以内にギャンブルした者のうち依存症が疑われる者の割合は、成人の〇・八%と推計されるとしております。
○尾崎委員 成人の〇・八%と推計されるということですから、人口換算で全国で約三百二十万人に相当するということです。
二〇一三年度には、アルコールの有害使用に係る実態調査に付随して実施した調査では、生涯を通じたギャンブル経験を評価した場合の割合は、四・八%と推計され、人口換算で全国で約五百三十六万人に相当するということも書かれていました。
ギャンブル依存症は病気ですが、すぐに本人が病気だと自覚できるものではありません。一体どのぐらいの方がギャンブル等依存症になっているかわかりません。だからこそ対策が難しいのだと思います。
日本にはまだカジノはありません。それでも全国で約三百二十万人の方々、そしてその家族の苦しみを考えるなら、これ以上国民を苦しめるようなギャンブル施設、カジノが必要なのかどうか、都は真剣に考えるべきです。私は、都が本気で取り組むべきことは、今ギャンブル依存症で苦しんでいる人や家族に対する支援を強め、更生施設の運営に頑張っている団体に支援することこそ必要だと思います。
では、昨年の調査で明らかにした国内にIRを想定したギャンブル等依存症対策の課題は何ですか。
○若林調整担当部長 いわゆるIR整備法におきましては、ギャンブル等依存症防止のため、入場回数の制限、広告、勧誘規制などの取り組みが規定されております。
また、国は、ギャンブル等依存症対策推進基本計画を策定するとともに、都道府県においても医療体制の整備など必要な施策を講じることとされております。
○尾崎委員 賭博は法律で禁じられています。カジノも賭博ですが、国のIR整備法のもとで例外とするものです。
日本のギャンブル等依存症は、カジノが設置されれば、ますます増加していくことははっきりしています。都民の税金を投入してカジノをつくり、ギャンブル等依存症の患者をふやし、また都民の税金でギャンブル等依存症対策、医療体制の整備などを講じていくということは、税金の無駄遣いだと厳しく指摘しなければなりません。
この間、毎年、IR、カジノについての調査を実施しています。
都は、メリット、デメリットについて総合的に検討していくと繰り返していますが、国内のギャンブル等依存症に関する調査の結果で明らかになったメリット、デメリットについて伺います。
○若林調整担当部長 IRにつきましては、日本の経済成長や国際競争力を高める観光拠点として期待される一方で、ギャンブル等依存症などの懸念の声があると認識をしております。
なお、ギャンブル等依存症につきましては、昨年度の委託調査において、さらなる普及啓発の展開、プレーヤーの自己抑制の促進や、依存症の早期発見などが課題とされております。
○尾崎委員 私は最大のギャンブル等依存症対策は、ギャンブルの施設をなくすことだと思います。先ほども述べましたが、現在の競馬、競艇、パチンコなどのテレビコマーシャルは中止すること。きちんとデメリットであるギャンブル依存症の実態も明らかにすること、そして、日本にカジノをつくらないことです。
カジノは、世界的に見ると飽和状態だといわれます。アメリカでは、トランプ氏の運営会社を含めてカジノの倒産がふえています。マカオやシンガポールでも売り上げは減少しています。その上、ことしは新型コロナ感染症の影響があります。
そこで伺いますが、新型コロナウイルス感染症の拡大の中、世界のカジノ企業は感染拡大防止策により営業が困難になっています。カジノ市場を取り巻く新型コロナの影響はどうなっていますか。
○若林調整担当部長 この間、さまざまな報道に接しておりまして、その中では、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、海外のIR施設では施設の休止等により利用客が大きく減少したこと、また、その後の感染状況等を踏まえ、従業員や利用客への感染対策や施設の消毒、人数制限等に取り組みながら、順次、施設再開の動きが見られることなどについて承知をしております。
○尾崎委員 マカオは、四月に海外からのお客様が来ない状況でした。アメリカも五月にカジノは閉鎖され、収入はゼロになっています。
世界最大のカジノ運営会社、アメリカのラスベガス・サンズは、日本での統合リゾート施設、IR事業ライセンス取得を断念したと報じられたのは五月です。順次、施設再開の動きが見られるということですが、フル稼働しても感染防止対策で、一テーブル三名、一ルーレット四名以下ということで、収入は半減し、専門家の方は、この状況は今後二年から三年は続くのではないかといっています。営業再開しても、V字回復は絶望的であることはっきりしています。
カジノは、典型的な三密だと思いますが、都の認識を伺います。
○若林調整担当部長 国は、IR整備に関する基本方針案におきまして、IR区域や施設に係る感染症対策を含む安全や健康、衛生の確保について、前提条件として新たに盛り込んだものと認識をしております。
○尾崎委員 菅首相になり、十月九日、IRの制度の細目を示す国の基本方針案の変更が発表されました。ご答弁があったように、コロナ感染症対策として、施設内で安全や健康、衛生が確保されることとしています。
ところが、カジノは二十四時間三百六十五日、多くのお客さんを詰め込んでギャンブル漬けにするのは、カジノです。典型的な三密空間です。諸外国で感染対策とカジノ事業の両立が不可能になっていることからも、実効性に欠けるものだといわなくてはなりません。
今年度予算には、大規模なMICE、統合型リゾート、IRの調査の金額が計上されていますけれども、幾ら計上されていますか。
○若林調整担当部長 今年度、特定複合観光施設に係る検討調査の費用としまして、約一千万円を計上しております。
○尾崎委員 それでは、今年度は、どのような調査を行うのですか。
○若林調整担当部長 今年度の委託内容につきましては、現在検討中でございます。
○尾崎委員 IRに係る調査費用は、約一千万円を計上していますけれども、委託内容については検討中ということです。世界的な新型コロナウイルスが大流行で、IR、カジノの事業可能性が失われている中で、IRにかかわる調査は中止すべきです。
今、コロナの終息の見通しもありません。コロナ禍で、インバウンド頼みは破綻しています。カジノに依存したMICE政策はやめるべきだと厳しく指摘をしておきます。カジノがなくてもMICEは成り立ちます。
私は最大の経済対策は、格差をなくしていくことだと思います。人の不幸に成り立つカジノはやめるべきです。カジノは格差をますます広げてしまいます。今後も新たな感染症が起こる可能性があります。
今年度、一千万円を使ってIRの調査を行うことは中止をして、その予算をコロナの影響を受けて困っている都民、中小企業への支援に回すことを提案して、質問を終わります。
○けいの委員 極力駆け足で努めさせていただきたいと思います。
通告しておりませんけれども、IRは、やるにしてもやらないにしても、調査検討を行わずに結論を出せるものではありませんので、どうか、やる、やらないという議論すら行われていない中で、国の事業だから東京都は我関せずではなくて、国が進めようとしたとしても、それがいいのか悪いのか調査をしておくべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○若林調整担当部長 IRにつきましては、日本の経済成長や国際競争力を高める拠点として期待される一方で、ギャンブル等依存症などの懸念の声があることは認識をしております。
都としては、IRのメリット、デメリットの両面から引き続き総合的に検討を行ってまいります。
○けいの委員 ありがとうございます。全ての可能性に対応できる東京都の体制をとっておいていただきたいと思います。
東京港における船舶の環境対策について伺います。
日々、数多く往来している船舶から、光化学スモッグを発生させる原因物質の一つである窒素酸化物、いわゆるNOxや、呼吸器疾患の原因物質である硫黄酸化物、いわゆるSOxといった大気汚染物質が排出されております。
これらの大気汚染物質は環境基準を超えるものではないということでございますけれども、東京港の近くには臨海副都心といった市街地が形成されております。多くの人々が住み、働き、さらには国内有数の観光地として多くの観光客を受け入れてきております。
我が党はこれまで、環境に配慮した東京港の実現に向け、港湾物流の機能は確保しつつ、船舶から排出される大気汚染物質を削減し、近接する市街地への環境負荷を低減させる取り組みを積極的に推進していくべきと主張してきましたが、都がこれまで実施してきた船舶の環境対策についてお伺いします。
○戸井崎港湾経営部長 都は、環境に配慮した船舶の入港を促進することを目的といたしまして、平成二十七年四月から、日本で初めて、船舶の環境対策を評価する国際的な仕組みでございますESI、こちらに参加をいたしまして、環境船舶指標を活用したインセンティブ制度を導入してまいりました。
ESIは、海外の認証機関が船舶に対しましてESIポイントという評価値を付与する仕組みでございまして、例えば排出ガスを抑制する高機能エンジンを搭載するといった環境対策に応じてポイントを付与するものでございます。都はその船舶が取得したESIポイントに応じて入港料を減免しております。
平成三十年四月からは、インセンティブ制度の対象を外航船のみならず内航船にも拡大し、排出ガス対策の取り組みを強化してまいりました。
○けいの委員 東京港では、国内他港に先駆けて、ESIという国際的な枠組みによる環境対策を日本で最初に取り入れました。さらにその対象を内航船に拡大するなど、制度の拡充に取り組んできたということでありました。そのESIポイントに基づくインセンティブ制度を導入してから五年が経過しました。
インセンティブ制度の導入により、ESIポイントを取得している船舶はどの程度ふえたのかお伺いします。
○戸井崎港湾経営部長 ESIポイントに基づくインセンティブ制度を導入した結果、入港料の減免対象となるポイントを取得している外航船は、制度導入直後の平成二十七年度は外航船入港隻数全体の約二一%でございましたが、令和元年度は約二八%へと増加いたしました。
内航船につきましては、インセンティブ制度の対象とした平成三十年度からまだ間もないこともございまして、内航船入港隻数全体の約四%で推移しております。
○けいの委員 ありがとうございます。
車でいうエコカー減税のように車の買いかえを促進する制度にもなりますけれども、船舶の入れかえというのは車のように容易ではありません。いち早くインセンティブ制度を導入して、外航船を中心に着実に環境に配慮した船舶の入港が増加しているということであります。
東京港に入港する船舶から排出される大気汚染物質は、具体的にこれによってどの程度削減されたのかお伺いします。
○戸井崎港湾経営部長 東京港に入港する船舶から排出される大気汚染物質の削減につきましては、環境に配慮した船舶の入港が増加しましたことに加え、令和元年からSOx排出にかかわる国際的な環境規制が強化されましたこともあり、着実に進展しております。
NOx、SOxの具体的な削減状況につきましては、詳細な調査を行いました平成二十二年度の排出量を基準に比較することとしておりまして、令和元年度の推計排出量は、平成二十二年度比でNOxは約一七%、SOxは約三七%削減されるなど、いずれも過去最高の削減率を記録いたしました。
○けいの委員 制度の導入が効果を発揮して、着実に大気汚染物質の削減が進んでいるということをまずは評価したいと思います。
一方で、改めて世界の海運の動向に目を向けると、これまで主流であった重油を燃料とする船舶にかわり、水素、アンモニアやLNGなど、排出ガスのよりクリーンな燃料を使用した船舶が今後ふえていくということが予想されております。
東京港においても、環境に配慮した港の実現に向けて、船舶の環境対策の手綱を緩めることなく、世界の潮流を踏まえた取り組みを進めていくべきではないかというふうに思います。
国際海運の動向を踏まえ、排出ガスのよりクリーンな燃料を使用した船舶の入港を促進するなどの環境対策の取り組みを進めていくべきと考えますが、見解を求めます。
○戸井崎港湾経営部長 環境に配慮しました東京港を実現していくためには、排出ガスのよりクリーンな燃料を使用した船舶の入港を促進していくことが重要であると認識しております。
主流である重油にかわる船舶燃料といたしましては、現在、LNGが環境への負荷が小さく、また供給インフラの整備状況や航続距離などの面で最も実用性が高いとされております。
近年、欧州等ではLNGを燃料とした超大型コンテナ船やクルーズ客船が既に運航を開始しておりまして、今後LNG燃料船の投入がさらに拡大する見込みでございます。
そのために、LNG燃料船の東京港への寄港を促進する取り組みを検討するなど、国際海運の動向を踏まえた環境対策をさらに推進してまいります。
○けいの委員 ありがとうございました。今後も先進的な環境対策を実施して、さらに大気環境改善を進めていくことを期待します。
続いて、島しょ地域の港湾整備についてお伺いします。
省略しながらお話しさせていただきます。島民の往来や生活物資の輸送が滞らないように、定期船の就航率を高めていかなければなりません。
伊豆諸島、大島、三宅島、八丈島などでは、おおむね九〇%、就航率をこれまでの努力によって確保されているということですけれども、先ほども出ておりました小離島、利島や御蔵島、青ヶ島等々、さまざまな気象、海象条件、厳しい中で工事にも時間がかかると思います。就航率が上がっていくように、島ごとの特性も踏まえて整備を推進していただきたいというふうにお願いします。
また、伊豆諸島は火山帯に属しており、特に大島や三宅島では、噴火活動が周期的に起こっております。
昭和六十一年の大島三原山の噴火や平成十二年の三宅島雄山の噴火において、全島避難となるなど、過去の噴火時に、多数の島民が船で島外へ、島の外へ避難することとなりました。
こうしたときに、港の状況により接岸できないという事態が続けば、島民が避難できずに噴火の危険にさらされ、大変なことになります。
噴火時の島外避難に備え、それぞれの港が必要なときに利用できるよう整備しておくことが重要と考えます。見解を求めます。
○片寄離島港湾部長 伊豆諸島の港湾及び漁港は、火山が噴火した際、島民の避難に使用される施設として、重要な役割を担っております。
港の整備に当たりましては、港から安全に避難できるよう、各島の地形などに応じた対応が必要でございます。
例えば、大島及び三宅島では、避難経路となる外周道路が、火山の周囲に位置することから、噴火に伴う溶岩流や土石流により分断されることも予想されます。
このため、火山噴火時に、集落に近い港から島外へ避難できるよう、定期船が就航する主な港に加え、大島波浮港や三宅島伊ヶ谷漁港等においても、静穏度を高める防波堤や避難車両用の駐車場などの整備を進めてまいります。
○けいの委員 噴火への備えも進めていただいているということで、有事の際、確実に利用できるよう、引き続き取り組みをお願いいたします。
次に、津波への対策についてであります。
伊豆諸島では、南海トラフ地震など、大規模地震が発生したときに、大きな津波が短時間で到達することが予想されます。多くの島民や観光客が集う港においても、安全な高台まで速やかに逃げられるのか、ここが心配でございます。
そこで、島しょ地域の港における、津波避難施設の整備状況についてお伺いします。
○片寄離島港湾部長 島しょ地域の港湾及び漁港のうち、津波到達までに安全な高台への避難が困難な四島九港を対象とし、現地の状況に応じて、津波避難施設の整備を行っているところでございます。
高台まで距離がある港では、避難タワーを整備することとしており、大島岡田港と新島港で整備が完了し、神津島港で整備に向け取り組んでおります。
背後が高台になっている港では、高台へとつながる斜面に階段を設置することとしており、神津島三浦漁港で整備が完了し、新島若郷漁港で整備を進めております。
その他の港では、高台までの避難通路等の整備を行うこととしており、二港が完了し、今年度、残り二港の整備を実施する予定でございます。
全施設の完成に向けて、引き続き取り組みを進めてまいります。
○けいの委員 ありがとうございました。整備が着実に進んで、完成している施設もふえているというご報告でした。
直近では、新島港の避難タワーが七月に完成して、十月に見学会が開かれたということであります。こうした津波避難施設ができたことで、万が一のときに、とうとい人命を救うことになります。日ごろから避難訓練を実施するなど、スムーズに避難ができるように取り組むなど、防災意識の向上にも役立てていただきたいと思います。
残りの施設についても、早期に完成するよう整備を進めていただきたい。
島しょ地域には、日ごろの厳しい気象、海象に加え、噴火や津波など、さまざまな自然災害のリスクもあり大変でございますが、あらゆる状況においても、港が重要な役割を果たし、島民生活や経済活動が維持できるよう、引き続き着実に取り組んでいただくことを要望して、質問を終わります。
○菅原委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○菅原委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で港湾局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後八時五十分散会
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