経済・港湾委員会速記録第十九号

令和元年十一月二十八日(木曜日)
第八委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長両角みのる君
副委員長山崎 一輝君
副委員長中山 信行君
理事森澤 恭子君
理事尾崎あや子君
理事小山くにひこ君
白戸 太朗君
栗下 善行君
高橋 信博君
まつば多美子君
藤井  一君
おじま紘平君
三宅 茂樹君
あぜ上三和子君

欠席委員 なし

出席説明員
産業労働局局長村松 明典君
総務部長坂本 雅彦君
産業企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長成長戦略担当部長兼務武田 康弘君
商工部長土村 武史君
金融部長加藤  仁君
金融支援担当部長井上  卓君
観光部長松本 明子君
観光振興担当部長鈴木 誠司君
農林水産部長上林山 隆君
安全安心・地産地消推進担当部長龍野  功君
雇用就業部長篠原 敏幸君
事業推進担当部長村西 紀章君
中央卸売市場市場長黒沼  靖君
管理部長豊洲市場活性化担当部長兼務福崎 宏志君
事業部長長嶺 浩子君
企画担当部長猪倉 雅生君
渉外調整担当部長豊洲にぎわい担当部長兼務石井 浩二君
豊洲市場総合調整担当部長豊洲市場活性化担当部長兼務西坂 啓之君
豊洲市場連絡調整担当部長堀   真君
市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務松田 健次君
財政調整担当部長猪口 太一君
移転支援担当部長赤木 宏行君
施設担当部長渡辺 正信君
環境改善担当部長佐々木宏章君
港湾局局長古谷ひろみ君
技監原   浩君
総務部長梅村 拓洋君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長調整担当部長兼務深井  稔君
港湾経営部長相田 佳子君
港湾振興担当部長戸谷 泰之君
臨海開発部長中村 昌明君
開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務鈴木  理君
臨海副都心まちづくり推進担当部長矢部 信栄君
臨海副都心開発調整担当部長高角 和道君
港湾整備部長山岡 達也君
計画調整担当部長和田 匡央君
離島港湾部長片寄 光彦君
島しょ・小笠原空港整備担当部長松本 達也君

本日の会議に付した事件
港湾局関係
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・令和元年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、繰越明許費 港湾局所管分
・東京都立若洲海浜公園の指定管理者の指定について
中央卸売市場関係
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・東京都中央卸売市場条例の一部を改正する条例
・東京都地方卸売市場条例の一部を改正する条例
報告事項(説明)
・千客万来施設事業等について
産業労働局関係
事務事業について(質疑)
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・令和元年度東京都一般会計補正予算(第一号)中、歳出、債務負担行為 産業労働局所管分
・都民の就労の支援に係る施策の推進とソーシャルファームの創設の促進に関する条例

○両角委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 初めに、本委員会の会期中の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせをしましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、産業労働局関係の事務事業に対する質疑並びに港湾局、中央卸売市場及び産業労働局関係の第四回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取並びに中央卸売市場関係の報告事項の聴取を行います。
 なお、本日は、事務事業については、資料の説明を徴収した後、質疑を終了まで行い、提出予定案件及び報告事項については、説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いますので、ご了承願います。
 これより港湾局関係に入ります。
 第四回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○古谷港湾局長 令和元年第四回東京都議会定例会に提出を予定しております当局所管の案件の概要につきましてご説明を申し上げます。
 今回提出を予定しております案件は、予算案が一件、事件案が一件でございます。
 まず、予算案につきましてご説明申し上げます。
 お手元の資料1、令和元年度一般会計補正予算説明書に内容を記載してございます。
 この補正予算案は、東京二〇二〇大会成功に向けた追加対策として、大会期間中の交通混雑緩和に資する取り組みに一億三千五百万円を計上してございます。
 また、台風被害に対する迅速な対応といたしまして、台風十五号及び十九号により被災いたしました港湾施設等の復旧に五億六千万円を計上してございます。
 ご説明いたしました事業の実施に当たり、今回提出いたします補正予算案の規模は、港湾局全体で六億九千五百万円でございます。
 次に、事件案につきましてご説明申し上げます。
 お手元の資料2、令和元年第四回東京都議会定例会事件案に内容を記載してございます。
 表紙をおめくりいただきまして、目次に記載のとおり、東京都立若洲海浜公園の指定管理者の指定についての一件でございます。
 以上で第四回定例会提出予定案件の概要説明を終わらせていただきます。
 詳細につきましては、総務部長からご説明申し上げます。よろしくご審議賜りますようお願い申し上げます。

○梅村総務部長 ただいまの局長の概要説明に続きまして、提出案件の詳細につきましてご説明を申し上げます。
 初めに、令和元年度補正予算案につきまして、お手元に配布の資料1、令和元年度一般会計補正予算説明書によりご説明申し上げます。
 一ページをお開き願います。総括表でございます。
 今回の補正予算案に計上しておりますのは、1、東京港整備事業及び2、島しょ等港湾整備事業でございまして、補正予算額の合計は、最下段に記載のとおり、六億九千五百万円でございます。
 なお、その財源につきましては、国庫支出金及び一般財源でございます。
 恐れ入ります、五ページをお開き願います。歳入の内訳でございます。
 1、国庫支出金の補正予算額は、最上段にありますとおり、二億八千万円でございます。
 内容は、右側の説明欄に記載してございますとおり、災害復旧に係る国庫負担金でございます。
 以上、歳入の補正予算額合計は、最下段にありますとおり、二億八千万円でございます。
 恐れ入ります、九ページをお開き願います。歳出の内訳でございます。
 1、東京港整備事業のうち、1、港湾整備事業の補正予算額は一億三千五百万円でございます。財源につきましては、その下に記載をしております。
 内容につきましては、右側の説明欄に記載のとおり、城南島・大井一号線舗装補修でございます。
 その下、2、島しょ等港湾整備事業でございます。
 このうち、1、港湾整備事業の補正予算額は二千万円でございまして、財源はその下に記載しております。
 内容につきましては、右側の説明欄に記載のとおり、台風十五号により被災した新島港の船客待合所の復旧に要する経費でございます。
 一〇ページをお開き願います。2、漁港整備事業の補正予算額は一億九千万円でございまして、財源はその下に記載しております。
 内容につきましては、右側の説明欄に記載のとおり、台風十五号等により被災した漁港施設の復旧に要する経費でございます。
 その下、3、災害復旧事業でございます。
 補正予算額は三億五千万円でございまして、財源はその下に記載しております。
 内容につきましては、右側の説明欄に記載のとおり、三浦漁港の防波堤復旧など、台風十九号により被災した漁港施設の災害復旧に要する経費でございます。
 一一ページをごらんください。一般会計の歳出合計につきましては、最上段に記載のとおり、六億九千五百万円でございます。
 恐れ入ります、一五ページをお開き願います。繰越明許費でございます。
 災害に伴い、年度内に完了しない工事が見込まれますことから、繰越明許費の増額補正を行うものでございます。
 計上しておりますのは、中段にございます、2、島しょ等港湾整備事業でございまして、補正予算額は十一億七千万円でございます。
 以上で補正予算案の説明を終わらせていただきます。
 続きまして、事件案についてご説明を申し上げます。
 お手元の資料3、事件案の概要、東京都立若洲海浜公園の指定管理者の指定についてをごらんください。
 本件、指定管理者の指定につきましては、地方自治法第二百四十四条の二第三項の規定によりまして、公の施設の管理を行わせる者を指定するものでございます。
 1、対象施設でございますが、東京都立若洲海浜公園でございまして、東京都江東区若洲三丁目に位置し、面積は約七十九ヘクタール、主な施設は資料のとおりでございます。
 次に、2、候補者の名称ですが、若洲シーサイドパークグループでございます。
 次に、3、指定の期間ですが、令和二年四月一日から令和五年三月三十一日までの三年間でございます。
 次に、4、選定でございますが、選定方法は特命による選定でございます。
 選定の経緯でございますが、令和元年八月九日に若洲シーサイドパークグループに選定要項の通知を行いまして、同年九月十三日に同団体から事業計画書等の提出を受け、同年九月二十七日に外部委員と行政機関関係者で構成されました選定委員会における審査を経まして、指定管理者の候補者を決定しております。
 なお、同委員会におきまして、オリンピック・パラリンピック準備局が所管する若洲海浜公園ヨット訓練所につきましても合同で選定をしております。
 選定理由につきましては、資料に記載のとおりでございます。
 また、三ページに、参考といたしまして対象施設の位置図をお示ししております。
 以上で、簡単ではございますが、令和元年第四回定例会に提出を予定しております港湾局関係の案件の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議賜りますようお願い申し上げます。

○両角委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言願います。

○あぜ上委員 一点お願いします。
 若洲シーサイドパークグループの事業計画及び事業報告書をよろしくお願いします。

○両角委員長 ほかにございますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○両角委員長 あぜ上委員より資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○両角委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。
 以上で港湾局関係を終わります。

○両角委員長 これより中央卸売市場関係に入ります。
 初めに、第四回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○黒沼中央卸売市場長 令和元年第四回東京都議会定例会に提出を予定しております中央卸売市場の案件につきましてご説明を申し上げます。
 今回提出を予定しております案件は、東京都中央卸売市場条例の一部を改正する条例及び東京都地方卸売市場条例の一部を改正する条例の二件でございます。
 改正の内容でございますが、まず、東京都中央卸売市場条例につきましては、平成三十年六月に卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部が改正されたことを踏まえまして、産地や実需者の多様なニーズに的確に対応できる取引環境を整えるとともに、公正な取引環境や食の安全・安心を確保するため、取引参加者の遵守事項等の規定の整備を行うものでございます。
 次に、東京都地方卸売市場条例につきましては、同法の改正を踏まえつつ、都内の地方卸売市場の状況に鑑み、条例を存置し、所要の規定を整備するものでございます。
 以上をもちまして、令和元年第四回東京都議会定例会に提出を予定してございます案件の概要説明を終わらせていただきます。
 詳細につきましては、事業部長よりご説明をさせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○長嶺事業部長 それでは、条例改正案二件についてご説明申し上げます。
 お手元に配布してございます資料1の令和元年第四回東京都議会定例会条例案の概要でご説明申し上げます。
 一ページをお開き願います。第1、東京都中央卸売市場条例の一部を改正する条例でございます。
 1の改正の理由をごらんください。卸売市場法等の改正に伴い、卸売市場における取引規制に係る規定等を改める必要がございます。
 2の改正の趣旨をごらんください。卸売市場法の改正におきましては、卸売市場を取り巻く環境の変化を踏まえまして、生鮮食料品等流通の合理化と公正な取引環境の確保を促進することにより、生産者の所得向上と消費者ニーズへの的確な対応を図ることといたしました。
 こうした法改正の趣旨を踏まえるとともに、東京という大消費地において多種多様で豊かな消費生活や東京の食文化を支えてきた役割を、今後も着実に果たしていく観点からの改正が必要でございます。
 これらの役割を担っている市場事業者や産地、実需者がより一層の活力を持って取引に参加することができるよう、これまでの規制は緩和する一方、公正な取引を確保するための機能は引き続き維持することにより、集荷、分荷などの市場の機能を今後も十分に果たしつつ、時代の変化に即した多様なニーズに対応していくことが重要でございます。
 このため、産地や実需者の多様なニーズに的確に対応できる取引環境を整えるとともに、公正な取引環境や食の安全・安心を確保するため、取引参加者の遵守事項等の規定を整備するものでございます。
 次に、3の改正の概要をごらんください。まず、(1)、取引規制に係る改正の考え方でございます。
 ア、取引の活性化を図るための規制緩和ですが、産地や実需者の多様なニーズに柔軟かつ迅速に対応できるよう、基本的に規制は緩和することとしております。
 次に、イ、公正な取引環境の確保ですが、卸売業者等に取引の実績報告を義務づけ、都が取引の実態を把握するなど、適切な指導監督を行うための規定を整備いたします。
 続きまして、ウ、業務の効率化でございます。卸売業者や仲卸業者の業務の効率化等を図るため、事務手続を簡素化いたします。
 次に、エ、食の安全安心の確保ですが、食の安全・安心を確保するため、引き続き、品質衛生管理に係る措置を規定いたします。
 二ページをお開き願います。(2)、改正案の主な内容でございます。
 まず、ア、卸売市場の業務の方法では、開設者による卸売の数量及び価格等の公表、開設者による指導監督、売買取引の方法及び決済の方法等を規定いたします。
 次に、イ、取引参加者が当該卸売市場における業務に関し遵守すべき事項でございます。
 まず、(ア)、改正卸売市場法に定める遵守事項(共通ルール)では、公正かつ効率的な取引を行う売買取引の原則、卸売業者による売買取引の条件、結果等の公表、卸売業者の受託拒否の禁止等を規定いたします。
 次に、(イ)、改正卸売市場法に定める遵守事項以外の遵守事項(その他の取引ルール)では、第三者販売、商物分離取引、仲卸業者の直荷引きの規制を廃止するとともに、卸売業者や仲卸業者に対する当該取引の実績報告の義務づけ等を規定いたします。
 続きまして、ウ、その他の事項でございます。
 まず、(ア)、業務の許可の廃止ですが、仲卸業者や関連事業者の業務の許可を廃止し、市場施設の使用許可といたします。
 次に、(イ)、都と市場関係者の協議の場の存置ですが、卸売市場の適正かつ健全な運営を確保するため、業務の運営に関し必要な事項を調査審議する東京都中央卸売市場取引業務運営協議会等については存置いたします。
 最後に、4の施行年月日でございますが、改正の時期につきましては、改正卸売市場法の施行期日である令和二年六月二十一日を予定しております。
 続きまして、三ページをお開き願います。こちらは、改正案の構成とその概要について、一覧表でお示しをしたものでございます。
 第1章の総則から第7章の雑則まで、主な事項と改正案の概要について記載しております。
 次に、四ページをお開き願います。新旧対照表(概要)でございます。
 このページから八ページにかけまして、主要な項目について、現行規定と改正案を対比してお示ししております。
 第1章の総則では、開場の期日、市場休業日について、第2章の市場関係業者では、売買参加者の承認について、それぞれ記載してございます。
 第3章の売買取引、決済の方法等のうち、「卸売市場の業務の方法」については、四ページ下段から五ページにかけて、差別的取り扱いの禁止等の項目について記載してございます。
 続きまして、五ページ下段をごらんください。第3章、売買取引、決済の方法等のうち、取引参加者の遵守事項(共通ルール)について、売買取引の原則等の項目を六ページにかけて記載してございます。
 次に、六ページ下段をごらんください。第3章、売買取引、決済の方法等のうち、取引参加者の遵守事項(その他の取引ルール)について、第三者販売、商物分離、仲卸の直荷引き等の項目を八ページにかけて記載してございます。
 九ページをお開き願います。このページと次の一〇ページでは、他の条文で整理するものを含め、廃止規定について記載してございます。
 以上で、第1、東京都中央卸売市場条例の一部を改正する条例についての説明を終わらせていただきます。
 続きまして、一一ページをお開き願います。第2、東京都地方卸売市場条例の一部を改正する条例でございます。
 1の改正の理由をごらんください。卸売市場法等の改正に伴い、地方卸売市場における業務についての規制に係る規定等を改める必要がございます。
 2の改正の趣旨をごらんください。卸売市場法の改正においては、地方卸売市場について、都道府県知事が認定することとしましたが、認定等について、また、従前規定されていた都道府県知事の許可及び取引に関する規定等についての都道府県条例への委任が廃止されました。
 一方で、都内の地方卸売市場の状況を見ますと、民間事業者が開設者としてみずから業務規程を定めて市場を運営しており、都が開設者として運営している中央卸売市場とネットワークを形成し、生鮮食料品等を円滑かつ安定的に都民へ供給する重要な役割を担っております。
 こうしたことから、引き続き、都が取引の実態を把握し、指導監督を行うなど、地方卸売市場の適正かつ健全な運営を確保する必要があることから、条例を存置し所要の規定を整備するものでございます。
 次に、3の改正の概要をごらんください。地方卸売市場の開設の許可、卸売の業務の許可、取引に関する規定等につきましては廃止いたします。
 なお、開設者に対する市況等に関する報告義務、開設者に対する指導監督、開設者への助成等に関する規定は存置いたします。
 最後に、4の施行年月日でございますが、改正卸売市場法の施行期日である令和二年六月二十一日を予定しております。
 以上、資料1、令和元年第四回東京都議会定例会条例案の概要について説明をさせていただきました。これらの条例案は、資料2としてまとめてございますので、後ほどご参照いただきたいと存じます。
 以上をもちまして、令和元年第四回東京都議会定例会に提出を予定しております案件につきましての説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○両角委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○両角委員長 なければ、資料要求はなしと確認をさせていただきます。

○両角委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○松田市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 私からは、資料3、千客万来施設事業等についてをご説明申し上げます。
 表紙をおめくりいただきますと目次がございます。1、千客万来施設事業の状況について、2、千客万来施設事業用地における賑わい創出等についてなどの事項につきましてご報告させていただきます。
 恐れ入りますが、一枚おめくりいただき、二ページをお開きください。見開きになってございまして、左側の二ページがご報告をさせていただく事項に関するご説明、右側の三ページが配置図とスケジュールとなってございます。
 初めに、1、千客万来施設事業の状況についてでございます。
 (1)、六街区(本体施設予定地)でございますが、これは、右側三ページ上の配置図、六街区と書かれた箇所、点線で丸く囲った〔1〕の部分になります。東京二〇二〇大会直後の速やかな着工、令和五年春の開業に向けた取り組みを実施してございます。
 事業者である万葉倶楽部株式会社は、現在、諸手続の協議や設計内容の調整等を行っており、都としても助言や協力を行いながら着工に向けた取り組みを進めてございます。
 また、事業者に事業予定地を貸し付ける前に、都は準備工事として舗装等の撤去を行う必要ございます。これについて、東京二〇二〇大会実施に伴う交通規制など、新たに生じた要素を考慮して詳細に検討した結果、令和二年五月中旬ごろに工事契約を締結する予定としております。
 次に、(2)、五街区(駐車場棟予定地)でございます。これは、右側三ページ上の配置図、五街区と書かれた箇所、青色で着色した〔2〕の部分になります。この立体駐車場については、現在、地盤改良工事及び基礎ぐい打設を終え、施設の基礎工事を進めてございます。
 完成時期は、当初、令和元年十二月の予定でしたが、鉄骨や高力ボルトなど建設資材の納期が長期化したことなどにより、工期を変更し、令和二年四月末の供用開始を目指して施工しております。
 次に、二ページ下段の2、千客万来施設事業用地における賑わい創出等についてでございます。
 千客万来施設が開業する令和五年春までの間、事業用地を活用して実施するにぎわい創出等についてご説明いたします。
 初めに、(1)、六街区におきましては、千客万来施設整備のための準備工事開始まで、にぎわい創出を継続してまいります。
 具体的に申し上げますと、まず、ア、六街区南側、これは、右側三ページ上の配置図、六街区と書かれた箇所、黄色で着色した〔1〕-1の部分になります。後ほどご説明いたしますが、五街区におきまして、三井不動産株式会社が仮設施設による場外マルシェを令和二年一月に開業する予定でございます。
 したがいまして、それまでの間、こちらの〔1〕-1においては、都が主催する土曜マルシェなどを開催し、にぎわい創出を継続してまいります。
 また、五街区における場外マルシェ開業以降は、フリーマーケットなど地域貢献の取り組み等を展開していく予定でございます。
 次に、イ、六街区北側、これは、右側三ページ上の配置図、六街区と書かれた箇所で、青色で着色した〔1〕-2の部分になります。こちらは、イベント等で使われていない期間について、観光バスの乗降場や買い出し人臨時待機車両スペースとして有効に活用してまいります。
 続きまして、(2)、五街区でございますが、これは、右側三ページ上の配置図、五街区と書かれた箇所、黄色で着色した〔3〕の部分になります。こちらでは、先ほども申し上げましたが、民間事業者であります三井不動産株式会社による場外マルシェを令和二年一月下旬に開業する予定でございます。延べ床面積や店舗面積などの施設概要につきましては、記載の内容を予定してございます。
 右側三ページ目の下段の4、今後のスケジュールにつきましては、ただいまご説明いたしました内容をスケジュールにしたものでございます。
 以上、簡単ではございますが、千客万来施設事業等についての説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○両角委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○両角委員長 なければ、資料要求はなしと確認をさせていただきます。
 以上で中央卸売市場関係を終わります。

○両角委員長 これより産業労働局関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 十河次長は、所用のため、本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
 次に、事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○坂本総務部長 去る十月十五日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の経済・港湾委員会要求資料の表紙をおめくりください。目次でございます。資料は全部で十三項目ございます。
 恐れ入りますが、一ページをごらんください。商店街助成事業につきまして、平成二十九年度以降の実績をお示ししてございます。
 二ページをお開きください。政策課題対応型商店街事業につきまして、令和元年度の申請状況を内容別にお示ししてございます。
 三ページをごらんください。三ページから四ページにかけまして、中小企業制度融資の過去十年間の目標と実績の推移をお示ししてございます。
 続きまして、五ページをごらんください。都内製造業の事業所数、従業者数、製造品出荷額及び付加価値額につきまして、直近の調査結果として公表されている平成二十七年までの推移をお示ししてございます。
 六ページをお開きください。女性の活躍推進加速化事業につきまして、平成三十年度以降の実績をお示ししてございます。
 七ページをごらんください。女性・若者・シニア創業サポート事業につきまして、過去五年間の実績をお示ししてございます。
 八ページをお開きください。都立職業能力開発センターにつきまして、過去五年間のデータをお示ししてございます。八ページが応募状況、九ページが職業紹介の実績及び就職率でございます。
 一〇ページをお開きください。委託訓練につきまして、過去三年間の科目委託先の定員、応募状況、就職率をお示ししてございます。
 一一ページをごらんください。雇用形態別、男女別、年齢別都内就業者数につきまして、直近の調査結果として公表されている平成二十九年までの推移をお示ししてございます。
 一二ページをお開きください。雇用・就業対策審議会の過去五年間の予算、決算の推移をお示ししてございます。
 一三ページをごらんください。内水面漁業の従業者数、主な魚種別漁獲量及び養殖量の推移をお示ししてございます。
 一四ページをお開きください。林業の就業者数及び多摩産材の活用実績の推移をお示ししてございます。
 一五ページをごらんください。島しょ地域の旅行者数につきまして、過去五年間の推移をお示ししてございます。
 以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○両角委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○おじま委員 トップバッターです。よろしくお願いします。
 都市農業について、私から伺いたいと思います。
 私の地元は練馬区というところなんですけど、自宅も、窓をあけたら畑という状態でして、今は練馬区の平和台というところに住んでいるんですけど、(「いいところだ」と呼ぶ者あり)ありがとうございます。もともと本村という地名だったんですね。ここは本村という村でして、何代も続いてきている農家のコミュニティがあって、その中で、子供たちも畑の中で、通学路があって、育っていくという、そういう土地であります。
 私も地元で買ったり分けてもらったりした野菜とか果物でご飯を食べるということもたくさんありますし、実は今、大根の収穫の時期でして、先週も、引っこ抜きから、あるいは洗ったり干したり、市場まで持っていったりしたりとか、この土曜日もまたやる予定なんですけど、まさに生活の一部に農業がある土地であります。
 都市における農地は、食料の生産のみならず、災害時の避難場所、延焼遮断帯としての防災機能、あるいはヒートアイランド現象の緩和といった環境機能、また、子供たちの食育といった教育の機能など、さまざまな機能を持っております。
 一方で、この農地にまつわる話、主によくない話というか悩みに近いものが多いんですけど、地元でもよく聞かされるところであります。
 ご案内のとおり、農地のほとんどは生産緑地になっておりまして、都内全域だと三千ヘクタールほどありまして、二十三区でいったら五百ヘクタールほどのようであります。地元の練馬区がその四割を占めております。これが毎年五十ヘクタールずつ今減少している状態であるということであります。
 正直、農業がもうかるという時代でもなくて、東京においてはほとんどの農家さん、農業だけで食べていけないというのもあると思います。さらに、この後、二〇二二年問題、生産緑地法が改正されてから三十年がたつという、それを迎えるということで、さらなる減少も懸念をされているところであります。
 固定資産税の問題であったり、あるいは農業者の高齢化の進行、あるいは後継者不足、価格とか販路の問題、また、課題がたくさんあるところであります。実際に都内の農業者数もかなり減少してきておりますし、それに伴って農地も減ってきているという状態であります。
 都市における農業、あるいは農地を取り巻く環境が厳しいということはいうまでもないんですが、それでも、さきに述べたように、単に、食を生んでいくという、食料を生産していくというところ以外にも価値があって、ハードの面であったり、ソフトの面であったり、貴重な財産であることから、都も国も、あるいは我が練馬区もいろいろと知恵を絞ってきているところであります。
 まず、この生産緑地の維持について質問したいと思います。
 先ほど、二〇二二年問題について触れました。特定生産緑地制度という特例制度をつくりまして、何とかこの十年、税制優遇であったり、行為制限というのを延ばすということを決めたところではあるんですが、それでも生産緑地指定の解除をする人はするだろうと。そういう中で、それが宅地になってしまうのを食いとめなければならないということで、今、地元自治体、区や市への買い取り申請の制度が用意をされております。しかし、その財源にも当然、限りがありまして、全てに対応していくというのは極めて難しいというところであります。
 こういう中で、昨年の六月には都市農地貸借円滑化法という法律ができまして、今までできなかった農地の貸し借りというのもできるようになりました。この制度によって、買い取り以外の選択肢も用意をされました。
 都は今年度から、都市農地活用推進モデル事業というものを始めました。今申し上げた買い取りと貸し借り、貸借の双方による活用モデルを示していくということであります。
 まず、この買い取りの方、インキュベーション農園について、どのようなものなのか伺いたいと思います。

○上林山農林水産部長 都は、買い取り申し出のあった生産緑地に栽培施設等を整備し、農業者に新たな栽培技術の試行の場を提供するインキュベーション農園を整備し、生産緑地の活用モデルとして区市に示す事業を令和元年度から実施しております。
 今年度は、買い取り申し出のあった生産緑地のうち、約一千から二千平方メートルの生産緑地を都が農業者から買い入れることを予定しており、現在、都が求める条件に合った候補地を選定中でございます。

○おじま委員 次に、貸し借りの方で、セミナー農園というものを始めたようなんですが、これについても伺いたいと思います。

○上林山農林水産部長 都は、生産緑地の貸借制度を活用し、高齢者層が技術指導を受けながら農作業に取り組めるセミナー農園を開設し、その成果を活用モデルとして区市に示す事業を令和元年度から実施しております。
 今年度は、貸借可能な生産緑地のうち、おおむね三千平方メートル程度のものを、都が農業者から都市農地貸借円滑化法を活用して借り入れる予定であり、現在、都が求める条件に合った候補地を選定中でございます。

○おじま委員 今、この農地の買い取りと貸借によるものについてご答弁をいただいたんですが、農業者の高齢化の進展であったり、あるいは担い手、後継者の不足もこれまた問題であります。
 この後継者、跡継ぎの経営力のサポートであったり、あるいは、新しく農業を始めたい人、新規に就農する人の支援もしていかなければならないと思うんですけど、その取り組みについても伺いたいと思います。

○上林山農林水産部長 都は、既存の農業者育成施策を見直し、都内への就農希望者及び都内の農業者全てを対象とした総合的な育成プログラムとして、東京農業アカデミーを令和二年度から開始いたします。アカデミーでは、就農希望者向けに、相談窓口の設置や短期農業体験のあっせん、二年間の長期研修等を実施いたします。
 また、就農初期の農業者向けの栽培技術研修や、意欲の高い農業者向けの六次産業化等の経営力強化研修など、個々の農業者の状況に応じたきめ細かな研修プログラムを用意いたします。今年度は、来年度のアカデミー開設に向け、都内農業関連団体を交えた検討会にて、アカデミーの研修プログラムの詳細を検討いたしております。
 また、農外からの新規就農者向けの研修で使用する圃場を八王子に整備しており、令和二年度の第一期研修生の募集を今月から開始しております。

○おじま委員 都としても、かなりいろいろなことをやってきていただいているようなんですが、それでも農業はやはり、いろんな意味で参入障壁が高いということで、ノウハウもそうなんですが、用地の確保あるいは施設設備等への初期投資も必要でして、そもそも始めるのが大変ということであります。
 また、始めてから、どこに売ればいいのかとか、販路の確保でつまずくこともありまして、安定した収入につなげていくというところまでに非常に難しいというか、時間がかかるものであります。
 こういった課題への支援はどうしているのか、これについて伺いたいと思います。

○上林山農林水産部長 都は、新規就農者に対して、就農時に必要な施設整備費等を補助する事業を今年度より実施いたしております。
 今年度は、六市町十二戸の新規就農者に対して、パイプハウスなどの施設やトラクターなどの農業用機械の導入経費を補助しております。
 また、東京都農業会議と連携いたしまして、就農直後の農業者に対して、農産物の販売先を紹介するとともに、新規就農者のグループ化を支援するなど、販路確保に向けた取り組みを後押ししております。

○おじま委員 今ご答弁にあった、実際に就農できた農業者がその後に安定した収入を得ていくには生産性というのがやはり大事でして、これによって稼ぐ農業というのを実現していけるのではないかと思います。やはり、ここでもうかるかどうかというのが大きなインセンティブになっていると思います。
 一方で、つくり過ぎたら売れなくなってしまうとか、価格が下がってしまうとか、これは市場原理とか流通制度上の課題もあるんですが、農業の生産性を上げて、今申し上げたように、この稼ぐ農業というのを実現しなければならないと思います。
 都は、ICTの活用によって、農業生産性を向上させるとともに、農家の省力化というのも目指すという新たな技術を開発したということであるんですけれども、これら新技術についても伺いたいと思います。

○上林山農林水産部長 都は、パイプハウス内における温度や湿度、CO2など、農産物の生育環境をコンピューターで最適化する東京フューチャーアグリシステムを開発し、トマトやキュウリにおいて、通常のハウス栽培と比較し、二倍から三倍の収穫量と品質の向上を実現いたしました。今年度は、新たな品目としてパプリカの栽培試験を実施いたしております。
 また、農地面積や栽培量に応じた想定収益を可視化する経営マニュアルを作成いたしております。さらに、システムの普及に向け、パイプハウスの展示や説明会を開催するとともに、農業者との意見交換を通じて、システムのさらなる機能向上を検討しております。
 こうした取り組みによりまして、東京農業の生産性を向上していくことで、稼ぐ農業の実現を目指してまいります。

○おじま委員 次に、農産物のブランド化、あるいは販路開拓の話なんですが、農業者がさらに収益力を高めて経営を発展させていくためには、農産物のブランド化であったり、あるいは加工品の開発等によって、付加価値というのを向上させていくことが必要であると思います。
 都は、新たな農業経営を展開しようとする意欲ある農業者に対して、積極的に支援を行っていくべきだと思いますが、これについて取り組みを伺いたいと思います。

○上林山農林水産部長 都は、農産物のブランド化や六次産業化に取り組む農業者に対し、専門家派遣による助言や助言等に基づく新たな取り組みに必要な経費を支援するチャレンジ農業支援事業を実施しております。
 具体的には、農産物のブランド化や販路開拓などに取り組む農業者に対し、ICTやデザインなどの専門家を、九月末時点で百五十三回派遣するとともに、その助言等に基づき取り組むオリジナルロゴマークの作成や直売所のホームページ開設などに係る経費を、九月末時点で十六件支援いたしております。
 こうした取り組みによりまして、農産物の高付加価値化を推進し、農家の経営力強化につなげてまいります。

○おじま委員 以前に、私、一般質問でも触れたことがあるんですけど、世界都市農業サミットというイベントがあしたから三日間、練馬区で行われることになっております。これは練馬区だけでということなんですけれども、こういうのは本当は都が主体でやってもいいと思っておりまして、農業の現実的なところ、いいところも悪いところもあるんですが、そういうものは、当然、当事者の方々が一番わかっているということなので、農家さんたちの声をしっかりとこれからも聞いていただいて、そして、農家の現実を、都市の共通課題ということで、しっかりと取り組んでいただきたいということをお願いして、次の項に移りたいと思います。
 次に、十月十七日に総務局の統計部より公表された、都における統計調査に係る点検結果について伺いたいと思います。
 昨今、EBPM、これは証拠に基づく政策立案というのがいわれておりまして、我が会派も事あるごとに言及をして、推進してきているところであります。
 統計は、現実を把握し、客観的なデータや証拠に基づいて、各種の政策の判断をするための根幹を担う重要なものであります。この各種の政策、施策を実施するかしないか、どの程度踏襲をしていくべきかなどの判断をするに当たっては、この統計的データ、数字が正しいことが前提となっております。
 厚生労働省の勤労統計の不正問題というのが昨年末から報道されてきておりまして、東京都もかかわる企業の調査対象を正式な手続を経ずに変更していたということで、国の統計の信頼性の根幹を揺るがす、それこそ大きな問題になっております。しかも、いまだに正式な数字が公表されていないということであります。
 そのような中で、都においても総点検をせよと、ことしの一定の総務委員会で我が会派から要望をさせていただいたところであります。その結果、都の各種の統計の調査は適切に実施をされていて、国のように結果数値に影響あるような事案はなかったということは確認されました。
 一方で、手続的な面で、届け出、報告が漏れていたものがあるということであります。
 これが産労局の統計調査だったということなんですが、どのような目的と内容で、どのように活用されていたアンケート調査なのか伺いたいと思います。あわせて、報告をされていなかったのはどの程度の期間なのか伺いたいと思います。

○武田産業企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長成長戦略担当部長兼務 今回の点検により、総務大臣への必要な届け出が漏れていたのは、東京都商店街実態調査と中小企業金融に関するアンケート調査二件の合計三件でございます。
 東京都商店街実態調査は、三年に一回、商店街振興施策の立案の基礎資料作成を目的といたしまして、商店街の会員数や店舗の業種構成などを取りまとめたもので、平成元年度の調査開始時から届け出がなされておりませんでした。
 中小企業金融に関するアンケート調査は、毎年、中小企業制度融資などの金融支援を効果的に実施するための基礎資料作成を目的といたしまして、最近の金利や今後の見通しなど、金融環境等を取りまとめたもので、平成二十四年度から実施時期の変更などの届け出がなされておりませんでした。

○おじま委員 今、東京都商店街実態調査、これについては平成元年度からなので、三十年報告がされていなかったということで、大変驚いているところであります。調査自体には問題がなかったということで、重大事案に及ぶものではないようですが、いうまでもなく、手続を守るということは、コンプライアンス上とても重要なことであります。
 今回、国への報告が漏れていた三件とも産業労働局の統計ということで、扱う事業の性質上、アンケート調査というのも多いので、統計を扱うことも多いのではないかと思います。その中で、国への報告という基本的な事項ができていなかったということなので、再発の防止を徹底いただきたいと思います。
 今回の点検結果を踏まえて、産業労働局として、今後どのような再発防止策をとっていくのかを伺いたいと思います。

○武田産業企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長成長戦略担当部長兼務 今回の届け出漏れの要因は、実務担当者の制度への理解が不十分であったこと、統計調査の実施におけるチェック体制が不備であったことの二点というふうに考えてございます。
 このため、今後は、各部の統計実務担当者向けの説明会を定期的に開催するとともに、局の統計主管部署の確認を徹底するなどによりまして、再発の防止を図ってまいります。

○おじま委員 うっかりミスというのもあるのかもしれないんですが、氷山の一角という考え方もあると思います。そういった緩みから、先ほど申し上げた国の勤労統計の不正のような重大事案に発展をすることもあると思います。
 また、統計調査は、お金も手間もかかるものでありまして、時がたてば不必要な統計調査も出てきますけれども、これを漫然と続けているということも、もしかしたらあるかもしれません。
 やらなきゃいけないことをやっていないということがないかということに合わせて、もうやらなくていいことをやっていないかという意味での見直しも改めて要望して、私からの質問を終えたいと思います。

○山崎委員 私からは、中小企業の支援についてお伺いをしていきたいと思います。
 東京を世界で一番の都市にするためには、東京を支えるさまざまな産業、そして、それを担う事業者の実態を踏まえた支援が不可欠であります。
 都内の事業者の大部分は中小零細企業が占めておりますが、地域の産業を元気なものとしていくためには、その根幹としての事業を未来へとしっかりと継続をし、さらに発展させていくことが必要であります。そうした観点から、喫緊の課題である中小企業の事業承継について、さらに経営の足腰をしっかりとさせるための生産性向上、そして販路拡大に関して、順に質問をしていきたいと思います。
 初めに、中小企業の事業承継の支援について伺っていきます。
 経営者の高齢化が進む中、円滑な事業承継の促進は待ったなしの課題であります。国では、安倍政権のもと、事業承継、税制の抜本的な見直しを行うなど、事業承継の促進に向けた環境整備を強力に進めてきたところであります。こうした支援も実際に使わなければ、絵に描いた餅にすぎません。中小企業の経営者が第一歩を踏み出すことができるよう、その背中を押すための丁寧なサポートを行っていくことが重要であります。
 都は、事業承継の促進に向け、多くの企業に承継の重要性を伝える啓発活動や企業一社一社に向き合った相談などを行っておりますが、今年度の具体的な取り組みについて伺います。

○土村商工部長 都では、事業承継の計画的な取り組みを促していくため、東京都中小企業振興公社に十名の相談員を配置し、直接企業を巡回して事業承継の相談に応じているほか、今年度からは新たに相談窓口に統括アドバイザーを配置し、体制の充実を図っております。十月末現在での新規の相談件数は五百六十件でございます。
 また、承継前の経営者を対象としたセミナーの開催や、中小企業団体などが実施する事業承継の勉強会への講師派遣などにも取り組んでおり、今年度は実施回数を昨年度の十二回から十六回にふやす等、拡充を図ったところでございます。
 さらに、できるだけ多くの中小企業の経営者の方に事業承継の必要性をアピールしていくため、よりわかりやすい小冊子を十四万部作成いたしまして、東京都中小企業団体中央会などを通じて、中小企業に幅広く配布していくこととしてございます。

○山崎委員 今、答弁の中で、中央会などの皆さんを通じて、中小企業の皆さんに小冊子を十四万部作成して、広く配布しているという答弁がありました。
 十四万部という大きな数になるわけで、これだけの中小企業の皆さん、いろいろと相談窓口に来てくださいだとか、そういう支援を行って、それぞれ皆さん興味がある方は来ていただくんですけれど、十四万部を作成した、それを広く、幅広く配布していく、これは本当に私は重要なことだと思います。
 このきめ細かい、そして広く周知をしていくということが、やはり東京都が行っていく中小企業支援の、その意味でも、私は大きなスタートというか、また、大きな意味合いを持つと思っておりますので、こういったことは、引き続き、ぜひ幅広く、また行っていただきたいと思います。
 また、事業承継は喫緊の課題ではあるものの、多くの中小企業は、その一歩を踏み出すことがなかなかできずにいるのが実態であります。より多くの中小企業に一社一社丁寧に向き合うことで円滑な事業承継を踏み出せるよう、後押しをきめ細かく行っていただきたいこともお願いしておきたいと思います。
 事業承継を踏み出そうとした経営者が実際に事業の承継を進めようとすると、後継者の確保を初め、さまざまな悩みに直面をいたします。事業承継先として、お子さんやご兄弟、親族に承継されるパターン、そして従業員や役員への承継のパターン、そして、第三者への事業譲渡を行うMアンドAなど、企業によってのさまざまな形があると思います。
 実際の中小企業においても、それぞれの企業がそれぞれの状況の中、どのような承継の形を選んでいくのかは多種多様であります。そうした中、中小企業の事業承継を行政側から促進していくためには、こうしたさまざまな企業の状況にきめ細かく対応した支援を実施していくことが求められます。
 都は、MアンドAの活用などを含め、事業承継を進めていくため、さまざまな企業の状況を踏まえ、どのように支援を行っているのか、その取り組みについて伺います。

○土村商工部長 都では、中小企業振興公社を通じて、事業承継を考える中小企業に対して、専門スタッフによる財務、経営分析や事業承継方針の策定、提示など、個別にサポートを行っており、今年度は十月末現在で四百五十社に対して支援を行ってございます。
 その中でも特にすぐれた技術力を持ち、経営者の意識が高い企業につきましては、最長三年間にわたって専門家等によるハンズオン支援を行うとともに、市場調査や人材採用など、事業承継、経営安定化のために必要な経費として二百万円を上限に三分の二の助成を行い、事業承継の促進に努めてございます。
 さらに、今年度からは、MアンドA仲介機関とのアドバイザリー契約に係る経費の助成を開始するなど、後継者不在の企業が事業承継を進めやすい制度の拡充を図ったところでございます。

○山崎委員 円滑な事業承継を実現させるためには、経営者に寄り添い、個々の中小企業の置かれた状況を踏まえて支援を行うことが肝心であります。
 今年度からMアンドAに要する経費の助成を開始したとのことですが、さまざまな手法も活用し、引き続き丁寧な支援をしっかりと展開していただきたいと思います。
 改めて申し上げるまでもなく、事業承継は経営者個人や親族の財産や相続にかかわる、極めて機微にかかわる問題であるため、正直、外部からはなかなか働きかけづらいという側面もあります。このため、日ごろから中小企業の経営者とコミュニケーションをとり、緊密な関係を築いている地域の金融機関のネットワークを活用することも有効であり、その指摘、提案も我々はやってまいりました。
 そこで、都は今年度から、中小企業の経営者にとって身近な存在である信用金庫や信用組合などと連携した事業承継支援に着手をしていると聞いておりますが、事業の内容と取り組み状況について伺います。

○加藤金融部長 都は、本年七月から、取引先企業の実情をよく把握している信用金庫や信用組合の営業職員が企業を訪問し、事業承継の準備状況をヒアリングしながら、承継の必要性を啓発するなどの新たな支援を開始しております。
 企業への訪問後は、経営者の意向を踏まえつつ、専門家の無料派遣などによる事業承継計画の策定支援や中小企業制度融資を活用した承継計画の実行支援など、地域金融機関が主体となり、一貫したサポートを提供しております。
 十月末現在で、中小企業四百八十社を訪問しており、既に延べ四十九社に専門家の派遣を実施しているところでございます。今年度中に都内千五百社を訪問する予定であり、引き続き地域金融機関と連携しながら、都内中小企業の事業承継を着実に後押ししてまいります。

○山崎委員 このまま都内中小企業の廃業に歯どめがかからなければ、地域の活力への影響は必須であります。地域経済の担い手である中小企業を支えるため、信用金庫や信用組合など、地域の実情を把握している金融機関の力を結集させ、今後もスピード感を持って事業承継支援を進めていくよう要望しておきたいと思います。
 次に、事業承継支援におけるファンドの活用についてもお伺いをいたします。
 昨年の事務事業質疑でも取り上げさせていただきましたが、大企業と比べて、経営資源が乏しい中小企業にとって、資金面と経営面から事業承継をサポートするファンドは、円滑な承継の実行を図る上で有効な手法といえます。経営者の交代や経営基盤の維持にとどまらず、ファンドを活用し、外部の資本や経営ノウハウを積極的に取り入れることにより、新しい経営者のもとで会社を成長や発展に導くことも可能となります。
 事業承継をピンチと捉えるのではなく、新たなビジネスチャンスに変えるきっかけとして取り組むことが重要です。既に都の出資によりファンドが設立され、個別の支援も始まっていると思いますが、事業承継ファンドによる支援の状況について伺います。

○井上金融支援担当部長 都は、成長可能性を有する中小企業の事業承継を後押しするため、支援実績が豊富な民間ファンド運営事業者を選定し、昨年十二月にファンドを設立しました。都が二十五億円を出資したことが呼び水となり、複数の金融機関等の参画を得て、総額六十八億五千万円のファンドとなりました。このファンドは、投資期間を五年間としておりまして、これまでに事業承継に取り組む三社に投資を行い、株式の買い取りに加えて、個人経営から組織経営への移行や、データを駆使した経営管理の導入、後継者の育成等の支援を実施しております。
 なお、具体の案件といたしましては、複数の子育て支援施設を展開する企業におきまして、創業者から従業員への承継とあわせて、運営施設数の増加に取り組んでいる事例がございます。
 今後もファンドを通じて支援を着実に進め、中小企業の円滑な事業承継と成長を促してまいります。

○山崎委員 中小企業が事業承継を実現するためには、行政による支援だけでは限界があり、民間の資金力や経営ノウハウを取り込んで、社会全体で後押しをしていく必要があります。
 一方で、そもそもファンドという手法が中小企業の事業承継にも活用できるという事実がほとんど知らされていないのが実態なのではないでしょうか。ぜひ都のファンドを通じた事業承継の成功事例を一つでも多く積み上げ、広く発信をしていくことを要望しておきたいと思います。
 事業承継は、単に事業を受け継ぐだけでなく、将来を見据えた事業の見直しを図るなど、企業の価値をさらに高めていくための絶好のチャンスでもあります。こうした好機を生かそうとする意欲ある企業をしっかりと後押ししていくためには、中小企業にとって大きな負担となる設備投資などを支援することが効果的ですが、都は今年度どのような支援を行っているのか伺います。

○土村商工部長 都は、先代から事業を引き継いた後継者が新たな事業展開を行うための製品開発やサービスを提供していく場合などに必要となる設備投資を後押しするため、革新的事業展開設備投資支援事業において、今年度新たに後継者イノベーションの支援対象区分を設け、支援を開始いたしました。
 この事業は、助成率三分の二、一億円を上限に助成を行うものであります。今年度第一回目の募集におきましては、六件の申請があり、審査を経て、二件を採択いたしました。いずれも事業を承継した後継者が高度機器を導入することで、新製品開発や新規事業に結びつける計画でございます。
 今後とも、メールマガジンや機関誌などのPR活動を行い、本事業の活用を幅広く周知することで、事業承継を契機とした事業拡大を支援してまいります。

○山崎委員 意欲ある後継ぎの皆さんが、承継をきっかけに事業をさらに発展させていくことが、東京大会、その後も引き続き、東京がその活力を維持し、さらに成長させていくための原動力となります。都は、こうした熱意ある後継ぎの声にしっかりと応えられるよう支援を進めていただきたいと思います。
 次に、事業承継と並んで中小企業にとって大きな課題となっているのが生産性向上であります。企業の現場からは、人材不足の中で仕事をいかにさばいていったらいいのかという悩みや、仕事の引き合いがあっても人手不足で対応できないとの声を耳にします。
 今後、人口の減少が見込まれる中で、中小企業がこれまで以上の成果を上げ、事業を発展させていくためには、生産性を上げていくことが不可欠であります。そのためには、企業一社一社が重要な経営課題として捉え、生産性の向上を図っていくことが必要ですが、日々懸命に事業に取り組む中小企業の経営者にとって、方策を見つけ、実際に実行していくことは容易ではありません。
 経営改善に意欲のある中小企業が生産性向上に着実に取り組めるよう、きめ細かくサポートをすることが極めて重要ですが、都の取り組みについて伺います。

○土村商工部長 都はこれまで、商工会議所等と連携し、中小企業に対して専門家を派遣することで、経営状況の診断から計画づくり、実行支援までを一気通貫でサポートする取り組みを行ってまいりました。
 今年度は、新たに生産性の向上や人材の確保、販路開拓を重点テーマとして、診断項目に位置づけるとともに、支援の中で気づいた新たな課題にも専門家の助言が受けられるようフォローアップの支援を加え、リニューアルいたしました。
 本事業では、今年度の上半期において九百六十六社が経営診断を受けるとともに、三百四十一社が中長期的な経営計画の策定を行いました。また、十九社がその後のフォローアップの支援を活用いたしました。
 こうした取り組みを通じまして、例えば、専門家のアドバイスにより、新たな設備を導入し、作業工程が自動化されたケースや、社員の稼働状況を分析し、人員配置の最適化が図られたケースなどがございます。

○山崎委員 現在、第四次産業革命ともいわれる技術革新が進展する中で、IoTやAIなど新たなICT技術を活用し、少ない人員で生産性を維持向上させていく取り組みが注目をされております。
 中小企業は、興味や関心はあっても、こうした新しい技術を活用するにはハードルが高く、自社の状況に合わせてどのように取り組むべきか悩んでいる経営者も多いと聞いております。
 そうした中小企業がそれぞれの企業の実情を踏まえた技術の活用を進められるよう、都はどのように支援をしているのか、取り組みをお伺いいたします。

○土村商工部長 都では、IoTやAIなどのICT技術を活用し、生産性の向上に取り組む中小企業を支援するため、昨年度より専門の相談窓口の設置や普及啓発セミナーを開催するほか、専門家を派遣し、ICT導入に向けたアドバイスや導入すべき機器の提案などを行ってまいりました。
 今年度はさらに、中小企業の経営者が新たな技術の導入を検討しやすくするために、機器メーカーやシステム構築をサポートするシステムインテグレーターなどとの情報交換を行う合同研究会を四回開催するとともに、企業においてICT等を活用できる人材を育成する講座も年六回開催することといたしました。
 さらに、中小企業が小規模な設備からでも導入しやすいよう、上限を三百万として、小規模企業には三分の二を、その他中小企業には二分の一を助成する制度も創設するなど、より多くの企業がICT導入に取り組めるよう、支援の充実を図っております。

○山崎委員 ここまで生産性向上について伺ってまいりました。
 一方で、中小企業が経営を継続していくためには、生産性向上によりコストを引き下げるだけでなく、販路拡大により売り上げを伸ばしていくことが不可欠であり、それぞれがまさに車の両輪として取り組んでいかなければならない課題であるといえます。
 そこで、最後に、中小企業の販路拡大について伺っていきます。
 営業力や財政基盤が弱い中小企業にとって、多くのバイヤーが訪れる展示会に自社のものを出展して、製品をPRしていくということが大事な選択肢の一つでありますが、展示会では多くの出展企業に埋もれないよう、ウエブでの情報発信を含め、より効果が上がるように取り組んでいくことが必要です。
 都は、こうした新たな販路の開拓が必要な中小零細企業に対して、展示会への出展など、どのような支援を展開しているのか、今年度の取り組み状況について伺います。

○土村商工部長 都は、経営診断を受けた中小企業が販路開拓が必要とされた場合、国内外の展示会出展に係る経費や出展製品に関するチラシ等の作成経費を助成し、展示会への出展を通じて、売り上げを伸ばす取り組みを支援してまいりました。
 今年度は、これらに加え、自社の製品やサービスをより広くPRするために作成するウエブサイトの構築費を新たに助成対象とするとともに、出展の効果を高めるためのノウハウを提供するセミナーを年四回開催するなど、支援の充実を図ってございます。
 十月末現在で約四十件のウエブサイト構築を支援するほか、出展までの準備や集客につなげるための小間づくり、出展後の営業戦略などに関するセミナーを三回開催し、延べ約二百人の参加をいただいたところでございます。

○山崎委員 きょうの質疑では、中小企業支援、事業承継、また、生産性向上、販路拡大について、事務事業の中で質問をさせていただいてきました。
 東京の産業の一翼を担っているのは、紛れもなく中小零細企業であり、現場で懸命に努力をしている経営者の皆さんです。
 我々都議会自民党は、これまでも一貫して、こうした経営者の皆さんのお一人お一人に地域で向き合い現場の実態をつかみ、そのニーズをしっかりと踏まえた上で東京都に対し、必要な施策を提言して実現させてまいりました。
 今回の質疑で取り上げた事業は、多くが地道な取り組みでありますが、そうした地道ながらも現場の実態を踏まえた実効性のある支援を着実に積み重ね、今後とも地域の活力の源泉である中小企業の振興に取り組んでいただくよう改めて要望し、私の質問を終わります。

○まつば委員 商店街振興について質問いたします。
 都では、商店街チャレンジ戦略支援事業におきまして、イベントの開催や街路灯の整備など、商店街の取り組みを支援しております。
 東京都商店街チャレンジ戦略支援事業費補助金交付要綱の第二条には、こうあります。この補助金は、区市町村がまちづくりの視点から策定した商店街振興プランに基づき、商店街等が行うイベント事業及び活性化事業に対し、必要な補助金を交付することにより、広く都内商店街の振興を図り、もって、中小商業の経営の安定と発展及び地域経済の活性化に寄与することを目的とすると、こうあります。
 商店街がみずからの財源だけで地域活動を行っていくことは難しく、地域を活性化させる前向きな取り組みを都が支援していくことが大変重要であると思っております。
 本事業は、区が商店街に対して補助した場合に、都が区市町村を通じて商店街への補助金を交付する事業でありますけれども、都は、事業の適正な運営にどのように取り組んでいるのか、まずお伺いをいたします。

○土村商工部長 本事業は、都が区市町村を通じて商店街へ補助金を交付するものであることから、区市町村が制度運用に対して正しい認識を持って事業を実施していくことが重要でございます。
 そのため、都では、補助金事務の適正な運用を支援するため、毎年度マニュアルを作成し、説明会を開催するとともに、おおむね二、三年に一度、各区市町村を訪問して、事後の立入検査を行っているところでございます。

○まつば委員 適切な事業運営を確保するために状況を把握されているということでございますが、昨年度の検査の状況についてお伺いいたします。

○土村商工部長 都は昨年度、十八区市を訪問し、サンプル抽出により三百六十一事業に対して検査を実施いたしました。その結果、補助金の返還を要する指摘は全部で十一件、返還額は合計で十二万六千円でございました。
 主な指摘内容としては、補助対象期間外に要した経費を補助対象経費として計上していたケースや、補助金の返還には至らないものの、成果物を確認する写真が不足していたものであり、区市に対して是正を要請するとともに、商店街へも区市から説明いただくよう依頼をいたしました。

○まつば委員 都は、ことし七月、杉並区の商店街で補助金の不正受給が発覚したと公表をされました。この補助金返還請求について、杉並区は検証委員会を設置いたしまして、検証委員会報告書を十月に公表し、区議会においてもさまざまな質疑が行われております。
 そこで、区の検証報告書も引用しながら、今回の都の対応について確認をさせていただきたいと思います。
 まず、都が、七月十日に公表した今回の事案の内容をお伺いいたします。

○土村商工部長 都は、本年七月十日、杉並区を通じて行った都の商店街振興事業において、補助金の不正受給が判明したため、杉並区に対して補助金の返還請求を行った旨を公表いたしました。
 内容としては、ハロー西荻、西荻おわら風の舞の二つのイベント事業において、過去五年間の間に領収証の偽造や協賛金の未計上があったことが明らかになったというものでございます。
 こうした事実確認を踏まえ、都として、杉並区に対して、該当するイベントの交付決定を取り消すとともに、約一千九百万円の補助金の返還を請求したものでございます。

○まつば委員 この都の補助金交付要綱には、こういうふうに書いてあります。交付決定の取り消しとして、全部または一部取り消すことができる、こうあるわけです。
 全部返還か、または一部返還かということでありますけれども、この西荻窪の件はどのような検討がされたのかということ、また、区に対して補助金の金額の返還を求めたその根拠、判断理由をお伺いいたします。

○土村商工部長 今回の西荻窪の補助金の件においては、明らかな不正行為である領収証の偽造に加え、協賛金の未計上に関しては、平成二十五年度分の補助事業についての立入検査によって未計上が判明し、その是正と改善を平成二十六年度に杉並区に求めたにもかかわらず、指摘の翌年度から五年間にわたり、同じイベントで未計上処理を行い続けていた状況が確認できたというものでございます。
 そのため、都といたしましては、この点を踏まえ、補助金交付要綱に定める偽りその他不正の手段により補助金の交付を受けたときに該当すると判断し、全額返還が妥当との結論に至ったものでございます。
 なお、本事業における過去の事例でも、この事由に該当した場合は全額返還としてございます。

○まつば委員 このハロー西荻の平成二十六年度分から二十九年度分については、協賛金の未計上という理由のみで全額返還ということに至ったということでありますけれども、それは平成二十五年度分について協賛金の未計上があり、都が指導改善を求めたにもかかわらず、その後も未計上が続いていたと、そのことを重く見たということで間違いないでしょうか。大事なところなので、確認をもう一回させてください。

○土村商工部長 委員ご指摘のとおりでございまして、一度指摘をさせていただいて是正をお願いしたにもかかわらず、同じイベントでその後も引き続き未計上が繰り返されていたという事実を踏まえたということでございます。

○まつば委員 今のご答弁ですと、そうしますとこの二十五年度分の指摘というのが大変重要なポイントであると、こういうふうに思いますので、ここについて詳しくお伺いをしていきたいと思います。
 まず、この事実が明らかになった経緯でありますけれども、区の検証委員会の報告書によれば、六月二十七日に都からハロー西荻事業について、協賛金返還事例を指摘されたと、こういうふうにあります。そうしますと、都は、その時点までこうした事実を把握できていなかったのかどうか、これを確認させてください。

○土村商工部長 平成二十五年度事業分の立入検査の結果の通知は、当時、杉並区に対して文書で交付してございます。
 都としましては、本年四月以降、区から経過報告された内容に基づいて、順を追って過去にさかのぼり事実確認を行う中で、平成二十五年度事業分の検査結果の事実を把握したものであり、把握した時点で速やかに区に対して事実をお伝えいたしました。

○まつば委員 把握した時点で区に指摘をしたということですので、六月二十七日に把握をしたということなんだと思います。
 この平成二十五年度事業分の検査でありますけれども、杉並区全体の検査結果がどうだったのか、お伺いいたします。

○土村商工部長 平成二十六年度に実施いたしました杉並区に対する平成二十五年度事業分の立入検査の状況は、補助金の返還を要する指摘が五件、うち三件が協賛金の未計上であり、区から返還を受けた補助金額は合計で六十六万四千円でございました。

○まつば委員 今のご答弁で、平成二十五年度事業分の検査によりますと、補助金の返還を要する指摘が五件ありましたと。協賛金の未計上による返還が三件あったと、こういうことでありますけれども、この西荻窪以外で指摘を受けたイベントというのが二件、残りあると思いますが、その後、協賛金について、どういう扱いになっていたのか、計上していたのか、お伺いをいたします。

○土村商工部長 西荻窪以外の二つのイベントにつきましては、杉並区から提出を受けました平成二十六年度事業分の実績報告書に、協賛金が収入として計上されていることを確認してございます。

○まつば委員 指摘のあった三つのイベントのうち、西荻窪以外の二つのイベントでは、翌年度は協賛金が計上されていたということでありました。西荻については、翌年度の時点で協賛金の取り扱いが是正されていなかったことから、やはり今回大きな問題となってしまったと思うわけであります。
 そうした意味からも、検査指摘後に適切に処理されているか確認をすることは重要であったと思います。この点について、都は、二十六年度に返還が行われた翌年の申請の際に、区の担当者に対して協賛金について電話で確認をしたと、こういう記録があると説明をされているのですけれども、区では、都から確認されたとする証言がないと、こういうふうに報告書にはあります。
 検査により指摘した翌年度の確認の仕方について、適切であったのか、お考えをお伺いいたします。

○土村商工部長 領収証等の帳簿類の確認は、商店街に直接補助を行う区市町村が主体的に実施するものでありますが、協賛金の未計上が発覚した直後ということであったことから、前年に指摘した三件につきましては、都としても慎重に確認を行いました。
 平成二十六年度分につきましては、区から実績報告書が提出された際に、西荻窪の事業については、協賛金が収入計上されていなかったため、都から区の担当部署へ協賛金の有無について口頭で確認を行い、協賛金の収入はない旨の回答を得たという記録がございます。
 都といたしましては、当時の対応に問題はなかったと認識してございますが、今後は確認を徹底するため、指摘の内容に応じて区市町村より文書で回答を得るなど、対応を検討してまいりたいと思います。

○まつば委員 区の報告書では、協賛金の説明について、都の担当者がかわると、いうことが猫の目のように変わる、このように区の担当者のヒアリングであったと書いてあります。
 具体的な指摘がありますので、一つずつ確認をさせていただきたいと思います。
 一つ目は、当初は広告性の有無により判断するとしていたものが、平成二十七年度からは、事業に充当しない協賛金は商店街の本会計に入れれば補助対象経費に含めなくてもよいとの解釈に変わりと書いてありまして、その後、括弧いたしまして、都は従前からの解釈と変更はなく、わかりやすく示したものとしているが、周辺各区も区と同様の解釈をして取り扱ってきたことが区のヒアリングにより確認されていると、このように書いてありますけれども、都が作成をいたしまして、区市町村担当者向けの説明会で配布をしているマニュアルの協賛金に関する二十六年度と二十七年度の説明は変化があったのか、お伺いをいたします。

○土村商工部長 補助金は都民や区民からの貴重な税金が財源であることから、その事業に対して収入を得た場合には、補助対象経費からその収入分を控除して補助金の額を算定を行うことが原則でございます。
 協賛金の取り扱いにつきましては、イベント事業に関して生じた協賛金は収入計上すべきという従来からの取り扱いを変更したものではなく、この点を明確にするため、平成二十七年度版のマニュアルの表現を見直したものでございます。
 なお、表現見直し前の平成二十六年度当時も、杉並区内のほかのイベントを初め、各区市町村では協賛金が適切に収入計上されており、都としては、各区市町村の現場でご理解いただいているものと認識してございました。

○まつば委員 もう一つが、西荻窪の件を受けまして、九月二十日に都が全区市町村向けに行った協賛金の収入計上についての説明であります。
 区の検証報告書にはこうあります。今年度からは、イベント開催に際し、お祝い金等を受領し、協賛金看板、花かけなどで表示している場合には、原則としてイベントに対する収入として収入計上するとの解釈が示されたところであると、こういうふうにあるわけなんですけれども、この点についても、区は、今年度から都が解釈を変えたと、このように認識をされているというふうに私は思うのですけれども、どのように都はこの点、考えておられるのか、お伺いをいたします。

○土村商工部長 本年九月二十日の説明会では、今回の不正受給を受けて、再発防止の観点から、全区市町村の担当者向けに協賛金の収入計上に当たり、注意すべき観点を具体的に説明させていただいたものでありまして、従来からの取り扱いを変更したものではございません。
 イベントに係る補助金を交付するに当たりましては、先ほど申し上げましたとおり、収入と支出を確定させた上で補助金の額を算出する必要があるため、寄附につきましても、イベントに対する収入か否かを明確にし、経理を処理する必要があることから、寄附者に確認していただく必要があるとの趣旨を説明させていただいたものでございます。

○まつば委員 二点質問をさせていただきましたけれども、都のご説明、今、答弁は、都は従前からの取り扱いを変更したものではないと、こういう趣旨だったと思います。
 しかし、区の側は、都の説明は変わっている、変更している、こういうふうに検証報告書等で述べられていると、こういうふうに思うわけです。
 私は、都と区の間で協賛金の取り扱いについて認識の違いがあるのではないか、このように思っています。一般的にも、私はこう説明しました、でも、説明を受けた側は、そうは聞いていません、そういう受けとめではありません、こうした認識の違いというのは、私の経験上も起きるものだと、そういうふうに思う部分があります。説明した側、された側、この認識です。
 こういうお互いの認識のずれが、今回の事故の一因となった可能性も否定できないと私は考えております。そうした意味から、今後、都と区市町村とが十分に意見交換して、認識違いが起きないようにすべきだと思いますが、どうお考えになるのか、お伺いいたします。

○土村商工部長 本事業は、区市町村を通じて商店街へ補助金を交付するものであり、都と区市町村との間で認識を合わせることが重要でございます。
 都では、今回の不正受給を受けまして、先ほどご答弁申し上げたように、全区市町村の担当者向けに、再発防止の観点から、改めて補助金の適正化についての説明会を実施したところでございます。
 今後は、これまで以上にコミュニケーションを図り、事業を円滑に進めていくため、新たに都と区市町村との意見交換の場を設けるなど、再発防止の取り組みを進めてまいります。

○まつば委員 今、新たに都と区市町村との意見交換の場を設けるというご答弁がありました。
 ちょっと確認です。これは説明会の場であるとか、また、定期的に区市町村への検査を実施されていますが、そういう実施時ということではなくて、別の形で意見交換の場を設けると、こういうことでよろしいのでしょうか。確認の意味でお答えいただきたいと思います。

○土村商工部長 新しい場ということで考えてございます。

○まつば委員 新しい場ということでございますけれども、先ほど来申し上げているように、都と区と認識違いが起こらないように、よく意見交換をしていただいて、進めていただきたい、このことを強く申し上げておきます。
 その上でもう一つ申し上げたいことは、商店街の皆様方は、ボランティアでこういったイベントを頑張って開催をしてくださっているわけであります。決して会計の専門家がいらっしゃるというわけではない、こういったケースが多いわけです。
 そうした意味では、補助金申請、これにかかわる会計について、専門家の方にチェックをしていただいたり、アドバイスをしていただく、そういった仕組みをつくるなど、地域のために、地域の繁栄に貢献をしている商店街に寄り添う仕組みをつくるべきではないかと、こう思うわけですけれども、見解をお伺いいたします。

○土村商工部長 商店街が適切な会計処理を行うとともに、その負担を軽減するため、会計の専門家から助言を受けることは重要だと考えてございます。
 都では、これまでイベント等で新たな取り組みにチャレンジしようとする商店街に対して、専門家を派遣する支援を行ってまいりました。
 今後は、会計に関する相談もこれに追加するなど、商店街の事業活動に対する支援体制を充実してまいります。

○まつば委員 このハロー西荻であったり、また、西荻おわら風の舞のイベントにつきましては、小学生を初め、また、子供たち、西荻窪地域の皆様が毎年楽しみにされていたイベントであります。また、西荻窪の商店街の方々が汗を流して、地域のために懸命に取り組まれてきたお姿を私も目の当たりにしておりました。
 補助金の目的は、商店街振興でもあるわけですが、しかし、この補助金により、結果的に商店街に大きな打撃を与えてしまったわけであります。大変に心苦しく、また、残念でなりません。商店街振興について、産業労働局は、商店街に寄り添って取り組みを進めていただきたい、このことを強く申し上げておきます。
 先ほどの答弁で、区市町村との意見交換の場を設けることや、また、専門家派遣について、会計に関する相談も追加するということでございました。ぜひ早期に行っていただきたいと思います。
 そして、今後、より商店街振興という目的が果たされる補助制度となるよう、制度については、商店街の立場に立って、常に改善していただくことを求めておきます。
 以上で商店街振興について終わります。
 続きまして、就労支援の分野について質問をいたします。
 昨年の十二月に、都議会公明党は、小池知事に妊娠支援の充実について政策要望をいたしました。不妊治療費の助成制度の充実や不育症の検査費、治療費の助成制度の創設、不妊治療と仕事の両立支援などでありました。
 そこでまず、不妊治療と仕事の両立支援についてお伺いをしたいと思います。
 不妊治療は、長きにわたる通院を余儀なくされるなど、体力的にも精神的にも負担が大きく、このため職場を退職される方も多いといわれております。
 こうした現状を受け、都は、平成三十年度より、不妊治療と仕事の両立支援に取り組む企業を後押しするチャイルドプランサポート事業を開始していますが、事業の取り組み内容について、改めてお伺いをいたします。

○篠原雇用就業部長 チャイルドプランサポート事業は、都内企業の人事担当者などを対象として、不妊治療に関する基礎知識等を学んでいただく研修を実施しますとともに、企業が不妊治療に活用できる休暇制度、休業制度を整備した場合に奨励金を支給する事業でございます。この事業によりまして、企業における不妊治療への理解と不妊治療と仕事が両立できる環境づくりの両面を進めるものでございます。
 奨励金の交付決定数は、平成三十年度が百十三件、令和元年度が十月末現在で百六十四件となっております。

○まつば委員 この事業によりまして、不妊治療を受けている方々が安心して仕事を続けられる職場の環境づくりがより多くの企業で進むよう、引き続きの取り組みをお願いいたします。
 現代の女性のライフコースは多様化をしておりまして、就労などの生活環境によって、自然な妊娠がしにくくなっているケースもふえています。妊活、意思を持って授かることといった考え方も注目をされておりまして、そうした観点からも、日常の仕事におけるストレスの低減を図るなどの配慮も必要だと思っております。
 妊活と仕事の両立に対する企業の理解や社会全体の機運の醸成を図ることが重要だと考えますが、見解をお伺いいたします。

○篠原雇用就業部長 都では今年度、不妊治療に関するシンポジウムなどにおきまして、お話の妊活に取り組む事例についても取り上げました。
 さらに、今年度中には、ライフ・ワーク・バランスEXPOや両立推進ポータルサイトにおきまして、不妊治療や妊活に活用できる休暇制度の整備などに取り組む企業の先進事例を紹介していく予定としております。
 今後もこうした取り組みにより、妊娠を望む方々を社会全体で応援する機運を高めてまいります。

○まつば委員 今後も多様な取り組みによりまして、妊娠を望む方々を社会全体で応援する機運を高めていただきたいと思います。
 さらに、妊娠はするものの、流産や死産を繰り返す症状である、いわゆる不育症の方の支援も必要だと私は考えております。都といたしまして、不育症検査費助成制度が来年一月から受け付けが開始をされるということになりました。そうした意味では、この機を捉えて、治療を受けながら仕事が続けられるような施策展開、こうしたことを私は要望させていただきます。
 仕事との両立支援というだけではなくて、一旦退職をして、子育てが一段落したときに再び退職前と同じ企業に職場復帰できる仕組みがあれば、選択肢は広がります。
 都は今年度より、育児、介護等からの復職支援に取り組む企業を後押しするジョブリターン制度整備推進事業を開始していますけれども、事業の内容について、改めてお伺いいたします。

○篠原雇用就業部長 ジョブリターン制度整備推進事業は、結婚、配偶者の転勤、妊娠、出産、育児及び介護を理由といたしまして退職した方を再雇用する社内制度を整備した中小企業に対して奨励金を支給する事業でございます。この制度の整備によりまして、労働者にとってはこれまでのキャリアを仕事に生かせ、また、企業にとっては即戦力となる社員を採用できるなどのメリットがございます。
 なお、今年度の奨励金の交付決定数は二百九十九件となっております。

○まつば委員 さまざまな事情により離職された方が安心して復職できることは非常によいことだと思っております。この事業によりまして、環境整備を一層促進していただくことを要望いたしまして、次の質問に移ります。
 次に、再就職支援について質問いたします。
 都は、平成二十六年七月に、出産や育児などで離職した女性などの再就職を支援する窓口として、東京しごとセンターに女性しごと応援テラスを開設いたしまして、きめ細やかな再就職支援に取り組んできました。
 私もたびたび訪れまして、状況も確認をさせていただき、決算特別委員会の質疑などで何度も取り上げさせていただきましたが、都からは、さらなる支援の充実に取り組むと答弁をいただいております。そこで、これまで女性しごと応援テラスにおける支援にどう取り組んできたのか、改めて確認をしたいと思います。
 まず、女性しごと応援テラスにおける支援の内容や実績についてお伺いをいたします。

○篠原雇用就業部長 女性しごと応援テラスでは、出産や育児等で離職した女性の再就職が円滑に進むよう、専任のアドバイザーによるキャリアカウンセリングや就職に必要なノウハウの習得及びスキルアップを図るためのセミナーを初めとしまして、就職相談、職場体験の機会の提供、職業紹介、就職後の定着支援まで、利用者の希望や実情に応じまして、さまざまな支援を行っております。
 平成三十年度の実績は、新規にテラスの利用者として登録された方が一千五百七人、また、就職された方が一千三人となっております。
 平成二十九年度では、新規登録者一千四百八十九人、就職者は九百三十三人でございましたので、近年利用者は増加傾向にある事業でございます。

○まつば委員 今、答弁いただきまして、新規に登録された方も、また、就職された方も増加をしているということがわかりました。さらにサービスを広げていく上で、地域に出向いていくということも大事な取り組みだと考えております。
 都が取り組んでいる女性しごと応援テラスの地域展開について、現在の状況についてお伺いいたします。

○篠原雇用就業部長 都は、育児や介護などにより、東京しごとセンターへの来所が難しい女性求職者に向けまして、都内各地域において就職相談会やセミナーを実施しております。
 具体的には、再就職に当たっての心構えやノウハウを学ぶセミナーと個別の相談会を同時に、また、区市町村とも連携して開催しておりまして、昨年度は十八カ所において実施し、今年度は二十カ所程度で事業を実施する予定でございます。

○まつば委員 さて、令和三年度には、現在、国分寺にあるしごとセンター多摩が立川駅前に移転する計画となっています。
 以前、私は、移転整備に合わせて、しごとセンター多摩にも女性しごと応援テラスの開設をしていただくことを要望させていただきました。多摩地域において、子育てされている女性にとって、飯田橋のしごとセンターまで通うことは容易ではありません。
 こうした方々がしごとセンター多摩の移転を待たずしてサービスが受けられるように、そうした支援体制も構築をしていただきたい、このように思っております。
 また、移転先の立川には、国のマザーズハローワーク立川があります。ですので、女性の就業支援をやっておられるわけでございますけれども、同じ立川にしごとセンター多摩が開設をされ、私も以前要望させていただきました女性しごと応援テラスが開設ということになった場合でございますけれども、ぜひとも、このマザーズハローワーク立川とも密接に連携をしていただきまして、多摩地域の女性の就業支援、これを積極的に行っていただきたい、このように思っております。
 次に、出産や育児、また介護などで一旦職場を退職された方が再び就職するにはさまざまな不安を抱えられていることがあります。
 具体的に求職活動をするという、このハードル、これはなかなか高いものがあります。そうしたこういう高いハードルがあるなと思っていらっしゃる方々を支援する事業として、都は今年度から、レディGOワクワク塾を開始いたしておりますが、事業の意義、また支援の内容について改めてお伺いいたします。

○篠原雇用就業部長 レディGOワクワク塾は、お話のように、再就職することや育児をしながら働くことなどにつきまして、さまざまな不安や希望などを抱えている女性を支援するために今年度から開始した事業でございます。
 この事業では、約三カ月にわたるセミナーを実施いたしまして、同じ境遇の女性同士が交流しながら子育てと仕事の両立のノウハウについて学んでいただくことで、再就職に向けて自信を持って臨んでいただけるよう支援しております。
 セミナーに加えまして、実際に女性が活躍している企業にインターンシップを実施いたしますほか、託児サービスを提供することで安心して学べる環境を整えております。
 今年度は、十月に開講したコースに三十八人、十一月に開講したコースに三十九人が受講しているところでございます。

○まつば委員 再就職に向けて自信を持って臨んでいただけるように支援しているということでございますけれども、このワクワク塾を修了した後、スムーズに次のステップに進んでいけるかが大事だと思っております。十月開講のコースは十二月に修了ということでしょうか。その点、ぜひきちっとステップを、次へ進んでいけるように、よろしくお願いをいたします。
 次に、都民の就労を応援するために、新たな条例制定に向けて議論が進められておりましたけれども、先日、就労支援のあり方を考える有識者会議の最終報告書が取りまとめられまして、都はこの報告書を受けて、第四回定例会に条例案を提案しております。それに基づく施策の展開もまた重要であります。
 先ほど来、特に女性の就労支援や職場の環境整備について、都の今までの取り組みについて質疑をいたしましたが、こうした取り組みに加えまして、さらに就労に困難を抱える方をいかに支援していくか、これが有識者会議の報告書でも重要視されております。
 そこで、どのような方に支援を行っていくのか確認をさせていただきたいと思います。
 報告書や条例案で述べている、就労に困難を抱える方とはどのような方と捉えているのか、都の所見をお伺いいたします。

○篠原雇用就業部長 有識者会議の報告書では、就労に困難を抱える方の事例といたしまして、障害のある方、生活困窮者、ひとり親、刑務所出所者などを取り上げておりますが、都に向けた提言といたしまして、就労に困難を抱える方に向けたそれぞれの施策ごとに具体的な対象を定めていくべきとしております。
 都としましては、この報告書を踏まえまして、施策の具体化とあわせまして、それぞれの施策で対象とする方を検討してまいりたいと考えております。

○まつば委員 施策の具体化とあわせて、それぞれの施策で対象とする方を検討していくと、こういうことでございました。
 私は、さまざまな事情から働くことを諦めている方々、こういう方がいらっしゃいますけれども、求職活動をしていないため、雇用統計上の失業者に反映をされないで、こういう方々は最近では、ミッシングワーカーと呼ばれているわけであります。
 先日私は、重度障害児を育てる家族のための就労支援事業に取り組んでいるNPO団体の方、また、家族介護者を支援しているNPO団体の代表の方と意見交換をいたしました。ソーシャルファームへの期待とともに、ミッシングワーカーへの支援についても都として進めるべきではないか、こういったお話でございました。
 障害児の母親の常勤雇用率は、健常児の母親に比べまして約七分の一という現状があります。背景としては、障害のあるお子さんの預け先がないだけに限らないで、通院、また、急な体調変化に伴う時間的制約が多いため、就労できない保護者が多いということでありました。
 そうした中でも、最近では、都立特別支援学校のスクールバスに医療的ケア児の児童生徒の方も乗車できるようになり、また、人工呼吸器を使用する児童生徒も、保護者による付き添いなしでも特別支援学校に通えるような環境整備を進めるなど、状況の変化もあります。
 しかし、通院や急な体調の変化に伴う時間的制約の多い障害児の保護者向けの仕事をどのように確保していくのかなどの課題も多く、模索しながら取り組みを進められていると、こういうふうに伺いました。また、家族の介護により、やむを得ず離職した方、家族介護者の方も就労するには課題が多いというのは現状でございます。
 都は、今回の条例を契機に、こうした方々に対しても、希望に応じ、それぞれの実情に配慮した支援を実施すべきと考えておりますが、見解を伺います。

○篠原雇用就業部長 委員お話しの重度障害児の保護者の方や家族の介護により離職なされた方々は、日常の介護、介助に要する負担に加えまして、不測の事態が起きたときにはすぐに駆けつけなければならないなど、働くに当たってさまざまな制約を抱えております。
 こうした制約の中でも、希望に応じた就労が実現できるように、今後、ご本人や雇用する企業などに向けました効果的な支援策を検討してまいります。

○まつば委員 効果的な支援策を検討するというご答弁をいただきました。ぜひ取り組みを進めていただくよう要望いたしまして、私からの質問は終わります。

○尾崎委員 私の方から、最初に、中小企業支援について質問させていただきたいと思います。
 中小企業白書二〇一九年版を見ると、中小企業については、売上高、経常利益、倒産状況について、前年に引き続き良好な状況ではあるが、その一方で、設備投資、取引環境については依然として改善の余地があることが確認されたと書かれています。
 小規模企業白書二〇一九年版では、特に小規模事業者の減少数が大きいと分析されています。小規模企業は、後継者不足はますます深刻になっており、倒産ではなく廃業を選択する事業者がふえています。小規模企業白書の中でも、業種別に見ると、小売業の減少が全体の企業数減少に大きな影響を与えると考えると指摘をしています。このままの状況が続けば、東京の経済に大きな影響があります。
 東京都はこの間、創業支援と事業承継に関する支援を大きな柱にしており、中小企業、小規模企業の事業承継についての支援の拡充が行われていることは重要であり、事業承継支援型経営支援融資の特例メニューで、法人代表者の保証が不要となったことは、中小企業にとって前進です。
 しかし、ほかの制度融資では、原則として、法人としての借り入れの保証人に法人代表者がなるようになっています。
 都の制度融資は、法人の借り入れの場合でも保証人なしにすべきですが、いかがですか。

○加藤金融部長 国は、平成三十年度に信用補完制度の見直しを行い、過度に個人保証に依存しない融資を推進するため、担保による保全が見込まれるなど一定の要件に該当する場合は経営者保証を不要とする運用を行っております。
 こうした動きを踏まえ、都の中小企業制度融資におきましても、一定の要件に該当する場合は経営者保証を不要としております。

○尾崎委員 経営者保証については、二〇一四年二月から適用されている経営者保証に関するガイドラインがあります。このガイドラインの一番に、法人と個人が明確に分離されている場合などに経営者の個人保証を求めないこととなっています。
 小規模であっても、法人と個人が明確に分離されているのは普通のことであり、当然のことです。しかも法人として責任を持って借りた融資は返済するということになるわけですから、法人代表者が保証人になることは、今や時代おくれではないでしょうか。全ての融資で法人代表者を保証人にするのはやめるべきだと要望するものです。
 リーマンショックの年である二〇〇八年度、平成二十年の小口融資の実績は一万三千四百九十二件、金額にすると五百三十一億円でした。リーマンショックの翌年、二〇〇九年度が、小口融資実績は八千百四十五件、金額で三百十五億円と大きく後退しました。その後も融資実績は減少を続け、二〇一四年から少しずつ増加をし、二〇一八年度の実績は前年比で大幅にふえました。創業支援融資についても同様の変化があります。
 国は、先ほどのご答弁にもありましたが、二〇一八年度、平成三十年度に信用補完制度の見直しを行い、見直しの措置として、小規模事業者への支援拡充や創業関連保証の拡充を行いました。
 資料をまとめていただいて、この資料の中にも、小規模企業制度融資の目標と実績の推移という資料があります。これを見ると、特に小規模企業向け融資、小口と創業支援融資の実績が大きく伸びていますが、都はどのように分析しているのか伺います。

○加藤金融部長 小口融資及び創業融資は、小規模企業者や創業希望者などがさまざまな資金用途に活用できることに加え、融資限度額の引き上げなどの利便性向上に努めていることから、実績が伸びているものと考えております。

○尾崎委員 融資限度額の引き上げなどの利便性向上が実績につながったということで、大変重要だと思います。現在の制度でも、小口融資や創業支援融資などには、利子補給や信用保証料補助がありますが、中小企業、小規模企業の要求が多い小口や創業支援の融資制度の利子補給や、保証料補助の都の支援部分の拡充、据置期間の延長など見直しを求めるものですが、いかがですか。

○加藤金融部長 小口融資及び創業融資につきましては、先ほど申し上げましたとおり、これまでも融資限度額の引き上げなど充実を図るとともに、都が信用保証料の二分の一を補助してございます。
 引き続き、中小企業者等の円滑な資金調達を適切に後押ししてまいります。

○尾崎委員 中小企業者等の円滑な資金調達を適切に後押しするとのご答弁でしたので、さらなる支援拡充を求めるものです。
 一方で、小規模融資の実績、資料でまとめていただいた融資の実績表を見ると、二〇一二年、平成二十四年度以降、毎年減少をし続けています。減少の理由はいろいろ考えられると思いますが、借りやすい制度にする必要があると思います。
 例えば、信用保証料の補助は現在ありません。小口融資などのように、都の利子補給や保証料補助があれば借りてみようとなるかもしれません。全ての制度融資について検証し、都の支援を拡充するよう求めるものです。
 都は、中小企業・小規模企業振興条例を策定しました。区市町村、中小企業団体、中小企業や小規模企業、そして大企業などへの条例の周知はどのように行ったのでしょうか。周知のためのパンフレットなどは何枚活用したのか伺います。

○土村商工部長 東京都中小企業・小規模企業振興条例の施行を受け、昨年度、産業労働局ホームページに条例全文を掲載するとともに、条例を制定した旨を都内全域に配布されます「広報東京都」へ掲載いたしました。
 今年度は、東京都中小企業振興公社が、都内の中小企業や関係機関等を対象に毎月約二万部発行する広報誌に掲載するなど、条例制定の周知を図ってございます。

○尾崎委員 パンフレットは作成していないということですが、東京都中小企業・小規模企業振興条例は、多くの中小企業、小規模企業を励ますものですから、せめてパンフレットは作成し、お知らせすることを要望します。
 条例案が策定されたとき、経済・港湾委員会の質疑でも、多くの会派の方たちから、検証が大事だという意見が出されました。私もそういう意見を述べました。もうじき条例ができて一年を迎えるわけですが、どのように検証するのか、どういう会議体で検証するかが大変重要です。
 条例に基づいて、東京都の施策がどこまで実現しているかなど検証することが重要ですけれども、この検証についてはどのように行うのか伺います。

○土村商工部長 施策の検証につきましては、さまざまな事業や各種調査などを通じて実施するとともに、外部の有識者で構成されます東京の中小企業振興を考える有識者会議におきまして、PDCAサイクルに基づき、進捗状況の確認や今後の検討課題など議論することを通じて進めてございます。

○尾崎委員 ただいまのご答弁ですと、東京の中小企業振興を考える有識者会議で議論が始まっているということです。今年度予算には、東京都中小企業振興審議会を開催する予算も盛り込まれているわけですから、審議会を開催して検証すべきだと要望しておきます。
 ものづくりの分野でも、事業主の高齢化、後継者の問題が深刻になっています。製造業の減少に歯どめをかけるため、どのような対策が必要なのかを検討する上で、現状の分析が大事になっていると考えます。
 大田区では、区内の中小企業の半分以上が従業員三人以下の小規模企業であることから、国の工業統計調査では実態がつかめないため、大田区独自に、五年前に悉皆調査を実施しました。ことし二回目の悉皆調査を実施するということです。
 区市町村が実施する中小企業、小規模企業の全業者調査、悉皆調査を行う場合に、都が財政の一部を支援して、調査結果について東京都も共有して施策に生かすべきですが、いかがですか。

○土村商工部長 都ではこれまでも、中小、小規模企業の状況などについての調査や、区市町村の産業担当者との意見交換などを定期的に実施いたしまして、その実態を的確に把握しており、その調査結果につきましては、中小企業支援に関する施策に生かしているところでございます。

○尾崎委員 地域産業活性化支援事業の中に、地域産業調査事業に対する補助事業として、市町村が行う実態調査の費用の二分の一以内で補助をするメニューがあり、これは大変重要だと思っています。
 この事業の目的と位置づけについて伺います。

○土村商工部長 都では、区市町村が地域における新たなネットワーク形成や広域的な企業間取引を活性化させる等の計画を策定し、それを実行する際に必要な経費を支援するなどの地域産業活性化支援事業を実施してございます。
 本事業の一環としまして、新たに計画の策定を目指す多摩・島しょ地域の市町村が、施策の立案を目的として地域産業の実態や課題を把握する調査を行う場合に、その費用の一部を補助する仕組みとしてございます。

○尾崎委員 財政的に大変困難を抱えている多摩・島しょ地域の市町村への支援は大変重要な事業だと思います。中小企業、小規模企業の経営を持続させるための支援については、現状がどうなっているのか、何が課題なのかをまず明らかにすることが前提になると思います。そのためにも、区市町村が行う実態調査への支援の拡充を求めるものです。
 安倍政権は十月から消費税増税を強行しました。日本共産党都議団は、商店街を訪問し、消費税増税の影響調査を行ってきています。十月から消費税が強行されて、新たにキャッシュレスならポイント還元、こういうものも始まりました。商店街の中小零細業者の皆さんからは、ポイント還元は対応できない、店内での飲食もやっていたが、税率が複数になるので店内の飲食はやめたなど、深刻な実態が寄せられます。
 都として、消費税増税による影響調査を行うべきですが、いかがですか。

○土村商工部長 国の消費税率引き上げに関する都内中小企業への影響につきましては、定期的に実施している調査の中で行っているところでございます。

○尾崎委員 定期的に実施している調査の中で行っているということですが、その調査をもとに支援策の検討を求めるものです。そして、その定期的にやっている調査の調査数との関係でいえば、もっと幅広い業者への調査が必要だと思いますので、ぜひ特別に消費税の独自の影響調査を検討していただきたいと思います。
 全国中小企業団体中央会が十一月二十五日に発表した十月の中小企業月次景況調査によると、景況DI指数は二カ月ぶりに悪化をし、景況のほか、収益状況や販売価格など九つの指標全てが悪化しているということが報道されました。
 消費税が導入されて、ことしで三十一年になります。この三十一年間で中小零細業者の皆さんの売り上げはどんどん減り、消費税が一〇%になったことを契機に店を閉じたという声もあります。
 消費税の問題は国の税制度の問題だといわれますが、都内の中小企業、小規模企業にとって、消費税増税は商売も暮らしにも大きな打撃となります。
 今回の消費税増税に伴い、二〇二三年十月一日からインボイス制度が導入されます。仕入れにかかった消費税分を証明する書類がないと仕入れ控除ができなくなり、非課税業者は取引から排除される可能性があり、税理士会などからも、インボイス制度の導入は反対だとの声が今広がっています。
 全国商工団体連合会のアンケートでも、インボイス制度導入について反対、どちらかといえば反対を合わせると八九%を超えています。そして自由回答欄には、一千万円以下の免税業者を課税業者に変えることになり、ますます景気は衰退する、もう生きてはいけないのかもしれないという絶望感があります、何をどうしたらいいのかわからない、私は免税業者です、インボイス制度が始まれば、免税業者は多くの顧客を失うことになると予想される、小規模な個人事業者はどうしたらいいのかと、心配と悲鳴が寄せられています。
 全国商工団体連合会は、一〇%への消費税増税は、単に税率を二%引き上げるだけではない。複数税率とインボイス制度という劇薬が盛り込まれており、深刻な景気悪化、重い事務負担と大混乱、免税業者の廃業危機という桁違いの悪影響を及ぼすと指摘をしています。
 インボイス制度が導入されてしまえば、多くの小規模企業が商売を継続できない状況になってしまいます。小規模企業の営業を継続させるためにも、国に対してインボイス制度導入は中止することを求めるようお願いいたします。
 全国商工団体連合会のアンケートには、フリーランスのデザイナーですが、現状でも何とか生きているという状況です、インボイス制度が始まると絶望しかありません、国はフリーランスや副業を促しておきながら、インボイス制度の導入は納得できない、こういう声も寄せられています。
 そこで、多様な働き方の一つにフリーランスがあります。この間、東京都内でフリーランスがふえていることが調査などで明らかです。都は、フリーランスを労働者と位置づけているのか、自営業者と位置づけているのか伺います。

○土村商工部長 フリーランスの位置づけにつきましては、国が一義的に考えるべきものと考えてございますが、国では明確な定義がございません。
 なお、二〇一九年版の国の小規模企業白書の中では、フリーランスを、特定の組織に属さず、常時従業員を雇用しておらず、消費者向けの店舗等を構えておらず、事業者本人が技術や技能を提供することで成り立つ事業を営んでいる者と定義していることは承知してございます。

○尾崎委員 フリーランスで働いている方々からお話を聞くと、その多くが、取引先の指揮命令を受けながらも自己責任で仕事を請け負っていることがわかりました。
 フリーランスとは、先ほどのご答弁にもありましたが、必ずしも明確な定義があるわけではありません。マスコミなどインターネットで盛んにフリーランスをもてはやすような風潮があります。しかし、八時間労働の原則や残業規制、最低賃金など労働規制が適用されない中で、長時間労働が常態化し、最低賃金を下回っている事例が多くあります。
 国際労働機関、ILOは二〇〇六年に、労働者性を判断する基準に一つでも該当すれば、労働者として労働法を適用すべきだと勧告しています。
 定期的に報酬を受け取っている時点で、その働き方は個人自営業者ではなく、労働者となるのではありませんか。フリーランスの方々は、個人自営業者という認識はありません。ただ確定申告が必要になり、税金の重さを感じ、実務の負担を感じています。そして、消費税が導入されると、人ではなく物扱いされ、もうけを優先する企業は正社員から切り離し、フリーランスとして独立をさせていく。フリーランスがふえるということになってしまうんです。インボイス制度が導入されれば、規模の小さいフリーランスは仕事の取引から外されていくことは目に見えているんです。
 厚生労働省の雇用類似の働き方に関する検討会報告書によると、フリーランスの中でもプロフェッショナルな人材に対しては、保護ではなく自立のため、公正取引が実現できるルールが必要。一方で、労働者に近い働き方の準従属労働者については、保護をする制度が必要などの声も検討会のヒアリングに寄せられていることがわかりました。
 フリーランスの皆さんがどんな働き方をさせられているのか、今後東京でますますふえると考えられますから、都として、都内のフリーランスの実態調査を行うべきですが、いかがですか。

○土村商工部長 フリーランスの明確な定義がない中、現段階ではフリーランスの実態調査を行う予定はなく、国の動向を注視してまいります。

○尾崎委員 国の動向を注視していくということですけれども、都として実態をつかんで、労働者でもなく、自営業者ともいいがたいフリーランスの人たちに必要な支援を行うべきだと要望するものです。
 私はこの間、フリーランスになったイラストレーターの方にお話を聞きました。取引先は会社に勤めていたときと同じだけれども、何かあったときに相談できる人がいない、今は仕事があるが、今後仕事はどうなるのか、将来が大変不安だということです。
 少なくとも、フリーランスの方々に相談できる窓口があることをお知らせする特別の手だてが必要だと思いますが、いかがですか。

○土村商工部長 都では、中小企業振興公社に設置していますワンストップ総合相談窓口において、個人事業主や創業予定者などから、経営等に関するさまざまな相談を受け付けているところでございます。
 窓口につきましては、公社ホームページやパンフレットの配布などにより周知を図っているところでございます。

○尾崎委員 フリーランスの方々が相談できる窓口を充実することと、フリーランスの方々が交流できる企画や勉強できる企画、場所をつくっていただけるよう求めるものです。
 労働者だけでなく、フリーランスや零細業者の皆さんは長時間労働が今、大問題です。先日、厚労省主催の過労死等防止対策推進シンポジウムに私も参加してきました。過労死家族の方たちの発言もあり、大変勉強になりました。
 そこで、都は、過労死をなくすためにどのような支援を行っているのか伺います。

○篠原雇用就業部長 都では、労働相談情報センターにおきまして、長時間労働や労働環境に関する相談に応じますほか、労働安全衛生をテーマとしたセミナーを実施しております。
 さらに、働き方、休み方の改善やテレワークの導入、育児や介護と仕事が両立できる働きやすい雇用環境整備などに取り組む企業を助成金や専門家派遣により支援しております。
 こうした取り組みが過労死防止や長時間労働の防止につながっていくものと考えております。

○尾崎委員 過労死を考える家族の会の方の発言で大変印象に残ったのは、余りにも長い労働時間が繰り返され、仕事や上司の言葉に不安やストレス、これに耐えられず、正常な判断ができなくなってしまったことが過労死につながったということです。共通しているのは、相談できなかったということです。相談できる人、相談できる場所が身近にあれば過労死は防げたのではないかとも思います。
 私は、東京都の労働相談をまとめた労働相談及びあっせんの概要をいつもいただいています。この冊子が、東京で働く人たちの状況の縮図だと思っています。この実態を踏まえて、東京都の施策を検討するべきだと思います。
 二〇一九年度の労働相談件数は五万百三十七件で、二〇〇六年度以降、五万件を超える状況です。相談内容では、職場での嫌がらせが一番多くなってしまっています。放置できない問題であり、職場の嫌がらせが継続して行われれば、過労死にもつながる危険があります。早期の解決のため、相談窓口の拡充、相談員の増員を要望するものです。同時に、気軽に相談できる場所であることを知らせる取り組みを工夫することも要望しておきます。
 次に、誰もが自分らしく働けるため、私はこの間、就職氷河期世代への支援の拡充を求めてきました。国も、最近になって就職氷河期世代への支援を強め始めました。
 そこで、事実確認を中心にして幾つか伺いたいと思います。
 東京しごとセンターで実施している三十歳から四十四歳までの方向けのプログラムがあります。最初に総合相談を受けて、その後、年齢別コーナーにおいてカウンセリングを受けていただいて、その人に合ったメニューを受けることができます。本人が希望して、希望どおりにならない場合があると思いますが、その場合は文書で通知するのかどうか伺います。

○篠原雇用就業部長 東京しごとセンターのミドルコーナーで行われているプログラムにおきまして、申込者のご希望に沿えない場合には、文書または電話により本人に対して通知を行っております。
 その後、本人から希望がございました場合には、本人に合ったほかのプログラムや支援メニューなどを紹介しているところでございます。

○尾崎委員 問題は、自分に合ったメニューを受けて、正社員になりたいんだと思って相談に来た人が、カウンセリングの判断に納得できるかどうかが重要なことだと思います。
 日本共産党都議団に相談にあった方は、担当者に聞いても、自分が納得できる説明が何もなかったということです。当事者が納得できるまできちんと説明することを求めるものです。
 東京しごとセンターの事業で、五日間程度のセミナーと十五日から二十日の企業内実習を通して必要なスキルを習得し、適性を見きわめるミドルチャレンジ事業は、パソナに委託している事業ですが、委託先はどのように決めたのか伺います。

○篠原雇用就業部長 東京しごとセンターのミドルチャレンジ事業でございますが、東京しごと財団がホームページで事業者を募集いたしまして、応募があった事業者の中から企画提案方式により委託先を選定しているところでございます。

○尾崎委員 それでは、パソナに支払う委託費用は幾らになっているのか、また、ミドルチャレンジ事業にかかわっているパソナの職員は何人いるのか伺います。

○篠原雇用就業部長 ミドルチャレンジ事業におきます受託事業者への委託金額は、平成三十年度で約一億三千三百万円でございます。
 また、本事業における受託事業者の職員数は平成三十年度で十四人でございます。

○尾崎委員 ミドルチャレンジ事業では、委託先となっているパソナが独自に開拓した求人等の職業紹介を行っていますが、独自に開拓した求人企業は年間何社ありますか。独自に開拓した求人企業について、都として点検することはあるのですか。

○篠原雇用就業部長 ミドルチャレンジ事業につきまして、平成三十年度に受託事業者が独自に開拓した企業数は延べ二百五十一件でございます。
 また、この独自に開拓した求人企業につきましては、東京しごと財団において事業者から報告を受け、確認を行っております。

○尾崎委員 パソナは、そもそも人材派遣会社です。委託事業先のパソナが独自に開拓した求人企業を、ミドルチャレンジ事業であるJobトライのセミナー参加者に就職先として紹介するということですが、就職を前提に企業内での十五日から二十日間、実習を行うことになっている事業です。この実習期間は、受け入れ企業が一日六千円、参加をする、希望する方は一日五千円の奨励金が出ます。パソナから紹介された企業と面接すると、正規雇用としての求人にもかかわらず、実際は一日五時間のパートだということでした。雇用契約書もなく、一日七時間働いても、二時間は見習いとなり、残業代は出なかったということです。余りにもいいかげんな会社を紹介されたと日本共産党都議団に相談がありました。
 こんないいかげんなことでは困ります。委託業者が独自に開拓した求人企業が、労働法を守っている企業なのかどうか、東京都が厳しくチェックすることを要望するものです。
 次に、企業主導型保育施設設置促進事業の、この間の実績について伺います。

○村西事業推進担当部長 国は、企業に対して、従業員の働き方に応じた柔軟な保育サービスを提供できる保育施設の設置を支援するため、平成二十八年度に企業主導型保育事業を創設し、その設置に必要となる整備費及び運営費の助成を行っております。
 都は、企業主導型保育施設の設置に取り組む企業の負担を軽減するため、国の助成対象となっていないテーブルや椅子などの備品等の購入経費に対しまして助成する独自の支援を平成二十九年度から実施しております。
 これまでの都の助成金の実績は、平成二十九年度は二十七件、平成三十年度は百二十一件となっております。

○尾崎委員 企業主導型保育施設に関する国の補助については、この間トラブルが続出し、補助金申請の詐欺まで起こっていることについて、都の認識を伺います。

○村西事業推進担当部長 企業主導型保育事業における国の補助金にかかわる事項につきましては、国において適切に対応するものと考えております。

○尾崎委員 私は、ことしの三月の経済・港湾委員会でも、この企業主導型保育の問題を取り上げました。ところが、三月以降も問題は次々と起こり、福岡県のコンサルタント会社が国の企業主導型保育への補助金約九億円の詐欺が発覚し、逮捕されました。余りにもずさんだといわなければなりません。同時に、約九億円もの補助金をだまし取ることがよくできたなと驚いてしまいます。
 しかも、内閣府が、問題発覚による助成決定の取り消しなどで返還を求めたのは、約十一億二千万円にもなったということです。この背景には、国の貧弱なチェック体制があるということです。
 国会でこの問題を日本共産党がただすと、チェック機能を持たなかったことは恐らく事実だと認めたんです。先ほどのご答弁で、国において適切に対応するものとの答弁でしたが、国のチェック機能がなかったから、こんな補助金詐欺が起きたのではないんですか。チェック機能があれば、こんな補助金詐欺は防げたと思います。
 東京都は、国が補助金を決めた事業者に備品などの補助をするという事業です。三月にも求めましたが、東京都としてチェックすることなしに、このような企業主導型保育施設に、わざわざ東京都が備品などの支援を行う必要はないと厳しく指摘をするものです。
 次に、農業支援について伺います。
 東京の農地面積は、この十年間で千十ヘクタールも減少しています。生産緑地地区は、二〇〇九年に三千五百六十ヘクタールありましたが、二〇一七年には三千百七十六ヘクタールと、三百八十九ヘクタールも減少しています。
 私はこの間、農地保全と人の確保、育成について都の施策拡充が必要だと思い、委員会でも取り上げてきました。人の育成にかかわり、都は今年度予算に、東京農業アカデミーの開設に向けて、新規事業である新規就農者育成事業三千百万円を予算に盛り込みました。大変重要な事業だと思いますし、成功させたいと思います。
 そこで、東京農業アカデミーは来年度四月からスタートするということですが、準備の進捗状況について伺います。

○上林山農林水産部長 都は、都内の就農希望者及び農業者全てを対象とした総合的な育成プログラムとして、東京農業アカデミーを令和二年度から開始いたします。
 今年度は、農外からの就農希望者を対象にした研修農場の整備に着手しており、講義に必要な研修棟や実習で使用する圃場の造成等を行うとともに、令和二年度の第一期研修生の募集を十一月から開始しております。

○尾崎委員 一期研修生の募集を、今月、十一月から開始しているということです。二年間の講義や研修を通じて、新たな東京農業者になっていただくことを期待するものです。
 ことし三月の経済・港湾委員会でも私は要望しましたけれども、希望する人が安心して学べる環境をつくるため、住宅への補助や食堂などの施設整備もぜひ検討していただき、都有地の活用で東京農業アカデミーの校舎をふやしてほしいと要望するものです。
 農地の保全に向けた事業では、都市農地の保全に向けた活用モデルを示す都市農地活用推進モデル事業がありますが、この事業の目的について伺います。また、進捗状況はどうなっているのか、お聞きいたします。

○上林山農林水産部長 都は今年度、区市による生産緑地の保全の取り組みが円滑に進むよう、生産緑地の貸借モデルとして、高齢者層が技術指導を受けながら農作業に取り組めるセミナー農園の開設に取り組んでおります。
 また、生産緑地の買い取りモデルとして、農業者に新たな栽培技術の試行の場を提供するインキュベーション農園の開設にも取り組んでおります。いずれのモデル事業につきましても、現在、都が求める条件に合った候補地を選定中でございます。

○尾崎委員 昨年度の農地保全に向けて目玉の事業だった、予算では九億八千万円を組んだシニア向けセミナー農園整備事業がありましたが、規模や立地など、区市からの情報を収集していたが、買い取りに至らなかったということがありました。今回は二億四千万円の予算額ですが、ぜひ実現できるよう、最後まで取り組んでいただけるよう強く要望するものです。都のモデル事業が区市への後押しになり、農業者の要望実現につながるので、継続して行うよう求めるものです。
 農地の創出・再生支援事業は、農地の創出に支援する画期的な内容になっていますが、具体的な支援の内容について伺います。

○上林山農林水産部長 農地の創出・再生支援事業は、宅地等を農地に転換することで新たに農地を創出する取り組みや、遊休農地を再生して活用する取り組みに対して支援を実施するものでございます。
 具体的には、市街化区域において、アパートや駐車場を農地にする際のコンクリートなどの基礎や駐車場の舗装の撤去等に係る経費に対して補助しております。
 また、市街化調整区域や島しょ地域において遊休農地での樹木の伐採、抜根といった障害物の除去や整地に要する経費に対して補助しております。

○尾崎委員 今、生産緑地については、意向調査を各自治体が実施しています。農地の創出への支援は、新たに生産緑地地区指定を奨励することにつながる事業だと思います。
 農家の皆さんからは、二〇二二年には、現在指定されている生産緑地地区の多くは、都市計画後三十年経過し、法改正によって景観を十年ごとに延長が可能となったものの、地権者は市に対して買い取り申し出が可能となる、生産緑地地区の買い取り申し出があった場合に、市民農園として市が積極的に買い取ることができるように都独自の支援を検討してほしいとの要望が寄せられています。これは、市長会要望の中にも盛り込まれている内容です。
 生産緑地の保全についての本格的事業は、これからさらに拡充することが求められます。関係する都市整備局とも連携して進めることを要望して、質問を終わります。

○両角委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時三十六分休憩

   午後三時五十五分開議

○両角委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○森澤委員 まず初めに、東京の稼ぐ力を伸ばしていく、新しい産業やイノベーションを生み出していく取り組みについて伺いますが、その際には、決算特別委員会でも申し述べましたが、さまざまな主体の越境がポイントになってくると考えます。すなわち、行政と民間がこれまでの枠を超えて強みを生かし合う新たな関係性から、より多くの社会変革が生み出されると考えるものです。
 そこで、まず産業振興において、東京都とりわけ産業労働局が担うべき役割について見解を伺います。

○武田産業企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長成長戦略担当部長兼務 東京の産業力を持続的に向上させるためには、将来の稼ぐ力を牽引する産業の成長を促進するとともに、地域経済の基盤を支えてきた企業の技術やノウハウを次世代につなげていくことが重要でございます。
 このため、産業労働局では、成長分野への参入や次世代の技術開発に果敢に挑戦するベンチャー企業や中小企業に対しまして、行政が事業リスクの軽減を図るなど、成長の機会を逃すことのないよう、積極的な後押しを行っております。
 また、地域社会の活力の維持発展にとって不可欠である小規模企業や商店街の経営安定化や事業承継に向けたきめ細かなセーフティーネットを整備しております。
 さらに、都が先導役となり、大学や研究機関、金融機関など多様な主体と企業が連携したネットワークづくりを進めるとともに、人口減少社会の到来も見据え、産業の担い手の確保、育成に向けた取り組みも進め、東京の産業の発展へつなげてまいります。

○森澤委員 ありがとうございます。なぜ今回、初めにこの質問をしたかというと、産業労働局の事業は無数にあり、予算も大きいですが、正直、民間でも一見似たような取り組みが行われている場合があり、行政が、都が支援する必要があるのかと、その意義を感じにくい事業が見受けられたからです。
 ただ、今のご答弁をお伺いしまして、産業労働局が産業振興において担うべき役割につきまして、改めて明らかにしていただくことで、これからお伺いする事業についての意義が浮かび上がってまいりました。
 社会の変化のスピードが速く、世の中のニーズとともに求められるビジネスが変化するため、支援のあり方も都度変わってきます。一方で、民間が進めていることを後追いで同じことをやっていても意味がないというのはご認識のとおりだと思います。首都東京の産業振興を担う産業労働局として、都、行政ならではの役割を常に意識し、社会の変化の一歩先を見据えた支援に取り組んでいただきたいと強く思うところです。
 そういった観点から個別の事業について伺います。
 都内ベンチャー、中小企業が大企業とのオープンイノベーションにより事業化する革新的なサービス、製品等を対象に、その開発、改良、実証、販路開拓に要する経費の一部を補助する、未来を拓くイノベーションTOKYOプロジェクトについて伺います。
 民間においてもオープンイノベーションの取り組みは多数なされているわけですが、都が、未来を拓くイノベーションTOKYOプロジェクトにおいて支援をしている意義についてお伺いをいたします。

○土村商工部長 東京の経済の持続的成長のためには、新技術により付加価値を創造するイノベーションの活性化が重要でございます。画期的なイノベーションをもたらす製品、サービスは、新たなニーズを喚起する高い波及力を有しており、市場拡大、ひいては産業発展にもつながるものでございます。
 そのため、都では、すぐれた技術力を持つベンチャー、中小企業が核となって、資金、人材、販路等を持つ大企業等と協働して行うオープンイノベーションへの支援を行ってございます。都が支援を行うことで、ベンチャー、中小企業の開発プロジェクトにさらなる民間資金等を呼び込むことが期待できるものでございます。

○森澤委員 これから伸びが期待できるプロジェクトに、都の支援により、公的な意味を持たせ、さらに民間資金等を呼び込む狙いがあるということでした。
 平成三十年度は十件の応募があり、空飛ぶ車の開発と認証取得に向けた安全性向上と、次世代蓄電池を活用した分散型パワーサービスの事業化、二件が採択されたということでした。
 今年度は審査中ということですが、どのような着眼点で採択をしているのか、審査のポイントについてお伺いをいたします。

○土村商工部長 今年度の採択プロジェクトに関しては現在審査中でございますが、昨年度と同様に、学識経験者等から成る審査委員会で、開発技術や製品の市場性、新規性、優位性、実現性のほか、ほかの企業や関連産業への波及効果などを考慮して採択することとしてございます。

○森澤委員 市場性や優位性、波及効果などがポイントとなってくるということでした。
 もちろん、そのポテンシャルにかけているということもあるので、予定どおりにいかないこともあるのだと思いますが、企業や事業が自立し発展していくことを見据え、支援に取り組んでいただくとともに、進捗についても定期的な定点観測を行い、その成長過程を大切にして、次の支援につなげていただくことを要望いたします。
 次に、インキュベーションHUB推進プロジェクトについて伺います。
 高い支援能力、ノウハウを有するインキュベーターが中心となって、複数のインキュベーターの連携体を構築し、それぞれの資源を活用し合いながら、創業予定者の発掘、育成から成長促進までの支援を一体的に行う取り組みを都が後押ししているインキュベーションHUB推進プロジェクトですが、このプロジェクトは平成二十五年度から行われています。
 五年間の成果について、都はどう認識しているのか、お伺いをいたします。

○土村商工部長 本プロジェクトでは、今年度までに十六件を採択いたしまして、シニアや女性の起業家支援、ライフサイエンスやコンテンツ産業、ものづくり等、特化した起業支援を行う民間事業者のネットワーク構築を促進してまいりました。
 セミナーや交流の場の提供を通じまして、創業者の輩出や創業融資の実行、マッチング支援の成果のほか、卒業生が自主イベントを開催し、新たな創業者の輩出を促す創業エコシステムが構築されている連携体もございます。

○森澤委員 最初のご答弁にありました、都が先導役となり、多様な主体が連携したネットワークづくりをし、それを行政だけではできない創業支援につなげているという意味で、一定の成果を出していると認識し、非常に興味深い取り組みと感じています。
 三年間の補助が既に終了している事業もありますが、連携体の枠組みを残し、引き続き、都内創業予定者の後押しが行われているのか伺います。

○土村商工部長 補助期間終了後も、連携体によりましては、起業家支援のイベント開催や多摩地域の各創業支援機関が集まる情報交換会を実施するなど、連携体みずから創業支援に関する取り組みを行っているところもございます。

○森澤委員 私もちょっと拝見しましたところ、一部、既に事業を畳んでしまっているところもあるようですが、引き続き、形を変えつつ継続し、創業支援を続けているようなところが見受けられ、民間事業者の連携を促し、その立ち上げ期に都が支援する意義というのを感じました。民間企業の強みを生かし、都内での創業支援の幅が広がる取り組みを続けていきたいと思います。
 都は、都内開業率のさらなる向上を図るため、民間事業者によるインキュベーション施設の支援を行っています。施設のハード整備はもとより、ソフト面での支援も重要であると考えます。その質の向上の観点から伺います。
 入居者が創業したり、そして、その事業の発展につなげられるか、あるいはコミュニティの活性化については、インキュベーションマネジャーの力量にかかってくるところも大きいと考えますが、インキュベーションマネジャーの育成について、都はどのように支援を行っているのか、お伺いいたします。

○土村商工部長 都では、TOKYO創業ステーションにおきまして、都認定のインキュベーション施設の質の向上を図るため、インキュベーションマネジャーや運営者を対象といたしまして、定期的に交流会を実施してございます。
 交流会では、都の助成金やセミナー、専門相談など支援メニューについて周知し活用を促しております。
 また、施設運営や取り組み状況などにつきまして、グループディスカッションを実施しまして課題解決の議論を行うなど、インキュベーションマネジャー等の能力向上に向けて支援を行ってございます。

○森澤委員 交流を促し、インキュベーションマネジャーや運営者同士で議論を行うことで、力の底上げを行っているということでした。
 施設の運営主体もさまざまだとは理解していますが、さらなる交流、施設同士の連携により、東京の創業熱を盛り上げていただきますよう期待をいたします。
 政策企画局では、さまざまな形で外国企業誘致を行っています。そういった東京に進出する外国企業に対しても門戸を開いていくべきと考えますが、多言語対応ができるインキュベーション施設はあるのか、お伺いをいたします。

○土村商工部長 都認定のインキュベーション施設の中では、例えば、豊島区の施設におきまして、英語対応のできるインキュベーションマネジャーを配置し、留学生等への支援を実施しているところもございます。

○森澤委員 そして、インキュベーション施設整備運営費補助の交付は最長三年でありますが、三年たった後、自立して運営ができているのか、お伺いをいたします。

○土村商工部長 本事業は、平成二十七年度より開始しており、四十四件を採択してございます。
 十月末現在で、補助等の交付が終了した施設は九件でございまして、そのうち、現在運営しているものは八件でございます。

○森澤委員 補助等は終了しても、一件を除き八件が運営されているということで、自立につながっているものと認識しました。
 託児所つきで子育て世帯にも利用できるようにする、あるいは、先ほど申し上げましたように、多言語対応して外国人起業家も利用できるようにするなど、より多様なプレーヤーがインキュベーション施設に入って交流が生まれることで、イノベーションも起こりやすくなると考えます。付加価値がある施設こそ、都が支援する意味がより高いと考えますので、そういった視点も踏まえた支援を引き続きお願いいたします。
 さまざまな技術が加速度的に変化する社会にあって、民間企業の力を最大限引き出し、発展させていくためには、事業展開を阻むボトルネックの解消に都は注力すべきと考えます。
 先日の決算委員会でも申し上げましたが、私たちのもとにもベンチャー企業から、現在の法律や制度の中では明確に規定されておらず、どうビジネスを進めていいかわからないといった悩みが寄せられ、中でも、行政とのやりとりが必要と感じつつも、どこにどのように相談したらいいのかわからず、結果として事業化できずに断念してしまっている、あるいは、実証実験の場等を国内外の他都市に求めているケースもあり、これは東京にとって大きな損失になると考えています。
 まさにイノベーションの種を逃してしまっている可能性があるので、こういった課題に今後積極的に取り組んでいくべきと考えます。
 そういった中で、都は今年度、イノベーション創出に向けた新機能調査を行っているということですが、どういった課題認識からこの調査を行うに至ったのかについてお伺いをいたします。

○土村商工部長 人口減少やグローバル化、ICT化の進展といった社会経済の変化に伴い、中小企業を取り巻く経営環境は激変しております。
 また、近年では、オープンイノベーションの動きが活発化するなど、イノベーション創出の方法も多様化してきてございます。
 今後もこうした変化へ的確に対応し、効果的に都内中小、ベンチャー企業のイノベーション創出を後押しする施策の方向性を明らかにするため、本調査を行うこととしたものでございます。

○森澤委員 環境が激変、イノベーションの創出の方法が多様化していることなどを踏まえた効果的な施策の方向性を明らかにするということでした。この段階でそういったことに取り組んでいることは非常に重要だと考えています。
 それを踏まえ、どういった狙いを持って、具体的にどのような調査を行い、この調査を今後どのように生かしていくのか、お伺いをいたします。

○土村商工部長 本調査では、イノベーション創出に関する現状や課題を整理するため、地域の産業特性の把握や中小企業などへのアンケートを実施するとともに、新たな支援の検討に向けて、都の支援や国内外の先進事例も調査いたします。
 本調査で明らかになった内容は、今後のイノベーション創出に関する施策展開に生かしてまいります。

○森澤委員 非常に期待しているところです。調査の中では、都の支援の実態も把握するということです。ぜひとも効果検証や経済波及効果の把握を行っていただいた上で、次の施策につなげていただきたいと考えるところです。
 今のご答弁で国内外の先進事例も調査するということでしたが、せんだって、福岡市の官民協働型スタートアップ施設にお伺いしましたが、まず、行政が民間事業者などに委託し、丸投げするような形ではなく、官民協働型で運営を行っていることがユニークでした。福岡市に加え、ディベロッパー、複数のIT企業が出資し、それぞれが運営メンバーを出していました。
 福岡市に企業価値十億円程度のスタートアップを百社創出するという明確な目標のもとに、基本的にその施設を一年で卒業してもらえるよう、入居者側も運営側も真剣勝負で、入居者に対し面談などを通じ、資金調達ができそうか伸び悩んでいないかなどを常にフォローしていっているようでした。福岡市の担当者も毎日のように訪れ、入居者の状況などを気にかけているということで、顔が見える関係になっているということでした。
 まさにこの官民協働の考え方は、今後、都にも取り入れていただきたいと考えます。都も、民間事業者とともに、積極的にかかわり、課題把握を行い、事業の効果を最大限高めるにはどうしたらいいのかを一緒に考えていけるスキームを構築していただくことを要望し、次の質問に移ります。
 シェアリングエコノミーについて伺います。
 シェアリングエコノミーは、身近な困り事をそれぞれのスキルやリソースを用いて解決することで、そのコミュニティ内のお金を循環させる経済モデルであり、これまで日本が追い求めてきたマクロな視点での経済活動とは異なります。それゆえ、都の支援のあり方も従来の考え方を変えなければならないと考えます。
 三月の委員会での奥澤都議への質問に対し、シェアリングエコノミーの考え方により新たなビジネスモデルの開発を進める起業家を掘り起こし、経営と技術の両面からサポートを進めるとの答弁がありましたが、具体的にどのように掘り起こしを行い、経営と技術の両面からのサポートを行ったのか、お伺いをいたします。

○土村商工部長 都では、TOKYO創業ステーションにおきまして、本年六月、シェアリングエコノミーをテーマにトークイベントを開催し、業界の特徴や文化的な側面を踏まえた参入の心構え、市場規模、将来性の経営面のほか、システム開発等の技術面につきまして、先輩起業家による事例紹介を交え、掘り起こしを行ったものでございます。

○森澤委員 シェアリングには社会課題を解決するさまざまな種があります。一方で、創業の過程においては、新たなハードルに直面するのも事実です。そういった課題を把握するなどして、多くの人口が集まっている東京都だからこそのシェアリングエコノミーを育てていってほしいと要望いたします。
 さて、そのシェアリングエコノミーの文脈で一点つけ加えさせていただきます。
 三月の委員会で奥澤都議から、文化交流を求めている訪都外国人に対して、イベント民泊の検討をぜひ進めていただきたいという要望をしましたが、先日、民間仲介サイトを運営するエアビーアンドビーがIOCの最高位スポンサーとなり、来年のオリンピック・パラリンピックに向け、地元自治体の要請を受けて、住民が自宅を貸し出すイベント民泊を推進していく取り組みが公表されました。主体は区市町村が中心となっていくと考えますが、ぜひ、都も積極的な後押しをするとともに、課題の抽出と解決をお願いしたいと思います。
 さて、新たな起業の形には、社会的起業もあります。地域に密着した起業、社会の課題を解決する、いわゆる社会事業家の支援の一つの形が、場の提供です。それに加えて、住宅政策本部を中心に取り組んでいる空き家問題に対する解決策としても期待されるのが、起業家による空き家活用モデル事業です。
 平成三十年度に二件採択し、今年度も先日二件採択されたということです。このモデル事業を行うことで見えてきた課題についてお伺いをいたします。

○土村商工部長 都は、起業家が民間の空き家を活用して事業を展開するモデル事業を実施し、入居場所を探すための相談窓口の設置や家賃負担の軽減等のサポートを行っております。
 しかし、本事業を展開しやすい物件は、不動産市場において人気が高いため流通が少ない一方、市場に流通する空き家の多くは、住居専用地域に所在し、実現可能な事業が制限されてしまうため、事業化に結びつきにくいとの課題がございます。

○森澤委員 モデル事業の当初の狙いを踏まえ、今後どのように次につなげていくのか、お伺いをいたします。

○土村商工部長 空き家活用の参考となる事例につきまして、起業家が集まるイベント等でPRをすることによりまして、新たな空き家を活用した創業の機運を高めてまいります。

○森澤委員 空き家活用には、固定費を安く抑えるという意味で、起業家のリスク軽減や地域のコミュニティ維持、人材育成などの多面的な価値があります。
 課題として、住居専用地域に所在するため、事業が制限され、事業化に結びつきにくいとの課題がありましたけれども、空き家は、地域交流の拠点として大きな可能性を持ち、リノベーションすることでクリエーティブなスペースにも生まれ変わり、人が集まるハブとなる場所にもなり得ます。
 その周辺エリアにもたらす波及効果も大切にしていただきたいと思いますが、本事業がもたらしたまちへの影響も追っていただくことで、その成果を図っていただきたいと要望し、次の質問に移ります。
 意欲的な女性の支援、女性ベンチャー成長促進事業であるAPT Womenについて伺います。
 APT Womenは、これまで四期実施をしていますが、このプログラムを行う中で把握した女性起業家だからこそぶつかる課題について、都としてどのように認識し、どのようにそれを取り除こうとしているのか、お伺いをいたします。

○土村商工部長 女性起業家は、ロールモデルとなる女性経営者が少ないため、対話や助言を通じて、経営に必要な知識や経験を取得するメンタリングの機会が少ない、十分でないなどの課題があると認識してございます。
 そこで、本事業では、個人やグループ単位での相談対応、また、セミナーでは、資金調達などの経営知識の取得等により、課題解決に向けた支援を行っているところでございます。

○森澤委員 メンタリングや課題解決に向けた支援を行っているということでした。
 四期実施しているということですが、受講して終わりということではなく、つながりや広がりを継続していくべきだと思いますが、受講生のその後についてどのようにフォローアップを行っているのか、お伺いいたします。

○土村商工部長 新規の受講生のプログラムにおきまして、このプログラムの修了生との交流会を設けておりますほか、毎期ごとのキックオフイベントや成果報告会などといったイベントにつきましても、修了生にも参加を呼びかけ、ネットワークを途絶えさせないよう工夫を凝らしてございます。
 また、修了生からの相談につきましても、専門家の相談を随時受け付けられるようにしているところでございます。

○森澤委員 ネットワークの維持、修了生も専門家の相談を受けられるようにフォローアップしているということで、すばらしいなというふうに思いました。
 一方で、受講生の中で販路開拓に苦戦している方をちょっと耳にいたしまして、そういった方には、都の支援事業を紹介することにより、彼女たちが課題として抱えていることの適切な解決策につながると考えますが、取り組み状況についてお伺いをいたします。

○土村商工部長 女性ベンチャー促進事業、いわゆるAPT Womenの受講生も含めまして、都や中小企業振興公社の支援事業をホームページやツイッター等、多様な媒体を用いてPRしてございます。
 また、昨年度から、SNSを活用いたしまして、受講生及び修了生に対しまして、各種助成事業等の都の支援策についても情報提供を行うとともに、相談についても適宜対応してございます。

○森澤委員 SNSを活用するなどして情報提供を行っているということでした。
 ちょっとさらにつけ加えたいのは、都の支援策ではなくて、都が新たな発想が必要な民間事業者を募集している新規プロジェクトなどについても紹介し、そういった集まった方々との協働にもつなげてほしいというふうに考えます。それはお互いにとってウイン・ウインな関係になるのではないかと思っております。
 これまでさまざまな取り組みについて伺いましたが、多くの支援事業をやってきたからこそ、その中に、ビジネス、イノベーションの種があり、行政がそれをどうサポートすべきかのヒントを既に持っていると考えます。事業者に委託しているから余り詳細を把握していないということではなく、ぜひ、多くのフィードバックを受け、産業振興の次なる政策につなげていきたいと要望いたします。そして、これから始まる創業支援の施策にもそういったことを生かしていただきたいと思うところであります。
 そこで、来年度にオープンする多摩の創業支援拠点について伺います。
 現在の創業支援拠点の一つであるTOKYO創業ステーションは丸の内オフィス街にあり、人が集まりやすい場所にあると考えます。会社帰りの利用なども促せることから、多くの人が利用しているのではないかなと思うところでもあります。
 多摩の拠点については、どのようなニーズをもとに設置を決めたのか、お伺いいたします。

○土村商工部長 多摩地域では、ものづくりに強い理系の大学や研究所が多く集積していることから、創業のポテンシャルが高い地域だというふうに考えてございます。
 その中にありまして、交通の利便性がよく、金融機関等の創業支援機関が集積しているなど、創業を考えている人にとって利用しやすい環境であることを踏まえ、立川市に設置することとしたものでございます。

○森澤委員 創業のポテンシャルが高い、交通の利便性がよいというところから、立川市に設置するということにしているということでした。
 この拠点ですが、どういった層を、ターゲットを想定して、どういった成果を想定しているのか、お伺いをいたします。

○土村商工部長 多摩地域は理系の大学が多く集積していることから、さまざまなアイデアを持つ大学生によって多くの起業が生み出される可能性を有しております。また、身近な地域でスモールビジネスなどの自分に適した創業を考えている子育て世代の主婦やシニア層も多いという傾向がございます。
 こうした特性を生かしまして、大学、主婦、シニア層にも焦点を当てることで、多摩地域の創業を活性化してまいります。

○森澤委員 大学生や子育て世代の主婦、シニア層に特にフォーカスしていくということで、TOKYO創業ステーションを訪れる方々とはまたニーズがかなり異なってくるのだろうなと思う次第です。
 立川に設置するということですが、子育て世代の主婦が電車を乗り継いでそこに行く時間があるのか、あるいは大学生が施設まで足を運ぶメリットはあるのか、つまり施設自体にお金をかけるだけではなく、時にはオンラインで主婦の方を支援したり、大学での出張セミナーをしたりと、アウトリーチ型の創業支援の拠点とすべきではないかというふうにも考えるわけです。そのエリアの特性を十分に考慮した支援のあり方を今後検討していただきたいと申し述べておきます。
 日本の起業率が低いのは、そもそも多くの方々に起業が選択肢として認識されないことに主たる原因があり、日本人のマインドの問題ともされています。
 一つには、起業を職業選択の一つとして考えてもらうための取り組みが必要であり、今年度から小中学校向け起業家教育が始まっています。二年にわたる事業だと認識していますが、今年度の都の取り組み状況について伺います。

○土村商工部長 本年八月に小中学生向けに、会社設立から資金調達、商品販売などの企業活動をグループで体験する起業家教育イベントを計四回実施いたしました。
 参加者のアンケートによりますと、お金を稼ぐことは難しいことだと思った、また、起業についてよく知れたし、とても楽しかったなど、おおむね好評であったというふうに認識しております。
 また、来年度の学校単位で行う起業家教育の実施に向けまして、今年度は実施する十校を公募により選定し、現在、各学校の先生方とプログラム策定に取り組んでいるところでございます。

○森澤委員 こういったプログラムの中で本物の起業家の方々と接する機会、あるいは起業体験することは非常に重要だと考えます。
 民間の取り組みでも、小学生に一日限りのキッズアントレタウンという、自分の事業プランでお店や事業を展開するイベントに向けて、本物の起業家の前でピッチをしたり、SDGs、経済や租税教育など、さまざまなワークに挑戦する三カ月の創業体験プロジェクトといった取り組みがあります。プログラムに参加した子供たちの、堂々と大人の前で意見をプレゼンする姿が非常に印象的でした。
 自分の夢、やりたいことを発表する、どうすれば売れるかを考える、そういったことを経験することで、起業家マインドのみならず、多くのことを学ぶ機会になるということを念頭に、プログラムの組み立てをお願いいたします。この小中学校向け起業家教育においては、学校周辺の商店街や企業にもプログラムの協力を行うということです。
 そこで、次は商店街支援についてお伺いをいたします。
 インターネットでの購入がふえ、売り上げが厳しい、チェーン店の参入がふえ、商店街内での連携が難しいなどの声も聞こえているところであり、あり方を考え直さなくてはいけないタイミングに来ているのかなというふうに感じるところではありますが、商店街の多面的な価値を見出していく必要があるというふうに考えております。
 そこで、まず都として、商店街の価値はどこにあると考えているのか、お伺いをいたします。

○土村商工部長 商店街は、身近な買い物の場として住民の日々の消費生活を支えるとともに、地域ににぎわいを創出し、安全・安心を提供するなど、地域コミュニティの核として重要な役割を果たしていると認識してございます。

○森澤委員 消費活動を支えるとともに、地域コミュニティの核として重要や役割を果たしていると認識されているということでした。
 では、その価値を高めるために何が課題だと考え、どのような支援を行っているのか、お伺いいたします。

○土村商工部長 地域コミュニティの核として重要な役割を果たしていただくためには、各商店街が創意工夫を凝らし、多くの方に利用していただける魅力的な商店街づくりに取り組んでいくことが重要でございます。
 このため、都では、将来を見据えた戦略的な取り組みにチャレンジする商店街に対しまして、イベントの開催などのソフト面の支援に加え、街路灯などのハード整備への補助を行うなど幅広く支援を行ってございます。

○森澤委員 都は、独自の補助として、政策課題対応型商店街事業として、都が直面する行政課題の解決につながる取り組みを支援しています。
 私たちは商店街の多面的価値につなげるという意味で、こういった支援をより推進していくべきだと考えていますが、実績についてお伺いをいたします。

○土村商工部長 都では、環境負荷の低減や防災、防犯、国際化への対応など、都が直面する行政課題の解決につながる商店街の取り組みを支援してございます。
 具体的には、省エネによるCO2の削減につながるLED街路灯の設置や防災のためのアーケード等の耐震補強などの取り組みに対しまして、補助率五分の四、補助限度額一億二千万円で補助を行っております。
 今年度は、十月末現在でLED街路灯の設置など八十六件に対して交付決定をしてございます。

○森澤委員 冒頭ご答弁いただきました産業振興における都の役割の一つに、地域社会の維持発展に不可欠な小規模企業や商店街の経営安定化のセーフティーネットを整備するというお話がありました。
 ここで大切なのは、一度苦しい環境に、状況に陥ったとしても、セーフティーネットで弾みをつけて再挑戦していく、自立していくことを促しているかという視点です。日本のセーフティーネット施策は、一度その網にかかったら抜け出せないようなクモの巣のようだと、セーフティーネットを張り直すべきだとやゆされたこともあります。
 そうした観点から、政策課題対応型の補助事業は、商店街の地域における新しい価値を見いだし、再挑戦を促す可能性を秘めていると感じています。イベントで一時の集客を得るのではなく、商店街ごとの役割を見詰め直した上で、抱える課題の解決を図っていく、そのような事業として育てていただきますようお願いいたします。
 こういった話をすると、自分たちでもどこから手をつけてよいのかわからないといった商店街の声もあります。結局のところ、商店街自身が本気で取り組んでいただけなければ変わらないことであって、意欲ある商店街が主体的に取り組むよう導いていかなくてはなりません。
 そこで、都としてどのように商店街の主体的な取り組みを促しているのか、お伺いいたします。

○土村商工部長 都では、商店街の主体的な取り組みを後押しするため、区市町村等と連携しながら巡回相談を行い、商店街が抱える課題を掘り起こすとともに、専門家を派遣し、抽出された課題を解決するためのアドバイスや必要なノウハウの提供等を実施する商店街ステップアップ応援事業を進めております。
 平成三十年度は、都内の商店街に対しまして、延べ三百三十回の巡回相談を行うとともに、延べ四百六十五回の専門家派遣を実施いたしました。

○森澤委員 先ほどの、どこから手をつけてよいかわからないという商店街を減らしていくためにも、活性化についての成功事例については横展開していくべきだと考えますが、都の取り組みについてお伺いいたします。

○土村商工部長 都では、都内の商店街の活性化に向けたすぐれた取り組みを表彰し、広くPRするための東京商店街グランプリを開催しております。
 今年度は、親子で楽しめる企画により、子育て世代の集客を実現した事例ですとか、低予算ながら、ボランティアの協力やSNS等を活用し多く集客を実現した取り組みなどが表彰されました。
 今後、年度内にこうした取り組みを紹介する事例集を三千三百冊作成いたしまして、都内の商店街や区市町村等に広く配布を行うことで、事例を参考とした新たな取り組みを促してまいりたいと思います。

○森澤委員 表彰を通し、事例を参考とした新たな取り組みを促進していくということでした。
 事例集を配布するということですが、商店街ごとにその役割、価値は千差万別であり、もちろん成功事例をそのまままねしても成功しないわけであります。商店街活性化のイメージを共有することは重要ですが、あくまでも商店街自身の意欲にかかっています。まずは、その意欲を引き出す、引き出した意欲を形にするオーダーメード型の支援をするという流れで進めていただきますようお願い申し上げます。
 先日、ナイトカルチャー、ディベロッパー、観光庁や文化庁など各分野の有識者の方々とのナイトタイムエコノミー活性化を議論するワークショップに参加しました。そこで、東京の魅力とはという問いに対して、アムステルダムの元ナイトメイヤーであるミリク・ミラン氏を初めとする外国人チームの方から、横丁、スナック、ママさんをコンテンツ化するというような提案が出てきたことには驚きました。横丁を初めとする日本人の暮らしの一部分が、外国人からすると、日本らしい文化資源であり、また、観光資源としてのポテンシャルを持つということを改めて感じた次第でした。
 もちろん全ての商店街や横丁を観光地化できるわけでもないとは思いますが、各商店街が持つ強みを磨いていく取り組みを強化していただきたいと申し述べておきます。
 さて、続いて、そのナイトライフ観光支援についてお伺いをいたします。
 ナイトライフ観光支援については、通年計画で実施する新たなイベント等への支援で五件、地域の新たなナイトライフの取り組みの支援に三件ということで、応募も一定数あったというふうに聞いています。
 ナイトライフ観光は消費増が期待されます。まだスタートしていない事業もありますが、現時点で、実際に周辺での消費拡大につながっているのか、お伺いをいたします。

○松本観光部長 本事業は、区市町村や民間事業者等が夜間の集客イベントなどを開催しまして、地域の新たなにぎわいや観光資源を創出する取り組みを支援するものでございます。本年六月に募集を開始し、八月に合計八件採択いたしました。
 現時点で事業を開始している案件のうち、本年九月に渋谷駅付近で実施しましたナイトマーケットイベントは、二日間で五千人を超える集客を確保したと聞いておりまして、イベントによる周辺地域への波及効果も期待されるものでございます。

○森澤委員 引き続き、周辺での消費拡大につながっているかというところを把握していただきたいと思います。
 以前、このナイトライフ観光支援についての質疑の中で触れさせていただきましたが、地域に伝わる祭りなど伝統文化を活用した、そういったものも支援する必要があるのではないかと申し述べましたが、そのイベント支援の状況についてお伺いをいたします。

○松本観光部長 伝統文化を活用したイベントとしまして、中央区内で実施しております音楽イベントでは、三味線や笛、和太鼓といった和楽器を中心とした音楽ライブの定期的開催ですとか、音楽の演奏に合わせて実施する書道のパフォーマンス、折り紙の体験等も予定してございます。

○森澤委員 先日発表された世界の都市総合ランキングでも、夜の観光スポットが少なく、ナイトライフの充実度に乏しいことが東京の弱点だと指摘されています。
 先ほど申し述べましたナイトタイムエコノミー活性化を議論するワークショップでは、夜間の交通アクセスの課題に加え、いかに文化の成長、発展につなげるかという視点も大切だと指摘されました。文化が観光を呼び込み、観光で得た利益が文化に還元されるよう、そのようなエコシステムの構築により、東京のさらなる魅力向上に努めていただきたいと要望し、次の質問に移ります。
 観光消費を高めるということに関連して、これまでまちに出てくることにハードルのあった障害のある方への宿泊環境の整備は非常に重要です。
 三月に改正し、この九月に施行された建築物バリアフリー条例では、新たに一般客室のバリアフリー基準が設定されました。この基準が設定されたことに対し、車椅子ユーザーの方からは、一般客室までのバリアフリー化基準が設けられるのは画期的で、利用の幅が広がり、本当にすばらしいことだと喜びの声がありました。
 条例改正を契機にその基準が実装され、車椅子利用者を初めとする方々にとって、よりバリアを感じないまちをつくっていくことが重要です。
 都は、この新基準に適合する一般客室の改修等について、補助対象とするなど支援内容を拡充していますが、現在の取り組み状況と宿泊施設における課題についてお伺いいたします。

○鈴木観光振興担当部長 都は今年度、宿泊施設の改修等について、補助対象の拡大と合わせ、補助率を従前の最大三分の二から十分の九に引き上げるなどの拡充を行いました。
 本補助制度により、客室や浴室の出入り口の幅を広げる改修による車椅子使用者用客室や条例の新基準に適合する一般客室の整備、また、可動式スロープなどの備品の導入に対して現在支援を行っております。
 一方、既存施設におきましては、客室内の段差解消等が困難なケースや稼働率が高い中で運営しながらの改修が困難であるなどの課題も見受けられます。

○森澤委員 東京二〇二〇大会に向けて、訪日外国人がふえ、稼働率が高い中で運営しながら改修が困難という話もありました。しかし、真にソーシャルインクルージョンな東京をつくっていくためには取り組まなければいけない課題であり、企業の社会的責任ともいえます。
 二〇一八年の統計では、体や心などに障害がある人の数の全人口に占める割合は約七・四%、六十五歳以上の高齢者は二八・一%、ベビーカーに乗るような三歳未満の子供は全人口の二・三%、こういった方々を合わせると全人口の約四割に上ります。旅行するときは一人でなく複数の家族も同行する場合があります。そういった意味では大きなマーケットがここにあるともいえると思います。
 ある結婚式場では、車椅子でチャペル形式の式や披露宴に参加できるように徹底的なバリアフリー化を進めたところ、高齢の祖父母にも参加してもらえるということで利用者がふえ、収益が上がったという事例も聞きました。
 宿泊施設のバリアフリー整備をすることは、コストだけではなく、経済性とも両立するもので、施設の収益向上にもつながっていく可能性があるということ、こういったことを事業者には理解していただき、取り組みを促進していくべきだと考えます。
 宿泊施設における課題を踏まえ、今後どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。

○鈴木観光振興担当部長 都は、宿泊施設の経営層等に対して、バリアフリー化の推進が、高齢者も含め、新たな顧客の獲得につながるといったメリットなどを紹介するセミナーを実施しております。
 また、今年度より、宿泊施設や設備機器メーカー等を対象にしたセミナーを開始し、小規模工事でもバリアフリー化につながる事例や障害者の望む接遇対応の情報提供等を行っております。
 さらに、宿泊施設の個別の状況に応じた課題を解決するため、建築士等の専門家を派遣する事業も開始いたしました。

○森澤委員 新たな顧客獲得のメリットを伝えるセミナーや、事業者が取り組みやすいよう小規模工事でもバリアフリー化につながる事例や、ハードだけでなくソフト面での対応を向上させるための情報提供も行っているということでした。
 ぜひ、より多くの宿泊施設に取り組んでいただけるよう、引き続き、周知と啓発を強化していただきたいと要望し、次の質問に移ります。
 今月初めまで、約四十日間にわたり行われていたラグビーワールドカップでは、外国人観光客によりビールの消費も伸びたといった報道がありました。二〇一九年十月推計値ですが、日本政府観光局の訪日外客数によりますと、ラグビーワールドカップの出場国からの数が、前年同月に比べ、九月は七万七千人、十月は八万一千人ふえるなど、ラグビーワールドカップによる波及効果がかいま見られます。
 都では、ラグビーワールドカップの期間中、調布と有楽町のファンゾーンにおいて観光ブースを設置しましたが、ファンゾーンでの外国人観光客への観光PRの成果についてどのように認識しているのか、お伺いいたします。

○松本観光部長 都は、有楽町と調布のファンゾーンにおきまして観光ブースを設置し、観戦者等に観光情報を提供いたしました。
 観光ブースは、合計で約一万五千人の来場がございまして、そのうち外国人は約五千七百人でございました。
 外国人旅行者からは、東京の観光スポットや食事、ショッピング等について、多くの問い合わせをいただきました。
 また、近隣の自治体からは、観光施設や案内所の利用が増加したという声も聞いてございまして、ラグビーワールドカップ開催による観光PR効果があったと認識してございます。

○森澤委員 今のご認識、今回のラグビーワールドカップ期間中の状況も踏まえ、来年のオリンピック・パラリンピックへの課題として、どのようなことを認識しているのか、お伺いいたします。

○松本観光部長 観光ブースにおける外国人の方へのアンケートの結果、欧米豪を初めとしたラグビーワールドカップ参加国からの来場が大半を占めました。そして、日本食やまち歩きなどの体験を希望する声が多くございました。
 東京二〇二〇大会に向けては、メダル有望国など、訪都が見込まれる地域の旅行者のニーズを的確に捉え、プロモーションを集中的に行うことが重要でございます。
 また、訪れた外国人旅行者の方に対して、都内各地の食や伝統文化に関するイベントなどについて紹介、誘導し、そして回遊を図っていく必要があると認識しております。

○森澤委員 日本食やまち歩き等の体験を希望する声が多く、都内各地の食や伝統文化を紹介するイベント等について紹介、誘導し、回遊を図っていく必要があると認識しているということでした。
 物消費から事消費へと転換していく中で、民間事業者との取り組みとも連携し、日本ならではの食や伝統文化の体験で、満足して帰っていただけるような取り組みに、引き続き取り組んでいただきますようお願い申し上げます。
 次に、東京二〇二〇大会のレガシーの一つとして考えられているテレワークに関連して、サテライトオフィスについてお伺いをいたします。
 市町村部でサテライトオフィスがふえていくことは、働き方改革のみならず、時差通勤なども実現し、満員電車解消にもつながる重要な施策であると考えます。
 サテライトオフィス設置等補助事業の実績、設置促進において、どのような課題を把握しているのか、お伺いいたします。

○篠原雇用就業部長 サテライトオフィス設置等補助事業では、昨年度、三件の補助金の交付を行っておりまして、これにより、多摩市、八王子市、三鷹市の三カ所でサテライトオフィスが新たに開設されております。今年度は、これまでに武蔵野市で開設する一件の交付決定を行っております。
 助成した事業者や問い合わせのあった事業者からは、立地によっては利用者の確保が困難であること、利便性の高い開設場所がなかなか見つからないなどの話を聞いているところでございます。

○森澤委員 サテライトオフィスの設置を進めるに当たって、これまで取り組んできた補助事業を通じて得られた知見を今後どのように生かそうと考えているのか、お伺いいたします。

○篠原雇用就業部長 本事業につきましては、引き続き、事業の周知、広報を進めるとともに、継続的に助成に取り組むことで、サテライトオフィスを設置する事業者の確保につなげていくことが重要と考えております。
 また、サテライトオフィスを利用する方の企業の増加にもつながるように、テレワークの事例集やハンドブックを配布しますほか、今年度作成したサテライトオフィスを検索できるスマートフォンアプリの活用も進めてまいります。

○森澤委員 私も、ことしの初めに視察をいたしました、多摩センター駅すぐ近くにある、東京都の補助事業第一号であるサテライトオフィスさんに、その後の状況についてお話を伺ったのですけれども、やはり、先ほど利用企業の確保という話がありましたが、テレワークを活用しサテライトオフィスで働くという働き方が、まだまだ浸透していないのではないか、そこでの働き方の意識改革が必要で、会社に制度があっても、まだまだ活用されていないのではないかという課題認識があるということでした。
 都が、スムーズビズで培った企業との関係性を生かして、サテライトオフィスを活用した働き方の導入に向けて、企業側への働きかけをさらに積極的に行ってほしいと考えます。その際には、既存のサテライトオフィスを活用いただけるよう働きかけを強めていただきたいと要望いたします。
 次に、先ほどもありましたが、女性の再就職支援についてお伺いいたします。
 結婚、出産など、ライフイベントで一度仕事をやめたブランクのある女性の支援については、民間ではなかなか事業にはなりにくいというふうにいわれるところもあり、都の支援に私も期待しているというところです。
 先ほども言及がありましたレディGOワクワク塾、私の周辺でも、参加したかったけれども参加ができなかった--この二期の開催については、かなり参加希望が殺到し、参加をお断りしている状況と聞いています。それだけニーズが高かったのだなということがうかがえます。
 今回、どういった方々が参加されているのか、また、この塾を卒業する際にはどのような状態になってほしいと考えているのか、お伺いいたします。

○篠原雇用就業部長 レディGOワクワク塾の参加者は、一期、二期合わせて七十七名おられまして、全てが子育て中の未就業の女性でございます。平均年齢は三十五・九歳となっております。
 この塾を設置した目的でございますが、受講生が、塾の卒業後に子育てと仕事を両立するイメージを持っていただき、再就職への自信と意欲を深め、具体的に就職に向けた活動に踏み出していただくということでございます。

○森澤委員 実際の再就職につなげるためには、一定規模の中小企業は、業務改善やシステム化、属人化の排除などの環境整備をすることで、ブランクのある女性をうまく戦力化できると考えます。
 一方で、そもそも企業側の意識改革も必要というのは、私も以前の委員会で申し述べているところですが、企業の意識改革、啓発にどう取り組んでいるのか、お伺いいたします。

○篠原雇用就業部長 都では、中小企業におきまして、女性や高齢者などの多様な人材の活躍に向けました意識改革が進められるように、企業が多様な人材を採用するメリットや、採用ノウハウ、それから活用事例などを紹介するセミナーを実施しております。
 また、育児と仕事が両立できるなど働きやすい環境づくりにつきましても、シンポジウムなどのイベントや動画を活用した広報などによりまして、企業への普及啓発を行っております。

○森澤委員 時間の制約がある人材の活用については、次に取り上げます障害者雇用についてもいえることですが、企業や経営層の側の意識が変わらないと進まないところがあり、引き続き積極的な取り組みを期待いたします。
 第四回定例会に、都民の就労の支援に係る施策の推進とソーシャルファームの創設の促進に関する条例が上程されますが、その根底にあるのはソーシャルインクルージョンの考え方です。ソーシャルインクルージョンとは、一人一人が異なる存在として尊重され、社会の中の大切な一人として、その違いが生かされるべきという考え方です。
 その考え方を障害者就労に当てはめると、障害のある方の職場を確保するという考え方ではなく、その就労環境を整えていくことで、障害者自身の自立を促進するとともに、企業の業績向上につなげていく。そして行政から見ると、より多くのタックスペイヤーを育てていくという三方よしの社会を目指していく考え方といえます。
 そのような考え方から、まず短時間就業支援事業について伺います。
 これは障害者側の短時間ならその能力を発揮できるという特性を生かし、事業者側の経済合理性への求めに応えるものでありますが、国の制度上、週二十時間未満の労働では障害者雇用率の算定対象に含まれないといった問題がネックになっています。こうした国の制度上の問題について、現場により近い東京都や区市町村が課題を抽出し、解決策を見出していく必要性があると考えるものです。
 今年度から開始された、週二十時間以上の就業が困難な方々の活躍の場を広げることを目的としたモデル事業である短時間就業支援事業では、短時間勤務で雇用しようとする中小企業と障害者の方をマッチングし、企業に対しては雇用管理の手法等のノウハウを提供し、障害者本人に対しては体調管理等のアドバイスを行うということですが、取り組み状況についてお伺いいたします。

○村西事業推進担当部長 都は、週二十時間未満の障害者の職場体験実習を通じまして、体力や体調等の面からフルタイムの労働が困難な障害者の就業の場を開拓するとともに、中小企業に対し、障害者雇用のきっかけづくりを行うことを目的として、本年度から障害者の短時間就業モデル事業を実施しております。
 この間、東京労働局等と連携し、職場体験実習を受け入れる中小企業を開拓するとともに、実習を希望する障害者とのマッチングを図っており、これまでに実習の受け入れ先として四社を選定し、このうち三社において合計五名の障害者が実習に参加しております。

○森澤委員 もともとは国の議論に先駆けて始めたモデル事業と認識していますが、企業や就業者の声についてお伺いをいたします。

○村西事業推進担当部長 都のモデル事業に参加した企業からは、障害者に担っていただく仕事の切り出し方や、障害者の雇用管理を実際に経験できるなど、障害者の採用に向けた実践的な準備ができたという評価がございました。
 また、職場実習を体験した障害者からは、実際の仕事を経験することで、働く意欲や自信が湧いてきたとの感想が上がっております。

○森澤委員 実際に仕事を経験することで、働く意欲や自信が湧いてきた、あるいは企業側からすれば、障害者の採用に向けた実践的な準備ができたという評価があったということです。お互いにプラスとなっている側面がかいま見られまして、引き続き、前向きな取り組みに期待をしたいと思います。
 次に、平成三十年度から始まった障害者雇用促進支援事業のポイントについて伺いますが、このポイントはビジネスとの両立を図るという点でありますが、具体的にどのような成果が得られているのか、お伺いいたします。

○村西事業推進担当部長 障害者雇用促進支援事業は、障害者雇用の拡大に取り組む中小企業に対して、障害者の雇用環境と経営の両面からの支援をパッケージで提供するモデル事業でございます。
 昨年度は二社から応募があり、雇用環境や経営面から、それぞれの専門家の派遣によるアドバイスを実施し、障害者の勤務状況の改善や新規事業の立ち上げなどが実現しております。その結果、四名の障害者の新規雇用につながるなどの成果がございました。

○森澤委員 今のご答弁で、新規事業の立ち上げがあったということですが、すばらしいなというふうに思ったのですが、これはもともと障害者の方に想定されていたお仕事ではなく、本人の特性を生かした仕事をつくり出した結果、その会社にとっても新規事業の立ち上げとなったということです。ビジネスとの両立がかいま見える取り組みで、ぜひ、こういった事例を多く生み出していただきたいと期待いたします。
 一方で、障害者を採用したとしても、一緒に働く社員が障害特性などを理解していないと、継続してその職場で働き続けることが難しいという課題もあります。都は、東京ジョブコーチ事業で支援をしていますが、私も耳にするところではありますが、まだまだそういった支援が企業に知られていないのではないかというふうに感じるわけですが、この認知度の向上に努めるべきと考えます。見解を伺います。

○村西事業推進担当部長 都は、障害者を雇用する企業に対して、仕事の切り出し方や受け入れ体制の整備など、障害者雇用に豊富なノウハウを持つジョブコーチを派遣し、障害者が安定して働ける職場環境の整備を通じまして、その職場定着に向けた支援を行っております。
 ジョブコーチの広報につきましては、専門のPR誌を作成し、企業や就労支援機関等へ配布するほか、本年七月には、ジョブコーチの利用に関する相談窓口として東京ジョブコーチ支援センターを新たに開設し、その利用の一層の促進を図っております。

○森澤委員 さらには、持続的な環境整備という意味で、ジョブコーチ的な存在を企業の中に育成していく、内製化をしていく必要があると考えますが、見解を伺います。

○村西事業推進担当部長 障害者雇用の促進に向けましては、ともに働く従業員が障害特性等を理解し、職場内でサポートできる体制を構築していく必要がございます。
 このため、都は、障害者を雇用する企業が自立的に障害者の支援を行えるよう、人事担当者や社員を職場内ジョブコーチとして養成しております。
 この養成講座は、業務の切り出し方法や社内理解の進め方など、障害者の受け入れに必要な実践的な知識、ノウハウを身につけることができる研修となっております。

○森澤委員 非常に大事な取り組みだと考えるからこそ、ぜひ多くの企業に知っていただきたいと感じるところであります。障害者雇用の未達成企業に働きかけたり、SNSなどを活用して周知をしているということは認識するところではありますが、今後、ぜひHRフェアなど企業の人事が常に集まっている場所等に出ていって、アピールをしていただくことも検討していただきたいというふうに思います。
 障害者の就労の幅を広げていくという意味では、農福連携も大事な考え方の一つです。
 農福連携とは、障害者等が農業分野で活躍することを通じ、自信や生きがいを持って社会参画を実現している取り組みで、障害者等の就労や生きがいづくりの場を生み出すだけではなく、担い手不足や高齢化が進む農業分野において、新たな働き手の確保につながる可能性もあるということで全国に広がっています。
 ことし三月の経済・港湾委員会で、奥澤都議から農福連携への都の取り組み状況についてお伺いし、今年度、都内の福祉団体等に対して、農福連携に関する取り組み状況等についてアンケート調査やヒアリングを実施しているということですが、取り組み状況と今後の方向性についてお伺いいたします。

○上林山農林水産部長 都は今年度、農業の新たな担い手確保と、障害者や高齢者の就労機会や生きがいの創出につながる農福連携を促進するため、都内の福祉団体等に対して、農福連携に関する実態把握を行っております。
 具体的には、都内の福祉事業所を対象にアンケートを実施しており、今後は、このうちの数カ所を対象にヒアリング調査を実施していく予定でございます。
 今回の調査をもとに、福祉法人の農業参入の促進に向けた支援策を検討してまいります。

○森澤委員 今後、支援策を検討していくということですが、福祉との連携が農業における人手不足の解消、つまり安価な労働者確保となってはいけません。農福連携においても、その収益性をいかに高めていくかという視点を大事にしていただきたいと指摘しておきます。
 農業の収益性を高めていくこと、その手段は、効率化と付加価値の向上です。農福連携は、その取り組みそのものがブランドとなる可能性もありますが、市場で評価されるよい品を送り出すことがより重要です。
 そのような観点から、本日はトウキョウXのブランド化について伺います。
 トウキョウXのPRについては、取り扱いを行っている団体が積極的にPRに取り組んでいるということですが、都は今年度から、トウキョウXブランド化支援事業を行っていますが、トウキョウXのブランド強化に向けた都の役割と取り組み状況について伺います。

○上林山農林水産部長 都はこれまで、トウキョウXの生産拡大に向けて、生産団体に対する種豚の導入費用や出荷経費補助、飼育管理の改善に向けた指導体制の充実を図ってまいりました。
 今年度からは、より適正な肉質の評価を実施し、ブランドの信頼性を高めるため、これまで取扱事業者が独自に行ってきた格付評価にかえて、公益社団法人日本食肉格付協会による国内統一の格付評価を受けられるよう、その費用を助成しております。

○森澤委員 格付の話がありましたが、高収益化を考えたとき、これからの農業や畜産業は、国内での消費だけではなく、世界の市場にいかに送り出していけるかもポイントになってくると考えます。
 ことし七月、日本の和牛を代表する神戸ビーフが、初めてその産地に近い兵庫県姫路市にある処理施設からヨーロッパに輸出されたとの報道がありました。動物福祉の面で特に厳しいEUの基準に対応する施設を整備したことでそれがかなったそうですが、これを機に、さらに世界に打って出ると意気込んでいるそうです。
 輸出拡大には、相手国の食品管理認証制度に合わせて、生産方法、処理ができる体制が必要といわれていますが、世界ではどのようなものが高い評価を得ているのかという視点で、さらなる高付加価値化を進めていただきたいと思います。
 効率化という観点から、都におけるスマート農業の取り組みについて伺います。
 農業分野も、ICTの活用により、生産性の向上、高付加価値や働き方改革につながります。例えば、九州とほぼ同じ面積でありながら世界第二位の農産物の輸出大国であるオランダの農業がテクノロジーに支えられていることは周知の事実であり、見習うべきです。
 先ほども質疑がありましたけれども、都では、東京の農地の事情に合わせ、小規模の農地で収益性の高い農業経営を実現するために、ICTを活用した新しい農業生産システム、東京フューチャーアグリシステムを開発したとのことです。
 開発したからには多くの農家さんに使っていただきたいと期待も膨らみますが、東京フューチャーアグリシステムについては、どのようなゴールを見据え、今後取り組みを進めていくのか、見解を伺います。

○上林山農林水産部長 都は今年度、東京フューチャーアグリシステムの普及に向け、当該システムの導入農業者から提供されたデータの分析を行うとともに、施設の展示や勉強会による意見交換などを通じ、システムの改善を図っております。
 さらに、システムの基本的な仕様を公開し、本システムを取り扱う民間事業者をふやすことで、都内だけでなく、他県の農業者にも広く普及することを目指してまいります。

○森澤委員 システムの基本的な仕様を公開し、取り扱う事業者をふやそうと考えているということでした。これは普及に向けた大事な取り組みです。また、まだまだ農家さんにも知られていないようでしたので、せっかく開発したシステム、ぜひ積極的なアピールをお願いしたいと思います。
 さらに、例えばまちだシルクメロンを栽培する町田式新農法では、技術指導も含む新規参入者への設備販売を行っています。こうした事業者との連携を深め、新たな技術の開発や普及拡大を図ることは肝要です。ICT活用の先にいる農家さん、その先にいる消費者の姿を思い浮かべた施策を進めていただきますようお願いし、私の質問を終わります。

○栗下委員 まず、受動喫煙防止対策支援事業について伺います。
 二〇二〇年四月から始まる受動喫煙防止条例の全面実施まで半年を切ってまいりました。東京二〇二〇大会に向けて、産労局でも、宿泊施設、飲食店の受動喫煙防止対策支援補助金を交付いただいておりますので、それについて幾つかお尋ねをしたいと思います。
 この取り組みは、喫煙専用室、指定たばこ専用喫煙室の設置を希望する飲食店や宿泊施設に、設置費用の最大で九割を都が補助するというもので、これから飲食店での原則禁煙が始まろうとしておりますが、同時に、喫煙者の方々が吸える場所も整備をしていく、また、そういった喫煙者の方々をお客さんにしている飲食店、宿泊施設の営業を後押ししていくという意味でも、こういった喫煙室設置の補助が、必要とする方々にしっかりと届いていくということは大変重要だというふうに思っております。
 そこで、まず進捗を確認したいと思いますが、本年始まりましたこの支援事業の問い合わせ件数と補助金の受理件数、そして、その傾向について伺います。

○鈴木観光振興担当部長 まず、問い合わせ状況ですが、補助事業や、あわせて実施している専門家派遣の概要から、申請の方法、補助対象要件、設備の詳細など、幅広い内容でお問い合わせをいただいており、事業を開始した四月は延べ百七十件程度でございましたが、徐々に増加し、十月末までの累計では延べ千九百十九件となっております。
 次に、補助金の申請の受理の状況ですが、喫煙専用室等の整備に当たりましては、顧客ニーズの分析や設備設置に伴う客席の減少、工事期間における売り上げの減少など検討に時間を要することから、六月に入ってから申請の受理が始まり、その後、徐々に件数も増加し、十月末までにおける受理の件数は累計で四十件となっております。

○栗下委員 現状は四十件受理されているということでありました。報道によっては、この利用がちょっと伸び悩んでいるんじゃないかというのもあったのですけれども、やはり来年四月の全面実施に向けて、今まさに尻上がりに伸びているところだというお話もいただいたと思いますので、引き続き、福祉保健局と連携を密にしながら、対応をお願いしたいと思います。
 さて、この喫煙室設置への補助につきましては、国においても同じ趣旨の事業を実施しております。
 しかし、先日、会計検査院の調査の中で、国における助成制度で不適切な助成があったと、そういった指摘がございました。目的外使用、無断廃止、過大請求、そういったことで、二〇一三年から一七年の四年間で百三十件、八千九百万円分の助成が不適切であったと会計検査院が指摘をいたしました。
 これは、設置をされた後に、その中に飲食スペースを設けてしまったり、あるいは、喫煙室をつくったのだけれども、なかなか使い勝手が悪いので、その後に使わなくなってしまったり、あるいは、最も悪質なパターンだと、実際設置にかかったお金よりも水増しをして申請されるというケースもあったというふうに聞いております。
 そこでお伺いをいたしますが、都の補助金においては、こういった事例に対してどういった備えが施されているのでしょうか、お聞きをいたします。

○鈴木観光振興担当部長 ただいまご質問の内容について、会計検査院の公表資料を確認しますと、国の受動喫煙防止対策助成事業におきまして、助成金が過大に交付されていた事態に関して、助成対象経費等について、領収書以外の証拠書類等と整合がとれているか確認することとされていなかったと記載されております。
 一方、都の受動喫煙防止対策補助金では、交付要綱等におきまして、経費の支払い方法は金融機関からの振り込み払いに限定し、かつ実績報告の際に振り込み事実が確認できる書類を提出させ、請求書との突合を行うなど、補助金開始の当初から、過大請求の発生を防止する仕組みとなってございます。
 また、補助事業により取得等した財産につきましては、補助金の交付目的に従って運用することを義務づけており、交付決定の機会などを捉え、全ての補助対象事業者に周知するとともに、補助金支出後も、必要に応じて検査し、または報告を求めていくこととしております。

○栗下委員 国よりも厳しいチェックが働くのだというお話をいただいたのかと思います。
 しかしながら、やはり設置をした後に飲食スペースを設けたり、使わなくなってしまったりするのは、やはり事後のチェックを行っていかないと、これは確認し得ない事項でありますので、今、必要に応じてやられるというお話もあったのですが、全件でなくとも、その一部であっても、やっぱり事後の調査を行っていくということと、あとは、ちゃんと抜き打ちのチェックをやるんですよということを、飲食店、宿泊施設の方々に伝えていくということが、こういった不適切な制度の利用の抑止力になっていくのだというふうに思います。この補助金が適正に利用され、必要とされる多くの方々に使っていただけるよう、引き続きご尽力をお願いいたします。
 次に、しごと財団の業務委託について伺います。
 先月中旬に、とある新聞報道がございました。都の交付で負担をされている中小企業の就職説明会で、サクラ学生に報酬を払っていたという記事でございます。
 その記事によれば、まず、東京しごと財団が行っている中小企業の人材確保事業、これを受注しているマンパワーという大手人材派遣会社が、下請の都内コンサル会社さんに学生向けの就職説明会の開催、これをさらに発注されました。この受注をされたコンサル会社さんが、集客を行う中で、学生三人の方に人を集めてくれと依頼をされたそうです。
 ここからが問題になるのですけれども、その三人の学生さんは、ほかの周辺の学生さんにSNSを通じて、報酬五千円プラスアルファ、さらに友達を呼ぶと追加で報酬がありますと、こういう集客のされ方をされて、実際に求職の意思のない、就職する気のない学生さんたちが、報酬をもらいながらこの説明会に参加をされていたという内容でございました。
 判明をしている範囲では、ことしの七月、八月に行われました二回の就職説明会の中で、一つは十七人中十名、その半数以上、もう一つは四十三人のうちの三十七人、ほとんどがこのSNSを通じての呼びかけに応じて来た、いわゆるサクラであったという内容でございました。
 その記事には財団のコメントも載っておりますので、事実に基づいたものとして進めますけれども、この事実は、都の調査でもなくて、財団の調査でもなくて、関係者の告発によって明らかになったものでございます。先ほど申し上げた学生間でのSNSの生々しいやりとりと、本当にその学生さんの説明会に興味がなかったというコメントも紙面に掲載をされてまいりました。
 これは、都民の方々に不信感を抱かせる。これは当然のことなんですけれども、やはり最もがっかりされたのは中小企業の方々だったと思います。本当に昨今は人が集まらないという切実な思いを持って、真剣にこの就職説明会に臨まれて、真剣に学生さんたちに説明をしていた中小企業の方々の思いを、まさにこれは無にするかのような行為でありまして、やはりこういったことはただされていかなければならないのだろうと我々も重く受けとめております。
 まず、産労局として、今回の件をどのように受けとめているのか、そしてどのような対応を行ったのかについてお伺いをいたします。

○篠原雇用就業部長 学生などの求職者と企業が出会う場となります合同企業説明会におきまして、今回のケースのように、金銭を提供することにより参加者を募る行為は極めて不適切なものでございまして、本事業の委託契約にも反するものでございます。
 このため、本事案の受託者に対しましては、合同企業説明会に要した費用を支払わないこととしましたほか、受託者名、違反の内容及び都と東京しごと財団の対応等の公表を行ったところでございます。

○栗下委員 都としても、極めて不適切であったという認識を持っているということでございました。今回のこの説明会の費用の不交付、これは当然のことだと思うのですが、やはり心配になってくるのが、こういったことがほかに行われていないのか、あるいは、今後こういったことが起こらないためにどのようにしていくのかということだと思います。
 過去に行われた説明会における実態調査、そして再発防止に向けてどのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。

○篠原雇用就業部長 本事業に関連いたします合同企業説明会につきましては、過去のものも含めて全件の調査を行っておりまして、それぞれの受託者に対しては、書面による報告を求めているところでございます。
 再発防止に向けましては、本事案の違反のあった受託者を除く全ての受託者に対しまして、この事案を周知し、契約事項の再確認や適切な業務執行に対する注意喚起を行うなど、コンプライアンスの徹底を図っているところでございます。
 今後さらに、都及び東京しごと財団におきまして、受託者の事業執行の状況をこれまで以上に綿密にチェックしていくこととしております。

○栗下委員 ぜひ、信頼回復に向けて、心して臨んでいただきたいと思います。特に過去にさかのぼっての実態調査については、本当に真剣に行っていただく必要があるのかなというふうに思います。
 というのも、これが載っていた新聞記事には、集客を学生さんに依頼をされたコンサル会社さんの社長のコメントが載っているのですが、その中で、サクラの事例はほかにもあるんだと明言されております。
 そして、今回の記事のもとになりました告発者の方、マンパワーにお勤めの方だったのですが、この方のコメントがインターネットにも載っておりまして、ちょっとそれを読みますと、私は会社に恨みはないのですが、税金の無駄遣いはやめてほしいのですよね、血税ですから、企業が人材採用できると期待をしているのに、サクラを呼んでいるとは申しわけないです、こんなことを少なくとも三年間は続けていると。こういうふうに書かれています。それは誰でも見られるんです。
 マンパワーは、二〇一六年度から一九年度にかけて、延べ十億円近くにも上る同様の人材確保事業をしごと財団から受けられているということであります。こういった記事が載りますと、それに呼応する形で、また新たな証言が出てくる可能性も十分にあります。都が実態調査を行った後に新しい事案が露見したということになれば、やはりそれは大きな問題ですので、ぜひ、この実態調査についてもしっかりと行っていただきたいと思います。
 この人材確保事業自体は、やはり中小企業の方々に大変喜ばれている重要な施策なんだと思います。ぜひ、そういった中小企業の、本当に若者に来てほしいという思いに、これは真正面から応えていただけるような、そういった事業にしていただけるように、再発防止に力を入れて取り組んでいただけるようにお願いしたいと思います。
 次に、eスポーツイベントについて伺います。
 都として、大きな成長の見込まれる産業の開拓を後押ししていく。そして、その産業が成長して、東京、ひいては国全体の活力につながっていく。こうした取り組みというのは、大変地道に見えますが、意義深いものでございます。
 近年、その一つとしてeスポーツの分野が期待を集めております。海外では既に大きく花開いておりまして、グローバルでの市場規模は既に二十億ドルに到達をして、今なお年間二〇%前後の成長率で伸び続けております。トップ規模の大会の賞金は二十億円以上で、このまま成長を続けると、サッカーやバスケットボール、そういったリアルスポーツをいずれ追い抜くのではとまでいわれております。
 しかし、残念ながら日本は、かねてからビデオゲーム大国として名をはせてまいりましたが、このeスポーツの発展は、海外に比べるとかなり立ちおくれているというのが現状でございます。
 そこで、今まさに、その開花に向けて、年明けに東京都でもeスポーツフェスタというイベントを準備していただいているところかと思います。産業があまたある中で、都としてなぜ一産業を後押ししなければならないのかというのは、大会の意義にかかわる重要な点ですので、まず確認をさせていただきたいと思います。
 産業労働局として、なぜeスポーツ振興を行うのか、その点について伺います。

○土村商工部長 我が国のeスポーツ市場規模は、民間の調査結果によりますと、二〇一七年は約四億円となってございますが、二〇二二年には約九十九億円と大きな伸びが見込まれるものでございます。
 eスポーツへの関心を高め、競技者、挑戦者をふやすことは、関連技術や周辺機器等へのニーズを生み出し、中小企業の力を発揮する機会をつくることにつながると考えてございます。
 そこで、都では、今年度初めて東京eスポーツフェスタを開催しまして、競技大会とあわせ、関連産業展示会を実施することで、中小企業のすぐれた製品やサービスを発信する機会を創出してまいります。
 こうした取り組みによりまして、eスポーツの認知度向上を図り、関連する中小企業の振興をさらに後押ししてまいります。

○栗下委員 eスポーツに関連した中小企業の産業、こういったところを後押ししていく。その一環として、このイベントを行うのだということだと思います。
 イベント自体は、そもそも人気のあるゲームというものを題材にしておりますので、人が集まらないとか、そういったところについてはほとんど心配をしておりませんけれども、しかし、いっときのにぎやかしで終わらないで、その後しっかりと、今ご説明をいただいたように、中小企業の方々の具体的なビジネスチャンスにつなげていくというところに評価軸をぜひ置いていただきたいというふうに思います。
 そこでお伺いをいたしますが、具体的にどういった工夫を凝らして中小企業のビジネスチャンスにつなげていくのか、お尋ねをいたします。

○土村商工部長 中小企業のビジネスチャンスを拡大していくためには、競技大会参加者など多くの来場者が集まる当フェスタの機会を有効活用し、展示会の出展効果を高める工夫を行うことが重要でございます。
 このため、本イベントの公式ホームページやリーフレットにおいて、事前に出展者情報を掲載し、広く発信するとともに、公式SNSを通じて各社の出展内容をPRする取り組みを実施しております。
 また、希望する出展者に対しましては、会場内に設置するサイネージにおきまして、各社のプロモーション動画を放映いたします。
 さらに、イベント全体を盛り上げるMCを活用しまして、各社のPRを行う機会を設けることを予定してございます。

○栗下委員 ありがとうございます。ぜひ、中小企業ファーストの視点で運営に取り組んでいただきたいと思います。
 さて、eスポーツフェスタについて、今月の初めに、最も注目をされておりました競技コンテンツの発表がございました。三種目ということでございますが、この三種目、税金を投入することからも、暴力的なものはだめとか、そういったいろいろと難しさがあったというふうに聞いております。
 この競技種目について、どういった方針に従ってどのように決められたのか、お伺いをいたします。

○土村商工部長 競技大会の種目選定に当たりましては、都が中心的役割を担うイベントであることを踏まえまして、過激な暴力表現や過度な性的内容を含まないことを条件といたしました。
 条件設定の際には、国内で家庭用ゲームソフト等を販売する際、その表現内容に基づいて対象年齢を定めます、レーティング表示といわれる業界団体の自主規制ルールを参考にさせていただきました。
 これに基づきまして、幼児から高齢者まで誰もが楽しめ、気軽に始めることができる種目となるよう、年齢制限のない種目の中から選定することといたしました。
 最終的には、この条件のもとで企画運営事業者から提案を募り、業界団体等から構成されます実行委員会におきまして決定いたしました。

○栗下委員 今回初の大会ですし、さまざまな制限がある中で決められたのだというようなお話であったのかと思います。
 しかしながら、最初にお答えをいただいた、中小企業のビジネスに直接つながっていくかというと、ちょっとそれについては意見も分かれるところもあるのかなというふうに思います。といいますのも、この三つ、選ばれました種目、いずれも、ゲームセンターとか、あとはスマートフォンで遊ぶものですから、最初にお答えいただいた周辺機器は余り介在しないんですよね。また、この三種目ともに、ほとんど海外ではやられていないゲームなんですね。
 いわゆるeスポーツの世界に入ってきていただいて、その後、産業自体が盛り上がっていくかというと、ちょっと心配というふうに私も思いましたし、実際にそういった声、ネットを通じても上がっているんです。
 子供からお年寄りまで来ていただいて、ライトユーザーに入り口に立っていただくという考え方はすごくわかるのですけれども、やはり、きょうのイベントは楽しかったなと、それだけで終わらないように、今後はそういったところ、入り口から、もうちょっと奥に入ってきていただけるような、そのかけ橋となるようなタイトルの選定についても検討課題としていっていただきたいというふうに思っております。
 さて、このeスポーツフェスタ、当日、会場の盛り上がりというのも大変大切でありますが、同様に、ネットを通じての巻き込みというのも大変重要になってまいります。というのも、eスポーツというのはネットとの親和性というのが非常に高いところがありまして、多くの方々がネットを通じて観戦をされるという傾向があります。通常、会場に集まられる方々の十倍から百倍といった数の方がネットを通じて観戦をされるということであります。
 そこで、eスポーツフェスタにおきまして、どのようにネットを使った発信を行っていくのか、お伺いをいたします。

○土村商工部長 eスポーツへの関心を高め、その魅力を広く発信していけるよう、インターネットを通じて当フェスタの様子を視聴できることは重要だと思っております。
 このため、フェスタ開催期間二日間の競技や会場の盛り上がりなどについて、動画をリアルタイムで配信する予定でございます。
 さらに、イベントの内容をわかりやすく理解できるよう、フェスタ終了後、配信した動画を編集しまして、インターネットの動画サイトにおいて掲載することを予定してございます。

○栗下委員 ネット中継については大切だという、そういうご認識はいただいているのかと思います。この動画の視聴回数といったものも、多分、今後のベンチマークになっていくと思いますので、ぜひ力を入れていただきたいと思います。
 今回はさまざまなeスポーツの関連団体さんにも参画していただいていますけれども、そういった先には、非常に影響力のある、このeスポーツのトッププレーヤーさんたちもおられます。そういった方々からの発信も、ぜひ、eスポーツが盛り上がっていくことというのは彼らにとっても大変大切なことですので、一緒に盛り上げていただくと。そういう地道なことですけれども、そういった呼びかけについても、ぜひ行っていただけるよう、都から働きかけていただけるようお願いをしたいと思います。
 ぜひ、最初に確認させていただきました、しっかりと中小企業の元気につながっていくというところに力点を置いていただけるようお願いをいたしまして、次の質問に移ります。
 アニメツーリズム事業について伺います。
 このアニメツーリズム事業については、一昨年に、この経済・港湾委員会の質疑の中で取り上げました。アニメという日本が誇るコンテンツを生かして、観光客誘致に生かしていく。このコンセプトはすばらしいのだけれども、もうちょっと観光客を呼び込むための工夫ができるんじゃないかと、そういったことを申し上げました。
 多分わからない方が多いと思いますので確認しますが、この事業の平成三十年度における具体的な内容と事業規模についてお尋ねをします。

○松本観光部長 本事業は、アニメに関心のある国内外の旅行者が東京の観光を楽しむために、国内外で人気の高いアニメ作品を活用し、デジタルスタンプラリーを実施するものでございます。
 平成三十年度の事業規模は約五千万円であり、参加者がAR機能のついたアプリをダウンロードし、東京タワーや東京都庁、城南島海浜公園といいましたアニメ作品に登場する場所を含む都内十七カ所の観光スポットをめぐることでポイントを獲得し、ポイント数に応じた景品を受け取る仕組みとなっております。
 また、デジタルスタンプラリーの開催に当たり、アニメファンの多い秋葉原で記念イベントを実施しまして、タレントによるトークショーを行うなど、多くの方が参加するようスタンプラリーをPRいたしました。

○栗下委員 具体的にはデジタルスタンプラリーという取り組みで、アプリをダウンロードいただきまして、都内各所を回遊いただいて、その得たポイントに応じて景品がもらえるという、こういった取り組みであったということでありました。
 次にお伺いしますが、昨年度、どれくらいの方々がこのデジタルスタンプラリーに参加されたのでしょうか、お尋ねをいたします。

○松本観光部長 平成三十年度のデジタルスタンプラリーのアプリのダウンロード数は、三千三百七十八件でございました。

○栗下委員 最初にご答弁をいただいた事業規模というのは五千万円。五千万円のお金がかかっているんですね。実際に遊ばれた方というのが約三千四百人なんですよ。ということは、これを遊んでいただくのに、イベントとかを差っ引いても一人頭一万円以上はかかっちゃっているというような計算になるんですね。ちょっとこういったところであると、やはり率直に、費用対効果については課題もあるのだろうと。民間だったら、絶対こんなイベントは多分回らないと思います。
 実は、私、一昨年前も同じことを申し上げました。しかしながら、海外からお客さんを呼び込めるのであれば、その価値はあるんじゃないかということも同時に申し上げました。海外からのお客さんたちは消費額というものが大きい、付加価値の大きいというところがありますので、そういう海外からのお客さんたちをより呼び込むところに力を入れていただきたいということをその際に申し上げてまいりました。
 そして、昨年度、事業が行われたわけでありますが、海外観光客へのPRをどのように行って、実際にデジタルスタンプラリーにどれだけ海外の方々が参加をされたのか、お尋ねをいたします。

○松本観光部長 本事業では、東京を訪れる外国人旅行者の方々へ効果的にPRをするため、日本語と英語の二カ国語の公式ホームページを開設し、デジタルスタンプラリーの楽しみ方やスタンプラリーのスポットなどの情報を提供するとともに、SNS等を活用しまして、海外へ情報発信を行っております。
 また、平成三十年度は、新たな取り組みとしまして、羽田空港やJRの秋葉原駅等において、アニメのキャラクターに扮したコスプレーヤーが日本語と英語の二カ国語によるチラシ配布と写真撮影のイベントを実施するなど、外国人旅行者の皆様の利用を促進させる取り組みを行いました。
 なお、デジタルスタンプラリーの外国人の方の利用者は、米国などを中心としまして、全体の六%程度でございました。

○栗下委員 羽田や秋葉で、具体的にはそのPR、海外からの観光客向けにやっていただいたということで、これは非常によかったんじゃないかなというふうに思っております。
 実際に好意的なコメントを海外からの方からいただいたということも、お話を伺っておりますので、ぜひこういったところを今後拡充していっていただきたいと思っております。
 そのほかにも、やはり一番根本的な部分においては、デジタルスタンプラリーの題材になる作品も、より海外で人気なものにシフトしていくとか、そういった工夫をいただければ、海外からの観光客に、より訴求していくというふうに思っております。
 今年度も事業が行われますアニメツーリズム事業において、海外観光客の誘致に、より積極的に力を入れていくべきだと思いますけれども、見解を伺います。

○松本観光部長 今年度は、実行委員会の委員であるアニメ関連団体の協力を得ながら、国内はもとより、欧米を中心に海外でも人気が高いアニメ作品をデジタルスタンプラリーに活用するように取り組んでまいります。
 また、本事業の公式ホームページやSNSなどを利用し、スタンプラリーの取り組みを海外に向けて発信していくとともに、アニメイベントのほか、外国人旅行者が多く集まる場所における写真撮影スポットを充実するなど、より多くの外国人旅行者の参加が期待できる効果的な方法を検討してまいります。

○栗下委員 ありがとうございます。ぜひとも力を入れていただきたいと思います。
 このイベントは二月に行われると思いますが、いよいよ来年は東京二〇二〇大会ということで、やはり海外観光客誘致も勝負の一年であるというふうに思いますので、日本の誇るアニメコンテンツの魅力を世界に発信するとともに、海外からの観光客の誘致、これにお力を入れていただけますようお願いして、次の質問に移らせていただきます。
 東京ビッグサイトについて伺います。
 東京ビッグサイトは、いうまでもなく東京が誇る日本最大の展示場でありまして、例年極めて高い稼働率で、展示会、イベントなどが開催をされております。
 しかし、東京二〇二〇大会の開催時に、世界中の報道機関の拠点である国際放送センターやメディアプレスセンターとして活用するために、大会期間中はビッグサイトの全館が利用不能になります。
 そして、二〇一九年四月、ことしの四月からは、全館の半分以上の面積を占める東館が利用不能に既になっています。
 これに対して、出展をされていた企業や、そちらで開かれるイベントに参加をされる方々、そういった方々から心配の声が上がっておりました。
 東京二〇二〇大会は、やはり国を挙げてのイベントですので、仕方がないというところもあるのですけれども、しかし、出展企業の方々は、その多くは中小企業さん、産労局としてやっぱり守っていくべき中小企業さんなんですよね。やっぱりその経済活動への影響というのは最小限に抑える努力をしていかなくてはいけないと思います。
 既に、対策としてビッグサイトの南館を整備いただいたり、青海の展示棟を整備いただいたり、閉鎖期間をできるだけ短縮いただいたりと、そういった努力はさまざましていただいていると思いますが、影響がないかというと、やはりあるというお声をいただくのですね。
 例年開いている展示会ができなくなる。こういう機会損失という意味でも問題なんですけれども、もっと深刻だというのは、小さな企業さんで、このビッグサイトの展示会、それによって生まれるお仕事から多くの収入を得られている小さな会社さんというのが数多くおられます。
 イベント屋さん、印刷屋さん、施工業者、運送業者、ひいてはお弁当屋さんまで、そういった方々がたくさんおられるのですが、東京を元気にしようという東京二〇二〇大会の影響で収益が大幅に減ろうとしている、あるいは、中には倒産も心配されているというようなところもあるので、ぜひ、そういった現場の切迫感といったものについても、いま一度ご認識をいただきたいと改めて申し上げたいと思います。
 二〇一九年度、本年度、会場の一部閉鎖が始まりまして、例年と比べてどの程度、展示会、イベントが開催できるのか、行われるのかという点について、私も引き続きウオッチをしてまいりました。
 今年度は、さまざま調整を行っていただいて、例年の九割程度、延べ面積で九割程度のイベントを行っていただくことができたということですが、もっと深刻だといわれているのは来年度であります。
 産労局としても調整を頑張ってきていただいていると思いますが、その結果、二〇二〇年度の利用調整の状況は、閉館の影響のなかった二〇一五年度と比較をしてどの程度となっているのか、お尋ねをいたします。

○土村商工部長 都は、東京二〇二〇大会の開催に伴う東京ビッグサイトの利用制約による中小企業の展示会出展への影響を最小限に抑えるため、さまざまな取り組みを行ってまいりました。
 まず、利用制約が始まる二〇一九年四月から利用できる仮設の展示場を青海に設置するとともに、新設した南展示棟の竣工時期を六カ月前倒しし、極力、展示面積の確保を図ったところでございます。また、大会組織委員会と調整を行い、利用制約期間自体の短縮も行いました。
 あわせて、東京ビッグサイトと連携し、展示会ごとの実情を踏まえた開催時期や利用面積の調整を進めてまいりました。
 その結果、二〇二〇年度は、二〇一五年度の利用実績と比較すると、面積ベースで約八割の展示会が開催される見込みとなってございます。

○栗下委員 例年の八割程度だというご答弁がありました。かなりの閉鎖期間がある中で、かなり頑張っていただいたというところもあるのですが、一方で、やはり二割のイベントについては、ことしは開催をされないとか、あるいは幕張メッセやパシフィコ横浜の方でやるとか、また、規模を縮小されたというケースというのも結構あるというふうに聞いております。
 こういった展示会というのは、その継続性というところで非常に重要視されているというところがありまして、それは具体的に何かというと、例えば、昨年度、本年度、こっちでできないから幕張メッセでやろうとなると、その次も幕張メッセでやろうというふうになったり、そういうふうにされることも往々にしてあるというふうに伺っております。
 ぜひとも、二〇二一年度、閉館が解かれてから、そういった、本年度、昨年度使っていただけなかった企業さんに再び戻ってきていただけるように、営業努力をしていかなくてはいけないのだというふうに思っております。
 東京ビッグサイトは、もともと稼働率が高い、予約をしようとしても、なかなかとれないというところがあります。売り手市場ですよね。ですので、そういった心配ってもしかしたら余りされていないかもしれませんが、先ほど申し上げたとおり、そういうイベントに付随されたところで収入を得ておられる企業さんというのがやっぱりあるということで、閉館の影響で、昨年度、本年度使えなかった企業さんに戻ってきてほしいという声もありますので、ぜひとも、そういった中小企業を大切にするという意味も含めて、本年度、昨年度、大会の都合で利用できなかった事業者に対して、しっかりと戻ってきてもらえるような手厚い対応をいただきたいというふうに思います。
 また、ビッグサイトの施設について幾つか伺います。
 ことしの夏は、ご承知のとおり、記録的な猛暑でありました。東京大会もそうなんですけれども、多くの人間が集まるというところは、もう暑さ対策は必須になってきているかと思います。
 私は一昨年に、この委員会で、ビッグサイトの本館と新たに整備をされる青海の会場が徒歩でいうと二十分以上かかります、非常に離れていることから、その会場をつなぐシャトルバスを運行すべきだというふうに提案させていただきまして、それについては実施をしていただいています。ありがとうございます。
 実際に私も、ことし、青海の展示棟が開いてから、この二つの、ビッグサイト本館と青海の展示棟、両方を使うイベントに行ってまいりまして、この会場間を歩いてまいりました。その日は大変な暑さだったのですけれども、本当に途中で倒れるかと思うぐらいの暑さですね。しかし、私の周辺を見渡してみますと、そうやって炎天下の中で歩かれている方がまだ結構いらっしゃったんですね。
 ですので、ぜひ、このシャトルバスのことについて、より多くの方々に使っていただけるように、周知といったところについても一層のご努力をお願いしたいというふうに思います。
 こういったご配慮もいただきましたけれども、暑さ対策にはまだ結構課題もありまして、ことし八月十一日の報道でありますが、いわゆるコミケというイベントで集まったお客さんが、熱中症で十一名体調不良を訴えられて、それで三名が緊急搬送されたという報道が、テレビ、そして新聞で扱われました。
 実際、私もこのイベントに行ってきましたけれども、会場もやっぱりとても暑いんですね。それは外だけの話じゃなくて、会場内も暑いと。会場内も暑いんです、蒸し風呂みたいな状態。(「それはコミケにいえよ」と呼ぶ者あり)でもね、コミケだけじゃないと思うんですけど、新しくできた南館、こっちの方に入ってみると、こっちは空調がちゃんときいてるんですよ。しっかりきいている。
 ですので、やっぱり屋内の空調設備がちょっと追いついていない部分もあるのだろうと。老朽化もあると思いますけど、人が多く集まるイベントのときには、やっぱり冷却機能が追いつかないこともあるのだろうということを、これは肌身に感じてきたわけであります。
 安全、快適であるということは当然だと思いますけれども、やっぱりビッグサイトは日本最大の展示会場で、この東京の顔でありますから、海外からのお客さんが来て、たくさん人がいるとはいえ冷房がちゃんときいていない、これはやっぱり日本のイメージにもかかわることだと僕は思います。
 ですので、ぜひとも早急にビッグサイトの空調設備について、更新や強化を行っていくべきだというふうに思っていますが、見解を伺います。

○土村商工部長 東京ビッグサイトでは、年間約三百件の展示会が開催され、国内外から一千数百万人の来場者があるなど、日本最大のコンベンション施設として高い利用実績を上げております。そうした中で、展示場としての一定の機能水準を維持するため、施設の改修工事を計画的に行っているところでございます。
 空調機器設備につきましては、二〇一七年度に西展示場の一部ホールを、また、東の展示場は、利用制約期間に合わせまして、本年、改修を実施いたしました。
 今後は、西展示場の残りのホール及び会議棟について、二〇二三年度から二〇二五年度にかけて改修を実施する予定でございます。

○栗下委員 全ての館において空調の整備を予定されているということなので、ぜひ、人がたくさん集まってもしっかりときく空調整備をできる限り早く行っていただきたいと、このように思っております。
 暑さというのは年々深刻になってきているところでありまして、日よけを新しく設置するとか、水飲み場所を新たにつくっていくだとか、そういったところについても、施設側の配慮というものをお願いしたいということも申し述べておきます。
 次に、シルバー人材センターについて伺います。
 人生百年時代という言葉が一般的になってまいりました。長寿は喜ばしい一方で、高齢人口はこれから加速度的にふえるわけであります。高齢者の方々にどのように人生を楽しんでいただくか、どのようにこの社会を一緒に支えていただくのかは大きな課題だと思います。
 まさに、その課題解決の手段の一つにシルバー人材センターがあるかと思います。そのシルバー人材センターには大きな課題があります。それは、会員数をふやしていかなくてはいけないということです。
 高齢者の方の数というのは、ご承知のとおり、年々ふえております。しかし、シルバー人材センターの都内の総会員数というのは、例年横ばいか、実は昨年は微減をしてまいりました。
 しかし、聞くところによれば、例年会員数がふえている地域のセンターもあれば、そうでないセンターもある。ふえているセンターは何がいいのかといえば、会員増加に向けて、積極的な広報活動が実を結んでいるからだというお話を耳にしております。
 そこで、こういったセンター、会員数増加に成功しているセンターにおいて実を結んでいるPR事例、これを積極的に横展開していくことで、潜在的にシルバー会員として働きたいという方々をさらに集めることにつながっていくのではないかというふうに思います。
 シルバー人材センターの会員増加に向けて、各センターが行う広報を都が支援していくべきだと思いますが、見解を伺います。

○篠原雇用就業部長 シルバー人材センターがその会員数を増加させていくためには、高齢者に向けて効果的に広報していくことが重要であると考えております。
 都では、現在、会員数を着実に伸ばしているシルバー人材センターが実施する広報、具体的には、活用する広報媒体やPRしている内容などを事例として収集しておりまして、今後、この事例を都内の各センターに周知してまいります。
 また、本年度は、新たな会員の獲得を目指す広報イベントとしまして、シルバー人材センターと都が連携した、これからシルバー応援フェスタを都内七カ所で開催する予定としておりまして、こうした取り組みを通じて、シルバー人材センターの会員増加につなげてまいります。

○栗下委員 ありがとうございます。会員数増加に向けて取り組んでいただきたいと思います。
 シルバー人材センターには、もう一つ課題があります。それは、仕事量ももっとふやしていかなくてはいけないということです。
 地域のシルバー人材センターは、自治体などから委託を受けまして、六十歳以上のセンター会員の方々がその業務に取り組んでおられます。例年、都からも一億円程度の業務を発注しております。作業については、やっぱり字が達者な方が多いので、賞状の名前を書く筆耕といったものであったり、清掃などが多いというふうに聞いております。
 我々がセンターの方々と接する中で、自治体からもっと仕事を受けられるのだと、そういったお声をよく耳にいたします。自治体としても、シニアの活躍の場の確保と地域の課題解決、その二つの目的が同時に果たせるというのは理想的なことであると思います。
 しかし、これまでセンターの活用頻度というのは、自治体や部局によってばらつきがあるのではないか、都を初めとする自治体には、シルバー人材センターに委託をできる業務が実はまだ残されているのではないかと同時に感じております。
 シルバー会員にやりがいを持って就業していただくために、公的機関からの実務の発注増加に取り組んでいただきたいと思いますが、見解を伺います。

○篠原雇用就業部長 シルバー人材センターが高齢者にとって魅力ある存在として機能していくためには、地域のニーズに応えられる新たな業務を開拓していくということが重要と考えております。
 このため、都は平成二十八年度から、子育て支援や高齢者世帯への援助など、地域課題の解決にもつながる新たな業務に取り組むシルバー人材センターへの支援を行ってまいりました。
 今後は、この支援により開拓いたしました新たな業務の事例につきまして、他のセンターや区市町村、都庁内の各局に紹介してまいります。こうした取り組みによりまして、シルバー人材センターのさらなる業務の拡大を図るとともに、区市町村や都からの発注拡大にもつなげていきたいと考えております。

○栗下委員 ありがとうございます。仕事もふえて、そして会員数もふえて、まさにこれから高齢者の割合というのは大幅にふえていきます。社会にとっても高齢者にとってもウイン・ウインの関係を深めていくことが大切かと思います。一層のご尽力をお願いして、次の質問に移ります。
 ソーシャルファームについて伺います。
 一般の労働市場では就労に困難を抱える方々が、そうでない方々と同様に活躍できる舞台をつくるソーシャルファームを誕生させていくために、これまで都民ファーストの会都議団は、あらゆる機会で質疑を行い、また、十一月五日に知事に意見書を提出するなど、まさに会派を挙げてその実現に力を注いでまいりました。
 今月初めには、都の有識者会議より、支援の方向性をまとめた報告書が知事に提出をされ、いよいよ条例案も提出されてまいります。それに先立って、幾つか確認をしておきたいと思います。
 第四回定例会に提案をされる、都民の就労の支援に係る施策の推進とソーシャルファームの創設の促進に関する条例案の策定に至るまでの検討経緯について、お伺いをしたいと思います。

○篠原雇用就業部長 昨年九月の都議会第三回定例会におきまして、知事が、ソーシャルインクルージョンの考え方に基づき、都民の就労を応援する新たな条例の検討を表明したことを受けまして、都は、昨年の十一月に、就労支援のあり方を考える有識者会議を設置いたしました。
 この有識者会議では、ほぼ一年をかけて、障害のある方、生活困窮者、ひとり親、児童養護施設の退所者、刑務所出所者、ひきこもりの方への就労支援のあり方や、ソーシャルファームについて議論を行ってまいりました。
 会議の各回では、テーマごとに、知見を持つ専門家や現場で就労支援を行っている方などにプレゼンテーションを行っていただきまして、都や区市町村の現在の取り組みも紹介した上で議論を深めてまいりました。
 また、この会議の議論とあわせまして、障害のある方の家族の団体や、ひきこもりの方への支援を行っているNPO法人など、さまざまな関係団体を訪問し、現状や行政の支援についての意見を伺っております。
 ことしの八月には、有識者会議での議論や聴取いたしました意見などを踏まえて、条例の基本的な考え方を取りまとめ、都民から広く意見を募集いたしました。
 このような経緯を経まして、今回の条例案を取りまとめたところでございます。

○栗下委員 一年余りの時間をかけて、有識者会議での議論、関係団体からのヒアリングといったところも行ってきたのだというお答えをいただきました。
 それでは、そのプロセスの中で、ソーシャルファームの必要性について、有識者会議においてはどういった議論が行われてきたのか、本年九月末にかけて行われたパブリックコメントではどのような意見が寄せられたのか、お伺いをいたします。

○篠原雇用就業部長 就労支援のあり方を考える有識者会議では、ソーシャルファームをテーマの一つとして取り上げまして、知見を有する委員から現状や課題などの説明を受けた後、議論を行いました。
 議論の中では、ソーシャルファームの必要性などにつきまして、福祉的就労と一般就労の中間にある第三の方策として日本でも着目すべきという意見や、就労に困難を抱えた方が他の従業員と一緒に働くソーシャルファームは、ソーシャルインクルージョンの考え方を具体化する上で重要であるなどの意見が出されております。
 ソーシャルファームへの行政からの支援につきましては、事業立ち上げなどについては行政による一定の支援も必要であるという意見が出され、さらに、ソーシャルファームを公的に認定することや、起業家や指導者の育成を行うということも必要であるなど、具体的な支援策についての意見がございました。
 また、パブリックコメントにつきましては、ソーシャルファームの経営の継続は困難ではないかと指摘する意見がある一方で、経済と福祉の課題を統合的に解決する効果的な施策であるなど、期待を寄せるご意見もいただいております。

○栗下委員 ソーシャルファームにつきましては、就労に困難を抱える方々の活躍の場となる新しい枠組みでありまして、この創設への支援というのは全国でも初めての取り組みになります。今、パブリックコメントの内容もお答えをいただきましたけれども、やはりいただいている期待というのは大変大きいのかなと、このように思っております。
 これから本格的に審議をされるということでありますが、この条例をてこに、ぜひ都内へのソーシャルファーム普及に向けた取り組みを強力に進めていけるよう期待いたしております。
 最後に、悪質クレーム対策について伺います。
 近年、顧客クレームが過激化をしていることが社会問題化しております。新聞紙面等でカスタマーハラスメントという新しい言葉が躍ることもふえてまいりました。
 全国で百八十万人の組合員が加入をする労働組合でありますUAゼンセンが行った数万人規模の調査によれば、サービス産業従事者の七三・九%、実に七割以上の方が、常識の範疇を超えたクレーム、迷惑行為を体験したことがあり、五割以上の方々が、その過激度が年々深刻になってきているのだというふうに答えられたそうです。
 また、過去十年間で七十八人の方が、顧客や取引先からのクレーム、こういったものがストレスになって精神障害に至って、そのうち二十四名の方がみずから命を絶たれた。こういったところも労災認定として認められております。
 こういう現状があるものですから、厚生労働省の審議会でも、二〇一八年から法制化の議論といったものが続けられております。
 そんな中、都民ファーストの会都議団ではいち早く、本年六月の代表質問で、この悪質クレームへの対策について、中小企業への支援策といったものを求めてまいりました。
 そこでまずお伺いをしますが、都はこれまで、こうした悪質クレーム対策について、どのように取り組んできたんでしょうか、お尋ねをいたします。

○土村商工部長 都では昨年度、都内中小企業一万社を対象に、クレーム対応に特化した実態調査を実施いたしました。
 調査の結果、有効回答約二千社のうちの一割から、悪質クレームを受けたとの回答を得ました。回答からは、社員への負担増加や風評被害、売り上げの減少など、深刻な事態になる場合もあることが明らかになりました。また、多くの企業で、相談先がない、対処方法がわからないなど、対応に苦慮している実態も明らかになりました。
 そこで、都では、今年度新たに、サービス業などに詳しい社会保険労務士などの専門家を経営相談の窓口に新たに配置し、弁護士等とも連携をして対応できる体制を整備するとともに、総合相談の案内チラシなどにも新たにクレーム対応の窓口を明記し、どこに相談すればよいか周知の工夫を図ったところでございます。

○栗下委員 都としても大いに問題意識を持っていただいて、実態調査、そして窓口における相談といったものについても取り組んでいただいているといったところであるかと思います。
 このクレームの問題で難しいのは、顧客や取引先から来たクレームが、これは常識の範疇にあるのかないのか、それが正当な要求なのか、あるいは迷惑行為なのか、こういった線引きがやはり非常に困難であるところでありまして、国でも、やはり議論がなかなか思うように進まないといったところもあるかと思うのですが、つまり何がいいたいかと申しますと、対策を、何かを禁止すれば一遍にこれが全部なくなるといった類いのものではないということです。
 しかし、一方でこういった悪質クレームに悩まされる企業さんの中で、やっぱり個別に、クレームに個人で対応するのじゃなくて、ちゃんと組織としてそういったクレームについて対応をしていく、複数人数で対応する。また、何かそういったクレームが来たときに、ここぐらいのレベルまでが来たら上司にエスカレーションをするのだとか、そういったラインを規定していくといった工夫を行うことで、現場の負担軽減につながっていったという、そういった企業の事例も報告をされております。
 クレーム対応をするに当たって、企業は、どういった点についてあらかじめ検討を進めていくべきなのか。ゼロからルールを策定するというのは、なかなかやっぱり中小企業にとっては難しいというところもありますので、都が検討のサポートを積極的に行っていくことで、これは労働環境の改善に一定の効果があるのだというふうに思っております。
 この悪質クレーム対策について、今後、さらにどのような対応を検討されていくのか、お伺いいたします。

○土村商工部長 悪質クレームへの対応を進めていくことは、中小企業にとって必要な経営課題の一つでございます。
 そのため、都では、調査により明らかになった悪質クレームの実態や、今年度設置いたしました相談窓口に寄せられる具体的な内容、悪質クレームが経営に与える影響などにつきまして分析を行いながら、必要な対策について検討してまいります。

○栗下委員 ありがとうございます。ぜひ、対策についても本格的に行っていただきたいと思います。
 クレームが過激化している問題というのは日本国内だけの問題ではありませんで、イギリスにおいても、十年ほど前から、店員に対して暴力、脅し、そういったところまで社会問題化しまして、国を通じて、店員に敬意を払おうキャンペーンというのをやられた。また、有名なのはお隣の韓国でありますけれども、二〇一七年に、ソウル市の方で感情労働従事者を保護する条例というのが施行されてまいりました。感情労働従事者というのは、高度な感情コントロールを必要とする、いわゆるサービス産業の方々ということでありまして、その翌年に、韓国では、感情労働従事者の方々を守ろうとしない雇用主に対して罰金とか懲役を科す、これが法律化、法改正もされたというところもございます。
 つまり、クレームが過激化をしているという問題は、国を問わず、現代社会で働く人間にとって共通の課題なんだろうということであります。
 東京都は、国内で最大のサービス産業の集積地であります。国でも今まさに議論が行われている最中でありますが、その動向もしっかりと注視をしながら、今後、迅速な対応がとれるよう問題意識を新たにしていただけるようお願いいたしまして、私からの質問を終わらせていただきます。

○両角委員長 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後六時二分休憩

   午後六時三十五分開議

○両角委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○高橋委員 それでは、私からは、東京の農業、林業及び都内中小企業の振興について伺います。
 初めに、東京の農業、林業の振興について伺います。
 東京二〇二〇大会がいよいよ目前に迫り、世界から東京に対する注目がかつてないほど高まっております。
 こうした中、ことしはラグビーのワールドカップや東京二〇二〇大会の関係者を招いた関連イベントの開催に伴って、世界中から多くの旅行者が東京を訪れました。特にラグビーワールドカップは、日本代表の活躍もあり、日本列島が興奮のるつぼと化したことは記憶に新しいところでございます。
 都は、こうしたさまざまなイベントを活用し、大都市でありながら多種多様で、新鮮、安全・安心な食材を供給する東京の農業や水産業の魅力をPRする事業を実施しておりますが、今年度の取り組み状況について伺います。

○龍野安全安心・地産地消推進担当部長 都は、ラグビーワールドカップ開催期間中に調布駅前広場に設置されたラグビーワールドカップファンゾーンにおきまして、東京産食材を使用した料理を提供するキッチンカーを出店いたしました。
 キッチンカーでは、トウキョウXを使用した豚丼やトビウオのつみれ汁など、東京でとれた食材を豊富に使った料理を約四千食提供するとともに、来場者によるSNSでの拡散や特設ホームページの開設などにより、その魅力の発信を図りました。
 また、オリンピック・パラリンピックの選手団団長セミナーや報道、放送関係者対象のワールドブロードキャスターミーティング等のレセプションにおきまして、東京産の食材を使用した料理を提供するなど、国内外の大会関係者に東京産食材をPRいたしました。

○高橋委員 料理の提供のみならず、SNS等での口コミ効果も活用し、東京産食材をPRできたとのことでございます。すばらしい取り組みであったと思います。
 来年の東京二〇二〇大会の際もさまざまな関連イベントがあると思いますので、今回の経験を踏まえて引き続き頑張っていただきたいと思います。
 ただいまの質問で、東京二〇二〇大会関連イベントで東京産食材を活用した料理を提供した旨、お答えをいただきましたが、東京産農林水産物の魅力をさらに発信していくためには、東京二〇二〇大会においても、実際に食材を供給していくことが大切であります。
 都は、大会への食材供給に向けて、昨年度に東京都版のGAP認証制度を構築し、農業者の取得を促進しているところでございます。認証を取得した農家の期待に応えるためにも、認証取得の促進だけではなく、農家が生産した作物を着実に大会への供給につなげることが大変重要でございます。
 そこで、東京二〇二〇大会への食材供給に向けた、都の取り組みについて伺います。

○龍野安全安心・地産地消推進担当部長 都は、東京二〇二〇大会の食材調達基準を満たす東京都GAP認証の取得を促進するため、普及指導員によるきめ細かな指導や認証取得に必要な環境整備などの支援を行ってまいりました。これにより、現在、東京都GAP認証取得者は三十四件、取得を希望する農業者等は約七十件となっております。
 これらの認証農業者が大会に認証農産物を供給できるよう、選手村での食事メニューを検討する選手村メニューアドバイザリー委員会や関係省庁の連絡会に参加するなど、東京産食材の供給に向け、PRを実施してきました。
 さらに、東京産食材の供給体制を整備するため、JAや漁連などの都内の生産者団体を中心とした連絡協議会を立ち上げるとともに、農業者等の意向や供給可能量の調査を実施いたしました。

○高橋委員 GAP認証の取得は、東京二〇二〇大会への農産物供給のみならず、生産工程の改善による経営の効率化など、農家にとってはさまざまなメリットがあるものだと聞いております。東京農業の持続的な発展のためにも、農業者が大会後も引き続きGAP認証を取得するよう、こうしたメリットの周知をお願いしたいと思います。
 ここまで東京二〇二〇大会等における東京産食材の活用について伺ってきましたが、東京は、野菜の栽培のみならず、全国一位の切り花や全国七位の観葉植物、花壇苗、シクラメンなど農業県と匹敵する魅力的な花きの生産も盛んであります。
 こうした都内の花き生産者は、東京二〇二〇大会を、東京産花きをPRする大きなビジネスチャンスとして捉えております。生産者の期待に応えるためにも、東京二〇二〇大会で東京のまちを東京産の花きで彩り、その華やかさをPRしていくことが重要と考えますが、今年度の都の取り組みについて伺います。

○上林山農林水産部長 都は平成二十八年度から、東京二〇二〇大会とその先を見据え、夏の暑さに強い花の品種を実証試験を通じて選定し、これまで需要の少なかった夏花の利用促進を図っております。
 今年度は、二〇二〇大会開催に向け、国内外からの旅行者をおもてなしする機運を醸成するため、日比谷公園を初め二十八カ所の都立公園へ、選定した花苗約三万八千鉢を供給し、多くの方々に楽しんでいただきました。
 また、八月に東京国際フォーラムなどで、東京産観葉植物の展示や東京産花きを利用した寄せ植えづくりなど、花と緑に親しむワークショップを開催し、さまざまな年齢層の都民や東京を訪れる方々へPRを行いました。

○高橋委員 外国人旅行者は、高層ビルが立ち並ぶビジネス街というイメージを持って東京に来ると思います。今回の実証試験により選定した花で東京を彩り、その美しさで外国人旅行者を驚かせることを期待しております。
 今、東京に対する外国人旅行者のイメージについて話をしましたが、新宿から一時間も電車に乗れば、ミシュランのガイドブックにも掲載された高尾山が見えてくることに驚く外国人も多いと聞きます。
 高尾山のある多摩地域や島しょ地域には、東京の面積の約四割を占める森林が広がっていますが、こうした貴重な森林を健全な形で維持していくためには、伐採し活用していくことが重要であります。
 こうした中、東京二〇二〇大会は、その森林から算出される多摩産材をPRし、需要拡大につなげる絶好の機会ともいえます。
 そこで、東京二〇二〇大会の大会関連施設などにおける多摩産材利用の取り組みについて伺います。

○上林山農林水産部長 オリンピック・パラリンピック関連施設での多摩産材利用実績としては、海の森水上競技場等での内装の一部に多摩産材を活用しているほか、武蔵野の森総合スポーツプラザや大井ふ頭中央海浜公園ホッケー競技場等の応接室などに、多摩産材で製造したテーブルや椅子等を導入しております。
 今後、カヌー・スラロームセンターの事務室や会議室等においてもテーブル等を導入する予定でございます。また、晴海にできます選手村ビレッジプラザ内において、多摩産材による施設を一棟整備するため、柱やはり、約四十五立方メートル分を提供しております。
 これらの取り組みを通じて、大会関連施設に訪れる都民や選手に対して、多摩産材のPRを図ってまいります。

○高橋委員 東京二〇二〇大会には、海外からの多くの旅行者が訪れますが、多摩には森林を初め、伝統野菜や澄んだ水を生かした酒蔵の銘酒など観光資源として生かせるものがたくさんあります。
 島しょ地域においても、美しい海や新鮮な魚介類は外国人旅行者にとっても大変魅力的であります。こうした農林水産資源の魅力を生かして、多摩・島しょ地域に誘客を図ることも含め、ぜひこの機会を活用し、東京の多摩地域、島しょ地域のさらなる発展に向けて取り組んでいただきたいと思います。
 あすからは、世界都市農業サミットが三日間行われます。その参加都市は、ニューヨーク、ロンドン、ジャカルタ、ソウル、トロントの各都市から参ります。聞くところによりますと、ニューヨークは、都市緑化などの環境保護政策の一環であり、ロンドンは、コミュニティ強化の役割が強いといわれております。
 さて、それに対して東京都の都市農業といえば、やはり生産者と消費者がもう直近である、こんな都市は世界中ではないわけです、都市農業というものは。そしてまた、日本には四季がございまして、春、夏、秋、冬、四季折々の農産物、そしてまた、消費者の方も見える農業として、その生産過程をじっくり見ているわけでございます。農産物だけではなく、いろんな中で果樹もあれば花きもあり、植木もあり、いろんなものが地産地消される、それが東京都の目的であります。
 そんな中で、今回、生産緑地に貸借、貸し借りができるというような新しい時代を迎えたわけです。そうしますと、どういうことが起こるかといいますと、若い人たち、あるいは農業でもいろいろ、畑を持っていてもなかなかこなし切れないとか、そういう方たちに対しても、やはり農業をやってみたい農業志願者というような、もうそういう選択肢がふえてきて、特に、若い人、東京都には都立の農業高校、関連の学校がたくさんございます。そういうところと関連を持ちながら、新しい時代に向かって、オリンピックを控えていますが、それ以後の、やはり地産地消、そしてまた、東京農業を世界に発信するためにもそういうことを、農業関係ですか、産業労働局としてそういうこともしっかり取り組んでいただきたいというふうに思っております。(「局長の決意を」と呼ぶ者あり)いやいや、まだこれから。
 東京には、それから、すぐれた技術力を有するものづくり中小企業が数多く存在しております。東京の経済の活力を高めていくためには、こうした中小企業が新たな事業展開に踏み出せるよう、都が力強く後押ししていくことが大変重要であります。
 そこで、都のものづくり企業への支援について何点か確認をいたします。
 初めに、技術支援についてです。
 東京、中でも多摩地域は、大手企業の研究所や大学などが集積しており、私はこの地域こそが画期的な製品を生み出せる可能性を有していると確信をしております。
 ものづくり中小企業が、こうした多摩地域の強みを十二分に生かしながら成長、発展していくためには、自社の力と他者の力を組み合わせながら、ともに開発を進めていく、いわゆるオープンイノベーションが必要不可欠と考えます。
 都ではこれまでも、多摩地域の企業、団体などが連携して研究開発を行う事業を実施しておりますが、今年度の取り組みの実績などについて伺います。

○土村商工部長 都は、多摩地域における中小企業と大学、研究機関等との共同研究や共同開発を促進するため、イノベーション多摩支援事業を実施してございます。
 本事業は、セミナーや研究会を開催するほか、コーディネーターが大手企業や大学、研究機関等のニーズを解決できる中小企業とのマッチングを、年間を通じて随時実施しておりまして、九月末現在で百件を超えたところでございます。また、大手企業の開発部門や大学の研究室等との開発マッチングを行う新技術創出交流会も展開してございます。
 今年度の交流会では三百二十六の企業が参加いたしまして、中小企業と大企業との商談件数は昨年度より六十三件ふえ、四百八十二件と過去最高の実績でございました。
 こうした交流会でマッチングによって立ち上がったプロジェクトに対して、コーディネーターなどが製品の実用化までの支援を行うほか、今年度新たに、大学や研究機関との共同開発を促進する専門家チームを組成しまして、中小企業による共同開発を継続的に支援していく予定でございます。

○高橋委員 ぜひ中小企業が利益やノウハウをしっかりと確保して、大企業とも対等の立場で事業を展開できるよう、丁寧にサポートしていただくよう要望しておきます。
 中小企業の成長発展のためには、すぐれた製品やサービスを開発するだけではなく、新たな取引先を見つけて売り上げを伸ばしていくことも大変重要でございます。特に小規模事業者においては、営業員がいないことから、一度に多くのお客様に出会える展示会の活用は有効であります。
 先日、東京都は、他の中小企業支援団体などと協力して行う見本市、産業交流展を開催いたしました。私も展示会場に足を運ばせていただきましたが、出展者と来場者との名刺交換や工夫を凝らしたプレゼンを行う様子が見られました。こうした企業間の交流や商品のPRの場の提供はとても重要であります。
 そこで都は、この産業交流展において、中小企業の販路開拓につながるよう、具体的にどのような工夫をしているのか伺います。

○土村商工部長 中小企業による国内最大級のトレードショーであります産業交流展は、中小企業の販路開拓及び企業間の情報交流の促進等を目的としまして、平成十年から毎年開催しております。今年度も、今月十三日から十五日までの三日間、東京ビッグサイト青海展示棟で開催いたしまして、約七百五十の企業や団体に出展いただきました。
 産業交流展では、中小企業の方々がより多くの商談機会を確保できるよう、販路開拓につながるさまざまな工夫を行っております。
 例えば、効果的な出展手法などについて学べる事前セミナーの開催、出展者が自社の製品やサービスをステージで紹介するプレゼンテーションの実施、一分間で各企業をPRする映像の上映、さらには、来場者のニーズに合わせて出展者とマッチングするコンシェルジュの設置など行ってございます。
 今後も、出展者や来場者の声を参考にしながら、中小企業の商談がより促進される展示会となるよう、一層の充実を図ってまいります。

○高橋委員 産業交流展では、スポーツ用品を展示している企画もあり、高齢者や障害者も含めてさまざまな方々が楽しく運動できる製品が展示されていました。
 先日、東京ではラグビーワールドカップが大盛況のうちに幕を閉じました。そしていよいよ来年にはオリンピック・パラリンピック大会も開催されます。世界から、この東京がスポーツで注目を集める中、今後成長が期待されるスポーツ産業分野における製品の輸出は大きなビジネスチャンスでございます。
 そこで、この分野における中小企業の海外での販路開拓について、都の取り組みを伺います。

○土村商工部長 健康志向の高まりを背景に、世界のスポーツ産業は今後成長が期待される市場でございます。そこで、都は、スポーツ産業におけます中小企業の海外展開を促進するため、今年度から新たな支援を開始いたしました。
 まず、世界のスポーツビジネスの最新概況と海外展開のための戦略などをテーマとしました普及啓発セミナーを二回開催しまして、延べ約二百名のご参加をいただきました。
 現在は、来年一月にドイツのミュンヘンで開催されます世界最大級のスポーツ用品見本市への出展に向けた支援を行っておりまして、スポーツウエアや卓球用品などの出展を希望する企業十社に対しまして、出展経費の一部を負担するとともに、商談の設定などを行っているところでございます。
 さらに、出展物のデザインの磨き上げのサポートや、効果的な商談のためのスキル、ノウハウの提供も実施しております。

○高橋委員 スポーツ産業は大変裾野が広く、中小企業でも参入できる分野もあると聞いております。ぜひ、意欲ある中小企業の方々が成約に結びつくよう、実効性のある支援をお願いいたします。
 海外展開は輸出だけではありません。経済の国際化が進む中で、近年では中小企業においても海外で直接サービスの提供を行うとともに、海外において製造を行うことなどを目的に、現地に事務所などを設置する中小企業もふえてきたと聞いております。
 こうしたことを背景に、都では、海外事業所の設置を目指す企業をサポートしているとのことですが、この取り組みについて、今年度の進捗状況について伺います。

○土村商工部長 都内の中小企業が成長を続けるASEAN地域において事業を拡大するためには、現地での販売やサービスを円滑に進めることが重要でございます。
 このため都は、今年度から新たに海外拠点設置等戦略サポート事業を開始いたしました。今年度は、海外展開を進める企業の方などを講師に招いた海外戦略策定セミナーを七月に開催しまして、約百名の方にご参加いただきました。
 また、自社の駐在員事務所や海外販売拠点の設置を目指す中小企業に対して、全六回の講座を行いまして、戦略を策定するための体系的な知識の習得を支援させていただきました。
 今後は、講座参加者などから審査の上決定した十社に対しまして、海外拠点の設置に向けた具体的な戦略の策定と、その戦略の実現可能性を見きわめるための現地での検証をハンズオンで支援してまいります。
 こうした取り組みによりまして、中小企業におけるASEAN市場の獲得を後押ししてまいります。

○高橋委員 多摩地域の中小企業には、世界にも通用する技術力を有し、海外にも販路を拡大しながら成長を続けている企業もあります。来年の東京二〇二〇大会、さらにはその後も見据え、多摩地域のさらなる活性化に向け、中小企業がそのポテンシャルを生かして持続的に成長できるよう、製品開発や販路の拡大など、東京都としてしっかりと支援していただきたいと思います。
 最後に、令和二年度、二〇二〇年は、5G、要は次世代通信ネットワークシステムでございます。5Gといいますと、今までは、ビッグデータとか、AIとか、ICTとか、SNSとか、あるいは最近では自動運転、無人スーパー、そしてまた、案内ロボット、介護福祉ロボットの技術、その点が物すごく進化してまいりました。
 その5Gは、今までは4Gでございましたけれども、それぞれの研究していることを全てつなぐということが5Gの時代でございます。つまり、シームレスというか、断片的に、このことについてはここに聞けばいい、このことについてはここに聞けばいいというのではなく、もうつながっている時代に入ってくるわけであります。
 令和二年度、二〇二〇年は、そのスタートの年でもあるわけでございます。そういう意味で、産業労働局といたしましても、そういう時代の流れに合った取り組みをしていき、そして積極的にそれを活用しながら生かしていく時代になったかなと思っております。
 今後の産労の取り組みをぜひとも進めていただいて、大きな時代の流れでございますので、やはりそういう時代の流れに沿った政策を打っていかなければ、東京都はただ今までやっていたことを、あるいはちょこちょこそれぞれやっていたことではなくて、総合的につなげるということが大変重要かなと思っております。その点を要望しておきます。
 それで終わりたいんですけれども、もし何か産業労働局長として感想でもあればお聞きしたいと思います。

○村松産業労働局長 ただいまいろいろご議論を拝聴させていただきましたけれども、5Gのお話でございました。
 産業労働局はこれまでも、中小企業の支援を中心に展開してきましたが、いろいろ産業の分野において、さまざまな分野においてイノベーションを促進していかなきゃいかないと、そういったことがまず一つ。また一方では、失ってはいけない企業、そういったものの事業承継をきちんとやる。伸びる企業と、守っていく企業というか、そういった企業をしっかり支援していくと、そういうコンセプトで施策を展開してまいりました。
 そのイノベーションの大きな誘因のためには、今、先生からお話がございました5G、あるいはAIとかIoTとか、そうした最先端技術をどうやって中小企業の基盤技術、いろいろ持っている技術と組み合わせて展開していくか、それがこれから大きなテーマになると考えております。
 我々産業労働局といたしましては、そういった先端技術を中小企業に取り入れていただく、そしてイノベーションをいろんなところで起こしていただく、そして、東京の経済を発展していくと、そういった政策の強化に努めていきたいと思っております。
 感想ということなので、このぐらいで申しわけございませんが、引き続き産業労働行政の施策の充実を図ってまいります。

○藤井委員 私からは、島しょ観光振興と鳥獣対策、最後に、しごとセンターにおける就業支援の三点についてお聞きいたしたいと思います。
 まず、島しょの観光振興ですけれども、ご承知のとおり、東京にはすばらしい伊豆諸島があります。小池知事が、まさに宝島と例えたように、各島にはそれぞれの特色、あるいは特徴、すばらしさがあります。多くの方たちがダイビングや釣り、あるいはトレッキングなどのスポーツから、新鮮な魚や、あるいは温泉などを楽しんでいるわけでございますが、島しょ地域には毎年一年間で、五十万人、約五十万人の方が観光で訪れております。その中で、各島それぞれの魅力がありますけれども、とりわけ私は、二〇〇〇年に雄山が噴火した三宅島についてお聞きしたいと思っております。
 ご承知のとおり、噴火をして来年で二十年になりますけれども、雄山はダイナミックな、まさに自然景観を保っております。ことしの第三回定例会で我が党は--雄山の火口周辺は大変もう緑化をされまして、きれいな火口になっておりますので、そこをエコツーリズムにするよう提案をさせていただき、東京都は早速、来年の四月から、この雄山をエコツーリズムの対象といたしまして、今準備を進めているところでございます。
 そこで、三宅島は今後、観光地として、さらに発展をする可能性を持っておりますが、三宅島を訪れます過去五年間の観光客旅行者数の推移について、まずお伺いいたします。

○松本観光部長 三宅島を訪れた旅行者数は、五年前の平成二十六年は三万三千七百六十四人で、その後はおおむね三万五千人から三万六千人の間で推移しておりまして、直近の平成三十年は三万五千二百七十四人でございました。

○藤井委員 先ほどいいましたエコツーリズム、来年実施されるツーリズムに合わせまして、公明党は--この三宅島は非常に周期的に雄山が噴火をしておりまして、例えば昭和三十七年に噴火した三七山が溶岩でできておりますし、その後、昭和五十年代に噴火した溶岩でもって、阿古小学校、中学校が溶岩で埋まっております。ここにすばらしい遊歩道ができて、すばらしい、まさに生きた火山活動が見られる場所にもなっております。さらには、大路池やアカコッコ館、こういった自然の観光資源があるわけでして、私ども公明党は、こういった観光資源と、エコツーリズムとあわせて、島外から、あるいはこれからは海外からもたくさんの観光客を呼び寄せるべきだということを提案させていただきました。こういった旅行者を誘致していくためには、島の観光を楽しめる機会を提供していくことが大事だと思っております。
 例えば、外国人の旅行者の方には、外国語による説明を用意するとか、あるいはツアーを始めるに当たっては、さまざまな手間、あるいは工夫が必要になってまいります。そういった、まさに国内外から旅行者を、三宅島を初め伊豆諸島に誘致するためには、体験型ツアーをどんどんふやしていくことが必要だと思います。
 そこで、この島しょ地域の旅行商品の開発に関する東京都の今年度の取り組みはどうなっているのか伺います。

○松本観光部長 都は今年度から、国内外の旅行者を島しょ地域に誘致するため、豊かな自然や文化などを生かした体験型旅行商品を開発し、販売する取り組みを行っております。
 具体的には、外国人の専門家を神津島に派遣し、ハイキングや星空観察、島料理体験における解説を外国人向けにわかりやすくするなど、受け入れ面の充実を図りまして、八つの旅行商品を開発しました。
 また、国内旅行者向けには、新島と式根島に専門家を派遣しまして、ダイビングスポットを島ならではの特徴ある場所に設定するなど、既存の旅行商品の内容面の充実を図りまして、七つの旅行商品を開発いたしました。
 これらについて、夏から順次、販売を開始したところでございます。
 今後は、三宅島で雄山を初めとします豊かな自然や地域の文化等を体験できる新たな旅行商品の開発を検討してまいります。

○藤井委員 今ご答弁で、神津島で八つの旅行商品を開発したとか、あるいは新島と式根島で七つの旅行商品、また今後は、三宅島での新たなツアーをやっていきたいという観光部長の前向きなご答弁をいただいて、ありがとうございます。
 そこで、この島しょ地域を訪れる観光客を国内外からふやすためには、こういった旅行商品を開発すると同時に、もっとこの島の魅力を多くの方たちに知っていただけるように、広く国内外に発信することが重要だと考えます。
 最近、先ほども高橋委員もおっしゃっていましたけれども、海外からの旅行者の方々は、SNSなどを使って観光情報を集めて日本に来る方が多いと聞いています。例えば、日本の、九州の本当にちっちゃな島に海外の外国人が今来ているという情報を見ました。これはやっぱりSNSで広がっているということでございました。
 そういう意味では、今後、この島しょ地域への旅行者の誘致に向けた、もっと都の取り組み、今後こういった取り組みが必要だと考えますが、いかがでしょうか。

○松本観光部長 都は今年度、多摩や島しょ地域の豊かな自然などの魅力を効果的に伝えるため、TOKYO’s new LUXURYをテーマに、海外でも人気のアニメの美術監督によるポスターを新たに五種類制作いたしまして、ラグビーワールドカップ二〇一九の開催に合わせ、駅構内や車内、ファンゾーン内で掲出をいたしまして、PRを行いました。
 また、大阪で開催されました国内最大級の旅行博、ツーリズムEXPOジャパンでは、島しょ地域の観光協会等が二日間で約百名のメディアや旅行事業者と商談を行ったほか、一般向けにはパンフレット等の配布、トークショーや特産品の試食などを通じまして、各島の魅力を紹介いたしました。
 さらに、お話にありましたウエブサイトやSNSを利用しまして、観光情報を多言語で提供したり、外国人向けのPR動画を放映するなど、島しょ地域の魅力を切れ目なく発信しております。

○藤井委員 各島の振興が図られますよう、今後ともぜひご尽力をお願いしたいと思います。
 続きまして、野生動物による農作物被害対策についてお伺いをいたします。
 多摩地域は今、野生動物によります農作物の被害が毎年毎年発生をしております。被害を引き起こす野生動物の種類、あるいは被害に遭う作物は多岐にわたりますけれども、昨年度、東京の多摩地域におけます、こういった野生動物による被害の実態はどうなっているのか、お伺いいたします。

○龍野安全安心・地産地消推進担当部長 多摩地域において農作物被害をもたらす野生動物といたしましては、主にイノシシ、鹿、猿、ハクビシンによるものが多くなっております。被害作物については、野菜類が最も多く、次いで果樹類や芋類となっております。
 被害状況といたしましては、収穫期を迎えた農作物を食べられる、いわゆる食害だけではなく、イノシシ等によって畑を掘り返されるなどの被害も発生しております。

○藤井委員 先日、私は奥多摩町を視察してまいりまして、多摩地域の中でも、この奥多摩町は野生動物による被害が多いと聞いております。具体的には、奥多摩の大丹波、白丸、鳩ノ巣、海沢という、比較的こういった被害が多いところを、現地に行って見てまいりました。
 現地の方からは、四、五年前から猿やイノシシ、鹿の害がふえましたと。例えば、いろいろ柵をやったりしてもイノシシが穴を掘ってしまう、あるいは猿が上から入ってきてしまう、そういったことで、特にこの冬場は食料不足になるために、山から猿が、あるいは鹿、イノシシがおりてきて、人間が丹精込めてつくった野菜や果物を食べてしまうんだと、こういう話でございました。
 昨年度の奥多摩町におきます具体的な被害の状況、それから被害額はどうなっていますか。

○龍野安全安心・地産地消推進担当部長 奥多摩町におきましては、鹿、イノシシ、猿の順に被害が多く、被害作物といたしましては、特産のワサビに加えまして、タケノコの被害が多くなっております。
 被害額といたしましては、昨年度、約二千万円の被害があったと奥多摩町から報告を受けております。

○藤井委員 ある農家のところへ行きましたら、もう、毎年毎年つくってもつくっても、ちょうど収穫する時期になると食べられちゃうので、もうやめたと。せっかく畑があっても、もう耕していないと。確かに現地に行ってみますと、もとは畑だったなというところがいっぱい、もう今は雑草が生えています。あと、ところどころ大きな穴があります。これはイノシシが夜中、ミミズをとるために土を掘ったり、石をどけたりしてやる大きな穴がいっぱいありますよ。そういう意味で、大変この奥多摩は、民家の裏はすぐ山で、そういった野生動物と一緒に生活しているという感じがいたしましたが、そういう厳しい中でこの奥多摩町において、東京都が実施しております獣害対策というんですか、野生動物による被害対策をどのように行っているのか、お伺いいたします。

○龍野安全安心・地産地消推進担当部長 都では、町が行う野生動物の侵入を防ぐ柵の整備や捕獲などの費用に対しまして二分の一を補助する事業を行っております。
 具体的には、奥多摩町では本事業を活用し、主にイノシシを対象としたくくりわなや捕獲用のおりの整備、それから、鹿を対象といたしましたワサビ田での防護ネットと電気柵の整備、猿へのGPS発信機の装着と追い払い作業の委託などを行い、野生動物の捕獲や追い払いを実施しております。

○藤井委員 いろいろな対策を東京都として取り組んでいることはわかりましたが、実際には、これはイタチごっこなので、なかなかこの被害は減りません。現実に、さっき答弁がありました電気棚を見てきました。畑の周りに棒を打って、横三本、鉄線があって、それに触れるとびりびりとくるから動物が近づかないということですけれども、農家の方に聞くと、イノシシは穴を掘って下から入ってくるし、猿は木を伝わって上から入ってくるんですよ。やっぱりなかなか被害は減りません。
 そういった現状の中で、実は私は先日、千葉県の木更津に行ってきました。なぜかというと、木更津では、こういった獣害対策をするために新たな技術を取り入れていました。どういうものかというと、スーパーモンスターウルフといいまして、オオカミ型の人形です。大体、横六十五センチ、高さ五十センチ、オオカミの形になっていますけれども、これは機械ですから、昼間、太陽光を浴びると充電します。太陽光で充電をする。昼でも夜でも二十メーター以内に動物が入ると、電気センサーで反応します。目が赤くなります。そして、音を出します。五十種類の音が出る。オオカミの声だったり、鉄砲の音だったり、人間の声だったり、そういう音を出して動物を威嚇して蹴散らす、こういったものを木更津では取り入れていました。
 また、ほかの、全国でも九つの県でこういった導入がされております。
 例えば青森県では、リンゴ園に侵入する猿対策として、このスーパーモンスターウルフを使っています。そしたら、猿、熊、鹿が、このスーパーモンスターウルフで逃げ去る、そういうのが見られています。栃木県足利市のゴルフ場では、イノシシがコースに来て土を掘り起こすものですから、これを置いたら、この被害が減りました。長野県大滝村では、やはりイノシシが、この機械を置いたらば出なくなった。そのほか、山梨、岐阜、京都、愛媛、福岡、こういったところも、こういった導入を今進めているというふうに聞いております。
 こういった最新兵器をぜひ、やっぱり導入すべきだと考えるんです。農家の方からすれば、つくってもつくってもみんな食われちゃう。何とかしてくれといっても、もうなかなか今の現状では厳しいわけですから、ぜひこういった新技術に対して、東京都は、先ほど高橋委員がおっしゃっていました、やっぱり新しいものに対して挑戦しろと、そのとおりでして、こういった技術に対して、都はどのように取り組むのか、お伺いいたします。

○龍野安全安心・地産地消推進担当部長 スーパーモンスターウルフなど、発光や威嚇音、においなどで野生動物を追い払うさまざまな装置が獣害対策として開発されていることは承知しております。
 獣害対策の専門家によると、こうした装置は野生動物に対して一定の効果がある一方で、徐々になれてしまうことで効果が低減するという課題や、光や音などに対する近隣住民の理解が必要といった課題もあり、他県等において検証を実施していると聞いております。

○藤井委員 それは、完璧なものというのはないですよね、最初から。だから、ぜひこういったものを、ほかにもっといい方法があるんだったら、部長、それを全国から探してきて早くやってくださいよ。奥多摩を初め檜原村、青梅、獣害対策でみんな困っていますよ。そういう意味で、こういった新しい技術を導入して、まずやってみる、まずモデル的にやってみる。やってみて効果があったら導入すればいいし、だめだったら違うものを探せばいいんですよ。そういう意味での、ぜひ前向きな取り組みをお願いしたいと思います。
 そういう意味で、本当は局長に決意を聞きたいなと思っているんですが、代表質問にとっておきますから、よろしくお願いいたします。
 今後、このような新しい技術を用いた獣害対策の装置を積極的に活用することが重要と考えますが、都として今後の対応をどうするのか、部長、どうぞお答えください。

○龍野安全安心・地産地消推進担当部長 これらの装置の導入に際しましては、近隣県での設置効果を確認いたしますとともに、東京都鳥獣害対策委員会等における獣害対策の専門家の意見や、区市町村の意向などを十分に踏まえた上で、今後の取り組みを検討してまいります。

○藤井委員 ぜひよろしくお願いします。
 続いて、東京しごとセンターにおける就業支援について伺います。
 一般的に仕事を探す場合、国が設けておりますハローワークに行く方が多いと思います。一方、東京都では、平成十六年に東京しごとセンターを飯田橋に設置をいたしまして、東京都独自の就業支援を行っております。
 国と都で就業支援に関する施設をそれぞれ運営しているわけですけれども、見方を変えれば、東京しごとセンターに行かなくても、職業紹介を受けることのできるハローワークに行けばいいじゃないかというふうにも考えられるわけであります。
 国が設置しておりますハローワークがあるにもかかわらず、東京都が独自に拠点を設けて就業支援を実施していることについて、改めてその意義と、を確認したいと思います。
 まず、東京しごとセンターのサービスの特徴、対象者としてどのような方が利用されるのか伺います。

○篠原雇用就業部長 東京しごとセンターは、仕事を求める多様な方々を対象に、職業相談、カウンセリング、セミナー、職業紹介など、さまざまな就業支援サービスをワンストップで提供することを特徴としております。
 出産や育児を経て再就職を目指す女性、非正規雇用から正規雇用を目指す方、セカンドキャリアとして再就職を目指す高齢者などを対象といたしまして、本人の希望や経験、スキルなどにも配慮しながら、それぞれの特性に合ったカウンセリングやセミナー、スキルアップのプログラムを行うなど、きめ細やかなサービスを提供しております。

○藤井委員 しごとセンターの特徴がわかりました。このしごとセンターの実際の運営状況を見ますと、年齢別に、ヤングコーナーとミドルコーナー、シニアコーナーの三つの支援コーナーがあるほか、女性の再就職を支援する女性しごと応援テラスというのがあります。
 このうちヤングコーナーとシニアコーナーでは、ハローワークが併設されております。就職に必要な知識や、あるいは技能を身につけた後、ハローワークの仕事を紹介を受けることができるようになっているわけですけれども、そこで、この東京しごとセンターと都内のハローワークの連携をどのように行っているのか伺います。

○篠原雇用就業部長 東京しごとセンターにおきましては、ハローワークが多数保有いたします求人情報を活用していくために、職業紹介の機能をハローワークに担ってもらうことのほか、利用者へハローワークの求人情報を提供することなどを通じて連携を行っております。
 また、ハローワークに求人を出している企業に参加いただいて、就職面接会を都とハローワーク共同で開催いたしますほか、東京しごとセンターが行う支援事業のPRや集客等にもハローワークに協力をいただいているところでございます。

○藤井委員 このしごとセンターとハローワークがお互いに連携をして、しっかりと運営をされますよう取り組んでいただきたいと思います。この東京都独自の就業支援拠点を設けながらも、ハローワークに任せるところは任せるという視点は大切なことだと思います。
 一方で、ミドルコーナーと女性しごと応援テラスはハローワークが併設されていません。ミドル層の就業支援、あるいは女性の再就職支援では、スキルアップをした後の仕事紹介について、どう対応しているのか、実績とあわせて伺います。

○篠原雇用就業部長 中高年や女性への就業支援に関しましては、民間事業者が独自に求人企業を開拓しておりまして、豊富な情報やノウハウを持っております。
 このため、東京しごとセンターのミドルコーナーと東京しごと応援テラスでは、こうした民間事業者を活用して就労支援を行いながら、ハローワークの持つ求人情報もあわせて提供するという手法をとっております。
 平成三十年度にミドルコーナーと女性しごと応援テラスで情報提供した民間事業者開拓による求人企業数は、延べ一万六千五百十社でございます。

○藤井委員 今の雇用情勢を見ますと、都内の有効求人倍率は、令和元年九月現在で二・〇六倍というふうに高どまりをしております。雇用情勢がよければ、当然、東京しごとセンター利用者の就職状況もよくなると考えられるわけですけれども、聞いたところによりますと、東京しごとセンターにおける最近の就職までの支援期間は、一年以上の長期にわたる方の割合がふえている、そういう傾向にあって、ヤングコーナーでは、平成二十三年度に八%だったのが平成三十年度は一五%、ミドルコーナーでは、平成二十一年度に四%だったものが平成三十年度は一二%、三倍、女性しごと応援テラスでは、平成二十七年度に五%だったのが平成三十年度は一五%と三倍にふえています。
 雇用情勢が良好な中で、しごとセンターに就職を探しに来た人が、長期にわたってなかなか仕事が見つからない、こういう方が増加しているのが現状です。
 特にこのミドルコーナーや女性しごと応援テラスでは、一年以上の滞留者の増加率が高くなっています。センターではさらなる支援をしていく必要があると考えますけれども、このミドルコーナーと女性しごと応援テラスにおいて、長期の、なかなか就職が見つからない長期の利用者となっている理由は何でしょうか伺います。

○篠原雇用就業部長 東京しごとセンターのミドルコーナーの利用者につきましては、長期にわたり非正規雇用が続いた方や、あるいは雇用経験が浅い方などが近年増加しておりまして、こうした方々が、しごとセンターにおいてスキル等を身につけて就職するまでに時間がかかっているものと考えております。
 また、女性しごと応援テラスの利用者では、育児などそれぞれの方が抱える事情によりまして、就職する決断ができていない方や、長年のブランク等により、就職に向けたスキルを身につけるのに時間がかかっている方が長期の利用者になっているものと考えております。

○藤井委員 このミドルコーナーや女性しごと応援テラスにおけます就職に時間を要してしまう方々に対して、具体的にどのような支援を行っているのか伺います。

○篠原雇用就業部長 ミドルコーナーに関しましては、長期利用となった方に向けまして、グループワークを通じて、それぞれの方が抱える課題を理解いただくためのセミナーや、より実践的なスキルを磨くプログラムなどを実施することにより支援しております。
 また、女性しごと応援テラスに関しましては、長期の利用となった方には、改めてカウンセリングを行って、本人の希望や状況などを確認いたしますとともに、就職先を改めて考え、視野を広げてもらうための業界の研究や、就職活動に必要なスキルを向上するためのセミナーなど、ほかのコーナーでも実施している事業を活用しながら、それぞれの方に応じたスキルやノウハウの習得を支援しているところでございます。

○藤井委員 最後に、ただいま答弁ありましたけれども、このセンターに行って就職しようと思っても、長期に時間がかかっている方々のマッチングをさらに向上するために、一層の支援をお願いしたいと思いますが、先ほど申しましたように、年々こういった長期に、仕事を探したくてもなかなか見つからないで長期になっている方がセンターでふえているというのは事実だと思います。
 聞いたところによりますと、数年前までは、このセンターにおいて、こういった就職を探しに来た人たちのカウンセリングをする会社が二社あったそうです。今は、先ほどあったようにパソナだけですけれども、数年前までは二社でやっていた。今はパソナがずっと、最近は一社でやっている。三年ごとに契約をやっていますと担当者の方はいっていますけれども、やはり一社では、競争がなければ向上はない。ですから、やっぱり二社で競争しながら、就職を探したいという人たちに、その人に合った就職先を紹介できるようなカウンセリングをしっかりやるべきだと、このように思うので、これは要望にとどめておきますけれども、ぜひご検討いただきたいと思いまして、以上、私の質問を終わります。

○あぜ上委員 それでは私から、大綱三点伺いたいと思います。
 第一に、介護離職対策についてです。
 先日、働き盛りの四十代の方が、親の介護が急に来たということで相談がございました。突然の出来事にご本人も大変戸惑っておられて、ご自身も、そして親も、本当に幸せに暮らしたいけれども、先々の見通しの立たない介護の問題が重くのしかかってきていて、仕事を本当に続けられるんだろうか、それから経済的な問題はどうなるんだろうか、そういった不安がいっぱいでございました。多くの方が、こうした介護の問題に直面しているんではないでしょうか。
 私自身も、子育てと介護が重なりまして、ショートステイなども利用したり、あと多くの方に手助けをしていただいて、何とか仕事を続けてまいりましたけれども、介護ケアを受けられる方々の家庭環境とか、それから介護の内容、経済的な状況、そして勤め先の環境、理解、こういったものによっても大変異なってくるとは思うんですけれども、現役世代が安心して仕事と介護を両立できるようにしていくためには、やはり大前提として、私は、誰もがお金の心配なく必要な介護がしっかりと受けられる、そういう介護保険制度や社会保障、この充実は必要不可欠であるというふうに思うわけです。
 そのことなしにこの介護離職問題は語れないと思うわけですが、同時に、この介護離職を防ぐためには、やはり介護施策と連携して、就労環境の改善や、中小企業や小規模企業への雇用支援策、これが必要になってくるというふうに思います。
 雇用政策としての介護離職防止策の拡充を求める立場で二点伺いたいと思うんですが、産業労働局が行った介護離職防止施策検討のための特別調査、これは二十三区内が中心ではありましたけれども、都内の企業や従業員に対するアンケートやヒアリング調査をやっておられて、あわせて有識者に対するヒアリング調査も行っているという、昨年三月にまとめられた調査でありましたけれども、大変よくまとめられた調査だなと私は思いました。
 そこで伺いますが、都の介護離職防止施策検討のための特別調査、この結果の概要について、まず伺います。

○村西事業推進担当部長 都は平成二十九年度に、介護と仕事の両立の現状や課題などを把握し、効果的な両立支援策の策定の参考とするため、都内の企業とその従業員に対してアンケートによる調査を実施いたしました。
 まず、企業に対するアンケート調査の結果では、介護と仕事の両立について、重要な経営課題である、やや重要な経営課題であるとの回答を合わせると約八割に上っております。
 また、介護休業の期間や介護休暇の日数などに関する従業員からの要望につきましては、わからないとの回答が最も多くなっております。
 次に、従業員に対するアンケート調査の結果では、介護が原因で離職や転職をしたことがあると回答した方の離職、転職の理由としまして、勤務先に介護にかかわる支援制度がなかったため、やむを得ず離職、転職したとの回答が最も多くなっております。
 また、介護休業の期間や介護休暇の日数に関する満足度では、介護休業の期間については、ちょうどよいとの回答が最も多かったのに対して、介護休暇の日数については、少ないとの回答が最も多くなっております。

○あぜ上委員 介護休暇は、改正育児・介護休業法では年間五日間となっているわけですが、実際には介護が必要になりますと、毎月ケアマネジャーさんとの打ち合わせとか、また通院などがあって、五日間ではとても足りないということなわけです。
 今は法改正がありまして、半日休暇としてとれるようになりました。それでも最大十日ということでありますから、アンケート結果では、介護休暇の日数拡大を求める声が多くあったというのもうなずけるわけです。
 また、ある仕事と介護を両立させていらっしゃる方とお話をしたんですが、その方は、介護休暇は無給なので、自分の有給休暇をまず優先させてとって、そして介護に充てているのが実情ですということでした。
 アンケートの結果でもそうした実情があらわれていたわけですけれども、有給で休暇届を出していると、介護しているかどうかというその事実が会社自身には見えにくい。だから先ほどのご答弁にあったように、介護調査では従業員の要望はわからないという企業が七〇%もあったというのはそういうことからだろうというふうに推測できるわけです。
 本調査の結果から、介護休暇などの休暇制度の希望が多いこと、また企業は、重要な経営課題という認識はしているけれども、従業員の要望はわからないということ、こうした調査結果を踏まえて、東京都はどのような施策を進めているのか伺いたいと思います。

○村西事業推進担当部長 都は、特別調査の結果も踏まえ、介護と仕事の両立支援に関する従業員のニーズ調査や介護休業、介護休暇制度の日数増などの充実、短時間勤務、フレックスタイム制度の整備などに取り組む中小企業等に奨励金を支給しまして、介護と仕事を両立できる職場環境づくりを支援しております。
 平成三十年度は、介護休暇制度の充実などの取り組みを行った企業、百五十三社に奨励金を支給しております。

○あぜ上委員 働きやすい職場環境づくりの支援、スタートさせたというのは大変重要だというふうに思っております。
 同時に、アンケートの結果の詳細を見ますと、テレワークよりも安心して休暇を取得できる人員体制や経済的支援を求める声が多くありました。もちろんテレワークを否定するものでありませんけれども、保育園や福祉現場など、テレワークではできない職場も多いのが実情であります。
 職場のメンバーに迷惑はかけられない。自分が休むことによって職場がぎすぎすすることが心配だ。現実には、どの職場でもスリム化が進められる中で、介護休暇の必要性などは理解できるけれども、結局その負担がほかの人にのしかかってしまうという、こういう実態があるんじゃないでしょうか。そういう点では、安心して介護できる時間を確保するためには、誰もが安心して休暇を取得できる職場の人員体制が必要だというふうに思います。
 私自身、福祉現場にいたので、私の経験もあるんですが、福祉現場などでは、以前は、フリーの職員を配置したり、子供が熱を出したときに急に休暇をとれるように、そういうときのために人員配置が補助される制度などがございましたが、今はそうした制度がなくなってしまいまして、そのような余裕のない、ましてや小規模企業、事業者などでは休暇を保障できる人員配置などできていないというのが現実だと思います。
 都として調査結果をしっかりと受けとめていただいて、中小企業や小規模企業の介護休暇取得、このための人件費の補助、また、休暇の有給化の促進、そのための補助、こういったものをぜひ創設していただきたいというふうに要望しておきたいと思います。
 あわせて、国に対してですが、この介護休暇の拡大と有給制度を要望することを求めたいと思います。
 来年度の東京都から国に対する予算要望書を見ましたが、国に対する要望の中にはこうした具体的な要望は入っておりませんでした。ですからぜひ、こうした具体的な要望も国に要望していただきたいと、そのことは求めておきたいと思います。
 第二のテーマは、職場におけるハラスメント対策についてです。
 先ほど尾崎理事が都内の六カ所ある労働情報センターの労働相談において、五万件を超える労働相談のうち、昨年度のトップは、職場の嫌がらせ、いわゆるパワーハラスメントの相談だというお話もありました。
 ハラスメントに苦しむ人々をなくすことは、一人一人の尊厳を守ることになります。大変大事な取り組みでありますので、都のハラスメント対策についても伺っておきたいと思います。
 まず、都の先ほど出た労働相談についてなんですが、この労働相談で、ハラスメントの相談は主にどのような内容なのか伺います。

○篠原雇用就業部長 都内六カ所にある労働相談情報センターで、平成三十年度に受けた相談のうち、職場の嫌がらせは、委員のご質問にもあったとおり、九千六百三十一件で、この中には、会社の上司からのパワーハラスメントによるものなどが含まれております。
 また、セクシュアルハラスメントについての相談が二千三十六件、マタニティーハラスメントの相談が三百七十三件となっております。

○あぜ上委員 ただいまのご答弁でハラスメントの相談が多いということがよくわかります。特にパワハラの相談が多いということがわかます。
 労働相談情報センターでは、こうしたハラスメント相談に対して、どのような対応をされているのか伺います。

○篠原雇用就業部長 労働相談情報センターにおきましては、職場の嫌がらせやセクシュアルハラスメントなどに関する相談に関しまして、適切な助言を行うほか、相談に来られた方があっせんを希望する場合には、必要に応じまして、安全配慮義務を有する事業主側との調整や働きかけを行っているところでございます。

○あぜ上委員 私どももこうした労働相談も受けることがあるんですが、ハラスメント相談担当の上司からパワハラを受けていた、こんなケースとか、上司からのパワハラ、セクハラで精神疾患を患ってしまった、こういった深刻なお話も伺っております。
 最近では、同僚教師からいじめ、カレー事件など、教育現場でのパワハラが大問題になりましたけれども、企業、事業所内では解決に至らない、そういったケースも多々あるのではないでしょうか。
 都としてハラスメント根絶のためにどのような施策を実施しているのか伺います。

○篠原雇用就業部長 東京都は、労働相談情報センターにおきまして、労働者や使用者に向けてハラスメントや職場の嫌がらせの防止に関するセミナーを開催いたしますほか、ハラスメントの防止に関する啓発資料を作成し広く配布するなど、周知啓発に努めているところでございます。

○あぜ上委員 産業労働局として二〇一七年の三月に作成された職場におけるハラスメント防止ハンドブック、これも読ませていただきました。
 判例が載っていたり、相談の事例、またアンケートや関係機関の案内も載っていまして、職場において参考になるんではないかと思いましたので、ぜひこれは配布を進めていただきたいと思うわけですが、この職場におけるハラスメント防止ハンドブック、どのように活用されているのか伺います。

○篠原雇用就業部長 都は、職場におけるハラスメント防止ハンドブックを、労働相談情報センターに来所した人などに配布いたしますほか、区市の男女共同参画センターなどにも送付し、ハラスメント防止に向けて、周知啓発に努めております。
 また、このハンドブックは都の専用ホームページ、TOKYOはたらくネットにも掲載しておりまして、誰でも閲覧、活用いただけるようになっているところでございます。

○あぜ上委員 現在一万部を発行されているということなんですけれども、まだまだ残念ながら知られておりません。
 ぜひ、この間の法改正なども受けて、内容も改善して増刷していただきたいと、これは要望しておきます。
 パワーハラスメント発生の背景、原因、これを都としてはどのように考えていらっしゃるのか伺います。

○篠原雇用就業部長 平成二十四年に出されました国の職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキンググループの報告によりますと、いじめ、嫌がらせ、パワーハラスメントが社会問題として顕在化した背景には、企業間競争の激化による社員への圧力の高まり、職場内のコミュニケーションの希薄化や問題解決機能の低下、上司のマネジメントスキルの低下、上司の価値観と部下の価値観の相違の拡大など多様な要因が指摘されているとされているところでございます。

○あぜ上委員 確かに一言ではいえない問題ではありますけれども、この間の企業間競争が非常に激化する中でふえているのは事実なわけです。
 国際的にも実はハラスメントは大きな社会問題になっております。そうした中、ことしのILOの国際労働機関、この年次総会におきまして、仕事の世界における暴力とハラスメントの撤廃に関する条約・勧告が圧倒的多数の賛成で採択されたところであります。
 働く場におけるハラスメント禁止と実効ある法整備、この確立は喫緊の課題となっていると思います。国においても、企業にパワーハラスメント防止措置を義務づけた法律、これが来年の六月に施行となりますが、これに向けて現在、厚生労働省は、企業が講ずるべき指針案をつくり、年内にも最終案をまとめるというふうにされているところです。
 私も先日労働局が主催しました学習会にも参加させていただいたんですが、パワハラかどうか、この判断例というのはなかなか難しいと。だけど、やっぱりできるだけ、具体的にたくさんあることがパワーハラスメントを防止する上で大事なんだということを痛感して帰ってきたわけなんですが、厚生労働省が今、指針案の素案を出しましたけれども、その素案を見る限りでは、表現が非常に抽象的で解釈次第ではパワハラの対象を狭めかねないんじゃないかと、そういう問題をはらんでいるなということを痛感したわけです。
 最終案が今出たところですけれども、一部修正がなされておりますけれども、やはり実効性のあるものにしていかなければならないなということを痛感しているところです。
 その中でも、私が改善すべき問題として感じた一つに、就職活動中のハラスメント、これが今回の指針からは外されているという問題です。
 就職活動中に就職希望している企業の社員からセクハラを受ける、パワハラを受ける。これが大きな社会問題にもなっておりますが、企業と学生という大変不均衡な力関係のもとで行われた場合、弱い学生の方が泣き寝入りせざるを得ないということも少なくないわけです。
 ビジネスニュースサイトのビジネスインサイダージャパンというのがあるんですが、それによりますと、昨年の二月に行った就活セクハラ緊急アンケートというのがあったんですが、それによると、就活生の五割、半分が就活中にセクハラの被害に遭っている。
 多くの企業が集中する東京において、こうした就活のセクハラとかパワハラ、この根絶のために対策を講じることというのは、私は喫緊の課題になっているなということを改めて実感したわけです。
 そこで伺いたいんですが、東京都として、就活中のセクハラやパワハラなどのハラスメントに対しても相談窓口開設とか、SNSなどによる相談などを実施すべきだと思うんですが、いかがでしょうか。伺います。

○篠原雇用就業部長 就職活動中のハラスメントを含めまして、求職中の学生などからの採用、募集などに関する相談につきましては、法律にも基づきまして、東京労働局の総合労働相談コーナーにおきまして対応しております。
 都の労働相談情報センターに相談があった場合には、必要に応じまして、東京労働局を紹介しているところでございます。

○あぜ上委員 私も改めて東京労働局の総合労働相談コーナーに問い合わせました。
 そうしましたら、東京労働局の就活ハラスメント相談というのは、紛争になった場合のみ対応しますと。相談対応をしますと。
 就活生の皆さんは、日本の法律上、企業に雇用された労働者ではありません。ですから、労働法等の保護対象にはなっていないんですね。だから、あの企業はセクハラをした、パワハラをしている、だから注意してくださいと就活生がいっても、それは受け付けることはできませんということなんですね。そのために、被害に遭った学生のほとんどが被害を相談できずにいるというのが現実なんです。
 先ほど申し上げた、ILOの仕事の世界における暴力とハラスメントの撤廃に関する条約・勧告。ここで求職者、就職希望者、こうした人たちも適用対象者に含めるべきだということが改めて確認されました。しかし、紛争にならなければ対応されていないというのが日本の今の現状です。
 そういう意味では、本当に就職活動生、就活生が泣き寝入りせざるを得ないというのが実態。だからこそ、私は首都東京の果たすべき役割は大変重要なんだと思うんですね。
 そこで伺いますが、就活ハラスメント防止についての啓発のキャンペーンのポスター、トレインチャンネル、こういったものを実施すべきだと思いますが、いかがですか。

○篠原雇用就業部長 東京都はハラスメントに関しまして、啓発冊子の発行やポスターの掲示、チラシの配布などにより普及啓発に取り組んでいるところでございます。
 就職活動中のハラスメントを含めた求職中の学生などからの募集、採用に関する相談につきましては、先ほども述べましたとおり、東京労働局の総合労働相談コーナーにおいて対応しておりまして、都のセンターに相談があった場合には、必要に応じて、東京労働局を紹介しております。

○あぜ上委員 先ほども申し上げましたが、紛争にならなければ相談の対応にはならないというのが現実なんですね。
 私はやはり、就活のハラスメント防止の啓発キャンペーン、これに特化したものをぜひやっていただきたいということを申し上げたいと思います。就活のセクハラ、パワハラは、一人の人生の選択を狂わせて、時には治療を要するほどの心身ともに大きなダメージとなることもあるわけです。
 国任せではなくて、やっぱり東京が、一人一人の尊厳が守られるために、就活ハラスメント防止にも力を発揮していただきたい、そういう姿勢を示していただきたい、そのことを強く要望したいと思います。
 第三のテーマは、職人塾などについてです。
 職人としてすばらしい技能を持っていらっしゃる方にお会いするたびに、こうした技能が継承されるように何とかならないかと痛感するわけですが、ある東京マイスターにも認定されておられるふすま職人、びょうぶやふすまをつくる職人の方の仕事場にお邪魔してお話を伺ってきました。
 かつては、こうした方、骨師というんでしょうかね、こうした方が都内には百人以上いらっしゃったそうなんです。だけど、今は一桁、五人以下になっているというのが現状です。ご本人も技能を継承する後継ぎがいないんだというふうにお話ししていらっしゃいました。
 東京都としても、数少なくなっている高度な機能を持つ職人の方々の事業継承を支援する取り組み、これを行っていらっしゃいますけれども、私は抜本的な拡充が求められていると思います。そうした立場で何点か伺いますが、まず、職人塾の事業内容について伺います。

○村西事業推進担当部長 職人塾は、三十四歳以下の若者をものづくり職人のもとに弟子入りさせ、体験実習を通じて、ものづくり職場への就職のきっかけをつくり、技能の継承や技能人材の育成に結びつけていく事業でございます。
 建具の製作や建築大工、洋裁、日本調理など、都民の生活を支える衣食住の分野におきまして、職人の工房や事業所等を見学する機会を提供するとともに、職人とのマッチングを経て、職場体験実習へ進む仕組みとなっております。
 職場体験実習は、一カ月間程度行われ、その間、すぐれた職人わざを目にして、職人から直接手ほどきを受けながら、ものづくりを実際に体験することができるため、ものづくり職場への就職に対する意欲を高めていく機会となっております。

○あぜ上委員 大事な事業だと思います。それでは、その職人塾の実績について伺います。

○村西事業推進担当部長 昨年度の職人塾では、五十八名の応募があり、そのうち二十八名が、洋裁、和裁、判こや畳の製作、貴金属装身具、さらに、伝統工芸品である江戸指物、江戸木版画など、十三の職種において体験実習を行っております。
 体験実習の終了後、二名はそのまま実習先に就職したほか、十一名が引き続き職人のもとで実習を継続しております。

○あぜ上委員 職人塾で学んだ人たちが職人として、わずかではありますけれども、仕事についたり、引き続き職人のもとで実習されているということは、すばらしいことだというふうに思います。一人でも多く、こうした経験を生かして職人としての技能を身につけていただきたいというふうに思うわけです。それで、職人塾に限らず、ものづくりについて学べる場、これは大変大事だというふうに思っております。
 働きながら学べる、例えば事業主団体などが行っている訓練とか、こうした民間訓練に対する支援を拡充することも大事だと考えるわけですが、いかがでしょうか。

○村西事業推進担当部長 都は、ものづくりを担う技能人材を育成していくため、職業能力開発センターにおきまして、在職者の知識の習得や技能の向上を支援するキャリアアップ講習を行うほか、事業主団体等が従業員に対して行う職業訓練のうち、職業能力開発促進法に定める基準に適合する訓練を認定し、民間における職業訓練を推進しております。
 認定した職業訓練を行う事業主団体などに対しましては、指導員等の謝金、教室の借り上げ費、教材費などの運営経費や、施設、設備の整備に要する経費につきまして、国の基準に基づき、国庫からの補助を受けて助成を行っております。
 なお、この認定職業訓練の助成につきましては、国が定める基準額では、訓練に必要な経費を十分に確保できないことから、都は、国に対して補助対象の拡充を要望しております。

○あぜ上委員 例えば職業能力開発促進法に基づく、東京都認定の高度職業訓練専門課程の短期大学の東京建築カレッジなどは、建設職人を育てる大事な場となっております。
 以前私は、この東京建築カレッジに視察に行ったんですけれども、ドイツのマイスター制度をモデルにしていらっしゃるということを伺いました。
 学びの中心は、高度な木造建築技術、技能で、建設現場で働きながら学べるという学校であります。全国で行っている技能五輪、こういった大会に参加する生徒さんもいらっしゃいました。
 ご答弁にもありましたけれども、国の定める補助の基準額、これが大変低いものですから、やはり自己負担が非常に大きいんですね。木工技術や技能の継承事業としても、私は大変重要な制度だというふうに思います。ですから、ぜひとも国に対して支援の拡充を求めていただきたいと思いますし、あわせて、東京都としても支援を拡充するよう求めまして、質疑を終わります。

○中山委員 久々にオーラスの質問となりまして、大変お疲れだと思いますけれども、よろしくお願いしたいと思います。
 初めに、精神障害者の雇用ついてお伺いいたします。
 平成三十年度に精神障害者が雇用義務の対象となりました。
 これによりまして、精神障害者の就職件数は年々増加する傾向を続けておりまして、都内におけるハローワークを通じた障害者の就職件数を障害種別で確認しますと、精神障害者は三千五百四十件と全体のほぼ半数を占めるに至っております。
 しかし一方で、体調の維持や管理が難しい面があるなどの理由から、精神障害者の雇用に踏み出せない中小企業もあります。
 また、他の障害種別と比較しても、就労の定着が大きな課題となっております。
 さらに、景気動向に左右されない障害者雇用の安定化や障害者雇用の推進を好意的に受けとめ、協力をしてくださる社会的環境。特に都民の理解を深めるためにも、現在は理解されにくい状況にさらされている精神障害者の雇用を進めるための行政としての努力は極めて重要であると考えます。
 そこで、精神障害者の雇用の促進や職場定着に向けた都の取り組みについて、まずお伺いいたします。

○村西事業推進担当部長 都は、精神障害者の雇用の促進とその定着を図るため、精神障害者を初めて雇用する中小企業に対し、雇用前の環境整備から雇用後の定着を含め、一貫したサポートを行う精神障害者雇用サポート事業を実施しております。
 具体的には、障害者が担う仕事の切り出しなど、採用の準備段階、職場体験実習を通じた採用活動やマッチングの段階、採用後の評価を実施する定着支援の段階など、各ステージにおきまして、障害者雇用に関して専門的な知見を有する経験豊富なアドバイザーが中小企業に助言を行う伴走型の支援を行っております。
 昨年度は、新たに三十八社の中小企業への支援を開始し、このうち二十五社が初めて精神障害者の雇用を実現させております。
 今後も精神障害者の雇用の促進と定着に向けた支援に取り組んでまいります。

○中山委員 精神障害者雇用サポート事業におけるアドバイザーさんが、中小企業に助言を行う伴走型の支援ということ、とても大事なことだと思います。
 昨年度の三十八社の支援というのも、予算では三十社予定したところ、三十八社にふえたということで伺っておりますし、二十五社が初めて精神障害者雇用を実現させているという実績も高く評価したいと思います。
 今後、特に来年度は、この精神障害者雇用サポート事業におきまして、補助対象事業者を拡大するとともに、大変好評のようでありますので、他の障害にも拡大するなどの充実、拡充を求めたいと思います。
 精神障害者の雇用に取り組む中小企業を一層支援していただいて、障害者雇用ゼロの企業をなくしていくという意気込みで取り組んでいただきたいと思います。
 国の東京労働局によりますと、昨年六月一日現在における都内の民間企業の障害者雇用率は一・九四%と、前年より〇・〇六ポイント上昇しています。
 しかしながら、依然として法定雇用率であります二・二%を下回ったままの状況にあります。
 特に規模の小さな企業ほど雇用率は低くなっておりまして、障害者雇用ゼロの企業が少なくありません。
 一方で、法定雇用率は、令和三年四月までに二・三%まで引き上げられることが決まっている中で、今後、障害者雇用を一層加速していくためには、障害者と企業を結びつけるマッチングの強化がこれまで以上に重要となってまいります。
 都におきましては、障害者雇用を促進していくために、障害者職場体験実習によるマッチングの支援を実施していますが、本事業の取り組み状況についてお伺いをいたします。

○村西事業推進担当部長 都は、障害者雇用を検討している企業と就労を目指す障害者のマッチングを効果的に実施するため、障害者に一定の期間、企業において実施を行う機会を提供する障害者職場体験実習を実施しております。
 この職場体験実習は、障害者にとっては仕事に対する適性等の把握や働くことへの自信につながるとともに、企業にとっては、障害者雇用の具体的なイメージを持っていただき、障害者雇用のノウハウを蓄積することができるというメリットがございます。
 昨年度は、千三百十八件の実習マッチングを成立させており、今後も本事業の実施を通じて、障害者雇用に取り組む企業を後押ししてまいります。

○中山委員 昨年度千三百十八件ということでございますので、ぜひ来年度はそれを上回る件数ができるような予算組み、取り組み体制をお願いしたいと思います。
 また、こちらの方も実習アドバイザーの方々がいらっしゃって、その方々が中心となって、実習の企画立案に取り組んでくださっているとお伺いしております。
 ぜひ、そちらの方の人員の増加というものも取扱件数の増加には必要ですので、お願いしたいと思います。
 今後ともこのような職場体験実習などを通じて、障害者雇用に取り組む意欲のある企業と就労したいと意欲を持つ障害者のマッチングを進めていただいて、都として、企業ニーズを踏まえた支援を強化していくことを要望しておきたいと思います。
 この点で私が思い出すのは、前にもお話ししたかもしれませんけれども、もう随分前になりますが、三重県の名張市にお邪魔して、ブリヂストン、当時でいえばセルシオという古い車がありましたけれども、それの部品を製造する企業が、知的障害者の方々だけを集めて、一つの部門をつくっておりました。
 その部門は、働いていらっしゃる方々は、知的障害者のかなり中度あるいは重度に近い方もいらっしゃいましたけれども、ものの数を数えるのが苦手な方も多くいらっしゃいますので、製品を入れる箱を斜めにして、その斜めの箱に全部入れていくと五十個になるとか、そういう工夫をされていました。
 どうしてそういう工夫ができたのかというと、障害福祉の現場で働いている女性の方でしたけれども、その方をヘッドハンティングしてきて、その会社の作業工程を全部組みかえたんですね。
 知的障害者の方でもちゃんとできるような仕事の流れというのを組み立てていて、健常者の方々以上に成果を上げていて、これは福祉作業所ではありませんから、ちゃんとした賃金を一般の人と同じように払っていて、しかも成果を上げている。地域的には、ぜひそこに雇用されたいというような声がたくさんあるとのことでございました。
 この先ほどの実習アドバイザーの方々は、企業に先に乗り込んで、それで仕事の切り出しをして、これなら可能ですよという体制を整えて実習を実現してくださるということだそうですけれども、先ほどの精神障害者サポート事業のアドバイザーの方とも同じですが、こうした方々の蓄積をぜひ積み上げていただいて、どんどんその方々が企業に出向いていって、障害者雇用を可能にしていくと。
 それまでには何年かかかる場合もあると思いますけれども、そういうようなアドバイザーの方々の育成と、そしてそれを社会的に還元している、その仕組みが私は本当の意味でのソーシャルファームの促進にも必要になってまいるというふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、中小企業におきます外国人材の受け入れ支援事業についてお伺いしたいと思います。
 我が国では深刻な人手不足を背景に、本年四月に特定技能の在留資格が創設されまして、外国人の受け入れ拡大が図られております。
 しかしながら、中小企業におきましては、情報やノウハウが不足しておりまして、外国人材の採用に積極的に踏み出せていない例も間々見受けられます。
 現在、世界の各国におきましても、少子高齢化が進んでおり、今後、人材の争奪戦が国際的にも激しくなることは想定されておりますし、現に進んでおります。
 そうした中で、都内中小企業が働き手を確保するためには、外国人の積極的な採用を図るとともに、それらの人々が安心して働き続けられる雇用環境の整備を進めていく必要がございます。
 都はこうした状況を背景として、中小企業の外国人材受入支援事業を実施しておりますが、まず、外国人の採用への支援に関する都の取り組み内容についてお伺いしたいと思います。

○篠原雇用就業部長 都は、中小企業における外国人材の採用と受け入れ環境の整備を支援しますため、外国人雇用に関する法制度や、言語や文化の異なる外国人の受け入れの際に配慮するポイントなどを紹介いたしますセミナー等を開催するほか、留学生など、外国人材と中小企業の出会いの場となる企業説明会等を実施いたしまして、採用に向けた支援を行っているところでございます。
 今年度は、先月末までに外国人材の採用や活用をテーマとするセミナーを三回開催いたしまして、二百四十二名の企業経営者等の参加を得ております。
 また、企業説明会を三回開催いたしまして、日本での就職を希望する留学生など五百二名の外国人材と企業四十二社とのマッチングの機会を提供したところでございます。

○中山委員 中小企業の中には、せっかくコストをかけて外国人を採用したにもかかわらず、文化や生活習慣等の違いから、職場において外国人社員と日本人社員との間で意思疎通がうまく図れず、トラブルを抱えてしまうケースも多いと聞いております。
 都はこうした課題に対処するため、今年度から、中小企業が外国人を受け入れるに当たり、職場でのコミュニケーションが円滑に進みますよう、新たな取り組みを始めたとのことでありますが、その内容や実績について改めてお伺いしたいと思います。

○篠原雇用就業部長 都は、中小企業における外国人材の受け入れに伴うトラブルの未然防止を図る観点から、今年度より日本で働きたいと考えている外国人留学生などを対象といたしまして、ビジネス日本語やビジネスマナーの講座を実施しております。
 また、外国人在職者を対象として、その職場定着を図るために、ビジネス日本語のeラーニング研修を開始したところでございます。
 現在、ビジネス日本語講座に十五名、ビジネスマナー講座が十九名、eラーニング研修は六十九名が受講中でございます。

○中山委員 私は十月二十五日に、住宅政策本部が主催します東京都の居住支援協議会によりますセミナーに参加いたしました。外国人の安定就労などに努力をしてきた方々が講師を務められ、不動産管理の関係者などが熱心に聞き入っておりました。
 それによりますと、日本的な慣習や社会環境になじめないことが大きな課題の一つになっているようであります。
 例えば前家賃とか敷金、特に礼金、更新料。さらには入居時の身元保証人制度といった賃貸物件制度は、海外には存在していない場合が多く、トラブルのもととなったりしております。とりわけ身元保証人制度は、もともと知り合いがいない異国の地で賃貸物件を借りるわけですから、その確保は大変困難でありまして、実質非関税障壁みたいなバリアになってしまいます。
 当然、身元保証会社も存在していますし、事実、当日の講師の一人はその経営者でございましたけれども、そうした会社の活用のあり方を含め、公的に誰もがどの区市でもアクセスできる環境の整備や、悪質業者をあらかじめ排除できる仕組みの構築が必要になってまいります。
 また、雇われた先の会社内でも、昇給や昇進、転勤、配置がえなどについて、納得のいく説明がなされない。あっても口頭での理解を求める説明だけで、事前事後に渡されるペーパーによる説明がないという点が、外国人の方々にとって大きな壁、時には不信感につながっているということでありました。
 外国人の方、最近は日本の若者の間でもそうした傾向は広まっておりますけれども、その会社に一生をささげるというわけではなくて、帰国後などに生かせるキャリアアップ、経験を積むことに魅力を感じて就労いたします。
 昇給や昇進、転勤、配置がえなどについて、納得のいく説明がないという往々にしてありがちな日本的慣行というものは、日本の、いや、都内の企業の高い技術力ですとか経済的な規模の優位性という魅力を消し去ってしまうぐらいのマイナス要因になりかねません。
 さらには、これは別の機会に得た情報ですけれども、乳幼児や小学生程度のお子さん連れの外国人の方々が、中学校にお子さんが進学する時期ぐらいになると帰国してしまう。そういう事例が少なくないということでありました。
 滞在できる期間の問題が大きいとは思いますけれども、それと同時に、外国人向けの日本語教育、日本語を母国語としない方々向けの日本語習得教育や、外国に由来するお子さんたちに対する指導システムが確立していない日本の教育の現状を知る中で、子供の将来に不安を覚えて帰国してしまう傾向があるとの指摘もございます。
 恐らくはそうした方々、問題意識の大変高い方々でありまして、働き手として定着してもらえれば日本社会を支えられるポテンシャルの高い方々を失ってしまうということは、非常に残念なことだと思います。
 今、指摘した事柄は、産業労働局が直接かかわれる事柄もあれば、単体では対処しかねる問題もあるかと思います。
 しかし、よりすぐれた外国人の方々を、高い賃金で安定的に雇用できるのは大企業は得意ですけれども、人手不足に直面しているのは中小企業でありますから、産業労働局は他局とも積極的に連携していただいて、就労や転職、住まいの確保や教育や福祉、医療サービスなど、都が取り組むべき外国人対応の課題解決の中心軸となってこれから頑張っていただきたいと思います。
 私は、今後そうした課題別の進捗管理を図る全庁的な会議の設置、進捗の管理を行う会議が必要と考えておりますけれども、その点につきましては、また会派のメンバーと相談して、改めて提言を行ってまいりたいと思います。
 今後も、中小企業が外国人を積極的に採用できるように支援し、外国人材が働きやすい環境づくりを進めることで、東京が世界から選ばれる都市となりますよう取り組んでいただくことを要望して、次の質問に移ります。
 次に、労働相談の傾向ということで、先ほど来お話出ておりますけれども、労働相談情報センターについて質問いたします。
 都は従来から、都内六カ所における労働相談情報センターにおいて、労働者、企業双方から労働問題についての相談に取り組んできました。
 昨今は、先ほども申し上げた外国人労働者の増加を初め、働き方改革関連法など、労働法制の改正、ハラスメントに対する関心の高まりなど、労使を取り巻く環境は大きく変化しております。
 こうした変化に伴って、労働相談の内容も大きく変わっていくものと考えられますが、まず最近の労働相談の傾向についてお伺いをいたします。

○篠原雇用就業部長 労働相談情報センターにおいて受けました労働相談件数は、昨年度、五万百三十七件でございまして、平成十八年度から約五万件を少し超える状況で続いております。
 労働相談の内容を見ますと、職場の嫌がらせが昨年度初めて相談件数のトップとなりまして、次いで退職、次いで労働協約の順になっております。職場の嫌がらせやハラスメントを含めまして、人間関係に関する相談が全体の一七%を占めており、最近増加傾向にございます。
 また、外国人に関連する労働相談は、平成二十五年度以降、年間おおむね二千件程度で推移しているところでございます。

○中山委員 ただいま外国人関連の労働相談が、おおむね二千件程度で推移しているとのご答弁がありました。
 外国人に関しましては、まず言葉の問題があり、文化や習慣も違うために、相談に応じることも容易ではないと思います。
 都の労働相談情報センターにおいて、外国人労働者のさまざまな言語に対し、また、外国人ならではのさまざまなトラブルに対し、どのように対処しているのか、お伺いいたします。

○篠原雇用就業部長 都は現在、労働相談情報センターにおきまして、英語と中国語の通訳を定期的に配置いたしますほか、必要に応じて通訳を派遣してもらうという方法で、全体で十言語での労働相談に対応しております。
 あわせまして、飯田橋の労働相談情報センターには、外国人の労働問題に精通した弁護士を配置しますほか、外国人の受け入れをテーマとした使用者向けの労働セミナーなども開催しているところでございます。

○中山委員 東京都の労働情報相談センターの相談実績と問題解決能力の高さは、他県の同様な取り組みと比較しても図抜けて高いと私は認識しております。人口一人当たりの数値に置きかえても、その抜きん出た状態は変わらないと思っております。
 特に東京都の労働情報相談センターがかかわることで、訴訟手段に訴えなくても、あっせんや和解による解決の確率が高くて、その問題解決の能力の高さは改めて評価されるべきであり、都民にも知っていただく必要があります。
 そのレベルの高さを支えてきたのは、センター内のOJTなどによる人材育成の取り組みでありまして、その職場内研修は今後も効果を上げていけるように、人員体制の確保には力を入れていただきたいと思います。
 もしかしたら、総体の数というのはさほど急激に変化はしないかもしれませんけれども、個々の相談内容の複雑性というのはどんどん増しておりますので、そうした中で、相談は単に知識を相手に伝えればいいというわけではありませんから、相手に共感して、相手との間で、会社側、労働者の相互の間で知恵を絞り合って問題解決を図るという、いわばAIでは対応できない仕事であります。
 労働情報相談センターの業務は、AI時代に生き残る数少ない職種の一つかもしれません。そうした人材を育てているのは、研修の力でありますから、ある面では、一人っ子が多い社会状況の中にあって、兄弟姉妹が少ない家庭環境、いとこや、はとこというのは人の名前だと思っていたという人もいたそうです。
 人材の育成は、他の職場でも苦労するでしょうけれども、座学では進まず、押しつけではなくて、相手が実感ができるように粘り強く進めていく。そうした相談業務における人材育成というものは、この人員体制の確保というものはとても大事でありますので、少しずつでも充実をお願いしたいと思います。
 外国人労働者への対応など、労働相談への対応はますます重要性を増しております。
 一方で、労働情報相談センターの存在は、都民に十分に知られているとはいえないのではないかと思っております。
 また、知っていたとしても、都の施設に行くというのは敷居が高いということもあると思われます。そういう点で、センターが実施している街頭労働相談は、都民が労働相談に触れるよい機会になりますので、とてもよい取り組みだと思います。
 街頭労働相談の今年度の取り組みと実績についてお伺いをいたします。

○篠原雇用就業部長 東京都では、毎年五月と十月を中心に、労働相談情報センター及び各事務所が、駅ビルの中や駅近くの公共施設などで、他の行政機関とも連携して街頭労働相談を実施しております。
 今年度も五月と十月を中心に実施しておりまして、直近の十月では、新宿駅西口、調布駅前広場、池袋駅ビル地下街などで特設コーナーを設置いたしまして、職員や弁護士等を配置して開催したところでございます。

○中山委員 私の地元足立区でも、来年は夏の荒川河川敷の花火を五月に行うとしておりますし、秋には恒例の区民祭りもありますけれども、そうしたときの人手もたくさん出てまいりますので、まだ足立区内では街頭労働相談を実施したことがないと伺っておりますから、ぜひご検討をお願いしておきたいと思います。都内各地で幅広く実施していただくことを要望して、次の質問に移ります。
 続きまして、職業能力開発センターを通した公共職業訓練についてであります。
 公共職業訓練は、仕事を求める方のスキルアップによりその就労を支援することが一番の役割でありますけれども、中小企業が人材確保に困っている今日におきましては、地元の中小企業は人手不足の業界に人材を供給するという意味で、地元との連携が重要性を増していると考えます。
 都立職業能力開発センターで行う訓練におきまして、こうした地元企業や業界のニーズをどのように取り入れているのか、その点についてお伺いをいたします。

○篠原雇用就業部長 都では、都内四カ所に設置しております職業能力開発センターに、各地域の業界団体やハローワーク、区市町村等で構成されました職業能力開発連絡協議会を設置いたしまして、定期的に意見交換を行うことで、地域産業の状況や中小企業の人材ニーズの把握に努めております。
 例えば、城東職業能力開発センターの協議会では、中小企業の経営者から、人員の確保、定着がますます難しくなってきたなどの声や、職業能力開発センターに人材面で期待を寄せる意見などが出されております。
 また、訓練科目の設置、廃止や内容の充実に当たりましては、業種の求人動向を調査し、事業者の代表を加えた公共職業訓練委員会から意見を聞くなど、中小企業のニーズなどを踏まえまして対応を図っているところでございます。
 具体的には、店舗のリフォームなどのニーズの高まり、求人の動向などを踏まえまして、今年度は、城南職業能力開発センターにおきまして、インテリア設計施工科を新設したところでございます。

○中山委員 特に人出不足の業界が多くある中で、建設業、土木業での人手不足は極めて深刻でありまして、私は予算特別委員会でも、それに対する対策を求めたところでございます。
 この建設業界における人手不足に対して効果のある訓練を実施するよう要望してきておりますが、本年度の取り組み状況についてお伺いいたします。

○篠原雇用就業部長 都は近年、職業能力開発センターにおきまして、中小建設業のニーズが高い鉄筋施工と型枠施工の訓練を拡充してきておりまして、今年度は型枠施工の訓練につきまして、実施校を二校から三校にふやし、訓練定員を年間四十八名から七十二名に拡大しております。
 本年十月までに、鉄筋施工の訓練コースを四回、型枠施工のコースは五回実施いたしまして、鉄筋施工は二十三名、型枠施工については二十五名が受講しております。
 また、在職者向けの訓練につきましては、工事現場で必要とされる施工管理の資格取得に向けました講座の充実を図っておりまして、今年度は実施規模を年間六講座から十一講座に、定員を百七十名から三百十五名に拡充して実施しております。
 本年十月末までに八講座を実施し、百五十一名が受講しているところでございます。

○中山委員 予算特別委員会での我が党の質問や要望などに積極的に応えていただいたことを評価させていただきます。ぜひ、職業能力開発センターでは、地元の建設業界の方々の研修の場所としても活用を検討していただきたいというふうに思います。
 私の知り合いの左官業の会社は社宅を用意して、社宅の一部を研修所にして、若い方々と年配の方々の交流を図っておりまして、そうしたふだんのコミュニケーションが、建設現場の緊張する場面でも、若い人が安心して気軽に先輩に質問できる、そういう環境を整えて、若い方の離職を防いで、そのことが評価されて、産業労働局がつくられた東京カイシャハッケン伝にも紹介されて、それがさらに会社の評判を高めて、求人に苦労しないという状況ができ上がっております。
 しかし、そうした会社ばかりではありませんので、能開センターの会場を使って、職場の先輩が若い人に教える、そういうような形でコミュニケーションを図れるような場所、機会をつくっていただければ大変ありがたいなというふうに思っているところでございます。
 最後に、観光プロモーションについてお伺いいたします。
 急速に成長するアジアを初め、世界的に旅行者数が拡大しておりまして、外国人旅行者数を見ておりますと、二〇一八年に日本を訪れた旅行者は、三千百十九万人、また東京を訪れた旅行者は一千四百二十四万人と、いずれも過去最高を更新しております。
 今後さらに訪都旅行者数をふやしていくために、旅行者の割合が高いアジア地域からのリピーターを確保していくことも重要となります。
 そこで、外国人旅行者について、国や地域ごとの訪問状況やアジア地域のリピーターの状況についてお伺いをいたします。

○松本観光部長 日本政府観光局が発表する訪日外客数の報告によりますと、二〇一八年の地域別の訪日旅行者数の割合は、東アジアが七三・四%、欧米豪が一一・六%、東南アジア及びインドが一一・二%、その他の地域が三・八%となってございます。
 また、観光庁による訪日外国人消費動向調査の結果によりますと、昨年の東アジア地域からの来訪回数につきましては、中国は五割以上の方が初めての訪問となっておりまして、韓国、台湾、香港は二回目以上のリピーターの方々の訪問割合が七割以上と高い傾向にございます。

○中山委員 国や地域によりまして状況が異なることがよくわかりました。今後はその特性に応じてきめ細かく対応していく必要があると考えます。
 先日、私は中国のメディアを活用したプロモーションについてのお話を聞く機会がございました。多くの外国人が訪日前に日本の情報を手に入れるために雑誌、テレビやインターネットなどのメディアを利用しているという状況であります。
 私がおもしろいなと思ったのは、その中国の会社は、二年間かけて日本国内に拠点を整備して、日本で取材をして、それを、まあある面で中国の会社ですから、検閲を受けずにそのまま発信できる。
 中国国内でも四百地点ぐらいの拠点を持っていますので、いろいろな、それこそ先ほど横町の話とかありましたけれども、どこのママさんがいいですよとかという話も入ってくるかもしれませんが、そうした事柄を発信できる。
 中国は五割が初めて--これはもうキャパが大きいですから、初めて来る人が多いのは仕方がありませんが、それがリピーターになっていくかどうかというのはとても大きいと思いますし、中国に限らずですけれども、現地のメディアが日本国内に来て発信してもらえるということは、海外の人たちの目線でおもしろいと思ったものを発信してくれるわけですので、こちら側が発信してほしいと思っている情報とは違うことで物すごく効果が高まることがあると思いますので、私は活用していくべきだと思っております。
 アジア地域におけるリピーターの確保に向けて、現地のメディアや国内に進出しているメディア等、さまざまな広報媒体によりプロモーションを展開していくことが今後一層重要になると考えますが、見解をお伺いいたします。

○松本観光部長 都は今年度から、アジア地域におきまして、東京を訪れるリピーターの割合を高めるため、従前の北京やソウルに加えて、台湾、マレーシア、シンガポール、タイにおいても東京観光のPRを現地で行う観光レップ業務を新たに委託して、取り組みを強化しております。
 例えば、台湾の観光レップにつきましては、現地の有力テレビ局を東京に招きまして、リピートへの意欲が高いといわれております若年層等を想定した取材を支援することで、現地旅行番組の放送やウエブサイトを通じて、東京の魅力を視聴者にわかりやすく伝えることができました。
 このように、海外の市場特性を踏まえながら、現地のメディアや、また国内に進出をしているメディアなどの効果的な活用を検討しまして、東京の多様な魅力を発信してまいります。

○中山委員 ぜひそういう形で乗り込んでいって、そこの現地の中ですぐれた旅行会社に協力を求めるというやり方もあるし、それから、国内、日本の中にどんどん来てもらって、自分で取材してもらって、そしておもしろいと思ったものをどんどん発信してもらう。その両方の取り組みで取り組んでいただきたいと思います。
 本日は、精神障害者の方の取り組み、建設人材の取り組み、あるいは海外の人材をどう確保していくか、そしてまた、海外に向けどう発信していくかなどの話題について述べさせていただきましたけれども、海外との連携を中心に、日本の、東京の活力をさらに高めていくことはとても大事な視点かと思っております。
 最後に、村松産業労働局長に感想と決意をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

○村松産業労働局長 今、企業経営におきまして、大きく影響を与えるトレンドが二つあるといわれておりまして、それはもう皆様ご存じのとおり、人口減少とグローバル化だと、そういったことはよくいわれております。そうした中で、これから産業の担い手が劇的に減っていく。しかしながらその一方で、働きたい、働く意欲がある、例えばきょうお話の出ました障害をお持ちの方もそうでしょうし、高齢者の方とか女性の方もそうかもしれません。
 そうした働く意欲のある方が全て生き生きと働ける社会、そうした社会を実現することが産業の活性化にもつながるんだろうと、こういう人口減少の大きなトレンドの中でそれを目指すべきだろうと、きょういろいろ質疑を聞いて思ったところでございます。
 もう一つはグローバル化ということで、人の移動も物の移動も国境を越えて、情報や金融はとっくにそうですけど、国境を越えてどんどん移動します。そうした中で、海外の資源をどうやって日本の産業、東京の産業に取り入れていくのか、それがこれから東京が発展できるかという大きなポイントになろうかと思います。
 我々産業労働局の施策、事業につきましても、そうした海外の市場なり、人材なり、きょうは外国人材の話とか観光のこともありましたけれども、そういう海外に目を広げて、それを土台にしながらより一層効果的な施策の立案に努めていきたいと思っておりますので、積極的に事業の充実に取り組んでいきたいと思っております。

○両角委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○両角委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。

○両角委員長 次に、第四回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。

○村松産業労働局長 令和元年第四回東京都議会定例会に提出を予定しております当局所管の案件の概要につきましてご説明を申し上げます。
 今回提出を予定しております案件は、令和元年度一般会計補正予算案一件、条例案一件でございます。
 初めに、補正予算案につきましてご説明申し上げます。
 今回の補正予算案は、一般会計の歳入歳出予算及び債務負担行為に関して補正を行うものでございます。
 主な内容でございますが、第一に、先般の令和元年台風第十五号などがもたらしました都内各地での被害への対応といたしまして、中小企業対策、観光産業の振興、農林水産対策において、復旧、復興に向け必要な支援を講じるため補正を行うものでございます。
 第二に、東京二〇二〇大会の確実な成功に向け、大会期間中の交通混雑の緩和に資する取り組みといたしまして、中小企業への支援を講じるため補正を行うものでございます。
 引き続きまして、条例案につきましてご説明を申し上げます。
 都民の就労の支援に係る施策の推進とソーシャルファームの創設の促進に関する条例案についてでございます。
 この条例は、就労を希望する全ての都民に対する就労の支援について、基本理念、都の責務、就労の支援に係る施策並びにソーシャルファームの創設及び活動の促進の基本となる事項を定め、施策等を総合的に推進することにより、都民が個性と能力に応じて就労し誇りと自信を持って活躍する社会の実現に寄与することを目的とするものでございます。
 以上で第四回定例会提出予定案件の概要説明を終わらせていただきます。
 なお、これらの詳細につきましては、総務部長からご説明を申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○坂本総務部長 今回提出を予定しております産業労働局所管の案件につきまして、お手元の配布資料に基づきご説明申し上げます。
 初めに、当局所管分の令和元年度一般会計の補正予算案についてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の資料1、令和元年度一般会計補正予算説明書をごらんください。
 表紙をお開きいただき、一ページをごらんください。総括表でございます。
 今回の補正予算額は、下段の合計欄にございますとおり、七億四千七百七十万五千円でございます。
 六ページをお開きください。歳出の説明でございます。
 1、中小企業対策の補正予算額は九千万円でございます。
 このうち、ページ右側説明欄の上段にございますTDM対応支援助成金は、東京二〇二〇大会中のTDM実施時に、中小企業が事業活動を継続する上で必要な経費に補助を行うもので、二千万円を計上してございます。
 次に、下段にございます中小企業組合共同施設等災害復旧支援は、令和元年台風第十九号により建物や施設を被災した事業協同組合等に対し、復旧に要する経費を補助することにより、早期の事業活動の再建を支援するもので、七千万円を計上してございます。
 七ページをお開きください。上段の2、観光産業の振興の補正予算額は、一億四千五百万円でございます。
 観光復興支援事業として、被害のあった観光施設等の復旧整備に要する経費を補助するとともに、多摩・島しょ地域への誘客に向けた観光PRを実施するものでございます。
 下段の3、農林水産対策の補正予算額は、五億一千二百七十万五千円でございます。
 農地及び農業用施設災害復旧事業として、令和元年台風第十五号等による被害を受けた農地や農業用施設の復旧等に要する経費を補助するものでございます。
 一〇ページをお開きください。債務負担行為でございます。
 番号1、災害復旧資金融資等利子補給は、令和元年台風第十五号等による災害に係る資金融資の利子補給を対象に追加したことに伴い、債務負担行為の限度額を引き上げるものでございます。
 番号2、林業近代化資金利子補給についても、同様の理由により、債務負担行為の期間の延長及び限度額の引き上げを行うものでございます。
 続きまして、条例案についてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の資料2、条例案の概要をごらんください。
 表紙をおめくりください。本定例会には、一件の条例案をご提案させていただく予定でございます。
 一ページをごらんください。都民の就労の支援に係る施策の推進とソーシャルファームの創設の促進に関する条例案でございます。
 第一条では、本条例が、就労を希望する全ての都民に対する就労の支援について、基本理念、都の責務、都民や事業者等の役割、就労の支援に係る施策並びにソーシャルファームの創設及び活動の促進の基本となる事項を定め、就労の支援に係る施策等を総合的に推進することにより、都民一人一人が個性と能力に応じて就労し誇りと自信を持って活躍する社会の実現に寄与することを目的とすることを規定してございます。
 第二条では、事業者及び就労困難者の用語の定義について規定してございます。
 第三条では、ソーシャルインクルージョンの考え方に立って就労の支援を推進すること等を基本理念として規定してございます。
 第四条では、都の責務として、国、区市町村等と連携し就労の支援に係る施策等を総合的に実施することを規定してございます。
 第五条から第七条では、都民、事業者、区市町村のそれぞれの役割について規定してございます。
 第八条及び第九条では、都民及び事業者に対して都が行う支援について規定するとともに、就労困難者と認められる方に対して配慮すべき実情等に応じた支援を行うこと等を規定してございます。
 第十条及び第十一条では、ソーシャルファームの創設及び活動の促進を通じて就労の支援を効果的に実施することを規定するとともに、支援対象とするソーシャルファームを認証することや、支援策等を取りまとめた指針等を策定することについて規定してございます。
 第十二条及び第十三条では、事業計画を策定し、その実施状況を公表するとともに、実施状況の検証に当たっては、関係機関等の意見を聞き、施策に反映するよう努めることを規定してございます。
 第十四条では、必要な財政上の措置を講ずるよう努めることを規定してございます。
 なお、条例の施行期日につきましては、公布の日から施行することとしてございます。
 資料3は、議案文でございます。後ほどごらんいただければと思います。
 以上で令和元年第四回定例会に提出を予定しております案件の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○両角委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○あぜ上委員 一点お願いします。
 ソーシャルファームについての調査検討経過、時系列で経過をお願いいたします。

○両角委員長 ほかにございますでしょうか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○両角委員長 それでは、あぜ上委員より資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○両角委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。
 以上で産業労働局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後八時四十七分散会

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