経済・港湾委員会速記録第六号

平成三十一年三月十五日(金曜日)
第八委員会室
午後五時十八分開議
出席委員 十四名
委員長中山ひろゆき君
副委員長小林 健二君
副委員長山崎 一輝君
理事奥澤 高広君
理事尾崎あや子君
理事小山くにひこ君
うすい浩一君
あかねがくぼかよ子君
柴崎 幹男君
斉藤やすひろ君
白戸 太朗君
ひぐちたかあき君
三宅 茂樹君
あぜ上三和子君

欠席委員 なし

出席説明員
産業労働局局長藤田 裕司君
次長十河 慎一君
総務部長寺崎 久明君
産業企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務武田 康弘君
商工部長坂本 雅彦君
金融部長加藤  仁君
金融支援担当部長川崎  卓君
観光部長小沼 博靖君
観光振興担当部長鈴木 誠司君
農林水産部長上林山 隆君
安全安心・地産地消推進担当部長龍野  功君
全国育樹祭担当部長村西 紀章君
雇用就業部長篠原 敏幸君
事業推進担当部長蓮沼 正史君
労働委員会事務局局長池田 俊明君

本日の会議に付した事件
労働委員会事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成三十一年度東京都一般会計予算中、歳出 労働委員会事務局所管分
産業労働局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成三十一年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為 産業労働局所管分
・第八号議案 平成三十一年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
・第九号議案 平成三十一年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計予算
・第十号議案 平成三十一年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第六十一号議案 東京都立職業能力開発センター条例の一部を改正する条例
・第六十二号議案 東京都立産業貿易センター条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・東京都中小企業振興ビジョン-未来の東京を創るV戦略-について
・PRIME観光都市・東京 東京都観光産業振興実行プラン-東京二〇二〇大会に向けた重点的な取組-について
付託議案の審査(説明・質疑)
・議員提出議案第三号 東京都中小企業振興対策審議会条例の一部を改正する条例

○中山委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 初めに、予算の調査について申し上げます。
 平成三十一年度予算については、予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成三十一年三月十四日
東京都議会議長 尾崎 大介
経済・港湾委員長 中山ひろゆき殿
   予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、三月十四日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二十日(水)午後五時

(別紙1)
経済・港湾委員会
 第一号議案 平成三十一年度東京都一般会計予算中
歳出
繰越明許費
債務負担行為 経済・港湾委員会所管分
 第八号議案 平成三十一年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
 第九号議案 平成三十一年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計予算
 第十号議案 平成三十一年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
 第十一号議案 平成三十一年度東京都と場会計予算
 第十九号議案 平成三十一年度東京都中央卸売市場会計予算
 第二十一号議案 平成三十一年度東京都臨海地域開発事業会計予算
 第二十二号議案 平成三十一年度東京都港湾事業会計予算

(別紙2省略)

○中山委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、労働委員会事務局及び産業労働局関係の予算の調査、産業労働局関係の付託議案の審査並びに産業労働局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより労働委員会事務局関係に入ります。
 予算の調査を行います。
 第一号議案、平成三十一年度東京都一般会計予算中、歳出、労働委員会事務局所管分を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○中山委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○中山委員長 異議なしと認め、予算案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で労働委員会事務局関係を終わります。

○中山委員長 これより産業労働局関係に入ります。
 初めに、付託議案のうち知事提出議案の審査を行います。
 予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、平成三十一年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、産業労働局所管分、第八号議案から第十号議案まで、第六十一号議案及び第六十二号議案並びに報告事項、東京都中小企業振興ビジョン、未来の東京を創るV戦略について外一件を一括して議題といたします。
 本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○寺崎総務部長 去る二月十八日の当委員会で要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の経済・港湾委員会要求資料の表紙をおめくりください。
 目次でございます。資料は全部で十二項目ございます。
 次のページをごらんください。過去十年間の予算額、決算額の推移につきまして、一ページに中小企業対策、また、次のページをお開きいただきまして、二ページに農林水産対策、三ページに雇用就業対策をそれぞれお示ししてございます。
 なお、雇用就業対策につきましては、内訳として、国基金事業関係費を記載してございます。
 四ページをお開きください。平成十五年以降の従業者規模別都内製造業の推移をお示ししてございます。
 五ページをごらんください。商店街チャレンジ戦略支援事業につきまして、過去八年間の実績を内容別にお示ししてございます。
 六ページをお開きください。過去十年間の都内労働者の賃金の推移をお示ししてございます。
 七ページをごらんください。過去五年間の派遣労働者数の推移につきまして、全国と東京都内それぞれについてお示ししてございます。
 八ページをお開きください。過去五年間の派遣元事業所数、派遣労働者数、派遣労働者の賃金の推移につきまして、全国と東京都内それぞれについてお示ししてございます。
 九ページをごらんください。過去三年間の都立職業能力開発センターにおける能力開発訓練、普通課程の授業料収入の推移をお示ししてございます。
 一〇ページをお開きください。過去五年間の都立職業能力開発センター校別の就職支援推進員の配置状況の推移をお示ししてございます。
 一一ページをごらんください。過去十年間の東京の農地面積の推移をお示ししてございます。
 一二ページをお開きください。平成二十一年以降の区市町村別農地面積、市街化区域内農地、生産緑地面積の推移をお示ししてございます。
 一二ページが区市町村別農地面積の推移、一三ページが市街化区域内農地の推移、また次のページをお開きいただきまして、一四ページが生産緑地面積の推移でございます。
 以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○中山委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を一括して行います。
 発言を願います。

○あかねがくぼ委員 私の方からは、中小企業支援及び都市農地の保全に関連しまして質問させていただきます。
 まず初めに、女性のベンチャー成長促進事業について伺います。
 都は近年、働く女性の新たなロールモデル創出の取り組みの一環としまして、国内外を舞台に事業を展開できる女性ベンチャー経営者の育成支援、通称APT Womenに力を入れております。
 私も、第一回のキックオフ、そして先月にありました第三期生の成果報告会を視察させていただきました。大変盛り上がって、非常によい雰囲気の中で可能性を感じる会でございました。
 本事業につきまして、今までの成果、そして今後の見通しについてお伺いします。

○坂本商工部長 都では、女性ベンチャー成長促進事業によりまして、大都市などが抱える社会的な問題の解決や、世界の市場への積極的な進出に意欲を持って取り組み、事業拡大を目指す女性の起業家に、経営の知識を提供し、海外に派遣を行うプログラムを実施しております。そして、この受講生をロールモデルとして発信をしているところでもございます。
 この事業には、起業後十年が経過をしていても、新しいビジネスの開始である第二創業が十年未満であれば参加でき、都内進出の予定がある都外の会社の女性経営者も幅広く参加できる仕組みとしているところでございます。この事業のサポートを受けた受講者はこれまで四十名となり、その半数はニューヨークやシリコンバレー、シンガポールへの派遣を経験しております。
 こうした起業家のうちから、大型の資金調達や海外での販路開拓を実現するほか、メディアの依頼でみずからの経験を発信した事例も数多く出ているところでございます。これらについて、都はイベントやホームページを通じ広く紹介をしているところでございます。
 来年度は、プログラムへの参加者の掘り起こしにつながる講座を五十名の規模で八日間にわたり実施いたします。また、受講生を倍増し四十名が参加できるプログラムとして、事業の拡充を図ることとしているところでございます。

○あかねがくぼ委員 ありがとうございます。働く女性のロールモデルの創出というところが一番の目的としてやられているということですが、女性にとって、やはり働く上でのロールモデルというのは大変重要な意味がございます。身近な女性に非常に影響を受けるというところがあります。
 やはり、母親の仕事、生き方、仕事の仕方、そういったところに影響を受ける要素が多いんですが、残念ながら今まで女性でそういった創業をされている経営者の方というのは、非常に日本は少ないと思います。
 ただ、最近、四十代で創業される女性が多くなっているという結果が出ていると聞いています。今までは職業として選択肢がなかった。しかし、本来は適性の高い女性というのもいらっしゃるわけでありまして、大変、埋もれている状態でもったいないと思います。
 今後、こういった成果、そして、新たなロールモデルが出てきていただいておりますので、あらゆる機会を捉えて多くの女性に紹介をしていく、プロモーションをしていただくように要望いたします。
 次の質問に行きます。
 次は、海外販路開拓について伺います。
 近年、中小企業の海外展開支援に対して、都としても、相談業務ですとか、展示会などを利用したマッチングの支援、また、タイ、インドネシア、ベトナムなどの現地での支援などなど、さまざまな形で支援に取り組んでいただいております。
 そんな中でどのような課題が見えてきたか、まずお伺いをします。

○坂本商工部長 都では、将来に向け高い伸びの見込まれる東南アジア市場の開拓を目指す中小企業のサポートを行ってまいりました。
 東南アジアは国ごとに異なる商慣習などがございまして、中小企業振興公社によりまして、そうした知識や商取引のノウハウの収集を行い、中小企業に対して提供を行ってきております。こうしたサポートによりまして、販路の開拓を実現した会社などが取引を大幅にふやすため、ものづくりに関しては現地の製造業に生産委託を行うほか、サービス業種では、現地企業と代理店契約を結ぶことが効果的であることも明らかとなってまいりました。
 このような新しい取り組みを進める中小企業に対しましては、同公社のタイ事務所などによりまして、専門家が現地の実情に応じて助言などのサポートを実施いたしました。こうした事業を行う中で、現地に拠点を設けるための戦略的な取り組みに向けた計画づくり、こちらへのサポートを求める要望や相談はふえているところでございます。
 このため、海外での販路開拓を進めて、現地に事務所などの拠点を戦略的に設けるための支援を着実に進めることも課題となったところでございます。

○あかねがくぼ委員 いろいろなサポートをしていただく中で見えてきた課題として、海外への進出、これを考えていかれる上で、具体的にどういった戦略で進めればよいのか、そういった戦略策定に対するニーズがあるということをおっしゃっていただきました。
 そんな課題、見えてきた課題から考えていただいた、来年度から新たに始められる事業ということで、海外拠点設置等戦略サポート事業ということですが、これの具体的な取り組み内容と期待される効果についてお伺いします。

○坂本商工部長 都では、来年度から海外拠点設置等戦略サポート事業によりまして、中小企業振興公社を通じ、中小企業が東南アジア市場での販路開拓を効果的に進め、現地に拠点を、戦略性を持ち整備できる支援を開始いたします。
 そのため、東南アジアの市場で拠点整備等を戦略的に進める重要性について普及啓発セミナーを、百社を対象として開催いたします。
 その上で、セミナーに参加した会社を含め、海外進出を具体的に検討している二十社を選びまして、海外での拠点づくり等の戦略の策定に必要となる基礎的な知識やノウハウを提供する六回の講座を実施いたします。
 さらに、戦略づくりを学んだ会社など十社に対しましては、拠点整備に向けた計画の具体的な作成に向けて、専門家が現地調査による情報も踏まえながら助言などを行うハンズオン支援を実施いたします。
 これらに加えまして、戦略にのっとり現地での拠点整備などの実現に取り組む中小企業に対して、同公社のタイ事務所等が直接にサポートを行います。
 これらによりまして、中小企業が東南アジアに拠点を持ち、販路開拓などの業務を効率的で効果的に展開のできる体制をつくり出してまいります。

○あかねがくぼ委員 まずは普及啓発セミナーを百社に対して行って、さらに絞り込んでいく形で二十社にノウハウの講座を六回やると。最後にハンズオンの形で十社を丁寧にしっかりと伴走をして、海外拠点の設置につなげていくといった内容かと思います。
 大変すばらしいと思いますし、実際、構想はあっても、いざ実行するとなりますと、中小企業の方は非常にリスクも感じるものであると思いますので、そういったところを丁寧に伴走していただくことで、実際に成功していく、事業が拡大をしていって業績にもつなげていただけることと思いますので、ぜひ、これはいろいろな制限もあろうかと思いますが、ご要望に応じて柔軟に、ご希望される方はしっかりと対応していただくようにお願いをしたいと思います。
 続きまして、都市農地の保全についての質問に移りたいと思います。
 特定生産緑地制度の新設によりまして、生産緑地として税制的な優遇を受けられる期間が十年間延長できるようになりまして、また、農地貸借でも税制優遇が継続できるようになりました。
 この制度の活用を促しまして、東京都の緑を維持していくためには、農地所有者に対して二〇二二年までにこの制度を周知して、特定生産緑地制度への乗りかえを促進する必要があります。
 農地の所有者が宅地にするよりも農地として維持する方がよいと判断をしていただかなければ、この生産緑地制度の期限である二〇二二年を機に宅地化が大きく進んでしまう懸念がございます。
 宅地よりも農地として維持をする方がよいと判断をしていただくためには、ご自身で農業をやってもうけることができるのか、また、ご自身がやらずに誰か別の方に農地を安心して貸すことができるか、どちらかが必要であります。
 高齢化が進む中では、農地の所有者は新規就農者に対して継承するということが選択肢として多くなるかと思います。そういった新規就農者に対する継承がしやすいように、借り手と所有者をつなぐ貸借の支援機能、これについて強化していくべきと考えますが、都の見解を伺います。

○上林山農林水産部長 都市農地の貸借を推進するには、農業者の方への制度の周知とともに、制度の運用を担う区市や農業委員会の貸借の支援機能を強化していく必要がございます。
 このため都は、貸借制度に関する農業者向けの説明会を区市等と連携して開催をいたしております。加えて来年度、農地制度に高い知見を持つ東京都農業会議に専門員を新たに配置し、区市や農業委員会に対して貸借に関する助言や研修を行うことで、その支援機能の強化を図り、都市農地の貸し手と借り手のマッチングを推進してまいります。
 こうした取り組みにより、都市農地の貸借を促進し、新規就農者の確保や経営規模の拡大につなげ、持続的な東京農業を実現してまいります。

○あかねがくぼ委員 しっかり貸借を促進していただけるように、これから取り組みをお願いしたいと思います。
 次に、二点目に大事なポイントとして、新たに農業を始める方に向けた取り組みについて伺います。
 農地を維持保全していくために都市農地の貸借、この制度を活用して新規参入者など多様な担い手を育成していくということが必要不可欠であります。
 都内では、今までも調整区域などを中心に農地を借りて新たに農業に参入をする、そういった事例は出てきておりますが、こうした就農者が安定的に収益を上げて、農業を経営として継続していただくためには、技術の取得はもとより経営力の向上が課題となると思います。
 今後、東京の農地の着実な保全に向けまして、その農地を担う多様な人材の育成と定着、これを支援していくことが一層重要でありますが、都の見解を伺います。

○上林山農林水産部長 都は、都市農地の貸借など新たな制度が導入されたことを踏まえ、新規就農者に対する支援を強化してまいります。
 具体的には、新規就農者など担い手育成拠点の二〇二〇年度開設に向け、来年度、八王子市内の都有地において、就農希望者が栽培技術から農業経営までを体系的に習得することができる研修農場の整備に着手をいたします。
 また、経営開始時の負担を軽減するため、生産施設や農業機械などを導入する際の経費を補助する新規就農者向けの新たな事業を開始するとともに、販路開拓や出荷グループの形成など定着に向けた支援を行ってまいります。
 こうした取り組みによりまして、次代を担う多様な担い手を確保、育成し、東京農業の活性化を推進してまいります。

○あかねがくぼ委員 そういった取り組みを通しまして、都市農業、これが新規の就農者にとって採算がしっかりとれる事業になっていくように、その支援内容については、適宜利用者の声を聞いていただきながら柔軟に改善をしていくように要望したいと思います。
 私たちは、これまでも借り手である新規就農者の立場から、魅力的な新規就農、手続をつくる必要があるということを指摘してきました。来年度、三十一年度の予算案には新規就農の支援が拡充をされ、もうかる農業として先端農業のモデル事業が組み込まれた点を評価いたしております。
 都市農地活用推進モデル事業につきまして、生産緑地を都が借り入れする、または買い取りをするということで農地保全、活用をしていくといったモデルでございます。貸借と買い取りそれぞれでモデル事業があるということでありますが、本日は、買い取りの方についてお伺いをしていきます。
 インキュベーション農園整備事業ということで、これはICTハウス施設など、東京都の持っている営農技術、こちらを利用した高収益な都市型農業を実践していく場として、生産緑地の活用モデルづくりに取り組んでいくというふうに伺っております。具体的にはどのように取り組んでいくのでしょうか、お伺いします。

○上林山農林水産部長 都が来年度開始いたしますインキュベーション農園整備事業は、意欲ある若手の農業者等に対して最新の栽培技術を試行する場を提供し、都市農地の効果的な活用を普及していく事業でございます。
 具体的には、相続等により買い取りの申し出があった生産緑地を都が買い取り、生育環境をICT等により自動制御し高収量を実現する栽培施設等を整備いたします。当該施設を新規就農者等に貸し出すことで、収益性の高い農業経営へのチャレンジを後押ししてまいります。
 本事業をモデル事例として展開することで、区市による生産緑地の買い取りと活用を促すとともに、農業で稼げる担い手を育成してまいります。

○あかねがくぼ委員 ありがとうございます。来年度に、まず生産緑地を買い取りされるということです。申し出のあった土地から買い取りを決めていくと。さらに、二〇二〇年に農園の整備をされると。さらに、その翌年の二〇二一年に新しい事業者に対する貸し付けをスタートするという、比較的、息の長いモデル事業であるなというふうには思います。
 ですので、この二〇二一年に、ようやく新たな都市農業としての実践、実験ができるわけでありますので、そこまでの期間に並行していろいろ取り組みをしていただいている新しい技術、そういったところをしっかりと、あきる野市の農家の実験ですとか、そういったところを取り入れていただけるように取り組みを並行して行っていただきまして、このモデル事業、スタートする際には高収益な農業が実現できるようにしっかり準備をしていただきたいとご要望いたします。
 以上で私の質問を終わります。

○柴崎委員 去る二月二十六日、小池知事は施政方針表明におきまして、稼ぐ東京の実現について強い意欲を示されました。しかし、それは一体誰の稼ぐ力なのか。重要なのは東京の産業を支える中小企業の稼ぐ力をいかにして後押しするかという具体論であると考えるわけであります。
 申すまでもなく、都内企業のおよそ九九%は中小企業であります。区部に三十六万、多摩に九万、島しょに二千の事業者が、地域の経済と雇用、そして、都民生活を支えているわけであります。この四十五万社の未来に目を向けることなくして東京の繁栄を語ることはできないと我々都議会自民党は考え、これまでも具体的な政策提言を行ってまいりました。
 本日はこうした視点から中小企業支援を皮切りに、産業労働局の平成三十一年度予算案について何点か確認をしてまいります。
 初めに、中小企業への支援のあり方を論ずるならば、まず思いをはせるべきは現場であります。
 中でも中小企業経営者の高齢化はとどまることなく進んでおり、七十代の経営者も年々確実にふえ続けているわけであります。事業を承継するために、自分が元気なうちに何らか手を打たねばならないと思っていてもなかなか動けない。こうした経営者は、私たち議員がお会いする方々の中にも実にたくさんいらっしゃるわけであります。
 この現場の実態を踏まえまして、我が党がいち早く主張したのは、企業一社一社の懐に飛び込んだ支援であります。都は、既に巡回相談などを始めておりますが、こうした一社一社への働きかけを、さらに広げていかなければならないと思います。
 都は、昨年の第三回定例会における我が党の代表質問に対しまして、地域の金融機関と連携し事業承継の必要性をより多くの経営者に伝え、具体的な取り組みを後押しする仕組みづくりを検討する、このように答弁をしておりましたが、その具体的な内容について、まず伺いたいと思います。

○加藤金融部長 中小企業の事業承継を促進していくためには、個々の企業への働きかけが重要であり、とりわけ企業の経営状況を詳しく理解している地域金融機関を活用することが効果的でございます。
 そのため都は、来年度、地域金融機関による事業承継促進事業を創設することとしております。
 この事業では、信用金庫や信用組合などの地域金融機関の職員が取引先千五百社を訪問し、経営者に事業承継の啓発を行うとともに、専門家を活用して事業承継計画の策定を支援し、さらに、事業承継に必要となる資金調達までを一気通貫で支援いたします。
 都は、地域金融機関など関係者間の総合調整を図るとともに、金融機関の職員向け研修や専門家派遣など本事業に必要となる経費を補助し、都内中小企業の事業承継を強力に後押ししてまいります。

○柴崎委員 中小企業との密接なつながりを持つ地域の金融機関との連携は、現場実態を直視してこその着想であります。さまざまな主体と連携することで、多くの中小企業と向き合い支援へとつなげるよう求めておきます。
 ただいまのような現場の実情に即した支援、これは我が会派がかねてより求めてきたことであります。私たち議員が地元でお話を聞かせていただく中小企業のほとんどは、社員数名から多くても十名程度の零細企業であります。
 そこでの経営者の役割は、まさにプレーイングマネジャーであり、生産、営業、そして経理まで全てを一人でこなされているわけであります。大変なご苦労をされているわけでありますが、より根本的な経営課題の解決にまで目や心を向ける余裕がない、これが現実なんですね。
 特に最近では人手不足への対応、あるいは消費税率の引き上げに伴っての売り上げ確保など悩ましい問題も多く、やはり外部の専門家による手助けが不可欠であります。
 都は、商工会議所や商工会、これらと連携いたしまして、中小企業に対する経営診断やその後のサポートを実施しておりますが、申し上げましたような実情を踏まえて、来年度、いかにして支援に取り組んでいくのか伺いたいと思います。

○坂本商工部長 都は現在、商工会議所等と連携をいたしまして、専門家が会社に出向き経営診断を行い、それを踏まえ事業内容の改善に向けた計画づくり等をサポートしてございます。
 新年度から、経営課題のうち対応の必要性の高い生産性の向上のほか、人材の確保や販路の開拓に重点を置き、一千五百の会社への診断を実施いたします。
 また、当面の課題への対応と、経営改善に向けた中長期の計画づくりや、その実施を一体的に行うことのできるよう、五百社に専門家を最大で九回まで派遣し、サポートする新たな仕組みを導入いたします。
 さらに、中小企業が経営改善に向け作成した計画を効果的に実現できるよう、五十社に専門家が五回までフォローを行う新たな取り組みも開始いたします。これらによりまして、中小企業の経営力の向上を支援してまいります。

○柴崎委員 今、答弁にありましたように、中小企業が抱える課題を把握、そして、整理することから始め、その解決まで寄り添って支援をしていくこと、こうした一気通貫の視点が重要なのであります。
 同時に、どのような課題でありましても、その解決には、具体的な努力が必要であります。特に下請企業、ここではコストダウンや納期の短縮など、取引先からは厳しい要求に応えていかなければならないわけであります。そして、競争を勝ち抜いていくわけでありますが、やはり取引先の親企業とて激しい争いを繰り広げているわけでありまして、生き残りのためには新たな技術開発や設備導入を不断に続けていくよりほかないというのが現実であります。
 したがって、我が党はこのような実態を踏まえまして、かねてより下請企業の積極的な取り組みに対する助成の充実を求めてきたところでありますが、都の対応を伺いたいと思います。

○坂本商工部長 都では、大手の会社などからの受注により基盤的な技術を用いてものづくりに取り組む中小企業について、生産性の向上や新しい販路の確保を図ることができるようサポートを行っております。
 具体的には、中小企業が生産効率を高める設備を導入する場合や、展示会などに出店する際の経費を対象として、二千万円を上限に三分の二の補助率で助成を行っております。
 本助成の利用ニーズは高く、三十年度では採択を予定していた六十三の案件を大幅に上回る二百四十六件の申請を受け付けております。
 こうした状況を踏まえまして、来年度は助成金の総額を約一億五千万円ふやし、約八億六千万円の予算規模での支援をすることとしているところでございます。
 これによりまして、受注型の中小製造業のサポートを適切に進めてまいります。

○柴崎委員 この助成制度も、もとをただせば国の下請企業向けの補助金が打ち切りとなる中、不景気に苦しむ中小企業の声を我が党が緊急要望として届けることによりまして、平成二十三年度から始まったものであります。
 今後も事業の執行状況を注視して、財源のさらなる拡充などを含め、必要な措置を求めておきます。
 次に、消費税の引き上げに関連して、一点お伺いしたいと思います。
 国は、ことし十月の消費税の引き上げに向け、軽減税率を含む制度の周知や、中小企業向けの各種支援策を打ち出しております。
 この中でも、小売業の方々の高い関心を集めているのがキャッシュレス化、この推進対策であります。中小小売業者がクレジットカードや電子マネーなどのキャッシュレス決済を導入する場合には、消費者へのポイント還元を実施するほか、決済手数料、端末の導入費用などへの大胆な補助を行うことにより、税率引き上げ時の需要の平準化とキャッシュレス決済比率の底上げを狙うというものであります。
 しかしながら、まだ情報が少ないこともありまして、現場では、特に零細の事業者から不安の声も上がっております。手数料の負担増を懸念する声に始まり、どの決済サービスを導入すべきか、このキャッシュレス決済の導入を機に管理業務の効率化や新規顧客の取り組みをどう図っていくかなどなど課題はさまざまであります。
 こうした中小企業の疑問や課題の解決に向けまして、都としても対応が必要と考えます。所見を伺います。

○坂本商工部長 国では、来年度の消費税の税率引き上げに合わせて、店頭での支払い金の一部についてキャッシュレスの仕組みを用い、ポイントの提供や値引きにより還元をすることとしてございます。
 このため、中小の小売業者はキャッシュレスの仕組みや決済端末の導入のほか、端末導入に対する国の助成制度などについて情報収集や相談を行うニーズが高まるものと見込まれているところでございます。
 都では、中小企業振興公社におきまして、経営上のさまざまな問題の相談を受ける総合的な窓口を設け、現在もキャッシュレスの導入等について、情報提供、こういうことをさまざまな形で行っているところでございます。
 来年度は消費税率の引き上げにかかわる相談を専門に行う窓口を設けまして、中小企業からのキャッシュレスに関する問い合わせにも専門家がきめ細かく対応をいたします。
 また、同公社において、中小企業に対し経営をめぐるさまざまな状況などを紹介するセミナーの中におきまして、キャッシュレス決済導入の効果的な方法を説明する機会を充実いたします。
 さらに、都は生産性の向上を図るためICT化の導入により、成果を上げた事例等を紹介するポータルサイトを運営しておりまして、この中でキャッシュレス機器導入の実例の掲載をふやしてまいります。

○柴崎委員 本件は、一義的には国の制度に関することでありますが、企業の側から見れば、国であろうと、都であろうと関係がありません。中小企業が困らないように、現場を預かる都としても力を尽くしていただきたいと思います。
 次に、創業の支援について申し上げます。
 東京の未来を考える上では、次代の産業の担い手の存在が重要であることは論をまちません。小池知事が矢継ぎ早にベンチャー施策を打ち出されていることも承知をしております。華々しいイベントで創業機運の盛り上げを図ることを私たちは否定はいたしません。
 しかし、行政がまず初めに目配りすべきは、独力で事業を軌道に乗せることが難しい方々へのサポートではないでしょうか。才能や周囲のサポートに恵まれたごく一部の起業家を除けば、創業を志す方のほとんどの方にとりましては、開業資金の工面、事業構想の練り上げ、事務所の確保等々、どれ一つとっても高いハードルであります。
 都は、こうした実態を踏まえて、創業ステーションの開設や民間インキュベーション施設の整備補助金など、きめ細かい支援をいち早く展開してまいりました。このように多くの創業者に届く支援施策こそが求められているわけであります。
 世界に羽ばたくユニコーン企業を育て、あるいは海外のベンチャー企業を誘致し、東京の稼ぐ力を高めることも、それは結構であります。しかし、一番に考えるべきは一部の企業の成長や豊かさではなく、東京の産業を支える多くの若者の未来であります。都に対しては、この点をゆめゆめ見誤ることのないよう、くぎを刺しておきたいと思います。
 その上で一点お伺いします。創業希望者の中でも、女性やシニア層などは地域に密着した身近な創業が多い一方、資金の工面や商売を軌道に乗せるのには苦労されることが多いことから、我が党は、その後押しをかねてより主張してまいりました。
 これを受けて、平成二十六年度に始まり現在まで続いているのが、女性・若者・シニア創業サポート事業であります。その最大の特徴は資金繰りの支援と経営のサポートを一体的に行うことであります。
 創業の活性化が都政の重要課題となっている中、本事業の充実に向けた来年度の取り組みについて伺いたいと思います。

○加藤金融部長 都は、本事業の融資実績の伸びを踏まえ、まず、取扱金融機関が低利で融資を行うために必要な融資原資を、今年度の約十六億円から、来年度は約四十億円に増額いたします。
 また、高齢化が進展する中、一層の経済発展を図るためには、シニア層による積極的な創業は大変に重要であるため、シニアに対する支援策を拡充いたします。
 具体的には、シニアの創業に豊富な経験を有する専門家によるセミナーを新設するとともに、アドバイザーの無料個別相談を充実することとしております。
 加えまして、本事業を利用したシニアによるすぐれた創業事例の表彰制度を新設し、受賞者の社会的信頼性の向上を後押しするとともに、あわせて、表彰式のイベントとして創業希望者を集めた交流会を開催し、ネットワークづくりを支援いたします。
 都は、今後とも十分な融資原資の確保に努めるとともに、ニーズを踏まえた支援の充実を図り、女性、若者、シニアによる地域に根差した創業を促進してまいります。

○柴崎委員 社会における幅広い層の方々の創業を促していくこと、いわゆる創業の裾野を広げていく上で女性やシニアの方々の存在は重要であります。創業を志す方々の声に真摯に耳を傾けニーズを酌み取ることにより、地に足のついた創業施策の展開を行うよう求めておきます。
 次に、航空機産業への参入支援について伺います。
 このテーマにつきましては、私は繰り返し本委員会の場において取り上げてまいりました。いうまでもなく、今後の需要の伸びが期待できる成長産業の一つであり、中小企業への参入を大いに後押ししていかなければならないと考えております。
 都は、航空機産業への参入を目指す中小企業に対して専門的な知識の提供に始まり、部品に求められる高度な品質規格への対応や、海外エアショーへの出展など、この業界ならではのさまざまな支援に取り組んでいるわけであります。
 また、航空機産業のビジネスネットワークづくりにも取り組まれ、現在六十四社が参加していると伺っております。既にエンジン部品や機内装備品などの受注成果も出ているとのことでありますが、六十四社のネットワークを生かした共同受注などに向けて、いまだ道半ばであるとも伺っております。
 引き続き、支援の強化を図るべきと考えております。来年度の取り組みについて伺います。

○坂本商工部長 都では、来年度から中小企業がすぐれた技術力を生かし将来の成長の見込まれる航空機産業への参入を後押しする取り組みの充実を図ります。
 航空機の高品質の部品の製造を行う六十四社の中小企業のネットワーク、TMANのサポートを強化するため、そうした会社の中から特にすぐれた技術水準に達している企業を選んで、具体的な受注に向けた一貫生産の体制をつくり出すための相談の場や、相互の工場視察の機会を設けます。
 また、TMANの企業同士の交流を後押しすることで、技術力の向上に結びつけてまいります。
 また、TMANに参加をしている中小企業の営業の力を高めるため、商談に向けた戦略的な対応や、交渉時のプレゼンテーションの方法に関するワークショップを開催いたします。
 さらに、国内外の航空機関連の展示会につきましては、ことし六月のパリ・エアショーや、来年二月のシンガポール・エアショーのほか、本年九月のエアロマート名古屋二〇一九への出展支援を行い、中小企業による販路開拓に結びつけてまいります。

○柴崎委員 この航空機産業参入支援の取り組みも、事業の開始は平成十九年度であります。そこからさまざま試行錯誤や新たなニーズへの対応を繰り返しながら現在に至っているわけであります。引き続き、現場目線に立って、腰を据えて支援に取り組まれるよう要望するわけであります。
 さて、都は今年度、東京都中小企業・小規模企業振興条例、そして、東京都中小企業振興ビジョン、これらを矢継ぎ早につくりました。知事は条例の理念を踏まえ、骨太の方向性となるビジョンを策定して力強く施策を展開していくと表明をされましたが、中小企業支援というものは、現場目線に立って一つ一つの施策を積み上げていく、ただいま取り上げてきたような地道な取り組みこそが重要なのであります。決して奇をてらうものではありません。
 東京の稼ぐ力を高めるというのであれば、中小企業の実情を踏まえた施策展開こそが王道であります。このことを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。
 ここからは観光産業振興について伺っていきたいと思います。
 東京二〇二〇大会、これまで、もう一年と迫っております。これまで以上に国内外から東京に注目度が高まっているわけであります。より多くの旅行者をお迎えする環境を整え、大会を成功に導いていくため、都は先月、観光産業振興実行プラン、これを策定したわけであります。
 大会までに残された期間で、プランに盛り込まれたさまざまな施策をいかにして着実に実行に移していくか、これが問われているわけであります。まさに計画から実行であります。そこで、こうした観点から新年度の取り組みについて、何点か確認をしていきたいと思います。
 まず初めに、災害時における外国人旅行者への情報提供機能の強化について伺いたいと思います。
 昨年の大阪や北海道で発生した地震や近畿地方を襲った台風の災害時には、言葉が通じないために必要な情報が得られず、行き場を失ったり停電によって情報入手の生命線であるスマートフォンの電源確保に苦慮する旅行者の存在が大きく報道されておりました。東京二〇二〇大会には国内外から多くの旅行者が訪れるわけであります。こういった方々に対しまして、万一、災害が発生した際には、安心して滞在できる環境を整備することは待ったなしであります。
 昨年度多発した事象を他人ごとでは済まさず、都のこれからの取り組みに生かしていくことが大切であります。
 観光案内インフラを活用し、災害時に外国人旅行者に対しても確実に情報提供していくことが必要と考えます。今後の取り組みについて伺いたいと思います。

○鈴木観光振興担当部長 都は、東京二〇二〇大会に向けて観光案内インフラの整備を進めておりますが、昨年、各地で発生した災害の教訓を踏まえ、災害時も外国人旅行者に対して多言語で、かつ停電が起こっても継続的な情報提供を行うことが求められており、早急に対策を講じる必要があると考えております。
 そのため、従来の災害時におけるWi-Fiサービスの開放に加え、本年一月からは民間事業者等と連携して設置を進める観光案内窓口等に、非常用電源や情報端末への充電機器の設置等を支援する取り組みを新たに開始いたしました。
 また、年度内をめどに屋外サイネージにLアラートを導入し、安全確保や避難等に関する情報をそれぞれの地域や時間経過に応じて多言語で発信してまいります。
 さらに、来年度には東京の観光公式サイト、GO TOKYOのトップページに、災害時に必要な情報入手先を自動で表示する機能改修を図るとともに、停電時にも機能を維持できるよう屋外サイネージのバックアップ電源についても向上を図ってまいります。

○柴崎委員 外国人旅行者の中には、そもそも地震や台風による風水害といった自然災害を全く経験したことがないため、何が起きたのか理解できない方もいらっしゃるのではないかと思います。そのような方々に対しまして、災害時に必要な情報が入手できるような環境の整備に向けて、今後もしっかりと取り組みを進めていただくように要望をしておきます。
 次に、多言語対応の強化について伺いたいと思います。
 海外からの旅行者が、より快適に都内観光を楽しんでもらうためには、多言語でのコミュニケーション、これがとりやすい環境を整えることも不可欠であります。
 都は、我が党の要望を受け、観光関連事業者を対象とした二十四時間対応のコールセンターサービスを実施しております。また、今年度からはタクシーにおける多言語に対応できるタブレットの補助も開始するなど、多言語対応の推進に力を入れてまいりました。
 しかしながら、東京を訪れた外国人旅行者からは、ホテルでのやりとりや食事を注文するとき、交通機関を利用するときなど、母国語が通じず困ったということもまだまだよく耳にするところであります。
 こうした状況を踏まえまして、多言語対応のさらなる向上にどのように取り組んでいくのか、これについて伺いたいと思います。

○鈴木観光振興担当部長 東京二〇二〇大会に向けて増加が見込まれる外国人旅行者の満足度を向上させるためには、多言語対応を一層推進していくことが必要でございます。
 そのため、都はこれまで、宿泊施設や飲食店、免税店、タクシー事業者を対象として多言語コールセンター事業を実施し、本年度では既に五千件を超える通訳での利用があるなど、多くの事業者の外国人旅行者対応の支援を行っております。
 来年度は、コールセンターの対応言語を、従来の英語、中国語、韓国語では対応できない国からの旅行者の満足度も上げるため、タイ語とフランス語を加えまして、サービスのさらなる充実を図ります。
 また、特に外国人の移動手段として利便性の高いタクシーに関しましては、本年度から開始した多言語対応のためのタブレット端末の導入補助を来年度は倍増することにより、コールセンター事業と相まって多言語でのコミュニケーションやキャッシュレス決済が行いやすい環境を向上させてまいります。

○柴崎委員 東京には豊かな食や自然、文化など多様な魅力がありますが、大会期間中に訪れる旅行者に都内各地に足を運んでいただき観光を楽しんでもらうためには、地域の魅力を一堂に集めたイベントの開催は大変効果的であります。大会の前後を含めて、世界のさまざまな国や地域から多くの旅行者が訪れるわけであります。
 したがいまして、こうした地域の誘客の取り組みを支援することは、都内各地の魅力を知っていただく絶好の機会であり、将来のリピーターの確保にもつながるものと思います。
 都は東京二〇二〇大会に合わせまして、地域のイベント開催の支援を強化していくとのことであります。地域の誘客を着実に進めていくためには、都として、来年度どのように取り組んでいくのか伺いたいと思います。

○小沼観光部長 東京二〇二〇大会に向けまして、都内各地への旅行者の回遊を促していくため、来年度はまず、東京二〇二〇大会期間中や、その前後におきまして、観光協会や企業、団体、自治体等が連携して実施する地域の魅力を生かしたイベント等の開催を新たに支援いたします。
 また、地域資源発掘型実証プログラム事業におきまして、これまで、新たな観光資源の発掘を対象としてまいりましたが、来年度からは既存の観光資源の磨き上げも支援対象とするほか、PR面での強化を図れるよう上限額の引き上げを行います。
 このほかに、観光協会や商工会等が独自にイベント等に取り組めるよう、新たな助成制度も開始するところでございます。
 さらに、都内の自治体が二〇二〇年に行うイベント等への助成事業につきまして、年度当初に開催する事業も着実に取り組めるよう、二〇一九年度に行うPRなどの準備経費も助成対象に加えることといたします。
 こうしたさまざまな事業によりまして、各地のイベント等の支援を強化することで、観光地としての東京の魅力を高め、都内各地への旅行者のさらなる周遊を図ってまいります。

○柴崎委員 世界から注目されるこの機会に、都内各地域がにぎわい着実に誘客ができるよう、しっかり地域の取り組みの後押しをしていただくことを要望いたしまして、次の質問に移ります。
 次に、日本各地と連携した観光振興の取り組みについて伺いたいと思います。
 我が党は、先日の第一回定例会本会議における代表質問の中でも、日本全体の発展のために、東京が率先して地方に貢献することの重要性を主張してまいりました。
 東京二〇二〇大会などの国際的なスポーツ大会は、東京のみならず日本各地の観光の魅力を体験していただける重要な機会でもあります。
 海外からの注目が集まるこうした時期を捉え、都は日本各地の意見を踏まえた外国人旅行者の誘致をさらに進めていくべきと考えます。来年度の取り組みについて伺いたいと思います。

○小沼観光部長 都では、東京を訪れた外国人旅行者に日本各地にも足を延ばしてもらうため、東北、中国、四国、九州、北陸の各地域と連携し、東京と各県を結ぶモデル観光ルートに海外メディアですとか外国人ブロガー等を招聘し、その旅行記を紹介するほか、観光スポットの映像を三百六十度動画で提供するなど、日本各地の観光の魅力をアピールしております。
 来年度は、これらの取り組みに加えまして、連携先自治体等からの要望を踏まえ、具体的な旅行の予約を促進するため、海外のオンライン旅行取引事業者を活用したPRを新たに開始し、各地域の旅行者の増加に結びつけてまいります。
 また、東京二〇二〇大会を契機としまして、より多くの外国人旅行者を誘致し、日本各地での観光を楽しんでもらえるよう、競技会場がある地域の観光情報等をウエブサイトで紹介するほか、多くの観戦客の来訪が見込まれる国の有力な旅行サイト等を活用した観光の魅力の発信にも取り組んでまいります。

○柴崎委員 こうした大規模スポーツ大会の開催効果が広く行き渡るよう、日本各地の意見も踏まえながらしっかりと取り組んでいただくことを要望して、次の質問に移ります。
 最後に、農林水産業の振興に関し、農業、林業、水産業、それぞれについて何点か質問をさせていただきます。
 先日の第一回定例会本会議一般質問において、私は観光の視点を持った東京農業の振興について質疑で取り上げたところであります。
 申し上げましたとおり、体験農園や農産物を利用したイベントの実施など、都市農地を活用した魅力的な取り組みを後押ししていくことが重要であります。
 特に、本年九月にはラグビーワールドカップ、そして、来年には東京二〇二〇大会が開催され、国内外から多くの人々が東京を訪れるわけであります。こうしたさまざまな機会を活用し、大都市でありながら多種多様で新鮮、安全・安心な農産物が生産される東京農業の魅力を発信していくことが必要と考えます。
 都は来年度、どのように取り組んでいくのか伺います。

○龍野安全安心・地産地消推進担当部長 都はこれまで、東京の農業のPRに向け、ウエブサイトや情報誌の作成に加え、旬の東京産農産物を提供する食のイベント、東京味わいフェスタを実施いたしますとともに、農産物の販売等を行うJA東京アグリパークの運営経費を支援してまいりました。
 来年度は、ウエブサイトや情報誌において、外国語対応のコンテンツを充実させるなど、海外からの観光客を意識した取り組みを強化してまいります。
 また、ラグビーワールドカップ開催期間中には、パブリックビューイング等を行うファンゾーンにおいて、観戦者等に東京産食材を使用した料理を味わう機会を提供し、その魅力をPRしてまいります。
 さらに、東京二〇二〇大会に関連し、都や組織委員会が主催するレセプションにおいて、各国の大会関係者やプレス向けに、東京産食材を用いた料理を提供してまいります。
 こうした取り組みを通じ、東京農業の魅力を国内外に広く発信し、東京農業の振興につなげてまいります。

○柴崎委員 東京は世界有数の大都市でありながら生活に身近な場で農業が営まれ、消費者ニーズに合った新鮮で安全・安心な農産物が提供されているわけであります。ぜひこうした取り組みを通じまして、東京農業ならではの魅力を国内外に発信していただきたいと思います。
 林業振興の分野でも観光の視点は重要であります。森林の整備や林業のさらなる振興を図るためには都民の理解が欠かせません。都民に、東京の森や林業を知っていただき、そして、理解を深めてもらうためには、都民が森林と触れ合える機会をふやすことが重要であります。
 多摩地域では、森林は都民に身近な登山やハイキングの場として親しまれておりますが、島しょ地域におきましても、島ごとに特有の森林景観があります。そして、多様な動植物が生息する豊かな森林が広がっているわけであります。
 特に杉やヒノキ等の人工林の少ない島しょ地域では、木材というよりは、観光を初め地域振興を図る上での貴重な資源として、豊かな森林を活用していく視点が重要だと考えます。
 今後、島しょの森林について、観光資源としての魅力を高めていく取り組みを進めていくべきと考えます。都の見解を伺いたいと思います。

○上林山農林水産部長 これまで都は、多摩の市町村が観光振興のため実施する森林整備や森林伐採等を支援してまいりました。
 来年度からは、島しょ地域の森林の魅力を高めるための新たな事業を開始いたします。
 具体的には、観光地の展望スポットにおける景観伐採等の森林整備とともに、観光客の利便性向上のため、森林内に設置する遊歩道やベンチ等の整備に対して支援を実施いたします。加えて、ツバキやツゲ等の地域特産品として活用できる有用広葉樹の育成を促進するための森林整備に対する支援を実施し、林産物の生産拡大を後押ししてまいります。
 こうした取り組みによりまして、森林を観光資源として活用することで、多摩や島しょの林業振興につなげてまいります。

○柴崎委員 多摩地域や島しょ地域に広がる森林は東京の大切な宝であります。磨きをかけてこそ輝くものであります。豊かな森林を活用し、観光や地場産業の振興など地域の発展につなげていただくように要望をいたします。
 周囲を海に囲まれた島しょ地域におきましては、漁業は島民の生活や地域経済を支える基幹産業であります。島の漁業の中核を担う漁業協同組合は、漁業者の漁獲物の出荷や漁業許可の手続、漁船購入に係る資金借り入れのサポートなど漁業活動全般を支える大切な役割を果たしてきております。
 しかしながら、島の漁協の運営体制は極めて脆弱であります。漁業活性化に向けましては、新たな取り組みを始めることもままならないというのが実情であります。
 私は、昨年の事務事業質疑におきまして、漁協の経営安定化に向けた取り組みについて質問をいたしました。漁協の立て直しは待ったなしの課題であります。
 都は現在、法に基づく検査、指導を実施するとともに、東京都漁業協同組合連合会に対して、職員の派遣、事務費の補助等を行っております。
 しかしながら、島しょ漁協の維持、発展のためには、さらに一歩踏み込んだ取り組みが必要と考えます。
 今後、漁協の機能向上、経営安定に向けてどのように取り組んでいくのか伺います。

○上林山農林水産部長 都は本年一月に、東京都漁業協同組合連合会や、漁業関係の信用事業を担う東京都信用漁業協同組合連合会などの関連団体と協議会を立ち上げ、漁業所得の向上を目指す浜プランなどの策定や、漁協の事務合理化等に向けた検討を開始いたしました。
 来年度は、当協議会が現地指導を実施する際に要する旅費の二分の一、経営コンサルタントなど専門家を活用する際に要する経費の五分の四を新たに補助することで、神津島を初めとする各島の浜プランの策定や事務の合理化に向けての支援を強化してまいります。
 また、漁協の運営を下支えしている女性部の活動の活性化を促すため、全国発表会や他県女性部との意見交換会等への参加旅費の二分の一を補助いたします。
 こうした取り組みを通じて、漁協の経営の安定化を進めることで、島しょ漁業を振興してまいります。

○柴崎委員 漁協は、島しょ地域の水産業振興のまさに中心的役割を果たしているわけであります。島しょ地域の漁業者が引き続き安心して漁業経営を継続していけるよう、都として漁協の経営安定化にしっかり取り組んでいただくように強く要望いたします。
 これまで事業承継など中小企業が抱えるさまざまな課題の解決に向けた支援を初め、東京二〇二〇大会を契機とする地域の観光振興、そして、東京産食材の魅力の発信など、産業労働局の施策展開について幅広くお伺いしてまいりました。
 人口減少、超高齢化社会の到来、消費税率の引き上げなど、社会構造や経済環境が大きく変化をしていく中で、東京の産業が将来にわたり持続的に発展していくためには、中小零細事業者一人一人、一社一社の実情に即した支援を着実に続けることが不可決であります。
 また、ラグビーワールドカップや東京二〇二〇大会開催を機に、東京、そして日本全体を活性化させていくためには、その経済波及効果をそれぞれの地域で奮闘する事業者にまで確実に行き渡らせる取り組みが重要であります。
 産業労働局には、藤田局長を先頭に現場に足を運んでいただいて、事業者一人一人としっかり向き合って平成三十一年度の施策に取り組んでいただくことを強く要望するものであります。
 都議会自民党は、これまで現場の実態を捉えた政策提言を行ってまいりました。現場の生の声にしっかりと耳を傾け、事業者のさまざまな思いを受けとめ、その思いを政策提言につなげていく、これこそが政治の役割であります。
 現場の生の声に裏打ちされた政策提言であるならば揺るがないはずであり、政策提言の言葉には重みがあるはずであります。言葉の重みを知るということは政治の基本であります。本定例会の本会議、さらには予算特別委員会での質疑において議論が進んでいく中で、そのことを改めて強く感じております。
 我々都議会自民党はこれからもぶれることなく常に現場目線に立ち、中小零細事業者の声をしっかりと酌み取り、本当の意味で事業者に寄り添い、地道に政策提言を行っていくことをお誓い申し上げまして、質問を終わります。

○うすい委員 私からは、初めに消費税引き上げに伴います支援策について質問をさせていただきます。
 二〇一二年、当時民主政権時代に、民主、自民、公明三党は、社会保障と税の一体改革関連法をめぐり合意をしたわけであります。この際、公明党は、消費税が持つ特性として、所得の低い人ほど負担が大きい逆進性を指摘し、欧米先進国では、既に安定的に運用されております軽減税率の導入を求めてきたわけでございます。
 それが、我が国では初めての制度が始動をするわけであります。本年十月からの消費税が、引き上げ時に一〇%と八%という複数税率になります。国では、軽減税率制度への対応が必要となる中小企業や小規模企業の準備が円滑に実施されるように、それに対応したレジ設置や受発注システムに係る費用を補助するとしておりまして、軽減税率対策補助金を設けております。また、ことしに入って大幅に拡充もされているわけであります。
 一方、政府が昨年十一月に発表した調査によりますと、軽減税率導入に向けて準備を始めていると回答した事業者は約三七%にとどまっております。私のもとには、こうした軽減税率対策について、どういう支援が受けられるのか、どこに何を聞けばいいのかという声が寄せられております。
 こうした支援策の周知については、一義的には国が責任を持って行うべきでありますが、都内の、とりわけ企業関連団体に所属していない中小、小規模事業所が、税率の変更などに不安や混乱なく対応できるように、都としても区市町村や関係機関などと連携をして、わかりやすく支援策の周知を図るべきと考えますが、都の見解を伺います。

○坂本商工部長 都は、来年度の消費税の税率引き上げに伴う軽減税率の導入につきまして、中小企業が正確に理解をして適切な対応を図ることのできるよう情報提供を効果的に行ってまいります。
 具体的には、軽減税率の適用の方法や、二つの税率に対するためのレジ改修に対する国の補助の仕組みなどに関しまして、都のホームページを通じて情報提供を行います。
 また、都の中小企業支援の施策をコンパクトにわかりやすく説明するため、十三万部作成いたしますリーフレットの中に、軽減税率に対応するための国の補助制度や相談窓口を掲載いたします。
 これらに加えまして、小規模企業や個人事業主を含め、幅広く消費税の知識等を伝えるため、主税局と連携いたしまして、国の作成した説明リーフレットを都税事務所等で配布をいたします。
 さらに、国の職員を講師とする区市町村向けの説明会を今月下旬に開きまして、各地域で新年度から、地元の事業者に各自治体から情報提供を行うことのできるよう後押しを進めてまいります。

○うすい委員 円滑に進むように、ぜひ、またよろしくお願いしたいと思います。
 また、事業者間の取引において、下請事業者等が発注元からしわ寄せを受け、適正な価格転嫁ができずに増税分の負担を強いられるような事態があってはならないと考えます。
 都は、都内の中小、小規模事業所を、こうした観点からも支援をしていくべきと考えますが、都の見解を求めます。

○坂本商工部長 都は、下請センター東京におきまして、中小企業の適正な下請取引を確保し、受発注をめぐるさまざまな問題への対応を図るため、相談や助言の業務を行っているところでございます。
 来年度は消費税の税率引き上げに伴いまして、その転嫁を含めた適正な取引の確保により一層の力を入れるため、相談体制や普及啓発の充実を図ります。
 具体的には、会社を巡回して取引適正化を促進する相談員七名のほかに、商取引に詳しい企業OB二名が新たに、消費税の転嫁の適正化に関する相談業務を巡回して行います。
 また、下請法を踏まえまして、契約書の作成の方法などを学ぶことのできる講習会をふやし、年六回開催をいたします。

○うすい委員 今ご答弁をいただいたように、中小企業、それから小規模企業、また個人事業主の皆様がスムーズに進められるように、わかりやすく丁寧に支援の周知をよろしくお願いしたいと思います。
 次に、人手不足解消の支援についてお伺いをしたいと思います。
 厚生労働省の東京労働局公表の都内の有効求人倍率を見てみますと、平成二十八年四月から三十四カ月連続で二倍を超えて高どまりが続いておりまして、求人側の中小企業においては人手不足が深刻さを増しております。
 都内産業を支える中小企業が人材不足によって活力を損なわれることがあれば、東京の経済にとって大きな痛手となることだけでなく、日本の経済の大きな痛手ともなると思うわけでございます。
 まさに、中小企業の持続的な成長に向けて人材不足に対してどう対応していくかが、都としても喫緊の課題であると考えます。
 一方、第四次産業革命といわれる、一般的にはIoTやAIを用いることで起こる製造業の技術革新の進展は、中小企業のあらゆる事業活動において生産効率を高め、新たな事業展開の創出にも寄与し得るものといわれております。
 中小企業が深刻化する人手不足の課題に立ち向かっていくためには、IoTやAI、またロボットなどの先端技術を有効に活用し、これまで人が担ってきた作業の代替や保有する情報のデータ化や活用など、生産効率向上に向けた取り組みを進めることが今まさに重要であると思いますし、生産年齢人口の構造を見ても、二〇二五年からは東京は減りますし、ありとあらゆることを考えて手を打っていくことが今後の東京にとって必要不可欠だと思うわけでございます。
 とはいうものの、小規模零細企業では、こうしたIoTなどの先端技術にどう取り組んでいくべきかという問題もあります。まだ企業の規模が小さいゆえに高額の設備投資をためらう部分も、現実あるわけであります。
 都として、人手不足解消に向けた有効な手段の一つとして、IoTなどのさらなる普及促進と、小規模零細企業でも、それらを導入しやすい環境を都が支援していくべきであります。
 そこで、来年度に向けての都のそうした工夫について、都の見解を求めます。

○坂本商工部長 都は、中小企業が生産性の向上を図るため、職場にIoTやAIに加えロボットをより円滑に導入できるよう、新年度からサポートの充実を図ります。
 具体的には、これらICT技術の活用に向けたニーズを発掘するため、巡回相談員が今年度の倍の二百四十社を訪問して情報提供を行うほか、専門の相談窓口を設置いたします。
 また、そうした機器の活用のメリットを学ぶことのできるセミナーについて開催の回数をふやし、年間十二回実施いたします。
 さらにIoTなどの活用に意欲のある中小企業が集まり、機器等の効果的な導入の方法を専門家とともに検討する合同研究会、こちらを年四回、新たに開催いたします。
 これらに加えまして、中小企業がICT関連の小規模な機器を着実に職場に取り入れることのできるよう、その導入経費を対象として、三百万円を上限に二分の一の補助率で助成をいたします。
 また、この仕組みにおきましては、小規模企業の負担をより一層軽減するため、小規模企業向けに補助率を三分の二に引き上げることとしております。

○うすい委員 今のさまざまなサポートを充実させるとのことでございます。しっかりと生産性の向上の支援をよろしくお願いしたいと思います。
 今、人手不足の解決策の一つとしてIoT、AI等の活用を取り上げさせていただきましたが、引き続いてマンパワーの視点で質問させていただきます。
 今、人生百年時代といわれる時代を迎えまして、現在の高齢者は、身体機能や健康状態などの面で、十年前と比べて五歳から十歳は若返っているといわれております。
 これは、約四年前になりますけれども、日本老年学会が高齢者の身体、知的機能や健康状態について分析をして発表されているわけでございますが、これは、私も客観的に見て、地域の高齢者の方々とお会いするたびにそう実感しているところであります。
 こうした元気で意欲のある方々が、当然、希望する方でありますけれども、生涯現役で働き続け、培ってきた能力を発揮していただくことは、企業の人手不足を解消する上でも、また、今後の東京の持続的な発展のためにも有効と考えるわけであります。
 そこで、まずは高齢者の就業の現状がどうなっているのか、都の見解を伺います。

○篠原雇用就業部長 国の調査によりますと、現在働いている六十歳以上の方のうち、働けるうちはいつまでも働きたいと考える方が約四割、また、七十歳くらいまでは働きたい、もしくはそれ以上の年齢になっても働きたいと考える方が四割弱ございまして、合わせますと、約八割の方が就業意欲を持っているとの結果が示されております。
 一方で、東京において実際の就職状況を見ますと、六十五歳以上の求職者の方のうち、就職する方は三割弱との結果になっております。また、企業の状況について見ますと、六十六歳以上になっても継続して働ける制度のある都内企業の割合は二割程度となっております。

○うすい委員 ただいまご答弁いただいたとおり、高齢者の就業意欲は高いわけですが、一方で実際に就職している方は少ないという結果になっております。
 私も、地元のシニアの方から仕事につこうと思っても、事実上年齢がネックになってしまうというような話を耳にするわけでございます。
 意欲のある方が希望に応じて働くことができるよう、都として高齢者の就業をしっかりと支援をしていくことが必要と考えますが、現在の取り組みについて、都の見解を伺います。

○篠原雇用就業部長 都は、高齢者の就業を後押しするため、東京しごとセンターにおきまして、就職に関する相談やカウンセリングを行いますほか、再就職のためのノウハウを提供するセミナー、それから、職業能力開発センターにおきます高年齢者向けの公共職業訓練などを実施しております。
 また、今年度からは、シニア就業応援プロジェクトといたしまして、三つの事業を開始しております。具体的には、六十五歳以上の方の再就職に向けた学びの場でございます東京セカンドキャリア塾、企業への派遣により就業体験の機会を提供いたします東京キャリア・トライアル六十五、さらに、高齢者の就業に向けた機運の醸成と合同就職面接会をあわせて行うイベントであるシニアしごとEXPOでございます。
 今後も、こうした取り組みを通じまして、高年齢者の就業をきめ細やかに支援してまいります。

○うすい委員 高齢者の中には、現役時代のように毎日電車に乗って都心まで通勤するのではなくて、定年後は地元で再就職をしたいという方も多いのではないかと思います。こうした声に応えて、身近な地域での就業を後押ししていくことが高齢者の活躍につながると考えるわけでございますが、この点についての都の見解を伺います。

○篠原雇用就業部長 委員お話しのように、地元での再就職を希望するなど、高齢者の多様なニーズに的確に対応して就業支援を行うことが重要でございます。
 現在、都内十二の区市が設置いたしましたアクティブシニア就業支援センターでは、地元企業と高齢者とのマッチングを実施しておりまして、来年度は、このセンターと都が連携いたしまして、地域での就業をさらに後押しする取り組みを開始する予定でございます。
 具体的には、アクティブシニア就業センターと東京しごとセンターが連携協力いたしまして、センターの設置区市及び隣接する区市に所在する企業の求人開拓を実施いたしますとともに、各地でセミナーを実施することにより、潜在的な高齢求職者の掘り起こしを行ってまいりまして、地元企業と高齢者とのマッチングを推進してまいります。

○うすい委員 今ご答弁いただいたとおり、シニアの方が地元で就職をすることは、地元企業の振興につながるだけではなくて、まちの活性化や地域コミュニティの維持という点でも大きな効果があると考えます。
 アクティブシニア就業支援センターは、現在、都内十二の区市にしかないとお聞きします。今回の新たな取り組みによって、センターの機能がその周辺の自治体でも、生かされるようになれば、人生百年時代に向けたシニアの活躍は大いに貢献する存在になるものと期待をしております。
 ぜひ、この取り組みを着実に実施していただいて、さらに効果を高めていただくことを要望しまして、私の質問を終わります。

○中山委員長 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後六時四十二分休憩

   午後七時十四分開議

○中山委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○尾崎委員 最初に、第六十二号議案、東京都立産業貿易センター条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例について、事実確認も含めて幾つか質問をしていきたいと思います。
 私は、議員になる前の職場で台東館の展示室や会議室を使ったことがあります。大規模改修を行う前でしたので、民間の展示場や会議室と比べると料金面からも使いやすいと感じていました。
 そこで、台東館の利用状況について、この間の実績はどうなっているのか伺います。

○坂本商工部長 産業貿易センターの台東館につきましては、設備点検などで使用のできない場合を除いた利用可能な日数のうち、大規模修繕前の平成二十五年度で六九・五%、修繕後の平成二十七年度で七八・三%、二十八年度は八四・〇%、二十九年度は七八・九%の利用実績となっております。

○尾崎委員 大規模改修前と後ででは、利用実績が大きく引き上がっていることが今のご答弁でわかりました。改修されて利用しやすくなったことが利用実績からもわかります。
 催事開催時間を拡大するよう施設開場時間の夜間延長は利用者からの要望とのことですが、そのほかの要望はどんなものがありますか。

○坂本商工部長 産業貿易センターの台東館におきましては、展示会の出展者から、商品の搬出入を行う場合に、多くの事業者が同時に作業して混乱の起きることがないよう対応をしてほしいとの要望がございます。
 このため、出展者ごとに搬出入の順番を決め、それにのっとって作業を行うよう協力を求めて混乱の防止に努めているところでございます。

○尾崎委員 利用者の要望は、改善点が明らかになります。今回、利用時間を延ばすことは重要だと思います。そうすることによって時間外の利用も減るのではないかと思います。
 これまで午前九時から午後五時までとなっているわけですが、時間外利用はどのくらいありましたか。

○坂本商工部長 台東館の展示室や会議室におきましては、正規の利用の終わった午後五時以降でございますが、出展者の商品の搬出や会議の出席者による室内整理などが行われてきたところでございます。
 そうした利用に関しましては、平成二十九年度では、展示室は三百三十三件、六百三時間となってございまして、会議室については五十四件、百五十三時間となってございます。

○尾崎委員 時間外の利用料金が今回値上げになるわけですけれども、値上げの根拠は何ですか。

○坂本商工部長 台東館の展示室や会議室の上限の料金につきましては、以前と同様に受益者負担の考え方に立ちまして、施設の維持と管理に必要な費用のほか、建物や設備の減価償却費を含め原価計算を行いまして、これに見合う水準に定めているところでございます。
 施設の維持等の費用につきましては、これまでの人件費や光熱水費などのほか、受益者負担の適正化の観点から、建物の警備委託の経費を新たに原価に含めまして料金に反映をしたところでございます。

○尾崎委員 東京都立産業貿易センター台東館は、中小業者のまちである台東区浅草にあります。利用する方々は、当然、中小企業や地元住民、都民の皆さんになります。
 今、中小企業の経営は大変厳しく、事業を継続するためにも展示室は大きな役割があります。自社の商品を多くの人に知らせることや販路拡大のためのマッチングなどを成功させるため、展示室は重要です。また、団体などの交流や会議等に利用できる会議室も重要な役割があります。都立の施設なので、使いやすい料金にすることも大事なことだと思います。今後も、利用者の声、要望などよく聞いて、改善が必要なものも積極的に取り入れていただくことを要望するものです。
 次に、中小企業支援について伺います。
 昨年十二月、我が党が一貫して要望してきた中小企業・小規模企業振興条例を制定したことは大変重要です。本定例会で振興条例に基づく中小企業振興ビジョンが提案されました。ビジョンでは、中小企業の十年後の目指すべき姿を示し、その実現に向けたさまざまな施策を五つの戦略のもとに進めていくという提案です。
 そこで伺います。中小企業振興ビジョンが達成目標としているのは、かなりハードルの高い目標だと思います。まず、持続可能性のある経営を実現するため、都内の黒字企業の割合が五〇%超という目標にしていますが、何を根拠に達成目標を決めたのか伺います。

○坂本商工部長 東京都中小企業振興ビジョンで掲げた、おおむね十年後の都内における黒字企業の割合につきましては、過去の実績の推移や他県の状況を踏まえて設定いたしました。
 同ビジョンの数値目標でございますが、これは、意欲的な施策展開によりまして、初めて実現のできる水準としているところでございます。

○尾崎委員 都内の黒字企業の割合が五〇%を超えるというのは、やはりかなり高い目標です。都内の中小企業の経営状況と改善のために何が必要なのか、業種や規模、地域によって抱えている問題や課題は大きく違ってくると思います。
 東京都が目指す目標を実現するためには、都内の全ての中小企業の実態調査を行う必要があります。また、地域の状況をつかむ上でも、全ての中小企業を訪問することなしには実現できないと思います。東京都が本気で目標を目指すのであれば、全業者の実態調査と訪問を行うことを強く要望するものです。
 中小企業、小規模企業の支援策の大きな柱は、売り上げを伸ばし経営を継続できる環境づくり、後継者の育成、新規に商売を始めようとする人たちへの支援などがあると思います。
 持続可能性のある経営を実現するため、現在の課題の一つに、中小企業において、生産性向上に向けた取り組みが進まず、大企業との労働生産性の格差が広がっていることをビジョンの中でも明らかにしています。しかも、大企業と中小企業の労働生産性の推移は格差を拡大していることがわかります。この課題解決について、来年度予算案にはどのような事業が盛り込まれているのか伺います。

○坂本商工部長 都は来年度、ICT化の推進や設備導入などをサポートする事業によりまして、中小企業の生産性の向上を後押しいたします。

○尾崎委員 私は何年か前に、生産性向上について研究している東京大学の先生に、中小業者、小規模企業における取り組みについてお話を伺いました。
 コンピューターやロボットの活用だけが生産性向上の取り組みではないことをそのとき学びました。最新の機械を導入したくても、資金がないために導入できない零細業者でも、工夫すれば可能であることも学びました。生産性向上とは、ICT技術等だけではなく、工場の中での機械の配置を変えるだけでも生産性の向上につながるということです。
 中小零細企業を対象にした取り組みは、どのように考えているのか伺います。

○坂本商工部長 都は、中小零細企業の生産性の向上を支援するため、そのヒントとなる最適なノウハウや情報を容易に収集できるよう、セミナーやポータルサイトなどにより最新の情報を提供するとともに、経営の専門家による相談などを実施いたします。

○尾崎委員 経営の専門家による相談などを実施するということでした。
 私がお話を聞いた専門家の人は、意外と大企業で働いていた人が小規模企業の現場、工場での機械の配置や人の動き、動線を見ただけで改善策はわかるといっていました。大企業のOBの人なども積極的に相談員に加え、訪問活動を強化することを要望するものです。
 次に、中小企業振興対策審議会について伺います。
 これまでも私は、中小企業振興対策審議会が二〇〇四年五月以降、十四年間も開かれていないことについて、なぜ開かれないのかを質問してきました。しかし、これまでも明確な理由はご答弁がありませんでした。
 来年度予算案に中小企業振興対策審議会、百六十二万円が計上されていますが、審議会を開催するということでしょうか。いかがですか。

○坂本商工部長 都は、社会経済状況の変化を踏まえ、その時々の中小企業の経営環境を取り巻く変化に適切に対応した多様な施策を迅速に展開しております。
 一方で、中小企業の経営は、経済のグローバル化や人口減少などによりまして、中長期的に大きな構造変化に対応することも求められているところでございます。
 こうした変化に計画的かつ機動的に対応するため、有識者会議を立ち上げ、今後のおおむね十年間を対象とした中小企業振興ビジョンを作成いたしました。
 今後は、このビジョンに基づきまして、さまざまな施策を適切に進めてまいります。

○尾崎委員 昨日の予算特別委員会で、我が党の質問で、中小企業振興対策審議会の委員について委嘱していない、こういうことが明らかになりました。中小企業振興対策審議会の第一条は、中小企業の振興を図り、産業の発展に寄与するため、知事の附属機関として東京都中小企業振興対策審議会を置くとなっています。
 中小企業・小規模企業振興条例が制定されたわけですから、中小企業振興対策、小規模企業振興対策の抜本的拡充が求められているもとで、東京都中小企業振興対策審議会を開かないという状況をそのままにしておくわけにはいきません。早急に検討し、審議会の開催をすることを強く求めるものです。
 そして、本定例会に我が党は、中小企業・小規模企業振興条例に基づいて、東京都中小企業振興対策審議会条例の一部改正を行う条例案を提案しました。ぜひご賛同をお願いしたいと思います。
 次に、東京の中小企業振興を考える有識者会議の中で、中小企業が生産性向上に努めても、現在のような不公平な取引の中では利益を伸ばすことはできない、公正取引を求めたことは重要との発言がありました。この発言は大変重要であり、中小企業、小規模企業の共通する思いです。
 来年度予算案の中に不公平な取引を正すための事業はどのように盛り込まれているのか伺います。

○坂本商工部長 都は、下請センター東京におきまして、中小企業の適正な下請取引の確保を図るため、相談や助言の業務を行っております。
 来年度は、会社を巡回して取引の適正化を促進する相談員を二名ふやすほか、下請法に係る知識を学ぶ講習会の開催をふやし、年六回実施いたします。

○尾崎委員 ただいまのご答弁で、相談員を二人ふやす、会社を巡回することや講習会の開催をふやすということでした。これは大変重要です。
 しかし、取引がなくなることを恐れて、不公平な取引の状況について声を上げることをちゅうちょする傾向が強くあります。だからこそ特別の体制が必要なのだと思います。不公平な取引をなくすためには、大企業への指導を東京都として行うことを強く要望するものです。
 次に、都が中小企業・小規模企業振興条例を制定したことに大きな期待の声が広がっています。商店からは、商売を継続させるために支援の抜本的見直しが必要だという声が上がっています。
 お店の段差をなくす、トイレを和式から洋式にするなど、高崎市から全国に広がっている店舗リニューアル助成制度は全国百七自治体、これは二〇一八年三月の調査ですが、実施がされるようになってきました。
 店舗を改善することでお客さんもふえ、商売に意欲的になったと喜ばれている店舗リニューアル助成制度を東京都として行うべきだと考えますが、いかがですか。

○坂本商工部長 都は、商店主の経営力向上や魅力的な店舗づくりを後押しするため、専門家の派遣や講習会の開催などの支援を行っており、引き続きこれらの取り組みを行ってまいります。

○尾崎委員 高崎市が、店舗リニューアルを補助するまちなか商店リニューアルをスタートしたのは二〇一三年からです。私は、高崎市の市の担当者や中小業者団体にも直接話を聞き、なぜ実現したのかなどを学びました。市長が中小業者団体の総会に出席し、商店リニューアル助成をしてほしいという要望が寄せられたのがきっかけだったそうです。
 高崎市は二〇一二年、市内三百店舗に聞き取り調査を行い、約二割が商店リニューアルを検討していて、その半数が、補助があればぜひ改装したいという意見だったということです。
 店舗の改装や備品の購入に係る費用の二分の一、最大百万円まで助成する事業が高崎市でスタートしました。高崎市の実績は、二〇一三年度から二〇一七年度の五年間で二千四百二件、補助金額、十七億二千三百万円、工事費総額は約四十億円。この約四十億円が、この事業で地域に還流し、大きな経済効果となっています。
 全国で、高崎市のように商店リニューアル助成をつくろうと中小業者団体の取り組みが広がり、実施自治体はわずか二年間で倍増しています。これほど短期間に全国に広がったのは、やはり商店の要望に応える内容であり、地域の経済効果が大きいからだと思います。
 都内でも、住宅リフォーム助成制度でも店舗改修が対象になっている自治体もあります。店舗リニューアル助成制度を実施しているのは、江東区のやさしいまちづくり施設整備助成、荒川区の小規模事業者経営力強化支援事業補助金、世田谷区のユニバーサルデザイン生活環境整備補助金、足立区のコア個店リニューアル事業補助金、東大和市の住宅・店舗リフォーム資金助成制度、小平市の店舗改修等補助金などです。名称はさまざまです。
 店舗リニューアル助成制度を実施している区市町村への支援から始めることも必要だと思いますが、いかがですか。

○坂本商工部長 個々の店舗の改修等に対する支援につきましては、各自治体が地域の実情に応じて対応を行っております。そうした自治体の取り組みにつきまして、都として支援を行う考えはございません。

○尾崎委員 先ほども紹介しましたが、高崎市は、市内三百店舗から聞き取りを行って商店の要望であることを実感し、制度を始めたのです。東京都も、都内の商店から聞き取り調査を行うことが必要ではないでしょうか。
 都内の商店街は疲弊し、どのような支援をしたら活性化できるのか、どこの地域でも悩んでいることです。先進事例に学び、東京都として商店リニューアル助成制度を検討するよう強く求めるものです。
 次に、私は、自由が丘に続き、多摩地域にチャレンジショップをつくってほしいと要望してきました。そして、吉祥寺にチャレンジショップ創の実ができたことは大変うれしく思っています。
 私は昨年末、秋にスタートした吉祥寺のチャレンジショップを見学しました。手づくりの雑貨、紅茶の専門店、花屋さんの三店舗が入っています。若い女性が専門性のあるお店を出店し、夢や目標について目を輝かせて話してくださいました。吉祥寺は若い人が多いので、お客さんも若い女性が多いと感じました。
 いろいろなお話を伺う中で、改善してほしいという声も出されました。営業日については、クリスマスなどの行事のある時期や年末年始などの営業日は、お店の都合を優先させてほしいということです。
 例えば、一年間で一番売り上げが期待できる年末年始は、商売を頑張りたいと思っても、定休日が最初から決められているということでした。
 そこで伺います。チャレンジショップ創の実が多摩地域にできたことは大変重要ですが、営業時間や日数、年末年始の営業について、借りている経営者の希望を優先できるようにすることが必要だと思いますが、いかがですか。

○坂本商工部長 チャレンジショップは、女性や若者が企画力を生かし、商店街で周囲の店舗や地域社会と調和を図りながら、販売や経営の経験を積むことのできる時間帯や日数などで営業を行う仕組みとしているところでございます。

○尾崎委員 販売や経営の経験を積むことのできる時間や日程などで営業を行う仕組みとしているということであれば、より売り上げにつながるよう、ぜひ東京都がよく要望を聞いていただき、改善をすることを要望するところでございます。
 中小企業振興ビジョンでも、世界有数の起業しやすい都市へと発展させるとして、都内の開業率を一二%にすることを目指すことが盛り込まれています。商売を始めようとする女性、若者、シニアの皆さんへの支援がこの間拡充されてきています。しかし、東京都内は家賃が高く、店舗や工場を借りるのが大変です。チャレンジショップを増設し起業家を応援すべきですが、いかがですか。

○坂本商工部長 都は、女性や若者が企画力を生かし、商店街で販売や経営の経験を積むことのできるよう、チャレンジショップを区部の自由が丘と多摩地域の吉祥寺に開設して着実に支援を進めているところでございます。

○尾崎委員 チャレンジショップをふやして応援することで、商売を定着することができると私は思います。十年後に都内の開業率一二%を実現しようということであれば、やはりチャレンジショップもふやして応援することが必要だと要望しておきます。
 次に、農業支援について幾つか伺います。
 東京都が農地の保全と担い手の育成に力を入れることは大変重要です。農業者の皆さんからも、安心して農業を続けるためには農業で生活ができるだけの所得確保が必要であり、後継者問題、担い手の育成が待ったなしの問題であると要望が出されています。
 都市農地の貸し出しによる新規就農者第一号が誕生したと二月二十三日に新聞などに報道されました。若い女性の新規就農です。これは大変うれしいニュースです。
 来年度予算案には、今後の東京農業の担い手を確保、育成するために、農業の技術や経営に必要な知識を学ぶための環境を整備する新規就農者育成事業、これが新規事業で提案されているのは重要です。
 二〇二〇年度には仮称ですが東京農業アカデミー、開設するということですが、具体的に場所や規模、学ぶ期間などは決まっているのかどうか、そして来年度予算では具体的にどこまで進めるのか伺います。

○上林山農林水産部長 二〇二〇年度に開設予定の、仮称でございますが、東京農業アカデミーは、農業後継者や農外からの新規就農者など、多様な担い手を各ステージに応じて支援する総合的な育成システムでございます。
 来年度は、アカデミーの機能の一部として、八王子市内の都有地を活用し、農外からの就農希望者が基礎的な栽培技術や経営を体系的に学べる研修農場の整備に着手をいたします。

○尾崎委員 今後整備される研修農場の土地の規模や募集人員、研修の期間はどのように計画されているのか伺います。

○上林山農林水産部長 研修農場につきましては、約一・六ヘクタールの敷地に、圃場や研修棟、倉庫を整備する予定でございます。
 また、研修生は年五名程度の募集を行い、二カ年の研修を実施する予定でございます。

○尾崎委員 研修農場の開設を目指すということですが、修了時の資格付与などはどう考えていますか。

○上林山農林水産部長 本研修農場の目的は、農外からの就農希望者が、土づくりや栽培管理、農薬の取り扱い、農業機械の運転技術など実践的な農業の技術や知識を習得することであり、修了時の資格付与は特段想定してございません。
 なお、研修終了後は都内での就農ができるよう、就農希望地の農業者との交流促進や農地のあっせんなどの支援を実施してまいります。

○尾崎委員 研修終了後、都内で就農できるように農業者との交流や農地のあっせんなどの支援を行うことは大変重要です。
 私は先日、神奈川県立かながわ農業アカデミーを見学しました。新規就農を考え悩んでいる人たちとの相談活動に力を入れて、座学と農業研修、体験などを柱にしているということでした。
 総面積は約十三・二ヘクタールで、生産技術科、これは修業期間二年ということでしたが、技術専攻科と、これは一年ですが、専攻は野菜専攻コース、花き専攻コース、果樹専攻コース、そして、三年前から創設した独立就農チャレンジ専攻コースがありました。
 規模が違うのはわかりますが、かながわ農業アカデミーは、在学中に取得可能な免許、資格として、大型特殊自動車、農耕用の免許、フォークリフト技能講習修了証、車両系建設機械技能講習修了証、毒物劇物取扱責任者、農業簿記検定、日本農業技術検定があるということでした。
 学ぶことを通じて免許や資格が取れることは受講者の自信につながり、その後の就農にも必ず役に立つと思います。東京農業アカデミーでも何らかの免許や資格が取れるように検討すべきだと要望するものです。
 研修農場の開設に合わせて、学生の宿泊できる寮も必要になると思いますが、どのように考えていますか。

○上林山農林水産部長 都内で新規に就農を希望される方は、民間企業や農業法人などに勤務経験のある一定の生活基盤を持つ方が中心でございます。
 このため、学生向けの宿泊寮等の整備は検討してございません。

○尾崎委員 研修生は、一定の生活基盤を持つ人を想定しているので、宿泊施設等の整備は検討していないというご答弁でしたが、研修農場は、八王子の大谷町にある都有地につくるということです。交通の便がいいとはいえない地域だと思います。しかも、研修生になれば収入はなくなることになります。宿泊施設や食堂などの整備は必要だと思いますので、検討することを要望しておきます。
 次に、今年度の目玉でもあるシニア向けセミナー農園整備事業、予算は九億九千万円でしたけれども、この進捗状況について伺います。

○上林山農林水産部長 今年度実施をしておりますシニア向けセミナー農園整備事業は、農業者が相続等で買い取り申し出を行った生産緑地を都が買い取り、高齢者の方々が技術指導を受けながら農作業に取り組めるセミナー農園を開設、運営するものでございます。
 これまで、規模や立地など本事業の要件に合致した用地の買い取りに向け、区市からの生産緑地の買い取り申し出に係る情報を収集してまいりましたが、買い取りには至っていないところでございます。

○尾崎委員 買い取りに至らなかったということで残念だと思いますが、仕方がないことでもあります。今後、買い取り申請があれば、都として積極的に対応してしていただきたいと思います。
 そこで、来年度予算案に都市農地活用推進モデル事業、二億四千万円が提案されていますが、今年度予算のシニア向けセミナー農園整備事業との違いについて伺います。

○上林山農林水産部長 都市農地活用推進モデル事業では、従来の生産緑地の買い取り申し出制度を活用し、都が買い取った生産緑地に栽培施設を整備して、農業者に新たな栽培技術試行の場を提供するインキュベーション農園を整備してまいります。
 また、今年度の法改正により可能となった生産緑地の貸借制度を活用し、都が借り入れた生産緑地に高齢者向けのセミナー農園を整備してまいります。
 生産緑地におけます買い取りと貸借の二つの制度を活用して新たなモデル事業を実施することで、区市等による都市農地の保全を促進してまいります。

○尾崎委員 減少に歯どめがかからない生産緑地ですが、買い取りと貸借の二つの制度を活用して新たなモデル事業を実施するということですので、期待したいと思います。
 区市町村との連携も重要になると思います。農業の担い手育成では、都立園芸高校などとも連携し、農業をしたいと考える高校生の進路の相談が重要だと思いますが、どのように考えているのか伺います。

○上林山農林水産部長 都では、東京都農林水産振興財団に設置する青年農業者等育成センターの就農相談窓口におきまして、年齢や学歴を問わず、就農希望者のご相談をお受けしております。
 都立の農業高校へも紹介パンフレットなどを随時配布し、センターの機能の周知を図っております。

○尾崎委員 東京農業アカデミーの具体化の中で工夫も行い、規模もふやして、高校卒業後の若い人でも学べるものにすることを要望するものです。
 次に、私の活動地域である東村山市は、梨園やブドウ園、柿園などが多くあり、西武新宿駅の特急電車で三十分くらいということもあり、最近、外国人の方たちのブドウ狩りなどがふえているといいます。そして、リピーターもふえていると聞きました。
 多言語の看板や多言語のチラシなどがあれば、もっと広げられるのではないかといわれました。このように看板などへの支援を都として行う必要があると思いますが、いかがですか。

○上林山農林水産部長 都では、チャレンジ農業支援事業におきまして、経営の多角化など新たな取り組みに挑戦する農業者の方に対して、デザイナーやICTなどの専門家を派遣し、ブランドロゴの作成やホームページの制作等について助言を行うとともに、これらの助言に基づく新たな取り組みに必要な経費について支援を行っております。
 観光農園の看板やPRチラシのデザイン及びその制作費用につきましても、本事業で支援を実施しております。

○尾崎委員 チャレンジ農業支援事業で多言語の看板や多言語のチラシを、デザイナーなどの専門家派遣も行えるということですが、農家の皆さんは、都の支援施策で何ができるのか具体的にわからないという状況があります。農家の皆さんにわかりやすく知らせることを強く求めるものです。
 次に、雇用就労問題について幾つか伺います。
 東京都中小企業振興ビジョンの達成目標に、多様な人材が中小企業で活躍できることを目指し、都内企業、従業員三十人以上のテレワークの導入率を七〇%にすることを掲げています。
 二〇一八年度は一九・二%ですが、どのように七〇%を目指すのでしょうか伺います。

○篠原雇用就業部長 都が従業員三十人以上の都内企業を対象に行いました調査では、約二割の企業がテレワークの導入予定がある、導入を検討中としております。これらの企業に対しましては、業界団体とも連携しながら、具体的な導入に向けましたコンサルティングの実施やトライアル導入の経費補助などによりまして、テレワーク導入を後押ししてまいります。
 また、同じ調査では約六割の企業が導入予定がないとしておりますが、このうち七割が電子メールやICT機器によりますスケジュール管理などに対応しておりまして、テレワークの基礎となるICT基盤を有しているとの結果が示されております。このため、こうした企業に対しまして、テレワークの意義や効果に加えて、好事例の紹介などを行うことによりまして、導入に向けた啓発を進めてまいります。

○尾崎委員 ただいまのご答弁のように、都が行った調査で約二割の企業がテレワークの導入予定がある、導入を検討中ということです。現在一九・二%ですから、合わせると約四割になります。テレワークの意義や好事例などを紹介しても、すぐにテレワークの導入につながるかわかりません。
 私は、テレワークは導入しやすい業種や会社の規模などがあると思います。また逆に、導入するには課題が多い業種や会社の規模があると思いますが、都はどのように考えていますか。

○篠原雇用就業部長 先ほど述べました都の調査におきまして、企業規模別のテレワーク導入率を見ますと、従業員三十人から九十九人以下の企業では一六・二%、百人から二百九十九人以下の企業では一八・八%でございまして、三百人以上の大企業の三一・七%に比べますと低いものの、中小企業におきましてもテレワークの導入が進みつつあることが示されております。
 また、産業別で見ますと、例えば運輸業などは他の業種と比べて低い率にはなっておりますが、事務職や営業職などの職種を中心にテレワークが導入されている例も見られております。
 こうした結果から、テレワークは、企業規模や業種にかかわらず、広く導入が可能であると考えております。
 都としましては、企業規模別の好事例の発信や業界ごとの課題や状況を踏まえた業界別ハンドブックの発行などによりまして、テレワークの効果的な導入を支援してまいります。

○尾崎委員 私は、子育ても親の介護も体験してきました。子育て中、子供が急に熱が出たから迎えにきてほしいと保育園から電話がかかると、職場から保育園まで一時間半以上かかり、子供には心細い思いをさせたと思っています。また、介護では、デイサービスから帰る時間には自宅にいなければならず、仕事場が自宅のそばにあれば助かると痛感しました。
 しかし、自宅で仕事をしていると、家族の食事のことや掃除、洗濯、来客などで集中して仕事ができないことも体験しました。
 子育てや介護など特別の事情がある人にとっては、テレワークは必要だと思います。また、東京都が進めているテレワーク、サテライトオフィスの役割は大きいと思っています。
 私は先日、多摩センターの京王プラザホテルにできたテレワーク、サテライトオフィス、KEIO BIZ PLAZAを見学しました。オープンワークスペース、専用ワークスペース、ミーティングルームなどがあり、駅からも近く便利だろうなと思いました。
 テレワーク、サテライトオフィスは今幾つありますか、利用実績はどうなっているのか伺います。

○篠原雇用就業部長 主に民間事業者が提供しておりますサテライトオフィスは、シェアオフィス、コワーキングスペースなど、さまざまな呼称がございまして、施設の形態も多岐にわたっております。
 民間の情報サイトなどによりますと、そうしたさまざまなものを合わせまして、区部を中心に約四百の施設が存在しているとされております。

○尾崎委員 テレワーク、サテライトオフィスについて、今後ふやす計画はありますか。

○篠原雇用就業部長 都は今年度から、区部に比較して整備が進んでいない市町村部におきましてサテライトオフィス設置を進めるため、企業や自治体等に対する経費の補助を行っておりまして、来年度も引き続き実施する予定でございます。

○尾崎委員 テレワークのいいところもありますが、課題も同時にあります。テレワークは、労働時間の問題や自宅での電気代や、働く環境整備などの費用の問題など、これまでの労働相談ではなかったような問題が起こる可能性もあります。テレワークに関する労働者の相談窓口が必要だと思いますが、いかがですか。

○篠原雇用就業部長 テレワークにおける適正な労働時間の管理や安全衛生の遵守など、企業が留意すべき事項につきましては、国が策定したテレワークの適切な導入及び実施のためのガイドラインにおいて示されておりまして、都は、東京テレワーク推進センターにおきましてこのガイドラインの周知啓発を図りますとともに、同センター内における相談コーナーにおいて企業等に対する必要な助言を行っております。
 また、実際に労働トラブルなどが起きた場合については、労働相談情報センターにおきまして適切に対応してまいります。

○尾崎委員 働くことは生きることにつながります。同時に、職場の仲間との交流や連帯することで人間性に磨きがかかると思います。困ったことや悩み事は、まずは職場の同僚や先輩に相談することで解決します。
 しかし、テレワークでは職場の仲間との関係が希薄になってしまうのではないかと危惧しています。そして、仕事が自己責任とされ、期日が決まっている仕事をやり上げるため、長時間労働になる可能性もあります。
 東京都が目指すようにテレワークの導入率が七〇%になれば、テレワークに関する特有の相談が大量に発生する可能性も考えられます。通常の労働相談情報センターでの相談ではなく、特別な体制が必要だと要望しておきます。
 また、現在ある労働法だけでは不十分であり、新しい法整備も求められると思いますので、都としても検討することを求めておきます。
 次に、昨年十月末に保育士が一斉に退職し休園になるなど問題が発生している企業主導型保育所の問題について幾つか伺います。
 企業主導型保育施設設置促進事業の実績について伺います。

○蓮沼事業推進担当部長 都は、企業主導型保育施設の設置に取り組む企業の負担を軽減するため、国の助成対象となっていない備品などの購入経費に対して助成する独自の支援を実施しております。
 企業主導型保育施設設置促進助成金の交付決定件数は、事業開始年度である昨年度は百五十六件、今年度は二月末現在で四十九件でございます。

○尾崎委員 企業主導型保育について、国は有識者会議を設置し、年度内をめどに改善策を検討していますが、都の認識を伺います。

○蓮沼事業推進担当部長 国は、企業主導型保育事業のこれまでの事業実施状況を検証し、より円滑な事業実施のための改善策を検討するため、昨年十二月に有識者で構成する検討委員会を設置いたしました。
 検討委員会では、保育の質の確保、自治体との連携、指導監査のあり方などについて議論し、今後の対応策の方向性について取りまとめを進めております。
 今後、この方向性に沿って企業主導型保育事業の改善が進められていくものと考えております。

○尾崎委員 新聞報道によりますと、内閣府の有識者会議は、企業主導型保育所について、職員に占める保育士の割合を五〇%から七五%に引き上げる、参入要件も厳格化し質の確保を目指す改善策をまとめたそうです。
 政府は、待機児童ゼロという目標に向け、企業主導型を受け皿確保の切り札と位置づけ、認可外でも認可保育所並みの助成金を受けられるようにし、この間、企業主導型保育所はふえてきました。
 しかし、監視体制の不備や突然の施設閉鎖などが大きな問題となりました。国は、新たな基本ルールを策定するとしましたが、安心して子供を預けられるとはいいがたい状況です。
 このような企業主導型保育施設にわざわざ東京都が備品などの支援を行う必要はないと厳しく指摘して、質問を終わります。

○奥澤委員 私からは、稼ぐ力の強化について、まず伺います。
 今ある産業を強くするという考え方もありますけれども、新しい産業を興す、新しい結びつきをつくる、そして埋もれている価値を見出すという三点を私は大事にしております。
 そのいずれにおいても、シェアリングエコノミーの可能性は大きいと考えておりまして、物を所有することに価値を置いていた時代から、物を利用することに価値が移り変わる中で、誰もが経済の担い手になることを可能にしています。
 一方、利便性よりも不安が先立つような都民感情もありまして、思ったような広がりを見せていないというのが実態ではないだろうかと思います。
 中小企業振興ビジョンにおいても、シェアリングエコノミーの広がりは指摘されておりますけれども、それに対して都としてどのような支援や啓発を行っているのか、まず取り組みを伺いたいと思います。

○坂本商工部長 シェアリングエコノミーは、個人が保有する活用可能な資産を他の人も利用ができるようにする新しい経済活動でございまして、さまざまなビジネス分野に広がる可能性を持っております。
 こうした動きについて社会の理解を深めて普及を図る上で、ICT技術によりアプリなどを開発し、資産などを活用したサービスの提供者とその利用者を結びつける創業の事例をふやすサポートは効果的でございます。
 そのため都は、TOKYO創業ステーションでシェアリングエコノミーをテーマとするイベントによる啓発活動のほか、その来場者にICT技術の専門家が助言を行います。
 また、シェアリングエコノミーの考え方により新たなビジネスモデルの開発を進める起業家を掘り起こし、経営と技術の両面からサポートを進めてまいります。

○奥澤委員 それでは、シェアリングエコノミーの代表格ともいわれ、考えております民泊についてお伺いをしたいと思います。
 今、啓発を進めているような話もありましたけれども、とにかく新しい産業の芽を摘まないということが今重要だと思っていて、民泊についても、ちょっと不安が先立つようなこと、デメリット部分が大きく取り出されてしまったので、法律で新法が制定されたにもかかわらず、それを上回るような規制をかけてしまっている区市町村も珍しくないなというふうに思っています。
 特に文化交流的な視点でいうと、大変需要も上がってきておる中で、都としては適切な運営をなされるように指導監督する立場というのがあると思いますので、その点どのような取り組みを現在しているのか、お伺いしたいと思います。

○小沼観光部長 都では、住宅宿泊事業法に基づきまして、保健所設置市を除く市町村区域を所管しており、国の法令等の規定に基づき適切に制度を運営していくため、具体的な届け出手続や事業者にて措置すべき事項などを定めた都独自のガイドラインを策定しております。
 あわせて、届け出住宅におきまして外国人旅行者への案内等に活用できるよう、ごみや騒音などの生活環境への悪影響を防ぐためのルールや災害時の対応、設備の利用方法など、さまざまな案内例などを多言語で示した文例集を作成してございます。
 こうした取り組みによりまして、引き続き事業者の円滑かつ適正な運営をサポートしてまいります。

○奥澤委員 今、不安を払拭するようなところからスタートしているということで私は理解しました。特に民泊の事業を営まれている方々は、これまでビジネスをしてきたわけではないような方々がたくさんいらっしゃいますので、ガイドラインを示したり、一から学ぶ機会をつくっていただきたいなというふうに思います。
 ちょうどけさの日経新聞で出ていたんですけれども、民泊新法が施行されてから七カ月半で今もう二百万人近い利用者が全国で出ているということで、私も利用者のお話を聞いてきたんですけれども、価格の優位性よりも日本人の生活の中での交流を第一の目的としていると、そういう方々がたくさんいらっしゃいます。
 岩手県の釜石市では、ラグビーのワールドカップに向けてシェアリングエコノミー活用推進事業というのを行っていて、宿泊、交通、駐車場の不足や体験の提供という四つの課題において、地域住民や域内企業に対しシェアリングエコノミーへの理解と協力を促進していると。中でも一時的に増加する宿泊需要に対応するためのイベント民泊という制度について、これは東京都においても検討すべき価値があるんじゃないかなというふうに思います。
 そもそもの宿泊施設数が異なりますので、数の需要という面ではなくて質、つまり先ほども申し上げました文化交流を求めている訪都外国人に対して、イベント民泊の検討をぜひ進めていただきたいというふうに要望しておきます。
 続いて、創業支援について伺います。
 中小企業振興ビジョンには、創業のムーブメントを起こすという話がありますけれども、成功事例ばかり取り上げて推奨し、補助金を出して創業を後押しするようなやり方というのは、私はよろしくないというふうに考えています。創業の意思のある人が、そのリスクや乗り越え方というものをきちっとわかった上で覚悟を持って臨むからこそ事業が成功するんだというふうに私は思っています。
 創業のムーブメントを高めるという視点でどのような取り組みを行うのか、お伺いしたいと思います。

○坂本商工部長 都では、TOKYO創業ステーションにより起業を希望する方の意欲を高め、その取り組みを後押しするさまざまなイベントを行っております。
 その中では、講師や先輩起業家が起業を進めるプロセスで生じるリスクや課題を克服した経験や方法などを紹介しております。
 また、同ステーションで起業を具体的に進める場合の事業計画の策定について専門家が担任制でサポートを行っており、そうした取り組みにおきましても、意欲を持ち課題を効果的に解決する方法などに関し助言も実施をしているところでございます。

○奥澤委員 リスクや課題を克服した経験というお話がありましたけれども、まさに失敗は成功の母であるという言葉もあるとおりで、その乗り越え方、どのような形で事例を伝えていっているのか都の取り組み、見解をお伺いしたいと思います。

○坂本商工部長 TOKYO創業ステーションでは、起業を希望する方の取り組みを後押しするため、テーマ名ですが、二時間でわかる成功する起業、失敗する起業などのこうしたイベントを開きまして、参加者に対してベンチャー企業の成長に応じて事業運営の失敗などにより生じた課題やその解決の進め方について、具体例を交えて説明をしております。
 また、業種や専門分野に応じて起業家に事業運営のノウハウを提供するワンポイントセミナーを開いておりまして、その中で、失敗から学ぶ起業家の第一歩というテーマなどを設けまして、創業にかかわる失敗の事例から経営の進め方を学ぶという機会の提供を行っているところでございます。

○奥澤委員 まさにそういった事業を進めていただきたいというふうに思います。
 実は私自身も、TOKYO創業ステーション、都議会議員になる直前、会員でありまして、何度か通わせていただいたんですけど、結局創業にはつながらなかったんですけれども、ちょっとそのときに感じていた懸念点がありまして、まず現在の会員数と利用者数、それから創業に関する相談数、創業につながった件数を伺いたいと思います。

○坂本商工部長 平成二十八年度に設置をいたしましたTOKYO創業ステーションでは、ことし二月末までに登録会員数は二万五千人を超えまして、来場者数は延べ八万六千人となり、相談の件数については約一万六千件となっております。
 同ステーションでは、身近なアイデアを活用して創業に乗り出す方の後押しや女性による起業のサポートなどに力を入れております。
 こうしたニーズなどにより起業の計画をつくる場合には、専門家が担任制で助言を行って、これまで百九十七人がプランを完成し、会社設立もしくは設立に向けて準備をしているところでございます。このうち六十七人の女性がプランを完成するなど、企業のニーズに対応した支援を着実に進めているところでございます。

○奥澤委員 ありがとうございます。最初に申し上げました懸念というのは何かというと、私がちょうど行っていたときに、受付といいますか、フリースペースみたいなところには人がいるんですけど、実際に相談しようと思うと行列になってしまっていて、そこで二時間、三時間待つというようなことがあったんです。
 この運用の仕方というのもニーズと合っているのか、特に、最初のころに来ていた人と、もしかすると今来ている人が変わってきている可能性もあるので、その辺の様子も見ながら、特に、創業を目指すという目的に沿った利用となっているのか、そして来る人たちのニーズとマッチしているのか、この両面から常に見直しを図っていただきたいということを申し述べておきます。
 それから、同じく多摩の創業拠点を整備するということで、ことしは三億円計上されていますけれども、こちらについて場所や施設など具体的な検討状況をお伺いできますでしょうか。

○坂本商工部長 都では、大学や研究機関などが集積する強みを生かして産業の活性化を図ることのできる多摩地域におきまして、起業を希望する方を後押しするため、新たに立川に創業支援の拠点を設置いたします。
 こうした取り組みによりまして、開業率の向上を図ってまいります。

○奥澤委員 ありがとうございます。立川にということでお話がありまして、丸の内にある現在のTOKYO創業ステーションとはやっぱり違う需要が入ってくると思いますので、その辺は必ず地域の特性に合わせていただきたいということと、もう一つ、ちょっとこちらで要望しておきますと、私、町田におりますけれども、例えば都に全ての申請で来なきゃいけないというのはかなり大変だし、起業を考えている、特に会社で働きながら副業として起業しようとか、そういうことを考えている人って、実は新宿に出てくるのが大変だったりとかそういったこともあるので、できることなら立川に起業に関するワンストップ窓口も一緒にしっかりとその場に整備していただきたいということも要望しておきたいと思います。
 創業の一番大きな目的というのは、イノベーションを生み出すことだというふうに思います。来年度の予算の中で、二つイノベーションという言葉が出てくる事業、次世代イノベーション創出プロジェクト、そして、未来を拓くイノベーションTOKYOプロジェクト、これは名前が似ているんですけれども、この二つのことをお伺いしたいんですけれども、成果、何が生み出されたのかどうかというところ、これが特に問われる事業だと思っています。イノベーションの果実、何が生まれたかというものをさらに社会全体に横展開していくためにどのような点に留意した事業としているのか、お伺いしたいと思います。

○坂本商工部長 次世代イノベーション創出プロジェクトにおきましては、中小企業が研究機関等と協力して技術開発に取り組む場合に、資金や事業化に向けたノウハウの提供を行っております。この事業では、専門のアドバイザーがプロジェクトの進みぐあいを管理してその成果について把握するほか、完成した製品の販路開拓のサポートも行う仕組みとしているところでございます。
 また、未来を拓くイノベーションTOKYOプロジェクトでございますが、こちらは東京の社会的課題の解決などに向け、研究機関や大企業と連携して技術開発に取り組む中小企業をサポートしております。この事業では、大企業から研究のほか営業に精通した人材が参加することによりまして、販路開拓を効果的に進める仕組みとしているところでございます。

○奥澤委員 ありがとうございます。しっかりと横展開、販路開拓、それからそういったビジネスがもっともっと広がっていくような事業として広げていただきたいなというふうに思います。
 続いて、これまた来年度の予算であります創業活性化に向けた広報PRというのがありますけれども、この内容についてどのようなPRを行うのか伺いたいと思います。

○坂本商工部長 都では来年度に、起業の機運を盛り上げ、創業希望者の裾野を広げるための広報PRの強化を図ります。
 具体的には、都内で創業の魅力などを効果的に発信のできる媒体によりまして広報を行うほか、創業に幅広く関心を集める工夫を凝らしたイベントを開きまして、起業を目指す方をふやしてまいります。

○奥澤委員 東京都の広報啓発というと、一体何がしたかったんだろうかというような事業というのは実は結構多くて、批判も最近ふえています。
 具体例を出すと、ちょっと課は違うのかな、受動喫煙の防止のポスターなんかも、何がいいたいのかわからないというような意見もかなり出ていまして、誰に対してどんなメッセージを送りたくて、それをどうやって届けたら効果的なのかってちゃんと吟味をしてPRを行っていただきたいということをつけ加えておきます。
 創業活性化といっても、いきなりポスターを見たから創業しようとはなかなかならない、あるいは動画を見たからってならないわけで、やっぱり小さいころから創業、起業が当たり前になっていくというのはすごく重要だと思っています。
 来年度は小中学校における起業家教育というものがありますけれども、これにおいては本物の起業家の方々と接する機会、あるいは起業体験をすることが重要であると私は思いますけれども、いかがでしょうか。

○坂本商工部長 都では来年度より、創業希望者の裾野を広げるため、小中学生向けに起業を身近に感じ将来の職業の選択肢とするきっかけを提供する取り組みを学校の教育現場で実施いたします。
 その実施に当たりましては、起業家を講師として招くことや会社を立ち上げるプロセスをわかりやすい実例を使いワークショップの形式で行うなどの工夫を取り入れる場合もあると考えているところでございます。

○奥澤委員 ありがとうございます。教育庁の方でも都立高校における起業、創業の学習が始まるというふうに伺っておるんですけれども、高校生ぐらいになると起業家というのも実在している中ですから、小中学校においては、ぜひ、心が動くような、やってみようと思えるような、そういう機会を提供していただきたいと思います。高校では、具体的なアクションを教えるような、そういう一連の流れをつくってほしいなと思いますので、ぜひ、局横断で情報交換しながら、役割分担して行っていただきたいということを要望しておきます。
 続いて、観光政策、PRIME観光都市からお伺いしたいと思います。
 PRIME観光都市を見ますと、消費額についてかなり大きな目標が出ているなというふうに捉えていますけれども、消費額をふやすためには、海外の富裕層に数多く足を運んでもらう必要があると思います。欧米や東アジアなどの市場別目標が記載されていますけれども、中東へのアプローチというのもすべきと考えております。海外の各市場へのアプローチについて、取り組みをお伺いしたいと思います。

○小沼観光部長 都では、訪都旅行者数や消費額の拡大を図るため、地域ごとの特性に合わせたプロモーションを行ってございます。
 今年度は、欧米豪地域におきまして多くの消費が期待できる富裕な旅行者を誘致するため、世界最大級の富裕層向け旅行商談会へ初めて出展するなどいたしました。
 また、多くのリピーターが期待できる東アジア地域では、現地の旅行事業者向けにセミナーを実施するなど、旅行者の再訪意欲を刺激するような東京の最新の観光情報の提供を行いました。
 さらに、経済成長が著しく今後の訪都旅行者数の増加が期待できますアラブ首長国連邦におきまして、初めて旅行博への出展やセミナーの開催を行ったほか、現地から旅行事業者を招聘いたしました。
 来年度も引き続き、市場の特性に応じたプロモーションや今後成長が見込まれる市場の開拓を実施するなど、さらなる訪都旅行者の獲得と消費の拡大に努めてまいります。

○奥澤委員 こうした努力が功を奏しているものだと思います。勝手にふえているというわけではないということが改めてわかったことですし、今後も引き続きアプローチをかけていただきたいと思います。
 消費額をふやすという中では、宿泊日数の影響というのは大変大きい。それから、今まで使っていなかった人たちが使うというのはすごく重要だと思っております。
 本定例会では、宿泊施設のバリアフリー条例案というのも提出されておりますけれども、これによって障害者の方々がどんどんまちに出てくるということがすごくチャンスだというふうに捉えていただきたいと思っています。
 今回補助金も用意しているということですけれども、本条例で定められている部分だけじゃなくて、誰もが宿泊しやすい施設、企業努力がどんどん進むようなそういった機運の醸成を図っていただきたいというふうに考えております。
 そこで一点、宿泊施設のバリアフリーに関する考え方、それから取り組みについてお伺いしたいと思います。

○鈴木観光振興担当部長 都は現在、宿泊施設のバリアフリー化を推進するため、施設の改修等に対して助成を行うとともに、施設やサービスの改善点などを助言する相談員の派遣を行っております。
 また、宿泊施設の経営層等に対して、バリアフリー化に取り組む意義やメリット等を紹介するセミナーを実施するほか、都民や事業者を広く対象としたシンポジウムを開催し、機運の醸成を図っております。
 来年度は、取り組みをさらに加速させるため、宿泊施設の改修等に係る補助制度を拡充いたします。
 また、宿泊施設と建築設計事務所や設備機器メーカー、障害者向けツアーを取り扱う旅行会社等との間で相談会を開催することなどによりまして、宿泊施設に対して一層のバリアフリー化に取り組むよう促してまいります。

○奥澤委員 引き続き、今いったようなお話、ぜひ、負担じゃなくて、機会の拡大、ビジネスチャンスになるんだというような啓発、取り組みを進めていただきたいというふうに思います。
 消費額をふやすための話がまた続きますけれども、我々の会派の一般質問でも取り上げましたけれども、ナイトタイムにおける消費額についてお伺いをします。
 ナイトライフ観光については、ライトアップだったり、ナイトミュージアムだったり、いろいろやっていただいているのはわかるんですけれども、足を運んでもらうだけでは意味がなくて、その先どうやってお金を使ってもらうかというところもセットでやらなければいけないと思うんですけれども、特に訪都外国人に対してナイトタイムにおける消費額をふやしてもらうために、どのような観点が重要であると考えているのか見解をお伺いしたいと思います。

○小沼観光部長 都はこれまで、旅行者の滞在時間の延長による高い消費拡大を目的としまして、夜間の観光スポットを創出する地域のさまざまな取り組みを支援してまいりました。
 来年度は、夜の時間帯を活用した観光資源の一層の充実を図るため、ナイトマーケットのような集客イベントを年間を通じて開催することで、今後のモデルとなる事例を創出する取り組みなどへの支援を開始いたします。
 また、こうした観光資源の情報をしっかりと旅行者に伝えて集客に結びつけるため、東京の観光公式サイト、GO TOKYOに掲載する観光スポットやイベント等に関する内容の充実を図るなど、情報発信の強化にも取り組んでまいります。

○奥澤委員 ナイトマーケットのような集客イベントというのもありますし、情報発信を強化するということなんですけれども、発信において、ちょっと一つ要望なんですけれども、訪都外国人の方から交通への不安のお話をよく聞くんですね。終電はいつになるのかわからないとか、どこからどう乗るのかわからないというような、結構話しかけられることが多くて、どこから乗ればどこに行けるんだというのを聞かれるんですけど、この観光情報の中に電車の情報も載せられたりだとか、そういったこともぜひ検討していただきたいというふうに思います。
 周辺地域への波及効果ということとか、あるいはリピーターとしての期待が高まる取り組みとして、昨今、MICEの誘致というのがありますけれども、東京都においても、ミーティングプランナーへの積極的なPRなどをしながらMICE誘致を行っているということは聞いております。
 その取り組みの一環だと思いますけれども、ギブアウエーというそうですがお土産とか、あるいはコンテンツの提供を都が費用を出しているというふうに伺っております。その狙いについてお伺いしたいと思います。

○鈴木観光振興担当部長 海外企業の会議や報奨旅行を初めとしたMICEの開催は、外国人参加者一人当たりの総消費額が大きく、高い経済波及効果が期待できるため、海外の各都市はその誘致活動を積極的に行っております。
 開催地選定に当たり、主催者は、参加者の満足度を高めるため、開催地ならではの特別感を感じることができるプログラムの提供などを求めております。
 そのため都は、一定規模を満たす企業系会議等に対して、相撲イベントや和太鼓パフォーマンスなど日本の魅力を体験できるアトラクションや、江戸小紋のチーフ等のお土産を提供することで、東京での開催を促してきております。
 来年度は、都が民間事業者と共同で開発しております東京おみやげをラインナップに加えるなど、東京の魅力を訴求するお土産を充実させるとともに、外国人参加者を引きつける新たなアトラクションのメニューを開発し、誘致をさらに強化してまいります。

○奥澤委員 この東京おみやげなどもそうなんですけれども、配って終わりにだけはならないように気をつけてください。これを買って、さらにじゃあこっちも買ってみよう、あそこにも行ってみたいというふうに、そこまで考えが広がっていくような工夫をぜひしていただきたいというふうに思います。
 もう一点、これは私の地元の企業さんのお話なんですけど、オリンピック・パラリンピック関連で商品を開発しようとすると、どうしてもスポンサーとの関係でなかなかできないというお話があって、何回もアタックしているんだけれどもできないという中で、Tokyo Tokyoを用いて東京おみやげをつくっていく、そういったことも今やられているというお話を伺いました。これ、ぜひやりたいという企業は手を挙げてくれると思うので、周知もぜひ行っていただきたいなと。そういう企業さんから投資を呼び込むような、そういった取り組みに、ぜひしていってほしいなというふうに思います。
 次、観光に関しては最後なんですけれども、特定の目的を持った旅行者という方々にスポットを当てると、PRIME観光都市の中では、スポーツ大会と世界自然遺産が挙げられております。
 私は、加えて伝統や文化芸術というのが大変重要だと思っていまして、例えばみこしを目当てに祭りをはしごしていくような外国人だったりだとか、文化施設を回っていくそういったツアーも出てきている中で、日本人にとって当たり前のことが、外国人の方からすると本当に魅力的で、日本人からすると武器になる、この武器を使えていないんじゃないかというふうに考えています。
 観光施策において、日本の伝統文化や文化事業、あるいは文化施設をもっと生かすべきであると私は考えますけれども、都の見解をお伺いしたいと思います。

○小沼観光部長 都は、伝統文化など地域の観光資源を生かした誘客の取り組みを支援してございます。
 これまで、観光関連団体などの提案による地域の伝統芸能の鑑賞を組み込んだモニターツアー等を実施するほか、自治体による下町の伝統工芸等を紹介する区立施設の多言語対応や、外国人旅行者への華道や茶道の体験プログラムの実施などをハード、ソフトの両面から支援してございます。
 今年度は新たに、観光協会等が企画した明治時代の建造物等の文化財などをめぐるまち歩きツアーの開発を支援するとともに、こうしたツアーを集めた専用サイトを構築し、情報発信を行い、各地への旅行者の周遊を促しました。
 来年度は、まち歩きツアーの情報発信に当たりまして、新たにオープニングイベントを実施し、ツアーの発信を強化いたします。
 こうした地域の歴史や文化等の魅力を生かした取り組みにより、都内各地へのさらなる旅行者の周遊につなげてまいります。

○奥澤委員 大変前向きというか、頑張ろうという強いお気持ちを感じるお答えだったというふうに思います。先ほども申しましたけれども、そこの場に訪れてお金を使ってくれるというところまでをきちんとイメージしていただいて、そうすれば勝手にツアーだってできていくし、そこにお店を構える人がふえていくわけですから、その行動を全部支えてあげるのではなくて、そこから呼び水になって広がっていく、そこまでをイメージした事業をぜひ展開していただきたいと思います。
 ここで少し話の方向性を変えますけれども、稼ぐ力の強化に当たって、経済的手法で社会課題を解決するということは大変重要であると考えていて、マイナスと捉えられていたことをプラスに転じさせること、これができるのは社会の持続的可能性を高める面からも大変重要ですし、社会起業家という方々もふえてきているのが現状です。
 まず、昨年末、大きな大論争になったと私は考えているんですけれども、税の偏在是正措置に関連して、東京一極集中への批判が出ています。私は、東京一極集中により生み出した富だけでなくて、社会課題のそのノウハウを全国に還元することが重要であると考えています。だからこそ東京は全国に先駆けてさまざまなことにチャレンジしていく使命があるというふうに考えています。
 その観点から、地方との共存共栄を図るベンチャー育成事業が来年ありますけれども、これは主にマッチングを通じて都内外のベンチャー企業を支援するというふうに聞いています。都内へのさらなる集積を引き起こすのではないかというような声も実は私のところに聞かれていまして、地方との共存共栄についてはどのような定義をして今後の支援を行っていこうと思っているのか、見解をお伺いしたいと思います。

○坂本商工部長 都では来年度より、都内や地方のベンチャー企業が地方の産業等の発展に役立つ事業を展開する取り組みへのサポートを開始いたします。これらの企業が地方の活性化に役立つビジネス活動のために打ち合わせや商談を行うスペースを都内で提供するなどの支援を行うこととしてございます。
 こうした活動によりまして、東京と地方の双方におきまして、産業の振興や地域の活性化が実現して、東京と地方との共存共栄につながるものと考えております。

○奥澤委員 東京と地方、双方の振興ということで、私、生まれは栃木県なもので、どうしても東京に対してはちょっとうがった見方をしてしまうところがありまして、そういう心理的な部分もぜひ念頭に置いた上で、今後見ていってほしいなというふうに思います。
 地方との共存共栄ということで、このモデルケースみたいなものがつくられていくんだと思うんですけれども、それ自体が目的化しないようにぜひ留意されたいというふうに思います。
 この事業から生まれたモデルケース、あるいはノウハウを横展開していくべきだというふうに考えております。東京も地方もウイン・ウインの関係になるということが目的だと思いますけれども、改めてその考え方をお伺いしたいと思います。

○坂本商工部長 都では、地方の発展に役立つ都内や地方のベンチャー企業の取り組みをサポートいたしまして、そのモデル事例をつくり発信を行います。
 これによりまして、モデルとなった事業展開を参考といたしまして、東京と地方との共存共栄に向けた、より多くの事業がふえていくと、こういうことを見込んでいるところでございます。

○奥澤委員 ありがとうございます。その一つ具体的な例になるんじゃないかなというのが、空き家問題の解決に資する取り組みとして、空き家活用モデル事業についてお伺いします。
 現在、戸建てだけを対象にしていると思いますけれども、商店街の空き店舗や空きアパート、あるいは廃校などの活用についてはどのように考えているのか、お伺いしたいと思います。

○坂本商工部長 都では、管理が十分に行われず地域の安全や安心などを確保する上で問題となっている空き家を活用いたしまして、新しいビジネスを展開する取り組みをサポートしてございます。
 こうした支援に当たりましては、他の商売や用途での活用の可能性が少なく、事業の立ち上げにとってふさわしい規模である戸建ての住宅を対象としてございまして、そのビジネスの内容をモデル事例として発信もしているところでございます。

○奥澤委員 現在の取り組みは空き家しかないということだと思います。ただ、そのモデルからぜひ広げていっていただきたいと思います。淡路島でやっている廃校を活用した施設なんかも物すごくいい取り組みなので、例えば多摩の、今人口が少し少なくなって廃校も出てきていると思いますので、そういったところでも展開していただきたいと、そういうようなことも考えていただきたいと思います。
 ここでちょっとソーシャルファームという概念についてのお話に変えたいと思います。
 昨年ごろから都議会でもたくさん出てくることになったソーシャルファームという概念は、ダイバーシティーの実現に私は必須の観点であると思っていまして、たしか小池知事も、国会議員時代にソーシャルファーム推進議連の会長を務められていたというふうに記憶しています。このソーシャルファームの概念を都において定着させていくということ、これは小池都政におけるレガシーの一つになると私は考えております。
 一般質問あるいは予算特別委員会においても、就労支援のあり方についてのさまざま議論がなされてきましたけれども、私からお伺いしたいのは、就労困難者の雇用状況調査というものが来年度予算に計上されていますけれども、その内容と狙いについてお伺いしたいと思います。

○篠原雇用就業部長 委員お話しの調査は、今後の就労支援のあり方について検討するに当たりましての参考資料を得るために、企業の現在の取り組みなどを把握することを目的として実施するものでございます。アンケート調査を基本に考えておりますが、詳細は検討中でございます。

○奥澤委員 詳細は今後ということなんですけれども、アンケート、これはぜひ注意していただきたいと思います。というのが、障害者就労、企業の方に話を聞くと、本音をいいにくいみたいなんですね。なぜ障害者の方を雇いにくいのかというのを直接的にいうと、例えば差別なんじゃないかとか、本当は雇いたくないからいっているんじゃないかとか、あるいは、自分たちはよく雇っているすばらしい企業なんだというのをPRしたいような、そういう感情が出てしまうようなんですね。なので、この聞き方のときにはぜひ本音を聞き出していただきたいと思います。
 何がハードルになっているのかというところを正しく捉えないと、正しい支援の仕方もあり得ないので、このアンケートのとり方、ぜひ注意していただきたいということをお願いしておきます。
 一点、これは要望ですけれども、就労困難者の就労、これは啓発だけでは進まないんですね、今の話とも絡むんですけど。この現実を見たときに、就労希望者の能力の向上、それから雇用者側の理解促進、職場環境の充実、あるいは、その間に立って両者のマッチングをする、そういった三位一体での支援をしていかないとなかなか進みません。
 都においては、それぞれ支援メニューがあることはこれまでの議論の中で出てきていますけれども、それぞれのフェーズでどのような支援が必要なのかというのは、実は企業側も就労者側もわかっていないというケースが多いそうなんですね。なので、一気通貫でずっと寄り添って、この段階だったらこうだよ、この段階だったらこうだよということを助言していけるようなコーディネーターの存在というのも重要だと思いますので、今後の参考というか、政策をつくっていく上での一つの議論に上げていただきたいなと思います。
 関連して、農業における障害者雇用の促進について聞きたいと思います。
 農福連携という言葉がありますけれども、これは今後のトレンドになると思いますけれども、都の考え方、それから現在の取り組みについてお伺いしたいと思います。

○上林山農林水産部長 農福連携は、農業の担い手不足の解消と障害者や高齢者の就労機会や生きがいの創出につながることから、都は、福祉農園の施設整備等を支援する都市農地保全支援プロジェクトを実施しております。
 来年度は、都内の福祉団体等に対して、農福連携に関する取り組み状況等についてアンケート調査やヒアリングを実施いたします。
 今後、これらの調査結果をもとに、農業者と福祉団体の連携を促進し、福祉農園の開設などにつなげてまいります。

○奥澤委員 今、農業者と福祉団体のつながりをという話があったんですけれども、実は私の知人で、まさに農業者と福祉団体と、その方は起業家、女性の方で、起業されて創業している方なんですけど、この方が間に立って、販路の開拓と農業に実際に従事することと、そして障害者の就労等々、どうやったらできるかと考えているんですけれども、どうもここにマッチする支援がないらしいんですね。どこの観点から--正直いってお金がない、お金がない中で、どこの支援を受けられるのかがわからない状態でいるという話を伺っています。
 何がいいたいかというと、農業者と福祉団体を結びつけるだけだと、これはビジネスにならない。どっちもお金を稼ぐという観点が薄い方々なんですね、現実的に話をしていくと。ここに実際にビジネスの視点というのを必ず入れてほしいということを、要望としてしておきます。その三者が一体にならないと、これはビジネスとして成り立たないという、今までと変わらない政策になってしまうので、ぜひお願いします。
 就労困難といわれる方々というのは、これは実は時間や場所にとらわれている旧来型の仕事だから就労困難なだけで、場所が家でいいよといわれたり、時間は短時間でいいよといわれたら、もっと働ける方々っていると私は考えています。
 その点では、テレワークの普及、先ほども何名かからお話がありましたけれども、これは、今働いている方への施策にとどまらずに、今は働くことができていない、こういった方々に対しても社会進出する機会になり得る、そういった事業だと思います。
 テレワークの普及推進事業として来年度、約三十五億円計上していますけれども、そもそも論、なぜ、テレワークを普及すべきと考えて今この予算を計上しているのか、見解をお伺いしたいと思います。

○篠原雇用就業部長 テレワークの導入は、時間や場所などの面で柔軟に働くことを可能とするものでございます。企業の従業員にとりましては、育児や介護などと仕事の両立が実現できますし、また、企業にとりましては、人材の定着や採用などの人材確保、オフィスコストの削減、自然災害が起きた際の事業継続など、さまざまなメリットがございます。
 さらには、東京二〇二〇大会期間中の交通混雑の緩和という面でも大きな効果があると考えております。
 このため、都は、企業におけるテレワーク導入を推進することで、東京二〇二〇大会のレガシーとなるように普及を図ってまいります。

○奥澤委員 さまざまなメリットがあるというお話が今ありましたけれども、目指す目標を必ず失わずに、テレワークを導入させることが目的になっていって、数だけふやせばいいと絶対ならないでいただきたいんですけれども、そういった点では、どういった要件を設定して補助を行っていくのかというのは大変重要だと思います。
 はじめてテレワークという事業について、具体的にどのような要件を設定して、どのような支援を行うのか、お伺いしたいと思います。

○篠原雇用就業部長 はじめてテレワークでございますが、テレワークをトライアル導入しようとする中小、中堅企業を対象とした事業でございます。
 都が支援するに当たりましては、働き方の見直しや業務の効率化につながるように、テレワークの具体的な導入方法につきましてコンサルティングを受けること、それと、東京二〇二〇大会期間中の交通混雑緩和に向けまして、都や国などが進めております二〇二〇TDM推進プロジェクトへの登録を行うことを要件としております。
 これらの要件を満たした企業に対しまして、機器の導入費用やアプリケーションの導入費、社内規定の整備に要する費用など、企業規模に応じまして最大百十万円を助成することとしております。

○奥澤委員 同じくテレワークの導入の促進で、もう一つ事業があります。業界団体連携によるテレワーク導入促進事業、こちらの予算額、それから具体的な内容についてお伺いしたいと思います。

○篠原雇用就業部長 業界団体連携によるテレワーク導入促進事業についてですが、この事業は、都と国などで進める二〇二〇TDM推進プロジェクトに参加した上で、業界を挙げてテレワークの推進に取り組もうとする業界団体に対しまして、傘下の企業を対象に行うセミナーの開催やテレワーク導入のためのコンサルティング等に要する費用を補助するものでございます。
 これによりまして、団体ごとに産業の特性を踏まえた効果的なテレワークの導入が期待できるものと考えております。
 一団体当たりの補助額は最大三千万円で、二十団体を予定しておりまして、予算額は六億円でございます。

○奥澤委員 二つの事業を通してなんですけれども、通していう話でいうと、とにかく出しっ放しの補助金にしないということをぜひ強くいっておきます。
 先ほど、業界団体の方では効果的に導入できるという話がありましたけれども、効果的に導入できるということは、逆に効果的にフィードバックを受けられるということだと思いますので、導入状況、それから導入による効果、そういったことをきちんと都としてもフィードバックを受けていただきたいということを要望しておきます。
 先ほど農福連携について触れましたけれども、農業振興、これは稼ぐ力の強化に資するものだと私は思います。
 その点から二点質問したいんですけれども、まず農産品の輸出大国といわれるオランダでは、国土面積が九州ほどしかなくて、人口一千五百万人ほどなんですけれども、テクノロジーを導入して年間では十兆円を超える輸出量があると。対して日本は今、全体で八千五百億円程度しかない。残念だなと思う一方で、東京二〇二〇大会というのは、日本の農業を、日本の食を世界に売り込む絶好の機会だというふうにも思っています。
 イベント等を通じた東京産食材の魅力発信という点で、ラグビーワールドカップ、あるいはオリンピック・パラリンピックの会場、もしくはパブリックビューイングやコミュニティライブサイトの会場周辺においても積極的なPRを行うべきと思いますけれども、見解をお伺いしたいと思います。

○龍野安全安心・地産地消推進担当部長 ラグビーワールドカップや東京二〇二〇大会は、国内外から多くの人々が東京を訪れ、東京産農林水産物の魅力を発信する絶好の機会でございます。
 来年度は、ラグビーワールドカップの開催期間中に都が設置するパブリックビューイングや競技体験等が行えるファンゾーンにおいて、東京産食材を使用した料理を提供するキッチンカーを出店し、観戦者等にその魅力をPRしてまいります。
 また、東京二〇二〇大会については、大会期間中に東京産農林水産物の魅力を発信できるよう、今後、組織委員会との調整を進めてまいります。

○奥澤委員 今後、組織委員会との調整を進めていくというお話がありましたので、ぜひ期待をしたいと思います。
 また私の地元の話になりますけれども、町田の市内をロードレースが走るんですけど、そのちょうどロードレースの隣のところにJAさんがあるんですね。JAさんがあって、広い駐車場があって、その道の向かいにはよく地域の祭りなんかをやっている広場があるという形になっています。
 実は町田市の方にも私は、その広場でコミュニティライブサイトを出すべきじゃないかということで、ちょっと声をかけたりしているんですけれども、そこでライブサイトがあって、JAさんで同じ時期に何かイベントをやったりしたら、これは相乗効果でかなり人も集まってきて、地域の方にも食のことをわかってもらえるし、観光客にも食のことがわかってもらえるということで、すばらしい機会を提供できるんじゃないかなというふうに思っています。たまたま町田ではJAさんでしたけれども、そういった場所や機会というのは見ていくと結構あると思いますので、チャンスを生かしていただきたいというふうに思います。
 農業の話でもう数問あったんですけど、これは重なっている質問なのでやめたいと思います。
 一点、ちょっと飛んだ話になりますけれども、木の街並み創出事業についてお伺いさせてください。
 木のよさを知ってもらい、多摩産材が積極的に利用されるということは喜ばしいことです。それが林業の発展、それから森林の適切な管理、これはよく私も聞かれるんですけど、花粉症ゼロの政策はどこに行ったんだとよくいわれるんですけど、花粉症ゼロを進めるにも林業を適切に管理しなきゃいけないので、そのために販売促進、需要を喚起するというのを今、都がやっているんですよと話をしています。
 今回、別の局でも木塀への改築を促す施策というのが出ていると思いますけれども、それとの違いを明確にした上で、木の街並み創出事業、この狙いをお伺いしたいと思います。

○上林山農林水産部長 都市整備局等が実施をしております木塀の設置支援は、多摩産材を初めとする国産材の利活用促進とともに、計量化に伴う震災時の安全性向上や良好な景観形成への寄与などを目的に、危険なブロック塀の撤去後に設置する木塀の整備費用に対して支援をするものでございます。
 一方、木の街並み創出事業は、都民への木のよさや多摩産材の普及を目的に、多くの都民が目にし、接することができる木塀やベンチ等の建築物の外構施設や建築物の外壁での多摩産材等の利用に対して支援するものでございます。
 こうした取り組みによりまして多摩産材の需要を創出し、その利用拡大を図ってまいります。

○奥澤委員 わかりました。その違いもわかった上で、これもまた同じになってくるんですけれども、そこで終わりにならないように、そのよさが伝わってさらに別の取り組みへとつながっていくようにということを、必ずイメージをしっかり描いてやっていただきたいというふうに思います。
 最後に、この後、中小企業の振興施策についてお伺いしたいと思いますけれども、かなり厳しい目線で意見もさせていただくと思いますが、よろしくお願いします。中小企業振興施策の有効性について、私はちょっと疑っているところがあるのでお伺いします。
 先ほどもちょっとお話がありましたけれども、中小企業振興ビジョン、これにはかなり野心的な数値目標が書かれているなと思います。GDP百二十兆円の達成とありますけれども、この数値を達成するということが、さっきもちょっとお話ししましたけど、目的と目標ときちっと切り分けてやってほしいんですね。
 例えば、開業率は一二%という目標がありますけれども、開業はされたけれども赤字企業ばかりだなんていう話じゃ何の意味もないわけで、このGDP百二十兆円のために具体的な目標を出しているんだということを必ず考えていただきたい。
 そこで改めて、この数値目標、五つ出ていると思いますけれども、この意義についてお伺いしたいと思います。

○坂本商工部長 東京都中小企業振興ビジョンでは、中小企業の目指すべき姿を実現するための施策全体の評価や検証を総合的に行うため、今後、おおむね十年程度の期間に達成すべき新たな数値目標を掲げております。
 この目標の達成を通じて、二〇二〇年に向けた実行プランで掲げる都内GDP百二十兆円の実現を図ることとしているところでございます。
 また、こうした数値目標は意欲的な政策展開により初めて実現のできる水準としているところでございます。

○奥澤委員 今のお話でも、かなり高い数値目標で意欲的な政策展開が必要だというご認識をお伺いすることができました。これまでの発想でやっていったら、なかなかこれは達成できないというふうに私は思っています。ぜひ新しい発想、これまでの枠にとらわれない発想、そして局全体で必ず目標を共有して進めていただきたいと思います。
 一つ一つの事業についてお伺いしていきたいと思います。
 その前に、済みません、今いったような話で支援がこれからも行われていくと思いますし、施策展開があると思いますけれども、支援を行った結果、それがどれだけの成果を得られたかという部分、これが大変重要だというふうに思っていますけれども、中小企業支援事業全体を通してどういった考えで行っているのか、お聞かせください。

○坂本商工部長 都の中小企業振興の施策は確実に成果を上げておりまして、PDCAの仕組みなどによりまして、引き続き事業の効果をより一層高める取り組みを進めてまいります。

○奥澤委員 ここなんですね、本当に一番懸念しているところというのが。正直、この各事業、お話を伺っていたりだとか、ご担当の方と話をしていても、数字が出てこないんですね。これだけの予算が使われましたよという数字は出てくるけど、それから何が生み出されたんだということを聞いたら、いや、わかりませんという話になってしまっていることがかなり多くありました。これでどうやって百二十兆円達成するのって正直思ってしまいます。これからの施策においては、しっかりと数字を意識して、それが、どんな成果が出てきたのかということを必ずとっていっていただきたいというふうに思います。
 きょう何でこんなにたくさん質問しているかというのもここにつながってきていまして、見ていますよということなんですね。ちゃんとこれ一年後にまた聞きますからねということで聞いています。必ず成果が答えられるように取り組んでいただきたいというふうに思います。
 これだけ、かなりの数の事業がありますけれども、もう一つ懸念しているところは、適切な支援、これが必要な企業に届いているのかということです。
 実際に私もお会いしたことがありますけれども、補助金コンサルみたいな、必要としているかどうかよりも、それをとれるかどうか、その補助金をとれるかどうかの視点で補助金を引っ張ろうというような仕事も出てきてしまっているのが現実です。
 各企業、必要としている企業に対して届いているのかという視点で、どのような周知を行っているのか取り組み状況をお伺いしたいと思います。

○坂本商工部長 都では、中小企業への支援事業を網羅して紹介するガイドブックを作成いたしまして、関係団体を通じ配布をしてございます。
 また、事業の利用に当たって、広報紙やホームページのほか、中小企業を支援する機関や地域の金融機関等を通じ内容を幅広くPRしているところでございます。
 さらに、個別の会社に専門家を派遣し助言や相談を行う事業の中でも、都の事業の紹介もあわせて実施をしているところでございます。

○奥澤委員 正直やっぱり、私も説明をずっと聞いていったんですけど、なかなかわかりづらかったなというのと、チラシをぱっと見て、誰向けのどんな補助事業なのかがよくわからないというのは--つぶさに見ていくと書いてあるんですけど、なかなかの毎日の生活に忙しくしている中小企業の方々がその細かいところまで見るかというと、あんまりそうじゃないというのも実態だと思いますので、そういった観点もチラシをつくる際にも考えていただきたいというふうに思います。
 一つ、来年の事業なんですけれども、中小企業活力向上プロジェクトネクストというのがありますけれども、このネクストというのにこれまでとどんな違いがあるのかなということが気になっていまして、この違いを伺いたいと思います。

○坂本商工部長 都は、会社の現場に専門家が出向き経営診断を行いまして、それを踏まえて事業内容の改善に向けた計画づくりなどをサポートする取り組みを行っております。
 来年度から開始をする中小企業活力向上プロジェクトネクスト、先ほどお話しいただきましたが、こちらは、経営課題のうち対応の必要性が高い生産性の向上などに重点を置きまして経営診断を実施いたします。
 また、当面の課題への対応と経営改善に向けた中長期の計画づくりやその実施、これらを一体的に行うことができるように、企業に専門家を最大で九回まで派遣しサポートをする新たな仕組みを導入いたします。
 さらに、中小企業が経営改善に向け作成した計画を効果的に実現ができるよう、専門家がフォローを行う取り組みも開始いたします。

○奥澤委員 ありがとうございます。今、ネクストというところの違いが、まさにフォローしていく、ただお金を出して終わりだよじゃなくて、その先どうなったのかも見ていける、そんな仕組みが入るんだというふうに私は捉えました。ぜひ最後まで追いかけていただきたいというふうに思います。何がこう変わって、これだけの富が生まれたんだよと、効果が出たんだよということを、来年はぜひお話ししたいなというふうに思います。
 もう一点聞こうと思っていたんですけれども、ネクスト目指せ中小企業経営力強化事業、これもネクストがついてますけど、多分同じような意図を持っているんだろうということで推察しまして質問はしないことといたします。
 一個、既にちょっと気になっているところがあるんですけれども、団体向け課題解決プロジェクト支援事業というものがあると思いますけど、これは執行率を見ると応募数が少ないというふうに聞いています。その原因についてはどういうふうに認識しているのか、お伺いしたいと思います。

○坂本商工部長 都は、団体向け課題解決プロジェクト支援事業によりまして、中小企業のさまざまな団体がその業界の抱える課題の解決に向けた計画をつくる場合に専門家を派遣してサポートを行い、その内容を実現する取り組みに助成も行っているところでございます。
 平成二十九年度におきまして、各団体で課題を整理した上で具体的な相談を行う段階に至る取り組みが十分にふえず、専門家の派遣に向けた申し込みは予定を下回ることとなりました。団体が専門家のサポートにより計画を作成する取り組みにも時間がかかりまして、助成金の申請の件数は伸び悩んだと、このような状況もございました。
 今年度を見ておりますと、団体から専門家を活用する事例や助成金を使う取り組みは着実にふえておりまして、現在は専門家の派遣を受けた会社や助成金の申請につきまして、これは予定を上回ると、このような状況になってございます。

○奥澤委員 ありがとうございます。PDCAがしっかり機能した結果が今、ことし出ているんだと思います。今後の中小企業振興ではぜひ大事にしていただきたいと思います。
 商店街の活性化の施策についてもお伺いいたします。
 きょうの資料の要求の方にもありましたけれども、イベント型というようなものが使い勝手がいい反面、毎年、これは言葉が悪いかもしれないですけれども、惰性のようにイベントを開催してしまっている事例、あるいは、やらないと補助金がおりないからといって天候不良でもイベントをして誰もお客さんがいないとか、そういった事例も実際目にしています。
 結果として、商店街の活性化という本質的な課題を解決できていないんじゃないかなというふうに思うところもありまして、その一方で、政策課題対応型という補助金が創設されていると思いますけれども、こちらは商店街の本質的な課題に踏み込めているんじゃないかなというふうに思います。もともと件数とか執行額も聞こうと思っていたんですけれども、ちょっと時間の関係でこれは割愛させていただいて、政策課題対応型の方のことを一問質問します。
 私の知人で商店街の会長さんをやってる方がいるんですけれども、この方とゆっくり話していたら、この政策課題対応型って何ですかと、知らなかったんですね。冊子の中にその一文があるんですけど、やっぱりそこまで読み込んでいなくて、今までどおりのイベントしかないんでしょうと思ってやっていて、よくよく話をしていくと、実はその方が、その商店街が抱えている課題を解決できる策があったんですね、そこに。
 五分の四の補助がたしかあったと思いますけれども、五分の四の補助があるのであればうちのような小さな商店街でもやれるという話になって、かなり前向きに、来年度はそっちに切りかえたいというような話が出てきています。
 今話したような事例というのはたくさんあるんだと思いますけれども、まだまだ有効に活用されていないんじゃないかと思います。そういった印象がありますけれども、政策課題対応型がなぜそんな印象になってしまっているのか、そういう状況になっているのか、その原因と何か取り組みとかございましたら見解をお伺いしたいと思います。

○坂本商工部長 お話しいただきました政策課題対応型商店街事業におきましては、都の抱える行政課題の解決に役立つ商店街の取り組みを支援してございまして、ハード整備にかかわる経費を対象といたしまして、その五分の四を、上限一億二千万円で助成をしているところでございます。
 これによりまして、環境負荷の低減に向けたLED街路灯の設置や外国人観光客の受け入れに役立つカード決済機器の導入などを後押しするような成果を上げているところでございます。
 ちなみに、この事業におきまして、ハード整備を行う場合、事例が多うございますが、例年定期的に開催するイベントと異なり、実際頻度が低いという状況がございます。さらに、実施に当たりまして、ハード整備ですので、多額の経費が必要となりまして、当然にそれに応じた自己負担も生じると、こういうような背景がございまして現在の利用状況が出ているというふうに認識をしているところでございます。

○奥澤委員 ありがとうございます。今使われている状況、そして効果、それから課題というところも見えてきているというところで、このサイクルをもっともっと回していっていただきたいというふうに思います。
 ここでもう一つちょっと、今ハードのお話でしたけれども、イベントの支援の話で一つ聞きたいと思います。
 地域特性に着目した産業振興イベント支援というのが新規の予算でありますけれども、かなり大きな金額がついていると思います。この具体的な支援内容と想定しているイベントの内容についてお伺いしたいと思います。

○坂本商工部長 東京では地域やエリアに応じて、まち並みや業務機能、さらには居住機能のほか、ビジネスマンや観光客など来訪者に特色や傾向がございます。
 こうした地域等の状況に合わせまして、業界団体が来訪者に対して、その商品やサービスの提供やブランドイメージの向上などを行うイベントの開催をサポートいたしまして、産業の振興に結びつけてまいります。

○奥澤委員 今のはなかなかおもしろい視点だなというふうに思いました。来訪者に特性や傾向があるという視点、これはなかなか興味深いなと。自分の武器を伸ばすためにイベントをしましょうではなくて、どんな人が来るからこういったイベントがいいんじゃないかという発想は、私はすごくいいと思っています。
 ちょっと目線は変わる中ですけれども、一定の層に熱狂的なファンがいるという業界もありまして、その中には今後大きく発展するような、そんな産業もあります。
 その一つが私はeスポーツだと思っていまして、eスポーツにかかわる産業の振興ということで予算がついてますけれども、民間の大会ではスポンサーもついてかなり多額の賞金が出て、年齢を問わず、性別を問わず、私の知っている話なんですけど、中学生ぐらいでもかなりの金額を手にしているような方がいるという話もあります。
 そういったものがある中で、都がやっていく中でいうと、なかなかそういう賞金だとかできないと思いますけど、どのように盛り上げていくのか伺いたいと思います。

○坂本商工部長 都は、新年度にeスポーツの競技大会を開催いたしまして、その魅力を発信し普及を図ってまいります。
 大会の会場には中小企業が出展をいたしまして、ゲームに関連する機器等を来場者に宣伝して販売の増加に結びつける支援も行うこととしてございます。

○奥澤委員 都が支援する意味というものをよく考えて事業を構築してほしいなというふうに思います。中小企業の出展という話がありましたけれども、だからこそ人が集まる機会にしていただきたい、盛り上がるものにしていただきたいということをお伝えしておきます。
 改めて数値目標を見ていきますと、黒字企業の割合五〇%超、成長企業の割合五五%以上、開業率一二%と続きますけれども、実はこの達成に向けて、私は廃業が重要なんじゃないかというふうに考えています。
 経営者の高齢化が進む中での大廃業時代の到来というのも中小企業振興ビジョンの中にありましたけれども、中小企業が長年培ってきた技術や販路、人脈、そういった価値を失わせないためにも、適切なタイミングで事業承継をしたり、MアンドAもあるかもしれません、促進していく。競争の中で自然淘汰させていくというと、なかなか赤字を膨らませてしまって、もう首が回らなくなってという方々が実はいらっしゃって、なかなか厳しいです。
 適切なタイミングで廃業につなげていくことで、その方の第二の人生、第三の人生にもつながっていくという観点も持ってほしいと思っていまして、これを望まざる事業継続というらしいんですけれども、支援をたくさんすればするほど望まざる事業継続というのになってしまうというジレンマもあるということです。債務超過で廃業をするのではなくて、債務がない状態で廃業していくというのも一つの方法だと私は思います。
 それで、事業承継制度については先ほどの他会派の方から詳しくお話がありましたので質問はしませんけれども、国では、廃業支援という考え方も議論の中に、そういう概念も出てきているというふうに伺いますけれども、都としては、廃業というものをどのように捉えて、どのような取り組みをしているのか、お伺いしたいと思います。

○坂本商工部長 都では、中小企業の経営の継続に向け事業再生の支援を行っておりますが、廃業せざるを得ないという、こういう場合におきましては、中小企業振興公社を通じまして、専門家が会社の整理を円滑に進めるさまざまな手法を検討して、最も適切な進め方を助言するサポートを行っているところでございます。

○奥澤委員 今のお話の最も適切な進め方というところがすごく重要なんだと思います。本当に我慢強いといいますか、限界を超えても頑張ってしまう。頑張った結果、赤字が膨らんでいたというケースもあるので、その辺の助言、これはぜひよろしくお願いします。
 最後の質問です。数値目標、ぜひ達成して、その先にGDP百二十兆円、これ、ぜひ達成していただきたいと思います。その中で、長いスパンになりますけれども、長期スパンでPDCAを回していく、これが一番肝になると思います。
 その際には、私は、執行率という観点ではなくて政策効果、どれだけの富を生み出したのか、どれだけの変化を生み出したのか、ここを判断基準としていただきたいと思いますけれども、どのような仕組みでPDCAサイクルを回していくのか見解をお伺いしたいと思います。

○坂本商工部長 中小企業支援の施策にかかわるPDCAについて、現場を抱える経営者を初め、業界や働き手の実情に詳しい団体などの意見を聞きまして、さまざまな事業の成果を検証し、新たな施策に反映することで、そのレベルを高めてまいります。

○奥澤委員 このPDCAを回すときの業界や働き手の事情に詳しい団体などの意見を聞くということであります。
 第三者の目線、これは大変重要ですので、そこを大事にしてください。東京の持続的な発展をかなえるためには、稼ぐ力の強化というのは最重要でありますが、一方で、東京都のこれまでの中小企業の施策を見ますと、これはよくも悪くも企業や団体の意見を聞き過ぎてきたんじゃないかな、かなえ過ぎてきたんじゃないかなと正直私は思います。
 企業や団体、あるいは経済活動を営む個人にとって、本当の意味での幸せな暮らしというのは何なんだろうか、それを支援する施策のあり方というのは何なんだろうかということで見直していただきたいなと思います。本気で東京を世界一にしたいと私は思っていますので、だからこそ各事業に対して厳しいチェックをしていきたいというふうに思っています。
 この間、かなり細かいところまで、きょうも質問しましたし、それまでの間もお話ししてきましたけれども、おつき合いいただきました皆様にご協力を感謝いたしますとともに、ぜひ、東京を世界一にする主体としてご活躍いただくことを祈念申し上げまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございます。

○中山委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後九時九分休憩

   午後九時二十八分開議

○中山委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○斉藤委員 六年ぶりに当委員会にお世話になることになりました。よろしくお願いします。
 初めに、中小企業の販路開拓をテーマに何点か伺います。
 日本の企業は、世界のライバルに伍するすぐれた技術力を持っておりますけれども、その強みを生かして、収益に結びつけていくことが肝心であります。特に中小企業は、営業力がどうしても大手に及ばないために、これを補完する行政の役割は不可欠であると思います。
 そうした中、新たな顧客との接点を求める中小企業にとりまして、展示会は大変重要なツールでございます。
 都が管理運営している東京ビッグサイトでは、年間三百件を超える大小さまざまな催事が開催されまして、まさにビジネス交流のメッカになっているところであります。私もたびたび催事をさせていただいております。
 このビッグサイトでは、本年四月から東京二〇二〇大会のメディアセンターの工事が始まりまして、一部が利用できなくなることから、展示会主催者らからは不安の声やさまざまな要望が寄せられていると思います。本施設の果たす役割を考えますと、少しでも中小企業への影響を軽減することが重要と考えます。
 そこで、都は、東京ビッグサイトの利用制約を受けまして、どのような対策を講じられているのか伺いたいと思います。

○坂本商工部長 都は、東京二〇二〇大会の開催に伴う東京ビッグサイトの利用制約による中小企業の展示会出展への影響を最小限に抑えるための取り組みを行ってまいりました。
 具体的には、新設する南展示棟の竣工時期を六カ月前倒ししまして、ことしの六月としました。また、仮設展示場を本年四月から来年十一月まで設置をいたします。
 さらに、大会組織委員会と調整をいたしまして、西と南の展示棟は利用制約の期間を二カ月以上短縮いたしまして、仮設展示場については、大会期間を含む二〇二〇年七月から九月までの制約期間を対象に、一カ月以上の短縮を図ったところでございます。
 これらによりまして、利用制約の期間が確定する中で、東京ビッグサイトと連携し、展示会ごとの実情を踏まえた開催時期や利用面積の調整を進めているほか、他の国内施設への受け入れ要請も行ったところでございます。

○斉藤委員 都がさまざま工夫しながら、利用制約の期間を短縮するなど努力されていることがわかりますが、ただ、展示会の開催時期や利用面積の調整一つとりましても、施設の買い手である展示会主催者を初め、関係者の理解と協力抜きにはうまくいかないと思います。
 引き続き、利用者の意向を踏まえた丁寧な調整を行っていただきまして、少しでも多くの展示会が開催できるよう、一層の努力をお願いしておきたいと思います。
 さて、展示会のニーズは年々高まっておりまして、ビッグサイトもフル稼働状態とお聞きしております。また、世界に目を向けますと、ビッグサイトを本当に大きく超える規模の展示場が次々と建設されておりまして、各都市が展示会誘致にしのぎを削っているといわれております。
 そうした中、この七月にオープンする南展示棟は、増大するニーズに応えると同時に、展示会の誘致促進にとっても重要な施設と考えられます。
 そこで、本施設の概要と特徴につきまして伺います。また、中小企業の展示会への出展ニーズに対して、どのような効果があるかについてもあわせて伺いたいと思います。

○坂本商工部長 新たな南展示棟でございますが、面積一万平方メートルのホールを二層で設けまして、合計二万平方メートルの展示スペースを持つ施設として整備をいたします。
 建物には、展示場としての利便性を高めるため、商談室や会議室のほか、レストランを設けるとともに、利用者のため、駅から直接来場のできる専用の通路も整備をいたします。
 東京ビッグサイトでは、展示ホールの稼働率は七〇%を超える水準がこの五年間続いておりまして、稼働の水準は著しく高く、新規の展示会を受け入れることが困難となっております。
 このため、今後の展示会需要等を見据えた適正な規模と機能を備えた南展示棟を整備することで、中小企業の販路開拓に向けた的確な後押しを行うことが期待できると考えているところでございます。
 これによりまして、東京ビッグサイトは、既存の施設も含めて約十一万六千平方メートルの展示面積を持ち、国際的にも存在感がある展示場として、国内外からの展示会ニーズにより一層適切に対応してまいります。

○斉藤委員 開業当初のビッグサイトは、展示面積が約八万平方メートルということでしたので、大会に伴う利用制約の解消後は、逆に規模が約一・五倍になるという計算になります。ぜひこれを有効活用しまして、世界の国際競争に勝ち得る中小企業の販路開拓につなげていただきたいと思います。
 さて、この展示会以外にも中小企業が取引先と出会う手段はさまざまありますけれども、その一つが受発注のマッチングサイト、ビジネスチャンス・ナビ二〇二〇であります。東京二〇二〇大会等を契機とする官民の入札調達情報を一元的に集約した受発注取引のマッチングサイトとなっております。
 現在、企業の登録数は約二万九千件程度。都や組織委員会、民間の発注案件が掲載されておりまして、一部は本サイト上で入札が実施されているということであります。
 私がそこで注目しておりますのは、本サイトは、全国の企業が利用できるという点です。都内だけじゃないんですね。都内のみならず、地方の受発注のニーズも掘り起こすことで、都内の中小企業と全国各地の企業とを結びつけまして、取引の活性化を図ることは大いに有益ではないかと思います。
 このことは、平成三十一年度の東京都予算案概要でも書かれておりますけれども、日本各地との連携と共存共栄に向けてという考え方に貫かれておりますし、また、新しくでき上がりました東京都の中小企業振興ビジョン、ここにも各ページに当面の施策展開として、そのような東京のみならず、全国との共存共栄についての施策が入っていることとつながっていると思います。
 そこで、都は、本サイトの機能もうまく活用しながら、東京と地方の中小企業の受発注を活性化する取り組みを展開するべきであると考えますが、見解を伺います。

○坂本商工部長 都では、東京の中小企業と地方の会社との間で受発注がふえるよう、ビジネスチャンス・ナビを活用した取り組みを強化いたします。
 具体的には、まず地方の発注案件を掘り起こすため、北海道、東北、中部、近畿、中国、九州の各エリアに地域の企業活動の状況に詳しい現地の会社OBなどをネットワークサポーターとして一名ずつ配置をいたします。
 こうしたサポーターが、ビジネスチャンス・ナビでの商談を後押しするコーディネーターに対して、地方の発注案件や企業情報を提供し、都内の中小企業との間での受発注の成立に結びつけてまいります。
 また、本ナビのコーディネーターは、都内企業の発注案件を地方のサポーターにも提供して、サイト上での受発注の成立をふやします。
 さらに、こうした取り組みにより成約した事例のうちから、モデルとなるケースをサイトを通じて発信いたしまして、東京と地方の中小企業の受発注機会の拡大を図ってまいります。

○斉藤委員 このネットワークサポーター、NSというんでしょうか、こういうサポーターを各地域に派遣して、開拓、掘り起こしを行っていくということでございますが、ぜひ全国の企業に有効に活用してもらえるようPRを初め、サイトの利用促進にしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 国内市場が大変飽和状態となる中、海外に販路を広げることも重要な視点であると思います。この海外取引に関しましては、国際協定が相次いで結ばれています。大きなものでは、環太平洋パートナーシップ協定、TPPが昨年の十二月、そして、日本とEUの経済連携協定がこの二月に発効いたしまして、幅広い品目の関税が引き下げとなります。
 この関税率というのは、大変なじみが中小企業の方は薄いところも多いと思うんですが、少しの変更でも企業の収益に大きなインパクトを与えるといわれています。うまくこれを活用すれば、関税削減による利益貢献は極めて大きいといわれているところであります。
 ある新聞記事では、取引額に係る関税三%は利益にかける法人税三〇%分に相当するという有識者の指摘を紹介しておりました。中小企業も関税引き下げのメリットを十分に意識して販売活動を戦略的に進めなければ、それはもったいないというか、そのための協定でございますので、しっかりと戦略的に進めていくべきだろうと思います。
 一方で、この国際協定の内容や海外の通関制度などは複雑な仕組みになっておりまして、その全てを中小企業が掌握するということは大変これは無理なお話でもあります、大きな負担でもあります。都として必要なサポートを行っていくべきと考えますが、所見を伺います。

○坂本商工部長 都では、中小企業が海外市場で販路を開拓する場合に必要となる情報と知識の提供やアドバイスを行っております。
 具体的には、中小企業振興公社におきまして、海外の会社と輸出入を行う計画を持つ中小企業に対しまして、外国の法制度や商習慣などのさまざまな知識をワンストップで提供するサポートを行っております。
 また、具体的に海外との取引を進めている会社に対しましては、商社OBなど十七名の専門家が契約の締結から販売、代金の回収に至る一連のプロセスについて、助言や指導などを実施しております。
 さらに、海外での販路開拓の計画づくりに取り組む中小企業に専門的な知識やノウハウを提供するセミナーと相談会を年三回、一体的に開催をしているところです。
 これらに加えまして、販路開拓のプランを作成する五十社に専門家が助言を行うサポートも実施してございます。
 先ほどお話がございましたように、我が国とEUの間で経済連携協定が結ばれるなど、海外市場の状況に影響を及ぼす要因は多くなってございまして、取引に係る制度変更等を理解する重要性は増している状況がございます。
 このため、来年度より、欧米や中国から現地の情報を収集して、中小企業振興公社での相談や助言の内容の充実を図る、こうした仕組みを導入いたします。

○斉藤委員 日本が締結してきた自由貿易協定、FTAは、二〇〇二年に初めてシンガポールと行ったわけですが、年々ふえてきております。政府間が協定を結んでも、関税は自動的に下がるわけではないわけでありますから、このFTAによる恩恵を各企業が得るには、企業自身の手続が必要ということです。
 しかも、日本のFTA網は、スパゲッティの麺が複雑に絡み合うような状況で、大変複雑になっているというふうにいわれています。締結されても、効果を発揮するまでタイムラグもあります。
 大企業であれば、自社の努力によっていち早く対応を準備することも可能でしょう、資金と人材があるわけですから。しかし、人手不足と資金不足の中で必死に働いておられる中小企業の経営者にすれば、このFTAによる利益を得るための検討をする時間も余裕もないというのが現実だと思います。
 ぜひとも海外取引の相談窓口に、いかにこのFTAを活用して収益効果を上げ得るのかという新たなサービスを加えまして、経営者に広く活用を促すことが中小企業の支援につながると考えております。しっかりと新しい仕組み構築をお願いしたいと思います。
 次に、重要な産業の一つである伝統工芸品の販路開拓について伺いたいと思います。
 これは引退されました木内良明都議が大変に情熱を込めて進めてきた事業の一つでございますが、伝統工芸品は熟練した職人の方々のすぐれた技能の粋を尽くした技巧が施されておりまして、たくみのわざが込められた伝統工芸品は、熟練職人の方々が魂を込めてつくることで、一層その輝きを増すものであると思います。
 一方で、一人で仕事をされている方も少なくなく、なかなか販売にまでは力を注ぐ時間がないという話もしばしば伺っているところでございます。
 私は過去に、江戸表具師の東京マイスターである方のお話を紹介いたしまして、職業訓練学校などで後継者づくり、弟子としてとることができないものですから、学校で育成をしているんだけれども、なかなかそれを業として、販売をして利益を得るというところまでつなげるのは大変だというご苦労をご紹介いたしまして、こういった伝統工芸のわざをどうやって継承するかが難しいというお話、その支援が必要だということも予算特別委員会などで訴えさせていただきました。
 そして、都はこれまで、デザイナーと職人の方々とのコラボレーションによる新商品開発など、東京手仕事などだそうですか、伝統工芸品に関心がなかった層へのアプローチを進めてまいりました。安定的な販路をさらに拡大していくためには、富裕層などの購買力のある方に継続的に買っていただくような仕掛けづくりも重要であると考えるわけであります。
 我が党の代表質問でも取り上げたところでありますが、都の伝統工芸品産業の振興を図っていくために、そうした観点から、富裕層を狙ってこういった販路を拡大していく、そうした取り組みが不可欠であるというふうに考えますが、都の来年度の具体的な取り組みを伺いたいと思います。

○坂本商工部長 都は、伝統工芸品産業の振興に向けまして、来年度から、商品のうち高い価格帯のものを安定して購入する消費者層への販売を伸ばす取り組みへのサポートを実施いたします。
 具体的には、百貨店と協力をいたしまして、その販売部門で専門的な知識を持つスタッフが伝統工芸の職人にアドバイスを行いまして、良質で高額な商品を買い求める顧客のニーズに合わせた商品の開発をサポートいたします。
 また、そうして開発した商品を中心とする伝統工芸品のカタログやPR映像を作成いたしまして、その中で工芸品の生み出された背景や歴史に加え、職人のすぐれた技術などを紹介いたします。
 さらに、そうした商品を販売する場を年二回設けまして、購買力のある顧客の開拓を図り、継続した購入に向けたきっかけをつくり出してまいります。

○斉藤委員 現在、四十一の品目が指定されている伝統工芸品は、いずれも東京の文化、歴史の魅力を世界に発信できる非常に重要なコンテンツであると思います。まさに次世代に継承していかなきゃいけない大切な文化でございます。
 ことしはラグビーワールドカップ二〇一九、そして、来年は東京二〇二〇大会、こうした大会を見据えまして、これは観光にもつながっていくわけですが、都の伝統工芸品産業のさらなる振興を図っていくためにも、力強い支援を進めていただきたいと思います。
 続きまして、そういったことを踏まえまして、観光の方にお話を続けていきたいと思うわけでございます。
 近年、インバウンド旅行者の数は増加を続けまして、二〇一七年の訪都旅行者は一千三百七十七万人となるなど、毎年過去最高を更新してきております。
 観光産業は今後も成長が期待できますし、東京の持続的な発展を実現する上で欠かせない存在となっていると思います。
 東京二〇二〇大会まで五百日を切りまして、また、本年はいよいよラグビーワールドカップ二〇一九が開催されます。この二つの世界的なビッグイベントに世界中からの注目が集まるこの機を逃さず、千載一遇のチャンスでございますので、東京の魅力を世界に向けてアピールをしていく、観光客の誘致につなげて、観光産業を飛躍的に発展させていかなければならないと思います。
 私は平成二十五年、二〇一三年の第二回定例会の本委員会におきまして、インバウンド旅行者数の増加を図っていくためには、緻密なマーケティングとその結果に基づく戦略的なプロモーションが不可欠である、このように指摘をさせていただきました。
 そこで、都は現在、どのようなマーケティング調査を行い、そして、その結果をどのようにプロモーションに反映しているのかを最初に確認させていただきたいと思います。

○小沼観光部長 都では、旅行博や旅行事業者向けセミナー、商談会などのプロモーションを実施しております海外二十二の市場におきまして、成果指標、いわゆるKPIを活用した調査を行ってございます。
 また、現地での調査とあわせまして、東京を実際に訪れた外国人旅行者の消費行動や満足度などを国籍別に把握するための調査も実施してございます。
 こうした各種調査により判明した市場ごとの特性を踏まえまして、プロモーション戦略を立ててございます。
 来年度は、航空券や宿泊等を個別に手配する旅行者が増加しております香港やインドネシアにおきまして、観光セミナーなどの旅行事業者向けプロモーションにかわり、雑誌や屋外広告を利用した個人向けプロモーションを新たに実施いたします。
 また、リピーターの訪都割合が低い台湾、マレーシア、シンガポール、タイにおきましては、現地旅行業界、広告業界にネットワークを有し、市場の特性を熟知した東京観光レップによるPRを新たに開始いたします。
 今後も、国、地域ごとに異なる市場の特徴を的確に捉えた戦略的なプロモーションを展開してまいります。

○斉藤委員 先ほどの伝統工芸品の富裕層を狙っての戦略も、そうした緻密なマーケティングが必要だということはいうまでもありません。観光部門がそういった調査を行う、そして、日本の大事な伝統工芸品がまた戦略的に売られていく、当然、そのストーリーや歴史などに関心を持った方が来日したときに、そうしたものをたどって、実際に参加して、物を買うだけじゃなくて、事として楽しんでいただく、こういった連携も非常に重要であると考えるわけであります。
 本年九月に開催されます、四年に一度のラグビーワールドカップ二〇一九、これは夏季オリンピック、サッカーワールドカップと並び称される世界三大スポーツイベントの一つであります。
 前回大会が開催されましたイングランドでは、大会開催期間中に驚くべき数字、二百四十万人以上のファンがスタジアムを訪れて、観戦している。これは一スタジアム当たり五万人を超えていると思いますが、また、全世界では四十億人を超える人々がテレビでラグビーを視聴したといわれております。まさに世界中から開催地が注目されるといっても過言ではないと思うわけであります。
 このようなラグビーワールドカップというまたとない機会を捉えまして、都は、インバウンド旅行者を積極的に誘致すべきであると考えるわけですが、都の取り組みについて伺いたいと思います。

○小沼観光部長 都はこれまで、国内の開催都市と連携しまして、多くの旅行者の来訪が期待される欧米豪地域における認知度向上に向け、海外のラグビー専門誌の記者等を招聘し、記事広告を掲載するほか、東京での観戦後に楽しむことができる飲食店や観光スポット等の情報をウエブサイトでPRするなど、ワールドカップ開催に向けた観光の魅力を発信してまいりました。
 大会が開催されます来年度は、開催期間中を中心に、世界中からの注目が高まる機を捉えまして、ラグビー強豪国に重点を置き、東京の魅力をアピールするテレビCMや動画などを活用したオンライン広告等を展開いたします。
 これらによりまして、世界中の訪都が見込まれる層に、旅行地としての東京の魅力を強くアピールし、翌年の東京二〇二〇大会、そして、その先に向けた旅行者の増加を図ってまいります。

○斉藤委員 結局、ラグビーワールドカップ二〇一九のファンゾーンが重要視されるのも、せっかくそういうイベントがあって集まっていただいた、それをさらに波及させる意味でも、非常に試合の前と後が重要だということで、誰がそこにいるかということも重要でございます。それは日本人が知っている人がいるんじゃなくて、海外から来た方が、そうした非常に有名な関係者ですとか、ミュージシャンだとかいろんな方がいて、ともにそういうゲームを楽しんでいるということも含めまして、ファンゾーンの活用も非常に重要だといわれているゆえんでございます。
 ラグビーワールドカップの開催期間は四十四日間と非常に長くて、会場も北は北海道から南は九州、熊本まで、全国十二会場で開催されるわけであります。特に多くのチームが参加する、いわゆるシックスネーションズを中心とするヨーロッパ、アメリカ、オーストラリア地域からの旅行者は、こちらのデータにもありましたけれども、東京都観光産業振興実行プランにも書かれておりましたけれども、特にこのラグビーを愛している地域の方々は滞在期間が長いというデータが出ております。傾向が出ています。
 観戦に訪れた際に、東京での観光に加えまして、日本各地でも観光を楽しんでいただくことができれば、全国の観光振興につながると考えるわけであります。
 都は、ラグビーワールドカップの観戦に訪れた外国人旅行者の周遊を促進する取り組みを進めるべきであると考えますが、来年度の取り組みについて伺いたいと思います。

○小沼観光部長 都は、来年度、試合日程に合わせた外国人旅行者の国内周遊を促進するため、SNSを活用し、海外のラグビーファンに対して発信力のある記者等が開催都市の観光情報などを大会開催に合わせ、リアルタイムで発信する取り組みや、観戦者同士の交流を促す取り組みなどを新たに実施いたします。
 また、旅行者が都内を訪れた際に各地への周遊に役立つよう、都内各地や他の開催都市の観光スポット等を紹介するガイドブックを多言語で作成し、広く配布いたします。
 さらに、ファンゾーンに外国人旅行者に対する観光案内ブースを設置いたしまして、大会期間中に都内でさまざまな観光を楽しんでいただけるよう、情報提供を行います。
 こうした取り組みによりまして、ラグビーワールドカップ二〇一九の観戦者の都内、国内の周遊を促進してまいります。

○斉藤委員 次に、ビーガンです。今度は食の方でございますが、ビーガンを含めたベジタリアンへの対応について伺いたいと思います。
 これはまた、イギリス等、多いんですね、こういう方がですね。世界中から訪れる旅行者の中には、ベジタリアンなどの多種多様な食習慣を持っている方も多くいるかと思います。ムスリムのハラルもその一つと思います。
 一般にベジタリアンといわれる方々、肉や魚などの食品を食べない人と定義されているようですけれども、その中でも、卵、それから、乳製品、ハチミツ、こういった動物性の食品を一切とらないという方々、ビーガンといわれる人もおられます。いろんな方がベジタリアンにもいらっしゃるし、ビーガンにもいらっしゃるんですが、都内では、このベジタリアンの方々に対応した飲食店が少ないために、食事をする場所を探すのに非常に苦労されているというふうに伺ってまいりました。
 そこで、飲食店がビーガンを含めましたベジタリアンに対応することが重要だと思いますが、来年度の取り組みについて伺いたいと思います。

○鈴木観光振興担当部長 外国人旅行者の増加が見込まれる中、ビーガンを初めとしたベジタリアンなどの旅行者が安心して食事ができる飲食環境を整えていくことが必要でございます。
 都はこれまで、ベジタリアンなど多様な文化や習慣を持った旅行者の受け入れに取り組む飲食店を支援するため、食のルールや嗜好のほか、店舗での対応事例などを紹介したガイドブックを配布するとともに、受け入れに必要なノウハウの習得ができるセミナーやアドバイザーの派遣を実施しております。
 来年度は、こうした取り組みに加え、都内の飲食店における対応を加速するため、ベジタリアン向けの食品を扱う事業者等とのマッチング会を新たに実施しまして、食品を選ぶ際の知識やポイントなど、実際の取引に役立つ情報を交換できる場を提供いたします。
 また、ベジタリアンの方が利用できる飲食店を掲載しました冊子を新たに作成し、東京観光情報センター等で配布をしてまいります。

○斉藤委員 私、よく利用するレストランで、ティーズレストランというレストランが自由が丘にあるんですが、ベジタリアン、経営者自身がベジタリアン、ビーガンでございますが、本当にどこにそういう食があるかということをベジタリアンの方に伝えるということは非常に大切、親切なことだと思います。しかし、それが行政でどこまで責任を持ってやるかというのは、またこれはいろいろ考えがございます。行政ですから。
 ですから、マッチング会などを行うという場をつくる、しかし、そこで本当にそれがどこまでのクオリティーを持っているかというのは、それはやっぱり利用する方々も考えなきゃいけないと思うんですが、ここで大事なのは、情報の量だけでなくて、質でありまして、そういった質、そのまがいものは必ず出てきます。トラブルなども未然に防止しなきゃいけない。これは日本の消費者も同じですが、ベジタリアンに誤った情報をつなげない努力も、これはちょっと矛盾しているようですけれども、また重要であるということで、その双方を、しっかり目配りしながら、こういった取り組み、非常に野心的な取り組みだと思いますので、頑張っていただきたいと思います。
 次に、ちょっと話題を変えまして、今度は障害の方の旅行に関してでございますが、アクセシブル・ツーリズムについて伺いたいと思います。
 今後、ワールドカップ二〇一九、ラグビーワールドカップ二〇一九や東京二〇二〇大会を契機といたしまして、国内外から訪れる障害者や高齢者の方々にとりまして、バリアフリーに関する情報はますます重要、不可欠な要素になると思います。
 そこで、移動などに制約のある方々が、快適に都内観光を楽しめるアクセシブル・ツーリズムを推進していくことは大変重要であると思います。
 あらゆる人々が旅行を楽しむために、施設のバリアフリー化に加えまして、観光地や施設などのバリアフリー情報の発信を強化していく必要があると思います。
 観光地や施設などのバリアフリー情報の発信について、来年度の取り組みを伺いたいと思います。

○鈴木観光振興担当部長 東京二〇二〇大会に向け、高齢者や障害者等が安心して快適に観光を楽しめる環境の整備が急務であり、そのためにはバリアフリー情報発信の強化が効果的でございます。
 都では現在、都内の観光スポットをつなぐ三十コースについて、ルート上のバリアフリー情報やトイレ情報等をホームページや冊子で提供しております。
 来年度は、こうした取り組みに加え、高齢者や障害者等の受け入れを積極的に行っている施設や観光地の情報等を集約した総合ウエブサイトを構築するとともに、東京のアクセシブル・ツーリズムの魅力を国内外に発信する動画を制作いたします。
 また、ラグビーワールドカップ二〇一九の期間中、観光情報センターバスタ新宿におきまして、バリアフリー対応の施設に関する情報提供などを行う専用窓口の設置を試行し、その実施結果を踏まえながら、二〇二〇大会に向けた課題等を検証してまいります。

○斉藤委員 今、ワールドカップ二〇一九の開催会場である調布スタジアムは、まさにエレベーターを増設したり、さまざま準備が進んでいるところでございますが、ハード面だけでなくて、ソフト面での対応というものが非常に重要だということであります。
 このバリアフリー情報というのは、既に東京観光のバリアフリー情報ガイド、これはネットでも見られる全三十コースが書いてあります。これはいろんな方のお声とか、そのルートについて、本当に障害のある方と一緒に歩いてつくられたんだと思いますが、こうしたものを使おうと思って、さて、一番困るのは何かというと、トイレだということでございます。
 先日、重度の肢体不自由児を育てられているお母様たちと、旅行のときの大変さについてお話を伺う機会がございました。最も大変なことはトイレの確保だということだそうです。
 体の自由がきかないために、用を足すためにベッドが必要なんですけれども、ベビーのためのベッドはあるんだけれども、体が大きい方が寝るような大型のベッドはまだまだ少ない。これは本庁舎、第一庁舎、第二庁舎にございます。大きなベッドが据えつけられておりまして、そこで移動が大変困難な方が車椅子からおりて、さまざまなことを、介助を受ける場所があるんですが、このトイレがどこにあるかということのめどが立たないと、安心して移動、旅行ができないというお声もございました。
 そのニーズに応えているのは、例えば東京ディズニーランドにはそういうものがあります。民間ですけれども、さすがだなと思います。私は都内の観光スポットをつなぐコースをつくる際には、肢体不自由児など、障害のある方々に企画段階から意見を出していただいて、極端だと思うかもしれないけれども、そのとがったニーズに応えていく中でコースをつくっていくことが、実は多くの方に、またそれが、恩恵が伝わるという、こういう関係でもあろうと思います。
 極端に困っている方々から、極端な意見を出してもらう。それは、え、そんなところまでやるのという、そういう感じもあるかもしれませんが、そこを乗り越えて、今まで気がつかなかった新しい価値をその先に創造することができる。この手法はイギリスで発祥したインクルーシブデザインという考え方がまさにそうでございます。
 ユニバーサルデザインはアメリカ発祥、インクルーシブデザインは困った方の極端な意見を聞きながら、それを新しいデザインにつなげていくという、成熟したマーケットの中では非常に重要視されている手法であります。
 そこで、私からは、アクセシブル・ツーリズムを推進していく上では、このインクルーシブデザインの考え方もぜひその手法として用いるべきだということを要望しておきたいと思います。
 都内各地では、旅行者誘致に向けて地域の魅力をアピールするイベントなども盛んに行われるようになりました。
 例えば私の地元の目黒区の目黒川は、桜の名所として有名です。もういよいよ開花が迫っていると思いますが、毎年、春の桜のライトアップが行われまして、多くの見物客が訪れて話題となっています。
 都内各地の魅力を継続的に高め、地域が力を発揮して、観光振興に取り組んでいくためには、観光協会など、観光関連団体の取り組みを支えていくことが必要だと思います。
 そこで、持続可能な地域の観光振興の実現に向けた観光関連団体への支援について、来年度の都の取り組みを伺いたいと思います。

○小沼観光部長 都内各地の観光協会等が地域の特性を生かした効果の高い旅行者誘致に継続的に取り組むためには、新たな知見やノウハウを積極的に取り入れることが必要でございます。
 このため、都は、東京観光財団に地域支援窓口を設置いたしまして、地域の課題に応じた複数の専門家のチームでの派遣や地域間連携に向けたコーディネートなど、きめ細かなサポートを行ってございます。
 来年度は新たに団体の経営力の強化などを支援するため、観光協会、商工会等を対象に、IT導入による経営の効率化等に係る経費に対して助成を行います。
 また、より効果的な旅行者誘致を展開できるよう、観光協会と企業、団体等が連携し、地域が一体となって行うマーケティング調査の経費面での支援とともに、調査結果に基づく事業計画の策定を支援いたします。
 さらに、地域のアイデアの事業化に向けた実証を行う取り組みにつきましても、専門家による検証やアドバイスを行い、今後の事業化につなげてまいります。
 こうした取り組みを通じまして、地域の持続的な観光振興を後押ししてまいります。

○斉藤委員 ぜひともこの観光振興をしっかりと地域と一体となって進めていっていただきたいと思うわけですが、訪都旅行者数の伸び、そして、訪日旅行者数の伸びを比較したグラフもございます。
 これを見ますと、実をいうと、二〇一四年ごろから訪日と訪都の伸びの角度が、大分差がこう開いてきていると。だから東京に来る人の伸びが、日本全国に来る人の伸びよりも小さいということになります。
 必ずしもその背景には、東京羽田空港をゲートとせずに、LCCなどの発展もあります各地方から入って、そして地域を周遊して帰国する旅行者もふえているとも推察されます。
 東京の新たな魅力を再発見できるように、例えばナイトライフの観光、とりわけエンターテインメントなどのコンテンツを充実させてほしいという声もありますので、東京へのリピーターをふやしていくことが重要であろうと、このように考えます。
 観光は東京を成長させる重要な産業であると、しっかりと施策を実行していただきたいと、応援していきたいと思います。
 続きまして、観光は以上でございますが、次に森林政策について質問したいと思います。
 東京の森林の将来展望、東京フォレストビジョンに関連して質問したいと思いますが、私は、子や孫に自信を持って引き継げる東京都とするためには、一〇〇年の都市づくりの視点が重要であると考えてまいりました。
 森林など自然資本を生かして、グレーインフラからグリーンインフラへの転換を図りまして、地球温暖化対策を進め、水と緑ときれいな空気の都市、そして、生物多様性に富んだ都市、すなわち、SDGs先進都市東京、こうしたことを目指していくべきだと思っております。
 私の住む目黒区には、都立林試の森公園がありまして、多くの目黒区民にとってオアシスとなっております。
 一方、水源を涵養し、二酸化炭素を大量に吸収してくれるような大きな森林地帯はもちろんありませんが、目黒区民も多摩川の上流にある多摩の森林からは、水道水の供給や豊かな地球環境の保全など、多くの恩恵をこうむっているということに気がついていただきたいわけであります。
 これらの東京の多様で豊かな森林は、決して黙って放置してできたものでもなく、古来より多くの人たちの手によって、時に里山のように守り育てられ、長い時間をかけて今の姿となったと思います。
 世代を超えて、皆で森林を育んでいかなければ、森林そのものは持続しないというふうに思います。したがって、都市部に住む都民も森林に無関心であってはならないと思います。まずは多摩の森林の現状を知ることも大事です。
 そこで、私は、他の区部選出の同僚都議とともに、昨年の十月、多摩の森林へ視察を行い、林業や木材産業の関係者の方々から、現場の声を伺ってまいりました。
 その中では、伐採の現場からは、森林整備に伴う林業事業体が不足しているお話や、製材所からは多摩産材の需要をもっとふやしてほしい、そういうお声がございました。
 今回の視察を通じて感じたことは、多摩産材の需要と供給をどうマッチングさせていくかということが大事だということでありました。供給だけがふえれば、木の値段は下がってしまいますし、不足すれば需要側の信用を得られないわけであります。
 そこで、まず、この供給する側の施策についてお伺いしますけれども、今後、木材の安定供給のためには、林業事業体の強化策が必要であろうと考えます。今後の都の取り組みを伺いたいと思います。

○上林山農林水産部長 これまで都は、林業事業体のレベルアップに向け、従事者の技術力強化に向けた研修や林業機械の導入に必要な経費に対して支援を実施してまいりました。
 来年度からは、林業事業体の新規参入に必要な事務所や資材置き場等の賃料や整備費等に対して、事業費の二分の一の補助を開始いたします。
 また、林業事業体の経営力強化に向け、通常の森林整備に加えて実施する木材、加工技術を生かした木材製品の製作、販売や事業閑散期の収入源としての山村体験ツアー等の、経営の多角化に必要な経費の二分の一の補助を実施してまいります。
 これらの取り組みを通じて、林業事業体の強化を図り、多摩産材の安定供給につなげてまいります。

○斉藤委員 林業事業体の新規参入ということが十分にあり得る、そういう希望をしているところもあると。そういうところを支援していくことによって、事業体を強化していくこともできる。
 経営の多角化の支援や、時に山林体験ツアー、こういったこと実施しながら、本業以外にもさまざまなビジネスチャンスというか、仕事のチャンスをつくって、そこに都市部の人を呼び込む。そういった工夫などがあれば、多摩の森林はもっと活性化しますし、そうしたことを活用した新たな産業を促すことで、林業事業体の収益向上によって経営基盤の強化を期待していけると、このように思います。
 次に、需要側の話ですけれども、需要の確保はこれまた問題なんですが、都は、平成十八年度から花粉発生源対策事業によりまして、多摩産材の伐採を進めております。皆さんも議連に入られて、いろいろ応援していると思いますけれども、この供給がふえれば、それに見合った需要の確保が必要となります。
 今後の人口減少によりまして、住宅での木材利用を大きく伸ばすのは難しいといわれております。しかし、今まで余り木材が使われてこなかった分野で、この木材利用をふやすことは、逆に可能性が拡大しているじゃないかと、可能性があるのではないかと考えます。
 例えば、一般都民も利用する公共施設や民間施設のオープンスペース等に設置された多摩産材を利用した木のあずまや、ベンチ、こういったベンチなども目にすることが多くなってきましたが、こういったものはもっとつくるべきであると思いますが、都の取り組みを伺いたいと思います。

○上林山農林水産部長 都では、多摩産材の利用拡大に向け、都関連施設での利用に加え、民間商業施設の内装等での導入支援を実施してまいりました。
 来年度からは、区市町村における多摩産材等の木材利用を一層拡大できるよう、これまでの保育園や児童館等に加え、図書館や体育館等の内装の木質化や木製什器の導入、児童遊園等での遊具の設置などを新たに補助対象に含めるなど、区市町村の木材の多様な活用を進める取り組みに対して支援を強化してまいります。
 加えて、民間施設において、木材利用のPR効果が期待でき、木材利用が余り進んでいない建築物の外壁、外構等での木材利用の拡大を進めるため、新たに施設の外壁や外構施設での木塀やベンチ等への木材利用に対して、多摩産材を三割以上使用した場合、上限三千万円で補助率二分の一の支援を実施いたします。
 今後も多摩産材の需要と供給のバランスをとりながら、森林循環を促進し、東京の林業の振興と森林整備を図ってまいります。

○斉藤委員 都は、昨年、全国育樹祭を開催いたしまして、都として初めてとなる東京の森林の将来展望、東京フォレストビジョン、こういったものを発表されました。
 全国の森林資源を有効に活用していくという大きなムーブメントが今、起こっています。全国知事会と連携して、ブロック塀を木製の塀に変えるなど、東京都内の新たな木材需要を喚起するプロジェクトもスタートしているところでございます。
 また、資源循環、私はエコマテリアルというのは非常に重要だと思いますが、木材で本当に廃棄されるような形で積まれているものも実はお金になる。これは、場合によっては、廃プラスチックと合成することによって新しいものになり、それがまた循環して使われていく。いろんなところで木に接する環境をつくっていくことが、需要喚起が重要であろうと考えている一人でございます。
 今後は、多摩産材の利用拡大だけでなく、将来的には、今、申し上げました木材の資源循環システムをつくる、こういったことで林業の持続可能性を高めまして、林業再生へとつなげてまいりたいと、このように思っております。
 最後のテーマは、雇用就業の支援ということになります。
 これも私、かねて、さまざまな本会議等でも質問しているテーマでございますが、障害者の働く場を広げていくためには、企業における障害者雇用への理解促進と受け入れに向けた環境整備が不可欠であるということであります。
 特に昨年の四月からは、法定雇用率の算定基礎に含まれる、今後求職者の増加が見込まれる精神障害者を中心として、障害者雇用を拡大するには、まずは企業における理解促進や雇用に関するノウハウ提供などの支援に努めるべきと考えますが、現在の都の取り組みと来年度の強化策について伺いたいと思います。

○蓮沼事業推進担当部長 都では、企業に向けた事業として、障害者雇用に関する支援機関が一堂に会する障害者雇用支援フェアを開催し、支援制度や障害者の就業を助ける最新の機器などを紹介するほか、福祉保健局、教育庁、産業労働局の三局が連携し、障害者雇用の事例紹介等を行うセミナーを実施しております。
 また、障害者雇用において特色あるすぐれた取り組みを行っている企業をエクセレントカンパニーとして表彰するとともに、受賞企業の取り組み事例集を作成し、都内中小企業等へ配布しております。
 来年度は、さらに精神障害者の雇用経験がない企業向けに、精神障害者の雇用に関するポイントや相談機関等を紹介するミニハンドブックと取り組み事例等をまとめたDVDを新たに作成するなど、障害者雇用の促進に向けて支援の強化を図ってまいります。

○斉藤委員 頑張ってその雇用に努めておられる、特色あるすぐれた取り組みを行っている企業を表彰していく、検証していく、とても大切なことであろうと思います。
 障害者雇用について、ある中小企業の経営者、私の支援者の方にいろいろ伺いますと、雇いたいのはやまやまなんだけれども、誰に相談していいかわからないんだよというお声が多いわけであります。私のPR不足で申しわけないと思っていますが、こうした中小企業などにおいて、障害者雇用の経験が少なく、情報を得る機会も少ないのが実情であり、本当に中小企業の経営者の方は忙しい。本当に本業の方が大変で、気持ちはあるんだけれどもという状況の方がおられます。
 こうした中で、私は、平成二十八年の予算特別委員会で、質疑で、その受け身から一歩現場に踏み出していくような施策が必要であろうということで、そういった観点からの質問もいたしました。
 都は、豊富な情報やネットワークを持つ国の東京労働局などと連携しながら、雇用率未達成企業のうち、支援が必要だと思われる中小企業に向けたアウトリーチ型の支援を行っていると伺っております。
 今後、法定雇用率が二・二%からさらに二・三%に引き上げられることも見据えまして、さらなる支援の強化を図るべきと考えますが、都の取り組みを伺いたいと思います。

○蓮沼事業推進担当部長 都は、平成二十八年度より、国及び地域の障害者就労支援機関と連携し、法定雇用率未達成企業に対して専門家を派遣することにより、障害者雇用に関する情報提供や支援メニューの提案等を行っております。
 来年度は、取り組みの強化に向け、支援対象となる企業の規模を従業員五十人から百五十人未満の企業から、従業員四十五・五人から三百人未満の企業に拡大するとともに、訪問する企業数も三百社から九百社に拡充いたします。

○斉藤委員 訪問する企業先を三倍の三百社から九百社に拡大する、非常に一生懸命取り組んでいく、その姿勢を伺って、うれしく思います。
 ぜひとも皆さんも関係する企業の方に、こうした雇用率が高まるように情報提供も一緒にしていっていただきたいと思うわけであります。
 また、難病患者の方、あるいは最近本当にサバイバーの方が発信されていますがん患者の方が離職せずに働き続けるための環境整備、こうした視点も重要であります。
 都は、平成二十九年度より、難病患者やがん患者の皆様の治療と仕事の両立支援ということで、その取り組む事業主を助成金によって支援しておりますけれども、今後もこの両立に向けた職場環境整備がさらに進むように、助成金制度の改善や周知の強化を図っていくべきであると考えますが、都の取り組みを伺いたいと思います。

○蓮沼事業推進担当部長 都は、難病患者やがん患者の方が安心して働き続けられるよう、休職後の職場復帰や新たな雇い入れの際に、事業主に対して助成金を支給しております。
 今年度は、職場復帰の際に支給する助成金を増額するとともに、通院する際に活用できる休暇制度やフレックスタイム制度等、雇用継続のための制度を新たに導入した場合、最大三十万円を加算することといたしました。
 来年度は、助成の対象となる休職期間を一カ月以上から二週間以上とする等、支給要件を見直すとともに、東京都社会保険労務士会や東京都医師会とも連携して、リーフレットの配布や会員向け広報誌への掲載、都内クリニックでのポスターの掲示等を行うことにより、助成金の周知とさらなる利用促進に取り組んでまいります。

○斉藤委員 来年度から助成の対象を、休職期間は一カ月以上から二週間以上と短くすると、それだけ早く退院されてこられる、そういう方がふえているということで、医療の進歩もございます。
 そして、東京都社会保険労務士会の中にも、仕事とがんの両立のための研究会などもつくって、研究されているというふうな話も伺いました。
 このように、都は、難病がん治療と仕事の両立推進向けて、企業への支援を実施しておりますけれども、難病がん以外の病気療養中の方が働き続けられるための環境整備もまた重要であることはいうまでもありません。
 これまで取り組んできた難病がん治療、特に育児、介護との両立と同様に、こうした病気治療中、療養中の方が仕事を続けることができるよう企業を支援するべきと考えますが、都の所見を伺います。

○蓮沼事業推進担当部長 都はこれまで、育児や介護、不妊治療など、家庭と仕事の両立ができる職場づくりに向けて、人事担当者向けの研修会の実施や社内の制度整備を後押しする奨励金制度などにより、企業の取り組みを支援しております。
 来年度は、さらに病気治療と仕事の両立推進に取り組む中小企業への支援を開始いたします。
 具体的には、病気治療中の方が活用できる休暇制度の整備や相談窓口の設置等を行う場合には奨励金を支給することに加え、就業継続に必要なテレワーク制度を整備する場合には、加算制度も設けてまいります。
 また、社会保険労務士等を中心に中小企業に派遣し、社内規定の整備に対する助言も実施するほか、家庭と仕事の両立支援ポータルサイトにおいて、企業が整備すべき制度や支援のポイント解説とあわせ、企業の好事例を紹介するなどにより、都内企業に広く取り組みを促してまいります。

○斉藤委員 質問は以上で終わりたいと思うんですけれども、難病を抱えながら、みずから難病の治療を受けながら、障害のある方を何とか元気にするために事業を行っている方がおられます。
 また、がんは二人に一人が罹患していくといわれている時代にあって、今までの社会保障のあり方も支える側をしっかりとふやしていく取り組みが必要である、これはもう皆さんが気がついているところでございますが、このように病気があっても、がんの治療があっても、さまざまな困難があっても、応援する存在があれば仕事と両立することができる、納税者となって支える側に入ることができる。その一方で、若年性認知症の方のように、就労が極めて困難になっていく方々、その方々に対しては、むしろ仕事の心配がなく支えていくことがより必要だ、こういった皆で支え合う社会をつくるためにも、雇用就業部の取り組みは非常に重要だと考えますので、今後、一人も置き去りにしない社会を目指して頑張っていきたいと思います。
 以上でございます。

○あぜ上委員 それでは、私から、まず観光事業について伺います。
 東京都観光産業振興実行プランでは、訪都外国人旅行者を二〇二四年には三千万人としていますけれども、その数値目標の根拠をお示しいただきたいと思います。

○鈴木観光振興担当部長 訪都外国人旅行者数の目標設定に当たっては、過去の旅行者数の伸び率や国が設定した訪日外国人旅行者の目標数値等を勘案し、二〇二〇年に二千五百万人及び二〇二四年に三千万人という目標を掲げております。

○あぜ上委員 最近は、地下鉄などに乗っても、本当に外国人の観光客の方が多いなということを実感しているんですけれども、三千万人ということは、今の倍の訪都外国人旅行者の方がいらっしゃるということなわけですね。
 じゃあ、約十五万五千室の都内の宿泊施設はどのくらいになるんだろうか、どういう具体策を講じていくんだろうかという点では、いま一つ見えなかったんですが、私自身が危惧しているのは、そうしたかなり過大な目標ということで、その設定が逆に住民不在の大規模な開発や、安全や環境を壊すような規制緩和につながったりしないのかというところを非常に心配しているところです。
 その一つには、以前の委員会でも取り上げたことがありましたが、違法民泊の問題なんです。
 先ほども民泊のお話があって、本当に日本の文化、それから、日本人の日常を知っていただく、そういう面での民泊の意義というのは確かにあるというふうに私も思うんですけれども、しかし、現実、まちではどうかということを考えますと、例えば、江東区なんかでは、条例で営業停止になるほどの問題、これは今はないというふうに区からも聞いておりますが、しかしながら、住民からの苦情、これはまだまだあるのが現状なんです。
 目標達成のためとして、違法な民泊などが拡大する危険をやっぱり私自身、非常に危惧しているんですけれども、民泊の現状、そして、この課題について、都の認識を伺いたいと思います。

○小沼観光部長 東京都におきましては、住宅宿泊事業法に基づきまして、保健所設置市を除く市町村区域での届け出を受け付けておりまして、三月十一日時点になりますが、百六十二件の届け出と、うち七件の廃業の届け出を受理してございます。
 民泊は、旅行者の多様なニーズに応えることが期待される一方で、生活環境に与える影響も懸念されることから、関係部署が連携した指導等によりまして、健全な民泊の普及に努めることが必要と認識してございます。

○あぜ上委員 都内で一番多い自治体というのは、ここ新宿区と伺っているんですが、新宿区では、いわゆる投機目的でこのマンションを買う人が多い、あるマンションではですね。管理組合の総会でもうほとんどの居住者が出てこなくて、規約改正がされてしまって、いわゆる民泊ができるようになってしまったということで問題になっているマンションもあるそうです。
 住環境を守ることが観光振興のやっぱり大前提でなければならないというふうに思います。そのことを改めて意見として申し上げておきたいと思います。
 また、このほどナイトライフ観光、これが位置づけられ、先ほど来、皆さんからもお話があって、三億四千二百万の予算がついております。このナイトライフ観光については、対象事業をどのように考えていらっしゃるのか。また、助成限度額が一億円というふうになっているんですが、具体的にどのような事業所に助成することを想定されているのか伺います。

○小沼観光部長 本助成事業におきましては、年間を通じて、夜の時間帯に開催する集客イベントや地域のナイトライフ観光の情報を発信する取り組みなどを支援してまいります。
 また、助成対象につきましては、区市町村や観光協会のほか、民間事業者の共同体などとする予定でございます。

○あぜ上委員 区市町村や観光協会、例えば島しょや多摩地域でそういった観光協会の支援をしていくということなどは、私も大いに進めていくべきだというふうに思うんですけれども、以前に別の局だったと思うんですが、ライトアップとか大手企業のイルミネーション、こういうところにも補助金交付がありまして、本当に、そういう意味では、会社のイメージ戦略としてやるようなところにまで支援をするというのが、本当に必要な支援なんだろうかということを指摘してきたことがございました。
 そういう点では、まだこれからの事業ということで、民間事業者の共同体ということは、具体的にはこれから内容が定まってくるものと思っておりますが、ぜひ補助金の支給要件、これを定める必要があるのではないかと思いますので、その点を求めておきたいと思います。
 補助対象については、今後、実績を見る中で引き続き注視をしていきたいというふうに思っております。
 また、この事業については、やはり近隣環境への配慮、これが非常に大事だというふうに思っています。
 実は、個人的なことをいって申しわけないんですが、私の自宅の目の前が、小名木川という川がありまして、舟運はとても大事な事業だと思うんですけれども、この小名木川を活用した夜の屋形船とか結構走っておりまして、数年前はかなりいろいろな苦情なんかもあって大変だったんですけれども、最近は住環境にも配慮してくださって、近隣とのトラブルもなくなってまいりました。
 そういう点では、ぜひ住環境にも配慮した、そういった事業推進にしていただきたいということを改めて要望しておきたいと思います。
 それから、皆さんからもバリアフリーのお話がありましたが、本当に観光事業がバリアフリーを促進する、そういう力になることは、住民にとっても、また、観光者の皆さんにとっても大変よいことだというふうに思いますけれども、来年度はバリアフリー助成もふやすということなんですが、この間の宿泊施設に対するバリアフリー補助、これを活用した宿泊施設はどこか教えてください。

○鈴木観光振興担当部長 宿泊施設バリアフリー化支援補助金は、都内の宿泊施設が実施するスロープの設置や客室のバリアフリー化の工事などに対し補助しております。
 この補助事業を活用した個別施設の具体的な取り組み状況につきましては、例えば部屋数が一桁の宿泊施設から千室程度のホテルまで、現在、東京観光財団のホームページに掲載してございます。

○あぜ上委員 私もその実績を見させていただきました。さまざまな宿泊施設のバリアフリーの補助になっているんだなということを改めて理解したわけですけれども、当初の、例えばゲストハウスとか、民宿とか、そういう支援は本当に必要な支援だというふうに思ったんですけれども、例えば、帝国ホテルとかホテルニューオータニ東京とか、みずから改修する力がある、そういったところまで東京都が補助するというのはいかがなものかなと私は思ったわけです。
 やはり宿泊施設のバリアフリー補助、これはあくまでも独自にバリアフリー整備が困難なところへの補助にすべきではないかということを指摘させていただきたいと思います。
 また、バリアフリーの問題では、日本が非常に欧米諸国に比べておくれている一つに、聞こえのバリアフリー、これが大変おくれているといわれております。
 例えば磁気ループといわれるヒアリングループですが、これのついたタクシーというのは、ロンドンでは一〇〇%でありますけれども、日本ではほとんどありません。オリンピックのアクセシビリティ・ガイドライン、ここにも、やはり聞こえの施設整備は見逃されがちだということが指摘されておりました。
 イギリスや北欧諸国では、駅や空港、タクシーには磁気ループが設置されておりますし、また、アメリカでも地下鉄の窓口、それから、ハンバーガーショップや博物館などへの設置が進んでいるところなんです。
 やはり、都においても、観光情報センターの窓口を初め、都の文化施設や都営交通への磁気ループやヒアリングループ、この設置を推進して、民間施設にも設置が広がるように先進的な取り組みを、産業労働局としても、ぜひ全庁的に広げていただくように、あわせて求めておきたいと思います。
 そもそも観光とは何かと。それは、やはり観光を通じた平和社会の構築であり、多様な文化や宗教の違いなどを超えた交流です。これは観光立国推進基本法にも、また、世界観光倫理憲章にも書かれているところでありますが、この平和と交流という目的を見失って、一部の人だけが稼げる東京のためのものにしてはならないというふうに私は考えております。
 観光立国推進基本法の基本理念、これを据えた取り組みがやはり大事だと考えておりますが、いかがでしょうか。

○鈴木観光振興担当部長 観光立国推進基本法では、地方公共団体は、基本理念にのっとり、観光立国の実現に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、自主的かつ主体的に、その地方公共団体の区域の特性を生かした施策を策定し及び実施する責務を有するとされております。
 都においては、こうした法律の趣旨も踏まえ、観光産業の振興に取り組んでおります。
 観光産業の振興は、旅行者の消費、宿泊費、飲食費、買い物代などの観光消費を通じまして、幅広い産業に経済面の波及効果と雇用の創出効果を生み出し、地域の活性化に寄与するものでございます。
 観光産業振興実行プランで掲げた目標の達成に向けて、引き続き取り組んでまいりたいと思います。

○あぜ上委員 地域経済にとっても、活性化にとっても、非常に大事だというのは理解しておりますけれども、結果として、観光を理由に住民の日常が軽んぜられるという状況があってはならないと思います。
 まさに観光の目的、理念とは、豊かな国民生活の実現というのが基本だということをしっかり踏まえる必要があると思います。
 今、観光振興のためということで、羽田空港の増便計画も出ておりますが、そうなりますと、羽田空港の増便によって航空路が大幅に変わって、私の地元でいえば、江東区でいいますと、北風のときには出発便が江東区の上空を高度九百メートルから千二百メートルで、騒音七十デシベル以上で、山手線並みに頻繁に飛行機が飛ぶことになってしまうんです。
 住民、都民の健康や日常生活が脅かされるような、また、環境悪化につながるような観光事業は、やっぱり進めてはならないと思います。住んでよし、訪ねてよしの観光事業を丁寧につくり上げていく、そのことを強く求めたいと思います。
 さらに申し上げれば、観光振興の名で絶対に進めてはならないと思っていますのがカジノです。民営の賭博は射幸性を高めて、ギャンブル依存症をふやすほどもうかるというものであります。
 人の不幸を土台にして、経済成長、また、観光振興という考え方は、やはり私は納得できません。そういう点では、そのことを意見として申し上げておきたいと思います。
 次に、最低賃金についてです。
 健康的な生活を営むために、賃金の保障というのは不可欠なわけですが、どれだけの収入があれば、健康で文化的な生活が営めるのかという目安を算定するために、最低生計費調査は大変重要です。
 静岡県立大学の短期大学部の中澤秀一准教授は、二〇一五年から全国十二道県で最低生計費調査に取り組まれました。そして、現在、三府県で調査を進めていらっしゃると伺っています。
 世帯類型や世代を考慮しつつ、生活に必要な物資の品目を個別的に積み上げていって算出するというのが最低生計費調査だということだそうです。その調査では、政府が目標としています年間千八百労働時間で換算しますと、少なくとも時給千五百円レベルでないと普通の暮らしの水準に達しないとしております。
 最低賃金法では、最低賃金は労働者の生計費を考慮して定められるということになっています。にもかかわらず、最低賃金を決める場合、生計費関連の統計が資料にされているということはほとんどないといわれているのが、残念ながら現状であります。
 都は、先日、私たち議員にも報告書が配られましたけれども、中小企業の賃金調査をされていますが、これは大変重要な調査だと思っています。
 こうした賃金調査を今後も継続するとともに、最低生計費の調査も私はやる必要があると思いますが、いかがでしょうか。

○篠原雇用就業部長 都は、都内中小企業の賃金等につきまして実態を把握するために、中小企業の賃金、退職金事情調査を毎年度実施しておりまして、来年度も行う予定でございます。
 なお、東京都の最低賃金の決定に当たりまして必要な調査につきましては、国の機関である東京労働局において毎年実施されております。

○あぜ上委員 実は、私たち日本共産党都議団は、毎年、東京労働局長に対しても、申し入れをしているんですが、この調査をしている形跡はないんですね。
 国にやはり求めていただくとともに、東京都としても、やっぱり都内の労働者の実態をしっかりと把握するために、最低の生計費調査を行うべきだと考えます。
 最低賃金を引き上げることは、地域経済を潤します。アメリカでは、最低賃金を引き上げてきた十の州で失業率が低下しました。経済の成長のために、最低賃金の引き上げは大変効果的です。
 しかし、事業者の支払い能力は最低賃金の引き上げに追いつくでしょうか。
 都として、中小企業、小規模企業の賃金調査を継続するとともに、賃金の引き上げに不安を感じる中小企業、小規模企業に対して、労働者への賃金問題での要望等の聞き取りをすべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○篠原雇用就業部長 最低賃金の仕組みは、労働者の生活の安定や経済の健全な発展に寄与するものでございます。その額は、最低賃金法に基づきまして、公益、労働者、使用者の三者の代表が審議した上で、地域の労働者の生計費や賃金、企業の支払い能力を考慮して国が定めることとなっております。
 都は、この制度が適切に適用されるべきものと考えております。

○あぜ上委員 私は、国の施策に生かす上でも、中小、小規模企業に対して、やはり労働者への賃金問題での要望と聞き取りをするべきだと考えます。ぜひ実施をしていただきたいと、これは要望しておきたいと思います。
 最低賃金大幅引き上げキャンペーン二〇一九という最低賃金の引き上げを求める民間団体は、二月の二十五日、各都道府県に設置された地方最低賃金審議会の公開度のランキングを発表いたしました。
 この地方最低賃金審議会公開度ランキング、これは二〇一七年度の審議会についての会議の公開状況や労使の意見を聞いているかなどの評価をしているんです。このランキングでは、何と東京は最下位、四十七位となっております。
 東京の最低賃金審議会の公開、これはやはり都としてもしっかり求めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○篠原雇用就業部長 東京地方最低賃金審議会につきましては、国の規定によれば、会議は原則として公開とする、ただし、公開することにより、個人情報の保護に支障を及ぼすおそれがある場合、個人もしくは団体の権利利益が不当に侵害されるおそれがある場合、または率直な意見の交換もしくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがある場合には、会長は会議を非公開とすることができるとされております。
 都としましては、この規定に基づき、国の責任において適切な運営がなされるべきと考えております。

○あぜ上委員 ぜひ国任せにしないで、都からも意見を上げていただきたいと、都民の、都の労働者の立場に立っていっていただきたいなと思うんです。
 現在は、全ての地方最低賃金審議会で労働者側の意見陳述、これが行われるようになりました。最近なりました。これは前進だと思っています。
 また、東京労働局は、二〇一七年度まではホームページに議事要旨しか公開していなかったんですけれども、二〇一八年度から議事録を公開する、そういう改善はされてき始めています。
 しかしながら、具体的な金額や詳細な資料、こういったものは依然として添付されておりません。記載されてもおりません。
 生活の基盤となる最低賃金が、結局、密室で決められていくということは許されないことだと思います。最低賃金を決定する最賃審議会のさらなる公開性を求めていかなければならないと、それは私たち自身の課題であると思っていますが、ぜひ東京都としても、国に対し、最低賃金審議会の改善、公開を求めていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。

○小林委員 遅くまでありがとうございます。
 私からは、二つのテーマについて、五点お伺いをさせていただきます。
 初めに、都市農業振興についてお伺いいたします。
 江戸東京野菜の生産、流通拡大の推進についてですが、江戸東京野菜は古くから受け継いだ種や伝統的な栽培方法により生産される野菜であり、それぞれが持つ由来や歴史、個性豊かな味や形により、都民の食に彩りを加える食材として東京の貴重な財産といえます。
 最近は、都内各地で江戸東京野菜を活用したイベントなどが実施されているほか、都立高校においても、栽培に取り組む事例があると聞いております。
 私の地元練馬区においても、江戸東京野菜である練馬大根の種を大切に守り、手間暇かけて育てている農家さんがいらっしゃいます。また、練馬大根を活用した商品開発を初め、地域活性化に向けた取り組みが生まれ、定着をしてきているところでございます。
 特に、毎年十二月に開催される恒例の練馬大根引っこ抜き競技大会は、地元農家の方が育ててくださった練馬大根を制限時間内で何本引っこ抜けるかや、大根の長さを競う競技として定着して、一昨年は三分間に四百九十二人が同時に練馬大根を引っこ抜いた記録がギネス世界記録に認定もされました。
 また、昨年は、小池知事、また、濱村農林水産大臣政務官も参加され、東京の都市農業を代表するイベントとなりました。
 練馬大根を初めとする伝統ある江戸東京野菜をどのように守り伝え、また、普及拡大を進めていくのか、来年度の都の取り組みについてお伺いします。

○龍野安全安心・地産地消推進担当部長 これまで都は、江戸東京野菜の普及拡大を図るため、安定生産に向けた栽培指針の策定や、流通や飲食店等事業者向けの圃場見学会等を実施してまいりました。
 来年度は、新たに農業団体と連携し、江戸東京野菜の普及拡大に向け、推進体制を整備いたしますとともに、農業者が新たな作付を行う場合に生産支援金を支給してまいります。
 また、ユニークベニュー等を活用した試食イベントの実施など、都民や飲食事業者向けのPR施策の強化に取り組んでまいります。
 こうした取り組みを通じて、江戸東京野菜を東京農産物のPRを進める上でのシンボルにも位置づけ、その普及拡大を図ってまいります。

○小林委員 次に、東京都GAPの推進についてお伺いします。
 都は、今年度から、東京都GAP認証制度を開始し、これまで農業者や農業高校など十三件を認証しており、加えて、現在、四十件近くの農業者などが取得を目指して取り組み中と聞いております。
 GAPは、二〇二〇大会への食材提供だけでなく、持続可能な農業を推進していく上でも重要な取り組みであります。
 このGAP認証取得については、一昨年の第四回定例会、また、昨年の第四回定例会の一般質問でも取り上げさせていただきましたが、昨年の一般質問では、今後さらにGAPの認証取得を進めていく上では、都民への普及啓発や農業者の負担軽減が必要と質問をさせていただきました。
 藤田局長からは、こうした課題について検討していくとの答弁がありましたが、その後、どのような検討がなされたのか、来年度の具体的な取り組みについてお伺いします。

○龍野安全安心・地産地消推進担当部長 東京都GAPのさらなる普及に向け、都は、来年度からは、農業者が認証に当たって必要となる農薬保管庫の整備や保冷施設の改修、残留農薬や農業用水の分析検査など、こうした経費の二分の一を補助する事業を開始いたします。
 また、都の普及指導員とJA営農指導員とが連携して農業者を手厚く指導できるよう、営農指導員に対し、GAP指導員資格を取得するための費用も支援してまいります。
 さらに、都民や流通事業者などを対象としたシンポジウムを開催し、GAPに先進的に取り組む農業者の事例発表等を行うとともに、PR動画を作成し、インターネット配信や直売所で放映するなど、GAPの意義やその重要性について広く周知を図ってまいります。
 こうした取り組みにより、東京都GAPの認証取得を促進し、東京二〇二〇大会とその後の持続可能な東京農業を実現してまいります。

○小林委員 都市農業については、年々、農地が減ってきている中において、やはり着実に手を入れて、きちんと振興させていくというこの深い決意のもとで施策を充実していく中でしか振興が図れないというふうに思っておりますので、ぜひとも着実な振興策の前進、お願いをしたいと思います。
 次に、アニメ振興について伺います。
 初めに、観光振興の観点から伺わせていただきますが、近年、地域の観光名所や特産品などをデザインとして取り込んだ下水道のマンホールぶたがご当地マンホールとして注目を集めています。
 全国では、アニメなどのキャラクターを活用したデザインも多く見られ、アニメファンが現地を訪れるなど、地域の魅力を伝える新たな観光資源として活用している事例も見られますが、都内では、アニメなどを活用したデザインは、まだまだ少ない状況でございます。
 東京には、アニメ制作会社や作品ゆかりの地など、アニメ関連の産業、観光資源が数多く存在しております。
 来年度より、新規事業として実施するアニメ関連観光情報等発信事業は、話題のマンホールぶたにアニメなどのキャラクターデザインを施し、新たな観光資源として活用していくと聞いており、東京に集積するアニメ関連産業のキャラクターを生かす効果的な取り組みとして注目をしておりますが、具体的な取り組みについてお伺いいたします。

○小沼観光部長 都はこれまで、クールジャパンとして注目されておりますアニメや漫画等のコンテンツを活用して、観光振興を行う区市町村や地域の取り組みを支援してまいりました。
 来年度は、これらに加えまして、地域にゆかりのあるアニメ、漫画等のキャラクターを活用しました下水道デザインマンホールぶたの設置を促進し、新たな観光資源として活用する取り組みを進めてまいります。
 具体的には、都が公共下水道の管理を担っております特別区内におきましては、地元自治体と連携してデザインマンホールぶたを設置するとともに、マンホールを活用した観光情報の発信などを行います。
 あわせて、みずから公共下水道事業を行っております市町村に対しましては、デザインマンホールぶたの設置等に係る経費と、マンホールを活用した観光イベントや情報発信に係る経費を合わせて最大一千八百万円を上限に助成を行ってまいります。

○小林委員 これから区市町村の意向も確認をしながら事業展開を進めていくこととなり、さまざま調整も必要となると思いますので、実際の各地域のマンホールぶたの設置にはしばらく時間を要すると思いますが、各地域にマンホールぶたの設置が完了したならば、それらの情報を集約して、情報発信の取り組みも進めていただくよう要望いたしたいと思います。
 次に、クリエーターなどの育成の観点から伺います。
 東京の持続的な発展のためには、経済の活性化が求められていますが、足元では、少子高齢化が進行し、人口減少により、国内市場は縮小傾向にあります。このため、都内企業が今後も成長していくためには、海外での販路開拓を行い、その市場を取り込むことは重要であると考えます。
 これまでの従来型の産業では、新興国などの技術水準が上がってきていることから、国際競争は厳しさを増しています。
 そこで、日本の魅力を活用する産業分野においても、海外需要を獲得し、関連産業の雇用を創出することは有効な方策と考えております。例えば、アニメやファッションなどのいわゆるクールジャパン関連商品は、海外でも非常に人気があり、日本の強みでもあります。こうした強みを生かした産業分野のクリエーター支援にも、都は力を入れるべきであると考えます。
 東京都中小企業振興ビジョンでは、ファッションやコンテンツの分野などで、将来有望なクリエーターなどの力を伸ばすサポートを行うとありますが、その内容についてお伺いいたします。

○坂本商工部長 都では、東京の産業の発展に向けて高いポテンシャルを持つ、ファッション、アニメ、伝統工芸の分野でデザイナー等が世界に進出して力を発揮できるようサポートを行っております。
 具体的には、ファッションのデザイナーが海外の展示会に出展するほか、パリのファッションウイークにおいて作品を発表して商談に結びつける取り組みをサポートしております。
 また、アニメを制作するクリエーターについて、海外の見本市に出展し、ビジネスを生み出すきっかけづくりに結びつける支援を行っているところでございます。
 さらに伝統工芸の若手の職人が海外でも認められ、販売のできる商品を開発し、商談を行うことのできるよう専門家が助言や仲介を行うサポートを実施しているところでございます。

○小林委員 私の地元の練馬区では、アニメ産業が集積しておりまして、こうした背景のもと、日本のアニメ発祥の地であり、国内最大のアニメ企業集積を誇る練馬区と、世界最大のアニメ映画祭が開催されるフランスのアヌシー市との間で、アニメ産業交流協定を締結しております。
 一方、地元でアニメ事業者の方ともお話しする機会がありますが、まだまだ経営が厳しい状況もあると聞いております。
 海外では、国内とアニメ制作の仕組みが異なっており、中小零細の事業者でも作品に対する一定の権利を有しながらビジネスに参加することへのハードルが低く、出資を受けたり、共同制作などによって、自社のオリジナル作品が成立しやすい環境にあります。
 また、海外の市場は順調に拡大してきており、日本のアニメに対する海外の関心はとても高いことから、アニメの海外展開を支援することは特に効果的であると考えます。
 そこで、アニメ事業におけるクリエーター支援のこれまでの取り組みと今後の方向性についてお伺いいたします。

○坂本商工部長 都では、海外進出を希望するアニメーションのクリエーターを対象として、外国の取引慣行や市場ニーズなどを学ぶことのできるセミナーを年五回にわたり開催し、ワークショップ形式の講座も二回実施をしているところでございます。
 こうしたセミナーなどに参加をしたクリエーターが企画内容を発表するコンテストを行いまして、そのクリエーターの所属する八社を選ぶとともに、海外でのビジネス展開が見込める五社につきましては、フランスで開かれる世界でも最大規模のアニメーションの商談を行う見本市、こちらに出店をするサポートを実施しているところでございます。
 この見本市での商談がより効果的に進むよう、マーケティングに詳しい専門家などがフォローアップも行っているところでございます。
 海外取引の拡大には長い時間が必要となることから、サポート事業を継続し、その充実も図ることによりまして、クリエーターの取り組みを後押ししてまいります。

○小林委員 今、ご答弁にもありましたが、クリエーターへの支援の取り組みは、単発ではなく、継続性を持って取り組んでいかねばならないと思います。
 日本を代表するアニメ文化を支えるこうしたクリエーター支援は、今後も多角的に支援を充実させていただくよう要望いたしまして、質問を終わります。

○中山委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○中山委員長 異議なしと認め、予算案、知事提出の付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。

○中山委員長 次に、付託議案のうち、議員提出議案の審査を行います。
 議員提出議案第三号を議題といたします。
 本案について提出者の説明を求めます。

○尾崎委員 東京都中小企業振興対策審議会条例の一部を改正する条例案提案について説明いたします。
 中小企業振興対策審議会は、条例で設置されている審議会であるにもかかわらず、ものづくり支援の重要な答申をまとめた二〇〇四年以降、一度も開かれていません。
 我が党は、これまで繰り返し、最近では、昨年第四回定例会の代表質問で審議会の開催を求めてきましたが、知事も所管局の産業労働局も開かない理由をはっきり説明していません。
 昨年十二月、中小企業・小規模企業振興条例が制定され、中小企業振興対策、小規模企業振興対策の抜本的拡充が求められるもとで、このような状況を続けるわけにはいかないと判断し、知事の諮問がなくても開催できる審議会の招集権を知事ではなく会長とする、必要に応じて知事に建議できることとする、そして、毎年一回以上開催することとするなどを内容とする条例改正を提案することにしました。
 あわせて、条例の名称を中小企業・小規模企業振興条例に合わせるとともに、審議会の所管事項についても、中小企業・小規模企業振興条例の制定を踏まえたものにしています。
 皆さんのご賛同をお願いいたしまして、提案説明といたします。

○中山委員長 説明は終わりました。
 これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○中山委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○中山委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で産業労働局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後十時五十九分散会

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