経済・港湾委員会速記録第十二号

平成三十年十月二日(火曜日)
第八委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長伊藤 ゆう君
副委員長上野 和彦君
副委員長山崎 一輝君
理事栗下 善行君
理事尾崎あや子君
理事小山くにひこ君
鈴木 邦和君
細田いさむ君
柴崎 幹男君
舟坂ちかお君
ひぐちたかあき君
のがみ純子君
森村 隆行君
あぜ上三和子君

欠席委員 なし

出席説明員
産業労働局局長藤田 裕司君
次長十河 慎一君
総務部長寺崎 久明君
産業企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務武田 康弘君
商工部長坂本 雅彦君
金融部長加藤  仁君
金融支援担当部長川崎  卓君
観光部長小沼 博靖君
観光振興担当部長鈴木 誠司君
農林水産部長上林山 隆君
安全安心・地産地消推進担当部長龍野  功君
全国育樹祭担当部長村西 紀章君
雇用就業部長篠原 敏幸君
事業推進担当部長蓮沼 正史君
中央卸売市場市場長村松 明典君
次長古谷ひろみ君
理事福田  至君
管理部長岡安 雅人君
事業部長長嶺 浩子君
企画担当部長吉村 恵一君
渉外調整担当部長豊洲にぎわい担当部長兼務石井 浩二君
市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務松田 健次君
財政調整担当部長猪口 太一君
移転支援担当部長赤木 宏行君
新市場整備部長福崎 宏志君
新市場整備調整担当部長影山 忠男君
新市場事業推進担当部長堀   真君
移転調整担当部長前田  豊君
事業支援担当部長西坂 啓之君
環境改善担当部長佐々木宏章君
技術調整担当部長鈴木  理君
施設整備担当部長渡辺 正信君
建設技術担当部長吉野 敏郎君
港湾局局長斎藤 真人君
技監小野 恭一君
総務部長梅村 拓洋君
労働委員会事務局局長池田 俊明君

本日の会議に付した事件
産業労働局関係
契約議案の調査
・第百七十八号議案 産業交流拠点(仮称)及び八王子合同庁舎(三十)新築工事請負契約
報告事項(質疑)
・私債権の放棄について
・平成二十九年度地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター業務実績評価について
中央卸売市場関係
報告事項
・千客万来施設事業(六街区)基本協定書の変更について(説明・質疑)
・水産仲卸売場棟西側バースの舗装のひび割れについて(質疑)
特定事件の継続調査について

○伊藤委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 契約議案について申し上げます。
 契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することとなっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成三十年九月二十七日
東京都議会議長 尾崎 大介
経済・港湾委員長 伊藤 ゆう殿
   契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
     記
1 調査議案
 第百七十八号議案 産業交流拠点(仮称)及び八王子合同庁舎(三十)新築工事請負契約
2 提出期限 平成三十年十月二日(火)

○伊藤委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、産業労働局関係の契約議案の調査、産業労働局関係及び中央卸売市場関係の報告事項に対する聴取並びに特定事件の閉会中の継続調査の申し出の決定を行います。
 これより産業労働局関係に入ります。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第百七十八号議案を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○尾崎委員 産業交流拠点、仮称ですが、及び八王子合同庁舎新築工事について、確認のために幾つか質問をしたいと思います。
 私はこの間、産業交流拠点について、委員会でも取り上げてきました。
 多摩地域に産業交流拠点は必要であり、業界団体からも、どのようなものになるのかと期待の声がたくさん寄せられています。
 いよいよ工事契約となったわけですが、住民説明会は、この間、いつ行ってきたのか伺います。

○坂本商工部長 産業交流拠点及びそれと一体的に整備をする庁舎について、平成二十九年の五月と十一月に住民説明会を行っております。
 五月の説明会におきましては、産業交流拠点や都の合同庁舎等が合築で整備をされることや拠点の内部のレイアウトのほか、今後のスケジュールなどについて情報の提供を行ったところでございます。
 十一月には、拠点の具体的な建築計画や工事車両の運行など、近隣への影響等に関して説明を行いました。

○尾崎委員 それでは、産業交流拠点の整備に当たり、地元市や業界団体などとの意見交換はどのように行ってきたのか伺います。

○坂本商工部長 産業交流拠点に関して、地元の自治体や経済団体などと意見交換会を、平成二十七年十二月と平成二十九年一月の二回にわたり開催いたしました。
 それらの場では、拠点の効果的な活用やサービス内容などについての意見の交換が行われたところでございます。

○尾崎委員 私は二〇一五年三月の経済・港湾委員会で、八王子市で産学連携に取り組んでいる多摩協会から寄せられた要望を紹介し、展示場ホール、インキュベーション施設、会議室などを要望しました。
 そこで、産業交流拠点の施設の機能や規模などについて、地元市や業界団体などから具体的にどのような要望が寄せられているのか伺います。

○坂本商工部長 産業交流拠点に関して、地元の自治体や経済団体から産業の交流を飛躍的に広げる場とするため、大規模な展示会場を設けるべきとの意見や多目的の施設として幅広い利用を可能にしてほしいとの要望が寄せられました。
 また、施設の中で産業面の人材育成や学術的な会議の打ち合わせなどができるスペースを確保するべきとの提案がございました。
 いずれも適切に対応してございます。

○尾崎委員 工事期間は約四十カ月で、二〇二二年、平成三十四年二月末に竣工予定ということです。
 一階、二階、三階が産業交流拠点で、四階、五階が八王子市保健所、六階、七階が東京都八王子合同庁舎となるということも伺っています。
 多摩地域の産業交流拠点ということですから、多摩地域の産業の特徴がわかるパネルや多摩地域の地場産業や伝統工芸品、中小企業が取り組んでいる新製品などを展示する常設場を設置して、多くの方に知っていただくようにすべきだと要望するものです。
 また、創業を考えている人や新商品の開発などでも活用できる場所の提供もぜひ検討していただきたいと思います。駅から近く、大変便利な立地条件であり、気軽に市民も利用できるようにしていただきたいと思います。
 打ち合わせができるスペースや喫茶コーナーなども、ぜひ検討していただきたいと要望しまして、質問を終わります。

○伊藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○伊藤委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 お諮りいたします。
 本案は異議のない旨、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○伊藤委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。

○伊藤委員長 次に、報告事項、私債権の放棄について外一件に対する質疑を一括して行います。
 本件については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○鈴木委員 私からは、都の産業技術研究センターについて、特に中小企業支援を目的とした同センターの研究力をいかに強化していくかという視点で質疑をさせていただきます。
 実は私も、工学部時代にマイクロスケールの3Dプリンティングの研究に従事しておりまして、光造形によるオーバーハング構造体の製造方法に関する特許を持っております。
 そうした視点で、産技研の本部とロボットセンターを先日、見学させていただきました。
 特に、依頼試験や機器利用などでは、産技研が中小企業の役に立っているということを強く実感いたしました。
 一方で、産技研の研究力については、さらに向上の余地があると考えています。
 幾つかの観点から見る必要がありますが、例えば、センター全体の予算における外部獲得資金の比率は注目すべきです。
 特に、ほかの研究機関や大学と競い合って公的財源を獲得する提案公募型の外部資金は、センターの研究の競争力を図る重要な指標になります。
 しかし、昨年度の業務実績報告書も含めて資料を拝見しますと、この四年間の外部資金比率は、研究センターの予算額のわずか一%から二%前後にとどまっており、ここは研究所としての課題の一つだと考えています。
 外部資金導入研究の提案公募型研究について、単年度で短期的に見るよりも、長期的なトレンドを見る必要があります。
 第二期中期目標期間と比較してみると、実施数は増加傾向にあるものの、獲得した金額については減少傾向にあるように見えますが、まず、このトレンドについて見解を求めます。

○坂本商工部長 産業技術研究センターでは、中小企業の技術開発の支援に役立つ研究を行うための財源を確保し、その多様化も図るために、外部資金による研究をふやす取り組みを進めております。
 このため、公的な機関の示すテーマに応募をして実施する提案公募型の研究の件数は増加傾向となっております。
 こうした研究は、平成二十三年度にスタートした第二期中期目標の五年の期間におきましては、二十件台から三十件台で推移をしておりましたが、第三期の目標期間であります平成二十八年度と二十九年度はともに四十件台となってございます。
 一方で、提案公募による研究は、テーマに応じて経費の水準は異なるため、件数が増加しても資金はふえないというような場合もございます。
 こうしたことから、平成二十九年度のように、外部資金の金額が第二期の目標期間の平均を下回る状況となるようなこともございます。
 同センターにおきましては、研究員の能力の向上を目指し、若手による外部資金導入研究を後押しするほか、国の公募の仕組みに関する研修を行い、さらに、新規採用時に応募に取り組むよう、後押しを強化してございます。
 こうした取り組みによりまして、研究員の能力のレベルを中長期的に高め、外部資金による研究を含め、中小企業への技術支援に向けた力の向上を図ることとしております。

○鈴木委員 外部資金による研究をふやす取り組みは進めているとのことでした。
 産技研のように、応用研究機関として世界で最も成功をおさめているものの一つが、フラウンホーファー研究所です。
 欧州最大の応用研究機関であるフラウンホーファー研究機構は、ドイツ各地に七十二の研究所を構え、年間研究費総額二十三億ユーロに上り、二万五千名のスタッフが活動しています。
 フラウンホーファー研究所の特徴は、研究費の実に七〇%以上が民間企業からの委託契約、さらに公的財源による研究プロジェクトから発生している点にあります。
 収入をふやすためには、より多くの契約を獲得しなければならないこのモデルこそが、研究力向上の原動力となってきました。
 現在、フラウンホーファー研究所の年間特許収入は一億二千万ユーロにも上っているとのことです。
 また、産業界との契約は、年間約九千件、四万五千二百万ユーロに達しています。
 今後、厳しくなっていく都の財政状況を見据えますと、研究活動などの質的な向上を図り、都産技研の事業成果を外部資金の獲得につなげていくことが重要です。
 例えば、フラウンホーファー研究所などを参考にするなど、今後の事業運営に生かしていくべきだと考えますが、見解を伺います。

○坂本商工部長 産業技術研究センターでは、平成二十九年度より、中小企業によるIoT技術の活用を後押しする事業を開始しており、そうした取り組みを先進的に既に展開をしているドイツの企業や研究機関の状況を調べてございます。
 この中で、フラウンホーファー研究機構がIoT技術の開発や普及を推進するドイツのインダストリー四・〇のプロジェクトにおいて、民間からの外部資金も活用しながら大きな役割を担っている状況について確認はしてございます。
 今のお話にもありましたとおり、その研究予算のうち約七割は、外部の民間企業からの委託や公的財源による研究プロジェクトにより提供されてございます。
 これは、都が支出をする運営費交付金を主な財源としております産業技術研究センターとは、財源の構成や事業運営では異なる面があるものと考えてございます。
 一方で、研究センターの運営に役立つ部分に関しましては、外部資金の導入などを含めて、機構の内容を研究することは、こちらは重要な視点でございます。
 このように産業技術研究センターとして、国内外の研究機関の運営方法に関する情報を集めて、事業展開に生かす工夫を行うことは有益であると考えてございます。

○鈴木委員 国内外の研究機関の運営方法に関する情報を集めて、事業展開に生かす工夫を行うことは有益とのご答弁でございました。
 ぜひフラウンホーファー研究所には日本代表部もありますので、一度足を運んでいただければと思います。
 ちなみに、フラウンホーファー研究所は各学会での存在感も高いですが、人材の転出率も高いことが特徴です。数年勤めた研究員が、その後に大学や民間企業に転職し、ドイツの産官学連携の核になっています。
 近年、研究者の任期は、一般的に三年から四年ほどになっており、その期間内に成果を問われる環境にあります。
 研究は、期間を設定してインセンティブを持たせないとなかなか成果が出にくい側面があるのは、私も研究時代に実感してきたことであります。
 経済産業省によると、日本の公的機関全体の転出率は一二%ですが、都産技研の転出率は一%から二%前後と聞いており、人材の流動性が低いことも課題です。
 こうした課題についても、ぜひフラウンホーファー研究所を参考にしていただきたいと思います。
 さて、これまで都の産技研では多くの特許を取得してきましたが、特許も研究の質を定量的にはかるための一つの目安になります。
 特許の取得には、過去からの研究の蓄積とほかにはない優位性の構築が不可欠であり、その重要性を認識しております。
 一方で、特許を取得しても事業化、製品化に至らないことの方がはるかに多いのが実情です。
 産技研では、毎年六十億円近い公金を投入されており、創出された研究成果を効果的に普及、実用化し、中小企業や都民生活にどう還元しているかを厳しく問われる立場にもあります。
 そこで、企業では特許などの知的財産権をどのように活用し、どのように管理するか、特許戦略を持つことが重要といわれていますが、産技研では特許など知的財産取得に関してどのような方針を持っているのか伺います。

○坂本商工部長 産業技術研究センターでは、平成二十九年度に研究の成果を特許として国内で新たに二十四件登録し、年度末までの累計を百六十八件としてございます。
 こうした特許や実用新案のような知的財産を確保して、中小企業の支援に向けて戦略的に活用するため、同センターは三十年一月に知的財産基本方針を制定いたしました。
 この基本方針の中におきましては、産業技術研究センターの知的財産を、中小企業による付加価値の高い新製品や新サービスの開発に向けた支援において積極的に活用することを基本理念として掲げてございます。
 また、具体的な取り組み内容では、研究部門と知的財産を管理する部門とが協力し、製品化に結びつく可能性の高い発明を特定するほか、弁理士などと連携いたしまして、知的財産としての保護が広く及ぶ特許などをふやすとともに、研究員にも特許取得に取り組むインセンティブが働く配慮をすることを挙げてございます。
 また、特許等の登録を続けるコストとその効果を比較検証し、権利を維持し続けるかどうかを定期的に見直すとともに、中小企業に対して同センターの保有する知的財産に関する情報を発信することとしてございます。
 この方針に基づきまして、同センターでは知的財産の戦略的な活用を図り、中小企業の技術開発を適切に支援することとしてございます。

○鈴木委員 特許の価値は、文献の引用数や牽制数などではかることができまして、現在は出願書類の閲覧が請求された件数、あるいは技術文献の被引用数、さらには牽制数などを無料で調査することができます。
 こうした調査も活用しながら、都の産技研の持つ特許の価値向上に努めていただきたいと思います。
 次に、人材の育成について伺います。
 都が現在策定中の中小企業振興条例においても、人づくりは重要なテーマです。
 しかし、ほかの自治体では、条文だけで形骸化している例も見受けられ、条例とともに実効性のある施策を展開していくことが必要です。
 また、先日、センターに実際に伺ったときに、現場で働く職員の方からは、都の産技研を活用する中小企業はやはり限られているということが一つの課題だと伺いました。
 こうした広報の課題と先ほどの人材育成の観点を踏まえると、若い人材のインターンシップは有効な解決策だと考えています。
 現状は、大学生のインターンシップを中心に受け入れていますが、都の産技研のターゲットとなる中小企業に就職するのは、むしろ工業高校や専門学校の学生です。
 そこで、これから企業の利用数をさらにふやしていくためには、将来の顧客、パートナーとなり得る都立工業高校や産業技術高専の学生についても、さらなる学校単位の見学やインターンの受け入れなどを検討すべきではないかと考えますが、都の見解を伺います。

○坂本商工部長 産業技術研究センターでは、学生のインターンシップとして、本部において都立産業技術高等専門学校の二名の学生が二週間、多摩エリアの支援拠点でございます多摩テクノプラザにおいて都立の工業高校の二名の生徒が三日間に、それぞれ渡りまして、依頼試験での機器操作やセミナーの準備作業を体験をしているところでございます。
 また、本部で平成二十九年九月に開催した施設公開に、さまざまな学校の生徒が見学に訪れるよう、国立や都立の高等専門学校など三校に案内を行っております。
 さらに、都立の科学技術高校など二校に研究員を講師として派遣して、環境分野での研究開発の現状等を授業の中で紹介して、センターに対する関心を高める工夫を行っております。
 今後は都内の高等専門学校などに対して、学生によるインターンシップや見学がふえるよう働きかけを強めるとともに、授業での科学技術に関する教育の充実に向けたサポートに取り組む予定としております。
 こうした対応を進めて、センターの認知度を高めて、中小企業からの利用の向上に結びつけることとしております。

○鈴木委員 最後に、第四期中期計画に向けた重点分野について伺います。
 近年のテクノロジーの発展は目覚ましいものがあります。都の産技研が新たに拠点を設立したIoTやロボット以外にも、多くのキーテクノロジーが生まれています。
 ことし、世界経済フォーラムの第四次産業革命ジャパンセンターが設立しました。
 本センターは、世界経済フォーラムが米国外で初めて立ち上げる新しいグローバルネットワークの拠点です。
 世界経済フォーラムでは、世界経済の新たな成長を担う分野として、人工知能、IoT、ブロックチェーン、自動運転、ドローン民生利用、越境データフロー、精密医療、海洋環境などを重要なテクノロジーとして位置づけており、その中でも、日本に特に期待される領域はモビリティーとヘルスケアとされています。
 このモビリティーは、世界でも圧倒的な力を持つ自動車業界と世界有数の公共交通機関を要する日本にとっては、既に強みとなっている領域です。
 特に、第四次産業革命により自動運転に対応した車両やカーシェアリングの登場に伴って、文化として根づいていたマイカーと公共交通機関との境界が変化してきています。
 また、ヘルスケアの領域ですと、日本の国民健康保険制度はデータの宝庫であり、高齢化が進み、医療費が高騰している国々にとっては、イノベーションが生まれる最大のチャンスでもあります。
 日本の研究機関がこうした領域にさらに力を入れていき、中小企業の技術革新を後押ししていくことは有意義です。
 都の産技研では、二〇一六年から二〇二〇年までの第三期中期計画を実行している最中ですが、二〇二一年から始まる第四期中期計画に向けて、今から検討を始める段階と伺っております。
 そこで、都の産技研の技術的な優位性が高い領域も十分に踏まえつつも、自動運転、ヘルスケア、ドローン、AIなど将来の東京の都市のシステムの中心を担い、成長産業としても期待できる分野については、都の産技研の第四期中期計画に向けて、重点分野として検討していくことが必要だと考えますが、都の見解を伺います。

○坂本商工部長 産業技術研究センターでは、平成二十八年度からの五年間にわたる第三期中期計画の中で、重点的に対応を進める環境・エネルギーや生活技術・ヘルスケアなど四つの分野におきまして、中小企業への技術面からのサポートを進めておりまして、二十九年度の取り組みについては、都として高い評価をしているところでございます。
 こうした中、二十七年度に立ち上げたロボット産業活性化事業では、ロボットの制御やドローンに関する技術開発などで中小企業をサポートし、着実な成果を上げるとともに、今年度からは中小企業のIoT化支援事業を開始し、AIの活用をテーマとする公募の共同研究を開始しております。
 これらを含め、発展のスピードが速く、将来の東京の産業において活用の期待できる技術の分野に関して、産業技術研究センターでは、重点的に研究開発などを進めることは不可欠でございます。
 こうした考え方に立ちまして、今後の中期計画の作成に当たって、都の意見も踏まえつつ、重点的に取り組む分野をセンターとして的確に見きわめ、取り決めることが必要になると考えているところでございます。

○鈴木委員 ありがとうございます。ヘルスケア産業に至っては、二〇三〇年に世界全体で五百二十五兆円、日本国内だけでも三十七兆円の市場規模に至ります。二〇三〇年には、医療が就業者数で見れば日本最大の産業になることはほぼ確実な状況です。
 都の産業技術研究センターにおかれましては、こうした東京の産業構造の転換にも、引き続きご貢献をいただくように求めまして、私の質疑を終わります。

○舟坂委員 私からも、センターの評価について幾つかの質問をさせていただきます。
 この業務実績評価は、今年度からの従来の評価委員会ではなく、知事が評価を行うようになったと伺っております。
 法律改正によるものということですが、いずれにしても、重要なのは、単に評価するだけでなく、結果をさらに改善に結びつけていくことであると考えます。
 二十九年度の法人運営の全体評価は、業務全体がすぐれた進捗状況にあるとなっていますが、この結果の根拠や考え方はどのようなものかをお伺いいたします。

○坂本商工部長 産業技術研究センターでは、平成二十八年度からの五年間の中期計画の中で重点的な対応を進める分野として、環境・エネルギーなどの四つを掲げてございます。
 それらの分野の事業について、研究開発が進み、中小企業の製品化につながる成果が生まれていることを都として高く評価してございます。
 また、個別の支援体制では、中小企業による技術開発で利用の多い3Dプリンターに関し、セラミックを新たな材料として使う方法を確立するほか、スポーツ用品の試作品の製作をサポートして、その実用化を実現するなど中小企業のニーズに即したすぐれた成果を評価してございます。
 さらには、中小企業が製品の実証実験を行う場合の依頼試験や機器利用の件数が、合計で前年に比べ一〇%伸びておりまして、過去最高のレベルとなったことも高く評価してございます。
 これらに加えまして、最先端の技術を用いるロボットの開発でも、商業施設や美術館などで実証実験を行うなど、中小企業の技術を実用面で活用ができるよう的確なサポートを高いレベルで展開したことも評価をしたところでございます。

○舟坂委員 スポーツ用品など、さまざまな事業で、製品化の事例がふえていることなどが高い評価につながったとのことであります。
 自社製品を開発し、事業化することは中小企業の夢であり、東京の産業のさらなる発展にもつながります。
 しかし、みずからの力では越えられない壁があります。これは技術の面においてもいえるわけでありまして、やはり産業技術研究センターによるバックアップが重要であります。
 そこで、次に製品化に向けた支援の中でも、もっとも利用ニーズが高いという実証試験セクターについてお伺いをいたします。
 新しい製品を世に送り出すためには、製品の安全性や信頼性を担保することが必要であります。
 開発中の製品を、さまざまな環境や条件のもとでテストし、実用に耐えられるものにする努力が欠かせません。
 このセクターでは、こうした中小企業の実証試験のニーズにきめ細かく応え、今回の評価でもSの評価となっているようですが、具体的にどのような取り組みを進めたのか、お伺いをいたします。

○坂本商工部長 産業技術研究センターでは、実証試験セクターを設け、さまざまな実験機器類を用意し、中小企業からの依頼により研究員が試験を行うほか、会社の社員が機器類をみずから操作して検証を行う仕組みにより、製品開発に不可欠な実証実験をサポートしてございます。
 平成二十九年度は、支援の充実を図るため、利用頻度が高いものの老朽化していた電気試験分野の装置類を更新したほか、依頼試験で利用をしていた機器のうち、気圧の変化が製品に与える影響を測定する装置を、各社が独自に操作をして実験のできる利便性の高い仕組みに変更する工夫を行ったところでございます。
 さらに機器類の利用状況をよりきめ細かく管理して、それらの活用の度合いを高める取り組みも行うなどにより、依頼試験では二万五千件で二二・四%、機器利用は四万九千九百六十九件で四・八%、それぞれ前年度に比べ、実績を伸ばしたところでございます。
 また、同セクターでは、国際的に通用する技術の開発に取り組む中小企業を後押しするため、電気抵抗や温度を測定する機器等が、世界各国の基準をクリアする制度を持っていることを検証し、証明書を発行する事業の充実にも力を入れているところでございます。
 二十九年度は、海外での基準も含め、品質管理に詳しい専任の担当者を新たに配置して、対応の力を高める工夫を行ったところでございます。

○舟坂委員 中小企業が生き残りを図るためには、こうした独自製品の開発のほか、これからの成長が見込まれる新しい市場分野に参入して、拡大する需要を取り込んでいくことも重要です。
 そこで、次に、二十九年度から新たに取り組まれている航空機産業への参入支援を取り上げたいと思います。
 航空機産業は、今後二十年のうちに市場が倍になると期待がされております。まさに成長市場であります。
 すぐれた技術を持ち、都内の中小ものづくり企業にも部品提供などチャンスが大いにあります。
 もちろん一般の製品と比べ、高い技術や厳しい品質管理などが求められ、ハードルは高いのも事実であり、技術面からもセンターの役割が期待されるところですが、取り組み状況についてお伺いをいたします。

○坂本商工部長 産業技術研究センターでは、航空機産業への参入を目指す中小企業を技術の面からサポートするため、都の事業と連携して、平成二十九年度から新しい取り組みに着手をしてございます。
 具体的には、二十九年十二月に航空機産業支援室を設けまして、中小企業が航空機の部品を製作する技術水準を満たすためのサポートを始めております。
 同支援室には、材料のかたさを試験する装置や部品の表面の状況を確認できる高性能の顕微鏡のほか、複雑で精密さが必要な部品を試作加工できる機器二台を導入し、専門的な知識のある十四名の研究員と三名のアドバイザーが業務を行っております。
 また、都からさまざまなサポートを受けながら、航空機産業への参入を目指す中小企業五十七社で構成されるグループと協力をして、五つのテーマに関して共同研究も行い、部品の加工の技術や品質のレベルを高める支援を実施いたしました。
 さらに、中小企業が二十九年六月のパリや三十年二月のシンガポールで開催された航空機の見本市に出展し、商談を行った際には、パリに二名、シンガポールに五名の研究員などが試作をした部品について、技術面から説明するサポートを行うなど、きめ細かい対応も行ったところでございます。

○舟坂委員 ただいまの答弁でも、パリやシンガポールの見本市の話がありましたが、この海外市場は航空機産業に限らず、中小企業がこれからの活路を見出す上で重要なターゲットであります。
 特に、航空機産業は日本の夢、そしてこれからの宝でもあります。
 製品などを輸出する上で必須なのが輸出先の製品規格に適合することですが、中小企業にとっては、国ごとの異なる企画や規制の内容を把握するのも大変と聞いております。
 海外規格に適合しているかどうかを評価する実証試験セクターなどでのサポートはもちろんですが、これに加えて、きめ細かな情報提供や相談を行うことも重要と考えますが、二十九年度の取り組み状況についてお伺いをいたします。

○坂本商工部長 産業技術研究センターでは、首都圏などの十県一市の自治体と連携し、世界各国の安全性に関する規格などの情報を中小企業に広域的に提供して相談対応も行うため、広域首都圏輸出製品技術支援センターの業務を実施しております。
 この技術支援センターには、十七名の専門相談員を配置してEUやアメリカ、中国などの規格や規制について、さまざまな情報を提供し、相談を受けております。
 平成二十九年度は、海外進出のニーズの高まりを背景として、相談数は一千五百二十六件となり、前年度より約二四%増加し、過去最高の実績を上げております。
 また、ウエブサイトを通じて相談の多い海外の技術面の規制や各種の制度の紹介を開始しているところでございます。
 また、この技術支援センターでは、海外の規格や規制に適合した製品であることを評価するため、実証試験セクターを案内し、試験の実施や証明書の発行のできる体制としているところでございます。
 さらに、規格の内容が高度な航空機の部品などに関する試験につきましては、専門の研究部署を案内して対応しております。
 国際規格等を満たしていることを調べる試験の年間の実績は、一万二千六百十八件でございまして、前年度より三〇%増加をしてございます。
 これらによりまして、中小企業の海外展開への支援を着実に進めてまいります。

○舟坂委員 一万二千六百十八件ということで、かなり活動されていると、高く評価をするところであります。
 しかしながら、世界中の目が日本に注がれる東京二〇二〇大会を契機として、多くの中小企業が円滑に海外展開を図ることができるよう、支援の拡充に期待をいたします。
 これまでお尋ねした、さまざまな技術支援サービスを支えるのは何といっても人、すなわち、センターの研究員などスタッフの方々であります。
 時代のニーズを的確に捉え、最先端の技術に対応するためには、やはりセンターにおける研究人材の確保や育成が重要ですが、二十九年度の取り組み状況をお伺いいたします。

○坂本商工部長 産業技術研究センターでは、中小企業の技術開発を適切にサポートのできる人材を中長期的に計画性を持って採用することとしております。
 平成二十九年度は七名の研究員のほか、中小企業の必要とするテーマに速やかに対応できる任期付研究員を金属加工の分野で一名、IoTに詳しい技術者も四名採用を決定しております。
 研究員の採用に当たりましては、本部で就職説明会を四回開催するほか、大学の就職セミナーへの参加や研究室への働きかけなど、きめ細かい対応を行ってきたところでございます。
 人材の育成に関しては、若手の研究員がベテランの研究員からの指導を受けながら、研究論文を年に一本は執筆する仕組みを導入しております。
 また、国の科学研究費など外部資金を導入できる研究への応募を職場全体で進めてございます。
 さらに、都内の私立の工業大学から講師を招いて、技術のイノベーションに役立つ手法等を学ぶ研修のほか、若手の研究員を中心にアメリカなどの外国で開催された国際的な学会に十五回参加し、研究内容の発表やさまざまな学術情報の収集を行ったところでございます。
 このような取り組みによりまして、中小企業支援に必要な人材の確保と育成を図り、柔軟で的確な事業運営を進めることとしてございます。

○舟坂委員 先端技術を取り込んで、中小企業の技術移転や成果を還元することが重要であります。
 そのかなめとなるのが研究スタッフの方々でありますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 産業技術研究センターが地方独立行政法人という独立性、機動性のメリットを生かして、今後も中小企業の技術力の向上に、なお一層貢献していただくことを期待して、質問を終わります。

○のがみ委員 私からも、地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターについて質問をさせていただきます。
 今回、報告のあった平成二十九年度の業務実績評価の全体評価では、中期計画の達成に向けて業務全体がすぐれた進捗状況にあるとあるように、中小企業を支援する産業技術研究センターの取り組みは、二十四項目のうち、Sが二項目、Aが十二項目、Bが十項目、CとDはなしという結果で、高い評価を得ております。
 日本のものづくりでいえば、一昔前は半導体や電機産業、インテルなど世界シェア一で、世界での最高品質、世界での最先端の技術を持っていた時代がありました。
 いずれも、そのシェアを失い、その製造からは撤退せざるを得なくなっていきました。
 それぞれの産業や各企業が世の中の変化に対応することができず、顧客の要求するものに耳を傾け過ぎ、安いもの、小さいもの、使いやすいものの技術を追いかけるようになり、次第に転落していった経緯がございます。
 近年、新たな技術の進展など、ものづくりを取り巻く環境が大きく変わっていく中で、ものづくりに情熱を持って取り組み、すぐれた技術で、すばらしい製品を生み出す中小零細企業を効果的に支援できるよう、中小零細企業の実態や地域の実情を踏まえ、支援を充実してこられた成果だと受けとめております。
 例えば、産業技術研究センターの城東支所では、昨年の十月リニューアルをし、最新のレーザー加工機や3Dプリンター等、地域のニーズを踏まえた試験機器を整備し、さまざまな製品の試作支援体制などを強化したと伺っております。
 すばらしい取り組みだと思いますが、より多くの中小ものづくり企業に活用していただくことで、その真価を発揮してもらうことが重要であります。
 そのためにも、地元の自治体等と連携した取り組みも効果的と考えております。
 リニューアル後の産技研の取り組み状況について、まず最初にお伺いいたします。

○坂本商工部長 産業技術研究センターの城東支所では、中小のものづくり企業から技術開発や製品のデザインに関する相談が多いことから、平成二十九年十月に新たにものづくりスタジオとデザインスタジオを開設して、サポート体制の充実を図ってございます。
 新たに二つのスタジオを設けた後に、年度末までに中小企業による実験用の機器の利用は七千四百四十四件となりまして、このうちの二三%は新しく導入をした3Dプリンターに集まるなど、支援ニーズへの的確な対応が進んでいるところでございます。
 スタジオの開設の後、3Dプリンターの活用やデザインをテーマとする二回のセミナーを開きまして、事前のPRにより地元からの多くの参加を図ったところでございます。
 また、支所の隣にございます葛飾区の運営するテクノプラザかつしかで開催された産業フェアに合わせ、施設の一般公開を行いまして、約二千四百名が来場したほか、三十年二月に東京国際フォーラムで葛飾区が開いた町工場見本市に出展をいたしまして、支所の紹介を行うなど、地元の自治体と連携した取り組みも着実に進めたところでございます。

○のがみ委員 引き続き、葛飾区など地元の自治体とも連携して、多くの企業の支援に取り組んでいただきたいと思います。
 葛飾区も、いろいろな場面を利用して地域振興を図っております。東京理科大学との協働により、介護スーツの開発等、産学連携して頑張っているところでございます。
 すぐれた技術を持つものづくり中小企業の一層の発展には、例えば3D技術などの新たな技術を活用し、製品開発等に取り組むことも重要でございます。
 評価委員会の意見で、3D、ものづくり技術の進展によって、ものづくりの概念が大きく進化していると指摘されているように、技術の革新、ものづくり中小企業を取り巻く環境は大きく変化しています。
 すぐれた技術を持つ中小零細企業が独自性の高い製品開発をする上で、3D技術の活用は有効でございますけれども、一方で、こうした高額な機器を単独で購入することは相当にハードルが高いのが実情でございます。
 そこで、産業技術研究センターが技術支援や研究で培ってきた3D、ものづくりの技術やノウハウを中小企業に還元することが重要と考えますが、平成二十九年度、3Dものづくりセクターではどう取り組みを進めたのか、お伺いいたします。

○坂本商工部長 3Dものづくりセクターでは、中小企業の高付加価値の製品開発について、3Dプリンターや三次元のCADシステムなどの機器を活用してサポートを行っております。
 平成二十九年度は、3Dプリンターの機器利用による試作品の開発などを一万九千二百八十一件実施するとともに、製品の形状を三次元で立体的に測定する依頼試験などを四千七百五十二件行っております。
 また、技術開発のプロセスで利用の多い3Dプリンターに関して、中小企業との共同研究によりまして、セラミックを新しい材料として使う方法を確立いたしました。
 さらに、車椅子マラソンで選手が車輪をつかむ場合に手につけるグローブの部品を3Dプリンターで製作し、実用化するサポートを行ったところでございます。これによりまして、従来は選手の手の形状をプラスチック樹脂を使い型をとり、試作を繰り返す工程が必要でございましたが、事前に形状のデータをとってから3Dプリンターを使い、一回で効率的に試作品をつくり出すことを可能といたしました。
 こうした3Dものづくりセクターの取り組みによりまして、中小企業の製品開発を適切に後押しすることとしております。

○のがみ委員 もう一つ、中小企業のビジネスチャンスという点では、ロボットの技術の活用も多いに期待される分野です。
 平成二十八年度に産技研の東京ロボット産業支援プラザが開設された際には、私自身も視察をさせていただきましたが、産業分野のみならず、介護の現場など日常生活を含むさまざまな場面での導入が期待されております。
 すぐれた技術を持つ中小企業にとって、これらの新たなロボット分野への参入は大きなビジネスチャンスである一方で、業務実績評価でも指摘されているように、サービスロボットを実現するにはさまざまな課題があるのが現実です。
 こうした課題を解決し、実用化に向けて、中小企業をきめ細かく支援していくことが必要だと思いますけれども、平成二十九年度の取り組み状況についてお伺いいたします。

○坂本商工部長 産業技術研究センターでは、将来に向けた発展が期待できるロボット産業の振興を図るため、平成二十七年度より、ロボット産業活性化事業を実施してございます。
 同事業におきましては、ロボットにかかわる技術開発や事業化の支援のほか、その安全性の検証や技術者の育成などのサポートを行っており、本部の近くにございますテレコムセンタービルに東京ロボット産業支援プラザを設けまして、各種の取り組みを総合的に展開してございます。
 二十九年度には、ロボット開発の基礎となる研究のほか、民間企業との共同研究をそれぞれ一テーマずつ行うほか、公募による共同研究として、警備や運搬などの業務での活用に関する八テーマを採択したところでございます。
 また、中小企業を支援し、開発した案内ロボットについて、商業施設や美術館で実証実験を行うとともに、センターが独自に開発したロボットについて、都庁の展望室で三回にわたり外国語で案内を行うテスト運用を実施して、技術の向上を図っております。
 こうした取り組みによりまして、産業技術研究センターでは、ロボット産業の振興を着実に進めているところでございます。

○のがみ委員 これまで、ものづくり企業の技術面等での支援を中心に行ってまいりました。3Dものづくりやロボットなど、ますます高度化、複雑化する技術を活用し、自社の成長を確実なものとしていくためには、それを担う人材を育てることが不可欠です。しかしながら、人材も限られた中小企業にとって、自力で育成をする余裕はなかなかというのが、まさに実態です。
 こうした環境のもと、中小企業が持続的に発展するためには、将来を担う人材の育成への支援が重要であると考えます。この点について、産技研の取り組み状況をお伺いいたします。

○坂本商工部長 東京の中小のものづくり企業で働く人材の能力を高めるために、産業技術研究センターでは、技術面の知識を提供するための講義や測定機器などを操作しながら現場での実務のレベルの向上を図る講習会などを行ってございます。
 具体的には、若手の技術者に対し、製品開発に必要となるプラスチック等の材料の選び方や海外での製品の規格を体系的に学ぶ講義などを、二十九年度には百七十六回開催して、四千三百八十九名が参加いたしました。また、新たに開発した製品の性能を検査する方法を初心者も習得できるよう、製品の騒音を調べる測定機器の操作手順を学ぶ講習会などを、年間で七十一件実施しております。
 また、センターの研究員を、首都大学東京や産業技術高等専門学校など、十五の教育機関に講師として派遣し、ものづくり技術に関する講義や学生の実験の指導を行うなど、将来の産業人材の育成にも取り組んでいるところでございます。
 こうした取り組みによりまして、産業技術研究センターでは、中小企業の人材育成を着実にサポートしているところでございます。

○のがみ委員 今回報告のあった平成二十九年度の業務実績評価の全体評価では、中小企業を支援する産業技術研究センターの取り組みは、先ほどもいいましたけれども、高い評価を得ております。これからの我が国の企業は、ますます他国との熾烈な競争の中で生き抜いていかなければなりません。企画とかマーケティングや販売など、他の国と比較すると劣っていると指摘されております。マーケティング力を強くするのは、経営戦略やグローバル人材の育成が不可欠です。販売力を高めるためには、価格競争力や販売のチャンネルを広げていくことが大事です。
 産業技術研究センターが技術面等で、学識経験者や中小企業事業者等、専門家で構成される評価委員会の意見も踏まえ、一層その事業を効果的なものとし、より充実した支援を提供していただくよう要望し、質問を終わります。

○尾崎委員 私の方からも、二〇一七年度の地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターの業務実績評価について幾つか質問させていただきます。
 産技研の役割は、産業を担う東京の中小企業を科学技術で支え、全ての人々の生活に貢献することと位置づけられております。先日、墨田支所を見学させていただき、改めて、中小企業にとって大きな役割を果たしていると実感して帰りました。
 私は、暮らしの中で使う製品、商品が多種多様でたくさんある中で、見ているだけでも癒やされるかわいいと感じるものをついつい買ってしまいます。身につけるものは、自分の体に合ったものの、着心地がいい肌ざわりがいいもの、使っていて心地いいものを探します。たまに、安いからと靴下などを購入し、洗濯を繰り返す中で型崩れしたり、ずれ落ちたりして結局使わず、後悔することもあります。
 墨田支所では二〇一五年、平成二十七年十一月から、生活空間計測スタジオを新しく整備しました。生活空間計測スタジオの整備の経過や目的について伺います。

○坂本商工部長 産業技術研究センターの墨田支所に生活技術開発セクターを開設いたしまして、人の視線の動きを追うことのできる機器やにおいを数値で表示できる装置などを導入し、人間やその生活に着目したものづくりをサポートする体制を整備したところ、利用者が大幅に増加をいたしました。このため、人が日常生活の中で身近に使う製品の開発を重点的にサポートすることを目的とする生活空間計測スタジオを、平成二十七年度にセクターの中に整備いたしました。
 スタジオには、人の動作を分析できる装置や運動による負荷が人間に与える影響を調べる機器などを新しく導入して、中小企業の製品開発を支援しているところでございます。

○尾崎委員 墨田支所で取り組んでいるような人間の特性、生活空間、環境を生かしたものづくりへの支援は他県でも行われているのか伺います。

○坂本商工部長 岐阜県立の生活技術研究所では、人間工学の知識を用いて、椅子の座り心地を快適にするための製品開発の支援を行っている例が実際にございます。
 また、富山県立の産業技術研究開発センターでは、歩行の際の関節の動きなどを測定して、日常生活の安全性を高める製品の開発をサポートする取り組みを行っていると、このように聞いてございます。

○尾崎委員 私も先日、墨田支所に行って、圧力測定器を体験させていただきました。例えば、椅子のクッションやベッドマットレスをつくる際、圧力測定機で座ったときや横になったときの圧力をはかり、圧力を和らげるための新製品づくりや福祉機器につながっていると説明をしていただきました。全身の動きを知ることで動きに合ったスポーツウエアをつくったり、介護動作の検証を行うことで福祉医療品の開発を応援しているということがよくわかりました。
 墨田支所では、人間生活工学機器データベースサイトとしてデューレを公開しています。各機関が保有している人間工学や生理計測関連の機器情報を横断的に提供しているということでしたが、人間生活工学機器データベース、デューレを、二〇一六年、平成二十八年四月から公開開始したということですけれども、実績について伺います。

○坂本商工部長 産業技術研究センターでは、十四の道府県の設ける試験研究機関と連携いたしまして、人の動作を分析する測定装置など人間工学などに関連した試験機器類を一覧にまとめインターネットで紹介するデータベース、デューレを公開しております。これによりまして、人が身近に使う製品を開発する中小企業に対し、効果的なサポートを行うこととしております。
 このデータベースの閲覧の実績は、二十八年度では三千二百二十八名、二十九年度は三千三百六十三名となっております。

○尾崎委員 墨田支所の取り組みは全国の中でも貴重なものだと思います。全国の中で墨田支所が担う役割の大きさを痛感しました。
 次に、業務実績評価書の中の八〇ページに、人間生活工学機器データベース、デューレから機器利用して、新しいデザインの室内履きの歩行効果検証の事例が掲載されていますが、産技研が支援した内容について伺います。

○坂本商工部長 産業技術研究センターでは、中小企業から、足の指についている筋肉をふやし、地面を踏み占める力を高める室内用の履物を開発するため、その効果検証について依頼を受け、実証実験を行いました。
 具体的には、墨田支所の生活技術開発セクターにおきまして、筋肉の運動量を計測する機器を用いて、スリッパを履いた状態で歩いた場合の筋肉の活動の状況と比較をした数値データを提供するサポートを行ったところでございます。

○尾崎委員 ものがあふれている現在、中小企業が、使いやすさや快適さを追求して、いい製品をつくることは、付加価値をつけて消費者に選んでもらえることにつながります。消費者が納得できるいいものをつくるためには、中小企業独自の努力に限界があります。産技研が人の動きや体の仕組みを分析したり、測定機器や検査機器を貸し出して支援することは、この事例からも、地域の中小企業に明るい展望を示すものだと思いました。
 次に、先端材料開発セクターについて伺います。
 二〇一六年度に開設していますが、この間の実績について伺います。

○坂本商工部長 先端材料開発セクターでは、中小企業による環境に負荷の少ない新しい材料の開発などをサポートしてございます。
 同セクターでは、依頼試験につきましては、二十八年度は三千四百五十六件、二十九年度は二千五百六十五件、機器利用では、二十八年度は二千三百三十六件、二十九年度は二千九百二十二件の実績となっております。
 また、中小企業からの個別の要望に合わせて設計や試作のほか評価などを行うオーダーメード開発支援におきましては、二十八年度に三十三件、二十九年度に六十件の実績となっております。

○尾崎委員 オーダーメード開発支援が、平成二十八年度と平成二十九年度を比較すると、倍近くになっていることは重要だと思います。今後に期待するものです。
 今、海洋プラスチックごみが世界でも大きな問題になっています。事業評価書を見ていたとき、先端材料開発セクターの取り組みに目がとまりました。私は、プラスチックにかわる素材の研究は今後必要な課題になるという問題意識を持っていたので、紙やプラスチックにかわる新しい素材を開発したという支援事例に大変感動しました。
 そこで、紙やプラスチックにかわる新しい素材を開発した支援事例が業務評価書九二ページに掲載されていますけれども、産技研が支援した内容について伺います。

○坂本商工部長 業務実績評価書に掲載した紙やプラスチックにかわる新素材の開発に当たりましては、中小企業から相談を受け、試作品の段階から製品化の実現までの各ステージでさまざまなサポートを行ったところでございます。
 具体的には、試作品に含まれる炭酸カルシウムの状況を分析して、新素材の強度を高めるための助言を行ったほか、センターにある製品開発支援ラボの部屋を提供して技術面での相談対応を行い、実験機器を効果的に利用できるよう支援を実施いたしました。

○尾崎委員 ただいまご答弁がありましたように、相談から試作品づくり、そして製品化の実現まで、それぞれの段階で適切な支援が行われたこと、新素材の強度を高めるための助言、製品開発ラボに入居し、技術面での相談はもちろんですが、実験機器の利用と産技研での支援を総合的に受けることで新素材を開発できたものだと痛感しました。産技研の役割がこれほど明確になった事例はないのではないかと思っています。
 産技研が支援して開発したものを多くの人に知らせることは大変重要です。東京都トライアル発注認定制度で認定された石灰石からつくる革新的新素材ライメックスで産技研のクリアファイルを作成したということですが、何枚作成したのか伺います。

○坂本商工部長 石灰石を原料として紙やプラスチックにかわる新素材を活用したクリアファイルは五千枚作成をいたしまして、センターの実施する各種のセミナーやPRのために出展する展示会のほか、施設見学者への宣伝などの際に配布をしているところでございます。

○尾崎委員 私も先日いただきましたが、これが新素材でつくったクリアファイルです。文章だけでは、新しい素材といっても、なかなかイメージが湧きません。実際に製品として紹介することは大変有意義だと思います。
 ライメックスを開発した企業も、産技研の製品開発支援ラボに入居していたと聞きました。中小企業が新製品づくりや開発に取り組む際、機器の活用や相談、技術支援など総合的な支援が必要であり、研究ラボは大きな役割を持っていると思います。都内の産技研で研究ラボは何室ありますか。

○坂本商工部長 中小企業が産業技術研究センターの機器や相談体制を利用しながら製品や技術の開発に取り組む場合に、複数年にわたり入居のできる賃貸スペースとして、製品開発支援ラボを本部に十九室、多摩テクノプラザに五室設置してございます。

○尾崎委員 東京は全国の中でも家賃が高く、事務所をつくり、機材を購入することは、財政的にも大変困難です。研究ラボをふやすことをぜひ検討していただきたいと要望するものです。
 産業は時代とともに発展しているわけですが、同時に、環境問題やエネルギー問題など新しい課題も明らかになってきています。この課題解決のために、中小企業の技術や発想、粘り強い研究がますます求められると思います。大企業ではできないことを、地域の経済を支えている中小企業がどう担っていくのか。利益の追求だけではなく、社会的役割の発揮、社会の役に立ちたいとの思いを形にしていく上で、産技研の役割は大きいと思います。そして、産技研の役割を発揮するためには、産技研の財政問題が重要になると思っています。
 そこで、産技研センターの都の運営費交付金について、この間の推移について伺います。

○坂本商工部長 産業技術研究センターに交付をいたしました運営費交付金は、平成二十六年度は約五十二億八千万円、二十七年度は約六十六億四千万円、二十八年度は約六十九億二千万円、二十九年度は約七十一億六千万円となっており、三十年度の計画額は六十九億七千万円となってございます。

○尾崎委員 それでは、都の運営費交付金のうち、標準運営費交付金の推移はどうなっていますか。

○坂本商工部長 運営費交付金のうち、産業技術研究センターに交付をした標準運営費交付金は、第二期中期目標期間でございました平成二十六年度は約四十七億六千万円、二十七年度は約四十七億一千万円、第三期中期目標期間の二十八年度は約四十八億六千万円、二十九年度は約四十八億二千万円、そして三十年度の計画額は約四十七億七千万円となってございます。
 標準運営費交付金につきましては、各中期目標の期間中に、毎年度一%ずつ縮減し、同センターの効率的な業務運営の実現を後押しし、成果を上げているところでございます。

○尾崎委員 ただいまご答弁にもありましたけれども、産技研では、効率化係数のもとに、毎年一%、標準運営費交付金が削減されています。中間目標期間の五年ごとに積算されるということです。成果を上げているというご答弁でしたが、標準運営費交付金には人件費なども含まれています。事業の部分では、人が介することでサービスの質が左右されるものが多く、効率化係数という名で人件費が削減されることは、産技研の力を十分に発揮する上で障害になりかねません。
 産技研は独立行政法人化を見直し、都として運営費、研究費を増額するとともに、基礎的研究ができる人員をふやすこと、中小企業の支援体制を拡充するよう求めて、質問を終わります。

○伊藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○伊藤委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で産業労働局関係を終わります。

○伊藤委員長 これより中央卸売市場関係に入ります。
 初めに、理事者から、千客万来施設事業(六街区)基本協定書の変更について報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○松田市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 千客万来施設事業(六街区)基本協定書の変更についてにつきましてご説明申し上げます。
 お手元の資料、千客万来施設事業(六街区)基本協定書の変更についてをごらんください。
 八月三十一日の本委員会におきまして、千客万来施設の事業者であります万葉倶楽部との合意書の締結についてご報告させていただきましたが、合意書の締結に伴い、現行の基本協定書を変更し、九月七日付で締結したところでございます。今後、合意書及び基本協定書を踏まえまして、着実に事業を推進してまいりたいと考えております。
 以上、簡単ではございますが、千客万来施設事業(六街区)基本協定書の変更についての説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○伊藤委員長 報告は終わりました。
 次に、報告事項、水産仲卸売場棟西側バースの舗装のひび割れについてにつきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○岡安管理部長 去る九月十八日の当委員会で要求のございました資料につきまして、お手元に配布してございます経済・港湾委員会要求資料に基づきましてご説明申し上げます。
 一ページをお開き願います。圧密沈下に関する主な経緯でございます。
 昭和二十三年から三十七年にかけて東京ガス株式会社による埋め立てが行われて以降、平成二十九年一月に外周道路及び植栽部等の外構工事が完了するまでに実施されました圧密沈下に関する主な事項につきまして、時系列であらわしてございます。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○伊藤委員長 説明は終わりました。
 これより、先ほど説明を聴取いたしました報告事項を含め、報告事項二件に対する質疑を、ただいまの資料を含めまして一括して行います。
 発言を願います。

○森村委員 私からは、今回報告がありました水産仲卸売場棟西側バースの舗装のひび割れについて、三問質問させていただきます。
 まず初めに、今回報告されたひび割れが発見されてから今に至るまでの経緯と現在の対応について改めてお伺いします。

○渡辺施設整備担当部長 都は、平成十八年に地盤解析を行っておりまして、圧密沈下が発生することについては認識しておりました。今回のひび割れにつきましては、昨年秋に施設を巡回する過程で確認したものでございます。
 圧密沈下は時間の経過とともに収束するため、今後大幅な沈下や突然の陥没等につながるものではなく、安全上の問題や市場業務への影響など、影響を生じないものであることから、沈下の状況を見定めた上で適宜補修することとしておりました。
 本年九月に入り、市場業者からひび割れがあるとの声が寄せられたことを受けて、原因等について業界に説明するとともに、業界からの声を踏まえて緊急点検を実施した上で、先月末にひび割れ箇所の補修を完了させたところでございます。

○森村委員 いただいたご答弁から市場業務への影響や安全性に問題がないことが明確になりましたが、今後新たに補修が必要な箇所が出てきたときにも、ぜひ迅速な対応を行っていただきたく、引き続き、定期的な点検を行って、必要に応じて補修等していただく体制をとっていただくことを求めておきます。
 重要なのは、安心して新市場を開場し、そして、開場後は円滑な運営を行っていくことです。ここに市場関係者や都民も神経をとがらせてきましたし、知事としても、この二年、豊洲の安全・安心の構築と発信に多くの力を注いでこられました。
 一方で、今回発見されたひび割れについては、昨年の秋には既に発見されていたということですが、市場関係者に知らされたのは先月の初旬ということで、関係者にとっては、市場開場前にして大きな驚きだったのではないでしょうか。
 また、圧密沈下は時間の経過とともに収束するため、通常は徐々に落ちついていくものであるというご説明でありましたが、市場関係者の中には、今後も沈下を原因としたひび割れなどが続くのではないかという不安の声もあります。
 本件について、市場関係者に対してどのような対応を行ったのか伺うとともに、今後同様の事態が発生するリスクやその際の対応について、都の見解をお伺いします。

○渡辺施設整備担当部長 九月八日に業界から、ひび割れがあるとの声が寄せられたことを受けまして、直ちに原因等について業界に伝えるとともに、九月十一日には東卸組合の常務連絡会にて説明し、同時に他の街区の団体にも情報を提供いたしました。
 また、この間に実施した緊急点検の結果につきましては、九月十八日に業界に対して情報を提供しております。九月二十一日には、東卸組合の理事会において、改めて点検結果や都の対応について説明したところでございます。
 補修する二カ所につきましては、先月末に補修を完了させており、また、経過観察箇所につきましては、今後、毎月一回、定期的な点検を行い、現場の状況を把握しながら必要に応じて補修するなど、適切に対応してまいります。

○森村委員 本件、先ほども、平成十八年の地盤解析時の結果により圧密沈下が発生することについては認識していたという答弁がありました。技術的な知見をお持ちの専門家にとっては十分予見できたことであり、それゆえに特に驚くに値しない、想定の範囲内であったということかもしれません。
 昨年の秋、実際にひび割れ箇所を発見してからも、市場業務に差しさわりがある事態ではないという判断を速やかに行いまして、ひび割れが進んでしまったときには、必要に応じて適時補修をするということでした。しかしながら、こうした背景を知らない市場関係者が、突如このひび割れについて知ることになり、不安や戸惑いを感じたのは無理のないことです。私は、こうしたことでこれまでに積み重ねてこられた安心が損なわれるようなことがあってはもったいないなというふうに思います。
 これまでの質疑の中で、市場関係者に寄り添っていくという市場長のご発言を何度となく聞いてきました。局の皆さんには、引き続き全力を尽くしてほしいと考えております。一年間、市場の皆さんと質疑を重ねる中で、膨大な実務の中で、日々前向きに、また粘り強く業務に取り組まれておられる皆様のご姿勢に、ある意味、感謝をしております。
 間もなく市場が開場します。市場長の、先ほど申し上げたような、市場関係者に寄り添っていくという、そうした姿勢を、現場の職員一人一人まで浸透させていただきまして、安全で安心な体制を盤石なものとすることで、市場関係者と一体となって、豊洲新市場を、我が国を代表する中核市場として育て上げてほしいと強く期待いたします。
 そこで最後に、安全性の上に安心を追求していく取り組みについて、市場長の見解をお伺いいたします。

○村松中央卸売市場長 豊洲市場用地の法的、科学的な安全性が確保されていることは、専門家会議でも確認されております。その上で、将来のリスクにも備えた追加対策工事を実施いたしまして、その有効性について専門家会議にも確認していただいたところでございます。これによりまして、豊洲市場の安全性はさらに向上したものと認識してございます。
 また、豊洲市場の安全性について、都民や市場関係者はもとより、産地や買い出し人の方々など、多くの皆様方にご理解していただけるよう、都はこれまでも、さまざまな機会を捉えた情報発信を行っておりまして、引き続き、こうした取り組みを積み重ねてまいります。今後も業界と連携して、安全・安心な市場として豊洲市場を運営してまいります。

○山崎委員 私からも、ひび割れのこの問題のことと千客について何点かお伺いをさせていただきたいと思います。
 豊洲市場の開場は、本日から九日後の十月十一日に開場する運びであります。こうした意味で、本委員会は、豊洲市場開場前の最後の委員会になると思います。私は、本来であれば、開場準備状況の報告があって、それを確認する場に本委員会がなるべきだったのではないかと今でも思っております。
 十月十一日には、高度な衛生管理が実現した市場として、豊洲市場が新しい時代を切り開くことになるわけです。そして、産地、小売り、さらには内外の消費者から、ハード、ソフトの両面で高い評価を得て、築地市場の歴史を、また伝統を受け継いで、ふさわしい市場として、国内外での地位を確立させるための取り組みが今進められているわけです。こうしたことを開場前に確認できれば本当によかったなと今でも思っております。
 しかし、今回、本委員会に報告された話は、くしくも、ひび割れの問題であります。開場目前にこの問題が発生したことは大変残念であります。
 そこで、このひび割れ問題について、何点か確認をしていきたいと思います。
 市場当局から提出をされた資料には、有害物質等の揮発については、盛り土は有効に機能しており、地上の安全性には問題はないとの記載があります。
 では初めに、豊洲市場のどこに盛り土がされているのか教えていただきたいと思います。

○吉野建設技術担当部長 豊洲市場では、主要な建物、これは青果棟、水産卸売り場棟、水産仲卸売り場棟、加工パッケージ棟、管理施設棟を指しておりますが、その主要な建物下を除き、外構部では地表面まで盛り土がされてございます。
 なお、主要な建物以外でも、附属する建物や消防用水槽などがありまして、その中で盛り土が地表までない箇所もございますので、その内容については第二回専門家会議において説明するとともに、資料についてホームページで公表してございます。

○山崎委員 そもそも建物下以外のところでは、地下の有害物質が地上に揮発しないように、地上部を覆うものとして土を採用した経緯があります。だからこそ、盛り土がない建物下では地下の有害物質が地上に揮発するのではないかということで大騒ぎをしたわけであります。
 今回のこのひび割れは六街区の建物と舗装との境界で発生をしており、その箇所は盛り土がされているわけでありますが、建物を含め、地上部に安全上の問題はないとはっきりといい切れるのか、わかりやすく説明をしていただきたいと思います。

○渡辺施設整備担当部長 今回のひび割れは、建物周りの地盤が時間をかけて圧密され、徐々に沈下したことにより生じたものでございます。もとより、豊洲市場の主要な建物につきましては、地中深くのかたい地層まで届いているくいによって支えられておりまして、沈下によって建物の構造に影響を与えることはございません。
 圧密沈下は一定の時間が経過することで沈下を収束するものでありまして、豊洲市場用地におきましては、今後大幅な沈下が生じるものではありません。また、盛り土が適切に締め固められていることから、突然の陥没等が起こることはございません。さらに、盛り土が有効に機能しており、地下の揮発性物質等により周辺環境に影響を与えることもございません。
 こうしたことから、食の安全に関する問題や市場業務への支障が生じることはございません。

○山崎委員 今の答弁の中にございました、まず、豊洲市場の建物は地中深く地層まで届いているくいによってしっかり支えていて、そして沈下によって建物の構造に影響を与えることはない、建物が沈んでいくことはないということ、はっきりと今ご答弁をいただいたわけであります。
 また、盛り土が有効に機能しており、地下の揮発性物質により周辺環境に影響を与えることもないと。こういったところから、市場の業務や安全に関する問題、支障が生じることはないという答弁であったと思います。こういったことをしっかりとまず皆さんにも認識をしていただきたいと思います。
 初めから盛り土部分が徐々に沈下をし、建物との接合部分に乖離が生じることが想定をしていたのであれば、なぜあらかじめ対策をしっかりと練らなかったのか。また、地盤が沈むと聞くと、一般的には何か突然、道路などが、陥没などが発生をして、それに伴って建物が、構造物が大きく傾いたり、最悪、また崩壊することがイメージをされていってしまうんですね。ですが、今の答弁によると、今回はそういうことではないということが、今確認が、私の質問、答弁によってはっきりとわかりました。
 徐々に地面が沈んでいく圧密沈下と、また一般的な地盤沈下、こういったことによるひび割れとでは、どのような明確な違いがあるのか。
 要するに、圧密沈下と一般的な地盤沈下の違い、これをわかりやすく説明をしていただきたいと思います。

○佐々木環境改善担当部長 地盤沈下の代表的な要因として、地下水の過剰な揚水によるものが挙げられます。これは、豊洲市場での地下水揚水とは異なり、地中深くに井戸を打ち込み、地下水を大量にくみ上げることで生じるもので、影響範囲は広範囲であり、また、地下水が著しく低下することで、激しい地盤沈下を引き起こす可能性がございます。
 一方、今回のひび割れの原因と考えられる盛り土による圧密沈下は、一般的に、沈下の大部分は盛り土を載荷した当初に生じ、その後、徐々に沈下は収束するものでございます。このため、盛り土をして一定期間が経過した後には、大幅な沈下や陥没等を引き起こすことはございません。

○山崎委員 盛り土の沈下はこれからも起こり得る、同様の問題が六街区だけでなく、ほかの街区でも起こり得る可能性がある、そのように私は今思っております。
 このひび割れ問題について専門家にはどういう報告をしていたのか。また、その方からどのようなコメントがあったのか、お伺いをいたします。

○佐々木環境改善担当部長 今回のひび割れについて、専門家会議の委員全員に、今回の経緯やひび割れの状況とその原因について情報提供を行いました。こうした都からの情報提供に対し、平田座長からは、引き続き、都が適切に維持管理をすることが必要であるとの助言をいただいております。

○山崎委員 また、いつ情報提供したのかもちょっとお伺いをしたいと思います。

○佐々木環境改善担当部長 情報提供を行いました日にちですが、九月十二日でございます。

○山崎委員 建物の周りはもちろんのこと、建物の外の路上も含めて、豊洲市場の敷地全体で確認する必要があると思います。
 市場当局の報告によれば、建物周りで緊急点検をしたところ、十一カ所が対応の必要があったということでありました。建物周りはもちろんのこと、それ以外の場所も含めて、豊洲市場の敷地全体でひび割れがあったのかどうなのか、また、そして開場後も、どのように維持管理をしていくのか詳細に教えていただきたいと思います。

○渡辺施設整備担当部長 今回のひび割れにつきましては、市場関係者の方々から心配の声が寄せられたことを踏まえ、改めて点検を実施し、市場関係者の安心に資する観点から補修を行うもの、市場利用者の通行量の多い位置にあり経過観察を行うものを整理したところでございます。
 一般に、ひび割れの要因といたしましては、今回のように圧密沈下によるもののほか、温度変化に伴う伸縮や車両通行に伴う荷重によるものなどがあるとされておりまして、豊洲市場におきましては、こうしたひび割れが発生していることは把握しておりますが、安全上の問題や市場業務への影響を生じさせるものではございません。
 都といたしましては、補修工事が必要な二カ所につきましては、既に先月末に工事を完了させており、また、経過観察する箇所とあわせて、ほかのひび割れ等につきましても適宜点検を実施し、必要に応じて補修工事を行うなど、適切な維持管理に努めてまいります。

○山崎委員 先日の大きなひび割れのところは、先月末に工事を完了させたという答弁をいただきました。
 それでは、今回のひび割れ事案について、いつ知事に説明をしたのか。また、その説明をしたときの知事の反応も教えてください。

○渡辺施設整備担当部長 今回のひび割れについては、その原因や今後の対応、業界への説明等について、九月十一日に知事に報告しております。知事からは、市場業者の方々から心配の声が寄せられていることを踏まえ、先方の目線に立って丁寧に対応を行うよう指示がございました。

○山崎委員 今回のひび割れは、私も参加したんですけれど、まず九月八日の水神社の遷座式で、東卸の方が、ちょうど、これ、直会会場の手前のバースのところだったと思います。
 実は私もそこのところに乗用車をとめました。そこで、バースが結構高い位置にあるんだな、脇の階段から上がっていって、そのまさにバースの真下のひび割れの箇所というのは目に入らなかったんですけれど、そのときに東卸の皆さん方が、その直会の席なのか、終わった後なのか、そのときに発見をされたという話で、今回九月八日、また九月九、十にいろいろな対応をされて、そして十一日の日に東京都が東卸の方に改めて説明をし、また九月十一日の日に知事に説明をし、また同日九月十一日の日に記者レクを行って、現在に至る、そのような話を聞いているわけでございます。
 この中で、九月十三日に開場記念式典がございました。そのときに、知事がこの開場記念式典のときにご挨拶をされたわけでありますけれど、安全だ、そういうお話も知事はされておりました。そういったときに、あれだけの人がいるわけですから、今回のひび割れの問題は、全く建物にも影響しないし、全然問題ないですよ、そういうことをなぜ知事はいっていただけなかったのかなと、今でも私は思っております。そういう場で知事がいうことによって、また安全がさらに前に進んでいく、また皆さんの不安が解消される、それにはやはり知事の大きなリーダーシップが本当に求められているところだと思います。
 まさにそういったことを、なぜ知事自身ができなかったのか。そういったところが非常に、今回のひび割れの事案のその経過プロセス、起きてしまったことに対しての対応という意味では、本当にずさんな対応ではなかったのかなと、今でも私は思っております。
 それでは、今回のひび割れの事案を踏まえて、まさに市場当局のガバナンス、このガバナンスをどう考えるのか。このひび割れの事案というのは、昨年の秋からもうわかっていたというお話もございました。そういったことも含めて、市場長の所見をお伺いいたしたいと思います。

○村松中央卸売市場長 今回のひび割れへの対応を踏まえまして、局内における情報伝達や業界との意思疎通につきまして、より一層的確かつ丁寧に行っていく必要があると考えております。このため、九月十三日に緊急の拡大場長会を局内で開催いたしまして、局全体に対して改めて情報共有の徹底と、また各場においても、市場関係者へ迅速に情報提供することについて周知を図ったところでございます。
 また、知事からの指示も踏まえまして、業界に対しては、緊急点検の実施状況や補修工事の完了等についてきめ細かく情報提供するほか、今回のひび割れによって安全性の問題や市場業務への支障が生じないことを、業界と連携して取引関係者等にお伝えしているところでございます。
 今後とも局一体となって、業界と緊密な連携を図りながら、適切な市場運営に努めてまいります。

○山崎委員 今、市場長、九月十三日に緊急に拡大場長会議というものを開催して、まさに豊洲だけじゃなくて、築地だけでもなく、ほかの場にもそういったことを徹底していく、そういう会議を開いたとお聞きをしました。そういったことはもちろん当然なことだと思います。
 盛り土問題のことで、市場の当局の皆さんが、今までにもそういったことがあったわけですね、大きなことが。
 ただ、あのときと違うことは、今回のひび割れの問題は、まさにその建物に影響がないだとか、全然大丈夫なんだと、安全性は担保されているんだ、そういったことが、事案の大きさは違うかもしれないけれど、やはりその体制というものは前回と変わってないじゃないかといわれてもしようがないことだと思います。ですから、必ずこういったことはしっかり、また体制を、また再構築するような、そういった皆さん方の気合いを持って進めていただきたいと思うわけであります。
 例えば、ひび割れが見つかりました、でも安全ですと、でも大丈夫なんですよと、なぜもっと早くいっていただけなかったのか。
 また、わかっていたとか予見されていたというのであれば、事前に対策をとるべきではなかったのか。そういうものなんだと自分たちだけで納得をして、また放置をしていくこと、後々に発覚して問題が大きくなってそれを利用されることを、この二年間で何度も、私は学んだはずだと思います。しかし、盛り土問題以降、人がかわっても市場当局の体質が変わっていないといわざるを得ません。
 ひび割れ問題は大分前からわかっていたはずでありますから、なぜそれを速やかに明らかにしなかったのか。都政改革の一丁目一番地の情報公開すら守れていない。問題が表面化することを避けるためだとしたら、透明性やガラス張り都政にはほど遠い状況といってもおかしくありません。
 豊洲市場の風評払拭に踏み出すやさきに、このような水を差す話が突如浮上し、市場関係者や地元住民の戸惑いは、また落胆は大きくなってしまいます。市場当局のガバナンスがきいていないではないか。特に、市場開設者としての知事の責任が私は大きいと思います。
 豊洲市場が開場したことで全てが決着したのではありません。また、するのではありません。知事にはこれから築地跡地の有償所管がえ、そして、中央区や江東区を初め、地元区との関係再構築に正面から向き合っていただきたいことを改めて要望しておきたいと思います。
 続きまして、千客万来施設問題についてお伺いをいたします。にぎわい施設についての報告事項の範囲内で何点か確認をしておきたいと思います。
 今回、定期借地権を設定する範囲を、六街区のみから、六街区と五街区の一部に拡張しておりますが、その理由を確認させてください。

○松田市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 千客万来施設六街区につきまして、市場施設との関係で、事業者が当初提案していた地下二階駐車場の整備ができなくなったところでございます。
 事業者は、審査時に評価をされました江戸のまち並みによる施設や多種多様な飲食、物販店舗などの施設のコンセプトを遵守する必要がございますけれども、地下二階相当分の駐車場を六街区内で確保しつつ、そのコンセプトを遵守することは物理的に困難でございまして、そのままでは延べ床面積が減少することとなります。このような状況に鑑みまして、五街区の一部を新たに貸し付けることとしたところでございます。

○山崎委員 六街区のその地下二階が使えないために、五街区の一部を新たに貸し付けをしたということでございます。明らかなことは、五街区の一部に万葉倶楽部の駐車場ができるということであります。その駐車場の料金は、当然、万葉倶楽部が定めていくことになると思います。そして今後、五街区の残りの部分、駐車場をつくらない部分についてどうしていくのかが重要な論点になると思います。このことは質問をいたしませんが、しっかりと江東区と議論をしながら、案を練り上げてほしいと思います。改めて、このことについても要望をしておきます。
 さて、六街区の賃料の変更は、事業計画の延べ床面積の減少分だとのことでありますが、なぜ減少するに至ったのかその経緯と理由についてと具体的な金額についても確認をしておきたいと思います。

○松田市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 六街区につきまして、事業者の提案段階におきましては、地下二階の駐車場を整備する計画でございましたけれども、事業者の決定後に、施設の設計や協議を進める中で、地下水管理システムに干渉することが判明いたしまして、地下二階の駐車場整備が不可能となったところでございます。そのため、提案時の延べ床面積でございます約四万一千九百平方メートルのうち、地下二階部分の約六千四百平方メートルが減少することとなったものでございます。
 金額につきましては、延べ床面積の減少分を減額するため、当初の月額であります七百二十一万円を、おおむね六百十万円程度に変更することを予定しているところでございます。

○山崎委員 初めは、万葉倶楽部は地下二階まで駐車場を用意することであったというわけでありますけれど、今の答弁で、変わったと、五街区の方に移るという話であります。万葉倶楽部の当初提案では、商業ゾーンが三百二十三台、ホテルゾーンが八十二台ということでありましたが、ここを減らして、五街区につくる駐車場に持ってくるということだったと思います。
 こうした細かい部分の調整はもちろんしっかりとしていただきたいわけでありますが、商業ゾーン、ホテルゾーンの開業が遅ければ遅いほど、経営上の課題を抱えるのではないかと危惧をしております。
 さきの委員会でも触れたように、四街区では民間事業者が来春から着工し、「ゆりかもめ」市場前駅に直結するオフィス棟地上十一階とホテル棟十四階建ての建物が平成三十二年度中に完成をする予定であります。
 要は、環二を挟んで反対側ですけれど、このように四街区の開発が先行していけば、万葉倶楽部は、地上十階の温泉ホテルゾーン、地上三階の商業ゾーンを核とした事業計画の再構築を余儀なくされるのではないか、そのような思いもあります。
 簡単にいえば、四街区が、二つの大きな建物が二年で完成をする。しかし、こっちの万葉倶楽部の方は、十階建てのものと、そして地上三階、地下二階という建物がなぜ二年以上かかってしまうのかということです。
 やはりこういったところは、今豊洲全体の開発が佳境になってきております。四街区のその某建設会社がやる建物は二年ででき上がる、その隣にはもう某ハウスメーカーが工事着工しております。また、豊洲の駅前の方では、ホテル、また、商業も今着工しておりまして、また、芝浦工大の学校の隣には、これも大きな開発がいよいよ始まる。
 豊洲全体がもう、全てが開発が始まり、もう完成に至る。オリンピックの前には完成するところもあれば、オリンピック後に完成するところもあれば、ただ、これだけ時間をかけてしまって本当にいいのかというところが私の率直な意見であります。そういったところもしっかりと、これからもまた万葉倶楽部とやっていただきたいと思うわけでございます。
 それでは、延期と万葉倶楽部の都合とで千客万来施設が時代の流れに取り残されてしまうことにならないよう、都はしっかりと対応をしていただきたいことを、そのことをまず改めて指摘をさせていただきたいと思います。
 さて、六街区と五街区の一部について、定期借地権設定契約の満了時期はいつであるのか、基本協定の定めと予定どおり進んだ場合の具体的な時期も教えていただきたいと思います。

○松田市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 六街区につきましては、事業用定期借地権設定契約といたしまして、契約期間を約五十年とするものでございまして、基本協定書において、契約締結を二〇二〇年、平成三十二年九月末までとし、満了時期を、公正証書により定めた始期から四十九年三百六十四日後までと規定していることから、実際の満了時期は二〇七〇年九月を予定しているところでございます。
 五街区の一部につきましては、定期借地権設定契約といたしまして、六街区に先行して駐車場の整備を行うことから、契約期間を約五十二年とするものでございまして、基本協定書において、契約締結を二〇一九年、平成三十一年二月二十八日までとし、満了時期につきましては、六街区と同日になることを規定しているところでございます。

○山崎委員 五街区の一部と六街区の土地は、おおよそ五十年後には同じ時期に満期を迎えて次の段階に移るということと理解しております。もちろん先の話になりますが、およそ五十年後、次の段階に移る際には、都は改めて事前に地元自治体と綿密に打ち合わせをしてほしいと思います。同じ失敗を二度と繰り返さないでいただきたいと思います。
 六街区は事業用定期借地権を、五街区の一部は一般定期借地権を設定する内容に変更されていますが、今の答弁で理解ができました。六街区の契約締結、着工、完成より、五街区の契約締結、着工、完成が先行する。このため、六街区で五十年すれすれの事業用定期借地権を設定すると、五街区の定期期間が五十年を超えてしまう。
 事業用定期借地権は、法令上、契約期間が五十年未満、逆に、一般定期借地権は五十年以上を定めることができるわけであります。先行する五街区が、後から来る六街区と満期が合わせられるようにしたわけであります。よって、六街区は事業用定期借地権を、五街区の一部は一般定期借地権を設定する内容に変更したということがよくわかりました。こうした今の私の話で市場長いいんですよね、大丈夫ですか。--はい。
 それでは、東京大会後の建設となり、着工までの期間が長いわけでありますが、どのようにして万葉倶楽部に約束を履行させるのか、また江東区への配慮、こういったものに対してはどのようにしていくのか、お伺いをいたします。

○松田市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 先般、都と事業者との間で締結いたしました合意書におきまして、施設の着工、完成時期を具体的に盛り込んでいるところでございます。さらに、基本協定書におきましても、合意書を踏まえて、施設整備等のスケジュールを具体的に明記するとともに、事業者の責務や違約金などの内容も規定しているところでございます。
 こうしたことから、事業者が施設の整備運営に着実に取り組んでいくものと考えておりまして、都としましても、事業推進のため、事業者に協力し、千客万来施設の開業に向けて取り組んでまいります。
 また、地元であります江東区に対しましても、事業の進捗状況等につきまして説明をするなど、丁寧な対応を行いまして、しっかりとご理解をいただきながら、千客万来施設事業を推進してまいります。

○山崎委員 千客万来施設は半世紀にわたる事業であります。主に深夜、早朝に営業する市場に加えて、日中、休日を中心に、まさににぎわう施設をつくることが主な狙いであります。今は豊洲市場の移転開場時期に当たり、こうした狙いは関係者全員の納得と合意を得られるでありましょう。
 今後、時とともに、こうした合意の意味が忘れられ、本来の目的への理解が表面的なものになると、また地元の不満が大きく募りかねなくなってしまいます。そうした不満やトラブルにしていかないためにも、地元を常に意識をしていただいて、地元とともに発展をする中央卸売市場であり続けていただきたいことをお願いします。
 中央卸売市場法の改正に伴う諸手続が進む中で、中央卸売市場の目指すべき方向の提示や役割の再定義が行われると思います。その中にぜひ、地元重視の視点も入れていただきたいことを重ねて要望しておきたいと思います。
 今回は以上で私の質問を終わります。

○伊藤委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時休憩

   午後三時十六分開議

○伊藤委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○上野委員 私からは、さきに本委員会に報告されました豊洲市場のひび割れについて質問をいたします。
 今回のひび割れにつきましては、移転直前のタイミングと重なったということもありますし、報道でも大きく取り上げられたところであります。また、市場業者の方からは不安の声が寄せられたところでもあります。
 私も、豊洲市場で地盤沈下と、ニュース報道で流されたときには、陥没でも起きたのかと驚いたわけでございますが、よく報道内容を聞いていきますと、ひび割れであるということがわかりました。
 ひび割れの状況、これも拝見させていただいたわけですけれども、私のこれまでの現場経験、技術職としての現場経験、こうしたところの中から踏まえて申し上げていけば、通常、埋立地、例えば羽田空港、あるいはお台場、江東地区、こういったところ、盛り土を行った地域に生ずる圧密沈下によるひび割れ、このように私としては判断したわけでございます。
 こういったものについては、維持補修を適切にすれば安全性に問題はありませんし、市場機能にも支障を来さないと、このように判断できる内容だなというふうに思ったわけでございます。なぜニュース報道で取り上げられたのか、正直、いささか違和感を感じたところでもございます。
 にもかかわらず、不安だという声が生じるのは、地盤沈下と聞くと、地盤が大きく下がって危険とか、あるいは地盤沈下が起きることで大きな事故が起きるのではないかという、このイメージ、そういったものが先に出てきているといいますかね、そこに不安が生じているんじゃないかと、いわゆる地盤沈下というものに対する正しい理解がなされていないことが原因で不安が起きているんじゃないかと、このように思うわけでございます。
 先ほどの都民ファーストさん、また山崎副委員長からの質疑の中ででも、この件については、いろいろと重要な話の質疑がございました。非常に私も、ためになったところでございますけれども、この地盤沈下とは何が原因で起こるのかということについても、都からの説明がありました。
 もう一度確認しますけれども、主な原因としては、一つには、盛り土載荷による圧密沈下による地盤沈下というものがある。二つ目には、深井戸による地下水の過剰の揚水によるものもある。三つ目には、地下に空洞が生じたり、トンネル掘削による陥没等による地盤沈下というのがある。そして四つ目には、これは天然ガス等の採取によるもの、こういうものがあるということでございます。
 では、この豊洲市場の地盤沈下は、そうした原因の中での何によって生じたのかというのを、もう一度明確に答えていただきたいと思います。

○佐々木環境改善担当部長 豊洲市場で今回ひび割れが生じた原因は、先ほどの原因のうち、盛り土を載荷することによる圧密沈下であると考えます。

○上野委員 今も答弁ありましたが、圧密沈下、私もそのように思います。こういった埋立地では、通常、盛り土によって起こり得るものでありまして、科学的にも解明されているところでございます。
 そうした意味で質問を続けてまいりますが、市場では、ひび割れの発生、昨年の秋ごろから施設を巡回する中で確認したという答弁がございました。業界には、そのことを説明されていなかったようでございますが、なぜでしょうか。お答えください。

○渡辺施設整備担当部長 圧密沈下は、盛り土を行った場合に一定程度生じるものでございまして、時間の経過とともに収束するため、今後、大幅な沈下や突然の陥没等につながるものではなく、また、ひび割れは、プラットホームの下にあり、トラック等のタイヤが乗り上げる位置にはございませんでした。
 安全性や市場業務に影響するものではないため、改めて業界の方々にお知らせする考えには至りませんでした。
 今回の件について、業界の方々から心配の声が寄せられており、今後はより丁寧な対応に努めてまいります。

○上野委員 やはり、そこのところが、まず一点問題があると思いますね。
 私もわかりますけれども、どうしても技術者というのは、普通にあり得ることというか、ある程度想定したことが起きているなということで、一カ所ぐらいじゃ直すのに、お金そんなに、それだけのために、税金というか、予算を使うというのはなかなかやらなくて、幾つかまた出てくるだろうと、こういう思いの中で、恐らく、それが生じたときに、きちんと補修していこうというふうな思いがあったのかと思いますけれども、やっぱり大事なことは、一般の人でも素人の人でも、そういった状況を見たら心配するわけですから、そこのあたりについては、しっかりと都民の目線で物事を判断していかなきゃならないと思います。
 今回のひび割れは、盛り土に伴う圧密沈下によって地盤が下がった、このことによって発生したということは今、確認したわけでございます。
 盛り土を伴う工事の後には一般的に発生する、都も当初から発生することを見込んでいたということでありますけれども、改めまして、圧密沈下とはどういうものなのかという発生のメカニズムなど、基本的な内容について説明をしてもらいたいと思います。

○佐々木環境改善担当部長 豊洲市場用地は、埋め立てにより造成された土地であり、埋立土の下には、有楽町層と呼ばれる層がございます。
 この有楽町層は、自然に形成されたものであり、粘性土層のほか、砂層や砂まじりの粘性土層など、幾つかの層から成り立っております。
 一般に圧密沈下とは、地下水面より深い位置にある粘性土層が、荷重の増加等により地下水が排出され、体積が減少することで地盤が沈下する現象であり、臨海部の地域では、盛り土を行った場合、圧密沈下が起こり得るというふうに考えてございます。
 今回、六街区で生じた圧密沈下は、従来の地盤面よりも上に盛り土を行ったことにより発生したものでございます。

○上野委員 今の答弁のとおりで、圧密沈下というのは、盛り土の重さが加わることによって、地層の中の粘土層の部分が圧縮されて地盤が下がっていくという、こういったメカニズムであります。
 私も技術者の一人として、埋立地で盛り土をすれば圧密沈下することは、これは一般的なことなんですね。豊洲市場特有ということではないんです。
 そこで、圧密沈下が一般的な現象であることをおわかりいただくためにも、他の事業での沈下事例を紹介していただきたいと思います。

○佐々木環境改善担当部長 盛り土の厚さや地盤の状況も異なるため、一概に比較することはできませんが、公表されているデータをもとに沈下事例を紹介いたします。
 例えば、羽田空港D滑走路は、水深約十二メーターから約二十メートルの海上に最大約四十五メートルの盛り土を施工し、最大沈下量は約八メートルと予測されました。
 供用開始後、百年間での沈下量を約五十センチメートルから約七十センチメートルと予測しており、沈下の状況を踏まえ、適宜補修することとしております。
 なお、平成十九年の工事開始から供用開始となる平成二十二年十月までに、おおむね沈下は収束しているとの結果が公表されております。
 また、道路の盛り土事例として、岐阜県養老インターチェンジでは、約十四メートルの盛り土による沈下の予測を行うに当たり沈下量の設定を行っており、供用後三年で沈下量は十センチメートル以下としております。
 試算の結果、供用後三年で最大六・七センチメートルの沈下を見込んでいるといったことが公表されております。

○上野委員 羽田空港のお話がございました。関空の今回の水害の関係も含めて、やっぱり地盤沈下というのは、非常にいろんな課題として注目されたところでありますけれども、私もちょっと記憶をたどっていきますと、平成元年ごろから、羽田空港の沖合展開事業、これに伴っての環状八号線の延伸工事と、そちらの方の設計を担当したときがございます。
 このときに、羽田マヨネーズと、こういわれるほど軟弱地盤で、非常に圧密沈下を起こしていくよということでございました。ちょうど新A滑走路ですかね、これができたばかりのところで、その下を環状八号線が通ると。掘り割りからトンネルに行って、また橋に向かって湾岸道路と、こういった設計をやっていく中で、運輸省の方からいわれたのは、羽田空港は、この十年間で約五十センチ沈下しましたという、たしかそういうふうな、記憶ではそういうふうにいわれたと思うんですけど、一年に約五センチぐらい沈下している、圧密沈下です。
 これに合うような形でトンネルが一緒に沈下してくれないと、飛び出して、新A滑走路で大変な事故になってしまうというふうなことで非常に気を使って、地盤沈下と一緒に、そういったトンネル躯体、掘り割りも沈下するような構造を考えてやったという、非常に苦戦をした場所でございました。このときに、圧密沈下というのを非常に勉強させていただいたわけでございます。国内でも、さまざまな事例があることがおわかりいただけたと思います。
 今回の件について、都は圧密沈下を見込んでいた、想定していたとのことでありますけれども、具体的にはどのような想定をしていたのか、説明を求めます。

○渡辺施設整備担当部長 臨海部の地域では一般に、盛り土を行った場合、圧密沈下が起こり得ます。
 豊洲市場用地においては、平成十八年には圧密沈下の解析を行っており、六街区の西側は沈下しやすく、盛り土をしてから、一、二年の沈下が大きく、それ以降は徐々に落ちついていくことを承知しておりました。
 また、建物はかたい支持層に打ち込んだくいによって支えられており、建物と外構部、地盤の境界部では、両者の挙動の違いから、少なからず沈下の影響により、すき間、あるいは舗装部にひび割れが生じることはあり得ると考えておりました。
 こうしたことから、土壌汚染対策工事による盛り土を行ってから舗装工事を行うまでに、二年ほどの時間を確保することにより、沈下を考慮した設計、施工を行っております。

○上野委員 先ほども申しましたように、埋立地で盛り土を伴う工事をした後には、圧密沈下は一般的に発生するのであります。都も当初から発生することを見込んでいたということでございます。
 では、見込んでいたのであれば、こうしたひび割れが起きたときに、どういう対応をするのか、これは当然考えていらしたと思いますけれども、ひび割れが生じていることを確認してから、市場はどのような対応を図ろうとしていたのか、説明をお願いします。

○渡辺施設整備担当部長 水産仲卸売り場棟西側における沈下は、ひび割れの状況等から、確認してから、この一年間の間で落ちついてきており、今後、大幅な沈下が生じることは考えにくく、時期を捉えて補修を行う考えでございました。
 しかし、市場業者の方々から心配の声が寄せられ、市場業者の安心に資する観点から、既に先月末に補修工事を完了させたところでございます。

○上野委員 先ほどのご答弁では、時期を捉えて補修を行う考えであったが、市場業者の方々から心配の声が寄せられ、市場業者の安心に資する観点から、先月末に補修工事を完了させたところであるという、こういった答弁でございましたが、こうした考えが今回のような事態を招いたんじゃないでしょうかね。
 市場関係者だけでなく一般の方であれば、これから移転する新しい市場ですよ。当然に、ひび割れとか沈下というのがあっちゃいけないわけです。そういうふうに思うわけですよ。
 新しいところですから、きれいなところだと思って行って、そこの目の前で、ひび割れ、沈下の状況を見れば、これは誰でも不安になりますよ。ましてや開場直前ですからね。時期を捉えて補修ではなくて、迅速に補修すべきではなかったんでしょうか。
 私は、今回のことは、そういった意味では維持補修の対応の仕方に大きな問題があったと、このように思っているわけでございます。
 ところで、確認のために、もう一度お尋ねしますが、圧密沈下によって地盤は今後も下がり続けるのでしょうか。

○渡辺施設整備担当部長 圧密沈下は、盛り土をしてから一、二年で大きく進行し、その後、徐々におさまってくるものでございます。
 六街区におきましては、土壌汚染対策工事による盛り土を行ってから四年ほどが経過し、現在のひび割れの状況から、今後、大幅な沈下が生じる状況にはございません。

○上野委員 それでは、緊急点検の結果に、ひび割れは十一カ所見つかったと、このように報告されておりましたけれども、これも想定の範囲なのでしょうか、お尋ねいたします。

○渡辺施設整備担当部長 豊洲市場用地では、圧密沈下が生じることは想定しておりました。
 また、建物と外構部、地盤の境界部では、沈下の影響により、すき間、あるいは舗装部にひび割れが生じることはあり得ると考えておりました。
 こうしたことから、沈下によるひび割れが一定程度あることは把握しており、九月十二日から改めて点検を実施し、市場関係者の安心に資する観点から補修を行うもの、市場利用者の通行量の多い位置にあり経過観察を行うものを整理したところでございます。
 この十一カ所のずれやひび割れは、段差にして〇・一センチから五センチ程度、延長にして〇・五メートルから十メートル程度であり、おおむね想定した範囲でございます。

○上野委員 今の答弁、沈下は想定していたと、地盤はもう大きく下がることはない、地盤が陥没することもないということを確認することができたわけでございます。
 では、都は、この緊急点検で見つけた十一カ所は今後どう対応する予定なのか、お尋ねします。

○渡辺施設整備担当部長 十一カ所につきましては、安全性に問題のあるものではございませんが、市場業者の方々から心配の声が寄せられたことから、ずれやひび割れの状況に応じて補修工事や経過観察を行うことにいたしました。
 まず、水産仲卸売り場棟の西側バースにおけるひび割れ及びターレの走行経路の二カ所につきましては、市場関係者の安心に資する観点から、先月末に補修工事を完了させたところでございます。
 そのほか、緊急性は低いものの、市場利用者の通行量も多いと予測される九カ所につきましては、月一回程度、目視を基本としながら、段差が大きい場合など、必要に応じてスケールを活用して測定するなど、適切に点検を行い、ずれやひび割れが大きくなるようであれば、補修等について検討し、安全性や市場業務に影響が出ないように対応してまいります。

○上野委員 都民の皆様が沈下と聞いて心配するのは、大きな沈下が今後発生することはないんでしょうかということでもありますし、また、建物は大丈夫かということでもあります。これにつきましては、先ほど答弁を各委員からのお話の中で確認できたわけでございますけれども、問題はないと、こういうことでございました。
 そこで、改めてお尋ねいたしますが、今後新たに沈下によってひび割れが生じる可能性はあるんでしょうか、ないのでしょうか。お答えください。

○渡辺施設整備担当部長 圧密沈下は時間の経過とともに徐々に収束するものであり、豊洲市場において、今後大幅な沈下等が生じることは考えておりませんが、一方で、アスファルトは、圧密沈下のほか、温度変化や車両通行の荷重などによってもひび割れが生じるとされており、今後もさまざまな要因により小規模のひび割れが発生することはございます。
 都といたしましては、こうしたひび割れが生じた場合に備えて、適宜点検を行い、状況の把握に努めるなど、適切に対応してまいります。

○上野委員 いろいろこれまで答弁をいただきました。確認の意味で、もう一度、都民の皆様がわかるようにいたしますけれども、圧密沈下というものは徐々に地盤が下がっていくものであると。地面がぽっかりと陥没するといった事態を招く性質のものではないということ、これが、まず確認です。
 そしてまた、沈下は、初期段階、最初の数年で大きく進行して、その後に沈下の進行は緩やかになると。豊洲市場の場合、盛り土後の最初の二年間ぐらいで大きく進行していって、その後、沈下の進行は緩やかになって、いずれおさまっていくということであります。
 そうした圧密沈下の性質というのを、やはり正確に伝えるということが大事であって、そうではなく、いたずらに不安をあおるようなことというのは避けなければなりません。大事なことは、圧密沈下によって安全性や市場機能への影響を及ぼさないという、このことが今回、確認されたということでございます。これはもう科学的にもそうです。
 また、先ほどの答弁にありましたように、圧密沈下のほか、温度変化や車両通行の荷重などによってもひび割れが生じるといわれました。
 豊洲市場はえらい広いですね。四十ヘクタールです。道路は普通の公道並みですよ、数多い車が通っていくわけです。それもまた大きいトラックとか、荷物を積んだ車がどんどん通る。通常でも道路は傷みます、大変な状況になっていくんです。そういった意味での維持管理というのが、これから開場後は極めて大事になっていくんです。
 今後も小規模なひび割れが発生する可能性があるわけですから、定期的な点検結果に対して迅速に対応できる体制、これを整えるということが、今回のいろんな事象における我々の教訓じゃないでしょうか。これをしっかりと市場は認識して取り組まなきゃならないと思います。
 そこで、迅速な補修、復旧工事を可能とする仕組みを豊洲市場においても講じておく必要があると考えますけれども、都の見解を求めます。

○渡辺施設整備担当部長 豊洲市場の機能を適切に発揮するためには、施設のふぐあい等が発生した場合に、迅速に補修、復旧を進める必要がございます。
 今回のひび割れにつきましては、市場業者の安心に資する観点から早期に契約を締結し、先月末に補修工事を完了いたしました。また、経過観察の対象となる九カ所につきましても、今後、補修等が必要とされる場合には、速やかに対応してまいります。
 都といたしましては、巡回等による日常の点検を定期的に行い、ふぐあいなどの早期発見に努めるとともに、その状況に即した補修工事を迅速に行うなど、施設の維持管理を的確に行ってまいります。

○上野委員 ぜひともしっかりとした取り組みを進めてもらいたいと思います。
 都は、今回の緊急点検の結果を受けて補修を実施したとのことでございますが、圧密沈下によらずとも、施設の急な補修が必要になる場合がこれから多々出てくると思います。
 例えば、築地市場では、施設の老朽化によりまして通路が陥没するといった事態も発生したところでありますけれども、そうした場合には、直営や緊急施工によりまして迅速に復旧していると、このように私は思っているところでございます。認識しております。
 豊洲市場では、最新の施設であるために、この老朽化ということは考えにくいです。市場施設である以上、万が一の事態への備えは適切に講じておくべきであるということを強くいわせていただきたいと思います。
 さて、圧密沈下についてもう一つ確認しておくべきなのは、地下水管理システムによる地下水の揚水との関係です。地下水をくみ続けることで地盤沈下が起きたのが東部低地帯であります。豊洲市場でも、地下水管理システムで揚水を続けていく以上、地盤は沈下し続けることになるといった主張も一部にはされていると聞いております。
 そこでまず、地下水をくみ上げることで起きる地盤沈下について説明をしていただきたいと思います。

○佐々木環境改善担当部長 一般的に、地下水を揚水することによる地盤沈下は、井戸を地中深くに打ち込み、地下水を大量にくみ上げることで生じるものでございます。
 具体的には、深い位置にある粘性土層と、粘性土層に挟まれる帯水層と呼ばれる地下水を豊富に含む層から大量に地下水をくみ上げることで、帯水層の地下水位が低下し、帯水層の上の粘性土層から強制的に水分が絞り出されます。これにより、粘性土層が潰れ、収縮すること、すなわち厚さが減ることにより発生するものと認識しております。

○上野委員 地下水をくみ上げることによる地盤沈下は、地中深くの井戸から大量に地下水をくみ上げることで生じると、こういったご答弁でございました。
 では、同じ地下水くみ上げを行う豊洲市場に当てはめた場合について大丈夫なのか、お聞きいたします。

○佐々木環境改善担当部長 豊洲市場における地下水の揚水は、降雨の影響を受ける粘性土層よりも浅い層にたまる地下水をくみ上げるシステムであり、ウエルポイント工法でもAPプラスゼロメートル程度の深さから地下水をくみ上げております。
 このため、地下水の揚水により粘性土層の水分に影響を与えるものではなく、地盤沈下を引き起こすことは考えにくいというふうに捉えております。
 なお、追加対策工事の実施に当たりましては、地下水の揚水が地盤沈下に及ぼす影響を把握するため、地盤変状調査を実施しております。六街区では十六カ所で調査を実施し、沈下量は最大でも八・六ミリメートルでございました。
 こうしたことから、豊洲市場用地における地下水の揚水が地盤沈下に及ぼす影響は少ないものと認識しております。

○上野委員 今のご答弁ありました揚水する深さと沈下する粘土層の位置が全く異なっており、地下水管理システムやウエルポイントによる揚水が圧密沈下を招くことは考えにくいということでございます。
 さて、最後の質問になりますけれども、沈下、ひび割れと聞くと、ひび割れのすき間から地下のベンゼンやシアンといった汚染物質が気化して上昇してくるのではないか、それによって安全性に問題が生じるのではないかといった心配する不安の声も一部聞こえてまいります。
 そこで、ひび割れによってベンゼンがすき間から上昇してくる、安全性に問題があるのではないかといった豊洲市場の安全性への懸念について、都の見解を求めます。これは大事なことですから、はっきりと答えていただきたいと思います。

○佐々木環境改善担当部長 豊洲市場では、地上部や地下ピット内の空気測定を行っており、その結果、ベンゼンや水銀等の揮発性ガスはこれまで基準以下でございます。
 また、ひび割れに伴う有害物質の揮発についても、盛り土が有効に機能していると認識しており、地上部の安全性には問題ないと考えております。

○上野委員 今回のひび割れの問題を通じて改めて感じたことは、まず第一に、発生した現象を都民の方やマスコミの方に、科学的、技術的に正しく理解してもらうことであります。そうでないと、いたずらに不安をあおるような主張に惑わされ、豊洲市場は開場後においても風評被害が生じて、市場業務に支障を来しかねません。市場の業者の方々に迷惑がかからないようにしなきゃなりません。
 また、第二には、問題を解決するための手だて、今回のケースでいえば、点検や迅速な補修が大事であります。例えば、維持管理マニュアルなどをきちんと講じて、迅速な対応ができるようにするためには予算化していくということです。これが非常に大事です。重要であると、このように思っているところであります。
 豊洲市場を将来の日本の中核市場として育てていくためには、こうした一つ一つの取り組みをしっかりと積み重ねていくことが肝要であります。都は、そうした思いをしっかりと胸に刻んで、新しい市場の運営に邁進していただきますよう、このことを強く求めて、私の質問を終わります。

○あぜ上委員 今、上野副委員長がおっしゃいましたが、私たちは移転に反対ですが、新しい市場が開設されようとしている、引っ越しをしようとしている、そのやさきに地盤沈下ということで、準備万端どころじゃないという声が市場の中にはたくさん上がっています。
 私のところにも連日のように今業者の方々からさまざまな情報、そして、不安の声が寄せられております。移転は、とにかく今中止してもらいたいんだという切実な声も寄せられております。
 それは、やっぱり移転の前提条件だった地下水も土壌も環境基準以下にするという、その約束、そして、市場業者の納得と合意を丁寧に築いていくとおっしゃっていた約束も、そして、知事が築地は守るといった約束もほごにされてしまったと。その上、こういう事態があったということなわけです。
 やっぱり今業者の皆さんは、本当にどんな思いで不安や不信で苦しんでいらっしゃるか。私は、私たち議員もそうですが、当局もしっかりと受けとめる必要があるというふうに思っております。
 そして今東京都がやるべきは、一つは、しっかり情報開示を行って、科学的検証を行い、都民や市場業者の不安の声に応える、そういう説明責任をきちんと果たすことだというふうに思います。そういう立場から、豊洲市場の圧密沈下と液状化の関連について伺いたいと思います。
 先ほどのご答弁の中で、突然の陥没はないというご答弁がありましたが、今市場関係者の皆さんや消費者の皆さんからは、じゃ、直下型地震が起きたらどうなるのと。豊洲市場は、圧密沈下が起こるような、先ほど来、何度もお話があったように軟弱地盤だと。そういうところで液状化についても不安なんだという声が改めて寄せられているわけです。こうした不安にも、私はしっかり応える必要があるというふうに思っています。
 二十六日の本会議の代表質問で、我が党の質問に対して、市場長はご答弁の中でこうおっしゃいました。敷地全域で砂やコンクリートによる締め固めなどの液状化対策を実施していると。豊洲市場用地における液状化判定においても、圧密地盤沈下を想定している有楽町層の粘土層であるYc層では、基本的には液状化しない、もしくは、しにくいとの結果になっていると、こうご答弁されました。
 しかし、地層を改めて見ますと、圧密沈下のYc層があって、その下に液状化しやすいYs層があるというところもありましたし、また、この液状化しないといわれたYc層についても、粘土と砂のまじりぐあいによって異なると。Ycの中でも局所的に液状化判定の対象となる部分もあると、第七回市場問題プロジェクトチームの資料でも報告されておりました。
 そこで伺いますが、先ほども沈下解析、これは平成十八年、二〇〇六年、これでやったというご答弁がありましたが、液状化対策を検討するための大前提となった改良前の地質構成などの調査、これはいつやったのか伺います。

○佐々木環境改善担当部長 この調査についてのお尋ねにお答えさせていただきます。
 豊洲市場用地では、平成十八年度に地質調査及び地盤解析調査を実施しております。調査の具体的な内容でございますが、ボーリング調査や室内土質試験等を行った上で、豊洲市場用地における圧密沈下や液状化の可能性の範囲についての試算等を行っているものでございます。

○あぜ上委員 そうですね。この広い四十ヘクタールの中で、その調査は八カ所ということであります。その後に、二〇一一年、三・一一の大地震が起こったわけです。東日本大震災のときの液状化の状況と、その後、どのような調査を行ったのか伺います。

○佐々木環境改善担当部長 豊洲市場用地では、建物敷地以外については、平成二十三年十一月以降の土壌汚染対策工事において、建物敷地については、平成二十六年二月以降の建物建設工事において液状化対策を実施しております。
 平成二十三年三月の東日本大震災の際には、こうした液状化対策を実施する前であり、豊洲市場用地の五街区と六街区において、液状化に伴う大小百カ所を超える噴砂が確認されました。震災直後には、技術会議の委員に現地を確認していただき、豊洲市場用地における噴砂は部分的で極めて小規模である。噴砂が生じた区画については、念のため、安全確認する必要があるとの見解をいただきました。
 このため、土壌汚染対策工事の際に、噴砂に伴う土壌の安全確認調査を行い、必要な対策を適切に実施してございます。

○あぜ上委員 私は三・一一のときに、翌日に江東区内を、被災状況の確認と都民からの要望の聞き取り活動をしてちょうど回っていたんですが、豊洲市場用地の液状化を目の当たりにいたしました。これは大変だと、その後、都議団として現場に入って、百八カ所の液状化状況と護岸の亀裂の視察を行って、直ちに液状化のボーリング調査を求めました。
 しかし、噴砂等の目視で状況把握したとして対策が講じられたわけですが、本当に目視で行われたということにびっくりしたことを思い出しております。
 その後、地質の専門家などからは、やはりきちんとした調査をすべきではないかという声も上がり、私たち都議団も調査を求めてきましたが、目視の調査で判断されたわけです。
 その後、二〇一一年度から、土壌対策工事とあわせて、先ほど来お話があります液状化対策、これが建物の敷地内の液状化対策と、敷地外の液状化対策と、それから、あと、三一五号線の下の対策と、三種類の対策が行われたということでありますが、その液状化対策とその効果検証はどのように行ったのか、改めて伺います。

○伊藤委員長 ちょっとその液状化対策は質疑の対象の範囲外だと思いますよ、あぜ上委員。これはあくまでひび割れ問題……(あぜ上委員「だって、ひび割れとの関連でしょう」と呼ぶ)まず、この質問に対しては答弁を求めますけれども、今後、ちょっと今の質疑の範囲を超えているかどうか、見極めさせていただきます。(発言する者あり)答弁してください。

○佐々木環境改善担当部長 ただいまの委員のご質問についてお答えをさせていただきます。
 豊洲市場の液状化対策は、土壌汚染対策工事及び建物建設工事の際に行っており、具体的な方法としては、砂やコンクリートのくいを地中に造成し、地盤を締め固める方法などを実施しております。
 液状化対策の効果検証は、液状化対策実施後に締め固めぐあいなどを確認するチェックボーリングと呼ばれるボーリングを実施し、目標としていた改良効果が得られたことを確認しております。
 これらに加え、第七回市場問題プロジェクトチームにおいて、大地震における液状化に対する安全性を検証し、効果があることを確認しております。

○伊藤委員長 再度、あぜ上委員に申し上げますけれども、あくまで報告事項の範囲内でご質疑をお願いします。
   〔「今回のひび割れのことだよ」と呼ぶ者あり〕

○あぜ上委員 そうです。
 そういう意味では、都民の皆さんは、こういう軟弱地盤において、本当に直下型の地震があったときに、この圧密沈下と液状化の関連はないのかというところを心配しているわけです。ですから、そのことを私は明らかにしていきたいということで質問をさせていただいているわけです。
 それで、今チェックボーリングの問題については、第七回の市場問題プロジェクトチームの議事録でも読ませていただきましたけれども、Ys層が液状化にいたしましても……
   〔傍聴席にて発言する者あり〕

○伊藤委員長 傍聴者は静かにしてください。傍聴者。

○あぜ上委員 その上にYc層があるから、地盤被害はないからとして、液状化対策から外したことが記録されておりました。
 しかし、これはたった八カ所の地質調査を前提にしていること、そのために、建物外では、Yc層の上のみのチェックボーリングとなっていることなどから、当然、やっぱりこの圧密沈下と液状化、これが関連していくんじゃないかという心配の声が上がるのは、私は当然だというふうに思います。まさに地震が起きてみなければわからないでは済まされない問題だといわなければならないわけです。
 この間、今いろいろご説明もいただきましたけれども、結局、この圧密沈下と、それから液状化の関連について、都民の不安がある以上、都民に対して説明会を開いて報告をする必要があるというふうに私は思うんですけれども、その点はどうですか。

○佐々木環境改善担当部長 今回、圧密沈下により、建物と外周部との境で破損、ひび割れが生じたことについては、外構部の盛り土がなされた箇所であり、安全上、市場機能上も問題はございません。このため、専門家会議や説明会を開催する予定もございません。
 また、建物外構部で盛り土を実施してから四年経過していること。また、現在確認されている舗装部のひび割れの状態から、沈下は落ちついているというふうに考えてございます。
 また、今回のひび割れについては、先月末に補修が完了したところであり、今後も点検等を適切に行い、必要に応じて適宜補修を行うことから、改めて説明会を行う予定はございません。(「違うだろう、答弁が。液状化との関係でしょう。今の答弁は、おかしいよ。答えてないよ」と呼ぶ者あり)液状化の関係ということでございますけれども、今回の事象につきましては、上部に盛り土を乗せたと。それによる載荷重による圧密沈下というメカニズムでございます。
 あぜ上委員からのご質問につきましては、軟弱地盤層、特に砂層において、地震で激しく揺られたときに発生する液状化現象のことについてのお尋ねでございますので、直接の関係はないというふうに考えてございます。

○あぜ上委員 あのね、地層を見ると、いわゆる圧密沈下で沈んでしまうYc層と、それから、その下にですよ、液状化対策してないYs層があるんですよ。だから、みんな心配しているわけです。だから、そういう説明をきちんと、私は、科学的な検証をして行うべきだというふうに主張しているわけです。
 そして、市場関係者の皆さんは、そのことによって、先ほどもちょっと山崎副委員長もおっしゃっていたけれど、建物ももしかしたら倒れちゃうんじゃないかって、例えばそんなことないよって説明しても、なぜそういうふうに説明できるのかという根拠がわからなければ、わからないわけですよ。だけど、それをちゃんと市場関係者の皆さんに説明もしていない。(「説明したじゃない」と呼ぶ者あり)市場関係者にはしていないでしょう。市場関係者には説明をしていない。
 私は、やっぱり市場関係者の人たちが、毎日あそこを使うわけですよ。だから不安なわけですよ。そういう市場関係者の皆さんに、きちんと科学的な検証を行って、そして、先ほどいったように、Yc層の下にYs層がある。Ys層は液状化対策がされてない。それでも本当に大丈夫なのかという不安に対して、きちんと科学的な検証を行って説明をするというのが本来の、私は東京都のあるべき姿勢であるというふうに思うわけです。ですから、そのことを強く求めておきたいと思います。
 しかも、建物以外の敷地外の設計地震動は百四十四ガルなんですよね。レベルワンになっている。そうなりますと、本当に気象庁のデータを見ても、三・一一の地震でも、各地で百四十四をはるかに超えるような地震動があったわけですね。それで、江戸川の中央というところでは、気象庁のデータでも二百二十ガルあったわけです。そういうところを見れば、やっぱりみんな不安になるわけですから、圧密沈下が起こるような軟弱地盤で、本当に地下に残っている汚染が、地震が来たときに吹き出さないのか、そういう不安があるわけで、万が一のことがあったら、市場機能はストップしてしまうわけですよ。子々孫々まで汚染の懸念におびえるようなことがあってはならないと私は思います。
 そういう点で、きちんと科学的検証を行い、市場関係者に説明をすることを求めて、質問を終わります。

○尾崎委員 私の方からも、豊洲市場水産仲卸売り場棟など、十一カ所で、ひび割れが起こったこと、地盤沈下にかかわって質問をさせていただきます。
 九月二十六日の代表質問でも、我が党は幾つか質問をしました。しかし、都民から、どうなっているのか、建物への影響はあるのか、建物は大丈夫なのかという疑問や不安が引き続き寄せられています。
 そこで、事実確認のために幾つか質問いたします。
 都は、九月十一日、水産仲卸売り場棟西側バースの舗装が圧密沈下したことを公表しました。地盤沈下はいつ発見したのか伺います。

○渡辺施設整備担当部長 沈下すること自体は、平成十八年の地盤解析を行った結果から認識しておりました。
 昨年の秋ごろから施設を巡回する中で、今回のひび割れを確認したものでございます。

○尾崎委員 沈下すること自体は、二〇〇六年、平成十八年ころから認識していたのに、昨年秋ごろから施設を巡回する中で、ひび割れを確認したと。余りにも曖昧な答弁だと思います。地盤沈下について認識が甘かったのではないかと厳しく指摘をしておきます。
 九月十八日、経済・港湾委員会では、六街区のほかに五街区のひび割れがあり、補修や経過観察が必要な箇所は十一カ所であったとありましたが、これはいつ発見したものなのですか。九月十一日以降の調査でわかったものなのかどうか伺います。

○渡辺施設整備担当部長 豊洲市場用地で圧密沈下が生じることは、平成十八年の地盤解析を行った結果から認識しておりました。
 昨年秋ごろに施設を巡回する中で、今回のひび割れを初め、沈下によるずれやひび割れが一定程度あることを把握しておりました。
 こうしたものにつきまして、今般、改めて点検を実施し、市場関係者の安心に資する観点から補修を行うもの、市場利用者の通行量の多い位置にあり経過観察を行うものを整理したところでございます。

○尾崎委員 私が質問して聞きたかったのは、九月十一日以降の調査でわかったんですかと聞いているんですけれども、明快な答弁になっていないように思われます。改めて点検したということですから、九月十一日以降に調査したということでいいですよね。
 そこで、経過観測が必要なものは十一カ所ということですけれども、一体、各街区で、ひび割れは幾つあったのか伺います。

○渡辺施設整備担当部長 先ほどの最初のご答弁ですけれども、昨年の秋ごろから施設を巡回する中で、今回のひび割れを初め、沈下によるずれやひび割れが一定程度あるということは把握しておりました。
 続きまして、十一カ所以外にひび割れが何カ所あるかというご質問です。
 今回のひび割れにつきましては、市場業者の方々から心配の声が寄せられたことを踏まえまして、改めて点検を実施し、市場関係者の安心に資する観点から補修を行うもの、市場利用者の通行量の多い位置にあり経過観察を行うものを整理したところでございます。
 一般にひび割れの要因といたしましては、今回のように圧密沈下によるもののほか、温度変化に伴う伸縮や、車両通行に伴う荷重によるものなどがあるとされており、豊洲市場において、こうしたひび割れが発生していることは把握していますが、今回のひび割れは、安全上の問題や市場業務への影響を生じさせるものではございません。
 都といたしましては、補修工事が必要な二カ所については既に先月末に工事を完了させておりまして、また、経過観察をする箇所とあわせて、他のひび割れなどについても、適宜点検を実施し、必要に応じて補修を行うなど、適切な維持管理に努めてまいります。

○尾崎委員 私がお聞きしていることに、ずばり答えていただきたいんですが、十一カ所以外にひび割れは何カ所あるのかというふうに聞いたわけです。
 しかし、今何カ所あるか、明確なご答弁はありませんでした。ほかにもあることは、はっきりわかりました。この際、何カ所なのか、明らかにすることを求めておきます。
 一番大事なことなので改めて確認をしたいと思っていますが、ひび割れは、沈下は、なぜ起こったのですか。

○渡辺施設整備担当部長 豊洲市場用地は、埋立地により造成された土地でございまして、埋め立ての土の下には、有楽町層といわれる層がございます。
 この有楽町層は、自然に形成されたものであり、粘性土層のほか、砂層や砂まじりの粘性土層など、幾つかの層から成り立っております。
 一般に圧密沈下とは、地下水面より深い位置にある粘性土層が、荷重の増加等により地下水、間隙水が排出され、体積が減少することで地盤が沈下する現象でありまして、臨海部の地域では、盛り土を行った場合、圧密沈下が起こり得ます。
 今回の六街区で生じた圧密沈下は、従来の地盤面よりも上に盛り土を行ったことにより発生したものでございます。

○尾崎委員 土壌問題の専門家の方からは、都が説明していることに科学的根拠がないという意見が寄せられています。地盤沈下の範囲や進み方の正確な把握、ボーリング調査による地盤の状態の確認など、科学的調査をきちんと行い、地盤沈下の原因を解明する必要があるという内容です。
 先ほどの説明は、一般的な圧密沈下とはどういうものかということだと思います。地盤沈下は、地下水をくみ上げる、揚水することによって起こるのが一般的だと考えられます。
 今回の地盤沈下の原因が有楽町層からの揚水によるものなのか、盛り土、しゅんせつ土層からの揚水によるものなのか、それとも都が説明しているようなことなのかが不明確です。専門家の方は、現状でボーリング調査を実施し、過去の記録と照らし合わせて、揚水によって、どの部分の地層からの脱水が沈下の原因になったのかを明らかにすべきだと話していました。
 代表質問で我が党が知事にこのことをただすと、知事は、都として改めて調査をする考えはないと答弁しました。しかし、十月十一日の豊洲市場開場の前に、十一カ所のひび割れ、地盤沈下が発生したというニュースは、都民や市場関係者には大きな衝撃でした。都が沈下に伴うひび割れによって安全性の問題や市場業者への影響が生じることはないと説明しても納得できません。
 安全性の問題や市場業務への影響が生じないというのであれば、科学的調査を行うべきです。そして、全ての情報を公開することを改めて要望するものですが、いかがですか。

○渡辺施設整備担当部長 先ほど来ご答弁申し上げているとおり、今回の圧密沈下と地下水の揚水による地盤沈下というのは発生のメカニズムが違いますので、改めて調査を行う予定はございません。

○尾崎委員 発生のメカニズムが違うといわれても、専門家じゃない都民にはなかなか理解ができません。私も理解ができません。だからこそ、きちんと調査をすることが必要なんじゃないでしょうか。
 それでは、沈下観測は行ったのかどうか伺います。

○渡辺施設整備担当部長 今回のひび割れは、建物周りの地盤が時間をかけて圧密され、徐々に沈下したことにより生じたものでございます。
 また、盛り土は適切に締め固められていることから、突然の陥没等が起こるものではございません。
 このため、今回のひび割れを確認した後は、職員が適宜目視により、ひび割れの状況を確認しておりました。

○尾崎委員 目視でしか見ていなかったということです。繰り返しになりますけれども、目視だけでは不十分だといわなければなりません。
 それでは、圧密予測式はどうなっているのか伺います。

○佐々木環境改善担当部長 盛り土を行うことによる圧密沈下の解析につきましては、豊洲市場用地で行ったボーリング調査や土質試験などのデータを用いて、地盤の沈下量や沈下に要する期間を求めております。

○尾崎委員 都は、当初より想定しておりと説明していますけれども、想定していた場所はどこになりますか。

○渡辺施設整備担当部長 臨海部の地域で盛り土を行った場合、圧密沈下が起こり得ます。
 豊洲市場用地におきましては、平成十八年に圧密沈下の解析を行っており、六街区の西側は沈下しやすく、盛り土をしてから、一、二年の沈下が大きく、それ以降は徐々に落ちついていくことを承知しておりました。

○尾崎委員 六街区、特に西側部分では、ほかと比べ、比較的沈下が大きいと考えていたのはなぜですか。理由について、わかりやすく説明してください。

○佐々木環境改善担当部長 豊洲市場用地では、平成十八年に地盤解析を実施しており、その中で、圧密沈下についても解析を行っております。
 解析の結果、六街区の西側は、中央部や東側に比べて平均沈下量が大きくなっております。
 こうしたことから、六街区西側部分は、ほかと比べ、比較的沈下が大きいと承知しておりました。

○尾崎委員 私がお聞きしたいのは、そういうことではありません。二〇〇六年の六街区の西側が沈下しやすいという解析、分析結果が出た要因、それはなぜですかということです。もう一度伺います。

○佐々木環境改善担当部長 圧密による沈下は、盛り土の量や圧密対象となる地層の圧縮されやすさ、層の厚さに加え、地層がどのように構成されているかなどをもとに解析によって求めるものであり、六街区の西側の沈下が大きい理由について、一概に要因を説明することは難しいのですが、今お話しさせていただきました要因の違いによるものと考えております。

○尾崎委員 なかなか私には理解ができないご答弁でした。(「難しいよね」と呼ぶ者あり)難しいですね。でも、やっぱり、ここが大事なんだと思っているんです。
 豊洲市場用地の地盤については、二〇〇六年、平成十八年度に沈下量等の地盤解析を行っており、調査結果はホームページで公表しているとのことですが、これは土壌汚染対策を行う前のことです。
 このとき、六街区での地盤沈下量で、最大どのくらいと予測していたのか伺います。

○佐々木環境改善担当部長 平成十八年の地盤解析では、六街区において、最終的に七・三センチメートルから五十八・九センチメートルの沈下が生じると想定しております。

○尾崎委員 (パネルを示す)これが、ちょっとわかりにくいんですが、二〇〇六年の地盤解析です。この上のグラフは、盛り土の一番高いところ、天端のところです。これが三十七センチ沈下するということになっているわけです。そして、これが沈下量を示すものです。沈下量は五十九センチになっています。この沈下量は五十九センチです。盛り土が一番高いところが三十七センチ沈下するけれども、沈下量で見ると、五十九センチということになるという分析、解析をしているわけです。
 そうなると、今回の沈下も、盛り土の高さで沈下したのは五センチということですけれども、沈下量については、もちろん、きちんと調査すべきではないかと私は考えています。
 そこで、二〇一一年、平成二十三年三月に、応用地質株式会社が設計の中で沈下量などの解析を行っています。資料要求で出していただいたものでもわかりますが、六街区において圧密沈下を考慮した砕石層の設置高さを検討とありますが、どのような検討が行われたのか伺います。

○佐々木環境改善担当部長 豊洲市場用地では、敷地全域にAPプラス二メートルからAPプラス二・五メートルに砕石層を設置することとしております。
 圧密沈下によって砕石層が沈下することで、砕石層の連続性が損なわれないようにするため、六街区の沈下分を見込んだ砕石層の厚さを解析によって算出いたしました。

○尾崎委員 砕石層の厚さを解析によって算出したということですけれども、それでは、六街区の砕石層の厚さは、実際どのようにしたのか伺います。

○佐々木環境改善担当部長 圧密沈下によって砕石層が沈下することで、砕石層の連続性が損なわれないようにするため、六街区の沈下分を見込んだ砕石層の厚さを解析によって算出いたしました。
 具体的には、沈下分を見込み、砕石層を二十センチメートルから七十センチメートル厚く設置することとし、砕石層としては七十センチメートルから最大で一・二メートルとしました。
 なお、この砕石層の厚さについては、第十八回技術会議資料に記載しており、既にホームページで公表しております。

○尾崎委員 今のご答弁から、六街区、沈下しやすいところは砕石層を厚くすることで、水道を確保することが大事だということで検討も行われ、砕石層を厚くしたということだと思います。
 二〇〇六年、平成十八年と、二〇一一年、平成二十三年の沈下解析の仕方、手法の違いはあるのかどうか伺います。

○佐々木環境改善担当部長 平成十八年の沈下解析は、計画地盤面APプラス六・五メートルまで盛り土した場合の豊洲市場敷地全体の沈下量を求めております。
 一方、平成二十三年の沈下解析では、六街区の沈下分を踏まえて、砕石層の厚さを算出するための沈下量を求めております。
 平成十八年と平成二十三年の解析手法の違いについて、平成十八年の解析は、テルツァーギの一次元圧密理論という最も基本的な方法を用いて、三街区全体を八つの断面に区切り、三街区合計五十七地点で沈下量を求めております。
 平成二十三年は、三次元のFEM、有限要素法といわれるシミュレーション解析法を用い、六街区を三十メートルメッシュで、かつ深度方向を一メートルピッチに分割して、六街区に限定して沈下量を求めております。

○尾崎委員 二〇一一年の地盤解析でも、二〇〇六年の地点とは違いますけれども、二〇一一年の解析でも、西側の沈下量は六十二センチ、最大で六十二センチとなっています。
 私たちは情報開示を行って、東京都と日建設計との打ち合わせ記録を求めて、手元にあります。これを見ると、沈下解析の違いは、仕方は違っているけれども、沈下量はほぼ同じということですが、二〇〇六年の解析が若干過小評価となっており、沈下のスピードは両者で大きく異なり、二〇〇六年の解析の方がすぐに沈下がおさまる結果になっていますとのやりとりが、この中で明らかになりました。
 二つの解析がこれほど違っているわけですから、地盤が沈下した今状況について、きちんと解析すること、解明することが必要ではないかと思います。
 圧密沈下しないための手だては、どのように行っていたのか伺います。

○渡辺施設整備担当部長 盛り土に伴う圧密沈下は、一般的に発生するものでございます。
 こうした沈下は、早い段階で、その多くが発生し、時間とともに収束していくことから、沈下による影響を低減できるよう、盛り土の施工から舗装工事の仕上げまでに一定の期間を確保することといたしました。

○尾崎委員 沈下による影響を低減できるよう、盛り土の施工から舗装工事の実施までに一定の期間を確保するということでしたけれども、それぞれの街区でどのぐらいの期間を確保したのか伺います。

○渡辺施設整備担当部長 平成十八年の沈下解析によれば、盛り土をしてから一、二年での沈下が大きく、それ以降は徐々に落ちついていく結果となっております。
 外構部の舗装工事につきましては、いずれの街区も、土壌汚染対策工事において、盛り土を終えてから仕上げが終了するまでに約二年以上の期間を確保しております。

○尾崎委員 一定の期間を確保するということですけれども、盛り土を行ってから、現在、四年経過していることになります。本来なら地盤沈下があったとしても、既に収束しているということになりますが、今回、工事の順番が遅かった六街区だけではなく、五街区でも地盤沈下があったということですから、都の説明だけではなかなか納得できない状況があります。
 ウエルポイント工法の追加対策工事を行う際、圧密沈下などの議論があったのか伺います。

○佐々木環境改善担当部長 一般的に地下水を揚水することによる地盤沈下は、井戸を地中深くに打ち込み、地下水を大量にくみ上げることで生じるものであります。
 具体的には、深い位置にある粘性土層と粘性土層に挟まれる帯水層と呼ばれる地下水を豊富に含む層から大量に地下水をくみ上げることで、帯水層の地下水位が低下し、帯水層の上の粘性土層から強制的に水分が絞り出されます。
 これにより粘性土層が潰れ、収縮、すなわち厚さが減ることで発生するものでございます。
 一方で、豊洲市場における地下水の揚水は、降雨の影響を受ける粘性土層よりも浅い層にたまる地下水をくみ上げるシステムであり、ウエルポイント工法でも、APプラスゼロメートル程度の深さから地下水をくみ上げております。
 そのため、地下水の揚水により、粘性土層の水分に影響を与えるものではなく、地盤沈下を起こすことは考えにくいと捉えております。
 なお、追加対策工事の実施に当たりましては、地下水の揚水が地盤沈下に及ぼす影響を把握するため、地盤変状調査を実施しております。
 六街区では、十六カ所で調査を実施し、沈下量は最大でも八・六ミリメートルでありました。
 こうしたことから、豊洲市場用地における地下水の揚水が地盤沈下に及ぼす影響は少ないものと認識しております。

○尾崎委員 ただいまのご答弁でも、地盤沈下については、常に問題意識があって議論をしてきたということなんだと思います。
 追加対策工事の実施の前に地盤変状調査を行ったという答弁も、今ありました。そうであるならば、調査の実績があるのですから、直ちに現状を調査すべきだと要望しておきます。
 都の説明では、圧密沈下は時間をかけてゆっくりと沈下するものだが、一定の時間が経過することで沈下は収束するとしていますが、収束するのはいつと見ているのか伺います。

○渡辺施設整備担当部長 土は、一立方メートル当たり一・六トンから一・八トン程度と重く、圧密沈下は、盛り土などをしたことで、その下にある軟弱な粘性土層に鉛直荷重が加わり、粘性土層から間隙水が絞り出されて地盤が沈下する現象でございます。
 一般的に沈下は、盛り土した後、一、二年程度で大きく進行し、その後、徐々に沈下量は少なくなります。
 豊洲市場用地は、平成二十六年の土壌汚染対策工事の完了から四年経過しており、今後、大きく沈下が進行することはなく、沈下は落ちついていると考えております。
 なお、今回のひび割れにつきましては、先月末に補修を完了したところでございます。
 今後も、点検を適切に行い、必要に応じ、適宜補修を行ってまいります。

○尾崎委員 今後、大きく沈下が進行することはない、沈下は落ちついていると考えていると。今回のひび割れについては、先月末に補修完了したということですけれども、沈下が収束したことが確認されていない中で、補修したら、また沈下ということが起こるのではないでしょうか。
 二〇〇六年、二〇一一年に行った地盤解析だって、いってみれば、一つのシミュレーションにすぎません。今後も、点検等を適切に行い、必要に応じ、適宜補修を行うということですけれども、どのような点検を行うのか伺います。

○渡辺施設整備担当部長 緊急点検の結果、経過観察を行うこととした九カ所のずれやひび割れにつきましては、月一回程度、目視を基本としながら、段差が大きい場合など、必要に応じてスケールを活用して測定するなど、安全性や市場業務に支障が出ないよう適切に点検を行ってまいります。

○尾崎委員 月一回程度、目視を基本にということですけれども、繰り返しになりますけれども、目視ではなく、きちんと科学的に測定すべきです。
 圧密沈下を発見した際、専門家会議などにも報告したという話が先ほどありました。そして、専門家会議の平田座長からは、引き続き都が適切に維持管理をすることが必要であるとの助言もいただいたというご答弁が、先ほど、ほかの方の質問でありました。
 私たちは、農水省の認可がおりた後にも、農水省に聞き取りに行きました。農水省には、いつ地盤沈下のことを報告したのか伺います。

○渡辺施設整備担当部長 農林水産省に対しましては、ひび割れの原因や経緯、今後の対応などにつきまして、九月十一日に電話で報告いたしまして、十二日に訪問して説明いたしました。

○尾崎委員 農水省が認可書交付の前に豊洲市場の現地調査に来ていますが、そのときには、なぜ現地を見せず、報告もしなかったのか伺います。

○渡辺施設整備担当部長 圧密沈下は、臨海部の地域において盛り土を行った場合に一定程度生じるものでございまして、時間の経過とともに収束するため、今後、大幅な沈下や突然の陥没等につながるものではございません。
 ひび割れ下には舗装の基盤や盛り土があり、食の安全や市場業務に影響を与えるものでもないため、改めて農水省に報告しなかったものでございます。
 なお、農水省による現地確認への対応に当たりましては、豊洲市場の安全性のさらなる向上を図るために実施した追加対策工事の現場や、高度な品質、衛生管理等を目指して整備した施設設備などを案内いたしました。

○尾崎委員 せっかく農水省が豊洲市場の現地調査をしたわけですから、そのとき、説明をするべきだったんではないでしょうか。
 農水省からは、今回のひび割れ、地盤沈下について何か意見はありましたか。

○渡辺施設整備担当部長 農林水産省からは、今回の件は、建物の構造や土壌汚染にかかわるものではなく、施設の維持管理の一環で対応すべき事柄であるとの説明は理解できるとの認識が示されました。
 その上で、ひび割れの補修や、市場関係者や都民などへの丁寧な説明を行ってほしいとの話がございました。

○尾崎委員 農水省からも、ひび割れの補修や、市場関係者や都民などへの丁寧な説明を行ってほしいとの話があったということですから、都は、この立場に立って、きちんと調査を行った上で、市場関係者や都民が納得できるように、急いで丁寧な説明を行うよう強く求めるものです。
 次に、水産仲卸売り場棟の北側にあるマンホールから地下水があふれました。都民や市場関係者の一部から、地盤沈下との関係があるのではないかという疑問も出されています。
 そこで、事実確認のために質問したいと思います。
 都は、地下水管理システムの送水管の空気弁に付着物がついたのが原因だと説明していますが、付着物によってふぐあいが起きたのは初めてなんでしょうか。
 あふれた水はどのような水なのか、付着物とは何なのか、あふれた水の水質調査は行ったのかどうか、水はどのように処理されたのか伺います。

○佐々木環境改善担当部長 ただいま委員の方からご質問がございました空気弁からの溢水については、ひび割れとは直接関係ないものというふうに考えてございます。

○尾崎委員 ひび割れとは関係ないというご答弁ですけれども、市場関係者や都民は、やはり何か関係があるんじゃないかと、同じような場所で起こった問題なんだと思っているんです。
 豊洲市場用地は、そもそも東京ガス工場跡地で、深刻な土壌汚染があったところです。埋立地のために軟弱な地層でもあります。土壌汚染対策や追加対策を行いましたけれども、土壌汚染対策後であっても、汚染物質が残っていることははっきりしています。小池知事も認めています。しかも、追加対策工事で、地下ピットに盛り土のかわりにコンクリートを流し込んでも、ひびが入れば、汚染物質を完全に封じ込めることはできないと専門家会議も認めているんです。将来にわたって安全が担保できない状況です。
 しかし、それでも小池知事は安全宣言を行い、農水省に認可申請を行いました。九月十日に農水省の認可がおりましたが、認可されても何も問題は解決していません。それどころか、ひび割れや地盤沈下で、補修、経過観察が必要なところが十一カ所もあると明らかになり、マンホールから地下水が噴出するなど、十月十一日の開場日を前に、新たな問題が次々と起こっているんです。開場後もどうなるか心配です。
 今きちんと調査して、都民に丁寧に説明することが求められています。もう一度立ちどまり、きちんと調査することを重ねて要望するものです。こんな状況では豊洲市場への移転はやるべきではないと強く求めて、質問を終わります。

○伊藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○伊藤委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で中央卸売市場関係を終わります。

○伊藤委員長 特定事件についてお諮りいたします。
 お手元配布の特定事件調査事項につきましては、閉会中の継続調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○伊藤委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○伊藤委員長 この際、所管四局を代表いたしまして、藤田産業労働局長から発言を求められておりますので、これを許します。

○藤田産業労働局長 本委員会所管四局を代表いたしまして、一言ご挨拶を申し上げます。
 伊藤委員長を初め委員の皆様方には、本定例会にご提案申し上げました議案等につきまして、調査、ご質疑をいただきまして、まことにありがとうございました。
 また、請願陳情、報告事項を含め、ご審議の過程で賜りましたご意見やご指摘をしっかりと受けとめ、今後の事務事業の執行に十分反映させ、万全を期してまいります。
 今後とも、より一層のご指導、ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。

○伊藤委員長 発言は終わりました。
 この際、私からも一言ご挨拶を申し上げます。
 委員長任期最後の委員会が閉会することとなりました。いうまでもなく、本委員会は、中小企業振興を主に行う産業労働局や、また東京の物流を担う港湾局、そしてまた労働委員会事務局を所管をしておりますけれども、何といっても、この一年間は、中央卸売市場の議論の数々を重ねてまいりました。
 昨年、夏の臨時会に始まりまして本日の委員会質疑に至るまで、本当に多くの議員の皆様方に熱心に議論を重ねていただいたことに、心から敬意を表したいと思います。
 先日、本会議質問も含めてですけれども、この市場問題についての質疑時間を集計してもらったところ、三十八時間を超える質疑時間ということでございまして、一年間の中において、一つのテーマに対して、これほど多くの質疑時間が割かれたことは、過去にも多くはなかったというふうに承知をしております。
 もっとも市場問題につきましては、この長い都政の歴史においても、三十年以上にわたって、ほかに類を見ないほど長く議論をされてきたテーマでもございます。図らずも、本委員会の任期中の九月十三日に、この新市場の開場式典を迎えたところであって、また、本委員会のメンバーとして感慨深いものがございました。
 長い都政の歴史でも本当に例がないほど時間を要した、また検証を要した市場問題に一つの区切りがつきましたのも、ここにいらっしゃる委員の皆様方の議論のたまものというふうに承知をしているところでございます。
 この一年間、力不足でございました私に対しまして、上野副委員長、また山崎副委員長を初め理事、委員の皆様方に多大なるご協力とご尽力を賜りましたことを心から感謝を申し上げたいと思います。
 また、中央卸売市場を初め局の皆様方には、この委員会運営のために多くの資料、また熱心な答弁を出していただきましたことを心から感謝、御礼を申し上げたいと思います。
 そしてまた最後に、深夜までに及ぶことが多かったこの一年間ですけれども、書記の菅田さん、また佐々木さん、また渡壁さんにも大変ご尽力をいただきました。心から感謝を申し上げまして、この任期最後の委員長としての挨拶にかえさせていただきたいと思います。
 まことに、皆さん、ありがとうございました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時四十七分散会

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