経済・港湾委員会速記録第十六号

平成二十九年十月十九日(木曜日)
第八委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長伊藤 ゆう君
副委員長上野 和彦君
副委員長山崎 一輝君
理事尾崎あや子君
理事栗下 善行君
理事小山くにひこ君
鈴木 邦和君
細田いさむ君
柴崎 幹男君
森村 隆行君
ひぐちたかあき君
のがみ純子君
鈴木 章浩君
あぜ上三和子君

欠席委員 なし

出席説明員
中央卸売市場市場長村松 明典君
次長澤   章君
理事福田  至君
管理部長松永 哲郎君
事業部長白川  敦君
企画担当部長吉村 恵一君
渉外調整担当部長有金 浩一君
市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務松田 健次君
財政調整担当部長長嶺 浩子君
移転支援担当部長赤木 宏行君
新市場整備部長岡安 雅人君
新市場整備調整担当部長影山 忠男君
新市場事業推進担当部長櫻庭 裕志君
移転調整担当部長前田  豊君
事業支援担当部長西坂 啓之君
基盤整備担当部長村井 良輔君
技術調整担当部長鈴木  理君
施設整備担当部長佐藤 千佳君
建設技術担当部長吉野 敏郎君

本日の会議に付した事件
理事の互選
中央卸売市場関係
事務事業について(質疑)

○伊藤委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 初めに、委員の所属変更について申し上げます。
 議長から、去る十月五日付をもって、おときた駿議員が本委員会から公営企業委員会に変更になり、新たに鈴木邦和議員が公営企業委員会から本委員会に所属変更になった旨の通知がありましたので、ご報告いたします。
 この際、新任の鈴木邦和委員をご紹介いたします。

○鈴木(邦)委員 皆様、こんにちは。都民ファーストの会東京都議団の鈴木邦和と申します。このたび公営企業委員会から、この経済・港湾委員会へと異動となりました。
 経済・港湾委員会は、東京都の事業の中でも大変重要な事業を扱う委員会であると認識をしております。しっかりと務めを果たしてまいりたいと思いますので、皆様、どうかよろしくお願いします。

○伊藤委員長 紹介は終わりました。

○伊藤委員長 次に、おときた駿議員の所属変更に伴い、理事一名が欠員となっておりますので、これより理事の互選を行います。
 互選の方法はいかがいたしましょうか。

○鈴木(邦)委員 委員長の指名推選の方法によることとし、直ちに指名していただきたいと思います。

○伊藤委員長 ただいまの動議にご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○伊藤委員長 異議なしと認めます。よって、理事には栗下善行委員をご指名申し上げます。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○伊藤委員長 異議なしと認めます。理事には栗下善行委員が当選されました。
 なお、議席については、ただいまご着席のとおりといたしますので、ご了承願います。

○伊藤委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、中央卸売市場関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより中央卸売市場関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○松永管理部長 去る八月二十三日の当委員会で要求のありました資料につきまして、お手元に配布してございます経済・港湾委員会要求資料に基づきましてご説明申し上げます。
 資料は、全部で四項目ございます。
 恐れ入りますが、一ページをお開き願います。1、中央卸売市場における市場別業者数の推移についてでございます。
 過去十年間の水産物部、青果部、食肉部及び花き部の市場別の業者数の推移をお示ししております。一ページに卸売業者、二ページに仲卸業者、三ページに売買参加者について記載してございます。
 四ページをお開き願います。2、中央卸売市場における取引方法別割合及び取扱金額の推移についてでございます。
 四ページに取引方法別割合の推移、五ページに取扱金額の推移を記載してございます。
 六ページをお開き願います。3、卸売業者と仲卸業者の数及び経営状況についてでございます。
 卸売業者及び仲卸業者につきまして、部類ごとに業者数と、そのうちの赤字業者数を区分して記載してございます。
 七ページをお開き願います。4、豊洲市場整備に係る当初事業費及び執行済額についてでございます。
 当初事業費と平成二十八年度末時点の執行済額について、土壌汚染対策費、建設費、用地取得費、その他関連工事費等に区分して記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料につきましての説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○伊藤委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○栗下委員 私からは、この中央卸売市場で、引き続き最も大きな課題になっていくであろう築地市場の豊洲への移転に関して、質問を行わせていただきます。
 さきの臨時会における補正予算審議を経て、築地の中央卸売市場の豊洲への移転について、具体的な日程の概要が今週の月曜日に示されてまいりました。
 来年の十月まで、移転を目指して、業界団体との調整を今後進めていくということでありますが、ぜひともこの目標を必ず達成できるように、市場当局の皆様には、もう既に大変なご努力をいただいていると思いますが、引き続きご尽力をお願いしたいというふうに思っております。
 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック開催まで、既に三年を切っております。移転に向けて再び動き出したこの築地市場の跡地の利用についても、確実に二〇二〇年東京大会に間に合うように準備を行っていく必要があります。
 その中でも、かねてから大きな課題でありました環状二号線の開通に向けた整備については、極めて優先度の高い取り組みであります。
 今後、築地市場から豊洲新市場への移転日程の詳細が正式に決まって、そして、現在の築地の市場が閉場された後に、環状二号線を通す範囲の建物をまず解体して、そして、開通に向けた整備が進められていくということでありますが、オリンピック・パラリンピックの開催時に、この環二がしっかりと十二分に活用されるためには、一定の猶予をしっかりと持ってこの建設を完了して、そして、その大会の前に一定期間利用して、運用の課題等々についても明らかにした上で大会を迎えていかなくてはいけないというふうに思っております。
 そういったところも含めまして、改めて一つ一つの築地市場閉場後の流れについて確認をしていきたいと思っておりますが、まず、環状二号線の開通時期について、どのように予定されているのでしょうか、お伺いをいたします。

○白川事業部長 築地市場の解体工事は、豊洲市場への移転完了後、速やかに着手し、特に環状第二号線地上部道路エリアに係る部分を優先し、解体後、早期に建設局に引き渡すこととしております。
 環状二号線につきましては、市場内通路を活用し、移転完了後、約二カ月で暫定迂回道路を開通させまして、既存の建物が解体された後、東京二〇二〇年大会に向けまして、平成三十一年度末を目途に、地上部道路の整備を完了させると聞いております。

○栗下委員 この環状二号線周辺については、今ご説明をいただきました、二カ月で暫定の迂回道路を通して、そして解体工事を優先して行った後に、二〇二〇年の三月までの工期で、開通を目指していくということでありました。
 この環状二号線については、オリンピック・パラリンピックに向けてだけではなくて、流通の観点から見ても大変重要でありますので、ぜひとも、この期日に向けて着実に準備を進めていただきたいと思います。
 それでは、次に、解体工事全体の大まかな工程についてお伺いしたいと思います。

○白川事業部長 築地市場の解体工事は、環状第二号線地上部道路エリアにかかる区画から着手いたしまして、大まかな手順につきましては、まず内装や建具、これを撤去しながら、アスベスト含有建材を厳重に扱い、除去した上で、鉄骨造や鉄筋コンクリート造などの建屋を、半年程度を目途に順次解体してまいります。

○栗下委員 築地市場の建物には、旧基準の建物ですのでアスベストがたくさん含まれていると。また、解体の規模自体、非常に大きなものでありますので、その対策については厳重に行っていく必要があるかと思います。
 そして、まず環状二号線周辺の解体については、約六カ月で進めていくということでありまして、環状二号線以外のエリアについても、オリンピック・パラリンピックの際には、輸送拠点として活用されることが既に決まっております。
 大会の選手や関係者が乗る車両約三千台が駐車できるスペースであり、運転手さんが休憩や待機できるようにしていく。また、給油所や休憩所も併設をして整備していくということでありますが、その設置完了時期については、どのようになっておりますでしょうか、次にお伺いをいたします。

○白川事業部長 築地市場の跡地につきましては、東京二〇二〇年大会の輸送拠点、デポと呼んでおりますけれども、これに活用するとしておりまして、解体工事とデポ整備を同時期に施行してまいります。
 このため、解体工事の進捗に合わせまして、エリアを区切りながら段階的にデポ工事に移っていく工事調整を、オリンピック・パラリンピック準備局とともに進めてまいります。
 輸送拠点、デポでございますが、オリンピック・パラリンピック準備局と組織委員会で整備をするということとしておりまして、平成三十二年三月末までの完了予定だと聞いております。

○栗下委員 この輸送拠点、デポについても、東京オリンピック・パラリンピックで実用する前に、試験運用的に三カ月程度を使っていくというふうに聞いております。
 輸送拠点の工期は、大体六カ月程度を予定しているといわれておりますが、今のご答弁、完成の時期からそれを逆算すると、少なくともこの輸送拠点の設置工事について、二〇一九年の秋ごろまでには入っていかなくてはならないということであります。
 今ご説明をいただいた流れをまとめますと、来年の十月までに移転を行い、そして、今の築地を閉場し解体の工事を開始する。そして、解体開始後に約六カ月で環状二号線の周辺の解体が終わり、そして平成三十一年度末までに、この環状二号線の整備が完了されると。
 そして、輸送拠点の設置の開始時期については、まだ明らかになっていませんけれども、解体と同時並行で、二〇一九年の秋ごろにスタートしていくことができれば、このタイムスケジュールにしっかりと間に合わせて整備を行っていくことができるということを今確認してまいりました。
 ぜひとも、その予定どおりに設置を行うことができ、そして、オリンピック・パラリンピックにこれらの設備が十二分に活用できるようにしていただきたいというふうに思っております。
 さて、今月の十二日に築地再開発検討会議の第一回目が開催をされてまいりました。
 築地市場については、先ほど来質問してきたように、解体についても、これは念入りに準備を進めていかなくてはなりません。それと同時に、再開発に向けた検討も、これはスピード感を持って進めていかなくてはならないというふうに考えております。
 そこで、再確認をさせていただきますが、築地市場の再開発についての時間的な目標について、いま一度確認をさせていただきたいと思います。

○吉村企画担当部長 築地再開発につきましては、所管であります都市整備局におきまして、状況によっては工事着手まで早まることも、さらに期間を要することもあり得るが、五年以内の着工を目指すということとしてございます。

○栗下委員 ありがとうございます。五年以内ということでありますので、具体的には二〇二二年の秋までには着工できるように準備を進めていかなくてはいけないということであります。
 開発のプランそのものをこれからつくっていくということも加味すると、これは非常に挑戦的な目標になるのかというふうに思いますが、築地という都民の非常に大きな資産を一刻も早く生かしていくためには、築地再開発検討会議の議論、今、行われると思いますが、これを見守りつつも、方針が決まった後にはすぐに開発に移れるように、市場当局においてもさまざまな準備や想定を進めていく必要があるかと思います。
 その築地再開発検討会議の中で、築地というブランドを生かしていくためにはどうしたらよいかという中で、長年培われてきた、やはり食に関する施設が必要なのではないかという声が上がっております。
 しかし、ご承知のとおり、この築地の土壌においては、かつて進駐軍のクリーニング工場があったことなどによって、有害物質の存在も指摘をされております。ことし行われた土壌の表層調査の中でも、環境基準を上回る、こういった物質が検出をされたということも既に報道されております。
 この委員会でも、これまで議論されてきたとおり、科学的に見て、土壌に環境基準以上の有害物質がある。
 これ、すなわち食に関連する施設を建てるにはふさわしくない、あるいは封じ込められないというふうに直結はしないというふうには思っておりますが、しかし、築地から豊洲への市場の移転に際して、食の安心や安全への議論が都民の間でも非常に広く行われ、知られた中で、この築地の土地に食に関する施設を、あるいは一部、市場機能を有する施設もどうかという話も一部で挙がっておりますが、そういったものを設置する際には、豊洲新市場でそうであったように、法による安全だけではなくて、都民の安心を得ていくために、それは土壌汚染調査のやり方であったり安全基準の考え方であったり、また、その発信の仕方であったり、そういった安心を担保する取り組み、工夫についても求められてくるということが十分に考え得るのではないかというふうに思っております。
 その工夫について、食にまつわる施設の設置がしっかりと決まった後に検討し始めると、最初にお答えいただいた五年以内に着工というスケジュールに非常に大きな影響が出ると思いますので、食に関する施設が整備される可能性が客観的に見ても非常に高い中で、どういった施設であるならば、どういった論理立てをして、都民の安心を担保していくかということについては、前もって検討をスタートしていただいてもよいくらいだというふうに思っております。
 そこで、お伺いいたしますが、五年以内に着工ということを果たすためにも、食に関連する施設整備に向けて、食の安心・安全を得る工夫について、できる限り早く検討を進めていくべきと考えますが、都の見解はいかがでしょうか。

○吉村企画担当部長 築地再開発につきましては、これも繰り返しになりますが、所管であります都市整備局におきまして、築地再開発検討会議が立ち上げられたところでございまして、築地の魅力を最大限に生かした再開発に向けて、さまざまな分野の方々から自由な発想で幅広いご意見をいただき、まちづくりの大きな視点として整理することとなってございます。
 再開発の具体的な内容につきましては、今後検討されることになりますが、施設整備に当たりましては、当然ながら、関係法令に基づいて、安全性が確保されるものと考えてございます。

○栗下委員 この間の豊洲新市場への移転に向けた議論の中で、法令に基づいた食の安全だけではなくて、食の安心というところまで求める、得るということがいかに難しいかというのは、我々の都議会の方もそうですし、市場当局の皆様も、これは骨身にしみてわかっていることかと思います。
 この移転に際する議論の中で、これらの問題というのは広く都民に浸透するところとなりましたので、それらの心理的な不安を除いていく配慮について、つまり安全のみならず、安心をしっかりと得ていくための配慮についても、これは必要になり得るんだということについても、念頭にぜひとも置いていかなくてはいけないというふうに思っております。
 検討会議の様子を見ても、また、築地ブランドの価値を客観的に考えてみても、食に関連する施設整備が決まる可能性が高い中で、この安心を得られるかどうかということは、すなわち築地の再開発そのものの成否に直結していく可能性がある重要な事項であります。
 五年以内に着工というタイムスケジュールにしっかりと間に合わせていくためにも、法令上の安全だけではなくて、食の安心を得る工夫についても必要になるかもしれないという前提で、ぜひとも検討を進めていっていただくように強く要望をいたします。
 さて、五年以内に着工という目標についてもそうでありますが、この築地の土地が資産として生かされる日が一日でも早く成るように、工期の延長となり得る点について、我々都議会の方でも事前にさまざまな角度から精査、想定をして、そして課題があるのであれば、先回りで対策を練っていかなくてはなりません。
 例えば、築地の土地は戦後から途切れることなく市場として活用されてきたわけでありますが、電力や水道、通信といったインフラ設備について、築地の周辺と同じような現代基準の再開発をするに当たって、新たに大がかりな工事が必要になってしまうなど、想定外のことがあれば、そういったことで、これは工期がおくれていってしまうということも考えられるわけであります。
 築地市場の土地において、電力、水道、通信といったインフラ整備は、現状どのようになっているのか、周辺のインフラ整備が再開発の工期短縮の足かせになる心配はないのでしょうか、見解をお伺いいたします。

○白川事業部長 築地市場に供給されているインフラ整備の現状でございますが、電力は、受電電圧六万六千ボルト、契約電力一万六百キロワットで受電をしておりまして、水道は、口径四十ミリから二百五十ミリの配管を七本引き込んでいるなど、大きな需要に対応しているところでございます。
 一方、電力、水道、通信といったインフラ事業者でございますが、いずれも法令により、例えば電力であれば一般需要に応ずる電気の供給を拒んではならないなど、一義的には需要者のニーズに応える責務を有するものでございます。
 また、一般的に大規模開発を進める場合、インフラ事業者は個々の需要に対応しておりまして、計画の熟度に応じ開発事業者が計画的に協議、調整を進め、工期延長の原因とならないよう進めていくものと考えております。

○栗下委員 ありがとうございます。そういった不測のインフラ整備によって工期延長の原因になることはないであろうと、インフラの事業者の方で計画的に協議、調整をしっかりと進めていくのであろうということが、今、ご答弁いただいたと思います。
 五年以内に着工という目標を達成すること、そして、一日も早く築地の土地を生かしていくためには、先ほどお話に上った土壌汚染の調査のほかにも、埋蔵文化財調査のあり方などについて、できる限り早く明確化していくなど、各局と連携してやらなくてはいけないことが山積をいたしております。
 一方で、築地の豊洲への移転という大きなミッションも抱えておりまして、市場当局の皆様におかれましては、これは大変なご苦労があるかと思いますが、同時にこれらの動きについては、都民からの非常に大きな関心や、そして期待があります。ぜひとも引き続きのご尽力をいただきたいというふうに思います。
 先ほども申し上げたとおり、豊洲新市場への移転の具体的なデッドラインがせんだっては示されてまいりました。これによって、今後、市場関係者との移転に向けた具体的な調整が本格化していくものと思っております。
 そういった調整、接触がふえる中で、市場業者の声を聞く、そして、彼らに疑問があったならば、できる限りそれらに対してしっかりと対応していくということが大変重要になるということを、我が党のさきの代表質問でも述べさせていただきました。
 せんだって築地再開発検討会議も始まったわけでありますが、築地の再開発については築地の市場関係者の方々も大変に大きな関心を持っておられるわけでありまして、こういった調整を行っていく中、接触をしていく中で、その内容について話題に上ることも多いのかというふうに思います。
 市場の今後、そして築地の今後について正確な情報を伝えていくためには、この検討会議における議論の進捗についても、市場関係者の方々に適切に情報提供をしていくべきというふうに考えますが、ご見解をお伺いいたします。

○吉村企画担当部長 築地再開発につきましては、水産仲卸業者などの関心が高いことから、業界団体からの要望も踏まえまして、都市整備局と調整の上、水産仲卸の業界団体に対し、検討会議の状況について、適宜、情報提供を行う機会を設けていくこととしてございます。今後とも、所管局と連携を図りながら、業界団体に対して適切に対応してまいります。

○栗下委員 既に検討会議の内容、つまりは再開発の今後について、市場関係者の方々に対して情報提供を行っていかれるということを考えていただいているということでありました。
 先日の十月十七日に、実際にこちらの築地の仲卸さんが、豊洲に移った後に、できれば再開発が終わった後に築地にもう一度戻ってきたいと、そういった仲卸の業者さんが、新たに築地市場再開発仲卸検討会というのを立ち上げたというお話を実際にお聞きしてまいりました。
 現在の状況としては、こういった仲卸さんを初めとする市場業者の方々に対しては、まず豊洲の新市場に移転いただいた上で、そして、豊洲で商売が一体どうなるのか実際にやってみていただいた上で、そのまま豊洲でご商売を続けていきたいのか、あるいは築地にやはり戻りたいのか、そういった意向を、改めてそこから聞いていこうというふうになっていますけれども、現段階でも既に、築地の開発がどういったものになるか明らかになっていないけれども、やはり築地に戻って商売をやりたいといわれている方々も一定数いるということでありますので、ぜひともそういった声も、現段階で右から左に流すということではなくて、しっかりと蓄積をしていっていただくべきではないかというふうに思っております。
 移転が終わってから意向調査をやって、それが全てだということになれば、これはタイミング的にいっても再開発の検討会議に生かすことは難しいですし、その後、まちづくり方針をつくっていく中で、それに具体的に盛り込んでいくということもなかなか難しくなってくるわけでありまして、できる限り早く、こういった声についても再開発の検討の中に生かされるように、蓄積をしていくことが必要になってくるのではないかというふうに思っております。
 豊洲市場移転後の事業者の意向や経営状況について、できる限り丁寧にくみ上げ、築地に戻ることを希望した業者がいた場合には、再開発の検討にもぜひとも生かされるようにすべきというふうに考えておりますが、これについては市場長に答弁を求め、私からの質問を終わらせていただきたいと思います。

○村松中央卸売市場長 築地再開発の動向につきましては、都市整備局と調整の上、水産仲卸の業界団体に対しまして、適宜、情報提供の機会を設けて、適切に対応していくこととしております。
 また、将来築地に戻ることを希望される仲卸業者などに応えていくための方策につきましては、豊洲市場移転後の事業者の経営状況や意向などを踏まえながら、検討を行っていくこととしております。

○上野委員 現在、専門家会議の提言に基づきまして、追加対策工事を発注しているところでありますけれども、地下水管理システムの機能強化については、今月末に開札見込みであると聞いております。
 地下水管理システムの機能強化については、専門的な仕組みや構造になっておりますので、一般の都民の方には、なかなか理解しづらいものになっていると、このように思っております。都民の皆様に少しでもわかりやすいようにということで、これからの私の質問に対しても、できるだけ簡易な言葉で説明をしていただければと、まずは最初にそのことを皆様に要望しておきます。
 そこで、私からは、地下水管理システムの機能強化、ここに焦点を当てて、どういったことをやろうとしているのか、また、それが本当に役立つものであるのか、このことを明らかにしていきたいと、このように思っております。かなり専門的、技術的な質問になると思いますので、ぜひとも、重ね重ね都民にわかりやすい答弁をお願いいたします。
 八月二十五日の本委員会で、どういった機能強化を行うのかをお聞きいたしました。都からは、地下ピット内への揚水ポンプの新設、観測井戸からの揚水、ウエルポイントを行うこととしていると、こういった答弁がございました。
 また、この追加対策とは別に、メンテナンスとしての井戸洗浄などを実施しているとのことでございました。
 そこでまず、井戸洗浄などのメンテナンスの取り組み状況、これが今どういう状況になっているのか、ご説明を願います。

○鈴木技術調整担当部長 これまでに五十八カ所ございます揚水井戸のうち、四十八カ所の井戸洗浄を実施するとともに、九カ所では濁水用ポンプへの交換を実施しております。
 また、地下ピット内ではA.P.プラス二・〇メートルの位置に釜場を設けまして、強制排水を行ってきてございますが、これに加えまして、八月二十一日からは、新たにA.P.プラス一・五メートルの位置に設置した釜場からも排水を行っております。
 さらに、これに加えまして、観測井戸二十一カ所からは、バキューム車による揚水作業を行っているところでございます。
 これらの取り組みによりまして、各街区一日当たり二百立方メートル、三街区合計で六百立方メートルの処理能力に対しまして、現在、三百立方メートル程度の排水が行われているところでございます。

○上野委員 今のご答弁で、三つの街区合計で三百立米くらいの排水がされているということでございましたが、以前は、恐らく目詰まり等があったためだと思いますけれども、五十立米程度であったと、このように記憶しております。井戸の洗浄や濁水用ポンプの交換によってそれだけ回復したということは、非常に私としても評価したいと思っております。
 そこで、どれだけ回復したのか、このことをまずお尋ねいたします。

○鈴木技術調整担当部長 先ほどお答えいたしました一日当たり三百立方メートル程度の排水量でございますが、こちらにつきましては、地下ピット内のA.P.プラス一・五メートルに設置いたしました釜場からの排水量等も含まれておりまして、従前と比べまして、地下水管理システムの排水量は増加しております。

○上野委員 私もホームページを見ながら、いろいろと状況等もチェックしているわけでございますけれども、排水量の増加は、今、初めてお聞きいたしました。
 確認いたしますが、今ご答弁いただきました排水量、これは公表されているんでしょうか。専門家会議が存在したときは、専門家会議のたびに公表されていたと記憶しております。
 今、公表しているのかどうなのか、このことについて簡潔にお答えください。

○鈴木技術調整担当部長 これまで、専門家会議の開催に合わせまして公表しておりました地下水管理システムの放流量や公定分析結果等につきましてでございますが、六月の専門家会議開催以降、公表しておりませんでしたが、今後、早期に公表できるよう現在準備を進めているところでございます。

○上野委員 ぜひとも早く公表していただきたいと思います。
 排水量は、以前は五十立米程度と聞いておりましたが、追加対策工事とは別にメンテナンスなどのできることは実施されている、その効果が出て、現在はかなり回復しているということですから、こういうことを中央卸売市場の皆さんはもっと都民にアピールすべきだと思います。
 したがいまして、できるだけ早く公表していただきたいと、このことをよろしくお願いいたします。
 あとは、現在発注している追加対策工事がこれからきちんと実施されるかどうか、ここが大事なところでございます。
 そこで、これから追加対策工事について、それぞれ具体的に確認していきたいと思います。
 まず、地下ピット内の揚水ポンプ新設について質問していきたいと思います。
 八月二十五日の本委員会で、機能強化の一つとして、地下ピット内にはA.P.プラス二メートルに設置している仮設のポンプよりも深い、A.P.プラス一・五メートルに揚水ポンプを設置するということでございました。
 そこでまず、一・五メートルの根拠についてお尋ねいたします。

○鈴木技術調整担当部長 建物下の地下水が建物外側に設置されております揚水井戸へと流れやすくするために、建物の下にはA.P.プラス二・〇メートルより下に、おおむね五十センチの深さで幅五メートルから十メートルの砕石層を格子状に設けてございます。
 今回、この格子状の砕石層の中に揚水ポンプを設置するため、ポンプの下端、一番下の位置でございますが、こちらはA.P.プラス一・五メートルとなります。

○上野委員 それでは、A.P.プラス一・五メートルの揚水ポンプを設置する箇所は、各街区で幾つ予定されているのか、お伺いします。

○鈴木技術調整担当部長 地下ピット内に揚水ポンプを新たに設置する箇所でございますが、五街区の青果棟で二十五カ所、六街区の水産仲卸売り場棟で二十カ所、同じく六街区の加工パッケージ棟で三カ所、七街区の水産卸売り場棟で三十六カ所、三つの街区合計で八十四カ所を計画してございます。

○上野委員 先ほど、八月から新たにA.P.プラス一・五メートルに設置した釜場から排水しているとのご答弁がありましたが、この釜場と、今答弁がございました八十四カ所のA.P.プラス一・五メートルに揚水ポンプを設置する場所は同じ場所なのかどうか、それとも別の場所なのか、お尋ねいたします。

○鈴木技術調整担当部長 A.P.プラス一・五メートルに新たに設置した釜場につきましては、今後、揚水ポンプの設置や配管等を行っていく予定でございまして、揚水ポンプを設置する場所と、現在、新たに設置した釜場は同じ場所でございます。
 なお、これ以外にも格子状の砕石層をA.P.プラス一・五メートルまで掘削いたしまして、揚水ポンプの設置や配管等を行っていく箇所もございます。

○上野委員 地下ピット内の対策でいろいろと、やっぱり心配されているところもございます。コンクリートをまず打設すると、そして、地下水からのガスの揮発を換気扇等々で低減させると、こういうものだったと思いますけれども、地下ピット内に揚水ポンプを設置するということは、コンクリートに穴をあけるだろうと、こう思われるわけです。
 当然に穴をあけないとだめですし、あるいは、そこはあけておかないと揚水ポンプも設置できないと。その穴からガスが侵入してしまうのではないかとご心配されている方もいらっしゃいます。
 いろんな技術も今は進んでおりますから、そのあたりについてはいろんな対策をとっていらっしゃると思いますけど、どういった対策をとっていらっしゃるのか、都民の方はやはり心配ですので、そのことをわかりやすく説明してもらいたいと思います。

○鈴木技術調整担当部長 揚水ポンプの設置箇所につきましてですが、ゴム系のシーリング材でふたを密着させることで密閉構造といたしまして、コンクリートとの境界部ではすき間が生じないようシーリング材を充填いたしまして、地下ピット内へのガスの侵入を可能な限り低減させることとしております。
 また、専門家会議のもと現在実施しております四十六カ所の水質調査箇所のうち、二十二カ所が地下ピット内にございます。これらの井戸につきましても、パッキンがついたねじ式のふたを用いまして、さらに保護管で覆いまして二重ふたとする等、必要な対策を行う予定としております。

○上野委員 私もちょっとした技術屋の端くれですから、今のお話を聞いて私も安心いたしました。しっかりと、あとは施工をうまくやらないと、施工ミスになると、またそこから出てきますので、監督方よろしくお願いいたしたいと思います。
 それで、もう一点、これは非常に心配なことを都民の方からいわれているというのは、地下ピット内のあの地下水の映像がもう脳裏から離れないんですよ、都民の皆様は。二度とああいうふうにならないようにしてもらいたいと、当然にこれはもうしなきゃならない話ですから、改めて確認の意味で、二度と上がらないようになるのかどうか、するといわれるでしょうけれども、そのあたりの取り組みについてお尋ねします。

○鈴木技術調整担当部長 地下ピットにおきましては、A.P.プラス二・〇メートルの位置に仮設のポンプを設けまして、そこからの排水を行うことによりまして、地下ピット内には地下水は上がってはおりません。
 今回、機能強化として実施する地下ピット内の揚水ポンプの新設でございますが、さらに深いA.P.プラス一・五メートルの位置に設置することで、それに加えまして、また、現地の透水試験の結果を踏まえまして、適切な位置に揚水ポンプを配置することから、地下ピット内に再び水が上がることはないと考えているところでございます。

○上野委員 それでは、次にウエルポイント工法、これについて質問をさせていただきたいと思います。
 このウエルポイントというのは、一般の方は何が何だかわからないわけです。そこでまず、ウエルポイント工法がどういうものなのか、そして、現在設置してある揚水井戸との違い、このことについて、あわせて、これもわかりやすく説明していただきたいと思います。

○鈴木技術調整担当部長 現在豊洲市場に設置しております揚水井戸でございますが、周辺の地下水が井戸内にしみ出してくるのを待ちまして、地下水がある程度たまりましたら揚水ポンプを稼働させまして、井戸内の水をくみ上げるという仕組みになってございます。
 一方、ウエルポイント工法でございますが、直径五センチ、長さ六メートルから七メートルの吸引管を二メートル間隔で地盤中に多数打ち込みまして、それぞれの吸引管からストローで吸うように、真空ポンプにより強制的に地下水を集めて揚水する工法でございまして、一定範囲の地下水位を低下させる工法でございます。

○上野委員 都民の方から私も聞かれるのは、揚水井戸とか地下水管理システムということで地下水位の調整をやろうとされている。そういったところの中で、なぜここでウエルポイント工法を、また新たに追加対策工事として行われるようになったんですかと、こういった問い合わせも来るわけでございますので、なぜこの豊洲市場にウエルポイント工法を採用すると、追加工事をやるのか、この点についても、しっかりとわかりやすく都民の皆様にお答えしてもらいたいと思うんです。よろしくお願いいたします。

○鈴木技術調整担当部長 現在の地下水管理システムでございますが、土の中にたまっております水を揚水井戸に集めて排水するものでございまして、地下水位を安定的に管理するためのシステムでございまして、直ちに水位が下がるものではありません。
 一方、ウエルポイント工法でございますが、豊洲市場用地の地下水位が目標管理水位よりも高い状況にあるため、敷地全体の地下水位を低下させるための追加対策の一環として行うものでございまして、緑地部を初め、街区周縁部など、現在地下水位が高いところを対象として実施する予定でございます。

○上野委員 ウエルポイント工法というのは、土木工事など、施工をやる際に、地下水位の高いところ、こういったところに、地下水位を下げるために事前に使っていくということで、これは非常に効果があります。本当にウエルポイント工法をやると、地下水位は、周りより下がります。当然に遮水壁を設けての話ですけれども、そういった中で安全に施工をしていくわけですけれども、今いわれましたように、地下水位が高いところを対象として実施するというふうなご答弁がございましたが、これはもう非常に大事な話で、これまでも、なかなか下がらない、そういった場所が何点かございました。
 なぜ下がらないのかとよく聞かれるわけですけれども、私が答えているのは、土の中の構造というのは、ボーリングである程度の地層の構造というのは見えていますけれども、豊洲市場というところは、液状化しないように地盤改良もやりましたよと。あるいは、ボーリングしたところを避けた形で粘土層があるかもわからない。それは土の中を輪切りで切っていけば、見えればいいんですけど、見えないところですから、いわゆる地下水位が下がる、下がらないという地域が出てきたというのは、そうしたいろんな地層の構造があって、あるいは液状化しないように地盤改良をやったところがある、だから場所によっては地下水が流れづらいところがある。雨が降れば、流れづらいんですから、当然上がってきちゃうと。少しずつは下がってはくるけれども、流れがないのでなかなか下がらない。そうしたところは、まさにこのウエルポイント工法で下げるというのは非常に大事な工法だと思います。
 そういった意味では、今回その地下水位の高いところを下げるということで、ウエルポイント工法というのは仮設的な工法だというので普通使うんですけれども、また取り外すのか、取り外さないのか。私は、ここの地下水位が高いところというのは特に、雨が降ったら、また高くなってきて、なかなか下がらない可能性がありますから、本来ならば、それはきちんと残すべきである、このように考えるんですけれども、中央卸売市場の方ではどのように考えていらっしゃいますか、お答えください。

○鈴木技術調整担当部長 ウエルポイント工法は、現在地下水位が高いところを対象として実施する予定でございまして、地下水位の現状を踏まえまして、一部については残置する計画としております。

○上野委員 では、先ほど私がお話ししましたようなことも、ぜひとも検討してもらって、そういったところに効果のあるところにこのウエルポイントを残して、水がたまっても、すぐ下げられるようにお願いしたいと思います。今、残置するという答弁がございましたが、将来、万が一でもそういった状況にならないとも限りませんので、ぜひとも、重ね重ね要望しておきます。
 次に、観測井戸。この観測井戸を今回は揚水化ということでやりますよという、こういうことがお話ございました。観測井戸というのは本来、地下水位を測定する、観測するための井戸ですから、揚水をどのようにされるのか、わかりやすく、このあたりもご説明願います。

○鈴木技術調整担当部長 地下水位を測定するために設置した観測井戸でございますが、各街区七カ所、合計で二十一カ所ございます。
 通常は、地下水位を測定するためだけであれば数センチの直径で十分でございますが、この観測井戸の直径は三十センチございまして、もともと、必要があれば揚水ポンプを設置できるよう、大き目の井戸として設置したものでございます。今回、これを活用することとしたものでございます。

○上野委員 今のご答弁にありました、いざとなれば揚水もできるようにしていたというふうに、その意味では安全性の技術的配慮をしていたということで、私としては、それは評価したいと思います。
 揚水ポンプを設置するということですけれども、では、二十一カ所全ての井戸に設置するんでしょうか。お尋ねいたします。

○鈴木技術調整担当部長 地下水管理システムで設置いたしました二十一カ所の観測井戸についてでございますが、先ほどもご答弁させていただきましたとおり、追加対策工事で揚水ポンプを設置するまでの措置といたしまして、九月十一日よりバキューム車による揚水作業を実施しております。
 今後、追加対策工事の中で、このうち十七カ所に揚水ポンプを設置してまいりますが、残り四カ所の井戸では排水管や電気配線の施工が困難でございまして、揚水ポンプの設置に適さないことから、これらの井戸では、引き続きバキューム車により定期的に地下水をくみ上げることとしております。

○上野委員 今回の追加対策によりまして、揚水する位置がいわゆる三種類になっていくと。揚水井戸と観測井戸、そしてまた地下ピット内からの揚水ということにふえるということについては評価したいと思います。
 しかしながら、既に整備されている地下水管理システムは、きょうも話がありましたけれども、各街区一日最大二百立米、三街区合計で六百立米の処理能力を有しているということでございます。
 今回の追加対策で揚水する施設が増加することによりまして、この各街区の処理能力二百立米を超過してしまうのではないかと、このことも懸念されるわけでございますので、そこで、各街区一日最大二百立米の処理能力に、今後超えた場合でもどう処理されるのか、その考え方をお伺いいたします。

○鈴木技術調整担当部長 追加対策の設計に当たりましては、一日最大二百立方メートルを超えないことを前提としております。
 この一日最大二百立方メートルの値についてでございますが、二〇一〇年の板橋豪雨や一九五八年の狩野川台風などの大雨でありましても、一日最大二百立方メートルで地下水が管理可能であることをシミュレーションにより確認してございます。
 このため、追加対策によりまして揚水ポイントはふえることとなりますが、一日最大二百立方メートルで運用したといたしましても、地下水を適切に管理することは可能であると考えております。
 なお、仮に揚水量が二百立方メートルを超えそうな場合には、地下ピット内を優先させるなど、適切に運転管理を行っていく予定でございます。

○上野委員 地下水管理システムの機能強化で揚水する位置がふえることで、大雨の際には各街区一日最大二百立米、三街区合計で六百立米を超えるような事態も起こり得るのではないかと、このように思っております。処理能力を超えた場合は、揚水がとまることになります。また地下ピット内に地下水がとどまるようなことが起こってしまうのではないかということが懸念されるわけであります。ぜひとも追加対策を確実に実施していただきたいと思います。
 それで、来週早々、早ければ週末かもといわれるような大型台風が今、近づいてきております。その前から相当な雨が降るだろう、こういった予測がされているわけでございまして、そういった意味では、豊洲新市場の地下水位が非常に心配でございます。このことについて、台風が来て、あるいは大雨がざあっと降ったときに、あの豊洲新市場で地下水がまた再び上がってきて、そしてまた地下ピットに水が上がってくるようなことがないようにしなければなりません。
 この台風に向けて、中央卸売市場の方では何か対策をとっていらっしゃいますか。その点について、ちょっと教えてください。

○鈴木技術調整担当部長 現在、豊洲市場におきましては、三街区それぞれで地下ピット内に仮設のポンプを設けるとともに、新しく新設いたしましたA.P.プラス一・五メートルの釜場からも排水を行っているところでございます。
 加えまして、夜間、それから土休日等につきましては、必要な連絡体制を万全にとりまして、再び地下ピット内に地下水が入ってくるようなことのないように、万全の体制で臨んでいく覚悟でございます。

○上野委員 現場の方も、千客万来施設が、以前はもう土の状態で、どんどん地下に入っていく、地下水となっていくという状況でございまして、今はそこも舗装されていまして、そのまま水が入っていかないように、雨が入っていかないようにされていますけれども、まだまだ一部、入るところがあるわけですね。緑地帯もあります。その点についてもできるだけ、今現状、まだこれから追加工事に入るわけですから、万全な準備が整っている状況ではありません。少しでも地下に水が浸水しないように、しっかりとシートをカバーするとか、そうした対策というのがやはり大事だと思うんですね。
 したがって、水が本当に浸透しないように、もうぜひとも、きょうからでも遅くありませんから、やっていただきたい。こういった現場状況を踏まえて柔軟に対応していくということが大事でございますので、二度と地下ピットに水がとどまることがないように、たまることがないように、肝に銘じまして、しっかりと管理をしていただきたいことを要望して、私の質問を終わります。

○鈴木(章)委員 本日は事務事業質疑でございますので、豊洲市場の整備だけでなく、今、国の方でそもそもの市場法改正という、間違えればこの市場自体がなくなってしまうんじゃないかという法改正が行われつつある、そういった検討段階にある中で、やはり現場を抱える東京都がしっかりと市場の役割というものをもう一度認識することが大切であるという思いの中で質疑をさせていただきたいというふうに思います。
 ご承知のように、本年五月に、国の農業競争力強化支援法が成立したわけでございます。
 この内容というのは、資材価格の値下げ、そしてまた農産物流通の合理化に向けて、一つは国が講じるべき施策、そしてもう一つは、業界再編をさらに進めて、事業再編や事業参入に向けた支援措置を定めたのが柱というふうにいわれております。
 施行を受け、農水省は、法律が定める国内外の農業資材供給とか、また農産物流通の実態調査に着手して、最終的には卸売市場の取引を規定する卸売市場法を抜本的に見直して、合理的理由がなくなっている規制の廃止を検討しているわけでございます。
 このことによって何が生じるかというと、農業改革の重点項目である農作物の流通コストの低減、そして同法の規制を抜本的に自由化して、市場関係者の競争をさらに促そうとしているわけでございます。
 さらに、検討の方向性によっては、冒頭お話しさせていただいたように、市場流通のかなめである、産地の出荷物を卸が必ず引き受ける受託拒否の禁止の規定が廃止される。このことというのは、そもそも自由取引というものが卸売市場の取引のシステムであるわけでございますので、市場そのものがなくなってしまうという、そのような状況にもなりかねないという中で、市場流通の大転換が図られるのではないかという市場関係者の不安の声も、今、大変聞こえるわけでございます。
 そしてさらに、本年六月二十日に、市場関係者の懸案だった築地市場の移転問題で豊洲移転の方針を決めたことによりまして、今後この見直しが加速するだろうといわれております。
 しかしながら、やはりここにおいて一番大切なことは、生産、相場に密接に関係する課題であるわけですから、具体的に多様な農家の声を踏まえた、丁寧な議論ということが何よりも大事だというふうに思います。
 また、改革する中で、そうしたことが混乱のないような配慮が特に必要ではないかなというふうに思います。
 現在、このように卸売市場を取り巻く環境が大きく変わろうとしている中で、現場を抱える私たちが、東京都の中央卸売市場とは何かということについて原点に立ち返ってみることが必要であるというふうに思います。
 そこで、本年二月に策定された東京都卸売市場整備計画について、確認いたします。
 本年六月の市場問題PTから、第一次報告書が知事へ提出されました。
 この中で、卸売市場は斜陽産業の特徴を備えている事業、そしてさらに、卸売市場の役割は減少傾向と総括した上で、都の中央卸売市場は民間活力の導入を行うことが望ましく、十一の市場の再編についてまで言及がされました。
 さらに、豊洲市場が目指す市場はITと物流センターの結合であり、卸売市場法に定める卸売市場でないと断定するなど、あたかも現在も中央卸売市場は時代に合っていない、そしてその機能が形骸化しているという見解がつづられたわけでございます。
 このことは、現場を知らない委員の見解と同じものであって、このような見解が東京都から発せられること自体、大変残念なことであるわけです。
 卸売市場の取引というのは、必要とする全ての方々に、先ほどお話しさせていただいたように、開かれた取引システムでなくてはならないわけでございますし、現在、相対取引が主流となっているとはいえ、自動的に価格が決まるわけではなくて、日々の産地の出荷動向、そしてまた入荷量の状況、また産地による品質の違い、そしてまた消費者ニーズなど、さまざまな要素をもとにして、卸売市場内において、市場業者によって適切な価格形成と公正な取引が行われているということです。
 今、ITの技術導入によって、市場業務の効率化も業界の努力によって進んでおりますが、私は、生鮮食料品を供給する中間流通拠点の卸売市場の本質的な役割というのは変わっていないというふうに思います。
 また、特に昨今、自然災害が大変多い中で、非常時の重要なライフラインであることも今、本当に重要な観点であります。
 現在、卸売市場法の改正をめぐって、さまざまな議論がされております。卸売市場は、都民のもとへ安心・安全な生鮮食料品を安定的に供給する、私たちの生活になくてはならない重要な社会インフラであることは変わりがないわけです。
 そこでまず、都民生活に不可欠な公共財である卸売市場の役割がどのようなものであるかということを、改めてお伺いいたします。

○松田市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 卸売市場は、季節や天候などの要因により必ずしも供給が安定しない生鮮食料品等を、全国各地から集荷するとともに、小売店などの実需者ニーズに応じました品目、量に分荷をし、消費者に安定的に供給するという流通拠点としての役割を担ってございます。
 また、競りや相対取引によります公正で透明性の高い価格形成、出荷者への迅速、確実な代金決済などの機能を有しておりまして、生産者や実需者の皆様にとってもメリットがあるところでございます。
 さらに、衛生管理の徹底や品質の保持を図るための施設を整備するなど、都民の食の安全・安心の確保に取り組んでいるところでございます。
 これらの機能や取り組みを通じまして、卸売市場は、生鮮食料品等の円滑かつ安定的な供給を確保するための基幹的インフラとして大きな役割を果たしているところでございます。

○鈴木(章)委員 今ご答弁ありましたけれども、流通拠点として、まず安定供給というのが特に消費者にとって大変ありがたいわけでありますし、また、公正で透明性の高い価格形成とか、また迅速、そして確実な代払い制度というのは、生産者の経営を本当に支えておりまして、大変重要な役割をしているというふうに思います。
 農家、生産者というのは、零細のところが大変多い中で、経営資金というのが本当に苦慮するものだというふうに、私も経営者であったわけですから、すごく感じるわけでございますけれども、こうしたことにも大変役立っているというのが状況でございます。
 現在、市場流通の主要な変化として、卸売市場間の規模格差の拡大とか、そして特定卸売市場への流通の集中ということがあるわけですけれども、この要因の一つというのは、チェーン小売業の伸長と、出荷側による出荷先の絞り込みにあるわけでございます。
 しかしながら、東京都の卸売市場、この十一の中央卸売市場は、今後もお互いが補完し合いながら、都民の生活をしっかりと支えていくものと私は思っております。各市場がそれぞれの役割を果たして、そして滞ることなく生鮮食料品を流通させるために、各市場の施設整備をしっかりと行っていただいて、市場業者の皆さんの仕事がしやすい市場にしていくことが何よりも大切なことではないかなというふうに私は思います。
 そこで、都が策定した第十次の卸売市場整備計画の基本的な考え方を、もう一度ここでお伺いさせていただきます。

○松田市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 卸売市場における集荷、分荷機能、価格形成、代金決済などの基本的な機能は、今日におきましても生鮮食料品等の流通システムとして重要である、このようなことに変わりはないと考えてございます。
 その一方で、食の安全・安心への意識の高まり、こういったものを初めまして、食の外部化の進行、さらには長距離トラックの運転手さんの不足、こういったものの影響によります大規模市場への荷の集中化など、卸売市場を取り巻く環境の変化への対応が求められていることも事実でございます。
 これらの状況を踏まえまして、卸売市場として必要な施設設備の維持更新に加えまして、品質、衛生管理の高度化、加工パッケージ対応、物流の効率化など、新たな課題に対しまして、市場ごとに、それぞれの特色を生かし、目指すべき将来像を明確化するための戦略を立て、市場づくりを行うこととしているところでございます。

○鈴木(章)委員 今、輸入食品の増大というのもあるというふうに思いますし、流通のグローバル化、また、今お話のあった人口減少とか高齢化の進展など、卸売市場を取り巻く環境というのは大変厳しさを増しているなという状況の中で、だからこそ、今まで以上にしっかりとした戦略を立てていくことが何よりも大切だというふうに思います。
 そこで、整備計画では、おのおのの特色を生かした市場をつくっていくんだということであるわけですけれども、具体的には、では、どのような取り組みになっていくのか、お伺いいたします。

○松田市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今後、都内全ての市場が、都民の食生活の安定や食の安全の確保などの基本的役割を果たすとともに、多様化する消費者のニーズなど、卸売市場を取り巻く環境の変化に対応していくためには、各市場が、みずからの特色を踏まえまして、目指すべき将来像を明確にするための戦略的な対応を検討していく必要があるというふうに考えてございます。
 そのため、各市場におきましては、開設者であります東京都と市場関係業者とが一体となった検討組織を立ち上げ、市場の立地や顧客層などの特性や市場の強み、弱みといった現状分析を行った上で、経営戦略を検討、確立してまいります。確立されました経営戦略において、具体化した取り組み内容につきまして実施スケジュールを定め、ソフト、ハードの両面から効果的に実行していくことによりまして、特色ある市場づくりを着実に推進してまいります。

○鈴木(章)委員 今、この戦略を立てる中で重要なキーワードというのが、開設者である東京都と、そしてまた市場を運営している事業者とが一体となって話し合う。そして、ともに戦略を立てて、いろいろな変化を乗り切って取り組んでいこうということが本当にいわれておりましたけれども、そこがまさに大切なことであるというふうに思っておりますし、その部分をぜひこれからも大切にすべきだというふうに思います。
 私の地元、大田区には大田市場がございます。ここは青果部、そして水産部、水産部も今頑張っておりますけれども、花き部も有する総合市場であって、特に青果部については、今、全国一の取り扱いを誇る市場になっております。
 大田市場というのは、ご承知のように、羽田空港や東京港、そして首都高速湾岸線に近接しておりまして、物流拠点としてのアクセスも大変いい、好立地な場所なわけですけれども、今後の展開がさらに期待される中で、平成元年に統合されましたので、開業後三十年近く経過しているため、施設や設備が大変老朽化して、課題が山積しているわけです。
 大田市場は、とりわけ青果市場としてブランド力が大変あるわけですけれども、将来を見据え、今どのような経営戦略を策定しているのか、このことも改めてお伺いいたします。

○松田市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 大田市場青果部は、神田市場などの集約と大田への移転という経緯を経まして、その規模の大きさ、国内一を誇る品目数と取扱量から、その決定価格が日本全国の市場取引における指標となるなど、東京都のみならず、我が国の青果流通におきまして中核的な役割を果たすまでに至っているという状況でございます。
 また、市場業者による産地開発、商品開発及び販路の確保への取り組みが評価されまして、それが、お話のありました、いわゆるブランドとしての信頼を得ている状況であるというふうに認識しているところでございます。
 一方、開場以来、取扱量が増加し、狭隘化が進む中、加工パッケージなど、実需者や消費者のニーズへの対応が求められておりまして、市場内のさらなる有効活用が求められるなどの課題を抱えていることも事実でございます。
 このため、大田市場青果部では昨年度、市場関係者による検討組織を立ち上げまして、調査分析の成果をもとに検討を行い、消費者、実需者と産地の仲介機能の強化、日本の青果物流通拠点としてのハブ機能の強化などを内容といたします経営戦略を取りまとめたところでございます。
 今後、この経営戦略をもとに、日本の青果物流通拠点としての役割を果たすとともに、輸出業務に対応可能な体制整備を構築するなど、具体的な取り組みを展開してまいります。

○鈴木(章)委員 大田市場には、長嶺部長さんもいろいろと、大変ご尽力されて、お世話になったんですけれども、本当に、今お話にありましたように、全国各地から膨大な量の青果物が集まって、都内のみならず首都圏近郊の小売店とかスーパーなどにも、さまざまな品目が仕分けされて、多くのトラックで運ばれていっているのが現実です。
 そうした状況だからこそ、今、場内のスペース不足が大変問題になっておりまして、大田市場は青果最大の中間流通拠点として、首都圏だけでなく、全国的にも基幹市場としての役割を果たしていることを考えると、その機能強化を図っていくということが大変重要になってきております。
 今お話にありましたように、いろいろ検討されている中で、現在、大田市場では青果プロセスセンターの建設工事が行われているわけですけれども、本当に今さまざまな、この市場を取り巻く環境が大きく変わってきている中で、大田市場の青果プロセスセンターの整備の目的というのは一体何かということを、改めてお伺いいたします。

○松田市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 大田市場における青果プロセスセンター整備事業は、第十次東京都卸売市場整備計画に基づきまして、老朽化した従来の第三荷さばき場などの建てかえを行うとともに、大田市場青果部の機能強化を目的として整備するものでございまして、平成二十八年度から工事を開始いたしました。
 その具体的な内容でございますけれども、狭隘となりました敷地において、施設の建てかえを行うことにより物流機能の改善を図るとともに、重層化した上部階に、消費者や実需者からのニーズに応えるための加工パッケージ施設を整備するものでございます。
 この取り組みは、先ほどご答弁いたしました経営戦略を具体化するための先駆的な事例となっているというふうに考えてございます。

○鈴木(章)委員 今、ご答弁がありましたけれども、この現在進められている青果プロセスセンターの整備というのは、大田市場の課題解決のために、経営戦略における本当に具体的な取り組みの一つなんですね。今、高齢者、そして単身世帯が増加して、また共働きの世帯が当たり前となっている状況において、食の外部化というのは本当に進んでおりますし、また簡便に食を済ませる傾向がある中で、特に今、少量のパック物の加工品、これが本当に一層求められているわけでありまして、この部分にしっかりと対応していこうという取り組みなわけでございます。
 大田市場のこうした取り組みは、消費者のニーズに応えていく上で大変重要な整備でありまして、また生産者からも評価されて、選択されるための機能強化につながっていくものというふうに思います。
 卸売市場をめぐっては、先ほどもお話にありましたけれども、不要論を主張したりとか、衰退期にある産業などと評価をしている向きもあるようですけれども、これまで本当にいろんな時代の変化に順応しながら、市場の取引というのは合理的な形で行われてきた歴史があります。
 繰り返しになりますけれども、卸売市場の本質的な役割というのは、私は変わっていないというふうに思います。むしろ、生鮮食料品の流通システムの根幹として、ますます必要不可欠なものであるとも私はいえるというふうに思います。今後、都民へ安全で安心な生鮮食料品を供給するために、各市場において、それぞれの特徴を生かして、市場業者と連携しながら、市場運営に取り組んでいっていただきたいなというふうに思います。
 次に、中央卸売市場の事業を正しく理解するために、市場会計についても把握する必要があるというふうに私は思います。
 東京都は、東京都地方公営企業の設置等に関する条例によって、地方公営企業法が適用される事業を設置しているわけですけれども、そのうち市場事業は、同法の一部が適用される事業として設置をされております。この一部適用というのは、同法のうち、財務規定等について適用されるということであります。
 東京都の中央卸売市場というのは、公営企業の管理者がまず置かれていない、知事が予算を調整する権限を有しているということですけれども、水道とか下水道、交通とは異なる部分があるわけですけれども、市場会計は公営企業会計として経理されているということであります。
 総務省のホームページには、こうしたことから、地方公営企業における企業としての性格について、次のように説明されております。
 地方公共団体が、住民の福祉の増進を目的として設置し、経営する企業、一般行政事務に要する経費が権力的に賦課徴収される租税によって賄われるのに対して、公営企業というのは、提供する財貨またはサービスの対価である料金収入によって維持されるというふうに説明されております。
 ここは当然のことですけれども、中央卸売市場の事業を理解する上で、ここには重要な二つの点が書かれているというふうに思います。一つは、そもそも住民の福祉の増進を目的とした公共性を有する企業でなくてはならないということと、税金ではなく、サービスの対価である料金収入によって事業を運営しているということでございます。
 東京都の市場事業において、この住民の福祉の増進とは一体何なのか、そして事業概要にもありますけれども、住民への生鮮食品等の円滑な供給と消費生活の安定を図って、迅速かつ公正な取引を確保するということでありますので、この目的を実現するために開設者である東京都というのは、衛生かつ効率的な施設をまず建設して、その施設を卸売業者とか仲卸業者などの市場業者に貸して、その業務を行うことで市場機能を発揮しているという、そういったことになるんだというふうに思います。
 つまり、都は市場事業を運営するために設備投資を行っているわけですけれども、これを経理することが、一般会計と異なる市場会計の特徴です。
 そこで、開設者として、都の設備投資を市場会計でどのように今経理をされているのか、お伺いいたします。

○松永管理部長 都は、市場開設者といたしまして市場事業を運営するため、卸売り場や仲卸店舗、事務所などに対しまして、必要な設備投資を行っております。
 大規模な設備投資を行った場合、工事完成後、直ちに多額の工事費を支払うことになりますが、これに対しまして、企業債を発行することなどにより資金を手当てしております。このような設備投資は、資本的収支として経理してございます。
 企業債を発行した場合は、原則として十年後に元金を一括償還することになりますが、当面の資金収支を安定化、平準化させるため、借換債というものを発行する場合もございます。
 また、設備投資によって取得した資産は、減価償却費として、それぞれの資産の法定耐用年数に応じて各年度に期間費用として配分し、日々の事業運営を経理する収益的収支に反映させております。
 なお、これら会計上の資本的収支や収益的収支の区別なく、現金の増減に着目して経理を行う資金収支というものも、運営上重要な経理手法の一つとなっております。

○鈴木(章)委員 設備投資によって取得した資産というのが、減価償却として、それぞれの資産の法定耐用年数に応じて各年度に期間費用として配分される、そして事業運営を経理する収益的収支として反映されているという話ですけれども、市場会計というのは公営企業会計であって、独立採算を原則として、市場業者が負担する使用料を主な収入として事業を運営しております。
 数字上の理屈だけいえば、例えば使用料を値上げすれば収入がふえる、また支出は同額か、あるいは縮減すれば、収支は黒字方向に改善することになるわけですけれども、市場会計の収支をよくして収益を増大させるためには、使用料を値上げすればいいという単純なものではないわけであります。
 市場事業というのは、一般の民間企業のように収益を上げることが目標ではないというふうに先ほど触れさせていただきましたけれども、都民への生鮮食品等の円滑な供給と消費生活の安定を図って、公正かつ迅速な取引を確保するということが目的になっているわけでございますので、本当にこの部分が大切なことであるというふうに思います。
 市場業者が負担する使用料というのは市場会計がもうけるために徴しているものではないわけでありますが、だからこそ市場整備計画というのは、市場で働く事業者の声を十分に反映して、計画的でなくてはならないということにつながっていくものというふうに思います。
 現在、国の方で、農協改革の一環で進められている市場法廃止の考え方を参考にして、有識者により、勝手にといったら語弊があるかもしれませんけれども、議論されている築地再開発は、豊洲市場という新たな中央卸売市場の将来を十分に考慮したものでなければならないというふうに私は思います。
 そしてまた、現在、市場会計の経常収支は、平成十二年度以降、一億円から八億円程度の黒字で推移して、毎年収支というのはほとんど均衡している、とんとんとなっているわけです。
 これは市場会計が本当に健全であることのあかしであるというふうに私は思いますけれども、この収支が、とんとんをよしとする意味というのはどういったことなのか、改めて説明していただきたいというふうに思います。

○松永管理部長 中央卸売市場会計は、公営企業会計として独立採算を原則として運営しており、市場業者が負担する使用料を主な収入としております。
 この使用料は、地方公営企業のサービスに対して徴収するものであり、公正、妥当なものでなければならず、かつ能率的な経営のもとにおける適正な原価を基礎とし、地方公営企業の健全な運営を確保することができるものでなければならないとされております。
 これは受益と負担の関係、市場会計でいえば、開設者である都が市場業者に提供するサービス全体の水準に見合った負担として使用料を徴収するということであり、使用料を値上げして収支を改善し利益を上げればいいというものではなく、それに見合ったサービスの提供を求めているものというふうに考えております。
 事業の経常収支が均衡しているということは、この受益と負担のバランスがとれた状態であり、市場会計が健全に運営されているというものであるというふうに考えております。

○鈴木(章)委員 今お話しいただいたように、卸売市場を取り巻く社会的、また経済的環境が本当に大きく変化している中で、本当にこの市場会計が、まず健全に運営されているということが、さまざまな変化に対してしっかりと戦略を立てる上で大きな強みになっていくというふうに私は思います。これからも卸売市場が現在果たしております社会的役割、そして機能を維持していくためにも、開設者として、これからも健全な経営に取り組んでいただきたいというふうに思います。
 今、市場法が大きく改正されようとしている中で、やはり現場を抱えている東京都というのが、こうしたことをしっかりと踏まえて、市場業者の心意気にしっかりと応えていけるように、私たちもこれからも、都民の皆様に生鮮食品の円滑な供給と安定的に供給ができる、そういった市場運営ができるように、役割を果たしていけるように、しっかりと声を上げていきたいというふうに思います。
 最後に、卸売市場の休開市について確認をしていきたいというふうに思います。
 都内の十一の中央卸売市場というのが、それぞれ特徴を有しながら、生鮮食料品を都民に安定供給するという役割を今も懸命に果たしているわけですけれども、生鮮食料品等の流通においては、この日は市場があいている、この日は市場が休みであるという、いわゆる開場日と休業日の設定は、取引業務の根幹をなすものであるというふうに私は思います。
 こうした中で、先般、第二十一回東京都中央卸売市場取引業務運営協議会において平成三十年の市場の開場日と休業日のカレンダーが決まりましたが、その際、市場関係者からさまざまな問題提起がなされました。
 我が党からも、山崎副委員長も同協議会の委員であるわけですけれども、その話によれば、水産卸の代表は市場の休業日の設定について、単なる休業日数の数合わせでないかという、そうした疑問を呈したというふうに聞いております。
 これまで市場当局は、市場関係者の合意というものを本当に基本として運営してきたということを先ほども述べさせていただきましたけれども、その姿勢に疑念ありとされたのではないかというふうに思います。
 今月十六日には市場長名で、豊洲市場の移転、開場日に関する調整の依頼文書が出されました。
 上から目線とかを嫌う市場関係者の受けとめが、本当に私たちは心配でなりませんけれども、さきの当委員会で柴崎委員が、業界調整の要締というのは、まず信頼関係が大事じゃないか、そしてトップ会談で今まで決めてきたじゃないか、そうしたことを述べさせていただきましたけれども、まさにそのことが、私は、今回市場長名でこの移転日に関する調整の依頼文書が出されたということが、今疑念を呈している大きな要因ではないかというふうに思います。
 市場当局が市場業界と膝詰めで談判しても、市場開場日合意の糸口というのがなかなか見えないかもしれないし、そして調整が暗礁に乗り上げるようなことがあれば、まず市場開設者である知事が先頭に立って市場関係者のもとに赴き、事態打開に乗り出すべきであるというふうに私も思いますし、知事も議会の中で、私が先頭に立って、このことをしっかりと解決していくというふうに述べておりました。
 そういうことを考えますと、今回の依頼文の順序というのが、本当にそれが果たされていない。逆を考えれば、それは依頼文が先じゃなくて、まずしっかりと話をして合意形成をしながら進めていくのが、私は本筋じゃないかというふうに思います。市場業者も都民であるわけですから、都民を一番で考えていくべきではないかというふうに私は本当に思います。
 今、知事は国政選挙に忙しくて、なかなかそういったところに対応できないのかもしれませんけれども、本日は知事もこの委員会に出席されておりませんので、尋ねることはできませんけれども、やはりこうした認識のもと、市場の開場日と休業日については、しっかりと合意形成をとりながら進めていっていただきたいというふうに思います。
 そこで、まず初めに、中央卸売市場にとって開場日と休業日はそれぞれどういう日なのか、改めてお伺いしたいというふうに思います。

○白川事業部長 都の中央卸売市場におきましては、条例の規定に基づきまして、都民の食生活への影響、市場業務に従事する者の労働条件、産地の出荷事情等を考慮し、開場日と休業日を定めております。
 開場日には、原則市場事業者は取引を行う責務がある一方、休業日は取引を行わない日でございまして、水産物部と青果部、食肉部、花き部のそれぞれで開場日等を設定しております。

○鈴木(章)委員 今、条例の規定に基づいて定められているという答弁がありましたけれども、これは東京都中央卸売市場条例第七条のことを指すわけですけれども、過去には当委員会で、市場の臨時休市日の廃止に関する請願も取り上げられたというふうに聞いております。
 そもそも今では、まちの魚屋さん、八百屋さんは、市場が休みだからといってお店を閉めているところはありません。現に営業しているわけであります。時代は本当に進んで、お盆も、そして年末も正月もなくて、三百六十五日二十四時間営業している飲食店やコンビニなどがふえて、生鮮食料品へのニーズというのは年中無休で存在しております。むしろ今日の方が、臨時休業日の廃止や減少へのニーズは増加しているというふうに私は思っております。
 かつて、買い回りの利便性を考慮して、水産と青果で開場日や休業日を合わせて設定したという経緯があるわけですけれども、今は市場利用者というのは、新鮮なものを新鮮なときにしっかりと手に入れたいという、そういった思いが強くなってきているというふうに思います。
 そこで、生鮮食料品を年中無休で求める飲食店や小売店ニーズに対して、休業日において市場業者は現在どのように対応していこうとしているのか、お伺いいたします。

○白川事業部長 お話の休業日におけます飲食店等の実需者ニーズに対しましては、仲卸業者が開場日に卸売業者から仕入れた商品を分荷、保管し、実需者に引き渡すということなどにより、対応しているところでございます。

○鈴木(章)委員 市場業者も、市場休業日であっても、店をあけてもうかるのであれば、商人である以上は営業するんですよ。ほとんどの店舗が休めば、数少ないあいている店舗にニーズが集中して繁盛するというものも自然の成り行きであるというふうに私は思います。逆に、みんなが店をあけていても、もうからないのであれば、店をあえてあけていないという手もあるわけです。
 このような事情を勘案すれば、法令上の手続を電子化するとか簡略化して、こうした経済的需要をより柔軟に認めていった方が、私はこれからの時代に即しているのではないかというふうに思います。時代の流れに即した規制緩和ということが大事だということを、本当に要望しておきます。
 また、このような議論を積み重ねながら時代に即した改革を進めることも、市場関係者との信頼醸成に私は寄与するものというふうに思います。
 さて、東京都卸売市場の開場日と休業日というのは、水産、青果の場合、どのような調整で決められているのか、改めてお伺いいたします。

○白川事業部長 水産物部及び青果部におけます開場日及び休業日の設定につきましては、まず前年の六月から八月にかけまして、各業界代表から成る連絡調整会議を開催し、開場日と休業日の設定、それから先ほどのお話のお盆ですとか連休時の対応など、具体的な調整を行っているところでございます。
 この連絡調整会議で了承が得られた設定案につきましては、学識経験者、生産者、消費者及び業界の代表などで構成される東京都中央卸売市場取引業務運営協議会で審議をされまして、毎年設定しているものでございます。
 これまで四週八休を目指し、原則日曜日、水曜日を休業日にして、段階的に休業日をふやしておりまして、平成三十年につきましては、開場日数を年間二百六十日としたところでございます。

○鈴木(章)委員 大田市場もそうですけれども、築地市場、また食肉市場を初め、東京都の中央卸売市場というのは、取引価格とか相場観はもちろんのこと、いろんな面で本当に全国の市場に大きな影響を与えているということはもうご承知だというふうに思いますけれども、こうした影響力というものを本当に意識していただいて、ぜひ慎重に調整に当たっていただきたいというふうに思います。
 折しも先月七日の運営協議会において、休業日のあり方について市場業者の皆さんと協議の場を設けると、東京都は約束したというふうに伺っております。
 東京都中央卸売市場条例の第七条第二項の定めをしっかりと意識し、休業日のあり方を議論する際には、まず都民への食生活への影響、そして市場業務に従事する者の労働条件、そして産地の出荷事情について漏らすことなく確認することを、あわせて要望しておきます。
 さて、さきの九月七日の都の運営協議会では、水産と青果の意見が異なったというふうに伺っておりますけれども、まず水産側の意見はどのようなものだったのか、お伺いいたします。

○白川事業部長 水産物部の主な意見といたしましては、取り扱う水産物の特性や経営状況の厳しい仲卸業者の売り上げ減少を懸念し、休業日の増加に慎重な意見や、また、休市のあり方について時間をかけて抜本的に検討すべきといったものがございました。

○鈴木(章)委員 このことも、市場関係者の方に伺うと、過去に水産物部の卸売業界は、休業日をふやすのではなく、減らす方向で考えたいと。しかし、従業員対策など全廃はできないと。また、出荷者のことを考えると、全国統一が必要であるというふうな主張がされたというふうに伺っております。
 また同様に、水産仲卸業界からは、全廃ではないが、臨時休業の日を削減したいとの意見があったとも伺っております。
 これらは今日の水産の発言と余り変わりがないわけです。
 過去、こうしたことを踏まえて、平成十二年の臨時休開市日の設定に際して、あり方を検討する会議が設置されて議論がなされたと市場関係者に伺いましたけれども、当時をよく知る青果関係者は、四週六休体制の維持が必要であると主張されたそうです。
 そこで翻って、先月、九月七日の運営協議会には、青果側の意見というのは一体どういうものがあったのか、お伺いいたします。

○白川事業部長 青果部の主な意見といたしましては、人材確保や従業員の労働環境の改善、これが喫緊の重要課題であるといったことから、休業日を大幅にふやし、完全週休二日を目指してほしいといったものがございました。

○鈴木(章)委員 今の答弁を伺っていると、水産側も青果側も、過去と同様な主張なんですね。変化がないというふうに感じました。
 そもそも青果と魚というのは、根本的に出荷に至る道のりというのが、本当に大きく違うように思います。
 青果は、市場の開場日や休業日に合わせて、畑などから、ある程度計画的な収穫とか出荷が可能です。一方、水産というのは、漁師の立場からすれば、漁に出られるかどうかというのは天候次第でありまして、今みたいに台風が近づいているなんていうことになると、何日も漁に出られないことも往々にしてあるわけでして、計画的な出荷というのは、養殖でない限りなかなか難しいわけであります。
 これだけ性質の異なる水産と青果で開場日と休業日について足並みをそろえるということ自体が、なかなか難しいことではないかなというふうに思います。実際に、東京都は、過去に水産と青果が別々に休業日を設定したことがあったと聞いております。性質の違う水産と青果の足並みを、無理に今そろえなくてもよいのではないかというふうに思うわけであります。
 そこで、東京都として、運営協議会での議論やさまざまな状況の変化を踏まえて、中央卸売市場の果たすべき役割や開場日と休業日について今後どのように検討を進めていくのか、具体的なスケジュールも含めてお伺いいたします。

○白川事業部長 開場日や休業日のあり方につきましては、卸売市場が今後も都民へ生鮮食料品等を円滑かつ安定的に供給する責務を果たしていくと、こういった観点におきまして、昨今の市場業者の業務、労働環境、経営環境等の実態を踏まえた根本的な議論が必要だと認識しております。
 そのため、今月から、現場の実態を十分に把握するため、現場責任者の方々と幅広く意見交換を開始したところでございます。
 今後は、産地、出荷団体や量販店などとも意見交換を実施いたしまして、今年度中を目途に、業界団体と意見集約が図られるよう検討を進めてまいります。

○鈴木(章)委員 今年度中を目途に業界団体と意見集約が図れるよう検討を進めるとのお話でありましたけれども、まだ議論はこれからということになろうと思いますが、ぜひ着実に議論を進めていただきたいというふうに思います。
 そして、その上で、事実に裏づけられた理屈を十分積んでいただきたい。先ほど話しましたけれども、小島顧問がかつて、現在地再整備は皆さんのやる気さえあれば可能なんだとか、築地で根拠のない風説を流布して市場業界に混乱と分断をもたらしたというのが、今現実大きな問題となっております。こういったことが今後決してないようにしていただきたいというふうに思います。
 来年第一回都議会定例会の当委員会、また予算委員会などで、この開場日と休業日の問題に関しては、市場関係者とどう向き合ったのか、そしてどのような議論が行われたのか、都の見解を含めて改めて状況を確認させていただきたいというふうに思っておりますので、またよろしくお願いします。
 中央卸売市場は、市場業者が取引業務を行うことにより、その役割が果たせるものであります。市場流通においては、産地、そして市場業者、小売販売者、そして消費者とつながる流れがスムーズであるということが、まず欠かせないわけです。こうした観点から、開場日と休業日のそれぞれの日数を何日にして、どのように市場流通を適正に維持していくのかということが非常に重要な問題だということです。
 都は、開設者としてリーダーシップを発揮し、市場関係者と丁寧な議論を尽くしていただきたい。その際に、市場関係者との合意というものを基本として運営していただきたいというふうに強く要望して、質問を終わります。

○あぜ上委員 それでは、私の方から、豊洲市場の追加対策工事の発注についてです。
 追加工事では九つの契約案件がありました。そのうち四件は再募集となったわけですが、四件の再募集となった理由をまず伺います。

○吉野建設技術担当部長 入札中止となった四件の契約については、入札参加希望者が一者以下だったため、契約手続が中止となり、再発注手続を行いました。

○あぜ上委員 その再発注した際、参加要件の変更はあったんでしょうか。

○吉野建設技術担当部長 契約手続が中止となりました六街区の換気設備工事及び五、六、七街区の床面工事を再発注するに当たり、希望申請対象者の企業規模条件の緩和など、入札参加要件の見直しを行いました。

○あぜ上委員 済みません、部長。企業規模条件の緩和ということは、具体的にどういう緩和の内容なんでしょうか。

○吉野建設技術担当部長 例えば、B等級の中小企業者というふうに限定していたものをB等級の者全てというように、中小企業という制限を外したということでございます。

○あぜ上委員 そうすると、その結果、どうだったんでしょうか。

○吉野建設技術担当部長 当初の発注で中止となった四件につきまして、入札参加要件を見直した上で改めて発注手続を行ったところ、七街区の床面工事を除く三件につきましては、契約手続が進行しております。
 七街区の床面工事については希望者がいなかったため、再度入札中止となっております。

○あぜ上委員 ちょっと確認なんですが、そうすると、その三件については手続が進行したということは、いわゆる一者入札、一者参加を認めたという理解でよろしいんでしょうかね。
 それからあと、七街区の床面の工事が、なぜ応募がなかったと考えていらっしゃるんでしょうか。

○吉野建設技術担当部長 七街区の床面工事を除く三件については、我々の方には何者手を挙げたかというのはわかりませんが、一者以上であっても制度上、契約手続が進行するということでございます。
 また、七街区においてなぜ希望者がいなかったかということに関しては定かではございません。

○あぜ上委員 定かではないと、財務だということなんでしょうけど、理由は、やはり困難な工事ということだというふうに思うんですね。結局、参加要件の変更をしても、大変難しい工事であるということだから、責任を持ってその工事ができるという、そういう事業者があらわれない、この入札の状況を見ても、そういうことではないでしょうかね。もともと無理がある工事ではないかというふうに思うんです。
 今後、この契約については、どう進めていくおつもりなんでしょうか。

○吉野建設技術担当部長 中央卸売市場としましては、早期に追加対策工事に着工できるよう、再発注に向けた契約事務手続を速やかに進めてまいります。
 なお、次回は予定価格をあらかじめ公表した上で、参加者を募集する予定でございます。

○あぜ上委員 予定価格を公表するということなんですが、それにしても契約が成立するかどうか、また工事が先ほどいわれたようなスケジュールで進むのかどうか、これは大変疑問だというふうにいわざるを得ません。
 十月四日に知事に提出されました築地女将さん会からの要請書には、こういうふうに書いてあったんですね。私たち築地市場の関係者は、豊洲市場に将来を見通すこともできない、そして事業の計画を立てることもできないというふうにおっしゃっていました。
 これらをこのままにして、都知事が国政選挙にかまけるなどということはあってはならないというふうにいわざるを得ないと思います。
 八月二十三日のこの要請書、知事からの回答も、十月四日時点でもなかったわけですね。市場関係者の皆さん、本当に今、そういう点では、これからどうなるんだろうかという不安を非常に抱いていらっしゃると思います。やっぱり、そういった不安の声にしっかりと応えていく、そういう姿勢こそ今求められているんだと思います。
 市場関係者の方からは、工事の途中でもう移転されるんじゃないかという不安の声なんかも上がっているわけですが、追加工事が六カ月はかかるというふうに以前から説明されていたわけですけれども、工事が完全に完了された、その後に移転開業というふうに考えていらっしゃるのかどうか、その点だけちょっと確認させてください。

○岡安新市場整備部長 都といたしましては、追加対策工事を着実に進めまして、専門家会議の確認を含めて、遅くとも平成三十年七月末までには工事を完了する見込みでございまして、移転時期については、その後を考えてございます。

○あぜ上委員 以前には来年の六月から秋にかけてという日程が示されておりましたけれども、工事が間に合わない場合には、先ほどお話があった、開場は来年の秋を都としてはめどとしているということでよろしいんでしょうか。ちょっとその確認をさせてください。

○岡安新市場整備部長 先ほどの答弁とちょっと重なる部分もございますが、中央卸売市場といたしましては、追加対策工事を着実に進めまして、遅くとも平成三十年七月末までには専門家会議の確認を完了させる見込みでございまして、来年秋の移転には支障はないと考えてございます。

○あぜ上委員 追加工事の契約以降、市場関係者の方たちとはその点、どういう話し合いがなされているんでしょうか。

○岡安新市場整備部長 追加対策工事の内容等につきましては、新市場建設協議会の中等で説明をしております。

○あぜ上委員 ちょっと私の聞き方が悪かったのかな。秋に移転をするということについての話し合いは、市場関係者とどういう話し合いになっていますか。

○岡安新市場整備部長 先ほどもお話がございましたが、今回、各業界の団体の皆様に対しまして、東京都の考えといたしまして、来年の九月から十月に向けて移転の時期を考えていきたいということを申し上げました。
 また、その前段といいますか、その前に行われました、例えば新市場建設協議会におきましては、もともと六月の頭から、六月の上旬から秋までに移転についての環境が整うというお話をいっていたことに対しまして、工事が若干おくれるという見込みがございまして、その辺についてもご説明をしてございます。

○あぜ上委員 つまり、説明はしているけれども、市場関係者との話し合いが進んでいるということではないということなわけですね。私は、十分な協議の時間が必要であるというふうに思います。そういう点では、五輪ありきで来年秋という日にちを先行させるというやり方は、絶対にやってはならないというふうに思います。
 先ほども各委員の質疑の中で、五輪のためのいわゆるデポ、駐車場、それから環二の話も出ていましたけれども、それがあるから来年の十月までにやらなきゃいけないんだというお話がありましたけれども、しかし、五輪の所管をしているところでは、環二もデポもどうなるかわからない状況の中で、きちんといろいろな対策を考えているわけですよ。ましてや市場当局としては、やっぱりきちんと市場関係者の皆さんとの話し合いをしっかりやって、合意が前提でなければならないわけです。
 仲卸の方たちと私も改めて話をしてみましたけれども、秋はサンマやイワシや、それからあとカツオとか、生のお魚も多くなって、かなり忙しい時期になっているというふうにも伺っています。
 それで、昨年十一月という話のときも、その当時は引っ越しが四日間という日にち設定もあったということもあるのかもしれませんが、かなりむちゃな話だったと、現場を軽視した話だと思ったというふうな声を伺っています。
 そして、まだ何も決まっていないんだというのが現状だというふうにこもごも話されておりましたが、こんな状態で移転日程だけを先行させるというやり方は、やはり問題だと私はいわざるを得ないと思います。
 本会議におきまして、我が党の代表質問で、市場業者の合意なしに移転はしないという立場をはっきり表明するように知事に求めました。その際に、理解と協力が必要だというふうに知事はご答弁されましたが、合意なしには移転はしないという理解でよろしいんでしょうか。

○岡安新市場整備部長 東京都はこれまで、新市場建設協議会等の場を通じまして業界団体の皆様とさまざまな調整を行ってきておりまして、今後も移転時期を初めとしました調整を進めさせていただきたいと思っています。引き続き、業界の皆様の理解と協力を得られるよう、丁寧に対応してまいります。

○あぜ上委員 結局、移転開業についても市場関係者との理解と協力が必要だと、さまざまな調整を行っていくと今答弁されましたけれども、まだ話し合いも進展してないわけですよね。丁寧に対応するということを、この間もずっと繰り返し答弁されているけれども、市場関係者の皆さんが一番心配しているのは、やっぱり市場関係者の合意なしにやってしまうんじゃないか、そこが一番心配なわけですよ。
 やっぱり合意と納得が大前提になるということだと思いますけれども、合意なしに移転しないと、合意がなければ移転はしないということを、ここではっきりいっていただけませんか。

○岡安新市場整備部長 先ほども申し上げましたとおり、先般、業界団体の方々に東京都から、東京都の考え方として、九月から十月ということをお示しさせていただいてございます。当然、我々はそれを受けまして、事業者の方々とのご意見もしっかりお聞きをし、話もしていきたい、そういうふうに考えてございます。
 また、これは繰り返しになりますけれども、そういうことも踏まえまして、東京都といたしましては、新市場建設協議会等の場を通じまして、業界の皆様とさまざまな調整を今後も行っていきます。また、引き続き業界の理解と協力を得られるように丁寧に対応してまいりたい、そういうふうに考えてございます。

○あぜ上委員 つまり、合意なしに移転しないといっていただけないんですよね。これでは農林省だって、市場関係者の理解と合意のないまま開業するということを認めないと思いますよ。
 私も、知事が農林省に行かれて、その後、改めて農林省にも確認に行きました。やはり、市場関係者を置き去りにした、こういう市場開場はあり得ないわけです。そのことを改めて強く指摘しておきたいと思います。
 次に、築地ブランドについてです。
 この間の質疑を通じて明らかにしてまいりましたけれども、築地再開発は民間主導の再開発ということで、築地ブランドを守る、市場の機能を残すということについての具体化は極めて不透明だということであります。
 九月二十二日に都知事が出した東卸協同組合への回答書の中では、基本方針にある仲卸の目ききを生かした競り、市場内取引を確保、発展ということについて、そのための具体策を示していただきたいという要望、質問に対して、仲卸の目ききを生かした競り、市場内取引といった表現は、築地のポテンシャルを生かした再開発の一つの考えとして示したものだと、ますますわからない内容になっているんですね。
 しかも、築地再開発検討会議が始まったわけですけれども、築地の土地は市場の所管でもあり、今後の市場運営に土地利用が大きくかかわる問題なわけです。それなのに、会議の事務局にも市場が入っていないと。
 築地ブランドや将来築地に戻ることを希望する仲卸業者に応えるため、さまざまな方策について移転後に検討すると先ほど市場長もご答弁されていましたけれども、本当にその約束が守れるのかと、仲卸の皆さんは、この間一層不安を募らせているわけです。
 仲卸の東卸協同組合の要請には、今後、築地再開発を検討する場に仲卸の参加も要望いたしますとありましたが、その要望について、どこが検討して入れないと判断したんですか。

○吉村企画担当部長 築地の再開発につきましては、所管であります都市整備局におきまして築地再開発検討会議を立ち上げまして、築地の持つ地域特性やポテンシャルなど、幅広い観点から検討をスタートさせることとしてございます。
 検討会議の委員につきましては、こうした観点から、自由な発想で幅広い意見をいただけるよう、経営、文化、まちづくりなど、さまざまな分野で活躍されている方々を選定したと聞いてございます。
 東卸組合からの要望に対しましては、こうした委員の選定経緯を踏まえ、回答したものでございます。

○あぜ上委員 つまり、都市整備が選定したんだということなんですが、では、選定について市場に相談はなかったんですか、あったんですか。あったか、なかったかだけでもお答えください。

○吉村企画担当部長 検討会議の委員につきましては、自由な発想で幅広い意見をいただけるよう、さまざまな分野で活躍される方を選定したというふうに聞いてございます。

○あぜ上委員 つまり、市場当局に都市整備から相談があったのか、なかったのか。あったか、なかったかだけで結構ですので、もう一度お答えください。(「知事に聞けよ」と呼ぶ者あり)知事呼んで。

○吉村企画担当部長 築地再開発検討会議の所管は都市整備局になってございますので、都市整備局の方で選定されたというふうに考えてございます。

○あぜ上委員 つまり、市場の今後のあり方にとっても非常に大事な問題にもかかわらず、市場に相談もなかったということですよね。
 第三回定例会の我が党の代表質問に対し、水産仲卸などの業界団体に適切に情報を提供するというふうにご答弁されましたが、築地ブランドを守るためには、やはり業界への情報提供も含め、今後の築地のあり方について、市場当局が関与する必要が当然あるというふうに考えます。市場としてどのような形で関与していくんですか。

○吉村企画担当部長 築地の再開発につきましては、まずは検討会議の中で、各分野で活躍されている有識者、専門家などが自由な発想で幅広い意見を聴取し、まちづくりの大きな視点として整理するということになってございます。
 こうした築地再開発の動向につきましては、水産仲卸業者等の関心も高いことから、市場当局といたしましても都市整備局と連携を図りながら、検討会議の状況について、水産仲卸の業界団体に対しまして、適宜情報提供を行う機会を設けていくこととしてございます。

○あぜ上委員 その第一回築地再開発検討会議というのを、私もテレビで見ましたけれども、建物のことは出ていましたけれども、和食を学べるところ、イベントのためのスペースと、こういった発言はありましたけれども、築地ブランドは守る、市場機能を確保するということがますます外れてきているなというふうに感じたのは、私だけではないと思います。
 結局、その検討過程、どこで、誰が、どういう話し合いの中で市場の機能の確保を変えていったのか、そして希望すれば築地に戻れるとは一体どういうことなのか、全く不透明なままなわけです。知事のいう情報開示、これが本当になされていないじゃないかといわざるを得ないわけですね。
 引き続き、私はこの問題についても、先ほどの追加工事の問題についても意見を述べていきたいと思いますけれども、きょうはそういうことを指摘して質疑を終わりたいと思います。

○伊藤委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時七分休憩

   午後三時二十五分開議

○伊藤委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○森村委員 八月に発表された豊洲市場でのカビの発生につきまして、本件にかかわる当局の調査にも一定のめどが立ったものと考え、円滑な市場移転のためにも、詳細を明らかにしていただきたいと思います。
 まず、先般の委員会質疑の中で、カビの発生の原因についてのご説明がありましたが、八月の多雨と台風によって生じた湿度の上昇によるものとのことでした。確かに八月の連続降雨は、二十一日間もの間降り続いた四十年ぶりの多雨でしたが、しかし、夏場に気温や湿度が上昇することは当然想定可能なことであり、施設の管理運営上、それなりの対応が行われてしかるべきではないかと考えます。
 当時の説明では、発生原因は単に八月の多雨と台風であるということでしたが、施設管理上、換気や空調等の運用状況について問題がなかったのか、実際のところそれらがどのように行われていたのかについてお伺いします。

○佐藤施設整備担当部長 お尋ねの件につきましては、本年二月より、結露防止のため、週三回、各二時間の換気運転を開始いたしまして、五月からは、外気の状況等を日々勘案しつつ、毎日運転に移行いたしました。
 さらに、七月からは、売り場内の湿度が高い状況が見受けられましたことから、換気に加えまして、空調運転も必要に応じて日に数時間実施してきたところでございます。

○森村委員 カビが発生したという報告を受けて不安に思うことは、それがどのような種類のカビだったかということです。カビの中には、人の健康に悪影響を及ぼすカビ毒を産生するものもあります。
 今回発生したカビについての調査を行ったと聞いておりますが、結果はどのような性質のカビだったのでしょうか、お伺いします。

○西坂事業支援担当部長 今回の調査では、豊洲市場内で発生したカビの種類などについて調査を実施いたしました。
 調査の結果、カビの種類は、世界各地の空中、土壌に広く分布するコウジカビ、クロカビ、アオカビであることが判明いたしました。これらのカビは、いずれも健康に被害を与える病原性カビや、食品衛生法上問題になるカビ毒産生カビではないとの調査結果を受けております。

○森村委員 カビ毒産生カビなどは発生していなかったということではありますが、そもそも食品衛生法上、非常に重要な施設においてカビ発生を許したこと自体が残念なことであります。
 今後の再発防止策を策定する上でも、まずは、今回のカビの発生について、開設者としての責任をどう認識しているのか、ご答弁をお願いします。

○岡安新市場整備部長 市場業者の皆様にご迷惑とご心配をおかけしたことにつきましては、真摯に受けとめてございます。
 今後、被害の拡大と再発防止に努めますとともに、被害が確認されました市場業者の方々に対しましては、店舗の清掃作業を初めとして、誠実に対応してまいります。

○森村委員 都として施設管理を業者に委託しておられますが、そもそも委託にかかわる要件の設定なども含めて、開設者としての責任を都が負っています。都民並びに事業者に対して、今後しっかりと責任を果たしていくことを求めますが、その前に、カビが生えた場所の対処についてお伺いしたいと思います。
 まず、カビの生えた箇所の清掃は既に済んでいるものと聞いておりますが、木質部分などで、カビの発生箇所について、設備等の交換が必要になる場合は、どう対応していくことになるのか、お伺いいたします。

○影山新市場整備調整担当部長 原状回復が困難と想定されます木製品など、清掃での対応ができない場合につきましては、交換等について別途個別の対応を考えております。

○森村委員 今後、都として、設備等の交換を行うための要件定義などを行いながら、事業者への説明を丁寧に行っていただき、円滑な市場移転に向けて対応を行っていただきたいと思います。
 さらに、先日発表された移転時期は来年の九月から十月をめどにということですが、梅雨や夏場をまた改めて挟むことになりますので、同様のことが起こらないようにお願いしたいと思います。
 そこで、再発防止策はどのようなものなのか、これをお伺いするとともに、カビの発生以外に、施設管理上、今後注意が必要なリスク要因について、都として想定しているものがあればご教示ください。

○影山新市場整備調整担当部長 都といたしましては、施設内の湿度をより詳細に把握した上で、空調運転や外気の状況に応じた空気の入れかえなどによりまして、きめ細かく湿度管理を行うとともに、巡回点検時のチェックを徹底し、カビが発生しないように努めてまいります。
 また、施設管理上のリスクについてのご質問ですが、一般に火災や侵入などが考えられますが、こうした事態に対しましては、消防設備等を整備するとともに、必要な警備体制を構築しており、今後も適切に対応してまいります。

○森村委員 次に、市場の持続的な運営についてお伺いいたします。
 持続的運営に向けて、今後、一層の収入確保と、それから運用コストのさらなる縮減が行われるものと思いますが、収入の中で大きなウエートを占めるのが市場の使用料です。
 現状想定している収入を確保するために、予定されている事業者の状況について確認したいのですが、まず築地市場から豊洲市場に移転する水産仲卸業者数はどのように見込んでいるのか、またその見込み業者数に対して、新市場で用意している水産仲卸店舗の数はどのくらいなのか、ご教示ください。

○影山新市場整備調整担当部長 豊洲市場に移転いたします水産仲卸業者数につきましては、現在築地市場で事業を行っております約五百四十社を前提として準備を進めております。
 また、豊洲市場では、水産仲卸事業者用の店舗区画といたしまして、移転する事業者に必要な千五百七十四区画が用意されております。

○森村委員 今後、何らかの事由により、移転しないことを決定した事業者が出てくる可能性について不安の声もありますが、その店舗数、これは移転、開場時にはどのくらいの稼働率になる予定なのか、都としての見解をお伺いします。

○影山新市場整備調整担当部長 豊洲市場におきましては、移転する事業者に必要な店舗区画を用意しており、店舗区画のあきは生じないと見込んでおります。

○森村委員 わかりました。現時点では、全ての区画が埋まり、あきは生じないと見込んでいるわけですね。ぜひ想定どおりの状況で開場できるよう、引き続きの努力をいただくことを求めます。
 さて、これまで収入確保という観点から質問をしてきましたが、持続的な市場運営を実現するためには、支出の削減についてもしっかりと取り組んでいくことが必要です。
 豊洲市場の維持管理費は、八月のカビの発生を受けて、空調や換気を含む管理の費用がこれまで以上にかかることが懸念され、また、開場後に運用が始まらないとわからない点もあろうことなどを考えると、現段階ではまだ詳細な詰めを行うことは難しいでしょうから、本日は質問をいたしませんが、開設後の施設の使用状況などを丁寧に確認しながら、できる限りの努力と工夫によってコストの縮減を行うことは重要であり、都としてしっかりと取り組んでいただくことを求めておきます。
 最後に、風評被害の払拭についてお伺いします。
 豊洲市場への円滑な移転に向けて、地下水モニタリングの結果報告などを通じて、丁寧な情報開示を行っていく必要があることについては、これまでも再三議論されてきたところであり、先日の臨時議会で組まれた補正予算において、豊洲市場の風評被害の払拭のための広報予算一億円が計上されました。
 風評被害の払拭に向けて、今後どのような取り組みを行っていくのか、当該一億円の予算がどのような形で具体的に執行されるのか、都の見解をお伺いします。
 また、当該取り組みの費用対効果をどのように図っていくのかも含めてお伺いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

○有金渉外調整担当部長 風評被害の払拭に向けましては、正確な情報発信や、実際に豊洲市場をごらんいただくなどの取り組みが重要であると考えております。
 そのため、豊洲市場の空気や水質の状況などをホームページなどでわかりやすく発信するとともに、築地市場内のPRコーナーにつきましても、展示内容を拡充し、来月から再開をしていく予定としております。
 また、豊洲市場の都民見学会につきましても、九月から一日百名の定員を百二十名にふやすとともに、見学時間帯を二回から四回へと変更しております。また、十月からは月二回の開催とし、うち一回は土曜日とするなど、都民の皆様が参加しやすいよう見直しを行っております。
 さらに、新たな取り組みといたしまして、民間のアイデアを活用し、施設の安全性や衛生管理の対応など、豊洲市場の魅力につきまして、イベント等を通じて広く周知を図るとともに、その効果をしっかりと検証いたしまして、今後実施する事業に反映させていく予定としております。
 今後も、風評被害の払拭に向けて、こうした取り組みを積極的に展開してまいります。

○細田委員 私からは、大綱四点にわたって伺います。
 まず、食の安全・安心の確保への取り組み、この事業について伺います。
 先般、群馬県と埼玉県において、同じ系列の総菜店で購入されたお客様が腸管出血性大腸菌O157に感染する、このような報道がありました。
 その総菜店では、客自身が総菜をトングやスプーンで必要量をとる、はかり売りを行っていて、そのトングが感染源になったのではという見方もあります。
 現時点で感染ルートは特定されていないのですが、こうした報道はたびたび繰り返されていて、都民の食の安全に関する意識はまさに今高まっていて、中央卸売市場としても、食の安全・安心の確保に向けた取り組み、これを着実に進めていくこと、これがとても重要であります。
 東京都の中央卸売市場を経由する食品への安心感、信頼感は、これは大変に大きなものがありますが、市場は生鮮食料品を取り扱っていますので、この物の流れ、これは早いということですから、いざ問題が生じたときには、素早い対応をしなければなりません。
 そこで、この中央卸売市場では、食品に関する事件や事故の発生時に、当該の食品の流通状況などに関する情報の収集や周知をしていく体制として、安全・品質管理者、都でいわれている独自のSQM、セーフティークオリティーマネジャー、これを配置されていますが、それは具体的にどのような活動をされているのか、その内容についてお尋ねします。

○白川事業部長 中央卸売市場では、人の健康を損なうおそれのある食品や、法令違反またはその疑いがあると考えられる食品の情報につきまして、国や都などの関係機関から迅速に収集をしております。
 これらの入手した情報につきましては、直ちに全市場の卸売業者などの安全・品質管理者、SQM、セーフティークオリティーマネジャーに通知するとともに、必要に応じまして、該当商品の入荷状況や販売、在庫状況を調査し、販売禁止、入荷停止、回収等の措置をとる体制を整えているところでございます。

○細田委員 SQMを通じて、速やかな情報伝達、その被害の拡大防止を図っているということですけれども、そもそもこの制度、市場での品質管理と衛生対策などを進めるために設けられたという経緯があります。
 そこで伺いますが、SQMの制度を担保、維持するための取り組み、これはどのようにしているのでしょうか。もともと予防という対策は効果がわかりにくいので、明確に効果がわかるように、うまくいくように、このようにするためにどんな取り組みをしているのか、このことについてお尋ねします。

○白川事業部長 安全・品質管理者は、十一の都内中央卸売市場全てに配置をされておりまして、各卸売業者の役員や仲卸組合の役員など、業界で百三十一名、また都の職員から二十七名が選任されておりまして、食品危害発生時の情報連絡等の対応を行っているところでございます。
 この制度を維持し、機能を向上させるため、都は、全ての安全・品質管理者を対象に、品質管理や衛生対策の専門家による研修会を定期的に開催するとともに、緊急時に迅速適切な対応が行えるよう、食品危害の発生を想定した情報伝達訓練を毎年実施しておるところでございます。

○細田委員 今の答弁の中では、食品の危害の発生時の情報連絡、これをしっかり行っているという話でありましたけれども、また多くの人数、官民あわせて参加しているということなので、効果発揮されていただきたいと思うのですけれども、具体的にはどんな内容でどのぐらいの回数行ってきたのか、この点についてお伺いします。

○白川事業部長 SQMによる通知につきましては、全国各地に係るさまざまな情報をもとに、平成二十八年度は六十回行われておりまして、その内容は、放射性物質に関する出荷制限や制限解除などの情報、有毒魚や有毒植物などの注意情報、残留農薬違反の情報など、多岐にわたっております。
 また、今年度は、これまで二十四回行われておりまして、その内容は、昨年度と同様の傾向を示しているところでございます。

○細田委員 わかりました。このSQMの通知で、市場に関係する食品のさまざまな情報、これが事業者に提供されるなど、食の安全・安心を図る体制は整備されている、これが進行中であると理解するんですが、一方、市場における食の安全と安心を確保していくためには、市場で働く人たち一人一人がこの品質管理に対しての高い意識を持つこと、これが極めて重要であります。申し上げるまでもないことだと思うんですけれども。
 都はこれまで、この品質管理マニュアルを市場事業者自身が作成していけるように、こういうことを支援してきたと思うんですが、この品質管理マニュアルはどんなものなのか、また、このマニュアルに基づく取り組みの定着に向けてはいかに取り組んできているのか、この点についてお尋ねします。

○白川事業部長 都民に安全な生鮮食料品を提供するためには、事業者みずからが品質管理を実施していくことが重要で、有効でございます。
 そのため、都は、一般的な衛生管理項目を網羅いたしました品質管理マニュアルの手引を作成いたしまして、各事業者みずからが品質管理マニュアルを作成するよう支援を行ってまいりました。
 このマニュアルには、施設の清掃、点検や温度管理などの手順が定められておりまして、これまで、水産、青果及び食肉の全卸売業者がマニュアルを作成済みでございます。
 都は、現場の巡回指導におきまして、マニュアルどおりに作業が行われているか確認するなど、事業者の継続的な取り組みと意識向上を図ってまいります。

○細田委員 継続的によろしくお願いします。
 事業者がみずからの品質管理を徹底していく、これが大変に重要なことである、このように理解しています。今後も、このSQMの研修会を活用して、食品表示などの品質管理に関しての動向を適宜適切に周知していただいて、引き続いて、都と事業者、官民が連携、協力して、食の安全・安心の確保、この取り組みを着実に前進させていただきたいということを要望しておきます。
 続いて、大綱の二点目で、食肉市場におけるHACCPについて伺います。
 このHACCPの導入ですが、過日、都議会公明党では、食肉市場協会から団体の要望を聴取させていただきました。この中で、業界団体からは、二〇一九年のラグビーワールドカップや東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会を見据えて、都と業界団体で目標としている平成三十年度末までのHACCPの導入、これにおくれが生じることがないように、積極的に進めていただきたい、このような要望をいただきました。
 と畜場の衛生管理をより一層確実なものとする目的で、国は、二年前の平成二十七年の四月にと畜場法施行規則を改正しました。
 その要点は、と畜場における衛生管理にHACCP基準を取り入れることとしたものであると聞いていますが、同時に従来の管理を継続することもできるとしていて、それはおのずと各と畜場が選択できる、こういうふうになっていると記憶しております。
 東京都の食肉市場は、国内でも、申し上げるまでもなく、最大規模を誇っていて、建て値市場のところでありますから、ほかのと畜場、食肉市場をリードしていくべき存在ですので、衛生管理についても、食品衛生管理の国際基準であるHACCP、これをしっかりと導入していく、この必要があるのではないかと考えますが、東京都の見解を伺います。

○松田市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 食肉市場におきましては、平成二十七年一月から、都や業界団体の代表者によりますHACCP推進会議を設置いたしまして、平成三十年度末までの導入を目標に準備を進めているところでございます。
 全国の各と畜施設を見てまいりますと、順次HACCPの導入が進んでいるという状況もございまして、平成二十九年四月現在で全国に百八十三カ所、と畜場がございますけれども、そのうちで六十の施設が導入を済ませているという状況にございます。
 こうした先行導入施設の動向ということから、業界といたしましても、集荷や販売への影響、こういったものを意識せざるを得ない状況にあるという、そのような一種の危機感もあるというところでございまして、都といたしましても、早期のHACCPの導入を進めていくということで、業界と一体となってやっていくというふうに認識しているところでございます。

○細田委員 業界の導入を強く求めている要望についての詳細なご答弁ありましたけど、百八十ぐらいで六十が導入しているということなので、三分の一ぐらいがHACCPをもう取り入れているという、既にそういう状況だから、これに乗りおくれることがないようにしたい、そういう考えであるということも理解できました。
 このHACCPは、必ずしもハードの整備が主役ではなくて、先日も食肉市場、視察に行かせていただきましたが、その限りでは、古い施設もあって、設備的に手を加えなければならない、こういうような部分もあるというふうに思っています。
 まさにそういう点では、作業手順などのソフト面の充実ということも、衛生管理をしっかりとやっていかなくちゃいけない、こういうことも大切なことであって、HACCPの重要なテーマである、また、やらなくちゃいけないことだと。ハード面も当然そうなんだけれども、あわせてやらなくちゃいけない、このように理解しています。
 業界団体の危機感も、そうした設備の更新や整備に起因したものである、このように考えるんですけれども、現時点でこのHACCPの導入の到達状況、ハード面、ソフト面を踏まえて、この平成三十年度末までに導入できるのか、していくのか、どういうつもりなのか、その導入の可能性について伺わせていただきます。

○松田市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 食肉市場におきましてHACCPを導入する場合、と畜施設と市場部門とが一体となりまして、生体の入荷から製品として出荷するまでの工程全てにおきまして、一貫、連続した衛生管理が行われているということが求められるという状況にございます。
 HACCPの導入に際しましては、委員ご指摘のように、ソフト面における対応が重要でございまして、現在、全職員を対象といたしました研修の実施あるいは共通ルールの策定、こういったことを行いまして、市場や、と場で働く職員、業界の方々を含めました、あるいは購買者を含めました市場全体の衛生管理基準の向上に取り組んでおるところでございまして、こうした対応を今年度中に一定程度完成させていくというところでございます。
 また、ハード面につきましても、平成二十八年度から平成三十年度に向けまして、衛生管理エリアの出入り口にエアシャワーなどの身体保清設備、これは体をきれいにする設備ということでございますけれども、こういった施設を設置するなど、必要な改修を完了させる計画でございます。
 こうしたソフト、ハード両面の対応の進捗状況に合わせまして、平成三十年度には、試行と修正を加えまして、HACCPの導入につなげていくということでございます。

○細田委員 三十年度まで、ソフトの対応についても道筋をつけて、試行を行っていって、ハードの整備についても三十年度までに実施していく、こういうことだと理解いたしました。
 エアシャワーも一カ所ついているけれども、そうじゃない建物もあるわけですから、当然、それは充実させていただいて、そして、今のソフト面なんですが、ここがまさに重要だと思うんです。
 今、全職員の研修の実施や共通のルール、このルールなんですけど、市場と、またと場で働く人たち、また購買者、これはまさに東京都と、それから職員と、それから競りに来る、枝肉を買いに来られるような購買者の方々が一体となっているわけだから、まさにこのソフトの面で、この三者、また関連する人たちが共通の意識を持って取り組まないと、このソフトは達成することができないから、そうすると、当然ハードとソフトが一体となった形じゃないとHACCPを実現していくことができないので、まさにそこのところの共通認識、温度差がないように前に進めていくこと、これを願い、要望しておきます。
 そして、まさにこのHACCPがあれば、輸出がいい形で展開できるんじゃないかということで、輸出に当たっては、このHACCP導入が必要条件となるのか、どういうふうな東京都は認識を持っているのか、この点についてお伺いします。

○松田市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 食肉の輸出につきましては、と畜場及びと畜場に併設される加工施設が、輸出先、相手国の求める衛生要件を満たしている必要がございます。
 各国の求めます衛生要件は、例えばタイやベトナムなど、HACCP導入を必ずしも要件としない国や地域がある一方で、シンガポールやメキシコのように、HACCP要件を求められる国や地域、さらにはアメリカ、EUのように、HACCP要件に加えまして、独自の施設基準、衛生基準や動物福祉基準などを求める国や地域もあるのが実情でございます。

○細田委員 今いろんな国がある、またいろんな段階があるという。だとすると、輸出先の国がさらにふえていって輸出の量もふえていくのか、そういう形で発展していくことができるのか、この点についての見解をお尋ねします。

○松田市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 現在、輸出の実績のございますのは、HACCPの導入要件がない国や地域でございますけれども、その輸出量は、平成二十二年度に輸出が開始されたとき、こちらが三十六トンございまして、直近の平成二十八年度におきましては六十五トンまで増加しているという状況がございます。
 今後、HACCP導入を図ることによりまして、輸出に際し、HACCP導入を認定要件としておりますシンガポールなど、新たな国や地域への輸出要件を備えることとなる状況にございます。
 これらの国や地域には、現在輸出を行っている国や地域と同様に、高品質な和牛を味わう意欲のある富裕層の方々が存在するなど、ビジネスチャンスのみならず、販売チャネルの拡大が図れ、輸出量の増加が期待されると、このように考えているところでございます。

○細田委員 ぜひよろしくお願いします。まさに東京都も、また業者の皆様も、そしてこれからの社会も、安全・安心の食肉の社会を開いていく大事なことである、このように理解します。
 国内でも本当に最大規模を誇る食肉市場として、都民の、また消費者への安全・安心な高品質な食肉、これを安定供給することは当然のこととして、海外においても、今答弁されたように、和食の関心と評価が高まる中で、より一層の輸出の対応、また二〇二〇オリンピック・パラリンピックを見据えて、多様なニーズに対応していくことが重要であります。
 これからも持続可能な事業として、全国各地の生産者の期待に応えていくためにも、HACCPの導入は欠かすことができないものだと私も理解しております。
 安全・安心、充実する食肉市場に向けて、ぜひ三十年度末までのHACCPの導入の実現に向けて、積極的な取り組みをお願いいたします。
 大綱三点目に、法令の総点検について伺わせていただきます。
 昨年度、築地市場を初めとした複数の市場において、環境確保条例や建築基準法など、関係法令にかかわる手続漏れが明らかになりました。
 この問題について、半年前の本年の三月の予算特別委員会で、我が党の橘政調会長の質問に対して、今後、全ての市場部局において法令手続の履行を総点検することとしていると市場長が答弁をされました。
 環境確保条例に基づいて必要な地歴調査を行っていなくて、大田市場と多摩ニュータウン市場を除く八市場において、築地市場と同様に、届け出のない、こういうような工事があったという、そういうことであります。
 そこで、この半年を経まして、法令の手続の総点検の内容、いかなる取り組みをしてきたのか、現在の状況について伺います。

○白川事業部長 都民の皆様からの信頼回復に向けまして、本年三月に本庁及び各市場にプロジェクトチームを立ち上げ、法令等手続の総点検を始めたところでございます。
 具体的には、施設の維持管理に係る項目や、建築基準法関連の手続、食品衛生管理に係る項目など、約二百項目のチェックリストを新たに作成し、各市場と本庁において自己点検を行っているところでございます。

○細田委員 施設の維持管理などに関して総点検をやっていると、二百項目に関してチェックをしていると。
 この総点検の結果に基づいて、手続漏れがない、こういう状態に早期に是正していく、これは当然のことですけれども、この二百項目のチェックがしっかり履行されて、また確実な実施、これが効果を発揮していくのか。これもまだ半年ですけれども、これからもしっかりと議会が、また私も含めて、確認、チェックをさせていただきます。
 同様の事態を決して二度と招かないよう、組織的に対応していく、これが大変に重要なことであります。
 この法令の手続に対する認識を高めて、適法に事務を執行していくためには、どのように取り組んでいくつもりなのか。この点について、次なる一歩はどういうことなのかということを伺います。

○白川事業部長 今後の取り組みといたしましては、法令等手続のチェックリストの項目につきまして、手続が必要となる条件、提出時期や内容などの情報をまとめ、専門知識を有しない職種の職員でも活用できるマニュアルの作成を行ってまいります。
 本マニュアルを活用することによりまして、手続漏れの再発防止に努めるとともに、職員の意識改革を進め、組織力の強化を図ってまいります。

○細田委員 繰り返しになりますけれども、同様の事態が決して再発しないよう、実効性のある取り組み、これをぜひ実施していただきたいと思います。
 この法令総点検は、卸売市場のホームページを拝見いたしますと、平成二十九年度に取り組む自律改革として、局内総点検というテーマの、一つの柱に位置づけられています。
 もう一つ、この法令総点検、局内総点検の中での法令手続総点検、その下の方針ですね、そのもう一つの柱として、あわせて職場総点検が掲げられています。職場における仕事のやり方について総点検を行うということで、諸課題の抽出や課題解決策の検討がされる予定であると理解しますが、この仕事のやり口といっても非常に幅が広いので、どうなるのか。
 例えば、法令手続の総点検については、当局は二度と手続漏れを起こさないという強い意志を持って取り組んでいく、また取り組んでいる、こういうことだと思うんですけど、このもう一つの柱である職場総点検、これはやはり皆が組織として、個々が温度差なく団結して、目的意識をしっかりと持って、そして適切に課題を設定して、それを着実に遂行して乗り越えていくということが重要であると、こういうふうに私は理解するんですけど、この上で解決策の検討に当たって、さまざまな視点から総合的に職場総点検もやっていかなくちゃいけない。
 この職場総点検というのは、言葉ではわかるんだけれども、具体的にはどんな目的で、そしてどんな取り組みを今しているのか、この点について東京都に伺います。

○長嶺財政調整担当部長 職場総点検では、契約事務や文書管理事務などについて、チェックリストを用いて課題を抽出し、解決策などを検討することで、事務処理の効率化や適正化を図るとともに、若手職員の育成、職員の意識改革を進めることなどを目的としております。
 取り組みに当たりましては、若手職員で構成するチームと、現場を熟知した職員を中心とするチームを設置してございます。
 現在、この二つのチームが相互に連携をして効果的なチェックリストを作成しており、各市場を含む当局の全ての職場で総点検を実施する予定としております。

○細田委員 文書に関しては、さきの予算特別委員会でも、実は引き継ぎ漏れがあったということも指摘させていただきました。
 契約事務や文書事務は都政運営の基礎をなすものでありまして、制度改正が行われているものであります。新旧の市場長間で引き継ぎはございませんでしたが、市場部局内のそれぞれの組織において、法令上の手続に対する認識が十分でなかったことが問題であると、これが半年前の市場長の答弁なんですけど、その引き継ぎがなかったという、これに対しても、こんなことがないようにという、まさに職場総点検とこの文書の総点検、これでやっていくという、これを全庁的にやっていくっていうことだと思うんだけど、この総点検を通じて、変化への対応と適切な事務執行の両面から、組織の総合力を生かして、課題の解決、これを努めていただきたい、このように思います。
 そして、この総点検の発端となりましたこと、八件もの義務違反が判明した、この首都圏全域の食を預かる立場として、全く無責任といわざるを得ないというふうに公明党は指摘をさせていただいたことを、この点検のメルクマールとして、ぜひとどめおいていただきたい、このことを要望させていただきます。
 そして、この損なわれた信頼の回復は一朝一夕に行うことはできませんけれども、地道に取り組んでいただいて、積み重ねていただいて、それを都民に発信していただいて、このプロセスについても、どうぞ理解を得られるように努力していっていただきたいと、このように要望させていただきます。
 局内総点検も含めて、都民の信頼回復に向けた中央卸売市場の取り組みの姿勢についてお尋ねさせていただきます。

○松永管理部長 ただいま委員の方からご指摘のございましたとおり、中央卸売市場に対する都民の皆様からの信頼が大きく損なわれたということで、私どもはこのことを深く反省して、是正に向けた取り組みを今現在進めているところでございます。
 本年度、法令手続総点検と職場総点検、今ご答弁させていただいた内容を、二つのいわば車の両輪といたしまして、事務の改善に着実に取り組んで、改革意識が職場全体に定着するように努めてまいります。
 また、都民の理解を得ていくため、ホームページ等を活用して、検討プロセスについても、迅速に情報を発信してまいります。
 都民の信頼回復に向け、具体的な改善を提示し続けるということで、職員一丸となって、このことに全力で取り組んでまいります。

○細田委員 安全・安心の取り組みの中で、大綱の四点目として、豊洲市場のことについて伺います。
 さっきの委員からもありましたけど、風評被害の払拭に向けた取り組み、このことについてお尋ねします。
 平成二十九年の第一回定例会の予算特別委員会を初めとしまして、豊洲市場の見学会、公明党、提案をさせていただいてきました。このような中で、ことしは六月から都民の見学会を開始していまして、参加者からは大変好評だと聞いております。
 知事は豊洲市場への早期移転を決定しておりまして、今後も、風評被害対策にしっかりと取り組んでいただく、このことが極めて重要であります。
 まず初めに、これまでの都民見学会の開催の実績、申し込みの状況、これについてお尋ねいたします。

○有金渉外調整担当部長 都民見学会につきましては、本年の六月以降、これまで五回開催しております。延べ人数で四百九十六名の方にご参加をいただいているところでございます。
 申し込み状況につきましては、毎回定員を大きく上回る応募をいただいているところでございまして、これまで開催した中では、抽せん倍率が十五倍を超えた回もございました。

○細田委員 十五倍っていいですね。
 都民見学会は、既にもう五百名近い方に参加いただくなど、積極的に取り組みを進めているとともに、毎回、今いわれたように、抽せんになるという、好評を得ているというふうに理解しています。引き続いて都民の方の関心が高いので、この見学会をさらに効果的に進めていただくために、参加者の方々の意見を聞いていく、このことが大事であります。
 この見学者の方々からはどのような声が上がっているのか、このことについて伺います。

○有金渉外調整担当部長 見学会終了後は、毎回参加者の方にアンケートをお願いしております。
 これまでの見学会の参加者の方からは、実際に自分の目で確認できてとてもよかったという意見や、都が取り組む安全対策を理解することができたといった意見がございました。
 また、このような見学会をもっと実施してほしいといった要望もございました。

○細田委員 今の意見というのが出てきているということは、実際、自分の目で見て確認して、そして参加者の方々の理解が深まっている、このことがわかります。
 先ほどのご答弁で、まさに抽せん倍率十五倍、これを超えることもある。また、アンケートでも、見学会の開催をふやしてほしいという要望があった。もっと多くの都民に実際に市場をごらんいただく機会をふやしていくことが、理解の促進につながると思います。
 これらの意見を踏まえて、さきの第二回の臨時会でも質問させていただきましたけれども、見学会の拡充を図っていく、こんな答弁でありましたが、具体的な見直し点、どのような点を見直すことができて、形になっているのか、このことについてお尋ねします。

○有金渉外調整担当部長 見直しの点でございますけれども、九月からは一日当たりの定員、こちらはこれまで百名だったものを百二十名ということで、二十名増加をしております。
 また、時間帯も、午前と午後で二回ということでございましたが、午前二回、午後二回と合計四回という形で細分化をいたしまして、より参加しやすい形に見直しをしております。
 また、見学コースには一部、バリアフリー対応していない場所があるということでございまして、これまでは特別な支援を必要とする方の参加、こちらについてはご遠慮いただいておりましたが、こうした方々にも参加いただけるよう、迂回ルートを設定するなどして対応可能にしております。
 さらに十月からは、見学会を月二回開催という形にいたしまして、そのうち一回は土曜日に開催するということにいたしまして、より多くの都民の方々に参加していただけるよう、見直しを行っております。

○細田委員 今、十月からは変更が行われたということで、申し込み、インターネットを見ると、見学コースは、通常一般の方が立ち入らない場所も含みますと、一部バリアフリー対応していない箇所もありますので、車椅子をご利用の方やその他特別な配慮が必要な方は、申し込み時にご記入くださいと。これで記入されている人がいたときに、そのことをしんしゃくして、コースも勘案して、そして見学会の中で見ていただくという、こういう取り組みが十月から実現できている、そういうことですね。それを拡充していくんだと。そのことについて、確認で再度伺います。

○有金渉外調整担当部長 今、委員おっしゃったとおり、通常は立ち入らない場所等、あるいは開場後は入れない場所等もご案内しておりますので、見学ルートと違うようなバリアフリーされていないところがございます。
 そういったところにつきましては、若干、車椅子の方、そういった方でショートカットするようなことにもなりますけれども、別ルートを通じましてご案内するというような対応をとっていくという形にしております。

○細田委員 多くの方が見学会、参加できるように、今後も適宜見直しを重ねて、そして前に発展させて進めていっていただきたいと思います。
 また、以前から申し上げている地域、また地元の豊洲の地域の住民の方々、もちろん市場の関係者の方もそうですけれども、市場に通われている方もそうですけれども、風評被害が生じて大変苦労されておりますので、この払拭に向けて、都が地元と連携して取り組んでいくことが極めて重要であります。
 今後も、この都民見学会とともに、地域、地元の住民を対象とした見学会、これも積極的に行っていくべきと考えますが、見解を伺います。

○有金渉外調整担当部長 豊洲地域の住民の方々を対象とした見学会につきましては、これまで五月と九月の二回、実施をしております。五月には約百八十名、九月には約百三十名の住民の方々に参加をいただきました。
 地元の住民の皆様からも、豊洲市場の安全・安心の確保に向けた取り組みにご理解をいただくとともに、風評被害の払拭に向けて連携して取り組んでいきたいなどのご意見もいただいているところでございます。
 今後も、地元の方々のご理解を深めていくため、豊洲地域の住民の方々を対象とした見学会につきましても積極的に行ってまいります。

○細田委員 豊洲市場の外周部分のぐるり公園、これについて伺います。
 この移管に向けた取り組みなんですけれども、まさに風評被害が起こっている、それをぐるっと八・五ヘクタールのところを囲んでいるところが、きれいな公園になっています。東京臨海部の、水彩都市東京、水彩都市江東を象徴する、そういうようなところです。
 これは公園の移管を江東区に行っていくということになってはいるんですけれども、この貴重な緑化空間、レインボーブリッジや臨海地区を臨み、夜景も大変きれいなところなんですが、七月七日に豊洲市場の一部、これは先に開場しました。けれども、やっぱりちょこっちょこっと端切れなんですよ。ぐるり公園と名前はいっているんですけど、もちろん全然ぐるりじゃありません。
 九月の江東区議会でも質疑があったんですが、区民も望むから、強い要望があるので、ぜひこのぐるり公園というのは早く開場してほしい、こんな話なんですけれども、こういう質問なんですが、江東区としては、これは東京都の港湾局整備区域、そして都市整備局の整備区域について先行して部分開園したと。現在、閉鎖されている区域は、豊洲市場用地であるため、江東区の開放には、市場を所管する中央卸売市場からの移管を受けることが必要だと。そして、この移管を受けて、市場用地を含めた全面開園をするためには、都が市場の安全性を確認するとともに、公園用地の安全性を担保することが必要であると認識しており、協議を重ねているところでありますというのが、直近の九月の本会議での江東区の幹部職員の答弁でありました。
 この間の本委員会でもお尋ねさせていただいたところ、豊洲の市場の地上の部分は安全だというふうに都はいっているわけだから、この公園のぐるりの部分はどうなんですかといったときに、同様の認識である、いわゆる安全であるということを卸売市場は公表されたわけですね。
 そして、実は豊洲の市場のこのぐるりとなっているところにある運河なんですが、その運河のところも、実は今の運河と昔撮ったときと川幅が変わっているんですね。その写真もありますけれども、何をいいたいかというと、操業時の東京ガス工場の由来の土地じゃない部分が大変多いわけです。
 そうだとすると、当然ですけれども、地上の部分はそういうものじゃないところになるわけですから、新たな土壌になっているところのはずなので、さらに安全というふうに理解できると思うんです。この間、都はそういうふうに公表もしているわけだし、そして江東区の方も、都と協議を、安全性を担保しながら協議を重ねているということをいっているわけなので、ぜひこの豊洲市場の隣接部分のぐるり公園が本当にぐるりと一周して、風評被害を払拭して、何か桁違いの土壌汚染だという、そういうことでここが汚い地域なんだというようなこと自体がひとり歩きしているこの風評を払拭して、本当にきれいで、水と緑があふれる、そういう豊洲市場なんですよということを発信していくためにも、本当にそうなんだから、それを進めるためにも、公園に隣接するこれを早期に区に移管させるように、江東区と積極的な協議を都は進めていただきたいと思うんだけれども、その認識と、この間の答弁の後の進捗状況、これについてお伺いいたします。

○鈴木技術調整担当部長 豊洲ぐるり公園のうち、未開園となっております豊洲市場隣接部を開園させることは、ぐるり公園の魅力の一つでございます回遊性を高めるとともに、憩いや癒やしの場としての公園機能を発揮させることにつながり、重要であると認識しております。
 このため、管理の移管に向けまして、都と区の職員で現地確認を行いまして、一部公園施設に関する手直し工事を年内に完了させるなど、取り組みを進めてまいります。
 江東区への公園区域の管理移管を早期に行いまして、地元住民や都民の皆様が水辺に親しみ、楽しめる公園として利用できるよう、引き続き区との調整を積極的に行ってまいります。

○細田委員 その手直し工事、早期に着実に実施していただいて、早期に移管でき、風評被害が払拭できることを願いまして、質問を終わります。

○山崎委員 私からは、豊洲市場開場に向けての取り組みについてと、また、地元区との調整について、何点か質問させていただきたいと思います。
 先ほど、我が党の鈴木章浩委員が、市場会計、また卸売市場の整備計画、そして中央運協の休開市について、大変重要な、基礎的な事務事業の質疑をやらせていただきました。私は、豊洲市場関連についての質疑をさせていただきますが、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、六月二十日の基本方針の公表からもう既に四カ月が経過をしようとしています。オリンピック・パラリンピックの開催も見据えると、残された時間は決して多くはありません。豊洲市場の開場に向けた取り組みを円滑に進め、早期の開場を実現する必要があります。まずは専門家会議の提言に基づく追加対策工事を着実に前に進めていくことが重要であり、初めに、この点について何点か確認をしてまいります。
 前回の経済・港湾委員会において、我が党の柴崎委員が指摘をいたしましたが、追加対策工事に関する九件の入札のうち、四件が入札中止となりました。まず初めに、その後の追加対策工事の入札手続の状況について伺います。

○吉野建設技術担当部長 九件の追加対策工事契約のうち、入札中止となった四件の契約については、参加要件の見直しを行った上で、十月二日から改めて公表いたしました。
 この結果、七街区の床面工事を除く三件については、契約手続が進行しております。
 残る七街区の床面工事については、希望者がいなかったため、再度、入札中止となっております。

○山崎委員 入札中止となった四件中三件の契約については前に進んだという、また、一件が再度入札中止になってしまったという、今の答弁でございました。なぜ再度入札中止となったのか、その理由と今後の対応について、都の所見を伺います。

○吉野建設技術担当部長 七街区の床面工事につきましては、より多くの企業が入札に参加できるよう、参加要件の見直しを行いましたが、希望者がいなかったため、再度、入札中止となったものでございます。
 都としましては、次回は予定価格をあらかじめ公表した上で、参加者を募集する予定でございます。

○山崎委員 豊洲市場の開場を早期に実現するためには、追加対策工事は速やかに進めなければならないと思います。また、入り口の契約手続でつまずいたことが、豊洲市場の開場に向けた足かせになってはなりません。前回の入札中止も含めて、このような状況となってしまったのは、知事が進めてきた入札制度改革の影響を受けたためではないかと考えます。
 今回、再度の入札も中止となってしまったことについて、都政新報には、このような記事が載っておりました。入札制度改革のひずみが浮き彫りになった--ちょっと中略しますが、都は、豊洲新市場の安全対策に関する追加工事の完了時期を六月上旬と見込んでいたが、ずれ込むことが事実上確定をした、知事が本部長を務める都政改革本部で議論を進めてきた改革だけに、知事の説明責任が問われる事態に発展する可能性があるとの、そういう都政新報がございました。
 先ほどの答弁の中に、今後、予定価格を公表した上で参加者を募集する、今そのような答弁がありましたが、これは知事が示した入札制度改革の前、いわゆる従前は、入札予定価格は入札募集前に公表されていたものであります。これまでの入札制度は、長年にわたり業界と都が調整してつくり上げてきたもので、それを今回、急に変えられたことなどについて、業界団体からは非難の声が上がっていると聞いております。
 知事の肝いりで導入した入札制度改革ですが、我が党はこれまで一貫して、現場の実情にそぐわない制度改革に対して警鐘を鳴らしてきました。図らずも、都政の最重要課題である豊洲市場の追加対策工事で、我々が危惧していた事態が発生してしまったということであります。知事がもたらした混乱の影響は大きいと指摘せざるを得ません。
 とはいえ、豊洲市場の移転に向けて立ちどまっているわけにはいかないわけであります。入札制度改革を実施すれば、知事が唱えた入札制度改革を実施すれば、豊洲市場の開場がまたおくれる。しかし一方では、豊洲市場移転に向けて最優先事項であるという移転をしっかりしていかなければならないという、まさに知事がいわれていることを、この両方を守っていくことということが、非常に、恐らく職員の皆さんも困惑をしているんではないか、かなり難しい現場の局面になっているんではないか。そして、このことを打開するには、やはりしっかりと当局がまとまって、そしていいたいことはしっかりと上の方にもいっていく、そういう市場当局であることを私は望んでいきたいと思います。
 入札中止という非常に残念な状況になってしまいましたが、追加対策工事は着実に完了させなければなりません。都は追加対策工事をいつまでに、いつまでに終わらせるつもりなのか、見解を伺います。

○岡安新市場整備部長 豊洲市場への移転を実現するためには、専門家会議の提言に基づく追加対策工事を着実に進めまして、豊洲市場のさらなる安全性の向上を図る必要がございます。
 中央卸売市場といたしましては、再発注に向けた手続を速やかに行い、工事を着実に進めて、遅くとも平成三十年七月末までには、専門家会議の確認を完了させる見込みでございます。

○山崎委員 今、平成三十年七月までには専門家会議の確認を完了させる見込み、そういう答弁がございました。ということは、来年の七月までに工事が終わり、そしてそれの検証も終えるという意味でよろしいんですか。再度聞きます。

○岡安新市場整備部長 今、副委員長おっしゃるとおり、そこの専門家会議による有効性の検討まで含めて、七月末までに終わらせるということでございます。

○山崎委員 ぜひしっかりと工事を進めて、豊洲市場への移転に向けた環境を整えてもらいたいと思います。
 次に、追加対策工事もさることながら、市場移転に向けては、移転時期の調整を早期に進める必要があります。前回の経済・港湾委員会でも指摘をさせていただきましたが、昨年の十一月の移転日は、一年以上も前、たしか平成二十七年の七月十七日に決定をしております。今週月曜日、十月十六日、都は業界団体に対し、移転時期の調整に関する意見集約について、新市場建設協議会の中で協力を依頼したという発表がございました。
 改めて今回、業界に対しこのような依頼を行った趣旨について、都の見解をまず伺います。

○岡安新市場整備部長 豊洲市場への移転につきましては、業界の皆様の理解と協力をいただきながら進めていく必要があり、東京都はこれまでも新市場建設協議会等の場を通じまして、業界団体とさまざまな調整を行ってまいりました。
 九月十六日に開催いたしました同協議会におきまして、都は平成三十年六月上旬から秋にかけて、移転に向けた環境が整う旨を示したところでございます。
 都としましては、早期に移転予定時期を定め、移転準備や新たな市場の運営に向けたさまざまな調整を進めていく必要があることから、次回の新市場建設協議会において移転時期の結論を得るため、都の考えを示し、各団体内の意見集約に向けて協力を依頼したものでございます。

○山崎委員 移転に向けた具体的な協議を進める必要性については、今、理解ができましたが、ただし、この性急な提案で業界との調整が進まないようなことになっては本末転倒であります。都が公表した文書では、十月末を目途に移転時期についての合意を得たいとの意向が示されておりましたが、これは本当に可能なんでしょうか。可能ですか、どうですか。伺います。

○岡安新市場整備部長 都といたしましては、今月末を目途に新市場建設協議会を開催し、移転時期につきまして結論が得られるよう、業界団体の皆様と密接かつ丁寧に調整を進めていく所存でございます。
 豊洲市場への円滑な移転を実現するべく、全力で取り組んでまいります。

○山崎委員 今、岡安さんがいったとおり、業界団体と緊密かつ丁寧に調整をしていくと、非常にこれは私、大変なことだと思います、正直なところ。
 まず業界の合意を得るには、本当にとにかく大変なことなんですよね、これね。今回、都は、頭越しというとあれなんですけれど、提案をしただけでなく、あとは業界だけに任せるわけでなくて、業界だけに任せるわけでなくて、ここで本来は、知事みずからが汗かくところだと私は思うんですよ。だって皆さん方がこうやってやってきたこと、当局に任せているだけ、そういうふうにしか私には感じられないですよ。
 知事があれだけ先頭に立って--先ほどもありましたよ、風評被害も払拭していく、知事がみずから先頭に立ってやっていきますよと。で、風評被害どうなっているんですか、そのこと先頭に立ってやっているんですか。それもそう。この業界の合意に対してだって、皆さんは一生懸命やられている。最後のところだけ知事が出てくる。そうではなくて、今、知事がみずから出ていって、業界の皆さんと話し合いをするのが、私は業界の皆さんが納得できる、そういう手段だと思いますよ。
 今、この衆議院の選挙の最中、選挙の応援に行って大変ですよね、忙しくて。終わったらフランスの出張も行かれるみたいですよね。そういうことを業界の皆さんは見てどう思われるでしょうか。本気で移転時期、いろいろなこの豊洲の関係の問題を知事みずからが解決をしていく、そのように、業界の皆さんや都民の皆さんは思うんでしょうか。
 選挙応援に行き、フランス出張に行き、そして先日の検討会議、後で質問もしますけれど、冒頭だけ出てすぐいなくなって、報道によると、その後、選挙の応援に行かれたという報道もありました。こんなことで本当にいいのかな、多分、恐らくここにいるメンバーの方も、そういうふうに思われている方はいらっしゃると思いますよ。そのことは指摘をさせていただきたいと思います。
 次に、移転に向けたさまざまな準備の状況について確認をしてまいりたいと思います。
 今月一日、築地市場の青果連合が主催者となって、豊洲市場においての習熟訓練が実施されたと聞いております。
 初めに、この訓練の実施状況について詳細を説明していただきたいと思います。

○影山新市場整備調整担当部長 青果連合によります習熟訓練についてでございますが、今月、十月一日の午前零時から正午までの間、十二時間にわたり実施されました。
 今回の習熟訓練では、主な目的といたしまして、豊洲市場に通勤あるいは来場する際の交通状況や豊洲市場内の動線の確認等に主眼を置いて実施したものでございます。
 今回の訓練の参加状況でございますが、参加者数は約七百二十名、車両台数につきましては約三百七十台となっております。

○山崎委員 今回の訓練には、卸業者、仲卸業者だけでなく、売買参加者も含めての多くの方々が参加をされたとのことです。市場の取引にかかわる方々が実際に豊洲市場を見ることは非常に有意義であって、現場を見ることでいろいろと気がつくこともあったと思われます。
 そこで伺いますが、今回の訓練で、改めて気づいた課題などはあったんでしょうか。また、そうした課題に対して今後どういうふうに対応していくのか、都の見解を伺います。

○影山新市場整備調整担当部長 今回の習熟訓練を行いまして、例えば車両を誘導する交通標示等を、よりはっきり見えやすくすることや、車両が交差しないような動線を工夫することの必要性などの課題が改めて確認できたところでございます。
 今後、主催者である青果連合の意見も伺いながら、交通標示の改善等を進めることで、より安全で使いやすい市場の実現を目指してまいります。

○山崎委員 明らかになった課題については、適切に対応していただきたいと思います。
 今回の青果連合の訓練の際には、水産卸や水産仲卸の関係者もその様子を視察、見ていたと聞いております。豊洲市場の開場後に円滑な運営を行うためには、青果だけでなく、水産業者も訓練を実施する必要があると考えますが、今後、都としてどのように対応するのか、見解を伺います。

○影山新市場整備調整担当部長 今回の訓練を踏まえまして、都といたしましても、個別業者の訓練に加えて、卸業者や仲卸業者の皆様を初めさまざまな関係者が参加して、実際の開場時を想定して合同で訓練することの必要性を、改めて認識したところでございます。
 今後、水産事業者の業界団体の皆様と連携を図りながら、円滑な訓練の実施に向けまして関連機関との協議を進めるなど、業界による取り組みをサポートしてまいります。

○山崎委員 青果に引き続いて水産事業者もこうした訓練を実施することとなれば、豊洲市場の移転に向けた機運はさらに高まっていくと考えられます。実りのある訓練となるよう、都もしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 そして、これは開場後の話になるんですけれど、開場後にも恐らく使い勝手の件は出てくると思います。実際運用して、実際運用してみて、本当の意味の使い勝手の問題が発生してくると思います。我が党はかねてから開場させればよいという考え方ではなくて、開場後もしっかり市場当局が対応していくことを求めておきたいと思います。
 次に、今、移転に向けた機運と先ほどお話しをさせていただきましたが、そもそも市場業者の移転の機運をそいでしまったのが--あれ、いらっしゃらなくなったのか。小島元顧問の行動によって市場業者が分断されたことが一因であると私は思います。これまでさまざまな形で報道されていますが、市場業者は豊洲移転推進派、築地再開発派、現在地再整備派の三つに分断されたとよくいわれております。
 こうした状況を引き起こしたのは、市場問題PTにおいて非現実的な現在地再整備の案を示し、また、市場業者有志による勉強会で、築地再開発後の市場のあり方について積極的に参画をしていくべきと市場業者をたきつけた--あれ、いらっしゃらないね、小島元顧問の行動によるところが極めて大きいと思います。
 現在は都民ファーストの会の政調会の事務総長でありますが、こうした分断の影響を最も大きく受けているのが、水産仲卸業者の組合、東卸組合であります。聞くところによると、今月二日、東卸組合の総代会が開催をされました。豊洲市場への移転や築地再開発に関する組織を組合内に設置することについての議論がされたそうでございます。
 そこで確認をしますが、東卸組合の総代会の結果はどのようなものであったのか、説明をしてください。

○影山新市場整備調整担当部長 今回の臨時総代会は、一部の総代の方が築地に戻ることを希望する人を中心にした築地再開発対策本部を組合内に設置することなどを求めて署名を集め、法の規定にのっとって開催する運びとなったものであります。
 審議の結果、議案につきましては、賛成十九、反対四十五となり、否決されたとのことでございます。

○山崎委員 今、提案、議案については賛成が十九、反対が四十五、否決されたという答弁でございましたが、提案は否決をされたとのことであります。
 恐らく今後の中央卸売市場はあくまでも豊洲市場であり、再開発後の築地ではないということへの理解、豊洲市場であり、再開発後の築地ではないという理解が深まったことなどが理由だったと思います。今回の総代会の議決の結果は、要するに、二つの市場は要らない、二つの市場は要らないという市場業者の意思を示しているものではないかと、私はそのように感じております。
 さて、このように業界内でも、移転に向けて前を向いていこうという動きが見えております。都は、こうした状況を逃すことなく、移転準備に取り組んでいく必要があります。このときに業界の動きを力強く後押しできるのは、かねてより我が党が指摘をしている知事による安全宣言であります。
 さきの経済・港湾委員会で我が党の柴崎委員が確認をしたとおり、豊洲市場用地の法的、科学的な安全性は既に確認をされております。このことは知事も認めているところであります。にもかかわらず、これまで知事自身がありもしない危険性を疑問視し、都民に不安をばらまいてきたのでありますから、その払拭を自分自身の手で行うべきであるのは道理であります。
 さきの習熟訓練に関して、ラジオ番組のインタビューに応じた業界の団体の代表の方も、知事が先頭に立って風評被害の払拭や安全宣言に取り組んでもらいたい旨を述べております。もっともな発言だと思っております。
 そこで、改めて確認をさせていただきますが、業界による移転に向けた取り組みを推進するためにも、知事の安全宣言を早期に行うべきと考えますが、都の見解を伺います。

○吉村企画担当部長 現時点におきましても、豊洲市場用地の法的、科学的な安全性は確保されておりまして、これに追加対策工事を着実に実施することで、さらに安全性を高めていくこととしてございます。
 工事の完了後につきましては、専門家会議による対策の有効性の確認や、農林水産大臣の認可手続といった必要なステップを積み重ねていくこととしておりまして、これによりまして手続面も含めた安全面での条件が整うことになります。
 こうした一連の取り組みを進め、条件がそろった段階で、開設者としてしかるべき発信を行う旨、業界にお示ししたところでございます。

○山崎委員 先ほど、きょう記者会見で、知事が今の話と同じような話をされておりました。一連の手続を進めて、安全面の条件が整った上で、開設者としてしかるべき発信をしていく、そのように知事が、私もちゃんと内容まで全て把握はまだしていないんですけれど、しかるべき発信をしていく、これは安全のことだと思います。
 この知事のきょうの記者会見の内容は、市場長は知られておりましたか。

○村松中央卸売市場長 本日の記者会見の様子については、私も議会審議中でございました。見ることはございませんでした。
 ただ、もともと我々、業界団体の皆さん方に、今回の移転時期の業界内での意見集約を依頼した文書の中にも、しかるべく発信をしていくということも書いてございますし、業界団体についてはその話も伝えておりますので、知事にもそういうお話もしておりますから、知事と私どもは同じ認識でおります。

○山崎委員 そういった皆さんのガバナンスの問題になると思うんですけれど、どういう形で知事と当局がしっかりとまとまってやられているのかな。きょうの記者会見の内容を市場長自身が把握をしていたのか、していなかったのか、ちょっとよくわからないような感じだったんですけれど、とにかくしっかりとそういった点は知事に物を申して、皆さんは現場の人間なんですから、その点ははっきりとやっていただきたいと思うわけでございます。
 困っている業界の声に真摯に耳を傾けて、業界団体の意向に寄り添って、時にはいいづらいことも知事にはっきり伝えていく気概を持って、しっかりといい仕事、よい仕事をしてもらいたいと思います。
 さて、市場業者は安全宣言以外にもさまざまな不安を抱えており、その不安の一つが、豊洲市場への移転延期に伴う補償に関することであります。突然の移転延期により影響を受けた事業者に対する補償については、一時は総額九十億円を超えるとの報道もありましたが、三月の補正予算で措置をされたのは五十億円でありました。また、さきの第二回臨時会で成立した補正予算でも、追加補償費用は計上されておりませんでした。
 こうした状況から、移転日が決まらない中で、将来的に補償費用が不足するのではないか、また、あるいは不足した場合には、早い者勝ちで、後から申し込んでも補償されないのではないかといった不安を感じている業者もいると聞いております。
 そこで伺いますが、これまでの補償の実績と今年度中の見込みについてお答えをいただきたいと思います。あわせて、決して市場業者が困ることのないよう、予算措置について、都の見解をお聞きします。

○西坂事業支援担当部長 市場業者に対する補償につきましては、これまでに八回、補償審査委員会、これは外部の専門家により構成されておりますが、これを開催しておりまして、補償金の交付決定済み額は約二十三億二千万円となってございます。また、今年度中に支払いが必要となる補償額につきましては、これまでの実績等から勘案いたしまして、現時点では約四十九億円程度になると見込んでおります。
 平成三十年度の予算要求におきましても、必要な補償費用を要求するとともに、こうした補償の実施状況について、都として適宜業界に対して情報を提供していきます。
 今後とも、公正、誠実かつ丁寧に補償を行っていきます。

○山崎委員 今となっては、そもそも移転延期の判断自体が妥当であったのか、大いに私は疑問があり、補償費用も本来は必要がなかったはずであります。とはいえ、実際に損害をかぶっている市場業者がいる以上、補償についても個々の市場業者の状況をしっかりと捉えて、真摯に、丁寧に対応していただくことを求めておきます。
 続いて、地元区との調整について、何点かお伺いをさせていただきます。
 豊洲市場の移転に向けては、こうしたさまざまな市場業界との調整に加えて、もちろん受け入れ区である江東区との関係にも留意する必要があります。江東区は豊洲市場の受け入れに当たり、土壌汚染対策、交通対策、にぎわい創出の三つの条件を付して了承をしたという経緯があります。
 中でも、千客万来施設の整備によるにぎわい創出については、六月の知事の基本方針において、築地市場跡地への食のテーマパークを設置するとの構想が掲げられたことによって、大きな混乱が生じてしまいました。千客万来施設を整備する予定の万葉倶楽部にしてみれば、突然降って湧いた競合事業の可能性に対し、慎重な姿勢を示すのは当然のことであります。
 改めて確認のために伺いますが、そもそも食のテーマパーク構想とは、具体的な構想なのか、それとも一つの考え方の例示にすぎないのか。そして、その内容についてご説明をお願いしたいと思います。

○吉村企画担当部長 基本方針の食のテーマパークという表現は、築地のポテンシャルを生かした再開発の一つの考えとして示したものでございます。築地再開発につきましては、所管である都市整備局において築地再開発検討会議を立ち上げたところでございまして、まずは各分野で活躍している有識者、専門家等から、自由な発想で幅広い意見をいただき、まちづくりの大きな視点として整理することとしてございます。

○山崎委員 今、吉村部長から答弁がありました。あくまでも考え方の一つの例のことである。そういうことでよろしいんですね。--はい。
 とはいえ、千客万来施設の整備という方針が既に定められていたわけですから、幾ら考え方とはいっても、そのようなものを示すこと自体、万葉倶楽部や江東区に対する配慮が足りなかったと指摘せざるを得ません。
 このことからも、六月の基本方針が行政職員が関与していない中でつくられた、非常にずさんな内容であったことがうかがえます。こうしたずさんな内容の基本方針を受けて、市場当局は万葉倶楽部への説明に追われたと聞いております。いいかえれば、知事とその取り巻きによる暴挙の尻拭いをさせられているということであって、職員の皆さんの苦労はいかばかりかと察するに余りあります。自分の暴走を棚に上げて、職員に苦労を強いるのが首都東京を預かるトップのやり方なのでしょうかと、正直、首をかしげざるを得ません。
 それはさておき、築地の再開発については、再開発検討会議も設置されて、先日、十月十二日には第一回の会議が開催されたことで、少しずつ検討が動き出したようであります。
 その検討会議の前に、委員のお一人が衆議院選挙に立候補されるということで、急遽委員をやめたという話もありました。どこの党でしたかね。そして、先ほどもお話をさせていただきましたが、知事も第一回、この会議、最後までいらっしゃらなかったですよね。選挙の応援に行かれた、忙しいからですよね。そういう報道を目にしました。
 再開発検討会議は、築地のまちづくりの大きな視点を整理するものであり、具体的な内容が決定するまでにはまだ時間がかかると考えられます。また、この再開発の検討会議の中は、都市整備委員会の中でしっかりと議論をされるはずであります。築地再開発の内容を待たなければ、千客万来を整備することはできないのか、都の見解を伺います。

○松田市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 千客万来施設事業は、江東区が豊洲市場を受け入れる際に示した条件の一つでございまして、豊洲市場にとって必要な事業でございます。
 千客万来施設事業のコンセプトでございますが、都が定めた募集要項や、都と事業者である万葉倶楽部との間で締結いたしました基本協定書において、築地特有の貴重な財産であるにぎわいを継承、発展させるとともに、豊洲市場と連携し、豊洲ならではの活気やにぎわいを生み出す等の内容として既に定められておりまして、これに従いまして、できるだけ速やかに事業を進めてまいります。
 なお、築地再開発につきましては、今後、先行する千客万来施設事業との整合を図りつつ、開発コンセプト等が具体化されるなど、ステップを踏んだ検討がなされるものと認識しているところでございます。

○山崎委員 当然といえば当然のことでありますが、千客万来施設事業は、築地の再開発よりも先行してコンセプトが定められたということで、先に決まっている千客との整合性を図っていくとのことであります。
 さきの第三回定例会における我が会派の代表質問でも、築地と豊洲の双方が共存共栄できる事業を進めていくとの答弁がありました。こうしたやりとりを、ここにいる皆さんや都民の皆さん、そして関係者の皆さんが聞いて、どのように思われるでしょうか。
 千客万来施設事業は、都の事業として実施すると都が決定をし、事業コンセプトを定め、これをもとに事業者が決定したものであります。その一方、築地再開発については、今般の再開発検討会議は今始まったばかりで、そのコンセプトについてもこれから検討をしていくということであります。
 普通の感覚からすれば、千客万来施設が先で、築地再開発はその後です。千客万来施設事業は、そのコンセプトが定まっております。後から進める築地再開発は、先行する千客万来施設の事業内容を十分勘案し、迷惑をかけないように事業内容を固めていく、こういう手順を踏んでいくんでしょうか。それこそ、まさしく共存共栄です。そのように私は理解をしております。そうであればこそ、都は万葉倶楽部に対して、より切実に、そして丁寧に都側の姿勢や考え方を繰り返し説明していくべきであります。
 事業を実施していくためには、都から事業者に対し、築地再開発が、先に決まっている千客との整合を図ることをしっかり伝え、理解を得ていく必要があると思いますが、今後どのように調整をしていくのか伺います。

○松田市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 事業者である万葉倶楽部は、千客万来施設事業の基本協定に定めるコンセプトが築地再開発の内容によって本来のコンセプトから乖離してしまうのではないかと捉え、再開発の動向について注視している状況でございます。
 これに対しまして、都はこれまでも、千客万来施設の整備を確実に進めていくこと、また、今後、築地再開発は、先行する千客万来施設事業との整合を図りつつ検討がなされるものであること、こういったことを丁寧に説明してまいりました。
 今後、築地再開発に係る検討状況等とあわせまして、千客万来施設事業のコンセプトに変わりはないということ、さらには地元区議会の皆さんからも一刻も早い開業を望む声が大きいこと、これらを都として事業者の方にしっかりとご説明をいたしまして、誠意を持って対応して、理解を求めてまいりたいというふうに考えてございます。

○山崎委員 豊洲市場の移転を実現するためには、千客万来施設事業を着実に実施していくことが必須であり、だからこそ、都としても、築地再開発の検討において、先行する千客万来施設事業との整合を図っていくものと理解しております。引き続きしっかりと調整し、万葉倶楽部に対し真摯に対応していただきたいと思います。
 次に、先ほども細田委員の方から質問がございましたが、ぐるり公園のことについて、かぶらないように質問をさせていただきたいと思います。
 ぐるり公園は、先ほども質問の中にあったように、一部が開放されて、まだしっかりと全てが江東区に移管がされていない、そういう状況であります。
 その中で、都としても早期の開放は必要性を認識しているという、先ほども答弁がございました。であるならば、区の意向とも合致するわけであって、早期に調整を進めていただきたいと考えますが、現時点で、区との調整でどのような課題が残っているのか、まず教えていただきたいと思います。

○鈴木技術調整担当部長 ぐるり公園の移管につきましては、この間、江東区の関係部署との調整を重ねてきておりまして、区の職員の方々にも現地確認等をしていただいているところでございます。
 こうした調整の中で、江東区からは、トイレや外灯など、一部の公園施設に関する手直し等につきまして、ご意見をいただいているところでございます。

○山崎委員 今の答弁からは、一定程度進んでいるのかなと感じております。豊洲市場の開場までには追加対策工事の実施などもあり、今後も一定の時間を要すると見込まれますが、周辺部のぐるり公園の開放をすれば、多くの区民や都民、そして都外からもこの豊洲新市場の周辺を訪れることとなります。豊洲市場を間近で見られる機会がより一層ふえていく、市場への正しい理解の促進につながると私は考えます。また、地域ににぎわいを生み出す上でも有意義だと考えます。
 そこで、ぐるり公園の早期移管に向けて、一層の取り組みを進めるとともに、地域のにぎわい創出のために有効に活用するべきと考えますが、都の見解を伺います。

○鈴木技術調整担当部長 豊洲市場に隣接する公園部分を早期に移管することは、豊かな水と緑に囲まれましたぐるり公園の回遊性を高め、多くの住民の方々や都民にとっての利益につながるものと認識しております。
 都としましては、区からいただいたご意見を踏まえまして、一部公園施設の手直し工事を年内に完了させるなど、スピード感を持って取り組みを進めるとともに、引き続き江東区との調整を精力的に行ってまいります。
 また、ぐるり公園と一体的に市場の屋上緑化広場を開放するなど、地域のにぎわい創出に向けて、さまざまな取り組みについて今後検討してまいります。

○山崎委員 答弁ありがとうございました。
 屋上からは非常にすばらしい景観が見られる、そしてまた、ぐるり公園からは市場の上の方にもエレベーターで行ける、そういうシステムというか、そういう環境にもなっておりますので、ぜひ地域のにぎわい創出に向けて、さまざまな取り組みをこれからも検討していただいて、これだけ豊洲の市場のことが今までの経過によってイメージダウン、そういったものも正直ありますから、こういうところで挽回をする、そういう検討をしっかりとしていただきたいことを要望したいと思います。
 本日は、豊洲市場問題について、さまざまな角度からお尋ねをいたしました。私が何よりも願っているのは、多くの都民に豊洲市場の移転、開場を祝福していただきたい、その一点に尽きるわけであります。そのため、移転、開場準備を滞りなく行い、市場関係者の皆さんとの調整もしっかり丁寧に、着実に進めていただきたい、このような思いから、さまざまな指摘や提言をさせていただいているわけであります。
 日本の、世界の豊洲市場をつくり上げるため、市場当局の皆さんのなお一層の奮闘を期待しております。
 さて、改めて申し上げますが、知事は安全宣言を速やかに行うべきであります。安全宣言がなされないうちに移転、開場日が決まるというのは、明らかに違和感があります。先ほど、十月十六日に、新市場建設協議会の中で業界の皆さんに提示をさせていただいた、このことは皆さん方業界が移転日を決定して、業界でまとめてください、そういう話だったと思います。本来であれば、その前に知事がしっかりと安全宣言をして、安全だから移転日を決定してくださいというのが本来の手順じゃないんですか。私はそのように感じております。
 冒頭に申し上げた入札の件も、日本初となる豊洲市場の困難な仕事を完成させても、知事から安全性を高めたことに対して何ら言葉がない、安全のアの字も今までない、また、ご苦労さまとねぎらいの一言もない。後になって、もしかすると責任だけがなすりつけられる。こんな骨折り損では、誰が好きこのんで豊洲市場の新たな仕事を請け負うのでしょうか。やる気が起きないどころか、敬遠されても仕方がないのではないでしょうか。そんなこともこの入札結果にあらわれているのではないかと思うのは私だけでしょうか。
 血の通った入札契約制度にしなければ、瞬く間に悪影響は都政全体に広がっていきます。知事は、入札契約制度改革について速やかに、試行期間の終了を待たず、現実路線に回帰するべきである旨を申し上げておきます。
 そして、こうした日本の技術力を駆使して安全性を高めた豊洲市場ですが、昨年八月末に知事ご自身が、豊洲市場の安全性に疑念があるとおっしゃったわけであります。そして、その疑念が晴れたからこそ、ことしの六月二十日に豊洲移転の方針公表があったはずであります。今、市場関係者、地元住民、これまで豊洲市場にかかわってきた全ての皆さんが、知事の安全宣言に期待を寄せているわけであります。
 先ほども申し上げましたが、安全宣言がなされないうちに移転、開場日が決まるということは、明らかに違和感があり、手順を間違えていると思います。そして、安全宣言を早期に知事ご自身が出すことを重ねて要望しておきます。
 先月、九月十六日には新市場建設協議会が開催され、市場当局は市場関係者に対し、さきの第二回臨時会で可決、成立した補正予算の説明を行い、移転、開場時期の調整をお願いしたと聞いております。それから一カ月後の十月十六日、突如、移転時期を来年九月から十月との提案をし、そして今月、十月末に新市場建設協議会を開催して、移転時期を決めたいとの依頼文書を市場業界宛てに通知いたしました。
 この十月十六日から考えれば、十五日程度、わずか十五日程度で決めてください、その前もいろいろと当局はご努力をされておりましたが、正式な文書を出してから十五日わずかで決めてくださいというのは余りにも唐突で、丁寧な調整とはほど遠いものではないでしょうか。市場業界からは私のところにも困惑の声が寄せられております。
 知事は国政選挙に忙しく、全国を飛び回っております。市場問題はどうでもよいのでしょうか。後を任された市場当局の職員の皆さんも、実は困惑をしているのではないでしょうか。まさに知事が先頭に立って事態を打開していく場面ではないでしょうか。
 本日は、当委員会に知事が出席されていないことが非常に残念でありますが、市場長、ぜひ知事にこうした話があった旨をしっかりとお伝えいただけますか、どうですか。イエスかノーで答えてください。

○村松中央卸売市場長 豊洲市場への移転につきましては、さまざまな事項につきまして、必要な事柄について知事とは緊密にコミュニケーションをとり、時間をとっていただいて、情報交換をしてきております。
 今回の、きょうの議会の審議の内容につきましても、知事の方に内容をお伝えしていきたい、そのように考えております。

○山崎委員 最後に、先ほど来、築地の再開発の問題について質問がございましたが、そのことについて一言申し上げておきたいと思います。
 本年八月八日開催の第一回臨時会において、私は都議会自民党を代表して、豊洲市場、築地市場等に関する諸課題について、調査検討をする特別委員会の設置を求めてまいりました。それは六月二十日に知事みずから公表した基本方針である、築地は守る、豊洲は生かすに基づき、その実現に向けて動く執行機関の取り組みについて、都議会としてしっかりとチェック機能を果たす観点から、特別委員会の設置が不可欠であると考えたからであります。本会議では、多数を占める都議会第一党が、常任委員会での審議で十分であるとして反対をし、特別委員会の設置は否決をされたわけであります。
 これを受け、我が党は議会のルールに従い、豊洲市場の移転については経済・港湾委員会、築地再開発については都市整備委員会でしっかり議論を進めて、今までも来ております。
 しかしながら、本日、都議会第一党は、都市整備委員会で行われるべき築地再開発に関する質疑を経済・港湾委員会の、この委員会の中で行いました。特別委員会の設置否決からわずか二カ月しかたっていない中で、何か事情が、変化があったのでしょうか。都議会第一党が築地再開発問題を常任委員会の枠組みでは扱い切れないと思い始めているのであれば、みずから特別委員会設置を提案してもよろしいのではないでしょうか。
 いずれにしても、我々都議会自民党は、都民の負託を受けていることをしっかりと胸に刻み、必要なときにしかるべき行動をとる強い意思があることを改めて表明をしておきたいと思います。
 それでは、以上で質問を終わります。

○尾崎委員 臨時議会の経済・港湾委員会で、豊洲新市場の追加対策について私も質疑しましたが、なかなか理解ができないところ、疑問のところもありますので、きょうもまたちょっと幾つか質問したいと思っています。
 最初に、地下ピット内のコンクリート打設、地下水管理システムの機能強化についてですが、一九九一年十月、JR武蔵野線新小平駅で信じがたい事故が発生しました。台風による大雨で地下水が増水し、その浮力で地下の駅舎全体が持ち上がってしまい、線路を分断してしまいました。駅舎がつくられた当時よりも、事故当時には地下水位が大幅に上昇していて、そこに台風による大雨で一気に水位が上昇し、災害となったことが調査で判明しました。
 この事故を契機に、各地で地下水位の調査が始まり、上野駅と東京駅で、このまま地下水位の上昇が続くと、駅舎が地下水の浮力で持ち上がってしまうことが明らかになったそうです。
 浮力に対抗するために、それぞれ特殊な工事を行っています。上野駅では、プラットホーム下に三万トンの鉄のおもりを置くことになり、東京駅では、一本当たり百トンの浮力に耐えられるアンカー、いかりを百三十本地盤に打ち込むことになりました。どちらも必要以上に浮かぼうとする建物を抑えつけるための工事であり、まるで水に浮かぶ船のようなものです。これらの事例から、地下水はすごい力があるということがわかります。
 豊洲新市場用地は埋立地で、地下水位がもともと高いところです。工事中も、地下水をポンプアップしながら進めていました。だからこそ、土壌汚染対策の柱に、地下水位を一定に管理する地下水管理システムを設置したのです。
 ところが、目標の水位には到達していない状況です。大雨や台風などで地下水位が上がると、すぐには下がらない状況があります。今後は、地下水管理システムの機能強化を行う追加対策をすると、さきの臨時会で決まりました。
 そこで、前回の委員会でも質問しましたけれども、地下ピットのコンクリート打設をするとき、水力をどう試算したのかと聞きました。地下ピットに最もたまった水位が砕石層から三十センチであったことから、一平方メートル三百キログラムとの答弁でした。
 建築、土木の専門家の人に私も話を聞きましたが、地下ピット内とそれ以外のところの水頭差で水圧を試算すべきだ。水頭差は一メートルもあります。地下ピット内に最もたまった水位が三十センチだったから、一平方メートル三百キログラムというのは余りにも安直ではないかといっていました。
 そこで伺いますが、どうしたら建物内地下ピットの浮力をなくすことができますか。

○吉野建設技術担当部長 今回の追加工事の設計では、仮に地下ピット内に地下水が最もたまった昨年十二月の水位になったとしても、コンクリートが浮き上がらない厚さとなるよう計画してございます。
 また、地下ピット内に地下水が上がらないよう、地下水管理システムの機能強化を図ることとしており、床面のコンクリートに浮力がかかる状況にはならないと考えております。

○尾崎委員 建物の周りの地下水位が下がり、建物下の地下水位が同じにならなければ、建物内の浮力がなくならないのではないかと私は考えます。地下空洞にコンクリート打設しても、壁に接続させないわけですから、床が上がってくることはないとはいい切れないと思います。
 地下ピット内は、今は強制排水し、水位を下げています。追加工事で揚水ポンプによって水位を下げるわけですが、この機能がもしストップするようなことになれば、地下ピット内の水位も上がってくることになります。もしもの場合も想定した対策が必要だと思います。コンクリート打設による構造物への影響はどのように考えているか伺います。

○吉野建設技術担当部長 追加対策の床面のコンクリートは、既存の構造体に緊結させない計画としており、構造計算上、くいに与える影響を考えなくてよい荷重であることから、構造上問題ないと認識しております。

○尾崎委員 今ご答弁がありましたけれども、構造上問題ないという認識だということですが、構造計算が現状でもぎりぎりの状況だから緊結できないのではないでしょうか。緊結できないとなると、ブチルゴムですき間を埋めても、有害ガスの侵入防止は損なわれるといわなければなりません。しかも、地震などの際には、危険な状況になると思われます。安心・安全を確保できるとはいえません。地下水管理システムの機能強化で吸引工法を行いますが、深さは何メートルでしょうか。

○鈴木技術調整担当部長 今回の工事は、敷地全体の地下水位を低下させるための追加対策の一環として行うものでございまして、吸引工法は、緑地部を初め街区周縁部など、現在地下水位が高いところを対象として実施する予定でございます。
 吸引工法は、吸引管を地盤中に打ち込みまして、それぞれの吸引管から真空ポンプにより強制的に地下水を集めて揚水する工法でございまして、吸引管の大きさは直径五センチメートル、長さ六メートルから七メートルを予定しているところでございます。

○尾崎委員 地下水管理システムだけでは、地下水位が目標水位に管理できない。現状で地下水位が高いからやるということがわかりました。要するに、地下水管理システムは破綻しているということの裏返しだともいわなければならないと思います。
 次に、地下水管理システムの目詰まりの掃除の進捗状況について伺います。

○鈴木技術調整担当部長 全体で五十八カ所ございます地下水管理システムの揚水井戸についてでございますが、現在四十八カ所の井戸で洗浄が完了しているところでございます。
 なお、他の井戸につきましても、ポンプの稼働状況を確認しながら、順次清掃を実施していく予定としております。

○尾崎委員 先ほど、上野副委員長もこの質問をして、そのときの答弁で、一日の排水量が三百立米になっているということが答弁としてありました。ここ一週間以上、ほぼ毎日、雨が降っています。地下水位測定結果を見ると、従来の観測井戸二十一カ所で、目標のA.P.プラス一・八メートルに達しているところはありません。高いところでは、十月十六日の測定結果で、七街区でA.P.プラス四・三五メートルと非常に高い水位です。
 先ほど、上野副委員長に答弁があったように、地下ピットの中では、強制排水のほかに、もう一つの方法で排水をしているということもわかりました。ですから、最近新たに観測井戸としてふやした建物下の地下水位の状況は、五街区で地下水位の目標は達成していますが、六街区で一番低くても、これも十月十六日の調査結果ですが、A.P.プラス二・〇七メートルです。高いところはA.P.プラス二・三一メートルです。七街区でも、一番低くてもA.P.プラス一・九三メートル、高いところでA.P.プラス二・〇八メートルです。
 一日の排水量は上がってはきているということが先ほどの答弁でわかりましたけれども、しかし、管理システムの目詰まりの清掃をしても、地下水位の測定結果には、まだその効果は見えない状況だといわなければなりません。
 地下水管理システムの機能強化で、観測井戸での揚水を行うということがありました。このときにはどのような工事を行うのか伺います。

○鈴木技術調整担当部長 観測井戸は地下水位を計測するための井戸でございますが、もともと必要があれば揚水ポンプを設置できるよう直径三十センチの井戸としていることから、今回これを活用いたしまして、揚水ポンプを新たに設置いたしまして、地下水を揚水することとしたものでございます。

○尾崎委員 ただいまのご答弁ですと、もともと必要があれば揚水ポンプを設置できるよう直径三十センチの井戸としていることからというようにありましたが、最初から地下水位が上がってくる、もしくは下がらないことを想定していたのかどうか伺います。

○鈴木技術調整担当部長 観測井戸を大き目の井戸として考えていたということでございますが、これにつきましては、水位が異常に上昇した場合に、可搬型、これは持ち運びができるタイプのポンプということでございますけれども、可搬型のポンプで揚水ができるように対応可能なように、あらかじめ設計していたということでございます。

○尾崎委員 今ご答弁があったように、水位が上昇したときに対応可能にした設計にしていたというご答弁でした。そうすると、日本共産党都議団は、地下水管理システムについては、本稼働しても機能が破綻しているとずっといってきたわけですね。管理システムの設計そのものに問題があったんじゃないかとずっと指摘をしてきたわけです。そういう意味では、それが裏づけられるような今のご答弁だったんじゃないかと思います。そういう点からすると、地下水管理システムそのものの設計がやっぱり間違っていたんじゃないかと厳しく指摘しなければなりません。
 次に、市場会計の持続可能について幾つか質問したいと思います。
 臨時会で決定した補正予算は、約五十五億円です。しかしそのほかにも、ランニングコストも更新にも費用がかかります。第六回専門家会議の資料によると、ランニングコストだけでも地下水管理システムについては年間五千万から六千万円、地下空洞の換気とコンクリート打設のランニングコストも千百万から七千万円となっています。
 そこで伺いますが、市場プロジェクトチームでは、豊洲市場が開場すれば一年間の収支で九十二億円の赤字になると試算されましたが、今回の補正予算と追加対策によるランニングコストを含めると、市場会計としては、豊洲市場の収支はどうなると考えていらっしゃいますか。

○長嶺財政調整担当部長 中央卸売市場会計は、都内十一の中央卸売市場全体に係る経費を全市場の収入で賄うという考え方で成り立っております。
 市場問題プロジェクトチーム会議におきましては、市場会計の事業継続性の検討、この一環といたしまして、各市場の収支をお示しする中で、豊洲市場の開場後概算額の試算を行ったものでございまして、市場会計としては、全市場一体として財政運営を行っているものでございます。

○尾崎委員 ただいまのご答弁で、市場会計としては、全市場一体として財政運営を行っているということでしたが、補正予算が決まり、追加対策によるランニングコストも含めて、豊洲市場の収支が一体どうなるのか試算していないということになるんだと思います。大変無責任だと思います。
 都は、豊洲新市場への移転を加速しているわけです。都民や市場業者への説明責任から考えても、急いで試算すべきものではないでしょうか。単純にいったら、追加対策によるランニングコスト分が赤字をふやすことになりますから、その上で、市場会計が継続できるのかを検討し、本来であれば、その後に移転するかを判断すべきものです。順番が逆さまではないでしょうか。
 これまで、豊洲新市場建設費の財源については、築地市場跡地処分収入、四千三百八十六億円と試算をして充てるとなっていましたが、小池知事の基本方針で、築地市場は売却せず再開発すると提案されました。豊洲新市場建設費の財源についてはどうするのか伺います。

○長嶺財政調整担当部長 知事の基本方針を受けまして、市場移転に関する関係局長会議におきましては、市場会計が長期にわたり事業継続性を確保できるよう精査すること、企業債の着実な返済等に取り組むこと、築地再開発における採算性を確保できるよう検討することとしております。
 豊洲市場整備の財源といたしましては、会計保有資金等のほか、築地市場跡地について、長期貸付や一般会計への有償所管がえを含め、財政収支の観点から多角的に検討することになると考えております。

○尾崎委員 築地市場跡地の売却で財源に充てるというのが当初の計画でした。ただいまの答弁ですと、築地市場跡地については、長期貸付にするのか、または一般会計への有償所管がえになるのか多角的に検討していくということですから、まだどうなるのかわからないということでした。築地市場売却や有償所管がえせず、長期貸付するとなれば、企業債の借りかえがふえるということになります。
 私は、二月十四日の豊洲市場移転問題特別委員会で、今後の企業債の償還は、二〇二〇年に六百億円の償還、二〇二五年には千三百三十一億円の企業債の償還を迎えることになる、はっきりしているのは、この二〇二〇年と二〇二五年が市場会計を左右する時期だと、資金繰りが将来的に困難になることを指摘しました。
 市場のあり方戦略本部第三回の会議で、豊洲移転時の収支試算が出されています。二〇一七年三月の経済・港湾委員会で我が党が要望した資料要求、豊洲市場整備のために起こした企業債及び償還金の推移を見ると、企業債の償還は、二〇二〇年に六百億円、二〇二三年に三百九十八億円、二〇二四年に三百四十三億円、二〇二五年に千三百二十二億円、二〇二六年に八百十億円、合計で三千五百四十一億円になるということが明らかになっています。
 この段階で、市場のあり方戦略本部では、豊洲市場を整備する際に発行した企業債の返済により、二〇二〇年には資金ショートが発生する見込みとしています。しかも、豊洲市場の企業債の返済が終了する二〇二六年以降も、累積赤字は増加していく見込みとしています。まさに、私が指摘したことと同じことです。そして、困難な状況が長く続くということになります。
 小池知事の基本方針では、築地市場跡地は売却せず、企業債の借りかえがふえるのですから、今後の企業債の償還、企業債の元金、利息はどうなるのか伺います。

○長嶺財政調整担当部長 豊洲市場の整備費の財源につきましては、これまでに市場会計の保有資金、国庫交付金及び企業債を充てておりまして、企業債の償還につきましては、会計保有資金に加え、築地市場跡地の処分収入を充当することを前提に、長期的な事業運営を考えてまいりました。
 今、理事からお話がありましたとおり、平成三十二年度から始まる企業債の一括償還に、築地市場跡地の処分収入により対応できない場合には、借換債を発行しながら返済していくことが想定されます。これは、一定の前提を置いての試算になりますけれども、今後約三千六百十五億円の借換債を発行することになり、これに係る利息について、仮に利率〇・一五%を用いますと、追加で約五十五億円の利息が発生すると見込まれます。

○尾崎委員 今ご答弁があったように、利息は新たに五十五億円の増加になるということです。二百六十六億円プラス五十五億円になるわけですから、合計で利息は三百二十一億円になります。金利だけでも大変な数字です。企業債の借りかえをしてしのいでいく、このことによって資金ショートが発生する心配が継続的に起こるということです。いい方を変えれば、市場会計の維持、継続がますます深刻になります。
 市場プロジェクトチームの第一次報告書に、豊洲新市場に移転すれば、減価償却費込みの収支では、毎年、百億円から百五十億円の赤字を計上することになる。ライフサイクルコストを考慮すると、支出は多く、使用料収入の百十億円の大幅な増額も見込めないため、市場会計の改善の見込みはないと記載されています。
 そこで、豊洲新市場が開場後の年間の収支は、中央卸売市場としてはどう試算しているのか伺います。

○長嶺財政調整担当部長 中央卸売市場といたしましては、築地市場跡地の処分収入を見込み、企業債の借りかえをしない前提での市場会計の収支試算を市場問題プロジェクトチームにお示しをしております。
 また、これは市場独自ではございませんが、市場のあり方戦略本部におきましては、築地市場跡地の一般会計への有償所管がえを前提とした試算、それから長期貸付及び企業債の借りかえを前提とした試算などが示されております。
 今後、財政当局等とも協議しながら、市場会計が長期にわたって事業継続性を確保できるように、しっかりと検討してまいります。

○尾崎委員 ただいまの答弁で、今後、財政当局等とも協議しながら、市場会計が長期にわたって事業継続性を確保できるよう、しっかりと検討していきますというご答弁でした。
 そうであるならば、伺いたいのですが、豊洲新市場が開場によって大赤字になった場合は、どう対処するのか伺います。

○長嶺財政調整担当部長 先ほどのご答弁と重なりますけれども、市場会計は、都内十一の中央卸売市場全体に係る経費を全市場の収入で賄うと、そういう考え方で財政運営を行ってございます。
 事業執行に当たりましては、徹底したコスト削減に努めるとともに、投資に見合う効果を十分に検討した上で、必要な施設を整備するほか、施設の有効活用などの収入確保策にも取り組み、まずは安定した事業運営を目指してまいります。

○尾崎委員 安定した事業運営を目指していくというご答弁ですが、具体的には何もわからないんです。市場プロジェクトチームの第一次報告書には、財源確保の手段として用意されているのは、税金の投入という手段であると推測されると記載されています。しかし、都は十一の中央卸売市場を抱えており、市場を切り売りして、豊洲市場を延命させることができる、こうまで市場プロジェクトチームの報告書には書かれているんです。
 ただいまの答弁では、徹底したコストの削減、施設の有効活用ということもありましたけれども、やはり具体的にははっきり見えてきません。市場を統廃合したり、市場プロジェクトチームの報告書にあるように、市場を切り売りするようなことは絶対にあってはならないんです。
 小池知事の基本方針では、築地市場を更地にして五年以内に再開発事業に着手するとしていますが、これもまた具体的な財政議論はされていません。しかし、市場のあり方戦略本部の第三回で、中央卸売市場の持続可能性の検証の中で、築地市場用地を長期貸付する場合の試算を行っています。ここでは、二〇二一年度から年間百六十億円で貸し付けを行うと仮定した試算がされています。しかも、貸し付けは附帯事業として実施するとなっています。
 そこで、築地市場用地の貸し付けについて、中央卸売市場としてはどのように考えていらっしゃるのか伺います。

○吉村企画担当部長 築地市場用地の取り扱いにつきましては、豊洲と築地の両方を生かすという趣旨の基本方針を踏まえまして、この先も、市場会計が長期にわたって持続可能性が確保できるということが前提となります。
 今お話がありましたように、例えば市場のあり方戦略本部におきましても、築地市場用地を活用する場合として、売却または有償所管がえと長期貸付というパターンについてさまざまな収支試算を示したところでございまして、引き続き、経済合理性を確保する観点から、多角的に検討を行う必要があると考えてございます。

○尾崎委員 築地市場用地の取り扱いについては、売却と有償所管がえと長期貸付かの収支の試算は示しましたけれども、引き続き多角的に検討するという、ただいまのご答弁でした。
 都は十月十六日に、築地市場の豊洲新市場への移転時期を二〇一八年九月から十月と設定し、市場業者団体の関係者らと調整する新市場建設協議会を十月末まで、今月末までに開いて、移転日について合意を得たいとしています。
 市場会計の見通しについて、具体的な試算を示さないで、豊洲新市場への移転を推進することは許されません。先ほど答弁があったように、この先も、市場会計が長期にわたって持続可能性が確保できるというのが前提だからなんです。
 大事なことなので改めて伺いますが、豊洲新市場が開場すれば、大幅な赤字になることは明らかです。資金繰りをどのように考えているのか、もう一度伺います。

○長嶺財政調整担当部長 市場会計につきましては、繰り返しになりますが、市場移転に関する関係局長会議におきまして、長期にわたり持続可能性を確保できるよう、財政面から精査を進めるとされております。
 市場会計におけます企業債の償還時の扱いですとか、築地市場跡地の扱いにつきましては、財政当局等とも協議しながら、事業継続性を確保できるよう、多角的に検討してまいります。

○尾崎委員 先ほどの答弁の中にもありましたけれども、第三回市場のあり方戦略本部で、中央卸売市場会計の持続可能性の検証として四つのパターンが提案されています。
 その一つが、豊洲移転、現状案では、経常収支は年百五十から百六十億円の赤字、建てかえ財源の確保が困難、資金収支は平成三十二年度に資金ショートしてしまいますと。
 二つ目に、経営改善、年二十億円すると、経常収支は年、三角の百三十から百四十億円、建てかえ財源の確保は困難、資金収支は平成三十三年にショートするとなっています。
 三つ目が、経営改善策プラス築地用地を売却すると、経常収支は年、三角の百三十億から百四十億円の赤字、建てかえ財源の確保は困難、資金収支は平成六十一年度に資金ショートするとなっています。
 そして四つ目が、経営改善策、そしてプラスで築地用地を長期貸付すると、経常収支は年二十から三十億円、赤字から黒字に転換できると。資金収支は平成四十七年度に資金ショートするとなっています。
 資金収支は、どのパターンでもショートするとなっているわけですから、豊洲新市場を開場することがいかに中央卸売市場会計の継続性を脅かすものになるのか明らかになったと思います。
 小池知事の提案では、築地市場は民間主導で再開発するということですから、四番目のパターン、経営改善策プラス築地用地を長期貸付の提案になるのかと思います。それでも資金ショートすることが予想されているわけです。
 大事なことなので、築地市場を民間主導して再開発して資金ショートした場合はどう対処するのか伺います。

○長嶺財政調整担当部長 今、理事の方からお話がございました市場のあり方戦略本部の収支の試算でございます。これはさまざまな前提を置いた上で計算をしてみたというものでございますので、こうしたことも念頭に置きながら、これからしっかりと事業継続性については検討していく、そういったことでございます。

○尾崎委員 そうすると、築地市場を民間主導でどうやって再開発するという具体策は、何もまだ明らかではないわけです。しかも、建設費用はどうするのかもわかりません。賃借収入だって実際にはどうなるかわからない状況なんです。
 公認会計士の方からお話を聞きました。この方は、民間企業に築地の再開発を丸投げすることは避けるべきだと厳しく指摘し、都はこれまでも、臨海副都心開発で民間活力を導入し、巨大なビルをつくった第三セクター五社が大きな損失を出し、民事再生に追い込まれました。都有地を信託銀行に貸し付けて信託報酬を受ける土地信託事業も失敗しました。結局、ビル工事を請け負ったゼネコンや資金融資をした銀行の利息稼ぎに利用されたのだともいっています。
 私たちは、農水省へも聞き取りを行いました。豊洲新市場の認可の手続については、卸売市場法十条の四項に定められています市場会計の遂行が確実に行われるのか、この四項が極めて重要であるということも聞いてきました。
 先ほど、あぜ上委員からもありましたけれども、その前提には市場業者との合意があるということです。きょうは、市場会計の持続可能について質問をしてきました。築地市場の再開発で賃料が収入として入ってきたとしても、それは、豊洲市場の経常収支をどこまで埋められるのかも明らかではありません。豊洲新市場建設にかかった費用については、企業債の借りかえが約三千六百十五億円になるということですから、企業債償還による資金ショートも早まる可能性があります。安全・安心が確保できない、市場会計の持続可能も担保できない状況で、豊洲市場への移転をすることは反対です。
 築地市場の再開発について、何も具体的にならない、財政的にもわからない状況です。補正予算案とランニングコストなどを含めて試算もしていない、中央卸売市場会計を継続できる根拠もわからない中で判断し、豊洲新市場へ移転することは絶対に許すわけにいきません。
 都内には十一の中央卸売市場があります。当然、それぞれの市場の改修も放っておくわけにはいきません。豊洲新市場の困難な財政状況が、ほかの市場に影響を与えることがあってはならないんです。同時に、市場業者の使用料や利用料の引き上げにつながるようなこともあってはならないんです。
 築地ブランドや築地市場の建物の価値も、多くの方々から守ってほしいとの声も上がっています。仕事をしながらの再整備も可能だということが建築家の方々からも出されているのですから、市場関係者や専門家の意見もよく聞くべきです。
 知事の基本方針では、市場会計の継続性を裏づける内容がわかりません。これでは議会での討論も十分できない状況です。市場関係者も納得できるものではありません。市場関係者との合意がない以上、前に進めるわけにいきません。豊洲新市場への移転を強行すれば、中央卸売市場会計は破綻する可能性があると厳しく指摘をし、質問を終わります。

○吉村企画担当部長 今、委員からるるお話がございましたけれども、市場会計の持続可能性につきましては、市場のあり方戦略本部の中でかなり詳細な検討をさせていただいております。委員からもお話がありましたように、四つのパターンを細かく検証しております。現状のまま豊洲移転を行った場合については、企業債の返済を迎える数年後には資金ショートが起こるという事実もきちんとお出しさせていただいていますけれども、当面の経営改善策を実施することで一定程度改善が図られること、また、売却以外で、貸し付けを行うことによって、長期的には資金ベースでかなり改善が見込まれるということについても、詳細にシミュレーションしてございます。また、資金ショートが一部で生じますけれども、それについてはその間の対応を考えていくことになろうかとは考えております。
 そういった形で、まずは試算を示した上できちんと事業継続性が確保できるようにしたいというふうに考えております。仮に試算した場合については百億から百六十億程度の収入が見られるという場合もありますので、事業継続性がやはり前提であることは我々はきちんと認識してございます。ですので、引き続き関係局長会議の中でもしっかりと検討しながら、売却、有償所管がえと長期貸付と、さまざまな検討を進めながら、事業継続性についてしっかり確保していきたいというふうに考えてございます。

○尾崎委員 私も先ほどいいましたが、やっぱり四つのパターン、全て資金ショートするということを明確に書いているんですね。市場会計が継続できるということを、市場の皆さんのところで具体的に示していただくことがまず先であって、その後でやはりどうするのかという判断をすべきだというふうに思いますので、そこは順番が逆ではないかと指摘をさせていただきたいと思います。

○伊藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○伊藤委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で中央卸売市場関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時五十二分散会