経済・港湾委員会速記録第七号

平成二十九年六月五日(月曜日)
第八委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長柴崎 幹男君
副委員長伊藤こういち君
副委員長菅野 弘一君
理事中山ひろゆき君
理事尾崎あや子君
理事山崎 一輝君
栗林のり子君
上野 和彦君
島崎 義司君
島田 幸成君
鈴木あきまさ君
かち佳代子君
宇田川聡史君
三宅 茂樹君

欠席委員 なし

出席説明員
産業労働局局長藤田 裕司君
次長片山  謙君
総務部長寺崎 久明君
産業企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務清水 英彦君
商工部長野間 達也君
金融部長山巻  毅君
金融支援担当部長川崎  卓君
観光部長坂本 雅彦君
観光振興担当部長浦崎 秀行君
農林水産部長藤田  聡君
安全安心・地産地消推進担当部長武田 直克君
全国育樹祭担当部長村西 紀章君
雇用就業部長小金井 毅君
事業推進担当部長蓮沼 正史君
中央卸売市場市場長村松 明典君
次長澤   章君
管理部長松永 哲郎君
港湾局局長斎藤 真人君
技監小野 恭一君
総務部長古谷ひろみ君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務中村 昌明君
調整担当部長矢部 信栄君
港湾経営部長松川 桂子君
港湾振興担当部長蔵居  淳君
臨海開発部長篠原 敏幸君
開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務山岡 達也君
営業担当部長塩田 孝一君
港湾整備部長原   浩君
計画調整担当部長竹村 淳一君
離島港湾部長小林 英樹君
島しょ・小笠原空港整備担当部長松本 達也君
労働委員会事務局局長土渕  裕君

本日の会議に付した事件
意見書について
港湾局関係
契約議案の調査
・第百十九号議案 平成二十九年度辰巳排水機場(再整備)ポンプ設備製作据付工事請負契約
・第百二十四号議案 平成二十九年度十三号地新客船ふ頭駐車場等用地建設工事請負契約
付託議案の審査(質疑)
・第百八号議案 東京都港湾管理条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
「賑わいと自然あふれる海辺を目指して-海上公園ビジョン-」の策定について
産業労働局関係
報告事項(質疑)
・東京農業振興プランについて
付託議案の審査(決定)
・第百八号議案 東京都港湾管理条例の一部を改正する条例
陳情の審査
1 二九第四七号 「駐留軍関係離職者等臨時措置法」の延長に関する陳情
請願陳情の継続審査について
特定事件の継続調査について

○柴崎委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書二件を提出したい旨の申し出がありました。
 本件については、本日の理事会において協議した結果、駐留軍関係離職者等臨時措置法の期限延長に関する意見書(案)については調整がついた旨、そのほかについては調整がつかなかった旨、議長に報告すべきであるとの結論になりました。
 お諮りいたします。
 本件については、理事会の協議結果のとおりとすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○柴崎委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 なお、調整のついた案文の朗読は省略いたします。

   駐留軍関係離職者等臨時措置法の期限延長に関する意見書(案)
 駐留軍関係離職者等臨時措置法は、平成二十五年の改正により、五年の期限延長を経て、平成三十年五月十六日をもって失効となる。
 同法は、昭和三十三年の制定以来、昭和四十八年の関東平野空軍施設整理統合計画(関東地区の米空軍施設を横田基地に統合する計画)等による基地の統合・返還により生じた多数の離職者対策を始めとして、必要に応じた施策を講じつつ、期限延長を続けてきたところである。
 現在においても、在日米軍再編に伴う雇用問題が懸念される中にあって、駐留軍労働者の離職者対策は、より重要性を増している。
 よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、駐留軍関係離職者等臨時措置法の期限を延長し、日本人従業員の雇用安定確保及び離職者対策に万全を期するよう強く要請する。
 以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
  平成二十九年六月 日
東京都議会議長 川井しげお
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
外務大臣
厚生労働大臣
防衛大臣 宛て

○柴崎委員長 次に、契約議案について申し上げます。
 契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布しております。
 朗読は省略いたします。

平成二十九年六月二日
東京都議会議長 川井しげお
経済・港湾委員長 柴崎 幹男殿
   契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
     記
1 調査議案
 第百十九号議案 平成二十九年度辰巳排水機場(再整備)ポンプ設備製作据付工事請負契約
 第百二十四号議案 平成二十九年度十三号地新客船ふ頭駐車場等用地建設工事請負契約
2 提出期限 平成二十九年六月五日(月)

○柴崎委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、港湾局関係の契約議案の調査、付託議案の審査並びに港湾局及び産業労働局関係の報告事項に対する質疑並びに陳情の審査、請願陳情及び特定事件の閉会中の継続審査及び調査の申し出の決定を行いたいと思います。
 これより港湾局関係に入ります。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第百十九号議案及び第百二十四号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○柴崎委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○柴崎委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑はいずれも終了いたしました。
 この際、本案に対して意見のある方は発言を願います。

○かち委員 それでは、第百二十四号議案、平成二十九年度十三号地新客船ふ頭駐車場等用地建設工事請負契約に対する意見を申し上げます。
 本工事契約案件は、最大級の大型客船ふ頭整備の一環で、桟橋の上に駐車場等を建設する工事であり、落札額が三十二億九千四百万円、落札率九六%とのことであります。
 この客船ふ頭整備は、二〇一五年から工事が始まり、二〇二〇年供用開始とのことです。これまでに既に百三十億円を費やし、今後、岸壁工事やターミナル建設工事など、さらに大規模な経費が予測されますが、全体の工期半ばになっても、なお総工事費の推計が出せないという中で、なし崩し的に工事が進められていくことは認められません。
 さらに、先月開かれた港湾審議会の答申によれば、今後、晴海客船ふ頭を廃止し、青海南ふ頭公園の一部を削減し、二隻用客船バースの延長計画も進められようとしています。
 既に近接する横浜港でも大型客船ふ頭整備が進んでいる中で、都民生活にとって不要不急な豪華客船ふ頭整備に、数百億円もかけて進めなければならない必然性はないと考えます。
 よって、第百二十四号議案には反対であることを表明し、意見とします。
 以上です。

○柴崎委員長 発言は終わりました。
 お諮りいたします。
 第百二十四号議案については、ただいまの意見を含め委員長において取りまとめの上、第百十九号議案については、異議のない旨、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○柴崎委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。

○柴崎委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第百八号議案を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○柴崎委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○柴崎委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。

○柴崎委員長 次に報告事項、賑わいと自然あふれる海辺を目指して-海上公園ビジョン-の策定についてに対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○宇田川委員 海上公園ビジョンを読みますと、葛西海浜公園の干潟について、ラムサール条約湿地の登録を目指すとあります。そのほかにも、自然観察会の開催など、環境学習の機会拡大とか、NPOやボランティアなどによる環境教育や地域での活動を支援、また、海水浴体験やノリづくりなどの海辺の文化を継承、こうしたことも書かれているわけでございます。
 今申し上げた三つ、環境学習とか、地域活動とか、海水浴体験、こうしたことはまさに今、葛西海浜公園で実施されていることであります。ビジョンのサブタイトルににぎわいと自然と書いてあるんですけれども、この二つをしっかりと両立させてほしいと願っています。
 ビジョンの内容に沿った現在の活動を決して妨げをしてはならない、こうも思っております。もちろん、自然保護であるとか生物多様性保全を否定するものではありませんで、むしろ推進すべきだと考えております。だからこそ、先ほど申し上げた両立をいかになしていくのか、これを真剣に考えるべきだと捉えております。
 まず、確認をいたしますけれども、ラムサール条約とはどういうものなのか、そして、葛西海浜公園において、なぜ登録を目指すとしているのか、伺います。

○篠原臨海開発部長 ラムサール条約は、水鳥などの生息地となります湿地の保全を国際的に進めることを目的とした条約でございまして、一九七一年にイランの国際会議で採択されたものでございます。
 この条約ですが、湿地を保全することだけではなくて、湿地を持続的に利用していくことや、保全、利用のための教育、交流などに関しまして、日本を含めた条約締約国による取り組みを求める内容となっております。
 葛西海浜公園は、都民が海辺を楽しむレクリエーションなどで利用することとあわせまして、干潟の保全や人工なぎさの造成によって、鳥や貝類など、生き物のすみかを確保することを目的として整備してきた公園でございます。
 ラムサール条約湿地への登録は、干潟の利用及びその保全への取り組みを強化、継続していきます契機となるとともに、都のこうした取り組みを、都民はもちろん世界に対しても発信することにつながるものと考えております。

○宇田川委員 特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約、いわゆるラムサール条約、私も読ませていただきました。その前文に、人間とその環境とが相互に依存していることを認識しと、こうあった上で、湿地が経済上、文化上、科学上及びレクリエーション上大きな価値を有する資源であると、こういうことが記されているわけでございます。
 実は、水質浄化、水質改善のために海岸に二枚貝をまくんですね。アサリとかハマグリとか。これを鳥が食べ尽くしてしまうといった現実もある。これはやっぱり認識しておくことは大事なんだと思っています。
 今の答弁の最後のところに、世界に対して発信することにつながる、こういう言葉があったんですけれども、東京の魅力、東京の環境、これを発信することは大いに意義があるんだと、私もそう思っています。
 数年前だったんですが、ヨーロッパの要人、サンマリノ共和国の駐日大使であるカデロ閣下にお会いして、一緒に西なぎさを訪れたことがあります。彼は、世界をリードする国の首都に、こうした海水浴場、自然があることを非常に驚き、感嘆し、また、称賛をしてくださいました。
 東京都も、港湾局のみならず、建設局であるとか、環境局だとか、下水道局とか、多くの方々が努力をして、地元のボランティアの皆さんも懸命に力を尽くした中で、地域住民の理解も得られた。それで、五十年ぶりに海水浴場が復活できたのは周知の事実だと思います。
 昨年の海開きにも上野さんもおいでになりましたけれども、里山という言葉がありますが、我がふるさとの海、里海だということで、その復活をなし遂げたわけであります。ラムサール登録前に、まず、このことを積極的に発信すべきではないかと私は思いますので、ぜひよろしくお願いをいたします。
 ラムサールの理念の中にも、先ほど申し上げた経済、文化、科学、レクリエーションとあるように、条約登録が公園利用を制限、あるいは阻害をされてはならないと思っています。
 登録に際してのさまざまな要件があるようですが、登録する範囲はどのようにお考えなのか、伺います。

○篠原臨海開発部長 ラムサール条約の登録湿地となるためには、水鳥の飛来数のほかに、種の全体個数の一%以上が生息するなど、九つの要件が定められておりまして、いずれかを満たす必要がございます。
 葛西海浜公園は四百ヘクタールを超える広大な水域を有する公園でございますが、この水域を中心に二万羽以上の水鳥が定期的に訪れるという要件が該当するものと考えております。
 今後、水鳥の飛来状況を調査しました上で、要件を満たすように登録していく範囲を検討してまいります。

○宇田川委員 まさに首都東京におけるラムサール登録、大いに意義があることだと思っています。しかし、登録ありきとか、目的と手段を履き違えることのないように進めていただきたいと願います。
 冒頭から申し上げていますとおり、自然と人、人間と環境の両立が最も重要だと考えますが、これは登録のあるなしにかかわらずであるはずでございます。
 いかに両立を果たしていかれるのか、お伺いいたします。

○篠原臨海開発部長 ラムサール条約では、お話にもありましたように、基本的な考え方の一つとして、ワイズユース、賢明な利用という考え方をうたっておりまして、自然環境を守るだけではなくて、人々の暮らしや産業などの社会経済活動などに持続的に活用していくということを推進しております。
 葛西海浜公園は、海水浴体験のほか、ノリづくりなど、都民が海辺と親しむ利用が行われておりまして、都としても、こうした干潟の利用というのは、ラムサール条約の理念に合致するだけではなくて、今後も継続を図っていきたいと考えているものでございます。
 ラムサール条約湿地に登録された後の公園利用に障害が出ることのないよう取り組みを進めてまいります。

○宇田川委員 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会が開かれるんですが、隣接の葛西臨海公園では、もう皆さんご承知のとおり、カヌースラローム競技が行われることになっております。広大な敷地を有する臨海公園でありますから、さまざまな、オリンピックのときにはおもてなしが可能だと考えておりますし、大会後もそうなることを期待しているわけでございます。
 ビジョンの中には、民間事業者などとの連携によるカフェ、レストランなどの導入を検討、また、集客力のある商業イベントへの開放、こんなことも書かれているわけでございます。葛西臨海水族園も今まさにリニューアルをしているところでございますし、公園内のベンチやトイレも改修を進めております。
 海と公園、自然とにぎわい、これが両立されることによって、我々地元にとっては、観光スポットとして非常に大きな発展を望んでいるところでございます。これこそレガシーとしたい、そういう思いでございます。
 海上公園ビジョンには、いうまでもなく、策定も大事ですけれども、実行がより重要だと考えております。今後も、地元はもとよりですが、いろいろな関係者との調整を十分に行った上で、実のあるものとしてほしい、そのことを申し上げて質疑を終わります。

○柴崎委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○柴崎委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で港湾局関係を終わります。

○柴崎委員長 これより産業労働局関係に入ります。
 報告事項、東京農業振興プランについてに対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○島崎委員 それでは、東京農業振興プランの今後の施策展開について伺ってまいります。
 東京の農業者は、先祖代々の農地を守り、都民に対して農産物を供給しております。生産基盤である緑豊かな農地は、生活環境に潤いと安らぎを与え、都市に不可欠な防災空間となるなど、都民生活にも身近な多くの役割を持っております。都市化の進展や、高額な相続税負担などにより、現在、農業者は、農業経営を継続していくことに大きな不安を感じております。
 自民党は、こうした東京の農業者の意見や要望をしっかりと受けとめ、都に対して、都市農業特区の提案や、新たな農業振興施策の取り組みを促してまいりました。
 都は、新たな東京農業振興プランを策定いたしましたが、このプランに基づいて、今後どのように施策を展開していくのかが重要であります。
 そこで、今後の施策展開について、都の見解を伺います。

○藤田農林水産部長 本プランは、都市農業振興基本法の制定などにより、都市農業を取り巻く状況が大きく変化する中、東京農業を将来に向け着実に展開していくための新たなステップとして策定したものでございまして、都市農業振興基本法に定める地方計画でございます。
 都は、大都市東京の持つポテンシャルを生かしながら、都市と共存し、都民生活に貢献する力強い東京農業を目指し、担い手の確保、収益性の向上、都市農地の保全など、東京農業が抱える課題に対する施策を展開してまいります。
 具体的には、女性や農家以外から参入する多様な担い手の確保、育成を進めるとともに、農産物のブランド化の推進などによる農業経営の収益性向上に取り組んでまいります。
 また、多面的機能の一層の発揮による都市農地の保全や、GAPの認証取得推進による持続可能な農業生産の実現、地産地消の拡大に取り組んでまいります。
 こうした取り組みを総合的に推進することにより、東京農業を魅力ある産業として発展させてまいります。

○島崎委員 東京農業振興プランは、東京の農業にとって大きな転機を迎えている、この時を捉えて策定したプランでありまして、これに基づいてしっかりと、農業者が元気の出る施策を展開することを期待しております。
 次に、実際の施策展開について伺っていきます。
 まず、担い手の確保、育成についてであります。
 都において、少子高齢化が進展する中、農業従事者においても高齢化が進展をしております。最近では、農家の子弟が後を継がず、地域によって強弱がありますが、家族経営が中心の東京農業では担い手が不足し、新たな担い手の確保が喫緊の課題となっております。
 農家の子弟に頼るだけでなく、多様な担い手の確保、育成に向けた取り組みが必要だと考えますが、都の見解を伺います。

○藤田農林水産部長 これまで都は、農家の後継者に対し、農業技術や農業経営などに関するセミナーなどを実施し、担い手として育成してまいりましたが、より多様な担い手を確保するため、農家以外からの新規参入者や女性に着目した支援を充実してまいります。
 農家以外からの新規参入者に対しましては、栽培技術や経営ノウハウを総合的に習得できるよう、農業技術や経営管理能力にすぐれ、担い手の指導、育成に意欲ある熟練農業者を指導農業士に認定し、みずからの農園で実践的な指導を行う東京都指導農業士制度により育成してまいります。
 また、女性に対しましては、就農段階とニーズに応じた支援を行ってまいります。まず、新たに農業を目指す女性には、就農コンシェルジュによる相談対応や、女性農業者が活躍する農家の見学ツアーなどを実施し、就農を後押しいたします。
 就農後間もない女性農業者に対しましては、農業技術や農業機械の取り扱いなどの基礎的な研修を実施するほか、仲間づくりを支援するなど、定着に向けたきめ細かな支援を行ってまいります。
 こうした取り組みを通じて、将来の東京農業を支える多様な担い手を確保、育成してまいります。

○島崎委員 担い手の確保、育成は、東京農業の存続にかかわる大きな問題であり、しっかりと進めていくべきであります。
 今回のプランでも記載されておりますが、担い手の確保、育成を図る上では、就農に関する相談や情報提供、就農後の農作物の栽培指導など、総合的な支援体制の充実強化が不可欠であります。積極的な取り組みを期待しております。
 次に、農業の収益性向上に向けた農産物のブランド化について伺います。
 現在活躍している女性農業者の中には、農産物の加工販売や農家レストランの開設など六次産業化に取り組み、ブランド化に成功している事例があります。農業経営の収益性を向上させる上で、ブランド化の取り組みは重要であります。
 都として、農業者のブランド化に向けた取り組みを積極的に支援していくことが必要だと考えておりますが、都の見解を伺います。

○武田安全安心・地産地消推進担当部長 都内では、トウキョウXや、稲城の梨、立川のウドなど、消費者に魅力ある農産物が数多く生産されており、農業経営の収益性を向上させるためには、こうした農産物の価値をさらに高め、ブランド化を推進していくことが有効でございます。
 このため都では、農業者が農産物の高付加価値化や六次産業化などに取り組む場合に助言を行う専門家の派遣や農産物等の加工施設などの整備、独自のロゴやパッケージデザイン作成費用などを支援するとともに、今年度からは女性農業者の加工品開発に助言などを行う専門家の派遣回数を引き上げるなど、ハード、ソフト両面から、都内産農産物のブランド化を推進してまいります。
 また、伝統ある江戸東京野菜については、栽培マニュアルの整備と農業者への普及による生産拡大に加え、契約栽培など、飲食店などの需要に対応可能な仕組みによる販路開拓に取り組むとともに、生産者団体が行う消費者へのPRを支援し、そのブランド力を高めてまいります。
 こうした取り組みにより、農産物や加工品のブランド化を進め、農業者の収益性の向上を図ってまいります。

○島崎委員 都内産農産物のブランド化が進むことによって、農業者の経営が安定するとともに、都民の東京農業に対する理解が進み、さらに、地元産の農産物の利用が促進されるという好循環になっていくことを期待しております。
 次に、農産物の地産地消について伺います。
 私の地元武蔵野市には、武蔵野新鮮館というJAの農産物直売所があります。最近では、農業者の努力によって品ぞろえも豊富で、地域住民の皆様にも大変人気があり、午前中には商品がなくなることも多い状況で、地産地消が行われていることを実感いたしております。
 日ごろ、農業に接する機会の少ない都民の方々にも、日々の食を通じて広く東京の農業を理解してもらうことが、都市農業の持続発展のためには重要だと考えております。JA東京中央会においても、農地やJAのない区部の学校給食に都内産農産物を積極的に提供する取り組みを進めております。
 今後は、農地のある地域ばかりでなく、都内全域を視野に入れた地産地消を推進していくことが必要だと考えますが、都の見解を伺います。

○武田安全安心・地産地消推進担当部長 地産地消の取り組みは、消費者にとっては新鮮で安全・安心な農産物が入手でき、生産者にとっては消費者ニーズがすぐに把握できるとともに、効率的な生産が可能となるなど、双方にメリットがございます。
 都はこれまでも、都内産農産物の地産地消を推進するため、直売所の整備に加え、都内産食材を使用する飲食店の紹介や、区市町村の学校給食への地元産農産物の供給を進めてまいりました。
 今後は、農地のない区部への都内産農産物の供給を拡大するため、JA東京中央会と連携し、学校給食のモデル地区に指定した新宿区と江東区に、栄養士や調理師、農業者、流通事業者などで構成する協議会を設け、農産物の規格や納品方法などを検討し、学校給食への円滑な供給体制を構築してまいります。
 また、本年四月に、JA東京中央会は都と連携して、南新宿に農業の情報発信拠点であるJA東京アグリパークをオープンしましたが、ここで実施する都内産農産物の展示販売や料理教室などの開催、都内の農業者と食材を求める飲食店等とのマッチングなどについても支援してまいります。
 こうした取り組みにより、都内産農産物の地産地消を一層推進してまいります。

○島崎委員 地産地消の推進は、都民にとっても、農業者にとっても、非常にメリットのある取り組みであります。特に学校給食での活用は、児童生徒の食育にも大きく貢献をいたします。引き続き、積極的に取り組むことを期待しております。
 さて、今後、地産地消をさらに拡大する上では、東京二〇二〇大会での利用を進めていくことも重要であります。そこで、東京二〇二〇大会に向けた取り組みについて伺います。
 大会への都内産農産物の提供については、先日の代表質問において、調達基準に定めるGAPの認証を促進するとの答弁がありました。食材の提供に加え、東京のまち中を都内産の花や植木で彩り、国内外から訪れるお客様をおもてなしする取り組みも重要だと考えております。
 大会が開催される夏場における都内産の花や植木の利用促進を図るため、具体的な取り組みを行うことが必要だと思いますが、都の見解を伺います。

○藤田農林水産部長 東京二〇二〇大会に向け、都内産の花や植木の利用を促進することは、国内外から訪れる人々に対するおもてなしや、花や植木の生産振興の観点からも重要でございます。
 このため都では、大会が開催される夏の暑さに強い都内産の花壇苗の植栽試験を都立日比谷公園で実施するとともに、栽培管理方法など、その試験成果を取りまとめた冊子を作成し、都民や事業者に広く周知してまいります。
 また、まち中に木陰をつくり出す移動式の植木コンテナの導入を促進するため、東京ビッグサイトで実証展示を行い、気温低減などの効果測定を行うとともに、量産化や広告掲載による維持管理費の軽減など、民間での活用に向けた低コスト化への取り組みを進めてまいります。
 さらに、新たに子供たちを対象として、都内産の花を使用したフラワーアレンジメントなどを体験できるワークショップを開催するなど、花を利用したおもてなし機運を醸成してまいります。
 こうした取り組みを通じて、生産者や関係団体と一層の連携を図り、都内産の花や植木の利用拡大に努めてまいります。

○島崎委員 東京二〇二〇大会での利用は、都内産の花や植木を広くPRする上で非常に効果のある取り組みであります。大会終了後も引き続き、利用が維持、継続されるよう、関係団体とも連携して取り組むことを期待しております。
 次に、農地保全について伺います。
 農産物を安定的に生産供給していくためには、その生産基盤である農地を確実に保全することが不可欠であります。
 先月、都市緑地法等の一部を改正する法律が国会で成立し、生産緑地指定の下限面積の引き下げが可能となるなど、都市農地に関する制度改正の動きも進展をしております。農業者の経営力を強化して農地減少を抑制する取り組みだけでは限界があり、これまでの発想を転換することが必要だと感じております。
 今回のプランにおいても、農地保全に向けた新たな取り組みとして、都は今年度から、生産緑地を買い取り、買い取り後の活用方法を示すモデル農園の整備を行うとしていますが、現在の状況を確認させていただきたいと思います。

○藤田農林水産部長 都は、四月より、モデル農園の整備地として買い取りの候補となる緑確保の総合的な方針に定める確保地や、農の風景育成地区内の生産緑地などが所在する区市やJAなどの関係機関に対し、本事業の目的や内容を説明するなど、モデル農園の円滑な開設、運営に向けた協力体制の構築を進めております。
 また、買い取りの候補となる農地について、現在の利用状況や、教育や福祉の観点から多面的機能を発揮できる環境にあるかなど、買い取りの判断の際に不可欠な情報を収集する調査にも着手しております。
 今後も引き続き、本事業の実施に向けた取り組みを進めてまいります。

○島崎委員 都内農地は、年に百ヘクタールも減少している状況にある中で、こうした農地の減少を少しでも抑えていく新たな取り組みはとても重要であり、着実な取り組みを期待しております。
 プランにも触れられておりますが、積極的に都市農地を確保するため、宅地化した土地を再び優良な農地として再生するなど、新たに農地を創出していく取り組みに対しても、積極的に支援することを期待したいと思います。
 ここまで、プランの実現に向けた担い手の確保、育成、ブランド化や、農産物の地産地消など、我が党が重視する施策について確認をしてまいりました。
 生産緑地法が改正され、面積要件の緩和などが実現しましたが、生産緑地の貸借における改正等は、いまだ結論が出ておりません。
 プランの実現には、農業者だけでなく、生産団体や行政など、関係者の一体的な取り組みが必要であります。
 今回のプランの実現に向けた局長の決意を伺いたいと思います。

○藤田産業労働局長 東京の農業は、都民に身近なところで、新鮮で安全・安心な農産物を提供するとともに、その生産基盤である農地は、環境保全や防災などの多面的な機能を有しており、都民生活に潤いと安らぎをもたらしております。
 また、温暖な気候の島しょ地域や、豊かな自然を有する中山間地域などでは、それぞれの特色を生かした農産物が生産され、地域経済を支える重要な産業となっているところでございます。
 しかし、農業者の高齢化などによる担い手不足や、相続に伴う農地の減少など、東京農業を取り巻く環境は依然として厳しい状況にございます。
 一方、最近におきましては、農家以外からの就農希望者の増加や、女性の感性を生かした商品開発など六次産業化の進展とともに、都市農地に関する制度改正にも動きが出てきているなど東京農業の将来に明るい兆しが見えてきているのも、また事実でございます。
 今回策定をいたしました新たな東京農業振興プランは、こうした諸課題に対応いたしますとともに、東京二〇二〇大会とその先を見据えた東京農業の目指すべき姿とその方向性を示したものでございます。
 今後は、このプランに基づきまして、多様な担い手の確保、育成や、農産物のブランド化、学校給食での地産地消の推進、新たな視点での農地保全など、実効性ある施策を、都民や農業者、農業者団体等の皆様のご理解、ご協力を得て、また、国や区市町村ともよく連携をとりながら総合的に展開をしてまいります。
 東京農業の持つ潜在力や可能性を十分に引き出し、将来を担う農業者が夢と希望を持てる東京農業の実現に向け、局一丸となって全力を挙げて取り組んでまいります。

○島田委員 私からも、東京農業振興プランについてお伺いいたします。
 プランにおきましても、多様な担い手の確保、育成が重要視されております。
 そこで、新規就農者に対する東京独自の支援についてお伺いをいたします。
 西多摩地域には、農家の高齢化、後継者不足の不耕作農地に、近年、他産業から農業に取り組むために、多くの若者が意欲を持って新規に就農しております。
 しかしながら、国によります五年間の給付金を給付されてはいるものの、経済的にも、技術面や、農機具や施設の不足など、多く問題を抱えておりまして、農家として自立することは容易ではありません。
 東京都として、他産業からの新規就農者の課題をどのように捉えて、そして、今後どのように支援をしていくのか、お伺いいたします。

○藤田農林水産部長 農業者の高齢化による担い手不足が深刻化する中、農家以外からの新規就農者を、新たな担い手として確保、育成することは重要なことでございます。
 新規就農に当たりましては、農地の確保に加え、栽培技術や経営ノウハウを学ぶ場の不足、農業機械の導入や施設整備などの重いコスト負担などといった課題がございます。
 そのため、新規就農者に対しましては、栽培技術や経営ノウハウを総合的に習得できるよう、農業技術や経営管理能力にすぐれ、担い手の指導、育成に意欲ある熟練農業者を指導農業士に認定し、みずからの農園で実践的な指導を行う東京都指導農業士制度を実施するとともに、農業機械の導入や施設整備に係る経費を支援いたします。
 今後、こうした取り組みにより、農家以外からの新規就農者を支援してまいります。

○島田委員 ぜひ、新規就農者に対する東京都の支援をよろしくお願いをいたします。
 次に、農業振興地域の振興策についてお伺いをいたします。
 昭和四十四年に施行された農業振興地域の整備に関する法律で、西多摩、八王子、島しょに農業振興地域があります。施行以来、四十八年となりますが、現在では、農業振興地域といえども、不耕作農地がふえているのが実情でございます。
 農業振興地域は、国の振興策はありますが、規模の小さい農業経営が中心の東京都では、事業の採択基準を満たせないことがあり、国からの支援を受けにくい状況にあります。
 農業振興地域の農地は、資産としての運用策もなく、農家、地域は衰退する一方であります。
 都として、農業振興地域に対する認識と今後の支援についてお伺いいたします。

○藤田農林水産部長 まとまった農地が面的に広がる農業振興地域は、計画的に市街化を進める市街化区域とは異なり、国の農業政策により総合的に農業振興を図る地域でございます。
 多摩の農業振興地域では、スイートコーンやお茶、花きなどの産地が形成され、都の農業政策上重要な地域となっております。
 しかしながら、国の事業採択基準に適合しない場合も多く、栽培施設や農道などの基盤の整備が難しい状況もございます。
 このため都は、このような農業振興地域につきましては、独自の施設整備や基盤整備の事業を実施することにより、きめ細かく対応しております。
 こうした農業振興地域の状況を踏まえ、東京農業振興プランに基づき、農業、畜産の生産振興や、農道や農業用水などの基盤整備などに取り組んでまいります。

○島田委員 ぜひ、このプランが作成されたこの折に、さらに農業振興地域の農業の支援をよろしくお願い申し上げます。
 最後に、農産物のブランド化についてお伺いいたします。
 西多摩地域では、秋川のスイートコーンや五日市のノラボウナ、奥多摩のワサビなど、地域の特産品がたくさんあります。
 生産者の収益性をさらに向上することが大事だと思いますが、生産者の収益性をさらに向上するため、特産品をブランド化する取り組みを支援することが重要と考えております。所見をお伺いいたします。

○武田安全安心・地産地消推進担当部長 農業経営の収益性を向上させるためには、地域の特産品の価値をさらに高め、ブランド化を推進していくことが有効でございます。
 このため都では、農業者が農産物の高付加価値化や六次産業化などに取り組む場合に助言を行う専門家の派遣や農産物等の加工施設などの整備、独自のロゴやパッケージのデザイン作成費用などに対し支援するとともに、今年度からは女性農業者の加工品開発に助言を行う専門家の派遣回数を引き上げるなど、ハード、ソフト両面から、都内産農産物のブランド化を推進してまいります。
 今後、こうした農産物や加工品のブランド化を進め、農業者の収益性の向上を図ってまいります。

○島田委員 さきに挙げた特産物は、直売所などでも大変人気があるものとなっております。さらなるブランド化によりまして、さらなる収益性の向上をお願い申し上げまして、質問を終わります。

○尾崎委員 私の方からも、東京農業振興プランについて質問いたします。
 プランの中では、東京農業の現状と課題を明らかにしています。東京の農地面積は十年間で千二百十ヘクタール減少しています。減少率は一四・五%で、このうち市街化区域内では、十年間で九百九十三・六ヘクタールの農地が減少し、減少率は一九・七%で、農地全体では減少に歯どめがかからない状況です。
 地元の農家の皆さんからも、後継者がいない、自分は定年後農業を引き継いだが、自分の代でおしまいになるだろうという声も聞こえてきます。
 後継者問題や担い手の育成、小規模農業でも農業で生計が成り立つようにすることが求められると思っています。
 そこで、東京農業振興プランの中身について幾つか質問いたします。
 江戸東京野菜について、生産や流通の拡大を図るとしていますが、具体的にはどう取り組んでいくのか伺います。

○武田安全安心・地産地消推進担当部長 江戸東京野菜についてでありますが、都は、多くの農業者が安定的に生産できるよう栽培マニュアルを作成し、普及することにより、生産拡大を図ってまいります。
 また、生産者と飲食店との契約栽培の手法など、安定した販路の開拓に取り組むとともに、生産者団体が行う消費者へのPRを支援し、そのブランド力を高めてまいります。

○尾崎委員 江戸東京野菜について、JA東京中央が四十五品目指定しているということも聞いています。
 江戸東京野菜は、一般の野菜と比べると、種や栽培に苦労が多いということも聞いていますが、しかし、野菜本来の味、香り、歯応えなどがあるという特徴を持っていて、一度食べた人は、また食べたいというふうに感じるということも聞きました。
 農家の安定的収入のためには、ほかの野菜との差別化、高付加価値化をつける取り組みができるかどうかが決め手になると思いますので、江戸東京野菜の栽培技術をマニュアル化し、普及することは重要だと思います。
 最近、若者や女性の感性、アイデアで、新しい加工品や農業レストラン、カフェなど、新たな取り組みが農業を持続させる大きな力になっていると思います。
 そこで、六次産業化による加工品の開発、マルシェへの出店、農家レストランの開設など、創意工夫を凝らした取り組みを支援するとプランではなっていますが、具体的にはどんな支援策を行うのですか。

○藤田農林水産部長 農業者の創意工夫ある取り組みを支援するため、都では、六次産業化や販売促進などの新たな取り組みに対して助言を行う専門家の派遣を行っております。
 また、販売促進に向けた独自のロゴやパッケージデザインの作成費用についても助成をしております。

○尾崎委員 全国的にも六次産業化が注目されています。
 私は専門家の方の話も聞いたことがありますが、加工品というとジャムが多いということなんですが、ジャムなどは、どこでも成功するものではないということも話していました。特色をどう出していくのかが重要で、消費者のニーズも、ここでしかないもの、おいしさが納得できるものを望んでいるということでした。
 そうなると、専門家のアドバイスと先進例を教訓にしていくことが重要だと思います。
 産業分野からの支援にとどまらず、支援のあり方も六次産業的にして、加工品の展示や取り組みを交流する場を提供するなども必要だと思いますので、ぜひ検討を求めるものです。
 指導農業士について、二〇一六年十二月に、二十区市町村で四十三名を認定したとあります。
 指導農業士とは、どういう役割があるのか伺います。

○藤田農林水産部長 都が認定する東京都指導農業士は、農業技術や経営管理能力にすぐれ、担い手の指導、育成を行う熟練農業者でございまして、新規農業参入者などの研修生に対して、みずからの農園でともに作業をしながら実践的な指導を行っております。
 具体的には、栽培や出荷作業を体験する五日間程度の農業体験研修や、実践的な農業技術などを学ぶ二十日間程度の農業技術研修を実施しております。

○尾崎委員 昨年度からスタートしたもので、農外からの人への指導として、五日間の体験研修、そして二十日間の技術研修ということです。
 私の活動地域である東村山市では、農業者クラブが市内の農業をみんなで見学して交流する視察研究会を毎年開催しています。ことしは五月三十一日に行い、私も参加してきました。
 同じように、例えば、露地野菜やハウス栽培でも新しい発見があると、参加者の皆さんは感想をいっていました。
 五日間の体験研修と二十日間の技術研修の後も、相談できる人や仲間が必要だと思いますので、ぜひ伴走型支援を求めるものです。
 女性が活躍できる環境の整備を盛り込んだことは重要だと思います。
 そこで、女性が活躍できる環境の整備の具体策について伺います。

○藤田農林水産部長 女性農業者の確保、育成については、その就農段階とニーズに応じた支援を行ってまいります。
 まず、新たに農業を目指す女性に対しては、就農コンシェルジュによる相談対応や、女性が活躍する農家の見学ツアーなどを実施してまいります。
 また、就農後間もない女性農業者に対しましては、農業技術や農業機械の取り扱いなどの基礎的な研修の実施や、仲間づくりなど、定着に向けたきめ細かな支援を行ってまいります。

○尾崎委員 女性にとって、相談ができる場所、悩みや愚痴も含めて交流できることは、女性農業者を支える上で大変重要です。
 私は昨年の委員会でも、この問題を取り上げました。問題は、小規模農業では、夫婦だけでやっているという状況が多く、女性の働きをきちんと評価できるようになっていないような状況があるということです。
 都は、国への制度改善を求めるとしていますけれども、ぜひ、家族従業員の働き分が認められない所得税法五十六条の撤廃も求めるよう要望するものです。
 農家の人から聞いた話で、私は忘れられないことがあります。
 農作業の体験を通して、不登校になっていた子供が、畑で土をいじり、虫を見つけながら作業をしていると、無表情だった子供が生き生きとした顔に変わって、大きな声で話すようになったという事例です。
 保育園と連携して、子供たちが種まきから収穫までの作業を体験し、自分たちでつくった野菜を給食で食べることを通じて、野菜の好き嫌いがなくなり、食育にも大きな効果があるということも聞きました。
 最近では、リハビリ効果や認知症予防などの効果もあるといわれています。定年になったら畑仕事をしたいという人もふえています。
 農作業を体験する場として、市民農園や体験農園、学童農園、福祉農園など、多様な目的に応じた農業を整備充実させていくとありますが、具体的な支援策について伺います。

○藤田農林水産部長 都は、農業者の経営力向上や、農地が有する多面的機能のさらなる発揮のため、多様な目的に応じた農園の整備を進めてまいります。
 具体的には、区市町村や農業者団体が開設する市民農園、各種体験型農園の圃場や休憩所などの整備を支援してまいります。

○尾崎委員 市民農園や体験農園、学童農園、福祉農園など、今後ますます要望が高まると考えられます。
 都内にどのぐらいあるのか、どのような効果があるのか、課題は何かなど、都が把握すべきだと思います。今後は、都が状況をつかむよう求めるものです。
 特に、体験農園については、学童、福祉施設との連携はもとより、大変幅広い方々が参加して、農業、農地の保存に意義がある取り組みとなっています。体験農園を進める農業者への支援を拡充するよう求めておきます。
 地元の農家の皆さんからも関心が高いのが販路拡大です。
 今回のプランの中で、地域の農業者と学校給食関係者との間の連携を強化し、都内産農産物の学校給食への供給を拡大していくとありますが、取り組み状況について伺います。

○武田安全安心・地産地消推進担当部長 都は、区市町村の学校給食への地元産農産物の供給を進めるため、生産者に対し、出荷する農産物の規格や納品方法などについて指導しております。
 特に、農地のない区部への都内産農産物の供給を拡大するため、今年度は、学校給食のモデル地区に指定した新宿区と江東区において、栄養士や調理師、農業者、流通業者で構成する協議会を設置し、円滑な供給体制を構築してまいります。

○尾崎委員 今年度は、モデル地区として、新宿区と江東区で行うということです。農業者の期待も大きいので、実施地域の拡大を要望するものです。
 日本の首都である東京に農業がある、新宿から電車に乗って三十分ぐらいで畑があるというのは、海外の方には大変興味が湧くものだと思います。農業体験や、そこで収穫したものを食べることができるというのは、観光の観点からも大きな魅力だと思います。
 私の活動地域である東村山市や東大和市には梨やブドウがあり、武蔵村山市にはミカン狩りのできる農園もあります。経営力を高め、持続的に農業ができるような工夫も求められています。
 先日、農家の方から、二〇二〇年の東京五輪で、さまざまなおもてなしの行事があると思うが、そのとき、東京の農産物を使うようにしてほしいという要望もありました。ぜひ検討をお願いします。
 国が都市農業振興基本法を制定したことに対し、農業者の皆さんは大変強い期待を持っています。二〇一五年四月に、都市農業振興基本法が制定され、二〇一六年五月に、都市農業振興基本法が閣議決定されました。
 都は、地方計画をつくるのではなく、今までにもあった都市農業振興プランの見直しに地方計画を兼ねるということですが、都市農業振興基本法を踏まえた総合的対策を都として強力に進め、都市農業振興条例をつくることを求めます。条例にすることによって、都市農業の振興、都市農地の確保を、オール都庁として、まちづくり、教育、福祉、文化、環境、税などの多面的な取り組みとして進めることが法的にも担保されることになります。
 都市農業振興の基本理念や、都や都民等の責務、目的などを明らかにし、その実現に向けて取り組むためには、自治体に拘束力のある都市農業振興条例が必要だと強く要望するものです。
 最後に、都市農業、農地に係る制度の改善を国に求めていくとなっています。
 国の制度改善を早急に行うよう強く要望すると同時に、都が独自に実施できる固定資産税の軽減などの実現を早急に行うことを求めて、質問を終わります。

○柴崎委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○柴崎委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で産業労働局関係を終わります。

○柴崎委員長 これより付託議案の審査を行います。
 第百八号議案を議題といたします。
 本案につきましては、既に質疑を終了しております。
 これより採決を行います。
 お諮りいたします。
 本案は、原案のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○柴崎委員長 異議なしと認めます。よって、第百八号議案は原案のとおり決定いたしました。
 以上で付託議案の審査を終わります。

○柴崎委員長 次に、陳情の審査を行います。
 陳情二九第四七号を議題といたします。
 本件につきましては、先日の本会議において本委員会に付託されたばかりで、十分な調査検討を行う時間がありませんので、本日のところは継続審査とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○柴崎委員長 異議なしと認めます。よって、陳情二九第四七号は継続審査といたします。
 以上で陳情の審査を終わります。

○柴崎委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日まで決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○柴崎委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○柴崎委員長 この際、所管四局を代表いたしまして、斎藤港湾局長から発言を求められておりますので、これを許します。

○斎藤港湾局長 本委員会所管四局を代表いたしまして、一言お礼のご挨拶を申し上げます。
 柴崎幹男委員長初め委員の皆様方には、本定例会にご提案いたしました議案等につきまして、熱心なご審議を賜り、まことにありがとうございました。
 ご審議の過程で賜りました貴重なご意見、ご指導につきましては、十分に尊重させていただき、今後の事務事業の執行に万全を期してまいります。
 今後とも、所管四局に対しまして、より一層のご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、お礼のご挨拶とさせていただきます。まことにありがとうございました。

○柴崎委員長 発言は終わりました。
 この際、私からも一言ご挨拶申し上げたいと思います。
 委員長任期の最後の委員会となりました。これまで約一年間にわたりまして、菅野副委員長、伊藤副委員長並びに理事、委員の皆様方には、本委員会の運営に当たりまして、多大なるご協力をいただきましたこと、まことにありがとうございました。おかげさまで委員長職を無事務めさせていただくことができました。また、理事者の皆様方にも、円滑な審議、ご協力いただきましたことを心から御礼を申し上げる次第でございます。
 さて、経済・港湾委員会におきましては、景気対策を初め都民生活に直結しているさまざまな分野を扱う委員会でございます。
 したがいまして、三年後となりますが、東京オリンピック・パラリンピックの開催につきましても、委員の皆様方から出されました意見、ご提言が東京大会の成功に結びつくとともに、東京の経済の発展につながるものと確信をいたしております。
 なお、今期は改選期を迎えるわけでありますが、当委員会所属の議員全員が戻ってこられますことをご祈念申し上げ、引き続きまして、都政の前進に向けてご活躍をいただきますようお祈りをいたしております。
 最後になりましたが、本委員会をお支えいただきました松本書記、藤野さん、佐々木さんにも心から感謝を申し上げまして、ご挨拶とさせていただきます。
 一年間大変お世話になりまして、まことにありがとうございました。(拍手)
 これをもちまして本日の委員会を閉会といたします。
   午後二時一分散会

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