委員長 | 柴崎 幹男君 |
副委員長 | 伊藤こういち君 |
副委員長 | 菅野 弘一君 |
理事 | 中山ひろゆき君 |
理事 | 尾崎あや子君 |
理事 | 山崎 一輝君 |
栗林のり子君 | |
島田 幸成君 | |
上野 和彦君 | |
島崎 義司君 | |
鈴木あきまさ君 | |
かち佳代子君 | |
宇田川聡史君 | |
三宅 茂樹君 |
欠席委員 なし
出席説明員産業労働局 | 局長 | 藤田 裕司君 |
次長 | 片山 謙君 | |
総務部長 | 寺崎 久明君 | |
産業企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 青山 忠幸君 | |
商工部長 | 野間 達也君 | |
金融部長 | 山巻 毅君 | |
金融支援担当部長 | 西川 泰永君 | |
観光部長 | 坂本 雅彦君 | |
観光振興担当部長 | 浦崎 秀行君 | |
農林水産部長 | 藤田 聡君 | |
安全安心・地産地消推進担当部長 | 武田 直克君 | |
雇用就業部長 | 貫井 彩霧君 | |
事業推進担当部長 | 小金井 毅君 | |
労働委員会事務局 | 局長 | 土渕 裕君 |
本日の会議に付した事件
意見書について
労働委員会事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十九年度東京都一般会計予算中、歳出 労働委員会事務局所管分
産業労働局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十九年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為 産業労働局所管分
・第七号議案 平成二十九年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
・第八号議案 平成二十九年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計予算
・第九号議案 平成二十九年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第四十九号議案 東京都工場立地法地域準則条例を廃止する条例
・第七十八号議案 区分建物の買入れについて
報告事項(質疑)
・PRIME観光都市・東京-東京都観光産業振興実行プラン二〇一七-について
・第十次東京都職業能力開発計画(案)について
○柴崎委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
初めに、意見書について申し上げます。
委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申し出がありました。
お諮りいたします。
本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○柴崎委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
○柴崎委員長 次に、予算の調査について申し上げます。
平成二十九年度予算は予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
公文の写しはお手元に配布してあります。
朗読は省略いたします。
平成二十九年三月十六日
東京都議会議長 川井しげお
経済・港湾委員長 柴崎 幹男殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
このことについて、三月十六日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二十三日(木)午後五時
(別紙1)
経済・港湾委員会
第一号議案 平成二十九年度東京都一般会計予算中
歳出
繰越明許費
債務負担行為
経済・港湾委員会所管分
第七号議案 平成二十九年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
第八号議案 平成二十九年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計予算
第九号議案 平成二十九年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
第十号議案 平成二十九年度東京都と場会計予算
第十八号議案 平成二十九年度東京都中央卸売市場会計予算
第二十号議案 平成二十九年度東京都臨海地域開発事業会計予算
第二十一号議案 平成二十九年度東京都港湾事業会計予算
第八十六号議案 平成二十九年度東京都中央卸売市場会計補正予算(第一号)
(別紙2省略)
○柴崎委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、労働委員会事務局及び産業労働局関係の予算の調査並びに産業労働局関係の付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
これより労働委員会事務局関係に入ります。
予算の調査を行います。
第一号議案、平成二十九年度東京都一般会計予算中、歳出、労働委員会事務局所管分を議題といたします。
本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○柴崎委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○柴崎委員長 異議なしと認め、予算案に対する質疑は終了いたしました。
以上で労働委員会事務局関係を終わります。
○柴崎委員長 これより産業労働局関係に入ります。
予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
第一号議案、平成二十九年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、産業労働局所管分、第七号議案から第九号議案まで、第四十九号議案及び第七十八号議案並びに報告事項、PRIME観光都市・東京、東京都観光産業振興実行プラン二〇一七について外一件を一括して議題といたします。
本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○寺崎総務部長 去る二月十七日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元の経済・港湾委員会要求資料の表紙をおめくりください。
目次でございます。資料は全部で十三項目ございます。
次のページをごらんください。過去十年間の予算額、決算額の推移につきまして、一ページに中小企業対策、また次のページをお開きいただきまして、二ページに農林水産対策、三ページに雇用就業対策をそれぞれお示ししてございます。
なお、雇用就業対策につきましては、内訳として国基金事業関係費を記載してございます。
四ページをお開きください。平成十二年以降の従業者規模別都内製造業の推移をお示ししてございます。
五ページをごらんください。新・元気を出せ商店街事業につきまして、過去八年間の実績を内容別にお示ししてございます。
六ページをお開きください。過去十年間の都内労働者の賃金の推移をお示ししてございます。
七ページをごらんください。過去五年間の派遣労働者数の推移につきまして、全国と東京都内それぞれについてお示ししてございます。
八ページをお開きください。過去五年間の派遣元事業所数、派遣労働者数、一般労働者派遣事業・特定労働者派遣事業別の派遣労働者の賃金の推移につきまして、全国と東京都内それぞれについてお示ししてございます。
九ページをごらんください。東京都正規雇用転換促進助成金及び東京都若者応援宣言企業等採用奨励金につきまして、平成二十九年一月末現在の実績をお示ししてございます。
一〇ページをお開きください。過去三年間の都立職業能力開発センターにおける能力開発訓練(普通課程)の授業料収入をお示ししてございます。
一一ページをごらんください。過去五年間の都立職業能力開発センター校別の就職支援推進員の配置状況の推移をお示ししてございます。
一二ページをお開きください。過去十年間の東京の農地面積の推移をお示ししてございます。
一三ページをごらんください。平成十九年以降の区市町村別農地面積、市街化区域内農地、生産緑地面積の推移をお示ししてございます。一三ページが区市町村別農地面積の推移、また次のページをお開きいただきまして、一四ページが市街化区域内農地の推移、一五ページが生産緑地面積の推移でございます。
以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
○柴崎委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を一括して行います。
発言を願います。
○鈴木委員 都議会自民党の鈴木あきまさであります。
本日、質問するに当たって、今、自民党安倍政権、安倍内閣、経済政策第一ということで取り組んでおりまして、その成果というものも大分出てきたのかなというふうには思っております。その経済政策の大黒柱は、いうまでもなく、この成長戦略であります。その三本の矢の政策は、オールジャパンというようなところからすれば、今後、地方創生にかかっている、その政策にかかっているということなんだと思います。
しかしながら、東京が日本の経済と景気を引っ張っていくんだと、そういう使命は、我が東京都は変わらないんだというふうに思っております。平成二十九年度の予算、とりわけ、この産業労働局の予算の執行が、施策として東京の隅々まで、それぞれの業態、それぞれの皆さん、働く皆さんに血液として行き渡っていくということが大事だというふうに思っております。
そういうような観点から、私は、ものづくり中小企業等の成長に向けた支援を初め、全十五問、少々長くなりますが、質問させていただきますので、局長初め担当の部長の皆様のしっかりとした答弁をお願い申し上げたいと思っております。
それでは、まず最初に、航空機産業への参入支援についてお伺いをしてまいります。
航空機産業は、世界市場において、年平均五%程度の拡大が見込まれる成長産業であり、参入企業の継続的な受注が期待できるとともに、先端技術の結集であることから、他の産業への応用とか波及効果の非常に高い産業であるといえると思います。
輸送客の生命を預かる航空機には極めて高い安全性が必要であり、この航空機産業に参入するには高度な技術力と信頼性が求められております。東京都は、高い技術と参入意欲のある中小企業のネットワークを形成し、連携強化等を支援してまいりましたが、中小企業が受注を獲得するためには、技術力の向上や受注体制の強化を図るための一層の支援が必要であります。
そこで、平成二十九年度における都の対応につきまして、まずお伺いをします。
○野間商工部長 都はこれまで、航空機産業への参入を後押しするため、中小企業によります受注ネットワーク形成を支援してまいりました。
来年度からは、こうした企業が航空機部品に要求される高い技術水準や国際規格への対応など、国内外からの具体的な発注ニーズに対応できる体制を確保できるよう、技術支援や中小企業の人材育成支援を強化いたします。
具体的には、産業技術研究センターにおきまして、開発中の航空機への採用を目指した新製品、生産技術の共同研究の実施や、試作品製作、実証試験の支援を行うとともに、米国の材料規格に対応した設備を導入し、規格に精通した専門スタッフを配置することによりまして、中小企業を支援いたします。
また、中小企業が部品納入時に高度な品質保証を行う必要があるため、超音波等によります部材の内部の状況を調査する非破壊検査を担う人材の育成を支援してまいります。
具体的には、国内では数少ない専門人材の養成が可能な機関等に派遣研修先を確保するとともに、研修費用の補助を行ってまいります。
こうした取り組みによりまして、中小企業の航空機産業における継続的、安定的な受注獲得と持続的な発展につないでまいります。
○鈴木委員 今、答弁をいただきましたけれども、私どもの大田区におきましては、例えば株式会社上島熱処理工業所等々、今、そういうような事例があるわけでございまして、大型ジェット機の新機種の部品として採用に向けて準備中でございます。
今、答弁もいただきましたように、この航空機産業は、世界市場で本当に今後ますます拡大が見込まれている産業でありますから、産業労働局としても、中小企業の参入支援をしっかりと拡充していただきたい、このように要望をしておきます。
さて、次は、医工連携支援の強化についてお伺いをしてまいります。
医療機器産業は景気に左右されず、今後も大きな成長が見込まれる分野であり、さらには少量多品種生産を特徴としており、中小企業には参入余地が大きいわけでございます。
東京都では平成二十七年度より参入支援事業を開始して、私もこの開所式には出席をさせていただきましたけれども、日本橋に開設した医工連携イノベーションセンター等において、ものづくり企業向けの勉強会やニーズ発表会、マッチング支援を実施しているところであります。
しかしながら、参入企業が自社の技術、強みを生かして、臨床ニーズやアイデアを製品化、事業化していく上では、医療現場の実情や法規制などの知識、ノウハウを持つ社内人材が必要となるわけですが、中小企業が専門の異なる領域で開発人材を育成していくことは困難であります。そこで、中小企業の医療機器開発を強力に推し進めていくためには、継続的に臨床現場のニーズを酌み取り、企業とのマッチングの場を創出するとともに、中小企業の人材育成を具体的に後押しすることが必要と考えます。
そこで、平成二十九年度における都の対応についてお伺いをいたします。
○野間商工部長 都は、まさに今、委員からお話がございましたとおり、平成二十七年度より、臨床機関や医療機器メーカーとのマッチング支援、技術開発経費の助成などを実施して、ものづくり中小企業の医療機器産業への参入を支援しております。
来年度には、参入企業によります医療機器開発を一層推進するため、医療現場のニーズを継続的に収集し、中小企業とのマッチングを支援するとともに、ニーズを踏まえて、自社の技術シーズを的確に機器開発につなげることのできるリーダー的人材の育成を支援いたします。
具体的には、都が連携いたします大学病院等において、組織的、継続的に幅広いニーズを収集いたします。
都は、病院が収集したニーズをデータベースに掲載するとともに、ニーズ発表会を開催いたしまして、ものづくり企業のシーズとの効果的なマッチングを図ってまいります。
また、中小企業の開発者等を対象に、部材供給、機器製造といった業態に合わせて、法規制、医学の基礎知識、安全性試験、リスクマネジメント等についての講座を開設いたします。
こうした取り組みによりまして、中小企業の成長と東京発のすぐれた医療機器開発を後押ししてまいります。
○鈴木委員 今、答弁にありましたように、医工連携の支援の強化というものは、今後最も大事な分野であるなというふうに私は考えております。きめ細かく中小企業が人材育成ができるように、医療機器産業への参入支援をぜひとも拡大していただきたい、このようにお願いをしておきたいと思います。
さて、次は、成長に向けた金融支援の充実についてでございます。
そこで、まず最初に、ファンドを活用した資金調達の支援について伺ってまいります。
東京には大田区の、私の地元ですが、下町ボブスレーや、墨田区の「江戸っ子一号」、これは浜野製作所ですが、こういったものを生み出す、きらりと光る技術を持つ中小企業が数多く存在しております。こうした中小企業が新たな事業展開に踏み出す際や、ベンチャー企業が革新的なビジネスに挑戦する際には、金融機関からの借り入れが難しい場合が多く、融資以外の資金調達手段があることが非常に重要であります。
ファンドは、例えば創業期の研究開発型企業など、当面は安定的な収入が見込めないものの将来に成長が期待できる企業の資金調達に有効であり、東京都はこれまでもファンドによる支援を実施してまいりました。
二〇一五年のベンチャー投資は、日本が一千三百二億円であるのに対し、アメリカはもう七兆円もあるわけでして、東京都はやっぱりこういうところもよく注視をしていただきたいなというふうに思うわけでございます。
ファンドは、例えば創業期の研究開発型企業など、当面は安定的な収益が見込めないものの将来に成長が期待できる企業の資金調達には有効であり、東京都はこれまでもファンドによる支援を実施してきたことは申し上げましたけれども、でも、私からすれば、日本のベンチャーの投資は、今いったように、まだまだ低い水準なんですね。ですから、ファンドからの資金調達を期待する企業には十分応えられていないんじゃないでしょうか。
大田区では、この二十八年余りで、工場数や従業員数、出荷高が七割前後も減少をする中、ものづくり中小企業が医療機器や福祉用具の製造といった新たな分野に進出をするために、公的ファンドの設立と製品販売等々を支援する機関の設置を検討する動きが現在ございます。東京の成長を支えるベンチャー企業、中小企業のファンドによる支援を一層強化していくことが重要と考えます。
そこで、平成二十九年度における都の取り組みについて伺います。
○山巻金融部長 都におけるファンドは、民間資金を活用した資金供給とファンド運営事業者による手厚い経営支援を行うことが特徴でございまして、平成十二年度以降、ベンチャーの育成など、さまざまなテーマのファンドを設立いたしまして、ベンチャー企業や中小企業の成長を支援してまいりました。
現在は、有望な技術力などを持つものづくりベンチャーを対象といたしましたベンチャー企業成長支援ファンドと、大学、大企業等と連携し、さらなる成長を目指す中小企業を対象といたしました中小企業連携促進ファンドに出資しておりまして、株式上場を果たす企業が生まれるなどの成果を上げているところでございます。
これらに加えまして、来年度は、IoTやAIなど先端技術分野におけるイノベーションの創出に向け、新たなファンドを創設いたしまして、ベンチャーの起業初期段階に対する支援を強化してまいります。
支援対象などタイプの異なる三つのファンドによりまして、将来性のあるさまざまな分野の企業の育成や新しい産業の創出を図ってまいります。
○鈴木委員 今、山巻金融部長から答弁をいただいたところなんですけれども、ちょっと私の地元の実情もお話ししながら、ぜひファンドをより活用できるように工夫してもらいたいんですよ。
大田区の町工場の結集としてつくり上げた下町ボブスレーをまず紹介したいんですけれども、私も本当は政治家として恥ずかしいんだけれども、こういった取り組みというのは、政治や行政の力というのかな、お手伝いなくしてつくり上げたものなんですよ。この下町ボブスレー本体をつくるのに、町工場の経営者の皆さん、これは、まず細貝さんという方が四、五百万、まず自分で立てかえたんですよ、資金調達した。で、この町工場の皆さん、若手が加工しましたから、加工費はゼロなんです。
現在、六号機を製作中で、映画の「クール・ランニング」等々、見られた産労局の方もいらっしゃると思うけれども、これがお金のないジャマイカチームの目にとまって、五号機のナショナルチームの採用がまず決まったわけです。
六号機には、地元の中小企業や金融機関、今、さわやか信金とか城南信金、ひかりTVやキヤノン、荏原製作所、こういったところなどが資金提供をしてくれるようにまでなってまいりました。
しかしながら、この生産価格と販売価格には乖離があるわけなんですね。そんな中でファンドが使えれば、本当に成果の上がるボブスレーができていくな、こうした下町ドリームこそ、ファンドとして支援すべきなのではないのかなというふうに私は思います。
墨田区の、先ほど申し上げたような浜野製作所のつくり上げた「江戸っ子一号」もしかり、製作に当たって、中小企業の社長、おやじさんたちが、原資の回収を度外視して、百万、二百万、三百万と投資をしているわけなんです。
それで、また医工連携ファンドのことでお話をすれば、私の地元の東京商工会議所の大田支部と大田工業連合会の両会長名で、昨年の秋に、大田区メディカルデバイスファンドの設立について、松原大田区長に提案、要望書を提出したところであります。その趣旨は、大田ブランドを守り育てるためには、製造業の構造変換が不可避であり、医療産業など新しい分野への進出が必要である。その具体的な方策として、医療機器、福祉用具等の製造に進出するため、公的ファンドの設立と新しい法人を設ける等、新たな活動基盤を早急に構築する必要があるというものでございます。
そこで、こうしたきらりと光る取り組みを、産業労働局が発掘しなさいと私はいいたいんですよ。局長も現場を見に行ってほしいの。光を当てなさいというふうにいいたいんです。こうしたきらりと光る取り組みこそ、使えるファンドをつくるべきなんじゃないんですか。それでこそ東京全体のものづくりの底上げとなるというふうに考えているんです。
私は、これは本当は局長に答弁を求めたいの。だけれども、ファンドの問題だから、もう一回、金融部長に、私の今の思いも聞いていただいて、もう一回答弁してください。
○山巻金融部長 都はこれまで、さまざまな政策のテーマに沿ったファンドを活用してきておりまして、数多くの企業に対し、きめ細かな支援を行ってきており、上場企業が生まれるなどの成果を上げてきたことは先ほどご答弁申し上げたとおりでございます。
委員お話しのとおり、東京にはきらりと光るすぐれた技術や発想を持つ中小企業が集積しておりまして、まさに宝の山といえるものだと思います。
東京都といたしましては、来年度創設するものも含めました三つのファンドの特徴を生かしまして、将来性のある企業や企業グループを発掘いたしまして、その取り組みを支援することにより、東京の産業の活性化につなげてまいりたいと考えております。
○鈴木委員 再答弁いただきましたけれども、ぜひ形にしていただきたいな、使えるようにしていただきたいなと、このようにお願いをしておきたいと思います。
それでは、その続きなんですけれども、クラウドファンディングを活用した資金調達支援についてお伺いをさせていただきます。
東京の産業を活性化させるためには、より多くの創業を生み出していくことが重要です。東京都はこれまで、制度融資や女性・若者・シニア創業サポート事業により、多くの創業者によって課題となる資金調達を支援してまいりました。
最近では、フィンテックの進展を背景として、一般の方々からインターネットを通じて資金を調達するクラウドファンディングの市場が拡大をしております。創業や新製品の開発などにおいて活用されつつあるものの、国内のクラウドファンディング市場は、海外に比べると、まだまだ発展途上の段階といえると思います。
創業の推進に向けては、こうした新たな仕組みを積極的に取り入れ、資金調達支援を充実させていくことが非常に重要であります。
そこで、平成二十九年度における都の取り組みについてお伺いをいたします。
○西川金融支援担当部長 クラウドファンディングは、創業希望者等が取り組もうとする、その事業内容をインターネット上に掲載いたしまして、その内容に共感した不特定多数の人々から返済を必要としない資金を調達することができる仕組みでございます。
創業希望者の中には、実績や担保がないため融資を受けられない方や、あるいは金融機関から融資を受けることをちゅうちょする方もいらっしゃいます。
都は来年度、そうした創業希望者の資金調達を支援するため、クラウドファンディングの普及や活用を支援する事業を開始いたします。
具体的には、創業希望者に対しまして、相談窓口の設置やセミナーの開催を通じて、効果的な活用方法を紹介いたしますとともに、創業希望者がクラウドファンディング事業者に支払う利用手数料の二分の一を百件程度補助いたします。
今後、六月にクラウドファンディング事業者の公募を開始いたしまして、事業者を五社程度選定した後、十月に事業を開始する予定でございます。
こうした取り組みを通じまして、より一層幅広い人々の創業への挑戦を後押ししてまいります。
○鈴木委員 次は、中小企業向けの金融支援の強化、制度融資における信用保証料の補助の拡充についてお伺いをさせていただきたいと思います。
私、実はこの中小企業だよりの三月号を、毎月もちろんいただいているので見ていますけれども、(資料を示す)皆さんも見ていらっしゃると思いますが、これの一月のところを見ますと、全産業としての売上高は前年同月比でマイナス一六・六、曇り、製造業は前年同月比マイナス一九・七%、曇り、非製造業は前年同月比マイナス一四・九%の曇りということで、非製造業の数値からは、先月から一転して悪化しているんですよね。
いいですか、皆さん。でも、これを細かく見ると、鉄鋼とか金属、ダイカスト製品製造業なんていうのは受注量は微増しているんだね。缶製造業も〇・九%のプラス、メッキ加工業も同月比で微増しているのね。あるいは、同じく製造業、機械器具製造業等々も受注が増加等々書いてございます。
じゃあ、卸売業等々はどうなっているんだということだけれども、食品卸売業界は多少好転する兆しを感じている、梱包材料卸売業は上向きになっていくんじゃないかなと期待しているという程度です。青果卸売業は、仕入れ高は前年同月比で一〇八・七%で大分いいんですよ。いろいろこうあります。ガラス製品製造業、木材、こういうところがいいのね。造花卸売業も若干いい。じゃあ、小売はどうなんだというと、鳥肉とか、鳥の卵の小売をしているところは、やや横ばいか、いいかなあ。青果の大田市場の取扱金額が三千億を突破して、都内のシェアの五〇%を超えているわけ。商店街では、銀座はいいんだね。でも、武蔵小山はまあまあなんですよ。クリーニング業は、まだまだかな、若干かなというような、こういうことなんですね。
こういうような今の東京の経済を、しっかりと状況というのを見ながら、私は、今、景気は緩やかな回復基調にあると冒頭いったけれども、まだまだ厳しい中でも、こういうふうによくなってきているところも出てきている。
中小企業や、人材不足や設備の老朽化、こういった構造的な課題に直面するには、リーマンショックへの対応等により急増した条件変更企業が依然として高い水準で推移しているんですよ。経営改善が進まない企業も存在しているんですよ。実際に、保証利用企業のうち条件変更企業、全国ベースで十・二万人のところが十七万人になっているわけだよ、変更しているところがね。
こういう状況を見ると、経営改善が進まない中小企業では、設備更新や運転資金確保のための資金調達が難しくて、事業継続も困難になりやすいために、やっぱり金融部、あるいは産労全体としても、このような企業の支援が急務なんですよ、わかったでしょう、今でも。そういうような、この東京の経済活性化のためには、こうした中小企業の経営改善につながる金融支援が必要であります。
ということで、中小企業向けの金融支援の強化、こういった制度融資における信用保証料の補助の充実、東京の経済活性化をするためには、中小企業の経営改善につながる金融支援が大事ですね。
こういった必要性を鑑みて、年度末にもいろいろと制度融資をいじっていただいて、年末年始のやりくりもお願いしてやってもらっています。だけれども、この平成二十九年度における取り組みは大事、この点をお伺いしましょう。
○山巻金融部長 資金繰りに苦しむ中小企業では、人材面での課題などがございまして、独力で経営改善に取り組むのが難しい状況でございます。
このため都は、来年度、制度融資におきまして、中小企業支援機関と金融機関とが連携をいたしまして、企業の経営改善の取り組みを後押しするメニューを新設いたします。
具体的には、支援機関によります支援を受け、経営改善計画を策定した中小企業が経営支援融資を利用する場合に、信用保証料の補助率を優遇いたします。
対象となる支援機関は、東京信用保証協会、都内全ての商工会、商工会議所、東京都よろず支援拠点、東京都中小企業振興公社でございます。
これらの機関で実施しております経営相談や専門家派遣事業、経営改善計画策定支援事業など、中小企業の経営改善計画の策定につながる支援策を幅広く対象といたします。
この取り組みによりまして、中小企業の経営基盤の強化を進めていくことで、東京の経済の活性化につなげてまいります。
○鈴木委員 金融支援、しっかりやっていただきたいと思います。
そこでです。次は、中小企業の経営基盤の強化に向けた支援についてお伺いをしてまいります。
中小企業の間では景気回復が実感されておらず、申し上げたとおりです。依然として厳しい経営環境にある業態、たくさんありますね。中小企業は、財務状況の改善や生産コストの削減、人材の確保、営業力やガバナンスの強化など、さまざまに置かれた状況により、抱えている課題もさまざまであります。経済の持続的成長のためには、各社が経済情勢や事業環境の変化を乗り越えられるよう、強固な経営体質を身につけていくことが不可欠であります。
経営維持のためには、直面するさまざまな課題の解決が必要でありますが、独力で課題の発見と解決に取り組むことは困難です。中小企業が抱える課題の迅速かつ的確な解決のためには、一気通貫で行う支援がやはり重要と考えます。つまり、中小企業の経営安定に向けた取り組みから受注機会の拡大までの支援を充実させ、中小企業の稼ぐ力のもととなる経営基盤を強化することが必要であります。
そこで、中小企業の経営基盤の強化の取り組みを促進するために、一気通貫による支援の内容についてお伺いをしてまいりたいと思います。
○野間商工部長 都は来年度、企業の経営診断から経営課題の解決に向けた取り組みまでを一貫して支援いたします中小企業活力向上プロジェクトの規模を拡大して実施いたします。
今年度は、十二月末時点で当初の年間予定件数を超える千百七十九回の経営診断を実施しておりまして、ホームページ上に設けましたオンラインでの無料経営診断の利用者もふえるなど、企業からのニーズが高まっております。
このため、経営診断の規模を一千回から一千三百回に拡大いたします。さらに、経営診断後、短期間での課題解決を支援いたしますプログラムの規模を五百回から六百回に拡大いたしまして、経営改善に向けました具体的な支援を充実してまいります。また、中長期的な課題の解決や経営戦略の策定から、その実行までを支援するプログラムでは、規模を一千八百回から二千二百五十回に拡大いたしまして、企業の将来的な成長を積極的に後押ししてまいります。
加えまして、経営診断等により、販路開拓が必要であるとされた中小企業に対しまして、国内外の展示会への出展等を支援いたします新・目指せ中小企業経営力強化事業では、展示会出展により新規成約につながった企業も多くございまして、利用ニーズが高いことから、実施規模を五百十件から六百八十件に拡大いたします。
こうした取り組みによりまして、中小企業の経営基盤の強化につなげてまいりたいと考えてございます。
○鈴木委員 今、ご答弁いただいたように、中小企業活力向上プロジェクト、予算額四億六千万円余ですね。それぞれ回数を拡大していただいております。
新・目指せ中小企業経営力強化事業、予算額が十億六千四百万円ということだけれども、これも五百十回から六百八十回。これ、展示会の出展は大事なんですよ。だから、これは特にしっかり拡充してもらいたいなということをお願いしておきたいと思います。
さて、次に、事業継承と再生支援についてお伺いをしてまいります。
中小企業経営者の年齢は年々高齢化が進行しております。この二十年間で、経営者の年齢のピークは何と四十七歳から六十六歳にまで上昇しているんですね。今後、このまま高齢化が進んでいくと、さらに多くの中小企業が、世代交代や企業活力の維持などの問題に直面をしてまいります。企業のすぐれた技術やノウハウの蓄積が失われてしまうことのないよう、事業継承の着実な実施が重要であります。
事業継承を実現するためには、経営基盤の安定化、株式等の個人資産の整理、後継者の育成など、さまざまな準備が必要です。しかし、中小企業の経営者は、みずからも本業に携わっており、必要な準備が進んでいないのが現状です。
また会社を受け継ぐ後継者にとっても、資産、従業員、ノウハウなど、会社の全体像を把握して経営方針を決定するなど、社長としてのスキルの習得が必要といえるのではないでしょうか。
円滑に事業継承を進めていくためには、経営者、後継者に対する一層の支援の充実が必要だと考えます。
そこで、平成二十九年度における都の対応についてお伺いをいたします。
○野間商工部長 都は、これまで実施してまいりました事業承継、再生に関する普及啓発セミナーや窓口相談等に加えまして、今年度から、一社一社の企業を訪問し、事業承継等への経営者の理解を深めてもらう巡回相談に取り組んでおります。
相談員の訪問、助言を受けました中小企業が、事業承継等の窓口相談を利用して、次期経営者の見定めや育成に向けた戦略づくりに着手するなどのケースも出てきてございます。こうした巡回相談からの掘り起こし案件は、二月末現在で三十一件に上りまして、事業承継等に関します全体の新規相談も、前年同期比で約一・五倍の百九件に増加しております。
経営者に自社の事業承継の問題を認識してもらい、具体的な行動を促していくためには、相談員が複数回にわたり企業に足を運び、各社の実情を踏まえました的確なアドバイスを行うことが重要でございます。
このため来年度は、巡回相談員を一名増の三名体制といたしまして、一社当たり三回程度を目途に、年間延べ七百二十回の訪問を目標といたします。
また、後継候補者に対しまして、経営者に求められます決断力や実務的な能力などのスキルを付与するため、事業承継塾のカリキュラムを充実させてまいります。
具体的には、財務や労務管理など企業経営の基礎知識に関します講義に加えまして、自社を題材といたしました市場戦略や事業計画の立案、金融機関等のステークホルダーに対しますプレゼンテーションなどを実践するカリキュラムを計八日間で集中的に行います。
こうした取り組みによりまして、円滑な事業承継を後押ししてまいります。
○鈴木委員 そこで、次は、中小企業の人材確保の支援、人材確保支援事業について伺わせていただいます。
中小企業の成長に人材は不可欠ですが、景気の回復に伴い、この人材確保競争は激化しております。平成二十九年一月は、都内の有効求人倍率は二・〇五倍ということであります。中小企業は大企業に比べ知名度も低く、専任の採用担任者がいないケースもあり、採用ノウハウが十分ではありません。
都は昨年度から、中小企業の人材確保を支援する事業を実施しております。雇用環境が改善し、若者の大企業志向も強まるなど、中小企業の人材不足は一層深刻化している、こういうふうにいっていいんじゃないでしょうか。
そこで、東京の持続的な成長に向けて、より多くの中小企業に支援が行き渡るよう、支援を強化すべきではないでしょうか。その点、平成二十九年度の取り組みはどういうふうになっているのか、お伺いをしたいと思います。
○小金井事業推進担当部長 都は昨年度から、採用意欲は高いものの人材確保に課題を抱える企業百社に専門家を派遣しまして、求職者に自社の魅力や求める人材像が明確に伝わるよう、採用ノウハウの提供を行っております。
また、ハローワークと連携して、企業が求める要件に合った求職者との面接会を個別に開催するなどの支援も行っております。
来年度からは、事業規模を二百社に倍増させるほか、支援企業の人事担当者が取り組み内容やノウハウを互いに情報交換できる交流会を新たに開催することとしております。
○鈴木委員 そこで、次は、将来を見据えた担い手の確保と育成について、お伺いをさせていただいてまいります。
少子高齢化の進展で、東京都も二〇二五年は人口減少社会に突入、生産年齢人口も減少することが見込まれて、中小企業の人材不足は慢性化することが懸念されております。
中小企業の人材を確保して成長を続けていくためには、女性や高齢者など、多様な人材が中小企業を支える人材として活躍してもらうことが重要でございます。女性や高齢者は、働く意欲のある方も多数いますが、現状では十分に活躍できていない、十分に活躍できる状況にはなっていないというふうにいえるんじゃないでしょうか。
そこで、中小企業が女性や高齢者など多様な人材を確保できるよう、積極的に支援をしていくべきと考えますが、平成二十九年度における都の対応についてお伺いをいたします。
○小金井事業推進担当部長 都は来年度、採用に苦慮する企業からの悩みに専門の相談員がきめ細かく対応する窓口を新たに設置いたします。
この窓口では、相談に訪れた企業に対し、課題の洗い出しや求人条件の優先順位等、採用に対する考え方を整理した上で、女性や高齢者等を採用の選択肢の一つとして理解してもらうため、先進的な取り組み事例なども含め、情報提供をしてまいります。
また、実際の採用に向けては、仕事の切り出しや勤務時間の柔軟な設定など、求人内容の見直しについて、専門家を派遣し、企業の現場でアドバイスを行います。
こうした支援を通じて、女性や高齢者等にも応募しやすい求人内容とし、マッチング効果を高めることで、中小企業における多様な人材の確保を支援してまいります。
○鈴木委員 そこで、次に、若者の人材育成に向けた地域との連携について伺います。
若者のものづくり離れも叫ばれる中、中小企業では、若者の確保に苦慮いたしております。例えば、私の大田区では、高校と地域の中小企業や団体が連携をして、将来を担う若者を育成するため、大人の実際に働く姿を見せて、働くということはどういうことかということを学び、若者が自分の将来の仕事にはっきりとした希望を持ってもらうことができるように、積極的なキャリア教育に取り組んでいるところであります。
若者の仕事の選択に当たっては、さまざまな仕事を見て、将来の仕事への意識を醸成していくことが必要ですが、高校を中退、卒業してもそうした意識を持てない若者も存在しております。こうした若者に、職業訓練を通じて、みずから仕事を選択できるように支援することが必要であります。
東京都では、ジョブセレクト科を設置して若者を支援していますが、高校はもちろん、地域の中小企業や自治体、ハローワークなど関連機関と連携していくことが重要だと考えますが、平成二十九年度における都の対応についてお伺いをいたします。
○小金井事業推進担当部長 先生地元の大田区の団体におけるキャリア教育についての活動については、私も十分承知しているところでございます。
そこで、都は、高校中退者等、主に職業経験がない若者を対象に、みずからの適性に合った仕事を選択できるよう、城東職業能力開発センターにジョブセレクト科を設け、機械、電気、建築等のさまざまな仕事を二カ月間で体験した後、希望に応じて本格的な訓練を引き続き受講できる仕組みを取り入れました。
生徒の募集に当たっては、教育庁や若者サポートステーションの協力を得て、一度、高校を離れてしまった若者に対して訓練の情報を伝えるとともに、墨田区と連携した体験見学会も開催しております。
また、訓練生の就職を支援するため、江戸川区と連携をしまして、地域の中小企業を見学するバスツアーを行うほか、ハローワークとの共催で合同就職面接会を開催しております。
これらの取り組みにより、今年度はジョブセレクト科を四十二人が受講しまして、そのうち四人が就職しました。また、二十五人が引き続き本格的な訓練を受講しており、今まさに訓練中の方もおります。
今後は、同様の科目を多摩地域にも設けることとしており、地域の中小企業、団体、区市町村、ハローワーク等の関係機関とも積極的に連携して取り組んでまいります。
○鈴木委員 若者の人材育成に向けて、地域の中小企業や団体と連携し、効果的な事業運営に取り組んでいることはわかりました。
本委員会に報告のあった第十次東京都職業能力開発計画では、城南職業能力開発センターの大田校を、今後、こうした人材育成、技能継承の拠点として機能を強化していくことが打ち出されております。
キャリア教育は、職場見学、職場体験、就業体験、長期就業体験というように段階的に重要性を増していきます。これに対して、行政として本腰を入れることが今、求められているといえると思います。今後、具体的な内容の検討を進めるに当たって、地域の企業や業界団体の具体的なニーズを把握するなど、しっかりと連携して進めるよう要望してまいります。
次に、都内での立地を希望する企業に対する情報提供について、お伺いをいたします。
東京の製造業の衰退が懸念をされているわけであります。そういうことで、都としても都内製造業の維持発展を図るために、立地に関する情報提供や助言を行うための体制を整備することが必要と考えますが、平成二十九年度における都の対応についてお伺いします。
○野間商工部長 都は来年度、企業の立地に関しますきめ細かな情報提供や窓口での相談対応を行います相談センターを新たに開設いたします。
センター内に相談員を配置いたしまして、都内への新規進出や工場の増設を希望する企業等に対しまして、区市町村や不動産事業者等で構築するネットワークを活用いたしまして、工場跡地や遊休地といった工場適地に関します情報や、立地に関する自治体の支援制度等の情報をワンストップで提供いたします。また、企業からの立地に関する相談に対しましては、地域特性や立地条件を踏まえた適切なアドバイスを行ってまいります。
これに加えまして、進出希望企業を対象といたしましたセミナーを開催いたしまして、企業が必要とする有用な情報を提供するとともに、区市町村を対象といたしました情報交換会を開催し、各自治体の施策の参考となるよう、最新の立地動向や企業誘致の取り組みに関する課題等を共有してまいります。
これによりまして、都内のものづくり企業の立地促進につなげてまいります。
○鈴木委員 都内には、地域工業の維持発展を図ることを目的に活動する工業団体が各地に存在しているわけです。東京工業団体連合会は、これら団体のまとめ役として、各団体の発展に尽力をいたしております。
最近では、多摩地域のものづくり団体の組織化にも積極的に取り組んでおり、工団連の舟久保会長は三多摩を行脚いたしております。多摩高度化事業協同組合、鍵谷理事長ですけれども、このたび工団連に加盟しました。こうした地域工業団体等とも連携をすることで、各事業のニーズを捉えた、きめ細かな支援を展開していただきたい、このようにお願いをしておきます。
次に、ビッグデータの活用の観点から、観光振興についてお伺いをいたします。
中小の観光事業者等が観光ビッグデータを活用しやすく、ビジネスチャンスの拡大につながるよう取り組みを推進すべきと考えますが、来年度の都の取り組みについてお伺いをいたします。
○坂本観光部長 東京を訪れる外国人旅行者がふえる中、その訪問先や消費のニーズを正確に把握し、観光施策に生かしていくことは重要でございます。
都は現在、東京を訪問する外国人旅行者にアンケートによる調査を行いまして、出向いたエリアや、そこを訪れ満足した観光テーマ、さらには訪都の回数などの特徴を取りまとめて公表し、事業の企画などに役立てているところでございます。
来年度でございますが、外国人が観光で体験した内容や感想などを発信するツイッター等の情報を幅広く集めまして、ビッグデータとして分析した結果をウエブサイトで公表することで、観光事業者の業務展開に役立つサポートを行ってまいります。
具体的には、旅行者の国籍や年齢を初め、訪都の目的や移動のルート、消費の内容等を、首都大学東京と協力いたしまして収集、分析して、全般的な傾向などを公表いたします。
こうした取り組みによりまして、正確な情報を踏まえた観光関連のビジネスの展開を後押ししてまいります。
○鈴木委員 今、答弁いただきましたビッグデータの構築と活用によって、しっかりとウエブサイトにおいて観光事業者等に向けた情報の発信というのを実施していただきたいと思います。これは新規でしょう。しっかりやってください。
いよいよ最後になってきましたけれども、次に、都内産の花や植木の夏場における利用促進について、ぜひお伺いしたいんですね。
都内産の花や植木の夏場における利用促進を図るためには、効果的な利用方法の検討や展示PR活動が非常に大事だと思うんですよ。その点、来年度予算でどのような取り組みをしていただけるのか、お伺いをします。
○藤田農林水産部長 都はこれまで、夏場に開催される東京二〇二〇大会での都内産の花や植木の活用を図るため、暑さに強い花苗の研究や、植栽の少ないところにも木陰をつくり出せる移動式植木コンテナの開発、国内外からのお客様を都内産の花や緑でもてなす機運を醸成する装飾展示などを行ってまいりました。
来年度は、夏場の利用に向く都内産の花苗の植栽試験を都立日比谷公園で引き続き実施するとともに、新たにその特性や管理方法などを取りまとめたPR冊子を作成し、都民や事業者に広く周知を図ってまいります。
また、植木コンテナにつきましては、引き続き、東京ビッグサイトで実証展示を行うとともに、量産化や広告掲載による維持費の軽減など、民間での活用に向けた低コスト化の取り組みを進めてまいります。
さらに、おもてなし機運を醸成するため、これまで行ってまいりました東京テレポート駅での装飾展示に加え、夏休みのイベントと連携して、子供たちを対象としたフラワーアレンジメントなどの体験ができるワークショップを開催いたします。
こうした取り組みにより、生産者や関係団体等と一層の連携を図り、都内産の花や植木の利用拡大に努めてまいります。
○鈴木委員 るる伺ってまいりました。
そこで、さまざまな課題もあり、どこに予算をしっかりつけるのかということを私、質問もし、お答えをいただいたわけでございます。
そこで、最後に、この産業労働局の平成二十九年度一般会計予算には、預託金等々の金融支援も含めて、四千七百二十二億円もの金額が計上されているんです。もっとふえてもいいと思う。倍でもいいと思う、東京が日本を引っ張っていくために。
そういう中で、産業労働局の平成二十九年度予算を効果的に活用し、東京ひいては日本の経済活性化に向けて、産業振興、雇用就業対策の両面において、ぜひしっかりと取り組んでいただきたいとお願いをしたいと思います。
そこで、最後になりましたけれども、来年度、平成二十九年度に向けた局長の力強い決意をお伺いして私の質問を終わります。
○藤田産業労働局長 東京二〇二〇大会まであと三年と迫り、世界の注目が集まる中、東京はさらなる発展を遂げる絶好の機会を迎えておりまして、我が国経済の牽引役として、東京は引き続き持続的に成長していくことが求められております。
こうした認識のもと、当産業労働局では、地域の実情やニーズ、これは中小企業対策をとりましても、委員から先ほど詳細にご指摘ございましたとおり、業種、業態によりまして状況はさまざまでございます。刻々と変化をしていくものでもございます。こうした地域の実情やニーズを十分に把握しつつ、昨年十二月に策定をされました二〇二〇年に向けた実行プラン、これに基づきまして、各分野において直面するさまざまな課題の解決に取り組んでいきたいというふうに思っております。
まず、都内経済を支える中小企業の振興に向けましては、高い技術力を生かした成長産業分野への参入やイノベーションの創出など、委員お話しの下町ドリーム、こうしたことも含めまして、新たな挑戦への支援も充実させてまいりますし、もともとの大もとの、足元のこういった経営基盤を固める資金繰りの問題、あるいは人材の確保、育成などにつきましても、手厚い支援を講じていきたいというふうに思っております。
また、一方、働く方々がその意欲と能力を十分に発揮できるよう、女性が働きやすい職場環境づくりや働き方改革、そして高齢者や障害者の就業促進などを、あわせて着実に進めてまいります。
さらに、二〇二〇年とその先を見据えまして、海外からのインバウンド需要を取り込みまして、観光を有力産業に発展させる施策を重層的に展開いたしますとともに、大会を契機といたしました都内産農林水産物の消費拡大、こういったものもあわせて図ってまいりたいと思っております。あわせまして、大会開催の効果を全国に広げるために、日本各地との連携した産業振興施策も一層充実していかなければならないというふうに思っております。
こうしたさまざまな施策の実施に当たりましては、区部や多摩地域、島しょ地域など、それぞれの地域の強みや魅力を的確に捉えまして、先ほど来、ご指摘を頂戴いたしました、私自身も現場を見せていただきながら、高い施策効果が得られるよう努力をしていきたいと思っております。
いずれにいたしましても、ただいまいただきましたご提案、ご指摘、こういったものを踏まえつつ、今後とも、東京から日本の経済を牽引していくとの強い決意のもと、東京の産業振興に局の力を結集させて取り組んでまいりたいと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。
○伊藤委員 私からは、まず初めに、中小企業支援と雇用就業について質問をさせていただきたいと思います。
景気は緩やかな回復基調とのことでありますけれども、都内の中小企業の業況はいまだ予断を許さない状況であります。中小企業の中には、厳しい経営環境から抜け出せない事業者も多くあります。都内経済を支える中小企業の経営基盤の強化は、万全を期さなければならないと考えます。
都は、こうした中小企業の根本的な課題を解決し、中小企業の経営や業態の改善を初め、中小企業が抱えるさまざまな問題を解決する支援の取り組みを行っております。総合相談窓口、これを中小企業振興公社に設置していただき、そしてまた、そこから専門家を派遣していただく。私は、すばらしい事業だというふうに思います。
地元の品川の企業も、本当に経営状況が悪化をし、そして倒産寸前まで行った企業をここにつながせていただいて、懇切丁寧に、何が問題なのかをしっかりと洗い出していただいて、そして、その中小企業の持つ可能性をしっかり引き出していただいて、今やその会社さん、企業さんは、仕事が来てしようがないというぐらい変わったということであります。こうした例が私の周りにも幾つもあるわけで、この事業については高く評価をしているところであります。
まず、私の方からは、この中小企業支援事業としての総合相談と専門家派遣事業について、これまでの実績と成果について伺いたいと思います。
○野間商工部長 都は、中小企業振興公社にワンストップ総合相談窓口を設けまして、中小企業診断士、弁護士、ITコーディネーターなど、各分野の専門家が無料のアドバイスを実施してございます。経営や法律の分野など、企業が抱えます相談のニーズに応じまして、都や公社等が実施するさまざまな中小企業向け支援策への橋渡しを行っております。
また、幅広い分野の専門家を約三百名登録いたしまして、課題を抱える中小企業に派遣して、現場でアドバイス等を行う専門家派遣事業を実施しております。
この事業を利用した企業からは、現場の状況をつぶさに視察した専門家の助言を受け、作業動線や工具類の配置などの合理化に取り組んだ結果、作業工程の無駄の削減を実現したとの報告もございます。
○伊藤委員 先行きが見えない経済情勢のもと、依然として厳しい環境に置かれている中小、また小規模事業所もあると思います。
こうした中小のところ、いろいろな企業があるわけでありますけれども、中小企業の中でも歴史ある企業については、昔からやっていたやり方でいいんだというところもあれば、昔のとおりではだめなんだと。だけど、何をどう変えていいのか、何がわからないのかわからない、こういう企業も多くあるわけでありまして、今、これまでの実績と成果を述べていただきました。
こうした支援事業を一層強化していくべきだというふうに思いますけれども、見解を伺いたいと思います。
○野間商工部長 専門家派遣事業の利用実績は、平成二十六年度は二百十三社、二十七年度は二百四十九社でございまして、今年度については、二月末時点で二百六十一社と、既に前年、前々年を上回る件数となっております。
現場の実情に応じた具体的かつ実現可能なアドバイスは、中小零細企業にとって経営に高い改善効果をもたらすことから、来年度はより多くの企業が利用できますよう、専門家の派遣規模を現行の千六百回から約千八百回に拡充いたします。
○伊藤委員 この総合相談、また専門家派遣事業について、これからもぜひしっかりと拡充をしていっていただきたいのと同時に、こういうことをやっているということも、また情報発信をぜひともやっていただきたい、このように思います。
東京においては、まだしばらくは人口増加の傾向でありますけれども、どの業種からも人手不足であるという声が上がっております。都内では、景気の緩やかな回復の中、人手不足が深刻化している実態が、私たちもまち中を歩いていて実感することであります。
一方、有効求人倍率も上昇し、若年層の雇用環境も改善傾向にありますけれども、やりがいと生きがいの持てる仕事、企業に出会えるかどうか、マッチングも重要な視点であります。
都は、魅力ある中小企業に学生等が訪問する仕事体験ツアー事業を行っておりますけれども、この事業は、若者に中小企業の魅力を十分に理解してもらう絶好の機会であり、成果が期待できる事業であることから、私は昨年の事務事業質疑において本事業の拡充を求めたところでありますけれども、来年度の都の取り組みについて伺いたいと思います。
○小金井事業推進担当部長 都は昨年度から、東京カイシャハッケン伝と題します広報冊子やウエブサイトにより、中小企業の魅力を学生等に向けて発信するとともに、その掲載企業を学生等が訪問し、社内見学などを通じて、経営者や若手社員から、仕事のやりがいや会社の雰囲気等について、直接話を聞くことができる仕事体験ツアーを開催しております。
今年度は十四回開催し、参加した学生からは、ネット情報ではわからない中小企業の魅力に気づくことができ、就職活動の幅が広がったなどの感想が寄せられる一方、受け入れ企業からも、学生の新鮮な考えに触れ、社員も刺激を受けた、参加した学生が当社に応募してくれて採用につながったとの反響がございました。
こうした声を踏まえ、来年度は開催規模を三十回に拡大します。このうち十回を、例えば大学のゼミ単位で利用できるようにするなど、学生がより参加しやすいツアーとしてまいります。
こうした取り組みを通じまして、若者が中小企業の魅力を体感し、選択肢を広げて就職活動ができるよう後押ししてまいります。
○伊藤委員 ありがとうございます。
来年度は、これまで十四回だったものが三十回に拡大される。そのうちの十回が大学のゼミ単位で利用ができるということで、この拡充策を高く評価したいと思います。
一方で、仕事の魅力と企業のマッチングに悩むのは、大学生だけではないわけであります。例えば、一度は就職はしたけれども、仕事内容や、あるいは人間関係などに悩んで退社したり、あるいは転職を考えたりしている若者も多くいるわけであります。
こうした学生以外の若者にも、今、答弁いただいたような、産業労働局が取り組む、この事業の情報が届くように、周知もあわせて拡充していくべきだというふうに思いますけれども、見解を伺いたいと思います。
○小金井事業推進担当部長 都は、在学中の学生だけでなく、一度就職したものの、離職してしまった若者等にも中小企業の魅力を紹介するため、先ほどの東京カイシャハッケン伝を、若者応援ハローワークやしごとセンター等に配布しています。
また、若者に情報が届くよう、掲載企業の写真やアピールポイントをSNSで定期的に発信しているほか、来年度からは、カイシャハッケン伝の内容や仕事体験ツアーの様子をわかりやすく紹介した動画をウエブサイトに掲載いたします。
今後とも、こうした取り組みにより、広く若者に中小企業の魅力を発信してまいります。
○伊藤委員 今ご答弁いただいた中にありましたけれども、東京カイシャハッケン伝、随分おもしろいネーミングをつけたんだなと感心をしましたけれども、中身も読ませていただきました。昨年の年末の冬号ですか、また女性向け特集号ということで、中を見ると、中小企業といっても、十数人の企業もあれば、三百人に近い企業もあれば、若い方々、特に女性の方々ですけれども、中小企業に出会って就職をし、また、子育てをしたり、さまざま、自分の人生をしっかりと歩んでいる様子が、これでよくわかりました。
ハローワークだとか、しごとセンターにこれを配布しているということでありますけれども、もうちょっと広く配布できないか、ぜひとも検討していただきたいのと、今度は動画をウエブサイトに掲載するということでありますけれども、そのウエブサイトに掲載することもしっかりと発信をしていただきたい、このように要望しておきたいと思います。
次に、障害者就労支援について伺いたいと思います。
私は、昨年の事務事業質疑で、障害者の職業訓練の拡充について求めたところでございます。職業訓練といっても、いきなりの本格的な訓練ではなくて、段階的に訓練を積み上げていくことで、着実に障害者の方が就労につながることが重要であると考えます。
そこで、二十九年度の障害者の職業訓練の拡充策について、都の取り組みについて伺いたいと思います。
○小金井事業推進担当部長 都は、東京障害者職業能力開発校に就業支援事務科を設置しまして、基礎的な事務やビジネスマナーなどを三カ月で習得した後、希望に応じて専門的な訓練を学ぶことができる仕組みを取り入れたところでございます。
精神障害者や発達障害者等を対象とした訓練では、障害特性に応じたきめ細やかな対応が重要であることから、少人数のクラスで、授業時間を柔軟に設定するなど工夫を行っており、今年度は定員の二十人を上回る三十二人の応募がございました。
就職を希望する精神障害者や発達障害者が増加している状況も踏まえ、来年度、これまで同様のきめ細やかな対応を維持しつつ、定員を二十人から四十人に拡大してまいります。
○伊藤委員 答弁いただきました、これまで同様のきめ細かな対応を維持しつつということで、定員の拡充を図られるということでありますので、ぜひとも障害者就労にしっかりとつながるように、また丁寧に対応していっていただきたい、このように思います。
東京障害者職業能力開発校については、現在、建てかえ工事を実施されているところであります。さきの委員会で報告のあった第十次東京都職業能力開発計画では、建てかえに当たり、東京障害者職業能力開発校を障害者訓練の拠点として整備するとしております。
平成三十年からは、精神障害者が法定雇用率の算定基礎に加えられることもあり、この開発校を拠点として、障害者の職業訓練のさらなる充実を図っていくべきと考えますけれども、見解を伺いたいと思います。
○小金井事業推進担当部長 東京障害者職業能力開発校は、現在建てかえ工事を行っており、平成三十年四月から新校舎での訓練を開始する予定です。これを契機として、都は障害者訓練の拡充を図っていくこととしております。
具体的には、さらなるニーズが見込まれる精神障害者や発達障害者を対象とした職域開発科の訓練メニューの充実や、先ほど答弁しました就業支援事務科から連続して受講できる科目の拡大などを検討してまいります。
また、都における障害者訓練の拠点として、東京障害者職業能力開発校における訓練ノウハウを他の校と共有することや、障害者支援を行う東京しごと財団との連携なども検討してまいります。
○伊藤委員 障害者は、身体障害、知的障害のみならず、近年では精神障害者、そしてまた発達障害者が増加傾向であります。今、答弁をいただいたような東京障害者職業能力開発校における丁寧な訓練の取り組みを知らない都民も多くいらっしゃると思います。
そこで、特別支援学校はもとより、都立高校全日制や、あるいは定時制、さらには一度、社会人になったものの発達障害などで行き詰まったり、また就労に悩みを持つ人たちにも都が実施する訓練の情報が行き届くように周知方法も拡充していくべきと考えますけれども、見解を伺いたいと思います。
○小金井事業推進担当部長 東京障害者職業能力開発校では、特別支援学校等に職員が直接赴いて進路指導担当者等に訓練内容を説明するとともに、同指導者を対象に見学会も開催しております。
また、ハローワークや就労支援機関等の職員を通じて、先生おっしゃるとおり、社会人等へ訓練の情報を提供するために、それぞれの職員向けに見学会も開催しております。
さらに、来年度は、教育庁や都立高校、区市町村、ハローワーク等の関係機関で構成されます都立高校生進路支援連絡協議会などの場も活用しまして、全日制などの都立高校の進路指導担当者へのさらなる周知にも取り組んでまいります。
○伊藤委員 来年度は、この周知についてもさらに拡充を図っていくということでございました。
これまで私が出会ってきた方々の中に、一度はいわゆる大企業に勤めたものの、どうも中学生、高校生、大学に入って、人とのかかわりがうまくいかないことを悩みつつ、非常に優秀な方ですので、大企業に入られた。だけれども、どうしても自分が苦しいということで相談に行ったところ、恐らく発達障害ではないかということの診断を受けて、その会社を退職されて、そしてそれ以来、ちょっと家の中にひきこもりぎみになってしまう。ちょうど年齢も、結婚されて子供さんが生まれたばかり。
このような、若い世代の人たちで、先ほど申し上げたとおり、一度、社会人なったものの、何かのそういうことで行き詰まったり、就労に困っている、悩みを持っている人たちがたくさんいるわけであります。
全てが全て、この東京障害者職業能力開発校で受け入れられるか、そうではないかもしれませんけれども、どうか産業労働局の雇用就業部の方で、そういう都民も多くいるということをしっかり視野に入れて、今後も事業の展開をしていっていただきたい、このように要望させていただきます。
次に、被災地支援について伺いたいと思います。
過日は、東日本大震災より六年目を数えました。都が引き続いて行ってきた被災地支援事業は、三・一一を忘れない、こういう観点からも大変に重要な一つ一つの事業であります。
中でも、我が党が求め事業を発足、そして継続してきた被災地応援ツアーへの評価は、被災地からはもとより、都民からも評価が高い事業であります。
この五年間の実績の中で、これまでの成果と二十九年度の取り組みについて伺いたいと思います。
○坂本観光部長 都は、被災地応援ツアーについて、東日本大震災による被災地復興支援のための緊急対策の一環として、平成二十三年九月から実施をしております。
このツアーによりまして、平成二十七年度末までに宿泊では約十四万五千泊、日帰りでは約五万一千人分について助成を行うことで、多くの旅行者の福島県などへの旅行を後押しし、現地での消費を喚起するなど、観光振興による復興に貢献をしてまいりました。
今年度のツアーでは、福島県への旅行者を対象に、宿泊二万泊、日帰り一万五千人分について、その費用の一部を助成しているところでございます。
また、都内の学校が福島に教育旅行を行う場合に、福島県の施策と連携し、経費の一部に補助を行う仕組みを新たに導入いたしました。
新年度は、福島県の観光の状況と現地の要望を十分に踏まえた適切な支援を行うため、今年度と同様の事業内容を継続してまいります。これによりまして、福島県の震災からの復興を着実に後押ししてまいります。
○伊藤委員 この被災地応援ツアーを初め、東京は被災地を忘れない、ぜひこの気持ちを継続して、事業も継続していただきたい、このように思います。
次に、本年年初に亡くなられました故木内議員の志も継いで、東京の伝統工芸の発展と伝統工芸の情報発信について質問をさせていただきたいと思います。
ことしの十一月には、経済産業省などの主催によりまして、伝統的工芸品全国大会が東京で開催をされます。
東京の伝統工芸の魅力を全国のみならず世界へ発信する絶好の機会であり、都としても、この機会を積極的に活用すべきであります。
また、東京国際フォーラムを中心に東京駅周辺で開催されるとのことでありますけれども、海外からの来訪者にも関心を高めてもらえるよう、しっかりと都として取り組んでいくべきと考えますが、あわせて見解を伺いたいと思います。
○野間商工部長 伝統的工芸品月間国民会議全国大会は、伝統的工芸品の普及促進を目的に、昭和五十九年から毎年、国と地元により開催されている事業でございます。来年度は、東京で初めての開催となります。
都は、開催地といたしまして、都指定の伝統工芸品四十品目について、展示販売や製作体験を通じ、実物を目で見て手にとる機会を提供するなどにより、その魅力を強力に発信してまいります。
東京の玄関口であり、多様な人が集まる丸の内エリアを会場とし、二十五万人を目標に集客を図り、これまで伝統工芸との接点が少なかった層も含めて、幅広く来訪者の関心を高める機会としてまいります。
また、多くの外国人に来場してもらえますよう、SNSなどによる事前PRに加え、会期中は広告などにより周辺エリアの外国人来訪者を積極的に誘致するとともに、会場での通訳配置や多言語展示等も充実させてまいります。
○伊藤委員 この全国大会は昭和五十九年から始まって、東京での開催は初ということで、やっと東京に来るということであります。また、二〇二〇東京大会を三年後に控えて、日本の文化を世界に発信する文化プログラムも、この東京から本格的に稼働をしていく本年であります。
私は、この機会に、伝統工芸品のすばらしさを、文化的な背景なども含めて、世界に発信し伝えていくべきと考えております。また、二〇二〇東京大会とその先を見据えて、この大会の成果を今後につながるものにしていくべきと考えますけれども、見解を伺いたいと思います。
○野間商工部長 全国大会では、これを契機に伝統工芸品の魅力をより深く理解してもらえますよう、脈々と受け継がれてきました技法や素材による高い品質を、これらを育んできた歴史的、文化的背景等とともに、わかりやすく伝えてまいります。
また、動画等のコンテンツにより、大会前からホームページ等で国内外に向けて伝統工芸品の多面的な魅力を広く発信するほか、大会終了後も伝統工芸品展や海外展示会の場などにおきまして、効果的なPRツールとして活用してまいります。
大会の開催を通じてこうした成果や経験などを得て、伝統工芸の一層の普及促進を図ってまいります。
○伊藤委員 私は、特に江戸の伝統工芸品、これは江戸文化、江戸時代の人々の生活の、暮らしの知恵が詰まったものが工芸品になっていることだと思います。
ただ品物を見て、そして売って、買ってで終わりでなくて、その伝統工芸品を通して、この江戸文化、江戸東京を本当に世界に発信できるような取り組みとしてぜひとも継承していっていただきたい。このように要望しておきたいと思います。
次に、水辺のにぎわいづくりについて伺いたいと思います。
桜の開花が待ち遠しいこの季節、この三連休も大変に暖かい日差しの中で、私の地元品川の水辺周辺には、区内、都内のみならず、他県からの来訪者も、水辺環境に触れながら、多くの人々が思い思いに楽しんでいる光景がありました。
しかし一方では、交通機関から離れた場所や、近くに店舗一つなく、大変に苦労したという声も上がっていたのも事実であります。
水辺エリアはまだまだポテンシャルの高い観光資源が数多くあり、都の観光施策としても、戦略的に水辺のにぎわいづくりにしっかりと力を入れていっていただきたい、このように思います。
そこで、水辺のにぎわいづくりについて、都は、来年度はさらに事業拡充を図っていくべき、このように思いますけれども、見解を伺いたいと思います。
○坂本観光部長 東京の水辺を観光振興に役立てるため、運河や河川の周辺のエリアににぎわいを生み出すとともに、舟運の活性化を図ることは重要でございます。
都は今年度より、水辺空間を活用して地域の観光関連団体が集客を図る取り組みへの助成を開始いたしました。これによりまして、天王洲エリアでは、水辺でのフードコートや小型のクルーズ船を使い周遊を楽しむイベントが開催されたところでございます。
こうした水辺の観光振興を企画する地元の要望が多いことを踏まえ、新年度には、助成の件数を五件から七件にふやして支援の充実を図ります。
このような取り組みによりまして、水辺空間を活用した観光振興を進めてまいります。
○伊藤委員 私の地元品川区を流れる京浜運河については、お隣の大田区から品川区、品川区から港区の方へとつながっているわけであります。
都の水辺のにぎわいの創出事業は地元の観光関連団体への支援が中心であり、せっかく開催されるイベントも、情報が途切れてしまっては連続した水辺の魅力を十分に味わえないことになってしまう、このように思います。
どうしても都の支援が、大田区の観光協会とか、品川区の観光協会、港区のNPO何とかとか、行政単位になってしまうので、川は流れているんですけど支援事業が流れていないということで、こうした課題を解決するためにも、都は、区をまたいでも、開催されるこうしたイベントについて、点からこれを線にしていく、線からこれを面にしていく、こうした広がりを創出できる情報発信を、都として努めていくべきじゃないか、このように考えますけれども、いかがでしょうか。
○坂本観光部長 東京の水辺エリアににぎわいを生み出すため、旅行者の誘致に役立つさまざまな情報を紹介することは重要でございます。
都は、観光公式ウエブサイト「GO TOKYO」の中で、昨年の八月から東京舟めぐりというコーナーを設け、観光のために利用できる水上交通に関し、運行ルートや時刻表に加え、料金などの情報を一括して提供しております。
新年度は、このコーナーの充実を図り、自治体や民間団体が水辺で開催するイベントを調べて掲載するほか、イベントの様子を参加者が紹介するコラムを設けることとしております。
こうした取り組みによりまして、水辺空間への観光客の誘致を効果的に後押ししてまいります。
○伊藤委員 私の方から最後に、夜の東京の魅力の向上について伺いたいと思います。
今、質問してきたような、イベントなどによって水辺のにぎわいや観光地を盛り上げていくことも重要でありますけれども、東京の魅力はそれだけではありません。
私は時折、品川の高層ビルの上の方から都内の夜景を眺めることがありますけれども、遠くにスカイツリーやレインボーブリッジのほか、林立するビルやマンションの明かり、また、東京港方面に目を向ければ、行き交う船や飛行機なども東京の夜の暗闇の中でひときわきれいに輝いておりまして、東京の夜の姿に感動することがあります。
また、ふと見渡せば、もっと身近なところに、ふだんは見過ごしてしまうような場所であっても、夜、ライトアップをすれば、さらに魅力が高まるところもたくさんあると思います。
都は、来年度の新規事業として東京ライトアップ発信プロジェクト事業を始めるとのことでありますけれども、その具体的な事業内容について伺いたいと思います。
○坂本観光部長 これまで都は、夜間のすぐれた景観をつくり出すため、橋や庭園などにおいてライトアップを行ってまいりました。
来年度は、地域の貴重な自然である桜並木やもみじについて、観光関連の団体等がライトアップを行う取り組みを支援いたします。
具体的には、照明の借り入れなどに必要な費用に関し、五百万円を上限として、春と秋にそれぞれ六カ所を対象に、三カ年の助成を行います。
この三月には、先行的に品川のかむろ坂の桜並木などを対象とする取り組みへの補助を実施いたします。
また、民間事業者や区市町村がライトアップによる観光客の誘致を行う場合の整備経費の三分の二について、三千万円を上限に助成を行います。
さらに、ライトアップの事例に関して、東京の観光公式ウエブサイトなどによりPRも行います。
これらの取り組みによりまして、ライトアップを活用した観光振興を着実に進めてまいります。
○伊藤委員 本日は、中小企業支援、若者や障害者への就労支援、被災地支援、伝統工芸の発展、水辺やライトアップによる東京の魅力の創出など、さまざまに質問をさせていただきました。
東京の活力を引き出すのは、私は産業労働局にかかっている、このように思っております。どうか局長を中心に、若い職員の皆さんの発想も大事にしていただいて、都庁全体の活力をも産業労働局が引き出していく、この思いで頑張っていただきたいし、私も期待をし、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○中山委員 まず、第十次東京都職業能力開発計画案について質問してまいりたいと思います。
少子高齢化で人口が減る中で、働く一人一人の力を最大限に引き出すことは、働き方改革も含めまして喫緊の課題でございます。
国内総生産を人口と生産性で掛け算する、答えを導くならば、人口の減少の中、今の生活を維持しようと考えるならば、生産性を高めなければなりません。そういう意味では、少子高齢化が進む日本では、貴重な働き手に対して、今まで以上の成果を期待することになるわけであります。
第十次東京都職業能力開発計画案は第一部と第二部で構成されておりますが、この計画は職業能力開発促進法に基づき、国の第十次職業能力開発基本計画を受けて策定する、都における職業能力開発に関する基本となる計画であります。
そこで、促進法に基づいて、あらかじめ事業主、労働者、その他関係者の意見聴取を経た上で計画案を策定したとのことですが、どのような方法で意見聴取をしたのか、まずお伺いをします。
○小金井事業推進担当部長 今回の第十次計画策定に当たりましては、事業主や労働者の団体に加え、東京都職業能力開発協会や国の関係機関など計七団体に対し、対面または文書により計画案の説明を行い、関係者からの意見聴取を実施しました。
これに加え、都民から広く意見を聴取するため、本年二月二十日から三月六日までの間、パブリックコメントを実施したところでございます。
○中山委員 幅広い都民から、あるいは団体から意見聴取をしたということが明らかになりましたが、計画案でも示されているように、労働生産性では、やっぱり中小企業において、大企業と比較すると労働生産性が低い傾向にあることが示されているわけでございます。
とりわけ、中小企業はこの労働生産性の向上を目指すための能力開発をすることの余裕がないということがうかがい知ることができます。
そこで、中小企業の能力開発に対する課題をどのように捉えているのか、所見を伺いたいと思います。
○小金井事業推進担当部長 東京が持続的な成長を遂げていくためには、中小企業が従業員の人材育成等を通じて、企業の生産性を高めていくことが重要でございます。
従業員に対する人材育成は、基本的には企業がみずからの責任で行うべきものでございますが、ご指摘のように、中小企業では指導する人材やノウハウの不足、さらには人材育成を行う時間がないなどといった課題を抱えている場合も少なくないことから、都は、多様な職業訓練の機会を提供するなど、従業員の技能の向上にみずから取り組むことが困難な中小企業を支援しているところでございます。
○中山委員 今、答弁いただいたとおり、一義的には企業がみずからの責任において人材育成なり教育をしていくことが大切だということであります。
ただ、私の地元台東区においても、皮革製品の産業、地場産業が大変多く集積をしているわけなんですが、都立の城東職業能力開発センター分校で学ばれて職業に入ってくる方々もいるんですけれども、しかし、中小企業の場合、なかなか職場に入ってキャリアアップさせるというところまでの余裕がないと、生産性の向上がうまくいってないという声を、よく地元で聞くわけでございます。
経営者の思いはあるけれども、現実は厳しいということが実態でありますので、中小企業の課題をよく踏まえて事業展開を図っていただきたいと要望をいたします。
そしてまた、そうした現状を踏まえて今回のこの計画案の方向性が示されているわけですが、その中で、二つの点に沿って伺ってまいりたいと思います。
一つは、企業のニーズに合わせた教育訓練資源をきめ細かくコーディネートする機能を強化する点であります。
二つ目は、全員参加型の社会の実現に向け、訓練生の特性に応じた職業訓練の地域展開を図り、潜在的労働力の掘り起こしを推進していく点。
以上、この二点に着目した観点から質問させていただきたいと思います。
先般、都議会の方で、男女共同参画社会推進議員連盟の講演会が開催をされました。講師は順天堂大学の教授の小笠原先生という方でありましたが、テーマは、女性アスリートをめぐる課題と現状についてでありました。
要は、そもそもスポーツは男性のためにつくられたものであることから、女性のアスリートを育てる課題、もう一つは、女性のスポーツ実施率を上げるためには、多様性を受け入れられるダイバーシティーマネジメントが重要なことでありました。
そして、それぞれの女性の特性、あるいはスポーツのかかわり方、余暇の使い方など、スポーツに参加し、継続を促すためのアプローチ方法があるということであります。
一方で、職業においても同じことがいえると思いますが、どちらかといえば、日本は男女格差については後進国といえるのですが、見方を変えれば、その分、生産性の伸びしろがあるということにもつながってくるわけでございます。
そこで、育児や家事により時間を確保できないなどの女性に対するきめ細かい支援が必要と考えますが、所見を伺います。
○小金井事業推進担当部長 都では、女性の再就職を支援するために、育児や家事をしながらでも参加しやすいように、居住地に近い場所で、授業時間を短く設定し、パソコンの基礎的なスキル等を習得する訓練を実施しているところでございます。
さらに、来年度は、パート等に就業しており、時間のとれない女性を対象に、正社員への転職を支援するため、自分で時間を調整することができるeラーニングによる訓練を実施します。
○中山委員 先ほど都議会の男女共同参画社会推進議員連盟の講演会でのスポーツ実施の実例を出しましたが、女性がスポーツをすることを思いとどまらせる根本原因が、外見から判断されるということでありました。
例えば汗だくになってしまう、あるいはそれは格好悪いとか、運動着を着ているとおかしいと思われるんじゃないか、そういうことが、なかなか実施が多くならないということでございます。
計画案では、これまで女性が働く現場とされていなかった建築などの職種にもアプローチするべく、施策が盛り込まれております。
そこで、これまで女性が働くとされていなかった分野においても、女性に目を向けて、その能力を発揮することができるように支援していくべきと考えますが、見解を伺いたいと思います。
○小金井事業推進担当部長 これまで、建築等の現場は主に男性が担ってきましたが、最近では女性の活躍も見られるようになってきております。
また、職業能力開発センターの住宅内外装仕上科や住宅リフォーム科などでも、女性の訓練生がふえており、仕上げや施工主への対応がきめ細かいなどの理由により、女性の卒業生の採用を望む企業も見受けられます。
そのため、都は、女性向けのパンフレットを作成し、建築や機械、電気などの分野でも女性が活躍できることを紹介するとともに、それらの科目を受け持つ女性の指導員をあわせて紹介するなど、女性を含む誰もが活躍できるよう、能力開発を支援しているところでございます。
○中山委員 今、ご答弁があったとおりでありまして、昨今では、工事事業者においても、女性でもできるような工具を開発したりとか、そういう事業者もかなりあらわれているわけでございます。そういう面では、あらゆる可能性を導き出せるような施策の展開をしていただきたいと思います。
次に、先日、高齢者の定義を見直すとの報道がありました。あくまでもこれは報道ベースですけれども、最近の科学データを分析した結果、高齢者の身体機能や、あるいは健康状態、知的能力は年々向上し、現在の高齢者は、十年前と比べ五歳から十歳は若返っているとのことであります。
これは、元気な高齢者がふえたという国民の実感とも合致しているわけでありますが、こうしたことから、計画案の方向性でも示されているように、全員参加型に合致した高齢者の生きがい的就労の方向性は、大変重要な視点であると考えます。
中には現役時代と同じように働ける人もいるので、従来の仕事を続ける雇用延長も選択肢ではありますが、週五日働くのはつらいという人も多いのが現実ではあります。そういう人たちのために、働きやすく、なおかつ若い人の仕事を奪わないような働き方と、そのための技能や技術を磨くきめ細かい支援が必要と考えますが、所見を伺います。
○貫井雇用就業部長 高齢者は、働き方や収入の希望、健康状態など個人差がありますことから、都では、個々の高齢者のニーズに応じた多様な就業への支援を実施しております。
具体的には、東京しごとセンターで就業相談や職業紹介等を行うほか、区市が整備するアクティブシニア就業支援センターへの補助を行っております。
また、東京しごとセンターにおきましては、高齢者への採用意欲の高い中小企業の団体と連携してマンション管理員や警備、介護や保育補助などの就職支援講習を実施しておりまして、修了時には合同就職面接会を開催して就職につなげるなど、きめ細かい支援を行っております。
○中山委員 今、答弁がありましたとおり、個人差はあるものの、元気な高齢者が多い中、全員参加型社会を目指す、一つの大きな取り組みだと考えます。
また、身近な地域における高齢者の多様な働き方の支援を、シルバー人材センターの会員向け研修において福祉家事援助サービス分野の充実を図るなど、身近な地域での高齢者の就業を支援するとあります。
しかし、地域でもよく聞く話なんですけれども、市区町村のシルバー人材センターの会員にはなるんだけれども、なかなか仕事が見つからないという声をよく聞くわけでございます。
そこで、シルバー人材センター側ももっと営業努力をするべきと考えますが、所見を伺いたいと思います。
○貫井雇用就業部長 シルバー人材センターは、地域の課題や社会のニーズと会員の就労ニーズをマッチさせ、就業機会を拡大する取り組みを行っておりまして、都は、こうした意欲の高いセンターに対し、支援を行っております。
具体的には、地域の高齢化等に対応できるよう、福祉家事援助サービスの推進に取り組み、専門のコーディネーターをセンターが配置した場合、都がその人件費を助成しております。
また、複数の区市町村にまたがる広域的な発注に対応できるよう、シルバー人材センター連合である東京しごと財団が、各センターと協働して案件の受注に取り組んでおります。
さらに、就業分野の拡大のために、従来の請負就労に加え、労働者派遣事業に取り組むセンターに対して、区市町村を通じ、重点的な補助を行っております。
○中山委員 現場の声として受けとめていただきたいというふうに思います。
今後、生産年齢人口が減る中で、女性やシニアの社会参画を進めていかないと、もう経済成長ができないことが明らかであります。特に女性においては、サービス産業の需要者、つまり消費をしている人の七割が女性であると。つまり、家庭の中で女性が財布のひもを握っているということであります。
したがって、女性向けのサービスを開発するためには、女性の力が必要であることが証明をされているわけであります。企業に女性を投入しないと経済が伸びない、そんな時代になったわけです。もちろん優秀な人材が確保できれば、それだけ企業の収益力も高めることができます。
そこで最後に、働く能力を引き出す投資に、今後、国も都ももっと前向きになるべきと考えますが、都の所見を聞いて、次の質問に移ります。
○小金井事業推進担当部長 東京の持続的な成長を遂げていくためには、人材育成等を通じて、従業員一人一人が生み出す付加価値を高め、中小企業の競争力を一層強化していくことが重要でございます。
今般、都が策定しました第十次の計画においては、施策の基本的方向性の第一に、人材育成を通じた企業の生産性の向上を位置づけました。
次いで、第二に、女性や高齢者など多様な人材が活躍できるよう、職業能力開発の機会を幅広く提供するとしております。
本計画に基づく施策を着実に実行することで、生産性の向上と全員参加型社会の実現に取り組んでまいります。
○中山委員 次の質問に移りたいと思います。
次に、PRIME観光都市・東京について伺ってまいりたいと思います。
プランでも示されているとおり、東京の観光産業は裾野が広い産業であり、直接消費に結びつきますから、まさに実体経済であります。
私が考える本プランの肝は、総合目標を掲げているんですけれども、訪都外国人の旅行者数を二〇二〇年までに二千五百万人、そして二〇二四年までに三千万人を目標にしていることであり、特に重要なのが、外国人のリピーター数を伸ばしましょうよというところだというふうに思います。二〇二〇年に千五百万人、二〇二四年に千八百万人としているところであります。
それぞれの滞在場所での満足度が問われることであり、二〇二〇年大会にも多くの訪日外国人が来られ、どれだけの人が満足をし、また来たいと思わせることであります。また、それが将来への遺産、レガシーということであります。
そこで、本計画は、実効性と柔軟性が求められることだと考えますが、まず、その計画の特性について伺ってまいりたいと思います。
○坂本観光部長 都は、観光をめぐる急速な環境の変化に迅速かつ的確な対応を図るために、中長期的な視点を持ちながら、総合的かつ体系的な施策の展開を目指し、観光産業振興実行プランを策定いたしました。
このプランでは、観光振興の基本的な理念や今後の取り組みの方向性、将来に向けた目標、翌年度に実施する具体的な観光施策などを掲載しております。
また、状況の変化に臨機応変に対応するため、毎年度、内容を更新することを予定しているところでございます。
このプランに基づきまして、さまざまな観光施策を戦略的に展開してまいります。
○中山委員 柔軟に施策の展開を図っていくということで多としたいというふうに思います。
そこで進めていくんですが、東京の観光産業振興に向けた六つの戦略の一つに、消費拡大に向けた観光経営における施策展開があります。
都内の観光関連事業者の力を高め、将来の東京の産業をリードする有力なビジネス分野として発展を遂げるよう、的確な観光施策の振興を進めていくとのことであります。特に、提供する商品であっても、訪れる人たちが余り望んでいないものであれば、売れないのは当然であります。
私の地元台東区においても、たくさんの観光商店街みたいなものがあるわけなんですけれども、なかなか人は通っているんだけれども物が売れないと、よく嘆きが聞こえてくるんですけれども、これは、いわゆる来ている人たちが欲しいものでないから買わないわけであります。
そのようなことを考えると、訪れる人たちが望んでいる好みのものを商品開発するためには、マーケティングが大変重要になってくるわけであります。
現在、日本の観光にはマーケティングという思想が決定的に欠けているといわれております。いい製品をつくれば売れるという売り込み先行型の発想しかなく、市場が求めているものをつくり出すという、消費者ニーズを踏まえた発想が重要といわれます。
平成二十九年でも、インバウンド対応力の向上とありますが、宿泊、飲食、小売等の中小事業者がマネジメントの力を高めることができるよう、専門家の派遣を現場で受け、経営内容の改善を図る計画の策定を支援するとあります。
そこで、訪日外国人が何を求めているのか、マーケティングを含めて支援をすべきと考えますが、所見を伺います。
○坂本観光部長 都はこれまで、外国人旅行者への対応を進める宿泊施設に対し、館内での多言語表記やWi-Fi機器の導入などの支援を行ってまいりました。
来年度は、中小規模の飲食店、小売店舗などに専門家を派遣し、業務内容を効率化する計画の作成を支援いたします。
また、その計画内容に基づいて行うマーケティングや生産性を高める対応などの費用について、一千五百万円を上限に助成を行います。
こうした取り組みによりまして、観光関連事業者のサービスの力などを高めてまいります。
○中山委員 今、専門家を派遣するということでもありますが、やはり専門家がどういう人かということも大切でありまして、こういう専門家の育成にもぜひつなげていっていただきたいというふうに思います。
さらに、こうしたサービス、支援策をさまざまな方法で情報すべきと考えますが、所見を伺いたいと思います。
○坂本観光部長 都の観光産業振興の施策内容を利用者に伝える取り組みが必要でございます。
観光関連の事業者が、インバウンド消費に取り組むために必要なマネジメントの力を高めることができるよう、都の実施する事業に関して、観光協会や区市町村などを通じて幅広く周知いたします。
これによりまして、観光関連事業者へのサポートを進めてまいります。
○中山委員 今後も顧客から発想して戦略や消費をつくり出すことは、今後の観光戦略にとって重要な視点であります。
また、現在、地元のキャラクターに支配された有名観光地ほど、観光代理店と一緒になって、格安パッケージで客をさばくという発想から抜け出せないという指摘もあるわけであります。
さらにマーケティングの強化に努めていただきたいと要望し、次の質問に移ります。
次に、観光は地域を豊かにするための手段であり、地域全体が豊かにならないと、観光地として長続きしないといわれております。もっといえば、観光業はビジネスですが、観光ビジネス関係者だけの視点で考えると先細りするといわれているわけであります。
観光はその地域にいる人たちが幸せに生きていくための手段という発想が、何よりも重要であります。
プランでもあるように、平成二十九年施策展開で、多摩での観光振興を効果的に進めるため、商工関連の団体を初めとする観光協会や商店街が協議会を設けて観光振興の企画を検討し、その実現を図る取り組みをサポートするとあります。
そこで、観光庁が提唱する、住んでよし、訪れてよしを実現する地域になり、お客様から支持を受けるためには、何よりも住民が地域に対する愛着や誇りが持てることと、生活に対する満足度や充実度を満たすことが地域再生の原点といわれておりますが、地域の発想を生かした観光振興を進めるべきと考えますが、所見を伺いたいと思います。
○坂本観光部長 東京の各地域の観光振興を活発にするため、観光関連の団体による旅行者の誘致をサポートすることは重要でございます。
都は現在、観光協会などのすぐれたアイデアを民間のノウハウに結びつけ、実現する取り組みを進めております。
来年度は、こうしてつくり上げたスポットなどの評価が高まり、旅行者の来訪が定着するために一定の期間が必要な場合、継続した支援を開始いたします。
こうした取り組みによりまして、地域の観光振興を着実に進めてまいります。
○中山委員 観光において、専門性とか客観性がこれから大変重要だということがわかってまいりましたが、このプランでは、観光関連団体の取り組みに対して、観光振興の専門家や観光分野を専攻する学生をインターンとして派遣してアドバイスを行うとともに、新たな観光協会の設立に対しても支援を行うとされております。
そこで、事業内容について伺いたいと思います。
○坂本観光部長 観光関連の団体が新しい知識や人材を確保し、効果の高い事業を進めることのできるサポートは重要でございます。
このため都は、地域の観光関連の団体に学生のインターンなどを派遣し、そのノウハウを活用し、新たな視点から事業を企画するなどの取り組みを後押ししております。
このほかに、都では、観光振興に取り組む団体をふやすため、地域への専門家の派遣や、団体を新たにつくる場合の資金面からのサポートを行っているところでございます。
新年度は、地域の旅行者誘致を後押しするため、観光協会を設立する支援を充実いたします。
これらの取り組みによりまして、地域の観光振興の後押しを進めてまいります。
○中山委員 先ほども申し上げてまいりましたが、観光地として持続可能なノウハウを根づかせることが大きな目的にならなくてはいけないと考えます。
つまり、一過性の非日常的なレジャーを売り物にするのではなくて、風土に根差した生活様式、あるいは独自の食文化、季節ごとの行事、その地の環境が育んだ産業、二回、三回と足を運べば、そのたびに違った表情を見せてくる観光施策にしていただくよう要望いたすとともに、これらをどうやって観光振興に結びつけていくかということを都として支援していただきたく、要望したいというふうに思います。
最後に、MICE誘致についてお尋ねをいたします。
プランでも示されているように、現状の課題として、行政を初め関連事業者や地域団体など、さまざまな主体が連携して誘致や開催に取り組むことが必要であり、こうした多様な主体が総合力を発揮できる仕組みづくりが課題と、これまでされてまいりました。
確かに、それぞれの主体が集まって協議をすることの意義は大変大きいと考えますし、それぞれの主体の課題を共有することも大事であります。こうしたことから、官民一体のMICE連携推進協議会を設置する方向性は多としたいと考えます。
そこで、実効性の高い協議会とすべきと考えますが、所見を伺いたいと思います。
○坂本観光部長 これまで都は、MICE誘致の施策をつくるため、学識経験者や民間事業者などによる会議を設けて助言を受ける機会を確保してまいりました。
来年度からは、さまざまな機関などが協力しMICEの誘致や開催に向けた働きかけを行うため、東京観光財団が中心となり、国や民間事業者などが参画する協議体を設立いたします。
この取り組みに合わせ、MICEの誘致の重要性などを宣伝するため、シンポジウムによる普及啓発を行います。
これらにより、MICEの誘致を効果的に進めてまいります。
○中山委員 それぞれの主体が協議会をつくって、それぞれの課題を提起していくということは大変重要だというふうに思っております。
この最後の最後に、国際会議や展示会など大規模なものは、政府なども携わり、何年にもわたる事業となりますが、比較的短期間で誘致できる報奨旅行にも支援強化するとあります。
このポイントは、海外旅行会社への情報提供であると考えます。外国人参加者に対して提供するアトラクションの内容の充実を図るとともに、都と新たなメニューの開発に取り組むとありますが、こうしたメニューをどのように外国の旅行会社や、あるいは企業に対して情報提供を図っていくのか、所見を伺っていきたいと思います。
○坂本観光部長 報奨旅行の誘致を推進するため、訪問する場所の決定に影響力を持つ海外企業などに対する働きかけを行うことは必要でございます。
このため都は、報奨旅行のサポートを行う旅行事業者等と海外に出向き、現在作成しているPR映像を活用して、外国人旅行者に提供するアトラクションの内容も紹介するなど、きめ細かな情報提供を行います。
こうした取り組みによりまして、MICEの誘致と開催を後押ししてまいります。
○柴崎委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時三分休憩
午後三時十九分開議
○柴崎委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○かち委員 私からも、第十次東京都職業能力開発計画についてお聞きします。
先ほどもありましたけれども、第九次までの計画から何を引き継いで、十次計画に受け継いだのか、その特徴は何でしょうか。
○小金井事業推進担当部長 第九次の東京都職業能力開発計画では、能力開発行政において都が果たすべき役割として、企業等が行う従業員の人材育成を支援する役割と、求職者等への公共職業訓練を実施する二つの役割を定めてございます。
今般策定する十次の計画では、これを引き継ぐとともに、現在の雇用情勢等を踏まえ、人材育成を通じた企業の生産性向上の支援の充実等を基本的方向性としております。
○かち委員 従業員の人材育成と公共職業訓練の実施に加え、企業の生産性向上が基本的方向だということでした。
加えて、計画の目的に書かれていますけれども、多様な人材の職業能力開発により、誰もが生き生きと活躍できるダイバーシティーを実現するということは重要な観点だと思います。
さて、東京の強みは、ものづくりの中小企業が集積していることですが、これを支える基盤技術、技能を向上させ、継承していくことが必要ですが、どのように位置づけ、展開していくのでしょうか。
○小金井事業推進担当部長 若者のものづくり離れや熟練技能者の高齢化などにより、技能継承が課題となる中、東京のものづくり産業を支えるすぐれた技能を継承していくことは重要でございます。
今般策定する計画では、業界団体等と連携し、中小企業が行う訓練や研修のニーズに即した教材開発を行うなど、中小企業の技術、技能継承への支援を検討するとしております。
○かち委員 第十次計画の中で、大田職業訓練校の更新が挙げられていますが、いつごろ、どのような方法で行うのか。また、新たな機能強化、充実が求められますが、どうなっているでしょうか。
○小金井事業推進担当部長 城南職業能力開発センター大田校は、老朽化が著しいため改築を予定しておりますが、改築に当たっては、現地で職業訓練を継続しながらの工事が困難であることから、一時的な移転も視野に入れ、検討を行っております。
また、機能強化等につきましては、企業や業界団体のニーズに対応する高度な人材育成や、技能継承を行う拠点としての機能も検討していくとしております。
○かち委員 大田区は、かつては基盤技術の集積地域として九千社を超えていましたけれども、現在では三千五百を切るような状況です。このまま推移すれば、東京のものづくりに、深刻な事態にもなりかねません。
地域のものづくり産業を活性化することはもちろん、若者がそこに魅力を感じて、長年築いてきた技術、技能の継承が求められています。製造業の集積する大田区に存在する大田職業能力開発校は、改築に当たって、若者がものづくりに魅力を感ずることができる訓練校にする必要があると思いますが、どのように取り組むのでしょうか。
○小金井事業推進担当部長 第十次計画では、大田校の改築に当たり、ワークショップなど体験型イベントの充実や、高校や大学等の学校教育機関と連携した授業の一部受け入れなど、若者がものづくり産業におけるすぐれた技能等に触れられるような支援を検討していくとしております。
○かち委員 同時に、その技術、技能をさらに高度化、先進産業を支える新しい時代の技能者づくりにおける人材育成、確保を図るための高度技能者育成施設としての位置づけが必要だと思います。
先ほども、高度な人材育成や技能継承を行う拠点とするというようなことがいわれておりましたけれども、例えば神奈川県立産業技術短期大学校のような高度な職業能力開発校の位置づけも検討すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○小金井事業推進担当部長 高度の人材育成でございますけれども、第十次計画では、大田校の改築に当たり、多能工や試作、製品設計などを行うことのできる高度な人材を育成する職業訓練を検討するとしております。
○かち委員 高度な人材を育成するための人材育成というものも必要だと思いますので、ぜひ検討していただきたいと思います。
大田校は築五十六年の校舎で、大分老朽化も進んでいます。継ぎはぎでどんどん拡張をしてきているものですが、基盤技術を中心にしているので機械も大きく、重量のあるものが並ぶという特質から、広いスペースを必要とします。仮設施設の対応などでも、五年の計画期間でどこまでできるかということもあります。できるだけ早く改築計画に取り組まれるよう求めておきます。
第十次計画では、障害者職業能力開発校の拠点整備が挙げられています。先ほどご答弁がありましたが、平成二十九年度中に竣工する予定とのことですが、内容の拡充策とともに、一つお聞きしたいのは、特別支援学校を卒業し、自立を求めて職業訓練校を望む声も私は聞いております。拠点校での受け入れをふやす計画はあるのですか。また、障害がある方ができるだけ身近なところで訓練を受けられる整備が必要だと思いますが、どうでしょうか。
○小金井事業推進担当部長 ただいま先生ご発言のとおり、平成二十九年度中に東京障害者職業能力開発校については竣工するということを聞いてございます。
ご質問にございました新校舎において、定員の受け入れ等についての質問でございますが、定員の受け入れは、求人ニーズや応募状況等を踏まえて毎年見直しを行っております。
都は、東京障害者職業能力開発校のほか、都内三カ所で知的障害者を対象とした訓練を実施するとともに、居住する身近な地域で訓練を受けられるよう、民間の教育訓練機関や事業所等への委託による訓練も実施しているところでございます。
○かち委員 障害にもいろいろと、種別がさまざまです。知的障害者のためには三つの職業能力開発校が整備されているとのことですが、精神障害者の方も含めて、自立できるための訓練校、または訓練できる場は、都の責任でふやしてほしい。これは民間でやっているというお話がありましたけれども、都の責任でふやしていく必要があると思います。今後検討されることを求めておきます。
今、訓練校を卒業して仕事についてもなかなか定着できないという、こうした方の本人、家族の悩みが多いです。一般的に、人間関係がうまくいかないなどといわれていますが、何かしらのハンデを抱えた人が今の社会の中で、職場の中で継続していくためには、職場内の受け入れ環境が整っているか、障害に理解があるかという問題も大きいウエートを占めています。
受け入れ側と送り出す側との意思疎通や環境整備が必要であると思いますが、職業能力開発校において、支援体制の強化、これも必要ではないかと思いますが、いかがですか。
○小金井事業推進担当部長 企業における受け入れ環境の整備についてでございますが、都は、障害者を受け入れる企業に対し、東京ジョブコーチを派遣し、障害者の業務内容の検討や職場内の体制づくり、作業適応支援など、障害者が円滑に職場定着できるよう、継続的に支援を行っているところでございます。
また、東京障害者職業能力開発校に職場定着支援員を配置するとともに、その他の校においては、指導員が就職した職場を巡回訪問して就業状況を確認するなど、訓練から就職、職場定着まで、一貫した支援を行っているところでございます。
○かち委員 努力をいろいろとされているということはわかりますけれども、そこがまだなかなか実績的にうまくいっていないという状況もありますので、さらなるその拡充をよろしくお願いします。
次に、この計画書にもありますが、東京都の調査でも女性の有業率の推移では、三十代、四十代のM字カーブがなかなか解消されていません。要因はいろいろありますが、子育て世代の女性が出産、育児などで一旦仕事を離れても、再び社会参加ができるための技術を身につけることができるようにしてほしいという声も聞いております。女性の職業能力開発訓練の拡充が必要です。
特に女性の場合、子育て中の方はなかなか技術を身につけたくても、時間的な制約があります。在宅でも受けられるような環境整備が必要と思いますが、いかがでしょうか。
○小金井事業推進担当部長 都では、女性の再就職を支援するために、育児や家事をしながらでも参加しやすいように、居住地に近い場所で、授業時間を短く設定し、パソコンの基礎的なスキル等を習得する訓練を実施しております。
さらに来年度は、パート等に就業して時間のとれない女性を対象に、正社員への転職を支援するため、自分で時間を調整することができるeラーニングによる訓練を実施してまいります。
○かち委員 時間短縮とかeラーニングとか、新しい前進が見られますが、女性が働くための条件整備はさまざまな課題を抱えております。生き生きと働ける環境整備にさらなる拡充を求めておきます。
この問題の最後に、職業能力開発校の受講生は、都立高校の授業料に準じています。かつては訓練校の授業料は無料でしたが、平成十九年から有料になり、それから、二〇一五年から年十一万八千八百円という授業料になっています。
都は来年度から、給付型奨学金制度を導入します。その内容は、検定試験や勉強合宿など、学習支援です。訓練校生が技能検定試験を受けるときは、実技試験で一万七千九百円かかります。職業能力開発校においても技能検定の受験手数料への支援を考えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○小金井事業推進担当部長 技能検定でございますが、若者のものづくり離れが進む中、さらなる受験を促すため、国の支援措置を活用して負担を軽減することといたします。
具体的には、ことしの十月から、若者の受験者が多い二級及び三級の実技試験を対象に、国の基準をもとに三十五歳未満の者について手数料を九千円減額いたします。
○かち委員 国の基準に基づいて三十五歳未満の方に手数料九千円減額をするということで、これも前進ではありますが、職業訓練校に通う方は仕事もなかなかついていなかったりアルバイトなどで、生活を維持する人がやっとということが多いわけですから、対象年齢の引き上げなど、内容についてのさらなる拡充を求めておきます。
次に、下請法の改正について伺います。
下請中小企業の営業を守るために、下請法、下請代金支払遅延等防止法、いわゆる下請二法がありますが、実質的な効力がなく、受注型の下請中小、小規模事業者にとって、親会社からの支払いの滞りや買いたたきなどが日常化しており、公正な取引関係が崩れている、こういう状況があるわけですけれども、親会社からの支払い遅延によって中小、小規模事業者がどんなに厳しい実態に置かれているか、都として把握しているでしょうか。
○野間商工部長 都は、中小企業振興公社に取引適正化相談員を七名配置いたしまして、中小企業を巡回するとともに、各種の調査を実施することによりまして下請企業等の実態を把握しているところでございます。
○かち委員 それでは、中小企業の支払い関係における実態をどのように捉えているんでしょうか。
○野間商工部長 下請企業の取引実態につきましては、毎年、取引状況実態調査を五千社の中小企業を対象に、下請法の認識状況や取引で起きたトラブルについてアンケートを行ってございます。
平成二十七年度の調査では、取引上のトラブルについて、起きていないとの回答が四分の三を超えております。一方で、約一八%の中小企業はトラブルが発生したとの回答を得てございます。このトラブルの事例として最も多いものは、一方的な値引きで約五%、次いで代金の不払いが約四%となってございます。
○かち委員 先ほどの要求資料の中にもありましたが、都内の製造業だけでも三万五千社弱あるわけですね。その一八%というと六千三百件ぐらいが、この支払いの関係でのトラブルが発生しているということですので、決して少なくない。こういう状況を改善していかないと、中小企業の方がなかなか経営維持することができないという状況です。
今、こうした状況を受けて、国においても本年ようやく、五十年ぶりに下請法の運用基準が改定されました。五十年ぶりの改定をされた下請等中小企業の取引条件の改善に向けて、関係法令が運用強化されたということですけれども、その内容についてお聞きします。
○野間商工部長 昨年十二月、国は、下請企業の取引条件の改善を図るため、下請代金支払遅延等防止法などの下請企業関連法の運用に関する告示、通達の改正を実施いたしました。
具体的には、法律で親企業に禁止されている減額や買いたたきなどの違反行為に関する具体的な事例の掲載数が大幅に増加され、国による取り締まりの中で繰り返し見受けられた行為などが新たに加わりました。
また、例えば労務費の上昇に伴う取引対価の見直し協議を適正に実施するなど、親事業者と下請事業者の望ましい取引慣行の事例に関する記載についても充実が図られました。
さらに、下請代金の支払いにつきましては、できる限り現金払いとすること、手形等による場合は割引料を下請企業に負担させないようにすること、手形の振り出しから支払いまでの期間を将来的に六十日以内とするように努めるなど、これは昭和四十一年の通知を改正したものでございますが、親事業者及び業界団体に通達し、大企業から率先して取り組むよう要請したところでございます。
○かち委員 ようやく下請取引関係の改定が五十年ぶりにされたということで、私も期待をしたところなんですけれども、今説明をされた中身を見ますと、違反行為に関する事例が大幅に増加されて、その例示が挙げられたというようなことだとか、望ましい取引慣行の事例に関する掲載が充実したということですね。
最後のものが、取引関係の代金の支払いについて、できるだけ現金払いとするとか、手形による場合には割引料を下請企業に負担させない、手形の振り出しから支払いまでの期間を将来的に六十日以内、今百二十日なんですけれども、それを六十日以内にするよう努めるとか、協議をするとかということで、なかなかこれが本当に実効性のある改定になっているのかなというのは甚だ疑問を感ずるところです。
今実際に、手形払いの場合には、月初めに納めても、翌月の二十日締めとか月末締め、締め切りで、それから百二十日ですから、四カ月先ですから、もう半年ぐらい払ってもらえない状況が続くわけで、こういうことを即解消してほしいと思うのですが、なかなかできていない。
この改定に実効性を持たせることが重要だと思いますけれども、都はどのようにしてこの改定を受けとめているでしょうか。
○野間商工部長 親企業と下請企業の取引の適正化を図ることは重要でありますことから、都は、下請センター東京におきまして、下請企業からの相談や調停を行うとともに、親企業に対しても取引適正化相談員による巡回指導を実施してございます。
○かち委員 本来、国の責任で実効性を担保していかなければならない問題ではありますが、都としても、都内の下請企業の営業を守るために、積極的にこの問題の解決に努力することが求められています。
下請事業者の持続可能な環境整備を確保することは、都の責務です。発注者である親企業に対し、今回の改定の内容の周知徹底が必要であると思いますが、どのように取り組むのでしょう。
○野間商工部長 都は昨年十一月に、発注側の二十二の主要な団体を構成員といたします主要業種団体協議会を開催いたしまして、国の担当者を招いて、十二月に改正が予定される下請法運用基準等の内容の説明を行うとともに、都としても参加団体に対し、適正取引への要請を行いました。
また、取引適正化相談員による巡回指導の場においても、今般の改正の内容について普及啓発を行ってございます。
○かち委員 今、昨年十一月に協議会を開催して、適正取引への要請を実施したということですけれども、その時期は、公正取引委員会が、十一月二十四日までパブコメの実施期間であって、その結果をまとめて運用基準の改定として通達したのが十二月十四日ですから、都が行った説明は多分、まだ決まる前の段階だったというふうに思います。
周知徹底するためには、改定後、改めて協議会や業界団体を通して周知徹底すること、また繰り返し行うことや、現場で巡回指導などでも、受注者側が不利益をこうむっていても、この解決は難しいわけです。要するに発注者と受注者の関係は、なかなか公平にはいかないのです。不適正だから改善してほしいと、なかなか受注者側からはいえない、そういう環境がありますので、親企業との調整をすることが必要なのです。
今後とも引き続き、この問題解決のために精力的に取り組まれることを強く求めて、私の質問を終わります。
○菅野委員 それでは、私の方からは観光関連と、そして農水と、また商工という形で質問させていただきたいと思います。
まず、観光経営の強化について伺いたいと思います。
都では、この一月に、PRIME観光都市・東京という、東京都の観光産業振興実行プランを公表し、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックまでに、東京を訪れる外国人旅行者数二千五百万人、そして国内旅行者数六億人を目指すということを明らかにしました。
観光は、関連する産業の裾野が広くて、幅広い経済波及効果が見込まれます。東京を訪れる外国人旅行者の急増に伴い、その消費額は二〇一一年以降増加を続けていて、二〇一五年には一兆円を突破しています。宿泊施設に加え、飲食店、そして小売店舗など、観光に関連する事業者の中には、こうしたインバウンド需要を新たなビジネスチャンスにつなげたいと考えている方が多いのではないでしょうか。
しかし、規模の小さい事業者にとってはハードルが高いということから、やはり行政によるきめ細やかなサポートが不可欠であるかと思います。中小の観光事業者などが、サービス提供の現場での外国人対応力を高めるとともに、業務の効率化など、計画性を持ったマネジメントの向上に取り組むことができるよう、都としてもしっかりとした支援を行うべきと考えます。
また、幅広い観光事業者が支援策を活用できるよう周知を行うことも大切だと思いますが、来年度の具体的な取り組みを伺いたいと思います。
○坂本観光部長 都はこれまで、外国人旅行者へのサービス向上に取り組む宿泊施設に対し、館内での多言語表記やWi-Fi機器の導入のほか、トイレの洋式化の支援を行ってまいりました。
来年度は、こうしたサポートを中小規模の飲食店や小売店舗にも広げ、事業者の取り組みに必要な経費の二分の一について、三百万円を上限に助成を行います。
また、これらのサービス提供の現場に経営の専門家を無料で十回まで派遣し、業務内容を効率化する計画の作成を支援するとともに、その計画内容に基づいて行うマーケティングや生産性を高める設備の導入等の費用の二分の一について、一千五百万円を上限に助成を実施いたします。
さらに、これらの施策につきまして、観光に関係する業界の団体を初め、観光協会や区市町村などを通じて幅広く周知することによりまして、観光関連事業者のサービスや経営の力を着実に高めてまいります。
○菅野委員 ぜひ、中小規模の飲食店、そして小売店舗というのは、多分最初に東京に来たり、外国人の方でも来たりすれば、まず有名どころということで、そういうところばかり見るのでしょうけれども、やはりリピーターとして、東京の魅力、さらに深めたいということで何度か訪れた方というのは、だんだんだんだん、我々日本人と同じような生活、どんなお店に行っているんだろう、みんなどんなものを食べているんだろう、そういうようなお店に行ってみたくなったりすると思うんですね。やっぱりそれがまた一つ、東京の大きな魅力の一つだろうと思いますし、そういったお店がどんどんこれからそういうお客さんを迎え入れて、いい印象を持って、この東京を味わっていただくためにも、ぜひ今のような事業は積極的に展開をして、周知を徹底していただきたいなと思います。
それでは次に、私からも、水辺のにぎわい創出について伺いたいと思います。
その実行プランが示す訪都旅行者数の目標達成には、旅行者の誘致に向けた一層の取り組みが必要だと思います。訪都旅行者の増加に向けては、魅力ある観光スポットをさらにふやしていく必要がありますが、今特に新しい観光のスポットとして水辺エリアに注目が集まっています。
私が予算特別委員会で質問した日の出、竹芝ふ頭などのにぎわい整備などもそうですが、東京はベイエリアのみならず、運河沿いや河川など、水辺の魅力あるスポットがたくさんあり、それぞれの地域においても水辺を活用したにぎわい創出事業など、さまざまな取り組みを行っています。水辺エリアを新たな観光資源として一層活用するためにも、そうした水辺空間を活用する地域の各取り組みに対する確実な支援が必要です。
さらに、先ほど伊藤副委員長の方からも話がありましたが、川の流れに例えたお話がありましたが、それぞれを線でつなぐ、水辺を活用した新たな観光ルートのPRも必要だと思います。
こうした地域における観光まちづくりの取り組みを活性化するためには、各地域において観光振興を担う観光協会をふやすとともに、新たな事業を企画、運営するノウハウ、これを高める必要があるかと思いますが、そこで、水辺空間を活用した観光振興や、さまざまな旅行者誘致に取り組む地域の観光関連団体に対する都の支援について、お考えを伺いたいと思います。
○坂本観光部長 都は今年度より、水辺空間を活用して地域の観光協会がにぎわいを生み出し、集客を図る取り組みへの助成を開始いたしました。
水辺の観光振興を企画する地元の要望が多いことを踏まえまして、新年度には助成の件数を五件から七件にふやして、支援の充実を図ります。
また、観光協会による水辺エリアへの集客にもつながるよう、舟運の情報を提供する都のウエブサイト、東京舟めぐりの充実によりまして、舟運ルートの周辺の観光にふさわしい十のコースの紹介も行います。
このほか都では、観光関連の団体が新しい知識や人材を確保して、効果の高い事業を進めることのできるよう、学生インターンなどを派遣するほか、観光振興に取り組む団体をふやすため、専門家の派遣や資金を助成する支援を行っているところでございます。
新年度におきましては、地域の旅行者誘致を後押しするため、新たな観光協会を設立するための助成を百万円から四百万円に上限を引き上げ、支援の充実を図ります。
これらの取り組みによりまして、地域の観光振興を着実にサポートしてまいります。
○菅野委員 水辺エリアというのは、どうしても今までは、それぞれ何か人気スポットみたいなのがよく紹介されて、そういうエリア、エリアは単発ではかなりにぎわいを見せているようなところもあるんですが、どうしてもそういった他の地域同士のつながりというのが、広がりが少なかったように思います。そういった意味で、この事業がうまくいくことを、さらに水辺エリア全体が一つの遊び場として人気のスポットになってくれればと思っています。
続いて、ライトアップによる観光振興とナイトライフ観光について伺いたいと思います。
観光振興における光や夜間の活用というのは重要です。毎年十二月に実施されるフランス、リヨン市における光の祭典では、中心部の広場をライトアップするとともに、まち中で七十から八十の光でつくった作品を展示して、三百万人にも上る観光客が来訪するといわれています。
かつてから、世界各地の観光で有名な都市では、夜のまちをライトアップするなど華やかな美観をつくり出して、まちの美観とともに、夜のまちの魅力を楽しめることで、さまざまな観光客誘致に活用されてきました。
そして今では都内にも、私の地元の東京タワーを初め、夜間のライトアップにより観光スポットになる建築物や自然は多数存在しているかと思います。
さらに東京では、ほかの国の都市と比べても、夜間でも安心して出歩くことができるというのは大きな魅力だと思うので、ぜひそういったものを兼ね合わせて、ナイトライフ観光を着実に進めていくこと、これが重要だと考えます。
都はこれまでも、都の施設でライトアップについて一定の支援を行ってきていますが、さらに東京のさまざまな観光資源を効果的にライトアップするとともに、夜間の時間帯の観光を楽しんでいただけるような、取り組みを行うべきと思いますがお考えを伺いたいと思います。
○坂本観光部長 これまで都は、夜間のすぐれた景観をつくり出すため、橋や庭園などにおいてライトアップを行ってまいりました。
来年度は、地域の貴重な自然である桜並木やもみじについて、観光協会などがライトアップを行う取り組みを支援いたします。
具体的には、照明の借り入れなどに必要な費用に関して、五百万円を上限といたしまして、春と秋にそれぞれ六カ所を対象に三カ年の助成を行い、この三月には桜並木を対象とする取り組みへの補助も先行的に開始いたします。
また、民間事業者や区市町村がライトアップによる観光客の誘致を行う場合の整備経費の三分の二につきまして、三千万円を上限に助成を行うほか、ライトアップの事例のPRを実施いたします。
さらに、ナイトライフ観光につきましては、地域の企画を民間のノウハウで実現する支援に加えまして、来年度は、民間から募集した六つのモデルコースに関して、六名のモニターがその内容を発信する事業を行います。
これらの取り組みによりまして、新たな観光資源の開発を着実に支援してまいります。
○菅野委員 特に桜並木、これからの季節は夜桜も楽しめるわけですけれども、単に光を当てるというだけではなくて、先ほど神楽坂の話もありましたけど、私も比較的近いので、目黒川のライトアップなども有名でございますので、そういったものを代表するように、東京都内には光を当てるだけでかなり魅力を増すような、そういった場所がたくさんあるかと思いますので、ぜひその辺はさらに広げていただければと思います。
次に、日本各地と連携した外国人旅行者誘致について伺いたいと思います。
外国人旅行者が増加を続ける中で、東京は日本各地と連携し、東京を訪れた外国人旅行者を日本各地に送客するゲートウエーの役割を果たしていくことが重要だと思います。
都はこれまで、東京から地方を訪れる観光ルートの設定と、情報発信や日本各地の観光情報を集約したポータルサイトの作成など、日本各地と連携した外国人旅行者誘致の取り組みを進めてきました。
今後は、連携して外国人旅行者の誘致を行う自治体、エリアの一層の拡充が必要だと思います。また、外国人観光客が都内にいながらにして日本各地の文化や物産等に触れる機会をふやすことも重要です。
そこで、連携先を拡充するとともに、全国の観光情報の積極的な発信により、日本各地と連携した観光振興を一層推進することが必要と思いますが、ご見解を伺いたいと思います。
○坂本観光部長 これまで都は、全国のさまざまな地域で、自治体が連携して旅行者の誘致を図る取り組みに加わりまして、例えば宮城県を中心とする四団体や、石川県がメーンの十団体などと協力をいたしまして、観光振興を展開してまいりました。
来年度は、沖縄県と石垣市など六つの市町村、こちらと協力をした観光客の誘致を行います。沖縄県のエリアには多くの外国人の来訪がございまして、海外からの観光客の誘致の面で大きな効果の期待できる施策として、着実に進めてまいります。
また、都では全国各地の観光の魅力をウエブサイトで紹介しておりまして、新年度には、都内で開催される全国のさまざまな地域の物産展や、都庁舎で行われる各地のイベントの情報などを新たに加えて発信を行います。
こうした取り組みによりまして、東京と日本各地との連携による旅行者の誘致を進めてまいります。
○菅野委員 ぜひ他県といろんな、それぞれ日本というのは、東京ももちろん最高の魅力がある場所ですが、東京を目的に来ても、ほかの周辺にこういうおもしろいところがあるというのを改めて知ってもらって、そこを回ってもらうというのも大事なことだと思います。ぜひ連携を強化していただければと思います。
そして次に、宿泊施設における安全・安心というのも大事だと思います。宿泊施設の安全性や安心感は、これは観光を楽しむ上での大前提の一つであると思います。宿泊施設において滞在者の安全と安心の確保をこれまで以上にしっかりと行うことが、今まさに重要になっているのではないかなと感じています。
高齢化や、二〇二〇年パラリンピック東京大会開催を三年後に控え、宿泊施設のバリアフリー、そして防犯面での環境整備というのは、これは喫緊の課題であるかと思います。
そこで、ホテルや旅館のバリアフリー化を進める必要がありますが、一方で、ホテルや旅館の稼働率が非常に高まっている中で、客室での長期間の工事を行うというのが困難になってきているかと思います。
また、海外からの旅行者が急増する中、トラブルの防止などの安全面での配慮から、防犯カメラの設置に対する宿泊事業者のニーズも高くなっていると聞いています。
宿泊施設のバリアフリーや防犯面での環境整備を進めるために、受け入れ環境のサポートを一層充実する必要があるかと思いますが、取り組みを伺いたいと思います。
○坂本観光部長 都はこれまで、障害者や高齢者が宿泊施設を安全で快適に利用できるよう、館内の通路の段差の解消につながるスロープや、安心して通路を歩く上で役立つ手すりの設置などの施設改修の経費に対して助成を行ってまいりました。
こうした支援に加えまして、来年度からは、車椅子や可動式のスロープなど、宿泊施設のバリアフリー化に必要な備品の購入につきまして、その導入の経費の二分の一を、二百万円まで補助を行います。
また、旅館などを安心して宿泊できるように防犯カメラを設置する場合、一つの施設当たり九十万円を上限として、その導入に必要な費用の二分の一の助成を行います。
こうした取り組みによりまして、宿泊施設を旅行者が安全で安心して利用できる環境を整えてまいります。
○菅野委員 ぜひ、そういった取り組みで、宿泊施設を旅行者が安心して、安全に過ごせるような整備を進めていただきたいと思います。
次に、MICEに関連して質問したいと思います。
二〇一二年のIMF、世界銀行総会の開催の経済波及効果というのが、約百八十九億円といわれています。また、国際会議参加者一人当たりの支出額は一般観光の約二・三倍であるともいわれ、MICEの開催というのは、多くの外国人旅行者の来訪を通じて高い経済波及効果をもたらし、都市としてのプレゼンスの向上に寄与するといわれています。
今まさに、こうしたMICEをめぐって海外都市との間で誘致競争が激化する中、東京でのMICE開催をふやしていくためには、国や民間事業者などの関係主体が総合力を発揮して、その誘致や開催に取り組むことが必要だと思います。
さらに、開催地にさまざまな効果をもたらすMICE誘致の意義を、関係事業者だけではなくて、広く都民に対しても普及、理解していただくことが必要であろうかと思います。
そこで、国や民間事業者、地域の団体などが、MICEの誘致や開催に連携して取り組むことのできる新たな仕組みが必要と考えますが、いかがでしょうか。
○坂本観光部長 これまで都は、MICEの誘致に向けた効果の高い施策をつくるため、国際会議などの現状に詳しい学識経験者や、その実務面での経験が豊富な民間事業者などによります会議を設けて、さまざまな助言を受ける機会の確保を図ってまいりました。
来年度からは、MICEに関係するさまざまな機関等が協力して総合的な力を発揮しながら、その誘致や開催に向けた働きかけを行うため、東京観光財団が中心となり、国や政府観光局のほか、民間事業者、地域の団体などが参画する協議体を設立いたします。
この取り組みに合わせまして、MICEの誘致の重要性や施策の内容を幅広く宣伝するため、民間事業者や都民の間で理解が広がるよう公開シンポジウムを開催して、普及啓発の強化を図ります。
これらによりMICE誘致に向け、幅広い協力の仕組みをつくり、PRにも力を入れて、国際会議等の東京での開催をふやしてまいります。
○菅野委員 ぜひ、MICEを誘致するための連携推進するための、今お話があった協議体、これがしっかりと機能を発揮するように、さらなるバックアップもお願いしたいなと思います。
また続いてMICEのことなんですが、MICEの開催は多くの外国人旅行者の来訪を通じて高い経済波及効果をもたらし、都市としてのプレゼンスの向上に寄与するというふうに申し上げました。こうしたMICEをめぐって海外都市の間で誘致競争が激化する中で、シンガポールやソウルなど、ライバルといわれる海外都市では、国際会議だけではなくて、報奨旅行や企業系会議の誘致、開催への対応が進んでいるといわれています。
そうした海外都市との競争に打ち勝つために、都としても報奨旅行などの誘致、開催に向けた支援の一層の強化が必要と考えます。
そこで、海外企業が行う報奨旅行や会議を効果的に誘致するため、支援範囲の拡大などを含め、開催時のサポートを強化する必要があると思いますが、いかがでしょうか。
○坂本観光部長 これまで都は、外国の企業による報奨旅行などが東京で行われるよう、参加者の延べの宿泊数が四百以上となる場合を対象として、開催時のアトラクションの提供などを行ってまいりました。
来年度からは、こうした旅行などをより幅広く誘致するサポートの充実に向けまして、支援の対象について、海外からの参加者の延べの宿泊数を二百以上といたしまして、東京での報奨旅行等の開催を幅広く働きかけてまいります。
また、報奨旅行等の開催時に参加者に提供するアトラクションの内容につきまして、参加規模が大きくなると対応を手厚くするという、こういう仕組みを導入することによりまして、より効果の高いサポートを展開いたします。
こうした取り組みによりまして、報奨旅行等の東京への誘致を適切に進めてまいります。
○菅野委員 報奨旅行は、本当にさまざまな消費にも結びつくと思います。我々日本の企業などでも、逆に海外に報奨旅行などを行っているところも結構ありますけれども、やはりふだんとは違った環境で、それぞれが、社員の人が集まって、一種のご褒美的な形で行くわけですから、より気分も明るくなって、お金も使うんじゃないかということで、大きな期待をしているところでございますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
そして次は、観光なんですが、観光客誘致を視野に入れた内水面漁業の振興、これを結びつけられないかなというふうに考えました。
多摩川上流や秋川など、多摩地域での河川では、渓谷を区切ったマス漁場が各所存在して、観光スポットとしても、これは今でもあれですが、これから先も有望だと思います。また、マス類の養殖場も存在して、観光客に地元産の川魚を提供するなど、食の楽しみも観光スポットの魅力につながるかと思います。
ただ、私も行ったことがありますけれども、そうした釣り場や養殖場は整備からかなり年月がたっていて、施設の老朽化などが目立っているところが多いように感じます。
そのため、広く国内外から多くの観光客を呼ぶには、ややもう少し施設の更新なり、特に外国人向けにはさまざまな整備、特にトイレとか、そういったものは整備をする必要があるんじゃないかなというふうに感じています。
今後、都心から近いそうした多摩の立地条件を生かして、東京二〇二〇年大会とその先を見据えて、外国人や高齢者など、国内外から東京を訪れる観光客を多摩地域に誘導して、そのすばらしさを知っていただくことが重要なんですが、そのためにもさまざまな観光客がぜひ訪れたくなるような、そうした釣り場へのリニューアル、安定的な養殖ができる施設の整備を促すことが不可欠だと思います。
東京へのさらなる観光客誘致に向けて、自然豊かな多摩地域の河川などを活用した内水面漁業を振興することで、観光客が思い思いに楽しめるようにすることが必要だと考えますけれども、所見を伺いたいと思います。
○藤田農林水産部長 都は、東京二〇二〇大会とその先を見据え、平成二十七年度から内水面漁業振興対策事業を開始し、子供やお年寄り、外国人など多摩地域を訪れる観光客が釣りを楽しむとともに、地元産の川魚を味わうことができるよう、マス釣り場や養殖場のリニューアルなどの支援を行っております。
来年度は、利用者の誰もが快適に釣りを楽しめるよう、施設のバリアフリー化や外国語表記の整備などを九カ所のマス釣り場で進めるとともに、マス類の安定供給に向けた養殖場の設備改修や、伝統漁法の披露などの地域漁業PRイベントの開催についても支援いたします。
こうしたハード、ソフト両面からの支援により、地域の活性化に寄与する内水面漁業の振興を図ってまいります。
○菅野委員 次に、東京を訪れる多くの観光客にとって、やはりその地域ならでは、東京でもいろいろそれぞれの地域地域に特産があったりするんですが、せっかく東京に来てそれぞれ回ったんだから、そこのお土産、そういった地域ならではのお土産を提供することが、その満足度をさらに高めることになるんじゃないかと思います。
そのためには、都内産の農林水産物の食材を使った東京ならではの特産品をふやすことが必要だと思います。食品事業者からも、旅行者がお土産として買いたくなるような特産品の開発、また販路開拓に向けた積極的な取り組みに対するニーズがあるとも聞いています。
そこで、より多くの観光客に喜んで買ってもらえるような特産品の開発や、販路開拓に対する都の取り組みについて伺いたいと思います。
○武田安全安心・地産地消推進担当部長 東京二〇二〇大会の開催に向けまして、国内外から訪れる観光客の土産物として、東京ならではの新たな特産品を開発し、都内のさまざまな場所で販売していくため、都は来年度から、都内食品事業者に対して東京ならではの特産品の開発と販路開拓への支援を開始いたします。
具体的には、都内産の農林水産物や食品事業者が持つ独自の技術、伝統的な製法などを活用した特産品の商品化を支援するため、試作品の製造、マーケティング調査、パッケージデザインの作成などに要する経費を助成いたします。
さらに、こうした特産品の販路開拓に向け、食品事業者向けのセミナーや、百貨店、スーパー、外食産業のバイヤーとの商談会を開催してまいります。
こうした取り組みを通しまして、東京ならではの魅力ある特産品の開発と販路開拓を支援してまいります。
○菅野委員 ぜひ魅力ある東京の特産品の開発と、販路拡大というか、こういったものに力を入れていただければと思います。
よく地方なんかに行ってお土産を買って、すごくおいしそうだな、おいしいなと思って買って、裏を見てみたら、何と東京でつくっているとか、そういうものは逆にありますけれども、そういうことがないように東京の材料でつくったようなものをぜひ広げていただければと思います。
そうした特産品のみならず、東京には多摩や島しょ地域を中心に多種多様な農林水産物が生産されていて、その魅力を都民や観光客にPRしていくことが必要です。しかし、その生産量や生産現場は限られており、特に都心部においては情報量が少なくて、十分に知られていない状況だと思います。
都内産の農林水産物の認知度向上を図るためには、さまざまなチャンネルを使った情報発信の強化が必要です。情報発信の強化を図るため、都民や観光客の目につきやすい場所で都内産農林水産物や特産物を積極的にPRすることが必要と考えますが、所見を伺います。
○武田安全安心・地産地消推進担当部長 都はこれまで、地域の特産品や都内産農林水産物の認知度を高めるため、東京都農業祭や東京味わいフェスタなどのイベントの開催や、ホームページ、SNSの活用により情報を発信してまいりました。
この三月には、新たなウエブサイト、とうきょうの恵みTOKYO GROWNを開設いたしまして、都民や国内外からの観光客に向けて、東京の農林水産業と新鮮で安全・安心な都内産農林水産物の魅力を広く発信しております。
また、JA東京中央会が都内産農林水産物の情報発信拠点といたしまして、来月、新宿に開設するJA東京アグリパークにおきまして、PRイベントやデジタルサイネージにより、地域の特産品や農産物の情報を発信してまいります。
こうした都内産農林水産物の積極的なPRによりまして、地域の特産品や都内産農林水産物の認知度向上と消費の拡大を一層促進してまいります。
○菅野委員 次は、森林整備に関してちょっと伺いたいと思います。
都民はもとより、多摩地域を訪れる観光客にとっても多摩の豊かな森林は魅力的です。
港区では、あきる野市にみなと区民の森を設置し、区民が自然や環境を体験する場を提供しており、区民にも大変好評を得ています。
一方で、多摩の豊かな森林を維持していくためには、植栽や間伐等といった森林作業の継続的な実施が不可欠でありますが、林業従事者は高齢化しており、今後の森林整備を支える担い手の不足が懸念されます。
東京の宝の一つである多摩の豊かな森林を維持していくために、将来に向けて継続的な森林整備を行えるよう、基幹的な林業従事者を育てていくことが必要だと思いますが、都の取り組みを伺いたいと思います。
○藤田農林水産部長 将来の林業を支える担い手を着実に育成するため、都は、林業労働力確保支援センターと連携し、林業従事者のレベルに応じて林業に必要な知識や技術の体系的な習得を図る研修を来年度から実施いたします。
具体的には、新規就労者の育成研修として、森林作業に必要とされる基礎的な知識、技術、技能などの習得を図る集合研修と、通常の作業を通じたOJT研修を実施し、基礎的な作業ができる従事者を育成いたします。
さらに、中堅技術者の育成研修として、現場の運営管理に必要な指導技術、マネジメント知識などの習得を図る集合研修を実施し、現場管理ができる従事者を育成いたします。
あわせて、個々の事業体のニーズに応じた高度技術や新技術を習得するための講師派遣によるOJT型研修を新たに実施し、従事者の技術水準の一層の向上を図ってまいります。
こうした体系的な研修を通じて、将来の森林整備を担う基幹的な林業従事者を育ててまいります。
○菅野委員 ぜひそうした担い手を着実に育成していただきたいと思いますが、一方で、なかなか林業の現場というのは大変苛酷な現場であるというふうに、私も視察で見せていただきまして感じました。
そして、さらに林業技術者の大半を雇用している都内の林業事業体の多くは小規模で、しかも零細であると聞きました。継続的な森林整備に取り組む上では、林業事業者の育成に加え、その雇用主体となる林業事業体の強化を図ることが不可欠だと思います。
しかし、林業事業体が作業を行う上で必要となる森林の情報が不十分で、そのことがさまざまな障害となっているようです。
そうした課題解決に向け、林業事業体の作業効率を高めるための新たな支援が必要と考えますが、取り組みを伺いたいと思います。
○藤田農林水産部長 林業事業体は、森林の境界などの権利関係や樹木の本数などの資源情報をもとに、隣接する複数の森林所有者に働きかけて整備を請け負い、一回の作業面積を拡大することにより作業効率を高めております。
しかし、相続などにより境界や森林の状況を把握することが難しくなっているため、都は来年度から、航空レーザー測量を実施し、地形と樹木などの状況を三次元的に解析することにより正確な情報を集約いたします。
加えて、それらの情報と土地の登記情報などを合わせて林地台帳として整備し、林業事業体が必要とする情報を得られるシステムを構築してまいります。
さらに、林業事業体が高性能林業機械を活用して効率的に木の伐採や運搬などを行えるよう、林業機械のレンタル料助成事業の規模を拡大いたします。
こうした取り組みを通じて、林業事業体の作業効率化を図ってまいります。
○菅野委員 それでは、最後に、産業貿易センターの浜松町館の区分建物の買い入れについて関連して幾つかお聞きしたいと思います。
都立産業貿易センターは、展示会や即売会など、さまざまな催事の会場として利用され、中小企業の販路開拓を支える重要な施設です。港区に立地する浜松町館は昭和五十八年に設置され、現在、周辺の各施設、都有地とともに再整備が進められています。
そこでまず、産業貿易センターのこれまでの利用実績と新浜松町館の整備に向けた現在の状況について伺いたいと思います。
○野間商工部長 産業貿易センターは、見本市や展示会の会場を低廉な料金で提供しており、多くの中小企業がこうした催事の場を活用して新規顧客の開拓に取り組んでおります。
このうち浜松町館は、鉄道やモノレールなどの駅から近く、利便性の高い地域に立地しておりますことから、平成二十四年度は三百六十二件、二十五年度は四百三件、二十六年度は三百五十七件もの展示室を利用した催事が開催されております。
これらの約四分の三は中小企業や中小企業団体による催事であり、中には管工機材総合設備展やジャパン・ケーキショー東京など、来場者数が一万人を超える大きな展示会もございます。
平成二十四年七月に、竹芝地域の都有地を一体的に活用し、民間の資金力やノウハウを取り入れ、地域の活力向上に資するまちづくりを促進する都市再生ステップアップ・プロジェクトが公表されまして、浜松町館の再整備が実施されることとなりました。
平成二十五年五月に、開発事業者が決定され、二十七年十月には浜松町館を閉館し、本年二月に解体工事が完了したところでございます。
今後、平成三十二年五月に、新浜松町館を含む官民複合施設が完成する予定となってございます。
○菅野委員 私も何度かそうした展示会を拝見させていただいたことがあるんですが、以前、航空機関連の部品をつくっている下請というか、中小の企業が展示をしていました。やはりそういうのを見ていると、結構、大手とか海外からも商談の話なんかもあるみたいで、やはり中小企業にとって展示会というのは絶好の商談の機会、チャンスであります。新商品やサービス、技術、これを広く宣伝する機会でもあると思います。
よって、新施設は利用者である中小企業のニーズを捉えた規模や設備を備えていることが重要だと思います。
そこで、新浜松町館の施設の特徴や強化された機能など、概要について伺いたいと思います。
○野間商工部長 新浜松町館は、開発事業者が建設する四十階建ての官民複合施設の一階から六階までの低層部に整備されます。
本施設の展示室は、複数の小規模催事を効率的に開催できますよう、二階から五階までの四層に配置されており、各ホールは遮音性の高い可動式間仕切りにより、さらに分割しての利用が可能となってございます。
また、ホール面積につきましては、高い稼働率であった旧施設と同等の六千平米を確保するとともに、ホール内を柱のない空間とすることにより展示ブース等の配置の自由度を高めてございます。
会議室は、展示会での商談室やセミナー会場など、さまざまな用途に対応できるよう三室を備えておりまして、おのおのの部屋は分割して利用できるようになってございます。
○菅野委員 さまざまなそういった機能が強化された新しい施設ということで、大いに期待するものであります。
また、この建物全体が地域の再開発事業という形でステップアップ・プロジェクトという形で進んでいって、さらには浜松町駅から空中デッキで直接アクセスができるようになります。
さらには、私も質問でいったんですが、竹芝地域の全体のにぎわい創出にも連携するような、そうしたつながりもこれからできるような、まさに中核となるような施設だと思いますので、そういった意味では、そういった場所で展示会ができるというようなのは本当にすばらしいことだと思いますので、大いに期待をしたいと思います。
ところで、今回議案になっていますが、今回の売買契約は、都市再生ステップアップ・プロジェクトの民間事業によって整備される官民合築施設の一部を新センターの建物として取得するものであります。本件は入札とは異なり、相手方が一社となることから、その価格の適正性など契約手続の公正を確保する工夫が重要かと思います。
そこで、価格の決定方法など買い入れ契約手続の内容についてお伺いをしておきます。
○野間商工部長 新浜松町館の建物につきましては、本年度内に開発事業者と譲渡契約を締結いたしまして、平成三十二年八月末までに引き渡しを受けた後、買い入れ金額の支払いを行います。
この買い入れ予定額については、開発事業者と締結いたしました都市再生ステップアップ・プロジェクトの基本協定書において、都と開発事業者がそれぞれ算出した見積金額のいずれか低い方とすることとされております。
新浜松町館の建物の実施設計図書等に基づき、都及び開発事業者がそれぞれ積算を実施しました結果、開発事業者の見積価格百六十九億八百万円を買い入れ予定額といたしました。
なお、都は、開発事業者の見積書を外部の専門家に委託し、見積内容の算定根拠や算定方式、使用する部材、数量等の確認を行ってございます。
○菅野委員 買い入れ価格が、双方から出された見積内容の詳細も十分確認された上で決定された適正なものであるということが理解できました。
中小企業や地元からも待ち望まれている新産業貿易センターの一日も早い整備を期待して質問を終わります。
○栗林委員 それでは、私の方から働き方改革の一環としてのテレワークと都市農業について伺わせていただきます。
初めにテレワークについてでございますが、本会議の我が党の代表質問でも取り上げたこのテレワークでございますが、この質問に対しまして、知事からは、テレワークを働き方改革の起爆剤としたいと答弁がありました。
テレワークは、例えば在宅で仕事をすれば通勤時間が節約できるなど、時間と場所という制約を受けない柔軟な働き方であり、働く側にとっても有効なツールではありますが、現状では、まだ十分に広がっているとはいえない状況です。
広がらない原因の一つは、やはりテレワーク自体がどんなメリットがあるのか、また課題があるのか、そもそもよくわからないという中小企業が多いというのが実情だと思います。
都は来年度、テレワーク推進センターを開設し、相談や情報提供、また、体験などのサービスをワンストップで提供するとのことですが、具体的なサービス内容について伺います。
○貫井雇用就業部長 来年度、都が国と連携して設置するテレワーク推進センターでは、コンシェルジュを配置し、企業ニーズを的確に酌み取り、適切な支援に誘導いたします。
例えば、関心はあるものの導入に踏み切れない企業に対しましては、オンライン会議などテレワーク体験等を通じてメリットを実感していただきます。
また、導入を検討中の企業に対しましては、専門家を派遣してコンサルティングを提供するほか、導入を決めた企業に対しましては、国や都の助成金を通じた経済的支援を行うなど、一貫したサービスを提供いたします。
○栗林委員 今、体験もできるというお話ございましたが、やはり体験するということが一番テレワークを理解する上で効果的ではないかと思います。
センターに常設の体験コーナーがあるということですが、身近な地域でも体験できるような機会を設けていただき普及を図ることが、効果があるのではないかと思います。
都の来年度の取り組みについて伺います。
○貫井雇用就業部長 都は、中小企業におけるテレワークを普及させるため、来年度、新たに経営者や人事担当者等に対してテレワーク導入のメリットや活用方法を効果的に伝える体験型セミナーを都内で年間二十回、合計二百社規模で開催いたします。
セミナーでは、体験を通じてテレワークを活用した働き方を実感していただくとともに、社内でのルールづくりや勤怠管理の留意点など、ノウハウをあわせて提供することで担当者の不安を払拭いたします。
また、あわせて相談会を行い、個別の状況に応じた助言を行うことで企業の導入に向けた意欲を高めてまいります。
○栗林委員 一口にテレワークといっても、実際にはいろいろなやり方があると聞いています。企業の規模などによっても、どんなやり方が効果があるのか、また課題があるのか、実際にテレワークをやってみることを通じて得られることが大きいと思います。
都は来年度、テレワークのモデル事業を実施するとのことですが、具体的な取り組み内容を教えてください。
○貫井雇用就業部長 テレワークの普及に向けては、業種、職種や企業規模によって活用方法や課題も異なりますことから、来年度、新たにさまざまな形態のテレワークの活用を実証するモデル事業を行います。
具体的には、中堅、中小企業を対象に、業種や規模等の異なる企業二十社程度を募り、育児中の従業員等によるサテライトオフィスの活用や、営業職のモバイルワークなど、専門家が助言を行いながら実験的にテレワークを導入し、活用していただきます。
あわせて、テレワークの導入や活用の際に明らかになった課題等を検証するとともに、取り組みの好事例を取りまとめ、広く発信してまいります。
○栗林委員 ぜひよろしくお願いいたします。
多様な働き方の先には、さまざまなメリットも生まれてまいります。朝の通勤電車のラッシュ時の混乱も分散化されて、朝からのストレスが少し低下することにもなりますし、また、そういった環境を提供するということは、働く意欲の向上にもつながると思いますので、ぜひ取り組みをお願いしたいと思います。
次に、都市農業について伺わせていただきます。
一昨年四月、都市農業振興基本法が公明党などの取り組みにより成立し、現在は、東京都農林・漁業振興対策審議会の答申を踏まえて、都道府県単位の地方計画の制定に向け、産業労働局が取り組んでいると聞いております。
まず、東京都の地方計画は、いつごろ公表できるのか伺います。
○藤田農林水産部長 都は、昨年八月の東京都農林・漁業振興対策審議会の答申を踏まえまして、現在、東京農業の新たな振興プランの策定を進めております。このプランは、都市農業振興基本法に基づく地方計画を兼ねるものでございます。
今後、都市農業振興基本法に基づく国の制度改正等の動向も見据えまして、本年五月を目途に公表する予定でございます。
○栗林委員 私たち都議会公明党は、都市農業振興フォーラムを各地で開催したり、農地の多面的社会貢献の意義を主張して、支援策を求めてまいりました。率先して都市農業の振興に取り組んできたところでございます。
しかし一方で、この十年間で都内では約一千ヘクタールの農地が消失しており、農地が減っていく傾向に歯どめがかかっていません。
その上で、都市農地を今後も維持していくためにはさまざまな課題があります。本日は二点確認をしたいと思います。
まず、農業収入のアップに向けた取り組みでございます。
従来、東京の農家は地方に比べて一戸当たりの農地面積が狭く、農業収入だけでは家族が生活を営むことは困難とされてきました。そのため、国の主導により進められてきた都市農地の宅地への転換方針に基づき、不動産の収入から赤字になりがちな農業経営を支えてきたという面があります。
しかし、近年では人口減少や景気後退などによって、賃貸住宅は空き住戸が八十万戸にも都内では及ぶといわれている中、不動産収入にかつての活気はなくなり、農業経営によって生じる赤字を賄い切れなくなってきているところであります。
現在、各区市で農業を営んでいる三十代後半から五十代、六十代の、働き盛りのいわゆる青壮年部といわれる農業者のその次の世代、今の高校生、中学生などの世代の農業離れは、これまでにも増して一層深刻といわれています。このままでは東京の農地の減少は一気に進むと予想されています。
そうした世代交代に伴う農地存続の危機を乗り越えるためには、農業収入のアップ、少ない農地面積でも単位収穫高、売り上げを伸ばす取り組みが重要でございます。
そして、あわせて今後、我が党も主張してまいりました農地の貸借が国制度として可能になれば、家族以外の農耕を希望する小さい単位の農地面積があちこちで出現してくるとも思われております。
こうした農地の活用は、体験農園なども考えられますが、基本的には農作業になれた現在の営農家による耕作が現実的に最も妥当な選択であると思います。
しかし、距離的に離れた複数の農地を同時に担うことは、農家にとっても負担が大きいところです。
ハウスを構えるにしても、耕作管理や風雨時などでの危機回避などの手間を緩和していかないと、耕作を引き受ける人の不足により、せっかく法制度を貸借可能に改善しても、農地が存続しないことになりかねません。
都は、単位面積当たりの農業収入のアップと、離れた農地間での耕作管理を可能とするような新たな支援事業に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
○藤田農林水産部長 都は、収益性の高い農業経営を実現するため、東京都農林総合研究センターにおいて、栽培施設内の温度や光、CO2などをICTにより総合的に管理し、最適な栽培環境にすることで、小規模農地でも高品質で多くの収量が得られる独自の技術開発に取り組んでおります。
この技術を活用することで、例えばトマトですと、通常のハウス栽培に比べ四割以上の収量増加が期待できるところでございます。
また、ウエブカメラによる施設の状況確認や、スマートフォン等による温風機等の遠隔操作ができるため、生産施設が分散していても、農業者が自宅にいながら容易に栽培管理が可能となります。
今後は、こうした技術開発を行っている栽培施設におきまして、農業者への研修会などを開催することにより、その普及を図ってまいります。
○栗林委員 来年度は、現在、実証実験中のモデル事業の取り組みの農業者への研修会を実施するということでございますので、その成果を、反響を踏まえ、ぜひ今後の予算編成で取り組んでいただきたいことを要望させていただきます。
その上で、東京二〇二〇大会での食材の調達が最近話題となっています。
和食が世界遺産となって初めての東京でのオリンピック・パラリンピックでございます。選手村を初め、食のおもてなしには大きな期待が集まっており、その食材には日本のおいしく、安全な食材がぜひ提供されるべきであります。
しかし、選手村での食材として採用されるためには、GAPという農産物の安全にかかわる認証制度をクリアしなければなりません。
東京都は既に今年度、二十八年度からGAP取得に向けた支援事業を開始しているところでありますが、組織委員会による調達基準の策定がおくれており、いまだ公表されていないため、都の支援事業を活用した取得実績はゼロとのことと聞いています。
認証準備に取りかかっても、一定程度の期間使う農薬の実績を記録するなど、取得には相当の期間を要するといわれています。あと三年しかございません。
調達基準が公表されたならば、迅速に周知を図り、GAP認証を取得し、東京の大会に都内の都市農業者が食材を提供できるよう間に合わせるべきでありますが、見解を伺います。
○武田安全安心・地産地消推進担当部長 東京二〇二〇大会は、都内産の農産物を広く国内外に発信する絶好の機会であることから、選手村などに農産物を提供できるよう、都では今年度から、農業者のGAP認証等の取得支援を開始いたしました。
具体的には、GAPについての理解を深めてもらうため、農業者に対する研修会を開催するとともに、GAPの仕組みをわかりやすく紹介したリーフレットを作成し、生産者団体を通じて広く農業者に配布しております。
また、認証取得の実務的なノウハウを蓄積するため、意欲ある農業者をモデル農家に指定し、GAP指導員の派遣を通じて生産工程管理や安全対策などの手法を取得してもらっているところでございます。
今後、調達基準が公表され次第、改めて農業者に周知を図りまして、速やかにGAP認証等の取得ができるよう、引き続き支援を行ってまいります。
○栗林委員 都市農業を継続するには人材育成は不可欠でございます。
農業を専門に学ぶ都立高校もございますので、しっかりその辺の情報提供もしていただきながら、人材育成にも取り組んでいただくことを要望いたしまして、質問といたします。
○島田委員 まず初めに、多摩産材の活用についてお伺いをいたします。
予算特別委員会でも質問させていただきましたけれども、知事の方からも多摩産材の利用促進を進めるということで、特に、都議会の下にもできましたけれども、とちょう保育園、このとちょう保育園の中には多摩産材を使った遊具だとか机、椅子だとか、そういったものも家具なんかにも使われておりまして、公共の施設のみならず、民間のそういった保育施設にも利用を促進することが重要ではないかというようなことで、来年度からは都の方の予算で、保育施設等の多摩産材を使った支援が、一件当たり四百五十万円に引き上げられたというようなこともありますし、そして二十件の計画があるというようなことでございまして、公共施設のみならず、民間施設への多摩産材の利用を促進していただきたいというふうに思っているところでございますが、多摩産材を普及するためには、単に多摩地域でとれた材木だからという理由だけでは、多くの消費者に利用してもらえないというふうに考えております。
そのためには、建物を建設する設計者だとか建設会社、家を建てる場合であれば工務店さん、あるいは家具であれば木工業者などの理解、協力が必要だというふうに思っております。
そして、多摩産材は材木の単価が高い分、その付加価値をいかに高めていけるかが、その活用に当たっての大変重要な要素だというふうに思っております。
その昔、奥多摩の地域では、材木は建設の際の足場として利用されておりましたけれども、その足場が金属製品のものに取ってかわりますと、急速にその材木は利用されなくなり、林業が一挙に衰退したというふうに聞いております。
自由貿易の中で安い木材が入ってくる状況では、資材の価格は負けてしまいます。その資材にいかに価値をつけて世に送り出すかということが、重要でないかというふうに考えているところでございます。
東京都では、多摩産材を使った製品のデザイン力の向上、あるいはマーケティングなど、多摩産材を使った製品を活用する企業にどのような支援をしているのか見解をお伺いいたします。
○藤田農林水産部長 多摩産材製品の利用を拡大するためは、販路開拓と消費者ニーズを捉えた魅力的な製品づくりが必要でございます。
都は昨年度、多摩産材を初めとする日本各地の地域材の利用を促進する木材製品展示会を初めて開催し、製品PRや商談の場を提供することにより、多摩産材を扱う木工業者等を支援いたしました。
今年度は、展示会の規模を十六都道県に拡大し、来年度は、さらに全道府県に参加を呼びかけ、実施してまいります。
また、都は、デザインの導入に向けた相談やデザイナーとのマッチング等を実施しており、これらの事業の活用について周知を図ることにより、多摩産材を使った新たな製品づくりを後押ししてまいります。
○島田委員 先ほど菅野副委員長からも、多摩産材の切り出す方ですね、木を切って、そして送り出す方の農林の話があったわけですけれども、その川上からそれをまた製品にかえて、そして川下までということで、そうした販路開拓だとかマーケティング、川上から川下までの一貫した支援体制、これは局の方でぜひよろしくお願いをしたいというふうに思っております。
次に、多摩地域の観光振興についてお伺いをいたします。
東京二〇二〇大会も開催されますと、多くの観光客が東京に訪れるわけでございます。この観光客を多摩地域の観光名所に誘導しまして、多摩地域の観光産業を活性化させていくことが大変重要であると考えております。
このたび多摩地域の観光拠点としまして、立川に多摩観光情報センターが整備されるわけでございますが、この観光情報センターを多摩地域の観光協会と連携を密にしながら、観光情報を戦略的に発信していくためには、この情報センターをどう活用していくのか見解をお伺いいたします。
○坂本観光部長 都は現在、多摩を含む各地域の観光情報について、さまざまな案内所から提供を受け、都庁舎の観光情報センター等に集めて発信をしているところでございます。
今後は多摩への送客に役立つ情報提供に加えまして、同地域の観光をきめ細かく紹介するため、多摩の各エリアへの交通の便を踏まえまして、立川に情報センターの整備を行います。
同センターでは、多摩各地の観光協会から情報の提供を受けまして、さまざまな内容を旅行者に伝える仕組みといたします。
こうした取り組みによりまして、多摩地域の観光振興を着実に進めてまいります。
○島田委員 ぜひ、今の話にもありましたとおり、各それぞれの地域の、観光協会が地域の情報をかなり知っていると思いますので、連携して、これまた戦略的に観光の情報の発信をお願いしたいというふうに思っております。
このたび、こうして立川に観光情報センターが整備されるわけでございますが、これまで以上に多摩地域の観光振興が図られることが期待されるところでございます。
多摩地域の観光振興の機運が高まる中、観光資源を開発する取り組みが求められるところでございます。
昨年から公共インフラと観光を結びつけるインフラツーリズムの事業が始まりまして、事業の進展が期待されるところであります。多摩地域は、昨年、知事が訪れましたけれども、小河内ダムを初めまして大規模な公共インフラがありますが、こうした公共インフラは観光資源としても活用が可能だというふうに思っております。
私は数年前、栃木県にあります湯西川ダムを訪れました。ここでは水陸両用車がありまして、それに乗りますとダム周辺を回りまして、そしてダムの湖面を遊覧するツアーがありまして、私もその遊覧するツアーに乗りまして、大変これはいいものだなというふうに思ったところでございます。
私は、都民が東京都のどのようなインフラに興味があるのかアンケート調査の実施だとか、インフラを管理する部局と事業を企画する局が密に連携をしまして、都民の目線で東京都がインフラツーリズムをこれまで以上に推進する必要があるのではと考えますが、見解をお伺いいたします。
○坂本観光部長 都が保有する公共インフラを活用して、旅行者の誘致を進める地域のアイデアにつきまして、都は今年度、民間のノウハウと各局からの協力によりまして、観光ツアーをつくり上げる支援を行いました。
来年度は、都施設も含め、国や区市町村の持つ公共インフラをモニターがめぐる観光コースについて、民間事業者から提案を募ります。その中からすぐれたコースを選び、都が経費を負担して民間事業者とともにツアーを実施し、アンケートなどによりニーズの把握などを行います。
また、こうしたサポートによるツアーをウエブサイトで紹介し、民間事業者による新たなコースの作成に結びつけます。
このような取り組みによりまして、公共インフラを活用した観光振興を進めてまいります。
○島田委員 今、ご答弁がありましたけれども、今までの事業とは違って、民間の事業者とも連携をしながら、そしてアンケートなどもやりながら、さらにグレードアップした形で、今後インフラのツーリズムの事業が行われるということで、大変期待ができるなというふうに思っておりますので、ぜひそちらの方の推進をよろしくお願い申し上げます。
次に、自然公園の活用についてお伺いします。
近年、いわゆる山ガールと呼ばれるように、山林などのトレッキングを楽しむ愛好家もふえまして、関連のアウトドア商品などもよく売れているというふうに聞いております。週末のホリデー快速も多くの方々でいっぱいでございます。
こうした中、これまで東京都は、登山ルートの整備だとかトイレなど、自然公園などのインフラ整備を促進しているところでございますが、自然を生かした観光資源の開発はまだまだ不十分といえます。
多摩地域や島しょ地域では自然公園が多くありますが、自然公園を活用した取り組みも大変重要であると考えております。
今後、東京都は自然公園を活用し、観光資源とする取り組みをどのように充実していくのか見解をお伺いいたします。
○坂本観光部長 都は現在、多摩地域の豊かな自然を観光面で生かすため、森林の中の散策ルートのPRを行っております。また、散策ルートの途中に、眺めのよい広場を設ける取り組みも進めております。
さらに、島しょ地域では、小笠原諸島の自然に親しむエコツーリズムのニーズ調査を行ってまいりました。
来年度は、多摩・島しょ地域に広がる自然公園を対象として、旅行者の興味や関心の集まる観光のあり方を調べるため、モニターによる四回のツアーを実施いたします。その結果を観光事業者と共有して、旅行者誘致に結びつけてまいります。
こうした取り組みによりまして、多摩・島しょ地域の観光振興を進めてまいります。
○島田委員 また、これもモニターによるツアーを実施して、この自然公園を活用したプログラムを今後さらに開発していくということでございますので、またいいものになりますように、ぜひよろしくお願いを申し上げます。
最後に、ドローンの活用について、お伺いをいたします。
無人航空機、いわゆるドローンですけれども、活用についてお伺いをいたします。
昨年は、日本の各地で熊が出没をしまして、大きな話題となったところでございます。
西多摩地域でも、熊が出没しまして猟友会などが対応されましたが、近年、特に地域の農業者からは、イノシシや鹿などの野生獣による農業被害がふえているというふうに聞いているところでございます。
最近は、こうした農作物の野生獣の被害に対応するために、ドローンを活用して野生獣の生息状況を把握しまして、対応する取り組みなども進んでおります。
また、最近では、東京消防庁が林野火災に対応したドローンの活用というようなことで、燃えているところにドローンを飛ばして火災状況を確認して消防活動に役立てるというような実験も行われたところでございまして、ドローンは空の産業革命といわれる新たな可能性を有する技術でありまして、農業や災害対応、空撮、測量などの分野では既に活用され始めまして、民間企業では新たなサービスとして、ドローンを使った荷物の配送なども研究されております。
西多摩地域を初め多摩地域は、都心部と比べて人口集中地区が少ないため、ドローンの実証実験などを行うのに適した地域といえます。また、高度な計測機器や医療機器を扱う技術力の高い企業や、大学を初め研究機関も多く、ドローンの研究開発を行うための産業基盤も整備されております。
こうした多摩地域の強みを生かして、既にあきる野市や奥多摩町ではドローンの活用を進めているところでございます。
都は、こうした現状を踏まえまして、今後、ドローン特区を活用した実証実験の成果などを踏まえながら、ドローンを活用し、産業振興の起爆剤とすべきであると考えますが、見解をお伺いいたします。
○青山産業企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 来年度からは、土砂災害警戒区域等におけるドローン特区を活用した実証実験が、多摩の一部地域において行われる予定でございます。
こうした実証実験の実証を通じまして、実用化に向けた課題が明らかになり、それらが解決されていく中で活用の分野が広がっていくと考えてございます。
○島田委員 今、土砂災害区域におけますドローンというものは、土砂災害地域に孤立地域が発生した場合、ドローンで被害状況を確認して、高画質な画像をリアルタイムで伝送して、その状況を把握するというようなものでございます。
昨年も九州で大震災が起きまして、そうした孤立の地域もあったわけでございます。そういうときにヘリコプターなんかを飛ばすのがなかなか大変な場合には、ドローンでまず状況を把握するというようなことで、そういった防災面での活用もあるのかなというふうに思っております。
今後は、ドローンの技術革新、飛行の安定性、信頼性の向上が図れれば、幅広い分野での活用が広がりまして、産業の活性化になるというふうに考えておりますので、実証実験のこうした事例を踏まえながら、ぜひこのドローンの活用に向けて、技術力の支援をよろしくお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○尾崎委員 最初に、働き方改革について伺います。
働き方改革推進事業では、企業が社内で取り組みを進め、働き方改革宣言した場合に三十万円、加えて就業規則を改正し、働き方や休み方の改善に資する制度を新たに整備した場合に、さらに最大三十万円を加算して支給する事業となっています。
この事業では、二〇一六年度の目標は一千社の企業が働き方改革宣言をするとなっていますが、実績として奨励金を活用し、働き方改革宣言をした企業数は何社になるでしょうか。また、そのうち新たに制度導入にも取り組んだ企業数は何社ありますか。宣言を行った企業のうち、中小企業の数もあわせて伺います。
○貫井雇用就業部長 二月末日現在、奨励金を活用して働き方改革の宣言を行い、都が審査を終えた企業は四百十二社でありまして、このうち就業規則を改正するなど、制度整備を行った企業は二百七十六社でございます。
また、四百十二社のうち、中小企業は四百五社でございます。
現在、宣言を行い、都が審査中である企業や、宣言に向けて取り組んでいる企業もございまして、二十八年度の働き方改革宣言企業は目標の千社に達する見込みでございます。
○尾崎委員 働き方改革宣言後の企業に対する支援として、導入した制度の運用の状況に応じて助成金を支給する働き方改革助成がありますが、その実績を伺います。
○貫井雇用就業部長 働き方改革助成金は、働き方や休み方の改善を図るために導入した勤務形態や休業制度などについて、最長十二カ月の計画期間を定め、その期間内に制度の利用が確認された場合に助成金を支給するものでございます。
現在のところ、支給実績はまだ出ておりません。
○尾崎委員 働き方改革の計画では、具体的な数値は求めているのでしょうか。例えば長時間労働の是正は、現在の残業時間と今後の目標数値などを求めているのか伺います。
○貫井雇用就業部長 働き方改革の宣言に当たりましては、企業が社内の現状と課題の分析を踏まえて、みずから適切と考える目標と取り組み内容を設定することとしておりまして、目標数値を定めることまでは義務づけておりません。
○尾崎委員 日本共産党都議団は、働き方改革宣言書、事業計画書兼交付申請書、働き方改革宣言事業の取り組み状況などを情報開示しました。
例えば働き方改革宣言書では、宣言、目標、働き方改善、休み方の改善、取り組み内容などを記入するようになっていますが、働き方の目標に、例えば通勤が困難な子育てや介護中の人であっても働き続けることができる制度をつくりますとなっている企業もあります。休み方の目標にも、育児、子育て中の従業員が安心して働き続けることができる制度をつくりますと、大変漠とした大きな目標になっています。
別の企業では、働き方の目標に勤務間のインターバルを導入するとありましたが、勤務時間と勤務時間の間の何時間を、インターバルで導入するのかを明らかにしていない企業もありました。
また、働き方の目標では、残業時間の前年度対比で一〇%減を目指すとなっています。しかし、前年度の状況が記入されていないために、具体的にどういう目標なのか非常にわかりにくくなっています。
例えば若者応援宣言企業では、新卒者、若者の採用者数、離職者数を公表し、過去一年間に事業主都合による解雇、退職勧奨を行っていないこと、過去三年間に新規学卒者に対する採用内定取り消しを行っていないことなどを条件としています。
ユースエール認定企業は、さらに前年度の事業年度の月平均の所定外労働時間、有給休暇の平均取得日数、育児休業の取得対象者数、そして男女別の取得者数、役員、管理職の女性割合なども公表しています。
都民の税金を投入しているわけですから、働き方改革宣言企業は前事業年度の月平均の所定外労働時間、有給休暇の平均取得日数、育児休業の取得対象者数や男女別の取得者数、役員、管理職の女性割合などを公表すべきだと思いますが、いかがですか。
○貫井雇用就業部長 働き方改革宣言企業制度は、長時間労働の削減や休暇の取得促進に向けて、より多くの企業の現状を改善するために、自発的な取り組みを促すことを目的とするためのものでございまして、宣言内容と今後の取り組み内容を公表しているところでございます。
情報公開請求に対しましては、企業の内部の課題を抽出していただいている部分などにつきましては、非開示という対応をさせていただいているところでございますが、この宣言企業制度の運用に当たりましては、社内における問題点の抽出、また改善の方向性の検討、さらに目標及び取り組み内容の設定につきまして、社内の従業員に向けて周知をすることまでも含めた取り組みをしていただいているところでございます。
○尾崎委員 ただいまのご答弁で、自発的な取り組みを促すことが目的だということでしたが、都民の税金が投入されているわけですから、厳しくチェックする必要があると思います。また、宣言内容と今後の取り組み内容は公表するということでしたので、そうであるならば、現状についても公表すべきだと強く要望しておきます。
日本は非正規雇用がふえているだけではなくて、欧米など世界と比べても長時間労働が日常化、過重労働による過労死や過労自殺が蔓延しています。大手広告代理店の電通に勤める二十代の女性社員は、過重労働の末、昨年のクリスマスの朝にみずから命を絶ちました。
過労自殺は大変衝撃的であり、未来ある若者が長時間労働などで心身を病み、みずから命を絶つような事態を繰り返してはならないと思います。命が奪われるような働き方そのものを変える必要があります。
そこで伺いますが、過労死、過労自殺などをなくすためには、長時間労働をなくすことだと考えますが、都は長時間労働をどうやってなくしていくと考えていますか。
○貫井雇用就業部長 都は、働き方改革宣言企業制度などにより、企業に対して長時間労働の削減に向けた目標と取り組み内容の設定を通じて、現状を改善する具体的な取り組みを促しております。
また、企業向けに過重労働防止セミナーを実施するなど普及啓発を図るとともに、長時間労働に悩む労働者に対しましては、労働相談情報センターにおいて労働関係法令を踏まえた助言等を行うほか、法令違反の疑いがあるものにつきましては、監督権限を有する労働基準監督署につなぐなど、きめ細かい対応を行っております。
○尾崎委員 長時間労働をなくすためには、事実上、企業が無制限に時間外労働を命じることが可能となる三六協定の特別条項や、労働法制の見直しが必要です。また、日本は、労働条件に関するILO条約十八本の批准を早急に行うべきです。
同時に、生産性の効率化だけでは解決できず、雇用をふやさなければ長時間労働をなくすことはできないと考えます。
都は、働き方改革宣言企業制度などの取り組みで長時間労働をなくしていくということですが、それなら企業の自主性に任せるだけではなく、現状についてきちんと都が把握することを求めておきます。
次に、子育て、介護との両立についてです。
中小企業で働く労働者の育児、介護休業などの取得を促進するため、中小企業に対して休業期間中の賃金助成や代替職員の配置のための支援が必要ですが、いかがでしょうか。
○貫井雇用就業部長 育児や介護の休業期間中の労働者は、雇用保険制度により、最大で賃金の六七%相当の育児休業給付金や介護休業給付金を受けることができるところでございます。
また、育児休業中の代替要員の確保にかかる費用につきましては、国において助成制度を設けてございます。
都では、国の制度の対象とならない介護休業等に伴う代替要員の確保に係る経費を中小企業に対して助成してございます。
○尾崎委員 育児休業中の代替要員の確保にかかる費用については、国において助成制度があり、都は、国の制度の対象とならない介護休業時に伴う代替要員の確保に係る経費を中小企業に助成しているということでしたけれども、国や都が両方とも、育児にも介護にも、もっと拡充することを求めておきます。
労働者の側からすれば、従業員が少ない中で、自分が休むことで会社に迷惑がかかるのではないかと我慢しているという声もあります。企業の側が育児休業や介護休業を積極的に推進するためには、労働者や中小企業に制度の仕組みを知らせることが大変重要だと思います。
例えば駅や電車の中の広告やポスターなどを工夫することも求めるものです。
次に、多摩地域女性就業支援プログラムについてです。
子育て中の女性にとって働く場所は、住まいから近いというのは大変重要です。仕事を探す上でも、研修やセミナーを受ける上でも、行きたいと思っても遠くまで行かれないのが子育て中の悩みですから、気軽に出かけられる距離にあるというのは重要です。
そこで、多摩地域女性就業支援プログラムはどのような支援を行うのか具体的に伺います。
○貫井雇用就業部長 本事業では、就職に当たり自身のスキルに不安を抱える方を対象に、ビジネスマナーやパソコン操作を学ぶセミナーと、企業での職場体験を組み合わせ、職業紹介までを支援いたします。
○尾崎委員 多摩地域において、身近な地域での就職を望む子育て期の女性を対象にして、マザーズハローワーク立川と連携した就職支援事業を実施するとなっていますけれども、具体的には都が直接行うのですか、それともどこかに委託して行うのか伺います。
○貫井雇用就業部長 本事業のうち、都が担うことになるセミナー及び職場体験や求人開拓につきましては、事業者に委託して実施することを想定しております。
○尾崎委員 予算の規模でいいますと、五十人となっていますが、五十人という根拠は何でしょうか。
○貫井雇用就業部長 先ほどご答弁しましたとおり、本事業におきましては職場体験をすることといたしておりますが、この職場体験の受け入れ企業の確保などを考慮して、一回当たり十人、年五回実施することとしております。
○尾崎委員 この支援は就職するまでの支援でしょうか。その後の定着などの後追い調査はどのように考えていますか。
○貫井雇用就業部長 本事業は、求職者の不安を解消し、自信を持って就職活動に臨み、就職するまでを支援する事業でございます。
○尾崎委員 子育て中はどうしても子供中心の生活になります。
以前、マザーズハローワークの方にお話を聞いたときに、研修でお化粧や服装について、そして面接の仕方などの講座を受ける中で、最初は面接に不安を抱えていた人が見違えるように自分に自信を取り戻して、就職までできたという話を聞きました。
そして、同じ子育て中の女性同士の交流で、悩んでいるのは自分だけじゃない、こういう思いになって、背中を押されたということを聞きました。
一人では気づかないこともあります。職場体験も重要です。ぜひ伴走型で就職できるまで支援すること、そして就職できた後も職場での悩みなどを相談できるように支援し、定着まで支援することを強く求めるものです。
次に、女性の創業支援についてです。
女性・若者・シニア創業サポート事業のそれぞれの実績について伺います。
○山巻金融部長 事業を開始いたしました平成二十六年度の融資実績は、属性別に、女性が二十一件、八千万円、若者が二十五件、一億二千万円、シニアが四件、三千万円、合計で五十件、二億三千万円でございました。
平成二十七年度は、女性が八十一件、四億二千万円、若者が百一件、七億一千万円、シニアが二十七件、一億六千万円、合計で二百九件、十二億九千万円でございました。
今年度は、昨年度の実績を大きく上回る状況で推移してございます。
○尾崎委員 ただいまの数字を聞きまして、一年目は五十件、二年目は二百九件、三年目もふえているという傾向だということがわかりました。
新規で商売を始めよう、起業した人が元気に商売に取り組んでいることで、商店街も元気になっているという専門家の方もいます。そういう意味では、新規で始められる方がその地域で中心になって活性化を図っているということも、今各地であるということです。
私は、特に女性起業家が商売を始めようとするときに、融資以外での支援が大変重要だと思っています。
この間、創業を支援するインキュベーション施設などをたくさん見学しました。若い人や女性に人気のあるインキュベーション施設には託児所があり、お昼寝ができる畳の部屋、キッチンや子供も一緒に食事ができる食堂など、創業への支援だけではなく、利用者が交流できる場所の工夫がたくさんありました。
一月に、TOKYO創業ステーションを見学しました。託児所や交流スペースなど、女性の創業を応援する工夫がありました。専門書もそろっていて、要望があれば書籍の購入も行うということでした。
TOKYO創業ステーションは、現時点での会員登録数や取り組みの実績など、どうなっているか伺います。
○野間商工部長 TOKYO創業ステーションでの二月末時点の実績でございますが、会員登録数千九百六十五人でございます。
また、イベント、セミナーを六十六回実施いたしまして、参加者は合計二千二百五十人となっております。各種相談への対応は、合計五百二十六件となってございます。
○尾崎委員 自分の経験や特技を生かして起業したいと希望する女性に、伴走型で開業まで支援することが大変重要です。TOKYO創業ステーションに託児所や交流スペースもあるということは、子育て中でも気軽に相談し、交流できる施設になっていました。
東京で一カ所ですが、多摩地域にも同様の創業ステーションが求められると思いますけれども、いかがですか。
○野間商工部長 本年一月に開設いたしましたTOKYO創業ステーションは、創業希望者の掘り起こし、各種相談への対応、先輩起業家や事業提携パートナーとの交流やネットワークの促進等の支援をワンストップで行う拠点といたしまして、多摩地域や区部など特定の地域にかかわらず、多くの人に利用してもらうことを狙って開設したものでございます。
○尾崎委員 先ほどのご答弁で、一月から始まって二月末までで既に登録会員数は千九百六十五人、イベント、セミナーも六十六回開催し、二千二百五十人が参加しているということです。
東京に住んでいる人だけではないんじゃないかと思いますけれども、それでも参加数は多いと思います。いい方をかえれば、女性のニーズに合っているということではないでしょうか。
今後の状況も見ながら、ぜひTOKYO創業ステーションを多摩地域にも設置することを検討していただきたいと思います。
次に、創業支援の施設についてです。
都が現在行っているインキュベーション施設運営計画認定事業における要件はどうなっていますか。
○野間商工部長 現在の認定要件でございますが、独立した、おおむね十平方メートル以上の個室の貸し事務室が五室以上あること、創業支援の実績が一年以上あること、インキシュベーションマネジャーの配置が具体的に計画されることなどを全て満たすことでございます。
○尾崎委員 インキュベーション施設運営計画認定事業の募集要項の申請資格者の項目の中で、申請資格者となることができない者について、どのようなことが書かれていますか。
○野間商工部長 本事業への申請をすることができない場合は、税金の滞納者、過去に助成事業で不正等を起こした者、事業の実施に当たって関係法令を遵守しない者などでございます。
○尾崎委員 ただいまのご答弁にもありましたけれども、事業の実施に当たって必要な許認可を取得せず、関係法令を遵守しない者とあります。
既に認定されている港区南青山二丁目の事業者ですが、都市計画の用途地域である第二種高層住宅専用地域で、この事業の認定を受けた事業者がおります。この用途地域は、店舗、事務所等は法律で二階以下に制限されています。
ところが、この認定事業者は三階にインキュベーション施設を設置し、募集しています。
私は現場を何度か見てきましたけれども、ポストにも三階を示すものがあります。そして、募集のホームページでは、三階とは書いていないんですけれども、広さが何平米という写真もあるんですが、これは三階の面積しか、こういう形のものはないということもわかっています。
また、この事業者は、屋上を撮影スタジオとして二十四時間営業しています。貸し出しを行っています。
住民の方たちからの情報提供であったわけですが、事実関係を確認しました。さらに、念のため、監督官庁にあたる港区担当課長にも確認をしました。
その結果、三階部分をスモールオフィスとして貸し出そうとしていること、屋上を営業行為していることについては、持ち主に法令違反であることを直接訪問して何度も伝えているということを確認しました。
昨年の事務事業質疑で、私は認定したインキュベーション施設の後追い調査はどのように行っているのかとただすと、都は認定期間である八年間の終了まで、毎年現地調査を実施すると答弁しています。この事業者のところは現地調査を行っているのでしょうか。
そこで伺います。
この事業者のところに現地調査はしたのか。この事業者は、申請資格者となることができない者に該当するのではないでしょうか。都として早急に調査することを求めますが、いかがですか。
○野間商工部長 本事業に関しまして、現地調査を実施することになってございまして、平成二十八年度は二十七年度認定の十五施設の調査を実施してございます。
当該事業者につきましては調査を行い、もし不適切な点があれば改善を求めるなどという措置をすることになるとは思います。
ただ、認定条件に合致するような法令違反というものが取り除かれれば、判断は個々に慎重に行っていく必要があると考えてございます。
○尾崎委員 先ほど紹介をしました、これはホームページで見たんですが、これは二月二十二日に見たら、先ほど説明した三階にあたる部分を募集しているんです。それで、屋上のスペース、撮影スペースというホームページを見ましたら、これは二月十四日にもまだホームページに載っていました。
そういう点では、今のご答弁でちょっとはっきりしなかったんですが、まだ現地調査は行っていないということでよろしいんでしょうか。
○野間商工部長 本件につきましては現地調査を行ってございます。(尾崎委員「行っている」と呼ぶ)はい。
○尾崎委員 都民の税金を投入しているわけですから、ぜひ調査をしていただきたいと思いますし、調査している上でも、先ほど紹介したように、二月の段階でも募集をしたりしているわけです。
ですから、改めて抜き打ち調査も含めて、早急に行っていただきたいと思います。
次に、企業主導型保育施設設置促進事業について伺います。
国の補助制度の対象外となる開設時の備品購入に要する経費について支援するということですが、企業主導型保育施設は認可外です。
面積や保育士の配置基準は東京都の基準でしょうか、それとも国の基準でしょうか、伺います。
○貫井雇用就業部長 企業主導型保育事業に関する設備基準や職員の配置基準は、国が定める実施要綱において具体的に規定されております。
なお、その規定の内容は、設備につきましては、区市町村長の認可を得て設置する事業所内保育事業と同様の基準でございまして、保育士の配置につきましては、同じく区市町村長の認可を得て設置する小規模保育事業と同様の基準でございます。
○尾崎委員 福祉保健局の管轄の問題ではありますけれども、企業主導型保育施設は認可外の保育所になります。面積や保育士の配置基準は、国の基準で行うということでした。
昨年、大田区の認可外保育所で、生後六カ月の赤ちゃんが事故で亡くなるという痛ましい出来事がありました。事故が起きたときには、資格を持った保育士は一人もいなかったことが明らかになっています。死亡事故の発生割合は、認可外が圧倒的に多いという実態があります。
産労局は国が補助をしない遊具や備品などへの支援を行うということですけれども、東京都の基準をクリアすることを要件にすべきだと要望しておきます。また、福祉保健局と連携し、事故が起きないよう、後追い調査をきちんと行うことを求めておきます。
次に、小規模企業への支援についてです。
製造業では単価、工賃が上がらず、商店街では空き店舗がふえ、中小企業、小規模企業は後継者がいないことや、人手不足で深刻な事態が続いています。
国は、成長発展を中心とした中小企業を中心としてきましたが、二〇一四年六月に従業員五人以下の小規模事業者、個人事業者の事業が継続できるための支援に光を当てる小規模企業振興基本法を制定し、今までの方針を転換してきました。
ところが、東京都は小規模企業振興基本法ができたにもかかわらず、中小企業支援の柱は引き続き成長産業、海外進出への支援になっています。
都は、小規模企業振興基本法をどう具体化するのか。本来であれば、当事者である中小企業、小規模企業者、学識者、専門家の人たちも含め、東京都の中小企業、小規模企業の現状はどうなっているのか、現状や要望を踏まえ、振興施策をどう進めるかの計画、支援策について議論する場が必要です。
東京都には東京都中小企業対策審議会があります。しかし、直近では、二〇〇四年度、ものづくり産業の集積施策のあり方について知事が諮問して、答申した以降、一度も開催されていません。中小企業審議会は東京都中小企業対策審議会条例で設置されていますが、二〇〇五年度以降一度も開かれない。
他県では小規模企業振興基本法の具体化のために審議会などを開催していますが、都はどうして審議会を開かないのでしょうか。
○野間商工部長 都は有識者や企業関係者等からなる懇談会を設け、平成二十四年に都の産業振興政策の方向を示した東京都産業振興基本戦略を策定いたしました。
これに基づきまして、中小企業振興施策を展開しているところでございます。
○尾崎委員 今回、資料要求で出していただいた資料を見ますと、都内製造業の推移、ここでは従業員九人以下ですけれども、二〇〇〇年は十一万三千六百九十九所ですが、二〇一一年に六万三千三百三十六所となり、五万三百六十三所の減少となっています。四四・三%も減少したことになります。
中小企業白書によると、東京都の小規模企業数は二〇〇六年は四十一万七千六十二所ですが、二〇一四年には三十六万四千二百六十五所、八年間で五万二千八百三所、一二・七%が減少しており、減少に歯どめがかかっていません。
一方、神奈川県は二〇〇六年に十七万百八十三所でしたが、二〇一四年は十六万九千四百九十一所、八年間で六百九十二所、〇・四%の減少にとどまっています。
神奈川県では小規模企業振興基本法の成立を受け、小規模企業支援の今後の具体化に向けて、神奈川県中小企業活性化推進審議会を神奈川県中小企業・小規模企業活性化審議会と名称も改め、県が適切な支援を推進するために、県内中小企業、小規模企業の経営実態、支援ニーズなどを把握する調査を実施しているということでした。
都内の小規模企業に光を当て施策を行うには、小規模企業の実態を調査し、東京都への支援ニーズ等を把握すべきですが、いかがですか。
○野間商工部長 都はこれまでも、都内中小企業の状況などにつきまして、定期的に調査を実施いたしまして、小規模企業の実態を的確に把握しているところでございます。
○尾崎委員 神奈川県の担当者に直接話を聞きました。昨年十二月からことしの二月にかけてアンケートを実施し、その後、企業を訪問して直接聞き取りを行うということです。
県の担当者は、アンケートには記述する質問も多く、統計をとるだけのアンケートではなく、今後の県の計画、施策に生かせるようにしているとのことでした。小規模企業の活性化に向けた県の構えが伝わってきました。
都内中小企業の約八割を占めているのが小規模企業です。製造業では九割が小規模企業です。
地域の経済を支えているのはまさに小規模企業ですが、一方で自助努力だけでは経営を維持することが困難な状況です。東京都の中小企業対策の施策でも、小規模企業支援に光を当てた特別な支援が必要です。
小規模企業振興基本法が制定された二〇一四年と二〇一五年の二年間だけでも、兵庫県、福岡県、長崎県など十一県三十二の区市町で小規模企業を持続させるための施策を含め、中小企業、小規模企業振興条例が制定されました。
都として中小企業、小規模企業振興条例制定を求めますが、いかがですか。
○野間商工部長 都は東京都産業振興基本戦略などに基づきまして、小規模企業に対して経営、技術、資金繰りなどの面から、幅広い支援策を実施しているところでございます。
○尾崎委員 国は、経済産業省が中小企業審議会を設置し、小規模企業基本政策分科会、経営支援部会などを開催しています。
県では、奈良県中小企業振興対策審議会を開催し、仮称ですけれども、奈良県小規模企業振興基本条例の制定について議論しています。
福岡県でも福岡県中小企業対策審議会を開催し、中小企業の動向及び中小企業振興施策の実施状況案について議論し、平成二十七年度福岡県中小企業振興基本計画年次報告を行っています。
全国の中でも中小企業、小規模企業が集中している東京都でこそ、これ以上中小企業、小規模企業の減少に歯どめをかける支援策が必要だと考えます。
地域経済の活性化のため、早急に中小企業審議会を開催し、小規模企業振興について議論することを求めて、質問を終わります。
○柴崎委員長 ほかに発言がなければお諮りいたします。
本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○柴崎委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案及び報告事項に対する質疑はいずれも終了いたしました。
以上で産業労働局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後五時三十三分散会
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