委員長 | 柴崎 幹男君 |
副委員長 | 菅野 弘一君 |
副委員長 | 伊藤こういち君 |
理事 | 中山ひろゆき君 |
理事 | 尾崎あや子君 |
理事 | 山崎 一輝君 |
島田 幸成君 | |
上野 和彦君 | |
島崎 義司君 | |
木内 良明君 | |
鈴木あきまさ君 | |
かち佳代子君 | |
宇田川聡史君 | |
三宅 茂樹君 |
欠席委員 なし
出席説明員産業労働局 | 局長 | 藤田 裕司君 |
次長 | 片山 謙君 | |
総務部長 | 寺崎 久明君 | |
産業企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 青山 忠幸君 | |
商工部長 | 野間 達也君 | |
金融部長 | 山巻 毅君 | |
金融支援担当部長 | 西川 泰永君 | |
観光部長 | 坂本 雅彦君 | |
観光振興担当部長 | 浦崎 秀行君 | |
農林水産部長 | 藤田 聡君 | |
安全安心・地産地消推進担当部長 | 武田 直克君 | |
雇用就業部長 | 貫井 彩霧君 | |
事業推進担当部長 | 小金井 毅君 | |
中央卸売市場 | 市場長 | 村松 明典君 |
次長 | 澤 章君 | |
理事新市場整備部長事務取扱 | 福田 至君 | |
管理部長 | 松永 哲郎君 | |
事業部長 | 白川 敦君 | |
企画担当部長 | 吉村 恵一君 | |
渉外調整担当部長 | 有金 浩一君 | |
市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 金子 光博君 | |
財政調整担当部長 | 長嶺 浩子君 | |
移転支援担当部長 | 長田 稔君 | |
新市場整備調整担当部長 | 井上 佳昭君 | |
新市場事業推進担当部長 | 櫻庭 裕志君 | |
移転調整担当部長 | 赤木 宏行君 | |
基盤整備担当部長 | 村井 良輔君 | |
施設整備担当部長 | 佐藤 千佳君 | |
建設技術担当部長 | 吉野 敏郎君 | |
港湾局 | 局長 | 斎藤 真人君 |
技監 | 小野 恭一君 | |
総務部長 | 古谷ひろみ君 | |
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 中村 昌明君 | |
調整担当部長 | 矢部 信栄君 | |
港湾経営部長 | 松川 桂子君 | |
港湾振興担当部長 | 蔵居 淳君 | |
臨海開発部長 | 篠原 敏幸君 | |
開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務 | 山岡 達也君 | |
営業担当部長 | 塩田 孝一君 | |
港湾整備部長 | 原 浩君 | |
計画調整担当部長 | 竹村 淳一君 | |
離島港湾部長 | 小林 英樹君 | |
島しょ・小笠原空港整備担当部長 | 神山 智行君 |
本日の会議に付した事件
中央卸売市場関係
陳情の審査
(1)二八第八二の二 都立公園及び各市場における地域猫活動の実践団体の協力連携の推進等に関する陳情
港湾局関係
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・平成二十八年度新砂水門(再整備)建設工事(その三)請負契約
・平成二十八年度十三号地新客船ふ頭岸壁(-(マイナス)十一・五m)連絡通路建設工事(その一)請負契約
・品川ふ頭外貿岸壁外三施設の指定管理者の指定について
産業労働局関係
事務事業について(質疑)
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・通訳案内士法関係手数料条例の一部を改正する条例
・東京国際展示場(二十八)増築工事請負契約
・東京国際展示場(二十八)増築電気設備工事請負契約
・東京国際展示場(二十八)増築空調設備工事請負契約
・東京国際展示場(二十八)増築給水衛生設備工事請負契約
報告事項(説明)
・東京都が東京信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄の報告について
○柴崎委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
初めに、会期中の委員会日程について申し上げます。
お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせしましたので、ご了承願います。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、産業労働局関係の事務事業に対する質疑、港湾局及び産業労働局関係の第四回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取、産業労働局関係の報告事項の聴取並びに中央卸売市場関係の陳情の審査を行います。
なお、本日は、事務事業については、要求資料の説明を聴取した後、質疑を終了まで行い、提出予定案件及び報告事項については、説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いますので、ご了承願います。
これより中央卸売市場関係に入ります。
陳情の審査を行います。
陳情二八第八二号の二を議題といたします。
理事者の説明を求めます。
○松永管理部長 お手元の資料1、請願・陳情審査説明表の一ページをお開き願います。
陳情二八第八二号の二、都立公園及び各市場における地域猫活動の実践団体の協力連携の推進等に関する陳情についてご説明申し上げます。
陳情者は、豊島区のしっぽ連盟代表、山本葉子さんでございます。
本陳情の趣旨は、都が管理する各市場において、既に地域猫活動を実践している人や団体等との連携協力を進めるとともに、これらの個人及び団体を認証する仕組みを検討すること、また、地域猫の捕獲、不妊去勢手術などを行うTNRの活動等を推進することでございます。
現在の状況でございますが、生鮮食料品を取り扱う卸売市場において、良好な衛生環境を保持することは重要であり、都は、市場関係業者と連携して、ネズミ、昆虫等の駆除を行うとともに、猫のふん尿による商品への被害を防ぐため、猫がすみつきづらい環境の実現に向けた取り組みを実施しております。
具体的には、各市場の業界団体と連携し、餌やりの防止を呼びかけるポスター等の掲示や、適切な食品廃棄物の処理などの啓発活動を行っております。
また、一部の市場においては、市場業務に支障が生じていることから、業界団体がNPO法人と協力して、場内の飼い主のいない猫に対する不妊去勢手術等を実施しております。都は、業界団体からの協力要請に応じて、こうした手術費用の一部を負担し、良好な衛生環境を保持するための取り組みへの支援を実施しております。
以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審査のほどお願い申し上げます。
○柴崎委員長 説明は終わりました。
本件について発言を願います。
○尾崎委員 陳情二八第八二号の二、都立公園等都有施設での地域猫の民間担当設置とTNR地域猫の適正な管理を求める陳情書についてですが、小池知事も発言しているように、動物愛護の立場から、殺処分ゼロに向けた取り組みは重要です。
その立場から、陳情の願意である、都が管理する各市場において、既に地域猫活動を実践している人や団体等との協力連携を進めるということは重要です。
また、不要な繁殖を防ぐために、地域猫を捕獲し、不妊去勢手術を施すことなど、TNRについては、既に市場で取り組みがされているとのことです。
これらの状況から、本陳情の趣旨は同意できるものであり、趣旨採択を求めて意見とします。
○柴崎委員長 ほかに発言がなければ、これより採決を行います。
本件は、起立により採決いたします。
本件は、趣旨採択とすることに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○柴崎委員長 起立少数と認めます。よって、陳情二八第八二号の二は不採択と決定いたしました。
陳情の審査を終わります。
以上で中央卸売市場関係を終わります。
○柴崎委員長 これより港湾局関係に入ります。
第四回定例会に提出予定されております案件について、理事者の説明を求めます。
○斎藤港湾局長 平成二十八年第四回東京都議会定例会に提出を予定しております当局所管の案件につきましてご説明申し上げます。
今回提出を予定しております案件は、工事請負契約議案二件、事件案一件でございます。
まず、工事請負契約議案につきましてご説明申し上げます。
お手元の資料1、工事請負契約議案の概要をごらんください。
表紙をおめくりいただきまして、目次に記載しておりますとおり、平成二十八年度十三号地新客船ふ頭岸壁(マイナス十一・五メートル)連絡通路建設工事(その一)など二件でございます。
次に、事件案についてご説明申し上げます。
お手元の資料2、平成二十八年第四回東京都議会定例会事件案をごらんください。
表紙をおめくりいただきまして、目次に記載のとおり、品川ふ頭外貿岸壁外三施設の指定管理者の指定についての一件でございます。
以上で第四回定例会提出予定議案の概要説明を終わらせていただきます。
詳細につきましては、総務部長からご説明申し上げます。よろしくご審議賜りますようお願い申し上げます。
○古谷総務部長 ただいまの局長の概要説明に続きまして、提出案件の詳細についてご説明申し上げます。
初めに、工事請負契約議案につきましてご説明申し上げます。
お手元の資料1、工事請負契約議案の概要をごらん願います。
表紙の次のページの目次をお開きください。ごらんの二件でございます。
一ページをお開きください。一件目は、平成二十八年度十三号地新客船ふ頭岸壁(マイナス十一・五メートル)連絡通路建設工事(その一)でございます。
本件は、近年のクルーズ需要の増大及び客船の大型化を踏まえ、臨海副都心地区に世界最大の大型客船にも対応可能な新たなふ頭を整備するものでございます。
工事場所は東京都江東区青海二丁目地先、契約の相手方は五洋・みらい建設共同企業体、契約金額は十一億二千八百六十万円、工期は平成三十年三月九日でございます。
契約の方法、入札回数、入札者数等はごらんのとおりでございます。
二ページに案内図を、三ページ目に図面を掲載してございますので、ごらん願いたいと存じます。
それでは、四ページをお開きください。二件目は、平成二十八年度新砂水門(再整備)建設工事(その三)でございます。
本件は、東京港海岸保全施設整備計画に基づき、地震、津波、高潮対策を目的として新砂水門の建設を行うものでございます。
工事場所は東京都江東区新砂三丁目地先から東京都江東区夢の島三丁目地先まで、契約の相手方は若築・あおみ建設共同企業体、契約金額は三十六億五千五百八十万円、工期は平成三十年一月三十日でございます。
契約の方法、入札回数、入札者数等はごらんのとおりでございます。
五ページに案内図を、六ページに図面を掲載してございますので、ごらん願いたいと存じます。
続きまして、事件案につきましてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元の資料3、品川ふ頭外貿岸壁外三施設の指定管理者の指定についてをごらんください。
本件、指定管理者の指定につきましては、地方自治法第二百四十四条の二第三項の規定によりまして、公の施設の管理を行わせる者を指定するものでございます。
1、対象施設でございますが、品川ふ頭外貿岸壁、品川ふ頭外貿桟橋、青海ふ頭岸壁及び青海ふ頭桟橋で、所在地は資料のとおりでございます。
続きまして、2、候補者の名称でございますが、東京港埠頭株式会社でございます。
続きまして、3、指定の期間でございますが、平成二十九年四月一日から平成三十四年三月三十一日までの五年間でございます。
続きまして、4、選定でございますが、選定方法は特命による選定でございます。
選定の経緯でございますが、平成二十八年七月二十八日に東京港埠頭株式会社に応募要項を通知いたしまして、同年八月二十六日に同社から申請及び事業計画書等の提出を受け、同年九月二十日に外部委員と行政機関関係者で構成された選定委員会における審査を経て、指定管理者の候補者を決定してございます。
選定理由でございますが、都が所有する対象施設、岸壁、桟橋は、東京港埠頭株式会社が所有する背後の荷さばき施設、ガントリークレーン、ヤード等と物理的に継続しており、これらを一体的に管理運営することで、効率的な荷さばきが実現できる施設でございます。
また、同社が培った外貿コンテナふ頭、岸壁、桟橋、荷さばき施設等の管理運営実績とノウハウを活用し、使いやすい港づくりを進め、消費者である都民の生活の向上につなげるため、特命により指定管理者の候補者を選定したものでございます。
次ページに、参考として対象施設の位置図を示してあります。
以上で、簡単ではございますが、平成二十八年第四回都議会定例会に提出を予定しております港湾局関係の案件の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議賜りますようお願い申し上げます。
○柴崎委員長 説明は終わりました。
この際、資料要求のある方はご発言願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○柴崎委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
以上で港湾局関係を終わります。
○柴崎委員長 これより産業労働局関係に入ります。
初めに、事務事業に対する質疑を行います。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○寺崎総務部長 去る十月二十日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元の経済・港湾委員会要求資料の表紙をおめくりください。
目次でございます。資料は全部で十三項目ございます。
一ページをお開きください。商店街助成事業につきましては、平成二十六年度以降の実績をお示ししてございます。
二ページをごらんください。特定施策推進型商店街事業につきましては、平成二十四年度以降の申請状況を内容別にお示ししてございます。
続きまして、三ページから四ページにかけまして、中小企業制度融資につきまして、過去十年間の目標と実績の推移をお示ししてございます。
恐れ入りますが、五ページをお開きください。都内製造業の事業所数、従業者数、製造品出荷額及び付加価値額につきまして、直近の平成二十三年までの推移をお示ししてございます。
続きまして、六ページをごらんください。都立職業能力開発センターにつきまして、過去五年間のデータをお示ししてございます。六ページが応募状況、また、次のページをお開きいただきまして、七ページが職業紹介の実績及び就職率でございます。
八ページをごらんください。委託訓練につきまして、過去三年間の科目委託先の定員、応募状況、就職率をお示ししてございます。
九ページをお開きください。雇用形態別、男女別、年齢別都内就業者数につきまして、直近の平成二十四年までの推移をお示ししてございます。
一〇ページをごらんください。正規雇用等転換促進助成事業につきまして、平成二十七年度以降の実績をお示ししてございます。
一一ページをお開きください。正規雇用等転換促進中退共利用助成事業につきまして、平成二十八年十月末現在の実績をお示ししてございます。
一二ページをごらんください。女性の活躍推進人材育成事業につきまして、平成二十七年度以降の実績をお示ししてございます。
一三ページをお開きください。女性・若者・シニア創業サポート事業につきまして、過去二年間の実績をお示ししてございます。
一四ページをごらんください。内水面漁業の従業者数、主な魚種別漁獲量及び養殖業の推移をお示ししてございます。
一五ページをお開きください。林業の就業者数及び多摩産材の活用実績の推移をお示ししてございます。
以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
○柴崎委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○山崎委員 早速でございますが、事務事業の質疑に入らせていただきたいと思います。
きょうの質疑におきましては、産業労働局、幅広い質問になろうと思いますけれども、どうぞよろしくお願いをさせていただきたいと思います。
それでは、質問に入ります。
国内の経済情勢は、雇用や所得の面ではアベノミクスの成果が着実に見られるものの、その道はまだ半ばといった状況であります。海外に目を向けると、中国などアジア新興国の景気の陰りや英国のEU離脱問題など、日本経済にマイナスの影響を及ぼしかねないさまざまなリスクも懸念されております。
こうした中、安倍政権は、ことし八月、未来への投資を実現する経済対策を公表し、アベノミクスを一層加速させる方針を明確にいたしました。首相の強いリーダーシップのもと、経済対策に掲げられた一億総活躍社会の実現の加速や、二十一世紀型インフラの整備などの政策を一つ一つ着実に進めることが、日本経済が持続的に力強く成長していくための唯一の道だと考えます。
日本の心臓というべき東京には、地方自治体のリーダーとして、こうした国の姿勢と軌を一にして、産業面や雇用面での施策を充実させ、日本全体の発展に結びつけていく責務があります。このような観点から、今、産業労働局が率先して取り組むべき課題について、順を追って質問してまいりたい。
まず最初に伺うのは、各地と連携した産業振興の取り組みについてであります。
都が直面する最も大きな目標である二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック競技大会は、日本全体の経済活性化を実現していく上で、千載一遇のチャンスといえます。我が都議会自民党は、世界の注目が東京に集まるこの時期に向け、都がオール日本の視点から全国の自治体と手を携えて産業振興に取り組むことが重要であると、これまで再三にわたり主張をしてまいりました。
都は、こうした我が党の主張を踏まえ、昨年十一月に日本各地との連携による産業振興策を取りまとめて公表しましたが、それから既に一年が経過をしました。今年度も取り組みの一層の充実が図られていると思いますが、現在の取り組み状況について、まずお伺いをいたします。
○青山産業企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都は、日本各地と連携した産業振興の取り組みについて、道府県の意見を踏まえて施策を充実させながら、本格的に取り組んでおります。
今年度は、全国の中小企業に官民の発注情報を提供するポータルサイトの立ち上げに加え、全国のすぐれた技能や技術を一堂に集めたものづくり・匠の技の祭典や、新潟県燕三条地域や福島県における現地企業と東京の企業との商談会の開催、東京と各地の企業の連携等を支援するファンドの設立などを実施いたしました。
また、外国人旅行者の誘致に向け、昨年度の東北地域に加え、中国、四国地域と東京を結ぶ観光ルートを設定したほか、北陸新幹線沿線など三地域との共同プロモーションや、四月に地震の被害に遭った熊本県、大分県と連携した海外メディア向けの情報発信等にも取り組んでおります。
今後は、山梨県等との共同による医療機器分野での技術交流会、商談会や、十以上の県と合同での木材展示会の開催などを予定しております。
引き続き、各地との緊密な連携のもと、プロジェクトの施策の一層の充実を図りながら、日本全体の産業活性化につなげてまいります。
○山崎委員 ありがとうございます。プロジェクト開始から一年が過ぎ、さまざまな分野において、東京と日本各地との連携施策が形になってきたことが、今の答弁でわかりました。
しかしながら、各地の東京に対する期待は、二〇二〇年に向けてますます高まってくることが予想されますので、今後も、東京と各地の双方にとって、より実りのある施策を積み重ねていくことを求めて、また、二〇二〇年後もしっかりと見据えた展開をしていくことを求めて、次の質問に移らせていただきたいと思います。
東京では、江戸、明治の時代から歴史を超えて受け継がれてきたたくみのわざを用いた四十品目に上る伝統工芸品が、職人の手によりつくり続けられております。先人たちが築き上げてきた文化、伝統を今に伝えるものであり、現代に生きる私たちは、これを未来の世代へ引き継いでいかなければなりません。
一方で、伝統工芸品産業が持続的に発展していくためには、現代のマーケットのニーズに応えていくことが不可欠であり、守るべきものは守りつつ、変わるべきところは変わっていかなければなりません。
二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックを控え、世界の注目がますます東京に集まることを踏まえますと、海外市場を新たなターゲットとして捉えていくことは不可欠な視点でもあります。
都は、職人とデザイナーとのコラボレーションにより、世界で通用する伝統工芸の新商品開発を支援するとともに、海外展示会へ出展などを支援する東京手仕事プロジェクトを進めていると伺っております。
伝統工芸品の魅力を世界に向け強力に発信するこうした取り組みは大変重要でありますが、同時に、今後、東京の伝統工芸品が世界の市場で確固たる地位を築き上げていくためには、つくり手である職人自身が世界のマーケットやその背景にある生活様式、価値観、文化などを知識として、また、肌感覚として理解をし、ものづくりに反映させていかなければなりません。
都は、将来有望な若手職人にこうした国際的な感覚を身につけさせることを目的とした新たな取り組みを今年度から開始しているとのことでありますが、事業の概要とその成果についてお伺いいたします。
○野間商工部長 都は、国際感覚を身につけた次代の伝統工芸品産業を担う人材を育成するため、今年度から、意欲ある若手職員を対象に、商品企画や販売ノウハウなどを体系的に学ぶ講座と海外研修などを実施する若手職人の国際化推進事業を開始いたしました。
今月、十一月四日からは、伝統工芸品の製造に十五年以上従事し、海外での事業展開に意欲を持つ職人を五名選抜し、一週間の日程でニューヨークへ派遣いたしました。
現地では、職人が日ごろから制作している伝統工芸品の実物を持参し、美術館関係者、デザイナー、アートコンサルタントたちと、これらの商品が海外のマーケットで受け入れられるか、どのように訴求していけばよいかなどについて、率直な意見交換を行いました。
その中には、米国においては、日用品について高い品質、技術を訴求するだけでは消費者の購買につながらないといった意見があったほか、商品価値を理解してもらうためには、使われている素材、技法やその歴史的、文化的背景といった商品に隠されたストーリーを伝えることが効果的であるものの、販売の現場において、日本の歴史や文化についての理解の素地のない消費者にこれをどう伝えていくかが大きな課題であることが明らかになりました。
今回の派遣を通じて得ることができたこのような知見やノウハウ等について、今後、報告書を取りまとめるとともに、若手職人などが幅広く参加する報告会を開催し、業界全体に広く還元してまいります。
○山崎委員 海外展開を図っていく上で、対象とするマーケットの事情を直接見て、聞いて、肌で知ることは非常に重要であります。この海外派遣は、参加された職人にとって、今後の取り組みにつながるかけがえのない貴重な経験となったと考えます。
今、答弁の中にもありました報告書を取りまとめて、しっかりと幅広く、若手職人の皆さんに対して報告会を開催していただいて、それをさらに業界の方にも広く示していただきたいと思います。
国際的視野を持つ職人が一人でもふえるよう、都の一層の取り組みを要望して、次の質問に移ります。
続きまして、商店街振興事業についてお伺いをいたします。
都内の商店街では、商店街の活性化やにぎわいづくりを目的とした夏祭りや歳末セールといったイベントが年間を通じて数多く実施されております。平成二十五年度に都が実施した実態調査によれば、商店街が実施している事業のうち最も多いのがイベントとなっており、回答のあった商店街のうち、約三分の二が何らかのイベントを実施していると答えております。
イベントは、来街者の増加や商店街の認知度向上にもつながるなど、商店街にとっては集客を通じて売り上げをふやすための有効な手段の一つとなっております。
都は、新・元気出せ商店街事業において、こうしたイベントを行う商店街に対する経費の補助を行っておりますが、まず、本事業の実績について伺います。
○野間商工部長 都は、区市町村と連携して、商店街が実施するさまざまなイベントに対する支援を行うことで、商店街の活性化やにぎわいづくりを後押ししております。
平成二十八年度の新・元気を出せ商店街事業におけますイベント事業につきましては、全体で千七百四十三商店街から二千百十一件の申請がございました。
イベントの主な内容といたしましては、春の桜祭りや夏祭り、ハロウィンイベントといった季節の行事、各店舗の売り上げ向上のために実施する中元セールや歳末セールのほか、参加店をめぐりながら飲み歩き、食べ歩きをする、まちバルや商店街での仕事体験など、特色ある取り組みも含まれております。
○山崎委員 ただいま、事業の実績について伺いました。重要なことは、開催されるイベントの数ではありません。これらのイベントを商店街の将来的な発展にいかにつなげていくかだと私は思います。加えて、商店街は地域コミュニティの担い手でもあることから、イベントの効果を商店街だけにとどめず、地域全体にしっかりと波及させていく視点も大切であると考えます。
そこで、これらの観点から、都が支援したイベント事業についてのこれまでの具体的な成果についてお伺いをいたします。
○野間商工部長 都がこれまでに支援した事業におきまして、商店街のみならず、地域の人々に親しまれているイベントは多数ございまして、その中には、地域コミュニティ全体の活性化に貢献している事例もございます。
代表的なものといたしまして、商店街と地域の子育てグループが協働して、訪れた人に商店街の魅力を体験してもらうイベントを開催することで、商店街と地域が一体となってまちの活性化につなげている事例や、手づくりイベントからスタートし、年々規模を拡大しながら開催することで、地域の恒例行事として世代を超えて受け継がれている事例等がございます。
今後も、このような取り組みが広がっていくよう、都として支援をしてまいります。
○山崎委員 商店街が実施するイベントについては、ともすればイベントの開催時だけの集客で終わってしまいがちであるため、事業の実施に当たっては、その効果を一過性のものとしないことが重要であります。
イベントを初めとした取り組みは、商店街だけでなく、地域の住民にも参加をしてもらい、一緒になってつくり上げていくことで、地域に長く愛され、定着をしていくものと思います。
また、イベントというのは、単年で終わりではなくて、毎年毎年、回を重ねていくこととなりますので、その支援をしっかりと行うことも重要であると考えます。
都として、こうした地域ぐるみで行う視野の広い取り組みをしっかりと後押ししていただくことを要望したいと思います。
次の質問に移ります。
次に、地域の観光資源の活用について伺います。
海外から東京に訪れる旅行者がふえる中、既に観光スポットとして有名になっている場所だけでなく、都内の各地域が持つさまざまな魅力をうまく活用して集客に役立てる取り組みが重要になっていると思います。
最近では、水辺空間の活用が注目されているものと考えております。水辺空間を対象に観光振興を行う場合、まずは人が集まり、にぎわいができることが第一歩になると私は思います。そのためのイベントやPRをきちんと行って、河川や、また、運河を移動して水面の風情や風景を楽しむ流れを生み出すことが重要であると考えます。また、水辺の空間をうまく使い、カフェテラスのような人の集まりやすい場所を用意するハード面からの取り組みも必要であります。
これらを実現するには、地元の観光協会など、現場の人の動きや川べりの状況をよく知る団体との連携が不可欠であります。
私の地元の江東区では、みんなでつくる伝統、未来、水彩都市ということがキャッチコピーとなっております。
水辺を活用した観光振興はようやく動き出したばかりとの段階で対応すべき課題が多いと思いますが、一つ一つ丁寧に解決をしながら取り組みを進めることが大切であると思います。
こうした中、現在の取り組み状況やこれからの取り組みの方向性について伺います。
○坂本観光部長 都は今年度から、地域の観光協会等が行う水辺のにぎわいを創出する取り組みに対して、必要となる経費の五分の四を上限に一千万円まで助成を行う事業を開始いたしまして、現在、六件の補助交付を決定しているところでございます。
具体的には、観光スポットをシェアサイクルの自転車でめぐるとともに、河川を舟運で移動して水上イベントを楽しむ江東区内の取り組みについて、地元の観光協会に助成を行っているところでございます。
また、隅田川沿いの公園で九月と十一月に二日ずつ、産地直送の野菜などを販売するイベントについて、墨田の観光協会に助成を行い開催し、そうしたイベントが十二月以降も六回にわたり行われる予定となっているところでございます。
さらに、台東区の川沿いの公園でオープンカフェを開いて、集客によるにぎわいを生み出すためのハード面での整備についても助成を行うこととしております。
現在のところ、河川や運河にあるエリアで舟運の社会実験を関係局が行っている状況でございまして、その内容を踏まえながら、水辺空間のにぎわいの創出に向けたサポートのあり方を検討してまいります。
○山崎委員 今、答弁の中でも、もちろん産業労働局さんだけではなかなか難しい面、特にハードの部分での支援というか、各局との連携が非常に大切になってくると思いますので、全庁を挙げて、ぜひ関係局と積み重ねていただきたい、そのことを要望しておきたいと思います。
水辺の空間の活用をソフト、ハードの両面から盛り上げていくために、それなりの時間もかかると思いますが、将来に向けた着実な取り組みをしっかりと継続していただきたいと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
国内外から東京を訪れる旅行者をふやす上で、オリンピック・パラリンピック大会の開催とその先を見据えた観光振興を進めることが重要です。都内にさまざまな旅行者を受け入れるためには、パラリンピックに向けて、障害者が車椅子を用いて都内を観光でめぐるような仕組みを確実につくり上げていくことがまた大切であります。
こうしたことがレガシーとして残ることで、少子高齢化で大幅に増加する高齢者が、身体機能の衰えに応じて、車椅子を使いながら気軽に観光に出向くことのできる環境の整備にもつながるものと考えます。
障害者や高齢者が車椅子によりスムーズに観光を行うためには、バスの利用が最も便利とされておりますが、そうした対応が可能なバスの数は、都内でも十分に確保できていないと聞いております。車椅子ごと乗車できるリフトつきの観光バスは、製造コストも高く、導入に踏み切れないバス会社が多いということをよくお聞きします。
また、旅行者の増加により、観光バスそのものの需要がふえ、納車までかなり時間がかかる状況を考えると、パラリンピックで必要な車両も含めて、リフトつき観光バスの確保には今の段階から速やかに取り組むことが不可欠であると考えます。
こうした中で、都では今年度から、リフトつき観光バスの導入を後押しする対応を始めておりますが、現在の状況はどのようになっているのか伺います。
○坂本観光部長 都は今年度から、リフトつきの観光バスを導入する都内のバス事業者等に対して、通常の性能の車両に比べて増加する購入費用を対象に助成をしているところでございます。
今年度は、五月にバス事業者への説明会を実施し、六月中旬から助成の受け付けを随時行っているところでございまして、現在までに十一台のリフトつき観光バスの新車の導入につきまして、合計で約六千四百万円の交付決定を行ったところでございます。
観光バスについては、国内での旅行者の増加に応じて発注も多くなってございまして、注文から製造して納品に至るまで時間がかかる状況もまた生じております。このため、本事業の実施に当たりましては、東京観光財団に設けた十億円の基金、こちらの方を効果的に活用いたしまして、補助金の申請から交付までが一年を超えても適切な対応ができるよう取り組みを進めてまいります。
これによりまして、障害者や高齢者の観光の広がりに結びつけてまいります。
○山崎委員 答弁ありがとうございます。
リフトつき観光バスの導入を引き続きしっかりとサポートするとともに、バスの確保にとどまることなく、バスの乗降場から観光目的地までスムーズに車椅子で移動できるよう、バリアフリーの推進や周辺地域からの協力を得るための仕組みづくりにも力をしっかりと入れてほしいと思いますので、その点をつけ加えさせていただきました。
海外から東京を訪れる旅行者の数はこの一、二年で急増し、都内の至るところで観光地めぐりや買い物を楽しむ外国人は見なれた光景にもなりつつあります。数多くの外国人旅行者が都内のさまざまな魅力に触れてもらうためには、やはり多摩や島しょにも足を運ぶ流れを確実にする努力が一層重要になると感じる次第です。
多摩や島しょのエリアには豊かな自然や農林水産業という特色のある観光資源があるわけですから、これらをしっかりと生かして観光振興を進めることは重要です。外国人の目線に立って、多摩や島しょの観光面での魅力をきちんと押さえて、それに応じた観光ツアーをつくり上げていく工夫が必要であると思います。
外国人向けの旅行コースの中には、これまでの本会議の中で我が党が提案をしてきたように、農業体験やアグリツーリズムを組み込んでいくことがポイントになるかと思います。さらには森林や林業を生かす視点も大切になりますが、山登りやハイキングでの観光を快適に行うような基礎づくりも必要になると考えます。
こうしたさまざまな切り口を踏まえた上で、多摩・島しょエリアの観光振興をどのように進めているのか伺います。
○坂本観光部長 都は、多摩・島しょ地域について、外国人の関心の高い観光資源を調べるため、海外から旅行事業者をモニターとして招きまして、ことしの八月から十月にかけて観光ツアーを二回にわたって実施しております。
この結果を踏まえながら、外国人観光客からの人気の高さが予想される農業体験などを入れた観光ツアーをつくり上げる旅行事業者をこの十二月から募集し、それに対して助成を行うこととしております。
また、多摩地域の特色である森林を活用した観光振興を図るため、今年度は、延べ十四カ所を対象として市町村の取り組みへの助成を行います。
具体的には、青梅市の永山丘陵や霞丘陵自然公園で遊歩道や休憩場所となる広場の整備を行う事業や、奥多摩町のむかし道という林道の中途での眺望の確保を図る取り組みへの助成などを予定しているところでございます。
また、森林を生かした観光スポットやその周辺の名勝旧跡などを掲載したパンフレット、こちらの方を新たに二万五千部作成いたしまして、都内の全ての区市町村や観光協会などを通じて配布してまいります。
こうした取り組みによりまして、多摩・島しょ地域の観光振興を着実に進めてまいります。
○山崎委員 外国人旅行者が都心の有名な観光スポットに数多く訪れる流れに力を入れつつも、引き続き、多摩・島しょエリアでの観光振興にも十分な対応、配慮をお願いしておきたいと思います。それがやはり外国人だけでなく、全国各地から東京に訪れる、多摩・島しょに訪れる、そういう流れにも必ず結びつくと思いますので、その点もよろしくお願いをしたいと思います。
次に、花き生産の振興について伺います。
江東区では、下町風情のあるまち並みと開発の進んだ商業施設等があり、来訪者の多い地域でありますが、都内で生産された花壇の苗や鉢花などがボランティアなどの協力により公園の花壇や街路樹の周りの植え込みなどで利用もされ、住民や観光客の目を楽しませていただいております。
しかし、このような地域の取り組みなどにもかかわらず、催事需要の鈍化や購買意欲の低下などで花の消費量は伸び悩み、都内の生産者の経営にも大きな影響を与えております。
こうした状況を改善し、都内の花き生産を維持発展させていくためには、やはり二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック東京大会の開催を好機と捉え、都内産の花きを用いたイベントや展示などを推進し、都民や東京を訪れる数多くの旅行者にアピールすることも重要であると考えます。
都では、今年度から新たに花と緑の夏プロジェクトを展開されておりますが、その取り組みの状況について伺います。
○武田安全安心・地産地消推進担当部長 都では、二〇二〇年東京大会が開催される夏場における都内産の花や植木の活用とその先の需要拡大を目指して、今年度から花と緑の夏プロジェクトを開始いたしました。
具体的には、東京都農林総合研究センターの研究成果をもとに選定した二十七種類の花苗で、夏場の栽培管理の実証試験を都立日比谷公園で行うとともに、同センターで開発した移動式の植木コンテナを東京ビッグサイトに四十基設置し、まち中に涼しい木陰をつくり出す実証試験に取り組みました。
また、大会開催時には多数の利用者が見込まれる東京テレポート駅で、都内産の花や植木の装飾展示によるPRを行いました。
今後は、こうした取り組みにより得られた知見をもとに、生産者や関係団体などと連携し、都内産の花や植木のさらなる利用拡大を図ってまいります。
○山崎委員 都が二〇二〇年の東京大会とその先を捉えて、都内産花きを活用したさまざまな取り組みを開始したことが今の答弁でわかりました。東京でもすばらしい花や植木が生産されていることを広くPRしていただきたいと思います。
特に、子供や若者に対するPRは、将来の需要開拓へと必ずつなげていく上でも重要であります。そのためにも、関係団体としっかりと連携した取り組みを進めていただくことを要望して、次の多摩産材の利用拡大について移りたいと思います。
先日、江東区の木場公園で開催されました木材のPRイベントである木と暮らしのふれあい展に私も行ってまいりました。会場では、木工教室や木製品販売などの木に関するいろいろな催しが行われており、多くの人が木との触れ合いを楽しんでいました。
また、会場の一角では、ことしから新たな試みとして、最新の高性能林業機械を使った実演も行われておりました。プロセッサーという機械が枝のついた木をしっかりとつかんで、あっという間に枝を落として、決まった長さの丸太に切断する様子を拝見して、最近は林業の現場でも機械化が進み、効率的に作業が行われていることを実感いたしました。
これは、たしか国の方との形で、ことしから初めて高性能の林業機械が導入をされて、その場で体験や、また、多くの子供たちにとにかく見てもらいたいということが恐らく趣旨で、国の方も参加をされたと私も現場で聞いてまいりました。
これまで木材価格の低迷や労働能力不足により森林循環が停滞しておりましたが、機械化により、山から多くの木が効率的に搬出されてくるようになれば、その販売先をいかに確保していくかがますます重要となってきます。
国においては、国産材の自給率五〇%の目標を掲げ、木材の新用途開発など、木材の利用拡大を進めております。
都にもおいても、これまで多摩産材の利用拡大を進めてきたことは承知しておりますが、より一層利用拡大を目指すために、官民含めたさらなる取り組みの充実が必要と考えます。
そこで、多摩産材の利用拡大に向けた今年度の取り組みについて伺います。
○藤田農林水産部長 これまで都では、森林循環を促進する中で多摩産材の利用拡大を図るため、その調達方法などの情報を多摩産材情報センターで発信するとともに、保育園などの公共的な施設での活用に対する支援を行ってまいりましたが、今年度は、公共利用のさらなる拡大を図るため、東京都美術館など、多くの都民が訪れ、PR効果の高い都関連施設での多摩産材什器の導入を進めております。
また、民間における利用を促進するため、東京都農林水産振興財団に基金を設置し、にぎわいのある商業施設などでの多摩産材利用に対する支援事業を開始いたしました。
さらに、新たな需要が見込まれる住宅部門での利用拡大を図るため、多摩産材のよさを実感できるモデルハウスを住宅展示場に設置する事業を開始いたしました。
今後も、多摩産材を含めた木製品の需要拡大を図るため、他県と連携して展示会を開催するなど、さまざまな機会を活用して、多摩産材の利用拡大に取り組んでまいります。
○山崎委員 先月、この議会棟内に開園をしたとちょう保育園、ここでも多摩産材が使われております。その中には、幼児が使う机や、また玩具にも多摩産材を使っているとお聞きしております。
そこで、特に玩具は園児が毎日手にするものであって、木育を一層推進する観点からも大変効果的であると思います。今後は、こうした玩具を含め、多摩産材を使った製品開発を支援していくなど、多摩産材の利用拡大に向けた取り組みを強力に推し進めていただきたいと思います。
続きまして、中小企業の人材確保について伺います。
都内の有効求人倍率は二倍を超え、企業の人手不足は厳しさを増す中、中小企業にとって、人材確保は経営にかかわる重要な課題となっております。
将来的な人口減少を見据えれば、若者はもちろん、一度仕事を離れた女性や高齢者などが中小企業で一層活躍することが期待されますが、こうした方々は身近な地域で働くことを希望することも多く、効果的に地域の中小企業と結びつけていくことは、それぞれの地域の状況を踏まえた区市町村による支援が効果的であると思います。
例えば江東区では、こうとう若者・女性しごとセンターというものを設置し、区内での就職を希望する女性や若者などの皆さんに対して、地元の企業へ就職をつなげる事業を行うなど、積極的に取り組んでおられます。
都は、こうした区市町村を支援しておりますが、今年度の取り組みの状況について伺いたいと思います。
○小金井事業推進担当部長 都は、潜在的な労働力を掘り起こし、地域の企業等での就業を進めるため、区市町村が地域の実情に応じて行う人材の育成や確保に向けた取り組みを支援しています。
区部においては、地元での再就職を希望する女性を対象に、仕事感覚を取り戻すためのセミナーや短期のインターンシップのほか、企業での研修と職場実習を組み合わせ、地元企業への就職につなげる支援など、十五の区が行う二十一の事業を支援しているところでございます。
さらに、多摩・島しょ地域では、市町村単位での取り組みに加え、行政区域を超えた取り組みも有効であることから、広域的なネットワークを有する商工会等を活用した支援を今年度新たに開始いたしました。
具体的には、商工会連合会が中心となり、多摩地域の自治体や金融機関、さらに採用ニーズのある企業等をメンバーとする協議会を立ち上げ、工場等の見学や紹介予定派遣制度を活用した職場実習を実施するなど、広域的な取り組みを進めているところでございます。
今後とも、地域の実情に応じた効果的な人材確保策が展開されるよう、区市町村等を支援していきます。
○山崎委員 各自治体等と引き続き支援をしっかり取り組んでいただきたいと思います。
次に、女性活躍支援について伺います。
我が党はこれまで、女性が活躍しやすい職場環境整備に向けた支援を充実すべきと提言してまいりました。都は、これに応え、中小企業の現場で実際に女性活躍に向けた取り組みが進むよう、企業の経営者などへの研修や社内責任者設置への奨励金などにより、企業の支援事業を実施しております。
女性が働きやすい職場づくりに向け、ノウハウを提供し、具体的な取り組みを促すことで、中小企業で取り組みが進められていることは大変意義深いものと考えます。
しかし、女性の活躍支援がしっかりと企業に定着していくためには、企業がこうした取り組みを継続的に進めていくことが重要だと考えますが、都は、今年度どのような工夫をしておられたのか、事業の実施状況もあわせて伺います。
○貫井雇用就業部長 都は、経営者や管理職等に対し、社内での女性活躍を進めるための具体的な手法などに関する研修を実施しておりまして、今年度は規模を二百人から五百人に拡充し、既に四百八十二人が修了しております。
また、企業間のネットワーク形成に資するよう、社内の女性の活躍推進責任者を対象とした企業交流会も年四回実施しており、先進企業での好事例の紹介や他社の責任者とのグループディスカッションにより、今後の取り組みに役立つノウハウの習得を促しております。
さらに、今年度から、女性活躍推進法により、中小企業では努力義務とされました女性の採用数などの目標とその達成に向けた具体的取り組みを定める行動計画の策定を奨励金により後押しし、二百二十三社が取り組んでいるところでございます。
こうした取り組みにより、中小企業における女性の活躍の推進を支援してまいります。
○山崎委員 今の答弁の中でもありました、とにかくよい事例を広く発信して、女性の活躍に向け、さらなる中小企業の支援に取り組んでいただきたいと思います。
これまで、産業労働局の多岐にわたる取り組みについて伺ってまいりましたが、冒頭にも申し上げたとおり、東京の発展は日本全体に広く波及するものであり、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックに向けて、東京に対する期待はますます高まっております。
こうした大局的な視点を持ちながら、一方では、都内の隅々まで目をしっかりと配り、まち場の零細事業者の声にもしっかり耳を傾け、都民の皆様のニーズにきめ細かく対応していくことも極めて重要であります。産業労働局には、都内の各地域と日本全体のそれぞれを見据えながら、産業政策や雇用対策の充実を図っていく大きな使命を課せられております。
そこで最後に、今後の東京、そして日本全体を見据えた経済の発展や雇用の安定に向けた局長の決意を伺って、私の質問を終わります。
○藤田産業労働局長 東京の産業を一層発展させていくためには、都内企業の九九%を占める中小企業に対する支援に加えまして、安全・安心な食材を供給する農林水産業や外国人旅行者の旺盛な消費を取り込む観光産業の振興など、幅広い分野での施策の充実を図る必要がございます。
そして、それぞれの分野での施策の充実を図るためには、区部や多摩・島しょなど、各地域が持つ特性や強みを的確に把握することが重要でございまして、その上で、都内の各地域が持つポテンシャルを最大限に生かせるような施策の構築を図ってまいります。
また、女性の活躍推進や働き方改革など、時代の流れをしっかりと踏まえた雇用就業対策を講じることによりまして、働く方々の豊かな生活の実現や東京の産業力の強化にもつなげてまいります。
加えまして、理事ご指摘のとおり、オリンピック・パラリンピックが開催される二〇二〇年に向けましては、大会開催によるさまざまな効果を都内の事業者や都民に広く行き渡らせることに加え、日本各地に波及させていくことも大変重要であると考えてございます。
引き続き、東京の活性化はもとより、日本全体の活性化にもつながるような産業振興施策を積極的に展開してまいります。
今後とも、東京の経済のさらなる活性化を図るため、現場を持つ産業労働局の強みを最大限に生かしながら、産業振興や雇用就業対策を強力に進めてまいります。
○木内委員 かつて通産省の機関の一つに工業技術院というものがありました。ここで医療福祉機器開発委託制度というものがありまして、先進的な科学技術の発展ぶりというものを反映する形で、障害を持った方々のための機器の開発や、あるいは健康を維持するためのシステムの開発、これをどんどん進めていこうじゃないかと。民間の企業では、これが進まないものですから、進むようにインセンティブを与えて、税制上あるいは行政機構がこれを守って推進していくという制度がありました。
この中では、例えば盲人用読書器というのがあって、目の見えない人が読みたい本をその器械に入れると、自動的にページを器械がめくって、これを読んで音声に変換して、そして、これを使う目の不自由な方の耳に届けるという盲人用読書器であったり、あるいは血液の中にある腫瘍マーカーというものを顕在化させて、がんを早期発見するなどの実は試みがなされました。
今でもその傾向というのはずっと続いているわけでありまして、換言をしますと、健康というのは人間にとって最大の教養であるという言葉があります。どんな立派な絵画や、あるいは音楽等の芸術に触れても、受け手である人間が健康でなければ、その芸術のよさを理解できない。その意味で、健康は最大の教養であるという俚諺が人口に膾炙をしているのであります。
したがって、国は、あるいは都は、あるいは社会が、その潜在性、ポテンシャルをどんどんこれに生かしていく、これによって人々の健康と生命を守っていくという、そういう活動が非常に重要であります。何と産業労働局では、実はそういう面における重要な役割を持つ事業を推進してきているということを最近になって私は知りまして、感動を深くしているのであります。
医療機器産業への、まず参入支援について質疑を行ってまいります。
日本の先端医療や高度な医療サービスは海外からも注目を集めていますけれども、これらの発展に大きな貢献をしてきたのが医療機器産業でありまして、国内市場規模は平成二十六年度において二・八兆円といわれ、高齢化社会の進展や新興国における医療需要拡大を受け、今後もさらなる市場の拡大が見込まれています。
こうした中、都は昨年度から、東京発の革新的な医療機器開発を目指し、中小ものづくり企業の医療機器産業への参入支援事業を実施しておりまして、これはまことに偉大な意義を持った事業であります。
そして、この医療機器開発を推し進めるための拠点として、日本橋に東京都医工連携イノベーションセンターが設置され、去る十一月十五日には二百名を超える参加者を集めて開所式が執り行われまして、この経済・港湾委員会の委員も相当多数、開所式に参加をしたわけでありまして、私も参りました。
日本橋という土地は、古くは江戸時代から薬種問屋が集積して、現在も日本を代表する製薬企業など、医療関係の企業が数多く集まるまちであります。
この由緒と歴史ある日本橋の地に、今後の東京、そして我が国の経済を牽引することが期待される医療機器開発の支援拠点がオープンしたことは、何度も申し上げますけれども、非常に意味の深いことであります。
医療現場の臨床ニーズと中小企業の持つ技術シーズとの橋渡しを行うことで、医療機器開発のイノベーションを創出する取り組み、こういう事業であると認識しておりますけれども、改めてこの事業の実施状況あるいは今後の展開について、幾つかお尋ねをいたします。
私は月に二回、木内良明通信としてメールマガジンを発行いたしておりますけれども、直近のテーマは、この医工連携イノベーションの開所式のことでありまして、反応が随分ありました。実際のところ、意味がよくわからないという人も多かったのであります。
したがって、私は今後、いろいろと資料に基づいて説明、報告をするつもりでありますけれども、この事業の概要や意義について、改めて本委員会でのご報告を願いたいと思います。
○野間商工部長 都は、すぐれた技術を有する中小企業の医療機器産業への参入を促し、医療機器産業の活性化を図る医療機器産業参入支援事業を実施しております。
本事業では、ものづくり中小企業と臨床ニーズを有する大学病院等の臨床機関、医療機器にかかわる法規制やマーケティングに熟知した医療機器メーカーとの連携体制を構築し、臨床ニーズ発の医療機器の共同開発を促すことで、ものづくり中小企業の円滑な参入を促す医工連携を支援しております。
具体的には、専門のコーディネーターが臨床機関、研究機関、医療機器メーカーなどから収集した臨床ニーズ、開発ニーズ、技術シーズを、医工連携データベースやニーズ発表の場であるクラスター研究会等を通じて、ものづくり中小企業をつなぎ、連携体の構築を促しております。
こうした取り組みによりまして、臨床ニーズ発の医療機器の開発に結びつけ、中小企業の収益力の向上を図り、東京の経済のさらなる発展につなげてまいります。
○木内委員 すぐれた技術は有するものの、医療業界の知識を持たない中小企業、他分野における実績はあるけれども、この分野では実績がないという中小企業の方々が参入する上では、医療機器のユーザーである医療者のニーズを知っていくということが、まず非常に重要でありまして、実用化に必要な承認審査や事業化可能性などについて知識、ノウハウを持つ医療機器メーカーとの連携が、実はこの事業の肝でありまして、成功の鍵でもあるんですね。
技術はある、しかし、それをどう医療機器の開発に反映できるかということは、皆目見当がつかない。したがって、学際、業際に通じた、そうした力のある人が介在をして、そして、そういうステージの中で他分野の皆さんとのコラボレーションが行われて、技術を生かしていくというのが大事なんです。
東京都は、こうした連携を進める仕組みとして、医工連携データベースを設けるとともに、医療機関と連携したクラスター研究会というのを実施しているんですが、この取り組みの内容と実績についてもご報告願いたいんですが、実は事前に私は資料をとりまして、クラスター研究会はいかなる概要のものかというのを、まず資料によって勉強しました。非常に実績と歴史があるんですね。
例えば、これは平成二十八年度第六回クラスター研究会の広宣用のチラシでありますけれども、日時が十二月十三日の十三時から帝京大学の板橋キャンパスで行われる。帝京大学の学長挨拶があったり、その後、臨床ニーズの発表があったり、医療者などとの交流会が企画をされている。あるいは、クラスター研究会の特別編では、十二月五日十三時から日本橋ライフサイエンスビルでも行われる。なかなかこういう実績というものは評価されにくいけれども、私は驚いたんです。
したがって、この議会の権能、役割というのは、事業の実績もしっかり都民の代表として、これを知っていくということ。予算の審議等は当然でありますけれども、また提案もしていく、こうした議会機能の一つとして、このことはぜひ会議録に私は残しておきたい、そういうことで、きょうはお尋ねしているわけであります。
さて、もとに戻りますけれども、このクラスター研究会の取り組みの内容と実績について明らかにされたいと思います--これを商工部長が答弁するというのがまたすごいんだよな、こういうこと。
○野間商工部長 都は、医療機関、医療機器メーカー、ものづくり中小企業との連携を促進し、医療現場のニーズを起点とした医療機器開発を進めるため、医工連携データベースにおいて臨床ニーズと技術シーズを公開し、ウエブ上でのマッチング機会を提供しております。データベースには、十月末現在、二百三十四件の臨床ニーズと八十六件のものづくり中小企業の技術シーズが登録されております。
これに加えまして、共同研究開発に向けて医療者と企業が交流するクラスター研究会を開催しておりまして、基調講演と情報交流を内容とした基調講演型の研究会に加えまして、今年度は医療者によるプレゼンを軸としたマッチングを行いますニーズ発表型のクラスター研究会を開催しております。
ニーズ発表型の研究会では、さまざまな診療科から医師、検査技師、看護師等が現場のニーズを発表した後、対面での交流機会を設けまして、マッチングの活性化を促しております。今年度は、これまでに大学病院や国立医療機関等と合同でニーズ発表型のクラスター研究会を四回実施し、毎回百名以上が参加し、合計で八百一名が参加いたしました。一回当たり四十から五十件の医療現場ニーズが発表されました。
これらによりまして、ニーズ、シーズのマッチングをこれまでに八十二件実施しており、臨床機関と計測器メーカー等との連携により、生体情報モニターやカテーテル治療を行う医師をサポートする器具の開発などの検討が進んでおります。
○木内委員 さっき不規則発言のように申し上げましたけれども、こういう医療関係の答弁を産労の商工部長がするというところに側面的特質があって、非常にいい事業をやっておられるんだなと。局長、答弁は要りませんけれども、全く私はそう思っておりますので、受けとめてもらいたいと思います。
立ち上げから一年で数多くの現場の医療ニーズやすぐれた技術シーズが集まって、クラスター研究会に毎回百名を超える参加者があるということで、これは医療機器開発の機運が高まっていることの証左であります。すごいことなんです。
教育は社会のためにあるんじゃない、社会が教育のためにあるんだという俚諺がありますけれども、まさに社会のシステムが総力を挙げて、人々の健康と、そしてまた生命のために、そうした事業を盛り上げていくという、そういう私は一つの形だと思っているのであります。
マッチングによって生まれた開発チームの取り組みが実を結んで、医療機器が生み出されることが一つの到達点でありますが、医療機器は人命にかかわるものでありまして、当然ながら高い安全性が求められます。
実現可能性や市場性を見きわめて開発を決定する段階や、共同開発のパートナーと良好な関係を構築し、技術的な試行錯誤を繰り返しながら開発に取り組む段階、そして臨床現場での治験などを経て、医療機器としての承認を得る段階など、事業化までには多くのステップ、時間、そして資金を要するとともに、共同開発を円滑に進めるための仕組みが重要です。
話がどうも跛行現象をたどるようでありますけれども、産業交流展は財政的に一時非常に存続が厳しくなった。私は、この委員会で、そうであってはならない、このともしびを絶やしてはならないということで、強引に予算措置をすべきと訴えましたけれども、今、都民の生活を守る、あるいは日本の工業力をレベルアップするためのいろんな技術開発や製品化が、あの産業交流展の中で行われている。
微生物によって水虫の治療をしたり、あるいは一回締めると絶対といっていいぐらい外れないねじが技術大賞を受けたり、これはと思う人類的発明までもが、実は東京都の主催する産業交流展という事業の中でも発掘をされているという、こういう事実もあるのであります。
事業化までには多くのステップ、時間、資金を要するとともに、共同開発を円滑に進めるための仕組みが重要でありますけれども、都が実施する、今回は医療機器という、この分野における開発に向けた支援の実態についてご報告願いたいと思います。
○野間商工部長 都では今年度、ものづくり中小企業と医療機器メーカー等との共同で行われます、製品の試作から市場投入までの一貫した開発経費の一部を支援する助成事業を開始いたしました。医療機器としての承認など、事業化までに多額の資金と時間を要することから、最長五年にわたり最大五千万円、補助率三分の二の助成を行ってございます。
本助成では、本格的な開発を実施する前の実現可能性を図るための開発着手経費を八百万円まで、医療機器の承認を受けるために必要なPMDA審査料や第三者機関による審査料経費を四百万円まで、ISO、海外規格、認証の取得に要する経費を二百万円まで助成するメニューを設けまして、開発の段階に応じた柔軟な利用を可能としております。
また、技術開発を効率的かつ的確に支援するため、プロジェクトマネジャーを配置して、事業の進捗に合わせた一貫支援によりまして、企業間の調整、進捗管理、アドバイス等を行っております。
○木内委員 さまざまな安全基準等を満たす必要がある医療機器の開発、これを支援するため、助成の規模が大きく、しかも、メニューも多岐にわたっているということでありまして、こうした助成金を活用して、これまでも医療機器の開発が実際に生まれてきている、また生まれてくることが非常に実は楽しみでもあります。
これまでの答弁のように、医療機器開発に向けたニーズ、シーズのマッチングなどの取り組みが進められていますが、こうした支援を一層効率的に進める場が、日本橋に開設された東京都医工連携イノベーションセンターであります。私も冒頭に申し上げた開所式に出席し、臨床機関や業界の皆様からの、まさにイノベーションにかける熱意、期待をひしひしと感じました。
特に思ったのは、東京都のこういう事業の中で、アカデミックな薫りの非常に高い専門分野、研究者の皆さんたちのご挨拶があったり、出席が非常に目についたことでもありました。
このセンターで行われる具体的な支援の内容、展開する方針についてお聞かせ願います。
○野間商工部長 都は、ライフサイエンス産業の集積が進む日本橋に、医工連携による医療機器開発を支援する拠点として、東京都医工連携イノベーションセンターを設置いたしました。
ものづくり中小企業とのネットワークを有する中小企業振興公社と医療機器メーカーや臨床機関とのコネクションを有する医工連携HUB機構とが同居し、コーディネーター同士の連携をさらに密にすることで、臨床ニーズと技術シーズをリアルタイムでつなぎ、柔軟で迅速なマッチングの促進を図ってまいります。
このセンターでは、コーディネーターによる個別マッチングや小規模のマッチングイベントの実施等を通じまして、医療機器開発をともに進める連携体の構築を支援いたします。
また、開発チームによる医療現場ニーズの具体化に向けまして、形状や機能を確認し、ディスカッションを誘発するための試作支援や、薬事法や知財戦略等に関する専門相談への対応の側面支援を行ってまいります。
これらの取り組みによりまして、臨床機関、医療機器メーカーとものづくり中小企業との連携による臨床現場のニーズを起点といたしました具体的な医療機器開発を強力に支援してまいります。
○木内委員 非常に心強い答弁でありまして、報告にあったように、中小企業振興公社と、それから医工連携HUB機構が同居して、コーディネーター同士の連携をさらに密にしていくと。これが非常に重要でありまして、肝なんですね。業際、学際にわたって、これをつないでいくということ、分散している中小企業の技術力あるいは開発力というものをここに反映する、これが大事なポイントであります。
すぐれた医療機器があるからこそできる精度の高い診断や患者の負担が少ない治療があります。都の取り組みによりまして、中小企業のすぐれた技術や、また、知恵を結集して、医療現場の課題解決につながる新たな医療機器の開発を一つでも多く生み出していくことを期待させていただきます。
次に、伝統工芸品産業の振興ということであります。
私ども公明党は、そして私は、これまで本委員会あるいは本会議の代表質問、一般質問等を通じて、伝統工芸品の開発、新しい技術とのコラボによる新製品の開発の取り組みなど、都は積極的に進めるべきであるということを具体的に、実は提案をしてまいりました。
都は、これまでの実績を踏まえて、産業労働局としても多くの実績があったわけであります。こうしたノウハウを生かしながら、こうした提案を受け入れて、さまざまな事業をこの一年、二年の間に推進してこられました。
伝統工芸品産業の振興について、何点かお尋ねします。
ものづくりの原点である手仕事によって生み出される伝統工芸品が、現代の生活の中で今後も根づいていくためには、つくり手が消費者のニーズを捉えて作品に反映していくことが必要です。
私は、こうした考えのもと、東京の伝統工芸の新たな可能性を追求していくことをこの委員会の場で繰り返し主張もし、また、葛飾区にご在住であります江戸小紋の非常に著名な作家の方にお会いしたり、各分野を代表する方々などにもお会いをして、伝統工芸品と現代技術とのコラボはいかにあるべきかということの実は研究をして、提案してきたわけであります。東京の伝統工芸の新たな可能性を追求していくことを、この委員会の場でも繰り返し主張してまいりました。
東京都が昨年度から実施している、職人のたくみのわざと現代のデザインをコラボレーションさせた新商品の開発を支援するプロジェクトは、まさに伝統工芸の世界を広げる取り組みであり、その展開にこれまでも、また同時に、大いに注目をしてまいりました。
二年目を迎えた今年度は、初年度の開発成果を内外に向けて発信していくと仄聞しております。
このプロジェクトにとって、市場の評価にさらされる二年目こそが正念場であることは、第一回定例会のこの委員会で述べさせていただきました。
そこで、まず初めに、昨年度に開発された商品や、その特徴等について明らかにしてください。
○野間商工部長 都が昨年度実施いたしました伝統工芸の新商品開発を支援するプロジェクトでは、伝統工芸品の職人とデザイナーの共同開発チームによりまして、十四の伝統工芸の新商品が完成いたしました。
このうち、デザイン性や技術の面から最も高い評価を受けて都知事賞を受賞した東京七宝のアクセサリーは、七宝の高度な伝統技法を用いて、日本を象徴する家紋と桜や菊などの花をモチーフとした色彩豊かなデザインによりつくられた作品でございます。
また、他産地の伝統工芸とのコラボレーション商品でございます木目込みトレーは、会津塗りのトレイに、ひな人形や五月人形で知られます江戸木目込み人形の伝統の技術を取り入れた新しい感覚の商品でございます。
このように、洗練されたデザインと伝統の技術が織りなす多彩な商品が創出されました。
○木内委員 これは小学館から発行されている、いわゆるファッションデザインの雑誌と申し上げていいいんですけれども、「和樂」という非常に著名な、評価の高い雑誌であります。ここに、今ちょうど答弁のありました、あえて時間の関係でページを開きません。今いわれた東京七宝のアクセサリーや木目込みトレーなどがカラーグラビアで見事に実は報道されているんです。いってみれば、これは東京都がつくり出したんです。そういう大きな成果を上げてもいる伝統工芸展、手づくり仕事展であります。
現場に参りまして、この展示を全部拝見しましたけれども、いずれも新しい魅力と可能性を感じさせる、すばらしいできばえのものでありました。
このプロジェクトの重要なポイントは、職人とデザイナーが共同開発に取り組んだという点。多くの職人にとって経験のないことでありまして、商品化にこぎつけるまで、数多くの苦労があったと思います。
例えば、江戸くみひもと津軽塗りを組み合わせたくみひもうるしペンですが、これは二つの伝統工芸技術のコラボレーションによる、これまでに見たことのない商品であります。江戸くみひもをボールペンの上部に使って、持ち手部分に津軽塗りを組み合わせた商品とするため、都内の文具メーカーでボールペンの構造について教示を受けるとともに、芯をおさめる空洞部分の制作に当たっては、ここで東京都が出てくるんですけれども、都立産業技術研究センターの3Dプリンターによる試作を重ねて商品化を実現している。これはまさに伝統のわざと最先端の技術の融合でありまして、特筆すべき成果の一つでもあります。
こういった商品は、単に並べて見せるだけでなく、技術、技法の特色、つくり手たちの素顔や商品開発ストーリーなど、物を見ただけではわからない隠れた魅力を消費者にしっかりと届けていくことが重要です。
スワロフスキーというヨーロッパの有名な宝石、宝飾店があるんですが、そこの製品と日本の伝統工芸をコラボした招き猫は、今、非常に海外の皆さんに人気があるそうでありますけれども、そこで、その魅力を伝えるために、いろんな創意工夫を凝らされたと思うんですが、その点はどうでしょうか。
○野間商工部長 都は、成果を広く普及させることを目的に、国内外のメディアやバイヤーを対象といたしました商品の完成披露発表会を、ことし四月に東急プラザ銀座のキリコラウンジにおいて実施いたしました。
職人とデザイナーがみずから開発した商品の魅力を舞台上でプレゼンテーションすることで、制作者の商品に対する思い、使われている素材や技法などの商品のセールスポイントを直接PRいたしました。
四月下旬には、東京手仕事展を青山の伊藤忠アートスクエアにおいて開催し、消費者等を対象に、新商品の魅力を発信いたしました。この展示会には約千五百名の来場者があり、伝統工芸品を身近な存在として感じた、伝統工芸の無限の可能性を感じたなどの評価が聞かれた一方、使ってみたいと思えるような一工夫が必要、商品ラインナップが豊富だとよいなどの意見も寄せられております。
また、商品ごとにその特色と職人とデザイナーの開発チームについて詳細に紹介いたしましたPRカタログを作成し、展示会場等で配布いたしました。
さらに、ライフスタイル雑誌の特集記事に商品を紹介され、その中には新たなオリジナル商品の制作に発展しているものもございます。
○木内委員 今ご報告のあった青山の伊藤忠アートスクエアにも足を運びました。日本橋の三越の催事場にもこのコーナーが設けられていると聞いて、すぐに現場に参りまして、拝見をしました。
議会における議論は重要だなと、こうした意見のやりとりを行って政策を紡ぎ出して、これを行政がしっかりとまた責任を持って、こういう形で事業化していく、すばらしい成果が紡ぎ出されてきているんだということを改めて実感したことでもございました。
新商品を開発して、発信もしておられますけれども、そこで終わるのではなく、使い手の生の声に耳を傾け、売れる商品に育てていくために、試行錯誤を何度も繰り返すことが重要です。
そこで、都は今年度、こうした視点から、また、こうした視点を重視して、具体的な取り組みをしようとされていますけれども、その内容と成果について伺います。
○野間商工部長 四月に行いました商品発表会開催以後、消費者やバイヤーが求めるものをつくるのに必要な材料を収集するため、展示会出展を含めましたテストマーケティングを続けてございます。
商品への評価を踏まえ、デザインの改良にとどまらず、販売価格や商品ディスプレー、商品説明や表示方法などを職人とデザイナーによる開発チームにフィードバックするとともに、アートディレクターや販路開拓の専門家等、八名によるアドバイザーチームによるブラッシュアップを繰り返し行うことにより、商品の完成度を高めてございます。
また、九月にビッグサイトで開催されました日本最大のパーソナルギフトと生活雑貨の国際見本市や、今月開催されましたインテリア、ライフスタイルなどの展示会に出展するとともに、パリで開催されました欧州最大のインテリアデザインの展示会にも出展いたしました。
○木内委員 ブラッシュアップに向けた地道なご努力の積み重ねというものがあって、商品の魅力が大きくなり、今後のさらなる成果につながってきている。また、これを今後もさらに実施されることを期待したいと思います。
オリンピック・パラリンピック東京大会の開催により、東京には世界からの注目がますます集まってきます。こうした絶好の機会を逃さず、東京の伝統工芸品の魅力をまだ知らない人々に知ってもらって、手にとってもらう、そして買っていただく、こうしたことを推し進めていく上で、このプロジェクトは強力なツールになるんだと私は確信しております。
そこで、今後、このプロジェクトをどう展開していくのか、決意を伺います。
○野間商工部長 今回プロジェクトで開発いたしました商品につきましては、普及促進を継続し、市場での定着や改良についても支援してまいります。
国内やフランス、ドイツでの展示会への出展に加えまして、英語版によるウエブサイトによる販路拡大に向けた積極的な商品のPRを行うとともに、第二弾の開発プロジェクトでは、商品の数や品目の幅を広げるよう、新しい開発を進めてまいります。
世界に向けて東京の伝統工芸の魅力を幅広く伝えていく足がかりをつくることを目指しまして、さらに海外バイヤーとの強いコネクションをつくるよう努めてまいります。
○木内委員 通告してあった質疑の時間は四十分で、あともう九分しかないので、早口でまいります。
このプロジェクトは、わざと伝統と斬新な発想の組み合わせが伝統工芸品のプレゼンスを高めることを可能とする一つの試みであると考えます。
こうした取り組みを通じて、伝統工芸品の魅力の発信につなげていかなくてはなりません。ぜひ、引き続きしっかり支援をされるよう強く求めておきます。
MICEの専門人材の育成についてであります。
国際会議などの東京での開催により、都内に数多くの旅行者を呼び込むことのできるMICE誘致については、海外都市との間で競争が激しさを増していると聞いておりますし、世界のさまざまな都市と対等に競い合うことができるよう、東京のMICE誘致の力をグローバルな水準にしっかりと引き上げることが大切であると思います。
国際的な競争に勝ち抜く決め手となるのは、やはりその担い手となる人材の実力のレベルでありまして、システムや機能は一方であるけれども、結局これを生かすかどうか、これは全部人間の力、ソフトパワーなのであります。
国際会議などでは、ホテルや旅行業者、会議施設の運営会社など、関連する事業者がさまざまな分野にまたがるだけに、人材育成も幅広く行うことが必要になると思います。
昨年のこの委員会で私から提案いたしましたが、MICE誘致もいろんな現場があって、外国人との接触も多いため、そうした部分を踏まえた人材育成のメニューを設けることが大事だと、この提案を行いました。
その議論を受けて、行ってきた取り組み内容について伺います。
○坂本観光部長 都では今年度、会議施設や宿泊施設、旅行業者などのMICE関連事業者を対象といたしまして、国際会議などの誘致や受け入れに必要なさまざまな知識やノウハウを身につけるための研修を東京観光財団を通じて実施しているところでございます。
具体的には、八月から九月にかけて実施した研修では、国際会議の誘致事例を通じて欧米型のビジネス慣習への対応方法などを習得するほか、国際的なイベントの開催事例から必要なノウハウを学ぶ機会を提供したところでございます。
また、十二月からは、MICEの開催に当たり、都内で先進的な取り組みを行っている六本木地区の現場を視察するとともに、海外のMICE事情に詳しい外国人講師による講義を実施する予定でございます。
こうした取り組みを通じて、MICEに携わる関連事業者の対応力を向上させ、都内でのMICE開催の増加につなげてまいります。
○木内委員 MICE誘致の成果は、その取り組みにかかわる人材のレベルによるところが大きいと思います。引き続き、人材育成にしっかり力を入れていっていただきたいと思います。
次に、MICE誘致に向けた海外プロモーション活動について伺います。これは最後の質問です。
MICE開催をめぐって海外諸都市との競争が厳しくなっているわけですから、都としても実際に海外に出向くなどの方法を含めた、さまざまな誘致活動を行うことも必要になってきます。
他局のことでありますけれども、港湾局では、港湾局長を中心に、関連団体、関係者の方々と外国に出向いて、荷の、いわゆるセールスを行うポートセールスというのを例年行ってきておりますけれども、ぜひ産業労働局でも、藤田局長を先頭にこういうご努力も、都民が非常に期待をすることの一つではないかと思いますので、ぜひご検討を願いたいと思いますし、その答弁は必要ありません。提案だけしておきますので、深く受けとめてください。
海外企業が行う会議や社員の報奨旅行を東京に呼び込むためには、そうした企業に焦点を絞って、関連のある詳しい情報を海外から数多く取り寄せるとともに、現地でのプレゼンテーションをしっかり行って、効果の高い働きかけを行うことが重要になると思います。
また、海外でのPR活動にあわせる形で、外国での具体的な商談を進めるような工夫があってもよいかと考えます。その際には、都内のホテルや会議施設を運営する会社とともに、東京のすぐれた魅力を伝える努力を行うことで、成果は着実に高まるものと考えます。
こうしたMICE誘致の取り組みについて伺います。
○坂本観光部長 都は、外国企業が行う会議や報奨旅行の誘致に向けまして、海外で会議運営を手がける事業者との協力関係をつくり、東京でのMICE開催を検討している主催者などに関する情報を収集するとともに、東京を会議の開催場所に選んだ場合のメリットなどを紹介しているところでございます。
また、外国でMICE開催にふさわしい東京の魅力を効果的にPRするため、すぐれた会議施設や観光名所のほか、さまざまな伝統文化などを紹介するプロモーション映像の作成を進めております。
さらに、来年の二月には、都内の宿泊施設や会議施設の運営会社などとともに海外都市を訪問し、東京のPRや都内でのMICE開催に向けた商談を行うことを予定しているところでございます。
○木内委員 これは、きょうの最後の発言であります。答弁は要りません。
知事を仮に大統領とするならば、あるいは首相とするならば、局長は閣僚級であります。国家並みの予算を事業として実施に使うわけでありますから、ぜひとも藤田局長、委員会でこういう発言があったと、いわゆるシティーセールスとして、ぜひ東京のPRのために団を組んで、ぜひ海外に打って出たい。商工団体でも何でも構わないから、一緒に行って、そうして事業の成果というものを大きく求めていく、こういうことが大事であります。
勇将のもとに弱卒なしという言葉がありますので、ぜひこのことは肝に銘じていただいて、庁議、局議等で検討を願いたい。
答弁は結構でございますので、強く要望して、私の質疑を終わります。
○柴崎委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後二時四十分休憩
午後二時五十五分開議
○柴崎委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○尾崎委員 最初に、創業支援について質問します。
東京都は二年前の長期ビジョンで、起業、創業を二〇二四年までにアメリカやイギリス並みの一〇%に引き上げることを目標にしました。私も専門家から話を聞きましたが、地域や商店街の中で、起業、創業が地域や商店街の活性化に大きな力になるというお話でした。都の最近の開業率はどうなっているでしょうか。
○野間商工部長 厚生労働省が公表しております雇用保険事業年報ベースで見た東京の開業率は、長期ビジョン策定時の二〇一三年度は四・八%、直近の二〇一四年度には五・一%となっております。
○尾崎委員 長期ビジョン策定時よりもふえているということでした。全国、東京でも、事業者数の減少の中で、新たに商売を始めようとする人、または商売を始めた人が定着できるように支援するということは、東京都の役割がますます重要だと思います。開業率を引き上げていく上で、開業の場の提供、開業に向けたサポート、開業しようとする人、した人との交流など多彩な取り組みが必要です。
最初に、開業の場を提供するための都の支援について伺います。
東京都は、インキュベーションオフィスなどによる創業の場や創業者同士が交流できる場の提供、自治体や民間が行うインキュベーションの向上、レベルアップのための施設整備や運営に補助事業を始めましたが、このインキュベーション施設整備・運営費補助事業について、この間の実績について伺います。事業の規模は十五カ所ですけれども、応募数などはどのようになっているんでしょうか。
○野間商工部長 インキュベーション施設整備・運営費補助事業におけます平成二十七年度の申請実績は六件、平成二十八年度は十三件でございます。
○尾崎委員 工事費用が五千万円、運営費用が二年間で年ごと二千万円となっていますが、運営費用を二年間にした理由について伺います。
○野間商工部長 施設整備・運営費補助事業におきましては、レベルアップに取り組む創業支援施設の立ち上げを支援することを目的としていることから、整備改修費に加え、運営費初期の二年間について、セミナーや商品展示、販売会の開催、専門家による相談対応など、入居者に対する支援に係る経費助成を行うこととしております。
○尾崎委員 私は先日、インキュベーション施設を幾つか見学してきました。インキュベーション施設の中に託児所をつくり、子供を預けながら起業、創業ができるように支援しているところもありました。託児所のほかにも、子供が遊べるスペースや食事をつくったり食べたりできる場所、利用者の交流も重視して、屋上にはバーベキューができるところもありました。そこは利用者も多く、若い女性が目立ち、そこを巣立ち独立した人は、その後の相談にも来ているということでした。女性が利用しやすくするためには特別な支援が必要だと痛感しました。
東京都がこの間、認定したインキュベーション施設で、創業を目指す女性のために、保育所や保育施設などを完備した施設、研究、セミナーなどにも託児所つきで開催している施設は幾らあるでしょうか。
○野間商工部長 子供が遊べますキッズスペースを設けている施設は一件ございまして、この施設では、保護者等の希望に応じて保育サービスを提供してございます。
○尾崎委員 認定したインキュベーション施設の後追い調査はどのように行っていますか。
○野間商工部長 認定した翌年度から、事業者には運営状況等に関します調査票を作成していただき、その調査票に基づき、個室の数や広さ、インキュベーションマネジャーの配置状況など、当初認定において確認した要件が継続して満たされているか、認定期間であります八年間が終了するまで、毎年、現地調査を行っております。
○尾崎委員 先日、インキュベーション施設から話を聞いたときに、今は運営費補助があるので少し赤字状況でも何とかやっていける、運営費補助がなくなったら経営が大変になるんじゃないか、研修会やセミナーをふやし、貸し室の利用者をふやしたいと考えているという話もありました。
起業、創業を目指す人を支援するインキュベーション施設が初期段階である二年間の運営費補助で、その後は自力で安定したインキュベーション施設を運営するにはかなりの努力が必要です。運営費費用の補助だけでなく、経営面の指導や交流も必要になると思います。インキュベーション施設は、単なる貸しオフィスではなく、施設にインキュベーションマネジャーが常設し、利用者が悩んでいることをじっくりと話を聞いて、必要なアドバイスをするという日常的に細やかな支援を行えるかどうかが重要です。
インキュベーションマネジャーとしての経験をふやすと同時に、起業、創業したいと思っている人に寄り添って悩みを解決し、後押しできるためには、インキュベーションマネジャーの質を高めること、そのためには研修と交流が大事になると思います。
そこで、創業支援の中でインキュベーションマネジャーの役割が重要ですが、東京都としてインキュベーションマネジャーの研修や交流を行うべきですが、いかがですか。
○野間商工部長 都は既に、インキュベーションマネジャーの資質向上を図るため、認定事業者間の交流会を実施してございます。その中で、インキュベーションマネジャー等が参加いたしますワークショップによる勉強会や特徴ある支援を行う施設の見学を行っております。
○尾崎委員 インキュベーションマネジャーのワークショップなどの勉強会もやっているということでしたけれども、私が話を聞いたインキュベーションマネジャーの方からは、自分の経験や研修のほかにも、同じような仕事をしている人との交流、東京で進んでいる経験を学びたいということや、都として研修や交流を企画してほしい、自分もそういうところに参加をしたいと要望が寄せられました。ぜひ、都として積極的に研修や交流の場を設けていただき、インキュベーションマネジャーからの要望を聞いていただけるようお願いするものです。
次に、女性・若者・シニア創業サポート事業について伺います。
私の地元でも、市が開催している開業塾に参加をして、地元産の野菜を使い、体にいい食事を提供したい、共働きがふえる中でも安全な食べ物を提供したいとお総菜の販売と飲食店を始めた女性は、開業後も後輩に当たる塾生の交流の場としてお店を提供しています。起業、創業を考えながらも諦める原因は、資金繰りだという方もいます。
都は、信用金庫などと創業支援アドバイザーが連携して、女性、若者、シニアの創業を創業融資などで支援をするサポート事業を立ち上げていますが、昨年度の実績について伺います。
○山巻金融部長 平成二十七年度の融資実績は二百九件、約十二億九千万円でございます。
○尾崎委員 商売で大事になるのは信用です。取引先との信用を築き、商売を軌道に乗せるためには、商売を始めてから一定の時間が必要です。エステ業を始めた若い女性は、近所へのチラシを定期的に入れて、駅前でのチラシ配布など、できることは何でもやって宣伝に力を入れた、そのうちお客さんがチラシを持ってきてくれた、少しずつ固定客がふえていったといいます。
私は、この間の経済・港湾委員会や決算委員会などでも、創業してから三年、五年が商売を継続できるかの鍵になることを訴えてきました。創業支援の拡充を求めてきましたが、女性・若者・シニア創業サポート事業の対象者を、創業後一年未満から五年未満へと拡充したことは重要です。さらにこの事業を活用できるよう、事例集の件数をふやすなどPRに力を入れることが必要だと思いますが、いかがですか。
○山巻金融部長 平成二十六年度の事業開始以来、事例集の配布のほか、電車の車内広告を初めとする各種広告等によりまして事業を周知いたしますとともに、毎年、その効果を検証いたしまして、取り組みの充実を図ってきております。
○尾崎委員 商売を始めた人に、女性・若者・シニア創業サポート事業があることを知らせると、知らなかった、知っていたら使いたかったといわれたこともありました。東京都の制度をより多くの都民に知らせるための工夫が必要だと思います。
この間の実績では、いただいた資料の一三ページにも、各業種で活用されていることがわかります。今後つくる事例集の中では、各業種の方たちの事例などもふやしていただき、見た人が、これなら自分も挑戦してみようと思えるような内容に、ぜひしていただきたいと思います。
また、返済の据え置き期間も三年以内となっています。東京都の制度融資の創業支援融資は、据え置き期間が一年以内となっていますが、ぜひ、都の制度融資の据え置き期間も二年以内、または三年以内になるように検討を求めるものです。
次に、都市農業の問題で質問をします。
昨年四月、都市農業振興基本法が制定され、本年五月に、都市農業振興基本計画が閣議決定されました。東京都は、都市農業の振興に関する計画、地方計画の策定については、どのように考えていますか。
○藤田農林水産部長 都は本年八月に、東京都農林・漁業振興対策審議会の答申を受け、都市農業振興基本法に定められた地方計画としての位置づけを兼ねます、新たな東京農業振興プランの策定を進めております。
○尾崎委員 政府はこれまで、国交省を中心として、農地は宅地化すべきものとして位置づけてきましたが、都市農業振興基本法の理念で、一つは、都市農業の多様な機能の適切かつ十分な発揮と都市農業の有効な活用及び適正な保全が図られるべきこと、二つ目に、良好な市街地形成における農との共存が図られるべきこと、三つ目が、国民の理解のもとに施策が推進されるべきこととして、都市農地はあるべきものと規定しました。
このことは、都民が願ってきたことと合致するものであり、今後の都市農業、農地と都民の共存が期待されるものとなっています。その立場で審議会の答申がまとめられたもので、大変重要だと思います。この立場で、地方計画である東京都として、今までにもある都市農業振興プランの見直しに地方計画を兼ねるのではなく、都市農業振興基本法の具体化として、東京都の計画をまとめる都市農業の振興に関する計画が必要だと要望するものです。
農業の後継者問題は深刻ですが、一方で、若者や女性の視点から、新しい農業、農商工の連携で加工品をつくる六次産業化が進んできている事例もふえています。
例えば、養鶏場などを営んでいる農場の娘さんがケーキ職人になり、農場の卵と小麦粉を使ってプリンやロールケーキをつくり、それが大変好評なので、喫茶店をつくり、地元の材料にこだわったスイーツを開発したという例や、息子さんのアイデアで、自分の畑でとれた野菜でピザをつくり、畑の近くにテイクアウトできる専門のお店をつくったなど、若い人の視点、女性の視点で、今までの農業や農産品に特徴や独自性を加えることは、将来に展望が見えてきていると思います。
都の後継者育成の研修、セミナーなどの実績を伺います。参加者の中で、女性の参加状況はどうなっているのかもあわせて伺います。
○藤田農林水産部長 今期のフレッシュ&Uターン農業後継者セミナーの受講生、百十八名のうち、女性受講生は十九名となっております。
○尾崎委員 後継者育成の中で、都立高校や大学との連携も大事になると思っています。特に、農業関係の高校には女性が多いとも聞いていますので、全庁的に連携することが必要だと思いますが、いかがですか。
○藤田農林水産部長 都では、高校や大学を卒業した意欲ある就農希望者に対しまして、農家での体験研修や技術研修を実施し、女性を含め、広く農業後継者の育成を図っております。
○尾崎委員 担い手の確保、育成について、都市と共存し、都民生活に貢献する力強い東京農業の新たな展開の答申では、女性が活躍できる環境の整備が盛り込まれたことは重要です。女性が活躍できる環境の整備とあわせ、女性の持っている力を発揮できるようにすることが必要だと思いますが、いかがですか。
○藤田農林水産部長 都では、農業に携わる家族全員がやりがいを持って参画できる農業経営を実現するため、農作業だけでなく、家事、育児などの役割分担についても、家族内で十分に話し合い取り決める家族経営協定の締結を推進しております。
○尾崎委員 先日、農業委員の方に話を聞いたときに、まだまだ農家の意識が低いのか、配偶者である妻は、補助的な仕事をする、家業を手伝うのは当然だという意識があって、女性が農業で本格的に活躍できる状況だとはまだまだいえないということを話していました。
先ほどのご答弁ですと、家族経営協定の締結を推進しているということでしたけれども、実態はどうなっているのでしょうか。
○藤田農林水産部長 東京都における家族経営協定の締結数は、平成二十八年三月末時点で三百三十八件となっております。
○尾崎委員 家族経営協定の締結数が三百三十八件ということですが、これは企業も含めてだと思います。ぜひ、規模が小さいところでも推進できるようにお願いしたいと思います。
家族の役割を明確にしながら、お互いの仕事を認め合う、そして、それが後継者づくりにもつながっていくと思います。しかし、家族経営協定を締結しても、税制上どうなっているのかが重要です。農地の保全のために税制度についての改正要望が強いわけですが、一生懸命働いても、働き分が認められていない税制度があります。家族従業員の働き分が認められない所得税法第五十六条の撤廃を国に求めるべきですが、いかがですか。
○小金井事業推進担当部長 政府は、所得税法第五十六条は、性別を問わず適用されており、女性の経済的自立を損なうものではないとしております。
なお、国の第四次男女共同参画基本計画では、商工業等の自営業における家族従業者の実態を踏まえ、女性が家族従業者として果たしている役割が適切に評価されるよう、税制等の各種制度のあり方を検討するとされております。
都としては、こうした国の動向を注視しているところでございます。
○尾崎委員 今のご答弁ですと、国会でも議論されていて、都としても国の動きを注視するということでした。ぜひ、注視するにとどまらず、積極的に意見を上げるように求めるものです。
都市農業振興基本法は、政府に対し、必要な法制上、財政上、税制上、金融上の措置を講じるよう求めています。また、総合的、計画的に施策が推進されるよう、政府による都市農業振興基本法の制定が義務づけられました。都が策定する基本計画となる農業振興プランにも、ぜひ、都としての税制度の措置についても盛り込むよう要望するものです。
次に、雇用問題について質問します。
東京都は長期ビジョンで、三年間で一万五千人の非正規雇用を正規雇用に転換していくという目標を持ち、今年度で二年目となります。今年度の予算規模は、六千五百人の正規雇用への転換を行うというようになっています。要求しました資料も出ていますけれども、大事な点なので改めて伺います。正規雇用等転換促進助成金の実績について伺います。
○貫井雇用就業部長 今年度の正規雇用等転換促進助成金の支給決定は、十月末時点で二千百八人であります。
○尾崎委員 いただいた資料を見ますと、十月末時点で、ご答弁にもありましたように、二千百八人ということです。内訳なども見ますと、大企業が百三十三社で全体の六・三%、中小企業が千九百七十五社で九三・七%となっています。圧倒的に中小企業であることがわかりました。そして、有期から正規なのか、有期から無期なのか、無期から正規なのかという内訳を見ても、有期から正規への転換、または直接雇用であることが大多数であるということがわかりました。
去年の事務事業で、後追い調査と分析などを行うよう求めましたが、引き続き、その後の定着状況や正規雇用に転換した従業員の年齢なども含めて検証することが重要だと思いますので、ぜひ、後追い調査と分析をお願いしたいと思います。
次に、若者応援宣言企業における実績について伺います。
○貫井雇用就業部長 今年度の若者応援宣言企業採用奨励金の支給決定は、十月末時点で七十二人でございます。
なお、先ほど理事のご質問の中にございました二十八年度の実績につきましてですけれども、大企業百三十三、中小企業千九百七十五のこの単位は、人数でございます。
○尾崎委員 昨年十月末での実績は六十九人でしたので、ことしの十月末時点で、先ほどご答弁がありました七十二人ということで、微増という状況です。若者を応援するという社会的役割についてアピールする企業をふやすことは、ブラック企業やブラックバイトをなくしていくことにもつながる大事なものだと思いますので、都としても積極的に位置づけるよう要望します。
次に、中高年サポート事業の実績について伺います。
○貫井雇用就業部長 今年度の中高年就職サポート事業は、十月末時点で、登録者数七百二十九人、派遣者数百二十二人、就職者数三十四人でございます。
○尾崎委員 就職氷河期世代が引き続き、正規雇用に希望しても困難な状況になっています。制度の拡充を求めますが、いかがですか。
○貫井雇用就業部長 いわゆる就職氷河期世代の方々は、現在、四十歳代半ばに差しかかってきており、こうした世代に対して、都では、中高年就職サポート事業や職務実習型正規雇用化支援事業などにより、正規雇用化に向けた支援を行っております。これらを通じ、引き続き非正規雇用対策を実施してまいります。
○尾崎委員 中高年サポート事業でさまざまな支援をしているということですけれども、二〇一六年度予算の中高年サポート事業は、二〇一五年度予算と比べると、規模で、七百人を二百人に、予算額では、四億円から二億六千万円へと激減しているわけです。
就職氷河期世代が、今や四十歳代半ばになっているため、正規雇用で採用されるというのは大変困難があると思います。特に、学校を卒業するそのとき、四十社以上受けても一社も受からなかった、あなたはだめよと否定された思いがあると、そのときのつらい思いをいまだに引きずっている人もいます。中には、長期のひきこもりになった人もいます。この年代の人たちが次の日本を担う世代、次の会社を担う世代でもあります。発揮できずにいる能力をどう引き出していくのか、都の大きな役割があると思います。
就職氷河期世代で正規社員になれず、アルバイトや派遣を転々としてきた女性は、一つの仕事では生活ができず、二つの仕事をかけ持ちしていると体調を崩したこともあるといいます。安定した収入がなければ、安心して暮らすことも、将来への展望も見えてきません。
都は、一番困難を抱えているのはどこか、実態と要望をつかみ、その人たちへの支援を行うのが仕事ではないでしょうか。就職氷河期世代への支援拡充を強く求めるものです。
次に、正規雇用等転換促進助成金を受けた企業、非正規雇用を正規雇用に転換した従業員に対してですが、中小企業退職金積立共済の掛金への一部助成制度がスタートしましたが、正規雇用促進拡充を求めますが、いかがですか。
○貫井雇用就業部長 中小企業退職金共済制度への加入に対する支援は、社内での正社員転換を加速化するため、正規転換促進の助成金のみを対象として上乗せするものでございます。
○尾崎委員 中小企業の経営者にとって、従業員の福利厚生は大変頭の痛いところです。しかし、新規で正社員を確保したい、人をふやしたいという思いは、どの経営者にもあります。新規で正規雇用した都内の中小業者に対し、中小企業退職金共済制度加入への一部支援を強く要望するものです。
次に、二〇一六年度の労働相談の状況を見ると、働く人たちの悩みや職場の実態、課題が明らかになってくると思います。労働者の中からの相談件数を見ると、男性からの相談は一万七千八百九十三件ですが、一方、女性からの相談は二万二千二百八件となっています。女性からの相談がふえていると思いますが、三年間の推移はどうなっているでしょうか。
○貫井雇用就業部長 労働者からの相談のうち、女性労働者の相談割合でございますが、平成二十六年度は五二・六%、平成二十七年度は五五・四%、平成二十八年度上半期は五四・五%でございます。
○尾崎委員 今の三年間の推移を見ても、女性労働者からの相談の割合は五割を超えていることは明らかです。
そこで、女性が相談しやすい女性の相談窓口を設置する必要があると思いますが、いかがですか。
○貫井雇用就業部長 労働相談情報センターでは、女性からの相談で本人が希望される場合には女性相談員が対応するなど、女性が相談しやすいよう配慮を行っております。
○尾崎委員 女性からの相談が半数を現在でも超えているわけです。東京都は、女性の活躍を強調しているわけですから、今後も女性の相談がふえる可能性が十分あります。
神奈川県では、女性のための相談窓口を設置し、定期的に、女性のための相談窓口は曜日を決めて行っています。相談するときに気軽に相談できる場所があることを知らせるということも重要ですけれども、女性のための相談を位置づけることが求められると思いますので、重ねて要望するものです。
大手広告代理店、電通の若い女性社員が自殺しました。長時間労働が原因と労災認定された問題で、大変衝撃的であり、なぜ若い命を奪ってしまったのかと無念でなりません。東京労働局も調査を開始しました。命が奪われるような働かせ方をなくすことが必要です。
都は今年度から、働き方改革推進事業を新規事業でスタートしましたが、取り組みの状況について伺います。
○貫井雇用就業部長 今年度、TOKYO働き方改革宣言企業制度を開始し、本日までに三十七社が宣言を行っております。
○尾崎委員 それでは、働き方改革宣言奨励金は、働き方、休み方の改善に向けて取り組み目標の設定など、必要な取り組みを要件としていますが、具体的な要件はどんなことでしょうか。
○貫井雇用就業部長 長時間労働の削減や休暇の取得促進に向け、企業において、現状と課題の分析を行った上で、目標や取り組み内容を定めるとともに、社内に対してこれらの周知を図ることを条件としております。
また、フレックスタイム制度やリフレッシュ休暇制度など、都が定める働き方や休み方に係る制度を導入した場合には、奨励金を加算することとしております。
○尾崎委員 働き方改革宣言企業となっているのは、先ほどご答弁がありましたが、三十七社だということです。東京は大企業の本社などが集中しており、従業員数で見ると、大企業の従業員数が約四割ともいわれます。大企業に対しては、率先して宣言するよう求めるとともに、中小企業では宣言する上でどのようなことが課題になっているのかを聞いて、都内のほとんどの企業が働き方改革を宣言できるように、都として対応することを要望するものです。
次に、ワークライフバランスフェスタ東京二〇一六が開催され、私も見学に行きました。働き方が多様化していることを実感しましたが、長時間労働削減取り組み部門での認定は一社でした。長時間労働を減らす取り組みを進めるには、どんなことが必要だと考えていますか。
○貫井雇用就業部長 長時間労働や有給休暇の未消化は当たり前という働き方を見直すことが必要であり、今年度開始した働き方改革宣言企業制度により、企業みずからの取り組みを支援しております。
○尾崎委員 ただいまのご答弁にもありましたが、働き方改革で見直しが必要なのは、やっぱり何といっても長時間労働の是正だと思います。パートを除くと、日本の労働時間は年間二千時間を超えるといわれます。フランスの年間労働時間は千四百七十三時間、デンマークの年間労働時間は千四百三十六時間、ドイツの年間労働時間は千三百七十一時間です。各国の状況と比較すると、日本の長時間労働は異常な状況だといわなければなりません。
しかも、日本では労使協定、三六協定で、労働時間を一カ月四十五時間、年間で三百六十時間まで延長できる、特例条項を結べば六カ月間上限なしとなるわけです。
長時間労働を削減することは、正規の雇用をふやすことも必要です。企業や労働者の努力だけではなかなか進まない問題だと思います。都として、残業の上限規制を法制化することや、労働時間から労働時間の間の休憩時間をきちんと設けることを法制化することなども必要だと思いますので、東京都として国に要望するよう強く求めるものです。
次に、過労死をなくすために、都はどのような取り組みをしているのか伺います。
○貫井雇用就業部長 都は、これまでも企業向けに過重労働防止セミナーを実施するなど、普及啓発を行ってございます。
また、労働相談情報センターにおいて、労働基準法など関係法令を踏まえた対応策の助言を行うとともに、相談者の意向により、相手方との調整を行うあっせんも実施しております。
○尾崎委員 この間、厚労省から過労死白書も出されています。その中でも、長時間労働が背景にあるのは、仕事疲れ、職場の人間関係、仕事の失敗などが原因、動機の一つになっているとしています。労働相談で防げることもありますが、やはり長時間労働を是正し、八時間働けば普通の暮らしができるようにすることが求められるのだと思います。
正規労働が当たり前で、人間らしい、働きがいのある仕事、ディーセントワークを広げる政策への転換を国にも求めるとともに、都としても推進することを求めて質問を終わります。
○中山委員 私からは最初に、伝統工芸品産業の振興について伺いたいと思います。
我が国の伝統工芸品産業は長い歴史を持ち、それぞれの地域の密着した生活用品を提供する産業として生まれた、国民の生活の、いわば知恵の結晶であり、都としても積極的に振興を図るべきものと位置づけられ、都においては、多くの施策が展開されてまいりました。
確かに、地元の伝統工芸品を商いにしている方々から、この間いろいろと聞いてまいりましたが、都の伝統工芸品に取り組む施策は大変評判がいいということと、評価が高いということを認識いたしました。
また、都はこれまで、伝統工芸品産業に関する情報収集や発信事業、活動など、さまざまな施策展開を行ってまいりました。しかしながら、大量に生産しては消費していく、そんな使い捨ての文化が浸透した結果、後継者不足や原材料の入手などの問題に直面しているのが現状であります。
そこでまず、都内の伝統工芸品の現状と課題についてお尋ねをいたします。
○野間商工部長 都では、百年以上にわたり受け継がれてきた技法、材料を用いて、手づくりにより製造されている工芸品であって、都内に一定の産地が形成されているものを東京都伝統工芸品として、現在、四十品目指定しております。
また、都内の伝統工芸品産業の従事者数は、平成二十五年の調査では約二千人となっており、平成十七年に比べ四割減少しております。
伝統工芸品の需要は、消費者のライフスタイルの変化や大量生産品との競合等により低迷しておりますことから、これを打開するため、消費者に伝統工芸品の存在やその魅力を認知してもらうとともに、現代の市場に受け入れられる商品を提供していくことが課題となっております。
○中山委員 今、現状と課題について確認させていただきましたが、平成十七年度から従事者数が四割減ったと。大変驚きではありますが、今後、消費者に伝統工芸品の存在やその魅力を認知してもらうとともに、現代の市場に受け入れられるという課題がありました。
こうした中、都では、伝統工芸品の商品開発を行うために、商品開発を希望する職人とデザイナーをそれぞれ募集して、マッチングによる事業展開をしております。先般の産業交流展でも新商品のアクセサリーが展示されているのを拝見いたしました。
そこで、商品開発事業によりどのような成果があったのか、所見を伺います。
○野間商工部長 東京の伝統工芸品を国内外に普及させ、産業としてさらなる発展を促していくため、都は昨年度から、伝統工芸品の職人とデザイナーとのコラボレーションによる新たな商品の開発を支援するプロジェクトを開始いたしました。
伝統工芸品の職人とデザイナー等とのマッチングを経て、二十三の共同開発チームを組成し、専門家の指導を受けながら試作を重ねた結果、十四の伝統工芸の新商品が誕生いたしました。
手仕事のわざに洗練されたデザインが加わることで、伝統工芸の商品の幅が広がったと認識しております。
○中山委員 今、答弁の中で、最後に、伝統工芸品の商品の幅が広がったという認識を持たれているということですが、まさにそうでありまして、私たちの地域の中でも、やはりこの事業に参加者がおりまして、新たな発想で商品開発ができたとの感動の声も届いてきております。
職人かたぎで営業下手というような言葉をよく聞くんですが、昨今は、どちらかというと、経済活動の構造変化によって、卸機能だとか、あるいは小売りをベースにした産業がいわゆる荒廃しているという現状の中で、商品が市場になかなか到達できないということが大きな課題であると認識しております。
そこで都は、すぐれた技術を持つ伝統工芸品の職人が制作する商品の発信力を高めていくために施策を展開するべきだと考えますが、所見を伺いたいと思います。
○野間商工部長 都は本年四月、開発プロジェクトで生み出された商品につきまして、国内外のメディアやバイヤーを招聘した発表会において披露し、職人とデザイナーみずからが商品の特徴等をPRするとともに、消費者等を対象としました展示会も開催いたしました。
また、新商品の特徴や開発チームを紹介したカタログを作成し、配布を行うほか、東京ビッグサイトで開催されましたインテリア等の展示会や、パリの国際見本市等への出展を行っております。
こうした開発プロジェクトにおける取り組みに加えまして、都では毎年、指定伝統工芸品四十品目の展示販売を行います東京都伝統工芸品展を開催してございまして、東京の伝統工芸品の普及促進と市場開拓を行っております。
こうした取り組みは、伝統工芸品の存在と魅力を発信していくために重要であると認識しております。
○中山委員 今、答弁をいただいたように、さまざまな施策を通じて発信力を高めていっているとのことですが、最後に、つくり手にとって消費者のニーズをダイレクトに感じることも大変重要だというふうに思います。
そこで都は、職人が消費者のニーズを商品にフィードバックしていく機会をつくっていくべきだと考えますが、所見を伺いたいと思います。
○野間商工部長 都は、開発プロジェクトで生み出されました商品につきまして、都内デパート等で試験販売を実施しておりまして、こうした機会に、消費者やバイヤーからの評価や意見をアンケート等により幅広く吸い上げてございます。
職人とデザイナーの開発チームは、こうした情報をもとに、アートディレクターや販路開拓の専門家等のアドバイザーチームによる指導や助言を受けながら、商品をさらにブラッシュアップしてございます。
このほか、東京都伝統工芸品展では、英中二カ国語の通訳者を配置しており、職人は、通訳を介して外国人来場者の方とコミュニケーションをとりながら、商品の紹介や制作の実演等を行っております。
こうした取り組みは、職人が外国人のニーズや関心の対象を把握できる機会となっているものと認識しております。
○中山委員 今回のこの質疑の中でも、先ほど伝統工芸品の話がありました。そういう面ではいろいろと重複する点もありましたので、端的に質問させていただきましたが、何といっても、いろいろと伝統工芸品をつくっている職人の方に聞きますと、最終的にはやっぱり営業力、あるいは発信力が一番重要だという声を聞かせていただきます。
現在、先ほどお話しのように、卸機能と、何といっても、消費者に知らされるということが一番の大きな課題だというふうに思います。ただ、今後少子高齢化が進みますけれども、高齢者人口がふえるわけでありまして、市場はむしろ大きくもなるのではないかというふうに思うわけでございます。
今後とも都の施策展開を求め、次の質問に移ります。
次の質問は、観光振興全般にわたりまして質問させていただきたいと思います。
観光マーケティング調査についてなんですが、行政はさまざまいろいろと調査を行い、施策に反映するわけですが、本当に生かされているのかということが私たちにとっても関心の高いところであります。そのような視点に立って質問させていただきたいと思います。
まずは、この事業概要には、観光プロモーションを効果的に展開するため、対象の市場のマーケティングを実施するとありますが、このマーケティング調査をどのようにプロモーションに生かされているのか、まず所見を伺いたいと思います。
○浦崎観光振興担当部長 東京を訪れる外国人旅行者の訪問先や観光の目的は、国ごとに特性があり、それぞれに異なるため、都といたしましては、行動実態や嗜好などの実情を調査して、その結果を踏まえ、国ごとの特性に合わせた観光プロモーションを実施しております。
例えば、日本食やショッピングに関心が高い旅行者の多い国に対しましては、外国人に人気の高いレストランや話題のショッピング施設などの情報を提供しているところでございます。
○中山委員 今も答弁にありましたように、外国人旅行者の訪問先や目的は国ごとに異なるということで、その実情を調査してプロモーションを実施するという答弁ではありましたが、本当にこの数年、訪日外国人がふえました。
日本政府観光局の訪日外国人の旅行者数の推移を見ても、大変驚かされる数字でもありますが、訪日旅行者全体では、二〇〇三年の時点で五百二十万人から、二〇一五年には千九百七十万人にふえているということで、二〇一六年では既にもう二千万人を超えているわけなんですね。アジア圏でいうと、三百五十一万人から一千六百六十万人にまでふえているそうであります。地元台東区でも、本当に外国人がふえております。
一つ、ただ、課題になっているのが地元でお金を落とさない。どちらかというと免税店にわあっと運んで行ってしまうということが一つの課題になっているところなんですが、そこで大切なのは、外国人のニーズを知り、新たなサービス産業を創出していくことだというふうに考えております。
私の事務所は三階にあるんですけれども、この二階と四階で、ちょうど外国人が着物を着て、写真を撮って、着物でまちに繰り出させるというサービスを提供しているんです。毎日、外国人がうちの事務所でエレベーターを行き来しているもので、毎日のように外国人と一緒にエレベーターを乗っているという状況でございまして、新たなこれも一つの産業の例だというふうに思いますし、ある意味ではドラッグストアも、観光のニーズとしてあれだけ外国人がいるということでは、同じようなことがいえるというふうに思います。
私の事務所も特段別に立地がいいわけではないんですね。立地がいいわけではないんですけれども、インターネットなどで予約をとって、情報をとって来るということでございまして、こうした新たな産業を創出するためには、各種調査を、できるだけニーズを民間企業に知らせるということが重要だというふうに思うわけであります。
そこで、東京都観光客等実態調査や国別外国人旅行者行動特性調査を都の施策に反映することも大切でありますが、区市町村だとか、あるいは民間のサービス業などにも活用してもらうべきだというふうに考えますが、所見を伺いたいと思います。
○浦崎観光振興担当部長 都が実施をしております観光客数の実態調査などにつきましては、都内の自治体及び民間の企業や団体などを対象としたセミナーや各種の説明会などの場を通じまして、その内容をご提供しているところでございます。
○中山委員 答弁は多といたしますが、さらなる事業者への情報提供をしていただきたいというふうに要望させていただきます。
次に、観光まちづくりアドバイザー派遣事業について伺いたいと思います。
昨年度より、都は観光まちづくり支援施策に取り組んでおりますが、地域における観光まちづくり支援では、地域が取り組む主体的または広域的視点からの観光まちづくり事業を支援するとあります。
地元の台東区でも四つの観光連盟があるわけでありますが、さまざまな課題がある中で、都の施策に対しては、これは多としたいと思います。
ただし、実際に観光事業に携わっている人たちというのは、大変知見が高い人が多いわけであります。ボランティアでありながらも、いわば地元の伝統とか、あるいは歴史とか、よく理解している人が多いんですね。
したがって、そもそも地元のことなどをよく理解していない人が観光に携わるケースが少ないということでありまして、ボランティアであるけれども、プロみたいな人たちが多いわけなんです。
そこで、アドバイザー派遣事業でどのような指導助言を行うのか伺いたいと思います。
○坂本観光部長 都は、地域がその特性を生かして観光まちづくりを進める取り組みを支援しております。
地域の団体からの要請に応じまして専門家などを派遣し、さまざまな助言を実施しているところでございます。
○中山委員 これから事業展開していくということでありますから、地域のニーズを十分に踏まえた上でアドバイザー派遣をしていただきたいと思います。
東京都の多様化を生かした観光まちづくり推進では、旅行者の趣味、趣向を反映して多様化する観光ニーズに応えるため、その地域ならではのさまざまな魅力を生かした観光ルートの整備など、観光まちづくりに対する支援を行うとあります。
ここも、いいがかりではないんですけれども、観光ルートの創出などは、実は二〇二〇年大会など、誘致を成功した段階で、かなりの行政の地域が、観光連盟でも、あるいは行政でも、むしろ観光ルート整備というのは、ある程度完了しているんじゃないかなというふうに思っておりまして、次の段階にもう来ておりまして、Wi-Fiなどの環境が整備されている中で、ホームページとか、あるいは観光名所などしっかりとルートをつくって、むしろインターネットでも外国人あるいは観光客が見ているという状況だというふうに思います。
そこで、観光ルートの整備について、どのような視点で施策を実行されるのか伺いたいと思います。
○坂本観光部長 都は、観光ルートをつくり出す地域のアイデアを、民間のノウハウを活用して実現する取り組みを実施しております。
これにより、さまざまな地域の特色を生かした観光振興を後押ししております。
○中山委員 今後の、これも事業展開を行っていただきたいというふうに思います。
地域の観光連盟や観光協会は、商店街とは違うわけでありまして、どちらかというと直接営利に結びつくというよりも、観光事業をやった結果、人が来て、商売に結びつくという事業であります。また、伝統とか、あるいは文化を掘り起こすという側面があり、文化的事業あるいは教育的事業が多いということです。
そのため、地域の協力企業や商店が協力金を出し合って事業の運営や事務所費などを維持しているケースが大変多いと認識しております。
地元の観光連盟の関係者などに伺うと、事務所を借り、常勤の職員を置くなどして、経常費に大きな課題があると聞いております。
そこで、地域観光活性化事業では、これまでの取り組んでいる観光団体の事業など、継続的な事業も対象になるか伺いたいと思います。
○坂本観光部長 都の地域観光活性化事業では、観光関連団体に専門的な知識のある人材を派遣し、その協力により、新しく作成した計画の実現に必要なサポートを行うこととしております。
○中山委員 観光まちづくりについて三点質問してまいりましたが、観光まちづくりという視点は多としたいというふうに思いますが、二〇二〇年の大会の招致が成功したことで、どの地域においても観光に大いに力が入ってきたというふうにいえるわけでございます。
そういう意味では、やっぱりその地域、地域のいろんな課題があると思いますので、その補助を出すにしても、柔軟に事業が展開できるような、そんな施策にしていただけたらというふうに要望したいと思います。
よく私たちがいうんですけれども、これは産業労働局の中でやられている事業なんですが、商店街事業も大変重要で、これも推進する立場であるんですけれども、この金額がまだまだ観光のまちづくりに対しては少ないというふうに思うわけです。商店街レベルの予算額でやれば、観光の事業ももっともっと地域の中で活性化したり、あるいは文化事業でも、ああいったイベントをやりたい、こういったイベントをやりたいというのが地域の中であると思うんですね。ぜひそういったイベントも支援をしていただきたいというふうに要望させていただきます。
最後に、MICEの専門人材について伺ってまいりたいと思います。
前回一般質問でも取り上げさせていただきましたが、MICE誘致活動には、MICEに対する知見を多く関連事業者が有することが大変重要なことであります。
つまり、MICE施策は人材発掘が大きな鍵になると認識しております。都でも、MICEビジネス、グローバルスタンダードを身につけた専門人材を育成し、東京のMICE開催都市としてプレゼンスの向上を図るため、関連事業者等を対象に誘致、開催にかかる専門的なスキル、ノウハウを身につけるために講座を行っております。
そこで、今後こうした人材育成が重要だと考えますが、どのような事業者を対象にして事業を実施しているのか、所見を伺いたいと思います。
○坂本観光部長 都では、会議施設を運営する会社などを対象として、MICE誘致などに必要な知識を身につける研修を実施しております。
○中山委員 今、答弁で、会議施設だとか、あるいは宿泊施設、旅行業者などが対象ということですが、都として、MICE誘致に観光財団が大きな役割を担っていると聞いております。
東京へのMICE誘致を進めていくためには、MICEに関する専門的な知識を持つ観光財団による取り組みが一層重要になってくると考えます。
観光産業振興プランでも示されているように、今後、MICEの誘致は、都の主要な経済政策でもあります。特に二〇二〇年大会の準備と、間接的ではありますけれども、大きな関連性があるものと考えます。
観光産業振興プランでも多くの視点で、MICE施策の充実に向けて、多くの施策を同時に展開をしているということであります。特にこの観光振興プランでも、いろんな施策があり、それが同時並行で進んでいるということであります。
そこで、多くの施策がどの程度の達成をしているのか、所見を伺いたいと思います。
○坂本観光部長 都は、これまでMICE誘致の施策を着実に実施をいたしまして、それらの取り組みにより、国際会議の開催の件数がふえるなどの成果が上がっているところでございます。
○鈴木委員 一年ぶりに経済・港湾委員会に復帰をいたしました。これまでのというか、平成二十八年度の中小零細企業を支援する諸事業を確認した上で、ぜひ平成二十九年度の予算へのこれらの施策の拡充につなげていきたい、そんな思いで、十一項目の十三問あるので少々長くなりますけれども、どの項目も大事な質問でございますので、しっかりと答弁をお願いしておきたい、こういうふうに思っているところでございます。
さて、私からは、まず、東京の産業を支える中小零細企業に対する都の支援策の状況について、経営と資金繰り、そして人材という三つの視点から質問をしていきたいというふうに考えております。
初めに、中小企業に対する経営支援の取り組みについてであります。
現在、景気は緩やかな回復基調にあるものの、中小企業の経営は依然苦しい状況です。特に中小企業は、日々の業務に追われ、コスト削減のための事業の効率化や経営者の高齢化に伴う事業継承などへの取り組みがおくれがちでありまして、解決すべき課題が山積しています。加えて、国内需要の減少やグローバル経済の広がりにより、企業間の競争が激化しておりまして、生き残りをかけた積極的な戦略づくりが求められているところではないでしょうか。
こういった中で、我が党は、中小企業が抱える課題の解決からその先の成長までを一気通貫で支援する仕組みの必要性を主張してまいりました。
都は、これを受けまして、今年度から、中小企業の経営基盤強化から販路開拓、新分野への進出など、将来の成長を目指す積極的な取り組みを支援するために、経営課題の発見から中長期的な課題解決までを一貫して支援する新たな事業、中小企業活力向上プロジェクトを実施しておりますが、まず、本事業の概要についてお伺いをしたいと思います。
○野間商工部長 中小企業の経営基盤を強化するとともに、成長発展を後押ししていくため、これまで別々の事業として実施しておりました経営診断とその先の課題解決支援を統合いたしまして、今年度から新たに中小企業活力向上プロジェクトを実施しております。
中小企業からの申し込みによりまして、各地域の商工会や商工会議所が中小企業診断士を活用して経営診断を実施し、各企業の現況分析を行い、課題の抽出を行います。
さらに、課題の内容に応じまして、短期間での課題解決を支援いたします改善支援コースと、中長期的な課題解決や将来の成長に向けた経営戦略の策定からその実行まで腰を据えて取り組む意欲のある企業に対しまして、よりきめ細かな支援を行います成長アシストコースを提供しております。
それぞれのコースにおきまして、商工会、商工会議所が中小企業診断士や各部門の専門家を、改善支援コースでは最大二回まで、成長アシストコースでは最大九回まで派遣して支援を行っております。
○鈴木委員 中小企業の課題発見とその解決を支援するために、これまで別々に実施されていた事業を統合することで、従来の事業ではなし得なかったまさに総合的な支援効果が期待できる、このように思っております。
そこで、本事業のこれまでの取り組みの成果として、経営診断、改善支援コース、成長アシストコースのそれぞれの実績をお伺いするとともに、今回の事業の見直しによって、具体的にどのような効果が出ているのかをあわせてお伺いいたします。
○野間商工部長 経営診断の申込者数は、平成二十八年度九月末時点で、既に当初の事業計画数を上回ります千二十五事業者となっておりますが、事業者からのニーズが高く、引き続き受け付けを行っているところでございます。
経営診断後に、改善支援コースの申し込みを行った事業者数は八十四事業者となってございまして、また、成長アシストコースの申し込みを行った事業者数は百四十九事業者となってございます。
成長アシストコースの支援内容といたしましては、販売戦略上の課題に対する支援が最も多く、約半数近くに上っております。次いで、社内体制の整備の課題に対する支援、新たな事業展開や創業を目指す企業に対する支援が続いてございます。
また、事業を見直したことによりまして、経営診断による課題抽出から解決支援までを一連で実施できるようになったことで、きめ細かな支援が可能となり、より多くの企業が経営改善に取り組めるようになってございます。
○鈴木委員 事業の見直しによって、多くの企業の取り組みにつながったということですが、今後もさらに多くの中小企業に本事業を利用してもらうことで、経営基盤の強化や新たなビジネスチャンスへの挑戦につなげてもらいたい、このように思っております。
多くの中小企業、町工場の経営者の皆さんにこの事業を知ってもらい、使ってもらいたい、経営者の努力が実を結び、さらなる販路拡大や新事業への展開などへつながっていけるような事業となっているのかということですね。
これからもこの事業効果をしっかりと検証して、中小企業の現場の要望を組み入れ、事業の見直しを図ることが大事であります。そして、それぞれの中小企業が事業継承できるよう支援していただきたい。私も、地元で常日ごろからこの経営支援の取り組みをアピールしている者として、ぜひとも商工部もこの事業のアピールにより力を入れていただきたい、このようにお願いしておきたいと思います。
次に、活力向上プロジェクトの経営診断を受けて、経営基盤の強化に取り組む中小企業が抱える課題の中でも、販路開拓はとりわけ切実かつ重要であります。特に展示会への出展は、自社製品や企業の広告宣伝の場でもあり、バイヤーなどの新たな顧客の開拓や出展者同士の貴重な情報交換の場でもあります。
しかしながら、中小企業にとっては、費用負担がネックとなって希望する展示会への出展機会を逃してしまうということも、私が相談を受けている中でありました。
そこで我が党は、多くの小零細企業を含む中小企業がこうしたビジネスチャンスを確実に生かせるよう、支援の実施とその充実を、産業労働局を中心に都に求めてきたものであります。
こうした主張を受けて、今年度から、展示会出展を支援する事業の一部見直しが行われていますが、その具体的内容と実績についてお伺いをいたします。
○野間商工部長 都はこれまで、販路開拓の支援のため、国内外の展示会参加費用等の助成を実施してまいりました。
今年度からは、新・目指せ中小企業経営力強化事業におきまして、これまでの支援対象でありました売り上げ減少企業に加えまして、売り上げは減少していないが赤字を計上している企業等も対象といたしました。
二十八年九月受け付け分までの採択状況は、全体の約三割、百四十一件が新たに助成対象となった企業に対するものとなってございます。
また、助成内容につきましては、限度額を百万円から百五十万円へ引き上げており、多様な展示会への出展が可能となるよう見直したところでございます。この結果、百万円を超えた助成が利用企業の約七割、三百四十七件となってございます。
本事業の実績につきましては、本年九月末までに四百九十五件を受け付けてございまして、今年度の予定件数五百十件に対し約九七%となってございますが、中小企業からのニーズが高いため、引き続き申し込みを受け付け、支援を行っているところでございます。
○鈴木委員 今、答弁いただいたように、売り上げは減少していないが赤字を計上している企業を対象とした、また限度額を百万円から百五十万円へ引き上げた、全体として約三割百四十一件が新たな助成対象となったということも伺いまして、実態に即した見直しであるというふうに思っております。
展示会への出展に当たって、今、答弁をいただいたような事業の拡充が行われたことによって、より多くの中小企業が支援を受けられるようになって、販路拡大に役立っているというふうに確認できて、商工部の取り組みを大いに評価させていただきたいというふうに思っております。
今後も、多くの中小企業がこの展示会への出展によって販路を拡大して、経営基盤の強化を果たせるように期待していきたい、このように思っております。
次に、金融支援についてお伺いをしてまいります。
中小企業がさまざまな事業活動を行うに当たっては、円滑な資金繰りが非常に重要となります。
そして、これを支えているのが都の制度融資であります。
この制度融資には、中小企業のさまざまな資金ニーズに応える融資メニューが用意されておりますが、平成二十八年度の新たな取り組みや実績についてお伺いをいたします。
○山巻金融部長 平成二十八年度の制度融資の新たな取り組みといたしましては、海外展開を目指す中小企業の資金調達に幅広く活用できます海外展開支援を新設いたしますとともに、創業融資の政策金利の〇・二ポイントの引き下げ、それから事業承継において商工団体等からの支援を受けた場合に、金利を〇・二ポイント優遇いたします特例制度を創設いたしました。
また、都の政策課題等の解決に向けまして、金融機関が有する独自のノウハウ等を活用するメニューでございます政策特別では、本年九月から新たに二つの金融機関で、健康増進等に関する取り組みと融資契約の電子化など、中小企業の生産性の向上を後押しする取り組みを開始いたしました。
平成二十八年度上半期の利用実績につきましては、創業融資、設備更新が昨年度に引き続き増加している一方で、全体といたしましては約三万九千件、五千四百九十八億円と、金額ベースで昨年同期と比べ約四%の減少となっております。
今後とも資金ニーズを注視しつつ、前向きな事業展開と経営の安定化の両面から、都内中小企業を後押ししてまいります。
○鈴木委員 ただいまの答弁では、設備更新などの前向き資金の需要が増加している一方で、全体の融資総額は減少しているとのことでした。資金需要に変化が起きつつあると思います。
創業融資も増加しているとのことですが、創業期の資金調達は、信用力等の面から特に困難とも聞いております。開業率の増加に向けては、やっぱり創業者への支援の充実が不可欠であります。
都は、こうした状況の変化やニーズに適切に対応していただきたいと思います。
また、健康増進等に関する取り組みにより、中小企業の生産性の向上を後押しする融資メニューの取り扱いを開始したとのことですが、生産性向上のためには、女性の活躍推進という視点も重要です。都においても、女性の活躍推進など、多様性のある社会、こういった経営等を推進する企業向けの支援策の強化を期待したいと思います。
さらに、資金需要の高まる年末とか年度末に向けての金融支援の充実も欠かせないわけであります。
中央卸売市場において、豊洲市場への移転延期に伴う支援策として、このたび、つなぎ融資の創設が発表されましたが、制度融資との併用も可能だということで、市場関係者にとっては大変心強いことだというふうに思っております。
産業労働局では、これまでの年末特別対策として、つなぎ融資や年末特別相談の充実などを実施してきており、我が党自民党は、本年度の実施において、十一月の二十五日に緊急要望をしたところであります。
今後とも、さまざまな支援策の利用を促進することで、中小企業の資金繰りに支障を来すことがないように取り組んでいただくことを要望しておきたいと思います。
いずれにいたしましても、特に築地関係者の支援を産業労働局としてもしっかりやっていただきたい、このようにこれは強くお願いをしておきたいと思っております。
さて、次に、制度融資の根幹ともいえる信用補完制度について伺ってまいります。
この信用補完制度は、信用力に乏しい中小企業者が民間金融機関から借り入れを行う際に、信用保証協会が保証を行うことで信用力を補完し、資金繰りを円滑化させるものであり、企業の資金調達の最後のとりでとして機能しております。
一方で、近年の自然災害や経済危機への対応の迅速化や、金融機関の積極的な経営支援を引き出すことで、中小企業の成長を促す必要性が指摘されております。
また、国による多額の財政支援で成り立っている制度でもあり、国民負担の軽減も課題となっております。
これらの課題を解決するため、現在、国において、信用補完制度の見直しに向けての検討が進められている、このように伺っております。今回の見直しでは、保証協会と金融機関との責任共有制度やセーフティーネット機能のあり方など、幅広く議論されており、内容次第では、都の制度融資へも影響が想定をされるわけであります。
平成十九年に、この責任共有制度が導入されて以来の大きな見直しであり、中小企業の円滑な資金調達という点からも、信用補完制度の見直しの動向に十分注視していく必要があります。
国における年内の取りまとめに向けた現在の議論の状況と都の対応についてお伺いをしたいと思います。
○山巻金融部長 国におきましては、責任共有制度のあり方として、金融機関は、過度に信用保証に依存することなく事業を評価した融資を行うこと、また、保証協会は、金融機関のプロパー融資の方針等に着眼し保証を実施することなど、中小企業の経営改善、生産性の向上に一層つなげる仕組みについて議論されております。
また、セーフティーネット機能につきましては、大規模な経済危機等に対応する一〇〇%保証制度が新設される一方で、既存のセーフティーネット保証五号につきましては、必要な見直しを行う方向で検討が進められております。
さらに、創業期や拡大期、再生期といった中小企業のライフステージに応じた施策といたしまして、創業支援の充実や小口向け保証制度の拡充の検討とともに、保証協会の取り組みを見える化することによるガバナンスの強化についても審議されております。
都はこれまで、小規模企業の支援を初めとした中小企業の資金繰りに支障を来すことのないよう国に対し要望してきておりまして、先月示されました信用補完制度の見直しに向けての方向性案にも反映されているところでございます。
今後とも、国の動向を注視しつつ、効果的な対応を検討してまいります。
○鈴木委員 中小企業が創業期や再生期などのリスクの高い局面等で必要な資金を調達できずに、円滑な資金繰りや事業の発展に影響を及ぼすようなことがあってはなりません。また、中小企業の経営改善を効果的に進めていくことも同時に求められております。
都においては、引き続き情報収集に努めるとともに、制度の見直しを踏まえた効果的な支援を進めていただきたいと思っております。
次に、地域の金融機関と連携した新保証つき融資制度についてお伺いをしてまいります。
平成二十一年度に創設された本制度は、地域の金融機関の目きき力と民間保証機関の審査ノウハウを活用した都独自のもので、制度融資だけでは十分に資金調達できない中小企業に対し、事業資金を速やかに融資することで、中小企業の資金繰りを支えてきたところであります。
本制度のさらなる利便性の向上を図るため、私は、昨年の第四回定例会において制度改善を強く求め、この要望に応える形で、今年度からこの融資限度額の拡充が図られたところであります。
そこで、具体的に本融資制度をどのように改正したのか、また、その効果についてお伺いをいたします。
○山巻金融部長 新保証つき融資制度の融資限度額につきましては、過去の利用実績を分析いたしましたところ、当時の上限額いっぱいの一千万円で融資を受けているケースが全体の約三分の二に上っていたことに加えまして、取扱金融機関に対する調査によれば、中小企業の資金需要がおおよそ二千五百万円から三千万円の範囲にも多くあることが明らかになりました。こうした状況を踏まえまして、今年度、融資限度額の引き上げを行ったものでございます。
具体的には、主に法人が利用しておりますオリックス株式会社の保証つき融資では、限度額を一千万円から二千五百万円に、個人の事業者の利用が多い全国しんくみ保証株式会社の保証つき融資では、五百万円から一千万円にそれぞれ引き上げました。
また、この限度額の引き上げ効果もございまして、今年度新たに七つの金融機関が取り扱いを開始いたしまして、合計で三十一行での取り扱いとなっております。
本年度の保証承諾実績は、九月までの速報値ではございますけれども、約二千百件、約三百億円となっておりまして、昨年度の一千二百三十四件、約百億円を既に大幅に上回っております。
○鈴木委員 今、答弁いただいたように、現在、新保証つき融資制度の取扱金融機関は、銀行四行、信用金庫十五行、信用組合十二行の全三十一行と、こういうことでございます。
制度改正の効果が出ているということですので、今後とも、制度融資を補完するセーフティーネットとして、取扱金融機関の拡大に向けたさらなる働きかけというのを、取り組みの強化、引き続きお願いしておきたいと思います。
次に、創業者への支援についてお伺いをさせていただきます。
東京の経済の発展のためには、創業を促進し、将来の産業の担い手を生み出すことが重要です。
都では、開業率一〇%を目指しているんですね、これは都の目標なんです。新たな創業の担い手として期待される女性、若者、シニア層を対象に、平成二十六年度から、金融機関による融資と、創業の専門家による経営サポートを組み合わせた女性・若者・シニア創業サポート事業を開始いたしました。
私の地元の大田区では、蒲田の西口の駅前で自転車の修理販売業を開業して、自転車のお医者さんとして大変質の高いサービスを提供して、地域の皆様からも喜ばれる例があります。後ほど触れさせていただきますが、創業サポート事業事例集二〇一五年版にも取り上げていただいて、ありがとうございました。
それで、この事業を通じて創業を促進していくためには、創業者にとって使い勝手のよい制度になるよう、随時見直しを図ることが必要だというふうに考えるんですけれども、これまでの拡充内容をお伺いさせてください。
○山巻金融部長 平成二十六年度に開始いたしました女性・若者・シニア創業サポート事業につきましては、平成二十七年度に、医療、福祉など、開業に比較的大きな費用がかかる分野での創業ニーズにお応えするため、融資限度額を一千万円から一千五百万円へと引き上げるとともに、個別相談や業種別セミナーを開始いたしました。
さらに、二十八年度からは、新たに生まれた事業者の持続的な成長に資するよう、支援対象を創業後一年未満から五年未満へと拡大するとともに、対象の拡大に合わせ、事業開始後に発生する販路開拓やネットワーク構築、宣伝、PR等の課題解決に向けた新規のセミナーを開始しております。
○鈴木委員 創業者のニーズを捉えながら事業の拡充を図っているということがよくわかりました。
この事業の実績と今後の取り組みについてもあわせてお伺いをさせてください。
○山巻金融部長 事業開始の平成二十六年度が五十件、約二億三千万円、平成二十七年度が二百九件、約十二億九千万円でございます。
平成二十八年度は、取扱金融機関でございます信用金庫、信用組合における積極的な取り組みや、今年度からの支援対象者の拡大によりまして、現時点で昨年度の年間融資実績を上回る状況となっております。
今後とも、広く都民への周知を行いまして、潜在的な創業希望者の掘り起こしと本事業の利用拡大を図ることで地域に根差した創業を促進してまいります。
○鈴木委員 この事例集なんですけれども、大変よくできているというふうに思います。この二〇一六年度版もつくるんですよね。
この中のそれぞれのサポート事業を使って創業された方の事例が載っているんですけれども、その中のコメントで、勇気を持って創業に挑戦しようと思ったとか、非常にこれは参考になると思うんですね、これから創業しようとする方に対して。ですから、これはぜひ毎年その年々の事業を活用された方の実例を満載していただいて、大いに活用していただきたい、そのようにお願いしておきたいというふうに思っております。
女性・若者・シニア創業サポート事業の利用が順調に推移しているということがわかりました。引き続き、着実な事業推進に取り組んでいただくよう要望をしておきたいと思います。
さて、次ですが、成長著しい医療機器産業への参入支援の取り組みについてお伺いをさせていただきます。
去る十五日に開催されました東京都の医工連携イノベーションセンターの開会式に私も出席をさせていただきました。医療者、ものづくり企業、医療機器メーカーが一堂に会して、力を合せて東京発、日本発のすばらしい医療機器を生み出していこうという来賓の先生方の挨拶もお伺いをして、熱い思いと機運の高まりというのを目の当たりにして、非常に心強く感じました。
私の地元の大田区にも、金属加工業など医療機器に応用可能な基盤技術を有する中小企業が数多くあるわけなんですが、すぐれた技術を有する企業であっても、異業種である医療機器産業についての知識やノウハウが十分ではなくて、参入に二の足を踏んでしまう企業も少なくないんだというふうに思っております。
医工連携の取り組みにより、ものづくり企業の参入を促し、医療機器開発のモデルケースをつくり出していくことは、東京の中小企業の成長にとっても非常に重要です。
そして、今後は、本事業をさらに発展させて、参入したものづくり中小企業が医療機器メーカーとしっかりタッグを組んで、共同開発のパートナーとしての実力を高めていくことが肝要であります。医療現場のニーズに合った医療機器の開発、事業化を中小企業みずからの力で持続的に推進できるよう、サポートの充実が必要ではないでしょうか。(「そうだ、そのとおり」と呼ぶ者あり)ありがとうございます。
そこで、新規参入したものづくり企業を支援するための取り組み内容と、参入した企業が自立的、持続的に医療機器開発に取り組んでいく上での課題についてお伺いをいたします。
○野間商工部長 都は、ものづくり中小企業の医療機器産業への新規参入を支援するため、医療機器開発に係る法規制や市場動向、共同開発のポイントなどを内容としたセミナーを実施しており、昨年度は計四回の開催を通じて、加工業や材料、メッキなど幅広い業種から百五十四名の参加がございました。
また、中小企業振興公社と医工連携HUB機構にそれぞれ配置いたしましたコーディネーターが互いに連携しながら、医療機器メーカーとのマッチングを支援し、共同開発につなげることで、ものづくり企業の円滑な参入を支援しております。
今後、医療機器産業に参入したものづくり中小企業が自立的に医療機器開発を進めていくためには、医療現場の実情を的確に把握する情報収集力や、臨床ニーズ、製品化のアイデアと自社の技術とを組み合わせ、開発に結びつける力をつけていくことが必要でございまして、そのための知識、ノウハウを持つ社内人材の確保、育成が課題となってくるものと認識してございます。
○鈴木委員 ものづくり中小企業が千載一遇のチャンスをつかんで、今後ますます拡大が見込まれるこの医療機器市場に参入して成長を遂げていくためには、開発を進めるリーダー人材が鍵ということになるわけです。
中小企業単独では、専門人材を確保して社内で育成をしていくということは非常に困難であり、かつ長い時間を要するわけであります。行政として息の長い支援をしっかりと行っていただきたいと思います。
医工連携を推進する動きは、区市町村レベルでも既に始まっており、高い技術力を有するものづくり中小企業が集積する我が大田区では、近隣自治体、文京区と連携をして医療機器メーカー等とのマッチングイベントなどを行っているところであります。
都がものづくり中小企業の医療機器産業への参入を後押ししていく上では、ものづくり中小企業がみずからの強みを理解して発揮できるように、企業をよく知る地域の取り組みと連携していただくよう、あわせて要望をしておきたいというふうに思います。
次に、ものづくり中小企業を支える人材の育成について、もう一点、お伺いをさせてください。
経済のグローバル化が進み、企業間の国際競争が一段と激しくなる中で、東京のものづくり企業においては、コストダウンや小ロット、短い納期の要請、あるいは技術や製品の陳腐化など、さまざまな環境の変化に対応を求められるようになっているんですね。
私の地元である大田区では、すぐれた技術を持つ中小製造業が数多くありますけれども、こうした企業が今後も取引先からの信頼を得て安定的な受注を確保し続けるためには、技術力に加えて高い生産性を実現していくことが不可欠であります。
そのために効果的な手法は、大企業などでも取り入れられている原価、納期、工程、在庫などの生産管理や品質管理の仕組みをものづくりの現場に導入することであります。しかしながら、経営資源に限りのある中小零細企業が、単独でこうした知識やノウハウを身につけた人材を育成するということは容易じゃないわけです。
こうしたことから、都は、今年度から、品質や生産効率の継続的な改善を中心となって推進していく人材を育成する事業を開始いたしました。
この事業は、座学にとどまらずに、現場での実習が組み合わされたカリキュラムが特徴であると伺っておりますが、東京都生産性革新スクールですが、その具体的な内容についてお伺いをいたします。
○野間商工部長 都は本年六月に、生産性の向上に取り組む社内中核人材等を育成する東京都生産性革新スクールを開講いたしました。
本講座は、メーカーで長年生産管理に携わったOB人材や現場改善指導の経験が豊富な指導者などを講師に登用し、中小企業経営者など十三名が第一期生として、この講師陣による全十八日間のカリキュラムを受講いたしました。
前半の九回は、納期、工程、在庫管理などの生産管理に関する基礎理論を初め、原価管理の考え方やQC、五Sなどの品質管理手法を学ぶことに加え、生産ラインや工場全体の効率を最適化する視点や手法、あるいは現場技能者等に対する指導やアプローチの方法など、現場責任者として必要なノウハウを幅広く修得いたしました。
また、後半は、現場改善の実践力を身につけるため、受講生の勤務先の生産現場において、講師陣の指導を受けながら、実際に現場改善に取り組む実習を行いました。
現場実習につきましては、受講生全員から、今後の業務に役立つ内容であったとの評価を受けました。一部の座学につきましては、受講生の理解度に差が見られたことから、次回以降は、より理解度を深められるよう講座内容を工夫してまいります。
○鈴木委員 この現場重視は大事だというふうに思いますね。ぜひ今後とも、この講座内容については工夫を重ねていって、生きたスクールにしていただきたいなと、このように要望をしておきたいと思います。
いうまでもなく、企業経営を支えているのは人であります。
引き続き、本スクールの運営を通じて、ものづくりのよい流れを創出する人材を育成するとあるように、東京のものづくりを担うすぐれた人材を一人でも多く輩出できるように、しっかりと取り組んでいただくよう要望をさせていただきたいと思います。
ここまで、経営支援や金融支援、さらには人材育成といった各種の施策について、さまざまな観点から質問させていただき、東京都が中小企業に役立つよう着実にその充実などに取り組んでいるという状況を確認してまいりました。
都内の中小零細企業は、国内市場の縮小やグローバル化の進展などに直面し、厳しい経営環境にいまださらされております。しかし、こうした中にあっても、多くの企業が本日取り上げたような、さまざまな支援メニューを活用しながら、日々懸命に頑張っているというか、戦っているわけであります。
この東京の経済を活性化して、景気回復を確かなものとするためには、こうした小さくとも意欲のある企業が将来への明るい展望を見出して、力強く事業を展開していけるよう、東京都がしっかりと支えていかなければならない、このように考えております。
そこで、中小企業対策に関する質問の締めくくりとして、東京都の中小零細企業支援の考え方について、このたび新たに就任された藤田産業労働局長に、ぜひとも所見を伺いたいと思います。
○藤田産業労働局長 都内中小企業の業況は、委員からご質問の冒頭にもご指摘をいただきましたとおり、一進一退の状況が続いておりまして、その多くは厳しい経営状況からいまだ抜け出せていないのが実情であるというふうに私どもも考えております。
こうした企業は、多岐にわたる課題を抱え、また、その内容も一社、一社ごとにさまざまでございます。そういったことから、企業のそれぞれの状況を踏まえましたきめ細かい支援が求められているというところでございます。
したがいまして、都といたしましては、経営課題の発見、事業計画の策定、実行、あるいは研究開発や販路開拓などのさまざまな支援ニーズに即しまして、専門家を派遣、助成、資金繰り支援といった多様な手法による施策を講じまして、経営基盤の強化を支援してまいります。
そして同時に、将来にわたる産業の成長をより一層促していくためには、新たなビジネスモデルを生み出す起業家や、成長産業分野などへの参入に挑戦する中小企業など、意欲的な事業者を後押ししていくことも必要でございます。
こうした事業者に対しましては、先端技術などに関する知識、ノウハウ等の提供や、企業、関係機関との交流の場づくりなどを進め、新しいビジネスやイノベーションがつくり出される環境を整備してまいります。
以上、申し述べましたように、中小企業の経営を下支えするための施策、それからその成長発展を促していくための施策、この二つを車の両輪として一層推し進めることによりまして、東京の産業の活性化につなげてまいります。
○鈴木委員 今、産業労働局長から答弁いただきました。
ぜひ現場を見てください。数多くの現場を見てください。私は、知事が現場を見ながらという、皆さんが一生懸命それを説明しているという姿も見てきましたけど、やっぱり現場を預かっている産業労働局長に中小零細企業の現場を数多く見ていただくというのは、本当にそれが大事なんだというふうに思っております。
ぜひとも都内中小企業の維持発展に向けて、産業労働局長が先頭に立って、万全を期して取り組んでいただきたい、このようにお願いしておきたいと思います。
次に、観光振興についてお伺いをしてまいります。
海外から都内を訪れる観光客が数多くの商品を買い入れて、消費の面から東京の経済を活性化する動きが続いています。一時期の爆買いというような、こういった表現が当てはまるような買い物は、最近ではやや勢いがなくなりつつあるとの報道もありますけれども、やはり地元の主要駅周辺のそれなりの規模の小売店などを見ますと、外国人による消費への期待の高さをかいま見ることができるんですね。
外国人旅行者が都心を初めとするさまざまな地域で買い物をして、そして宿泊をする、この動きが続いているわけですから、こうした消費の力をしっかりと捉えて、経営改善に結びつける事業者の努力を行政が後押しをする、こういったことも大切だと思うんですね。
特に、事業規模の小さいところでは、外国人旅行者への対応の基本部分を理解した上での自社の強みを生かす、きめ細かいサービスの提供や商品の販売を全て独力で手がけるというのは、大変負担になることだというふうに私は思うんです。
こうした状況は宿泊業でも同様で、海外からの観光客を数多く受け入れるため、サービスのレベルアップというものをきちんと行いたいものの、受付のカウンターでの外国語の対応とかを初めとして、さまざまな設備の改善など、こういった対応が十分に進まないという話もよく私も聞いているんです。
都として、こうしたことを踏まえて、観光に関する事業者への経営面からのサポートに、今年度からさまざまな事業を進めているというふうに思いますけれども、取り組みの状況についてお伺いをさせてください。
○坂本観光部長 都は今年度から、宿泊施設や飲食店、小売事業者向けにソフトとハードの両面から外国人旅行者対応の充実を後押ししております。
この十一月から、外国人旅行者の受け入れがもたらす経営面でのメリットや多言語対応などの先進事例を紹介するセミナーを新宿や立川のほか、大島など、都内延べ十五カ所で順次開催しているところでございます。開催に当たりましては、業界団体などを通じて、幅広く周知を行っております。
また、各事業者がセミナーで得た知識やノウハウを実際に活用する場合のサポートに向けまして、企業の現場に出向いて相談や助言を行うアドバイザーを延べ二百回規模で派遣いたします。
さらに、民間に委託しているコールセンターを活用いたしまして、接客時の通訳に加えて、問い合わせのメールなどの翻訳サービスを新たにこの四月から開始するとともに、昨年度から対象としてございますが、宿泊施設や飲食店などに加え、九月からは免税店に対して、免税手続や商品の配送について、旅行者に外国語で説明するサービスを開始いたしまして、これら全体で十月までに延べ一千九百七十九件の利用があったところでございます。
これらのほか、旅館などの宿泊施設に対しまして、館内の案内表示やホームページの多言語化、テレビで国際放送を見られる設備の導入などの経費の二分の一を、二百万円を限度に助成しており、現在までに三十件の交付決定を行っているところでございます。
これらによりまして、観光事業者の対応力を高め、観光消費の拡大に結びつけてまいります。
○鈴木委員 今、答弁をいただきましたように、中小事業者においては、新しい知識やノウハウを確保しても、それらを実現するための資金や人材、設備が不足しているといった課題があります。観光を東京の成長産業として発展させていくために、旅館等の宿泊業にとどまらず、こうした中小の観光事業者に対しても、さらなるサポートを検討していただくように、まさに観光インフラの総合的な支援を要望しておきたいと思っております。
最後に、MICEの誘致について、お伺いをさせていただきます。
国際会議などのMICEを都内で開催することは、短期間に多くの外国人旅行者を呼び込んで、観光地への訪問や買い物などを通じて高い経済効果を生み出し、都心としてのステータスの向上に結びつく重要な取り組みです。
こうしたMICEの誘致をめぐっては、世界の各都市も力を入れているため、競争が激しさを増していると聞いており、都としても、この効果の高い施策をきちんと打ち出し、対応の強化を図ることが重要な時期に来ていると思っております。
MICEについては、国際会議に加えて、海外の企業が会議を開いたり、社員の上げた高い業績を評価して、観光旅行の機会を提供することも広く含まれていると聞いています。
先日もテレビでそんな番組があったんですけれども、観光地のフランスのニースあたりでも、中国の企業を挙げて、業績を評価した観光旅行の誘致の場面がニュースになっていました。地元の飲み物を提供したり、そこの市当局がいろいろな何かゲームをやったりみたいなことをやっている、そんな場面を見ました。
こうした誘致の方策を幅広く展開して、東京に旅行者を数多く集客することに加えて、国際的に有名で来訪者の多いイベントや展示会の開催についても、しっかりと対応を進めるべきと考えています。
このように、MICE誘致について、働きかけの対象に応じてきめ細かく工夫を凝らして、取り組みを展開して成果を出すとともに、この東京のほかに、日本の各地の都市とも協力する仕組みなどもつくるべきではないかと思うんですが、都として現在の取り組みの状況についてお伺いいたします。
○坂本観光部長 都では、MICE誘致に向け、東京観光財団と連携を図りながら取り組みを進めており、国際会議については、今年度から誘致や開催時の支援を大規模な会議のほかに中小規模の会議にまで拡大いたしまして、具体的には第三十三回国際アクチュアリー会議や二〇二三年応用数理国際会議など、十五件の支援を決定いたしました。
また、海外企業が行う会議や報奨旅行についてでございますが、二十二の案件に関しまして、開催時に外国人参加者に対して和太鼓演奏のアトラクションなどを提供するとともに、東京の水辺や文化面の魅力などを体験してもらう新たなメニューの開発に取り組んでおります。
また、今年度より展示会やイベントに対する支援を開始しておりまして、都内で開催が予定されている六件の展示会を海外都市でPRするとともに、国際イベントの誘致に向けて、ブライド・オブ・ザ・ワールド二〇一七への支援を決定いたしました。
さらに、本年の四月には、札幌市、京都市、石川県、福岡市などという四つの県市とそれぞれ協定を締結いたしまして、国内をめぐる報奨旅行の誘致に向けて、協力して対応を図ることとしてございます。
今後とも、MICE施策を総合的に展開することで、さまざまな会議やイベントなどの都内での開催と旅行者誘致の実現に結びつけてまいります。
○鈴木委員 なかなか手間のかかる仕事だなというふうに思っていまして、しっかりと成果を積み重ねているなと評価をさせていただきたいと思っております。
観光部から第三十三回国際アクチュアリー会議、ICAの東京開催が決定という、こういう書類をいただきましたけれども、これはもう十年後ですよね、この会議を新高輪の国際館パミールでやるのは。なかなか十年後の会議を誘致していくということは大変なことだと思います。でも、大事なことなんですよね。
この東京でMICEを開催することは、多くの外国人参加者に対して東京の魅力を集中的にPRする絶好の機会となり、東京の観光振興に大きく寄与するものと考えております。
さまざまな案件を丁寧にサポートすることで、東京へのMICE誘致を着実に進めるよう、ぜひ成果を出していただきたい。そのようにもう一度お願いして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○上野委員 私からは初めに、商店街の若手人材の育成について質問してまいりたいと思います。
いうまでもなく、商店街は地域コミュニティの中心的な役割を担う場でもありますし、また、魅力ある地域づくりに欠かせない、そういった存在であります。商店街を元気にさせる、活性化させる、そのために東京都の皆様もさまざまな事業を展開されているところでございまして、そうした努力に対しまして、私は評価しているところでございます。
しかしながら、商店街の中には、今の集客力や経営力が課題となっている店舗も少なくないわけであります。
こうした中で、都内の商店街も、今後も引き続きその活力を維持していくためには、個々の店舗の集客力や経営力の向上、魅力ある店舗の創出などの視点を持った新たな担い手が求められているところでございます。
この若い人材、若手の人が立ち上がれば、商店街は見事に活性化できると、このことを実は一つの事例から実感したわけでございます。私の地元の小岩の方に昭和通り片山商店会というところがあるわけですけれども、二〇〇八年のリーマンショック以降、この商店街が寂れてきて、シャッターがおりるとか、閉じる方がふえてきたということで、これはいかんということで、そこの商店街のやきとり一番の若手店主が、まず一人立ち上がったんです。
何とかして、ここを盛り上げていこうじゃないかということで、その商店街の若手メンバーに声をかけながら、ひとつ祭りでもやろうじゃないかと、こういうことで二〇〇九年の六月に昭和通り勝手祭というのを開催し出した。年に三回、今もう八年間続けて、先日、十一月二十七日に私も行きました。第二十四回と書いてございまして、最初は地域で寂しかったけれども、今では地域だけではなくて区外からもいろんな方がやってこられていると。
最初は車が通るような通りだったんですけれども、人が多いということで、警視庁の方からも車は通させないということで、祭りの間は、もうそこを進入禁止にしてくれたわけです。さらにそれで盛り上がっていったということで、そういった若手の人材、本当に力ある若手の人材がいれば、商店街というのもまたよみがえってくるんだということをその事例で私も感じたわけでございまして、そうした力ある若手の人材を育成していくということは極めて大事であると思います。
都は、このような商店街の将来を担うべき若手やリーダーとなる人材の育成のために、進め若手商人育成事業というのを実施されておりますけれども、研修などの受講者からは、経営力向上のためのより高度な知識、ノウハウの習得や商店街の活性化に向けた実践的なスキルを身につけたいとの声も多いと聞いております。
こうした声を踏まえ、都は本年度より事業内容を見直し、より実践的なメニューを取り入れたとのことでございますが、まず、この具体的な見直しの内容についてお尋ねします。
○野間商工部長 都では、進め若手商人育成事業におきまして、商店主の特定の経営課題等の解決を支援するため、商店街パワーアップ作戦を実施しております。今年度からは、具体的な課題を見つけられない商店主に対して、各商店の潜在的な課題の発見から解決までを支援できるよう、新たに商店主スキルアップ事業を開始いたしました。
また、商店の後継者等の経営力向上に向けた講座を開催する商人大学校では、より高度な店舗運営スキルや販促手法を習得するためのカリキュラムを盛り込んだ上級者向けのコースを新たに設定いたしました。
さらに、商店街活動の中心となるリーダーを育成するため、受講生がモデルとなる商店街の活性化計画策定過程を実例として学ぶことにより、みずからの商店街の計画策定につなげていく商店街リーダー実践力向上塾を新たに開始いたしました。
○上野委員 店舗経営についての知識やノウハウを習得することで、より魅力的なお店づくりをしたいという意欲あふれる商店主を支援することは、個々の商店の魅力向上だけではなくて、商店街自体の活性化にもつながるものと思います。
今回、商人大学校において、より高度な内容を学べる上級編を設けるなど、受講者等の声を聞きながら事業の充実を図ったとのことでございますが、ぜひ、都内にお店を構える商店主の皆さんの経営力底上げにつなげてもらいたいと思います。
そこで、今回見直しを行った事業について、これまでの実績とその効果をお伺いします。
○野間商工部長 商店主スキルアップ事業では、これまで約五十近くの商店主に対して経営内容をヒアリングし、経営改善の方向性を提示いたしました。現在まで、このうち六件が商店街パワーアップ作戦に移行し、販路拡大などの具体的な課題解決に取り組んでおります。
商人大学校では、新たに開設した上級講座において、ITを活用した顧客獲得方法や繁盛店の強みを分析する事例研究、データを活用した目標管理といった専門的なカリキュラムを盛り込んで募集したところ、定員数六十名を大幅に上回る応募がございまして、現在、百名近くの商店主等が受講してございます。
商店街リーダー実践力向上塾では、活性化計画策定の希望がある区部と市部の商店街一カ所ずつをモデルに選定し、それぞれの計画策定に向けて、モデル商店街での現地視察を実施いたしました。今後、専門家のアドバイスを受けながら、計画を取りまとめていくこととしてございます。
○上野委員 次に、東京オリンピック・パラリンピックにおきまして、非常に光が当たっている観光振興、このことについて質問してまいりたいと思います。
海外から東京を訪れる旅行者の数がふえるにつれまして、外国人への対応のレベルを引き上げたいとする事業者の声をよく耳にするようになっています。
東京の宿泊場所でありますホテルでは、規模の大きなところでは従業員が流暢に外国語を話し、レストランでは英語のメニューなどもあり、快適な観光サービスを提供するスタイルができているわけでございますが、数多くの中小規模のお店では、外国人の話の内容を理解すること自体が大変であると、こういうふうにいわれています。また、商品や食事の内容を正確に伝えることには無理が伴うんだと、こういったことは大変だという声が聞こえてきます。
東京の多くの店舗にとって、外国人対応の必要性が高まる中で、観光の中の楽しみとして大きなウエートを占める食事について、まち中の飲食店でメニューを外国語で表記できるよう都としてサポートを続けており、その内容の充実については、本委員会でも取り上げられてきたということは承知しております。
こうしたメニューの多言語化に力を入れるとともに、外国人の利用する宿泊場所や小売店でも、接客時に円滑に進むようなサポートもますます重要になると考えます。
そこで、民間の事業者が外国人への対応を進める場合、言葉の面から、都としてどのような支援を行っているのか伺います。
○坂本観光部長 都は、飲食店が多言語でメニューを作成でき、外国人がそれを作成した店舗を検索することのできるウエブサイト、EAT東京を運営してございます。
このシステムを利用する店舗をふやすため、今年度は研修会を八月から九月まで四回開催するとともに、来年二月にも四回の開催を予定しているところでございます。
また、外国語対応のニーズのある宿泊施設や飲食店のほか、タクシーや免税店を対象として、通訳サービスを二十四時間体制で提供するコールセンターによるサポートも行っております。このサービスにつきましては、今年度から店内の掲示物などの表記に関する翻訳の依頼をメールで受けて対応する仕組みを導入し、十月までに延べ三百四十三件の利用実績が出ているところでございます。
こうした取り組みによりまして、民間事業者が多言語対応を円滑に行うことのできる環境を整え、外国人観光客への良質なサービス提供に結びつけてまいります。
○上野委員 外国人旅行者への対応について、都内のさまざまなお店で、きめ細かく、しっかりと進めることのできるよう、都としても着実なサポートをお願いしておきます。
次に、二年前から私も取り組んでいます、ムスリム旅行者への対応について質問します。
海外から東京を訪れる旅行者がふえる中、都内のまちの中でイスラムの文化圏からの観光客の姿を目にする機会がふえてまいりました。
イスラム教徒であるムスリムの旅行者は、東南アジア地域から来訪することが多いとも聞きますが、宗教上のさまざまなルールを観光の途中も含めてしっかりと守って行動するだけに、そうした方を受け入れる東京のホテルや小売店は、十分な配慮のある対応が大切になってくるわけであります。
イスラム教の戒律では、食事の内容や礼拝の方法などが厳格に定められているため、そうした部分を都内の事業者がきちんと理解できるよう、行政としてサポートを確実に進めるべきと考えております。
都では、ムスリム対応のあり方を紹介する冊子を二年ぐらい前ですか、作成しましたが、そうしたパンフレットの一層の普及を進めるとともに、セミナーや相談対応もきめ細かく行うことが重要であると、このように考えております。
そうした面からの今年度の取り組みについてお尋ねします。
○坂本観光部長 都は、飲食店や宿泊施設、商業施設などを対象に、ムスリム旅行者の受け入れに向けた事業者の取り組みを支援しております。
このため、ムスリム旅行者への対応について取りまとめた事業者向けのパンフレットを平成二十六年度に六千部作成いたしましたが、その内容の普及に向け、昨年度と今年度、それぞれ二千部の追加作成を行ったところでございます。
また、ムスリムの受け入れに当たって必要なノウハウを事業者に提供するため、この十一月にムスリム旅行者受け入れの基礎知識など三つのテーマでセミナーを開催いたしまして、さまざまな取り組み事例の紹介などを行っております。
また、セミナー参加者のうち、より詳しい内容への理解を希望する事業者には、専門家が相談対応を行うこととしております。
これらによりまして、ムスリムに対する事業者の理解を深め、受け入れ環境の整備に向けた取り組みを促進してまいります。
○上野委員 ムスリム旅行者の対応について、多くの事業者がきちんとできることは、東京の都市のステータス、これを高めることにもつながります。しっかりとサポートの取り組みを進めてほしいと思います。
都内を訪れるムスリム旅行者にとって、東京の観光に関する情報を確実に入手できるようにサポートすることも大切になると思います。都内観光では、食事は大きな楽しみの一つになると思いますが、ハラールと呼ばれるルールがあるために、メニューの内容にはかなり気を使うことになるものと考えます。
具体的には、料理に豚肉が含まれていないか、飲んではいけないアルコールが出てくるのではないか、こういったことなどがきちんとわかることなどがポイントになるようでございます。これ以外にも、宿泊場所や小売店舗で礼拝ができる環境や道具などが整っているのかも重要なテーマとなると聞いております。
こうした情報はアラビア文字で表現するのは大変で、英語ではわかりにくい場合も多いと思うだけに、記号のようなもので表示したさまざまな店舗を紹介するパンフレットを数多くつくり、その内容の普及を図るべきだと思っております。そうしたパンフレットであれば、お店の情報以外に、緊急時などにどこに連絡をしたらいいかについても一緒に掲載しておくと、冊子の価値も高まるのではないかと思います。
そこで、今年度の都としてのそうした取り組みの状況について伺います。
○坂本観光部長 日本とは異なる文化や習慣を持つムスリム旅行者が安心して快適に滞在できるよう、都は、ムスリムの受け入れに取り組んでいる飲食店や宿泊施設などを紹介するガイドブックを作成いたしまして、都の観光情報センターや都内の宿泊施設などで配布してございます。
例えば、飲食店では、豚肉を使わない料理を提供していることや使用食材を表示していること、宿泊施設では、礼拝用具の貸し出しを行っていることなど、各施設が提供できるサービスを、絵文字を使ってわかりやすく掲載してございます。
今年度は、ムスリムにも人気のある和食の店を中心に掲載店舗数をふやすとともに、ムスリム女性が病気やけがをしたときに応対できる女性医師のいる病院のリストを掲載するなど、より利便性を高めた内容としているところでございます。
今後もムスリム旅行者のニーズを踏まえて、よりきめ細かな対応ができるよう、内容の充実を図ってまいります。
○上野委員 今、ご答弁ありましたように、遠いところから日本に来て、ここでぐあいが悪くなったり、けがしたりした場合には、本当に不安だと思うわけです。そうしたときに、応対できる女性医師のいる病院のリストがあるということは、本当に心強いことだと思います。私は大変に評価したいと思います。
ムスリム旅行者は、今後ますます増加することが予想されます。ムスリムの方々に東京での滞在を満喫していただき、何度も東京を訪れていただけるように、今後もおもてなしの心を持って、受け入れ環境の整備を進めていただきたいと思います。
それでは次に、富裕層の誘致について伺います。
海外から東京を訪れる旅行者の数はふえ続けていますが、最近のテレビ報道などによりますと、旺盛な買い物需要は、一時期の勢いはやや弱まったとの話もあります。都も外国人旅行者の誘致には力を入れており、これからは成長の大きな伸びの見込めるアジアの国や地域への働きかけを強めるのも大切であると思いますが、やはりこれまで長年にわたり働きかけてきた欧米豪エリアからの観光客の確保にも引き続き力を入れてほしいと思います。
もっとも、欧米豪からの旅行者誘致といっても、さまざまな方法があると思いますが、今後は、都内での多くの消費の見込める富裕層への働きかけは重要になると思っております。
そうした中、先日、アメリカの富裕層向けの旅行雑誌で、東京が訪問したい都市としてトップにランキングされたとの話を新聞で目にする機会がありました。世界一というのは、何かにつけうれしい話題でもあるわけですが、その具体的な内容について伺います。
○浦崎観光振興担当部長 ただいまお話にありましたように、アメリカの富裕層向け大手旅行雑誌が本年十月十九日に発表いたしましたランキング、世界で最も魅力的な都市におきまして、東京が初めて第一位に選ばれました。これは、アメリカを除く世界の各都市を対象とした同雑誌の読者投票でございまして、東京の順位は、昨年の第十五位から大きく上がっております。
同雑誌はウエブサイト上でも、東京には近代的な建築物が林立する一方で、その下には伝統的なまち並みが広がり、歴史のある寺や神社があり、緑の森が広がっている。このように、さまざまな魅力が混在するまちとして東京を発信しております。
また、世界の中でも最上の食を味わうことができる旅行地として、東京の魅力を紹介しております。
今回のランキング結果は、こうした東京の多様な魅力に加えまして、観光PRや外国人旅行者の受け入れ環境整備など、都が民間とも力を合わせて推進をしてきたさまざまな取り組みの成果が反映されたものと考えているところでございます。
○上野委員 欧米豪の富裕層を東京に誘致するため、さまざまな対応が必要と考えています。欧米豪のエリアには、これまでは現地に出張して、さまざまな誘致活動を展開してきたわけでございます。そうした働きかけやプロモーションの活動の成果が継続して残るように、きちんとしたフォローをすることが富裕層を誘致する取り組みにも結びついていくものと思います。
また、海外でも、旅行や観光をテーマにしたイベントや博覧会なども数多くあると聞いていますから、そのような機会もうまく活用して、欧米豪からの観光客の取り込みに力を入れていくべきであると考えます。
そこで、欧米豪エリアからの旅行者について、その誘致に向けた働きかけの状況について伺います。
○坂本観光部長 欧米豪エリアにおきましては、観光プロモーションを行った後、東京のPRを行う観光レップを配置いたしまして、現地の旅行会社やメディアに働きかけを行って、取り組みの効果を継続させる工夫を行ってまいりました。
また、欧米豪エリアで行われる旅行博に数多く出展するとの考え方に立ちまして、二十八年度は七カ国の旅行博に出展して、各国ごとの旅行事業者や市民を対象といたしまして、最新の情報を提供しているところでございます。
こうした中、今年度は東京の魅力を伝えるPR映像を欧米豪のエリアで放映するとともに、観光レップが雑誌や屋外広告など効果的な広報媒体を選択し、その国の市民の関心に合わせ、東京の観光の魅力を伝えるなど、PR体制の取り組みの強化を図ったところでございます。
○上野委員 欧米豪の旅行者向けの対応を、プロモーション活動のフォローをしっかりと行いつつ、これからの富裕層の誘致に向けまして、具体的な方法を検討していくことがますます重要になると思います。
観光客をこの東京に海外から来ていただくための方法を考えるに当たっては、やはりマーケティングはまずは重要になると思います。富裕層を含めた欧米豪のエリアからの旅行者が東京に何を目的として観光に訪れるのかを正確に把握することが、最初の第一歩になると思います。アジア地域の観光客には、旺盛な買い物需要がありますが、恐らく欧米豪からの旅行者は、それとは異なる目的で都内を訪れているものと感じています。
都では、外国人の旅行者の東京での行動を調査し、分析の上で、毎年秋口に発表しています。そうした発表内容の中で、欧米豪エリアの旅行者は、どのような目的で観光をしている傾向があるのかお伺いします。
○坂本観光部長 東京を訪れる外国人旅行者の関心や滞在中の行動については、都は、年一回、国別に旅行者の実態を調べ、そのニーズの把握に努めているところでございます。
その調査によれば、アメリカなど欧米豪地域から訪れる旅行者は、日本食のほか、都市の景観や伝統的なまち並みに関心が強いとの結果が出ているところでございます。実際に、その訪問先としては、渋谷や浅草を訪れる場合が多いとの結果も出ているところでございます。
特に、アメリカやイギリス、フランス、ドイツなどの国からの旅行者は、九割以上が日本食を楽しんでおり、その次に景観やまち並みを探索して、都内を回遊している状況が明らかとなっているところでございます。
○上野委員 欧米豪からの旅行者は、東京の食につきまして、極めて高い関心と興味があることは明らかであると思います。和食がユネスコ無形文化遺産に登録されて、国際的にも高く評価されているわけですから、富裕層などはそれなりにお金を使って、東京の食事を文化的な面や高級な雰囲気を含めて味わいたいと考えていると思います。
都内には、ミシュランの三ツ星に匹敵するすぐれたレストランは数多くある。また、富裕層にとっては、東京に来たからには、そうした場所で一度は食事をしたいと考えるのも自然なことだと思います。
こうした東京の食の魅力について、欧米豪のエリアにしっかりとPRして理解を強めていく取り組みは不可欠であると思います。そうした施策について、都としての現状の取り組みを伺います。
○坂本観光部長 都は、東京の食の魅力を伝えるため、都内に数多くある飲食店や高級な和食の店舗のほか、若者に人気のあるカフェなど、多様な東京の食の魅力を伝えるPR映像を制作いたしまして、海外のテレビコマーシャルで放映する取り組みを進めているところでございます。
また、パリの観光レップが富裕層へのPRの一環として、著名なジャーナリストなどを都内に招待し、高級な和食の店の食事内容について雑誌やSNSなどを通じて発信して、東京の食の魅力を紹介する取り組みを行っているところでございます。
○上野委員 欧米豪からの旅行者に東京の食の魅力をしっかりとPRするとともに、その興味や関心の高い文化、歴史に関しても正確に紹介することが大切であります。
特に、富裕な外国人旅行者であれば、書籍などを通じて、東京の持つ文化や歴史のほか、まち並みに関しても相応の知識があり、都内に出向いた場合には、それらを実際に体感できる散策などをしてみたいと、こう感じるようになるんじゃないかと思います。
このため、東京の文化や歴史を感じさせるまち並みやスポットについて、観光資源として新たにつくり出したり、既存のものを整備していくことも重要になると思います。富裕な外国人旅行者などの集まる拠点として、文化や歴史的な面を体感できるまち並みなどを観光面からつくり上げていくべきと考えますが、その取り組みの状況について伺います。
○坂本観光部長 都は、伝統文化や歴史など、地元の多様な魅力を生かした観光まちづくりを行う区市の取り組みに対し、助成を行っているところでございます。
今年度は、都内の公園で、幕末から明治にかけて活躍した人物の解説板や石碑の整備を行って、それらを観光スポットとして周辺の地域を回遊する取り組みを支援しているところでございます。
また、都は、地域のアイデアを民間のノウハウを用いて実現する事業により、江戸川の川辺に開けた柴又の古いまち並みなどの散策や自転車により、周遊する取り組みを支援してございます。
こうした取り組みによりまして、東京の観光振興を進めてまいります。
○上野委員 欧米豪からの観光客の誘致に関し、質疑してまいりましたけれども、そうしたお客様のうちで富裕層を対象とした施策の展開は、まさしくこれからの重要なテーマになると、このように考えております。
富裕層の観光面での誘致は、その実情がよくわからないため、しっかりと欧米豪での状況やニーズを把握した上で、東京が旅行地と選ばれるような対応が必要となるかと思います。
富裕層の来訪を着実に進めるために、まずは調査して、プロモーションの方法を考えるという手がたい方法をしっかりと検討してほしいと思います。
今後に向けまして、海外からの富裕な旅行者の誘致に向けた取り組みの方向性についてお尋ねいたします。
○坂本観光部長 富裕な旅行者層が東京を訪れることは、消費活動を通じ、都内の経済を活性化するとともに、東京のイメージの向上にもつながり、より多くの旅行者の誘致にも結びつくものと考えております。
このため、外国の富裕な旅行層の誘致に向け、今後、欧米を中心に各国の富裕層の観光のニーズを調べ、現地の旅行会社への働きかけを検討いたします。
また、富裕層向けの観光を専門とする事業者の集まる旅行博、こちらへの出展などによりまして、富裕層に東京の魅力のPRを行うことも検討いたします。
これらによりまして、海外からの富裕層の増加を図り、都内への観光客の誘致を効果的に進めてまいります。
○上野委員 海外から富裕層を東京に誘致するに当たりまして、別のポイントとなるのは、都内への交通手段であると思います。
富裕層の交通手段として、空港や港湾の運用や整備などハード面からの対応が必要であるために、産業労働行政のみでは行うことは難しいとも感じています。それぞれの交通分野を所管する関係部署と産業労働局とがしっかりと連携して、富裕層の誘致に向けまして着実に歩んでいかれるよう、進めていかれますよう要望いたしまして、私の質問を終わります。
○柴崎委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
午後五時二十二分休憩
午後五時四十分開議
○柴崎委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○かち委員 私からは、島しょ地域の振興について伺います。
東京には、豊かな自然に恵まれた多摩・島しょ地域があります。同時に、大島の土石流災害や三宅島雄山の噴火など、自然災害というリスクもあわせ持っています。
三宅島では、十六年前の噴火により全島民避難という大変大きな負担を強いられ、五年もの間、ふるさとを離れなければならない状況となりましたが、それも乗り越えて、その後の十一年でようやく復旧、復興しつつあるというのが現状です。島民の生計の糧となっている農林水産業の復興、振興が大きな課題です。
そこで、きょうは水産業について何点かお聞きします。
三宅島の近海は、黒潮の影響を受け、魚類や藻類、貝類などの優良な漁場となっています。特にカツオ、マグロ等を対象とした引き網漁業、キンメダイを対象とした一本釣り漁業、タカベの刺し網漁、テングサ、トコブシなどの貝類、藻類漁、特にテングサについては品質、量ともに全国有数の産地として知られています。
三宅島の噴火災害により、全島民避難で、火山灰や泥流によって磯根漁場の荒廃や農業生産基盤施設の被災、さらに漁業者の減少などで漁業生産は大幅な縮小を余儀なくされましたが、二〇〇五年の帰島後、水産物の水揚げ量の復旧状況はどのようになっていますか、また、漁業就業者数の推移はどのようになっているかお聞きします。
○藤田農林水産部長 農林水産省の調査、漁業センサスによりますと、三宅島の漁業就業者数は、全島避難する前の平成十年は百十一名、帰島後の平成二十年は五十名、平成二十五年は五十八名となっております。
また、都の漁獲量調査では、平成十年は五百七十一トン、平成二十年は二百十トン、平成二十五年は百八十三トンとなっております。
○かち委員 近年、漁業就業者数はどこでも減少傾向にある中で、三宅島では、災害前には百十一名いた就業者が、五年間の空白を経て徐々に回復しつつあり、五十八名まで伸びてきたことは将来への希望につながります。
私は、昨年も当委員会で取り上げましたが、こうした三宅島の漁業に魅力を感じて、大学を卒業した若者が島外から漁業に従事したいと移住しています。昨年の一人は、研修を修了し、ことしは独立して操業しています。ことしも一人、同じような若者が研修中だとのことです。このように、三宅島での漁業に魅力を感じて内地から島に移住し、新たに漁業につく人もふえつつあります。
こうした若者への自立、定着支援の拡充が必要であると思いますが、都としての取り組みを伺います。
○藤田農林水産部長 都では、若者の漁業への定着に向けて、就業者が船舶操縦免許などの資格を取得する際の費用に加え、今年度から、就業者が漁船や漁具などを借り受ける場合のリース料を補助しております。
○かち委員 さきの青年は、この制度を利用した第一号として、四百万円の漁船をリースして、意欲的に自立し頑張っているとのことです。ことしもそれに続く青年漁師が生まれています。
山口県では、漁業経営した者に対して、自立するための支援金として、一年目は百五十万円、二年目は百二十万円、三年目は九十万円支給しています。都としても人材育成を抜本的に拡充することが重要だと思いますが、いかがですか。
○藤田農林水産部長 都では、新たな人材に対し、漁業団体が実施する、漁業者として必要とされる操業や水揚げなど一連の技術を習得するための研修を支援しております。
○かち委員 島の漁業を継続発展させるためにも、こうした新たな漁業就業者が自立できるよう、自立した後も定着できるような支援の拡充を求めておきます。
自然相手の漁業は、豊漁のときもあれば不漁のときもあります。漁業の生産性向上や経営改善、漁業の生産流通基盤の改善の必要性などをどのように指導強化しようとしているのか、お聞きします。
○藤田農林水産部長 都では、漁業者が共同で利用する生けすや冷蔵施設、展示販売施設など、漁業の生産性向上、合理化などに必要な施設の整備を行っております。
○かち委員 生産性向上や経営改善、流通基盤の改善などは、ハード面とともにソフト面での意識の革新が求められます。都の役割は、こうしたことへの支援も求められていると思います。
離島における漁業者の経営改善には、内地との距離があり、水産加工、流通上の課題があります。
都として、この点で水産物の加工、流通改善、魚価の向上に向けて、今後どのように取り組もうとしているのかお聞きします。
○藤田農林水産部長 都では、漁業者の収益性を高めるため、ゴマサバやムロアジなどの低未利用魚の付加価値を向上させる水産加工団体に対する支援を行っており、引き続きこうした取り組みを行ってまいります。
○かち委員 離島における品質管理の向上や付加価値を高めたりする上で、CAS、磁気による冷凍で細胞を壊さずに長期保存ができる冷凍技術の導入などによって生産性を向上させている例もあります。
CASの導入などで生産性の向上や品質管理ができます。年間通して、三宅島の特産、キンメダイや加工品などを提供することができますが、導入にはどのような課題があるでしょうか。
○藤田農林水産部長 新たな設備の導入に関しましては、費用対効果を十分に検証することが必要であり、CASにつきましては、現状ではコスト面に課題があると考えております。
○かち委員 鳥取県の隠岐島諸島にある海士町では、このCASの導入で売上高を伸ばしています。ここでの漁獲量は四百トン弱であり、被災前の三宅島に匹敵します。特に養殖岩ガキが有名です。
役所の担当者の方から聞きましたが、当初から十年間かかわってきたとのことです。二〇一五年から、細胞を壊さない冷凍装置、CASを導入した水産加工会社を創業、その後、干しナマコの加工、販売に取り組み、海藻の研究や商品開発にも取り組んで、漁業者の所得向上を目指してきたとのことです。実際、漁業者の所得は二百万円から六百万円と三倍にふえたとのことです。
この鳥取県でのカキは、三、四、五月の三カ月間しか収穫できませんが、それをCASによって鮮度を保ち、年間通して供給できるなど付加価値をつける。これまでは漁業者は受け身で、低い魚価の低迷に甘んじていたけれども、漁業者自身がみずから販路を広げることができるようになったことが大きいと語ってくれました。
もちろん従来の漁協や漁連などとの協議と理解を得る努力も必要です。初期投資や運転資金のやりくりなど課題はありますが、複数の営業と組み合わせて運用することで軌道に乗せることができたとのことです。
漁業においても経営的視点や革新、改革が求められているのではないでしょうか。従来の組織との調整、指導の立場にある東京都がそのイニシアチブをとり、三宅島でのCAS導入の可能性について、今後、検討されることを求めておきます。
次に、大島町の観光振興についてお聞きします。
三年前の土石流災害から復興中の大島では、観光客の回復が鍵です。宿泊助成やパッケージツアーの提供による来島者数回復支援を図ってきましたが、その実績の推移はどのようになっているでしょうか。
○坂本観光部長 大島町の来島者数は、被災する直前の水準にまで回復しているところでございます。
○かち委員 かつては二十二万人ほどあった来島者数が、被災後十八万人まで落ち込みましたが、昨年は十九万人まで回復しつつあるとのことです。ここに大きな支援策となっているのが、都の一泊三千円の宿泊支援などであるということは、島の皆さんの共通した認識です。
昨今、経済環境も厳しい中、気軽に来島して宿泊してもらうためには、この支援が重要だと民宿経営者の方からお聞きしました。今後も継続すべきと思いますが、いかがですか。
○坂本観光部長 都では、大島町の復興計画に基づく支援を検討しているところでございます。
○かち委員 島の復興計画への支援に切りかえるとのことですが、復興計画という枠組みの中で直接的な宿泊支援枠が縮小されないよう、強く求めておきます。
今年度の新規事業で、多摩・島しょ魅力発信事業や旅行商品造成事業、また販売支援事業などへの支援が掲げられていますが、具体的にはどのように行うのですか。
○坂本観光部長 都は、多摩・島しょのさまざまな観光スポットの魅力を紹介するとともに、そうした場所を訪問するツアーを旅行事業者がつくり、販売する取り組みを支援することとしております。
○かち委員 旅行事業者などがつくるものに支援するということですが、そういうことによって間接的に観光客の増につながるということになるんでしょうけれども、地域の魅力をみずから発信しようということで、NPO法人でICTを使って地域の我がまち魅力づくりに主体的に参加している活動もあります。
ホームページやブログ、SNS、地域メディアなどを活用して、グリーンツーリズムや地域情報創生プロジェクトなどを発信しています。こうした活動への支援も視野に入れることを検討されることを求めておきます。
みずからの地域の魅力をどう引き出したらいいのか、商品化するには何が必要なのかなどを一緒になって考えてくれるその道の専門家によるアドバイザー派遣なども大変重要です。
都の取り組みとして、アドバイザー派遣制度がありますが、昨年の実績はどうでしょうか。
○坂本観光部長 昨年度は、都内の各地域に八名の専門家を派遣いたしました。そのうち、島しょ地域には四名を派遣しております。
○かち委員 今後は、グローバル化の中で海外からも観光客がふえてくることが予想されます。国際的な受け入れ体制の整備や、東京の離島の魅力を発揮できる支援を強化していかなければなりません。なかなか地域の中にいては、そこの魅力を実感できたり発見したりすることができない、そういうときにアドバイザーを使って魅力を引き出し、そしてどう表現していくか、そういうことに力をつけていく、そういうことの支援をぜひ引き続き強化していただきたいと思います。
島しょ地域の中でも、大島、神津島ではジェットフォイルが運航しており、比較的安価な運賃で往来できているのですが、川崎重工などでは過去二十年間、この造船は行っておらず、新しく更新はできないとの報道もありました。
今後、こうしたことが来島者増にまた影響を及ぼすことが危惧されます。都としても、今後の状況を想定しながら、島しょ地域の産業、観光の振興に一層の支援を強化されることを求めて、質問を終わります。
○島田委員 私からは、まず初めに、農作物の獣害と被害対策についてお伺いいたします。
私の選挙区である西多摩地域は、広さでいうと東京の四分の一の面積を占めまして、その多くが山林でありまして、大変自然が豊かなところであります。
先日は、青梅市の市街地に熊が出没しまして、大きく報道されましたが、西多摩地域の日の出町だとかあきる野市でもことしは熊が出没しまして、天候不順だとか、あるいは餌の不足、そのようなことがいわれているところでございます。
こうした中、私が住む西多摩地域の農業者からは、特にイノシシや鹿などの野生獣による農業被害もふえていると聞いております。農作物の野生獣による被害は、生産者の農業所得の減収はもとより、精神的な痛手もはかり知れないものがあります。
まず、近年の都内における野生獣による被害状況についてお伺いいたします。
○武田安全安心・地産地消推進担当部長 都の野生獣による農業被害金額は、年度により増減はあるものの、平成十九年度から二十四年度までは三千万円前後でしたが、平成二十五年度以降、四千万円以上に増加しております。
野生獣の種類といたしましては、従来からのイノシシや猿、鹿に加えまして、近年ではハクビシンやアライグマが増加しております。
○島田委員 三千万から、ことしは四千万円以上ということで増加しているということと、種類としてはイノシシ、猿、鹿に加えまして、近年ではハクビシンだとかアライグマが増加しているというご答弁でございました。
ハクビシンだとかアライグマは都市部でも何かいるようで、特に空き家などにすんで問題になっているというようなことも聞いておりまして、こうした野生獣による対策というものは大変必要なことかなというふうに思っております。
農作物の被害状況はわかりましたが、こうした農作物の被害対策として、都の取り組み状況についてお伺いいたします。
○武田安全安心・地産地消推進担当部長 都の獣害対策といたしまして、多摩地域では市町村に対して、イノシシ、猿、鹿などの侵入防止柵などの設置や、捕獲に係る人件費などの経費を補助しております。
島しょ地域では、町村に対して、外来種を排除するため、タイワンザル、クリハラリス、鹿の捕獲経費を補助しております。
また、近年ふえ始めた農作物被害に対応するため、今年度より、地域の実情に応じた効果的な捕獲技術の導入等に取り組む区市町村を支援しております。
○島田委員 今、侵入防止柵等の設置だとか、あるいは捕獲に係る人件費の経費の補助だとかありましたけれども、最近よくいわれることが、猟師の高年齢化ですか、それで後継者も不足しているというようなことで、そうしたことも熊なんかが出ている原因となっているというようなことも聞いております。そうしたことを補うために、今、今年度よりですか、この効果的な捕獲技術の導入に対して補助を行っているということで、これについては、また詳しく今度聞きたいというふうに思います。ぜひ東京都としてしっかり支援しまして、特にこの精神的な痛手というものが農業者の皆さんあると思いますし、そしてまた農業者の方も後継者が不足しているというような状況でございますから、ぜひこの支援の方、よろしくお願いを申し上げたいと思っております。
次に、漁業の振興について、特に内水面漁業の振興についてお伺いをいたします。
多摩川流域では、昔はアユが多く遡上しまして、江戸時代にはアユ漁が盛んでありまして、江戸城の方にアユを献上していたというようなことも聞いております。
近年、アユの遡上がふえているというふうに聞いておりますが、アユの遡上について、現状をお伺いいたします。
○藤田農林水産部長 都では、昭和五十八年から、大田区の調布取水堰下流で、多摩川に遡上するアユの数を調査しております。
調査開始以降、平成十七年までの推定遡上数はおおむね百万尾未満で推移してまいりましたが、平成十八年に百万尾を上回り、その後、平成二十三年から大幅に増加し、ことしの推計遡上数は四百六十三万尾でございました。
○島田委員 着実にこの遡上数がふえているということで、すばらしいことだなというふうに思っているわけでございますが、私の選挙区であります西多摩地域では、そのアユ漁が盛んだったわけでありましたけれども、今はそうしたアユ漁もほとんど行われていないのが現状であります。その中でも伝統漁法を今に伝えて、昔の人々が多摩川とどう接してきたかを知ることは大変重要なことと考えております。
近年、その伝統的なアユ漁を継承しようという取り組みも行われておりますが、こうした伝統的なアユ漁を伝承しようとする取り組みに対して、東京都はどのような支援を行っているのかお伺いいたします。
○藤田農林水産部長 伝統漁法などの体験イベントは、流域住民の多摩川への関心を高めるとともに、釣り人の増加など内水面漁業の活性化に資することから、都では内水面漁業振興対策事業により支援を行っております。
○島田委員 ぜひ伝統的なこの漁法の支援の方をよろしくお願い申し上げます。
近年の多摩川下流域のアユの遡上数は非常に多くなっているとのことですけれども、上流までアユが遡上することは、数多くの堰などがあることなどが理由で、なかなか難しいのが現状であります。
多摩川の漁業を活性化させるためには、多量に遡上したアユを活用する取り組みも重要だと考えます。
東京都は、多摩川上流域の漁業を促進させるためにどのような取り組みを行っているのか、お伺いいたします。
○藤田農林水産部長 都は、多摩川の漁業活性化を図るため、下流域に滞留しているアユを上流域で活用できるよう、アユを傷つけず効率的に捕獲し、運搬する技術を、平成二十六年度から三年かけて開発いたしました。
この技術の実用化に向け、今年度、上流域の漁業協同組合に対して九万尾のアユを提供いたしました。
○島田委員 数多くの堰などがありまして、これは限界があるというようなことで、この下流のアユを上流に持っていくというような取り組みで、九万尾も多く提供したということでございまして、このことについてはすばらしいことだなというふうに思っております。
都の方では、天然のアユが釣れる多摩川ということをPRされているようでございまして、西多摩地域には多くのアユ釣り、友釣りなどが非常に人気でありまして、多くの方々が毎年、西多摩地域を訪れております。
私も先月、西多摩地域でいろんな産業祭、お祭りがありましたけれども、漁協を中心にアユの塩焼きなどを振る舞っておられまして、そうした漁業の活性化というものが地域の活性化につながるというふうに思っておりますので、ぜひこうした取り組みの充実をお願いしたいというふうに思っております。
続きまして、多摩産材の利用促進についてお伺いします。
私の地元西多摩には、かつて地域の人が守り育てた森林が広がっておりまして、災害の防止や水源の涵養などの多面的機能によりまして、都民生活に大きく貢献しています。この森林を、より豊かで健全な姿で次世代に引き継いでいくためには、森林の循環を促進していくことが必要でございます。そのためには、多摩産材の利用をもっと拡大することが重要です。
しかし、私の周りでも、多摩産材の話をすると、初めて聞くという人が結構多いのが現状でありまして、もっと多摩産材を知ってもらうことが必要ではないでしょうか。
東京都は、公共施設での多摩産材利用を進めてきましたが、今年度から商業施設等での多摩産材利用への支援を開始しました。
そこでまず、この事業の目的についてお伺いいたします。
○藤田農林水産部長 多くの都民が訪れ、PR効果が高い民間商業施設などにおいて、多摩産材を目立つように案内カウンターや通路の内装、什器などに使うことで、より多くの都民に知っていただくとともに、多摩産材の魅力やよさを感じていただくことを目的としております。
○島田委員 事業の目的はわかりました。多摩産材を知ってもらうために期待のできる取り組みだというふうに思います。
次に、具体的な支援の内容についてお伺いいたします。
○藤田農林水産部長 具体的な支援の内容としましては、年間十万人以上の利用者が見込まれる民間商業施設などにおいて、多摩産材を目立つ形で使用した内装や什器などの整備に要する経費の二分の一を、五千万円を上限として補助するものでございます。
○島田委員 まだ始まったばかりの事業ではありますけれども、この取り組みによりまして、多くの商業施設で多摩産材が使われることを期待しております。
さて、多摩産材の利用促進には、こうした取り組みに加えまして、子供のころから日常生活の中で木に親しみ、木のよさをもっと理解してもらう木育が重要であるというふうに思います。
都では、保育園などによる木育活動への支援を行っていますが、事業の内容についてお伺いいたします。
○藤田農林水産部長 子供たちが直接木に触れ、森に親しみ、そのすばらしさを五感で感じてもらえるよう、都では、保育園などにおける多摩産材を使った内装の木質化や木製遊具の導入など、ハード面の取り組みに対する支援を実施していまいりましたが、今年度からは、園児の木工工作や木育を進める保育士の育成など、ソフト面の取り組みに対する支援も開始いたしました。
○島田委員 保育園などにおいて、昨年度まではハード面を支援し、今年度から新たに木育のソフト面をプラスして事業を行っているとのことですけれども、それはどのような意図で始めたのかお伺いいたします。
○藤田農林水産部長 これまでハード面の支援を実施した保育園などに対し、アンケートを行ったところ、子供たちが木に触れたり木を使った工作をすることへの評価が高く、また、保育士などからは、木育についてもっと学びたいという回答が多くございました。
そこで、子供たちの木工工作などの木育活動や、木育に関する人材育成などのソフト面の取り組みを支援していくことといたしました。
○島田委員 最初はハードの整備だということで、そのうち、やっていくうちに子供たちが木に触れたり、あるいは森林を訪れたり、それから木工工作ですか、木に触れたり体験を通して、木の大切さを学ぶというような取り組みにかなり事業がグレードアップしているというようなことでございまして、そうした木の大切さを知るということは大変重要なことであるというふうに思います。ぜひそのハード面の取り組みとあわせて、ソフト面の取り組みも充実させていただきまして、さらにその多摩産材の利用について促進していただければなというふうに思っております。
次に、観光振興についてお伺いをいたします。
まず最初に、多摩地域のインバウンド対策についてお伺いいたします。
二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック大会に向けて、多くの外国人旅行者を多摩地域に誘客する上で、観光を快適に楽しめるさまざまな環境を整備することが重要であります。
例えば、現地での観光スポットの情報がすぐにわかる案内板や無料の無線LANをふやすことで、外国人観光客の利便性は高まるものというふうに思います。
そのため、地域の実情をよく知っている市町村の対応を後押しすることが重要になると思いますが、現在はそうした面で、都としてどのような取り組みを実施しているのかお伺いいたします。
○坂本観光部長 都では、区市町村による多言語対応を初めとした外国人旅行者の受け入れ環境の計画的な整備を支援しております。
具体的には、観光スポットでの案内標識の設置などの事業に対して、経費の二分の一を助成しているところでございます。
○島田委員 私も駅に行くと、外国のサイネージですか、そういう表示が結構あって、見ておりますけれども、まだまだ少ないというふうに感じますので、二〇二〇年に向けて、さらなる充実を期待したいというふうに思っております。
次に、公共インフラの活用についてお伺いいたします。
多摩地域には、観光資源として、伝統のある文化や建築物だけではなく、一見に値する大きな公共インフラがあります。特に、多摩ならではの巨大なダムなどは、観光客を呼び集める力のある有力な観光スポットになると考えております。
先日も小池知事が小河内ダムの方を訪れましたけれども、奥多摩湖、小河内ダム等もすばらしい、これは観光インフラになるというふうに思っております。
こうした公共インフラを活用した観光客誘致に、都としてどのように取り組んでいるのかお伺いいたします。
○浦崎観光振興担当部長 都は今年度より、地域の公共インフラを観光面で生かすアイデアを民間のノウハウで実現する取り組みを行っております。
具体的には、多摩川の上流のダムなどをめぐるルートづくりなどを実施しているところでございます。
○島田委員 そういったインフラを観光に使うのはすばらしいことだと思うんですが、観光客の誘致に結びつく公共インフラの管理は各局ごとに行っているというふうに思います。公共インフラを活用した観光振興を進めるためには、こうした各局との連携が大切だと考えますが、都としてはどのように各局と連携して、この公共インフラの活用に取り組んでいるのかお伺いいたします。
○浦崎観光振興担当部長 公共インフラを活用したツアーを実施するためには、施設の管理運営を行う庁内各局との連携が必要でございます。
このため、具体的なルートづくりに当たりましては、関係する各局からさまざまな協力を得て、取り組みを進めているところでございます。
○島田委員 まだまだそうした公共のインフラはいろいろ眠っているというふうに思いますので、各局と連携を進めていただいて、そして情報等をいただきながら、そうした公共インフラを活用して、さらなる観光に結びつけていただきたいと、充実をよろしくお願い申し上げます。
特産品を生かした観光振興についてお伺いします。
多摩地域には、豊かな自然に恵まれて、農業や林業による生産活動も日常的に行われています。こうした農林業を通じて生み出される農作物や木材などに工夫を凝らして加工して、地域の特産品として売り出して、観光客の誘致に結びつけることも必要であります。
都として、特産品を生かした観光振興にどのように取り組んでいるのかお伺いいたします。
○坂本観光部長 都は、観光振興に役立つ特産品を生み出す地域のアイデアを、民間のノウハウによって実現する取り組みを実施しております。
今年度は、あきる野市でつくられる炭を活用した商品の企画開発などにより、観光客の誘致に結びつける取り組みなどを支援しているところです。
○島田委員 特に西多摩地域は結構近いので、なかなかお金を落としてくれないというようなこともあろうかというふうに思いますので、そこへ行ったら、そうした特産品を買って、そして地域にお金を落とすというような仕組みづくりも大変重要だと思います。そうしたものによって、いい特産品があれば観光客の誘致に結びつくというふうに思いますので、そうした特産品を生かした観光振興についてご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。
最後に、森林資源を生かした観光振興についてお伺いいたします。
多摩地域には、豊かな森林エリアが大きく広がっておりまして、こうした部分を観光客の誘致に生かすことも大切になるというふうに思います。
森林を訪れる観光客が歩きやすい道で快適な気持ちで山を登り、ある高さのところまで来れば、山からの眺望を休憩がてらに楽しむことができる仕掛けづくりや、それらのPRなどが観光振興につながるものというふうに思います。
こうした取り組みについて、都としてどのように進めているのかお伺いいたします。
○坂本観光部長 都は、多摩地域の森林を生かした観光振興に取り組む自治体を支援しております。
具体的には、林道における散策ルートの整備や眺望を確保するための樹木の伐採などの取り組みに対し、助成を行うこととしております。
また、森林を生かした観光スポットなどを掲載したパンフレットを作成し、都内の全区市町村などを通じて配布する予定でございます。
○島田委員 特に今、山ガールなどが流行といいますか、アウトドアのグッズなんかも、最近お店もはやっておりまして、西多摩地域もこの山歩きを目当てに、特に週末にはホリデー快速おくたまとか、あきがわはいっぱいでありまして、多くのお客さんが来ているというふうに思います。
そうしたときに、このパンフレット等、情報を提供することは非常に重要な取り組みだというふうに思いますので、ぜひともそうした取り組みを進めまして、多くの方々がこの西多摩地域、特にこの森林、山歩き等に来るように、ハード、そしてソフトの取り組みのさらに充実をお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
以上です。
○島崎委員 初めに、中小企業のイノベーション、新機軸、新しい活用法の創出について質問したいと思います。
近年、我が国の社会経済情勢は、市場の成熟化、グローバル化など大きく変化をしつつあります。こうした中、中小企業が将来にわたって収益を確保していくためには、新たなイノベーションにより市場ニーズを呼び起こすような画期的な製品、技術、サービスをつくり出し、新たなビジネスチャンスをつかむことが成長の鍵となってまいります。
イノベーションは、技術の進化によるものだけではありません。例えばセンサーとインターネットを組み合わせたIoTが示すとおり、既存技術をこれまで考えてこなかったやり方で組み合わせることで、世の中に快適さや便利さをもたらし、新しい価値を提供することが可能となります。
中小企業の持つすぐれた技術も、他の企業や研究機関が持つ情報、インフラ、アイデア等、さまざまなものと組み合わせることでイノベーションを創出する可能性が大きく広がるものと考えております。
都は、今年度から、このような技術等の組み合わせにより、従来とは異なるビジネスモデルを創出し、中小企業の活躍の場を広げていくため、こうしたプロジェクトの企画から開発、事業化までの一体的な支援を行っていますが、その取り組み状況について伺います。
○野間商工部長 都は今年度、掛け算から生まれる新分野をコンセプトに、既存分野と新技術を掛け合わせることなどにより、さらなる成長が見込める新たな事業分野の創出を図る新事業分野創出プロジェクトを開始いたしました。
これまでに、IoTを活用し、屋上やバルコニーなど都市のさまざまなスペースで農作物を効率的に育て消費する地産地消モデルを構築するプロジェクト及び個々の建物の耐震性に関するデータを蓄積し、これをまちの防災力向上に役立てていくプロジェクトを採択いたしました。現在、プロジェクトごとに技術開発を行う中小企業、シーズ元となる研究機関、金融機関等から成る連携体づくりを進めているところでございます。
さらに、連携体による技術開発を加速させるため、経費の一部を助成し、新事業分野におけます中小企業の製品化、事業化を進めてまいります。
今後は、大企業等で進むオープンイノベーションなども活用しながら、中小企業への波及効果の高い先進的なプロジェクトを進めてまいります。
○島崎委員 東京の産業を支える中小企業が、さまざまなリソース、資源を活用し、将来に向けて成長していけるよう、しっかりと支援を行っていただきたいというふうに思います。
次に、中小企業の海外展開支援について伺います。
人口減少時代の中、成長を模索する企業にとって、海外市場の取り込みは避けて通れない命題であります。中でも、アジア各国の二〇一五年の実質GDP成長率は、中国が六・九%、ベトナムが六・七%、インドネシアが四・八%、タイが二・八%となっておりまして、安定的な成長が見込まれる有望な市場であります。
こうした状況の中、企業の海外展開に向けた意欲も旺盛であります。
日本貿易振興機構、ジェトロの調査では、日本の中小企業のうち、今後、輸出を拡大したいと考えている企業は七二・五%に上り、海外進出を拡大したい企業も五〇・五%、その大半が販売の拡大ということでありました。アジア地域では、特にタイやインドネシアなどで自動車産業等を中心に、日本企業の取引も活発に行われております。
都内中小企業も、こうした地域を初めとする海外市場の需要を獲得するため、積極的に取引を進めていくことが重要であります。
都では、海外展開に関する相談や海外展示会への出展をサポートする事業を行っており、昨年十二月には、タイに中小企業振興公社の現地事務所を開設するなど、支援の充実が図られております。この事務所は、海外での取引を行っている中小企業や、これから進出を考えている中小企業にとっては重要な拠点になると考えております。
そこで、タイの事務所の主な実績と課題について伺います。
○野間商工部長 中小企業振興公社のタイ事務所では、主に海外展開を目指す企業などに向けまして、幅広く現地の情報提供を行うほか、現地に進出しております企業のビジネス上の課題解決のため、経営相談のほか商談会、企業紹介などのマッチング支援や、セミナー、交流会などを行っております。
これまでに経営相談は百件、マッチング支援は二十二件を実施してきておりまして、具体的には、現地従業員の労働組合との交渉に臨んでいる企業からの相談の事例や、製品のパッケージング作業の自動化を計画する企業に対しまして、委託先候補となる現地企業とのマッチングを支援した事例などがございます。
ASEAN地域におけます商習慣や法律などの規制、産業の動向などに関しますこのような相談や情報提供は、タイ事務所を核に行っておりますが、インドネシア等、タイ周辺の各国での取引を進めたい企業に、よりきめ細かな支援を行っていく必要があると考えてございます。
○島崎委員 実際に現地で活動する企業は、それぞれの国や地域ごとに異なるビジネス環境の中で思わぬトラブルに直面することも多いかと思います。そのようなときにこそ役立つ支援があれば、現地での活動幅が広がると思います。中小企業の活動がスムーズにいくよう、しっかり支援を行っていただきたいと思います。
次に、金融機関と連携した支援について伺います。
海外展開を進めるに当たって、販路拡大に伴う運転資金や現地販売拠点の設立に要する資金など、さまざまな資金需要が発生しますので、円滑な資金調達は海外展開の成否を左右する重要な課題になると考えられます。
こうした中、都では中小企業の海外展開を後押しするため、平成二十八年度から金融機関とジェトロなどが連携した海外展開支援を実施しておりますが、これまでの取り組み状況について伺います。
○山巻金融部長 今年度から開始いたしました事業は、ジェトロなど海外ビジネスの実務ノウハウを有する支援機関と金融機関とを結びつけ、海外展開の検討から資金調達、実行までを一貫して支援いたしまして、中小企業の海外展開を強力に推進していくものでございます。
ジェトロでは、専門相談員でございます支援ナビゲーターによる相談対応や計画策定支援を初めといたしまして、海外展示会への出展支援事業や貿易実務の知識が学べる講座、そして海外取引のための情報収集サービスなどを提供しておりまして、九月末の時点で六十社の支援の申し込みを受け付けております。
また、具体的な支援内容等をレポートにして金融機関と共有しておりまして、このことが海外展開資金のスムーズな融資の実行に結びついた例も出ているところでございます。
今後とも、都内中小企業の海外展開を強力に推し進めていくために、金融機関や支援機関と連携した取り組みを推進してまいります。
○島崎委員 国内の経済は、全体として緩やかな回復基調が続いておりますが、いまだ厳しい経営環境にある中小企業も多い状況であります。そのためにも、積極的に海外展開を図り、成長する海外市場とつながりを持つことが中小企業の経営力向上の観点からも重要であります。
しかしながら、中小企業が海外展開を行うに当たっては、資金調達、情報収集、販路開拓など多様な課題に直面しております。今後とも、ジェトロ等と連携し、海外市場へ活躍の場を広げようとする中小企業の新たな事業展開を強力に後押ししていただくよう要望いたします。
次に、多摩・島しょ地域の魅力発信について伺います。
東京を訪れる旅行者数は、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、確実に伸びを見せていくものと見込まれております。
こうした観光客が、都心の有名な観光スポットだけではなく、多摩や島しょのエリアにも足を運んで、東京全体として観光が活性化する流れをつくり出すことが大切になると考えております。
これまでの議会の質疑の中で我が党からも提案してきましたが、国内外で旅行したいと考えている方々に、まずは多摩・島しょそのものを知ってもらい、次には旅行先として選んで、最終的には現地を訪問するというそれぞれの段階に応じたきめ細かいPRを確実に進めるべきであるというふうに思っております。
そこで、多摩・島しょ地域の、観光地としての理解の程度に応じたきめ細かいPRの取り組みの状況について伺います。
○坂本観光部長 都は、多摩・島しょに関心を持つ機会が十分でない旅行者を想定いたしまして、観光PRの映像を自然や食文化などのテーマ別に、来年の一月からデジタルサイネージやユーチューブなどを活用し、放映して、認知度の向上を図ってまいります。
また、テーマ別、エリア別に観光情報を掲載した多言語のパンフレットを新たに作成し、十二月から観光案内所等を通じて、海外からの旅行者などに二万部の配布を行うこととしております。
多摩・島しょのエリアに既に興味を持っている旅行者に対しては、国内の旅行関連雑誌や航空会社の機内誌のほか、訪日外国人向けフリーペーパーに広告記事などを掲載し、具体的な情報提供を行ってまいります。
さらに、多摩・島しょ地域を旅行先として考えている観光客が実際に現地を訪れるよう、国内の旅行雑誌とタイアップをした写真コンテストを十月から実施するとともに、スマートフォンを利用したフォトスタンプラリーを九月から行っているところでございます。
○島崎委員 多摩・島しょの観光PRに向けたきめ細かい取り組みを着実に進めていくことを改めてお願いしておきたいというふうに思います。
多摩や島しょの観光面での特性として、観光スポットが離れていることなどから、それらを手際よく限られた時間で見て回るためには、交通機関のネットワークなどのあり方に工夫を行うことも大切であります。そうした観光における交通面での利便性の向上に関しても、我が党の本会議の提案に沿って着実に対応を進めてほしいと思っております。
特に、観光面での交通機関のあり方については、西多摩が対象として注目されることも多いのですが、私の地元のような武蔵野の平野部でも、南北交通の交通ネットワークの問題から、適切な対応も必要になってまいります。
そこで、都として、多摩・島しょの観光振興に当たり、交通機関の問題についてどう対処しているのか伺います。
○坂本観光部長 都は、多摩・島しょエリアの観光スポットをめぐる仕組みをつくり上げるため、地元の自治体や観光協会などと協力し、定期路線バスやタクシー等を活用したモニターツアーを七月と九月に五回行ってまいりました。その結果を踏まえながら、今月十二日から二十七日まで、実際の旅行者にアンケートをとり、利便性を調べる実証実験を行っております。
また、観光地を電動アシスト自転車でめぐる取り組みにつきまして、西多摩や島しょ地域の十二台の自転車の購入費用にも助成を行っておりまして、その成果を検証しながら、多摩の東部エリアでの支援についても研究を行ってまいります。
○島崎委員 多摩・島しょエリアの観光振興の重要性は、これからますます高まるものと感じております。観光PRや交通ネットワークの充実を通じて、都内への観光客が多摩と島しょの魅力に触れて、リピーターとして繰り返し足を運んでもらえるような流れを確実に生み出していくようお願いしておきたいと思います。
東京を訪れる旅行者がふえる中で、既に観光名所として有名になっているスポットだけではなく、都内の各地域でも、新しい訪問地や観光にふさわしい資源をつくり上げていくことが重要になっていると感じております。
こうした地域ごとの旅行者の誘致に向けた努力はこれまでも行われてきましたが、資金や人材面での制約から、すぐれた着想もなかなか実現しない場合が多いのが実態であったかというふうに思っております。
このため、我が党も議会での質疑を通じて、地域としての意欲を引き出す仕組みを充実するほか、自治体ごとの観光協会が区域を超えて幅広く協力する仕組みづくりを後押しするよう、提案も行ってきたところであります。
また、地域で新しく立ち上げた観光スポットも、旅行者の間で話題となって一年を通じて集客の力を持つようになるには一定の期間が必要であるため、第三回定例会で我が党から、地域の取り組みへの継続的なサポートも提案したところであります。こうした課題への対応も着実に進めていくことも大切であります。
地域の観光振興に向けた企画等を、都が民間の力などを活用して後押しする取り組みを今年度はどのように進めているのか、また、今後の継続的な支援の展開に向けた考え方はどのようなものになっているのか伺います。
○坂本観光部長 都は、平成二十五年度から地域資源発掘型実証プログラム事業によりまして、地域のすぐれたアイデアを民間のノウハウを用いて実現する取り組みを行っております。
今年度は、観光協会や商工会議所、NPO法人など各地域から応募のあった企画提案について、外国人旅行者が武蔵野市内の商店街の飲食店を利用しやすくする取り組みや、日本の祭りの夜店を体験できるイベントの開催のほか、ダムや発電所などの公共インフラをめぐる、いわゆるインフラツーリズムなど二十三件を選定し、具体的な事業化を進めております。
今後は、こうした観光ルートが着実に地域に定着するよう、複数年にわたる継続的なサポートの手法について検討を進めてまいります。
○島崎委員 地域資源発掘型実証プログラムについては、武蔵野市でも三年連続で行わせていただきまして、大変好評を博しております。観光振興が都内の各地で自主的に展開される動きを都としても確実に支援して、東京全体の集客の力を地域から高めることができるよう、お願いしておきます。
次に、都市農地の保全について伺います。
去る十一月二日、明治神宮で開催された東京都農業祭に参加してまいりました。そこでは、これまで見たことのないようなすばらしい農産物が多数展示されており、都市農業の力強さを改めて実感いたしました。
また、その際、都とJA東京中央会との間で、災害時における帰宅困難者支援に関する協定が締結され、都内JAの五十の店舗や直売所などが新たに災害時帰宅支援ステーションとして、帰宅困難者に食料やトイレなどを提供することになったとお聞きいたしました。
このように農業団体が熱心に防災に取り組んでいる中、延焼の防止や井戸水の提供、炊き出しの場の提供など、災害時に都民の生活を守る機能を有する都市農地を保全することも大切な取り組みであります。
私の地元、武蔵野市では、農家の約九割が販売農家であり、企業的農業経営を目指し頑張っておりますが、農業経営の基盤となる農地の減少に歯どめがかからない状況にあります。
そこで市は、ことし三月に策定した武蔵野市農業振興基本計画において、施策の具体的方向として農地の保全と都市農地の多様な機能の発揮を真っ先に位置づけ、施策の展開を予定しております。
都では、都市農地を保全していくため、平成二十六年度から都市農地保全支援プロジェクトを実施しておりますが、地元の農業者もこの事業をぜひ活用したいとの意向を持っております。
そこで、まず、都市農地保全支援プロジェクトのこれまでの取り組み状況について伺います。
○藤田農林水産部長 都市農地保全支援プロジェクトは、都市農地が持つ防災や環境保全などの多様な機能を一層発揮させるとともに、地域住民に配慮した基盤整備を行うことにより、貴重な都市農地の保全を図るものでございまして、この二年間で、二区六市において取り組んでおることでございます。
具体的には、ふだんは農業用水として使用し、災害時には生活用水を供給する防災兼用農業用井戸を二十三基整備いたしました。
また、周辺地域への農薬飛散を防止する施設を四十四カ所整備するとともに、豪雨の際の土砂流出や、強風時の土ぼこりの発生が懸念される十三カ所の畑に、土どめやフェンスなどを整備いたしました。
今年度は、一区八市において防災兼用農業用井戸三十六基、農薬飛散防止施設三十六カ所、土どめ七カ所などの整備支援に取り組んでおります。
○島崎委員 ただいまの答弁にもあったように、農地が持つさまざまな機能を一層発揮させる取り組みを通じ、都市農地の保全に尽力していることがよくわかりました。
しかし、現実的には都市農地の減少を抑えるまでには至っておらず、さらなる事業内容の充実を図っていくことが必要であります。
そこで、この事業の今後の進め方について伺います。
○藤田農林水産部長 農地の減少傾向が続く中、年々高まる都市農業に対する都民の期待に応えるためには、農地の利活用を一層促進し、都民が農業に親しめる環境を確保することが必要であると考えてございます。
そのため、従来の取り組みに加えまして、都民が身近に農作業に親しめる場としての市民農園、障害者の就労の場や高齢者の生きがいづくり、健康づくりの場としての福祉農園、土に触れ合う機会の少ない子供たちに農作業体験の場を提供する学童農園など、多様な農地の活用を検討しております。
今後とも、区市町との連携のもと、都民ニーズを十分に踏まえまして、農地の持つ多様な機能を発揮させることにより、都市農地を保全してまいります。
○島崎委員 これまでの答弁から、農地の持つ多様な機能が都民生活に貢献していることを再認識いたしました。いまだ減少を続ける農地を確実に保全していくためにも、本プロジェクトの規模や内容の充実を図っていただくことが必要であります。
加えて、都市計画制度等と積極的に連携した新たな農地保全のあり方についても検討を進めるなど、さまざまな観点から農地保全に全力で取り組んでいただきたいと思っております。
東京農業を振興する上では、こうした都市農地保全はもとより、担い手の確保、育成や、農業者の経営力の強化などさまざまな課題があります。
都では、これらの課題に対応するため、都民生活に貢献する力強い農業を実現する新たな東京農業振興プランを現在策定中と聞いております。ぜひともそのプランにおいて、実効性のある農業振興施策をしっかり盛り込んでいただくことを要望しておきたいと思います。
ここまで産業労働局の事務事業について、平成二十八年度の取り組み状況を中心に伺ってまいりました。幅広い政策分野を担う産業労働局には、刻々と変化する経済情勢を的確に捉えながら、また、新たな社会ニーズにも柔軟に対応しながら施策を推進していくことが求められております。
懸命に頑張る中小企業や都民の方々が明るい希望を見出せるよう、さまざまな観点から産業振興に取り組んでいただき、東京の産業を元気にしていただくようお願いをいたしまして、私からの質問を終わります。
○伊藤委員 私からまず初めに、水辺を活用した観光振興について伺いたいと思います。
東京を訪れる観光客が増加する中、さまざまな来訪者のニーズに対応できる新しいタイプの観光スポットをふやしていくことが必要であります。
都内には、いまだに活用されていないポテンシャルの高い観光資源が数多くありますけれども、都としても、そうした観点からの観光資源の発掘、整備、こうしたことにしっかりと力を入れていくことが重要であると考えます。
私の地元でも水辺空間を利用した観光について関心が高まっており、沿岸沿いに縦横に通る運河や埋立地などをうまく組み合わせて、観光客の誘致に結びつけるための動きも活発になってきております。
特に我が党では、これまで本委員会で何回か取り上げてまいりましたけれども、天王洲エリアは水辺を生かした集客には高い意欲を持って取り組んでおり、実際ににぎわいを生み出すイベントを開催しております。
水辺を生かした観光振興では、まずは湾岸や河川沿いに人が集まることが重要となるため、そうした取り組みに対して、都はしっかりと力を入れてサポートしていただきたいと思います。
そこで都は、水辺のにぎわい創出に、今年度はどのような取り組みを進めているのか伺いたいと思います。
○坂本観光部長 都は、水辺空間を生かした旅行者誘致について、品川の天王洲での地域としての取り組みに対して、平成二十六年度にアドバイザーを派遣してサポートいたしました。
そうした地域の動きが高まりを見せ、本年十月に天王洲エリアでは都の助成を受け、水辺でのフードコートや小型のクルーズ船での周遊などを楽しむイベントが開催されたところでございます。
また、八月には京浜運河の周辺地域で新たな協議会をつくり、都のサポートを受けて電飾を施したクルーザーによるパレードを行うとともに、音楽を演奏するイベントも開催いたしました。
こうした支援の実績をふやしながら、今後とも水辺空間を活用した観光振興を進めてまいります。
○伊藤委員 ただいま答弁いただいたとおり、水辺空間のにぎわいを生み出すために、天王洲ではさまざまな主体が協力して、プロジェクトを幅広く展開しております。
先ほどのイベントのほかにも、地域に拠点を持つ大手の企業が協力して、都が行っている社会実験とタイアップして天王洲周辺の水辺エリアを紹介する、舟から見た東京という冊子もつくり、来訪者から好評を博しております。
この冊子でありますけれども、港湾局の事務事業でも引用させていただきました。この冊子にも紹介をされておりますけれども、十一月の七日から十七日にかけて、周辺のビルの一階のロビーにアール・ブリュット作品を展示するなど、地域の協力によって、まちじゅうを歩きながらこうした作品を楽しめるイベントが行われました。
私もこのイベントを見に参りましたけれども、水辺のエリアで気軽に芸術鑑賞のできるすばらしい取り組みであるというふうに感じたのとともに、多くの方から高い評価を受けておりました。
このようなイベントなどにより、水辺を訪れる旅行者は天王洲にもふえてまいりましたけれども、その一方で、観光スポット同士を結ぶ舟運について、船着き場の場所がよくわからないとの声が、利用者や事業者からも届いております。
先日の本委員会の質疑の中で、私は港湾局に対して船着き場の案内サインを充実すべきという質問をしましたところ、港湾局の方からは、利用者の視点に立ったサイン計画を検討する、このような答弁がありました。こうしたサインのほかに、舟運や水辺エリアの観光案内ができる場所も絶対に必要であると考えます。
そこで、地域の観光情報を提供する案内所をしっかりとふやすことが重要になると思いますが、都の所見を伺いたいと思います。
○坂本観光部長 都では、地域の観光情報をきめ細かく提供する案内窓口を整備する場合の内装工事などに必要となる経費につきまして、民間の事業者の場合には、その三分の二に対し上限三百万円で、区市町村の場合には二分の一を上限二百二十五万円で助成いたします。
このほか、観光案内用のハンディーガイドマップの提供や、外国人対応に向けた研修を行います。
こうした取り組みによりまして、地域における観光振興を着実に後押ししてまいります。
○伊藤委員 今の答弁にあった観光案内所等を設置していくのに、非常に都の方も積極的にやっていただいているということでありますので、引き続きしっかりと頑張っていただきたいというふうに思います。
次に、観光ボランティアについて伺いたいと思います。
東京を訪れる外国人旅行者にとって、まちの中でなるべくその方の母国語で観光の情報を入手できることは大切なことだと思います。
最近では無料のWi-Fiの導入が少しずつ広がり、スマートフォンで都内のさまざまな状況を調べる外国人旅行者の姿を見かける機会もふえております。そうした情報の集め方に加えて、英語などを話せるガイドから、知りたい内容を伝えてもらえるきめ細かな対応の仕組みをしっかりとつくり上げることも重要だと思います。
ボランティアのような形で、外国語で旅行者へのガイドをやってみたいという方は私の地元の品川にも数多く、いろんな年齢層の方に、ボランティアをやりたい、こういう声がよく聞かれます。そうした意向に応え、その活躍の機会と場をふやすことによって個々人のやりがいを引き出すとともに、外国人へのおもてなしのレベルを高めるという点でも重要になると思います。
都は昨年、おもてなし東京というボランティアの仕組みをつくり、外国人対応の充実を進めております。
先日も、都庁見学にこられた方を都庁展望台にお連れしたときに、その方々ではない海外の方から私が声をかけられまして、ばばばばっと英語で聞かれて、わからない、どうしようと思ったら、目の前におもてなし東京のボランティアの方が着ていたジャンパーが見えて、そこにおつなぎをして助かりました。
最近では、こうしたボランティアが着ているユニフォームのデザインなどをめぐって、さまざまな報道や議論が行われておりますけれども、ボランティアの取り組みそのものはしっかりと進めていかなければならないというふうに思います。
都として、観光面でのボランティアの活用について、どのように取り組んでいるのか伺いたいと思います。
○坂本観光部長 都は、外国人旅行者にまち中で観光案内を行う取り組みとして、ボランティアの活用を進めているところでございます。
具体的には、新宿西口と上野のエリアで、平成二十七年六月より毎週三日間で九十六名のボランティアが観光案内を行ってまいりました。
ことしの七月からは新宿南口や新宿東口も対象として、ボランティアが観光案内を実施しており、今年度中に銀座や浅草でも案内を開始することを予定しているところでございます。
ボランティアにつきましては、現在、千九百四十人の登録がございまして、二十八年度と二十九年度に五百人ずつ募集を行って、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック大会では三千人が観光案内を行うことのできる体制づくりを進めているところでございます。
また、ボランティアの数の増加に合わせまして、リーダーとして活躍のできる人材の育成も進め、観光案内のレベルを質と量の両面から高めてまいります。
○伊藤委員 観光ボランティアの重要性は、二〇二〇年へ向けて、またその先を見据えて、ますます高まるものと考えております。
その充実に向けて、都としてもしっかりと取り組んでいただきたいと思うのとともに、生活文化局の方では、おもてなし語学ボランティア、これを計画的にずっとふやしていっておりまして、日常的にこのおもてなし語学ボランティアの場合は、語学ボランティアですよということで、簡単な英語だったらご案内しますよということで、メイ・アイ・ヘルプ・ユーという缶バッジをつけて日常まち中を歩いていただける、ボランティア同士がすれ違ったら、おもてなし語学ボランティア同士だということでハイタッチをしたりとかということもあるようであります。ぜひとも産労の方も進めるこの観光ボランティア、何かちょっと目印になるような、ふだんこのボランティアの活動じゃないときにも、ちょっとボランティアのバッジみたいなものがついていて、ふだんの中でもご活躍いただけるような方であれば、ぜひそんな取り組みも目印としてやっていただいたらどうかと、このように要望をしておきたいと思います。
次に、障害者の就労支援について質問をしたいと思います。
障害者の就労件数は増加傾向にあり、都内ハローワークを通じた就職の件数は、平成十七年度の約四千件と比べて、平成二十七年度は約六千三百件と上昇しております。
そうした中にあっても、職業能力の不足等から就職に至らないケースもあるわけであります。障害者といっても、先天性の障害がある方、あるいは病気、あるいは事故、こうしたことによって中途障害になられる方もおりますし、障害の種別についてもいろいろある、また、その障害の程度についても違うわけであります。
場合によっては、職業訓練によって必要な知識や技術、技能を習得することで、障害者を就業へ結びつけていくことが重要であると考えます。
こうした訓練については、例えば企業現場で進むICT化への対応など、業務の実態に即した訓練となるように常に見直しを進めることによって、障害者が職場で活躍できるよう充実を図っていくべきと考えますけれども、都における障害者に対する職業訓練の取り組みについて伺いたいと思います。
○小金井事業推進担当部長 都では、障害者がそれぞれの希望や適性に応じて知識や技能を習得することができるよう、東京障害者職業能力開発校等において職業訓練を実施しております。
また、居住する身近な地域で訓練できるよう、民間の教育訓練機関や事業所等への委託による訓練を実施するなど、多様な訓練機会を提供しております。
訓練に当たりましては、今、副委員長ご指摘のとおり、企業現場で即戦力となる能力の習得が重要であることから、今年度、印刷、広告業界への就職を目指し、新たに設置しましたグラフィックDTP科では、スマートフォンやタブレットなどの新たなデジタル機器に対応するとともに、企業実習などを導入することで、スムーズに職場に適応できるようにしているところでございます。
○伊藤委員 スマートフォンやタブレットなど新たな機器へも対応した訓練科目の設置や企業での実習など、障害者の方が即戦力として活躍できるような支援を行っているということでございました。
引き続き、障害者の方が一層の活躍ができるよう、就職先となる企業の状況も踏まえて訓練の充実に取り組んでいただきたいと思います。
障害者の中でも精神発達障害者については、就職件数の増加傾向が著しく、平成二十七年度は約二千七百件と過去最高を更新し、十年間で約三・八倍に増加していることから、我が党はかねてより、精神発達障害者に対する訓練の充実を求めてまいりました。
これを受け、都は、精神発達障害者のための訓練として、みずからの適性に応じて事務作業、または物流作業を選択できる職域開発科を設けております。
精神発達障害者へは、日々の体調の変化に配慮してきめ細かな支援を行うことはもとより、就職希望者が増加している状況を踏まえて、この職域開発科を初めとする精神発達障害者に対する訓練をより充実すべきと考えますけれども、今年度の都の取り組みについて伺いたいと思います。
○小金井事業推進担当部長 都は、近年増加しております精神障害者や発達障害者に対応するため、職域開発科の訓練定員を、今年度、年間二十名から四十名にふやすとともに、入校機会を年二回から四回に拡充しました。
また、就業支援事務科では、基礎的な事務やビジネスマナーなどを三カ月で修得した後、引き続き他の専門的な訓練を半年かけて学べる仕組みを取り入れておりまして、今年度からその機会を充実したところでございます。
具体的には、パソコンによる事務処理の技術、技能を習得するオフィスワーク科への入校機会を、就業支援事務科に合わせ、年二回から四回に拡充するとともに、年間定員を三十名から六十名にふやしたところでございます。
引き続き、こうした取り組みを通じて、精神障害者などの就職を支援していきます。
○伊藤委員 ぜひとも精神発達障害者の就業支援について、今後も一層取り組んでいただきたいというふうに思います。
さて、私自身、障害があるお子さんについて、ご家族の方から相談を受けることがしばしばあります。先日の相談では、知的障害があるお子さんが、せっかく就職ができたものの職場でうまくいかず、仕事が合わないとか、あるいは人間関係がうまくいかないなど、仕事をやめてしまうと、こういったケースがたびたびあります。そうした方の中には、なかなか次の就職に踏み出せずに、家に引きこもってしまうような状況になってしまうこともあるわけであります。
障害者の方が就職をして職場でうまくいくように、職業訓練により、さまざまな技能を身につけていくことは非常に重要なことでありますけれども、一方で、職場にうまく定着して活躍することができるように、受け入れる企業側へも支援を行うことも重要だと考えますけれども、都の所見を伺いたいと思います。
○貫井雇用就業部長 都は、東京ジョブコーチを派遣するなど、職場内での定着を支援する取り組みを行ってまいりました。
東京ジョブコーチは、障害者ご本人や企業からの要請に応じ、業務内容の検討や職場内の受け入れ体制づくりの支援など、総合的に職場定着を支援しております。平成二十七年度は支援件数全体で七百三十三件、うち知的障害者は四百三十九件の支援を実施してまいりました。
また、企業内での障害者への理解促進を図り、各企業の実情に応じた取り組み体制の整備が進むよう、今年度から新たに職場内障害者サポーターを養成する事業を開始いたしました。
具体的には、障害者を受け入れる職場の同僚等に対し、障害特性や支援方法等についての講習を実施し、職場内障害者サポーターとして養成しておりまして、本年十月までに約百九十名が講習を受けております。
受講者からは、障害者へのサポートに戸惑いもあったが、円滑な対応を学ぶことができてよかったなどという声が聞かれております。引き続きこうした取り組みを通じて、知的障害者を含め、障害者の方の職場定着を支援してまいります。
○伊藤委員 企業内での障害者をサポートできる人材を育成していく新たな事業は、非常に有効な事業だと思いますので、多くの企業にPRをするなど、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
次に、女性の再就職支援について伺いたいと思います。
我が党はかねてより、女性の活躍推進に向け取り組んできましたけれども、女性の活躍は、今や国を挙げた重要な課題であります。
しかし現状では、育児等で一旦離職する女性が少なくない中、再度仕事をしたいと考えている女性も実際には数多くいらっしゃいます。こうした女性が就職に向けて動いていけることが重要であります。
都は、しごとセンターに女性しごと応援テラスを設置して、女性の再就職を支援しておりますけれども、一度仕事を離れた方、とりわけ離職されている期間が長い女性の中には、仕事に対する不安から、企業への応募をためらったりするケースも少なくないのが実情であります。
もう一度働いてみたいと思っている女性が着実に就職活動を進められるよう、求人の内容や職場の雰囲気などについて、気軽に企業から話を聞いたり、採用面接を受けられる機会を設けるなど、支援を行っていくことが必要だと思いますけれども、都の所見を伺いたいと思います。
○貫井雇用就業部長 女性しごと応援テラスでは、専任のアドバイザーによるキャリアカウンセリングに加えて、利用者のニーズに合った求人情報を提供するなど、きめ細かい就業支援を行っております。
さらに今年度は、就職活動をためらう利用者の不安を解消して就職に結びつけるよう、企業の採用担当者をテラスに招き、気軽に参加できる少人数の会社説明会や面接会を実施しております。
説明会では、企業の担当者から仕事の内容や職場環境など、テラスの利用者が不安に感じる点についてあらかじめ説明を受けることで、応募に当たっての不安や疑問の解消を図っております。また、説明会開催後は、書類選考の手続なしでも受けられる面接会を実施するなど、就職活動を支援しております。
これらの実施に当たりましては、子供連れでも参加できるように工夫をしており、十月末までに延べ百三十二名の方が参加されました。
こうした取り組みなどにより、今年度は、先月末までにテラスの利用者四百九十七人が就職をしたところでございます。
○伊藤委員 再就職に不安を抱える女性の方に対して、どうかそういう利用者の方に寄り添って、そのニーズを踏まえた施策の充実を進めていただきたいと思います。
一層の女性の活躍に向けては、再就職に関心を持ちながらも、まだ就職に向けて動き出せない方々への働きかけも重要です。また、せっかく就職に向けて動き出しても、就職のノウハウがなかったり、自分の状況に合った求人が見つからないなど、就職まで時間がかかる場合も多いと思います。
都は昨年度、多くの女性に、職場での活躍のきっかけとなる場を提供するためのイベントを実施しております。また、今年度、国と連携をして、都内の複数の地域でイベントを実施すると聞いております。
こうしたイベントに参加する方々の状況はさまざまで、参加者の状況に応じた内容を提供していくことが大切だと思いますけれども、都の取り組み状況を伺いたいと思います。
○貫井雇用就業部長 都は今年度、女性の就業拡大のために、就業に役立つセミナーや企業とのマッチングを行うイベントを、国と連携して都内各地で年四回実施しております。
イベントでは、さまざまな状況の方に参加してもらえるよう、内容を工夫しております。具体的には、働くことを考え始めた方には、子育てとの両立に関するアドバイスを行うセミナーや、就職活動を支援する窓口の紹介を行っております。
また、就職活動を始めたばかりの方には面接対策やメーク講座など、就職活動に役立つノウハウを提供しております。
さらに、既に就職活動を行っている方には、マザーズハローワークと連携し、女性の採用に意欲的な企業を集めた就職面接会を実施しております。
これまでに立川及び新宿の二カ所で開催をし、延べ六百三十六人の方が参加し、延べ百九十二人の方が面接を行いました。
今後も、より多くの女性がそれぞれの状況に合わせて就業に向けた一歩を踏み出せるよう、支援してまいります。
○伊藤委員 一層の女性の活躍に向けては、国とも連携を密に図りながら、再就職を考える女性に対して、それぞれの状況に応じたきめ細かい支援を展開していただくことを要望して、次の質問に移りたいと思います。
次に、若年者の就業支援の観点から、中小企業の魅力発信について伺いたいと思います。
都内には、高い技術力や職場環境も申し分ない中小企業が数多くあり、こうした企業への学生の就職を促進するためには、その魅力を若者に発信し、まずは知ってもらうことが重要であります。
我が党は、第二回定例会の代表質問でこの点を取り上げ、都からは、製造業やサービス業など幅広い業種の優良な企業を掘り起こして、ウエブサイトや広報冊子の配布を通じて中小企業のPRを行うとともに、多くの大学の就職担当者が中小企業についてより深く理解して学生に伝えられるように、大学等と企業との交流会を、規模を拡大して開催するとの答弁をいただいたところであります。
その後、その取り組みについて伺いたいと思います。
○小金井事業推進担当部長 都は、昨年度から学生等に向けて、中小企業の魅力を東京カイシャハッケン伝と題するウエブサイトと広報冊子により、年四回、情報を発信しております。
今年度は既に二回発信しており、我が子のように社員を教育しているすぐれた企業や、地域や環境など社会貢献力の高い企業など、さまざまな魅力を持つ企業を紹介しております。
掲載された企業の経営者からは、学生からの問い合わせがふえPR効果があった、社員のモチベーションの向上にもつながったという声が寄せられております。
また、大学等と企業との交流会は、今年度、参加規模を年間延べ四十社から二百社に拡大して、二回実施することとしておりますが、九月に開催した第一回の交流会では、百社の定員に対して百四十八社の企業が、四十九の大学等と面会の機会を持つことができました。
参加企業からは、ふだん学校関係者と接する機会がないので、面接を持つことができてよかった、一度にたくさんの大学と交流できてありがたいなどの感想が聞かれました。
今後とも、こうした取り組みにより、さまざまな中小企業が持つ魅力を広く発信し、都内中小企業の人材確保を支援してまいります。
○伊藤委員 最後の問いになります。
若者が中小企業の魅力を理解するためには、ウエブサイトや広報冊子によるPRも大切ですけれども、実際に企業の現場に足を運んで会社の雰囲気などを自分の目で確かめて、経営者やそこで働く社員の話に耳を傾ける機会を提供することも重要であります。
現場を訪れ、そこで働く社員と交流し、自分なりに働くことのイメージをしっかり持つことで、納得のいく就職活動ができるといった効果も見込めるというふうに思います。
都では、先ほど答弁のあった冊子に掲載された企業に学生等が訪問する事業も行っておりますけれども、その取り組み状況について伺い、質問を終わります。
○小金井事業推進担当部長 都は、学生等が社内見学や座談会などを通じまして、経営者や若手社員から、仕事のやりがいや会社の雰囲気等について直接話を聞くことができるバスツアーでございます、仕事体験ツアーを実施しているところでございます。
今年度は、昨年度の倍の二十八社を訪問する予定でございまして、これまでに五回に分けて、七十五人の学生が十社を訪問いたしました。
参加者からは、実際に会社を訪問し、社長の熱い思いを聞くことで、中小企業に対するイメージが大きく変わった、ネット情報ではわからない中小企業の魅力に気づくことができ、就職活動の幅が広がったなどの声が寄せられました。
今後とも、若者が中小企業の魅力を体感し、視野を広げた就職活動ができるよう後押ししてまいります。
○柴崎委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○柴崎委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
○柴崎委員長 次に、第四回定例会に提出予定されております案件について、理事者の説明を求めます。
○藤田産業労働局長 平成二十八年第四回都議会定例会に提出を予定しております当局所管の案件の概要につきましてご説明を申し上げます。
今回提出を予定しております案件は、条例案一件及び契約案四件でございます。
まず、条例案として提出を予定しております通訳案内士法関係手数料条例の一部を改正する条例につきましては、構造改革特別区域法の改正によります通訳案内士の規制緩和を活用いたしまして、都が国から特区の認定を受けたことに伴いまして、地域限定特例通訳案内士の登録等に関する手数料について、所要の規定を設けるものでございます。
次に、提出を予定しております四件の契約案は、東京国際展示場における増築工事、増築電気設備工事、増築空調設備工事、増築給水衛生設備工事でございます。
本件は、東京国際展示場が、今後の展示会需要等を踏まえ展示棟を拡張いたしますことから、増築工事を行うものでございます。
以上で、第四回定例会提出予定案件の概要説明を終わらせていただきます。
なお、これらの詳細につきましては、総務部長からご説明申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○寺崎総務部長 今回提出を予定しております産業労働局所管の案件につきまして、お手元の配布資料に基づきご説明申し上げます。
初めに、条例案についてご説明申し上げます。恐れ入りますが、お手元の資料1、条例案の概要をごらんください。
表紙をおめくりください。今定例会には、一件の条例案をご提出させていただく予定でございます。
一ページをごらんください。通訳案内士法関係手数料条例の一部を改正する条例案でございます。
本条例は、通訳案内士登録等の事務に関する手数料について定めるものでございます。
改正の内容でございますが、構造改革特別区域法の改正により、通訳案内士の規制緩和が図られ、国から特区の認定を受けた地方公共団体が行う研修を修了した者は、地域限定特例通訳案内士として有料で通訳案内を行うことが可能となりました。
この制度を活用し、都は、東京都タクシードライバー観光案内特区の認定を受け、今年度から、英語で外国人に観光案内を行うタクシードライバーの育成を開始することといたしました。
これに伴いまして、地域限定特例通訳案内士の登録等の事務に関して、手数料を徴収するための根拠法令を第一条に追加するとともに、別表中、三の項の次に、四から六の項として新たな手数料の規定を設けるものでございます。
なお、手数料の額は、現行の通訳案内士の登録等に関する事務と同額としており、それぞれ表に記載のとおりでございます。
施行日につきましては、公布の日としてございます。
引き続きまして、本定例会に提出を予定しております工事請負契約議案の詳細についてご説明を申し上げます。
恐れ入りますが、お手元の資料3、工事請負契約議案の概要をごらんください。
表紙をおめくりいただき、件名表をごらんください。
今回提出を予定しておりますのは、東京国際展示場における増築工事、増築電気設備工事、増築空調設備工事、増築給水衛生設備工事の四件でございます。
東京国際展示場は、今後の展示会需要等を踏まえ、展示棟を拡張することとなりました。そのため、今年度から平成三十一年六月にかけて増築工事を行うものでございます。
一ページをごらんください。東京国際展示場(二十八)増築工事の契約の相手方は、清水・錢高・村本・共立建設共同企業体、契約金額は三百三十億四千八百万円、工期は平成三十一年六月二十日まででございます。
契約の方法、入札回数、入札者数はごらんのとおりでございます。
次に、二ページをお開きください。東京国際展示場(二十八)増築電気設備工事の契約の相手方は、関電工・住友・サンテック・旭日・八千代建設共同企業体、契約金額は七十二億九千万円、工期は平成三十一年六月二十八日まででございます。
契約の方法、入札回数、入札者数はごらんのとおりでございます。
次に、三ページをごらんください。東京国際展示場(二十八)増築空調設備工事の契約の相手方は、新菱・三建・三晃・酒井建設共同企業体、契約金額は四十五億三千二百十一万二千円、工期は平成三十一年六月二十八日まででございます。
契約の方法、入札回数、入札者数はごらんのとおりでございます。
次に、四ページをお開きください。東京国際展示場(二十八)増築給水衛生設備工事の契約の相手方は、朝日・エルゴ・城口建設共同企業体、契約金額は二十一億四千八百八十二万七千四百円でございます。工期は平成三十一年六月二十八日まででございます。
契約の方法、入札回数、入札者数はごらんのとおりでございます。
以上の四件につきまして、五ページに案内図及び配置図をお示ししてございますので、ごらんいただきたいと存じます。
以上で、今回提出を予定しております産業労働局関係の案件の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○柴崎委員長 説明は終わりました。
この際、資料要求のある方は発言願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○柴崎委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
○柴崎委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
○山巻金融部長 お手元の資料4、東京都が東京信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄の報告についてをごらんください。
都は、東京都が東京信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄に関する条例に基づきまして、中小企業者の事業再生の促進を図ることを目的といたしまして、都が東京信用保証協会に対して有する回収納付金を受け取る権利一件を放棄いたしましたので、ご報告申し上げます。
報告した権利の内容でございますが、表の番号1、権利を放棄した金額は、一千二万一千六百二円でございまして、権利を放棄した日は平成二十八年九月十六日でございます。
権利放棄の理由でございますが、本件は、本条例第三条第五号に規定いたします株式会社東日本大震災事業者再生支援機構が支援決定を行った事業再生計画に基づくものでございまして、かつ、当該計画が事業者の事業の再生に資すると認められるためでございます。
以上で、東京都が東京信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄の報告についてのご説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
○柴崎委員長 報告は終わりました。
この際、資料要求のある方は発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○柴崎委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
以上で産業労働局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後七時十八分散会
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