経済・港湾委員会速記録第十四号

平成二十八年十一月十七日(木曜日)
第八委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長柴崎 幹男君
副委員長菅野 弘一君
副委員長伊藤こういち君
理事中山ひろゆき君
理事尾崎あや子君
理事山崎 一輝君
島田 幸成君
上野 和彦君
島崎 義司君
木内 良明君
鈴木あきまさ君
かち佳代子君
宇田川聡史君
三宅 茂樹君

欠席委員 なし

出席説明員
港湾局局長斎藤 真人君
技監小野 恭一君
総務部長古谷ひろみ君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務中村 昌明君
調整担当部長矢部 信栄君
港湾振興担当部長蔵居  淳君
臨海開発部長篠原 敏幸君
開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務山岡 達也君
営業担当部長塩田 孝一君
港湾整備部長原   浩君
計画調整担当部長竹村 淳一君
離島港湾部長小林 英樹君
島しょ・小笠原空港整備担当部長神山 智行君
労働委員会事務局局長土渕  裕君

本日の会議に付した事件
労働委員会事務局関係
事務事業について(質疑)
港湾局関係
事務事業について(質疑)

○柴崎委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、労働委員会事務局及び港湾局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより労働委員会事務局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○木内委員 にわかに冒頭の申し上げようでありますけれども、きのうの夜十時からテレビで、私が非常に愛好しております地味にスゴイというドラマを見ました。毎週見ているわけでございますけれども、実はある出版社の編集を希望しながら校閲で仕事をするという、いわば縁の下の力持ちの若い女性の活躍を描いたドラマであります。このタイトルに標榜されるように、今、非常に地味だけれども、社会のシステムを支え、大事な部分で活動して、その成果を出していることに光を当てて、これを人口に膾炙することを前提に、この議会でも喧伝をしていくということは極めて重要であると、このように思って、きょうは一人でありますけれども、質疑を進めさせていただきます。
 政府はことし九月に、働き方改革実現会議の初会合を開きました。長時間労働の是正や同一労働同一賃金の実現などについて、今年度中に実行計画をまとめることを確認いたしました。
 しこうして、人口、また労働力が減少する我が国が、今後、経済成長を遂げるには、女性、若者や高齢者がより能力を発揮して活躍できる環境の整備が不可欠であります。したがって、東京都としても、政府に対して、まず、働き方改革に取り組む意義と目指す社会の姿を国民にわかりやすく示すべきであるということを強く求めてもらいたい、私どもはその努力を進めてまいりたいと思うのであります。
 こうした改革を進め、しっかりと定着をさせていくためには、健全な労使関係が築かれて、そして維持されることが必要であることはいうまでもありません。また、その意味で労使紛争の解決機関である労働委員会への期待は、ますます最近高まってきているのでございます。
 その意味から、私はこれまで、ほとんど毎年でありますが、この経済・港湾委員会の事務事業質疑の場で、都労委が行ってきた紛争解決について、時系列の数字を確認しながら、あるいはまた直近の社会状況における、そうしたテーマも踏まえながら、確認質疑を行ってまいりました。
 労働委員会制度は、ことしで七十年の歴史を有する労使紛争解決のいわば老舗的活動でありまして、とりわけ都の労働委員会は、首都東京の労使関係の安定を託された機関として、我が国の労働委員会をリードしてきた、こうもいって過言ではないと思うのであります。
 これまで毎年、この都労委が行ってきた紛争解決の事例の確認の中で、労働委員会制度がことしで七十年の歴史を有する大変重要な活動と、また機関であるということを確認もしてまいりました。首都東京の労使関係の安定を託された機関として、我が国全体の労働委員会の社会機構というものをリードしてきたという誇りと自負を持っているということも確認させていただきました。
 論語に温故知新という言葉がありますが、歴史や先人の実績をよく商量し、これを精査することによって、新しい知識や見解を得るということでありまして、この教訓を心に刻みながら、都労委の仕事について、改めて明らかにしてまいりたいと思います。
 まず、そもそも労働委員会の役割、そしてまた、いかにして紛争を解決するのかという方途の基本的な考え方についてご報告を願います。

○土渕労働委員会事務局長 労働委員会の役割は、労働組合と使用者との間で発生した紛争、すなわち集団的労使紛争を公平な立場の第三者として解決することにより、労働基本権の保護と労使関係の安定化、正常化を図ることでございます。
 具体的には、組合の申し立てに基づき、企業が、組合加入を理由に労働者に対し不利益な取り扱いをしたり、正当な理由がないのに団体交渉を拒否するなど、労働組合法で定める不当労働行為を行ったかどうかを判定し、不当労働行為が認められた場合には、企業にそのような行為をやめるように救済命令を出します。
 また、企業と組合との間で、賃上げや労働時間などの労働条件をめぐって紛争が発生した場合、労働関係調整法の定めに従い、あっせんや調停により紛争を解決しております。

○木内委員 労働組合と会社との間の集団的労使紛争の解決を専門的に扱うという、この労働委員会の役割については、今の答弁でよく理解できるわけであります。
 一方で、私ども議員のところには、よく個別、あるいは地域的な相談事が持ち込まれることが多いのでありますけれども、労働問題に関するもろもろの相談があった場合、相談の紹介先というのが幾つかありまして、もちろん都労委を紹介することもありますけれども、例えば産業労働局の労働相談情報センターや、あるいは国の機関である東京労働局などを紹介することもよくあるわけであります。
 そこで確認をしたいんですけれども、申し上げた他の紛争処理機関との役割分担、都の労働委員会の特徴という点についてであります。申し上げたように、労働問題に関する複数の紛争解決機関がある中で、労働委員会における紛争解決の特徴と側面的特性というものについてご報告を願います。

○土渕労働委員会事務局長 国が所管する都道府県労働局や、産業労働局が所管する労働相談情報センターでは、例えば解雇をめぐる争いなど、使用者と労働者の個別な関係の紛争である個別労働紛争などを扱い、相談やあっせんを通じて解決を図っており、職員が中心となって実務を行っております。
 これに対しまして、労働委員会では、学者や弁護士など高度な知識、経験を有する公益委員に加え、労使それぞれから選ばれた労働者委員、使用者委員が集団的労使紛争の解決に当たっております。
 公益委員の審査指揮のもと、労働者委員と使用者委員がそれぞれの立場に立ち、当事者の間を取り持って自主的解決を促進するとともに、三者が一体となって専門的知識や経験を出し合うことで、労使双方の実情に即した納得性の高い解決が図れるものでございます。

○木内委員 答弁の末尾でありましたけれども、労使双方の実情に即した納得性の高い解決が図られるということでありまして、私もこれまで何件かお願いをし、相談に乗っていただいて、こうした経過の中で結実を見たという例を幾つか認識しておりまして、その活動を高く評価したいと思うのであります。
 特に、今の答弁でありましたけれども、労働委員会における紛争解決の特徴、長所についてよく理解できます。企業対組合という利害対立の激しい労使紛争では、委員会と当事者との意思疎通の困難さというものが当然想定されるわけでありますけれども、三者構成のゆえんというのは、それを円滑に行うために、当事者の立場をよく理解する者を委員会の中に取り込んだためではないかとも思うのであります。
 さて、ここまで労働委員会の基本的な役割や特徴について伺ってきましたが、具体的な事業の内容について明らかにしてまいりたいと思うのであります。
 近年は、かつて昭和の高度成長期のような大規模なデモも、国民の耳目を集めるストも見られなくなっておりまして、一方で、組合の組織率の低下も指摘されるようになって久しいのであります。先日も、ある著名な組合関係者の方との懇談の場で、組織率の低下ということに論及がありまして、むべなるかなという感を深くいたしました。
 そして、こうした近年の申し立て組合の傾向についてでありますけれども、労働組合をめぐるこうした近年の状況というものが、都労委へ申し立てをする場合にも変化をもたらしてきているのではないかと考えているわけでありますが、その実態についてご報告を願いたいと思います。

○土渕労働委員会事務局長 近年、都労委に申し立てがある組合の傾向として、いわゆる合同労組からの申し立てがふえております。
 合同労組とは、一定の地域で企業の枠を超えて、主に組合のない中小企業の労働者などが個人加入できる労働組合のことでございます。
 都労委における新規申し立て事件に占める合同労組の事件の割合は、十年前の平成十八年度は六〇%であったものが、昨年度は七二%と、十年間で約一〇%増加しております。

○木内委員 近年の労組の特徴ということに触れていただいたわけでありますけれども、一定の地域で企業の枠を超えて、主に組合のない中小企業の労働者の皆さんが個人加入することができる労働組合、これがいわゆる合同労組でありまして、これが十年前の平成十八年度は全体の事件の六〇%であったものが、昨年は七二%ということで、十年間で約一〇%の増加を見ている。
 さっき触れましたけれども、組合の組織率の低下など環境の変化がありましても、合同労組が活動を活発化させている実態があるということも、今の答弁でよく理解できました。
 さて、それでは他方、この合同労組は、具体的にどういった特徴のある事件を都労委に持ち込んできているのかご報告願います。

○土渕労働委員会事務局長 例えば、派遣社員として働いていた労働者が、会社から解雇を通告されたため合同労組に加入し、団体交渉を求めた事件や、パート職員として働いていた労働者が、会社から勤務日数の削減か、もしくは退職をするかという選択を迫る通告を受けたため合同労組に加入し、団体交渉を申し入れた事件などがございます。
 合同労組からの申し立ては、その多くが解雇、退職強要、降格などをされた労働者が、解雇等の後に合同労組の組合員となって、団体交渉の応諾等を求めて申し立てる事件となっております。

○木内委員 近年における労組の特徴を、側面的によくご説明いただけたと思います。特に解雇、退職強要、降格などをされた労働者が、解雇等のそうした出来事の後に合同労組の組合員となって、団体交渉の応諾等を求めて申し立てる事件というのも多くなってきている、よくわかります。
 我が国の労働組合の大部分は、その成り立ちから企業別労働組合の形態をとっていますけれども、社会経済の変化によって、パートや派遣などの不安定な雇用環境にある労働者が、いわゆる合同労組を通して紛争の解決を図っておりまして、こうした事件の解決にも労働委員会が幅広く対応している、すなわち時代の変遷や社会環境の動向に的確に対応しているということがよくわかる答弁をいただけたと思います。
 さて、平成二十七年度の不当労働行為の取り扱い件数と特徴ということでありますが、都労委では昨年度、不当労働行為について何件取り扱ったのか、またその内容に何らかの特徴があれば、明らかにされたいと思います。

○土渕労働委員会事務局長 平成二十七年度に、都労委では四百四十件の不当労働行為事件を取り扱っており、このうち新規の件数は百十六件で、前年度との比較では十七件、約一割の減少となりましたが、平成二十一年度以降、七年連続で百件を超える高どまりの状況にございます。
 平成二十七年度の特徴といたしましては、一つは新規申し立て事件のうち、女性が当事者となった労使紛争が二十八件あり、全体の二四%を占めました。これは過去十年間で、件数、割合とも最も多いものとなっております。
 また、当事者が、労働組合法が規定する労働者や使用者に該当するかどうかが争われる事件も増加する傾向にあり、昨年度はこうした点についての判断を内容とする命令が、過去十年間で最も多くなったところでございます。

○木内委員 今、昨年度の新規申し立て事件の件数や状況についての報告がありました。働く女性がふえることによって、女性のみに係る労使紛争がふえてきて、不当労働行為事件として都労委に持ち込まれる件数がふえてきたということはよく認識できるんですけれども、二点目についてのご報告で、ややわかりにくい、理解しにくいといわざるを得ない面があります。
 労働者性、使用者性が争点となる事例、すなわち不当労働行為事件において、労働者や使用者の概念が争点になるとはどういうことなのか、また、なぜそうしたことが問題になるのか、具体的に事例があれば、できるだけ丁寧にご説明を願いたいのであります。

○土渕労働委員会事務局長 労働者や使用者の定義につきましては、労働組合法では具体的に定められておらず、企業組織の変遷や雇用状況の変化を踏まえながら、法の趣旨に基づいて、その概念を事件ごとに解釈していく必要があります。
 昨年度、都労委で労働者性を判断した事件としては、ファミリーマート事件があります。会社側が、フランチャイズ契約を結んだコンビニエンスストア加盟店主らに標準的な就業時間を示したり、マニュアルに基づく清掃を求めたりしていたことなどを踏まえまして、加盟店主に労務を提供していたと判断し、加盟店主らを労働組合法上の労働者と認めました。
 また、都労委で使用者性を判断した事件としては、東京電力事件があります。これは、東京電力福島第一原発事故の収束作業をめぐり、四次下請の元従業員が加入する労働組合が、当初説明されていた業務内容が変更になったことなどにつきまして、発注者である東京電力、元請会社及び下請会社三者に対して団体交渉を求めた事件でございます。
 都労委は、発注者である東京電力は雇用関係にないことはもとより、具体的な作業内容について指示した事実はないため、使用者とは認めず、元請会社と一次下請会社について、従業員の業務内容を具体的に決定し、指示していたとして、労働組合法上の使用者に当たると判断したところでございます。

○木内委員 答弁を聞きながら、そういうものかなということを痛感しながら、実はここにおります。
 確かにファミリーマート事件、これは流通の近代化といいますか、現代的な展開の中で起こってきた事件でありますし、特に東京電力事件にしましても、やはり近年のさまざまな事故を引きずった、いわばケースであると、こう思うわけでありまして、こうしたことに目を向けましても、労働者や使用者の概念というものが、時代の変化によって変わってきているということがよくわかるのであります。
 今後とも、社会経済状況がますます、さらに複雑化、あるいは多様化する中にございましても、都労委には新たな課題に的確に対応して、その上で安定した労使関係の構築にさらに寄与してもらいたいということを痛切に実は感じますし、また要望もしておきたいと思うのであります。
 これまで申し立て組合の傾向や新規事件数という、都労委の入り口について確認してきましたけれども、次に、事件の出口ということについて確認したい。昨年度に終結した事件の状況についてご報告願います。

○土渕労働委員会事務局長 平成二十七年度は百四十九件の不当労働行為事件が終結しており、新規申し立て件数百十六件を上回る件数の終結事件数となりました。
 このうち、和解で終結したものは百三件で六九%、命令を発出したものが二十五件で一七%、自主的解決などによる取り下げは二十一件で一四%でありました。
 特に、都労委がかかわって和解に至ったもの、いわゆる関与和解が終結全体の六一%を占める九十一件で、過去十年間で最高の割合となるとともに、終結事件数の大幅増に寄与したところでございます。

○木内委員 土渕局長のお人柄といいますか、謙虚な姿勢がにじみ出た答弁なんですけれども、これは大変刮目すべき結果、実績であると申し上げることができるのであります。
 特に、都労委がかかわって和解に至ったもの、いわゆる関与和解が終結全体の六〇%を占めて九十一件だった。過去十年間で最高でありまして、これは終結事件数の大幅増に寄与しているものでありまして、まさに特筆すべき実績だと、こういえると思うのであります。
 さらに、終結件数をふやす取り組みについてでありますけれども、新規申し立て件数を上回る件数の事件を終結に導いたということであります。恐らくそのためには、都労委として具体的な工夫とか、あるいは創意を凝らした経過と取り組みがあったのではないかと私は率直に、門外漢ながら推察するんですが、いかがでしょうか。

○土渕労働委員会事務局長 都労委では、陳述書の活用による証人の絞り込みや主尋問、反対尋問の同一期日の実施など、審査の短縮化に取り組むことにより、一つの事件の処理に要する回数を減らし、少しでも多くの事件が処理できるよう努めております。
 また、労使対立が激しく、労働組合からの申し立て事項が次々と追加されるなどの事情により、審査が長期にわたった事件につきまして、三者委員が、和解が見込める場合には部分的に和解をして争点を減らすよう努めたり、労使委員がそれぞれ労働組合と企業に出向き、直接当事者の説得を重ねるなど、これらのことをしたことで、昨年度は審査期間の目標である一年半を超えて処理に長期間かかっていた事件二十六件を解決したところでございます。

○木内委員 繰り返しの確認は避けますけれども、例えば三者委員が和解が見込める場合には、部分的に和解をして争点を減らす、こういう工夫をしたり、あるいは期日内に労使委員がそれぞれ双方に出向いて、労働組合と企業に出向いて当事者の説得を重ねるなどしたことによって、長期間かかっていた事件二十六件の解決を見たということでありますから、これもやはり、刮目以上に瞠目すべき数字だというふうに私は思うのであります。
 新規申し立て件数を上回る件数の終結を見たこと、まさに労働委員会の皆様のご努力を多としたいのであります。さらに、終結で最も割合が高かったのが関与和解であるということは、公労使の三者委員の皆様が粘り強く労使双方を説得して和解の調整を続けた、その結果のたまものである、こうも思うのであります。
 私は、過去の委員会でも何度かやりとりをしておりますけれども、和解は労使双方が紛争の解決に向けて十分に協議し、納得した上で協定を結ぶものであります。そのため、紛争が全面的に解決するだけでなく、労使間において信頼関係が築かれることから、将来に向けても労使双方にとって望ましい解決方法であります。
 私は、このことの確認は、きょうの質疑の肝だと思っております。信頼関係が労使間において築かれる、将来にとってもこのことは労使双方にとって非常に希望ある望ましい解決方法なんだということを、私はここで訴えたいのであります。
 今後とも、公労使の三者委員と、その補佐に当たる事務局とが一体となって、都労委の伝統ともいえる和解による合意形成の努力をさらに続けていただきたい、これを強く求めておくものであります。
 一方で、確定事件についてお尋ねしますけれども、和解という円満解決に至らずに、命令に至ったものが二十五件ありますけれども、この命令は全て確定したんですか、伺います。

○土渕労働委員会事務局長 不当労働行為事件に係る審査の結果、都労委の発した命令に不服のある当事者は、中央労働委員会に対して再審査の申し立てをするか、または地方裁判所に対して命令の取り消しを求める行政訴訟を提起することができます。
 平成二十七年度に都労委が発出した命令のうち、確定したものは七件であり、残る十八件につきましては都労委の命令を不服として、中央労働委員会に対して再審査の申し立てをしているところでございます。

○木内委員 この十八件について、都労委の命令を不服として、中央労働委員会に対して再審査の申し立てをしているという数字も明らかになりました。
 履行の確認ということなんですけれども、確定した命令であっても、実際に使用者が命令に従って、そして行動に移さなければ解決しないわけでありまして、いわば都労委が発出した救済命令を使用者が守るかどうか、この確認が必要だと思うんですが、その実態は明らかにできますでしょうか。

○土渕労働委員会事務局長 都労委では、使用者に具体的な作為を命じる救済命令を出す場合には、履行報告を義務づけております。平成二十七年度に都労委が救済命令を発出し、再審査や取り消し訴訟がなされずに確定した三件の事件につきましては、全て履行の確認ができております。
 なお、使用者が確定した命令に従わないときは、労働委員会または労働組合が裁判所に過料の決定を求め、命令の履行を担保する制度も設けられているところでございます。

○木内委員 至れり尽くせりといっては、大きな表現になってしまうかもしれませんけれども、命令の履行を担保する制度も設けられている。確定した都労委の命令がしっかりと履行されているということが確認できましたこと、これを了としたいと思います。
 事件数が高どまりをする状況の中で、持ち込まれる事件も複雑、困難になっていく状況では、労働委員会として大変なご努力が必要であると考えます。将来に向けて、都労委の人材育成ということが非常に重要な課題でありますけれども、この人材育成に関する取り組みについてご報告を願います。

○土渕労働委員会事務局長 不当労働行為の審査に当たりましては、委員の指揮のもと、事務局職員が事件の調査や命令素案の準備をする必要があり、極めて専門性の高い人材の確保が必要となってきます。
 現在、団塊世代の職員の知識やノウハウ等を継承し、十年を超えて審査業務にかかわる職員が約一割おり、これらのベテラン職員が核となって、中堅、若手職員に対して日々の業務を通じた指導や事例研究など、職場を挙げてOJTに取り組んでいるところでございます。
 さらに、弁護士資格を持つ特定任期つき職員による指導により、職員のより一層の専門性の向上を図っているほか、昨年度からは、専門性の継承や新たに生じる高度な専門領域への対応を図るため、行政専門職課長を設置しております。
 今後とも、さまざまな取り組みを通じて、局の人材育成に全力で取り組んでまいります。

○木内委員 今お話があったように、日々の業務を通じた指導や事例研究などの職場を挙げてOJTへの取り組みが一つはある。あるいは特定任期つき職員による指導と、非常にユニークなシステム上の特筆を持っている。さらに、行政専門職課長を設置しているということでありまして、局を挙げて、こうした工夫を凝らしての取り組みが進められていることがよくわかりました。いわば極めて専門性の高い、都労委の業務にとっては人材が全てであるというふうにいって私は過言ではないと思うのであります。
 長期的な視点を持ちながら、引き続き専門人材の育成に精力的に取り組んでもらいたいと、このことを強く申し上げておきたいと思うんです。
 きょうの質疑を通じて、労働委員会には、日本の社会風土の中で集団的労使紛争に納得性の高い解決を実現することで、経済社会を安定化させるという存在意義というものがあることが明確に確認できました。今後もこの存在意義を踏まえて、都労委には公正かつ親身な事件対応を積み重ねてもらいたいと思うのでございます。
 中国の歴史書、史記に汗馬の労という言葉があります。文字どおり、馬に汗をかかせるような働きという意味でありまして、他人のために並々ならぬ苦労をして働いている状況を表現しています。
 労働委員会はこの言葉のとおり、表面に立たず地味な役割に徹する仕事でありますけれども、戦後ずっと長い期間にわたって社会システムの安定装置として機能し続けているのでありまして、冒頭申し上げた、地味だけれどもすごいという、そのことの意味も改めてかみしめざるを得ないのであります。
 今後とも、東京の安定した労使関係の実現のため、三十九名の委員の皆様と事務局職員が力を合わせて最大の力が発揮できるよう、指揮官先頭単縦陣という俚諺のとおり、土渕局長にはこのことを強く要望いたします。
 最後に、これまでの社会の発想や制度の大きな転換を求める働き方改革がなお声高に叫ばれる昨今、良好な労使関係の構築という都労委の役割を果たしていこうとする局長の決意を伺って、私の質問の締めくくりとさせていただきます。

○土渕労働委員会事務局長 東京都労働委員会は、全国の約半数の事件を取り扱うとともに、労働組合法上の労働者の定義に新たな解釈を加えるといった全国のリーディングケースとなる命令を発出するなど、量並びに質の両面で全国の労働委員会を牽引してまいりました。
 労働委員会での紛争解決は、単なる個別事業の解決にとどまらず、労使が労働委員会での労働紛争解決の経験を重ねることによりまして、労使関係のルールや紛争解決のノウハウが雇用社会へフィードバックされ、紛争の企業内解決や予防にも貢献しているところでございます。
 今後とも、労働委員会制度の最大のメリットである三者構成による労使紛争解決能力と、労使関係の円滑化機能を有効に発揮し続けることで、労使関係の安定、さらには東京の経済の活性化を支えてまいります。

○柴崎委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○柴崎委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で労働委員会事務局関係を終わります。

○柴崎委員長 これより港湾局関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 松川港湾経営部長は所用のため、本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○古谷総務部長 十月二十日開催の当委員会で要求のございました資料をご説明申し上げます。
 要求のございました資料は、表紙をおめくりいただきまして目次に記載のとおり、四項目でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。臨海副都心関連予算・決算の推移でございます。
 臨海副都心関連の整備費等に係る費用につきまして、臨海副都心整備に係るものをAの欄に、関連事業に係るものをBの欄に区分して記載し、昭和六十三年度から平成二十六年度までは決算額を、二十七年度、二十八年度の二カ年は予算額を億円単位で計算しております。
 また、参考として、臨海副都心建設株式会社への貸付金額の推移を同様に記載しております。
 二ページをお開き願います。臨海地域開発事業会計における企業債償還の推移でございます。
 臨海副都心開発の基盤整備にかかわる企業債を転貸債、建設元利金債の二つに区分し、平成元年度から三十六年度までの発行額及び償還額を百万円単位で記載してございます。平成二十六年度までは決算額、二十七年度は決算見込み額、二十八年度は予算額、二十九年度以降は計画額を記載してございます。
 三ページをお開き願います。臨海副都心における有償処分予定地の現況一覧でございます。
 有償処分予定地を開発確定面積と、今後開発予定面積の二つに分けてございます。そのうち、開発確定面積を処分済み及び処分手続中に区分し、また、今後開発予定面積を公募中及び今後処分予定に区分しております。そのおのおのの項目について、昨年度末時点の面積をヘクタール単位でお示ししてございます。
 四ページをお開き願います。建設発生土・しゅんせつ土の埋立処分計画と実績でございます。
 平成二十三年度から二十七年度までの五年間における計画土量及び実績土量を万立方メートル単位で掲載しております。
 以上をもちまして、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○柴崎委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○山崎委員 まず、MICE、国際観光拠点の整備について、何点か伺っていきたいと思います。
 臨海副都心は、平成元年の開発のスタートから四半世紀が経過をし、ゆりかもめ、幹線道路などの交通のインフラや、公園、ライフラインなどの都市基盤の整備が進み、これまでに多くの事業者が進出し、各エリアが特色あるまちへと発展してまいりました。今では、ビジネス、ショッピング、エンターテインメント、スポーツ、そして観光など多彩な目的で、国内外から多くの人々が訪れるようになっております。
 例えば東京ビッグサイトでは、東京モーターショーを初めとする、さまざまな展示会が年間を通じ開催されております。また、お台場海浜公園やダイバーシティ東京プラザがある青海地区では、ビーチバレーなどのスポーツのイベントのほか、世界的に有名なパフォーマンス集団であるシルク・ドゥ・ソレイユの公演などが開催され、にぎわいを見せているわけであります。
 また、東京の二〇二〇大会では、臨海副都心において多くの競技が開催をされます。特に青海地区の未処分地は、大会の追加種目となったスケートボードやスポーツクライミングの競技会場として利用されます。
 また、りんかい線の東京テレポート駅に隣接する区画も、東京大会で使用できないビッグサイトの代替展示場として、一年八カ月間利用されることとなっております。
 現在、都は我が党の主張を踏まえて、臨海副都心のMICE、国際観光拠点化を推進しておりますが、国際会議や展示会の開催についても、また観光振興についても、今後の東京の産業と経済の発展には欠かせない要素だと思います。
 そこで、このMICE、国際観光拠点化に関して、現状と今後の取り組みを質問していきたいと思います。
 初めに、臨海副都心において、MICE、国際観光拠点化を目指す意義について、改めてお伺いをいたします。

○篠原臨海開発部長 MICE、国際観光機能の充実は、ビジネス機会やイノベーションの創出により産業活動に好影響をもたらすことに加えまして、来訪者の増加などにより、大きな経済波及効果を期待できるものでございます。
 臨海副都心には東京ビッグサイトやホテル、商業施設など、既に一定のMICE、観光機能が集積しておりまして、これをさらに発展させることで、東京の経済、産業の成長を促し、ひいては東京のプレゼンスの向上につなげてまいります。

○山崎委員 ありがとうございました。今、既にある集積をベースとして、臨海副都心を発展させていくという都の考え方が確認できたわけであります。
 確かにこのエリアは、東京ビッグサイトなどの施設がそろい、展示会などのイベントが盛んに行われており、これを一つのアドバンテージとして発展させていくべきと思いますが、そのためには、まず現状をしっかり分析した上で今後の整備を考え、進めていく必要があると思います。
 そこで、MICE、国際観光機能の要素である展示場、会議場やホテルなどの宿泊施設について、現在の集積状況をお伺いいたします。

○篠原臨海開発部長 展示場、会議場に関しましては、まず、東京ビッグサイトが日本最大の展示面積を有しますとともに、一千人規模の国際会議場を備えております。これ以外にも、臨海副都心内には、展示場や会議場に使用が可能な多目的ホールなどを備える十六の施設がございます。このうち最大の多目的ホールでは、約三千三百人の会議を開催することが可能です。
 また、宿泊施設としましては六つのホテルがございまして、総客室数は約三千五百室でございます。

○山崎委員 ビッグサイトを初めとして、MICE関連の施設が一定程度そろっていることが確認できましたが、海外のMICE施設と比較をすれば、まだまだ十分とはいえないと思います。
 医学界や産業界などの主要な国際会議は、参加者も数千人となる場合が多く、こうした会議を臨海副都心に誘致するためには、大規模な会議施設が必要であり、さらに、それを支えるホテルなどの宿泊機能の充実もしっかり図るべきと考えますが、所見を伺います。

○篠原臨海開発部長 現在、臨海副都心にある会議施設は、最大の施設でも三千三百人規模にとどまっておりまして、お話のように、大規模な国際会議を誘致するためには、五千人から一万人規模の会議室を備えていくことが必要でございます。
 また、宿泊機能につきましては、現在、この地域にあるホテルの客室の稼働率がおおむね九〇%を超えている状況にありますので、新たな需要に対応していくためには、さらに宿泊施設の充実を図る必要があると考えております。

○山崎委員 ありがとうございました。大規模な会議に対応する施設や、ホテルなどの宿泊機能の充実が必要との答弁でありましたが、私はそれ以外にも必要な要素があると思います。
 それは、MICE施設の海外での成功事例としてよく取り上げられるシンガポールのマリーナ・ベイ・サンズであります。一万人を超える規模の国際会議に対応する施設に加え、二千五百室を有するホテルがあり、さらに展示場やカジノ、劇場などが一体的に整備をされています。複合的な機能が一つのパッケージとなっていることが、マリーナ・ベイ・サンズの大きな強みでもあり、そうした機能があることが、多くの国際会議の誘致に成功している要因だと思います。
 MICE、国際観光機能の充実を図っていく上で、複合的な機能を一体として提供するということが大変必要と考えますが、こうした点も踏まえて、今後の臨海副都心開発について、都の見解を伺います。

○篠原臨海開発部長 お話のありましたシンガポールの施設は、参考とすべき成功事例の一つだと認識しております。
 今後、臨海副都心のMICE、国際観光拠点化を推進するに当たりましては、青海地区北側の約十四ヘクタールの未処分地を中心として開発を進め、MICE機能等の充実を図っていく予定でございます。
 これまでの集積を最大限に生かしまして、臨海副都心ならではの拠点としていくため、海外事例も踏まえて検討を進め、専門家などの意見も聞きながら、具体的な開発方向を定めていきたいと考えております。

○山崎委員 東京が世界との都市間競争に勝ち抜いて、また、日本の経済をリードする都市として継続的に発展していくためには、臨海副都心の役割が極めて重要であります。世界中から人や物、情報、技術を引きつけられる、世界トップレベルのMICE、国際観光拠点を一刻も早く実現すべきと考えます。
 このためにも、オリンピック・パラリンピックの大会後の速やかな開発着手に向けて、着実に準備を進めていただくよう、強く要望させていただきたいと思います。
 次に、東京港の機能強化について伺います。
 東京港の外貿コンテナ貨物取扱量は増加傾向にあり、平成二十三年から五年連続で四百万TEUを超えております。ことしの上半期の取扱量についても、輸出貨物の比率が高い横浜港、神戸港といった国内主要港が軒並み前年に比べ減少している中、首都圏という大消費地を背後に抱え、輸入貨物の比率が高い東京港では増加をしております。
 こうした状況の中、東京港のコンテナ貨物取扱量は、当初想定されていたコンテナターミナルの施設容量を上回る状態となっており、ターミナル周辺で季節や、また時間帯によって交通混雑が発生しております。今後も輸入貨物の増大傾向が見込まれることから、交通混雑対策についてしっかりと取り組んでいかなければなりません。
 東京港では、夕方の交通混雑の平準化に向けて、平成二十三年十二月よりゲートのオープン時間を一時間前倒しし、夕方の引き取りを早朝にシフトする早朝ゲートオープンの取り組みを、港湾運送事業者の方々のご理解をいただきながら進めてきたところであります。それによって、午前中の取扱量がふえ、午後の取扱量が減少するなどの成果を上げ、また、交通の対策にも成果を上げているわけでございます。
 しかしながら、より一層の円滑な物流を実現するためには、これまで以上に海上輸送と陸上輸送の連携を強化していくことが大変重要であります。
 我が党は、これまでこうした視点で多くの質疑を行ってまいりましたが、その対策の一つとして、本年度、ターミナルの外に二十四時間利用可能な搬出貨物の一時保管場所、いわゆるストックヤードを設け、実証実験を行うとのことでありました。
 そこでまず、このストックヤードの実証実験について伺います。
 本実証実験はどのような課題認識のもと、取り組みを行おうとしたのか、改めてその考え方を伺います。

○蔵居港湾振興担当部長 東京港におけるコンテナターミナルのゲート前混雑の背景には、輸入貨物が多いことに加え、荷主が輸送時間を午前中の開業時間等に指定するといった慣習化された物流サイクルがあり、遠方の荷主へ配送するトラックは前日の夕方ごろに事前に貨物を引き出すため、ゲート前に集中する傾向があります。
 一方、夕方に比べ午前中は、程度にばらつきはあるものの、ゲート前が比較的あいている時間帯も見受けられることから、午前中などに貨物をターミナルから搬出し、一時保管する場所を設置することが混雑緩和に効果的であります。
 このため、本年度、ターミナルの外に二十四時間利用可能な輸入コンテナ貨物の一時保管場所である、いわゆるストックヤードを設置し、交通混雑平準化や物流円滑化を図る実証実験を行うこととしました。

○山崎委員 東京港では、夕方の交通混雑の平準化に向けて、早朝ゲートオープンの取り組みを進めてきたところであります。こうした取り組みに加え、さらに午前中の比較的すいている時間を活用し、交通混雑の平準化や物流の円滑化を図ることを目的とした、今回のストックヤードの実証実験を行うことは、輸入港である東京港の特徴を捉えた有効な取り組みであるといえるのではないかと思います。
 次に、ストックヤード実証実験の具体的な内容と、その効果について伺います。

○蔵居港湾振興担当部長 実証実験は本年度中に開始し、来年度まで実施することを予定しており、場所は大井地区内の約二ヘクタールの用地で行います。
 ストックヤードには約百八十台の駐車スペースを設けて、二十四時間搬出入が可能で、コンテナターミナルから搬出した輸入コンテナ貨物の仮置き場として利用していきます。
 ストックヤードの利用については、予約制とし、運用を行う東京港埠頭株式会社が東京港ポータルサイト内に予約システムを設けます。本実験により、随時、輸入コンテナ貨物の引き出しが可能となり、夕方に集中する車両を分散化させることで、ゲート前混雑の緩和を図るとともに、車両の待ち時間が減少するなど、陸上輸送の効率化にもつながるものと考えております。

○山崎委員 今、答弁をいただいた内容で実証実験を進めていくということでありますが、より効果的な施策としていくためには、来年度の実験終了を持つことなく、早期に課題を把握、整理し、今後の展開につなげていくべきと考えますが、見解を伺います。

○蔵居港湾振興担当部長 本年度末から来年度に実験を行いますが、実験終了を待つことなく、随時、成果及び課題の把握を行い、内容の充実強化を図っていきます。
 また、検証を進めていく中で、より効果的な事業実施を図るため、トラック事業者や港湾事業者の意見も聞きながら、必要な見直しや規模の拡大を検討するなど、陸上と海上の輸送の連携を強化するためのさらなる施策展開につなげていきます。
 物流全体を見据えたこうした施策を積み重ねていくことで、利用者にとって快適で使いやすい東京港を実現してまいります。

○山崎委員 円滑な物流の実現に向けて、海上と陸上の輸送の連携を強化する施策にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。そのためにも、実証実験による効果を把握し、わかりやすく示していくことが、より効果的な施策を展開していくためには必要だと考えます。
 東京港の交通混雑解消に向けては、ストックヤードのような比較的短期間で実施することができる対策も進めるなど、でき得る取り組みを着実に実施していただきたい、そのように思います。
 これまでの質疑では、交通混雑解消に向けた取り組みであるストックヤード実証実験について確認をしてまいりましたが、現在、東京港が抱える根本的な課題は、施設容量を超える貨物を取り扱っているということであります。そのため我が党は、東京港の抜本的な機能強化が不可欠であり、新規コンテナふ頭の整備、既存コンテナふ頭の再編を進める必要性を繰り返し主張してまいりました。
 そこで改めて、東京港の再編の必要性について、都の見解を伺います。

○蔵居港湾振興担当部長 東京港においては、アジア各国の経済発展により、アジア地域からの家電、日用品や食料品等の生活関連物資などの輸入貨物が一貫して増加してきており、理事ご指摘のとおり、現在、施設容量を超える貨物を取り扱っております。
 そのため、今後も東京港が首都圏四千万人の生活と産業を支えていくためには、抜本的な機能強化が必要であり、中央防波堤外側の新規コンテナふ頭の早期供用を図るとともに、それを活用した既存コンテナふ頭の再編などを確実に実施していかなければならないと考えております。

○山崎委員 施設容量が不足することにより、効率的な物流の実現が阻害されることになり、先ほどの質疑にもあったように、交通混雑につながる問題であります。
 そのため、新規ふ頭の整備を契機として既存ふ頭の再編を行い、東京港の抜本的な機能強化を図る取り組みについては確実に実施すべきものであり、そのことを改めて申し上げておきたいと思います。
 ところで、海運業界では、新造船竣工による船舶供給の増加により需給バランスが悪化するとともに、運賃水準は競争激化により世界的に低迷をしています。
 こうした中、青海A3バースの借り受けである韓国の船会社の韓進海運の経営破綻や、来年四月には定期航路の共同運航を行うアライアンスがこれまでの四つから三つへ再編されることに加え、大井ふ頭の借り受け者である、我が国の船会社の川崎汽船や商船三井、日本郵船の定期コンテナ事業の統合など、その動向は急激に変化をしてまいります。
 このような動きが貨物量にも影響を与えるのではないかとの声も聞きますが、こうした海運動向の問題は利用者の経営にかかわる問題であり、このことが取扱貨物量の減少につながるものではありません。そこをしっかりと認識した上で検討をしていかなければ、対応の方法を間違えることになります。
 そこで、東京港の利用者の状況について伺いたい。韓進海運が本年八月に日本の会社更生法に相当する法定管理、いわゆる回生手続開始の申請を行った。同社の動向による東京港の再編に与える影響を最小限にとどめなければならないが、現在の韓進海運はどのような状況であるか伺います。

○蔵居港湾振興担当部長 青海A3バースの借り受け者であります韓国の韓進海運は、中央防波堤外側Y2バースについて、平成二十九年内供用開始予定とする賃貸借予約契約を、東京港のコンテナターミナルの管理を行っております東京港埠頭株式会社と結んでおります。
 一方で、韓進海運は、八月三十一日に日本の会社更生法に当たる回生手続開始の申請を裁判所に行いました。九月一日には手続開始の決定がなされ、現在、計画の策定が進められております。本年十二月二十三日が回生計画の提出期限とされており、その後、裁判所による認可が行われる予定となっております。
 韓進海運は回生計画の中で、会社の継続、他社による救済的な合併または買収、解散という道を選択することになりますが、都としてはこうした動向を注視し、適切に対応してまいります。

○山崎委員 Y2バースを活用して既存のふ頭の再編を進めていくことは、東京港の抜本的な機能強化を図る上で極めて重要であり、韓進海運の動向を注視し、迅速に対応できるよう情報収集に努め、検討を進めていただきたいと思います。
 また、先月末には、川崎汽船、商船三井、日本郵船が定期コンテナ船事業を統合すると発表いたしました。これら邦船三社は、大井ふ頭において各社二バースずつ利用しており、東京港の極めて重要な利用者であります。日本で唯一のコンテナ船会社となる新会社が、今後、高品質かつ競争力のあるサービスを提供し、我が国産業の成長を力強く支えていく責務を負っていると考えます。
 そこで、都としても、東京港の重要な利用者となる新会社にしっかりと対応していくべきと考えますが、見解を伺います。

○蔵居港湾振興担当部長 川崎汽船、商船三井、日本郵船の邦船三社は、定期コンテナ船事業の統合を目的とした合弁会社を平成二十九年七月に設立し、三十年四月からサービスを開始する予定となっております。
 新会社は、船腹量では、二十フィートコンテナ換算で約百四十万TEUで世界第六位、グローバルシェア約七%に相当する規模になる予定であります。
 邦船三社は大井ふ頭を合計六バースご利用いただき、東京港の外貿コンテナ取扱貨物の約四割強を占める重要な利用者であることから、都としては、新会社の競争力強化の取り組みに資するとともに、東京港としても全体として機能強化されるよう、利用者ニーズを把握し、適切に対応してまいります。
 そのためには、まず、ガントリークレーンの大型化、岸壁や防舷材の補強など、これまでの取り組みを迅速に進めていくとともに、今後の新会社の戦略も踏まえ、大井ふ頭のさらなる機能強化に取り組んでまいります。

○山崎委員 韓進海運の経営破綻、邦船三社の定期コンテナ事業の統合、来年四月からのアライアンスの再編など、海運動向は厳しさを増しております。
 先ほど申し上げたとおり、海運動向の問題は東京港の利用者である船会社の経営にかかわる問題であることから、東京港のふ頭を利用していく上で、そのニーズをきちんと踏まえ、適切に対応していただきたいと思います。
 一方で、これまで申し上げているとおり、現に東京港の施設容量が不足していることから、新規ふ頭の整備や既存ふ頭の再編を進め、東京港の機能強化を図るという根本的な課題は変わらないわけであります。
 そのため、都としてどのような状況下にあっても、ふ頭の再編を含む東京港の抜本的な機能強化をしっかりと進めていくべきと考えますが、局長の決意を伺いたいと思います。

○斎藤港湾局長 東京港は昭和十六年に国際貿易港として開港後、昭和四十年代には海運のコンテナ化、いわゆるコンテナリゼーションの流れをいち早く捉え、その後も社会状況やユーザーのニーズに応える港湾の整備運営に努めてまいりました。
 その結果、今では日本の外貿コンテナ貨物の約四分の一を取り扱うリーディングポートとして、極めて重要な役割を果たしております。
 一方、直近の海運業界再編等の動きは、数十年に一度の大きな変革であることが予想されます。関連事業者を含めた業界動向について注意深く見ていく必要があろうかと思いますが、首都圏や東日本の実需の大半を担う東京港の役割には変わりはなく、我が国の発展とともに、今後も貨物量は増加をしていくものと考えております。
 したがいまして、山崎理事ご指摘のとおり、現在、施設容量を超える貨物の取り扱いをしております東京港の抜本的な機能強化を図っていくことは、ぜひとも必要でございます。
 そのため、広大なヤードと最新鋭の機器を備えた中央防波堤外側コンテナふ頭の整備及びこれに引き続く既存ふ頭の再編を確実に実施していくことは不可欠であり、その実現に向けて、局一丸となって取り組んでまいります。

○山崎委員 東京港が今後も首都圏や東日本の実需を担うという役割を果たしていくためにも、新規ふ頭の整備や既存ふ頭の再編を確実に進めていくと、局長から力強い決意がございました。ぜひしっかりと進めていただきたいと思います。
 改めて申し上げるまでもありませんが、港湾の整備は一年や二年でできるものではありません。東京港では、これまでも船舶の大型化や貨物の増大等のニーズに対応するため、大井ふ頭の再編整備に取り組んできましたが、平成八年度から平成十五年度までの八年間もかけ、約八百億円の事業費を投入するなど、長い年月と予算をかけて実現してきたものであります。
 港湾の整備には時間がかかるものだからこそ、東京を世界で一番の都市にしていくため、その実現を物流面で支える東京港については、事業の継続性という観点からも、将来をしっかりと見据えて、戦略的、また計画的にその実現に向けて取り組んでいかなければならないと思います。
 東京港において、ぜひこうした視点でしっかりと取り組みを進めていただくことを切に要望し、私の質問を終わります。

○木内委員 今、同僚委員の山崎一輝理事の質疑を聞いておりまして、感慨を深くしておりました。
 私も本委員会には二十年近く末席を汚させていただいておりますけれども、この間、今、江東区長としてその敏腕を振るっておられる山崎孝明区長と一緒にこの委員会の場でさまざまな提案や意見を申し上げ、これを施策に反映してまいりました。今、見事な都民の財産として残すべき臨海の発展を目の当たりにすることができます。
 そのたいまつを赤々と受け継いだ山崎一輝委員がまた見事な論戦を今展開されました。重ねて申し上げますけれども、中山委員のお父さんともご一緒したことがありまして、そんな感を深くしていたわけであります。いよいよのご活躍を、この場をかりてまず申し上げたいと思います。
 臨海副都心開発についてでありますけれども、申し上げましたが、これまで私は、この開発について支持、推進する立場から提案もし、意見を申し上げてまいりまして、さまざまな議論を行ってまいりました。
 山崎一輝委員ともども、地元的に申し上げれば、江東区である面積が大きいわけであります、臨海は。江東区の歴史そのものが実は埋め立ての歴史でありまして、一六〇三年の江戸開府以来、埋め立てが南東京湾の沖合に向かってどんどん進んでおりまして、まさに江東区の歴史、また都心南部の歴史は埋め立てとともにあったわけであります。その最も地先にこの臨海地域があり、今や世界に喧伝される立派な都民の資産となって、まちを形成している、ここに都政の力の大きさ、また議会の推進のありようの結果というものが痛感されるわけであります。
 臨海副都心の開発は、都心近くの広大な都有地に職と住の均衡のとれた理想的な未来型都市を創造し、二十一世紀の東京に新たな価値をもたらすとともに、日本の将来に貢献していくという壮大なプロジェクトとして、平成元年から開発が始まっています。
 その後、社会経済状況の変化に合わせて、まちづくりの計画を逐次見直しつつ、着実に開発を進めてきておりまして、その結果、ビジネスや観光で多くの人が訪れるまちへと成長してきているのであります。
 加えて、後に触れますけれども、国内屈指のがん治療病院を初め、中小企業の技術開発支援を行う都立産業技術研究センターや国の産業技術総合研究所、さらには大学も立地するなど、アカデミックな側面を至るところに有するまちにもなってきているのであります。
 これはかねてより私が主張してきたことでありまして、現在までの道のりを考えると、重ねていいますけれども、まことに感慨深いものがあります。
 さて本日、私は過去にも質疑をしてきた中で、まず外国人旅行者の受け入れ環境整備、研究開発と産業創生のまちとしての状況、都市基盤などのまちづくりの三点をピックアップして質疑を展開してまいりたいと思います。
 かねてより、臨海副都心における外国人旅行者の受け入れ環境整備が重要であるということを私は訴えてきた。現在も多くの外国人旅行者が臨海副都心を訪れていますけれども、四年後の東京二〇二〇大会においては、さまざまな競技がこのエリアで行われる予定でありまして、国際放送センターなどの関連施設も設置され、ますます多くの方々が訪れることになります。
 そこでまず、概括的にでありますけれども、臨海副都心における外国人旅行者の受け入れ環境整備についての基本的な考え方をご報告願います。

○塩田営業担当部長 臨海副都心は、MICE、国際観光拠点として発展させることを目指しており、国際会議や世界的なイベントなどの誘致、開催を支えるとともに、世界各国からの来訪者を温かく受け入れ、もてなす環境づくりが極めて重要でございます。
 このため、外国人旅行者が言葉や文化、生活習慣などの違いを乗り越えて、快適な活動、滞在ができるように、多言語による案内表示の整備充実を図るほか、外国人向けの多様なサービスの提供、外国語でのさまざまな情報の提供と通信環境の整備などを進めてまいります。
 こうした環境整備に当たりましては、民間事業者の発想や独自性を生かせるように補助制度を設置し、都と事業者が連携しながら、まち全体が一体となって取り組みを進めてまいります。

○木内委員 都と事業者が連携しながら、まち全体が一体となって取り組んでいくということでありまして、きょうは具体的な答弁は結構ですけれども、例えば有明に大きなマンションの管理組合の連絡協議会があったり、あるいはまちづくりのためのさまざまな組織がつくられていたり、そうした住民や事業者からの意見というものを現場主義でどんどん吸収して、さらにこれを施策に反映していくということは非常に重要であります。
 特に、先ほども山崎委員の質疑にありましたけれども、MICEの中核となる、この地域の活動の重要性はいうまでもありません。
 後に触れますけれども、あるアメリカの富裕層を読者に持つ雑誌の調査では、今、東京は世界一魅力的な都市についにランクアップをされたというのがありますけれども、このMICEの充実というものは、例えば医師会であったり、さまざまな業界の会議がここで行われて、家族が一緒に来て、裕福な、いわばそうした財政状況の人が集まった場合に新しいプログラムというものを用意して、この臨海から全国にこれを派生、波及させていくなどの立体的、構造的な取り組みも必要だと思うのであります。
 さて、それはさておきまして、世界中から多くの方々に臨海副都心へ足を運んでいただくためには、今、答弁にあったように、外国人旅行者、インバウンドで見えた皆さんが快適に観光を楽しめる環境づくりや仕組みづくりが必要であります。
 都は、これまでの受け入れ環境整備、政策について推進をしてきましたけれども、その今日的な具体的な取り組みの成果を伺います。

○塩田営業担当部長 都は、先ほど述べました補助制度を活用しまして、外国人旅行者に向けたサービスの充実に取り組む民間事業者を支援するなどにより、受け入れ環境の整備を進めてまいりました。
 例えば、飲食メニューや食材表記の多言語での表示、病院等の館内の多言語での案内などを支援しているほか、臨海副都心の観光情報ホームページを多言語で提供しております。
 また、外国人旅行者のサービスに重点を置いた観光案内所が、東京テレポート駅前に平成二十八年六月に開設されたところでございます。
 このほか、無料Wi-Fiスポットが臨海副都心内の四十六カ所に整備され、多言語対応のデジタルサイネージが台場、青海、有明南地区に合計二十九台設置されております。
 こうした整備により、外国人への情報提供や通信環境の面では、都内でも有数のエリアとなっております。

○木内委員 インバウンドの観光客が一千万台から二千万台に到達した。これをさらに四千万に持っていくという構想が、一方で国においてあるわけでありまして、もう一つは、産業労働局に観光部というのがあって、東京都の観光政策の立案、施策の推進構築を目指している。同時に、私は港湾局でもそれと同じように力こぶを入れるべきだと。外国人旅行者の受け入れ環境の整備というものは、まさに日本の全体の社会を牽引するような、施策のさまざまなやぐらを構築していくべきだと思うんです。
 この後、聞くんですけれども、例えば外国から来たお客さんたちが一番関心を持つのは日本の歴史、文化、並んで食事なんですね。
 私は思うんですけれども、あるとき、訪米団の一員としてニューヨーク、ワシントンを約半月訪ねたことがありますけれども、たまたまメディアの複数の記者さんが同行してくれました。ある朝、ニューヨークのホテルで食事をしていたら、隣のテーブルに新聞記者さんたちが四、五人集まっていて、隣の現地のアメリカ人が食べている、いわゆる目玉焼きが欲しいんだけれども、英語でどういえばいいかわからないというので教えたことがあるんです。皆さんご存じだと思うけれども、目玉焼きは、古谷部長、サニーサイドっていうんですよね。あの方は英語の達人だから。もう一つ、いり卵はスクランブルエッグ、ゆで卵はボイルドエッグ。
 おいしいものを欲しくても言葉に出さなければ、メニューを選択して伝えることができないわけでありますけれども、そういうメニューの準備というものも非常に重要になってくる。言語を転換する方策というものも受け入れ環境の整備に取り入れていく必要があると、こんなふうにも思うんです。それで、臨海独自のインバウンド政策というものをさらに樹立して、工夫を凝らすべきだということを申し上げたい。
 観光旅行の楽しみの一つは、申し上げたように食事でありまして、外国から訪れる方にはぜひ日本食を楽しんでほしいんですけれども、言葉がわからなければ、希望どおりの注文もできない。
 さらに、食文化の違いや慣習、宗教上の問題で口にできない食材もある、こう聞いているんです。特にムスリムの方たちは、宗教的な理由で豚肉を食べることができないなどの特別な事情もお持ちになっているし、これまでも支援の重要性をこれについては訴えてきたところであります。
 例えば、臨海において、外国人旅行者が言葉の壁を乗り越えて気兼ねなく食事を楽しめるように、都として環境整備を進めるべきだと思うんですが、どうでしょうか。

○塩田営業担当部長 言語や食習慣の異なる外国人が日本での食事を楽しんでいただけるように、MICE、国際観光拠点としての環境づくりを早急に進めていく必要がございます。
 このため、外国人旅行者がみずから料理の内容や使われている食材について確認できるように、肉の種類や乳製品など食材も表記した多言語メニューの作成を支援してまいりました。
 また、先ほど述べました観光案内所では飲食店の情報提供も行っており、この中でムスリムの方たちに向けて、ハラール対応できる飲食店も紹介しております。
 今後も、多くの外国人旅行者が不安や不満を感じることなく食事ができる環境づくりが広がるよう、支援を行ってまいります。

○木内委員 日本とは異なった文化を持つ方々も、臨海副都心に来たら、安心で、かつ快適な滞在ができるんだという、そういう安堵感が与えられるような環境づくりが必要でありまして、ぜひとも今後、具体的な政策を展開してもらいたい。
 食事以外にも、外国人は旅行中さまざまな問題に遭遇することがあるんです。私もかつて本委員会で訴えたことがあるんですけれども、ロシアの中年の女性がある観光地で、私に困った顔をして相談してきたんです。カードを持っているんだけれども、日本のコンビニや銀行でカードで換金できない、ATMが使えないと、こういう訴えでありまして、今どきそんなことがあるわけないじゃないかというので、帰京して産業労働局に聞きましたら、確かにそのとおりなんですと。
 今、ATMを使えるのはメガバンクの極めて一部と、あるいはセブンイレブンのセブン銀行とゆうちょ銀行、このくらいなんです。あとはカードがあってもインバウンドで来た外国人旅行者の方々は現金化できない。臨海ではどこに行ってもATMも使える、また何を食べるにも、どこに行くにも、こういうガイドがある、コンシェルジュがいる、こういうまちにすると、世界に光彩を放つ地域になってくるんだ、こう思うんですね。
 先ほど答弁にあったけれども、観光案内所でこうした悩みや相談にフェース・ツー・フェースのしっかりとしたコミュニケーションで答えていけるようになればいいと思っているんです。
 この観光案内所の外国人旅行者に対するサービスの内容がどういうふうに進んできて、これからどうするのか、お答え願います。

○塩田営業担当部長 東京テレポート駅前に開設されました観光案内所では、英語や中国語で会話ができる観光コンシェルジュを常時配置して、外国人旅行者の応対を行っており、観光地の説明や交通の案内のほか、例えば、けがや病気の方には、二次救急医療機関に指定されております、がん研有明病院を紹介するなど、さまざまな相談に応じております。
 ほかにも、交通、イベント情報などが多言語で調べられるタブレット端末や、アメリカ、中国、韓国等の通貨九種類に対応した外貨両替機を設置するなど、外国人旅行者の快適な旅行を支えるサービスが提供されております。

○木内委員 現状についての報告だけに終始されたようでありますけれども、申し上げた提案も含めて今後ぜひ検討願いたいと思いますし、救急医療の拠点にしても、何度も申し上げますけれども、江東区の山崎区長が非常にご努力をされて完成した昭和大学江東豊洲病院というのがある。この病院なども至近の、いわば指呼の間の距離にあるわけでありますから、がん研有明病院と同様の医療環境の整備の対象としてもいいんじゃないか、このことを今申し上げておきたいと思うのであります。
 観光案内所が外国人旅行者の悩みやトラブルを解決するために効果的に機能することを望みたいんですね。
 今の答弁で話にありましたがん研究所、がん研有明病院は、私が本委員会で臨海副都心に総合病院を誘致すべきという提案を行ったこと、これが契機となって議論がスタートし、十年ほど前に、当時、大塚のがん研のあの場所から移転をしてきた、こういういきさつがあります。
 あそこは、もともとが災害拠点でありまして、有明の丘には災害用のいわゆる備蓄機能というものがある。その丘にできたのががん研有明病院でありまして、あそこは災害発災時には、玄関を入ってすぐのロビーが運動会ができるぐらいの大変広いスペースになっていて、ベッドが二百床いつでも置ける、そして災害対応ができるという側面的機能も持っているところであります。こうしたいわば臨海地域に医療機能というものも充実してきている。
 今では日本の最先端医療を提供している病院として、世界各地からこの病院を目指して来日する方も大変多くいらっしゃるし、さまざまな医療関係の雑誌や、あるいはメディアの記事の中で、このがん治療の病院がリストアップされたときに、常にトップクラスに位置するのが、がん研有明病院であるということも臨海地域の誇りとステータスの一つであると、こう申し上げて過言ではないと思うのであります。
 さて、そこで、今、がん研有明病院には外国人患者がどのくらい通年来ていますか。その状況をご報告願います。

○塩田営業担当部長 がん研有明病院における平成二十七年度の外国人患者数は五百六十七名で、ここ四年間で一・八倍になっております。
 このうち日本在住の方を除いた訪日外国人の患者数は百七十一名で、七倍となっております。

○木内委員 外国人患者が増加している状況であることが確認できました。
 がん研有明病院は、都の補助を受けて外国人患者の受け入れ環境の整備を行ってきたわけでありますけれども、その具体的な内容について、外国人対応などのご報告を願います。

○塩田営業担当部長 MICE、国際観光拠点化の推進に当たりましては、外国人患者の受け入れ環境を整備することも重要と考えており、補助制度を通じて、がん研有明病院の取り組みを支援してまいりました。
 具体的には、通訳がいなくても医師が詳しい症状をしっかりと確認できるように、医師と外国人患者のコミュニケーションを支援するツールとしまして、タブレット端末が配備されております。
 また、救急処置室には、通訳と、医師、外国人患者の三者の間で治療方法など伝えたいことを音声と映像で意思疎通できるテレビ通訳システムも整備されております。
 このほか、ふなれな外国人患者がスムーズに受診できるよう、受け付け時に患者に渡すIT端末によって、待合場所、診療室、会計窓口などをアラーム音と英語によってガイドする取り組みも行われております。

○木内委員 今、報告があったように、がん研有明病院では、最新のIT技術なども駆使して、外国人患者にも安心して治療が受けてもらえるような環境づくりが進められておりますけれども、これをさらに充実されるよう、この場で強く要望しておきたいと思います。
 また、答弁は結構ですけれども、再三にわたって、私がよく病院に伺いますと、木内さんはこの病院の生みの親ですからなんてよくいわれるんです。役員の方にお会いしたときによく聞かれることは、実は当初の規模ではなかなか手狭になってきていて、今の外国人対応も含めて、いわゆる医療機関としての機能というものをさらに力強く発揮するためには、土地の手当てであるとか、あるいはさらに建物の増築であるとか、こういったことも必要なんですと。また、がん治療のためのさまざまな医療機器というものも導入して、これは港湾局ではなかなか難しいわけでありますから別の場で訴えているわけでありますが、こういう意見があります。このことを今お伝えしますので、ぜひともきょうは持ち帰って、答弁は結構ですから、ご検討いただくなり、新しいまた協議を願いたい、こう思うのであります。いずれにしても、外国人対応の医療というもののさらなる環境づくりを推進されるよう、この場で強く求めておきます。
 日本の高度医療を受けられる病院として、この病院が世界の注目を集めるということは、実は何度もいうように、臨海副都心のブランド力の向上にも寄与するものであると、今後ともこうした事業者の取り組みを支援されるよう望みます。
 さて、国は本年三月に発表した明日の日本を支える観光ビジョンにおいて、訪日外国人旅行者を二〇二〇年オリンピックまでに四千万人に倍増させるとの目標を掲げておりまして、国交大臣を先頭に、官邸も今懸命にこの努力を重ねているところであります。私はこれについて、人数の視点だけではなくて、どういう方々が訪れてくるのかということも重要であると、こう考えております。
 さっきちょっと触れましたけれども、アメリカの比較的裕福な人たちを対象にした旅行雑誌「コンデ・ナスト・トラベラー」というのがありますけれども、これが先月発表した世界で最も魅力的な都市の読者投票ランクキング、それによれば、アメリカ以外の都市を対象にした部門の第一位が、世界で一位が東京でありまして、以下、二位は京都、三位がイタリアのフィレンツェでありました。この結果を見ると、東京が比較的裕福な層から高い人気を得ていることがうかがえるのであります。
 私は、いろんな場で訴えるんですけれども、例えば浅草のかつては山谷といわれた地域で簡便な建物の、いわゆるバックパッカーといわれる方々なんかを対象にした安い宿泊費で泊まれる宿泊の施設があったり、あるいは安い食堂なんかの紹介記事もインバウンドの人にはどんどん流布しているようであります。
 一方で、実は世界中のお金持ちが来たいのは日本であって、この人たちはそういう施設の宿泊とか、あるいは日々の日本での旅行日程をこなすということが目的ではなくて、豪華で、それでおいしい食事をして、日本の深い歴史に触れられるようなスケジュールの中で旅行日程を過ごしたいというのもあるわけであります。
 この前、ある外国人と食事をしたんでありますけれども、このときにその人がいっていました。日本にはチャップリンや、あるいはヘレン・ケラーが泊まったという昔のクラッシックホテルがありますねと。例えば、箱根の富士屋ホテル、帝国ホテル、軽井沢の万平ホテル、日光の金谷ホテルなどなど、いわゆるクラッシックホテルです。こういったところは、なかなか外国人の旅行者には紹介の機会が少ないです。私たちは、そういうものに着目をして、ぜひともぜいたくな、そして豊かな旅行を楽しみたいんです、こういうことをいっている方もおられました。
 旅行者の平均単価が安くていっぱい来ていただくことも大変重要な課題であるけれども、また同時に、そうではなくて、豊かな財政状況のもとでいろんなところに心行くまで堪能できる旅行をしたいというのも、一方で、インバウンドの旅行者の方々の率直な気持ちだと思うのであります。
 この結果を見ますと、東京が比較的裕福な層から高い人気を得ているということがうかがえるわけであります。この前も、ボイジャーがふ頭に到着した。あのとき古谷さんも行かれたかな、たびたび名前を申し上げて失礼だけど、私も行った。岸壁に着いている、すさまじい巨大なビルが海に浮かんでいる印象でしたけれども、何と、そこからおりてきて、入国手続をやったりするのが何かうらぶれたガレージみたいな倉庫であったと。こうであってはならないと思うんですけれども、これも含めて、いわば私の申し上げている趣旨というものを十分に反映した、臨海を拠点にした富裕層への環境の構築というものも進めてもらいたい。
 京都や金沢など、日本の歴史や伝統を感じられる都市を周遊するツアーなどを企画すればおもしろいと思う。臨海でドクターたちが会議をMICEでやっているその間、奥さんや子供たちが豪華客船で日本中を回る、その起点が臨海である。大変すばらしい構想だと思うのであります。
 そうして臨海副都心には近年、世界的に有名なホテルや商業施設が進出してきている。また、東京二〇二〇大会までには、海外の大型クルーズ客船を迎え入れる新客船ターミナルがオープンする予定でありまして、こうした機会を捉えて産業労働局などとも連携しながら、インバウンドに対する戦略的な取り組みをお願いしたいと思うのであります。
 次に、研究開発と産業創生のまちとしての状況についてでありますが、臨海副都心は、観光やビジネスのまちという面だけではなく、最先端の科学技術の活用によりまして、新たな産業を創出するまちとしての側面も持っている。
 非常に多様性な表情を持っているのが臨海副都心でありまして、特に、青海地区南側には、都立産業技術研究センターや国の産業技術総合研究所など、東京の中小企業を支える研究機関を初め、新たな技術やサービスを生み出す起業家を支援する三つのインキュベーション施設もあります。これに加えて、最先端の科学技術を展示する日本科学未来館、国内外の研究者や優秀な留学生が滞在する東京国際交流館などが集積し、それらの施設が有機的に連携する一大アカデミックゾーンとなっている。アカデミックゾーンをつくるべきだということも、私は年来主張してきたところでありますけれども、こうした実験施設を利用する企業や、技術支援を希望する企業がどんどん進出していると聞いております。
 そこで、これまでの都の取り組みを伺うとともに、最近の状況として、この地区に進出してきた企業について報告を願いたいと思います。

○塩田営業担当部長 都は、青海地区南側を研究開発、産業創生のまちとして位置づけ、都立産業技術研究センターや国の産業技術総合研究所と連携して機能を強化し、集積を図ってまいりました。その結果としまして、最先端の研究開発を行う企業の進出が進んでおります。
 最近の状況といたしましては、昨年十一月には、タイム二十四ビルに、今話題となっております完全自動走行運転の研究開発を行うベンチャー企業が進出いたしました。この企業は、無人タクシーの開発を進めており、ことしのG7伊勢志摩サミットの会場でもデモンストレーションが行われたところでございます。
 また、ことし一月には、テレコムセンタービルに、事故や病気によって失われた臓器や器官などの回復を目的とする再生医療の研究開発を行う、大学の研究成果から生まれましたベンチャー企業が進出いたしました。

○木内委員 自動走行運転と再生医療、世界中で注目されている研究テーマでありまして、今、話の企業がこの地域を研究開発拠点として選んだということは、まさにこれまでの都の思いと取り組みが実を結んだ結果といえると思います。
 最近では、都立産業技術研究センターがことしの三月、テレコムセンタービルに新たにロボット開発の拠点となる東京ロボット産業支援プラザをオープンしました。また、国の産業技術総合研究所においても、人工知能技術に関する最先端の研究拠点が今後新たに整備されると聞いています。先月には、テレコムセンタービルに隣接する区画においても、最先端の技術を活用した実験的な水素ステーションが設置されました。
 この施設の具体的な機能と、また今後期待できる効果というものをどう考えていますか。

○塩田営業担当部長 この水素ステーションは、都がこの地区の特色であります先端技術の開発を推進するというコンセプトに沿って事業者を誘致し、誕生した施設でございます。
 このステーションでは、太陽光パネルから発電した電気により水素を製造し、これを圧縮して燃料電池自動車に供給することができる小型の設備を有し、CO2削減効果の高い水素エネルギーの利用拡大に向けた実証実験が行われてございます。
 この施設の設置によりまして、将来の水素社会の実現に向けた啓発や先進技術の発信が期待できるほか、この地区が研究開発、産業創生のまちとして発展していくことに寄与するものと考えてございます。

○木内委員 今、答弁にあったように、実証実験が行われることも、この地域が産業創生のまちとしての新しい側面を実は定着させてきたあかしであるというふうに捉えたいと思うんです。
 サイエンスアゴラというものも開催をされている。今後も、こうしたイベントなどを通じて科学者同士が交流し、都立産業技術研究センターや国の産業技術総合研究所を核として、全国の大学や研究機関、さらにはベンチャー企業などとの連携が強化されていくことにより、この地域が日本の科学をリードしていくまちとして発展していくことを期待している。まさに私が訴えてきたところの、いわゆるアカデミックゾーン、この機能が大きくまた充実をしてくるわけであります。
 次に、まちづくりの観点から、増大する交通需要への対応や有明北地区の開発についてでありますけれども、この臨海副都心が大きく発展し、多くの観光客でにぎわっていますけれども、これらを支える重要な要素としての交通インフラの課題があります。
 中でも新交通「ゆりかもめ」やりんかい線などは、この地域にアクセスする公共交通機関のかなめでありまして、今後とも重要な役割を担っていくものと思います。
 一方、先ほど述べたように、東京二〇二〇大会までには、大型クルーズ船を受け入れる新客船ターミナルが整備される。また、大会後に新たなバス高速輸送システム、いわゆるBRTが、りんかい線の国際展示場駅前に乗り入れる計画があると聞いております。
 今後のまちの発展や東京五輪の開催を踏まえると、さまざまな交通インフラの整備、周辺の機能の整理というものも必要になってくる。こうした視点から、東京テレポート駅や国際展示場駅の駅前広場を大幅に改善すべきであると訴えるんですが、見解を求めます。

○山岡開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務 お話にございましたとおり、東京二〇二〇大会の開催やその後の開発によりまして、このエリアを訪れる人々がさらに増加するとともに、交通機関の乗りかえ需要も一層増大することが見込まれております。
 このため、中長期的な視点に立って、交通機関の利用者が円滑に移動できる環境を整えることが必要と考えております。
 ご指摘の東京テレポート駅及び国際展示場駅につきましては、りんかい線と他の交通機関との結節点となっていることから、利用しやすい乗りかえ環境を整えるため、駅前広場の再整備を行ってまいります。

○木内委員 駅前広場の再整備を進めるということでありますけれども、ぜひバリアフリーなど安全・安心に配慮しながら、東京二〇二〇大会に間に合うように整備をされるよう強く求めておきます。
 そこで、駅前広場の具体的な整備内容とスケジュールについてご報告願います。

○山岡開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務 駅前広場の再整備に当たりましては、利用者の利便性を向上させるとともに、より安全な環境を確保するため、バスなど大型車のエリアとタクシーや一般車のエリアを分離するなどの工夫を行うこととしております。
 このうち大型車のエリアにつきましては、バス乗り場を増設するとともに、BRTへの対応としまして、連接バスでも停車できるスペースを確保してまいります。
 また、タクシー、一般車のエリアにつきましては、福祉車両スペースを新たに設置するほか、段差の解消など、バリアフリー化を進めてまいります。
 あわせて、鉄道事業者などとも連携いたしまして、案内サインの多言語対応や表示の工夫などに取り組み、外国人を含め、誰もが快適に移動できる環境を整備してまいります。
 なお、スケジュールでございますけれども、東京二〇二〇大会の前年である平成三十一年度の供用開始を目指し、今年度中に設計を行い、来年度、工事に着手する予定でございます。

○木内委員 具体的な整備内容と時期について明らかになりました。きょうの質疑の肝の一つでありますので、ぜひこの実現に向けて全力でご努力を願いたいと思います。
 さて、こうした交通インフラの整備は、来訪者のみならず、日々臨海副都心に働き、学び、暮らす人々の利便性を向上させます。とりわけ住民が急増している有明北地区に大きな効果をもたらすと思います。
 現在、有明北地区は、既に約九千人が住むまちとなっておりまして、さらに、テニスの森公園東側において、ホテルと一体となった商業施設や大規模なマンションが平成三十二年までに竣工する予定と仄聞しています。
 この地区にある未開発の都有地には、東京二〇二〇大会の体操や自転車の競技場などが整備されるため、本格的な開発は大会後になると思いますけれども、今後の開発に当たり、住民のニーズに配慮しながら、住民にも来訪者にも魅力のあるまちづくりを進めるべきである、こう私は訴えるんですけれども、所見を伺います。

○篠原臨海開発部長 有明北地区は、臨海副都心の他の地区とは異なり、開発以前から民有地がありましたことから、都は、地権者や地元区と密接に連携しながら、まちづくりマスタープランやガイドラインを策定し、これらに基づいて計画的にまちづくりを進めてまいりました。
 現在も、東京二〇二〇大会の競技場が設置されることを踏まえて、この地域の回遊性を高める海上公園や災害時にも活用可能な桟橋などの整備を進めております。
 今後の開発におきましても、引き続き地権者や住民の方の意見を聞きながら、再整備される有明テニスの森公園など、東京二〇二〇大会のレガシーを生かしつつ、周辺の開発動向も踏まえてまちづくりを進めてまいります。

○木内委員 港区の白金に住んでいる若いセレブの女性たちのことをシロガネーゼというそうですけれども、有明北地区は、運河を望む立地にありまして、運河のキャナルという言葉をもじってキャナリーゼといわれる人が住むようになっている。かつての江東区の実は印象とは違うまちというものが、すばらしい近代的なまちの顔を持って今息づいている、こういうことがいえるわけでありまして、こうした景観や水辺空間も生かしながら、しっかり今後の開発を進めてもらいたいと思うのであります。
 臨海副都心は、住宅や業務商業機能のほか、病院や教育機関、大学、研究機関など複合的機能が集積をしているところでありまして、さらに成熟しつつあるということが確認できました。臨海副都心は、多くのオリンピックの競技会場として活用された後、総仕上げの開発が残っているものと考えます。
 そこで、最後に、今後の臨海副都心開発について、局長の率直な決意を伺いたいと思います。

○斎藤港湾局長 臨海副都心の開発に具体的に着手しまして、これまで約二十年が経過したところでございますが、これまで東京ビッグサイトやホテル、商業施設などMICE、国際観光機能が集積をしており、また加えて、木内委員からのお話のように、病院や大学、またいろんな研究機関など多彩な機能、さらには外国人旅行者のおもてなしのマインドといったものも、これはさまざまなサジェスチョンを頂戴しまして、徐々にこういったものも兼ね備えた特色あるまちとして発展しつつあるところというふうに認識をしてございます。
 四年後の東京二〇二〇大会では、臨海副都心の未処分地等を大会の競技会場や関連する施設の用地として活用してまいります。大会後には、青海地区の北側及び、ただいまお話がございました有明北地区を中心に、大会のレガシーをも生かしながら、ビジネスと観光などの拠点として着実に開発を進めてまいります。
 こうした取り組みを通じまして、今後の、先生のいわれる総仕上げの開発が成り立ちました暁には、東京の国際競争力を高め、持続的な成長を支えるまち、これが臨海副都心であるというような姿の実現を目指して、局一丸となって頑張ってまいります。
 都議会の皆様のご支援もどうか引き続きよろしくお願い申し上げます。

○柴崎委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時四十六分休憩

   午後三時開議

○柴崎委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○かち委員 まず、本年三月に契約が成立した海の森水上競技場整備工事についてお聞きします。
 事業予算は、オリンピック・パラリンピック準備局の負担ですが、港湾の整備という技術的特性から、港湾局が受任した事業ということで、本件の入札にかかわってお聞きします。
 先日、東京五輪会場となる海の森と、現在、検討途上ではある水上競技場予定地について視察をしてきました。そこでは既に東側締め切り堤付近で準備工事のような工事が行われていました。
 そこで伺います。港湾局で実施する海の森水上競技場整備工事の内容はどのようなものですか。

○原港湾整備部長 海の森水上競技場整備工事の概要についてでございますが、港湾構造物としての締め切り堤が約三百五十メートル、水門施設が二基、揚水施設が一カ所、排水施設が一カ所、建築施設につきましては二棟で、延べ床面積が合計で約一万三千平方メートルとなってございます。

○かち委員 本工事については、競争入札でありながら、一者JVのみの応札で、予定価格の二百四十八億九千八百六十三万九千六百八十円に対し、九九・九九%で落札しています。
 入札は設計と施工は分離発注が基本ですが、デザインビルド方式といって、設計から施工まで一括発注を行う方法を取り入れています。
 本工事について事業者の選定に当たり、設計施工一括発注による技術提案型総合評価方式とした理由をお聞きします。

○原港湾整備部長 本工事は、施工難易度の高い事業であり、設計段階から施工者の高度な技術力の活用が要求されるとともに、竣工までの時間的猶予がなく、工期内の確実な履行完了を要求するものであるため、設計施工一括発注方式による技術提案型総合評価方式を採用したものでございます。

○かち委員 明確に設計施工分離を義務づける法律上の規定は見当たりませんが、透明性を持って公正に税金を使うという観点から、公共事業は、設計施工分離方式ということが大前提になっているのが現状です。
 コストや工期について、計画の前倒しによる工期短縮などが理由のようですが、こうしたやり方は、実施設計が完了していない状況での見積もりと技術提案をもとに設計、施工を選定する状況もあり、見積もり条件の認識違いや設定漏れなどによる増額リスクが存在することなどが指摘されています。
 今回の場合、予定価格はどのように見積もられたのですか。また、契約額が設計変更などで増額されることがないという保証はあるのでしょうか。

○原港湾整備部長 予定価格につきましては、設計施工一括発注方式を採用しているため、工事費に実施設計費を加え算定しております。
 これらは、基本設計及び積算基準等に基づき算出してございます。
 また、契約金額の変更につきましては、予期せぬ障害物の撤去など、契約締結時の設計施工条件に変更等が生じた際には、契約書の規定に基づき契約変更を行う場合がございます。

○かち委員 追加工事などによって増額もあり得るということですが、もともと詳細設計もできていない中で契約金額を決定するわけですから、あり得ることだと思います。
 今回はこの設計施工一括方式は、五輪施設に限ってということがいわれていますけれども、その前に、国の、東日本大震災の後、復興を促進、早くやらなければいけないと、そういうことで導入された方式ですが、今回はまたオリンピックということで、今回だけとかいうことで導入されておりますけれども、一度こういう形式が導入されると、今後も広がる危惧を抱かざるを得ません。
 公共工事発注の原則は、分離分割発注であるにもかかわらず、今回、異業種特定建設共同企業体が組まれていますが、その理由をお聞きします。

○原港湾整備部長 都の工事発注につきましては、業種ごとに工事を発注する分離分割方式を原則としております。
 一方、オリンピック・パラリンピック競技施設である本工事につきましては、東京二〇二〇大会に向けまして確実に整備すべき工事であるため、先ほど答弁申し上げたとおり、設計施工一括方式を採用してございます。
 この方式におきまして、各業種間の工程調整を容易にし、施工の効率化や迅速化を図るため、異業種特定建設共同企業体を結成し分担施工をすることによりまして、工期内の着実な履行完了を目指すこととしたものでございます。

○かち委員 都の工事発注は、分離分割発注が原則だということは確認しましたけれども、工期が決まっているからそれに間に合わせなければいけないということで、今回採用したということですけれども、どんな工事にも工期というのは決まっているわけで、それに合わせて設計、施工も組み立てられると思うんですね。
 しかし、先ほどから聞いていると、工期の短縮や効率化、迅速化などということから、こういう設計から施工、そして関連工事まで全て一括発注したということです。しかし、そのほかに内容的な必然性は聞かれませんでした。
 ということは、分離分割発注をやろうと思えばできるということだと思います。一者JVしか応札がなく、落札率九九・九九%、これでは本来の競争性も生まれず、限りなく高値落札ということになるわけです。
 しかも、JV入札は、地元中小企業にも入札の機会を拡大するためといわれていますが、今回の落札JVは、大成、東洋、水ingというんですけれども、元の荏原製作所ですね。それから日立造船などによるJVであり、大手ゼネコンばかりです。
 少なくとも一者JVによる応札は、やり直すことを含め改善することを求めておきます。
 次に、技術提案型評価方式については、いろいろな算定方法が取り入れられていますが、その中にある価格点は今回〇・〇〇〇七点であります。価格点とはどういうもので、今回この点数になる根拠は何でしょうか。

○原港湾整備部長 総合評価の方法につきましては、東京都技術提案型総合評価方式実施要綱におきまして、必須の項目を満たしたときに与える基礎点、技術提案の評価を点数化した値である技術点、入札価格を点数化した値である価格点のそれぞれを足し合わせ、評価値を算出するとされております。
 価格点につきましては、満点の六十点に、予定価格に対する入札価格の比率から算出される値を乗じたものであり、本工事では〇・〇〇〇七点となってございます。

○かち委員 今のご説明を聞いても、にわかにはわかりにくいのですが、要するに事業価格に関して、応札者が公表されている予定価格に対して限りなくそれに近い価格設定をすると、評価点はゼロ点に近い。それを少数点以下四桁まで算定するため、今回のように九九・九九%のような結果になるわけです。
 技術点も、基礎点を除いて六十点満点中三十六点という評価です。これは有明アリーナ、アクアティクスセンターの技術点に比べても相対的に低いと思われますが、なぜでしょうか。

○原港湾整備部長 技術点につきましては、本工事と有明アリーナ、オリンピックアクアティクスセンターとでは、技術提案の課題の内容が異なるため、それぞれの技術点を一概に比較することは困難でございます。
 本工事の技術点につきましては、技術提案において求めた課題に対して、あらかじめ定めました評価基準に基づき適正に評価したものでございます。

○かち委員 適正に評価されたといわれましたが、本工事は高度な技術を要求されている工事であるだけに、技術点評価が六十点満点に対し三十六点というのは低いといわざるを得ません。
 ご答弁の中にあった水上競技場工事における技術提案の課題というのは、どのようなものですか。

○原港湾整備部長 本工事におきましては、三つの課題に対し技術提案を求めております。
 一つ目は、複数の業種間での十分な協力体制を確立し、円滑な施工の実施が不可欠であることから、異業種JVによる設計施工体制についてでございます。
 二点目につきましては、東側の締め切り堤について、他の工事で使用する大型船舶を竣工の半年前まで航行させるため、特に詳細な工程管理が必要となることから、東側締め切り堤区間の施工時期を確実に達成するための施工方法及び工程管理について設定してございます。
 三点目は、締め切り堤と既設護岸との取りつけ部分につきましては、遮水性を持続的に保った構造とするために、高度な技術力が必要であることから、締め切り堤の既設護岸取りつけ部の遮水性能の検討、検証体制について定めたものでございます。

○かち委員 どんな公共工事でも、その工事の困難性や諸条件があるのは事実です。そのような工事でも、これまでは分離発注で行ってきたわけです。今回一括発注しなければならない理由は、ひとえに期日までに工期を終えて完成させるということに尽きると思いますが、それは当然のことではないでしょうか。しかし、比較検討する対象がないわけですから、技術点が低くても、そこに落札することになるわけです。
 技術審査委員会のメンバーが都職員六人であります。一方、有明アリーナ、アクアティクスセンターは、五人中三人が大学教授となっています。
 審査員はどういう基準で選定するのですか。海の森水上競技場の審査員を全員職員とした理由、また、なぜ外部委員を入れなかったのかをお聞きします。

○原港湾整備部長 技術提案型総合評価方式の技術審査を適正に実施するため、実施要綱等の基準に基づき、実施方針の調査、審議、技術提案審査基準の策定、技術提案等の審査を行う技術審査委員会を設置してございます。
 本工事におきましては、局所管の海洋土木工事等に多数の経験を有する六名の都技術職員の審査委員とともに、構造、品質管理、契約制度、法務等の分野で専門的知見を有する三名の学識経験者を特別委員として選定してございます。
 技術提案書の審査に当たりましては、特別委員に対し、都職員の審査内容について詳細に説明した上で意見を聴取し、審査の妥当性を客観的に確保しているところでございます。

○かち委員 いろいろ聞いてまいりましたが、要綱上は二人以上の外部審査員の意見を聞くことになっているので、技術審査委員でなくてもよいと判断したと思いますが、そうした中でも、より客観性を担保するために、有明アリーナ、アクアティクスの場合は、外部の学識経験者を審査委員に入れているわけですから、より透明性、積極性を発揮していく方向こそ検討すべきだったと思います。
 今回の事業受任における入札経過についてお聞きしてきましたけれども、二〇二〇年五輪に間に合わせることをキーワードとして、設計施工一括による技術提案型総合評価方式及び異業種特定建設共同企業体発注は、極めて特殊なやり方であり、しかも競争入札でありながら、一者JVしか参加できず、九九・九九%の高落札という、このような入札のあり方については、抜本的な見直しをすべきだということを申し上げて、この質問を終わります。
 次に、先ほどもありましたが、国際コンテナ戦略港湾政策についてお聞きします。
 国は、二〇一一年の法改正から、国際コンテナ戦略港湾政策を推進してきています。国際競争に勝つために、集中と選択ということで国内の港湾を、大阪、神戸を統合し阪神港と、また東京、横浜、川崎港を統合した京浜港と位置づけ、港湾の大水深化、バース拡大、基幹道路の整備などを推進してきました。
 既に阪神港では、国も出資をした港湾運営株式会社である阪神国際港湾株式会社を設立しています。
 一方、京浜港については、特に東京港においては、都と港湾関係団体との歴史的、自立的運営方針を継続するという立場から、国の方針によらず、従前の港湾運営会社として運営することが本年三月に決定したところです。
 国の国際戦略港湾のあり方が実態に即しているのか、将来展望につながるのかどうかという観点からお聞きします。
 東京港における国際コンテナ戦略港湾整備の進捗状況についてお聞きします。

○原港湾整備部長 現在、東京港におきましては、中央防波堤外側埋立地に、水深十六メートルのコンテナふ頭Y2、Y3の二バースの整備を進めてございます。
 このうちY2バースにつきましては、平成二十九年内の供用に向け、現在、国が岸壁整備を行うとともに、コンテナターミナルの管理運営を担う東京港埠頭株式会社がコンテナの積みおろしを行うガントリークレーンの製作などを行っております。
 また、Y3バースにつきましては、国が平成二十五年度に事業着手し、設計等を実施しており、今後、岸壁等の整備を推進していくと聞いてございます。

○かち委員 海運業界は、今や深刻な市況低迷に直面しています。
 八月にはコンテナ大手の韓国の韓進海運が破綻し、国内大手海運の商船三井、日本郵船、川崎汽船の三社が定期コンテナ事業の統合を目的とした合併会社を二〇一七年七月に設立することを合意したという報道もされています。これら三社は、東京港の大井ふ頭の七バース中六バースを使用しています。
 市況の低迷によるこのような動きが、東京港の事業運営にどのような影響を及ぼしているのか、また予測されるのかお聞きします。

○蔵居港湾振興担当部長 韓進海運は、法定管理の手続開始の申請を行い、現在、再生計画の策定が進められております。
 また、川崎汽船、商船三井、日本郵船の邦船三社の定期コンテナ事業の統合を目的とした合弁会社は、来年七月に設立され、平成三十年四月からサービスを開始する予定でございます。
 これらの動きは、東京港の利用者の経営にかかわることであり、都としては、韓進海運における再生計画の進捗状況や、邦船三社の今後の事業戦略などの情報収集に努め、適切に対応していきます。
 なお、このような海運動向と貨物の動向は関連性はなく、東京港は首都圏などの実需を支えていることから、取扱量など東京港の利用状況に大きな変化はないものと考えております。

○かち委員 しかしながら、商船三井、日本郵船、川崎汽船とも、赤字経営の解消のために合弁統合に踏み切るわけですから、何も変わらないでは済まないのではないでしょうか。
 今後、邦船三社の統合により、効率性向上という名のもとに、港湾労働者のリストラや労働条件の悪化などが懸念されます。都としても、今後の動向を注視し、必要な対応を行うよう求めておきます。
 東京港と、それを含めた京浜港の取扱コンテナ量の推移についてお聞きします。東京港における過去五年間のコンテナ取扱量の推移及び京浜港としての推移について伺います。

○蔵居港湾振興担当部長 東京港における過去五年間の外貿コンテナ貨物取扱個数は、平成二十三年は四百十四万TEU、二十四年は四百二十四万TEU、二十五年は四百三十五万TEU、二十六年は四百三十九万TEU、二十七年は四百十五万TEUであります。
 同様に、京浜港における過去五年間の取扱個数は、平成二十三年は六百九十六万TEU、二十四年は六百九十九万TEU、二十五年は六百九十七万TEU、二十六年は七百五万TEU、二十七年は六百七十四万TEUであります。

○かち委員 お聞きしましたように、いずれも横ばいないし、二〇一五年、昨年は下降です。この政策方針によりますと、二〇二五年度ごろの目標は、東京港で五百六十万TEU、京浜港で千六十四万TEU、こういう状況からすると、とても目標達成は及ばないのではないかと思われます。
 東京港におけるコンテナ数は、ここ数年横ばい状況です。その大きな要因は、ここ数年、全体に貿易量が減少しているからです。
 京浜港の構成である横浜港が、二〇一一年度の二百八十万TEUから一五年度の二百五十一万TEUまで下降の一途をたどっているのが現状です。
 このような状況で、国際戦略港湾としての目標達成にはほど遠いのではないでしょうか。いかがですか。

○原港湾整備部長 京浜港のうち、東京港の将来貨物量につきましては、第八次改訂港湾計画におきまして、衣類等の雑工業品、製造食品等の軽工業品、家電等のその他機械などの代表的な品目に分類し、貨物量の取扱実績や、世界のGDPの将来予測、国内の将来推計人口の社会経済指標等を用いて推計を行っております。
 その結果、計画の目標年次である平成三十年代後半の外貿コンテナ取扱個数は五百六十万TEUと推計しており、現時点におきましても妥当なものと考えてございます。
 なお、横浜港、川崎港の将来貨物量につきましても、国の審議会等を経て策定された港湾計画によるものであることから、妥当なものと考えられます。

○かち委員 いずれも妥当なものだと考えるというご答弁でしたけれども、先ほどお聞きしましたように、東京港における過去五年間の平均数量は四百二十五万TEUです。一五年度から二五年度までの間に年間どのぐらいふやしていかなければいけないかというと、十五万TEU必要になります。しかし、今のような状況ではほとんど伸びていない、こういう状況です。
 同じように、京浜港としても年平均六百九十四万TEUです。目標年次には千十六万TEUですから、年四十一万TEUをふやさなければいけない、けれどもほとんど伸びていない、これが現状です。
 東京のコンテナ取扱量のうち、輸出と輸入の割合はどのようになっていますか。

○蔵居港湾振興担当部長 平成二十七年における東京港の外貿コンテナ貨物取扱数では、輸出と輸入の割合は三対七となっております。

○かち委員 消費人口が集積している東京圏の特徴のあらわれだと思いますが、今後、人口減少、高齢化が進み、GDPの伸び悩みによって消費購買力の低下が続けば、輸入量が減少していくことは否定できません。
 大水深コンテナターミナルの比較で、直近の状況、マイナス十六メートル以上の岸壁のある港湾の状況についてお聞きします。東京港、横浜港、大阪港、神戸港において、直近でそれぞれ何バースずつあるのでしょうか。

○蔵居港湾振興担当部長 現在、水深マイナス十六メートル以上の岸壁のある港湾施設は、横浜港で六バース、神戸港で六バース、大阪港では一バースであり、東京港では平成二十九年に一バース稼働する予定でございます。

○かち委員 横浜では六バースあると、東京も来年度稼働するという予定ですけれども、ちなみに、二〇一一年度のコンテナ取扱量の国際比較を見ますと、東京が二十九位、横浜が四十位、大阪が五十二位、神戸が五十三位となっています。横浜港では、六つの大水深バースが整備されているにもかかわらず、効果が上がっていないのが現状です。大水深バースの整備がコンテナ量増加には連動しないということです。
 国際比較で上位十位くらいまでを見てみますと、中国、韓国を中心としたアジアの港湾です。経済成長著しい発展途上国に集中しているというのが現状であり、当然のことだと思います。
 国際戦略港湾の位置づけで、集貨、創貨、いわゆる貨物を集めたり輸出物を創造する、こういうことを京浜港としてどのように実現しようとしているのですか。

○蔵居港湾振興担当部長 集貨、創貨は、国の国際コンテナ戦略港湾政策における具体的な施策であります。
 京浜港における集貨の取り組みについては、輸出港、工業港である横浜港、川崎港が、港湾運営会社である横浜川崎国際港湾株式会社を通じて、国の集貨補助制度を活用した事業を実施しております。
 創貨の取り組みについては、国は、コンテナ貨物需要の創出を図ることを目的に、民間事業者が整備する倉庫などの建築費用に対し無利子貸付を行う制度を設けており、横浜港において当該制度が活用されております。

○かち委員 具体的には、陸送に対する高速料金の補助やフィーダー船の補助などですね。これらは国が出資した港湾運営株式会社に対しての補助金です。
 こうして、この戦略港湾政策は全国から、京浜港には東日本全域から、阪神港には西日本全域から集貨を進める政策でした。しかし、創貨政策の具体策は見当たりません。貿易黒字を出すためには、ここが鍵なのではないでしょうか。
 国や東京都が、港湾機能の集中と選択として、補助金まで使って阪神と京浜港に集約しようとしても、市場経済で動く海運の船社、商社などは、必ずしも補助金に左右されるような荷の動かし方をしないのではないでしょうか。いかがですか。

○蔵居港湾振興担当部長 東京港では、利用者に使いやすい港づくりを進めており、市場の経済的合理性によって荷主や船会社などから選択され、その結果、処理容量を超える貨物量を取り扱っております。
 そのため、東京港では、首都圏の実需を円滑に取り扱えるよう、実態に即して港湾機能を強化していく必要がございます。

○かち委員 今のところ、東京港ではこういう補助金制度は使っていないということですね。
 二〇一三年、日本郵船は、北海道日本海側各港と釜山を結ぶサービスを二つに分割し、スケジュールの安定化を図るとか、商船三井は、一二年に日本海側各港と釜山を結ぶサービスを新設し、釜山港で同社の北米、欧州、南北航路に接続し、今後も地方港サービスを拡充していく方針などという報道もされています。輸出製品を最寄りの港から出せることの方が、企業にとっても、地方都市にとってもメリットがあるからです。
 国は、国際コンテナ戦略港湾方針を打ち立てる一方で、昨年、日本海側の拠点港十九港二十八計画を選定し、その中でも、新潟港、伏木富山港、下関港、北九州港、博多港の五港を総合的拠点港として位置づけています。国際戦略港湾とは矛盾するのではないでしょうか。

○蔵居港湾振興担当部長 国によりますと、国際コンテナ戦略港湾は、国際基幹航路の維持拡大により我が国経済の国際競争力強化を図るものでありまして、日本海側拠点港湾の国際コンテナ輸送においても、基幹航路向け貨物については、国際コンテナ戦略港湾への集約を図ることとしております。
 なお、日本海側拠点港湾については、中国、ロシアを中心とした対岸諸国との間で、ダイレクト、直行便航路の就航、拡大に必要な港湾機能の強化を図ることを目的としております。

○かち委員 かつて全国に港湾を整備し過ぎて、百億円の釣り堀などとやゆされるような状況もありました。
 港湾政策が紆余曲折する中で、今度は選択と集中として、全国の中で京浜港と阪神港の二つだけを位置づけ、巨大な投資をしてきたけれども、これも先行き、展望が見えない。今度は日本海側の各港を重点整備するなど、巨額な投資を繰り返しています。
 もうかるのはゼネコンばかりです。税金の使い方が問われています。もはや、コンテナ取扱量の推移を見ればわかるように、国際戦略港湾政策の一角が崩れているわけですから、このような実態を顧みない国際コンテナ戦略港湾政策は根本から見直すことを求めて、質問を終わります。

○中山委員 まず、港湾計画について伺ってまいりたいと考えています。
 平成二十六年九月開催の東京都港湾審議会の議論を経て、目標年次を平成三十年代後半とする東京港第八次改訂港湾計画が平成二十六年十二月に公示をされました。
 事業概要の六二ページを見ますと、今後の港湾整備の中段に、国際的な産業貿易の構造の変化、我が国における急速な高齢化の進展、環境問題の深刻化など東京港を取り巻く社会情勢は大きく変化しており、物流サービスの向上や人々の交流の活性化、環境との共生、安全の確保など、新たな要請に応えていくことと強くここで記述されているわけであります。
 そこでまず、第八次改訂港湾計画では、社会情勢の変化によって第七次改訂港湾計画からどのように変わっていったのか、所見を伺います。

○原港湾整備部長 東京港におきましては、生産拠点の海外移転などを背景とし、第七次改訂港湾計画の策定以降、日用品や食料品等の生活関連物資の輸入貨物など、アジア地域の貨物を中心に取扱量が増加しております。
 第八次改訂港湾計画におきましては、こうした情勢変化を踏まえ、主として物流につきましては、目標年次である平成三十年代後半における外内貿コンテナ取扱個数を六百十万TEUと、近年の取扱量に対して約三割増加するものと推計してございます。
 このため、第七次改訂港湾計画における中央防波堤外側及び新海面処分場のコンテナふ頭計画に加えまして、第八次改訂港湾計画では、大井水産物ふ頭のコンテナふ頭への利用転換や十五号地前面の新たなふ頭等を計画に位置づけたところでございます。
 また、東日本大震災等を踏まえまして、安全・安心の視点から、大規模災害発生時における防災力を強化することとしてございます。

○中山委員 今、答弁をいただいたとおりで、アジア地域の貨物を中心に取扱量がふえているということでございます。そのためにこれまでのふ頭計画に加えた新たなふ頭利用転換などを確認させていただいたわけでありますが、その中の最後に、東日本大震災等の教訓を踏まえた防災力の強化という話が出てまいりました。
 第七次を策定した平成十七年から二十七年の間には、平成二十三年の東日本大震災や平成二十七年関東・東北豪雨による鬼怒川決壊など多くの災害が日本列島を襲ったわけであります。世界に誇れる安全・安心なベイエリアということで、これまでも防災力強化を図るとされております。そして、もちろんこれまでも防災力の強化が図られているものと認識しております。
 そこで、第八次では、これまでの災害の教訓をどのように反映されているのか、所見を伺いたいと思います。

○原港湾整備部長 都におきましては、大規模地震発生時において、緊急物資等を円滑に輸送するとともに、経済活動を支えるためのコンテナ貨物等の物流機能を維持することを目的に、耐震強化岸壁の整備を推進しております。
 第八次改訂港湾計画におきましては、東日本大震災の教訓を生かすとともに、切迫する大規模地震に対応するため、コンテナ貨物等を取り扱う幹線貨物輸送対応の耐震強化岸壁の計画を五バースから二十二バースに拡充したところでございます。
 その結果、緊急物資輸送対応の二十六バースを合わせた全体計画は、第七次改訂港湾計画の三十一バースから四十八バースに大幅に増加しております。

○中山委員 今、東日本大震災の教訓を生かして、幹線の貨物輸送対応の耐震強化岸壁の計画を二十二バースまで拡充しており、第七次改訂計画の三十一バースから四十八バースまで見直すという答弁がありましたが、事業概要でも示されているように、第八次改訂港湾計画に基づき、被災直後の緊急物資、避難者等の海上輸送機能を確保するとともに、被災した港湾施設が復旧するまでの間の港湾機能を保持するための緊急輸送用の耐震強化岸壁を二十六バース整備する計画となっております。
 そこで、都民の安心・安全にとってみると大変重要なことなんですけれども、早期の整備を求めるものでありますが、現状、どの程度整備が進んでいるのか、所見を伺いたいと思います。

○原港湾整備部長 緊急物資輸送対応の耐震強化岸壁につきましては、二十六バースの計画のうち、これまでに、芝浦ふ頭など十二バースの整備を完了しております。
 また、現在、品川ふ頭など六バースの整備を進めており、今年度中には、品川ふ頭の一バースが完了する予定となってございます。

○中山委員 早期の整備を求めてまいりたいと思います。
 そこで、先ほどの質問でもありましたけれども、幹線貨物の輸送機能を確保し、経済活動の停滞を回避するため、幹線貨物用の耐震強化については、整備目標を五バースから二十二バースに増加することとしております。
 さらに、大規模地震発生時に救助救援活動を支え、緊急物資輸送の機能を確保するため、緊急輸送道路等の橋梁の耐震化や無電柱化を推進しているところであります。
 そこで、緊急輸送道路の橋梁の耐震化と、無電柱化の整備完了目標をいつと定めているのか、見解を伺いたいと思います。

○原港湾整備部長 都は、震災時における輸送や避難のルートを確保するため、橋梁の耐震化を推進しております。
 緊急輸送道路の橋梁十橋のうち、これまで八橋について、落橋防止装置の取りつけや橋脚の補強などの対策を実施してまいりました。
 残る二橋のうち、臨海副都心ののぞみ橋は平成二十九年度、大井中央陸橋につきましては平成三十二年度の完了を目指して、整備を進めているところでございます。
 また、電柱の倒壊等により、道路が閉塞し、避難路の確保や物資輸送に支障となることがないよう、臨港道路等の無電柱化にも取り組んでおり、東京二〇二〇大会の会場周辺におきまして、大会開催までに完了するよう無電柱化を実施してまいります。

○中山委員 この点も大変重要でありまして、幾ら耐震強化岸壁を強化していったところで、輸送ルートだとか、あるいは避難ルートが確保されなければ、目標、目的を満たすことができないということですから、無電柱化や橋梁の耐震化だけではなく、さらなるいろんな想定が出てくると思うんですけれども、深掘りしていただきたいと思います。
 そのことも含めまして、先ほど、緊急輸送用の耐震強化岸壁についてお聞きをしましたが、総合的に災害時に人や物資を運河等の水上からも輸送できるよう、ソフト対策を含めた水上輸送体制の構築を目指すために、東京港防災船着場整備計画をことし三月に策定しましたが、どのような計画なのか伺いたいと思います。

○原港湾整備部長 本年三月に都が策定いたしました東京港防災船着場整備計画につきましては、災害時において人や緊急物資を輸送できるよう、東京港の運河等における水上輸送体制の構築を目的に策定したものでございます。
 計画の具体的な内容ですが、防災船着き場の箇所を、既存の船着き場を活用するなどにより、現在の十三カ所から新規整備七カ所を含め三十八カ所に拡充するとともに、災害時に有効に機能するよう運用マニュアルを策定するなど、ハード、ソフト両面から施策を展開していくこととしてございます。

○中山委員 今、答弁ありましたとおり、この東京港防災船着場整備計画は、これまで質問してまいりましたが、防災のためのハード整備を災害時に有効に機能させるということだというふうに思います。
 そういう面から質問いたしますが、整備計画を進めるためには、都や地元区で連携、調整が必要であり、それぞれの主体があると思うんですが、この主体もよく認識を高めなければ災害時にそれらを生かすことができないと考えますが、所見を伺いたいと思います。

○原港湾整備部長 東京港防災船着場整備計画におきましては、防災船着き場の機能に応じ、整備や管理を行う主体を明示しております。
 具体的には、都は災害拠点病院等に近接した船着き場を整備、管理し、区は災害時において地域内の輸送拠点となる区庁舎等に近接した船着き場の整備や管理を行うこととしてございます。
 今後、この役割分担に基づき、都、区それぞれが着実に取り組みを進めるとともに、相互の連携をより一層深め、災害時における人や緊急物資の水上輸送体制の構築を目指してまいります。

○中山委員 今、答弁をいただいたとおり、防災船着き場の機能に応じて整備や管理を行う主体、つまり都と区の役割を明らかにしていくということなんですが、運用については、まさに当然、相互の連携が必要になってくるだろうと考えます。確かなものにしていただきたいと要望をしていきたいというふうに思います。
 計画では、内部護岸についても、災害時に小型船が接岸でき、帰宅困難者などの人の乗りおりや緊急物資輸送が安全にできるよう、整備をするそうであります。
 今後は、この帰宅困難者の誘導などソフトの面からの取り組みも必要になってくると考えますが、どのように対応していくのか、伺いたいと思います。

○原港湾整備部長 災害時に防災船着き場を有効に機能させるためには、平常時から防災船着き場の機能や場所について近隣住民等に周知を図るとともに、昼夜を問わずいつでも利用できるよう、備えておくことが重要でございます。
 このため都は、船着き場の位置等を示すサインや夜間の輸送業務に対応可能な照明等を設置してまいります。

○中山委員 地元区でも、この防災船着き場という名称がよく出てくるわけなんですけれども、じゃ、この防災船着き場というのはどうやって運用するのかということは、余り都民もぴんときていないし、あるいは区の方もそんなに深く認識していないというのが現状ではないのかなというふうに思います。
 今後、この防災船着き場について、もっともっと深掘りしていただきたいというふうに思いますし、区との連携をもっと深めていただきたいと思います。
 防災の関係で最後に、事務事業の一一四ページに、東京都の災害発生時における組織及び分掌事務として、港湾局における分掌事務が挙げられております。
 これは、都の地域に災害が発生し、または発生するおそれのある場合において、災害の予防、応急対策等を実施するため示されたものであります。
 東京都では、これまでも災害発生時を想定して、さまざまな取り組みを展開し発災時に備えてきていると思います。
 港湾局において、分掌事務として記載されているとおり、港湾施設や海岸保全施設等の保全や復旧を初め、輸送手段を確保するための船舶、ヘリコプター等の調達など取り組むべき多くの役割を担っているといえます。
 しかしながら、これの役割を迅速かつ確実に果たすためには、行政機関である東京都のみの対応では困難であり、関係団体との連携が不可欠だといっていいと思います。
 そこで、災害発生時における関係団体との連携体制はどのようになっているのか伺いたいと思います。

○古谷総務部長 東京都における災害対策は、東京都地域防災計画に基づき行われます。
 同計画においては、都港湾局は港湾施設の復旧、航路上の障害物除去、緊急物資輸送のための船舶の調達など多くの役割を担っております。
 これらの役割を確実に果たすためには、民間団体との連携が重要であり、例えば、船舶の調達については一般社団法人日本船主協会と、航路上の障害物除去につきましては一般社団法人日本埋立浚渫協会と協定を締結するなど、多くの団体と協力体制を既に構築しております。
 また、災害発生時に民間団体を含む関係者が連携して的確な対応を行うため共有しておくべき目標や行動、協力体制をまとめました港湾BCPも策定しておるところでございます。
 さらに、協定等の実効性を確保するためには、定期的に非常時対応訓練を実施しております。

○中山委員 今、答弁でありました、まさに例えてお話があったわけなんですけれども、これだけの民間団体との連携が必要になってくるということでもございます。もちろん警察や消防、自衛隊との連携もされていると思いますけれども、さらなるさまざまな想定の中で取り組んでいただきたいと要望いたしまして、次の質問に移ってまいりたいと思います。
 先ほど、都は、東京の競争力の強化と日本の経済成長を牽引するため、臨海副都心のMICE、国際観光拠点を推進しているということでございます。
 先ほども山崎先生、木内先生から濃密なお話がございましたし、あえて私から深く質問するわけではないんですが、お二人の先生は江東区でいらっしゃるんですけれども、この江東区に集まったお客さんが、シャワー効果で我が地元台東区に出てきてくれるわけでございまして(「浅草があるからね」と呼ぶ者あり)そうなんです。
 そういうわけでありまして、そこで国際会議をやるということは大変意義あることでございまして、よく浅草でも連なって歩いている外国人の方々がいらっしゃるんです。大体スーツを着ている方というのはビジネスマンでありまして、よくお金も使ってくれる、あるいは多くの物を買ってくれるということで、本当に経済効果が高いというふうに我々も認識しております。そういう面では、この二〇二〇年の五輪ということが一つの目標でありますが、それ以降も経済効果があるということで、これからもこのMICEについては大変重要な施策だと私も認識をいたしております。
 また加えて、港湾局においては、クルーズ客船のふ頭が二〇二〇年に開港できるスケジュールで進まれているということなんですけれども、これもシャワー効果となって、それぞれの観光地にお客さんが来るということでありますので、大変意味がある施策だと思います。
 その拠点の形成の施策として、平成二十七年度に独自補助制度を創設し、新たな観光資源の創出に取り組む民間事業者を支援しております。
 改めて、この補助制度の趣旨と、予算規模、助成額について伺いたいと思います。

○塩田営業担当部長 この補助制度は、東京二〇二〇大会の成功と臨海副都心のMICE、国際観光拠点化に向けて、臨海副都心が世界中から来訪するお客様を迎えるにふさわしいにぎわいのあるまちとなるよう、新たな観光資源の創出などを行う民間事業者を支援するものであり、予算額につきましては三億円でございます。
 なお、対象となる経費の二分の一を助成しており、上限額は一億円でございます。

○中山委員 民間事業者の取り組みについて、助成上限額が一億円に設定されているということで、一事業当たりの助成額としては比較的大きな規模であるというふうに考えております。
 民間事業者が新たな事業に取り組もうとする際に、その経費が例えば数億円となれば、その大きさから、着手するのをためらってしまうだろうというふうにも考えます。こうした場合には、補助制度は民間事業者の背中を押し、新たな観光資源を生み出す効果を発揮しているのではないかと考えるわけでございます。
 そこで、都は、この制度の運用に当たって、新たな観光資源を生み出す民間の事業者、地域の事業者のニーズを十分に把握して取り組む必要があるのではないかというふうに思うわけですが、その辺はどうでしょうか。

○塩田営業担当部長 この補助制度によりまして観光資源を創出していくためには、民間事業者の動向や現場のニーズなどを把握し、この制度の活用を促すことで、新たな取り組みを誘発していくことが必要であると考えてございます。
 このため都は、補助事業の説明会を実施しているほか、進出事業者で構成されるまちづくり協議会が開催する会議、臨海副都心でのイベントの準備会に参加するなど、さまざまな機会を捉えて事業者と情報交換を行っております。
 こうした取り組みにより、夜景を彩るイルミネーションや観光案内アンドロイドなど特色のある観光資源の創出につながっていくものと考えてございます。

○中山委員 都がさまざまな機会を捉えて、そういった事業者のニーズを把握し、観光資源の創出を進めていることがわかったわけでございます。
 アンドロイドの紹介記事を私は読みました。また、そのアンドロイドのところに行ってみましたけれども、いまいちこれは何なのかということが余りわからないような感じがいたしました。
 また、私は今月初め、臨海副都心で行われたドリーム夜さ来い祭りを見に行ってまいりました。はっぴ姿での踊りとか、あるいは鳴子も印象的なイベントだったわけでありますが、多くのお客さんがにぎわい、大いに盛り上がっておりました。特にこの夜さ来いにおいては、はっぴを着た人たちがいっぱいまちを歩いているものですから、いろんな意味で外国人もそれを見て楽しんでいたという光景を見てまいった次第でございます。
 こうしたイベントも魅力ある観光資源といえるのではないかと思います。
 今後、都はこうしたイベントも含めて幅広く観光資源を捉え、創出に取り組んでいくべきと考えますが、所見を伺いたいと思います。

○塩田営業担当部長 臨海副都心におきましては、この地域の立地や特色を生かしながら、MICE、国際観光拠点としてふさわしい観光資源を生み出すことが重要と考えてございます。
 これまでも、こうした考えに基づきまして民間事業者への支援を行うほか、アミューズメント施設やイベントの誘致などを進めてまいりました。
 今後も引き続き、臨海副都心ならではの観光資源の創出に取り組んでまいります。

○鈴木委員 舟運の活性化についてお伺いをさせていただきます。
 昨年一年間に東京都を訪れた外国人旅行者数及び日本人旅行者数は、いずれも過去最高となりました。特に、外国人旅行者数は約一千百八十九万人であり、前年と比べ三四%の増となっております。
 また、先月発表された速報値によれば、ことしの一月から三月までの間に東京都を訪れた外国人旅行者は過去最高となる三百十七万人を記録して、前年と比べて二四・四%増となったとのことであり、ことしに入っても旅行者数が伸び続けております。
 さらに、リオ大会が終わったことから、次のオリンピック・パラリンピック開催地である東京へ世界の注目が集まっております。
 米国の富裕層向け旅行雑誌が実施した読者投票の結果が先月発表されましたが、それによれば、世界で最も魅力的な都市の第一位に東京が選ばれるなど、東京を訪れる国内外の旅行者数は今後もさらに伸び続けていくことが予想されております。
 都は、この絶好の機会を生かし、東京の持つ魅力をより一層高め、発信していかなければなりません。その際、重要な観光資源となり得る高いポテンシャルを有しているのが臨海部であります。臨海部には、高層ビルやレインボーブリッジなど、ダイナミックで洗練された景観が広がっております。
 このような景観を水上から眺めることができる舟運は、新たな観光手段として極めて魅力的であり、東京の持つ魅力を多くの人に伝える有効なツールとなり得るわけでございます。また、舟運は、臨海部を結ぶ交通手段としても大いに可能性を有しております。
 このため、これまで我が党は舟運の活性化を強く主張してまいりました。
 私も、地元大田区とお隣の品川区の自民党、そして公明党の議員の有志によります城南地区水辺活用推進議員連盟を立ち上げさせていただきまして、議連の会長として、舟運を使った地域経済の活性化や、公共交通機関としての舟運の活用等に取り組んでいるところであります。我が経済・港湾委員会の伊藤副委員長にも議連の副会長として参加をしていただいているところでございます。
 そこでまず、東京港における舟運の現状と課題及び都の取り組みについて改めてお伺いをいたします。

○蔵居港湾振興担当部長 東京港では、定期航路、不定期航路、合わせて百以上の舟運事業者が事業を行っております。
 東京港における舟運事業には、季節や曜日による旅客の波動性が大きい上、舟運事業者は中小零細企業が多く、営業力や資金力が脆弱という特徴がございます。
 また、利用できる船着き場が少なく、航路、ダイヤが限定的であるなど、舟運が気軽に利用できる手段となっていないなどの課題がございます。
 このため都では、舟運事業者が利用できる船着き場をふやし、より多くの方に舟運を利用していただくことを目的として、平成二十六年九月から竹芝小型船桟橋を、二十七年六月からは有明桟橋を屋形船やクルーズ船等に開放する試行的な取り組みを開始するとともに、本年七月からは鉄道駅に近いなど利便性の高い一部の防災船着き場を水上タクシーに試行的に無料で開放する取り組みを実施しております。
 さらに、本年九月からは関係局と連携して、民間事業者による定期航路の拡充を目的とした航路に関する社会実験を開始したところでございます。

○鈴木委員 私も今月の十一日に、竹芝小型船ターミナルから、地元の中小企業の皆さんと、港湾局の「新東京丸」で一時間半にわたって、海から東京港の状況や、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック東京大会の施設予定地や築地市場や豊洲市場を水上から見てまいりました。改めて、東京港、臨海部は、本当にまさに東京の魅力、そういったところを満喫してまいりました。
 そこで、舟運事業の課題の一つとして航路が制約されているということですが、多くの人々に臨海部の魅力に触れていただくには、航路やダイヤを現在よりも充実させて、舟運が気軽に利用できる手段となることが重要であるというふうに考えます。
 その点、本年の九月から開始された運航の社会実験、これは定期航路の充実に向けた都としての初の取り組みでありまして、大いに注目をしていきたいと考えております。
 そこで、今年度より開始した運航の社会実験について、その概要についてお伺いをしたいと思っております。

○蔵居港湾振興担当部長 運航の社会実験は、都市整備局、建設局、港湾局の三局が、公募により選定した民間企業十二社から成る東京舟運パートナーズのノウハウを活用しながら、舟運事業者団体等の協力を得て実施するもので、今年度から五カ年で行う予定でございます。
 船舶の運航は舟運事業者が行い、都は航路設定に関する関係機関との調整やチケットの予約販売に係る支援等を行います。
 今年度の運航は、九月十二日から十二月上旬までを予定しており、航路については、昨年度実施した調査運航を踏まえ、観光や交通の手段としての有効性を検証する観点から、羽田の天空橋と浅草の二天門間を結ぶコース、それから日本橋と有明を結ぶコース、さらには天王洲と日の出、勝どきの三カ所を周遊するコースの三つを設定いたしました。

○鈴木委員 今回の社会実験の航路は、羽田空港から浅草に向けての風景を楽しめるほか、都心と臨海部、臨海部の各所を直接結ぶルートが設定をされており、東京の水辺の魅力を十分に楽しむことができるのではないかと思います。
 また、船着き場に着目をいたしますと、運河ルネサンス推進地区の一つであり、特色ある水辺のにぎわいづくりが行われている天王洲や、下町情緒が漂う浅草、吾妻橋など、多様な魅力を秘めたエリアが今回の社会実験の乗船場として指定されております。
 このことから、舟運の活性化に資するさまざまな取り組みを行うに当たっては、船着き場周辺の地域との効果的なコラボレーションを行うことが非常に大事であるのではないか、重要であるのではないかというふうに考えております。
 そこで、今回の社会実験において、船着き場周辺の地域とはどのような連携を行ったのかお伺いします。

○蔵居港湾振興担当部長 今回の社会実験における船着き場の一つであります天王洲では、十月二十八日から三十日の三日間にわたり、ハロウィンをテーマに、船上ライブやマルシェなどが楽しめる天王洲キャナルフェス二〇一六秋が開催され、約一万三千人が来場いたしました。
 三日間の期間中、都は、東京舟運パートナーズ参加企業の協力のもと、会場内にラウンジカフェを設置し、東京の舟運に関するPR活動や、舟運の社会実験に関するリーフレットの配布、東京の水辺空間の写真の展示などを行いました。
 また、同じく社会実験の船着き場の一つであります吾妻橋船着場においても、地元区等が主催するイベントと連携し、天王洲の取り組みと同様に、船着き場のにぎわい創出や舟運のPR等を行ったところでございます。

○鈴木委員 天王洲や吾妻橋のイベント会場において舟運のPRを行ったとのことですが、多くの人が舟運の魅力、楽しさに触れることができたのではないかと思っております。私も、何を隠そう、その一人でございます。
 天王洲キャナルフェス二〇一六秋スーパーハロウィン、まあ、あいにくの雨模様ではございましたけれども、今答弁がありましたように大勢の人々でにぎわっておりました。
 この地区の運河の両岸のビルに映画を投影してのパブリックビューイングというのですか、水辺の映画祭ということでしたけれども、とてもすばらしい取り組みでありました。二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック大会では、ぜひトップアスリートの活躍する姿をこういった壁を利用したパブリックビューイングといったものでも見たいものだなというようなことをそのときに感じました。
 天王洲アイル周辺をぐるっと一回りするミニクルーズや、仮装した人限定のハロウィン水上パレードなんというのも行われておりまして、そのほかにも、品川の方は特区を活用して水上ホテルのようなものも係留されておりました。まさに石原都政で始まった運河ルネサンス事業が進化をして、昼は子供、夜は大人のハロウィンという、そういったにぎわいを見事につくり出しておりました。
 ぜひ、今後も、船着き場周辺で実施される特色あるイベントとの効果的な連携を積極的に図っていただきたい、このように思っております。
 この取り組みが広く認知され、多くの乗客に乗っていただけるようになるには、相当の努力と時間が必要とされると思いますが、今年度から五年かけて行うこの運航の社会実験は、まだ開始されたばかりであります。東京舟運パートナーズのノウハウを生かして、船着き場周辺地域とも連携しつつ、効果的な広報活動に努めた上で、乗客のニーズはどこにあるのか、定期航路の拡充に向けて具体的にどのような課題があるのかをしっかりと把握するということが重要であります。長期的な視点を持って、腰を据えてじっくりと取り組んでもらいたいものです。
 さて、東京港内で運航している事業者の方のお話によれば、新たな航路が多くの方に認知されて事業が軌道に乗るまでには最低でも三年はかかるが、その際に重要となるのは、船着き場周辺の地域と上手に連携することによって、その地域における船着き場の認知度を高めて、地域への来訪客等を船着き場へ誘導する仕組みをつくれるかどうかということでありました。
 舟運の活性化を推進するに当たっては、船着き場周辺の地域との連携がいかに重要であるか、この話からもおわかりいただけるかと思います。
 今回の社会実験では、日の出ふ頭の桟橋も船着き場として利用されていますが、第一回定例会において、我が党は、ふ頭背後の鉄道網が充実していることや、海を渡れば晴海や臨海副都心へすぐにアクセスできるという立地条件から、日の出、竹芝ふ頭を舟運の拠点とすることを提案いたしました。
 しかし、特に日の出ふ頭に関しては、JR浜松町駅周辺エリアとの連携が乏しくて、多くの人が行き交っている状況にあるとはいいがたいのが実情であります。この日の出、竹芝ふ頭を多くの人が集いにぎわう場所とするには、やはり周辺地域との連携という視点を持つべきであります。
 そこでなんですが、この日の出、竹芝ふ頭を舟運の拠点とするに当たっては、周辺地域との連携により、JR浜松町駅周辺エリアから日の出、竹芝ふ頭へと人々を誘導する工夫が必要であると考えますが、都の見解を伺います。

○蔵居港湾振興担当部長 委員ご指摘のとおり、日の出、竹芝ふ頭を舟運の拠点とすることに当たっては、周辺地域と連携してJR浜松町駅周辺エリアと日の出、竹芝ふ頭の間において、多くの人々が行き交う回遊性をつくり出すことが重要であると認識しております。
 JR浜松町駅と日の出、竹芝ふ頭の間では、民間事業者による大規模な再開発事業が予定されており、都は、ふ頭周辺が活性化するよう、これらの事業者との連携について積極的に検討を進めてまいります。

○鈴木委員 今お伺いをしましたように、このエリアでは大規模な再開発事業が始まるということですから、ぜひ地域との連携ということを念頭に置いて、日の出、竹芝ふ頭の舟運の拠点化を進めていただきたいと思います。
 この機を捉えて、浜松町駅から日の出、そして竹芝ふ頭まで安心して歩ける歩道の確保もぜひしていただきたいな、そんなふうにも要望をしておきたいと思います。
 さて、多くの方に気軽に船に乗っていただくようにするためには、やはり乗船料をいかに安くすることができるかが鍵であると思います。船の運航経費には、人件費、燃料費、船着き場の利用料等があり、乗船料の引き下げには、当然、舟運事業者の経営努力が必要ではありますが、船着き場利用料については船着き場の設置者が定めているものであり、事業者の経営努力ではいかんともしがたいものであります。特に、旅客定員の少ない船舶にとっては、客一人当たりの乗船料に占める船着き場利用料の割合が大きくなることから、重要な問題であります。
 冒頭、舟運の活性化に向けた都の取り組みとして答弁をしていただいたものの一つに、屋形船やクルーズ船等の不定期航路事業者を対象とする公共桟橋の開放がありましたが、不定期航路事業者が桟橋を利用するに当たっては、旅客定員に応じて、一回当たり千円から五千円の利用料を負担する必要があるとも聞いております。桟橋開放に伴う管理費等を受益者である事業者の負担で賄うとのことでありますが、多くの方に船に乗っていただくようになるためには、やはりこの利用料金の引き下げが必要ではないでしょうか。都には、ぜひ利用料金の引き下げについて検討していただくように要望をしておきたいと思います。
 また、舟運の活性化を進めるに当たっては、港の安全・安心が確保されているということが大前提となりますが、東京港の港内では、一部のマナーの悪い水上バイクやプレジャーボートが、猛スピードを出すなどの危険な航行を行っていることも事実であります。夏場ではよく見る光景であります。港内での船の航行については、港則法に基づく海上保安庁による指導などが基本となりますが、都においても、海上保安庁や警視庁などと連携しながら舟運の安全・安心の確保に努めるよう、あわせて要望しておきます。
 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックまであと四年、二〇一九年のラグビーワールドカップまではあと三年であります。冒頭でも述べましたが、国内外から訪れる多くの方々に東京の水辺の魅力を知っていただくためには、舟運は重要な観光手段であります。
 また、舟運には、居住地として、またビジネス拠点として発展する臨海部を支える交通手段としての可能性も秘めております。これらのことから、舟運の活性化は、これからの東京にとって必要不可欠のものであります。
 舟運の活性化に向けた課題の解決に当たっては、関係機関や関係局との緊密な連携が求められております。また、当然ではありますが、事業者の方々の声に真摯に耳を傾けることも必要であります。これらを念頭に置きながら、必要な取り組みを着実に実施し、舟運の活性化を積極的に求めることを要望して、私の質問を終わらせていただきます。

○伊藤委員 私からはまず初めに、東京港における交通混雑対策について伺いたいと思います。
 私の地元にある大井コンテナふ頭は、東京港のコンテナ貨物の半分を取り扱う主力ふ頭でありまして、以前に比べると大分改善されてきているものの、お昼過ぎ、夕方ぐらいにかけて、コンテナの受け取りを待つコンテナ車両の列ができてしまうことがあります。年に数回あるんですが、大井ふ頭の方から品川の八潮パークタウンを通り越して、大井競馬場を通り越して、海の方からずっと第一京浜の方までコンテナ車が並んでしまうという、まちがどうなっちゃったんだということが、これまでたびたびありました。
 こうした交通混雑の問題は、一朝一夕で解決できるものではないことは理解をしておりますけれども、交通混雑は物流の効率化を阻害し、周辺環境にも悪影響を及ぼすため、解決に向けた取り組みを進めていくべき重要課題であると思います。
 そのため、都は、交通混雑の解消に向けて、一昨年に東京港総合渋滞対策を策定して、ハード、ソフトの両面から対策を進めております。
 策定から二年を経過して、さまざまな取り組みが進んできていると思いますけれども、ここでは、本年度供用を開始する予定の大井地区に設ける新たな車両待機場について伺いたいと思います。
 まず、この新たな大井車両待機場について、整備の目的と整備状況を伺いたいと思います。

○蔵居港湾振興担当部長 車両待機場の整備は、車道に滞留しているコンテナ待機車両を減少させる対策の一つであり、ターミナル周辺の一般車両の円滑な動線と道路交通の安全性を確保するとともに、運転手の方々の労働環境の改善にも資するものでございます。
 大井地区では、大井ふ頭その一とその二間埋立地の約半分に当たる十一ヘクタールに、幹線道路沿いにある現在の空コンテナ置き場などを移転し、この跡地に車両待機場を整備することとし、収容台数五百台程度、附帯施設としてトイレ、自動販売機を設置いたします。
 また、現在、車両待機場の舗装工事や待機場を示す発券機の製作などに着手しており、本年度中に供用を開始する予定でございます。

○伊藤委員 答弁にもございました、運転手の方々の労働環境の改善にも資するというお話でありましたけれども、女性の活躍が目覚ましい昨今でありますけど、コンテナのドライバーさん、最近、女性の方が実はふえているんですね。
 先ほど申し上げたとおり、道路でずっと渋滞をしているときに、女性ドライバーの方から、トイレに困るんだと、こういう話があります。これが環境が非常によくないために、せっかくコンテナ車のドライバーになった女性の方が離職せざるを得ない、こんな話も聞いております。
 ぜひとも本年度中の供用開始に向けて、しっかりと準備を進めていただきたいというふうに思います。
 青海地区におきましては、平成二十四年に新たな車両待機場が整備をされて以降、路上のコンテナ待機車両の滞留がほぼ解消されていると聞いております。
 大井車両待機場の整備によって、同様の効果が見込まれることはもちろんでありますけれども、車両待機場は多くの車両が利用する場所となるわけでありまして、例えばITを活用するなど、物流の効率化に資する施設としていくべきというふうに思いますけれども、見解を伺いたいと思います。

○蔵居港湾振興担当部長 これまで車両待機場では、待機場において搬出搬入別に車両を整理し、コンテナターミナルの状況に合わせて車両を退出させる車両誘導機能を担ってきました。
 このたび整備する待機場では、こうした機能に加え、新たにETC読み取り機で取得した情報を活用して、待機台数や待機時間などを計測し、ウエブ上で公表する混雑状況の見える化の取り組みを進めてまいります。
 また、待機している車両をコンテナターミナルでも把握することが可能となるため、今後は、この情報を活用した待機時間の縮減に向けた取り組みを関係者間で検討していきます。
 こうした取り組みを進めることで、大井地区周辺の道路混雑の解消を図るとともに、物流効率化につなげてまいります。

○伊藤委員 答弁いただきましたとおり、ETCを活用してということで、すごい時代になったなと思います。
 車についているETCの情報を要するに集めて、そしてコンテナの例えば順番だとか、どこのバースに行けばいいとかいう指令がメールか何かで届くような、こういうシステムになるのかなというふうに思いますけれども、そうした最先端の技術を活用した取り組みで進めるということでございますので、ぜひとも物流の効率化につながるものというふうに思います。大井車両待機場における今回の取り組みは、こうした観点からも大変に有意義なものであるというふうに思います。
 今後も、東京港の円滑な物流の実現に向けて、しっかりと交通混雑対策を進めていただくことを要望して、次の質問に入りたいと思います。
 次に、海上公園の事業について伺います。
 東京の海は、かつて豊富な魚介類に恵まれ、水遊びや釣りなどが楽しめる憩いの場であったわけであります。品川区と、鈴木先生の地元の大田区、このちょうど境のところに大森海岸という京浜急行の駅がありますけれども、昔は、この大森海岸というのは有名な海水浴場だったというふうに私も子供のころ聞きました。
 しかし、高度経済成長に伴って、海辺の埋め立てが進んだことによりまして、どんどん海が遠くなっていくわけであります。
 海上公園は、このような背景を受けて、東京湾に残された自然を計画的に保全して、都民が自然と触れ合いながら、スポーツ、レクリエーションが楽しめる場とするために整備された公園であり、その果たしてきた役割は大変に大きいものと私は思います。
 そこで、海上公園を設立した目的の一つである自然環境の保全について、さまざまな取り組みが行われてきたと思いますけれども、これまでの整備状況や実績について伺いたいと思います。

○篠原臨海開発部長 海上公園は、現在、三十八カ所、面積にして約七百九十ヘクタールが開園しておりまして、このうち約三百十ヘクタールの陸域では新たな緑を生み出し、また、約四百八十ヘクタールの海域では砂浜や干潟などの環境を創出してまいりました。
 例えば葛西海浜公園では、もともとあった干潟を保全するための人工のなぎさを整備したことで、ハゼ類やシギ、チドリ類の貴重な生息場所となっております。
 また、東京港野鳥公園には、野鳥の生息地を保全することに加えて、野鳥を観察する機能を持たせておりまして、現在ではセイタカシギやコアジサシなどのレッドリストに掲載された野鳥が訪れる場所となっております。
 さらに、かつて廃棄物の埋め立てを行った中央防波堤内側には、現在、海の森公園を整備しておりまして、ここでは苗木を植え、数十年をかけて森に育てる取り組みを都民と協働で行っております。
 このように、海上公園は臨海部に多くの緑や生物の生息空間を生み出し、自然環境の保全や回復に寄与してきたものと考えております。

○伊藤委員 都が、そしてまた海上公園が、自然環境の保全や回復に尽力をして貢献してきたことは、よく私も実感しているところであります。
 同様に、もう一つの柱である都民へのスポーツやレクリエーションの場の提供についても、これまでの主な整備状況、そしてまた実績について伺いたいと思います。

○篠原臨海開発部長 都は、海上公園にスポーツ施設のほか、バーベキューやイベントができる広場、ランニングができる園路などを整備し、都民にスポーツやレクリエーションの場を提供してまいりました。
 例えば、大井ふ頭中央海浜公園は、約四十五ヘクタールの敷地に、陸上競技場、野球場、テニスコートなど多くの運動施設を備えるほか、バーベキューや釣りなども楽しめる場となっております。
 また、お台場海浜公園や城南島海浜公園では、都民が海辺に親しめる場として砂浜を整備しておりまして、これを活用したトライアスロンの大会なども開催されております。
 このように、海上公園は、都民が海と触れ合い、気軽にスポーツを楽しむ場として多くの都民の利用に供されているものと認識しております。

○伊藤委員 二〇二〇年、東京オリンピック・パラリンピック大会では、海上公園には多くの競技会場が設置されるほか、観客動線などとしても、この公園が活用されるかと思います。
 私の地元の品川区の海上公園においては、なぎさの森とスポーツの森というのがありますけれども、ホッケー競技場になる予定でございます。その地元の海上公園も、時々、夕方以降、行くことがあるんですけれども、大変に暗くて、寂しいというか、怖い感じがします。競技施設が夜間でも利用できるようになれば、海上公園の夜間の利用者、夜間も海上公園に行ってみたいと思う人は、私はふえてくるというふうに思います。
 そこで、二〇二〇年東京大会やその後の利用も視野に入れて、この海上公園、照明を充実させて、夜間の公園利用にも対応していくべきというふうに思いますけれども、所見を伺いたいと思います。

○篠原臨海開発部長 これまで海上公園は夜間の利用者がそれほど多くなかったということもありまして、主要な園路以外では、必要に応じた照明を整備してまいりました。
 今後、東京二〇二〇大会の競技が開催される海上公園や、競技会場に隣接します海上公園では、競技施設の整備にあわせて、園路の改修や公園内の修景整備を進めますとともに、照明設備の充実を図ってまいります。
 また、それ以外の公園につきましても、夜間の利用状況を確認し、夜間利用のニーズに対応した園路の再整備などを検討する中で、照明の増設などに取り組んでまいります。

○伊藤委員 答弁の最初に、夜間の利用者はそれほど多くなかったというお話でございました。やっぱり先ほど申し上げたとおり、暗くて怖ければ、そこに行こうとは思いませんので、ぜひとも照明をつけていただく事業を早急に進めていただきたい、こんなふうに思います。
 また、最近は、夜、ランニングとかウオーキングをしている人たちもたくさんいます。私もさっき申し上げたように、スポーツの森とか夜行くと、木の陰からすっと人が出てきたりするんですけど、夜歩いている方なんですね。もうちょっと明るいところで、そういう運動なんかもできたらすてきじゃないかな、このように思います。
 ぜひとも、ただ照明をつけるだけでなくて、ライトアップ、イルミネーションも含めて、きれいに都立公園もしていただきたい、このように思います。
 次に、海上公園のトイレについて伺いたいと思います。
 海上公園の中にあるトイレも、汚いとか、やはり暗いというイメージ、そういうお声、これもたくさん届いているところでございます。
 これもやはり東京大会に向けて、ますます外国人旅行者もふえてくる中で、洋式トイレの増設も含めて、誰もが気持ちよく利用できる公園のトイレに再整備をしていくべきじゃないか、このように思いますけど、所見を伺いたいと思います。

○篠原臨海開発部長 海上公園のトイレにつきましては、これまでも老朽化の進んだものから順次再整備を進めておりますが、お話のように、洋式トイレや誰でもトイレが少ないといった利用者からの指摘があるのも事実でございます。
 今後、東京二〇二〇大会の競技会場や観客の移動動線となる海上公園を中心に、トイレの洋式化やバリアフリーへの対応を進めていくこととしておりまして、こうした整備により、快適に利用できる海上公園の実現に取り組んでまいります。

○伊藤委員 次に、防災に関連してになりますけれども、私はかねてから、首都直下地震など大きな地震が発生をした際に、海上公園に津波が達するリスクについて問題意識を持ち、これまでも議会において、たびたびこのことについての質問をしてまいりました。
 都の被害想定によると、首都直下地震の場合、東京湾で発生する津波、これまで津波は発生しないといわれていましたけれども、東日本大震災で大きくこの見直しが行われて、品川は二十三区の中でも一番津波想定が高く、二メーター六十一センチですから、恐らくこの部屋の天井ぐらいの津波想定ということになるわけであります。
 海上公園は、まさにその位置にあります。こうした海上公園にたまたま遊びに来られていた、あるいは大勢集まっている、そういうときに大きな地震が発生してしまったときに、自分がいる場所が津波の危険があるのかどうか容易に知ることができる海抜表示板の整備を早急に進めるべきと都に要望してまいりましたけれども、海上公園における現在までの海抜表示板の整備状況について伺いたいと思います。

○篠原臨海開発部長 海抜表示板につきましては、設置対象となります三十七公園のうち、工事などで当面閉鎖する二公園を除いた三十五公園におきまして、平成二十六年度からの二カ年で整備を完了しております。
 この表示板は、誰にもわかりやすいデザインを工夫し、文字は日本語、英語、中国語、韓国語の四カ国語で表示しました。さらに、リスクの高い地点につきましては、津波注意の表示もあわせて行っております。
 公園内の管理施設やトイレなど人の集まる場所のほかに、水際にはおおむね百メートル間隔で設置することといたしまして、合計で五百八十六カ所に整備を行いました。
 今後は、ホームページやリーフレットにより、利用者へのさらなる周知にも努めてまいります。

○伊藤委員 約六百カ所近く整備をしていただいたということで、また見させていただきましたけれども、この海抜表示の取り組みは、品川区でも、港区でも、大田区でも多分やっていらっしゃると思いますけれども、非常にデザインをうまく近づけて、一体的にやっていただいているなというふうに感じました。本当に感謝申し上げる次第でございます。
 今後も引き続き、必要な箇所には設置をしていっていただきたい、このように思うものでございます。
 次に、舟運の活性化について伺いたいと思います。
 江戸時代、この江戸は世界有数の水の都であったわけであります。城下を縦横に走る運河や河川、こうしたものは江戸の経済を支える大動脈であった一方、屋形船から桜や、あるいは花火などを見ながら船遊びに興じるなど、江戸時代のこうした人々の生活の中には欠かせないものがこの舟運であったわけであります。
 しかし、明治以降、陸上交通が発達をして、やがて戦後の高度経済成長期を経て、物流の中心は自動車、また鉄道にシフトをし、人々も水辺から遠ざかってしまったわけであります。
 しかし、近年、東京の舟運が再び注目されつつあるわけであります。
 多くの外国人の方々が日本に、そしてまた、東京にお見えになる中で、浅草やお台場などの観光名所を訪れる外国人の方も多く、東京の景色を水上から楽しめる船は、それ自体が観光資源として大きな可能性を秘めているわけであります。
 特に臨海部は、都心の高層ビル群を背景としたレインボーブリッジやふ頭など、都心と海とが近接した東京ならではの景観が広がっており、それらを船から楽しむことは、大きな魅力の一つとして、世界にPRすることができると思います。国内外から東京を訪れる多くのお客様に東京の魅力を十分に堪能していただくためにも、舟運の活性化に大きく期待をしているものでございます。
 これまでも我が党は、水辺にある観光資源と連携した舟運ルートの開発が可能となるような取り組みを積極的に行うべきと提言してまいりましたけれども、我が党のこうした提言を踏まえ、都が実施している公共桟橋の開放は、舟運の活性化に重要な役割を果たすものと考えております。
 そこで、現在、桟橋開放を行っている竹芝小型船桟橋及び有明桟橋における、これまでの解放の実績について伺いたいと思います。

○蔵居港湾振興担当部長 舟運の活性化に向け、多様な舟運事業者による新たな舟運ルートの開発を促すためには、舟運事業者が利用できる船着き場をふやしていくことが重要であります。
 このため、都では、竹芝小型船桟橋及び有明桟橋について定期航路の定時運航等を確保し、多くの舟運事業者が安全かつ円滑に利用できる仕組みづくりを行った上で、屋形船やクルーズ船などの不定期航路事業者に開放する取り組みを行っております。
 この取り組みによる桟橋の利用回数については、平成二十六年九月から開放を行っている竹芝小型船桟橋では、二十六年度は七カ月で五十八回、二十七年度は二百七十二回、二十八年度は十月までの七カ月間で二百六十四回となっています。
 また、平成二十七年六月から開放を行っている有明桟橋では、二十七年度は十カ月で百六十二回、二十八年度は十月までの七カ月間で百八十一回となっており、いずれの桟橋においても大幅な増加傾向にあります。

○伊藤委員 答弁いただいた数字からも、公共桟橋開放へのニーズが高いということは明らかであると思います。
 また、海上公園の船着き場についても同様に不定期航路事業者に開放されて、水上から容易に海上公園にアクセスすることができるようになれば、海上公園を利用される方にとっても便利になり、さらに人が集まるようになるのではないかと思います。
 そこで、港湾局が所有する他の公共桟橋についても、竹芝や有明と同様に不定期航路事業者への開放を進めるべきと考えますけれども、見解を伺いたいと思います。

○蔵居港湾振興担当部長 舟運の活性化を進めるに当たっては、舟運事業者が利用できる船着き場をふやすことが重要でありますが、この点において、不定期航路事業者への公共桟橋の開放は、これまでの実績を踏まえると有効な取り組みであると認識しております。
 海上公園の船着き場を含めた他の公共桟橋についても、利用の状況や舟運事業者等の意見を踏まえつつ、不定期航路事業者への開放に向けた検討を積極的に進めてまいります。

○伊藤委員 先ほども鈴木先生からお話がありましたけれども、この舟運の社会実験、私も天王洲の方に行ってまいりました。
 品川区も、区としてもしながわ観光フェアの位置づけと一緒にしながら、商店街だとか、沿岸部もそうですけれども、本当に品川区中がお祭りでいっぱいになったわけでございます。恐らくこの社会実験の中でつくったこの冊子なんですけど、よく見ると、おいしそうなお店のクーポン券がいっぱいついているんですね。小さい字で下の方に書いてあって、乗船証明カード、これを見せると一五%割引とか、中には二〇%もあったかな、乗船したよという、このカードを見せると割り引いてくれると。大変におもしろい、また、いい企画だなと思いました。こうやってこの社会実験を、また舟運を活性化させるために、本当に民間の方々も含めて一生懸命にやってくださっているわけですね。
 どうか船に気軽に乗れるような料金設定になるように、また都としても支援をしていただきたいと思います。このときに、船着き場のところで屋形船を事業者としてやっていらっしゃる方から伺いました。
 いろんな桟橋に船をつけて、いろんなところで楽しませてあげたいんだけれども、先ほど鈴木先生もおっしゃっていましたけれども、つければつけるほど、そこに着岸料を払わなきゃいけないんだよと。ある場所では三千円、たった少ししか乗っていないのに、ある場所で二千円、とまればとまるほど着岸料を払わなきゃいけないから、それは全部事業者がかぶるわけにいかないので、結局、高くなっちゃうし、結局、余り着岸できないんだ、これを何とか改善してほしい、こういうお声をいただきました。
 ぜひとも利用料金の引き下げにつながるような公共桟橋の利用の仕方についても検討をしていただきたい、このように思います。
 一方で、公共桟橋開放の取り組みによって、舟運事業者が利用できる船着き場がふえても、その船着き場が乗船客にとって行きやすいものでなければ、この取り組みは不十分になってしまう、このように思います。
 しかし、船着き場の多くは駅などから離れた場所にあったりとか、また、天王洲もそうです。すぐ近くに天王洲駅があるんですけれども、船着き場の場所がわからないんですね。みんなぐるぐる同じところを回って、どこに船着き場があるんですか、こういう状況も私も実際に目にいたしました。
 そこで、船を利用する誰もが迷うことなく船着き場まで行けるようにする工夫が必要であると考えますけれども、都の見解を伺いたいと思います。

○蔵居港湾振興担当部長 副委員長ご指摘のとおり、鉄道駅などからの道のりがわかりづらい船着き場が多いことから、乗船客に対して、船着き場の場所をわかりやすく案内する取り組みは重要であると認識しております。
 都では、定期航路の拡充を目的とする運航の社会実験を今年度から実施しておりますけども、この社会実験にあわせて、利用者の視点に立ったサイン計画を計画することとしておりまして、関係機関とも連携しながら、利用しやすい船着き場の実現に向けて取り組んでまいります。

○伊藤委員 このイベントにも本当に子供さんから高齢者まで、いろいろな人が来ていました。ちょっと寒い日だったので、コートを着ていないために、今度来たら乗ろうねといっている会話が聞こえたり、あるいは船からおりてきた人が、楽しかったね、また乗ろうねと、こんな会話をしていましたので、ぜひともこの社会実験も成功させていただきたい、このように思います。
 さて、東京港には、水上バスや屋形船、クルーズ船など、さまざまな船が運航されておりますけれども、近年、新たな交通、観光手段として特に注目されているのが水上タクシーであります。昨年には、東京都で初めて水上タクシーを専業とする会社が営業を開始して、メディアにもよく取り上げられておりました。
 我が党は、ここ数年来、特に木内先輩でありますが、水上タクシーの持つ可能性に注目して、水上タクシーを活性化させることの重要性を何度も主張してまいりました。
 水上タクシーは小回りがきき、決まった航路に寄らず移動できるという特徴があって、また、出発地と目的地、利用時間を利用者が選べるというのが従来の舟運との大きな違いであります。
 さらに、東京港には多くの運河がありますけれども、幅が狭く、水深の浅い運河において航行が可能なことも、水上タクシーの大きな特徴であります。
 昨年の経済・港湾委員会において、我が党は、このような水上タクシーの強みを生かすため、水上タクシーが利用できる船着き場をふやす取り組みを進めていくべきということを主張しましたけれども、都では、ことしの夏から、JR田町駅近くにある運河部の防災船着き場を水上タクシーの乗降場所として試行的に開放する社会実験を開始いたしたところであります。
 そこで、この社会実験において試行的に開放している運河部の防災船着き場について、現時点での利用状況を伺いたいと思います。

○蔵居港湾振興担当部長 都では、舟運の活性化のため、駅などの近くにある利便性の高い船着き場をふやす取り組みとして、ことしの夏から、運河部の一部の防災船着き場を水上タクシーの乗降場所として開放する社会実験を実施しております。
 具体的には、本年七月中旬から、JR田町駅より三分の新芝運河の防災船着き場を、また本年八月末からは、JR品川駅より徒歩八分の高浜運河の防災船着き場をそれぞれ試行的に開放しております。
 田町の防災船着き場では、事業者が田町と天王洲間を一人五百円で運ぶ新たなサービスを開始したことなどもありまして、八月から十月までの三カ月間で利用者数として延べ百六十九回、三百十七人の乗客が利用しております。
 なお、品川の防災船着き場では、事業者との調整の結果、今月十五日から利用を開始したところでございます。

○伊藤委員 田町の防災船着き場では、三カ月で三百十七人が利用しているということでありましたけれども、舟運事業というのは季節によって、あるいはまた天候によって変動も大きいということもあると思います。引き続き、この利用状況についても注視をしていきたいというふうに思います。
 一方で、運河は幅が狭くて水深も浅いといった地形的特徴があるほか、さまざまな船が行き交うところでもあるわけであります。
 運河部の防災船着き場を舟運事業者に開放するに当たっては、さまざまな船舶が利用している運河部の現状を踏まえて、他の水域利用者にも十分配慮しながら検討すべきと考えますけれども、見解を伺いたいと思います。

○蔵居港湾振興担当部長 副委員長ご指摘のとおり、運河部の防災船着き場の活用に当たっては、東京港の運河の地形的な特徴や利用状況を踏まえた上で、水域利用者や地元区等の理解を得ながら検討を進めることが重要であると認識しております。
 このため都では、今回の社会実験を実施するに当たり、舟運事業者の団体や地元区等をメンバーとする検討会を立ち上げており、今回、実験の実施状況を踏まえつつ、運河部の防災船着き場の活用のあり方について検討を進めてまいります。

○伊藤委員 運河部の防災船着き場の活用、これについてぜひとも進めていただきたいのと同時に、舟運の事業者、そしてまた地元区、水域利用者等の意見を丁寧に聞いて進めていただきたい、このように思います。
 いずれにいたしましても、国内外から東京を訪れる人はますますふえてくることが予想される中で、東京の水辺の魅力を新たに知っていただくためには、舟運の活性化の実現は重要な事業であります。
 先ほどの海上公園の夜のライトアップとともに、ぜひとも運河などの水辺についても、夜間のライトアップも、あるいは海上公園も含めて検討すべきであるということを要望しておきたいと思います。
 都では、現在、都市整備局、建設局、港湾局の三局による定期航路の充実を目指した運航の社会実験も始まったばかりであります。これらを含めた舟運活性化に向けたさまざまな取り組みを精力的に進めることで、東京の舟運全体の活性化を図ることを要望するとともに、東京がかつての江戸のような水の都になることを期待して、次の質問に移りたいと思います。
 最後に、御蔵島でのヘリポート再整備に対する都の支援について伺いたいと思います。
 御蔵島を初めとする空港のない小離島においては、島民の足となるヘリ定期便の離着陸場として、村営ヘリポートが日常的に使用されているわけであります。
 三年ほど前に私も初めて御蔵島に行きましたけど、本当にお碗をひっくり返したようにそそり立っている島でありまして、船が着くにも、またヘリポートも断崖絶壁のところにヘリが着陸するという、そういう島でありました。
 本当に自然豊かな感動する島だったわけでありますけれども、南海トラフ巨大地震等により大規模な災害が発生をした際には、こうした村営ヘリポートは、島民の避難や救援物資の受け入れ場所として大変に重要な役割を担うことになるわけであります。
 昨年は、御蔵島村で実施された総合防災訓練においても、そうした事態を想定して、村営ヘリポートを利用したヘリコプターによる物資輸送訓練が行われたわけであります。
 しかしながら、御蔵島を初め、こうした各島の村営ヘリポートには、災害時に自衛隊などの大型ヘリコプターが迅速な救援活動を行うには狭いなどの課題があって、ヘリポートの拡張と再整備が求められているわけでありますけれども、村では、技術的知識を有する人材を確保しにくく、村が単独で取り組むのは非常に難しい実態があるわけであります。
 こうしたことから、港湾局では、現在、御蔵島のヘリポート再整備事業に対し支援を行っていると聞いておりますけれども、改めて、これまでの支援内容について伺いたいと思います。

○神山島しょ・小笠原空港整備担当部長 港湾局は、小離島のヘリポートが島民の日常的な交通手段の確保に加え、島しょ地域の防災力向上においても重要な役割を担っていると認識しておりまして、村営ヘリポートの再整備事業に対し支援を行うこととしております。
 御蔵島村が進めていますヘリポート再整備事業では、設計段階において技術的なアドバイスを行ってきたほか、昨年度からは、村からヘリポート整備工事を受託し、村にかわり工事を行っております。

○伊藤委員 御蔵島村のヘリポート整備工事を港湾局が受託して進めているということで、大変心強く思います。
 しかしながら、御蔵島は、先ほども申し上げたとおり、島全体が一つの山岳の様相を呈し、地形が大変な急傾斜でありまして、平坦な土地が少なくて、ヘリポートの整備は技術的に極めて難しいのではないかと思います。
 そこで、御蔵島において、新たなヘリポートをどのように整備するのか伺いたいと思います。

○神山島しょ・小笠原空港整備担当部長 御蔵島は、お話のように地形が大変急峻でございまして、大型ヘリコプターの離着陸に適する場所がないことから、海に面した傾斜地のところに十分な広さの平たん地を設け、そこに新たなヘリポートを整備することとしております。
 その平たん地の造成に当たりましては、傾斜地にコンクリートパネルを用いて擁壁をつくり、その垂直の擁壁と傾斜地との間に石材を埋める工事を行ってまいります。造成する高さが最大で約二十メートルにもなることから、造成地の基礎となる地盤を改良し強化するとともに、強固なコンクリートパネルや石材など、耐震性にすぐれた材料を使用することにより、大地震が発生しても崩れることがないようにしてまいります。

○伊藤委員 本当に大変な工事だと思います。大変な急傾斜のところにつくっていくわけですよね。厳しい施工条件を克服して、ぜひとも大地震にも耐えられるヘリポートが完成することを期待したいと思います。
 既に、昨年度より工事が進められているということでありますけれども、御蔵島は気象あるいは海象条件も厳しく、工事を進めていく上で大変苦労されているのではないかと思います。
 そこで、御蔵島でのヘリポート整備工事の進捗状況、今どのあたりまで来ているのか伺いたいと思います。

○神山島しょ・小笠原空港整備担当部長 御蔵島のヘリポート整備工事は、これまでに基礎工事を終え、現在、本体工事を行っているところでございます。
 本工事では、使用する石材を初め、全ての資材を島外から貨物船で運び込む必要がございますが、御蔵島では、高波により貨物船が欠航し、計画どおりに資材が整わないことがたびたびあり、工程管理が非常に難しい工事となっております。
 今後、冬の強い風や波により気象、海象条件は厳しさを増していくものと見込まれますが、島民の期待に応え、早期に新たなヘリポートを供用開始することができるよう努めてまいります。

○伊藤委員 大変に難しい工事だということがよくわかりました。
 港湾局は、これまで島しょ工事で培った技術的知見を生かして、御蔵島の島民が安心して暮らせるよう、新たなヘリポートの早期完成に向け、引き続き積極的な支援をお願いし、皆さんもぜひとも御蔵島に行っていただきたい、このこともお願いして、質問を終わります。

○柴崎委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後四時五十四分休憩

   午後五時九分開議

○柴崎委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○尾崎委員 私の方からは、調布飛行場の問題で幾つか質問させていただきます。
 昨年の七月二十六日、調布飛行場から飛び立った小型機が墜落し、大変痛ましい事故が起こりました。
 事故から一年以上が経過しました。きょうの質問では、事故後の対応問題と、調布飛行場の今後について質問したいと思います。
 調布飛行場から離陸した小型航空機が墜落し、住民を巻き添えに八人が死傷する事故が起きてから一年以上が経過していますが、事故原因の調査について、進捗状況はどうなっていますか。

○神山島しょ・小笠原空港整備担当部長 事故原因については、昨年七月の事故発生直後から、国土交通省運輸安全委員会が調査を行っております。
 具体的には、飛行機の機体損壊状況の確認や関係書類の収集、確認、画像や映像等からの飛行解析などを行っているとのことでございます。
 ことし四月には、事故機のエンジンやプロペラ等を米国の製造元で分解調査した結果について、ふぐあい発生の可能性を示すような状況は確認されなかったとの発表がございました。
 ことし七月には、運輸安全委員会において調査報告書案の審議が開始されたとの発表があり、現在も審議が続いているとのことでございます。

○尾崎委員 今回の事故でパイロットが死亡してしまったこともあって、事故の原因調査に時間がかかっているのではないかという住民の不安の声もありますが、被害に遭われた住民の立場に立って、調布飛行場の設置管理者である東京都は、責任を持った対応が必要だと思います。
 そこで、事故で被害に遭われた方々に対する東京都の支援策について伺います。
 車の事故の場合、保険に加入していれば、その保険で賠償金や修繕なども補償される仕組みがありますが、飛行機事故にかかわる保険制度はどうなっているのでしょうか。

○神山島しょ・小笠原空港整備担当部長 保険についてでございますが、車の保険では、通常、保険会社から直接被害者へ保険金が支払われるのに対しまして、航空機保険では、契約者のほかに、保険証券に記載されています被保険者等に対し保険金の支払いがなされます。
 具体的には、航空機事故を起こした被保険者等が保険金の支払いを請求し、保険会社から損害賠償額等の金額を保険金として受け取り、被害者に対する補償を行うことになります。

○尾崎委員 ただいまのご答弁で航空機保険の仕組みを説明していただきましたが、説明の中で、被保険者というのは、具体的にいうとパイロットになるということだと思います。車の保険のように、保険会社から直接被害者に支払われるものではないということもよくわかりました。
 いろんな人に聞くと、まだ補償金も支払われていないということです。パイロットである本人が死亡してしまった場合は、保険金は相続人が受け取り、被害者にも賠償金が支払われるということも聞いています。そして、事故原因がはっきりしないと、加害者であるのかという特定が前提になっている保険では難しいようになるということも聞いており、これが大きな壁になっていると思っています。
 被害者や周辺住民の皆さんからは、住宅を購入したときは騒音もなく静かなまちだったが、今では騒音がひどく、いつ事故が起こるのかと不安を抱えながら暮らしている、自分には何も責任がない事故のために、どうしてこんなに苦しまなければならないのかという声も出されています。
 調布飛行場は、そもそも住宅密集地という危険な地域にある飛行場です。民間の航空機保険に頼るだけでなく、被害者救済のために、飛行場の設置管理者として東京都独自の制度を早急につくることが必要だと思いますので、検討を求めます。
 飛行場周辺の住民、被害者の心のケアが必要です。一年が経過しても、飛行機の飛び立つ音を聞くだけで事故当時の恐怖心がよみがえり、また飛行機が落ちるのではないかと不安になるといいます。相談窓口への相談を待っているのではなく、事故がどんな問題を引き起こしているのか、東京都として、暮らしや健康状況をよく聞き、周辺住民や被害者に寄り添った対応が求められますが、いかがですか。

○神山島しょ・小笠原空港整備担当部長 都は、調布飛行場を離着陸する航空機の安全対策を強化し、航空機運航者等と連携し、事故の再発防止を徹底することにより、地元住民の方々の不安感を払拭するよう取り組んでまいります。
 特に、被害に遭われた方に対しましては、これまで個別訪問等を行ってきましたが、今後もその要望などをお尋ねし、個々の状況に応じ、丁寧に対応してまいります。

○尾崎委員 個別訪問などを行い、要望を聞いているということですが、心の問題はすぐに解決することが困難であり、心の問題を相談できるのかどうかは信頼関係が前提になるものだと思いますので、引き続き全力で取り組んでいただくようお願いします。
 次に、自家用機の運航は、現在どうなっていますか。

○神山島しょ・小笠原空港整備担当部長 調布飛行場におきましては、昨年の事故から現在に至るまで、自家用機の運航は行われておりません。

○尾崎委員 自家用機の使用は今後も禁止することを求めますが、いかがですか。

○神山島しょ・小笠原空港整備担当部長 今後の自家用機の運航のあり方につきましては、地元市などの意見を聞きながら、慎重に検討してまいります。

○尾崎委員 東京都は、六月の住民説明会で自家用機も飛行できるように提案したわけですが、事故原因も究明されていない、被害者住民への補償もされていないのに、どのような認識のもとで提案したのか伺います。

○神山島しょ・小笠原空港整備担当部長 都は、国との協議等から想定される事故原因に対しまして、現時点で考え得る安全対策の強化を徹底した上で、自家用機の運航を再開した際の安全確保のため、自粛要請は継続しつつ、法令で規定されている耐空証明検査や技量維持などのための必要最小限の運航を認めることを提案したものでございます。
 今後の自家用機の運航のあり方につきましては、地元市や地元住民の意見を聞きながら検討してまいります。

○尾崎委員 東京都は、この六月の住民説明会を行ったわけですが、ここに参加した住民の方からは、自家用機も飛行できるように提案したことに対して、運航に強い反対の意見があったとも聞いています。
 安全で安心して暮らしたいという思いは、誰もが願っていることです。周辺住民の方からは、最近、騒音もひどくなっているとの声も出されています。
 小型機のパイロットの方は、調布飛行場の滑走路はわずか八百メートルです、湿度、温度、重量、飛行場の高度などから、必要滑走路の長さが出てくるということでした。そのためには、少なくとも調布飛行場の滑走路は一千メートル必要だということになります。
 調布飛行場と同じ、その他の飛行場になっている兵庫県豊岡市の但馬飛行場の滑走路は千二百メートル、熊本県天草市の天草飛行場は千メートル、岡山県の岡南飛行場は千二百メートルです。そもそも住宅密集地にあり、滑走路が短いことが最大の問題です。
 元パイロットの方は、もし何かあれば、調布飛行場付近では逃げ場がない、パイロットの仲間たちでは、何かあれば住民を巻き込まないようにすることを一番に考えながら、川や高速道路、学校のグラウンドなどを頭に入れて緊張して操縦していたと話してくれました。安全対策を講じるためには、調布飛行場の立地環境の検証が大前提ではないでしょうか。
 一年以上たっても事故の原因も明らかにならず、被害者への補償もされていない中で、住民の不安は大きくなっています。
 地元住民でつくる調布飛行場周辺三町地域協議会は、自家用機運航の早期撤廃や被害住民への速やかな補償と、事故の際に迅速に救済される制度構築などを求める請願書を、七千百三十六人の署名を添えて知事に提出しています。
 また、飛行場問題を考える調布市民の会は東京都に対し、自家用機の使用は再開せず禁止することや、離島のための飛行場をほかに確保し、調布飛行場は閉鎖を目指すことなどを求めています。
 これが地元住民の要望であり、住宅街の中にある飛行場は住民の命を奪う、二度と同じ事故を起こさないために、東京都は代替の飛行場について本格的な議論を行うべきですが、いかがですか。

○神山島しょ・小笠原空港整備担当部長 都は、昨年の事故発生以前から、自家用機の分散移転に取り組んでおります。
 調布飛行場は、島しょと本土とを結ぶ離島定期便の拠点として重要な役割を担っていることから、引き続き安全対策の強化に取り組んでまいります。あわせて、自家用機の積極的な分散移転にも取り組んでまいります。

○尾崎委員 地元住民でつくる調布飛行場周辺三町地域協議会は、自家用機運航の早期撤廃などを求めて小池知事に署名を出しましたけれども、このとき小池知事は、住民に寄り添った対応をと発言もしています。
 小池知事の都政運営の考え方は、都民ファーストだともいっています。そうであるならば、調布飛行場の事故の被害者への救済を早急に行うことです。そして、調布飛行場の今後については、事故の原因究明とあわせ、調布飛行場がどのような環境の中にあるのかも含め、検討することを求めます。
 この間、羽田と三宅島の路線は廃止され、二〇一四年度からは調布と三宅島の新路線が始まっています。調布飛行場は、伊豆諸島などを結ぶ大事な飛行場です。
 しかし、周辺住民からは、被害が二度と起きないようにと、そして、騒音のないところに住みたいという声も強まっています。
 先ほどの答弁で、自家用機の積極的な分散移転に取り組むということは重要ですが、それにとどまらない対策が必要です。住宅密集地にある大変危険な飛行場であることが明らかである以上、伊豆諸島などと結ぶ飛行場の確保を進め、調布飛行場の閉鎖を求めて、本格的な検討を行うよう求めまして、質問を終わります。

○菅野委員 私からは、工事用船舶の航行安全対策について伺いたいと思います。
 先週、博多で道路の大規模な陥没事故がありました。復旧の速さを称賛する報道がすごく目立つわけですけれども、しかしながら、犠牲者こそ出なかったわけですが、事故によって電気やガスが停止するなど、住民生活や飲食店、オフィス業務に多大な影響が出たことは事実であります。事故原因として、トンネル工事に対する陥没対策が万全でなかった可能性があるといわれています。
 東京港においても、船舶の大型化や取扱貨物量の増大に対応するため、先ほど来、多くの委員の方からのご質問にもありましたけれども、多くの工事が行われておりますけれども、万が一にも事故によって都民生活や経済に影響を及ぼすことないよう、安全対策に万全を期すことが求められていると思います。
 とりわけ二〇二〇年までに整備完了を目指している臨港道路南北線や、大型クルーズ船に対応した新客船ふ頭の整備、さらには外貿コンテナふ頭の新設などの事業は、規模が大きく、長期にわたって海上で行う工事であることから、専門的な技術を要すると聞いています。また、場所が中央防波堤埋立地の西側と大井ふ頭の間の限られた海域に集中していて、工期も重なっています。
 都は、こうした難しい事業環境を乗り越え、工期までに確実に完成されなければならないと思いますけれども、そのためにも、さまざまな安全対策を講じ、ふくそうする海上工事を遅延なく進めていくことが重要だと考えます。
 そこで、本日は、その具体的な内容について伺っていきたいと思います。
 まず、先ほど申し上げました中央防波堤埋立地の西側周辺において実施している海上工事には、どのようなものがあるのか伺いたいと思います。

○原港湾整備部長 都は、東京港の機能の充実強化を図るため、主に中央防波堤埋立地の西側から大井ふ頭や青海ふ頭に通じる第一航路及び第二航路の周辺海域におきまして、二〇二〇年の完成を目指し、国等と連携しながら大規模な海上工事を実施しているところでございます。
 具体的には、有明地区の十号地その二ふ頭と中央防波堤内側埋立地とを海底トンネルで結びます臨港道路南北線を、国の直轄事業により整備を進めてございます。
 また、第一航路の北側の臨海副都心に隣接して整備する新客船ふ頭につきましては、世界最大のクルーズ船に対応した岸壁やターミナルビル等を整備するものであり、臨港道路南北線とともに、来年度、本体工事に着手するなど、工事が本格化することとなっております。
 中央防波堤外側埋立地に整備を進めている外貿コンテナふ頭のY1、Y2バースにつきましては、コンテナを積みおろしする大型クレーンを海上から搬入し設置するとともに、停泊地のしゅんせつ工事を行い、来年の供用開始までに完了させる予定となってございます。
 いずれの事業につきましても、海上工事や資材搬入のために大型で多様な工事用船舶を数多く使用するものであり、東京港の主要航路である第一航路等を多数の船舶が航行しますことから、来年度から二〇二〇年の間は周辺海域の錯綜が見込まれているところでございます。

○菅野委員 海上からの工事が複数あって、規模も大きいということで、第一航路付近では相当数の工事用船舶が航行するということであります。しっかりと海域の安全を確保して、物流への影響や工事に支障を来さないように万全の取り組みが必要であると思います。
 第一航路、第二航路のちょうどそのあたりというのは、これを見ますと、六百メーターとか七百メーターの航路の幅しかないみたいですから、結構狭いなという感じも印象を受けたんですけれども、そういった意味で、東京港では船舶の安全を確保するために、通常、どのような取り組みを行っているのか伺いたいと思います。

○原港湾整備部長 船舶の航行安全につきましては、海上保安庁が灯台や信号、海上の標識である灯浮標など航路を示す施設等を設置するとともに、衝突回避方法等の航法や、汽笛、灯火などの設置すべき設備など、船舶が遵守すべきルールを定めております。
 また、コンテナ船等の一定規模以上の大型船舶に対しましては、航路への入出航の許可を行う、いわゆる航行管制を行っております。
 港湾管理者である都は、東京港の岸壁等を利用する五百総トン以上の一般船舶の航行情報の収集や位置情報を把握するとともに、その情報に基づきまして、各船舶の入出航の伝達など、船舶との通信を行うポートラジオにより運航支援を実施しているところでございます。

○菅野委員 船舶の航行については、海上保安庁や都によって海域の安全を確保しているということでありますけれども、工事用船舶というのは五百総トン未満のものが多いんじゃないかと思うんですが、そういった意味では、現状では対象としていないのではないかなというふうに思います。
 海上で工事を実施する際には、工事区域に一般船舶が入り込まないようにいろいろと対策を行う必要があると思いますけど、どのような対策を実施しているのか伺いたいと思います。

○原港湾整備部長 都は、海上工事を実施する際には、通常、工事の作業区域などを示す灯浮標を設置するとともに、付近を航行する船舶の誘導等を行う警戒船を配置するなど、海上工事に伴う事故の未然防止に努めているところでございます。
 また、大規模な工事を実施する場合には、事前に海上保安庁や学識経験者、海事関係者で構成する船舶航行安全対策検討委員会を設置し、航行安全対策を含めた工事の施工方法等を検討した上で、必要な対策を実施するなど、安全対策を強化しているところでございます。

○菅野委員 今、海上工事を行う際に、別途、安全対策をとられるということのご説明がありましたけれども、あくまでも通常の工事の場合であって、今回のように海上工事が幾つもふくそうして工事用船舶が急増することが予測されるという場合に、取り組みというのをより一層充実する必要があると思うわけでありますが、そこで、それに対しての都の取り組みはどうなのか伺いたいと思います。

○原港湾整備部長 東京港内における船舶の航行安全を確保し、ふくそうする海上工事を円滑に進めていくためには、増加する工事用船舶に対し、的確な運航管理を実施することが重要でございます。
 このため、都は、これまでの取り組みに加え、先ほど申し上げたポートラジオの仕組みをさらに活用し、今回実施する大規模工事の船舶を新たに対象に追加しまして運航支援を行ってまいります。
 具体的には、新たに対象とする工事用船舶について、GPSを活用して船舶の位置を把握し、その情報に基づき、各船舶へ入出航の可否等の伝達を無線システムにより行ってまいります。
 また、第一航路の周辺に新たに監視カメラを増設いたしまして、船舶等の航行状況を的確に把握し、よりきめ細かな運航支援を行ってまいります。
 こうした工事用船舶と一般船舶とを一体的に運航支援することは、全国初の取り組みとなってございます。

○菅野委員 今回のように海上工事がふくそうする東京港内では、航行安全を確保するために、ポートラジオの仕組みを活用して工事用船舶の運航支援を行うということを伺いました。全国で初めてということで、まさに東京ならではの機動力と技術力を生かした取り組みであると思います。
 しかし、勝手な想像ながら、大井信号所にあるんでしょうけれども、そのポートラジオの方たちも大変忙しくなるんじゃないかと思うわけで、そういった意味では、その辺の体制も含めて、ぜひとも確実に実施していただきたいと思います。
 こうした取り組みには、海上保安庁や海上工事を担う事業者等との連携を深め、実効性を高めることが重要であると考えます。都の具体的な取り組みがあれば、伺いたいと思います。

○原港湾整備部長 ご指摘のとおり、新たに行います工事用船舶を含めた船舶の運航支援の実効性を高めるためには、海上保安庁や海上工事を担う事業者等とのより一層の連携が不可欠でございます。
 このため、都は本年度、海上保安庁を初め、国土交通省や大規模工事を施工する事業者等で構成する、中央防波堤地区工事連絡協議会を新たに設置いたしました。
 この協議会は、中央防波堤周辺地域で実施する複数の大規模工事を連携して円滑に進めるための初めての取り組みでございまして、船舶の運航支援内容や遵守事項等を検討し、その周知徹底を図ることにより、航行安全を確保する役目を担うものでございます。
 また、工事用船舶の運航管理者や船員等を対象に航行安全の講習会を実施するなど、現場における安全への意識啓発を強化してまいります。
 こうした取り組みを通じまして、海上工事の航行安全に万全を期し、ふくそうする整備事業を工期までに完成するよう、全力を挙げて取り組んでまいります。

○菅野委員 二〇二〇年が目前に迫りつつある中で、工事を着実に進めていくためにも、安全対策は非常に重要であると申し上げました。
 複数の大規模工事を横串にして連携させる取り組みも初めてということで、大規模な海上工事がふくそうするという状況の中、事故を起こすことなく、何としても確実にやり遂げるという熱意を感じました。
 現在取り組んでいる整備事業は、東京港の機能強化を図る上において、いずれも重要であります。二〇二〇年に向け、さらに精力的に取り組んでいただくよう要望いたしまして、私の質問を終わります。

○上野委員 私からは、防災、減災の視点から、東京港におけるハード、ソフト対策、このことについて質問したいと思います。
 東京港の沿岸部は、低地帯が広範囲に広がっております。過去、幾多の水害にこの沿岸部は見舞われてきました。このため、江戸時代からまちの拡張とともに治水事業が行われるなど、歴史的に見ても治水対策が極めて重要な地域であります。
 この沿岸部の水害はどういうものが想定されるかというと、大きく二つあるといわれていまして、一つはやはり地震による津波、もう一つは台風による高潮、この二つがどういう形で沿岸部を襲ってくるか、これの対策というものを、港湾局さんは東京港の対策としてどのように立てていらっしゃるかというところが非常に大事だと思います。
 その中の津波につきましては、先ほど伊藤副委員長からも話がありました。これについては、多くの都民の方々から津波は大丈夫かという問い合わせも来ます。これは、これまでの過去、東京で大きな津波の高さというのは、ご存じのとおり元禄関東地震であったわけでございます。
 平成二十四年の東京都防災会議などによりまして、この元禄関東地震をモデルとして検証しております。その結果は、先ほど話がありました東京湾沿岸部の津波高は、満潮時で品川区が最大と、こういわれていまして、TPで二・六一メートルと。
 TPというのは東京湾の平均海面で、いわゆる海抜と、このようにいわれているわけでございます。これは識者の方々も、なぜそんなに東京湾は高くないのかというのは、非常に東京湾の地形に守られているといわれていました。入り口が狭いということと、その狭い入り口から入ってきた津波も、湾が中で広いものだから、その分しっかりと津波の高さというのが減衰してくるということで、地形に守られているんですよと、こういわれているわけでございます。この高さというのが津波というのは心配されていますけれども、私は、その津波の破壊力というのを非常に心配しているわけであります。
 東北、あの三・一一の地震の二カ月後に学者の先生と一緒に回ってまいりましたけれども、すさまじい破壊力で、防潮堤なんかも何と剪断破壊していたんですね。土木の方はよくわかると思いますけれども、剪断破壊というのは普通の力では起こらない、ハンマーみたいなものでバーンとたたかない限り割れないという、こういう形状なわけですね。それを目の前で見まして、この津波の破壊力のすさまじさというのを非常に感じたわけでございます。
 東京湾でこういった最大級の地震が起きて津波が入ってきたときに、心配されているのはその津波、これが一度じゃなくて、東京湾の地形の関係で何度も何度も反響してやってくると、あの三・一一のときの検証で出ました。その後もまた新たな津波がやってきたときに、お互いに反響して、すごい力でまた防潮堤、護岸にぶつかってくる。じゃあ、この防潮堤、護岸がそうした津波の破壊力というのを想定されているのかどうかというのが非常に心配なわけですね。この辺について、今の状況をまず教えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○原港湾整備部長 津波に対する東京港の安全対策についてでございます。
 先ほどお話がありましたように、津波につきましては、東京港内につきましては、TPでいきますと二・六一、A.P.に換算しますと三・七四ということで、高さ自体はそれほど高い状況にはございません。
 これにつきまして、防御対策といたしましては高潮防潮堤がございまして、津波の高さに対しては十分な高さを確保してございまして、津波に対しても安全なものと考えてございます。

○上野委員 非常に答弁しづらかったんだなということで、じゃあ、次は答弁求めませんけれども、防潮堤、護岸の、要するに津波の破壊力というのは想定されていないですね。高潮にしても、静水圧、水圧の力に対して耐えられるかどうかという構造でできているということだと私は聞いておりました。それからすると、そこの部分について、本当に津波の破壊力というものが、東京湾の地形からいったときには反響して何度も何度も来るというふうなことが三・一一で検証されたわけですから、そういったものもやはりぜひ検討していただきたいということを私の方で要望いたしますけれども、よろしいですか。部長、済みませんね。じゃあ、せっかく手を挙げられたから。

○原港湾整備部長 現時点で検討してございませんが、委員のご指摘を踏まえまして検討してまいりたいというふうに思います。

○上野委員 すばらしいご答弁ありがとうございます。以前の予算特別委員会のときには答弁がなかったので、きょうは、そういった意味では非常にありがたいなと思いますけれども、本当にやっぱり現状に合った対応策というのを考えなきゃならないと思うんですね。
 確かに大事なのは耐震化、地震の揺れに耐えられるかどうか、これはもうすごい破壊力ですから、これに耐えられればもう津波の破壊力には大丈夫ですよと、こういってくれればいいんですけれども、何せ波のすごい、津波の場合は全体の面積が大きいですから、それがどおっとやってくるものですから、物すごい破壊力だそうですね。このあたりも想定した場合に、本当にもつのかというのはやはり検証してもらいたいということで、ぜひ検討していただきたいと思うんです。
 高さということで心配なのは、もう一つはやはり高潮です。三年前の平成二十五年ですね、台風三十号、皆さんも覚えていらっしゃいます、八百九十五ヘクトパスカルという恐ろしいような台風三十号がフィリピンを襲いました。フィリピン沿岸部は、記録によると五メートルから六メートルの高さの高潮が襲ってきたと。ある島なんかは、もう八メートルから十メートル近いのが襲ったんじゃないか、こういわれているわけでございます。その意味では、最も恐れているのは台風による高潮だと、私はこのように思っています。
 なぜかというと、地震よりも台風が襲ってくるリスクというのは確率的には高い、こういうふうにいわれているわけで、毎年本当に心配だと。しかも、日本の近海が地球温暖化の影響で海水温が高まってきているということで、ことしも見ていて、皆さんもおわかりとは思いますが、日本の近海で台風が発生している。海水温が高いもんだから、普通は赤道直下で発生してきたものが北に行くほど海水温が低くなって、エネルギーが消耗していって台風は小さくなっていくけれども、海水温が高いもんだから、発生したものがいきなりぐうっと成長してしまう。どんどんどんどん気圧が下がっていくわけですね。九百十ヘクトパスカルより下がっていくと、もうスーパー台風だといわれているわけですけど、もうそれに近いような状況のものが襲ってくるという、こういう恐ろしい時代に今なってきているんです。
 幸いなことに、東京には今、そういった台風が直撃していないんです。だから、他人事のような思いがあるわけです。しかし、襲ってくる可能性が高まっているんだよ、それに対してきちんと高潮対策というのをとっていかなきゃならないよと。
 ことしは、日本に上陸した台風というのは過去二番目に多かったといわれています。高気圧の位置によって随分コースは変わるわけですけれども、台風の数は少なくなっていくと。しかし、規模がでかくなりますよということを、今、いわれています。スーパー台風というのが現実的に襲ってくる可能性がある。これに対してきちんと対策をとらなきゃならないよと。私は、そうした状況の中で、安全・安心の都市の実現に向けても、着実に高潮対策に取り組むべきである、このように思っているところでございます。
 港湾局の資料によりますと、東京港における高潮対策というのは、昭和初期から本格的に着手したとのことであります。その後、東京下町の地盤沈下への対応、また、キティ台風、伊勢湾台風、こういった台風の高潮を教訓とした整備水準の見直しを行って、東京の安全・安心を確保するために港湾局は、水門、防潮堤の海岸保全施設の整備を積極的に進めてこられました。私は、そのことに対して高く評価しているところでございます。
 そこで、まず、東京港のそういった特徴などを踏まえた高潮対策の重要性について、都の見解を求めます。

○原港湾整備部長 東京港に位置いたします東京湾は、開口部が南西方向にあるため、北上する台風が湾の西側を通過する場合、台風の中心に向かいまして反時計回りに吹く風に台風の移動速度による風が加わりまして、強い南風が吹き込むこととなります。
 このため、東京湾の最も奥に位置する東京港は、吹き寄せられた海水の逃げ場がなく、海面上昇が大きくなり、高潮の影響を極めて受けやすいという特徴を有してございます。
 加えまして、東京港の沿岸部に広範囲に広がる地盤の低い地域には多くの都民が生活をするとともに、都市機能が高度に集積しております。そのため、こうした地域が一旦浸水した場合には、その被害は甚大になることが想定されます。
 こうした事態を未然に防ぐためには、水門や防潮堤等の海岸保全施設が重要であり、その整備を鋭意進めているところでございます。

○上野委員 東京港は高潮の影響を受けやすい特徴があるということでございます。その意味では、海岸保全施設の重要性ということを先ほどの答弁で再認識いたしました。
 それでは、先ほどのご答弁にありました水門や防潮堤は、東京の沿岸部を第一線で守るとりわけ重要な海岸保全施設でありますので、その整備水準及び整備の進捗状況についてお尋ねします。

○原港湾整備部長 高潮から都民の生命、財産を守るためには、海岸保全施設が不可欠でございます。
 都は、過去の幾多の水害を教訓にしまして、台風による海水面の上昇、いわゆる潮位偏差が観測史上最大を記録した伊勢湾台風級の台風が東京を襲った場合におきましても水害が発生することのないよう、防潮堤等の整備を進めてまいりました。
 これまでに、東京港の沿岸部を防御する水門や防潮堤を優先的に整備を進めてきた結果、既に概成をしているところでございます。
 現在は、東日本大震災を教訓として策定いたしました東京港海岸保全施設整備計画に基づき、最大級の地震による津波や高潮からの浸水を防ぐため、施設の耐震化や耐水化等を進めているところでございます。
 今後とも、東京港の沿岸部を第一線で守る水門や防潮堤等の耐震対策などにつきましては、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会までの完成に向けまして積極的に整備を進め、東京の防災力を一層強化してまいります。

○上野委員 ただいまのご答弁に、伊勢湾台風級の台風を想定して防潮堤の整備を行っているとのことでありますけれども、想定している高潮の高さに対し、防潮堤の高さはどの程度で整備しているのかお尋ねします。

○原港湾整備部長 防潮堤等の整備に当たっての基準となる高さは、潮が引いたときの海面の水位、いわゆる干潮面をA.P.ゼロメートルとあらわしております。
 伊勢湾台風級の台風が東京に襲来した場合に想定される高潮の高さは、地区によって異なりますが、低いところでA.P.四・一メートル、高いところではA.P.五・一メートルとなってございます。
 それに合わせて、防潮堤の高さにつきましては、A.P.四・六メートルからA.P.八・〇メートルで整備をしておりまして、高潮に対して安全な高さを確保しているところでございます。

○上野委員 ご答弁で、防潮堤の高さが高潮高を上回っているということを確認できまして、安心したところでございます。
 次は地震です。東日本大震災を踏まえて行っている耐震対策に関して、詳細に聞いていきたいと思っております。
 まず、先ほどのご答弁で、最大級の地震に対応していくとのことでありましたけれども、どのような地震を想定されているのかお尋ねします。

○原港湾整備部長 想定している地震は、東日本大震災の経験を踏まえ、平成二十四年の東京都防災会議等で示されました、東京において将来にわたって考えられる最大級の強さを持つ地震としてございます。
 具体的には、これまで想定した地震を上回るマグニチュード八クラスの海溝型地震や、マグニチュード七クラスの首都直下地震であり、こうした地震に対応できるよう対策を実施しているところでございます。

○上野委員 三・一一の地震のときにも、北から南まで約四百キロで液状化したと。東京も液状化いたしました。地震では液状化という現象が発生するということであります。特に東京は、周りは高くて、川でずんずんずんずん持ってきて、低くなったところの平野が東京ということで、そこの部分には砂地盤とかが多いわけで、液状化しやすい地層が多いところだと、こういわれているわけであります。
 私は、東日本大震災後、直ちに被災地を調査した際にも、この液状化によって護岸等が数メートル沈下したなと思われるような状況を目の当たりにいたしました。
 そこで、地震に伴う液状化による防潮堤の沈下にはどう対応しているのかお尋ねします。

○原港湾整備部長 液状化とは、地下水位の高い緩い砂地盤が、地震の震動により液体状になり、地上に噴出する現象でございます。
 液状化が発生しますと、沈下や浮き上がりにより構造物に大きな影響を及ぼす場合がございます。このため、防潮堤の整備に際しましては、地盤の調査等により液状化する範囲を特定した上で、セメントを注入して地盤を固めるなどの地盤改良などの対策を実施しております。
 このような対策により、液状化による沈下を抑制しております。

○上野委員 液状化の沈下の対策というのもしっかり施していますよ、抑制していますよというお話でありましたけれども、その沈下だけじゃなくて、今度は側方流動といって地盤が水平方向に大きく変位するという、こういう現象も起きているということで、護岸等が動いたという話は三・一一のときにもいろいろ報道されました。
 地震のとき、千葉の浦安の方にも行かせてもらいました。護岸が何となくきれいなんですけれども、護岸より手前の方の、数十メートル手前の方ですか、そこのところで地盤が落ちているんです。七十センチぐらい、がくっと落ちたと。これは側方流動で動いちゃったんですね。だから、護岸そのものは大丈夫のように見えるけれども、全体的に前にずっとずれていると。そのことによって、地盤ががっと沈んでいったという、これが側方流動の怖さということです。
 この側方流動によって防潮堤が水平方向に移動すると、防潮堤そのものの継ぎ目が弱い部分が離れてしまうとか、そういったところが出てくる可能性がある。そうしたときにまた津波とかやってきた、そうした場合にどう対応すればいいのかと。こういった液状化に伴う側方流動に対しては大丈夫なのかどうか、この点についてお話をしてください。

○原港湾整備部長 先ほど答弁申し上げました地盤改良につきましては、液状化に伴う側方流動への対策としても有効でございます。
 こうした対策に加えまして、必要に応じて、継ぎ目部の補強として防潮堤の壁を厚くするなどの対策を実施し、側方流動による変位にも対応しているところでございます。

○上野委員 とにかくそういった地震後の防潮堤の変位とか、あるいは液状化に伴う沈下とか、両方についてもきちんと対応しているというのを確認させていただきました。ありがとうございます。安心しました。
 首都直下地震は三十年以内の発生確率が七〇%程度だといわれています。いうまでもなく、耐震対策は喫緊の課題であり、ハード対策を万全に行っていただくよう期待しております。
 さて、近年、地球温暖化の影響で雨の降り方も局地的、集中化、また、激甚化しているわけでありますけれども、日本周辺に目を向ければ、いわゆるスーパー台風の発生など、今までに経験したことのないような気象に伴う水害が発生しているわけでございます。
 太田前国交大臣が、世界の地球温暖化の状況の中で、そしてまた三・一一を受けて、想定外を想定した対策が必要だと、このような話の中で、いわゆるハード対策だけではどうしても限界が出てくると。これに対してきちんと備えなきゃならないということで、こうした事態に備えるために、国は昨年、水防法の改正に取り組んだ。減災に向けましても、ソフト対策を強化するということになったわけでございます。
 近年の東京では、幸いなことに、先ほど話しましたけれども、台風が直撃するような事態に遭っていないということで、高潮による大規模な水害が発生しておりませんから、一たび水害が発生した場合にどうすればいいかというのが、非常に意識が弱くなっているんですね。
 災害が起きてからでは遅いわけでございます。そういった意味では、もう想定を超えるようなスーパー台風が来るかもわからないという発想のもとに、この水害発生に備える重要施設、また、人口が集中している沿岸部に対してもしっかりと対策をとっていってもらいたいと。
 ハードで厳しい、乗り越えて水が来たときにどうするかということで、我が党はかねてより警鐘を鳴らしておりまして、昨年の本会議でも取り上げました。本年二月には、大規模水害から人の命と首都東京を守るという緊急提言を国交大臣と都知事に行ってまいりました。
 さきの第三回定例会においても、ソフト対策を早急に講ずるべきと強く主張したところであります。都は、有識者等で構成する委員会をいち早く設置しまして、検討を進めていることを確認したのでありますけれども、昨今の気象状況を踏まえれば、一刻も早くソフト対策の検討を進めるべきと、このように考えておりますけれども、現在の検討状況をお尋ねいたします。

○原港湾整備部長 水防法の改正におきましては、想定し得る最大規模の高潮による浸水想定区域図を作成することとされており、そのためには気象条件等のさまざまな条件を設定し、浸水シミュレーションを行う必要がございます。
 このため、本年九月末に開催した高潮浸水想定区域検討委員会では、浸水シミュレーション実施に当たっての設定条件として、台風の気圧や移動速度、経路、河川洪水の同時発生等について、有識者等から意見を頂戴したところでございます。
 今後は、いただいた意見を踏まえ、国や関係局と連携を図りながら浸水シミュレーションを実施し、年明けには第二回の検討委員会を開催し、設定条件の妥当性等について検証する予定でございます。

○上野委員 ご答弁にありましたように、この浸水想定区域図の作成には、浸水シミュレーションの実施というのが不可欠でございます。そのためには、設定条件をどのような内容にするのか、また、その妥当性などの検証をすることは極めて重要であります。
 そこでお尋ねいたしますが、台風の気圧や移動速度などの設定条件、このことについて明らかにしていただきたいと思います。

○原港湾整備部長 ご指摘のとおり、想定し得る最大規模の高潮による浸水想定区域図を作成するためには、条件設定がかなめとなります。
 具体的には、台風の中心気圧や移動速度は、それぞれ我が国でこれまで襲来した最大規模である室戸台風級の九百十ヘクトパスカル、伊勢湾台風級の時速七十三キロメートルとしてございます。
 また、高潮の発生と同時に、荒川や多摩川などの河川が増水することを前提とするとともに、排水機場や下水道のポンプ所等の排水能力を設定いたします。
 排水能力の設定に当たりましては、水害時の浸水被害等による能力低下を考慮して設定いたします。
 これらのさまざまな条件を設定した上で浸水シミュレーションを繰り返し実施し、その結果を踏まえ、浸水区域のほか、浸水深さや浸水が継続する時間を示した浸水想定区域図を作成してまいります。

○上野委員 現時点では、高潮災害時にどこがどのくらい危険なのかわからないという状況でございます。住民の的確な避難行動につながる適切な情報を社会全体で共有しておくことは重要であり、一刻も早く浸水想定区域図を作成、公表していただきたいと。より実効性のあるハザードマップができ上がっていくことを期待しているところでございます。
 首都東京の防災力の向上は一朝一夕にできるものではなく、継続した取り組みが重要であります。ハード、ソフト両面からの対策を着実に進めて、水害に強い都市の構築を推進していただくよう要望いたしまして、次の質問に移ります。
 東京港では、地震発生に際しても、コンテナなどの物流機能を維持するとともに、緊急物資の輸送拠点として機能することが求められます。
 このため都は、岸壁の耐震化を進めるとともに、緊急輸送ルートを確保するなどの取り組みも推進していることを承知しているところでございます。いずれの取り組みも重要であり、着実な推進をお願いしておきます。
 繰り返しになりますけれども、水害も含めて災害対策は最悪の事態を想定して備えておくことが重要であります。危惧するのは、岸壁や道路が万一、何らかの原因で塞がれるなどして、物流や緊急物資の輸送が滞るような事態になったときであります。こうしたことも起こらないとは限りません。むしろ想定すべきことであると思います。
 発災時に岸壁や道路が障害物等によって塞がれた際には、速やかにこれらを除去する応急復旧が重要です。応急復旧については民間の支援も必要と思いますが、発災時における応急復旧に対する協力体制についてお尋ねいたします。

○原港湾整備部長 岸壁や道路は、発災時には物資供給の生命線となるため、万が一、船舶の航行や車両の通行が不能になった場合には、その障害を速やかに取り除くことが重要であり、その際は民間事業者の支援も不可欠でございます。
 このため都は、港湾等の建設に携わる事業者で構成される日本埋立浚渫協会等と発災時の応急復旧等の協定を締結し、緊急の復旧業務が生じた場合は、都の要請により、これら民間団体が復旧作業等を行うこととしてございます。

○上野委員 障害物の除去には、作業を行う相手先だけでなく、クレーンや掘削機などの重機や作業船をどう調達するかもあらかじめ想定しておく必要があります。都は、港内各地で作業船や重機を使用した工事を行っております。緊急時に被災箇所近くの工事で使用している重機や作業船を転用して、除去作業に使うことが有効と思います。
 そこで、都は、発災時の迅速な初期対応を可能とするために、作業船や重機などがどこで使われているかを把握する取り組みを進めているとのことですが、その具体的内容についてお尋ねします。

○原港湾整備部長 応急復旧作業を迅速に進めるためには、作業に必要な重機や作業船を速やかに調達することが重要でございます。
 このため都は、工事で使用している重機や作業船の位置を確認できる取り組みを昨年度から試行してございます。
 具体的には、都は、災害情報マップ支援丸と呼ぶ作業船や重機の情報提供システムの運用を開始し、各工事で使用している作業船、重機、発電機等の位置情報を各事業者にパソコンやスマートフォンでデータベースに登録をさせております。

○上野委員 都は、重機や作業船の位置情報を確認できる仕組みを構築したとのことでございます。災害時に重機や作業船を確実に調達するには、データベース上に正しい登録がなされていることが重要であると思います。
 工事の進捗により、工事内容や作業船、重機などの種類も変わっていくと考えますが、どのように作業船、重機などを登録させ、収集した情報を災害時に活用していくのかお尋ねします。

○原港湾整備部長 作業船、重機等の登録につきましては、一定金額以上の港湾局工事の受注者に対し、現場に搬入されてから搬出されるまでの間、パソコンのデジタルマップやスマートフォンのGPS機能を用いまして、作業船や重機の位置情報を登録しておくよう、契約の際の条件として義務化しております。
 災害時の活用につきましては、その登録情報がパソコンやスマートフォン上から閲覧可能となり、発災時におきましても、被災地周辺においてどのような作業船や重機が使用されているかが把握できますことから、迅速な復旧につながるものと考えてございます。

○上野委員 パソコンやスマートフォンを利用することで、作業船や重機の位置情報を関係者間で共有できるということであります。
 実際の応急復旧については、都から依頼を受けた民間団体などが行うとのことでありますけれども、この災害情報マップを利用して、作業船や重機などの調達をどのように行うのかお尋ねします。

○原港湾整備部長 応急復旧に必要な作業船や重機の調達につきましては、これらを使用する民間団体が直接行うことが効率的でございます。
 このため、民間団体が直接、災害情報マップ支援丸を利用できるよう、アクセスに必要なID、パスワードを付与し、復旧作業に必要な作業船や重機の迅速な調達が可能な仕組みとしてございます。

○上野委員 いざというときに作業船や重機が調達できる仕組みづくりができていることは理解いたしましたが、これまでの実績で、東京港内ではどれくらいの数の作業船や重機が確保できるのでしょうか。

○原港湾整備部長 昨年九月より本システムの導入を開始いたしまして、発注額一億六千万円以上の工事受注者に登録を依頼し、一年程度の実績がございます。
 工事の多い時期におきましては約七十、少ない時期でも約三十程度の作業船、重機等の登録を確認しております。

○上野委員 最後の質問をしていきたいと思います。一定量の作業船や重機が登録されていることは確認いたしましたが、災害の規模によっては、緊急時に必要な作業船や重機が確保できない懸念も残ります。
 より多くの情報を共有するためにも、この災害情報マップ支援丸を拡大すべきと考えますが、拡大に向けた取り組みについてお尋ねし、私の質問を終わります。

○原港湾整備部長 復旧作業に使用いたします作業船や重機の対象エリアをふやしていくためには、災害情報マップ支援丸の導入を拡大させることが重要でございます。
 このため都は、庁内関係局、近隣の港湾管理者等に対し、支援丸導入を働きかけてまいります。
 こうした取り組みにより、発災時における作業船や重機を効率的に調達し、迅速な復旧作業を可能としてまいります。

○柴崎委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○柴崎委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で港湾局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後六時九分散会

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