経済・港湾委員会速記録第七号

平成二十八年六月十日(金曜日)
第八委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長島崎 義司君
副委員長小林 健二君
副委員長清水 孝治君
理事あさの克彦君
理事田中たけし君
理事かち佳代子君
松田やすまさ君
尾崎あや子君
大松あきら君
木内 良明君
三宅 正彦君
田島 和明君
石毛しげる君
三宅 茂樹君

欠席委員 なし

出席説明員
産業労働局局長山本  隆君
次長土渕  裕君
総務部長村松 明典君
産業企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務青山 忠幸君
商工部長松永 竜太君
金融部長山巻  毅君
金融監理部長野間 達也君
金融支援担当部長西川 泰永君
観光部長坂本 雅彦君
観光振興担当部長浦崎 秀行君
農林水産部長寺崎 久明君
安全安心・地産地消推進担当部長武田 直克君
雇用就業部長矢田部裕文君
事業推進担当部長小金井 毅君
就業施策担当部長貫井 彩霧君
港湾局局長武市  敬君
技監石山 明久君
総務部長古谷ひろみ君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務中村 昌明君
調整担当部長矢部 信栄君
港湾経営部長松川 桂子君
港湾経営改革担当部長蔵居  淳君
臨海開発部長山口 祐一君
開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務原   浩君
営業担当部長有金 浩一君
港湾整備部長小野 恭一君
計画調整担当部長角  浩美君
離島港湾部長小林 英樹君
島しょ・小笠原空港整備担当部長神山 智行君

本日の会議に付した事件
意見書について
港湾局関係
契約議案の調査
・第百四十三号議案 平成二十八年度岡田港船客待合所及び津波避難施設新築その他工事請負契約
・第百四十四号議案 平成二十八年度南北線中防内側陸上トンネル整備工事請負契約
・第百四十五号議案 平成二十八年度新砂水門(再整備)門扉製作据付工事請負契約
・第百四十七号議案 平成二十八年度辰巳排水機場(再整備)建設工事(その一)請負契約
付託議案の審査(質疑)
・第百三十六号議案 東京都港湾管理条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・臨海副都心の土地利用計画等の一部見直しについて(案)
産業労働局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百三十四号議案 東京都産業労働局関係手数料条例の一部を改正する条例
・第百三十五号議案 東京都立職業能力開発センター条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・東京都観光産業振興アクションプログラム二〇一七(素案)について

○島崎委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○島崎委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○島崎委員長 次に、契約議案について申し上げます。
 契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成二十八年六月八日
東京都議会議長 川井しげお
経済・港湾委員長 島崎 義司殿
   契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
     記
1 調査議案
 第百四十三号議案 平成二十八年度岡田港船客待合所及び津波避難施設新築その他工事請負契約
 第百四十四号議案 平成二十八年度南北線中防内側陸上トンネル整備工事請負契約
 第百四十五号議案 平成二十八年度新砂水門(再整備)門扉製作据付工事請負契約
 第百四十七号議案 平成二十八年度辰巳排水機場(再整備)建設工事(その一)請負契約
2 提出期限 平成二十八年六月十日(金)

○島崎委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、港湾局及び産業労働局関係の付託議案の審査、港湾局関係の契約議案の調査並びに港湾局及び産業労働局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより港湾局関係に入ります。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第百四十三号議案から第百四十五号議案まで及び第百四十七号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○島崎委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○島崎委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑はいずれも終了いたしました。
 この際、本案に対して意見のある方は発言を願います。

○かち委員 それでは、第百四十四号、平成二十八年度南北線中防内側陸上トンネル整備工事請負契約について意見を述べます。
 臨海道路南北線のうち、中央防波堤内側陸上部につくる約六百メートルにわたるトンネル工事であり、落札額八十一億三千八百八十八万円であります。本線は、国直轄事業であり、予定総事業費は千百億円もの大型公共事業です。中央防波堤外側の外貿コンテナふ頭整備と連動して推進する事業です。
 この事業の必要性を説明する国土交通省は、このふ頭整備から新たに発生する車両台数を示しております。
 また、明らかにされた資料では、二〇四〇年代の初めで、周辺発生予測車両台数量は二十万台でありますが、当事業による環境影響評価書に示された予測車両台数は、二〇三〇年代の後半で十三万三千台であり、その乖離が二倍近くもあり、必要性を示す根拠資料の信憑性が問われるものです。
 今後、人口減少、少子高齢社会が進む中で、巨大なコンテナふ頭整備や新たな道路建設など、不要不急の大型公共事業は見直すべきであります。
 よって、本工事請負契約には反対であることを述べ、意見とします。
 以上です。

○島崎委員長 発言は終わりました。
 お諮りいたします。
 本案につきましては、ただいまの意見を含め、委員長において取りまとめの上、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○島崎委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。

○島崎委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第百三十六号議案を議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○島崎委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○島崎委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○島崎委員長 次に、報告事項、臨海副都心の土地利用計画等の一部見直しについて(案)に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○田中委員 臨海副都心の土地利用計画等の一部見直しについてお伺いをいたします。
 これまで我が党は、以前から、臨海副都心は東京を世界で一番の都市にするための大きな核の一つであり、MICE、国際観光機能を強化することで、日本経済の成長を牽引する起爆剤とすることを主張し、東京ビッグサイトの拡張や新たな観光資源の創出などについて提案してまいりました。
 我が党の主張を受け、港湾局では、平成十八年度には臨海副都心を観光、交流のまちとして開発していくことを新たに決め、土地利用計画を大きく見直し、この十年間、開発を進めてまいりました。
 そこで、前回の計画見直し以降の開発成果と今後の方向性についてお伺いをいたします。

○山口臨海開発部長 前回の見直し以降、臨海副都心をMICE、国際観光拠点として発展させるべく開発を推進いたしまして、現在では、ホテルやショッピングモールなどの必要なMICE関連機能が一定程度集積する地域として、国内外から多くの方々が集うまちとして発展しております。
 今回の見直しは、これまでの取り組みをさらに進めまして、世界トップレベルのMICE、国際観光拠点の形成を目指し、必要な機能のさらなる集積に向け、土地利用計画の一部見直しなどを行うものでございます。

○田中委員 ただいま伺いましたように、十年の間に築き上げた成果を生かし、さらなる機能強化を図っていくという方向性は理解をいたしました。
 国際会議の誘致件数が多い諸外国の都市を見てみますと、それぞれが特色を持ったまちづくりを進め、展示場や会議場だけではなく、国際会議の開催を支えるホテルや飲食店、アフターコンベンションなどの施設の拡充を図っています。
 私も、都議会を代表いたしまして、平成二十五年度に海外調査に行ってまいりまして、そのときの主なテーマは、一つはオリンピックの開催、そしてもう一つがMICEの視点での視察でありました。
 その視点では、イタリアのフィエラ・ミラノ、ロンドンのエクセル・ロンドンという、それぞれもうヨーロッパあるいは世界を代表する施設を見てまいりましたが、それぞれで同様の視点の調査を行ってまいり、私も強く、そのような思いをしているところであります。
 国内でも、参加者が数千人に及ぶ国際会議の開催がふえてまいりますが、国際的な会議や展示会ともなれば一日で終わるものはまれであり、参加者は数日間、会場周辺で活動するのが常であります。
 東京ビッグサイトが十万平米まで拡張されれば、会議や展示会の開催を支える関連施設のさらなる拡張も必須であり、国内外における国際会議の誘致競争も激しくなる中で、臨海副都心においても、さらなる取り組みが必要であると考えます。
 また、一方、青海地区南側を、研究開発、産業創生のまちとして、さらに発展させていくということも重要だと思っております。
 そこで、今回の土地利用計画の見直しを、今後具体的にどのような開発につなげていこうとしているのか、お伺いをいたします。

○山口臨海開発部長 国際的な都市間競争に打ち勝つためには、MICE誘致やインバウンドの獲得に資する機能をさらに強化することが必要であり、そのためには、これまでに積み上げてきた地域の特性をさらに際立たせていくことが重要でございます。
 今回見直しを行う有明南地区には、国内最大の展示場である東京ビッグサイトを中心に、ホテルなどのコンベンション関連施設が集積しております。また、青海地区南側には、都立産業技術研究センターや日本科学未来館などの研究施設などが集積し、それぞれ強みを持ったまちに発展してきております。
 今後は、コンベンションや研究開発機能のさらなる強化に向けて、現計画における住宅機能を各地区で不足している宿泊施設などの機能に転換させ、また、副都心内の連携をさらに推進することで、世界トップレベルのMICE、国際観光拠点の形成を実現させてまいります。

○田中委員 十年前の見直し時点では想像できないほどに少子化が今進み、二〇二〇年には、東京においても人口減少の局面を迎えます。このような社会構造の大きな変化を見据え、住宅機能をインバウンドの獲得など必要な機能に転換させていくことは当然のことであり、また、これらの機能をできるだけ早く整備していくことが必要であります。
 現在、臨海副都心では、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会までの間、競技施設や関連施設の整備に活用すべく、未処分地の公募を一時停止しております。
 都市計画手続期間を考慮いたしますと、大会後の切れ目のない開発のためには、今回の土地利用計画の一部見直しを踏まえ、公募再開に向けた準備を始めるべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

○有金営業担当部長 臨海副都心におけます未処分地の開発に当たりましては、進出事業者の決定後に地区整備計画を策定するなど、都市計画の諸手続に一定の期間が必要となります。
 したがいまして、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会後の切れ目のない開発を進めていくため、今回の土地利用計画などの見直しを踏まえ、公募再開に向け、各地区の土地需要動向等を見据えつつ、未処分地の公募条件の整理を進めてまいります。

○田中委員 今後、公募再開に向けた準備が進み、未処分地の開発が始まれば、現在、東京ビッグサイトの待機場等のために臨時的に使用されている用地がなくなっていくこととなります。
 このため、展示会場の運営に当たっては、新たな待機場等の確保が必要であり、今後の重要な課題であると認識をいたしております。
 また、東京ビッグサイトに出店する中小企業が展示物を搬出入する際、車両の待機場がなければ路上でエンジンをかけたまま待機することとなり、環境にも影響を与えることになります。
 大会後、限られた土地を立体的に活用し、新たな待機場等を確保していくべきであり、その際には、環境などにも十分に配慮した開発とすべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

○原開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務 臨海副都心の開発に当たりましては、これまでも臨海副都心まちづくり推進計画などに基づき、魅力ある都市景観や水と緑のネットワークの形成、自然と共生する都市づくりなどに取り組み、開発を誘導してまいりました。
 東京ビッグサイトへの搬出入車両の新たな待機場などの確保に向けましては、開発が進み、未処分地が減少していく現状も見据えまして、緑地や公共施設などと待機場などの複数の施設を上部と下部の階層上に配置し、用地を立体的に利用することを検討してまいります。
 また、検討に当たりましては、限られたスペースの中で、都市景観や緑地の確保などに十分に配慮してまいります。

○田中委員 オリンピック・パラリンピック大会に向け、盛り上がった経済活動を大会後も持続的に発展させていく取り組みが重要であります。
 大会開催決定後、東京を訪れる外国人旅行者数は堅調に伸び続けております。この状況を大会後も持続させていくためには、ハード、ソフト両面から、訪れる外国人がまた来たいと思えるような新たな観光資源や受け入れ環境の整備が不可欠であります。
 このため、世界トップレベルのMICE、国際観光拠点の整備に向け、東京ビッグサイトなどの社会的な資本を最大限に生かしながら、臨海副都心の開発を着実に進めていかなければなりません。
 大会後を見据え、しっかりと取り組んでいただくことを強く要望し、質問を終わります。

○木内委員 私はかねてから、この臨海副都心開発ということをしっかりと支援をしてまいりましたし、また、この開発を推進する立場から、都民本位のまちづくりという視点を主張してまいりました。
 さまざまな議論や、あるいは提案を行いまして、これを実際に事業の中に反映させてまいりました。一つ一つの事業を検証するたびに、長い間の議論というものが結実していることに、一定の誇りを感じているのであります。
 例えば、この新しいまちが機能していく上では、単に業務機能やエンターテインメント機能だけではなくて、そこに暮らす人々にとって安全・安心を担保できる環境が基本となると、このことを訴えてまいりました。そして、災害に強い都市基盤の整備を後押しもしてまいりました。
 さらに、この災害に強い都市基盤を生かして、臨海副都心を、東京全体を視野に入れた広域的な防災支援のまちとして開発すべく、例えば有明の丘、当時は防災拠点の一つでありましたけれども、ここに後方医療施設としても機能する医療機関の誘致をいち早く提案をいたしました。この結果、この有明の丘に、がん研有明病院が大塚から移転をしてきたことも、実は今、感慨深い作業の思い出となっているわけでございます。
 ご案内と思いますけれども、この有明の丘のがん研の病院は、いざ発災時には、一階のロビー全体が広い大きなスペースを持っておりますために、被災者のためのベッド、これを二百床いつでも用意できる、そういう機能も潜在的に持っているなど、地域の安全・安心、そして快適な環境づくりに大きく貢献する施設ともなっているのであります。
 当時、こうした医療機能、あるいは、後に触れますけれども、アカデミックな側面というものは計画になかったんです。私は、この臨海地域というのは、いわゆる東京都民にとって将来長きにわたる大きな財産であり、誇るべき資産であるから、さまざまなこうした機能というものを設けるべきだと、その中にはいろんなものがあるわけでありますけれども、医療機能もそうですけれども、例えば大学であるとか、研究機関であるとか、そういうアカデミックな地域というもの、これも特化して、どんどん機能としてつくっていくべきだと、こう訴えてまいりまして、今、そのとおり臨海副都心は歴史を刻んできて、にぎわいあるまちとして育ってきたんだと、こういうふうに思っているわけであります。
 そこでまず第一に、確認の意味も踏まえて、これまでの開発に対する考え方と、今日的な成果についてご報告を願います。

○山口臨海開発部長 臨海副都心は、まちづくり推進計画に基づきまして、職、住、学、遊のバランスのとれたまちを目指し、域内を、台場地区を初め、青海、有明南、有明北の四つの区域に分けまして、業務、商業、住宅の機能を配置して施設誘致を行ってまいりました。
 これまでの開発によりまして、台場地区は既に開発が完了いたしました。ホテルや大規模商業施設などが立地する都内有数の観光スポットになっております。
 今回、土地利用計画の見直しを行います青海地区南側は、研究開発、産業創生のまちとして開発を進めてまいりました。
 現在では、バイオ・IT融合研究棟を初めとする最先端技術の研究施設などが集積いたしまして、都内の産業活性化に大きな役割を果たす地域となっております。
 また、有明南地区は広域的な防災支援のまち、東京ビッグサイトを核とした国際コンベンションゾーンの形成、この二つを目指しまして開発を進めてまいりました。
 現在では、有明の丘防災拠点や、がん研究会有明病院などが立地し、都内の防災支援活動の拠点となっております。
 また、ホテルなどのコンベンション支援機能を有する施設も集積し、日本を代表するコンベンションゾーンともなっております。

○木内委員 この臨海副都心を論ずるときにいつも言及されるのが、機能のいわば多分野にわたる影響力ということでありまして、今ご報告があったように、それぞれ四つの地区が特徴を持ちながら、まちづくりというものが進められてきているわけであります。
 商業、業務だけの単一の機能ではなくて、それぞれの地区に病院や研究開発、コンベンションの機能などを複合的に整備してきた結果でありまして、よく臨海副都心といういい方をしますけれども、もっと厳密にいうと、臨海地域に敷衍、拡大して発想することも大事でありまして、臨海の中心的な機能がどんどん周辺の他地域にもいい影響を及ぼしているという面も忘れてはならないのであります。
 こうした取り組みによりまして、青海地区の南側では先端技術の開発が進んで、介護ロボットなども生み出され、都民生活が豊かになるとともに、中小企業の事業拡大にもつながってきている、大きなインセンティブが与えられているわけであります。
 特に昔、私が思い出すのは、当時の通産省工業技術院というのがあって、ここで一生懸命やったけれども、なかなかいい結果が出なかった制度に、医療福祉機器開発委託制度というのがありまして、障害を持った方、社会的な弱者の方々のために、例えば盲人用読書器であるとか、いろいろな補装具というものが、もっともっと開発されなければいけないけれども、民間の事業者が単独にやると、開発するお金になかなか投資ができないためにこれが進んでいかない。
 国が援助をして、この医療福祉機器の開発委託制度というものを一生懸命、実は推進しようという制度をつくったことがありましたけれども、今、実は臨海副都心にそういう大きな動きと歯車の回転が始まっているということを強く感じて、感慨深いものがあるのであります。
 例えば、その代表例ともいえるものが、認知症予防などに用いられるアザラシ型ロボット、パロというのがある。パロは動物と触れ合うアニマルセラピーと同じ効果をロボットで実現しようと、独立行政法人産業技術総合研究所が民間のベンチャー企業とともに開発したものでありまして、国内に限らず海外にも普及が進み、そして、都民ならず世界中の人々の心を癒しているという実態があるのであります。
 だから、臨海副都心の開発というのは、単純にまちづくりであったり、コンクリートやアスファルトでハード部分をつくるということに、もとより終始していないわけでありまして、そういう都民あるいは広い意味での国民の福祉の面、あるいは生命を守る立場から、いろいろな実は影響力と大きな結果をもたらしているということを認識する必要があるのであります。
 今回の土地利用計画等の一部見直しを踏まえて、今後の青海地区のまちづくりにおいても、引き続き、申し上げております都民生活や、あるいは東京の産業の発展に寄与するという視点を持って、さらに、この意味を重視しながら取り組んでいくべきだと思いますけれども、考え方をお答え願いたいと思います。

○山口臨海開発部長 臨海副都心の開発に当たりましては、快適でゆとりある都市生活の実現や、新しい時代を担う産業の育成などの開発方針のもとに進めてまいりました。
 特に、青海地区におきましては、開発当初よりインキュベーション施設の整備を図るとともに、東京都立産業技術研究センターなどの研究機関の誘致に努めてまいりました。
 今後の開発におきましては、これまでの成果を生かしまして、研究開発、産業創生のまちとしてさらに発展させていくため、研究施設などを訪れる研究者や、ビジネス客などが短期滞在できる宿泊機能など、研究開発を支援する機能の充実を図ってまいります。

○木内委員 今の答弁の中で、開発当初よりインキュベーション施設を整備してきている、これは実は大きな成果を出しているわけでありまして、開発から四半世紀以上が経過して、例えば若者の働き方も随分変わってはきているんですね。よくいわれるんですが、景気の回復や経済の活性化を図るには、そのときのいわゆる廃業率、それと開業率、この開業率が廃業率を上回るような社会的な特徴が必要なんだといわれるわけでありますけれども、臨海におけるインキュベーション施設の活性化というものが随分といい影響を与えてきているということがいえるわけであります。
 最近では、技術革新とともに仕事のやり方というものも多様化してきていて、パソコン一台で会社を起業する若者たちがいるわけでありまして、こうした若者たちの意識変化を受けて、臨海副都心では、従前の一部屋丸ごと貸し出す方式だけではなく、港湾局の補助金を使って、フリースペースでさまざまな機器を利用できる新しいスタイルのインキュベーション施設というものを民間事業者が整備をし、そして実績を上げているのであります。
 これは、まさに新機軸によるインキュベーションシステムであると、こういうふうに思うわけでありまして、東京都が、港湾局がイニシアチブをとってこれを進めるというところに、臨海副都心の大きな将来的機能の中にこれが包含されるということが、私は非常に意味があるんだと、こういうふうに思っているわけであります。
 そこで、今後のまちづくりにおいても、新しいスタイルの働き方に対して、若年層の申し上げた創業にもつながる取り組みというものを加速させるべきであると思うんですが、どうでしょうか。

○有金営業担当部長 ただいま、補助金を使った施設整備というお話もございましたけれども、平成二十四年度になりますが、東京都臨海副都心MICE拠点化推進事業の補助制度を活用いたしまして、テレコムセンタービル内に民間が運営するインキュベーション施設を整備いたしました。
 このインキュベーション施設の特徴は、主にものづくりのベンチャー企業を支援するもので、フリースペースのほかに、法人登記が可能となるプライベートデスク、また、一台数百万円もする工作機械などを、一日三千五百円という極めて安い価格で利用できるなど、起業家に必要な支援を行うというところにございます。
 また、イベント用のスペースを設け、さまざまなイベントを開催し、ベンチャー企業間の交流を深めるとともに、海外のインキュベーション施設との事業連携により、海外の起業家との交流も進めております。現在、三十二社が入居し、新たなビジネスチャンスの創出につなげております。
 今後のまちづくりにおきましても、こうした交流が引き続き活発に行われますよう、多目的ホールや多様なニーズに応えられる業務スペースなど、研究開発やビジネスを支援する機能の整備を誘導してまいります。

○木内委員 今の答弁は非常に重要でして、インキュベーション施設の機能はいろいろあるんですけれども、例えば技術開発をするとか、新製品をつくり上げるとか、これだけに実はとどまらないんですね、起業家の要求というのは。
 例えば、資金をどういうふうに担保するか、あるいは販路をどう拡大するか、あるいは開発した製品のいわゆる特許をどう取得するのか、あるいは海外へのこういうルートをいかにつけるかなどなど、さまざまな実は知恵が周辺に接点としてあって、必要なアドバイスが受けられる、こういう総合的な、実はインキュベーション機能と呼んで差し支えないと思うんですが、要求されるわけであります。
 今、答弁あったように、イベント用のスペースを設け、いわゆる海外のインキュベーション施設との事業提携であるとか、あるいは新たなビジネスチャンスを創出していくとか、あるいは研究開発やビジネスを支援する機能の整備を誘導していく。今の段階ですから、まだ予算の絡む答弁というのはできないわけでありますけれども、今あった、この内容どおりの事業の推進を、ぜひとも進めていただきたいと思いますのは、港湾局は、単に港湾局の仕事ではなくて、実はここまで幅広い間口の事業というものを展開しているんだということで、自信を持って進めていただきたい、こう思うわけであります。
 ただいまの答弁にあったものづくりを中心とした新しいスタイルのインキュベーション施設、名前をMONOというようでありますけれども、ここでは子育て世代の女性起業家や外国人起業家も活躍をしているというふうに聞いています。
 この前、「VERY」という雑誌を見ました。かつては子供を育てることにきゅうきゅうとして、そして、家庭生活に専念するようなイメージがあったけれども、新しい現代的主婦像というのは、主婦であるということに社会的な輝きと自負と誇りを感じながら、どんどん仕事の現場に乗り出している、そういう時代。また、「VERY」という雑誌は、専らそういう内容の雑誌でありますけれども、まさに時代は子育て世代の女性起業家、あるいは外国人起業家も活躍をしてきている、これも特徴です。
 こうした若者や女性、外国人が活躍できる環境を提供することで、こうした若い世代の柔軟な発想や女性ならではの視点から、すばらしい技術やサービスが生まれてくると私は確信するんです。
 青海地区南側で生まれた技術やサービスを、国内に限らず世界に発信する場が東京ビッグサイトでありまして、この施設は、東京大会を契機に拡張され、十万平米を超える展示面積となり、今後、さらに展示会等の開催件数がふえることは間違いありません。
 こうした中で、今後のまちづくりにおいても、引き続き中小企業振興の視点、あるいは創業率を向上させるという視点、あるいは産業の活性化に具体的な要素を提供することで、これに貢献をしていくという視点などなどがありますけれども、いずれにしても中小企業振興の視点を持って取り組んでいくべきであると、こう強調したいんですが、見解を伺います。

○山口臨海開発部長 今後の有明南地区のまちづくりにおきましては、中小企業の販路拡大にも資する東京ビッグサイトの拡張に合わせ、来場者や展示会出展者の活動を支える機能や、コンベンション産業等を支える人材育成機能などの充実を図りまして、世界中の人、物、情報が交流する国際コンベンションゾーンのさらなる充実を図ってまいります。
 加えまして、有明南地区にございます武蔵野大学などと青海地区南側の研究開発、産業創生機能との連携を図ってまいりますことで、臨海副都心全体において産学連携を進めまして、都民生活をより一層豊かにする新技術の研究開発を促進いたしまして、中小企業振興にも資するまちづくりを進めてまいります。

○木内委員 きょうの質疑は非常に重要な意味を持つものだと思います。今回の見直しにおいて、それぞれの地区の特色をより特化、高めていくと、新技術の研究開発やコンベンション拠点としてのまちづくりを進めていくということが明らかになりました。
 臨海副都心の近隣、近接の地区を含めたいわゆる臨海地域には、芝浦工業大学や越中島の東京海洋大学、あるいは東雲地域におきましては医療系の大学が、もう林立してきている。あるいは首都大学東京の晴海キャンパスもあって、恐らくこれだけの範囲に大学や教育機関、教育施設というものが集積しているこの地域は、都内でもそう何カ所もあるものではないと思います。この臨海副都心を中心とするエリアにアカデミック機能が充実してきているということは、本当に歓迎すべきであります。
 今回の見直しは、青海や有明の地域特性に基づくものとしていますけれども、臨海副都心においても、教育機能のさらなる充実を進めていく必要がある、今後のまちづくりを通じて、大学と研究機関との有機的な連携を強め、臨海地域全体で産学連携を促進していく、そして新技術の開発等につなげていく必要があります。
 これは、かねてから私が特に強調してきたところでもありますけれども、新技術の開発が進めば、そこには新たなビジネスチャンスが生まれる、ビジネスチャンスがふえれば、中小企業やベンチャー企業のみならず、女性や若者の起業、創業にもつながっていく。若い発想が生み出す日本のビジネスが、東京ビッグサイトでの展示会を通じて世界に発信され、さらにビジネスチャンスが広がっていく、このような好循環が、東京大会後の日本社会を担う若者が夢や希望を持てる社会の礎となってくるものと思います。
 今後とも、臨海副都心のまちづくりが、都民生活や東京の産業に大きな効果と影響をいかに与えるかということを念頭に置きつつ、しっかり取り組んでいただくことを強く要望して、質問を終わります。

○かち委員 私からも、臨海副都心の土地利用計画等の一部見直しについて、何点かお聞きします。
 東京都は、臨海開発について、この間、企業誘致の不振をカバーするために、アジアヘッドクオーター特区構想に基づき、臨海副都心に外国企業や国際会議施設などを呼び込み、国際観光の一大拠点として、開発のための投資を進めてきました。
 そして今回、臨海副都心の土地利用の一部変更として、青海地区南側及び有明南地区の土地利用についての変更が提案されております。
 改めて、今回の変更をする理由についてお聞きします。

○山口臨海開発部長 今回の土地利用計画の変更でございますが、これまでの開発により構築された各地区の特色のさらなる強化に向けまして、必要な機能をより集積させることによって、個性あふれるまちづくりを進めていくために行うものでございます。
 また、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会後の切れ目のないまちづくりを進めていくために行うものでもございます。

○かち委員 臨海副都心の全体では四百四十二ヘクタールでありますが、このうち開発は、現況ではどこまで進んでいるんでしょうか。
 まずは、有償処分予定面積、開発確定面積、今後開発予定面積についてお聞きします。また、開発のめどはどうなっているのかもあわせてお聞きします。

○山口臨海開発部長 有償処分予定面積は約百六十三ヘクタールでございます。処分確定面積は約百二十二ヘクタール、今後処分予定面積は約四十一ヘクタールでございます。
 開発のめどでございますが、臨海副都心の開発につきましては、概成の目標年次である平成二十七年度をもってインフラ整備がほぼ完了しております。
 今後は、まずは東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック大会での土地活用を図りながら、まちの成熟に向けて、また、MICE、国際観光拠点化のさらなる発展を目指して土地処分を進めてまいります。

○かち委員 今のご答弁で、開発確定面積全体では約七五%ということですけれども、それでは、各地区ごとの開発面積はどのようになっていますか。臨海副都心は、台場地区、青海地区、有明北地区、有明南地区の四つの地区に区分されていますが、それぞれについての進捗状況をお聞きします。

○山口臨海開発部長 各地区の土地処分の割合でございますが、台場地区につきましては、既に土地処分が完了してございます。
 その他の三地区につきましては、青海地区が約六割、有明南地区が九割を超え、有明北地区では約五割となってございます。

○かち委員 今回変更する面積は七カ所ですが、トータルで何ヘクタールなのか。その全てが業務・商業複合施設とのことですが、変更する前の土地利用予定の内訳はどのようになっているのですか。

○山口臨海開発部長 今回変更する予定の七カ所の面積でございますが、七カ所合計で約九・四ヘクタールでございます。
 現行の土地利用の内訳でございますが、住宅系用地が一カ所、住宅・商業・業務複合用地が三カ所、業務系用地が三カ所となってございます。

○かち委員 住居系と業務系用地を変更して、九・四ヘクタール全てを業務・商業複合施設にするということですけれども、ホテルや会議室、ホール、ショッピングなど、観光を中心とした複合施設にするということです。
 臨海副都心の就業人口、居住人口のフレームの変更も示されていますが、それぞれ若干減少し、トータルで三千五百人の減ということですが、その理由は何でしょう。

○山口臨海開発部長 有明南地区及び青海地区南側におきまして、住宅・商業・業務複合用地の住宅機能を業務や商業機能に転換することによりまして居住人口が減ります。
 また、想定するオフィスビルから、MICE機能を強化するコンベンション関連施設やホテルなどに見直すことによりまして、業務より商業機能の人口換算単位が小さく、就業人口が減るため、全体として人口フレームは減少してございます。

○かち委員 MICEやホテルなど、業務・商業複合施設をふやせば、流動人口といいますか、来訪者数がふえると思いますが、来訪者数の実績の計はどうなっていますか。統計を取り始めた平成十年から直近までの実績推移をお聞きします。

○原開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務 来訪者数等の実績としましては、公表を開始いたしました平成十年では年間二千五百十万人、昨年、平成二十七年では五千六百八十万人と、約二・三倍に増加してきております。

○かち委員 十七年間で二・三倍ふえたということです。こういう状況の中で、九・四ヘクタールにわたって、MICE、ホテルなど複合施設にするというわけですから、そのことによって、さらに来訪者人口はふえると思いますが、こうした人口推計はどのように見込んでいるんですか。

○原開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務 来訪者数等の実績推移といたしましては、開発の進展とともに、順調に伸びてきております。
 国は、二〇二〇年を重要な通過点として、その先には、外国人旅行者六千万人が訪れるような、世界に誇る魅力あふれる国づくりを目指すとしております。
 臨海副都心におきましても、MICE、国際観光拠点としての整備を進めることによりまして、外国人旅行者を含め、来訪者数は増加していくものと考えてございます。

○かち委員 これまでのペースを超えてふえていくということが想定されるわけですけれども、公園、緑地、広場などの面積はどのぐらいを占め、当初との変更はないのでしょうか。緑地や公園施設の立体利用とは、具体的にどういうことなのですか。

○原開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務 臨海副都心四百四十二ヘクタールのうち、公園、緑地などの面積は百十九ヘクタールで全体面積の三割を占め、計画策定当初からの変更はございません。
 立体利用につきましては、計画に定めるそれぞれの機能を生かしながら、待機場等の必要な機能を公共施設や緑地の上部や下部に整備し、立体的に利用することでございます。
 これによりまして、立体利用を図ったといたしましても、公園、緑地などの面積が減少することはございません。

○かち委員 昨今、東日本大震災や熊本地震など巨大地震、津波被害などが各地で頻発しています。南海トラフや首都直下地震などが、近い将来いつ起きてもおかしくない状況です。
 居住であれ、一時滞在であれ、人口密集状況の回避、安全対策なども課題となっています。有明北地区の開発はこれからということですが、臨海副都心は、陸地から離れた埋立地であり、内陸とのルートも限られている状況から、これ以上の住宅開発は見直す必要があると思いますが、いかがですか。

○山口臨海開発部長 臨海副都心まちづくり推進計画に基づきまして、これまでの開発により、「ゆりかもめ」やりんかい線のほか、晴海通りの延伸や環状二号線といった道路など、臨海副都心の開発に必要な交通基盤の整備をしてまいりました。
 これらのインフラを最大限に活用いたしまして、今後とも必要な開発を進めてまいります。

○かち委員 いろいろ聞いてまいりましたが、有明北地区まちづくりマスタープランの一部見直しが平成十九年十二月にされています。そこでは、二〇一六年夏季オリンピック競技大会国内立候補に選定され、有明北地区の新埋立地、一区域が選手村予定地となりました。今後は、オリンピック招致計画との整合性を図り開発を進めていく、住宅機能の配置を基本とすると書かれていますけれども、状況が大きく変わりました。
 二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの選手村は、晴海地区に予定されたわけですから、この地区の目的はなくなったという点からも見直しが必要です。
 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック開催を視野に入れながら、今後、臨海副都心地域を、MICE、ホテルなど複合施設に変更しようとのことですが、MICE、MICEということで、都心部でも多摩地域でも競い合っている状況です。これが二〇二〇年以降も同じように継続するとは思えません。過剰整備になることが危惧されます。
 業務と住宅を確保すればいいということではありません。ゆとりある生活環境、空間、広場なども必要です。都市基盤整備を拡大すれば、結局、将来にツケが回り、さらなる借金を重ねることになります。
 人口減少時代を見据え、経済政策に基づくまちづくりではなく、都民一人一人の生活の質の向上を目指した産業政策や地域づくりこそ求められていることを述べ、質問を終わります。

○あさの委員 私からも、この臨海副都心の土地利用計画等の一部見直しについて、簡単に確認をしたいと思います。
 今回、これを他局というか、産業労働局さんですが、東京都観光産業振興アクションプログラムというのも発表されますので、観光の視点で少し確認をさせていただきたいと思うんですが、今回、今の東京都内の観光地というところでは、大型バスに関する駐車場、あるいは待機場といった問題が顕著になってきております。
 新宿でも、大型バスの発着に対応するために、新宿駅南口にバスタが整備されまして、一応、高速路線バスというんですか、長距離走る路線バスの停留所については集約化というのが図られておりますけれども、団体ツアーなどの大型観光バスについては、依然として路上駐車が発生しておりまして、対応が必要な状況になっております。
 例えば、私もよく通るんですが、第一本庁舎と第二本庁舎の間の通りなんかは、一番ひどいときだとバスがあふれかえっているという状況で、三車線道路があるんですけれども、一番右側の車線しかもう通れないというような状況が発生したりして、実際に拠点化された場所の近辺のバスの駐車が非常にふえるという、ちょっと問題がどういうふうになっていくのか難しいところではあるんですけれども、こういったものが出ていると。ですので、この対応をどんどん考えていかなきゃいけない。
 臨海副都心においては、未処分地などを大型バスの駐車場として活用をしてきておりまして、現段階ではその効果が非常にあらわれているというところであると思うんですけれども、将来、これからMICE、国際観光拠点としての開発を進めていくなどといったことでいけば、当然、何らかの対応が必要になってくるということが明らかだと思います。
 そこで、今回の見直しにおいて、MICE、国際観光拠点の形成に向けて、駐車場などの整備を検討していくということになっておりますけれども、大型観光バスへの対応についてはどのように考えているのか伺いたいと思います。

○原開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務 臨海副都心の来訪者の交通アクセスにつきましては、公共交通の利用を基本としてございます。
 また、近年、訪日外国人旅行者数が増大する中で、移動手段が多種多様化し、大型観光バスによる来訪者が増加してきている状況にございます。
 現在、活用している未処分地などにつきましては、今後の開発により減少していくことから、引き続き将来の大型観光バスなどの駐車需要等を検証した上で、緑地等の立体利用などによる必要な駐車場の整備について検討を進めてまいります。

○あさの委員 先ほど他の委員の質疑での答えでもありましたとおり、もちろん限られた土地しかないわけですから、立体利用などいろんな知恵を絞って対応していかなきゃいけないことは明らかだと思います。
 これから観光客をふやしていこうといっている場合には、いわゆる観光客といっても、一番利益というか、迎える側として最も利益率が高いのは、やはり団体客なんですね。個人のお客さんももちろん大切ではありますけれども、団体客も非常に大事になってきます。
 そうなると、日本国内を移動するのは公共交通機関をといっても、数十人規模を超えれば公共交通機関で移動させるというのはなかなか難しい、基本的には大型バスを使うということが目に見えてくるわけでありまして、それがふえてから対応するのは、やはりすごく難しいことになると思います。
 これから二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックのときにおける一時的な物すごい需要の増加というのも当然あるわけですし、アクションプログラム等から観光客をふやすに当たっても、結局対応しなければいけないということであれば、今から相当な準備をしていきながら対応できるようにしていただきたいということを要望しておきます。
 次に、今回の土地利用に関してです。この土地利用の計画の見直しに当たっては、先ほど他の委員からも質問がありましたけれども、必要な機能をさらに集積させるためにということで、住・商・業の複合機能から住宅機能を外すということにしておりますけれども、改めてその趣旨を伺いたいと思います。

○山口臨海開発部長 今回の土地利用計画の一部見直しでございますが、世界トップレベルのMICE、国際観光拠点の形成に向けまして、これまで積み上げてきた各地区の特色をさらに強化させるために行うものでございます。
 具体的な土地利用計画の変更内容といたしましては、各地区の特色を伸ばし、さらなる機能の集積強化を図るため、道路やライフラインなどの都市基盤に与える影響などを考慮しつつ、一部の住宅機能を不足している宿泊施設などの必要な機能が整備できるよう転換していることなどが挙げられます。

○あさの委員 先ほども話が出ておりましたが、都が策定した長期ビジョンにおいても、東京の人口というのは二〇二〇年をピークに減少に転じる、二〇二五年という話もありますが、そういった、どちらにせよ、将来人口が減っていくということは問題提起されているわけであります。
 人口減少社会を迎えつつある中で、都心では、当然、空き家対策が社会的に問題視されているという状況がありますから、臨海副都心、この場所が、開発が始まった当時と比べて社会構造は大きく変化をしております。
 ただ一方で、先ほどの答弁にもございましたけれども、インフラを最大限に活用しながら必要な開発を進めていくということでありますが、例えば、緑地だ何だという形だけにとらわれるのがどうかと私は個人的に思います。人間の社会、国の生活を支えるというのは、実は経済的な側面も非常に大事でありまして、正直、福祉だ、医療だ、教育だといった部分にお金を支出するためには、経済を強くする必要も当然あるわけでありますから、そういった側面を考えながら、かつ、環境にも配慮したという、非常に難しい部分はあるかと思いますけれども、知恵を絞っていかなければならないと考えます。
 今回は、青海地区南側と有明南地区を見直すということで、研究開発、産業創生やコンベンション機能に特化して、都内地の開発との差別化を図っていくということではありますけれども、今回見直しの対象となっていない有明北地区の住宅機能についても、私は同様の対応が必要だと思います。
 単純にただ住宅をやめろというわけではなくて、空き地にすればいいというわけでもなく、どういうふうに使うことが、この地区の特色をより強化していけるのかということを柔軟に考えていかなければいけないと思います。
 社会構造の変化を的確に捉えて、見直すべき点は見直していくという視点は非常に大事なところでありますけれども、そしてその上で、今後、有明北地区の住宅開発の方向性、私個人としては、その必要性についてもしっかりと検討して、より効果の高いまちづくりということに寄与していただきたいということを要望しまして、私の質問を終わりたいと思います。

○島崎委員長 ほかに質問がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○島崎委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で港湾局関係を終わります。

○島崎委員長 これより産業労働局関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第百三十四号議案及び第百三十五号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○島崎委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○島崎委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○島崎委員長 次に、報告事項、東京都観光産業振興アクションプログラム二〇一七(素案)についてに対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○三宅(正)委員 東京都観光産業振興アクションプログラム二〇一七(素案)について、何点か伺います。
 今回のアクションプログラムの素案をつくるに至った背景として、都の観光行政を取り巻く状況の急速な変化があるものとされています。この二、三年を見ても、海外から都内を訪れる旅行者は大幅にふえ、東京の消費面での経済活動も大いに活気づいています。
 国でも訪日旅行者の目標を大幅に引き上げ、その消費額にも目指すべき水準を示しています。都としても、目標を定めるに当たっては、旅行者数にとどまることなく、消費という産業面からの数値や、素案でも触れているリピーターの数などを加えることが大切です。
 例示した項目に限らず、さまざまな視点から幅広く検討して目標を取り決め、これからの観光産業の振興をきちんと立体的に捉えて展開することこそ重要となります。
 今回の素案では、目標の指標を複数にして取り組みの成果をさまざまな角度から検証する旨が述べられていますが、どのような対応を考えているのか、所見を伺います。

○坂本観光部長 これまで都は、長期ビジョンや観光産業振興プランにおきまして、国内や外国から東京を訪れる旅行者の数を目標として掲げ、さまざまな施策を展開してまいりました。
 こうした中、外国人旅行者による消費活動が都内の経済に及ぼす影響が大きくなっている点や、東京を訪れる観光都市としてブランド化して、繰り返し都内を訪れる旅行者をふやすことが重要なテーマとなっております。
 このため、十一月を目途に取りまとめをする予定でございますアクションプログラムの中間のまとめにおきまして、国内外からの旅行者数に加えて、旅行による消費額や外国人旅行者のリピーターの数など、多様な項目について数値目標を明らかにしてまいります。
 また、こうした項目のほかの数値目標の必要性についても研究を進めてまいります。
 適切な目標をアクションプログラムで示して、観光振興を着実に進めてまいります。

○三宅(正)委員 この素案を読みますと、新たな取り組みの視点として、冒頭に観光の一大産業化を目指すとの考え方が明らかにされています。
 現在の観光産業は、外国人旅行者の急増により、営業面での努力を上回る売り上げがすぐに出るような場合も多いと聞きますが、やはりこうした時期であるからこそ、経営やマネジメントの力に磨きをかけて、観光客のニーズに合った商品やサービスを提供できる体制を整えることが大切です。
 また、観光産業が大きく発展を目指す段階に来ている中、経営の担い手の力を伸ばすとともに、現場で専門的な知識や技能をきちんと持って、レベルの高い対応のできる社員などを確保することも一層重要になると考えます。
 こうした状況を踏まえ、都として、観光事業者のインバウンド対応を初めとする経営力や人材育成について、具体的にどのような内容を想定して取り組みを進めていくのか、所見を伺います。

○坂本観光部長 今回のプログラムの素案におきましては、経営の視点から観光関連事業者のマーケティング活動や生産性を高めるマネジメントをサポートすることとしており、都として、重点的に対応を図る施策であると考えているところでございます。
 このため、マーケティングの方法として、市場調査や専門家へのヒアリングを行う取り組みなどへの支援を検討いたします。
 また、生産性を高めるため、最新の設備を導入することにより、職場の事務部門の仕事の省力化や利用客の待ち時間の短縮などにつながるような取り組みへのサポートを検討いたします。
 さらに、人材の育成の面では、大学等の教育機関などと連携し、ビジネス戦略の構築や新たなサービスの創出など、企業の競争力強化を含めたマネジメントを担う人材を生み出すとともに、多様な旅行者に対する接遇の面ですぐれたスキルやノウハウを持つ人材をふやす取り組みを検討してまいります。

○三宅(正)委員 観光産業が将来の東京の経済活動を担う重要な柱として発展するよう、行政としても、ハード、ソフト両面からしっかりとサポートしていくことをお願いしておきます。
 次に、旅館と地域との連携について伺います。
 都内の宿泊需要が拡大している中で、家族的な経営を行っている昔ながらの旅館の経営は、依然として厳しいものがあると話を聞きます。
 その一方で、旅館は、日本の文化や日常の生活様式を体験できる宿泊施設として、外国人旅行者の受け入れをさらに進めていく期待は大きいことも事実だと思います。
 本定例会における我が党の一般質問において、旅館の活性化や有効活用について一層のサポートが必要であるとの提案に対し、旅館が地域と連携し、外国人旅行者にすぐれたサービスの提供をできるようサポートを検討する旨の答弁がありました。
 私も旅館が地元の観光の拠点として、地域の観光振興に果たすべき役割は大きいものと考えますが、都において、旅館と地域との連携についてどのように考えているか、伺います。

○坂本観光部長 現在、都内の旅館では、外国人旅行者に対して独自に作成したマップによりまして、周辺の観光スポットを紹介する取り組みや、商店街と協力して旅館の近隣で食事を希望する利用者に飲食店を案内するほか、滞在中に必要な用具の購入に便利な商店の紹介などを行う事例が出てきているところでございます。こうした取り組みが外国人観光客の旅館の利用をふやし、地域への旅行者誘致にも結びついているものと聞いているところでございます。
 このため、旅館が地域の観光協会などとも協力して、周辺エリアの観光スポットの魅力を幅広く発信し、旅行者誘致に結びつけることや、商店街との連携を強化して、観光客が商店で買い物を行う機会をふやして、旅館の外国人旅行者の宿泊の増加と、それに合わせて、観光消費による地域経済の活性化を実現する取り組みの後押しなどを検討いたします。
 こうした旅館と地域との連携を通じて、都内の観光振興を着実に進めてまいります。

○三宅(正)委員 旅館が地域の観光拠点として新たな役割を果たすことができるよう、具体的な施策をつくり上げてほしいと思います。
 次に、島しょの観光振興について伺います。
 島しょ地域では、各島でも観光客の誘致に向けてさまざまな努力を積み重ねていますが、東京の島が一体となって協力し合い、観光振興に取り組んでいく方向性も重要視しなければならないと感じています。
 この数年の間で、都としての後押しもあり、島同士が力を合わせて観光振興を進めていく機運も高まってきたように思いますが、連携を強化する余地はまだまだ大きいものと考えています。
 東京の島しょで連携して観光振興を強化するためには、やはり旅行者が幾つかの島をめぐるような回遊性を高めることが効果的であり、そのための仕組みづくりに知恵を絞ることが必要になると思います。
 こうした点を踏まえ、島しょ間の連携による観光振興について、都としてどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。

○坂本観光部長 都は、島しょ地域の観光振興を進めるため、それぞれの島の観光関連団体を中心とした協議会を都みずからも加わり設立いたしまして、研修などを協力して実施することを通じて、人材の育成を進めているところでございます。
 また、旅行者が島に興味を持ち、情報をより的確に収集できるよう、ホームページのポータルサイトの作成やPRイベントの開催を支援して、島しょ地域への観光客の誘致を行っているところでございます。
 今年度は、各島の観光関連の店舗の販売品の割引や、複数の島をめぐりスタンプを集めた参加者への商品提供などの仕組みとして、東京島めぐりパスポート、こちらの方を新たに発行することによりまして、観光客の誘致に結びつけてまいります。今後は、このパスポートの仕組みの充実に向けた検討を行ってまいります。
 こうした取り組みによりまして、東京の島しょ地域の観光振興を着実に進めてまいります。

○三宅(正)委員 島しょ地域への観光客の誘致は重要なテーマですから、アクションプログラムの中間のまとめに向けても、しっかりとサポート内容の検討を進めてほしいと思います。
 今回の素案の中では、多摩や島しょの豊かな自然をうまく活用して、観光資源の開発や旅行ルートをつくり上げることを方向性の一つとして掲げています。
 多摩・島しょエリアは、東京だけでなく、我が国全体から見ても豊かな自然に恵まれた地域でもあり、国も奥多摩や小笠原を含め、数多くの国立公園や国定公園を指定しています。
 こうした自然公園を環境保護の面から管理するだけではなく、観光資源として積極的に活用する視点こそが一層重要になると考えます。
 国では、国立公園について、外国から旅行者を誘致するための方法を会議を開いて検討していると聞いています。都でも自然公園の活性化に向け、観光面も含めて、懇談会を始めています。
 自然公園に関する観光面からの都としての検討の結果について、これから取りまとめを行うアクションプログラムの中でもしっかりと位置づけて、観光施策の展開に結びつけるべきと考えますが、所見を伺います。

○坂本観光部長 都では、アクションプログラムの素案で、多摩・島しょ地域の観光振興の強化に向けて、豊かな自然や農林水産業などを活用した取り組みを重点的にサポートすることとしているところでございます。
 これまで都は、自然公園である小笠原諸島や御蔵島を対象とする旅行者誘致に向けた調査や施設整備への助成などを行ってまいりました。
 今後は、素案の考え方にのっとりまして、プログラムの具体的な内容をつくり上げる中で、都立自然公園や国立公園を含めた自然公園を活用した観光振興の取り組みへの支援の充実を検討いたします。
 具体的には、自然公園をコースに組み込んだ観光ツアーをつくる取り組みや、さまざまな自然公園の観光面での魅力の発信のあり方について研究を進めてまいります。
 こうした取り組みによりまして、多摩・島しょ地域の自然公園を活用した観光振興を的確に進めてまいります。

○三宅(正)委員 自然公園内には、奥多摩湖の小河内ダムや、大島で噴火が起きた場合に溶岩の流れを変えて集落を守るための導流堤のように、観光客の誘致につなげることのできる公共インフラも存在します。こうした公共インフラを生かした取り組みもしっかりと進めていってもらいたいと思います。
 このように、多摩・島しょの自然を初めとしたさまざまな資源を生かした観光振興の充実について、ぜひともアクションプログラムの施策に盛り込んでいくようお願いしておきたいと思います。
 素案の中では、集客力の高い良質な観光資源をつくり出すために、水辺空間の活用に合わせて、ライトアップの手法やナイトライフ観光の展開を組み合わせていく着想を明らかにしています。これはすぐれた着想ではありますが、その実現に向けてはさまざまな課題もあるように思います。
 都内の水辺のエリアににぎわいを生み出すのはよいとして、エリアによっては付近で暮らす住民との関係をどうすべきかが課題になるものと考えます。光を照らすと動植物にも影響があり、ナイトライフは帰宅の方法との兼ね合いを常に考えておくことが必要です。
 新しい取り組みには、常にいろいろな問題も発生するわけですが、そうしたテーマを一つ一つ丁寧に解決しながら、観光資源の開発を進める努力こそが重要になると考えます。
 こうした視点に立ち、水辺の活用などによる新しい観光資源の開発に当たり、どのような考え方で取り組みを進めていくのか、所見を伺います。

○坂本観光部長 水辺空間の活用に当たりましては、周辺住民の生活への影響に十分な配慮を行うことが重要であるため、地域の観光関連の団体と連携し、地元の実情を踏まえながら施策の構築を進めることが必要でございます。
 また、ライトアップにつきましては、光の活用による動植物への影響を抑えるほかに、住民の生活に支障が出ることのないよう事前のさまざまな調査や問題点の検証などが不可欠でございます。
 さらに、ナイトライフ観光は、帰宅のための交通機関の運行のあり方や、その実施場所と周辺地域、この両者の安全・安心の確保などの課題を十分に踏まえた対応が重要でございます。
 こうしたさまざまな課題についての内容を十分に把握し、その解決を図りながら施策を着実につくり上げてまいります。

○三宅(正)委員 素案の中に出ている観光資源の開発については、多くの課題を克服しながら、その実現を図ることこそ重要であると考えています。都としての着実な取り組みを地道に積み上げていくことを要望しておきたいと思います。
 今回は、アクションプログラムの素案で明らかにされた内容のうち、重要なポイントとなる部分について聞いてきました。東京の産業の発展に向けて、観光産業が果たす役割は極めて大切となることについて、既に都民や企業関係者から共通の理解ができつつあるように思います。このような観光産業への期待が大きくなる分、個々の事業者だけでは対応の難しい点に関して、都として的確なサポートをすることが不可欠になると思います。行政として観光産業の振興に向けた明確な理念を持ちながらさまざまな施策を展開し、事業者がやがては独力で旅行者への商品やサービスの提供を高いレベルで行うことができるように支援をするべきです。こうした観光産業の発展こそが、将来の大都市東京を支えていく重要な基礎になるとの考え方で、観光施策の展開に取り組んでいただきたいと思います。
 そこで最後に、世界一の観光都市東京をつくり上げていくに当たっての局長の決意を伺って、質問を終わりたいと思います。

○山本産業労働局長 東京の観光産業を大きく伸ばし、世界一の観光都市東京をつくり上げていくためには、それにふさわしい適切な目標を持ち、その達成に向けまして、さまざまな施策を状況の変化に応じて柔軟に実施していく必要がございます。
 同時に、中長期的な視点に立った施策を総合的かつ計画性をもって展開していくことも重要であると考えております。
 都内の観光産業は、これまでよりも一層経営の能力を高め、人材育成を図り、多くの外国人旅行者による活発な消費活動をしっかり捉えていくことが重要であると思っております。まさに、今は産業として経営力を高めるなど、これからの発展に向けた準備を着実に進めることが重要な段階になっていると考えております。都として、本日の議論を踏まえまして、効果の高い支援を適切に行ってまいります。
 また、今お話のございました旅館の活性化に向けた地域連携の取り組み、また、島同士の連携や自然公園の活用など、さまざまな取り組みをさらに強化していくなど、これまでと異なる新たな視点をもって施策の充実を進めてまいります。
 さまざまな施策をつくる中で生じる課題に関しましては、地域や民間等の意見を十分にいただきながら、確実に解決を図り、効果的な観光振興施策を展開し、世界一の観光都市東京の実現に向けて力を尽くしてまいりたいと考えております。

○木内委員 報告のあった観光産業振興アクションプログラムの素案について質問をします。
 この素案の冒頭の基本的な考え方、あるいは、その後に続く具体的な現状を分析している部分では、観光を取り巻く環境が急速に変化してきており、そうした状況への対応をきちんと行うことが重要であると、こういう趣旨の記述があります。
 特に、東京を訪れる外国人旅行者の急増が都内の観光に及ぼす影響が大きいという点も、特色として強調されているのであります。
 海外からの旅行者が急激にふえたことは、例えば都内の店舗で大量の商品を買い上げる外国人、あるいはホテルに出入りするバックパッカー、こうした姿に触れる機会がこれまでになく頻繁になったことからも実感できるところであります。
 このように外国人旅行者が急激にふえた要因として、海外の事情や経済活動など、さまざまな要因が重なって、こうした傾向になっていると思いますけれども、どのように認識をしておられるかお尋ねします。

○浦崎観光振興担当部長 平成二十七年の訪日外国人旅行者数は約一千九百七十四万人、前年比四七・一%増となり、三年連続で過去最高を更新いたしました。
 特にアジアからの旅行者は約一千六百六十四万人で、前年比五三・八%の高い伸び率を記録しており、外国人旅行者全体の八四・三%を占めております。
 本年五月に観光庁が発表いたしました平成二十八年版観光白書によりますと、訪日外国人旅行者の増加が続いている経済的な環境要因といたしましては、アジア新興諸国等の経済成長によって、海外に出かける旅行者の数が全体として増加していること、円安方向への動きによりまして、訪日旅行への割安感が拡大していることなどが挙げられております。
 さらには、燃油サーチャージの値下がりによります航空運賃の低下や、クルーズ船の寄港が増加したことなどが挙げられております。

○木内委員 今の報告にあったように、急激な右肩上がりのカーブで数字が伸びています。
 最近、どうもニュース等を見ておりますと、訪日外国人旅行者の増加についてのコメントを、かつては国交大臣がよく会見で述べておりましたけれども、今はどういうわけか官邸にこれの重点が移って官房長官がよく触れるようになって、政府挙げての大きなテーマの一つになってきている。
 もとより、後で触れますけれども、こうした外国人旅行者、訪日が多いというのは、国交省、ここに観光庁は所管されているわけでありますけれども、当時の太田国交大臣が非常に力点を置きまして、さまざまな制度上の改善を行ってきたということも原因になっているんだと思うんです。いずれにしても、訪日外国人旅行者の増加を図るということは、今や国家的テーマである。
 後で触れますけれども、このうち東京都に来訪する外国人の数というものも急激にふえてきている。一方で国の施策があるけれども、一方で東京都の具体的な施策展開、また推進のための具体的な措置を講ずるという役割もあるということをまず認識したいと思うのです。
 今報告があったように、外国人旅行者の増加の背景に海外の経済や国際的な事情が複合して影響を及ぼしているという実態について、一定の理解ができるわけでありますけれども、そうした外的な要因以外に関しても、今後さらに検討をしておくことも必要だと、こういうふうに思うのです。
 海外からの旅行者をさらにふやしていくという大きな方向性は、政府のさまざまな政策を打ち出す上での基本方針にもなっている。
 国が国交省の中に観光庁という組織を立ち上げた平成二十年ごろの状況を私もよく覚えておりますけれども、やはり当時の国による観光振興に力を入れるという方針によって、さまざまな施策が次々につくり出され、特に近年、現政権により、実行された効果の高い政策が海外からの観光客の誘致の面で大きな力を発揮しているんだといえると思います。
 東京を訪れる外国人旅行者の増加は、国による観光振興の対応が背景にあることは確かであると思います。海外からの観光客の誘致に向けた国の施策について、近年、特に効果を上げたものとして、具体的に説明を願いたいと思います。

○浦崎観光振興担当部長 外国人旅行者の誘致をめぐる世界各国間の競争が激しさを増す中にありまして、政府は、平成十五年にビジット・ジャパン・キャンペーンの取り組みを開始し、外国人旅行者の訪日促進に向けまして、国を挙げて取り組むさまざまな施策を展開してまいりました。
 本年の観光白書では、日本の空の玄関口でございます羽田空港など首都圏における空港の発着枠の拡大、そして近年、戦略的に進めてきたビザ要件の大幅な緩和、外国人旅行者向け消費税免税制度の拡充、さらには税関、出入国管理体制の充実などの施策を政府全体として推進したことを取り上げております。こうした取り組みの成果が、近年の訪日外国人旅行者の増加に結びついていると分析をしております。

○木内委員 首都圏空港の発着枠の拡大やビザの発給要件の緩和、あるいは消費税免税店制度の拡充などなど、やはりこうした具体的な要素があって初めて、今日的なこういう数字の伸びがあるんだろうと思います。
 国によるこうした観光振興に向けた政策の状況が旅行者の増加に大きく貢献している状況は明らかですけれども、こうして日本を訪れる観光客が東京を旅行先として選ぶように、都政としても対応を進めることがますます大切になってくると考えるわけであります。
 東京を訪れる外国人は以前からそれなりに目にする機会はありましたが、最近のようなレベルに達することは、私自身、かつて想像がつかなかったほどのものであります。
 都内を観光でめぐる外国人の数が格段にふえることで、外国語による表記やその生活習慣への対応も含めて、東京のまち中での受け入れの仕組みを根本的に見直していくことも重要になると思います。外国人旅行者が急速にふえることによって、東京という都市のあり方をスピード感を持って変えていく必要が出てきている。
 海外から東京に来訪する観光客がふえるにつれて、都としての観光施策を、今回のアクションプログラムの素案の方向性に沿って、速やかに新しく展開することが必要になってきますけれども、そうした対応の基礎として、外国人旅行者が以前に比べてどんなペースでふえているのか、正確に理解していくことも重要であります。
 東京を訪れる外国人旅行者の数が著しくふえている状況について、これまでの状況と比較しながらご報告を願いたいと思います。

○坂本観光部長 東京を訪れる外国人旅行者数につきましては、平成十八年から平成二十二年までの五年間では、約四百八十一万人から約五百九十四万人へと約二四%の増加にとどまっております。
 これに対しまして、平成二十三年から平成二十七年までの直近の五年間で見ますと、約四百十万人から約一千百八十九万人と約三倍に増加をしているところでございます。

○木内委員 改めて数字を聞いてみると、いかに急激に増加しているかということが歴然としているわけであります。直近では四百十万人から一千百九十万人まで三倍に増加している。驚くべき驚異的な数字である、こういえると思うんです。
 海外から東京を訪れる観光客が急激にふえると、それに応じてさまざまな課題が生まれてくる。旅行者にとって、滞在先をどう確保するかは大切なポイントになりますし、今や都内の宿泊施設は外国人による予約が大きくふえて、日本人のビジネスの際の利用がままならないという話も出ている。
 地方都市の日本人のビジネスマンが出張で東京へ来る。ホテルを予約しようとしても、都心のビジネスホテルはほとんど満杯になっている。周辺県あるいは周辺市の方に宿泊場所の予約を求めるというようなことが、もう当たり前のことになっているわけであります。
 宿泊場所を都内で確保するために、法律ではいまだに認められていない民泊の広がりについても、実はいい点だけではなく、さまざまな課題や問題点が指摘されています。やはり、宿泊場所を外国人に提供するためには、和のおもてなしをきちんと提供できる旅館の利用を高める努力が必要だと思うんです。
 一方で、ビジネスホテル、いわゆる中規模、大規模ホテルにおける外国人に対するサービスのあり方と、いわゆる老舗といわれるけれども、日本の古来からの旅館であるとか古いタイプの宿泊施設においては、なかなかまだ改善すべき点が多いんだと、こういうふうに思うんです。やはり、都内の旅館では海外からの旅行者の受け入れにも力を入れているわけでありますけれども、外国の言葉の問題や生活習慣の違いなどに応じて日本や東京ならではのおもてなしをしっかり行うには、どうもいろんな苦労が伴うように感じられます。
 外国人旅行者の受け入れに向けて、旅館での体制を整えるための、例えば多言語対応など、ソフト面における具体的な取り組みというものも必要になると思うんですが、どうでしょうか。

○坂本観光部長 これまで都は、旅館など宿泊施設の外国人の受け入れ体制を充実するため、多言語によるコールセンターサービスの提供や、施設内のロビーや客室におけるインターネット接続サービス、こちらを提供するためのWi-Fiの設置などへの支援を行ってまいりました。
 今年度からは、外国人旅行者への応対に役立つ研修や専門家の派遣を行いまして、接遇の基本や館内表示の多言語化に当たっての具体的な助言のほか、トイレや風呂などでトラブルになりやすい事例への対処方法など、宿泊施設のニーズを踏まえたアドバイスを行ってまいります。
 また、宿泊施設からのメールなどでの問い合わせに応じて、コールセンターが館内表示や料理のメニューの説明を外国語に訳して返信するほか、外国人旅行者からのメールを日本語に翻訳するサービスも実施いたします。

○木内委員 今後実施される事業の具体的な内容についても言及がありました。
 どうしても小規模な、あるいはまた零細な旅館、あるいは和風施設の経営者の現場の感覚では、通訳を雇うことはできない。また、実際にいろんな機能を整備することもできない。だから、東京都がいろんな施策を展開することで、そうした、いわばいい影響を現場に与えて環境整備をしていくということが本当に必要だと思うんです。
 素案の中でも、観光関連産業の事業者への支援は十分に力を入れるとしています。旅館によるサービスは観光産業の重要な部分でありますので、今答弁がありましたけれども、ソフト面からのしっかりとした施策を展開されるよう強く望んでおきます。
 外国人旅行者が和風のおもてなしに期待して旅館に滞在する場合、生活習慣の違いなどから、サービス提供の方法にも変化を加えることが必要になってくると感じています。
 素案の中でも、利用者の視点から設備更新を進めることの重要性について触れています。和風のたたずまいを持ちながらも、外国人が快適に過ごすことのできる空間を提供することが大切になると思います。外国人の日々の暮らしぶりを考え合わせると、洗面所の問題にとどまることなく、洋式の部分をふやしてみたり、テレビの外国語ニュースを見ることのできる対応など、さまざまな工夫が必要になると考えます。
 私は、ことしの春、山口県の松田屋ホテルというところへ行きました。司馬遼太郎さんが「花神」という小説を書いた旅館でも有名なんですが、ここへ泊まりました。つくりは和風、そのかわり、トイレも何もこうしたサービスも本当に整っている。いわば木造の和風建築の中に秘められた近代的な機能というものが随所にあるわけです。外国人の賓客が来ても十分に泊まれる。
 全てがこのレベルまでというのは無理な話ですけれども、できるだけこれに近づける環境づくりというのは一般的に必要なんじゃないか、こういうふうに思います。宿泊の予約そのものもインターネットを使うことがふえているわけですから、そうした予約のできるホームページを旅館がつくることも必要だと思うんです。
 海外からの観光客にとって過ごしやすい旅館のサービスを提供するため、私は今申し上げたようなサポートを都としても進めるべきだ、こういうふうに思いますが、所見を伺います。

○坂本観光部長 外国人旅行者の受け入れ環境を整備するため、都は今年度から、トイレの洋式化や外国人の要望に合わせた客室の改良に加えまして、テレビの国際放送の受信設備の導入などの取り組みに対しましても助成を行ってまいります。
 また、宿泊施設のホームページにつきましては、さまざまな言語での表記を可能とするほか、海外からの宿泊予約を可能とする機能を備えることができるよう支援を行ってまいります。
 こうした支援の結果につきましては、施設の利用状況や外国人旅行者の宿泊数などを分析いたしまして、施策のレベルの向上と旅行者の確実な受け入れに結びつけてまいります。

○木内委員 このアクションプログラムに基づいて、トイレの洋式化あるいはテレビの国際放送の受信設備の導入などへの助成をやる。それから今いったようなホームページでさまざまな言語での表記を可能とするなどの機能を備えるために支援を行っていくという具体的な答弁があったわけですが、私は、三点目でいわれたことが非常に重要であって、例えばこうした支援の結果について、施設の利用状況や外国人旅行者の宿泊数などを分析して、そうして施策のレベルの向上と旅行者の確実な受け入れに結びつけていく。これは行政としてすごく珍しいんですね。いきなりこういう事業をやるけれども、その分析も行って、いわばプラン・ドゥー・シーをやるというわけですから、ぜひいい結果が出るように要望しておきたいと思うんです。
 和風のもてなしに加えて、外国人の旅行者に心地よい洋風の部分も加えていくことで、旅館のサービス内容が高まるよう、さらに確実にサポートしてもらいたいと思います。
 さて、外国人旅行者を受け入れた旅館などでは、快適なサービスに加えて、観光の大前提となる安全性や安心感というものをしっかりと提供することも重要であります。
 先日の熊本や大分での震災の状況を見るにつけ、観光は安全と安心が基盤となることを改めて実感するとともに、一たび災害が発生した場合の危機管理をきちんと宿泊施設で行っていくことが不可欠であります。
 見知らぬ土地で災害に遭った外国人旅行者は非常に不安な思いをされるだけに、旅行者が滞在する宿泊施設のスタッフは、頼れることのできる数少ない存在になることは確かであります。
 都では素案の中で、外国人旅行者に関して、緊急災害時の初期対応を充実させるとの方向性を示しています。東日本大震災の後に、都では、観光関連の事業者向けに災害時の初期対応のマニュアルをつくって配布したということも仄聞しております。
 外国人旅行者の数が格段にふえて、そうして震災以外にも、実は各分野、各場面でさまざまな危機管理の対応の必要性がふえる中、かつて作成したマニュアルは今もう一度見直しをしてレベルアップを図っていくことが重要になると思いますけれども、所見を伺います。

○坂本観光部長 都は、平成二十五年に外国人旅行者の安全確保のための災害時初動対応マニュアル、こちらの方を策定いたしまして、地震などの大規模な災害が発生した場合に、外国人旅行者のために円滑な誘導や情報提供ができるよう、都内の宿泊施設や観光施設などへの普及啓発活動を続けているところでございます。
 今後は、宿泊施設を初めとする観光事業者がより多様なリスクに関して危機管理を行うことができるよう、本マニュアルの一層の充実に向けた検討を行ってまいります。

○木内委員 今もまた評価すべき答弁がありました。本マニュアルの一層の充実に向けた検討ということでありまして、この時期、ぎりぎりの答弁だったと思いますけれども、ぜひいいものができるよう期待をしてまいりたいと思います。
 次に、海外発行のクレジットカードへの対応、この委員会で私、何度か取り上げてまいりました。海外からの観光客にとって、宿泊施設を初め、まち中の飲食店や買い物をした店先で日本の現金で支払いがスムーズにできるということは非常に大切であります。
 私は、かつてこの委員会の質疑で、みずからの体験として、東武日光の駅前で、クレジットカードによる現金の引き出しができないで手持ちの日本円がなくなってしまったという、途方に暮れるロシアの女性からの苦情を耳にして手助けしたいきさつをエピソードとして申し上げました。海外発行のクレジットカードに対応したATMをふやす必要性を強調しました。
 当時の答弁などを思い起こしますと、海外発行のクレジットカードへの対応は、ゆうちょ銀行やコンビニATMを専門に取り扱う金融機関の二つが進めるだけでした。
 折しも海外のカードを悪用した大規模な現金の引き出しの状況が、これがそうでありますけれども、きょうの新聞でも報じられているわけですけれども、ATMの台数がふえていくと、それだけさまざまな事件に関係することも出てきます。そうした課題は、行政による治安の対策とともに、ATMのセキュリティーの強化として民間でしっかり対応し、克服をしていくべきであります。
 大きな方向性としては、外国人観光客の東京での快適な旅行環境を整えるため、ATMの台数の充実をさらに着実に進めていくべきと考えています。
 また、観光面でも、都としてATMの設置場所を旅行者に紹介する努力も大切になると思います。
 そこで、ATMの設置の現状と、都としての今後の観光面での対応の進め方について伺います。

○坂本観光部長 海外発行のクレジットカードで現金の引き出しを可能とするATMの普及に向けまして、都はこれまでも国に対して働きかけを行ってまいりました。
 お話をいただきましたゆうちょ銀行などの二行におきましては、海外発行カードで現金が引き出せるATMが約五万台設置されました。平成二十六年からは、さまざまなコンビニエンスストアや大型商業施設などでも対応が始まってございまして、全国ベースで追加で約二万二千台が設置されている状況でございます。
 また、大手金融機関三行におきまして、平成三十二年までに約三千台を設置するとしているところでございます。平成二十七年には浅草、銀座などで既に設置が始まっているところでございます。
 都は、外国人旅行者の受け入れ環境の向上のため、デジタルサイネージによりまして、海外のカードに対応できるATMの設置場所のほか、利用可能な時間帯やカードの種類などについて、きめ細かい情報提供の充実を進めてまいります。

○木内委員 こうした都議会の経済・港湾委員会での質疑がきっかけとなりまして、国への提案要求につながっていく。国も、こうした東京都からの要請に基づいて、メガバンク等へのさまざまなアドバイスも行ってきているということでありまして、海外からの観光客にとって、旅行先できちんと現金で支払いができる仕組みづくりに向けて、民間での整備にあわせて、都としても的確なPRを確実に行ってもらいたいと思います。
 さて、次の課題であります。
 外国人旅行者にとっては、東京の著名な観光スポットだけでなく、都内にあるさまざまな特色ある場所を訪れてみたいとの意向を持っているケースがあります。海外からの観光客の増加に合わせて、新しい観光名所をつくり上げていく努力は欠かせません。
 観光資源としてのポテンシャルを持つエリアとして水辺空間の地域が注目を浴びておりまして、私もこの委員会で、天王洲という羽田空港や都心に近く、運河を利用して舟運観光の活用にも適した場所について、その開発の重要性を指摘してまいりました。
 例えば、天王洲は、古い時代からの運河がある。あるいは、東京海洋大学の存在がある。また、至近の距離には東品川のかつての旧東海道の宿場町という文化遺産もある。こうしたものとコラボする、あるいはさまざまな魅力を寄せ集めて、一体的な観光資源の開発と活用を行うべきである。このことを訴えてまいりました。
 この委員会での答弁では、天王洲の地元での観光に向けた動きについて、都としてアドバイザーの派遣によるサポートを行って、その活用を後押しするとの答弁を得た。ちょうどそういうシステムがあって、観光の専門家がチームをつくって、そうして一定期間ごとに現地の人とさまざまな協議、ネゴシエートを行って観光開発を進めていくということで、これも提案したところ、産業労働局観光部は早速に着手して、そうした派遣をしていただいた。大きな成果が出ているところであります。
 こうしたその後の天王洲における観光振興に向けた取り組みの現状を報告願いたいと思います。

○坂本観光部長 都は、天王洲のまちづくりに取り組む地元の協議会に、観光振興につながるまちづくり、こちらの方に詳しい専門家をアドバイザーとして派遣いたしまして、具体的な指導や助言を行うことによって、地域の観光スポットとしての魅力をつくり出す取り組みへのサポートを実施いたしました。
 この協議会では、昨年の九月には天王洲アイルのエリアで音楽や映像にパフォーマンスを交えた最先端の芸術を体感のできるイベントを誘致いたしまして、これを一週間にわたって開催いたしまして、二万人の集客があったとのことでございます。
 今年度は、同協議会などが、ゴールデンウイークの期間に天王洲の周辺の運河に屋形船を並べて、さまざまな食を味わうことのできるイベントを実証実験として行うなど、天王洲エリアの観光面での活性化に努めているところでございます。

○木内委員 まさに東京都の観光政策の一端が大きな効果としてあらわれていることの証左が天王洲の開発であると、こういうふうに思っています。この天王洲での観光振興の取り組みが水辺空間の観光利用のモデルとなるよう、さらにしっかりとした支援を今後とも願いたい、こう思うのであります。
 天王洲アイルのような水辺のエリアを観光面で活性することにあわせて、湾岸や河川などの周辺地域にある他の観光スポットとの連携の方法を考えることも大切になると思います。
 水辺の観光スポットを結びつけるのは、やはり舟運を活用するのが最も効果があり、移動も効率的になるかと思います。最近では、舟運の有力な方式として水上タクシーが新聞で取り上げられてもいるだけに、このような移動手段の充実も考えていくべきであります。これも、私にとっての思い出深い提案が現実に事業として展開されてきているということに深い感慨を覚えます。
 いつもいうんですけれども、羽田の国際線のターミナルをおりて、あそこに船着き場を設けて、水上タクシーで都心にまで、非常に便利なアクセス機能としての水上タクシーを使って赴く。これは一つの私の主張でありますけれども、今、着々とこうした構想の実現が図られている。
 また、水上タクシーという小型の船舶ですから、なかなか普通の丈の高い桟橋ではこれは使えないんですけれども、たっぱの低い桟橋を用意したり、あるいは公共桟橋を利用するなどの方策の検討が今、行われている。こういう状況であります。
 水上タクシーについては、夏の観光シーズンにはそれなりの利用も期待できますけれども、冬になると海上も川の上も寒さが募り、観光客の乗船は少なくなるとの意見もあります。観光面のみでは活用が難しいのであれば、水上タクシーは夏と冬を通じて観光以外のビジネスでの通勤利用などを組み合わせる発想が重要になると思います。
 突然ですが、道の駅というのは全国にある。生き残ってどんどん繁栄している道の駅の特徴というのは、実は観光客相手のところではない、地元の生活者を念頭に置いた商売をしている道の駅が、どんどん発展して残っているというのであります。
 ですから、観光客、観光客といって、これも認識を間違えてはいけないと思う。観光客ももとより使うけれども、地元の生活者あるいはビジネスでの通勤利用などと組み合わせる発想というものを大事にしていくべきだと思います。
 水上タクシーを都市交通として捉えて、後押しのできるセクションと連携しながら、その観光面での活用を今こそ図るべきだと考えますが、答弁を願います。

○坂本観光部長 東京の水辺空間を活用した観光振興を進める上で、舟運の活性化を図ることは効果的でございます。
 舟運の新しい方法である水上タクシーにつきましては、その観光面での利用が進むように、旅行者の乗船が見込まれる夏の時期のPRのあり方について研究を行ってまいります。
 また、水上タクシーを利用する旅行者の減少が想定される冬の時期につきましては、ビジネスでの通勤利用の確保を図る視点は必要になるものと考えているところでございます。
 水上タクシーに関して、通勤などのビジネス利用と観光面での活用、この両者を組み合わせるための総合的な対応の研究を進めるため、関係する局との間での連携を推進してまいります。

○木内委員 どうか、答弁にあったように、関係する局との横断的な、あるいは横串を刺しての協議の場というのを設けて、ぜひとも重要課題として検討していただきたい。このことを重ねて要望したいと思います。
 水上タクシーが観光とビジネスの両面から力を伸ばし、有力な舟運の方法として発展するよう、サポートを願いたいと思います。
 こうした東京の貴重な水辺を生かした取り組みは、観光振興の別の分野でもしっかり進めていくことが重要です。
 私は昨年のこの委員会の中で、国際会議などのMICEを戦略的に誘致するための議論を行いました。MICEの分野で舟運を活用する方法としては、例えば、会議の後のレセプションであるユニークベニューの会場への移動の方法として舟運を使うことなどが挙げられます。また、MICEの国際会議の後のレセプションに向かう間の雰囲気づくりだけでなく、MICE開催に伴う観光のツアーの中に舟運というルートを組み入れれば、MICE誘致の効果的なツールになると考えるのです。所見を伺います。

○坂本観光部長 MICEの開催時に、外国人旅行者に対して、魅力的な水辺のスポットを観光目的で訪れる機会を提供することは、東京のPRや参加者の満足度の向上につながるものでございます。
 都はこれまで、国際会議の参加者を対象として、隅田川を船でめぐり、水辺の魅力に触れることのできる観光ツアーの提供を行ってまいりました。
 今年度からは、MICE開催で東京を訪れた参加者に、舟運を利用して東京の水辺空間の魅力を体験できるメニューを新たに開発いたします。
 こうした取り組みによりまして、舟運の観光資源としての魅力を活用し、MICE誘致による観光振興を着実に進めてまいります。

○木内委員 パリへ行きましたときに、セーヌ川に浮かぶバトームッシュに二度ほど乗りました。日本の河川とどうしてあんなに違うのか。沿岸にすばらしい景観がバトームッシュの船内から見られるわけであります。
 ぜひこういう環境というものが日本でもできればいい。特に、MICE誘致で、いろんな国際会議で、出席をされるメンバーの家族同伴というのが今、本当に多くなっているんですね。ご主人は研究会議に出る、発表会場にいる。奥さんや子供は観光で回る。例えば、こういったときの周辺における舟運の利用というものは、今後大きく開発できるマーケットの一つだろう、こう思っているわけでありまして、MICE誘致という観光施策においても、舟運を含めた水辺空間の活性化は大切な視点となるため、着実に事業をつくり、そして進めていってほしい、このように思います。
 次に、大事な視点なんですけれども、外国人旅行者の誘致について数多く、いろんな面から質疑を行ってきましたけれども、東京の観光振興は、国内外からの旅行者を含め、年齢を問わず、障害のある方も幅広く対象として着実に行っていくという視点が重要だと思います。
 少子高齢化の進展を受けて、高齢者向けの観光ツアーをつくる動きはこれまでも続いてきましたけれども、最近は、身体機能が衰えて外に出歩くことの少ない方も対象に観光を行う機運が出てくる、もう出てきています。障害者の場合も全く同じでありまして、こうしたツアーのあり方をアクセシブル・ツーリズムと定義して今回の素案の中でも取り上げているのは、私は大変に重要な着目点だったというふうに思います。
 こうしたアクセシブル・ツーリズムを広げていくためには、高齢者や障害者の移動のルートの確保や介助の面を含めて、広く都民からの配慮や思いやりこそが重要になると思います。素案に掲げたアクセシブル・ツーリズムの充実に向けて、都民や観光関連の事業者にしっかりとした理解をしてもらうためのPR活動も行うべきだと思うんです。
 いずれにしても、こうした今回のアクションプラン、東京都の行政の歴史の中で刮目すべき、また新しいスタート地点となるものと思います。山本産業労働局長、坂本観光部長のもとでこうした大きな仕事ができるということは、私も関係者として本当に心から敬意を表させていただきたいと思うんです。
 きょうは、答弁がいろいろありましたけれども、ぜひ今いった点を踏まえて、PR活動にどのように取り組んでいくか、答弁を求めます。

○坂本観光部長 都では、高齢者や障害者が身体の機能が十分でない場合でも、宿泊や移動の面で快適に観光のできるバリアフリーの取り組みをサポートしてまいりました。
 アクションプログラムの素案では、そうした高齢者などが安心して観光を楽しむことができるよう、アクセシブル・ツーリズムの充実に向け、都民や観光事業者への普及啓発を図ることとしているところでございます。
 そのため、今後は具体的なPRの方法について研究し、施策としての構築を検討いたします。

○木内委員 きょうは、東京都観光産業振興アクションプログラムの素案について、外国人旅行者の増加やその対応を初め、旅行の基礎となる支払いカードの問題や水辺での観光資源の開発に加えまして、今答弁のあったアクセシブル・ツーリズムという考え方を含めて、実に数多くの論点について伺ってきました。答弁をいただいた坂本部長、それから浦崎観光振興担当部長に御礼を申し上げる次第であります。改めて、観光産業が対象としている部分は幅広く、一つ一つにはそれなりの大きな奥行きがあるということを実感いたしました。
 こうした議論の中で、私としては、やはり東京における新しい観光資源をどうつくり出していくべきかが重要であると考えています。
 東京には、水辺エリアを初めとして、観光資源として活用できる資源はいまだに数多くあるため、それらを丁寧に掘り起こして国内外から多くの旅行者が訪れる流れをつくり出していきたいと私自身、考えています。新しい形のツアーづくりも必要ですが、観光資源を生み出すことは、東京の住民や事業者が観光都市づくりに主体的に参加する過程そのものとなる貴重なものであります。
 東京には、水辺エリアを初めとして、観光資源として活用できる資源はいまだに数多くあるため、それらを丁寧に掘り起こしていくことが必要であります。新しい形のツアーづくりも必要ですが、観光資源を生み出すことは、東京のこうした観光都市づくりに非常に重要であります。
 こうした問題意識を申し上げた上で、最後に、世界に誇ることのできる観光都市東京の実現に向けた局長の決意を伺いたいと思います。

○山本産業労働局長 東京の観光を取り巻く環境は、外国人旅行者の増加等によりまして急速に変化を遂げており、こうした状況に適切に対応するとともに、中長期的な視点を持ち、さまざまな施策を戦略的に展開することが重要でございます。
 本日ご質疑いただきましたように、世界各国から訪れる旅行者の多様なニーズに応えるためには、お話のありました旅館を初め、宿泊施設などの受け入れ環境や快適な旅行環境を整えるとともに、水辺空間や舟運など、これまで必ずしも十分に活用されてこなかった資源も、これまでにない新しい発想で都内の新たな観光資源として磨き上げていく、そして観光都市としてのレベルを着実に引き上げていかなければならないというふうに考えております。特に観光資源の開発では、柔軟な考え方を持った地域や民間の力を十分に活用して集客力を高めていくことが一層重要になると考えております。
 今後は、アクションプログラムの策定を通じまして、さまざまな意見を幅広く集めて議論を深め、実効性のある施策を数多くつくり上げ、その確実な展開により、世界的な観光都市東京の実現に取り組んでまいります。

○石毛委員 今回発表された東京アクションプログラムの素案について、何点かお伺いいたします。
 観光大国でありますフランスでは、年五週間の有給休暇を取得することが法律で定められております。家族そろって夏休み、バカンスに行くわけでありますが、このバカンスという言葉はフランスから生まれております。
 私は思うのですが--どこかの海岸に行きまして、ビーチパラソルで寝ていて小説か何かを読んでいる姿はよく見ます。そこを日本人が通りまして、何でこんなところに来て本を読んでいるんだ、家でも読めるだろうと。
 一方、小説を読んでいる海外の人たちが日本人を見ると、何でせかせかするんだ、交通費をかけてあっちこっち行って、すぐ帰っちゃうと、これは非常にコントラストに感じるんですね。
 さすがに五週間、日本人がとるというと、そういう企業もございませんので、そういった習慣とか、いろんなものがまだまだ違いがあるんだなというふうに思うわけでありますが、ともかく、そうしたところ、フランスなどは別荘というか、もう南フランスに夏用の家を持っておりまして、そこで家族そろってゆっくりと生活をしている。時間をたっぷり家族にかける。また、そこでも趣味でいろんなものをする。こんな生活をするために、一年、一生懸命働くといわれております。
 そこで、こうした海外で長期にわたって旅行するということの観点から、東京の島しょ、豊かな自然に恵まれ、それぞれの島に独特の文化や歴史を持っている、こうしたところに長期滞在の旅行者を誘致するためのポテンシャルを持たせて観光の振興を図ることがいいんではないかというふうに考えております。現在の島しょでは、世界の有名なリゾート地のような豪華なホテルはありませんけれども、行く行くはそうしたレベルの施設をつくり、島でゆっくり豪華な時間を過ごしていただくというスタイルをつくり出すということがいいのではないかというふうに私は思うわけであります。
 島しょ地域への観光客をふやすために、長期にわたり滞在する外国人旅行者のニーズを踏まえ、それに対応できるモデルケースを生み出すべきだと考えますが、所見を伺います。

○坂本観光部長 都はこれまで、島しょエリアを含め、地域の観光振興に役立つアイデアを民間の力を生かして実現する取り組みを実施してまいりました。
 今年度は、島しょ地域で外国人旅行者の関心の高い観光資源を調べるため、モニターツアーを実施し、民間事業者がツアーをつくる場合のサポートを実施いたします。
 これらにより、島しょ地域の観光振興を進めてまいります。

○石毛委員 次に、観光に関係する人材についてお伺いいたします。
 東京にやってくる外国人の観光客がふえておりますが、言葉などは英語や中国語を話すということは大変多くなっておりますけれども、やはりコミュニケーションに加えて、もてなしの力を高めることも重要と考えます。そのために、海外からの接客のプロという人を招いて、一緒に働きながら指導を受けるような取り組みが重要だと考えます。
 日本でも世界でも、グローバルな企業といわれるのはもう本当にいろんな国の人たちが、横あるいは上下関係に、課長はインド人だよ、部長はタイの人だよ、何々はフランスだよと、こういった企業がグローバルな会社では見られるわけであります。こうした組織のような感じで働くことで、言葉はそうでありますが、発想力、また仕事の進め方、質も高まるんだと思います。
 海外の接客のプロと同じ職場で働くことにより、海外からの旅行者の観光PRをする場合の勘とか、こういったところが見つかるんではないかというふうに思います。
 このような場を設けるに当たって、観光関連の教育課程を持つ大学に加え、観光学部はなくとも、外国語の教育でレベルの高い大学などとコラボをすることが必要だと考えますが、所見をお伺いします。

○坂本観光部長 東京の観光産業を発展させていくためには、その担い手の育成を進めていくことが重要でございます。
 都では、アクションプログラムの素案の中で、マネジメントを担う人材や実践的な対応力のある人材の育成を図る方向性を打ち出しております。
 特に、マネジメントを担う人材を生み出すために、大学と連携する視点は必要であると考えております。

○石毛委員 最後になりますけれども、東京での観光を活性化するためには、特色のある観光ルートを数多くつくる、バラエティーさ、こういったものが必要かなというふうに思っております。
 その一例として、有名人、あるいは動物、あるいは物、こういったものに関連してツアーをつくるということはどうだろうかと考えているところであります。
 渋谷のスクランブル交差点、あそこには有名な忠犬ハチ公の像がございます。動物で有名なのは、この間亡くなったはな子、ゾウのはな子ですね。これよりも、ちょっとハチ公の方が有名ですね。何といいましても、その先生、東大の農学部の教授、上野英三郎先生の名前は出なくてもハチ公は出るわけでありまして、こうした動物も大変観光には必要であろうというふうに思うわけであります。
 この先生は、東大の農学部の入り口を入りまして、左側に上野先生とハチ公がこうやって飛び上がっている、犬が喜んでぱっと、こうやって飛び上がっている像がございます。その横には先生の、ぼろいかばんが置いてあるんですが、これもまた本当に革でできた、ああ、本当に革かなと思ってさわると銅なんですね。
 いや、よくできているなと思いながらも、このハチ公、実はハーネスというんですか、首輪みたいな胴輪を、胴のあれにはハチ号と書いてあるんです。ハチ号って、一号、二号、三号とありますね。忠犬ハチ公というふうになっていますけど、大学の教授の犬ですから、ハチと呼ぶのはちょっと失礼だと、それでハチ公と。昔、よく末は大臣か博士かなんていわれて、やっぱり教授になると偉いわけです。生徒は、犬に対してもハチ公と敬意を表して呼んでいたわけで、しかし、胴のところには、ハチ号って書いてあるんですね。先生が亡くなった後に、上野先生のところに行っていた植木職人がハチの面倒を見まして、代々木富ヶ谷、小林と胴のところに書いてあるんです。
 それは、小林菊三郎という職人が犬を面倒見まして、昭和九年に渋谷に銅像が建つわけでありますが、このハチ公も、このとき一緒に同席しておりました。ハチ公自身と、自身というのかな、自犬というんでしょうか、犬が同席しまして、何もわからないけれども、きょろきょろして、ただ、最後、おいしいものをくれたということで、喜んで、その銅像のところに行ったわけでありますが、このように、動物を通して、いろんなものも観光ツアーにはなるんじゃないかと。
 東大や、あるいは渋谷、いろんなところにそういったものがあるわけでありますけれども、先生のお墓は都立青山霊園にあります。こうしたルートもいいのではないかと私は思うわけであります。
 また、人についてでは、正覚院殿浄華八雲居士、何かよくわかりませんが、これ、戒名の名前でございまして、一九〇四年、五十四歳で亡くなったパトリック・ラフカディオ・ハーンの戒名でございます。
 彼は、一八五〇年、ギリシャ領のイオニア諸島のレフカザという島で生まれるんですね。ラフカディオという名は、レフカザの島の名前をもらったようであります。後の小泉八雲でありますが、お父さんはアイルランド人の軍隊の人で、軍人で、お母さんはギリシャ人でした。その子供で生まれるんですが、早々離婚いたしまして、そして、十六歳のときに、遊んでいるときに、ロープが左目に当たりまして、失明になります。十七歳でお父さんが亡くなって、その後に後妻となったお母さんも精神の病で、最終的にはイギリスに行って、貧民窟で暮らしていたと。青年、青少年の若いときは、大変苦労されたようであります。
 それで、その後、フランス・パリ、マルティニーク、アメリカ・ニューオーリンズ等々を回って、三十九歳に横浜に来て、そして島根の松江で英語の先生の仕事を見つけます。そこのときに、奥さん、セツさんというんですが、この方と結婚するわけです。二年前に高円宮様の次女、典子様と出雲の千家さんが結婚されましたけど、この先祖、第七十五代の出雲の宮司さん、そのファミリーがセツさんでありまして、小泉八雲の名前は、八雲立つ出雲という古事記のところからとって八雲というふうに名前をつけたようであります。
 島根には一年三カ月、その後、熊本、神戸、ぐるっと回って東京に来る。東京は、最初、東京帝大、つまり今の東大ですね、東大の英語の教授になります。四十五歳で解任されるんですね。そのとき、解任されるときに、帝大の学生がやめないでくれと嘆願書をいっぱい出したんだけど、結局やめて、早稲田大学に行くんですが、その後、東京帝大の教授になったのが、ことしの十二月に没百年になる夏目漱石であります。
 アンドロイドというんですか、この間、ロボットのあれのときに、女の、名前が何とかといって、こうやってしゃべっていましたけど、あのアンドロイドみたいのが、ことし、夏目漱石のが十二月にできるそうであります。こう行って、ぐるぐるぐるぐる回って、最後は雑司が谷に行くわけであります。
 小泉八雲のこれが生家でありまして、新宿区の小泉八雲記念公園というのがございまして、これの隣が住んでいたところです。八百坪の大きな敷地だったようであります。こんなのが公園の中にございます。こんなのが八雲の碑があるわけでありますけれども、これが、実は正面になっていますけど、左目が本来は白くなっておりまして、小泉八雲の写真は全部下を向いているか、右から撮った写真です。こうやって正面というのは写真では残っていないようであります。
 ということで、こういったところを県外もそうでありますが、都内もぐるぐるぐるぐる回ると。小泉八雲を慕ってというか、めぐる。例えば、それはアイルランド人であったり、ギリシャ人であったり、あるいはフランスに住んでいたフランス人であったりという人に、そういう情報をあげたら、行ってみたいということになるかもしれません。
 最初の院殿居士の名前の、ここが雑司ヶ谷のお墓でございます。
 先ほどの夏目漱石が、小泉八雲の後の教授であったということであります。
 約百五十年前でございます。この小泉八雲は、先ほどいったように、ヨーロッパ各国、アメリカ大陸、カリブ、そして日本に来て、この時代に、これだけの世界をぐるぐる回った人は、そう多くはないと思います。
 そこで、この小泉八雲がアメリカ人に出した手紙がございます。
 私は強く日本に引かれています。この国で最も好きなのは、この国民、その素朴な人々です。天国みたいです。世界中を見ても、これ以上、魅力的で、素朴で、純粋な民族を見つけることはできないでしょう。日本について書かれた本の中に、こういう魅力を描いたものは一冊もありません。私は、日本人の神々、風習、着物、鳥が鳴くような歌い方、彼らの住まい、迷信、弱さの全てを愛しています。私は自分の利益を考えず、できるなら、世界で最も愛すべきこの国民のためにここにいたい。ここで根をおろしたいと思っています。
 また、随筆には、日本の迷信が、私が生まれたギリシャ神話に匹敵すると賞賛しております。
 このように小泉八雲はいっているわけでありますが、私はこの文章を読んで、このころから日本という国はすばらしい国だったというふうに再認識をいたしました。ということで、今、これを私が申し上げたのは、海外の日本にかかわる人たちが興味を持つようなテーマというか、関連のところはどうかなということでございます。
 先ほど、物といいましたけれども、きょう、私が着ているこの背広、皆さんはクールビズで背広を着ている方はおりませんけれども、議員は全部、背広を着ております。
 背広の語源でありますが、よくいわれるところは、市民の服、シビルクロス、あるいは英国の服の生地の産地、チェビオット、ここから来ているという方もおられますが、実は、ロンドンのセビル・ローという通りがあります。これは服をつくる仕立て屋さんのところですね、ロンドンの。この辺が……あと一、二分、そうですか、わかりました。
 この辺から出ているわけでありますが、もともとは慶應義塾の創立者、福沢諭吉先生がつくった言葉でございます。「西洋衣食住」というところにも、また出ておりますし、「絵入智慧の環」というところにも、この背広というのが出ているわけであります。
 慶應大学の中に背広を仕立てるところが明治五年にできておりまして、学生に背広を着させたいと、こんな思いで、衣服仕立局なるものをつくったところであります。
 今、私が動物や人物、あるいは物といったものを話させていただきましたけれども、そうしたテーマを設けることが、次のリピーターにいろんなものを、確かに大きな立派なものが観光にとってすばらしいんですが、一回見てしまうと次は来ないという場面もございます。
 ぜひ、そうしたところを含めて、知恵を絞りながら、民間としっかり力を合わせていっていただきたいと思います。この掘り起こしに、取り上げて、観光コースをつくる、これが日本や東京の理解も一層深まると思います。
 このような観光ツアーをつくり上げる仕組みをどう進めていくか、お伺いいたします。

○坂本観光部長 これまで都は、地域の魅力ある観光資源を生かすアイデアを、民間のノウハウを活用して実現する取り組みを実施してまいりました。
 本事業によりまして、人物などに着目をした観光ツアーをつくり上げる取り組みをサポートすることは可能となるものと考えているところでございます。

○あさの委員 私からも、この観光振興プログラムについて、幾つかご質問させていただきます。
 このアクションプログラムの素案を見まして、まず、都内の観光産業の振興を図るためのアクションプログラムの目指すべき目標というのが、観光に関連する産業の力を伸ばして、東京の都市としての持続的な発展を図ることであるというふうに考えています。
 少子高齢社会が進むことで、国内の消費の拡大を見込むことがなかなか難しい中、海外から都内を訪れる旅行者をふやして、その活発な消費を取り込むことで、観光の果たす役割や重要性というのが確実に高まっていることはもう論をまたないのではないでしょうか。
 そうした観光産業をしっかりと後押しするためには、観光をめぐる環境の変化に迅速で的確な対応を図ることが何よりも重要であります。このような趣旨を踏まえて、アクションプログラムも適切な目標を定めて、その達成に向けた施策を掲載することが不可欠と思います。
 今回の素案では、目標のあり方を検討して、その具体的な数値を定める方針を示しておりますし、また、先ほどのほかの委員の答弁にも、この後、数値目標は具体的に幾つか掲げていくということで答弁もございましたけれども、環境の変化というのが非常に急速に進む場合も多いわけですから、一たび決めたからといって、その目標数値にこだわり続けるのではなくて、フレキシブルにその項目や値を見直したり、設定したりすることも可能にすべきだと思いますが、所見を伺います。

○坂本観光部長 東京の観光をめぐる環境の変化に、迅速かつ的確に対応を図るための施策の展開を目指して、アクションプログラムを策定することとしております。
 このプログラムで掲げる目標とその数値の水準につきましては、状況の変化に対応したものとなるよう、内容の更新をすることは予定をしているところでございます。

○あさの委員 ただいまの観光部長の答弁で、非常にフレキシブルに対応できるということがよくわかりました。
 ぜひ、恐らく、相手がいること、特に、観光客の動きというのは、なかなか読み切れないわけですから、どんどんどんどん、影響を見ながら、最終的な目標は、あくまで東京が発展するということでありますので、その状況に応じて目標も動かしていっていいんじゃないかなと私は思っておりますので、お願いをいたします。
 この素案は、アクションプログラムという東京の観光政策の内容を取りまとめた方針の書をつくるに当たって、方向づけを行う役割を持っていると伺っております。
 このため、この素案がまさしく今後の観光政策の方向や考え方を、大枠として取り決めることとなるため、その内容をしっかりと議論することが重要と考えます。
 東京の観光産業を振興するための方向を示すためには、どのような旅行者をターゲットにするのかということも大事なポイントではないでしょうか。
 国内、国外の旅行者、どちらに重点を置いているのか、富裕層向けの対応に力を入れるのかなど、対象の決め方はさまざまなパターンがあるかと思います。欧米からの長期滞在者もいれば、豪華客船で来訪して二、三日で東京を離れる旅行者もいるかと思います。
 こうした多様な旅行者について、どのようなターゲットを想定して、観光振興を進める考えなのか伺いたいと思います。

○坂本観光部長 都では、国内外から東京を訪れる観光客をふやすために、これまでも訪都旅行者の数に目標を設けて、その達成に向けて効果の高い施策を展開してまいりました。
 今後も、国内からの旅行者の確保を図りながら、欧米などから訪れる旅行者に関しましても、その受け入れ体制を初めとするさまざまな利便性の向上に取り組むとともに、将来に向けて、旅行者の大幅な伸びが期待できる国やエリアについて調査を行った上で、観光客の誘致を進めてまいります。

○あさの委員 今ご答弁いただきましたとおり、アクションプログラムの素案では、外国人旅行者の誘致というのが非常に重要なテーマとなっていると思います。
 外国人旅行者は、スマホさえあれば、それを片手に地図情報をアプリで見ながら、目的とする観光スポットまで移動をしていきます。
 私なんかも、日本国内でも知らない場所に行っても、スマホ一つあれば、現在地と行きたい場所だけわかれば、地図でどんどん歩いてでも、車でも移動していける、そういった状況にあるわけです。こうしたICT技術の活用に不可欠なWi-Fiの整備、日本国民の場合は、通信事業者との契約があるから、どこでも大体通じる状況になっていますけれども、外国人旅行者の場合は、Wi-Fiの整備というのが東京でも徹底して行わなければならないと思います。
 ことしの第一回定例会で、この質疑をしておりますので、今回は質問いたしませんけれども、素案の中でも、外国人観光客の旅行中に困ったことのトップは、Wi-Fiの環境が整っていない点であるとの調査結果が出ております。
 これ、実は、スタッフとのコミュニケーションがとれない、つまり外国語が通じないということよりも高い位置で、Wi-Fiの環境がないということが困っているんだと。これは旅行中に困ったこととそれから、旅行中に一番困ったことを両方聞いても、両方とも一位はWi-Fiが上がってくるんですね。
 そういった状況になっているわけですから、この課題の解決には特に力を入れていただきたいと思います。
 ですので、Wi-Fi、私は、もっともっと全面的に、いわゆるデジタルサイネージやさまざまな公共施設ではつながるのではなくて、道を歩いていても常につながっている状況をどうやったら提供できるかということ、これは民間事業者の協力も必要だと思いますが、そういった検討も、ぜひこれから始めていっていただきたいということを要望しておきます。
 また、さまざまな調査によって旅行者のニーズを把握して対応することの重要性は、これから一層高まるということを指摘して、次の質問に移りたいと思います。
 今回の素案に目を通しますと、旅行者誘致のターゲットを取り決め、それに応じて政策の進め方を整理するという感じではなくて、東京で提供のできる観光資源を前提にして、それぞれの観光スポットを訪れる旅行者を誘致する施策を並べてあるような印象を持ちました。
 特に、海外からの誘致の対象となる旅行者がどのような観光を望んで動くのかという部分を十分に考え、施策をつくることが重要になると思います。旅行者の動き方に着目することで、東京への旅行者誘致のあり方を検討する大切なヒントも出てくると思います。
 例えば、パリに関しては、パリの魅力に引かれて観光に訪れる旅行者が多いのはもちろんであるんですけれども、イタリア、ロンドンなどを訪問する場合の交通のハブとしての役割も持っているために、短い時間で多少立ち寄ってみたいとのニーズが多いとも聞いております。旅行者のそうしたニーズがわかると、観光施策のつくり方も変わってくると思います。
 東京については、海外では経済機能の集まる大都市で、ビジネスの場であるとの印象を持たれているようですけれども、実際に訪問すると、庶民の日々の生活や昔ながらの商店の雰囲気などの魅力が数多くあることが実感できまして、そうした場所を中心に、改めて東京を観光したいとのニーズもあると伺っております。
 こうしたことを考えると、観光PRも、あるいは観光資源の内容を紹介するだけではなくて、旅行者のニーズに応じて発信を行うことも重視すべきだと考えます。
 旅行者誘致のターゲットを決めるに当たり、都として、外国人のニーズをきちんと把握することが重要だと思いますが、どのような調査を行ったのか伺いたいと思います。

○坂本観光部長 東京を訪れる外国人旅行者の関心や滞在中の行動につきましては、都は、国別に旅行者の行動特性調査を行いまして、ニーズを把握しているところでございます。
 その調査の最新の結果によれば、アジアからの旅行者は、日本食やショッピングへの関心が高く、銀座や秋葉原を訪れ、買い物への支出が多いとの傾向が出ているところでございます。
 アメリカなど欧米豪地域からの旅行者につきましては、都会や伝統的なまち並み、日本食に関心が強く、渋谷や浅草を訪れ、買い物に支出する割合は、アジアからの観光客よりも低い状況となってございます。
 こうした調査によりまして、旅行者のニーズを把握し、観光施策の構築に役立てております。

○あさの委員 非常にきちっとした調査結果が出ていることに安心をいたしました。
 ただ一方で、恐らく、もちろんそれを内包した形でつくられているんだとは思うんですけれども、今の調査結果によりますと、アジアからの旅行者、あるいはアメリカや欧米豪地域からの旅行者ともに、関心の中に共通して日本食というのが入っているんですね。
 しかし、実際の素案の中では、実は日本食を観光資源として考える部分については余り触れられている印象を持てません。もちろん伝統や文化、食といったものを大事にしてやっていくという方向性はもちろん載っておりますので、ぜひこの後、中間のまとめ、それから観光施策をつくる段階では、日本食というものの扱いについても、ぜひ固めていっていただきたいということも要望をさせていただきたいと思います。
 地域によってニーズが異なる、そして、そのニーズを十分踏まえた上で、旅行者の誘致を進めていっていただきたい。
 また、今後は、東京を訪問したことのない人たちの意見も聞くべきであると私は思います。
 例えば、世界各地の旅行者、旅行地に行っている旅行者に対して、東京に来たことがあるのか、来たことがないとすればなぜなのか、その理由を尋ねて、そうした意見を踏まえて、どうして東京を選ばなかったのかということから、逆に東京に誘致する人をふやしていく、増加させるということは、来ている人たちのリピーターだけではなくて、やはり、まだ来ていない人、あるいは来なかった人、選ばなかった人たちのニーズを把握することで、増加につなげていっていただきたいということも要望しておきたいと思います。
 次に、今回の素案を読みますと、パリの事例や京都での様子などが紹介されております。これらの内容を、そのまま東京に当てはめればいいというわけにはいかないと思います。国内や、あるいは世界のどこかにある観光資源を、都内に同じように再現し、提供しても、最初は話題になるかもしれませんが、人気や集客は一過性で終わってしまうように思います。
 やはり東京にしかない、東京ならではの売りを正確に把握して、しっかりと観光面で発信することが大切であると考えます。
 例えば、私は、行ったことがないですけれども、スペインのあるまちでは、住民がトマトをぶつけ合う、トマト祭りという珍しいイベントがあるそうです。こうした祭りを見るために、世界からも多くの観光客がこのまちを訪れるそうです。
 しかし、このまちの人たちは、別に観光客を集めようと思って、トマトをぶつけ合っているわけじゃないんだと思うんですね。歴史や文化の中で、そういったものができるようになったということの背景だと思われるんです。
 こういったことからもわかるように、地域に根づいている行事などをどう掘り起こして発信するかが、東京の観光スポットを生み出す上で非常に重要になると思います。
 やはりイベントや祭りなどは、地域の住民がやりたいからこそ生み出されて、続いていくものでありまして、行政主導で押しつけてもうまくいかないのではないかなと思います。
 こうした視点から、東京都として、観光資源の再発見にはどのように取り組んでいくのか伺いたいと思います。

○坂本観光部長 都はこれまで、都内にある魅力的な観光資源を活用するアイデアについて、地域から提案を受け、それを民間のノウハウによって実現する取り組みを実施してまいりました。
 こうした取り組みによりまして、東京にあるさまざまな魅力を掘り起こして、観光客の誘致に結びつけてまいります。

○あさの委員 もし何か新しいものをというのであれば、私も一つだけ提案をさせていただくとすれば、私は、東京が生み出すべき本当の観光資源って何だろうかと、先ほどのこの素案の中にも出てくる順位もありますけれども、観光資源の都市の中で人気があるのは、やはり魅力的な観光資源がある都市だということが結果として出ております。
 その上位の方を見ますと、ロンドンだ、パリだといったところも入っておりますが、例えばイスタンブールであったりとかプラハであったりとか、歴史的なまち並みといったものが評価をされている部分、観光客が行きたいと思う部分でもあるように見受けられます。
 では、東京はどうかといいますと、東京ももちろん、そういった歴史的なまち並みというのもあるわけではありますけれども、過去のものを、もっともっと昔に近づけていくことができるかというと、そういうものではありません。
 日本の建築物は、もともと木造でありますから、石の文化であった都市とは、ちょっと違う歴史の形態があると思いますので、私は、個人的には東京の魅力というのは、そういった過去の、近い過去かもしれませんけど、そういった過去と、そして未来の融合なんだと思うんですね。
 例えば、今、世界で売り出されている、イーロン・マスクさんが出しているテスラという電気自動車がありますが、電気自動車も、世界で売り出される前に、日本の日産の方が先に電気自動車をつくっていたわけであります。
 しかし、テスラが非常に売れたのは、車としての性能はもちろんですけれども、そこに未来を感じさせる性能があったからですね。自動運転であったりとか、あるいは自分の携帯電話から、ロックの解除からエンジンをかけたり切ったり、そういったことが可能になっている。そういったものが感じられるからこそ、世界中の人たちがこれを買いたいといって殺到したんだと思います。
 せっかく東京というまち、最先端の大都会であり、かつ歴史もあるという両方の特性を生かして、そういった未来を感じられるようなスポットというのをつくることも一つの観光資源になるのではないかということも提案をさせていただきたいと思います。
 最後に、各局との連携について伺いたいと思います。
 観光振興を進めていく上で、観光を所管する部署のみで企画や立案とその実施をするのではなくて、都庁の各局のさまざまな動きの中で、観光に関連する部分もしっかりと取り込んで、局間で協力する仕組みをつくることが大切であると思います。
 例えば、先日、本委員会においてありましたけれども、先ほども私も質問しましたが、港湾局から、臨海副都心にある土地の利用のあり方を示した土地利用等の計画の一部の見直しというところで、居住エリアと定めてあった場所を、観光を含めた業務の展開のためのエリアに変更するという報告を受けております。
 このような動きを、関係する各局がきちんと連携しながら着実に進めていくことで、見直しの目的が実現されて、政策効果を上げていくことが大切になってくると思います。
 観光振興の面から見ても、新しい観光スポットをつくり上げるなどの取り組みにつなげていくことが必要であると思います。
 観光振興に関するこうした各局の連携について、どのように考えているのか所見を伺いたいと思います。

○浦崎観光振興担当部長 観光振興に向けた取り組みは、都政のさまざまな行政分野でハード面、ソフト面の取り組みを総合的かつ戦略的に推進することで、より効果が高まるものであり、都としましては、これまでも各局の緊密な連携のもとに、着実に取り組みを推進してまいりました。
 今回のアクションプログラムの素案の策定に当たりましても、各局の間で十分に検討を重ねました上で取りまとめを行ったところでございまして、今後もテーマに応じて関係各局との連携を図り、観光振興に資するさまざま施策を着実に推進してまいります。

○あさの委員 おっしゃったとおり、もちろん各局の連携なくして、アクションプログラムの実現は不可能であるとは思います。
 今、関係各局との連携を図るという答弁をいただきましたけれども、各局の連携を確実なものとするためにも、私は、新たに局横断型の、観光振興にかかわる横断型の会議をつくるべきだということも提案をしておきたいと思います。
 例えば、訪日教育旅行の誘致を進めるためには、産業労働局と教育庁の連携は欠かせないわけであります。このアクションプログラムに盛り込まれたさまざまな施策が着実に進むかどうかの鍵は、やはり都として各局連携にあるんだと、それが、まさに都として観光振興を一大産業として育てていくんだということにつながっていくと思いますので、そうした視点をプログラムにもはっきりと書き込んで、観光施策の効果を高めるように要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

○島崎委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○島崎委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で産業労働局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時三十六分散会

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