経済・港湾委員会速記録第十五号

平成二十七年十二月十日(木曜日)
第八委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長島崎 義司君
副委員長小林 健二君
副委員長清水 孝治君
理事あさの克彦君
理事田中たけし君
理事かち佳代子君
松田やすまさ君
尾崎あや子君
大松あきら君
木内 良明君
三宅 正彦君
田島 和明君
石毛しげる君
三宅 茂樹君

欠席委員 なし

出席説明員
産業労働局局長山本  隆君
次長土渕  裕君
総務部長村松 明典君
産業企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務青山 忠幸君
商工部長松永 竜太君
金融部長山巻  毅君
金融監理部長野間 達也君
金融支援担当部長西川 泰永君
観光部長坂本 雅彦君
観光振興担当部長浦崎 秀行君
農林水産部長寺崎 久明君
安全安心・地産地消推進担当部長武田 直克君
雇用就業部長矢田部裕文君
事業推進担当部長小金井 毅君
就業施策担当部長貫井 彩霧君
港湾局局長武市  敬君
技監石山 明久君
総務部長浜 佳葉子君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務中村 昌明君
調整担当部長矢部 信栄君
港湾経営部長古谷ひろみ君
港湾経営改革担当部長藏居  淳君
臨海開発部長山口 祐一君
開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務原   浩君
営業担当部長有金 浩一君
港湾整備部長小野 恭一君
計画調整担当部長角  浩美君
離島港湾部長小林 英樹君
島しょ・小笠原空港整備担当部長神山 智行君

本日の会議に付した事件
意見書について
産業労働局関係
契約議案の調査
・第二百二十三号議案 東京国際展示場(二十七)地盤改良工事請負契約
付託議案の審査(質疑)
・第二百八号議案   東京都立職業能力開発センター条例の一部を改正する条例
・第二百四十一号議案 東京都立産業貿易センター台東館の指定管理者の指定について
・第二百四十二号議案 東京都立食品技術センターの指定管理者の指定について
・第二百四十三号議案 東京都しごとセンターの指定管理者の指定について
・第二百四十四号議案 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター中期目標について
報告事項(質疑)
・新銀行東京の「平成二十八年三月期中間決算」について
港湾局関係
契約議案の調査
・第二百二十二号議案 平成二十七年度新砂水門(再整備)建設工事(その二)請負契約
付託議案の審査(質疑)
・第二百四十五号議案 晴海客船ターミナル外四施設の指定管理者の指定について
・第二百四十六号議案 竹芝客船ターミナルの指定管理者の指定について
・第二百四十七号議案 竹芝ふ頭船舶給水施設外六施設の指定管理者の指定について
・第二百四十八号議案 東京都立東京港野鳥公園の指定管理者の指定について
・第二百四十九号議案 東京都立辰巳の森海浜公園外六公園の指定管理者の指定について
・第二百五十号議案  東京都立大井ふ頭中央海浜公園外十四公園の指定管理者の指定について
・第二百五十一号議案 東京都立お台場海浜公園外十公園の指定管理者の指定について
・第二百五十二号議案 東京都立葛西海浜公園の指定管理者の指定について
・第二百五十三号議案 二見漁港岸壁外九施設の指定管理者の指定について
・第二百五十四号議案 東京都八丈島空港の指定管理者の指定について
報告事項(質疑)
・平成二十七年度のぞみ橋耐震補強工事
・「国際コンテナ戦略港湾政策」にかかる取組について

○島崎委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書二件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○島崎委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○島崎委員長 次に、契約議案について申し上げます。
 契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成二十七年十二月九日
東京都議会議長 川井しげお
経済・港湾委員長 島崎 義司殿
   契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
     記
1 調査議案
 第二百二十二号議案 平成二十七年度新砂水門(再整備)建設工事(その二)請負契約
 第二百二十三号議案 東京国際展示場(二十七)地盤改良工事請負契約
2 提出期限 平成二十七年十二月十一日(金)

○島崎委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、産業労働局及び港湾局関係の付託議案の審査、契約議案の調査及び報告事項に対する質疑を行います。
 これより産業労働局関係に入ります。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第二百二十三号議案を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○田中委員 都議会自民党は、展示会場が産業振興に果たす役割を踏まえ、我が国最大規模の展示会場である東京ビッグサイトが、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会を契機に大会後も見据え数多くの展示会需要に応えていくため、展示面積の拡大や機能の拡充を図るべきと主張してまいりました。
 また、私は平成二十五年に、都議会を代表し、イタリア、ミラノへ海外調査に参り、ことし開催されたミラノ国際博覧会のメーン会場として使用されたフィエラ・ミラノを視察してまいりました。
 このフィエラ・ミラノは、展示面積が、ビッグサイトが八万平米に対して三十四万五千平米と四倍以上ある国際展示場であり、施設の状況や運営状況などを視察してまいりましたが、さまざまな国際競争が激しく行われる中、東京を世界一の都市にするためにも、日本を代表する国際展示場の規模拡大の必要性を強く感じてまいりました。
 都は、我が党の主張を踏まえ、利用者のニーズ調査等を行い、拡張棟の展示面積を二万平米に規模を拡大して調整することとし、昨年の第三回定例会において、基本設計の補正予算が可決され、この一年間で基本設計の取りまとめを進めていただきました。
 この一年の間に、オリンピック・パラリンピック大会に関連して、さまざまな状況の変化がありました。この拡張棟についても、当初の計画ではメーンプレスセンター、MPCとして活用するとのことでしたが、先月、都はメディアセンターの配置計画を公表し、拡張棟がMPCとして使用されないことが明らかになりました。
 この点については、既に先月のオリンピック・パラリンピック推進対策特別委員会の質疑の中で明らかになっておりますが、ビッグサイトの拡張等整備に関連する事項でありますので、メディアセンターの配置計画と拡張棟がMPCとして使用されなくなった理由について、改めて確認をしたいと存じます。

○松永商工部長 現在の配置計画は、国際放送センター、IBCが東展示棟と仮設展示棟、メーンプレスセンター、MPCが西展示棟と会議棟となっております。
 拡張棟がMPCとして使用されなくなった理由でございますが、競技会場が幕張メッセに変更されることで、IBCを東展示棟及び仮設展示棟に配置することとなり、これに伴い西展示棟に余裕が生じたことから、拡張棟はMPCとして使用しないこととなりました。
 しかしながら、本拡張棟は、産業振興のための施設として整備する方針であることから、こうした事情変更にかかわらず、今回の地盤改良工事に係る契約議案を提出したところでございます。

○田中委員 ただいまご答弁があったように、この間の事情変更はあったものの、昨年の本会議や委員会質疑を通じて、この拡張棟整備は、産業振興の観点から進めることが確認されております。ぜひしっかりと取り組んでいただきたいと存じます。
 それでは、このたびまとまった拡張棟の基本設計の内容について確認したいと思います。
 今後は地盤改良工事、さらに実施設計に入っていくと伺っておりますが、基本設計における拡張棟の整備内容、概算工事費、スケジュールについてお伺いいたします。

○松永商工部長 ビッグサイトの拡張棟につきましては、今後の展示会需要を見据えるとともに、産業振興の観点から適正な規模と機能を備えた施設として基本設計に取り組んできたところでございます。
 拡張棟の規模は、地上五階建て、延べ床約六万八千平方メートル、展示面積は二万平方メートル、二層の展示フロアを有しております。
 また、使い勝手のよい展示場とするため、展示ホールについては柱の本数を抑えた大空間化や、高い天井高を確保するために立体駐車場を別棟にするほか、商談室、会議室等の附帯設備を設置いたします。
 さらに、来場者の利便性を確保するために、拡張棟に直接来場できる専用連絡通路の設置や、デジタルサイネージの導入なども行います。
 これらの整備に要する工事費は、今後、実施設計の中で引き続き精査してまいりますが、基本設計時点では約五百九十九億円と見積もられております。
 今後、実施設計に着手し、平成二十八年度内に完了させ、平成三十一年十二月末までに整備を完了させる予定でございます。

○田中委員 この拡張棟の整備により、ビッグサイト全体の展示面積は約十万平米となり、世界的にも存在感を示すことのできる規模となります。
 さらに、株式会社東京ビッグサイトは、大会の開催や準備での影響や将来の大規模修繕による利用制約に対応するため、東展示棟の東側に約一・六万平米の展示ホールを有する仮設展示棟の整備に取り組むことを決め、整備に着手いたしました。仮設展示棟の整備を含めますと、ビッグサイトは現在の約一・五倍の十一・六万平米となります。
 こうした都の将来を見据えた取り組みにより、今まで開催できなかった展示会の開催やさらなる中小企業の出展が可能となるなど、より一層のビジネスチャンスの拡大に寄与することが期待されます。ぜひ着実な整備をお願いいたします。
 これに関連して、もう一点、オリンピック・パラリンピック大会開催に伴う利用制約について伺います。
 これについては、先日の本会議においても質疑を行いましたが、拡張棟も含めたビッグサイト全体の利用制約の状況を詳しくお伺いいたします。また、それに対し、都はどのように対応しようとしているのかお伺いをいたします。

○松永商工部長 IBCとMPCの配置につきましては、組織委員会とIOCとの間で調整を進めているところでございます。
 現時点での利用制約についてでございますが、IBCが配置される東展示棟及び仮設展示棟につきましては、準備工事や撤去工事に係る期間を含め、平成三十一年四月から平成三十二年十一月までの二十カ月間利用できなくなる見込みでございます。
 また、MPCが配置される会議棟及び西展示棟につきましては、準備工事や撤去工事に係る期間を含め、平成三十二年四月から同年十月までの七カ月間利用できなくなる見込みでございます。
 また、拡張棟につきましては、西展示棟と接続されるため、セキュリティー上の観点から、西展示棟がMPCとして使われる七カ月間利用できなくなる見込みでございます。
 こうした利用制約期間が明らかになったことを踏まえ、都は東京ビッグサイトと連携し、関係者に対し、施設利用等に関し迅速な情報提供を行うとともに、その影響を最小限にするため、各展示会の実情を踏まえた開催時期や利用面積等の調整、他の国内施設への受け入れ要請など、きめ細かな対応に取り組んでまいります。
 また、引き続き利用制約期間の縮減に向けた働きかけを続けるとともに、さらなる代替展示スペースの確保に向け、ビッグサイト周辺の未利用地などの活用を含め、あらゆる方策を検討してまいります。

○田中委員 ビッグサイトは中小企業の販路拡大や取引拡大にとって重要な施設であります。ぜひとも、中小企業者や展示会を主催する事業者団体などの状況を踏まえ、丁寧な対応をお願いしたいと思います。
 その上で申し上げておきたいのは、今回のビッグサイトの拡張整備は、我が国の産業振興を図るために行われるものであり、極めて重要なものであるということであります。大会後には展示会面積の大幅拡大が図られ、中小企業や展示会産業の発展に大きく寄与すると認識をしております。
 そのため、オリンピック・パラリンピックに使用されなくなったから整備を見直すようなことがあるとするならば、それは全く見当違いであろうと思っております。
 都は、オリンピック・パラリンピックを契機とした中小企業の振興に向けて、受注拡大や技術開発、技術発信など、さまざまな取り組みを進めております。オリンピックを産業の飛躍の大きな契機にするという視点から、取り組みを進めるべきと認識をしております。
 ビッグサイトについても、一時的な利用制約はあるにしても、将来、展示会場が大幅に拡充されるということは、関係者に対して、都は、展示会を通じた販路開拓支援に前向きであるという明確なメッセージを発することができます。ビッグサイトの拡張を通じて、中小企業振興に積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 また、冒頭にも申し上げましたが、イタリア、ミラノの国際展示場であるフィエラ・ミラノを視察した際に伺ったのは、三十四万五千平米の規模の施設を維持活用するため、また、国際競争に勝ち抜くために、イベントや国際会議の誘致に相当の努力をされているとのことでありました。
 顧客の誘致の決め手は、直接的な施設の規模や機能だけではなく、国際展示場周辺の宿泊施設、交通手段、観光スポット、治安等々、都市としての総合評価であるとのことであり、魅力ある都市を形成できるかどうかで顧客を誘致できるかが決まるとのことでありました。
 都は、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会後も見据えた大局的な視点に立って、中小企業振興施策に取り組むと同時に、観光振興、東京ブランドの推進等々、産業労働局の総力を結集し、東京の魅力をさらに向上させ、ビッグサイトの拡張整備を積極的に生かし、世界一の都市東京に向け、着実に前進させていくことを強く期待いたしまして、質問を終わります。

○かち委員 私からも、工事契約案件、東京国際展示場(二十七)の地盤改良工事について何点か確認したいと思いますが、田中理事の質問にちょっとダブるところがありますので、若干省きます。
 今回提案されている国際展示場の地盤改良工事ですが、本工事のもとになるのは、昨年の三定の補正予算で、手狭になった国際展示場の拡張計画としてビッグサイトの西棟の拡張をするという計画でした。同時に、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック中は、IBCとMPCのセンターとして使用するとのことでした。
 当初からの計画というよりも、五輪開催に間に合わせなければならないということで補正となったわけですが、そのときの提案では、土壌改良費も含めての基本設計費で六千六百万円、債務負担行為として一億五千五百万円が計上されていました。今回、十七億九千五百万円余の地盤改良費となっております。
 しかし、その後、MPCとしては使用しないことになったわけですが、その経緯と結果について、改めてお聞きします。

○松永商工部長 国際放送センター、IBCは東展示棟及び仮設展示棟に集約し、メーンプレスセンター、MPCは西展示棟及び会議棟に配置いたしました。その結果、拡張棟はMPCとしては使用しないこととなりました。

○かち委員 五輪開催までに間に合わせなければならないということで補正まで組んで取り組んできたんですけれども、結果的に、予定していた競技会場がここを使わなくなったということで、西棟拡張部分は使用しないということですけれども、それでは五輪との関係で影響はないのかということですが、西棟拡張棟の完成時期はいつなのか、五輪のセキュリティーとしての関係で使用できない期間はどのようになりますか。

○松永商工部長 拡張棟については、平成三十一年十二月末までに整備を完了させる予定でございます。
 拡張棟は、西展示棟と接続されるため、西展示棟がMPCとして使われる期間は使用できなくなる見込みでございます。

○かち委員 当初、五輪期間中、前後を通して使用できない期間があり、利用者に影響が出るということも含めて、東棟の東側に仮設の展示場をつくるということを計画していたわけですけれども、それはどのようになるのでしょうか。

○松永商工部長 仮設展示棟は、二〇二〇年大会において、大会組織委員会とIOCの調整の中で、IBCとして使用されることとなりました。

○かち委員 本来の仮設棟もIBCとして使われる、西棟拡張棟も、西展示棟がMPCとして五輪期間中は使われるので使用制限があるということでは、相当の影響を受けることになると思います。
 改めてお聞きしますが、西棟と東棟の使用不能期間は、それぞれどのようになりますか。

○松永商工部長 東展示棟は平成三十一年四月から平成三十二年十一月までの間、西展示棟は平成三十二年四月から十月までの間、利用できなくなる見込みでございます。

○かち委員 東展示棟は五輪の前の年の四月から二十カ月間使用できなくなり、西展示棟も五輪開催の年の四月から使用できない。西展示棟の拡張棟が前年の十二月に完成しても、ほとんど展示場として使用できないまま利用制限に入ってしまう可能性があります。
 この国際展示場は、中小企業や中小企業団体の利用が八割を占め、中小企業の商機、販路拡大にとっても重要な役割を果たしているということはいうまでもありませんが、この施設の中で営業している飲食店を初め、ここで働くもろもろの関係者にとっても、利用制限が長期にわたるということは多大な影響をこうむることになります。
 二十カ月もの長い間、このビッグサイトが使えないということは、中小企業を初め、産業振興にとっても多大な影響があると思いますが、その対応をどのようにするのでしょうか。

○松永商工部長 東京ビッグサイトと連携し、展示会の開催時期や利用スペースの調整、他の展示施設の紹介等、きめ細かな対応を行ってまいります。
 また、代替展示スペースの確保についても検討してまいります。

○かち委員 五輪の心臓部でもある報道情報センターは重要であり、一定期間の利用制限はやむを得ないことではありますが、厳しい経営環境の中で必死で頑張っている中小企業や、ここで営業されている方々には、最小限の影響にとどめなければなりません。
 そのためにも、近隣での代替施設がどうしても必要です。そうしたことも含め、力を尽くされることを重ねて求めて質問を終わります。

○島崎委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○島崎委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 お諮りいたします。
 本案は、異議のない旨、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○島崎委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。

○島崎委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第二百八号議案及び第二百四十一号議案から第二百四十三号議案までを一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○村松総務部長 去る十一月三十日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の経済・港湾委員会要求資料の表紙をおめくりください。
 目次でございます。資料は全部で三項目ございますが、本議題に係る資料は最初の二項目でございます。
 一ページをごらんください。公益財団法人東京しごと財団の主な業務委託につきまして、平成二十三年度以降の委託先及び契約額の推移をお示ししてございます。
 二ページをお開きください。公益財団法人東京しごと財団における職員数につきまして、平成二十三年度以降の推移をお示ししてございます。
 以上で本議題に係る要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○島崎委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○松田委員 私からは、産労局所管施設の指定管理者の候補者選定について、何点かお伺いをいたします。
 産労局で指定管理者制度が導入されているのは、今ご説明がありました産業貿易センター、都立食品技術センター、そして東京都しごとセンターの三施設であります。
 このうち、産業貿易センターでは、さまざまな業種の企業や団体が展示会やセミナーなどの幅広い目的で活用する都内中小企業の販路開拓のかなめであり、食品技術センターは、都民の食の安全と食生活の充実を図るための試験研究やその成果の普及を図っております。また、しごとセンターでは、都民の多様な雇用及び就業の促進のために幅広いサービスを提供しており、いずれも都の産業施策を推進する上で重要な施設であるといえます。
 こうした施設の運営をどのような主体が担うのか、しっかりと議論をしておく必要がありますが、候補者の選定において厳正な手続と公平性の担保が重要であります。
 そこでまず、どのような過程により今回示された候補者が選定されたかについてお伺いをいたします。

○村松総務部長 産業労働局における指定管理者選定委員会の委員は六名で、うち四名は外部委員として大学教授、弁護士、公認会計士及び中小企業診断士で構成されておりまして、産業振興施策の観点に加えて、財務面、コンプライアンス面など、多面的な検証を行っていただく構成としております。
 選定委員会は平成二十七年六月から四回開催いたしました。実際に現場を視察していただくなどにより実情をよく把握していただいた上で、管理業務等の実績や経営基盤の安定性、管理運営の効率性など多面的な視点から計画内容の審査を行ったところでございます。
 また、公募施設につきましては募集要項を策定いたしまして、プレス発表を行うとともに産業労働局のホームページでも公表いたしまして、都民にわかりやすい開かれたプロセスにより候補者の審査、選定を行ったところでございます。

○松田委員 委員六名中四名を外部委員を活用して、単なる書類審査だけではなくて、現場を見てもらった上で専門的な意見を交わして候補者を選定している、公募方法も含めて、厳格で公平性の担保がされた選定が行われていることは評価できます。
 次に、指定管理者選定の手続についてですが、産業貿易センターを公募、食品技術センターとしごとセンターを特命としたとのことですが、このようにした理由についてお伺いをいたします。

○村松総務部長 総務局が示しております東京都指定管理者選定等に関する指針によれば、指定管理者の選定は原則公募とされておりますが、施設の状況に鑑み、競い合いなどによる効果が十分発揮されないと考えられる場合等には、選定委員会の審査を経て、特命により指定管理者候補者を選定することも可能であるとされております。
 食品技術センターとしごとセンターにつきましては、都との綿密な連携のもと、都の施策を実施し、確実な事業実績が求められることから、行政支援、補完機能を有する監理団体による管理運営が適切であるとの選定委員会の判断に基づきまして、特命による選定といたしました。
 一方で、産業貿易センターは、中小企業の販路開拓のための展示会、セミナー等を実施するための施設でありまして、広く民間も含めた競い合いの中で選定することが合理的であることから、原則どおり公募といたしました。
 なお、都が展開いたしますさまざまな中小企業振興の諸施策との連携を確保する必要がございますことから、この点につきましては、提出する事業計画書の中での記載を求めることで担保したところでございます。

○松田委員 特命としたことについて、業務の内容を吟味した上で、合理的な理由に基づいて、選定委員会の審査を経た上で、特命とする施設を決定していることを確認させていただきました。都政の重要なパートナーである監理団体が指定管理者となることによって、都の各種施策との連携を図りながら事業を進めていくことが期待をできます。
 我が党はこれまでも、都施設で提供されるサービスの質向上と効率的な事業運営を図るために、指定管理者制度を活用することを求めてきたところであります。
 また、これまでは指定管理の期間は五年間とされておりましたが、今回の指定から、監理団体が管理をし、主要政策と連動する場合にはその期間を十年とすることができるように制度が見直されました。先日の我が党の代表質問の中でも、今定例会に上程されている百六十四施設のうち五十三施設について、通常の指定期間を五年から十年にすることが明らかになったところであります。
 産労局の所管施設では、しごとセンターについて十年間とするとのことですが、具体的な理由をお伺いいたします。

○村松総務部長 全庁的に適用されます指定管理者選定等に関する指針の見直しによりまして、監理団体が管理する特に主要な政策と連動した重要な役割を果たす施設、いわゆる重点活用施設の指定期間は、十年を原則とするとされたところでございます。
 雇用就業施策は都の主要な政策でございまして、本施設は、これら雇用就業施策の事業実施センターとして位置づけられております。このため、若者や高齢者、障害者の就業支援など本施設で実施する事業は、長期ビジョンを初め、都の主要な計画に掲載されているところでございます。
 また、本施設は、仕事に関するワンストップサービスセンターといたしまして、全年齢を対象にした多様な雇用就業施策を多数展開しております。
 さらに、社会経済情勢や雇用情勢を踏まえた都の重点的な政策展開として、女性の再就職支援や非正規雇用対策など、特別な支援や対策を実施しております。
 以上の理由によりまして、東京都しごとセンターは、指針の定める重点活用施設と位置づけられることから、指定期間を十年としたところでございます。

○松田委員 ありがとうございます。指定期間を十年にしたからといってチェックをおろそかにせず、都としては毎年の実績をきちんと点検して、団体とのコミュニケーションを密にしていただきたいと思いますが、逆に、指定期間を十年とすることで、長期的な展望を持って業務を行えること、それから人材育成という点でも計画的な配置ができるようになることから、今回の見直しは非常に意義のあるものだと考えます。
 ここまで、選定方法や公募と特命、指定期間についてお伺いをしてきましたが、今回の候補者選定プロセスが適切なものであったことがわかりました。
 この結果、候補者として選定されたのは、いずれの施設も前回と同じ監理団体となりました。これまでの実績や、都の施策遂行への貢献といった点が評価をされたものと思いますが、それぞれどこが評価されたのか、そのポイントについてお伺いをいたします。

○村松総務部長 各施設につきましては、毎年度、その運営状況を評価するなどして、制度の適切な運用を図りつつ、都民サービスの向上に努めてきたところでございます。
 産業貿易センターの候補者となりました公益財団法人東京都中小企業振興公社は、公社が持つ中小企業支援ノウハウを生かした効果的な販路開拓支援が期待できるほか、実績においても、近年、施設稼働率並びに利用料金収入が事業計画を上回り、着実な運営をしていることが評価されました。
 食品技術センターの候補者となりました公益財団法人東京都農林水産振興財団は、農林総合研究センターにおいて長年にわたり農林水産物の生産に係る試験研究、または技術指導等を実施してきた実績があるなど、国や大学等と連携した食品工業技術に係る試験研究の実績が評価されました。
 しごとセンターの候補者となりました公益財団法人東京しごと財団は、雇用就業分野において長年にわたり国や民間事業者等とも連携して効果的な事業展開を図ってきた実績が評価されました。
 以上のとおり、三団体はいずれも十分な事業実績を上げておりまして、今後の事業運営にも十分期待できることから、選定委員会より高い評価をいただいたところでございます。

○松田委員 それぞれの説明、ありがとうございました。いずれの施設におきましても、その指定管理者はこれまでの努力によって非常に高い実績を残しており、それが高評価につながったということがわかりました。
 中小企業対策、農林水産業支援、そして雇用就業対策と、これらの施設の担う役割は極めて重要であります。
 今回の指定管理者候補者として選定をされた際の事業計画に基づいて、また、必要な場合にはさらにブラッシュアップをして、都の産業政策に貢献いただくことを期待して、質問を終わります。

○大松委員 私からは、東京しごとセンターの指定管理者の指定について質問をいたします。
 このたびの東京都指定管理者選定等に関する指針の改正に伴いまして、しごとセンターは、特に主要な政策と連動した重要な役割を果たす施設といたしまして、指定期間が十年となりました。
 今後は長期的な視点から、東京都の雇用政策と一体となり、ますます大きな役割を果たすことが求められるものと考えます。
 私も、地域の住民の皆様方から、就労に関する相談を受けることが多いわけでございまして、その解決のために何回か、しごとセンターを伺ったことがございます。その都度、大変的確な対応をしていただきまして、相談者から、無事就労ができましたと喜びの報告もいただいたことがございます。
 先日は視察でヤングコーナーも訪問をいたしましたけれども、若年者の場合、障害のある方の場合、高齢者の場合、さまざまな事例に対応できる体制が整えられておりまして、すぐれた運営がなされているものと思います。
 そこでまず、しごと財団のしごとセンターの運営の特色について、東京都の見解を求めます。

○矢田部雇用就業部長 東京しごと財団は、しごとセンター事業の実施に当たり、財団の職員による専門的なサービスの提供や民間事業者のノウハウの活用、国との連携といったさまざまな手法を組み合わせて、その時々の求職者のニーズに応じたきめ細かな支援を柔軟に行っていることが特色と考えております。
 具体的には、シニアコーナーにおける相談業務など、しごと財団が長年にわたってノウハウを蓄積してきた分野では、財団の職員が直接事業を担っています。
 民間事業者のノウハウなどが活用できる分野については、業務遂行に最も適した事業者を選定し、委託を行っております。
 また、ヤングコーナーやシニアコーナーの職業紹介の業務に関しては、ハローワーク飯田橋と緊密に連携して効果的な事業の実施に取り組んでおります。

○大松委員 しごと財団がしごとセンターを運営するに当たりまして、民間事業者のノウハウを活用できる分野については事業者に委託をしているとのことでございます。
 これまでに民間事業者に委託をして、民間ならではの事業運営が行われてきたという事例につきまして、所見を求めます。

○矢田部雇用就業部長 しごと財団における民間事業者の活用事例についてですが、ミドルコーナーでは、職業紹介の許可を受けた事業者を選定して、民間における再就職支援のノウハウを生かし、経験豊富な就職アドバイザーによるキャリアカウンセリングなどきめ細かな支援を行い、開設以来、約七万人を就職に結びつけています。
 また、ヤングコーナーにおいては、企業情報コーナーで中小企業の魅力をわかりやすく情報提供するとともに、グループカウンセリングなどの多様な手法を取り入れながら、若者を孤立させることなく就職へと結びつけています。
 就職に一歩踏み出せない若者に対しては、若者支援を行っているNPO法人が、不安を解消して就職に踏み出せるよう、コミュニケーションの基本やビジネスマナーの講習、職場体験等を行うプログラムを実施しています。
 このように、民間事業者が培ってきたノウハウを生かすことにより、しごとセンターは効果的に事業を実施しているところでございます。

○大松委員 国や民間事業者らとも連携をして、若い方もシニアの方も、就労に向けてしっかり支援をする仕組みが整っているというふうに思います。
 職員の皆様方も、仕事を求めて来訪される皆様方と向き合って、懸命に知恵を絞られて、さまざまな施策を展開されている姿も、お邪魔するたびに拝見をさせていただいております。
 また、職員の皆様方が必要な知識、スキルを習得できるよう、多様な研修が行われ、キャリアカウンセラーの資格取得に向けての支援にも取り組まれているというふうに伺っております。
 今後とも、職員の皆様方がその力を存分に発揮していただけるように、そして東京都の雇用政策の拡充に寄与していただけるように取り組みを要望いたしまして、質問を終わります。

○あさの委員 他の委員の方々からも、るるお話がありましたので、私から一言、ご意見だけいわせていただきます。
 指定管理者の候補を決定するに当たりまして、選定委員会でのやりとりを詳しく聞かせていただきました。産業労働局では、公募であっても特命であっても、事業計画に対して六人の委員がそれぞれ百点満点で採点を行い、その点数から判断を行っておりました。現在の施設を視察するところから始まり、選定方法についての協議、特命、公募、それぞれの事業者からのプレゼンを聞いてからの質疑応答、そして採点と、限られた時間で精力的に審査していただいたことには深く敬意を表したいと思います。
 決定の際には、評価のポイントをそれぞれの委員から発言していただき、委員長が取りまとめて選定理由として挙げられております。これも、それぞれの専門的見地から率直な意見を述べていただいたようです。
 その際には、今後に向けた要望や提案も意見として述べられていたと伺いました。それは、都を通じて各事業者に伝えられ、今後に生かされると聞いております。
 非常に熱心に審査をしていただいておりますが、指定管理者は五年から十年と長期にわたる契約となります。どのような状況になるかわかりませんので、今回の選定過程についても、後々検証可能となるように、この過程の記録の保存は恐らく五年くらいだと思われますが、他の公文書の扱いに倣わず、最低でも次の選定までは保存しておいていただきたいと要望しておきます。
 また、さきに述べた選定委員会の意見や提案も、事業者には伝わってはいますけれども、我々都議会や都民からは、どのような意見、提案があったのか、すぐにはわからなくなっております。今後は、どのような意見、提案があったのかも広く公開されるように検討していただきたいと思います。
 選定の審査はとても丁寧に行われているようですけれども、選定過程は当然、傍聴などできるわけがありません。であれば、全ての結果が確定した後でも検証可能にしておくことが望ましいと思います。
 具体的には、議事録のようなものをホームページなどに掲載するのがいいのではないでしょうか。
 指定管理者は長期に及ぶ契約であり、特命や公募の際でも応募者が少ない場合もあります。要らぬ誤解を招かないように、丁寧な審査が理解されるよう、これまで以上に透明性を確保すべきであるということを要望いたしまして、私の発言を終わりたいと思います。

○島崎委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○島崎委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 次に、第二百四十四号議案を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○村松総務部長 本議題に係る資料につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、先ほどもごらんいただきましたお手元の経済・港湾委員会要求資料をごらんください。
 三ページをお開きください。地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター運営費交付金の予算額につきまして、平成二十三年度以降の推移をお示ししてございます。
 以上で本議題に係る要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○島崎委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○清水委員 それでは、私から、都立産業技術研究センターの第三期の中期目標について伺いたいと思います。
 前回の当委員会でも、私は、この産業技術研究センターの多摩テクノプラザのことに言及をさせていただきました。
 私は、この研究センターが昭島のあそこのみだと思っていたんですが、今回の質問をするに当たってパンフレットを取り寄せてみましたら、本部は青海にありまして、そのほかに、タイのバンコク支所も入れて延べ六カ所でこういった研究がなされているということで、大変驚いたと同時に、非常に充実した施設なんだなと改めて感心をしたわけでございます。
 それで、この産業技術研究センターは、平成十八年に地方独立行政法人に移行したということでございますが、以来、ものづくりをしている中小企業のニーズに的確に対応していただいて、世界に勝つものづくりをするんだという意気込みで支援をしていただいてきたわけでございます。
 我が党としても、東京のものづくりを支える中核であるこの産業技術研究センターに、常日ごろ大きな期待をしているところであります。
 今回の議案でございます第三期の中期目標の期間というのが、いいことに平成二十八年から平成三十二年の五年間という東京にとってすばらしい五年間でございまして、その間にはラグビーのワールドカップですとか、あるいはオリンピック・パラリンピックも開催されるという、この東京に世界の注目が集まるような期間であります。
 したがいまして、都内中小企業が持つすばらしい製品ですとか高い技術力を国内外にアピールできる絶好の機会だと考えるわけでございます。
 そういった意味では、ますますものづくりをしている中小企業を支える都立産業技術研究センターというのは、役割が大きくなってくるのかなと感じているわけでございます。
 この地方独立行政法人の制度というものは、設立団体の長、つまり今回でいいますところの東京都知事、舛添知事が中期目標というものを定めて、法人がそれを踏まえて中間の計画をつくると。そして、機動や柔軟性などの独立行政法人のメリットを十分に生かしながら、自主的、そして自律的に経営を行うというふうなものだそうでございますが、今回、この産業技術研究センターの第三期中期目標を都としてどのような方向で定めたのか、その基本的な考え方について、まずはお伺いしたいと思います。

○松永商工部長 東京のものづくり中小企業が今後も持続的に発展、成長していくためには、産業技術研究センターが、次の三つの視点に基づき、研究開発と技術支援の両輪による支援を展開していくことが重要と考えてございます。
 一点目は、大都市の課題解決に寄与し、今後成長が見込まれる分野への中小企業の参入を促進すること。二点目は、二〇二〇年大会とその後を見据えたものづくり産業の高付加価値化、新技術開発を支援すること。三点目は、成長するアジア新興国の動向など国内外の市場ニーズを的確に把握し、中小企業の海外展開を効果的に支援すること。
 以上の視点を踏まえ、都内中小企業の目線に立った総合的かつシームレスなサービスを提供していくこととしております。

○清水委員 ありがとうございます。三点の視点に立った目標ということで、わかりやすくご答弁をいただきました。
 次に、こうした目標に対しまして、産業技術研究センターが具体的な事業の中でどう対応なさっていくのかというところについてお伺いをしたいと思います。
 まずは、研究開発について伺いたいと思います。
 産業技術センターでは、中小ものづくりの、これは基礎的な技術のことだと思うんですが、基盤技術分野だけでなくて、今後成長が期待されており、強化が求められている分野として重点技術分野、この二つを通して研究開発に取り組んでいるそうでございます。これまでの五年間、つまり第二期の中期目標の研究成果には、おもてなしのロボットの足回りの部分となっておりますが、これはT型ロボットベースというんですね、Pepper君みたいな、ああいったロボットの足回りの部分だけを開発なさったということですとか、あるいは汎用インフルエンザの検査チップの開発などがあると伺っているわけでございます。
 今後ということなんですが、少子高齢化が加速する中において、例えば介護ロボットですとか、こうした大都市の課題解決に寄与し、成長が見込まれる分野の研究への中小企業の参入を後押ししていかなければならないかと思うわけであります。
 そのためには、産業技術研究センターが成長分野における研究開発を促進し、その成果を広く中小企業に還元することが必要だと思うわけであります。
 以上を踏まえて、産業技術研究センターにおける第三期の研究開発の具体的な方向性についてお伺いしたいと思います。

○松永商工部長 産業技術研究センターでは、今後成長が見込まれるロボットや健康、医療などを第三期の重点的研究開発分野とすることを検討しております。
 ロボット分野では、今、先生お話しのT型ロボットベースの実用化を図るとともに、案内ロボット用ソフトウエアの開発に取り組んでまいります。
 さらに、案内支援、産業支援、点検支援、介護支援の四分野において日本全国の中小企業からアイデアを募り、共同開発を実施してまいります。
 また、健康、医療分野の研究開発では、技術支援を通して得た中小企業のニーズをもとに、人間工学や感性工学などの人間生活技術における研究開発を強力に推進してまいります。
 さらに、これらの研究開発の成果を中小企業に移転していくことにより、ロボット、健康、医療等の成長分野での製品やサービスの創出につなげてまいります。

○清水委員 ありがとうございました。健康、医療、ロボット分野の研究に力を入れていかれるということでございますが、これは、さきに発表になりました東京都の長期ビジョンにも基づいているのかなと思ってお話を聞かせていただきました。
 そして、大変心強く感じたわけでございますが、ぜひとも人がロボットに使われないようなものにしていかなきゃならないし、やはりロボットというものは人に役立つものにしていかなければならないと、常日ごろ皆さん思っていることだと思います。
 この研究成果が、ぜひともスムースにものづくりをやっている中小企業の皆さんの支援になるように頑張っていただければなと思います。
 次に、中小企業の製品、技術開発、新事業展開を支える技術支援について伺いたいと思います。
 産業技術研究センターでは、それぞれの研究員の皆さんが研究開発と技術支援という両方を行っており、みずからが研究した最新の技術に関する知見を技術支援に活用してまいりました。
 こうした研究員の皆さんの取り組みの成果は、産業技術センター全体のサービス向上とつながり、これは中小企業の成長にも大きく貢献していると思います。
 例えばなんですが、産業技術センターが技術支援した中小企業の中には、ベンチャー技術大賞という賞を受賞した会社もあり、その中には従業員数が数名の企業もあると聞いております。
 私が調べたところによりますと、難聴者の会話支援システムというものが受賞になったというふうなことでございます。
 どういうものかといいますと、卓上に置くような、こういったマイクロホンとスピーカーが一体となった機械なんですが、高感度のマイクで音を拾いまして、耳の不自由な方が最も聞こえやすい周波数に直して音を出すというような画期的な製品でございまして、そういったものがベンチャー技術大賞というのを受賞なさったと聞いております。
 これは、中小企業、特に従業員が二十名以下の小規模企業であっても、産業技術センターの技術に精通した職員の皆さんから支援を受けて、そして最先端の機器等を活用すれば、きっとすばらしい製品を開発できるんだという好事例だと思うわけであります。
 第三期の中期目標にある新製品開発等に意欲のある中小企業のニーズを的確に捉え、付加価値の高いものづくりを支援するという、この目標のためには、中小企業はもちろんのこと、今いった小さな、小規模な企業に対してもきめ細やかな技術相談等の支援が必要だと思いますが、産業技術研究センターでは、今後、小規模企業を初めとする中小企業の支援にどのように取り組んでいかれるのかお伺いしたいと思います。

○松永商工部長 小規模企業を含む中小企業が、高付加価値な製品開発を進めるためには、最新の技術動向を踏まえた技術支援を行っていくことが重要でございます。
 このため、産業技術研究センターでは、3Dものづくりや人間生活に関する最新の技術動向に対応するための支援体制を整備し、きめ細かな技術支援を行ってまいります。
 さらに、小規模企業を初めとする中小企業は、最先端の技術に対応した機器を単独で購入することは困難なため、公設試験研究機関である産業技術研究センターにおいて必要な機器を導入するとともに、低廉な価格で利用できるよう支援してまいります。
 こうした取り組みをさらに加速させるため、これまでの組織体制を再編し、中小企業の支援ニーズに対応できる新たな体制を構築してまいります。

○清水委員 ぜひともそういった中小企業の声にも耳を傾けて、ニーズに合ったサービスの提供ができるよう頑張っていただければなと思います。
 次に、中小企業の海外展開への支援について伺いたいと思います。
 中期目標では、中小企業の海外展開につきまして、国際規格対応や海外支援拠点による支援を掲げているわけであります。
 ものづくり中小企業が今後も持続的に成長していくためには、急速に経済規模を拡大しておりますASEAN諸国を初めとする旺盛な海外の需要を取り込んでいくことが必要でございます。
 そうした中、産業技術センターでは、平成二十四年十月に、海外規格取得を支援するMTEPという事業を展開しているわけでございます。
 また、本年四月、中小企業の海外展開を支援するために、タイにバンコク支所を開設し、現地に進出した企業等への技術支援や、都内企業への販路開拓をしてまいりました。
 そして、ことし大筋合意されましたTPPは、都内ものづくり中小企業に大きなビジネスチャンスをもたらすという可能性があります。
 そこでお伺いしたいと思いますが、産業技術センターでは、次期目標において、中小企業の海外展開をどのように支援されていくのかお伺いしたいと思います。

○松永商工部長 都内ものづくり中小企業が輸出国や地域の規格に適合した製品開発ができるよう、産業技術研究センターでは、依頼試験において国際規格に準拠した試験項目を拡充させるなど、支援の充実を図ってまいります。
 また、本年四月にタイに開設した海外支援拠点では、今月二十一日にバンコクに事務所を開設する東京都中小企業振興公社や金融機関、現地関連機関とも連携しながら、進出企業のニーズを引き続き掘り起こしながら、技術相談や海外規格に関するセミナーを開催するなどの支援を実施してまいります。
 さらに、現地の規格情報や製品開発ニーズなどを把握し、都内ものづくり中小企業に情報を還元していくことによりまして、中小企業の海外販路開拓を支援してまいります。

○清水委員 ありがとうございました。
 産業技術研究センターと、そして中小企業振興公社、この二つの機関により、技術と経営の両面から現地に進出した企業のサポートができる体制が構築され、非常に力強く感じているわけでございます。ぜひとも、これからもこの二つの機関が連携をとっていただいて、多くの支援実績を上げていただくよう、ご期待申し上げる次第でございます。
 本日の質疑を通じまして、産業技術センターの第三期中期目標が成長分野への中小企業の参入促進、そしてものづくりの高付加価値化、海外展開支援という視点を持つとともに、研究開発と技術支援の両輪を推進していくということを確認できたわけでございます。
 第三期におきましても、産業技術センターは、地方独立行政法人制度にのっとりまして効率化を進めているわけでございまして、運営費交付金を毎年度一%ずつ削減する仕組みになっているという大変な取り組みをしているわけでございます。
 他の委員の方の資料で恐縮なんですが、この資料を見てもらいましても、どんどんどんどん減っている。その中で独立してやっていかなきゃならないという涙ぐましい努力をなさっているのかなと思っていると同時に、これは我々も協力をしていかなければならないのかなというふうに感じているわけでございます。
 その中で一生懸命やっているわけでございますけど、今後とも産業技術センターは、中期の目標の達成をしなければなりません。今度は具体的な取り組みを示す中期の計画というものをおつくりになるというふうに聞いておりますが、ぜひとも東京の産業競争力強化のために、都内中小企業の技術振興に真っ正面から向き合っていただきまして、ニーズに合致した支援の充実をお願いし、質問を終わります。

○木内委員 今、清水委員の非常に中身の濃い、また充実した質疑を聞いておりまして、改めて産業技術研究センターの存在の重要性を実感したわけであります。
 決して甘言を弄するわけではありませんけれども、産業技術研究センターの存在は、懸命にこの競争社会を生き抜こうとする中小企業にとっての依怙依託の存在であって、曙光ともなっているわけであります。
 したがって、こういう委員会での議論を通じて政策を紡ぎ出していく。今も清水委員から具体的な話があって、これを反映するという答弁もあったわけでありますけれども、この質疑の重要性を改めて感じてもいるわけであります。
 既に先般も申し上げたんですが、私の知り合いの中小企業、れんが工場、明治時代から続く老舗の地方の工場ですが、ここで放射線を遮断する、いわば新しい技術とのコラボによる新製品を開発したと。そういう放射線遮断機能を持ったれんがですが、果たしてどこでどういうふうにこれが売れるのか、事業として成立するのか、開発はしたけれども、非常に悩んでいた業者がいた。相談に来た。私は、すぐに産業技術研究センターの理事長の方にご相談をお持ちした。学際、業際、多様な分野にわたって非常に見識のある方でございまして、その事業者は適切なアドバイスをいただいて、今、どんどん販路を伸ばしつつある。
 こういう実態もあるわけでございまして、それから、今、伝統工芸品と新しい技術とのコラボによる製品開発ということで、よく事例に引用するんですけれども、象牙を薄くスライスして、中にLEDのライトを入れて、これをランプにしつらえるというのも、実は産業技術研究センターを語るときに欠かせない商品開発の一つであります。
 グローバル化した今日の市場において、日々、熾烈な国際競争を戦っている我が国の製造業、中小企業にとって、技術力を不断に維持向上していくことは死活問題であります。この産業技術研究センターは、こうした最前線のものづくり中小企業に対し、技術面から的確なサービスを提供し続ける心強い存在になっているのであります。
 こうした思いから、私はこれまで、この経済・港湾委員会で、ものづくりを支える技術支援や産学公連携などさまざまな視点から、平成二十六年度の業務実績評価についてもたださせていただきました。その都度、いろんな政策提言を申し上げた。それぞれを実行する、検討する、その考え方をぜひ反映したいなどとの答弁がありました。
 今回は、そうしたこれまでの私との質疑が、あるいは委員会での質疑が第三期中期目標にどのように反映されているのかということにも触れながら、具体的な取り組みをお聞きしてまいりたい、こう思います。
 まず、産業技術研究センターが行う業務のうち、個々の中小企業のさまざまな技術ニーズに応えていく技術支援の取り組みのありようについてであります。
 近年、技術支援の利用実績は、毎年度過去最高を更新しております。こうしたことからも、中小企業のニーズに耳を傾け、きめ細かなサービスを提供しようとする産技研センターの努力がしっかり理解できるんですが、これに安住することなく、取り組みをさらに加速させていくことが重要であります。
 そこでまず、中期目標に示された技術支援の取り組みの方向について、ご報告を願います。

○松永商工部長 技術革新が急速に進展する中、中小企業が直面する技術的課題もますます高度化しており、東京のものづくりを技術面から支える拠点である産業技術研究センターにおいても、こうしたニーズの変化を捉えた的確な支援を展開していくことが重要でございます。
 こうしたことから、第三期においても、依頼試験、機器利用、技術相談という技術支援の三分野のそれぞれにおいて、その支援内容の充実を図ってまいります。
 依頼試験では、産業技術研究センターが強みとする技術分野における試験、いわゆるブランド試験の実施体制を充実してまいります。
 また、機器利用では、研究や製品開発に取り組む中小企業が、産業技術研究センター内の機器をみずから利用することができる機器利用ライセンス制度を拡充いたします。
 さらに、技術相談では、今後成長が見込まれる分野に対応した専門家を配置するなど、相談体制の充実を図ってまいります。

○木内委員 技術の進展というのはまさに日進月歩でありまして、産業技術研究センターが提供するサービスも、常に敏感にこれをキャッチアップしていかなければならないという使命があります。自明の理です。
 その中でも、高度化、複雑化するものづくりに対応していくため、産業技術研究センターが得意とする技術分野について、徹底的に付加価値を高めて、支援サービスを重点的に高度化していくということは非常に大事な有効な取り組みだと思います。
 それで、さっき答弁いただいたブランド試験の実施体制の充実ということですが、これは、これまでも私は折に触れて訴えてまいりましたけれども、具体的にこれについてどういう考え方で進めていきますか。

○松永商工部長 現在、産業技術研究センターでは、非破壊透視、音響、照明など、強みとなる十の技術分野をブランド試験と位置づけ、他の公設試験研究機関との差別化を図っております。
 第三期においては、提供するサービスを一層充実し、中小企業の利用の促進を図っていくため、これら十分野について最新の試験対応機器等を重点的に導入し、より精度の高い試験ができる環境を整備してまいります。
 また、現在の十分野に加え、今後成長が期待される産業において高いニーズが見込まれる技術分野を新たにブランド試験として位置づけ、集中的に技術支援サービスの充実を図っていくことにより、こうした分野への中小企業の参入を後押ししてまいります。

○木内委員 ただいま依頼試験の充実の方向性について明らかにしていただきましたけれども、中小企業にとって、産業技術研究センターのような公的機関の試験を受け、自社製品の確かな品質や性能を証明してもらうということは、実は、こういうオーソライズのされ方というのは、取引先からの信頼を積み上げる上で極めて重要なんですね。
 この試験に関して産業技術研究センターでは、特定の技術分野において、独立行政法人製品評価技術基盤機構など製品評価を行う国の機関から認定を受けることによって、品質に関する公的な証明書を発行することができる。これは実は、この機関の非常に大きな特徴の一つであると私はいつも訴えているんですけれども、この公的な証明書の発行というのは大事です。
 こうした仕組みは、利用する中小企業にとっても、身近な場所で国としての公的な証明が受けられるという非常に大きなメリットがある。第三期においても積極的に取り組むべきでありますし、さらには、海外の市場に挑む中小企業のことを考えれば、取引先の国で求められる品質証明などにも対応していく必要がある。
 例えば、私は持ってまいりましたけれども、申し上げた製品評価技術基盤機構などで国の機関から製品評価が行われる。これの認定を受けると、こういうマークの掲示が許可されるわけです。一番右側のですね。JNLAというイニシャルが並んでいますけれども、私の実感でいえば、これが実は通行手形みたいなもんなんです。国が保証したんですよと、あるいは公的な機関がオーソライズして、見事な実は信頼性を保証しているんですよという証明なんですね。
 この証明機関の認定に向けた産業技術研究センターからの取り組みというのも非常に重要なんですけれども、このありようについてもお尋ねをいたします。

○松永商工部長 産業技術研究センターでは、これまで、電気や照明などの分野で法に基づく品質証明を行う試験所としての認定を受け、中小企業が高度なものづくりを行う際に必要となる品質証明書を発行するなどのサービスを提供してまいりました。
 こうした認定の制度では、国際的な取り決めにより、国内の試験所で受けた証明を各国で通用できるようにする相互認証制度が一部で取り入れられておりまして、これを活用すれば、産業技術研究センターで発行した証明書が海外で利用できるというメリットがございます。
 産業技術研究センターでは、第二期から、試験所として認定を受ける品目を順次拡大してきており、第三期でも、こうした相互認証制度を活用できる品目を中心に一層の充実を図り、海外展開に取り組む中小企業を後押ししてまいります。

○木内委員 答弁にあったように、試験所として認定を受ける品目を順次拡大していく、こういう品目を中心に一層の充実を図る、これは中小企業にとっての大きな朗報でありますので、ぜひ具体的な推進を精力的にされるよう要望しておきたいと思います。
 次に、機器利用ライセンス制度であります。
 きょうは内容が大変具体的にわたるので恐縮ですけれども、こうした海外を目指すような意欲のある企業に特に重宝されている機器利用ライセンス制度、さっきの清水委員の質問にもありましたけれども、これについてであります。
 平成二十三年度に導入されたのがこの制度でありまして、高度な先端機器をみずから活用してものづくりを行いたいという中小企業から、実は大変高い評価を得ています。
 先ほどの答弁で、第三期の中期目標では、この制度の充実が掲げられているということがありました。こうしたすぐれた制度をより多くの中小企業に利用してもらうためには、一層の工夫を凝らすことが必要であると思うんです。
 これは既にある資料でありますけれども、このライセンス制度の仕組みの中で挙げられる機能は大変多い。例えば、特に利用件数の多いライセンス対象機器として三つ挙げられておりますけれども、スタジオ撮影システム、利用実績が何と一千百三十四件あった。二つ目に、分析機能つき走査電子顕微鏡、利用実績九百三十八件。三つ目として、キセノンフラッシュアナライザー、利用実績三百四十四件、これなどは、前年度比で一二三%増になっている。
 また、このほかにも、件数は別にしまして、スクラッチ試験機ですとか、絶対PL量子収率測定装置でありますとか、このライセンス制度というのは非常に威力を発揮しているのであります。
 今回のプランの中でも触れられているんですが、ライセンス制度の充実に向けた今後の取り組みの方針をご報告願います。

○松永商工部長 機器利用ライセンス制度は、中小企業の製品や技術の開発を支援するため、高度な先端機器を事前に登録を受けた中小企業がみずから利用できる制度でございます。各機器の操作は企業がみずから行う必要がございますが、中小企業が自社では調達が困難な高額な装置を活用して開発に取り組むことができるというメリットがございます。
 第三期では、産業技術研究センターを利用している中小企業からの要望を把握した上で、対象機器をさらに拡充していくとともに、あわせて、職員がマンツーマンで機器の利用方法を指導するセミナーを開催するなど、利用者の拡大に向け取り組んでいくことにより、支援の充実を図ってまいります。

○木内委員 この制度を利用した、ある中小企業の方からお聞きした印象的だった話は、職員がマンツーマンで機器の利用方法を非常に懇切に指導してくれる、教えてくれるということでした。いわば、制度に血が通っているのは、そうした現場で仕事をされる職員の方の力である、懸命さである、こんなことも感じたわけであります。
 センターでは、幅広い技術分野で高性能な試験機器等を数多く保有しています。この資源は効果的に活用されてこそ、その本領を発揮するわけでありまして、より多くの企業に便利に利用してもらえるように、引き続き知恵を絞って、サービスの充実を図ってもらいたいと思うのであります。
 次に、産学公連携という角度からお尋ねをいたします。
 中小企業と大学や研究機関等との連携、すなわち産学公連携の推進についてお聞きします。
 かつて私は、東京都立大学といっていたころ、南大沢にお邪魔をいたしまして、ここで理系の教授とお会いをして、あそこは東京のシリコンバレーを目指して地域の活性化を図ろうとしたことがあったけれども、このときに一番頼りになったのは学術機関、アカデミックな分野の大学の存在である、このことは随分、地元の業者から聞きました。
 今回、この産業技術研究センターにしましても、中小企業と大学や研究機関との連携というのは極めて重要であります。
 経営資源に限りのある中小企業にとって、市場競争力のある製品、技術を開発し、事業化に結びつけていくためには、みずからの力だけではなく、さまざまな外部の機関が持つ知見やノウハウを取り込んで、これを有効に活用していくことが鍵になります。
 こうした点から、私は、産業技術研究センターが進めてきた産学公連携事業の取り組みは非常に有益であると考えまして、さきの本委員会におきましても、センターのこれに関する取り組み実績についてもお尋ねをしたのであります。
 もちろん、大学等の研究によって生まれた技術シーズと中小企業のニーズとのマッチングを数多く行っても、製品化、事業化までたどり着くのはなかなか難しいというのが実態でありますけれども、少しでも多く成功事例をつくるために工夫を重ねていけば、この分野の事業の可能性はまだまだ広がっていくものだと期待もしているのであります。
 そこで、多様な主体による連携を強化し、より適切な中小企業の製品や技術開発を進めていくために、中期目標における産学公連携の位置づけ、これが重要だと思いますが、ご報告願います。

○松永商工部長 産業技術研究センターでは、中小企業と大学、研究機関等と交流、連携し、新たなビジネスを創出する場として本部に設置しておりますオープンスペース、東京イノベーションハブを活用し、展示会や交流会等を開催しております。
 こうした取り組みに加え、第三期では連携の幅を広げていくため、新たに金融機関とも連携強化を図ることとし、セミナーや情報交換会を共同で開催するとともに、地域金融機関のネットワークを活用して、産業技術研究センターの中小企業支援の取り組みを紹介してまいります。
 また、中小企業と大学等とのマッチングを促進するため、設置している連携コーディネーターをさらに発展させ、幅広い専門知識を持ちながら、金融機関への橋渡しもできる専門家を確保、活用することにより、中小企業の多様なニーズに対応してまいります。

○木内委員 答弁の中で、地域金融機関のネットワークの活用ということ、また、金融機関への橋渡しを可能とする専門家の確保という言及がありました。
 金融機関はまさに重要な連携先だと私は確信をします。というのも、各地域に根差した信金などの金融機関は、取引先の中小企業に日ごろから頻繁に足を運んで、企業の実情を、むしろ工場の隅々にまで目を配るほどの把握が可能な人たちの集団でもあるからであります。
 そこで、こうした金融機関が産学公連携の輪に加わることによって、さらに新たな展開が期待され、また、想定されると思うんですけれども、どういったことが想定されるのか伺います。

○松永商工部長 産業技術研究センターでは、産学公連携を進める手法として、豊富な技術シーズを持つ大学等と中小企業とのマッチングなどを行っておりますが、例えば、大学が保有する技術の活用により製品化のめどが立ったような場合でも、実際に事業化を実現するためには、量産体制の整備や販路の確保など、さまざまな課題を解決することが必要でございます。
 一方で、地域の金融機関は、中小企業を資金面から支えるとともに、長年にわたる密接な取引関係から、財務状況や経営上の課題などの情報を的確に把握することができます。
 こうした金融機関が連携に加わることにより、例えば、開発の早い段階から、より現実的な売り上げや資金調達の見込みのもとで、事業化を見据えた実現性の高い製品化の取り組みを進めることができると考えております。

○木内委員 私は、金融機関との連携というのは、観念論や机上の空論ではなくて、今答弁のあったように、実態に即した効果が期待できると思っておりますので、ぜひ精力的にこの分野でも取り組んでもらいたいと思うんです。
 産学公金連携という強力な中小企業支援ネットワークによって、中小企業の新製品、新技術の開発が加速されるとともに、販路拡大につながっていくというふうに思うのであります。
 そして、最後にお聞きするのでありますけれども、産業人材の育成ということであります。
 中小企業が発展成長していくためには、新技術、新サービスを開発していかなければなりません。中小企業がこうした付加価値の高いものづくりを行っていくためには、高度な技術力や製品開発力を有する技術者の育成が不可欠です。
 しかし、中小企業が単独でそうした人材を育成していくことは難しいのが現状です。都内のものづくり中小企業の底上げを図るために、産業技術研究センターが、製品開発の支援だけでなく、この産業人材の育成にも積極的にかかわっていくことが求められます。
 私は、行政の継続性、議会での議論の継続性ということからいっても、今後、本委員会でこの技術センターの重要性については触れていくつもりでありますけれども、特に申し上げております産業人材の育成というのは、今後の大きな課題であると思っております。
 第二期においては、セミナーや講習会などを通じて中小企業の人材育成に積極的に取り組んでいるわけでありますけれども、グローバル化が進展する今日において、経営支援機関など海外に関する知見を持つさまざまな機関と連携し、国内のみならず海外で活躍できる人材を育成していくことが必要だと考えます。
 そこで、最後に、今後、産業技術研究センターにおいて、申し上げております産業人材の育成にどのように取り組んでいくのかお尋ねします。

○松永商工部長 産業技術研究センターでは、中小企業の現場において高度な研究開発や製造の実務を担うことができる人材や、新たな製品やサービスを創出することのできる人材を育成するため、試験研究機器を使った実習形式による技術セミナーや講習会等を開催しております。
 また、大学や学術団体、業界団体等と積極的に連携し、講師派遣やインターンシップの受け入れなどを実施するとともに、職業能力開発センターなどの機関とも連携し、若手技能者の育成などにも取り組んでおります。
 第三期においては、こうした取り組みに加え、経営支援機関等と共同でセミナーを開催し、海外の市場動向を提供するなど、中小企業の海外展開を担うグローバル人材の育成にも取り組んでまいります。

○木内委員 きょうは、これまでの議論を通じて、中小企業が今後新しい製品を開発していく上で重要となる、一つは高度な試験ニーズに対応した技術支援、さらに、金融機関との連携強化、加えて、グローバル人材の育成などの要素が第三期中期目標にきちんと掲載され、反映されているということがよく理解できました。
 産業技術研究センターは、地方独立行政法人としてのメリットを最大限に活用しながら、第二期において着実な実績を残してきたけれども、第三期では、こうした実績をさらに前進させ、成果を上げることを期待しています。
 私は、産業技術研究センターがこの新しい中期目標に基づいて中小企業を支援し、東京のものづくり産業の発展に貢献していくことをさらに応援してまいりたいと思います。
 この決意を述べて、質疑を終わります。

○尾崎委員 私の方からも、地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター中期目標について、幾つか質問をさせていただきます。
 東京都立産業技術研究センターは、技術相談や依頼試験、機器利用で過去最高の実績となり、都内の中小企業にとって大きな役割を担っていることは明らかです。
 中期目標第三期では、都内中小企業の目線に立った総合的かつシームレスなサービスを提供となっていますが、そのためには、職員、研究者の確保、試験研究機器の充実が不可欠であり、その経費が十分に確保されなければなりません。
 ところが、標準運営費交付金を充当する研究費や人件費などは、業務の効率化を進め、毎年度平均で前年度比一%の財政運営の効率化を行うとされています。
 効率化係数対象となる標準運営費交付金が削減される中で、試験研究費を安定的に確保するために、どのような課題があると認識していますか。

○松永商工部長 効率化係数は、効率的に業務運営を行い、運営費交付金を効果的に活用することを目的として設定しております。
 これまでも、運営費交付金を毎年度一%ずつ削減しつつ、研究開発に取り組み、着実に実績を伸ばしてまいりました。
 試験研究費のさらなる確保のために、外部資金の獲得にも取り組んでおります。

○尾崎委員 効率化係数は、効率的に業務運営を行うことを目的といいましたが、二〇〇六年度予算は標準運営費交付金は四十三億六千万円、二〇〇七年度予算では四十三億六千六百万円でした。いただいた資料を見ると、二〇一五年度は三十八億五百万円ですから、二〇〇六年度と比較すると、五・六億円も減少していることになります。
 その一方で、一般管理費は十一億円から二〇一五年度予算で十八億円、役職人件費は二十五億円から二〇一五年度予算で二十九億円に増加しています。
 しかし、肝心な試験研究費の予算は、十三億円から二〇一五年度予算は十三億円と、十年間ほとんど同じです。
 研究開発に着実な実績といっても、経営的研究に充てるパイは減少、外部資金に頼らざるを得ないとなると、基礎研究、長期的に継続すべき研究にしわ寄せが行く危険が高いといわざるを得ません。
 研究員の費用、人件費の推移について伺います。

○松永商工部長 産業技術研究センターの人件費につきましては、平成二十四年度の二十四億円から、平成二十六年度には二十六億円に増加しております。
 その間、研究員は二百四十三名から二百七十九名に増加しております。

○尾崎委員 ただいまご答弁いただきました二十六億円の人件費は、二百四十三人の研究員のほかに、四人の役職員の人件費、二百九十人の職員、四十七人の事務職員の人件費の総合計になります。
 事務職員は十年前より数名減少しています。研究員は、二百二十一人から、二〇一五年八月一日現在で二百八十四名へと二八%増員されました。しかし、中小企業の技術的課題解決の支援となる技術相談や依頼試験、機器利用を見るだけでも、この八年間でほぼ倍加しています。
 長い間、研究職として培ってきた能力、経験を生かすことは重要です。若手研究員を長期的に育成し、産技研センター総体の長期的な研究員の確保、育成戦略が必要だと考えます。
 中小企業の九割を占めるのが小規模事業者です。二〇一四年六月には小規模企業振興基本法が成立し、小規模企業の事業が継続できるように支援することが求められています。
 しかし、中期目標には、その基本的考え方に、小規模企業に対し、どのように取り組むかということが書かれていません。産技研センターと小規模企業の連携について、どう進めていくのですか。

○松永商工部長 産業技術研究センターでは、中小企業の規模を問わず、きめ細かな技術支援等を実施しており、第三期中期目標期間中においても同様に対応してまいります。

○尾崎委員 国は、これまでの成長発展を中心とした中小企業政策を見直して、我が国の産業を支えている小規模企業の持続的発展を基本とする方向にかじを切りました。産技研センターとしても、そうした視点を取り入れる必要があります。
 日本共産党は、産技研センターの独立法人には最初から反対し、東京都が直営で行うことを要望してきました。民間的経営手法を取り入れることで、基礎的研究、研究員の確保、中小企業へのサービスなどが犠牲にされることになりかねないからです。
 実際、第三期中期目標は、前期同様、効率化係数が記述され、運営費交付金は毎年一%ずつ削減されています。中期目標を達成するための体制は、基礎的研究、中小企業へのサービスを拡充する財源、体制はとても十分といえないことを指摘して、質問を終わります。

○島崎委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○島崎委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○島崎委員長 次に、報告事項、新銀行東京の平成二十八年三月期中間決算についてに対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○島崎委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○島崎委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で産業労働局関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時二十九分休憩

   午後二時四十五分開議

○島崎委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 これより港湾局関係に入ります。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第二百二十二号議案を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○島崎委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○島崎委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 お諮りいたします。
 本案は、異議のない旨、財政委員長に報告したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○島崎委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。

○島崎委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第二百四十五号議案から第二百五十四号議案までを一括して議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○浜総務部長 十一月三十日開催の当委員会でご要求のございました資料をご説明申し上げます。
 お手元の経済・港湾委員会要求資料をごらん願います。
 ご要求のございました資料は、表紙をおめくりいただきまして、目次に記載のとおり一項目、海上公園の指定管理者の指定状況等でございます。
 指定管理を開始した時期から現在までの期間を、第一期、第二期の二つに分けてご説明申し上げます。
 初めに、一ページをお開き願います。
 まず、第一期でございますが、指定の期間に基づきまして、平成十八年度から二十二年度まで及び平成十八年度から二十四年度までの二つに区分いたしまして、それぞれについて、地区ごとの指定管理者名、協定額等を記載しております。
 なお、指定管理者の括弧内の下線は代表団体をあらわしております。
 二ページをお開き願います。
 前ページと同様に、第二期につきまして、平成二十三年度から二十七年度まで及び平成二十五年度から三十一年度までの二つに区分いたしまして、それぞれについて、地区ごとの指定管理者名、協定額等を記載しております。
 以上をもちまして、簡単ではございますが、ご要求のございました資料のご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○島崎委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○田中委員 先ほどは産業労働局所管施設の指定管理者選定について質疑が行われましたが、引き続きまして、港湾局所管施設の指定管理者選定についてお伺いをいたします。
 我が党では、平成十八年度から本格的に導入された指定管理者制度について、これまで数度にわたり検証と提言を行ってまいりました。
 指定管理者制度導入の趣旨は、多様化する住民ニーズに、より効果的、効率的に対応するため、公の施設の管理に民間の創意工夫や発想を活用しつつ、住民サービスの向上に寄与することを前提として経費の削減を図ることにあります。
 港湾局の施設では、指定管理者制度の対象となる施設は多くありますが、中でも海上公園はその数が大変多い状況にあります。
 そこで、指定管理者選定の三回目を迎える海上公園において、どのような視点を持って指定管理者候補者の審査に当たってこられたのか、まずはお伺いをいたします。

○山口臨海開発部長 今回の選定におきましては、これまでの実績や提案内容によりまして、次の四つの視点に基づいて審査を行いました。
 まず一つ目に、海上公園の効用の発揮という点でございます。利用者に対する質の高いサービスを提供できるか、オリンピックを契機とした公園の魅力向上に積極的であるかなどを確認しております。
 二つ目に、適正な維持管理という視点から、事故などの予防、災害対策が適切かなどを検証しております。
 三つ目に、管理運営の効率化という視点から、提案内容が具体的であり、効率的な管理運営ができる提案額となっているかなどを審査しております。
 四つ目に、団体能力等の検証という視点から、これまでの業務実績は良好か、指定管理者の役割を十分に理解しているかなどを確認しております。
 以上、四つの視点に基づきまして、外部委員を含めた選定委員会を開催し、審査したものでございます。

○田中委員 ただいまご答弁いただきましたように、住民サービスの向上や指定管理の提案額等を検証しての選定であったということでございました。
 さて、我が党では、以前より監理団体は都政の一翼を担うパートナーであるとの認識のもと、安定的で質の高い行政サービスを都民に提供していくためには、監理団体を都政の重要な現場として活用し、技術、ノウハウの継承や人材育成を進めることが必要であると主張してまいりました。
 これにより、五年前の選定の際には、施設の特性に着目し、都の重要施策と密接な関係を有して、その政策実現のために活用すべき施設であるとともに、管理に当たっては、都の政策に沿った柔軟な対応が求められる施設については、都は監理団体を特命で選定できることといたしました。
 また、今回の選定に先立ち、我が党は、指定管理者制度の活用を含め、人事や財政面での安定的な運営を確保していく必要があると言及し、これにより、監理団体の特命選定に対し、指定管理期間が長期化されることとなりました。
 港湾局においては、臨海副都心の海上公園をこれらの対象施設と位置づけておりますが、その理由についてお伺いをいたします。

○山口臨海開発部長 臨海副都心の海上公園は、まちの中核、骨格をなし、地域全体を一体的に結びつける公共空間としての役割、にぎわいの舞台として、防災避難広場機能を有しており、都の重要な政策実現の役割を担うことから、前回の選定において監理団体による管理運営が適切な施設と判断いたしました。
 今回はさらに、臨海副都心においてオリンピック・パラリンピックの競技会場等が多数配置、整備されることや、それに伴い、MICE、国際観光拠点化のさらなる推進が加わり、海上公園の役割は、その重みを一段と増しております。
 このため、管理に当たり、都の政策に沿った柔軟な対応が求められる施設と判断し、今回も監理団体による管理運営といたしました。
 期間につきましては、臨海副都心地区における政策を都との連携を図りながらエリア一体となって長期的、安定的に行うため、長期化を図りまして、十年間といたしました。

○田中委員 臨海副都心には、オリンピック・パラリンピックに向けて競技会場なども整備される予定であります。また、外国人訪問客もさらに多くなることが見込まれております。臨海副都心の海上公園においては、多言語対応や二〇二〇年大会への機運醸成など、他の海上公園以上に都の政策との連動性が求められるものと認識をしております。
 その施設の管理運営において、前回指定した臨海副都心の海上公園の指定管理者のどのような点を評価して再度特命としたのか、お伺いをいたします。

○山口臨海開発部長 前回選定後のこの五年間、株式会社東京臨海ホールディングスを代表とする東京臨海副都心グループは、都のパートナーとして多くの実績を上げてまいりました。
 例えば、指定管理者として関与するイベントは、平成二十一年度では三件の開催だったものが、平成二十六年度には二百四件と格段の伸びとなっております。冬の風物詩となったお台場レインボー花火では三万人の集客、都民や近隣企業と協働して春に開催するチューリップフェスティバルでは二万人の集客となるなど、多様なイベントを展開し、臨海副都心のにぎわいの創出に大きく貢献しております。
 また、進出事業者と連携し、来園者の避難誘導や、海に面した公園では津波対応訓練なども実施しておりまして、防災機能の向上にも寄与しております。
 このように、東京都と連携したにぎわいの創出や安心・安全のまちづくりの観点から、監理団体として行政支援、補完機能の役割を同グループが十分に発揮したものと評価いたしました。
 なお、今回の事業計画においては、二〇二〇年大会の開催を視野に、東京の真夏でも耐えられる花の育成実験の拡大を行い、臨海副都心地区で四季を通じて花を楽しめる工夫を展開するなど、さらなる事業の拡充が提案されております。こうした取り組みは、臨海副都心の今後のより一層の発展に資するものと考えております。

○田中委員 前回の特命選定より五年が経過いたしましたが、臨海副都心においては、特命選定された指定管理者がにぎわい創出の一翼を担っているという成果が出ているとのことでありまして、大変喜ばしく思っております。
 さて、我が党が主張した指定管理期間を長くすることは有効であるということに応え、臨海副都心エリアの指定管理期間は十年となりましたが、一方、長期間にわたって同一の指定管理者が管理し続けることで、ともすればマンネリ化する可能性や、外部の目でチェックする機会が減る懸念もあると思われます。
 そこで、このような懸念に対し、適正な管理を担保するためにどのような手段をとるのかお伺いをいたします。

○山口臨海開発部長 ご指摘のとおり、指定期間の長期化は、技術、ノウハウの継承、人材育成の観点から有効である一方で、選定委員会による選定や都民の適切なチェックの機会が減ることになります。
 このため、指定管理期間の長期化に当たっては、適正な管理を担保するために、十年間にわたる指定管理期間の中間年に事業計画を改めて提出させ、外部委員を含めた選定委員会を開催し、審査を行うこととしております。
 この選定委員会でのチェックの結果、管理運営状況が不良であった場合は指定の取り消しができるという条件を定めたところでございます。
 さらに、これまでも行ってきた毎年の管理運営状況の評価に加えまして、新たに、中間年の選定委員会では実地調査を行うことも検討しており、適正な管理を確保できるよう取り組んでまいります。

○田中委員 十年という長い期間でありますが、ぜひ都と指定管理者双方の意識をそろえ、質の高い公園管理に向けた努力を積み重ねていただきたいと思います。
 さて、臨海副都心は、オリンピック・パラリンピック開催時に国内外から多くの方々が訪問する場所であり、おもてなしの心を持ち、この方々をお迎えしていただきたいと思っております。
 東京臨海副都心グループは、特命選定を受ける以上、さらなる気構えを持って、大会開催に向けての公園管理に励んでいただかなくてはならないと思っております。
 都は、このグループに対して、二〇二〇年及びその先を見据えた公園管理に特に何を期待されているのかお伺いをいたします。

○山口臨海開発部長 臨海副都心グループは、これまでも特命選定の趣旨を理解し、にぎわいの創出、防災機能の向上に向けて取り組みを強化してまいりました。
 これに加えまして、今回の特命理由として追加されたMICE、国際観光拠点化の推進や、オリンピック・パラリンピック大会の開催に向けた取り組み、具体的には、花によるダイナミックな修景の創出や、臨海副都心ならではの海や浜辺を利用したスポーツイベントの開催など、国内外からさまざまな世代の人々が臨海副都心を訪れたくなるような管理に努めてもらいたいと考えております。
 エリアマネジメント機能を持つ臨海副都心グループのより積極的な取り組みにより、臨海副都心がさらなる発展をしていくことを期待いたします。

○田中委員 史上最高のオリンピック、そしてパラリンピックを開催するために、東京の有数の観光エリアであり、競技会場にも隣接する臨海副都心の海上公園をぜひおもてなしの場としていただきたいと思います。
 また、臨海副都心は大会開催後も発展を続ける場所でもあります。二〇二〇年に向け、そしてまた、指定管理期間が十年でありますが、その満了となる十年後の二〇二六年に向け、都と監理団体のパートナーシップを最大限に発揮して、この臨海副都心地域を盛り立ててもらうことを強く願って、質問を終わります。

○小林委員 海上公園の指定管理について、三点ほど確認をさせていただきます。
 このたびの海上公園の指定管理者の選定方法については、東京港野鳥公園が公募のほか、辰巳の森海浜公園外六公園、大井ふ頭中央海浜公園外十四公園、お台場海浜公園外十公園及び葛西海浜公園についてはいずれも特命選定となっております。
 今年度、都全体で二百二施設のうち、約八割がその指定管理期間を終了するため、次期の指定管理者候補者が選定され、今議会に提案されております。
 我が党でも、これまでも外郭団体プロジェクトチームを立ち上げ、指定管理者制度についても検討を重ねてまいりましたが、かねてより、公的性格を持つ監理団体のノウハウの活用を重視する一方で、より一層の競争性を高めて、民間が参入しやすい仕組みを検討すべきであると主張してまいりました。
 今回、海上公園の指定管理者候補者の選考結果を見ますと、前回公募であった三件の選定のうち二件が特命選定となっております。
 今回、東部地区、南部地区の公園グループの指定管理者を公募から特命選定へ変えたことの理由についてお伺いいたします。

○山口臨海開発部長 東部地区、南部地区の二つの公園グループにつきましては、その中核となる辰巳の森海浜公園、大井ふ頭中央海浜公園がオリンピック・パラリンピックの競技会場となっておりますが、二〇二〇年大会に向けて、今後の工事計画や影響範囲など、現時点で明らかになっていない事項がございます。
 平成二十八年度からの新たな指定管理期間中には、大会工事への対応を含め、さまざまな調整が必要となります。
 そこで、今まで都とも連携して適正な公園管理を行ってきた実績を有し、現指定管理期間で毎年度良好な評価を受け、公園を熟知し、工事に係る調整を初め、公園の管理運営を滞りなく行うことのできる事業者として、現行の指定管理者を特命選定したものでございます。

○小林委員 海上公園の中や周辺に競技会場の整備が予定されており、工事の内容がまだ全て明らかになっていない状況の中での指定管理者の指定でありますので、大会開催に至るまで、また、大会時において確実な公園管理が求められるということもありますので、良好な管理を行っている現在の指定管理者を特命選定したという判断は理解できることではないかと思います。
 これまで、指定管理の期間は一部施設を除き五年間でありましたが、今回の二つの公園グループについても同様であったと思いますが、今回は七年間となっております。
 二〇二〇年大会を大きな理由として特命選定する東部地区及び南部地区の公園グループの指定管理期間がなぜ七年間であるのか、その理由をお伺いいたします。

○山口臨海開発部長 東部地区の辰巳の森海浜公園と晴海ふ頭公園、南部地区の大井ふ頭中央海浜公園では、二〇二〇年大会の競技会場や関連施設が整備されることとなっております。
 今回の指定管理期間五年目の平成三十二年度に大会が開催されますが、競技施設等は大会後、撤去や減築などの再度の工事が実施される予定であり、安定した管理運営のためには、同一の指定管理者による柔軟な対応が大会後も継続して必要となります。
 加えて、都は、大会成功に向け、オリンピック・パラリンピックの機運を醸成するためにスポーツイベントなどを行うことを求めておりますが、大会後もそれまでの取り組みを継承し、一定期間継続した取り組みを行うことで、レガシーとして定着させていくことが可能となります。
 以上の理由により、指定管理期間を平成二十八年四月一日から平成三十五年三月三十一日までの七年間としたものでございます。

○小林委員 ただいま七年間にした理由、答弁をいただきましたけれども、指定管理を例えば五年にすると、まさに五年目が東京大会本番でありますので、その直後にまた新たに指定管理を指定するとなると、継続的な対応を鑑みた場合に、さまざまな不都合も懸念されることもあるかと思います。その意味においても、この七年間という形で今回、指定管理期間を定めたということも理解できることではないかというふうに思っております。
 一方で、都は、競技会場施設などにおける後利用について検討を重ねておりますが、新規恒久施設の施設運営計画策定事業者の募集が今、行われておるところでございますけれども、今後の海上公園の管理運営のあり方について、オリンピック・パラリンピックに向け、海上公園内に設置される新規恒久施設の施設運営計画との関係を十分に考えていくべきではないかと考えますけれども、所見を伺います。

○山口臨海開発部長 オリンピック・パラリンピック準備局は、大会終了後の競技会場の後利用につきまして、民間事業者の知識や経験、アイデアを取り込み、具体的かつ実現性の高い施設運営計画を策定するため、これを支援する民間事業者を募集しております。
 現在、アクアティクスセンターを初め四施設につきましては、選定された事業者とともに、オリンピック・パラリンピック準備局、港湾局を初めとする関係者が施設運営計画策定検討会を構成いたしまして、計画策定に向け検討を行っております。
 この検討会では、各施設の運営のコンセプトや管理運営手法などについて検討していくこととなっております。
 大会後の海上公園の管理のあり方につきましては、この検討会の中で策定される各施設の運営計画や、海上公園に寄せられております都民の期待なども踏まえまして、総合的に勘案して決めてまいります。

○小林委員 一昨日の本会議の我が党の代表質問でも取り上げましたが、海上公園を中心として、二〇二〇年東京大会の開催を契機として、東京の海をふるさとの海として復活させ、未来に引き継ぐレガシーとすべきであると主張いたしました。
 海上公園が大会のレガシーを継承し、都民の貴重な財産として末永く有効に活用されていくことが重要でありますので、運営計画の策定に当たっては、そうした視点を主軸に据えて取り組んでいただきますよう要望いたしまして、質問を終わります。

○かち委員 私からも、第二百四十八号、二百四十九号、二百五十号、二百五十一号、二百五十二号議案の都立海上公園の指定管理者の指定に関連して、何点かお聞きします。
 指定管理者制度の導入から十年を経過し、次期三期目は来年度からということになりますが、港湾局所管の海上公園は多くが水域を含む特徴を持っています。
 そこで、都立公園の指定管理者制度上、各公園の施設面積のうち、水域が占める割合の大小は、協定額にどのようなしんしゃくが行われるのでしょうか。

○山口臨海開発部長 水域の管理につきましては、基本的に陸上からの監視が中心となります。水域の面積の規模により、協定額に大きな影響が出るものではございません。
 一方で、陸域の管理におきましては、木の剪定や施設の管理など、公園面積に応じて管理規模や配置職員数が異なることから、面積により協定額が変化いたします。

○かち委員 要するに、管理の必要経費というのは、陸域面積に対応した管理額に相当しているというご答弁でした。管理面積が広くても、陸域が小さければ、管理協定額も低くなるということなんですね。
 要求資料をいただきましたが、海上公園のグループごとの協定額がそれぞれ書かれていますけれども、この一期と二期の協定額が、各指定管理者の提案額--提案額というのはここに書いていないんですけれども、ネットで引きますと、それぞれ提案額というのが出ているんです。それを見ますと、一期については協定額と提案額というのが大体一致しているんですけれども、二期については提案額と協定額が異なるんです。提案額よりも協定額の方が高くなっているという状況がありますけれども、その理由についてお聞きします。

○山口臨海開発部長 指定管理者の選定に当たりましては、事業者に管理内容とともに管理に係る提案額の提示を求めておりまして、その提案額をもとに、毎年度、管理面積の増減などを加味いたしまして、協定額を定めることとしております。
 平成十八年度からの第一期の選定に当たりましては、都が提示した緊急対応等経費を含めて提案額を算出するよう事業者に求めました。
 一方で、平成二十三年度からの第二期につきましては、都が緊急対応等経費を事業者からの提案額に加算して協定額とすることといたしました。
 このほか、第二期の指定管理期間中におきまして、消費税率や管理面積が増加しております。
 これらの理由によりまして、第二期では提案額より協定額の方が高くなっております。

○かち委員 消費税率アップ分や管理面積が増加した分というのはわかりますけれども、緊急対応等経費というものがどういうものなのかということなんですけれども、一期については、応募者、事業者の方がそれを含めて提案ができていたわけです。それが、二期についてはそれを含まないで、その分については東京都港湾局の方で足して協定額にするというお話ですけれども、何でそうしなければいけないのかという理由がわからないんですけれども、お答えください。

○山口臨海開発部長 緊急対応等経費でございますが、災害時の応急措置等や安全性、利便性等の確保に向けて緊急に必要な補修工事等、通常の管理業務を超えた業務に対処するための費用でございます。
 第一期の提案額に含めていただいたのは都が提示した金額でございまして、そうしたことから、第二期ではその金額を都が提案額に加算することといたしました。
 緊急対応等経費の具体的な例といたしましては、大雪により枝が大量に折れ、都民の安全性確保のために除却を至急行う場合などに使う費用となります。
 こうした費用は都が算出する金額であることから、第二期からは提案額から外すことといたしました。
 一方で、その対象が公園内で至急に実施をする必要がある作業であるため、現場を管理している指定管理者が迅速に対応できるよう、協定額の中に含めております。

○かち委員 緊急に生じた事象に対する対応額だとおっしゃいますけれども、この指定管理者制度については、年額で事業者の方にその額が渡っているわけですよね。だから、いろんな緊急事態があってもそれで対応できる。後からどうするかということは相談すればいいことであって、それはもう、今、同じように指定管理をしている公園、建設局と公園協会との関係でもこのようなやり方にはなっていないわけです。
 通常の修繕費とか保守点検などは当然、管理費に含まれているわけで、予期せぬ事態とか、緊急な事態とか、大規模災害とか、そういうときは当然、責任のある東京都の方が対応するというのが当たり前だと思うんですね。そういう意味では、その緊急対応等経費というものをなぜ分けなければいけないのかというのは、なかなかわかりづらい問題になっています。そういう必要はないんじゃないかと私は思います。
 次に、アメニス海上南部地区グループの協定額が、一期と比べて、二期は一億二千万円の減になっていますけれども、これは資料の方にありますけれども、これはどういう理由でしょうか。

○山口臨海開発部長 初めに、緊急対応等経費について、なぜ計上しているのかという点でございますが、現場を管理している以上、被害等があった場合に利用者の方々に安全に利用していただくために、早急に対応する必要がございますので、港湾局としては、緊急対応等経費として計上させていただいているところでございます。
 南部地域のアメニス海上南部地区グループの件でございますが、南部地区におきましては利用料金制をとっておりまして、野球場やテニスコートなどのスポーツ施設などによる料金収入がふえると、都の支払う経費は減となります。
 スポーツ施設等による利用料金の収入が、一期に比べまして二期では増加するとの見込みから、事業者が提案額を減額したものでございます。
 また、南部グループの公園は、第一期では十八公園で構成されていましたが、第二期では、昭和島南緑道公園と大森緑道公園の二公園が区に移管となり、管理面積が減少いたしました。
 これらの理由によりまして、協定額を減額したものでございます。

○かち委員 五年の指定管理期間の契約であっても、途中で区移管や新増設などの変化があるたびに、年度ごとに協定額の変化があるということはわかりました。
 契約期間の事業者側の想定額が示されますけれども、局の協定額というのは総額では決められない、やっぱり年度ごとに決めるしかないということなんですね。
 都立お台場公園外十園の指定管理者としての臨海副都心グループの指定期間を十年にした根拠については先ほどから議論がありまして、東京都の出した指針によって、監理団体が管理する特に主要な政策と連動した重要な役割を果たす施設の指定期間は、原則十年とするということに基づくものだというご答弁が先ほどからありましたけれども、指定管理という仕組み上、三年とか五年などという期限で検証し、議会の議決を要するということになるわけですけれども、二年、三年など余りに短いサイクルは、事業者にとっても、行政にとっても、働く人にとっても不安定な状況と煩雑さをもたらすもので、好ましくないと思っています。
 しかし、十年という期間を民間管理に委ねるということになると、少なくとも中間で点検が必要だということは私も思っております。そして、先ほど、選定委員会の方で中間点検、検証を行うんだというお話がありましたけれども、それは議会にもぜひ報告をするべきものだと思います。当事者にとっても、モチベーションと緊張感をもたらすということになると思います。
 この東京臨海副都心グループの三期目の提案額を見ますと、今期平成二十七年度の提案額と、二十八年度、来年度の提案額を比べますと、三〇%のアップで提案されています。そして、そこには有明北緑道公園の管理料を含むと書かれています。
 新たに管理公園が加わったということだと思うのですが、有明北緑道公園の面積は幾らですか。三〇%アップの要因をどのように判断しているのでしょうか。

○山口臨海開発部長 ご指摘の平成二十七年度の提案額でございますが、こちらは平成二十二年度時点の積算による金額でございまして、その後、消費税率の増加や追加開園が行われておりまして、平成二十七年度の指定管理料、先ほど来の協定額は増額となっております。実質的な平成二十七年度の提案額と比較いたしますと、平成二十八年度の提案額は約一六%の増となります。
 この内容といたしましては、労務単価や電気料金の上昇といった社会的要因に加えまして、臨海副都心地区の公園は、他の地域に比べて、より一層にぎわいの創出が求められるという特性によるイベント増加などへの対応や、〇・八ヘクタールの有明北緑道公園の新規開園も増加要因となっております。
 なお、この提案額につきましては、公認会計士の外部委員を含めた指定管理者選定委員会において承認されております。

○かち委員 緑道公園の面積は〇・八ヘクタールということですので、このグループの管理面積の八%増にすぎません。にもかかわらず、いろいろ諸条件を勘案しても一六%増ということなんです。その上、緊急対応等経費がこれに上乗せされるということになるわけですね。
 それだけではなく、例えば、平成二十六年度の協定額と提案額を他の公園グループと比較してみますと、それぞれ六%から十数%の増額の範囲ですけれども、この臨海副都心グループは二〇%近くも協定額が上回っているという状況です。他の指定管理公園の協定額の増加分に比べても突出して高いといわざるを得ません。これらを見ても、臨海副都心グループへの過剰な支援策ではないでしょうか。
 港湾局が所管する海上公園の中でも、最も管理面積が広い葛西海浜公園は四百十二ヘクタールですが、そのうち水域が四百十一ヘクタール、陸地は西なぎさと東なぎさ合わせて一ヘクタールということです。特殊な海上公園です。
 先ほどのご説明で、面積要件は陸域が主だということですから、よって、管理費はグループの中で最も少額で三億二千万円余ということになっています。
 葛西海浜公園の管理体制はどうなっているでしょうか。何人で、雇用形態はどのようになっていますか。

○山口臨海開発部長 指定管理者が雇用する職員は、常勤が二名、非常勤が二名となっております。このほかに、委託により閉園後の夜間警備一名、夏休み期間中、七月下旬から八月末までですが、この期間は水域管理強化のため、ライフセイバー一名を配置しております。
 なお、隣接する葛西臨海公園も同じ指定管理者が管理しているため、必要に応じ応援を得られる状況となっております。

○かち委員 夏場の特殊な状況は臨時で採用するんでしょうけれども、通常は六名体制、そのうち常勤は二名ということですので、非正規が六割を超えているという状況です。
 常勤が二名ということですけれども、なぎさというのは橋を渡って向こう側に行かなければいけない。常勤の方はセンター長とかいう方ですけれども、橋の手前側、臨海公園の側にいらっしゃるんですね。そういう意味では、意思疎通も非常に難しい環境にあります。
 私、先日、この公園に行ってきましたけれども、葛西臨海公園からちょうど眉毛のように二つの西なぎさと東なぎさが並んでいるわけですけれども、公園として入れるのは、橋を渡って西なぎさだけなんですね。
 東なぎさの方は野鳥保護区になっていて、立入禁止の状況です。しかし、陸地からはアクセスがないんです。海面の方から船で行くしかない。そこは野鳥の宝庫になっているし、内湾の貝類などが今、ようやくいろいろ生息をしている環境ですので、そこは非常に大切な地域なんですけれども、やっぱりこれは海の専門家がやるべきことだと思います。
 それで、ここは漂流物も非常に多いんですね。漂流物を除去するという意味でも船で行ってやらなければいけない。ここは江戸川区を初め、ボランティアの方々が一生懸命やっていらっしゃるということを知っているんですけれども、そういう意味で、大変特徴的な公園だということなんです。
 葛西海浜公園では、ことし、海水浴社会実験、七月の十八日から八月の三十日まで二十日間行っていますが、延べ参加人数、それから、一日最高人数は何人だったでしょうか。

○山口臨海開発部長 海水浴の参加人員でございますが、延べ参加人数は約三万八千人、一日の最高人数は約三千四百人でございます。

○かち委員 そのなぎさに入ってみるとわかるんですけれども、本当に狭い、細い、こういう陸地なんですけれども、そこに一日三千四百人が入ってくるということは大変なにぎわいというか、混雑というか、そういう状況でもあるわけです。
 この社会実験に至っては、地元のNPOの皆さんやボランティアの皆さんが、その前からずっとここに海水浴のできる海を再現させたいということで非常に努力をされてきた、そういうことについては非常に敬意を表したいと思うんですけれども、五十年ぶりに海水浴が復活できたということなんですが、海水浴ができるという点では水質基準をクリアしなければならないと思うんです。
 その意味で、葛西海浜公園の水質検査の結果はどうだったのでしょうか。また、ここは荒川河口、あるいは旧江戸川河口に挟まれたところなんですけれども、海底の泥の放射性物質、セシウムなどについての測定はしたのかどうか、お聞きします。

○山口臨海開発部長 今回の海水浴の実証実験におきまして、環境省の定める海水浴場の水質基準、透明度、ふん便性大腸菌など四項目ございますが、この項目をクリアした日に遊泳可といたしました。
 その水質基準を超えた日、水質基準をオーバーした日は、結果的に二十日のうち三日間ございました。いずれも水質が良好ではないことから、遊泳を控えるようにお伝えしたところでございます。
 また、水浴エリアの海底の泥の放射性物質の測定はしておりませんが、環境省が平成二十六年に実施した公共水域のモニタリング調査では、東京都沿岸域の水質について、荒川、旧江戸川河口沖を含めて、全地点で放射性物質は不検出という結果が出てございます。

○かち委員 環境省の水浴場水質判定基準によりますと、ふん便性大腸菌群数は百ミリリットル中千個を超えるものを不適と判断されて、水浴には適さないと判定するとなっております。
 局として、いろんな気象条件等から予測して、三日間については情報提供をしたということですけれども、こうした海水浴場については、抵抗力の弱い小さな子供さんも参加するわけですから、単に情報提供だけではなく、やはりきちんと泳げないということを周知する必要があると思います。
 報道によると、ことしの九月二十一日から二十三日にかけて、東京湾の広域での調査を、獨協医科大の木村准教授らが東京湾から広域の調査結果を発表しました。それによりますと、東京湾に流れ込んでいる河川の河口部の海底の泥のセシウムが、荒川河口では百十四から二百七十一ベクレル、旧江戸川河口域では二十三から三百二十ベクレルというデータが発表されています。
 葛西海浜公園は両河川に挟まれた位置にあります。私が行った日は風が強く、海も大変荒れていて、砂を巻き上げる、こういう状況にあったわけです。両河口に接近した場所で海水浴をするのであるなら、安心の確保の意味から、海水浴水域でのセシウム測定をしておくことが必要だと思います。そして、そのことを参加者に情報提供する必要があると思います。
 この十年間に起きた水難事故のうち、死亡事故の件数及びその経緯についてお聞きします。

○山口臨海開発部長 放射性物質の件につきましては、先ほど環境省の調査のお話をさせていただきましたが、それとは別に、水路の確保の観点から、東京都もしゅんせつ土の放射性物質について、環境省のガイドラインに基づき測定をしております。
 葛西海浜公園の水路につきましても検査をしておりまして、セシウムにつきましてはおおむね二百ベクレル前後でございまして、今、先生のご指摘のございました報告と大差のない数字だというふうに確認はしております。
 それから、先ほど西なぎさの巡回につきましてご指摘がございましたが、常勤の管理人は、西なぎさにつきましても巡回をしております。(かち委員「場所の話をしている」と呼ぶ)はい。
 続いて、指定管理期間中に起きた水難事故の件でございますが、平成十八年から二十七年度の指定管理における葛西海浜公園の水域での死亡事故でございますが、四件発生しておりまして、四名の方が亡くなっております。
 うち三件は泥酔して水路に飛び込まれたもの、残り一件につきましては葛西海浜公園の閉園時間に水路で遊泳し、溺れたものでございます。
 毎回報告書を指定管理者からとっておりますが、その報告書によれば、いずれも目撃者がおりまして、遊泳が禁止されているエリアであるにもかかわらず、みずからの意思で遊泳されたとのことでございます。

○かち委員 今期は三人ということですが、前期、二十二年にも一人亡くなっているということで、六年間に四人も亡くなっているというのは多いのではないでしょうか。他の港湾局所管の海上公園での水難死亡事故はこの十年で一件あるかどうかですから、やはりこれは注視すべきだと思います。
 指定管理の運営評価の観点として、管理状況の項目の中で、適切な管理の履行状況では人員配置は適切か、安全性の確保では施設の管理は安全に確保されているか、事業者の責に帰す事故が発生したかなどの評価点が示されていますが、運営状況評価委員の結果からは、こうした問題に言及されているのが見当たりません。どのように分析、評価されたのでしょうか。

○山口臨海開発部長 人員配置は適切か、施設の安全性は確保されているかという点につきましては、年間事業計画どおり管理が行われておりまして、適切なものと評価しております。
 先ほど答弁いたしました水域における四件の死亡事故に関しましては、事業者の責めに帰す事故ではございません。
 そうしたことから、平成二十四年度の運営状況等の評価委員会においては、緊急時のマニュアルにのっとり、事故発生時の報告及び経過対応報告を速やかに実施したことを評価しております。
 また、隣接し同じ指定管理者に管理がされている葛西臨海公園では二十四時間の管理が行われておりまして、緊急時には、協定の水準を超えて連携した管理が行われる体制がとられております。

○かち委員 質問は終わりますので、最後に一言いわせてください。

○島崎委員長 この際、かち理事に申し上げます。
 かち理事の発言は、申し出の時間を超えて長時間にわたっておりますので、発言は簡明にお願いいたします。

○かち委員 一言いっていいでしょう。おおよその時間なんですから。

○島崎委員長 今、申し上げました。簡明にしてください。

○かち委員 もう質問はしません。最後です。(発言する者あり)おおよその時間で申請しているんですから、いわせてくださいよ。質問はしませんから。最後の発言です。

○島崎委員長 ちょっとお座りください。先ほど申し上げましたように、発言は、申し出の時間を長時間にわたって過ぎておりますので、発言は簡明にお願いいたします。

○かち委員 はい。
 泥酔や時間外での死亡事故だから自己責任というのでしょうか。しかしながら、なぜこの公園に水難事故が多いのか、どうしたら防止できるのかを考え、対策をとるべきではないでしょうか。
 この公園は、飲食もバーベキューも自由という大変入園しやすい、利用しやすい公園です。それだけにトラブルも多々あると管理人さんからお聞きしました。利用者みんなが安心して安全に楽しめる公園にするためのルールも必要だと思います。
 水域が大半を占める海上公園管理という点では、命に直結するということから、専門性を必要とする公園です。ですので、この公園は指定管理にはなじまないということを申し上げて質問を終わります。

○島崎委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○島崎委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○島崎委員長 次に、報告事項、平成二十七年度のぞみ橋耐震補強工事外一件に対する質疑を一括して行います。
 本件については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○田中委員 先日の委員会で報告がございました報告事項のうちの(2)、国際コンテナ戦略港湾政策にかかわる取り組みについてに関し、質問を行います。
 国際コンテナ戦略港湾政策における京浜港の経営統合についてでありますが、この政策は、我が国産業の国際競争力強化を図っていくことが目的であり、選択と集中の理念により、京浜港と阪神港を重点投資する港として国際戦略港湾に選定されたものと認識をしております。
 その中で、この政策を実現するための一手段である京浜港の経営統合については、東京港の経営のあり方に大きな影響を与える問題であることから、我が党もこれまで繰り返し、都議会の場で取り上げてまいりました。
 特に、港湾運営会社に対する国出資制度が創設された際は、私もこれまで、本会議の一般質疑や当委員会において、東京港の整備や管理運営に当たっては、国と都の適切な役割分担のもとで、おのおのがその責任を果たしていくべきだと訴えてまいりました。
 そのような中、先般の経済・港湾委員会では、横浜港、川崎港が先行して港湾運営会社を設立し、東京港は国際戦略港湾の位置づけを維持しつつも、当面は港湾運営会社に参画しないという大変重要な報告がございました。
 この報告を受けて、本定例会において、我が党の秋田議員が代表質問で述べたように、東京港の主体性を確保した上で、国と三港で円満に解決が図られた今回の合意については、大いに評価したいと思っております。
 そこで、今回の合意について、もう少し詳細をお伺いしていきたいと思います。
 まず、我が党の代表質問に対する知事の答弁では、今回の合意に至った理由について、京浜港を取り巻く環境の変化の中、京浜三港の役割、喫緊の課題、着手すべき施策の優先順位等が異なってきていることが挙げられておりました。
 このあたりの事情をもう少し掘り下げていきたいと思いますが、今回、なぜ横浜港、川崎港の二港が年度内に先行統合し、東京港が港湾運営会社に参画しないこととしたのか、具体的にご説明をいただきたいと思います。

○藏居港湾経営改革担当部長 平成二十二年に京浜港が国際戦略港湾に選定されたこの五年間、為替相場の円安への動き、中国経済の成長率鈍化、そして輸出入貨物の増加が見込まれるTPPの大筋合意など、京浜港を取り巻く環境が大きく変化しております。
 そのような変化を踏まえ、東京港は、さらなる広域からの貨物集荷も重要ではありますが、喫緊の課題は、輸入港として、首都圏や東日本の実需に的確に対応することであり、足元の港湾施設の機能強化を図り、利用者ニーズにきめ細かく対応した、使いやすい港づくりを進めていく必要があります。
 一方、国内最大級の大水深バースを有する横浜港では釜山港、上海港などと対峙するトランシップ港の機能充実、川崎港では背後の高機能物流施設の集積を活用した創貨が課題となっております。
 そのため、二港にとっては、港湾運営会社の設立を急ぐことで、国の施策を効果的に活用し、京浜港の取扱貨物量を増加させることは可能となります。
 このように、東京港はふえゆく輸入貨物に対応した港づくり、横浜港などは集貨、創貨の取り組みが重要であり、京浜三港がそれぞれの役割を果たし、喫緊の課題に取り組みながら、国際コンテナ戦略港湾政策を前進させるために、横浜港、川崎港が先行して港湾運営会社を設立し、現時点では、東京港は当該会社に参画しないこととしました。

○田中委員 東京港の一方的な事情ではなく、三港それぞれの事情、課題がしんしゃくされての決断であったことと理解をいたします。
 一方、東京港は、足元の港湾機能の強化に傾注するため、港湾運営会社の参画を見送ったわけでありますが、これは、今のご答弁にもありましたように、現時点での判断であるということでありました。
 そこで、横浜港等が先行して設立した港湾運営会社への東京港の将来の参画について、ご見解をお伺いいたします。

○藏居港湾経営改革担当部長 東京港は、国際戦略港湾の一員として、京浜港の発展に尽力する立場に変わりはございません。
 今後の京浜港を取り巻く情勢等を踏まえ、東京港の港湾運営会社への参画については、総合的に判断してまいります。
 都は、まず足元の港湾機能の充実強化に全力を尽くしてまいります。

○田中委員 ここまでの質疑で、経営統合の経緯等に関する重要なポイントが明確になったものと受けとめております。
 それでは続いて、東京港の運営が今後どうなっていくのか掘り下げていきたいと思います。
 都の報告によりますと、東京港埠頭株式会社が受けていた特例港湾運営会社の指定は、平成二十八年二月下旬に失効する見込みであると伺っております。
 その指定失効後、東京港の運営はどのように行っていくのか、具体的にお伺いをいたします。

○藏居港湾経営改革担当部長 現在、東京港埠頭株式会社は、特例港湾運営会社として、国が所有する岸壁などの行政財産を国から直接借り受けております。
 特例港湾運営会社の指定失効後は、国の所有する岸壁は一度、港湾管理者である都に管理委託され、都は、必要に応じて、都の保有する岸壁とともに、東京港埠頭に管理業務を委託することになります。
 また、ガントリークレーンやヤードなどの上物施設は、東京港埠頭が所有しており、特例指定前と同様、同社が直接、ユーザーに貸し出すなど、引き続きコンテナターミナルの運営を行ってまいります。
 このように、適用される制度は異なっても、都と東京港埠頭が責任を持って東京港の管理運営を行う体制は、特例失効後においても変わりありません。

○田中委員 特例港湾運営会社の指定失効により、適用される制度が異なっても、都と東京港埠頭株式会社が責任を持って東京港を主体的に管理運営できることを改めて確認をいたしました。
 引き続き、東京港埠頭株式会社がユーザーへガントリークレーンなどの貸し出しを行うことにより、制度移行後もスムーズに東京港が運営されるものと思っております。
 しかし、一方では、以前、東京港埠頭株式会社が特例港湾運営会社の指定申請を行った際、当委員会において、指定の効果について、指定のメリットについて報告があったと記憶をしております。
 そこで、今回、その指定失効することにより、東京港埠頭株式会社にとってどのような影響があるのかお伺いをいたします。

○藏居港湾経営改革担当部長 東京港埠頭株式会社は、港湾運営会社が設立されるまでの暫定措置として、平成二十六年一月に特例港湾運営会社に指定されていましたが、特例失効による影響としては、東京港埠頭が実施するガントリークレーンやヤードなどの整備において、大きく二点あります。
 一点目は、当該整備費用に係る無利子貸付の割合が、最大八割であったところ、今後は最大六割となります。
 二点目は、地方税法の附則により、ガントリークレーンなどの財産にかかる固定資産税、都市計画税が、十年間、二分の一に軽減されるところ、今後は税制優遇措置が受けられなくなります。
 これらの影響は、経営努力により吸収に努め、都と東京港埠頭は、東京港のユーザーに影響を与えないよう、機動的で効率的な港湾運営を行ってまいります。

○田中委員 ぜひ、その部分は経営努力を重ね、東京港の経営に影響が出ないよう、ご尽力をいただきたいと思います。
 さて、さきの我が党の代表質問に対する知事の答弁においては、東京港の機能強化に力を注いでいくことが触れられておりました。また、先ほどの冒頭の質疑においては、大消費地を抱えている東京港は、増加する見込みの輸入貨物を適切に取り扱うために、港そのものをしっかり整備していかなければならないとの趣旨の答弁がございました。
 今後、東京港の混雑緩和に欠かせない中央防波堤外側コンテナターミナルの整備や、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの開催で、より重要性が高まった臨港道路南北線の整備など、東京港の機能強化は待ったなしの状況にあります。
 特に、東京港の渋滞問題については、私の地元の品川区においても大きな課題となっており、本委員会でも、その抜本的な対応について再三取り上げてまいりました。
 そこで、今回、東京港が経営統合に参画しなかったことにより、東京港のハード整備に影響が出ないのかどうか、ご見解をお伺いいたします。

○藏居港湾経営改革担当部長 東京港は、国際戦略港湾の一員として、国際コンテナ戦略港湾政策を前に進めることに変わりなく、同政策の選択と集中の理念に基づき、引き続き、国際戦略港湾関連の予算配分を国から受けることが制度上可能となっております。
 今後、国に対しても、具体的に東京港への重点投資を要望しつつ、ご指摘のように、東京港の混雑緩和に向けた抜本的な取り組みでありますコンテナターミナルの増設や、既存のふ頭の再編整備、道路ネットワークの充実強化など、足元を固めて港湾機能の強化を図り、使いやすい港づくりを目指してまいります。

○田中委員 東京港は、首都圏四千万人の生活や経済を支える重要な機能を果たしており、引き続き、その機能をしっかり果たしていくためにも、さらにハード整備を着実に進める必要があります。そのため、国予算の獲得に向けても大いにご尽力をしていただきたいと思います。
 一方、東京港は、国際戦略港湾である京浜港の一員でもあり、その京浜港発展に向けても努力をする必要があると思っております。そのためには、本会議での代表質疑において我が党が主張したように、戦略港湾政策が始まる前から取り組んでいる京浜三港連携事業を推進させていく必要があり、ご答弁にもありましたように、三港の健全な競争と連携という理念が肝要であると認識をしております。
 そこで、今後、三港間で具体的にどのように連携を進めていくのか、ご所見をお伺いいたします。

○藏居港湾経営改革担当部長 平成二十年に自治体主導で始まった、いわゆる三港連携は、当初から、当委員会を初め、三港にまたがる京浜港広域連携推進議員連盟の先生方の多大なご支援を賜りながら、事業を進めてまいりました。
 具体的には、三港の健全な競争と連携のもと、広域計画であります京浜港の総合的な計画を策定し、また、入港料の一元化のほか、共同ポートセールスの実施など、三港一体となった取り組みを実施してまいりました。
 今後とも、京浜三港が連携事業を進めていくという認識は一致しており、都としても、平成二十一年に自治法に基づいて設立した京浜港連携協議会の場も活用しながら、京浜港で一層求められている危機管理対策や、広域交通ネットワークの充実強化を提案し、足並みをそろえて取り組むなど、連携事業を加速してまいります。

○田中委員 広域港湾の連携を提唱してきた我が党としては、ぜひとも、三港連携の火を消すことなく、さらに強固なものとして、効果的な取り組みを行っていただきたいと思っております。
 国際競争力強化を目指す国際コンテナ戦略港湾政策の取り組みは、道半ばでありますが、今回、一つの節目として三港と国で合意に至りましたことに対するその総括と、今後の東京港のかじ取りを行う局長のぜひご決意をお伺いしたいと思います。

○武市港湾局長 平成二十二年から取り組んでまいりました京浜港の経営統合問題につきましては、当委員会を初め、都議会の先生方の多大なるご支援を賜りながら、関係者と協議を続けてまいりまして、このたび、国、横浜港、川崎港との間で、横浜港、川崎港が先行して会社を設立するとの着地点を見出すことができました。これは、東京都といたしましては、現時点でベストの選択であったと考えております。
 今回の合意に当たりまして、東京港は、輸入港として足元を固め、港湾施設の処理容量を超えた量の貨物に対しまして、いかにそれを対処していくか、そして、東京港の利用者にとりまして、快適で使いやすい港となるよう、いかに港湾機能の質を高めていくか、こういったことに全力を傾けていく必要がございました。
 東京港の抜本的な機能強化に向け、中央防波堤外側の新コンテナターミナルや臨港道路南北線の整備など、課題は山積しておりますが、次のステージに移った今こそ確実に成果を出していき、東京港のさらなる発展に向け、一層気を引き締めてかじ取りを行っていきたいと、このように考えております。
 今後とも、京浜三港で連携しながら、国際コンテナ戦略港湾政策を前進させ、首都圏ひいては東日本の生活と産業を支える役割をしっかり果たしていきたいと、このように考えております。

○田中委員 ただいま局長から、これまでの総括、そして今後に向けた力強いご決意をお伺いいたしました。
 これまで五年間にわたって議論してまいりました京浜港の経営統合の問題は、まずはここで一つの区切りをつけました。さらに五年後には東京オリンピック・パラリンピックが開催され、またTPPの大筋合意も具体的な形としてあらわれてまいります。京浜港を取り巻く環境がさらに変化してくるものと思われます。
 今後とも、都は、環境の変化に伴い発生する課題にしっかり取り組み、真の国際競争力強化に向けて、果たすべき役割を全うするよう要望いたしまして、質問を終わります。

○木内委員 先日の本会議での代表質問では、自民党さんと私ども公明党の質問の中で、戦略港湾についての議論があり、主張が展開をされました。淡々と本会議場でのやりとりがあったわけであります。また、本委員会でも、これまで何度となく、私もこの問題を取り上げ、自民党さんも大変に心配をされる経過というものがありました。
 淡々と議論してきましたけれども、実はこのことは、長い東京港の歴史を俯瞰するとき、かつてないこれは大激震の出来事なの。これを議会と執行機関が、知事とも呼吸を合わせながら、東京港の健全な今後の発展に向けて、さまざまなネゴシエートを行って、今日の合意、結論に至った。この意味では非常に意義がありますし、今も田中委員から、実は重要な点を踏まえての質疑がありましたけれども、きょうはこの合意が着陸、着地する大事な歴史的な質疑であると、このように私は受けとめているのであります。今の田中委員の質問をさらに受けて、つまびらかに深掘りの議論ができるところはしてまいりたいと、こういうふうに思います。
 国際コンテナ戦略港湾政策は、我が国産業の国際競争力の強化という目標の実現に向け、我が国の主要港湾の関係者や国がこれまで多くの議論を積み重ねてきた取り組みであります。
 我が党は、とりわけ私は、戦略港湾政策のさまざまな課題の中で、京浜港の経営統合問題について、都の港湾行政における最重要課題であると認識をし、一言で申し上げると、東京港の主体性が維持できるのか、確保できるのか、こういう観点で繰り返し主張を展開してきたのであります。
 平成二十二年に京浜港が国際戦略港湾に選定されてから、この五年間を思い起こすと、国による港湾運営会社制度の創設があり、東京港埠頭株式会社による特例港湾運営会社の指定申請、その前後には、港湾運営会社に対する国出資制度という話も浮上しました。
 私どもはその都度、東京港の現場に混乱を来さないことを第一に、都には慎重に対処するよう求めてきたのであります。
 そもそも東京港を初め京浜三港は、お互い近接し、ともに首都圏の生活と産業を支える国際物流拠点として大変重要な役割を担っているんですが、一方では、それぞれの港には固有の歴史と特性というものがあります。
 中でも東京港は、東京港とふ頭会社、港湾関係者、議会も含めて、こうした立場の者が深いきずなで結ばれる中で、独自の誇るべき良好な関係を築いてきたのであります。
 こうした中、先般の当委員会では都の報告が行われ、横浜港、川崎港が先行して港湾運営会社を設立する、東京港は現時点ではこれに参画しないということで、三港が合意に至りました。
 改めて、いわば確認でありますけれども、都として今回の判断に至った理由を明らかにされたいと思います。

○藏居港湾経営改革担当部長 平成二十二年に京浜港が国際戦略港湾に選定されてからこの五年間、為替相場の円安への動き、中国経済の成長率鈍化、TPPの大筋合意など、京浜港を取り巻く環境は大きく変化しております。
 このような環境の変化を踏まえ、東京港は、輸入港として、首都圏や東日本の実需に的確に対応することを喫緊の課題として捉え、足元の港湾の機能強化を図り、利用者ニーズにきめ細かく対応した、使いやすい港づくりを進めることが重要となっております。
 東京港が引き続き国際戦略港湾の一員として残り、東京港の喫緊の課題に全力で取り組むことができる形で国や三港間で合意でき、都としては最良の選択ができたと受けとめております。

○木内委員 答弁のように、私自身も、これは最良の選択であった、高い評価と、ここに至るまでの、局長を初め幹部職員の皆様の、あるいは現場の皆さんのご苦労に敬意を表するものでありますけれども、さて、行政や議会での認識はそうでありますけれども、じゃあ、東京港の関係者にとって、これが最良の選択であったのか。
 実は議論の過程で、私も随分と現場に足を運んで、関連業界団体の皆さんとの意見の交換を行っては発言をしてきたわけでありますけれども、この業界関係、東京港関係者が受けとめている感懐をどう認識していますか。

○藏居港湾経営改革担当部長 都はこれまで、機会を捉えて首都圏の物流活動を支える東京港関係者の意見を伺いながら、東京港の経営を行ってまいりました。
 京浜港の経営統合に関する対応においても、都と東京港関係者は節目節目において重ねて丁寧に意思疎通を図り、三港間の協議に臨んでまいりました。
 このように進めた結果、東京港関係者の総意として、今回の合意内容をまとめることができました。

○木内委員 東京港関係者と議会、そして執行機関、非常にこれまでの歴史の中で緊密なきずなを大事にしながら、話し合いを重ねて形成をしてきたのが東京港の歴史であります。
 東京都が、港湾関係者の意見を踏まえて合意に至ったことは、正式なこの議会の場での答弁で明らかになっているんですけれども、さて、横浜港や川崎港は果たして、いろんな微妙な感覚的対応があったと思うんですけれども、どういう考え方のもとで合意して、現状それぞれの関係者にどう説明をしていると理解されていますか。

○藏居港湾経営改革担当部長 横浜、川崎の両港は、国が掲げた集貨、創貨、競争力強化の施策を軸に、国際競争力強化を図っていくとともに、港湾運営会社のみに適用可能な国の補助制度などを最大限活用するために、その受け皿となる港湾運営会社を早期に設立する旨、関係者に説明したと聞いております。

○木内委員 横浜、川崎にも、この結論を受け入れたそれぞれ固有の事情があったことがわかりました。
 繰り返しになりますけれども、東京港には、ふ頭関係者が緊密に都と連携をとってきた独自の誇らしい歴史もあったわけでありますが、あわせて、私はあえてこの場で触れたいんですけれども、東京都選出の太田昭宏前国土交通大臣、この太田前大臣も、国と各港の置かれた状況、特に東京港については非常に意を配しまして、戦略港湾政策を前進させることに労をとってもらったというふうに仄聞をしているのであります。
 例えば、今回、横浜、川崎、二港が先行する。東京港が、現段階ではこうした合意でいる。このことによって、東京港が不利益をこうむってはならない。このために東京港の歴史に傷がついてはならないなどなどの配慮を太田前大臣が、その立場を駆使して、してくださったということも聞いているわけであります。
 したがって、私ども公明党としても私としても、今回の合意は大いに評価したいのでありまして、しかしながら、合意内容については、この場でしか都民の皆さんに明らかにする場を持ち得ませんから、多少深掘りをしながらお尋ねをして、さまざまな角度から確認をしていきたいと思う。
 果たして、今回の合意で本当に東京港の主体性が確保できたのか。もともと港湾運営会社は、京浜港全体のコンテナターミナルを運営する会社ではなかったのか。
 確認の意味で、横浜港などによって設立された港湾運営会社の運営範囲と東京港の運営範囲の関係は今後どうなっていくのか明らかにしてください。

○藏居港湾経営改革担当部長 横浜港などによって設立される港湾運営会社は、法令に従い、これまで横浜港及び川崎港における特例港湾運営会社が管轄していた外貿コンテナふ頭のエリアのみを運営することになります。したがって、当該港湾運営会社が東京港のエリアを管理運営することはありません。
 東京港の管理運営は、引き続き、都と東京港埠頭株式会社が責任を持って行ってまいります。

○木内委員 私は何度も触れてきましたけれども、東京港の主体性、管理者としての東京都、この存在というものが失われてはならないといってまいりました。イニシアチブは東京が独自に持つべきである、この主張を繰り返してきたわけであります。
 法令上、引き続き、東京港のエリアは都と東京港埠頭株式会社が管理運営していくことが今確認されました。実は、ここは非常に重要なポイントなんです。
 それでは次に、今回の合意を受けて、今後の東京港の整備や運営に、さっき申し上げたけれども、不利益が生じないのか、また、港湾運営会社に参加した場合としない場合ではどんな差異があるのか、東京都と東京港埠頭株式会社に分けて、それぞれ確認をしたいのであります。
 まず、今回、東京港が港湾運営会社に参画しなかったことにより、東京都が行う港湾整備に影響があるのかないのか、簡潔にお答えください。

○藏居港湾経営改革担当部長 東京港は、国際コンテナ戦略港湾政策の理念であります選択と集中により、国が最重点で投資する国際戦略港湾の位置づけに変更はなく、引き続き、国際戦略港湾の予算枠を活用するなど、国の支援を得ながら、コンテナターミナルの増設や既存ふ頭の再編整備、道路ネットワークの充実強化を図ることが制度上可能となっております。
 したがって、東京都の港湾整備には、港湾運営会社に参画しなかったことによる大きな影響は特段ないと考えます。

○木内委員 いろんな角度からの懸念が複数の人によって持ち込まれましたけれども、その大きな課題の一つであります予算措置の問題、国際戦略港湾の予算枠を活用するなど、国の支援を得ながら施設の増設や整備が行えるということで、デメリットはない、これはもう明確に今答弁されたわけであります。
 さらに掘り下げて、国際戦略港湾の一員である東京港のメリットとして、国の支援、引き続き、具体的に何が期待できるのか伺います。

○藏居港湾経営改革担当部長 東京港が、引き続き国際戦略港湾に残ることにより、引き続き、国直轄事業における国負担割合の優遇措置などが受けられます。
 具体的には、岸壁整備に当たり、国負担割合が、国際戦略港湾の選定前は三分の二であったところ、十分の七まで引き上げられるなどの措置があります。
 これは、中央防波堤外側コンテナターミナルのY3バースの整備で例えれば、約十億円、都の負担が軽減されることになります。

○木内委員 私は、いい側面だけを明らかにするつもりはない。今の数字についても、先ほど田中委員の話にありました。だけど、デメリットも生ずる、こういう点があるんです。
 先ほど来の田中委員の質疑を聞いておりましても明らかになったように、さまざまな分野における経営努力、あるいは、いわば知恵の発露によってこれを吸収して、そうしてデメリットというものが生じないようにしていく、そういうやりとりがさっきありましたけれども、非常に重要なことでありますし、しかし、今の答弁によると、東京都は引き続き、国際戦略港湾としてのメリットが継続して享受できるということがわかりました。これは、同じく重要な確認事項であります。
 それでは次に、東京港埠頭株式会社の影響について確認をしたい。さっき申し上げたことと重複しますが、東京港埠頭株式会社は、横浜港などの統合会社が国から港湾運営会社に指定された時点で特例港湾運営会社の指定が失効されるということですけれども、東京港利用者にとってサービス低下をもたらしはしないのか。その影響について認識を具体的に答えてください。

○藏居港湾経営改革担当部長 東京港埠頭株式会社における特例港湾運営会社の指定失効による影響としては、同社が実施するガントリークレーンやヤードなどの整備において、大きく二点ございます。
 一点目は、当該整備費用に係る無利子貸付金の割合が最大八割であったところ、今後は最大六割となり、二点目は、ガントリークレーンなどの財産にかかる固定資産税、都市計画税が十年間二分の一に軽減されるところ、今後は税制優遇措置が受けられなくなります。
 これらによる影響は、経営努力により吸収に努め、都と東京港埠頭は、東京港の利用者に、価格面等において負担を転嫁することなく、むしろ創意工夫によりサービスが向上するよう、機動的で効率的な港湾運営を行ってまいります。

○木内委員 この答弁も非常に重要であります。大分取材においでいただいていますけれども、恐らくあした、メディアできょうの質疑の内容をごらんになった港湾関係者の方々は安堵の胸をなでおろすことにもなる部分であります。
 今答弁があった、経営努力で吸収に努め、価格面等において負担を転嫁することがないと、むしろ創意工夫してサービスが向上するよう、機動的で効率的な港湾経営を行っていくということでありますので、鋭意ご努力を願いたいと思うのであります。
 本年の経済・港湾委員会における事務事業説明にもあったように、東京港埠頭株式会社の経営状況は良好でありますので余り心配はしていませんけれども、しかし、今の答弁を大きな橋頭堡にして、軸足として、この理念を忘れずに対応されることを望みたいのであります。東京港利用者にしわ寄せが行かないよう、都とふ頭会社が一体となって対応して、万全の体制で臨んでもらいたいと思います。
 さて、先ほどの答弁で、港湾運営会社のみに適用可能な国の補助制度があるというくだりがありましたけれども、その具体的な内容について都民の前に明らかにしてください。

○藏居港湾経営改革担当部長 港湾法に基づき設立される国際戦略港湾の港湾運営会社は、特例港湾運営会社では受けられなかった、広域から貨物を集める国の集貨補助制度を活用することができます。
 具体的には、港湾運営会社が、船会社や物流事業者に対し、一定の条件のもとに輸送費などの一部を補助し、当該国際戦略港湾への利用転換を促す仕組みであり、国は当該補助につきまして、原則として二分の一負担することになっております。

○木内委員 この国の集貨補助制度は、東京港埠頭株式会社は受けられない。このことによって東京港に影響が生じないかと私は懸念するのでありますけれども、例えば、船会社や物流事業者に対して、一定の条件のもとで輸送費等の一部を補助し、当該国際戦略港湾への利用転換を促す仕組みになっているけれども、このプロセスに影響は出ないのかご答弁願います。

○藏居港湾経営改革担当部長 国の集貨補助制度は、地方港や海外の港から、海外の国際ハブ港湾、例えば韓国の釜山港などですけれども、このハブ港湾経由で欧米に運ばれた貨物を、補助金により国際戦略港湾経由に転換させるなど、輸出貨物の輸送やトランシップ貨物の獲得に適した制度でございます。
 東京港においては、広域からのさらなる貨物集荷も重要ではありますが、現時点では、輸入港として、首都圏や東日本の実需に的確に対応することが喫緊の課題であるため、補助金の活用ではなく、まずは、港湾機能の充実強化を図ることによって、利用者ニーズにきめ細かく対応した港づくりを進めてまいります。

○木内委員 輸入港として、首都圏や東日本の実需に的確に対応することが喫緊の課題である。東京港に求められている役割についての言及もありましたし、私はその判断は正しいんだろうというふうに思います。
 国の集貨補助制度は、海外に奪われた貨物を取り戻すには有効な手段でありまして、京浜港内で不毛な貨物の奪い合いが生じることはないことが今の答弁でもわかりますし、東京港固有の事情と経過というものがあるとよくわかりました。
 ところで今後、京浜港内では、横浜港等による港湾運営会社と東京港埠頭株式会社がそれぞれのエリアのコンテナターミナルを運営することになりますけれども、国際戦略港湾の当初申請に盛り込んでいた各港の役割分担にもあるとおり、東京港は、京浜港の中での立ち位置というものをしっかり認識して、その役割と特性を生かしていくべきではないのか。これも今後の、いわゆる考え方の基本として重要なことであります。
 今後の東京港の役割をどう理解しているのか答弁願います。

○藏居港湾経営改革担当部長 東京港は、背後の大消費地であります首都圏や東日本の生活や産業活動を支える重要な役割を担っております。
 近年、海上貨物においては、高度成長期における産業製品の大量生産、大量輸送から、コンビニエンスストアの商品補給やインターネットの通信販売のように、小口で多頻度な定時輸送が一層求められるなど、物流を取り巻く環境が変化しております。
 東京港は、輸入港として、利用者ニーズに的確かつスピーディーに対応することで、国際競争力の強化を図り、京浜港全体の発展に貢献してまいります。

○木内委員 既に議論があったところでありますけれども、一方で、国際戦略港湾政策以前から取り組んできたこの三港連携も進めていく必要があるのでありまして、実は私も、京浜港広域連携推進議員連盟の副会長という立場を頂戴しておりまして、これまでの歴史とともに歩んできているんですけれども、この事業を後押ししてまいりました。
 入港料の一元化や共同ポートセールスの開催など多くの成果を上げてきている。このポートセールスなんかは特に、特筆すべき事業活動でありまして、他の局なんかではこういうのは余り例がないです。港湾関係者と港湾局のトップの皆さんがともにポートセールスに懸命な汗を流している。これは物すごいことでありますけれども、今後も、例えば、申し上げた三港連携事業は大変重要でありまして、引き続き推進すべきであると考えますが、港湾経営改革担当部長としての抱負をお聞きしたいと思うのです。

○藏居港湾経営改革担当部長 三港連携は、自治体の枠を超えた広域的な利用者サービスを展開する取り組みとして、京浜港の国際競争力強化に大きな役割を果たしてまいりました。
 京浜港広域連携推進議員連盟の先生方のご支援をいただきながら自治体主導で進めてきました連携事業は、今後とも総合的な計画に基づき着実に継続実施し、さらには、京浜港における危機管理対策や広域交通ネットワークの充実強化を図るなど、連携の取り組みを加速させてまいります。

○木内委員 引き続き、三港連携を進めながら、東京港が選ばれる港として、利用者の期待に応えられるよう最大限努力をしてほしいと思います。
 また、これまでのやりとりを通じて、今回の都の報告内容は、まさに、東京港関係者を初め、京浜港の経営統合に関係した皆が納得する形でおさまったんだと思います。
 特に、きょうは港湾局長、先ほどから議論を聞いておられるんですが、多羅尾局長のころには、お互いに額を寄せ合って、さまざまなご相談に乗ったり協議をしてきました。最も大変なときに港湾局長として就任をされた武市局長のお立場もまた歴史に残ることになるんだろうと、こういうふうに思うんですけれども、最後に、三港と国で合意ができたことの感想と、そういう歴史の曲がり角に立ち位置を港湾局長として占めておられた武市局長の、今後の港湾経営のあり方について、率直な所見と決意を伺いたいと思います。

○武市港湾局長 京浜各港がそれぞれの事情を抱えている中で、当委員会を初め、都議会の先生方のお力添えをいただくことで、国際コンテナ戦略港湾政策を一歩前進させる形で、国と三港が着地点を見出すことができました。先生にご評価をいただいたとおり、東京港の主体性を確保する形で円満解決を図ることができたというふうに考えております。これは、先ほど、東京都としてベストの選択であったと申し上げましたが、さらにいいますと、東京港の総意としてもベストの選択であったというふうに考えております。
 首都圏四千万人、ひいては東日本の生活や産業を支える重要な役割を担っている東京港の経営に当たりましては、これまで港湾管理者である東京都とふ頭会社、港湾事業者が三位一体となってさまざまな課題を乗り越え、利用者サービスの向上に努めてまいりました。
 今後とも、多様化する利用者ニーズに適時的確に対応するためにも、これら、東京都、ふ頭会社、港湾事業者の三者が、これまで以上に一致団結することが重要であるというふうに考えております。
 東京都は、国際戦略港湾の一員として、コンテナふ頭の再編整備や道路ネットワークの充実など港湾機能強化を図りまして、現場とともに質の高い港湾経営を実現することによりまして、京浜港全体の発展にも寄与していきたいと、このように考えております。

○木内委員 さっき武市局長のお立場についても触れましたけれども、あえて私は、きょう、深い感慨とともに質疑に立っているもんですから、ご尽力をされた浜総務部長、それから古谷港湾経営部長、さらに藏居港湾経営改革担当部長を初め、携わった職員の皆様のご努力に心から重ねて敬意を表させていただきます。
 今回の合意を起点として、東京港は、みずから利用者をふやす努力というものが一層求められ、まさにこれからが正念場だと思います。さらなる東京港の発展に向け、懸命にご努力を尽くされるよう強く要望して、私の質疑を終わります。

○島崎委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○島崎委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で港湾局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時二十二分散会

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