委員長 | 島崎 義司君 |
副委員長 | 小林 健二君 |
副委員長 | 清水 孝治君 |
理事 | あさの克彦君 |
理事 | 田中たけし君 |
理事 | かち佳代子君 |
松田やすまさ君 | |
尾崎あや子君 | |
大松あきら君 | |
木内 良明君 | |
三宅 正彦君 | |
田島 和明君 | |
石毛しげる君 | |
三宅 茂樹君 |
欠席委員 なし
出席説明員産業労働局 | 局長 | 山本 隆君 |
次長 | 土渕 裕君 | |
総務部長 | 村松 明典君 | |
産業企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 青山 忠幸君 | |
商工部長 | 松永 竜太君 | |
金融部長 | 山巻 毅君 | |
金融監理部長 | 野間 達也君 | |
金融支援担当部長 | 西川 泰永君 | |
観光部長 | 坂本 雅彦君 | |
観光振興担当部長 | 浦崎 秀行君 | |
農林水産部長 | 寺崎 久明君 | |
安全安心・地産地消推進担当部長 | 武田 直克君 | |
雇用就業部長 | 矢田部裕文君 | |
事業推進担当部長 | 小金井 毅君 | |
就業施策担当部長 | 貫井 彩霧君 | |
港湾局 | 局長 | 武市 敬君 |
技監 | 石山 明久君 | |
総務部長 | 浜 佳葉子君 | |
企画担当部長オリンピック・ パラリンピック調整担当部長兼務 | 中村 昌明君 | |
調整担当部長 | 矢部 信栄君 | |
港湾経営部長 | 古谷ひろみ君 | |
港湾経営改革担当部長 | 藏居 淳君 | |
臨海開発部長 | 山口 祐一君 | |
開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務 | 原 浩君 | |
営業担当部長 | 有金 浩一君 | |
港湾整備部長 | 小野 恭一君 | |
計画調整担当部長 | 角 浩美君 | |
離島港湾部長 | 小林 英樹君 | |
島しょ・小笠原空港整備担当部長 | 神山 智行君 |
本日の会議に付した事件
港湾局関係
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・平成二十七年度新砂水門(再整備)建設工事(その二)請負契約
・晴海客船ターミナル外四施設の指定管理者の指定について
・竹芝客船ターミナルの指定管理者の指定について
・竹芝ふ頭船舶給水施設外六施設の指定管理者の指定について
・東京都立東京港野鳥公園の指定管理者の指定について
・東京都立辰巳の森海浜公園外六公園の指定管理者の指定について
・東京都立大井ふ頭中央海浜公園外十四公園の指定管理者の指定について
・東京都立お台場海浜公園外十公園の指定管理者の指定について
・東京都立葛西海浜公園の指定管理者の指定について
・二見漁港岸壁外九施設の指定管理者の指定について
・東京都八丈島空港の指定管理者の指定について
報告事項(説明)
・平成二十七年度のぞみ橋耐震補強工事
・「国際コンテナ戦略港湾政策」にかかる取組について
産業労働局関係
事務事業について(質疑)
第四回定例会提出予定案件について(説明)
・東京都立職業能力開発センター条例の一部を改正する条例
・東京国際展示場(二十七)地盤改良工事請負契約
・東京都立産業貿易センター台東館の指定管理者の指定について
・東京都立食品技術センターの指定管理者の指定について
・東京都しごとセンターの指定管理者の指定について
・地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター中期目標について
報告事項(説明)
・新銀行東京の「平成二十八年三月期中間決算」について
○島崎委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
初めに、本委員会の会期中の委員会日程について申し上げます。
お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、産業労働局関係の事務事業に対する質疑並びに港湾局及び産業労働局関係の第四回定例会に提出を予定されております案件の説明聴取並びに港湾局及び産業労働局関係の報告事項の聴取を行います。
なお、本日は事務事業については、資料の説明を聴取した後、質疑を終了まで、提出予定案件及び報告事項については、説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は会期中の委員会で行いますので、ご了承願います。
これより港湾局関係に入ります。
初めに、第四回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。
○武市港湾局長 平成二十七年第四回東京都議会定例会に提出を予定しております当局所管の案件につきましてご説明申し上げます。
今回提出を予定しております案件は、工事請負契約議案一件、事件案十件でございます。
まず、工事請負契約議案の概要につきましてご説明申し上げます。
お手元の資料1をごらん願います。これは、東京湾沿岸海岸保全基本計画に基づき、地震、津波、高潮対策を目的として新砂水門の再整備を行うものでございます。
次に、事件案の概要につきましてご説明申し上げます。
お手元の資料2、平成二十七年第四回東京都議会定例会事件案をごらん願います。
表紙をおめくりいただきまして、目次に記載しておりますとおり、晴海客船ターミナル外四施設の指定管理者の指定についてなど、十件でございます。
以上で第四回定例会提出予定議案の概要説明を終わらせていただきます。
詳細につきましては、総務部長からご説明申し上げます。よろしくご審議賜りますようお願い申し上げます。
○浜総務部長 ただいまの局長の概要説明に続きまして、本定例会に提出を予定しております案件につきましてご説明申し上げます。
お手元の資料1をごらん願います。件名は、平成二十七年度新砂水門(再整備)建設工事(その二)でございます。
本件は、昭和五十一年に設置した新砂水門について、想定される最大級の地震に対する耐震性を確保するため、新たな水門を整備するものでございます。
そのうち本工事は、施行区域を締め切ることにより、水の浸入を遮断するものでございます。
工事場所は東京都江東区新砂三丁目地先から同区夢の島三丁目地先まで、契約の相手方は北野・CRS建設共同企業体、契約金額は十八億三千三百八十四万円、工期は平成二十八年八月五日でございます。
契約の方法、入札回数、入札者数等はごらんのとおりでございます。
二ページに案内図を、三ページに図面を掲載してございますので、ごらん願いたいと存じます。
続きまして、事件案につきましてご説明を申し上げます。
恐れ入りますが、お手元の資料3、事件案の概要をごらんいただきたいと存じます。港湾局所管施設の指定管理者の指定についてご説明申し上げます。
まず、1、対象施設及び選定方法でございますが、対象施設は、晴海客船ターミナル外四施設を初め、記載のとおりでございます。
選定方法につきましては、東京都立東京港野鳥公園が公募、その他の施設は特命となっております。
次に、2、指定管理者候補者の選定経過等でございますが、選定に際しまして選定委員会を設置いたしました。本委員会は、外部委員三名、内部委員二名で構成されてございます。
具体的な選定の経過でございますが、公募施設につきましては、募集要項を策定した上で公募を実施いたしました。
また、審査に当たりましては、公募施設、特命施設ともに、応募団体及び審査対象団体の事業計画等につきまして、選定委員会による審査を実施いたしました。
主な選定基準でございますが、公募施設、特命施設ともに、従事者の知識及び経験、経営基盤の安定性、管理運営の効率性、関係法令及び条例の遵守、管理業務の実績を基準に候補者を選定したところでございます。
以上の手続を経まして、今月二十五日に指定管理者候補者を公表いたしました。
本件指定管理者の指定につきましては、地方自治法第二百四十四条の二第六項の規定に基づき、本定例会に付議するものでございます。
恐れ入りますが、一枚おめくり願います。二ページから四ページは指定管理者候補者選定概況でございます。
対象施設ごとに施設の概要、選定方法、応募団体数、指定管理者候補者団体名称、指定の期間、主な選定理由等及び選定委員会開催状況を記載してございます。
また、五ページは客船ターミナル及び船舶給水施設の位置図を、六ページは海上公園のグループ及び全体位置図を、七ページは二見漁港の位置図を、八ページは八丈島空港の位置図をお示ししてございます。
以上、簡単ではございますが、平成二十七年第四回都議会定例会に提出を予定しております港湾局関係の案件のご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議賜りますようお願い申し上げます。
○島崎委員長 説明は終わりました。
この際、資料要求のある方は発言を願います。
○かち委員 一点だけお願いします。
都立海浜公園の指定管理状況と契約金額の推移についてお願いします。
○島崎委員長 ただいま、かち理事より資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○島崎委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出を願います。
○島崎委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
○浜総務部長 工事請負契約についてご報告申し上げます。
お手元の資料4をごらん願いたいと存じます。件名は、平成二十七年度のぞみ橋耐震補強工事でございます。
本件は、東京都震災対策事業計画に基づき、第三次緊急輸送道路としての機能を保全するため、最新の基準により、港区台場一丁目と江東区有明二丁目を結ぶのぞみ橋の耐震補強工事を行うものでございます。
工事場所は東京都港区台場一丁目地先、契約の相手方はあおみ・児玉建設共同企業体、契約金額は九億八千六十四万円、工期は平成二十九年三月十日でございます。
契約の方法、入札回数、入札者数等はごらんのとおりでございます。
二ページに案内図を、三、四ページに図面を掲載してございますので、ごらん願いたいと存じます。
以上で簡単ではございますが、工事請負契約につきましてのご報告を終わらせていただきます。
○藏居港湾経営改革担当部長 国際コンテナ戦略港湾政策に係る取り組みにつきましてご報告申し上げます。
お手元の資料5の「国際コンテナ戦略港湾政策」にかかる取組についてをごらんいただきたいと存じます。
東京港は、川崎港、横浜港とともに京浜港として、平成二十二年八月に、国から国際戦略港湾に選定され、選択と集中の理念のもとで、国際競争力強化を目指す国際コンテナ戦略港湾政策に取り組んでまいりました。
あわせて、三港と国は、各港のふ頭会社を経営統合する港湾運営会社の設立について、協議を重ねてまいりました。
このたび、京浜港を取り巻く環境の変化を踏まえ、国際コンテナ戦略港湾政策を一歩前進させるために、川崎港、横浜港の二港が先行して、港湾運営会社を設立することになりました。
東京港は、現時点では当該港湾運営会社に参画せず、東京港におけるコンテナターミナルなどの実質的な管理運営は、引き続き、東京港埠頭株式会社が行ってまいります。
東京港は、今後とも、国際戦略港湾の一員として、三港の連携を図りながら、京浜港の機能強化に努め、国際競争力強化に向けて取り組んでまいります。
今後のスケジュールでございますが、平成二十八年二月下旬には、国は、港湾法に基づきまして、川崎港、横浜港を運営する会社を港湾運営会社に指定する見込みであります。
東京港埠頭株式会社は、港湾運営会社が設立されるまでの暫定措置として、平成二十六年一月に特例港湾運営会社に指定されておりましたが、横浜港等による統合会社が港湾運営会社に指定された時点で、東京港埠頭が受けていた特例港湾運営会社の指定は失効いたします。
東京港埠頭は、東京港におけるコンテナターミナル等の実質的な運営を行う立場は変わりなく、東京都は同社と一体となって、主体的に東京港の運営を行ってまいります。
以上でご報告を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。
○島崎委員長 報告は終わりました。
この際、資料要求のある方は発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○島崎委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
以上で港湾局関係を終わります。
○島崎委員長 これより産業労働局関係に入ります。
初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員の交代等がありましたので、産業労働局長から紹介があります。
○山本産業労働局長 先般の人事異動によりまして、当局幹部職員に交代がございましたので、ご紹介をさせていただきます。
観光振興担当部長の浦崎秀行でございます。
また、産業企画担当部長の青山忠幸が新たにオリンピック・パラリンピック調整担当部長を兼務いたしましたので、あわせてご紹介をさせていただきます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
〔理事者挨拶〕
○島崎委員長 紹介は終わりました。
○島崎委員長 次に、事務事業に対する質疑を行います。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○村松総務部長 去る十月十三日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元の経済・港湾委員会要求資料の表紙をおめくりください。
目次でございます。資料は全部で十項目ございます。
一ページをお開きください。商店街助成事業につきまして、平成二十五年度以降の実績をお示ししてございます。
二ページをごらんください。特定施策推進型商店街事業につきまして、平成二十三年度以降の申請状況を内容別にお示ししてございます。
続きまして、三ページから四ページにかけまして、中小企業制度融資につきまして、過去十年間の目標と実績の推移をお示ししてございます。
恐れ入りますが、五ページをお開きください。都内製造業の事業所数、従業者数、製造品出荷額及び付加価値額につきまして、直近の平成二十三年までの推移をお示ししてございます。
続きまして、六ページをごらんください。都立職業能力開発センターにつきまして、過去五年間のデータをお示ししてございます。六ページが応募状況、また、次のページをお開きいただきまして、七ページが職業紹介の実績及び就職率でございます。
八ページをごらんください。委託訓練につきまして、過去三年間の科目委託先の定員、応募状況、就職率をお示ししてございます。
九ページをお開きください。雇用形態別、男女別、年齢別都内就業者数につきまして、直近の平成二十四年までの推移をお示ししてございます。
一〇ページをごらんください。東京都正規雇用転換促進助成金につきまして、平成二十七年十月末現在の実績をお示ししてございます。
一一ページをお開きください。農地面積及び農業生産額につきまして、過去十年間の推移をお示ししてございます。
一二ページをごらんください。内水面漁業の従業者数、主な魚種別漁獲量、養殖量につきまして、直近の平成二十五年までの推移をお示ししてございます。
以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
○島崎委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○田中委員 産業労働局の事務事業について質問を行いますが、産業労働局の所管する事務事業は一言で、広く大きくいえば経済に対するさまざまな事業であります。
その経済は生き物であり、さまざまな国内外の社会情勢の変化によって大きく変わってまいります。産業労働局としては、その変化を確実に捉え、その変化に的確に対応しなくてはならないと認識をしております。
このような中、このたび、十月五日にTPP、環太平洋パートナーシップ協定がTPP閣僚会合で大筋合意され、二十五日には総合的なTPP関連政策大綱が発表されました。
このTPPは、二〇〇五年にシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの四カ国で調印され、二〇一一年には九カ国に拡大し、我が国も二〇一三年に交渉に参加し、このたび十二カ国により大筋合意が得られたところであります。
足かけ五年余りの時間を経て妥協に至りましたが、関税を原則撤廃し、その他の貿易上のルールも自由化、共通化を推し進めようという大変意欲的な内容で、各国の議会の同意や批准等の手続の後、早ければ来年にも適用が始まるということであります。
今後、経済のグローバル化が進み、経済環境が大きく変化してまいりますが、その変化を的確に捉え、その変化にしっかりと対応した事務事業を行っていかなくてはならないと思っております。
TPPの内容を分析し、国の施策とも連動させながら、都としてなすべきことにしっかりと取り組んでいただきたい、世界や日本全体を視野に入れた取り組みを進めていただきたい、本日は、こうした思いから、TPPを一つの切り口としながら、産業労働局の事務事業について伺ってまいります。
まず、総論として、TPPの大筋合意の意義についてであります。
報道によれば、消費者の生活に広く恩恵が及ぶ、日本企業の世界展開に弾みがつくなどといった歓迎する意見が多く見られる一方で、自由化により海外からの輸入品がふえることによる一抹の不安を抱える事業者の方もいるのではないかと思っております。
まず、確認の意味で、今回のTPPの大筋合意の意義とその概要についてお伺いをいたします。
○青山産業企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 TPPは、環太平洋地域の十二カ国が参加する自由貿易協定であり、参加国が相互に関税を撤廃するほか、サービスや投資の自由化を進め、さらには知的財産や環境の規律など幅広い分野で共通ルールを構築するものでございます。
今回の大筋合意が実現すれば、域内人口八億人、世界のGDPの四割を占める広大な経済圏が誕生することになります。
日本への輸入品の関税は、品目ベースで、工業製品については一〇〇%、農産品については八一%が撤廃されます。
一方、日本からの輸出品の関税は、品目ベースで、工業製品については九九・九%、農産品については九八・五%が撤廃されます。
○田中委員 輸入、輸出相互に関税を撤廃することにより広大な市場が誕生いたしますが、これからは、日本の国内だけではなく、世界に販路拡大を図る必要があります。
日本の企業が持つ先進技術や日本で生産される質の高い農産品を海外の市場でも受け入れてもらうため、積極的に国内産業を活性化させ、競争力を強化していくことが重要だと認識をしております。
国は、今月二十五日に、こうしたTPPへの対応策をまとめた総合的なTPP関連政策大綱を公表いたしましたが、都としても、都内の中小企業や農林水産関連の事業者に対し、その成長をさらに後押ししていく取り組みを進めるべきと考えます。
今回のTPPの大筋合意や国の動きを踏まえた都の取り組みの方向性についてお伺いをいたします。
○青山産業企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 国は、このたび公表した総合的なTPP関連政策大綱において、中小企業等の新市場開拓を支援する体制づくりや、農林水産業の体質強化策などを提示しております。
TPPの効果や影響は産業ごとに異なるため、都もこうした国の動きと連動しながら、都内の商工業や農林水産業の産業力強化にきめ細かく取り組んでまいります。
中小企業支援では、海外販路開拓に対する支援や付加価値の高い製品開発など、市場のグローバル化への対応や国際競争力の強化を促す取り組みを実施してまいります。
また、農林水産業振興では、関税率や撤廃年次などの状況が品目ごとに異なるものの、長期的には影響が懸念されるため、引き続き、経営基盤強化の取り組みとともに、ブランド化や地産地消などの取り組みを推進してまいります。
○田中委員 ただいま、TPPを踏まえた対策の方向性についてご答弁をいただきました。
確かに、TPPの効果や影響は産業ごとにかなり異なるものと考えられます。それぞれの業界の声に耳を傾け、実情を踏まえたきめ細かな対策を打っていただきたいと存じます。それが現場を持つ東京都の強みであり責務だと思いますので、何とぞよろしくお願いいたします。
そして、今のご答弁の中で、海外販路開拓が中小企業支援の柱の一つと示されました。
TPP参加国内では、関税がほぼなくなり、付加価値の高い製品を海外市場へと売り出していけるようになることが期待できます。この政策大綱においても、TPPによる各種手続の簡素化、標準化、投資ルールの明確化、知的財産の保護等により、安心して海外展開することが可能となり、TPP各国との貿易や投資が活発化することが期待されております。
特に、これまでさまざまなリスクを懸念し海外展開に踏み切れなかった地方の中堅、中小企業にとって、オープンな世界へ果敢に踏み出す大きなチャンスをもたらすとして、中小企業の海外展開が期待されております。
都は、これまでも中小企業の海外販路開拓をさまざまな形で支援していますが、より多くの中小企業が海外に打って出ることができるよう、これまで以上の支援が求められます。
これまでの取り組みと今後の施策の充実に向けた課題についてお伺いをいたします。
○松永商工部長 都はこれまで、海外販路開拓支援事業において、海外展開の事例などを紹介するセミナーの開催や、海外販路ナビゲーターによるハンズオン支援などにより、中小企業の海外市場への参入から本格的な販路拡大まで総合的に支援してまいりました。
今年度からは、海外の展示会における商談を効果的に成約に結びつけていくため、海外販路ナビゲーターが事前に現地企業を訪問して商品を説明するとともに、相手先企業の反応やニーズを展示会出展企業にフィードバックする取り組みを開始いたしました。
さらに、来月にはタイのバンコクに中小企業振興公社の支援拠点を開設し、現地企業との商談会の開催などに積極的に取り組んでまいります。本年四月に設置した都立産業技術研究センターのバンコク支所とともに、経営、技術両面から中小企業の現地での活動をサポートしてまいります。
今後は、TPPを契機に多くの中小企業が海外市場に参入できるよう、商談機会の充実や、海外展開の意向はあるものの、ノウハウを持たない企業への一層きめ細かな支援が必要であると認識しております。
○田中委員 ただいまご答弁いただきましたように、総合的なさまざまな支援策を講じていただいた中で、さらに中小企業振興公社のタイの現地拠点が年内に開設されるということであります。
タイはTPP参加十二カ国には含まれておりませんが、参加に意欲的だとも伝えられております。アジア市場の入り口として多くの日本企業が進出しているタイに中小企業振興公社と産業技術研究センターの拠点が設置されることにより、大きな効果が発揮されることを期待しております。
また、TPPにより海外進出を目指す企業に対し、販路開拓支援等を含めた総合的な支援を提供するとしております。タイ以外の国々に対しても、中小企業の海外進出に向けたサポート体制が構築されることを期待しております。
また、TPPでは、サービス、投資等の分野でも、知的財産、電子商取引等々、幅広い分野で二十一世紀型のルールが構築され、新たなアイデアや技術がしっかり保護されることとなり、そのような視点からも中小企業は海外展開しやすくなります。
そのため、海外販路の開拓に加え、革新的な技術の開発、新たな成長産業の創出を進めていくことが必要であります。そのためには、新しいアイデアを持つ新たな事業の担い手を生み出す起業、創業の創出が不可欠であると考えます。
我が国の開業率は諸外国に比べ低い状況にありますが、起業しない理由の四割が自己資本の不足、一割が場所等の確保に苦慮しているという調査結果もあります。
都では、開業率一〇%台という野心的な目標達成に向けて、今年度より、創業を力強く後押しするため、優良な運営計画を有する創業支援施設の整備に対する支援や、創業者のすぐれた事業計画の実現のための支援を開始しています。
そこで、この事業の実績と取り組み状況についてお伺いいたします。
○松永商工部長 今年度、百億円の基金を造成して開始いたしました創業活性化特別支援事業は、創業支援施設の運営計画を都が認定して、認定施設の整備改修費及びその後二年間の運営費の助成を行い、優良な創業支援施設の整備促進を図るものでございます。今年度は、民間事業者十一件、区市五件について運営計画を認定いたしました。
今後は、認定施設の紹介や事業者間の交流を図り、施設運営のレベルアップ等を支援してまいります。
また、この事業では、創業のモデルケースを創出するため、すぐれたビジネスプランを有する創業予定者等に対し、事務所経費、広告費等の助成を行います。今年度の第一回募集では二百十七件の申請を受け付け、このうち、デザイナーと小売事業者とのマッチングにより、販路開拓支援を行う事業など五十五件を採択いたしました。
今後、成功事例をホームページ等を活用して積極的に発信してまいります。
こうした取り組みにより、創業環境の整備促進と創業機運のさらなる向上を図り、都内産業の活性化につなげてまいります。
○田中委員 今ご説明いただいたこの事業は、私ども都議会自由民主党の強力な後押しにより実現したものと認識をしております。百億円の資金を有効に活用し、新しい事業に挑戦する方をしっかりと支援していただきたいと思っております。
また、優秀な事例の紹介を効果的に行い、起業、創業が魅力的な生き方であることをPRしていただくよう要望いたします。
次に、海外販路開拓や新たな事業の創出など、中小企業の事業活動を支える上で欠かせない金融支援に関してお伺いをいたします。
都は、中小企業の資金繰りを支えるため、企業の信用力を補完する制度融資の仕組みを整え、中小企業のさまざまな資金ニーズに応える多くの融資メニューを用意し、保証料の補助など、手厚い支援を行っています。
平成二十七年度は、創業や事業承継等、企業のライフステージに着目した制度の充実を図ったと伺っております。
今後も引き続き、事業活動に必要な資金調達をしっかりと支えるとともに、海外での販路開拓に着目した支援など、新たな事業展開を後押しする取り組みの充実を図っていくことが重要だと考えておりますが、都の制度融資の取り組みについてお伺いをいたします。
○山巻金融部長 都はこれまで、制度融資メニューの充実によりまして、業況が厳しい企業の経営の安定化と、新たな事業展開に向けた前向きな資金の提供の両面から支援を実施してまいりました。
平成二十七年度は、創業融資におきまして、商工団体等から経営支援を受けた場合に金利を優遇する特例制度を設けますとともに、事業承継期の経営安定化などに活用できる事業承継融資を新設いたしました。さらに、これらのメニューでは、新たに信用保証料の二分の一を補助することといたしております。
こうした融資メニューの拡充の効果もございまして、平成二十七年度上半期の制度融資全体の利用実績は約四万件、五千七百十九億円と、創業などの前向きな資金を中心に前年同期を上回りまして、堅調に推移しております。
今後とも、TPPの発効を見据えた海外展開への支援など、中小企業の資金ニーズに的確に応えた制度の充実を図ってまいります。
○田中委員 国においては、金融機関からの積極的な支援を引き出すため、制度融資の根幹ともいえる信用補完制度の見直しの議論も出ております。
見直しに当たっては、中小企業の資金繰りに影響を与えないことは当然のことでありますが、地域金融機関がこれまで培ったノウハウを生かし、経営改善や生産性向上に向けた支援を行うことも重要であります。
こうした国の動きを踏まえつつ、都としても金融機関と連携をさらに深め、金融支援の充実を図るようお願いをしておきます。
次に、TPPの大筋合意で大きな課題といわれているのが農林水産業であります。
先ほどの答弁にもありましたが、関税のほとんどが撤廃される中、米や牛肉などの重要五品目を中心に輸入関税を残すことになり、農産品の輸入関税の撤廃率は約八一%と、相対的に低くなっております。農業への影響を最小限に抑えようという交渉努力のたまものだと私は考えますが、それでも影響は出てくるものと思われます。
地産地消が中心である都市農業は、大規模農家が多い地方とはまた異なる状況もあるでしょうが、安い輸入品の増加による農家への影響も見据えながら、しっかりとした対策が必要だと考えます。
そこで、輸入農産物に対する競争力を高め、安定した農業経営を行うためには、施設整備や高付加価値化、ブランド化を進め、農業経営力の強化に取り組む必要があると考えますが、都の取り組みについてお伺いをいたします。
○寺崎農林水産部長 東京の農業は、身近な消費者のニーズを捉え、新鮮で安全・安心な農産物を生産し、多くの農業者はみずからが価格を設定して直売所などで販売しておりますが、TPPの大筋合意により、海外から安価な農産物が大量に輸入された場合など、長期的には農産物価格の下落などの影響も懸念されます。
そのため、理事ご指摘のとおり、今後は、農産物の高付加価値化やブランド化に取り組み、農業経営力の強化を図っていくことが重要でございます。
都はこれまで、限られた農地で収益力の高い農業を実現するため、ハード面では、都市農業経営パワーアップ事業により、品質の高い農産物を効率的に生産できるパイプハウスなどの施設について、五年間で五百七十四棟の整備を支援してまいりました。
また、ソフト面では、ブランド化を推進するため、商品開発や宣伝広告等のアドバイスを行う専門家派遣を行うとともに、出荷箱やのぼり旗、ホームページの制作などについても支援を行ってまいりました。
今後はさらに、担い手の確保策として、新規就農希望者に対する新たな技術研修の機会の提供や、ブランド化の一層の推進に向けた専門家派遣の充実など、農業経営力の強化に向けた多面的な支援の拡充を検討してまいります。
○田中委員 二〇一九年のラグビーワールドカップ、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの開催を控え、海外からの観光客が増加することが予想されるため、より一層の都内産農産物の安定供給ができるように、農家の経営力の強化に取り組んでいただくようお願いをいたします。
TPP合意により、中小企業の海外展開、農林水産業の付加価値化、ブランド化等々の対応が求められますが、全ての分野で事業を支えるのが人であり、こうしたさまざまな産業活動が活発に行われるよう、産業労働局では雇用就業対策にも力を入れるべきと考えます。
そこで、雇用就業対策に関連して、非正規雇用対策について伺います。
都は、今年度から非正規雇用対策を開始し、年間五千人、三年間で一万五千人の正規雇用化を目指し、社内で正社員化に取り組む企業を支援する助成金など、さまざまなメニューを用意し、取り組みを進めています。
社内のパートやアルバイト、派遣社員などを積極的に正社員として登用することにより、必要な労働力を確保しようとする企業もふえていますが、非正規で働く方を安定した正社員として雇い入れ、その人の持つ能力を十分発揮できるようにすることは、企業にとっても、働く本人にとっても大きなメリットがあります。
そこで、今年度の非正規雇用対策の事業の実施状況についてお伺いをいたします。
○矢田部雇用就業部長 都では、今年度から非正規雇用対策に重点的に取り組み、若者応援宣言企業採用奨励金など正社員としての就職を支援する事業と、正規雇用転換を促進する助成金により社内での正社員化を支援する事業を合わせて、年間五千人の正社員化を目指しております。
景気が回復傾向にあり、人材不足が顕著となる中、公的支援を経ずに就職する求職者が多くなる一方、人材確保のため、パート、アルバイトなどを社内で正社員とする企業がふえています。
こうした状況を受け、企業への助成金事業の十月末時点の実績は、若者応援宣言企業採用奨励金の決定人数が六十九人となる一方で、正規雇用転換促進助成金は六百四十一人の支給決定を行い、申請も既に二千八百五十八人に上っていることから、これから順調に実績が積み上がっていくものと考えています。
今後とも、正規雇用化に向けた取り組みを確実に実施してまいります。
○田中委員 非正規雇用対策の実績が積み上がるのはまだこれからだと思いますが、正社員化がより一層進展するよう、引き続き積極的に取り組んでいただきたいと改めて要望をさせていただきます。
ここまで、TPPを見据えた各種の産業政策について伺ってまいりました。グローバル社会の中で東京の産業振興を考える上で、もう一点重要なのが、海外からの旅行者を呼び込む観光の振興であります。
そのためにも、この東京を観光都市として世界的にきちんと認めてもらうこと、観光にふさわしい旅行先としてのブランドを速やかに確立するための取り組みに十分に力を入れることが必要であります。
こうした中、都は十月に、東京ブランドの定着に向け、&TOKYOというロゴを公表し、観光PRを効果的に展開するためのさまざまな取り組みを始めています。
東京ブランドを海外に向けて発信して旅行者の誘致を着実に進めるに当たり、まずは足元をしっかりと固める、都民や都内の会社にロゴやその意味を正確に理解してもらう必要があります。そのためには、都庁だけでブランドを広めるキャンペーンを進めるのではなく、東京の多くの会社などにも協力をしてもらって、取り組みの輪をしっかりとつくり上げていく努力が必要であります。
東京ブランドの推進に向け、都は今年度、どのような取り組みを進めているのかお伺いをいたします。
○坂本観光部長 東京の観光地としてのブランドの確立に向け、国内では、十月のロゴ、キャッチコピーの公表にあわせ、ロゴに言葉などを組み合わせた活用例を都民などを対象に広く募り、東京ブランドの推進に向けた関心を高める取り組みを行っております。
また、ロゴの活用を希望する企業などの受け付けも開始し、具体的に民間でロゴを使った各種のPR活動がふえるよう後押しを行っております。
さらに、十月の味わいフェスタなど、局の関連事業でのPR活動や東京国際映画祭におけるイメージ映像の放映に加え、十月の末には、ハロウィンイベントに合わせて、東京ブランドのPRとともに、清潔で快適なまちづくりを働きかけることで、社会的関心を高め、大きな宣伝効果を上げることができたものと考えております。
今後は、公共交通機関や都の施設などの協力を確保するとともに、民間企業とも連携して、より効果的なPRを展開することを予定しております。
○田中委員 ぜひ引き続きお願いをしたいと存じますが、観光地としてのブランドイメージは、息の長い取り組みの中で確立されていくものと考えます。今回の&TOKYOというロゴ、キャッチコピーについても、ターゲットを明確にした効果的なPRを継続的に行っていく必要があります。
また、実際にブランドがどの程度まで好意的に受けとめられているのかをきちんと評価し、次の展開に結びつけることも必要であります。
海外はもとより、国内においても東京ブランドのさまざまな事業や施策の成果について正確に検証を行うべきと思いますが、都の取り組みについてお伺いいたします。
○坂本観光部長 東京ブランドの浸透を国内外で効果的に図るため、今回のキャンペーンなどの成果を正確に把握して、次の発信のあり方に適切に反映することが重要でございます。
このため、都が観光客誘致の対象とする世界の二十一都市、こちらを対象に、東京ブランドの理解度や印象に加え、PRの前後での東京に対するイメージの変化などを調査することを予定しているところでございます。
国内におきましても、都民のブランドに対する理解などの状況をアンケートにより調査を行うこととしております。
調査の結果は、年度内に取りまとめ、二十八年度の事業実施に生かすとともに、将来の施策の企画立案にも反映いたします。また、その際は、調査内容の見直しも行い、それを用いて定期的に事業成果の検証を行い、東京ブランドの施策の展開の効果を高めてまいります。
こうした取り組みによりまして、東京ブランドの事業内容の向上を確実に進めてまいります。
○田中委員 ぜひともお願いをしたいと思います。
最後に、世界を見据えると同時に、東京は、日本全国との連携も意識していかなければならないと考えます。
二〇一九年のラグビーワールドカップ、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック大会の開催を控える中、その恩恵、とりわけ経済効果を日本の津々浦々に行き渡らせるためには、日本各地の魅力を最大限に発揮させるとともに、東京が各地域と手を携え、オールジャパンの視点から産業振興策に取り組んでいく必要があると考えます。
さきの定例会において、我が党がこうした施策を強力に展開すべきと質問したことを受け、都は先日、日本各地と連携した産業振興施策をALL JAPAN&TOKYOプロジェクトとして公表いたしました。
連携の効果を各地に波及させ、日本全体の経済活性化につなげていくことが重要であり、観光振興や中小企業支援などの分野で取りまとめた施策が絵に描いた餅とならないように、速やかに一つ一つを実行に移していかなければなりません。
すぐにでも実施可能なもの、今後検討が必要なものなど状況はさまざまだと思いますが、まずは今年度、これから取り組んでいくのはどのようなものがあるのか、具体的な事例についてお伺いをいたします。
○青山産業企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 日本各地と連携して産業振興を展開するに当たり、観光振興の分野では、都内にある日本各地の自治体のアンテナショップの認知度を高め、その利用を促進するキャンペーンを今年度中に実施いたします。PRサイトの開設に加え、交通広告やオンライン広告を活用し、積極的にPRしてまいります。
また、来年一月に東京ドームで開催される、ふるさと祭り東京二〇一六において、都が特設ブースを出展し、東京も含めた各地の観光資源の情報を発信いたします。
中小企業振興の分野では、受注機会の拡大を後押しするため、全国の中小企業に発注情報を提供するポータルサイトを構築いたします。
関係機関が一体となって取り組みを推進していく機運を醸成するキックオフイベントを来年二月に開催いたします。
今後も、各地の協力を得ながら新たな取り組みの検討を進め、東京と各地の経済活性化に向けた取り組みを積極的に推進してまいります。
○田中委員 東京一極集中の是正が殊さらに強調され、東京対地方というゆがめられた議論が、特に税制を初め、されている中、東京と日本各地が共存共栄の取り組みを進めていくことが真の地方創生の実現につながっていくことを示さなければなりません。
こうした点からも、各地とのさまざまな連携をしっかりと進めていただきたいと思います。
これまで、TPP交渉の大筋合意という世界経済の大きな流れにも触れながら、都内中小企業の振興策や農業の経営強化策に加え、雇用対策や観光振興策など、産業政策について幅広く伺ってまいりました。
国は、TPPをアベノミクスの成長戦略の切り札として位置づけ、我が国の経済再生や地方創生につなげていく方針を明確にしておりますが、都も、国のこうした考えと軌を一にしながら、東京の経済を飛躍に導くことが求められます。
あわせて、五年後のオリンピック・パラリンピック、四年後のラグビーワールドカップ大会を見据え、日本を代表する開催都市として、日本の津々浦々の魅力を余すことなく世界に発信する重責も果たしていかなければなりません。
日本全体、そして世界を視野に入れ、長期的な視点も持って着実に手を打っていくことで、東京の産業をさらに力強いものにしていくことができると私は考えます。
そこで最後に、都はこうした国内外のさまざまな情勢をどのように受けとめ、施策を展開していくのか、局長のご決意を伺って私の質問を終わります。
○山本産業労働局長 日本経済を取り巻く環境は目まぐるしく変化を遂げておりまして、このたびのTPPの大筋合意もその一つであると考えております。
TPPによりまして、世界のGDPの四割を占める巨大な市場が生み出されることとなります。東京の中小企業や農林水産業の振興を担う産業労働局といたしましては、このことから生み出されるメリットを最大限生かすという視点に立つことが重要であると認識をしております。
このため、中小企業の海外展開を後押しする施策や農林水産業の経営基盤強化を図る施策など、中長期的な視点も含めつつ、国の対策とも歩調を合わせながら、支援策を適切に講じてまいります。
また、こうした経済のグローバル化が進む中で、東京における経済活動の活性化のために必要な雇用就業面の対策も進めていかなければならないと考えております。
これらに加えまして、二〇二〇年に向けて世界への市場の広がりを視野に入れ、外国人旅行者の誘致や観光消費の拡大など、観光産業のさらなる発展を図ってまいります。
こうしたさまざまな施策の実施に当たりましては、二〇二〇年大会の開催都市である東京が多様な魅力や強みを持つ日本の各地域と連携し、オールジャパンの力を結集させることにより、高い効果が得られるよう最大限の努力をしてまいります。
今後とも、理事ご指摘のとおり、日本全体や世界を常に見据えるなど、東京を取り巻くさまざまな環境に目を配りながら、東京、ひいては日本の経済発展にもつながる産業振興施策を着実に実行してまいります。
○木内委員 木育活動ということで、まずお尋ねしていきます。
長い間にわたって木の文化を育んできた日本では、世界最古の木造建築物である法隆寺を初め、家具、調度品から日用品に至るまで、生活のあらゆる場面で木が使われ、生活の利便性に貢献をしてきました。
木を使うということは、伐採、利用、植栽、保育という森林の循環を進めることにもなり、地域林業の活性化や森林整備にもつながっていきます。
木材は再生可能な資源であり、製造過程での二酸化炭素排出が少ない上に、やわらかく、ぬくもりがあり、部屋の湿度を調整する機能を持つなど、コンクリートや化学製品に比べ人に優しい素材であります。
また一方、私がことしの第一回定例会の本委員会でも主張をし、また提案、質疑もいたしましたけれども、子供のころから木に触れることで、健康面や情緒面において、その発育によい影響を与えるともいわれています。
現在は日本各地で、木との触れ合いなど、子供を対象とした、いわゆる木育活動が行われておりまして、東京においても、子供たちの木に接する機会が少なくなっている中で、私は木育活動というものをさらに推進、促進すべきだと考えるわけであります。
これまでたびたびにわたって、この委員会で私が主張してまいりました木育活動についての成果と経過、そして、その内容について、まずご報告を願いたいと思います。
○寺崎農林水産部長 都は、木を学ぶ、木でつくる、木と触れ合うという三つの観点から、今年度、新たに木育活動を展開しております。
木を学ぶ活動では、親子を対象に、林業の現場をバスでめぐる木育体験ツアーを二回開催し、五十四名が参加いたしました。
参加者からは、木の伐採現場や製材の様子を見ることができ、山の木が自分たちの生活に届くまでの一連の流れを知ることができた、また、厳しい作業環境の中で、林業に携わる方々によって森林が守られているということがわかったという感想が聞かれました。
木でつくる活動では、小学生を対象とした多摩産材木工・工作コンクールを開催し、都が配布した多摩産材で制作した三十四作品のうち、すぐれた作品を表彰いたしました。
児童からは、なれないのこぎりを使うのは難しかったが、みんなで協力してつくれたのは楽しかったという声や、先生からは、子供たちが多摩産材の箱を開けたとき、木の香りに驚いたり、木を頬につけて感触を楽しんだりしていたという声がございました。
木と触れ合う活動では、多摩産材の木箱づくりを通じて都民が木と触れ合うイベントを実施した団体等に対し、補助を行いました。
こうした取り組みに加えまして、広く木育活動に対する理解を促進するため、交通局と連携し、都営大江戸線や新宿線の車内モニターを使って木育のPRを実施しております。
○木内委員 種々、私が具体的に提案したことが、このように事業として展開されている。ご報告があったとおりでありまして、木育体験ツアー、多摩産材木工・工作コンクール、あるいはイベントを実施した団体等に対する補助などなど、こうした具体的事業の着手と実施に対して、私は高く評価をさせていただきたいと思います。
こうしたいわゆる都の取り組みについて伺ったわけでありますが、子供たちが実際に森林を見たり、多摩産材に触れたりできる取り組みは、子供の成長過程において大変貴重な体験になります。ぜひ今後もこれを充実させるよう、強くここで求めておきたいと思います。
これまで都では、多摩産材を活用する保育園等を支援する木とのふれあい推進事業を行っていますが、その実績と木育推進の観点からの今後に向けた課題について伺います。
○寺崎農林水産部長 都は平成二十五年度より、私立の保育園等が多摩産材を活用し、内装の木質化や遊具、什器を導入した場合に、一件当たり四百万円を上限に事業費の二分の一の補助を実施しております。平成二十六年度末までの二年間で、三十四の施設に対して支援を実施いたしました。今年度につきましても、十九施設の支援を予定しております。
本制度を活用した保育園等へのアンケートでは、木育について尋ねましたところ、子供たちが木に触れたり、木を使って工作したりすることは、子供の成長にとってよい影響があるとの回答が多数寄せられました。
一方で、多くの保育士等が木育についてもっと学びたいという意識を持っておりますことから、今後は、保育士等が木育への理解を深められるような取り組みを支援していくことが必要であると考えております。
○木内委員 今の答弁は、ちょうど第四回定例会に向けての事務事業でありますから、踏み込んだ答弁はこれが限界かと思いますけれども、いよいよ来年度の予算要求の中で、今答弁のあったことが具体的に反映をされていくんだというふうに思いたいと思います。
経済の状況というのは株価にあらわれる、政治の顔というのは予算の数字にあらわれるわけで、特に今、保育士さんについての言及がありましたけれども、保育士さん自身がもっと学びたい、これを環境に影響、インセンティブを与えたい、子供たちにも訴えたい、こういう現場の声をよく聞きますので、これはハード面での予算措置だけでなく、具体的な啓蒙、啓発の事業として、来年度はしっかり推進をされるよう望みたいと思います。
特に、子供たちが毎日接する内装などに積極的に木を使っていくということは、木育という観点から大変意義がある取り組みだと思いますので、申し上げた点も含めて、ハード面だけでなく、ソフト面への取り組み支援の充実も要望して、次の質問に移りたいと思います。
きょう、わざわざ持ってきたんですが、これが今回の都議会の定例会に向けてのポスターであります。皆さん、何げなくごらんになったかもしれませんが、これは江戸くみひも伝承会の制作協力による東京組みひもがモチーフでありまして、キャッチコピーとして、江戸の伝統を未来へ結ぶ、これが実はあした始まる東京都議会第四回定例会のポスターです。
くしくも東京組みひもがこの題材になっていることで感慨を深くしているのでありますけれども、私はこれまで、他の同僚議員とも力を合わせて、本会議で、あるいはまたこの委員会で提案をし、その実現を強く求めてきたのでありますけれども、伝統工芸品産業の振興ということについて伺います。
東京は、最新のテクノロジーや流行の発信地であると同時に、江戸の昔から受け継がれてきた文化や技術が今なお息づく歴史と伝統のまちでもあります。
革新と伝統とが交錯するこの東京において、百年以上の歴史を持つ伝統工芸に先端の技術や先鋭のデザインを新しい息吹として吹き込むことで、東京の伝統工芸品産業を大きく発展させられないものか。切実にこのことを痛感いたしましたので、議会としては初めて、この問題をこの委員会で取り上げさせていただきました。昨年の事務事業質疑の場において初めて申し述べさせていただいたところであります。
これを受けて、産業労働局では今年度から、伝統工芸品の職人とデザイナーとのコラボレーションによる商品開発のプロジェクトを開始しましたが、こうした新しいものづくりの取り組みは、東京の伝統工芸品の魅力を広く発信していく上で非常に重要と考えます。
そこで、提案を受けてのものが多いと思いますが、この開発プロジェクトの実施状況や今後の展開などについてお尋ねをいたしますが、改めてこのプロジェクトの概要、意義についてご説明を願いたいと思います。
○松永商工部長 都は今年度から、東京の伝統工芸品を国内外に普及させ、産業としてのさらなる発展を促すため、伝統工芸品の新商品開発を支援するプロジェクトを中小企業振興公社に立ち上げました。
本プロジェクトにおきましては、すぐれた技術を持つ伝統工芸品の職人と商品デザインの知識やスキルの豊富なデザイナー等の事業者で構成される開発チームが、現代の消費者の感性やライフスタイルに合わせた斬新なデザインや新たな機能、用途などを持つ伝統工芸品の新商品を開発いたします。
こうして付加価値の高い新商品を生み出し、強力にプロモーション活動を展開していくことにより、東京の伝統工芸品の魅力を広く国内外に発信してまいります。
○木内委員 恐らく、伝統工芸品の制作者、作家、職人さんがおられるわけでありますが、一方、こういう側と、それから今答弁のあった新たな風を吹き込むということでデザイナー、あるいは進んだ科学技術の専門家、こうした都の人とのコラボということが、実は東京都によってどんどん推進されていく、お仲人役を産業労働局がやっていくんだと、こういう非常に画期的な事業であります。
よく例示として申し上げるんですけれども、古い、ストックされている象牙とLEDのコラボによる新しいランプシェードなんかは、もう大変な評判でございますし、これは産業技術研究センター、産技研の知見も反映させながら開発されたようなものもあるわけでありますけれども、それはいろんな分野にわたって、いろんなものが実は開発されている、さらにこれを増進させようということのプロジェクトであります。要するに、伝統工芸品の制作に職人だけが携わるのではなくて、申し上げたデザイナーなどの新しい風を取り入れることであろうと思います。
しかし、とりわけ職人さん、作家にとっては、こうした違う世界の方々と手を携えて作品づくりを進めていくというのは、多くの場合、初めての経験でありましょうし、また、独力で相手方のデザイナーなどを見つけることさえも現実的には非常に難しいのであります。
こうした中で、東京都が作家、職人とデザイナーのペアを組んで、そうして知恵と経験と見識と技術を結びつけていく。これはもう非常にいうはやすく行うはかたしということそのものだと思うんですが、担当は商工部の片山課長さんでしょうか、初め、商工部長も含めて、大変なご苦労と真剣な取り組みの結果、これを成功させつつあるというのは、まことに私は立派なことだというふうに思うのであります。
さて、職人と、あるいは作家とデザイナーのペア、あるいは知見のある科学者等も含まれてくると思うんですが、どういうふうに結成してきたのか、その手法と、それから経過についてご報告をお願いします。
○松永商工部長 伝統工芸品の職人の中には、デザイナー等、外部の事業者とのコネクションを持たない方が数多くいらっしゃいます。また、開発に当たりましては、これまでにない新たな発想を引き出していくことが重要でありますことから、本プロジェクトにおきましては、新商品づくりを担う開発チームを新たに組成するところから支援を行いました。
具体的には、開発を担う伝統工芸品の職人とデザイナー等をそれぞれ別個に募集した上で、両者をマッチングすることにより、商品企画を検討するチームを編成いたしました。
募集は本年の五月から六月にかけて実施し、職人からは四十三名、デザイナーからは百八十一名の応募がございました。この両者のマッチングの結果、成立の届け出があったチームは延べ百六十六組でございます。
○木内委員 私は、この数字を聞いて本当にすばらしい成果だなと、よくプラン・ドゥー・シーといいまして、計画しようじゃないか、まずやってみようじゃないか、その結果、どうか見てみようじゃないかとよくいうんですけれども、東京都がやったということで、五月、六月の募集では職人が四十三人、デザイナー百八十一名が応募してきた。やっぱり、東京都が音頭をとる、産業労働局がイニシアチブをとって進めていくからこういう応募があり、信頼性があるんだということを感ずるわけであります。
職人、作家とデザイナーの方とのいわばお見合いをするところからサポートを行う仕組み、これによってたくさんの応募があったという説明がありました。このマッチングを効果的に行うことは、プロジェクトを成功に導く上で大変重要であります。
職人、作家のわざとデザイナーの感性、この両者をうまくかみ合わせてこそ、創造性豊かな作品を生み出すことができると考えるんですけれども、東京都は限られた時間の中でこの具体的なマッチングを相当苦労して行ってきたんだと思うんですが、さらに踏み込んでご報告願いたいと思います。
○松永商工部長 デザイナーが各工芸品の特色や魅力を生かした斬新なアイデアを生み出せるよう、素材、製造工程や歴史、文化的背景などを学ぶ工房見学会を合計十二回実施し、延べ百六十二名のデザイナーが参加いたしました。
その後、職人とデザイナーのマッチング会を計五回開催いたしました。マッチング会におきましては、職人とデザイナーとが一対一で面談する機会を設け、延べ六百三十八回の面談を実施いたしました。
お互いの考え方などを可能な限り理解し合えるよう、デザイナーには作風などがわかるプレゼンテーションシートを作成してもらうとともに、こうしたマッチングなどの経験の少ない職人に対しては、例えば、商品開発に特に生かしたい素材や技法を絞り込み、実物を使いながら説明するよう助言するなど、個々の状況に応じたきめ細かいサポートを行いました。
○木内委員 マッチングの実施に当たっては、職人とデザイナーの相互理解が進むよう、ご報告のようにさまざまに工夫を凝らされたということがわかります。
私は思うんですけれども、議会と執行機関は車の両輪、提案はするけれども、実際にその提案を受けて事業として進めていく場合に、いろんなご苦労があって、執行機関のそうした優秀な頭脳と知恵が結集して、大変立派な事業というものが完成を見るんだという実感を強くいたします。特に今回のこの事業は、今ご報告があったように非常に細かな気配り、それぞれのグループの特性を反映した事業のプログラムの積み重ねによって、今、着々と進んでいるんだということに、やはり大きな評価をさせていただきたいというふうに思います。
こうして成立したチームから、どういう企画が提案され、また最終的に開発を進める商品がどう絞り込まれてきているのか。恐らく、きょうの段階では、都民が楽しみにしている、待望している具体的な内容については、段階的、時期的にご報告いただけないと思うんですけれども、可能な限り答弁を願えればと思います。
○松永商工部長 マッチングにより成立したチームからは、最終的に百三十二の商品企画案が提出されました。
伝統工芸の素材や技法をインテリアなどに新しく取り入れた商品、従来の工芸品にはないような最新の色彩、デザイン、柄のトレンドを採用した商品、他の伝統工芸品とのコラボレーション商品、海外消費者をターゲットにした土産物の新商品など、さまざまなアイデアに基づく提案がございました。
中小企業振興公社では、これらの企画案につきまして、外部の専門家から成る審査員が、市場性、技術及びデザインを総合的に審査し、商品化を目指して試作開発を進める二十三商品を採択いたしました。
○木内委員 全委員が隔靴掻痒の思いで聞いていたと思うんですけれども、概要について、概念だけご説明いただきましたので、また具体的な発表が行われる段階を楽しみにしていきたいと思うんですが、伝統工芸の素材や技法をインテリアなどに取り入れた商品、最新の色彩、デザイン、柄のトレンドを採用した商品などなど、側面的ご説明があったので、きょうのところ、答弁としては、私はぜひもうそれで理解をしてまいりたい、こういうふうに思います。
バラエティー豊かな企画案が出そろっているようでありますので、申し上げたように、商品がお披露目となる日を期待して待っていたいと思うんです。これはいつごろになるんですかね。聞けるのかな、まだ聞けないのか。
以前、都立産業技術研究センターの支援により、ランプシェードが開発されたということは、さっき申し上げました。
作家の人の企画案に始まり、デザイン画の描き起こし、設計図の作成とステップを進めていくとともに、熱に弱いというべっこうの素材特性に合わせて発熱量の少ないLEDを光源に採用するなど、工夫の積み重ねがあったということであります。
また、今回のこのプロジェクトにおいても、こうした商品化のプロセスが最も難しいところだというふうに考えます。二十三商品が商品化を目指すということでありますけれども、商品としての完成度を高めるためには、よい素材と確かな技術による質の高さが求められるのはもちろんのこと、顧客層や価格帯の検討など、市場性も追求しなければならない。
こうした多方面の視点から開発チームを支援することが重要と考えますし、いよいよ具体的な商品化に向けた今後のプロセス、支援の具体的内容の充実が必要だと思うんですが、お答え願います。
○松永商工部長 採択いたしました商品企画案には、三次にわたる試作品の制作過程を経て、外部の専門家から成るアドバイザーチームによる指導や助言等の支援を受けながら、商品としての完成度を高めていくこととしております。
試作品の制作に当たりましては、多忙な職人とデザイナーが細やかな部分まで意見のすり合わせを行うことができるよう、SNS、ソーシャルネットワーキングサービスなどを活用し、常時コミュニケーションがとれる環境を提供いたしております。
また、アドバイザーチームには、デザインやマーケティング、伝統文化など幅広い分野の専門家を登用し、それぞれの見地から助言を行うことにより、商品としての総合力を高めてまいります。
このような支援により、半年間かけて試作品を仕上げ、最終的に商品の完成度や市場性などを勘案の上、本プロジェクトとして商品化を支援していくものを、年度内を目途におおむね十点ほど選定する予定でございます。
○木内委員 もう時期的に、発表の時期や、あるいは十点選定の作業などが間近でありますので、ぜひ期待をして待ちたいと思います。
さっき議論がありました、&TOKYOなんかも反映させることを勘案していいのではないか。答弁は要りませんけれども、例えば、新しい伝統工芸品、二十一世紀の伝統工芸品&TOKYOとか、要するに東京ブランドの一つとして、これをどんどん発信していくということも必要なんじゃないかと思います。
すぐれた商品を一つでも多くつくり出すためにも、手厚い支援を着実に進めていってもらいたいと思います。
そして、完成した商品は、しっかりとPRしなければ、その魅力は世に伝わりません。東京都は、さきの第一回定例会において、開発商品の強力なPRを求める我が党議員の質問に対し、プロジェクトの二年目にその成果を披露するイベントを開催するというふうに答弁をされました。これは非常に重要な内容であります。
五輪の開催により、世界の関心が集まる今を絶好の好機と捉え、東京の伝統工芸を発信する晴れ舞台として、このイベントを大いに盛り上げてもらいたい、このことを強く要望するものであります。
きょうのこの質疑を通じて、コラボレーションによるダイナミックなものづくりを実現するために、何度も申し上げますけれども、プロジェクトの随所に血の通った創意工夫が凝らされ、関係者の方々の大きな努力と真剣さがうかがい知れるものばかりでありました。今、着々と進んでいるありさまが明らかになりました。
東京都の新たな取り組みは、東京の伝統工芸品産業を一層大きく花開かせていくための先駆けとなるものと考えます。東京の工芸産業、工芸文化を先導する総指揮官として先頭に立って取り組む局長の抱負を最後に伺って、私の質問を終わりたいと思います。
○山本産業労働局長 東京の伝統工芸は、江戸から続くものづくりの中で、その時々の文化、流行や技術の進歩を巧みに取り入れながら、時代を超えて受け継がれてきたものでございます。
これをさらに発展させ、後世に伝えていくためには、こうした革新の積み重ねにより形づくられた伝統の上に、さらなる変革を重ねていく必要があると考えております。
先ほど委員からご紹介がありましたランプシェードも、手づくりのべっこう細工にCADによるデザインやLEDランプといった新しい技法、技術を取り入れたものでございまして、まさに革新に向けた取り組みの好事例といえると考えております。
本日ご質疑をいただいた商品開発プロジェクトも、先ほどお話のありましたとおり、職人とデザイナー等とのコラボレーションという新しいものづくりのきっかけを提供することを通じ、伝統工芸品づくりの変革につなげていこうとするものでございます。これによりまして、世界の市場を視野に入れた魅力ある伝統工芸品を新たにつくり出してまいります。
近年は、世界的なファッションブランドが日本の伝統工芸を取り入れた製品を発表するなどの動きが広がりつつありまして、二〇二〇年を控え、我が国の伝統や文化に世界からの関心がかつてなく集まっております。
こうした機を的確に捉えまして、東京の伝統工芸品が世界に評価され、産業として未来を切り開いていけるよう、今後とも、本開発プロジェクトを初め、さまざまな支援に力を尽くしてまいります。
○かち委員 まず、ものづくりを初めとした中小企業支援について伺います。
つくっていただいた資料の五ページにもありますが、東京のものづくりにおける事業所数、従業員数、製造品出荷額、付加価値額の推移では、二〇〇〇年からの十一年間で、それぞれ半減しています。
しかし、その九九%を占める三万五千に及ぶ事業所があり、三十五万一千人余りの従業員が働く東京のものづくり産業の集積の持続的発展は、都の地域経済を支える上でも重要な課題となっています。
アベノミクスによって大企業は空前の収益を上げていますが、東京の中小企業の経営実態について、都はどのように認識しているでしょうか。
○松永商工部長 経済の緩やかな回復基調を受けて、都内の中小企業の採算状況は黒字企業が増加するなど、全体としては改善傾向にあります。
一方で、円安に伴う原材料価格上昇など、さまざまな外的環境のもとで、依然として厳しい経営実態の中小企業もございます。
○かち委員 アベノミクスは日本経済全体にどのような影響を与えているか、全体を見る必要があると思います。
GDPは昨年四月の消費税増税の後、二期連続のマイナスとなり、年度後半はプラスとなったものの、二〇一四年度全体では〇・九%のマイナス、一五年度も年度当初から二期連続のマイナスです。
全体として、内需が〇・三%のマイナス、輸出などの外需が〇・一%のマイナスで、国内需要の落ち込みも明らかです。
しかも、来年にはマイナンバー制度が中小企業に重い負担となり、再来年にはさらなる消費税増税が押し寄せてきます。
金融緩和や規制緩和で大企業の利益をふやせば、雇用や賃金がふえて、消費がふえて、設備投資も拡大して経済が上向くというトリクルダウンがアベノミクスの仕組みです。
しかし、三年間の経過の結果、大企業の利益はふえ、過去最高ですが、賃金の上昇や雇用の拡大は進まず、設備投資もふえていません。三本の矢で経済を再生するとした安倍政権の経済政策は、格差を拡大し、行き詰まっているのが現状です。
このような経済政策に対し、都として厳しく転換を迫るべきと考えます。
資料の四ページを見ますと、中小企業の経営は依然として厳しい実態にあるにもかかわらず、都の経営支援融資の実績は、平成二十二年度と二十五年度を比べると、件数も金額も六分の一に減っています。
年々減少の一途でありますが、このような実態をどのように判断していますか。
○山巻金融部長 経営支援融資は、リーマンショックや東日本大震災などへの緊急対応として整備をいたしました経営緊急等の支援メニューの活用が進んだことによりまして、一時、大きく実績が拡大いたしました。
その後、こうした緊急対応が終了したことに伴いまして、順次実績が落ちているものと考えております。
○かち委員 リーマンショックや東日本大震災時の緊急対応で一時増加したけれども、その後、落ちついたから減っているんだとのご答弁でしたが、実は国のセーフティーネット業種指定、セーフティーネット保証融資の対象業種がどんどん減らされてきているからではないでしょうか。
平成二十二年、まだ大震災前に、千百三十四業種の指定がありました。しかし、現在は二百三十業種に絞られてしまっているんです。ですから、大震災時も含めて、一貫してこの五年間、件数も金額も減る一方ではありませんか。
国のセーフティーネット業種指定、セーフティーネットの保証融資の対象業種の縮小改善を求めるとともに、都として独自支援をする必要があると思いますが、いかがですか。
○山巻金融部長 国のセーフティーネット保証制度は、全国的に業況の悪化しております業種に属する中小企業の経営の安定を支援するため、別枠保証を行う特別な制度でございまして、先ほど申し上げました緊急対応等において効果を発揮してきたものでございます。
引き続き、業種ごとの業況を適切に把握し、的確な指定を行うことが重要でございまして、こうしたことを都は国に対して要望しております。
なお、対象とならない業種につきましても、都独自の取り組みといたしまして、全業種を対象とした融資メニュー、経営一般を実施しておりまして、最優遇金利を適用するとともに、小規模企業に対しましては信用保証料の二分の一を補助するなど、手厚い措置を講じております。
○かち委員 都もいろいろ手を尽くしているとのことですが、業績が伸び悩み苦しんでいる企業に対する、そこへの手だてが必要なのだということを重ねて申し上げておきます。
昨年行った板橋区の製造業調査結果でも、事業者は製造加工の人材採用を望み、技能向上に取り組んでおり、今後も実施したいという意向が強くあらわれています。
製造業の現場では、常に技術、技能の研さんのために努力をしているんです。ものづくりの基盤となる鋳造、鍛造、切削、メッキなど、ものづくりに欠かせない技術は、一旦廃業してしまうと、新たに立ち上げることは容易ではありません。
こうしたものづくり基盤を担う小規模企業の事業承継と人材育成はとりわけ重要だと思いますが、いかがですか。
○松永商工部長 都は、高度で多様な基盤技術を有する東京のものづくり企業が持続的に事業を発展させていけるよう、普及啓発や相談対応などにより、事業承継の支援を行っております。
また、人材育成につきましては、さまざまな職業訓練のほか、現場へ指導人材を派遣するなど、支援を行っております。
○かち委員 一般的には必要な施策を打っているとの答弁ですが、ものづくり基盤を担う小規模企業は減少の一途をたどっているんです。首都東京の産業集積を担っている小規模企業がなくなれば、東京の産業集積を維持できなくなるという問題なんです。そこにもっと危機意識を持っていただきたいと思います。
とりわけ、このメッキ業は、どんな製造業にとっても必ず経過しなければ製品にならない、重要な位置を占めている業界です。かつて千二百社もあった東京メッキ業は、今日、三百五十社に激減しています。
こうした中でも、組合は一九七〇年から、全国で初めて独自の認定職業訓練校を運営しています。座学と実験など、技術向上、人材育成のため、企業は従業員を送り出していますが、年間費用三十五万円と授業時間の賃金保障など、負担が大きいと伺いました。
メッキ組合としてメッキ学校を運営しているものではありますが、従業員を送り出す企業の年間費用負担や賃金保障など、負担軽減が必要です。
国のキャリア助成金制度はありますが、都としても人材育成事業の一環として位置づけ支援すべきと考えますが、どうですか。
○小金井事業推進担当部長 東京都鍍金工業組合高等職業訓練校を初めまして、事業主等が実施する認定職業訓練に対して、都は補助金を交付し、支援を行っているところでございます。
○かち委員 訓練校に対する補助金はあるんだということですけれども、そうした補助金があっても、認定訓練を行う中小企業団体は苦労しながら、支援を求めているんです。送り出す従業員の人件費保障や年間三十五万円の負担の軽減をメッキ業の技術、技能の育成課題と位置づけ、さらなる支援を求めておきます。
都の地域経済を支える中小企業振興は、都の施策の中でも重要な課題です。
かつて都は、中小企業にかかわるさまざまな立場の方々を審議会メンバーとして中小企業振興対策審議会を開き、関係者の意向を反映した中小企業施策を展開してきました。しかし、ここ十一年間、一度も開かれていません。
しかし、中小企業をめぐる環境は一層厳しくなっているのが実態です。こうした中で、現状をどう打開し、展望を切り開いていくかが問われているんです。
関係者の声を反映した審議会が条例に位置づけられているにもかかわらず、中小企業振興対策審議会をこのような長きにわたって開催されないのは、審議会の形骸化、審議会軽視といわざるを得ません。
都はなぜ中対審を開かないのか、また今後どう対処するつもりなのか、お聞きします。
○松永商工部長 都は、有識者や企業関係者等から成る懇談会を設け、平成二十四年三月に、都の産業振興政策の方向を示した東京都産業振興基本戦略を策定いたしました。これに基づき、中小企業振興施策を展開しております。
○かち委員 私の質問にお答えになっていません。
産業基本戦略は、条例で位置づけられた中対審に基づいたものではありませんね。審議会に基づく産業振興政策の策定は必要ないという認識なのでしょうか。
○松永商工部長 中小企業振興対策の基本方針を大きく変更する必要はないと考えておりますため、審議会を開催する予定はございません。
○かち委員 皆さん方は条例に基づいて仕事をされているわけですよね。その条例に位置づけられている中対審を開かない、十一年間の長きにわたって開かないというのは、この都政の中でもほかにはないんじゃないでしょうか。問題がなければ別ですけれども、これだけ中小企業を取り巻く環境が厳しい、いろんな問題を抱えているんであるからこそ、中対審は開くべきだと思うんです。
中小企業対策審議会は条例に基づいた設置機関ですが、この条例の必要性についてどのように認識していますか。
○松永商工部長 中小企業対策審議会は、中小企業対策の基本方針を定める場合に意見を聞くものとされております。
○かち委員 そうであればこそ、中対審を開いて産業政策をつくっていくというのは当然の役割です。
神奈川県では、中小企業活性化推進審議会が条例に定められていて、二〇〇九年からだけでも、この七年間の間に年に二、三回のペースで開催されています。小規模零細業者、中小企業、信金、専門家など二十人が参加して意見交換しています。
二〇一四年には、国が中小企業基本法を改定したこと、小規模企業振興基本計画が出されたことを受け、中小企業活性化推進条例の改正に向けた議論が開始され、ことしの十月には中小企業・小規模企業活性化推進条例が公布されました。
国は昨年、小規模企業者が激減する中で中小企業振興基本法を策定し、成長、発展のみならず、事業の持続的発展を基本原則とすることに大きくかじを切りました。
小規模企業振興基本法を作成してきた小委員会では、小規模事業者の持続的発展のためには、国のみならず、地方公共団体、支援機関、地域住民など、さまざまな主体が我が国の将来における小規模事業者の振興に寄与することが重要だといっているんです。
中小企業同友会、東京商工団体連合会など中小企業団体からは、中小企業、小規模企業会議の開催、産業政策立案への参画の場を広げる要望が上がっています。
都は今後、こうした声に応えて、速やかに中小企業振興対策審議会を開く手続をとり、中小企業者など幅広い参加のもとで東京の産業政策づくりを進めていくべきだということを申し上げておきます。
次に、職業能力開発計画について伺います。
中小企業の多様な職業を支える人材確保という点からも、公的な職業能力開発事業は重要な役割を果たしています。
国の職業能力開発計画を受けて都の計画を立てるわけですが、今なお、第十次計画の素案も出されていません。そこで、現段階での都の認識をお聞きします。
現在の第九次計画は平成二十三年から二十七年までの五カ年計画です。来年度から新たな計画を求められているわけですが、都は、現行の第九次計画の到達点と課題をどのように分析しているのですか。
○小金井事業推進担当部長 都では、第九次東京都職業能力開発計画に基づきまして、雇用情勢や産業構造の変化への的確な対応とセーフティーネットのさらなる強化に向け、着実に施策を進めているところでございます。
中小企業における人材の確保、育成などの課題について、引き続き取り組んでまいります。
○かち委員 第九次計画で示したことは、都の役割として東京の人材力を総体として高め、豊かな都民生活の実現と産業の活性化を図る、職業能力開発を促進するため、必要な環境整備や支援、仕組みづくりを実施するとしています。
それでは、具体的にお聞きしたいと思います。
資料にもありますが、六ページ、直営の職業訓練校の就職率は平均でも七〇%を上回っているのですが、委託訓練では就職率が相対的に低くなっています。その要因は何でしょうか。
○小金井事業推進担当部長 直営の訓練はものづくり系を中心に、また、民間委託訓練は事務系を中心に実施しております。
就職率は訓練科目によって職種などが異なるため、単純に比較することは適切でないと考えております。
○かち委員 ここに東京都職業能力開発関係資料があります。これは二十二年度版です。
それから、二十四年の三月に出されていますが、職業能力開発センター等研修生実態調査アンケートのまとめ、こういうものが、これまでは例年出ていたんですが、九期に入ってから、この後、ストップしてしまっているんですね。
ここには受講生の就職動向などがかなり具体的に記述されています。別冊でアンケートがまとめられていますが、直営の開発センターでも、二年、一年、六カ月、三カ月等、期間が長いほど就職率は高い傾向にあるということがわかります。
これらは現計画の検証にもなり、次期計画作成上も重要な資料となるものですが、二十四年度以降、報告をまとめていないということも問題だと指摘しておきます。
この五年間で、委託訓練の科目、人数はどのような推移になっていますか。
○小金井事業推進担当部長 委託訓練の定員の推移でございますが、平成二十二年度は一万五百八十五人に対し、平成二十六年度は一万二千二百七人になっております。
科目数の推移でございますが、平成二十二年度は五百二十五科目に対し、平成二十六年度は五百八十七科目の実施となっております。
○かち委員 四年間で千六百人余、六十二科目ものコースを民間委託に新たに移行しているわけですが、これは、さかのぼれば二〇〇六年に市場化テストが行われ、二〇〇九年から本格的な民間委託の実施が始まったわけです。
この間、職業訓練校の統廃合も進みました。最近では、武蔵野校、亀戸校が廃校となりました。結果的に、この十年間で、都の直営で行われている施設内訓練の定員が三分の二まで減少しました。
その分、委託訓練がふえているわけですが、そうした受講生の就職紹介や動向などの把握はできなくなっているのが実態です。
第九次計画では、東京の果たすべき役割として、その目的に照らしても、現場の需要に十分に応えられるキャリア形成と、安定的に職を求めている人が公共訓練を受けることで就職につけるように対策をとるのが都の役割だと思うのですが、いかがですか。
○小金井事業推進担当部長 第九次東京都職業能力開発計画では、地域の中小企業の人材確保、育成を支援するとともに、求職者の就業を促進することを都の役割とし、民間等も活用しながら、効果的、効率的に職業能力開発を推進していくこととしております。
○かち委員 第九次計画の基本方向として、東京の産業の成長を支える人材の育成、確保の促進を掲げていますが、安定的に人材育成を進める方向とは逆行しているのではないでしょうか。
例えば、キャリア形成に極めて成果が高いといえるアパレル系科目の一、二年コースは、この八年間で二十名減、プラスチック加工が二十五名減など、合計十三科目、三百九十人もの減となっています。
一方、毎年受講応募倍率が六倍から七倍に近い倍率の製くつコースなどの拡大にも応えていないのが実態です。
公共職業訓練の推進予算も、施設整備費を除くと漸減しています。就職委託訓練を除くと、二〇一〇年度は六十七億円、一一年度四十六億円、一二年度三十九億円、一三年年度三十九億円、一四年度三十八億円と、五年間で半減近くになっているんです。人材育成確保の促進の基盤が縮小しているといわざるを得ません。
しかも、昨年秋のCAD基礎コースの突然の民間委託発表などは、三十数名の専任講師陣や受講予定者、各学校にも混乱を招きました。大田校では、発表の一カ月前に三十台のパソコンを買いかえたばかりという状況でした。
公共職業訓練の安定的な人材育成、確保の視点に立ち、直営の職業訓練を充実、拡充することこそ必要なんです。
国の日本再興戦略などの動きの中には、職業訓練などを人材ビジネスを活用した労働移動支援型にシフトするおそれがありますが、こうした動きにくみすることなく、就職できない新卒の職業訓練開発や地域若者サポステの機能強化を初め、ものづくり分野の魅力の発信を強化し受講応募倍率を高めることや、現在、大量に不足している介護や保育など福祉分野、また、ものづくりにおける高度な技術や開発能力を培う短大、大学並みのレベルアップの分野の職業訓練の拡充など、重層的な職業能力開発計画を策定することが求められています。
都内二十五歳から三十四歳の若者約二百万人のうち、職業についていない人が三十万人、雇用者でも四十三万人が非正規雇用で、その七五%が二百万円以下です。
一方、中小企業では、人材確保に大変な苦労をされています。都内の産業振興、中でも価値を生み出す源となるものづくり産業を振興することが欠かせません。それを担う方々のキャリア形成の戦略的課題で、公共職業訓練の役割は大変重要です。
職業訓練校では、中小企業従事者の能力向上訓練を行っており、工場の近くにある必要があります。都が人材の育成、確保の促進について抜本的に力を入れていくべきです。
他県では、職業能力開発促進法に基づき、実践的技能者の育成を目指し、職業能力開発大学校を設立しています。都としても、こうした方向を打ち出すことを求めておきます。
都の長期ビジョン、総合戦略には、高度なものづくり産業の新たなニーズを踏まえ、城南職業能力開発センター大田校の機能充実を図ると書かれていますが、具体化が急がれていると思いますが、どのように進めていくのですか。
○小金井事業推進担当部長 答弁の前に、先ほど武蔵野校と立川校が統合ということで直営訓練が減少しているというお話がございましたけれども、私どもは、各能力開発センターの再編につきましては、老朽化が著しい施設の更新に合わせまして、施設を大規模化して機能を拡充するということでやっておりまして、お話は当たらないのかなというふうに考えております。
私どもとしましては、直営と民間委託を適正な役割分担ということで踏まえながら、引き続き公共職業訓練の充実に努めてまいります。
また、大田校のお話でございますけれども、東京都長期ビジョンに記載した目標の実現に向け、検討を進めてまいります。
○かち委員 二つの学校を統廃合して二倍にはなっていない、そういうことで、施設内訓練も三分の二まで減っているというのが実態だということを改めて申し上げておきます。
大田校は、城南地域の基盤産業を支える機械関連の訓練校です。昭和三十六年開校の大田校は、その後、別館、新館と増築してきましたが、新館でも昭和五十一年築ですから、四十年たつわけです。
老朽化も進んでいます。機能性、効率性という点でも限界を迎えています。早急に高度機能化を備えた更新の具体化をされることを重ねて求めておきます。
次に、商店街振興支援について伺います。
平成二十四年に、東京都商店街組合連合会がアンケート調査を行いました。
その結果、商店街がなくなったら困る、困ることが多少ある、合わせて八四・三%を占め、商店街が残っていてほしいが多数を占めている結果から、今後の課題として、商店街が生き残り、再燃していくためには個店の売り上げアップが必須、そのためには個店の魅力、価値の向上のための改善が不可欠としています。
都は、調査と結論についてどのように捉えていますか。
○松永商工部長 本調査は、東京都商店街振興組合連合会が商店街の活性化に向けて、都内消費者の商店街に対する意識や利用実態を収集、分析するために実施したものでございます。
この中で、商店街の活性化のためには、利用者のターゲットとニーズを把握し、それに対応した商品やサービスを提供することで、個店の価値を構築することが課題であるとされております。
都といたしましても、このような商店街の活性化につながる魅力的な個店が必要であると考えてございます。
○かち委員 個店の魅力増進のためには、まちゼミとかまちバルなど、さまざまな取り組みをしています。
その一つとして、商店リニューアル助成制度があります。高崎市を皮切りにして、昨年の補正から国も、今年度は高知県も取り組み、都内では既に足立区、今年度から江東区や港区などで取り組みが始まっています。その効果として、個店の集客力アップ、地域の経済効果増進など、費用対効果という点でも高い評価が報告されています。
都としても、こうした個店のリニューアル助成制度の検討を始めるべきと思いますが、いかがですか。
○松永商工部長 都は、商店主の経営力向上や魅力的な店舗づくりを後押しするため、専門家の派遣や講習会の開催などの支援を行っており、引き続きこれらの取り組みを行ってまいります。
○かち委員 商店街の運営には、お店が繁盛して経営が順調であることが欠かせませんが、今や消費税増税など国の経済政策、少子高齢化という社会的要因による消費購買力の減少、加えて、東京では再開発による商店街の分断、駅ナカ商店街、大型店の出店などさまざまな要因が重なり、商店街の維持さえ困難な状況に至っているんです。
専門家の講習会も必要ですし、もっともっと現場に出かけていって、毎回の会合にも参加し、相談に乗り、振興政策をともに考え、商店街の力を引き出していく、推進していく必要があると思います。
その上で、商店の集客力や魅力を引き出すためのハード面での支援が、実際、全国各地で取り組みが始まっており、効果を上げているのですから、もう一歩踏み込んで検討することを重ねて求めておきます。
次に、東京の文化的観光施策について少し伺います。
先ほどもありましたが、東京には江戸時代から培われてきた歴史と文化の伝統工芸が数多くあります。都の伝統工芸品として指定されているものは四十品目もあります。
東京小紋、黄八丈、東京友禅、東京組みひも、江戸すだれ、江戸指物、東京三味線、江戸切り子などなど、東京の宝ともいえるものです。このうち十三品目が国の伝統的工芸品としても指定されています。まさに東京ブランドです。
それらのたくみのわざと作品を観光行政に位置づけ、海外からの来訪者にPRしていく必要があると思いますが、東京のどこに行けばどんな文化に出会えるか、伝統工芸マップの作成を多言語でつくるなど、都として取り組むべきと思いますが、いかがですか。
○坂本観光部長 都では、伝統文化などその土地ならではの特性を生かした観光まちづくりを行う自治体に対し支援を行っております。
○かち委員 こうした伝統工芸の集積は、区市に必ずしもまとまっているばかりではなく、散在していることもありますので、都として、東京ブランドとして位置づけるべきです。
ネットを開きますと英語版のパンフレットの紹介がありますけれども、これを見ても平成二十二年から更新されていないんです。大変実務的で、住所や連絡先はあるんですけれども、とても魅力を引き出すような内容にはなっていません。
東京に来たらこんな工芸品の工房があり体験もできるということなど、観光コースも入れるなど、伝統的工芸品産業振興協会などとも協力して、さらなるアピールを進めることを求めておきます。
現在、伝統工芸をなりわいとしてきた方々も、後継者不足や需要の減少などで厳しい環境にさらされています。東京の歴史と文化を後世に引き継いでいけるよう、もっと国内外に発信していくなど、販路開拓など支援が必要だと思いますが、いかがですか。
○松永商工部長 都は既に、伝統工芸品展の開催などの販路開拓支援に加え、今年度からは、伝統工芸品の新商品開発や国内外への普及促進に取り組んでおります。
○かち委員 総合戦略でも示されているように、伝統工芸品など東京の魅力を内外に一層精力的に発信することを強く求めておきます。
次に、最後ですけれども、島しょ地域での漁業者の育成支援について伺います。
全国的にも漁業従事者の高齢化、減少の中で、将来にわたって漁業が持続的に発展していくためには、意欲ある新規の漁業者の確保が喫緊の課題となっています。
東京における漁業従事者の推移と年齢構成はどのようになっているでしょうか。
○寺崎農林水産部長 農林水産省の漁業センサスによれば、平成二十五年の東京の漁業就業者数は九百七十二名であり、前回調査時の平成二十年の千二百四十三名に比べ減少しております。
また、年齢構成を見ますと、いずれの年も男性の四十歳から五十九歳の割合が最も高く、平成二十年で四三・七%、平成二十五年で三六・五%となっております。
○かち委員 東京の漁業従事者の九割程度は島しょ地域の方々ですので、そうした中で、今なお千名近くの従事者がいて、高齢化の点でも、まだ今なら間に合うという状況です。
三宅島では、昨年から一人、ことしから二人の島外からの青年が、大学を卒業して沿岸漁業に従事したいという希望で、現在研修中ですが、来年春には一人が研修を修了して独立することを目指しています。
自立するためには、まず、漁船を持たなければなりません。そのためには、中古でも六百万円以上はするとのことです。住居も構えなければなりません。
研修期間中は国の新規漁業者総合支援事業によって必要な資金の給付が得られますが、漁師として働く際の支援がありません。
こうした青年が漁師として島に定着するためには、漁船を持つことや生活を安定させることへの支援が必要です。いかがですか。
○寺崎農林水産部長 都では、青年漁業者に対して、沿岸漁業改善資金により、漁船等を購入する際に必要な資金や、近代的な沿岸漁業の技術習得に必要な資金などの無利子貸付を行っております。
なお、住宅については、町村が町村営住宅をあっせんしていると聞いております。
○かち委員 今日、水産業にはなかなか厳しい状況があります。こうした中でも、東京の離島でこのように青年たちが漁師を目指していることは大変貴重なことです。
ぜひ定着し、将来にわたって島の漁業を担っていけるよう、支援の継続、拡充を求めて私の質問を終わります。
○石毛委員 平成二十七年度事務事業質疑をさせていただきます。
まず、質問に入る前に、外国人の入浴問題について意見を述べさせていただきます。
外国人旅行者が増加する中で、各地の温泉地、入浴施設で、入れ墨あるいはタトゥーの関係で入浴拒否をされる場面が多くございます。
多くの海外からの旅行者が日本に訪れる場合、私たち日本人でも、どこか行っておいしいものとか、温泉に入ってゆっくりしようと、これが多い、合い言葉のように感じるわけでありますが、おいしいものは当然食べられて、しかし、もう一個の温泉に入るというところが、タトゥーを入れているがために入れない。
私が大変恐縮した方がおられまして、アイ・ラブ・東京みたいな、ここにハートがあって、アイ・ラブ・ニューヨークのようにアイ・ラブ・東京と入っていて、それで入れなかったという方がおられるんですけれども、先般、ラグビーのワールドカップへ大松委員と一緒に行って、そこのパブでいろんな話をしていて、その中で出たのが、やはりタトゥーの関係で温泉に入れないという方がとても多いと。例えば、この一クラス、若いところのクラスで、多分入っていない方が少ないというんです。何かしら入っているというんです。そういった方々が日本に来ますと、だめですよと、こういうふうになるわけです。
いつだったか北海道の温泉施設で、顔に入れ墨が入っていてニュージーランドのマオリ族の方が入れないということが、ニュース、新聞に書いてありましたけれども、この間のラグビーワールドカップは、ニュージーランドのオールブラックスが勝ったんですが、最初にこうやって踊りをするんですよね。あれはマオリ族の踊りでございまして、マオリ族は入れ墨を入れるというのがアイデンティティーなわけです。こういう方が日本に来て温泉に入れないというようなことだと、大変残念だなというふうに私は思うわけであります。
やはり税収の面からしても、日本に来て、おいしいもの、観光、そして温泉、先ほどの伝統工芸なども含めて、ありとあらゆる日本を堪能してもらうということが必要かなというふうに思います。
そんな中、例えば外国人は、パスポートを見せてこんなのというような形で入れたり、あるいはインターネットで入れるようなところを探して、そういったところのニュースを提供するとか、いろんな方法が、あるのかどうかわかりませんが、この問題は民間業者の問題であるというふうには理解をしているところでありますけれども、今後、都としても、一歩踏み込んで検討していただきたいなというふうに思うわけであります。今回は意見にとどめさせていただきます。
それでは、質問に入りたいと思います。
日本を訪れる海外旅行者の数は急増しておりまして、昨年の九月上旬では過去最高となって千三百四十一万人、既にそれを上回って、十月末では千六百三十一万人に達しております。こうした中、都内にも数多くの外国人が訪れ、やはり問題は言語、言葉などであります。
まち中にある案内サインの整備は進んでおりますけれども、これまで一般的にローマ字が表記をされておりました。しかし、例えば国会前なんていうのは、当然、KokkAImaeというローマ字もあるんですが、The National Dietというふうに英語で書いてある場面もございます。だんだんこういった部分で、外国人はそうした表記を大変頼りにして来るわけでありますので、この辺を正確にしていかなければならないというふうに思います。
このように、ローマ字を含めた外国語--駅などには韓国、中国ございますが、中国語なんかは表記だけでも二種類あったりしております。そして、こうしたサインが異なっておりまして、表記そのものが日本語の意味を正確に伝えていない場合が見られると思います。
例でありますが、これは江戸東京博物館であります。いろいろな、英語だとか韓国語だとか中国語で書かれているわけでありますが、ここの上のところがアラブ語なんです。これに書いてあるのは、トキオ・イド・ムサンとなっているんですね。どういう話かというと、トキオというのは東京とわかる、イドというのは江戸の意味だと思うんですが、イド・ムサン、これがよくわからないというんです。
どうしてわからないか、それは、ミュージアムというのをアラブ語に直しただけなんですよ。もしこれを博物館という意味でマタハフと書いてあれば、あっ、これは東京、イド--江戸だけど、イド博物館なんだなとわかるわけですが、ミュージアムという音だけをとってあるものだから、アラブの方は、全くこれは意味がわからないというんですね。だから、そういう意味で、私はそういうものも含めていろいろされたらいいんじゃないかなというふうに思うわけです。
この間、中国語で骨というのを字数で調べました。なかなか十画で出てこないんです。(資料を示す)中国語の骨ですよ。中国語から漢字というのは来たわけですからね。ところが、九画で出てきました。何か違いませんか。実は、右と左が逆なんです。中国語では、骨は左についているんです。だから一画少ないんですよ。
そんなような例も多々あるわけでございまして、探せばいろいろあるわけでありまして、そういったところにも配慮をしながら、やっぱり意味のある、要するに通じるものをしていかなければならないと思うんです。
そこで、案内サインの表記を外国旅行者にとってわかりやすいものにするために、都はどのように取り組んでいるのかお伺いいたします。
○坂本観光部長 東京を訪れる外国人旅行者が快適にまち歩きを楽しむためには、案内サインにおける外国語表記の正確性や統一性を確保することが重要でございます。
このため都は、本年二月に改定いたしました案内サイン標準化指針におきまして、観光庁など関係機関のガイドラインなどとの整合を図りつつ、道路、河川の名称などをローマ字や外国語で表記する際のルールを整理するとともに、都内の地名や施設名など、使用頻度の高い千八百の用語に関する具体的な訳語を示す対訳表を、英語、中国語、韓国語で作成いたしました。
今後も引き続き、本指針を関係事業者に広く普及啓発し、わかりやすい案内サインの整備を促進してまいります。
○石毛委員 わかりました。都が案内サインにおける外国語の表記方法の普及啓発に取り組んでいるということはわかったわけでありますが、しかし、私が特に案内サインの表記の問題と思っているのは、ローマ字の長音表記でございます。
これは見てわかるように交番です。KOBAN、交番、皆さん読めますよね。もうちょっと大きくしましょう、交番です。例えばこのKOBANを使ったやつでNEKO NI KOBANとやったら、猫に交番になるわけです。ことわざは猫に小判というふうになっているんですが、この場合は猫に交番、いやいや、猫に小判です。でも、どっちで読むかわからない、こういうことになります。
どうでしょう、これは何と読みますか。小野さん、こちらにはいらっしゃるかどうかわからない。これをローマ字でやるとONOなんですね。これはどうですか。大野さんです。大きい野、さっきのは小さい野、ローマ字でやるとONOです。どっちもONO、大野か小野かわからないですね。ことわざの中に大は小を兼ねるというのがありましたけど、ここから来ているのかなと思った次第でありますけれども、どちらにしろ非常にわかりづらいと。
これは都営荒川線で、大塚の大、それから丁目のOのところに棒が引っ張ってあります。これだと大塚の大、何とか丁目というのはOでわかるわけですね。例えば大野の場合に、Oの後にHを入れてOHNOとする場合も中には見られます。
ともかくこの長音表記について、外国人に、小野なのか大野なのか、小判なのか交番なのかわかれといっても、これはわからないわけでありまして、この辺の整備は大変必要じゃないかなというふうに私は思うわけであります。そのためにも、今後はローマ字の長音表記のあり方を改善するように国等に働きかけていただけないかなと、混乱を避けたいなというふうに思うわけであります。
それで、ロンドンに行ったときに大変人気のあったシャツがあるんです。それは、日本のあるビールメーカーのスーパードライというシャツがすごく売れていて、さっき山本局長はファッションなんていう話をしていましたけれども、実はこれ、極度乾燥しなさいと日本語でスーパードライの下に書いてあるんです。極度というのは極度に暑いねとか、乾燥は乾燥している、それをしなさいと書いてある。スーパードライを何か訳したようでありまして、誰が訳したのかよくわかりませんが、これが人気で結構売れているということでございます。
おもしろい話なんですが、これは日本人が見たらよくわからないんです。だから、そういうようなことが、外国から来て、ああ、この意味はよくわからないななんていうことがあると、やはり恥ずかしいなというふうに思いますし、この辺の整備をしていくためにも、先ほど申し上げたようなところも改善していただければというふうに思います。
次の質問であります。(「質問しないの」と呼ぶ者あり)今はね。
案内サインはもちろんこれはありがたいわけでありますが、その場に行かなければ情報をとれないという問題もあります。そのために、外国語を話すことができ、移動しながら情報提供のできるボランティアの活用が重要と思います。
特に、海外から来て日本に在住している方などの活用、つまり、世界には二百数十カ国あるわけですが、全部その言葉に対応するということはすごく難しいわけです。現在日本に住んでいて、なおかつ、オリンピックあるいはラグビーのワールドカップのときにお手伝いしたいわというような方が必ずおられると思うんです。
そうすると、わからないけど、例えばこの間のアルバニアはアルバニア語があるんだけど、アルバニア語は難しいから、じゃあ、英語に直してアルバニア人と英語でという話のときに、本当にアルバニア人がいればそこで通じちゃうわけでありますので、そうした方々の活用というか、募集とか、そういったところも含めて対応できれば、効率、そして満足度なども効果的に上がるのではないかと思います。
最近では、以前にも増して、東京を訪れるさまざまな国の旅行者がふえておりまして、会話で使う言葉も今申し上げたように多種多様、英語以外の言語も含めた多言語での旅行者のニーズに対応できるボランティアを通じて、多くの海外の旅行者の言語、文化に触れる機会を広げるべきだと考えますが、都の取り組みについてお伺いいたします。
○坂本観光部長 都はこれまで、語学力を生かし外国人旅行者をサポートしたいという意欲を有する方々を観光ボランティアとして登録し、都庁案内ツアーや都内主要観光コースのガイドサービス、国際会議やイベントへの派遣などで活用してまいりました。
今年度から、ボランティアがまち中で旅行者に道案内や観光情報を提供する、街なか観光案内を実施しております。
今後もさまざまな国籍の旅行者にも対応できるよう、多言語対応可能なボランティアの計画的な育成を進めてまいります。
さらに、都内の中学生、高校生を対象におもてなし親善大使を引き続き育成し、活動の機会を提供することで将来の観光案内が可能となる経験を積むなど、ボランティアの裾野の拡大を図ってまいります。
○石毛委員 了解いたしました。
障害者も参加できるような、そんな場面もぜひ考えていただければなと。本当に、障害者、例えば、車椅子の方などは、きっと役に立つんじゃないかなというふうに思います。
そうしたことを含めて、これから観光ガイド、今回は募集して、大変多かったというふうに新聞でも書かれておりましたけど、そのニーズというのは大変裾野が広いんだろうなというふうに思います。
この間、たまたま行ったときに、こんな方がおられました。フランスに住んでいる方で、私は東京のオリンピックのときにガイドをしたいわと、旅行費は要らないから、向こう、そのときはフランスですから、東京でボランティアしたいわと、こんな方も実はおられるんですね。
ですから、本当にどれだけ必要になってくるのか、非常に見えないところでありますけれども、いろんな形での駆使をしながらボランティアを集めて、よりおもてなしがしっかりできるような、そして、何遍も日本に来たいという、リピーターのファンをふやしていくためにも、先ほど幾つか申し上げましたけれども、そういったことも含めて、しっかりと産業労働局が一体となって取り組んでいただければなと要望をいたしまして、終わりにさせていただきます。
○三宅(正)委員 まず、観光面での大島復興支援について伺います。
大島を襲った台風による土石流災害から二年が経過する中、地元のたゆまぬ努力と都のさまざまな支援によって、復興に向けた取り組みは着実に進んでいるものと感じています。
災害の直後から、復興支援に向けて観光のキャンペーンを始めるとともに、昨年度は、我が党の要望を受けとめて、復興を応援するツアーの実施や宿泊客の負担の軽減により、大島を観光で訪れる旅行者の誘致に向けてさまざまな対応を打ち出したことは評価したいと思います。
こうした取り組みにより、大島の来島者数は被災する直前のレベルにまで回復していますが、来島者には復興の工事関係者も多く含まれ、観光目的の来島は十分に回復したとはいえない状況です。
先日、地元からの要請を受け、我が党から知事に対して申し入れをしたところですが、旅行者の関心と来島意欲が途切れることのないよう、下支えとなる施策を二十八年度も引き続き実施するとともに、それ以降の大島を含む島しょ部全体をも対象にした、実効性の高い観光振興策の新しい展開を図る必要があると考えます。
そこで、今年度の大島の観光面での復興支援と今後の取り組みについて伺います。
○坂本観光部長 都は、大島の観光産業の被災からの復興に向けて、今年度は季節ごとに観光ポスターを作成し、都庁舎や都営地下鉄の駅など百二十の施設に掲出するとともに、新聞や雑誌計三誌に広告の掲載を行っております。
また、鉄道の車両内のモニター画面で、大島の観光案内を七月から九月まで放映するなどの対応も行ってまいりました。
さらに、大島への観光客の宿泊費の負担を軽減するために、昨年度開始した一泊三千円の宿泊助成や観光客の料金が割安となるパッケージツアーの提供を継続しているところです。
こうした中、大島への観光客の数の回復が十分でないことなどを踏まえ、現在の宿泊助成やパッケージツアーを当面は一年間継続することを検討いたします。
また、その後の時期について、大島を含めた島しょ地域への観光振興の充実を図ることも視野に入れた施策展開のあり方について研究を行ってまいります。
○三宅(正)委員 次に、島しょ地域での観光振興のあり方について伺います。
二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック大会などをきっかけに、東京を訪れる海外からの観光客は格段にふえていくことが見込まれています。
こうした旅行者が、都心の名所旧跡への訪問にとどまることなく、自然が豊かで魅力的な観光資源の多い島しょ部にも来訪する流れをしっかりと築き上げていく努力は大切であると思います。さまざまな島を時間を十分にかけてめぐることで、その観光地としてのよさが外国人に伝わり、海外にも広く発信されることにもつながると確信しています。
そのためには、さまざまな島が協力し合い、それぞれの観光スポットをうまく組み合わせて、島しょ部の観光の魅力を全体として高めていく努力が重要になると考えます。島同士ではそうした取り組みを自主的に進めることは難しい面もあることから、東京都ではモデル事業という形でこの数年来サポートを行っているわけです。
そこで、島々が連携して行う観光振興について、都としてどのような取り組みを進めているのか伺います。
○坂本観光部長 島しょ地域の観光振興の効果を高めるため、東京の島々が連携してさまざまな取り組みを進めることは重要でございます。
都は、平成二十五年度から、島しょ地域における観光連携推進モデル事業を開始し、それぞれの島の自治体や観光関連の団体などが参加する協議会の運営や、同協議会が実施する観光面での情報発信を初めとするさまざまな取り組みに対して支援を行ってまいりました。
具体的には、民間の宿泊予約サイトと連携いたしまして、専用のPRに活用するホームページから、テーマ別に各島の観光スポットの紹介を行うとともに、島同士が協力して旅行博に出展するなどのPR活動のサポートを行っているところでございます。
また、島しょの観光関連事業の担い手の育成に向けたサポートとして、具体的な方法の検討に加え、実務的な研修を九月に三宅島で開き、年末には小笠原でも実施することを予定しているところでございます。
こうした取り組みによりまして、島しょ地域の観光振興を着実に展開してまいります。
○三宅(正)委員 次に、東京の農林水産物の魅力発信について伺います。
先月五日、TPP協定交渉が大筋合意に至りました。協定が発効して安い農林水産物が大量に出回ると、東京の農林水産業にも長期的には影響を及ぼすことが考えられます。農林漁業者の間でも、経営に影響が出るのではないかとの懸念や不安の声があります。
このためにも、都は農林漁業者が安心して生産に取り組めるよう、栽培技術の向上や施設整備、高付加価値化の推進など、ハード、ソフトの両面から万全の対策を講じていただきたいと思います。
一方、二〇二〇年東京大会に向かって、国内外から東京に訪れる観光客はますます増加しています。この機を捉えて、東京の消費者の身近で生産された新鮮で安全・安心な農林水産物の魅力を発信し、一層の消費拡大を図っていくべきと考えますが、東京の農林水産物のPRに関する都の取り組み状況と今後の課題について伺います。
○武田安全安心・地産地消推進担当部長 都は、野菜や果物、魚など東京で収穫される多彩な農林水産物の特色や安全性、購入できる直売所などをホームページできめ細かに発信してまいりました。
また、消費者や観光客が実際に味わえるように、東京産の農林水産物を使った料理を提供する区部と多摩地域の飲食店をとうきょう特産食材使用店として登録するとともに、島の農林水産物を使った特色あるメニューを提供する飲食店等を東京島じまん食材使用店として登録し、これらの店舗情報などを掲載したガイドブックを発行してPRしております。
今後は、こうした情報を海外から来訪する観光客向けにも積極的に発信するため、ホームページのリニューアルや新たな情報誌の発行を通じて、都内産農林水産物の魅力をわかりやすく紹介することが必要であると認識しております。
○三宅(正)委員 地産地消を推進し、消費拡大を図っていくためには、東京の農林水産物を単に紹介するだけではなく、多摩や島の豊かな自然や農林水産物のおいしさなど、消費者である都民はもちろん、これから多数訪れる国内外の観光客の心をつかむような観光目線でのPRの方法も大切だと思います。そうした取り組みとなるよう工夫をして、積極的に東京の農林水産物の魅力を発信していただくよう強く要望いたします。
次に、農作物の獣害対策について伺います。
島しょ地域では、農作物に多大な被害を与えている外来野生獣を撲滅するため、平成二十年度から島しょ農作物獣害防止緊急対策事業に取り組んでいます。
この事業により、八丈島のノヤギの被害は少なくなりましたが、新島の鹿や大島のキョン、タイワンザル、リスは、捕獲しているにもかかわらず、いまだに農作物被害が絶えず、引き続き対策が必要です。
また、多摩地域においても、最近ではイノシシや鹿、猿などが市街地付近にまで出没するようになり、さらには外来種のアライグマやハクビシンによる農作物被害も増加していると聞いています。
丹精込めて育てた農作物が野生獣によって荒らされることは、生産者にとって経済的な損失はもとより、精神的な痛手もはかり知れないものがあります。
そこで、農作物への獣害に対する都の取り組みと課題について伺います。
○武田安全安心・地産地消推進担当部長 都では、野生獣による農林業被害を継続的に防止するために、東京都獣害対策基本計画を策定し、農林業獣害対策を推進してまいりました。
まず、島しょ地域では、農作物に被害を与えている外来野生獣を撲滅するため、町村が行う有害鳥獣捕獲に対し、人件費などの経費を補助しております。平成二十年度の事業開始からこれまでに、八丈島のノヤギをほぼ駆除したほか、大島のタイワンザルは約三千二百頭、新島の鹿は約二千五百頭を捕獲しております。
また、多摩地域では、在来種のイノシシや猿、外来種のアライグマなどの侵入防止柵などの設置、追い払いや捕獲にかかる人件費などの経費を補助しております。侵入防止柵については、平成十三年度の事業開始からこれまでに、約五十五キロメートルの設置を支援しております。
しかしながら、島しょ地域では捕獲従事者の不足、多摩地域では野生獣の生息域の拡大などの課題がございます。
今後は、野生獣の行動特性を踏まえた一層効率的な捕獲方法や野生獣の餌となる食品廃棄物、未収穫のままの果樹の管理徹底など、地域の住民の意識向上策などについても検討し、獣害対策を推進してまいります。
○三宅(正)委員 都が、野生獣による農作物被害対策としてさまざまな取り組みを行っていることがわかりましたが、農作物に対する野生獣の被害は続いています。
これまでの取り組みはしっかり継続するとともに、ただいまご答弁にあった課題に応じた新たな対策を取り入れ、より効果的な獣害対策を進めていただくよう要望して、質問を終わります。
○島崎委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時二十三分休憩
午後三時四十分開議
○島崎委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○小林委員 私からは、観光施策についてお伺いをいたします。
初めに、東京ブランドの海外発信についてですが、この十月に東京の観光PRで使われる新しいロゴ、&TOKYOが公表されて、私たちもこの二カ月弱の期間に、さまざまな機会に東京を旅行先としてのブランドとして宣伝する様子を見聞きしてまいりました。
観光地としての魅力をきちんと整理して、それを具体的なロゴという形にして、東京ブランドを数多くの旅行者にPRする取り組みが動き出したことは、オリンピック・パラリンピック大会に向け、さらに東京を国際的な観光都市に高める施策として重要であると思います。
こうした&TOKYOを使ったPRは、国内でまずは都民などに向けて展開していくことも必要であり、東京での理解も十分に広めた上で、海外向けの発信に力を入れることが重要になるものと考えます。
海外に向けて、東京を観光地のブランドとしてPRしていくために、今回の&TOKYOという取り組みを工夫を凝らして推進していく必要があると考えますが、見解をお伺いいたします。
○坂本観光部長 東京の国際的な観光都市としてのブランドを確立するため、その魅力を世界に向けて着実に発信する取り組みが重要でございます。
そのため、都は、&TOKYOの発表に合わせ、東京ブランドのイメージ映像をホームページや海外でのコマーシャルを通じて発信し、PRの充実に取り組んでおります。
また、ヨーロッパで規模の大きいロンドンの旅行博に出展いたしまして、パンフレットの配布や観光セミナーの実施などにより、東京ブランドのPRを実施しております。
さらに、海外メディアによる取材があった場合や、世界十二都市に設置している東京観光レップの活動を通じ、都内の最新の観光の状況について情報提供などを行って、観光地としての東京の魅力を伝えてまいります。
○小林委員 &TOKYOは、五つの東京独自の価値を伝統色の五色で表現し、伝統と革新が融合する東京の歴史と多様性を表現しているとのことですが、この趣旨をよく都民の皆様にも理解していただく取り組みも大切であると思います。
東京をブランド化するということは、都民にとっても東京独自の価値を改めて発見し、また再認識していただき、東京ブランドに誇りを持っていただけるよう、わかりやすく積極的な都民向けの推進もお願いしたいと思います。
東京を魅力ある観光地として海外の旅行者から認めてもらうためには、それなりの準備をしてコストも投じて外国でPR活動をしっかりと行うことが不可欠であります。
その一方で、東京が海外からの観光にふさわしい都市として多様な魅力を提供することができるよう、都内の各地域の特色や特産品などをうまく活用し、紹介する取り組みも重要になると考えます。
都内では数多くのイベントがあり、その中で東京の地域ならではの生産品を宣伝する様子を目にする機会もしばしばございます。観光という面から集客力の高いイベントを選んで、都内の地域の魅力を幅広く紹介して、東京ブランドを一層促進していくべきと思います。
東京では毎年、観光関係の事業者が出展する大規模な旅行博覧会も開催されておりますが、そうしたイベントで都として観光PRを積極的に推進していくべきであると考えますが、都の対応をお伺いいたします。
○坂本観光部長 東京の各地域の魅力について都内の規模の大きいイベントなどを活用して発信することにより、観光振興に結びつける取り組みは重要でございます。
都は九月に、我が国で最大級の旅行博覧会として国内外から十七万人の来場者があるツーリズムEXPOジャパンに出展いたしまして、東京の特産品の紹介や販売に加え、東京ブランドの発信などを行ったところでございます。
特産品につきましては、都内の各地域の工芸品や菓子類など約百種類の展示や販売などを実施いたしました。
また、東京ブランドについてコンセプトの内容をわかりやすく説明する大型パネルの展示を行うとともに、各種のアトラクションを実施してブランドに対する来場者の理解が深まる工夫を行ったところでございます。
○小林委員 外国人観光客に対する細やかな配慮の一つとして、多言語化は必須の取り組みであります。都内の公共的な道路や建物では多言語化も進んできておりますが、一方で、食事のために入った店の中では、メニューの内容がいまだに日本語だけで、店員も外国語ができないといった実態もまだまだ見受けられております。
観光において食の楽しみは欠かせないものであり、外国人観光客に心置きなく食を堪能してもらうためには、各店舗においてメニューの多言語化を推進していく取り組みが重要であります。
都では、IT技術を活用して、小さな飲食店でもメニューを外国語表記で作成できるEAT東京を開設していますが、都内の飲食店がさまざまな言語のメニューを簡単につくるための具体的な取り組みについてお伺いいたします。
○坂本観光部長 都は、飲食店が多言語でメニューを作成でき、外国人がこれを作成した店舗を検索することのできるウエブサイト、EAT東京の運営を行っております。
ウエブサイトの開設以降、電話での質問を受け付けるヘルプデスクによるサポートを実施するとともに、飲食店に利用方法をわかりやすく説明する研修会を年八回開催するなどの普及啓発に努めているところでございます。
こうした取り組みによりまして、ウエブサイト上で店舗情報やメニューを掲載する店舗数は、昨年度末時点の約百八十から約三百六十へと倍増しております。
これに加え、今年度はEAT東京の機能や操作などについて、利用者からウエブサイト上で意見を受け付ける仕組みを導入いたしました。今後は、こうした利用者の意見をシステムの利便性向上につなげることを予定しております。
○小林委員 次に、アニメを活用した観光振興についてお伺いします。
いうまでもなく、アニメはクールジャパンを代表する日本のすぐれた文化であり、重要な観光資源であります。
私の地元練馬区は、日本のアニメ制作を本格的に始めたジャパン・アニメーション発祥の地であり、重要な産業資源、観光資源と位置づけております。
現在も九十社を超えるアニメ制作関連会社があります。毎年、大規模な練馬アニメカーニバルを開催し、区内外の多くのアニメファンが訪れております。
以前、あるアニメファンの方とお話をした際、練馬はアニメファンにとってはまさに聖地ですと話されておりまして、ますますその魅力を高め、発信していかなければならないと思っております。
しかし、このような観光資源としてのアニメに関するものは、練馬区だけではなく都内各地に点在しております。
私は、本年の第一回定例会の一般質問でも取り上げましたが、都内に点在しているアニメ資源をいかに結びつけ、より躍動感を持った取り組みを行っていくかが重要であり、例えば都内の各地域に広がるアニメに関する取り組みを点で終わらせるのではなく、共通の観光資源として結びつけて見学ルートとして提供するような、点を面として捉えていく発想が大切になると考えております。
今後の外国人旅行者の誘致に向け、アニメの魅力を広く発信していくためにも、地域を超えてアニメを重要な観光資源としてさらに育て上げていく施策展開が必要であると考えますが、見解をお伺いいたします。
○坂本観光部長 海外から東京を訪れる旅行者をふやすため、各地域の観光資源の内容の充実を図るとともに、それらを組み合わせてより効果の高い観光振興に結びつけていくことは重要でございます。
都はこれまで、地域のさまざまな観光資源を活用し、自治体の区域を超えて企画したアイデアを民間事業者のノウハウと結びつけて実現を図る取り組みを行ってまいりました。
今年度でございますが、武蔵野と三鷹にある地域の団体が協力してアニメーションをテーマとする展示を行うとともに、アニメに関連するスポットや周辺の和食の料理店などをめぐるイベントに対して支援を行ったところでございます。
今後は、広域的に連携し観光振興に取り組む地域の意欲に対応できるよう、支援の充実を図ってまいります。
○小林委員 今ご答弁にもありました武蔵野と三鷹の取り組み、これは地域資源発掘型実証プログラム事業による武蔵野市、三鷹市内の各アニメスタジオが所有する原画、コンテ、台本などを一堂に集めた外国人向けアニメ・漫画展示会でありますが、先日、私の二十代の知人が実際に見学に行ってまいりました。
武蔵野会場、三鷹会場ともに足を運んだそうでありますが、いずれも飲食店を活用した展示であったそうであります。
展示の仕方や展示数、イベントの広報の仕方などさまざま課題も見受けられましたが、店員さんに聞いたところによると、ふだんと比べ、このイベントの開催で外国人客も若干ふえた印象があるとのことでありました。
いずれにしても、実施した成果を都も掌握し、検証しながら、地域と都がより密に連携し、さらに価値あるものに高めていくことが大切になると思いますので、こうした隣接する地域を結びつけた取り組みをさらに支援しつつ、都も主体的に都内のアニメ資源を結びつけていく取り組みを推進していただきたいと思います。
一方で、アニメ資源を貴重な財産として後世に受け継いでいく取り組みも必要であります。
アニメの作成の過程では手作業でセル画を描くわけですが、今は技術も進んで、コンピューターを使って画像処理を行う方法もふえているようです。
そうしたセル画は、アニメのファンだけではなく我が国の文化としても貴重で、しっかりと保存することが大切ですが、制作会社では保管する場所の確保ができずにいるのが現状との話も伺っております。
都ではアニメ・アーカイブ事業により、セル画を含めアニメの制作の中で使われるさまざまな資料について保存などを行っているようですが、都としては、そうした取り組みをしっかりと進めて、観光資源として生かしていってほしいと考えています。
アニメを東京の観光に役立てるため、さまざまな資料などの保存や活用など、積極的に取り組んでいくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
○坂本観光部長 東京の観光振興につなげるため、アニメーションの制作に関連するさまざまな資料の保存を適切に行って、旅行者の誘致に役立てることは必要でございます。
そのため、都は、アニメ・アーカイブ事業におきまして、アニメ制作工程における絵コンテ、原画、セル画などを資料として民間企業から提供を受け、整理や保管を行っているところでございます。
こうした資料につきましては、アニメイベントへの貸し出しを行うとともに、閲覧の対応もしているところでございます。
○小林委員 貴重な資料を収集し、整理し、保管していく。非常に地道な取り組みでありますが、このような取り組みは歴史的に見ても大変に大事なことであると思っております。
次元はちょっと違うかもしれませんけれども、横浜市に鎌倉時代の武将、北条実時が創設したとされる金沢文庫があります。いわゆる私設図書館のようなものでありますけれども、古今東西の政治、文学、歴史など、多岐にわたる蔵書を積極的に収集し、子孫にもこの北条実時の精神が受け継がれ、蔵書の充実が図られてまいりました。この金沢文庫で収集された資料によって、私たちは鎌倉時代のさまざまな要素を知ることができるようになっております。
アニメの資料という財産も、現代を象徴する貴重な日本の文化としてそれを後世に伝えていく責務があると思いますので、このアニメ・アーカイブ事業、地味ではあるかもしれませんが、都が主体的に、積極的に取り組んで、誇るべき財産の構築をお願いしたいと思います。
それとともに、ぜひとも収集された資料は、都民の目に広く触れる取り組みも推進していただきたいと思います。
例えば、資料を公開する拠点の整備や、メディアやSNSを活用した情報発信など、共有の財産という視点で広くその存在と価値を高めていく施策を展開していただきたいことを要望したいと思います。
我が練馬区はアニメ一番のまちを自負しております。本格的にジャパン・アニメーションが始まった一番最初のまち、さらに、アニメ産業に関連する会社が最も多く集まっているアニメが一番多いまちであります。
ぜひとも、こうした練馬区を初めとする各地域と連携を図りながら、アニメ・アーカイブ事業によって収集された貴重な資料の宝庫を中軸に、各地域に点在する資源を面として広げて、国内外の方々にそのアニメの魅力を発信していく展開を期待いたしまして、私の質問を終わります。
○尾崎委員 最初に、中小企業対策の中の金融支援、女性・若者・シニア創業サポート事業について幾つか質問します。
自分の得手を生かして商売を始めたいと考える人、自分の仕事を通じて人に喜んでもらいたい、社会に貢献したいという人たちを東京都が応援することは大変重要だと考えます。
商売を始めるには、自己資金の問題や経営、申告などの税務のことがわからないなどさまざまな困難もあります。制度融資だけにとどまらず、その後も専門家が支援することで経営の安定化を図り、継続できるようになると考えます。
そこで、女性、若者、シニアの創業について、融資件数、融資額の実績について伺います。
○山巻金融部長 平成二十六年度は、女性向けに二十一件、八千万円、若者向けに二十五件、一億円、シニア向けに四件、二千万円、合わせて五十件、二億円の融資を実行いたしました。
○尾崎委員 今、平成二十六年度の実績を伺いました。今年度についての実績は、年度末にならないとわからないというようなことでした。
信金、信組協会に約百五億円を預託金にして行っている事業ではありますが、相談件数や申込件数、融資件数や額などの進捗状況などについては、その時々でつかみながら進めていくことが必要であり、それが都の役割だと思います。
この融資事業では、融資前の事業計画づくりの援助、事業が軌道に乗るように経営面サポートをする地域創業アドバイザーがかかわります。
地域創業アドバイザーは何団体ですか。また、具体的にはどのような支援を行っていますか。セミナーなどの開催、参加状況について伺います。
○山巻金融部長 地域創業アドバイザーは現在二十団体でございまして、セミナーの開催や事業プランへの助言、融資後の経営サポートを実施しております。
平成二十六年度のセミナー開催回数は二十四回、参加人数は約四百人でございました。
○尾崎委員 セミナーの参加者が約四百人ということでした。
長期ビジョンでは、二〇一三年度四・八%の開業率を二〇二四年までに一〇%台に引き上げると目標を掲げています。この目標達成のためには、まだまだ工夫が必要なのではないでしょうか。商売を始めようと考えている人にこの制度を知らせるということが大事だと思っています。
電車のドアに宣伝用のシールを見かけ、電車内の広告は効果が大きいと思いました。
そこで、創業を希望する人にこの制度を知らせるためにどのような取り組みをしていますか。
○山巻金融部長 創業希望者向けのセミナーのほか、パンフレット及び創業事例集の配布、また各種広告等によりまして幅広く周知を図っております。
○尾崎委員 昨年度は事例集も発行していますが、明るい感じの雰囲気で、創業した人の意欲が伝わる事例集になっていました。商売を始めたいがどうしていいかわからないと悩んでいる人に展望を示す役割もあります。今年度の事例集もできるだけ早く作成し、普及することを求めておきます。
信用金庫、信用組合、アドバイザーの方々との意見交換などはどのように行っていますか。
○山巻金融部長 都は、事業の実施団体でございます東京都信用金庫協会及び東京都信用組合協会、取扱金融機関、アドバイザーと定期的に事業の実施状況につきまして情報交換を行っております。
○尾崎委員 定期的に事業の実施状況について情報交換をやっているということですが、直接対応する信金、信組の方々たちとの意見交換が大変重要だと思います。事業を促進するために何が必要なのか、改善が必要なところはどこかなど、制度の拡充や改善などの要望も含めよく聞いていただくよう要望しておきます。
長期ビジョンで掲げた開業率を一〇%台に引き上げるには、創業時に支援だけではなく、既存の中小企業が経営を持続できるように経営環境を整えること、大手企業との公正な取引ルールの確立、特に女性経営者が子育てや介護との両立ができるような制度なども必要になります。
また、企業として利益を生み出し地域社会に還元していく、地域のお祭りや防災、子育てなどに大きな貢献をしている中小企業の持っている力や役割、自分で起業することで生きがい、働きがいがあるということを都としてPRすることは、創業者を掘り起こすことになるのではないかと提案します。
また、従業員を雇うまでに軌道に乗れば、雇用上のトラブルが起きないよう未然に企業としての社会的責任、ルールを身につけることは重要です。都としてこうした支援をすることを提案します。
次に、商店街、小売業、サービス業におけるチェーン店対策について質問します。
コンビニ店は、商売する商品、営業ノウハウなどをコンビニ店本部と契約した店主が利用して営業しています。その一方で、店主は本部に対して、上納金としてロイヤルティーを支払う契約をするわけですが、その契約をめぐってトラブルが絶えません。
私は、十七年前にコンビニのオーナーの方たちの相談を受け、本部とのトラブル解決のために学習会や交流会、本部への申し入れなどに取り組んできました。当時は地元の特産品などを店舗に陳列すると罰金が科せられました。家族の葬儀のために休むことも許されませんでした。
この間、我が党も国会、都議会で取り上げたり、オーナーの方たちの運動や世論などによって本部の対応にも改善が図られてきました。
東京都も実態調査を行いました。都は、二〇〇二年三月に小売業、サービス業におけるチェーン活動の実態調査報告書をまとめましたが、その後、同様の実態調査は行っているのでしょうか。
○松永商工部長 平成二十六年度の東京の中小企業の現状(流通産業編)調査におきまして、事業者のチェーン等への加入状況について調査を行いました。
○尾崎委員 私もこの東京の中小企業の現状(流通産業編)の調査を報告書として見ていますが、二〇〇二年と同様の調査といえるようなものではなく、小売店がチェーン等に加盟しているかどうかを調べたものにすぎません。二六一ページの報告文の中で、わずか一ページに全小売業の約六%がフランチャイズに加盟していることを示したものです。
前回の実態調査から十二年が経過しています。現状がどうなっているのか、東京都への要望は何かなど、改めて実態調査を行うことを求めるものです。
一方、二〇〇二年三月の小売業、サービス業におけるチェーン活動の実態調査報告書では、都など行政への要望、意見が集約されています。この間の都の取り組みについて伺います。また、実態調査をまとめた当時の都の認識と現在の認識について伺います。
○松永商工部長 調査報告書では、チェーン活動は契約自由の原則に基づき、基本的に加盟者自身が責任を持って行うべきものであるとする一方、チェーン本部における契約時の情報の開示が不十分であるといった課題も指摘しております。
こうした状況を踏まえ、国は中小小売商業振興法施行規則を改正し、加盟希望者への情報開示義務を強化するとともに、公正取引委員会においてもフランチャイズガイドラインを定めております。
チェーン活動は、これらの関係法令やガイドラインを遵守した上で、契約自由の原則という基本的な考え方のもとに適正に行われることが重要であると認識しており、こうした取り組みが適切に行われるよう、都は、中小企業振興公社の総合相談窓口においてさまざまな相談に応じております。
○尾崎委員 コンビニは、今やまちになくてはならない存在になっています。
私たちの商店街調査でも、物販店として貴重であり必要、夜間照明があるので安心という意見が寄せられています。コンビニ本店も、社会的役割を担うを目的に自治体との防災協定や介護協定を結ぶところも出てきています。
またコンビニでは、公共料金の納入や金融機関、自動預け払い機、コピー機、ファクスはもちろん、バイクの自賠責保険などさまざまなサービス業務がふえています。
そして、各加盟店オーナーからは、協定を結ぶ前に説明はなかったという声が上がっています。高いロイヤルティーなど問題は山積したままなのです。
小売業、サービス業におけるチェーン活動の実態調査報告書の中に都など行政への要望、意見がまとめられていますが、相談窓口設置への要望もたくさん寄せられています。報告書では相談窓口の紹介もしています。
フランチャイズの本部と加盟店との問題などの相談は中小企業振興公社が窓口になっているということですが、この間の相談件数はどうなっていますか。
○松永商工部長 二十六年度におきましては、契約に関する相談など十件でございます。
○尾崎委員 昨年度の相談件数が十件というのは非常に少ないと思います。やはり何か問題が起きたときにどこに相談したらいいのか知らないということではないでしょうか。
二〇〇二年の実態調査報告書では、都としての対応方向に、相談体制の一層の強化が必要だとしています。また、都としての対応方向は、相談体制の一層の強化のほかに、創業者、中小企業者のための研修等の充実、チェーン活動と商店街活動のあり方について検討していくことが必要、分析結果は加盟者や加盟希望者、本部、業界団体等の関係者に情報提供してチェーン活動の健全な発展のために活用していくとしています。
中小企業振興公社が相談窓口になっているということですが、コンビニ店の行う業務は従来と比較にならないほどさまざまな業務に拡大しています。その一方で、店主が払う上納金はそれに見合ったものになっていません。商店街の中にもコンビニ店が急増しています。
フランチャイズ契約は、小売店だけではなく、飲食店、サービス業などに広がっています。相談窓口の広報を強化するとともに、東京都にも相談窓口を設置することを求めておきます。
コンビニ以外にも塾や介護などのフランチャイズがふえ、被害も起こっています。フランチャイズの本部は東京に集中しているため、東京都でフランチャイズ本部を立ち上げる際、何らかの規制が必要だと思いますが、いかがですか。
○松永商工部長 フランチャイズにつきましては、中小小売商業振興法や公正取引委員会におけるガイドラインに規定されておりまして、それらを遵守した上で行われるべきものと考えております。
○尾崎委員 都として国に何らかの法律をつくるよう意見を上げるべきですが、いかがですか。
○松永商工部長 既に関係法令やガイドラインが定められておりまして、それらを遵守した上で経済活動が行われるべきものと考えてございます。
○尾崎委員 二〇〇二年の実態調査には、フランチャイズのシステムについての意見、ロイヤルティー、法整備、規制についての要望もたくさん寄せられています。
加盟店の方々からは、中小小売商業振興法、独占禁止法はありますが、フランチャイズ本部と加盟店とのトラブル解決には役に立たないといわれています。
中小小売商業振興法は、紛争トラブルの有無などの本部の不利な情報を開示する義務はなく、罰則も強制権もありません。まして、対象となるのは小売と飲食です。フランチャイズ方式で広がっているサービス業、塾やホテル、住宅リフォームなどの業種も対象とした規制対策が必要です。
公正取引委員会のガイドラインも、法律ではなく考え方を示しているものです。適正事例もなく、公正取引委員会も積極的に取り締まろうとしていません。いずれも加盟店の権利、利益を保障するものではありません。フランチャイズ経営の健全な発展を保障するにはルールの確立が必要です。
およそ百年の歴史を持つフランチャイズ発祥地、アメリカでは、不公平取引を厳しく規制しています。幾つかの州では、フランチャイズ事業も登録制にしています。ドイツやフランスでも、加盟店の権利、利益を保護するルールがあります。
奈良県議会は七月三日付で、政府に対してフランチャイズ法の制定を求める意見書が出されました。東京都も国に意見を上げるべきです。国が動かないようであれば、東京都で、本部を立ち上げる場合には許可制にするとか登録制にするなど、積極的に対応するよう要望するものです。
次に、都市農業について幾つか質問します。
東京都が行った二〇一五年度第二回インターネット都政モニターアンケートの結果でも、八五・五%の人が東京の農業、農地が必要と回答し、十年前のアンケートのときよりも四・四%増になっています。
国会では、議員立法ではありますが都市農業振興基本法が制定されました。都市農業、農地については多面的な役割、機能があり、農地の保全は農家だけの問題ではなく、まちづくり全体の課題になってきています。
いただいた資料によると、二〇一四年の農地面積は七千二百九十ヘクタールとなっています。二〇〇五年の八千三百四十ヘクタールと比較すると、千五十ヘクタール減少しています。
農地保全のために取り組んでいる実績について伺います。
○寺崎農林水産部長 平成二十六年度は、都市農地保全支援プロジェクトにおきまして、農薬飛散防止施設九カ所、防災兼用農業用井戸七カ所などの支援を実施したほか、地域住民への理解促進に向けシンポジウムを開催いたしました。
平成二十七年度も、本事業の中で農地保全を支援しております。
○尾崎委員 今年度の新規事業で都市農地保全調査事業がありますが、進捗状況について伺います。
○寺崎農林水産部長 現在、都市農地の適切な保全策の検討に向け、農業者に対して農地の貸借等についての意向調査や、区市ごとの都市農地の現状把握を行っております。
○尾崎委員 ただいまのご答弁で、区市ごとの都市農地の状況把握をしているということですが、この中には屋敷林などの調査はないということです。
都は、屋敷林や屋敷内の農機具の倉庫などの面積や税負担がどうなっているか調査はしていますか。
○寺崎農林水産部長 都では、都市農業経営における相続実態調査を実施し、実態事例を調査いたしました。
○尾崎委員 都市農業経営における相続実態調査を実施したというご答弁でした。
農家本人への聞き取り調査を行い、相続前と相続後について各事例を明らかにしたもので、重要な調査だと思います。
農地の保全のためには、高齢化と後継者問題、相続税の問題など、国を動かして法整備することが求められます。
屋敷林や屋敷内の農機具の倉庫などの面積の調査については、明確なご答弁がありませんでした。
調査はしていないということだと思いますが、私は先日、杉並区にお話を聞きに伺いました。杉並区は五年ごとにみどりの実態調査を行い、その結果、緑地面積の七割が民有地であり、屋敷林は三十年間で半減している実態を踏まえ、緑地保全について検討し、今年度から、貴重な緑を重点的に保全するための杉並区緑地保全方針をつくりました。杉並区のような取り組みを各地で広げることが東京の緑地保全につながっていくと考えます。
そのためにも、都は区市町が行う実態調査を支援するよう求めるものです。
都市農業を守るためにも、農のあるまちづくり、都市農業者の農業用施設用地、防災関連の施設用地、屋敷林の固定資産税の負担実態を調べ、都市農業の振興とともに都市農地の保全に向けた施策づくりのため、学識経験者、区市町村、関係局、農業者を含め、産業労働局として、東京都農林・漁業振興対策審議会の開催を視野に入れ検討すべきですが、いかがですか。
○寺崎農林水産部長 都では既に、関係局を初め区市や生産者団体等と検討会を立ち上げ、効果的な農地保全策を検討しております。
○尾崎委員 既に立ち上げたというご答弁がありました。
都政モニターアンケートの中で、東京都や区市町村が農地を保全するために、どのような施策を行う必要があると思いますかの質問があります。
相続税支払いのために売却された宅地になる農地を、都や区市町村が買い取るなど農地のまま保全できる仕組みをつくる、こう答えた方が四二・九%でトップでした。
次いで、農業以外から新規参入者などにより担い手を確保するが三八・五%、農業でも高収入が得られるよう魅力ある産業にするが三四・三%、市街化区域の農地を保全できるように現行の法制度を改善するが二一・五%となっているように、都市農業が成り立つようにするため何が必要かが明らかになっているアンケートだと思います。
知事は農業特区を提案していますが、国家戦略特区の目的に沿って内容を検討し、国主導で決められるものです。地域からの提案に基づく従来の特区制度とは異なるものです。
都市農業を守るためには、国の都市農業振興基本法の具体化を国に強く求めるとともに、都として都市農業者の農業用施設用地、屋敷林などの固定資産税の負担実施をつかみ、固定資産税の軽減など、都が独自にできる施策の実現を求めるものです。
その際、市町村は固定資産税の減収になりますから、その分は都が財政支援するなどをあわせて検討するよう求めておきます。
次に、水産業について幾つか質問します。
河川等における内水面水産漁業の漁獲量は、一九七八年の十三万八千トンをピークに二〇一二年には三万三千トンまで減少。漁業従事者の減少や高齢化も進行し、内水面漁業の有する水産物の安定的な供給の機能や、河川や湖などの生態系の保全、自然環境保全、レクリエーション、伝統文化など、多面的機能の発揮に支障を来すことが懸念される状況にあり、この状況を踏まえ、内水面漁業の振興を図るため、昨年六月に内水面漁業の振興に関する法律が成立しました。
内水面漁業の振興に関する法律の成立を受けて、都はどうするのでしょうか。
○寺崎農林水産部長 都では、内水面水産資源の生息状況の調査等を引き続き行いますとともに、農林水産大臣が行う指定養殖業の許可にかかわる申請の受け付けを開始いたしました。
○尾崎委員 いただいた資料によると、内水面漁業の経営体数は減少、従業者は五年前よりもふえていますが、十五年前と比較しても減少している状況です。
これらの実態についての認識を伺います。
○寺崎農林水産部長 内水面養殖業の経営体数は、後継者不足や高齢化により個人経営体を中心に減少しております。
一方で、従業者数は、漁業協同組合など比較的規模の大きい経営体で養殖規模の変化や併設されている釣り場の管理などの状況により増員している例もあり、年度ごとに増減が生じております。
○尾崎委員 法律の成立を受けて、従来にも増して内水面漁業振興に向け施策を拡充するよう要望しておきます。
先日、私は釣りの団体の皆さんから、奥多摩、秋川水系で自然保護も兼ねてヤマメの発眼卵埋設放流に取り組んでいるというお話を聞きました。
ヤマメの発眼卵埋設放流について、奥多摩の各川の上流部に、釣り団体の方たちがボランティアで何千もの卵をステンレスかごに入れて何カ所にもわたって埋設し、川でふ化させるということです。
発眼卵の埋設放流は、稚魚の放流に比べて、卵のときから川にいることで天然魚に近い魚が育つこと、稚魚放流より手間暇がかかるけれども、取り組んでいるとのことでした。
しかし、十一月に埋設してからふ化するまでの間に大雨などが降ると流されてしまい、回収できず、自分たちで工場に発注してステンレスかごを取り寄せるということでした。せめてステンレスかごは都が負担すべきですが、いかがですか。
○寺崎農林水産部長 ヤマメの発眼卵埋設放流などといった水産動植物の増殖は、漁業法に基づき漁業権を取得した漁業協同組合等に義務づけられております。
ボランティアの活動は漁業協同組合への協力として行われているものであり、都が経費を負担することは考えておりません。
○尾崎委員 釣りの団体の方からは、体力的に大変な作業であるが、その結果として、川によってはヤマメが定着してきている。自分たちも高齢化が進み、いつまで続けられるか不安があるという声も寄せられました。釣りの愛好家の皆さんが、ボランティアとして大きな役割を果たしていると痛感しています。
本来は漁業組合の役割だということですが、ボランティアの人たちの高齢化による不安も出されているので、今後の体制についての検討も必要な時期に来ているのではないかと思います。漁協も高齢化が進み、数も減少し、負担を求めにくいともいっていました。
発眼卵埋設放流が継続できるよう、漁協に対する支援の拡充の検討も要望しておきます。
多摩川のアユの遡上数がふえているようですが、魚道施設状況について伺います。
○寺崎農林水産部長 多摩川には、国や地方自治体、民間事業者がそれぞれの目的に応じて十六の堰等を設置しており、その全てに魚道が併設されております。
○尾崎委員 先日、昭和用水堰に行って調べてきました。
釣りの団体の方たちからは、アユがふえたにもかかわらず、魚道の機能が十分発揮できていない堰もあるので改良してほしいとの要望もありました。漁業従事者や釣り団体からの要望をよく聞いていただき、スムーズにアユを上流に遡上させる方法を検討するよう求めておきます。
アユの遡上状況について、調布の堰より上流のところで調べているのか伺います。
○寺崎農林水産部長 島しょ農林水産総合センターによるアユの遡上数調査は、大田区調布取水堰の下流で実施しております。
○尾崎委員 調布の堰でアユの遡上状況を調査しているということですが、遡上状況を詳しく調べるには、それぞれの堰上流で調査することが必要だと考えます。
東京都は二〇〇七年度より、国土交通省と連携して、関係機関による魚道管理連絡会を設置し、魚道の点検、清掃など、機能維持に関する取り組みを行っています。本来であれば、よりアユなどが上流に登りやすい魚道設置技術の開発などを進めることになっているわけですから、全ての堰で遡上状況を調査することによって、魚道を改善し、アユの遡上環境を向上していくべきです。
江戸前アユの釣れる川づくりや、江戸前アユの活用や遊漁施設の整備など、内水面漁業の振興が必要だと思いますが、いかがですか。
○寺崎農林水産部長 都では平成二十六年度から、多摩川の中下流域の天然アユを上流域に放流する天然アユの釣れる川づくり事業を実施しております。
また、今年度から、漁業協同組合や市町村が取り組む河川釣り場の整備などを支援する内水面漁業振興対策事業を開始いたしました。
○尾崎委員 アユの遡上を増加させ、地域の産業振興につなげるため、都の役割は大きいと指摘し、この取り組みをさらに推進していただくよう要望します。
次に、多摩川のアユがふえていけば、東京の観光資源にもなると考えます。川釣りには根強い人気があります。食やレジャーという視点から観光振興を推進できると思います。
多くの釣り人が多摩川を訪れて近隣の店でアユの料理を楽しんだり、帰りにはお土産も買うような仕組みができれば、当然、周辺地域の経済の活性化にも期待ができます。
多摩川のアユ釣りを観光の振興に役立てる施策を行うべきだと思いますが、いかがですか。
○坂本観光部長 都は、地域の資源を観光に活用しようとする地元の団体などのアイデアを民間のノウハウに結びつける事業を実施しております。
これにより、アユ釣りを観光に役立てることは可能にはなっております。
○尾崎委員 観光振興という視点から、河川敷の周辺に休憩所やトイレなどの施設が必要になりますが、いかがですか。また、海外からの観光客向けの多言語表示が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
○坂本観光部長 多様化する旅行者のニーズに応じた施設整備や案内板の設置などについては、区市町村を通じて支援を実施しているところでございます。
○尾崎委員 多摩地域にはアユ以外にも地域資源があります。
東京ブランドは、東京の産業、農業、ものづくり、伝統工芸など、新たな視点で見直す契機になると思います。ロゴの&TOKYO事業の進捗状況について伺います。
○坂本観光部長 十月のロゴ、キャッチコピーの公表に合わせ、さまざまな東京ブランド推進の取り組みを行っているところでございまして、ロゴの活用を希望する企業などの受け付けも既に開始しております。
○尾崎委員 私の地元で、世界で一番おいしいブドウをつくっていると自負しているブドウ農家から、もっとアピールしたいと要望がありました。&TOKYOを紹介すると、初めて聞いたとのことでした。
&TOKYOの認知度を高めることが必要だと思いますが、今後の取り組みについて伺います。
○坂本観光部長 東京ブランドについては、局の関連事業でのPR活動に加え、イベントでの活用も行い宣伝効果を上げており、引き続き民間企業などとも連携し、取り組みを行ってまいります。
○尾崎委員 多摩地域は豊かな自然と心を癒す風景があります。私の活動地域だけ見ても、ブドウや梨、ミカン狩りができる農園、温泉、釣りが楽しめる川、歴史ある建造物や戦争の傷跡が残る旧日立航空機の変電所など、観光資源になり得るものがたくさんあります。
地元自治体や団体などからよく聞き取りを行いながら、多摩地域の観光を進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○坂本観光部長 先ほどのご答弁でも申し上げましたが、地域の資源を観光に活用しようとする地元の団体等のアイデアを民間のノウハウに結びつける事業で対応可能となっているところでございます。
○尾崎委員 豊かな自然や地元で引き継がれている伝統的な文化などは、その地域では生活の一部になっているものです。日常の生活そのものが海外からの旅行者にとって関心が強いものではないかと思います。その地方に伝わる食べ物なども興味のある一つだと思います。
東大和市などは狭山茶も有名です。古くから、冠婚葬祭のときには必ずうどんを食べる習慣があります。地元の商工会では、この二つを合体させた茶うどんをつくり、まちの活性化を目指して頑張っています。
日常の暮らし、多摩地域の豊かな資源を観光に活用するという視点で見直すことは、多摩地域の振興にとっても大きな役割があると思います。
引き続き、地元自治体や関係団体などとの意見交換を進めていただくことを要望します。
次に、雇用就業対策について幾つか質問いたします。
正規雇用等転換促進助成事業、若者応援宣言企業採用等奨励事業について伺います。
東京都が正規雇用化を応援する支援策をスタートしたことは大変重要で、他県からも注目されています。
いただいた資料で、その柱の一つである、今働いている会社で正社員に転換することを支援する正規雇用転換促進助成金の実績は、十月末で申請が二千八百五十八人で、決定が六百四十一人であることがわかりました。
今働いている会社とは別の会社で正社員に転換することを支援する若者応援宣言企業採用等奨励事業の実績について伺います。
○矢田部雇用就業部長 若者応援宣言企業採用奨励金の支給決定は、十月末時点で六十九人でございます。
○尾崎委員 若者応援宣言企業は十一月十六日現在で千八十社で、求人件数は二千四百六十七人。ただいまのご答弁で、十月末時点での奨励金の実績は六十九人であるということがわかりました。ちょっと少ないように思いますが、六カ月定着後の申請なので、今後ふえていくことを期待するものです。
正規雇用等転換促進助成事業は、国のキャリアアップ助成金、正規雇用等転換コースの支給決定を受けた企業に対し、都が国と同額の上乗せを行い非正規労働者の正規雇用等への転換を促進するものです。
国の実績を調べましたが、二〇一四年度の補正では四千五百三十六件で七千六百七十七人、そのうち八九%が中小企業であったことがわかりました。二〇一五年度は四月から六月の実績ですが、三千五百六十件で六千二百二十一人、そのうち九一%が中小企業でした。
国では都道府県単位で集約はしていないということでしたが、東京でも中小企業の比率は高いのではないかと思います。
都は大企業と中小企業の分類はしていませんが、全国からも注目を受けている事業であり、都民が安心して働く状況をつくるという視点からも大変重要な取り組みですので、進捗状況はきめ細かくつかみ、事業効果を検証することが必要です。今後は大企業と中小企業の分類や業種別の集約なども要望するものです。
若者応援宣言企業の数社から話を伺いました。
ハローワークの職員に勧められ、今年度初めて若者応援宣言企業になったということでした。求人一人募集していたが、三人の面接を受け、三十五歳以下の二人を採用したということでした。
奨励金を申請しようと都の説明会に行って、対象は新卒者及び採用日から過去一年以内に正社員であった者を除くと聞き、奨励金の対象外であったことがわかり、がっかりしたということでした。
私は、制度の内容、大事なポイントをきちんと知らせることが非常に重要だと思いました。
そこで、事業のPRはどのように行っているのか伺います。
○矢田部雇用就業部長 事業につきましては、チラシ、ポスター、新聞広告、車内広告等のほか、東京労働局と連携して、ハローワークの窓口でその内容をPRしております。
○尾崎委員 今年度の目標は千人で、非正規雇用対策全体の規模五千人の二割を占める大きな事業ですが、十月末で六十九人というのは少ないのではないでしょうか。ハローワークと十分連携して事業の周知を図ることが必要ではないでしょうか。
正規雇用等転換促進助成事業、若者応援宣言採用等奨励金事業を受けた企業の後追い調査などはどうなっていますか。
○矢田部雇用就業部長 二つの助成金事業は、いずれも正社員として定着することを目的としたものでございます。つきましては、六カ月の継続雇用を要件として支給しております。
○尾崎委員 二つの事業はともに六カ月定着後に申請というものですが、私はその後の定着が大事であり、企業が助成金、奨励金を使ってどのようなことを実施したのかなどを調べる必要があると思います。
また、制度の拡充、改善を検討する上でも、企業からの成果や要望を聞くアンケートなど、後追い調査を行うことを求めておきます。
長期ビジョンの中で掲げている目標、都の非正規対策による正規雇用化、二〇一七年度までに一万五千人などを達成するため、来年度に向けてどう具体化していきますか。
○矢田部雇用就業部長 三年間で一万五千人の正社員化に向け、引き続き非正規雇用対策を推進してまいります。
○尾崎委員 三年間で一万五千人を非正規雇用から正規雇用にしていくと目標を掲げ、引き続きその目標に向けて非正規雇用対策を推進していくとのご答弁でした。
厚労省の調査では、非正規雇用は年々増加し、一九八七年の調査以来初めて四割になったと報告されています。
企業が非正規雇用を使う理由は、正規雇用の安価な代替です。一方労働者は、正規雇用がないから、正社員になりたいと思っている方でも正社員になれないというのが圧倒的です。
非正規雇用のうち、月収二十万円未満は約八割です。低賃金の非正規雇用を増加させる政策は、労働者の願いとは逆行し、日本経済の回復を阻害するものです。
それにもかかわらず、国は労働者派遣法を改悪し、いつでもどこでもいつまでも派遣先企業が派遣労働者を使い続けることを可能にしました。これでは安心して働くことも安心して暮らすこともできません。
都は国に対して、労働者派遣法の改悪について対峙する姿勢を示していません。労働法制の改悪は中止するよう、都民の立場で国に強力に意見をいうべきです。
長期ビジョンの三年間で一万五千人の正社員化の目標実現の半分を握る事業が、正規雇用等転換促進事業と若者応援宣言企業採用等奨励金事業です。今年度の取り組み状況を定期的に把握し、来年度の施策に生かしていただくことを要望して質問を終わります。
○あさの委員 私からも、まずは最初に雇用、労働に関する質問をさせていただきたいと思います。
日本はもともと、生物的なところもそうですけれども、島国という環境なものですから、独自のいろんな進化をしてきたというところがあります。これは商慣習だとか、そういったところも、世界と陸続きでない分だけ、割と日本人特有の考え方で出てきたところがあるのではないか、それは労働市場やさまざまな部分にも少しあらわれてきているのかなと。
しかし一方で、グローバル経済という言葉はもう既に浸透しているというぐらいの世界的な流れになっておりますが、そんな中で日本というところも、そろそろ、いろんな部分のひずみだったり矛盾だったりというのもあるのでしょうけれども、日本のよき流れも維持しながら世界にも合わせていかなければいけないという、多分一番難しい時期に来ているのかなというふうに思っております。
そんな中、ふだんから雇用あるいは労働に関するさまざまな取り組みというのを東京都は行っておりますし、それに対しては深く敬意を表したいと思います。
ただ、そういった取り組みも影響しているのか、日本の雇用情勢というのは、昨今の発表されたところによると、大分回復、好転してきつつあるというか、きているという状況だと思いますが、その中には非正規雇用が拡大しているとかというような、さまざまな問題も抱えているのも事実だと思います。
一方で、業種別、さまざまな業態別に有効求人倍率の中身を見ると、大まかに大体一・数倍という形になっておりますが、二倍を超える業界もあれば一倍を切っている業界もあったり、ばらつきがいろいろあるところなんですね。
それは、要は慢性的に本当に人手不足がずっと続いている業界と、やはりちょっと余っているという業界があるのかなというふうに思いますが、労働市場、市場ということで考えれば、この市場の原理的なところで考えると、足りないところ、つまり供給を需要が上回っているところの価格が上がっていくというのが普通、市場原理といわれるものです。
そこから考えれば、労働市場に当てはめてみますと、足りないところ、つまり人手がないところ、有効求人倍率でいけば高いところは、そこの人件費、賃金というのが上がっていく、給与が上がっていくというのが本来の市場のあり方なんだと思います。
しかし、私が知る限りというか、いろいろ話を聞いたり、さまざまな指標を一応確認してみますと、全体は別になかなかそうなっているようでもないのかなという状況がありますが、そこで、今このような状況に対して、東京都としてどのような所見を持っているのか伺いたいと思います。
○矢田部雇用就業部長 労働市場全体では、有効求人倍率が高い職業ほど賃金が高くなる傾向があるという指摘もございます。
しかし、業種によっては置かれた環境も異なり、個々の企業の経営状況などさまざまな要因もあることから、この傾向が当てはまらない場合もあると考えております。
○あさの委員 非常に大きな話で、割と答えづらかったかもしれません。ありがとうございます。おっしゃるとおり、その指摘というのもいろいろいっている方もいらっしゃるようですが、大きくいえばマクロ経済的に見ると若干その傾向にあるのかなと。
ただ、一方でミクロ、つまり個々の業態別に見ると、なかなかそうならない部分もあるのかなと。特に、例えば看護だったり介護だったり、保険というシステムを使って消費者利益を守りながらやっているところについては、労働者の賃金というのも、そう簡単に市場に沿って上がっていくとか下がっていくという状況にならないのかなとは思いますが、いろんな原因が考えられるんだと思います。多種多様な原因が合わさって今の状況を生み出しているのかなと。
ただ、私の個人的な見解でいきますと、経営者さんの話も聞かせていただくと、まず、やっぱり景気の先行きが不透明なんだということ、短期間で見れば上っている、好景気になったかなといっても、この二十年ぐらいを振り返ってみれば、いいとき、悪いときはずっと繰り返すものですから、どうなるかわからないという状況ということです。
それからもう一つは、やはり日本は、世界に比べてというかアメリカに比べてというか、労働力の流動性というのがそんなに高くない、ちょっと低いというところもありまして、経営者としては簡単に給与を上げるわけにいかない、上げられないという事情も抱えているのかなというふうに考えております。
何にせよ、今いったような市場の原理にかかわるところというのに行政が無理に手を突っ込む、政治側が無理に手を突っ込んでいい結果は生まれないんですね。あくまで、それは買う側と売る側が決めていくことなので、ここに何かいろんなものを入れるということは余り好ましくないと思います。ただし、そういう本当は売り手と買い手が自由に決まっていくはずのところに何か弊害があったり、規制だとか制度といったものが存在しちゃっていて、それがうまく機能していないという状況であれば、それを撤回できる、外すことができるのは行政だけ、あるいはこういった議会だけ、政治側だけしかその権限がないので、そこは常に見ながら、本当にこれは市場の機能が働いている結果でこうなっているのか、それとも、機能が働きたいんだけど、それがうまくできないのか。それを阻害する要因というのは、ほかの利益、さっきいった消費者利益だったり、いろんなもの、守らなきゃいけないものに比べて大きいか小さいかだったり、いろんな判断をしながら、常に監視をし続けなきゃいけないなというふうには思います。
労働市場というのはそういった意味で、先ほどいったように、一般の物の価格みたいな形ではなかなかうまいこといかないかなとは思っておりますが、そういういろんな状況というのがあるんですけれども、うまくいかない部分は多々あると思います。
そんな労働市場を取り巻く現状に対して、東京都として取り組んでいることを伺いたいと思います。
○矢田部雇用就業部長 賃上げをためらう中小企業の多くは、業績の低迷を理由にしております。都は、昨年度から二カ年で、国の地域人づくり事業を活用し、営業力強化や海外販路拡大など企業収益の増大等を通じて従業員の賃金引き上げ等の処遇改善につながる地域展開型処遇改善サポート事業を実施しております。
また、人材確保に苦慮する中小企業は、知名度の低さや社員採用の経験不足などの課題があることから、採用や人材活用等の専門コンサルタントを派遣し、魅力発信や採用実務等のノウハウを提供する緊急人材確保支援事業を実施しております。
○あさの委員 さまざまな取り組みを行っていただいて本当にありがとうございます。
一方で、企業の経営者、特に中小企業の経営者さんたちというのは、人手不足になったときに、例えば募集するんですけれども、募集するだけでも本当に結構なお金がかかる。私の知っているところで、例えば、介護事業をやっています、人がやめました、募集します、三十万かかって募集しましたが誰も応募がないとか、そういうのが繰り返されると、もう何かだんだん嫌になってくる。だったらもう、やめられるぐらいだったら、その人がやめた後に三十万を何回か払うぐらいだったらちょっと賃金上げてみようかなみたいな、逆な意味で賃金が上がる状況が生まれたりとかというところもあるんです。
たしかハローワークは、基本的に無料で出せるんだったかなというふうに思うんですが、今いろんな募集形態が出てきていて、その中にやっぱりすごいお金がかかるものが出て、経営者さんからすると、人を募集するだけでもお金がかかるものだから、もうそういうところで募集するのをやめちゃったりとかという人たちが出てきたり、なかなかうまくいかないのかなというので、そこに対して東京都としていろんな取り組みをしていただいていることはありがたいと思うんですけれども、現場の方も、本当に多種多様ないろんな悩みが出てきちゃって、それを一個一個、全部対応するのは無理だとは思うんですが、ぜひさまざまな対応をこれからも続けていただきたいなと思います。
今までいろいろ話をさせていただいたんですが、最初にいったとおり、日本というのはやっぱり、ちょっと変わったといったらおかしいんですけれども、それが結果的によかった部分もあるんですが、独自の進化を遂げているところがあって、世界経済で見ても、西側と東側みたいな形でいわれていた資本主義経済と共産主義だったり云々があったりした中で、日本というのは、これは個人的な考えですけれども、私は、ちょうど間を縫ってきているのかなと。
つまり、基本は資本主義の自由主義という経済体系をとっているんですけれども、一方で、ちゃんと見ると、何か資本主義っぽいんだけど、どちらかというとちょっと管理型な経済なのかなというような状況であったと私は思っています。
そういったことにならされている国民の中に、いきなり本当の市場原理というか、まさに競争のガンというものを突っ込んでいくとどうなるかというと、社会は本当に混乱しますし、活力をそいでしまう。では、もっともっと管理型を強くしていけばいいかというと、それこそ世界の過去の歴史が証明するように、なかなかそれでうまくいっている国というのがない。経済状況というのは、やっぱり自由主義、資本主義的なところの中でうまくバランスをとっていくのが一番いいのかなというふうに私は思います。
世界的に経済状況がつながってグローバル経済というのが本当に覆っていく中で、日本もその中にさらされていけば、その最初にさらされるところはやっぱり日本の首都東京なんだと私は思うんですね。
その首都東京として、都民だとか、ひいては国民全体に対して、厳しい競争もやっぱり世界はあるので、そういったものにも少しずつなれていくという仕組みも必要なのかなというふうに思います。
雇用とか労働とかということも、例えば単純に俺たちは働いてやっているんだみたいな感覚の若者がいても困りますし、かといって、労働は美学だというのが日本のいいところでもあるんですけれども、そればっかりだと、ちょっといつまでも続けられないぞという状況もあるので、雇用や労働に関する若年者、特に中高生を対象とした労働教育みたいなところの分野では、労働者の権利とか義務とか責任とかということに加えて、自分の労働力の価値を上げていく、そういったような感覚というんですか、自分の労働力も売り物になるんだから、その価値をどうやって上げていくのかという感覚も伝えるべきだと思いますけれども、見解と取り組みについて伺いたいと思います。
○矢田部雇用就業部長 若者が労働者として法律で守られている権利等への理解を深めるとともに、みずからの強みを把握して就職活動を行えるように支援することは重要でございます。
都では、高校生向けに、働くときのルールやトラブルが発生した際の相談機関等を紹介する啓発冊子を作成、配布しております。
これに加えまして、しごとセンターにおきまして、セミナーやアドバイザーによる助言、少人数でのグループカウンセリングなどを通じて、若者がみずからの強みを発見し、就職活動でアピールできるよう支援しております。
○あさの委員 これは産業労働局の今の取り組みだけにかかわらず、行政だとか学校だとか、ありとあらゆるところの取り組みに全部共通することなんですが、今みたいな、例えばセミナーだとかアドバイザーの意見、冊子を見て学んでいただける人たちというのは本当にありがたいんですけれども、そういう人たちは実は結構強いんですよね。自分のPRがちゃんとできたりとか、自分の強みを把握していたり、意識がちゃんとしているとかという人が多くて、こういうのをちゃんと読んで学んでほしいなと思う人ほどなかなか伝わらないっていう現状がある。これは別にだからどうしろといわれても私も結構厳しくて、結局関心のある人たちにはいろんなことが伝わるんですけれども、実は関心のない人たちの方に伝えたいんですが、関心のない人はやっぱりこっちを向いてくれないという、このジレンマにどう応えていくかというのも、これから先またずっと検討していかなきゃいけないとは思いますが、ぜひとも継続して取り組みをお願いしたいと思います。
今、労働教育のお話をさせていただきましたが、その労働教育という中でも教育というところでどうなるかあれなんですが、最近もう大分なれてきちゃって、一時話題にもなっていたでしょうし、もうなれちゃってきた感はあるんですけれども、相変わらずツイッターだとかの投稿サイトを用いて、例えばアルバイトだったり何だかとか、働いている人、労働者の人たちがおもしろがって非常識な投稿を行うということがいっとき問題になっていました。いろいろ対策はとられているんですけど、よく見ると、やっぱり余り減っていないというか、まだあるんですね。やらなくていいだろうと思うことを平気でやってしまう。
本当に、これはちょっとなれてしまっているなというふうに思うのはいけないなと思いながらも、出てきても、ああ、またかみたいな形になる。結局、よっぽどのことがない限り、テレビ報道などにはもう扱われなくなっているんですね。なので、なくなったかのように思うんですが、実際には、別に全然なくなっているわけじゃなくて、意外と結構まだちょこちょこ出てくるというところがある。
こういったことに関しても、本来学校教育によって常識的な判断がちゃんととられるように指導する必要があるんだろうというふうに思うけれども、先ほどいったいろんなセミナーとかがあるので、労働者になろうとする、特にやっぱり若年者の方には折に触れ、再度ちゃんとするように伝えておく必要があるのではないかなと思います。
そこで、産業労働局での取り組み状況について伺いたいと思います。
○矢田部雇用就業部長 若者が常識ある社会人となるための人格形成は、基本的には家庭教育や学校教育を通じて行われるべきものでございます。
産業労働局といたしましては、高校生向けに労働法を普及啓発する中で、会社で働く際の心構えなども解説するとともに、しごとセンターにおける就職支援の中で、社会人として身につけるべきビジネスマナーなどを紹介しております。
○あさの委員 今なぜこの話を持ち出したかというと、本当におっしゃるとおり、本来はそういったような判断ができるようにするというのは家庭だったり学校教育だったりというところ、一義的には家庭なんでしょうし、あるいは、もちろん学校教育の中でしっかりと伝えるべきことなんですね。なんですが、正直、それでできていると思っていたのに、できなくなってきているというのが今の社会の現状なんだと思うんです。
やはり、常に起こり得ることを考えて、いろんな場面でやっていくしかないんじゃないかなと私は思っていて、この分野は産業労働局の分野だから、この分野は学校教育だから、ここは家庭だからって分けちゃうと、そこでできていなかったものは、もうあとはずっと一切改善されないという状況にならないように、いろんなことをやっていただいているということでありますけれども、もうわかっているんだろうけど、大多数はわかっているんだろうけどという中でも、ぜひ再度、伝えていくということもやっていただきたいなというふうに思います。
次に、商店街の振興に関して伺いたいと思います。
商店街というのは日本の生活様式だとか環境が大きく変わっていく中で、商店街振興に対して、東京都としてもさまざまな取り組みは行っていっていただいていると思います。私も、商店街というのは、地域の活力であったり、コミュニケーションの拠点として必要であるという認識は持っています。
一方、東京というのは非常に人口密集度合いが高い地域でありますので、私の地元にも幾つかありますけれども、隣り合っているのにもかかわらず、全く別々の商店街といったところも結構あるんですね。もちろん、その状況に至った経緯というのもあるので、例えばもともと一つの大きな商店街だったんだけど割れたという場合もあるでしょうし、もともとどっちかが古くからやっているところで、その後、ちょっと離れたところからスタートしたら、ちょっとずつ延びていって結果的に隣り合っちゃったとか、いろんな歴史的な経緯というのがあるので、一概にどうこういえることではないんです。
ただ、今の生活している一般の都民の、いわゆる消費者の立場から考えると、やっぱり関係ないんですよね。隣り合っていたら、こっちの商店街がAでこっちがBだから、私はBでしか買い物しないなんていう人はいないわけで、お店が並んでいればAもBも関係なく全部見通すわけですし、もっといえば、生活環境が広い範囲で、歩くだけの人もいれば、広い範囲で動く人もいるので、そういった方々からすると、ある程度やっぱり大きく捉えていくのかなというふうに思います。商店街としても、やっぱりそれはある程度の規模を持って、スケールメリットを生かす取り組みというのもやっていかなければならない。
都内の商店街に対して、合併であるとか連携といったことに対して、インセンティブを与えるような取り組みについて伺いたいと思います。
○松永商工部長 都は、合併や連携等に向けた取り組みを推進する商店街に対し、要望に応じて専門家を派遣するなど、取り組みの円滑な実施を支援しております。
また、複数の商店街が共同でイベント事業を開催する場合、それぞれの商店街が単独で実施するイベントとは別に補助の対象にし、連携の取り組みを促しております。
○あさの委員 ぜひ連携をいろいろ進めていく。私も合併とは申し上げましたけれども、先ほどいった過去の歴史の経緯というのがあるので、簡単に合併できるかどうかというのは何ともいえません。それこそ個々の事情によるんだと思います。ただ、今いったように、連携を何度も何度も取り組んでいるうちに、少しずつ大きく変わっていくということになっていけば、それは大きく対応できるのかなというふうには思っております。
ただ、消費者というのは、逆にいうと、とっても非情なものなんですね。つまり、冷たいというか、要するに、自分たちの得になるものをただ選ぶというのが、これは別に責めるべきことじゃないんですけれども、そういう形で動いていきます。商店街というのが、最初に申し上げたとおり、コミュニティとしての役割があったり、存在するだけでいろんなメリットがあるということもあるんです。ただ、これが目に見えないものだったり、つまり、消費者が自分でお得だと直接感じられないものだと、なかなか伝わらないというところがありますので、これから先、商店街の振興ということを考えると、目に見える必要性であったりとか、消費者利益というものを生み出していかなきゃいけないんだと思うんです。
かといって、単純に値段が安いですよとか、品ぞろえが豊富ですよというような、価格競争や品ぞろえだけでは、さすがに大きなショッピングモールみたいなものとか、いわゆる大型店というものと戦うのは非常に厳しくなってくる。最後は体力の勝負、つまり、資本力の勝負になってくると、商店街、個々の経営者だけでやっていくのはなかなか厳しくなってくるのかなと思います。
都内にある商店街、私の地元練馬にある商店街の中にも、例えばスーパーとか、そういった少し大規模というか中規模というか、そういったスーパーなどと共存しながら、活気ある商店街づくりというのをしているところもあり、それで成功している事例もありますけれども、個人の経営しているお店だけがそろっている商店街というのもあると思うんですね。
商店街振興というのは、ただ単純に一年に一回とか二回やるようなイベントだけで終わらせるのではなくて、そういった一過性のイベントだけではない、商店街から発信していく、消費者自身が気がつかされるような消費者利益というのを構築していかなければならないと思うんですけれども、取り組みについて伺いたいと思います。
○松永商工部長 商店街が消費者のニーズに的確に対応していくには、商店街を構成する各店舗が、大型店などにはない商品やサービスを提供することが重要でございます。
そのため、都は、消費者が魅力的と感じる店舗づくりを後押しするため、専門家の派遣や講習会の開催などの支援を行っております。
○あさの委員 今おっしゃっていただいた専門家の派遣だとかということも非常にいいと思うんですけれども、個々のお店でいろいろ考えて、自分たちのよさ、メリットというのを発揮しようと思っても、多分、大きなお店と勝負したときにかなり厳しいところなのかなという気がいたします。もちろん、その分小回りがききますとかという、地域の本当にごく一部というか、限定された地域内を小まめに動いて、さまざまなものを例えば配達してあげたりとか、ご用聞きしてあげたりというのもあるでしょうし、さまざまとやっていけると思うんですが、だんだん大きな資本というのは全部そういうところに入り込んできているんですね。
まだ高齢者の方々はそこまで活用してないかもしれませんが、少なくとも、今の若い主婦の方々とか、子育てで忙しい方々なんていうのは利用されている方もいらっしゃるかもしれませんが、もう今はインターネットでいろんなものが買い物できたりする。
例えば、いろんな服を売っているユニクロというお店がありますけれども、ユニクロのセールというのは、店舗に行かなくても、セールをやっている日はインターネットで買い物をしても同じ値段で買えるんですね。しかも、商品は自分の自宅に届けてくれるという状況になっている。
そうなっていくと、またこれが時代がどんどん進んでいくと、さすがに今いったような、いろんな配達だ何だって小回りをきかそうと思っても、今度、それを上回る商品量と情報量と、そして配達、流通というものを大きく持った一大グループが攻めてくると、なかなかやっぱり対抗できなくなってくる。
そういう中で、単純に消してしまうにはもったいないと思います。もちろん、時代の流れによってどうしようもないときもあるかもしれませんが、商店街というお店がいっぱい並んでいることによって生まれるメリットというのも、我々は少し考えていかなきゃいけないのかなと。
同時に、大型店というのが大きな地域を対象にいたします。つまり、顧客がたくさんいることが前提でつくります。何万人とか何十万人という世帯があるから、その分野に一個という形でつくっていくんですね。それに対して、小さいお店というのは、その分だけ範囲を狭くしていける。逆にいうと、自分たちが対象とする歩いてこられる範囲、自転車で来られる範囲というのはどのくらいの世帯数なのか。東京だと、それでも数千世帯から一万世帯に近づくぐらいあるかもしれませんけれども、そういったところだと、特徴的な人口配置をしているときもあるんだと思うんですね。だとしたら、その人口配置に合わせた商品にしてみるとか、きちっとその地域の情報をとって、消費者ニーズというのを考えていくという癖も、商店街の人たちには持っていただかなければいけない。
どこそこの商店で成功したから、自分のところで成功するわけではありませんし、数がそろっていれば活気があるわけでもないと思うんです。自分たちには自分たちに合ったやり方があるということに気がついてもらって、そういう方向で東京都の税金をきちっと商店街振興に使っていただく。
イベントをやることが悪いとはいいませんけれども、ともすると、自分たちの商店街で年に一度、歳末大セールみたいのをやるためだけに使われちゃっていると、何となく、私も見ていて、頑張ってほしいなと思うけど、若干悲しい気持ちになっていくというときもありますので、ぜひそういった部分も含めて、東京都としても、いろんな商店街が自分たちできちっと本当に振興していける、発展していけるという方向に行けるような仕組みというのも検討していただきたいということを要望しておきたいと思います。
次に、派遣事業について一問だけ伺いたいと思うんですが、派遣法というのが改正になります。この改正によって、派遣事業者側が届け出から許可制というのに変わるというふうに伺っております。
これによって、事業者サイドの業界のうわさというか、真偽はどうかわかりませんけれども、話の中には、今の法改正によって、派遣事業者の中で事業継続が困難になってくることも出てくるのではないかというふうな臆測も出ていると伺いました。
事業者自身がうまくいったり、うまくいかなかったり、栄枯盛衰というのは仕方がないことだなというふうに思いますけれども、そこで登録して働いている労働者、派遣で働いていらっしゃる方々が不利益をこうむるというのは、できるだけ避けてあげたいというふうに思います。
これについて、この法改正による影響と、それに対する都の取り組みについて伺いたいと思います。
○矢田部雇用就業部長 本年九月に施行されました労働者派遣法の改正により、派遣労働者の一層の雇用の安定、保護等を図るため、派遣元事業主に対しては、新たな派遣先の提供など派遣終了後の雇用を継続するための措置や、労働者に対する計画的な教育訓練などが新たに義務づけられました。
法改正の内容が適切に講じられ、派遣労働者の雇用の安定やキャリアアップなどが図られるよう、改正法について広く周知を図ることが重要でございます。
このため、労働相談情報センターにおいて、改正労働者派遣法のポイントや対応策をテーマとしたセミナーを開催するとともに、解説資料を配布するなど、改正法の趣旨や内容の普及を図っております。
○あさの委員 やはり、正直、もちろん普通に考えれば正規雇用でずっと働ける方がいいわけですし、その中で、できるだけ短い時間で、できるだけたくさん給料をもらえたらいいというのがみんなが思うことでありますけど、世の中そんなうまくいかないですし、世の中というのは今、本当にいろんな生き方というのが生まれてきていまして、それに対して合わせていかなきゃいけない。この派遣法の改正というのも、手放しで喜べるものではないけれども、かといって、じゃあ、全部がだめかというと、そんなこともないと私は思うんですね。
そういった中で、派遣の働く人たちも、もちろん正規で勤めるようになりたいという人たちには正規になれる道が開かれているということも必要で、それは他の委員の方の質問でもあったように、都としても取り組んでいることであります。一方で、短時間でいいんだけれども、ただ、最低限生きていける程度には稼げるように働きたいとか、いろんな要望に対して応えられるメニューが出せるように--ただ、一方で、この派遣というシステムを使って事業者側だけが得をして、働いている人たちが、いつの間にかずっとすごく搾取をされているみたいな状況にならないような、そういった監視というのも続けなきゃいけないと思います。
そういった意味で、この法改正のタイミングではいろんな動きが出ると思いますが、しっかりと注視して、働く人たちが本当の意味で損をしないという形になるように、都としても取り組んでいただくようにお願いをいたします。
続きまして、中小企業世界発信プロジェクトについてちょっと伺いたいと思うんですが、事業概要を見ますと、中小企業世界発信プロジェクトというのは、中小企業のすぐれた製品、サービスを世界に向けて発信するということが載っておりました。これは本当に大変期待したいところだと思うんですけれども、発信というのは、言葉でいうと簡単なんですけれども、実は非常に難しいことだと思います。
まず、どのような手法を用いて発信をしていくつもりなのか伺いたいと思います。
○松永商工部長 都は、現在構築を進めております多岐にわたるビジネス情報を集約したポータルサイトを活用いたしまして、中小企業のすぐれた製品、サービスに関する情報を広く発信していくこととしております。
また、国内外の展示会を活用した情報発信も行ってまいります。
○あさの委員 今ご回答いただいたように、ポータルサイトの運営だというようなことで、余り大きくコストをかけずにできるということは多いんだと思うんですね。
世界を相手にしたい中小企業のサイト、あるいは中小企業を海外に伝えていくために、海外からもわかりやすくする、問い合わせに対応できるといった環境を整えるなど、準備も必要なんだと思います。
中小企業を世界に発信するプロジェクトでやるというときに、ぜひ忘れないでおいていただきたいのは、少なくとも今、ポータルサイトといったインターネットの世界でいくと、今はサイトを直接打ち込んだり、QRコードで読み取ったりということも確かにやりますけれども、大多数の人というのは検索サイトというのを利用して、世界中、自分の興味あることからちょっと調べて、そこから飛んでいくということをやります。検索サイトでどのような文字を打つかということを常に意識しなきゃいけませんし、これが世界が相手となると、なおのこと難しくなってくると思います。
ただ、東京都というのは世界でも大きな都市ですし、東京という名前が実は非常に強いんだということをぜひわかった上で、それを活用した取り組みをしていただきたいと思います。
東京という名前は、簡単にいうと、有名な検索サイトのところで打ち込んだときに、東京に関すること、東京という文字が入ったもので幾つか検索をすると、必ず東京都のホームページというのがトップに来るようになっています。それは自動的に、もともと重要度が高いんですね。なので、東京都に関連されると、その関連されたページは一緒に順位が上がるようになります。
一般企業であれば、物すごい金額をかけて、自分たちのサイトが検索で上位に来るように取り組まなければならないところ、東京都というものが関連するだけで、勝手に上位に上げてくれるようにプログラミングされているんですね。
だから、そういったものをうまく使って、コストをかけなくても、例えば中小企業さんであっても上手にやれば、うまく検索に乗ってくるという環境がつくり出せると思うので、専門家や何かも通じてそういった研究もされながら、やっていっていただきたいと思います。
また、そういったような上で、いろんな準備も必要でしょうけれども、その準備もした上で、例えば動画投稿サイトなどを利用して、CMとは違った形で提供することも検討してみてはどうかと思うんですね。
ホームページというのは、もともとそこに関心のある人を呼び込みたいんですけれども、自動的に誰でも見てくれるわけじゃなくて、結局、何かして、どうにかしてそのホームページに誘導することで見てもらうということになるんだと思うんです。
関心のある人を探し出すというのは全然簡単ではないことはもうわかると思うんですけれども、容易ではないので、広くPRできて、かつコストが低いというのを考えていかなければいけない。それをいろいろ柔軟に取り入れていく必要があるんだと思うんです。
先ほど、ほかの委員の答弁にもありましたけれども、例えば、&TOKYOだったら、東京ブランドというのをわかってもらうために動画をつくって発信しますというのに取り組んでいるように、この発信プロジェクトも含めて、全国あるいは世界に向けた発信というのは、もう本当に、一分とか三十秒とか、簡単に今撮れますので、動画を活用すべきではないかと思うんですけれども、見解を伺いたいと思います。
○松永商工部長 動画を含めた映像を活用したPR手法は有効であると考えております。
今後とも、情報発信の目的や対象を考慮し、さまざまな手法を活用した効果的なPRに努めてまいります。
○あさの委員 ぜひ、そのさまざまな手法を活用した効果的なPRというので、もちろん先ほど動画も撮っているということですけれども、あくまで、最初にいったように、インターネット世界で動画を使うというのはコストを下げるという意識も非常にあります。いろんなところの業者さんに頼んでつくるのもいいんですが、そんなに難しいものでもないですし、そんなばかみたくコストのかかるものでもないので、上手につくれば、安く、でも、質のいいものというのがつくれますし、あるいは過去つくったものを流用していくという形もあると思うんですね。過去つくったものを流用するためには、最初につくるときに、その権利をちゃんと東京都が持っているということも大事ですし、そういったことを考えながら、さまざまな活用をしていっていただきたいと思います。
今、動画の話をさせていただきましたが、動画といえば、映画というのが世界中に発信できるチャンスの一つなんだと私は思っているんですね。映画というのは、要は相手の費用で、制作会社側の費用で勝手に撮ってくれて、その撮ってくれたものを世界中に勝手に相手側が苦労して、世界中で公開して、みんなが見て評判が高いと、その恩恵にあずかれるという、正直、おいしいんじゃないかと私は思うんですけれども、しかし、一方では、日本というのは撮影許可がおりづらいという評判があるといううわさも聞いております。
これも真偽はちょっと定かじゃないんですけれども、過去、日本で撮影されたハリウッド映画というのがありまして、当時、東京で最初撮影したいと思ったんですけれども、東京だとちょっと厳しい、許可がおりづらいというので、大阪、京都の方に行きまして、撮ったんだけれども、それの対応も含めて、全て当時の対応というのに不満を持った監督が、向こうに帰ってから、もう二度と撮るかと、日本では絶対撮らないといったという話があって、それが伝聞されたというふうにも聞いております。
本当かどうかはわかりませんが、少なくとも今、日本だとか東京を舞台に制作をされている映画というのを見ても、日本や東京では撮影されていなかったり、されているんだけれども、ごく一部を撮影しただけで、あとは全部スタジオでセットを組んでやっていたりとかというのが結構あったりするんですね。
やっぱりこういった事実として、世界中に発信されている映画において、東京の姿というのがセットだったりCGだったりすると、残念ながら、そのセットなどを制作した個人の誤解などが、また事実として世界に広まる可能性もあるんだと思うんです。
日本を舞台にされた映画、東京を舞台にされた映画でカーチェイスをやる映画があるんですけれども、そのカーチェイスをやる映画も、これはわざとだとはいわれておりますが、わかっていてやったんだというふうにもいわれているんですけれども、渋谷のまちを舞台にやって、実際の渋谷のまちでカーチェイスなんかとても撮れませんので、渋谷じゃないところで撮っているんですが、アメリカで撮るんですけれども、その車のナンバーが物すごい適当だったり、何で文字がついているかということがわかっていなくて、日本でやっているはずなのに、車のナンバーがアメリカ式だったりとか、いろんなところを見ていて何だかなというふうに思うのだといっていた方もいらっしゃいました。
それから、もう一本、最近公開されたのか、これから公開されるのか、ちょっと忘れちゃいましたが、「007」の最新作のスペクターという映画がありますけれども、この映画も東京というのが舞台で出てくるらしいんですね。その東京も、本来、監督は東京で撮影したかったんだけれども、結果的になかなか難しいので、東京での撮影を断念してほかのところに行きましたといったような形もあるそうです。
ただ、もちろん、一方では、「ラスト サムライ」のように、「ラスト サムライ」はニュージーランドで撮っているんですけれども、ニュージーランドで撮ったのは、単純にこれは日本で許可がおりないんじゃなくて、日本にはもう既にあの時代の、撮りたかった時代の原風景みたいなのがなかなか残ってない、広大な原野みたいなものがなかなかないので、それがあるニュージーランドで撮りましたというのもあって、一概に全てが悪いわけじゃないんですが、ただ、残念ながら、やっぱり最大のネックは私は警察だと思っております。
警察だとかその他の関係機関との調整も難しい、時間がかかる、しかも変更は一切認めない、そんなような都市で撮影したいというふうには、多分、思わないんだと思うんですね。いかに観光PRをしようとしても、東京都はどうだといったとしても、なかなか難しいのかなと。
ただ、欲求としてはどうかというと、ニューヨーク、ロンドン、パリと並ぶ世界有数の都市東京ですし、東京というまちを舞台に映画を撮りたいという欲求を海外の監督さんは持っているんだと思うし、それはすごく強いんだと思うんです。それが実現した暁には、広報という側面だけではなく、実質的に経済波及効果というのも当然生んでくれるわけですね。撮影部隊は、物すごい数、海外から来るわけですし、そのハリウッドスターがもし来ることになれば、それから生まれる効果も非常に大きいんだと思います。
東京都として、積極的にハリウッドみたいな大規模な映画撮影を受け入れる、今すぐはなかなか難しいかもしれないんですが、受け入れる下地づくりと、そしてそれをやりながら誘致を積極的に行っていくべきだと考えるんですが、東京都の外国の映画撮影誘致に向けた取り組みについて伺いたいと思います。
○坂本観光部長 都では、ロケ撮影支援の内容や都立施設でのロケの際の手続の情報などを、日英の二カ国語により、東京都フィルムコミッション事業のホームページで紹介しております。
今後も、ロケ地としての東京の魅力を国内外へアピールし、観光客の誘致にも取り組んでまいります。
○あさの委員 今、ロケ地としての東京都のフィルムコミッション事業ということで、そのホームページで日英二カ国語により紹介しているという話を伺いました。私もちょっと聞いたところによると、とはいっても積極的に展開されていないのか、本当に興味がないのかわかりませんが、英語版の方のホームページからの問い合わせというのはそんなに数が多くないというふうにも聞いていますし、ロケ地としての東京の魅力を国内外にアピールといっても、魅力があったとしても許可がおりないんじゃ、撮影できないんじゃ話にならないというふうになると思うんですね。
先ほど、&TOKYOをやっていくというのがありましたけれども、それこそオリンピックまであと四年ぐらいであれば、二〇一九年から二〇二〇年の初頭にかけて公開できる予定のハリウッドの映画か何かと一緒にタイアップして、東京を舞台に映画を撮りませんかと。ハリウッド&TOKYOなんていったら、物すごい爆発的な広報効果があると私は思うんですね。
それをやるためには、綿密な下地づくり、特にやっぱり警察だと思いますけれども、正直、これを産業労働局さんにさんざんいうのも申しわけないとは思うんですけれども、一番許可をおろしてくれない相手方は警察じゃないかと私は本当に思っております。ただ、皆さんがもしそう思うのであれば、海外の人たちからすれば、もっと大変なんですよね。外国の警察と直接交渉するなんていうのは、ほとんど不可能に近いという状況になると思います。
ですので、ぜひそういった窓口になる。ただPRするだけではなくて、ぜひ積極的に交渉もやってあげる。そして、その交渉のためには、事前にいろんな話をして、どこだったらいいんだと、警備員、何千人用意したらオーケーなのかとか、そういった資本だって別に出させればいいんです。警備員を集めるのは向こうがお金を出せばいい。その警備員を日本人が務めれば、それは雇用効果だってあるわけですね。それも経済波及効果の一つだと思いますので、積極的に取り組んでいただきたいなというふうに思います。
そういったフィルムコミッション事業というのはさまざまな関係者が多くて、調整も非常に難しい。私も東京ロケーションボックスの窓口に一度、相談に行ったことがありますが、本当に大変な思いをして調整されているということがよくわかりました。撮影の許可の調整ってすごく大変なんだなというのがわかって、その取り組みに対しては本当によく頑張っていらっしゃる。これも深く敬意を示したいと思います。
ただ、それがなぜ難しいかというと、結局、ロケーションボックスだけ、観光財団だけ、あるいは産業労働局だけとかとなっていくと、なかなか外には伝わっていかないんですね。そこの事業だからそこでやっているんでしょうといって終わっていたんじゃ話にならないわけで、みんなに協力をしてもらって、その撮影されることによっていろんな効果があるんだよということをわかってもらう必要があるんだと思うんです。
全都的な取り組みにどう変えていくか、これが大事なことで、これはもちろん都庁全体という意味もありますけれども、区市町村だとか、あるいは国であったりとか、もちろんそこにある企業だったりとかというところも、映画だとかドラマの撮影にもっともっと積極的になっていいんじゃないのかなと思います。
日本ではそう簡単にできないと思いますが、有名な映画で、ニューヨークの一区画全部を通行どめにして撮影をしたということもあります。あれだけの世界の大都市ニューヨークの一区画を全部通行どめにして、中で映画撮影をして、それだけでもニュースになるわけですね。かかるお金は映画会社が出すんです。制作会社が出すんです。それでいいんだと私は思うんですね。
そういったような、本当に協力的なところ、協力に積極的な企業だとか、あるいは自治体だとか、そういったような紹介をして、こういうところが本当に積極的なんだよということを紹介する取り組みがあっていいんじゃないかなと思います。それは、積極的だということを紹介することによって、逆にいうと、載っていないところが消極的だという誤解が生まれる。その消極的だという誤解が嫌だから、積極的に変わっていくということが狙いとしてあるんですけれども、自分が住んでいる自治体が、あるいは自分が勤めている会社が本当に協力的なのかどうかということが、住民だったり社員が知る、あるいは顧客が知るということも結構いい効果があるんじゃないかなというふうに思います。
それがいいかどうか。つまり、協力的であることがいいのか悪いのかということについては、その関係者が考えればいいんです。住民だったり、社員だったり、顧客が、自分のところが積極的かどうかということについていいか悪いかの判断はそっちが考えればいいことであって、それをどんどん伝えていく、広めていくということが大事だと思うんです。
そこで、都が、学校であるとか自治体、企業など、撮影に協力的なところを公開するとともに、撮影に関する調整を行うべきと考えますけれども、見解を伺いたいと思います。
○坂本観光部長 映画やテレビドラマの舞台となるロケ地は、多くの旅行者が足を運ぶきっかけになる重要な観光資源でございます。
このため、都は、積極的にロケ撮影の受け入れを行う施設をホームページで紹介し、関係機関との調整を行うなど、撮影が円滑に進むよう、既に支援しております。
○あさの委員 一生懸命支援しているというのは私もよくわかるんですが、これを紹介して、調整も多少、先ほどいったように、ロケーションボックス、私も行ったんで、見ていますけれども、確かにやっているんですね。やっているんですけれども、例えば、ある一例でいきますと、私がいる練馬区というのも、練馬区には今、統廃合された小学校の関係で学校跡地というのが残っているところがあるんですね。そこは何をやっているかというと、単純に区役所の中の倉庫として使われている。将来的には別目的で使うので、あと一、二年はその状態のまま放置されている。そこの学校を舞台としたドラマで撮影に使いたいというと、ただひたすらだめだという一点張りで終わるんですね。
その理由もいろいろあるんだと思います。中には、もちろん住民からの反対というのも、嫌だというのもあったりもするんです。地域住民の協力が必要だというのもあって、これはさすがにロケーションボックスだけではできないんですよね。そういった機運というか、そういった感覚というのを伝えていかなきゃいけない。
そのためには、やはり東京都として、もっともっと全面的に撮影しやすい環境をつくりますよということを訴えていく必要があるのじゃないかなと思いますので、ぜひさまざまな検討をしていっていただきたいと思います。
そうやってPRをしていくわけですけれども、ここ数年で、やはりそのPRのおかげ、映画は特に今は余りないですけれども、東京を訪れる外国人の旅行者の数というのは、かなり急激に伸びていると伺っております。海外からの観光客が都内の至るところで買い物をしたりとか、見学スポットに行くということは、テレビ報道を見るまでもなく、日常の身近なところで、じかに、本当に、あっ、いるんだなと思うことが格段にふえてきたんだなというふうに思います。
こんな中、海外から来た、先ほども幾つかほかの委員からも質問がありましたけれども、外国語の対応ということの問題というのはやっぱりあるのではないかなと。英語を初めとするさまざまな外国語を使いながら、日本ならではのおもてなしの心で接客をスムーズに行う人材を確保するなんていうのは、そんな簡単じゃないのは容易に想像できるんですよね。そんな人材を育てるというのは本当に大変なんだと思います。
私は、実は、東京都内にある、これはニュースというか新聞記事になっていたんで、それを見に行ってきたんですけれども、お台場のアンドロイドを見に行ってきたんです。アクアシティの三階か何かにありますジュンこさんと呼んでいて、ジュンこさんという名前なんですけれども、地平ジュンこという名前のついたアンドロイドが置いてあるということで見てきました。
大手メーカーが開発した女性のアンドロイドのロボット、これは二号機です。三号機がまたすぐつくられるという話ですが、二号機があって、そのアンドロイドが展示され、展示というか、案内所のところに置いてあったんですけれども、このアンドロイド、日本語に加えて英語、中国語で自己紹介ができる、周辺のイベント情報の案内といったものができる。もちろん今はパネルで出すだけです。挨拶文は定型で自分がしゃべっていて、それに合わせてアンドロイドが動くんだけれども、横にパネルがあって、その横のパネルで三カ国語でいろんなことを案内するというところが今のところやっていることです。これを開発したメーカーというのは、将来的には、つまり、オリンピックまでには会話ができるようにする。観光客が来て日本語で話しかけると日本語で返答してくれる、英語で話しかけると英語で返答してくれる、中国語で話しかけると中国語で返答してくれるという形で進めていくというふうにいっておりました。
そして、その質問の中身も、幾つかのものを全部加えて、今、携帯電話でも多少ですけど、ちょっとだけ会話ができる程度のプログラムが出てきましたけれども、さまざまな開発をして、観光客が聞きそうなことというのをあらかじめいろいろ全部把握して、聞いてきたことに対して回答を出していくように今、開発を進めている最中であります。
東京で海外からの旅行者に対する多言語の対応だとか、そのための人材の確保がなかなか課題だなというふうになっている中で、オリンピック・パラリンピック大会の開催時期を目標に、こういったアンドロイドを活用した多言語対応というのも、ロボット技術では日本は最先端を行っているわけですから、一つには日本の技術力を見せるという意味で、行政としても検討を行うことが必要だと感じました。
観光という分野でも、こうした観点から取り組みを進めていくべきではないかと考えますが、所見を伺いたいと思います。
○坂本観光部長 都はこれまで、外国人旅行者が東京の観光を快適に行うことができるよう、英語を初めとする多言語での案内表示に取り組んでまいりました。
二十六年度には案内サインの指針を見直して、外国語表記のルールを整理し、現在はその普及に取り組んでいるところでございます。
また、ITを活用したデジタル表示の機器による多言語での観光案内も進めているところでございます。
こうした取り組みを総合的に行い、外国人旅行者への案内対応を図ってまいります。
○あさの委員 今のように、ITを使ってさまざまな取り組みが進んでいくというのも大事なことで、もちろん人材の確保をボランティアにお願いする、そういったことももちろんあっていいんです。あってもいいんですが、一方で、私はそのアンドロイドを見て思ったのが、一回プログラムをつくっちゃうと、割と実は変更は簡単なんですよね。つまり、いろんな場所に置けるということです。例えば浜松町に置いて、空港に行くのか、電車に乗るのかということの案内用にちょっと置いてみたりとか、都営交通の案内所にも置いて、さまざまな言語に対応できるようにしておくということも可能なんだろうなというふうに思います。
そういったプログラム、アンドロイドを使わなくても、別にボードがあればできることでもあるんですけれども、そこに画像として、先ほど、同じ練馬なので小林さんもいっていましたけれども、アニメーションを使ってそれが語りかけてくることだって全然ありだと思うんですね。そういったことも含めて、いろんな、ありとあらゆることがアイデアとして観光には使えるんだと思うんです。
ただ、都内を訪問してくる外国人観光客というのがふえていくということで、言葉のやりとりの問題というのは本当に大きくなってくる。私なんかも全然英語で話せないんですけれども、買い物とか見物だとか、通常時だったら大きなトラブルにはならないと思うんですね。それは、大きなトラブルにならない注意や配慮をするということで、一定程度、何とか、身ぶり手ぶりだったりで可能だったと思うんです。
簡単にいうと、例えば私の妻も、自分の子供の同じ、--親御さん、カナダから来られておりまして、ご夫婦ともほとんど日本語は話せません。かみさんが楽しそうにLINEのやりとりをしているもんですから、すごいねと話をしたら、いや、LINEには公式に翻訳機能というのがあって、それを使ってやれば別にできるんだといって、すごいなと。IT技術を活用して、子供は日本語ぺらぺらなので、子供同士は普通に交流できるんですけれども、親同士もそうやってやれるんだ。
通常生活では、今の段階でも、特に言語ができなくても何とかなるんですね。ただ一方で、東京というのは、やっぱり地震とか自然災害、こういったものが来ることがあるわけですから、これが発生した場合には、外国人観光客に対して安全の確保を図るということは、避難とか誘導とかというのが国内の観光客に比べると難しくて、さまざまな課題が生じることになるものと考えます。
かつての東日本大震災の際には、国内外から多くの来訪のあるテーマパークでは、観光客の安全確保を最優先にしてスタッフが迅速かつ冷静に対応したため、パニックなどが生じることもなく、その適切な応対を含めて、観光地としての評価がさらに高まったという話もあります。
このように、災害が発生した場合に、観光客の安全を守るという危機管理の仕組みを行政と民間が協力してつくり上げ、確立することが大切だと思います。
そこで、東京都として、災害時に外国人旅行者の安全確保に向けて、どのような実効性ある取り組みを行っているのか伺いたいと思います。
○坂本観光部長 海外から訪れる旅行者が安心して観光できる受け入れ環境を整えることは重要でございます。
このため、都は、災害発生時における外国人旅行者の安全確保のためのマニュアルを策定し、都内の宿泊施設、観光施設などへの普及啓発を実施しております。
本マニュアルでは、旅行者を円滑に案内し、誘導や情報提供ができるよう、日本語、英語などの文例集やピクトグラムを活用した取り組みを示しております。
今後とも、観光関連事業者と連携し、外国人旅行者の受け入れ体制の向上を進めてまいります。
○あさの委員 最後に一言だけご意見を申し上げます。
今、さまざまな取り組みを行っているのはわかりました。先ほど紹介したアンドロイドも、実は来年の三月までには、災害が発生したときには三カ国語で、常に、危険ですよとか避難してくださいとかというのが出せるプログラムを搭載する予定になっているそうです。
そういったものも全部活用して、さまざまな外国の人たちがよく来るテーマパークでもそうでしょうし、そういったところも全部活用して、例えば一度は避難訓練をやってみるとか、さまざまな取り組みをやっていかないと、災害対策というのは本当に最悪の事態を考えるのが一番大切だと思うので、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックを開催している真っ最中に首都直下が来たということを想定していろんな準備をしておけば、いざというときにはどんなことでも対応できるんじゃないかなと思います。
ぜひそういった取り組み、どこの部署がということではなく、観光部は観光部として、産業労働局としてできるところを一つ一つ始めていって、ほかの部署を巻き込むぐらいのつもりで行っていただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○清水委員 私からも何問か質問させていただきたいと思います。
まず初めに、トウキョウXの振興についてお伺いしたいと思います。
このテーマにつきましては本会議場で何回か質問させていただきました。せっかく所管の委員会に配属させていただきましたので、これは集中的に、継続的にやらせていただければなと思っていますので、よろしくお願いします。
さて、我が国の畜産事業を取り巻く状況につきましては、先ほど来言及がございましたとおり、TPPの大筋合意を受けまして、長期的には関税引き下げの影響による国内畜産物の価格低迷などが懸念をされておりまして、生産者からは、将来に向けての不安の声が上がっているわけでございます。
輸入畜産物に対する競争力を高め、国内畜産業を維持発展させていくためには、国内畜産物の強みでございます安全性や品質の高さを今後もしっかりと確保していく必要があるかと思うわけでございます。
特に、東京都で開発いたしましたブランド豚でありますトウキョウXは、餌や飼い方など厳しい基準のもとで育てられ、生産から流通まで一貫した履歴管理がなされており、安全・安心はもちろん、肉のやわらかさや脂身のおいしさ、これが消費者に好評を博しているというわけでございます。
私は、さきの第二回定例会におきまして、このトウキョウXのブランド力向上に一層取り組むべきと主張したところでありまして、そのためには生産者をふやしていくことなどが重要であると考えております。
そこでまず、トウキョウXの生産拡大に向けて、今、どのような課題があるのかお伺いしたいと存じます。
○寺崎農林水産部長 トウキョウXの生産拡大に向けた課題といたしましては、まず、飼育する生産者を開拓することがございます。現在、トウキョウXの生産者は都内と都外を合わせて十八戸でありますが、今後、これを拡大するに当たりましては、都市化の進展により都内での飼育環境が厳しくなる中で、東北地方など都外の生産者をふやしていくことが必要でございます。
また、老朽化が進んでいる青梅畜産センターを再編整備することにより、生産者に配布する繁殖用の豚の生産体制を強化することも必要でございます。
加えまして、トウキョウXは一般豚と比べて繁殖時期が見きわめづらく、年間分娩回数が少ないことや子豚の生存率が低いことなどから、その改善も課題であると考えております。
○清水委員 トウキョウXの生産拡大には、飼育してもらう生産者の開拓や生産者への種豚の供給体制の強化、飼育方法の普及指導という大きな三つの課題があるということがよくわかったわけでございます。
私も、トウキョウXは一般の豚に比べて、子豚の飼育管理など育てるのが非常に難しいと近所の酪農家から聞いたことがございますので、非常に納得がいく答弁でございました。
ただ、私は、ただいまご答弁いただきました課題のほかにも課題があるのかなと思っております。私たち都議会議員は、ある意味、都政の広告塔でございます。そういった我々都議会議員がこのトウキョウXを滅多に口にしないですとか、あるいは、まだ食べたこともないというふうな状況がある。これは大きな課題だと思うわけなんですね。当局には、ぜひともこの課題解決のために、ぜひ機会をつくっていただければなと、これは要望にとどめておきたいと思いますので、よろしくお願いします。
さて、東京都では、トウキョウXの生産を現在の八千頭から、将来的には年間二万頭まで引き上げていくんだという目標を掲げているわけでございます。この二万頭という目標は、トウキョウXの味をより多くの都民の方に味わっていただくため、将来の販売店舗数の拡大を見据え、安定した供給を確保するための頭数と聞いているわけでございますが、その目標達成に向けて、今後どのような取り組みを行っていくおつもりなのか、お聞かせ願いたいと思います。
○寺崎農林水産部長 トウキョウXの生産拡大につきましては、平成三十年度に予定されている青梅畜産センターの再編整備を一つの契機として、さらにその後を見据えた二段階で計画的に進めてまいります。
まず、第一段階では、流通業者と連携し、東北地方など都外の生産者を個別に訪問し、新規開拓を行います。それとあわせまして、種つけなど繁殖管理技術の改善による年間分娩回数の増加や、適正な栄養管理により、母豚の授乳の量をふやすことで子豚の生存率を向上させるなど、既存生産者への普及指導を強化いたします。
次の段階として、新たな青梅畜産センターの稼働による繁殖用の豚の供給頭数増加に合わせて、さらなる生産者の開拓や一生産当たりの飼育規模の拡大を加速してまいります。
こうした取り組みを生産、流通団体と連携して着実に推進することで、東京のブランド豚であるトウキョウXの年間二万頭の生産を目指してまいります。
○清水委員 ありがとうございました。
ただいまの答弁で、トウキョウXの生産拡大に向けて、青梅の畜産センターの再編整備を見据えて段階的な取り組みを進めていっていただけるというふうなことでございますが、その際には、畜産事業者の声もぜひとも反映をしていただきたい、このように思います。
また、トウキョウXならぬトウホクXになるんじゃないかというふうな向きもございますけど、やはりそうしますと、東京でつくるのと比べまして、出荷や流通に係るコストの負担というのが大きくなると考えられるわけでございますので、生産者の参入を加速するためには、こうした課題に対する支援をぜひとも行っていただきたいと思うわけでございます。
今後も、このトウキョウXについては質問を続けていきたいと思いますので、よろしくお願いをし、次の質問に移りたいと存じます。
次に、多摩・島しょ地域の観光PRについて伺いたいと思います。
東京を訪問する国内外の観光客がふえ続ける中、都心などの有名な観光スポットだけではなく、多摩や島しょ地域への旅行客の誘致をどう行うべきか、これが重要なテーマになっているわけでございます。私も、多摩地域の出身の都議会議員として、常にそう考えているわけでございます。
観光客の皆さんが多摩・島しょ地域に足を運ぶに当たっては、それぞれの地域としての魅力を、まずは一定程度まで理解することがあくまでも前提となるわけでございまして、旅行者を対象とするさまざまなPRや宣伝を確実に行うことこそが必要となるわけでございます。
まずは、それぞれの地域ごとに、例えば自治体ですとか観光関連の団体がきちんとPR活動を行うことが不可欠でございますが、その一方で、実際に現地を訪れ、地域の魅力を実感した旅行者自身による、まさに説得力のある情報発信を行うことが非常に効果的であると考えるわけでございます。
最近では、旅先の選択に当たって、ツイッターですとかフェイスブックによる口コミ情報が重視されているとのご意見に接する機会が多くなってまいりました。
これはちょっと地域は違うんですが、例えば渋谷のスクランブル交差点、これをスマートフォンによる、いわゆる自撮りを行う外国人の観光客がふえてきているということでございます。あのスクランブル交差点は一回三千人の方が横断するわけでございますが、その中に参加したいということが、何か彼らにとってはおもしろいことだというふうなことでございまして、私にはちょっとよくその感じがわからないんですが、これからは行政として、そのようなSNSの仕組みをうまく活用して観光振興につなげていくということがますます重要になると思います。
そういった視点に立って、改めて、都として多摩・島しょ地域の観光面での魅力発信にどう取り組むのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
○坂本観光部長 多摩・島しょ地域には数多くの魅力ある観光資源がございまして、これらを旅行者の関心や体験に応じて、SNSなどのITツールを活用し発信していくことが重要でございます。
このため、都では、旅行地としての多摩・島しょ地域の多彩な魅力をSNSを活用し発信する専用ウエブサイト、TOKYO reporter 島旅&山旅、こちらの方を十月に開設いたしました。
本ウエブサイトでは、著名人や観光地の選択に当たり参考とされることの多いSNSの発信者、この両者による多摩・島しょ地域での宿泊や旅行の体験を現在までに二十一件掲載しているところでございます。
斬新な視点から多摩・島しょ地域の観光情報を魅力のある形で発信することで、旅行者の誘致を着実に実現しているものと考えております。
今後は、海外の旅行者への情報提供の充実に向け、多摩・島しょ地域への関心の度合いに応じた発信をきめ細かく行うとともに、多摩地域などでスマートフォンを用いた観光客による参加型のイベントなどの実施を検討してまいります。
○清水委員 ありがとうございました。今後とも、ぜひともそういった新しい情報発信ツールを活用して、魅力を発信していっていただければと思います。
次に、森林資源を活用した観光振興についてお伺いしたいと思います。
多摩地域の森林は、ミシュランで三つ星の評価が与えられて有名になりました高尾山を初めといたしまして、初心者でも安心してハイキングや森林浴を楽しめるルートが数多くあるなど、都民にとって身近な観光地として親しまれてまいりました。また、東京都だけでなく、埼玉や神奈川県等の近隣自治体から電車を乗り継いで、気軽に訪れることができることもあり、登山やトレッキングを趣味とする方々の来訪も多いと話を聞くことが多くなりました。
多摩地域での山登りなどを楽しむ方々にとっては、整備の行き届いたハイキングコースや、眺望の面ですぐれております登山道があることが重要であるとのことでございます。森林を登山や山歩きなどの形で観光スポットとしてぜひとも活用するためには、歩きやすい山道をきちんと整えるとともに、眺望などにも十分な配慮をしていただいて、来訪者の誘致に結びつけることが大切だと思います。また、観光ルートとしての工夫や特色について積極的に発信をしていくことが重要であることはいうまでもございません。
こうしたことを踏まえ、都は、多摩地域の森林資源を活用した観光振興にどのようにこれからも取り組んでいかれるのか、お聞かせをお願いしたいと思います。
○坂本観光部長 都は、多摩地域の森林を生かした観光振興を図るため、林道や遊歩道の途中で休憩場所として利用のできる広場の整備や、眺望を確保するための樹木の伐採などに取り組む自治体に対し助成を行っております。
今年度は、檜原村の浅間嶺の付近や奥多摩町の奥多摩むかし道の眺望の確保に加え、広場の整備など、全体で三十件の支援を実施することを予定しているところでございます。
また、今後、森林を生かした観光スポットや周辺地域の名所旧跡などを掲載したパンフレットを二万五千部作成し、都庁の観光情報センターを初め、都内の全区市町村に加え、八王子や奥多摩など八つの観光協会に配布するなど、多摩地域の森林の魅力を幅広く周知してまいります。
こうした取り組みにより、今後とも多摩地域の持つ自然の魅力を生かした観光産業振興を着実に推し進めてまいります。
○清水委員 ありがとうございます。ぜひとも多摩地域ならではの魅力を開発、発信していただければと思います。
先日も、私は地元の農家の皆さんと都内めぐり、東京港や銀座周辺を散策してまいりました。湾岸エリアのダイナミックな開発ですとか、銀座にそびえ立つビル群を思わず見上げてしまいまして、都心にはかなわないなと感じた一方で、多摩の自然が恋しくなったのは、これは私だけではないと思うわけでございます。ぜひとも魅力の発信、よろしくお願いしたいと思います。
最後に、広域多摩イノベーションプラットフォームについてお伺いしたいと思います。
東京の多摩地域には、独自のすぐれた技術を有するものづくり中小企業に加えまして、大企業の研究開発拠点や大学、公的研究機関等が数多く存在しているわけでございます。
こうした多摩地域の中小企業が持つ高度な技術力と、地域に集積、蓄積された大手企業等の開発ニーズ、知的資源などをうまく結びつけることができれば、革新的な新製品や新ビジネスを生み出すことができると思うわけでございます。
私の地元の隣の昭島市にございます産業サポートスクエア内の東京都産業技術研究センター、これは多摩テクノプラザというものですが、そこにはさまざまな研究測定機械がございます。私が拝見いたしましたのは疲労試験機というものがございまして、金属やその他の物質が、どのくらいまで引っ張りですとか圧縮に耐えられるものなのかなんていうものを試験ができる機械でございまして、非常に興味深いと思うとともに、これだけの試験機は一企業では到底持ち得ることができないと思ったわけでございます。
まさにこういった部分が公的機関の役割であると感じたわけであります。しかし、これまではこれらを結びつける機会が少なく、活発な交流や連携がなかなか進まないというふうな状況でございました。
そこで、東京都は平成二十六年度から、中小企業と大手企業等のネットワーク構築を促していただきまして、多摩地域の中小企業の新たなビジネス創出を支援する取り組みを開始いたしました。これまでの取り組みについて、ぜひともご披露いただければと思います。
○松永商工部長 都は、多摩地域に集積する中小企業、大学、試験研究機関の交流、連携の活性化により、中小企業の新分野参入や新事業創出を促進するため、ネットワーク形成やマッチング支援を行う広域多摩イノベーションプラットフォームを実施しております。
本事業では、大手メーカーの開発ニーズを収集、整理するコーディネーターが、例えば危機管理や水素エネルギーなど、成長産業分野の最新技術動向に関するセミナーなどをこれまで十四回開催するとともに、中小企業の技術シーズとのマッチングを実施しております。
これらの取り組みにより、センサーや計測部品等の受注二十件、見積もり、サンプル提出七十四件、秘密保持契約八件等の成果につなげております。
今後とも、多摩地域の中小企業と大手メーカー等との連携プロジェクトの事業化を支援することにより、多摩地域のイノベーションを促進してまいります。
○清水委員 ありがとうございました。
本委員会におきましては、このマッチング事業、東京都によりますお見合いの効果につきまして、さまざまな委員さんからの言及がございました。ぜひとも、本事業が多摩地域における、まさにイノベーションを創造するプラットホームとして機能していることがわかったわけでございます。
また、引き続き多摩地域に蓄積された高度な技術力や知的資源を生かし、さらなる企業同士の連携を促していただくことを要望し、質問を終わります。
ありがとうございました。
○大松委員 まず、若者の就業支援について質問いたします。
厚生労働省が文部科学省と共同で行った調査によりますと、ことし三月に大学を卒業した学生の就職内定率は九六・七%でした。四年連続で上昇し、景気回復に伴って、若者を取り巻く雇用情勢が少しずつ改善しているようであります。
しかしながら、依然として就職が決まらないまま大学等を卒業していく若者が少なからずいらっしゃる実態に変わりはございません。また、せっかく就職が決まったのに、仕事が自分に合わないなどという理由で、短期間で職場をやめてしまう若者がたくさんいらっしゃいます。厚生労働省の調査によれば、大卒者の三人に一人が入社三年以内に離職をしております。
なぜ若い皆様方が職場に定着できないのか。その理由の一つとして、若い方は、企業の知名度など、漠然としたイメージで職場を選んでいる傾向が強くございまして、実際に就職して働いてみたときに、思っていた仕事とは違う、この仕事は自分に合わないと安易に考えてしまうというようなことがあります。
また、東京には魅力のある中小企業がたくさんあるにもかかわらず、若い方は、職場を探す際、中小企業にはほとんど目を向けておりません。そのため、その分、就職を検討する業界、業種の幅が狭くなっていることも理由の一つと考えられます。
就職をする際は、どのような業界や業種があるのか幅広く研究して、最新の動向や仕事の内容をしっかりと理解した上で職場を選んでいくことが大切です。イメージではなく、自分が本当にやりたい仕事、自分に合った職場というものを一人一人の若者が見つけられるような就職活動への支援が必要であると考えます。都の取り組み状況について答弁を求めます。
○矢田部雇用就業部長 若者が自分に合った企業に就職し、定着して力を発揮するには、さまざまな業種や職種に視野を広げ、自分に合う会社を選べるよう支援することが必要でございます。
都は、中小企業で働くことの魅力を紹介するため、産業交流展の企業ブースに学生等を案内し、経営者や従業員との対話の機会を提供する魅力発見ツアーを実施するとともに、今年度新たに、学生向けに都内の中小企業や就職活動のノウハウ等を紹介するウエブサイトと情報冊子を作成しています。
また、しごとセンターでは、カウンセリングや合同企業説明会、企業情報コーナーによる情報提供などに加え、今年度から新たに、業界ごとに一日でセミナーと企業訪問を行う業界職種勉強会を開催し、企業の担当者と直接交流する機会を提供しております。
○大松委員 ただいま答弁にもありましたように、東京都は今年度から、業界職種勉強会を実施しております。若い皆様方が講義を聞くだけではなくて、実際に企業を見学し、現場で働いている人たちの話を直接聞いていくという取り組みでございます。こういうことが大切なんだというふうに思います。
働いている人の生の声や職場の雰囲気に実際に触れることで、若い皆様方は新たな発見をし、大いに触発を受けることと思います。
業界職種勉強会は、若者の視野を広げていくためには大変有効な取り組みであり、活性化させていくべきと考えます。都の所見を求めます。
○矢田部雇用就業部長 業界職種勉強会は、十一月末まで、本日までに、介護福祉やIT、物流などの業界をテーマに十七回開催し、四百八十三人が参加いたしました。
今年度は、印刷、出版や建築、不動産などの業界を対象に、あと七回開催する予定です。
企業訪問に参加した若者からは、実際に企業を訪問して社員の方と交流しないと感じられないこともあり満足できた、また、実際に業界に携わる方からお話を伺うことで、魅力も大変さもわかり、より興味が高まったなどの声が寄せられています。
こうした声を踏まえ、今後は、対象となる業界、職種をさらに拡大し、企業の実態を知る機会を提供することにより、若者の職業選択の幅を広げられるよう支援してまいります。
○大松委員 ありがとうございます。
先週二十五日、飯田橋の東京しごとセンターにお邪魔をさせていただきました。
業界職種勉強会のほか、グループワークでモチベーションを高めながら就職を目指す、就コムや民間の就職カウンセラーによる個別面接指導など、職員の皆様方が知恵を絞られて創意工夫をされ、さまざまな施策が展開をされておりました。
雇用情勢が改善する中にありましても、就職がうまくいかずに悩んでいる学生の皆様方はたくさんいらっしゃいます。ぜひ、そうした若い方たちに、東京しごとセンターのヤングコーナーを活用して、就職を考える業界や業種がたくさんあることを知っていただいて、就職活動が円滑に行えるよう支援していただきたいと思います。
次に、若者の就職をめぐる深刻な課題として、いわゆるブラック企業、ブラックバイトの問題について質問いたします。
厚生労働省は、今月九日、大学生等へのアルバイトに関する意識調査等の調査結果を発表しました。それによりますと、学生一千人が経験したアルバイトの延べ件数一千九百六十一件のうち四八・二%、約半分で、労働条件等をめぐるトラブルがあったことが明らかになっております。
トラブルの内容を見ますと、準備や片づけの時間に賃金が支払われなかった、一日の労働時間が六時間を超えても休憩時間がなかった、時間外、休日、深夜労働に割り増し賃金が支払われなかったなど、労働基準関係法令違反のおそれのあるものが多数含まれておりますことから、学生自身が労働問題に関する基本的な知識が不足していること、また、その知識不足がトラブルの原因になっているということが考えられるわけでございます。
そこで、この問題につきまして、ことし三月の都議会第一回定例会の経済・港湾委員会におきまして、公明党のまつば多美子議員が質問し、東京都は、アルバイトに関する注意喚起ポスターや普及啓発冊子の配布、働く際のルールについて、より多くの若者に関心を持ってもらうための動画の作成、配信などを行っていると答弁をしております。
私も、その動画をDVDでも、またスマホでも見させていただきましたけれども、大変よくできているというふうに思います。
例えば、バイトをするときは必ず労働条件通知書をもらうことなど、基本的な知識を短時間でわかりやすく学べるようになっております。特にスマホで見ることができるということは重要でございまして、若者に周知をするには非常に効果的だと思います。
しかしながら、今回の厚労省の調査でも明らかになりましたように、依然として、この深刻な事態は変わっておりません。
そこで、今年度は、若者に対して、いわゆるブラック企業、ブラックバイトに対する注意喚起を促す取り組みをさらに強化するべきであります。都の取り組みにつきまして所見を求めます。
○矢田部雇用就業部長 若者が安心して働ける雇用環境を確保することは重要でございます。
都は、昨年度に引き続き、都内大学の学生や全都立高校の生徒等を対象とした資料を作成し配布したほか、使用者に対しては、労働法に関するセミナーの開催及び労働関係法令のポイントをまとめた冊子などの配布を通じて、若者の使い捨てが疑われる企業にならないための普及啓発を行っています。
また、アルバイトで働く際の注意を喚起するために昨年度作成した動画については、大学や区市町村に配布したほか、現在インターネットで配信しているところであり、多くの方に見ていただくために、都内主要駅でのデジタルサイネージや、新宿、渋谷など若者が多く集まるまち中の大型ビジョン等を活用してPRを実施いたしました。
今年度は、さらに、無理な勤務シフトや商品の買い取りの強要など、最近の事例に対応した動画を三本作成中であり、来年二月上旬からのインターネット配信に向け準備を進めているところでございます。
○大松委員 ありがとうございます。若者がトラブルに巻き込まれることを未然に防ぐために、労使双方を対象にした普及啓発冊子の配布や、若者への訴求力を高めるための動画配信も加え、繁華街での大画面を活用したPRを実施するなど、取り組みの充実に努めているとのことであります。動画も新たに三点を配信するとのことでありますので、よろしくお願いをいたします。
先ほどの厚生労働省の調査によりますと、困ったときの相談先は、知人、友人が最も多く三二・〇%、次いで家族が二三・六%でした。一方、行政機関など専門の相談窓口に相談した割合はわずか一・六%でございました。
困ったときに友人や家族に相談することは大変よいことではありますけれども、その上で、この労働問題のような専門性のある問題の場合、きちっと解決して、すっきりとさせるためには、専門家、所管の行政機関に相談することが重要でございます。
東京都におきましては、電話相談の東京都ろうどう一一〇番がありますし、面談の相談であれば、東京しごとセンター九階の東京都労働相談情報センター等があります。
若い方をトラブルから守っていくためには、若い皆様方に働く際のルールをわかりやすく伝えていくとともに、実際にトラブルに巻き込まれたときにどこに相談に行けばいいのか、その相談先を知っておいていただくということが重要でございます。
こうした取り組みは産業労働局のみで行うのではなくて、教育庁など他の庁内関係局や、ハローワークなど国の機関とも連携を密にして進めていくことが必要でございます。都の取り組みにつきまして答弁を求め、質問を終わります。
○矢田部雇用就業部長 若者が安心して働くことができる雇用環境を確保するためには、関係行政機関との連携のもと、総力を挙げて取り組むことが重要でございます。
このため、都は、学生がアルバイトで働く際にトラブルに巻き込まれないよう注意を喚起するとともに、相談窓口の周知を図るポスターを新たに東京労働局と連携し、二千三百部作成し、大学、短大、高校等に配布いたしました。
さらに、学生向け普及啓発冊子を発行するに当たり、庁内関係局及び東京労働局の関係職員で構成する編集委員会を本年二月に立ち上げたところであり、今年度配布した冊子については、それぞれの現場に根差した意見を踏まえ、社会保険関係の記載の追加や漫画を活用したわかりやすい表記の工夫など、内容の充実を図ったところでございます。
今後とも、若者がトラブルに巻き込まれないよう、関係機関と連携を密にして取り組んでまいります。
○島崎委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○島崎委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
○島崎委員長 次に、第四回定例会に提出を予定されております案件について、理事者の説明を求めます。
○山本産業労働局長 平成二十七年第四回都議会定例会に提出を予定しております当局所管の案件の概要につきましてご説明を申し上げます。
今回提出を予定しております案件は、条例案一件、契約議案一件、事件案四件でございます。
まず、条例案として提出を予定しておりますのは、東京都立職業能力開発センター条例の一部を改正する条例でございます。
この条例改正は、勤労青少年福祉法等の一部を改正する法律の施行により、職業能力開発促進法が改正されたことに伴う規定整備でございます。
次に、契約議案として提出を予定しておりますのは、東京国際展示場(二十七)地盤改良工事でございます。
本件は、東京国際展示場の今後の展示会需要等を踏まえた展示棟の拡張工事に当たり、今年度から平成二十八年度まで地盤改良工事を行うものでございます。
最後に、事件案として提出を予定しておりますのは、東京都立産業貿易センター台東館の指定管理者の指定について、東京都立食品技術センターの指定管理者の指定について、東京都しごとセンターの指定管理者の指定について、地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター中期目標について、以上の四件でございます。
三件の指定管理者の指定は、いずれも今年度が現行の指定管理期間の最終年度に当たりますことから、新たに平成二十八年度からの指定管理期間におけるそれぞれの指定管理者の指定についてお諮りするものでございます。
また、産業技術研究センターの中期目標につきましては、今年度が現行の中期目標の最終年度に当たりますことから、地方独立行政法人法に基づき、新たに平成二十八年度からの五年間において法人が達成すべき業務運営に関する目標を策定するものでございます。
第四回定例会提出予定議案の概要説明は以上でございます。
なお、これらの詳細につきましては、総務部長からご説明を申し上げます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○村松総務部長 今回提出を予定しております産業労働局所管の案件の詳細につきまして、お手元配布の資料に基づきご説明申し上げます。
まず、本定例会に提出を予定しております条例案の詳細についてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元の資料1、条例案の概要をごらんください。
表紙をおめくりください。今定例会には、一件の条例案をご提案させていただく予定でございます。
一ページをごらんください。東京都立職業能力開発センター条例の一部を改正する条例案でございます。
この条例は、職業能力開発促進法に基づく業務を行う東京都立職業能力開発センターの設置及び運営に関する事項について定めているものでございます。
改正の内容でございますが、勤労青少年福祉法等の一部を改正する法律の施行により、職業能力開発促進法が改正されまして、公共職業訓練の実施等について定めております第十五条の六の条文が第十五条の七に改められたことに伴い、東京都立職業能力開発センター条例の第三条及び第六条中の法律の引用部分を改めるものでございます。
条例案の本文は、資料2のとおりでございます。
引き続きまして、工事請負契約議案の詳細についてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元の資料3、工事請負契約議案の概要をごらんください。
表紙をおめくりいただき、件名表をごらんください。
今回提出を予定しておりますのは、東京国際展示場(二十七)地盤改良工事でございます。
本件は、東京国際展示場の今後の展示会需要等を踏まえた展示棟の拡張に当たり、今年度から平成二十八年度まで地盤改良工事を行うものでございます。
一ページをごらんください。東京国際展示場(二十七)地盤改良工事の契約の相手方は銭高・日工建設共同企業体、契約金額は十七億九千五百二十八万四千円、工期は平成二十八年九月二十日まででございます。
契約の方法、入札回数、入札者数はごらんのとおりでございます。
次のページに案内図及び配置図をお示ししてございますので、ごらんいただきたく存じます。
引き続きまして、事件案四件についてご説明申し上げます。
まず、指定管理者の指定三件についてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元の資料4、産業労働局所管施設の指定管理者の指定についてをごらんください。
今回、指定管理者選定の対象とした施設は、1、対象施設及び選定方法にございますとおり、東京都立産業貿易センター台東館、東京都立食品技術センター及び東京都しごとセンターの三施設でございます。
選定方法は、東京都立産業貿易センター台東館は公募、他の二施設は特命といたしました。
次に、候補者の選定経過でございますが、2の(1)にありますとおり、選定に先立ちまして選定委員会を設置いたしました。
具体的な選定経過でございますが、(2)にございますとおり、公募施設につきましては、募集要項を作成した上で公募いたしまして、応募団体の事業計画書等に基づくプレゼンテーション審査を実施し、候補者を決定いたしました。
また、特命施設につきましては、指定管理者の選定方法及び審査対象団体を決定した後、当該団体の事業計画書等を審査し、候補者を決定いたしました。
主な選定基準でございますが、(3)にございますとおり、公募、特命とも、類似の管理業務等における実績が認められること、安定的な経営基盤を有していることなどを基本にいたしまして、(4)にございますとおり、委員会を四回開催して選定いたしました。
以上の手続を経て、選定されました指定管理者候補者について、去る十一月二十五日に公表いたしました。
なお、今定例会における議決をしていただいた後に、指定管理者として指定してまいりたいと考えてございます。
選定された指定管理者候補者について、別紙に指定管理者候補者選定概況をつけてございますので、ごらんください。施設ごとに、対象施設の概要、指定期間、公募の場合は応募団体数、指定管理者候補者団体名称、主な選定理由等を記載してございます。
産業貿易センター台東館につきましては、公募による選定の結果、応募者団体一団体で公益財団法人東京都中小企業振興公社となりました。
東京都立食品技術センターは特命により公益財団法人東京都農林水産振興財団に、東京都しごとセンターは特命により公益財団法人東京しごと財団となりました。
特命理由及び選定理由につきましては、主な選定理由等に記載したとおりでございます。
指定管理者の指定につきましての説明は以上でございます。
引き続きまして、同じく事件案の地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターの中期目標についてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元の資料5、地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター中期目標(第三期)の策定についてをごらんください。
一ページをごらんください。地方独立行政法人法の規定によりまして、法人の設立団体の長である知事が法人に対して中期目標を示し、法人はこの中期目標に基づいて中期計画を作成し、計画的に業務を遂行していく仕組みとなってございます。
本日ご説明申し上げますのは、今年度が現行の中期目標の最終年度に当たりますことから、新たに平成二十八年度から向こう五年間におきまして法人が達成すべき業務運営に関する目標として定める中期目標の案でございます。
中期目標の構成といたしましては、地方独立行政法人法の規定に基づき、中期目標の期間や、住民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項等について定めることになっております。
内容につきましては、二ページ以降に中期目標の要約をまとめてございます。
恐れ入りますが、二ページをごらんください。まず初めに、中期目標の基本的考え方といたしまして、産業技術研究センターの目指すべき方向性について示してございます。
第1の中期目標の期間でございますが、平成二十八年四月一日から平成三十三年三月三十一日までの五年間でございます。
次に、第2の住民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項として、二ページから三ページにかけまして、1の東京の産業の発展と成長を支える研究開発の推進、2の中小企業の製品・技術開発、新事業展開を支える技術支援、3の多様な主体との連携の推進、4の東京の産業を支える産業人材の育成、5の情報発信・情報提供の推進の五項目について掲げてございます。
恐れ入りますが、四ページをごらんください。第3の業務運営の改善及び効率化に関する事項といたしまして、組織体制及び運営に関する事項、並びに業務運営の効率化と経費節減について掲げてございます。
第4の財務内容の改善に関する事項につきましては、資産の適正な管理運用及び剰余金の適切な活用について掲げてございます。
第5のその他業務運営に関する重要事項につきましては、危機管理対策の推進及び社会的責任について掲げてございます。
産業技術研究センターの中期目標についての説明は以上でございます。
事件案四件の議案文は資料6のとおりでございます。
以上で平成二十七年第四回都議会定例会に提出を予定しております産業労働局関係の案件の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○島崎委員長 説明は終わりました。
この際、資料要求のある方は発言を願います。
○かち委員 三点お願いします。
東京しごと財団から再委託されている業務内容、契約額、再委託先の推移について。
二番目が、東京しごと財団の正規職員と非正規職員の推移。
三番目が、産業技術センターの運営交付金の内訳別推移、計画額と決算額でお願いします。
○島崎委員長 ただいま、かち理事から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○島崎委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出を願います。
○島崎委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
○野間金融監理部長 去る十一月十三日に株式会社新銀行東京から発表されました平成二十八年三月期中間決算につきましてご説明申し上げます。
お手元の資料7、平成二十八年三月期中間決算の概要をごらんください。
初めに、資料上段右側の資産等の状況をごらんください。表の右端、太枠で囲んだ部分が平成二十七年九月末の実績となってございます。
まず、与信残高につきましては千九百五十六先、千九百九十三億円、そのうち網かけ部分の中小企業向けは千八百七十先、千四百二十二億円となってございます。
次に、資料の下段、損益状況をごらんください。表の右端が今年度上期の実績となってございます。
まず、業務粗利益から営業経費を差し引いた実質業務純益は八・一億円の黒字となってございます。
また、実質業務純益に貸倒引当金等の信用コストと特別損益等を含めた当期純利益につきましては六・九億円と、引き続き黒字を計上してございます。
さらに、一番下の段に記載があります純資産は五百五十八・三億円となってございます。
新銀行東京の平成二十八年三月期中間決算のご説明につきましては以上でございます。
なお、去る十一月二十七日に開催されました新銀行東京と東京TYフィナンシャルグループの臨時株主総会におきまして、両者の経営統合が承認されました。
都といたしましては、九月に締結した東京における産業振興に関する包括連携協定に基づきまして、新銀行東京を一員とする東京TYフィナンシャルグループとの連携を進め、中小企業支援を初めとする産業振興策を一層効果的に推進してまいります。
以上で株式会社新銀行東京関係の報告事項のご説明を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。
○島崎委員長 報告は終わりました。
この際、資料要求のある方は発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○島崎委員長 なければ、資料要求はなしと確認させていただきます。
以上で産業労働局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後六時二十三分散会
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