経済・港湾委員会速記録第十号

平成二十七年十月二日(金曜日)
第八委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長近藤  充君
副委員長加藤 雅之君
副委員長鈴木あきまさ君
理事中山ひろゆき君
理事田中たけし君
理事かち佳代子君
堀  宏道君
田中  健君
尾崎あや子君
まつば多美子君
鈴木 章浩君
木内 良明君
三宅 正彦君
三宅 茂樹君

欠席委員 なし

出席説明員
産業労働局局長山本  隆君
次長土渕  裕君
総務部長村松 明典君
産業企画担当部長青山 忠幸君
商工部長松永 竜太君
金融部長山巻  毅君
金融監理部長野間 達也君
金融支援担当部長西川 泰永君
観光部長坂本 雅彦君
農林水産部長寺崎 久明君
安全安心・地産地消推進担当部長武田 直克君
雇用就業部長矢田部裕文君
事業推進担当部長小金井 毅君
就業施策担当部長貫井 彩霧君
中央卸売市場市場長岸本 良一君
管理部長野口 一紀君
事業部長白川  敦君
新市場整備部長飯田 一哉君
市場政策担当部長金子 光博君
財政調整担当部長坂田 直明君
移転支援担当部長長田  稔君
新市場事業推進担当部長櫻庭 裕志君
移転調整担当部長赤木 宏行君
基盤整備担当部長若林 茂樹君
施設整備担当部長佐藤 千佳君
港湾局局長武市  敬君
技監石山 明久君
総務部長浜 佳葉子君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック開催準備担当部長兼務中村 昌明君
調整担当部長田中  彰君
港湾経営部長古谷ひろみ君
港湾経営改革担当部長蔵居  淳君
臨海開発部長山口 祐一君
開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務原   浩君
営業担当部長有金 浩一君
港湾整備部長小野 恭一君
計画調整担当部長角  浩美君
離島港湾部長小林 英樹君
島しょ・小笠原空港整備担当部長神山 智行君
労働委員会事務局局長櫻井  務君

本日の会議に付した事件
中央卸売市場関係
報告事項
・豊洲新市場(仮称)五街区地下水管理施設整備工事(質疑)
・豊洲新市場(仮称)六街区地下水管理施設整備工事(質疑)
・豊洲新市場(仮称)七街区地下水管理施設整備工事(質疑)
・豊洲新市場(仮称)水産仲卸売場棟建設内装工事(質疑)
・豊洲新市場(仮称)水産卸売場棟建設内装工事(質疑)
・千客万来施設事業(六街区)募集要項について(説明・質疑)
港湾局関係
契約議案の調査
・第百七十五号議案 平成二十七年度中防内五号線橋りょうほか整備工事請負契約
報告事項(質疑)
・調布飛行場付近における航空機墜落事故について
産業労働局関係
報告事項
・私債権の放棄について(質疑)
・平成二十六年度地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター業務実績評価について(質疑)
・東京都MICE誘致戦略について(質疑)
・新銀行東京の「平成二十八年三月期第一・四半期決算」について(質疑)
・新銀行東京の経営統合に関する最終合意について(説明・質疑)
・東京における産業振興に関する包括連携協定について(説明・質疑)
特定事件の継続調査について

○近藤委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 初めに、契約議案について申し上げます。
 契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
 本件につきましては、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成二十七年九月三十日
東京都議会議長 高島なおき
経済・港湾委員長 近藤  充殿
   契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
     記
1 調査議案
 第百七十五号議案 平成二十七年度中防内五号線橋りょうほか整備工事請負契約
2 提出期限 平成二十七年十月五日(月)

○近藤委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、港湾局関係の契約議案の調査、中央卸売市場、港湾局及び産業労働局関係の報告事項の聴取並びに特定事件の閉会中の継続調査の申し出の決定を行います。
 これより中央卸売市場関係に入ります。
 初めに、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○野口管理部長 千客万来施設事業(六街区)募集要項についてご報告申し上げます。
 本件につきましては、千客万来施設事業に関心を有する事業者を改めて広く募るために、前回の公募条件を一部見直し、先月十八日に公表したものでございます。
 お手元の資料1をごらんください。
 一枚おめくり願います。千客万来施設事業(六街区)募集要項のポイントでございます。
 1、事業目的につきましては、前回と同様、豊洲ならではの活気やにぎわいを生み出すことでございます。
 2、敷地につきましては、今回、六街区を先行して公募することとしておりまして、面積は一万八百四十・三二平方メートルでございます。
 3、事業期間につきましては、採算性を高める観点から、前回の三十年間を五十年間といたしました。
 4、貸付料等につきましては、貸付料を基準月額五百八十五万円以上といたしました。
 5、開設時期につきましては、豊洲市場開場後に速やかに本施設を開設することとしております。審査の際には、豊洲市場にふさわしい施設に対して、早期開設を評価する審査項目を設定しております。
 6、その他といたしまして、市場関係者及び築地場外事業者との調整を都が連携して行うこと、都の承諾により、代表企業の地位、事業用定期借地権及び施設を一括して同一事業者に譲渡を可能としたこと、そして、事業を着実に推進するため、事業予定者が故意に選定後三カ月以内に基本協定を締結しない場合、都に損害賠償することといたします。
 7、今後の予定でございますが、今月二十二日、二十三日に応募希望表明書の受け付け、来年一月十八日に提案書の受け付けを行い、三月上旬に事業予定者を決定、公表する予定でございます。
 以降は、配置図並びに募集要項の本文をおつけしてございますので、ご参照いただきたいと存じます。
 千客万来施設事業(六街区)募集要項につきましては以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○近藤委員長 報告は終わりました。
 本件に対する質疑は、既に説明を聴取しております五件の報告事項とあわせて、一括して行います。
 これより質疑を行います。
 発言願います。

○かち委員 豊洲市場のにぎわい創出としての千客万来施設事業の公募のやり直しということになったわけですけれども、この間の経過から、当初の五街区、六街区、二カ所の予定が、今回は六街区のみとのことです。
 前回の募集要件との変更点は、事業期間を三十年から五十年に延長し、貸付料等は基準月額が五百八十五万円以上になっていますが、貸付料についても引き下げられていると思いますけれども、前回は幾らだったのか、また、その理由についてお聞きします。

○金子市場政策担当部長 前回の基準月額は七百二十一万三千円でございます。
 それから、貸付料につきましては、外部鑑定をもとに、東京都財産価格審議会の議を経て決定した適正な価額でございます。
 前回に比べまして、今回、貸付料が下がった主な要因といたしましては、貸付料積算上の減要素でございます建築工事費が高騰したことによるものでございます。

○かち委員 前回よりも二割程度引き下げられた、その理由が工事費等の高騰によるものというご答弁でした。
 事業スケジュールでは、本来は、市場の開場と同時オープンということでしたが、来年度以降に設計建設工事を始め、開設はできるだけ早く、速やかにというのが条件になっています。
 豊洲新市場予定地は現在モニタリング中ですが、来年十一月になれば、二年間のモニタリングは終了します。
 しかし、ここでは、形質変更時要届け出区域となっており、発生した土壌は指定された管理場所まで運ぶか、公募要件にはなるべく出さないようにとまで書かれています。
 敷地に関する条件を見ますと、土壌汚染対策等や発生土の条件、液状化対策、くい打ち、打設条件など、土壌汚染に対応した対策をみずからの費用負担で行わなければならないという要件と、かなりハードルが高いものになっています。
 これまで市場長は、土壌汚染対策工事の終了をもって安全宣言をしています。にもかかわらず、ここでは土壌汚染対策に類する条件を要求されているわけです。
 こういうことまでやって、高い設備投資をして、果たして収益性が確保できるかということで、敬遠されがちなところではないでしょうか。

○金子市場政策担当部長 千客万来施設事業につきましては、事業者が実施する自然由来の土壌汚染の処理費用や既存構築物の処理費用等をあらかじめ考慮の上、算定した適正な貸付料により公募を行っており、問題がないものと考えております。

○かち委員 一般の場所であれば、こういうことをやらなくても済むわけですけれども、片や、もう市場を開設している、そのそばで工事をしなければならない。出てきた土壌も危険性があるということで、指定の場所まで持っていかなければならないという点では、かなりいろいろなことを配慮、考慮しなければならないという負荷がかかってくるものです。そういう意味では、同時開場できないというところでは、大変大きな難問を抱えていると思うんですね。
 後で質疑しますけれども、地下水管理システムも、もう既につくってしまうわけですね。本来だったら、地下水管理システムは、工事をする前に下から順番にやっていくわけですけれども、でき上がったところに今度は建設工事をするという点では、それも破壊しないようにということで、本当に大変な問題があると思います。
 また、この公募のやり直しに当たって、新市場建設懇談会の開催など、関係者との調整はどのようにされているんでしょうか。

○金子市場政策担当部長 千客万来施設の再公募につきましては、公募条件の見直しを図り、市場関係団体と個別に調整を行い、実施いたしました。

○かち委員 個別の調整で、懇談会も協議会も開かれていないということです。
 最初の千客万来計画を懇談会で報告されたときには、驚きと批判の声が圧倒的でした。その後の経過も含め、公募のやり直しをするなら、まず、懇談会など関係者への報告と意見調整が必要です。
 今から幾ら急いでも開場時期には間に合わないことは明らかなのです。しかも、予定どおりなら、新しい市場が開場して落ちつかない中、これからというときに千客万来施設工事が始まるというのは、市場関係者にとっても大変迷惑なことです。
 土地の利用のあり方やにぎわいづくりのあり方も含め、時期についても、関係者の理解と合意を得て進めるべきだということを申し上げ、この質問は終わります。
 続けて、中央卸売市場の工事請負契約について伺います。
 今回、豊洲新市場(仮称)五、六、七街区の地下水管理施設整備工事請負契約の報告がありました。
 地下水管理をするために、新市場敷地内に揚水井戸、地下水観測井戸を各街区に設置し、それぞれに浄化施設棟の地上部と地下部の構造物を設置するというものです。
 五街区では鹿島建設を中心としたJVで約十六億五千万円、六街区では清水建設が中心のJVで十九億余円、七街区では大成建設が中心のJVで十九億七千万余円です。合計五十五億二千万円となっています。
 改めて、この工事の目的を伺うとともに、地下水をくみ上げるための揚水井戸と観測井戸は、それぞれ何カ所になるのでしょうか。

○若林基盤整備担当部長 地下水管理施設整備工事は、開場後の豊洲市場において、地下水位の管理や地下水質の監視によって、永続的に徹底したリスク管理を行うことを目的として実施するものでございます。
 具体的には、街区ごとに常時地下水位を観測し、一定以上、地下水位の上昇があった場合に、揚水井戸により自動的に水をくみ上げ、地下水位を制御するとともに、地下水質も監視可能な施設を整備するものでございます。
 三つの街区合わせて、揚水井戸は五十八本、観測井戸は二十一本設置する予定でございます。

○かち委員 当委員会で私も繰り返し指摘をしてきましたが、ベンゼンやシアンなどの有害物質の詳細調査は相当数の未調査分があります。
 当該用地の地下水はもともと流動性が少ない上に、四方を矢板で遮蔽しているため、雨水がたまりやすい条件下にあることからも、地下水管理はこの地域では必要不可欠なものになっているわけです。
 この地下水管理システムは、豊洲新市場(仮称)五、六、七街区の地下水管理施設整備工事の契約額が当初は三十二億円と聞いていましたが、今回一・七倍にふえていますが、その理由についてお聞きします。

○若林基盤整備担当部長 豊洲市場の建設工事の進捗により、建物や道路の施設配置等が確定してきましたことから、車両動線や景観を考慮して、地上で計画していた浄化施設棟を一部地下化に変更するなど、現場状況に即した詳細な検討を行ってまいりました。
 こうした検討により、各施設、設備等の仕様を確定して設計金額を算出した結果、ご報告した契約額になったものでございます。

○かち委員 いろいろ現場状況に即して詳細な検討をした結果、このような結果になったということですけれども、その前の技術会議の見積もりでは、この地下水管理システムは十三億円という予定が出ておりました。それと比べると、何と四・二倍にもなっています。
 土壌汚染全体の対策費は五百八十六億円が八百四十九億円、総整備費は四千三百億円が五千九百億円です。こんなことが粛々と進められること自体が信じがたいことです。
 いずれも特命随意契約ですから、発注者側に選択の余地はありません。予定どおりにいかないということはあると思いますが、予定額の一・七倍、当初計画の四・二倍は乖離し過ぎではないでしょうか。第三者機関による厳格な審査が求められると思います。
 地下水汚染について、去る八月十一日、豊洲土壌の汚染問題を考える市民団体の方々が記者会見をしておりますが、内容は、都が行ったベンゼンの汚染調査の際、ベンゼン汚染の可能性が高いにもかかわらず、環境省令が示す帯水層底面調査の六割、三百三十三区画で行っていないまま工事完了報告が提出され、現時点で六十九区画について、ベンゼン汚染区画の指定が都知事名で解除されているという指摘です。
 この三百三十三区画で帯水層底面の調査を行っていないというのは事実でしょうか。

○若林基盤整備担当部長 都が行った豊洲市場用地の土壌汚染調査は、専門家会議の知見に基づき、その調査内容を確定し、実施したものでございます。
 帯水層底面の土壌の確認を行っていない区画はありますが、その場合でも、表層から一メーターごとに帯水層の底面の直前まで調査をしております。

○かち委員 帯水層の底面の直前まではやったのだというご答弁でした。
 しかし、調査をしていないという事実はお認めになったわけですが、二〇一〇年四月に土対法が改正され、揮発性の有害物質が帯水層底面調査項目に新設されました。
 当該豊洲新市場予定用地についても対象となると思いますが、なぜ三百三十三区画もの底面調査を行わなかったのですか。どうしてこれで工事完了といえるのでしょうか。

○若林基盤整備担当部長 平成二十二年四月に改正された土壌汚染対策法施行規則において、ベンゼン等の第一種特定有害物質を対象に、帯水層の底面の土壌の確認が新たに追加されましたが、豊洲市場用地で行った土壌汚染調査は、平成二十年から二十一年にかけて実施したものであり、調査時点においては、この帯水層の底面の土壌の確認についての規定そのものがなかったものでございます。
 豊洲市場用地の土壌汚染調査は専門家会議の提言に基づき実施したものであり、平成二十三年八月の土壌汚染対策法に基づく区域指定の申請に当たっては、国が指定した指定調査機関が豊洲市場用地で行われた調査の内容を確認し、土壌汚染状況調査報告書として取りまとめたものでございます。
 この報告書により、区域指定の申請を行い、平成二十三年十一月、法に基づき区域指定がなされたものであり、その後、この区域指定に基づいて土壌汚染対策工事を実施し、平成二十六年十月に全ての工事を完了したものでございます。

○かち委員 今のご答弁では、土壌汚染調査は二十年から二十一年にかけて実施したもので、その時点では、底面の土壌の確認についての規定はなかったんだと、だからいいんだというご答弁でしたけれども、法改正は二〇一〇年、平成二十二年の四月であり、調査は二〇〇八年、平成二十年から二十一年にかけて実施したものではありますけれども、しかし、土壌調査はまさに進行中であり、二〇一二年、平成二十四年から二十五年にかけて、追加調査の底面管理及び帯水層底面調査を行っているではありませんか。
 都はこれまで、世界一の安全対策を行ってきたとおっしゃっているわけですから、法改正があったのなら、それに合わせて見直しをするというのが本来のやり方です。
 事は食の安全にかかわる問題なのですから、こういうことを省略するということが疑念を持たれることになるんです。
 指定調査機関の了承を得たとおっしゃいましたけれども、今回の指定調査機関はどこの調査機関が行ったのか、お聞きします。

○若林基盤整備担当部長 平成二十三年当時、指定の申請に当たり、豊洲市場用地の全街区における土壌汚染状況調査報告書の取りまとめを行ったのは、国が指定した調査機関である応用地質株式会社でございます。

○かち委員 国の指定機関だという応用地質株式会社という会社は、六街区の工事を行っているJVの中心企業である清水建設の下請契約をしていますね。(資料を示す)これ、開示請求で出てきたものです。工事請負基本契約で、清水建設株式会社と下請会社、応用地質株式会社が下請工事、請負契約を締結するというのが平成十九年十一月に交わされているんですね。まさにこの工事期間中に、下請事業者としてここの工事にかかわっていた会社です。まさに当事者そのものです。
 本来、土壌汚染調査は、試料の採取地点の選定、試料の採取方法などにより結果が異なって出てくるため、測定結果の信頼性を確保するために、国の大臣が認定している機関が行うとされています。
 しかし、その調査機関が、土壌対策工事をやっている企業と下請契約を結んでいる関係にある会社では、本来の機能を発揮する上で、公平、中立の立場に立つ上で適切とはいえないのではないでしょうか。こうした契約が土壌汚染対策についてさまざまな問題に波及していくということは、私たちが当初から指摘してきた問題です。
 法には経過措置などはありません。ここまでやってあればいいという記述もありません。環境省の見解でも、底面まで調査が至っていない場合は、調査が未完だということです。追加調査をするか、または、第二溶出基準の区域とみなされたままになるということです。
 三百三十三カ所について、底面調査をしないということをどこの機関で決定したのでしょうか。

○若林基盤整備担当部長 土壌汚染対策法では、高度な技術的能力を有する指定調査機関が、法の技術的要求を満たしつつ、かつ公正に調査を実施することとされており、豊洲市場用地で行われた調査の内容についても、国が指定した、先ほどいいました応用地質株式会社ですが、その指定調査機関が調査内容や結果を確認し、土壌汚染状況調査報告書を取りまとめております。
 この報告書により、区域指定の申請を行い、平成二十三年十一月、法に基づき、豊洲市場用地の区域指定がなされたものでございます。

○かち委員 国が指定した公正な調査を実施する機関なんだとおっしゃいましたけれども、その機関、会社が工事を行っている当事者の下請の関係にあるということからしても、それで公正、公平を確保できる、担保できるという保証はないわけです。そうであれば、本当に第三者の機関によってやるべきではなかったでしょうか。
 発注者である中央卸売市場から請け負った鹿島や清水や大成建設のJVが行った土壌地質調査の内容を、下請会社の応用地質株式会社が確認し、報告をまとめ、それをもって区域指定の申請を東京都の環境局に行って、環境局が判断して、豊洲新市場用地の区域指定がなされたという今のご答弁でした。
 各手続の申請者、決定者は、どちらも同じ都知事なんです。これが工事完了書ですけれども、都知事が都知事に宛てて報告書を出しているんですね。
 こういうことで、明確な第三者機関によるチェックが担保されているとはとてもいえません。これではお手盛りだといわれても仕方がないのではないでしょうか。
 三百三十三カ所を省略することについて、技術会議や地下水管理協議会には報告され、確認されているのでしょうか。

○若林基盤整備担当部長 これまで、技術会議及び土壌汚染対策工事と地下水管理に関する協議会において、土壌汚染調査の状況や土壌汚染対策の内容など、必要な情報を全て適時適切に報告し、意見交換を行うとともに、これらの情報については、ホームページを通じ、広く都民に情報提供を行ってまいりました。

○かち委員 土壌汚染調査の状況や対策内容など、必要な情報を適時適切に報告したというご答弁でしたが、何をもって適時適切なのかは事業実施者の立場からの判断によるところであって、このようなベンゼンの帯水層底面調査を行っていないこと、それが法的手続面から問題があるなどということは報告されていないということですね。
 土壌汚染対策について、無責任な都の姿勢がここにあらわれています。全ての情報を明らかにして、リスクコミュニケーションを行うことこそが信頼と安心を築くことになるんです。
 その意味で、今回の未調査の問題は、将来にわたって、都民、市場関係者などに疑問と不安を残すことになるということを申し上げて、私の質問を終わります。

○若林基盤整備担当部長 先ほどから答弁させていただいていますとおり、都は、専門家会議の提言に基づき、豊洲市場用地の土壌汚染状況を把握する調査を実施しました。
 その内容については、国が指定した調査機関が確認し、法に基づいて区域の指定を受けたもので、何ら問題はございません。

○かち委員 先ほどから質疑をやっていて、身内で工事をやって、身内がチェックをして、身内が判断をしているって、これでは明確な、正しいという、これでいいという結果を担保することができないということを私はいっているわけですよ。そういうことをきちんと客観的に証明するのであれば、きちんと国の指定した第三者の機関がやってこそ本来の役割を果たすことになるんだということをいっているわけで、そこをわかっていただきたいと思います。
 以上です。

○近藤委員長 ご発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○近藤委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で中央卸売市場関係を終わります。

○近藤委員長 これより港湾局関係に入ります。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第百七十五号議案を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してございます。
 資料について理事者の説明を求めます。

○浜総務部長 九月十六日開催の当委員会で、契約議案につきましてご要求のございました資料をご説明申し上げます。
 お手元の経済・港湾委員会要求資料をごらん願います。
 ご要求のございました資料は、表紙をおめくりいただきまして、目次に記載の項目のうち、1の項目でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。臨港道路南北線事業の総事業費等及び事業期間でございます。
 (1)に総事業費及び国・都負担額を、(2)に事業期間を掲載してございます。
 以上をもちまして、簡単ではございますが、ご要求のございました資料のご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○近藤委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言願います。

○かち委員 それでは、第百七十五号議案、平成二十七年度中防内五号線橋りょうほか整備工事請負契約について、何点かお聞きします。
 本件は、国直轄の臨港道路整備事業、いわゆる南北線の中央防波堤外側と内側を結ぶ橋梁工事に伴う契約です。
 これに類する既存の道路は青海縦貫線があり、南部地区につながる臨海道路、臨海トンネル、さらには東京ゲートブリッジで東部地区への道路はできているわけですが、さらに南北線を増設する理由についてお聞きします。

○小野港湾整備部長 東京港の物流機能を強化していくためには、増加するコンテナ貨物等に適切に対応できるよう、道路ネットワークの充実が必要でございます。
 東京港臨海道路と国道三五七号線を結ぶ南北方向の道路は、臨港道路青海縦貫線のみでございまして、中央防波堤地区の開発に伴う交通需要の増大に対応するため、臨港道路南北線及び接続道路を整備するものでございます。

○かち委員 国の南北線事業の目的でも、国際コンテナ戦略港湾である京浜港の一翼を担う東京港において、中央防波堤地区の開発に伴う将来交通需要に対応し、円滑な物流を確保するための主動線だと位置づけています。
 背景には、国際戦略港湾や第八次東京港湾計画があるということですが、さらに、オリンピック会場へのアクセス道路としても位置づけられています。
 この南北線の総事業費、国、都の負担割合、事業期間については資料を出していただきました。総事業費は一千百億円のうち、国が約七百億円、都が四百億円ということです。
 それでは、臨港道路南北線の総延長、国と都の事業区分はどのようになっているでしょうか。

○小野港湾整備部長 臨港道路南北線、接続道路も含めますけれども、総延長は、十号地その二埋立地から中央防波堤外側埋立地までの本線部で約五キロメートルでございます。
 国と都の事業区分につきましては、南北線は国が事業を実施し、接続道路は都が事業を実施するものでございます。

○かち委員 全体で五キロ、そのうち都の分担する事業区間は、要するに南北線の岸部と今回の橋梁と臨海道路との立体交差のランプ、その後、中央防波堤外側の外貿コンテナにつながる道路、約二・三キロメートルということですね。
 都が行う予定の橋梁工事についてですが、現況では、予定橋梁のすぐ脇に四車線の橋梁、中潮橋があります。この橋梁を利用することはなぜできないのでしょうか。

○小野港湾整備部長 本工事は、中央防波堤内側埋立地と外側埋立地とをつなぐ橋梁整備工事でありまして、東京港臨海道路との接続方式は、相互の道路における円滑な交通を確保するため、立体交差させる必要がございます。
 そのためには、橋梁に一定の高さを確保する必要がありますが、理事お話しの中潮橋は、現状の地盤高で両埋立地間を結んでいることから、立体交差に必要な高さは確保できません。このため、本整備が必要でございます。

○かち委員 本線が供用開始によって、自動車交通量はどのように変化するのですか。
 周辺道路、第二航路海底トンネル、東京ゲートブリッジ、臨海トンネルについても、前後比較でお聞かせください。

○小野港湾整備部長 臨港道路南北線の計画交通量は、平成三十年代後半を目標年次とする東京港第八次改訂港湾計画におきまして、一日当たり約三万二千台でございます。
 周辺の第二航路海底トンネルでは、平成二十四年九月時点の一日当たり約二万七千台に対し平成三十年代後半の計画交通量は約二万二千台、東京ゲートブリッジでは、同様に二万七千台に対し約三万四千台でございます。
 また、臨海トンネルでは、平成二十四年時点及び計画交通量ともに一日当たり約四万六千台でございます。
 なお、これらの交通量の変化は、南北線の供用開始によるものだけでなく、交通需要の増大等の影響が含まれたものでございます。

○かち委員 今のご答弁で、東京湾第八次改訂計画による将来道路のネットワークになっているんだと、だから、これだけふえるんだというようなお話がありましたけれども、東京湾第八次改訂計画は、東京、横浜、川崎港による京浜港として、国際戦略港湾として位置づけられ、外国船の取り扱いコンテナ量など、今後、人口減少時代に向かっている中で、過大な予測計画になっていることをこれまでも当委員会で指摘してきたところです。
 コンテナ取扱量は、東京港については、輸入については伸びていますが、輸出はほとんど伸びていません。横浜、川崎港は下降傾向です。ですから、トータルでは、予測との乖離が出てくるのが実態です。
 東京港における輸出、輸入の貨物取扱量は二・五倍の開きがあるなど、バランスが悪いために、輸入で空になったコンテナが大量に発生し、その置き場所に窮しているというのが実態です。それこそ、三港連携、運送事業者の協力等で調整していくことが求められているのではないでしょうか。
 一昨日、都が発表した外貿コンテナ取扱量では、二〇一五年上半期は前年比八%の減です。過大な第八次港湾計画に基づく需要予測、交通量予測は、将来に大きな負荷を残すことになります。
 九月に発表された都の年次財務報告書でも、急速に高齢化が進む中で、社会資本ストックの老朽化は重要な課題であり、維持更新経費の増加額は、二十年間で二兆三千億円にも及ぶことが明らかにされています。
 東京の持続的な発展を実現するためにも、投資的経費については、都市インフラ整備を最大限抑えることが求められているんです。
 次に、本件の整備によって、環境への影響はどうでしょうか。アセスについてはどのようになっているのかお聞きします。

○小野港湾整備部長 東京都が事業者となる仮称東京港臨港道路中防内五号線、中防外五号線及び中防外三号線道路建設計画につきまして、東京都環境影響評価条例に基づきまして、本年四月に環境影響評価書案を公示し、縦覧をいたしております。
 その評価書案の中で、大気汚染の予測、評価につきましては、二酸化窒素、浮遊粒子状物質につきまして、工事の施行中及び完了後におきましても、環境基準を下回っております。

○かち委員 今のご説明では、現況より悪化することはないというものですけれども、バックグラウンドについての説明がありませんでした。アセス評価書にも記載されていません。
 しかし、臨海地域のバックグラウンドはもともと高い地域です。東京大気汚染測定運動の方々が毎年二年間、定点測定をしていますが、特に、この臨海地域の測定は二キロメッシュでマップ化したものがありますけれども、これを見ますと、基準値の〇・〇六一以上となっています。そこにさらに交通量をふやすことによって、大気汚染を増幅させることは避けられません。
 工事完了時期は平成三十一年となっていますが、どのような考え方で決められているのですか。

○小野港湾整備部長 中央防波堤外側コンテナふ頭整備の進展に合わせ、また、オリンピック・パラリンピック競技大会も見据え、大会開催までに供用開始できるよう整備することとしております。

○かち委員 これはオリンピックまでにということで、非常にタイトな工事期間になっているわけです。そのために急ピッチでいかに工事を完了するかが求められているわけですね。
 オリンピックの施設整備費用の縮減見直しについては、今回の本会議でも議論されているところです。ところが、本件供用予定地の内防と中防の間の運河も、カヌーとボート競技の会場が予定されています。
 そのため、予定地のすぐ脇に現況でも四車線の中潮橋があるにもかかわらず、それを撤去して、この橋梁につけかえるというものです。そのため、橋の下に布設してある配水管などのインフラパイプラインを一旦地下に埋設し、新橋梁ができたら、また布設し直す。これは環境局の事業ですが、港湾局は、ボート競技場整備のために、運河の両サイドに水門を設置するとも聞いております。さらに、風よけのネットを張ったり、消波装置なども必要になる。この会場整備だけで五百億円近くもかかるとのことです。
 我が党も提案し、戸田ボート協会の方々も認めているように、カヌー、ボート競技場を、彩湖など適地の既存会場に変更すれば、数十億円で済み、このような工事は不要になるわけです。
 今回の契約方法は鹿島とIHIの異業種特定建設共同企業体による設計施工一括方式をとられていますが、その理由とメリット、デメリットについて伺います。

○小野港湾整備部長 分離分割発注方式というのがございまして、土木、建設、電気など、異なる業種ごとに設計や工事を発注するものであります。受注機会の増大につながる面もございます。
 理事のお話にありました設計施工一括発注方式、いわゆるデザインビルド方式は、異なる業種で構成されます事業全体の実施設計と工事を一括で発注するものであり、異なる業種の事業者によって結成される共同企業体が事業を実施するものでございます。
 本案件は、竣工までの時間的猶予がなく、また、供用中の東京港臨海道路を橋梁で立体交差させるなど、施工の難易度が極めて高い工事でございます。
 このため、デザインビルド方式により、設計段階から施工技術に精通した者の技術力を得て、設計及び施工の合理化、効率化を図るとともに、確実な工程管理、品質管理を期待するものでございます。

○かち委員 公共工事は、なるべく中小建設業者にも直接受注の機会が得られるように、分離分割発注にしていくことが求められています。そうでなければ、建設労務単価が幾ら上がっても、現場の労務者になかなか反映しないというのが今なお続いている状況です。
 このようなときに、今回のような設計施工一括方式では、行政の指導監督がますます届きにくく、ゼネコン任せになりやすいやり方です。国交省のマニュアル案でも、導入する場合、丸投げになりやすいデメリットがあると書かれています。効率化、合理化という名のもとで、こうした一括方式の契約は慎重にすべきだと申し上げておきます。
 本件は、事業目的からも、財政上の問題、環境への影響からしても認められないということを申し上げ、私の質問を終わります。

○近藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○近藤委員長 異議なしと認め、契約議案に対する質疑は終了いたしました。
 この際、本案に対して意見のある方は発言を願います。

○かち委員 第百七十五号議案、平成二十七年度中防内五号線橋りょうほか整備工事請負契約について意見を述べます。
 本件は、国直轄の臨港道路事業、いわゆる南北線の橋梁、中防内と外の工事契約案です。
 南北線事業は、国際戦略港湾計画や過大な東京港第八次港湾計画に基づいての需要予測や交通量予測となっているもので、南北線の総事業費は一千百億円、そのうち東京都が四百億円の事業費という多大な投資的経費を伴う事業となります。
 しかし、今後、東京都の維持更新経費の増加額は、二十年間で二兆三千億円にも及ぶ中で、東京の持続的な発展のためにも、インフラ整備は最大限に抑制することが求められています。
 また、環境影響についても、臨海地域は現状でも二酸化窒素などが高い地域です。さらに自動車交通量をふやすことは、環境悪化を招くことを避けられません。
 よって、本件の工事契約案件には反対であることを申し上げ、意見表明とします。

○近藤委員長 発言は終わりました。
 お諮りいたします。
 本案につきましては、ただいまの意見を含め、委員長において取りまとめの上、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○近藤委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。

○近藤委員長 次に、報告事項、調布飛行場付近における航空機墜落事故についてに対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○浜総務部長 九月十六日開催の当委員会で、報告事項につきましてご要求のございました資料をご説明申し上げます。
 お手元の経済・港湾委員会要求資料をごらん願います。
 ご要求のございました資料は、表紙をおめくりいただきまして、目次に記載の項目のうち、2及び3の項目でございます。
 それでは、二ページをお開き願います。調布飛行場離着陸回数実績でございます。
 平成十七年から二十七年八月までにおける離着陸回数を目的別に掲載しております。
 三ページをお開き願います。調布飛行場における航空機事故でございます。
 都営の飛行場として供用開始した平成十三年三月以降に発生した事故について、それぞれ事故概要、搭乗者、被害の程度及び原因を掲載しております。
 以上をもちまして、簡単ではございますが、ご要求のございました資料のご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○近藤委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言願います。

○田中(た)委員 本年の七月二十六日に、調布飛行場付近の住宅地において、調布飛行場を離陸した航空機が墜落し、住民の方にも死傷者が出る重大な事故が発生いたしました。
 この事故により亡くなられた方々に対し、心よりお悔やみを申し上げますとともに、そのご家族や、けがをされた方々、家屋に被害を受けられた方々に対し、心よりお見舞いを申し上げます。
 事故原因につきましては、現在、国の運輸安全委員会と警察が調査中でありますが、調布飛行場を利用する定期便は、伊豆諸島と本土とを結ぶ航空路線であり、島に住む方々の生活を支える貴重な路線であります。
 一方で、調布飛行場は、調布市、府中市、三鷹市にまたがる市街地の中の飛行場であり、安全面、環境面の視点から、その管理運営には、地域住民の理解を得るよう努める必要があるとも認識をいたしております。
 そこで、調布飛行場における安全確保など、地元の方々からの理解を得るために、これまで都が行ってきた取り組みについてお伺いをいたします。

○神山島しょ・小笠原空港整備担当部長 これまで都は、飛行場の整備及び管理運営に関しまして、三鷹市、府中市、調布市の地元三市と協定や覚書を締結し、それらに基づきまして安全対策等に取り組んでまいりました。
 具体的には、離着陸回数や飛行場運用時間を制限しております。また、ジェット機による離着陸や、遊覧飛行及び調布飛行場近辺での訓練飛行を認めないとともに、地域住民に対する騒音を最小限にとどめるための対策などを実施しております。
 さらに、飛行場の管理運営に大きな変更が生じた場合には、地元三市と協議を行うとともに、必要な住民説明を実施してまいりました。
 あわせて、地域住民の飛行場への理解促進等を目的に、調布飛行場まつりを毎年実施してまいりました。

○田中(た)委員 都がこれまでさまざまな安全確保の取り組みを行ってきたことについては理解いたしますが、今回、残念ながら、周辺住民が巻き込まれる事故が発生してしまったことは、都としても重く受けとめるべきであると思っております。
 都として、事故原因の早期究明を国に強く働きかけることはもちろんのことでありますが、現時点でもできる対策は講じていくべきであると考えます。
 そのような中、九月一日に事業機の運航が再開されておりますが、事故原因が明らかになっていない中での再開であり、多くの地元の方々は不安も感じていらっしゃいます。
 そこで、都として、地域住民の方々の不安解消に向けた取り組みを進めるべきと考えますが、見解を伺います。

○神山島しょ・小笠原空港整備担当部長 都は八月に、調布市、三鷹市、府中市の住民の方への説明会を実施し、飛行場の管理者の立場として直接把握している事実について情報を提供いたしました。
 なお、事業機につきましては、国家資格を有する整備士による機体の安全確認、外部講師による特別安全講習会、国土交通省による事業者への臨時の安全監査を実施しております。さらに、その安全監査の結果につきましては、国土交通省と都が確認を行った上で、運航を再開いたしました。
 今年度中に同様の安全点検を三カ月に一回行うほか、引き続き、安全講習会等を実施するなど、事業機の運航に係る安全対策を徹底してまいります。
 こうした取り組みを通じまして、地域住民の方々の不安解消に努めてまいります。

○田中(た)委員 ぜひとも、地域住民の方々の不安解消に向け、引き続き、なお一層の努力をしていただきたいと思います。
 航空測量や航空写真撮影などを行う事業機については、例えば先月、茨城県等で発生した台風十八号の大雨により、広範囲にわたり多くの被害を受けてしまいましたが、その際にも、被害状況の確認のために調布飛行場を離陸した事業機が活用されました。
 このような事例も踏まえると、事業機に限り運航を再開したことはやむを得ない判断であったとも考えておりますが、今後とも引き続き、事業機についての安全対策の徹底を要請しておきます。
 今回の墜落事故では、住民の方を含む三名の方がお亡くなりになり、九名の方が負傷されています。また、十軒の家屋が全焼や屋根の破損などの被害を受けたと報道されております。
 現時点では、事故原因について調査中であることから、調布飛行場付近で被害に遭われた住民の方々は、その補償を誰にも求めることができない状況にあります。
 こうした方々の生活支援については、本来、都の役割ではないのかもしれませんが、飛行場の管理者として、金銭的な補償はできないまでも、被害者の生活再建に向け、可能な限りの支援を行うべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○神山島しょ・小笠原空港整備担当部長 都は、被害者の生活に対する不安感を少しでも和らげるため、港湾局に被害者の相談窓口を設け、被害者からの要望や相談を受けておりまして、必要に応じ、地元市や庁内関係部署との調整を行うほか、専門的な知識が必要な事柄につきましては、弁護士等の意見も踏まえて助言を行っております。
 一例としまして、事故により家屋の被害を受け住めなくなった方に対する、都営住宅の緊急一時施設としての使用について調整を行っております。
 今後も、被害に遭われた住民の方々に対しまして、都として可能な限りの対応を努めてまいります。

○田中(た)委員 ぜひとも、よろしくお願いをいたします。
 都は、今回の事故原因が明らかになり、再発防止策が講じられるまでは、自家用機の運航について自粛を要請しています。
 現時点において、事故の原因と自家用機の運航との因果関係を絡めた議論を行うことは適当ではないと考えますが、地元の方々は、近い将来、自家用機の運航が再開され、今回のような事故につながることの不安と懸念が強いことも事実であります。
 そこで、地域住民の方々の不安と懸念が払拭されるよう、今後の調布飛行場の安全対策に万全を期すことを強く求めます。ぜひとも、局長のご見解をお伺いしたいと存じます。

○武市港湾局長 理事からのお話にもございましたように、調布飛行場は、東京都の伊豆諸島と本土を結びます離島路線の重要な拠点であります。さらに、防災、医療、消防等の緊急活動にも使用をされております。
 これまでも、飛行場における安全対策を進めるとともに、地元市との間で締結した協定書などに基づきまして、飛行場の適正な管理運営に努めてきたところであります。
 しかしながら、我々としましても今回の事故を重く受けとめ、事故の発生後、改めて調布飛行場におけます管理運営状況全般につきまして、検証に着手をしております。また、調布飛行場における安全対策につきまして、東京都と国土交通省航空局による協議の場も立ち上げたところであります。
 今後、これらの取り組みを進めるとともに、国土交通省による事故原因の調査結果などを踏まえまして、地元市や専門家の意見を聞きながら、調布飛行場の安全対策のさらなる強化に万全を期すとともに、住民説明会を開催するなど、地元の方々への丁寧な説明を行い、関係する皆様の理解、協力が得られるよう努めてまいります。

○田中(た)委員 ぜひとも、局長、よろしくお願いいたします。
 島の方々の生活を支えていく上で、航空路はまさに島の生命線であり、都における調布飛行場の果たす役割の重要性については十分理解をいたしておりますが、安全性の確保と地域住民の方々の理解のもと活用されることが、その前提として必要であります。
 再びこのような事故が起こらないよう万全の対策を講じることは当然でありますが、同時に、地域住民の方々の安心感を一層高めるため、万が一の際の対応についても、しっかりと準備をしていくことが重要であるとも考えます。
 今後、国とも緊密な連携を図るとともに、地元市の意見も踏まえながら、より一層の調布飛行場の適正な管理運営を行っていただくことを強く要望いたしまして、私からの質問を終わります。

○尾崎委員 私の方からも、七月二十六日に調布飛行場を離陸直後、住宅街に墜落した事故について質問します。
 今回の墜落事故では、先ほどもありましたが、住民の方一人、乗員二人が死亡し、住民と消防士六人、乗員三人が負傷するという大変痛ましい事態となり、住民に大きな不安と衝撃が広がりました。
 調布飛行場は、島しょ間との旅客、貨物の輸送が中心であり、大変重要な役割を持っています。
 飛行場は、利用する人の安全、そして、飛行場周辺の住民の安心・安全が第一に優先しなければならない、このような事故を二度と繰り返してはならない、そのための安全対策を強めるという立場で質問します。
 今回の事故については調査途上ではありますが、安全対策の強化、再発防止について、どのような対策を講じるのでしょうか。

○神山島しょ・小笠原空港整備担当部長 都はこれまでも、調布飛行場におきまして、安全啓発講習会を開催するなど、安全対策に努めてまいりました。
 現在、国土交通省及び警察が事故の原因を調査しているところでございまして、今後、調査結果等を踏まえまして、再びこのような事故が起こらないよう、調布飛行場の安全対策を強化してまいります。

○尾崎委員 調査結果を踏まえ、安全対策を強化していくということですが、事業用機については運航を再開しています。
 今回の事故後、事業用機の運航再開に至るまでに、国と東京都はどのような対策をとるに至ったのですか。

○神山島しょ・小笠原空港整備担当部長 都は、事業機に対しまして、国家資格を有する整備士による機体の安全確認、外部講師による特別安全講習会を実施いたしました。また、国土交通省による事業者への臨時の安全監査を実施いたしました。さらに、その安全監査の結果につきまして、国土交通省と都が確認を行った上で、事業機の運航を再開いたしました。

○尾崎委員 自家用機と事業用機の違いについて伺います。

○神山島しょ・小笠原空港整備担当部長 一般的に事業用機は、航空法の航空運送事業、あるいは航空機使用事業の許可を得ている者がその事業に使用する航空機を指しまして、自家用機は、それ以外の航空機を指します。

○尾崎委員 先日、私たちは国土交通省に聞き取りをしました。そのときに、事業用機は自家用機に上乗せした安全基準があり、国の監査も入るということを聞いてきました。小型機は離陸直前のエンジンチェックが大事になるということを専門家からも聞きました。特に自家用機は、機長の責任で行うことになっているので、こうしたチェックなど、自家用機の安全対策をより強化することが必要だと思います。
 自家用機の運航の安全対策については、現段階まで具体的にどのようなことが検討されてきたのでしょうか。

○神山島しょ・小笠原空港整備担当部長 自家用機を含みます航空機の安全対策につきましては、航空法等に基づきまして、機体の整備点検やパイロットの技能審査の定期的な受験等が義務づけられております。
 それに加えまして、調布飛行場におきましては、都独自の取り組みとしまして、安全啓発講習会を行っております。
 さらに、今回の事故を受けまして、八月二十八日に、自家用機を含む小型機の安全対策の強化に向け、都と国による協議の場を立ち上げたところでございます。

○尾崎委員 いただいた委員会資料、調布飛行場における航空機事故の一覧でも、都営の飛行場になった二〇〇一年からでも五回事故が起こっています。五件のうち四件が自家用機の事故であることも明らかです。一九八〇年には、近隣の中学校の校庭に小型機が墜落し、乗員二人が死亡する事故が起きました。
 国土交通省の運輸安全委員会が調査した事故資料でも、全国の小型機による事故はこの四十年間で四十件起きていますが、調布飛行場の事故が全体の三五%を占め、その多さは異常であるといわざるを得ません。大型機よりも小型機の方が事故率が高い、中でも、自家用機の事故率が高いこともはっきりしています。一九八〇年の事故後は、調布飛行場で起きた事故のうち、自家用機が八〇%にもなっているんです。
 調布市と都は、一九九七年に二十七項目の覚書を協定しています。その中に遊覧飛行は禁止されていますが、市民が飛行場を見学した際、遊覧飛行ができますよと誘われたという実態が届いていますが、そういう事実はあったのでしょうか。

○神山島しょ・小笠原空港整備担当部長 調布飛行場内の事業機、自家用機の運航者に対しまして、地元市との協定等により、調布飛行場においては遊覧飛行を目的とした離着陸は認めないということを日ごろから周知徹底しておりまして、そういう事実については確認しておりません。

○尾崎委員 日ごろから周知徹底している、こういう事実は確認していないということですが、先ほどもいいましたように、飛行場を見学したときに遊覧飛行に誘われた市民がいるんです。
 二〇〇三年から二〇〇八年には、インターネット上に、一緒に空を楽しみませんか、体験飛行してみたい方、連絡くださいという記事や、ちょっとぜいたくな遊覧飛行アンドゴルフを企画などと掲載もされていました。
 二〇〇四年三月には、民放の情報番組が調布飛行場での体験フライトを紹介し、調布市は、覚書で禁止している遊覧飛行に当たるのではないかと都に申し入れをしています。
 今回の事故についても、マスコミなどでは遊覧飛行であったと報道しているわけですから、都としてもきちんと調査をすることを求めます。
 覚書協定の二十七項目について検証が必要であると考えますが、いかがですか。

○神山島しょ・小笠原空港整備担当部長 事故の発生後、都としまして、改めて調布飛行場における管理運営の状況全般について検証に着手しております。

○尾崎委員 二度と事故を起こさない、安全・安心が最優先の立場で検証するよう強く求めておきます。
 先ほど、遊覧飛行については周知徹底している、遊覧飛行が行われているということを確認していないといわれましたが、今回の事故についての飛行目的は把握できていないのではありませんか。
 飛行機を使用する場合、現行の条例では、提出する届け出の目的については、航空運送事業、航空機使用事業、その他の三分類ですが、遊覧飛行、慣熟飛行など、もっと詳しく届け出を求めることについてどう考えますか。また、第三者的な専門家の確認を行う、チェックする体制が必要ですが、いかがですか。

○神山島しょ・小笠原空港整備担当部長 先ほどもご答弁申し上げましたように、今回の墜落事故の発生後、改めて調布飛行場における管理運営の状況全般について検証に着手しているところでございます。
 一方、国土交通省及び警察が、現在、事故の原因を調査しているところでございまして、今後、調査結果等を踏まえまして適切に対応してまいります。

○尾崎委員 安全を担保するために何が必要かという観点でぜひ検証し、今後、有効な対策を行うことが大事だと思います。人手やコストはかかっても、第三者的な専門家の確認を行うことが必要だと要望しておきます。
 調布飛行場自家用飛行機墜落事故について東京都に抗議する決議が調布市議会で決議されました。この中に、自家用機の運航を全て停止することとありますが、都はどのように対応するのですか。

○神山島しょ・小笠原空港整備担当部長 今後の自家用機の運航のあり方についてでございますが、地元市や専門家の意見も聞きながら検討してまいります。

○尾崎委員 府中市議会は、適切な対策と説明が行われるまで自家用機の離着陸を停止すること、三鷹市議会はそれに加え、今後の自家用機の運航停止を視野に、さらなる削減を図ることをそれぞれ決議しました。地元市の決議を受けとめ、安全・安心を最優先に安全対策をとるよう求めておきます。
 調布飛行場は、法的にはどのように位置づけられて、都はどのような役割を担うのですか。

○神山島しょ・小笠原空港整備担当部長 調布飛行場は、空港法第二条に規定する空港でございます。
 空港法では、航空の総合的な発達に資するとともに、我が国の産業、観光等の国際競争力の強化及び地域経済の活性化その他の地域の活力の向上が図られるべきことを基本理念とした基本方針を国が定めることとしておりまして、都は、その基本方針に沿って、空港の設置、管理を行っております。

○尾崎委員 国土交通省の資料によると、管制官のいない空港は全国で五十三空港あります。その中で、調布飛行場の着陸回数は年間七千百十七回と、最も着陸回数が多い状況です。
 調布飛行場は、空港法で規定された公共の用に供するその他の空港とされる都営の飛行場です。その他の飛行場で、調布飛行場のように住宅密集地の中にあるところはほかにありません。調布飛行場の根本的な問題点は、住宅密集地の中にある特殊な飛行場であると考えます。
 調布市は、心の相談室を設置し、事故があった周辺住民には案内のチラシを配布したということです。大変重要な取り組みだと思います。都としての支援も求められると思いますが、いかがですか。

○神山島しょ・小笠原空港整備担当部長 都は、港湾局に被害者の方の相談窓口を設け、被害者の方からの要望や相談を受けておりまして、必要に応じまして、地元市や庁内関係部署との調整を行うほか、専門的な知識が必要な事柄につきましては、弁護士等の意見も踏まえて助言を行っております。
 今後とも、都として可能な限りの対応に努めてまいります。

○尾崎委員 事故があった周辺の住民の方は、ゴーという音を聞くと怖くなるといっています。今後の安全対策とあわせ、心のケアの支援体制が重要です。都としても可能な限りの対応に努めるとのことですので、よろしくお願いをいたします。
 私は、今回の事故を契機に、調布飛行場がどのような環境の中にあるのかも含めて検証すること、飛行場としてふさわしいのかも含めて検討することを求めます。
 小型機のパイロットだった方は、調布飛行場の滑走路は八百メートルですが、温度、湿度、重量、飛行場の高度などから必要滑走路長が出てくるということでした。そのためには、少なくとも調布飛行場の滑走路は一千メートル必要だということになります。
 調布飛行場と同じ、その他の飛行場になっている兵庫県豊岡市の但馬飛行場の滑走路は千二百メートル、熊本県天草市の天草飛行場は千メートル、岡山県の岡南飛行場は千二百メートルです。
 元パイロットの方は、もし何かあれば調布飛行場付近では逃げ場がない、パイロット仲間では何かあれば住民を巻き込まないようにすることを一番に考えながら、川、高速道路、学校のグラウンドなどを頭に入れて、緊張して操縦していたとおっしゃっていました。安全対策を考える際、調布飛行場の立地環境の検証抜きにはあり得ないと思います。
 冒頭に述べたように、調布飛行場は、伊豆諸島などを結ぶ大事な飛行場です。しかし、住宅密集地である大変危険な飛行場であることが明らかである以上、調布飛行場の閉鎖を目指し、伊豆諸島などと結ぶ飛行場の確保を進めることを求めて質問を終わります。

○近藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○近藤委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で港湾局関係を終わります。

○近藤委員長 これより産業労働局関係に入ります。
 初めに、報告事項、私債権の放棄について、平成二十六年度地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター業務実績評価について及び東京都MICE誘致戦略についてに対する質疑を一括して行います。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○村松総務部長 去る九月十六日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の経済・港湾委員会要求資料の表紙をおめくりください。
 目次でございます。資料は全部で四項目ございます。
 一ページをごらんください。1、地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターの収入及び支出の推移でございます。
 収入及び支出につきまして、それぞれの区分ごとに、上段に平成二十三年度から二十七年度までの年度計画における予算額、下段に平成二十三年度から二十六年度までの決算額をお示ししてございます。
 二ページをお開きください。2、地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターの役職員数の推移につきまして、役員、職員、非常勤職員及び臨時職員の平成二十三年度から二十六年度までの各年度末現在の人数と平成二十七年八月一日現在の人数をお示ししてございます。
 三ページをごらんください。3、地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターにおける研究員の採用・応募状況の推移につきまして、平成二十三年度から二十七年度までの一般型研究員及び任期付研究員の応募者数を上段に、採用数を下段にお示ししてございます。
 四ページをお開きください。4、地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターの依頼試験、機器利用の区市町村別利用状況につきまして、平成二十六年度の依頼試験、機器利用につきまして、利用企業の所在地別に集計した件数をお示ししてございます。
 以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○近藤委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより報告事項、私債権の放棄について外二件に対する質疑を一括して行います。
 ご発言願います。

○堀委員 私の方からは、東京都MICE誘致戦略について及び東京都産業技術研究センター業務実績評価についての二点について質問をさせていただきたいと思います。
 まず、MICE戦略についてお伺いをいたします。
 東京都MICE誘致戦略についてですが、MICEの開催は、国際的な学術会議や企業のミーティング等に参加する人々に交流の場を与え、新たな知識やノウハウについて情報の交流が進み、ビジネスの機会や技術革新を創出する場をこの東京が提供する、極めて重要な取り組みです。
 また、MICEで東京を訪れた参加者が観光等を行うことで、都内に高い経済波及効果をもたらし、都市の競争力の向上にも大いに役立つものと感じております。
 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会に向けて、東京の観光振興のあり方に関心が高まる中、外国からの旅行者の確保につながるMICE誘致の取り組みについて、一層の強化を図ることが肝要であります。
 そうした中で、誘致戦略でも改めて引用しておりますが、都は長期ビジョンにおいて、十年後の二〇二四年ごろまでに年間三百三十件の国際会議の開催を達成するという目標を定めております。こうした目標を実現するための具体的な方針が今回の誘致戦略になるものと理解しておりますけれども、まず初めに、都が策定した戦略の特色についてお伺いをいたします。

○坂本観光部長 ご答弁申し上げます。
 今回のMICE誘致の方針として都が初めて定めた誘致戦略では、長期ビジョンに掲げた数値目標の達成に向け、企業系の会議、報奨旅行、国際会議、それぞれの特性に応じて効果の高い重点分野を定めるとともに、その施策の方向性や内容を示したことが重要な特色と考えております。
 また、戦略策定の前提として、平成二十五年度と二十六年度の二回にわたりマーケティング調査を入念に実施して、その結果を十分に分析した上で誘致施策を打ち出した部分も特色でございます。
 さらに、MICEの効果的な誘致、開催に向けて関係主体の連携を確保するため、東京都を初め、国や政府観光局、主催者、民間事業者、地域など、MICEに携わる関係主体それぞれの役割分担のあり方を明らかにした点も特色の一つになるものと考えております。

○堀委員 今のご答弁で、東京都の認識も、東京都のみならず日本の国益も踏まえたものであると改めて受けとめさせていただきました。
 MICEの誘致に成功して国際的な会議が開催されますと、通常の旅行のツアーでは見られない多数の訪日客をそれなりの期間にわたり迎え入れることが可能となるものと聞いております。規模の大きい会議では、一回で、家族も含め千人を超える参加者が東京を訪れることもあるとのことでございます。
 その中で、現に、観光庁の平成二十六年年次報告書による訪日外国人の消費動向調査では、観光、レジャー目的の訪日外国人よりも、MICE目的の訪日外国人の消費金額が一・二倍に上ることが報告をされております。
 国際会議で実際にどのぐらいの外国人が参加しているのかを把握し、そして、都内での宿泊代や観光、買い物で使った費用なども分析できれば、会議誘致のコストと効果の比較もできるようになると思います。
 これまで東京で開催した国際会議では、当然に日本人の参加もあるはずですから、それを除いた外国人参加者の数などをきちんと整理することは非常に大切だと思います。
 最近、東京で開催された国際会議において、外国からの参加者の状況がどのようになっているのか、お伺いをいたします。

○坂本観光部長 昨年、東京で開催された主な国際会議において、八月の国際鳥類学会議では参加者数約一千二百人のうち約七百人が海外からの参加者でございました。また、十月に開催された国際法曹協会年次総会では参加者数約六千人のうち約五千三百人、十一月に開催された国際電気標準会議では参加者数約二千六百人のうち約一千九百人が海外からの参加者となっており、規模の大きな国際会議については、数多くの外国人に観光の機会などを提供することが可能であったものと考えております。

○堀委員 今のご答弁で、国際会議を開くと、それだけの外国人がこの東京を訪れてくれるということが明らかになりました。MICEの開催時に、各国からの多くの外国人の方々にさらに来訪していただければ、参加者間のネットワークも広がりますし、東京の魅力をより強く発信するチャンスが広がると思います。
 さて、誘致戦略の中では、長期ビジョンで掲げた年間三百三十件の国際会議の開催という目標に向けて、学術系の分野では、医歯薬理工学系の分野で重点的に誘致活動を行うものとしております。
 東京には、医学部のある大学が数多くございます。そして、理工学部を持つ大学や理系の研究機関も非常に多いわけですから、それらに所属する大学教授や研究者と連携をしたり、そのサポートをしっかりと行っていけば、国際的な学術会議を誘致できる可能性も非常に高くなると思います。
 今回の誘致戦略で示した方針に基づいて、現在の段階で具体的にどのような取り組みを進めて効果を上げているのかをお伺いさせていただきます。

○坂本観光部長 都内には、医歯薬理工学系の大学が数多く集積しており、現在、こうした大学と連携を図りながら、国際会議の誘致に当たり重要な役割を担う大学教授などを支援し、誘致活動を進めております。
 具体的には、東京観光財団が首都大学東京と連携して、会議誘致に携わる大学教授などを対象といたしまして、誘致活動のノウハウなどを提供する普及啓発セミナーを実施するとともに、会議誘致に必要な立候補資料の作成や海外でのPRブースの出展などを支援いたしました。
 こうした取り組みの結果、誘致に当たり有力な候補であったイタリアの都市よりもすぐれた評価を得て、平成三十一年に開催予定の第二十九回国際地図学会議の東京誘致が、去る八月の二十八日に決定を見たところでございます。
 今後は、早稲田大学理工学術院との連携も予定してございまして、学術系の国際会議の一層の誘致につなげてまいります。

○堀委員 今のご答弁で、今年度から新たに実施した学術系国際会議の誘致支援において、早速、成果が出たということで、大変に喜ばしいことであると思いますし、さらなる深掘りをご検討いただけたらと思っております。
 さて、MICEでは、国際会議以外の分野でも、海外企業が行う会議や社員の報奨旅行の誘致について、しっかりと対応していくことが必要だと思います。企業がせっかくの機会に海外で会議を開くわけですから、開催場所に対する要求のレベルは極めて高いものではないかとも想像します。また、業績を上げた社員を対象とする報奨旅行の機会を設ける場合にも、旅行地の選定は慎重になるものと思います。
 国内の企業の要望を把握するだけでも難しい中、海外の企業の会議や報奨旅行のニーズを正確に理解するためには、やはり専門家のアドバイスや情報が重要になると感じております。
 今回の誘致戦略の中で、海外の専門家を活用するとの考え方が明らかにされておりますけれども、現在の取り組み状況についてお伺いをいたします。

○坂本観光部長 都は、海外企業が行う報奨旅行などの企画や運営を担うミーティングプランナーから情報を確保し、その考え方を踏まえて、報奨旅行等の参加者に提供する体験メニューを十種類つくり上げ、今年度から実際に提供する取り組みを行っております。
 開発した体験メニューといたしましては、茶道や書道など日本の伝統文化を体験するものや、相撲や和太鼓など実演を交えたものなどがございまして、昨日、十月一日になりますが、初めて報奨旅行の参加者を対象に相撲のイベントを実施したところでございます。

○堀委員 主催者のニーズに応じてバリエーションのある体験メニューを提供できることは非常に大切だと思いますし、東京を訪れた外国人参加者に日本の伝統文化を体験していただくことは、東京の魅力を知っていただく絶好の機会になろうかと思います。まさに、茶道や書道、相撲や和太鼓などは、外国人の好奇心に応える内容であると非常に高く評価できるものと考えております。
 次に、国際会議等のMICEは、東京都心にある大型の会議施設やホテルが会場になり、参加者もその周辺に宿泊することになろうかと思います。そのため、MICEの参加者やその家族も、観光は都心のエリアが中心になるものと思われます。例えば、東京国際フォーラムで会議を開催すれば、宿泊は周辺の大きなホテルが中心で、観光はスカイツリーや明治神宮、買い物は銀座となるのではないでしょうか。
 しかしながら、東京には観光にふさわしい多摩地域や島しょ部もあるわけですから、MICEの参加者にもそうした地域を訪れてもらう対応を進めることは重要と考えております。
 誘致戦略でも、多摩・島しょ地域の観光資源を活用するという部分があり、これは第二回定例会の我が党の主張とも一致する取り組みとして評価できる部分と考えています。
 多摩・島しょ地域の観光資源をMICE誘致の取り組みの中でどのように活用しているのか、今後の展開も含めてお伺いをさせていただきます。

○坂本観光部長 都では、七月に東京国際フォーラムで開催された、UIC世界高速鉄道会議におきまして、多摩地域を対象とした観光ツアーを初めて実施いたしました。参加者には、日本酒の製造現場でのきき酒体験や美術館での工芸品の見学等を通じて、東京の多様性や伝統文化のよさを感じてもらうことができ、非常に高い評価を得ることができました。
 今後でございますが、多摩・島しょの豊かな自然や文化に触れる観光ツアーや、農業や林業などを体験するメニューなど、多摩・島しょならではの観光資源を活用したプログラムの開発、提供を検討してまいります。

○堀委員 ご答弁では、東京の多様性や伝統文化のよさを感じていただくことができた、また、非常に高い評価だったということでございます。
 多摩・島しょ地域が有する魅力的な観光資源は、まさに東京の強みであります。ご答弁のとおり、こうした資源を十分に活用して、MICEの誘致に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、MICEの誘致により経済活動が活性化して、東京の多彩な魅力が伝わることは、都内産業の発展にもつながり、観光の面でもリピーターの確保に結びつくわけですから、こうした流れを地方にも波及させる視点が重要でございます。
 第二回定例会で我が党は、MICE誘致に当たり、地方への誘客につながる取り組みを進めるべきとの提案を行って、その内容は、今回の誘致戦略の中で、国内他都市との協力体制の構築という形で反映されたものと理解しております。
 東京と国内の他都市を周遊する企業の報奨旅行を誘致するとの内容が誘致戦略の中に盛り込まれておりますが、こうした取り組みは、東京と地方がお互いに支え合って発展の道をつくり上げる上で極めて重要でございます。
 東京と地方の連携のもとで、周遊型の報奨旅行に加え、国際会議も対象とし、誘致を進めていくべきものと考えますが、今後の展開についてお伺いをいたします。

○坂本観光部長 都は今後、報奨旅行につきまして、その訪問地の決定に影響力を持つ主催者やミーティングプランナーを対象として、他都市と連携したプロモーション活動の実施を検討してまいります。
 具体的には、東京と地方の都市それぞれの魅力を紹介するPR冊子の作成や、それぞれの都市が協力してミーティングプランナー等を招待する旅行の実施などを検討いたします。
 また、東京で国際会議が開催される機会を捉えまして、主催者に対して、参加者が他都市を訪れるプログラムを提案することを検討してまいります。

○堀委員 東京と他の都市がそれぞれの異なる魅力を十分に生かしながら、ともに力を合わせてMICE誘致を推進し、その恩恵をともに享受できるようになることが大切です。ぜひご答弁いただいた取り組みを着実に進めていただきたいと思います。
 さて、今回の誘致戦略に係る質疑を通して、MICEを東京で開催するため、さまざまな施策の展開が検討され、そのうちの一部は既に成果を上げていることもわかりました。観光振興の一つの方法であるMICEの誘致に東京都が戦略的に取り組むことは、知事が観光を一大産業に育てようとする問題意識を具体的に実現しようとする面も多いものと感じております。
 MICEの誘致が東京の観光施策のこれからの展開において重要な部分になることは確かであると考えておりますので、今回策定した誘致戦略に基づき、取り組みをしっかりと推進していただくことを要望して、こちらの質問を終わります。
 次に、平成二十六年度地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター業務実績評価について質問をさせていただきたいと存じます。
 平成二十六年度の産業技術研究センターの業務実績評価についてお伺いします。
 ものづくり中小企業は、これまで円高や原材料費の高騰などに幾度となく見舞われ、アジア諸国の技術力の向上による激しい追い上げなどにさらされながらも、国内の雇用や貿易立国としての日本を支えてまいりました。
 中小企業が今後とも持続的に発展していくためには、付加価値の高い製品開発を進めていくことが重要であります。新たな技術課題に対して、迅速かつ効果的に支援することのできる産業技術研究センターの役割は大変に大きなものと思います。
 産業技術研究センターは、平成十八年に独立行政法人に移行して以来、毎年度、業務に関する計画を策定するとともに、事業の進捗状況や成果について評価委員会から評価を受け、それを踏まえ、業務改善を図っております。
 こちらにございます、この報告書でございますけれども、平成二十六年度の評価を見ますと、項目別評価では、五段階のうち、S評価が七項目、A評価が十二項目、B評価が五項目となっております。全体ではどのような評価になっているのかについて伺うんですが、評価の基準についてちょっと申し上げますと、S評価というのは年度計画を大幅に上回って実施している、A評価は年度計画を上回って実施している、B評価は年度計画をおおむね順調に実施している、この三つの評価に分かれているわけでありますし、C評価、D評価というのは、C評価が年度計画を十分に実施できていない、D評価は業務の大幅な見直し、改善が必要であるという評価であります。
 C評価、D評価は今回はないという中での質問でございますけれども、全体ではどのような評価を受けているのかについてお伺いをさせていただきます。

○松永商工部長 平成二十六年度の産業技術研究センターの業務実績については、中期計画の達成に向け、業務全体がすぐれた進捗状況にあるとの全体評価を受けております。
 評価された点としては、サービスの充実等に積極的に取り組んだ結果、技術相談、依頼試験及び機器利用で着実な実績増を達成したことが挙げられております。
 また、近県の公設試験研究機関と連携を拡大するとともに、電気、機械、化学等の海外規格に精通した専門相談員を拡充し、中小企業の海外展開に対する技術支援を充実させてきたことなども高い評価につながったと考えております。

○堀委員 客観的に見て、非常に高い評価だと思っております。ものづくり中小企業と真っ正面から向き合い、その声に耳を傾けた支援策を行っていることが、評価委員会からの高い評価につながっているものだと考えております。今後も、引き続き同じような評価が得られるように期待をいたしております。
 また、残念ながらB評価を受けた五項目については、SやAの評価が得られるようにご努力を引き続きお願いいたします。
 続きまして、産業技術研究センターの業務実績評価の中で、私が注目をした何点かの項目についてお伺いをさせていただきます。
 実証試験セクターは、都内中小企業が安全で信頼性の高い製品開発を行うために、専門家による技術相談や最先端の試験機器を活用した支援を行っており、重要な役割を果たしております。
 本セクターを活用した中小企業の製品開発事例に、蓄熱式湯たんぽがあります。湯たんぽでやけどを負うことがないよう、研究員が容器の素材や形状ごとに温度測定を繰り返し実施し、安全性を評価しました。これにより、この企業は安心して製品を発売することができたとのことでございます。
 こうしたすばらしい製品を世の中に送り出しているこのセクターが、昨年度どのような取り組みを行い、また、どれぐらい利用実績を上げたかについてお伺いをいたします。

○松永商工部長 実証試験セクターでは、振動や日射など、製品を取り巻く環境を自在につくり出せる試験機器を取りそろえ、中小企業の安全で信頼性の高い製品開発を支えております。
 平成二十六年度は、より幅広い分野の製品開発に対応するため、新たに温湿度試験機器など三機種を導入いたしました。
 また、ホームページで予約できる試験機器を拡充するとともに、機器の利用方法をまとめた小冊子を発行するなど、利用者の利便性向上に向けた取り組みも実施しております。
 こうしたことにより、目標を大きく上回る約六万七千件の利用実績となっております。

○堀委員 目標を大きく上回る利用実績という報告でございました。
 中小企業の販路開拓には、経営面の支援だけではなくて技術面での支援も重要であります。実証試験セクターにおけるさまざまな試験を通じて、中小企業の製品の安全性などを証明し、売り上げの拡大に貢献していただきたいと思います。
 次に、成長産業分野への支援についてお伺いをいたします。
 産業技術研究センターには、城東、墨田、城南、多摩の四カ所の支所があり、それぞれの地域特性に応じた技術支援を行っております。
 このうち、城南支所では、これまで機械加工を初め、幅広い技術分野における製品開発、事業化支援を展開してきましたが、昨年度、成長分野である航空機や医療機器分野への中小企業の参入を後押しするため、先端計測加工ラボを開設しました。このラボでは、部品等の試作や開発製品の性能をチェックできる最先端の計測分析機器などを整備し、多くの中小企業の方々から好評を得ていると聞いております。
 すぐれた技術力や製品開発力を有する都内のものづくり中小企業が飛躍するためには、こうした環境を着実に整備することが大切だと思います。
 そこで、先端計測加工ラボの利用状況及び成果についてお伺いをいたします。

○松永商工部長 先端計測加工ラボでは、今後成長が見込まれる航空機や医療機器の分野に必要な試験ができる機器を集中的に配置しております。
 ラボを整備するに当たり、非接触の寸法測定器や3Dプリンターなど最新機器を導入し、航空機に使用する歯車の形状、寸法評価や人工関節の試作など、付加価値の高い製品開発が可能となりました。
 また、既存製品の設計図がない場合であっても、製造方法を特定できるリバースエンジニアリングという方法を導入し、改良品の製作に結びつけるなど、中小企業のニーズに合った取り組みも実施しております。
 こうしたことから、開設後の利用実績は四千三百五十五件に達し、城南支所全体の約半数の五三%を占めるまでになっております。

○堀委員 成長産業分野は技術革新のスピードが速いことから、産業技術研究センターにおいては、最新の技術動向に迅速に対応してもらって、中小企業を適切に支援していただくようお願いをいたします。
 次に、私が着目をしたのは、地方自治体が広域的に連携をし、海外販路開拓に必要となる規格の取得を支援する取り組みである、広域首都圏輸出製品技術支援センター、いわゆるMTEP事業でございます。
 ものづくり中小企業が今後も持続的に成長していくためには、急速に経済規模を拡大しているASEAN諸国を初めとする旺盛な海外の需要を取り込んでいくことが必要でございます。
 しかし、製品や部品類を海外へ輸出するためには、海外規格への適合は避けては通れない課題となります。産業技術研究センターが設置したMTEPは、これまで着実に実績を伸ばし、中小企業の海外展開に貢献していると聞いております。
 平成二十六年度の事業においては、特にどのような取り組みを行ったかについてお伺いをいたします。

○松永商工部長 平成二十四年十月に開設したMTEPは、二十六年度には新潟県、二十七年度にはさらに横浜市が加わり、一都十県一市に参加機関を拡大し、海外展開を図る中小企業への幅広い支援を行っております。
 平成二十六年度、産業技術研究センターでの海外規格関係の相談実績は、専門相談員の拡充などにより、二十五年度の約八百件から約千件へ、技術支援は約六千八百件から約七千五百件へ増加いたしました。
 また、海外販路開拓を目指す中小企業のニーズに対応するため、海外規格を解説したテキストを新たに四種類作成しました。
 こうした取り組みを通じて、EU域内で商品を自由に流通できる共通の規格、基準であるCEマークを中小企業十一社が取得するなど、着実に成果を上げております。

○堀委員 今のご答弁で、着実に実績が伸びていることは理解できました。
 産業技術研究センターでは、本年四月、中小企業の海外展開を支援するために、タイにバンコク支所を設置し、現地に進出した企業等への技術支援や都内企業への販路開拓支援を開始いたしました。MTEPの取り組みとあわせて、今後もきめ細かな支援を行い、中小企業の海外展開への後押しをしていただきたいと思います。
 次に、産業技術研究センターでは、平成二十八年度から新たな中期目標期間が始まります。その期間の研究開発や技術支援の柱となるロボット技術の取り組みについてお伺いをいたします。
 舛添知事は本定例会で、東京ビッグサイトで開催する産業交流展二〇一五にロボットゾーンを設け、開発に取り組む中小企業の技術力をPRし、その挑戦を後押ししていくと述べていました。
 国でも、ことしの一月に、新たな産業革命を実現するためのアクションプランとしてロボット新戦略を取りまとめる中、産業技術研究センターが機を逸することなく、本年四月からロボット産業活性化事業を開始したことは高く評価するところであります。
 私は、ぜひとも次の平成三十二年までの第三期中期目標期間中に、まさに開催される東京オリンピック・パラリンピック競技大会の場を活用して、日本、そして東京のものづくり中小企業の高度な技術や製品を世界各国の人たちにアピールしていただきたいと考えております。
 そこで、産業技術研究センターのロボット開発のこれまでの取り組みと今後の課題についてお伺いをいたします。

○松永商工部長 産業技術研究センターでは、平成二十六年四月にロボット開発セクターを開設し、ロボット分野における基礎技術の開発に着手いたしました。現在、この基礎技術を組み合わせ、ロボットの土台となるT型ロボットベースの試作機を開発し、改良を加えております。
 今後は、T型ロボットベースを中小企業に技術移転するとともに、産業技術研究センター本部に隣接しますテレコムセンターに開設した東京ロボット産業支援プラザを来年四月に本格的に稼働させ、3Dプリンターを活用した製作支援や走行試験による安全性の評価などを実施してまいります。
 また、東京オリンピック・パラリンピック競技大会を見据え、中小企業との共同研究など、産学公連携によるロボット技術の製品化、事業化に取り組んでまいります。

○堀委員 日本は、世界でも類を見ない急激なスピードで高齢化が進んでおります。私は、人口減少社会を迎える中で人手不足が深刻になるであろう介護分野を初めとして、さまざまな課題の解決にロボットを積極的に活用していくべきだと考えております。現に、介護ロボットについて、私は昨年の一般質問の方で取り上げをさせていただきました。
 オリンピック・パラリンピックだけではなくて、その後のレガシーとなるような、産業技術研究センターにおける積極的な取り組みをお願いいたします。
 また、最新の情報処理技術の進展を背景に、我が党は、本定例会の代表質問におきまして、新しい事業分野に果敢に挑戦する中小企業を後押しすべきと述べました。産業技術研究センターにおきましても、こうした中小企業を技術面から強力に支援してもらいたいと思います。
 本日の質疑を通して、産業技術研究センターの平成二十六年度の取り組みについて、中小企業の製品開発を支える技術支援、ものづくり産業の高付加価値化、公設試験研究機関の連携による海外展開支援、そして、成長分野であるロボット開発を伺ってまいりました。産業技術研究センターが、ものづくり中小企業のために、さまざまな取り組みを展開していることを改めて認識することができました。
 今年度は、産業技術研究センターの第二期中期目標の最終年度となっております。これまで十年間にわたり評価と改善を積み重ねたことが、本センターの飛躍につながったものと思います。そして現在、来年度から始まる第三期中期目標の策定を進めているとも聞いております。
 そこで、最後に、産業技術研究センターの今後の方向性を踏まえ、ものづくり中小企業の振興について局長の決意をお伺いして、私の質問を終わらせていただきます。

○山本産業労働局長 都内の中小企業は、申すまでもなく、すぐれた技術や高度な製品開発力によりまして、東京の産業競争力を高めるとともに、都内経済の発展を支えてまいりました。
 こうした中で、産業技術研究センターは、これまで東京のものづくりを技術面から支える中核拠点として、研究開発や技術相談などを通して中小企業を支援してまいりました。
 今後、東京の中小企業がさらに成長していくためには、本日ご議論をいただきました、市場の拡大が見込まれる成長産業分野への参入や、最先端の技術を活用したものづくりの高付加価値化、さらにはニーズを的確に捉えた海外市場への展開が不可欠でございまして、産業技術研究センターの果たす役割はますます大きくなるものと考えております。
 東京都といたしましては、産業技術研究センターの次期中期目標の中にこれらの取り組みをしっかりと位置づけ、研究開発と技術支援の両輪を強力に推進していくとともに、さまざまな中小企業振興施策を展開し、東京のものづくり産業の発展を目指してまいります。

○木内委員 昨年に引き続いて、産業技術研究センターの業務実績評価について伺うわけでありますけれども、ぜひ局長初め、担当の部長、きょうのこうした経済・港湾委員会での、このセンターに関する質疑の実態をよく現場にも伝えていただいて、都民が、そしてその代表が大きな評価をし、このセンターに期待もしているという、その意見の集約が実はここで行われているという面もありますので、ぜひしっかりお伝えをいただきたいと思います。
 私は、議会の機能というのはいろいろありますけれども、やはり事業執行のチェック、また、この実態について、都民を代表して認識していくということもありますので、この点は重ねて強く要請をしたいと思います。
 去年、質疑をいたしましたけれども、この際、産業技術研究センターに足を運んで、つぶさに現場を見させていただきました。このセンターは、独立行政法人としての強みでもあります、そのフットワークのよさ、これを生かして、中小企業に対してきめ細やかなサービスを提供しておりまして、今の堀委員の質疑にもありましたけれども、中小企業における経営支援、あるいは技術支援、こうしたものによりまして、今や中小企業にとっての大きな希望の存在になっていると、このことを私どもは共通して認識をすべきだと思うんです。
 その果たす役割の大きさに、現場を訪問して私は感心をしたわけでありますけれども、中小企業が新たな製品を生み出して、今後も目覚ましい成果を上げていくためには、こうした技術支援が何よりも重要だと思っているわけであります。
 この現場を視察した後、私のところに、岡山県の備前市にございます、明治二十五年に創業となる、老舗れんがの製造会社の経営者の方がお見えになりました。実はきょう、現物を持ってきたんですけれども、これがそうなんですね。れんがの会社がつくった、放射線を遮断するセラミックス、いわゆる瓦の材質の一種と放射線遮断の機能をあわせ持ったれんがを開発した。
 開発したまではよかったけれども、一体どこでこれが販路に乗るんだと、どこで使ってもらえるんだと、社会にとってどういう有用性があるんだということで壁にぶつかっちゃったんですね。それで私のところへ相談に見えた。
 私は、はたと思い当たりまして、この産業技術研究センターにご相談をしたところ、当時の理事長がこの経営者に会ってくれまして、適切なアドバイスをくださった。この理事長が、またありがたいことに、非常に長い間の経験と見識をお持ちでございますとともに、いろんな学際や業際にたけておられた方でしたから、非常に願ってもない助言と技術支援もいただいた。
 もとより、このご指導をいただく前の段階で、材質の機能測定でございますとか、さまざまな実は検査もしていただいて、オーソライズされた機能を持っているということで、今、そうした経過を踏まえて、一生懸命販路の検討、模索を続けている、こういうことがございました。
 非常に私は、中小企業ではできない、こういう技術支援、経営支援にまでアドバイスをいただいている、その実は主体が産業技術研究センターだということでありまして、私はこれ、あえてお持ちしたんです。簡単に持っているけど、物すごく重いんです、これ。ちょっと近藤委員長に持っていく、代表で--これ、落とさないでね。重いでしょう。あと議会の代表にもお渡しして。山本局長にちょっと代表で--これが放射線遮断の素材です。総務部長も、はい。重いでしょう。時間の関係で以上にさせていただきますが。回してください、せっかくだから。じゃ、そちらから。質疑は続けさせていただきます。
 そこで、技術支援の中の(発言する者あり)重いでしょう。大変に重いんですよ。またわざとらしく重くしないでいいから。(笑声)
 この技術支援の中のブランド試験についてでありますけれども、全国の公設試験研究機関ではさまざまな試験を行っているけれども、東京ならではの特徴的な技術分野に着目をして、研究員や設備の面から、都の産業技術研究センターだけが総合的に実施できる試験をブランド試験、こういうふうに呼んでいるんであります。
 昨年度は、新たに光学特性計測技術を追加して、目に見える光から赤外線などの目に見えない光までを幅広く測定することができるようになった。例えば、樹脂製の放射線の遮蔽材の光学特性についていろんな分析を行って、総合的な評価をまとめるなど、中小企業の製品開発に大きく貢献をしています。
 私は、東京のものづくり中小企業が引き続き競争力を保つためには、産業技術研究センターが、このブランド試験のような、東京ならではの特徴的な技術分野を見出し、総合的に支援していくことが重要だと思うんですけれども、このブランド試験における分野について、その利用実績と、それから利用者からの評価についてご報告を願います。

○松永商工部長 産業技術研究センターでは、専門の研究員が集まり、総合的に支援を行う技術分野の試験をブランド試験と位置づけておりまして、実績の多い順に申し上げますと、非破壊透視、音響、照明、高電圧、高速通信など十分野がございます。
 平成二十六年度のブランド試験の利用実績は約三万五千件であり、依頼試験全体の二三%を占めております。
 また、産業技術研究センターが実施しましたアンケートによりますと、利用した企業の九七%が目的を達成したと回答しております。

○木内委員 この技術支援は、中小企業に利用されて初めて、実は価値を生ずるものであり、レゾンデートルだけではいけない。これまでも利用促進に向け、いろんな取り組みを行っていると思うんですけれども、今後はさらにこの中小企業支援機関や金融機関などに出向いて、足を運んでPRに努めてももらいたい、こういうふうに思うのであります。
 この技術支援についてお尋ねをしましたけれども、その根幹は基盤研究にあります。
 私は昨年、いろんな事例を引き合いに出してご説明をしたりしましたけれども、例えば現物として、赤い色のガラス製品である茜硝子もお持ちしましたし、このとき言及したのは、我が国古来の伝統的技術でありますべっこう細工と、それから、先進的な科学の粋を集めたLEDのコラボによる新しい製品の開発にも触れさせていただきまして、今回はもう一つ現物を持ってきましたけれども、バナナの繊維であります。いろんなものを持ってくるわけであります。このバナナの繊維を見ていただきたいと思うんですが、この繊維が水溶液中から希少資源であるレアメタルを取り出すのに役立つことがわかった。
 さて、ここで出すわけであります。これがバナナの繊維なんです。今度は軽いものでありますけれども、これ、軽いですから回しますか。じゃ、ちょっと回してください。
 これは金属イオン捕集法の開発というジャンルになるんでしょうか。希少資源であるレアメタルを取り出すのに役立つことがわかった。既に特許を出願済みで、さらなる研究を進めているとのことですので、大いに期待もしています。
 こうした研究開発に力を入れながら、新しい技術の種を数多く見つけて、中小企業に積極的に移転していくということが重要でありまして、そこで、二つ目をお尋ねするんですが、平成二十六年度の具体的な研究成果と今後の開発の取り組みの方針についてお尋ねをします。

○松永商工部長 産業技術研究センターにおける基盤研究では、中小企業のニーズが高い環境、省エネルギー等の重点四分野を中心に、前年度より研究テーマを十六件ふやし、八十四テーマを実施しております。
 お話しいただきましたバナナ繊維を利用した金属イオン捕集法の開発のほかにも、例えば、次世代携帯電話に必要となる回路の小型化や半導体部品の複製防止手法の開発などに取り組んでおります。
 今後も、こうした研究開発の成果を都内中小企業に移転することにより、付加価値の高い製品開発や、新産業、新事業の創出につなげてまいります。

○木内委員 このセンターにおいて新しい技術が続々、次々と開発をされているということは、私たち都民の誇りといっては大げさかもしれないけれども、そう申し上げて過言ではないような気もするのであります。まさに研究員の方々の日々の努力のたまものだと思います。
 研究成果を都内中小企業へ積極的に技術移転するなどし、製品化に向けた支援をさらに進めるよう強く求めておきたいと思います。
 さて、これまでは業務実績評価の中でも高い評価を受けたものについてお聞きしました。次に、まだまだ改善の余地がある、言葉をかえれば伸びしろがあるのではないかと思われる事業についてでありますけれども、一つ目は産学公連携による支援についてです。
 このセンターでは、産学公連携コーディネーターを活用して中小企業と大学とのマッチングを行っていますけれども、この産学公連携コーディネーターの平成二十六年度の活動実績と今後の方向についてお尋ねをします。

○松永商工部長 産業技術研究センターでは、中小企業の技術開発、製品開発を支援するため、大手メーカーの技術者OB等を産学公連携コーディネーターとして配置し、中小企業のニーズと大学等のシーズのマッチングを実施しております。
 大学等の技術シーズと中小企業のニーズの掘り起こしを積極的に行うことにより、前年度を上回る約千四百件の相談が寄せられ、歯科医師用LEDヘッドライトなど約三十件が製品化、事業化されております。
 今後は、大学等のシーズと中小企業のニーズのミスマッチが解消するよう、きめ細やかなコーディネートを行うとともに、製品開発や事業化がさらに進むよう金融機関との連携を強化し、資金調達や販路開拓などの面についても支援してまいります。

○木内委員 原理原則の開発、それから製品化、事業化までのプロセス、これは別物でありまして、これを実は、実態的に融合させるというのは本当に困難な面もあるんですけれども、それこそ産学公連携事業の実績という段階まで持っていくには、それが求められるわけであります。今後、この連携によって今まで以上に新しい製品や事業が具体的に世の中に出て、そして流通していくというふうになるように、大きくこれを期待もしたいと思います。困難もあると思いますけれども、ぜひ進めていただきたいと思うんです。
 それから、もう一点、今後ご努力をさらに期待したい事業として、特許出願と使用許諾であります。
 このセンターは数多くの研究の成果を上げておりまして、その成果のバロメーターとして、一つは特許出願の実態というものがあろうかと思うんです。取得した特許を中小企業へ使用許諾しているとも聞いているわけであります。
 平成二十六年度における保有特許と使用許諾の状況をご報告願います。

○松永商工部長 産業技術研究センターでは、現在、特許出願中のものも含めて、二百九十二件の特許を保有しており、この中には、今までにない、さまざまな製品への応用が期待できます黒色の合金メッキ皮膜等の特許も含まれております。
 また、取得した特許の使用許諾については、平成二十六年度は新規に六件の利用を認め、これまでに三十九件の特許を四十社に提供しております。

○木内委員 淡々とご報告されますけれども、三十九件の特許を四十社に提供というのは大きな実績であり成果だと私は思います。
 産業技術研究センターが成果として得た新技術を中小企業の技術開発や製品開発に生かしていくためには、より一層、特許出願に取り組むとともに、使用許諾を推進していくことが必要です。
 このことは評価委員会からの指摘にもあるわけでありますけれども、特許出願と使用許諾の今後の取り組みについてはどうでしょうか。

○松永商工部長 産業技術研究センターでは、中小企業の製品開発での活用が期待されるバイオテクノロジーなど十二の分野において、特許取得状況等を整理したパテントマップを作成し、戦略的に特許を取得しております。
 また、これまで取得した特許の使用許諾を促進するため、産業交流展において保有特許を紹介するとともに、今後活用が期待される特許等をまとめた技術シーズ集を作成し、中小企業に配布しております。
 今後は、これらの取り組みに加え、中小企業振興公社の知的財産総合センターとも連携し、特許取得と使用許諾を促進してまいります。

○木内委員 産業技術研究センターの技術力を社会に示すという意味においても、特許出願と使用許諾というものは非常に重要ですから、この分野でもしっかりこれを拡大してもらいたい、このことも強く求めておきます。
 さて、ここまで産業技術研究センターのいろんな取り組みを伺ってきたんですけれども、ここではものづくり中小企業にとって、壁に当たった、何か困ったことがあったときに相談に乗ってくれる技術と経営基盤に関するまでのサポートセンターでもあるというふうに私は認識している。さっきの瓦の会社の放射線遮断のセラミックスのケースもそうでありますけれども、中小企業からの期待は非常に大きなものがあると思うんです。
 しかし、せっかく成果を上げているにもかかわらず、このセンターを知らない中小企業がまだまだあるんです。実は、販路に乗らない、だけど物すごい開発をした、物すごい成果だという実績が眠ったままになっているというケースもあるわけでありますから、これはもっともっと周知徹底をして、この分野で認知をしてもらっていかなくてはならない。
 平成二十四年度に産業技術研究センターがみずから実施した調査でも、認知度は残念ながら約四二%にとどまっているということであります。
 そこで、この項目の最後に、このセンターの認知度向上を進めるべきだと思うんですが、見解を求めます。

○松永商工部長 産業技術研究センターは、ホームページや各種交通機関への広告掲出、施設公開イベント、イノベスタなど、さまざまな広報媒体を活用して情報発信を行っております。
 また、研究開発の成果や保有する技術情報が多くの中小企業の製品開発に生かされるよう、産業交流展を初めとする展示会への出展や研究成果発表会を開催するなど、研究成果の普及に努めております。
 今後は、こうした取り組みに加え、金融機関や業界団体等へ積極的に情報発信を行うなどして認知度向上を図ってまいります。

○木内委員 今、部長から本当に懸命なご努力を続けるという答弁があったので、これを了としたいんですが、特に、いわれた産業交流展について、私は感慨深いものがありまして、かつて都の財政状況が厳しいときに、実はこの産業交流展を中止しよう、あるいは中断をしよう、中断というのは休眠させようという議論があったこともあったんです。私は体を張る思いで、この中小企業の希望のともしびは絶対に絶やしてはいけないということで、三宅先生とも協力しながら予算の確保をして、この継続を実は図ったことがあるんです。
 お若い幹部職員の方はご存じないかもしれないけど、この産業交流展にはそういう歴史が、私たちの思い出としても残っているし、都政の歴史の中に厳然とあるわけでありますから、こういったところにもいいもの、産業技術研究センターの成果というもの、あるいは今後の周知というものを反映させて、ぜひとも局を挙げての、また発展へのご努力を願いたいと思いますので、特に商工部長、ご努力をお願いしたいと思います。
 さて、次に、MICEの誘致戦略についてであります。
 MICEの開催によってもたらされる効果には、いろんなものがあるかと思います。
 この東京でMICEが開催されて、外国から数多くの方が訪れることで、学術や企業活動などさまざまな面での交流が活発に行われて、都内での研究や産業全般にすぐれた影響が出るものと思います。そして、MICEで訪れた参加者が観光で都内をめぐって東京の魅力を感じるだけでなく、消費活動を通じた経済波及効果をも生み出すことが期待できます。最近では、MICEについて産業の面から経済波及効果に関心が集まることが多いと感じています。
 そこで、これは初めてのご報告になると思いますし、なかなか数字は出しにくかったんだと思うんですけれども、MICEによる経済波及効果がどのぐらいの規模になるのか、明らかにできたらご報告願いたいと思います。

○坂本観光部長 ご答弁申し上げます。
 MICEは、参加者による幅広い消費活動などを伴うことから、開催都市にさまざまな経済波及効果があるものと考えてございます。
 観光庁によりますれば、国内で一万人規模の国際会議が開催された場合、経済波及効果は約三十八億円とされております。
 また、平成二十四年に東京国際フォーラムで開催されましたIMF、世界銀行年次総会の都内への経済波及効果でございますが、こちらは約百八十九億円と、このように推計されているところでございます。

○木内委員 観光庁の数字が一方であって、一方で東京国際フォーラムの分が百八十九億、これは膨大でありますが、例えば、MICEに携わる人々の習慣、文化を考えますと、日本と異なって外国は家族連れが多かったり、あるいは、この会議に参加するために来日をして、一家の中心者は会議に出るけれども、そうでない方は観光であったり買い物であったり、実はいろんなところに価値を見出すような行動をされる。
 こういう結果が、一万人規模の国際会議の場合、三十八億、これはもう出ている。今ご報告いただいた国際フォーラムの分だけでも百八十九億、これは極めて大きいですから、MICEの今後の時代における重要性というものをよくお互い認識をして、政策の推進を図ってまいりたい、こう思うのであります。
 こうした効果があるからこそ、海外都市は国を挙げてMICEの誘致に取り組んでいるということもいえるわけでありまして、さっき港湾局の質疑があったんですね。港湾局では局長並びに関係者がこぞって毎年、海外にポートセールスというのに行くわけでありまして、東京港が流通の大きな国際環境の中でしっかりと利用されるようにという誘致をどんどん行っているわけでありますが、産業労働局としても、MICEの世界からの誘致に向けていろいろな機能を駆使して今後活動を展開してほしい、こう思うのであります。
 さて、今回の誘致戦略の中で触れられているユニークベニューについて伺いたいと思うんです。
 ユニークベニューというのは聞きなれない言葉でもあるんですけれども、MICEが開催されるときに、その都市の歴史的な建造物や美術館、博物館などの文化施設をレセプションなどで使用する、これがいわゆるユニークベニューであります。会議の後で場所や雰囲気を一変させてパーティーなどを行うことで、参加者に特別な憩いとくつろぎの時間を設けることが大切なのは、私どもの日々の生活や、また仕事からも十分理解ができるわけであります。
 ユニークベニューという、こういう冊子があります。これをずっと私は勉強いたしまして、そうしてユニークベニューは特別な場所で、イベントで、特別な体験を創造していく取り組みであると。
 では、どんなところが使われるのかというと、我々の日ごろの発想ではなかなかたどり着かないんですけれども、例えばエントランスレセプションとして東京国立博物館、ここが使われる、これがある。あるいは展示室なんかは国立科学博物館、あるいは美術館等、あるいは自然史の博物館など、非常に多岐にわたってユニークベニューというものがこれまでも開かれてきているし、可能性がある。
 企業、団体などのミーティング、それから報奨、研修旅行、国際機関、団体、学会、協会が主催する国際会議、あるいはこうした施設で展示会や見本市や文化、スポーツイベントなんかもできる。なるほど、こういう角度の利用というもの、拡大の仕方というものがあるんだということを改めて認識したわけでありますけれども、そうしたユニークベニューをどれだけ良質に提供できるかが、実は側面的にMICE誘致でも決め手になるということは想像にかたくないわけであります。
 今回の誘致戦略にもユニークベニューを推進していくとの内容が盛り込まれていますけれども、MICE誘致においてユニークベニューの利用を進めていく意義と現在の取り組みの実態についてご報告願います。

○坂本観光部長 東京のような都市が有する歴史的な建造物や文化施設などをMICEのレセプションなどの会場として活用する、いわゆるユニークベニューは、開催都市としての魅力を高め、誘致の競争力の強化につながる重要な取り組みであると、このように考えてございます。
 このため、都では昨年度から、国際会議等の主催者に対して、東京観光財団を通じて都内におけるユニークベニューを利用する場合に必要となる情報の提供などを行っているところでございます。
 また、会場の準備の負担を軽減するために、会場設営のサポートも行っているところでございます。

○木内委員 きょうの質疑の順番と分類がこうなっちゃいまして、産業技術研究センターとMICEが同じくくりになっちゃって、私、十五問ぐらいずつ用意したんですよ。産技研の方で十五問、約五十分、それから、こっちの方で約十五問ぐらい。一時間以上になっちゃう。これはしようがない。二つ一緒だというから、コンパクトにまとめちゃったもんですから、用意した質疑ができないのは残念なんですけれども、例えばMICE誘致と東京における舟運の活性化、それから、こうした舟運の活用によるMICEの進化、こういったものについても触れたかったんですが、時間の関係できょうは触れません。
 だけど、私はパリなんかへ行きまして、それでルーブル美術館を見たり、ノートルダム寺院だ何だといって、セーヌ川をバトームッシュという観光船でめぐって、あっちこっちの文化施設を歴訪して、もうどれだけすばらしいかわかんないけれども、東京にはそれにまさるとも劣らない歴史的資産、文化的資産があるわけでありますから、MICEとのいわゆる併用というものを考えて今後進めていきたいと思うんですが、答弁は時間の関係で要りません。
 今回の誘致戦略にもユニークベニューを推進していくという内容が盛り込まれていますけれども、このユニークベニューの利用を進めていく意義について、よくお互いに理解をしたいと思うんです。海外都市との誘致競争を優位に進めていく上でも、ユニークベニューの利用促進を図っていく必要があるということはよくわかる。
 都内にはユニークベニューとしての活用が期待される施設が数多くあります。例えば江東区にも現代美術館が、昔は木場公園の木場で、いわば貯木場の湖水があったところに立派な現代美術館があるんですが、こういう文化施設、こうした施設をユニークベニューで積極的に活用していくことが可能なんです。どこがやるかというと、東京都では産業労働局、これが中軸になってやっていかなきゃならない存在であります。
 東京におけるユニークベニューの活用事例がふえていけば、それだけMICEを誘致する場合の効果の高いツールが確立していくことになるものと私は実感をしています。都としてもユニークベニューの支援により一層力を入れていくことが大切だと思うんです。
 先ほどの質疑も踏まえて、これまで実際に東京都としてこうした支援を行った施設について明らかにしてください。

○坂本観光部長 ユニークベニューの開催支援につきましては、昨年度開催された二件の国際会議に対して実際に支援を行ったところでございます。
 まず、昨年の十月ですが、そのときに開催された国際法曹協会年次総会におきまして、東京国際フォーラムのロビーギャラリーなどをレセプション会場として活用いたしました。非常に天井が高くて開放感のあるロビーギャラリーでございまして、こちらを利用してレセプションを行うのは初めてのことでございまして、約四千人の方々が参加をして、主催者や参加者からは好評でございました。
 また、昨年十二月に開催されたアジア・太平洋地域宇宙機関会議におきまして、日本科学未来館のシンボルゾーンをレセプション会場として活用をいたしました。当館のシンボルであるジオ・コスモスという大型地球ディスプレーの下で立食のパーティーや和太鼓のパフォーマンス、こういったものを行うことで、参加者から高い評価を得られたところでございます。

○木内委員 今、二つの例についてご報告いただきましたけれども、坂本部長、まだまだこれからいろんなところに可能性が広がっているわけですから、積極的にこれをアプローチして成就をさせてもらいたいと思うんです。東京国際フォーラムや日本科学未来館のほか、いっぱいありますから。
 これは、例えばMICE誘致のときに大きな武器になります。東京のそういう古典的なものであったり、あるいは伝統的な施設、文化、環境、ぜひともこの活用を一回集大成して、整理してみて、それから組み立てを行ってみてはどうでしょうか。これは提案だけさせていただいて、答弁は結構です。
 本来はパーティーとして利用することを想定しない場所、これを活用することがユニークベニューとしての特色であります。そうした場所をこれからもふやしていく、既にあるものを使っていく、その箇所をふやしていくということも、申し上げたように非常に重要であります。
 ユニークベニューの利用は、MICEの誘致に当たって重視しなければならない部分でありますけれども、日本ではこの考え方はいまだに広く浸透していない感じをどうしても受けます。
 今回の誘致戦略の発表を聞いて、国のガイドブックなどを取り寄せてみたところ、増上寺や東京国立博物館などもユニークベニューで利用されていることがわかりますけれども、レセプション会場として積極的に場所を提供する風はまだまだ少ないのが現状です。
 そこで、きょうは具体的に答弁願いたいんですけれども、ユニークベニューの利用を広げていく上で、会場の提供者等にしっかりと理解が広がるような働きかけを今後精力的にすべきだと思うんですが、観光部長、どうですか。

○坂本観光部長 ただいまお話がありましたように、ユニークベニューの利用を促進していくためには、MICEの主催者に対して、都内の歴史的建造物や文化施設などをユニークベニューとして利用する際の課題や対応を、これは非常にわかりやすい形で示すということとともに、受け入れ側である施設管理者の理解を深めていくと、このようなことが重要であると考えてございます。
 このため都では、ユニークベニューとしての利用の可能性のある都内の関連施設、こちらの状況を把握するとともに、利用に当たっての課題や必要な対応をきっちりと整理をして、主催者に対してわかりやすくPRをしていくと、こういったことを検討してまいります。
 また、施設の管理者に対しましてもユニークベニューとしての利用を、これは本当に積極的に働きかけていきたいと考えているところでございます。

○木内委員 非常に明快な答弁で、これを評価させていただきます。特に具体的であった利用に当たっての課題、必要な対応を整理して主催者に対してわかりやすくPRしていくことを検討する、明快な答弁でありましたので、ぜひご努力を要請したいと思います。
 それから、これは何をやるにしても人ですよね。よくハードとソフトの議論ということもいわれるんですけれども、MICEの専門人材の育成というのも、この場合、非常に重要な課題であります。
 MICEの誘致について、海外都市との競争は厳しいものがあります。東京のMICE誘致の取り組みも、世界と対等に競い合うことのできるようなグローバルな水準にまで引き上げていくことが大切です。特にMICEに関係するホテル、旅行業者、会議施設の運営事業者などを含めて、そこに所属する人材の実力を世界標準に高めていくことが必要なんじゃないでしょうか。
 どこかの企業、個別的企業名をいっちゃいけないけれども、英語が話せないと課長以上の管理職になれないなんていう規則を決めてスタートする有名企業もあるようでありますけれども、例えば語学一つにしても、あるいはまた、さまざまな専門的な知識やノウハウをプロとしての自覚の中でしっかりと身につける、そういう人材がいて、こうした方々が、MICEに関係するホテル、旅行業者、会議施設の運営事業者などを含めて、がんがん世界に打って出る、これが必要であります。そこに所属する人材、人々の実力を世界標準に高めていくことが必要なんじゃないでしょうか。そうしたさまざまな民間の人材に世界で通用する知識、ノウハウを提供するというのも、実は行政の果たすべき大きな役割の一つだ、こう思うのであります。
 そこで、MICEに関連する事業者の人材育成に向けた具体的な取り組みを進めるべきだと思うんですが、ご答弁願います。

○坂本観光部長 都は今年度から、会議施設や宿泊施設、旅行業者などのMICE関連事業者を対象といたしまして、国際会議や報奨旅行の誘致や受け入れに必要な知識やノウハウを身につけるための研修を東京観光財団を通じて実施をしております。
 具体的には、八月から九月にかけまして実施した研修では、国際会議の誘致事例を通じて、事業者の役割や欧米型のビジネス慣習への対応方法を習得できる講義などを実施いたしました。
 また、これからですが、十二月から開始する研修では、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会に向けて増加が見込まれる企業の報奨旅行の受け入れ、こちらに関する講義を実施する予定としております。

○木内委員 特に最後の答弁の十二月スタートの研修では、かなりの回数にわたって大勢の方々が対象になるというふうにも仄聞しておりますので、充実を目指していただきたいと思います。
 MICEに関係する民間の事業者に対して知識などをしっかり提供するとともに、MICE誘致の現場でのさまざまな変化に速やかに対応し、研修内容をきちんと見直し、その内容を常に新しいものにする努力も必要だと思います。
 また、都内にはMICEの関係事業者は数多いと思いますので、できるだけ幅広く周知して参加を促していくことも重要です。この点はいかがでしょうか。

○坂本観光部長 MICEを取り巻く環境の変化に対応した人材を育成するためには、誘致の状況に関する最新の動向や事業者のニーズなどを踏まえて、研修の内容を見直し、充実させていくことが必要でございます。
 このため来年度に向けて、研修に参加した事業者へのアンケート結果などを参考にいたしまして、研修のテーマや内容の見直しを行うとともに、より実践的な知識を身につけてもらうために、海外のMICE事情に詳しい外国人講師の方をふやすことも検討してまいります。
 また、来年度以降も継続してより多くの事業者に参加をしてもらえるよう、幅広く周知を行うことなどにより、研修の効果的なPRに努めてまいります。

○木内委員 極めて具体的な答弁であったと思います。
 MICEについて、東京のどの地域に対して誘致を行うべきかを考える視点は非常に大切です。都で観光施策を展開する財源や人材には制約がある中で、最も効果的に成果を上げるため、地域性に着目したMICE誘致を行うことを考えるべき、こう私は感じているのであります。そうした中、やはりMICEに関連する施設が多く集まるエリアに重点的なサポートを行うなどの対応が非常に効果的だと思うんです。
 これについて、局としてはどういう取り組みが考えられるのか、お答え願います。

○坂本観光部長 東京へのMICE誘致を推進するためには、MICEの受け入れにふさわしい施設が集まっているエリアなどを対象に重点的に支援を行うことが効果的であると考えてございます。
 このため、都は昨年度から、会議、宿泊、商業などの施設、こういったもののMICE関連施設が集積する地域を先進エリアとして選定して、各地域の受け入れ体制の強化に向け取り組みを支援してございます。
 具体的には、選定した地域の団体に対して、東京観光財団がMICE受け入れに必要なノウハウの提供や助言を行うとともに、受け入れ環境の整備に向けた取り組みへの支援を行っているところでございます。

○木内委員 本委員会で、かねて私は前の観光部長のときにも何度かやりとりをしたんですが、例えば品川区の天王洲、ここは東品川の旧街道、東海道です、それから東京海洋大学、あるいはまた、運河、キャナル、こういったものがあるんですが、三者一体となっての観光、あるいは地域開発につながっていない。
 したがって、東京都の観光資源の活性化、開発のプログラムの中にこれを組み入れて、専門家を派遣してもらって、今、懸命にまちの新しい街区づくりを進めているわけでありますけれども、こういったところなんかも一定の関心を持っていただいて、対象に考えてもいいのではないかと、より幅広いフレキシブルな検討を願いたいと、こういうふうに思うのであります。
 海外では、シンガポールやソウルで、MICEに関係のある施設が一定のエリアに全て用意されている事例すらあるとも聞いています。MICEのさまざまな施設がそろっているエリアは都内でもそれほど多くはないと思います。数少ないエリアを先進的な地域として、また同時に支援するのは重要です。
 どういうエリアを対象として、都として支援を行っていくのか、具体的な地域、地名が出せるのなら個別に答えていただきたいんです。

○坂本観光部長 MICE誘致に適したエリアにつきましては、参加者の受け入れに必要となる会議場や宿泊施設などの集積に加えて、魅力的な観光資源や地域として誘致に向けた積極的な活動を行う団体の存在なども重要なポイントになるものと考えているところでございます。
 都が選定した先進エリアでございますけれども、具体的な名称といいますか、地域といたしましては、臨海副都心地区、大手町、丸の内、有楽町地区、六本木、赤坂、麻布地区、この三つのエリアとなってございます。
 こうしたエリアでは、都のサポートによりまして、国際会議の開催時に周辺道路を利用してオープンカフェのスペースを広げたり、音楽による演出などを行って、参加者が楽しめる環境づくりを行っている事例もございます。また、地域によっては、ワンストップでMICEの受け入れに対応できるよう専用のホームページを立ち上げているような事例もございます。

○木内委員 受け入れ環境の充実というのは、MICEの誘致を優位に進めていく上でとても大事な取り組みでありますので、この認識を共有したいと思います。地域が行うさまざまな取り組みについて、引き続き支援を続けてまいりたいと思うのであります。
 さて、これまでユニークベニューということを中心に、本日はいろいろと質疑を行ってきましたけれども、このユニークベニューの利用を促進することや、めり張りある施策展開に向け誘致のエリアを選び、重点的に対応を図ることなどは、MICEの開催をふやすための重要なポイントになるのではないかと、こうも痛感しました。こうした取り組みが東京のMICE開催地としての魅力の向上に役立ち、効果的な誘致を可能にするものと確信をするものであります。
 二〇二〇年にはオリンピック・パラリンピックの開催が予定されています。また、二〇一九年にはラグビーワールドカップ杯がある。この前は感動しましたね。南アフリカと日本の代表チームが大番狂わせの大金星を上げて、この二〇一九、二〇二〇年の国際イベントに向けての大きな機運が今盛り上がっているわけでありますけれども、それを機に観光も東京で大きく伸びることが期待できますが、それにとどまらず、継続して観光客を誘致していくための不断の努力が大切であります。そうした取り組みの一つがMICEの誘致ではないか、こう思っているわけであります。
 最後に、これまでの質疑を踏まえて、MICE誘致に元来、非常に熱心に取り組んでおられる、熱意をお持ちの局長のお気持ちをお聞きして、私の質問の最後にしたいと思います。

○山本産業労働局長 今回のMICEの誘致戦略は、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック大会の開催とその先を見据えまして、観光の産業としての発展を図る上で有力な方法の一つであるMICE誘致の進め方についてまとめまして、具体的にお示しをしたところでございます。
 まず、ご議論いただきましたユニークベニューについてでございますが、MICE誘致を成功に導くために、東京の持つさまざまな魅力を最大限に生かしながら、MICEの開催地を判断する場合の決め手となる、あるいは有利になるユニークベニューのような仕組みを、より良質なレベルで提供するための基盤をつくり上げてまいりたいと思っております。
 それからまた、先ほど三エリアのお話がございましたけれども、MICE誘致に非常に熱心な地域でございまして、地域の特色を生かして、地域ぐるみでMICE関連事業者が共同で取り組んでいる、そういう地域がございます。
 施策の効果を高めるためにも、MICEの受け入れ体制の進んだエリアを重点的に支援をするとともに、誘致活動にかかわる専門人材の育成、知識やスキルを高めていくための取り組みも着実に進めてまいります。
 MICEは、その参加者が一般の旅行者に比べ、先ほどもお話がありましたけれども、消費額も多いというふうにいわれております。観光を一大産業に育てるためにもMICE誘致は有効な取り組みであるというふうに考えておりまして、MICEへの参加を通じて多くの外国人旅行者が都内を訪れ、東京の多様な魅力を堪能し、そして観光目的で再度リピーターとして来訪されるよう、こういったことに結びつけることができるよう全力を挙げて取り組む決意でございます。

○近藤委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時三十九分休憩

   午後三時五十六分開議

○近藤委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言願います。

○尾崎委員 私の方からも、二〇一四年度地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターの業務実績評価について質問します。
 評価書によると、技術相談や依頼試験、機器利用で過去最高の実績を達成したということです。技術相談については、利用者から高い満足度を得ており評価できると高い評価ですが、評定説明では同時に、今後は、ただ待っているだけでなく東京商工会議所や金融機関、中小企業経営者の若手勉強会等に参加して積極的にPRしていくことを期待するとなっています。
 利用者をふやすための取り組み状況について伺います。

○松永商工部長 産業技術研究センターでは、これまでもホームページやメールマガジン、セミナー、施設公開イベントなどを通じて都内中小企業の利用を促進しております。

○尾崎委員 いただいた委員会資料を見ると、運営交付金は前年度より減らされています。その中で積極的にPRしていくということになるわけですから、宣伝料のほかに、いかに効果的に行うかということが求められると思います。
 中小企業の情報がたくさん集まり、地域の中小企業のことをよく知っているのは、信用金庫などの地域金融機関だと思います。連携の協定を結んでいない信用金庫との連携を強めることを提案します。
 また、都としても、産業技術研究センターの活用、普及に向けて、広報活動に取り組んでもよいのではないかと思います。産技研センターの取り組みを中小企業に知らせることで、新たな取り組みに挑もうという経営者があらわれるのは、都としても喜ばしいことではないでしょうか。都として広報活動に取り組むよう求めます。
 産技研センターが取り組む産学連携について伺います。
 本部と多摩テクノプラザに配置されているコーディネート事業の成果ですが、相談件数は前年度比一六一%、千三百八十三件と大きくふえています。しかし、成約実績は前年度と同数の三十件です。
 詳しく見ると、相談件数では来所は前年度とほぼ同数ですが、電話、メールの相談が二倍以上になっています。メールなどで相談しやすくなっているということの反映かと思います。同時に関心が高まっていると思います。
 相談から成約につながらなかった原因については、産技研センターとしてどのように分析していますか。

○松永商工部長 産学公連携においては、製品化、事業化に至るまでに、中小企業のニーズと大学等のシーズのマッチングや、すり合わせなど、多くの時間を要するものでございます。

○尾崎委員 産学連携は、中小企業にとって、下請企業から脱却という展望が見え、新たな分野への開拓にもつながるなどのことから、経営意欲が湧き、経営者が元気になっています。
 産学連携に取り組んでいる大学、自治体、信用金庫、コーディネーターの方たちからの話の中でも、産学連携は中小企業は難しいと聞いています。しかし、中小企業の経営者が新製品づくりにチャレンジすることで得られるものがたくさんあります。電話やメールなどの相談がふえていることは大変重要だと思います。関心が高いということは、今後の展望につながるものだと思うからです。
 産学連携では、コーディネーターの役割が非常に大きいと思います。本部に五人、多摩テクノプラザに三人の配置がされていますが、どのような人がコーディネーターになっていますか。また、コーディネーターの方たちの研修や交流などはどうなっていますか。

○松永商工部長 ものづくりの現場を熟知した経験豊富な大手メーカーの技術者OBなどがコーディネーターを務めております。定期的に業務連絡会を開催し、意見交換を行っております。

○尾崎委員 先日、多摩テクノプラザを見学しました。そのとき、産技研の研究員のOBもコーディネーターになっているという説明がありました。産技研で日常的に中小企業に寄り添ってきた研究員がOBとなって、今度はコーディネーターの役割を果たすことは非常に効果的だと思いました。
 私たちは産学連携にかかわっているコーディネーターの方からも話を聞いていますが、産学連携で大事なのは、コーディネーターがどこにどんな技術を持った中小企業がいるのかということを知っているかどうかということだとのことです。そして、自分の後継者づくりが課題であると聞きます。この点からも、研究員のOBがコーディネーターになることは、次の人材も豊富であると思いました。
 産学連携は、産技研センターのほかにも中小企業振興公社や大学、自治体、信用金庫などでも積極的に今取り組んでいます。この取り組みを交流し、経験を生かすことが重要だと思います。この仕事については、東京都の仕事として積極的に取り組むよう要望しておきます。
 異業種交流は現在、本部と多摩テクノプラザで行われています。成果と重要性について、産技研センターとしてどう分析していますか。

○松永商工部長 異業種交流事業では、業種や地域の枠にとらわれず企業がグループを組み、勉強会などの活動を行っており、この中から共同開発に取り組むグループが生まれております。

○尾崎委員 産学連携とあわせて、異業種交流は中小企業にとって意識改革にもつながる大事な取り組みです。創業したばかりの経営者にとっても、経営力を高めるために重要な取り組みですので、業種交流の場を提供することは東京都にも強く要望するものです。
 多摩テクノプラザは昭島市にあります。中小企業振興公社、職業訓練校も同じ敷地内にあることについて、産技研センターとしてその利点を生かしていることがどこにどうあらわれているのか伺います。

○松永商工部長 多摩テクノプラザなどで構成します産業サポートスクエア・TAMAでは、合同勉強会や共同での施設公開の実施など、さまざまな連携を図っております。

○尾崎委員 産業サポートスクエア・TAMAは、産技研センター多摩テクノプラザ、中小企業振興公社多摩支社、多摩職業能力開発センター、そして東京都農林水産振興財団、こういうものが敷地内にあって、中小企業の経営、技術支援、農林水産業の支援、さらに職業能力開発、人材育成を支援する施設が結集する産業支援拠点です。
 このように施設が結集したところは、都内のほかの地域にはない多摩の特徴だと思います。この特徴を生かせば、もっと成果は出てくるのではないかと思います。
 産技研センターの依頼試験、機器利用の区市町村別利用状況の資料を見ると、地域別にはまだまだ格差があります。地域の産業分布もありますが、特に多摩地域の格差は大きく、今後の工夫や改善が求められると思います。
 国は小規模企業基本法を制定し、成長発展のみならず、事業の持続的発展を基本原則とすることにかじを切りかえました。この法律を策定してきた小委員会は、国のみならず、地方公共団体、支援機関、地域住民等、さまざまな主体が小規模事業者の振興に寄与することが大事といっています。
 このことについて、支援機関である産技研センターはどう捉えていますか。

○松永商工部長 産業技術研究センターは、小規模企業に対しても、きめ細かな技術支援を行っております。

○尾崎委員 小規模企業の事業を継続させることは、東京の経済の活性化につながります。小規模企業は従業員の確保や機械設備だけでも大変です。少ない従業員、限られた資金の中で、相談できる人や機材、情報が事業継続に大きな力になります。
 しかし、小規模になればなるほど、ゆとりがないために産技研センターを知らない、産技研センターまで向かうゆとりもない、知っていてもどう活用すればいいのかわからないという経営者の方もいるはずです。今後、小規模企業に向けて知らせる努力と企画などの工夫、拡充などを要望します。
 本部と多摩テクノプラザにある製品開発支援ラボは満室状況ということです。製品開発支援ラボの役割についてどう認識していますか。

○松永商工部長 中小企業が技術相談や機器利用サービスを身近に活用しながら、柔軟かつ効率的に研究開発に取り組むことができるよう、製品開発支援ラボを設置いたしております。

○尾崎委員 工場の家賃が高い東京で、騒音を気にしないで使える製品開発支援ラボは大変貴重なものだと思います。産技研センターの取り組みを広く紹介することを求めます。
 さらに、製品開発支援ラボから成長し巣立ち、次のステップに入った方々を支援する貸し部屋を都として用意することは、研究開発の発展に寄与することになると思いますので、要望しておきます。
 多くの人、物がインターネットでつながる時代を迎えた中で、ものづくりの現場では、例えばスマートフォンで遠隔操作できるさまざまな製品の開発を初め、生産管理、販売後のメンテナンスなどにも最新のIT技術を活用する動きが急速に広がっています。中小企業にとっては、オリジナルの自社製品やサービスの開発など大きなビジネスチャンスとなっており、多くの国が支援を強めています。
 産技研センターとして、この新しい動きをどう捉えていますか。先進事例の紹介、学習、体験できるセミナーの開催、中小企業のものづくりとIT技術を結びつける専門人材の育成、中小企業の人材育成への支援などに取り組むよう提案するものですが、いかがですか。

○松永商工部長 産業技術研究センターでは、これまでも常に最先端の技術動向の把握に努め、研究発表会や各種技術セミナーを通じて、中小企業に対し情報提供や人材育成等の支援を行ってきております。

○尾崎委員 具体的な取り組みとして進むよう求めておきます。
 大田区は、国の工業統計調査で従業員三人以下の調査をしなくなったので、区独自に全数調査を行いました。先日、大田区に話を聞きました。調査の中で明らかになったものの一つに、工場を持たずに、企画や製品開発は行うけれども、その製造についてはまちの中小企業に外注し新商品をつくっていくという、いわゆるファブレス企業がふえているとのことです。今後注目される分野ですので、産技研センターでのセミナーの工夫などを含め、支援拡充を求めます。
 産技研センターでは、効率化係数のもとに、毎年〇・五%標準運営費交付金が削減されています。それには人件費も含まれています。しかし、きょう質疑したような事業の部分では、人が介することでサービスの質が左右されるものが多く、効率化係数という名で人件費が削減されることは、産技研センターの力を十分に発揮する上で障害になりかねません。
 産技研センターは独立行政法人化を見直し、都として運営費、研究費を増額するとともに、基礎的研究ができる人員をふやすとともに、中小企業への支援体制を拡充するよう求めて、質問を終わります。

○中山委員 東京都のMICE誘致戦略について、何点か質問いたします。
 もう既に堀委員、そして木内委員から懇ろな質疑もありました。ほぼ審議も尽くされた感もありますけれども、若干すき間もありそうなので、ちょっと質問をさせていただきたいと思います。
 これまで実績と経験を背景にいたしまして、戦略を改めて体系化したこと、大変まとまりのある戦略をつくったことを高く評価をしております。そして、戦略を体系化したことによって、またこれを実効性を高めていくということが一番大切だというふうにも思います。
 さて、一斉に報道がありましたけれども、九月十七日の記事によりますと、ことしの訪日外国人の旅行者が九月十日時点で一千三百四十二万人となり、過去最多だった昨年の千三百四十一万人を上回ったとの推測を観光庁が発表いたしました。通年では、千九百万人に届く勢いとのことであります。二〇二〇年までに年間二千万人とする政府の目標の早期達成が現実味を帯びてまいりました。
 さらに、中国の景気減速が訪日客のブレーキになるとの懸念に対して、観光庁は、中国からは成長著しい中流階級が多く来ている、現段階では余り影響を受けておらず今後も伸びる可能性があると否定的な見解を示したとされております。
 ただ一方で、私の地元なんかだと、肌感覚で中国人が若干減ったんじゃないかということと、消費が落ちたのではないかという声も聞くわけでございます。実際、統計上少なくなっていなければ、それはそれでよいことでありますけれども、グローバルの時代でありますから、ちょっとした今回の国際情勢の変化によって訪日外国人が減るということも鑑みますと、このMICE誘致戦略によって中長期的に訪日外国人をふやす一助になることは、大変意義深いというふうに認識をいたしております。
 また、今回の誘致戦略の策定は、MICEの誘致を通じて、我が国の経済成長や産業力の強化、都市のプレゼンス向上などにつながる大きな意義を有するものと考えております。
 そこで、産業界や基礎的自治体など、幅広く誘致戦略を浸透させることは極めて大事だと思われますが、まず所見をお伺いしたいと思います。

○坂本観光部長 今回策定した誘致戦略では、東京都を初め、国や民間に加えて地域を含めたさまざまな主体がMICE誘致に関係することから、それぞれの役割分担のあり方を明らかにしております。
 MICE誘致の取り組みを進める中で、それぞれの主体が役割を踏まえて連携することを通じて、誘致戦略の内容が共有され、浸透することになるものと考えているところでございます。

○中山委員 今、役割分担を明らかにして、それぞれの主体が連携していくという、そのことによって浸透させるという答弁がありました。
 大げさではなく、MICE戦略は東京都の経済政策の柱といっても過言ではありません。そういう意味では、国も、基礎的自治体も、多くの産業界も一体で取り組んでいかなければなりません。
 ただ、このMICEというワードについては、まだまだ基礎的自治体とか、あるいは産業界だとかというところに浸透しているとはいえないというふうに思っております。こうやって審議をしておりますから、私はこのMICE戦略についてよく理解するところでありますけれども、実際、基礎的自治体であり、地域の自治体においては、そんなにこのMICEに対しては、まだ浸透しているということはいえないと思います。
 そういう意味では、今後の取り組みによりまして、このMICE戦略をぜひ基礎的自治体や、あるいは産業界にも浸透をさせていただきたいというふうに要望をいたします。
 次に、目標について質問をいたします。
 誘致戦略では、長期ビジョンを踏まえて、おおむね十年後の二〇二四年ごろまでに年間三百三十件の国際会議を開催するという目標を定めていますが、私はもっと短期的に進捗を見きわめて施策を展開していくことが重要だと考えておりますが、所見を伺いたいと思います。

○坂本観光部長 観光振興に向けたさまざまな施策は、事業を取り巻く環境に応じて柔軟に見直すことが必要でございます。
 今回の誘致戦略にかかわる内容や事業につきましても、さまざまな環境の変化を確実に把握して、適切な対応を行う考えでございます。
 そうしたことから、誘致戦略の中でもMICEを取り巻く状況や施策の進捗状況などを見きわめながら、適宜、戦略の見直しを図るとしているところでございます。

○中山委員 今、適宜、戦略の見直しを図るとの答弁をいただきましたが、この先十年の間には、ラグビーワールドカップあるいはオリンピック・パラリンピックが開催されまして、外国人の受け入れ環境整備は進化するとともに、東京が最も注目をされるときだということもあり、MICEを取り巻く環境も、同時に進化するときであると思います。
 そういう意味では、想定される施策の優先順位が変化することもありますので、長期ビジョンに固執しない形で柔軟な施策の展開を要望したいと思います。
 次に、誘致戦略では、MICE誘致における東京の強みと弱みに関する記述があります。
 東京の強みについては、企業や学術研究機関の集積、観光資源の多さなど明瞭に記述されているように感じました。ただ、弱みについては、具体的にまだまだ乏しいと思います。
 改めて、MICE誘致における東京の弱みについてお伺いしたいと思います。

○坂本観光部長 誘致戦略の策定に当たりましては、都はMICE誘致における東京の強みや弱みに関する分析を行ってございます。
 そうした分析によりますれば、東京のMICE開催都市としての認知度を高めていく必要性や、さまざまな観光資源を生かすことが大切であることなどが明らかとなっているところでございます。

○中山委員 今、改めて、あえて弱みについて明らかにしていただいたのも、どうしても改善できない弱みではないということですね。主体の努力によって、それも強みに変えることが可能だということであります。
 現代ビジネスの舛添知事のレポートの中でも、各地にすばらしい美術館がありますが、パリのルーブル美術館やニューヨークの近代美術館に比較すると、入館者数の桁が違うと、つまり、まだまだ努力する余地があるというふうにも記述されていました。
 先日の代表質問であったり、または一般質問でもあったように、水の都をセールスポイントとするということも議論されているところでございます。
 弱みを強みに変えていくことは可能なものと考えますので、今後の施策の展開を期待いたしております。
 次に、東京のMICEを取り巻く世界的な環境について、質問いたしたいと思います。
 二〇一九年のラグビーワールドカップ日本開催や、二〇二〇年東京のオリンピック・パラリンピック開催は、直接MICEとつながっているわけではありませんが、これらの開催を機に外国人の受け入れ環境整備を進めていることは、MICEを牽引することに間違いありません。
 また、一時期、先ほどもお話ありましたけれども、このラグビーワールドカップ日本開催も課題がありましたが、現在、イングランドで開催されていますラグビーワールドカップでの日本代表の快挙によって、日本中が感動をいたしました。
 同時に、世界に日本ラグビーと桜のエンブレムを発信したことで、日本開催が盛り上がることを確信いたしております。先日も五郎丸選手が、日本開催を盛り上げるために次の試合を戦うんだ、そんな発言もあったぐらいでありまして、このラグビーワールドカップも、MICEを盛り上げる一つの要素になってくるだろうというふうに思います。
 こういった大きなインパクトで世界に発信し続けることは、日本のプレゼンス向上となり、MICEにも追い風が吹いたことと考えます。
 誘致戦略では、国際会議の開催について、東京は依然として競合都市であるシンガポールやソウル等におくれをとっているとされていますが、一方で、東京での国際会議の開催件数は、この十年で二・七倍にふやしています。
 東京が国際会議の開催件数を伸ばした理由についてお伺いをしたいと思います。

○坂本観光部長 東京では、MICEの誘致、開催を支援する現在の東京観光財団を設立するとともに、MICE受け入れ施設として東京国際フォーラムを開設するなどの施設整備を行いまして、ソフト、ハードの両面からの取り組みを進めてまいりました。
 特に、国際会議の誘致や開催に向けた支援を着実に実施いたしまして、これまでのそうした取り組みが実を結んで、MICEの誘致では、世界の中での相対的な地位の向上を実現してきたところでございます。

○中山委員 相対的な地位の向上が実現したということで、追い風に乗りつつあるという趣旨の答弁がありましたので、評価をしていきたいと思います。
 次に、都と東京観光財団について伺いたいと思います。
 先ほど、東京の弱みについて伺いました。まさにその弱みを強みに変えていくのが両者の連携ということになってくることはほかなりません。都が観光資源を強化する役割であれば、観光財団はMICE関連の業界に対して、ニーズに対して的確に情報を提供していくことだというふうに思います。
 MICEの誘致に当たって、公益財団法人東京観光財団の果たす役割は非常に大きく、東京と緊密に連携していくことが重要だと思います。
 今回の誘致戦略で定めたさまざまな施策を進めていく上で、都は東京観光財団とどのように連携を図っていくのか伺いたいと思います。

○坂本観光部長 MICE誘致を効果的に進めるため、都と東京観光財団とが連携して事業展開を行うことは必要でございます。
 今回の誘致戦略の中で、MICE誘致に関係するさまざまな主体の役割分担のあり方について整理をしてございますが、都と東京観光財団との取り組みに関しても、その中で明らかにしているところでございます。
 都と東京観光財団が適切な役割分担のもとで協力し、MICE誘致の取り組みを進めてまいります。

○中山委員 まさに、今回の東京都のMICE誘致戦略の中でも一番の肝が、東京都と財団との連携だというふうに思います。それは大きく分けて、まずは誘致をすることに取り組むということと同時に、誘致をしたと同時に、国際会議など運営をうまく進める支援など、観光ルートを主催者のニーズに的確に応えていくことだと思います。
 その際、都と財団の連携が大変重要であることから、都としては、さらに施策を推進していくように要望したいというふうに思います。
 次に、国際会議の誘致について伺いたいと思います。
 誘致戦略では、世界の国際会議の半数以上は学術系の会議であるため、都として、医歯薬理工学系を重点分野として国際会議の誘致を推進していくことが述べられております。
 また、そうした分野の大学と連携して誘致活動を担う大学教授等を支援していくこととされております。
 そこで、誘致戦略に基づき、現在、国際会議の誘致に向けてどのような取り組みを行っているのか質問いたします。

○坂本観光部長 都は、国際会議の誘致を進めるため、誘致戦略で定めた医歯薬理工学系の重点分野を対象として学術系会議の誘致支援に取り組んでおります。
 具体的には、東京観光財団が、これらの分野の大学教授などを対象に、誘致活動にかかわる普及啓発セミナーを実施するなどの支援を行っております。
 こうした取り組みを通じまして、国際会議の東京への誘致を推進してまいります。

○中山委員 先ほど堀委員からの質疑の中でも明らかになったとおりでございまして、多種多様な取り組みをされているということでありますので、評価をしていきたいというふうに思っております。
 最後に、MICEの誘致が成功し、東京で開催されることが決まれば、主催者から参加者を対象とした観光ツアー等に関するニーズが出てくるものと思われます。
 私の地元の台東区にも外国人に人気の高い浅草や東京国立博物館などがありますが、都内には、各所に外国人を魅了する観光スポットや、東京の歴史や伝統文化に触れることができる施設等が数多くあるため、主催者のニーズに応じてさまざまなメニューを提案することができると思います。
 誘致戦略にも、主催者と参加者の満足度の向上を図るための取り組みを推進するとあります。MICE開催という機会を捉えて、外国人参加者に東京のさまざまな魅力に接してもらうことが重要だと考えますが、都の取り組みについて伺いたいと思います。

○坂本観光部長 MICEの参加者に東京のさまざまな魅力に接する機会を提供することは、観光振興を進める上で重要な取り組みでございます。
 このため都は、国際会議の開催時に、浅草や東京国立博物館などをめぐる都内観光ツアーを実施するとともに、日本の伝統文化を実際に体験できるプログラムを提供してございます。
 今後もMICE開催の機会を捉え、外国人参加者が東京の多様な魅力を理解できるような取り組みを実施してまいります。

○中山委員 最後になりますけれども、地元のことをいっていただきまして、サービスしていただいてありがとうございます。
 肝は、今回のこの戦略、都と財団の連携が一つであると思います。そして、このMICEというワードをまさに広げていくといいますか、基礎的自治体に浸透させていく、そして基礎的自治体から、あるいは地域から観光ルートだとか、あるいは地域の四季折々のいろんな情報があるというふうに思います。
 それをどれだけ財団や東京都がしっかり把握をして、今回の主催者側に情報を提供するということが大切だというふうに思っておりますので、今後の取り組みに期待をいたしまして、質問とさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

○近藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○近藤委員長 異議なしと認め、報告事項、私債権の放棄について外二件に対する質疑は終了いたしました。

○近藤委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○野間金融監理部長 去る九月二十五日に発表されました新銀行東京の経営統合に関する最終合意及び同日に締結いたしました東京における産業振興に関する包括連携協定の二点につきましてご説明申し上げます。
 資料でございますが、経営統合に関する最終合意につきましては、資料1が概要、資料2が東京TYフィナンシャルグループ及び新銀行東京によるプレスリリースとなってございます。また、包括連携協定につきましては資料3となっております。
 それでは、まず、資料1によりまして、新銀行東京の経営統合に関する最終合意についてご説明申し上げます。
 初めに、資料左側、1、経営統合の経緯・目的をごらんください。本年六月十二日に、東京TYフィナンシャルグループと新銀行東京の経営統合検討に関し基本合意がなされ、九月二十五日に、両者は、都内における中小企業支援という共通の経営目標を有するとともに、経営統合による相乗効果も期待できることから、経営統合について、最終合意に至ったとしております。また、株式交換により、新銀行東京は東京TYフィナンシャルグループの完全子会社となります。
 次に、2、経営統合の基本方針でございますが、資料に記載の〔1〕から〔3〕の三つの基本方針のもと、首都東京において顧客から真に愛される地域ナンバーワンの地方銀行グループになることを目指しております。
 次に、資料右側、3、東京都との連携につきましては、資料3にて後ほどご説明させていただきます。
 次に、4、経営統合後の組織等につきましては、経営統合後、統合効果をより一層発揮するため、東京TYフィナンシャルグループ傘下銀行と新銀行東京との早期合併等も含めたグループ内の組織再編を検討していくとしております。
 次に、5、株式交換の内容でございます。(1)、普通株式に記載のとおり、株式交換比率を東京TYフィナンシャルグループが一、新銀行東京が〇・二四とし、新銀行東京の普通株式一株につき、〇・二四株の東京TYフィナンシャルグループの普通株式を割り当て交付するとしております。
 続きまして、(2)、優先株式につきましては、新銀行東京が発行しております優先株式一株につき、一株の東京TYフィナンシャルグループの優先株式を割り当て交付するとしてございます。
 最後に、6、今後の日程でございますが、本年十一月の両社株主総会における議決を経まして、平成二十八年四月一日に経営統合する予定となってございます。
 資料2につきましては、後ほどごらんをいただきたいと存じます。
 続きまして、資料3をごらんいただきたいと思います。東京における産業振興に関する包括連携協定についてご説明を申し上げます。
 本協定は、新銀行東京の経営統合に関する最終合意と同日の九月二十五日に、都、東京TYフィナンシャルグループ、東京都民銀行、八千代銀行及び新銀行東京の五者の間で締結をしたものでございます。
 初めに、本協定の目的でございますが、第一条をごらんください。本協定は、東京の経済の持続的発展を目指し、中小企業支援を初めとした産業振興に、各当事者が相互に連携して取り組むことを目的としてございます。
 次に、連携を実施する事項につきましては第二条をごらんください。(1)といたしまして、中小企業振興に関することとしておりまして、このほか観光振興、農林水産業振興、雇用就業に関することなどを掲げてございます。
 今回、協定を締結いたしました新銀行東京及び東京TYフィナンシャルグループは、ともに中小企業支援に積極的に取り組んでいる金融機関であり、今後、都は、新銀行東京を一員とする同グループのネットワークを活用し、東京の産業を支える中小企業への支援を初めとする産業振興を一層効果的に推進してまいります。
 以上で株式会社新銀行東京関係の報告事項のご説明を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。

○近藤委員長 報告は終わりました。
 本件に対する質疑は、いずれも既に説明を聴取しております報告事項、新銀行東京の平成二十八年三月期第一・四半期決算についてとあわせて、一括して行います。
 これより質疑を行います。
 ご発言をお願いします。

○鈴木(あ)委員 ただいま、新銀行東京の経営統合に係る最終合意と、それに関連した都と東京TYフィナンシャルグループ等との包括連携協定の締結について報告がありました。
 本件については、さきの第二回定例会において本委員会に基本合意の報告があり、新銀行東京の経営再建の状況や、経営統合に向けた協議の道筋等について、私から質問をさせていただきました。その際、追加出資した四百億円を確実に確保すること、中小企業向けの支援のさらなる推進につなげていくことなどを求めたところであります。最終合意に至るまでには、客観的かつ厳格な資産査定や、目指すべき方向性についての真摯な協議が積み重ねられてきたものと思われ、この間の関係者の皆さんのご努力に敬意を表したいと思っております。
 先日の代表質問でも、経営統合を中小企業支援の強化に向けてどのように生かしていくのか、基本的な方向性をお伺いさせていただきまして、局長からも答弁がありました。本日は、最終合意や包括連携協定の具体的な内容について確認をしていきたいと思っております。
 まず、何よりも重要なのは、我が党が苦渋の決断で賛成した追加出資が確保されたのかということであります。前回の質疑で、経営統合に当たって、新銀行東京と東京TYフィナンシャルグループとの間で株式交換が行われ、都は同グループの株主となることが想定されるとの答弁がありました。
 そこで、今回の最終合意での株式交換の具体的な内容について、追加出資分の四百億円がどうなったのか、まず伺います。

○野間金融監理部長 今回、都が保有しております新銀行東京の優先株式につきましては、東京TYフィナンシャルグループが新たに発行いたします剰余金の配当や、残余財産の分配を優先的に受ける権利を持ち、日々の株価の反動を反映しない優先株式と一対一で交換することとなります。
 具体的には、一株につき二万円の株式二百万株と交換されることとなっており、追加出資の四百億円は確保されております。

○鈴木(あ)委員 優先株式額面二万円の二百万株と、追加出資の四百億円が具体的な形で確保されたことが確認できました。四百億円分の優先株式というのは、現在の東京TYフィナンシャルグループの純資産においても大きな割合を占めることになるということだと思います。
 次に、都は現在、新銀行東京の普通株式も保有しており、これについても株式交換が行われるとのことです。発表資料によれば、普通株式の交換比率は同グループが一、新銀行東京が〇・二四とされています。
 この株式交換により、都の同グループの株主としての位置づけがどのようになるのか伺います。

○野間金融監理部長 現在、都は新銀行東京の普通株式と追加出資に相当する優先株式の二種類を保有しております。
 普通株式につきましては、今回の経営統合に当たって行われます株式交換において、新銀行の一株につき、東京TYフィナンシャルグループの〇・二四株が割り当て交付されることとなります。
 これによりまして、現在保有している新銀行の普通株式約四百九十九万株は、東京TYフィナンシャルグループの普通株式約百十九万株となり、都は三井住友信託銀行や日本トラスティ・サービス信託銀行に次いで、三・九%程度の持ち株比率を有する上位三番目の株主となります。

○鈴木(あ)委員 ただいま答弁をいただいたように、東京都は、東京TYフィナンシャルグループの三・九%、第三位の株主となるわけで、普通株式についても一定の影響力を有することが確認できました。
 一般的に、企業に剰余金が発生した場合、株主に配当が支払われ、また、優先株式は普通株式に対し、剰余金の配当で優先権を持つことになります。経営統合後、都は同グループの普通株式及び優先株式から配当を受けることが考えられますが、どの程度の配当が見込まれるのか伺います。

○野間金融監理部長 東京TYフィナンシャルグループの有価証券報告書によれば、銀行持ち株会社としての公共性に鑑み、適正な内部留保による財務の健全性の確保に努めるとともに、株主の皆様に対する利益還元を経営の重要施策の一つと位置づけ、継続的かつ安定的な配当を実施することを基本方針とし、配当を行っております。
 経営統合後の都に対する配当は、現在の東京TYフィナンシャルグループの配当計画をもとに試算いたしますと、普通株式、優先株式を合わせて、年間で約二億円の配当収入が見込まれるところでございます。
 配当収入につきましては、都の歳入となり、都の施策に活用していくこととなります。

○鈴木(あ)委員 優先株式で四百億円が確保され、普通株式でも相当数の株式を保有するとともに、今後は一定の配当も見込まれるということで、今回の経営統合による株式交換というスキームは意義あるものだと思います。
 さて、一部報道では、新銀行東京と東京TYフィナンシャルグループ傘下銀行との合併について、十一月までに結論を出すことが報じられておりました。この傘下銀行同士の合併については、発表資料の中でも触れられていますが、このことに対する都のスタンスについてお伺いをします。

○野間金融監理部長 今回の最終合意の中では、東京TYフィナンシャルグループ傘下銀行と新銀行東京との早期の合併等も含めたグループ内の組織再編を検討するとされております。
 経営統合後の傘下銀行同士の合併につきましては、一義的には民間企業の経営判断でございますが、都といたしましては、株主として、その検討の推移を見守ってまいります。

○鈴木(あ)委員 経営統合効果を発揮するためにも、民間企業の経営判断として合併はあり得ることと思います。十一月の東京TYフィナンシャルグループの臨時株主総会までに結論を出すという報道もあり、都は大株主の立場からそれを見守ることになりますが、その際には、新銀行東京の設立理念が継承され、中小企業支援が一層推進されることを十分念頭に置いていただくように求めておきます。
 また、前回の質疑でも申し上げたことですが、経営統合時はもとより、合併時においても、取引先の中小企業への目配りを忘れることのないようにお願いをするとともに、新銀行東京の役員の東京TYフィナンシャルグループへの派遣等により、グループ内での新銀行東京の存在感を確保し、不合理な人員整理を行わないようにするなど、新銀行東京の行員のモチベーションの維持に配慮するよう強く求めておきたいと思います。
 グループ内での職員数は、東京都民銀行や八千代銀行に比べて、これは圧倒的に少ないわけでして、こういったことで職員のモチベーション等々が下がるということは、今後の中小企業支援にも影響が出てくるのかなということを心配しているわけでございます。
 さて、先日の我が党の代表質問で、都は、今回の経営統合を中小企業支援の強化につなげていく決意を改めて明らかにしました。都内企業の約九九%を占める中小企業が活発な企業活動を持続的に行うことは、東京の経済の活性化には欠かせません。
 地域金融機関は、数多くの中小企業と取引関係を持ち、単なる資金の供給だけではなく、中小企業に経営面でのアドバイスを行うなど、中小企業にとって極めて重要な役割を果たしています。都はこれまでも、中小企業のためにさまざまな施策を展開してきましたが、それらを一層有効なものにしていくためには、地域金融機関と手を携えて取り組んでいくことが重要だと考えます。
 今回の最終合意と同時に、都、新銀行東京、東京TYフィナンシャルグループ、東京都民銀行、八千代銀行の五者による、東京における産業振興に関する包括連携協定が締結されました。この協定は、今回の経営統合を契機に、中小企業支援をさらに推進していくことを明確にしたものであると考えております。
 そこで、この包括連携協定を締結した狙いについてお伺いをします。

○西川金融支援担当部長 中小企業への支援をさらに強化していくためには、個々の中小企業との接点を豊富に持つ金融機関の力を活用することが重要でございまして、その取り組みを実効性あるものとしていくため、包括連携協定を締結いたしました。
 これによりまして、金融機関の店舗ネットワークや行員の営業活動を通じまして、施策を都内中小企業の隅々にまで行き渡らせるとともに、中小企業が抱える課題やさまざまなニーズを酌み取り、それを施策に反映させ、企業ニーズに応じてきめ細かく展開するという双方向の取り組みが可能となります。
 具体的には、中小企業が海外に展開する際の現地口座開設等のサポートや、創業を希望する若者を対象とした都が実施いたしますビジネスプランコンテストへの協力、事業承継に関するセミナーの共同開催、融資制度の拡充などに連携して取り組んでまいります。

○鈴木(あ)委員 ぜひとも、都と金融機関それぞれが耳にする中小企業のニーズを双方向で情報交換するなどの取り組みにより、都の施策立案や、金融機関の商品開発につなげてもらいたいと思います。
 そしてもう一点、今回の協定は、資金調達支援や創業支援といった中小企業支援を中心にしつつも、農林水産業や観光、雇用就業など、産業労働局が所管する分野を網羅した内容となっております。産業振興全般に関する包括連携協定とすることで、より幅広い観点から連携を進める趣旨だと考えますが、具体的にどのような取り組みを念頭に置いているのか伺います。

○西川金融支援担当部長 都内には、商工関係の産業だけではなく、農林水産業や観光業などさまざまな産業が存在いたします。また、都内産業の持続的発展を図るためには、中小企業の労働環境の改善を図ることも不可欠でございます。
 そのため、協定の対象を産業振興に関する幅広いものとし、例えば東京TYフィナンシャルグループの提供する金融商品を活用することにより、多摩産材の利用を促進し、林業の振興を図ることや、東京TYフィナンシャルグループが、顧客である中小企業に対して女性の活躍をサポートするための都の支援制度などを紹介し、それを活用していただくことにより、職場環境の改善を進めるといった取り組みを予定しております。

○鈴木(あ)委員 東京の経済の活性化のためには、あらゆる業種の企業の力を集結していく必要があり、東京TYフィナンシャルグループの住宅ローン等の活用で、多摩産材の利用促進、女性の活躍をサポートする支援制度への活用を図るなど、こういった幅広い取り組みは極めて重要だと考えます。産業労働局の各部が力を合わせ、この連携を深めていただくよう求めておきます。
 さて、これまでのやりとりで、今回の新銀行東京と東京TYフィナンシャルグループとの経営統合が、中小企業支援を初めとした産業振興策の一層の取り組みを目指したものであることが確認されました。私の問題意識を申し上げれば、都は中小企業振興公社や産業技術研究センターなどの関係団体を含め多種多様な支援策を展開していますが、中小企業にその内容を理解してもらい、効果的に利用してもらわなければなりません。
 今回の経営統合により、地域金融機関を最大限に活用し、都内隅々の中小企業に対して施策を行き渡らせるには、日常的に中小企業と接する金融機関の行員に都の施策を理解してもらうための具体的な工夫が必要ではないか、このように考えるわけですが、見解を伺います。

○西川金融支援担当部長 都では、資金繰り支援や販路開拓、技術支援や海外展開支援など、中小企業のニーズの多様化に伴い、支援メニューも多岐にわたっておりますが、中小企業には必要なときに必要なメニューを利用していただくことが重要でございます。
 都といたしましては、パンフレットやホームページなどを活用した施策の周知に努めてまいりましたが、今後、ご指摘の趣旨を踏まえ、地域金融機関の店舗網や行員の力を活用し、新たな情報ツールの活用も含めた中小企業へのさらなる施策の浸透について検討をしてまいります。

○鈴木(あ)委員 新銀行東京は、来年春の経営統合によって、新たな一歩を踏み出すことになります。また、都も東京TYフィナンシャルグループの株主として、そのかかわり方が変わることになります。
 しかしながら、中小企業支援の強化という新銀行東京の設立理念が変わるものではありません。今回の経営統合を、そのために、東京都と東京TYフィナンシャルグループとの連携をしっかりと、息の長い取り組みとして進めていただきたいと思います。
 中小企業の振興と育成は、東京都政の最も重要な政策であります。来年の経営統合が中小企業にとって有意義な経営統合につながるよう、そして中小企業施策の幅を広げる経営統合となるよう、来年の経営統合が中小企業にとって有意義な経営につながってもらいたい、本当にそういう思いを強く持っております。精力的な取り組みを求めまして、私の質問を終わります。

○加藤委員 新銀行東京と東京TYフィナンシャルグループの経営統合の最終合意について質問したいと思います。
 東京TYフィナンシャルグループにつきましては、以下TYFGと呼ばせていただきます。
 さきの経済・港湾委員会では、私もこの新銀行東京とTYFGの基本合意に関して質問を行いました。その中で、追加出資が有効に使われ、追加出資当時に融資していた五千六百社を超える赤字や債務超過であった中小企業の約八割が、完済あるいは事業継続しているということが明らかになりまして、中小企業の従業員や家族を路頭に迷わせることのないようにするという、当時の我が党の決断が正しかったということが明らかになりました。
 我が党は、追加出資につきましては、今後の経営状況や将来的な経済状況を見据えた上で、保全、回収すべきというふうに主張してきましたが、さきの都議会の代表質問におきまして、我が党の指摘に対し、都からは、追加出資の確保が当然前提となるとの見解が示されました。
 先ほどの答弁でも、今回の最終合意では、新銀行東京の四百億円分の優先株式と同グループの優先株式を交換することで追加出資が確保されたことが確認できました。
 そこで改めて、今回の最終合意について順を追って確認していきたいと思います。
 まず、今回の経営統合の狙いについて、都の見解を求めます。

○野間金融監理部長 少子高齢化の進展や人口の減少、事業所数の減少など、金融機関を取り巻く外部環境の変化を背景に、首都圏における金融機関同士の競争は激化しており、東京TYフィナンシャルグループは地方公共団体との連携強化による地域ブランド力の発揮、新銀行東京はさらなる営業展開による中小企業への与信の推進などを課題としてございます。
 こうした中、新銀行東京は都との連携に強みを持ち、東京TYフィナンシャルグループは都内全域の中小企業に提供できる高度な金融サービスに強みを持っておりますことから、両者は経営統合に向けた協議、検討を開始することといたしました。
 その結果、両者の強みを生かしましたシナジー効果を発揮し、都内中小企業の育成や支援を通じ、地域の発展に貢献する効果も期待できますことから、最終合意に至ったものと認識してございます。

○加藤委員 さきの経済・港湾委員会では、TYFGから新銀行東京に対する予備的な調査を実施して基本合意に至っており、新銀行東京の経営内容や財政状態に大きな問題は見込まれないという都の認識が示されました。また、追加出資を確保するという観点からは、統合相手であるTYFGの財政状況に問題がないことも重要だと考えます。
 最終合意までの間、両者により厳格な資産査定、いわゆるデューデリジェンスが行われたと思いますが、その点について、どのような結果だったのか説明を求めます。

○野間金融監理部長 去る六月十二日の基本合意締結後、新銀行東京及び東京TYフィナンシャルグループとの間で行われました経営、財務、法務などの専門家によりますデューデリジェンスの結果、経営統合に向けて、特に大きな問題となる事実は双方ともなかったと聞いております。
 そのことを踏まえまして、両者は今回の最終合意に至ったものと認識しております。

○加藤委員 資産査定上、両者に特段の問題がなかったとのことでありますが、経営統合後は、将来にわたって経営の安定性を確保することが重要です。とりわけ都は、TYFGが発行する優先株式を保有することになり、将来の経営の安定性について、確たる見通しを持たなければならないと考えます。
 この点につきまして都の見解を求めます。

○野間金融監理部長 東京TYフィナンシャルグループは、東証一部上場企業であり、東京圏に百六十一店舗を有するなど企業規模も大きく、また、格付機関によっても債務履行の確実性が認められ、投資適格に該当する格付を取得してございます。
 さらに、上場企業として法令等によって開示される情報も多いことから、全ての市場参加者によって、その経営状況を常にチェックされております。
 こうしたことから、東京TYフィナンシャルグループは、高い経営の安定性が確保されているものと考えております。

○加藤委員 今回、都が取得する優先株式の発行主体であるTYFGは、高い経営の安定性が確保されていることが確認できました。もちろん、市場経済の中で、TYFGはみずから経営の安定性を向上させるための努力を積み重ねていかなければならないと思います。
 今、TYFGの発行する優先株式の話に触れましたが、本委員会に報告された資料には、TYFGが新たに発行する優先株式の一斉取得日は、十五年後である平成四十三年四月一日だと記載をされております。一部報道によれば、TYFGは、この十五年後までに四百億円を都に返済する意向とのことです。
 優先株式については、一定の期間を超えると普通株式に転換される性質のものだと理解をしておりますが、今回取得する優先株式の仕組みについて説明を求めます。

○野間金融監理部長 今回、都が取得する東京TYフィナンシャルグループの優先株式は、十五年後に優先株式から普通株式に交換されることとなっておりますが、この期間は金融庁が示しているものでありまして、金融機関が発行する優先株式としては一般的な期間となってございます。
 十五年後までに東京TYフィナンシャルグループが買い取りを希望した場合には、普通株式の株価に関係なく、四百億円で買い戻されることとなります。
 また、十五年後に普通株式に転換される場合には、株価が、経営統合が予定されております平成二十八年四月一日時点の半額以下にならない限りは、四百億円に見合う株式数に転換されることが担保されてございます。

○加藤委員 十五年後に普通株式に転換される場合でも、それまでに償還される場合でも、四百億円が回収される仕組みが講じられていることが確認できました。今回の報道が事実であれば、我が党が主張してきた追加出資の保全だけでなく、回収という主張に沿うものだと受けとめております。これからも、この追加出資を決して毀損させてはなりません。
 また、都が優先株式を保有することにより、追加出資が確保されることに加え、普通株式とあわせ、TYFGから都に配当が支払われることも期待されます。先ほども答弁がありましたが、年間二億円と試算をされているということでした。これも今回の経営統合の利点の一つであると考えます。
 TYFGの株式保有は配当を目的として行うものではありませんが、都としては、支払われた配当は中小企業支援を含めた施策のさらなる充実に活用し、しっかりと都民に還元していかなければならないということも申し上げておきたいと思います。
 東京TYFGが、都との連携施策を推進するなどにより、首都圏マーケットでの競争力を高め、経営の安定性をより向上させることは、四百億円の確保につながっていくことになります。
 一方、都として取り組んでいかなければならないのは、今回の経営統合を中小企業支援の充実に結びつけていくことであります。
 我が党は、中小企業支援策の実効性を担保するため、さきの経済・港湾委員会において、都とTYFGが連携した中小企業支援策について、最終合意のときに協定等を締結することを提案いたしました。今回、その提案に沿って包括連携協定が締結されることとなったのは大変意味のあることだと考えます。
 この協定の締結により、どのような連携策が行われるのか、説明を求めます。

○西川金融支援担当部長 新銀行東京及び東京TYフィナンシャルグループから発表された資料によりますと、今後の具体的な連携策として、多くの中小企業者が活用できる資金供給手段の拡充、推進、起業、創業や事業承継など、ライフステージに応じた支援の充実、海外展開を強力にサポートといった柱ごとにさまざまな取り組みが示されております。
 都といたしましても、いずれも金融機関の力を活用していく必要性が高い分野であると認識しておりまして、既に項目ごとに協議を開始しております。
 具体的には、中小企業向け融資制度の拡充、都が実施する起業家、創業者向け事業への参加、中小企業が海外展開するに当たっての現地での金融関連サポートなどでございます。

○加藤委員 この協定の締結が単なるお題目になっては意味がありません。この協定を中小企業に真に役に立つ実効性あるものにしていくためには、現場の実態に即した取り組みを継続的に実施していくことが必要だと考えます。
 また、新銀行東京が一員に加わるTYFGの側でも、都との緊密な関係を強化するための仕組みづくりも重要です。
 そこで、都及びTYFGとの連携を推進するための体制について、都の見解を求めます。

○西川金融支援担当部長 ご指摘のとおり、連携して産業振興を推進していく上で、実効性を担保するための体制の構築は不可欠でございます。
 東京TYフィナンシャルグループは、新たに都や各種団体等との連携施策を推進するための専門部署として、仮称連携推進室を設置することを表明いたしております。
 都といたしましても、今回の包括連携協定に基づき、関係者による連絡会議を定期的に開催し、都施策の中小企業への浸透と現場の声の施策への反映という両面からの取り組みによりまして、この協定の実効性を担保してまいります。

○加藤委員 我が党は、新銀行東京が経営悪化をした平成二十年当時において、問題から目をそらさず、取引先である中小企業を守るため追加出資を決断いたしました。
 当時は、まだ私は議員でありませんでしたが、こちらにおられる木内先輩、まつば先輩から話を聞きましたところ、毎日非難の嵐で、周りからもどれほど批判され、罵声を浴びせられたかわからないと、振り返ると、当時の状況がいかに大変だったかということがまざまざとよみがえってくる内容でした。まさに今日の将来を見据え、長期的視点に立って苦渋の思いで追加出資を決断したわけです。
 そして、追加出資以降も、不良債権比率など、経営再建に向け、経営面のチェックについても行ってまいりました。
 こうして、このたび新銀行東京は再建にめどをつけることができたこともあり、今回の最終合意を受けて、追加出資が確保されつつ、中小企業支援の充実が期待できるところまでに至りました。まさに当時の決断が正しかったことを確信いたします。
 次の段階としては、我が党がさきの経済・港湾委員会で提案し、今回、締結することとなった包括連携協定と、今ご答弁いただいた実効性を高めるための体制により、都とTYFGが日々の業務の中に生かしていくことであります。この経営統合をさらに中小企業の発展に資するものにしていくことを要望し、質問を終わります。

○かち委員 私からも、東京TYFGと新銀行東京の経営統合にかかわる最終合意について、若干質問します。
 我が党は、今回の経営統合を機に、第三者による経営分析のもと、四百億円の追加出資金はもとより、一千億円の出資金の残金も含め、都民の税金の毀損を最小限に抑えることが重要だと考えます。そして、今後、預金者保護、貸出先の中小企業への支援継続、職員の雇用を確保することを前提に、都が銀行業から手を引く方向を明確にすべきだと主張してきました。
 そこで、きょうは基本的な点についてのみ確認したいと思います。
 このたび、東京TYFGとの最終合意によって、来年四月一日より経営統合の運びとなるわけですが、この経営統合によって、新銀行の利用者、銀行職員などへの影響、変化は生じることがないのかどうかをお聞きします。

○野間金融監理部長 今回の経営統合は、東京TYフィナンシャルグループの傘下銀行に新銀行東京が入るものでありますことから、新銀行東京の既存の預金や融資及び職員につきまして、変化はございません。

○かち委員 経営統合という段階までは、新銀行東京の利用者については預金も融資も変化はない、職員も今までどおりということを確認しました。
 都の追加出資四百億円、新銀行の優先株四百億円に対し、東京TYFGの優先株四百億円を割り当てるということは、四百億円は毀損せず、都に払い戻すことができるということかどうかを確認したいと思います。

○野間金融監理部長 都が取得いたします東京TYフィナンシャルグループの優先株式は、十五年後までに東京TYフィナンシャルグループが買い取りを希望した場合には、四百億円で買い戻すことが可能となっております。
 また、十五年後においても優先株式で保有している場合には、原則として四百億円に見合う株式数の普通株式に転換されることとなります。

○かち委員 基本的に四百億円は確保されるということを確認しました。
 都は、普通株比率で第三位の株主になるとのことですが、都としては株主としてどういう立場で臨むのでしょうか。

○野間金融監理部長 都といたしましては、中小企業支援の強化という方向で東京TYフィナンシャルグループの経営が行われますよう、株主として見守ってまいります。

○かち委員 都が当初出資をした一千億円は、結局どのぐらいの毀損になるのですか。そのことについて、都としての検証はどのようにするのでしょうか。

○野間金融監理部長 今回の経営統合におきまして、新銀行東京の普通株式は、株式交換比率に基づき、東京TYフィナンシャルグループの普通株式となりますが、その株価が変動することから、価値が確定しているものではありません。
 また、新銀行東京の経営につきましては、既に検証してきておりまして、今後はこの出資をどれだけ中小企業支援に役立てていくかが重要でございます。

○かち委員 現在、東京TYFGの株価は、三千八百円で計算すると、普通株式分は約四十五億円です。追加出資の四百億円については払い戻すことが可能としても、当初の出資金一千億円の行方について、都としての検証、その責任について曖昧にすることは許されない、このことを申し上げて質問を終わります。

○田中(健)委員 私からも新銀行東京の経営統合に関する最終合意についてをお聞きしたいと思います。
 私の前に先輩議員から多くの質疑があったものですから、一部かぶるところはご了解いただければと思います。
 これまで私は、新銀行東京は最終的には民間主体の銀行になることが重要だと主張をしてまいりました。今回の経営統合を民間の金融機関同士の統合という観点から見ていきたいと思います。
 本年四月に出された金融庁の中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針では、地方銀行に対して、中小企業へのコンサルティング機能の発揮などの地域密着型金融の取り組みや、地方公共団体との連携を推進することが記載をされております。
 人口減少等を見据えて、地方銀行同士の再編が全国で進展をしています。
 この九月にも、八日に横浜銀行と東日本銀行が、十五日は香川銀行と徳島銀行を傘下に持つトモニホールディングスと大阪地盤の大正銀行が、相次いで経営統合の最終合意を発表しました。
 地方銀行の数は今、全国で百五行、また信用金庫や信用組合を合わせますと五百余りの金融機関があり、とりわけ首都圏は、メガバンクを初めとした多数の金融機関がひしめく激戦区であり、貸し出しの増加を求めて、地方の銀行が支店を開設するような動きも顕在化をしています。
 今回の新銀行東京と東京TYフィナンシャルグループの経営統合についても、こうした地域の金融機関をめぐる大きな流れの一つとしても捉えることができると思います。
 これらを踏まえて、今回の最終合意において、新銀行東京及び東京TYフィナンシャルグループが経営統合する目的はどのようなものであるのかをまず伺います。

○野間金融監理部長 東京TYフィナンシャルグループは、首都圏における中小企業と個人のお客様に総合金融サービスを提供することを通じ、地域社会の発展に貢献することを経営理念として、昨年十月に発足した金融グループでございます。
 また、新銀行東京は、技術力や将来性等のすぐれた都内中小企業の資金調達を支援するため、都の中小企業支援策の一環として設立された金融機関でございます。
 このたび、両者は、それぞれの強みを生かしながら、地域金融の担い手として一層の真価を発揮し、相乗効果も期待できることから、経営統合に至ったものでございます。
 この経営統合により、東京TYフィナンシャルグループは、将来を見据えた持続可能なビジネスモデルを確立し、首都東京において顧客から真に愛される地域ナンバーワン都市型地銀グループとなることを目指してございます。

○田中(健)委員 東京TYフィナンシャルグループは、東京都民銀行と八千代銀行を傘下に有する、預金残高約四兆五千億円、貸出金残高約三兆三千億円、東京圏に百六十一店舗を有する、都内でも最大規模の地域金融機関であります。
 今回両者は、経営統合により、中小企業支援への育成、支援を通じ、地域の発展に貢献するとともに、首都圏マーケットでの競争力を高めていくとしております。
 都としても、今回の経営統合を中小企業の支援の強化につなげていくことが重要であることはいうまでもありません。
 まず、この経営統合の目的の一つでもある東京TYフィナンシャルグループの中小企業支援の状況について、確認をしていきたいと思います。
 東京TYフィナンシャルグループの中小企業向けの貸し出しの割合及び東京TYフィナンシャルグループは、これまでどのように中小企業支援策について取り組んできたのかを伺います。

○野間金融監理部長 東京TYフィナンシャルグループの平成二十七年三月期におけます中小企業等向け貸し出しの割合は、約八割となっております。
 これまでの東京TYフィナンシャルグループの中小企業支援の取り組みといたしましては、新規創業のためのサポート支援窓口であるシブヤ創業サポートオフィスによる支援や、中国の上海に設置した現地法人を活用した中小企業の海外展開支援などがございます。

○田中(健)委員 東京TYフィナンシャルグループは、今回の経営統合を契機に、連携推進室(仮称)を新設するということが発表されましたが、その役割についても伺います。

○西川金融支援担当部長 東京TYフィナンシャルグループは、都を初めとした地方公共団体や各種団体との連携を幅広く強化するため、仮称連携推進室を設置することとしております。
 具体的な役割といたしましては、顧客の要望に応じて都の施策を案内し、また、顧客のニーズを踏まえた新たな施策を都へ提案するなどとしております。

○田中(健)委員 これまでの質疑の中で、東京TYフィナンシャルグループは、中小企業支援に注力をしてきた金融機関ということでありまして、今回の経営統合を契機に、今、都との連携に積極的に取り組む体制を整備しようとしていることが理解をできました。
 東京TYフィナンシャルグループは、この新銀行東京との経営統合で、どのようなさらなるシナジー効果を生むことが考えられるのか伺います。

○野間金融監理部長 東京TYフィナンシャルグループは、今回の経営統合によりまして、東京TYフィナンシャルグループの持つ都内百二十二店舗のネットワークと、新銀行東京の持つ都との連携や信託機能を結びつけることで、多様化、高度化する顧客ニーズに応え得る金融サービスの拡充を図っていくことを掲げております。
 これらの取り組みを展開することによりまして、収益力を高め、営業基盤の拡充を目指しております。

○田中(健)委員 今回のこの経営統合によって、さらにお互いの銀行がウイン・ウインの関係を築いていかなくてはなりません。
 東京都と東京フィナンシャルグループ及び新銀行東京は、最終合意の発表と同時に、東京における産業振興に関する包括連携協定を締結いたしました。
 この狙いについては、さきの質疑の答弁の中でありました金融機関同士の相互方向の取り組みということでありますので、そこに期待をしたいと思っております。
 その中で都は、新銀行東京の八四・二二%の株主から、東京TYフィナンシャルグループの三・九%の株主となります。
 都は、東京TYフィナンシャルグループ及び民間主体の運営に移行した新銀行東京と、産業振興について新たな協力関係を構築して、しっかりとした中小企業支援に取り組んでいくことが重要となります。
 金融庁がことし七月三日に発表した金融モニタリングレポート、一年間の金融の検査、監督のレポートでありますが、これによりますと、金融緩和や競争激化の中で、地銀の中核業務であります貸出金利の利回りというのが大きく下がっています。
 二〇一一年の一・八八から、二〇一五年、直近では一・四四にまで低下をしておりまして、この傾向が続けば、経常利益が現状の半分以下の水準となる銀行が全国で二割程度あるとも試算をされています。
 また一方で、中小企業の数も、二〇〇九年から二〇一二年の三年間で三十五万者、八%余りが減っておりまして、今後二〇二五年までには、中小企業向けの貸し出しは、東京も含めた全ての都道府県で減るという試算もされております。
 このような現状を見ますと、今回の統合で、東京TYフィナンシャルグループはさらに発展して都内最大級の地域金融機関になるとはいえ、決して楽観できる状況でないことはよくわかると思います。
 ぜひ、これから統合によるメリットといわれます本部組織の簡素化や、グループ一体のALM管理や、事務センターの集約を進めて経費の削減を図ることで、一層の経営努力に励んでもらうことをこの場で要望したいと思います。
 最後に、追加出資の四百億円の取り扱いについて伺います。
 これも多くの委員の皆さんから質問がありましたが、大事なことですので一問、質問をさせてください。
 都が保有する新銀行東京の優先株式四百億円に対して、東京TYフィナンシャルグループの四百億円の優先株式が割り当てられることが決まりまして、毀損することなく株式交換が決まったことは大変評価をしたいと思います。
 そこで、今回の優先株式がどのようなものであるか再度伺います。

○野間金融監理部長 今回の株式交換におきまして、都は一株につき二万円の優先株式二百万株を保有することとなりますが、この優先株式は、日々の株価の変動を受けず、普通株式に優先して配当を受けることとなってございます。
 また、十五年が経過した時点で普通株式に転換される条件が設定されております。

○田中(健)委員 この四百億円を確保した上で、さらにどのようにこれを少しでも取り戻していくのかというのが今後の課題とも考えています。
 今回の株式交換により、都は、普通株式と優先株式の両方から配当を受けることが可能となります。これも先ほど来出ておりますが、その額は年間約二億円と試算をされています。
 仮に、その配当だけでこの四百億円を返済していくといった場合は、単純にやると二百年かかる計算になってしまいますが、一方で、先ほどもありました東京TYフィナンシャルグループが十五年以内に返済をするといった報道もされています。
 前回の経済・港湾委員会での私の質疑では、東京TYフィナンシャルグループの資本の取り扱いは、金融庁の監督のもと、東京TYフィナンシャルグループみずからが経営判断で行っていくものと答弁がありました。
 その中で、東京TYフィナンシャルグループが十五年の間に返済していく意思を表明したことは、前進といっていいかと思います。
 そのためにも、東京TYフィナンシャルグループが、経営統合の目的である中小企業支援を推進しつつ、民間企業として経営の独自性を発揮しながら収益を上げていくことが重要であります。
 中小企業庁の調査によりますと、地域の金融機関に対して中小企業の支援ができているかと聞いたところ、八〇%近くの地域金融機関はできていると、対応できていると答えたのに対して、実際、中小企業側に聞くと、満足しているという答えは三〇%にとどまり、さらに不満だと答えた企業も二〇%に達しているというレポートが出ています。
 つまり、まだまだ中小企業支援にはやるべきことが、またできることが、さらにはニーズもあるということであります。
 平成二十八年の四月の経営統合まで約半年となりました。新銀行に出向している都の職員をどうするか等々、都の新銀行に対する関与というのは今後の課題とも考えておりますが、都には、民間企業である東京TYフィナンシャルグループと連携をして、経営統合の目的である産業振興をしっかりと進めていくこと、これを改めて要望しまして質問を終わります。
 以上です。

○近藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○近藤委員長 異議なしと認め、報告事項、新銀行東京の平成二十八年三月期第一・四半期決算について外二件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で産業労働局関係を終わります。

○近藤委員長 次に、特定事件についてお諮りいたします。
 お手元配布の特定事件調査事項につきましては、閉会中の継続調査の申し出をしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○近藤委員長 ご異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○近藤委員長 この際、所管四局を代表いたしまして、武市港湾局長から発言を求められておりますので、これを許します。

○武市港湾局長 本委員会所管四局を代表いたしまして、一言御礼のご挨拶を申し上げます。
 近藤充委員長を初め委員の皆様方には、本定例会にご提案いたしました議案等につきまして、熱心なご審議を賜り、まことにありがとうございました。
 ご審議の過程で賜りました貴重なご意見、ご指導につきましては、十分に尊重させていただき、今後の事務事業の執行に万全を期してまいります。
 今後とも、所管四局に対しまして、より一層のご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げて、御礼のご挨拶とさせていただきます。まことにありがとうございました。

○近藤委員長 発言は終わりました。
 この際、私からも一言ご挨拶を申し上げます。
 委員長任期最後の委員会となりました。鈴木副委員長、そして加藤副委員長、理事の皆さん、委員の皆さんのご支援をいただき、ご協力をいただき、この一年間、何とか委員長職を務めさせていただきましたことを心から感謝申し上げ、御礼申し上げたいと思います。
 また、行政の皆さんにおかれましても、この一年間、ご多端だったと思いますけれども、大変真摯に対応していただきましたことを心から感謝申し上げたいと思います。
 私ごとで恐縮でございますけれども、私、八王子出身でございますが、私の周りの人たちに東京都の最近の話題はというふうに聞きますと、誰もがいうのはオリンピック・パラリンピックでございますけれども、それに次いで都民の私どもの八王子のニュースは、マグロの話でございました。葛西臨海公園のマグロの話でございますけれども、それに次いで、ことし一年間は、今、議題になっておりました新銀行東京の問題やら、豊洲新市場の予定の出店業者の撤退問題やら、また、私どもの地元では、信金によりますプレミアム商品券の不正な取り扱いもございましたし、さらには被災地支援であります旅行の関係で一部ちょっと問題もございましたので、大変いろんな話題の多かった年だというふうに思います。
 また、最後、きょうもいろんな委員からもお話がございましたけれども、調布飛行場で事故に遭われた方には大変心からお悔やみを申し上げたいと思いますし、お見舞いを申し上げたいというふうに思います。
 ことしは一年間、私にとりましては、特に還暦を迎えた記念の年でもございますので、大変記念になりました。委員会は離れますけれども、これからも政策の提言として一生懸命勉強させていただきながら仕事をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 一年間大変お世話になりました。ありがとうございました。(拍手)
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時二十九分散会

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