経済・港湾委員会速記録第七号

平成二十七年六月十九日(金曜日)
第八委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長近藤  充君
副委員長加藤 雅之君
副委員長鈴木あきまさ君
理事中山ひろゆき君
理事田中たけし君
理事かち佳代子君
鈴木 章浩君
田中  健君
堀  宏道君
尾崎あや子君
三宅 正彦君
まつば多美子君
木内 良明君
三宅 茂樹君

欠席委員 なし

出席説明員
産業労働局局長山本  隆君
次長藤田 裕司君
総務部長村松 明典君
産業企画担当部長青山 忠幸君
商工部長十河 慎一君
金融部長松永 竜太君
金融監理部長片山  謙君
金融支援担当部長西川 泰永君
観光部長杉崎智恵子君
農林水産部長寺崎 久明君
安全安心・地産地消推進担当部長武田 直克君
雇用就業部長矢田部裕文君
事業推進担当部長小金井 毅君
就業施策担当部長貫井 彩霧君
中央卸売市場市場長岸本 良一君
管理部長野口 一紀君
事業部長白川  敦君
新市場整備部長飯田 一哉君
市場政策担当部長金子 光博君
財政調整担当部長坂田 直明君
移転支援担当部長長田  稔君
新市場事業推進担当部長櫻庭 裕志君
移転調整担当部長赤木 宏行君
基盤整備担当部長若林 茂樹君
施設整備担当部長佐藤 千佳君

本日の会議に付した事件
意見書について
中央卸売市場関係
報告事項
・環状第二号線及び補助第三一五号線交差部分における歩行者デッキ整備工事(膜屋根・ガラス高欄ほか)(その二)(質疑)
・豊洲新市場(仮称)青果棟付帯施設建設その他工事(質疑)
・豊洲新市場(仮称)水産仲卸売場棟付帯施設建設その他工事(質疑)
・豊洲新市場(仮称)水産卸売場棟付帯施設建設その他工事(質疑)
・千客万来施設事業再公募の概要について(説明・質疑)
産業労働局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百三十七号議案 東京都立産業貿易センター条例の一部を改正する条例
報告事項
・東京都が東京信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄の報告について(質疑)
・新銀行東京の「平成二十七年三月期決算」について(質疑)
・新銀行東京の「中期経営計画(平成二十七年度~平成二十九年度)」について(質疑)
・新銀行東京の経営統合に係る基本合意について(説明・質疑)

○近藤委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 初めに、意見書につきまして申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件につきましては、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○近藤委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○近藤委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、産業労働局関係の付託議案の審査並びに中央卸売市場及び産業労働局関係の報告事項の聴取を行います。
 これより中央卸売市場関係に入ります。
 初めに、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○野口管理部長 千客万来施設事業再公募の概要についてご報告申し上げます。
 再公募に当たりましては、本事業に関心を有する事業者が応募しやすい環境をつくるため、公募条件を一部見直すとともに、今後のスケジュールについて取りまとめた再公募の概要を作成、公表いたしました。
 お手元の資料1をごらんください。
 一枚おめくり願います。千客万来施設事業再公募の概要のポイントでございます。
 主な改正内容といたしましては、まず、事業期間につきまして、採算性を高める観点から、前回の三十年間を今回三十年以上五十年未満の間で検討することといたしました。
 次に、敷地につきまして、事業者が開発をしやすくする観点から、前回の五街区、六街区一体開発を六街区の先行募集とすることといたしました。
 さらに、豊洲新市場開場後、速やかに開設できるよう、早期開業が優位となるような審査基準を検討することといたしました。
 今後の募集スケジュールでございますが、本年九月に詳細な内容を記載した募集要項等を公表し、来年一月に提案書を受け付け、三月に事業予定者を決定、公表する予定でございます。
 そのほか、事業者が事業を実施する際、市場関係者及び築地場外市場業者との調整が必要な場合には、都が事業者と連携して調整に当たってまいります。
 また、用地の貸付料及び保証金は、募集要項の公表時に提示してまいります。
 以降につきましては、本文の概要でございますので、ご参照いただきたいと存じます。
 千客万来施設事業再公募の概要につきましては以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○近藤委員長 報告は終わりました。
 本件に対する質疑は、既に説明を聴取しております四件の報告事項とあわせて、一括して行います。
 これより質疑を行います。
 発言を願います。

○木内委員 今、報告のありました千客万来施設についてお尋ねをいたします。
 これまで私は、見聞をしてまいりました諸外国のフィッシャーマンズワーフの例を引用したり、あるいはまた、新しい江東区におけるまちづくりとの概念の中で、豊洲新市場はどういう位置づけであるべきか、こうした中における千客万来施設はどういう概念のもとに進めるべきかという、この質疑を本委員会でたびたびにわたって行ってまいりました。
 いうまでもなく、豊洲新市場は、今までの築地市場にかわって江東区豊洲に整備される市場であります。よって、築地で日々行われている内外から集まる生鮮食料品の活気あふれる取引が、豊洲においてもさらに、これからの卸売市場、日本の食文化の発信基地としてさらなる発展をしていくことを心から期待しているわけであります。
 なお、あらかじめ申し上げておりますが、きょうの質疑は、具体的に問題点、課題等をただすということよりも、今日的課題の中における市場の機能の充実と千客万来施設のまちづくりに果たす役割、こういったいわゆる概念、理念の私の主張を執行機関側にもしっかりと受けとめてもらいたいという意味で、提案を交えながら申し上げたいと思うわけであります。
 築地が築地であるゆえん、これは一体何なのか。もちろん国内はもとより、世界から集まる多くの種類、築地にない魚はないといわれるほどのバリエーションと豊富な量、これらを扱う目ききという半世紀を超える歴史と伝統に育まれた力、こうしたものがその中心、核心であることは論をまちません。いわば機能や設備といったハード面の充実もさることながら、この中央卸売市場の歴史の中には、こうした人々の感性や経験、また、豊かな、さまざまな見識に基づいたソフト部分の財産ともいうべき積み重ねがあったわけでございます。こうした、いわば歴史と伝統の力というものが市場をこれまで前進させてきたということがいえるわけであります。
 しかし、これに加えて、これらが生み出すエネルギー、熱気、これは築地のもう一つの力であると思います。こうしたものに多くの人々が引かれ、築地市場の外側、いわゆる場外市場が形成され、近年は外国人観光客までもが大挙して訪れるにぎわいに満ちたスポットとなっているのであります。
 私はよく、江東区と隣接している中央区でありますから、足を運ぶんですけれども、もう狭隘なあの敷地の中で、外国から来たゲストといいますかビジターが、あの建物の間を右往左往しながら、よく事故を起こさずに動き回っているものだという、その実態を目の当たりにするわけでありますけれども、外国人観光客が大挙して訪れる最も人気あるスポットの一つが市場ということがいえるわけであります。
 豊洲新市場は、もちろん卸売市場として、いわばプロのニーズに応える真剣勝負の場であるべきであります。そして、いわゆる場外市場も相まったそのエネルギー、熱気をあわせ持ったまちとして発展をさせていかなければならない、私は心底そう実感するのであります。
 東京都は、豊洲新市場の整備にあわせ、千客万来施設を整備することとしておりまして、今回、再公募についての報告を受けたところでありますが、私は、千客万来施設の本来の役割、そして根源的な意味について、きょうの質疑を通して確認をし、長期的な視点、さらには理念、哲学に満ちたまちづくりへの貢献という考え方に富んだありようについて提言をさせていただきたいと思うのであります。
 長くなりまして恐縮ですが、千客万来、この言葉をひもとくと、多くの客が入れかわりひっきりなしに来て絶え間がない、店などが繁盛していたり来客が頻繁にあったりするさまというふうに、その意があらわされています。
 古くは吉川英治も用いたこの言葉から想像される光景、それは我々にとって、豊洲新市場に隣接し、築地の熱気、にぎわいを豊洲の地においても継承され、市場と一体となって、時間をかけて豊洲というまちになくてはならないものになっていくと、こういうことでありまして、豊洲という場所においてこうしたまちづくりがなされるということ、これは都民、とりわけ地元に住まう人々の大きな願いでもあります。
 さて、そこで、最近のメディアをにぎわすのは、まことに残念なことでありますけれども、千客万来施設の事業予定者の撤退に関するニュースばかりであります。いわく、豊洲新市場の観光施設が頓挫した、豊洲の商業施設に暗雲などなど、こうした出来事はもちろん遺憾でありまして、残念至極といわなくてはなりません。
 豊洲に新たに住まうようになった若いファミリー層、ちまたではシロガネーゼ、本委員会でも私はこれまでも触れたことがありますけれども、港区の高級住宅街、白金を中心にした地域に住んでいる、誤解があってはいけませんけれども、高学歴、高収入の若い主婦の方々を中心にシロガネーゼという言葉がありますけれども、実は豊洲には、最近新しい造語としてキャナリーゼという言葉ができてきた。すなわち、運河を中心に発達したあの地域に住む、そうした若い女性、あるいはヤングミセスの主婦たち、これを指していうのがキャナリーゼというのでありますけれども、こうした方々との懇談の場でも私はよく耳にするんですけれども、今回の撤退騒動を耳にしてがっかりしている方々が非常に多いという実態があるのであります。
 前回の委員会において、ある会派の委員は、事業予定者の一部撤退という状況について質疑を行っておりましたが、私は、この場でこのような個別の事情について深く追及することは、あえて差し控えようと思うのであります。すなわち、このまちづくりと市場と、そうして千客万来施設などのさまざまな機能を全体観に立って議論するとき、これを換言すれば、私は、こうした経過というものを矮小化してはならない、このように思うのであります。
 もちろん、東京都と事業予定者の間でさまざまなやりとりがあり、結果的に辞退ということになったことは承知しております。一年という期間を費やした結果、事業の進捗に少なからぬ影響がもたらされたことも事実であります。両者が最終的に決別し、別々の道を歩むことになったということについても、立場や考え方の違いこそあれ、当初の発想において、豊洲においてよいものをつくりたいという思い、情熱そのものは、一定のベクトルを持って一体的に同じであったのではないかと、ここまで推察してもよろしいんじゃないか、こう私は信じたいのであります。
 翻って、真に重要なことは、都民にとっても地元にとっても、もちろん市場業界の皆さんにとっても、長きにわたりよいものができた、つくってよかったといってもらえるものを整備することではないだろうかと思うのであります。
 こうした状況にあって、千客万来施設を整備することの理由、考え方を東京都は改めてしっかりと表明し、表面的な理解をする方々の誤解を丁寧に解きほぐすことが重要であると考えます。
 先ほど概略についての報告事項がありましたけれども、この千客万来施設は単なる商業施設ではなく、市場と一体になってその機能を発揮すべきものであり、当局もそのように認識しているはずでありますけれども、前置きが大分長くなりましたけれども、この点について改めてこの場で伺いたいと思います。

○金子市場政策担当部長 千客万来施設は、築地特有の貴重な財産であるにぎわいを継承、発展させるとともに、豊洲新市場本体施設と連携し、豊洲ならではの活気やにぎわいを生み出すことで、豊洲新市場の魅力を高めつつ、地域のまちづくりや活性化に貢献することを目的として整備するものでございます。
 この目的を実現するため、千客万来施設に、食の魅力を発信する、国内外から多くの観光客を引きつける、市場関係者の活性化に貢献するという三つの機能を導入することとし、公募型プロポーザル方式により、民間事業者の創意工夫を引き出し、施設の整備、運営を図ってまいります。

○木内委員 今、るる説明いただきましたけれども、千客万来施設の整備は、つまり、まちづくりそのものであると、こう受けとめて認識をしたいのであります。まちづくりは決して短期的なものではなく、また、近視眼的なものでもなく、もちろん投機的であってもならないわけであります。一方で、社会経済状況の変化を敏感に捉えて、現実的側面をよく見据え、時にはフレキシブルな対応をすることも必要であります。ここが重要なところであります。
 今回、都は、再公募に向け、その方向性を示し、見直しのポイントをあらかじめ発表することとしました。この手法は、第一回、前回とは異なるものだと思います。これによって事業者の進出意欲を高め、限られた期間内に手を挙げることに資する対応であり、この手法というものを私はあえて評価をしたいのであります。
 そこで今、意義と目的については確認をいたしましたけれども、改めて今回、再公募に向けた概要の考え方、内容について、この場で明らかにしてください。

○金子市場政策担当部長 千客万来施設の事業者を再公募するための募集要項等を作成し公表していくためには、改めて土地の鑑定評価等に基づく用地貸付料の設定や、法的側面からの確認を行うなど一定の時間が必要となってまいります。
 そのため、千客万来施設に関心を有する事業者が十分に検討することができる環境をつくり、応募を促すよう、募集要項等の公表に先立ちまして、公募条件の一部見直しや、今後のスケジュールを盛り込んだ再公募の概要を公表したものでございます。
 主な見直しの内容といたしましては、採算性を高める観点から、事業期間を三十年以上五十年未満の間で検討すること、それから、事業者が開発しやすくする観点から、敷地につきまして、六街区の先行募集とすること、できるだけ速やかに施設を開業できるよう、早期開業が優位となるような審査基準を検討することでございます。
 さらに、事業者が市場関係者や築地場外市場業者と調整する場合、都が事業者と連携し調整に当たることとし、都が積極的に関与し、千客万来施設事業をより円滑に進めるよう取り組んでまいります。

○木内委員 いってみれば、理念は変えず、対応は現実的に、実態に即した効果的な構築をしようと、こういう意図だと思います。
 例えば、事業者が十分に検討することができる環境をつくる、あるいは事業期間を五十年未満の間で検討、六街区の先行募集、あるいは、非常に大きな意義を持っているかなと思うのが、事業者が市場関係者や築地場外市場業者と調整する場合、都が事業者と連携し調整に当たるという、今、報告がありました。これはまさに都が積極的に関与し、そして信頼関係を醸成する中で、その責任を果たそうという非常に強い決意のあらわれだと、こういうふうに認識をしたいと思うんでありますが、それはよろしいですか。答弁要りません、うなずいてくれればいいです。これは、きょうの質疑で大事なことであります。
 一方で、事の瑣末な部分について取り上げたり、ワイドショーの一場面よろしく、おもしろおかしく報道するなどの向きがあるのは、さっきも申し上げたけれども、まことに残念なことであります。
 あまつさえ、築地市場の移転、豊洲新市場の整備について、いまだに土壌汚染の問題を持ち出し、現地再整備などということをいう、一部のこの会派のような存在自体、私は非常に遺憾である、こういうふうに申し上げたいのであります。
 行政や議会といった公共の福祉に携わる者にあっては、批判は物事を前に進めるという前提で進めなければならない。ためにするための議論であっては断じてならない。このことは自明の理でありまして、そうした不毛の議論は、真面目なこの議会の場ではやめてほしいと、このようにさえ私はあえて訴えたいのであります。
 今回の問題について考えるにつけ、責任を持ってこの事業を進めていかなくてはならないという使命感を、私自身、改めて感じる次第であります。私は、他の同僚議員とともに豊洲新市場の移転に尽力し、特に千客万来施設については、並々ならぬ思いを込めて提案もし、主張もし、取り組んでもまいります。これにはいささかのわけがあるのであります。
 私は下町に生まれ育ち、政治の道に携わってからも、その多くの時間を地元、そして都政のために費やし、汗を流してきました。これまでの委員会で何度か申し上げましたけれども、江東区は江戸のいにしえの時代においては、豊かな水運と下町の人情と風情に満ちたまちでありました。当時の本所、深川に生きる人々の息遣いは、古くは池波正太郎、最近では直木賞作家の山本一力さんの著作において、今も生き続けていることはよく知られているのであります。
 時代は変わり、明治の近代化の声が聞こえるようになると、セメントや肥料、さらには鉄道車両など、いわゆる文明開化の礎となったものの工場が次々と建設され、そして、太平洋戦争後の復興期には、豊洲の埋立地に電気、ガス工場がつくられ、百年の長きにわたり、我が国の経済発展を下支えする場として生きることになったのであります。
 ちなみに、あの昭和三十年代に開通した東海道新幹線の車両、これも申し上げた江東区の汽車会社というところの敷地、南砂にありますけれども、ここでつくられたということになっているのであります。
 その反面、かつての水辺はよどみ、小学校の校歌にさえ歌われた勢いよく煙を吹き出す煙突や、ごうごうたるクレーン、これはいつしか区民の誇りから都民生活を脅かす存在になってしまった。
 私は、これまで五期、都議会議員を務めさせていただいております中で、経済・港湾委員会の在籍期間が長かったんですが、学校の先輩でもあり、今、江東区の区長になられた山崎孝明さんという方がおられました。あの方がこの委員会で、かつて江東区の歴史をひもとくとき、埋め立てと工場のクレーンの音と、もくもくと煙突から出る煙を歌った地元の小中学校の校歌を、この経済・港湾委員会の場でさまざまな感慨を込めて声高らかに、イレギュラーなことでありましたけれども、歌っていたことを今思い出すのであります。こうした、いわば区民の誇りはいつしか忘れ去られ、長きにわたり苦しみの歴史を歩まざるを得なかったのであります。
 こうした歴史を乗り越え今がある。そんな昔話を知らない住民が豊洲ばかりではなく内陸部にもふえ始めたことは、ある意味とてもよいことであると思います。十五日に発表されました、江東区の人口が五十万人を突破したというマスコミの記事がありました。二十三区の中で八番目に区民が五十万人を超えたと発表している。かつて深川区と城東区、江東区の前身でありますけれども、終戦直後の人口は、戦災によって二万五千人余りに減少をしました。それから、まちの顔が変わり、あるいは都市環境、都市構造が変わる中で、ついに今月、五十万人を突破した。まことに感慨深い発表が行われたのはつい最近のことであります。
 我々は、ややもすると、みずからの拙い経験に頼って物事を判断しがちであります。しかし、大事なことは、長期的な視点、歴史に学ぶ謙虚さ、そして、政にかかわる立場としての責任と思いであると私は考えます。
 豊洲新市場についても、そして、千客万来施設についても同様であると思います。まちづくりは、おおよそ長い時間がかかるものです。同じ江東区内の臨海副都心、これも、まち開きからおおよそ二十年経過し、今や多くの人々でにぎわい、先端的な研究拠点など、多様な施設が立地するまちとして立派に成長しました。築地市場の移転問題のこの議論は、既に四半世紀を超える時間を費やし、豊洲新市場の開場を翌年に控えるまで、ここに来てやっとこぎつけた。やはり同じ感慨深いものがあるのであります。
 豊洲新市場はもちろん、千客万来施設は、単に施設を整備するだけではなく、そのコンセプトが広く人口に膾炙し、卸売市場の熱気、エネルギーと一体的に実感することができ、にぎわいに満ちた拠点として多くの方々の記憶に残るためには、それだけのものをつくり上げていく以上、これからも長い時間を要することは、いわば歴史の必然であります。
 こうした視点を常に持ち、同時に、今回のような現実を見据えた、機を見るに敏な対応を織りまぜながら、よりよい施設を、そしてよりよいまちをつくり上げていってもらいたい。その意味では、東京都の中央卸売市場の市場長を先頭にした幹部職員の方はもとより、全職員の方々への期待はこれまでになく大きいものがあるのであります。
 大分長広舌になってしまいましたけれども、きょうは、お尋ねをするのはポイントに絞り、私自身のまちづくりと市場、千客万来施設の役割、ありようについて、主張を長々とですが述べさせていただきました。
 最後になりますけれども、長期的視点に立って、これまでの枝葉の議論や、いわば雑音に惑わされず、千客万来施設の本質的な意義や役割を押さえ、長きにわたり都民や地元に愛されるものを築き上げてほしいと願ってやまないわけであります。
 何度も申し上げるように、今置かれた中央卸売市場長の立場と決意は誰もが期待を寄せているところでありまして、その深い感慨を最後に市場長にお述べをいただきたいと思います。

○岸本中央卸売市場長 現在の築地のにぎわいは、築地市場で働く人々、そこを訪れる人々、そして、市場とともに歩んできた場外市場が相互に連携し、長い年月をかけ一体となって生み出されてきたものであると認識しております。
 今回、築地市場が豊洲に移転するに当たり、豊洲ならではの活気やにぎわいを生み出していくためには、築地の場外市場に相当する新たな施設を着実に整備し、築地のよき伝統を受け継ぎつつも、時代の変化に対応した新たな魅力を加えることで、豊洲新市場と一体となり歩んでいくことが不可欠であると考えております。
 今回、千客万来施設の事業予定者が辞退するという状況になりましたが、再度仕切り直しを行い、豊洲新市場と連携して、築地固有の魅力をさらに高めた、新たな豊洲ブランドともいうべきものを築き上げていきたいと考えております。
 今後、我が国の食文化を内外に発信する一大拠点となり、長きにわたり都民や地元に愛される施設となるよう、豊洲新市場にふさわしい、しっかりとした千客万来施設を責任を持って整備していく決意でございます。

○かち委員 私からも、千客万来施設計画について伺います。
 千客万来施設計画については、三月十七日の当委員会での私の質疑で、二月には資格要件のある大和ハウスが撤退したことをもって、資格要件のない喜代村だけではこの計画の継続は困難になったんだから、白紙に戻して、千客万来施設のあり方も含めて検討し直すべきだと申し上げましたが、結局、四月二十七日に、とうとう喜代村も撤退ということになり、この計画は白紙に戻りました。
 このたび、改めて再公募ということになったわけですが、この間の経緯と問題点をどのように総括しているのか、お聞きします。

○金子市場政策担当部長 事業予定者の決定後、千客万来施設事業における当事者の役割や事業計画などにつきまして定める基本協定書の締結に向けまして、協議を重ねてまいりました。
 特に、事業予定者間での連帯債務など、事業の仕組みや事業計画上重要な車両動線の問題について見解に相違があり、協議が難航いたしました。
 本年二月に大和ハウス工業株式会社が事業を辞退いたしましたが、同日、株式会社喜代村からの事業継続願いを受けたため、都として検討の結果、同社が引き続き、六街区の事業予定者として本施設を整備、運営することといたしました。
 その後、千客万来施設を豊洲新市場の開場に合わせ早期にオープンできるよう、事業予定者と精力的に協議を重ねてまいりましたが、本年四月に事業予定者より本事業を辞退するとの申し出がなされました。
 このような事態を受けまして、千客万来施設が豊洲新市場にとって必要な施設であることから、速やかに再公募に向けた取り組み及び手続を実施いたしました。
 以上の経緯を踏まえまして、本事業を着実に進めていくためには、より多くの事業者が応募できる環境づくりを行うことが重要であると認識しております。
 このため、公募条件を一部見直すとともに、今後のスケジュールについて取りまとめた再公募の概要を去る六月十二日に公表いたしました。

○かち委員 ただいまのご答弁では、株式会社喜代村から事業継続願いを受けたとしても、そもそも大和ハウスが辞退をしたもとで喜代村に資格要件がないのではないかと、私は当委員会でそのとき質問しました。都の答弁は、協力会社が本業にかかわる当てがある、そのことをもって事業予定者である、資格があるとしていたではありませんか。それを不問にしたご答弁では、それは事実ではなかったのではないかと思わざるを得ません。
 また、精力的に協議を重ねてきたといっても、事業予定者が撤退せざるを得なかった要因については説明がありませんでした。事業予定者に決まって一年もの間、基本協定も結べず、事業者が次々と撤退したことについて、何ら総括がなされていないといわざるを得ません。
 再公募の条件が前回と大幅に変更されていますが、それぞれの理由は何ですか。

○金子市場政策担当部長 公募条件の主な変更内容と理由についてでございますが、まず、事業期間につきまして、前回の三十年を今回三十年以上五十年未満の間で検討するとしたことは、採算性を高める観点からでございます。
 次に、敷地につきまして、前回の五街区、六街区一体開発を六街区の先行募集としたことは、事業者が開発しやすくする観点からでございます。
 さらに、早期開業が優位となるような審査基準を検討することは、豊洲新市場開場後、速やかに開業できるようにするためでございます。

○かち委員 再公募の条件変更は、結局のところ、いかに進出コストを抑えて進出メリットを上げるかというふうにも思えます。これまでの総括もないため、そもそも千客万来施設をどうするのかなど、根本的な検討がなされていないといわざるを得ません。
 オープンが市場開場には間に合わないことが明らかな中で、新市場が開場後にも継続する建設工事が市場本体の営業活動に与える影響について、どのように捉えているのでしょうか。

○金子市場政策担当部長 仮に豊洲新市場開場後に施設整備工事を行う場合は、市場業務に支障が生じないよう、市場関係者と十分な工事調整を行い、施工するようにしてまいります。

○かち委員 大体、この計画自体が市場関係者の望んだものではなかったということは、平成二十四年の第十九回市場建設懇談会で、関係者からは一つの賛成意見もないことがわかっていたではありませんか。
 この報告があったときのものですが、今まで全く報告もなかった、業界にヒアリングもなかった、市場の隣接ではなく市場内であるということも驚きの声です。業界との話し合いもないままこれをつくるということは、大変無謀かつ冒険心に富んだ計画だとの声が出されています。この日の質疑時間のほとんどは、この問題に費やされていました。また、同時開場でなければやめてほしい、やっとの思いで移転して、それからまた入り口で工事、とんでもない、そんなのは許されないですよなど、厳しい意見が相次いで出た、この声を受けとめて対応すべきです。
 きのうは、江東区議会での経過説明で、やはり同時開場だという声が激しく出されたようです。そうであるならば、今となっては同時開場は不可能に近いわけです。それを無理にも強行すれば、またどこかにゆがみが出てきます。
 千客万来施設については、当面は凍結し、関係者でそのあり方も含め根本から見直しをすることを求め、私の質問を終わります。

○中山委員 私の方からも、千客万来施設事業再公募の概要について質問をさせていただきます。先ほど、木内委員から格調高い質問、そういう観点から質問をされておりましたけれども、ちょっと細かい部分で質問させていただきたいと思います。
 千客万来施設事業再公募の概要について質問します。
 現在の築地市場のにぎわいは、昭和八年の竣工以来、八十年を超える長い歴史の中で培われてまいりました。卸売業者や仲卸売業者、売買参加者、関連事業者、開設者である都といった市場で働く人々と買い出し人、そして、国内外から、関連事業者などの、訪れる一般の来場者の皆さんが場内を行き交っております。また、隣接する場外市場の各商店には、買い出し人だけではなく、多くの一般の買い物をする皆さんによって、日々、混み合っています。そして、築地本願寺や近隣の飲食店などにも多くの人々が行き来し、築地一帯としてのにぎわいが創出されています。こうして見ると、市場、そして周辺のにぎわいは一朝一夕でできるものではなく、多くの関係者の取り組みによる結果であると考えます。
 都は、この築地に見られる市場ならではのにぎわいを豊洲新市場に継承、発展させるとして、平成二十五年八月、千客万来施設事業の募集を行い、平成二十六年二月、市場本体施設と同時に開設する施設の事業予定者二者を発表しました。
 しかしながら、ことし二月二十三日、大和ハウス工業株式会社の辞退に続いて、四月二十八日、株式会社喜代村が事業予定者の辞退を申し出ました。
 事業予定者の辞退は非常に残念ではありますが、平成二十六年二月以降、大和ハウスが計画していた調理器具市場、匠いちばん市場、生活支援市場など、さまざまな角度から都との調整を図られてきたと推測いたします。また、喜代村においても同様であります。事業者が何を求め、都が要求した要件に対してどう反応したのかを再確認することは、再公募において重要な観点であると認識をいたしております。
 そこで、前回の事業予定者辞退から何を学び、再公募でどのように生かしていくのか、まず所見をお伺いしたいと思います。

○金子市場政策担当部長 千客万来施設を取り巻く事業環境が厳しさを増していることを踏まえまして、より多くの事業者が応募できる環境づくりを行うことが重要であると考えております。
 そのため、再公募に当たりましては、事業者が千客万来施設を整備、運営するためのインセンティブを高めるため、例えば、事業期間につきまして、前回の三十年間を今回三十年以上五十年未満の間で検討することなど、公募条件の一部見直しを図り、このたび、再公募の概要を発表いたしました。

○中山委員 今、答弁がありましたように、事業環境が厳しさを増していることが挙げられております。特に、建築費の高騰によりイニシャルコストが上がったことや、周辺の商業施設が、かなりあの周辺は多様化しているということもあると思います。つまり、供給過剰の感があると理解をいたしております。
 また、再公募に当たって、募集対象街区を二つから一つにしたことは、早期の開業を目指すことはもちろんのこと、いろいろな意図があると思います。さらに、事業予定者辞退の教訓を生かしていただきたいというふうに要望をいたしておきます。
 次に、再公募の概要について何点かお尋ねしたいと思います。
 公募項目一番の千客万来施設の整備目的という記述があります。そこには、築地特有の貴重な財産であるにぎわいを継承、発展させるとともに、市場本体施設と連携し、豊洲ならではの活気やにぎわいを生み出すことで、豊洲新市場の魅力を高めつつ、地域のまちづくりや活性化に貢献すると記述されております。
 もし私が公募する事業の担当者であれば、築地市場がとりあえず現存しておりますので、都がどんなイメージを持っているのか、開業を目指しているのかということはおおよそイメージができるわけでございますが、しかし、一部、市場本体施設と連携しという文言がひっかかるところでありまして、どんな連携であろうかという具体的な提示が欲しいなというふうに思っているわけでございます。
 そこで、整備目的に市場本体施設と連携するとありますが、どのような連携を考えているのか、所見を伺いたいと思います。

○金子市場政策担当部長 現在の築地は、数多くの市場業者と買い出し人がつくる場内の活気や、場外市場と一体となった独自のにぎわいにより形成されております。
 豊洲新市場においては、築地のにぎわいを継承、発展させるとともに、市場の食材を生かし、食の魅力を広く国内外に発信することなど、市場本体施設と連携し、豊洲ならではの活気やにぎわいを生み出し、豊洲新市場の魅力を高めつつ、地域のまちづくりや活性化に貢献してまいります。

○中山委員 今、答弁がありましたとおり、市場の、いわゆる新鮮なお魚、魚介類、こういったいいものを千客万来で発信していく。そこが一つの連携だということだというふうにも思っております。
 事業者の立場からすれば、都がどのような連携を望んでいるのか、あるいは、どのような要求をしてくるのか、具体的に知りたいことだと思います。詳細な公募要件を発表する際には、できるだけ具体的な記述を求めてまいりたいと要望します。
 次に、面積及び貸付料についてでございます。
 前回、概要では、六街区は平米当たり月々約六百六十円で、千百平米に換算すると、月々七百二十万でありました。具体的には、基準月額は七百二十一万三千円以上と提示されています。
 今回、再公募概要には、公表時に保証金とあわせて表示しますとありますが、率直に、再公募に当たり貸付料を下げる予定であるのか、お聞きしたいと思います。

○金子市場政策担当部長 貸付料につきましては、今後、改めて土地の鑑定評価等の手続を経まして、適正な価格を設定してまいります。

○中山委員 公有地でありますから、勝手に賃料は下げられませんというような答弁だというふうに思います。
 ただ、三千三百坪余りある広大な敷地でありまして、一つの商業施設だけではなかなか賄えないということも確かに予測をされるわけでございまして、先ほどお話ししたとおり、かなりあの敷地の周辺は商業地が多様化をしているということでございます。
 そういう意味では、当局においてもさまざまな知恵が必要になってくるわけでございまして、例えば今、築地におさかな普及センター資料館などもありますから、そういうところとシェアをしていくだけで、用地を使う有効利用が事業者側からすればかなり変わってくるのではないかというふうにも思っておりまして、そういう面で、ぜひ柔軟な対応によって開設できますように要望をさせていただきたいと思います。
 次に、車両動線についてお尋ねをしたいというふうに思います。
 前回、五街区において、大和ハウスと青果事業者との間で、都道補助三一五号線の利用と入場口について調整がつかなかったと、辞退の大きな理由だというふうにも聞いております。つまり、商業施設にとっては、道路づけや出入り口の位置は大事なテーマの一つだということがわかるわけでございます。
 六街区でも、環状二号線を、ちょうど三一五号線の方向から左折して六街区に入るというのは当然だというふうに思いますけれども、逆に環状二号線を晴海方向から右折で六街区に入場できるかどうかということは、ある意味、開発用地へのアプローチを大きく変えることでもあるし、そこが一つの大きなところだというふうに思っております。
 あるいは、わかりやすい表示で、二号線の晴海から来たとしても、うまく動線を確保していくということが、一つの用地開発にとって大変重要な視点ではないのかなというふうに思います。
 どちらにせよ、どちらかといえば、三一五号線から入ってくるというよりは、晴海とか、あるいは勝どきとか、あの辺の方向から入ってくる車が多いであろうというふうに推測ができます。
 そこで、前回公募で五街区の車両動線が問題になりましたが、再公募に当たり、六街区の車両動線について問題がないのかどうか、伺いたいと思います。

○金子市場政策担当部長 六街区の車両動線につきましては、前回の事業予定者の計画でも支障がなかったことから、特に問題があるというふうには今のところ認識しておりません。
 再公募の事業者提案で、前回の計画と大幅に異なるなど、支障が生じると見込まれる場合には、都が事前に市場業界に対し計画を確認するなど、円滑に事業が進められるよう対応してまいります。

○中山委員 商業施設ですから、その出入り口の位置、あるいは、車両の動線ということは大変重要な視点であるというふうな認識をいただきましたので、柔軟にぜひ対応をしていただきたいというふうに要望をさせていただきます。
 千客万来施設事業を行うに当たっての前提である豊洲新市場の年間来場見込みを約四百二十万人としていますが、公共交通機関は「ゆりかもめ」や都バスしかありません。今回の施設再募集を行うに当たって、入場者数をどう見込んでいるのでしょうか。また、駐車場、交通手段について伺いたいと思います。

○金子市場政策担当部長 来場者数や駐車場、それから、想定される交通手段につきましては、事業応募者が提案する事業計画により見込まれることとなります。

○中山委員 ちょっと冷たい答弁でありましたけれども、今後の一つの課題としていただきたいというふうに思います。
 前回、青果卸売市場と仲卸売市場がある五街区の一部と、水産仲卸売市場がある六街区の一部で千客万来事業者を募集しましたが、今回、六街区の一部のみ再募集となっています。結果としては、新市場と同時開場は厳しい形となっております。募集に当たっては、応募しやすい方法で九月から再募集を行っていくとのことです。
 また、前回の募集要項では、民間事業者に求める導入機能及び施設整備、運営において、施設のイメージ図や施設機能について、より具体的なものを示したものとなっていました。
 今回の千客万来施設事業の再募集に当たり、都はどのような事業者を期待しているのか、最後に伺いたいと思います。

○金子市場政策担当部長 豊洲新市場と連携するとともに、みずから創意工夫を凝らすことにより、築地のにぎわいを継承、発展させた豊洲ならではの活気やにぎわいを生み出すものとして、千客万来施設を安定的かつ継続的に整備、運営することのできる者が事業者となることを期待しております。

○中山委員 今、答弁をしていただきましたが、六点にわたり質問させていただきましたが、私が一つ考えるところ、事業者にとっては動線という部分が一番大切なんだろうというふうにも思っておりまして、商業施設ですから、どうしても出入り口のアプローチが悪いと通り過ごしてしまうということもありますし、目にとまらないということもあるというふうに思います。
 また、今回の六街区におきましても、やっぱり私たちが思うのは、晴海から、あるいは勝どきから、あちらの方面から車が入ってくるのであろうというふうに推測をいたしております。そういう意味では、そこの対応が大変重要だというふうに思いますので、今後、事業者との重要な対応についてお願いしたいと思います。
 都においても、多角的な視点で事業者の応募を呼び込み、より丁寧に各関係者との調整に取り組んでいただくことが重要であるとも述べまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

○近藤委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○近藤委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で中央卸売市場関係を終わります。

○近藤委員長 これより産業労働局関係に入ります。
 初めに、付託議案の審査を行います。
 第百三十七号議案を議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○かち委員 それでは、第百三十七号議案、東京都立産業貿易センター条例の一部を改正する条例について質問いたします。
 本条例案は、都立貿易センター浜松町館の解体、改築に伴い、条例中から浜松町館にかかわる規定を削除するというものです。本年四月には、築四十六年の都立貿易センター台東館が一年間のリニューアル期間を終了し再開しました。両館とも利用率は七〇%ということで、都内中小企業や都民に有効活用されているものです。
 そこで、都立貿易センター浜松町館は築三十二年です。この建物は、構造上リニューアルや大規模改修での対応が可能ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○十河商工部長 都立産業貿易センター浜松町館の更新方法としては、単独でこれを行う場合には大規模修繕などの手法も考えられますが、更新期を迎えた都有施設が集積する竹芝地区においては、都市再生を推進する開発事業が実施されることから、この一環として本施設の再整備を図ることとしております。

○かち委員 構造上はリニューアルでの対応は可能だということでした。しかし、都の方針である都有地を活用した都市再生に組み込まれているので、この期間に解体、改築ということになったとのことですが、財務局の主要施設十カ年維持更新計画平成二十一年版に出されていますが、ここでは、都民サービスを提供していく上で必要な施設として、貿易センター浜松町館については改修という方針になっています。
 いつの時点で、このステップアップ・プロジェクトによって、解体、改築ということになったのでしょうか。

○十河商工部長 平成二十一年二月策定の主要施設十カ年維持更新計画において、施設ごとに記載されている改築または改修の表記は、その時点における想定であり、具体的な維持更新手法は事業実施時までに決定していくこととなっていたものでございます。
 浜松町館につきましては、平成二十二年十二月策定の竹芝地区における開発事業の実施方針において、本事業の一環として再整備されることとなったものでございます。

○かち委員 ステップアップ・プロジェクトの実施方針で組み込まれたということですけれども、ステップアップ・プロジェクトでも、当初は、公文書館や計量検定所については対象にしていましたが、浜松町館は対象になっていなかったものです。結局、取り込まれることになったわけです。
 平成二十三年二月に、都市再生ステップアップ・プロジェクト、竹芝地区の事業実施方針における応募をしようとする事業者とのQアンドAでは、産業貿易センターの円滑な移転とはどのようなイメージかに対し、現在の産業貿易センターの機能を停止させることなく新たな施設へ円滑に移転することを想定しています、また、機能の他のエリアへの移転は行わず、配置等については本プロジェクトの対象地内で民間提案を活用することを検討しています、機能の一時仮移転等の可否については募集要項等で示しますとありますが、募集要項には、機能の一時停止の件や仮移転の件については記載がありません。どのような経過で、工事中に産業貿易センターの機能を停止させないという方針を転換したのかお聞きします。

○十河商工部長 事業実施方針に対する質問への回答は、その時点での想定であり、詳細は募集要項等で示すこととされていたところでございます。
 その後の検討を経て、平成二十四年七月策定の募集要項におきましては、国際競争力の強化に資するビジネス拠点の形成という事業目的を踏まえ、移転後の機能の向上と産業振興を図る観点から、工事期間中などにおける浜松町館としての機能の継続は特に要件とせず、幅広く再整備の提案を受けることとなったものでございます。

○かち委員 るるご答弁いただきましたけれども、結局のところ、所管局として機能の継続は必要ないということを受け入れたわけですよね。公式には、工事中にも機能を停止させないという条件で開発事業者の募集をしておきながら、みずからそれを放棄するようなことは認められません。
 本条例中、ステップアップ・プロジェクトによる再開発に連動して、数年の間、都立貿易センター浜松町館は解体し消滅するため、条例中から浜松町館を削除するというものです。改築によって再開することが明確なのに、なぜ条文から削除しなければならないのでしょうか。また、産業労働局所管の都立施設において、このような前例はほかにあるのですか。

○十河商工部長 公の施設の設置に関する地方自治法の規定は、建物自体が滅失する場合には、原則としてその設置条例を廃止するなどの条例上の措置が必要であると解釈されていることから、本改正案を提出したものでございます。
 なお、記録が残存する範囲において、当局所管の公の施設について、休館に伴い条例廃止などの措置をとった事例はございません。

○かち委員 私も確認しましたけれども、このような前例は、産業労働局関係はもちろん、都有施設全体でもないということを総務局から確認しています。
 法令上、公の施設を滅失するときは、原則として当該施設条例を廃止するなどの措置が必要とのことですが、今回の場合は全く廃止するのではなく、改築のため一時的に使えなくなるような場合には、条例改正が不要であるとの解釈もあります。この考え方を浜松町館にも適用すれば、条例改正は不要なのではないでしょうか。
 どのくらいの休館期間までなら条例改正が必要ないのか、その期間はどのように決められているのかお聞きします。

○十河商工部長 地方自治法の解釈では、公の施設を利用できない状態が社会通念に照らして一時的であるといえるような場合には、条例改正等の必要性は低いとされております。
 しかし本件については、施設の竣工予定が平成三十一年度となっており、利用できない期間が一時的とはいえないことから、条例改正が必要となるものでございます。

○かち委員 利用不能期間が社会通念上、一時的とはいえない場合には条例措置が必要とのことですが、その期間の定めは特段ないわけです。社会通念上という曖昧な基準のもとで行われているものだということがわかりました。
 先ほど、前例がないということを確認しましたが、それは、行政サービスを停止させないということから、解体、改築の場合、数年の間、その機能が停止されることがないように代替施設や仮移転するというのが常識だからです。しかし、このたびはそれすら行わないということは、所管局として、浜松町館の存在意義や利用者を軽視する姿勢といわざるを得ません。
 浜松町館には、港区立商工会館も権利床を持っていたわけですが、この扱いはどのようになっているでしょうか。

○十河商工部長 港区立商工会館は、本年十月一日に現在の浜松町館の近隣に移転する予定でございます。

○かち委員 結局、都の都市再生整備計画によって退去せざるを得なくなったわけです。しかも、それは仮移転です。港区は、仮移転をして、新たな商工会館を改築する予定です。港区だって使用できない期間に対処しているではありませんか。
 台東館があるといっても、規模は一・一倍と、浜松町館の方が大きいんです。加えて、四年間の期間を代替するということになれば、そこを利用している中小企業や都民にとっても、不便やサービス低下をこうむることは明らかです。
 都有地に民間が開発ビルを建てて、都立貿易センターがその一角を購入するというやり方ですが、それでは、ビル完成後、浜松町館が購入するということを、民間ディベロッパーとの間でどのような協定などを結んでいるんでしょうか。

○十河商工部長 再整備する浜松町館は、民間事業者が施設を整備した後に、都が産業貿易センター部分を買い取ることとしており、こうした事業の諸条件については、都と当該民間事業者との間で基本協定を締結しているところでございます。

○かち委員 いろいろ伺ってまいりましたが、都市整備局にも聞いてみました。基本協定の内容は募集要項の中身だということですが、一体このプロジェクトは総事業費が幾らかかるのか、七十年の定期借地の上に民間がビルを建てて、その一角を買い取る場合の費用負担の考え方や、将来起こり得るリスクについての解決方法など、何も書いてありません。その意味でも、この間の手続や手法が不透明です。
 何点かお聞きしてきましたが、都立貿易センター浜松町館は、改修計画があったにもかかわらず、都有地を活用した再開発を進める都市再生整備計画の中に組み込まれ、解体、改築ということになったわけです。加えて、当初はこの計画では、機能停止させることなく、円滑な移転をすることを想定していたにもかかわらず、結局解体。仮移転もせず、四年間も機能停止という空白期間をつくることになるわけです。行政サービスの機能停止、低下を避けるための努力もせず、当該条例の条文削除を行うことは認められません。
 よって、本条例改定案には反対であることを申し上げ、私の質問を終わります。

○近藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○近藤委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○近藤委員長 次に、報告事項、東京都が東京信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄の報告についてに対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取してありますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○近藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○近藤委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。

○近藤委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○片山金融監理部長 去る六月十二日に発表されました新銀行東京の経営統合に係る基本合意につきましてご説明申し上げます。
 お手元の資料1、株式会社東京TYフィナンシャルグループと株式会社新銀行東京の経営統合検討に関する基本合意についてをごらんください。
 まず、1、本件経営統合の検討経緯でございます。
 本ページの最終段落から次ページにかけて記載のとおり、東京TYフィナンシャルグループ及び新銀行東京は、ともに首都東京における地域金融の担い手として地域金融の円滑化及び地域経済の発展に貢献してまいりましたが、中小企業支援という共通の経営目標を有するとともに、経営統合による相乗効果も期待できることから、経営統合に向けて協議、検討していくこととしたとしております。
 二ページをごらんください。2、本件経営統合の基本方針につきましては、〔1〕として、東京に本店を置く最大規模の地域金融機関として、都と連携して都内中小企業の育成、支援に取り組み、地域の発展に資することにより、持続可能なビジネスモデルを確立し、首都圏マーケットでの競争力を高めていくとしており、このほか二点を掲げてございます。
 また、中小企業支援策に関する都との連携について、幅広く検討を進めていくとしております。
 次に、3、経営統合の形態でございますが、東京TYフィナンシャルグループを完全親会社、新銀行東京を完全子会社とした株式交換を実施することに向け、協議、検討を進めていくとしております。
 また、経営統合後、統合効果を発揮するために、合併等も含めたグループ内の組織再編を検討していくとしております。
 次に、4、本件株式交換に係る割当ての内容につきましては、今後実施するデューデリジェンスの結果等を踏まえ、両社協議の上、決定するとしております。
 次に、5、今後のスケジュールでございますが、本年九月に経営統合に関する最終契約を締結した後、十一月の両社の株主総会における決議を経て、平成二十八年四月一日に株式交換の効力が発生し、経営統合する予定となっております。
 一枚おめくりください。6、両社の概要につきましては、三ページには会社概要、四ページには最近三年間の業績概要が記載されておりますので、後ほどごらんいただきたいと存じます。
 以上で株式会社新銀行東京関係の報告事項のご説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○近藤委員長 報告は終わりました。
 本件に対する質疑は、既に説明を聴取しております新銀行東京の平成二十七年三月期決算について外一件の報告事項とあわせて一括して行いますので、ご了承願います。
 新銀行東京の平成二十七年三月期決算について外一件の説明を聴取した際、要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○村松総務部長 去る六月四日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の経済・港湾委員会要求資料の表紙をおめくりください。
 目次でございます。資料は全部で六項目ございます。
 一ページをお開きください。1、新銀行東京の融資・保証・公共工事代金債権信託別取引先数・金額の推移につきまして、平成二十四年度から平成二十六年度までの各年度末時点における取引先数と残高をお示ししてございます。
 二ページをごらんください。2、新銀行東京の融資実績における業種別の取引先数・金額の推移につきまして、平成二十四年度から平成二十六年度までの各年度末時点における取引先数と残高をお示ししてございます。
 三ページをお開きください。3、新銀行東京の融資・保証実績における事業規模別の取引先数・金額の推移につきまして、平成二十四年度から平成二十六年度までの各年度末時点における融資、保証の取引先数と残高及びその合計をお示ししてございます。
 四ページをごらんください。4、新銀行東京の融資実行先における無担保・無保証融資の実績の推移につきまして、平成二十四年度から平成二十六年度までの実行件数及び実行金額をお示ししてございます。
 五ページをお開きください。5、新銀行東京の株主総会における東京都の発言内容につきまして、平成二十四年度以降の発言内容をお示ししてございます。
 七ページをお開きください。6、新銀行東京の旧経営陣に対する損害賠償請求訴訟の経過につきまして、訴訟提起以降の経過をお示ししてございます。
 以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○近藤委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより報告事項、新銀行東京の平成二十七年三月期決算について外一件及び新銀行東京の経営統合に係る基本合意についてに対する質疑を一括して行います。
 発言を願います。

○鈴木(あ)委員 自民党の鈴木あきまさでございます。
 ただいま、新銀行東京の経営統合にかかわる基本合意について報告があったわけであります。これは新聞報道がありまして、連日にわたってさまざまな報道がされてきた。私は、新銀行東京を利用されている中小企業の皆さんが万が一にも不安に思うようなことがあってはならない、東京都が中小企業支援のためにこの新銀行東京を設立してしっかりとその政策を展開してきた、そういう点からも都民に対して誤解を与えてはいけない。今後、東京都の産業労働局がどのような金融政策を展開していくという考えをお持ちなのか、ぜひ質問を通じて明らかにしてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
 我が党は、厳しい経営環境に苦しむ中小企業を支援するという新銀行の設立理念に賛同し、この間、大変に困難な状況もありましたが、一貫してその取り組みを見守り、また、応援をしてまいりました。このたびの経営統合についても、中小企業支援という理念が貫かれ、そのために効果があるものでなければならないと考えております。
 経営統合の基本的な考え方については、先日の我が党の代表質問で知事に確認をいたしましたので、本日は、新銀行がこれまで中小企業支援に果たしてきた役割や経営再建の状況、そして、このたびの基本合意の具体的な内容、いわば統合に向けた設計図について明らかにしていきたいと思います。
 いわゆるバブルの崩壊以降、不良債権が大量に発生し、国内の金融機関の処理が本格化すると、貸し渋り、貸しはがしが深刻な社会問題となりました。こうした状況の中で、高い技術力や販売力を持ちながら、十分な資金調達ができずに苦しむ中小企業の資金繰りを支援するため、平成十六年、都が一千億円を出資して新銀行を設立したのでございます。
 残念ながら、設立当初の経営陣は経営のかじ取りを誤り、深刻な経営危機に陥り、都は中小企業への支援を継続するため、平成二十年に四百億円の追加出資を行いました。この追加出資を得て、新銀行も再び体力を取り戻し、その後、その旗をおろすことなく、中小企業支援を続けてきています。
 まず、都として、この新銀行の開業以来の中小企業支援の実績を振り返り、どのように評価をしているのかお伺いをいたします。

○片山金融監理部長 新銀行東京は、高い事業意欲を持ちながらも資金繰りに窮している中小企業に対する支援を目的に設立された銀行でございます。これまで、他の金融機関では支援が難しい赤字、債務超過先企業に対する融資のほか、金融円滑化法の施行前からのリスケジュールの実施、近年の中小企業のニーズの変化に対応した事業再生等の相談機能の充実などに積極的に取り組み、中小企業支援に努めてまいりました。
 また、新銀行は、都内業界団体等との連携による傘下の中小企業等に対する融資を開始するなど、中小企業が利用しやすいメニューの開発にも取り組みました。
 この結果、平成二十六年度末では、中小企業向け与信残高は一千三百七十四億円に伸長し、中小企業向け与信先数も一千七百九十九先と増加に転じるなど、着実にその成果があらわれております。
 こうした新銀行による中小企業支援の取り組みにより、多くの中小企業が事業を継続することができたと認識をしてございます。

○鈴木(あ)委員 紆余曲折はあったものの、これまで多くの中小企業が新銀行東京の支援を受けていたことは紛れもない事実です。また、足元の実績が伸びているのは、地域の中小企業による適時適切な資金供給に対する幅広いニーズが現実にあることを示していると思います。
 どれだけ息を継いだ、息を吹き返した町工場があったことか、私の地元大田区でも、今でもそういった状況を、今思い起こしているところでございます。
 追加出資の四百億円について、我が党は、新銀行から融資を受けている中小企業を守るため、大局的、長期的見地から苦渋の選択をして賛成する道を選びました。ただいまの答弁で、この追加出資が都内中小企業の切実な状況を十分に踏まえた、生きた政策判断であったとの思いを新たにしております。
 そして、いっときは深刻な経営状況にあった新銀行ですが、これまで経営再建に向けてさまざまな努力を重ねてまいりました。その成果についても確認しておく必要があります。新銀行の経営再建に対する都の認識を伺います。

○片山金融監理部長 追加出資を受けた新銀行東京は、経営陣や行員の努力により大幅なコスト削減を行うとともに、厳格な与信管理を行いつつ与信残高を伸ばすなど、収益拡大に努めてまいりました。
 これらの取り組みの結果、当期純利益は平成二十一年度に黒字に転換するとともに、銀行本来の収益力をあらわす実質業務純益も平成二十二年度に黒字に転換し、いずれも現在まで黒字を安定的に継続しております。
 また、不良債権比率についても大幅に低下をしてきてございます。
 平成二十四年度から二十六年度の中期経営計画においても、当期純利益の目標八億円に対し実績は三十四億円、純資産の目標五百十四億円に対し実績は五百五十億円となってございます。中小企業支援に注力しながら経営目標を超過達成しており、経営再建にはめどが立ったものと認識をしてございます。
 こうした実績を積み上げたことが、今回の経営統合の基本合意につながったものと考えます。

○鈴木(あ)委員 これまでの経営再建の取り組みが功を奏し、それが決算にしっかりとあらわれています。経営陣や行員の努力により経営再建にめどをつけたことが、経営統合の下地になったということができると私は思います。
 そこで、今回の基本合意の枠組みについて幾つかお尋ねをしてまいります。
 一般に金融機関が経営統合に至るプロセスには、幾つかのステップを踏んでいくことになります。今回の相手方である東京TYフィナンシャルグループもまた、昨年十月に東京都民銀行と八千代銀行が経営統合して誕生したものですが、このときも、基本合意、最終契約、株主総会での議決を経て経営統合へと至っております。
 そこで、今回の基本合意というものはどのような位置づけなのか、そして、今後はどのようなステップを踏んでいくのか、確認を含めてお伺いをさせていただきます。

○片山金融監理部長 このたびの経営統合に向けた基本合意では、新銀行東京と東京TYフィナンシャルグループが経営統合に向けて協議、検討を進めていくことについて合意をしたものでございます。いわば経営統合に向けたスタートラインの位置づけと認識をしてございます。
 基本合意の締結後、新銀行と同グループは、相互に相手方の資産価値などを査定するデューデリジェンスと呼ばれる作業を行うこととしております。その結果等を踏まえて、両社の協議の上で、株式交換の内容を含む具体的な内容が決定され、本年九月に最終契約が締結される予定でございます。
 さらに、本年十一月開催予定の両社の株主総会での承認が得られた後、監督官庁である金融庁の認可を得て、来年四月一日に経営統合を予定してございます。

○鈴木(あ)委員 経営統合に向けた協議を始めた段階であり、その実現までには幾つものステップを超えていく必要があります。お互いのことを理解し合い、必要な検証をしっかり行っていかなければなりません。一つ一つの検討を丁寧に進めていただきたいと思います。
 特に、株主総会での統合の承認に向けては、大株主である都だけではなく、他の株主の皆様にも十分理解していただけるよう、丁寧な対応が必要だと思います。
 次に、基本合意では、新銀行と東京TYフィナンシャルグループは中小企業支援という共通の経営目標を持ち、中小企業支援をより一層進めるとして、同グループの持つ店舗網や顧客ネットワークと、新銀行の有する都と連携した中小企業支援のノウハウを集結することにより、多様化、高度化する顧客ニーズに応え得る金融サービスの機能の充実を図っていくことなどを掲げています。
 経営統合によって、中小企業への金融サービスの内容が充実していく、これが求められる姿だと思います。どのような金融サービスの機能の拡充を目指しているのか伺います。
 また、今、取引をしている企業への目配りも忘れてはなりません。既存の取引先の融資がどうなるのか、あわせてお伺いをいたします。

○片山金融監理部長 新銀行東京は信託を活用した独自商品や行政との連携に関するノウハウなどに強みを持つ一方、東京TYフィナンシャルグループは都内だけで百二十二店舗を擁し、さまざまな商品や多くの顧客を抱えてございます。顧客のニーズに合わせて双方のノウハウやネットワークを活用し、相互に商品やサービスの提供を行うことにより、より一層の金融サービス機能の拡充が図られるものと考えております。
 また、新銀行とお客様との間で締結されている既存の融資の契約については、統合後においてもその内容が変わることはなく、新銀行及び同グループからは、経営統合によってこれまでの取引方針を大きく変更することはないと聞いてございます。

○鈴木(あ)委員 まず、今回のこの経営統合後も、新銀行の既存の取引先の融資に変更がないと確認できたことは、大変重要な点であると思います。
 そして、新銀行東京は現在、信託銀行としての免許を活用して、公共工事を受注する中小企業の資金繰りを支援する独自の商品を扱っていますが、今の一店舗という体制では、その他の商品の開発や顧客の開拓にはおのずと限界があります。
 新銀行の強みと東京TYフィナンシャルグループの強みを活用することによって、これまで新銀行だけでは酌み取れなかった中小企業のニーズを新たに掘り起こしていくことも期待できるということで、ぜひ両社の強みを生かす経営統合となってもらいたいと思います。
 次に、経営統合の形態について伺います。
 基本合意では、東京TYフィナンシャルグループが完全親会社、新銀行は完全子会社となる形での株式交換を実施することになっています。
 都は現在、新銀行の大株主ですが、株式交換により、都の株主としての立場がどのようになるのかお伺いをいたします。

○片山金融監理部長 都は現在、新銀行東京の議決権を持つ普通株式の約八四%と、残余財産の分配等で優先権を持つ優先株式の全てを保有しております。
 今回の基本合意によれば、両社が株式交換を行うことにより、都は保有している新銀行の株式に応じて東京TYフィナンシャルグループの株式の割り当てを受け、同グループは新銀行の株式を全て取得いたします。
 その結果、都は同グループの株主となるとともに、新銀行は同グループの一〇〇%子会社となることが想定をされてございます。

○鈴木(あ)委員 経営統合による株式交換で、都は新銀行東京の株主から東京TYフィナンシャルグループの株主にかわるということでございます。
 追加出資の際に都議会が付した付帯決議では、追加出資四百億円を毀損させないように監視することを都に求めており、我が党の代表質問に対して知事は、四百億円の確保が経営統合の前提であると答弁をされました。
 都は現在、追加出資した四百億円を株式として保有しておりますが、今回の株式交換で、これがどのような取り扱いとなるのかお伺いをさせていただきます。

○片山金融監理部長 新銀行東京の株式には、普通株式と優先株式の二種類がございまして、現在都は、追加出資の四百億円を日々の株価の変動を反映しない優先株式として保有してございます。
 株式交換の具体的な内容については、今後、新銀行と東京TYフィナンシャルグループとの間で協議が行われることとなりますが、都としては、新銀行の優先株式と同グループの優先株式とが交換されることを想定してございます。

○鈴木(あ)委員 都が保有する新銀行東京の優先株が、東京TYフィナンシャルグループの優先株に置きかわるということで、この株式交換がどのように行われるかが、追加出資した四百億円の確保に直結するということになります。優先株という株式の特性を踏まえ、四百億円が確保されるよう、しっかりと協議を進めていただきたいと思います。
 次に、基本合意では、新銀行と東京TYフィナンシャルグループは、都内の中小企業の育成、支援のために、都と幅広い連携について検討していくとしております。他県でも、地域により連携内容は異なっているようですが、地方公共団体と金融機関との間で幅広い連携を行っている事例があるようでございます。
 都はこれまでも、信用金庫、信用組合を含め、数多くの都内金融機関と連携し、制度融資などの仕組みを通じて、中小企業への金融支援策を展開しています。こうした支援に加え、志を同じくする金融機関が都と連携して、経営支援や販路の開拓などさまざまな中小企業支援に取り組んでいくことは、この施策の幅を大きく広げることになると考えております。
 そこで、基本合意に掲げられた、都と新銀行、東京TYフィナンシャルグループとの連携について、都はどのように捉えているのかお伺いをさせていただきます。

○片山金融監理部長 ご指摘のとおり、都は、都内の金融機関と連携して、制度融資を初めとする金融支援策に取り組んでおります。都は、多数の中小企業と密接な取引関係を持つ地域の金融機関と連携することにより、中小企業支援を推進していくことが可能となると考えており、新銀行東京もそのためのチャネルの一つでございました。
 今回の基本合意においては、例えば、中小企業向け制度融資の推進、創業支援、事業再生支援、海外展開支援などの中小企業支援策に関する都との連携について幅広く検討していくとしております。こうした連携は、新銀行のこれまでの設立理念や、これまでの取り組みを受け継いでいくためには重要なことであると考えております。
 都としても今後、その具体的な内容について検討してまいります。

○鈴木(あ)委員 具体的な内容についてはこれからということですが、中小企業支援のチャンネルの一つが充実されることは、中小企業支援のさらなる推進に役立つものと考えております。都は、連携についてもしっかりと検討し、幅広い中小企業支援に取り組んでもらいたいと思います。
 先日の本会議で舛添知事は、中小企業支援において、金融機関の力を活用することが不可欠だと答弁をされました。都が東京TYフィナンシャルグループの株主となることで、金融機関との幅広い連携が可能となりますが、それをどう生かして、さらなる中小企業振興につなげていくかは、今後の都の課題だといえます。ぜひ、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 最後に、今回の経営統合に当たっての、かつて新銀行東京の執行役員として、経営再建と中小企業を支援する現場に立って、いわば苦楽をともにされてきた山本局長の所見をぜひお伺いしたいと思います。

○山本産業労働局長 東京の活力の源泉である中小企業の支援というものは、東京都の最重要課題の一つでございます。中小企業支援を設立理念として開業した新銀行東京は、その後、経営危機に陥りましたが、四百億円の追加出資を議会に認めていただいたことによりまして、資金繰りに苦しむ数多くの中小企業が、事業継続が可能となったわけでございます。
 また、新銀行東京におきましても経営陣を刷新いたしまして、失敗を二度と繰り返さないという強い信念を持って、コンプライアンス体制の徹底強化、リスク管理の抜本的変革、コスト管理の徹底などに取り組んでまいりました。
 また、貸し出しにつきましても、新銀行東京を必要とする中小企業のニーズに応え、その将来性を見きわめながら、先ほどご答弁いたしましたとおり、中小企業向けの与信残高を伸ばしてまいりました。着実にその成果があらわれ、再建にめどをつけることができたと考えております。これは、寺井前社長を初めとする経営陣の努力、そして、厳しい時期にも銀行を離れずに、歯を食いしばって真剣に業務に取り組んだ行員の努力の結果であるというふうに思っております。
 都内の中小企業に対する支援をより一層実効あるものにしていくためには、個々の中小企業との接点が多く、長年にわたって取引関係を通じてその実情を熟知した地方銀行や信用金庫、信用組合などの金融機関の力を欠かすことはできません。
 新銀行東京と東京TYフィナンシャルグループは経営統合に向けた検討を開始したところでございますが、仮に、この経営統合が実現をすれば、広範なネットワークと金融サービス機能、ノウハウを集結することによりまして、都の中小企業施策をより効果的に展開することができると考えております。今回の経営統合により新銀行東京の設立理念が継承されることで、東京の中小企業振興のより一層の発展に資するものになると確信をしております。

○鈴木(あ)委員 これまで新銀行東京の果たしてきた役割、今後の経営統合への道筋を明らかにしてまいりました。局長からも、今回の経営統合は、都が撤退するということではなくて、引き続き、中小企業支援のために、新たな金融グループを活用していくという決意を伺うことができ、大変心強く感じております。
 最後に一点、金融機関ばかりではなく、会社を動かすのは人であると私は考えております。経営統合に合わせて、万が一、人員整理が行われれば、新銀行の行員のモチベーションは下がり、せっかく中小企業支援のさらなる推進のためにと選択した経営統合が絵に描いた餅ともなりかねません。行員の雇用問題にも十分な配慮をいただくことをぜひ要望しておきたいというふうに思っております。
 今回の経営統合が中小企業振興をますます発展させるものとなることを大いに期待をし、その実現に向けて、金融監理部は、しっかりと交渉の行方を注視していくよう、精力的に取り組まれることを求めて、私の質問を終わります。

○加藤委員 それでは、私からも、新銀行東京とTYフィナンシャルグループ--以下TYFGと呼びます、との経営統合の基本合意に関して、何点か質問をいたします。
 新銀行東京は二〇〇八年四月、一千億円を超える累積赤字による経営悪化を立て直すため、東京都より四百億円の追加出資を受けました。この四百億円の追加出資は、都議会の議決を受け行われましたが、その際、共産党などは、どぶに捨てるようなものだと、折しも都議選前でもあったためか、ビラを配布したり、街頭で喧伝しました。
 都議会公明党は、当時、新銀行東京が五千六百社を超える赤字や債務超過の中小企業に融資をしていた状況を鑑み、新銀行東京を破綻させると、その中小企業の従業員や家族を路頭に迷わすことになるため、四百億円の追加出資について苦渋の決断をいたしました。
 そこで、その後、この五千六百社の赤字や債務超過の会社はどうなったか、都の説明を求めます。

○片山金融監理部長 平成二十年当時、事業清算、あるいは破綻処理を選択した場合、新銀行東京の顧客、とりわけ赤字、債務超過となっていた数多くの企業は取引を打ち切られ、事業の継続が困難となるおそれがございました。
 追加出資をいただいたことにより、それらの企業の多くは、当時の取引を断ち切られることなく守られ、お話の五千六百社のうち、昨年度末時点で、おおむね八割の企業が当該融資の完済、あるいは事業継続に至っていると聞いてございます。

○加藤委員 四百億円の追加出資により、当時、赤字や債務超過であった五千六百社の約八割、数にしますと約四千五百社ぐらいが完済、あるいは事業継続をしているという事実を聞き、苦渋の決断でありましたが、間違いではなかったと実感をいたしました。まさに緊急輸血が功を奏し、蘇生、延命し、元気になりつつあるきっかけになったと思います。
 この四百億円の追加出資後、新銀行東京は六期連続の黒字計上や、二〇一五年三月期の純資産額も五百五十億円になりました。また、与信残高のうち、中小企業の残高は一千七百九十九先、一千三百七十四億円と、七〇・七%を占めるまでに至りました。
 ただ、大事なことは、新銀行東京の経営悪化の要因となった不良債権の割合であります。二〇一五年三月期の不良債権比率は四・三一%と、四百億円の追加出資時の二七・七三%に比べて格段に下がりましたが、これは他の地銀の水準と比べてどうなのか、都の見解を求めます。

○片山金融監理部長 新銀行東京の平成二十六年度末の不良債権比率は、前年度末比二・三九ポイント減の四・三一%となり、平成二十一年度中間期の二七・七三%に比べると大幅に改善をしております。これは、追加出資以降、新銀行が与信管理を徹底してきた結果であると認識をしております。
 一方、金融庁が発表した平成二十六年度における第二地銀を含む地銀全体の不良債権比率の平均は二・三八%であり、新銀行の不良債権比率は依然として平均を上回ってはいるものの、個別に見ると新銀行を上回っている銀行も存在し、他の地銀の水準に近づいてきていると考えております。

○加藤委員 不良債権比率も他の地銀の水準に近づいてきていると聞きまして、新銀行東京も経営内容、財政状態が健全になってきたと実感をいたしました。
 本定例会の都議会公明党の代表質問に対し産業労働局長は、今後、最終合意に向けた協議が進められるに当たっても、当然に追加出資した四百億円の確保が前提となると、都としては踏み込んだ答弁をされました。ただ、経営統合の基本合意においては、今後、デューデリジェンス、適正評価手続が行われた上で、本年九月に株式交換の内容を決定すると発表されました。
 そこで、都に確認をいたしますが、今後のデューデリジェンスで、新銀行東京の経営内容や財政状態に大きな問題は見込まれないという認識でよいのか、見解を伺います。

○片山金融監理部長 都は、追加出資時の都議会の付帯決議を踏まえ、新銀行東京の株主として、これまで四半期ごとの決算や毎月行われる株主連絡会等を通じ、経営内容や財政状態の監視に努めてまいりました。
 これに加え、金融庁により、経営の健全性やリスク管理などに関する検査が行われております。
 また、東京TYフィナンシャルグループからは、新銀行に対する予備的な調査を実施した上で、今回の基本合意締結の判断に至ったと聞いてございます。
 したがいまして、新銀行の経営内容や財政状態に大きな問題は見込まれないと認識をしてございます。

○加藤委員 東京都が新銀行東京に追加出資した四百億円は、優先株二百万株であります。今後、デューデリジェンスを受け、九月の最終合意に向けて協議をしていく中で、先ほどの答弁のように、新銀行東京の経営内容や財政状態に大きな問題がなければ、東京都はTYFGの株式を四百億円分、優先株で保有すると想定されます。
 ただ、優先株は議決権を有しないため、株主としての発言権がないわけであります。普通株の交換比率も現時点ではどうなるかわかりません。
 経営統合の基本方針で、今後、中小企業支援策に関する都との連携について幅広く検討を進めるとし、中小企業向け制度融資、創業支援、事業再生支援、海外展開支援などを例示しておりますが、このような支援策は、最終合意のときに協定等を締結しておかないと実効性が担保されないと考えますが、都の見解を伺います。

○片山金融監理部長 今回の経営統合が実現することにより、都は、多数の中小企業と密接な取引関係を持つ地域の金融機関と連携することで、中小企業支援策をさらに推進していくことが可能となると考えてございます。
 お話の協定につきましては、行政と金融機関が中小企業支援などの政策目的に対し、連携協力して取り組むために、大阪府などで活用されている手法でございます。基本合意には、中小企業支援策に関する東京都との連携について、協定の締結等も含め、幅広く検討を進めていくことが盛り込まれており、今後、最終合意に向けて検討が行われることとなりますが、都としてもそうした動きを踏まえ、協定締結の可能性について検討してまいります。

○加藤委員 ぜひとも、中小企業支援策の実効性を担保していただきたいと思います。
 最終合意をする前に合意後の展開を述べることは難しいといわれるかもしれませんが、一般論として、追加出資の四百億円を優先株で保有するということは、東京都が回収する道筋は限定されてきます。
 一つは、優先株を普通株に転換し、市場で売却するという手法です。この手法によると、市場価格で売却価格が決まるため、四百億円を毀損させないという大前提からは、リスクが大き過ぎると考えます。
 もう一つは、TYFGが都に対して、額面で優先株を買い戻し請求し、買い取った上で消却する方法です。この手法によると、買い戻すための十分な資金が必要となります。つまり、経営統合後のTYFGが今以上に業績を上げていかなければならないわけです。
 現在の東京都内の中小企業の金融市場は、メガバンクが中小零細企業にまで触手を伸ばしているのに加え、零細企業取引を主軸に置いてきた信用金庫の中でも、経営体力のある信用金庫は、逆に、中小企業との取引に領域を拡大してきています。したがって、限られたパイを奪い合う状態にもあり、業績を伸ばすのは容易ではありません。
 新銀行東京の株主である東京都は、こういった状況を見据えて今回の経営統合を了承していると思いますが、都の見解を伺います。

○片山金融監理部長 今回の基本合意については、お話の金融機関を取り巻く状況も踏まえ、新銀行東京と東京TYフィナンシャルグループは、経営統合による相乗効果が期待できると判断したことから、協議、検討を開始したとしておりまして、持続可能なビジネスモデルを確立し、首都圏マーケットでの競争力を高めていくことを経営統合の基本方針に掲げてございます。
 また、都といたしましても、今回の経営統合が両社のビジネスの範囲を広げて、中小企業のより一層の振興に結びついていくものであると考えてございます。
 都は、今回の経営統合に当たっては、両社による統合の効果が最大限発揮されることが重要であると考えており、新銀行や同グループとの連携も含め、都内の中小企業支援に積極的に取り組んでまいります。

○加藤委員 これまでの答弁で、新銀行東京の中小企業支援の状況や、経営再建の取り組みなどについて明らかになりました。
 追加出資以降の七年間を振り返りつつ、今回の基本合意を受けまして、改めて局長の所感を伺います。

○山本産業労働局長 新銀行東京が経営再建の第一歩を踏み出すに当たりまして、議会の議決をいただいて、都が追加出資を行ってから既に七年が経過をいたしました。その貴重な追加出資を受けて、当時、赤字や債務超過の企業の多くが事業を継続することができたところでございます。
 また、新銀行東京は、経費の削減や厳格な与信管理など、懸命に再建に取り組み、そのめどをつけることができました。これは寺井前社長を初めとする経営陣と行員の努力が実を結んだものであると考えております。
 さらに、新銀行東京は、中小企業支援に積極的な取り組みを続け、中小企業向け与信残高を五年連続で増加をさせるなどの成果を上げてきたことが、今回の基本合意につながったものと考えております。
 新銀行東京と東京TYフィナンシャルグループは、ともに中小企業向け融資や経営相談等を通じまして、都内中小企業への支援に注力をしている金融機関であり、経営統合によって相乗効果が期待できるとしております。
 都といたしましても、今回の経営統合が実現すれば、都が東京TYフィナンシャルグループの株主となることが想定されまして、これと連携することにより、都内中小企業のより一層の振興に結びつけていくことができると考えております。

○加藤委員 今回の経営統合によって、都内中小企業のより一層の振興に結びついていくという局長の答弁をいただきました。我が党も、中小企業支援の充実は極めて重要と考えており、今後の交渉を見守っていきたいと考えています。そして、両社による経営統合の効果が最大限発揮されるかどうか、推移を見守りたいと思います。
 都議会公明党は追加出資の四百億円の保全のみならず、回収をしていくということも念頭に、今後もチェック機能を果たしていくことをお誓いし、質問を終わります。

○尾崎委員 新銀行東京の二〇一五年三月期決算と中期経営計画について、幾つか質問します。
 二〇一四年度までの中期経営計画の、都の政策支援を軸としたビジネスモデルを確固たるものとする、優良な貸し出しを着実に積み上げ、安定した黒字体質を継続するための資産規模を確保とされていますが、それぞれ具体的にはどのような取り組みを進めてきたのですか。実績としてはどのように出ているのですか、伺います。

○西川金融支援担当部長 新銀行東京は、これまで培った顧客とのリレーション等を活用しながら、都の政策支援に積極的に取り組むとしております。
 具体例といたしましては、中小企業の資金繰りを支援するための公共工事代金債権信託につきまして、その取扱団体数を過去三年間で十二団体増加させ、現在は四十二団体となっております。
 また、本商品の契約額につきましても着実に増加しております。
 さらに、適切な与信管理のもと、中小企業の資金需要に対してきめ細やかに対応するとともに、相談機能の充実を図るなど、さまざまな取り組みを行い、新銀行の資産となる中小企業向け貸し出しも五期連続して大きく伸びております。
 これにより、六期連続で黒字を計上するなど、中期経営計画の目標を超過達成しております。

○尾崎委員 安定した黒字体質を継続するとして、これまでの新銀行東京の収益構造は、銀行の本来業務である融資による利息収入よりも有価証券による運用収益が多いという、他の銀行各社にはない特徴を指摘してきました。有価証券を幾ら保有しても、貸付金のように、地域の企業のために直接的に循環していきません。
 今回の決算で、ようやく融資の収益が有価証券による投資収益を上回りましたが、まだ有価証券の割合は、他行に比較しても高い状態です。
 では、預金、融資の方はどうなってきているか伺います。
 預金についてですが、一件当たりの預金残高は幾らになりますか。預金利回りはどうですか。預金の実態についてはどう認識していますか。

○西川金融支援担当部長 新銀行東京の預金につきまして、平成二十六年度末の残高は二千六百十五億円、口座数が約六万七千口座となっております。
 預金利回りにつきましては、平成二十六年度において〇・三三%となっております。
 預金につきましては、新銀行東京は、預金と貸し出しのバランスを勘案した上で、みずからの経営判断により、必要な資金の調達を行っていると認識しております。

○尾崎委員 新銀行東京の預金利回りは、今ご答弁いただいたように〇・三三%ということですが、全国の銀行全体の平均預金利回りは、昨年度、二〇一四年三月期で〇・〇七%ですから、新銀行東京の預金利回りは四倍以上となっています。
 貸し出しの元手を集めるために他行よりも利率を引き上げ、集めたお金をどう貸し出しているのでしょうか。
 融資について伺います。
 一先当たりの融資残高は幾らになりますか。貸出金利回りはどうですか。及び貸出金の実態についてどう認識していますか。

○西川金融支援担当部長 ご答弁の前に、先ほど委員の方から、有価証券運用益を貸し出しの運用が上回ったのは二十六年度からというお話がございましたが、二十五年度からでございますので、申し上げておきます。
 それでは、ご答弁申し上げます。
 平成二十六年度末時点で、中小企業向けの融資残高につきましては一千二百八十億円、取引先数につきましては一千二百四十九先となっております。
 貸出金利回りにつきましては、平成二十六年度は一・七九%となっております。
 今回の決算におきまして、新銀行東京は、中小企業向け与信残高を大きく伸ばし、また、与信先数も初めて増加に転じるなど、中小企業支援という設立理念に沿って尽力をしているものと認識しております。

○尾崎委員 貸出金利回りですが、決算書を見ると、政府向けを除くと二・〇一%です。また、全国の銀行全体の平均貸出金利回りは、昨年度、二〇一四年三月期で一・三八%です。新銀行東京は、他行よりも貸出金利回りが高いことが明らかになります。
 今のご答弁では、融資残高については中小企業分だけでした。また、一社当たりの融資残高は明らかになりませんでしたが、計算すると、単純にですが、一社平均は約一億五千万円です。地方銀行の都民銀行は一社当たり約三千万円、第二地方銀行のスター銀行は一千五百万円ですから、新銀行東京の一社当たりの融資額が非常に大口であるということがわかります。
 業種別の取引先の中で、不動産業、物品賃貸業が一つになっていますが、不動産業の取引先数と残高、物品賃貸業の取引先数と残高は、それぞれ幾らになりますか。
 また、金融業、保険業が一つになっていますが、金融業の取引先数と残高、保険業の取引先数と残高は、それぞれ幾らになりますか。
 また、不動産業とは、不動産取引と不動産賃貸も含まれるのですか。金融業とはどのような業者をいいますか。地方公共団体とはどこでしょうか。

○西川金融支援担当部長 お尋ねの件につきましては、新銀行東京は重要な経営情報、あるいは個別取引にかかわる事項としておりまして、明らかにしておりません。

○尾崎委員 融資の業種別取引先数、金額の資料から見ると、不動産業、物品賃貸業の融資残高が一番多くなっており、二年前の二〇一三年三月期と比較すると、二百二十七億円もふえています。
 一社当たりの融資額が多い産業は金融業、保険業で、一社平均は約十一億円となっています。そして、貸出先の構成比は二七・六%で、最大の貸出先になっています。
 新銀行東京の卸売業、小売業は五・五%ですが、ちなみに都民銀行の貸出構成比で見ると、卸売業、小売業がトップで二六・八%です。金融業、保険業は〇・一四%しかありません。
 金融、保険業を細分化すると、銀行業、協同組合、政府の金融機関、保険業のほかに、貸金業、商品先物取引業などがあります。最も融資額が伸びている不動産業、物品賃貸業では、建物売買業、土地売買業など、いわゆるディベロッパーがあります。
 一件当たりの融資が最も多いのは地方公共団体ですが、どこかはわかりませんが一団体で、二年前の七十九億円が九十八億円になっています。
 このように、中期経営計画でいう優良な貸し出しをふやすという結果が、一部の業種、地方公共団体などの融資先や大口の顧客をふやされてきたのだということがうかがえます。
 二〇一五年度からの中期経営計画の中で、業務内容にミドルリスク、ミドルリターン領域におけるニッチゾーンを追求とありますが、この考え方について伺います。

○西川金融支援担当部長 新銀行東京は、他の金融機関と同様、有価証券運用に関しましてリスクとリターンを総合的に勘案し、最適な資金配分になるべく、運用全体として安定的な収益を確保するよう努めております。

○尾崎委員 具体的なお答えはありませんでしたが、前期の経営計画で書かれていた厳格なモニタリングを徹底しがなくなる一方で、ファンドの活用が入っています。都としての十分なチェックが求められるのではないかと指摘しておきます。
 新銀行東京のホームページを見ると、新銀行がお役に立てることとして、一つ、専門の支援チームによる総合的なアドバイス、二つ、東京都、金融機関、業界団体、専門家との連携の二つが掲載されています。
 今までの都との連携についての実績について伺います。

○西川金融支援担当部長 新銀行東京は、中小企業の皆様の抱えるさまざまな課題にお応えしていくため、専門の支援チームによる総合的なアドバイス等を行う企業相談本部を本年四月一日に設置いたしました。
 また、新銀行東京は、公共工事代金債権信託の取り扱いや官民連携ファンドへの出資など、都との連携を生かしながら、さまざまな取り組みを行ってきております。

○尾崎委員 都内の中小企業は、一九九九年には五十六万七千四百八十五社でした。二〇一二年には四十四万二千五十二社と、十三年間で十二万四千七百十社が減少しており、五社に一社がなくなったことになります。
 本来、銀行は、経済の血液といわれます。地域住民や企業の預金によって地域のお金を地域の企業に貸し出し、お金を循環させることによって地域経済を活性化し、支えていくのが本来の役割ではないでしょうか。
 日本共産党は、金融取引に関する専門知識、経験も持たない地方自治体が銀行経営に乗り出すべきではないと、新銀行東京の設立についても、追加出資についても反対を貫いてきました。
 今回の経営統合を機に、第三者による経営分析のもと、四百億円の追加出資金はもとより、一千億円の出資金の残金も含め、都民の税金の棄損を最小限に抑えることが重要だと考えます。
 今後は、預金者保護、貸出先の中小企業への支援の継続、従業員の雇用を確保することを前提に、都が銀行業から手を引くという方向を明確にすべきだと要望して、質問を終わります。

○田中(健)委員 私も新銀行東京についての質疑をしたいと思います。他の委員からかなり多くの質問が出されまして、私とかぶるところもあるのですが、よろしくお願いしたいと思います。
 六月十二日に、新銀行東京と株式会社東京TYフィナンシャルグループとが経営統合に向けての基本合意を交わしました。舛添知事は、この件に関しては両社の推移を見守っていくという発言をしております。
 今回の統合発表に関して、マスコミでは、銀行業からの撤退、また、官製銀行十一年で幕といったような報道もある一方で、百二十店舗超の中小企業向け金融が生まれる、また、都の連携、継続が生まれるというものもあり、さまざまな捉え方がされています。一体、新銀行はどうなるのか。今後について、新銀行から融資を受けている中小企業や都民、多くの人が期待と不安を持っていることかと思います。
 そこで、まず改めて、今回の統合の意義についてをここで確認したいと思います。

○片山金融監理部長 都は、活力ある東京を実現していくため、中小企業支援に積極的に取り組んでおります。この中小企業支援を効果的に展開していくためには、金融機関の力を活用していくことが必要でございます。
 このたび、経営統合に関する基本合意を発表した新銀行東京と東京TYフィナンシャルグループは、中小企業支援という共通の目標を持ち、経営統合による相乗効果も期待できることから、経営統合に向けて協議、検討していくこととしたとしております。
 今後、経営統合に向けた協議、検討が進められますが、都としては、今回の経営統合が中小企業支援のより一層の推進につながるものと考えております。

○田中(健)委員 中小企業支援という共通の目標を持って両行が取り組んでいくというのは、幾つかの質疑の中でも出ましたし、一番の基本だと思っているのはわかります。今、答弁の中で、より一層の推進につながるといった発言がありました。
 都はこれまでも、金融機関を活用した中小企業支援に取り組んできた実績があると思いますが、今回のこの経営統合に関して、具体的にどのような考え方で金融機関の活用というのを図ろうとしているのかを伺います。

○片山金融監理部長 都は、中小企業への支援として、これまで制度融資、創業支援及び事業再生支援など、さまざまな施策を展開してございます。
 これらの施策を中小企業に広く周知するためには、中小企業との幅広いネットワークを有している金融機関の力を活用することが欠かせません。
 したがいまして、都としては、政策の実現に向けて、中小企業支援に取り組む地域に根差した金融機関と連携しつつ、より効果的に中小企業支援施策を推進してまいります。

○田中(健)委員 続きまして、統合後の銀行についてのあり方を聞きたいと思います。
 東京TYフィナンシャルグループの柿崎社長は、会見で統合後の銀行について、統合後もあくまで民間金融機関と発言がありました。
 一方、新銀行東京は、中期経営計画を五月に発表したばかりであり、業務内容の三本柱の一つには公共関連を挙げ、また、社会貢献も大きな取り組みの一つに掲げていました。そんな中、統合に関して、新銀行の常久社長は、都の中小施策と経済合理性を両立できると発言しています。
 この両社の社長の発言だけを聞くと、ちょっとお互い見ている先が違うように捉えかねない印象も受けかねません。統合後の事業展開というものを、どのように統合後の新銀行が考えているのかを伺いたいと思います。

○片山金融監理部長 このたび、新銀行東京と東京TYフィナンシャルグループが発表した基本合意におきましては、都と連携して都内中小企業の育成、支援に取り組み、地域の発展に資することにより、持続可能なビジネスモデルを確立し、首都圏マーケットでの競争力を高めていくことを掲げており、両社はこれを経営統合の基本方針として合意をしてございます。
 また、都といたしましても、中小企業支援を推進する上で、中小企業と幅広いネットワークを有する金融機関と連携して、その力を活用することが欠かせないことから、このたびの経営統合が中小企業支援施策のさらなる推進につながるものと考えております。

○田中(健)委員 両行とも同じ方向を見ていると、また、都もそれに関して同じ方向を見ているということでありますが、それでは、都として、今後についての取り組みを伺いたいと思います。
 これまで都は、都政の最重要課題の中小企業支援のために、新銀行に出資をし、八四%を持つ筆頭株主として総会で発言をしたり、また、役員、職員を派遣し、また、決算報告を受け、経営を監視し、政策実現のためにあらゆる形で関与を続けてまいりました。
 今回の統合に当たり、相対的に出資比率が下がることで、これまで筆頭株主であったものから一株主となることになります。
 そんな中で、今後どのように、この中小企業政策実現のために都が銀行の中で役割を果たしていけるのか、伺います。

○片山金融監理部長 今回の基本合意におきましては、東京都内の中小企業の育成、支援の取り組みを推進するため、中小企業支援策に関する東京都との連携について、幅広く検討を進めるとしてございます。
 新銀行東京と東京TYフィナンシャルグループは、ともに中小企業支援という共通の目標を掲げて取り組んでいるところであり、今後、都、新銀行及び同グループは連携しながら、より一層の中小企業支援を進めていくこととなります。

○田中(健)委員 都との連携を幅広く検討するということであります。
 一株主で、これまでのような筆頭株主でないので、経営に関与する立場ではなくなりますし、最終的には、民間主体の、民間の銀行になることが私は望まれると思っております。
 そのためにも、何度も議論されておりますが、この経営統合に向けた最大の課題は、都が出資をした四百億円の公金についてであります。
 知事としても、追加出資の四百億を担保するのが大前提だという発言が何度もあります。
 確かに今、統合時に関してはそれが大前提でありますが、しかし、新銀行東京と東京TYフィナンシャルグループの株式を交換するという中で、株式交換によって、株式を保有することに変わりはないんですが、同時に、株式には常に変動リスクが伴うものであることも忘れてはなりません。そのリスクをどのように考えているのか。また、その四百億を確実に守るという手だては今のところあるのか、伺います。

○片山金融監理部長 新銀行東京の株式には、普通株式と優先株式の二種類がございまして、現在都は、追加出資の四百億円を日々の株価の変動を反映しない優先株式として保有をしてございます。
 株式交換の具体的な内容につきましては、今後、新銀行と東京TYフィナンシャルグループとの間で協議が行われることとなりますが、都としては、新銀行の優先株式と同グループの優先株式とが交換されることを想定してございます。

○田中(健)委員 優先株式で四百億円を確保するということでありますが、ご案内のとおり、優先株は、配当の支払いや残余財産の分配において、普通株よりも優先的に取り扱われる株式であります。
 この優先株には、条件が交換のときにはつけられますので、新銀行のときもこの条件づけをして四百億の追加出資、そして優先株の配当を受けたと思いますので、ぜひ、今後の交渉の中で、この四百億円を確保できるような条件づけを検討してもらいたいと要望したいと思います。
 同時に、この四百億を返済していくには、先ほども議論がありましたが、東京TYフィナンシャルグループが利益を上げていくことが大前提でもあります。
 例えば、毎年一億円の利益を四百億の返済にと仮定すると、それだと四百年もかかってしまうことになります。そもそも、四百億円を都に返済していくという、そういった理解でいいのかが疑問であります。
 そのためには、返済計画を立てる必要があるとも考えますが、都の見解を伺います。

○片山金融監理部長 経営統合後の東京TYフィナンシャルグループの資本の取り扱いにつきましては、金融庁の監督のもと、同グループがみずからの経営判断で行っていくものでございます。

○田中(健)委員 もちろん、統合する前に、資本を最初から引き上げるといった銀行はありませんが、今後の回収の見通しとしては、最終合意の後になるかとは思うんですけど、示されて、都民にも説明ができるようにすることをここで望んでおきたいと思います。
 最後に、今回の資料請求にもありましたが、平成二十二年の一月に訴訟提起をした、新銀行東京の旧経営陣に対する損害賠償請求訴訟の判決についてです。
 この判決については、本年四月十日に確定をしたところであります。原告である新銀行の請求は棄却をされて、新銀行が求めていた旧経営陣の責任を問うことはできませんでした。
 この結果を受けて、新銀行は控訴することはしなかったのかというのを伺いたいと思います。
 都も、この責任論に関しては、旧経営陣への訴訟の推移を見守るという立場をこれまでとってまいりました。旧経営陣に責任はなかったという、今回の判決によっての理解でいいのか、伺います。

○片山金融監理部長 新銀行東京が、旧経営陣の責任を追及する目的で、平成二十二年に提起した民事上の損害賠償請求訴訟につきましては、請求が棄却され、原告の新銀行は控訴せず、判決が確定をいたしました。
 判決の中で、旧経営陣は与信審査システムが有効に機能していないことを認識していたと認定されるなど、新銀行側の主張も一部認められたものの、旧経営陣の善管注意義務違反ないし忠実義務違反に基づく法的責任までは認められなかったものでございます。
 控訴につきましては、新銀行が判決内容などを総合的に判断した結果であり、都としては、その判断を尊重いたします。

○田中(健)委員 今回、経営統合にまでこぎつけたということでありますが、大変なこれまでの苦労、努力があったことと思いますし、それは先ほど局長からも、るるお話がありました。長年の委員会での議論や、また、さまざまな取り組みを評価したいと思いますが、今、五年にわたった訴訟の結果が出て、だからこそ今、新銀行とは何だったのか、また何が問題であったのかを出資し、人を送り込んだ都に、代表質問でも斉藤委員が発言をしましたが、検証を求めることを要望したいと思います。
 今回の質疑では、中小企業支援、四百億の追加出資について議論をさせてもらいましたが、また、基本合意の段階であり、これから詳細について新銀行東京と東京TYフィナンシャルグループとの間で協議、検討がされていくものだと思っております。
 この中小企業融資は、メガバンクを巻き込み、大変に競争の激しいゾーンでもあります。特に地銀や信金の信組は、この間、合併も相次ぎ、熾烈をきわめております。
 今回の質疑で、この経営統合は、銀行からの撤退や幕引きといった決してマイナスのイメージではなくて、これまで一店舗ではできなかった、または十分に実現ができなかった、新銀行本来の目的である中小企業支援を東京TYグループのネットワークや、人員や、さまざまな経営資源を使って、さらに推進していくものであるということを都からも明言してもらいました。これは、大変に私としてはよかったと思っております。
 これから、最終的な統合契約を結ぶまで、まだまだ、乗り越えなければならない山もありますし、厳しい局面もあるかと思いますが、しっかりと都としての意見を述べてもらいまして、また、この委員会でも、さまざまな意見を述べてきましたが、それを実現できるようにしていただくことを最後に要望しまして、質問を終わります。

○近藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○近藤委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で産業労働局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時十七分散会

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