経済・港湾委員会速記録第四号

平成二十七年三月十八日(水曜日)
第八委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長近藤  充君
副委員長加藤 雅之君
副委員長鈴木あきまさ君
理事中山ひろゆき君
理事田中たけし君
理事かち佳代子君
鈴木 章浩君
田中  健君
堀  宏道君
尾崎あや子君
三宅 正彦君
まつば多美子君
木内 良明君
三宅 茂樹君

欠席委員 なし

出席説明員
産業労働局局長山本  隆君
次長藤田 裕司君
総務部長村松 明典君
産業企画担当部長久原 京子君
商工部長十河 慎一君
金融部長松永 竜太君
金融監理部長片山  謙君
金融支援担当部長西川 泰永君
観光部長杉崎智恵子君
農林水産部長寺崎 久明君
安全安心・地産地消推進担当部長武田 直克君
雇用就業部長矢田部裕文君
事業推進担当部長久我 英男君
就業施策担当部長貫井 彩霧君
労働委員会事務局局長遠藤 雅彦君

本日の会議に付した事件
労働委員会事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十七年度東京都一般会計予算中、歳出 労働委員会事務局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第八十五号議案 東京都労働委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
産業労働局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十七年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為 産業労働局所管分
・第七号議案 平成二十七年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
・第八号議案 平成二十七年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計予算
・第九号議案 平成二十七年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第七十九号議案 東京都おもてなし・観光基金条例
・第八十号議案 東京都森林整備加速化・林業再生基金条例の一部を改正する条例
・第八十一号議案 東京都立職業能力開発センター条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・外国人旅行者の受入環境整備方針について
・東京のブランディング戦略(素案)について
・新銀行東京の「平成二十七年三月期第三・四半期決算」について

○近藤委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、労働委員会事務局及び産業労働局関係の予算の調査及び付託議案の審査並びに産業労働局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより労働委員会事務局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、平成二十七年度東京都一般会計予算中、歳出、労働委員会事務局所管分及び第八十五号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 ご発言願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○近藤委員長 ご発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はいずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○近藤委員長 ご異議なしと認め、予算案及び付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で労働委員会事務局関係を終わります。

○近藤委員長 これより産業労働局関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、平成二十七年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、産業労働局所管分、第七号議案から第九号議案まで及び第七十九号議案から第八十一号議案まで並びに報告事項、外国人旅行者の受入環境整備方針について外二件を一括して議題といたします。
 本案及び本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してございます。
 資料について理事者の説明を求めます。

○村松総務部長 去る二月十二日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の経済・港湾委員会要求資料の表紙をおめくりください。
 目次でございます。資料は全部で十三項目ございます。
 次のページをごらんください。過去十年間の予算額、決算額の推移につきまして、一ページに中小企業対策、一枚おめくりいただきまして、二ページに農林水産対策、三ページに雇用就業対策をそれぞれお示ししてございます。
 なお、雇用就業対策につきましては、内訳として国基金事業関係費を別記してございます。
 四ページをお開きください。従業者規模別都内製造業の推移につきまして、直近の平成二十三年までのデータをお示ししてございます。
 五ページをごらんください。新・元気を出せ商店街事業における平成十九年度以降の実績を内容別にお示ししてございます。
 六ページをお開きください。過去十年間の都内労働者の賃金の推移をお示ししてございます。
 七ページをごらんください。派遣労働者数の推移につきまして、全国と東京都内それぞれについてお示ししてございます。
 八ページをお開きください。派遣元事業所数、派遣労働者数、一般労働者派遣事業・特定労働者派遣事業別の派遣労働者の賃金の推移につきまして、全国と東京都内それぞれについてお示ししてございます。
 九ページをごらんください。都立職業能力開発センターにおける能力開発訓練(普通課程)の授業料収入をお示ししてございます。
 一〇ページをお開きください。委託訓練における緊急就職支援事業の予算の推移と就職率の推移をお示ししてございます。
 一一ページをごらんください。都立職業能力開発センター校別の就職支援推進員の配置状況の推移をお示ししてございます。
 一二ページをお開きください。過去十年間の東京の農地面積の推移をお示ししてございます。
 一三ページをごらんください。区市町村別農地面積、市街化区域内農地、生産緑地面積の推移につきまして、一三ページに区市町村別農地面積の推移、一枚おめくりいただきまして、一四ページには市街化区域内農地の推移、一五ページに生産緑地面積の推移をそれぞれお示ししてございます。
 以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○近藤委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 ご発言願います。

○田中(た)委員 まず初めに、本定例会に提出されている平成二十七年度予算案のうち、産業労働局所管分についてお伺いいたします。
 平成二十七年度予算は、舛添知事が編成する初めての本格予算であります。知事は、東京を世界一の都市へと飛躍させるための実行プログラムとして、昨年末に東京都長期ビジョンを公表いたしました。
 その初年度に当たるのがこの予算であり、オリンピック・パラリンピックの開催まであと五年というタイミングにおいて、どれだけしっかりとしたスタートダッシュができるかということが大変重要であり、現在行われている予算特別委員会の質疑でも、我が党はこうした視点からさまざまな議論を行ってまいりました。
 まず、産業労働局の取り組みの全体を俯瞰する観点から、世界一の都市の実現に向け、長期ビジョンにはどのような政策が盛り込まれているのか、確認の意味も踏まえまして、お伺いをいたします。

○久原産業企画担当部長 昨年末公表した東京都長期ビジョンには、八つの都市戦略のもとに合計二十五の政策指針を掲げるほか、政策の確実な推進を図るため、可能な限り数値化した政策目標をビジョン全体で約三百六十設定しております。
 この長期ビジョンの中では、産業労働局に関連する政策指針が全体の約半数の十二に及んでおり、政策目標につきましては、開業率一〇%台や訪都外国人旅行者年間一千八百万人、若者や女性、高齢者それぞれの有業率など、合計で三十程度設定されております。
 こうした長期ビジョンの描く東京の将来像の着実な実現に向けて、起業、創業の創出により経済を活性化することや、世界有数の観光都市東京を目指して外国人旅行者の誘致を進めること、全ての人が活躍できる社会の実現に向けて、非正規雇用対策の促進や多様な働き方の支援を実施すること、さらには小規模企業支援や商店街振興など、産業労働局が所管する政策展開が多岐にわたり盛り込まれております。

○田中(た)委員 ただいま伺いましたように、長期ビジョンに、起業、創業支援、観光振興、さまざまな雇用対策など非常に幅広い政策が盛り込まれているということであります。
 我が党はこの一年間、積極的にさまざまな政策提言を行い、各定例会での質疑を通じて具体的な提案を行ってまいりました。こうした提案がどのように平成二十七年度予算で具体化されているのかという観点から、事業内容を深掘りして伺っていきたいと思います。
 まず、起業、創業支援に関してでありますが、開業率一〇%台に向けて創業活性化特別支援事業と女性・若者・シニア創業サポート事業という、いずれも百億円規模の大きな支援が盛り込まれております。
 経済の活性化には、新たなビジネスに挑戦する環境の整備が急務であり、我が党は思い切った支援の拡充を求めてまいりました。今回の取り組みは、創業者への融資や助成金、経営サポート、創業支援施設と、さまざまな面からの支援を大幅に拡充しており、大いに期待するものであります。
 この中で特に、創業支援施設の整備に向けて、施設整備費や運営費の一部を助成し、民間や区市町村の取り組みを促していくとのことであります。一口にインキュベーション施設といっても、施設の利用要件、アドバイザーの有無などによってその内容はさまざまでありますが、起業する人にとって使い勝手のよい、また頼りになる施設をふやしていってほしいと思います。
 そこで、都は、創業支援施設の整備促進に向けて、具体的にどのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。

○十河商工部長 都は、来年度より、創業活性化特別支援事業において、区市町村や民間事業者が策定する創業支援施設の事業計画を認定した上で、すぐれた事業計画に対し、施設の整備や改修及び運営に係る経費を助成いたします。
 事業計画の認定に当たりましては、さまざまな形態や種類のある創業支援施設のうち、都が支援の対象とする施設の要件を定め、それに合致しているかを確認いたします。
 具体的には、施設設備などのハード面に加え、専門家によるビジネス支援体制などのソフト面や収支計画等の財務状況などに関しまして、要件を設定いたします。認定された施設につきましては、都がホームページ等で紹介するとともに、整備、改修等に対する助成の対象といたします。
 こうした取り組みにより、すぐれたサービスを提供する創業支援施設の整備を促進してまいります。

○田中(た)委員 創業支援施設の事業運営計画を都が認定することで、インキュベーション施設の質の確保、入居する企業の安心につながることが期待できます。幅広い民間事業者や区市町村による整備が進むよう、事業のPRに力を入れていただくよう要望しておきます。
 産業の活性化を図る上で、こうした創業の促進とともに重要なのは、都内中小企業の八割を占め、地域経済や雇用に大きな役割を担っている小規模企業の継続と発展を支えることであると認識をしております。
 都は、小規模企業への支援を一層強化すべきとの我が党の提案を受け、来年度、新たに都内六カ所に小規模企業の支援拠点を設置する予算を盛り込みました。経験豊富なコーディネーターを中心に、業態転換や事業承継など解決が難しい課題の解消に向けて重点的に支援していくとのことで、大変心強く感じております。
 それぞれの拠点は商工会議所や商工会連合会、中小企業団体中央会と連携して設置するとのことですが、どのような支援体制を整えていくのか、お伺いをいたします。

○十河商工部長 都は来年度、小規模企業の支援拠点を東京商工会議所と連携して区部に四カ所、また、商工会連合会と連携して多摩地域に一カ所設置するとともに、中小企業団体中央会と連携して、業界団体の行う小規模企業対策を支援する拠点を一カ所設置いたします。
 区部や多摩地域の拠点では、コーディネーターや各種専門家が商工会議所等の経営指導員とともに企業の相談に対応し、あるいは直接企業に出向いてきめ細かな支援を行います。
 中小企業団体中央会の支援拠点では、協同組合などの業界団体が傘下の小規模企業に対して行うセミナーや相談会などの取り組みを支援いたします。
 これらの拠点を通じ、小規模企業の事業の継続と発展を積極的に支援してまいります。

○田中(た)委員 それぞれの地域の実情や、業界の状況に精通した各団体との連携を密にして、効果的なサポートをしていただきたいと思います。
 また、地域の商工会議所の支部や各商工会では、商談会やイベントの開催など、地域の活性化に向けた取り組みも進めておられます。地域の経済活動が活発になることは、そこで事業を営んでいる小規模企業にとってもプラスに働くと思います。
 新たに設置する支援拠点を活用し、各商工会などが実施する地域の活性化事業も強力にサポートしていくべきと考えますが、都の取り組みについてお伺いをいたします。

○十河商工部長 地域の活性化に向けて効果的な取り組みを促していくため、新たに設置する支援拠点では、活性化事業の企画立案や実施を円滑に進めることが困難な商工会等に対し、重点的な支援を行います。
 具体的には、商工会等が展示会や商談会の開催、地域ブランドの開発やPRなど、地域の活性化に向けた取り組みを企画、実施しようとするとき、支援拠点のコーディネーターが、事業の磨き上げから効果的な実施まで、きめ細かくサポートいたします。
 これにより、都内のより多くの地域で活性化事業が着実に実施されるよう支援してまいります。

○田中(た)委員 都の支援により、商工会議所の各支部や商工会の活動がさらに活発になることを期待したいと思います。
 次に、こうした団体とともに、地域経済に密着し、地域の商業活動において大きな役割を担っている商店街の支援についてお伺いをいたします。
 都はこれまでも、我が党の提案を受け、時代や情勢の変化に合わせて新・元気を出せ商店街事業などの商店街支援を充実させてきました。長期ビジョンにも、我が党の政策提言を踏まえた形で商店街の振興が盛り込まれたところであり、引き続き、商店街の実情やニーズを踏まえた多面的な支援を進めていただきたいと思います。
 来年度予算の復活要望で我が党は、地域防災力の強化に取り組む商店街をより積極的に支援するよう求めてまいりました。それは、首都直下型地震への備えが求められる中、都内二千六百を超える商店街は、地域住民のコミュニティの核でもあり、地域の防災力向上に向けた取り組みに欠かせない存在だからであります。
 都は、我が党の要望を受け、現在実施している環境対応型商店街活性化事業を見直し、新たに環境・防災対応型商店街活性化事業を開始するとのことでありますが、具体的にどのような支援を行っていくのか、お伺いをいたします。

○十河商工部長 都が来年度から実施する環境・防災対応型商店街活性化事業では、商店街による防災力の向上や住民の安全確保などに向けた取り組みに対しまして新たな支援を行います。
 具体的には、空き店舗を活用した防災支援拠点の整備や、道路上にある消火栓や排水栓に差し込み、ホースをつないで消火を行うためのスタンドパイプの設置、老朽化した街路灯の撤去などを対象に、整備や撤去に要する経費の三分の二について、一億二千万円を上限に助成をいたします。
 これにより、安全・安心で地域に貢献する商店街の取り組みを積極的に支援してまいります。

○田中(た)委員 こうした取り組みにより、地域防災力の強化とともに、商店街への近隣住民の信頼が高まることが期待でき、多くの商店街に活用していただきたいと思っております。
 このほかに、来年度新規事業として買い物弱者支援事業がありますが、これは、これまで三年間のモデル事業として実施してきたものを本格化させる事業とのことであります。
 高齢者や障害者など、いわゆる買い物弱者と呼ばれる方々が不便なく買い物ができるようになることは、地域コミュニティの核として住民と共生する商店街にとって重要な課題であり、モデル事業の検証結果を生かし、効果的な事業を行っていただきたいと思っております。
 そこで、モデル事業の検証結果と都の来年度の取り組みについてお伺いいたします。

○十河商工部長 都は、買い物弱者に対する取り組みの普及を図るため、平成二十四年度より、買物弱者支援モデル事業を実施しております。
 これまでに三つの地域でモデル事業が実施されており、助成金額は三年間で約六百四十万円となっております。具体的には、商店の空白地域における商店街の商品を販売する店舗の開設や、商店街で買い物した商品の宅配サービスなどに取り組み、都の支援が終了した二つの事業は、その後も引き続き実施されております。
 このモデル事業を検証するため、事業を実施した商店街と全ての区市町村に対しまして、買い物弱者支援を実施するに当たっての課題や、必要な支援のあり方などについて調査を行った結果、取り組みを着実に進めるには、地域の団体等とより効果的に連携して実施する必要があることが明らかになりました。
 そのため、来年度から新たに実施する商店街買い物弱者支援事業におきましては、商店街と共同で取り組むNPOや民間企業の活動経費についても補助対象に加えることにより、幅広い主体による取り組みを促進してまいります。

○田中(た)委員 地域住民の誰もが安心して買い物のできる環境を整えることは、商店街と地域をともに活性化していく上で大きな意義があり、多くの商店街にこの取り組みが広がることを期待しております。
 ここまで起業、創業の促進、小規模企業の支援、商店街支援と伺ってまいりましたが、これら中小企業の活動を支える上で極めて重要なのが、金融支援であると思います。先日の本会議の我が党の質問に対して、都は、創業や事業承継、災害時に事業を継続するBCPの推進など、さまざまな観点からの金融支援を拡充すると答弁しました。
 会社を立ち上げて間もない時期は、当然厳しい資金繰りを強いられますし、事業承継やBCPの策定を進めることは、日々の運転資金とは別に資金が必要となると思っております。
 それぞれの企業の将来を見据えた懸命な取り組みを後押しするために、こうしたニーズにしっかり応える支援をすべきだと思いますが、来年度の制度融資において、これらの支援に具体的にどう取り組むのか、お伺いをいたします。

○松永金融部長 都内の中小企業が直面する課題の解決を資金面から後押しするため、都は来年度、制度融資メニューの充実を図ってまいります。
 創業融資では、商工団体等から経営支援を受けた企業の融資利率を〇・四%優遇する特例を設けるとともに、全ての事業者に対し、信用保証料の二分の一を都が補助いたします。
 また、事業承継融資を新設し、後継者への引き継ぎを予定している企業や経営者の交代から五年未満の企業に対しまして、事業の安定化や多角化などに必要な資金を最優遇金利で融資するとともに、全ての事業者に対し、信用保証料の二分の一を都が補助いたします。
 そのほか、BCPの策定、実施に係る費用を新たに制度融資のメニューの対象に加え、最優遇金利で融資するとともに、商工団体等から支援を受けた企業については、融資利率を〇・二%優遇いたします。
 このように、利用者の負担軽減に配慮した融資メニューを提供することで、都内中小企業のさまざまな取り組みを支援してまいります。

○田中(た)委員 経営支援と連動した金利の引き下げや保証料補助といった、きめ細かい配慮が重要だと思いますので、中小企業の経営課題の解決を後押しする観点から、力強い支援をお願いしたいと思います。
 次に、中小企業を担う人材を育成する公共職業訓練についてお伺いをいたします。
 少子高齢化が進み、今後、労働力人口の減少が見込まれる中、東京が持続的に発展できるかどうかは、産業を支える人材が鍵を握っており、長期ビジョンにも人材の確保、育成支援の充実が盛り込まれております。
 都は、都内各地に職業能力開発センターを設置し、求職者向けのさまざまな職業訓練や、中小企業の従業員向けの多様な訓練を実施し、中小企業の人材育成を担うとともに、若者などの就業支援の面でも大切な役割を担っています。こうした訓練は、産業界のニーズを踏まえ、常に見直しを進め、充実を図っていただきたいと思います。
 そこで、都の公共職業訓練について、来年度はどのように充実させていくのか、見解をお伺いいたします。

○久我事業推進担当部長 都は、産業ニーズの変化や訓練の実施状況などを踏まえ、公共職業訓練の内容や実施方法などを見直し、必要な規模を確保しつつ、充実を図っています。
 来年度は、求職者向けの訓練では、新しい加工技術に対応した3DCAD・CAM科の設置や介護サービス科の定員増など、人材が不足する分野での人材育成を図るとともに、就業が困難な若者向け科目の新設など求職者に対する支援も強化いたします。
 また、民間のノウハウを活用する観点から、CAD科を委託するとともに、業界団体が運営する認定職業訓練施設を活用した新たな訓練を実施するなど、多様な訓練の機会を提供いたします。
 在職者向け訓練では、従来の東京ものづくり名工塾をより高度な中堅技能者向けの東京みらいの名工育成プログラムとして再編するなど、中小企業のニーズを踏まえて、充実を図ってまいります。

○田中(た)委員 職業訓練について、さまざまな充実が図られていくとのことでありました。今後さらに継続的に充実を図っていくためには、職業能力開発センターの老朽化に適切に対応していくことが求められます。
 来月には、老朽化を契機として施設整備に着手した城東職業能力開発センターが新たに開設いたします。このセンターの事業展開について、先日の本会議で我が党から質問したところ、新たな訓練科目の実施や企業現場の実態に即した訓練設備の導入、中小企業への施設貸し出しなどの支援を強化するとの答弁がありました。
 地域における中小企業を人材面から支え、職業訓練を通じて求職者を就職へと結びつける職業能力開発センターは重要な存在であり、計画的に施設の整備を進め、その機能を強化していくことが大切であります。
 そこで、今回の城東職業能力開発センターの施設整備の効果と、他の施設についての今後の整備の展開についてお伺いをいたします。

○久我事業推進担当部長 新たな城東職業能力開発センターは、大規模化して訓練の環境の改善や内容の充実を図り、地域における人材育成の拠点とするものです。
 求職者向け訓練では、企業現場の実態を踏まえた新たな設備を整備するとともに、大規模化のメリットを生かして、さまざまな科目の体験ができる若者向けのジョブセレクト科を新設いたします。施設内で実施する訓練の募集定員も今年度に比べまして百二十名増員いたします。
 また、在職者向け訓練では、新たに導入する訓練設備も有効に活用し、3Dプリンターの操作など企業ニーズに即した訓練を展開する予定であり、定員も二百名増員いたします。
 また、人材育成プラザを新設し、区部有数の広さを持つ実習場と、百二十名利用できる教室、三十台配置したパソコン室を、従業員教育向けに無料で中小企業等に貸し出します。
 今後の施設整備の展開でありますが、各施設の大規模改修を計画的に進め、耐用年数の延長を図る一方で、特に老朽化が著しい城南職業能力開発センター大田校につきまして、新たな施設整備の検討に着手いたします。
 このため、来年度、都内ものづくり中小企業を対象に、人材の確保と育成についての実態調査を行い、新たに整備する施設が担うべき役割や人材支援機能の拡充策等を検討してまいります。

○田中(た)委員 今回の施設整備による大規模化のメリットを十分に生かし、求職者や中小企業のニーズにしっかりと応えていくとともに、今後の施設整備を着実に進め、職業訓練のさらなる充実をお願いいたします。
 次に、東京の産業を支える人材を確保することに加え、誰もが生き生きと活躍できる社会を実現していくためには、雇用就業対策の充実が必要であり、都は国との協定を締結し、連携を強化しようとしています。私はこれに加え、地域の実情に応じてさまざまな就業支援に取り組もうとしている区市町村との連携が重要だと思っております。
 例えば私の地元品川区では、雇用、就労、産業支援を一体的に行う就業センターを設置し、若者らの就業支援や区内中小企業の人材確保支援など、さまざまな事業に積極的に取り組んでいます。こうした取り組みをさらに後押しすることで、東京全体の雇用対策の底上げが図られると思っております。
 都は、昨年の第四回定例会での我が党の代表質問に対し、区市町村とのさらなる連携方策を検討するとの答弁をされましたが、来年度の取り組みについてお伺いをいたします。

○久我事業推進担当部長 地域の潜在的な労働力を掘り起こし、就労につなげる取り組みを推進するため、都は新たに区市町村に対して、所要経費の十分の十を補助する東京都人づくり・人材確保支援事業を開始いたします。
 本事業では、例えば若年無業者を支援するNPO等を活用し、地元企業で働くことを体験して就労につなげる取り組みや、子育て中の女性向けに、託児の機会を確保しながら、研修と職場実習を組み合わせて地域で働くことができるように支援する取り組みなど、地域の実情に応じた効果的な施策が立ち上げられるように区市町村を後押ししていきます。
 また、従業員に対する資格取得支援や人材活用コンサルティングを通じた定着促進や正規雇用化など、地域に密着した企業における魅力ある職場づくりに対する支援も補助対象といたします。
 こうした取り組みを通じて、東京の発展を人材面から支えてまいります。

○田中(た)委員 都が十分の十の補助を行って支援する意義は大変大きいと思います。ぜひとも継続的に支援していただくよう要望いたします。
 次に、観光振興についてお伺いをいたします。
 訪日旅行者数は二年連続で過去最高を記録し、ことしに入っても、春節に合わせて訪れた中国からの旅行者がまとめ買いをしていく姿が連日メディアで取り上げられるなど、観光への注目は高まるばかりであります。
 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会を五年後に控え、東京の魅力を全世界に向けて強力に発信し、世界中からさらなる旅行者を呼び込むと同時に、訪れた旅行者を温かく迎え入れる環境を整えることが喫緊の課題であると認識をしております。
 まず、東京の魅力の発信に向けて、都は、東京のブランディング戦略を年度内に策定し、旅行地としての東京を強く印象づけるためのさまざまな施策を展開することとしています。ロンドンやニューヨークなど世界的な都市は、ブランドイメージの発信に取り組んでおり、時宜を得たものと評価いたします。
 東京のイメージを海外に浸透させていくためには、私はまず、東京に住み、働く一人一人が東京のよさを見詰め直し、そのすばらしさを再認識してもらうことが大切だと思っております。そうすることで初めて、海外の人たちに東京の魅力を十分に伝えることができると考えております。
 都民や民間事業者等に東京ブランドを共有してもらうために、都は東京ブランド推進会議を設置し、国内に向けたブランディングキャンペーンを行うということで、大変重要な取り組みだと考えておりますが、その具体的な内容についてお伺いをいたします。

○杉崎観光部長 都は来年度、東京のブランドイメージを民間事業者等と共有し、理解と共感を深めるとともに、これを海外に向けて発信するための推進母体となる東京ブランド推進会議を設置いたします。
 この会議では、東京ブランドの浸透に向けて、取り組み事例などの情報を共有するとともに、ロゴ、キャッチコピーを活用するなど、都や民間事業者が相互に連携した取り組みを推進してまいります。
 またあわせて、ブランディングキャンペーンとして、イベントの実施や広告の掲載、参加型ウエブサイトなどを展開することで、都民や民間事業者等が東京の魅力に気づき、誇りや愛着を持って旅行者を迎え入れる機運を醸成してまいります。

○田中(た)委員 東京は、日本人が培ってきた伝統や多彩な文化など、多様な魅力にあふれる洗練された都市であります。都民や民間事業者等が、東京が持つすばらしさを改めて見詰め直し、そして、みずから発信できるよう機運を高めていただきたいと思います。
 その上で、海外で東京観光の魅力をいかに発信していくかが重要だと思います。これまで余り知られていなかった魅力を伝えるためには、さまざまな媒体や機会を活用していかなければなりません。また、世界中の注目を集める東京オリンピック・パラリンピック大会期間中はもちろんのこと、開催前の関連イベントなどと連携したPRも効果的であると思っております。
 海外への東京ブランドの発信に向けた今後の都の取り組みについてお伺いをいたします。

○杉崎観光部長 都は来年度、広範な海外ネットワークを持つ放送局でのテレビCMや、世界的に知名度の高い旅行サイトへの広告掲載などを活用しまして、東京ブランドの認知度を全世界で高めてまいります。
 また、国内外で活躍する著名人を東京ブランドアンバサダーとして任命することで、その発信力を活用して、東京ブランドのPRを実施いたします。
 さらに、オリンピック・パラリンピック関連イベントや文化関係事業等とも連携するなど、さまざまな機会を活用し、東京ブランドの海外への浸透を図ってまいります。

○田中(た)委員 二〇二〇年に向けて、世界の人々に東京ブランドをしっかりとアピールしていただきたいと思います。
 こうして東京を訪れてくださる外国人旅行者を温かく迎え入れるためには、旅行者がまず目にする表示や標識などの多言語対応を進める必要があります。日本政府観光局の調査によれば、多くの外国人旅行者が道路や駅、美術館、飲食店などにおける表示、標識等の外国語表記が少ないと感じているとのことであります。また、外国語表記があっても、同一施設名の表記が異なるなど、わかりにくい事例もあるとも伺っております。
 こうした課題に対応するため、都は先般、わかりやすい表示、標識等の作成を促すためのガイドラインである案内サイン標準化指針を改定しましたが、改定のポイントと今後の普及に向けた取り組みについてお伺いをいたします。

○杉崎観光部長 都は、従来の歩行者用、鉄道用の案内サイン標準化指針を改定するとともに、より多くの主体が多言語化に取り組めるよう、新たに観光施設、宿泊施設、飲食店を対象とする指針を策定いたしました。
 本改定では、道路や河川の名称等を外国語で表記する際のルールを整理するとともに、都内の地名や施設名など、使用頻度の高い千八百種類の用語を英語、中国語、韓国語に翻訳した対訳表を作成しております。
 今後、国や区市町村、民間団体等から成る多言語対応協議会などを活用し、表示、標識等の設置事業者等にこの指針を広く周知することで、わかりやすい案内サインの整備を促進してまいります。

○田中(た)委員 二〇二〇年大会の開催時には、世界中から多くの旅行者が訪れます。都内全域での統一的な多言語対応の取り組みを着実に進めていただきたいと思います。
 多言語対応が進み、人々の温かいもてなしに触れることができれば、東京の評価は一段と高まり、さらに旅行者を呼び込むことにもつながります。世界一の観光都市東京の実現に向けて、東京が一体となった取り組みが進むよう、都が先導役を果たすことを要望しておきます。
 これまで、中小企業振興、雇用就業対策、観光振興についてさまざまな観点から質問してまいりました。産業労働局が担うべき政策分野は多岐にわたり、経済再生、景気回復を実現していく上で非常に重要であると考えます。
 長期ビジョンに、都内開業率一〇%台や外国人旅行者年間千八百万人、さらには三年間で都の非正規対策による一万五千人の正規雇用化などインパクトのある具体的な数値目標を掲げ、平成二十七年度予算案に積極果敢な産業振興施策を盛り込んだことは評価しております。
 産業労働局には、都内事業者や、そこで働く人々に夢や希望を与えるために、これまで以上に頑張っていただくことを大いに期待し、最後に、東京の経済の活性化に向けた局長の決意をお伺いいたします。

○山本産業労働局長 経済再生、あるいは景気回復を推し進めまして、首都東京の経済活性化を図ることは大変重要な問題であるというふうに思っております。
 我が国の経済は緩やかな回復基調が続いているものの、いまだ厳しい経営環境から抜け出せない事業者も多いのが現状でございまして、景気回復を確かなものにするためには、首都である東京の経済の活性化が不可欠であると考えております。
 経済の活性化に向けましては、東京にあるすぐれた技術を持つ中小企業の集積、あるいは、江戸時代から続く伝統や文化、加えまして豊かな自然や農地、そういったものを、多様で特色のある東京のポテンシャルを最大限に生かしながら、都民や事業者などの現場のニーズに迅速かつ的確に対応することが重要だと考えております。
 同時に、グローバル経済の進展、経営者の高齢化、さらには非正規雇用の増加といった構造的な課題に対しましても、国や区市町村、民間等とも連携を図りながら、積極的に対応していくことも必要であると考えております。
 産業労働局では、こうした認識のもと、東京都長期ビジョンを羅針盤といたしまして、中小企業振興や観光振興、さらには農林水産業振興、雇用就業対策など、必要な施策を平成二十七年度の予算案に盛り込みました。これらの施策を着実に、かつスピード感を持って展開することで、喫緊の課題に対応しながら、東京の経済の持続的な成長を実現してまいります。
 二〇二〇年オリンピック・パラリンピックという明確な目標があることを強みとし、さらに、その先を見据えまして、東京が日本経済を牽引していくとの強い信念を持って、産業振興や雇用就業対策に局の総力を挙げて取り組んでまいります。

○田中(た)委員 二年前に発足した安倍政権が実施しているアベノミクスにより、緩やかではありますが、確実に景気回復が進んでいると認識をしております。
 しかし、決して現状は十分ではなく、まだまだ道半ばであり、アベノミクス効果を広く多くの方々に実感いただくためには、さらなる取り組みが必要であるとも認識をいたしております。
 我々は、二〇二〇年に開催されるオリンピックを一過性のスポーツイベントに終わらせるのではなく、オリンピックの開催を通じて、その後の五年先、十年先をも見据えて、東京を世界一の都市にするため、さまざまな取り組みを行うべきと考え、政策提言も行ってまいりました。
 そのような観点からも、オリンピックは第四の矢であり、景気回復につながる取り組みをも行うべきと捉えております。東京の景気回復なくして日本の景気回復はなく、東京都の果たすべき役割は大変大きいと思っております。
 東京を世界一の都市にするための原動力となる景気回復に引き続き全力で取り組むことを表明し、質問を終わります。

○木内委員 田中たけし理事の非常に傾聴に値する質疑を聞いておりまして、関連して、事業承継をめぐる中小企業の今後の課題ということについてお尋ねをしてまいります。
 実は、私は江東区の地域でお世話になっておりまして、ここに亀戸というまちがあります。総武線沿線です。全国で最も社長といわれる人が多く住んでいるまち、それが江東区亀戸です。じゃあ社長さんといっても、大きな会社の社長さんかというと、実はいろんな中小企業の社長さんといえば格好いいですが、零細事業者の方も含めて、経営をしておられる方々の最も多いまちが江東区の亀戸であります。
 こういうまちでありますが、商工会議所の地域活動というのは、恐らく都内でも最右翼といわれるぐらい、最も活発な活動を重ねている団体もあります。東京商工会議所江東支部というのは、今、その勇名を全国にはせているわけでございます。
 私は、この東商の支部の皆さんとの定期的な懇談会を重ねる中で、現今、中小零細事業者が抱えるさまざまな問題を直接現場の声として耳にし、また、これを議会で政策に反映すべく、これまでも懸命に頑張ってきた自負を持っているのでございます。
 いわゆる懇談の中で一番強く出ますのが、先ほど田中理事がいわれました事業承継の問題ということであります。先ほど来の質疑と重複しない角度で、時には田中理事が触れたことを深掘りするような形で質疑をしてまいりたいと思います。
 日本が超高齢社会に突入する中、東京でも五人に一人が六十五歳以上、そして七十五歳以上の方もおよそ一割に達しようとしているのであります。この高齢化の波は、高度経済成長の時代から長年にわたり都内の産業を支えてきた東京の中小企業経営者にも押し寄せてきているのであります。
 今後、ご高齢の経営者というものは、会社のかじ取りを一手に引き受けてきた自分が引退した後の経営や事業をどうしていくのかという課題に向き合わなければなりません。この傾向はますます強くなっていくのであります。
 中小零細企業は、大企業のような厚みのある人材層に必ずしも恵まれているわけではないため、この事業承継の問題は、実は、いうはやすく解決するのは非常に困難で厄介な問題であります。だから、この委員会での議論というものも微に入り細にわたって具体的な提案をし、これに対する答弁を得ながら進めていく必要があると思うのであります。
 そこでまず、都内中小企業の経営者の高齢化の現状について、どう認識しておられるか、ご説明を願います。

○十河商工部長 都は毎年度、都内中小企業の経営等の実態について調査を行っておりまして、平成二十五年度はサービス業、平成二十四年度は製造業を対象としてアンケートを実施いたしました。これによりますと、経営者の年齢が六十歳以上となっている企業の割合は、サービス業では全体の五八%、製造業では六九%でございました。
 また、七十歳以上となっている企業の割合は、サービス業では二二%、製造業では三三%に達しております。
 これらはいずれも三年前に実施した前回調査の結果と比較して増加しているということでございます。

○木内委員 中小のものづくり企業では、既に三分の一が七十代以上であります。また、七割の経営者が六十代以上ということからすれば、経営者の高齢化が今後さらに急激に進んでいくのは避けられないという実態にあると思います。
 もちろん、こうした経営者の中には、きっぱりと自分の代で工場や店を畳む決断をされる方もいらっしゃると思います。
 しかし一方で、一かどの技術を持ち、あるいはさまざまな工夫や知恵を凝らして経営基盤の要素を築いた、そういう方々も多くおられるわけでありまして、取引先からも頼りにされ、少なくない従業員がいるといった企業では、経営者の方も何とか事業を続けたいという思いが強いのではないかと思います。
 先ほどの田中理事との質疑の中で、局は、商工会議所地元支部、あるいはさまざまな支援拠点についてのご説明をされましたけれども、このシステムに血を通わせていかなくてはならないと思うのであります。
 こういう経営者の方が、事業を続けたいと思いながら、実態的には順調に経営のバトンタッチができたという話を余り聞けないというのも極めて残念なことであります。
 そこで、こうした中小企業では、事業承継に取り組む上での課題をどう認識しておられるかについてもご説明を願います。

○十河商工部長 先ほどご紹介した調査では、事業承継上の課題として最も多くの中小製造業者が挙げたものが、業界の将来性への不安であり四〇%、次に多い回答が、業績不振で三〇%となっており、事業承継に当たって、経営面の課題を抱えている企業が多い状況でございます。
 同時に、事業承継の意向のある企業に対して、後継者の状況を尋ねた質問では、六四%が後継者が決まっていると回答した一方で、候補者がいないとする企業は七%、後継者の候補はいるが決定はしていないとする企業も二二%となっており、後継者の確保も大きな課題の一つとなっております。

○木内委員 事業承継上の大きな課題の一つが後継者の確保ということである、数字を挙げての答弁がありました。
 事業承継に取り組む上での課題として、経営の問題が大きいという答弁もありました。よく理解できることでもあります。経営に不安があるようでは、後継者の方に安心して引き継いでもらうことはできませんし、こういう事業内容では、例えば大事な息子に、あるいは大事な後継者と目される人にこの事業を承継するわけにはいかないということも、残念ながら多くあるのではないかと思うのであります。経営に不安があるようでは、後継者の方に安心して引き継いでもらうことはできないのであります。
 こうしたことから、中小企業が事業承継を果たすためには、何よりも社業を将来にわたって発展させていくための確かな経営基盤を確立することが不可欠でありまして、その上で、会社の将来を託す後継者をしっかりと確保し育てていくことが大変重要であると考えます。
 東京都は、さきの本会議での私ども公明党の代表質問に対しまして、新年度から、事業承継に取り組む中小企業に対し、専属のマネジャーが三年間にわたり一貫した支援を行うと答弁されました。
 さまざまな課題の解決が必要な中小企業に対して、事業承継を実現するまで息の長い支援を行っていくとの答弁であったと、こういうふうに受けとめておりまして、これは大いに期待したいと思います。
 先ほどの方の質疑の中で、支援拠点を整備して事業の継続と発展につなげていくというお話もありました。さまざまな課題の解決が必要な中小企業に対して、事業承継を実現するまで、重ねて申し上げますが、息の長い支援を行っていくということは、新しい施策展開の中では基軸になるものだと思います。
 この制度に血を通わせて、実効、効果あらしめるためには、さまざまな知恵と工夫が大事だと思いますけれども、新たな支援策の具体的内容と実施体制の方針についてご報告を願います。

○十河商工部長 事業承継の実現には、経営、組織、人事など多方面の課題を時間をかけて一つずつ解決していくことが必要でございます。
 このため来年度から、中小企業振興公社に企業OBなど経営の実務に精通したマネジャーを四名配置し、事業承継に取り組む企業が直面するさまざまな課題の解決を、三年間にわたり継続して支援する取り組みに着手いたします。
 支援企業一社に対するサポートを一名のマネジャーが一貫して担当し、経営改善や事業承継に係る計画の策定、実施から、後継者の選定、承継後の経営体制の定着までを総合的に支援してまいります。

○木内委員 どうも自民党さんの質疑と公明党が連携して継続性を持って展開をしているような気になってきましたけれども、今いわれた事業を、新たに設ける支援拠点を基軸にしながら展開をしていくということでありました。
 経営の実務に精通したマネジャーを四名配置する、事業承継に取り組む企業が直面する課題の解決を三年間継続して支援をしていく、支援企業一社に対してサポートを一名のマネジャーが一貫して担当していく、息は長いけれども充実した形にしなければならないし、ぜひそうしてもらいたいとも思うものであります。
 各企業に専属のマネジャーをつけ、しっかりと事業承継をサポートしていくということでありますが、荒波にこぎ出した企業が事業承継という岸にたどり着くためには、マネジャー任せでは決してうまくはいかないとも思います。企業にも相当の覚悟を持って臨んでもらわなければなりません。また、マネジャーの側も、しっかりと企業に入り込んで間断なく支援を続けることが求められます。
 これがもし成功すれば、私は大変な都政の実績につながってくると思います。今まさに中小企業の求めているもの、行政がしっかりと手を差し伸べて支援をしていく、典型的な事例になるものと思われます。
 難しい課題に取り組むに当たっては、時には、マネジャーによる支援に加え、法律や会計、マーケティングなど、その道の専門家の力をかりる必要も出てくると思いますが、こうした支援の担い手が勝手ばらばらに活動しては、企業が逆に混乱し進路が定まらないということにもなりかねません。
 ここは大事なところでありますが、事業承継という複雑な問題だからこそ、その実現に向けては、こうした細やかな点への配慮が必要であります。
 そこで都は、支援の効果を上げるためにさまざまな工夫を行い、創意を凝らすべきだと思うんですけれども、所見を伺います。

○十河商工部長 事業承継を確実に実現していくためには、経営者や社員が一丸となり経営改善や新しい体制づくりに取り組んでいくことが重要でございます。
 このため、支援企業には、社長やキーパーソンとなる社員が参画する全社的なプロジェクトチームを結成してもらう仕組みを取り入れ、中小企業振興公社のマネジャーもこのメンバーとして参加することにより、緊密な連携と情報共有を図りながら的確なサポートを実施いたします。
 また、課題解決のために各種専門家の活用が必要な場合には、公社に登録されている専門家の中から企業の実情に応じた適切な人材を選定の上派遣し、マネジャーとともに助言や指導等を行うことにより、一貫性のある効果的な支援を実施してまいります。
 こうしたきめ細かい取り組みを通じて、事業承継の実現に向けて取り組む中小企業を着実に後押ししてまいります。

○木内委員 非常に重要な答弁が二回にわたってありました。
 特に後半部分で大事なのは、社長やキーパーソンとなる社員が参画する全社的なプロジェクトチームを結成していくということ、もう一つは、先ほど来の答弁では、各支援企業一社に対するサポートを一名のマネジャーが一貫して担当するということでありますけれども、今の答弁によれば、いわゆる必要な知識や、あるいは分野別に経験の豊富な専門家の中から、公社のマネジャーとともにプロジェクトチームのメンバーとして参加することによって助言や指導を行っていく、こうしたチームプレーが今後行われるわけでございまして、いい結果を期待したいと、こういうふうに思うのであります。
 東京のすぐれた中小企業を次代にしっかりと引き継いでいくことは、東京の産業が持続的に発展していくためにも非常に重要であります。ぜひとも、答弁の内容に沿って着実な支援の継続と充実を求めておきたいと思います。
 次に、海外販路開拓支援事業についてであります。
 今後、日本は少子化などにより国内需要の縮小が見込まれています。このことは中小企業にとって一面危機ではありますけれども、決して悲観することではないと思っております。東京の中小企業には、これまで培ってきた世界に通用する高い技術と、そして発想があるからであります。
 私ども公明党は、昨年のこの委員会において、中小企業の海外展開支援の充実を求めました。東京の産業力の源泉である中小企業が海外市場に目を向け、この高い技術力を生かし、外需を取り込んでいくということは、東京の産業を力強いものにしていくと、こういうふうに考えるからであります。
 しかし、都内の中小企業が新たに海外で取引を行うためには、国内で事業を行う以上に多くの課題を克服していく必要があるのであります。
 そのため東京都では、中小企業振興公社に専門家を配置し、中小企業の海外販路開拓を支援しておりますが、大きな実績と経過を見ることができると思うんですが、その内容についてご報告願います。

○十河商工部長 現在、中小企業振興公社では、機械、金属などの専門分野ごとに海外事情に詳しい十名の商社OB等を海外販路ナビゲーターとして配置しております。ナビゲーターはそれぞれが担当する支援対象商品につきまして、海外展示会への出展や専門商社を通じた取引先の開拓などを行っております。
 今年度はこれまで二百七の商品に対して支援を行いまして、一月末時点で成約件数は五十五件となっております。平成二十四年度は二十九件、平成二十五年度が三十八件の成約であり、毎年度、成約件数は増加しております。成約先といたしましては、タイや中国などアジアが最も多くなっております。

○木内委員 非常にこういう議論というのは大事でありまして、特に成約の状況について具体的な数字を挙げての答弁であったことを多としたいと思います。
 私はよく申し上げるんですが、例えばビッグサイトで産業交流展がある、何百というブースが出展をしている、活況を呈しているようだけれども、果たして異業種との交流、あるいはそこでの成約、どのくらいあったのかと確認をしたくても、なかなか数字を掌握することは難しいのであります。
 それは、産業交流展が元来そういうことを目的の一つにはしているけれども、それだけではないいろんな要素があるために、あるいは長期的な時間のタームがあるために、なかなか数字をとるのは難しいという側面が一方であるんです。
 そういう中で、今、中小企業振興公社の海外販路開拓の実績について、数字を挙げていただいてご報告願うことができたのは、大変に私は評価すべきことである。数字の推移を見ながら、今後の議論も可能になってくるからであります。
 さて、議論には具体例が必要でありますけれども、展示会でのPRや専門商社による取引先の開拓などの支援によって、着実に成果も出ていますが、例えばこの場で具体的な商品がどういう地域で成約をしてきたのか、事例を挙げてご報告願います。

○十河商工部長 具体的な製品事例といたしましては、例えばエッセンシャルオイルブレンドという一〇〇%天然の原料から芳香成分を抽出したアロマオイルは、用途や目的に合わせてブレンドしたサンプルを提供しながら販路を開拓することによりまして、タイの高級ホテルや自動車販売店などで成約に結びついております。
 また、微細な霧で体をぬらすことなく洗浄し温めるナノミストバスという商品は、介護の必要な方などが座ったまま入浴でき、介護従事者の負担を大きく軽減できるため、福祉先進地域であるヨーロッパをターゲットに販路の開拓に努め、ドイツの病院などに納入されているものでございます。

○木内委員 これは、ご説明を聞きますと、日本人として誇りを感じることのできるような成果だというふうに思っておりますし、こういう成果を出してきた、また産業労働局の政策としての事業というものが非常に効果を発揮しているということを如実に感じられるのであります。お互いにこれは自信と誇りを持ってまいりたいというふうに思います。
 特にこのエッセンシャルオイルブレンド、それから、ナノミストバスは、もう医療の先進国のドイツの病院に納入をされているということでありまして、東京の中小企業の開発した商品が、中小企業振興公社によって、そのいわば販路の中に位置づけられているということであります。
 私は、以前マータイさんという外国人の方が見えて、日本人のいうもったいないという言葉に感動したという話を聞きました。このときに、日本ですごいのは、トイレの洗浄器具ですか、あそこに大と小というのが分けてあって、大小便の流水量を区別する、こんなのは日本だけですねと、まさにもったいないという日本の文化が凝縮された商品がここにある。
 あるいは、今、爆買いという言葉がありまして、爆発する購買、中国人が来て日本でいろんな電気製品を買っていく。自動炊飯器がそうであったり、今いったトイレの、これは固有商品名になっちゃうんでしょうか、ウォシュレット、こういったものを幾つも抱えて帰っていく。これはまさに、日本のいわばそうした製品技術というものが世界に大変な評価を集めていることの証拠だと思うのであります。
 今のナノミストバスは、以前、私も話を聞きましたが、中小企業の持つ高い技術でつくった、ホスピタリティーと創意工夫に満ちた、いかにも日本製といったもので、海外でも通用するすぐれた商品だと確信をいたしました。
 こうした製品はまだまだ東京にはたくさんあります。海外市場を熟知した人が商品の目ききを行い、マーケットを的確に選定して販路を開拓していけば、中小企業でも海外展開できるという好事例だと思います。中小企業のニーズを踏まえ、引き続きこのような成功事例を一つでも多くつくり出していく必要があります。
 経営資源に限りのある中小企業にとって、海外展開に踏み出すことは、社運をかけ、並々ならぬ決意で取り組むといっても過言ではありません。そのため、一つ一つのビジネスチャンスを確実に生かしていくことが大切であります。特に中小企業にとって、海外展開の第一歩は、一度に多くの企業と出会うことができ、新たな取引が生まれる可能性のあるそうした海外展示会への出展でもあります。
 そこで、展示会を単なるPRの場に終わらせることなく、少しでも、申し上げております成約、多くの成約に結びつけるためには、さらに効果的なサポートや仕掛けを行うべきと考えるのであります。
 例えば、さっき出たナビゲーターといわれる方の指導的な動きと役割を明確にしたり、こうした方々の活用も含めて、その方針をご報告願いたいと思います。

○十河商工部長 これまでは、海外販路ナビゲーターが海外展示会への出展に同行し、現地で円滑に商談を進められるようサポートを行ってまいりました。
 これに加え、今お話にありましたように、来年度からは、展示会の出展前にナビゲーターを取引が見込める現地企業に訪問をさせまして、商品の特徴などを説明するとともに、現地企業の反応やニーズを都内中小企業にフィードバックすることにより、展示会当日の商談を効果的に進め、成約に結びつけていく方針でございます。
 また、展示会に出展できない企業の製品や技術につきましても、商品サンプルやパンフレット等を活用してPRし、より多くの都内中小企業の情報を提供することで、将来の取引の拡大につなげてまいります。

○木内委員 私は非常にこれはいい工夫だと思うんです。展示会の出展前にあらかじめ事前に準備をし、そしていろんなネゴシエートも場合によっては行っていくという、非常にいい工夫だと思います。
 お見合いと同じです。相手の素性がわからないまま当日を迎えてもうまくいくはずがありませんで、商談相手が決まらないまま展示会に出展しても、そもそも自社のブースに立ち寄ってもらえないかもしれない。
 商談になったとしても、お互いの名刺交換から始まって、会社の概要を説明し、セレモニーみたいなやりとりが続くようでは、いつになったら売買の話になるかわからないのであります。せっかく海外まで貴重なお金と時間をかけて展示会に出展するんですから、中小企業にとっては、答弁にあったような取り組みはまさに効果的であると思います。
 さて、都内中小企業が海外と取引を行うに当たっては、契約トラブル、代金回収、外国語対応など、中小企業には対応が難しい問題もあります。東京都では、専門商社を使って販路開拓を行ってきたということであります。海外との取引をスムーズに行う上で、これも有効な方法であると思います。
 しかし一方で、商社を経由しないで直接現地の企業と取引を行うことで、さらにビジネスチャンスを拡大したいという積極的なケースもあるのではないかと思います。商社では取り扱わない特殊な商品もあるでしょう。せっかくの販路拡大のチャンスを逃さないために、こうした企業のニーズに応じた販路開拓の支援も東京都としては行っていくべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○十河商工部長 都は来年度から、直接現地企業との取引を望む都内中小企業に対しまして、販売戦略や社内体制など企業の対応力を見きわめた上で、ナビゲーターが現地バイヤーや代理店との商談をコーディネートし、交渉をサポートするなどの支援を開始いたします。
 また、中小企業振興公社のタイ拠点におきましては、幅広いネットワークを持つ専門人材を配置いたしまして、現地企業との取引成立に向けた交渉や、契約に関する専門的な助言を行うなどの支援を展開いたします。
 こうした取り組みによりまして、都内中小企業が現地企業との直接取引により販路の拡大を図れるよう後押ししてまいります。

○木内委員 大変重要な答弁を得ました。企業が独自に行う、しかし、側面的にナビゲーターが現地バイヤーや代理店との商談をコーディネートして交渉をサポートしていくということでありますから、積極的な中小企業の海外進出に対して、都がこういう行政支援で手を差し伸べるということは非常に重要だと思います。企業の成長力を高め、都内経済の活性化につながります。海外が相手ということもあり、中小企業にとって難しい面も多いと思いますので、いわれたとおりの内容と支援によって、積極的にぜひ活動されることを強く求めるものでございます。
 最後に、全く角度は違いますが、木育活動、木を育てる活動ということについて伺います。この木育活動は、東京都議会では初めて取り上げる課題である、こういうふうに思っております。
 北海道のプロジェクトから生まれた木育、木を育てると書きますが、これは子供を初めとする全ての人が、木と触れ合い、木に学び、木と生きる取り組みであります。いうならば、子供のころから木を身近に使っていくことを通じて、人と木や森とのかかわりを主体的に考えられる豊かな心を育むことであります。
 私が子供の時代には、昭和二十年代でありますけれども、身の周りには多くの木が使われていました。多くの住宅は木造で、家々の周りは板塀がめぐり、遊びも木の棒や積み木であり、木に囲まれていました。しかし、その後、プラスチックの普及や、金属、コンクリートの利用拡大が進み、今の世代の子供たちはほとんど木と接触することなく暮らすようになりました。
 その結果、多くの都民が、木材の持つぬくもりや、湿度を整える調湿作用などの木のよさと、その木が東京の多摩地域からも供給されていることを知りません。また、適切に木を使うことが森の循環を促し、豊かな森づくりにつながることも理解されておりません。
 子供のころから木に触れ、木を知ることは、発育によい影響を与えるといわれております。
 そこで都においても、次世代を担う子供たちに対して、木材や木製品との触れ合いをふやし、東京の森林や林業について学ぶ場をつくることがより重要になると考えますが、見解を伺います。

○寺崎農林水産部長 日常の中で木と接する機会の少ない子供たちが、木育活動を通じて木と触れ合うことは、木材の持つよさへの理解を深め、森づくりの大切さを知る貴重な機会となります。
 そこで都では、来年度から新たに、木を学ぶ、木でつくる、木と触れ合うという三つの観点から木育活動を展開してまいります。
 まず、木を学ぶ活動として、小中学生とその保護者を対象に、見学体験ツアーを開催し、実際の現場で木材生産から利用までを学ぶ機会を提供してまいります。
 また、木でつくる活動として、五十校程度の小学生を対象に、多摩産材を使った木工工作コンクールを開催し、子供たちがみずからの手で工作することで、木の持つ温かさややわらかさ等の木材の特徴を体感する場を提供してまいります。
 さらに、木と触れ合う活動として、民間団体が区民祭りや産業祭などの地域イベント等に参加して、多摩産材と子供との触れ合いの場を提供する際に、その出展費用に対し補助を行ってまいります。
 今後、こうした取り組みを通じて、森づくりに対する都民の理解と参加を促すことで、東京の森林整備と多摩産材の一層の利用拡大につなげてまいります。

○木内委員 今の答弁で、新たに木育活動というものが事業としてスタートすることが明らかになりました。
 この事業の展開によって、子供たちを初め多くの都民に木のよさや森への関心を深める、そうした進展を強く求めたいと思います。こうした取り組みを継続し、森や木に多くの都民が親しみ、森林整備や林業活性化につなげていくよう強く要望したいと思います。
 きょうは、海外販路開拓支援事業、中小企業における事業承継、そして、今申し上げた木育活動、いずれも具体論の議論をさせていただきました。あえて、山本産労局長の答弁はいただきませんが、局長を先頭に、それぞれの分野で鋭意ご努力をいただくことを強く念願して、私の質問を終わります。

○かち委員 まず、都市農業振興について伺います。
 きょうの要求資料にもありますように、東京全体の農地面積の推移は年々減り続けており、この十年間で千五十ヘクタールも減っています。その中でも、市街化区域内の農地面積は九年間で二割近くも減ってしまっています。これを食いとめ、都市農地を守り、発展させるためにも、都市農業振興法の成立が待望されております。また、都としても、固定資産税の軽減など、都市農地保全に向けて具体的に取り組むときに来ていると思います。
 そこで都は、生産緑地の指定要件の緩和、相続税負担の軽減、農地の流動化を特区提案しています。そこで、農地流動化による担い手確保、規模拡大などの経営基盤強化を図るとしていますが、具体的にはどのようなことが考えられるのでしょうか。

○寺崎農林水産部長 生産緑地など市街化区域内の農地では、現行の法規制により、実質的な貸借は困難となっております。
 都市農業特区では、生産緑地の貸借を促進することなどにより、認定農業者等の新たな担い手が農地をスムーズに借り受け、経営規模の拡大や経営基盤の強化を図ることを可能とするものでございます。

○かち委員 都が考えている特区では、生産緑地地区に、農業経営基盤強化促進法に基づき、企業に対しても特定貸付制度の適用を図ることができ、生産緑地の場合でも相続税が猶予できる制度にするということですが、貸し付ける対象となる企業については、農地の荒廃にならないよう防止策が必要であると考えますが、いかがですか。

○寺崎農林水産部長 農業経営基盤強化促進法におきましては、農地の貸借契約に当たる農用地利用集積計画について、その内容が各区市の農業基本構想に適合するとともに、農業委員会の決定を経て作成することと規定されております。
 法ではさらに、企業やNPO法人など農業生産法人以外の法人につきましては、農用地利用集積計画に、農地を適正に利用していないと認められる場合には貸借を解除する旨の条件を付することとされております。

○かち委員 実際、農地の荒廃は、なってからでは元に戻すまでに大変です。五年から十年かかります。結局、犠牲になるのは農地を貸し出した農業者です。入り口でどう歯どめをかけるかが重要です。契約解除できるのは当然としても、歯どめとはいえません。事前の段階で歯どめになるかのような農業委員会の決定も、実際には、一方で国は農業委員会や農協の解体、変質を進めています。今後、歯どめの役割を担保する保証はありません。
 農林中金の調査によれば、企業の参入は撤退例も多く、旧貸付方式では約二割が撤退しています。こうした実態についてどのように認識しているでしょうか。

○寺崎農林水産部長 繰り返しになりますが、区市は、貸付先の農地利用や生産計画の内容などが農業基本構想に適合していることを確認するとともに、地域の農業に与える影響などに関する農業委員会の審査を経た上で、農用地利用集積計画を定めることとなっております。
 加えまして、農業生産法人以外の企業やNPO法人等への貸し付けにつきましては、農地を適正に利用していないと認められる場合には貸借を解除する旨の条件を定めることとなっており、農業経営基盤強化促進法に基づくこれらの規定、制度が適切な貸借等を担保する仕組みとなっているものと認識しております。

○かち委員 先ほどと同じ答弁ですが、例示したように、企業の撤退という事態になった場合、農地荒廃問題に対する都の認識を深めるように求めておきます。
 生産緑地の指定要件緩和、生産緑地の屋敷林、農業用施設用地への税軽減の拡大などは多くの都民の間で一致できているわけですし、都も国に要望してきたわけですから、それを一歩でも前に進めるために努力をすべきです。
 農業特区は、都市農業振興法が成立した後に検討すべき問題であり、今、当該の自治体や農業委員会に賛否を求める時期ではないと思います。仮にもっと農地保全を前に進めるというのであれば、農業用施設用地、屋敷林、市街化区域内の農地の固定資産税の軽減など、都としてできる施策に踏み出すことです。
 産労局として、都の取り組みになるよう努力することを求めておきます。
 国連は昨年、家族農業こそが世界の農業の土台であるとして、各国に正当な評価や支援を呼びかけました。二〇一二年には、弱者が力を合わせ連帯する協同組合が社会の持続的な発展に貢献する意義を強調しました。これらの呼びかけに対する都の認識をお聞きします。

○寺崎農林水産部長 国際家族農業年は、国連が、家族農業や小規模農業が持続可能な食料生産の基盤として、飢餓の根絶や環境保護に大きな役割を果たしていることを周知する目的で定めたものでございます。
 現状の東京の農業におきましても、認定農業者等の家族での経営が中心となっております。
 また、都内の生産者等で組織する農業協同組合は、担い手の育成や営農技術の指導など、東京農業の振興に重要な役割を担っていると認識しております。

○かち委員 ぜひ、その認識の上に立って、東京の農業の振興に重要な役割を担っている家族農業が維持発展できる農業振興策を抜本的に強化するように求めておきます。
 次に、中小企業対策について伺います。
 大企業中心の産業構造が長く続く中、そこから脱皮する中小企業の動きが始まっていますが、従来の高度成長期のように、元請が下請を育成する風潮が弱まっている現状もあります。そればかりか円安による原材料高騰の影響は深刻で、中小企業家同友会の調査では、物価上昇分の価格転嫁は六割が困難、中小企業庁の調査では七割が困難としています。
 適正な価格による取引推進は法律が保障しています。国は、原材料、エネルギーコスト増を踏まえた取引の適正化を重視し、大企業五百社を目標に、百名ほどの下請のGメンが特別の立入検査を行っています。
 都としても、こうした取り組みに呼応し、事業者と検査官のコミュニケーションを支援、協力して、中小企業の取引について、適正に行えるような支援を抜本的に強める必要があると思いますが、いかがでしょうか。

○十河商工部長 都は、下請センター東京におきまして、下請企業からの相談対応や調停などを実施しているところでございます。
 あわせて今年度から、取引適正化相談員を増員して、親企業を含めた企業に対する巡回指導を強化するなど、下請取引の適正化を図っているところでございます。

○かち委員 相談員を増員して下請取引の適正化を図っていると、大変重要な答弁です。
 事前にお聞きしましたところ、下請Gメンは二名増員で七名体制になり、企業訪問件数の実績も千百二十七件、そのうち半数は親企業への訪問だということです。この増員した力を中小企業の売り上げ、利益向上に結実させていただきたいと思います。
 訪問企業のうち半数は親企業だということも、法令遵守の啓発を普及する上でも大変重要だと思います。
 次に、大田区では昨年中に中小企業の全数調査を行いましたが、きょうの新聞にも出ておりますが、速報値では、かつて九千件を超えていた製造業が、三千五百弱まで減少しています。改めて衝撃を受けております。
 そこで、中小企業の事業継承が喫緊の課題です。
 中小企業の経営者は、その六割以上が六十歳以上です。三割弱が七十歳以上です。一方で、中小企業の休業、廃業、解散も進み、日本の高度なものづくりを支えてきた東京の中小企業の事業継承、継続への支援の抜本的強化が求められています。
 都は来年度から、小規模企業の支援拠点は六カ所にふやすことを明らかにしていますが、この課題について、どのような施策を進めようとしているのかお聞きします。

○十河商工部長 来年度、商工会議所等と連携して新たに設置する支援拠点では、業態転換や事業承継など、企業単独では解決が難しい課題につきまして、専門家を活用して支援をしてまいります。
 また、商工会等が行う地域経済の活性化事業もサポートしてまいります。

○かち委員 専門家を大いに活用して中小企業の事業を継承し、継続への支援を抜本的に強化することが求められています。六つの支援拠点は、商工会議所、商工会を中心としたものでありますが、今こうした中小企業の維持、継承への危機感から、信金、信組を初め、弁護士会、税理士会、行政書士会、社会保険労務士会などなど、あらゆる士のつく団体も支援に取り組みたいとして、交流や研究会などを始めています。こうした幅広い人材を活用しての支援体制を構築していくことも検討するよう求めておきます。
 都は、経営相談や技術支援、金融支援を進めていますが、その支援を通して店舗改装、設備改善を助成することで、事業継承、継続につながる場合には、継承者へ助成する仕組みも必要だと思いますが、いかがですか。

○十河商工部長 都はこれまでも、経営、技術、資金繰りの支援や各種助成などを実施しているところでございます。

○かち委員 アドバイスが幾らよくても、先立つものがないと実現にはつながりません。意欲ある承継者への具体的な支援があってこそ、実際の事業継承につながるものです。継承のための支援策が実際どう効果を上げているのか、何が課題かなどを調査し、実のある支援策になることを期待します。
 中小企業の仕事確保をどう開拓するかという課題で、医工連携や産学公連携などで都の支援が進みつつあります。そのほかにも、農業と工業の連携、再生可能エネルギーの普及、防災、地球温暖化対策、リサイクルの推進などで、新たな連携も大幅に支援する必要があると思いますが、都の認識を伺います。

○十河商工部長 都は、環境エネルギーや防災などの今後の成長が期待できる産業分野で、中小企業が他の機関と連携して行う技術や製品開発の支援を実施しております。
 来年度からは、製品の試作から実用化までを一貫して支援する事業を開始することとしております。

○かち委員 これも重要な前進だと思います。多くの中小企業がその支援を受けられるような制度にしていただきたいと思います。
 近年、国内の地方銀行から大田区の中小企業に新たな技術開発の依頼が来ています。七年前には山陰合同銀行から、砂丘地帯でのラッキョウの植えつけや収穫の際、全て手作業でやっていたものを機械化して効率化を図りたいとの依頼が区の産業振興協会にあり、連携を結んだことがきっかけとなり、その後も秋田銀行、北海道の北洋銀行などからも、同様の問い合わせ、協定が結ばれています。
 都は、この状況をどのように認識しているでしょうか。

○十河商工部長 都内の中小企業支援機関が必要に応じて関係機関と連携していくことは有効な取り組みであると認識しております。

○かち委員 有効な取り組みであるという認識を確認しました。
 大企業では受けないニッチな分野への新たな参入機会でありますが、協定を結んだ後は、地方の農業と大田区の中小企業者という当事者間の交渉になるため、打ち合わせや現場を把握するために何度も足を運ばなくてはならないなど、間接経費や時間的問題が中小企業の負担となっています。
 中小企業の仕事づくりの一つの例として、今後、発展させていくことが必要です。こうした取り組みに、都として前向きにかかわっていくことが重要だと思いますが、いかがですか。

○十河商工部長 都は、中小企業振興公社や産業技術研究センターにおいて、他の自治体や金融機関等と協定を締結し、情報交換や共同事業などを通じ、中小企業の技術や製品開発を支援しているところでございます。

○かち委員 ちょっとかみ合わないんですね。私が行政の課題として提案しているのは、地方の農業者と東京の中小企業の自主的な取り組みで済ましていては、なかなか受発注にまでつながらないので、都政からも何らかの支援でこうした連携事業を育てていくことが重要だということを申し上げています。
 さて、国は、小規模事業者向けの補助金制度を平成二十五年度の補正から始め、平成二十六年度は本予算で補正の二倍の二百八十億円を組みました。対象は、商店の個店に対してであります。国でさえ、個店への直接補助を考える時代に来ています。都内でも、江東区では生鮮三品取扱店に対する増改築や設備投資の経費の二分の一、上限二百万円を補助する予算が発表されました。
 地域、地元で根を張って懸命に努力している商店、ものづくり企業への支援は、中小企業の安定、地域内の活性化、税収増につながります。
 都として、小規模企業、とりわけ地域の小売業者、ものづくり事業者などに対する直接支援を検討してもよいのではないかと思いますが、いかがですか。

○十河商工部長 都は、小規模企業に対しまして、専門家派遣によるアドバイスや製品開発費用の助成、あるいは商工会や商工会議所が行う経営改善に向けた事業への助成などを通じまして、支援を実施しているところでございます。

○かち委員 まだまだ都としては直接支援への考えに至っていないということですが、こうした支援は、わずかな支援額でも大きな経済効果をもたらすのであることは、この間の各地の取り組みでも明らかです。
 例えば、ことし三月、全建総連東京支部の調査で、住宅リフォーム助成、効果があるということで取り組んだ自治体では、住宅だけでなく商店などにも広げているケースもあります。現在、十五の都内自治体で取り組んでいますが、助成額も上限十万とか二十万円程度のものですが、その経済効果は十五・八倍にもなっています。
 東京の企業の九九%を占める中小企業、その七割を占める小規模事業者が元気になり、域内の好循環を生み出すことです。そこへの支援を、都としてぜひ踏み出すことを重ねて求めて、この項は終わります。
 次に、買い物弱者対策について伺います。
 日本共産党は、商店街を日常生活に欠かせない機能を持った地域の公共財産と位置づけ、この公共財産の再生こそ買い物弱者を解消していく道であると主張してきました。都はこれまで、三年間にわたって買物弱者支援モデル事業に取り組んできましたが、年三つの自治体を目標に実施してきましたけれども、結果的には三自治体にとどまっているというのが現状です。
 改めて、高齢社会に突入した今日、都内の買い物弱者対策の重要性が一層高まっていると思いますが、都の認識を伺います。

○十河商工部長 地域の商業活動の拠点であるとともに、コミュニティの担い手である商店街が、買い物に制約や支障のある住民に対し、商品を効果的に提供する取り組みを実施することは重要と認識しております。

○かち委員 新年度、この事業が本格事業と位置づけられたことは重要です。しかし、予算はモデル事業のときと同じ四千万円ということです。
 モデル事業時代の実績額は幾らで、本格事業を取り組むに当たって、これまでの実績や区市町村等の状況をどのように分析し、課題は何か、今後どのようなことを展開しようとしているのかお聞きします。

○十河商工部長 モデル事業の実績額は、三年間で合計約六百四十万円でございます。
 モデル事業を検証するため、区市町村及び事業を実施した商店街に対しまして調査を実施し、その結果、買い物弱者対策を効果的に行うためには、商店街と地域の団体等との連携が課題であるということが明らかになりました。
 そのため、来年度から新たに実施する商店街買い物弱者支援事業におきましては、商店街と共同で取り組むNPOや民間企業の活動経費についても補助の対象とし、商店街の取り組みを促していくこととしております。

○かち委員 商店街と地域の団体等との連携が課題であるとの教訓が明らかになったということは重要です。そこからの教訓をぜひ本格実施に生かしていただきたいと思います。
 私たちは、モデル事業を行った商店街の当事者の方からもお話を伺い、福祉的視点、まちづくりの視点などを入れて、オール都庁としての取り組みが必要だと認識しております。
 全国の事業のあり方はさまざまあります。その地域に合った展開がされてはいますけれども、経済産業省の集約したものを見ますと、全国五百二十九の商店街で行っている事業で最も多いのが買い物バス、移動支援関連が四割を占めています。二番目が、宅配事業支援関連が二〇%です。
 これらは、燃料費や人件費などが継続的に必要となるものであり、これらへの支援がないと、なかなか継続的にできないというのが実態です。それでも住民要求に応えて、都内でも五区五市一町、そのうち二市は民間で行っているものですが、取り組みが始まっています。
 さらにこれを広げていくために、都としての思い切った支援が必要だと思いますが、いかがですか。

○十河商工部長 先ほどもご答弁いたしましたけれども、買い物弱者対策を効果的に行うためには、商店街と地域の団体との連携が重要でございまして、来年度から実施する事業におきましては、商店街と共同で取り組むNPOや民間企業の活動経費についても補助の対象とすることで、取り組みを促していくこととしております。

○かち委員 都内で実施している区市町村に聞いてみましたが、それぞれ困難や悩みを抱えていることがわかりました。大田区のように、予算を組んだものの手を挙げる商店街がなかったので、二十六年度にはニーズ調査を行ったところもあります。
 それぞれの自治体の特徴に合わせて、さまざまなスタイルで取り組んでいることがわかりました。
 主な悩みは、ランニングコストをどう自律的に捻出するかということです。また、NPO法人や老人クラブ、ボランティアなどの傘下で運営しているところもあります。この事業は、地域の町会や商店街、NPO、ボランティアも含め、地域全体で支え合える仕組みづくりも必要です。
 都が買い物弱者対策セミナーを開催したり、買い物弱者応援マニュアルで新しい経験などを紹介、交流したりする場を設けることなどの取り組みも必要だと思いますが、いかがですか。

○十河商工部長 都はこれまでも、区市町村との定期的な情報交換会や商店街に対するセミナー、商店街団体との会合等におきまして、買い物弱者対策も含めた商店街の取り組みにつきまして、情報提供や意見交換を実施しており、引き続きこうした取り組みを行ってまいります。

○かち委員 高齢社会になり、日常の買い物にも不自由をしている、介護支援を要する高齢者がますます増加します。また弱者、障害者、妊婦さんなど、買い物弱者に対する支援事業は、その重要性がますます高まっています。
 全国で取り組んでいる自治体の所管局を見ますと、福祉関係局や経済産業局などの共管や、福祉で行っているところも多く見られるところからも、この課題は、福祉や交通、産労局などが共管で行うべきものだと思っています。今後、ぜひ検討していただくことを求めて、この項を終わります。
 次に、東京都立職業能力開発センター条例の一部を改正する条例について、関連して伺います。
 東京の将来を支える若者が安定した就労につくためにも、必要な技術、技能を習得するための機会を提供している職業能力開発事業は、都がその責務を負っています。
 若者の就労支援の一端を担う職業能力開発センターの果たす役割について、どのように認識しているのか、改めてお聞きします。

○久我事業推進担当部長 職業能力開発センターは、求職者の就業を促進するとともに、地域の中小企業の人材確保、育成を支援する役割を果たしております。

○かち委員 都内には四つの職業能力開発センターがあり、その傘下のもとに二から四校の職業能力開発校などが存在しています。今回の条例改正の対象となっている城東職業能力開発センターのセンター校がいわゆる亀戸校であります。このたび、城東職業能力開発センターを足立校に統合し、亀戸校を廃止する理由についてお聞きします。

○久我事業推進担当部長 老朽化した城東職業能力開発センターと足立校を統合して大規模化し、訓練の充実を図り、地域における人材育成の拠点として整備するためでございます。

○かち委員 訓練を拡充するとのことですが、どのように拡充するのかお聞きします。

○久我事業推進担当部長 新しい城東職業能力開発センターでは、施設の統合、大規模化により、訓練科目数や定員の拡大を図ります。
 求職者向け訓練では、今年度は統合する二施設で十一科目実施しているものを、来年度は十三科目にふやし、募集定員も四百五十名から五百七十名へとふやします。
 また、在職者向け訓練では、定員を二千七十名から二千二百七十名へとふやします。

○かち委員 受講者が技術、技能を習得し安定した就労につくためにも、職業能力開発センターは重要な役割を果たしています。城東職業能力開発センターであった亀戸校のこれまでの実績はどうでしょうか。平成二十六年度の各コースの応募倍率などを示していただきたいと思います。

○久我事業推進担当部長 職業能力開発センターにおける施設内訓練の平成二十六年度応募倍率は、各コースによって異なりますが、最低で〇・四三、最高で四・四七、全科目の合計で一・五七倍となっております。

○かち委員 応募倍率は平均で一・五七倍ということで、需要は十分にあるということです。足立校を拡充することは歓迎すべきことですが、二校を統合しても、三科目新設で、全体で受け入れ数は三割増にしかなりません。
 若者の中には、亀戸校を残してほしいという要望が強くあります。継続することは可能だと思いますが、いかがですか。

○久我事業推進担当部長 統合後の城東職業能力開発センターでは、訓練規模をふやすとともに、地域のニーズに対応して訓練の充実を図っており、企業ニーズ、応募、入校、就職状況などを勘案して、必要な訓練科目とその定員を適切に設定したところでございます。狭隘、老朽化した現在の城東職業能力開発センターでの訓練を継続する考えはございません。

○かち委員 いろいろお聞きしてきましたが、委員会に提出された予算書を見る限り、全体の公共職業訓練は、求職者向け訓練は百十四項目、六千四百四十人が、来年度は百十三項目、六千二百六十人に規模が縮小します。在職者向けの職業訓練であり、能力向上訓練は七百五十三回、一万九千百四十人が、七百四十七回、一万九千百八十二人です。一部を比較して規模拡大とする議論は成り立ちません。
 都が国と連携して雇用対策を強化して、非正規雇用の正規化、若者の就労支援、人手不足の分野の人材育成など、その重要な足がかりとなるのが職業訓練校であり、拡充こそ必要なときです。より身近なところで必要とされる職業訓練施設を、拠点化して全体の規模を縮小するということは認められません。
 よって、本条例改正には反対であることを表明し、私の質問を終わります。

○中山委員 私からはまず、東京のブランディング素案、そして、外国人の旅行者受け入れ整備方針について質問させていただきたいと思います。
 まさに、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックに向けた大変重要な方針でありまして、また、それ以降もレガシーとして構築していくという大きな課題であるというふうに思っております。
 素案の中で、ブランディング戦略の目的がまず示されております。
 その中で、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を一つの契機に、それ以降も継続して訪都外国人旅行者の増大を図るとともに、それに伴う観光消費による経済波及効果の拡大を目指し、海外に向けて東京の魅力を広く浸透させ、世界の旅行者から選ばれる旅行地として東京ブランドを確立することを目的とするものであります。
 また、本戦略を推進することにより、旅行地としての東京の認知度向上や、世界の競合都市との差別化を図り、より一層多くの旅行者の来訪につなげ、世界における東京のプレゼンスを高めていくと示されております。
 まさに、長期ビジョンに示されているように、二〇二〇年を契機にレガシーを築いていくことであり、東京都にとって重要な指針であります。
 さらに、二〇二〇年を時間軸に、できるだけ早い段階で東京のブランドを浸透させる必要性があるのではないかと考えます。
 そこで、平成二十六年六月に、東京のブランディング戦略会議が設置され、今回、本年二月に戦略素案が提出されましたが、具体的な事業実施など、どのような進め方で取り組まれていくのか、伺いたいと思います。

○杉崎観光部長 旅行地としての都市のブランディングを効果的に推進するためには、都民や民間事業者等との連携が不可欠であります。
 このため都は、来年度、ブランドコンセプトをわかりやすく伝えるロゴ、キャッチコピーを制作するとともに、官民一体となって取り組みを進める東京ブランド推進会議を設置いたします。
 また、国内で魅力的な東京のイメージを共有し、機運を醸成するためのキャンペーンを実施するとともに、海外に向けて訴求力の高い広報媒体を活用し、東京ブランドを発信してまいります。

○中山委員 ブランディングは、二〇二〇年以降もつながるイメージ戦略ですから、はい、こうですというように簡単に確立できるものではないことは理解できますが、今後も、専門性が高いものでしょうから、確立されたときに、私たちもなるほどと思えるようなものになるのではないかというふうに思います。
 次に進めます。私は以前、この東京ブランドは、ブランディングですね、そのもの自体、この事業に対してよく理解できない面があると、そのように考えておりました。
 しかし、海外の主要都市と比較して、東京は社会資本や治安や文化など、さまざまな優位性を持っているものの、そのものを海外に強く印象づけるイメージが確立していないことと、世界に東京の魅力を訴求するための戦略的な取り組みが確立されていないことがわかりました。
 そこで、素案でも一部示されておりますが、世界の主要都市のブランディングの取り組みについてお示しをいただきたいと思います。

○杉崎観光部長 海外の主要都市では外国人旅行者誘致に向けて、ロゴ、キャッチコピーと、それらを活用したポスターやグッズ等を製作し、訴求力のあるメディア等を活用して一貫性のある情報発信を行っております。
 各都市で特色あるロゴ、キャッチコピーが作成されており、例えばアイ・ラブ・ニューヨークは世界的に有名でございます。
 アジアにおきましても、シンガポールのユア・シンガポールなど、ロゴ、キャッチコピーが都市のシンボルとしてプロモーションなどに使われてございます。

○中山委員 今ご答弁ありましたとおり、アイ・ラブ・ニューヨークなどは、私たちが知らず知らずのうちに、視覚あるいは聴覚などでイメージを持っていると、そういうものが一つのブランディングなのだというふうに認識をいたした次第でございます。
 今回、事例なども示していただき、東京のブランディング戦略とは何をしようとしているのか明らかになってきたと思います。
 素案では、今後、都民や民間事業者等のブランドコンセプトを共有するための仕組みを構築するとあります。さらに、国内における理解や共感を深めることで、都民や民間事業者等と連携協力して、統一的なイメージを海外に効果的に訴求していくとあります。
 先ほどの答弁にもありましたとおり、ロゴ、キャッチコピーは都市のイメージを発信していく上で非常に重要なものであることがわかりました。
 東京都もロゴ、キャッチコピーを作成するとのことですが、東京ブランドを浸透させていくために、これをどのように今後活用していくのか、伺いたいと思います。

○杉崎観光部長 国内では、参加型ウエブサイトやイベントなどのキャンペーンで、東京ブランドのシンボルとなるロゴ、キャッチコピーを有効に活用し、ブランド発信の担い手となる都民や民間事業者等との理解と共感を深め、外国人旅行者の受け入れ機運の醸成にもつなげてまいります。
 また、海外に向けては、テレビCMや旅行サイト等のオンライン広告によりまして、全世界に向けた東京ブランドのPRに活用をしてまいります。

○中山委員 最後に、前に伺った都民や民間事業者との取り組みは大変重要と思われますが、最も今回この東京ブランディングで大切なことは、東京都が全庁的に理解をしてもらって、それを全庁的に広げていくということだというふうに思います。全庁的な訴求をすることこそ本質であると考えますが、所見を伺いたいと思います。

○杉崎観光部長 東京ブランドを浸透させていくためには、都庁内の部局が連携して情報発信に取り組むことが重要でございます。
 このため本素案では、東京文化ビジョンのプロジェクトと連携した発信や、オリンピック・パラリンピック大会関連イベントなどの都のさまざまな施策とも積極的に連携し、世界に向けて発信していくこととしております。

○中山委員 昨日も、港湾局関係でMICEの取り組みなど、さまざまな委員さんから議論があったわけでございまして、そういう意味では港湾局とも、またほかの局とも、多角的な取り組みこそ世界に発信できるものだと認識をしておりますので、今後とも事業の推進をお願いいたします。
 次に、外国人の旅行者の受け入れ環境整備について何点か伺いたいと思います。
 整備方針には、訪都外国人旅行者数の推移と目標が示され、都内全域で、都、区市町村、民間事業者が連携協力して受け入れ環境整備を展開していくとあります。そして、そうした多様な主体が事業者やエリアの垣根を越えて、東京を訪れる旅行者の目線から最適なサービスを提供するように取り組むことが望ましいとしております。私も多様な主体が垣根を越えることこそ肝要なことと認識しております。
 例えば、Wi-Fiについては、商業施設や飲食店などが個別に設置をしております。利用に当たっては事業者ごとに手続が必要であるなど垣根があります。
 都においても、今後、都庁舎を初め、都立公園や文化施設などに設置を進めるとのことでありますが、設置管理者は都や監理団体であるなど、同様の課題があるのではないかと思います。
 都が導入する無料Wi-Fiについては、全庁的な取り組みとして、旅行者にとって使いやすいWi-Fiの利用環境を整えていくべきだと考えます。
 また、民間事業者に対してはどのような働きかけをしているのか、あわせて伺いたいと思います。

○杉崎観光部長 旅行者が利用しやすい無料Wi-Fiサービスの提供は、外国人旅行者の快適な滞在環境を整える上で重要であることから、都立施設等に導入する無料Wi-Fiサービスについて、利用手続の一元化を図ってまいります。
 また、民間事業者が設置をする無料Wi-Fiにつきましても、手続の簡素化等が進みますよう、都としてはもとより国の協議会等も活用して働きかけをしてまいります。

○中山委員 受け入れ環境整備の方針の中でも強調されるのが、この垣根を越えていくということでありますし、都がその役目を果たさないと、なかなか連携ができないというふうにも思います。垣根を越えるための取り組みをぜひお願いしたいというふうに思います。
 次に、観光案内機能の向上のための重点整備エリアについて伺いたいと思います。
 二〇二〇年大会開催時には、外国人旅行者に人気の観光地や、大会会場周辺に旅行者が多く集まることを見据え、初めて東京を訪れた外国人でも、必要な情報を入手し、また迷わず目的地にたどり着くことができるよう、情報を提供する拠点や手法の充実を図っていくことを目的として挙げられております。
 整備に当たっては、外国人旅行者が多く訪れる十地域及び二〇二〇年大会会場周辺を重点整備エリアに位置づけて、都が主体となり、市区町村や民間事業者等とも連携をして取り組むとされております。
 今後の取り組み内容及び来年度予算にはどのように反映されているのか、伺いたいと思います。

○杉崎観光部長 重点整備エリアでは、外国人旅行者がまち中で容易に観光情報を得られる環境の実現を目指し、取り組みを集中的かつ計画的に進めるため、区市町村や民間事業者等と連携して、観光案内所の拡充や観光案内標識の整備などに取り組んでまいります。
 来年度は、都の観光情報センターの新宿南口での新設、観光案内標識の設置、更新、無料Wi-Fiの設置のための予算などを計上しております。

○中山委員 地元の台東区も重点整備エリアに入っているため大いに興味があるところではありますが、一義的には地域のホスピタリティーこそ大切だと思われますが、どうしても、この言語の壁は高く、行政のサポートの強化が重要になってくるだろうと推察できるわけでございます。今後とも鋭意進めていただきたいと思います。
 続いて、観光ボランティアの育成と、まち中での観光案内の展開について伺いたいと思います。
 方針では、観光ボランティアの裾野を拡大し、東京全体で旅行者を温かく迎え入れる機運を醸成するため、区市町村や観光関連団体、都内ボランティア活動団体との連携を強化するとともに、中学、高校生を対象として、観光ボランティアの候補生となる、おもてなし親善大使を育成することや、観光ボランティア間での情報交換やノウハウ共有、旅行者の声をフィードバックする仕組みづくりなど、ボランティアに対するサポート体制の充実を図っていくとされております。
 私たちのまち、台東区でも、これまで観光ボランティア制度など取り組む状況を見てまいりましたが、何よりこのボランティアさんたちのやりがいをどう育んでいくかということが大きなポイントだというふうに思います。
 つまり、誇りと自信をどう育てていくかにかかっているというふうに思います。
 今後、やりがいを育むため、都ではどのようなことを考えておられるのか、伺いたいと思います。

○杉崎観光部長 都はこれまで、最新の観光スポットの情報等を提供する研修を実施し、また、ボランティア同士の相互交流の場を提供するなど、活動に参加する方々を支援してまいりました。
 これに加え、一つのチームとして一体感を感じながら活用できるよう、現在、観光ボランティアのチーム名やユニフォームの作成について検討を行っているところでございます。
 こうした取り組みを通じ、観光ボランティアの皆さんが一層のやりがいを持って活動に取り組むことができるよう、引き続き支援をしてまいります。

○中山委員 先ほど地元の話をいたしましたが、結構、当初から雷門前とかで観光ボランティアさんが活動されているわけなんです。私たち、よくそういう方々、台東区民の方が多いわけですが、日ごろから、みずから結構精進をされて、いろんな知識を磨いておられるわけですけれども、どうしてもこの薄っぺらいジャンパーだとか、あるいは性能の悪いマイク、こういうものを使わされていることに、これは大きな、やる気がうせてしまうという声をよく聞いたわけでございまして、そういう意味では、観光ボランティアさんであっても、誇りと自信を持ってもらえるような体制づくりというのが今後重要ではないかなというふうに考えておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 次に、中小企業の事業承継、再生支援事業について質問をしたいと思います。
 もう、田中理事で概念、木内委員の方で深堀りをされましたので、さくっと進めていきたいと思います。
 台東区も大変多く中小企業が点在をしておりまして、それは本当に小規模企業といいますか、ラーメン屋さんであったり、一人親方であったり、そういう方々もいらっしゃるということでございまして、まさにこの事業承継という問題が地域でも課題になっているというふうに考えております。
 いうまでもありませんが、中小企業は、地域における雇用を多く創出、維持するとともに、技術、ノウハウの創造と伝承、競争力の確保、強化、地域共同体の文化、伝統を保持するなど、多様かつ重要な経済的、社会的役割を担っております。
 しかし、今後、中小企業経営者の高齢化に伴い、事業承継問題が急速に深刻化することが予想されます。
 また、後継者が事業を継承する際に発生する事業用資産に対する過度な相続税の課税や、民法の遺留分制度など、専門性の高い知識が必要とされているため、行政のサポート体制の必要が高まっております。
 都はこれまで、事業承継、再生に関する相談、助言や普及啓発とともに経営の改善に向けた継続的支援を行っておりますが、さらに力強いサポート体制の構築が急がれております。
 先ほども話がありましたけれども、公明党さんの質問でも、三年間のサポート体制を築かれるという本会議場での答弁がありました。
 新たに中小企業の事業承継に対する支援を充実することを聞いておりますが、事業承継に悩む経営者の増加が見込まれる中で、どのような支援体制を講じるのか、伺いたいと思います。

○十河商工部長 中小企業のすぐれた技術やノウハウを次代に引き継いでいくため、都は来年度から、中小企業振興公社における事業承継の支援体制を強化し、経営者の世代交代等に取り組む中小企業を三年間にわたり一貫して支援する取り組みに着手いたします。
 さらに、商工会連合会や商工会議所、中小企業団体中央会と連携して、新たに都内六カ所に設置する小規模企業の支援拠点においても、事業承継等の課題について専門家を活用して重点的に支援してまいります。
 このように、各支援機関においてそれぞれのノウハウやネットワークを生かした支援を展開していくことにより、都内中小企業の円滑な事業承継をより幅広く後押ししてまいります。

○中山委員 今、答弁もありましたし、先ほどの質問に対しての答弁もありました。三年間のサポート体制を充実させるというのは大変大きい前進だなというふうに思っております。
 ただ一方で、やはりその職に対しては大変専門性が高いわけですけれども、どうしても金融機関との取引であったり、金融機関とのいわゆる交渉のときに、実はそういう方々がいてもらうことによって交渉がうまく進むというようなこともあると思いますので、いろんなサポート体制のある中で、この金融機関との取引のときに横にいていただくような仕組みづくり、ここが私は本質的なところではないのかなというふうにも思っておりまして、そういう方々が説明しないと、なかなか事業の説明を、その職の人は専門的な言葉を用いて説明できないというのが現状だというふうに思っております。そこが大きな中小企業支援の私は課題なのではないかなというふうに認識をしておりますので、ぜひよろしくお願いを申し上げます。
 次、二〇一四年度の中小企業白書を見ますと、二〇一二年時点で、中小企業経営者の最も高い年齢層は六十歳から六十四歳が占めており、七十歳以上の年齢層が占める割合は過去と比較しても最も高くなっていることから、高齢化と事業承継の問題がリンクしていることがうかがえるわけでございます。
 さらに、事業承継の課題としては、生産年齢人口の減少からの後継者不足も一つの理由として挙げられております。
 そうした中、少しでも事業の将来に明るい見通しを持てるよう誘導することも、大変重要な都の役割であります。
 事業承継の支援については、これまで中小企業振興公社において相談窓口を設けるなどの取り組みを行ってきたと伺っておりますが、新たに開設する小規模企業の支援拠点において、中小企業の事業承継に対するサポートが行われるようになれば、支援に今まで以上の広がりが期待できます。各支援機関が連携をとり合いながら、きめ細かい支援をお願いしたいと思います。
 こうしたことに加えて重要なのが、世代交代に向けた早目の準備であり、中小企業の経営者は、大企業では何人、何十人の体制をしいてやっているような、経営や営業に関する多くの業務を一人で手がけている方が多く、本当に多忙であると思います。
 しかし、日々の業務に追われる中で世代交代の準備が後手に回ると、最悪の場合は廃業を余儀なくされることにもなりかねなく、早い時期から世代交代を意識し、事業承継への準備に着手するよう経営者に働きかけていくことは極めて重要と考えます。
 そこで都は、事業承継問題を抱える中小企業の増加に対して、普及啓発の対策についてしっかりと充実させていく必要があると考えますが、所見を伺います。

○十河商工部長 中小企業の事業承継を円滑に実現させるためには、後継者の確保、育成や社内体制の整備などに計画的に取り組んでいくことが不可欠でありますことから、企業への啓発を通じ、早期の準備を促していくことが重要でございます。
 このため都は、経営者やその後継者を対象として公社が実施している事業承継セミナーについて、来年度は開催回数を年二回から年四回に拡充いたします。
 これに加えて、区市町村や地域の金融機関などが実施する承継セミナー等に対しまして、公社のスタッフを講師として無料で派遣することにより、啓発の取り組みの輪をさらに広げ、より多くの企業に対し事業承継への意識づけと早期の準備を促してまいります。

○中山委員 今、早期の準備を促していくというお話もありました。中小企業白書を読むと、もう廃業やむなしと考えている経営者の七割が事業承継を検討することもしなかったということでございますので、本当に早目に手を打っておくということがポイントだというふうに思いますので、鋭意取り組んでいただきたいと思います。
 最後に、地元の東京都立産業貿易センター台東館について質問をさせていただきたいと思います。
 台東館は、改修工事に伴う一年間の休館を経て、四月にいよいよリニューアルオープンいたします。台東館では、これまでも地元や都内の中小企業によるさまざまな展示会や販売イベントなどが開催され、業界にとってはなくてはならない施設であり、そういう意味では、リニューアルオープンは業界にとって待ちに待った事柄だというふうに認識をいたしております。
 そこで、台東館がリニューアルオープンしたことにより、都内中小企業にとってどのようなことが期待できるのか、伺いたいと思います。

○十河商工部長 都立産業貿易センターの展示室は、面積が一室当たり約一千五百平方メートルとなっていることから、協同組合などの中小企業団体が開催する小規模な見本市や展示会の会場として広く活用されております。
 今般の台東館の改修工事では、内外装や空調、衛生設備などを一新し、快適な展示環境を提供するとともに、会場の使い勝手を改善し、主催者が展示会などを効率的、効果的に運営できるよう機能の充実を図ったところでございます。
 これにより、都内中小企業による交流や商談などが一層活発化し、販路の拡大につながっていくよう適切な運営に努めてまいります。

○中山委員 地元なのでしょっちゅう、リニューアル前も行くことがあるんですけれども、どうしても古い印象があったわけでございまして、今回、パンフレットを見ますと、まさに近代的な内装と空間になりまして、オープン式にも期待をしているところでございます。
 これも都立産業会館自体が、いろんな方がいらっしゃるもので、地元のシャワー効果も大変ありまして、飲食店なども大変喜んでいるわけでございます。
 リニューアルに当たっては、利用者のニーズを酌み取って、さまざまな設備、機器の導入や機能アップをされたと思いますが、そうした設備等の更新が、展示会などの運営に当たってどのような改善に結びついていくのか、具体的に伺いたいと思います。

○十河商工部長 台東館の改修工事に当たりましては、既存の建物躯体を生かしつつ、利用者の要望や利便性を考慮した設備更新を実施しております。
 例えば、各展示室に遮音性の高いスライディングウオールを導入することにより、展示室を半分に区切って利用する際の独立性を向上させました。
 また、これまでは複数の催事が同時に行われる場合には、搬出入作業に時間を要するなどの課題があったため、荷物用エレベーターの運搬能力を約一・四倍に引き上げ、作業効率の改善を図っております。
 さらに、利用者に貸し出す事務機器を最新型に刷新するとともに、展示室や会議室に無線LANを導入するほか、企業同士の交流や情報交換などに利用できるビジネスラウンジを新設いたしました。これにより、商談等のサポート機能の強化を図ってまいります。

○中山委員 荷物用のエレベーターにおいては、よく業界からも要望をいただいてきたところでございまして、そういう面では改善したということで期待できるわけでございます。
 改修工事に入る前の平成二十五年度の台東館の利用実績は、展示室稼働率が六九・五%と非常に高く、入場者も三十七万三千六百七十人に上るなど、集客効果は大変なものでありました。
 リニューアルオープン後も、多くの方に台東館を利用してもらうことにより、地元の活性化にもつながると期待をいたしております。
 そのためには装いを新たにした台東館を積極的にPRして、利用促進を図っていくべきと考えますが、具体的にはどのような取り組みをお考えなのか、伺いたいと思います。

○十河商工部長 台東館の運営再開の周知を図るために、都はこれまでに、チラシの個別送付や指定管理者である中小企業振興公社の広報誌への記事掲載によりまして、二万社を超える都内中小企業にリニューアルオープンを告知いたしました。
 さらに今後、指定管理者では、今般の運営再開に合わせて台東館の利用予定がある中小企業や協同組合などを対象に施設見学会を二回開催するほか、産業貿易センターのウエブサイトのリニューアルを実施いたします。
 こうしたさまざまな方法によりまして、台東館のPRを積極的に実施し、さらなる利用の促進に努めてまいります。

○中山委員 ますます展示室の稼働率が上がることを期待して、質問を終わらせたいと思います。ありがとうございました。

○近藤委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十五分休憩

   午後三時三十分開議

○近藤委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○三宅(正)委員 多摩・島しょ地域を中心とする農林水産業の振興と観光振興について伺います。
 まず、都市農業特区について伺います。
 我が党はさきの代表質問で、今通常国会での都市農業振興基本法の制定を機に、農地制度や税制度など制度面の改善につなげていくよう提案しました。これに対し知事からは、国家戦略特区を活用し、具体的な制度改善に取り組み、都市農業のモデルを構築していくとの答弁がありました。
 基本法制定の機を逃すことなく、担い手の高齢化や高額な相続税負担による都市農地の急激な減少など、厳しい経営環境にある都市農業の再生につなげていくことが必要です。
 都は、都市農業特区で生産緑地の流動化、生産緑地面積の要件緩和、相続税の負担軽減の三点を提案していますが、まず初めに、それぞれの提案の狙いについて伺います。

○寺崎農林水産部長 都は、今通常国会での都市農業振興基本法の制定を見据えつつ、国に都市農業特区を提案し、農地制度や税制度などの具体的な制度改善に取り組んでまいります。
 まず、生産緑地の流動化につきましては、生産緑地の貸借の仕組みを構築することによりまして、高齢化が進む中でも新たな担い手を確保し農地の保全を図るとともに、意欲ある認定農業者等が農地を円滑に借り受け、経営規模の拡大等が可能となるよう支援していくことを狙いとしております。
 また、現行五百平米以上となっております生産緑地の指定面積の要件につきましては、各自治体が地域の実情に応じて指定面積を設定できるようにし、都内に推計で二百ヘクタール以上ある小規模農地も生産緑地への指定を可能とすることで、貴重な都市農地の保全を図ってまいります。
 さらに、農機具倉庫や畜舎などの農業用施設や堆肥確保のための屋敷林などの用地につきまして、新たに相続税の納税猶予制度の対象とすることで、相続税の負担軽減を図り、相続による農地の減少を防ぎ、営農継続を支援してまいります。
 都市農業特区のこうした提案内容を実現することによりまして、これまで長年の懸案だった制度面の課題を解決し、都市農業の一層の振興を図ってまいります。

○三宅(正)委員 都市農業特区で生産緑地の貸借の促進が提案されている点は重要です。
 先日我が党は、都内全てのJA、農協と農業委員会の代表者の皆さんに対して、都市農業特区の説明会を開催しました。
 その中では、生産緑地の貸借の仕組みは、市民農園や学童農園の開設を促進する意味で、都市農業では今後ますます重要となる、後継者である子供はいないが、親戚のおいが引き継ぐまでの一定期間生産緑地の貸し付けを行えるようにしてほしいなど、貸借の仕組みの構築に期待する意見が多く出されていました。
 東京の農業者の平均年齢は六十五歳となっています。生産緑地の貸借は、農業者の高齢化が進む中で新たな担い手を確保し都市農地を保全するとともに、認定農業者や新規就農者など意欲ある担い手が農地をスムーズに借り受けることが可能となるなど、都市農業の振興には有効な対策となると思います。
 次に、特区の認定には、生産緑地を含む農地制度や税制度など関連法令の改正も必要となります。特区の認定までのスケジュールについて伺います。

○寺崎農林水産部長 都は今後、来月四月中をめどに、都市農業特区の提案に賛同し、特区への参加を希望する区市町の取りまとめを行い、国に対し、都内の対象区域を含む都市農業特区の提案を行ってまいります。
 これを受けまして、国においては夏ごろをめどに、都市農業特区の対象区域、すなわち特区を実施する具体的な区市町の指定を政令で定めることとなっております。
 その後、関係省庁において、都市農業特区の実現に必要な関係法令の改正や税制改正に関する調査検討が行われ、来年、平成二十八年一月から始まる通常国会におきまして、関係法令等の改正が行われる見通しでございます。
 関連法令の改正後は、東京圏の区域会議におきまして、都市農業特区の区域計画を作成し、内閣総理大臣の認定を受け、特区の運用が開始される流れとなっております。

○三宅(正)委員 関係区市町の賛同を得た都市農業特区の実現により、都内では、これまで一部の区部に限られていた国家戦略特区の指定区域が、農地のある区部や多摩地域のほぼ全域に拡大されることとなります。
 安倍政権は、地方創生、農業振興を重視しており、都市農業の中心である都がリーダーシップを発揮し、区市町をまとめ上げ、今通常国会での都市農業振興基本法の制定を初め、税制改正を含む関連法令の改正へとつなげるようしっかりと取り組んでいく必要があります。
 今後とも、区市町を初め、JA、農協など、生産者団体などとの連携を十分図りながら、時期を失することなく、節目節目で、国への要望を展開していただきたいと思います。
 次に、地産地消の推進について伺います。
 都は、我が党の提案を受け、区部、多摩地域の東京産食材を使った料理を提供する飲食店を登録し、都民に幅広くPRする、とうきょう特産食材使用店のガイドブックを製作しています。
 今年度は、区部、多摩地域のガイドブックに加えて、島しょ地域の食材を使用した料理を提供する島の飲食店の登録制度を開始し、新たに東京島じまん食材としてガイドブックにまとめ、発行しました。
 このガイドブックは、各島の魅力的なお店と料理を紹介しているほか、観光や土産の情報も載せており、旅行者が持ち歩くのにも手ごろなものです。一人でも多くの方が、このガイドブックにより東京の島々に興味を持ち、訪れていただけることが、島しょの地域の活性化にもつながるものと考えています。
 東京産食材の使用店の登録数は年々ふえていますが、今後、二〇二〇年の東京大会での活用も含め、大消費地において地産地消を一層推進していくには、さらに登録店をふやしていくことが必要です。
 今後、都は、登録店の拡大に向け、どのように取り組んでいくのか伺います。

○武田安全安心・地産地消推進担当部長 とうきょう特産食材使用店と東京島じまん食材使用店の登録拡大についてですが、都では、今年度、区部と多摩地域で二百五十三店、島しょ地域では初めて三十七店の飲食店等を登録し、二月にとうきょう食材使用店ガイドと観光案内なども入れ込んだ東京島じまん食材のガイドブックを発行いたしました。
 今後さらに登録店をふやすためには、広く都民にPRし、登録のメリットを引き出すこととあわせて、飲食店が東京産食材を使用できるよう情報を提供することが必要でございます。
 このため都では、ガイドブックを区市町村や商工会、都営地下鉄駅、竹芝桟橋、調布飛行場など都民や観光客の目にとまりやすい場所で配布しているほか、登録店を都のホームページやフェイスブックでも紹介しております。
 来年度は、登録店をめぐるスタンプラリーなどのキャンペーンを展開していくとともに、登録店に東京産食材の情報を提供するため、農協や漁協とのマッチング商談会の開催なども行ってまいります。
 また、こうした取り組みに加え、二〇二〇年東京大会の際に、国内外から訪れる多くの観光客等に都内産食材を提供できるよう、登録店の拡充に向けた対応を図ってまいります。

○三宅(正)委員 登録店の拡大に向けた取り組みは、生産者にとっても販路拡大につながり、効果的でありますので、さらに強化していただきたいと思います。
 次に、多摩地域の水産業振興について伺います。
 多摩川の上流部では、豊かな自然の中での釣りやマス類の養殖などが行われており、地域の重要な産業となっています。
 しかし、多摩地域にある河川釣り場においては、施設の老朽化が進み、釣り人や売り上げが減少傾向にあると聞いています。
 一方で、西多摩地域で実施した調査結果によれば、日帰りの観光客がふえており、渓流釣りや川魚を使った料理へ高い関心や期待が寄せられていることから、水産業にはまだまだ発展の余地があると考えています。
 今後、二〇二〇年東京大会を見据え、多摩の十一カ所ある河川釣り場において、特色のある施設整備を進めるとともに、地域の水産物を安定して提供できるような取り組みが必要ではないかと考えます。
 都は今後、多摩地域の水産業振興にどのように取り組んでいくのか伺います。

○寺崎農林水産部長 多摩地域の河川釣り場や宿泊施設、飲食店等に川魚を提供している養殖場は、施設、設備の老朽化が進み、釣り人や観光客のニーズに十分応えられない状況となっております。
 このため都は、二〇二〇年東京大会等も見据え、来年度から新たに内水面漁業振興対策事業を開始し、漁業協同組合や市町村が地域の特徴を生かして取り組む水産振興策を支援してまいります。
 具体的には、河川釣り場におきまして、外国語の案内表記を整備することに加えまして、バリアフリー化や、初心者からベテランまで、それぞれのレベルに合わせた釣り場エリアを設定するなど、釣り人や観光客のニーズに合った施設の整備に対して補助を行ってまいります。
 また、都が開発した奥多摩やまめや地元産のマス類の養殖場につきまして、養殖池や取水設備の整備、改良等に対する補助を行い、地域の飲食店や宿泊施設に安定的に供給できるようにしてまいります。
 こうした河川釣り場や養殖場の整備を、漁業協同組合や市町村と連携して計画的に進めることによりまして、多摩地域の経済の活性化に寄与する水産業の振興を図ってまいります。

○三宅(正)委員 多摩地域の河川釣り場や養殖場は、その魅力を発揮し切れていないところがあります。それぞれのニーズや市町村等の要望を十分反映し、釣り人や観光客にとって魅力的な施設となるよう、積極的な支援をお願いいたします。
 次に、多摩・島しょの観光振興について伺います。
 多摩・島しょでは、現在、旅行者の誘致に向けてさまざまな取り組みが進んでいます。平成十七年の全島避難解除から十周年を迎える三宅島では、クライミングウオールなどレジャー体験エリアの整備を進めていますし、奥多摩町では、この五月に宿泊観光の拠点施設として、はとのす荘をリニューアルオープンすると聞いています。
 一方、都の調査によると、四季の移り変わりや自然を感じたいという外国人も多く、多摩・島しょへの潜在的な旅行ニーズの高さがうかがえます。
 都心からほど近い豊かな自然というポテンシャルに加え、地域の旅行者誘致に向けたさまざまな取り組み、外国人の自然に対する関心の高さという背景を考慮すると、多摩・島しょ地域は、国内、国外の両面からもっと多くの旅行者を呼び込むことができるはずです。そのためには、地域の魅力をより多くの皆さんに知ってもらうことが重要です。
 都は、今年度からSNSを活用した新たな魅力発信事業を開始しました。これまでの実績と来年度の取り組み内容について伺います。

○杉崎観光部長 都は今年度、多摩・島しょへの誘客を促すため、SNSを活用した魅力発信事業を開始いたしました。
 具体的には、レポーターとして登録をした多摩・島しょへの旅行者に、地域の観光スポットや食などの写真を、それぞれの感想とともにフェイスブックに投稿していただくものでございます。
 十月から二月末までの五カ月間で、七百九十七人がレポーター登録を行い、御岳渓谷の自然や八丈島の島寿司の紹介など、千三百八十四件の情報を発信しております。
 来年度は、事業効果を高めるため、影響力のあるSNSユーザーや著名人が多摩・島しょの各地域を訪れ、フェイスブックのほかツイッター等も利用して、地域の多彩な魅力をアピールする事業を実施いたします。
 実施に当たりましては、海外で影響力の高い著名人等も活用し、外国語での発信を行うなど、外国人旅行者を呼び込むための方策も講じてまいります。

○三宅(正)委員 ぜひ旅行者誘致につなげることができるよう、多様な手法を駆使して効果的な情報発信をお願いしたいと思います。
 以上で私の質問を終わります。

○まつば委員 初めに、雇用就業対策について質問をいたします。
 私は今、制約社員という考え方に注目をしております。これは学習院大学の今野教授という方が大変お詳しいわけでありますけれども、無制約社員、制約社員ということで、無制約社員といいますのは、働く場所とか時間とか仕事について制約がなく、会社の指示や業務上の都合に合わせて、場所、時間、仕事を変えることのできる社員ということでありまして、また、制約社員といいますのは、勤務場所とか時間とか仕事内容について何らかの制約を持つ社員というふうに大別をされております。
 日本の従来の雇用形態といいますのは、この無制約社員の方が大半であったということでありまして、特に、仕事中心の生活を送ることができる労働者ということでありまして、家事や介護や育児を担って支えてくれる専業主婦がいるというような労働者の方でありますので、当然転勤も含めて、残業も含めてがっちりできるという、そういう無制約社員という方が中心であった。
 ところが今は、制約社員というふうに大別される、例えば育児をしながら働く方、また、介護のために仕事に専念できないという状況にある方、また、体調に対して配慮が必要な方といった、こういう勤務場所とか時間とか仕事内容に何らかの制約を持って働かなければならない、そういう制約社員の方がふえているという考え方を指摘されているわけであります。
 そうした中にありまして、この制約社員が今、増加をしているという中で、この制約社員の視点に立った政策を進めていくというのが非常に重要であると私も考えております。
 その中の一つというのがやはり、この制約社員の方が働きやすい社会の実現をするためには、一つの取り組みとして、ワークライフバランスの推進というのが重要な取り組みであるというふうに思っております。
 ですので、最初にこのワークライフバランスの推進についてお伺いしたいと思います。
 一月に東京国際フォーラムで開催されましたワークライフバランスフェスタ東京二〇一五、私も参加をさせていただきました。
 今年度のワークライフバランス認定企業の表彰式が開催をされまして、休暇取得促進や長時間労働削減に取り組んだ結果、業績の向上につながるなど、先進的な取り組みを行った中小企業十二社に認定状が渡されました。
 私も、その後、認定をされた中小企業の方々から、さまざま直接お話をお伺いすることができました。
 そのときに、この認定をされた中小企業の方の取り組みを紹介しているパンフレットを配っていただいていたんですけれども、この中に示唆に富んでいるなと思うコメントが載っていたんです。
 それはある中小企業さんのパンフレットなんですけれども、ワークライフバランスを推進するときの困難点、克服点、克服策は何だったのかということに対して、こう書いてあります。
 ワークライフバランスという言葉から、育児や介護などの事情がある従業員に優しい福利厚生の取り組みと誤解されないよう努めました、現在は特に制約のない従業員にどう当事者意識を持ってもらうか、また、生産性を向上させ、経営課題を解決するための取り組みだと理解してもらうためにはどうすればよいかというのが大きなポイントでしたということで、このワークライフバランスをやっていくことが福利厚生の取り組みではないんですよと。経営課題を解決するための取り組みだと理解をしてもらう。
 また、現在制約がなく働けている方々に対しても当事者意識を持ってもらう、これが重要だとして今回このワークライフバランスに取り組んだということが書いてありまして、大変示唆に富んでいるなと私は思いました。
 こうした大変参考になる取り組み事例をお持ちの中小企業さんが認定をされていらっしゃいまして、この認定証を中心に皆さん記念撮影をされて大変喜んでいらっしゃる。また、それを機にさらに進めていこうという機運がある、そうしたフォーラムでありました。
 今年度このフェスタをやっているわけでございますけれども、ことしのこのフェスタの実施状況についてまずお伺いをしたいと思います。

○貫井就業施策担当部長 去る一月二十九日に開催したワークライフバランスフェスタ東京二〇一五は、働き方の見直しについて社会的機運の醸成を図るため、東京労働局や経済団体などの関係機関の協力を得て実施をいたしました。
 会場内では、東京ワークライフバランス認定企業の認定状授与式や専門家による基調講演、パネルディスカッションなどの催しのほか、認定企業の取り組みの映像による紹介や、家事代行サービスに関するミニセミナーなども行いました。
 会場には、企業の人事担当者を中心に、昨年度を上回る四千二百六十六名の来場者が訪れ、認定企業ブースでは、ワークライフバランスの進め方などについて活発な情報交換が行われ、企業同士の交流が深まるなど、大きな成果が得られたと考えております。
 今回のフェスタの実施状況や認定企業のすぐれた取り組みは、ホームページで広く紹介するなどにより、他の中小企業や社会全体に広めてまいります。

○まつば委員 ぜひとも毎年毎年のワークライフバランスフェスタ、ぜひとも一回一回が、新しい企業さんが認定をされながら、新しい取り組みの発信の場になるように展開をしていただきたいというふうに思います。
 そうした中にありまして、一つの働き方として今注目されておりますのが、テレワークという働き方であります。
 これは、あらかじめ定められた場所や時間で勤務をするというこれまでの働き方に対して、このテレワークといいますのは、情報技術を活用することによって、働く場所と時間を柔軟に選べるようにするという働き方であります。
 今回のワークライフバランス認定企業の中にも、テレワークを導入し、子供の成長や介護の状況などに合わせて出勤日と在宅勤務日を変えられるといった柔軟な取り組みを行っている会社もありました。
 特に在宅でのテレワークは、通勤がなくなることによって余裕時間が生まれるとともに、精神的、肉体的な負担が減少するため、仕事と育児や介護を両立しながら働こうとする方にとっては大きなメリットがあるというふうに考えております。
 そこで、このワークライフバランス推進の観点から、テレワークの普及に向けた啓発、また、テレワークを導入した企業の支援といった、企業でのテレワークの活用に向けた環境整備に取り組んでいく必要があると思いますけれども、都の取り組みについてお伺いいたします。

○矢田部雇用就業部長 情報通信技術を活用した柔軟な働き方であるテレワークは、ワークライフバランスを進めていく上で、有効な手法の一つでございます。
 このため都は、ワークライフバランスフェスタにおいて、お話の在宅勤務を導入した認定企業のすぐれた取り組みを発信するほか、テレワークの効果や導入事例などについてもミニセミナーなどを通じて紹介し、広く普及啓発を行っています。
 また、働き方の見直しに取り組む中小企業に対して、専門家派遣による助言や、必要な費用助成を行うワークライフバランス実践支援事業の中で、テレワークの導入も支援対象としており、在宅勤務のためのパソコン購入やテレビ会議システム導入などを具体的な事例として示し、事業の周知を図っています。
 今後とも、テレワーク導入を初め、働き方の見直しに取り組む企業を積極的に支援し、働きやすい雇用環境の実現に取り組んでまいります。

○まつば委員 ぜひとも積極的な取り組みをお願いしたいと思います。
 ワークライフバランスの取り組みを進めていく中で、とりわけ大きな課題となるのが、仕事と介護の両立であります。仕事を続けながら安心して介護を行うためには、介護期間中の生活の安定化を図ることが大変重要であります。
 現在は、介護休業期間中に雇用保険から支払われる給付金についてですけれども、これは基本的に休業前に受けていた賃金の四割しか支給されないということでありますので、介護期間中の生活に関して経済的な不安を持つ方も多いという状況があります。
 また、今、社会保障政策における、入所ケアから在宅ケアへ方針転換を行っていくという中にありまして、在宅ケアがふえるということは、長期間にわたって日常的に介護をされる方もふえるということでありますので、そうした変化も踏まえて、中小企業従業員融資について施策を考えていく必要があるというふうに思っております。
 都は、この生活資金の融資を従業員の方に行っておりますけれども、来年度からこの融資制度を拡充して介護期間中の生活の安定化に向けた取り組みを強化すると聞いております。
 その具体的な内容についてお伺いいたします。

○矢田部雇用就業部長 都は中小企業で働く従業員の生活の安定を図るため、都内に在住または在勤の方に対して生活資金の融資を行っております。
 この融資のうち、介護を行う従業員向けの融資につきましては、その対象を介護休業中の方に限っていたところ、来年度からは、介護休業の取得の有無にかかわらず、要介護、要支援認定を受けた親族のいる方まで拡大いたします。
 また、資金の使途についても、介護休業中の生活費に加えて、介護サービスの利用料や介護のための交通費、医療費などにも広げてまいります。
 今後は、仕事を続けながら介護を行う多くの方々に利用していただけるよう、本制度について積極的に周知してまいります。

○まつば委員 今、ご答弁で、介護休業の取得の有無にかかわらないで、要介護、要支援認定を受けた親族のいる方々まで拡大をしていくと。
 また、資金の使途についても、介護休業中の生活費に加えて、介護サービスの利用料や介護のための交通費、医療費などにも広げていくということで、この事業に大変期待をしております。
 ぜひ必要とされる方々に都の融資制度がしっかりと届くように、積極的に周知に努めていただきたいというふうに思います。
 次に、女性の再就職支援について伺います。
 昨年の事務事業質疑の中で、東京しごとセンターにおける女性しごと応援テラスの充実について、また、テラス利用者の交流を促す取り組みの検討をこれからしていきますというようなご答弁もあったところでございます。
 さきの施政方針の中で、知事は、これからの東京と日本の経済を発展させていく原動力は女性だと述べた上で、テラスの利用者同士が情報交換をするインターネット交流サイトを立ち上げ、女性の活躍を応援していくと表明をされています。
 昨年開設をした女性しごと応援テラスを女性の再就職を支援する拠点として整備するとともに、地域で行うセミナーやインターネットを活用した支援など、さまざまな取り組みを展開していくことが重要であると考えます。
 そこで、都は来年度、再就職を目指す女性に対する支援をどのように充実させていくのか伺います。

○矢田部雇用就業部長 女性の再就職を支援していくためには、多様な手法を活用していくことが重要でございます。
 都は来年度、再就職に関心のある女性を対象に、女性しごと応援テラスの支援事業や再就職事例などを紹介するイベントを新たに実施することにより、テラスの利用増加につなげていきます。
 また、区市町村と連携して地域で開催するセミナーについては、地元の要望やニーズを踏まえ、女性再就職支援セミナーと子育て女性向けセミナーを合わせて、今年度の十七回から来年度は二十五回に拡充いたします。
 さらに、再就職に向けて孤立しがちな女性を支援するため、テラスを利用する同じ仲間の存在が就職活動の支えになるという利用者の声なども踏まえ、利用者の交流サイトを開設し、インターネットを通じて利用者同士が意見交換できる場を提供してまいります。
 こうした取り組みによりまして、再就職を目指す女性に対する支援をさらに充実させてまいります。

○まつば委員 ぜひとも再就職を目指す女性にしっかりと支援を充実していただきたいと思います。
 そうした中にありまして、女性の就業分野の拡大をしていくということもまた大事なことであります。
 先ほどお話をいたしましたワークライフバランスフェスタには、家事代行サービス事業者の方も出展をされておりました。
 そこでは、共働き家庭の増加や高齢化の進展により、家事サービスへの需要がふえつつあるという状況の中でありますけれども、サービスを提供する担い手が不足しているため、やむなく仕事をお断りするケースもあるというふうに伺いました。
 こうした家事サービス分野は、主婦としての経験やスキルを生かすことができ、また、短時間での就業や身近な場所での就業も可能であって、これから新たな女性の力を生かせる余地が大いにあるというふうに思っております。
 そこで、都が率先して家事サービス分野での働き方の紹介や、担い手となる人材の育成、職業訓練をしっかり行っていただいて潜在的な女性の労働力を掘り起こし、就業へと結びつけていくべきと考えますけれども、見解を伺います。

○貫井就業施策担当部長 育児や介護など、さまざまな事情を抱えた女性の潜在的な就業意欲を引き出し、新たな分野での活躍を支援していくことは重要でございます。
 都は来年度、市場規模の拡大が見込まれる家事サービス分野について、都内十カ所で仕事内容や勤務形態などを紹介する説明会を実施するとともに、就業に向けた個別相談もあわせて行ってまいります。
 また、みずからの育児や家事等の経験を生かし、さらに介護サービスも提供できる担い手を育成するため、訪問介護の資格が取得できる職業訓練を、民間教育訓練機関を活用して百五十名規模で展開をいたします。
 こうした取り組みにより、家庭にいる主婦などを家事サービス分野の担い手に結びつけてまいります。

○まつば委員 この家事サービス分野などは、少子高齢社会の進展によりさらなる成長が見込まれるというふうに思います。
 また、サービスを利用することによりまして、家事負担の軽減にもつながることから、より一層の女性の社会進出も期待されるわけであります。
 説明会での積極的な情報発信や人材育成などを通じて、家事サービス分野の担い手の拡大を図っていただくよう要望いたしまして、次の質問に移ります。
 次は、若者に対する労働法等の普及啓発についてであります。
 若者が働きやすい雇用環境を確保することは大変重要でありまして、若者の使い捨てが疑われる企業、いわゆるブラック企業の問題に対する都の対応について、私は本委員会の事務事業質疑の中で取り上げました。
 その中で、学生向けの普及啓発資料の配布や、労働相談情報センターでの相談対応などに加えて、動画を作成して啓発を行っていくといった都の取り組みを確認いたしました。
 少子化に伴い若者が減少していく中で、貴重な存在である若者の活躍なしには社会の発展は望めないわけであります。
 しかし、労働関係の法律に関する基本的な知識がないためにトラブルに巻き込まれたり、相談する相手もなく悩み苦しんでいる若者もいます。
 そのため、若者に働く際のルールについて広く理解してもらうとともに、何かあった場合に適切な相談を受けることができる窓口の存在についてもっと知ってもらう必要があると思うわけであります。
 そこで、今年度作成した動画についてどのように活用したのかお伺いするとともに、あわせて来年度の取り組み内容についても伺います。

○矢田部雇用就業部長 若者に対して労働関係法令への関心を高めるとともに、相談窓口としての労働相談情報センターを知っていただくためには、若者が理解しやすく、目に触れやすい方法で情報を発信し、訴求力を高めていくことが必要でございます。
 今年度は、具体的なトラブル事例をもとに、ドラマ仕立てで働く際のルールを解説するとともに、労働相談情報センターの周知を図ることを目的とした若者向けの動画を三本作成いたしました。知らないと損する労働法というタイトルで、先月からインターネット上で配信すると同時に、都内の全ての大学、短大、区市町村にDVDを配布しました。
 来年度は、若者が巻き込まれやすいトラブルをテーマとした動画をさらに一本作成するとともに、動画の配信に当たっては、インターネットで検索した言葉に関連性の高い広告を掲出する、一般的にリスティング広告と呼ばれる手法を導入して、若者が動画を目にするように誘導いたします。
 今後もこうした取り組みを初め、さまざまな機会を捉えて若者に対する労働関係法令の普及啓発を行うとともに、トラブルに巻き込まれた際には労働相談情報センターを利用してもらえるように努めてまいります。

○まつば委員 引き続き、若者が働きやすい雇用環境の確保に向けて、働くルールや相談窓口の存在が若者にしっかりと届きますように、創意工夫を重ねながら取り組んでいただきたいと思います。
 また、産業労働局では、就職活動やアルバイトを行う大学生や高校生向けの啓発資料を作成し、学校を通じて配布をしていると聞いております。
 この啓発資料がこれまで以上に学生、生徒に活用されていくためには、関係部署等が連携をして、記載内容や配布方法などについて、さまざまな視点から検討することが効果的だというふうに考えますけれども、都の見解を伺います。

○矢田部雇用就業部長 先月、知事と厚生労働大臣との間で雇用対策協定を締結し、東京労働局と都庁内各局が連携して雇用問題に取り組むことといたしました。
 この協定に基づく運営協議会を活用いたしまして、関係者の連携を強化し、お話の啓発資料の内容の充実と効果的な活用を図ってまいります。
 そのため、産業労働局に加え、都立高校を所管する教育庁、私立学校を所管する生活文化局、青少年の自立支援を所管する青少年・治安対策本部、さらには東京労働局という、いずれも運営協議会のメンバーである組織の課長級職員で構成する学生向け労働法等啓発資料編集委員会を新たに立ち上げたところでございます。
 今後、この編集委員会において、教育や就業支援などの現場の意見を踏まえ、記載内容のさらなる充実を図るとともに、配布方法などについても検討し、若者に対して、働く際の基礎知識とトラブルに巻き込まれた際の相談窓口の周知を図ってまいります。

○まつば委員 新たに編集委員会を立ち上げたということでありますけれども、知事と厚生労働大臣との間で結んだ雇用対策協定、この締結を受けまして、産労を中心に各局、また、東京労働局と連携をして取り組みをいち早く開始されたということを大変高く評価いたしたいと思います。
 ぜひとも、さまざまな視点から意見を出し合っていただいて、よりよい啓発資料の作成や配布につなげていただきたいというふうに思います。
 続きまして、食育の推進について質問をさせていただきたいと思います。
 和食がユネスコ無形文化遺産に登録をされまして、人々の関心が高まりつつありますが、この食文化を支えているのが、お米を主体とした日本の農産物であります。
 東京では、お米の生産は少ないようでありますけれども、大都市の消費者ニーズに応え、多様な農産物が生産されていると聞いております。
 そこでまず、お米も含めて、都内の農産物の生産状況についてお伺いいたします。

○武田安全安心・地産地消推進担当部長 東京では、大都市の中で限られた農地を最大限に活用して、野菜類を中心に収益性の高い農業が展開されております。
 平成二十五年の東京の農業総生産額は、二百九十三億円でございます。このうち、野菜類が全体の約五九%を占める百七十二億円、花きが約一七%の四十九億円、果樹が約一一%の三十二億円、畜産物が約七%の二十億円であり、米は〇・三%の一億円となっております。
 米は主に八王子市のほか、府中市や町田市などで生産されておりますが、この十年間で、作付面積は約二割減少し、百六十六ヘクタールとなっております。

○まつば委員 ご努力をされていらっしゃる生産者の方に感謝を申し上げますとともに、都市農業を、しっかりと守っていただく支援をお願いしたいというふうに思います。
 そうした中で今、この東京都の中でお米というのが農業総生産額でわずか〇・三%だということであったわけですけれども、このお米全体の消費量も食の欧米化によりまして毎年減少しているわけです。
 東京の都市農業をしっかり支援していくということとともに、東京は大消費地でありますので、国産の農産物をしっかりと消費をして、日本の農業に貢献するという役割、こういう責任があるというふうに思っております。
 お米の粉というのがありまして、米粉でありますけれども、高度な製粉技術で、微細粒にしたうるち米の粉のことということで、本当に美しい米粉を私も拝見させていただきましたけれども、おいしいお米はおいしい米粉になるというふうに伺いました。
 私は、先日、一般社団法人の日本米粉クッキング協会の料理研究家の大塚せつ子先生からお話を伺いました。
 この米粉を利用して、パンやケーキ、パスタ、うどんなどをつくる技術を開発されて、お米の消費量を増加させるとともに、小麦粉に含まれるたんぱく質の一種、グルテンによって引き起こされるアレルギーも回避をしていこうという取り組みであります。
 特に家庭の中にその技術を伝えることが大切だというふうにもおっしゃっておりまして、私も体験をさせていただきました。シフォンケーキとかニョッキなんかもつくらせていただきまして、つくるの難しいかなと思いましたけれども、私でもつくれましたので皆さんつくれると思います。
 それで大変おいしいんです。とてもおいしいということで私も本当に感動したわけなんですけれども、きょうは、わざわざそのご関係の方もこの委員会傍聴していただいておりますけれども、本当に私感動したのは、食料自給率を何とか上げていきたいという使命感と、新しい米の食文化をつくっていきたいという意気込みが大変あられる方々でありまして、私もこの米粉という普及をしっかり後押しさせていただきたいというふうに、本当にお話を伺いながら、体験させていただきながら思ったところであります。
 現在、東京都では、こうした取り組み、食育ということで産業労働局では取り組んでいただいているということでお伺いをいたしたわけなんですけれども、こういう食育の取り組みの中で、こうしたさまざまな団体さんの取り組みだったり活動を都民の方に伝えるために、どういうふうに都が取り組んでいるのか、お伺いいたします。

○武田安全安心・地産地消推進担当部長 都内では食育を推進するため、食材の生産から調理方法、栄養成分と健康との関係など、多くの団体によって幅広い取り組みが行われております。
 このため都では、平成十八年度から食育フェアを開始し、食育に取り組む団体の情報交換や都民への情報提供などを支援しております。
 本フェアは、食育団体が一堂に会して、各団体の活動を紹介するパネル等の展示、もみすりなどの農業体験、減農薬農産物の販売などを行っております。
 また、栄養や健康についても、関連する大学等が参加し、日ごろの研究成果等を発表しております。
 お話の団体もこのようなフェアを活用していただき、食育への取り組みを都民に発信することができると考えております。
 今年度はデング熱の影響により代々木公園での開催を見送ったところでございますが、昨年度は、七十七団体が参加し、約四万人が来場して、多くの都民に食育を広めることができました。
 今後ともこのような取り組みにより、食育団体を支援してまいります。

○まつば委員 この食育フェア、とても有意義な取り組みだと思いますので、今後もぜひともこうした食育に取り組む団体へ支援を強化していただきたいというふうに思います。
 繰り返しになりますけれども、大都市東京は、国産の農産物を消費して日本の農業に貢献するという役割、責任というのは非常に大きいと思うんです。東京の農産物をしっかり守っていく、支援していく、これは大変重要です。
 ですけれども、先ほどご答弁ありましたように、お米を今、生産していただいているところは大変少なくなって、大変貴重になっています。そこは大事にしていただきたいと思います。ですけれども、お米を生産している方が少ないということになりますと、この米ということの農産物をどういうふうに支援をしていくのかという視点が、なかなか薄れてしまうのではないかなとちょっと危惧しております。
 国も米穀の新用途への利用の促進に関する法律というのを二〇〇九年に施行しておりまして、米穀の新用途、例えば米粉用だったり飼料用だったりといった用途を促進して、重要な食料生産基盤である水田を最大限に活用して、食料の安定供給を確保することを目的として法律もつくっております。
 また、新潟では今、R10プロジェクトというのをやっているんです。これは、我が国の食料事情における問題点、食料自給率三九%の警告というのを表に立てまして、そしてこのR10って何かというと、食料自給率向上のため、小麦粉消費量の一〇%以上を米粉に置きかえる国民的なプロジェクトを発信するということで今やって努力をされていらっしゃいます。
 やはり、この大消費地東京として、国の農産物というのをどのように消費をして、大事にして、そのことによって食料自給率を上げていくのか、そうした視点というのは大変大事だというふうに思います。
 今回、米粉の普及ということを真正面から都議会で取り上げさせていただいたのは私が初めてかと思いますし、きょうが初めてかというふうに思います。ですので、ぜひとも、きょう私がお話をさせていただきました、そうした視点を施策の中に取り入れていただいて、この米粉の普及を図っていただきたいというふうに思います。
 答弁は、求めませんけれども、ぜひとも検討をしていただきたいというふうに思います。
 質問は以上で終わります。

○尾崎委員 私の方からは、最初に雇用問題について質問します。
 多摩地域雇用就業支援拠点の整備についてです。
 来年度予算案では、多摩地域雇用就業支援拠点の基本設計に着手するとなっています。
 支援拠点の位置づけ、施設設備について伺います。

○矢田部雇用就業部長 狭隘で老朽化しているしごとセンター多摩を国分寺から立川へ移転整備するとともに、同じ建物にある労働相談情報センター国分寺事務所と、やはり老朽化が著しい八王子事務所をこの施設に移転統合いたします。
 新たな施設は多摩地域全域における雇用就業施策の拠点と位置づけ、具体的な施設設備については、今後、基本設計を進める中で検討していきます。

○尾崎委員 多摩地域には現在、国分寺と八王子に労働相談情報センター及び労政会館がありますが、それぞれの利用状況について伺います。

○矢田部雇用就業部長 平成二十五年度の労働相談情報センターで受け付けた労働相談件数は、国分寺事務所が五千四百十六件、八王子事務所が四千百五十九件です。
 また、平成二十五年度の労政会館の利用件数は、国分寺が四千七百二十六件、八王子が五千三百八件でございます。

○尾崎委員 ただいまのご答弁の中で、八王子と国分寺の相談件数を合わせると九千五百七十五件、労政会館利用件数の実績は一万三十四件と、地元でどれだけ必要とされているのかがわかります。
 国分寺と八王子の労働相談情報センターは、労働相談はもちろんですが、労働者の学習会の会場として大きな役割を持っています。八王子は、体育館や広くて明るい食堂、二百四十人が収容できるホールもあり、利用している方々からは、廃止しないでほしいとの声と運動が広がっています。この要望に都はどう応えようとしていますか。

○矢田部雇用就業部長 体育館やホール、会議室等から成る労政会館は、労働相談情報センターに併設された勤労者の文化、教養、福祉活動を支援する施設でございます。
 都はかつて同様の目的のもとに設置された多摩地域の六つの勤労福祉会館を、住民に身近な自治体が担うべきとの考えのもと、全て移管または廃止してきました。
 八王子と国分寺の労政会館につきましても、労働相談情報センターの移転統合を機に廃止する方針でございます。

○尾崎委員 労働相談情報センター国分寺事務所と八王子事務所を統廃合し、立川市に多摩地域雇用就業支援拠点をつくるということですが、多摩地域で一カ所の拠点で労働相談情報センターとしての役割が果たせるのかということです。
 都の雇用・就業対策審議会の答申では、労働相談情報センターの支援体制の充実、情報発信の強化を図っていくとしています。
 労働相談情報センターは、地域における労働問題や雇用環境に関する情報発信の拠点として機能の強化を図ることとしています。相談したいときにすぐに行けない、遠いということで相談を諦めてしまいかねません。
 かつて、渋谷、新宿などの労働相談情報センターが廃止されたとき、相談件数が減少し、回復までに一定の時間がかかりました。身近に相談できる場所が必要なんです。
 私の事務所で行った労働アンケートでは、都の無料で安心して相談できる労働相談情報センターを知らないと回答したのは六二%、知っているは三六%でした。多摩地域で相談できる場所をふやし、気軽に相談できるということをもっとPRすべきだと思います。
 そして相談だけではなく、中小企業、その地域で働いている労働者、住民が学習や交流などで利用できる会議室、ホール、食堂などの施設が近くに欲しいというのは市民の願いです。
 国分寺と八王子を立川に統廃合するのは中止して、相談窓口をふやすよう求めておきます。
 次に、不本意非正規労働者についてです。
 長期ビジョンで、不本意非正規労働者について、都は十六万七千人と発表しています。
 長期ビジョンの用語解説で、就業構造基本調査で、ほかの仕事にかかわりたい、いわゆる転職希望者、そしてこの仕事のほかに別の仕事をしたいという追加就業希望者と回答した者のうち、正規の職員、従業員を希望している者としています。
 この定義を使って不本意非正規を規定した場合、国の労働経済白書では、現在の仕事のままで非正規から正規雇用に転換したい希望を持つ者については、把握できないとしています。
 この国の指摘について、都はどう認識していますか。

○矢田部雇用就業部長 就業に関する主な調査には、就業構造基本調査と労働力調査の二つがありますが、長期ビジョンにおけるおおむね十年後までの政策目標では、労働経済白書の考えと同様、都道府県単位の統計としては最も適当である就業構造基本調査を用いて、不本意非正規の定義を行っております。
 白書における記載については承知しておりますが、国全体の就業状態を明らかにする労働力調査の都道府県別の結果につきましては、総務省も精度が十分に確保できないとしていることから、政策目標では使用しておりません。
 なお、長期ビジョンの中の三年間で達成すべき一万五千人の正規雇用化の目標値には、社内での正規転換も含んでおります。

○尾崎委員 長期ビジョンを作成する前に、既に国は、二〇一三年五月に、パートや派遣社員など非正規雇用の五人に一人は不本意な気持ちで働いていると初めて公表し、話題を呼びました。
 都は、この事実を把握しているのでしょうか。この国の調査で使っている不本意非正規労働者の捉え方は、労働経済白書でも使っています。
 こうした国の動向について、どう認識していますか。

○矢田部雇用就業部長 平成二十五年に総務省が公表した労働力調査に、非正規雇用についた理由を尋ねる項目が追加されたことは承知しておりますが、先ほど申し上げたとおり、都道府県別結果の精度は十分には確保されておりません。
 長期ビジョンでは、求職活動を行う不本意非正規を半減するという政策目標のもと、三年間の目標値としては、社内での正規転換も含み一万五千人の正規雇用化を掲げております。

○尾崎委員 総務省の労働力調査によると、二〇一三年平均の結果では、非正規労働者となっている理由で、正規の仕事がないからが二〇%となっています。就業構造基本調査によると、六百六十万人の雇用者のうち、正規労働者三百九十万人、非正規労働者二百二十万人です。不本意非正規労働者の割合を二〇%とすると、四十四万人となります。長期ビジョンの十七万人は余りにも少な過ぎます。
 二〇一二年に都が発表した契約社員に関する実態調査によれば、契約社員を選んだ理由は、三割が正社員として働ける適当な企業がなかったとしています。契約社員の四四%が正規化を希望しています。都の調査では、契約社員、パート、嘱託、派遣などを含めています。この数字を就業構造基本調査の数字に当てはめると、約百万人近くになります。
 都として、不本意非正規労働者について、より適切な使い方に改めるよう求めます。
 次に、若者応援企業採用等奨励金について質問します。
 若者の採用、育成に積極的で、労働法令違反を行っていないなどの一定の基準を満たし、若者応援企業を宣言している地域の中小企業についてです。
 現在、若者応援企業宣言をしている企業はどのくらいですか。その中で、今回の奨励金の対象となる中小企業はどのぐらいですか。
 また、若者応援企業宣言をしている企業での正社員の採用の実績はどのくらいでしょうか。

○矢田部雇用就業部長 中小企業に呼びかけた国の若者応援企業は、東京労働局管内で三月九日現在、千二十三社であり、今回の都の奨励金はこの全てが対象となります。
 また、これまでの正社員の採用実績につきましては、国は公表しておりません。

○尾崎委員 奨励金は一企業で何人までという縛りはあるのでしょうか。

○矢田部雇用就業部長 一企業当たりの対象人数に制限を設けることは予定しておりません。

○尾崎委員 国は来年度から、若者応援企業として認定するために、過去三年度分の新卒者の採用実績及び定着状況など、幾つかの指標について数値要件を満たし、人材育成に取り組んでいる企業を法律上認定する動きがありますが、そうなった場合は、認定を受けた企業が奨励金の対象となるのでしょうか。

○矢田部雇用就業部長 国において、若者の雇用管理の状況が優良な中小企業の認定制度の創設が検討されているようですが、現在のところ、詳細が明らかではなく、現時点で、認定を受けた企業が都の奨励金の対象となるか否かは、お答えできません。

○尾崎委員 現在の若者応援企業宣言では、情報開示するだけではなく、それぞれの指標となる数値要件を満たした企業を認定しようという動きです。
 国の認定になれば、都としても単に若者応援企業宣言をした中小企業ではなく、国の認定を受けた中小企業を支援対象にすべきだと要望しておきます。
 次に、正規雇用等転換促進助成事業について伺います。
 この事業は、国と同じ基準、同額で支援するということですが、都内にある企業であれば大企業でも中小企業でも対象になるのでしょうか。例えば、企業の本社が東京で、東京都以外の地域の支店で正規化した場合も対象になるのでしょうか。

○矢田部雇用就業部長 正規雇用転換促進助成金は、国のキャリアアップ助成金の支給決定を受けた事業所で、正規転換等がされた労働者の勤務先が東京都内であることを必要としており、企業規模は問いません。

○尾崎委員 国の支援事業に同額の上乗せをするということです。対象となる企業は大企業も含まれるわけですが、大企業には十分な資金があります。都民の税金を使っての支援事業ですから、都内の中小企業を中心に支援を行うよう求めておきたいと思います。
 一社で何人までという縛りは、この支援事業の中であるのでしょうか。

○矢田部雇用就業部長 都の助成金は、国の助成金の支給対象となった事業主に支給するものですが、国は一年度一事業所当たり十五人を上限としておりますので、その範囲内となります。

○尾崎委員 若者応援企業採用奨励金、正規雇用転換促進助成事業を受けた企業に対して、正規化の後のフォローや検証などはどのように行うのでしょうか。

○矢田部雇用就業部長 二つの助成金事業はいずれも期間の定めのない労働契約による雇用で、六カ月以上の職場定着を要件としており、対象となった労働者は比較的長期の雇用につながるものと想定しておりますが、受給企業に対しましては、職場定着支援などの事業の情報も提供してまいります。

○尾崎委員 まずは、非正規雇用を正規社員に変えていくことが急務です。
 いずれの支援事業も六カ月経過してから都に申請する仕組みになっていますが、その後の定着が重要だと考えます。
 支援した企業の後追い調査、支援を行うよう求めます。
 次に、中小企業に対する産業人材の確保育成事業についてです。
 中小企業にとっては人材確保は現状で深刻な事態です。
 先日、中小企業庁から聞き取りをしましたが、来年度予算の取り組みで中小企業の人材確保対策について質問すると、人材対策事業について、一番の課題だとして説明しました。都として、現在の中小企業の人材確保をめぐる状況についてどう認識していますか。

○矢田部雇用就業部長 中小企業については、若者の大企業志向の再燃や情報発信力の弱さ、経営資源の不足等により、人材確保が困難となっていると長期ビジョンでも記載しているとおりでございます。

○尾崎委員 都民の雇用状況は、就職を諦めてしまったり、就職活動への展望を見失いかけている方々がふえ、非正規労働者の倍の四百四十万人が無業者になっています。
 しかし、それぞれの方々は、より身近な区市町村などと連携して、就労の場を確保することが重要となっています。
 こうした状況について、どのように認識していますか。

○久我事業推進担当部長 区市町村と連携し、雇用就業施策を推進するため、都は来年度、区市町村への新たな補助制度を既に予算計上しております。
 なお、無業者が四百四十万人とのお話ですが、就業構造基本調査報告によりますと、約七割の三百八万人が高齢、通学中、病気、けがなどにより就業を希望しないという方々でございます。

○尾崎委員 高齢者の方々の中には、年金だけでは暮らせない、働きたいという方もいます。病気やけがをしている人でも治ったらすぐに働かないと生活ができないという状況ですから、支援が必要な人だと位置づけることを求めておきます。
 私はこの間、東京商工会議所や東京中小企業家同友会の方たちと懇談を行ってきました。
 その中で、中小企業が人の問題でどれだけ苦労しているのか、人材確保のための要望もたくさん出されました。
 そこで伺います。中小企業の位置づけや重要性を正しく伝えること、また、中小企業へのインターンシップや企業見学などのプログラムの充実、教師に対しても、企業家精神のとうとさと中小企業で働く大切さを教育し、学校で中小企業の経営者や技術などを講義する機会をふやすなど、地域企業との関係を強化することといった要望をいっていました。
 これらの中小企業の方たちから聞く要望に対して、都はこうした要望にどう応えますか。

○久我事業推進担当部長 都は、既にインターンシップの推進や中小企業の見学等により、若者の中小企業への理解が進むよう支援しております。
 また、企業の採用担当者と大学のキャリアセンター職員との交流会なども実施しています。

○尾崎委員 中小企業は知名度が低いので、学生の目を中小企業に向ける、中小企業の魅力に触れるといった機会の提供など、引き続き、若者の確保支援を強力に推進されたい。また、女性の活躍を維持するためには、テレワークの活用など、仕事と子育ての両立に向けた環境整備、待機児童の解消に推進してほしいとの要望を中小企業から聞きますが、都としてこうした要望にはどう応えようとしていらっしゃるでしょうか。

○久我事業推進担当部長 先ほども答弁いたしましたとおり、都はインターンシップの推進や中小企業見学等によりまして、若者の中小企業への理解が進むよう支援しております。
 また、仕事と子育てを両立できるよう、ワークライフバランスの実現に向けた支援などを通じまして、雇用環境の整備を進めております。

○尾崎委員 中小企業の課題は多岐にわたります。全庁的な取り組みで支援を行うことを求めます。
 新規事業、産業人材の確保育成事業のうち、ものづくり中小企業魅力体験受入支援事業について、この間の受け入れ企業数と学校数の実績について伺います。

○久我事業推進担当部長 受け入れ企業延べ数は、事業を開始した二十三年度は六百六十二社、二十四年度九百四十三社、二十五年度一千百十八社でございます。
 また、参加学校延べ数は、二十三年度三十二校、二十四年度三十九校、二十五年度四十二校でございます。

○尾崎委員 受け入れ企業数も学校数もこの間ふえています。期待が高まっていることのあらわれだと思います。
 私は先日、都立六郷工科高等学校を見学しました。日本で初めてデュアルシステム科をつくり、一年次で二社、五日間のインターンシップを行い、二年次、三年次でそれぞれ二カ月間、地元の中小企業での長期就業訓練を通じて、中小企業への就職につながっているということでした。
 地元企業は二百三十社が協力企業となり、八割が協力企業へ就職しているということです。
 受け入れに協力してくださっている中小企業の経営者は、零細企業にとっての人と大手にとっての人は意味合いが全く違います、大手にとって人は切るもの、だめだと思ったらすぐに見放します。一方、零細企業は、募集したってまず人が来ない。だから、縁あって来てくれた人は大切に育てる。使い物になるかなんて見方で人をえり好みするのではなく、せっかくうちに来てくれたこの人をいかに育てるか、いかにいい技術者、いい社会人にしていくのか、その気持ちで人を見ますと語っています。
 また、一人でも多くの生徒を導いていきたいが限界がある。もっともっと国や都なり行政がバックアップしてほしいとの要望も出されています。中小企業の持つ魅力を知らせ、日本のものづくりを絶やすことなく継承するためにも大変重要な取り組みだと思います。
 そして、ものづくりを継承するためには、公共職業訓練が大きな役割を果たしていると思います。
 中小企業の人材育成を進めるために、職業能力開発センター等の機能拡充として、定員の見直し、地域の特性やニーズに対応したカリキュラムや設備の充実、最先端技術、設備の導入、現場訓練の支援強化などの要望があります。
 そこで伺います。埼玉県や千葉県ではデュアルシステム訓練を行っていますが、都の公共職業訓練でデュアルシステム訓練を導入しているのはどのくらいありますか。

○久我事業推進担当部長 都では、民間教育訓練機関を活用いたしまして、座学と企業実習を組み合わせたデュアルシステム訓練を実施しており、平成二十六年度は、トラベルビジネス科やウエブサイトデザイン科など四十三科目、千二百九十五名で募集しております。
 また、ものづくり系の施設内訓練におきましては、企業現場への校外実習やインターンシップをカリキュラムに取り込んでいるところでございます。

○尾崎委員 千葉県では、二〇〇七年から県内三つの職業訓練で、学校での授業と企業における実習訓練を並行的に実施するデュアルシステム訓練コースを施設内訓練として実施しています。
 溶接、板金加工技術、外壁、内壁の塗装、タイル張り、ブロック積み、CAD、NC工作機械を利用したNC機械加工など、三つの科目で九カ月から一年で実施しています。就職率は九〇%から一〇〇%で、中小企業側は、若い人たちが実際に工場に来てもらい、就職もしてもらえる機会もできるということです。
 都では、都内の中小企業への就職を支援する立場も踏まえ、職業能力開発センターで、ものづくり分野でのデュアルシステム訓練を取り入れることを求めます。
 次に、金融問題です。制度融資について伺います。
 消費税増税と円安の影響で材料費が上がり商売が成り立たない、昨年と同じ売り上げがあっても利益が出ないという悲鳴が上がっています。地域経済を支えている小規模企業や商店街では、消費税増税と円安の影響での材料費高騰によって、商売も暮らしも大変になっています。
 都はつなぎ融資の限度額を年度末まで引き上げる特別措置を講じていますが、その後についてはどう考えているのでしょうか。

○松永金融部長 都の制度融資におけるつなぎ融資メニューは、原則として三営業日以内の保証審査により、つなぎ資金を迅速に供給するために設けておりまして、年末から年度末にかけては特に資金需要が高まることから、融資限度額を引き上げる措置を特別に実施しております。

○尾崎委員 年度末で終わるということになるわけですが、中小企業にとって今の景気状況の中で、三営業日以内で保証審査が終わって資金が調達できるというのは、大変役に立ってありがたい制度です。
 中小企業の景気状況は引き続き横ばい、見通しはわずかに後退です。経営環境がよくなるまで、都は緊急措置を行うべきだと要望しておきます。
 次に、国のセーフティーネット保証融資の対象業種を大幅に拡充し、今の円安の影響による材料費高騰で苦しんでいる中小企業への支援になるよう要望すべきですが、いかがですか。

○松永金融部長 国のセーフティーネット保証制度は、全国的に業況の悪化している業種に属する中小企業の経営の安定化を支援するためのものでございます。
 都は国に対しまして、セーフティーネット保証制度について、中小企業を取り巻く経営環境や実情を踏まえ、対象業種を的確に指定するなど適切な運用を行うよう、既に要望いたしております。

○尾崎委員 国に対しては引き続き要望をお願いいたします。
 中小企業、小規模企業の経営者にとって、借り入れ時に経営者による個人保証は、経営者に思い切った事業展開や保証後に経営が悪化した場合の早期再生を阻害する要因となり、企業の活力を阻害する面もあります。
 法人と個人が明確に分離されている場合など基準を決めて、融資の場合に経営者保証に依存しない方向を打ち出しました。
 一年前、中小企業団体及び金融機関団体共通の自主的、自律的ルールとして、経営者保証に関するガイドラインができましたが、このガイドラインの周知、運用について、都の取り組みについて伺います。

○松永金融部長 都は、制度融資の相談窓口におきまして、経営者保証に関するガイドラインのパンフレットの配布や、相談員による案内に努めております。
 また、東京信用保証協会におきましても、経営者保証に関するガイドラインの周知を図るため、事業者に対し丁寧に説明を行っていると聞いております。

○尾崎委員 保証協会づきの都の制度融資でもガイドラインの適用はできるのでしょうか。

○松永金融部長 経営者保証に関するガイドラインでは、中小企業が融資を受ける際に、法人と経営者個人の資産、経理が明確に分離されている、あるいは法人のみの資産や収益力で借り入れ返済が可能であるなどの要件を満たす場合、金融機関等は経営者に対しまして個人保証を求めない可能性を検討することとしております。
 これを踏まえ、東京信用保証協会は、経営者保証に関するガイドラインに対応した保証制度を設けており、適切に対応していると聞いております。

○尾崎委員 中小企業、小規模企業の多くは、自分が借りたものは返す、自己破産はしたくないと必死で返済に頑張っています。
 私は、借金の返済のため、四人家族が一個のインスタントラーメンでしのいでいた、お金がなくて砂糖水で命をつないだが借金は返そうと頑張ってきたという経営者も見てきました。
 日本では一度企業経営で失敗するとなかなか再度挑戦できないという状況がまだあります。以前は第三者保証人が要件だったため、知り合いの保証人になって家庭崩壊した例がたくさんありました。しかし今は、第三者保証要件はなくなりました。
 金融庁は、経営者保証に関するガイドラインの方向が全国の流れになっているといっています。
 都が発行している金融手引の中でも、経営者保証に関するガイドラインについての説明をもっと目立つように要望しておきます。
 次に、産業交流拠点の整備について伺います。
 来年度予算案は、産業交流拠点、仮称ですが、この基本設計を委託するとなっています。展示場やホール、インキュベーション施設、会議室など具体的な施設計画はどうなっているのでしょうか。

○十河商工部長 産業交流拠点の具体的な施設計画につきましては、現在、関係局や地元市と協議を進めながら、展示場や会議室等、施設の機能や規模などを具体化する基本計画を策定しているところでございます。

○尾崎委員 私は先日、八王子市で産学連携に取り組んでいるTAMA協会にお邪魔をしてお話を伺いました。
 TAMA協会の方から、産業交流拠点に期待している、産業交流拠点の施設の中にTAMA協会も入りたいとの要望も出されました。ぜひ、地元自治体はもちろんですが、産学連携などに取り組んでいる団体からの要望もよく聞きながら進めていただきたいと思います。展示場やホール、インキュベーション施設、会議室など要望したいと思います。
 次に、専門家体制についてです。
 来年度から、大企業の埋もれた特許の活用、医工連携など、中小企業の仕事づくりを促進します。これらの取り組みには、中小企業の自社製品に結びつけられるよう協力できる専門家が重要です。
 来年度から小規模企業の事業継承、継続の支援拠点を六カ所に拡充します。また、都内の開業、創業への支援も進めていきます。
 都のこれらの事業を支える専門家の体制はどうなっていますか。

○十河商工部長 都では、中小企業の技術や製品の開発やさまざまな経営課題の解決を支援するため、中小企業のニーズに適切に対応できるようコーディネーターなどを配置するなど、専門家による支援体制を整備することとしております。

○尾崎委員 都は従来、各企業を専門家が訪問し、さまざまな相談に応じる支援策をしてきましたが、時間や人の制約から一社を体系的に支援するのは難しい状況があり、もっと課題を深掘りしながら集中的に解決策を探る必要があるのではないですか。特許の活用でも医工連携でも事業承継、継続の支援でも、目ききができる専門家が大きな役割を果たします。
 そこで伺います。中小企業振興公社の職員は何人でしょうか。職員のうち専門家はどのような人がいるのでしょうか。

○十河商工部長 中小企業振興公社の職員は平成二十六年四月一日時点で二百六十三人であり、例えば海外販路開拓の分野には十人のナビゲーターを、知的財産の分野には十四人のアドバイザーを配置するなど、高い専門性を有する人材を活用しております。

○尾崎委員 中小企業振興公社における総合相談窓口及び専門家派遣事業に登録している専門家は何人でしょうか。担当分野別などわかれば教えてください。

○十河商工部長 中小企業振興公社における総合相談窓口及び専門家派遣事業では、経営分野に二百二十四人、税会計分野に三十二人、法律分野に二十四人などの合計三百三十六人が登録しております。

○尾崎委員 今後ますます需要が高まる常駐型の専門家を大幅に増員する必要性があると思いますが、どう認識していますか。

○十河商工部長 中小企業振興公社では、中小企業が直面するさまざまな経営上の課題の解決に向け、必要に応じ専門家を適切に活用しております。

○尾崎委員 登録型の専門家は、振興公社の仕事以外にも仕事をかけ持っており、指名があった際に、行ける場合は行くが、行けない場合は断るという方々です。
 私がお聞きしたいのは、振興公社として、非常勤ではあったとしても、常駐していてその仕事を専門的に行う方々の必要性を伺っているのです。必要性は恒常化している、かつもっと課題を深掘りしながら、集中的に解決策を探る必要があるといっているのは都の担当者です。常駐型の専門家を大幅に増員することを求めます。
 専門家の育成は、今後どのように進めようとしているのでしょうか。

○十河商工部長 中小企業振興公社におきましては、幅広い分野の専門家を即戦力として活用しているところでございます。

○尾崎委員 中小企業のものづくりを継続させるためには、いかに下請から脱却するかが大きな鍵になると思います。
 東京都が来年度予算案には、大企業で埋もれている特許の活用や医工連携、自社製品づくりなどに支援することは大変重要です。
 これらの事業はすぐに成果が実るものではありませんが、成果につなげるためには専門家の役割は大変重要になります。
 中小企業支援に情熱を持ち、目ききのできる専門家をふやさなければ展望も見えてきません。都としてその重要性を認識して前に進めていただけるよう求めます。
 都の職員のOBの方々や企業で経験を積んで退職した方々の力を発揮してもらうこと、経験の交流や学習など専門家の育成が必要だということを要望して、質問を終わります。

○田中(健)委員 それでは、私からは観光振興についてから伺いたいと思います。
 昨年、日本を訪れた外国人旅行者は一千三百万人を突破し、十年前と比較をして二倍を超えるまでとなりました。今後も、オリンピック・パラリンピックを契機に旅行者の増加が見込まれております。
 こうした中、海外からさらなる旅行者を東京に呼び込むとともに、同時に快適な滞在の環境を提供していくことが必要と考えます。
 しかしながら、これに対しても財源には限りがありますので、効率的で実効性の高い施策を実施していかなければなりません。
 平成二十七年度の東京都予算案の概要によりますと、都は、事業評価を実施しております。この中に、観光に関する事業も取り上げられていますので、そこから何点か伺っていきたいと思っております。
 まず、この事業評価の中で一番大きく取り上げられていたのがウエルカムボードの設置等についてであります。
 都は、東京を訪れる外国人旅行者に対して、歓迎のメッセージを伝えるウエルカムボードの設置の事業を実施しています。
 予算案の概要の資料の中を見ますと、事後検証による評価の一つとして、本事業について、デジタル化等による情報伝達力の強化を図るとされていますが、具体的にはどのような見直しを行って、また、どのような効果を見込んでいるのか伺います。

○杉崎観光部長 都はこれまで、東京を訪れる外国人旅行者に対し、空港等でウエルカムボードの設置により歓迎のメッセージを伝えるとともに、観光地図等を掲載したハンディーガイドの配布を通じて観光情報の提供を行ってまいりました。
 来年度は、成田空港において設置しているウエルカムボードを、従来の壁面広告を活用したものからデジタルサイネージに切りかえるとともに、ハンディーガイドについて、スマートフォンでも閲覧できるように電子化するなど、旅行者に対する訴求力の強化と利便性の向上を図ることとしております。

○田中(健)委員 デジタルサイネージというのは品川駅とか新宿駅にもありますが、鉄道の事業者というのはいち早く整備をしておりまして、広告効果を上げているそうであります。
 ウエルカムボードというのは、外国人旅行者がまず日本に到着をして初めて見るメッセージでありますので、いつまでも、今までだと、ようこそジャパンとか、ウエルカム東京ではインパクトもありませんし、かわりばえがありません。
 また、ハンディーガイドも、これまでは紙ベースということでありましたが、東京は次々と新しい名所が生まれてきますし、また目まぐるしく変わるこの東京の今を伝えられないと思います。
 今回のこのデジタル媒体の採用で、ウエルカムボードも四季折々の東京の姿や新しい名所を訪日旅行者に伝えることが可能となって、おもてなしの力を上げることにつながっていくかと思いますので、ぜひこうしたデジタル媒体の活用をこれからも進めていただきたいと思っております。
 また今回は、今、答弁にもありましたが、ハード整備が整っている成田空港での実施ということでありますが、順次、このデジタルサイネージの整備が進み次第、羽田空港や観光案内所というのも考えられるかと思いますので、積極的に活用をしていただきたいと思っております。
 次に、関連して、アジアからの旅行者誘致事業について伺います。
 日本を訪れる旅行者は、台湾、韓国、中国で全体の過半数を占めています。アジア地域は、東京から地理的な距離も近いこと、また経済成長率も高いことから、有望な市場として期待ができ、多くの旅行者を呼び込むためには、さらなる海外への積極的なプロモーション活動を展開していくことが必要です。
 この中で、先ほど申しました事業評価によりますと、成果指標、KPIというらしいんですが、これを用いた海外市場動向に関する効果測定調査結果に基づき、個々の市場特性に応じた効果的な施策を実施するというふうに書いてあります。
 まず、この成果指標、KPIを用いた調査というのはどのような調査なのか伺います。

○杉崎観光部長 都では、各国の市場動向を把握するマーケティング調査において、業務の達成度を定量的に把握するための評価指標、いわゆるKPIと呼ばれるものを活用しております。
 本調査では、観光地として東京を認知しているか、東京への旅行に関心を持っているか、情報収集や計画をしたか、東京を訪れたことがあるかという四つの段階で指標を設定し、現状を把握、分析するとともに、団体旅行か個人旅行かなどの旅行形態や、情報収集手段等を調査いたしました。

○田中(健)委員 東京都がこういったマーケティング手法を使って市場調査をしているというのは初めて知りましたので、このことは評価をしたいと思います。
 市場特性に応じた調査というのがこれでわかるということでありますので、しっかりと行って、国や地域の実態に沿った効果的な誘致活動を実施することは重要なことだと思っております。
 そこで、今回のこのKPI調査の結果、都はどのようなことが把握できたのか、また、その結果を踏まえて今後どのような取り組みを実施するのか伺います。

○杉崎観光部長 本調査によりますと、例えば訪日旅行者数が特に多い台湾、韓国、中国では、東京への旅行に対する関心は高いが、情報が不足しているため、実際の訪都旅行には至っていない状況が見られました。
 そのため、来年度は、旅行事業者等を通じて、人気の食やショッピングなど東京の魅力を紹介するパンフレットを配布するとともに、個人旅行が主流の韓国では、旅行博への出展やメディアを通じて、旅行者に対する働きかけを強化してまいります。

○田中(健)委員 民間の調査によりますと、二〇一五年、中国人が一番行きたい国は日本という、こういった結果があります。また、ほかの調査でも、アジア太平洋地域全体でも一番の人気の旅行先がどこかというのでは、日本、そして都市は東京というのが選ばれています。
 大変に期待はあるわけでありますが、一方で、日本の訪問者数は、冒頭に述べて、かなりふえたとはいえ、世界の中ではまだ二十七位にとどまっております。ちなみに一位はフランスで八千五百万人、またアメリカは七千万人、中国は五千六百万人。こういった数字を見れば、まだまだ日本また東京の伸びしろは大きいことも事実でありますので、今後も引き続き市場の動向を見きわめながら、こういったKPIという調査等を使って、実効性の高いプロモーションを実施していただきたいと思っております。
 次に、来年度の新規事業であります分煙化モデル事業について伺いたいと思います。
 昨年、世界最大級の旅行口コミサイトを、皆さんも見たことがあるかもしれませんが、トリップアドバイザーというのがあるんですが、旅行者による世界の都市調査で、東京が総合的な満足度、旅行者による満足度でも首位に輝きました。
 まち中の清潔さやタクシーサービス、公共交通、現地の親切さが一位になりましたが、一方で、外国人旅行者が日本国内を旅する際に不満に感じることの一つとして、たばこに関する問題があるというのも聞いております。二〇二〇年大会の開催を控えてより多くの外国人旅行者を迎え入れるためには、旅行者が快適に過ごせる環境づくりが急務となっております。
 来年度予算では、その中で、外国人旅行者の受け入れに向けた分煙化事業のための予算が計上をされています。本事業の目的についてまず伺います。

○杉崎観光部長 旅の拠点である宿泊施設や多くの旅行者が利用する飲食店における分煙化は、旅行者の快適な滞在環境を確保する上で重要であることから、都は、宿泊施設や飲食店が行う分煙化を後押しするためのモデル事業に取り組んでまいります。

○田中(健)委員 日経リサーチという調査会社の二〇一三年の調査によりますと、分煙の取り組みについて、今回対象となる例えば宿泊施設においては、シティーホテルやビジネスホテルというのは八割方分煙の整備が進んでおるんですが、リゾートホテルでは五〇%、旅館においては三〇%しかまだ分煙化の整備が進んでないという低い値が、結果が示されています。
 また一方、飲食店においても、業種ごとで差はあるんでありますが、約五割しかまだ分煙が進んでいないという現状があります。
 宿泊施設や飲食店における取り組みを後押しするためには、私も都として何らかの対応は不可欠であると考えております。
 そこで、本事業における都の具体的な今回の取り組みについてを伺います。

○杉崎観光部長 本事業は、施設における多言語対応など、外国人旅行者の受け入れに取り組む意欲のある宿泊施設や飲食店に対して、分煙のための施設改修や設備導入に要する経費を対象として、一施設当たり三百万円を上限に補助することにより、分煙化に向けた取り組みを支援するものでございます。

○田中(健)委員 欧米、先進国にとどまらずアジアの地域でも今こういった対策が進んでいる中、屋内の受動喫煙防止に向けた動きというのは、日本はおくれているといわれております。今回はモデル事業ということでありますので、三百万円を上限に補助を行うということをお聞きしました。
 この取り組みの中で、分煙化の取り組みの課題や、もしくは次への対策というのが見えてくるんだろうかなと、具体的に出てくるかなと思っております。
 例えばやはり規模によっても違いますし、また業種によっても違いますし、いろんな課題があると思いますので、ぜひこの一年取り組む中で結果を取りまとめていただきまして、この委員会にもお示しをしていただきたいと思っております。
 今回は、海外からの旅行者を東京に呼び込むとともに、快適な滞在環境を提供していくためには何が必要かと。また、具体的な取り組みは何かということについて伺いました。
 観光というと、今、国を挙げて取り組んでいることもあり、さまざまな予算が組まれていると思いますが、目標とターゲットを絞って、効率的で実効性の高い施策を進める必要があります。
 その意味では、今回のように事業評価の検証を徹底して、不断の見直しを行い、事業の質を高めていくことを最後に要望して、質問を終わりたいと思います。
 以上です。

○堀委員 さきの予算特別委員会で私は、知的財産やデザインを活用した新しい製品開発支援についてお伺いをいたしました。東京のものづくり中小企業の競争力を高めていく上では、こうした東京の強みを生かした支援が非常に重要です。イノベーションを創出するための技術開発、成長が見込まれる分野への参入をしっかり後押ししていく必要があります。
 また、これに加えまして、販路開拓や資金繰りなど、多面的な経営面の支援、そして中小企業を支える人材の確保や育成といった取り組みをバランスよく支援していくことが重要だと思います。
 本日はこうした視点から、これまでの本会議等の議論を踏まえながら、中小企業に対する支援を中心に、幅広く伺ってまいります。
 まず、次の世代を担う中小企業の製品開発について、都は来年度から、すぐれた技術力を持つものづくり中小企業が、東京にある大学や研究機関等のシーズを活用して新しい製品の開発を行う場合に経費の一部を助成するということですが、これまでの質疑を通じても、事業そのものの全体像が、具体的に明らかになっていないと思います。ぜひこの委員会において明らかにしたいと考えます。
 どのような事業があって、どれほどの支援措置が施されているのか、具体的な内容についてお伺いをいたします。

○十河商工部長 都は来年度より、中小企業振興公社に八億円の基金を創設し、次世代を担う技術や製品の開発を、試作から実用化まで一貫して支援する次世代イノベーション創出プロジェクト二〇二〇を開始いたします。
 この事業では、高い技術力を持つ中小企業が、健康、医療、環境などの成長産業分野で、大学や研究機関等と連携して技術や製品の開発を行うプロジェクトに対し、開発等に要する経費の三分の二について八千万円を限度に助成し、四年間にわたり継続的に支援してまいります。
 各プロジェクトには、最新の技術分野や市場動向に詳しいコーディネーターを配置し、開発の進捗に合わせたきめ細かい支援を実施いたします。
 こうした取り組みによりまして、成長産業分野における革新的な技術や製品を数多く生み出し、その成果を展示会などさまざまな機会を通じて内外にアピールしてまいります。

○堀委員 今答弁がございました次世代イノベーション創出プロジェクト二〇二〇を開始するということでございまして、成長産業といわれる分野での次世代を牽引する先進的な技術開発を促進するため、これまでにない手厚い支援の措置が講じられていることが今の答弁で理解ができました。
 すばらしい製品を生み出して、二〇二〇年大会に向けて、東京のものづくりをぜひ世界にもアピールしていただきたいと思います。
 成長産業分野の技術開発としては、高齢化の進展などにより、医療分野における技術開発の重要性がますます高まっているのではないでしょうか。
 私も、昨年の第二回定例会におきまして、介護ロボットについての質問をさせていただきまして、前に進めることができました。
 今後も成長が見込まれる魅力ある市場である一方、法律で定められた厳しい基準等があり、参入するのは容易ではありません。しかし、私は、こうしたより困難な産業分野にチャレンジする中小企業を都がしっかりと支えるべきだと思います。
 さきの本会議で、都からは、医療機器産業への参入を目指す都内のものづくり中小企業を支援する取り組みを開始するとの答弁がございました。中小企業の新たな成長産業分野への参入につながり、さらには技術を高めるきっかけにもなるこの事業を積極的に展開していくべきと考えますが、具体的な取り組みについてお伺いをいたします。

○十河商工部長 今後成長が見込まれる医療機器産業分野で事業展開を目指す中小企業を支援するため、都は来年度から医療機器産業への参入支援事業を実施いたします。
 本事業では、民間事業者と中小企業振興公社が連携し、医療機器業界とものづくり中小企業を結びつけるプラットホームを構築いたします。
 具体的には、まず民間事業者を活用し、専門のコーディネーターが病院、大学等の研究機関や医療機器販売事業者からの相談に対応するとともに、これらを直接訪問して、医療機器に関するニーズを掘り起こしてまいります。
 また、中小企業振興公社においては、医療機器産業の最新動向に関するセミナーや公社支援企業のネットワークなどを活用し、医療機器開発に生かせるすぐれた技術を持つものづくり中小企業を集めてまいります。
 このようにして、両者が収集した情報をもとに、医療機器関連のニーズと中小企業の技術を効率的、効果的にマッチングして、新たな製品開発につなげ、医療機器産業への中小企業の参入を促進してまいります。

○堀委員 医療機器産業への参入支援事業を実施するという答弁でございました。
 医療機器は商品数が三十万点以上もあって、精密加工や表面処理技術等の基盤技術が必要とされる分野であり、高度なものづくり技術を有する中小企業にぜひとも積極的に参入していただきたいと思います。
 都は、すぐれたものづくりの力を持つ中小企業の成長産業分野への旗振り役となり、しっかりと後押しするようにお願いをいたします。
 次に、都内中小企業に対する資金繰り支援についてお伺いをいたします。
 先ほど田中理事からは、創業や事業承継などの個別課題への支援についての質問がございましたけれども、私は資金調達の多様化という視点から質問をさせていただきます。
 中小企業の経営環境は依然として厳しく、日常の資金繰りに対する支援は引き続き重要な課題でございます。
 経営者の方からは、得意分野の契約案件があっても、アルバイトの雇用や材料仕入れのための費用を捻出できず、受注を断念することも多いという話を耳にいたします。もったいない話ですが、仮に借り入れでこうした費用を工面した場合でも、まだ契約代金が入らないことから毎月の返済に苦労することになります。
 オリンピック・パラリンピックの開催を控え、中小企業の受注拡大を後押しするためには、キャッシュ・フローに注目した対応が必要と考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○松永金融部長 金融機関の融資は、一般的には融資実行後、毎月均等額を返済することとなるため、当面の返済に充てる手元資金が十分でない場合、資金繰りは厳しくなります。
 そのため、都は、来年度の制度融資において、受注案件があり、将来その代金を受け取ることが確定している中小企業に対しまして、金融機関があらかじめ入金予定に応じて返済条件を設定できる、一億円までの運転資金を融資する特例を新たに設けます。
 例えば、融資の実行から履行代金の入金までの間、元金返済を据え置き、入金時に一括返済することや、手付金、中間金、履行代金などの入金スケジュールに合わせて返済月を設定することなどが可能となります。
 このように、制度融資に新たな特例を設けることによりまして、中小企業が安心して受注拡大に取り組めるよう支援してまいります。

○堀委員 制度融資の新たな特例ということで、前向きに取り組む中小企業には朗報だと思います。
 中小企業はすぐれた技術やノウハウを持っていても、資金面で大きなハンディを背負っております。借り入れ後の返済負担に配慮したこの制度を多くの方に利用していただけるよう、十分周知していただくことを要望いたします。
 資金調達の多様化の観点からは、都が地域の金融機関と連携して実施している新保証つき融資も重要です。この融資は、制度融資を補完する都独自の取り組みとして平成二十一年度に創設され、制度融資だけでは十分に必要な資金を確保できない中小企業の資金繰りを支援してきました。セーフティーネットとして大変有意義ですが、この融資を知らない事業者もいると思います。
 より多くの事業者にこの融資を知ってもらい利用につなげていくことが重要だと考えますが、都のこれまでの取り組み状況と今後の対応についてお伺いをいたします。

○松永金融部長 都はこれまで、事業者の利用促進に向けて、月々の返済負担の軽減を図る借りかえ制度などを導入するとともに、多くの中小企業の利用機会を確保するため、取扱金融機関の拡大にも努めてまいりました。
 制度創設年度に十三行でありました取扱金融機関の数は二十五行にまで増加しております。その結果、制度創設から昨年十二月までの保証承諾実績は、六千百五十三件、約四百八十二億円となっております。
 今後も引き続き、取扱金融機関の拡大に努めるとともに、利用者のほとんどが従業員二十人以下の事業者であることから、特に小規模事業者の利用を促進するため、商工団体を通して本制度の周知を図るなどの取り組みを進め、中小企業の資金繰りを着実に支援してまいります。

○堀委員 中小企業を取り巻く経営環境はいまだ厳しい状況にあるため、都は来年度も引き続き、この融資の利用促進にしっかりと取り組んでいただくことを要望いたします。
 次に、今年度から導入された東京都の動産・債権担保融資、ABL制度についてお伺いをいたします。
 資金調達の多様化という点では、不動産担保だけではなく、動産や債権を担保に借り入れができるこのABL制度は、全く新しい手法といえます。昨年二月から適用開始となった経営者保証に関するガイドラインでも、個人保証を代替する融資手法とされており、今後大いに活用を図っていくべきであります。こうした融資手法は、金融機関にとって担保の査定が難しいなどの課題がありますが、都のABL制度はさまざまな工夫が講じられており、融資事例も着実に出ているようであります。
 都のABL制度ならではの特色を丁寧に説明して、取扱金融機関をさらにふやしていくことが、本制度のより一層の活用につながると考えますけれども、都の見解をお伺いいたします。

○松永金融部長 都のABL制度では、企業の取引動向や商品、機械の市場動向の分析などに精通した専門機関が、売掛債権、在庫、機械、設備など幅広い担保について、専門的知見に基づく評価を提供することで、取扱金融機関が資産価値に応じた融資を適切に実行できる仕組みとしております。
 また、融資実行中の担保保全につきましても、取扱金融機関が専門機関の支援を受けながら、経営状況や資産の保管状況などを確認することができます。
 こうした手厚いサポートに加え、担保評価等に係る費用や返済が滞った場合の損失に対する補助などの負担軽減を図っておりまして、本制度の開始により、それまで扱っていなかった担保分野に参入する金融機関も出てきております。
 今後とも、このような本制度のメリットを詳細に説明することで、金融機関のさらなる新規参入を促してまいります。

○堀委員 制度融資を中心に、新保証つき融資、ABL制度という多様な選択肢を提供することは、都内中小企業の発展を支える上で大変重要であります。今後とも、都内中小企業の資金繰り支援に万全を期していただくよう要望して、次の質問に移ります。
 次に、中小企業にとって、良質な人材を確保し、育てていくことは、会社の将来を左右する重要な課題でございます。競争に勝ち抜き、成長し続けるために、まずは優秀な人材を確保しなければなりません。
 都内の本年一月の有効求人倍率が一・六七倍と高い水準が続く中、三月一日には来年春の卒業予定者の就職活動が解禁され、大企業を中心として、企業の激しい人材獲得競争が始まっております。
 これに対して、中小企業は、大企業に比べて、知名度の低さや企業の魅力発信が十分でないことに加え、採用に係る資金や時間をかける余裕がない、専任の採用担当者がいないなど、みずから人材確保に取り組むことが困難な企業も少なくありません。
 こうした状況を踏まえると、中小企業の人材確保に対する支援を強化していく必要があると考えますけれども、都の来年度の取り組みについてお伺いをいたします。

○久我事業推進担当部長 中小企業の人材確保に向けては、企業の課題やニーズに即した多面的な支援が必要でございます。
 都はこれまで、中小企業振興公社における人材確保のための個別相談やセミナー等の実施に加え、ウエブサイトや広報冊子を用いて、中小企業の魅力を発信してきました。
 来年度、これらのウエブサイトと広報冊子をリニューアルし、新たに女性も視野に入れてPRするとともに、対象企業は、製造業のほか、ITや建設業の企業も加えてまいります。
 また、社員採用のノウハウが乏しい企業に対する採用実務や人材活用等のコンサルティングの実施とともに、企業の求人ニーズに合った求職者との面接の機会をハローワークと連携して設ける事業を開始いたします。
 これらの取り組みによりまして、中小企業の持続的な成長を人材面から後押ししてまいります。

○堀委員 中小企業が大企業に伍して人材獲得を進めていくには、大変な困難がございます。ぜひ、都が積極的に支援をしていただきたいと思います。
 また、経済のグローバル化が進展する中、海外に展開を図る中小企業などでは、進出先の国の事情や言語に明るく、専門的な知識を持つ外国人を採用しようとする動きもあるようです。こうした企業が、日本で学び、卒業後も日本にとどまって働くことを希望している留学生を採用することができれば、大変な戦力になることが期待できますが、実際にはこうした情報は乏しく、企業側に採用のノウハウも少ないことから、余り取り組みが進んでいない現状がございます。
 留学生と中小企業を結びつけ、中小企業の人材確保や国際競争力の強化につなげていくべきと思いますが、都の来年度の取り組みについてお伺いをいたします。

○矢田部雇用就業部長 都は、来年度、新たに留学生の採用等に関する情報を提供するため、中小企業向けに留学生採用や受け入れ体制などに関するセミナーや相談会を実施いたします。また、人材活用に関する専門家を派遣して、個々の企業のニーズや課題に応じたアドバイスを行います。
 一方、留学生に対しては、セミナーなどを通じて、都内の中小企業や日本での就職活動に関する情報を提供するとともに、OBやOGとの交流会を開催いたします。
 さらに、双方の理解を促進させるため、中小企業と留学生の交流会や企業見学ツアーを開催します。
 こうした取り組みにより、留学生の就業機会と中小企業の人材確保を支援してまいります。

○堀委員 中小企業の人材確保のための、新たな視点からの取り組みだと思います。外国人の日本での就労にはさまざまな制約がありますけれども、こうした点も含めまして、きめの細かな支援をお願いしたいと思います。
 次に、中小企業における女性の活躍促進のための雇用環境整備についてお伺いいたします。
 我が党は、昨年の第三回定例会で、女性の活躍を進めるために、各局に対してさまざまな取り組みを提案し、産業労働局では、中小企業のモデルとなる取り組みの拡大や、ハード面も含めた積極的な職場環境の改善への支援の充実に向けて検討をいただいてまいりました。
 長期ビジョンにおいても、女性の有業率を二〇二二年までに七五%に上昇させるという政策目標が掲げられたところであり、女性が能力を十分に発揮し、生き生きと働き続けられる職場環境づくりが重要な課題となっております。
 都は、中小企業の現場における取り組みが進むよう、ノウハウの提供や施設整備など、ソフト、ハード両面から積極的な支援を行うべきと考えますが、来年度、どのように取り組んでいくのか、お伺いをさせていただきます。

○矢田部雇用就業部長 女性の活躍を促進する上では、中小企業は雇用の大きな受け皿となる一方で、ノウハウの不足や施設面での制約などから、職場環境の整備が進んでいないケースも多くあります。
 そこで、都は、企業現場における女性の活躍を促進するため、中小企業二百社の人事担当の管理職や経営層を対象に、女性の職域拡大や管理職登用など、女性社員の能力発揮を進めるための実践的な研修を、ことし五月に開始します。
 この研修を修了し、社内で中心的な役割を担っていく管理職等を推進責任者として届け出た企業には、三十万円の奨励金を支給することにより、取り組みを後押しします。
 また、トイレや更衣室、仮眠室の整備について、二年間にわたり毎年百万円を上限として必要な費用の半額を補助するなど、女性の活躍を施設面からも支援します。
 こうしたきめ細かな支援を行うことにより、中小企業における女性の活躍を促進してまいります。

○堀委員 女性が中小企業の中で活躍する範囲が広がっていけば、産業全体の活性化につながると大いに期待をいたしております。ハード整備などはさまざまなところにニーズがあるでしょうから、業界団体を通じて、この支援策を大いにPRしていただくようお願いいたします。
 都内の中小企業は、厳しい経営環境のもとでも、本当に懸命に頑張って新しい技術や商品を生み出し、社会に貢献しております。ただいま伺った、技術、経営、資金繰り、人材確保など、産業労働局の総力を結集して、幅広い支援をしっかりと展開していただき、東京の産業を元気にしていただくよう要望して、質問を終わります。

○加藤委員 それでは、最後でありますので、よろしくお願いいたします。
 私からは、最初に、中小企業対策の一つであります産業集積の強化について伺います。
 東京の活力を高めるためには、産業の足腰の強化が欠かせません。都内には、さまざまな業種、業態の企業が事業を営み、それぞれ特色ある産業の集積が形成されています。東京の産業を将来にわたって発展させていくには、これらをしっかりと守り、育てていくことが重要です。
 私の地元である墨田区では、都のものづくり産業集積強化支援事業、これを活用して、地域の産業振興に取り組んでおり、ものづくり企業とデザイナーとのコラボレーションによる商品開発などの動きがあります。
 これは非常に便利な事業で、これを墨田区は使いまして、二十五年度は二カ所、二十六年度は二カ所と、四カ所、新ものづくり創出拠点というものを整備いたしておりまして、代表的な墨田の産業であります革、そして印刷、また機械加工とか金属加工とか、こうしたことを、異業種と連携して新しい価値を生み出す、こうした動きがあります。二十七年度もまた新しい取り組みをしたいと、このようにいっておりました。
 このように、都と区市町村との連携による地域の実情に応じた対策は、大変有用なものであるといえます。都は、来年度から、新たな産業集積支援の事業を実施するとのことですが、その仕組みについて伺います。

○十河商工部長 都は、来年度から、区市町村の計画的な産業集積の取り組みを支援する産業集積活性化支援事業を新たに実施いたします。
 本事業では、中小企業や大学、金融機関等の地域ネットワークにより、新たな製品やサービスを生み出し、ものづくりを初め、幅広い分野で特色ある産業の集積を図ろうとする区市町村の取り組みに対しまして、補助率二分の一、年一億円を上限として、最長三年間にわたり助成をいたします。
 なお、小規模企業支援を目的とする取り組みにつきましては、三千万円を上限に、補助率を三分の二とし、小規模企業の経営基盤強化に向けた区市町村の取り組みを促進してまいります。

○加藤委員 これからは、ものづくり産業だけではなく、幅広い分野での産業の集積を支援していくとのことで、より多くの区市町村が都の支援を受けられることになります。また、今お話のありました小規模企業対策について、特に手厚く支援するということで、一層の産業集積が都内各地で進み、地域が活性化していくことと思います。この取り組みが都内各地に広がることを期待いたします。
 そして、産業集積の強化をさらに図っていくには、より広い視点に立った取り組みが必要です。
 例えば、墨田を含む城東五区では、この地域で培われた熟練技術や高度な技能を有する企業と行政、中小企業支援機関、教育機関などが連携し、産業の活性化を目指すTASKプロジェクトを推進しています。TASKというのは、台東、荒川、足立、墨田、葛飾の頭文字をとってTASKなんですけれども、これを推進しております。
 また、区部城南地域と横浜市、川崎市の臨海部は、大学病院を初めとした医療施設や関連事業所、研究所などが多く立地しており、高度な技術を持つ中小企業との連携による新たな製品の開発などを目指し、自治体間の連携が進んでいます。
 都は、新たな集積支援事業において、こうした取り組みについても一層促していくべきと考えますが、見解を伺います。

○十河商工部長 都内各地域には、それぞれ特色ある産業が集積しており、それらが互いに連携し、補完し合うことで相乗効果を高めていくことが重要でございます。
 このため、来年度から実施する産業集積活性化支援事業においては、都内の複数の区市町村が連携し、広域的なビジネスマッチングや異業種間による共同研究などを実施する取り組みに対し、補助率二分の一、二千万円を上限として助成をいたします。
 区市町村の広域的な取り組みを積極的に支援することにより、産業集積の一層の活性化を図ってまいります。

○加藤委員 今後、新たな支援策を通じ、一層の産業集積を図り、地域の経済を元気にするため、区市町村の取り組みをしっかりと支えていくよう要望し、次の質問に移ります。
 観光振興について伺います。
 都は、昨年十二月、外国人旅行者の受入環境整備方針を策定しました。この中で、受け入れ環境整備のための五つの視点、これに情報通信技術の活用というのがあるんですけれども、この中身を見ますと、我が党がこれまで議会で提案してきたことが全て取り入れられまして、本当に産業労働局の取り組みに敬意を表するものであります。
 今後の方向性が、観光客や、また、都民にとってもよりよいものになるよう議論をしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 きょうは、その受け入れ方針の中で、宿泊施設や飲食店などの民間事業者や観光ボランティアの育成など、都民とも連携し、旅行者を温かく迎え入れる取り組みを進めていくこととしておりまして、その取り組みの一つに、宿泊施設のバリアフリー化があります。二〇二〇年大会に向けて、東京には多くの旅行者が訪れると期待されており、障害者や高齢者に対する配慮は欠かせません。
 東京を訪れる障害者等に、安全かつ快適な旅を楽しんでいただくため、旅の拠点となる宿泊施設のバリアフリー化を加速すべきと考えますが、今後の取り組みについて伺います。

○杉崎観光部長 都はこれまで、障害者や高齢者が安心して旅行を楽しめるよう、延べ二百八件の宿泊施設に対し、バリアフリー化に要する工事費を助成するとともに、関係団体と連携してセミナーや相談会を開催するなど、宿泊施設のバリアフリー化を支援してまいりました。
 来年度は、予算規模を大幅に拡充することにより、宿泊施設のバリアフリー化を一層促進いたします。また、宿泊事業者のニーズに応じて、年度をまたいだ助成も可能とし、弾力的な運用を行ってまいります。
 二〇二〇年大会に向けて、東京を訪れる障害者や高齢者が安心して滞在することができる環境の整備に集中的に取り組んでまいります。

○加藤委員 予算規模を大幅に拡充し、年度をまたいだ助成も可能になれば、宿泊事業者のニーズにより多く応えることができるようになります。都内の宿泊施設におけるバリアフリー化が一層進むよう、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 次に、旅行者の快適な滞在環境を整備していくためには、ハードのバリアフリー化に加え、ソフトのバリアフリー化も重要で、飲食店における多言語対応を進めることも重要です。
 都は、先日、飲食店の多言語メニュー作成を支援するためのウエブサイト、EAT東京を開設いたしました。私も実際にこのウエブサイトを使ってみましたが、実に簡単に多言語メニューを作成することができました。
 EAT東京によって多言語のメニューを置く飲食店がふえることで、これまで外国人旅行者から寄せられていた、日本語で書かれたメニューの内容がわからない、使用されている食材がわからないといった不満の声の解消につながるものと大いに期待をしています。
 そして、今後、より多くの外国人旅行者に、東京の多様な食の魅力を堪能してもらうためには、飲食店における多言語メニューの作成に加え、旅行者に対して、こうした飲食店の情報をわかりやすく伝えていくことが大切です。どの店に多言語メニューがあるかわかれば、旅行者は安心です。
 そこで、EAT東京を利用して多言語メニュー作成に取り組む飲食店の情報を、旅行者にわかりやすく提供していくための具体的な取り組みについて伺います。

○杉崎観光部長 EAT東京では、飲食店が多言語メニューを作成できるだけではなく、外国人旅行者が、これを作成した飲食店を検索できるサービスを提供しております。
 本年一月の開設以降、現在まで、多言語メニューを作成した約百二十店舗が本ウエブサイト上に情報を掲載しております。旅行者は、料理のジャンルや店舗が立地するエリアから飲食店を検索し、実際に作成されたメニューや定休日、利用できるクレジットカードなどの情報を確認することが可能となっております。
 今後とも、多言語メニューを作成した飲食店の情報を宿泊施設等で提供するなど、旅行者の一層の利便性向上を図ってまいります。

○加藤委員 スマホ等で検索できるのも便利なんですけれども、例えば宿泊先、滞在先で近くの飲食店情報を掲載したマップとか、紙のマップ、よくホテルに泊まるとフロントに置いてありますけれども、そういうのもあわせてあれば便利かなと思いますので、ご検討をよろしくお願い申し上げます。
 都として、多言語メニューを作成した飲食店の情報を発信していくことは、それぞれの事業者が取り組みを進めるためのインセンティブにもなります。積極的に取り組み、旅行者の利便性を高めるとともに、多言語メニューを提供する飲食店の一層の拡大につなげていただきたいと思います。
 次に、外国人旅行者に、食の魅力に加えて、東京のまち歩きを楽しんでもらうためには、旅行者をきめ細かく支える観光ボランティアが果たす役割は重要です。
 今後、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック大会を見据え、こうした旅行者を支えるボランティアの裾野を広げていくためには、次代を担う若い世代の育成を進めることが欠かせません。
 都は、今年度から新たに、中学生、高校生を対象に、外国人旅行者を英語で案内するおもてなし親善大使の育成事業に取り組んでいますが、本事業のこれまでの取り組み状況と、来年度の具体的な取り組みについて伺います。

○杉崎観光部長 都は今年度、都内の中学生、高校生が、東京の観光に関する知識やボランティア活動に必要な接遇について学ぶ、おもてなし親善大使育成塾事業を開始いたしました。百人の募集定員を大きく上回る応募があり、抽せんで受講者を決定し、最終的には百九人を親善大使に任命しております。
 来年度は、募集定員を二百人に拡大して実施いたします。
 また、今年度任命した親善大使につきましては、ボランティア活動に必要な知識を拡充するためのグループワーク型の研修や、観光ボランティアとともに実際に外国人旅行者に対する観光案内を行う実践的な活動の実施を予定しております。

○加藤委員 おもてなし親善大使育成塾に多くの中学生、高校生が参加していることは、大変心強い限りです。ぜひとも、二〇二〇年に向けた東京の観光ボランティアの裾野拡大につなげていただきたいと思います。
 やはり何事も実践が大事だというふうに思います。育成塾で実践を交えて、おもてなし親善大使を育てていく取り組みは、本当にとてもすばらしいことだと思います。中高生は感受性も強く、吸収力も高いということもありまして、オリンピック・パラリンピックに向けて、最高のおもてなしをしようと、各自がまた人一倍努力していくと思います。
 また、ロンドン大会後のロンドン・アンバサダー、この取り組みの紙に出ていましたけれども、ロンドン市ではロンドン・オリンピックのときに、駅及び主要な観光名所等で観光客への案内を行ったロンドン・アンバサダー、ボランティアガイドが、現在も、毎年クリスマス及び夏季に活動していると。そうしたことを考えますと、大会後のレガシーとして、この観光ボランティアの核になっていく、そうしたことを期待したいというふうに思います。
 次に、東京のブランディング戦略について伺います。
 本戦略は、二〇二〇年大会の開催と、さらにその先を見据え、世界の旅行者から選ばれる旅行地としての東京ブランドの確立に向けた戦略とのことですが、先ほどもやりとりがありましたけれども、このブランディングを進めていく上では、イメージを発信する側である都民や民間事業者の理解と協力を得ていくことが重要であります。
 都は先月、素案を発表し、意見募集を行ったということですが、これは東京のブランディング戦略に対する都民の皆様の意識や興味を把握する貴重な機会であります。
 そこで、どのような意見が寄せられたのか伺います。

○杉崎観光部長 東京のブランディング戦略素案につきまして、二月六日から二十三日までの十八日間で、都民、民間事業者、業界団体などから、延べ六十件を超えるご意見をいただきました。全体としては、東京ブランドを確立することの必要性に賛同するものが多く寄せられております。
 その内容ですが、都民が東京に対する誇りと愛着を持って外国人旅行者を受け入れる機運の醸成は非常に重要ということや、また、日本の中における東京の役割をより明確にして取り組むべきなどがございました。
 また、ブランドコンセプトに関しましては、四季や自然、ファッション、ポップカルチャーなど、東京の魅力の多様性と、それに対する関心の高さを改めてうかがえるさまざまな視点からのご意見がございました。
 いただいたご意見につきましては、今後策定する戦略、ロゴ、キャッチコピーの制作や、国内外への発信など、具体的な取り組みへの反映を検討してまいります。

○加藤委員 今回の意見募集は、戦略策定のための重要な手続であり、東京ブランドを都民と共有する第一歩となります。都民の意見やアイデアを真摯に受けとめるよう要望して、私の質問を終わります。

○近藤委員長 加藤副委員長の発言は終わりました。
 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○近藤委員長 異議なしと認め、予算案、付託議案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で産業労働局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時四十三分散会

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