副委員長 | 栗林のり子君 |
副委員長 | 田中たけし君 |
理事 | 高橋 信博君 |
理事 | 中村ひろし君 |
理事 | かち佳代子君 |
かんの弘一君 | |
小松 大祐君 | |
柴崎 幹男君 | |
中山ひろゆき君 | |
尾崎あや子君 | |
谷村 孝彦君 | |
木内 良明君 | |
高島なおき君 |
欠席委員 一名
出席説明員中央卸売市場 | 市場長 | 塚本 直之君 |
管理部長 | 坂巻政一郎君 | |
市場政策担当部長 | 日浦 憲造君 | |
財政調整担当部長 | 飯田 一哉君 | |
事業部長 | 野口 一紀君 | |
移転支援担当部長 | 高木 良明君 | |
新市場整備部長 | 志村 昌孝君 | |
新市場事業計画担当部長 | 加藤 仁君 | |
基盤整備担当部長 | 加藤 直宣君 | |
施設整備担当部長 | 中山 衛君 | |
港湾局 | 局長 | 多羅尾光睦君 |
技監 | 前田 宏君 | |
総務部長 | 岡崎 義隆君 | |
企画担当部長 | 古谷ひろみ君 | |
港湾経営部長 | 笹川 文夫君 | |
港湾経営改革担当部長 | 藏居 淳君 | |
臨海開発部長 | 石原 清志君 | |
開発調整担当部長 | 小野 恭一君 | |
営業担当部長 | 山口 祐一君 | |
港湾整備部長 | 石山 明久君 | |
計画調整担当部長 | 宮地 豊君 | |
離島港湾部長 | 大和田 元君 | |
島しょ・小笠原空港整備担当部長 | 小幡 和輝君 |
本日の会議に付した事件
中央卸売市場関係
報告事項(説明・質疑)
・環状二号線アンダーパス接続部整備工事について
事務事業について(質疑)
港湾局関係
事務事業について(質疑)
○田中副委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
議事に入る前に、委員の皆様に申し上げます。
三宅委員長から、所用のため本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。委員会条例第十条に基づき、不肖私が委員長の職務を代行させていただきますので、何とぞご協力のほどよろしくお願いいたします。
初めに、今後の委員会日程について申し上げます。
理事会において、お手元配布の日程のとおり申し合わせましたので、ご了承願います。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、中央卸売市場及び港湾局関係の事務事業に対する質疑並びに中央卸売市場関係の報告事項の聴取を行います。
これより中央卸売市場関係に入ります。
初めに、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。
○坂巻管理部長 工事請負契約についてご報告申し上げます。
お手元の資料1の一ページをごらんいただきたいと存じます。環状二号線アンダーパス接続部整備工事でございます。
本件は、江東区豊洲六丁目地内におきまして、豊洲新市場の各街区を連絡する外周道路のうち、環状二号線とアンダーパス形式で交差する部分の道路構造物を築造するものでございます。
契約の相手方は鹿島・新日本建設共同企業体、契約金額は十三億一千九百八十五万円、契約日は平成二十五年九月三十日、工期は契約確定の日から平成二十七年三月十三日まででございます。
契約の方法、入札者数、工事概要は記載のとおりでございます。
二ページに案内図及び配置図をお示ししてございますので、ご参照いただきたいと存じます。
以上、簡単ではございますが、工事請負契約についての説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○田中副委員長 報告は終わりました。
本件に対する質疑につきましては、後ほど事務事業に対する質疑と一括して行いますので、ご了承願います。
○田中副委員長 次に、事務事業に対する質疑を行います。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○坂巻管理部長 去る九月十二日の当委員会で要求のありました資料につきまして、お手元に配布してございます経済・港湾委員会要求資料に基づきましてご説明申し上げます。
一ページをお開き願います。1、中央卸売市場における市場別業者数の推移(十年間)についてでございます。
過去十年間の水産物部、青果部、食肉部及び花き部の市場別の業者数の推移を記載してございます。
一ページに卸売業者、二ページに仲卸業者、三ページに売買参加者について記載してございます。
四ページをお開き願います。2、中央卸売市場における取引方法別割合及び取扱金額の推移についてでございます。
四ページに取引方法別割合の推移、五ページに取扱金額の推移について記載してございます。
六ページをお開き願います。3、卸売業者・仲卸業者の数及び経営状況についてでございます。
卸売業者及び仲卸業者につきまして、それぞれ業者数とそのうちの赤字業者数を部類ごとに記載してございます。なお、仲卸業者欄の括弧書きは、調査業者数に対する赤字業者数の割合でございます。
七ページをお開き願います。4、豊洲新市場整備に係る当初事業費及び執行済額についてでございます。
これは、豊洲新市場整備に係る当初事業費と平成二十四年度末時点の執行額について、土壌汚染対策費、建設費、用地取得費、その他関連工事費等に区分して記載してございます。
以上、簡単ではございますが、要求のございました資料につきましての説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○田中副委員長 説明は終わりました。
これより、ただいまの資料を含めまして、事務事業及び報告事項に対する質疑を一括して行います。
発言を願います。
○小松委員 中央卸売市場は、野菜や果物、魚、肉など、日々の食卓に欠かすことのできない生鮮食料品等を円滑かつ安定的に供給するために、多種、大量の品物を効率的かつ継続的に集荷、分荷し、公正で透明性の高い価格形成を行うなど重要な機能を果たしているものと思っています。
こうした機能を十全に果たすため、東京都の中央卸売市場としてさまざまな取り組みを行っていると思いますが、その取り組みについて幾つか質問させていただきたいと思います。
そこでまず、都民意識も高まりを見せている環境対策について、大規模事業者としての市場の取り組みについて伺いたいと思います。
東京都では平成二十二年の四月、環境確保条例の改正により、温室効果ガスを一定以上排出する大規模事業者に対して温室効果ガス排出総量削減義務を課すなど、広く民間事業者も含めた環境対策への取り組みが進められているわけでございますが、中央卸売市場においても、当然、さまざまな取り組みを行っているものと考えています。
東京都の中央卸売市場では、産地からの品物を集め、買いやすい量、大きさにして、買い出しに来る小売事業者等に販売しており、その過程で日々大量のごみが発生しているのではないかなというふうに思います。
先日も視察に行きましたけれども、非常に多くのごみ、発泡スチロールが大量に積まれているところも見ましたが、そうした観点からも、年間どのくらいの廃棄物が排出されているのか、その現状について伺いたいと思います。
○日浦市場政策担当部長 青果、水産物、花きを取り扱う十市場では、生鮮食料品の輸送に利用された発泡スチロール等の容器類、搬送中に傷んだ商品や、小分け等により発生する野菜、魚くずなど、平成二十四年度においては約三万九千トンの廃棄物が発生しております。
○小松委員 ただいま答弁で約三万九千トンということでございましたが、私の住んでいる世田谷区では、平成二十三年度で年間ごみの収集量は約十八万四千トンということでございます。こちらと比較するとしても約二割のごみが出ているという計算でございまして、東京都最大の自治体の約二割ということでございますので、大変たくさんの量のごみが出ているということだと思います。
生鮮食料品を取り扱うということから、こうした大量のごみを衛生的かつ速やかに処理を行う必要があると考えています。また、公的な施設である中央卸売市場においては、当然のことながら廃棄物の減量化に努めるべきであるというふうに考えています。
そうした観点から伺いたいのは、この廃棄物の減量のための取り組みとして、リサイクルがやはり最も効果的な手段と考えるわけですが、この廃棄物の処理方法についてはどのようなものか、また、リサイクル率の現状というのはどんなような状況か伺いたいと思います。
○日浦市場政策担当部長 市場内から発生する廃棄物につきましては、各市場で自治会等の組織が運営主体となりまして処理を行っております。このうち、発泡スチロールや木製廃棄パレット、瓶、缶類については、ほぼ全量が再生処理されております。
青果部では、野菜くずをバイオガス発電施設に搬入して、メタンガスの原料として活用しているほか、廃棄された木製パレットをチップにして、合板等の建築資材にリサイクルしております。
また、水産物部では、魚のあらなど、家畜用飼料、油脂等の原料に転用するほか、発泡スチロールはプラスチック製品の原料としてリサイクルしております。
こうした取り組みによりまして、平成二十四年度の中央卸売市場における廃棄物全量に対するリサイクル率は約三六%となっております。
今後とも、ごみの分別指導の徹底などにより、さらなるリサイクル率の向上を目指してまいります。
○小松委員 ただいまの答弁によりますと、市場における廃棄物処理というのは、都の指導や業界との連携でさまざまな取り組みをされているということがわかりました。
この削減に取り組んでいるということですけれども、環境に配慮した市場運営を実現していくため、業界と協力のもと、引き続き、適正な廃棄物処理やリサイクルの向上に積極的に取り組んでいただきたいというふうに思います。
こうした廃棄物の減量とともに環境対策として大切なのは、省エネルギー、省エネの対策であるというふうに考えます。さきの東日本大震災以降、この省エネ対策の推進、また再生可能エネルギーの導入というのは非常に多くの方々から強く求められていることでございます。第九次東京都卸売市場整備計画においても、この環境問題への対応として、省エネや地球温暖化対策について取り組むべき項目として掲げられているわけでございます。
また、地元の世田谷の方では、先駆的な取り組みとして、平成十三年度に、産業用モデルとして太陽光発電設備が既に設置されておりまして、この省エネルギー、環境負荷の低減の先駆けとなったというふうに聞いているわけでございます。
各市場において、どのような環境負荷軽減の取り組みがされているのか伺いたいと思います。
○日浦市場政策担当部長 現在、各市場では、食の安全・安心のため、高度な鮮度保持や品質管理への取り組みが求められております。これは一方で、低温設備の拡張など、電力等のエネルギー消費の増加を招き、環境に負荷を与えるという側面を有しております。
このため、中央卸売市場では、高効率照明器具等への切りかえや、照明区画を細分化し、無駄な電気を使わないといったきめ細かな節電対策を実施しております。
また、太陽光発電につきましては、ただいま先生からお話がございました世田谷市場においては、平成十三年度に産業用モデルとして三十キロワット、平成二十二年度に北足立市場で二百キロワット、平成二十五年度には食肉市場に百五十キロワットの施設を設置し、現在稼働中でございます。
○小松委員 やはり世田谷市場から先進的に再生可能エネルギーとしての太陽光発電設備が進んでいるということは、地元としても大変すばらしいことだというふうに思うわけでございます。
広い敷地面積をこの市場というものは有しているわけでございまして、太陽光発電等については有効な対策であるので、ぜひ、ほかの市場へも広げていくべきというふうに考えております。また、豊洲の移転も控えるわけでございますので、所管の所見を伺いたいというふうに思います。
○日浦市場政策担当部長 平成二十七年度竣工予定の豊洲新市場におきましては、第五街区と第七街区と合わせて二千キロワットの太陽光発電設備を導入する計画でございます。
現在、太陽光発電設備が導入されていない施設につきましては、耐震強度や屋根の構造などの課題もございますが、改築等にあわせた導入を検討してまいります。
今後とも、太陽光発電などの再生エネルギーとあわせて省エネ型機器を積極的に導入するとともに、業界に対して節電、省エネルギー意識の向上を図るなど、ソフト、ハード両面で環境負荷を低減するための対策を進めてまいります。
○小松委員 こうした非常に大規模な設備でございますので、すぐに設置するというのはなかなか難しい面もあるというふうに理解しているわけですが、各太陽光のメーカーさんも、さまざまな技術革新の取り組み等々進んでおりますので、ぜひ積極的な検討をお願いしたいというふうに思っています。
多くの冷蔵庫や冷蔵設備を稼働させて、深夜から始められるこの市場業務については、地球に優しい環境対策を両立させるということは、ある意味では相反する面もあると思うわけですけれども、引き続き、市場における環境対策については取り組んでいただきたいというふうに思っています。
次に、大田市場の取り組みについて伺いたいと思います。
先日、新聞で、この大田市場が朝にとれた魚をその日のランチに提供できる新しいサービスを始めたという記事を見ました。通常、鮮魚は水揚げされた日の朝に産地の市場で取引された後、東京の市場に運び込まれて、翌朝の取引にかけられる。で、小売店や飲食店に納品される。したがって、食卓に届くというのは、とれた次の日の昼以降になるというのが一般的なケースだというふうに思うんですが、それが今回のこの取り組みは、とれたその日のお昼に食べられるというわけでございまして、非常に市場としては画期的な事業、取り組みだというふうに考えています。
世間では、魚離れ、我が家も大分,魚を食べることというのは、実家に帰らない限りはほとんどないわけでございまして、本当に魚離れというのは、すごく我が事として認識があるんですけれども、大型の量販店の台頭であったり、専門小売店の廃業というのが続いていますし、千歳烏山も大きな商店街ですけど、魚屋さんはございません。世田谷もたくさんの商店街から魚屋さんがなくなっている、減っているという話を聞いているわけですけれども、こうして市場を取り巻く環境というのは非常に厳しいのかなというふうに思います。先ほどの資料もどんどん減っているというのがよくわかりました。
こうした厳しい状況の中で、取扱数量が減っているようですけれども、大田市場水産物部の取扱数量の現状というのはどうなっているのか伺いたいと思います。
○日浦市場政策担当部長 大田市場水産物部の年間取扱数量は長期的に減少傾向にあり、この五年間だけを見ましても、平成十九年の取扱数量二万一千九百六十八トンから、平成二十三年には八千百六十六トンと減少し、平成二十四年は九千二百七十五トンと改善が見られたものの、依然として厳しい状況でございます。
○小松委員 今の答弁を伺いますと、この五年だけでも半減しているということでございまして、厳しい状況にあるということだと思います。
新聞にあったこの朝どれ鮮魚ボックスというのは、昨年度、大田市場の水産物部の経営展望を策定されて、それに基づくパイロット事業として行っているということと聞いています。
この経営展望というのは、開設者と市場関係者が一体となって、卸売市場全体の経営戦略的な視点から、それぞれの市場の位置づけ、役割、機能強化の方向等を明確にしていくものということでありますけれども、大田市場水産物部がこれを策定したのは、かなりの危機感があったのかなというふうに推測されるわけでございます。
そこで、この大田市場水産物部が策定されました経営展望のポイントについて伺いたいと思います。
○日浦市場政策担当部長 大田市場水産物部は、みずから危機感を持ちつつ、首都圏における生鮮食料品流通の中核を担っていくことを目指して、平成二十五年三月、大田市場水産物部経営戦略を策定し、今後の市場運営の方向性と、それを実現するための行動計画を定めました。
策定に当たりましては、今後の市場運営の方向性を導くために、市場関係者のみならず、産地等へのアンケートやヒアリングを実施した上で、経営環境や重点課題の整理を行いました。それらをもとに、都と市場関係者が議論を行い、市場の目指すべき将来像を、活魚、鮮度そして立地を生かす大田市場、地域に根差し、国内、海外からのニーズにも対応できる魚市場と定めております。
この将来像を実現するために、お話の朝どれ鮮魚ボックスなどの鮮度感あふれる、魅力ある商品構成を目指すための商品強化戦略、加工に対する顧客ニーズに応えるために仲卸の加工作業を推進する機能強化戦略及び地域の小売店や飲食店と連携してPRを行う販売強化戦略の三つの行動戦略を策定いたしました。
○小松委員 この朝どれ鮮魚ボックスは商品強化戦略の一つという話だったわけですが、消費者の魚離れが進んでいる中で、朝どれというのは非常に魅力的なキャッチコピーであると思います。以前、ビールで、コクがあるのに切れがあると鮮度が売りのアサヒスーパードライも大ブレークしたように、魚の消費拡大に寄与できる事業として非常に期待できるんじゃないかなというふうに思っているところでございます。
この朝どれ鮮魚ボックスという取り組みについて、これまでの流通実験の状況と今後の展開について伺いたいと思います。
○日浦市場政策担当部長 大田市場水産物部は、取扱商品の魅力を高める取り組みの一つとして、他市場にはない鮮度感あふれる商品の開発を進めることを目的に、朝どれ鮮魚ボックスの流通実験を十月の各金曜日に行っております。
しけによる不漁等、不安定な供給リスクもございますが、これまで実施した三回につきましては、比較的安定した天候に恵まれたことや、産地市場や大田市場関係者の尽力によりまして、その日の早朝に相模湾でとれたばかりの新鮮な魚を、その日の昼までに首都圏の飲食店へ販売できました。
この朝どれ鮮魚を食べた消費者の方からは、なかなかほかでは味わえない,また、飲食店関係者の方からは、鮮度は間違いない、こうした商品を提供できるのは大変よいという声が聞かれ、好評でございました。
今後は、本事業についての課題の検証を進めるため、消費者からのアンケート調査や市場関係者へのヒアリングを行うなど、事業運営の改善を進め、商品の拡充及び販売の促進につなげることによって、さらなる市場活性化を図ってまいります。
○小松委員 ただいまの答弁にもありましたように、実際にやってみて、わかる課題というものや改善すべき点というのも見えてくると思います。大田市場の特徴ある取り組みとして、ぜひ定着していくことを期待したいと思っています。
大田市場では日本一の規模の活魚水槽を備え、生きた魚を食べる時間から逆算して、一番うまみが熟成されるタイミングで供給するという取り組みもされていると聞いています。
水産物の市場というと築地が浮かぶわけですが、大田市場水産物部も工夫を凝らして特徴的な運営を行い、いろいろな取り組みを行った結果、平成二十四年度の取扱数量は改善しているということであると思います。
東京都には、大田市場も合わせて十一の中央卸売市場があるわけです。この十一の市場をより活性化することにより、今後とも都民の多様な食生活等を支えることができると思います。
最後に、そうした観点から市場長の所見を伺いたいと思います。
○塚本中央卸売市場長 今お話がありましたとおり、都内には、水産、青果、食肉、花きを扱う市場が合わせて十一ございます。各市場は、さまざまな種類の品物を、高級品から普及品まで幅広く、しかも大量にそろえました首都圏の基幹市場としての役割を担っている市場、大田市場ですとか築地市場がこれに当たると思いますが、このような市場、あるいは地場野菜など特定の商品に強みを持ち、地元の専門小売店、飲食店などの顧客の多い地域に密着した市場など、それぞれ特色を有してやっております。
また、各市場は立地条件、施設状況についてもさまざまございまして、十一の市場では市場関係者がそれぞれ顧客ニーズに対応した特徴的な事業を営むことにより、豊富で多様な生鮮食料品等を供給してございます。
市場を取り巻く環境は厳しいものがございますが、都は、各市場の特徴、強みを最大限に生かせるよう、第九次東京都卸売市場整備計画に基づく市場の整備を着実に進めますとともに、今、ご議論いただきました市場関係者の意欲的な新たな取り組みの支援も行ってまいります。
さらに、経営安定化のための公認会計士による経営指導ですとか、人材育成のための研修への講師派遣、あるいはラジオ番組、広報誌などによる都民の卸売市場への理解を深めるための広報活動など、ハード、ソフト両面から市場の活性化に取り組んでまいりたいと、このように考えております。
○小松委員 都民の需要というのも非常に多様化しているわけでございますが、こうして東京都はさまざまな特徴を持つ市場が十一もあるわけでございますので、ぜひ引き続き、業者と十分協議をしながら、それぞれの実情に合った整備、そして運営を行っていただいて、今後とも東京の魅力ある食等を支えていただくことをお願いして、質問を終わりたいと思います。
○木内委員 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催が決まりました。過去を振り返ってみますと、一九六四年の東京オリンピックでは、首都高速などインフラ整備が進みまして、日本の戦後復興、高度成長を力強く牽引したという歴史があります。その後も東京は成熟を続け、オリンピックを開催するにふさわしい都市として再び選ばれたわけであります。
二〇二〇年のオリンピックは、甚大な被害をもたらした東日本大震災からの復興途上で決定したという側面を持っております。また、少子高齢化、人口減少化の中で迎えることになるという、前回の東京大会とは異なる背景と側面もあります。
二〇二〇年に向けて東京がなすべきことは、いろいろと各分野にわたってあるわけでありますけれども、きょうは、環境変化、時代に適応した市場の取り組み、あわせて被災地支援ということについて伺いたいと思います。
大変残念なことでありますけれども、ここ数日のマスコミ報道によりますと、全国でホテルなどを営む阪急阪神ホテルズがメニューの表示と違う食材の料理を客に出していたと。真相の究明を待たなければ軽率には判断できないし、誤解を招くような言及は避けるべきだとは思いますけれども、今まで明らかになった事実だけを俯瞰しても、まことに残念のきわみといわざるを得ません。
シバエビと称していたのは安いエビであった。あるいは津軽地鶏、九条ネギ、霧島ポークなども偽りだった。この秋まで、少なくとも七年にわたって約七万九千人が食べていた。こういわれるわけでありまして、時も時、滝川クリステルさんのおもてなしに関するスピーチもあり、私は、このインバウンドの外国人の観光客や日本への来訪者の中でも、特に日本の食ということに対する関心と興味は、これまでになく大きく、また深いものがあったわけでありまして、こういう、いわば歴史の流れのさなかに、日本を代表するといっていいのでしょうか、全国展開をする大規模のホテルチェーンでこういう事件が惹起した。重ねていいますけれども、極めて残念でなりません。
しこうして、日本政府は、和食、日本人の伝統的な食文化、こう標榜いたしまして、日本食文化をユネスコ無形文化遺産に、今、登録申請をしている、こういうさなかでもあります。日本食は、多様で新鮮な食材と素材の味わいを生かす調理が発達しているということ、栄養バランスがよく健康であること、三番目に、自然の美しさや日本特有の四季の移ろいを表現し楽しむものであること、年中行事と密接なかかわりを持って発達し、家族や地域のきずなを強めるものであること、この四つを特徴としていると思うのであります。
こうした準備をしながら、私は、江戸時代のあの歌舞伎の名優といわれた五代目團十郎、この人は狂歌の名人でもあったわけでありますけれども、庶民の喜びを歌った中に、「楽しみは春の桜に秋の月夫婦仲よく三度食う飯」というのがある。まさに庶民の懸命な、けなげな日々の生活の中での、ささやかではあるけれども偉大な喜びを歌った歌であります。
食というのは、事ほどさように人類の歴史と社会の進展の中で、実は大きな意味合いを持っているものであります。滝川さんの招致スピーチでは、日本は東京の来訪者全てをおもてなしし、生涯忘れ得ぬ思い出とすることを約束されていました。和食に限らず、食は人間にとってさまざまな効用をもたらす重要な要素であり、まさにおもてなしを具現化する最大の要素の一つであります。
この意味から、一千万人を超える東京都民の食の安全、これを懸命に日々模索し、そして歴史を刻んでいる東京中央卸売市場の存在というものは、また、これまでになく大きな意味と責任があるわけであります。
中央市場は、都民の台所として安定した豊かな食生活を実現させる重要な役割をこれまでも担ってきておりますけれども、申し上げましたように、食を取り巻く環境は刻々と変化しております。まず、申し上げておりますこの変化に対する認識をお尋ねします。
○日浦市場政策担当部長 人口の減少や総人口に占める高齢者の割合の上昇等から、食料消費量は減少傾向にあり、少子高齢化の急速な進展、世帯構造の変化、女性の社会進出等が進み、加工品や外食、調理済み食品などの需要が増加しております。
また、食の安全・安心に対する要請はますます高まるとともに、鮮度や味にこだわり、産地や生産過程等が特定されたブランド商品を求めるなど、消費者ニーズは多様化、高度化しております。
一方、流通面におきましては、生鮮食料品を扱うコンビニの増加や、事業者向けに生鮮食料品とともに厨房用品等、多数のアイテムをそろえて現金決済を行う店舗などが増加しているほか、量販店のシェアが拡大しており、市場経由率は長期的に見ると低下傾向にあります。
しかしながら、市場経由率は、水産物で約六割、青果は国産品だけについて見ますと約九割を占めておりまして、卸売市場は生鮮食料品流通において依然として重要な役割を果たしております。
○木内委員 答弁のように、市場経由率というものが長期的に見ると低下傾向にあるというのは残念ながら事実であります。しかしながら、水産物で約六割、青果は国産について見ると約九割を占めております。今後とも、この卸売市場は、生鮮食料品流通において依然として重要な役割を果たしていくことは断じて間違いのないことであります。
したがって、新しい時代に適応した、また社会環境にしっかりと順応して対応できる市場のあり方というものを、今後、さらに新しい決意のもとで確立をしていかなければならない、このようにも思うのであります。
市場経由率は低下していますけれども、市場が都民の安定した食生活を実現する上で、重い責任を持ち続けていくということであります。その役割を果たしていくためには、重ねて申し上げますけれども、環境変化に応じた取り組みを積極的に行っていかなければならないと思います。そのことは、市場のインフラ、いわゆるこの施設整備についてもいえると思うのでありまして、この点についての所見も伺います。
○日浦市場政策担当部長 食品の安全性に対する消費者ニーズの高まりを受けて、産地や量販店等は市場に対して高度な品質管理を求めております。卸売市場におきましても品質管理や安全性を確保し、安全で新鮮な商品の受け渡しが可能となるコールドチェーンを確立する必要がございます。
これまでも、淀橋市場の低温荷さばき場の整備や、各市場における卸売り場の低温化を実施してきましたが、引き続き、市場業者と協議をしながら施設整備を進めてまいります。
また、専門小売店、食品スーパー、外食事業者等からは、少量パックや魚の切り身等、パッケージや加工の対応も求められております。これらにつきましては、現在も仲卸店舗内で実施されている例もありますが、今後とも、これらの業務が衛生的、機能的に行える施設整備に適切に対応してまいります。
今後とも、都民の食生活の安定や食の安全を確保するために、事業主体となる市場関係業者と調整を図りながら市場の機能強化に対応してまいります。
○木内委員 私が懇意にしておりますコンビニチェーンの経営者、ここに商品を製造、納入する業者の方との懇談をよく持つわけでありまして、あるいは、この納入業者の全国の工場も拝見をしにまいりました。
例えば驚いたのは、炭焼きの焼き鳥、こういうふうに銘打って店頭に並ぶ焼き鳥は、そのメーカーの工場では炭を実際に焼いて、その上で味つけ、あるいは香ばしさを加味して店頭に送るわけでありまして、いうところの大量生産による風体だけを似せたような、そういう、いわば食品の製造というのは、今、コンビニ業界では行われていない。本当に消費者も大変レベルが高くなった、安くておいしいものを求めている、こういうことがいえるわけでありまして、今いわれたように、専門小売店、食品スーパー、あるいは外食事業者等から少量パックや魚の切り身など、パッケージや、あるいは加工の対応も求められている。これは局部的、部分的に対応するのではなくて、東京卸売市場の全体戦略の中で、こうしたもののいわば事業分野への進出、対応というものも今後しっかり検討されたいと思います。
社会の変遷、都市構造、あるいは生活パターンの変遷に応じた市場の対応というものが求められておりますので、これは、きょうは答弁は求めませんけれども、強く要望しておきますので、中央卸売市場の中でしっかりとした今後への検討をよろしくお願いしたいと思います。
人間の食の営みは不変でありまして、流通環境や人々の食生活の変化などに伴って、市場は機能的な側面での変遷を遂げていきはすれども、食を支えるという市場の役割の重要性は変わらないわけであります。
東京大会開催により、閉塞感漂うこれまでの日本の状況の打開が期待される一方で、二〇二〇年には、いわゆる成熟都市としてオリンピックを迎えるわけであります。いまだ経験したことのないさまざまな課題に直面するであろうことは想像にかたくないのでありますが、その中で、いかにして既存のインフラやソフトのストックを生かして高次元のステージへと向かうのか。成熟社会の明るい未来像を示すことが必要だと考えます。
今後、さまざまな視点から検討を行って、まず当面は二〇二〇年、さらには、その後まで見据えた卸売市場全体のあり方についても、さらに明確に方針を立てるべきであると、このことも強く要望するにとどめておきたいと思います。
次に、被災地支援であります。
オリンピックは東京だけのものではなく、日本全体で取り組み、その成果も日本全体で享受すべきものであります。本年第三回定例会の我が党の代表質問に対し、知事から、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの開催を通じて、被災地の復興を強力に後押ししていくという決意がもらされました。今回の招致プレゼンテーションのアピールにもあったように、スポーツの力で人々に大きな喜び、生きる力を与えるとともに、国を挙げて復興をなし遂げ、その姿を世界に示すことが必要だと考えます。
余り喧伝はされませんけれども、かねて,被災地支援のための復興専門委員会というのが設けられていて、IOC、あるいは体協、あるいは被災三県等が主な構成メンバーとなって、さまざまな分野における被災地復興に向けて、オリンピックとの関連性というものを追求していく、政策実現していく、事業化していくという、今そういう闘いも始まっているわけであります。
この被災地の復興を力強く進めていく上で、じゃあ、例えば中央卸売市場は何ができるのか。被災地は首都圏に青果物や水産物を供給する一大産地であります。産地としての被災地を支援することが市場の大きな役割の一つである、こう思うわけであります。
昨年度、中央卸売市場は、私ども都議会公明党の提案に応えて、市場関係事業者を対象として、福島県の青果物が適切に検査され、問題なく出荷されている状況をじかに見聞してもらい、福島県産の農産物への理解を深めてもらうとともに、消費者に伝えてもらうための被災地支援研修会を行いました。これは青果物でありまして、まず、その具体的な内容と経過を確認いたします。
○野口事業部長 市場関係者を対象といたしました被災産地支援研修会でございますが、昨年の十月と十一月に、中央卸売市場及び地方卸売市場の青果部小売業者等を対象に実施し、延べ二百四十七名が参加いたしました。
研修内容は、福島県農業総合センターにおきまして、県が流通する前の農水産物等に対する放射性物質の詳細な検査状況の説明を受け、実際の検査作業を視察しました。
さらに、県内のJA直売所におきまして、農家ごとに果物や野菜の全品目を出荷前に自主検査を行っている状況を視察するとともに、出荷団体などの生産者と活発な意見交換を行いました。
市場側の参加者からは、実際に産地の取り組み状況を目にし、消費者に対して、より説得力のある説明ができるとの意見が出るなど、現地における安全・安心への取り組みについて理解が深まったものと考えております。
こうした被災産地での取り組みや、見聞きした内容につきまして、都ではホームページの掲載による周知や各市場における報告会の開催、さらに消費者と直接に接する小売業者等から消費者や販売先にじかに伝えてもらうなど、関係者が一丸となって支援を強力に推し進めているところでございます。
○木内委員 こうした研修を通じて、福島県産の農産物は安全であり、安心して食卓に並べることができた,しかも以前と変わらずおいしい、それを理解してもらえる大変よい機会となった、関係者からはこういう評価がされているのであります。
その際の現場の声、足を運んだ市場関係事業者も、これほどの検査体制を整えているとは知らなかった、頭が下がる思いだ、こうした取り組みを消費者に伝えていかなければならない、こういった真摯な声も我々の耳に届いており、本当に心強い思いであります。こうした取り組みを、息の長いスパンで今後とも続けるべきでありますし、このことを強く要望したいと思うのであります。
昨年度の被災地支援研修は、青果物についてでありました。一方、水産物はというと、さらに痛ましい状況がいまだに続いています。原子力発電所の事故による周辺海域の放射能汚染によって、多大な影響を受け続けている実態があります。
事故が発生する以前、福島は豊富な水産物の水揚げを誇り、多くの海の幸が東京を初め、都市の住民の食生活を彩っていました。しかし、事故の発生でそれらは一変し、出荷するどころか操業すらおぼつかない状況が続いてきたのであります。
そうした中、汚染水の問題に苦しめられながらも、地元の漁師さんたちは歯を食いしばって、不本意ながらも試験操業を通じて活路を見出そうと頑張っている状況であります。東京築地市場にもタコやシラスが入荷したというニュース報道が最近なされたことは記憶に新しいのであります。この被災の我が国としての事実を決して風化させてはならないし、常に、日々新たな思いで被災地支援を行っていかなければならないと思うのであります。
本年はこうした福島県の漁業関係者の取り組み、そして水産物についても、この十月から試験操業の範囲が拡大されるなど、本格出荷に向けた取り組みが進む状況を、東京の市場関係者が実際に見に行く時期が来たと私は考えます。きょうの質疑の中で、今、私が申し上げていることが質疑の星でありますので、拳々服膺して答弁を願いたいと思うのであります。
既に、ことしの予算特別委員会で我が党の議員が、水産物についても被災地支援研修を行うことを提案し、これに対する答弁を得ています。原子力発電所からの汚染水漏れ問題など、いまだ憂慮する事態も起こっており、ご苦労されていると思うけれども、現在の状況を十分に勘案し、水産物についても研修を行うべき、このことを再度この場で訴えます。もし実施するなら、いつをめどに行うのか明らかにされたいと思います。
○野口事業部長 東日本大震災から二年半が経過をしまして、東京電力福島第一原発事故の影響を受けました福島県におきましては、相馬双葉漁協に続きまして、いわき地区の漁協でも今月十八日から試験操業が始まり、試験操業の区域が拡大され、本格出荷に向けた取り組みが開始されました。
水揚げされた水産物が東京市場へ出荷される状況となったこの時期に、市場関係者が産地を訪問することは漁業関係者への大きな励みとなるばかりでなく、消費者と直接接する水産小売業者等が現地での検査体制の視察や漁業関係者との意見交換など、安全・安心の取り組みを実際に見聞きする研修会に参加することは大変有意義であると考えております。
こうした状況を踏まえ、来月を目途に、水産物部を対象とした被災産地支援研修会を実施することとしております。被災産地での取り組みや見聞きした内容につきましては、昨年実施をしました青果部の研修会と同様に、都のホームページへの掲載による周知や各市場での報告会の開催、さらに小売業者等から消費者や販売先に直接伝えてもらうなどの取り組みを行っていく予定でございます。
○木内委員 水産物部を対象にして、来月、すなわち十一月を目途に実施するということが初めて明らかにされました。この成功に向けて鋭意ご努力をされるよう強く求めておきます。今後とも、被災地の状況の変化に応じて、時宜を得た、血の通った支援を行ってもらいたいと思います。
さて、被災地支援研修の中で、実際に現地に赴いた市場関係事業者の方から異口同音に出たのが、これほど検査体制を整え、日々出荷している福島県の生産者の皆さんの努力、これを消費者の皆さんにきちんとお伝えしなければならないということであります。私は全く同感であります。消費者の方々にどう伝えていくかが大事であると思っております。
こうした視点に立って、ことし三月のこの委員会で、我が党の議員から、中央卸売市場が運営する消費者事業委員会、これを被災産地と消費者の交流に生かすことができるのではないかという提案と提起がありました。前向きな答弁がこのときありました。この件についての具体的な進捗状況について報告を願います。
○野口事業部長 被災地産品の風評被害を払拭し、より一層の消費拡大につなげていくためには、被災産地が懸命に行っております食の安全・安心の取り組みを一人でも多くの消費者に伝えていくことが大切でございます。
このため、市場関係者による研修会に加え、今回、中央卸売市場が所管する消費者事業委員会の委員や消費者団体の方々など、生鮮食料品等の流通に関心の高い消費者を対象といたしまして、来月を目途に被災産地支援研修会を実施することとしております。
研修会の実施に当たりましては、被災産地における生鮮食料品等の検査体制のほか、消費者の方々に最も身近な食材である米の全袋検査、こちらの状況もつぶさに見ていただくとともに、生産者や農家の方々と交流を行うことで、被災産地の農産品への理解を深めてもらう機会としたい、そういうふうに考えております。
こうした被災産地での取り組みや見聞きした内容につきましては、より多くの消費者に伝わるよう、それぞれ所属する消費者団体等を通じて広く情報発信をしていただくなど、被災地産品の消費拡大への機運醸成を図ってまいりたいというふうに考えております。
○木内委員 あらゆるチャンネルを通じ、社会システムを駆使し、そうして被災地の支援、復旧、復興を行っていくということが、今、最も求められていることでありますので、答弁のとおり、中身、事業をしっかりと進めてもらいたいと思います。
こうして大消費地東京の消費者が被災産地を訪れ、放射性物質の検査体制を生で見るとともに、生産者や出荷者の方々と直接意見交換を行うことの意味は非常に大きい。口コミで、あるいは所属する団体でこのことが喧伝され、PRされ、都民一人一人の意識の中に深く浸透していく、これも大きな方法だと思います。
この研修は、我が党の要請に応え、消費者と多様な接点を持つ市場の特性を生かした取り組みとして大いに評価できるんですが、一方で、先日から都内の各市場で盛大に開催されている市場まつりも毎年多くの消費者が訪れるイベントでありまして、被災産地と消費者との絶好の接点、交流の場になり得ると私は考えております。
この行事を通じて、被災産地支援については、本年三月の当委員会での我が党の提案に対して積極的な答弁があったところでありまして、今年度の取り組み方針についてご報告を願います。
○坂巻管理部長 市場まつりは全体で約二十万人、一会場当たりの平均でも約二万人が訪れる大規模なイベントでございます。風評被害により販売が伸び悩む福島県産品の安全性を多くの都民にPRできる絶好の機会であると考えてございます。
このため、市場まつりでは、昨年度から福島県産品の販売を通じた被災産地支援に取り組んでおりまして、今年度はこれに加えまして、福島県から出荷者や自治体職員を招き、放射性物質の検査体制や福島県産品の魅力を直接来場者にPRする取り組みを行ってございます。先日、開催された世田谷と北足立の市場まつりでは、今まで何となく福島県産というだけで敬遠していたが、直接福島の方から説明を聞いて考えが変わったという声が来場者からも寄せられてございます。
このように従来の都のホームページへの掲載やパンフレットによるPR、これに加えまして、フェース・ツー・フェースの取り組みを行うことで、福島県産品の安全性やおいしさを効果的に都民に伝えることが可能となり、風評被害を解消し、福島県産品の販売促進につながると、こういうふうに考えてございます。
○木内委員 市場まつりは、いよいよこれから本番を迎えるんであります。こうした交流を通じて野菜や果物の生産にかける福島県の皆さんの熱い思いや血のにじむような努力が多くの来場者の胸を打つことだろうと私は確信をいたしております。そして、熱い思いに触れた方々には、ぜひ、福島県の野菜や果物は安全であること、そして何といっても、おいしいということをみずからの言葉で多くの人に伝えてほしい、こうも思うのであります。
福島県産品の安全性やおいしさが、市場まつりに来場された方々を通じて、さらに多くの方々に広まり、この東京から風評被害の解消に向けた大きな風が巻き起こることを期待したいと思います。ぜひ頑張ってください。
私は、いつもいうんですけれども、知事がかわろうと,行政の継続性、これは議会と執行機関、車の両輪論に基づいて、しっかりと、また継続をされるべきである。同じことが、この議会の審議、質疑でもいえるわけでありまして、何度もいうように、一つ一つ糸を紡ぐように議論の中で提案し、これを執行機関が受け、検討し、実現していく。プランを立て、実施し、これをまた見ていく。プラン・ドゥー・シーという、この作業というものが議会でも極めて重要である。したがって、何度も何度も我が党の議員がこういう提案をした、同僚議員がこういうふうに質疑を行った、これを踏まえてどうか、しつこく聞くようでありますけれども、これが実は重要な議会活動のあり方の一つであると理解を願いたいのであります。
さて、ここまでるる東京の食と日本の食文化を支える卸売市場がその役割を果たし続けていくために、食をめぐる環境の変化にどう対応していくのか、そして世界に向かって約束している被災地の復興に向け市場が何をなすべきかという、その一端についての被災地支援についても聞いてまいりました。豊洲の新市場、あるいはオリンピックを迎えるに当たっての市場のあり方、あるいはまた社会構造、生活環境が変化する中での市場のあり方、極めて重要な時期に重責を担って、日々、本当にご努力を重ねている塚本直之市場長に、私はぜひ、きょうの質疑を踏まえての抱負と決意を伺いたいと思います。
○塚本中央卸売市場長 東日本大震災からの復興を世界に示しますとともに、成熟都市のあすの課題に真正面から向き合い、明るい未来像を示すことが今後重要だと考えております。中央卸売市場としましては、他局と一体となって二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの成功に向け、取り組んでまいりたいと考えております。
このような考えの上に立ちまして、まず被災地の復興につきましては、福島県を初めとしまして、被災産地はこれまで大消費地である東京に多種多様な産品を安定的に供給し、東京の豊かな食生活を支えてきていただいておりました。被災産地における生産は回復しつつはございますが、先ほど委員ご指摘のとおり、福島の水産物などにつきましては、まだ始まったばかりというような現状にもございます。さらに、原発事故に伴う風評被害にいまだ苦しんでいるなど、今なお多くの課題を抱えてございます。
都といたしましては、今後とも被災産地の状況を踏まえ、産地における安全・安心の取り組みを都民に伝えるなど、水産物部につきましても現地への研修会を実施いたしまして、このような産地の取り組みを、ぜひ消費者なり小売の方々に伝えていきたいと思っております。このような支援を行いまして、その復興を支えてまいりたいと考えております。
また、委員ご指摘のとおり、おもてなしには食の要素が欠かせないものであり、その食材を供給しているのが中央卸売市場でございます。築地市場を見てみますと、日本全国、世界中の産地から、旬の食材、珍しい食材が大量に集まり、多彩な東京の食の魅力を支える拠点となっております。二〇二〇年に向けまして、豊洲新市場の移転整備を着実に進め、築地市場の魅力を継承、発展させるとともに、世界各国から来日した人々が東京の食の魅力を目で見て、食べて、体感できるような施設として整備してまいりたいと考えております。
さらに、食肉市場、大田市場など他の市場につきましても、環境の変化に対応した整備を着実に進め、その役割を十分果たせるようにしていきたいと考えております。
○木内委員 塚本市場長の答弁を聞いて、私も本当に胸を熱くいたしました。なおざりの局長答弁ではなかったと受けとめたいのであります。一言一言、片言隻語に推敲を重ねたその跡が十分うかがわれますし、責任と情熱の大きさに全く私は同感であります。
東京の食の拠点としての機能を全うする、さらには日本の食文化を支えるという重要な役割を中央卸売市場がしっかりと果たしていかれることを要望いたしまして、私の質問を終わります。
○尾崎委員 地方卸売市場について伺います。
第八次卸売市場整備計画、これは二〇〇五年度から二〇一〇年度の中ですが、国の地域拠点市場と位置づけて六つの地方卸売市場の支援を行うとなっていました。地域拠点市場としては、八王子、小平、国立、東久留米、三鷹、そして昭島の六つです。
また、第九次卸売市場整備計画、これは二〇一一年度から二〇一五年度までですが、多摩地域の水産市場、青果市場については、今後とも施設整備事業費補助制度等により支援する,さらに、青果市場については、引き続き、国の地域拠点市場制度も活用するとなっています。
多摩地域の野菜や果物の供給に大きな役割を果たしていた東京青果昭島地方卸売市場が九月末に閉鎖されてしまいました。青果商にとって市場の閉鎖は、商売を存続できるかどうかに直結する深刻な問題です。閉鎖されたら困ると反対の署名が四千七百人分も集められたほどです。今まで昭島地方卸売市場に通っていた方々は遠い市場まで行かなければならず、大きな負担になっています。
そこで、東京青果昭島地方卸売市場の廃止の経過について伺います。
○野口事業部長 東京青果昭島地方卸売市場の廃止につきましては、本年三月に当該市場の開設者であります東一西東京青果株式会社から、本年九月末をもって廃止をしたいとの申し出がございました。同社からは、廃止の理由として、売上高が近年半分に縮小するなど厳しい経営状況が続き、新たな顧客獲得のための機能強化も図れず、業績回復の見込みが立たないため、川崎市中央卸売市場北部市場の卸売会社と合併し、経営拠点を川崎市北部市場に移し、あわせて冷蔵施設や加工パッケージ施設など、市場機能の強化を図ることにより集荷、販売力を強化したい、そういう説明がございました。
都といたしましては、拠点を川崎市北部市場に移しても、これまでどおり多摩地区への生鮮食料品の安定供給を確保していくこと、そして、これまで昭島市場を利用してきた買い受け人等が川崎市北部市場、また,昭島市周辺の地方卸売市場で営業継続できるよう調整することを強く要請したわけでございます。
その結果、本年七月、買い受け人団体から開設者である同社に廃止の同意書が提出をされました。また、地元昭島市に対しましても同様に廃止の説明がなされ、了承が得られました。
こうした状況を見きわめ、都は、開設者である東一西東京青果株式会社から提出された廃止許可申請について、八月二十六日に許可をし、同日付で通知をいたしました。
○尾崎委員 多摩の卸売市場について、二〇〇七年には三鷹、二〇一一年には小平、そして二〇一二年には福生が閉鎖と相次いでいることについては、どのように認識されているでしょうか。
○野口事業部長 これまで廃止となりました地方卸売市場のうち、三鷹地方卸売市場は、開設者であります東京多摩青果株式会社から、施設が狭隘なため保冷や物流施設等の機能強化が図れないこと、また,近隣住民からたびたび苦情が出されるという状況にあったことから、同社が開設者でもある国立地方卸売市場の機能強化に合わせ、移転統合を進めたいとの申し出があり、平成十九年五月三十一日付で廃止となったものでございます。
また、小平丸新城西地方卸売市場及び福生青果地方卸売市場の両市場につきましては、比較的経営規模の小さな市場であり、それぞれの開設者から、買い受け人の減少や廃業などによる経営悪化等を理由に、小平の市場は平成二十三年四月三十日付で、福生の市場は平成二十四年三月三十一日付で廃止となったものでございます。
卸売市場を取り巻く状況は、産地である出荷団体の大型化による出荷先の絞り込み、その一方、小売側では専門小売店が急激に減少し、食料品スーパーが主流となるなど、厳しい経営環境に置かれております。
こうした状況に対応するため、近年、全国的にも卸売市場の集約化、統合の動きがふえており、多摩地域におきましても例外ではないというふうに考えております。
都といたしましては、地方卸売市場の活性化のため、品質衛生管理や施設整備の補助のほか、巡回指導を通じた経営改善指導や地域特性を生かした取り組みなど、今後とも支援を積極的に行っていく方針でございます。
○尾崎委員 産地の出荷絞り込み、小売店の減少で卸売市場が厳しい経営環境に陥っている、卸売市場の統廃合については多摩地域についても例外ではないとの認識でした。これらの状況のもとで、地方卸売市場の維持に向けてどう取り組みをしていくのかという前向きな具体策を,ぜひ打ち出していただきたいと思っています。多摩地域で閉鎖が続く中、東京都の役割はもっと重要になっているのは明確です。
そこで、これらの市場は、いずれも国の地域拠点市場と位置づけられたものですが、そのことが地方卸売市場の運営にどのように影響してきたのでしょうか。
○日浦市場政策担当部長 地方卸売市場における集荷力の低下傾向を踏まえ、国が策定した卸売市場整備基本方針により、地方卸売市場の中で地域における集荷力の強化を図る上での拠点となるものを地域拠点市場と定めることとされました。都は、この国の方針に基づきまして、一定の取扱数量を超える市場を指定しました。
さきにもお答えしましたように消費の減少、それから業態の多様化などの市場を取り巻く環境の変化の中で、地域拠点市場に位置づけられました小平市場と三鷹市場が廃止されました。しかしながら、地方卸売市場と中央卸売市場とのネットワークが有効に機能しており、相互に補完しながら、引き続き、生鮮食料品の安定供給が確保されております。
繰り返しになりますが、都といたしましては、地方卸売市場の活性化のため、品質衛生管理や施設整備の補助のほか、巡回指導を通じた経営改善指導や地域特性を生かした取り組みなど、今後とも支援を積極的に行っていく方針でございます。
○尾崎委員 昭島地方卸売市場から廃止したいとの申し出があった以降、東京都の方では積極的に働きかけてきたことがこの幾つかの回答の中でよくわかりました。しかし、川崎の市場には二割の青果商しか引き継ぐことができていないという話です。新しい市場との関係がうまくいかないという声も出ています。廃業を余儀なくされた青果商も十人以上いるのではないかと聞きました。野菜や果物を市場に納めていた地元農家も、川崎や多摩青果などの規模の大きい市場では、昭島のように少量から受け付けてもらうことができないとさまざまな声も聞いています。
このままでは巨大な拠点市場に四千五百億円もの税金投入をし、荷を集中させ、大型量販店、大手外食産業のための物流センターができ上がる一方で、その陰では地方卸売市場の閉鎖が相次ぎ、地域商店街では青果、鮮魚のお店が仕入れに困る状況、買い物弱者対策、商店街の活性化に商店街が頭を悩ます今の状況の中で、地域の農業者が出荷先に困るなど、地域経済活性化への道がより険しくなります。こんな構造がますますでき上がってしまいます。これ以上、地方卸売市場が閉鎖されないよう、東京都の支援を強く求めまして、私の質問を終わります。
○中村委員 それでは、中央卸売市場の事務事業について質問します。
市場は取引の適正化や流通の円滑化を図り、都民の消費生活の安定に資することを目的にしています。しかし昨今では、大手量販店の拡大やインターネットの発達により、市場外の流通もふえてきました。消費者の立場からすると、安くて便利ということなのかもしれませんが、よい品質の食料品が適正な価格で販売され続けるかということを考えると、やはり市場の役割は大変重要になります。消費者が安全なものを安く手に入れることは大切ですが、市場がその機能を発揮するには、生産者や卸売業者などの事業も成り立っていかなければなりません。
そこで、改めて公設市場が果たしている役割を伺います。
○日浦市場政策担当部長 生鮮食料品等は生産段階で天候等の影響を受けやすく、供給が不安定でございますが、中央卸売市場は年間を通して全国各地から多種多様な品目を大量に集荷することができ、量販店であっても単独では仕入れが困難な多様な品ぞろえを実現しております。
また、卸売市場では,競り売り等で取引されることで公正な価格が形成され、衛生管理の徹底や品質の保持を図ることができる施設内で新鮮で安全・安心な商品が適切に取り扱われ、小売業者さん等へ迅速に分荷、販売されております。
出荷者さんの方にとりましても、市場へ大量に輸送することで流通経費の削減が図られるほか、即日払いの原則や代払い制度によりまして確実な取引の決済が行われ、安心して出荷することができます。
市場がこうした役割を果たしていることから、流通チャネルが多元化している今日であってもなお、日本全国、世界中から多様で豊富な生鮮食料品等が集まり、適正な価格で日々安定的に流通することによりまして消費者が安心して購入できるなど、卸売市場は社会的インフラとして重要な役割を果たしております。
○中村委員 公設市場の役割について、大変重要だということでお答えいただいたわけです。ただ、そうはいっても、市場での取引数量が減少して、取引金額も減少しています。市場は公営企業会計として使用料収入によって賄われていますが、使用料は取引金額が反映されるため、取引金額の減少により使用料収入も減少することになります。事業者の経営状況などを考えると、使用料の改定も状況に応じて行ってきてはいるようですが、これを過度に上げることもできないため、そうなると経営努力ということが必要になります。
そこで、市場経営における財政状況改善のための取り組みと、今後の使用料についてどのように考えているのか伺います。
○飯田財政調整担当部長 中央卸売市場会計は独立採算の公営企業会計であり、これまでも人員削減や企業債の繰り上げ償還等のコスト縮減に取り組むとともに、市場用地貸付等の資産の有効活用を図るなど、不断の努力で経常収支の黒字を確保してきております。
もとより、市場会計の健全性の維持には、市場が活性化し、市場業者の取扱数量、売り上げが拡大し、より発展していくことも重要であると考えております。
現在、市場の活性化を図るものとして、市場業者と開設者である都が一体となって、集荷力や販売力の強化など経営戦略的な視点から、それぞれの市場の特色、特性を生かした取り組みを行っているところでございます。
今後の市場使用料につきましては、これまでと同様に、行政においてコスト縮減に努めるとともに、その時々の市場会計の収支状況、市場業者の経営状況等を踏まえ、適切に対応してまいります。
○中村委員 いろいろご努力をいただいているということですけれども、なかなかコスト削減の努力だけでは難しいところもあるでしょうから、やはり売り上げが拡大していくということがいいと思いますので、そういった努力の方は事業者さんと一緒になって取り組んでいただきたいと思います。
さて、市場の取り組みですが、築地市場の移転については注目されていますが、豊洲以外の市場の整備ということもあるかと思いますが、どうなっているでしょうか。今後、コールドチェーンシステムの確立を初めとしたさまざまなニーズへの対応も必要になりますが、これは、整備事業には国庫からの補助もあるとはいえ、今後の財政の見通しをどのように見ているのでしょうか。整備事業は使用料にどうはね返るかも含めてお答えを願います。
○日浦市場政策担当部長 都は、それぞれ特色を有する十一の中央卸売市場を開設しており、第九次整備計画に基づいて着実に整備を進めております。具体的には、平成二十四年度は、淀橋市場におきまして仲卸業者売り場棟の建設、大田市場におきましては第四荷さばき場建てかえなどを行いました。これらの整備によりまして、単なる老朽施設の更新にとどまらず、物流の改善や品質管理の向上などの機能強化を図っております。
このように市場会計の中長期的な財政面への影響や収支状況を考慮しつつ、市場施設の整備を行っております。
○中村委員 財政状況の見通し等でいろいろと計画的にやっていただいていると思いますので、いっときにやると使用料等、いろいろとはね返って大変なこともありますから、ぜひとも、そういったことを長期的に見通しながら進めていただきたいと思います。
次に、地方卸売市場について伺います。
地方卸売市場は、とりわけ多摩地域の流通において大きな役割を果たしていますが、全体の数値で見ると、水産物と花きの落ち込みが激しくなっています。かつては三鷹市にあった市場も、国立市にある市場に統合されてなくなりました。
仮に、こうした動きが続くと地域には大きな影響が出るのですが、どう対応しているのでしょうか。都は、地方卸売市場にも支援を行っていますが、とりわけ多摩地域の生活を支える、この地方卸売市場への取り組みについて伺います。
○野口事業部長 多摩地区には、現在、青果四市場、水産三市場、花き四市場、計十一の地方卸売市場があり、生鮮食料品等の集配拠点として地域の実情に応じた運営が行われ、生鮮食料品等の安定供給に大きく寄与しております。
しかしながら、卸売市場を取り巻く状況は、産地である出荷団体の大型化による出荷先の絞り込み、一方、小売側では専門小売店が急速に減少し、食料品スーパーが主流となるなど厳しい経営環境に置かれており,多摩地域における地方卸市場も例外ではございません。特に地方卸売市場の水産物や花きを取り扱う市場におきましては、経営規模が小さく、効率的な集荷や、量販店やスーパーへの対応など、近年の流通環境の変化に十分に対応できていないことが取扱量を下げる要因となっております。
一方、青果物を扱っておりました三鷹地方卸売市場につきましては、国立地方卸売市場に保冷施設を整備し、物流機能を高度化するなど、産地や小売のニーズに応えた機能強化を図り、移転統合を行った後も、取扱量は高い水準が維持され、地域への商品供給も支障なく行われております。
こうした状況を踏まえ、都といたしましては、品質衛生管理や施設整備の補助のほか、巡回指導を通じた経営改善指導や地域特性を生かした取り組みなど、地方卸売市場の活性化を進めるための支援を今後とも積極的に行っていく方針でございます。
○中村委員 国は平成二十二年に卸売市場方針を定めて、それを受けて、都は平成二十四年、第九次東京都卸売市場整備計画を策定しました。
その冒頭には岐路に立つ卸売市場と銘打っているのですが、なかなか具体的な方向性について、はっきりと読み取れません。国の方針では市場の適正な配置を求めていますが、地域によって状況は違いますし、統合を進めるとその近くの流通状況に大きな影響を与えかねません。都はどのように考えているのでしょうか。
とりわけ多摩地域は地方卸売市場が多く、唯一、多摩ニュータウン市場もあるのですが、以前から今後のあり方が検討されているようですけれども、どのようなことが検討されているのか伺います。
○日浦市場政策担当部長 東京都の十一の中央卸売市場は、首都圏の基幹的な役割を担っている市場や地域のニーズに対応した役割を担っている市場など、それぞれ特色を有しております。
第九次東京都卸売市場整備計画では、都は、それぞれの市場が持つ特徴や強みなどを生かしながら、整備運営を行うとともに、卸売市場全体のネットワークによる総合力を強化することとしております。
多摩ニュータウン市場は多摩地域における唯一の中央卸売市場であり、多摩地域の地方卸売市場とネットワークを形成し、相互に補完することによりまして、多摩地域の生鮮食料品流通を支えている市場でございます。
取扱量はこれまで減少傾向でございましたが、平成二十四年は前年比で約一七%増加しているという状況もございまして、今後のあり方については、取扱量の推移などの客観的なデータにより、生鮮食料品流通の状況や取引状況等を見ながら検討してまいります。
○中村委員 二十四年度は一七%増加ということでかなり数字が上がっていますから、努力をしていただいているんだと思います。今後もこういったご努力を続けていただければと思います。
最後に、豊洲新市場について伺います。
豊洲新市場においては土壌汚染対策が進められています。都議会民主党はこれまで、食の安全を求めて、土壌汚染処理を求めてきました。当初の予定から開場を一年おくらせたわけですから、汚染処理についてはしっかりと行っていただきたいと思います。
そこで、汚染処理の進捗状況について伺います。
また、十月三日に開催された土壌汚染対策工事と地下水管理に関する協議会で、豊洲新市場について、建物は二〇一六年三月末までに完成させるが業務開始時期は未定と明らかにしたとの話が出たと聞いています。具体的に開始時期をどのように見ているのか伺います。また、築地からの引っ越しの期間については、使用料をどのように扱うのかあわせて伺います。
○志村新市場整備部長 豊洲新市場における土壌汚染対策の進捗状況でございますが、三街区のうち、五街区及び七街区におきましては、本年九月末現在、操業に由来する汚染対策を実施する区画のうち、土壌及び地下水ともに約九割で対策を完了しており、対策が完了した箇所から液状化対策や盛り土を進めているところでございます。
六街区におきましては、既に仮設土壌処理プラントを敷地の東端に移設をいたしまして、敷地の西側から操業地盤面以下の対策を鋭意進めるとともに、移設したプラント跡地の対策に着手してございます。
今後、土壌及び地下水におけるガス工場操業に由来する汚染の対策が完了したことについて、客観的データをもとに技術会議において確認した後、施設建設のくい打ち工事に着手し、平成二十七年度中の施設の竣工に向け、整備を進めてまいります。
そして、施設の竣工後は速やかな開場を目指し、市場業者や関係団体と調整した上、具体的な時期を確定してまいります。
なお、築地市場から豊洲新市場への引っ越しの期間における使用料の取り扱いにつきましては、過去の事例なども参考に検討してまいります。
○中村委員 市場の役割として食の安全というのは何より大切なことですから、この点についてはしっかりとしていただきたいということを申し述べて、質問を終わります。
○かち委員 初めに、豊洲新市場予定地での土壌汚染対策工事の問題についてお聞きします。
豊洲新市場予定地には高濃度の有害物質による土壌汚染があり、土壌汚染対策を行っているところですが、その対策にはさまざまな欠陥があり、安全を確保するという点から、専門家からも批判の声が上がっているところです。
そのような予定地に大量の生鮮食品を扱う中央卸売市場を整備することについて、基準などを定めた法律がありません。そのために、中央卸売市場の開設を認可する権限を持つ国は、総理大臣名で都に対して食の安全性や信頼が確保されるよう、科学的見地に基づき、万全の対策を講ずることを求めています。
また、国の第九次卸売市場整備計画で、審議会会長など各委員から、土壌汚染対策工事について認可基準に合致しない場合は、整備計画の対象から外れることを明確にすべきなどという意見も出ています。
問題は、これまでの都の対応、これからの都がやろうとしていることが、そのことを踏まえた対応になっているかということです。
ことし三月十五日の委員会質疑では、都は、現在進めている土壌汚染対策工事について、農水省に適宜報告しているとのことでした。二〇一二年度の底面管理調査の結果、都のいう不透水層内が高濃度に汚染されていることについて、どのような資料を農水省に報告したのか、具体的にお示しください。
○志村新市場整備部長 豊洲新市場の開設に当たりましては、市場用地の安全・安心の確保が前提でありますことから、東京都は、所管省庁である農林水産省に対しまして、新市場用地の土壌汚染対策について適宜報告を行ってきているところでございます。
お話の、平成二十四年度に土壌汚染対策工事に際して行った底面管理調査につきましても、農林水産省に出向きまして、底面管理調査や帯水層底面調査などの内容や結果など、公表資料として取りまとめたものをもとに担当者に報告してございます。
○かち委員 不透水層というのは、本来、水を通さない機能を持っているわけですから、その中に汚染があるということはあり得ないことです。質問をした実態は、都のいう不透水層が本当にその機能を果たしている地層なのか、それとも汚染を広げてしまうような地層なのか問われるものです。それは都の進める土壌汚染対策工事の有効性が問われるものです。
それにもかかわらず、答弁にあったように、農水省へ渡したこの資料は、都がこれまで説明してきた不透水層が、不透水層かどうかを判定できるものではありません。不透水層といえるかどうか、肝心な地層を判定できる材料について、中央卸売市場の許認可権を持つ農水省に報告されていないことは問題です。
都には、豊洲新市場予定地が中央卸売市場を整備するための用地として、本当に問題がないのかどうかを農水省とともに誠実に検証する姿勢が必要です。都がこれまで行ってきた豊洲新市場での不透水層の存在について、改めて専門的な検証が求められる事態になっているということを厳しく申し上げておきます。
これまで都がいう不透水層が豊洲新市場予定地に一面に広がっているという見解について、専門家によるチェック、検証を求める必要性についてはどのように認識しているでしょうか。
○加藤基盤整備担当部長 豊洲新市場用地におけます不透水層である有楽町層のYc層につきましては、平成十八年度に行った八本のボーリング調査、あるいは水道局や建設局が行いました百本を超えるボーリング調査、また、絞り込み調査として実施いたしました千地点を超える調査の結果から、不透水層の上端は確認してございます。
このYc層を含む有楽町層につきましては、そもそも数千年の長い年月をかけて自然に堆積して形成されていることでございまして、その成り立ちからも連続性のある地層であるというふうに認識してございます。また、これらにつきましても、専門家からも同様の見解を得てございます。
さらに、現在進めてございます土壌汚染対策工事を進めていく中におきましても、専門の技術者が採取した土壌を目で見て、直接手で触れることによりまして、地質や土質の状況を丁寧に調査し、不透水層である粘性土層であることを確認してございます。
こうしたことから、改めて専門家のチェックや検証を求める必要性はないと思っております。
○かち委員 私は先日、この新豊洲市場予定地の工事現場を訪れまして、現場の方のやっている工事内容や汚染土壌をどのようにやっているのかと、浄化しているのかというお話も伺ってまいりました。(資料を示す)これが全体像ですけれども、この赤いところが不透水層となっていて、東京都はこの不透水層はもう完璧なんだという前提のもとで、今工事を進めていると思うんですけれども、実際に、先ほど千カ所も特定調査をしたんだといっておりますけれども、全体のボーリングの中では、ベンゼンについては、たった一四%、シアンについては二五%しかはかっていないわけです。そのほかのところがどうなっているかということは、全くそれはもう想像でしかないということなんですね。
この不透水層の中から出た汚染物質をどのように処理しているかというのを聞きました。深く掘っていって、汚染物質がある土壌を取り上げて、そこを埋め戻しているんだという、出てこないようにしているんだということですけれども、これで本当に不透水層の役割を果たしているのか,それは実際に調べてみなければわからないことではないでしょうか。
今のご答弁は、既に二〇一一年の公営企業決算委員会で決着済みの答弁の繰り返しです。限られたボーリングの中で、不透水層の中からベンゼンは一千倍、シアンは七十四倍出たわけです。そのほかの事態がどうなっているかというのは、結局わからないわけです。
不透水層の上端を確認したという調査は、地盤工学会が透水性を判断するものとして規定するテストによるものではありませんし、試験したとする試料、試薬も地盤工学会が不適格としているものでした。それをもとにした報告書で、都は専門家会議、技術会議に不透水層が一面にあると勝手に説明し、その説明に各会議に出席したメンバーから異論が出なかったというだけのものです。
地質の専門家が調査した上での見解ではありません。底面管理の調査のときに、その土質を検証したといっている点についても、第三者の専門家が見て、客観的に不透水層かどうかを判定できるような資料は、開示請求をしても一つも出てきませんでした。だから、都が進める土壌汚染対策工事は、もともと計画した時点から、専門家会議、技術会議以外の日本環境学会等の外部の専門家からは、絵に描いた餅と学術論文などでも酷評されているんです。
繰り返しますが、改めて不透水層の存在について、専門家のもとに検証すべきではないでしょうか。
○加藤基盤整備担当部長 先ほど千本を超える調査といいましたが、その前に詳細調査ということで四千百二十二地点、十メーターメッシュで四千百二十二地点におきまして、表層の土壌、あと地下水について全地点について調査をした結果で、その結果の中で、操業に由来する汚染につきまして,基準を超えた場所について千四百七十五地点につきまして、土壌を深さ方向について全部調査をしてきたことがございますので、先ほどの何か、想像でしかないということについては誤りだと指摘させていただきたいと思っております。
それから、さらに不透水層内につきましては、調査の段階でいたずらに調査で掘り進めますと汚染の拡散につながるということもありましたので、そういった専門家からの意見を取り入れまして、工事に入った段階で調査をするということになってございまして、私ども、土壌汚染対策工事を進めていく中で、丁寧に調査をしてきたところでございます。
確かに,五街区につきましては不透水層の位置が浅いということと、そこにはガス操業の工場が集中して立地していたといったこと、あと、過去の東京ガスの調査の結果等をにらんで、不透水層内に汚染がある可能性もあるということもこれまで申し上げてきた中で、実際に工事を進めていく中で詳しく調査をしてきた段階で、確かに高濃度の汚染等も見つけてきましたが、これにつきましては、一メーターずつ深度方向に調査をして、不透水層の中で二深度、二メーター続けて汚染がないことを確認して、汚染の状態は不透水層の中でとどまっているということを確認した上で、その確認した対象の物質をしっかりと今、掘削除去をしているところでございます。
その不透水層につきましては、掘削除去した後に、流動化処理土とかベントナイトの混合土といったきめの細かいもので透水性の非常に低いもので修復をして、不透水層の再形成を図った上で、その上の盛り土等に進めていくというような対策をとっているところでございますので、先ほど申しましたように、そもそもは不透水層、有楽町層につきまして、自然に堆積したもので我々が人為的にいじったものではございませんので、それがまず一面に堆積しているということが間違いないということの中で、私どもこれまでの調査についてと、工事の段階でもきめ細かく丁寧に確認しているところでございます。
そういったことから、改めて専門家のチェックや検証は必要ないと申し上げたところでございます。
○かち委員 四千カ所をはかったというけれども、四千カ所を全部、不透水層まではかったものではないということなんですよね。都の対応は科学的見地とは相入れない、かたくなな対応をしています。食の安全・安心を確保する上で極めて安易な工事の進め方だといわざるを得ません。
土壌汚染対策法で規定されている形質変更時要届け出区域の指定の解除を受けるためには、二年間の地下水モニタリングを行って、汚染がないことを確認することが必要になるにもかかわらず、その結果が出る以前に、都は新市場建設工事の着工をしようとしている、食の安全・安心が最大限保障されなければならないのに、これは問題ではないでしょうか。
○加藤基盤整備担当部長 今のご質問にお答えしますが、都の土壌汚染対策は専門家会議あるいは技術会議の提言に基づくものでございまして、ガス工場操業地盤面、おおむねA.P.プラス四メーターからA.P.プラス二メーターまでの土壌につきましては、汚染の有無にかかわらず、全てきれいな土と入れかえてございます。
それから、A.P.プラス二メーターから下につきましては、操業に由来する汚染の土壌を掘削除去し、地下水についても環境基準以下に浄化するものでございます。
さらに、A.P.プラス四メーターから、上のA.P.プラス六・五メーターまでにつきましてはきれいな盛り土を行ったり、さらに液状化対策、あるいは開場後の地下水の水位をA.P.プラス二メーターで管理する総合的な対策でございます。
都としては、こうした土壌汚染対策のうち、土壌及び地下水におけるガス工場の操業に由来する汚染の対策が完了したことにつきまして、客観的なデータをもとに技術会議において確認した後に、施設建設のくい打ち工事等に着手するとしており、何ら問題はないと考えてございます。
○かち委員 なぜ土壌汚染対策法で、二年間の地下水モニタリングの後に形質変更の届け出を出さなきゃいけないかといえば、そのときにきっちりと土壌を改良したとしても、地下水というのはやっぱり動くわけですよね。そして、そこに汚染が出てくる可能性があるから、二年以上のチェックが必要だといっているわけであって、そのことに今、触れていないではありませんか。
土壌汚染対策法が規定する二年間のモニタリング調査で汚染がないことを確認せずに建設のくい打ちに入るのは問題ではないかということについてはどのように考えているんですか。
○加藤基盤整備担当部長 先ほど来申し上げましたように、都といたしましては土壌汚染対策のうち、土壌及び地下水の対策が完了したことにつきまして、客観的なデータをもとに技術会議において確認した後、施設建設のくい打ち工事に着手するものであります。
さらに、施設建設の工事に関しましても、土壌汚染対策法に規定いたします各種の手続に基づきまして適切に実施していくことでございますので、何ら問題はないと考えてございます。
○かち委員 私の問いには答えていないというのが今の実態です。二年間のモニタリング調査で問題がないことを確認して施工工事に入るべきなのに、それ以前に工事を着工することについて農水省にはどのような説明をして、農水省からどのような見解が示されているんですか。
○志村新市場整備部長 東京都は、豊洲における市場の開設に当たりましては市場用地の安全・安心の確保が前提であることから、所管省庁であります農林水産省に対しまして、先ほど申しました調査等の結果、土壌汚染対策工事の状況など必要な情報について報告をしておるところでございます。
農林水産省としても、豊洲地区への移転に当たって安全性の問題についてきちんと対応していくことが重要であると考えていると承知しているところでございます。
○かち委員 農水省だって安全・安心のための対策が重要だということをいって、客観的なデータに基づく資料が必要だということをいっているわけです。二年間のモニタリングで問題がないことも確認せずに工事を着工する都の姿勢をよしとしてはいないんです。法律では二年間のモニタリングで問題がないということが科学的データの一つにされているにもかかわらず、そんなことも確認せずに施設建設のくい打ち工事に着工するというのは問題です。
私たちは、豊洲新市場と同様に土壌汚染が深刻だった東京ガスの田町工場跡地の場合の地下水モニタリング調査について、港区の実施状況を確認しました。それによると、そこでは十メートルメッシュごとに地下水を一年に四回以上採取して、モニタリングなど二年間実施して、問題がないことを確認してから、建物の建築計画に着工したとのことです。なお、ここでは、区の総合支所及びスポーツセンター等を建てるということです。
これと比較しても、豊洲新市場予定地では、法を上回る対策であるかのような説明をしながら、二年間のモニタリングの調査結果を待つこともなく市場の建設工事に着工しようとしているのは、危険きわまりないものです。国が都に対して求めている食の安全性や信頼が確保されるような、科学的知見に基づく万全の対策を講ずる対応とは異質のものです。
私は先月、豊洲新市場予定地で今進めている土壌汚染対策工事と地下水管理に関する協議会の座長、細見正明氏に直接お話を伺いました。
ここでは、都のいう不透水層が不透水層でないとすると、現在進めている土壌汚染対策工事の地下水管理が成り立たないとの見解を示されました。また、重要だったことは、地下水モニタリングをしても、ここの場合、二年では終わらないだろう、私は二年では納得しない、このようにもいっていらっしゃいました。ひとり東京都が科学的な知見とは相入れない対応をしているということを指摘しておきます。
二〇一三年三月十二日の予算特別委員会で、土壌汚染対策費の増加について、汚染原因者の負担の見直しを考えていないのかと問われ、当時の中央卸売市場長は、今後の対応を検討すると答弁されました。その後どうなったのでしょうか。
○加藤新市場事業計画担当部長 豊洲新市場用地における土壌汚染対策につきましては、東京ガス株式会社等が平成十九年三月までに、法令上必要な対策を完了しておりましたが、その後の都の調査により、ガス工場の操業由来汚染が確認されたことから、平成二十三年三月、東京ガス株式会社等は社会的責任から都の申し出に応じ、土壌汚染対策費の一部負担に合意したところであります。
都といたしましては、こうした過去の経緯などを総合的に勘案しまして、引き続き対応を検討してまいります。
○かち委員 都は工事をやっている中で、くいや基礎など、想定していなかった埋設物に遭遇し、開設時期を一年延期せざるを得なくなるという事態に遭遇したわけです。しかし、それでも半年たってもまだその負担については、都民の負担を回避する見通しが立っていないということです。
都は高濃度に土壌汚染されていることを知りながら、極めて安易に、強引に土地購入した無責任な対応のツケも都民負担になろうとしているわけです。
次に、豊洲市場の建築計画について伺います。
市場建設計画も問題が山積しています。都は昨年十一月の新市場建設協議会で、両者とも合意したとしていますが、ことしになって推進派の方からも、低温管理の仕組み、各売り場が道路で三つに分断される、重層化することから、物流動線、コストの問題、市場使用料の負担問題など、市場機能にかかわる基本的な問題が指摘される事態にもなっています。
これは土壌汚染問題と同様に、かなり深刻なものです。豊洲新市場の土地そのものが持つ致命的な欠陥によるものだからです。それを解決しようとすればするほど、莫大な費用がかさみ、市場関係業者への負担増にはね返ります。
都は、新市場の物流、施設計画について、都が新たに検討会を設置し、関係業者と調整していると報道されています。この検討会の参加者、開催状況、検討内容をお示しください。
○志村新市場整備部長 お話の検討会は、豊洲新市場における物流に関する施設運用検討会でございまして、去る八月二十三日に第一回の検討会を開催したところでございます。
この検討会は、昨年十一月に都と業界の間で合意、確定をいたしました豊洲新市場の施設計画を前提といたしまして、効率的な物流を実現するために、施設の具体的な運用方法等を検討するため設置したものでございまして、都と業界代表の委員で構成してございます。
現在、荷の搬入、搬出方法や売り場など各施設の使い方、管理方法など検討すべき主要課題やスケジュールについて各業界と確認をし、実務的な意見交換を行っているところでございます。
○かち委員 検討会は、施設運用、物流方法の具体的な内容を詰めることを主にしたものだということですけれども、そのもととなる施設計画そのものに大きな欠陥を抱えているため、問題の根源に立ち返って、本来的に解決することはできません。
卸売り場の一部や関連業者施設を上階に設置する、そのためにエレベーターや荷の昇降機で上下の物流になる、買い出し人も上下の物流になる、そのため、荷を引き取ったり、客の車に配達するなどで、人手をふやさなければならない施設配置になっています。
築地での再整備では重層化するとして問題だとしてきたことが、せっかく四千五百億円以上かけて、四十ヘクタールの土地に新たに卸売市場をつくるというのに、その問題が豊洲新市場で現実問題になっているんです。
物流コストがどうなるのか、業界の経営が成り立つかどうか、配慮もありません。転配送センターは四階に配置しているため、三階の加工水産卸売り場で仲買が買った場合は、仲卸店まで配送が自力になるのか、現状のターレ、手押し車、フォークリフトを持ち込むのは不可能との声も聞かれています。
機能強化した部分の市場使用料はかなりの業者負担増になり、業者自身が物流経費削減の合理化が大きな課題だというまでになっています。半数の仲卸業者が赤字経営の中、移転に伴う莫大な経費負担、移転後の使用料負担、水光熱費の負担など、経営計画のかなめとなるコストが全く明らかにならないもとで移転を強いていることについて、市場開設者としてその責任についてどのように認識しているでしょうか。
○志村新市場整備部長 豊洲新市場の施設計画は、昨年十一月に都と市場業界で構成する新市場建設協議会にて合意をいたしました。
この施設計画は、業界がみずからの負担水準も考慮しつつ、施設規模や内容について出した要望を可能な限り設計に反映させながら、最終的に取りまとめたものでございます。
こうしたことから、豊洲新市場における市場使用料や光熱水費などのおおむねの負担感につきましては、都と市場業者が相互に認識した上で、施設計画について合意をしたものでございまして、移転を強いているとのご指摘は当たらないと認識しております。
それから、先ほど先生が物流の関係で、街区が分かれている、あるいは多層構造になっている等々の問題につきましてですが、まず、今申しましたとおり、施設計画につきましては、これまで水産卸、仲卸、青果卸、仲卸、それら市場業者との間で十分な協議、調整を行い、しかも、その中で、今申しましたような負担感も考慮しながら、最終的なその設計内容として取りまとめたものでございまして、現時点でこの内容を見直すということではございません。
ただ、それによって,それによってと申しますか、施設内容自体が確かに三つの街区に分かれる、それから、施設構造的な部分で重層構造になっているという部分は確かにございます。
この点がございますので、先ほど申しましたような物流検討会の中で、街区間の荷の運び及び各施設の中の上下搬送だとか、そういったものをいかに効率的にやるか、それによって買い出し人の方を初めとする市場に買いに来るお客様にとって、使いやすい市場になるということを今後検討してまいるということでございます。
以上でございます。
○かち委員 私は先日、築地市場に行って、業者の方の声を聞いてきました。施設計画の内容については、その詳細は知らされていないといっています。ある業界団体の方は、問題点を列挙して協議会に参加している団体へ要望書を提出しています。仲卸売り場の設計への問題も指摘しています。合意して進めるかのような都の説明は合っていません。合意しているなどとんでもありません。
問題は築地市場内の業者との合意だけの問題でもありません。都は、豊洲新市場について、首都圏三千三百万人の基幹市場とするとしている豊洲新市場周辺の中央卸売取扱高などへの経済的な影響、市場関係者である卸業者、仲卸業者の経営などへの経済的影響についてどのような試算をしているのでしょうか。
○日浦市場政策担当部長 豊洲新市場は、今でも基幹市場である築地市場が移転するものであり、状況は従前と変わらないものと認識しております。
また、卸売市場法には開設区域という考え方がございまして、東京都の場合、都内全域が指定されているということでございまして、周辺近県への影響を試算することは求められておらず、試算は行っておりません。
○かち委員 豊洲新市場の計画が進んでいる今でも、私たちが聞いた市場関係者の少なくない方々が移転に不安を寄せ、できれば築地で継続したいと話しています。私たちのところには何とかならないかという電話も来ています。
売り上げ一千億円以上の水産卸業者でも、営業利益はその約一%など、市場関係者の事業環境は極めて厳しい状況です。こうした業者は、千葉、足立、神奈川県内でも事業所があります。
首都圏三千三百万人の巨大な拠点市場ができれば、横浜、川崎、船橋など、市場の取扱高も大きな影響は受けますから、他市場での経営が圧迫されるとも考えられます。ですから、豊洲新市場の巨大売り場市場ができ、豊洲新市場の取扱高がふえたとしても、市場関係者の経営が単純に伸びるというわけにはいきません。
そういう意味で、仲卸業者は半数近くが赤字経営です。市場関係者、業者が引き続き元気に営業を継続するためには、豊洲新市場のひとり勝ちではなく、首都圏、地方の中央卸売市場のことも視野に入れて、そのイニシアチブをとることを求めて質問を終わります。
○田中副委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田中副委員長 異議なしと認め、事務事業及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
以上で中央卸売市場関係を終わります。
この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後二時五十一分休憩
午後三時五分開議
○田中副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
これより港湾局関係に入ります。
事務事業に対する質疑を行います。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○岡崎総務部長 九月十二日開催の当委員会でご要求のございました資料をご説明申し上げます。
お手元の経済・港湾委員会要求資料をごらん願います。
ご要求のございました資料は、表紙をおめくりくださいまして、目次に記載のとおり、四項目でございます。
それでは、一ページをお開き願います。臨海副都心関連予算・決算の推移でございます。
臨海副都心関連の整備費等に係る費用を、臨海副都心整備に係るものをAの欄に、関連事業に係るものをBの欄に区分いたしまして、昭和六十三年度から平成二十三年度までは決算額を、平成二十四年度、二十五年度の二カ年は予算額を億円単位で掲載しております。
また、参考として、臨海副都心建設株式会社への貸付金の額の推移を同様に示しております。
二ページをお開き願います。臨海地域開発事業会計における企業債償還の推移でございます。
臨海副都心開発の基盤整備にかかわる企業債を転貸債と建設元利金債の二つに区分し、平成元年度から平成三十二年度までについて、平成二十五年三月三十一日現在での発行額及び償還する元金並びに利子を百万円単位で記載してございます。
なお、記載の数字は、平成二十三年度までは決算額、平成二十四年度は決算見込み額、平成二十五年度は予算額、平成二十六年度以降は計画額でございます。
三ページをお開き願います。臨海副都心における有償処分予定地の現況一覧でございます。
有償処分予定地を開発確定面積と今後開発予定面積の二つに分けまして、そのうち、開発確定面積を処分済み及び処分手続中に、また、今後開発予定面積を公募中及び今後処分予定に区分して、平成二十五年三月三十一日現在の面積をヘクタール単位で掲載してございます。
四ページをお開き願います。東京港における耐震強化岸壁の整備状況でございます。
二つの区分に分けておりまして、一つ目は緊急物資の輸送に対応した施設、これは下の(注1)に記載させていただきましたとおり、大規模地震発生時に緊急救援物資等の輸送を行うための岸壁でございます。
それと、二つ目は国際海上コンテナ輸送に対応した施設、これは(注2)に記載しましたとおり、大規模地震発生時においても首都圏の経済活動を停滞させないよう物流機能を維持するための岸壁でございまして、これらの区分で分けまして、おのおのの全体計画、平成二十五年十月一日時点の整備状況を掲載したものでございます。
以上をもちまして、簡単ではございますが、ご要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○田中副委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含め、本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○柴崎委員 まず、台風二十六号による被害状況と対応についてお伺いしたいと思います。
このたび、大島における災害によりお亡くなりになられた方のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被害に遭われました町民の皆様にお見舞いを申し上げたいと思います。
今回の大島における災害は、台風二十六号による過去に例を見ない豪雨によって三原山の麓から土石流が発生し、大島の元町地区の家屋等が損壊した大変痛ましいものでございました。
人命救助に昼夜携わっている自衛隊、警視庁、消防庁などの方々にねぎらいと感謝の意を表するとともに、島民の皆様が一日も早くもとの生活に戻られることを祈念いたしております。
今回の災害で、元町漁港や元町港にも土石流が流入し大きな被害が発生をしたと、先日、港湾局から状況報告を受けました。島民の生活基盤の一つである漁業のために、安心して使える漁港が重要であり、また、東京からの人や物を運ぶ定期船が接岸する港は、島民にとってまさに生命線といえる施設であります。
大島の一日も早い復興には、港の復旧が大変重要であります。改めて今回の台風による港湾等の被害状況を確認するとともに、大島を初め、伊豆諸島全体の今後の対応についてお伺いいたします。
○大和田離島港湾部長 港湾局では、去る十六日に離島港湾部内に災害対策支援本部を設置いたしまして、被害状況の把握と対応に当たるとともに、十七日には大島支庁の応援のために二名を現地に派遣いたしました。
今回の台風で最も被害が大きかったのは、大島の元町港と元町漁港でございますが、伊豆諸島のほかの島でも被害が発生しております。
元町港と元町漁港では、漁船などを停泊させる泊地の一部や駐車場などが土砂や流木で埋まり、使用できない状況となっておりましたが、元町港については、港湾局で応急復旧を進めまして、十九日から岸壁の使用が再開されております。
一方、大島の岡田港につきましては、調査の結果、港の利用には問題がないことがわかりましたため、十七日から使用しており、救援物資や資材の搬入等に支障は生じておりません。
また、ほかの島では、護岸上部の損傷や陸上防潮堤の一部転倒などの被害が発生しております。
今後、海中の詳細な調査を実施いたしますが、今のところ、岸壁や防波堤本体への重大な被害は生じておらず、船舶の発着に問題のない状況となっております。
港湾局では、伊豆・小笠原諸島の港湾施設等の被災地におきます迅速な復旧のため、災害時における応急対策業務に関する協定を伊豆七島建設業協同組合などと結んでおります。この協定に基づきまして、各島において、伊豆・小笠原諸島災害対策支援協議会を組織し、災害時の対応に当たることとしております。
今回、早急な復旧が求められる大島の元町港と元町漁港につきましては、この仕組みを活用することといたしまして、十七日より港湾局で復旧方法等の調査検討を開始いたしました。
昨日、行方不明の方の捜索に伴う立入禁止が解除されましたことから、今後、調査結果に基づきまして支援協議会と連携し、速やかに復旧に取り組んでまいります。
ほかの港につきましても、同日に調査を開始いたしておりまして、できる限り迅速に復旧を行ってまいります。
○柴崎委員 支援協議会とも連携をしながら、迅速な対応をお願いしたいと思います。
島しょの住民にとりまして、港は大切な施設であります。今後、大島で本格復旧が始まった場合の資材の搬入等においても、元町港は重要な役割を担います。その意味から、元町港の岸壁の復旧がいち早く進んだことは心強い限りでございます。さまざま問題あると思いますが、一日も早い復興を望んでおります。
また、あわせて台風二十七号も、これまたどんな進路をとるかわかりませんけれども、ぜひ万全な体制、対応をおとりいただきたいと思います。
続きまして、次の質問に移らせていただきます。
調布飛行場についてお伺いしたいと思います。
調布飛行場は、本土と島しょを結ぶ重要な拠点でもあり、島民生活を支える航空路は交通インフラとして不可欠なものであります。その調布飛行場の島しょ航空路線は、ことし六月、計器飛行方式が導入されたわけであります。この計器飛行方式導入につきましては、新島村長を初めとする島民約三千三百名から提出されました都議会への請願が、平成十六年、趣旨採択をされました。
その後、都は、途中中断はあったものの、九年間という長い歳月をかけまして、調布飛行場の地元である三鷹市、府中市、調布市と協議を重ねまして、昨年度、ようやくその理解を得て実施されるに至ったと聞いております。
計器飛行方式導入による就航率の向上を待ち望んでいた大島、新島、神津島、この島民の皆様にとりましては長年の悲願でありまして、喜びもひとしおと思われます。
そこで、これまで欠航が多かった梅雨どき、こういった時期についての計器飛行方式が導入されて、どのように改善されたかお伺いしたいと思います。
○小幡島しょ・小笠原空港整備担当部長 調布飛行場における計器飛行方式は、調布飛行場空域の管制を実施いたします米軍との合意を経て、本年六月十八日から運用を開始いたしました。
これまでの調布飛行場における計器飛行方式による飛行回数は、六月が十八日から月末までの十三日間で二十七回、七月が五十回、八月が六回、九月が十四回となっておりまして、開始から九月末までの三カ月半で九十七回でございました。
ちなみに、七月につきましては、就航率の実績は八六・四%でありましたが、計器飛行方式が導入されていなければ七八・六%にとどまっていたところであり、計器飛行方式の導入で約八ポイント向上の効果があったことになります。
このように、梅雨どきでは雨などによる視界不良での欠航が大幅に減少し、天候による就航への影響が改善されたところでございます。
○柴崎委員 次に、本年四月にオープンしました新ターミナルビルについてお伺いしたいと思います。
ことし三月の経済・港湾委員会におきまして、三宅委員長が、新たに整備されたターミナルビルを地元と島との交流の場とすべきと質問をいたしました。これに対して、港湾局から、島しょ町村の観光PRなどの拠点として活用を図る、こうした答弁がございました。
新ターミナルビルは開設してから,はや半年が過ぎました。移動便の利用者にも好評で、飛行機を見に訪れる人や地元住民の方々もふえてきており、徐々にその存在が知られつつございます。
そこで、島しょと地元地域の交流促進のため、調布飛行場において新たな取り組みを始める時期に来ているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○小幡島しょ・小笠原空港整備担当部長 委員ご指摘のとおり、調布飛行場において、島と地元地域との交流を図るための取り組みは重要であると認識しております。
このため、新ターミナルビルの開設に当たりまして、島の物産を販売することを条件に、売店事業者を公募いたしました。その結果、十月から島しょの特産品であるツバキ油や塩、くさやなどを取り扱う自動販売機が設置され、島への玄関口であります飛行場としての特色を出すことができました。
今後、島の特産品を紹介する陳列棚などをロビーに常時設置するとともに、島しょ振興公社等の協力を得まして、さらに多くの島の物産を販売する仕組みをつくり、島しょと地域住民との交流の拠点として活用してまいります。
○柴崎委員 調布飛行場も竹芝のように、多摩・島しょの玄関口として、また、交流拠点として大きな役割を果たしていくことに期待いたしております。
最後に、三宅島航空路についてお伺いいたします。
調布飛行場からの三宅島航空路線が、羽田からの全日空便にかわりまして来年度から新設をされることになっておりますが、これについても昨年度、計器飛行方式導入とともに地元三市との協議が行われたわけであります。
地元にとりましては、定期航空路線がふえることで騒音などの負担が増すことになるわけでありますが、新設する三宅島路線は島民生活に欠くことのできない大切な路線であるとの理解が示されまして、協力を得られた経緯があります。
三宅島民のために、また、このように協力してくれた地元三市の厚意に応えるためにも、全日空の就航終了後、空白期間が生じないように、調布-三宅島、この路線を確実に開設することが大事だと思いますが、円滑に準備が進んでいるのかどうかお伺いいたします。
○小幡島しょ・小笠原空港整備担当部長 現在、来年度からの調布-三宅島間の航空路線の開設が確実なものとなるよう、都と三宅村及び新中央航空株式会社の三者から成る連絡会議を定期的に開催し、三者連携して準備を進めております。
新中央航空によりますと、この三宅島航空路線に新たに必要となる十九人乗りのドルニエ機の製造は、現時点でおおむね完成しておりまして、年末には納入される予定であり、順調に準備が進んでいるとのことであります。
また、三宅島航空路線開設の暁には、三宅島空港に一日三便就航することになりますが、都では、このドルニエ機が空港ターミナル直近に駐機できるよう、エプロンの拡張工事に着手したところでありまして、来年二月までには完成させることとしております。
引き続き三者の連携を密に行い、空白期間が生じないよう、来年度からの三宅島航空路線の開設に向けて鋭意努力してまいります。
○柴崎委員 順調に進んでいるということでございますので、安心いたしました。都は、島しょと地元市と、それぞれ要望に丁寧に対応していただいて、相互理解を深めながら、今後一層、調布飛行場の活用を促進していただきたいと思います。
それでは、次の質問に入らせていただきます。
東京港の海岸保全施設の整備についてお伺いいたします。
東日本大震災を目の当たりにいたしまして、首都東京の防災力の強化、これが喫緊の課題となっているわけでありまして、特に二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定した今日、防災対策は東京の安全性を世界に示していくためにも加速をしていく必要がございます。
平成二十五年第三回定例議会における我が党の質問に対しまして、知事から、水門、防潮堤の耐震対策など、取り組みを着実に進めるということで、日本の心臓である首都東京の安全性を高めるという力強いご答弁がございました。
そこでまず、東京湾における水門、防潮堤など海岸保全施設を整備する意義と、施設の整備状況についてお伺いいたします。
○石山港湾整備部長 東京には、首都としての中枢機能や業務・商業等の都市機能が極めて高度に集積しております。また、沿岸部には約三百万人の人々が生活する低地帯が広がっており、一たび浸水すれば甚大な被害に見舞われるおそれがございます。
このため、津波や高潮から都民の生命、財産を守るため、海水の侵入を防ぐ海岸保全施設の整備に取り組んでいるところでございます。
現在、東京港には水門十九施設、防潮堤約五十三キロメートル、防潮堤の内側にある内部護岸が約三十三キロメートル、降雨時に防潮堤の内側の海水をポンプ排水するための排水機場が四施設、水門の遠隔操作を行う高潮対策センターが一カ所などが整備されております。
○柴崎委員 それで、近年、大規模な水害が世界的に発生しておりまして、東日本大震災を初め、タイ・バンコクの洪水被害、ニューヨークを襲ったハリケーン、サンディでは大変多くの犠牲者が出ているわけであります。こうした状況を見ると、果たして東京の防災対策は万全なのか、不安を抱かざるを得ない部分がございます。一たび浸水すると甚大な被害に見舞われる地域を守るために、さらに対策の強化が必要ではないかと思います。
そこで、東京の安全性を高めるためにどのような課題があり、それについてどのように取り組むのかお伺いします。
○石山港湾整備部長 東京港は、東京湾の最も奥に位置しているため、台風による水害を受けやすく、かつて大正六年の台風や昭和二十四年のキティ台風で高潮に襲われ、大きな被害が発生いたしました。
都は、これまで対策の強化に取り組んできておりますが、現在の施設整備は、我が国に甚大な被害をもたらした昭和三十四年の伊勢湾台風が東京を直撃した場合を想定して高潮対策を実施し、これについてはほぼ概成しております。
また、同様に、関東地震等を対象として施設の耐震対策にも取り組んでまいりました。
しかし、東日本大震災を踏まえ、東京都防災会議が平成二十四年四月に、最新の知見に基づいて従前よりも規模の大きい地震を対象に被害想定を見直しました。このため、海岸保全施設の耐震対策につきましても、この最大級の地震に対応することとし、昨年十二月に海岸保全施設の新たな整備計画を策定いたしました。
今後は、この計画に基づき、地震、津波、高潮対策の強化に取り組んでまいります。
○柴崎委員 都は、新たな整備計画に基づきまして対策を強化していくということではありますが、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックが開催されるわけでありまして、高度防災都市東京の実現に向けてどのように整備を進めているのか伺います。
○石山港湾整備部長 東京を津波、高潮から守るためには、沿岸部の第一線で防護する防潮堤や水門の対策を行う必要がございます。これらの海岸保全施設を整備することにより、広域的に広がる低地帯への海水の侵入を防ぎ、その地域に暮らす人々や、首都東京の中枢機能などを守ることができることになります。
このため、二〇二〇年までに,新たに想定された最大級の地震が発生した場合でも津波による震災を防ぐよう、防潮堤約十七キロメートル、水門十一施設の耐震対策等を実施して、沿岸部の防潮ラインの連続性を確保し、安全性を高めていくとともに、水門の遠隔操作を行う高潮対策センターを新たにもう一カ所整備し、二拠点化を図ってまいります。
○柴崎委員 高潮対策センターは、水門の管理等を行う東京港の拠点とのことであります。こうした施設の管理、運用の面から幾つか確認したいと思います。
まず、水門の管理運用はこれまでどのように行われてきたのかお伺いします。
○石山港湾整備部長 水門は、船舶が航行する水路に設置されていることから、常時は開放していますが、台風や地震などの非常時には、高潮や津波による被害を防ぐため水門を閉鎖しなければなりません。
東京港の水門は、昭和三十四年の伊勢湾台風を契機として、主に昭和三十年代後半から四十年代にかけて整備されてきました。当時の水門は、地区ごとに整備された操作員が現場に駆けつけて直接操作を行う方法をとっておりました。
その後、夜間、休日など非常時にも迅速に対応する体制を構築するため、昭和五十四年度から平成十一年度にかけて、水門の遠隔操作を行うシステムを順次導入し、開閉操作を行ってきております。
○柴崎委員 東日本大震災などの大規模災害を踏まえまして、管理体制の見直しが必要だと思います。
最後に、この水門の管理体制をどのように強化しているのかお伺いいたします。
○石山港湾整備部長 東京港では、既に遠隔制御システムを導入しておりますが、各水門を遠隔操作できる拠点が一カ所では、万一、設備のトラブル、通信ケーブルの損傷、火災等の不測の事態の発生により、操作機能を失った場合には、職員が現地に駆けつけて水門を閉鎖しなければなりません。
今後の管理体制を構築するに当たっては、東日本大震災を踏まえ、不測の事態が発生しても、突然襲ってくる地震、津波に対し、水門を迅速に操作できるように対応力を強化することが重要でございます。
このため、遠隔操作システムのバックアップ機能を強化する必要があり、水門管理の拠点となる高潮対策センターを平成二十七年度に二拠点化することといたしました。これにより、一方の高潮対策センターが機能不全になっても他方のセンターが全く同等の機能を果たすことで、迅速かつ確実に水門を遠隔操作する手段を確保することができるようになります。また、高潮対策センターと各水門とを結ぶ通信ケーブルの二ルート化や、港湾、下水道、建設局が持つ通信ケーブルの相互利用により、ケーブル損傷にも強いシステムとすることといたしております。
○柴崎委員 七年後、東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。ぜひ水門の管理体制の強化等に取り組みまして、しっかりと防災対策を進めていっていただきたいと思いますのでよろしくお願いします。
以上で終わります。
○谷村委員 私からは、これからの東京港のさらなる発展に向けて、大変重要な取り組みとなってまいりますクルーズ客船の誘致について質問をさせていただきます。
第二回定例会の都議会公明党の代表質問で、私自身が大型クルーズ客船の誘致につきまして取り上げさせていただきました。そして第三回定例会におきましては、猪瀬知事から、大型クルーズ客船に常時対応できる新たな客船ふ頭を臨海副都心に整備するとの表明があり、東京港におけるクルーズ客船誘致の取り組みは、まさに新たなステージへと移ったことになります。
実はこのクルーズ客船の誘致につきましては、平成十六年の第一回定例会の公明党の代表質問で取り上げさせていただき、間もなく十年がたとうとしております。当時は、多羅尾局長が港湾局の総務課長をされていたころだったと思いますけれども、そこにおられる我が党の木内良明議員が政調会長で、この代表質問の原稿を私が担当させていただいたということは大変懐かしい思い出となっているわけであります。
十年前の当時は、神戸港のクルーズ客船の誘致活動の努力が実って、我が国で初めて最新鋭の豪華クルーズ客船「クリスタルセレニティー号」が入港したということで、東京港も負けていられないという趣旨で大型の外国客船、国際客船の誘致をしっかり進めてほしいと主張させていただいたわけであります。
公明党は、ことし五月の「ボイジャー・オブ・ザ・シーズ」の東京港への入港時に船内視察をさせていただきましたが、この十年間、一貫して大型クルーズ客船の受け入れ体制の整備充実を訴えてきましたので、これは多羅尾局長も同じ思い、いや、それ以上の思いでいらっしゃるかと拝察いたしております。このたびの新客船ふ頭の整備を高く評価をいたしているところであります。
しかし、今はあくまでもスタート地点であり、これからが本当の勝負であるということは申し上げるまでもありません。
そして、ことしの第三回定例会で我が党は、ただ新客船ふ頭を整備するだけではなく、東京港としてのターゲットを定めた上で、そのニーズを見据えた施設整備や誘致策を進めていくべきであると提案させていただき、その際、多羅尾局長からは、年度内に東京港クルーズ客船誘致促進ビジョンを策定し、ハード、ソフト両面から戦略的な誘致を進めていくとのご答弁をいただいたところであります。
このような経緯を踏まえまして、万全の受け入れ体制の構築、実効性ある誘致策の推進に向け、情勢認識や今後の取り組みにつきまして幾つか質問をさせていただきます。
最初に、新たな客船ふ頭は将来をしっかりと見据えたものでなければならないと思います。今回の計画の対象船舶の大きさ、岸壁の規模を明らかにしていただき、そしてその考えのもとになる背景、どうしてそのような規模にしていくのかということについてお伺いをいたしたいと思います。
○石山港湾整備部長 アジアや地中海などには就航しておりませんが、世界最大のクルーズ客船である、二十二万総トンの「オアシス・オブ・ザ・シーズ」にも対応できるふ頭の仕様を考えております。
具体的には、延長で四百三十メートル、水深十一・五メートルの桟橋を考えております。将来、これ以上の大型客船が就航したとしましても、基本的に一定規模以上の客船は、総トン数が大きくなっても岸壁の延長や水深はさほど大きくならないことから、この桟橋の規模で対応可能であると考えております。
○谷村委員 ただいまのご答弁によりますと、東京港に入港した「ボイジャー・オブ・ザ・シーズ」が十三万七千総トンと聞いておりますので、その二倍近い大きさの船まで寄港を想定しているということになるかと思います。建造技術の進化やニーズによって、世界的にクルーズ客船が大型化している状況の中では、世界最大級の客船にも十分に対応できる施設を整備していくことが必要であることは申し上げるまでもありません。
ここで重要なポイントに触れておきたいと思いますが、クルーズ客船といっても、ラグジュアリークラスの比較的小型の客船から、カジュアルクラスの超大型船など、さまざまな船が存在しているようであります。またクルーズ形態も、長期間でほぼ世界一周をするものから、一週間程度のアジア周遊クルーズなどがあるようですけれども、これを港の立場で見ますと、ことしのゴールデンウイークに「ボイジャー・オブ・ザ・シーズ」が東京港に寄港した際には、乗客が全員おりて、そして別の乗客が新たに乗り込んでいったと。しかし、九月に寄港した際の乗客は、船からおりて、そして観光や買い物を済ませるとまた船に戻ってくるというケースのようでありました。
このようにクルーズ客船によって船形あるいはクルーズの形態、進め方、港の利用パターンには、さまざまなバリエーションがあると思いますけれども、東京港としては、こうしたさまざまな形態がある中で、どのようなターゲットを設定していくのか、また、そのターゲットを想定した上で、乗客の利便性、快適性を確保できる環境をいかに整備していくのかということが極めて重要となってまいります。
そこで、クルーズ客船が東京港を利用する場合、どのようなパターンがあるのかをお伺いしたいと思います。
○笹川港湾経営部長 クルーズ客船が港を利用するパターンは、大きく分けまして、始発、終点として利用する発着と、航路の途中で立ち寄る寄港とに分けられます。
発着では、港に停泊した際に、これまでの乗客が全て下船し、新たな乗客が乗船いたしますが、寄港では乗客が入れかわりません。また発着の一つの形態といたしまして、片道クルーズというパターンもあり、例えばクルーズ客船で東京港を訪れた海外の観光客が、飛行機に乗りかえて帰るというケースなどがございます。
○谷村委員 ありがとうございます。そこで今、ご説明ありましたように、東京港にクルーズ客船が入港するといっても、いろいろなパターンがあるようですけれども、今後、東京港がクルーズ客船をさらに誘致していくためには、東京の強みというものを最大限生かすという意味において、ターゲットをどういう形に設定するかというのが必要になってくると思います。
そこで、ただいまご答弁いただいた寄港パターンごとに、どのような点で東京の強みが生かせるのか、どうお考えなのかお伺いをしたいと思います。
○笹川港湾経営部長 まず、発着パターンについてでございますが、これは集客力が勝負であり、東京への交通アクセスのよさや宿泊施設の充実、また背後に首都圏という大きな人口集積地を抱えていることが強みとなります。
次に、寄港パターンについてでございますが、東京における文化施設や観光スポットの集積が強みとなります。
最後に、片道クルーズについてでございますが、これは東京との往路や復路において航空便を利用するフライ・アンド・クルーズが一般的であるため、羽田空港、成田空港に近接している東京には大きな強みがございます。
○谷村委員 発着、寄港、それから片道クルーズと、どのパターンについても、東京ならではの強みを十分に発揮することができるということを改めて確認させていただきました。
この中でも、特に東京への交通アクセスのよさや人口集中を背景とする集客力については、我が国においては、東京港以上のものは存在をしておりません。大型クルーズ客船の発着港としてのポテンシャルは極めて高いと思います。
そこで、今後整備する新客船ふ頭において、対象としていると先ほどご答弁されました、世界最大のクルーズ客船である「オアシス・オブ・ザ・シーズ」の乗客というのは大体どの程度の規模になるのかご説明をいただきたいと思います。
○笹川港湾経営部長 「オアシス・オブ・ザ・シーズ」の乗客は最大で約六千四百人、乗員は約二千四百人となっております。
○谷村委員 今ございました、乗客で六千四百人、また乗員だけでも二千四百人という、この規模になるクルーズ客船を考えますと、人口集積、あるいは交通アクセスなどの条件から、発着という形態をとるクルーズ船につきましては、我が国においては東京以外には想定できない、それぐらいの規模ではないかと思います。このようなクルーズ客船の発着港として、六千人規模の乗客の入れかえを行う場合、税関、検疫など出入国管理、いわゆるCIQを円滑に行いつつ、乗客の快適性を確保することが不可欠であろうかと思います。
そこで、新客船ふ頭において、このようなことを確実に行えるために必要な視点というのはどういったものになるでしょうか。
○笹川港湾経営部長 新客船ふ頭におきましては、数千人が無理なく移動できる動線や、混乱なく各種手続を実施できるだけのスペースを確保することが不可欠となります。
大井水産物ふ頭で既に行いました三千人規模の発着はもとより、委員ご指摘の「オアシス・オブ・ザ・シーズ」のような六千人規模の発着を行う場合でも、乗客が滞りなく移動し、CIQ、荷物の受け取り、宅配便の手配などを円滑に行うことが必要となります。
○谷村委員 ですので、今、一時的にされている大井水産物ふ頭から早く脱却をしていただいて、建設をしていただかなければならないと思います。
中は入れていただけませんでしたけれども、外見だけでも中がどのような状況かは簡単に想像つきましたので、これも新しいふ頭をしっかりとつくっていただきたいと思いますが、発着の場合、乗客六千人が下船し、また今度は別の乗客六千人が乗船することになり、これは乗客だけで一万二千人が入ったりおりたりするという、物すごい数の乗客が客船ふ頭に集うことになるわけであります。その中にはお見送りの人も出てきたり、あるいはお出迎えの人も出てくるかもしれません。何よりもまず、乗客の利便性や快適性を考えた施設整備を行っていただきたいと思います。
また一方で、これだけの乗客が頻繁に訪れるようになりますと、首都東京の玄関口として、東京港の景観にも十分配慮していかなければならないと思います。大井水産物ふ頭だけではなく、東京港全体の景観というものも、東京にクルーズ客船で来られた方がイメージを最初に持つのは、東京港全体の景観になろうかと思いますけれども、港湾物流が一方で集積する東京港において、良好な景観を創出するというのはどのようにされていくのか、お伺いをしたいと思います。
○石山港湾整備部長 現在整備中の中央防波堤外側地区のコンテナターミナルは、まさに東京の玄関口といえる位置にあることから、本年八月一日より、東京港中央防波堤地区景観ガイドラインの運用を開始したところでございます。
このガイドラインでは、港湾のダイナミックな産業活動を景観の主役として積極的に位置づけ、新しい東京のイメージを演出いたします。具体的には、ふ頭前面の大型コンテナクレーンの色彩を海や空と調和させるとともに、安全性も配慮して、視認性が高い鮮やかな青色に誘導してまいります。また、コンテナターミナル内のクレーンにつきましては、区画単位で色彩を統一するよう誘導してまいります。
○谷村委員 大変におもしろいと思います。今、ご答弁いただきましたけど、ふ頭前面の大型コンテナクレーンの色彩を海や空と調和するものに変わっていく、それで、前提として安全性への配慮、視認性が高い鮮やかな青色に誘導していくと。コンテナターミナルのクレーンについては、区画ごとに色が変わっていく、統一化していくというんですか、色彩の順番なんかも統一するように誘導されるという大変に興味深い取り組みであろうかと思います。
冒頭に申し上げましたけれども、十年前、あの当時の港湾局長は成田浩さんだったかと思います。成田局長は、私が都庁のライトアップをもう一回再開するべきだというふうに取り上げさせていただいて、今のオリンピック招致になると五色に都庁がなったり、あるいはピンクリボン運動のときはピンク色に都庁がなっておりますけれども、都庁のライトアップをするべきだと訴えさせていただいたときに、成田局長は大変深いご理解をいただきまして、東京港のライトアップにも取り組んでいただいたことが大変懐かしい思い出になっております。
乗客の利便性、また快適性を考えた施設整備、そして東京港の景観への配慮、これは昼夜を分かたず、ぜひ進めていただければというふうに思っております。生まれ変わる東京港のイメージというものが、私にはしっかりと浮かんでくるような気がいたしますけれども、あとは、クルーズ客船の誘致であり、しっかりと積極的な誘致策も練り上げていただきたいと思います。
そこで、ハード整備と表裏一体となる誘致施策の取り組みについてお伺いをしたいと思います。
○笹川港湾経営部長 クルーズ客船の誘致に当たりましては、東京港におけるターゲットを想定した上での施設整備を行うとともに、そのターゲットに対し、東京港のメリットや取り組み内容を効果的にPRすることが必要でございます。
今後は、新客船ふ頭の整備や二〇二〇年オリンピック・パラリンピック開催都市であることを強力にアピールいたしまして、これまで以上に対象範囲を広げた営業活動を展開してまいります。
具体的には、船会社や代理店への営業を積極的に展開するとともに、平成二十三年度から実施しております東京港クルーズセミナーなど、情報発信の場を充実させてまいります。
○谷村委員 ありがとうございます。ぜひともすばらしい東京港クルーズ客船誘致促進ビジョンを策定していただき、実りのある誘致策を推進していただきたいと思います。
最後に、この十年間、クルーズ客船誘致に取り組んでこられた多羅尾局長のご決意をお伺いしたいと思います。
○多羅尾港湾局長 東京の成長戦略として、国際観光都市としての発展は大変重要な柱であり、大型クルーズ客船の寄港は、東京のイメージアップと経済効果の両面から大変有効な施策であると認識しております。
都としては、このたび臨海副都心に新たな客船ふ頭を整備することといたしましたけれども、立派な施設だけをつくって、実際に客船が来ないということはあってはならないことでございます。限られた財源の中、大きな投資を進める以上、その有効な活用策も今から同時に検討していくことが必要でございます。
そこで、さきの答弁で、今年度中に東京港クルーズ客船誘致促進ビジョンを策定すると申し上げましたが、このビジョンは、近年大きく変化する世界のクルーズ市場の動向や新たな客船ふ頭も視野に入れた東京港の強みを踏まえて、一本の太い体系的な客船誘致戦略の基本を構築するものでございます。
今後、このビジョンを基礎に置いて、積極的な営業活動を展開するとともに、乗船客や乗員の利便性、快適性を第一に考えた施設整備の検討も深め、東京港の客船誘致事業を抜本的に強化してまいりたいと思っております。
近い将来、もっと多くの世界の人々が、クルーズ客船で東京を訪れて、東京の魅力を満喫し、また、楽しいクルーズの旅を東京からスタートし、あるいは東京で締めくくる、いわゆるクルーズ客船のメッカとしての国際観光都市東京の実現に向けて、客船誘致事業を全力で推進してまいります。
○谷村委員 ありがとうございます。私自身、「ボイジャー・オブ・ザ・シーズ」の東京港への寄港を視察させていただきましたけれども、高層ビルのような圧倒的な存在感、そして大型リゾートホテルのような乗客を絶対に退屈させないであろう充実した施設、これを私のフェイスブックにアップしましたら大変大きな反響がございました。
あのような大型クルーズ客船が(「たびたびしなくちゃ」と呼ぶ者あり)ありがとうございます。常時停泊し、大勢の観光客でにぎわっている東京港、そして片や、首都東京のダイナミックな産業活動を支えるコンテナターミナル機能を持つ東京港、この鮮やかなコントラストをぜひとも見事に実現させていただきたい。今後の取り組みを大いに期待いたしております。
公明党は全力で支援をさせていただきますことをお誓い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○尾崎委員 島しょ地域について、まず要望をさせていただきたいと思います。
二十二日、港湾局から離島の港湾施設の被災状況の報告を受けました。今、台風二十七号、二十八号が接近している中で二次被害の心配があります。私たちの調査によると、三宅島では、錆が浜東海汽船通路の手すりの一部損壊、坪田港の防波堤上部の波よけコンクリートが二カ所にわたって剥げ落ちている状況などがありました。式根島では、足付港の桟橋の突端が剥がれ、防護柵も落ちてしまっているなどの情報が寄せられています。対策をとられるよう、お願いいたします。
次に、島しょ地域の貨物運賃補助について伺います。
初めに、島しょ地域の方々から切実な要求が寄せられています。円安、原油国での供給調整などの影響で、ガソリン代、その他の燃油などが値上がり、農業や暮らしを直撃しています。
私たちは聞き取り調査を行いました。ガソリン代は一リットル百九十円から、高いところで二百三十一円にもなっていました。灯油は一リットル百四十円から百九十四円、軽油は百七十円から、これも高いところでは二百十七円となっており、島には公共交通機関がなく自家用車に頼っている、何しろ高いんだという声です。お風呂の利用さえ控えているという声や農機具の利用、チェーンソーの利用を控えているという声が寄せられました。
そこで、港湾局は島しょ地域の生活に必要な貨物に対して、貨物運賃の補助金を交付する事業についてどのように認識しているでしょうか。
○大和田離島港湾部長 貨物運賃補助制度は、伊豆諸島海上運賃の値上げによる島民生活への影響を考慮いたしまして、特定品目の貨物運賃の全部または一部について都が補助を行うことで、物価の抑制と島内産業の振興を図り、もって島民生活の安定に資することを目的としております。
○尾崎委員 貨物運賃補助は物価の抑制、島内産業の振興を図ることが、島民の生活安定にとって欠かせないということでした。
現状の貨物運賃補助の対象を限定している根拠となる規定を伺いたいと思います。
○大和田離島港湾部長 貨物運賃補助の対象品目は、幅広く島民の生活や島の産業に還元されるよう、地元町村など関係者と調整し取りまとめておりまして、現在はプロパンガスや食用油、野菜、果物など、島民の日常生活を支える基本的な品目や島しょの産業を支える魚介類、テングサなどの特産品を対象として、伊豆諸島海上貨物運賃補助金交付要綱に基づき交付しております。
○尾崎委員 この十年間で、その対象と補助率などはどう変化していますか。
○大和田離島港湾部長 対象品目につきましては、運賃補助が本土から島しょへ運ばれる品目に偏っており、島しょから本土へ運ばれる品目に対する手当てが薄いこと、また、島しょの重要な産業である漁業振興にも資することから、平成十九年五月に、新たに魚介類を加えております。
また、補助率につきましては、平成二十年十一月から三〇%の補助率を五〇%に引き上げております。
○尾崎委員 対象品目に魚介類が加わったわけですが、それに先立ち、我が党は島民の人たちの要望を繰り返し取り上げてきた経過があります。昭和四十九年から平成十九年には見直しがなく、平成二十年には補助率見直し以降も見直しはありません。島しょの自治体からは軽油、灯油の輸送費補助の適用拡大という要望が出ています。
都はこの要望に応えるべきではありませんか。いかがですか。
○大和田離島港湾部長 軽油等の島と本土との価格差は、貨物運賃に起因するものよりも、販売量の少ない島に向けての小口輸送のための経費や小売段階での手数料などの要因が大きいという実態がございます。
このため、軽油等は貨物運賃補助の効果が小さいことから、対象品目に加えることは難しいと考えております。
○尾崎委員 軽油等は貨物運賃補助の効果が少ないからとのご答弁でしたが、貨物運賃補助があれば、必ず価格に反映します。農業、林業、民宿などは、島民の生活安定に欠かせない産業です。
また、先ほどの答弁で、地元町村など関係者と調整し取りまとめているとのご回答でしたが、地元町村との調整は、燃油価格が高騰してから行ったことがありますか。
○大和田離島港湾部長 平成二十年十月に島しょ町村及び議長会の市長及び議長から、船舶燃油価格の急激な高騰により海上貨物運賃が上昇したため、貨物運賃補助率引き上げの緊急要望を受けております。
これに対しまして、都として検討した上で、地元町村等と調整を行った結果、先ほど答弁させていただいたとおり、貨物運賃価格の上昇による実質的な荷主の運賃負担を減らすことを目的といたしまして、補助率を三〇%から五〇%に引き上げることとし、平成二十年十一月から直ちに実施をいたしました。
○尾崎委員 貨物運賃補助の対象品目は、地元町村など関係者と調整し取りまとめるとのことでしたが、地元自治体からの要望が一番強いガソリン、灯油、軽油の輸送費補助の適用拡大ではなっていません。
都民生活への影響を考慮し、地元自治体と調整し、貨物運賃補助予算を引き上げ、島民生活の安定を図るよう求めて、私の質問を終わります。
○中村委員 港湾局の事務事業について質問します。
初めに、調布飛行場について伺います。
調布飛行場は、私の地元の三鷹市を初め、府中市、調布市の三市にまたがる飛行場で、本土と大島、新島、神津島を結ぶ航空路は島民生活を支える交通インフラの重要な拠点となっています。この飛行場で、今年度、島しょ航空路線に計器飛行方式が導入され、来年度からは三宅島航空路も新設されることになっています。
島しょ振興につながることは喜ばしいことですが、一方では、調布飛行場の周辺住民にとっては安全や騒音などの環境についての心配もあり、地元周辺地域への配慮が大切です。住宅街にある飛行場なので、都と地元三市がその利用について協定を結び、運営されてきました。
既に、以前から島の側では計器飛行の方式が導入されていましたが、調布飛行場の側で導入されてこなかったのは、安全面への懸念だけではなくて、島しょ航空路線以外の利用拡大につながることへの懸念もあったんだろうと思います。
今回、三宅島の航空路線が羽田から調布に移ることも契機となり、島しょ航空路線限定ですが、初めて計器飛行方式が導入されることになりました。私も三鷹市で開催された住民への説明会に参加をして地域の方の意見を聞かせていただきましたが、そうした経過も踏まえて導入になりました。
そこで、計器飛行方式が導入されてから飛行回数がふえたと思いますが、その安全面について、大丈夫なのか伺いたいと思います。
○小幡島しょ・小笠原空港整備担当部長 計器飛行方式は、六月十八日から運用を開始して、開始から九月末までの三カ月半で九十七回ございました。
現在、都では、騒音対策として住宅防音工事補助等を実施しておりますが、実施に当たりましては、地元三市との協定で定められている年間飛行回数の上限、二万三千回の飛行があるものとして実施しております。現状の飛行回数は年間一万五、六千回程度であるため、計器飛行方式による増加分を加えても、飛行回数は十分協定の範囲内となります。
安全面に関しては、毎月開催される運航担当者会議等におきまして、運航の基本手順等の徹底を図るとともに、都独自の取り組みとして、事業者を対象に安全啓発講習会を開催するなどして対策に努めてきており、引き続き、さらなる安全確保に万全を期してまいります。
○中村委員 計器飛行方式の導入による騒音への問題は生じないということですが、引き続き充実した騒音対策を継続するとともに、安全にも十分配慮していただくことを求めます。
今回、就航率が上がったためだとは思うんですけれども、最近、小型の飛行機が上空を飛んでいるのがふえたような気もします。計器飛行の導入によって航路が変わることもあるでしょうし、そういったことでまた違った影響も出ると思いますので、十分そういったことも現状把握をしていただきたいというふうに思います。
さて、次に、新ターミナルビルについて伺います。
ことし四月から新ターミナルビルが供用開始になり、私も完成記念式典に列席しました。広く、明るく、開放的な施設となり、喜ばしいことです。
新ターミナルビルは地元にも親しまれる施設にしたということのようですが、具体的にはどのような考え方で整備をしたのか伺います。
○小幡島しょ・小笠原空港整備担当部長 新ターミナルビルは、ガラス張りで、白を基調にすっきりとしたデザインで仕上げ、旧ターミナルの約三倍の広さを確保いたしました。
建物内には広いロビーと展望デッキなどを備えたほか、地元にも親しまれるよう、多目的に利用できるユーティリティースペースを設け、地域コミュニティの場としても活用できるものといたしました。
また、防災等会議室も設け、地域の学校の社会科見学や飛行場に関係のある地域の会議などの際にも利用できるようにいたしました。
最近では、ユーティリティースペースでくつろぐ方々もふえてきており、地元にも親しまれる施設として徐々に地域に浸透してきております。
○中村委員 ユーティリティースペースが地域の人々が集える場所として大いに利用されることは、調布飛行場を通して島しょ振興について理解する人をふやすことにもつながると考えます。地域に役立つ施設として、地元に活用していただきたいと思います。
ただ、交通が不便な地域ですので、今後は地元自治体とも協力しながら、交通の利便性の向上ということも図っていただきたいというふうに思っています。
次に、調布の飛行場まつりについて伺います。
今年度の調布飛行場まつりは、台風二十六号による大島の土砂災害の影響のこともあり、残念ながら中止になりましたが、被害の状況を鑑みると、それは妥当な判断ではなかったのかと思います。
この祭りの目的の一つは、飛行場への地元理解の促進もあると認識していますが、最近では、来場する車のナンバーを見ていると、どうもかなり遠くからも多くの飛行機ファンが訪れる一大イベントになっているようで、地元の町会はむしろ出店側になっていて、来客者をもてなしています。
地域としても来客者をこういうふうに迎えているわけですが、祭り本来の原点である島しょと地元地域の交流ということがきちんとなされているのかどうか伺います。
○小幡島しょ・小笠原空港整備担当部長 飛行場まつりは、理事ご指摘のとおり、調布飛行場への周辺住民の理解促進や、多摩地域と島しょの交流促進等を目的として開催しております。今では、来場者数が二万五千人を数えるなど、地域でも指折りの大きなイベントと位置づけられるまでになってまいりました。
祭りでは、島しょと地元地域の交流を図るために、特産品の展示即売やステージでの芸の披露を実施してきており、今年度は中止となりましたけれども、実施されれば、展示即売については四十八店中、島側、地元町会等合わせて十九店の出店が予定されておりました。ステージにつきましても、十五の出し物のうち、十が島と地元三市からの出し物の予定でございました。
このように、十分島と地元との交流を深めてきており、今後とも、この祭りを通じて相互理解を深めてまいります。
○中村委員 調布飛行場まつりには、私も毎年出かけておりまして、その盛況ぶりは近年、目覚ましいものがあります。ぜひ地元や島しょの人々がより一層交流できるような祭りになるようにしていただきたいと思います。
今現在、大島の方は大変な状況ですから、東京都としても全力で支援していただきたいと思いますし、そういった状況もありますけれども、ぜひ来年にはきちんと開けるような状況になっていることを心から願うものでもございます。
この質問の最後ですが、調布飛行場の災害時の役割について伺いたいと思います。
調布飛行場は防災拠点に位置づけられていると思いますが、いざ災害が発生したときには、この調布飛行場がどういう役割を果たすのか伺います。
○小幡島しょ・小笠原空港整備担当部長 調布飛行場は、東京都地域防災計画で輸送拠点として位置づけられておりまして、広域緊急援助隊や緊急消防援助隊等の活動拠点としての役割を担っております。
具体的には、都内で地震等大規模な災害が発生した場合や、調布飛行場周辺で大規模な事故が発生した場合には、全国からこれらの援助隊等のヘリが飛来し、救援活動を指揮したり、隊員が待機する場所となります。
○中村委員 震災など大規模な災害が発生した際には救助隊が集結し、また、救援物資も運ばれてくると予想され、地域にとっても心強く思います。
調布飛行場は、島しょと多摩を結ぶ大切なコミューター空港と位置づけられているのみならず、災害の際にも、地域だけではなく東京全体にとって重要な機能を持つ施設であるということです。だからこそ、こうした重要な施設のある周辺の地域への配慮を忘れず、調布飛行場を有効に活用していただきたいと思います。
次に、東京オリンピック・パラリンピックの開催と晴海臨海副都心の開発について伺います。
二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの開催が決まりましたが、コンパクトオリンピックということで、臨海部で多くの競技が行われ、また、施設も整備されます。既定のまちづくり計画の見直しが必要になる部分も出てくるのではないでしょうか。
特に選手村ができる晴海地区は、これまでと計画が大きく変わることになります。前回オリンピック招致のときはスタジアムが建設される予定でしたが、招致には至りませんでしたが、今回は晴海地区に選手村を整備するという立候補ファイルで招致が決定されています。
いずれも晴海地区の計画を変更したわけではなかったのですが、今回は開催が決まったので、具体的に取り組むことになりますし、それには何よりも地元区や地域住民の理解を得ていくことが必要になります。
今後、晴海地区のまちづくりにどのように取り組んでいくのか伺います。
○石原臨海開発部長 現在、晴海地区では、調和のとれた複合市街地の形成を目指して策定しました豊洲・晴海開発整備計画に基づきまして、地元の住民や地権者と調整を図りながら、まちづくりに取り組んでいるところでございます。
この計画では、選手村エリアの土地利用計画は、大部分が国際交流拠点となっております。東京オリンピック・パラリンピック終了後には、選手村の建物を住宅に改修しまして、分譲、賃貸して活用する予定となっているため、現行計画を改定して土地利用を国際交流拠点から住宅地へと変える必要がございます。
今後のまちづくりに当たりましては、地元区や晴海地区の住民、地権者の理解を得ることが不可欠でございまして、十分に意見交換をしながら計画の改定を進めてまいります。
○中村委員 当初、国際交流拠点という予定が選手村になって、そしてオリンピック・パラリンピック後は住宅になるわけですから、人口の計画も変わるでしょうし、交通状況も変わってくることになると思います。
近隣地域にも当然影響が出ることになりますので、地元区や晴海地区の住民の皆様には丁寧な対応をお願いします。
さて、東京オリンピック・パラリンピックでは、臨海副都心にも多数の競技会場が配置され、多くの人が集まります。東京は安全であることを強調して開催が決まったのですが、防災対策は十分でしょうか、見解を伺います。
○小野開発調整担当部長 臨海副都心では、従来から災害に強いまちを目標にまちづくりを進めてきたところでございます。橋梁や「ゆりかもめ」などの公共施設は、十分な耐震、液状化対策がとられておりますとともに、上下水道、電気、ガス、情報通信などのライフラインも、耐震性が高く液状化対策を施した共同溝内に収容されており、安全性が十分確保されております。
また、民間の建物につきましても、臨海副都心まちづくりガイドラインに基づきまして液状化対策を行っているところでございます。
このように、臨海副都心では、さまざまな対策を講ずることによりまして、全体として地震に強い安全なまちとなっているところでございます。
また、津波、高潮対策につきましても、伊勢湾台風級の台風による高潮に耐えられるよう、地盤高をTP五・四メートルで整備しておりまして、その高さは東京都防災会議の想定最大津波高でございますTP二・六メートルよりも高く、十分な安全性が確保されているところでございます。
なお、臨海副都心は、安全なまちとして災害時の地区内残留地区にも指定されておりまして、避難の必要のない区域となっております。
○中村委員 オリンピック・パラリンピックの開催に向けた晴海地区の計画改定や、臨海副都心の防災対策の現状はわかりました。
もちろん安全についてはオリンピックやパラリンピックの間の短期間だけの話ではなくて、日常的に求められるものであり、また、今後、MICEの機能も整備すれば、ますます多くの人の出入りがあることで、さまざまな場面を想定することにもなります。
今後は、海外から多くの観光客が日本に来て、中には地震を体験したことのない方も来ることもありますので、ハード的な対応だけではなくて、ソフト的な対応も含めて、より一層の安全対策をお願いします。
ところで、この臨海副都心では、土地処分の七割が完了したと聞いていますが、人口はどの程度集積をしているんでしょうか。計画人口や開発コンセプトなど、当初の計画どおりに進んでいるのかお伺いします。
○石原臨海開発部長 臨海副都心では、平成二十四年末で就業人口は約五万二千人、居住人口は約一万三千人に達しました。
また、平成二十四年の来訪者数は約五千百八十万人となり、平成元年の開発着手以来、初めて五千万人を超え、平日、土休日ともに、にぎわうまちへと成長しております。
計画人口は、就業人口が九万人、居住人口が四万七千人となっておりまして、今後、青海地区北側にMICE、国際観光拠点、有明北地区一区域に集合住宅を中心に開発を進める予定でございます。
就業人口、居住人口ともに着実に増加しており、開発コンセプトの職、住、学、遊のバランスのとれたまちとして着実に開発を進めてまいります。
○中村委員 臨海副都心は七番目の副都心として開発をされて、今、七割の土地処分で、既に年間五千万人を超える人が訪問されるということになっています。
今後、有明の北地区は集合住宅予定地なんですけれども、オリンピックに際して仮設の競技施設が整備されることになるわけですから、集合住宅の整備は必然的にオリンピック後になりますので、財政等を見直す必要も出てくるかと思います。
この地区の居住人口は、計画で三万八千人で、職、住、学、遊のバランスのとれたまちのうち、住の多くの割合を占めることになる大きな開発になりますので、社会状況の変化をしっかりと見据えた対応をしていただきたいと思います。
また、今後、開発予定分の青海地区北側を中心として臨海副都心のMICE、国際観光拠点化を進めるとのことですが、目指すまちの姿はどのようなものか伺います。
○石原臨海開発部長 臨海副都心には、既にMICE施設として日本最大の展示面積を有します東京ビッグサイトが立地するとともに、五つのホテルや多彩な商業施設など観光資源も集積しているところでございます。
今後、青海地区北側に東京ビッグサイトと連携、補完する国際会議場などのMICE施設やホテル、劇場、ミュージアム、ブランドショップなどの集客力のある国際観光資源を充実させ、世界中から人、物、情報、技術が集まり、日本経済を牽引する国際的な戦略拠点へと発展させてまいります。
○中村委員 オリンピックについても、立候補ファイルから次の具体的な計画が整備されてくれば、それに伴い臨海副都心の開発の方も変更になる部分も出てくるかと思っています。
オリンピックというだけではなくて、その後も見据えた長期的な展望を持ってまちづくりに取り組んでいただくよう申し述べ、質問を終わります。
○かんの委員 私の地元港区は、都市の貴重な水辺空間であります多くの運河を有しています。これらの運河は、現在のようにトラック輸送が主流となる以前は舟運による物資輸送に欠かすことができない水路でありました。今ではそうした利用も減少し、周辺の土地利用も、工場や倉庫から住宅やオフィスに変わるなど、運河を取り巻く状況は大きくさま変わりしてきております。
私は、こうした機会を捉えて、運河の新たな利活用を積極的に進めることにより、運河を都民の身近な水辺として地域の活性化に役立てることが重要と考えています。
港湾局では、既にこうした取り組みを運河ルネサンスと称して進めてきていると聞いていますが、この運河ルネサンスとは具体的にどのような取り組みを行っているのかお伺いしたいと思います。
○石山港湾整備部長 運河ルネサンスは、運河を新たな観光資源の一つとして捉え、地域の活性化につなげる取り組みでございます。
具体的には、新たな運河利用の機運が高まっている地域を運河ルネサンス推進地区に指定した上で、水域占用基準の緩和やイベントの後援、PRなどにより、推進地区内で行われる商店会や町会、企業などによる運河を活用したにぎわいづくりの取り組みを支援するものでございます。
これまでに、芝浦地区を初め五つの地区を推進地区に指定しておりまして、各地区でさまざまな取り組みが行われているところでございます。
○かんの委員 運河ルネサンスが地域の意欲をうまく利用し、にぎわい創出を支援している仕組みがよく理解できました。
先日、私は地元港区で行われた芝浦運河まつりに参加してきました。これも運河ルネサンスの取り組みの一つと聞いています。ことしは天候にも恵まれ、当日は地元の芝浦商店会や芝浦の各町内会の方々が主体となり、さまざまな催しが行われ、近隣のマンションからも多くの家族連れが参加したり、また、スポーツ祭東京のなぎなた競技会場とも近かったということで、全国からの応援団も駆けつけて、大変なにぎわいでありました。
そこで、芝浦地区のこれまでの取り組みについてお伺いしたいと思います。
○石山港湾整備部長 芝浦地区は、平成十七年六月、運河ルネサンス推進地区の第一号と指定いたしました。以来、地元商店会や町内会などが中心となり、さまざまな取り組みが行われてまいりました。
その中でも、芝浦運河まつりは、平成十七年秋から、新芝運河にかかる新芝橋をメーン会場に、当地区における運河ルネサンスの中心的なイベントとして開催されてまいりました。
委員にもごらんいただいたとおり、ステージショーのほか、運河クルーズや運河カフェ、フリーマーケットなど多彩な催しが行われ、毎年多くのお客様でにぎわっておりまして、芝浦地区の秋の風物詩としてすっかり定着しております。
このほかにも、平成二十一年六月、地元商店会により芝浦西運河に多目的桟橋が設けられました。この桟橋では、NPOが竹ぼうきを利用した生き物すみかを設置しておりまして、小学生を対象にエビや小魚の観察会が継続的に実施されております。
○かんの委員 芝浦地区において、地元の方々の熱意あふれるさまざまな取り組みが続けられていることがわかりました。
こうした取り組みは、運河という身近な水辺を活用し、都会に暮らす子供たちへ自然に親しむ機会を提供するとともに、新旧住民の交流を深めながら地域の活性化を進めるものであり、大変すばらしいことだと思っています。
また、同様の取り組みがほかの四地区でも行われているのであれば、臨海部の活力と魅力を高める上で大変意義のあることだと思います。
そこで、この機会に、他の四地区の取り組みについてもお伺いしたいと思います。
○石山港湾整備部長 現在、芝浦地区のほかに、四地区で運河ルネサンスの取り組みが進められております。
まず、品川浦・天王洲地区では水上レストランが整備され、当地区の観光スポットともなり、多くの来訪者でにぎわっています。
また、毎年、桜の季節に運河まつりや運河クルーズが催され、好評を博しております。
勝島・浜川・鮫洲地区では、静穏で広い勝島運河を活用し、カヌーの体験教室が継続的に開催されております。
豊洲地区では、地元住民や大学などが中心となり、係留した船をカフェとして使用する船カフェのほか、水辺を生かしたさまざまなイベントが行われております。
また、朝潮地区ではハゼの生息調査を行うなど、環境学習が継続的に実施されております。
○かんの委員 芝浦地区だけではなく、東京の臨海部の各地域で、地域の特性を生かしたさまざまな取り組みが進められている様子がわかりました。
水上レストランや船カフェは、洗練された都会の水辺にこそふさわしいものであります。また、都心に近い水辺でカヌーを体験できることも大変結構なことであり、こうしたことを企画し、現場で指導されている方々には本当に敬意を表したいと思っています。
さらに、地元の大学や商店会、町内会、企業などさまざまな主体が協力をしながら、毎年運河祭りなどのイベントを続けられていることは、まさに地域の人々の熱意とご努力のたまものであります。どうか都も、引き続きしっかりと支援してもらいたいと思います。
そこで、今後、こうした各地区のにぎわいを運河全域へ広げていくことが重要と考えますが、都の見解をお伺いしたいと思います。
○石山港湾整備部長 運河ルネサンスの今後の取り組みとして、各地区の支援とともに、運河ルネサンス推進地区の拡大も視野に入れながら、さらににぎわいを広げていくことが重要と考えております。
具体的には、地区同士の連携を進めることにより、地区を結ぶ運河を介しにぎわいを広げていくため、運河ルネサンス協議会連絡会を設置し、共同イベントの開催や地区を結ぶ船の運航など、連携施策について検討を進めているところでございます。
○かんの委員 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックでは、東京ベイゾーンでさまざまな競技が開催されます。そのため、今後、国内外から多くの観光客が臨海部を訪れるものと考えられ、東京港のすばらしさをアピールできる絶好の機会となります。
そこで、そうした観光客の方々が水辺を散策しながら、美しい景観に浸り、水辺のレストランで食事を楽しめる魅力的な水辺空間を創出するための連携施策など、運河ルネサンスの取り組みのさらなる充実を図っていただきたいと思います。
そして、さらにもう一つ、運河の新たな利活用を進めていく上で忘れてはならないことは、運河に集う人々が安心して快適に水辺で親しみ、そして、その環境を創出することであります。
私は、各地区で行われている運河クルーズやカヌー体験教室など、水辺のイベントにこれからますます多くの方に参加していただき、東京の水辺のすばらしさを実感していただくためにも、水の濁りや臭気のない運河環境をつくり出していくことも非常に重要なことだと思っています。
そこで、港湾局において、運河の環境改善のために何か対策を行っているのかお伺いしたいと思います。
○石山港湾整備部長 港湾局では、昭和四十七年度より、悪臭や水質悪化の原因となる汚泥の除去を継続的に実施しております。
さらに近年は、芝浦地区等の運河において、ミニ干潟やミニいそ場を整備し、水生生物のすみか創出にも取り組んでおります。
これにより、最近では悪臭による苦情等はほとんどなく、多くの運河で、ハゼのほかスズキなどの大型の魚も姿を見せるようになっており、また、芝浦地区のミニ干潟ではエビやカニ、稚魚が確認されるなど、運河の環境改善が進み、豊かな海を取り戻しつつあります。
こうしたこともあって、運河ルネサンスの取り組みにおいても、水生生物の観察会と水に親しむイベントが各地区で継続的に行われてきております。
○かんの委員 港湾局が、にぎわいづくりに加えて、運河の環境改善に向け着実に取り組みを行っていることは、今回の質疑で確認することができました。
かつて、渋沢栄一は、商工会議所の初代会頭として、首都東京を東洋のベニスにしたいといわれたそうですが、水の都東京を再生し、一層魅力ある水辺環境をつくり出すことは、東京の国際観光都市としての魅力向上にもつながる、極めて意義のある取り組みだと思います。
また、東京オリンピック・パラリンピック招致でも注目を浴びた日本人のおもてなしの心は、日本が世界に誇れるすばらしい文化であると思います。
運河ルネサンスによるにぎわい創出の取り組みは、そうしたおもてなしの心を育み、おもてなしの心に触れる機会となるものであり、大変評価できるものであります。
今後とも、引き続き運河ルネサンスにしっかり取り組んでいただくよう重ねて要望して、次の質問に移ります。
二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定し、臨海副都心ではさまざまな協議が予定されており、開催までの七年間に、世界中からますます注目されるまちになると思います。
都は、臨海副都心において、MICE、国際観光拠点化を推進していますが、東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、これまで以上にきめ細やかな、お客様をお迎えするための取り組みが必要です。
さきの第三回定例会での我が党の立石議員の一般質問に対して、臨海副都心ならではのおもてなしの視点からのさまざまな整備を行っていくとの答弁がありました。
そこでまず、東京オリンピック・パラリンピックを見据えて、国際観光拠点化をどのような視点を持って進めていくつもりなのか確認させていただきたいと思います。
○石原臨海開発部長 都は現在、臨海副都心の国際観光拠点化のために、国内外から訪問する多くの方々に対して、臨海副都心ならではのおもてなしの視点を持って、昨年度創設しました都独自の補助制度であるMICE拠点化推進事業を活用した取り組みを進めております。
世界中の人々が集まる東京オリンピック・パラリンピックに向けまして、これまでにも増してワールドワイドなおもてなしの視点を持って、ソフト、ハードの両面から、都市機能のさらなる充実に取り組みまして、世界中の人々をお迎えする準備を進めてまいります。
○かんの委員 多くの競技会場が配置される臨海副都心は、今まで以上に海外からのお客様が訪れることが予想され、世界中から集まった方々が安心して気持ちよく東京滞在を楽しめる環境整備が必要であります。
観光庁の調査によると、海外の方々が日本に来て困ることの一つとして言語などコミュニケーションの問題が挙げられており、海外の方々がリピーターになるような、よい印象を与えられる、きめ細やかな多言語によるコミュニケーションをサポートする取り組みが必要だと思います。
こうした観点からの環境整備はどのようになっているのかお伺いしたいと思います。
○山口営業担当部長 海外から来日されるお客様は言語に対する不安が大きく、一人でも安心して町歩きを楽しめるような案内表示などの充実が必要と考えております。
本年度は、臨海副都心内の交差点や公園を中心に配置している主要な案内板四十三カ所について、日本語、英語、中国語、韓国語の四カ国語表示での整備を進めてまいります。
また、コミュニケーションのサポートとして、昨年度は、先ほど申し上げた補助制度を活用いたしまして、臨海副都心の入り口である「ゆりかもめ」の新橋駅に多言語対応のデジタルサイネージを設置いたしましたほか、各駅へのタブレット端末の配備によりまして、画面で多言語での案内を行える環境を整え、非常に好評を得ております。
今年度はさらに、ホテルグランパシフィックや大型商業施設であるアクアシティお台場にもタッチパネル式の多言語対応のデジタルサイネージを導入いたしまして、臨海副都心の観光情報をオンラインで取得できる環境を整備し、利便性向上を図ってまいります。
○かんの委員 外国から来訪される方々に対して多言語に対応した案内を充実させることは、世界の観光地では当然の取り組みであります。臨海副都心においても、最新技術も活用し、直近の情報に簡単に触れられるよう取り組みを進めていってもらいたいと思います。
さて、先ほども触れた観光庁の調査によると、来日した外国人観光客が旅行中に最も困ったこととして、公衆無線LAN、いわゆる無料Wi-Fiが利用できなかったことが挙げられています。
先日の一般質問の答弁において、臨海副都心において無料Wi-Fi環境を整備していくとのことでありましたが、その具体的な内容はどのようなものかお伺いしたいと思います。
○山口営業担当部長 臨海副都心では、本年度、補助制度を活用いたしまして、全てのタブレット端末やスマートフォンから、誰もが無料で利用できるWi-Fi環境の整備を行ってまいります。
整備に当たりましては、まず多くの人が集まる駅前などを中心に進めてまいります。特に十一月下旬から予定されております東京モーターショーには、国内外から数十万人のお客様が来訪することが予定されており、開催までに、会場となる東京ビッグサイト周辺に無料Wi-Fi環境を順次整備していく予定でございます。
これによりまして情報アクセスの質を高め、来訪した多くのお客様にとって、ビジネスはもちろん、魅力的な商業施設やエンターテインメント施設などの情報を取得しやすい環境を整え、来訪者へのサービス向上につなげてまいります。
○かんの委員 現在世界的に共通の情報通信端末となりましたスマートフォンやタブレット端末は、仕事でもプライベートでも使用頻度が著しく高くなっています。先進都市では、観光地などで無料Wi-Fi環境の整備が当然の取り組みとなっており、最先端とはいえないまでも、おくれずについていくという意味では重要な取り組みだと思います。今後のますますの充実を期待しています。
さらに、世界の人々をお迎えするに当たっては、このまちならではの特色、個性を打ち出すことが必要だと思います。臨海副都心の特徴としては、大規模な施設が密集せずに建築され、公園や道路では、各建物の間隔が数十メートル程度あいており、ゆとりある空間となっていることが挙げられます。こうした環境を生かして、来訪者の記憶に残る観光資源をつくり、おもてなしの向上を図るべきと考えます。
そういう意味で、三定での答弁にあったイルミネーションは、最近あちこちで、冬場になると特に見られますが、臨海副都心での取り組みの意味と具体的内容を伺いたいと思います。
○山口営業担当部長 MICE先進都市と伍していくためには、MICE機能の強化とともに国際観光機能の強化も重要でございます。臨海副都心を訪れる方々へのアフターコンベンション機能を向上させることは、再来訪のモチベーションを喚起することにつながると考えております。
そこで、今年度は補助制度を活用いたしまして、建物が密集した地域でのイルミネーションとは異なり、臨海副都心の特徴である大規模施設やゆとりある空間を生かした、まちを彩るイルミネーションなどを充実させていくことといたしました。
具体的には、フジテレビジョンの本社屋において、窓の内側からブラインドにLED照明を当てて、その反射光でビル全体のイルミネーションを形成し、かつ音楽とコラボレーションした、日本初の動きのあるブラインドイルミネーションを実施いたします。また、このイルミネーションは、コンピューターによりさまざまな色彩を発色することも可能であり、国内外から注目を集める取り組みになると考えております。
フジテレビの向かいにありますダイバーシティ東京においては、建物に映像を映すプロジェクションマッピングなどを含めてイルミネーションを展開していくほか、東京テレポート駅前にあるヴィーナスフォートの約五百平方メートルの壁面には、四季折々のテーマに合わせた動画を映し出すことなどによりまして、臨海副都心を来訪した方々の記憶に残る事業を展開してまいります。
○かんの委員 アフターコンベンションに資する事業を展開していくことが、新たな観光資源として、さらなるまちのにぎわいを創出していくことにつながるものであり、補助制度を有効に活用した一例だと思います。イルミネーションは訪れた方々を華やかな気持ちにし、記憶に残る訪問となることと思います。
また、先ほどの無料Wi-Fi環境の整備も、外国人旅行者を初め観光客にとって非常に心強い観光のツール、あるいはビジネスのサポートとなるものであり、まさに、おもてなしの心を持って取り組む事業といえると思います。
これらの事業を継続して実施していくとともに、今後も臨海副都心ならではの新しい観光資源を創出し、複合型MICE拠点の機能充実につなげていただきたいと思います。
次に、臨海副都心の開発について伺います。
アベノミクス効果や東京オリンピック・パラリンピックの開催決定を受けて土地需要の高まりが見られており、臨海副都心においても例外ではないと思います。
現在のところ、湾岸地域のマンションの需要が高いとの報道がなされていますが、ことし四月に都が新たに公募に出した有明地区の土地については、今月初めに公募を締め切るとの連絡があったと記憶しています。ここ数年、民間への新規の売却の話は聞かなかったわけですが、応募者があったということで、アベノミクスの効果が出てきているのかと感じています。
東京オリンピック・パラリンピックを七年後に控え、現在の開発状況を踏まえた上で、今後どのように開発を進めていこうとしているのか伺いたいと思います。
○石原臨海開発部長 臨海副都心はこれまでに約七割の土地処分が完了し、開発は着実に進展してきております。
お話のありました国際展示場駅前にある約〇・六ヘクタールの有明南K区画につきましては、本年四月から公募を開始しましたところ、多数のお問い合わせをいただき、七月十日から受け付けを始め、九月六日に一社の応募がございました。規定に基づきまして、一カ月後の今月七日に受け付けを締め切り、現在、審査を行っているところでございます。順調にいけば十一月中旬には事業者が決定する見込みで、仮に売却ということになれば新規に公募した区画としては三年ぶりの売却となります。
今後は、青海地区北側を中心にMICE、国際観光拠点としての整備を進めてまいります。開発に当たりましては、区画が大区画であることや都市計画の変更が必要になることなどもあり、一定の年数を必要とすると考えてございます。
こうしたこともありまして、現在、青海地区などの四区画につきましては、今後の開発に支障のない範囲で暫定利用として貸し付けております。いずれの区画でも多くの来場者を呼ぶ施設となっておりまして、まちのにぎわい創出に寄与しているところでございます。
今後も、当面処分を予定していない用地につきましては、暫定利用の制度なども活用し、まちのにぎわいの創出につながるような土地の有効活用を図りながら、東京オリンピック・パラリンピックも見据えて、臨海副都心の開発を進めてまいります。
○かんの委員 今後、五輪決定の機運の盛り上がりとともに、民間事業者のさらなる臨海副都心への進出が期待されるところです。本格的な開発には、ご答弁にもありましたように都市計画決定なども伴い、一定の期間が必要だと思います。暫定利用は開発に支障のない範囲であり、まちのにぎわいを創出し、地域のポテンシャルを向上させる事業であれば、一定の収入を確保できることもあり、有効に活用していくことも必要だと思います。
いずれにしても、東京オリンピック・パラリンピックは世界的にも最大規模のイベントであり、必ず成功させなければなりません。七年後の大会開催時に、臨海副都心が世界のお客様をお迎えするにふさわしい都市となっていることを願っています。
なお、世界最大のイベントではあっても、開発そのものは継続していくものであり、そこがゴールではありません。開発に当たっては、東京オリンピック・パラリンピックの開催への効果を生かすとともに、さらに、貴重なオリンピックレガシーを活用することも念頭に置き、長期的な視点を持って臨んでいただきたいと思います。
次に、東京港における交通混雑対策について伺います。
東京港の外貿コンテナ貨物取扱量は、ここ数年、右肩上がりに増加しており、平成二十三年からは二年連続で四百万TEUを超えています。
ことしの上半期の取扱量においても、国内の他港が苦戦している中、東京港は過去最高の取扱量を記録しています。ただ一方では、東京港のコンテナ貨物取扱量は、当初想定されていたコンテナターミナルの処理能力を上回る状態となっており、ターミナル周辺での交通混雑が発生しています。
この交通混雑問題は、新聞報道などのさまざまな場面で取り上げられており、港湾関係者の方々からも、関連の事業者の方々からも、これが東京港における最重要課題であると認識されていることがよくわかります。
しかし、東京港の交通混雑に関しては、関心が高いことを反映してのことと思いますが、待ち時間がどれぐらいであるとか、深刻な数字ばかりがひとり歩きしている感もあり、それが余計に実態をわかりにくくしている面があると感じています。
そこで、東京港における交通混雑の状況を正しく認識し、その上で解消に向けた取り組み状況を確認するために、幾つかの質問をさせていただきます。
最初に、東京港における交通混雑の現状についてお伺いしたいと思います。
○笹川港湾経営部長 委員ご指摘のとおり、東京港においては、近年のコンテナ貨物取扱量の急激な伸びによりコンテナターミナルの処理能力が限界に達していまして、季節や曜日、時間帯によっては、コンテナ待機車両による交通混雑が発生しております。
ターミナルの混雑状況は、コンテナ船の着岸の有無、コンテナ船の航路の種別など、さまざまな要因により変動するため、東京港全体が常に同じというわけではなく、ターミナルごとに状況は異なっております。
例えば、平成二十四年のあるターミナルにおける実績でございますが、最も混雑が激しかった十二月の状況を見ますと、月曜日の夕方には待機車両の列が平均で四キロを超えていましたが、木曜日の夕方には待機車両はほとんどございませんでした。一方、同じターミナルの同年八月では、曜日を問わず待機車両の列はほとんどございませんでした。
○かんの委員 東京港全体が慢性的に渋滞しているというイメージが先行しているようですが、決してそうではなく、ターミナルや季節、曜日、時間帯によるということが確認できました。
ただし、コンテナ貨物取扱量がふえ続け、コンテナターミナルのキャパシティーが限界に達しているという状況には変わりありませんので、やはり東京港としての交通混雑対策は待ったなしの状態であるといえます。
交通混雑対策の内容については、抜本的な対策として東京港の機能強化を行うこと、また短期的な取り組みもできる限り実施していくということをお聞きしていますが、そこで、東京港における交通混雑緩和に向けた抜本的な対策である東京港の機能強化について、その内容と進捗状況を伺いたいと思います。
○笹川港湾経営部長 東京港の交通混雑緩和に向けた抜本的な対策といたしましては、東京港の貨物取扱能力の向上に向け、中央防波堤外側、Y1からY3コンテナターミナルの整備、それと連動する大井、青海コンテナふ頭の再編、道路ネットワークの充実に取り組んでおります。
Y1からY2コンテナターミナルにつきましては、ことしの七月に借受候補者が選定され、現在、正式契約や上物整備に向け調整中でございまして、こうしたことから、大井、青海コンテナふ頭の再編の可能性が具体化しつつございます。Y3ターミナルの整備につきましては、これまでの国への要望によりまして事業採択となりましたので、今後は着実な整備を進めてまいります。
道路ネットワークの充実につきましては、平成二十三年度に東京ゲートブリッジが開通いたしまして、東京港の交通混雑緩和に大きな効果があったと確認しております。
○かんの委員 東京港の抜本的な機能強化に向けたハード整備が一歩一歩進んでいることは非常に頼もしいことであります。
ところが、東京港の交通混雑は今まさに現実となっている課題であり、ここで短期的な取り組みを進めていくことも極めて重要であります。時間のかかるハード整備の完了を待つことなく、コンテナターミナルの待機車両を減らす工夫をすること、また、待機車両を道路上に出さない工夫をすることが必要であると考えます。
このうち待機車両を減らす工夫としては、平成二十三年度から、東京港の実態を踏まえ、コンテナターミナルのゲートオープンの時間を従来の午前八時三十分から一時間前倒しにする早朝ゲートオープンの取り組みを実施しているとお聞きしました。これは東京港の利用者からも好評であると伺っております。
現在も続いている取り組みでありますが、ここで改めて早朝ゲートオープンのこれまでの実績について伺いたいと思います。
○笹川港湾経営部長 東京港におきましては、夕方の混雑を緩和するため、平成二十三年十二月から、全国に先駆け、コンテナターミナルの開門時間を一時間早める早朝ゲートオープンの取り組みを開始いたしました。
輸入港である東京港におきましては、輸入貨物を運搬する陸上運送事業者は、受取荷主が商品を店頭に並べることができるよう、午前中に荷主のもとに届ける必要があるため、前日の夕方にコンテナターミナルから貨物を受け取る傾向がございました。これが夕方の交通混雑の原因となっておりました。
早朝ゲートオープンは、開門時間を一時間早めることにより、陸上運送事業者が午前中に貨物を荷主のもとに届けることを可能としたものであり、これによって夕方の交通混雑の緩和を目指したものでございます。
実績といたしましては、平成二十三年十二月から平成二十五年七月までの間で、毎月平均五千本以上、累計十万本以上の実績があり、夕方五時以降の処理台数は、開始前と比較して約二〇%の減少となっております。開始当初は社会実験という位置づけでございましたが、関係者との調整の中で、平成二十五年度からは正式に渋滞対策の取り組みとして位置づけられました。
○かんの委員 早朝ゲートオープンの取り組みは今年度で既に三年目となりますが、利用者のニーズを的確に踏まえた施策であり、これまで大きな実績が出ているということを改めて確認できました。今後もぜひ継続し、さらなる交通混雑緩和につなげていただきたいと思います。
そこで、もう一つの取り組みとして、コンテナ待機車両を道路上に滞留させない工夫についても、これまでの取り組みを伺いたいと思います。
○笹川港湾経営部長 コンテナ待機車両を道路上に滞留させないためには、コンテナターミナルのゲート前からの並びを引き込むスペースとして車両待機場を整備することが必要でございます。
平成二十四年十二月には、青海コンテナふ頭にかかる車両待機場を中央防波堤外側に整備し、供用を開始したところであり、青海コンテナふ頭周辺の渋滞緩和に一定の効果があったことを確認いたしました。
○かんの委員 わかりました。今後も東京港の交通混雑の解消に向け、東京港の抜本的な機能強化を確実に進めていただくとともに、短期的な取り組みについても、ここで議論したことや、またそれ以外にも創意工夫を凝らして効果的な取り組みを進めていただきたいと思います。
そこで最後に、東京港の交通混雑解消に向けた多羅尾局長の決意をお伺いしたいと思います。
○多羅尾港湾局長 港は、公共施設であると同時に企業としての性格を持っておりまして、お客様であるユーザーの支持を得なければ、経営が困難となって、効率的な物流の実現という本来の目的も達成できないと考えております。
このため、東京港ではユーザーのニーズに応えるために良好な港湾サービスの提供に努めてまいりましたが、残念ながら、交通混雑は良好な港湾サービスの提供という観点からはマイナスの要因になっております。
そこで、交通混雑の解消は今日の東京港の最重要課題の一つとして認識し、ハード、ソフト両面からの解決に向け取り組んでいるところでございます。
具体的には、先ほど部長からもご答弁させていただきましたように、中央防波堤外側コンテナターミナルの新規整備、大井、青海コンテナふ頭の再編などの長期的視点に立った本格的な施設整備、それとともに、港内の各所にコンテナ保管等の用地や車両待機場の確保など即効性を期待できるハード整備、早朝ゲートオープンや交通情報の提供などソフト対策などの取り組みを可能な限り実施しております。
東京港のコンテナ貨物取扱量は、先ほど委員からもお話がございましたけれども、毎年増加傾向にあり、十五年連続取扱量日本一の記録を達成しております。これも、交通混雑等があっても総合的に東京港の長所を評価し、利用していただいている多くのユーザーがいらっしゃるためであり、このようなユーザーの方のためにも、交通混雑対策の推進が非常に重要であると考えております。
今後とも、東京港の利用者の視点を第一に考えたサービス改善を図っていくことにより、東日本の生活と産業を支える我が国のメーンポートとしての役割を果たしてまいりたいと考えております。
○かんの委員 ありがとうございます。東京港の魅力を維持向上させていくために、実効性のある交通混雑対策は必要不可欠であります。これまで早朝ゲートオープンの実施など個別の取り組みを着実に進め、一定の効果を出してきていることは大いに評価いたします。
しかし、交通混雑問題は非常に大きな問題であるため、個々の取り組みをそれぞれ実施するよりも、ハード、ソフト両面からの取り組みをパッケージ化し、緊急的、総合的に進めていくことも有効であると考えます。
このようなことも念頭に置いた上で、創意工夫を凝らし、さらに使いやすい港づくりを進めていただきたいとお願いいたしまして、質問を終わります。
○木内委員 休憩時間はいつごろ入るんですか。
○田中副委員長 木内委員の後に。
○木内委員 私の後ということで、一段落するまでもう一息なので、皆さん、頑張ってください。そういうことで、事前に確認をさせていただきました。恐れ入ります。
平成十三年に起こったアメリカ同時多発テロ事件、いわゆる九・一一、ナインイレブンから十二年がたちました。テロ対策の必要性はますます高まっている状況にあります。ことし発生したボストンマラソンでの爆破事件は、これはもう記憶に新しい、無辜の民が殺傷されたわけであります。
二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの開催が決まり、国際的に注目が集まる中、東京はテロ対策に今以上に取り組まなければなりません。東京港は外国と日本とを結ぶ国際船舶が往来する拠点であり、船舶にテロリストが密航してくることも十分考えられます。
したがって、まず、きょうは第一のテーマとして、私はSOLAS条約対応についての港湾施設と、ソフト、ハードにわたる対策の充実、これをお尋ねするわけでありますけれども、決してのどかな議論であってはならないというふうに思っております。
この事業施策の重要性はあるけれども、一方で、実は今、かんの議員がいわれた港湾における交通混雑の大きな要因になる可能性も、このSOLAS対応の作業の中では起こり得るからであります。したがって、これは、きょうは大変重要な議論となると思います。
私はこれまで、例えば、SOLAS条約改正による港湾施設における保安対策の義務化、この議論の際に、この委員会で質疑を行い、いわゆる保安対策の義務化の際、この経港委で質疑を複数行って、警鐘を乱打してきました。
また、全国各地の港湾施設に視察に伺った際にも、具体的にSOLAS対応の実態が一体どうなっているのか、各港湾における事実関係もこの目で確認をしたりしてまいりました。フェンス、ゲート、照明灯、センサー、監視カメラ、それぞれ工夫を凝らしての、全国の各港におけるSOLAS対応が行われてまいりました。
そこで、東京港における港湾保安対策の取り組みの実態について伺うとともに、今まで密航事案等も東京港では数十人規模のものが発生をしているわけであります。テロにはつながってないけれども、密入国の事例というものもあるわけで、こうした点も踏まえて、まず、ご報告願います。
○笹川港湾経営部長 アメリカ同時多発テロを契機に、平成十四年に海上人命安全条約、いわゆるSOLAS条約が改正され、港湾施設における保安対策が義務づけられました。
我が国におきましては、改正条約の発効と同時の平成十六年、国際船舶港湾保安法が制定され、保安対策を開始いたしました。
保安対策において重要なのは、外国から入港する船舶が着岸するふ頭において出入り管理を徹底して行い、不審な者を出入りさせないことでございます。
東京港におきましては、平成十四年から十五年にかけ、テロリストではなかったものの、立て続けに数件の密航事案があり、中でも平成十四年十二月に発生した事案では、晴海ふ頭に入港した貨物船から五十三名の密航者がトラックで逃走し、銀座で発見され、機動隊が取り囲んで逮捕するというような事案もございました。
平成十六年度に、水際の第一線であるふ頭の出入り管理の徹底を図るため、全ての国際ふ頭施設にフェンスやゲート、照明設備等を整備し、中でも重要なふ頭につきましてはセンサーや監視カメラ等も整備し、警備を強化いたしました。
さらに、東京港管理事務所に設置した指令センターに専任の監視員を配置して、二十四時間の常駐監視を実施しております。また、保安対策を徹底するため、海上保安庁や警視庁、入国管理局、税関などの行政機関や港湾関係者とともに東京港保安委員会を組織し、年一回の実地の保安訓練を実施しているほか、保安対策の講習会も実施しております。そのため、平成十六年度以降、大規模な密航事案は発生しておりません。
○木内委員 常にそうした懸念と危険性をはらんだ状態がこれまで続いてきているということが、今の報告で明らかであります。
したがって、いよいよ、まさに今後、この対策を急がなければならない、そう思うのであります。取り組みを始めてから大規模な密航がないということであって、評価はできるけれども、その中にも大きな課題をお互いに見ることができるのであります。
例えば保安対策のための施設設備につきましては、平成十六年度に設置したという答弁だった。それから、今、十年がたとうとしております。そろそろ私は、これは老朽化したり劣化したりしてきて、物によっては更新時期に入っているのではないか、こう思うのであります。
そこで、今のいわゆる劣化、あるいは更新時期ということも念頭に置いて、今後そうした保安対策を実施していくための課題についてどのように認識しておられるか、お答え願います。
○笹川港湾経営部長 国際ふ頭施設の内外を隔てるフェンスやフェンスに設置したセンサー、監視カメラ、照明など、監視用の施設や設備を整備してから既に九年が経過しており、そうした施設設備を更新する時期に入っております。
施設等の整備には多額の資金が必要になります。平成十六年度に整備した際には国からの補助がございましたが、現在では更新のための補助制度がございません。
また、監視のための要員や施設設備の維持点検費については国の補助制度がなく、公共ふ頭においては港湾管理者及び施設管理者が、専用ふ頭においてはふ頭を使用している船会社や港湾運送会社などが経費を全額負担している状況でございます。
○木内委員 いわゆるイニシャルコストといいますか、最初にスタートするときの費用は国が出しますよと、しかし、あとの運用のための費用、ランニングコストは面倒を見ませんという、極めて無責任な国の姿勢であるということを私は指摘したいんです。
港湾における保安対策について、その相当な部分を港湾管理者やふ頭の利用者が担っているという答弁ですが、これはひどいですよ。社会環境が変わったために、例えば関係団体、民間の事業者がこれを負担しなければならない。どう考えたって理不尽な理屈だと私は思うのであります。
保安施設や設備は、監視のために必要なものであるし、不審者対策、テロ対策のかなめとなるものであります。更新のためには多額の費用が必要になる。私は、テロ対策は国を守ることであって、本来は国が責任を持って国の負担で実施していくべきだと、こう思うんです。
保安施設や設備の更新、保安対策の確実な実施に向けて、国に対して、例えば補助制度の創設を要望したり、あるいは、この補助金の環境というものをしっかりと国に対して求めていくべきだと、こう思うんですが、どうですか。
○笹川港湾経営部長 保安施設や設備は、不審者の出入りを抑止する上で不可欠であり、施設設備の点検や維持管理を適切に行うとともに、老朽化が進み支障が出る前に、順次、更新を図る必要がございます。
また、保安訓練で実地の経験を積み、監視や警備の能力を高め、対策を着実に実施していくことも重要でございます。施設設備の更新経費や監視等にかかるランニングコストにつきましては、これまでも国に対し補助制度の創設を要望してまいりましたが、今後も保安対策の円滑かつ確実な実施に向け、国に対して制度創設を要望してまいります。
○木内委員 重ねて申し上げますが、テロ対策については国が責任を持って進めるべきであると、このように思います。国にしっかりと要望し、保安のための設備を更新し、監視や警備の体制を強化するという、この事業の中で安全・安心な港をつくっていかなければならない、このことを強く申し上げます。
こうした不審者対策は非常に大切ですけれども、それだけでは足りない。ふ頭には多数の人が働いておられ、出入りしているという現実がある。例えば船の船員や、積み荷を検査したり荷役したりする労働者、貨物を搬出、搬入するトラックやトレーラーの運転手、さらには清掃業者や宅配便の集配など、さまざまな人々が出入りしている。テロリストが港湾で働く労働者に成り済まし、姿を変え、ふ頭に侵入するようなことも考えられるのであります。そうした状況では、ふ頭に立ち入る人々を把握したり、その出入りを管理することが重要です。
来年から、ふ頭への出入管理が極めて、これまでとは格段の差で強化されると聞いております。我々はこのことを知悉していく必要があると思いますし、いわばこうした対応によって、先ほど触れましたけれども、いわゆる港湾全体の効率化、あるいは交通混雑の招来も、これはあり得ないことではない。まず、その点、その内容についてお尋ねします。
○笹川港湾経営部長 港湾保安対策は、国際船舶港湾保安法等の関係法令や国が定めたガイドラインに沿って実施をしております。
国は、保安対策の強化のため、平成二十二年に出入り管理の具体的方法を告示し、国際ふ頭施設に入る全ての者に対して、身分証明書による本人確認、所属確認、目的確認のいわゆる三点確認を厳密に実施することを義務づけました。平成二十六年七月から三点確認の本格実施が開始される予定でございます。
この三点確認を行うために、国は、国際ふ頭施設に出入りする必要がある者に対して、PSカード、ポートセキュリティーカードという身分証明書を発行するとともに、PSカードを読み取って本人か否かを照合できる出入り管理情報システムを開発いたしました。
その上で、国は、各港湾管理者に対して、コンテナふ頭においてシステムを利用することを事実上、義務化いたしました。そのため、東京港においても出入り管理情報システムを導入することとし、コンテナふ頭などへ導入に向けて、現在、国や港湾関係者との調整を進めております。
システムを利用する場合、PSカードをシステムの読み取り機にかざすことで、カードが有効かどうか、すなわち、ふ頭に入る必要があるとしてカードや氏名等が事前に登録されている者かどうかわかります。PSカードの券面に印刷された本人の写真と顔とを照合することとあわせて、三点確認をすることとしております。
PSカードを持っていない場合、そもそも事前に登録されていないため、運転免許証などの身分証明書を示した上で、出入り管理の帳簿に手書きで所属や氏名、立ち入る目的、連絡先などを入場の都度、記入しなければなりません。
○木内委員 これは関係者とのいろんなネゴシエートが必要だと思うんですけれども、まともにやりますとえらいことになります。だけど、安全のためにやんなきゃいけない。これは、私は二律背反の対応になってくると思うんですね。
東京港としても、この出入管理強化に対応するため、コンテナふ頭にシステムを入れる必要があるということは、PSカードを持っていない場合、毎回、帳簿に氏名などを記入しなければならない。保安対策を厳重にするには必要なことではあるけれども、手間がかかるのは確かであります。それにより、ふ頭の運営にいろんな影響が出てくるんじゃないでしょうか。恐らく、これでは済まないと思うんだ、私は。
PSカード持っていない、免許証で確認する、免許証の本人かどうかを確認する、あるいは警視庁の本省の方に行く、そうして犯歴があるのかないのか、全部、これ、調べることになるケースも中にはあるんじゃないですか。実は、PSカードはそこまでオーソライズされたシステムなわけですから、オーソライズされていない、それだけの調べで出入りが自由にできるのかどうかも甚だ疑問なのであります。
今、私申し上げたようなことで、この出入り管理の強化によって生じる課題が推測されると思うんですが、どうですか。
○笹川港湾経営部長 国は、コンテナふ頭に入るコンテナトレーラーの運転手について、出入り管理情報システムによる三点確認を義務づけておりますが、運転手がPSカードを持参していない場合は、帳簿に所属や氏名などを記入させる必要があります。
PSカードを持っている場合でも、システムでの読み取りに手間取ることも考えられますが、そのような場合、ふ頭への入場に時間がかかり、交通渋滞を引き起こすおそれがございます。
また、三点確認を実施するために警備員を増員する必要が出てくるほか、システムの利用料なども必要となるなど、コストが増大いたします。
さらに、国は、PSカードの発行対象を貨物運送事業者とシステムを利用しているふ頭に出入りする港湾運送事業者に限定しているため、発行対象から漏れる方も出てまいります。
システムを利用しない在来ふ頭、例えば、先日、大型客船が入港いたしました大井水産物ふ頭などがそうでございますけれども、ここに出入りする事業者で貨物運送事業者以外の事業者、例えば荷物を受け取りに来る自営業者、スーパーマーケットなどに魚を卸す事業者の方などがいらっしゃいますけれども、そういった方につきましては、PSカードの発行対象となっておりません。
このように、システム利用が義務化されていない在来ふ頭につきましては、出入り管理の帳簿への記入による時間のロスを避けるため、PSカードの発行対象とならない事業者などに対して何らかの手当てが必要となります。
○木内委員 私は、きょうの審議は非常に意味があると思うんです。自然にその時期が来て、このシステムが導入をされて、いたずらに現場が混乱したり、交通混雑を初めとしていろいろな事態というものが惹起されてくる。こういうことがあってはならないわけでありまして、実は事前に、今からさまざまな面における準備をしていく必要があるのではないか、このことをきょうの議論を通じて強く要望しておきたいと思いますので、ぜひ受けとめていただいて、知恵を出し、その際、非常に重要なのは、ノウハウと、それから費用の問題。要するにコストの負担を誰がどこでするか。
私がさっきいった、国は、元来、これは持つべきだと思う。しかし、経過的に間に合わないならば、じゃあ、どこが負担するか。港湾管理者なのか、あるいは現場の関係団体に所属する民間会社なのか。とんでもないことでありまして、この辺の議論も早急に行って、一定のあるべき結論というものを出していただきたい。強く要望しておきたいと思います。
いずれにしても、この出入管理の強化に際しては、さまざまな課題があることがわかりました。
何度もいうけれども、交通渋滞、それじゃなくても、地域住民の方からいろんなお声が出ている。加えて、このカードの、あるいは持たないドライバー等によって時間がロスされる。これは、まさに社会資本の損失につながってくる事態でありますから、ぜひ理解の上、対策を、検討を至急にされたいと思います。
このふ頭の出入りの際に渋滞を招かないようにすることは、円滑な物流に不可欠であります。一方で、保安対策をしっかり実施しなければ、安全な港として国際的にも認識されなくなる。これは重要なことです。東京港から国際船舶が逃げてしまう可能性があるんです。
いろんな面で国際競争力を強化しよう、コンテナの扱い量が日本一だ、何々が日本一だ、釜山に比べて、あるいはどこどこに比べてといつもいうけれども、一生懸命努力してるのに、こういう事件が、テロが一件起きると、国際船舶は全部東京港から逃げますよ。それほど、だから、さっき冒頭いったけど、きょうの議論はのどかなものではない。このことも、局の皆様、ぜひ受けとめていただきたいと思うんです。
いえることは、物流の効率化と保安対策の充実との両立を図っていかなければならないから、これからが特に大変なんです。
さて、申し上げたこうした課題に対して、東京都として、また、東京港としての具体的な対応の方向をお示しいただきたいと思います。
○笹川港湾経営部長 出入り管理の強化に伴う課題につきましては、ふ頭の出入り口で出入り管理を強化することにより道路の渋滞を招かないよう、関係者と十分調整を行い、ふ頭での業務の実態に合った形で対策を検討してまいります。
また、可能な限り短時間で、トラブルなくシステムの読み取りができるようなシステムとなるよう国に働きかけてまいります。
さらに、来年七月の三点確認の実施に向けて、PSカードの普及率を高めるよう国に働きかけを行うとともに、東京港としても啓発を行ってまいります。
システムの導入に当たりましては、実証実験を実施するなど、段階的に港湾関係者の方々と調整しながら、丁寧な対応を行ってまいります。
システムの導入の必要がない在来ふ頭など、PSカードの発行対象とならない方々につきましては、出入り管理の強化に対応するため、PSカードに準じた身分証明書として東京港スタッフカードを都が独自に発行することとし、今年度より発行を開始いたしました。
○木内委員 これまでの質疑で、東京港が、あるいは港湾局がしっかりとした保安対策を実施し、課題に適切に対応している、また、今後予想される課題に対しても対応しようとしているという状況がよく理解できるわけであります。
東京港スタッフカードのような目配りのきいた都独自の対応を行っているということ、これは都独自の対応であり、固有の施策であると思いますので、これは高く評価をしてまいりたいと思います。
当面は、目前の課題への対応に追われると思います。保安対策は大切であるけれども、物流の効率化を犠牲にしてはならないという反面、実態もある。将来的には保安対策と物流との調和を図るため、業務の工夫や技術開発に取り組み、保安業務の効率化を検討するよう、まず要望をさせていただきたいと思います。
次に、臨海副都心における機能連携についてお尋ねします。
臨海副都心の職、住、学、遊、この複合的な機能向上などについて質疑を進めます。
ここ数年は、日本経済の低迷など暗い話題が続いてきた中、私ども公明党は、あの感動をもう一度、オリンピックを東京でと呼びかけてきましたが、ついに先月、東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定しました。今後、臨海副都心は、国の内外から今まで以上に注目を集めることになると思います。
私は、臨海副都心を平成元年の開発着手以来、応援をしてまいりましたが、着実にまちとして成長してきており、また、二〇二〇年には世界中からのお客様をお迎えできることとなり、まことに感慨深いものがあります。都民の将来的な、大きな、偉大な財産、資産、それが臨海副都心であります。
私はこれまで、この経済・港湾委員会、あるいは本会議の質問の中で、この臨海副都心の発展、発達に向けてさまざまな提案を行い、また、いろんな意見を申し上げてきました。
例えば、今でも一番印象的なのは、一期生議員のときに経済・港湾委員会で私が行った、臨海副都心に総合病院を誘致すべきだという提案を行ったことを契機として、都内、いわゆる局内における議論が始まり、当時、大塚にありました癌研大塚病院が、あの現地を全部売却処分して、有明の丘にがん研有明病院として移転をしてこられた。
当時、こういう医療機能、あるいはアカデミックな側面というものはなかったけれども、こうした一つ一つの提案が実って、あの臨海副都心は歴史を刻んできているのであります。
中小企業の技術開発支援を行う産技研、産総研のほか、大学も開校してきている。すごいことです。観光都市、ビジネス都市としての側面のほかに、アカデミックな都市としての側面も持つ複合的な都市へと発展をしてきました。港湾局の皆さんが、そして港湾局の先輩の方々も大変なご苦労をして、このまちを慈しみ、育ててきたことにも深く敬意を表したいと思います。
こうした複合的な都市機能は、アジアのビジネス拠点となることを目指すアジアヘッドクオーター特区構想においても大きなポテンシャルとなる重要な要素です。今後は、ビジネスはもちろんのこと、東京オリンピック・パラリンピックを契機として、スポーツや文化の分野でも今まで以上に世界との交流が深まります。
こうした中、臨海副都心は、職、住、学、遊の複合的な機能を生かして、世界との交流拠点、その交流のコアになってくると、こういうふうにも私は確信をしております。
さて、東京都は、昨年、MICE拠点化推進事業という補助制度を立ち上げ、二十四年度は医療の国際化として、さっき申し上げたがん研に、電子カルテシステムの外国語対応や、タブレット端末の活用による通訳機能つきの会話帳などの補助を行いました。これは、地味ではあるけれども港湾局の大ヒットであります。
昨年は、東京ビッグサイト等に来場され、急病になり、がん研に搬送された外国人の救急患者が四十人もいました。すぐれた治療、診療を求めて、在日、訪日の外国人患者が八百人以上も来院をしたんです。
今後、ますます海外からのお客様の増加が予想される中、昨年度の取り組みをさらに充実させ、外国人の方々が安心して治療を受けられる環境を整備すべきだと思いますが、今年度の取り組みについて明らかにしてください。
○山口営業担当部長 今年度は、都独自の補助制度を活用いたしまして、外国人患者受け入れ促進のための環境整備として、昨年度、補助制度を活用して、がん研有明病院において整備をいたしました多言語対応の電子カルテシステムと連動させて、千三百台の端末による多言語の患者呼び出しシステムを整備することといたしました。
これによりまして、外国人の方々が受診する際の安心の一助になるとともに、患者さんのプライバシーの保護にも寄与し、在日、または来日の方々への医療環境の充実につながるものと考えております。
○木内委員 こうした本来の医療機能のほかに、外国人が来院しやすい、受診しやすい環境をつくっていくという、オプションといっていいかもしれないけれども、大きな魅力ある医療施設になってきているんだ、このことも申し上げたいと思います。
日本の最新の治療を、言葉の心配をせずに受けることができる多言語対応の電子カルテシステム、あるいは多言語の患者呼び出しシステム、あるいは通訳機能つきの会話帳など、もう枚挙にいとまがないくらい、どんどんどんどん、東京都港湾局の支援によって、この病院は大きな力をさらにつけてきている。
もとより、いろんなメディアでいろんな調査、あるいはアンケートがあって、そうして、この日本におけるがん治療の水準、ランキングというものがよく発表されますけれども、実は常に最上位のグループに位置しているのがこのがん研有明病院です。まさに日本を代表する医療機能が、港湾局の手によってその輝かしい歴史を、今、刻んでいるということ、ぜひ局の皆さんも自信を持っていただきたいと思うんです。
臨海副都心内にある唯一の大規模な病院として、がん研の国際対応機能の強化は必要不可欠の取り組みです。
臨海副都心は、商業、業務機能だけでなく、病院や教育、研究開発等の機能など、複合的機能の集積が見られ、これらを発展させていくことが、また成熟したまちづくりにつながることは間違いありません。
このまちにはいろんな要素があるんです。既に進出している産技研などの研究開発機能と進出事業者との連携をさらに図ることができれば、新たな知見の獲得にもつなげることができるのではないか、こう思うんですね。今、臨海副都心はすごいんですね。日本を代表する、いろんな顔を持った、最高水準の中身が本当に充実している地域になってきたんです。臨海開発反対なんていっている政党があるけど、どういう意味なのかね。
今年度の補助対象の中には、再生医療の研究施設への補助もあります。再生医療は時代の最先端を行く研究であり、国内外の多くの研究機関が先を争って研究を進めていると聞いています。
今回の研究施設は、地域連携で相乗効果を生み出し、再生医療の一大拠点となる可能性がある取り組みと考えますけれども、具体的な内容と今後の狙いについて明らかにしてください。
○山口営業担当部長 臨海副都心のうち、青海地区南側は、研究開発、産業創生のまちとして発展しております。
同地区には、東京都産業技術研究センターや国の産業技術総合研究所などの研究機関が集積しておりまして、ベンチャー企業など民間の研究開発機関が進出し、有機的な連携を図ることができれば、ますます同地区のポテンシャルが向上していくと考えております。
同地区のタイム二十四ビルには、再生医療に欠かせないiPS細胞に代表される肝細胞を培養するための独自の技術を持ち、産技研との連携により研究を進めている民間事業者が入居しております。
同社には、アメリカ、中国、ロシアを初め、国内外の大学や医療関係者などが業務提携、共同研究に向け多数訪れております。国内有数の医療品メーカー、医薬品メーカーとは実際に共同研究を行っておりまして、ことし八月に、タイム二十四ビルにその医薬品メーカーの研究室が新たに設置されたところでございます。
今年度は、増加傾向にある同社への海外研究機関等からの視察者への対応を一層強化することといたしまして、国内外の研究開発機関との共同研究の促進に効果が高い、研究室のショールーム化など施設設備の整備に対して補助することといたしました。
こうした取り組みによりまして、海外の研究機関や医療技術関連企業などの進出のきっかけをつくり、青海地区南側のすぐれた研究環境を生かし、再生医療技術研究開発拠点としての発展を促してまいります。
○木内委員 再生医療は世界中で注目されている分野でありまして、既にこの地区には、ベンチャー企業を初め、大手医薬品メーカーまで、さまざまな規模の機関が進出をしておりまして、こういう研究機能、開発機能というものが一体的な、いわゆるコラボといいますか、連携をして、こうした大きな成果を出しているということであります。
青海地区南側は研究開発、産業創生のまちとして発展してきているとの報告がありましたが、毎年、独立行政法人科学技術振興機構が、日本科学未来館、産総研、産技研、東京国際交流館などを会場にして、サイエンスアゴラという科学コミュニケーションの見本市としてのイベントを開催しており、昨年は二日間で六千人を超える方が来訪しています。
このイベントでは、最先端の科学の研究をわかりやすく展示、発表することにより、幅広い世代まで、幅広く科学に親しんでもらい、この科学の普及振興を進めていくという目的があります。
日本全国の大学や研究機関等から出展をされて、ことしは十一月、内閣府で主導している、世界のトップの研究を目指して創設された最先端研究開発支援プログラムに指定されている最先端の免疫学の研究出展などもあり、こうした科学者同士の交流の場ともなっているのであります。
一方、サイエンスアゴラは、日本の将来を担う子供たちに科学を身近に感じてもらうなど、まさに臨海副都心で実施するにふさわしい、知の交流の場ともなっているのであります。
こうした取り組みは大いにPRして、科学を身近なものとして触れることのできる場所として、この地域の、臨海の認知度を高めていくことも重要であると思うんです。
この科学への、あるいは教育への発信拠点としての臨海副都心の位置づけも可能かと思いますが、どうでしょうか。
○山口営業担当部長 サイエンスアゴラは、研究機関等が集積している青海地区南側の特性を生かしたアカデミックなイベントでございまして、このイベントにより、全国からさまざまな研究の発表や体験型の実験などが集中して行われることは多くの相乗効果を生み出すと考えておりまして、より多くの方々に周知していくことが重要と考えております。
今年度は、サイエンスアゴラの事務局や東京都教育委員会と連携いたしまして、臨海地区にあります五区の小中学校へパンフレットの配布などを行うことにより、広くサイエンスアゴラの周知を図りました。
今後は、さらにPRの取り組みを強化していくため、地元紙による広報や、進出事業者などを含めてまち全体での取り組みを進めまして、臨海副都心のエリア全体に広がりを持つイベントとなるよう後援するなど、この地区のブランド力の強化に努めてまいります。
○木内委員 今触れたサイエンスアゴラには、この地域にある外国人留学生の寮である東京国際交流館の入居者が積極的にかかわっておりますので、一言この施設について触れたいと思うんです。
東京国際交流館のある青海地区南側一帯は、国際研究交流大学村として、平成十年に閣議決定され、世界に向けた知的ネットワークの形成、情報発信を行う拠点として、東京国際交流館、日本科学未来館、産総研の三つの施設から構成されています。
このうち、東京国際交流館には、アジア、欧米、アフリカなど世界各国からの優秀な留学生や国内外の研究生等に、高度の知的交流の機会と質の高い生活環境を提供することを目的として、家族用、単身者用を含め、約八百室の留学生、研究者宿舎があります。
実は、ここに入居していた方々は、母国でも将来を嘱望される有為な人材が多く、日本に滞在中にさまざまな実績を残し、ネットワークを構築しているとも聞いています。
ところが、さきの民主党政権のときの行政刷新会議において事業仕分けが行われ、その結果、東京国際交流館を含む、全国で十四カ所の国際交流会館については、大学等への売却を進め、平成二十三年度までに廃止されることになりました。全くばかなことをしたものであります。国家百年の計から考えるならば、なぜこういう事業を切り捨てるのか。まさに失われた、こうした民主党政権の期間であった。国際性、先進性のない思いつきの政策としか思えないのであります。
東京国際交流館については、売却先が見つからなかったため、廃止の進め方について、平成二十六年三月までに結論を得ることになりました。入居している留学生については、順次、退去が進められ、民主党による事業仕分け前には約九割もいた入居率が、一時期は四割まで落ち込み、現在入居している留学生についても、平成二十六年三月には廃止になることもある、こういうふうに説明されています。海外からの留学生等は、日本での学業、研究を進めていく上で最も重要な住まいを失うかもしれないという大きな不安を抱えながら毎日を過ごしているのであります。
東京国際交流館は、他の国際交流会館と入居条件が異なり、大学院生以上の留学生や研究者であることを条件としており、さっきもちょっと触れたけれども、帰国後は母国でトップクラスの行政官、研究者となることが期待されています。
中長期的に見ますと、将来、日本と世界各国のかけ橋になる人材の育成に大きく寄与する存在だと、こう考えられます。現在、国において、引き続きその取り扱いについて検討が進められているわけでありますが、これまでるる申し上げてきた状況から見れば、この施設は、日本の国として国際交流を深める貴重な場として存続させるべきだと、私は考えております。党内においても、このことをしっかりと訴え抜いてまいりたい、こう思います。
さて、次の機能連携でありますが、臨海副都心、スポーツとの関係性が非常に深くなってきました。さきの経済・港湾委員会でも、シンボルプロムナード公園におけるランニングコースの開設など、私は提案をし、実現をしていただきました。
臨海副都心は、また他面、スポーツを行う場として、またトップレベルのスポーツを見ることのできる場として既に認知されていると思いますが、東京オリンピック・パラリンピックの開催決定も受けて、今後、スポーツグッズショップなどスポーツ関連の需要も高まると思います。
先日、国際展示場駅前の有明南K区画において応募者があり、募集を締め切るとの話がありました。現在は審査中だと思いますが、この土地は商業用地だったというふうに理解をしております。こうした点も踏まえて、テナントにはスポーツ関連の企業を誘致するなど、七年後を見据えた取り組みをしてもらいたい、このことを訴えるものですが、見解を伺います。
○山口営業担当部長 本年四月から公募を開始いたしました有明南K区画につきましては、多数の事業者からのお問い合わせをいただきました。最終的に一件の応募がございまして、今月七日に公募を締め切ったところでございます。
この施設につきましては、今後のスポーツ関連の需要の高まりも見据えながら、スポーツ関連のテナントの入居も促してまいりたいと考えております。
○木内委員 この段階ですから、具体的にどこの企業云々ということはお尋ねしませんけれども、質疑の趣旨を踏まえて、ぜひ前向きに取り組みをしていただきたいと、こう思うのであります。
三番目のテーマ、舟運の活性化についてであります。
水辺は私たちのまち東京にありまして、川や海という自然と人の営みとを結ぶ貴重な接点であります。災害時には、舟運を活用して救援物資や被災者を運ぶことができます。関東大震災のときは、まさにそうでありました。私の地元江東区の屋形船の組合の皆さんも、発災時における被災者支援、救済のためのいろいろな工夫と知恵を凝らしていただいているところであります。
海上交通だけでなく、観光やレクリエーション、防災に、舟運は活用、活躍できる、そういう可能性を秘めていると思います。
そこで、舟運を活性化することは都政にとっても大変重要だと考えますが、これまでの、事、舟運に限っての経過についてご報告を願います。
○笹川港湾経営部長 東京港には数多くの運河がございます。水上バスや屋形船には多くの都民や観光客が乗船し、水上からの眺望を楽しんでいただいております。特にスカイツリーやお台場への航路には、大勢の観光客においでいただいております。
また、防災面から考えますと、阪神大震災の際にも、道路が使えないときに海上輸送が活躍したと聞いております。災害時には、舟運を活用して物資や被災者等の輸送を行うことが可能であります。
このように、舟運は海上輸送だけではなく、観光や防災に活用できる可能性がございます。
二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの開催に向けて、臨海部は今後ますます注目を浴び、多くの人々が訪れると想定されますので、東京港において舟運の活性化を図ることはとても重要であると考えております。
都の取り組みといたしましては、これまで運河ルネサンスの取り組みを推進するとともに、アジアヘッドクオーター特区における規制緩和により、羽田空港と臨海副都心とを結ぶ旅客不定期航路について、乗り合い片道運航の解禁などに取り組んでまいりました。
○木内委員 舟運の活用というのは大変多分野にわたって可能でありまして、おとといの産業労働局の事務事業質疑のときにも、観光というテーマに絞って、品川の天王洲の人の動線の誘導等含めて水上リムジン、水上バスについて提案もさせていただきました。
かねてこの委員会で、水上バス、リムジンを東京港に導入すべきだと訴えてきましたが、既にこれが実現をされた。この水上リムジンも水上バスも、実はいろんな、都市の活性化を行う上で、観光の、いわば活用を行う上で実は大きな力を持っている、こういうふうに思うのであります。
そうした、いわば東京には掘っても掘り尽くせないほどの観光資源というのがあるんです。例えば隅田川沿いだけ見てみても、スカイツリーが対岸にあって、下ると両国国技館、今は展望庭園となっている芭蕉庵の史跡がすぐ川沿いにある。多くの橋をくぐる。浜離宮を過ぎれば、視界が開けてレインボーブリッジがある。さらには東京港のガントリークレーン群が見えてくる。
さっきの谷村委員の質疑にあったけれども、このガントリークレーン群についても、色分けをして見事な景観のロケーションというものをつくっていくんだというお話もあったけれども、そういういろいろな、わずか短期間における隅田川沿岸を見ただけでもあるわけでありまして、そうした新旧の観光資源をうまく生かして、それらを舟運で結んでいけば、この舟運の活性化ということはさらに大きく前進するのではないか、こう思うんですが、どうでしょうか。
○笹川港湾経営部長 委員ご指摘のとおり、東京は水辺に多くの観光資源がございます。
東京港内にも、浜離宮庭園や江戸幕府により築かれた台場などの史跡がございます。また、豊洲やお台場などの新しい集客施設や観光スポットもございます。コンテナふ頭のガントリークレーンなども産業観光の舞台になると考えられます。
舟運関係の事業者の方に伺うと、水上バスは海外からの観光客にも人気があり、そうした外国人観光客が収益の柱の一つになっているとのことでございます。
こうした観光資源を活用することにより、観光客に東京を感じてもらえるコースをつくることができ、舟運の活性化に大変役立つものと考えております。
○木内委員 申し上げたように、私は、昨年とことしの第一回定例会で、水上タクシーの実現に向けた提案をしてきましたが、水上タクシー、もう少し高級なものは水上リムジンといってもいいと思うんですが、その実現に向けた状況についてご報告をいただきたいと思います。
なお、答弁する側にとってまごついておられるのは、もう少し、質問の時間はたっぷりあるんだけれども、あんまりゆっくりやっちゃいますと、私の質問時間の中におさまらないもんだから、趣旨をご理解いただいて答弁してください。
○笹川港湾経営部長 いわゆる水上タクシーにつきましては、その先駆的な事業ともいえる小型船の貸し切り運航が、ことしの夏から民間の舟運事業者によって開始されたところでございます。
当該事業は、陸上のハイヤーのように、事前の予約により貸し切りで運航されるものです。その事業者はリムジンボートと呼んでいますが、旅客定員十二名の高級感のある船が使われ、羽田空港や豊洲、日本橋などを結んでおり、羽田から日本橋まで約四十分で到着するとのことです。
こうした水上タクシー、水上リムジンを活用した舟運の活性化も非常に重要であると考えております。
○木内委員 みずから提案をして、これが実現をした。本当に感慨深いものがあるわけでありますけれども、予約をすれば船で日本橋や羽田に行ける、便利になったなったもんだと思うんですが、通常の自動車のタクシーであれば、道路があればどこでも乗りおりできるが、船ではそうはいかないんですね。桟橋など船着き場が必要になります。
昨年の定例会での議論の中でも、桟橋の利用調整などの課題があると伺いました。水上タクシーの利用を促進させるために、その環境を整備すべきであると考えます。利用可能な桟橋を実体的にふやしていくべきだと考えます。
そこで、水上タクシーが現状で利用できる桟橋はどのくらいありますか。
○笹川港湾経営部長 東京港内には、民間を含め、旅客用の小型船桟橋が二十カ所以上ございますが、現在、運航されているリムジンボートは、羽田空港、天空橋、芝浦、豊洲、日本橋、浅草の六カ所の桟橋を利用しています。
○木内委員 利用できる桟橋がふえて水上タクシーのネットワークができてくると、舟運がますます活性化する。そこで気になるのは料金なんです。私はおととい産業労働局の質疑のときに、日本橋から羽田まで一万円単位と申し上げたんだけれども、これは安い数字であって、実際にはもう少し高いかもしれませんけれども、どのくらいするんですか。
○笹川港湾経営部長 現在、運航されているリムジンボートの料金は、例えば日本橋から羽田空港まで、片道の場合、回航料金を含め二万円と伺っております。
○木内委員 私がおととい申し上げた一万円というのは間違いでありますので、この場で訂正させていただきます。
日本橋から羽田空港まで二万円、五人で乗れば一人四千円、十人で乗れば一人二千円、そう考えると、海上は渋滞もないし、水上からの眺めも楽しいし、非常にリーズナブルであると、こういうふうに思うのであります。
観光資源の話でありますけれども、既にある観光資源を活用するということも大事ですけれども、これを発掘して活用するという視点も大切です。
この委員会で何度も取り上げていますが、天王洲の地域の方から伺った話、品川区の天王洲は運河に囲まれている、見方を変えると一つの島だということだそうです。そして、橋は島へのエントランスなんだと。なるほど運河は海なのだからそう考えることもできる。そうした島へのアクセスとして、水上バスなどの舟運を活用したいという話だった。
天王洲というところは、水辺のにぎわいづくりを積極的に進めているところで、水上レストランなんかは既にある。近くには旧東海道、最初の宿場であった品川宿、古くから鎮座している神社もある。東京海洋大のキャンパスには、雲鷹丸という、かつて蟹工船に使われた船もそのまま残っていて、いわば地域的に新しいものと古いものと、さまざまな魅力に富む地域である。
おとといの質疑の中で、こうした地元の熱意に応えて、東京都産業労働局は、アドバイザー派遣事業の対象として、ぜひ検討が可能であると、こういう答弁がありました。また、地域の地権者が協議会をつくるなど、まちづくりに非常に熱心に取り組んでいます。
天王洲は、舟運を活性化させる地域として非常に有望だと考えますが、これを突破口にして、東京港全体にこうした観光資源の活用による舟運活性化の動きを広げてはどうかと思うんです。いかがでしょうか。
○笹川港湾経営部長 天王洲は水辺にウッドデッキがめぐらされ、民間の桟橋が多数つくられ、東京港で初めての水上レストランもあるなど、水辺のにぎわいづくりを進めている地域でございます。
近くには、旧東海道品川宿など史跡があるほか、雲鷹丸のある東京海洋大学などは観光資源としての可能性を、ご指摘のとおり秘めております。
このように、新たな観光資源を発掘し、あるいは再認識し、こうした場所に舟運を結びつけることは、東京港における舟運の可能性を大いに広げるものと考えております。
しかしながら、一方で、航路を開設するには人件費や燃料代などのコストがかかるため、民間が主体である舟運事業者にとって、採算が合うかどうかが最大の課題であると認識しております。
○木内委員 確かにあれですね、採算が合うかどうかというのは一番大事なことですけれども、天王洲の場合は、桟橋は既にあるし、舟運事業者は民間が主体であるから採算が合うかどうかがポイントであるというのは理解できます。先ほどの水上タクシーなども活用して、解決できる道が必ずあると私は考えています。
そこで、舟運活性化を進めるために、そうした課題に対して都はどう取り組んでいくのか聞かせてください。
○笹川港湾経営部長 課題に対応して、舟運の活性化を進めるためには、都として民間事業者の支援を強化していくことが必要でございます。
舟運活性化の支援策として、舟運の需要の調査や、新たな観光資源の発掘による需要の開発に取り組むとともに、観光関連の事業者とのマッチングを促進することも有効な手段と考えます。
例えば、水上タクシーのような小型の船の貸し切り運航から始め、需要を探り、利用が伸びてくれば水上バスの定期運航を開始するなど、段階を踏んで進めることも考えられます。こういったソフト面での支援を中心に、丁寧に民間事業者による事業化を進めることが重要であると考えます。
まずは、天王洲における舟運活性化を推進していくため、都といたしましては、地元の協議会と舟運事業者とのマッチングを進め、水上タクシーを初めとした民間での需要を探りながら、舟運の活性化を図ってまいります。
○木内委員 私の時間が四十八分までなので、あとまだ五分ある。
都として舟運を活性化させるため、舟運事業者との仲人役を果たすなど、労をとり、課題に対して丁寧に取り組んでいくという、そういう説明でした。水上タクシーから運航を始め、需要が拡大していくということになれば、水上バスを結ぶこともできるのではないか、ぜひご努力を重ねていただきたいと思います。
きょうは舟運の活性化について質疑を行ってきましたが、最後に、舟運活性化に向けた局長の決意を伺いたいと思います。
○多羅尾港湾局長 東京の舟運は江戸時代からの歴史がございます。舟運は江戸の人々の生活の足であり、あの松尾芭蕉も奥の細道への旅を始める際には、その第一歩は船で深川から千住へ向かったということでございます。また、当時の人々が舟遊びに興じた姿は現在でも、屋形船として伝統が生きております。
二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの開催が決まり、国際観光都市としての魅力の向上や、臨海地域の交通網の充実は、東京の都市力を強化するための重要課題であり、舟運の活性化は、現在、改めて注目すべき重要なテーマであると認識しております。
具体的には、観光面では江戸情緒あふれる屋形船や、大都市東京の新旧の景観を海や運河から眺めるクルーズは、海外からの来訪者へのおもてなしとしても最適といえるかと思います。
また、海上交通の手段としては、水上タクシーや、羽田空港と臨海副都心を結ぶ不定期航路のように、観光要素も兼ねた舟運も実現しつつございますが、香港のスターフェリーのような通勤通学の足としての定期運航の研究の余地もあるのではないかと考えております。
さらに、大規模地震等の非常災害時においても、物資や被災者の輸送手段として、舟運の活用は有効でございます。
東京港における舟運の可能性は極めて高く、都としては桟橋など施設整備や規制緩和などを引き続き行うとともに、民間事業者の活動を支援する取り組みを推進し、東京港において舟運の活性化を実現していきたいと思っております。
○木内委員 香港のスターフェリーのことは、発想として初めて聞きました。私もしっかり勉強してまいりたい。
舟運は、東京の魅力を高める重要なツールになると確信しております。この活性化のために、局を挙げて精力的なご努力をされるよう、心から要望して私の質問を終わります。
○田中副委員長 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
午後五時四十五分休憩
午後六時十五分開議
○田中副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○かち委員 それでは、最初に、防災対策についてお聞きします。
近年この東京にも、近い将来震度七クラスに及ぶ巨大地震の発生確率が高まり、気候変動の異常や地球温暖化が進む中で、一旦地震や台風、豪雨が来れば、極端な大被害が国の内外、各地で起きております。こうした中で、津波や高潮から都民の生命、財産を守るための海岸保全における防災対策は喫緊の課題となっています。
一昨年の東日本大震災を受けて、東京湾北部地震や元禄型関東地域地震など、今後、予測される最大級の地震や台風などに備えた東京港の海岸防災対策の強化が求められてきた中で、港湾保全整備計画の新たな見直しが行われました。
そこで、今日の時点における東京湾の海岸保全の計画と進捗状況を伺います。
○石山港湾整備部長 都はこれまで、防潮堤等の耐震対策を行ってまいりましたが、東日本大震災を踏まえ、東京都防災会議が新たに想定した最大級の地震に対応するため、昨年十二月に十カ年の東京港海岸保全施設整備計画を策定し、耐震性の強化に取り組んでいるところでございます。
この計画では、防潮堤約六十キロメートルのうち約四十三キロメートルは対策済みでございまして、残る約十七キロメートルの防潮堤について耐震対策を実施することとしております。
○かち委員 残る十七キロを十年間で行うとのことですが、十年間の整備費用の概算はどれぐらいになるのでしょうか。
○石山港湾整備部長 東京港海岸保全施設整備計画の概算事業費は、先ほど申しました防潮堤あるいは内部護岸等も含めまして、全体で約千五百億円を見込んでおります。
○かち委員 全体で千五百億円、年平均にすると百五十億円の費用を要する整備計画だということです。
東日本大震災の津波警報を受け、今回はさまざまな教訓を引き出し、この海岸保全施設整備計画に生かされてきているものとは思います。
東京湾に面している城南地域、大田区には四つの水門があります。整備計画によりますと、そのうちの一つ、南前堀水門は既に廃止が決定しており、設計に入っているとのことですが、あと三つの北前堀、呑川、貴船の水門も廃止して防潮堤に変えると伺っておりますが、その進捗状況と今後の計画について伺います。
○石山港湾整備部長 大田区にある残る三つの水門でございますが、北前堀水門につきましては、地元大田区と協議しながら、防潮堤の整備費等について検討を行っているところでございます。
呑川水門、貴船水門につきましては、今年度、測量調査等を行う予定でございます。
○かち委員 こうした水門の周辺環境が大きく変貌し、住宅地が広がっている中で、水門よりも堅固な防潮堤にしていくことが望まれています。
大田区には、東糀谷地域の防潮堤の外側に高齢者と障害者の複合施設があります。大震災の後、この付近の現状はどうかということで視察をしました。羽田空港のすぐ裏手に当たるこの地域は、港湾整備が早くから行われてきたとのことですが、この地域の護岸はかなり老朽化している状況です。
今回の震災の新たな被害はなかったようですが、コンクリートの劣化が起きており、すき間などがあり、継ぎはぎの補修はしているものの、老朽化が激しい現状を目の当たりにしました。その水門の対岸に、この福祉施設が立地しているんです。
この北前堀水門の整備はいまだ大田区と調整中とのことですが、老朽化が激しく、隣接してこのような施設があるということから、大田区との協議を十分進めながらも、一日も早く整備計画を進めるよう要望しておきます。
また、港湾管理者として、防潮堤の外側にこのような建築物を建てるということをどのように認識しているでしょうか。
○石山港湾整備部長 ご質問の福祉施設のような建築物は、できる限り防潮堤の内側に建築していただきたいと考えております。
ただ、この当該施設につきましては、都の防潮堤の高さを勘案し、事業者みずからが防潮堤に準ずる施設を設置し、床面を高くするなどの対応をとっていると認識しております。
○かち委員 確かに建築物は盛り土の上に建ってはおりますけれども、埋立地の多い大田区などでは、一旦震災が起こると液状化の問題も指摘をされております。
こういう中で、建設許可は建築基準法に照らしてクリアしていれば許可になるという仕組みですけれども、しかし、数年前に台風があり、高潮の危険があるということで陸閘が閉められました。この施設が一時孤立するという事態も起こりました。
今後、重度介護を必要とする高齢者や障害者の入居者が集中しているこのような施設が、こういう危険のリスクが高い場所に建設することを抑制する仕組みが必要だと考えます。当該の局としても、このようなことを関係部局とぜひ話し合いをしていただきたいと思います。
高潮、津波から住民を守るために、陸閘や水門、排水機場等があるわけですが、さきの大震災時、結果的に大事はなかったものの、陸閘の開閉が若干おくれたとの事実は、二〇一一年の決算委員会で我が党の議員が明らかにしたところです。
港湾管理の陸閘は都内にどれだけあり、委託管理をしているのはどれだけあるのでしょうか。
また、東日本大震災後に、陸閘の操作体制をどのように強化されたのでしょうか。
○石山港湾整備部長 現在、港湾局が管理している防潮堤、私ども陸閘と呼んでいますけれども、三十五カ所ありまして、そのうち業務委託により操作しているものは十六カ所でございます。
陸閘の操作体制につきましては、東日本大震災を教訓として、即時閉鎖が可能となるよう、人員体制を強化するとともに、衛星携帯電話の配備などの対策を講じてまいりました。
○かち委員 全部で三十五個あるうちの十六カ所が委託管理ということですけれども、人員体制の強化というご答弁がありましたが、それは委託先の体制強化をされたということですね。
大震災前までは、ここ東糀谷の陸閘は、隣接の工場と協定をしていたわけですけれども、夜間、休日などはどうするのか、こういう問題もあったわけです。より安全確保という点で委託に切りかえたということは一定の前進だとは思いますが、事は命の安全にかかわる判断と行動が求められることであり、都の職員がより確実に状況判断と対応ができる体制をとるよう求めておきます。
さて、津波、高潮対策では、都内で最も高い潮位が予測されている品川の立会川、大田区で最も高い平和島競艇場などの対策の計画はどのように進めるのでしょうか。
○石山港湾整備部長 昨年四月に東京都防災会議が示した被害想定におきまして、想定される津波高が最も高い場所は品川区でございまして、東京湾の平均海面から約二・六メートルの高さとなっております。
これに対しまして、東京港の防潮堤の高さは、東京湾の平均海面から約三・五メートルから六・九メートルの高さのものがありまして、津波が防潮堤を超える想定にはなっておりません。
したがいまして、高さにおきましては、全ての地区で安全性を確保しているところでございます。
ただ、今後は、海岸保全施設整備計画に基づきまして、東京都防災会議が想定した最大級の地震が発生した場合にも、防潮堤の損傷等により浸水しないよう、ご指摘の地区も一部含めまして、対策が必要な箇所につきましては、耐震性の強化を図ってまいります。
○かち委員 どちらも防潮堤の高さは十分にあるとのことですが、平和島競艇場の内側には、護岸のすぐ脇まで高層マンションが林立しています。その護岸はやはり老朽化していますので、早急に耐震強化されるよう求めておきます。
震度七クラスの巨大地震がこの東京を襲うことは、近い将来、いや、いつ来てもおかしくない状況の中で、都民の命と財産を守るために立てた推進計画は、十年間でやればいいというものではなく、より早く前倒しでも推進されることを重ねて申し上げておきます。
次に、大型、超大型クルーズ客船の寄港整備について伺います。
東京港には、客船バースとして晴海ふ頭があり、当初から、ここに大型客船バースの整備予定があったわけですが、ここに来てレインボーブリッジをくぐれない大型客船、超大型クルーズ客船の寄港に向けた整備計画が浮上してまいりました。
今まで港湾計画になかった本事業を位置づけることになった経緯について伺います。
○石山港湾整備部長 現在、港湾計画におきましては、晴海ふ頭に大型客船用のふ頭計画が位置づけられておりますが、これは整備されておりません。
また、現在では、これを整備いたしましても、レインボーブリッジがあることから大型クルーズ客船が就航できない状況になっております。
このため、今回、大型船も就航できるように、客船ふ頭計画をレインボーブリッジの外側に配置変更するものでございます。
○かち委員 現行の港湾計画には晴海ふ頭の大型客船用のバース計画があったけれども、超大型化してレインボーブリッジをくぐれないので、こういう計画を立てようということですけれども、では、晴海の客船ふ頭の寄港回数は年間どれくらいあるのか、当初見込みに対してどのようになっているのか、お聞きします。
○笹川港湾経営部長 平成二十四年は二十八回であり、平成二十五年は四十二回の見込みでございます。晴海客船ターミナルがオープンいたしました平成三年の実績は三百六十一回でございました。
現在では、クルーズの形態の変化や船舶の大型化など、当時とは状況が激変しているため、単純に比較することは困難でございます。
○かち委員 二十二年前のオープン時には三百六十一回あったものが、近年では三十回から四十回前後ということで激減しているわけです。
こういう状況の中で、大型客船バース着工に踏み出せなかったというのが実際ではないでしょうか。晴海ふ頭には、将来クイーンエリザベス号が寄港することになるといわれていたのですが、それも幻に終わりつつあります。
今度はレインボーブリッジをくぐれない超大型のクルーズ客船が、ことし三回、来年も三回の寄港の状況にある、問い合わせもあるとのことですが、それが将来、着実にふえていくという予測ができるものでしょうか。
新客船ふ頭におけるレインボーブリッジをくぐれない大型クルーズ客船は、年間どれくらい就航を見込んでいるのでしょうか。
○笹川港湾経営部長 まず、東京港の現況でございますが、レインボーブリッジをくぐれない大型クルーズ客船のことしの寄港は、大井水産物ふ頭における三回であり、来年はそれ以上の寄港が確定しております。
国内他港の状況といたしましては、このクラスのクルーズ客船の寄港は、博多港が最も多くて年間四十回程度、次に長崎港の二十五回となっております。
世界的な船舶の大型化傾向と船会社の東京への寄港ニーズの高さから、新客船ふ頭の整備により、大型クルーズ客船の東京港への寄港は今後大きく伸びていくものと見込んでおります。
○かち委員 他港においては四十回とか二十五回とか、だからそれ相当以上を見込んでいるんだというような予測だと思いますけれども、しかし、晴海もそうだったように、世界のクルーズ競争は激しく、将来を予測するというのは大変困難だということだと思います。
超大型クルーズ船のターミナルは、青海地区の官庁船バース、海上バス発着付近で検討を進めているとの説明でしたが、今後の予定、完成目途についてお聞きします。
○石山港湾整備部長 大型クルーズ客船ふ頭は、青海地区の前面水域で考えております。
今後は整備に向け、まず港湾計画に位置づけて、その後事業化を図り、オリンピック開催前の供用を目指してまいります。
○かち委員 質問は省きますが、超大型クルーズ客船が寄港できるターミナルとして、どのようなスペックが必要とされているのかという点では、先ほどご答弁がありましたように、大井ふ頭に寄港したクルーズ船は、三百十メートルで三千人規模とのことでした。四百三十メートルになると、「ボイジャー・オブ・ザ・シーズ」で、長さ三百二十六メートル、六千四百人規模ということを目標としているということです。これは世界最大級を想定しているということなんですね。
また、耐震強化護岸工事も計画に入れているということですけれども、クルーズ船の着岸整備費用も含め概算でどのぐらいを見込んでいるのか、また、経済効果などを含め採算性をどのように試算しているのか、さらに、支出する会計は何になるのか、お聞きします。
○石山港湾整備部長 客船ふ頭の事業費につきましては、港湾計画に位置づけた上で、事業化に必要な調査、検討を行い、諸条件を精査した上で整理していくことになります。
また、採算性につきましては、例えばことし東京港に入港した「ボイジャー・オブ・ザ・シーズ」であれば、他港における調査から勘案して、一回の寄港で約二億円という大変大きな経済効果が見込めるため、十分採算性があると想定されますが、具体的には今後整理していくことになります。
また、会計は一般会計でございます。
○かち委員 整備に要する経費の概算はお答えがなかったわけですが、新聞報道などでは百億円などということも書かれています。相当な費用がかかるだろうとは予測されます。
オリンピックをターゲットとして整備を進められるということですが、現在、晴海ふ頭には客船ターミナルビルがあり、駐車場なども整備されています。港湾計画を改定して、さらに青海に超大型クルーズ船ターミナルを整備するということはターミナルビルを二重につくることであり、年数十回程度の大型クルーズ船のためのターミナルビルの建設、維持管理の上でも合理的であるとは思えません。
寄港や着陸などで、先ほど質疑がありましたけれども、最大一万二千人の乗降客があるとのことです。その方々の移動に対する交通手段はどのように確保されているのでしょうか。
○笹川港湾経営部長 ことし、大井水産物ふ頭で臨時に受け入れました「ボイジャー・オブ・ザ・シーズ」では、約三千人の乗客が乗りおりいたしましたが、品川駅までのシャトルバスを手配いたしまして公共交通と結びました。
新客船ふ頭には、徒歩圏内に公共交通機関がございますが、今後、ふ頭の具体的な使用とともに、乗客の利便性の確保も検討いたします。
○かち委員 「ゆりかもめ」や臨海交通などがあるとのことですが、「ゆりかもめ」は現状でもかなりの混み合い状況になっています。一度に集中して数千人単位の人を輸送するのはかなりの混雑が予想されます。狭い東京港の湾内での安全確保についてはどのように検討されているのでしょうか。
○石山港湾整備部長 湾内の安全確保につきましては、既に定航船主会や水先人会など海事関係者で構成される船舶航行安全対策会議において、大型クルーズ客船が安全に受け入れられることを確認しております。
○かち委員 続いて、官庁船バース、海上バスターミナルの移動については、関係機関とどのような検討をされているのか。移設に伴う補償などはどうするのでしょうか。
○石山港湾整備部長 これにつきましても、船舶の航行に支障を来すことのないよう関係機関への説明をし、検討を実施してきております。
また、移設等につきましても、今後さらに関係機関と調整を進めてまいります。
○かち委員 いろいろお聞きしてきましたが、超大型クルーズ客船が将来どれくらい寄港するのか、それによって費用対効果をどう試算しているのかなど、晴海客船ふ頭との関係をどうするのか、後背地の移動手段、公共交通などをどう確保するのかなど、お聞きしていても定かでない中で、相当な経費を要するこのような計画は、先に結論ありき的なやり方です。
このような客船のクルーズの受け入れ整備は、定期便が就航するわけではないので、来るも来ないも相手次第ということであり、ハイリスクを抱えることになるわけです。同じ港湾局の一般会計を要する事業であるわけですから、何を優先すべきかといえば、まず都民の命、財産を守るための対策こそ急ぐべきだということを重ねて申し上げ、質問を終わります。
○小松委員 私も、クルーズ客船の誘致について質問をしていきたいと思います。懸念される意見も多々ございましたけれども、私、そして自民党としては積極的な導入の方向の立場から質問させていただきたいと思います。
公明党谷村議員の質問の際にも、多羅尾局長の方から、イメージアップや経済効果の観点からも、都にとって効果が非常に大きいというふうに意見がございましたし、私もそのように考えているわけでございます。
東京をアジアナンバーワンの国際観光都市として成長させていこうというふうに考えた場合、MICE、国際観光拠点化に向けたさまざまな取り組みが、さまざまな方面から必要なわけでございます。
その一環としてシンガポール、そして香港のように臨海エリアにおけるMICE施設を背景に大型クルーズ客船が常時停泊している、そうした光景も一役買うものであるというふうに考えています。
先日の都議会第三回定例会において、我が自民党では、大型クルーズ客船の寄港により、国際観光都市東京のイメージアップや経済効果などが期待できると主張しまして、レインボーブリッジをくぐれない大型クルーズ客船にも常時対応できる客船ふ頭の整備が必要であると訴えました。そうしたところ、猪瀬知事からは、臨海副都心地域に新たな客船ふ頭を整備すると明確なご答弁をいただきました。
今後はこの新客船ふ頭の整備を前提として、積極的にクルーズ客船の誘致を進めていくというふうに伺っておりますが、ここで改めて、このクルーズ市場をめぐる情勢、いろいろ変わっている部分はあると思いますので、クルーズ客船誘致の意義、そして今後の取り組みなどについての認識を改めて共有したいと思いますので、何点か質問させていただきたいと思います。
最初に、この世界のクルーズ市場の動向をどのように都としては見ていらっしゃるのか伺いたいと思います。
○笹川港湾経営部長 近年、世界ではクルーズの大衆化が進んでおり、クルーズを楽しむ方々の人口は現在約二千万人であり、過去二十年で四倍と急速に増加しております。
また、船舶の大型化が加速度的に進んでおりまして、例えばレインボーブリッジをくぐれない大型客船は、平成二年には百二十三隻中二隻でございましたが、平成二十四年には三百六十隻中百三十一隻となっております。
背景として、世界のクルーズ船社の間で船舶を大型化し、乗客一人当たりの単価を下げることで客層を拡大する戦略が主流となっていることが大きいものと思われます。
また、アジアでは、中国を中心にクルーズ市場が急成長していることから、東アジアクルーズが大きく伸びており、その日本国内主要港への寄港は、平成十八年の二十七回から平成二十二年には百六十一回と五年間で六倍となっております。
○小松委員 確かに最近のニュースや新聞記事では、日本各地の港に大型クルーズ客船が盛んに寄港しているという報道があります。ここ数年で確実に大型クルーズ客船の日本寄港がふえているということが実感できるものであります。
一方で、こちらが調べたところによると、やはり現在では、大型クルーズ客船の日本での寄港地を見ると、先ほどもご答弁ありましたけれども、やはり西日本が中心、博多や長崎、鹿児島といったところが中心であるように思うわけでございます。
今後、東京にどれだけ来るのかが、ここでは重要な議論であると考えます。人口の面や観光資源やさまざまな各種アミューズメント施設等、ポテンシャルの大きさでいけば、国内最大はもとより、アジアでもトップクラスのこの東京、非常に大きな可能性があるというふうに思っています。
そこで、大型クルーズ客船の東京港への寄港ニーズをどのように都としては見ていらっしゃるのか伺いたいと思います。
○笹川港湾経営部長 確かにここ数年の寄港実績を見ますと、博多港、長崎港、那覇港と、アジアからの距離が近い西日本の港が中心でございます。
一方、今後の展開につきまして、複数の船会社にヒアリングを行ったところ、いずれも日本の首都東京への強い関心を示しており、交通アクセスの充実や観光拠点の集積など、東京の持つ可能性に大きな期待を示しております。
実際、米国ロイヤル・カリビアン社は、大井水産ふ頭での臨時対応であるにもかかわらず、「ボイジャー・オブ・ザ・シーズ」の東京寄港を既に三回行っており、これは東京への強い寄港ニーズを反映したものであると認識しております。
なお、このロイヤル・カリビアン社とは、本年九月十四日、来年の複数回の東京寄港及び今後の相互発展に向けた協力関係の構築をその内容とする協定書を締結いたしました。
今後は大型客船に常時対応可能な新客船ふ頭を整備することにより、さらに寄港ニーズがふえていくことを見込んでおります。
○小松委員 世界の船会社の東京港への寄港ニーズについては改めてわかったわけでございますが、この「ボイジャー・オブ・ザ・シーズ」のような受け入れ実績の積み上げを続けていただいて、東京港の認知度が高まるとともに、新客船ふ頭の整備という将来的なプラス要素も加わり、さらに東京港への寄港ニーズが高まっていくことと思っています。
世界各国の船会社が運航する大型クルーズ客船が東京港に入港し、臨海エリアの風景に色を添えてくれることを楽しみにしています。
もちろん大型クルーズ客船が寄港するのは、そのためだけではございません。今後、大型クルーズ客船の寄港がふえることにより見込まれる効果について、どのように認識しているのか、あわせて伺いたいと思います。
○笹川港湾経営部長 委員のおっしゃるとおり、大型クルーズ客船の寄港は臨海副都心の景観にさらなる彩りを与え、国際観光都市東京のイメージアップに大きく寄与するものであると認識しております。
また、MICEとの関連では、アフターコンベンションとしてのクルーズ活用など、国際会議などに付加価値を加えることが期待できます。
さらに、大型クルーズ客船は、一度の寄港で大きな経済効果が見込まれ、例えば東京港に寄港した「ボイジャー・オブ・ザ・シーズ」の場合は、乗客構成などの条件にもよりますが、約二億円の経済効果があると試算しております。
○小松委員 大型クルーズ客船の寄港についてのさまざまな効果について、改めて理解させていただいたんですが、今、先ほどの答弁にもございましたが、約二億円の経済効果というふうなことだったんで、そういう試算があるということなんですが、この経済効果については非常に大きなものであると認識しています。
そこで、もう少し詳しく伺いたいと思っています。大型クルーズ客船寄港による経済効果の具体的な考え方について、もう少しご説明いただけますでしょうか。
○笹川港湾経営部長 大型クルーズ客船は、乗員、乗客で数千人に及ぶため、東京港への一度の寄港が東京での大きな消費活動に直接つながることになります。
東京港に寄港した「ボイジャー・オブ・ザ・シーズ」の場合は、総乗客定員が約三千八百人、乗員が約千二百人と、最大で合計五千人が船に乗っていることになりますが、この人数が東京において観光や買い物を行うことに加え、船舶としての食料調達や給水なども行われることになります。
経済効果の算出は、このような直接効果に加え、ここから派生する関連産業における効果や、さらに派生する消費誘発効果などを合算して行っております。
なお、那覇港における調査では、この「ボイジャー・オブ・ザ・シーズ」寄港時の乗客の消費額合計が一億三千七百万円、一人当たりの平均消費額が三万八千円という結果が出ております。
○小松委員 改めて考え方について伺わせていただきましたけれども、国際観光都市としての東京都のイメージアップ、MICE、国際観光拠点化の推進、そして、一回の寄港で約二億円という大きな経済効果をもたらす大型クルーズ客船の誘致は、今後の東京都にとって必要なことであるというふうに改めてその思いを強くさせていただきました。
世界的なクルーズ人口の増加、そして中国を中心とするアジアクルーズ急増と、日本市場への期待というトレンドの中、日本そして東京への寄港ニーズを確実につかんでいくため、これまで以上に、このクルーズ客船の誘致に力を注いでいただきたいというふうに思います。
先ほども懸念される中で、つくっても向こうが来てくれないんじゃないかというような懸念もありましたけれども、そうならないために、最後に、今後のクルーズ客船の誘致に向けてどのように取り組んでいきたいと考えていらっしゃるのか伺いたいと思います。
○笹川港湾経営部長 委員ご指摘のとおり、大型クルーズ客船の寄港は、国際観光都市東京の地位向上や大きな経済効果をもたらすため、都としてその誘致に積極的に取り組んでいく必要がございます。
日本そして東京港への寄港ニーズが高まっている今こそ、首都の玄関口として、その期待に応えるとともに、さまざまな効果を、確実に取り組んでいくため、ハード、ソフト両面から積極的な誘致施策を展開してまいります。
具体的には、早々に港湾計画の一部を変更し、新たな客船ふ頭を正式に位置づけるとともに、その具体的な使用を早急に検討し、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック開催までの供用開始を目指した整備を進めてまいります。
また、船会社や代理店への営業活動や各種セミナーの開催などの場において、新たな客船ふ頭を前提とした東京港の将来像を強力にPRしつつ、東京港への寄港を促進してまいります。
○小松委員 世界的なクルーズ人口の増加、また、アジアクルーズの活性化など、世界の市場動向の波に加えて、我が国では二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック開催の決定といううれしいニュースもありました。この東京における大きなチャンス、東京港における客船誘致にも強力な追い風となるものと思います。今が絶好のチャンスです。これを逃すことのないよう、積極的な取り組みを、今、進めていただきたいというふうに思います。
世界の都市間競争は熾烈さを増しております。特にシンガポール、そして香港などアジア諸都市は数年前とは全く違った様相となっています。ホテルやコンベンションセンター、カジノを含む複合型都市開発を積極的に進めています。国内外から多くの人を集め大きな経済効果を取り込んでいるわけでございます。
我が東京もオリンピック・パラリンピック開催都市となることを起爆剤として、道路交通網を初めとする社会資本のさらなる充実を図るとともに、MICE、国際観光拠点化の取り組みを加速させることにより、もう一度、また、必ずアジアナンバーワンの国際観光都市の座をつかみたいと、そのように思いますし、信じております。
新たな客船ふ頭の整備、そして大型クルーズ客船のさらなる誘致がその一助となることを期待しておりますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
続いて、交通をキーワードとした臨海副都心開発について伺います。
私も初めてお台場だったり臨海副都心に行った十代のころ、本当にどきどきしたというか、アトムのような世界だなというふうに思ったのを今でも覚えているんですが、新橋から「ゆりかもめ」に乗って臨海副都心に向かいますと、海側の視界が開けて東京湾が姿をあらわして、大きなレインボーブリッジが見えてくるわけでございます。開放感にあふれる、すばらしい印象的な風景であると思います。
この夏、レインボーブリッジが開通してちょうど二十周年を迎えたというふうに新聞に報道されていました。臨海副都心への玄関口として親しまれるこの橋は、都心と臨海副都心とを結ぶ交通基盤として、今、機能しているわけでございます。さらに、臨海地域のシンボリックな観光資源として広く知られており、お台場から眺めると、橋の向こうは東京タワーが見える絶好の景観スポットとなっています。
レインボーブリッジを通る新交通システムの「ゆりかもめ」も、また、今、一日当たりの平均乗客数が約十万人ということでございますが、数多くの来訪者をお迎えする臨海副都心の重要な交通基盤となっています。昨年度一年間では、年間の輸送人員が約三千九百万人、平成七年の開業以来最大の輸送人員を達成したというふうにも聞いています。
観光列車としても人気のある「ゆりかもめ」は、現在、車両更新に取り組まれていると伺いました。本年三月末から深夜の試運転を開始したということですが、そこで改めて、この新型車両の特徴と導入に向けての今後の取り組みについて伺いたいと思います。
○小野開発調整担当部長 「ゆりかもめ」の新型車両は、平成七年の開業以来初めてとなりますフルモデルチェンジを行いまして、車内デザインを一新して、座席を全て乗り心地のよいロングシートといたします。
また、車内スペースを広げることによりまして、最大の乗員人員を約一割程度増加させることとしております。
また、お客様に前方の眺望を一層楽しんでいただけますよう、前面ガラスの大型化にも取り組んでおります。
さらに、海外からの来訪者への利便性向上に向けまして、車内に液晶ディスプレーを導入いたします。日、英、中、韓、四カ国語による案内を行うこととしております。
この新型車両の導入に当たりまして、全二十六編成のうち十八編成、百八両を平成二十八年度までに順次更新してまいります。
お話のございました深夜での試運転に続き、今月十月からは、昼までの営業時間での試運転を開始しておりまして、一般の方々にも走る姿を見ていただけることができるようになりました。
また、十一月二日には、豊洲駅で新型車両のお披露目会を実施し、停車している車両にもご乗車いただけます。一般の方々には、そういった新型車両を体感していただくという予定もございます。
今後は、走行しております車両への試乗会を開催するなど、新型車両のPRを進め、平成二十六年初めの営業運転開始を目指してまいります。
○小松委員 この自動運転の「ゆりかもめ」は、通常の電車では運転席に当たる部分にも乗客が座ることができて、運転手の視点でロケーションを楽しむことができることから、子供はもちろん大人もその席に座ることを楽しみにしているといろんな方から聞きますし、実際、私も娘とお台場に行くときは、一本待ってでも先頭にやっぱり乗せたいなというふうに思うわけでございます。
ぜひ、この新型車両、これからの「ゆりかもめ」の新しい顔ともなると思いますので、導入を着実に進めていっていただきたいと思います。
話は変わりますが、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの開催の折、この交通網、本当に大丈夫かなという記事も拝見するわけでございます。伺うところによると、一日最大九十二万人ぐらいの方が会場に入るとか、今までにない数の人が大会会場の多くを占めるこの地域に来訪することになることが予測されるわけでございます。
競技観戦のための円滑で安全な移動はもちろんのこと、「ゆりかもめ」のように、同時に交通手段そのものを楽しんでもらいながら観光面での満足度を上げていくというようなことも、輸送とあわせて重要なことかなというふうに考えているわけでございます。
この臨海副都心でも、楽しみながら移動できる交通手段を、さらに、「ゆりかもめ」以外にも多様化していくということが必要かなというふうに考えているわけですが、これまでの都の取り組みについて伺いたいと思います。
○石原臨海開発部長 平成二十二年と二十三年には、期間限定で最先端技術のモビリティーロボットであるセグウェイを使用しまして、大井コンテナふ頭やレインボーブリッジなどが一望できる海上公園内のコースをめぐるツアーを実施し好評を得ました。
また、昨年十一月下旬からは、江東区がスマートフォンや携帯電話等で手軽に利用手続ができる情報通信技術を活用したコミュニティサイクルの実証実験を、臨海副都心から豊洲にかけての地域で実施しておりまして、都も自転車ステーションの設置場所を無償提供するなど協力を行っているところでございます。
この実験では、合計二百五十台の自転車が、臨海副都心の海上公園を含む合計二十一カ所の自転車ステーションに分散して配置され、本年七月までの約八カ月間で延べ一万二千人の利用者がございました。
さらに本年五月、有明南地区にオープンしましたJOGPORT ARIAKEでは、ドイツのBMW社製の高級自転車をレンタルする事業を開始いたしました。
これらにより、来訪者が自転車を使って海や公園、商業施設などの町並みを楽しみながらサイクリングすることができるようになり、好評を得ているところでございます。
○小松委員 今のご答弁を伺いますと、港湾局だけではなく、地元自治体や民間事業者なども工夫してさまざまな取り組みを進めているんだなということがわかったわけでございます。こうした個性的で多種多様な交通手段を導入することによって、この臨海副都心のすぐれた景観を楽しんでもらうことができるのかなというふうに思っています。
そこで、今後これまでの、今お話しされたような取り組みに加えて、臨海副都心ならではの取り組み、特色ある取り組みができないのかなというふうに期待をしてしまうわけでございますが、そういったお考えがございましたら、今、伺いたいと思います。
○山口営業担当部長 本年度は、都が独自に創設したMICE拠点化推進のための補助制度を活用いたしまして、ベンチャー企業が開発した国内初の電動三輪自動車、EVコミューターと申しますが、これが臨海副都心内での運行を開始することとなりました。
この電動三輪自動車は、高度経済成長期に日本中を走っていたオート三輪の現代版でございまして、懐かしく思われる方もいらっしゃると思います。
世界を見渡しますと、現在でも、タイ、インド、フィリピンなどではトゥクトゥクなどの名称で従前のオート三輪型のタクシーが走っておりまして、観光客に人気のある乗り物でございます。
臨海副都心においては、電動の三輪自動車にお客様に乗っていただき、域内を回遊することによりまして、来訪された方々の注目を集め、記憶に残る新たな観光資源となると考えております。
なお、本事業実施に当たっては、さまざまなベンチャー企業が連携して推進するものであるため、国内外のベンチャー企業の臨海副都心への進出のモチベーションにもなると考えてございます。
○小松委員 今、トゥクトゥクのような電動三輪自動車の導入の話を伺いましたけれども、やはりタイとか行きますと、意味もなく、やっぱりトゥクトゥクに乗ってみたくなってしまうというような、私も経験ございますので、やはり風を感じるというか、その土地ならではの空気を感じられるというところがその魅力の要素かなとも思いますし、アトラクション的な要素もあるわけでございますので、これはきっと人気が出るんじゃないかなというふうに話を伺いながら思ったところでございます。
改めて、この臨海副都心ならではという視点では、おととし二十四年ぶりに東京に舞台を移してビッグサイトで開催された東京モーターショーも、ことしで二回目の開催というふうに伺っています。
地域全体で盛り上げるビッグイベントでございますし、日本の代表的な産業である自動車の最新技術を世界に発信する場でもございます。そうした意味でいきますと、臨海副都心のイメージの一つとしてもいっていいのかなというふうに思うわけでございます。
そこで、この自動車という視点からまちづくりを進めることもできないのかなというふうに思うわけでございますが、都の見解を伺いたいと思います。
○山口営業担当部長 臨海副都心には、日本を代表する自動車メーカーのテーマパークがございまして、新車のほかクラシックカーが展示されるなど、年間五百万人を超える方々が来訪しております。大きな人気を博しております。
また、年間を通じて臨時駐車場などを活用いたしまして、レーシングカーの同乗体験会、キャンピングカーの展示会など、自動車関連のイベントも数多く開催され、多くの方々でにぎわっております。
さらに、東京ビッグサイトでは、先日、最先端の情報通信技術によりまして、道路交通などの輸送効率や快適性の向上に寄与するシステムの総称でございますITSを推進するITSの世界会議が開催され、世界中の国々から八千人以上の方々が参加いたしました。
世界各国の交通政策担当者や研究者などが、最新のITS技術を臨海副都心から世界に向けて情報発信し、世界から注目を集めるイベントとなりました。
このように、臨海副都心では、年間を通じて二輪車を含めたモータースポーツのイベントが多数開催され、数多くの情報が発信されております。今後ともこうした地域の特色を生かしたまちづくりを進めてまいります。
○小松委員 臨海副都心が個性的で最新の交通技術のショーケース、情報発信拠点としての機能を果たしているということが今の答弁からわかりました。
また、乗り物という観点から転じてみますと、臨海副都心では広く公園が整備されることによって、歩行者ネットワークが整い、安心して町歩きを楽しめる環境になっています。
しかし、実際にやっぱり行って歩いてみると、大規模なイベント、例えば花火大会であったり、夏ですとフジテレビのお台場合衆国などのイベントがあるときは、人と車が大渋滞となっている、そうした交差点がまだ残っているわけでございまして、オリンピックのこととかも考えますと、その対策は非常に必要であるなというふうに考えるわけでございます。
現在、東京テレポート駅近くの交差点で整備中の歩行者連絡橋、これは観光客に人気の台場地区への歩行者アクセスを格段に向上させることが期待されるわけでございます。
事故防止につながる重要な取り組みでもございまして、早期の利用開始を期待したいわけでございますが、最後に伺いたいのは、この橋は、完成後には多くの方が利用されると思うわけでございますが、どのような特徴を持って、いつから利用できるのか伺いたいと思います。
○小野開発調整担当部長 この橋は、フジテレビとダイバーシティ東京の間にございます国道三五七号線と首都高速湾岸線をまたぐ形で建設されておりまして、形状をX型とすることで、これまで不便でございましたりんかい線の東京テレポート駅と「ゆりかもめ」の台場駅方面等の移動において、両駅間の連絡性向上に加えまして、周辺商業施設間の回遊性の向上にも寄与するものでございます。
また、橋の通路には、屋根や防風板、エレベーターを設置するとともに、自転車でも利用できますようスロープを設けることで、街区間を誰もが快適に移動できることができるようになります。
加えて、交通量の多い交差点で、歩行者と自動車を上下に分離させることによりまして、歩行者の安全性確保や渋滞緩和も図ることが期待できます。
現在は主要な桁の整備は終了しておりまして、年末の利用開始を目指して、エレベーターや階段を設置中でございます。
○小松委員 先ほども申し上げましたが、新聞報道等によると、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの開催時には、競技会場への来場者数が一日当たり最大で九十二万人に上るというふうにいわれているわけでございます。
我が東京では、この開催期間中はもちろん、これから二〇二〇年に向けて、多くの海外からの観光客の方が、ますます増加することが予測されているわけでございますし、また、そのように取り組んでいくものだと思っているわけです。
臨海副都心も多くの競技会場が集まる地域として、既に世界中から注目を集めています。このような状況の中で、今回の質疑で明らかになりましたように、最先端技術を駆使した交通機関や、自転車などの手軽な移動手段の拡充、さらには、のんびりと安全に町歩きを楽しむ環境の整備など、都市機能の強化と観光資源の充実の両面につながるこれらの取り組みは、魅力的な都市づくりに必要不可欠なものであると考えています。
ぜひ、今後とも、さまざまな主体が連携しながら創意工夫を尽くして、お客様をお迎えする交通機能の充実を図り、また、オリンピック・パラリンピックの開催都市として、国際的な観光都市として、さらなる発展に努めることを要望して質問を終わりたいと思います。
○栗林委員 本日最後の質問になりますので、よろしくお願いいたします。
初めに、空と海のみなとまちづくり、離島の港湾施設について伺わせていただきます。
伊豆諸島は美しい自然に囲まれ、都民に癒しと安らぎを与える貴重な空間であるばかりでなく、海洋資源にも恵まれた海洋立国日本にとっても大切な宝といえる存在であります。
しかし、残念ながら、伊豆諸島を訪れる観光客数は長期間減少傾向にあって、島のにぎわいと活力が失われつつあり、振興の拠点となる施設の整備が切望されているところです。
こうした中、ことし七月に三宅島の阿古漁港に新しい船客待合所がオープンし、船の発着時以外にも島民や観光客の交流拠点として機能するなど、島の新たな観光スポットとして定着しつつあると聞いています。
また、先日開かれたスポーツ祭東京のトライアスロン競技会場の後方支援施設としても活用されたと聞いています。島ににぎわいと活力を取り戻すために、島民や観光客の集まる場所である港の周辺を活性化することが効果的であり、その中心となる船客待合所が果たす役割は特に大きいと考えます。
しかしながら、現状では施設の老朽化が進み、にぎわいの拠点としては余り期待できない島もまだまだ見受けられます。
そこでまず、船客待合所の役割と整備等の取り組みについてお伺いをします。
○大和田離島港湾部長 島しょの港は、島への第一歩を踏み出す観光客にとりましての玄関口であり、その第一印象が形づくられる非常に大事な場所でございます。
その中心となる船客待合所に求められる基本的な役割は、発券所及び待合スペースの確保でありますが、それにとどまらず島のランドマークとして、また人々が集うところとして重要な場所でもあります。
伊豆・小笠原諸島には全体で十六棟の船客待合所がありますが、老朽化が進んできたため、平成十九年度から、島のみなとまちづくりという考え方に基づきまして、計画的に建てかえを実施しております。
その結果、現在、整備後二十年以上経過した施設は六棟となっていますが、十五年以上の施設も含めますと九棟に上り、引き続き継続的な取り組みが求められております。
このみなとまちづくりは、まさにその言葉どおり、港周辺のまちづくりを通じ、観光振興や島の活性化を図ることを目指しており、この考え方に沿って、これまで神津島港、新島港、三宅島の阿古漁港で船客待合所の建てかえを行ってまいりました。
現在は、八丈島の神湊港で新たな船客待合所を整備中であり、大島の岡田港において更新に向けた基本設計を実施しております。
○栗林委員 今後とも島の振興に資するよう、古くなった施設については着実に建てかえを進めていっていただきたいと思います。
しかし、ただ施設を新しくつくりかえるだけでは宝の持ち腐れであります。島の活性化のためには、できるだけ多くの人々に島に来ていただき、島の魅力を伝えることで、さらに将来にわたって何度も島に来ていただけるような方策を積極的に講じていかなければなりません。
先ほどの答弁で、島のみなとまちづくりという考え方により整備を進めているとのことでございましたが、その新しい船客待合所はどのような特徴を持っているのか伺います。
○大和田離島港湾部長 新たに整備する船客待合所は、単に乗船券の販売や待合機能だけでなく、バリアフリー機能を持たせるなど、安全性、利便性に配慮するとともに、島の魅力ある景観を満喫できるようなパブリックスペースを確保するなど、観光面の視点も取り入れてまいります。
島の船客待合所はほとんどが海水浴場や土産物店などに近い場所に位置しており、それ自身が観光拠点となり得る条件を有しております。
新たな船客待合所の整備に際しましては、こうした立地条件を生かしつつ、地元町村とも連携してにぎわいに資する機能を持たせ、これにより周辺施設の相乗効果を生み出しまして、島全体の活性化につなげてまいります。
三宅島の阿古漁港を例にとりますと、周辺に漁業協同組合の直売所や温泉施設などがあり、観光の拠点となり得る高いポテンシャルを有しております。
これを生かしまして、船客待合所には眺望のよいデッキテラスを整備するとともに、村が合築施設として集会所や軽食コーナーをつくり、観光協会が土産物店を運営するなど、にぎわいづくりの拠点となるよう工夫しております。
○栗林委員 地元の特性を反映させた船客待合所の整備は、魅力ある島の玄関口として、また観光のにぎわいの拠点づくりとして重要なことであります。
ハード面の施設整備は、観光の視点も取り入れ進んできていることはわかりますが、ソフト面も含めた利用の可能性を考えたとき、まだ観光資源として十分に活用されているとはいえないと思います。
船客待合所を島の観光振興にもっと活用していくためには、ソフト面での工夫が必要であると思いますが、見解を伺います。
○大和田離島港湾部長 船客待合所を今後、展示会や地元太鼓の発表会等にも利用できるようにすることで、島民の交流施設としてだけでなく、観光客を楽しませる場としても活用してまいります。
また、島の特産品の販売やPRのコーナーを併設するなど、観光振興にもつなげてまいります。
また、最近、伊豆諸島を舞台にしたテレビドラマや映画が各種制作されておりますことから、新たな観光客層の開拓を目指して、東京ロケーションボックスを活用したロケ撮影の誘致にも取り組んでいきたいと考えております。
○栗林委員 たしか、ことし四月から六月に放映されていた「雲の階段」というドラマとか、また、映画で六月一日から上映されていた「リアル」という作品とか、また、少し前ですが、「ロック」という、こういった作品は島で撮影がされていたのではないかと思います。より一層の活用を期待します。
また、ただいまの答弁にあった東京ロケーションボックスを活用したロケ撮影の誘致ですけれども、新たな観光客の掘り起こしは大変重要ではないかと思います。ドラマなどのロケ地めぐりは、フィルムツーリズムまたはシネマツーリズムと呼ばれ、日本観光協会でも新しい観光と捉えて、その振興を図っているところであります。
特に若い世代には、近年の映画やドラマの撮影地を回るという、そういうめぐる旅行なんかも人気と聞いています。ロケ撮影を誘致して旅行会社などとタイアップしてツアーを企画すれば、ロケ地そのものが新たな観光資源となってまいります。ロケ地として魅力的な施設を整備するとともに、観光部局とも連携をして、ぜひとも観光振興につなげていっていただきたいと思います。
一方で、空港も島の重要なもう一つの玄関口であります。空港のターミナルビルも、来島、離島者の受け入れ機能だけではなく、島の観光資源として活用できるのではないでしょうか。
そこでお伺いいたしますが、空港ターミナルビルの施設内容や利用状況についてお伺いします。
○小幡島しょ・小笠原空港整備担当部長 空港は、大島、新島、神津島、三宅島、八丈島の五島にあり、現在、羽田空港からは、全日本空輸株式会社、いわゆる全日空が大島、三宅島、八丈島に、また、調布飛行場からは、新中央航空株式会社が大島、新島、神津島に定期便を就航させております。
全日空の八丈島便のような百七十人乗りのジェット機が乗り入れている空港と、新中央航空の離島便のような十九人乗りの小型機が乗り入れている空港とでは、おのずと空港利用者数に差がございます。
八丈島空港のように、夏場の観光シーズンには月三万人の利用客があって、食堂や売店などが充実している空港もあれば、三宅島空港や神津島空港のように、夏場でも月千人から三千人程度の利用にとどまり、これらの施設がない空港もあり、島によって状況がかなり異なっております。
○栗林委員 空港は島によって個別の状況があることはわかりました。
しかし、先ほどの答弁のように、三万人もの利用客がいる空港もあるのでしたら、やはり空港ターミナルビルを島の観光資源として活用できるインフラ施設、多目的スペースと捉えて、船客待合所と同様にできる限り有効に利用すべきであると思います。
船客待合所と同様に、空港ターミナルビルも島の活性化に資するよう活用していくべきと考えますが、見解を伺います。
○小幡島しょ・小笠原空港整備担当部長 有効活用の観点では、空港も同様に捉える必要があることは、副委員長ご指摘のとおりであり、空港ターミナルビルも船客待合所と同様の視点で活用してまいります。
具体的には、ジェット機が発着し、利用者が多く、スペースにも余裕がある空港では、島民の交流施設としての活用を目指してまいります。
また、規模の小さい空港においては、少ないスペースを工夫しながら特産品の展示PR等を実施してまいります。
今後は、空港ターミナルと船客待合所を、空と海のみなとまちづくりという新たな視点で捉え、観光ターミナル機能や交流触れ合い機能、ショーウインドー機能などをあわせ持つ施設として積極的な活用を図ってまいります。
○栗林委員 先ほどの船客待合所の利用と同様に空港ターミナルビルも活用する、空と海のみなとまちづくりという考え方はとても大事であると思うので、今後ともハード、ソフト両面で積極的な取り組みを期待させていただきたいと思います。空と海の道の駅になるのではないかと思います。
ところで、このたび大惨事となった大島においては、巨大地震が発生した場合の津波に備えて、岡田港に避難施設が計画されているとのことであります。四方を海に囲まれた離島の住民にとっては、津波への対策は喫緊の課題であり、最も関心の強い事柄の一つになっています。
このため、岡田港の津波避難施設の整備スケジュールや施設規模などを早急に地元住民に周知すべきであると考えますが、いかがでしょうか。
○大和田離島港湾部長 伊豆・小笠原諸島には、南海トラフ等による巨大地震が発生した場合、大規模な津波の来襲が予想されております。
岡田港は津波到達までの時間が短く、観光客等が迅速に高所へ避難することが困難であるため、津波避難施設を整備することとしております。
岡田港の津波避難施設につきましては、今年度、基本設計を行い、来年度、実施設計、工事着手の予定でございまして、基本設計の中で、規模、場所などを詳細に検討してまいります。
ご指摘のとおり、地元の関心も高い施設でございますので、整備時期や施設の規模、位置等につきまして、今年度末を目途に地元の方々に直接説明会等を通じて周知していきたいと考えております。
○栗林委員 今回も大変被害に遭われた地域でございます。今、具体的に目標、目途を示していただきました。地元の方々の疑問や不安に応えていただけるよう、十分な説明をぜひお願いいたします。
次に、三宅島の港湾整備について伺います。
ことし、三宅島は島内全地区において、高濃度地区指定が解除され、今後、観光客数等の回復が期待をされています。来年度には調布飛行場から定期便も就航する予定ですが、まだまだ東京と結ぶ主たる移動手段は船舶であります。三宅島には三池港、阿古漁港及び伊ヶ谷漁港と大型定期船が接岸できる港が三港ありますが、最近では伊ヶ谷漁港の利用回数がふえているとのことです。
このように、伊ヶ谷漁港の重要度が増してきている中で、夜間の着岸時において岸壁の先端がもう少し明るい方がいいという、そういう、地元から要望も来ております。
そこで、伊ヶ谷漁港の利用者の安全面や利便性の向上に向けた今後の取り組みを伺います。
○大和田離島港湾部長 三宅島には、ご案内のとおり、大型定期船用の港として三港ございまして、それぞれの港の波浪状況等によって利用する港を使い分けております。
就航率を向上させるため、三カ所目の港であります伊ヶ谷漁港の整備を重点的に実施してきておりまして、その結果、伊ヶ谷漁港に接岸する回数が近年増加してきております。
具体的には、取りつけ道路を高波から防ぐ護岸の整備や駐車場の拡張など、安全性、利便性の向上に努めてまいりました。
また、東京からの定期船が未明に着くなど、ほかの島より利用条件で厳しい面もありますことから、今後ともより一層安全性に配慮してまいります。
○栗林委員 ぜひ明るくしてさしあげてください。繰り返しになりますが、島しょの港湾は、そこに暮らす方々の生活を支える重要な施設であるだけではなく、来島者にとっても観光の拠点となる貴重な空間であります。
今後とも、地元町村やそこで働く方たちの意見を十分に踏まえ、創意工夫を図りながら、島しょの港湾施設の整備に取り組んでいただきたいと思います。
続きまして、森の事業の発信強化に向けた取り組みについて伺います。
二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの会場として、今、注目を浴びるスポットの一つに海の森が挙げられると思います。海の森の整備は、ごみの山を美しい森に変えるというプロジェクトであり、東京が広く世界に誇れる事業ではないかと考えます。
私も四年前、初めて海の森を訪れ、やがてここが緑いっぱいの森になるかと思うと、すばらしいビジョンに感動いたしました。
昨年は、全国都市緑化フェアTOKYOのメーン会場の一つになり、ちょうど一年前の委員会で我が党の委員も、整備や普及啓発のあり方について質問をさせていただいたところでありますが、その後の取り組み状況と今後の展開について伺います。
済みません、申しわけございません。まず、一部開園に向けた現在の整備状況をお伺いしたいと思います。
○石原臨海開発部長 計画面積八十八ヘクタールの海の森は、平成二十八年度中に、森のエリアのうち整備を完了した四十七ヘクタールを一部開園する予定でございます。
平成十九年度から整備に着手しまして、昨年度末までに、この開園目標の五五%に当たる二十六ヘクタールの造成と二十二ヘクタールの植樹を完了しております。
整備当初に植樹しましたエリアでは、膝の高さ程度だった苗木が既に二メートルを超えている樹木も見られるほどに成長しているところでございます。
今年度は、さらに六ヘクタールの基盤造成を終える予定でございまして、これにより、開園予定区域の約七割の基盤造成が完了いたします。
造成に当たりましては、海の森の立地特性を生かした眺望を確保するよう、小高い丘を整備することとしております。
あわせて、昨年度造成しましたエリアを中心に、六ヘクタールの範囲に植樹を行います。
○栗林委員 ありがとうございます。海の森は三つのコンセプトにより事業を進めておられると思います。風の道の拠点づくり、資源循環、そしてもう一つが協働による森づくりであります。
コンセプトの一つにもなっている協働、これは海の森事業の大きな特徴であるわけですが、公募により都民参加を募る植樹祭りなどは、そのメーンプログラムの一つと理解をしております。
植樹祭りに来てもらうことで、海の森事業の意義や、海の森そのもののすばらしさを知ってもらう効果もあるのではないでしょうか。そのためにも少しでも多くの方々に興味を持ってもらい、来ていただくことが重要であります。今年度も公募参加者が集う秋の植樹祭りが開催されると聞いています。
そこで、植樹への参加者数の推移と今年度の参加申し込み状況を伺います。
○石原臨海開発部長 平成二十年度以降、公募による都民の皆さんや、緑の東京募金にご協力いただいた企業の皆さんなど、これまでに一万三千人を超える方々の参加を得て植樹を実施してまいりました。
公募による植樹は、例年秋に実施しております。毎年二千人程度の方の参加をいただいておりまして、今年度の秋の植樹祭りには、約二千八百人の参加申し込みがあったところでございます。
○栗林委員 鳴り物入りで始めた事業は、打ち出し当初は注目を集め人が多く集まってきますが、年数を重ねる中で新鮮味を失って人々の興味対象から離れていくケースが一般的によく聞かれる中で、この海の森の植樹については、二千人前後をキープしてきている。その上、ことしはぐんと参加者数が伸びていく、大変なことだと思います。やはり環境問題に対する意識の高まりとか、緑の保全、創出に向けた関心の高まりも反映されているのではないかと思います。
これまで私が聞いたところによると、植樹は、企業や学校等の団体単位で参加する日と個人で参加する日があると聞いていますが、企業と団体は毎年参加するところが多いようです。また、個人での参加も、一度参加するとその楽しさがわかるので、リピーターが多いのではないかと思われます。
だからこそ、多くの人に参加してもらうには、これまでに参加したことのない人に参加してもらえるような取り組みが重要になってくるのではないでしょうか。今年度、参加申し込み数が増加したことも、何かヒントが得られるのではないでしょうか。
植樹参加者の拡大に向けた工夫などについて取り組みを伺います。
○石原臨海開発部長 今年度は都のホームページや「広報東京都」などによるPRに加え、区市町村の公園関係の会議やシンポジウムに参加して宣伝することや、臨港エリアの区の広報へも掲出するなど、より多くの機会を捉えまして海の森事業や植樹に関する普及啓発に取り組んでまいりました。
また、昨年度から、植樹祭りに合わせ、現地展示ブースの充実や植樹後に楽しめるあおぞら工房など、イベントを同時に実施するなど、イベント自体の魅力を向上させ、もう一度訪れたいという機運の醸成にも努めたところでございます。
こうした取り組みが参加者の拡大の要因の一つであり、特に個人植樹参加者の拡大に効果的であったと考えてございます。
今後は、より多くの新規の参加者の獲得に向け、ビッグサイトで開催される日本最大級の環境展示会であるエコプロダクツに参加するなどし、海の森事業のPRに努めてまいります。
○栗林委員 昨年の都市緑化フェアの際には大変工夫をされて、サンセットツアーなど企画をされ、攻めの取り組みが始まったなと感じました。
海の森のような明確なコンセプトを持った事業は、きちんとその意義を、整備の段階からどんどん発信していった方がいいと思います。その結果、人々が海の森に興味を持ち、海の森づくりに参加したりするきっかけになります。例えば婚活にもつながる男女の出会いなど、さまざまな人々の交流などが広がっていくと考えます。
昨年の予算特別委員会で、私はこのことを提案させていただきました。前知事から前向きな答弁をいただいたところでございます。
海の森は、人と人との交流の拠点となる大きなポテンシャルを持つと私は確信をしています。そうした海の森のポテンシャルを発揮させていくためには、より一層の事業に関する宣伝、普及啓発が必要だと思います。答弁にあったシンポジウムや展示会への参加等は、これからもより積極的に取り組んで、宣伝に努めてもらいたいと思います。
ところで、そうした取り組みの結果、興味を持ってもらい、海の森に来ていただいて、やはり現地では事業の意図についてきちっとお伝えするガイドがあったり、イベントがあったり、そうした現地の魅力の充実もとても重要だと思います。
人と人の交流の核となる場所には、ソフトはもちろんハードの仕掛けも大事です。海の森がその事業、意義を人々に伝えていくとともに、人々の交流の核となっていけるソフトやハードの仕掛けに関する今後の取り組みを伺います。
○石原臨海開発部長 海の森に関心を持ち、訪れていただいた方々に満足していただくには、わかりやすく事業を解説するとともに、快適で安全な空間を提供することが重要であります。
このため、より多くの来園者が環境学習や交流を楽しめるよう、子供たちや若いカップルなど、あらゆる層を念頭に置いた多様なイベントの実施に向けて、これまで培った民間企業との連携を生かして取り組んでまいります。
あわせて、訪れた人々が海の森の生い立ちや環境についてじっくりと学ぶことができるような施設の整備についても検討をしてまいります。
また、来場者の利便性向上に向け、特別公開時にはシャトルバスを運行させるとともに、使いづらい仮設トイレではなく、開園後も使える快適でしっかりとしたトイレを早期に整備するなどの取り組みを進めてまいります。
○栗林委員 環境が着々と整ってきているかと思います。ぜひそうした取り組みを行い、海の森の魅力を高め、海の森が人々の交流の核となるよう取り組んでいっていただきたいと思います。
二〇二〇年オリンピック・パラリンピック開催決定の数日後、幅広い世代に七年後のあなたはというアンケートをとった結果が話題になっていました。特に若い世代で多かったのが、結婚をして子供と一緒に観戦したいとか、結婚して未来の夫となる人とオリンピックの競技を見たいとか、そういう声も多く見受けられたんですね。
植樹ボランティアとかサンセットツアーのような、若い方たちにも魅力的なイベントの開催をしていただくことにより、人と人とが出会い、その先にご縁があったらゴールインという、若い方の新たな人生の船出を応援する、出港するんですね、そこから。ですから、港湾としてはまさにぴったりの事業、船を送り出すという、港湾としては、そのソフト面での支援にこれはなっていくのではないかと思います。
冒頭申し上げましたが、二〇二〇年に向けて、この海の森は世界から注目を浴びている、東京がこのすばらしい事業を展開しているということを伝える絶好の機会であります。ぜひこのチャンスを逃すことなく、海の森事業の推進に取り組んでいただくことを要望し、質問を終わります。
○田中副委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田中副委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
以上で港湾局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後七時三十三分散会
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