経済・港湾委員会速記録第十一号

平成二十五年十月二十二日(火曜日)
第八委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長三宅 正彦君
副委員長栗林のり子君
副委員長田中たけし君
理事高橋 信博君
理事中村ひろし君
理事かち佳代子君
かんの弘一君
小松 大祐君
柴崎 幹男君
中山ひろゆき君
尾崎あや子君
谷村 孝彦君
木内 良明君
高島なおき君

欠席委員 なし

出席説明員
産業労働局局長塚田 祐次君
次長山本  隆君
総務部長澤   章君
産業企画担当部長加藤 英典君
商工部長十河 慎一君
金融部長寺崎 久明君
金融監理部長黒沼  靖君
金融支援担当部長片山  謙君
観光部長杉崎智恵子君
農林水産部長津国 保夫君
安全安心・地産地消推進担当部長武田 直克君
雇用就業部長矢田部裕文君
事業推進担当部長戸澤  互君
労働委員会事務局局長岳野 尚代君

本日の会議に付した事件
労働委員会事務局関係
事務事業について(質疑)
産業労働局関係
事務事業について(質疑)

○三宅委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 この際、さきの台風二十六号によりお亡くなりになられた方々に対し、心より哀悼の意を表し、謹んで黙祷をささげたいと思います。
 皆さん、ご起立をお願いいたします。
 黙祷。
   〔全員起立、黙祷〕

○三宅委員長 黙祷を終わります。ご着席をお願いいたします。

○三宅委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、労働委員会事務局及び産業労働局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより労働委員会事務局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○木内委員 昨今、報道等によりますと、雇用関係の記事が紙面の多くを占めることが多くて、例えばブラック企業でありますとか、追い出し部屋、最近ではパワーハラスメントならぬ、妊娠、出産により退職を迫られるといったマタニティーハラスメントなど、新たな事態を報道する、そういう紙面が飛び交っているわけであります。
 こうした、まさにいわゆる今日的な労働問題が労働紛争に発展して、都労委に申し立てられているのであります。東京、ひいては我が国の労使紛争の解決に果たす都労委の役割の重要性に鑑みて、私は、この際、新しい編成での経済・港湾委員会のスタートでもありますので、こうした中での都労委の役割の重要性というものを再度認識しながら、この取り組みを都民の皆さんにも知っていただきたい、こういう思いから、この事務事業質疑の場でお尋ねをしてまいりたいと思います。
 私はこれまで、毎年、本委員会におきまして、都労委の役割の重要性、実績、経過、それからさまざまな課題への取り組みをただしてきたわけであります。一昨年の委員会では、都労委が全国の取扱件数の半分、約四百五十件という膨大な事件数を取り扱っているということ、そして、その中においても、一件一件極めて着実に事件処理に当たってこられていることを確認いたしました。
 また、昨年は、社会経済状況の変化がいち早く労働環境に反映される首都東京なるがゆえの都労委の扱う最先端事例について質疑を行いました。この質疑の中では、たしか新国立劇場事件でしたか、都労委の初審命令が最高裁に支持をされて、その結果、それまでの労組法上の労働者の定義が塗りかえられるといった実績などを紹介もしてきたわけでありますけれども、今回、量、質ともに全国の労働委員会を牽引している都労委について、まずはこの委員会の役割について明らかにされたいと思います。

○岳野労働委員会事務局長 今、木内先生のご質問でございます労働委員会の役割でございますが、労働委員会は、労働組合法及び地方自治法に基づいて設置され、公益委員、中立の委員でございますが、労働者委員、使用者委員の三者の委員で構成された合議制の行政委員会でございまして、その役割は、公平な立場の第三者として労使間の紛争処理を行うことにより、労働三権の保護と労使関係の安定、正常化を図ることでございます。
 労使間の紛争が起こり、不当労働行為の救済申し立てがあったときは、まず労使双方が将来に向けて円滑な労使関係を構築できるよう、和解による解決を促してまいります。しかし、当事者間の和解が成立しなかった場合には、準司法的な手続によりまして審問等を行い、十三名の公益委員の合議を経て、使用者の行為が不当労働行為に当たるか否かを判断し、救済または棄却の命令等を出しているところでございます。

○木内委員 都労委では、まずは和解による解決を促しているということでありますけれども、確かに、労働委員会は将来に向けた円滑な労使関係を構築することこそが重要な役割だと私は思いますし、また和解には、命令となる場合よりも解決までの時間を短縮できるというメリットもあります。したがいまして、和解によって解決を図ろうとする都労委の姿勢は、私はそれが望ましい姿だと思いますし、こうした日々の活動に対して高く評価をさせていただきたいと思います。
 このようにメリットの多い和解ではありますけれども、具体的な話となると、なかなか世間一般に届いてきません。都民の皆さんの間にも、この和解の実態が労使の当事者間で協定を結ぶものであって、第三者にその内容を知らせる性格のものではないがために、なかなかこのイメージというのがつかみにくい、こういう傾向があるんではないかと思います。
 しかし、一言で和解といっても、全部ご説明をいただくと大変時間がかかるわけですけれども、紹介できる事例等があれば、なるほど、これが和解かという認識といいますか、状況を明らかにされることは可能ですか。

○岳野労働委員会事務局長 木内先生のご指摘のとおり、和解は労使間で協定を結ぶものでございまして、公にする性質のものではございませんので、紹介できるものは限られますが、新聞各紙に取り上げられた事例がございますので、それをご紹介したいと思います。
 耳に聞かれたこともあると思いますが、偽装請負が端緒となった、昨年十二月に成立したキヤノン事件でございます。この事件は、偽装請負という形式的には業務の請負の形をとりますが、本来、請負会社が労働者を指揮監督すべきものであるのに、実態は発注先の会社が労働者に直接指揮命令を行っている、このような状況で社会問題化しているものでございます。
 この事件の当事者は、もともとキヤノンの事業所で働く請負会社の社員であり、偽装請負を告発して正社員化を求めていたものでございます。その後キヤノンに直接雇用されたものの、有期雇用であったことから、正社員とすべきなどとして労働組合が都労委に救済申し立てを行っておりました。関連の事件が、別途、東京地裁で訴訟係属し、紛争が数年間、長く続いておりましたところ、昨年十二月、都労委の場で深夜零時近くまで公労使の委員が真摯に説得を行いまして、和解が成立いたしました。
 その内容は、組合員五名のうち二人がキヤノンの関連会社に正社員として雇用されるというものでございまして、関連会社とはいえ正社員に雇用されるという和解の内容が画期的でございましたので、マスコミにも取り上げられたというふうに考えております。

○木内委員 今、ご報告いただいた事例からもわかるように、困難な事件について、都労委の委員が昼夜を問わず粘り強く労使双方を説得して和解を導いているということ、これもやはり高く評価したいと思うのであります。
 こうして都労委の委員、職員が和解に向けて大変なご尽力をされていることは、私は毎年の質疑の中で痛感をしているわけでありますけれども、それでは、都労委の和解率、これも毎年、毎回お尋ねするんですけれども、この和解率の推移について明らかにされたいと思います。例えば、直近の五年間ではどうなっていますか。

○岳野労働委員会事務局長 平成二十年度から二十四年度までの五年間の和解率の平均でございますが、六三%でございます。
 しかしながら、和解率の推移を見ますと、全国平均と比較して、平成二十年度の和解率は全国が五六%であるのに対し、都労委は七三%と高い和解率を誇っておりました。しかしながら、昨年の平成二十四年度は、全国が五五%であるのに対し、都労委は五六%と残念ながら低下傾向にございます。

○木内委員 率直な今のご説明をいただいたんですけれども、都労委の和解率は低下傾向にあるということが数字で明らかになっております。この和解率だけに着目をいたしますと、その高さを誇っていた都労委は、今や全国の労働委員会と変わらない状況になってきているようにも見えるのであります。
 都労委が和解を重視して、委員の皆さんが身を粉にして和解解決に向け努力しているにもかかわらず、ご報告のように、これが低下をしてきている。この分析はどのようにされますか。

○岳野労働委員会事務局長 委員の皆様ご案内のように、昨今の日本の雇用は、パートやアルバイト、派遣などの非正規雇用が増大し、また、請負や委託など契約形態がさまざまになっておりまして、会社と労働者の関係が大変複雑になっております。
 一方、使用者たる会社においても、近年、一連の会社法の改正などによって企業の再編、再々編が活発に行われております。
 木内委員ご指摘のように、このような社会経済状況の変化が都労委に申し立てる時点においても如実にあらわれており、不当労働行為においても、申立人の組合員が被申立人の会社との関係において労組法上適用される労働者なのか、一方、実質的な使用者は誰なのかというようなことが争点になってきているケースが目立っております。
 このような事件では、和解の前提となる労使関係そのものに争いがあるため、都労委の和解に向けた説得も難航し、最終的な判定、すなわち命令を出すことにならなければ紛争を解決できないと、こうしたことが和解率の低下の理由の一つと思われます。
 また、社会経済状況はやや上向きになりつつあるも、現実的には企業の経営環境はいまだ甚だ厳しく、労使双方がなかなか譲歩しにくくなったことも原因ではないかと、このように考えておるところでございます。

○木内委員 大変明らかになって、私も改めて認識をさせていただきましたが、和解率の低下の理由というものが、労使紛争の複雑化や、あるいは企業の置かれた今日的な、現在の社会経済状況などの問題ということであります。ということであれば、残念ながら、今後もしばらくそういう状況が続くのではないかと、こうも考えられるのであります。
 そうすると、先ほどの局長の答弁では、労働委員会はまず和解による紛争解決に向けて努力するけれども、和解が困難な場合には、最終的には命令を出すことになるということでもあります。
 そこで、命令発出の件数について、五年前と比較しての状況をご報告願いたいのと、あわせて、一言で命令といってもどういう内容になるのか、さらに詳しくご報告ください。

○岳野労働委員会事務局長 まず、ここ五年間の命令等の件数でございますが、平成二十年度は十六件であったのに対し、平成二十四年度は三十件と約二倍に増加しております。
 また、命令の内容でございますが、大まかにいって救済命令と棄却命令がございます。
 救済命令は、使用者の行為が不当労働行為に当たると判断したときに、使用者に対し、例えば団体交渉に応じるように命じたり、解雇された労働者をもとの職場に復帰させるよう命じるなど、不当労働行為がなかった状態に原状復帰させ、将来の適正な労使関係の構築に向けて必要な措置を講じるものでございます。
 棄却命令は、使用者の行為が不当労働行為ではないと判断したときに、労働者や労働組合の主張を認めないことを知らせるものでございます。
 そのほか、申し立てが必要な要件を満たしていないなどの事由がある場合に、申し立てを受け付けない却下決定もございます。

○木内委員 今伺ったところでは、この命令件数が倍増しているということであります。加えて、これまでお聞きしたように、事件の中身自体も複雑困難化しているとなれば、審査期間の長期化ということが懸念されるんです。
 毎年、私はこれについても触れているんですけれども、例えば、都労委では法に基づいて審査期間の目標を一年六カ月と掲げて、審査の迅速化を図っておりますけれども、その目標の達成に影響は果たしてないのだろうか、こういう気持ちも抱かざるを得ません。
 そこで、審査期間の目標を一年六カ月と定めた平成二十年一月以降の審査処理日数の状況と、これに対する労働委員会事務局としての認識を伺います。

○岳野労働委員会事務局長 木内先生ご指摘のとおり、平均処理日数でございますが、平成二十二年六月末現在、二百二十五日でございましたのが、直近の平成二十五年三月末現在では四百一日、事業概要の説明で申し上げましたが、審査期間の目標、一年六カ月は達しているものの、結果として延びてございます。
 この原因につきましては、一つには、先ほどご答弁したとおり、和解率が五年間で一六・七%減少し、命令の発出が倍増しているため、和解で終結する場合よりも、審査に要する期間や、結審して命令を出すまでに要する期間が多くかかっていることが挙げられます。
 また二つ目には、和解に至るまでの日数そのものが、事件の複雑化や経済状況の低迷により、なかなか労使双方が譲歩せず長期化していることが考えられます。
 しかしながら、委員のお話もあったとおり、労使間の紛争を和解により解決することは大変重要でございますので、場合によっては審査の処理日数が長期化することがあるとはいえ、都労委としては粘り強く和解に向け努力していきたいと、このように考えている次第でございます。

○木内委員 確かに、この申し立てから結審までは丁寧に審査手続を進めること、とても大切なことであります。当事者の主張の一つ一つに耳を傾け、日常では抑圧されていた心情を都労委の場で吐露することで、初めは感情的になっていた当事者を冷静にし、当事者双方を和解のテーブルにつかせようと尽力する、こうしたことが可能となるのが実は労働委員会でありまして、権利関係を明らかにすることを本分とする裁判所とは異なる、違う存在意義がそこにはあると私は思うのであります。
 しかし、そうはいっても、一年六カ月という審査期間の目標を掲げている以上、どこかで審査の処理日数が長期化することの歯どめを、これもあわせて、かけていかなければならないであろうと思います。
 そこで、結審してから命令を発出するまでの期間は、都労委の努力でできる限り短縮すべきではないかと思うんですが、具体的な取り組みについてご報告願います。

○岳野労働委員会事務局長 まさに木内先生のご指摘どおり、和解の可能性がある結審までは丁寧に手続を進め、結審してからは迅速に命令を出すといった切りかえが重要であるというふうに認識しております。
 そこで、現状を申し上げますと、結審から命令交付までの平均処理日数について、五年前と比較しますと、平成二十年度は百六十七日であったものが昨年度は二百四十九日と、全体の処理日数と同様に延びてございます。
 このことにつきまして、私ども都労委としては問題意識を持ち、審査の処理期間を短縮するべく、昨年の十二月から、委員の先生方と職員とでPTを結成し、局を挙げて審査手続の迅速化に取り組んでまいりました。
 まず、大前提として、審査全体の短縮化を図るため、例えば主尋問、反対尋問は原則として同一期日に実施したり、陳述書の活用により証人の絞り込みを行うようにしたり、また、日程を次回以降三回まであらかじめ設定するなどの取り組みを徹底したところでございます。
 とりわけ、先生のお話にございました結審後の取り組みに重点を置きまして、できるだけ早い時期に担当の職員が公益の委員と打ち合わせをすることをルール化し、その打ち合わせの中でスケジュールを含めて進行管理をする仕組みをつくったところでございます。
 また、委員を補佐する事務局職員につきましても、業務の繁閑に応じて場合によっては担当を入れかえるなど柔軟に運用したり、弁護士資格を持った職員を期限つきで任用してございますが、この職員に法律的な観点からの助言や指導を行わせ、事務局職員の専門性の向上を図っているところでございます。
 これらの取り組みによりまして、争点整理作業の円滑化や命令の法的論理構成の強化が図られるなど、命令を起案する作業の効率化や的確化につながっているというふうに考えております。

○木内委員 今の答弁で、都労委が委員と職員一体になって、共通の問題意識を持って果敢に課題に取り組んでいるということがよくわかります。特にここ数年、直近の時期において、この進行管理の徹底ですとか、あるいは業務の繁閑に応じて担当を入れかえたり、弁護士資格を持った職員を期限つきで任用したり、あるいは事務局職員の専門性の向上を図るなどの具体的な取り組みを実は行ってきた。これは本当に高く評価できると思うんです。
 そこで最後に、その取り組みによって具体的な成果があらわれていると思うんですけれども、これについての経過をご報告願います。

○岳野労働委員会事務局長 先ほどのご答弁で私の方から申し上げたとおり、委員と職員が一生懸命、一丸となってこうした取り組みを行いましたことで、おかげさまで結審から命令交付までの平均処理日数が、平成二十四年度は二百四十九日を要していたのが、取り組みを始めました昨年の十二月以降、結審して、九月末までの命令交付の事件について見ますと、平均処理日数は百四十一日となりまして、処理日数を約四三%短縮できました。
 今後とも、こういうことを積み重ねまして、労使紛争の早期解決のため全力で取り組んでまいりたいと思っております。

○木内委員 るる岳野事務局長との質疑を行ってきました。今も、審査が結審してから命令を発出するまでの平均処理日数は、ここ五年間では延びていたものの、去年の十二月から、申し上げたような局を挙げての審査手続の迅速化に取り組み、短期間のうちに処理日数を実に四三%も短縮したという説明がありました。大変大きな成果だと思います。
 今後とも、公労使の三者委員とその補佐に当たる事務局とが一体となって、都労委はさらに努力をされて、複雑困難な事例の解決を的確かつ迅速に処理をし、都民の負託に応えていただきたい。このことを強く要望するわけでございます。
 当初、理事会での質問予定時間を三十分といたしておりましたが、全体を聞きましたら、五百七十分の質疑で九時間半だということ、効果的、効率的な委員会の審議に協力をするため、三十分のところ約二十分程度で終了いたしますことを、この後に続く質疑者に対しても申し上げながら、私の質問を終わります。

○尾崎委員 私も、労働委員会の事務事業に関連して、迅速な審査に関連する機能強化について何点か質問させていただきます。
 ことし七月に命令が出された明治乳業事件では、申し立てから命令交付まで十九年かかっているなど、事件の長期化が起きています。
 こうした中、労働委員会審査の迅速化と命令の的確化を趣旨に、二〇〇五年に労働組合法が改正されて、各労働委員会ごとに審査の目標期間を定めることとなりました。労働委員会は、二〇〇八年一月一日から審査期間原則一年六カ月と迅速化に取り組んでいますが、そのための体制強化をどのように図ってきたのでしょうか。

○岳野労働委員会事務局長 私ども労働委員会では、従前より、有為な人材を確保するため庁内公募制人事の活用を図りながら、人事交流により、法律的な判断に素養があって労使紛争解決に意欲もある職員の獲得に努めているところでございます。
 また、専門人材育成のため、外部機関が実施する多種多様な研修への派遣、局内での事例研究などのOJTにも積極的に取り組んでまいりました。
 さらに、二十年一月一日の目標後、二十一年四月から弁護士資格を有する特定任期付職員を採用しまして、労働関係の法令以外の法的知識も踏まえた専門的な視点から事務局職員への指導助言を行うことにより、職員のより一層の専門性の向上を図っているところでございます。
 なお、個別の事件についてはお答えできないので一般論でお話をさせていただきますが、労働委員会が取り扱う事件、木内先生には平均で申し上げましたが、さまざまなものがございます。
 争点等が明確で、例えば団交拒否だけの事案のものから複雑多岐な争点のもの、多種多様でございまして、申し立てから命令とか和解までにかかる理由は一概には申し上げられませんが、例えば当事者が多数であったり、争点が多岐にわたったり、複雑な背景事情があったり、証人がたくさんいたりという場合は、立証に対して多くの証人が立ち、多数の証拠書類等が提出されるので、それらを精緻に丁寧に検証するのに時間を要しまして、どうしても命令なり和解まで相当な期間を要さざるを得ないことがあるのをご理解いただきたいと、このように存じます。

○尾崎委員 今の説明で、その事件、事件で違うということはよくわかります。しかし、非常に長過ぎるんじゃないかというふうに思っているところです。
 次に、一般職員、係長の平均在任年数は、この五年間でどのような推移になっているのでしょうか。

○岳野労働委員会事務局長 審査担当、不当労働行為の審査をしております一般職員、係長級職員及び課長補佐級職員の局在職の平均でございますが、五年間ということでよろしゅうございますか。(尾崎委員「はい」と呼ぶ)平成二十一年度が八・八九年に対し、平成二十五年度は八・七二年で、ほぼ横ばいでございます。
 なお、新任の職員に対しましては、先ほど木内先生のときにも、それから尾崎先生にも申し上げましたけれども、研修やOJTの充実に加えまして、事件処理に当たっているベテラン職員とのペア制の実施や、豊富な事例を体系化し共有化する工夫などを行うことにより、特に丁寧できめ細かい育成を図っているところでございます。

○尾崎委員 次に、任期つき職員、弁護士導入の目的と役割は何でしょうか。先ほど木内委員からの質問もありましたので、導入後、どのような変化が起きたと認識されていますか、伺います。

○岳野労働委員会事務局長 尾崎委員からいただきました特定任期つき弁護士資格を有する者の採用の目的と役割でございますが、事務局職員に対して、幅広い法律的な観点からの指導助言等を行うことにより、その専門性の向上を図ること、それから都労委が発した命令が、行政訴訟、取り消し訴訟になることもございますので、そういう取り消し訴訟の指定代理人として円滑な訴訟追行を行うことなどがございます。
 採用から五年目を経ました現在、まず、みずから任期つきの職員が担当する事件につきましては、即戦力として不当労働行為の審査における争点整理作業など大変迅速に進めております。
 また、最近増加しております、労働関係法令以外の企業買収や破産などの法的課題につきましても、適時適切な指導助言を行いまして、複雑な争点整理の絞り込みに大変役立っております。
 また、これまでの弁護士経験がございますので、取り消し訴訟の指定代理人としても、公益委員と遜色なく訴訟追行を的確に行っているなどの利点がございます。
 結果として、私ども職員の専門性の向上と事務局体制の強化に大きく貢献していると思いまして、組織形態としてもうまく機能して定着しているというふうに認識しております。

○尾崎委員 都労委のホームページを見ますと、命令決定までの平均処理日数は、先ほど木内委員にも回答がありましたが、その以前のところから見ますと、二〇〇五年から二〇〇七年までの新規申し立て事件は七百五十三日、二〇〇八年から二〇一二年までの新規申し立て事件では七百四十八日とほとんど変化していない状況です。
 結審から命令交付までの目標日数は先ほど説明がありましたので、私のところで繰り返し質問はしませんけれども、平成二十四年度の平均は二百四十九日、去年から九月までで百四十一日という回答が先ほどありました。
 しかし、中には、先ほどいいましたように、明治乳業事件のように結審から命令まで六百日かかるなど、先ほど答弁していただいた平均の日数からすると二倍以上、去年から九月までで百四十一日といいますから、それと比べても四倍以上の日数になるわけです。
 この点で、命令は誰が書いて、どのような手続で発令されているのでしょうか。

○岳野労働委員会事務局長 命令につきましては、事件を担当した公益委員の先生が方針を決定し、事務担当の事務局職員に補佐をさせながら原案を作成いたしまして、それを十三名いらっしゃいます公益委員の先生方の合議によって決定しております。

○尾崎委員 日本労働弁護士団からは、迅速化する余り労働委員会命令の水準は全体的に低くなっているという指摘もされている点には十分注意を要します。
 また、先ほどの答弁で、迅速化への対応で体制を強化しているかのような答弁でしたが、この十年を見ると、係長、一般職員の定数は四十二人から三十二人に減少しています。任期つき職員についても、その導入目的は訴訟追行など労働委員会の命令についての行政訴訟対策であるなど、労働者の救済を主眼にした体制強化とはいえない面もあります。
 本来は改正労働法を活用し、迅速に審査等を行い、的確な労働者の団結権を擁護する立場の水準の高い命令を出して、それが行政訴訟によって維持されるよう労働委員会が総力を挙げて奮闘することが求められていることを厳しく指摘し、私の質問を終わります。
   〔岳野労働委員会事務局長発言を求む〕

○岳野労働委員会事務局長 済みません、先ほど私の答弁がちょっと舌足らずだったので、もう少し。
 定数につきましては、平成二十年から二十五年で、全体で四十から三十八ということで二人しか減少しておりませんし、係長も主任も主事も命令を書くという意味では一事務担当者なので、同じようにカウントをして、それほど定数は減っていないというふうに認識しております。
 また、水準の高いものというのは、もう尾崎委員のおっしゃるとおりでございますが、私ども都労委の委員は産業労働局で任命をしておりますが、具体的には、歴代の会長には高等裁判所の長官や地方裁判所の所長などを歴任された方が就任しておりますし、会長以外の公益委員につきましても、労働法や行政法、民事訴訟法などの分野で我が国を代表する方や、裁判官、弁護士など法曹界において大変活躍されている方を公益委員として選任しております。
 繰り返しになりますが、今後とも不当労働行為の事件の命令につきましては、全国をリードするような水準の高いものを出していきたいと、そのために努めていきたいと、このように思っております。

○中村委員 労働委員会の事務事業について質問します。
 労働委員会は、労使間の紛争処理を行うことにより労働基本権の保護と労使関係の安定、正常化を図ることを目的として設置されています。東京では、昨年度四百二十四件と全国の約半数の不当労働行為事件を取り扱っているとのことで、委員、職員の皆様には日々ご尽力をいただいています。
 さて、依然厳しい経済状況が続く中で、企業においては市場競争が激化し、人件費等のコスト削減にまで及び、雇用を取り巻くさまざまな規制緩和と相まって、昨今では非正規雇用労働者が雇用者の約四割を占めるようになっています。
 非正規労働者は正社員と比べ雇用が不安定であり、待遇においても不利な取り扱いを受けることなどが指摘されており、実際にもさまざまな労使紛争に巻き込まれることが多いように思います。
 そこで、最初の質問として、労働者はどのように紛争解決を図っていけばいいのか、現行の制度について伺います。

○岳野労働委員会事務局長 労使紛争につきましては、紛争の当事者が労働者個人である場合と、組合、すなわち集団である場合に大きく分けられます。
 いわゆる集団的労使紛争につきましては、労働委員会が労働争議の調整や不当労働行為の判定を行う中で命令や和解を出すことによって解決機能を果たしております。
 個別の労働紛争を取り扱う行政機関は、主なものでございますが、国が所管する都道府県労働局や産業労働局が所管する労働相談情報センターなどがございまして、こちらで労働相談やあっせんを行ってございます。
 司法機関としましては、権利関係の争いについては従前から裁判所における民事訴訟が利用されておりましたが、個別の労働紛争が増加してまいりましたので、これを専門的に審理するものとして、平成十八年四月より労働審判制度が施行されているところでございます。

○中村委員 今のお話ですと、さまざまな解決手段があるようですが、労使紛争のうち集団的な紛争については労働委員会が専管しているとのことです。
 昨今の労働争議の調整や不当労働行為などの事件の傾向はどうなっていますか、伺います。

○岳野労働委員会事務局長 今、まさに中村理事からお話がございましたとおり、厳しい経済状況を反映して、非正規雇用の雇いどめを初めとする解雇問題などが労使紛争に発展するケースが多いというふうに実感しております。
 昨年度、平成二十四年度に労働争議のあっせんの調整事項で最も多かったのは、団体交渉を促進することでございました。その団体交渉で議題としているものは賃金に関する事項が最も多く、次いで解雇問題が多うございます。
 一方、不当労働行為の申し立てで最も多かったのは団体交渉を拒否されたとするものでございまして、そこで取り上げられている議題は解雇問題が最も多く、次いで賃金に関するもの、そのほか配置転換、懲戒処分、支配介入の言動など、紛争の端緒は労使関係の全般にわたっておりますが、とりわけ昨今では、パワーハラスメントを会社から受けたことや、定年後の再雇用を拒否されたことなどを端緒とする事件が目立ってございます。

○中村委員 団体交渉の拒否やパワーハラスメントなどは、十分に労働法制が周知されていないことも原因かと思います。都労働委員会に申し立てられた不当労働行為などの状況を都の産業労働局にも伝えて、使用者、労働者双方が正しく労働法制を理解できるように取り組んでいただきたいと思います。
 さて、先ほどの答弁では、非正規労働者の雇いどめなどが労使紛争に発展しているとのことです。そうした非正規労働者が合同労組に駆け込んで紛争の解決を図ろうとする動きがあるようですが、実際に合同労組が労働委員会に救済を求めて申し立てるケースは多いのでしょうか、伺います。

○岳野労働委員会事務局長 勤務先に労働組合が存在しない場合、企業の内部ではなく個人で加盟できる労働組合、いわゆるこれが合同労組でございますが、合同労組に加入して会社に団体交渉を求めるケースは増加してございます。
 労働組合の組織率の低下等もございますのか、不当労働行為の審査事件において合同労組からの申し立ては大変多うございまして、平成二十四年度においては、新規受け付け件数の約七割を占めてございます。

○中村委員 労働委員会では、先ほども議論がありましたが、審査の目標期間を、平成十七年には二年としていたものを平成二十年には一年六カ月にしました。和解に至る場合には比較的期間が短くてよいようですが、命令の場合には長期間に及んでいるものもあるようです。審査は拙速でもいけないのですが、長期化すると労働者の方は生活が厳しくなる場合も出てきます。せっかくこうした紛争解決の手段が用意されていても、結果的に泣き寝入りになってしまうことがないように、引き続き迅速な対応に努めていただくようお願いします。
 さて、最終的に和解ができずに救済命令まで至った場合、労使の関係が複雑化していることが多いのでしょうが、救済命令がきちんと守られることが大切です。東京都労働委員会が発出した救済命令を使用者が守るかどうか、だれがどのように監視をしているのか伺います。

○岳野労働委員会事務局長 私ども労働委員会が使用者に具体的な作為を命じる救済命令を出す場合には履行報告を義務づけております。そして、当事者が再審査の申し立てや行政訴訟の提起を行わず、私どもが出した命令が確定したときは、使用者に対してその履行の報告を求めております。使用者が確定した救済命令に従わないときは、労働委員会または労働組合は裁判所に過料の決定を求め、命令の履行を担保する制度も設けられてございます。
 なお、平成二十四年度で救済命令が確定した事件は三件ございまして、うち二件は使用者から履行報告を受けており、うち一件は履行中というふうに聞いております。

○中村委員 ぜひ救済命令がきちんと履行されるようにしていただきたいと思います。
 さて、先ほどの答弁で、二十四年度の確定は三件ということは、他の件数は再審査や訴訟になったと想定されます。命令後、不服申し立てを、中央労働委員会に再審査を申し立てたり、裁判所に命令の取り消しを求める訴訟を起こす場合はどのくらいあるのでしょうか。また、そこで都労働委員会の命令が覆ることはあるのでしょうか。
 労働委員会は、準司法機関としての命令として判例的な効力があると考えられますので、その命令の内容が普及されることで紛争を未然に防ぎ、正しい労働法制が広まることにつながりますので、広報をよりすべきとも考えます。どのように考えるのか伺います。

○岳野労働委員会事務局長 平成二十四年度に都労委が出した命令のうち、再審査申し立てがなされたものが十六件、行政訴訟の提起がなされたものが二件、合計十八件で、出した命令全体の約七割が不服申し立て等がなされております。
 再審査命令や行政訴訟の判決において、これまで、都労委の命令に対し一部の変更が加えられることは時折ございますが、中村理事がおっしゃるように、結論は、ほとんどが維持されております。
 また、理事がお話しされたとおり、都労委の命令は、その後、最高裁において支持され、労組法上の従来の判断枠組みを新たに変えるというような例もございまして、今後の労使関係において規範的な効果をもたらすことがあると考えております。
 そのため、都のホームページに命令の概要を掲載して周知しているほか、命令を出した際にはツイッター等も活用して広く都民にも周知しているところでございます。こうした取り組みを着実に今後も行ってまいりたいと思っております。

○中村委員 七割の件数で不服申し立てなどがされていても覆ることが少ないのは、都労働委員会の判断の多くが適正にされているともいえます。そのため、その内容が規範的な効果をもたらしているとのことですから、ぜひ積極的に広報していただき、正しく労働法制が理解されるようにしていただきたいと思います。
 冒頭にも述べましたが、そうした活動の積み重ねにより、まさしく労働委員会の設置目的である労働基本権の保護と労使関係の安定、正常化を図っていただくことを要望して質問を終わります。

○三宅委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○三宅委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で労働委員会事務局関係を終わります。

○三宅委員長 これより産業労働局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○澤総務部長 去る九月十二日の当委員会で要求のございました資料につきまして、ご説明を申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の経済・港湾委員会要求資料の表紙をおめくりください。目次でございます。資料は全部で九項目ございます。
 一ページをごらんください。都内小規模小売店の推移につきまして、直近の平成十九年までのデータをお示ししてございます。
 二ページをお開きください。新・元気を出せ商店街事業における平成十九年度以降の実績をお示ししてございます。
 三ページをごらんください。特定施策推進型商店街事業申請状況につきまして、平成二十年度以降の実績を内容別にお示ししてございます。
 続きまして、四ページから五ページにかけまして、過去十年間の中小企業制度融資の目標と実績の推移をお示ししてございます。
 六ページをお開きください。都内事業所数・従業者数・製造品出荷額及び付加価値額の推移につきまして、直近の平成二十年までのデータをお示ししてございます。
 続いて、七ページから八ページにかけまして、過去五年間の都立職業能力開発センターの応募状況と職業紹介実績、就職率をお示ししてございます。七ページが応募状況、八ページが職業紹介の実績及び就職率でございます。
 九ページをごらんください。委託訓練の科目委託先の定員・応募状況・就職率をお示ししてございます。
 一〇ページをお開きください。雇用形態別都内就業者数の推移につきまして、直近の平成二十四年度までのデータをお示ししてございます。
 一一ページをごらんください。過去十年間の東京の農地面積及び農業生産額の推移をお示ししてございます。
 以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願いを申し上げます。

○三宅委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○田中委員 まず、台風二十六号による被害状況と復旧対応に関しまして、当委員会に関する視点から何点かお伺いをいたします。
 現在、大規模な土石流の発生により、特に被害の大きかった大島町では、地元の町や消防団、自衛隊、警察、消防の関係者が懸命の救助、捜索活動を継続しており、また、間もなく台風二十七号が接近するということで、二次被害の防止、住民の避難など、安全確保に万全を期さなければなりません。
 この緊急事態に対し、私ども東京都議会自由民主党では、先般、吉原幹事長みずからが現地に訪れ、また、直ちに都知事に対して緊急要望を行ったところであります。本委員会の三宅委員長も、発災以来、被災現地で関係機関との調整などに汗をかかれてこられました。
 そこで、台風による大島町の産業関係の被害について、まず、伊豆大島の基幹産業である農林水産業に甚大な被害が及んでおりますが、被害状況の概要と、被災現場や施設の復旧等に向けた都の対応についてお伺いをいたします。

○津国農林水産部長 初めに、農林水産業関係の主な被害状況についてでございますが、大島町元町地区上流部の数カ所で山腹崩壊が発生し、都が管理している林道が被災したほか、土石流のあった地域の畑やパイプハウスなどの生産施設が流されるなど、大きな被害を受けております。
 また、その他の地区におきましても、農業用貯水池に大量の土砂が流入するなどの被害が出ております。
 一方、漁業関係でございますが、施設等の被害は報告されていないものの、元町周辺の海域で土砂堆積による影響が懸念されるため、今後可能となり次第速やかに調査を行ってまいります。
 次に、こうした被害に対する都の対応についてでございますが、被害が発生した翌日から現地に職員を派遣し、被害状況の把握に努めました。
 これを踏まえた具体的な対応ですが、一番被害の大きい森林につきましては、林道の復旧や治山事業等の実施に向け、関係機関と調整を行っているところでございます。
 また、農業用貯水池等の農業基盤施設について、早期の復旧に取り組みますとともに、農業生産施設について、農業災害補償法に基づく補償手続に速やかに対応するよう関係機関に働きかけてまいります。
 さらに、生産施設等の復旧資金を速やかに融資できるよう、農林漁業の制度融資について、災害状況や大島町からの要望等も踏まえた融資条件を設定することで、農林水産業を支援してまいります。

○田中委員 島しょ地域の基幹産業である農林水産業を再建していくことが、被災地域の早期の復興につながるものでありますので、国や大島町等の関係機関とも緊密に連携し、十分な支援を講じていただきますようにお願いをいたします。
 先月、都議会自民党では、知事に要望し、三宅委員長が第三回定例会の一般質問で実施を求めた島しょ漁業者に対する燃油高騰対策について、都は迅速に事業の実施を決定し関係者から評価を得ました。今回の災害に対しても、スピード感を持って対応していただくよう、あわせて要望しておきます。
 次に、島内の中小企業者の方々の中にも深刻な被害を受けた方々がいらっしゃいます。さきの緊急要望においても、産業の早期復興に向けた資金繰りの確保などを求めたところでありますが、都の金融支援の取り組みについてお伺いをいたします。

○寺崎金融部長 台風二十六号により甚大な被害を受けた大島町の中小企業者の皆様に対する支援として、都の制度融資では、災害復旧資金融資の取り扱いを十月十八日から開始いたしました。
 この制度は、災害により損壊した店舗の修繕などに必要な資金を、都の融資メニューの中で最も低い利率で、かつ最長十年の期間で融資するものであり、あわせて全ての事業者に対して都が信用保証料の全額を補助する支援措置を講じております。
 大島支庁や大島町商工会などと連携し、本制度の円滑な利用を進めるとともに、事業再建に係る経営相談にも対応するなど、被害を受けた中小企業者の皆様の一日も早い事業の復旧を支援してまいります。

○田中委員 農林水産業、商工業を含め、大島に暮らし、働く人々が災害を乗り越えて、一日も早く事業を再開し、日常を取り戻すことができるよう、ぜひともしっかりとした支援をお願いしたいと存じます。
 また、台風二十七号に備え、高齢者、障害者の方を初め、千人規模での島外避難を緊急に実施する必要が出てきており、都庁の総力を挙げた対応が必要であります。災害対応や生活支援などを担う都庁各局とも密接な連携を図られるよう強く要望いたします。
 さて、昨年十二月に政権交代をし、アベノミクスの推進により、我が国の経済は着実に回復軌道に乗りつつありますが、これをいかに中小企業に波及させていくかが重要であります。
 さきの第三回定例会の代表質問でも主張いたしましたが、いまだに厳しい環境にある中小企業の経営安定への支援をしっかりと継続した上で、これからは設備投資や商品開発、販路開拓など、新たな事業展開に対し前向きに取り組む事業者への支援も強化していく必要があります。こうした観点から、我が国の産業を支える都内中小企業への支援について伺ってまいります。
 中小企業にとって、資金調達は非常に大きな課題でありますが、都は、金融支援の柱として制度融資を整備し、さまざまな資金ニーズに対応する融資メニューを用意しております。
 平成二十年のリーマンショック、東日本大震災、歴史的な円高など、中小企業にとって極めて厳しい時期が長く続いてまいりましたが、我が党はその都度、現場の中小企業の生の声を聞き、きめ細やかな対応を都に要望してまいりました。都もこれに応え、融資原資となる預託金を十分に確保するとともに、セーフティーネット保証や、円高対策メニュー、本年三月の金融円滑化法終了に当たっての特別借りかえ制度の創設などの迅速な対応を講じ、中小企業の資金繰りに大いに役立ってきたものと考えております。
 そこでまず、金融支援の大きな柱である制度融資について、現在の利用状況と今後の見通しについてお伺いをいたします。

○寺崎金融部長 今年度上半期の制度融資は、経営改善を進める中小企業の資金繰りを支援する特別借りかえ融資の利用が進む一方で、企業債務の返済が進まず、借り入れ余力のない企業や、前向きな資金を借り控える企業が多く、融資実績は前年同期をやや下回る状況にあります。
 一方で、ご指摘のように、鉱工業生産や景気動向指数などからも景気回復の動きが明らかになっており、都内中小企業についても、設備投資を実施した企業の割合が五期連続で増加するなど、企業活動は活発化する方向にあります。
 下半期におきましては、年末、年度末に向けた資金需要に加え、今後は、こうした中小企業の前向きな取り組みによる新たな資金需要の発生などが見込まれると考えております。

○田中委員 私の地元の声を伺っていても、何とか経営の維持を図るのが精いっぱいという経営者の皆さんがまだ多い一方で、受注が回復傾向にあり、事業の拡大を考え始めた方もおられます。
 制度融資についても、経営の下支えをする支援をしっかり継続していくことに加え、今後は、前向きな資金需要にも応えていく必要があります。さらにいえば、積極的に後押しをしていく必要もあります。
 国の日本再興戦略においても、医療、介護など成長産業の育成、海外進出への支援、創業の促進などを積極的に支援していくことが掲げられております。
 こうした面からの支援メニューとして、本年度、我が党の要望に応えて新たに設けられたのが政策特別融資であります。
 そこで、政策特別融資の創設から現在までの取り組み状況についてお伺いをいたします。

○寺崎金融部長 制度融資の政策特別融資は、多様化、複雑化する中小企業の経営課題や、都の政策課題などの解決に資するため、金融機関が有する独自の工夫やノウハウを活用した提案を公募することにより、融資メニューを創設したものであります。
 この融資メニューでは、融資だけでなく、経営や販売のアドバイスなど、さまざまな経営支援サービスを提供するところが特徴であります。
 例えば、海外販路開拓のメニューでは、事業拡大や設備投資などにかかわる資金の融資にあわせて、海外販売先の紹介による販路拡大支援や、輸出手続にかかわる業務サポートなどのサービスを提供いたします。
 また、事業承継のメニューでは、企業の事業承継を支援するための資金提供にあわせて、承継計画の策定や、その実行を銀行がサポートしていきます。経営基盤強化のメニューでは、中小企業診断士などの専門家と金融機関が連携して経営改善をサポートしていくという仕組みを用意しております。
 七月末の取り扱い開始から九月までの間で、約二億円の融資実績が上がっており、今後とも政策特別融資の推進により、経営課題に前向きに取り組む中小企業を強力に支援してまいります。

○田中委員 金融機関の提案という点や、融資にあわせて独自の経営支援サービスを提供する点で、政策特別融資は意欲的な取り組みだと高く評価できます。また、中小企業支援だけでなく、都の施策の推進に資する効果も期待をいたします。今後とも、より多くの支援が提供できるよう制度の拡充を求めてまいります。
 またあわせて、これは第三回定例会の代表質問でも求めてまいりましたが、東京の産業力を高めるため設備投資を強力に後押しするなど、成長を目指す取り組みについても踏み込んだ支援を求めておきます。
 成長を後押しする意味で重要なのは創業の促進であります。中小企業の活力を強化し、産業を活性化させていくためには、新たなビジネスの創出をふやしていくことが重要であり、国の日本再興戦略でも、開業率を引き上げる明確な目標値を掲げております。
 都は制度融資における創業融資に加え、ベンチャーファンドを通じて、創業企業や将来的に成長が見込まれる企業に対する資金供給を行っております。ことし一月には、ものづくり企業を対象とした新たなベンチャーファンドが立ち上げられましたが、しっかりと取り組みを進めていただきたいと思っております。
 また、成長志向型のベンチャー企業に加えて、地域の身近なニーズに応える創業も重要であります。創業をさらに強力に後押しするための資金、経営、両面からの支援の拡充が必要だと考えておりますが、都が新たに開始したベンチャーファンドの特徴と取り組み状況、加えて今後のベンチャー支援の充実に向けた取り組みについてお伺いをいたします。

○寺崎金融部長 本年一月に都が設立した新たなベンチャーファンドでは、総額五十五億円の出資金を原資として、エネルギー、半導体・電子部品、医療機器、環境関連などの分野において、有望な技術力を有するものづくりベンチャー企業への投資を行い、その成長を支援することとしております。
 ファンドの運営は民間の運営事業者が担い、幅広い情報ソースの中から有望な企業を選定し、投資を行うこととしており、これまでに医療機器や半導体開発などを中心に、四件の投資を決定しているところであります。
 また、出資者である民間事業法人との業務提携により共同開発や販路拡大を図るなど、経営面での支援をあわせて行うことで、事業化に導いていくことを目指しております。
 この十一月には、運営事業者と連携したベンチャー支援フォーラムを実施する予定であり、より多くのベンチャー企業の成長を支援できるよう取り組んでまいります。
 また、ご指摘の地域に根差した創業の促進に向けましては、創業者のニーズや実情を踏まえた新たな資金供給の仕組みを検討してまいります。

○田中委員 ベンチャーファンドによる投資が着実に進んでいることを改めて確認させていただきましたが、これも含め成長を志向する人、身近な地域で活動する人など、創業者の思いはそれぞれであります。実情に応じた効果的な支援を講じるべく、さまざまな取り組みを進めていただくようお願いをいたします。
 次に、産業集積の維持発展に対する支援についてお伺いをいたします。
 東京には、高い技術力を持ち、日本のものづくり産業の基盤を支える中小企業が数多く存在します。私の地元品川区は、戦前から機械、電気工業が多数林立をし、その後発展して京浜工業地帯の一角を形成するに至りました。現在では、最盛期と比べれば工場の数は減少しておりますが、高度な基盤技術を有する部品メーカーなどが集積をしております。
 こうした特色ある産業集積は都内各地に見られますが、そこでは、各企業が仕事の横請けや分業などを通じ、互いに助け合い、発注企業からのさまざまな要望にもしっかりと応えられる企業連携の仕組みがつくられ、都内のものづくり産業の強みを支えております。
 しかし、長らく続いた円高や、住宅開発に伴う立地環境の変化などにより、工場の都外移転が相次ぎ、また、後継者不足などにより廃業を余儀なくされる企業もあり、産業の空洞化の進行が懸念されております。
 すぐれた技術を持つ中小製造業による地域の産業集積を将来にわたり維持発展させることは、東京のものづくり産業の成長にとって重要であります。都は、中小製造業の集積の維持発展を図るため、昨年度からものづくり産業集積強化支援事業を開始しましたが、この事業の狙いとこれまでの実績についてお伺いをいたします。

○十河商工部長 東京のものづくりを支える高度な基盤技術を持つ中小企業の集積を確保し、製造業の競争力の向上を図ることは重要であります。
 そこで都は、地域の実情を把握する区市町村が、すぐれた基盤技術などを持つ中小企業の多く集まる地域を対象として、その集積の維持や発展を図る計画を策定して産業集積を促進する場合に、ものづくり産業集積強化支援事業により支援することとしており、現在四つの区市の取り組みを支援しております。
 これらの区市におきましては、企業誘致や設備投資に対する助成、企業の競争力を強化するための国の研究機関等との共同研究の促進、企業が安心して操業を続けるための工場アパートの整備など、それぞれ特色ある取り組みを行っており、集積の促進や区域外への流出防止、さらには企業間連携の強化といった効果を上げております。

○田中委員 東京のものづくり産業が今後とも成長し発展していくためには、企業集積のメリットを生かし、競争力の向上や経営基盤の強化を図っていくことが重要であります。これ以上の空洞化を避けるためにも、区市町村と連携した支援に今後とも着実に取り組んでいただきたいと思います。
 さて、都内中小製造業は、成長著しい新興国との熾烈な競争に巻き込まれるなど、厳しい経営環境に置かれております。そのような中で中小製造業が将来に活路を見出していくためには、付加価値の高い製品づくりや技術開発を行い、新分野への市場開拓などに取り組んでいくことが欠かせません。
 しかし、市場ニーズや製品開発の動向は目まぐるしく変わり、発注者が求める技術水準も、より高度化するなど、零細な中小企業が単独で立ち向かっていくことは困難であります。
 このような中、複数の企業がグループをつくって製品開発や販路開拓などに取り組む動きも活発になっております。参入が難しいといわれる米国の航空機業界への部品納入に成功した都内の中小企業グループもあります。
 グループによる取り組みは、技術や人材、ノウハウなど、経営資源の限られた中小企業にとって、不足する部分を補い合い、補強することで、高度な技術開発や新たな産業分野への参入などにも対応することができるようになると考えます。
 そこで、中小企業がグループをつくり、新しい技術やビジネスを創出する取り組みを促進するため、都はどのような支援を行っているのか、具体的な内容をお伺いいたします。

○十河商工部長 東京には、多様な分野の中小企業が存在しており、それらの企業がグループをつくり、そのすぐれた技術やノウハウを生かして新たな製品開発やビジネス展開を行っていくことは重要であります。
 このため都では、平成二十三年度より、ものづくり産業基盤強化グループ支援事業を実施し、開発、生産、営業体制の強化に共同で取り組む中小企業のグループを支援しており、最長三カ年にわたり、技術開発や生産設備の整備等につきまして、経費の二分の一を五千万円まで助成しております。
 これまでに十二のグループがこの事業を活用しておりまして、例えばLEDの発光効果を測定する装置や、タブレット端末による効率的な在庫管理システム、また、従来に比べ低価格で機能性の高い福祉ロボットアームの開発などに取り組んでおります。
 今後とも中小企業グループによる製品開発から、その商品化、事業化に至るまで、着実な支援を実施してまいります。

○田中委員 今後、医療、環境など成長分野への参入に向け、中小企業がグループを組み、技術や英知を結集して取り組むことは、我が国全体の産業競争力を高める上でも重要であります。こうした取り組みに対しては、資金面でのより幅広い支援や、海外への販路開拓に向けた支援など積極的なサポートが必要であり、都がこのような点についても充実した支援を行うことを改めて強く要望しておきます。
 次に、こうした産業活動を支える雇用就業対策について、特に、若年者の就業対策についてお伺いをいたします。
 長い間、大学新卒者の就職活動は厳しい状況が続いておりましたが、政権交代後の景気対策や金融政策により景況が改善し、新卒者の就職環境はようやく回復しつつあるといわれております。しかし、就職先を見ると不安定な仕事も多く、また、既卒者の就職環境は依然として厳しいことなどから、若年者の就業支援は引き続き重要な課題であります。
 さきの第三回定例会での我が党の三宅委員長の一般質問において、紹介予定派遣制度を活用した事業を初めとする若年の就業支援の重要性について主張し、一層の充実を図るべきと提案をいたしました。これに対し、質と量の両面からさらに充実を図るよう検討するとの答弁がございました。
 こうしたことも含めて、都が実施している若年者就業支援の現状と、今後どのように取り組んでいくのかを、あわせてお伺いいたします。

○矢田部雇用就業部長 若者を取り巻く雇用環境を見ますと、失業率は改善の傾向にあるものの、不安定雇用を余儀なくされている若者は依然として多いなど、若年者の就業支援は重要な課題と認識しております。
 このため都は、東京しごとセンターにおけるキャリアカウンセリングやセミナー等のきめ細かい支援のほか、合同就職面接会や民間の就職情報サイトを活用した取り組みなど、さまざまな支援、施策を展開しております。
 また、平成二十三年度からは、派遣就労を通じて就職に結びつける紹介予定派遣制度を活用した事業に取り組み、昨年度までの二年間で千人以上を正規雇用に結びつけました。今年度は、若年者緊急就職サポート事業と、重点産業分野就業支援プログラムの二つの事業を千五百人規模で実施しております。
 今後は、引き続き重点産業分野就業支援プログラムを展開しつつ、若年者緊急就職サポート事業については事業規模等の見直しを図り、さらに、セミナーと企業内における実践的な職場実習の効果的な組み合わせを検討するなど、さまざまな工夫を凝らしながら若年者就業支援の充実を図ってまいります。

○田中委員 意欲ある若者が就職できるよう背中を押す施策は引き続き重要であります。既存事業の検証を行いながら、都みずからが知恵を絞ることで、さまざまな手法により若年者就業支援をしっかりと行うよう強く要望しておきます。
 次に、地域における観光振興についてお伺いをいたします。
 本年の八月に発表された都の観光客数等実態調査によれば、昨年東京を訪れた外国人旅行者数は、東日本大震災から、ほぼ回復し五百五十六万人と過去二番目に多い数値になりました。また、日本人の旅行者数については、東京スカイツリーの開業や、東京駅丸の内駅舎の復元など、新たな観光資源となる施設の開設等から、四・七億人と過去最多を記録しております。
 さらに、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの東京開催も決定し、東京を訪れる旅行者の増加も期待できます。こうした追い風を受け、東京は観光振興に力を入れ、さらなる旅行者の増加を目指していくべきであります。
 例えば、私の地元、品川は東海道五十三次の最初の宿場町であり、今に伝わる江戸の趣を感じることができますが、地元ではこれを観光資源として、しながわ宿場まつりを開催するなど、積極的な取り組みを展開しております。
 また、同じ東海道筋である立会川には土佐藩下屋敷があったことから、その立会川には土佐藩が築いた浜川砲台の跡が残されております。幕末の黒船来航の折、若き日の坂本龍馬が警護に当たった地とされておりますが、現在、駅前の北浜川児童遊園にはその銅像が建てられているほか、龍馬の街として、商店街が龍馬にちなんだ取り組みを行っております。
 東京の各地域がこうした魅力を掘り起こし活用していくことにより、東京の魅力をより磨き上げていくことが重要だと考えております。
 しかし、地域の観光協会などでは、観光振興に向けた機運が高まっている一方で、ツアーや特産品等の企画、開発といった具体的な取り組みを進める上で必要な専門的なノウハウや経験が十分ではないケースがあると伺っております。
 観光によって地域の魅力を高めていくためには、こうしたやる気のある地域を積極的に支援していくべきだと考えておりますが、都のご見解をお伺いいたします。

○杉崎観光部長 都は、主体的に観光振興を進めようとしている地域に対して、観光分野の学識経験者や、まちおこしのリーダー経験者など、地域振興に精通した専門家をアドバイザーとして派遣し、具体的な指導助言を行うことによって地域の取り組みを支援しております。
 また、今年度からは、地域資源を活用しようとする観光協会などのアイデアを民間事業者の商品化ノウハウと結びつけることにより、旅行者の誘致につなげる地域資源発掘型実証プログラム事業を新たに実施しているところでございます。
 この事業の実施に当たり、地域からの企画提案を募集いたしましたところ、七十三件もの提案が集まったことから、地域の観光振興に向けた意欲を高める効果があったものと認識しております。
 現在、こうした提案の中から、メロン、レモン、ワサビなどの地元の産物を特産品として開発する取り組みなど、二十件の提案を選定して、民間事業者のノウハウを生かし、具体的な事業化を進めるところでございます。
 都としては、今後こうした取り組みが地域に根づくよう、積極的に支援をしてまいります。

○田中委員 以上、中小企業の成長に向けた取り組みなど、都の産業振興について、さまざまな観点からお伺いをいたしました。
 安倍政権では、デフレ脱却と経済再生に向けた道筋を確かなものにするため、成長戦略関連施策の当面の実行方針を初めとする経済対策を矢継ぎ早に繰り出しております。国内の景気が回復しつつある中、我が都議会自民党は、今後もさまざまな政策提言を行い、都民、国民の成長戦略の実現のために、全力を挙げて取り組んでいきたいと思っております。
 都内事業者や都民に身近な産業労働局においても、東京の発展のために、これまで以上に頑張っていただくことを期待しております。
 そこで、今後の産業振興の展開に関する局長の決意を伺って、私からの質問を終わります。

○塚田産業労働局長 国の月例経済報告によりますと、我が国の景気は大企業を中心に収益が改善するなど、緩やかに回復しつつあります。今後は持続的な経済成長の実現に向けて、景気回復を中小企業へ広く波及させていく必要がございます。
 そのためには、産業の基盤である中小企業に対する経営の下支えを引き続き行いながら、成長を後押しする取り組みについて一層力を入れていくことが重要であります。
 都といたしましては、副委員長からお話のありました新たな事業展開への金融支援や、地域の産業ネットワークの強化を初めとした産業振興施策を展開し、国内外での新市場に果敢に挑む中小企業や創業者を支援してまいります。
 また、若者や女性、高齢者など、多くの都民が産業の重要な担い手として能力を十分に発揮できるよう、雇用就業を推進してまいります。
 加えて、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック開催決定を受けまして、東京が国内のみならず世界各国から多くの注目を集める中、地域の特色を生かした観光振興にも積極的に取り組み、東京の産業発展につなげてまいります。
 今後、東京の成長を加速させていくとの考えのもと、職員一丸となって産業振興や雇用就業に全力で取り組んでまいります。

○木内委員 二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの東京開催が決定しました。東京はもとより、全国的な期待と、また希望のうねりが大きくなっているところであります。こうした機運の高まりを捉えて、例えば東京の発展、あるいは観光資源の活性化、あるいはまた人々のにぎわいと活気、こうしたまちづくりというものが一層加速をされなければならないと思います。
 例えば、この観光振興ということは、極めてそのための大きなファクターでありまして、これに対する考え方も、より新機軸のものとなり、また、斬新で創造的な発想を導入しながら、しっかりとこれに対応していかなければならないと思います。
 都議会においても、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック開催の成功に向けての新しい機能の組織がスタートをしたわけでありまして、本委員会の高島先生もその責任ある立場で、今、懸命なご努力を開始されたところでありますが、この議会の議論というものも、やはり一つ一つの意見交換をし、提案をし、そうしたやりとりの中から新しい政策課題というものを紡ぎ出していくということが極めて重要であると思いますし、観光振興に向けての具体的な予算措置も講じていかなければならない。
 昔からよくいわれるわけでありますけれども、経済の顔は株価にあらわれる、政治の顔は予算の数字にあらわれるというわけでありますので、きょうは基本的な東京都の観光政策、このありようについての議論を深める中で、今後への課題克服への大きな端緒とさせていただきたい、こう思うわけであります。
 まず初めに、都が進める各地域における観光振興の、基本的にして具体的な取り組み方針を明らかにされたいと思います。

○杉崎観光部長 都は、平成十六年度に策定いたしました観光まちづくり基本指針に基づき、地域が主体的に地域の特性を生かし、観光の視点に立った活力あるまちづくりを進めていくことを支援しております。
 このような観光まちづくりを進めるためには、地元の機運を高めるとともに、まちづくりの中心となる人材の育成や具体的な行動を起こすための地域の推進母体の創設などに取り組んでいくことが重要であります。
 このため、観光まちづくりの考え方を広く都民に周知するため、シンポジウムを開催して機運の醸成を図っているところでございます。
 また、観光まちづくりに取り組みたいと考える地域住民や観光協会、自治体に対しまして、具体的な手順を示したマニュアルを策定し、周知しております。
 さらに、平成十七年度からアドバイザー派遣事業を通じまして、地域団体の要請に応じて観光分野の専門家などを派遣し、推進体制の構築や、地域の実情を踏まえた観光振興計画の策定などを指導助言しております。
 引き続き、地域が主体となって、住む人が誇れ、旅行者が何度でも訪れたくなる活力あるまちづくりを目指してまいります。

○木内委員 先ほどの同僚委員の質疑の中で、この観光アドバイザーの派遣ということについての話がありました。各地域、あるいは観光資源のポテンシャルのあるところについては、関係者の方々が、大変情熱はあるけれども、具体的に何をどう切り口として捉え、そしてこれを発展させるかということに常に頭を悩ませているわけでありまして、私が仄聞するところ、このアドバイザー派遣事業というのは、極めて効果的な、また実質的な結果を実は期待できる事業の一つであると、こういうふうに思っております。
 今後、やはりアドバイザー派遣事業は、事業規模の拡大と、人材の集約というものが必要であろうと、こういうふうに思うわけでありまして、この際でありますから改めて明らかにしていただきたいんですけれども、このアドバイザー派遣事業で活用している専門家の方々について、そのイメージを都民の前に明らかにしていただくと同時に、具体的な専門性についてもお尋ねをします。さっきの答弁とかぶっても結構ですから、おっしゃってください。

○杉崎観光部長 都は、派遣要請のあった地域団体と事前にヒアリングを行い、現状の取り組みや課題などの個別具体的な要望を聴取しています。
 これを踏まえまして、専門家の経歴、他の地域での支援活動など、過去の実績を勘案し、アドバイザーを選定しております。
 具体的には、観光関連学部の大学教授やコンサルタント、旅行事業者など、個々の活動を支援するのに適切な人材を選定し、派遣をしております。

○木内委員 各地域で、必ずといっていいほど観光資源、あるいは文化的遺産等々があるわけなんです。
 例えば、私の地元の江東区、山崎孝明区長という大変立派な、歴史に名を残すといわれる区長が頑張っているわけですが、石田波郷という俳人がいた。この人の記念館をつくる。あるいは、田河水泡さんという人が、江東区の下町、深川にご縁があって、「のらくろ」という漫画をかいた人ですが、のらくろードというのを商店街のネーミングに活用するなどしている。あるいは、どこへ行きましてもそういう観光資源というのはあるわけでありまして、いわばそういう熱意というものをどう吸い上げて具体的に行政がこれを支援していくかということが、今、非常に強く求められているわけであります。
 今の答弁でも明らかなように、この一律機械的に派遣するのではなくて、その地域の入れ物に合った、水の器に従うがごとくという言葉がありますけれども、まさにそのとおり、専門家を派遣しておられるということを、私は事業として大変高く評価したいと思うんです。
 それで、アドバイザー派遣事業でありますけれども、活動に取り組んでいる団体に対する、地域ニーズを踏まえた非常にソフトで心をつかんだ事業なんですけれども、これまでの実績と成果、この際明らかにして喧伝してもらいたいと思うんですが、どうでしょうか。

○杉崎観光部長 平成十七年度から二十四年度までに、約四十件のアドバイザー派遣を実施いたしました。今年度は既に三団体へ派遣し、今後、二団体へ派遣する予定でございます。
 これまで、観光協会の設立に向けた準備や、地域の企業、商店会、住民など含めた推進体制の構築、新たなイベント開催への助言など、多岐にわたる支援を行っております。この事業を活用された団体からは、観光協会の設立や推進体制の構築により地域の一体感が生まれ、観光まちづくりの取り組みがスムーズに進行しているなどの評価をいただいております。

○木内委員 後の質疑で出てくるんですけれども、このアドバイザーの派遣回数や、あるいは時間ですね、マキシムで年間で十回かつ四十時間。後でお答えいただけると思うんですけれども、このいわゆるキャパ全体を使うには、年度の初めから各地域とのタイアップによってこの事業はスタートした方がいいわけで、今は十月、それからこのアピールを行って、三月いっぱいまでに募集、応募をとり、四月の新年度からこのアドバイザー派遣事業というものを、私は枠満杯で進めていくべきだろうと思うんです。
 これも仄聞でありますけれども、例えば福生でUSドルを使える、買い物できる商店街であるとか、さまざまな具体的な成果があるようにも聞いていますので、端的にその具体的事例を報告いただけますか。

○杉崎観光部長 平成二十一年度には、在日アメリカ空軍の横田基地がある福生市にアドバイザーを派遣し、基地周辺の商店街でUSドルを使用して買い物ができる特区構想を実現するなど、地域ブランドの確立に向けた取り組みを支援いたしました。
 また、二十三年度には、ポップカルチャーやブロードウェイ商店街で有名な中野区で、アドバイザーが観光協会の設立に向けた準備に携わり、また、活動計画の策定を支援しております。その結果、翌年に民間主導で一般社団法人中野区観光協会が設立されました。
 さらに今年度は、観光協会が、旅行者の誘致に向けて地域資源の開発や他団体との連携、ネットワーク構築などを主体的に進められるよう支援しているところでございます。
 また、寅さんで有名な葛飾区柴又などでも、アドバイザーの指導助言を受け、主体的に観光まちづくりの取り組みが進行しております。

○木内委員 今後も、何度もいうように、この派遣事業、観光まちづくりに取り組んでいる団体等への細やかな支援を、引き続き、精力的に拡大をしながら充実していってもらいたい、このことを強く要望いたします。
 そこで、ちょっと重複しますが、本事業の支援を受けるに当たって、派遣回数や時間の制限などがあって、そうした要件を踏まえた上で、より効果を高める活用方法、これについてどう考えていますか。

○杉崎観光部長 本事業では、一団体当たり、年間で十回かつ四十時間を限度としてアドバイザーを派遣しています。
 この事業の活用に当たりましては、団体として活動方針や取り組み課題などを整理した上で、都と連携してアドバイザーに必要な専門性などを検討し、年度の早い時期から派遣を開始することが効果的でございます。

○木内委員 これはさっき申し上げたように、来年四月から年度初めの事業のスタートに当たって、しっかり準備をして取り組んでもらいたい、このことを強く要望しておきますので、きょうは局長の答弁は特に予定しておりませんけれども、しっかり聞いていただいて、この議論の中身を拳々服膺して、精力的に取り組んでください。
 それで、私は、きょうの質疑の主眼であります天王洲アイルの開発、観光資源の活用、一体的地域の発展に向けた質疑を行うわけでありますけれども、この中で、例えばきのういただいた資料では、著名な建築家の先生である隈研吾先生という方が、天王洲アイルの駅前の交差点を中心にした膜屋根によるネットワーク化、このパースをいただいたところなんです。天王洲のシンボルとなる膜屋根の塔というのがあるんですね。広い地域に、テント状なんでしょうか、詳しく材質等は聞いていませんけれども、こうしたものを張りめぐらして、いわゆるランドマークにしていく。それから、これによって天王洲入り口のゲート化というのもあるんです。などなどの発想も、実は地域の方が建築の専門分野の方に依頼をして計画した部分もあるんですが、私が今なぜこれをいいたいかというと、観光振興というのは、一方でソフトの充実であり、一方で申し上げたようなハード面のインフラ整備、これも必要なんだということをお訴えしたいからなんであります。
 観光まちづくりによる魅力向上のためには、アドバイザー派遣事業などソフト面の支援とあわせて、資源開発と地域特性を生かしたハード面の支援も必要だというのはこういうわけであります。これまで都が実施してきた支援事業の成果、これはまだまだ緒についたばかりだと思うんですが、それでも結構なので明らかにしてください。

○杉崎観光部長 都は、観光資源の開発にはハード面の整備も必要と考えまして、地域の魅力を歴史、文化、産業、舟運をテーマとして取り上げて事業を展開しております。
 具体的には、歴史的建造物等を生かした観光まちづくり事業や、産業を生かした観光ルート整備事業などによりエリア整備を支援しているところでございます。
 こうした支援を通じて、点在する観光資源をつなぎ、地域の魅力を点から面に広げ、旅行者が町歩きを楽しむ環境の構築を、地域とともに取り組んでいるところでございます。

○木内委員 今、舟運ということについても言及がありましたけれども、申し上げた天王洲、これは大変、東京全体を俯瞰しても、羽田空港に近い、東京湾に面している、また都心にも近い、交通アクセスが非常に利便性があるなどの、実は特徴を持った地域でありまして、あさって、また港湾局との質疑があるんですけれども、このときにも触れるつもりでいます。
 私がかねて本委員会でその実現を訴えてまいりました舟運の活性化の中でも、特に水上タクシー、水上リムジン、これもきのう、皆さんに見せたら大変驚いていたんだけれども、九人か十人乗りの水上タクシーです(資料を示す)。
 初めて見る方も多いと思うんですが、こんな流線型のものが、今、東京湾の水上を走っているんです。これが先ごろ認可になりまして、天王洲の方と羽田を結んだり、あるいは、日本橋を結んだりするなどして、より一層、東京湾の舟運の活況を呈するような、また、今、起爆剤にしようと私はしているわけですけれども、天王洲にも桟橋に離発着するような端緒をつくらせていただきました。
 東京港の関係団体の皆様にもご協力とご理解をいただいて、今どんどん進んでいるわけでありますが、これなどは、新たな予算措置は、実はほとんど必要ありません。今まである舟運をそのまま柔軟に活用したり、コースを微調整したり、あるいは水上バスを浅草、二天門の方からずっと隅田川を下らせて、竹芝、あるいはお台場、さらにまた葛西臨海公園、あるいはまた今いった天王洲、羽田、こういうふうになる。
 ちょっと話は脱線しますけれども、オリンピックを目前にして考えると、羽田に着く国際線のフライトが、お客さんをいっぱいおろす、ここから天王洲でもどこでも、船でどんどん行ける。すばらしい時代になってきたし、そのために、都政はその牽引力にならなければいけないと思うんです。
 今の水上リムジン、料金どのくらいかというのは、いろんなケースがありますけれども、例えば十人乗りで日本橋から天王洲なり東京港の方に参りますと、一杯で一万円、一人千円でいいんです。あと、アクセスのためのバス代まで含むようなセットも中にはあるそうでありますから、非常に便利に活用されるということなんであります。
 それで、産業労働局は、歴史的建造物等を生かした観光まちづくり事業の具体的な対象要件というものを設けているわけでありますが、これが、皆さんのお立場から見ると、やっとここまで持ってきたという一定の成果だと思うんですが、私から見ると、極めて使い勝手の悪い、そういう規則や縛りがかけられているところが多いように思うんです。
 まず、この具体的な対象要件について伺いたいと思うんです。

○杉崎観光部長 本事業は、都選定の歴史的建造物及び都が指定した文化財周辺のエリアを対象として、外観の修景や看板、標識などの整備を支援しています。
 このような周辺のエリア整備を行う場合には、補完的に、回遊性向上のための観光マップの作成など、ソフト支援も実施しております。

○木内委員 歴史的建造物等を生かした観光まちづくり事業は、要綱によりハードとソフトの一体的な支援と、こういうふうにされているわけでありますけれども、効果的な活用がなされるのであれば、ソフト支援だけでも個別支援をすべきだと思いますし、また、そのように規則や、あるいは内容を改めるよう、具体的な課題についての検討を開始すべきだと思います。明快な答弁を求めます。

○杉崎観光部長 本事業は、歴史的建造物等の周辺地域に点在する観光資源を結びつけ、広域的な散策を促し、旅行者を引きつける魅力的な観光エリアを構築することを目的としております。そのためには、道に迷わず散策ができるよう観光案内標識の整備や、町歩きを楽しめる景観の修景は重要でございます。
 現在行っている観光マップなどのソフト支援は、旅行者の利便性を向上させるため、町歩きを補完するものとして実施しているものであります。
 文化財等を観光資源として活用することは、地域の貴重な歴史や文化に対する理解を深めるとともに、観光振興に大いに役立つものであり、これを一層進めるために、今後、どのような支援の手法が有効か、これまでの事業の成果なども踏まえて課題を整理するなど、検討してまいります。

○木内委員 今の答弁は、きょうの質疑の星ですから、局長もよく心に刻んでおいていただきたいと思います。具体的な支援の手法の有効性、これまでの事業の成果を踏まえて課題を整理するなど、検討に入っていると、こういうことでありますので、ご努力を求めます。
 かつて水の都といわれた江戸東京の魅力についても触れてみたいと思うんですが、町を縦横に流れる内部河川、人や物が行き交い、地域のにぎわいを創出する重要な要素であります。戦後の経済成長の中で、交通の利便性や治水を重視し舟運が衰退した時期もありましたが、例えば下町、東部地域においては、スカイツリーの開業とともに隅田川や江東内部河川を活用した舟運が活発化しています。
 私がお世話になっている選挙区は江東区でありますが、地元の後援者の中に、実は屋形船の船頭さん、経営者の方がおられて、先ごろ後援会の皆さんをここにお乗せして、会費制でずっと隅田川をさかのぼったことがあります。このときに、やっぱり隅田川の水面から見るスカイツリーの勇姿といいますか、見事な景観にはみんな胸を打たれたようでありまして、これなんかはまさに、この舟運を活用しなければ体験することのできないステージであろう、こういうふうにも思ったわけであります。
 都内には、天王洲アイルやお台場などの運河周辺や臨海部など、魅力ある水辺があります。水辺や舟運は、観光振興の大きな魅力です。
 そこでまず、都がこれまで取り組んできた水辺における観光振興についてご報告ください。

○杉崎観光部長 都は、平成十八年度より、水辺の広域性を生かし、浅草・両国や芝浦・天王洲など、七ルートの広域観光マップを作成してまいりました。また、水辺周辺の町歩きを誘導する歩行者用観光案内標識を設置するなど、新たな観光ルートを開発、促進しております。
 さらに、都民や地域で活動する水辺活動団体を対象に、水辺空間の魅力や楽しみ方に関するシンポジウムを開催しております。
 加えて、平成二十四年度から実施している舟運を機軸とした観光振興事業では、水辺活動団体が主体となって、複数区にまたがる観光ルートの開発及びルート周辺のにぎわい創出に向けたソフト、ハードを一体的に行う場合、各地域の自治体と連携して支援をしているところでございます。

○木内委員 舟運を機軸とした観光振興事業は、河川や運河など、水辺の広域性に焦点を絞って、水辺活動団体が事業主体になって、二区以上の広域連携を前提として、ルートの開発に向けた運航実験、ソフト事業、ハード事業を一体的に実施するということを要件にしている。これが非常に困難な条件になっているわけでありますけれども、各地域の水辺活動団体が地域を越えて連携し、広域的な活動を展開することは非常に重要なことだと思います。
 しかし、現実的には、その実施主体となる水辺活動団体の支援体制や資金力などは、各団体においてさまざまであります。こうした事業のような広域連携、一体的な取り組みを実施したくてもできないというような声も、現実には多数あるわけであります。
 都は、なぜ広域連携や一体的な取り組みを要件としたのか。例えば、二区連携などといって、一つの自治体に包括される地域は対象にならないとか、そういう要件が今あるんですね。お答えください。

○杉崎観光部長 都は、これまでも各地域の活性化を促すため、個々の水辺の魅力創出に向けた取り組みを支援してまいりました。
 本事業は、水辺の魅力を点から面へ広げるために、日常的には使用されていない防災船着き場を修繕するとともに、船上及び周辺観光施設のガイド養成などを行い、点在する防災船着き場を広域的につなぐ観光ルート開発をハード、ソフトの両面から一体的に実施することで、より高い相乗効果を期待しているものでございます。

○木内委員 最近の都内の水辺を取り巻く状況を見ますと、隅田川周辺では、九月から定期的に中央区が、勝どき周辺の水辺テラスで収穫体験などができる日本最大級規模の都市型マルシェを展開したり、あるいは十月には、台東区が浅草近くの二天門の堤防沿いにオープンカフェを開設しました。
 こういう場でありますから、あえて個別具体の名前はいいませんけれども、ある著名なコーヒーショップ、これは今の建設局長と地元の自民党の先生と私とで連携して支援をさせていただいた経過もありますけれども、オープンカフェの開設がありました。
 また、江東区の小名木川周辺では、江戸時代に塩を運ぶために利用されていた塩の道の歴史に焦点を当て、川の駅を整備して、この春から水陸両用バスが運行しています。
 こうして各自治体が趣向を凝らして、単独でもさまざまな水辺の活用を展開しています。
 さっき申し上げたけれども、舟運を機軸とした観光振興事業は二区連携かつ運航実験、ハードとソフトの一体的な支援が要件になってしまっています。水辺の効果的な活用を図るのであれば、単独区での活用やハード整備、ソフト支援だけの個別支援も可能とするべき、このように考えますが、都の見解を求めます。

○杉崎観光部長 都内には、災害時における緊急物資や人員の輸送手段として設置された防災船着き場が約六十カ所あり、これを水辺の観光拠点として活用することが有効でございます。
 近年、防災船着き場の機能を生かして、平常時においても観光を目的とした利用が進んでいること、民間によるにぎわいづくりのための船着き場の整備も行われていることなどから、今後、地域の意向や水辺の活用状況などを踏まえ、どのような課題があるのか検討してまいります。

○木内委員 極めて明快な答弁で、了としたいと思います。今後、検討方をよろしく要請しておきたいと思います。
 また、先ほど、都が手がけた水辺の広域観光マップでも取り上げられましたし、言及した天王洲でありますけれども、羽田空港の沿線による天王洲アイルを中心とした水辺のオープンカフェなど、開放感ある空間として魅力的な運河エリアです。私も何度か、あそこのちょうど運河に面したオープンカフェに足を運びましたが、いつ行っても満員。どこからこれだけの方が集まるかと思うぐらい何百人の方が、運河内の、大変誤解を恐れずにいえば、へんぴなところといってよいところです。ここに人々が本当に多く集まっておられて、田中副委員長、驚くと思うんですが、ご存じのように、今、物すごい観光ポイントになっております。
 また、劇場やアートも楽しめる都市空間でもあります。天王洲アイルと橋で結ばれている東京海洋大学のキャンパスには、雲鷹丸、古い船舶でありまして、昔、蟹工船に使われた船も現存して、そのまま残っているんです。
 さっき同僚委員がいわれた、天王洲アイル周辺には、旧東海道の宿場であった品川宿など、江戸風情の面影、歴史に思いをはせる観光資源も存在して、水辺と歴史を感じさせる観光スポットとして、今後の発展性が大いに期待されているわけであります。
 加えて、さっきも申し上げたように、オリンピックを念頭に置いてもそうでありますが、羽田空港を利用して多くの旅行者の来訪を期待することもできるし、私は関係者の方に、ここにさらにバックパッカーというんですか、海外からの若い青年たちが大きなリュックを背負って日本に来て、インバウンドで、そうして日本中を旅行する、その拠点にしてもいいような、そういう安い和式の旅館なりホテルというものもここにオプションとして併設したらどうですかといいましたら、関係庁の方は大賛成だと、ぜひ品川宿にそうしたいと、そういうこともいっておられたわけであります。先日も、ここの地域発展に向けて懸命なご努力をされている協議会の代表の方で、中野さんとおっしゃる方がおられるんですが、非常に豊かな見識と先見性の持ち主でありまして、私は非常に尊敬しておりますが、ぜひこうした方々の知恵を全体として集約し、東京都としても行政支援をぜひすべきであると、こういうふうに思うのであります。
 まさに天王洲エリア全体がミュージアムのようでありまして、大学、地域が一体となった世代間交流なども始めていくんだと、そうした関係者の方々は率直で真剣な心情を吐露しておられたのが印象的であります。こうした極めて新しい、いろんな角度からのいろんなベクトルの思いというものがこの計画にあるわけでありますけれども、こうした地域の取り組みを進めるために、都は一層の積極的な支援をすべきと考えるんです。
 ほかにも局地的、限定的な地域における都内の観光地はあるけれども、天王洲のようにいろんな観光資源、そうしたポテンシャルが内蔵されているというところは、非常に新しい時代の新しい魅力あるスポットとして重要な存在であると思いますので、普遍性、発展性ということも考える上から明快な答弁を願いたいと思います。

○杉崎観光部長 都は、今年度から、地域に根差した資源を活用しようとする観光関連団体の新しいアイデアと民間事業者が持つノウハウとを結びつけ、具体化させる地域資源発掘型実証プログラム事業を実施しております。
 この事業を通じて、にぎわいづくりなど、地域の魅力を高める新たな試みを支援しております。

○木内委員 観光部長から淡々と答弁がありましたけれども、そうした制度の仕組みの中で、できるだけの支援をしてもらいたいというふうに思うんです。
 具体的に、天王洲アイル、申し上げたまちの顔はよくわかっていただいたと思うんですけれども、このまちづくりに対して、都は現行制度の中でどんな支援ができるのか。さっきいったように、要件がかなり限定的になっている事業は難しいと思うので、まず現状ではどうですか。

○杉崎観光部長 地域の観光資源を活用し、旅行者の誘致に取り組む地域の活動は、観光の視点に立った活力あるまちづくりを進める上で重要でございます。
 都は、このような活動を支援するため、地域で活動する団体に対して、実情に応じてアドバイザーを派遣しております。
 お話のような大変熱意のある取り組みを行っている方々に対しても、現状や取り組みの方向性などの具体的な意向をよく伺い、その地域ならではの特色を生かした魅力創出に向けまして、アドバイザー派遣事業による専門家の派遣を検討してまいります。

○木内委員 具体的な派遣事業等について言及がありましたので、了としたいと思うんです。
 それから、先ほどご検討願うといったさまざまな課題、この検討の結果、活用可能なものについては、こうした熱意ある地域の努力に対して、都もしっかりと制度を活用して応えてもらいたい、こう思うわけであります。
 天王洲アイルで行われているまちづくりに対しては、このアドバイザー派遣の検討は可能ということでありますが、都の舟運を機軸とした観光振興事業や、あるいは歴史的建造物等を生かした観光まちづくり事業は、支援に当たっての要件が限定的なために、現状では無理ですけれども、至急に検討をいただいて、この改善の結果によって、ぜひとも運用をお願いしたいと思います。
 都内には、馬術競技が身近に楽しめる世田谷区の馬事公苑、哲学の世界を視覚的に表現した、全国的にも例を見ない中野区の哲学堂公園など、都の歴史的建造物の選定や文化財の選定は受けていないけれども、それぞれの地域の方に認知された資源が豊富にあるのであります。生活文化局マターでなくても結構、産業労働局マターで結構ですから、こういったところのいわゆる価値判断というものを的確に行って、そうしてこの資源の活用をしていただきたい。
 地域の伝統や文化、風物、水辺など、旅行者を引きつける価値のある地域資源が存在するわけですが、そのポテンシャルを十分に活用すべきと、このことを訴えます。
 こうした地域に根差した資源を生かし、多くの旅行者が訪れ、地域のにぎわいを生み出すためには、さらに制度とともに柔軟な支援が必要と考えるわけでありまして、この点についての都の見解を伺って、私の質問を終わります。

○杉崎観光部長 近年、旅行者のニーズは、従来の観光地を見るだけではなく、個々人の趣味、趣向に沿った、その地域ならではの体験観光や人々との触れ合いへと変化しております。
 また、東京には、このような多様な旅行者の興味を駆り立てるポテンシャルを持った地域資源が豊富にございます。
 都は、より一層、地域の自由な発想と創意工夫を引き出すための方策を検討し、地域の観光振興と東京の多様な魅力創出に努めてまいります。

○三宅委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時五十一分休憩

   午後三時六分開議

○三宅委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○かち委員 それでは初めに、島しょ地域の燃油高騰への対策について伺います。
 さきの第三回定例議会で、都は、島しょ地域における漁船用燃油高騰の事態に対して、国の漁船経営セーフティーネット構築事業を活用して新たな支援制度を検討するとのことでした。これは、国と事業者によって積み立てを行っている共済制度の仕組みになっているわけですが、その後、具体化が発表されました。
 そこで伺いますが、島しょ地域における漁業就業者数はどれぐらいいるのか、また、国の制度の加入者はどの程度いるのかお聞きします。

○津国農林水産部長 島しょ地域の漁業就業者数は、平成二十年十一月現在で七百四十九人でございます。ただし、漁業就業者とは、年間三十日以上海上作業に従事した者のことで、この中には、船主に雇われている、いわゆる乗り子も含まれております。
 また、国のセーフティーネット構築事業の加入者は平成二十五年九月末現在で三十二人ですが、今回の都の支援策により、今後、加入者が増加するものと考えております。

○かち委員 対象人口としては七百四十九人、しかし、乗り子もいるのでこれよりは少ないだろうというようですが、実際は入っている方が三十二人ということでした。
 今回の取り組みによって、加入者の負担割合はどのように変わるのでしょうか。

○津国農林水産部長 今回の支援策は、補填金のうち加入者負担分の二分の一相当額を補助するものであり、これによって、漁業者の負担割合は二分の一から四分の一となります。

○かち委員 燃油高騰への支援については、日本共産党都議団も、毎年予算要望に掲げてきたものであり、今回の施策は一定の前進であります。しかし、対象が余りにも限られているのではないでしょうか。今回を契機に加入者がふえれば、それはよいことですが、島での生計は漁業と農業、民宿などと兼業も多く、なかなか積み立てにまで回す余裕がないというのも実際のようです。
 島しょ地域での燃油高騰の実態を、私たちも各島に聞き取り調査を行いました。ガソリンについては、二〇一一年度から国の補助がありますけれども、それでも島しょ地域では一リットル当たり二百三十円から百九十円が相場であり、灯油でも百六十円前後するわけです。軽油も二百円前後であり、ともするとガソリンよりも高くなっているという状況です。都内に比べて非常に高いわけです。軽油は、漁船だけではなく農機具や建設業などの燃油にも使われています。その軽減のための切実な声が寄せられています。これらの支援も行うべきと思いますが、いかがでしょうか。

○津国農林水産部長 都では、農業においては、生産施設への支援を行うなど、それぞれの産業に応じた効果的な支援を実施しているところでございます。

○かち委員 現在、農業を営んでいる方々は高齢です。燃油が高いのでなるべく農機具を使わないようにして、そのために体に負担が来てつらいと訴えられています。
 燃油消費が冷え込めば、ガソリンスタンドも経営悪化に陥るという悪循環、島の経済活動の妨げにもなっています。島しょ地域の町村会からは、毎年、軽油や灯油の海上輸送費補助の適用拡大なども求められています。
 島しょ地域の経済の基盤をなす燃油高騰への支援の必要性が一層増しています。さらなる支援策を強く求めておきます。
 次に、中小企業対策について伺います。
 東京のものづくりで、地域経済を支えているのは、中小零細企業です。しかし、この十年間で製造業の落ち込みが、製造業の多い他県と比較しても、東京が最も激しい状況です。その理由をどのように認識されているでしょうか。

○加藤産業企画担当部長 東京では、地価や物価などの事業コストが高いことなどから、製造業は減少する傾向となっております。

○かち委員 端的明瞭ですね。
 プレスやメッキ、鍛造、鋳造などのものづくりの基盤となる企業は、廃業してしまえば新たに創業する人は出ないともいわれています。このような受注型製造業の仕事が激減しているんです。仕事確保のための支援をどのように進めていくのでしょうか。

○加藤産業企画担当部長 厳しい経営環境を克服する中小企業に対して、都は、これまでもさまざまな支援を実施してまいりました。

○かち委員 さまざまな支援を実施しているとのご答弁ですが、今なお仕事の受注がない、結局、廃業に追い込まれている状況が続いているんです。これ以上減らさない対策が必要です。
 特に、中小零細企業では、仕事がないのに家賃や固定費だけが出ていき、廃業に追い込まれる実態が続いています。東京のものづくりが存亡の危機にさらされているんです。このことをどう認識しているんでしょうか。

○十河商工部長 都内の中小製造業は、国際競争の激化など厳しい環境に置かれておりますが、一方で、高度で多様な技術を有する企業が数多く存在し、東京の産業基盤を支える役割を果たしていると認識しております。

○かち委員 中小零細企業の製造業は、それぞれ特別なすぐれた技術、技能を持っているわけですが、このまま廃業が続けば技術の継承もできず、東京の将来にとっても、日本のものづくりの国際競争力にとってもゆゆしき問題なわけです。
 ご答弁にあったように、東京の産業を支える基盤的役割を果たしているという認識ならば、今この苦境を乗り越えるための支援が必要です。家賃など固定費の支援が必要と思いますが、いかがでしょうか。

○十河商工部長 都は既に、経営の困難な中小企業に対しまして、事業承継・再生支援事業で相談や経営支援を行うとともに、資金面でも制度融資により対応しているところでございます。

○かち委員 もちろん、都の施策メニューを利用している企業、役に立っている企業もあります。いろいろ施策があっても、実際に一番必要なところにマッチするものでなければ、有効な支援にはならないんです。現状に対する局の認識とその対策に乖離があると思います。結局、さまざまな支援を実施しているといいながら、東京の産業を支える基礎的役割を果たしているものづくりの基礎が存亡の危機だという現状です。個々の自己努力だけでは解決できない点に、行政の支援が今こそ求められているのです。
 ぜひとも、これ以上、中小企業を減らさない手だてをとることを強く求めておきます。
 中小零細企業を行き詰まらせている要因のもう一つは、下請単価の切り下げや支払いの不当な遅延です。見積もりを出しても、容赦なくその八掛けとか五割などという状況も当たり前のように行われています。私が聞いた製造業の方の話では、納品した翌月末が締めであり、そこから四カ月先の手形発行だというんです。月初めの納品ならば、実質五カ月先の手形ということです。
 下請法では、親会社の禁止事項として、支払いは納品日から六十日を超えないことと掲げられているにもかかわらず、罰則規定がないことをもって、こういうことが常態化しています。不当な単価切り下げ、支払い遅延は行政指導で正すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○十河商工部長 都は既に、下請センター東京におきまして、取引に係る相談対応や調停を行うなど、下請取引の適正化に努めております。

○かち委員 それでは、下請センターでの相談件数の実績はどうですか。昨年度の相談件数と、都が設立したADR、裁判外紛争解決手続における、調停に立った件数、和解件数についてお聞きします。

○十河商工部長 平成二十四年度の下請センター東京における相談件数は四百四十八件でございます。また、調停の実施件数は五件、成立件数は三件でございます。

○かち委員 四百数十件の相談があっても、実際、ADRによって解決を図ることになったのはわずか五件です。もともと親会社と下請の関係で、対等平等な立場ではありません。一旦、調停などに持ち込めば、次回から仕事が来なくなる、そのことも覚悟の上で臨まなければならないという関係から、制度があっても有効に活用できていないというのが現状なんです。
 都として、下請二法、下請法と下請振興法、この遵守ができているのかどうかの実態を調査すべきだと思いますが、いかがですか。

○十河商工部長 先ほどの答弁で相談件数四百四十八件と申しましたが、このうち半数近くが、調停に至る前に相談に対するアドバイスで解決をしているということでありまして、調停件数は必ずしも役に立っているかどうかの判断にはなりません。
 なお、今のご質問についてですが、下請センター東京では、これまでも取引適正化相談員を配置し、中小企業を巡回して実態把握等を実施しているところでございます。

○かち委員 半数は相談で解決しているということですが、それでも二百件、二百数十件ですね。ADRで五件、やはり少ないですよ。実態を把握しているというなら、成果に結びつく結果や対策を打ち出していただくよう強く求めておきます。
 次に、製造業における起業、創業と廃業の関係ですが、平成二十三年度の中小企業庁の資料によれば、製造業における開業数は、〇六年から〇九年のセンサスによって見ますと、全国的には、廃業は起業の三倍を超えています。都における製造業の起業の実数と廃業の実数の推移をお聞きします。

○加藤産業企画担当部長 総務省の平成二十一年経済センサス基礎調査によると、都内製造業において、平成十八年十月一日から平成二十一年七月一日までの期間における新設事業所数は千六百九十三所、廃業事業所数は一万二千百五十所でございます。

○かち委員 千六百九十三企業の起業に対し、廃業が一万二千百五十カ所ということで、廃業に対する起業の割合は一三・九%ということです。やはり圧倒的に廃業の方が多いわけです。このまま推移すれば、製造業などはますます先細りということになります。今必要なのは、もっと起業のハードルを下げて、チャレンジする意欲を引き出し、支援することではないでしょうか。
 三定の我が党代表質問で、自己資金がなくても創業資金の借り入れができるのに、実際には相当額の自己資金を求められたりして借り入れが困難になっている現実を正すよう求めたことに対し、資金のあるなしだけでなく、総合的判断をしているとの答弁でありました。それでは、自己資金なしで創業融資を受けた実績は、この五年間でどのぐらいあるのでしょうか。

○寺崎金融部長 制度融資の創業融資では、自己資金の有無にかかわらず、経営者の資質、事業の実現性や将来性などを総合的に勘案し、適切な資金繰り支援を行っております。
 こうしたことから、特に自己資金の有無に着目した実績の集計は行っておりません。

○かち委員 自己資金のあるなしでは調査をしていないということですけれども、要求資料の五ページを見ていただきたいんですが、創業融資そのものが五年前から減り続けています。昨年実績では、五年前の件数で三九%、額でも三〇%まで落ち込んでいます。制度が有名無実化しています。
 私のところには、事業を始める上で、五年間の業務経験があっても正社員じゃないからだめだといわれたとか、事業内容や計画云々の前に、事故歴のある方が役員になっていると利用できない、これが保証協会で実際に行われている窓口対応です。
 起業は未知への挑戦です。一定のリスクも含めて、創業者、企業を育てる視点が必要なのではないでしょうか。
 信用保証協会の創業支援の窓口として、アシストプラザが、都内には区内と多摩地域にそれぞれ一カ所ずつあります。創業のための相談や指導などを行っています。しかし、創業融資の申し込みも、このどちらかに行かなくてはならないのです。各信用保証協会の窓口で、起業の趣旨を生かす立場で対応する人を配置すべきと思いますが、いかがでしょうか。

○寺崎金融部長 東京信用保証協会は、国の法律に基づく独立した団体であり、事業の運営については、保証協会がみずからの経営判断により実施しております。
 お尋ねの創業アシストプラザについては、事業者の相談にきめ細かく対応できるよう、創業案件を多数手がけてきたベテラン職員や中小企業診断士などの有資格者などを配置していると聞いております。

○かち委員 信用保証協会は国の法律に基づく団体であり、独立した立場であるとのことですけれども、保証協会とは、もっと都の事業趣旨が生かされるような関係をぜひ構築されるよう求めておきます。
 再生可能エネルギーの普及を促進するために必要な電力買い取り制度がようやく昨年度から実施されました。この中で、潜在的エネルギーとして最も高いポテンシャルがあるといわれていながら、なかなか普及しない風力発電の問題について、二点伺います。
 私は、小型の風力発電を製造している風力発電協会の民間会社から話を聞いたり、専門家からも伺いましたが、風力発電で大きなネックになっていることの一つが、風力発電装置として、有効な建造物として耐え得るかどうかを認証するテストであります。国内にはこのテストを行える用地、機関がないので、特に小型風力発電については、都として、産技研、臨海部などを活用して、風力発電本体の認証テストができる仕組みづくりが必要と思いますが、いかがでしょうか。

○十河商工部長 産業技術研究センターでは、構造物全体の認証テストには対応できませんが、設置されている試験機器等で対応可能な項目について、依頼があれば対応することとなります。

○かち委員 今おっしゃられた、試験機関等で対応可能な項目についてのみできるということなんですけれども、風力発電の開発における認証テストは、公設試験場などでの試験機器等で対応できるものだけではないんですね。日本のメーカーは、日本にテストサイトがないために海外のテストサイトを利用せざるを得ない、このように伺っております。テストのために一千万円もかかったということも聞いております。唯一の認証機関である海事協会もテストサイトを持っていないわけです。だからこそ、産技研センターなども中小企業と協力してテストサイトを開発することが求められている、このように申し上げておきます。
 二つ目のネックは、送電線への系統連結をするために必要なパワーコンディショナーの認定基準が定まっていないということです。
 風力発電から送電系統へ接続するために、電力の品質として一定の基準を満たすパワーコンディショナーが求められています。今市販されている小型風力発電のコンディショナーは、売電基準を満たしていないということで売電ができません。買い取り価格は高いのですけれども、それにつなぐための手だてがないというのが今の実態なんです。
 その開発、基準づくりに産技研センターが先駆的な役割を果たすよう求めますが、いかがでしょうか。

○十河商工部長 産業技術研究センターでは、中小企業のさまざまな製品開発に向けた技術支援を実施しているところであります。
 また、風力発電に利用されるパワーコンディショナーの基準づくりにつきましては、国が統一的に定めるものと認識しております。

○かち委員 研究者の方も開発メーカーも、政府のおくれた対応に、このままでは日本の風力発電市場は消滅すると警告しています。小型風力発電の開発は、主に中小企業が取り組んでいます。小型風力発電をものづくり技術が大いに発揮される分野と位置づけて、おくれている国の基準づくりを促進するような都としての取り組みを強く求めておきます。
 次に、買い物弱者支援について伺います。
 高齢化の進展などさまざまな要因によって、都内でも、買い物困難を来している人口が五十一万人ともいわれています。こうした方々への支援が、今日、切実に求められています。
 この間の、都が行っている買い物弱者支援モデル事業の各商店街での取り組みの内容、実績はどのようなものでしょうか。

○十河商工部長 買い物弱者支援モデル事業では、これまでに二つの地域でモデル事業が実施されており、商店の空白地域で商店街の商品を販売する店舗の開設や、商店街で買い物した商品の配達サービスなどが行われております。

○かち委員 今、全国的にも、買い物難民をなくせということでさまざまな取り組みが行われていますが、モデル事業の一つで、足立区の花保商店街の取り組みは私たちも見てまいりました。地元区、町会、老人クラブなどと、宅配や送迎、お休み所の設置など、複合的に取り組んでいました。そこでの声は、都の支援は一年間、単年であるということ。実際には、申請して、それから準備をして、実際に活動し出してから半年ぐらいで終わってしまうんだと。これでは実際の取り組みの検証もできない、このように訴えられました。
 また、武蔵村山市の商店街では、自分の目で確かめて買い物をしたいという要求に応えて、改造した電動三輪車などで支援しているところや、空き店舗を利用してお休み所を開設し、多目的に利用しているところなど、さまざまあります。
 今後、モデル事業の効果や検証、評価などをどのように行っていくのでしょうか。

○十河商工部長 本事業は、平成二十四年度から平成二十六年度までの三カ年で実施する予定であり、三カ年の実績を踏まえて検証を行ってまいります。

○かち委員 多くは、空き店舗利用や宅配、利用者の輸送などですが、輸送や宅配などは、システムをつくるだけでなく、ランニングコスト、いわば人件費などのウエートが大きいわけです。継続した支援が必要であると思いますが、いかがですか。

○十河商工部長 本事業では、人件費などの経常的な経費について、継続的な補助が必要となるような事業は対象としておりません。

○かち委員 今後、買い物弱者の対策は、産労局、福祉、交通など、局間連携も強めながら、区市町村、民間事業者、当事者の声も十分生かしながら拡充することが必要だと思いますが、いかがですか。

○十河商工部長 本事業は、地域の実情を把握している区市町村の意見や要望を十分生かしながら実施しているところでございます。

○かち委員 買い物弱者問題は、産労局一局の所管で一時的な商店街支援助成制度等で容易に解決できるものではないと思います。
 私たちが各地の取り組みを調査する中で痛感したのは、買い物弱者問題の解決と魅力ある商店街づくりを一体的に進めることや、商店街を地域の公共財産と位置づけ、住民、商店街、行政が一体となって商店街問題に取り組むことが重要だということです。
 買い物弱者支援モデル事業を検証するに当たっては、産業労働局としてはもちろんですが、全庁的な取り組みで検証されることを求めておきます。
 次に、林業振興について伺います。
 東京都の森林は、七割以上が私有林です。私有林と公有林を合わせた民有林では、五ヘクタール未満の所有者が八八%で、面積は一六%です。二十ヘクタール以上の所有者はわずか三%ですが、面積では六五%を占めます。
 こうした特徴を持つ東京の森林を維持、資源循環させ、林業振興を図り、森林の多面的機能を確保していくことが求められています。
 国においては、森林法を改定し、二〇〇九年十二月に森林・林業再生プランを作成し、木材自給率五〇%を目標に、安定的な木材供給体制の確立などが打ち出されています。
 東京都は、二〇〇九年三月に森づくり推進プランを改定していますが、その概要を伺います。

○津国農林水産部長 森林、林業を取り巻く状況を踏まえ、森づくりの推進と林業の再生及び都市からの森づくりの支援という二つの視点に基づき、重点的に取り組む施策などを明らかにしたものでございます。

○かち委員 森づくりの推進に欠かせないのが間伐です。都の事業として、約千ヘクタールの間伐を行い、森林再生事業が行われています。その中から搬出される間伐材は、年間間伐量のうちの四%にすぎません。非常に少ないわけですが、なぜこのようなことになっているのか、理由をお聞きします。

○津国農林水産部長 森林を適切に管理するためには、搬出の有無にかかわらず、着実に間伐を進めることが重要であると考えております。

○かち委員 しかし、このテンポでは、間伐材で森林の根本が埋まってしまうような状況です。また、大雨などの二次災害の危険もあります。健全な森林再生にはなりません。進まない理由の一つに、搬出コストの問題があるのではないでしょうか。
 木材生産増加のために欠かせないのが、木材搬出コストを下げることです。その一つとして、林道や作業道の確保、整備であります。都は、森づくり推進プランで、二〇一〇年度までに林道を毎年五キロ拡充するとしていますが、その実績はどうでしょうか。

○津国農林水産部長 平成二十年度は千八百三メートル、平成二十一年度は二千四百十九メートル、平成二十二年度には三千八十六メートルの林道整備を行っております。

○かち委員 このプランを作成したのが二〇〇九年、このときに、既に二〇一〇年には五キロを目指すという目標を掲げたということは、それだけ林道の整備が重要なんだという位置づけだったというふうに思うんです。
 ところが、今のご答弁のように、なかなかそれが進んでいない。二十二年度、二〇一〇年度の目標年度で、やっと三千メートルということなんです。既に、目標達成年度を過ぎてなお、目標に対し乖離があります。その要因は何か、また、目標に近づけるためにどのような検討をされているのかお聞きします。

○津国農林水産部長 林道を整備する敷地の所有者の了解を得ることが困難なケースが多いことから、森林所有者の協力を求めているところでございます。

○かち委員 林道を整備するには、森林の所有者の理解と費用負担を求めなければならないという問題があります。しかし、所有者の中には、高齢で経済的な体力のない人もいます。こうした方々に、幅三から四メートルの林道整備の負担を求めても、協力を得ることがなかなか困難だということは容易に想像できます。
 しかし、林道整備が搬出コスト削減に大きく寄与していることからしても、こうした方々に負担軽減の支援を含め、協力を得やすい環境整備が必要だと思うのですが、どのように取り組んでいくんでしょうか。

○津国農林水産部長 地元の情報に精通している市町村と連携を図りながら、林道の整備を図っているところでございます。

○かち委員 もちろん、身近な行政である市町村との連携協力が必要なことはいうまでもありませんが、森林を再生する公的な役割を担うわけですから、所有者にインセンティブを与えるような取り組みを考えて、早急に林道整備の目標に達するよう求めておきます。
 環境対策やエネルギー対策の一環としても、間伐材の木材チップ加工、そして木材バイオマスエネルギーとして活用することも重要です。作業道や林道整備を進めれば搬出コストを下げることができ、間伐材などの有効利用、用途を拡大することも可能になります。木材チップについての現況の利用状況はどうでしょうか。

○津国農林水産部長 東京都農林水産振興財団や多摩地域の製材所などが、既にチップ加工施設を整備し、木質バイオマスエネルギーとして活用しております。

○かち委員 資源的には十分にあるわけですから、市町村ともタイアップしながら、間伐材利用の向上を図っていただきたいと思います。
 都は、二〇〇六年度から、多摩産材を中心に据えて、公共建築物等への積極的な利用を促進するために、多摩産材利用推進方針を決めました。多摩産材の認証制度、区市町村が多摩産材を活用する際への助成なども開始しています。都立学校や都営住宅の工事にも取り入れるなど、全庁を挙げて取り組んでいます。また、区市町村に対しても積極的に働きかけています。
 そのもとで、多摩産材の都庁内における利用実績はどのようになっているでしょうか。

○津国農林水産部長 都庁全体で、平成二十三年度は千八百八十七立方メートル、平成二十四年度は千五百六十六立方メートルの多摩産材を利用いたしました。

○かち委員 森づくり推進プランでは、多摩産材利用目標を、二〇一五年度までに公共利用を年間五千七百立方メートルとしています。区市町村も入れればもう少しふえるでしょうが、目標には及ばず、年々ふえているとはいえません。
 目標達成に向けて、どのように取り組んでいくのかお聞きします。

○津国農林水産部長 東京都花粉症対策本部におきまして、各局における多摩産材の利用事例等について情報交換を行うことに加え、東京都公共建築物等における多摩産材利用推進方針により、庁内はもとより、区市町村への働きかけも行っているところでございます。

○かち委員 年一回の情報交換をやっているとのことですが、情報交換だけでは進みません。産業労働局が主管局としてイニシアチブをとって、強力に推進されることを求めておきます。
 森林を育成、振興するためには、何といっても林業に生きがいが感じられ、林業で生計が立てられる労働環境の改善で、林業従事者を育成し、安定雇用につなげていくことが重要です。その取り組みについて伺います。

○津国農林水産部長 林業従事者につきましては、チェーンソーや小型クレーンの操作研修など、さまざまな研修を実施し、育成を図っております。

○かち委員 現場研修としては、そのような取り組みはもちろん必要です。それ以前に、林業の後継者づくりという課題への取り組みとして、今後、環境や教育とも連携した林業従事者の育成と労働環境の改善等を図る手だてをとることが重要だということを申し述べておきます。
 林業をつくり育てるための事業実行を監督する事業者、フォレスターは、森林の今後の事業計画を策定するための地況、林況調査、路網の整備、管理、木材の育成、伐採、生産、販売するまでの一連の事業の監督など、森林、林業が多面的な機能を果たす上で重要な業務を担っています。
 国は今年度からフォレスター制度を開始すると聞いていますが、都としても、国の制度を初めとした人材育成制度を具体的に進めるべきと思いますが、いかがですか。

○津国農林水産部長 都としては、本年度、二名の職員がフォレスター資格の取得に向けた研修を受講しております。

○かち委員 そうした専門的な職員を専任にして、森の育成、向上に役立てていただきたいと思います。
 いろいろ伺ってきましたが、林道整備、多摩産材の活用、人づくりなど、まだまだ目標には、ほど遠いというのが現状です。
 改めて、森林は水源の涵養、二酸化炭素の吸収、貯蔵など、多面的な機能を持っています。環境と調和のとれた二十一世紀型社会をつくるためには、こうした機能を十分発揮するために、木材の植栽、育成、利用という森林の循環が欠かせません。その担い手の育成が急務です。
 多摩産材の利用を促進するための問題点の克服策、利用拡大策など、抜本的に強化するよう求めて、私の質問を終わります。

○中山委員 観光について、五点ほど質問をさせていただきたいと思います。
 一般質問において、観光産業を支える基盤整備、観光バスの駐車場だとか、あるいは駅のバリアフリーだとかという面で質問をさせていただいたわけでございますが、今回、経済・港湾委員会ということで、観光振興をソフト面から質問させていただきたいと思います。
 今回、観光をテーマにさせていただいたのも、日本の人口動態が二〇一〇年から二〇一五年にかけて、十五歳から六十四歳までの生産年齢人口が、まさに五年間で四百四十八万人減っているという状況の中で、どうしても消費拡大、あるいは需要創出が待ったなしということでもございます。
 一〇年代、そういう前提条件を置くならば、どの政権も、女性の社会進出というものを、この生産年齢をふやそうということを政策として、成長戦略として目玉にしておりますが、一方で、輸出や、もう一つは観光業という一つの外貨獲得の一環として経済成長を図っていこうというのも大きなテーマだというふうに思っております。
 そこで、訪日外国人は日本人出国者のまだまだ半分以下という現状の中、まだまだ開拓できる市場もありますし、また観光産業の裾野は広く、宿泊業にとどまらず、地元の飲食業だとか小売業などへも波及するため、雇用機会を生み出すことにもなると思います。
 そんな中で、今回、オリンピック・パラリンピック招致が成功した今、二〇二〇年に向かって、日本が、東京が注目されるときでもあります。また、今回、政府も、二〇二〇年までに訪日外国人を二千万人にふやそうと目標を掲げてまいりました。
 昨今、インターネット普及に伴いまして、外国人旅行者の旅行形態も多様化してまいりました。一時、中国人客といえば、大人数で、バスツアーで大量に買い物をする印象が強かったわけでございますが、現在、インターネットの普及で、情報をとり、個人で旅行を楽しむ層も大変多くなってまいりました。つまり、買い物だけではなくて、日本の伝統文化、あるいは買い物習慣、食文化など、個人の嗜好によって旅行を堪能するという形態もふえてまいった次第でございます。
 さらに、国別によっても、宣伝の方法だとか、あるいは観光のニーズもそれぞれ違いがありますので、東京のどのようなところに引かれ、どのように楽しもうとしているのかを、まず把握するということが必要だと考えます。
 都は、海外における観光プロモーションに対してマーケティングを実施していますが、その内容について、まず伺いたいと思います。

○杉崎観光部長 東京を訪れる外国人旅行者の特性は、団体旅行の比率が高い国、みずからの趣味や嗜好を重視する個人旅行の比率が高い国など、国ごとに異なっております。
 そのため、都は、各国の旅行者の特性に応じた効果的なプロモーションを実施するため、プロモーションの実施前にマーケティング調査を行っております。
 具体的には、対象とする国の社会経済状況や現地旅行事業者の現状、旅行に対する住民の意識などを把握するとともに、東京を訪れる可能性が高い旅行者層を抽出し、特徴的な嗜好や行動パターン等を分析するなど、きめ細かく調査を行っております。

○中山委員 今、プロモーションのためにマーケティングをやりますよというお話でございました。
 都は、プロモーションの対象とする国ごとにきめ細かいマーケティング調査に取り組んでいるということでございますが、その調査結果を踏まえて、具体的にどのような観光プロモーションに取り組んでいるのか伺います。

○杉崎観光部長 都は、マーケティング調査で把握した各国の旅行者の特性に合わせて、旅行事業者を対象とした商談会や観光セミナー、市民対象のイベントや広告などの観光プロモーションを行っております。
 例えば、今年度、観光プロモーションを行うオーストラリアでは、日本食に関心が高く、個人旅行が多いことから、日本の食をテーマとした市民向けイベントを企画しております。
 また、中国では、団体旅行が多く、買い物や日本食に関心が高いことから、現地の旅行博出展等を通じてツアーを造成する旅行事業者に情報提供するとともに、話題のショッピング施設やグルメなどの情報を発信してまいります。

○中山委員 今、具体的に国の名前も出ましたけれども、都は、きめ細かいマーケティング調査に基づいた観光プロモーションを展開していくということでございます。国際都市として、さらに多くの外国人旅行者のニーズなど、きめ細かい調査を実施していただき、効果的なプロモーションを積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 一般質問のときにもどなたかから質問ありましたけれども、七月のビザ緩和を受けまして、ASEAN諸国からの訪日客がふえております。特にマレーシアや、あるいはインドネシアからの旅行者誘致の鍵は、何といってもイスラム教徒への対応だということでございます。現在のマーケティング調査においても、そのような現状も踏まえまして、今後、よりきめ細かい調査を実施し、それを踏まえて対応していただきたいと思います。
 次に、観光情報の提供力、発信力についてお尋ねしたいと思います。
 十月十七日の日本経済新聞の記事によりますと、世界の都市総合ランキングによると、東京は昨年と同じ四位でした。五輪開催をきっかけに、弱みである国際的な交通アクセスの不便さなどを改善すれば、二〇二〇年にはパリを抜いて三位になるだろうという記事がありました。
 つまり、国際都市として評価されながらも、まだまだ外国人の旅行者として真っ先に名前が挙がらない都市になっているのも、一方で現実でございます。
 ただ、東京には数多くの観光資源があります。例えば、上野恩賜公園を初め、江戸東京博物館、あるいは葛西臨海水族園なども一般質問などで出ました。多くの旅行者が訪れる都所有の施設はもとより、東京スカイツリー、あるいは東京丸の内駅舎など、新しいスポットもできました。また、地域独自で主催します、さまざまなイベントなど、まさに多様な資源があふれているわけでございます。
 そこで、昨今ではほとんどの市区町村が観光に対する意識がすごく高まっておりまして、例えば観光課だとか、あるいは観光部だとか、観光係だとか、部署も目につくようになってきたわけでございます。市区町村によっては、観光資源の発掘、そして立派な観光パンフレットなどを作成して積極的な取り組みを行っておりますが、ただ、この魅力的なコンテンツが知りたい人に伝わっていないというのが一つの大きな課題ではないかというふうに思っております。
 多くの旅行者を東京に誘致していくためには、市区町村と連携するなど、地域の持つ観光資源を収集し、広く発信していくことが必要であると考えます。
 そこで、都は、区市町村と連携し、どのように地域の観光資源の魅力を発信しているのか伺います。

○杉崎観光部長 東京のさまざまな観光情報を発信することは、国内外からより多くの旅行者を誘致することに加え、来訪する旅行者の利便性を高める上でも重要であります。
 都は、これまでも区市町村や地域の観光協会が作成した観光情報パンフレット等を、観光情報センターなどで旅行者等に配布しております。
 また、地域の観光スポットやイベント情報を区市町村や観光協会などから収集し、多言語に対応した旅行者向けウエブサイトに掲載するなど、地域情報の周知に取り組んでいるところでございます。

○中山委員 本当に今、部長の方からお話ありましたとおり、この市区町村の観光パンフレットなども、学識経験者などにしっかり監修してもらって、すごくいいコンテンツになっているものもあると思うんですね。
 そういうものをぜひ発信していくということが大きな課題になっているだろうと。市区町村だけでは、それがなかなかできません。やっぱり、東京都が一つ上の立場でそういうものを集約して発信していくということをぜひ積極的にやっていただきたいと、そのように要望いたす次第でございます。
 次に、観光まちづくりについて伺います。
 昨今、ネットの発達で、旅行者は異文化への関心が大変旺盛になってまいりました。地域でおもてなしをする方も、地域の特徴を探求することが必要不可欠になってまいりました。
 つまり、地域のおもてなしの定義そのものが、ただ親切さということではなくて、みずからの地域の誇りや歴史、文化などを知り、それを相手に伝えることがおもてなしであると。先ほど木内先生の方からも江東区の例が出ましたけれども、そういった地域の掘り起こしをする中で、しっかり伝えていくということです。
 みずからの地域ネタで大変恐縮なんですけれども、三社祭は江戸三大祭といわれまして、五月の第三週目に土日中心に開催されるんですけれども、実際、起源は三月になっております。つまり、飛鳥時代に、漁師が隅田川で一体の仏像を引き揚げたことが浅草寺の創始につながっている。それを物語るのが本尊示現会という一つの行事なんですけれども、これも数年前から復活しました。行事そのものが一つの宗教行事として大切なんですけれども、それと同時に、地域の人がみずからの地域の歴史とか、あるいは起源を知るきっかけにもなっております。
 そういう意味では、地域の歴史を知ることは、地域に対する誇りや愛着を持ち、住んでよし、訪れてよしのまちづくりという観光まちづくりにつながります。
 東京の地域には、歴史や文化だけではなく、祭り、食など、さまざまな観光資源がありますが、地域の限られた人のみが知る、隠れた資源も数多くあります。まず、地域の人々がこうした地域の資源を深く理解し、訪れた旅行者に提供していくことは、観光まちづくりを進める上で大変重要であると思います。
 そこで、都が進める観光まちづくりの基本的な考え方について所見を伺います。

○杉崎観光部長 観光まちづくりは、地域が主体となって観光とまちづくりの両面から観光資源を分析し、具体的な取り組みを進めることによって、住む人が誇れ、旅行者が何度でも訪れたくなるような活力あるまちを目指すものであります。
 こうした取り組みを進めている地域では、住民と来訪者との交流を通じて双方の満足度が向上するなどの効果が得られることから、観光まちづくりは、観光を持続的に発展させ、地域を活性化する有効な手段とされております。
 このため、都では、観光まちづくりの考え方を広め、機運を高めるとともに、取り組み団体等が地域の特性を生かした主体的な活動が行えるよう支援しております。

○中山委員 質問に合った趣旨の答弁をいただきまして、ありがとうございます。
 地域が取り組む観光まちづくりの考え方が重要であろうという答弁をいただきました。まさにそうであると思います。
 地元の人に高く評価されている商品の品質であったり、あるいは文化的な価値であったり、そういうものは外来者にも伝わるし、外国人に人気のお店は日本人も集まるというものでございます。ぜひ、こうした資源を生かした取り組みをさらに進めていただきたいと思います。
 まさに地域の、先ほども、観光アドバイザーというお話もありましたけれども、地域の人が、今、こういう行事をやっているよとか、あるいは地域の歴史、文化をひもといて、それを説明することによって、やっぱりお客さんが喜んでいただくということでございますので、地域のそういった観光資源をもっともっと掘り起こしていくと、あるいはそれを伝えていくというようなことを、東京都においても一つの理念として政策に加えていただきたいと、一つ要望をしたいと思います。
 最後の質問ですが、広域的な観光まちづくりの推進について伺います。
 都内では、観光協会などの観光関連団体の設立が相次ぐなど、地域の観光振興に向けた機運が高まりつつあります。先ほども申し上げましたが、区市町村でも、観光を所管する部署もふえてまいりました。
 都は、この機を捉えて観光まちづくりを都内に広げていくことにより、地域の魅力を創出していくべきだと思います。
 しかし、その一方で、地域の状況はさまざまであり、地域みずからが旅行者を呼び込む取り組みを進めているところもあれば、これから取り組もうと始めているところもあります。
 そこで、こうしたさまざまな状況を踏まえて、各地域を後押しする広域的な観光まちづくりに向けた都の取り組みについて伺います。

○杉崎観光部長 都は、特色ある観光まちづくりを行っている団体等の取り組みを紹介する事例集を作成するとともに、シンポジウムを開催するなど、観光まちづくりの先進事例を都内の各地域に周知、浸透させる取り組みを行っております。
 同時に、観光協会を初めとする地域で活動する方々が、それぞれの地域における観光資源や取り組み事例などの情報を交換し、交流する場を提供することにより、地域の活動をネットワークでつなぎ、広域的な取り組みとして展開できるよう支援しております。

○中山委員 先ほど木内先生の方からも、水辺の活用を通して広域的な観光まちづくりについて質問し、また答弁がありました。
 また、地域のあらゆるところに資源があると思うんですけれども、一つの自治体によって、その境界によって回遊ルートを塞いでしまうというようなこともあると思いまして、やはり資源があれば、自治体と自治体が生かし合うような、そういった体制づくりが大変重要なのではないかというふうに思います。
 まさに広域的な回遊ルートをつくっていくということが、今後、必要でありまして、ぜひ東京都の立場から、各自治体あるいは観光連盟、観光協会との連携を図りながら、広域的な回遊ルートだとか観光まちづくりをしていただきたいと要望いたしまして、質問にかえさせていただきます。

○高橋委員 それでは、私の方からは、農林水産業の振興及び多摩・島しょ地域の産業振興について伺いたいと思います。
 まず、都市農業の振興についてですが、都民にもなじみの深い果物、ブルーベリーの栽培発祥の地である私の地元、小平市では、摘み取り農園や直売所を整備し、また加工品の開発にも力を入れ、地元産農産物の販売促進に努めるなど、多くの農業者が頑張って活動をしております。
 都市の中で農業を営むには、農地が狭く、点在するなど、いろいろと制約もありますが、農業者の中には、栽培や加工、販売等の施設を整備することで収益性の高い経営を行う方々がおり、そのための都の支援は欠かせません。
 そこで、都がこうした意欲ある農業者の方々に対して施設整備面から支援を行う都市農業経営パワーアップ事業の取り組み状況について伺います。

○津国農林水産部長 都市の中で農業経営を継続するには、限られた農地を有効に活用して効率的な経営を行うことが不可欠でございます。
 そこで、都は、意欲ある農業者の経営力向上を目指した取り組みについて、ハード面から支援するため、都市農業経営パワーアップ事業を実施しております。
 具体的には、収穫回数の増加や収穫時期の調整等を行うことで販売額の拡大等を図るための農業用パイプハウスが中心であり、平成二十二年度の事業開始から二十四年度までの三カ年で、三百三十九棟のパイプハウス設置に対する助成を行いました。
 また、高付加価値化を図るための農産物加工施設や、酪農経営の省力化を図るための自動搾乳機など、さまざまな施設整備に対する支援を行っているところでございます。

○高橋委員 施設整備支援については、頑張っている農業者の方々の声を聞きながら、今後とも積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 一方、農業者の創意工夫を生かす取り組みに対し、ソフト面からの支援も重要です。
 都内では、自分の畑でとれた農産物を材料にした自家製ケーキやジャムを販売したり、農産物を効果的にPRするためのロゴマークを作成して包装容器に印刷するなど、農産物に付加価値をつけて販売する取り組みが盛んになりつつあります。
 しかし、こうした加工品開発や新たな販路開拓を行うに当たっては、専門的な知識が必要との声も多く聞かれます。こうした声に対して、都はどのように支援をしていくのか伺います。

○津国農林水産部長 近年、農業者の取り組みも多様化し、ソフト面でのニーズが増加していることから、都は今年度、農業者の経営力向上に向けた新たな支援策として、東京農業の産業力強化支援事業を開始いたしました。
 具体的には、東京都農林水産振興財団内にチャレンジ農業支援センターを設置し、農業者からの相談に応じるとともに、より専門的な課題に対しましては、経営コンサルタントやデザイナー等の専門家を派遣して、解決に向けたアドバイスを行っております。
 これまでに、加工品開発や販路開拓、パッケージデザイン作成など、さまざまな相談に対して専門家を派遣し、パッションフルーツをモチーフとしたキャラクターや農家のPR用パンフレットの作成などの成果に結びついております。
 今後も農業者の相談にきめ細かく対応するなど、意欲ある農業者を支援してまいります。

○高橋委員 東京は、改めていうまでもなく、大消費地でございます。このメリットを最大限生かせるよう、農業者のさまざまな創意工夫に対して一層の支援をお願いいたします。
 次に、地産地消の取り組みについて伺います。
 東京には、江戸川のコマツナ、稲城の梨、小平の枝豆など、品質のすぐれた特産の農産物がたくさんあります。
 これらの農産物は直売所での販売が増加していますが、最近では、都内産の農産物を食材として地元の飲食店が使い、地産地消を売りにしているところもふえております。都も、こうした飲食店の取り組みを後押しするため、とうきょう特産食材使用店登録制度を平成二十二年度から実施しております。
 そこで、これまでの取り組み実績について伺います。

○武田安全安心・地産地消推進担当部長 とうきょう特産食材使用店登録制度は、都が都内産食材を積極的に使用する飲食店を登録し、その情報を公開することにより、都内産農林水産物への理解を促進し、地産地消の拡大につなげることを目的としております。
 平成二十二年度から、区部及び多摩地域の店舗を対象に実施しており、今年度新規登録となった四十四店を加え、合計で二百三十四店を登録しております。
 登録した飲食店に対しては、とうきょう特産食材使用店の文字が入った多摩産材のボードを提供するとともに、都のウエブサイトなどで登録内容を紹介しております。
 さらに、都民にPRするため、平成二十三年度から毎年、とうきょう特産食材使用店のガイドブックを二万部作成しております。このガイドブックは、都民や登録店から好評を得ており、今年度も新たな登録店を加えた改訂版を発行いたします。
 今後とも、地産地消を推進するため、登録拡大に努めてまいります。

○高橋委員 これまで東京都は、区部と多摩地域を対象にこの登録制度を進めてきましたが、島しょ地域においても農林水産業を振興していくには、我が党の三宅委員長が第三回定例会で指摘したように、島内での地産地消の推進が大変重要であります。
 各島には、アシタバやパッションフルーツ、また新鮮な魚介類など、多くの特色ある農林水産物がありますが、この制度の島への展開は、島の観光振興にもつながる重要な要素となり得るものでございます。
 そこで、とうきょう特産食材使用店登録制度の島しょ地域での展開について伺います。

○武田安全安心・地産地消推進担当部長 島しょ地域には、お話のとおり、新鮮な農林水産物や伝統的な食材、魅力あふれる郷土料理等があります。
 これらを活用して地産地消を推進するためには、まず地域の食材を使った魅力的な地域メニューをつくり、次に、このメニューを飲食店で提供する体制を整えてまいります。
 さらに、飲食店の取り組みを紹介するガイドブックを作成し、島の内外で配布するなど、とうきょう特産食材使用店登録制度を島しょ地域で展開いたします。このような取り組みにより、島しょ地域で地産地消を推進するとともに、食を通した観光振興にもつなげてまいります。

○高橋委員 東京というブランドを生かすことのできる、とうきょう特産食材使用店の取り組みは、都内産農林水産物のPRにもなり、観光振興にも寄与するところが大きいと考えますので、ぜひ強力に、この取り組みを進めていくべきだと思います。
 次に、多摩の森林について伺います。
 多摩産材の産地である多摩の森林は、木材供給に加え、水源の涵養や地球温暖化の原因となる二酸化炭素の吸収など、豊かな生活を送るための恩恵を与えてくれる都民共有のかけがえのない財産でございます。この森林を守っていくには、適切な伐採を行い、伐採した木材を利用し、また新たな植栽や保育を行うという、森林の循環を維持する取り組みが必要でございます。
 都は、スギ花粉発生源対策事業により、杉林の伐採と、伐採跡地への花粉の少ない杉等の植栽及び保育を行っています。これは、森林循環の維持にも加え、林業振興にもつながる取り組みであり、高く評価しております。
 この花粉発生源対策事業により搬出された木材が、どのように利用されているのか伺います。

○津国農林水産部長 搬出された木材は、その形状等により利用可能な用途が異なることから、太さや曲がりぐあい等により、A、B、Cの三つのランクに分けて利用されております。具体的には、一定の太さ以上で真っすぐなものをA材、一定の太さ以上でも曲がっているものをB材、細いものや大きく曲がっているものをC材として区分しております。
 このうちA材につきましては、都内で唯一の原木市場である多摩木材センターに出荷され、柱や板として住宅や公共施設などで、また、B材につきましては、合板用として民間の工場に直接出荷され、加工後は主に建築用材などで、さらに、C材につきましては、建築用材としての利用は困難であることから、チップ工場に出荷され、紙の原料や燃料などに利用されております。

○高橋委員 花粉発生源対策事業によりまして供給される多摩産材が、さまざまな用途で活用されることは、地域産業の振興にも大きく寄与いたします。また、東京の林業を振興していくためにも、ぜひ、こうした事業を継続し、長期的に取り組んでいただきたいと思います。
 この春、小平に市営の児童館がオープンいたしましたが、床材や壁材に多摩産材がふんだんに使われ、児童向けの施設らしく、やわらかでぬくもりがある雰囲気を醸し出しております。利用者からたくさんの好評の声をいただいているところでございます。
 また、児童館など子供たちが利用する施設で木材が活用されることは、インフルエンザの発生を抑えることにも一定の効果があることや、情緒面などにもよい効果があることがいわれております。木材の持つこのような特性は、子供たちに限られるものではなく、利用する多くの方々にも、広くよい効果をもたらすと期待されております。
 一方で、先ほども述べましたが、多摩の森林整備を推進していくためには、森林の循環の一翼を担う多摩産材の積極的な利用が重要でございます。そこで、多摩産材の利用拡大に向けた都の取り組みについて伺います。

○津国農林水産部長 森林整備を推進していくには、利用という側面が重要であることから、都は公共利用の拡大と民間利用の拡大の両面から取り組みを行っております。
 まず、公共利用につきましては、多摩産材の利用推進方針を策定いたしまして、都営住宅の内装や都立学校の什器などで、都みずからが率先して利用するとともに、区市町村に対しまして、シンポジウムの開催等を通じ利用拡大を働きかけております。
 また、今年度からは、木とのふれあい推進事業を開始し、保育園等における内装の木質化や木製遊具の設置に対する支援を行っております。
 次に、民間利用につきましては、多摩産材を活用した家づくりに取り組む団体の活動経費や、新製品開発に対する支援を行っております。
 また、森林整備や多摩産材利用の誘導策として、企業や都民の森づくりへの参加や、多摩産材の住宅、什器を使用することによる二酸化炭素の固定量等を数値化して認証する、とうきょう森づくり貢献認証制度を実施しております。こうした取り組みにより、多摩産材の利用促進を図ってまいります。

○高橋委員 多摩の森林から切り出されました多摩産材が、公共、民間の両面から有効に利用されていることが重要ですので、引き続き、多摩産材のさらなる利用拡大に向けた取り組みを進めてほしいと思います。
 一方、多摩地域には、伐採時期を迎えた数多くの森林がありますが、木材価格の低迷が長期化していることなどによりまして、林業経営は厳しい状況にあると聞いております。こうした状況を打破し、森林整備を進めるため、都は、林業経営の効率化に向け、どのような支援を行っているのか、都の取り組みについて伺います。

○津国農林水産部長 木材価格が長期にわたり低迷している中で、持続的な森林整備を行うには、林業経営の効率化を図ることが不可欠でございます。そこで、都は、本年度から森林経営強化事業を開始し、森林所有者や森林組合等が森林整備を計画的、効率的に進める取り組みの支援を行っております。
 具体的には、今後五年間の森林施業や路網整備等に関する計画である、森林経営計画の作成や、森林整備を進める上で不可欠な森林境界の明確化を支援しております。
 また、新たに間伐材の搬出を可能とするため、これまで地形的に森林作業道の設置が困難であった箇所や、国の採択基準には適合しないが、設置効果が高い箇所の整備に対し助成しております。
 こうした取り組みにより、林業経営の効率化を図ることで、多摩地域の森林整備を促進してまいります。

○高橋委員 今後とも多摩地域の森林整備や、多摩産材の利用拡大など、総合的な取り組みをお願いいたします。
 次に、水産業について伺います。
 現在、自民党内で、力強い農林水産業の育成策について論議が交わされております。都の水産業の現況を見てみますと、資源の減少、魚価の低迷により、生産量、生産額ともに、長期的に減少傾向となっております。
 日本の広大な排他的経済水域を支える伊豆諸島、小笠原諸島にとって、水産業の衰退は島全体の活力を失うことにつながりかねません。水産業には、生産の基盤となる施設の整備や漁場の造成が必要不可欠でありますが、厳しい経営環境に置かれている漁業協同組合等が独自に実施することは困難であると思います。
 そこで、都は、こうした水産業の生産基盤整備をどのように進めているのか伺います。

○津国農林水産部長 水産業は、島しょ地域の主要産業であることから、各町村や漁業協同組合の要望を受けまして、水産業共同利用施設の整備や、魚礁の設置による漁場造成等を支援することにより、島しょ地域の水産業振興を図っております。
 具体的には、製氷冷蔵施設や、イセエビなどの蓄養施設を初めとした各島の施設整備を支援するとともに、東日本大震災を受けて、災害発生時の二次的な被害を防止する観点から、耐震診断に基づく施設の改修、撤去について支援しております。
 また、漁場の整備につきましては、各島の周辺海域において、イセエビ、サザエ、テングサなどを増産するために自然石などを活用した人工の漁場造成や、カツオなどを集める効果の高い浮き魚礁の設置を支援しております。

○高橋委員 今後も、各町村、漁業協同組合の要望をしっかりと受けとめて、積極的な支援をお願いいたします。
 漁獲量は長期的に減少傾向にありますが、島しょではキンメダイの漁獲量だけ年々増加しております。特に伊豆諸島では漁獲量の約三割、漁獲金額の約四割と、その割合が非常に高くなっています。このままキンメダイへの依存度が高まっていくと、キンメダイがとれなくなってしまわないか、とれる量が減ったら漁業者の経営はどうなってしまうのかなど将来が大変心配になります。
 伊豆諸島の漁場では、東京都の漁業者だけではなく、近隣県の漁業者もキンメダイの漁業を行っており、その漁獲量は、東京都の漁業者より多いと聞いております。
 そこで都は、このキンメダイの資源管理についてどのように取り組んでいるのか伺います。

○津国農林水産部長 キンメダイの漁獲量増加により資源の枯渇が不安視される一方で、水産資源は適切に管理することで安定して利用することが可能となる資源でもあります。そのため、都が中心となって、伊豆諸島海域でキンメダイ漁業をする東京、静岡、神奈川、千葉の漁業者を主体とする協議会を平成八年に設置し、禁漁期間の設定や操業方法の制限など、資源を永続的に利用するための具体策について各県と連携しながら検討を進め、可能なものから実施してまいりました。
 また、資源管理型漁業の推進に必要なキンメダイの生態が不明であることから、島しょ農林水産総合センターにおいて調査指導船を活用して生態調査を行い、伊豆諸島が重要な産卵場所であることや、海域ごとの資源状態の傾向などを明らかにいたしました。これら科学的根拠に基づいた情報につきましては、協議会に提供し資源管理の取り組みにつなげております。

○高橋委員 キンメダイは現在、島しょ漁業者の生命線ともいえる魚になっていますので、今後とも利用できるよう、資源管理型漁業の推進に努めてほしいと思います。
 ところで、各島には、味はいいものの、島からの輸送時間や、輸送コストと魚価の関係などから低利用となっている水産資源が多く存在しております。
 こうした状況の中、私の地元の小中学校では、東京の島や漁業について漁業協同組合の女性部の方々が伝える、浜のかあさんと語ろう会や、都職員による出前講座を授業で活用するとともに、加工された八丈島の水産物を給食のメニューに取り入れております。将来を担う東京の子供たちに、島や漁業などを伝え、そして実際に食べるということは大切な教育であるとともに、東京産水産物のPRにもなり、非常によい取り組みであると思います。
 魚は加工することで価値を高めることが可能であり、冷凍することによって出荷調整も可能になります。また、島内で加工を進めれば新たな雇用を生むと同時に、出荷コストの低減にもつながると考えられます。そのため、水産加工をさらに進めるべきであると考えております。
 そこで、東京産水産物の加工促進に対する取り組みについて伺います。

○津国農林水産部長 輸送コストや輸送時間という離島のハンデを克服するためには、水産物の加工による高付加価値化が必要でございます。このため、八丈島漁協女性部が始めた取り組みを契機として、現在では大島や神津島などにおいても加工品づくりに取り組み始めておりますが、地域の実情が異なるため、各島が抱えている課題もさまざまでございます。
 そこで、今年度から団体ごとの課題解決に向け、食品加工コンサルタントや経営コンサルタントなどの外部専門家を派遣する水産物加工、流通促進対策を開始いたしました。現在、大島と八丈島がこの事業を活用し、新商品の開発や生産性の向上などについて取り組んでおります。
 今後とも、各島の生産体制を支援することにより水産業を振興してまいります。

○高橋委員 水産物の加工を推進するために、各島の状況に合わせたさまざまな支援を行うなど、基幹産業である水産業の一層の振興に引き続き取り組んでいただくよう要望しておきます。
 次に、東京への観光客の誘致策について伺います。
 九月から多摩地域を中心にスポーツ祭東京二〇一三が開催されました。私の地元でもバレーボールの競技会や、パワーリフティングのデモンストレーションが行われ、会場には観戦に訪れた、全国から多くの方々の声援が飛び交っておりました。スポーツ祭東京の開催に合わせて、都は、地域ごとの観光情報を掲載したガイドブックを作成しましたが、ここにあります、東京都産業労働局の発行いたしましたスポーツ祭東京二〇一三観光ガイドブックでございます。こうした取り組みは、今後も東京への観光客の再訪を促す上で大変効果的な手段であると考えます。
 また、オリンピック・パラリンピックという国際的なスポーツの祭典の開催決定によりまして、国内外から東京への注目が大変高まっております。この機会に東京の多様な魅力をさらに発信していくべきと考えますが、これについて、都の見解を伺います。

○杉崎観光部長 都は、スポーツ祭東京を都内各地域が持つ東京の魅力を発信する絶好の機会と捉え、競技会場周辺の観光情報を掲載した観光ガイドブックを十三万部作成し、各競技会場や、東京観光情報センター等の案内窓口で配布いたしました。
 作成に当たっては、区市町村や観光協会の協力を得て、地域ならではの隠れた観光スポットをめぐる散策ルートや、食事、特産品などの情報も盛り込んだため、地元の方々にも好評で、地域の観光振興の機運を高めることにも役立ったと考えております。今後もこうした機運を継承し、地元の自治体などとも協力して、地域ならではの魅力の発信にも努めてまいります。
 また、オリンピック・パラリンピックの開催決定を契機に、海外からの旅行者を確実に増加させるため、誘致活動の対象とする国や地域の拡大を検討するなど、これまで以上に積極的な誘致活動に取り組んでまいります。

○高橋委員 次に、多摩地域における観光振興について伺います。
 東京の魅力を発信するとともに、旅行者を受け入れる側から魅力を創出していくことも大変重要であります。多摩地域は都心からわずかに足を延ばすだけで、美しい水と緑に恵まれた穏やかな空気に触れることができる貴重な地域でございます。
 丘陵地に広がる森林や里山、気軽に登山やハイキングが楽しめる山々など、魅力となる資源には枚挙のいとまがありません。東京に注目が集まる今こそ、こうした東京近郊ならではの資源を生かし、東京やその近隣に住む人々はもとより、東京を訪れた人々の誰もが足を延ばしてみたいと思うように、多摩地域の魅力を高めていくべきだと思います。
 そのための施策の一つとして、今年度から実施している森林資源を活用した観光振興事業がありますが、現在の取り組み状況について伺います。

○杉崎観光部長 本事業は、多摩地域の森林を活用し、林道や遊歩道等の隣接地を広場として整備するとともに、眺望を確保するため樹木の伐採を行い、景観の整備を図るものでございます。現在、森林資源が豊富に存在する青梅市、日の出町、檜原村から、対象となる箇所の選定など、実施計画が提出されたところであります。
 今年度はこうした計画に基づき、青梅丘陵ハイキングコースや、日の出山周辺、浅間嶺周辺の遊歩道における約十ヘクタールの森林について、秋の観光シーズンの終了以降、広場や景観の整備を実施していく予定でございます。
 誰もが気軽に楽しめる登山やハイキングが注目される中、こうした森林を生かした観光スポットを紹介するパンフレットを作成し、多摩地域における新たな魅力として幅広く周知してまいります。

○高橋委員 ことしは多摩地域が東京都に移管されてから百二十周年を、小笠原諸島が日本に返還されてから四十五周年をそれぞれ迎える節目の年であります。
 都においては、引き続き、多摩・島しょ地域の産業振興にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 また、このたびの台風二十六号に伴う大島町の甚大な被害についても、局を挙げて万全な対策を行っていただきたいと思います。
 そこで最後に、多摩・島しょ地域の産業振興における局長の決意を伺い、私からの質問を終わります。

○塚田産業労働局長 初めにお話のありました大島町の災害への対応につきましては、現地での情報収集や、事業者への金融支援など、当面の復旧に向けた対応を行っております。今後も、今回の災害から一刻も早く回復できるよう、大島町の産業復興に向けた支援について、迅速に取り組んでまいります。
 多摩・島しょ地域の産業振興についてでありますが、これらの地域において、農林水産業は地域経済の基盤として重要な役割を担っております。このため、都は、産業の特性に応じたきめ細かな経営支援や、担い手の確保、育成支援などによりまして、農林水産業の振興を効果的に図ってまいります。
 また、多摩・島しょ地域には豊かな自然に加え、古くから根づく独自の伝統や文化が存在しております。こうした多様な資源の活用は、地域経済の発展に有効であることから、地域の魅力の積極的な発信や、観光資源の開発などを通じて、観光振興にも積極的に取り組んでまいります。
 今後とも、地域の特色を高めながら、局の総力を挙げて、多摩・島しょ地域の産業活性化を図ってまいります。

○栗林委員 それでは私の方から、日本の経済成長への期待が高まる中、チャレンジ精神も高まり、これからはさらに事業を立ち上げたいと思う人もふえてくるのではないかと思うところから、初めに創業支援について伺います。
 都内産業の新陳代謝を促し、活力を生み出していくためには、新規の創業を促進していくことが重要であります。しかし、我が国では開業率が廃業率を下回る状況が続いております。そこで、東京ならではの創業者への支援策を積極的に展開していく必要があると考えます。
 出産や子育てのため一時職を離れた女性や、企業をリタイアした経験豊かな年配者など、再び地域や社会に貢献したいと考える方は大勢いらっしゃいます。また、サラリーマンから独立をして、みずからのアイデアを実現したいと心踊らせる方も少なくないと思います。こうした方々に向け、創業に対する普及啓発を行ったり、オフィスを貸し出すなどの支援を充実させることが重要であります。
 そこで、創業者に向けたこうした支援策について、都の今年度の取り組みを伺います。

○十河商工部長 東京の産業を将来にわたり活性化していくためには、創業者を数多く輩出し、その順調な成長を支援することが重要であります。
 そのため、都は、中小企業振興公社において創業希望者のニーズに応じた五つのコースから成る実践的なセミナーを開催し、創業に関する知識やノウハウの提供を行っているところでございます。今年度は、延べ二百名の受講者を予定しております。
 また、都内七カ所にインキュベーション施設を設置し、創業者に低廉な家賃で事業スペースの提供を行っております。健康関連分野やコンテンツ分野に特化した施設など、それぞれ特色を持った運営を行っており、各施設には専門人材を配置して、経営サポートも実施しております。
 今後もこうした取り組みにより、創業の支援を着実に進めてまいります。

○栗林委員 今、ご答弁で二百名ぐらいの受講を予定しておるということでございましたが、しっかり創業に結びつくよう支援をお願いしたいと思います。
 先ほどの質問の中で、創業しやすくハードルを下げるなどとのお話がありましたけれども、大事なことは、やはり創業して、先々まで廃業しないで安定して経営が続く、そういう支援が大事ではないかと思います。先ほどのお話にあった経営サポート等と、そういう安定した経営に向かうような支援に力を入れていただくことも大事ではないかと思います。
 創業を目指す方々の経験も経歴もさまざまで、そのニーズも多様になってきております。ぜひとも、きめ細かな支援をしていただき、お一人お一人が、それぞれの夢の実現に向けて頑張り、成功できるよう支援をお願いしたいと思います。
 続いて、学生起業家育成について伺います。
 最近、若者、特に学生の間では、安定志向が強く、リスクを負わない選択がふえているようですけれども、やはり夢や希望を抱き、新しいことや興味のあることに何でも挑戦できるのは学生の特権ではないかと思います。
 そうした意味から、やり方を工夫すると、学生の起業はもっと活発になると思います。最近では、3Dプリンターなどを使い、新しいビジネスを立ち上げやすい環境にもなってきています。まずは学生が自分でも起業できると思えるきっかけをつかむことが重要です。
 都では、学生を対象としたビジネスプランコンテストを実施していますが、こうした取り組みを充実させていくことで、多くのすぐれた学生の起業家が育っていくことに期待ができるのではないでしょうか。
 そこで、この事業の具体的な内容と実績について伺います。

○十河商工部長 学生の起業家精神の醸成と学生発のすぐれたベンチャー企業の輩出を目指し、都では平成十四年度より、学生起業家育成支援事業を実施しております。
 本事業では、学生が企画したビジネスプランを募集し、公開のプレゼンテーション審査などを経て、すぐれたプラン三件を優秀賞として表彰いたします。
 優秀賞受賞者には、翌年度、専門家による起業教育を実施し、会社設立に向けたフォローアップ支援を行います。過去の受賞者の中には、伝統工芸の技術を生かし、子供向けの食器や衣服などを企画開発し販売する会社を立ち上げ、製品が大手百貨店のキャンペーンで取り上げられるなど、業績を伸ばしている事例もあります。
 今後もこうした取り組みにより、学生の積極的な起業を促し、都内産業の活性化につなげてまいります。

○栗林委員 若者が成功すると大変それに触発されて、後に続くきっかけにもなると思いますので、支援の方をお願いいたします。若い方たちに関心を持っていただけるよう周知も図ることが大事です。ちょっと所管は違いますけれども、以前、十三歳のハローワークということが話題になったように、やはり小学生、中学生、そういった小さいときから仕事に関心を持てるよう、教育機関との連携も大事ではないかと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次に、買い物弱者支援について伺います。
 先ほども質疑がありましたが、ちょっと角度を変えたところで伺わせていただきたいと思います。都内にはさまざまな理由で日々の買い物に困っている方がいらっしゃいます。
 例えば、病人の看病で長時間外出ができない方もいらっしゃいます。また、お年寄りの中には、やっとの思いで買い物に出たとしても重たいものが運べない、そういったことでなかなか買い物ができない方もいらっしゃいます。また、要介護の認定を受けていても、掃除とか洗濯をお願いすると、ヘルパーさんの時間がもういっぱいになってしまって、買い物までお願いするのは難しい状況もあります。
 また、最近はコンビニとかスーパーでもネットで注文できますよという制度が生まれていますけれども、やはりパソコンやクレジットカードを余り持たない高齢者の方は、コンビニやスーパーの宅配サービスの利用は難しいという現状もあります。
 地域が抱える課題は、地域の実情を熟知し、コミュニティの中核となる人々によって解決されることが理想であり効果的であると考えます。まさに地域住民にとって、日々の暮らしを安心して送るために役立つ情報やノウハウを持っている、気心の知れた顔のわかる商店街のサービスを住民は求めているのではないでしょうか。
 こうしたことを背景に、都が昨年度から開始した、買い物弱者支援モデル事業には注目をしておりますが、これまでの実績と、それを踏まえた今後の展開について伺います。

○十河商工部長 買い物弱者支援モデル事業は、買い物弱者対策にすぐれた成果を期待できる商店街のモデル的な取り組みを支援するため昨年度から開始したもので、これまでに二つの地域で取り組みを支援しております。
 具体的には、地元の商店街とNPO法人が連携し、商店が少なく買い物が不便な地域に日用品や生鮮食品、総菜等を販売する店舗を開設する取り組みや、地元の老人クラブと共同で宅配サービスや送迎サービスを行う取り組みなどが実施されております。
 今後、地域のニーズに応じた取り組みが数多く行われるよう、充実した支援を検討してまいります。

○栗林委員 モデル事業ですので検証が大事でございます。課題や要望を分析して、今後に役立てていただきたいと思います。
 商店街は地域のコミュニティを支え、住民が安心して暮らせるまちをつくる上で重要な役割を果たしています。都は、さまざまな商店街が買い物弱者の支援サービスに取り組むことができるように支援内容の充実を図ることを要望しておきます。
 次に、観光から、温かく迎える仕組みづくりについて伺わせていただきます。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック開催決定もあり、訪日旅行拡大の道筋ができつつあります。おもてなしをビジネスに生かす動きも活発になってきているようです。日本政府観光局の発表によると、二〇一三年八月の訪日外国人客数は約九十万人、前年比、何と一七%増だそうです。一月からの累計では約六百九十万人に達したということです。
 二〇〇三年に、訪日客を、二〇一〇年までに一千万人に拡大するとした政府のビジット・ジャパン・キャンペーン、これは開始十年を経て、ようやく実現が見えてきたといわれています。観光庁は新たな目標を掲げ、東京オリンピック・パラリンピック開催の二〇二〇年までに、先ほど中山委員も触れていらっしゃいましたけれども、二千万人を目指すとしています。そのようなことから、ホテル開業競争ともいわれるほどになってきています。
 そうした中、東京らしく温かく迎える仕組みづくりが重要であります。今後、多くの外国人旅行者の受け入れを進めていくためには、旅行者の方々が観光スポットを楽しむだけでなく、温かくお迎えすることで、より高い満足を感じていただくことが重要です。
 例えば、都では、海外からの旅行者をお迎えするメッセージを掲載したウエルカムボードを、羽田空港や成田空港の到着フロアに設置しています。こうした取り組みは、到着したばかりの旅行者の気持ちを高める効果的な手法の一つといえると思います。
 とりわけ、旅行者が多く時間を過ごすホテルや旅館等の宿泊施設の果たす役割は重要です。我が国の宿泊施設の質は総じて高いといわれていますが、その利便性や快適性、安全性をより向上させることは、旅行者の満足度を高める上で効果的だと思います。
 こうした宿泊施設に対する都の取り組みについて伺います。

○杉崎観光部長 ホテル、旅館等の宿泊施設の利便性や快適性を向上させ、旅行者の満足度を高めることは、東京の魅力をさらに高め、新たな旅行者やリピーターの獲得につながるものと認識しております。
 そこで、宿泊施設における受け入れ体制を整備するため、都では宿泊業活性化事業を実施し、宿泊事業者で構成される団体が実施する従業員の接遇研修やAEDの講習会など、旅行者へのサービス向上や安全・安心につながる取り組みを支援しております。
 また、誰もが宿泊施設を安全かつ快適に利用できるよう、宿泊施設バリアフリー化支援事業を実施し、床面のフラット化を初め、エレベーターや手すりの整備など、施設の改修についても支援をしております。
 さらに、多くの外国人旅行者がインターネットを利用して観光情報を入手していることを踏まえまして、今年度から、宿泊施設内の無料公衆無線LANの設置に対する支援を行っているところでございます。
 今後も宿泊施設の利便性、快適性、安全性を高め、旅行者の満足度向上に資する支援を実施してまいります。

○栗林委員 ありがとうございます。高級ホテルは、もうどんどんこれから建設されるという情報がたくさん出ておりますけれども、長期滞在の方とか費用を抑えて旅を楽しみたいという方は、やはりお手ごろな料金で滞在できるという施設を求めていると思うんです。先ほど木内委員もおっしゃっていましたけれども、ビジネスホテルとか旅館というような新たなところに、そういった設置もこれから必要ではないかと思います。
 先日、九月の中旬でしたけれども、上野で早朝からのイベントがあったため、前日から宿泊しようということで、何人かのボランティアさんと一緒に泊まるところを探したんですが、高いところはあいているんですが、五千円前後のところはほとんどとれないんですね。カプセルホテルもだめでした。あと、簡易宿泊所、そこもいっぱいです。外国人の長期滞在の方もふえているということでしたけれども、やはりこれからオリンピックに向けて長期滞在、リピーター、そういう方たちのことを考えると、手ごろな料金で宿泊できる、そういったことも整備、計画、これは民間がやることではありますけれども、都としてはそういうところも注目していっていただくことも必要ではないかと思いましたので、よろしくお願いいたします。
 続いて、女性の再就職支援について伺います。
 厚生労働省の調査によりますと、女性の就業状況を年齢区分別に見ると、いまだに三十歳から四十四歳の間で落ち込む、いわゆるM字カーブを描いています。実際の就業率と潜在的な就業率の差は依然として大きく、働く意欲があっても就業に結びつかない方が多く存在している状況です。
 出産や育児、また介護等により一旦離職し、また就職を目指す女性の中には、離職のブランクが長いために、自分の能力が新しい職場で通用するのか、また、仕事や職場にうまくなじめるかなど、さまざまな不安を抱える方も多いと思います。こうした再就職に関するさまざまな不安を払拭するためには、女性求職者個々の、それぞれの状況に応じた支援が必要であると考えます。
 そこで、都はどのように取り組んでいるか伺います。

○矢田部雇用就業部長 労働力人口の減少が見込まれる中、働く意欲のある女性に対し、適性や能力に応じた活躍の場を提供することは重要であり、都では、女性の再就職を支援する事業に取り組んでおります。
 具体的には、東京しごとセンターにおいて、専任のアドバイザーが相談に応じているほか、託児施設を設置し、無料の託児サービスを提供しております。また、キャリアカウンセリング中心の支援だけでは就職が困難な方に対しては、早期の再就職を目指す支援として、講義と職場実習を組み合わせた女性再就職サポートプログラムを実施しております。

○栗林委員 少子高齢化が進展する中にあっては、これまで生かし切れなかった女性の力を最大限に発揮し、社会の支え手としていくことは喫緊の課題であり、そうした点からも、女性の再就職を支援する取り組みは非常に重要であります。
 先ほど答弁で、都は、女性再就職サポートプログラムを実施し、早期の再就職を目指す女性を支援しているということでありましたけれども、このプログラムの具体的な事業内容と、これまでの実績について伺います。

○矢田部雇用就業部長 女性再就職サポートプログラムは、再就職への意欲が高く、早期の就職を希望する方を対象に総合的な支援を行うものでございます。
 具体的には、就職活動のノウハウを提供するセミナーに加え、スキルアップを図るための経理事務や社会保険実務等の職種別の講習、企業における職場体験など、全十日間のプログラムとなっております。プログラム受講後は、キャリアカウンセリングを通じて就職に至るまでの継続的な支援を行っているほか、すぐに就職が決まらない方に対しては、グループワークを中心としたフォローアップセミナーを実施しております。
 平成二十四年度の実績としましては、募集定員に対し二倍以上の応募があり、またプログラム修了者二百六十九人の就職率は、ことし九月末時点で五八%となるなど就職実績も高く、効果的なプログラムとなっております。
 今後とも、女性の就業ニーズの動向を踏まえながら、再就職の支援に努めてまいります。

○栗林委員 ただいまの答弁で、女性の再就職サポートプログラムが高い実績を上げており、効果的な支援プログラムであることがわかりました。一人でも多くの意欲ある女性に対して新たな活躍の場を提供できるよう、今後もプログラムの充実を図っていただきたいと思います。
 次に、若者の就業支援について伺います。
 リーマンショック以降の景気低迷の影響により大学生の内定率が過去最低となるなど、若者を取り巻く雇用環境が厳しい状況となったことを受けて、都では、平成二十一年から若者ジョブマッチング事業として、未内定の新規大学卒業生を対象とした合同就職面接会を開催し、中小企業とのマッチングの場を提供しています。
 この制度は、我が党が積極的に推進させていただいたということもあり、二十一年の第一回の合同面接会、私たち都議会公明党も大勢で視察に行かせていただきました。(「すごかったね」と呼ぶ者あり)はい。当時、たしか一回目はサンシャインのイベント会場だったと思います。広いイベント会場、百五十社ぐらいの中小零細企業さんのブースがあり、私たちはエレベーターで上がっていきました。どのぐらい来ているのかなと、もうどきどきしました。エレベーターのドアがあきました。もうエレベーターのドアのその前まで長蛇の列です。リクルートスーツに身を包んだ学生さんたちが、不安そうな面持ちで列に並んでいらっしゃったんです。(「臨場感があるね」と呼ぶ者あり)もう目で見てきましたので。その光景を見ただけで、どんなに不安でここに来たんだろうかと思うと、何か胸が締めつけられるような思いがしたんです。中にはやはり、思っていたときは、何社かなと思ったんでしょうね。でも、たくさん興味のあるブースが出てきたんだと思うんですが、また履歴書を買ってきて、廊下の端で書いている学生もいらっしゃるぐらい大盛況。もう本当に学生さんたちは、この時期、まだ就職が決まらない、どこかにという思いと、また、面接に来ている中小企業の担当者も、温かく、よかったらいらっしゃいという、すごくお互いのマッチングということが見事にその場所で、フロアで展開されていて、この制度はありがたいなと、どれだけ学生さんたちに希望を送ったことだろうということで三年たち、今は年数回やっていただいていることだと思いますけれども、この事業は、参加する若者にとっても、中小企業にとっても、一度に数多くの相手と面接ができる機会が得られるというメリットがあり、マッチングには大きな効果が期待できると思います。
 そこで、この事業の取り組み状況について伺います。

○矢田部雇用就業部長 都では、未内定の新規大卒者等と人材を求める中小企業とのマッチングの機会を提供するため、若者ジョブマッチング事業として、合同就職面接会を平成二十一年度から実施しております。
 今年度は年間四回の開催を予定しておりますが、昨年度より広い会場を確保し、参加企業数を増加させることにより、若者が一度に、より多くの中小企業との面接の機会を得られるよう工夫を図ったところでございます。
 これまで七月と九月に面接会を開催し、企業二百七社、若者千五百七人の参加がありました。今後、内定が得られていない新規大卒者等に対する面接の機会を提供するため、十一月と来年二月にも開催いたします。こうした取り組みにより、一人でも多くの若者が中小企業への就職に結びつくことができるよう支援を行ってまいります。

○栗林委員 ありがとうございます。やはり、こういう合同就職面接会は、若者と企業双方にとって、数多くの相手と出会うことで就職に結びつくチャンスがあります。今後も引き続きしっかりと取り組んでいただくことを要望し、次の質問に移ります。
 都では、不安定な就労を余儀なくされている若者の正規雇用化に向けた取り組みとして、平成二十三年度から紹介予定派遣制度を活用した就業支援を実施していますが、この事業の内容と、これまでの実績はどうなっているか、あわせて伺います。

○矢田部雇用就業部長 若者を取り巻く厳しい雇用環境を踏まえ、都では平成二十三年度より、国の交付金も活用しながら、派遣就労を通じて正規雇用化に結びつける紹介予定派遣制度を活用した若年者就業支援事業に取り組んでおります。
 事業を開始して以来、昨年度までの実績は、二千百八人が派遣就労を体験し、このうち派遣就労先での最終的な正規雇用者数は千五十一人となっております。
 今年度は、都内中小企業への就業を支援する若年者緊急就職サポート事業を千四百人規模で、また、介護、省エネルギー、防災といった成長産業分野への就業を支援する重点産業分野就業支援プログラムを百人規模でそれぞれ実施し、若者の正規雇用化を着実に推進しております。

○栗林委員 ただいまの答弁で、これまで実施されてきた事業では、おおむね五割の方が派遣先で正規雇用化につながったということであり、効果の大変高い事業であると思います。不安定な就労を余儀なくされている若者の正規雇用化を進めていくためにも、今後とも事業効果を最大限に高めるよう努めていただくことを要望し、次の質問に移ります。
 次は、職人塾について伺います。
 若者の就業をめぐる問題として、若者のものづくり離れも指摘されています。私の周りを見ても、今の子供たちは小さいころからものづくりに触れる機会が少なく、そのおもしろさや大切さがなかなか実感できないのだと思います。このままでは将来、ものづくりの担い手が不足し、東京のものづくり産業の活力が失われてしまうことにもつながりかねません。もっと若者がものづくりに関心を持って、進んでものづくり分野を目指していくよう後押しすることが重要です。若者を職人のもとへ弟子入りさせ、職場体験を行うことで、ものづくり現場へ誘導する職人塾は大変意義がある事業であると思いますが、事業の実施状況について伺います。

○戸澤事業推進担当部長 職人塾は、親方と弟子という形で、若者がすぐれた職人わざを目にし、職人の指導のもと、実際に体験することで、ものづくり職種への理解を深め、後継者の育成にも結びつけていくことを目的としております。対象は三十四歳以下の若者で、定員は四十名、体験期間は二十日間程度でございます。
 事業の実施状況でございますが、今年度は、貴金属装身具、印章彫刻、手描友禅など、全二十職種、六十四事業所の受け入れ先を用意したところ、七十九名の応募を受け付けました。その後、応募者の希望職種と受け入れ先事業所との調整を行った結果、十四職種で四十名の参加者を決定し、順次体験実習を行っているところでございます。
 なお、参加者からは、厳しく難しかったが貴重な体験ができた、理解しやすく丁寧に指導を受け感謝しているなどといった感想をいただいております。

○栗林委員 少人数で大変地味な事業であるかもしれませんが、大変大事な取り組みではないかと思います。今後とも、若者が夢を持ってものづくり分野に進み、また後継者の育成にもつながるよう、着実な事業の実施をお願いしたいと思います。
 先日、気になるデータが出ていました。全体的な自殺による死亡者は減少している中で、二十代の若者の死因のトップが自殺ということだそうです。原因は就職の失敗によるという内容のものでした。若者の死因トップが自殺というのは、先進国では日本だけという悲しい現実があります。若者にチャンスはあるよ、いつでもサポートしているよと、そういうメッセージあふれる東京都にしていくことが大事だと思います。ぜひとも、さらに支援策を拡充していただき、そして広く周知をして、応援をしていただきたいと思います。
 それでは、最後に障害者の就労支援について伺います。
 ノーマライゼーション、障害とは個性と皆が理解して支え合う社会をつくることが求められています。
 障害者の方々がごく普通に地域で暮らし、地域の一員としてともに生活できる社会を実現するために、職業的な自立ということが重要となってまいります。働く障害者をふやすためには、単に就職を支援するだけではなく、みずからの能力を十分に発揮して働き続けることができるよう、その職場で定着していただくための支援が必要です。
 せっかく企業に採用されても、短期で離職してしまっては、自立した生活にはつながりません。障害者の方々の職場での円滑な定着のためには、障害者と事業主、双方のパイプ役となり支援を行うジョブコーチの役割が大変重要です。
 国が養成するジョブコーチがいる一方で、都でも独自にジョブコーチを養成し、定着支援を行っていますが、まず、この事業を開始した背景について伺います。

○矢田部雇用就業部長 障害者の職場への定着を促進するためには、企業に出向き、障害者の職場への適応及び定着を支援するジョブコーチの活用が重要でございます。
 ジョブコーチは、具体的には、支援対象となる障害者の特性を踏まえるとともに、受け入れ企業の実態を見きわめ、支援対象者ごとの支援計画を策定した上で、職場環境の調整や作業能力向上に係る助言等の支援を行っております。
 企業などからのジョブコーチに対するニーズは高いものの、国の制度ではその数が不足していたため、平成二十年度からは、都においても独自にジョブコーチを養成して企業に派遣することとし、障害者の就業支援の充実を図っております。

○栗林委員 平成二十年当時、ジョブコーチが足りないということから都独自の事業を開始されたということでした。
 ここ最近では、障害者の方々の就業意欲も高まってきており、また積極的に障害者雇用に取り組む企業がふえるなど、障害者雇用は着実に進展してきております。この四月には法定雇用率の引き上げも行われたところであり、これからも障害者の方々を採用しようとする企業はふえてくることが予想されます。このように、今後もジョブコーチに対する支援ニーズの増加が見込まれる中、都の取り組みを伺います。

○矢田部雇用就業部長 企業での障害者雇用の意識の高まりや就職を希望する障害者の増加などを背景として、東京ジョブコーチ支援件数は年々増加しております。
 このため、都では今年度から、東京ジョブコーチの定員を六十名から七十五名へとふやすとともに、ジョブコーチに対する専門的な助言指導や困難事例への対応などを行う統括コーディネーターも三名から五名体制へと増員し、支援体制を充実しております。
 今年度の支援の状況でございますが、九月末現在で支援件数は四百四十件であり、前年同期比で一四・三%増となっております。今後ともこうした取り組みを通じて、職場や障害者の方々の実情に応じた支援を行ってまいります。

○栗林委員 ありがとうございます。これからは、ダイバーシティー、性別とか、障害あるなしとか、国籍とか、文化とか、そういうことを受け入れる多様な人たちが活躍できる社会を目指すということが求められています。
 東京ジョブコーチの支援件数も年々増加してきているとのことでしたが、障害者の職場定着というものは、これからますます重要な課題になってまいります。今後も、効果的な定着支援を行っていただきますよう要望し、十分短縮しての質問を終わります。

○尾崎委員 まず、商店街振興について伺います。
 新・元気を出せ商店街事業によるイベントへの支援で、商店街の多くの方々が買い物に来てくれるようになっています。商店街の活性化にもっと役に立つ施策にする必要があると思います。商店街の活性化のためには、個店が特徴ある店づくり、地域の住民、消費者のニーズに応えるものづくりや品ぞろえ、魅力ある商店街づくりが必要です。そのために何らかの支援が求められると思いますが、いかがですか。

○十河商工部長 都は、これまでも専門家の派遣などにより、商店主の経営力向上や魅力的な店舗づくりを支援しております。

○尾崎委員 専門家派遣の実績はどうなっているでしょうか。

○十河商工部長 平成二十二年度から二十四年度まで三年間の実績で申しますと、専門家の派遣件数はそれぞれ四百三十九件、四百三十八件、四百二十七件となっており、また、派遣先の商店街数はそれぞれ百二十一カ所、百九カ所、百十八カ所となっております。

○尾崎委員 私たちの調査では、答弁にあった現在の専門職の派遣制度は、登録された非常勤の方々です。そのために、実際に活用している商店街の方々からは、評論家ではなく本当の専門家を、実績を積んだ人が必要、実態に合わない指導が多いとの大変厳しい声が聞かれます。十年前までは商工指導所があり、各商店街の実情を十分に把握して、きめ細かく責任を持って、系統的に相談に乗って適切な提言をし、大きな役割を果たしていました。
 今後、常勤の専門職に切りかえていくことが必要だと思いますが、どうでしょうか。

○十河商工部長 商工指導所の担っていた機能は、中小企業振興公社の経営支援の機能に代替をしており、秋葉原本社や各支社において、担当職員が商店街への巡回を行うなど、実情を十分把握し、適時適切に対応しております。

○尾崎委員 商店街の活性化問題は、各自治体、商工会など、どこでも悩んでいる問題になっています。年々売り上げが減って、今、円安の影響で経費が一五%から二〇%上がって、これでは商売が続けられないという悲鳴が上がっている状況です。店主の高齢化や後継者がいない問題も深刻です。しかし、頑張って新商品をつくっている店主もいます。
 今求められているのは、商店主の悩みに心を寄せて、豊かな経験に裏づけられた的確な助言をしてくださる方です。中小企業振興公社任せではなく、以前のように常勤の専門職に切りかえることを求めます。一つの商店街に特色のある元気なお店が一軒ないしは二軒できれば、活性化の展望も見えてきます。
 そこで、経営の学習や商店街でのリーダーづくりなど、人づくりへの取り組みと実績について伺います。

○十河商工部長 都は、これまでも、経営上のアドバイスやリーダー養成の研修などを実施して人材育成に取り組んでおります。
 リーダー養成の研修の実績を三年間で申し上げますと、平成二十二年度から二十四年度までのリーダー養成研修の修了者数は、それぞれ五十九名、四十九名、三十四名となっております。

○尾崎委員 都内の商店街は約二千七百あります。区市町村でもリーダー養成をしているところもありますので、連携してもっと充実していっていただきたいと思います。
 私の活動地域である武蔵村山市内の商店街の役員さんは、高齢になり今までのように買い物に来ることができなくなったお客さんが、タクシーを使って買い物に来てくれて、自分の目で見て、品物を手にして、笑顔になったお客さんの顔を見たときに、商店街の果たす役割を強く感じたと話してくれました。
 この役員さんを中心に、高齢者の人が買い物できるように、商店街で送迎を始めました。この取り組みを通じて、お米屋さんでは、おにぎりをお店に出すようになり、魚屋さんでは、魚一切れでも焼くサービスを始め、ひとり暮らしの高齢者が購入するなど、売り上げもふえて、商店街全体に活気が戻ってきたと成果が生まれています。中心になるリーダーづくりと各地の経験交流が重要になると思っています。今後は、リーダー研修への参加を広げる努力が必要だと思います。
 次に、新・元気を出せ商店街事業の申請書類を簡素化するなど、改善が必要だと考えます。新・元気を出せ商店街事業の申請、報告書類の作成で商店街の人たちが負担になっている点について、その現状をどのように認識していますか。商店街、地元区市町村と連携して、負担軽減に向けて、よりよい方法が考えられませんか、いかがですか。

○十河商工部長 新・元気を出せ商店街事業の申請書類などの簡素化につきましては、都はこれまでも必要最小限の資料の提出を求めた上で、書類の記入に当たってきめ細かくサポートするなど、十分な対応を行っております。

○尾崎委員 商店街を訪問した際に、書類作成に時間がとられて商売の妨げになっている、何とかして簡素化してほしいという要望も私のところに来ました。東京都の皆さんも、書類を書いている当事者の生の声をぜひ聞いてみてください。
 次に、都はこれまで、商店街の街路灯の電気代については、商店街がみずから設置したものであり、各設置者が負担すべきものだと考えを繰り返し明らかにしています。しかし、この考え方のもとで、電気代の負担が重く、商店街の維持が大変になって、商店街が解散し、街の明かりが消えている現象が各地で起きています。このことについて、どう認識していますか。

○十河商工部長 都は、新・元気を出せ商店街事業において、商店街の意欲的な取り組みを支援しており、街路灯の電気代などの経常的な経費については補助の対象にしておりません。

○尾崎委員 街路等の電気代について、補助の対象外とするという回答ですが、幅広い商店街の意欲的な取り組みを支援していく観点からと、これまでの答弁を変更したのは重要です。商店街の皆さんは、街の明かりを地元の方々のために何とか維持していきたいという強い願いを持っています。しかし、街の明かりの維持が困難になっている商店街も出てきています。
 私の住んでいる東大和市でも、商店街の役員さんから、二〇一〇年一月の街路灯の電気代は月六万四千三百五十八円だった。しかしこの間、どんどん電気料金が値上がり、二〇一三年一月は九万三千七百三十九円にもなった。三年前の一四六%にもなっているという声です。改めて先日、現状を聞くと、八月の電気代は九万九千円になり限界となり、役員会で話し合って、街路灯の電球を半分にした。おかげで九月の電気代は五万六千円になったが、商店街は暗く危険、気分まで暗くなった。商店街の街路灯は、単に防犯だけではなく、商店街のにぎわいの象徴としての装飾でもある。だから、絶対に消してはならないといっていました。
 別の商店街では、街路灯の電気代が払えなくなり、街路灯の撤去代を残して商店街を解散したというところも出ています。都の皆さんも、商店街に出かけていって直接話を聞いていただきたいと思います。
 私たちの調査では、全区市町村で約六億円の補助をされていますが、その半分なら三億円、地域商業の活性化予算、四十三億円の約七%、例えば二〇一二年度の決算の不用額で対応しても余る金額です。幅広く商店街の取り組みを支援することにつながるのではないでしょうか。街の明かりを消さないために、都は、商店街の街路灯の電気代補助を決断するよう求めます。
 都内、国内とも各地で企業誘致による産業振興策が、企業の相次ぐ撤退などで行き詰まりを見せる中、地場産業育成に力を入れてきています。その具体的な取り組みとして、都内にはさまざまな農林水産品があり、こうした各地域の特色ある第一次産業の産品を広く流通することは、各地域の産業振興にとって重要と考えていますが、いかがですか。

○十河商工部長 都は既に、都内産品販売活動支援事業により、都内産の農林水産品などの販売活動に取り組む中小企業等を支援しております。

○尾崎委員 都内産品販売活動支援事業の実績はどうなっていますか。

○十河商工部長 平成二十二年度から平成二十四年度までの支援件数は、それぞれ新規採択で七件、一件、二件となっており、二カ年にわたって支援を行っております。

○尾崎委員 重要な支援事業だと思いますが、活用が少ないと思います。制度を知らせることなど一層の努力が必要だと思います。
 次に、各特産品を各地域の伝統と文化が生きた産業として育てるため、加工品の開発支援、販路開拓、経営支援など新たな取り組みが求められると思いますが、どうですか。

○十河商工部長 都は既に、東京都地域中小企業応援ファンドにより、都内産の農林水産物などの地域資源を活用した加工品の開発や販路開拓などを行う中小企業等を支援しております。

○尾崎委員 東京都地域中小企業応援ファンドの実績を伺います。

○十河商工部長 平成二十二年度から二十四年度の三年間の採択件数は、それぞれ五十一件、五十五件、三十八件となっております。

○尾崎委員 都の多彩な支援は評価しますが、もっと多くの方々に活用できるように検討が求められます。
 先日、新聞でも紹介されましたが、武蔵村山市のうどん店などでつくる村山うどんの会が、地元に伝わる地粉うどんを村山かてうどんと名づけ、昨年には商標登録が認められました。東大和市商工会青年部では、地元の狭山茶を使って茶うどんをつくりました。また、多摩地域のある信金は、大学とも連携して、都市農業を育成する視点から、農業後継者向けに経営塾を開講する。奥多摩町では、休耕地を活用して市民農園で滞在型農園利用を進め出しています。猪瀬知事も、よりブランド化された農業というものはつくっていかなければならないといっています。
 このように、農家が生産した農産物を加工、販売にまでつなげ、地域産業となるような取り組みが、各地で地元のさまざまな地域資源に目を向け、その活用方法もさまざま、それぞれの地域地域で方法が考えられています。
 それは観光的な活用であったり、農業振興的な活用であったり、商工的な支援だったり、農商工、観光が連携しているというふうに、都の支援策に当てはまらないものが出てきております。都市農業を守り、地域の文化を守り、まちづくりとしても注目し、各地のこうした動きに機敏に、柔軟に対応できるような支援策を拡充していただきたいということを求めます。
 既に何回か提案していますが、市町村の産業立地の特性に合わせた包括補助的な地域産業支援事業の仕組みについては、積極的に検討することを求めておきます。
 次に、労働相談について伺います。
 労働相談情報センターの相談件数は、年間の相談が五万二千百五十五件、二〇〇六年以降、七年連続で五万件を超える状況の中、都は、都民の適正な労働環境を守るためにどのような取り組みをしていますか。

○矢田部雇用就業部長 都では、都内六カ所の労働相談情報センターで労働相談を実施するほか、労働関係法令に関するセミナーの開催や普及啓発資料の配布などにより、労働法や労働問題について啓発を行っております。

○尾崎委員 セミナーの開催や普及啓発資料の配布ということですが、各労働相談情報センターで行っている各種セミナーの定員数、応募状況はどうなっていますか。

○矢田部雇用就業部長 労働相談情報センターでは、労働法や労働問題の知識の普及啓発を図るため、労使双方に対しセミナーを開催しております。
 平成二十四年度の実績では、定員の合計は六千九百二十人、可能な限り受け入れを行った結果、合計で一万一千五百七十七人の申し込みがありました。

○尾崎委員 労働法や労働時間について啓発しているということですが、労働法を知らないという人がまだまだ、たくさんいます。可能な限り受け入れたといっていますが、キャンセルがあった場合の対応程度ではないでしょうか。
 また、代表質問への答弁でも、必要な受講機会の確保をしているとのことでしたが、この五年間を見ても、応募者数が定員の一・七倍で毎年推移をしているわけですから、受講機会の確保をしているわけではありません。
 都民が安心して働き続けられる職場になるよう、労使双方に支援することが労働行政として求められています。労働法などの雇用ルールを正しく理解し身につけることは、労使双方にとって重要です。セミナーの回数を拡充するよう求めます。
 区内で労働相談を定期的に開催している労働組合の方にお話を伺いました。職場に労働組合が少なくなり、また、非正規雇用がふえる中で、不安定な身分で働かされる人がふえている。そのため、相談者もふえているということです。困ったときに相談できる場所が少ない。そんな中、行政の相談窓口はお金もかからず安心というイメージがあり、期待も大きいといっていました。東京都の役割がますます大きくなっていくと思います。
 ところが、あっせんは一九九九年度、千三百件以上あったものが、ここ数年は六百件前後と半減しています。この状況について、どのように認識していますか。また、何か対応していますか。

○矢田部雇用就業部長 あっせんは、労働相談を実施する中で労使双方からの要請を受けて行うものであり、件数が減少した背景には、労使間で自主的に問題を解決したいとの意向があることが考えられます。
 既にホームページや街頭労働相談などを通じ、労働相談とあっせんについて周知を行っております。

○尾崎委員 労使間で自主的に問題を解決したいとの意向が強まっているという考えがあるという回答でしたが、そうでしょうか。私も生活相談を開催していますが、会社に一人で声を上げても無理と諦めている人が多いことを実感しています。そういう中でも、公的な相談機関、駆け込み寺として、労働相談情報センターへ都民の方々は期待を強く持っています。
 労働相談にかかわっている方にお話を伺いましたが、労働基準監督署では法律に違反しているかどうかを基準に判断しがちですが、都の労働相談は法律に違反しているかどうかではなく、寄せられた相談を解決することに力を入れているとのことでした。
 しかし、この解決すること、あっせんに持っていくには企業へも訪問しなければならず、相談員の方が時間も労力も必要だということです。あっせんに積極的になる相談員をふやすことが求められているのではないでしょうか。そのためにも、相談員をふやすことを強く要望します。
 今、社会問題にもなっているメンタルヘルスについてですが、いじめ、嫌がらせ相談件数がこの十年間で倍増しています。メンタルヘルスに関する相談は九倍増です。この状況について、どのように認識していますか。また、この状況について何か対応していますか。

○矢田部雇用就業部長 労働相談を通じて職場のいじめ、嫌がらせや職場のメンタルヘルスに関する事案が増加していることは承知しております。
 既に資料の作成、配布やセミナーの開催、メンタルヘルス対策専用のホームページを設け、普及啓発を行っております。

○尾崎委員 心の健康相談は、現在、予約制で、約一週間待ちになっていると聞きました。今年度は、昨年度よりも相談のこまもふやして対応しているということです。
 しかし、心の相談は緊急を要します。すぐに相談することによって、精神的に楽になります。そして、継続した相談が求められます。ぜひ思い切った対策をすべきです。相談には専門性を要します。専門相談員をふやしていただくことを強く要望します。
 鬱病になっている人は、今や八人に一人ともいわれるほどになっています。早期に適切な対応ができれば、働き続けることもできます。都として対策を強めることを求めます。
 また、パワーハラスメントについては、労働者の尊厳や誇りを傷つけ、職場環境を悪化させるブラック企業化を招きかねません。都としてこうした事態に対応すべく、まずは事業主がその防止や対応に取り組めるように支援することが必要です。
 次に、電話相談件数は連続して三万件を超えています。受け付け体制を拡充する必要があると考えますが、どうでしょうか。

○矢田部雇用就業部長 都では、労働相談情報センターに電話相談専用回線を設け、法令の問い合わせや情報提供、新規の相談等に適切に対応を行っており、相談体制を見直す考えはございません。

○尾崎委員 飯田橋のしごとセンター電話相談は、電話回線が四回線と聞きました。しかも、今のご答弁にあったように、法令の問い合わせや情報提供の相談などに対応しているということです。
 東京都のホームページでも、配布しているチラシ、「ポケット労働法」でも、労働問題の電話相談の窓口番号は一つしか掲載されていません。一方、各地の五カ所の労働相談情報センターでは、電話受け付けは、来所相談の予約受け付けが基本となっています。
 再度お尋ねしますが、電話相談の案内を改善したり、各労働情報センターでも電話を受け付けたり、電話回線をふやすべきですが、いかがでしょうか。

○矢田部雇用就業部長 先ほどお答えしましたように、労働相談情報センターでは、現在、適切に対応を行っております。相談体制を見直す考えはございません。

○尾崎委員 電話相談については、話し中が多いとの声も届いています。何度かけても通じなければ、諦めてしまうという場合もあります。電話回線をふやすことは難しいことではありません。ぜひ電話回線をふやすことを求めます。
 私は、毎週一回、生活相談会を開催していますが、深刻な相談がふえています。非正規雇用の青年が正社員になることを夢見て一生懸命に働いていましたが、突然首を切られ、仕事を探しても見つからない、手持ち金がなくなって、展望が持てずにみずから命を絶ってしまいました。もっと早くこの青年と会えていたらと悔しい思いです。もし労働相談情報センターをこの青年が知っていたら、死ぬことはなかったと思います。
 こんなことを繰り返さないためにも、誰でも安心して相談できる労働相談情報センターをもっと都民に知らせ、相談体制の拡充を強く求めるものです。
 次に、観光振興プランでカジノの法整備を求めていることについて伺います。
 世界で一番ビジネスのしやすい国際都市づくり特区、国家戦略特区提案書に、MICE、IRの整備に、カジノに係る法整備とカジノ開設エリアとしての指定とあります。
 二〇一三年六月、経済・港湾委員会では、我が党の清水議員の観光産業振興プランについての質問に、カジノは経済波及効果や雇用創出効果が期待できる有力な観光資源、現行法ではその設置が認められていないことから、都は国に対して、観光資源としてのカジノ実現のために法整備を提案要求していると観光部長が答弁しています。
 経済波及効果や雇用創出効果に期待できるということですが、それは誰が試算したものですか。

○杉崎観光部長 カジノは有力な観光資源であり、都市の魅力を高め、旅行者の増加を促すことから、経済波及効果や雇用創出効果をもたらし、地域経済の活性化が期待できる事業であるということを申し述べたものでございます。

○尾崎委員 その考えを裏づけるものは何でしょうか。

○杉崎観光部長 カジノを開設している国の実例から、カジノは旅行者の増加を促すことにより経済波及効果や雇用創出効果をもたらし、地域経済の活性化が期待できる事業であると認識しております。

○尾崎委員 今の回答ですと、旅行者の増加を促すこと、だから経済波及効果や雇用創出効果が期待できる事業であるという認識、試算も、その裏づけ、検証などされていないということですね。
 カジノは経済効果があればいいというものではありません。それにしても、都民の大事な税金を使って大きな事業を進める場合、当然、試算や検証が必要です。しかも、現行法では禁止されている賭博、カジノを進めようというのですから、無責任だといわなければなりません。
 マカオや韓国の実態です。マカオでは四十一年前に三カ所からスタートし、現在は三十七カ所にふえています。税収の七〇%がカジノだといわれています。住民は働く場所がなく、カジノで働くしかない状況です。カジノは二十四時間営業、労働者は二十四時間シフトで勤務し、みずからもカジノをやらされ、借金に追われる人が後を絶たない。物価が上がり、家賃も値上がり、住めなくなった。カジノがふえることによって地元の商店は衰退したと報告されています。
 韓国では十七カ所あり、十六のカジノは国外専用だといいます。外国人向けは二十四時間営業、しかし、半数以上が赤字になっているそうです。自殺者がふえ、強盗などの犯罪が多いと報告されています。カジノで仕事がふえ、人口もふえると思ったが、逆に住民は減っているといいます。
 マカオ、韓国の状況を見ても、地元への経済波及効果や雇用創出効果があるとは思えません。カジノによって税収はふえたとしても、地域の安全・安心は守れず、まちが壊されてしまいます。ギャンブル依存症も大きな問題になります。
 そこで、ギャンブル依存症の問題など、カジノを合法化した場合の負の影響はどのような検証をされたのでしょうか。

○杉崎観光部長 都は国に対して、いわゆるギャンブル依存症者対策などを制度化し、国が抱く懸念を払拭するよう努めることをこれまでも継続して提案要求しております。
 カジノにおける懸念については、現在、カジノを実施している多くの国々では適切な対応がとられていると認識しております。

○尾崎委員 安倍首相や麻生元総理、石原元都知事らが最高顧問を務める特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案には、暴力団の関与、犯罪の助長、風俗環境の悪化、過剰な広告宣伝、青少年の健全育成への悪影響、利用に伴う借金や依存症など、利用者に生ずる悪影響などの対策も盛り込まれています。
 しかし、法案に盛り込まれたからといって、マカオや韓国のようにならないとは限りません。しかも、都はギャンブル合法化によりギャンブル依存症が出ることを承知の上で合法化を求めるなど、無責任です。
 私は先日、ギャンブル依存症の当事者や家族の方のお話を伺いました。パチンコ依存症の方は、日本で二百万人です。本人の自覚もなくわかりにくいもので、治らない病気だということです。自分の手持ち金だけで終わることはなく、借金を繰り返し、サラ金、闇金にも手を出してしまう。また、会社のお金に手を出して犯罪者となってしまった人もいます。家族崩壊や子供がひきこもりになるなど、本人だけの問題ではありません。
 猪瀬都知事はこの間、カジノがないのは不自然、ある一定のエリア、大人のディズニーランドみたいに劇場もあれば、映画館もあれば、そしてパーティーもやっている、そしてカジノがあると発言しました。
 カジノがなくても、この委員会の中でも皆さんが発言していますが、東京の各地にすばらしい観光資源があることを、既に観光部長のご回答でも明らかになっています。
 カジノには反対です。国に対して、カジノの合法化を迫るようなことは直ちに中止をすることを求めて、質問を終わります。

○三宅委員長 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後五時三十二分休憩

   午後五時五十九分開議

○三宅委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○中村委員 それでは、産業労働局の事務事業について、まず初めに商店街振興について伺います。
 近年、商店街は、社会、経済状況の変化により、大変厳しい状況にあります。大規模小売店舗立地法の施行により、大型店に対する規制が緩み、大手スーパーなどに客足をとられる商店街も多くなっています。また、住宅街に点在するコンビニエンスストアの増加は、高齢者の買い物に役立つ面などもあるものの、商店街の集客力低下の一因になっているのも事実です。
 このように大型店やコンビニエンスストアの出店が地元商店街に与える影響は非常に大きいものですが、なかなか出店を規制できないという状況下では、そのような店舗に地域に貢献していただき、商店街と共存共栄することができれば、地域全体の経済の活性化につなげられなくもありません。
 そこで、都は市区町村とも連携して、こうした店舗の商店街への加入や協力促進を図るべきと考えますが、いかがでしょうか。伺います。

○十河商工部長 商店街を活性化させるためには、事業者間の一層の連携や協働が求められます。
 このため都は、平成二十年度から、新・元気を出せ商店街事業において、区市町村と連携して商店街の組織力強化支援事業を実施しており、商店街の連合会等が商店街と連携して行う商店街加入、協力促進のためのマニュアル作成やイベント開催などの取り組みを支援しております。
 こうした取り組みにより、引き続き商店街への加入や協力の促進を図ってまいります。

○中村委員 市区町村では条例によってコンビニエンスストアの商店街への加入促進を進めているところもありますので、都としてもそうした政策の後押しをしていただきたいと思います。
 また、商店街では、先ほど述べたような外部的な要因に加えて、後継者不足や集客の核となる店舗が少ないといった問題も抱えており、都内でも衰退してしまった商店街というのも見られます。
 しかし、商店街は、防災や防犯活動や高齢者の買い物支援など、地域コミュニティを強めるような重要な公共的役割を持っています。今後はこういった公共的役割を評価して、その活動を支援できるような取り組みもしていただければと思いますけれども、こういったような公共的役割を持つ商店街を活性化するためには、商店街を構成する個店の経営改善を図るなど、何よりも個々の店舗の活力を向上させることが重要だと考えますが、ご所見を伺います。

○十河商工部長 商店街の活性化を図る上で、集客の核となるような店舗の存在は重要であります。
 そこで都は、専門家の派遣や講習会の開催などにより、商店主の経営力向上や魅力的な店舗づくりへの支援に努めており、引き続き、これらの支援により商店街を構成する各店舗の経営基盤の強化を図ってまいります。

○中村委員 個々の店舗の支援に加えて、商店街全体の活力を高めていくことも重要です。各商店街では、地域に応じたイベントの開催や商店街の魅力を高めるための施設整備など、さまざまな取り組みをしていますが、さらなる創意工夫を凝らすことで、その効果を高めることができると思います。
 しかし、先ほど述べたように商店街の置かれている状況は大変厳しいものがあります。都は、商店街に対し、新・元気を出せ商店街事業など、さまざまな支援を行っていますが、より効果的な施策を構築するため、商店街の現状を把握するとともに、都の支援策などを活用してすぐれた取り組みを行い、高い成果を上げている商店街の秘訣を分析し、それを他の商店街に広く知ってもらえれば、都内商店街全体の底上げにもつながると考えますが、所見を伺います。

○十河商工部長 都は、三年ごとに都内全商店街を対象に実態調査を行っており、都内商店街の置かれている状況や課題などについて調査し、商店街施策に反映しております。
 また、すぐれた取り組みを表彰する東京商店街グランプリの開催や優良事例集の作成などにより、先進的な商店街の取り組みを他の商店街に広くフィードバックし、数多くの意欲的な取り組みが促進されるよう努めております。

○中村委員 この新・元気を出せ商店街事業では、都が市区町村に補助金を交付して、それを活用して各市区町村が商店街の支援を行っていますが、私は、地域に密着した市区町村がもう少し自由な裁量で商店街の実態を踏まえた支援を行うのがまず第一だと考えます。
 都議会民主党からも毎年、事業の拡大を求めていますので、引き続きそれにはご尽力いただきたいんですが、その取り組みの仕方として、都はそうした市区町村を包括的に支援して、余り細かい制度設計をしない方がより使い勝手のよいものになるのではないでしょうか。
 こうした問題とも関連しますが、補助金の申請手続で提出書類が複雑であるというのは、これは東京都市長会からも要望の中で書類の簡素化というのを求められています。小規模な商店街では、人手不足から、代表者などが自分の本業を行いながら申請書類の作成を行うことが多く、負担となっているという声もありますので、そうした中でも一生懸命に活性化に取り組む商店街の負担を軽減するため、市区町村に任せるものは任せて、申請書類の簡素化をすべきと考えますが、いかがかでしょうか。

○十河商工部長 新・元気を出せ商店街事業における申請書類につきましては、都は簡素化の観点から、これまでも必要最小限の資料の提出を求めているところでございます。
 また、書類の記入に当たってはきめ細かくサポートするなど、十分な対応を行っております。

○中村委員 税を投入する事業ですから、きちんとした書類の整備というのは必要だと思うんですけれども、そういった点でもより近いところで市区町村等が見ていることによって、事業の評価ができると思いますから、そういったことも含めて今後ご検討いただければというふうに思っています。
 次に、大規模事業所の撤退についての対応について伺います。
 近年、特に多摩地域では大規模事業所の撤退が相次いでいます。戦前から多くの製造業が立地する私の地元三鷹市においても、昨年、市内有数の企業で、昔から三鷹を本拠としてきた日本無線が撤退を発表しました。これに対して、三鷹市からも会社に要望書を提出するなど、地域経済や市民生活へ与える影響を少なくするため、懸命な取り組みを行っています。
 大規模事業所の撤退は、下請の中小企業や地域の雇用、地元の商店街などにさまざまな影響を与えます。大規模事業所はその社会的責任として、撤退が地域のまちづくりに及ぼす影響の大きさを十分認識すべきと考えます。
 大規模事業所の撤退は一地域の問題ではなく、全都的な問題として捉えるべきと考えますが、都は、こうした大規模事業所の撤退問題に対し、どのように取り組んでいるのか伺います。

○十河商工部長 生産拠点の移転等による空洞化の無秩序な進行は、東京の産業の将来に大きな影響を与えるおそれがあり、適切な対応を行うことが必要でございます。
 そのため都は、昨年度より、ものづくり産業集積強化支援事業を実施し、企業誘致を促進するための助成や工場アパートの整備など、地域の産業集積の確保に向けた区市町村の主体的な取り組みを支援しているところでございます。
 また、付加価値の高い製品、技術の開発に取り組む中小企業を後押しするとともに、今後の成長が見込まれる産業分野での創業を促進するなど、東京における生産活動の継続や新たな事業の創出を支援しております。

○中村委員 こうした大規模事業所の撤退になると、本当にそこで働いていた方々がこれからどうするかということを考えたり、地元でも商工会等を中心にして周辺の事業者等がこれからどうしていこうかということを本当に真剣に悩んでいるところもありますから、都としても、こういった問題は各地域で起きてきている問題だと思いますので、ぜひとも対策を検討していただきたいというふうに思います。
 次に、雇用対策について伺います。
 今、国の経済政策により、一部に大きな企業で賃上げの動きがあるとの報道もありますが、地域を回っていても、まだまだ多くの勤労者にとってみると、賃金が上がって生活がよくなったという実感はなかなか聞こえてこないというのが率直なところではないでしょうか。東京都の方としても、ぜひともこういった勤労者の方々の生活の現状というのを把握して、政策に生かしていただきたいというふうに思います。
 とりわけ、また、こういった円安による物価への影響が出ていることもあり、収入が不安定な非正規で働く若者を直撃するということも予想がされます。都が全庁的なプロジェクトチームをつくって検討を始めた少子化対策という観点からも、まずは若い世代が本人の希望に沿った仕事につき、安定した生活を送り、いずれは結婚して安心して子供を産み育てる環境をつくることが重要です。
 そこで、若い世代で非正規雇用が増加している現状について、都はどのように考えているのか伺います。

○矢田部雇用就業部長 若者を取り巻く雇用情勢を見ますと、新卒者の内定率は改善の傾向にある一方で、既卒者の就職環境は依然として厳しく、非正規雇用を余儀なくされている若者も多くおります。
 このため都は、東京しごとセンターにおいて、きめ細かい支援を行っているほか、紹介予定派遣制度を活用して、正規雇用化に向けた支援などを実施しております。
 こうした取り組みを通じ、正規雇用を目指す若者を後押ししております。

○中村委員 知事も少子化対策ということでプロジェクトチームをつくって、まだその中身というのは見えてはきませんけれども、保育園等そういった子育て支援策も必要ですけれども、若い世代の生活が安定するということも本当に大切なことだと思っていますので、ぜひとも産業労働局の取り組みの方もお願いしたいと思います。
 また昨今、雇用のミスマッチがいわれて、求人と求職がうまくかみ合っていない場合もあります。正社員になりたくてもなれない若者がいる一方で、優秀な人材を得るのに苦労している中小企業も多いと思います。
 こうした雇用のミスマッチに対応するために、都ではどのような対策をとっているのか伺います。

○矢田部雇用就業部長 民間会社の調査によれば、若者は依然として大企業志向が強い一方、人材確保に苦慮する中小企業もあるという雇用のミスマッチが存在しております。
 このため都は、合同就職面接会の実施により、若者と中小企業とのマッチング機会を提供するほか、民間のノウハウを活用して中小企業の求人情報等を発信し、若者の中小企業に対する理解を促進しています。
 こうした取り組みを通じ、若者と中小企業のマッチングを図っております。

○中村委員 私も先日、この合同就職面接会の見学をさせていただきました。学生さんも本当に一生懸命、仕事を探していたところだったんですけれども、そこに出展している中小企業の方に話を聞いたら、なかなか人材の確保が大変なのでこういうのはいい機会だというふうに喜んでいましたので、ある意味で雇用のミスマッチの解消に向けて、これは若者に対してもですし、中小企業に対してもですけれども、またこういう取り組みを進めていただきたいというふうに思っています。
 さて、今、東京都は深夜の時間帯も楽しめるような政策ということを進めているようですけれども、まずはなるべく仕事を定時に終えて余暇を楽しむことができる社会である方がいいなというふうに思います。
 オリンピックやパラリンピックも開催されますけれども、豊かな人だけにスポーツを楽しむゆとりがあるというだけではなくて、多くの勤労者にもそうしたスポーツに楽しめるようなゆとりも必要だというふうにも思っています。
 賃金の大幅上昇が見出しにくい中、賃金を下げずに勤労時間の短縮を図り、生活の質の向上を目指すことが大切です。そのためには働き方を見直す、育児と仕事との両立を図るなどのワークライフバランスを推進するための雇用環境を整備することが重要です。都はどのような支援をしているのか、その内容と実績を伺います。

○矢田部雇用就業部長 都は、長時間労働削減など、働き方の見直しに係る取り組みを社会全体で推進するため、すぐれた取り組みを進める中小企業を認定し、公表しており、これまでの認定企業は五十四社でございます。
 また、平成十九年度から平成二十四年度まで、労働者が生き生きと働きながら、子育てなど家庭における役割を果たせるよう、社内での意識啓発やルールづくりなど、仕事と育児の両立に取り組む企業に対する支援を行いました。
 なお、今年度からは、東京都中小企業ワークライフバランス実践支援事業により、引き続き企業の支援を行っております。

○中村委員 都としてもワークライフバランスの推進を進めていただいているんですが、中小企業の数は本当にたくさんありますので、ぜひともこれからしっかりとそういったところが推進できるよう取り組んでいただきたいと思います。
 また、今、子育てについて伺ったんですが、子育てについては、多くの場合、子供と同居して、小学校入学前という限られた期間でもあります。また、比較的若い世代のライフプランの一環となっています。こうした若い世代を支援する先進的な企業の取り組みを積極的に取り入れ、業績向上に努めている企業も少なくありません。
 ところが、介護の問題はもっと深刻です。親の介護の問題は、性別や年齢、役職に関係なく、これまではワークライフバランスを自分の問題と考えてこなかった層も含めて、例えば親が遠隔地にいる場合であっても、ある日突然、介護の問題に直面する可能性があります。
 さらに、介護は子育てと違って、いつまで続くかわからないものでもあります。企業にとって欠かせない人材でありながらも、退職を余儀なくされるケースも多く、本人にとっても、企業にとっても、介護の問題は深刻です。子育てとの両立を図る企業でさえも、その対策には困惑しており、国の調査によれば、介護休業の取得率は、制度がある事業所でも六・八%にすぎません。
 団塊の世代が六十歳後半に達し、今後ますます介護との両立の課題が大きくなるものと予想されますけれども、介護と仕事との両立に関する都の取り組みについて伺います。

○矢田部雇用就業部長 先ほどお答えいたしました東京都中小企業ワークライフバランス実践支援事業では、介護も視野に入れて、仕事と家庭生活の両立のための雇用環境整備に取り組む企業を支援しております。
 具体的には、在宅勤務や、また情報端末などを活用した場所にとらわれない働き方であるモバイル勤務といった多様な勤務形態の実現などに必要な経費を助成するほか、専門家を派遣し、仕事と家庭生活の両立を推進するための助言を行っております。

○中村委員 高齢化社会に向けて介護の問題は大変深刻になっていくと思っていますが、先ほどお話ししました子育てのことにしても、介護の問題にしても、早目に会社を終わって、そういうことをやるだけということよりも、スポーツの話もしましたが、ゆとりであり、また、いろんな時間に使えていいんだというふうに思っています。働き方がいろいろ変わってはきますけれども、生き生きと働けるような社会の実現ということが必要だと思っていますので、そういった取り組みに向けて今後とも取り組んでいただくことを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

○柴崎委員 成長戦略に向けた取り組みについてお伺いいたします。
 国では、最先端の医療技術を開発するための新たな研究機関を設立することとしております。こうした機関の研究を関連産業の成長につなげていくためには、高い技術力やノウハウを持った中小企業が研究成果を活用して、すぐれた医療器具や装置などを開発していくことが不可欠であります。
 都では、今年度より、環境や健康などの成長分野で大学や研究機関と連携をして、技術開発に取り組む中小企業を支援する事業を開始していると聞いております。国の成長戦略と軌を一にした時宜を得たものと思いますが、この事業の現在の取り組みについて伺います。

○十河商工部長 今後、成長が見込める健康や環境などの分野で高い技術力を持つ中小企業が大学などと連携し、新たな技術や製品を生み出していくことは重要であります。
 このため都は、今年度より、具体的な技術開発のテーマを示した課題マップを作成し、これに沿って中小企業が大学や研究機関等と共同で製品開発を行う場合、経費の三分の二について三千万円を限度に助成を行う、連携イノベーション促進プログラムを開始いたしました。
 平成二十五年度版の課題マップでは、健康、環境、危機管理の三分野で今後需要が見込まれる開発テーマを設定し、この八月に公表いたしました。この課題マップに基づき、製品開発プロジェクトを公募し、七十件の申請を受け付けたところでございます。これらの申請案件からすぐれたプロジェクトを選定の上、来年一月から最長二年間にわたり助成を行うとともに、アドバイザーによる事業化に向けた支援を実施いたします。
 こうした取り組みにより、成長分野における中小企業の意欲的な技術開発を一層促進してまいります。

○柴崎委員 今、七十件の申請があったということでございますが、ぜひ将来有望なプロジェクトを、一つでも多く実を結ぶように支援をしていただきたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。
 一方で、規模の小さな会社にとりましては、まだまだ大学の研究室、これは敷居がやはり高いという、そういう声があるんですね。ですから、まず連携しやすい、そういう環境づくり、これを大学や研究機関と幅広いネットワークを持つ人材が研究者を紹介したりするなど、こういったサポートが重要だと思っております。
 こうした点で外部の技術を自社に取り入れるに当たって、実験や調査をあらかじめ入念に行う必要がありまして、そのための経費負担、これが大きいわけであります。したがいまして、こうした共同開発に向けた、いわゆる入り口の経費負担、この軽減を図ることが重要でないかと考えております。
 そこで、外部と連携して共同開発などを行おうとする中小企業を後押しする、そのために、都は今年度、どのような支援に取り組んでいるのかお聞かせいただきたいと思います。

○十河商工部長 中小企業が製品開発などに取り組む際、大学や研究機関など外部の知識や技術を適切に活用することは重要でありますことから、都では、中小企業による大学などとの連携を促進する取り組みを進めております。
 具体的には、産業技術研究センターに八名のコーディネーターを配置し、中小企業のニーズに応じて連携先を選び、共同研究に向けた調整を行うなどの支援を実施しております。今年度はこれまで七十二件のマッチングを行い、十五件の共同研究につなげております。
 また、本格開発前の検証に要する経費の二分の一について、百万円を限度に助成するオープンイノベーション促進助成事業を実施しております。
 本事業を活用し、ソフトウエアを開発する会社が大学の知見を取り入れることによりまして、介護施設での見守りシステムの開発などの成果につなげております。

○柴崎委員 製品開発が着実に進むように、引き続き支援の充実に取り組んでいただきたいと思います。
 最近、注目されているベンチャー企業で、ミドリムシを大量培養する独自技術によりまして、栄養価の高い食品、例えばこれはミドリムシを使ったクッキーなんですね。(実物を示す)これ、一枚、二万匹使われています。それとか、いわゆるジェット燃料、この開発に取り組んでいるユーグレナという会社があるんですけれども、この会社の社長さんが書いた本を読ませていただきました。ここにありますように、やはり会社の可能性を信じて、資金とかそういった面を外から支えてくれる、こういった支援者がやはり心強かったと、この本にも書いてあるんですけれども、そういった創業者を大きく育てていくためには、やはりしっかりとしたサポートする人材だとか組織の役割が極めて重要であると思っております。
 都内におきまして、創業者を支援する企業や団体が多数存在しておりまして、こうした支援機関が幅広く活動できるよう環境整備をしていくことが重要だと思っております。
 都は今年度、インキュベーション施設の運営事業者などの連携活動を後押しする事業を開始したとのことですが、この事業の考え方と取り組み状況についてお聞かせください。

○十河商工部長 都内には創業支援に関するすぐれたノウハウを持ち、特色ある支援を行う民間の事業者が多数存在しております。今後、都内産業の成長に向け、さらに多くの創業者を輩出していくためには、こうした事業者が連携し、創業予定者の発掘、育成から成長途上にある経営者のサポートまで幅広い支援を行うことが必要でございます。
 そのため都は、今年度より、インキュベーションHUB推進プロジェクトを開始いたしまして、事業者が連携をして創業者の段階に応じて総合的に支援を行う場合、活動経費の二分の一について、毎年度千五百万円を限度に、三カ年にわたり助成を行うことといたしました。
 今年度は二件の連携事業を採択しておりまして、一つは、創業間もない企業と国内外の有力企業との業務提携を支援し、世界で通用するベンチャー企業の育成に取り組むなどのプロジェクトでございます。もう一つは、多摩地域に点在する創業支援サービスを集約し、創業者に最適な支援を提供するネットワークをつくるプロジェクトであり、それぞれ意欲と特色ある取り組みを開始しております。
 今後とも、こうした取り組みをさらに充実し、創業の促進を積極的に進め、都内産業の成長につなげてまいります。

○柴崎委員 ぜひ都は、その仕組みづくりとサポートに引き続きしっかりと取り組んでいただくことを要望いたします。
 それでは、次に、中小企業に対する金融支援、先ほど来、借りかえ融資だとか、お話、議論が出ておりましたので、そこは省略いたしまして、既存の債務の借りかえに加えまして、やはり事業を継続するためにどうしても必要な運転資金、これについて上乗せしてもらえれば、経営改善を支える制度として、より一層機能するんじゃないかなと思っているんですね。
 したがいまして、そこで、都が新たに創設した特別借りかえメニュー、この特徴とこれまでの実績、そして今後の取り組みについて伺います。

○寺崎金融部長 制度融資の特別借りかえ融資は、既往の保証つき融資を一本化し、返済期間を最長十年まで延長することによって、中小企業の月々の返済負担の軽減を図るものであり、小規模企業者に対しては、都が信用保証料の二分の一の補助を実施しております。
 制度を創設したことし三月から九月までの融資実績は千四百四十四件で、約四百五十億円となっております。利用状況を見ますと、利用者の七割以上が小規模企業者であり、同じく八割以上が制度上の最長期間である十年保証を利用しております。
 こうしたことから、月々の返済負担の軽減と小規模企業者の保証料の負担軽減により、経営改善に取り組む都内中小企業者の資金繰りの安定化に寄与していると考えております。
 引き続き、制度の普及を図り、活用を促しますとともに、経営改善に資するという観点から、今後は事業運営に必要な経費の措置につきましても検討を進めてまいります。

○柴崎委員 厳しい環境の中で大変ご苦労されている中小企業の資金繰り、これについて引き続きしっかり支えていくために、ぜひ、常設メニューとしていただくとともに、さらなる制度の充実に努めていただきたい、そのようにお願いをしたいと思います。
 続きまして、資金繰りでもう一点大切なのが、売上代金を受け取るまでの間、さまざまな支払いがあるわけでありまして、いわゆるつなぎ資金、この確保についてお伺いしたいと思います。
 制度融資についても、小規模事業者向けの融資メニューがあります。数多く利用があると聞いておりますが、また、商工会議所の指導を受けながら経営改善を図っている場合に、金利を優遇する仕組みはあるようであります。いずれにしても、小規模事業者の資金ニーズに応えられるように、こうしたさまざまな仕組みをさらに強化していただきたい。特につなぎ資金への対応が非常に重要だと思っております。
 そこで、小規模事業者向けの小口資金融資の現在の状況、そして、また今後の取り組みについてお伺いいたします。

○寺崎金融部長 都の制度融資では、小規模企業の小口の資金需要に対応するための融資メニューとして小口資金融資を用意しており、今年度上半期の融資実績は約三千九百件、約百四十一億円となっており、件数、金額とも昨年度を上回っております。
 また、ご指摘のように、商工会議所などから継続的に経営指導を受け、経営改善に取り組む企業に対しましては、金利を優遇する経営指導特例を設けており、金融円滑化法終了への特別措置として、ことし四月からその優遇幅を〇・一%から〇・四%に拡大しております。利用者からは、販売方法や営業方法の改善に向けた指導を受けて新たな受注につながったなどの声を聞いております。
 引き続き、小規模企業者の円滑な資金繰りを支援するため、現場の資金ニーズをしっかりと踏まえ、効果的な融資メニューとなるよう、制度の充実に向けた検討を進めてまいります。

○柴崎委員 ぜひ、日々、資金繰りに悩んでいる中小零細企業、こうした声にしっかり応える支援を期待しております。
 続きまして、制度融資に加えまして、都が独自に実施している地域の金融機関と連携した新保証つき融資制度について伺いたいと思います。
 厳しい経営環境が続く中で、中小零細企業にとりましては、安定的な経営を行うためには、やはり資金調達、この選択肢を広げることが極めて重要だと思っております。
 この新保証つき融資制度は、制度融資を補完し、資金調達の多様化を図るという意味で非常に意味があると思います。本制度がより多くの中小零細企業に活用されることが重要でありますが、制度の利用促進に向けて、都はこれまでどのように取り組んできたのか伺います。

○寺崎金融部長 地域の金融機関と連携した新保証つき融資は、地域の金融機関の目ききの力と民間保証機関の審査ノウハウを活用することにより、制度融資をもってしても資金調達が困難な中小企業の資金繰りを支えるために創設したものであります。
 平成二十一年度の取り扱い開始以来、制度の周知を図りつつ、利用者目線に立った利便性の向上を図る取り組みを進めてまいりました。
 具体的には、事業者が月々の返済負担の軽減を図れるように借りかえ制度を導入したほか、金融円滑化法終了に伴う対応として保証料率を引き下げるなどの特別措置を実施してまいりました。
 また、本制度を取り扱う地域金融機関の拡大にも努めており、今月新たに信用金庫一行が取り扱いを開始し、制度創設初年度に十三行であった取り扱い金融機関は、現在二十三行まで拡大しております。
 こうした取り組みにより、今年度上半期の保証承諾実績は約七百件、五十億円と、前年同期比の一・五倍で推移しております。
 今後とも厳しい経営環境にある中小企業の資金調達の多様化に貢献すべく、より一層の利便性の向上に努めてまいります。

○柴崎委員 引き続き、制度の効果的な活用を図っていただくようにお願いして、次の質問に移ります。
 次は、都市農業の振興について伺いたいと思います。
 我が都議会自民党は、都市農業の振興と農地保全を図るために、定期的に農業者、特に若手経営者の皆さんと意見交換会を実施しております。その中では、都市農地の相続税、そして生産緑地制度は必ず話題となっているわけです。
 地元の練馬区におきましても、相続が発生するとやむなく農地が失われてしまいます。農業者から、何とか農業を継続したい、そういった声をいただくわけであります。また、高齢化によりまして営農が厳しくなった農家も徐々にふえているのも事実であります。
 こうした中で、生産緑地を借りて経営規模を拡大したい、こうした意欲ある農業者もいるわけであります。しかし、現行制度では、生産緑地を貸し出すと、相続税納税猶予制度が受けられない。このために、規模拡大を望む農業者の声に応えられる制度となっていないわけであります。
 農業を継続して農地を保全していくためには、制度を所管する国による早急な制度改善が必要だと考えます。
 そこで、都は、都市農地の保全に向けて、国に対してどのような働きかけを行っているのかお聞かせください。

○津国農林水産部長 都市農地は、農産物の生産の場というだけではなく、都市に残された貴重な空間として、都市環境の保全や防災など、都民生活に多くの役割を果たしており、極めて重要でございます。
 このため、都は国に対して、都市農業の振興と都市農地の保全に関する基本法の制定と、生産緑地制度と相続税制度の改善について要望を行っております。
 具体的には、基本法の制定につきましては、農地を都市に有用な存在として、その役割を都市政策と農業政策の両面から位置づけることを求めております。
 また、制度改善につきましては、小規模農地も生産緑地に指定できるよう面積要件を引き下げること、生産緑地で農地の貸し借りが促進されるよう相続税納税猶予制度を適用すること、農業経営に必要な農業施設用地や屋敷林について相続税の負担軽減措置をすることの三点について求めております。
 今後とも、都市農地が保全されるよう国に対して強く要望してまいります。

○柴崎委員 都市農地を守っていくためには、農地にかかわる制度改善に加えて、都市農業や農地の果たしている役割を都民によく理解をしていただきまして、地域住民の参画のもとで農地の保全に取り組んでいくことが重要だと考えております。
 地元、練馬におきまして、農業者が地域住民に農作業指導を行う体験農園、これは練馬が発祥の地として有名なんですけれども、また、地域としても、農地保全に取り組む、都が実施している農業、農地を生かしたまちづくり事業、これを活用して区内に水田を復元しまして、毎年三つの小学校で田植え、そして稲刈りを行っているわけであります。地域の皆さんからも、景観がよくなり、憩いの場となるなど、大変好評を得ております。
 そこで、この事業の取り組み状況についてお伺いいたします。

○津国農林水産部長 都市農地を保全するためには、農業、農地の持つ多面的機能をまちづくりに生かし、農業者や地域住民等の相互協力のもと、実効性のある保全策を講じていくことが必要でございます。
 このため、都は平成二十一年度から、農業、農地を生かしたまちづくりに取り組む区市に対して、ソフト、ハードの両面から支援を行い、これまでに練馬区や国分寺市を初め、八区市でモデル事業を実施しております。
 具体的には、農業用水を活用した散策路や、都民の交流拠点となるファーマーズセンターのほか、農業への理解を深めるためのPR冊子の作成や農業体験イベントの開催など、地域の特性に応じてさまざまな取り組みが展開されております。
 今後、区市との連携をさらに強化して、都市農地の保全に努めてまいります。

○柴崎委員 年々減少している都市での貴重な農地を守るために、ぜひこれからも区市との連携を図っていただきたいと思っております。
 ところで、住宅地に囲まれました都市農業では、住民と身近なところで農業が営まれているところから、農薬等の使用についても一層の配慮が求められているわけであります。このため、農業者は、農薬だとか化学肥料、こうしたものを減らして環境に配慮した農業を行いながら、消費者ニーズに応える、安全・安心な農産物を生産することが大切だということであります。
 都は、このような取り組みを推進するため、新しい制度をスタートしたと聞いておりますが、その制度についてお伺いいたします。

○武田安全安心・地産地消推進担当部長 都市の中で農業を続けていくためには、お話のとおり、環境に負荷をかけない農業を実践し、同時に消費者の求める安全・安心な農産物を生産していく必要がございます。
 このために、都が創設した東京都エコ農産物認証制度は、都の定めた基準より農薬や化学肥料を削減して栽培された農産物を認証する制度でございます。
 具体的には、農家へフェロモン剤を利用して害虫を防ぐ技術や、土づくりの技術などを普及し、農薬と化学肥料を削減してまいります。また、農業者には生産情報の記録と公開を義務づける一方で、残留農薬の検査などを一層充実させ、その結果を公表することにより、制度の適正な運用を確保してまいります。

○柴崎委員 環境に配慮した農業を推進しまして、都市農業を発展させるためにも、新制度に多くの農業者が参加するということが必要だと思っております。また、消費者の皆様にも、この認証マークを知ってもらうことも大切です。
 そこで、東京都エコ農産物認証制度について、都は今後、どのように普及をさせていくのか、お伺いいたします。

○武田安全安心・地産地消推進担当部長 東京都エコ農産物認証制度を普及させるために、農業改良普及センターによる巡回指導や土づくり講習会、展示圃場の設置などの技術指導を行い、認証農産物を栽培する農業者を支援してまいります。
 また、新制度への農業者の参加意欲を高めるため、認証した農産物に認証マークを表示できるようにして農産物の差別化を図るとともに、認証実績を市場や直売所、量販店などの関係者に紹介し、販路の拡大を図ってまいります。
 さらに、生産者に対する支援に加え、消費者への認知度を高めることも重要であることから、チラシ、パンフレット、ポスター、ウエブサイトなどを活用して積極的な制度のPRを実施してまいります。

○柴崎委員 今、ご答弁いただきました都市農地の保全や環境に配慮した農業生産の推進というのは、都民に新鮮で安全・安心な農産物を提供する都市農業の振興に欠かすことのできない取り組みだと思っております。
 ぜひ、引き続き積極的な事業展開をお願いいたしまして、私からは以上で質問を終わらせていただきます。

○かんの委員 まず初めに、中小企業の海外展開に対する支援について幾つか伺います。
 近年、アジアなどの新興国市場に挑戦する中小企業が目立つようになりました。私の地元、港区のあるメーカーも昨年、タイに販売会社を設立したそうです。今後の世界経済を牽引するといわれる新興国市場は、独自の技術や強みを持つ中小企業にとって大きなチャンスを秘めた地域です。
 しかし、頻繁に変わる現地の法制度や独自の商習慣への対応など、中小企業がビジネスを展開するにはハードルが多い上、外国企業などとの厳しい競争も待ち受けています。都内の中小企業がすぐれた商品や技術を武器に、アジアという、困難ではあるが可能性に満ちたマーケットにチャレンジする際、その取り組みを支援することは大変重要であると思います。
 そこで、都が現在行っている支援の内容と実績、今後の取り組みについて伺います。

○十河商工部長 都は、平成二十二年度から、海外販路開拓支援事業を開始し、主にアジア地域への海外展開を目指す都内の中小企業に対しまして、商社OBによるアドバイスや現地企業とのマッチングなどの支援を実施しております。
 今年度からは、新たに貿易アドバイザーと技術アドバイザーを配置して、法制度や技術上の課題に対する専門的なアドバイスも開始いたしました。
 支援対象となる製品の数は年々増加しておりまして、平成二十二年度末の五十四件から、本年九月末には百五十九件となっております。また、制度開始以来、七十件の取引が成立しており、このうち六十四件はアジア諸国における取引となっております。
 今後、アジア市場を目指す中小企業のさらなる増加が予想される中、都としても、企業の販売戦略やニーズに応じて、より的確な現地情報の提供ときめ細かな支援を実施できるよう、具体的な検討を行ってまいります。

○かんの委員 都内の中小企業が世界を相手に勝ち抜いていくことができるように、海外販路開拓支援のさらなる充実、強化を強く要望しておきます。
 次に、さきの経済・港湾委員会においても議論いたしましたが、中小企業の海外展開を阻む大きな壁の一つに、各国の規制への対応があります。国ごとに異なるさまざまな製品規格や基準を満たさなければ、競争に勝つことはおろか、製品を流通させることもできません。しかも、その規格書は内容が複雑で、改訂も頻繁に行われ、制度に精通した人材でないと、どの基準が適用されるのか区分さえわからないといいます。
 このような課題に対して、さきの委員会では、産業技術研究センター内に広域首都圏輸出製品技術支援センターを開設し、相談員による情報提供を行っているとのお話がありました。
 また、規格に適合させるための改良や試験などの費用の負担も大きな課題です。欧州の企業から引き合いが来たある中小企業は、輸出のためにこれらの必要経費を見積もったところ、数百万円もかかるとのことでした。こうした費用面の課題についても、今年度、中小企業振興公社において助成制度を開始したと聞いております。
 そこで、これらの取り組みの具体的な実績と、今後の展開について伺います。

○十河商工部長 海外の各種規制への適合を図る中小企業を支援するため、広域首都圏輸出製品技術支援センターでは、現在十六名の専門相談員を配置し相談に対応しておりまして、その実績は昨年度の約三百件に対し、今年度は九月末で既に五百件を超えております。
 さらに、規格適合に係る費用の負担を軽減するため、中小企業振興公社におきまして、製品改良や認証取得などの経費の二分の一について、五百万円を限度に助成する海外展開技術支援助成事業を今年度より開始いたしまして、七十件を超える申請を受け付け、そのうち二十九社の支援を行っているところでございます。
 今後は、アジア地域での企画に関する相談がふえていることを踏まえ、そのための体制強化に取り組むなど、中小企業の海外展開を技術面から的確に支援してまいります。

○かんの委員 各国の規制というのは、やはり刻々と変化しているようですので、その時々の企業ニーズに対応できるよう、引き続き的確な支援をお願いしておきます。
 また、海外展開においては知的財産の保護、活用も非常に重要なテーマです。すぐれた中小企業の製品がアジア新興国を中心として模倣被害に遭う例は後を絶ちません。現地の展示会でカタログを配布しただけで、すぐに模倣品が販売されたとの事例も聞いております。
 こうしたトラブルに対しては早期に適切な対応をとることが重要となりますが、中小企業の多くは、法務部門や知財部門などの専門部署がなく、対応のノウハウがないのが実情ではないかと思います。都が設置する知的財産総合センターによる適切なサポートが重要となってきますが、サポートに当たっては、専門家による助言はもとより、模倣の手口も巧妙、複雑となる中にあっては、現地での監視機能も不可欠となってくるものと考えます。
 また、海外でのさまざまな知的財産権の取得を行いやすくするよう、助成制度を充実することも重要です。
 そこで、海外展開を図る中小企業の知的財産の保護活用に向けて、どのような支援に取り組んでいるのか伺います。

○十河商工部長 知的財産総合センターでは、中小企業の海外展開が活発化していることを踏まえ、今年度、さらに支援の充実を図ったところでございます。
 まず、模倣被害などのトラブルに迅速に対応できるよう、アジア新興国の特許事務所と連携し、企業からの要請に応じて現地で侵害状況を調査したり、報告書の発送などを行う仕組みを整備することとし、来月には北京の特許事務所と協定を締結し業務を開始する予定であります。
 また、特許より取得が簡便な実用新案権をいち早く取得し、権利侵害などに対抗できるよう、実用新案出願に係る経費の二分の一について六十万円を限度に助成するメニューを開始し、六件の支援を実施しております。
 さらに、国際的に広く通用する特許等を持つ中小企業を対象に、複数の国での権利の取得などに要する経費の二分の一について、一千万円を限度に三カ年にわたり助成する制度も立ち上げ、来月に支援を開始いたします。
 こうした取り組みを総合的に展開し、海外展開を図る中小企業の知的財産の保護、活用を的確に支援してまいります。

○かんの委員 中小企業が海外市場でその力を存分に発揮できるよう、引き続き、きめ細やかな支援を展開していくことを要望し、次の質問に移ります。
 中小企業が厳しい競争を勝ち抜き成長していくためには、優秀な人材を確保し活躍できる雇用環境を整えることが必要です。しかし、思うように若者を採用できない、採用してもすぐにやめてしまうなど、人材面で悩む企業が多く見られます。優秀な人材を確保し定着させるには、効果的な採用活動を行うとともに、雇用環境の整備を進めていく必要があります。しかし、中小企業にはどのような方策を講じればよいかといったノウハウが不足しており、中小企業が単独で取り組むことは難しい場合が多いのが実情です。
 また、こうした悩みを業界共通の課題として抱えている場合も多いと聞いています。さきの第一回定例会予算特別委員会での我が党の質問に対し、都からは、こうした企業、業界の悩みを解決するため、今年度から新たに課題解決型雇用環境整備事業を開始するとの答弁がありました。
 この事業の進捗状況について伺います。

○矢田部雇用就業部長 課題解決型雇用環境整備事業は、若者が働きやすい雇用環境を整備し、人材の確保、定着を支援することを目的としており、業界団体や企業のグループに対し、一千二百万円を上限に、最大二年間、必要な経費を助成する事業であります。今年度は五月から提案公募し、審査の結果、四つの団体等を選定いたしました。
 例えば、広告業界で多様なライフスタイルに対応するため、在宅勤務を進める取り組みや、IT業界で採用PR力の強化や、若手社員の教育体制の整備に係る取り組みなどが支援対象となっております。現在、提案のあった取り組み内容をより効果的なものとするため、団体に対し専門家を派遣してコンサルティングを行っております。
 都としてこうした取り組みを支援するとともに、事業の成果を広く発信し、波及させてまいります。

○かんの委員 今後、団体において着実にその取り組みが実施され、行く行くは業界におけるプロトタイプとなるように、引き続き支援していくことを要望しておきます。
 まさに企業においては、人材こそが最大の経営資源であり競争力の源泉であります。東京の産業を支える中小企業の人材を確保するためには、地域の産業の特色を踏まえながら、産業構造の変化に対応した職業訓練を行い、求められる人材をしっかりと育て上げていくことが大切であると考えます。
 都は、各地の職業能力開発センターにおいて職業訓練を実施しておりますが、先日、私は品川にあります城南職業能力開発センターを視察し、詳しい説明を伺ってまいりました。
 同センターでは、建築系科目など地域の産業に寄与する訓練や、これからの高齢社会に確実に対応する介護サービスの訓練が印象的でした。こうした長年培ってきた訓練指導のノウハウや、すぐれた施設を十分に生かしながら、東京都が責任を持って直営で職業能力開発を実施することは極めて重要であると実感した次第です。
 職業能力開発の成果が、中小企業の中で十分に生かされるよう、都としてどのような考え方で取り組んでいくのか見解を伺います。

○戸澤事業推進担当部長 都では、求職者の早期就業の促進と産業の基盤技術、技能を支える人材の育成のため、多様な訓練科目を設定し、都内十四カ所の職業能力開発センター等において、ものづくり系の科目を中心に五千名の規模で公共職業訓練を実施しております。
 職業能力開発の成果を中小企業に反映させていくためには、地域の産業ニーズに応える人材を育成し、中小企業への就職に結びつけていくことが重要でございます。
 このため、都内四ブロックの各センターに、業界団体や行政機関などを構成員とする職業能力開発連絡協議会を設置し、地域の求人ニーズ等を把握し、訓練科目の新設や訓練内容の見直しを進めております。
 例えば、再生可能エネルギーの普及に応えるため、太陽光発電にかかわる内容を訓練に取り入れ、さらに、今年度は環境対応型の冷暖房設備であるエコキュートを導入するなど、訓練内容の充実を図っております。
 今後とも社会経済環境の変化を踏まえつつ、地域の産業人材を的確に育成していくため、職業訓練の一層の充実を図ってまいります。

○かんの委員 職業能力開発センターは、人材育成のための重要な拠点として、これからも力を発揮してほしいと願っています。そのためには、運営の基礎となる人員体制や設備の充実に十分に意を用いていくべきことを改めて申し上げておきます。
 企業は採用した人材をしっかりと育成していかなければなりません。従業員が持てる能力を十分に発揮し、さらに能力向上していくことが中小企業発展の鍵を握っています。そのためには現場に即した従業員教育が重要となっています。しかし、中小企業では指導者の確保や経費的な問題もあり、思うように従業員教育ができないとの声も上がっています。
 これに対し、都では今年度より中小企業の職業訓練に対する助成を開始したと聞いており、特に従来の国の制度と異なり、小規模な企業も利用しやすい仕組みとするなど工夫を凝らしたと聞いておりますが、現在の取り組み状況について伺います。

○戸澤事業推進担当部長 従業員の能力向上は、企業みずからが行うべきものでありますが、中小企業では、ノウハウや資金の面で制約があり、みずから実施することが困難な場合が多くございます。
 そこで、都では職業能力開発センターにおいて、在職者向けの多様な職業訓練のほか、個別企業の要望に応えるオーダーメード訓練を行うとともに、企業現場へ指導者を派遣する現場訓練支援事業を実施するなど、中小企業の従業員教育への支援を行ってまいりました。
 さらに今年度、中小零細企業の実態を踏まえた中小企業職業訓練助成制度を新設したところでございます。これは、国の制度では対象とならない小規模、短時間の訓練や、教育訓練機関へ派遣して実施する訓練も対象とするなど、中小企業の実情を踏まえた支援制度でございます。
 実施状況でありますが、今年度下半期に実施する訓練についての申請期間は先月で終了しており、事業を開始した六月以降の訓練に対する申請数は百九社六百八十コースとなっております。
 中小零細企業からは、申請期間には間に合わなかったが、年度末に向けて従業員教育を行いたいので助成金を利用したいとの声が多く寄せられていることから、今後、追加募集を行うなどニーズに適切に対応してまいります。

○かんの委員 新たな制度がこれから中小企業で十分に活用され、企業において人材育成が一層取り組まれるようになることを期待して、次の質問に移ります。
 障害者の雇用対策について伺います。
 ことし四月から、民間企業の法定雇用率が一・八%から二%へと引き上げられました。障害者雇用を取り巻く環境が変化する中で、まず、東京の障害者の雇用者数、就職者数の状況について、最近の特徴的な点もあわせてお伺いしたいと思います。

○矢田部雇用就業部長 都内企業に雇用されている障害者数は、九年連続で過去最高を更新し、平成二十四年六月一日現在で、前年比四・四%増加の約十四万一千人となっております。
 また、平成二十四年度の都内ハローワークにおける就職件数は、前年度に比べ一二・〇%増の五千百六十一件となり、初めて五千件を超えております。障害種別で見ると、精神障害者の方の雇用者数が前年比二五・八%増、就職件数が前年度比二一・七%増と、いずれも大きく伸びているのが最近の特徴でございます。

○かんの委員 ただいまのご答弁のように、都内企業での障害者雇用は着実に進展してきており、とりわけ精神障害者の雇用者数、就職者数の伸びが顕著です。
 国でも、精神障害者の方のさらなる雇用の促進を図る観点から、ことし六月には、精神障害者を法定雇用率の算定基礎に加えることなどを内容とする障害者雇用促進法の改正が行われました。
 しかし、精神障害者は身体障害者とも知的障害者とも異なる障害の特性を持っており、受け入れて戸惑う職場も少なくありません。このため、今後は精神障害者を雇用しようとする中小企業への支援を強化すべきと考えます。
 さきの第三回定例会で、我が党の大場やすのぶ議員が、障害者雇用を促進するための中小企業への支援について質問したのに対し、都では、個々の企業ニーズに合わせて支援するモデル事業を実施しているとの答弁がありました。
 精神障害者の雇用管理についてのノウハウがないため、不安を抱える中小企業に対しては、採用前の準備段階から採用後の定着支援まで一貫して支援するという、この事業の手法を活用することが有効であると考えます。
 現在実施しているこの事業をさらに発展させ、精神障害者の雇用に取り組む中小企業に対する、きめ細やかな支援を実施していくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○矢田部雇用就業部長 都では、平成二十三年度から三年間のモデル事業として、採用前の環境整備から採用後の定着まで一貫した支援を実施しております。
 事業開始から現在までで四十四社に対して支援を実施し、二十四社、三十三人の採用に結びついております。障害種別で見ると、身体障害者が四人、知的障害者が十人、精神障害者が十九人であり、精神障害者が半数以上となっております。このことから、モデル事業で行った支援は、特に精神障害者を雇用する中小企業のニーズに合致していることが明らかとなりました。
 このモデル事業は今年度で終了予定でありますが、本事業を通じて蓄積した精神障害者の特性を踏まえた支援ノウハウを生かして、雇用管理に対する助言機能を強化するなど、精神障害者の雇用を進めるための企業現場の一貫した支援策として、新たな仕組みを検討してまいります。

○かんの委員 最後に、観光振興について伺います。
 このたび国際水協会世界会議、国際栄養学会議の東京開催が決定するなど、うれしいニュースが立て続けにありました。国際会議の開催は一度に多くの外国人の訪問が見込める上に、海外からの注目度も高いことから、開催都市には大きな経済波及効果や国際的な地位の向上が期待できるものです。
 都は、国際会議の誘致に向けて、誘致活動費や開催経費の負担を軽減する財政面での支援を行っていますが、東京の国際会議誘致、開催支援の取り組み状況と効果を伺いたいと思います。

○杉崎観光部長 都内における国際会議や展示会など、MICEの開催は多くの外国人に対して東京の魅力を集中的にPRできる機会であり、都市としての存在感を高め、東京の国際的な地位向上につながるものであります。
 さらに、宿泊や会議施設だけでなく、飲食、ショッピングなど、幅広い観光関連分野に経済波及効果をもたらすものでございます。
 国際会議の都市別開催件数を見てみますと、東京は平成十九年の世界第十一位から、平成二十四年は世界第六位へと順調に順位を上げております。都は、この動きをさらに進めるため、今年度から国際会議の誘致活動を行う国内の誘致組織に対し、広報宣伝などの誘致活動費をこれまでの単年度から複数年度にわたる助成を可能とするとともに、開催経費の助成限度額を一千万円から二千万円に引き上げるなど、支援の拡充を図りました。
 また、新たに会議参加者が東京の魅力やおもてなしの心を体感できるよう、伝統文化体験プログラムや都内観光ツアー等を提供する制度を創設いたしました。
 こうした国際会議の誘致、開催を支援する事業の活用により、お話の大規模な国際会議の誘致に成功しております。
 今後も、MICE誘致を効果的に支援する戦略的な取り組みを検討してまいります。

○かんの委員 オリンピック・パラリンピックの開催都市決定を契機に、東京はこれまで以上に世界の注目を浴びることから、この機を逃さずにMICEの誘致促進を図っていくことが必要です。
 国際会議の誘致を中心としたこれまでの取り組みも大事ですが、これからは企業系の会議や報奨旅行の誘致等、より幅広く取り組むべきと要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

○小松委員 それでは、若者就活応援プロジェクトについて、まずは質問させていただきます。
 私同様、三十代の世代というのはいわゆる団塊ジュニアというふうに呼ばれているわけですけれども、こうした我々の世代は、就職のタイミングから超就職氷河期ということで、なかなか企業に就職できないまま二十代を過ごしている、また、三十代になっても非正規雇用のままでいるというような方が多くいらっしゃるわけでございます。
 そうした中で、今、アベノミクスを中心に、景気が少し回復をしてきたわけでございますけれども、やはり若い方がそうした職業、就職に大きな不安を抱えているというところを都としてこれからどのように取り組んでいくのかといった観点から、質問をさせていただきたいというふうに思っています。
 こうした問題意識を都の方でもお持ちになって、今回の若者就活応援プロジェクトというものを立ち上げられて、民間の就職情報サイトを活用した新たな取り組みを開始したというふうに伺っているわけでございますけれども、具体的にこのプロジェクトの内容について伺いたいということとともに、現在どのくらいの中小企業の情報が提供されているのか、まずは伺いたいと思います。

○矢田部雇用就業部長 若者就活応援プロジェクトは、就職活動中の若者が多く利用する民間就職情報サイトにTOKYO JOB OREという愛称で都の特設ページを開設し、都内中小企業の企業情報や求人情報を掲載して、若者と中小企業の情報のミスマッチ解消を図るものでございます。
 情報掲載に当たりましては、申し込みがあった企業の中から、若者に関心の高い雇用環境の整備に積極的に取り組んでいる中小企業を選定しており、七月に事業を開始してから、現在、二百二十五社について企業情報等の提供を行っております。

○小松委員 この若者就活応援プロジェクトは、情報サイトでの企業情報の提供だけではなくて、若者と中小企業が直接交流される、いわゆる合同説明会のようなイベントもあわせて開催されているというふうに聞いているわけですが、このイベントの開催の狙いとこれまでの実施状況、例えば参加された企業の数や来場された参加者の数などを教えていただけますでしょうか。

○矢田部雇用就業部長 本プロジェクトでは、サイトによる情報発信だけでは伝わりにくい職場の雰囲気などを企業が直接若者に説明する機会を設けることで、若者の中小企業に対する理解を深めることを狙いとして、サイト掲載企業が参加する合同企業説明会を今年度、二回実施いたします。
 八月に第一回目の説明会を開催し、企業七十四社、若者千二十五名の参加がありました。参加した若者からは、知らなかった会社や業界のことを知ることができるよいチャンスだと感じた、また、一般の就職情報サイトに載っていない企業がたくさんあることに驚いたなどの感想が寄せられております。
 今月二十九日には、二回目の合同企業説明会の開催を予定しており、こうした取り組みを通じて若者の中小企業に対する理解を促進してまいります。

○小松委員 私は、議員になる以前、就職を支援するような仕事をさせていただいていたわけでございますけれども、そのときの経験も、やはりたくさんの情報の中に入りますと、中小企業の情報というのは埋もれてしまってなかなか見つけることができない。まさに先ほどの感想のとおりだというふうに思っています。
 そういった意味では、掲載するだけではなくて、東京都と連携したこの民間の活用をして、また、イベントでの直接の出会いの場をつくるというこうしたプロジェクトというのは、ミスマッチを解消するという上では有効な取り組みであるんではないかなというふうに考えるわけでございます。
 より一層、こうしたよい出会いの機会をふやしていくように考えるわけですけれども、今後の取り組みを教えてください。

○矢田部雇用就業部長 若者と中小企業との情報のミスマッチを解消するためには、中小企業の情報を効果的に発信し、若者への訴求力を高めていくことが重要でございます。
 このため、民間情報サイトに企業情報を掲載する際には、事前に企業への訪問取材を行い、事業内容などの基本的な情報だけでなく、社員へのインタビューや職場環境改善の取り組み、特筆すべき技術力や専門性などについて写真を交えたわかりやすい記事を掲載することで、若者への訴求効果の高い情報発信を行っております。
 今後は、こうした取り組みに加え、企業情報に若者がよりアクセスしやすい仕組みづくりを検討するなど、事業の充実を図るとともに、若者と中小企業が出会う機会をより一層ふやすよう努めてまいります。

○小松委員 今の答弁の中で、一層ふやす努力をするということでございましたけれども、私の友人の経営する企業が、中小企業ですけれども、せっかくこうしたチラシがあるんですけど、余り認知がされてないということで、そういった観点からですと、まだまだこの周知していくための工夫というのはできる余地があるのかなというふうに思いますし、やはり案内をすると、すごく関心を持って、ぜひこういうのに参加してみたいというような声も非常にございましたので、例えば信金さんであったり、地銀さんであったり、信組さんであったり、地域の地場の企業さんと接点の多いチャネルを使って効果的に告知をしていくようなことも検討されたらいかがかなということを申し添えたいと思います。
 続きまして、若者の職場定着支援について伺いたいというふうに思います。
 ミスマッチの解消というのは、単に出会いができて就職が決まったというところで終わるものではないというふうに思っています。やはり、ある一定期間しっかりと定着していくということも含めてミスマッチの解消だというふうに考えるわけでございます。
 一方で、私がちょうど就職した二〇〇〇年ごろからですが、大卒者の約三割が三年以内にやめてしまうといった状況は、今も余り変わっている状況ではないというようなことでございますけれども、こうしたものをどううまく是正していくのかということは行政の課題の一つであるのかなというふうに思うわけでございます。
 また、前向きなキャリアアップのような転職ではなくて、安易な早期離職というのは望まない雇用形態に行き着いてしまうという観点からも、行政による若者の職場定着支援というのは重要な取り組みであるというふうに考えております。
 そこで今、都の方でされていらっしゃる若者の職場定着について、どのような取り組みをされているのか伺いたいと思います。

○矢田部雇用就業部長 若者の早期離職は、本人のキャリア形成上の面からはもとより、不安定雇用を余儀なくされる若者の増加という面からも問題があると認識しております。
 若者の早期離職を防止するためには、職場における人材育成の取り組みが重要でありますが、若者を指導育成する体制面での課題を抱える中小企業も多いのが実態でございます。
 このため都は、今年度から東京しごとセンターにおいて、入社三年目までの若者を対象に職場定着支援事業を実施しております。
 具体的には、入社一年目の若者を対象とした、組織の中で働くことへの理解を深めるための社会人基礎プログラムと、入社二年目から三年目の若者を対象とした、仕事に対する応用力や解決力を醸成するためのキャリア形成プログラムを実施しております。今年度は八月末までに十一回のプログラムを開催し、募集定員三百三十人に対し一・六倍の申し込みがあったため、受講枠を拡大した結果、これまでに参加者は四百六十二人となっております。

○小松委員 今の答弁からも、このような事業が若者にとって非常に需要が高いということがわかりました。
 一方で、この若者をそれぞれの職場に定着させていくためにはもう一工夫必要でございまして、職場の実態を踏まえた支援ということもあわせて必要であるというふうに考えています。
 それについて、都の方ではどのように取り組んでいらっしゃるのか伺いたいと思います。

○矢田部雇用就業部長 本事業の実施に当たっては、プログラム参加者が働いている中小企業に対しアンケートやヒアリングを行い、その結果を事業実施に反映させております。
 具体的には、事前のアンケートにおいて、若手社員に克服してもらいたい課題や習得してほしいスキル等を把握し、また、実施後のヒアリングにおいては受講者の就業意識の変化等の項目で効果検証を行い、その結果をプログラム内容に反映することで職場実態を踏まえた事業となるよう、随時、見直しを図ることとしております。
 今後とも、プログラムに参加する若者に加え、若者が働いている中小企業の意見等を十分に踏まえながら、職場定着支援を効果的に実施してまいります。

○小松委員 参加者や、また中小企業の要望をしっかり踏まえていくことが職場定着の実効性を担保する上で非常に重要であるというふうに考えます。今後とも、この効果を最大限に高める取り組みを実施していただくとともに、さらなるブラッシュアップに努めていただくことを要望したいというふうに思います。
 最後に、職場の安全衛生について伺って終わりたいと思います。
 若者が希望を持って生き生きと働き続けるためには、受け入れる側の企業が働く環境を整備することが大事だというふうに考えています。とりわけ労働災害を起こさないことが重要だと考えています。
 職場での安全衛生の確保について、都ではどのような取り組みを行っているのか伺いたいと思います。
 いうまでもありませんけれども、企業経営者にとってはこうした準備をしていく、体制を整備していくということは非常に負荷がかかる、負担の大きなことであると思うので難しいと思うんですけれども、それを踏まえて、都としてはどのように考え、サポートしているのか伺いたいと思います。

○矢田部雇用就業部長 職場における安全衛生の確保は、労働災害を防止し、労働者が健康で安心して働き続けられるためには重要なことでございます。
 このため、国は、労働安全衛生法等に基づく労働災害防止のための基準づくりや、労働基準監督署による使用者への指導監督、労働災害が起こった際の補償制度である労働者災害補償保険制度の運用などの取り組みを実施しております。
 都では、こうした制度を使用者に普及するため、普及啓発冊子、「使用者のための労働法」を毎年四千部発行し、周知を図っております。
 また、使用者を対象としたセミナーの中で、過重労働防止など、労働安全衛生をテーマとして取り扱っておりまして、平成二十四年度は合計で三百六十名の参加がございました。
 さらに、都内六カ所の労働相談情報センターでの労働相談を通じ、職場の安全衛生についての使用者の理解促進を図っております。
 都としては、今後も引き続き、職場での安全衛生確保の取り組み促進を図ってまいります。

○小松委員 職場での安全衛生の確保というのは大変重要ですし、今、ちょうどこの労働基準監督署が舞台のドラマもやっておりますので、(「大変なことだよ」と呼ぶ者あり)はい。引き続き企業に向けた啓発にしっかり取り組んでいただきたいということを要望しますし、また、企業の取り組みの促進を図ることを期待して質問を終わらせていただきます。

○三宅委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○三宅委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で産業労働局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後七時十分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る