経済・港湾委員会速記録第十号

平成二十五年九月二十七日(金曜日)
第八委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長三宅 正彦君
副委員長栗林のり子君
副委員長田中たけし君
理事高橋 信博君
理事中村ひろし君
理事かち佳代子君
かんの弘一君
小松 大祐君
柴崎 幹男君
中山ひろゆき君
尾崎あや子君
谷村 孝彦君
木内 良明君
高島なおき君

欠席委員 なし

出席説明員
産業労働局局長塚田 祐次君
次長山本  隆君
総務部長澤   章君
産業企画担当部長加藤 英典君
商工部長十河 慎一君
金融部長寺崎 久明君
金融監理部長黒沼  靖君
金融支援担当部長片山  謙君
観光部長杉崎智恵子君
農林水産部長津国 保夫君
安全安心・地産地消推進担当部長武田 直克君
雇用就業部長矢田部裕文君
事業推進担当部長戸澤  互君
港湾局局長多羅尾光睦君
技監前田  宏君
総務部長岡崎 義隆君
企画担当部長古谷ひろみ君
港湾経営部長笹川 文夫君
港湾経営改革担当部長藏居  淳君
臨海開発部長石原 清志君
開発調整担当部長小野 恭一君
営業担当部長山口 祐一君
港湾整備部長石山 明久君
計画調整担当部長宮地  豊君
離島港湾部長大和田 元君
島しょ・小笠原空港整備担当部長小幡 和輝君
中央卸売市場市場長塚本 直之君
管理部長坂巻政一郎君
労働委員会事務局局長岳野 尚代君

本日の会議に付した事件
意見書について
港湾局関係
契約議案の調査
・第百七十七号議案 平成二十五年度十号地その二多目的内貿岸壁(-(マイナス)八・五m)桟橋整備工事請負契約
報告事項(質疑)
・「国際コンテナ戦略港湾」にかかる取組について
産業労働局関係
報告事項(質疑)
・私債権の放棄について
・平成二十四年度地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター業務実績評価について
・新銀行東京の「平成二十六年三月期第一・四半期決算」について
請願陳情の継続審査について
特定事件の継続調査について

○三宅委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書三件を提出したい旨の申し出がありました。
 本件につきましては、本日の理事会において協議の結果、いずれも調整がつかなかった旨、議長に報告すべきであるとの結論になりました。
 お諮りいたします。
 本件について、理事会の協議結果のとおりとすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○三宅委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○三宅委員長 契約議案について申し上げます。
 契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について、議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。
平成二十五年九月二十六日
東京都議会議長 吉野 利明
経済・港湾委員長 三宅 正彦殿
 契約議案の調査について(依頼)
左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
 記
1 調査議案
第百七十七号議案 平成二十五年度十号地その二多目的内貿岸壁(-(マイナス)八・五m)桟橋整備工事請負契約
2 提出期限 平成二十五年十月八日(火)

○三宅委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、港湾局関係の契約議案の調査、港湾局及び産業労働局関係の報告事項に対する質疑並びに請願陳情及び特定事件の閉会中の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。
 これより港湾局関係に入ります。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第百七十七号議案を議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○三宅委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○三宅委員長 異議なしと認め、契約議案に対する質疑は終了いたしました。
 お諮りいたします。
 本案は、異議のない旨、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○三宅委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。

○三宅委員長 次に、報告事項、国際コンテナ戦略港湾にかかる取組についてに対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○田中委員 国際コンテナ戦略港湾への取り組みについてお伺いをいたします。
 四方を海に囲まれ、天然資源に恵まれない我が国において、海上輸送は産業や国民生活にとって必要不可欠であり、これを支えるインフラである港湾の重要性は論をまたないものであります。とりわけ、東京港は十五年連続で日本一のコンテナ取扱量を誇り、東京のみならず首都圏全体のメーンポートとして極めて重要な役割を担っております。
 しかし近年、上海や釜山などのアジア諸港が飛躍的に発展する中で、我が国港湾の相対的な地位が低下しております。このままの状況を放置すれば、日本一の東京港ですら欧米とアジアを結ぶ国際基幹航路から外れ、物流コストの増大等により、都民生活や産業活動にも悪影響が出かねない状況であります。
 こうした状況に対応するために、都はこれまで、川崎市及び横浜市と連携して、京浜港の国際競争力の強化に向けた取り組みを行ってまいりました。我々も、川崎市議会と横浜市議会の有志の方々とともに京浜港広域連携推進議員連盟を結成し、港湾管理者の取り組みを支援してまいりました。
 まずは、この京浜三港連携のこれまでの取り組み状況についてお伺いいたします。

○藏居港湾経営改革担当部長 都は京浜港の国際競争力を向上するため、自治体みずからの判断で、平成二十年三月から京浜三港連携の強化に着手し、議員連盟の皆さんのご支援をいただきながら、これまで、港湾コストの低減や利用者サービスの向上に向け、さまざまな取り組みを展開してまいりました。
 具体的には、従前、東京港、川崎港、横浜港に連続して寄港をする場合には、船会社は三港分の入港料を負担していただきましたが、これを実質一港分の負担に変える、いわゆる入港料の一元化を実現してきました。
 また、アジアと欧米とを結ぶ国際基幹航路を誘致するため、港湾施設使用料を減免するとともに、はしけ、いわゆる台船でございますが、を活用した海上輸送の促進により、三港間の貨物輸送の効率化に努めてまいりました。
 さらに、荷主や船会社に対するセミナーの開催など、共同でポートセールスを実施してまいりました。

○田中委員 京浜港の国際競争力の強化に向けまして、今もご答弁いただきましたように、自治体みずからの判断で取り組みを開始したということと、これまで積極的にコスト低減等に取り組んでいたということを改めて確認をさせていただきました。
 さて、港湾の国際競争力の強化に向けた施策としては、国土交通省が国際戦略港湾施策を展開しております。東京港は、川崎港、横浜港とともに、国の公募に応募し、平成二十二年八月に京浜港として国際コンテナ戦略港湾に選定されております。
 国に先駆けて、自治体みずからの判断で京浜三港連携を進めてまいりました京浜港の港湾管理者が、なぜ、国が主導する国際コンテナ戦略港湾に応募したのか、その理由をお伺いいたします。

○藏居港湾経営改革担当部長 国際戦略港湾は、港湾の国際競争力を強化するため、選択と集中の理念のもと、重点投資の対象となる港湾を国が公募したものでございます。
 京浜三港は、国際競争力の強化という目的と、選択と集中の理念に賛同し、京浜三港の取り組みへの有効な支援を期待して、これに応募しました。

○田中委員 今お話しいただきました、有効な支援を期待して国際戦略港湾に応募したということでありました。
 選定後の国の支援状況については、昨年の政権交代後において、私たち都議会が国土交通大臣へ直接働きかけた結果、ようやく今年度になって中央防波堤外側Y3ターミナルが新規に事業化されました。しかし、中央防波堤外側地区と十号地その二ふ頭とを結ぶ臨港道路南北線などの事業化が見送られており、必ずしも十分な内容とはいえない状況にあります。
 一方で、国は、国際戦略港湾の選定後である平成二十三年三月に港湾法を改正し、港湾の国際競争力強化という目的を実現するための広域港湾連携のスキームとして、港湾運営会社制度を創設いたしました。この制度について、我が党は、本年の予算特別委員会におきまして、港湾運営会社制度の導入により、最終的には、京浜港の三つのふ頭会社が一つになり、その結果、東京港埠頭株式会社への都の指導力が弱まる一方で、国の関与が強まることなどの懸念について指摘をさせていただきました。
 今般、東京港埠頭株式会社が特例港湾運営会社への申請をしたとのことでありますが、申請に当たっては、このような懸念を解消できる見通しが立ったのかお伺いをいたします。

○藏居港湾経営改革担当部長 港湾法の規定では、港湾運営会社は京浜港に一つであり、これを満たす手段としては、三港のふ頭会社を単純合併する以外の選択肢はないというのがこれまでの国の見解でございました。三港のふ頭会社を単純合併すると、都などの各自治体とのふ頭会社の関係が薄まることなどから、都が東京港の経営にも責任を持ってかかわれなくなるおそれがありました。
 この間、港湾運営会社制度の運用について、国と積極的に交渉を行い、その結果、単純合併に加え、既存のふ頭会社を存続させ、新たな運営会社を活用する上下分離方式も認められることとなりました。それで今回、申請に至りました。
 しかし、上下分離方式についても、既存のふ頭会社と新たな運営会社の役割分担の明確化など課題があるため、今後とも引き続き、国と粘り強く交渉してまいります。

○田中委員 港湾運営会社の最終形として、三港のふ頭会社の単純合併以外の方式が認められたということは、選択肢がふえたという点で一歩前進したものと評価いたします。
 しかし、この方式についても、運用次第では、東京港の経営への国の関与が強化され、都の関与が薄まる可能性があります。ぜひとも、今後とも引き続き、国との粘り強い交渉をお願いしたいと存じます。
 そして関連する事実として、先日、港湾運営会社への国出資の動きについて報道がなされておりましたが、事実関係はどのようになっているのかお伺いをいたします。

○藏居港湾経営改革担当部長 国は、国際コンテナ戦略港湾施策のこれまでの評価及びこの施策の推進を議論するため、本年七月に国際コンテナ戦略港湾政策推進委員会を設置しました。この委員会は、八月二十七日には中間のまとめを公表し、その中で、国家的利益の確保などの観点から、港湾運営会社に対する国の出資に向けて取り組むことなどを明らかにしました。
 また、国が同日公表した二十六年度予算概算要求においても、新規制度として同様の内容を公表し、港湾法改正を進めていくこととしております。
 国の出資についてはまだ詳細が明らかでなく、今後、具体的にどのような意義、効果があるのかしっかり見極めた上で対応を図ってまいります。

○田中委員 国の出資については、詳細が明らかでないとのことでありますが、国の委員会の中間報告書や概算要求の内容を勘案いたしますと、国は港湾運営会社へ出資することで、戦後一貫して地方自治体が担ってきた港湾の管理運営業務に乗り出そうとしていると感じてなりません。果たして、こうしたことがそもそも戦略港湾の大命題である港湾の国際競争力の強化につながっていくのか、疑問であります。(発言するものあり)はい。大事なことは、誰がやるのかということではなく、港湾の国際競争力を強化するために何をやるのかということであります。みずからが置かれている状況をしっかりと把握し、現実的で地に足のついた対策を着実に積み重ねていくことこそが必要であると考えます。
 私は、東京都港湾局はこのような観点からこれまでしっかりと取り組んできたと思いますが、これまでの取り組み状況について何点か確認をしたいと存じます。
 まず、東京港が日本を代表する港湾に成長することができた要因を、どのように認識されているのかお伺いをいたします。

○笹川港湾経営部長 東京港の成長の要因といたしましては、まず、世界的な大都市である東京に近接するなど、立地条件がすぐれていることに加えまして、国際海上輸送の手段としてコンテナを活用した方式が主流となる、いわゆるコンテナリゼーションの流れにいち早く対応し、昭和四十二年に日本で最初にコンテナふ頭を供用開始し、その後も時宜を得て適切にコンテナふ頭の機能強化を図ってきたことが挙げられます。
 また、港湾物流を支える機能として、ふ頭の整備だけでなく、ふ頭のすぐ背後に大規模な物流倉庫群を誘致することに成功したことや、東京港の振興に向け、港湾物流に関係する多様な官民の関係者と連携いたしまして、東京港一丸となってサービス向上やコスト低減に向けた取り組みを進めることができたことなども、東京港の発展に寄与しているものと認識しております。

○田中委員 今、ご答弁いただきましたように、コンテナリゼーションへの迅速な対応、そしてふ頭のすぐ背後に物流倉庫群の誘致をしたこと、そして東京港の関係者の官民一丸となった取り組みが成功の秘訣であったということを伺いました。
 港湾機能を強化する手法としては、どうしてもふ頭の整備に着目しがちでありますけれども、なぜふ頭の周辺に大規模倉庫群を誘致したのか、また、誘致を行うためにどのようなことを行ってきたのか、お伺いいたします。

○笹川港湾経営部長 コンテナ物流には、船からコンテナ貨物の揚げ積みを行うコンテナふ頭に加えまして、コンテナに入っている貨物を小分けする場所や、小分けした貨物を一時的に保管する場所として、物流倉庫が必要でございます。
 物流倉庫を整備するためには大規模な敷地が必要であり、地価の高い東京港周辺では採算に合わないため、倉庫用地の低廉な価格での提供が東京港へ大規模倉庫群の誘致を図るための課題となっておりました。
 このため都は、昭和五十八年に、東京港港湾施設用地の長期貸付に関する規則を制定いたしまして、周辺の地価より低廉な価格で都有地を倉庫事業者等に貸し付ける制度を創設するとともに、積極的な営業活動を行うことにより、大規模倉庫群の誘致を図りました。この結果、現在百十ヘクタールの用地に延べ九十社の物流関係企業が立地し、東京港の港湾物流を支えております。

○田中委員 釜山港がコンテナふ頭背後に低廉な土地を提供することにより、物流倉庫群を誘致し、それにより貨物集荷につなげる取り組みを実施しております。こうした取り組みについて、最近になって国土交通省も着目をし始めましたけれども、約三十年以上も前から、都はこうした取り組みを制度化し、確実に成果を上げてきているということでございました。改めて確認をさせていただきました。
 先ほど、東京港の関係者の官民一丸となった取り組みも東京港が成功した要因となっているというご答弁がございました。港湾物流は、港湾管理者だけで完結するものではなく、船会社や荷主などの民間事業者のほか、税関などの行政機関などさまざまな関係者が担っていらっしゃいます。
 こうした関係者と密接に連携していくことは、港湾物流を円滑に行っていくためには不可欠であると考えますが、都はこれまでどのような取り組みを行ってきたのか、お伺いをいたします。

○藏居港湾経営改革担当部長 都は、東京港の国際競争力の強化と使いやすい港づくりを目指して、平成九年に船会社や港湾運送事業者、トラック運送事業者、倉庫事業者、荷主などの民間事業者、さらには税関や海上保安部、検疫所などの行政機関の代表者で構成される東京港振興促進協議会を設立しました。
 同協議会において、港湾コストの低減や港湾物流の効率化、港湾インフラの強化を実現するための具体的な方策を取りまとめました実行計画でありますアクションプランを三次にわたり策定し、これに基づき、官民一体となって東京港の振興に取り組んでまいりました。

○田中委員 これまでの質疑を通じまして、現場に精通する東京都が、ふ頭機能の強化に加え、背後用地の有効活用を含めた総合的な港湾振興策をまさに官民一体で展開してきたことが、十五年連続でコンテナ取扱貨物量が日本一であるなど、国内では他の追随を許さない地位を獲得することにつながっていると改めて理解をさせていただきました。
 しかし、東京港は、国内ナンバーワンの地位に甘んずるのではなく、釜山港や上海港などのアジア主要港との国際競争を視野に入れた対応が求められております。こうした状況下にあって、国際戦略港湾として、川崎港、横浜港と連携して国際競争力を強化すること自体は理解できます。国際戦略港湾施策においては、国内産業や国民生活にも影響を及ぼす欧米とアジアを結ぶ国際基幹航路を堅持していくことが特に重要な課題であると認識をしております。
 船会社が、輸送の効率化を図るため基幹航路の寄港地を絞り込む中で、東京港に国際基幹航路の寄港を堅持するためには、都はどのように取り組むのか、ご所見をお伺いいたします。

○藏居港湾経営改革担当部長 船会社は、ご指摘のとおり、輸送の効率化を図るため、貨物量の多い拠点港に国際基幹航路を寄港させ、貨物量の少ない港には、拠点港において小型船に積みかえて輸送するハブ・アンド・スポーク方式による輸送を行ってまいりました。
 こうした状況の中で、基幹航路の寄港を堅持するためには、何よりも貨物量を増大させることが重要でございます。このため、現在、釜山港経由で輸出入されている貨物を京浜港経由に切りかえることにより、京浜港の貨物量を増加させる取り組みを行ってまいります。具体的には、釜山港経由をする場合と、京浜港を経由する場合とのコスト差を埋めるために、港湾施設料の減免や補助金の交付を行っております。
 また、東京港においては、コンテナターミナル周辺の交通混雑という重要な課題がございます。これに対して、ITを活用した交通混雑情報の提供やコンテナターミナルの営業時間の拡大など、対策を講じ、東京港の利便性を向上させることでさらなる貨物集荷につなげてまいります。

○田中委員 貨物集荷は重要な取り組みでありますが、現在でも東京港のコンテナ取扱容量は限界に近づいている中で、今後の取扱貨物量の増加に備え、東京港の港湾インフラをしっかりと強化しておくべきであります。
 先ほど触れた、国の推進委員会においては、東京港に貨物が集中しているのであれば、京浜三港の中でコンテナ取扱容量に余裕のある他港に、東京港を利用したい荷主の貨物を誘導すれば問題の解決につながるのではないかという意見も出ているようであります。
 これは、さらっと聞くと、三港一体で運営するのだから、そうだなという感じも受けますが、例えば千葉県や栃木県の荷主などの立場に立てば、近くの東京港を使いたくても、遠くの横浜港しか利用できないということであり、輸送時間や輸送コストが増大することから、到底容認できる話ではありません。
 そもそも、どこの港を利用するのかを決定しているのは荷主の方々であり、京浜三港の中で、東京港の取扱貨物量が突出しているのは、東京港を利用したいという荷主の方々の意向のあらわれであります。こうした荷主の方々の意向に確実に応えていくことが、港湾の国際競争力の強化に直結すると考えます。
 そこで、東京港の港湾機能の強化についてどのように取り組むのか、ご所見をお伺いいたします。

○笹川港湾経営部長 近年、東京港ではコンテナ貨物取扱量が増加傾向にある中で、コンテナターミナルの処理容量が限界に達し、コンテナターミナルに貨物を搬出入するために並んでいるトラックが原因で交通混雑が発生しております。
 こうした状況に対応するため、現在、中央防波堤外側地区にコンテナターミナルを三バース整備しております。これにより、東京港のコンテナターミナルの処理能力は約二〇%増加いたしますが、加えて、同コンテナターミナルを種地として、狭隘さが目立ち、施設の老朽化が進む既存の主力ふ頭である大井ふ頭や青海ふ頭の再編、機能強化を図ってまいります。さらに、国道三五七号の東京港トンネル部分の早期完成や臨港道路南北線の早期事業化など、東京港周辺の道路ネットワークの強化に取り組んでまいります。

○田中委員 本定例会の我が党の代表質問に対しまして、猪瀬知事も、日本リーディングポートである東京港の機能をさらに強化していくことこそが日本経済の成長には不可欠であるとのご答弁をいただきました。まさにそのとおりだと思っております。今後も東京港の機能強化にしっかりと取り組んでいただきたいと存じます。
 最後に、京浜港の国際競争力の強化に向けてどのように取り組んでいかれるのか、局長のご決意をお伺いいたします。

○多羅尾港湾局長 ただいまの副委員長の冒頭のお話のように、シンガポール、上海、釜山など、アジア諸港との国際競争は大変厳しいものがございます。
 京浜三港とアジア諸港を比べますと、その港の置かれた状況というのも大きく違っております。例えば港の規模でございますが、上海港と東京港を比較いたしますと、上海港は面積にして東京港の二倍、コンテナターミナルは三倍の数を持っております。また、シンガポールは、荷物の積みかえ自体を国の主力産業として位置づけて港の整備を進めてきております。全く同じ土俵で、単純に貨物量などを競っていくことは適当でないと考えております。
 では、どうやって京浜港が国際競争を戦っていくのかということでございますけれども、やはり大切なことは、京浜港の強みと弱みをよくよく分析しまして、京浜港ならではの強みを徹底的に生かし、また、その京浜港の弱みというものは、道路整備などの大都市行政と一体化させてカバーしていくと、こういうことが大切かと思っております。
 では、例えば具体的な強みは何かというふうに考えますと、やはり京浜港は世界でもまれに見る巨大な消費人口を背後に擁しておりますので、大量の輸入貨物を見込めるということは大きな強みでございます。また、港で働く方々の技術力やモラールの高さというのも、これは世界に誇っていいものだというふうに思っております。
 逆に弱みというのは、港湾区域が過密な市街地と密接しておりまして、常に港湾活動が他の産業活動や住民生活と調和を図っていかなければいけないというようなこともございます。また、道路がなくては港湾が機能いたしませんので、都市インフラの整備と港湾整備を常に連携させていくということもございます。
 こういったようなことで、京浜港の実情を現場の視点から熟知した上で、京浜港の貨物量の増加や基幹航路の充実に向けたきめ細かな施策の展開が必要と考えております。
 現在、国際戦略港湾施策をめぐり、国が港湾運営会社への出資をするという新たな動きが出ておりますが、大都市港湾経営における国と地元に密着した地方自治体の役割を正しく捉えていくことが必要だと考えております。東京都は、今後も地方自治体が責任を持って港湾経営にかかわることができるよう、川崎、横浜港と連携しながら、京浜港の国際競争力の強化に全力で取り組んでまいります。

○田中委員 局長より、力強いご決意をお聞かせいただきました。ありがとうございました。
 これまでの質疑において、都が国際物流の動向を的確に捉えた施策を、東京港のさまざまな関係者と連携して着実に実施し、東京港を日本一の港湾に成長させてきたと、改めて質疑を通じて理解をさせていただきました。
 また、釜山港や上海港など、急激に成長するアジア主要港に対峙していくために、川崎港、横浜港と連携して国際競争力強化に向けた取り組みを進める京浜三港連携に着手し、さらに、その取り組みに対する有効な支援を期待して、国の主導する国際コンテナ戦略港湾政策に乗ったこともよくわかりました。この流れ自体は全く自然であると考えますが、これまでの東京港の実績を鑑みるのであれば、三港連携、国際戦略港湾を進めていく中においても、京浜港を構成する各港がそれぞれの特色や強みを生かせるような取り組みを進めるべきであると考えます。
 昨今、我が国港湾の国際競争力が低下したのは地方自治体が港湾の管理運営を行っていることが原因であり、国が主導して港湾の競争力を高めていくべきという、誤っているとしか思えない見解も耳にいたします。全国津々浦々に港湾を整備し、我が国において輸出入する貨物を分散させた国の港湾政策こそが、我が国港湾の競争力を低下させた本当の原因であると考えます。
 国家並みに財政力があり、人材も豊富であり、さらには港湾の現場に熟知し、これまでも輝かしい実績を残してきた東京都が、引き続き責任を持って東京港の運営を行い、さらには、川崎市や横浜市と連携して京浜港の国際競争力の強化に取り組んでいくことを改めて強く要望いたしまして、私からの質問を終わります。ありがとうございました。

○木内委員 今期初めての実質審議ということで、私自身、都民の皆さんの信頼と負託に応えるための議会活動をしっかり貫いていかなければならない、そういう決意で臨んでおります。
 先ほど来、本委員会の議員の顔ぶれを拝見しておりますと、尊敬する、また豊かな見識、経験をお持ちの高島委員、それから、都議会きっての論客である谷村委員、新進気鋭の三宅委員長などなど、大変重厚な布陣になっておりまして、経済・港湾委員会の持つ、都政におけるこの枢軸的な位置づけというのはよくわかるわけであります。
 しこうして、私は今回五期目の当選をさせていただいたわけでございますが、これまで四期の間、十六年、東京港をこよなく愛し、その発展を心から祈る一人として、さまざまな提案を行い、また、さまざまな指摘もし、お互いに執行機関と議会の車の両輪をしっかりと常に想定をしながら、委員会の発言をさせていただいてまいりました。
 港湾の歴史は東京の発展の歴史であると、こう思うのでありますけれども、その長い港湾の歴史の中で、今、ブリンクマンシップという言葉があるけれども、まさに東京の港湾行政は崖っ縁に立たされている、こう申し上げて過言ではないと思います。
 丸い卵も切りようで四角という言葉があるけれども、国際競争力の強化という文言のとおり進めばいいけれども、実は今、田中副委員長との質疑にもあったように、そういう主張が国にある一方で、港湾の経営の主導権を国に持っていこうとするかのようなさまざまな動きが、今、顕在化をしてきているような気がしてならないのであります。したがってきょうは、多少時間がかかりますけれども、具体的に、時系列的に、詰めるものは詰めて、今後への執行機関の対応方針というものを明確にしていただきたい、こんなふうにも思うわけであります。
 今、局長の最後の決意の中に、国と自治体との役割を明確に認識をしていくという趣旨の発言がありましたけれども、まさに今そのことを、私ども議会人も含めて、東京都は国に強く訴えていくべきであると、このように思います。
 なお、私のこの質疑の中で、幾つかは田中副委員長の質疑と重複するところがあるかもしれませんけれども、私自身が主張して、私自身が審議をただし、私自身が主張と方向を示すためのものでありまして、あえて、重複があっても、それは理解を願いたいというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。
 先日の委員会において、東京港埠頭株式会社が、国際コンテナ戦略港湾政策の一環として位置づけられている特例港湾運営会社の指定申請を行ったと、これは極めて重要な、都政史上、特筆すべき事態の報告がありました。
 一方で、私は、今後の東京港の港湾運営については、折に触れて、港湾関係者の方々、各種団体の方々から、将来に対する危惧、また、懸念をよくこれまで仄聞してきたのであります。今回の質疑では、こうした港湾関係者の方々からの真摯な声も私自身がしっかりと受けとめて、今後の港湾運営ということについてお尋ねをしたい。
 平成二十二年に募集を開始した国際コンテナ戦略港湾政策について、私は、当初、選択と集中による港湾の国際競争力の向上を目指し、国がそのための支援を行い、重点投資を行うものだというふうに認識していたんですよ。額面どおり正直に受けとめて。しかし、思うように集中投資は進んでいない。こうした事業のおくれに対するいら立ちの声も関係団体から強く出ている面もあるのであります。
 私の認識というのを具体的に申し上げれば、初めの政策では、大型コンテナ船に対応した港の拡張や、あるいはガントリークレーンの設置など、これを推進するとともに、海運や産業の国際競争力を強化していくことを目的にしたものであるというふうに受けとめ、また、考えていたんです。
 当時の段階における、私のこの計画自体に対する客観的な評価は間違っていなかったと思うんですが、どうでしょうか。認識を明らかにしてください。

○藏居港湾経営改革担当部長 委員ご指摘のとおり、国際コンテナ戦略港湾の公募を行った目的としましては、アジア主要港との国際港湾間競争がますます激化する中で、港湾の整備、運営のあり方について見直しを行い、我が国の国際戦略港湾となる港を一から二に絞り込み、これに集中投資を促し、港湾の国際競争力を強化するものでございます。

○木内委員 全くそのとおりで、認識は一致しているんです。
 すなわち、同時にこの政策は、港湾の国際競争力の強化に向けて、港の運営に、民間会社の柔軟かつ効率的な経営手法を導入していくことではなかったんでしょうか。これは、まさに東京港の活性化と発展に向けて重要な要素であった、評価もした、歓迎した、こういうふうに私は当時、率直に感懐を持ったわけでありますけれども、この点、確認したいと思います。

○藏居港湾経営改革担当部長 この政策は、港湾の国際競争力強化に向け、民間会社の柔軟かつ効率的な経営手法を活用しつつ、国が指定する株式会社が、同一港湾内の港湾管理者が行っていた公共コンテナふ頭と、ふ頭会社が行っていた専用コンテナふ頭とを一体的に運営することとしたものでございます。

○木内委員 私が申し上げたとおりの認識で、これは一致するわけであります。執行機関も、議会人としての私の立場も。
 その後、平成二十三年の港湾法改正が行われたんだけれども、法改正の目的は、あくまでも、この日本港湾の国際競争力の強化であり、繰り返していいますけれども、一般的にもですよ。港湾運営会社制度は、目標の達成のための港湾経営の大きな手段として導入されたわけであります。この認識は間違っていますか。しつこいようだけど。

○藏居港湾経営改革担当部長 法改正の目的は、日本港湾の国際競争力の強化であり、港湾運営会社制度によるコンテナふ頭などの一体的な運営はその手段であると認識しております。

○木内委員 加えて、当初計画における京浜港のコンテナふ頭の運営は、現在の三港のふ頭会社を経営統合する方針とされていましたけれども、実はこのこと自体への将来的懸念というものを私は持っていたわけであります。
 それは、さっき田中副委員長もいわれたけれども、いわゆる集荷の利便性、あるいは消費地を後背地に巨大なものを抱えている東京の特性、あるいは横浜には横浜の歴史があり、川崎には後発であるけれども、その大きな特徴的要因も全部あるわけでありまして、これを一体的に経営していく、そこに国が、後に触れますけれども、実は主導的な立場に立って、そしてイニシアチブをとっていくということ、これは将来起こり得ることだという懸念を、将来的な警鐘を私は打ち鳴らしてきたわけです。
 これはいろんな場を通じて申し上げてきた、また、あるいは、友党と申し上げていいと思いますが、自民党の本会議での質疑でも、あるいは公明党の予算特別委員会の質疑等でもこのことは訴えられてきました。私は党内でこのことを常に警鐘を乱打してきた。
 当時から持っていた懸念が、今、現実のものになろうとしていると思うんですが、執行機関としては答弁しにくいことかもしれないけれども、私のこの思いをどう受けとめるかでもいい、答弁願います。

○藏居港湾経営改革担当部長 当初計画では、京浜港のコンテナふ頭の運営は、港湾関係者の理解を得ながら、各港のふ頭会社の経営統合などによる一体的な運営により取り組んでいくこととしておりました。
 今後、経営統合の検討に当たりましては、委員ご指摘の港湾関係者の懸念を解消できるよう取り組んでまいりたいと思っています。

○木内委員 港湾関係者の懸念を解消できるよう取り組んでいくということだから、では具体的にその手法、スケジュール等々についてもお尋ねをしたいところですけれども、きょうはあえてこれには触れないでいきたいと思うんです。ぜひ、私が申し上げていることを拳々服膺して、そうして具体的な行動に移していただきたい、それをここでも切望いたします。
 京浜三港の議連の話も出ました。私ども議会人はその場で、その舞台でしっかりと、そういう努力もしてまいりたいと思うけれども、対国、あるいは、対他の自治体に対しても、今、藏居部長がいわれたことに沿って、真剣勝負で取り組んでいただきたいと切望したいと思うんです。
 何度もいいますけれども、改正港湾法で示された三港の港湾運営の連携の具体像は、実は思ったよりすさまじいものだということが、今、明らかになってきている。港湾運営会社への国の関与の強まり方と申し上げていいと思うんですけれども、これは私がまさに当初から危惧をしていたとおりでありまして、具体的な点、どこがどうなるのかということですが、さっき出資の問題が出ました。
 これはあえて触れないで進みたいと思うんですけれども、改正港湾法で導入された、港湾運営会社に対する国の関与、接点はどういう形になっていくのかといいますと、運営会社の事業運営の基本を示した運営計画、これをまず国が審査をすると。その計画変更は大臣認可が必要とされる。さらに、会社の収入源となる港湾施設の利用料について、国が変更命令権を持つなどなどなど、まさに今まで港湾関係団体と緊密なきずなのもとにこの発展に臨んできた東京都の存在性、機能というものはどこにもなくなっていくんじゃありませんかというふうに思わなければならないほど、強い力を持つ内容になってきている。
 後に触れるけれども、東京港の歴史はさまざまな困難と時の流れ、歴史のそれぞれの曲がり角にあって、関係団体と東京都が懸命に知恵を出し合い、力を出し合って構築してきた歴史そのものなんです。その自治体としての東京都の立場というものが、そんたくされない国の権限の強化と、新しいこのルールというものが明らかになっている。
 今、私が申し上げた、運営計画を国が審査する、あるいは変更、大臣認可の点、あるいは港湾施設の利用料への国の変更命令権などなど、私は、これが大変に、指摘する要素になっていると思うけれども、どうですか。

○藏居港湾経営改革担当部長 委員ご指摘のとおり、港湾運営会社の指定に際しましては、国は、申請者である東京港埠頭株式会社が提出したふ頭運営の体制などを記載した運営計画を審査することとなっております。
 また、指定後の運営計画変更は大臣認可が必要でございまして、さらには、公共ふ頭の港湾施設の使用料につきましては、国が、経済的な事情等に照らし、不適切だと認めるときの変更権を持つなど、国の関与が港湾法に新たに記載されました。

○木内委員 一つ一つ、これが明らかになってくると、皆さん、寒気がすると思うんだよね。これでは、民間企業出身の社長を登用して民間の視点による経営を行おうとしても、国の関与というものが支障となって、柔軟かつ迅速なふ頭運営などできないんじゃないかと思います。当初の港湾の国際競争力を付加する国際コンテナ戦略港湾政策としてイメージされていたものとは本質的に違うんだと。
 あえて誤解を恐れずにいえば、私は、何ですかこれはということ。最初に国策として提示されたものが、今、こういう事態と形態を持って、実は、東京都の介入を排斥しようとしているというふうにも申し上げられるんじゃないかと。
 東京都はこういう危機感も持っていると思うし、私がいったこと、時系列的に、国の施策の展開、方針の拡大、あるいはその流れ、率直にどうですか。

○藏居港湾経営改革担当部長 当初、この政策では、我が国の国際戦略港湾として全国から一から二を選択し、これに集中投資を促し、港湾の国際競争力を強化するとともに、その手段として、同一港湾のコンテナふ頭などの一体的な運営を株式会社形態により、その柔軟性と迅速性を持った民間の視点の経営を実現することを目指したものと理解しております。

○木内委員 では、重複するようですけれども、さっき申し上げたように、今の答弁を、さらに前提を踏まえて、こうした国の関与について、東京都の認識を明らかにしてください。

○藏居港湾経営改革担当部長 株式会社のふ頭運営の自由度や事業の執行の迅速性を確保するため、必要以上の国の関与がなされないよう、これまで都は国と調整を行ってまいりました。今後とも、国と調整を鋭意進めてまいりたいと思っております。

○木内委員 確かにきょうは執行機関側の答弁がいつに似ず短いのは、あんまり余分なことをいえない。これまでの国との協議の経過もあり、これからまたいろんな接点の中で、実はネゴシエートしていかなきゃいけないわけだから、それはわかるんだけれども、あんまり率直過ぎて気持ちがいいんで、そのままで結構です。
 国の関与が強まることで、現場の実情を無視した港湾運営が行われることになるならば、何度もいうように、それは大問題だ。こうした港湾関係者の懸念を払拭していくためには、法制面から良好な状況を促していくことも重要であります。
 そこで、港湾法の審議のとき、国会では、例えば委員会等の呼称が間違っていれば申しわけないけれども、国会の委員会で理事をされていたかどうか、公明党の高木陽介議員の提案というか質問に答えて決議をされたと、自民党さんも非常に理解をされたというふうに仄聞しているんですが、この中に、関係者の意見を十分聞いた上、必要に応じ適切に対応すること。あえて、あえてこうした文言を挿入して附帯決議がつけられた。ここは大事なんです、この附帯決議というのは。
 この附帯決議の持つ意味は重要であって、法の執行者である国に対してなされているんじゃないですか、この附帯決議は。重要なんでお聞きするんですが、この附帯決議は誰が誰に対して行うべき義務と必要性をいっているんですか。答えてください。

○藏居港湾経営改革担当部長 この附帯決議では、国が、この決議の実現に向けて港湾運営会社の指導に努めることや、問題が生じた場合には、国が関係者の意見を十分に聞いた上で、必要に応じ適切に対応することなどが規定されております。

○木内委員 まさにそれが附帯決議の意味なんです。したがって、法の執行者である国は附帯決議の実現に向けて、大いに汗を流し努力を重ねなければならないと、こう思うんです。
 さて、国のこれまでの対応はどうでしたか。

○藏居港湾経営改革担当部長 国は、平成二十三年十二月に、港湾運営会社を指定する際の確認事項として、いわゆるガイドラインを定めました。この中で、国が港湾運営会社に対し、指定申請に際しては、この附帯決議の遵守を指導することとしております。

○木内委員 これは法文的に、文字どおり解釈すればそれでいいんでしょうけれども、私のいうのは、要するに、そういう逐条解釈的な話ではなくて、この附帯決議を受けて、国が何をどう苦労して、この実現に向けて努力をしてきたかということを知りたいんだけれども、残念ながら私の手元にも、また情報にも、何度も何度も、懸命に各団体からこの新しい港湾経営のあり方について意見を聴取したとか、さまざまな交換を行ったとかいうことを、実は知る立場にないものですから聞いたんです。
 余り行われていない、余りどころかほとんど行われていない。だから逆にお尋ねしたいんだって決起して行動を起こそうとする団体の役員もいるかのように聞いていますけれども、私は、国がその責務を果たしていないと、あえてここで申し上げておきたい。
 きょうはマスコミの方も来ている。新聞で活字になるなら、それも結構。私はあえてそれを申し上げたいのであります。
 一方、三年前に開始されたこの政策のうち、コンテナ物流の振興や、岸壁や、あるいはガントリークレーンなどのインフラ施設の強化には賛成しつつ、三港のふ頭会社の経営統合については、東京港の港湾関係者からは、具体的な将来の姿が見えてこないなどと危惧の声が上がっているのも事実であります。
 私は、この附帯決議が誠実に実行、履行されたとは思っていない。もっと客観的な分析が必要かもしれないけれども、少なくとも、業界からそうした危惧や懸念の声が厳として存在しているという事実に照らすならば、そう判断せざるを得ないと思うんですが、申し上げた、この東京都として、港湾関係者からこうした危惧の声が上がっているというこの事実をどう分析していますか。

○藏居港湾経営改革担当部長 港湾の現場で国際競争力の強化に向け真剣に取り組んでおります港湾関係者から、経営統合のメリットが見えないとの危惧や懸念の声は大変重たいものであると認識しております。経営統合の検討に当たりましては、十分に耳を傾けていく必要があると考えております。

○木内委員 非常に微妙にならざるを得ない答弁ですけれども、しっかりそこまで踏み込んで答弁されていること、敬意を表したいと思います。
 この三港のふ頭会社を経営統合したからといって、直ちに国際競争力の強化を図ることができるとは決して思えません。これまで、港湾運営には自治体がしっかり関与してきている。東京都が、あえていえば、しっかり、さっきも申し上げたけれども、関与してきている。こうした、いわば体制というものが港湾の発展に大きく寄与してきているんだと、こう思うんですけれども、どうですか。この基本的な考え方は貫かなきゃいけない、こういう意味から確認をします。

○藏居港湾経営改革担当部長 港湾管理者である地方自治体が、ふ頭会社を通じて港湾運営にしっかり関与することで、おのおのの港湾関係者の方々と官民一体となってきめ細かく港の実情を反映したふ頭運営を行っていくよう努めてまいりました。
 こうした港湾関係者のご努力と自治体やふ頭会社との取り組みが相まって、港湾施設の強化と物流効率化が推進されて、ひいては港湾の国際競争力強化を促進してきたと認識しております。

○木内委員 これは、あえて私は、きょうのこのやりとりを会議録に残すためにも、確認のために実例まで含めてお尋ねをしておきたいと思うんですけれども、例えば、これまで東京都は、東京港埠頭会社を通じて、いろんな港湾運営を行ってきているんですけれども、実例に触れて幾つかご報告願えますか。

○藏居港湾経営改革担当部長 都は、平成二十一年に、いち早く外貿コンテナふ頭の管理を東京港埠頭株式会社に一元化しました。これによりまして、ふ頭と一体となった背後の港湾関連施設の管理に関する業務を東京埠頭株式会社が一括して受け持つことによりまして、スケールメリットを生かしました施設の効率的で計画的な整備、改修や利用調整を行うなど、東京港の国際競争力の強化を図ってまいりました。
 また、東京港の現在重要な課題になっております渋滞対策に対しましては、全国に先駆けまして、コンテナターミナルの利用時間を一時間前倒しする、いわゆる早朝ゲートオープンを実施するなど、迅速に対応し、利用者サービスの向上に取り組んでまいりました。
 また、本年四月には、大手船会社出身で港湾物流の運営に経験豊富な平野裕司氏に社長に就任いただき、企業経営者としてのすぐれた見識と港湾に関する高度な知識を、港湾運営の的確なかじ取りに発揮していただいているところでございます。

○木内委員 さらに追加してこれも明らかにしてほしいんですけれども、国際競争力強化に向けてさまざまな事業や施策の展開が必要だったわけでありますけれども、例えば東京港埠頭会社が利用者のニーズに的確に応えたサービスを展開する取り組みの推進、これはわかった。例えば、港湾関係者や東京港埠頭会社が大変知恵を出し合って実現した早朝ゲートオープン、これを一つの例として言及願いたいんだけれども、東京都がこの計画、事業を進めるに当たって果たしてきた役割についても明らかにされたいというのは、何度もいうけれども、東京港の歴史は、執行機関、行政と民間団体、関係団体が一体となって、知恵を出し合って築き上げてきたものだというので、実例としても明らかにされたいと思いますが、どうですか。

○藏居港湾経営改革担当部長 早朝ゲートオープン事業では、都はふ頭会社とともに、事前に、港湾運送事業者、労働者、労働組合、運送事業者、荷主などの多様な関係者とも十分調整、協議を行ってまいりました。
 こうした調整の結果、都として、ふ頭会社とともに、事業者の声を反映し、混雑の状況に応じてゲートオープンへの途中参加、一時休止を可能とする弾力的な実施の仕組みを構築するなど、ターミナル事業者や運送事業者が利用しやすい実施方法の工夫を行ってまいりました。
 その結果、利用時間を一時間前倒ししましたことにより、混雑する十七時台以降の処理台数が実施前と比べまして平均二割減少するなど、交通混雑を緩和させる効果も確認できました。

○木内委員 非常にいい結果が明らかにされているわけですけれども、それに至るまでのご努力も大変だったというふうに思うんですが、事ほどさように、一つの事業を行うに当たっても、本当に丁寧に仕事を進めてきているんですね。業界団体は東京都を信頼し、また、行政は関係団体のこれまでの経験と知恵を十分に、また、敬意を持ちながら力を合わせてきたという歴史がある。
 港湾法改正前も、それから改正後も、東京都やふ頭会社が港湾関係者の方々と官民一体になって取り組んできた、このまことに特筆に値すべき東京港の歴史であり、物流改善の歴史があった。成果を上げてきている、今もいい結果の数字まで引用しての説明がありました。こうした努力の積み重ねが、平成十年以降、十五年連続コンテナ取扱量日本一という結果につながる総合力の、いわば成果の原動力になったんじゃないかと思うんです。東京港の誇るべき姿、この側面的な姿、それがこういう歴史的事実にもあらわれてきているんです。
 さて、今申し上げて触れてきた実例というものが、今後の東京港の将来像を描く上での大きなヒントになるものだと思うんです。国では、国際コンテナ戦略港湾政策を加速するために、ことし七月に港湾関係者、自治体関係者で構成される国際コンテナ戦略港湾政策推進委員会を創設いたしました。私の準備不足なのか、事実だと思うんですけれども、七月にこれが設置された。一カ月後、八月末に中間のまとめを発表していると。こんなことは物理的に、一般的にあり得るのかね。この政策の検討を新たに行っていくこと自体、港湾関係者からは、何のためにやるんだという本質的な議論が欠落したまま突如としてこの委員会が始まったことに違和感を持っているという声も上がっているんです。これ、どう認識していますか。何か妙な環境づくりに思えてならない。

○藏居港湾経営改革担当部長 この委員会では、この政策のこれまでの評価及びこれからの政策の深化と促進に向けてスピーディーな議論を行うこととして、審議が開始されたと認識しております。

○木内委員 スピーディーなって、何か随分理解しちゃっているよね。(笑声)あの事実でしょう。
 この委員会は、さっきいったように、七月発足、八月に中間のまとめ公表、こうした国の動きは、私、拙速じゃないかと思うんですよ。これだけの大事業の政策方針の検討を行う国の機関でしょ、いってみれば。違和感を覚えるんですね。その中で、十五年、二十年を目標にしたインフラ整備支援策などとともに、京浜港などに関する運営の一元化についても触れられているんですね。
 中間のまとめの本文の中では、少なくとも国際コンテナ戦略港湾選定時に計画したことは計画的に取り組む必要があるとしている。また、港湾運営会社の経営統合について、ここが大事なんですが、不変の政策として一刻も早く実現する必要があると強調している。私は、こういう文言を見て、国というのはこういう仕事の仕方をするのかなと。議論の余地や、各分野、各団体からの考え方の介入を許さないものと、強い、私にいわせれば、まさに重ねて誤解を恐れずにいえば、独善的ですよ。
 こうした国の姿勢というのは、むしろ強く追求されるべきだと思うんです。このメンバーに云々ということはいわないけれども、そのすさまじい勢いと流れの中で東京都が翻弄されちゃっているんじゃないか、まさに同情も禁じ得ないわけでありますけれども、私がいったことは間違っていますか。どう分析されますか、この経過を。

○藏居港湾経営改革担当部長 委員会では、他の委員から、基幹航路の維持拡大という政策目的を達成するためには、大量に貨物を集約する必要があり、これを迅速な意思決定のもとに実行しなければならないとしており、さらには、貨物集荷を迅速な意思決定機構のもとで実行していくためには、地域的利益や事情よりも国家的利益の確保等を第一に考えた港湾経営を実現する必要があるとの意見が出されております。
 都としては、大都市港湾の運営には、地域の一体性、大都市行政との一体性を考慮していくことが重要であると指摘するとともに、京浜港として一体的な長所の発揮及び各港それぞれの今までの経緯を踏まえたメリットの発揮とその総合的な取り組みが京浜港としての国際競争力の強化になるとも発言してきましたが、必ずしも全ての方々に理解されたわけでございません。
 今後とも、関係者の理解が得られるよう、国などにも働きかけるなど、十分に調整を図ってまいりたいと考えております。

○木内委員 今の答弁の前段部分は、ある委員からの発言ということで紹介された。後段部分については、東京都としての内容、こういう縦枠ができると思うんです。
 何度も、さっきも同僚委員からの質疑にあったけれども、東京港の持つ特性、他港の持つ特性、地域的特性、こういったものは十分、政治の場では勘案されなければいけないけれども、ある委員から、例えば今いわれたように、集荷対策や事情よりも国家的利益の確保等を第一に考えた港湾経営を実現する必要があると。言葉をかえれば、東京だ、川崎だ、横浜だ、関係ねえんだってそんなものは。地域特性、地域的利益や事情よりも、国家的利益の確保、これが第一に考えられる港湾経営を実現しろって、こういう意見が出ているんでしょう。私はとんでもないと思う、こんなものは。独善的じゃないですか。非常に危険な感じがする。
 都がいう、京浜港として一体的な長所の発揮及び各港それぞれの今までの経緯を踏まえたメリットの発揮とその総合的な取り組みが京浜港としての国際競争力の強化になるという主張が重要なんではないでしょうか。
 そもそも、港湾運営会社制度のあり方に対しては、ことし三月の都議会予算特別委員会の締めくくり質疑においても、我が党の小磯議員から、東京港の経営は、今後とも都がしっかりと責任を持って担っていくべきであるという問いに対して、猪瀬知事は、国交省が三港のふ頭会社を単純合併しようとしている港湾運営会社制度についても、東京都が引き続き、港の現場を持っているという強みを最大限に生かせる運用を提言していくと、これは知事発言です。
 また、それ以外にも、公明党の友党である、先輩の、都議会自民党の神林議員の質問に対して、国交省が考えている三港のふ頭会社の単純合併は危険な意図である。知事の発言ですよ。各自治体の責任で経営に関与できる体制を確保できるよう、中央官僚機構と対峙していくと。さすがに地方分権論者である猪瀬知事らしい、毅然とした答弁をされたのが印象的です。
 現場に軸足を置いている東京都港湾局としても、この答弁における知事の姿勢を貫くべきだと、こう思うんです。勇将のもとに弱卒なしなんだから、一体となって、知事の意思を本当に身に体して頑張ってもらいたいと思うんですけれども、港湾経営部長、どうですか。

○笹川港湾経営部長 港湾運営会社の運営につきましては、港の実態にかなったふ頭会社の体制となるよう、制度の適切な運用を国に対して粘り強く交渉してまいります。

○木内委員 局の答弁としてはそれ以上いえない、ぎりぎりのところでいっておられることがよくわかりますので、ぜひご努力を重ねていただきたいと思うんです。
 港湾関係者からは、そもそも京浜三港のふ頭会社を統合して港湾運営会社を設立する意義、必然性がどこにあるのか全く見えない、こういう危惧の声は今なお、引き続き聞こえてくるわけですし、港湾運営会社に対する国の関与が強まれば、港湾管理者としての東京都の存在性と、ふ頭会社がこれまで果たしてきた現実的な対応機能の活用は不可能になるんじゃないかと、こう思うんですか、どうですか、今度は港湾経営部長。

○笹川港湾経営部長 港湾の現場で、国際競争力強化に向け、効率的なターミナル運営に懸命に向かい合っている港湾関係者の方々の危惧や懸念の声は、大変重みがあるものと受けとめております。
 こうした声に丁寧に答えながら、自治体が責任を持って港湾の運営に関与し、現場を熟知したふ頭会社を活用いたしまして、港の実態にかなった運営ができる体制となるよう、港湾運営会社の統合形態を検討してまいります。

○木内委員 笹川部長のお立場では、なかなか知事のようには踏み込んだ答弁はできないでしょうけれども、私も全面的に応援をさせていただきますので、頑張ってください。
 今回、特例港湾運営会社の申請を行ったことで、京浜三港の本格統合まで、港湾法では三年の猶予があるということですけれども、京浜三港が国に提出した計画書では平成二十六年度中に統合することになっているとも聞いているんです。国にいわせれば、すぐにでも統合に向けた手続を進めるべきということになるでしょうが、この統合までの三港間の協議スケジュールを明らかにされたいと思うんです。
 というのは、一部にはまだまだ余裕があるんだよという声もある。私はそうは思わない。綿密な計画、そして動きを検証しながら、的確に東京都の主張が実現されるよう闘っていくべきだと思うんですが、どうでしょう。

○藏居港湾経営改革担当部長 統合形態につきましては、当初の計画書を踏まえつつ、港湾関係者の危惧や懸念の声にしっかり耳を傾け、十分な調整を行うとともに、港の実情に熟知したふ頭会社を活用するなど、各港の強みを発揮できる体制となるよう、今後、早急に三港間で検討を行ってまいりたいと思っております。

○木内委員 本当にきょうのやりとりというのは、質問者の発言が長くて、答弁が本当に短いんだよね。そのぐらい微妙でご苦労されているお答えだというふうに理解していますので、結構だと思いますが。
 それで、いうかどうかは迷ったけれども、今までのこの問題に関する国のやり方から見て、きょうの質疑が一つの潮目になると思うんだけれども、経営統合に向けて、国は相当な圧力をかけてくると思うんです。そういう圧力には絶対屈しない。敢然と国からの圧力をはね返して、現場で不安を抱いている港湾関係者の方々のために全力を尽くして交渉に当たってもらいたいと思うんです。もう目に見えていますから、私は、あえてきょう申し上げておきますけれども。
 今後の国際コンテナ戦略港湾政策の推進に当たっては、現場で、港湾関係者に十分に向き合いながら事業を進めている東京都の意向が反映することの可能な運営組織づくりを進めていくべきと考えます。
 きのう以来、多羅尾港湾局長、本当に真剣勝負で、本会議以来、答弁に立っておられるけれども、局長の今後への決意、これをぜひとも力強く吐露していただければと思います。

○多羅尾港湾局長 港にはそれぞれ歴史がございます。戦前から官営の貿易港として発展してきた百年の歴史を持つ港もございます。また、戦後、重化学工業地帯の発展と軌を一にして成長してきた港もございます。
 そのような中で、東京港というのは、委員のただいまのお話の中にもございましたとおり、戦後ほとんど何もないところから、港湾事業者や港で働く方々と港湾管理者、すなわち民間と行政が一体となって力を合わせ、施設を整備して、船を誘致し、そしてサービスを磨いて荷主さんを開拓してきた歴史がございます。この民間と行政のチームワークのよさが東京港の大きな長所であるというように考えております。
 昨今、わずか十年から二十年の間にアジア各国に巨大な港が出現する、また、中国などの工業生産量が飛躍的に増大する、こういった国際物流事情の変化によって、東京、横浜、川崎の三港が一体となって、京浜港として、東京湾として世界と競い合っていく必要性ももちろんございます。
 しかしながら、一方で、京浜港を構成する三港の港がそれぞれ長所、個性を最大限生かしていくことが、やはり京浜港の発展の基礎となるものだというふうに考えております。なぜなら、京浜三港が経営統合して突然に京浜港という新しい個性の港ができるわけではなくて、やはり長い歴史、特性、個性を持った東京、横浜、川崎の三つの港が力を合わせて京浜港を発展させていくものだと考えているからでございます。
 こうしたことから、港湾運営会社制度においても、東京都が港の現場を知っている強みを最大限生かせるよう取り組まなくてはならないと思っております。
 特例港湾運営会社への移行は経過的なものであり、最終的な港湾運営会社の体制については、引き続き現場の声を踏まえた上で、粘り強く交渉を継続してまいりたいと考えております。東京都はこれからも東京港の経営にしっかりと責任を持って取り組んでまいりたいと考えております。

○木内委員 局長から、今後の対応、現場の重要性を重視していくということ、あるいは三港における連携等々、いずれにしても、東京都が東京港における責任をしっかりと持っていくという思いが、今、述べられました。非常に心強い思いであります。
 東京都としても、こうした現場の方々の港湾運営会社制度に対する今の思い、危惧や懸念を真摯に受けとめて、首都圏四千万人の生活と産業を支える東京港がこれまで以上に発展していけるよう、適切なかじ取りを行っていただきたいと思います。
 最後の、私は要望にとどめますけれども、きょうお互いに認識できたこと、それは東京港というのは他の港と違って、行政と関係団体が緊密な協力のもとに歴史を築いていたという側面的特徴があるわけでありますから、これをしっかりと生かして、これからもまた検討、ご努力を願いたい、このことを申し上げて質問を終わります。
 五十五分と申し上げて、質問時間は約五十分で終わったことに、実はほっとしています。栗林副委員長が一生懸命心配して、さっきから時計見ておられた。
 以上です。

○かち委員 私からも、国際コンテナ戦略港湾に係る取り組みについて何点かお聞きします。
 今のお二人の質疑、そして多羅尾局長のご答弁などを聞いておりますと、この問題は今なお非常に流動的だし、さまざまな問題があるということを改めて実感しているところです。
 今回の国際コンテナ戦略港湾についての取り組みは、二〇一〇年の六月に、二十一の国家戦略プロジェクトの中で、港湾の選択と集中を進め、民間の知恵と資金を活用した港湾経営の実現を図るとして閣議決定され、この年の八月に国内で二つの国際コンテナ戦略港湾が指定されました。その一つが、東京、川崎、横浜港が一体として指定された京浜港、もう一つは、阪神港の大阪と神戸港です。莫大な予算、税金が投入されることになるにもかかわらず、その全体の内容がよく見えないことが多い、そう思います。
 そこで、基本的なことも含めて何点かお伺いします。
 まず、東京港の国際コンテナ戦略港湾事業に係る期間と事業費というのはどのぐらいになるのか、また、都の負担はどういうふうになるのかお聞きします。

○藏居港湾経営改革担当部長 国際コンテナ戦略港湾事業には、国際競争力の向上のため、ハード、ソフトの両面の施策があり、また今後、新たに立案される施策もあることから、あらかじめ、事業費や事業期間を明示できる性格のものではございません。したがって、都の負担額についても決まっているものではございません。
 ただし、選択と集中が政策のポイントでございまして、都として当面集中して投資を行っていくべきと考える中央防波堤外側地区コンテナターミナル、Y1、Y2、Y3の総事業費につきましては、国は約一千百億円と見込んでおります。これに対する都の負担額は、平成二十四年度までで約百二十六億円となっております。

○かち委員 今のご答弁だと、この戦略港湾事業というのは、今後新たに立案される施策もあることがあるので事業費とか期間は明示できる性質のものではないということですけれども、国が一定のことをやろうとするときには、一定の金額とか一定の期間というものを査定においてやっていかないと、無制限に税金があるわけじゃありませんので、そういうことはあり得ないんじゃないかと思うんですけど。
 事業費とか事業期間についてですけれども、国会の国土交通委員会の質疑がありました。一一年の三月二十五日です。当時の三井副大臣はいっておりますけれど、十六メートルの大水深コンテナターミナルの整備等に二〇二〇年までに約五千五百億円を見込んでいると答弁しています。そしてまた、来年度の概算要求では、国際コンテナ物流網の強化ということで五百三十六億円計上しているという状況もあるわけです。ですから、少なくとも都は、国はこの程度のことをやろうとしているということは把握をされていると思いますので、そういうことは答えていただきたいというふうに思います。
 さらには、国際コンテナ戦略港湾をつくるということは、ふ頭整備だけで終わるわけではありません。先ほどの中央防波堤外側のコンテナターミナルをつくるという点では、それを集荷したものを運んだりしなければいけない、当然道路も必要になる。そういうことで、ここでは南北道路の計画などもいわれているわけですけれども、こういうものがどういうふうに計画されていくのか。膨大な物流基盤整備などについても、きちんとやっぱり都民や議会に数字も含めて明記すべきだというふうに思います。
 国の港湾政策は、今もいろいろと質疑がありましたけれども、これ以前にも、二〇〇四年から二〇一〇年にかけて国際競争力を強化する、アジア諸港に奪われた貨物を取り戻すということで、スーパー中枢港湾事業が行われてきました。
 これでどのような結果になったのか。東京港の基幹航路、寄港回数はどうなったのか。事業費の実績などについてお聞きします。

○藏居港湾経営改革担当部長 東京港は、平成十六年度にスーパー中枢港湾の指定を京浜港として受けたところでございますが、特定国際コンテナふ頭、これは港湾法に定められた集中投資の対象とされるふ頭のことでございますが、としましては、東京港内のふ頭は認定されていなかったことから、対象となる整備事業はございませんでした。
 次に、欧米とアジアを結ぶ長期航路でございます、いわゆる国際基幹航路の航路数は、平成十六年度は十八航路、平成二十年度は二十一航路と増加傾向にありました。しかし、平成二十年秋に発生しましたいわゆるリーマンショックの影響等によりまして、世界的にも基幹航路が減少する中で、東京港の基幹航路数も二十二年度は十五航路と減少しております。
 その後、コンテナ船の大型化や船会社のアライアンス、共同運航のことでございますけれども、の形成が進むなど、厳しい状況が続いております。今後とも、東京港の国際競争力強化、向上を図り、基幹航路の維持拡大に努めてまいりたいと思っております。

○かち委員 これについても、国会の質疑を読みますと、二〇一一年の三月の時点で、国全体では四千三百億円の事業費が実際には五千百億円を費やしたということです。
 しかし、どこのスーパー中枢港でも、基幹航路の就航回数でいえば横ばいか、先ほど、東京港でも十八航路が十五航路になったということがありましたように、減少です。貨物の海外トランシップ率では減少傾向は緩やかになったものの、依然低迷状態です。巨額の経費をつぎ込みながら、結果、思うように改善しなかったということです。
 このように、国際基幹航路の就航回数は、港湾整備対策等だけで解決できるものではありません。なぜなら、コンテナ取り扱い低迷の主な原因は、内需の低迷、大企業の生産拠点の海外移転による産業空洞化の要因が大きなものであり、アジアの経済成長やグローバル経済との関係、その結果によるところが大きいからだということを指摘しておきたいと思います。
 次に、国際コンテナ戦略港湾事業にかかわる港湾運営会社についてお聞きします。
 もともと、港は公共財産です。都が港湾管理をして、六〇年代は京浜外貿埠頭公団によってコンテナ、定期船専用ふ頭の単位で一元管理をしていた時期があり、その後八〇年代には、行財政改革で、公団は港単位で埠頭公社として改組、分割されました。管理団体として埠頭公社の指定管理をするという経緯を経て、今日、埠頭公社と臨海ホールディングスの合併会社となり、港湾運営の指定管理を受ける民間会社になっているわけですが、今度は指定管理という立場でもなく、国や自治体から岸壁等を借りて、民間会社が港湾の管理運営をするということです。
 そもそも港湾は、公共財として、地方自治体が港湾管理者とされてきた理由はどういうものでしょうか。

○藏居港湾経営改革担当部長 昭和二十五年五月に制定された港湾法では、地方自治を最大限尊重する観点から、それまで国が担っていた港湾の整備、管理の権限を地方公共団体などに委ねたとされております。

○かち委員 ちょっと答弁もすれ違っちゃうんですけれど。
 港湾というのは国民生活や経済活動を支える上で不可欠な社会資本ですよね。防波堤、あるいは航路などという収益性を求めることができない施設等が一体となって機能を発揮する社会資本であることから、公共主体が管理を行うことが適当であるという考え方できたと思います。今度は民間株式会社が主体となって管理運営を行うということで、今までの基本からは大きく変わってくるわけです。
 港湾運営会社と国、港湾管理者である地方自治体との関係は、このことによってどのように変わるのでしょうか。

○藏居港湾経営改革担当部長 港湾法によりますと、港湾管理者制度、港湾運営会社制度でございますけれども、国土交通大臣は、要件を備えていると認められた株式会社を、その申請により、京浜港の場合ですと、東京港、川崎港、横浜港ごとに一を限って、当該港湾におけるコンテナふ頭などを運営する者として、特例港湾運営会社として指定することができるとされております。
 また、大臣は指定しようとするときは、あらかじめ、当該指定に係る国際戦略港湾の港湾管理者の同意を得なければならないとされております。
 また、大臣は、コンテナふ頭などの運営の事業の適正な実施を確保するため必要があると認めるときには、その指定を受けた特例港湾運営会社に対し、業務に関し監督上必要な命令をすることができるとされております。

○かち委員 この件については、先ほどさんざん木内委員がおっしゃったように、民間の自由な裁量を生かして効率化を図るといわれていながら、この決め方、その後の運営会社に対する国の対応というのも大変権力的といいますか、非常に上から指定をするとか、監督、命令するとか、こういうことが民間会社に対してと国の権力との関係という点では非常に違和感を覚えるわけです。
 しかも、ここに対して地方自治体の関係が出てこないわけですけれども、ここに地方自治体はどういうかかわりをするのかということと、特例港湾運営会社が港湾運営会社になった場合、それはどういうふうになるんでしょうか。

○藏居港湾経営改革担当部長 港湾法では、特例港湾運営会社が港湾運営会社になった場合でも、国と会社、それから港湾管理者と会社の関係は変わらないことになっております。

○かち委員 特例運営会社、港湾運営会社というのは、今の東京都と民間会社との関係が変わらないんだということでいいですか。それで、港湾運営会社になった場合には、その命令権、監督権は国にあるんだという仕切りでいいんでしょうか。

○藏居港湾経営改革担当部長 申請しました東京港埠頭株式会社が特例港湾運営会社に指定された場合におきましては、その指定権というのは国にあるというふうに認識しております。

○かち委員 わかりました。もう特例運営会社になったときから、港湾運営会社という位置づけで国の監督指導を受けるんだと。それを指定するのは国ということですから、そういう関係になるということですけれども、本当に港というのは各自治体が長い歴史の中で築いてきたものであり、努力をしてきたものであり、そして歴史や条件やいろんな特質があるわけで、そういうものを一つにまとめて、一つの民間会社が運営して効率的にやればうまくいくというふうにはとても思えないわけですけれど、そういうことを今やろうとしているんだということなんですね。
 京浜港の港湾運営会社は、どこがどの程度出資して設立されるのか。また、指定に当たっての議決権の保有制限はどのようになっているのか。あわせて、特例港湾運営会社についても同様にお聞きします。

○藏居港湾経営改革担当部長 港湾運営会社の出資者、出資割合等につきましては、統合形態の検討とあわせまして、今後、川崎市、横浜市及び各港の特例港湾運営会社と検討を行っていく予定でございます。
 港湾法では、港湾運営会社に係る議決権の保有制限は原則二〇%でございます。ただし、地方自治体は保有制限の対象外となっております。
 特例運営会社についても、こういったことは同様でございます。

○かち委員 今は特例運営会社になっても、東京都と東京臨海ホールディングスが五〇%、五〇%ですので、公的出資ということで運営されていることになるわけですけれども、特例会社になった場合には、三つないし四つの自治体とその関係する会社が株を持つことになるわけですから、当然、今のような状況にはなり得ない。港湾管理者の出資比率というのは低くなるし、権限というものも低くならざるを得ないという状況だというふうに思います。
 そういうことになって、だから、それぞれの特徴を持って、こういうことをやりたいといっても、なかなかそれができないという状況が生まれることは容易に想定されるわけです。
 特例港湾運営会社に都も出資をするわけですが、この企業が経営悪化した場合、出資者としてどのような影響を受けるのか、こうしたリスクについては検証されているのでしょうか。

○藏居港湾経営改革担当部長 現在、知識、経験豊富な民間企業経験者として活用された方を社長に迎え、一層の経営効率化を図っておりますが、都としても出資者として、特例港湾運営会社の指定を受けた東京港埠頭株式会社に対して、健全な経営が引き続き行われるよう適正に指導してまいりたいと思っております。

○かち委員 出資者として当然、適正に、適切に指導していくということはあり得るわけですけれども、都が出資した新銀行の場合は一千億円の出資金が失われました。その後は追加出資をし、経営支援策として、都の事業がその企業のために連携を強めざるを得ない状況にもなっています。こういうことがあり得ないとはいえないわけで、こうしたリスクもきちんと検証していくことが必要だというふうに思います。
 港湾運営会社は、港湾計画にどのように関与することになるのですか。

○藏居港湾経営改革担当部長 港湾法では、港湾運営会社及び特例港湾運営会社は、国際戦略港湾の港湾管理者に対して、港湾計画の変更を提案することができることになっております。

○かち委員 港湾計画というのをつくるときにも関与できるようですけれども、できた計画を変更させることも可能だということですよね。実際に実績を上げなければ運営管理を行うことができないということになれば、運営会社の要望を反映せざるを得ない状況だと思います。
 そもそも港湾計画は、物流や旅客運送が円滑に行われるように、港湾施設の整備を進めることが基本であり、都市開発計画を進めるものではありません。にもかかわらず東京都は、ことしの第一回定例会のときに、臨海副都心をMICE、国際観光の一大拠点とすることを目指すために、港湾計画について臨海部全体の発展に資するように計画の改定に取り組む意思があることを明らかにしました。港湾計画の変更を提案できる港湾運営会社は、臨海開発を進めようとする企業と東京都が出資をしています。このままでは、港湾計画が臨海部の都市開発計画とリンクして進められる危険が大変大きいといわざるを得ません。
 二〇一一年の三月の港湾法の改定で、国際戦略港湾においては、京浜港を運営する一つの港湾運営会社を設立することが期限を区切って求められています。その誘導策として、今回の特例港湾運営会社に対して優遇税制や無利子貸付などが示されましたけれど、これは一つの運営会社になった場合にもどうなるのかということをお聞きします。

○藏居港湾経営改革担当部長 先ほどかち理事の方から、港湾計画の提案変更権でそれに従うというようなご発言がございましたけど、港湾運営会社が提案をした場合、それに対して港湾管理者の方で従うという拘束ではございません。港湾審議会等の審議を経まして、最終的には決まるものと認識しております。
 続きまして、ご質問でございますけれども、今回申請した特例港湾運営会社は、港湾運営会社ができるまでの暫定的なものでございます。したがって、特例港湾運営会社の指定を受けることによりまして、港湾運営会社として受ける指定の効果を先取りすることが可能になりますことから、港湾運営会社になった後も、支援策は引き続き適用されると認識しております。

○かち委員 従うというような失言をいたしました。従うではないんですけれども、運営主体となる民間会社の要望というのは、かなり受け入れざるを得ない状況だろうということをいっているわけです。
 京浜港の計画によれば、取扱貨物量を現在、八百万TEU弱に対して、二〇三〇年には、一千四百七十万TEUとの目標を立て、その荷を確保するためにさまざまなインフラ整備を進めるとしています。そのための港湾整備には膨大な税金が投入されることになるわけですけれども、東北では大震災後、港のハード事業などがおくれていることが指摘されています。被災地の復興がさらにおくれることも懸念されるわけです。
 港湾運営会社は、利潤追求のために、さまざまな事業活動を展開することになります。使用料の値下げ、あるいは設備投資などの経費負担、日常的な施設補修作業など、公共性の確保と相反する課題との矛盾をどのようにしていくのか、お聞きします。

○藏居港湾経営改革担当部長 港湾管理者である都は、出資者として、特例港湾運営会社となる東京港埠頭株式会社に対しまして、公共性を保ちつつ効率的な運営を行っていくよう、適切に指導してまいりたいと思います。

○かち委員 公共性を保つために適切な指導を行っていくということですけれども、それが本当に履行されるかどうか、何をもって担保されるのでしょうか。

○藏居港湾経営改革担当部長 特例港湾運営会社となる東京港埠頭株式会社に対して、過半の議決権を保有します株主としての権限を行使することで、その実効性ある指導を行っていきたいと思ってございます。

○かち委員 現在は特例港湾運営会社であって、過半の株主としての権限を行使することができますけれども、港湾運営会社になった場合には、そういうこともできなくなる可能性があるということですよね。
 そして、港湾局の一般会計による港湾整備事業費は六百二十八億円のうち、港湾のハード整備事業を見ると、新設が五四%、震災対策が三四%、維持補修は一二%です。塩害がひどく、維持補修が欠かせません。ですから、利益が優先、新規開発が優先された場合には、こうした事業が後回しにされる懸念があるわけです。
 東京都は、特例港湾運営会社の統合に対し、港湾関係者の方々から、どのような懸念の声が寄せられているのか把握しているでしょうか。

○藏居港湾経営改革担当部長 港湾関係者の方々の間では、具体的な目的や効果が見えないなどのご意見があることと承知しております。港湾経営の統合に当たって、港湾関係者の方々の声に十分に耳を傾け、懸念を解消できるよう取り組んでいきたいと思っております。

○かち委員 全く具体的な将来の姿が見えないというような声は、そのとおりだというふうに思います。国の港湾政策はこれまでにも、アジアの拠点港湾としての機能を取り戻すとか、釜山や上海に流出した貨物を取り戻すなどというかけ声で、港湾の巨大化、拠点化などをやってきていますけれども、いずれも成果には思うようにつながっていない現状です。このやり方で本当にアジアの拠点になれるのか、日本が目指すべき港湾のあり方はこういうものなのか、多くの関係者が疑問の声を上げています。
 しかも、今度の港湾運営会社は、複数の会社が設立されて競争原理が働くわけでもなく、一社のみ指定され、国からさまざまな特典を受けて設備投資ができ、事業活動を展開するということになります。
 港湾運営会社は客を呼び寄せるために、釜山に対抗して使用料のさらなる低減や効率化を目指さざるを得ない、そのしわ寄せは、港湾労働者や荷主や船会社に行かないのか、危惧を抱かざるを得ません。都のふ頭の公平、公正な運営を進める上では、荷主、船会社、港湾関係者との民主的な連携が欠かせません。こうした関係者の声を生かした港湾のあり方を検討すべきです。
 きょうは、限られた点について都の考え方をただしてきましたけれども、私たちは引き続き、国際コンテナ戦略港湾について、さまざまな面から今後も検証していくことを述べ、質問を終わります。

○中村委員 私からも、国際コンテナ戦略港湾に係る取り組みについて質問いたします。これまでの質疑で重なるところが多いんですが、簡潔に質問しますので、お答えよろしくお願いします。
 まず、今回委員会にご報告いただいた国際競争力強化の取り組みの一環としての特例港湾運営会社に申請することについてですが、指定されると無利子貸付制度の拡充などの効果があるとの説明を受けました。
 この東京港埠頭株式会社としては、東京港の国際競争力強化に向けて、こうした支援をどのように活用していくのか、まず伺います。

○藏居港湾経営改革担当部長 東京港埠頭株式会社は、東京港の国際競争力強化を図るため、中央防波堤外側Y1、Y2、Y3ターミナルの整備や、既存施設の再編、機能強化などに取り組み、特例港湾運営会社として得られる無利子貸付制度や税制優遇による一定程度の効果も活用し、ターミナルコストの低減や利用者サービスの向上を図ってまいります。

○中村委員 一定程度の効果があるということですから、この制度を活用いただいて進めていただきたいと思います。とはいえ、このことだけでということで国際競争力ということではないでしょうから、三港の経営の一元化ということが大切になると思っています。
 いずれは東京港、横浜港、川崎港の三港の経営の一元化を図るという方針ですが、国の関与が大きくなるということが懸念をされています。これまでの委員会等いろんなところの議論でも、先ほどもお話がありましたが、知事が国交省の危険な意図とも述べているようですが、まさに国が関与を強めようとしています。
 知事は自治体がしっかりと港湾の経営にかかわっていくことが不可欠と述べていますが、具体的にどのような考え方を持っているんでしょうか。また、知事はこれも中央官僚と対峙をしていくと述べていますが、具体的にどのような取り組みをしていくつもりですか、お伺いいたします。

○藏居港湾経営改革担当部長 港湾の経営は、港湾管理者である地方自治体が利用者や港湾関係者と長年の信頼関係を積み重ねつつ、港の実情を踏まえたきめ細かい対応を図ってまいりました。
 また、国際競争力強化が喫緊の課題である東京港の経営については、首都東京のまちづくりと密接に関連しており、産業政策や物流インフラの整備など大都市経営と不可分であり、都が主体となって取り組んできております。
 こうしたことから、港湾管理者の自治体が港湾経営に関与していくことが、東京港の国際競争力強化には不可欠であると考えております。
 三港のふ頭会社を単純統合することで、地方自治体とふ頭会社との関係が薄まることや、港湾運営会社などに必要以上の国の関与が生じないよう、今後とも国と交渉を行ってまいります。

○中村委員 知事からかなり強い口調で対峙をしていくという話もありましたし、これから局の方でも国と交渉していくということでした。
 この間の十二日のこの委員会の説明でも、現場の実態を熟知した東京都が責任を持って港湾経営にかかわっていくことのできる体制を確保すると述べられていましたが、これは具体的にはどういう姿を目指しているのでしょうか。
 経営を統合することによって競争力を強くすることを目指しているわけですが、それにより、都としても、国の関与は減らすことが、これは大変ですけど、できたとしても、川崎市や横浜市との調整というのも必ず必要になります。
 東京都としては、港湾運営会社が設立された後も経営にどのように関与して、この効果を発揮していくのでしょうか、お伺いいたします。

○藏居港湾経営改革担当部長 東京、川崎、横浜の三港が連携し、経営統合し、京浜港として国際競争力を強化していく一方、三港それぞれの個性や長所を生かした港湾運営が必要であります。
 港湾運営会社制度について、国との交渉の結果、単純合併に加え、既存のふ頭会社を存続させ、新たな運営会社を活用した上下分離方式も認められることになりました。
 統合形態につきましては、川崎港、横浜港及び国と検討を進めていくことになりますが、経営統合後においても、港湾の国際競争力を強化していくため、港湾会社が港湾経営にしっかり関与し、各港の実情に熟知したふ頭会社を活用し、各港の強みを発揮できる体制の構築を目指してまいります。

○中村委員 各港の実情に熟知したようにということですから、これからまだまだ出資比率はどうなるかとか、社長が誰になるとか、いろいろ大変なことがあるとは思いますけれども、ぜひとも都が責任を持ってというふうにおっしゃっていますので、積極的にかかわっていけるような取り組みをしていただきたいと思います。
 三港の経営の一元化によって、国や川崎市、横浜市とも調整をするというのは、これはまた段階を経ていかなければなりませんので、そういうことをやってでも国際競争力が増すからこそ取り組んでいくわけですから、こういうことによって、アジア諸港との競争において優位に立てるのかどうかということが大切になりますので、そこを伺いたいと思います。
 諸外国の他都市に比べて実際有利になっていけるのか、また、そのためには、国に経営の関与は必要以上にさせずに、むしろ重点的な投資をさせていくことが必要になると思いますので、その取り組みを伺います。

○藏居港湾経営改革担当部長 中国を発着する貨物が急増する中、アジアと欧米とを結ぶ国際基幹航路に占める日本発着貨物のシェアは相対的に低下しており、このままでは大型コンテナ船が日本港湾を素通りして、釜山などの港で積みかえを移送されることによりまして、物流コストが増大するおそれがございます。
 そのため、三港連携を一層推進し、アジア諸港に対峙していけるよう、コスト削減やサービス向上を進めることにより、国際競争力強化に取り組んでおります。
 国に対しましては、国際コンテナ戦略港湾の選択と集中の理念に基づき、京浜港への重点投資が行われるよう、引き続き要望を行ってまいりたいと思っております。

○中村委員 ご答弁ありがとうございます。本当にこれから、いろいろ先ほど局長からもお話もありましたけれども、大変なこれは取り組みだと思いますけれども、しっかり三港連携しながら、また、国に余り口は出せなくて、そのかわり選択と集中ということで、いかに重点投資させていくかということは、これは本当に大変だと思いますけれども、しっかりと交渉の方もしていただいて、国際競争力が強化できるよう取り組んでいただきたいということを要望しまして、質問を終わります。

○三宅委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○三宅委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了しました。
 以上で港湾局関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時五十二分休憩

   午後三時五分開議

○三宅委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 これより産業労働局関係に入ります。
 初めに、報告事項、私債権の放棄についてに対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○三宅委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○三宅委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。

○三宅委員長 次に、報告事項、平成二十四年度地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター業務実績評価についてに対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○かんの委員 都議会の委員会における最初の質問になりますので、よろしくお願いいたします。
 今回は産業技術研究センターの平成二十四年度業務実績評価についてお伺いをしたいと思います。
 安倍政権、政府・自民党の経済政策により、月例経済報告でも景気判断が上方修正され、日本経済に明るい兆しが見えてきました。この時期を逸することなく、都内経済の成長を確かなものにするためには、東京の産業の土台を支えるものづくり中小企業が新製品の開発や新分野への参入などを積極的に行えるよう、行政がしっかりとした支援を展開していくことが大切だと思います。
 さきの本会議においても、我が党は、設備投資の活性化策や新たな事業展開を図る際の支援策が今後より一層必要となることを訴えました。そのためには、資金面や経営面での支援だけではなく、技術面での支援が重要であることはいうまでもありません。都内中小企業の技術支援の拠点である産業技術研究センターにおいても、成長を目指す中小企業への支援を強化していくべきと考えています。
 中小企業にとって、付加価値の高い製品をつくり、その品質や安全性を高めていくためには、高性能な加工機械や試験機器の活用が不可欠であります。しかし、すぐれた技術を持ちながらも、経営基盤が弱く、自社ではそうした機器を保有できない中小企業にとっては、低廉な価格で技術サービスを提供する産業技術研究センターは、これからますます重要な役割を担っていくものと思います。
 評価委員会での報告書を見ますと、平成二十四年度は、技術相談、そして依頼試験、機器の利用で過去最高の実績を上げたことが高く評価されていますが、とりわけ、成長を見据えて積極的な事業展開を図ろうとする中小企業に対して、産業技術研究センターがこれまで実施した支援の内容について、まずお伺いをしたいと思います。

○十河商工部長 産業技術研究センターでは、多摩テクノプラザの開設や青海への本部移転を契機といたしまして、製品開発や性能評価のための最新鋭の機器を大幅に拡充いたしますとともに、環境などの都市課題の解決につながる技術分野の相談にも積極的に対応するなど、中小企業の新たな事業展開を支援してまいりました。
 こうした取り組みの中、昨年度は、本部に3Dプリンターを増設し、付加価値の高い製品づくりへの支援を強化いたしました。
 また、海外の製品規格などに関する情報提供や技術支援を総合的にサポートするなど、海外展開を目指す中小企業に対する支援の充実を図っております。
 さらには、バイオ技術の応用など、今後の成長が期待される分野について重点的に研究に取り組み、その成果の積極的な活用を通して、中小企業の新分野への展開を支援しております。
 産業技術研究センターでは、こうした取り組みを多面的に展開し、成長を目指す中小企業を技術面から後押ししております。

○かんの委員 さまざまな支援策を行っているというお話でございましたけれども、中小企業の積極的な事業展開への支援について、さらに詳しくお伺いしたいと思います。
 まず、我が党の吉原幹事長の代表質問に対し、知事からの答弁にもありました、先ほど3Dプリンター、高速造型機というんでしょうか、はこれまでに比べ、はるかに短期間、かつ低コストで試作品等の製造が可能なことから、現在大きな注目を集めております。
 先日、私も産業技術研究センターの本部を視察した際に、実際にその機械を見させていただきましたが、本部に設置されているものは極めて微細な寸法での加工が可能な高い性能を持っていました。今後、この機械を活用した企業の製品開発がますます活発になるのではないかと期待をしているところであります。
 そこで、産業技術研究センターでは、この3Dプリンターを中小企業の製品開発にどのように役立ててきたのか、これまでの取り組みの具体例を何か、成果もありましたらお伺いしたいと思います。

○十河商工部長 樹脂や金属粉末をレーザーなどで固めて立体物をつくる3Dプリンターは、試作品などを製作する上で、従来の加工方法に比べ費用と期間を大幅に削減し、複雑な形状の製品も容易に開発できることから、産業技術研究センターでは3Dプリンターを活用した製品づくりの支援にいち早く取り組んでまいりました。
 これまでも自然に近いやわらかな風を生み出す高機能扇風機や、折り畳みが可能な防災用ヘルメットの開発などを支援しております。
 平成二十四年度は、高機能扇風機の技術を応用した循環機能の高い空気清浄機の開発を初め、一万点を超える部品や製品の試作に対応いたしました。

○かんの委員 今ご答弁にありました高機能扇風機、これは実際、私も見させていただきましたけれども、これもプロペラの形が本当に、まさに技術の結晶というか、その羽の形状で非常に静かな、音が出ない扇風機ができたということですけど、こういったものをつくるのも、やはり幾つもの試作を経てできたというふうに感じています。
 その試作をつくるに当たっても、従来であれば高い金型で加工しなきゃならないものが、この3Dプリンターで幾つもの試作品ができる。実際にでき上がったものを見させてもらいましたけれども、本当に結構強度もあってかたいもの、やわらかい材質でできるものも、機械もあるということを伺いましたけれども、そういった製品ができるということで、サンプルとはいえ、実際の製品に近いような形でできるようですから、本当にそういったものがこれからの製品開発、まさにこういったいい機械を生み出す結果につながったのかなと非常に感じております。
 先ほどの折り畳みヘルメットも、私の港区でも各学校に設置するなど、先に品物だけ、前に見たことがあるんですが、これがこういう過程でつくられていたのかというのも改めて感じた次第です。
 こうした品物の開発、そして、こういった海外でも販売、非常に評価を得ているような製品のように、これは知事答弁にもありましたけれども、中小企業のさらなる成長のためには、やはり国内だけではなくて、これから海外の需要をどんどん取り込むこと、これがやはり日本の中小企業にとっても大事なことだと思います。
 しかし、中小企業自身が自社製品を海外で展開しようというときには、輸出先の国だとか地域、それぞれ製品に対して課しているいろんな規制があったり、そういった規格があったりします。こういった技術的要件をなかなかクリアできないというのもあるとも聞いておりますので、先ほどのご答弁の中でも、海外規格の問題に触れていらっしゃいましたけれども、ぜひこの海外規格、海外進出への支援は不可欠と思いますけれども、産業技術研究センターではこれに対してどのように取り組んでいるのか、お伺いしたいと思います。

○十河商工部長 新たな成長を目指して積極的な海外展開を図る中小企業に対しまして、国や地域ごとの課題に対応した的確な支援を行うことが重要でございます。
 特に海外で製品を流通させるためには、諸外国の基準や規格に適合する必要がありますが、中小企業にはそのための情報やノウハウが不足しており、これに対する支援は不可欠でございます。
 このため産業技術研究センターは、昨年十月、青海本部内に東京、神奈川、千葉、埼玉、長野の一都四県の公設試験研究機関の共同運営によります広域首都圏輸出製品技術支援センターを開設いたしました。
 同センターでは、海外の規格を電子データや冊子で閲覧できるサービスの提供や、規格に詳しい企業OBなどの専門相談員によるきめ細かな相談対応を実施しております。また、相談内容に応じまして、当該分野に精通した他県の専門相談員がテレビ会議システムにより対応するなど、広域的な連携を生かした支援を行っております。
 具体的な成果といたしましては、例えばEUで定める製品の安全規格でありますCEマークに適合させるための助言など、開設後半年で三百件以上の相談実績を上げております。
 なお、同センターは本年四月より一都八県に連携を拡大しておりまして、中小企業の海外への事業展開に対し、技術面からの後押しをさらに強化しているところでございます。

○かんの委員 今ご答弁にもありましたが、今後、海外進出へのさまざまな支援とあわせて、産業技術研究センターの支援で、成長分野への参入に挑戦する中小企業がまたふえてくると思いますけれども、一方で、こうした分野は技術革新のスピードが非常に速くて、市場競争も激しくて、中小企業が抱える技術的課題は、より複雑高度化していくものと私も考えています。
 これらの課題に的確に応えていくためには、質の高いサービスをさらに提供していく必要があると思いますけれども、産業技術研究センターではどのような運営方針で取り組んでいくのか、お伺いしたいと思います。

○十河商工部長 3Dプリンターの目覚ましい普及に見られますように、ものづくりを取り巻く状況が急速に変化する中、産業技術研究センターが都内中小企業の複雑で高度な技術課題に的確に対応するためには、組織、人材育成、財務など、業務運営の面で不断に見直しを行い、技術支援の質を高めていくことが重要であります。
 そのため、産業技術研究センターでは、機動性を発揮できる地方独立行政法人のメリットを生かし、社会経済状況や企業の技術課題の変化に柔軟に対応した組織体制の整備を行っております。
 また、人材育成の面では、研究員の能力向上に向け、メカトロニクスなど今後の成長が期待される四つの分野に重点を据えた独自の基盤研究を進めますとともに、学会や他の公設試験研究機関の研究成果発表会に研究員を積極的に参加させることで、最新の専門的知見が取得できるよう努めております。
 さらに、質の高い研究を幅広く進めていくための資金を確保するために、外部資金の獲得に積極的に取り組んでおります。
 産業技術研究センターでは、このような取り組みを一層推進していくことにより、中小企業のニーズに応える質の高いサービスの実現を目指していくこととしております。

○かんの委員 実は私も、例えば、港区なんですが、港区はすぐこのセンターとは隣接した地域ですので、比較的近い地域にあります。昔からのものづくり産業とか、さまざまな中小企業の本社等もたくさんありまして、多分このセンターとのかかわりはかなり深いものかなというふうに感じて、いろいろ、先日もそうしたものづくりの会というか、産業関係の団体の会にちょっとお邪魔したときに、いろんな方とこうしたセンターを利用したことがあるかどうかとか、そういったお話をちょっと伺ったことがあります。
 その中で、やはり何人かから実際に利用したという声がありまして、その中では、例えば専用転写プリンターは、従来は機器を保有している専門業者をわざわざ探して、高い料金で時間をかけて、期間をかけてプリントしていたけれども、産業技術研究センターが格安で機械を貸与してくれて、プリントもその日のうちに完了する、大変ありがたいんだというようなこと。また、そのほか、多様な機器を取りそろえていて頼りになる。今後、繊維の消臭効果テストの実施や、洗濯による消臭効果の軽減状況が数値として把握できる機器を利用したいとか、具体的な話になりますけど。あとは、海外に進出したいんだけれども、国別のサイズデータなどのそうしたアドバイスが欲しいとか、そういったような具体的なお話もいただきまして、利用した方からはおおむね大変高い期待を持って、ほかにも何人もありましたけれども、声がありました。
 一方で、ただ区の、例えばお膝元である区の中の窓口がまだまだ、せっかくこれだけのいいセンターなのに、それほどPRが大きくはなくて、区で行っている新製品新技術開発支援事業というのがあって、それの補助対象事業に対して、いろいろとご協力をいただいているというような関係な感じで伺った点がまだもう一歩、地元自治体の協力が必要なのかなということを感じました。
 最後に、やはり我が国のものづくりの復権に向け、この産業技術研究センターは、私も見た範囲の中で判断するだけではありませんけれども、本当に重要な役割を担っているものと思っています。
 区部と多摩、それぞれの拠点において、都内全域にわたり地域の特性を踏まえた積極的な支援を展開するとともに、今申し上げましたが、地域の自治体や支援機関との連携をより強めていただいて、さらに多くの中小企業の期待に応えていただくことを期待いたしまして、私の質問といたします。

○尾崎委員 産業技術研究センターの業務実績評価について伺います。
 平成二十四年度は、技術相談や依頼試験、機器利用、それぞれの分野で過去最高の中小企業支援実績を上げたとのことですが、これらの実績についてどのように分析しているのか伺います。

○十河商工部長 産業技術研究センターでは、利用者の課題に的確に対応したきめ細かな技術相談や、高度な技術ニーズに応える先端機器の導入、積極的な広報活動などの取り組みにより、昨年度、技術相談などの実績が増加したものと考えております。

○尾崎委員 産業技術研究センターの認知度がより高まれば、利用ニーズはますます増加すると見込まれます。
 今後の人員面での体制強化が求められていると思いますが、所見を伺います。

○十河商工部長 産業技術研究センターでは、質の高い各種サービスを提供するため、必要となる職員や組織など、適切な体制を整備しております。
 なお、産業技術研究センターでは、毎年定期的に職員を採用しており、体制の充実を図っているところでございます。

○尾崎委員 業務実績評価表を見ますと、技術相談は前年度比で一七%ふえ、依頼試験は前年度比三〇%増、機器利用は三一%増と、いずれも過去最高の実績となっています。
 一方、適切な体制を整備しているといいますけれども、役員を除く人件費は、この五年間で見ると、人員一〇%増ですけれども、人件費は五%減です。体制の充実を図り、基本的研究、中小企業への技術支援に応えられるようにしていただきたいと思います。
 次に、具体的な取り組み状況として、3Dプリンターについて伺います。
 私たちも、八月末に、産業技術研究センターでの3Dプリンターの取り組み状況を視察してきました。現在、3Dプリンターによるものづくりが関心を集めています。産業技術研究センターにおいても3Dプリンターなどの設備を充実させていますが、これらの機器を活用可能な中小企業の人材育成も必要と考えますが、産業技術研究センターにおける取り組み状況を伺います。

○十河商工部長 産業技術研究センターでは、既にこれまでも3D-CADを活用した操作講習会の開催などを通しまして、中小企業に対し、高度な機器を利用できる人材の育成を支援しているところでございます。

○尾崎委員 多くの中小企業は下請頻度が高くて、みずから製品開発する機会が少ない状況です。しかし、3Dプリンターを使えば試作品づくりのコストが大幅に低減できるため、中小企業の利活用を促進することは、都内の中小企業を元気にすることにつながっていくと考えます。
 都内の商工団体からは、中小企業の費用負担の軽減、アドバイザーの設置などの要望も上がっています。現状にとどまることなく、拡充するよう要望するものです。
 3Dプリンター活用の可能性を広げるためには、製造業だけでなく、さまざまな分野の方々が交流する異業種交流を活発にすることが有効であると考えますが、産業技術研究センターにおける取り組みを伺います。

○十河商工部長 産業技術研究センターでは、異なる分野、業種の中小企業の交流を通じ、新製品の開発等につなげるための異業種交流グループを毎年立ち上げておりまして、これらのグループでは、産業技術研究センターが提供するさまざまな機器の利用が可能でございます。

○尾崎委員 今の異業種交流グループというのは、私の質問では3Dプリンターを使ってできるものの可能性、ものづくりの可能性が広がるという意味での異業種交流の状況を質問したんですけれども、例えば大田区などでは、医療分野で、患者さんに合わせたものを3Dプリンターでつくっているとのことでした。
 異業種交流を活発にして、3Dプリンターの活用の可能性を広げ、都内の中小企業が元気になるよう、先駆的な取り組みを求めます。
 3Dプリンターでの試作品づくりでは、盗作や模造品などが今後出てくると予想されます。これらの防止のためにも、知的財産の保護が重要になります。
 そこで、産業技術研究センターでは、設置した3Dプリンターの利用に当たって、知的財産の保護にどのように取り組んでいるのか伺います。

○十河商工部長 産業技術研究センターでは、3Dプリンターの利用受け付けに当たりまして、あらかじめ申請者に対し、製作物に関する詳細なヒアリングを行い、模造品など法令等に反するものを製作する場合はお断りしており、知的財産の保護に十分留意しております。

○尾崎委員 デジタル技術が普及して、3Dスキャナーなどで容易に模造品をつくることができるようになります。知的財産管理をしっかりする必要があると考えます。知的財産総合センターとも連携するとともに、知的財産保護ができるような技術支援で先駆的役割が果たせるよう求めます。
 また、3Dプリンターなどデジタル技術の進展速度は早く、ものづくり現場への変革の波が徐々に押し寄せてくるのではないかと思われます。アメリカでは、3Dプリンターの利用に当たって、超微小の浮遊粒子が肺に入ることによる健康への影響も問題にされ始めていると聞いています。先駆的に3Dプリンターの活用に取り組んできた産業技術研究センターだからこそ、研究分野として取り組むよう求めて、質問を終わります。

○中村委員 平成二十四年度の都立産業技術研究センターの業務実績報告について伺います。
 都内のものづくりを行う中小企業はそのすぐれた技術力により東京の経済を支えていますが、近年、グローバル経済のもと、新興国企業との激しい競争にさらされるなど厳しい経営状況にあります。
 この中小企業の振興を図る産業技術研究センターについて、昭島に多摩テクノプラザが設立された際に見学をさせていただき、また、今回質問に当たり、青海の本部も訪問し、見学をさせていただきました。知事が所信表明で述べていた3Dプリンターなどの機器や、相談窓口での取り組みも拝見をさせていただきました。
 私も製造メーカーで勤めていたこともありますので、実感として、ものづくりがこの国を支えているとの認識を持っています。今回本部が新たに完成したこともあり、相談や依頼試験の件数などが大幅にふえていることは高く評価しますし、今後もその取り組みを拡充させていただきたいとの趣旨で質問します。
 ものづくり企業が現状を打破し、新たな活路を切り開くには、画期的な新製品、新技術を開発することが重要です。中小企業は人や資金面での余裕がなく、研究開発に踏み出せないのが現状です。こうした中小企業の課題を解決するため、産業技術研究センターは、相談や依頼試験や機器の貸し出しなど、これまで以上に幅広く、きめの細かい支援を充実していただきたいと考えています。
 研究員や設備、機器など、みずからの資源をフル活用して支援に当たるのはもちろんのこと、地域に密着した活動を行う支援機関や市区町村などと積極的に連携を進めていくことも重要と考えます。
 この業務実績報告書によれば、産業技術研究センターは他の機関と連携協定等を締結していますが、自治体との実績では、区との協定等が七件となっているのに比べて、多摩地域においてはまだ三件にすぎません。
 高い技術を持つすぐれた中小企業が多数存在する多摩地域は、東京の産業の活力を維持向上していく上で極めて重要なエリアです。多摩地域の自治体との連携を一層強化すべきと考えますが、見解を伺います。

○十河商工部長 都内の各自治体は、地域の特性を踏まえ、地元に密着した中小企業支援を実施しており、産業技術研究センターは、これら地域における産業振興の取り組みに貢献するとともに、センターの利用促進を図るため、各自治体との連携強化に努めております。
 多摩地域にはすぐれた技術力を有する中小企業が多数集積しておりますことから、産業技術研究センターでは、これまでも多摩地域の各自治体と連携し、展示会やセミナーの共同開催、自治体による機器利用料金の助成など、幅広い取り組みを実施してまいりました。
 こうした取り組みの一環として、多摩地域の自治体の意向も踏まえつつ、必要に応じて協定の締結にも取り組んでおります。
 今後も産業技術研究センターでは、都内各自治体との幅広い連携をさらに強化し、地域の中小企業に対する支援の充実を図っていくこととしております。

○中村委員 ぜひ、多摩地域にも多くの中小企業がありますので、市町村とも連携をより強化して積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 さて、産業技術研究センターの支援業務では、技術相談や依頼試験などで大きく実績を伸ばしており、評価委員会からも、地域の中小企業に正面から向き合い、ニーズに合致した支援の充実に努め、十分な結果を出したと高い評価を得ています。
 このように着実に成果を上げているわけですけれども、より多くの中小企業にご利用いただくことは、産業振興を進めていく上で必要ではないかと考えますが、この産業技術研究センターの広報活動の取り組みについてお伺いします。

○十河商工部長 産業技術研究センターの認知度を高め、より多くの都内中小企業に利用していただくため、本部、多摩テクノプラザ及び各支所では、積極的な広報活動に取り組んでおります。
 具体的には、ホームページや機関誌による情報発信、交通機関への広告の掲出など広報媒体を使ったPRはもとより、技術テーマを絞った展示会、セミナー、相談会、あるいは施設公開の実施などにより、支援内容や研究成果をより詳しく知ってもらうような工夫をしております。
 こうした取り組みが平成二十四年度において、技術相談、依頼試験、機器利用で、過去最高の支援実績を上げた要因の一つと考えております。

○中村委員 報告書の方に書いてあったんですが、中小企業の産業技術研究センターの認知度というのも広報によって高まってきているようですけれども、まだまだ知っていれば活用できて事業の拡大につながるようなこともありますので、今後とも広報にも力を入れていただいて、より積極的に活用していただけるよう取り組んでいただきたいと思います。
 また、この産業技術研究センターが頼れる存在である理由の一つは、中小企業では導入が困難な最先端の機器を数多く整備していることが挙げられます。しかしながら、技術革新のスピードにより、機器のレベルも日進月歩で向上しています。最先端の技術の動向や中小企業のニーズを踏まえて、機器を整備する必要があると考えますが、どのように取り組んでいるのか伺います。

○十河商工部長 都内中小企業の高度な技術ニーズに対応するためには、さまざまな技術分野で最新鋭の機器を整備していく必要があります。
 このため、産業技術研究センターでは、昨年度、利用希望の多い電子顕微鏡や3Dプリンターなどを本部に増設し、高品質、高付加価値な製品づくりを行うための環境の充実を図りました。
 今後も、機動性の高い地方独立行政法人のメリットを生かし、その時々の中小企業のニーズを踏まえ、必要な機器の整備を図っていくこととしております。

○中村委員 技術の進歩は大変早いので、最新の機器もすぐに時代おくれになってしまうようにもなってきました。同時に、大変高価な機器が多いので、計画的な導入も必要です。常に情報収集を行って、企業のニーズを先取りしていけるよう、していただきたいと思います。
 次に、研究開発についてです。
 産業技術研究センターが中小企業の技術力向上や高付加価値製品の開発を効果的に支援するには、支援を行う研究員自身が技術的な知見を積み重ねていくことが必要です。そのためには研究活動を活発化させることも重要です。特に外部の研究資金の獲得を目指して、提案公募型の研究開発事業に応募することなどは、職員の能力や研究の質の向上にもつながり、効果的であると考えます。
 二十四年では六十二件の応募をし、十一件の新規採択を獲得したと評価書に記載されています。そこで、産業技術研究センターにおける研究活動への取り組み状況について伺います。

○十河商工部長 中小企業に対して質の高いサービスを提供していくためには、多くの中小企業が直面する技術課題の解決や、付加価値の高い製品づくりに役立つ研究開発を着実に進めていくことが重要であります。
 そのため、産業技術研究センターでは、中小企業の技術ニーズを踏まえ、ものづくりの基盤的技術からメカトロニクスまでの幅広い分野を対象に独自の研究を実施しております。
 さらに、こうした研究成果をもとに、お話の国などが行う提案公募事業なども積極的に活用し、研究資金の交付を受けながら、研究活動の充実を図っております。

○中村委員 企業は業績の方が厳しくなると、どうしても利益になる研究や開発にシフトする傾向がありますが、だからこそ、この産業技術研究センターとして中小企業が使えるような技術の研究開発を行っていただくよう要望します。
 次に、報告書の記載にもあった放射線量の測定について伺います。
 福島第一原子力発電所の事故以降、中小企業の工業製品の出荷に当たり、食料品だけではなくて、放射線測定の試験結果が求められることもあると聞いています。放射線濃度の監視や測定は都民生活の安全・安心の確保の上でも重要です。
 この産業技術センターでは、放射線量の測定の取り組み状況をどのように行っているのか伺います。

○十河商工部長 福島第一原子力発電所の事故の影響により、海外に広がった日本の工業製品に対する放射能の風評被害に対応するため、産業技術研究センターでは、平成二十三年四月より、製品の放射線量測定試験を実施しておりまして、平成二十四年度においては、業務実績評価書に記載のとおり、三百三十七件の依頼に対応いたしました。
 また、大気浮遊じんに含まれる放射線量測定についても毎日実施しておりまして、その結果をホームページを通じて都民に周知し、的確な情報提供に努めているところでございます。

○中村委員 この放射線量の測定なり、その時々に求められるものがありますので、柔軟な対応ということをしていただければと思います。
 ものづくりの中小企業を取り巻く環境はまだまだ厳しいものがあると感じています。そうした中で、産業技術研究センターが果たすべき役割はますます重要となっていくものと考えます。中小企業の技術課題の解決にしっかりと対応していただくことを要望して、私の質問を終わります。

○三宅委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○三宅委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。

○三宅委員長 次に、報告事項、新銀行東京の平成二十六年三月期第一・四半期決算についてに対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○澤総務部長 去る九月十二日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明を申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の経済・港湾委員会要求資料の表紙をおめくりください。
 目次にありますように、資料は全部で四項目ございます。
 一ページをお開きください。新銀行東京の融資実績で月別の件数・金額につきまして、平成二十四年四月から二十五年六月までの実績をお示ししてございます。
 ページ右下の表にお示ししたとおり、平成二十五年六月末までの累計は、実行件数が千五百六十四件、実行金額が一千百九十九億五千七百万円となっております。
 二ページをお開きください。新銀行東京の融資・保証実績で事業規模別の件数・金額(残高ベース)をお示ししてございます。
 平成二十五年六月末時点の融資と保証の合計の件数は二千七百十九件、残高は八百五十八億円となってございます。
 三ページをお開きください。新銀行東京の融資実行先における無担保・無保証融資の実績の推移でございます。
 平成二十四年度及び平成二十五年度第一・四半期におけます無担保・無保証による融資の実行件数、実行金額をお示ししてございます。
 四ページをお開きください。新銀行東京の有価証券残高とその内訳でございます。
 平成二十四年度末時点における有価証券残高とその内訳をお示ししてございます。
 以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願いを申し上げます。

○三宅委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○中村委員 ご報告いただいた平成二十六年三月期の第一・四半期決算に関連して質問します。
 今回の決算では黒字にはなっていますが、当初の目的の中小企業支援と収益の確保との両立が難しい状況というのがうかがえます。代表質問への答弁でも、まずは安定的に黒字を確保し、企業価値をさらに高めていくとのことでした。現在の中期経営計画の期間は平成二十四年度から二十六年度ですから、既に半分が過ぎ、次を検討し始める時期も来ます。
 社長が現在の中期経営計画を発表してすぐのタイミングで、マスコミに対して、二十七年度以降、店舗もふやし、本格的な拡大路線に転じると取材で答えていました。現在の計画では一店舗二百人体制を継続とあります。銀行の経営者としては拡大したいのでしょうが、リスクが伴うため、これまでの経過を踏まえると、それほど容易な話ではありません。新銀行東京の今後の業務展開について都の認識を伺います。

○黒沼金融監理部長 新銀行東京は、平成二十四年三月に策定をいたしました現在の中期経営計画に基づき、一店舗二百名体制を維持しながら、安定的な黒字体質の確立に向けまして、与信管理の徹底や経費の削減など、堅実な経営に取り組んできております。
 お話の報道につきましては、中期経営計画発表直後の社長のコメントでございまして、今後の業務展開につきましては、この中期経営計画の成果や実績などを踏まえまして、まずは経営陣が検討していくものと認識をしております。
 都といたしましては株主として、その内容を十分に検討した上で、株主連絡会等におきまして必要な意見を表明していく考えでございます。

○中村委員 中期経営計画の案は経営陣がつくるとのことですが、先ほど述べたように、少し前の取材ですが、経営陣は拡大路線を志向しているようにも見受けられます。都は議会からの指摘もあり、株主として監視をし、現在の計画でも、コストのさらなる徹底的な削減を行っているのですから、今後も厳しい目で見ていただきたいと思います。
 さて、代表質問の答弁のように、企業価値を高めるといっても、事業譲渡などでは具体的な数値目標があるわけではありません。今の企業価値でも引受先があればいいわけですが、最近では、前の知事がよくいっていたようなセカンドステージという言葉も使われなくなってきました。誰も何も動かなければ、向こうから買いますという話が来るほど簡単ではないと思いますが、新銀行東京の将来展望についての都の認識を伺います。

○黒沼金融監理部長 さきの本会議でご答弁申し上げましたとおり、新銀行東京の将来展望につきましては、さまざまな可能性も考えられますが、今はまず、中期経営計画の達成に向けて足元をしっかりと固め、経営基盤をより一層強化していくことが何よりも重要でございます。
 新銀行東京が現在の安定した黒字体質を継続して、金融機関としての企業価値をさらに高めていくこと、このことが将来のさまざまな可能性を実現していく前提になるものと考えております。

○中村委員 前の知事の急な辞任もあり、担当している産業労働局の皆様も苦労されていると思います。今の知事もオリンピックの招致で忙しかったんでしょうが、都としても、この銀行のために一つの部を存続させているのですから、多額の経費もかかり続けています。
 都がこれ以上リスクを負い、都民に負担が来ることのないよう、慎重かつ迅速な対応を求めて質問を終わります。

○三宅委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○三宅委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で産業労働局関係を終わります。

○三宅委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日まで決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○三宅委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○三宅委員長 次に、本委員会の今後の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。

○三宅委員長 この際、所管四局を代表いたしまして、多羅尾港湾局長から発言を求められておりますので、これを許します。

○多羅尾港湾局長 本委員会所管四局を代表いたしまして一言御礼のご挨拶を申し上げます。
 三宅正彦委員長を初め委員の皆様方には、本定例会にご提案いたしました議案等につきまして、熱心なご審議を賜り、まことにありがとうございました。
 ご審議の過程で賜りました貴重なご意見、ご指導につきましては、十分に尊重させていただき、今後の事務事業の執行に万全を期してまいります。
 今後とも、所管四局に対しまして、より一層のご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げて、御礼のご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

○三宅委員長 発言は終わりました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時四十九分散会

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