経済・港湾委員会速記録第四号

平成二十五年三月十九日(火曜日)
第八委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長伊藤 ゆう君
副委員長島田 幸成君
副委員長三宅 正彦君
理事伊藤こういち君
理事宇田川聡史君
理事大西さとる君
佐藤 広典君
斉藤やすひろ君
田の上いくこ君
しのづか元君
鈴木あきまさ君
田島 和明君
清水ひで子君
木内 良明君

欠席委員 なし

出席説明員
産業労働局局長中西  充君
次長保坂 政彦君
総務部長斎藤 真人君
産業企画担当部長矢田部裕文君
商工部長河内  豊君
金融部長寺崎 久明君
金融監理部長黒沼  靖君
金融支援担当部長片山  謙君
観光部長十河 慎一君
農林水産部長津国 保夫君
安全安心・地産地消推進担当部長武田 直克君
雇用就業部長穂岐山晴彦君
事業推進担当部長戸澤  互君
労働委員会事務局局長岳野 尚代君

本日の会議に付した事件
労働委員会事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十五年度東京都一般会計予算中、歳出 労働委員会事務局所管分付託議案の審査(質疑)
・第百三号議案 東京都労働委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
産業労働局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十五年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為 産業労働局所管分
・第七号議案 平成二十五年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
・第八号議案 平成二十五年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計予算
・第九号議案 平成二十五年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第九十八号議案 東京都立職業能力開発センター条例の一部を改正する条例
・第九十九号議案 東京都産業労働局関係手数料条例の一部を改正する条例
・第百号議案   東京海区漁業調整委員会委員及び東京都内水面漁場管理委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
報告事項(質疑)
・東京都雇用・就業対策審議会の答申について
・新銀行東京の「平成二十五年三月期第三・四半期決算」について

○伊藤(ゆ)委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、労働委員会事務局及び産業労働局関係の予算の調査及び付託議案の審査並びに産業労働局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより労働委員会事務局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、平成二十五年度東京都一般会計予算中、歳出、労働委員会事務局所管分及び第百三号議案を一括して議題といたします。
 本件については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○伊藤(ゆ)委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○伊藤(ゆ)委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑はいずれも終了いたしました。
 以上で労働委員会事務局関係を終わります。

○伊藤(ゆ)委員長 これより産業労働局関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、平成二十五年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、産業労働局所管分、第七号議案から第九号議案まで及び第九十八号議案から第百号議案まで並びに報告事項、東京都雇用・就業対策審議会の答申について外一件を一括して議題といたします。
 本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○斎藤総務部長 去る二月十四日の当委員会でご要求いただきました資料につきましてご説明を申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の経済・港湾委員会要求資料の表紙をおめくりください。
 資料は全部で十七項目ございます。
 一ページをお開きください。このページから三ページにかけまして、中小企業対策、農林水産対策、雇用就業対策の過去十年間の予算額、決算額の推移をそれぞれお示ししてございます。
 なお、雇用就業対策につきましては、内訳として国基金事業関係費を別記してございます。
 次に、四ページをお開きください。従業者規模別都内製造業の推移につきまして、公表されております統計データのうち、直近の平成二十年までのデータをお示ししてございます。
 五ページをお開きください。都内小規模小売店の推移につきまして、公表されております統計データのうち、直近の平成十九年までのデータをお示ししてございます。
 六ページをお開きください。平成二十二年度から平成二十四年度までの商店街振興施策の利用状況を事業別にお示ししてございます。
 七ページをお開きください。新・元気を出せ商店街事業における平成十七年度以降の実績を内容別にお示ししてございます。
 八ページをお開きください。買物弱者支援モデル事業における今年度の取り組み状況をお示ししてございます。
 九ページをお開きください。過去十年間の都内労働者の賃金の推移をお示ししてございます。
 一〇ページをお開きください。派遣労働者数の推移及び都内における派遣労働者の雇いどめ等の状況をお示ししてございます。
 1に全国と東京都内の派遣労働者数の推移を、また、2に東京都内における派遣労働者の雇いどめ等の状況をお示ししてございます。
 一一ページをお開きください。全国と東京都内の派遣元事業所数、労働者数、一般派遣事業・特定派遣事業別の賃金の推移をお示ししてございます。
 一二ページをお開きください。過去五年間の都立職業能力開発センターの応募状況と職業紹介実績、就職率をお示ししてございます。
 一二ページが応募状況、一三ページが職業紹介の実績及び就職率でございます。
 一四ページをお開きください。都立職業能力開発センター、校別・科目別応募倍率をお示ししてございます。
 一五ページをお開きください。都立職業能力開発センターにおける能力開発訓練(普通課程)の授業料収入をお示ししてございます。
 一六ページをお開きください。委託訓練の科目委託先の定員、応募状況、就職率の推移をお示ししてございます。
 一七ページをお開きください。平成二十三年度における若年者就労支援事業の内容と実績について、1にしごとセンター事業における若年者の雇用就業支援を、2に若者ジョブマッチング事業を、3に未就職卒業者緊急就職サポート事業をそれぞれお示ししてございます。
 一八ページをお開きください。過去十年間の東京の農地面積の推移をお示ししてございます。
 以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○伊藤(ゆ)委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○田の上委員 中小企業障害者雇用支援助成金は、障害者を雇用し、国の特定求職者雇用開発助成金の支給を受け、支給対象期間が満了となった後も引き続き雇用を継続する事業主であることを要件として支給される制度でございます。しかしながら、時限の制度であることから、その延長については、私は一年以上前から何度も質問をさせていただいております。
 このたび、三月の期限終了後も五年間の助成金制度延長を決定していただき、ありがとうございます。障害者雇用の今後の見通しが見えてきたことに改めて期待をするものです。
 今回、この制度を五年間延長した理由を、まず伺います。
 また、この制度の過去の実績についても、あわせて教えてください。

○穂岐山雇用就業部長 都では、都内中小企業における障害者の定着を支援するため、国の特定求職者雇用開発助成金の支給終了後二年間、中小企業に対する都独自の助成金を支給しておりますが、今年度末をもって事業を終了することとされておりました。
 しかし、法定雇用率未達成の中小企業が多い現状にあって、本年四月には法定雇用率が二%に引き上げられます。
 また、雇用率未達成企業から納付金を徴収する制度の対象が平成二十七年度から拡大されるため、同年度中に障害者を雇い入れた企業に対する国助成金の最長支給終了期間に合わせまして、都の助成金を五年間延長することといたしました。
 なお、支給決定件数の実績につきましては、事業開始年度である二十年度は四十六件、二十一年度は二百四十九件、二十二年度は三百三件、二十三年度は二百六十四件となってございます。

○田の上委員 中小企業に対する法定雇用率も含めて二%に引き上げられる等、障害者雇用に関する制度改正が行われる中で助成金制度を五年間延長されたということは評価をいたします。
 実績を伺ったところ、平成二十年十二月に特定求職者雇用開発助成金の支給期間が半年間延長になったため、二年ほどの支給期間と申請に要する期間を経た二十三年度の事業実績が半年分少なくなっているということでございますが、それでも二百六十四件ということで、利用数はこの数年で増加傾向にあるといってもよいと思います。しかしながら、実際に障害者雇用を積極的に行っている企業の方々からさまざまな改善の要望もいただいているところです。
 私はこれまで、制度の延長に加え、助成期間や助成対象となる企業規模についても要望をしてまいりました。今後、社会的要請の高い障害者雇用において、企業側からの意見も踏まえて課題を克服することが必要です。障害者のより長い継続雇用の支援のため、実態に応じた利用しやすい制度となるよう、引き続き見直しを行っていただきたいと要望をいたします。
 障害者雇用の状況をかんがみますと、年々、雇用者は増加していますが、割合では身体障害者が依然として多く、知的障害、精神障害と続きます。
 予算特別委員会でも、我が会派から精神障害者の雇用について質問をいたしましたが、厚生労働省が平成二十四年十一月に発表した平成二十四年障害者雇用の集計結果によると、平成二十四年六月一日現在の雇用されている精神障害者の数は前年比二七・五%増、東京都では二五・八%増となっています。
 今後、さらに雇用者数はふえるものと考えますが、精神障害者の義務化に向けましては、精神障害者保健福祉手帳に基づく障害認定が基本となります。しかしながら、実際は障害認定を受けていない人もたくさんいると思われますが、今後、どのように精神障害者の就業を支援していくのでしょうか。
 あわせて、企業での精神障害者の雇用について、理解促進のためにどのような取り組みを行っていくのか伺います。

○穂岐山雇用就業部長 都では、手帳を所持しておらず、実雇用率の算定対象とならない精神障害者につきましても、本人の希望と状況を把握した上で、就業に関する適切な情報提供を行うほか、民間教育訓練機関等を活用した職業訓練や、東京ジョブコーチによるきめ細かな定着支援を行っております。
 また、精神障害者など障害種別に応じまして、雇用管理の際の留意事項等をまとめましたハンドブックの作成、配布やセミナー等の実施により、企業に対しまして障害者雇用に関する普及啓発を行っております。
 こうした取り組みを通じまして、精神障害者の雇用を促進してまいります。

○田の上委員 まだ義務化されていない中ではありますが、障害認定を受けていないと、カウントされず、就職に不利になるということも考えられます。
 本来は社会的に受け入れをしていくことが大切ですが、平成二十年の中小企業における障害者雇用の促進及び安定支援に関する研究調査によると、障害者を雇用する理由は、企業としての責任、義務が五〇・八%である一方、法定雇用率を満たすためが三八・七%、障害者の雇用は経営上メリットがあるためが二・一%となっています。
 経営者の理解、職場の理解がなければ、義務化だけが理由で雇用をすることになってしまいがちです。広く理解、促進に向けての取り組みをお願いいたします。
 精神障害者の雇用は、新卒ばかりではありません。社会に出てから精神障害を患った方もたくさんいます。病気休暇などで対応することができて、もとの職場に復帰できるケースもございますが、中には、退職をしてしまったため次の仕事につくことが難しいケースも多々見られます。
 このような、一たん離職し、再就職をしようとしている方に対して、どのような対策をされているのか伺います。

○穂岐山雇用就業部長 都は、企業での就労体験や障害の種別を問わず、障害者の雇用を促進するため、東京しごと財団を通じ就職活動のノウハウを習得するためのセミナーを行うほか、職場見学会や企業合同説明会等を実施してございます。
 こうした取り組みを通じまして、再就職を希望する障害者の就業を支援してまいります。

○田の上委員 地域で相談を受けている立場といたしましては、子どものころから何らかの障害を患ってきた方とは異なる後発的な精神障害の場合、どこに相談してよいかもわからない、ましてや就労についての相談機関がわからないという方が多いように感じております。例えば、メンタルヘルスの労働相談の場で、就職相談についての情報提供も必要と考えます。
 今後も、広く情報提供ができるようご努力をお願いいたします。
 東京都雇用・就業対策審議会の答申が発表されました。私も委員として審議に加わることができ、また、意見を述べる機会を得たことに感謝しております。
 答申では、障害者の就業に関しても記述があります。答申の内容を事業化するに当たっては、福祉保健局などの関係部局や関係機関と連携していくことも必要と考えますが、ご見解を伺います。

○穂岐山雇用就業部長 障害者雇用を促進するためには、関係機関等と連携を図りながら取り組みの実効性を高めることが重要であります。
 このため、産業労働局では、経済団体、企業、庁内の関係部局等から構成される東京都障害者就労支援協議会を開催し、障害者雇用の促進に向けた取り組みを行ってございます。
 また、福祉保健局及び教育庁とも連携し、企業向けセミナーを開催しております。
 東京都雇用・就業対策審議会の答申を踏まえた取り組みにつきましても、必要に応じて、東京都障害者就労支援協議会の場などを通じ関係機関等とも連携し、効果的な障害者の雇用促進を図ってまいります。

○田の上委員 例えば、私は以前より教育庁に質問もしているのですけれども、特別支援学校のみならず、都立学校に数多く在籍する発達障害の生徒に対して特別支援教育をどのように行っていくのかという課題がございます。
 特別支援学校だけでなく、普通校に通う生徒や保護者にどのように、今度は就業に関する情報提供をしていくのかという課題も出てまいります。ぜひ関係部局や機関との密な連携をしていただきたいと要望をいたします。
 近年の障害者雇用は、障害者雇用促進法の見直しや障害者保護から自立への転換という考え方、社会で暮らす一人としてのノーマライゼーション、障害者権利の考え方などを要因として変化をしてまいりました。そして、従来の身体障害、知的障害から、雇用対象として精神障害、発達障害が含まれてきました。
 時代の要請に合わせて、制度の見直しは都度必要です。答申だけにとどまらず、また、延長するだけの制度ではなく、現状に応じた行政サービスの提供を目指して今後とも鋭意取り組んでいただきたいと強く要望をさせていただきまして、質問を終わります。

○鈴木委員 私の方からは、まず、中小企業の資金繰り支援についてお伺いをさせていただきます。
 リーマンショック後の平成二十一年十二月に施行をされまして、二度の延長が繰り返されてきた中小企業金融円滑化法が、間もなくその期限を迎えようとしております。
 私も、過日の一般質問の中でこの問題を取り上げまして、中西産業労働局長から、激変緩和措置として独自の融資制度を新設する考えをお示しいただいたところでございますけれども、実際に私の地元でも、なかなか、この金融円滑化法の終了で、どうしたらいいんだろうかというようなご相談をいただくことが多々出てまいりました。
 そういうことを前提としてお伺いをしたいわけなんですが、都の推計では、借り入れ条件を変更している中小企業の数は約三万社に上るということでございますが、こうした企業は厳しい経営環境の中で、今でもやっとのことで資金繰りを乗り切っているのが現状でございます。
 今も申し上げましたように、板金、溶接等々で四十三年の業歴がある、なかなか基盤技術産業として頑張っている地元の中小企業なんですけれども、ことしに入ってから金融機関に借り入れ条件の変更を申し込んだが、以前は一年間の条件変更ができたのに、今回は三月までの変更にしか応じてくれなかったということでした。こういった話を聞いているわけなんですが、経営者の方々は、資金繰りへの影響に対する懸念を本当にぬぐい去れないんじゃないかと思っているんです。
 東京都では、円滑化法の終了に伴う影響について、企業に対してヒアリング調査などを独自に行っているということを伺っておりますが、具体的にどのような声が聞かれているのか、その点をまずお伺いしたいと思います。

○寺崎金融部長 都では、本年一月から二月にかけまして、借り入れ条件を変更中の企業二十社を訪問し、資金繰りの実態に関するヒアリング調査を実施いたしました。
 このうち、約三分の一の企業では、この三月末に金融円滑化法が終了する中でも金融機関の対応に大きな変化は感じられないとのことでしたが、その他の企業におきましては、今後の資金繰りなどに何らかの懸念を抱いているところが多い状況でございました。
 例を挙げますと、リサイクル業を営む企業からは、計画に基づいて経営改善を進め、売り上げも増加してきたが、今後、条件変更が認められなかったら返済負担の増加には耐えられないですとか、情報通信業を営む企業からは、法の終了後には返済額の増額を求められる可能性が高くなっており、対応できるか不安だとの声がありましたほか、ただいま委員のお話にあったようなケースといたしましては、レンタル業を営む企業から、これまでは返済期間の延長を一年単位で認めてくれたが、今後は半年ごとの延長更新になるといわれたというような話がございました。

○鈴木委員 ただいまの答弁で、条件変更中の中小企業の生の声をご紹介いただいたわけですけれども、多くの事業者の方が、今後の返済負担の増加など、法の終了に伴う資金繰りへの影響にさまざまな不安を抱いているということがよくわかると思います。
 経営を立て直そうと頑張っている中小企業の真摯な努力が法の終了によって水を差されるようなことは、何としても避けなければなりません。そのためには、企業の取り組みを資金面からしっかりと支えていくことが必要でございます。
 そうした中で、東京都は当面の資金繰りの確保に力を発揮する特別借りかえ融資を実施することとして、さらに我が党の強い要望にこたえて、いち早く今月から取り扱いを開始したわけでございます。この融資の具体的なメリットについては、既に本会議において私が質問をし、条件変更中の企業の資金繰り改善に大いに役立つ内容であることはよくわかりました。
 この特別借りかえ融資の取り扱い開始から二週間ほどたったわけでございますが、現在の利用の状況はどのようになっているのか、お伺いをいたします。

○寺崎金融部長 特別借りかえ融資の実施に当たりましては、制度融資の取扱金融機関を対象とする説明会を速やかに開催し、借入残高の範囲内で限度額を設けずにすべての保証つき融資を一本化できますことや、新たに元金返済の据え置き期間を設けますこと、小規模の企業に対しましては保証料の二分の一を補助することなど、本制度の特色やメリットを周知するとともに、積極的な活用についての協力要請を行いました。
 制度開始後、都の金融相談窓口には中小企業や金融機関から多くの問い合わせが寄せられておりまして、既に融資実行案件も出ております。
 融資実行案件の中には、借り入れ条件を変更中の企業が複数の金融機関からの借入金を一つの金融機関にまとめ、返済期間を本制度で最長の十年とし、月々の返済負担を軽減することができたという事例がございます。
 引き続き、金融機関の協力を得ながら本融資の利用の促進に努め、経営改善に取り組む中小企業の資金繰りを支援してまいります。

○鈴木委員 この特別借りかえ融資の実績が早速出てきているということですので、今後も活用に向けた一層の努力をぜひお願いをしておきたいというふうに思います。
 制度融資についてお伺いしましたが、東京都には、信用金庫や信用組合などの地域に根差した金融機関と連携した都独自の保証つき融資というのがあります。これをもっともっと生かしていかなきゃいけないのじゃないかなと思っているんです。
 中小企業にとって、制度融資を補完する資金調達の手段があることは大変ありがたいことです。私は、本制度がより利用しやすい制度となり活用が進むよう、これまでさまざまな要望をしてきたところですが、円滑化法の終了の影響を受ける中小企業のために、さらなる支援の充実を図るべきです。そのように考えています。
 こうした観点から、我が党としても、さきの予算特別委員会で質疑においても、新保証つき融資も効果的に活用した万全の対策をとっていただくよう要望をしたところでございます。
 そこで、この円滑化法の終了に当たり、新保証つき融資ではどのような取り組みを行うのか、その点をお伺いさせていただきます。

○寺崎金融部長 円滑化法終了に伴う対応として、地域の金融機関と連携した新保証つき融資におきましても、中小企業の資金繰り支援の充実を図ってまいります。
 まず、昨年十月から今年度末まで実施しております保証料率の上限を引き下げる特別措置を四月からさらに半年間延長することといたしまして、引き続き利用者の負担軽減を図ってまいります。
 さらに、制度融資メニューである経営力強化融資を利用して経営改善に取り組む企業が、それだけでは十分な資金調達ができず新保証つき融資を利用する場合には、取扱金融機関の協力を得まして融資利率を〇・三%引き下げる特別措置を新たに実施いたします。
 また、金融機関につきましては、今年度新たに二行が取り扱いを開始しておりますが、四月から信用金庫一行が加わる予定でございまして、合計で二十二の金融機関で本融資を利用することができるようになります。
 引き続き、本制度の利便性向上を図るとともに、地域の金融機関との連携を強化いたしまして、厳しい経営環境にある中小企業の資金繰りを着実に支援してまいります。

○鈴木委員 今、この新保証つき融資、一行加わり合計で二十二の金融機関で利用できるようになったという答弁がございましたけれども、こういう厳しい状況の中、有効な一つの中小企業にとっての救いの施策に、今後ますます充実したものになってもらえるように、ぜひ信用組合や信用金庫からも、資金繰りに大変不安のある中小企業にしっかりとした説明、案内も充実をしていただきたいと、このように要望をしておきたいと思います。
 それでは、次に、中小企業の海外展開支援についてお伺いをさせていただきます。
 まず、知財戦略導入支援事業ですが、我が地元の大田区には、ミクロより小さなナノメートルサイズという極めて微細な粉をつくる機械を製造する中小企業がありますが、この微細な技術は世界でも数少なく、医療や食品などの幅広い分野で注目をされております。
 この会社は、その技術をもとに、アメリカやヨーロッパを初め、国内外で百件以上の特許や商標などの知的財産の権利を取得して、現在、国内外で三十六件出願中ということですけれども、自社で販売するだけでなく、海外企業へ技術供与を行って、大きな収益を上げているというふうに伺っております。
 経済のグローバル化が進み、厳しい海外市場での競争を勝ち抜いていくためには、知的財産の戦略はますます重要となっております。この大田区の中小企業のように、すぐれた技術でしっかりと特許や商標などを取得していれば、自社の技術やブランドを守るとともに、外国企業を相手にビジネスを優位に進めていくことが可能となるわけでございます。
 予算特別委員会では、中小企業が世界規模で幅広い事業展開を行うための知的財産の支援策を新たに立ち上げるとの答弁がありました。卓越した技術を持つ中小企業が海外で大きく飛躍していくために、都の新たな支援策には期待をしておりますが、その具体的な支援の内容について、ぜひお伺いしたいと思います。

○河内商工部長 都は新年度から、知的財産総合センターにおきまして、国際的に広く通用する技術を持つ中小企業を対象として、幅広い事業展開を知的財産面からサポートするための新たな支援策を開始いたします。
 具体的には、高い技術があっても財務基盤の脆弱な中小企業にとっては、多数の国や地域での知的財産の取得や維持は資金面で大きな負担となることから、複数の国での知的財産権の取得や維持管理に要する経費の半分について、一千万円を限度に三カ年にわたり一体的に助成いたします。
 あわせて、海外でビジネスを有利に進めていく上では、取得した知的財産の権利をもとに競合他社の参入を阻止するなどの戦略を策定することも必要であることから、センターのアドバイザーが効果的に知的財産戦略の策定を支援いたします。
 こうした取り組みにより、すぐれた技術を有する中小企業の国際的な事業展開を着実に支援し、東京の産業競争力の向上につなげてまいります。

○鈴木委員 海外での知的財産をめぐる競争はますます激しくなっております。ぜひともしっかりとしたバックアップをお願いしておきたいと思います。
 次に、海外展開技術支援助成事業についてお伺いをさせていただきます。
 海外展開を図る中小企業にとっては、製品に係る基準や規制への対応も大きな障壁となります。
 例えば、ヨーロッパでは人体に影響のある化学物質への規制は日本以上に厳しく、しかもその対応の仕組みや基準を示した規格書は内容が複雑で、自分の製品がどの区分に該当して、どの基準をクリアすればよいのかというのが容易にはわからないということも聞いております。
 また、一つの部品で何種類もの評価を受けなければならないケースもあり、そのための試験や改良にかかわる費用負担も大きくて、すぐれた製品をもってしても、すぐには海外で流通できないとのことです。
 技術革新の競争は激しくスピードが勝負の時代に、こうした課題を抱える中小企業が海外市場でおくれをとることは致命的となるわけです。さきの本会議では、海外規格を満たすための製品改良などの経費の助成を開始するとの答弁があったわけですが、海外規格の適合に向けた支援の具体的な内容についてもお伺いをしておきたいと思います。

○河内商工部長 製品に対する基準や規格は、世界共通のものから各国独自のものまでさまざまに存在いたしまして、中小企業が海外で製品を流通させるためにはそうした諸外国の規制に適合することが不可欠であり、そのための支援は重要でございます。
 都では、昨年十月、都立産業技術研究センター内に開設しました広域首都圏輸出製品技術支援センターにおいて、海外規格に精通した専門相談員による情報提供や相談サービスを行うとともに、海外規格に対応した性能評価試験や設計サポートなどを実施しております。
 これらの支援に加え、新年度は同センターにおいて、海外市場参入を検討する企業向けの海外規格セミナーなどの普及啓発活動を幅広く展開してまいります。
 さらに、例えば電気機器などをEU諸国で販売するためには、安全規格であるCEマークを取得する必要がありますが、こうした規格に適合させるための費用負担を軽減するため、中小企業振興公社におきまして、海外向けの製品改良や試験評価、認証取得などの経費の半分について、五百万円を限度に助成する海外展開技術支援助成事業を新たに開始いたします。
 こうした取り組みを多面的に展開し、中小企業の海外展開を技術面から的確に支援してまいります。

○鈴木委員 ぜひこうした事業で中小企業が海外でのチャンスを大きく広げて、東京の産業を牽引するようなリーダーとなる企業をぜひ東京都が育てていただきたい、そんなふうにも期待をしているところでございます。
 さて、次に、外国人旅行者の誘致に向けた取り組み、観光プロモーション事業についてお伺いをさせていただきます。
 国連の専門機関である世界観光機関によれば、全世界の旅行者数は、今後二十年間で現在の約二倍の十八億人になるというふうに予想されておりまして、その増加分の約三分の一に当たる三億人が北東、東南アジアの旅行者によるものということなんです。
 二月十三日の日経マーケティングジャーナルの報道によりますと、最近、日本の百貨店協会が、タイからの旅行者を顧客に取り組むために、現地の旅行会社を対象に商品やサービスなどを展開する説明会を開催したということなんです。今や、さまざまな業界がアジアからの外国人観光客をターゲットとして顧客開拓に取り組み始めており、観光産業のすそ野も確実に広がっていると考えます。
 さらに最近は、LCC、いわゆる格安航空会社の参入によって、アジアの人々にとって日本への旅行がさらに身近になるなど、旅行者の誘致を図る上で好機が続いているというふうにもいっていいんじゃないかと思うんです。
 一方で、世界の旅行者の旅行形態も多様化をしておりまして、団体ツアーによる観光ルートでは飽き足りずに、自分のスタイルというものを重視して、バックパッキングなどを背負ってまち歩きをしながら楽しむ個人旅行が主流となっていると、こんなふうにもいわれています。
 東京でも、以前は余り姿を見なかった身近な商店街や居酒屋などで外国人の旅行者を見かけるようになりました。私の地元の蒲田なんかでも、本当に焼き鳥屋に気軽に、今いったようなバックパッキング姿の旅行者と思われるような人がカウンター越しに焼き鳥を食べるような姿を見かけることがあります。これは、より深く東京の魅力に触れてみたいというふうに考える外国人旅行者が本当にふえているんじゃないかな、こんなふうに思っているところでございます。
 このように、アジア地域での旅行者数の拡大や個人で旅行を楽しむ海外旅行者の増加など、観光を取り巻く状況は大きく変化をいたしております。
 そこで、外国人旅行者のさらなる誘致に向けて、東京都は、こうした世界の旅行動向を見据えた効果的な施策展開を図るべきではないかというふうに考えるわけなんですが、今後の取り組みについてお伺いをさせてください。

○十河観光部長 ご指摘のように、アジア地域を中心とした旅行者数の拡大や個人で旅行する海外旅行者の増加など、近年、観光を取り巻く環境は大きく変化しております。
 そこで都は、新年度から、高い経済成長を背景に、旅行者の増加が特に期待できるインドネシアなど東南アジアの地域を新たに観光プロモーションの対象に加えまして、現地の旅行事業者とアジアからの誘客に取り組む東京の民間事業者との商談会を実施するなど、訪都旅行の拡大に向け、官民一体となった取り組みを開始いたします。
 また、東京は豊かな食やファッション、脈々と受け継がれた伝統文化など、個人で訪れる旅行者のさまざまなニーズにこたえる多彩な魅力にあふれております。
 個人旅行を好む外国人にこうした魅力を効果的に伝えるために、新年度は、旅行商品を直接個人に販売する海外の旅行事業者に対してセミナーを開催するほか、海外のウエブサイトとも連携し、現地で広く一般市民に東京の観光情報を提供してまいります。さらに、フェイスブックとツイッターを積極的に活用し、東京のきめ細かい情報を海外の人々に向けて直接発信するなど、個人旅行者の誘致に向けた取り組みを強化してまいります。
 今後も、世界の旅行動向を的確にとらえたプロモーションを展開し、外国人旅行者の誘致をさらに進めてまいります。

○鈴木委員 世界の旅行者を取り巻く状況の大きな変化に的確に対応して、観光都市東京の存在感を世界にアピールして、激化する海外主要都市との誘致競争を勝ち抜くための戦略的な取り組みをぜひ進めていただきたいと、このようにお願いをしておきたいと思います。
 さて、次に、紹介予定派遣制度を活用した若年者就業対策、若年者緊急就職サポート事業についてもお伺いをしておきたいと思います。
 この事業は、安定した職を求める若者を一人一人の状況に応じてきめ細かく支援するもので、非常に地道で大変な事業だというふうに思っております。この事業を通じてすべての若者を支援できるわけではないわけですが、さまざまな工夫を凝らして、限られた資源で最大限の効果を上げることが、これはもう大事だと、重要だと思うんです。
 こうした問題意識を持って、私は昨年十一月の経済・港湾委員会で、未就職卒業者緊急就職サポート事業について、よく検証しながら、所要の見直しを行った上で再構築をしてやりましょうよという提案もさせていただきました。
 来年度から新たに実施する若年者緊急就職サポート事業は、予算額だけ見れば今年度よりちょっと少なくなっているのですけれども、若者を取り巻く就職環境が依然として厳しい中で、東京都においては施策のレベルアップを図るべく尽力をされていると、私はそのように理解をしているんです。
 効率性を高めて、支援規模だけではなくてサービス水準という質の面でも充実、向上させるためには、既存事業を検証して、課題を明らかにした上で見直しにつなげていくことが不可欠であると考えているわけです。
 そこでまず、検証の結果、どのような課題が判明をしたのか、その辺についてお伺いをしたいと思います。

○穂岐山雇用就業部長 紹介予定派遣制度を活用いたしました若年者就業支援事業は、都から委託を受けた民間事業者が若年求職者を雇用し、正社員就職に必要な知識等を身につける研修を実施した上で、正規雇用化を見据えて都内中小企業での就労体験を行うものでございます。
 既存事業では、研修と並行しながら就労体験先を決定し、その後、中小企業での就労体験に移行してまいりました。
 これまでは、若年求職者は、プログラム参加当初に派遣元となる民間受託事業者と有期雇用契約を締結していたため、プログラムの終了時期が決まっており、就労体験先の決定がおくれた場合、その分、就労体験期間が短くなるという課題がございました。

○鈴木委員 検証自体は大事ですが、それだけでは意味がないわけです。検証の結果、判明した課題をどう生かしていくのか、事業にその点を加えていくのかという視点が不可欠なわけでございます。
 そこで、若年者緊急就職サポート事業の実効性を高めるために、既存事業の検証結果をどう生かしてこのたび見直しを行ったのか、その辺についてお伺いをしたいと思います。

○穂岐山雇用就業部長 今回の見直しに伴いまして、来年度は、就労体験先を決定してから有期雇用契約を締結することといたしました。これにより、就労体験先が決定したすべての若年求職者には十分な就労体験期間が確保されるため、企業理解が促進されるとともに、受け入れ先の企業も十分に適性を見きわめた上で採用の可否を判断することができます。
 また、研修につきましては、就労体験先決定後に派遣前研修を行うとともに、就労体験と並行して実施することといたしました。これにより、派遣前研修につきましては、業種、職種に応じたより実践的な内容とするとともに、就労体験期間中にも並行して研修を行うことにより、参加者の状況を把握しながら適宜フォローしていくことが可能となります。
 さらに、雇用期間自体が短縮されたことによりまして、所要経費を縮減することが可能となりました。
 こうした取り組みを通じまして、事業の実効性と効率性の両立を図ることができたと考えてございます。

○鈴木委員 二十四年度の若年者正規雇用プログラムや未就職卒業者緊急就職サポート事業では、まず若年者と雇用契約を結んでから研修とマッチングをしていたという流れなんですけれども、二十五年度に行う若年者緊急就職サポート事業においては、マッチング成立時に若年者と雇用契約を結ぶという、そこがみそということになっているんだと思います。
 若年者がどんな職を求めているか、また、自分に向いているか、つまりマッチング支援期間中は無給なわけですけれども、ベストマッチしたときに雇用契約をして就労体験や派遣研修をした方が、正直いって、よくいわれているような三年以内にやめる方が多いということも、ある程度それで対応できるんじゃないのかなというように私も評価をしたいと思っております。
 いずれにしましても、今、答弁をいただきましたが、事業の実効性は、金額の大小だけで判断するのではなくて中身をよく見きわめた上で評価しなければならないと思います。そういう意味で、今回、私の提言をしっかりと受けとめていただいて、所要の見直しが行われたものだというふうに評価をさせていただきたいと思います。
 事業の実効性と効率性の両立は非常に難しい課題ですが、今後とも不断に見直しを行って、若年者就業対策を充実していただきますように強く要望させていただきまして、次の質問に移らせていただきます。
 次に、中小企業における若者の、今も申し上げました課題があるわけなんですけれども、早期離職対策について、この点も触れておきたいと思います。
 中小企業にとって最大の経営資源は人材であり、有為な人材を確保し、中核人材として育成していくことは経営戦略上の重要課題であります。
 しかし、大卒者の就職後三年以内の離職率は約三割というふうに、いまだに高どまりをしているんです。中小企業にとって若者の早期離職は、採用経費などのコスト面でマイナスとなるだけではなくて、戦力不足を初めとして、事業運営面でも大変問題があるわけです。
 早期離職を防止するためには人材育成の取り組みが重要ですが、企業規模が小さくなればなるほど、若者を教育、指導する人材やノウハウが不足しているのが現実ですよね。体制面での課題もあるわけです。
 こうした中小企業の実態を踏まえて、都としては若者の早期離職対策を講じていくべきだと考えているわけなんですが、その点、どのようにお考えになっているのか見解を伺います。

○穂岐山雇用就業部長 早期離職対策は、中小企業にとって事業運営に必要な人材を確保する上で重要な課題でございます。
 このため、都は、新年度から就職後三年以内の若者を対象とした職場定着支援事業を新たに開始します。
 本事業では、企業内での事例を用いた実践的なグループワーク等のプログラムを東京しごとセンターで実施し、若者の働き続ける力を醸成いたします。
 また、受講者が同プログラムの成果を職場で十分発揮できるよう、しごとセンターと中小企業との間で、随時支援内容の共有化を図ります。これにより、企業が関与する仕組みを取り入れるとともに、プログラム終了後も職場での効果的なOJTの実施を促します。
 こうした取り組みを通じまして、若者の職場定着を効果的に支援してまいります。

○鈴木委員 今、答弁いただいたように、若年者の職場定着支援事業は、事業規模が小さい企業には大変有効な対策だと考えております。若者自身が職場への適応性を高めて、働き続ける力をしっかりと身につけていくことはもちろん必要なわけですけれども、本来的には、若者が実際に働いている中小企業において、目的意識を持って指導育成が行われることが職場定着支援事業の実効性を担保する上で大変重要であると思っております。
 ただいまの答弁のとおり、プログラムの成果が中小企業の人材育成の仕組みに反映されるようにすることが、この事業にとっては不可欠であると思います。こうした点をしっかり踏まえて、事業効果を最大限高めていただきますよう要望しまして、次の質問をさせていただきたいと思います。
 前回の質問でも述べさせていただきましたが、昨年末に自民党の安倍新政権が誕生して、決断し実行する政治と、明確でスピード感のある政策は都民からも大きな期待が寄せられているものだと考えます。ようやく希望の光がともされつつあるなと、この機をとらえて、東京に活力をよみがえらせるためには、中小企業対策から観光振興、雇用就業対策など、都庁でも幅広い分野を所管している、都内事業者や都民に身近な存在でもある産業労働局が果たすべき役割というものは、ますます大きく、また注目が集まっていると考えております。
 重責を担っている産業労働局には、今も申し上げましたように、施策の充実といったものもしながら、今まで以上に知恵を出して、汗をかいて、事業者、都民のために奮闘していただくことを期待させていただきたいと思います。
 そこで、最後ですけれども、局長の今後の決意というものをお伺いさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

○中西産業労働局長 先週公表されました国の月例経済報告によりますと、景気の基調判断が三カ月連続で上方修正されるなど、明るい兆しが見え始めております。しかしながら、長期にわたるデフレの影響による売り上げの減少など、中小企業の経営は依然として厳しく、楽観視できない状況にございます。
 中小企業などの事業者に活力を呼び戻すとともに、雇用就業を推進するためには東京の持つポテンシャルを最大限生かして都内産業を発展に導くと同時に、きめ細かな支援を充実させていくことが必要でございます。
 委員からお話がございました円滑化法終了への対応や海外展開支援、外国人観光客の誘致、若者の就業促進などはそれぞれ重要な課題でございます。当局所管の各分野におきまして、将来を見据えた積極的な施策を構築し、来年度予算案に盛り込んだところでございます。
 今後も、東京の活性化が日本の再生を牽引するという強い思いを持ち、産業労働局一丸となって産業振興と雇用就業対策に全力で取り組んでいく決意でございます。

○伊藤(こ)委員 それでは、私からは、まず若年者の就業支援について質問をさせていただきたいと思います。
 就職活動でありますけれども、私も二十代のころとか経験がありますけれども、一昔前、まずは電話をする、そして手書きで書類を書く、郵送で応募する、こういうやり方でありました。アルバイトでありましても、「週刊アルバイトニュース」、雑誌名出しちゃいけないかもしれませんが、百円で毎週何曜日かに買ってきて、必死にページをめくって、正規社員の募集って書いてあると、あったなんていいながらやっておりましたけれども、本当にここ二年、三年の間に、今の若者を取り巻く環境は一気に変化をしております。
 スマートフォンが深く浸透しておりまして、ウエブサイトでの応募が圧倒的な多数となっております。企業情報の収集や面接の予約などにスマホを活用する若者が非常にふえてきている実態があります。しかし、利便性が飛躍的に向上した一方で、情報が逆にあり過ぎてしまうといった弊害もありまして、求人情報の中から応募先を絞り込めない若者も多くいるようであります。
 こうした若者の就職実態を踏まえて、さきの第一回定例会の代表質問において、都議会公明党は、若者の実態に十分目を向けながら、民間のノウハウも活用して就職支援事業の多角化など対策の充実を図っていくべきと求めました。これに対して、都は、来年度から民間の就職情報サイトを活用して、都内中小企業の求人情報を発信する新たな取り組みを開始するとの答弁がありました。私は、こうした民間の就職情報サイトを活用した取り組みは、若者の実態に即した非常に有効な取り組みであると思います。
 また、最近の就活生は、就職情報サイトだけでなく、友人やインターネット上の口コミ情報なども参考にしながら、ツイッターや、あるいはフェイスブックなど、さまざまなツールを活用して情報を集めており、応募先を決めているとも聞いております。
 そこで、まず、来年度から開始する民間就職情報サイトを活用した取り組みにおいても、こうした情報発信のツールを有効に活用すればさらに事業効果が高まると考えますけれども、見解を伺いたいと思います。

○穂岐山雇用就業部長 若者の中小企業への就業を促進するためには、効果の高い媒体を複合的に活用して情報を発信することが重要と認識してございます。
 ツイッター等のソーシャルメディアは、特に若年層で利用率が高く、若者向けの情報発信では非常に有効な手段といえます。
 このため、都は来年度から新たに実施する若者就活応援プロジェクトにおきまして、民間の就職情報サイトに加え、ツイッターやフェイスブックも活用し、効果的に情報を発信してまいります。

○伊藤(こ)委員 ツイッターやフェイスブックなど、複合的なツールを活用しながら情報を発信し、若者の実態を踏まえた支援に取り組んでいくということで、来年度から開始する若者就活応援プロジェクトの事業効果も高まっていくと思います。
 ぜひとも、東京都民の若者の中から、この都のプロジェクトが本当に役に立ったと、このプロジェクトの口コミとか、このプロジェクトのつぶやきがされるように頑張っていただきたいと思います。
 次に、若者の職場定着支援について質問をしたいと思います。
 先日、うちの娘もいっておりました。娘が行っているアルバイト先で、新しい男の子がアルバイトに来たけれども、翌日には来なかったと、一日でやめてしまったという話もありました。また、私の周りにいる若い男性の方からは、正社員で入ってきたはいいのだけれども、三カ月するとやめてしまう人が同僚でいるんだと、こんな話も聞いております。
 若者の早期離職は、近年始まった社会的課題ではなく、従来から続いている問題であります。これは、好景気の時代においては雇用の流動性という観点から肯定的にとらえられたこともありますけれども、若者のキャリア形成上も余り大きな問題となっておりませんでした。
 しかし、現在、若者を取り巻く雇用の環境は依然として厳しい状況の中でありまして、一たん離職すると正社員での就職は難しくなるといわれております。もちろん、若者がキャリアアップするために一定の経験を積んだ上で転職をして活躍の場を広げていくということは望ましいわけでありますけれども、大事なことは、キャリア形成につながらない早期離職は、長い目で見ると将来の年長フリーターの増加にもつながるおそれがあるわけであります。若者の早期離職対策は大変重要な取り組みであると、私は思います。
 そこで、まず、産業労働局が来年度から実施する若年者の職場定着支援事業の目的と意義について伺いたいと思います。

○穂岐山雇用就業部長 若者の早期離職の要因はさまざまございますが、若者が就職後間もない時期に抱える仕事上の悩みや課題を解決し、働き続けることができる力を醸成することは重要でございます。
 こうした力を身につけ、若者の職場定着を促進することは、キャリア形成上はもとより、安易な離職により不安定雇用を余儀なくされる若者の増加を未然に防ぐ上でも有効でございます。
 このため、都は、来年度から新たに若者の職場定着支援事業を開始し、早期離職問題に取り組んでまいります。

○伊藤(こ)委員 都はこれまで、東京しごとセンターにおいて個別担当制のキャリアカウンセリングを展開し、きめ細かい支援に取り組んできたほか、合同就職面接会などを通じて若者の正規雇用化を支援してきましたけれども、いずれも就職前のマッチング支援が若年者就業対策の中心でありました。
 職場定着支援事業は、就職後の早期離職問題への対応という意味で、新たな切り口で大変大事な取り組みであると私は思います。この職場定着支援事業が効果を上げることで、安易な離職により不本意ながら不安定雇用の状態となってしまう若者の増加を抑制することも期待できるわけであります。
 こうした効果が期待される職場定着支援事業について、先ほどの目的、意義、こうしたものを達成するための具体的な取り組みを伺いたいと思います。

○穂岐山雇用就業部長 都では、来年度から新たに、東京しごとセンターにおきまして、入社三年目以内の若者を対象に職場定着支援事業を実施いたします。
 具体的には、入社一年目の若者を対象に社会人基礎プログラムを実施し、正社員として必要とされる基礎力を醸成することにより組織の中で働くことへの理解を深めてまいります。
 また、入社二年目から三年目の若者を対象にキャリア形成プログラムを実施し、職種ごとの課題に対するグループ討議等を通じまして、仕事に対する応用力や課題解決力などを養ってまいります。
 さらに、参加者交流会におきまして経営者等と意見交換を行うことで、自己のキャリアプランを考える機会を提供するとともに、同世代との交流を通じまして、若者の入社間もない時期の孤立化を防いでまいります。
 こうした取り組みを通じまして、若者の職場定着を促進してまいります。

○伊藤(こ)委員 この職場定着支援事業、非常に私は重要な取り組みだと思います。先ほど申し上げたとおり、これまで就職前の支援をさまざまやってこられましたけれども、就職後の取り組み、とにかく早期離職しないように、また若者が抱える悩みをしっかりと受けとめていく、また中小企業の悩みも受けとめていくということで、非常に重要な取り組みであると思います。どうか一握りの若者だけではなくて、少しでも定員を拡充していただいて取り組みを進めていただきたいと思います。
 ちょっとここは調整しておりませんでしたけど、定員みたいのはあるのでしょうか。

○穂岐山雇用就業部長 社会人基礎プログラム、つまり入社一年目のものにつきましては、規模は百五十名でございます。それから、キャリア形成プログラム、入社二年目から三年目の者を対象としたものにつきましては、二百四十名でございます。参加者交流会につきましては、規模八十名を予定してございます。

○伊藤(こ)委員 急遽な質問で申しわけありませんでした。ありがとうございました。
 いずれにしても、来年度から新たに、しごとセンターにおいて職場定着支援事業に取り組むということでございますので、プログラムに参加する若者や、その若者が実際に働いている中小企業の意見等をつぶさに聞きながら、事業をブラッシュアップして事業効果を高めていただきますよう要望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。
 続きまして、障害者の就業支援について伺いたいと思います。
 法定雇用率の引き上げが目前に迫る中、企業が障害者を雇用しようという意欲が高まっておりますけれども、一方で中小企業からは、どのような仕事を担当してもらうのがいいのか、あるいは障害者への接し方がわからないといった不安の声も現場で聞かれます。
 このような中小企業の不安を軽減するためには、障害者が実際に働いている姿を見ることができる職場体験実習を実施することが効果的であると思います。
 また、企業での就労経験がなく、不安を抱える障害者にとっても、実際の職場で働くことで就職に対する自信を持つことができるわけであります。
 しかし、実習とはいえ、受け入れる企業側にとっては費用や人的な負担が生じるわけであります。都では、来年度から、職場体験実習を実施する中小企業に対して受け入れ諸経費の支援を行うということでありますけれども、実習に取り組もうとする意欲のある中小企業の後押しや実習先の確保にもつながる大変よい支援だと思います。
 こうした経費面での支援に加えて、経験やノウハウがなく、ちゅうちょしている中小企業に対しては、より具体的に企業の状況に応じてアドバイスを行う必要があると考えますけれども、所見を伺いたいと思います。

○穂岐山雇用就業部長 職場体験実習のノウハウがない中小企業に対しましては、きめ細かな支援を行っていくことが重要でございます。
 このため、都では、実習を行う中小企業に対する受け入れ諸経費の支援に加え、障害者雇用支援アドバイザーが障害者に適した業務の選定についての助言や受け入れ部署の社員への研修などを行い、実習生を受け入れるための準備を支援いたします。
 さらに、職場体験実習期間中は、東京ジョブコーチが企業に出向き、障害者雇用支援アドバイザーとも連携いたしまして、仕事の進め方や指示の出し方など、企業の状況に応じて助言をいたします。
 こうした職場体験実習に対するさまざまな支援を通じまして、障害者の雇用を促進してまいります。

○伊藤(こ)委員 職場体験実習に当たって、経費面の支援に加えて、障害者雇用支援アドバイザーと東京ジョブコーチによる人的な支援も実施するということで、中小企業にとって実習に取り組む後押しとなる大変心強いサポートだと思います。しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 ただいまご答弁にもありました東京ジョブコーチでありますけれども、採用後の障害者の円滑な職場への定着に向け、企業にも障害者にも、双方に対する支援を行っており、利用者からの評価も高いと聞いております。
 法定雇用率の引き上げが予定され、障害者を採用する企業もふえることが見込まれる中で、今後、ジョブコーチによる支援ニーズはこれまで以上に高まっていくと考えられます。また、精神障害者の求職者が大幅に増加しているということも聞いております。
 それぞれの障害特性や企業ニーズに応じた支援を行っていくためにも、東京ジョブコーチ事業を拡充していくことが必要と考えますけれども、見解を伺います。

○穂岐山雇用就業部長 企業における採用後の定着のためには、職場や障害者の方々の実情に応じたきめ細かな支援を行う必要がございます。
 企業における障害者雇用の取り組みが進んできていることや働くことを希望する障害者が増加していることなどから、企業の状況に応じて障害者の職場定着を支援する東京ジョブコーチによる支援件数は年々増加してきております。
 また、今後の法定雇用率の引き上げ等の制度改正を踏まえますと、さらに支援ニーズが増加することが見込まれます。このため、来年度は東京ジョブコーチを六十名から七十五名へと増員し、支援体制を強化いたします。
 さらに、就職者数の増加に伴い、定着により困難な障害者の増加も見込まれることから、ジョブコーチへの専門的な助言、指導や困難事例への対応を行う統括コーディネーターも二名増員し、五名体制とすることにより支援の質の向上を図ります。
 こうした取り組みを通じまして、障害者の職場定着を支援してまいります。

○伊藤(こ)委員 東京ジョブコーチや統括コーディネーターを増員して、支援ニーズの高まりに対する量的な対応だけでなく、質的なサービスの向上も図っていくという答弁でございました。
 障害者の雇用を進めるためには、就業支援だけでなく、定着支援もしっかりと取り組んでいただく必要があると思います。どうか今後とも、きめ細かく支援をしていただくことを要望いたしまして、質問を終わります。

○清水委員 最初に、雇用就業問題です。
 都は、都内で職を求めていながら職につけないでいる方々の実態、例えば完全失業者数、学卒未就職者などについて、都としてどのような把握をしているのかお伺いいたします。

○穂岐山雇用就業部長 東京の完全失業率は四%に高どまりするなど、雇用情勢は依然として厳しい状況にあることは承知しております。しかし、個々の求職者の状況は一人一人異なるのが実態でございます。
 このため、都は、東京しごとセンターで個別担当制のキャリアカウンセリングやセミナー等、きめ細かい就業支援を行うとともに、さまざまな職業訓練を実施してございます。
 また、国に先駆けて生活費の支給と職業訓練を組み合わせた事業を実施し、これが平成二十三年に創設された国の求職者支援制度につながりました。
 さらに、正規雇用を希望する若者に対しまして、研修と就労体験を組み合わせた事業を実施してございます。
 このように、求職者のさまざまな状況に応じた就業支援を多元的に実施してございます。
 なお、都は、労働力調査や就業構造基本調査等によりまして、年齢別の失業者数や年齢別の求職者数及び就業希望理由など、求職者の実態も把握してございます。

○清水委員 職につけずに困っている人たち、完全失業者、非正規労働者の実態については、産業労働局のお出しいただきました要求資料にもあるように実態を把握されております。
 しかし、完全失業者に含まれない、求職活動をしていない、病気等で仕事につけないなどの非労働力とされる人たちが約四百三十万人おり、この中には就職をしたいが厳しい雇用状況の中であきらめてしまった方々もふえています。
 都の学校基本調査によれば、高校を卒業しても未就職者でいる方々が毎年約六千人前後いると推定されます。その他に、職につけない若者の中には、高校の中退者問題があります。都立高校中退者は、全日制、定時制を含めて約三千三百人います。
 先日、二月五日には、働けない若者の現実として、特別区長会主催のシンポジウムが開かれ、足立区長は、高校中退者がかなり高い確率でニート、フリーターとして生活しているかもしれないと発言していました。
 内閣府が二〇一一年に行った高校中退者へのアンケート調査によると、働いている人は五六%ですが、その七七%がフリーター、パートです。正社員は一七%しかありません。今後の進路希望では、正社員として働きたいが三六%、学校への入学、進学が二九%です。
 今、こうした働きたいのに働けない、たとえ働いていても収入が生活保護基準以下の水準のワーキングプアだったり、孤立無援化して脱出の糸口が見出せずにいる人など、こうした問題の解決が日本の社会保障の土台を根底から揺るがすものとして問題になっています。産労局も、こうした実態を把握し、一日も早く改善するために、行政も責任を持ってどのような雇用対策、就労対策を行うかが問われています。
 しかし、都政運営の中長期ビジョンに基づき重点的事業を推進するというアクションプログラム二〇一三での支援数は、三カ年で延べ三万三千人、一年当たり約一万人でしかありません。しかも、内容はセミナーの開催など、対象者をカウントしているものが半数以上です。都庁全体としての雇用就業対策としては弱いものがあります。ここはぜひ、産業労働局が軸となってオール都庁を牽引していってもらいたいことを要求しておきます。
 そこで、伺います。緊急雇用創出基金事業です。
 この基金事業ですが、さきの補正予算の質疑で、都は全体の就労者数を挙げ、十分な成果を上げたといいました。国の調査でも、正規雇用につながらない、事業で創出された雇用と将来の雇用が結びつかない、雇用の継続性が課題という総括がされています。
 都では、この基金を使って、座学、職場実習を組み合わせた正規就労への就職支援事業を行ってきました。今年度、未就職卒業者緊急就職サポート事業、若年者正規雇用プログラム、重点産業分野就業支援プログラム、三事業で二十八億円から、来年度、若年者緊急就職サポート事業、重点産業分野就職支援プログラム、二事業で十九億円に減少していますが、対象定員はどうなりますか。伺います。

○穂岐山雇用就業部長 今年度は、研修と就労体験を組み合わせたプログラムにより、正規雇用化に向けて一千四百人の若者を支援してまいりました。来年度は事業規模を拡大し、一千五百人の若者を支援いたします。
 なお、若年者緊急サポート事業につきまして、所要の見直しを行ったところでございまして、就労体験先が決定したすべての若年求職者に十分な就労体験期間が確保されるようにするとともに、研修につきましても、きめ細かい支援内容に充実いたしました。
 こうした見直しを通じまして、事業の実効性と効率性の両立を図っております。

○清水委員 この未就職卒業者サポート事業などでは、二〇一一年の場合は四〇%が正規採用されていますので、単純計算すると、今年度、来年度ではそれぞれ六百人近くが正規化する見通しになります。
 都も、参加者からの相談に応じたり、フォローアップの充実を図り努力していることをさきの委員会で明らかにしているわけですから、問題点を一つ一つ解決するなら、さらに正規化率は上がると考えますが、どうですか。

○穂岐山雇用就業部長 来年度は、紹介予定派遣制度を活用した既存事業の課題を検証し、派遣先が決定した若年求職者の就労体験期間が十分確保されるよう所要の見直しを行います。
 また、研修につきましては、就労体験先の業種、職種に応じた実践的な事前研修や就労体験と並行して実施する研修を行うこととし、充実を図っております。
 こうした取り組みを通じまして、若者の正規雇用化を促進してまいります。

○清水委員 最終補正で新たに積み増した基金事業はこれから具体化するということですけれども、未就職者緊急就職サポート事業などのように、正規雇用に実績のある、試され済みの事業についてはどのように検討されているのか伺います。

○戸澤事業推進担当部長 緊急雇用創出事業は、さまざまな失業者に対する短期の雇用創出を第一の目的としておりまして、その中で、職場でのOJTや講座の受講などを通じて人材育成を行う事業につきましても、制度の対象となっているところでございます。
 しかし、緊急雇用創出事業としましてどのような事業を実施するかにつきましては、都の各局及び区市町村におきまして、それぞれ検討するものでございます。

○清水委員 国の調査や都の検証もして、失業者の生活の安定に向けて基金の有効活用に全力を挙げていただくように求めておきたいと思います。
 次に、公共職業訓練についてです。
 職業能力開発センターへの応募倍率を、二〇一〇年度が全体を見ることのできる最新の数字だということでありますので、それによりますと、職業能力開発センターの応募倍率は全体で一・八倍、六カ月以上の一般向け訓練では二倍以上です。飯田橋の中央・城北職業能力開発センターは三・三倍、城東職業能力開発センターの台東分校の製靴訓練は六・九倍を超えています。
 都は、こうした応募倍率についてどのように認識をしているのでしょうか。
 都として、職業訓練の機会を十分確保すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○戸澤事業推進担当部長 訓練科目の定員につきましては、応募倍率や就職率、求人状況、施設的な制約等を総合的に勘案するとともに、職業訓練に関する外部の専門家などで構成する公共職業訓練運営委員会の審議を経て決定しております。
 また、約二万五千人規模の国の求職者支援制度による訓練と都の実施する訓練の募集時期が重複することがないよう調整を行うなど、国とも連携して受講機会の拡大を図っております。

○清水委員 確かにそういう努力はされているといいますが、二〇一〇年度、照会した数字ですけど、二〇一一年度、これは出されている要求資料で、一部まだ出ていないところはありますけれども、ほぼ同じような倍率になっているわけです。何年にもわたってこのような状況が続いているということで、改善されているとはいえないわけです。職業能力開発促進法においても、職業能力開発の機会の確保について措置されるよう規定されています。都の責任として、職業訓練機会を広く保障すべきことを求めておきます。
 公共職業訓練の定員、一万六千四百人の七割は委託訓練で、そのうち国費によるものが九割近くです。しかし、国の委託訓練予算は単年度ごとに決まるもので、かつ法律で継続的支出が担保されているわけではありません。
 都は、委託訓練の拡大について、民間事業者のノウハウ活用であり雇用情勢等の急激な変動に対応しているものであるというようにいっていますが、しかし、これでは国の動向次第で職業訓練規模が左右されるという非常に不安定な状態になっているということではないですか。お伺いいたします。

○戸澤事業推進担当部長 都は、その時々の雇用情勢等を踏まえまして、必要な訓練を実施しております。

○清水委員 説明になっていないというか、雇用情勢等といいましたが、雇用情勢を踏まえるなら、都としてしっかりと職業訓練の土台を築く必要があります。仮に、等という中に国費の動向が入っているなら、それは非常に不安定な職業訓練行政だということをみずから認めているということになるわけです。
 国の委託訓練の中には、介護福祉士、保育士など、社会的にも求められている分野の人材を二年かけて無料で職業訓練を行うなどしていますが、その就職率はどうでしょうか。こうした訓練科目の拡充についてはどのような検討がされているのか、お伺いいたします。

○戸澤事業推進担当部長 訓練期間が一年または二年の委託訓練には、介護福祉士養成科、保育士養成科、義肢装具科がありますが、これら全体の就職率は六九%となっております。
 訓練科目については、応募率、入校率、就職率、民間教育訓練機関の状況などを総合的に勘案し、国とも協議の上、訓練を実施しております。

○清水委員 国との協議で訓練科目を拡充できるというようなお話でしたので、都としては、ぜひ都民要望を踏まえて意見を述べていただきたいと思います。
 次に、都の施設内訓練の就職率は、六カ月から二年コースが七五%から一〇〇%です。一方、委託訓練は就職率が低く、四〇%前後です。多くの方が就職できずにいます。施設内訓練に比較して格段に低い、これについてどう認識し、どのような対策をとっているのかお伺いいたします。

○戸澤事業推進担当部長 都は、民間教育訓練機関との役割分担を踏まえまして、委託訓練は事務系を中心に、施設内訓練はものづくり系を中心に実施しております。
 就職率については、訓練科目によって職種が異なるため、両者を単純に比較することは適切ではないと考えてございます。
 特に、事務職種を取り巻く環境については就職状況が厳しいことから、就職率向上を図るため、昨年十月より民間就職支援会社を活用し、就職支援を強化いたしました。

○清水委員 単純に比較をしているわけではなくて、事実は歴然としているわけです。ですから、都も認めざるを得なくなって、今お話しのありましたような民間就職支援会社を活用せざるを得なくなっているわけです。これは、ずっと民間の訓練の機関が導入されたときからこういう状態だったわけです。
 それでは、委託訓練の入校選考の面接、選考は、それぞれ具体的に、だれがどのように行っているのでしょうか。委託先の民間企業の職員はどのようなかかわり方をしているのかお伺いいたします。

○戸澤事業推進担当部長 委託訓練の入校選考の面接、選考につきましては、訓練実施校の指導員など都職員がこれに当たっており、職業能力開発センター所長または校長が主宰する入校選考判定委員会を経て入校者を決定しております。
 実際に訓練を行うのは民間教育訓練機関であり、応募者からの質問に答える必要がありますので、委託先の職員も立ち会ってございます。

○清水委員 面接以外にも、委託訓練の増加によって膨大な事務手続になると思いますが、どのような体制で、どこで行われているのでしょうか。それに伴って膨大な書類が出てくると思いますけれども、どのように保管されているのでしょうか。それらの財源はどうなっているのでしょうか。伺います。

○戸澤事業推進担当部長 委託関連の事務処理につきましては、飯田橋の中央・城北職業能力開発センター内に専管組織を設け、効率的な事業執行を行うとともに、必要な経費を措置しております。
 また、委託訓練に関連する書類につきましては、都が管理する倉庫等で適切に保管しております。

○清水委員 委託訓練の拡大に伴い、その面接等を含めた事務量は相当増加し、年間一万二千人近い個人情報を含めた書類が山積しているわけです。それを、専管組織を設けているとはいえ、訓練校自体が縮小して正規職員が減少している中で処理をされているわけですから、大変な労力ではないかと思います。今後、この問題について、課題がないか検証することを求めておきたいと思います。
 次に、職業能力開発センターの卒業者に対するアンケートによれば、就職が決まった経路について、センターの紹介が二〇〇七年で三二・一%、二〇一一年で二〇・六%に低下しています。この点についてどのように認識していますか。

○戸澤事業推進担当部長 平成二十年秋のリーマンショック以降の急激な雇用情勢の悪化の中で、職業能力開発センターへの求人数が激減したことに伴い、就職活動に際して、ハローワーク求人やインターネット情報なども積極的に活用するよう訓練生に対し就職指導を行ったことも一因と考えられます。
 なお、就職率は、平成十九年度が七四%、平成二十三年度が七一%であり、ほぼ同水準となっております。

○清水委員 訓練校の就職支援について、求人情報の提供や就職相談について、求職活動や会社訪問、面接の方法について、企業や業界の実態に関する情報提供など、役立ったかどうかも聞いていますが、いずれも減少しているわけです。
 それでは、職業能力開発センターの職業紹介について、ハローワークとの連携は具体的にどのように行われているのでしょうか。

○戸澤事業推進担当部長 訓練生への就職支援を強化するため、各職業能力開発センターの就職支援推進員とハローワーク担当者が定期的な実務者会議を開催し、情報交換を行うほか、センターとハローワークがおのおの主催する合同面接会等に互いに参加し、事業効果を高めております。

○清水委員 一般的な取り組みを紹介されたわけですけれども、特に求人開拓について、訓練校独自にどんな取り組みをされているのかということは伺うことができませんでした。
 それでは、職業訓練校の職員定数について、一九九九年度が四百二十九名、二〇一二年度が三百二十四名となっています。実際に、職業訓練校の職員ですが、事務職員、指導員別ではどうなっていますか。また、非正規職員である講師はどうなっているのか伺います。

○穂岐山雇用就業部長 平成十一年度、現在の職業能力開発センターに当たります技術専門校の職員定数は、事務職員は百八十九名で、指導員が二百四十名となってございます。また、非常勤講師の予算枠は二百十五名となってございます。
 平成二十四年度は、事務職員は百五十三名で、指導員が百七十一名となっております。また、非常勤講師の予算枠は百六十一名となってございます。

○清水委員 今のご答弁のように、都立の技術専門の施設内訓練の応募倍率は高いのに、訓練校はこれまで統廃合で減少し、職員も、今お話しのあったように募集人員も減少する一方、委託訓練は急増するけど就職率が低く、民間就職支援会社を活用して就職支援を強化すると。一体どこにお金をきちんと使ったら効果が出るのかということを、きちんと検証していただきたいと思います。
 都として、最低賃金引き上げの明確な目標を持って実現に取り組むことを、私は代表質問で求めたところです。これに対し、猪瀬知事は、独自の目標を定めるのは適当でないと答えました。
 しかし、多くの都民は低賃金で苦しんでいます。最低賃金引き上げは、緊急課題となっています。しかし、国は見るべき取り組みを行っておりません。国の問題とするのではなく、デフレ不況から脱却するために、都としても最低賃金の引き上げに取り組むことが必要です。
 伺いますが、今、賃金引き上げについて、それぞれいろんな国の動きとか企業の賃上げの動きも出ています。都としても、この際、最低賃金引き上げ、非正規雇用労働者の待遇改善、正社員化への流れをつくることが強く求められています。改めて、都として経済団体への申し入れとともに中小企業への支援を行うよう求めるものですが、どうですか。伺います。

○穂岐山雇用就業部長 まず、先ほどの定数関係に関する答弁の際に、その後ご指摘がございましたが、職業能力開発センターの職員体制等につきましては、訓練内容や科目配置等に応じまして必要な人員を適切に配置しているものと考えてございます。
 また、現在都が進めております職業能力開発センターの再編整備は、老朽化した施設の改築に合わせ、中小規模校を統合し施設を大規模化することで、訓練環境の改善や訓練内容の充実など、その機能を拡充するものでございます。
 こうした施設内訓練に加えまして、都は、民間事業者のノウハウを活用することにより、急激な雇用情勢の変動に対応し訓練規模を大幅に拡充するとともに、訓練ニーズの多様化にも対応しているところでございます。
 次に、先ほどのご質問にお答えいたします。
 賃金の引き上げは、各企業の経営判断に基づきまして自主的に決定されるものと考えてございます。
 都といたしましては、非正規労働者の雇用環境改善に取り組む企業の支援を実施しています。
 また、正規雇用化を希望する方に対しまして、東京しごとセンターにおけますきめ細かい就業支援や職業訓練の受講機会を提供しています。
 なお、改正労働契約法が順次施行されまして、企業におけます正規雇用化のルール化と、正規労働者との不均衡な処遇が禁止されたところでございます。
 こうしたことから、都として経済団体に申し入れを行う考えはございません。

○清水委員 冷たいご答弁でしたけれども、経済団体に申し入れを行う考えはないということでしたけれども、やはり明確な賃上げ目標を持って労働法制の規制緩和の是正、非正規雇用労働者の待遇改善と正社員化への流れをつくること、中小企業への支援措置をとって最低賃金の時給を千円以上に引き上げること。これは、本当に今、強く都民が求めていることなのです。ですから、やはり経済団体にそれを申し入れるというぐらいの姿勢は持っていただきたいと思います。
 なお、今ご答弁がありましたような労働契約法については、その実効性については弁護士会の中でも評価は単純ではありません。労働者にとって悪影響になるという場合も指摘されています。労働行政を担うものとして注意して見ておくべきだということを指摘しておきたいと思います。
 次に、両立支援事業についてです。
 育児と仕事の両立を考える場合、今問題になっているのは働く母親の出産後の職場復帰の環境をどう整備するかということも、今、都政全体の問題でもあります。保育所待ちの待機児問題が社会問題になっていますが、これらのお母さんたちの声を聞くと、職場の理解が得られないとか休めないなど、職場環境からも来ているということが改めて浮き彫りになったわけです。
 ですから、保育所をつくるという問題と同時に、やっぱり働き続けられる雇用環境をつくっていくということは待ったなしの課題となったなということを、私は産業労働局所管の委員として強く思ったところです。
 先進三十四カ国が加盟する経済協力開発機構、OECDは、昨年末に労働の男女格差について報告書を発表しております。それによると、日本の男女間の給与格差はワーストツーです。上場企業の役員の女性の割合はわずかで、加盟国中最低レベルです。起業家も少ないといっています。
 日本の女性が労働市場で困難に直面する原因については、出産してから常勤として復帰することが難しく、低賃金で非常勤の職に追いやられてしまうこと、日本の税と福利厚生の制度が、被扶養者である妻から仕事へのモチベーションを奪い、所得税免除の範囲内での収入にとどめているなどという点を指摘しています。そして、経済成長には男女平等がかぎとなり、労働市場での男女平等が実現すれば、今後二十年で日本のGDPは二〇%近く増加すると予測されています。
 都においても、二月に答申された、今回報告されております雇用・就業対策審議会の答申では、少子高齢化が進む中、女性の活用で支え手をふやす施策の必要性が随所に書かれています。
 さきの定例会では、猪瀬知事も、能力を持っている女性に活躍の場をいかに与えるか、それは東京が一番先頭に立って、埋もれた力を引き出すことを、方法を考えなければいけない。女性がみずからの能力を十分に発揮できる環境を整えて、東京の活力の一翼を担う女性の就業を支援していく決意だといっていました。
 雇用・就業対策審議会の答申、そして、今ご紹介したような定例会での知事の答弁など、これは来年度予算やアクションプランではどのように具体化されているのかお伺いいたします。

○穂岐山雇用就業部長 都は、出産、育児などによって一たん離職した女性に対しまして、再就職サポートプログラムや保育サービスつきの職業訓練を実施することとしております。また、仕事と生活の両立支援に取り組む中小企業の総合的な支援も実施いたします。
 さらに、性別を問わず、しごとセンターできめ細かな就業支援を行うとともに、職業能力開発センターにおいてさまざまな職業訓練を実施することとしております。

○清水委員 お答えがありましたけれども、アクションプログラムの、少子高齢社会における都市モデルを構築し、世界に範を示すという目標六の三カ年事業は、二〇一二年の計画、二千二百二十億円から二千六十億円に減少しています。全体の構成比についても、一〇・二%から七・七%に下がっています。
 産労局の予算についても、両立支援事業について、二〇一二年度、四億四千万円から、二〇一三年度、二億三千万円と減少しているわけです。後退していると思いますが、事業内容はどうなるのか、お伺いいたします。

○穂岐山雇用就業部長 都では、中小企業両立支援推進助成金事業の成果を踏まえまして、内容を充実させた後継事業として、ワークライフバランス実践支援事業を来年度から開始いたします。
 来年度事業では、企業の実情に応じて、育児だけではなく広く生活と仕事との両立を図る取り組みを総合的に支援することとしています。
 こうした目的のもと、必要な事業経費を計上したものでございまして、後退したとのご指摘は当たらないと考えております。

○清水委員 しかし、予算というものがやはり施策の内容をあらわすものだと思います。
 厚労省の賃金構造基本統計調査によれば、正社員の平均所定内給与、二〇一二年の男女別の賃金は、小規模企業七六・五%に対して、千人以上の大企業では七一・二%です。
 また、二〇一一年度、東京都男女平等参画状況調査によれば、女性の平均勤続年数が短い理由として、従業員百人未満と千人以上の企業を比較した場合に大きな違いがあるのは、女性役員がいる、一一・七%対一・七%、女性が妊娠、出産を機にみずから退職してしまうが三九・一%対五〇・五%など、どちらかというと、OECDで指摘されているような男女平等的なおくれは大企業の方が激しいという結果が出されているわけです。
 一方、母性保護制度の有無で、有給の育児時間がありが一九%対五六・八%、経費がかかる男女平等施策部分になると中小企業のおくれが激しいという結果が出ています。
 ワークライフバランス実践支援事業など、今後進められる中小企業への両立支援事業が、こうした実態を十分に認識した上で、中小企業には十分な支援を行うとともに、大企業に対してはその社会的責任にふさわしく十分な取り組みが進められるよう、都としても努力する、そのことを強く求めておきたいと思います。
 次に、金融円滑化法の延長打ち切りに伴う対応についてです。
 三月より買い入れ融資を新設して対応していますが、これは信用保証協会の保証つき融資を一本化し返済の負担を軽減するという、先ほどご紹介があったところです。
 この仕組みについては、これまで私たちが繰り返しいろんなところで要求してきたものです。もっと早くからやっていれば、業者の負担はここまで重くならない段階で救出できたとも考えられます。
 本制度の利用促進に向け、中小企業に対する積極的なPRを実施するとともに、金融機関などへの協力要請を行うことなどにより、経営改善に取り組む中小企業の資金繰りを的確に支援するよう要望しておくものです。
 そこで、代表質問の答弁で示した金融円滑化法についての国の対策に対する都の認識ですが、経営改善等のための対策を実施する、地域経済活性化支援機構は中小企業の再生に軸足を置いた支援を目的としたものというご答弁をしていますが、その根拠について明らかにしていただきたいと思います。

○寺崎金融部長 国は、今年度末の中小企業金融円滑化法の期限到来に当たって講ずる総合的な対策をこの二月に明らかにしております。その主な内容は、金融機関による円滑な資金供給の促進に向けた方策や中小企業再生支援協議会の機能強化等の経営支援策、借り入れ企業への説明、周知などでございます。
 次に、地域経済活性化支援機構につきましては、これまでの大企業や中堅企業の再生支援に軸足を置いた枠組みから、中小企業に対する直接の再生支援を促進していく方針のもと法律が施行され、昨日、新組織として発足いたしました。

○清水委員 根拠にしているものは、金融庁の金融審議会が、二月二十七日に開催された際に、緊急経済対策の諸施策として配布された資料の中の一部のものです。代表質問への答弁とするならば、金融庁全体の議論を十分検証した上で行っていただきたいと思います。
 もともと、この金融審議会は早くから最終延長を踏まえた政策の議論をされており、昨年四月二十日には政策パッケージとされました。その際、審議会では、再生の可能性の見込みがない場合には、転業の支援ですとか、場合によっては廃業の支援ということも含まれると紹介されています。
 また、十一月に発表された中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針では、事業の存在がいたずらに長引くことで、かえって経営者の生活再建や当該顧客企業の取引先の事業等に悪影響が見込まれる先として、その対応としては機械的に応じないなどとなっています。こういう一面も十分とらえて、行政としての対応が求められているということを警鐘しておくものです。
 こうした状況になっていることを踏まえ、私たちは中小企業の返済負担軽減と同時に、長期に続くデフレ不況の中では、相談活動の中で仕事の確保、販路開拓などが本当に重要だということで、支援をすることをあわせて求めておきたいと思います。
 円安が進行し、東京の経済と生活にも影響が出始めています。輸出関連の製造業では、海外企業との価格格差で優位に立つなど追い風が吹き始める一方で、ガソリン、灯油価格が上昇し、輸入品や海外旅行商品の値上がりなどの懸念も膨らんでいます。経産省の調査では、ガソリンレギュラーが二〇一二年十一月には百四十八・六円だったものが、二〇一三年三月は百五十七・二円、リットル八円値上げです。
 また、食料品の六〇%余りを輸入に頼っている中では、小麦やめん類など、値上げとその連動による物価の高騰などにもつながるおそれがあります。
 そこでお伺いいたしますが、円安について都内中小企業への影響の実態調査を行い、資金繰り支援、燃料費の増加分補助、相談窓口設置など、支援の検討を進めるべきですが、お伺いいたします。

○矢田部産業企画担当部長 為替の変動が産業に与える影響はさまざまでございます。都内産業の環境変化につきましては、局事業を運営する中で実態把握に努めておりまして、資金繰りや窓口相談など、必要な支援は適時適切に行っております。

○清水委員 今後、中小企業の実態を見て機敏に対応していただきたいと思います。
 次に、商店街支援についてです。
 ある区内の一つの商店街では、商店街の街路灯の電気代を負担すること自体が困難になり、もはや商店会を維持できず、解散せざるを得ないところにまで追い込まれてしまいました。しかし、解散するには、商店会が維持してきた街路灯を撤去しなければならず、解散するにもその撤去費用の負担が求められ、区と相談して、商店会の二十九台の街路灯の撤去費用二百八十万円を、区と商店会が半分ずつ負担したとのことです。
 ところが、多くの住民が利用する商店街の道路は、街路灯の撤去で道が暗くなってしまい、防犯上も問題だということで、今度は区が防犯街路灯を六台、四十三万円余りを出して同じところに設置したそうです。結局、三百二十万円もかかって、これまでの五分の一の街路灯を確保したものの、商店会は解散する方向であり、商店街の道路も依然として暗いままの状況が続いているということです。
 伺いますが、商店街の街路灯について、LED化への商店街負担の軽減と電気代への都の負担を求めるものですが、どうですか。

○河内商工部長 商店街の街路灯のLEDランプへの交換は、新・元気を出せ商店街事業のうち、東京都の施策に協力して商店街が実施する事業を対象とする特定施策推進型商店街事業により、既に総事業費の五分の四という補助率で都が直接支援しております。
 また、街路灯の電気代のように、経常的な経費については、補助対象とする考えはございません。

○清水委員 LED化については、電球の交換だけでは対応できない街路灯があるのです。その場合、電柱の交換を含めたLED化は事業費が多く大変です。にもかかわらず、都はこの制度改悪による商店会負担がどうなるのか見積もりもしないで、電柱の交換はCO2の削減に効果がないからと商店会負担を五分の一から三分の一へと制度を改悪したということです。商店会は売り上げ減で困り、都事業の改悪による負担増でも追い込まれる、そんなことがあってはならないと考えます。
 昨年、新・元気を出せ商店街事業の商店会負担で事業実施できない場合に、都の補助の上乗せをすることを表明いたしました。LED化、電気代の負担についても、先ほどの商店会のようにならないように地元負担軽減の対策をとればよいではないですか。産労局としてできないというのなら、オール都庁で検討すればよいではないですか。その方が、お金を使って、お金が生きて、まちの明かりが暗くなったなどということを防ぐことができると思います。
 都内の小規模小売店はこの十年間で七割に減少し、近くで日常の買い物ができない方々が東京には五十一万人いるといわれています。私たちは昨年十二月、知事に、買い物弱者をなくし、魅力ある商店街づくりに向けた東京都への提言を渡して、魅力ある商店街づくりに向けた各地の経験にも学んで、東京都が区市町村と協力して具体化を図るよう求めました。
 そこでお伺いいたしますが、買物弱者支援モデル事業の取り組みについて、補助期間の延長、対象地区、事業の拡大、地元事業者の負担軽減など拡充が必要ですが、どうですか。また、事業者、区市町村などとも連携し、問題点を整理していくべきではないでしょうか。伺います。

○河内商工部長 買物弱者支援モデル事業は、買い物弱者へのサポート事業として、すぐれた成果を期待できる商店街の意欲的な取り組みをモデルとして支援するため、今年度から始めた事業でございまして、来年度も別の商店街の申請を受け付ける予定でありますが、お話の補助期間の延長などは現段階では考えておりません。
 本事業の実施に当たりましては、地元の実情を把握している区市町村と連携し、緊密な情報交換を行いながら実施しておるところでございます。

○清水委員 私は、二つのモデル事業を行っておられるところに伺いまして、お聞きしてまいりましたが、やはり、今求めました要望というのは非常に大事なことだなということを実感しています。モデル事業ですから、進めていく中で問題点の整理や効果の検証、評価、明らかになっている問題点については改善を進めていくよう求めておきたいと思います。
 地域産業支援です。
 重要な産業集積を守るために、区市町村と連携しながら地域産業を活性化していく地域工業活性化事業を都は進め、私たちも提案いたしました工業集積地域活性化事業も、多いときで三億円弱の事業が行われていました。引き続き、第二期工業集積地域活性化事業の創設や創造的都市型産業育成事業の拡充などを求めてまいりましたが、来年度予算では約七億円になるまでになっています。
 この中で、かつて、都は二〇〇五年、二〇〇六年と地域資源活用プロジェクト事業を行い、事業計画策定を支援していたところがあります。工業が特に集積していない自治体が、それぞれ特有の形で観光や農林畜産業、商業、工業がある中で、その特徴を生かして産業を活性化させる方向を打ち出す上で重要な事業でした。
 かつての地域資源活用プロジェクト事業で産業振興計画をつくった、そして、現在もその計画に基づいて産業振興を進めているというものですから、その市に参りましてお話を伺ってまいりました。江戸伝統野菜を農家につくってもらい、それを商業や飲食店に素材として活用してもらい、市内の江戸東京たてもの園、小金井公園などに訪れる方々がまち中に集まりにぎわいを創出するという観光農業、商工業連携によるまちおこしを目指しているとのことでした。
 このように、観光、農業、商業などが総合的に地域を支援していく仕組みが地域振興には効果的であるというふうに私たちは実感します。特に多摩地域などではそれが求められていると思います。
 そこで、それら地域固有の産業などの地域資源を生かして、地域振興を図っている区市町村の取り組みを積極的に支援していくべきと考えますが、見解を伺います。

○十河観光部長 観光振興の視点からお答えをさせていただきます。
 都はこれまで、観光案内板や観光パンフレット作成などの取り組みのほか、ものづくりの製造現場見学や農業体験など、観光の視点から地域の産業を活用する取り組みについて区市町村を支援してまいりました。
 今後も、特色ある地域資源を観光振興に生かし、地域の活性化を図る区市町村の取り組みを引き続き支援してまいります。

○清水委員 そういうお答えで、そうやっているといいんですけど、ちょっとイメージが違うんですけれども、あくまでも地域資源を観光に生かすための地域振興支援だということなのですが、同様に、仮に農林水産部は農業振興、商工部は商工支援というふうにばらばらになっていては、各地域は十分にそれを組み合わせたものができないわけです。
 各地域の地域産業は、地域固有の特徴を持って各産業があります。現状では、既存の事業を組み合わせて活用せざるを得ないわけですから、柔軟な対応をするよう求めますが、区市町村の産業立地の特性に合わせた包括補助的な地域産業支援事業の仕組みについても検討するよう求めておきたいと思います。
 また、創造的都市型産業育成事業の最後の募集は二〇一一年度に行われ、二〇一二年度から開始されて、二〇一四年度には終わります。引き続き、区市町村などの地域産業支援の仕組みを拡充していくよう要望しておきます。
 次に、医工連携、再生可能エネルギー普及への支援についてです。
 大田区では、この委員会にもたくさんおられますのであれなんですけれども、再生エネルギー分野ではスターリングエンジンの作成、高性能な風力発電の開発に取り組んでいるまち工場グループがあります。私たちも繰り返し、この地域でのこうした取り組みを研究、調査しております。
 医工連携分野では、中小企業と地元病院とが協力して、消毒液がかかってもさびない手術台など、医療関連機器をつくる三十五件のプロジェクトが進み、新たな仕事確保につながっているというふうに、直接私も伺ってまいりました。
 こうした取り組みに学んで、医療や福祉、介護、再生エネルギー分野の産業育成を、都の産業戦略の柱としてアクションプログラムなどに明確に位置づけ、継続的、本格的に支援を具体化するよう求めるものですが、いかがですか。

○河内商工部長 都は、昨年度策定いたしました「二〇二〇年の東京」に掲げる方針に基づきまして、お話の分野を含む、環境、健康、危機管理など大都市の課題を解決する分野におきまして、中小企業の製品開発や事業化を支援しておるところでございます。

○清水委員 私は、医療、福祉、介護、再生可能エネルギー分野などについて、産業戦略の柱として位置づけて支援するよう求めています。「二〇二〇年の東京」に例示された取り組みは、社会的課題解決型研究開発助成事業とか、重点戦略プロジェクト支援事業とか、都市課題解決のための技術戦略プログラムです。
 それらの施策が、事業化支援の募集したテーマは、二〇一二年度は高度な防災都市編、二〇一一年度は安全・安心編、二〇一〇年度は環境分野と、毎年その都度異なっています。そのため、十八件の応募の中では、医療や福祉、介護、再生エネルギー分野は、四件が該当しただけなんです。
 一方、新製品・新技術助成事業で採択されたものを見ても、医療、福祉、介護、再生可能エネルギー分野で該当されたものが入っているものの、この三年間で採択された約二百件のうち、三十件程度なわけです。支援するというのならば、来年度からの連携イノベーション促進プログラムについては、こうした分野を戦略の柱として位置づけて、系統的、継続的に進めるよう求めておきます。
 都内の多くの中小企業は、一社では仕事が完結できない小零細企業が、近隣の業者と連携して、独自の製品開発や販路開拓を目指す取り組みを苦労しながら進めています。医療、福祉、介護、再生エネルギー分野などは、都内中小企業が持つ熱処理、メッキ、切削など、ものづくりの基盤技術の強みを生かすことで需要拡大が見込まれ、具体的に動いています。
 技術関連機器の研究、製品開発が進めば、東京ブランドとして都民の命を救ったり、医療革新や再生エネルギーの普及に貢献できます。開発が進めば医療費の削減にもなります。原発に頼らないエネルギーにもつながります。こうした分野を戦略的に位置づけて、支援する仕組みづくりを早急に始めるよう求めておきたいと思います。
 次に、八王子市の産業交流拠点についてです。
 都は、多摩地域の広域的産業交流の中核を担い、都域を超えた産業交流拠点を、八王子市内、JR八王子駅北口と京王八王子駅の間に位置する明神町地区に産業交流拠点を整備することとしています。
 この土地は、これまで府立織染学校、八王子工業高校と府立染織試験場、都立繊維工業試験場の前身が立地し、その後、産業技術研究センター八王子支所、そして跡地となったところです。
 産業の歴史にとって、大きな意味を持つ土地です。地域経済の発展を願った先人の思いが詰まった地だといわれています。地域経済からも、整備されればセミナーや展示などの苦労はなくなる。サポートスクエア・TAMAとの補完、連携が可能になるといわれており、整備の普及は大きなものがあります。
 伺いますが、この産業交流拠点の整備の具体化を早期に進めるべきと考えますが、現在の取り組み状況について伺います。

○河内商工部長 産業交流拠点の整備につきましては、これまで拠点に必要となる機能などについて検討を行ってまいりました。今年度は、拠点の施設規模や効果的な利用のあり方などについて調査を行っているところでございます。
 今後とも、拠点の整備に向けた検討を行ってまいります。

○清水委員 ぜひお願いしたいと思います。
 最後に、農業について伺います。
 昨年三月に東京都農業振興プランが策定され、来年度予算は、実質、初めてプランの内容を本格的に具体化する予算になります。一方、国は、昨年八月に都市農業の振興に関する検討会の中間まとめが示され、都市農業を守り振興する方向を打ち出しました。こうした動きがある中で、都市農地を保全し、農業継続への機運が高まっています。
 そこでお伺いいたしますが、都市農業振興を柱に農業振興プランを推進するために、農業者だけでなく、都民参加が欠かせません。幅広く都民も参加したプランの内容の説明会、講演会など周知できる機会を今まで以上にふやし、区内、そして多摩地域で実施することが必要だと思いますが、どうですか。

○津国農林水産部長 農業振興プランにつきましては、昨年三月に発表後、農業者や農業関連団体を初め、消費者などを対象といたしまして、説明会や講演会を実施するなど、さまざまな機会をとらえて周知に努めているところでございます。

○清水委員 さらにそれをふやしていただきたいということです。ホームページなどを見ても、そのような案内なんかは出ていないわけです。産業労働局がいつどこで説明会をやるよ、講演会をやるよなどということが十分に周知されていないというものです。来年度予算もあわせた形で、都民参加でいかに具体化するかということが必要になっているわけですから、周知の機会をとっていただきたいというふうに要望しておきます。
 農業へのかかわりを希望する都民も増加し、都のアンケートでも半数以上の回答が、農作業の体験をしたいというふうに答えています。これにこたえているのが市民農園、体験農園などですが、希望する都民が大きく広がっています。
 こうした取り組みを進めている区市町村に対して、都として支援をしていることは承知していますが、充実や抜本的に拡充することを求めるものですが、どうですか。

○津国農林水産部長 農家がみずから設置し、都民が農家の技術指導のもとに農業に取り組める農業体験農園につきましては、都市農業経営パワーアップ事業により整備を支援しております。
 また、区市町村などが都市住民のレクリエーションの場として農地を貸し出す市民農園につきましては、農業、農地を生かしたまちづくり事業の対象としております。
 二十五年度も引き続き、こうした施策を実施してまいります。

○清水委員 さらにこれが広がっていくわけですから、支援を強めていただきたいと思います。
 飼料価格の上昇に当たり、畜産農家に対する飼料価格の補てんについては、国の支援制度に基づき、昨年十月からトウモロコシと大豆の高騰に際して、配合飼料価格の補てんが実施されています。もともと輸入飼料は、気候変動、為替相場など、さまざまな要因でその価格は不安定になっています。輸入飼料から国産飼料への転換と、そのための自給飼料の増産に向けて取り組む必要があると考えますが、見解を伺います。

○津国農林水産部長 我が国の平成二十三年度の飼料の自給率は二六%となっており、国産飼料の生産は非常に少なく、また価格が輸入品に比べて高いため、国産飼料への転換は非常に難しい状況にございます。
 都といたしましては、畜産農家の自給飼料生産を支援するため、飼料生産用機械の導入に対する補助を実施しているところでございます。

○清水委員 大いに支援を進めていただきたいと思います。
 今、都民の皆さんが都政に求めていることは、政治に求めていることは、景気をよくしてほしい、暮らしを改善してほしいということだと思います。産業労働局として、雇用問題、産業問題、都民の暮らしに大きくかかわり、その事業の進め方、やり方が都民生活に大きく影響します。今、るる私がいろいろ聞いてまいりましたが、各分野ともに都民要望を実現する立場で、改善すべきは改善していく、前に進めるべきは積極的に進めるよう求めて、私の質問を終わりたいと思います。

○伊藤(ゆ)委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたしたいと思います。
   午後三時十二分休憩

   午後三時二十九分開議

○伊藤(ゆ)委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○佐藤委員 中小企業への支援や制度融資については、昨年の経済・港湾委員会でも何度も取り上げてきましたし、予算要望でも要望したところです。中小企業の資金需要が逼迫する年度末を前に、ことしの三月一日より円滑化法終了に伴う緊急措置として特別借りかえを実施することは非常に有効な支援でもあり、都の取り組みを評価するものです。
 そこでまず、円滑化法の終了に伴い、都は制度融資において、どのような対策を実施しようとしているのか、その全体像について伺います。

○寺崎金融部長 中小企業の経営改善を支えるため、都は制度融資におきまして多様な支援策を講じることとしております。
 まず、特別借りかえ融資では、借入残高の範囲で保証つき融資を一本化できるようにし、小規模の企業に対し保証料の二分の一の補助を行います。昨年十月に設けた経営力強化融資におきましても、新年度から同様の保証料補助を開始いたします。
 また、小口資金融資では、商工会議所等から経営指導を受けた小規模企業に対し、金利の優遇幅を拡大いたします。さらにリバイバル融資では、融資限度額の引き上げを行います。

○佐藤委員 都が非常に積極的な取り組みを、さまざま実施をしていることがよくわかりました。
 次に、特別借りかえ融資について伺います。
 今回の特別借りかえは、融資を受けている企業と金融機関が折衝し、融資の取りまとめを行うと聞いております。融資を受ける企業にとって大きなメリットがある反面、この制度の活用には、金融機関にとってもメリットがなければ案件の成立が進まないのではないかとも思います。金融機関にとっては、特別借りかえを利用することで、どういったメリットがあるものなのでしょうか。

○寺崎金融部長 特別借りかえ融資の利用によりまして、借入条件変更中の企業等の複数債務を一本化し、返済期間を延長することにより返済負担の軽減を図ることができます。
 これにより、金融機関にとりましては、取引先企業の着実な返済を確保することができますとともに、経営改善に向けた取り組みを促進し、業況の改善を後押しすることができます。

○佐藤委員 ただいまの答弁からは、既に貸し出しをしている金融機関において、複数口をまとめるメリットはわかるわけですが、債権を他行から引き受け、融資をまとめて引き受ける金融機関のメリットがはっきりしないわけです。
 債権を手放す金融機関と、引き受ける金融機関の需給がある程度成り立たないと、案件も成立しないのではないかと思います。企業が複数の金融機関から借り入れをしている場合、それらの債務を一つの金融機関にまとめて、この特別借りかえを利用するということは難しい案件であるかと思いますが、事例は出てきているものでしょうか。

○寺崎金融部長 特別借りかえ融資につきましては、今月から取り扱いを開始したところでございますが、融資実行案件も既に出ておりまして、その中には、借り入れ条件を変更中の企業が、複数の金融機関からの借入金を一つの金融機関にまとめた事例がございます。

○佐藤委員 成立した事例も出てきていると伺いまして、安心しましたし、ぜひ多くの案件が成立するよう、制度の活用を金融機関に働きかけていただきたいと思います。
 昨年十一月から、中小企業向け融資で信用保証協会が一〇〇%保証をする、セーフティーネット五号について見直しが行われ、四割の業種が一〇〇%保証の対象外となりした。一〇〇%保証の対象外となったため、債権が焦げついた場合、金融機関の負担がふえたわけです。
 今回の特別借りかえは、円滑化法の終了という厳しい状況を乗り切るには、よいタイミングで実施されたのではないかと思う反面、金融機関がリスクを押しつけ合って、一〇〇%保証の対象外となった債権の押しつけ合いになってしまうことを懸念しております。
 ところで、国は昨年十一月に、円滑化法が終了しても金融検査や監督の目線やスタンスは変わらず、金融機関の条件変更や資金供給に変化は生じないとの大臣談話を出し、その後は金融機関や中小企業への周知を行っていると聞いております。また、円滑化法の終了に伴い、貸し渋りや貸しはがしを行わないよう、金融機関への指導をしたと聞いておりますが、あわせて都はどういった取り組みをしているのでしょうか。

○寺崎金融部長 金融機関の指導監督権限は国の権限に属するものでありますことから、都はこれまでも継続して中小企業の円滑な資金調達に万全の措置を講じるよう、国に要望してまいりました。
 また、都といたしましても、すべての取扱金融機関等に対して、中小企業に対する資金繰りの支援への協力を重ねて要請してきております。

○佐藤委員 ぜひ、引き続き中小企業に対する資金繰り支援への協力を要請いただきたいと思います。
 特別借りかえの実施により、返済期間を延長して返済金額を減らすことができるわけですが、根本的には中小企業が経営の立て直しを行うことが必要です。
 昨年十一月一日から、経営力強化融資が実施をされております。これは、融資の中に経営支援が組み込まれておりまして、指定された認定経営革新等支援機関が、経営改善計画の進捗を支援していくことになっていると聞いております。当初、支援機関の認定をとる組織が少なく、制度が余り活用されていなかったようですが、最近では都内の信金や信組が認定をとり始め、認定数もふえてきていると聞いております。
 この経営力強化融資は、利用に当たってはなかなかハードルの高い制度のようにも思いますが、条件変更中の企業において、どのような利用が考えられるのでしょうか。

○寺崎金融部長 借り入れ条件の変更中に、経営改善が一定程度進捗している企業につきましては、例えば事業転換に必要な運転資金の追加融資を受け、その取り組みをより着実なものとしていくことが考えられます。
 また、今後、計画を新たに策定して経営改善を進めようとする企業等につきましては、国の認定支援機関のサポートを受けながら計画の策定等を行うとともに、企業債務を本融資により借りかえ、返済負担の軽減を図りながら経営改善を進めていくことが考えられます。

○佐藤委員 企業の立て直しに向けた経営力強化融資の活用にも期待をするところですが、特別借りかえについて伺います。
 円滑化法終了後、金融機関の融資動向が落ちついて、景気の悪化要因がなくなるまではこの制度をしっかりと続けていただきたいと思いますが、見解を伺います。

○寺崎金融部長 特別借りかえ融資につきましては、今月から既に取り扱いを開始しており、来年度についても利用の促進を図ってまいります。
 なお、本制度は、円滑化法終了に伴う特別な金融支援策として新たに設けたメニューであり、先々の取り扱いについては現段階ではお答えできません。

○佐藤委員 円滑化法が終了し、金融機関の融資動向が落ちつくまでは、景気状況も見ながら慎重に対応いただきたいと思います。
 三月末から当面の間、特別借りかえと同時に都がさまざまな支援を行うことが必要です。新保証つき融資の負担を三月末まで時限的に下げているわけですが、円滑化法の終了後、半年程度は引き続き負担を下げるよう、検討をお願いいたします。

○寺崎金融部長 地域の金融機関と連携した新保証つき融資におきましては、保証料率の上限を引き下げる措置を実施中でございますが、四月からさらに半年間延長することといたしました。

○佐藤委員 半年間の延長と聞きまして、大変安心をいたしました。新保証つき融資の保証料率の引き下げ措置延長は、中小企業の負担を下げる有効な取り組みでもありますから、都の取り組みを評価するとともに、ぜひ中小企業に対して積極的に広報していただきたいと思います。
 円滑化法終了の影響を最小限に抑えて、経済の活力を維持するためにも、引き続き積極的な中小企業支援に取り組んでいただくようお願いをいたしまして、私の質疑を終わります。

○大西委員 私も中小企業について若干お伺いをいたしますが、たくさんの方から、いろいろ今まで話が出ているので、なるたけカットはしますが、かぶったところはちょっとご容赦をいただきたいと思います。
 やはり、苦しんでいる中小企業はたくさんございますし、足立区にもたくさんそういう方々はおられるわけです。
 まず、そういう方々についての金融支援について伺います。
 制度融資のメニューの中で、業況といいますか、急激に悪化した経営内容、このときに中小企業が利用できる緊急融資としては、まずはどのようなものがあるのか、確認で伺わせていただきます。

○寺崎金融部長 都の制度融資では、景気の悪化による売り上げ減少等により、経営に影響を受けている中小企業の資金繰りを支援する経営支援融資を実施しております。
 本融資では、都独自の取り組みといたしまして、最優遇金利を適用するとともに、小規模企業者に対しましては、保証料の二分の一を補助するなど、手厚い措置を講じております。

○大西委員 先ほど、鈴木さんのときにも、佐藤委員のときにも保証つき融資の話が出ておりました。先ほど、どのような取り組みをするのかというのを伺っておられましたが、では、私の方からは、この保証つき融資の利用額というのは、最大でどれぐらいなのか、伺います。

○寺崎金融部長 制度融資における一企業当たりの保証枠は最大で二億八千万円となっております。また、これとは別枠で、国が指定した業況が悪化している業種に該当する企業等を対象といたしますセーフティーネット保証におきましても、同額の保証枠が設定されております。これらの無担保保証枠は、それぞれ八千万円となっております。
 なお、実際の保証つき融資の利用可能額につきましては、企業の規模や財務状況、返済能力等、それぞれの事業者の事情によって異なっております。

○大西委員 ここで大切になってくるのが信用保証協会の存在だと思います。この制度融資の利用に当たっては、中小企業が、まず銀行を中心とする金融機関に申し込みを行い、その金融機関を通じて信用保証協会に保証の申し込みを行う場合がほとんどだと聞いています。
 そこで、信用保証協会の審査はどのように行われるのか、また、どのぐらいの時間がかかるのか、お伺いします。

○寺崎金融部長 信用保証協会では、中小事業者の経営意欲、事業経歴、資金使途、財務状況、返済能力等を総合的に検討し、保証の諾否を決定すると聞いております。
 保証の審査に要する日数は、融資メニューや、新規の申込先か、既に保証つき融資の利用先かなどにより異なっております。

○大西委員 私の知り合いにも、信用保証協会に審査をお願いして、これが、その方は絶対大丈夫だと、経営力もあるし、資産もあるから、何とかなるといっていたんですけれども、結局だめだったと。だめだって、僕にどうしましょう、どうしましょうと泣きついてくる方が正直おられます。そういうときに、もう一度ちゃんとやってほしいということを僕も伝えるんですけれども、この信用保証協会の審査が通らないという場合は、やはり当然のことながら往々にしてあると思います。
 こうした企業は、断られると大変な困難にまたぶち当たるわけですけれども、その後もずっと保証つきの融資の利用が認められないということではないと思いますが、この辺の見解をお伺いいたします。

○寺崎金融部長 信用保証協会における保証審査は、申し込み時点における企業の業況や返済状況等を勘案して行うものと聞いております。
 再度の申し込みがあった場合に、業況の改善や返済の進捗等があれば、こうした事情を勘案いたしまして、改めて審査を行い、保証の可能性について判断することになると認識しております。

○大西委員 何度も挑戦はさせるようにはしますので、またきちんと審査をしていただきたいと思いますが、この制度融資というのは、東京都で見ても相当たくさん制度融資がございます。
 制度融資の利用について、中小企業向けの周知を十分に行うということも必要だと思うんですけど、そのPRの概要を教えてください。

○寺崎金融部長 制度融資の融資メニューの概要や利用要件について周知を図るため、企業向けのしおりを毎年度作成し金融機関等に配布するほか、ホームページなどを活用して案内を行っております。
 また、融資メニューの新設や拡充などを行う際には、適宜パンフレットを追加して作成するなどにより、利用の促進に努めております。

○大西委員 ちょっと質問を、違う方に行きたいと思います。
 この平成二十五年度の当初予算案を見ると、中小企業対策予算の販路開拓支援については、二十四年度と比較して約七十八億円減少しております。これはどのような理由によるものなのか。また、中小企業が海外展開していくということは、現在の市場動向から考えて大事なことだと考えます。
 その上で、海外販路開拓支援事業の予算はどうなっているのか、お伺いいたします。

○河内商工部長 販路開拓支援の予算額が減少した主な理由は、施設の改修工事に係る予算額の減少によるものであります。産業労働局が所管する大規模施設でございます東京ビッグサイト及び東京国際フォーラムは、現在、都の主要施設十カ年維持更新計画に基づきまして改修を行っているところでございますが、年度ごとに工事内容が異なるため、工事請負費等の予算額も年度ごとに増減が生じているものでございます。
 海外販路開拓支援事業につきましては、アドバイザーの新設等によりまして、おおよそ一千万円の増額となってございます。

○大西委員 同じく、この二十五年度の当初予算案の中で、地域工業の活性化と同じ欄ですが、一億三千万円減少しています。地域工業に対する支援も重要な課題であると私は認識いたします。来年度、地域工業の活性化を図るために、どのような取り組みを行っていくのか伺います。

○河内商工部長 新年度は、区市町村と連携いたしまして、東京の持つ豊富なポテンシャルを生かし、東京の将来を支える産業の創出や集積を図る、創造的都市型産業集積創出助成事業や、産業空洞化の危機に対し、将来にわたって守るべき都内中小企業の集積を確保することを目的とする、ものづくり産業集積強化支援事業などにより、引き続き地域工業の活性化に取り組んでまいります。

○大西委員 ありがとうございます。工業の方も大切ですが、また一方で先ほどから何回も出ておりますが、商店街、これも非常に苦しんでいるのが現状でしょう。都は、平成十五年度から商店街を活性化するために、新・元気を出せ商店街事業を開始し、商店街の行うイベント事業や活性化事業を支援しておりますが、こうした支援の効果について伺います。

○河内商工部長 都はこれまで、新・元気を出せ商店街事業により、商店街の行う意欲的な取り組みを区市町村と連携して幅広く支援しており、平成二十三年度の実績は二千二百五十四件に上っております。こうした商店街への支援を通じて、地域のまちづくりや経済の活性化に寄与しておるところでございます。

○大西委員 商店街が活性化するのは、本当に大切な都の仕事だと私も認識しております。商店街は苦しんでいるんですから、助けるのは本当に大切だと思います。
 しかし、ちょっとここで気になるんですけど、いつも予算額が提示されるんですが、満額が認められないというような状況が続いていると思います。最終的には、復活予算で満額となっていますが、必要なら最初から予算計上すべきじゃないかなということを指摘をさせていただきまして、私の質問を終わります。

○宇田川委員 先ほどから、中小企業金融円滑化法の言葉があちらこちらで出ているのですが、周知のとおり、ことしの三月末で継続されることなく終了に至ると、こういうことであります。
 私は、昨年九月の第三回定例会の一般質問において、当時の民主党政権下で幕引きに向かう具体的、効果的な取り組みが、まるで見えてこなかった。このことから、中小企業の今後を懸念し、石原前知事、産業労働局長に対して質問を行い、支援策の拡充を求めたわけであります。十一月には、本委員会において、さらなる対応について質疑を行ったところです。
 都は、こうした我が党からの要望を受け、的確な対応をしていただいた。そうした施策が有効に働いて、中小企業の経営に先行き、明るさが見えてくることを大いに期待をしたいと思います。
 中小企業と一口にいっても、多種多様な業種があるわけで、したがって、そのニーズにマッチした専門的なサポートが必要であり、それらを求める声が高まっているのが現状です。第一回定例会の我が党代表質問において、事業承継・再生支援強化事業により、継続的なサポートを行っていく旨の答弁がありましたが、より具体的な内容について、お答えをお願いします。

○河内商工部長 金融円滑化法の終了に際し、早急に経営改善計画の策定が必要になるため、この二月から中小企業振興公社において、相談機能の強化や専門家派遣の拡充を行っており、新年度も専門家派遣のさらなる拡充など、支援の充実を図ってまいります。
 中小企業の中には、すぐれた技術を持ち、サプライチェーンの中核をなす企業や、地域の産業集積の中心的な企業などがあり、こうした企業については、東京の産業活力の維持向上の観点から、再生に向けた継続的な支援が必要であります。
 このため、新年度は、これまで中小企業振興公社で行ってきた事業承継・再生支援事業を強化し、マーケティングの専門家や技術士など外部の専門家を活用した業績向上支援チームを新たに設置して、経営改善計画の策定にとどまらず、多様なコンサルティングによる計画の実行支援や進行管理などを最長二年間にわたりきめ細かく行ってまいります。
 こうした取り組みにより、サプライチェーンや地域の産業集積を守り、東京の産業活力の維持向上を図ってまいります。

○宇田川委員 円滑化法が継続されませんよという話が出たときに、中小企業は非常に危機感を覚えたわけでありますが、地元の金融機関、例えば信金の支店長さんたちと新年会で会う機会がよくありまして、円滑化法終了が、すなわち貸しはがしとか貸し渋りとか、こういうのにつながることを皆さん危惧していますよという話をすると、そういうことは一切ありませんから安心してくださいと、こういうお答えがほとんどだったので安心はしているんですが、そうだとしても、中小企業の皆さんの不安がこれで払拭されるわけではありません。
 答弁にあった、専門家による支援、それも継続的な支援というのは経営者にとって実にありがたい、役立つことでありますので、全力を傾注していただきたいと思います。
 次に、販路開拓についてお尋ねをいたします。
 ことしに入って景気上昇の兆しが見えてきて、明るい雰囲気が社会に広がってきている、そんな気がしております。しかし、中小企業の経営が楽になったという実感はまだない、こういう声が多いこともまた事実であります。
 きのう、東京工業団体連合会の周年行事があって、局長さんも商工部長さんも出席されていましたけれども、ああいう地元の、地場の声は、景気がよくなったように聞くけど、我々末端に来るのは一体いつになるんだろうね、これがやっぱりほとんどであります。
 そうした中、我が党がかねてより、目指せ中小企業経営力強化事業の拡充を求めてきまして、既に利用したことがある企業にも二回目が利用できるように制度改正を行ったことは評価に値すると考えております。
 さきの代表質問において、助成件数を大幅にふやしていくと、こう答弁がありましたが、より詳細な内容をお伺いさせていただきます。

○河内商工部長 中小企業の展示会出展などを助成する、目指せ中小企業経営力強化事業につきましては、理事ご指摘のとおり、昨年十二月に制度改正を行ったところであり、本年度はこの制度改正を利用した企業も含めまして、現在、二百四十二件の交付決定を行っております。
 新年度は、厳しい経営環境にある中小企業ができるだけ多く本事業を利用して、販路の開拓に向けた取り組みを進めていけるよう予算を倍増いたしまして、五百十件の助成枠を確保いたしました。
 こうした対応により、引き続き、売上高の減少に悩む都内中小企業に対し、新たな受注機会の確保に向けた取り組みを支援してまいります。

○宇田川委員 先ほどお話しした工団連の会合に、商工会議所の役員の方が出席をされていて、この話を非常に喜んでおりました。制度改正の効果は、確実に売り上げ増につながると期待をしておりますので、一層のお力添えをお願いしたいと思います。
 次に、節電への取り組みについてお尋ねをさせていただきます。
 東日本大震災、原発事故、全国的に電力不足が深刻な問題となりました。平成二十三年六月の補正予算で、自家発電設備等の導入を支援する中小企業向け電力自給型経営支援事業を我々の緊急要望にこたえる形で立ち上げていただき、その後、電力料金の値上げなどに対処して、支援の拡充を図ってきたところであります。
 電力コストが中小企業経営へ及ぼす影響は決して小さなものではありません。だからこそ、今後も引き続き支援体制を整える必要があると考えます。これまでの実績と今後の取り組みについて伺います。

○河内商工部長 電力自給型経営促進支援事業では、これまで自家発電設備等の導入に対して、三百七十二件、金額にして約十三億九千五百万円の助成を実施してまいりました。
 機器の導入状況を見ますと、自家発電設備や蓄電池は非常用の電力確保を目的として、幅広い業種の企業が導入しております。
 一方、電気の使用量を把握できるデマンド監視装置は、節電に役立てることができるため、電気を多く消費する製造業を中心とした企業が導入しております。一例ではありますが、本事業を活用してデマンド監視装置を導入した都内のメッキ工場では、生産設備の使い方を工夫して電気料金の削減を実現することができたと聞いております。
 そこで、新年度からは、こうした実績を踏まえ、非常時の電力確保に対する支援を引き続き行いますとともに、中小製造業に対して、生産現場におけるLED照明機器への入れかえの助成を開始するなど、節電に向けた取り組みをより効果的に支援してまいります。

○宇田川委員 東日本大震災による電力不足を受けて、家庭も企業も積極的に協力をしてくださいました。意識改革が非常にあったことなのだと思います。そのおかげで、停電という最悪の事態は避けることができたわけなんですが、電力使用のピークとなる夏は毎年毎年やってくるわけで、もう数カ月後には、またやってまいるわけでございます。
 加えて、景気が上昇傾向であるということは経済活動が活発化するわけでありまして、これによって当然、電気使用量も上がっていくということにつながるわけであります。こうしたことを考えれば、さらなる取り組みを行わなければなりません。総合的な電力エネルギー施策を進めるとともに、引き続きの節電の取り組み支援を、全庁を挙げて行っていただきたいとお願いをしておきます。
 最後に、商店街振興についてお尋ねをさせていただきます。
 都議会自民党の強い要望を受けて、さっきもお話ありましたが、平成十五年から始まった新・元気を出せ商店街事業は、イベント開催やアーケード整備、LED街路灯導入などに対して支援を続け、質、量ともに年々充実を図ってまいりました。来年度も予算をふやして対応していただくことで、今、予算審議に入っているわけです。
 しかし、大型店の進出とか長引く不況など、また後継者難などいろいろな問題が発生した中で衰退してしまった、残念ではありますが、こうした商店街は少なくありません。そもそも元気を出せというのは、このような商店街に元気を取り戻させるための事業、施策だったはずだと私は再三発言を繰り返しております。元気のいいところにお金を与えるなといっているわけじゃないんですが、しかし、本当に困ってる人たちにこそ活力を与えるために取り組みをしてほしい、これが私の考えであります。
 東京都の補助事業の活用が困難な、資金力が不足している商店街に対しても、相応の支援を与えてほしい、この私の提言に対して、補助率を高めた助成にて対応を開始していただいたことは、大きく評価をしているところであります。
 こうした厳しい状況を抱えた商店街に手を差し伸べる支援は、今後もしっかりと継続して行っていくべきと考えますが、都の対応をお伺いいたします。

○河内商工部長 都は、これまで新・元気を出せ商店街事業により、商店街に対してさまざまな支援を行ってまいりました。
 しかし、店舗数や売り上げが減少して、自己資金を十分に確保することが難しく、イベントを開催したくても実施に踏み切れない商店街も存在するため、今年度は、新・元気を出せ商店街事業の中のイベント事業について特別対応を実施いたしました。
 新年度は、このイベント事業に加えまして、商店街マップの作成など、活性化を図る事業につきましても、防災や環境など、当該商店街にふさわしいテーマを掲げて、三十六万円以下の経費で事業を実施する場合、都の補助を上乗せする特別事業を予算案に計上しておるところでございます。
 こうした施策により、商店街が活気を取り戻し、地域住民の生活をサポートする拠点として、活力を回復することができるよう支援してまいります。

○宇田川委員 先ほど来、商店街の役割みたいな話が出ています。コミュニティの核としての存在であったり、例えば元気な商店街は犯罪が少ないなんていうデータもあるそうでございます。今、ご答弁の中に活力回復という言葉が出てまいりましたけれども、まさにその点に、しっかりと力を注ぐべきだと考えております。
 課題は多々残っているんですが、その解決に向かって全力を尽くしていただいて、地域事情、その商店街特性に合った取り組みを、いろいろ知恵を絞りながら、我々も知恵を絞ってまいりますが、産労の皆さんにもお力をいただきながら進めてまいりたいと思いますので、今後とも、よろしくお願いいたします。以上です。

○斉藤委員 私の方からは、中小企業の人材確保について、最初にお尋ねをしたいと思います。
 景気は底を打って上向いてきたと、そういう声が大変大きくなってきておりますが、新規学卒者や若年者の就業状況は、各委員ご指摘のとおり、依然として厳しい一方でございまして、中小企業の人材確保も企業の側からいっても、また思うように進まないというような状況が進んでいるというふうに認識しております。
 きょう、こういった資料をいただきましても、ものづくりに、大変さまざま企業側もご苦労しているんじゃないかというような数字が拝見されるわけですが、こうした状況を見ますと、若者の目をもっとこのものづくりの中小企業に向けてもらう必要があると考えております。
 東京都は、平成二十年度から中小企業の魅力発信プロジェクトを実施いたしまして、ものづくりの中小企業のすぐれた技術や、従業員の声などを掲載する冊子を発行しております。これが冊子でございますが、「輝く技術 光る企業」という冊子をいただきました。高い技術力のある魅力的な企業がたくさん掲載されておりまして、私の持っているのは第九巻でございますが、継続して発行されております。
 こういった企業、元気な企業はたくさんあるわけでございます。そこで働いている若者の笑顔などが、表情がとてもすばらしいもので印象的でございますが、そこで、改めて都が行っている中小企業の魅力発信プロジェクトの取り組みと効果についてお伺いします。

○河内商工部長 中小企業を若者が正確に理解し、就職先として選択できるよう、その魅力を発信する取り組みを支援することは重要でございます。
 都は、中小企業の技術力の高さや若手社員の声を紹介する冊子、「輝く技術 光る企業」を作成し、二百社以上の中小企業を取り上げ、大学や高校に配布するとともにホームページに掲載し、広く若者の目にとまるよう努めてまいりました。
 また、若者や保護者が中小企業を訪問して、ものづくりに携わるやりがいや喜びを若者に伝える仕事体験ツアーを実施しております。ツアーに参加した学生からは、企業のものづくりに対する誇りが伝わってきた、自分の知らない優良企業がたくさんあることがわかったなどの感想が寄せられており、保護者からも、従業員の方々が皆生き生きとしていた、息子もこういう顔で働いてほしいと思ったなどの感想をいただいており、ものづくり中小企業の魅力は着実に伝わっております。
 今後とも、こうした取り組みを継続し、若者に中小企業の魅力を発信し、中小企業の人材の確保を支援してまいります。

○斉藤委員 私の地元にも紹介された企業がございまして、川邑研究所、これは「はやぶさ」に使われた固体被膜潤滑剤というものを、オーダーメード型でつくっている企業でございますが、大変すばらしい研究者が--ほとんど研究者というような企業でございますが、こういうことはなかなか知る機会も少ない中で、私は大変これは有効なPRではないかと思っております。
 お伺いした取り組みは、中小企業の人材確保に役立つばかりでなく、若年者の雇用の安定にも十分に役立つ取り組みだというふうに思います。来年度もしっかりと取り組みを継続していただきたいと思います。
 また、私、産業労働局に相対する委員会でよく思うのですが、ここに並んでいる部長、片方は、商工部は企業、そして隣の雇用就業部長は雇用の側ということで、全体を統括する人材が欲しい側と、そして仕事を求めている側が同じ局の中におさまっているというのは大変すばらしい、風通しのいい局であるというふうに思いますので、ぜひとも企業の人材確保に役立つ、お互いにそれを双方でいい効果が出るように、ぜひお願いをしていきたいと思います。
 そこで、そういった観点からも、今度は雇用就業の角度から、若年者の就業対策について伺いたいと思うわけでございますが、都議会公明党は本定例会の本会議代表質問におきましても、これは引用でございますが、不本意ながら、不安定雇用に甘んじてきた世代にも十分な支援を行うためには、既存の紹介予定派遣を活用した事業を柔軟に見直し、一段と踏み込んだ就業対策を推進すべきと提言をさせていただきました。
 時間の経過とともに都民ニーズが変化することは、いわば必然のことでございますが、こうした観点から、事業の見直しを行うことは行政運営上極めて重要であると考えるところであります。
 ほかの委員からもいろいろご質問ございましたが、この紹介予定派遣制度を活用した取り組みについては、来年度から、二十九歳以下の若者を対象に若年者緊急就職サポート事業を新たに実施するとのことでございますけれども、まず、今回の見直しに至った背景についてお伺いをしたいと思います。

○穂岐山雇用就業部長 平成二十年秋にリーマンショックが発生し、若者を取り巻く就業環境は急速に悪化いたしました。都といたしましても、若年者就業対策を充実強化するため、東京しごとセンターにおけるきめ細かい支援に加え、平成二十三年度からは紹介予定派遣制度を活用した事業に取り組むなど、多面的に施策を展開してまいりました。
 こうした中、リーマンショック後の平成二十一年三月卒業者は、ことし四月時点で既に四年が経過しており、卒業の時期によって不安定雇用を余儀なくされ、その状況が長期化している若者も少なくないところでございます。
 こうした若者に対する支援ニーズが増大しており、正規雇用化に向けた支援を強化する必要があると認識してございます。

○斉藤委員 新卒者の就職環境は、景気の動向の影響を受けやすいわけでございます。卒業するタイミング、雇用情勢の悪い時期に当たっただけで、その方は成功への道が断たれることが間々あるわけでございますが、余りに、タイミングだけでそのような状況になるのは不条理であるというふうに思います。こうした若者の問題を見過ごすわけにはいきません。本人の努力だけではいかんともしがたい環境の悪さというものがあるわけでございます。
 先ほど、厳しい雇用状況の中で不安定な就労が続いている若者に対する支援の必要についてご認識をご答弁いただいたわけでございますが、こうした観点からの施策展開が非常に重要であると考えます。
 都議会公明党の本定例会の本会議代表質問に対しまして、都はリーマンショック以降の厳しい雇用情勢の中で、不安定就労が続いている若者に対する定員枠を大幅に拡充するとのご答弁がございましたけれども、具体的な支援規模についてお伺いしたいと思います。

○穂岐山雇用就業部長 来年度実施いたします若年者緊急就職サポート事業につきましては、不安定雇用が続いている若者に対する定員枠を三百人から七百人に大幅拡大し、対前年度比で二倍超の規模といたしました。
 これは卒業後、不安定就労が続いている若者の支援ニーズの増大に対応するため、対策の重点化を図ったものでございます。
 今後とも、若者を取り巻く事業環境を踏まえ、的確に対応してまいります。

○斉藤委員 三百人から七百人に大幅に拡充するということでございますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 不安定雇用の期間が長期化しますと、正規雇用化が困難になるおそれがありまして、いわゆる年長フリーターの増加にもつながっていき、ひいては生活保護受給者の増加など社会保障制度の問題にも関連するような可能性が出てくるわけであります。
 そういう意味でも、若者の不安定雇用対策は時期を逸することなく、状況の変化に適時適切に対応することが、スピードが極めて重要であると思います。
 今回の若年者緊急サポート事業の見直しは、我々の問題意識をしっかりと踏まえたものであると考えますけれども、今後とも、若者のニーズをとらえながら、お声を聞きながら、柔軟に若年者就業対策に取り組んでいくことを要望して、次の質問に移りたいと思います。
 非正規雇用問題につきましては、バブル経済崩壊後のいわゆる就職氷河期世代といわれている世代がございますが、こういった世代の支援も重要であると考えます。こうした方々は、学校を卒業してから年数が経過し、今は三十代から既に四十代に達する方も出てきております。就職氷河期世代の中には、新規学卒時に就職環境が厳しかったことから、正社員を希望しながらも、非正規雇用を余儀なくされた方も多くおられまして、その後もキャリア形成の機会に恵まれない、なかなか安定した職につきにくいともいわれております。
 こうした方々を正規雇用化につなげていくためには、きめ細かな支援が必要であると考えます。同時に、正規雇用された後に企業に定着していく定着支援、就職後のキャリア形成を支援するという視点も取り入れて、事業を実施するべきと考えますが、都の見解を伺います。

○穂岐山雇用就業部長 都では、三十歳から四十四歳までの非正規雇用の経験が長い方の正規雇用化を支援するため、しごとセンターにおいて求職者の状況に応じたキャリアカウンセリングや、少人数でのグループワークなど、きめ細かな支援を行うとともに、六カ月以上正規雇用した企業に対しまして、原則六十万円の採用助成金を支給してございます。
 また、円滑に職場に定着できるよう、専門相談員として配置しているジョブコーディネーターが就職先企業を訪問し、就職者と企業双方の相談に応じてございます。
 さらに、来年度は社内での孤立化などによる早期離職を防ぐため、ジョブコーディネーターの訪問による定着支援に加え、グループワーク形式により就業意欲の向上、基本的なビジネススキルの習得など、定着やキャリア形成にも資するプログラムを実施いたします。
 こうした取り組みを通じまして、非正規雇用の経験の長い方の正規雇用化を推進してまいります。

○斉藤委員 来年度から、グループワークでの定着支援を実施するとのことですが、大変重要であると思います。中小企業に就職し、他に相談相手が企業内にいない方など不安を抱える方にとりましては、大変に心強い支援だというふうに思います。この事業によりまして一人でも多くの方が安定した雇用につながるよう、引き続きしっかりとご支援をお願いしたいと思います。
 雇用関係は以上でございまして、次に、観光振興についてお伺いしたいと思います。
 外国人旅行者の誘致、とりわけ欧米豪州、こういった地域からの旅行者誘致について幾つかお伺いをします。
 海外における訪日旅行の状況を見ますと、アジアの例えば韓国では、海外旅行者のうち日本を訪れる旅行者の割合が二〇%となっています。一方、年間六千二百万人が海外を旅行し、欧米豪州の中で訪日旅行者数が最も多いアメリカでも、海外に行く旅行者のうち、日本に来る方、訪日旅行者の占める割合は、わずか一・二%にすぎません。ヨーロッパでは、訪日旅行の割合が一%にすら満たない国がほとんどという状況でございます。
 この差は、欧米から見て日本が距離的に遠い、これは極東というわけですから、距離的に当然なのですけれども、もちろんそういうこともございますが、私は、日本、そして東京が、欧米の各地域にとって、まだまだ観光目的地として十分に認知されていないということが大きな理由にあると、率直に認めざるを得ないと思います。
 一方、さきの予算特別委員会の代表質問で、我が党の東村議員が指摘いたしましたように、海外でも最近は日本食がブームとなっております。パリで開催される日本イベントであるジャパンエキスポでも、近年来場者がふえ続けておりまして、昨年は二十万人もの人々が訪れるなど、世界における日本のファンの増加が伺えるわけでございます。日本食は大変にブームになっております。こうした動きを、実際の訪日旅行者の増加に結びつけていくことが大切であると考えるわけでございます。
 世界的に有名な旅行専門の口コミサイトであるトリップアドバイザーというものがございますけれども、私も拝見いたしましたが、世界四十都市を訪問した七万五千人の旅行者を対象に実施した、最近の二〇一二年の調査によりますと、訪問した都市の評価では東京はナンバーワンを獲得している、こういった事実がございます。一度東京を訪れた観光客は、滞在に満足しまして、東京を好きになっていることが、よく数字的にわかります。
 そこで、まず、このような東京を取り巻く旅行者の状況について、お伺いをしておきたいと思います。

○十河観光部長 各種調査では、東京を実際に訪れた外国人旅行者の東京への評価は高い状況にあります。例えば、お話のあったトリップアドバイザーの調査では、全十項目の調査のうち、まちの清潔さ、公共交通機関、安全など五項目において、四十都市の中で一位となるほか、全項目の評価の平均値でも一位となっております。
 また、アメリカの放送局であるCNNが昨年実施した調査でも、世界で愛されている都市の一位に東京が選ばれております。
 さらに、昨年度都が行った東京都観光客数等実態調査でも、東京での滞在につきまして、約九割の外国人旅行者が満足したと答えております。こうしたことから、欧州、北米及び豪州地域の旅行者が旅行先として東京を選択する割合はいまだ低いものの、東京は多彩な魅力を持ち、世界の旅行者を引きつけるポテンシャルを十分持っていると認識しております。

○斉藤委員 さまざまな調査があると思いますので、その中でも、このトリップアドバイザー、口コミによる世界の都市調査、私もこれを拝見しまして、例えば今オリンピックの招致合戦で各都市が争っていますけれども、東京のライバルであるイスタンブールとか、ここにはマドリードは入っていないのですけれども、東京は大変上位に、水をあけた形で大変高い評価を受けております。
 親切であるとか、公共交通ではタクシーの評価が大変高かったり、もちろんまちは清潔である、シンガポール以上でございますし、さまざまな公共交通機関の評価も高く、これはもう、東京というのは、一度来た方は大変ファンになっていただくということがよくわかる数字でございます。
 東京は、世界の旅行者からとても評価されている都市だということを都民の方も余り知られないのではないかと改めて感じたわけでございますが、これまで都は、東京への関心を高め、東京の旅行につなげるために、欧米豪州の各都市を直接訪問し、現地の旅行事業者等に東京の魅力を集中的にPRしてきたと伺っております。
 もちろんこうした取り組みも大切ですけれども、その後も東京への関心を引き続き持ち続けていただく、高めていくためには、現地の旅行事業者やメディアに対する地道で継続的な情報提供や政治活動などが欠かせないと思います。
 都は、欧米豪州の各都市に、東京観光レップ、こういったものを設置しまして、現地で東京を訪問していただく旅行者の促進に向けた活動を行っておりまして、海外事務所を持たない都にとって、レップによる現地でのこうした活動は極めて重要であると考えます。東京観光レップをより効果的に活用すべきと考えますが、今後の取り組みについてお伺いしたいと思います。

○十河観光部長 都は、東京の観光情報が届きにくい欧米豪州地域の主要十都市で、現地旅行会社などで勤務経験があり、各都市の旅行事情などに精通した現地の在留日本人を東京観光レップとして設置しており、その効果的な活動をサポートするため、東京の新たな観光スポットやイベントなど最新の観光情報をきめ細かく提供しております。
 観光レップは、現地メディアや旅行事業者との間にみずから築いたネットワークを生かしまして、こうした情報を広く配信するとともに、旅行事業者に対する個別のセールス活動にも活用して、東京向け旅行商品の造成を働きかけております。
 また、新年度に実施するオーストラリアでのプロモーションでは、シドニーに設置した観光レップの企画提案により、現地で人気の高い日本の食をテーマとしたイベントを開催する予定であります。
 今後は、このように現地のニーズを踏まえたプロモーションの企画について、観光レップから積極的な提案を求めるなど、都の施策に対するフィードバック機能のさらなる強化を図ってまいります。

○斉藤委員 東京から遠く離れた現地におけるレップの取り組みはとても大切であると思います。今後もレップを機動的に活用いたしまして、欧米豪州からのさらなる旅行者誘致、インバウンドに努めていただきたいと思います。
 さて、こうしたレップによる現地での取り組みと同時に、欧米豪州の現地旅行事業者に、東京の魅力を実際に肌で感じてもらうことも重要でございます。
 都では、欧米豪州の現地旅行事業者を東京に招聘し、実際に来ていただきまして、東京のさまざまな観光スポットなどをめぐる視察旅行を実施していると聞いております。これは、海外の旅行事業者が実際のコースを自分の目で確かめることができるなど、旅行商品を造成する上で、極めて有効な取り組みであると思います。
 そこで、この事業を実施するに当たっての工夫と、今後の取り組みをお伺いしておきたいと思います。

○十河観光部長 都は、東京向け旅行商品の開発に意欲的な欧米豪州地域の現地旅行事業者を招聘し、直接都内の観光スポットなどをきめ細かく紹介する視察旅行である、いわゆるファムトリップを実施しておりまして、東京向け旅行商品の開発に役立つよう海外旅行事業者のニーズに応じた視察行程を設定しております。
 例えば、初めて東京を訪れる旅行者を対象とした商品、こういったものの開発を希望する旅行事業者に対しましては、皇居や浅草など著名な観光スポットを中心とした行程を設定し、また、例えばファッションに興味を持つ旅行者を対象としている場合には、表参道や渋谷を行程に組み込むなど、各旅行事業者の目的に合わせ、自由にコースを選択できるよう工夫をしております。
 今後は、海外旅行事業者のニーズにより一層こたえていくため、こうした視察とあわせて実施する商談会において、旅行業界に限らず商業施設や飲食店など、幅広い業界の参加を促し、東京の多彩な魅力をきめ細かくPRするなど、さらなる旅行商品の開発につなげてまいります。

○斉藤委員 都がこれまでさまざまな工夫を凝らして、このファムトリップを実施していて、また来年度もさらなる改善を図るということですが、今後の事業展開を大いに期待しているところでございます。
 ところで、近年、観光スポットを訪れるだけでなく、人々との交流や地域のさまざまな文化に触れ合う機会、例えば祭りとか、そういった旅行に関心が広がっているなど、そういったニーズは多様化しているわけでございます。今後、旅行者にさらに積極的にそういった働きかけをしていくためには、対象となる国における旅行者の好み、また旅行者層など、こういった調査を行いまして、このニーズにこたえていくことが重要であると思います。
 特に、東京都が欧米豪州の各都市を直接訪問して行う観光プロモーションにつきましては、短期間で効果的なプロモーション活動を行う必要があることから、訪問前に十分なマーケティング調査を行うことが大切だと思います。
 そこで、今後、海外での観光プロモーションを、より実効性あるものとするための取り組みについてお伺いしておきたいと思います。

○十河観光部長 都は、欧米豪州地域を直接訪問するプロモーションを効果的に実施するため、各国の旅行ニーズ等を把握するための事前調査を行っております。
 新年度にオーストラリアで行うプロモーションの事前調査によれば、東京を訪れる可能性が特に高い旅行者層の一つとして、十八歳から二十九歳の若者層が抽出されました。そこでプロモーションでは、現地のファッション雑誌に対し、若者に人気が高いファッションや、安くておいしい日本の食の情報を提供するなど、東京への関心を高める取り組みを予定しております。
 また、新年度はアメリカを調査対象としておりますが、インターネットが発達しているアメリカにおける旅行商品の購入方法や、旅行情報の取得形態などにも着目いたしまして、さらに緻密な調査分析を行ってまいります。
 今後も、きめ細かいマーケティング調査により、各国の特性を十分に勘案した取り組みを行うことで、プロモーションを効果的に実施し、欧米豪州地域からのさらなる旅行者の誘致につなげてまいります。

○斉藤委員 これまでの質疑を通じまして、都がきめ細かく観光プロモーションを行っている欧米豪州からの旅行者の誘致に一生懸命取り組んでいる、強力に推し進めようとしていることがよくわかったわけでございます。
 欧米豪州など、世界の旅行市場に積極的に参入し、そのシェアを拡大していくことは、観光振興のみならず東京に対する世界の理解を深めることにつながる、東京に対する理解を深めることは、日本に対する理解を深めることにつながるわけでございます。単なる都市の地位向上だけでなく、こういった大きな効果が望まれる、欧米豪州など世界各国に対する観光振興、引き続き旅行者誘致に積極的に取り組んでいただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

○三宅委員 初めに、漁場の整備について伺います。
 伊豆諸島では、価格が高く漁獲も比較的安定している伊勢エビなど、島周りのいそ根資源を昔から生活の糧として大切に利用してきております。
 昔は少々深い場所や、港から離れた場所であっても漁業を行っておりましたが、近年は漁業者の高齢化も進んでおり、また経費節減の点からも、港から近く網のかけやすい漁場や、風向きに応じて周年操業ができるよう、東西南北それぞれに漁場が欲しいといった、さまざまな要望が聞かれます。
 いそ根は、漁業権を持つ地元の漁業者が利用する貴重な漁場であるため、漁業者から天然の貯金箱といわれており、取り過ぎて貯金箱が空にならないよう、厳しく管理されております。
 こうした漁場をふやすことにより、伊豆諸島の水産業を大きく振興することが可能であると考えております。
 そこで、いそ根の整備について今後の予定を伺います。

○津国農林水産部長 都は、これまで伊豆諸島において水産資源を増殖するため、沿岸海域の岩場であるいそ根を人工的に整備してまいりましたが、漁業者からは、操業しやすく効果も高いと喜ばれております。
 このため、平成二十五年度も引き続き伊勢エビやサザエなど、いそ根を利用した漁業が盛んな大島、利島、新島、神津島の周辺海域におきまして、人工のいそ根を整備いたします。
 また、三宅島ではいそ根に生育するテングサの回復が課題となっておりますことから、これまで、島しょ農林水産総合センターが東京海洋大学と共同でさまざまな調査研究を行ってきた結果、化学繊維を活用したテングサの増殖方法を開発いたしました。
 そこで、新年度からは、過去に整備した人工のいそ根におきまして、こうした成果を活用し、一層の改良を加えながらテングサの増産に向けたパイロット事業を実施いたします。
 今後とも、各島の実情を踏まえ、計画的にいそ根を整備し、水産業の振興を図ってまいります。

○三宅委員 東京の島々では、今お話のありました水産物以外にも、温暖な気候を生かしたアシタバやパッションフルーツなどの魅力的な農産物も生産されております。島の振興のために、これら豊かな農林水産物を島外に出荷していくことはもちろんでありますが、訪れる方々に民宿や飲食店で提供するなど、島内の地産地消を進めていくことも重要です。
 島の農林水産物は、島ずしやアシタバ汁など、伝統的な料理はもちろん、工夫を加えることによって、より魅力的な食材となる可能性も持っております。これまでも、それぞれの島の観光イベントなどで特産物や伝統的料理などを紹介するほか、最近では島の食材を使用したレシピのコンクールも行われております。しかし、島ごとの取り組みではまだまだ発信力が限られています。各島の取り組みを、伊豆諸島、小笠原諸島全体の大きなうねりとするためには都の支援が必要です。
 そこで、今後どのように島の農林水産物の地産地消を進めていくのか伺います。

○武田安全安心・地産地消推進担当部長 島には、アシタバや伊勢エビを初め多くの魅力あふれる食材がございます。また、最近では地元食材を使った大島のグルメ選手権や、八丈島での郷土料理レシピ集の作成など、島の食材をPRする取り組みも始まっております。
 そこで、都は、新年度から町村や農協、漁協のほか、商工、観光団体などとも連携し、隠れた食材や料理法を掘り起こすとともに、新たなメニューづくりにも取り組んでまいります。その上で、食材と料理が島の名物になるように、都が実施している東京特産食材使用店登録制度の適用も含め、島の食材の利用拡大を図るPR方法を検討いたします。
 今後、こうした取り組みにより島の地産地消を進め、農林水産業の振興を図ってまいります。

○三宅委員 多摩地域では、とうきょう特産食材使用店登録制度を、市町村が商工会議所などの団体と一体となって推進し、地域の食材をPRすることにより、農林水産業の振興のみならず、観光振興にも結びつけています。
 今後、島しょ地域の地産地消を進め、農林水産業や観光業の振興に向けた支援に努めていただくようお願いし、次の質問に移ります。
 観光振興について伺います。
 観光は、有名な観光スポットをバスなどに乗り団体で回る旅行から、少人数で自由に地域を回る個人旅行へ大きく転換しています。また、それに伴い、地域固有の生活や文化などを体験する観光へと多様化しております。このため、各地域において、旅行者の嗜好を取り入れ、新たなニーズに対応した観光振興の取り組みが必要になってきます。
 しかしながら、地域によって観光への取り組みはさまざまであり、観光協会などの観光関連団体が、単体で取り組みを実施している段階のところもあれば、観光協会以外の企業や団体も連携して、地域全体を巻き込んで観光振興に取り組まれている地域もあります。
 本議会で、我が党の林田武議員、神林茂議員の質問に答弁いただいたように、都は新年度、地域の資源を観光に活用しようとする観光協会などのアイデアを、民間事業者の商品化ノウハウに結びつける、地域資源発掘型実証プログラム事業を実施するとのことです。この事業は、まさに地域の観光振興を進める起爆剤になるものと期待しています。
 こうした取り組みも含め、地域の特性や状況に合わせた多面的な取り組みを進めていくことが重要だと考えますが、見解を伺います。

○十河観光部長 観光を振興し、観光客を誘致するためには、特色ある資源を地域みずからが主体的に活用した取り組みを進めることが重要であります。
 都は、地域の要請に基づき、観光まちづくりの専門家などをアドバイザーとして派遣しており、地域の特性や取り組み状況に応じた観光振興計画の策定や、推進体制の構築などについても助言、指導をしているところでございます。
 また、区市町村が行う地域の特色ある産業を生かした観光ルートの整備につきましても、予算を拡充し積極的に支援してまいります。さらに、お話の地域資源発掘型実証プログラム事業におきましても、その地域ならではの資源を発掘し、旅行者誘致につなげていく取り組みを支援することとしており、島しょ地域を含めた都内全域を対象として、来年度二十件の実施を予定しております。
 都は、これらの事業をきっかけに、地域の多様な主体の連携を促して、さらなる観光振興を図ってまいります。

○三宅委員 地域においては、まだ数多くの隠れた観光資源があると思います。これらの観光資源を最大限活用し、新たな誘客へとつなげ、地域のにぎわいがもたらされるよう、都はさまざまな側面から地域の主体的な取り組みを後押しし、地域の観光振興を推進していただくことをお願いします。
 次に、スポーツ祭東京二〇一三を契機とした観光振興事業の取り組みについて伺います。
 ことしは九月に二〇二〇年のオリンピック、パラリンピックの開催都市が決まるとともに、準備を重ねてきたスポーツ祭東京二〇一三が開かれるなど、まさにスポーツの年であります。
 去る一月二十六日から七日間にわたり、スポーツ祭東京の幕あけとして、冬季国体のスケートとアイスホッケーの競技会が開催され、会場は多くの観戦者の熱気に包まれたと伺っております。そして、九月下旬から十月初旬にかけては、島しょも含めた都内六十二の全区市町村において競技が開催され、都内外から多くの方が来訪することが予想されます。
 地域の機運も高まっており、こうした機会をとらえ、多くの来訪者の方々に地域の観光資源をきめ細かくPRし、その魅力を堪能してもらうことで、今後の観光振興につなげていくことが必要であると考えますが、都の見解を伺います。

○十河観光部長 全国からの注目が集まるスポーツ祭東京は、島しょも含めた都内各地域それぞれが持つ東京の魅力を発信し、今後のさらなる観光振興へとつなげる絶好の機会と認識しております。
 都は、今大会の開催に伴い、都内外から訪れる多くの来訪者に対し各地域の魅力を堪能してもらうため、各競技会場周辺の観光情報を掲載した観光パンフレットを作成いたしますとともに、専用ウエブサイトを開設いたします。
 パンフレットやウエブサイトの作成に当たりましては、観光名所を紹介するだけでなく、区市町村や地元の観光協会と協力して、競技会場周辺の地域ならではの隠れた観光スポットをめぐる散策ルートや、食事、特産品などの情報も盛り込んでまいります。
 またスポーツ祭東京を契機として、地元の観光協会等が新たな観光資源の開発に向けた取り組みを行う場合には、先ほどの地域資源発掘型実証プログラム事業などを活用しまして支援してまいります。
 これらにより、スポーツ祭東京開催時だけでなく、その後の観光振興につながるよう各地域が主体的に行う取り組みを後押ししてまいります。

○三宅委員 スポーツ祭東京開催時は、区部、多摩、そして島しょ地域のすべてに全国の目が注がれます。各地域の観光資源を全国にPRする、この千載一遇のチャンスを決して逃すことなく、都はさまざまな工夫で地域をサポートし、さらなる観光振興につなげていただくことをお願いし、次の質問に移ります。
 若者の中小企業への就業促進について伺います。
 先ほど来、伊藤こういち理事などから、若年者の就業促進について質疑がありましたが、違う観点から伺いたいと思います。
 私が大学を卒業したのは、いわゆるバブル崩壊後で、就職氷河期世代に当たります。好景気の時代には就職環境も追い風だったわけですが、バブル崩壊に伴い潮目が変わるのを私も目の当たりにしたものですから、就職に苦労している今の若者の気持ちはよくわかります。
 リーマンショック以降、厳しい就職環境が続く中、若者の大企業志向は徐々に弱まり、中堅、中小企業に目が向きつつあります。まさに今、若者の中小企業への就業を促す絶好のタイミングです。しかしながら、中小企業が有為な人材を確保しづらい状況はいまだ続いています。
 人材確保に苦慮している要因はさまざまですが、中小企業では、専属の採用担当部署がないことが多く、毎年定期的に採用を行っていることも少ないため、採用ノウハウが蓄積されづらいことが課題として挙げられます。
 これまで、都においては、合同就職面接会など、若者と中小企業を結びつける取り組みを行っていましたが、こうした取り組みとあわせ、新たな視点も加えてマッチング機会の充実を図ることが重要です。
 こうした中、都は来年度から就職活動中の多くの若者が利用する民間就職情報サイトを活用して、都内中小企業の求人情報を発信する新たな取り組みを開始します。
 インターネットが世の中を席巻し、採用市場でも大量の求人情報がはんらんする中、埋没することなく、いかに効果的に自分の会社を若者に知ってもらうかという観点が極めて重要です。
 中小企業の採用活動については、ハローワークなどの公的就職支援機関の利用が中心であり、残念ながら画一的な求人情報が発信されがちです。会社をPRして若者を引きつけようとする要素が乏しい求人情報の発信では、若者に敬遠されてしまい、若者と中小企業を結びつけることは困難です。
 若者の中小企業への就業を促進するためには、情報を発信する際、働いている方々の生の声をアピールするなど、内容を工夫して若者への遡及効果を高めることが重要と考えますが、見解を伺います。

○穂岐山雇用就業部長 若者と中小企業との情報のミスマッチを効果的に解消するためには、情報発信の媒体はもとより、効果的な情報発信のあり方が重要でございます。
 このため、来年度から実施する民間就職情報サイトを活用した情報発信事業では、企業情報のサイト掲載に当たり、事前に企業への訪問取材を行い、写真を交えたわかりやすい記事を作成いたします。
 また、記事の内容も、事業内容などの基本的な情報だけでなく、ご指摘のように、実際に働いている方のインタビューや職場環境改善の取り組み、特筆すべき技術力や専門性など、その企業のセールスポイントを盛り込むことで若者への遡及効果の高い情報発信を行ってまいります。

○三宅委員 今ご説明のあった、この事業を通じて若者を引きつける中小企業の求人情報が効果的に発信されることで、多くの若者からの応募が期待できると思います。
 しかし、中小企業では、採用ノウハウの蓄積や体制面などに課題を抱えていることがあるため、事業に参加した中小企業に若者からの応募が集中した場合、書類選考や面接などの採用活動が円滑に進まないおそれもあります。
 こうした中小企業が直面すると見込まれる課題に的確に対応しながら、円滑な採用活動を支援することで、若者の中小企業への就業が一層促進されると考えますが、中小企業への採用支援のあり方について、見解を伺います。

○穂岐山雇用就業部長 中小企業への採用支援は、若者との円滑なマッチングを促進する上で重要でございます。このため、本事業では専用のサポートデスクを設置し、中小企業からの採用に関する相談に電話やメールで常時対応できる体制を整備いたします。
 また、参加企業の採用力を強化するため、経営者や採用担当者向けのセミナーも実施いたします。
 こうした取り組みを通じて、中小企業の円滑な採用活動を効果的に支援してまいります。

○三宅委員 若者の中小企業への就業を一層促進するためには、中小企業の実態に即したきめ細かい支援が重要です。ぜひ、中小企業の現場の声に耳を傾けながら支援に取り組んでいただくよう要望して質問を終わります。

○伊藤(ゆ)委員長 ほかに発言がなければお諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○伊藤(ゆ)委員長 異議なしと認め、本案及び本件に対する質疑はいずれも終了いたしました。
 以上で産業労働局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時四十三分散会

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