経済・港湾委員会速記録第十五号

平成二十四年十一月十五日(木曜日)
第八委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長伊藤 ゆう君
副委員長島田 幸成君
副委員長三宅 正彦君
理事伊藤こういち君
理事宇田川聡史君
理事大西さとる君
佐藤 広典君
斉藤やすひろ君
田の上いくこ君
鈴木あきまさ君
田島 和明君
清水ひで子君
木内 良明君
斉藤あつし君

 欠席委員 なし

 出席説明員
産業労働局局長中西  充君
次長保坂 政彦君
総務部長斎藤 真人君
産業企画担当部長矢田部裕文君
商工部長河内  豊君
金融部長寺崎 久明君
金融監理部長黒沼  靖君
金融支援担当部長片山  謙君
観光部長十河 慎一君
農林水産部長津国 保夫君
安全安心・地産地消推進担当部長武田 直克君
雇用就業部長穂岐山晴彦君
事業推進担当部長戸澤  互君
港湾局局長多羅尾光睦君
技監前田  宏君
総務部長黒田 祥之君
企画担当部長古谷ひろみ君
港湾経営部長笹川 文夫君
港湾経営改革担当部長野瀬 達昭君
臨海開発部長石原 清志君
開発調整担当部長大和田 元君
営業担当部長山口 祐一君
港湾整備部長石山 明久君
計画調整担当部長大釜 達夫君
離島港湾部長渡辺  滋君
島しょ・小笠原空港整備担当部長小幡 和輝君

本日の会議に付した事件
 港湾局関係
事務事業について(質疑)
 産業労働局関係
事務事業について(質疑)

○伊藤(ゆ)委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 初めに、今後の委員会日程について申し上げます。
 お手元配布の日程のとおり、理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、港湾局及び産業労働局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより港湾局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○黒田総務部長 十一月八日開催の当委員会でご要求のございました資料をご説明申し上げます。
 お手元の経済・港湾委員会要求資料をごらん願います。
 ご要求のございました資料は、表紙をおめくりいただきまして、目次に記載しておりますとおり、六項目でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。1、東京港のサイズ別コンテナ取扱個数の推移でございます。
 平成二十一年から二十三年の三カ年における東京港のサイズ別コンテナ取扱個数の推移を記載したものでございます。上段にコンテナ個数を、下段に各サイズの占める割合をパーセントでお示ししてございます。
 続きまして、二ページをお開き願います。2、世界の主要港における四十五フィートコンテナ取扱個数でございます。
 上段から全体の取扱個数、うち四十五フィートコンテナの取扱個数とその割合をパーセントでお示ししてございます。
 続きまして、三ページをお開き願います。3、臨海副都心関連予算・決算の推移でございます。
 臨海副都心の基盤整備等に係る予算額及び決算額につきまして、昭和六十三年度から平成二十四年度までの推移を億円単位で記載したものでございます。
 四ページをお開き願います。4、臨海地域開発事業会計における企業債償還の推移でございます。
 臨海副都心開発の基盤整備に係る企業債につきまして、平成元年度から平成三十二年度までの発行額及び償還額を百万円単位で記載してございます。平成二十二年度までは決算額、平成二十三年度は決算見込み額、平成二十四年度は予算額、平成二十五年度以降は計画額でございます。
 続きまして、五ページをお開き願います。5、臨海副都心における有償処分予定地の現況一覧でございます。
 有償処分予定地のうち、開発確定面積といたしまして、処分済み及び処分手続中に分けまして、また、今後開発予定面積といたしまして、公募中、今後処分予定に分け、昨年度末現在の面積をヘクタールで示してございます。
 六ページをお開き願います。6、東京港における耐震強化岸壁の整備状況でございます。
 大規模地震発生時におけます緊急救援物資等の輸送を行うための岸壁と、首都圏の経済活動を停滞させないよう、国際海上コンテナ物流機能を維持するための岸壁とを区分し、おのおのの整備状況をお示ししてございます。
 以上をもちまして、簡単ではございますが、ご要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○伊藤(ゆ)委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○大西委員 今の資料要求で、一ページ、二ページは、私がお願いしたものですけど、まずありがとうございます。これに関して質問をさせていただきます。
 東京港の国際競争力の強化について伺おうと思います。
 東京港は、コンテナ貨物取扱量を順調に伸ばして、間違いなく我が国のメーンポートとしての役割を担ってきております。しかし、近年は世界の港湾間の競争が激化しており、十年前とは全く違った様相となっていると認識しています。例えば、平成十三年の東京港におけるコンテナの貨物の取扱個数というのは、二百五十四万TEUで世界十九位でありました。十年後の平成二十三年度には、その倍近い四百六十四万TEUと伸ばしているものの、順位は二十七位に低下しています。
 一方、釜山は八百七万TEUから千六百十八万になっているが、三位から、これも五位に落ちています。また、青島は二〇〇一年まで十位までに入っていなかったのが、千三百二万TEUで八位に入ってきております。
 そのような状況の中で、最初に、世界の港湾の中で、現在の東京港の位置づけをどのように認識しているのか伺います。

○野瀬港湾経営改革担当部長 世界における東京港の位置づけとしては、上海や釜山など、アジア諸港がコンテナ貨物取扱量を激増させる中、その相対的地位が低下していると認識しております。このままの状況が続けば、我が国と欧米を結ぶ基幹航路から外れ、首都圏の生活や産業に深刻な影響を及ぼすとの危機感を持ち、川崎港、横浜港との連携のもと、国際競争力の強化に向けた取り組みを進めております。

○大西委員 私も青島とまた釜山を見てまいりましたが、すごく目覚ましい発展をしているので、本当にびっくりなんですけど、このような状況の中で、東京港は引き続きアジアの主要港となることを目指していくのか確認したいと思います。いかがでしょうか。

○野瀬港湾経営改革担当部長 東京港は、川崎港、横浜港との連携のもと、我が国の経済や産業を支えるため、国際競争力を強化し、国際港湾間の中にあって確固たる地位を堅持しなければならないと認識しております。
 京浜三港としては、東日本のメーンポートとしての機能の維持、釜山港などに対峙する日本のハブポートの実現、東アジアの国際ハブポートの形成をその目標としております。そのために、船会社や荷主など、利用者から今後も選択され続けるよう、貨物集荷策の実施や港湾機能の充実強化に取り組んでおります。

○大西委員 今お答えになられたように、京浜三港連携のもとで、国際競争力の強化に向けた取り組みを進めていきたいということでありますが、ここで四十五フィートというコンテナに着目したいと思います。
 コンテナの規格は大体二十フィートコンテナ、約六メーターですね、それと四十フィートコンテナ、十二メーターが主流であります。しかし、近年、荷主のニーズも高まり、これらより大型の四十五フィートコンテナも徐々に普及しております。これは、四十五フィートコンテナというのは、通常の四十フィートコンテナに比べて、長さが一・五メートル、高さが〇・三メートル上回っており、それで長さが約一・一倍になるように、容量が二七%も多くなるということで、荷主のコスト軽減に貢献しているためであります。
 日本はもうほとんどが四十フィートと二十フィート。二十フィートを二つ載っければちょうど四十フィートになると、そういう車がよく使われているわけですけど、この提出された資料を見ると、平成十九年という、ちょっと古いデータではあるんですけど、欧米の主要港では、取り扱いコンテナの貨物のうち七、八%がこの四十五フィートコンテナでありますが、東京港での取り扱いは平成二十一年時点でもゼロであります。平成二十三年にやっと東京港で〇・〇二%になっているものの、四十五フィートコンテナのメリットを考えれば、諸外国ではさらにふえているものと思われます。
 そこで、諸外国において四十五フィートコンテナが普及している現状について、どのようにとらえておられるのか伺います。

○野瀬港湾経営改革担当部長 理事ご指摘のとおり、四十五フィートコンテナは、通常の四十フィートコンテナと比較して積載容量が二七%ほど大きくなっております。そのため、衣類やタイヤ製品など、満載時でも重量制限を超えないような比較的軽い貨物について輸送コストの低減が可能となることから、こうした荷主の間ではニーズが高まりつつあると認識しております。
 欧米などでは、国内の陸上輸送においても取り扱い可能とされていることから、利用が拡大してきていると分析しております。

○大西委員 今、海外では活用が拡大しているというご答弁をいただきました。
 一方で、我が国における四十五フィートコンテナの活用に係る対応状況というのを教えてください。

○野瀬港湾経営改革担当部長 日本国内における四十五フィートコンテナの陸上輸送については、法令の基準により、公道の走行が原則不可となっているため、コンテナターミナルと倉庫を初めとした物流拠点との間の移動ができないなどの制約がございます。また、交差点における通行の安全性などについての課題もあり、日本においては普及しておりません。

○大西委員 四十五フィートのコンテナの普及に向けては、世界はどんどん動き始めていると見られます。これに比べて、日本はおくれているといわざるを得ないと思いますが、実際に、ある物流会社の方からは、この四十五フィートが使えないから東京が伸びないんだとはっきりいわれたこともございます。
 こういう状況の中で、四十五フィートコンテナの普及に向けて、何らかの手だてが必要と私は考えますが、見解を伺います。

○野瀬港湾経営改革担当部長 四十五フィートコンテナの普及については、川崎市、横浜市とともに、京浜港として国の総合特区制度を活用し、公道の通行条件に係る規制緩和を求めた経緯がありますが、実現に至っておりません。引き続き、利用者のニーズを踏まえながら、国の特区制度の活用などを含め、規制緩和に向けた働きかけについて、三港で協議してまいります。

○大西委員 先ほど示していただきました資料の中の二ページにおいては、ロッテルダムやロサンゼルスといったところは、十九年度でも八%、六・九%なんですね。要するに、これは今ではそれ以上になっているということは明らかでございます。
 そういう意味で、特に欧州や米国がそういうふうに、それを使い始めたら、世界じゅうで四十五フィートがスタンダードになっていけばいくほど、日本は取り残されていくという状況になると思います。利用者からのニーズもあるということでございますし、世界の港湾間の競争を意識して、この四十五フィート問題というのは大きなネックになるかもしれません。ぜひ、この東京から四十五フィート使用を発信する必要があるのじゃないかなと、私はそう思ったので、きょう、ここで警笛を鳴らさせていただきました。ぜひ、ご検討いただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

○鈴木委員 私は、まず大井ふ頭中央海浜公園について質問をさせていただきたいと思います。
 さきの決算特別委員会において、スポーツ振興局に、都内の陸上競技場の整備状況について、都のスポーツ振興を図るためには公立陸上競技場のグレードアップを進める必要があると質問をさせていただきました。港湾局においても、所管する大井ふ頭中央海浜公園に各種のスポーツ施設が整備されており、第三種公認の陸上競技場もあります。
 そこで、現在、大井ふ頭中央海浜公園の陸上競技場はどのような利用がなされているのか、お伺いをいたします。

○石原臨海開発部長 大井ふ頭中央海浜公園の陸上競技場は、近隣の小中学校及び都内の高校、大学の大会や、区の中学校体育連盟、都の高等学校体育連盟の陸上競技大会などに幅広く利用されておりまして、稼働率も春と秋の大会シーズンはほぼ一〇〇%に近く、年平均では約七〇%となっております。また、月に二日、個人で利用できる日も設けており、都民の皆様にランニングを主体に利用いただいているところでございます。
 このように、大井ふ頭中央海浜公園の陸上競技場は、地域に根差したスポーツ施設、手軽にスポーツを楽しめる施設としての役割を果たしております。

○鈴木委員 今ご説明をお伺いした以外でも、大田区陸上競技協会が区民スポーツ大会を開催して、スピードやタイムを競う場としても、春秋シーズンはほぼ一〇〇%利用されていると、こういう状況だと思っております。このように、現在は区民や都民がスポーツを楽しめる陸上競技場として活用をされているわけです。
 東京都は来年のスポーツ祭東京二〇一三、二〇二〇年の東京オリンピックの招致に向けて、競技力の向上やアスリートの育成にも取り組んでいます。そのためには、よりよい競技環境の整備が重要であり、既存競技場のレベルアップを図ることが必要であると考えております。私は、この大井ふ頭中央海浜公園の陸上競技場を第二種に格上げすべきではないかと考えております。
 そこで、大井ふ頭中央海浜公園の陸上競技場を第三種から第二種に格上げするための必要な施設整備の課題についてお伺いいたします。

○石原臨海開発部長 陸上競技場の公認は第一種から第四種までございまして、第三種陸上競技場では都道府県レベルの大会が開催できるのに対して、第二種陸上競技場では関東大会などのより広域的な大会が開催できることとなっております。
 第二種陸上競技場に公認されるための要件の主なものとして、施設の収容人員について五千人以上の規模が求められているのに対して、大井ふ頭中央海浜公園の陸上競技場は現状で約三千四百人の収容スペースしかないため、スタンド施設等の大規模改修が必要となります。
 また、競技場に新たに必要となる構造物として、ドーピング検査室、情報処理室などがあるほか、シャワー室の増設、全天候舗装の厚みの変更などの整備も必要となります。

○鈴木委員 大規模な改修ともなると、財政負担だけではなくて地元関係者との調整もあり、時間もかかることが想定をされるわけでございます。いずれにしても、この施設収容数五千人以上のスタンドをつくるというのは、大変な財政負担になってくるということは理解をしているところです。
 都立の競技施設は、港湾局以外に建設局、スポーツ振興局所管に分かれて存在をしております。私は、本来であれば、スポーツ施設の計画は東京都全体で管理すべきものであると考えております。スポーツ施設は、都民が手軽にスポーツを楽しめるものから世界大会が開催される大規模なものまで、さまざまあります。それらの施設を都内全域を視野に入れて、どのような施設をどこにどれだけ配置するのかといった投資効果を考えた全体方針に基づき、整備を行った方が効率的であると考えているからでございます。
 今、東京都は二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの招致に向け、庁内一丸となって取り組んでいると思いますが、ぜひとも競技施設についても庁内一丸となった取り組み、積極的な整備が行われるよう大きな期待を持ちまして、要望をさせていただきたいと思います。
 次の質問に移らせていただきます。
 さて、次は港湾施設の老朽化対策について質問をさせていただきます。
 東京港は世界屈指のコンテナふ頭を備えた国際貿易港であり、都民を初めとする首都圏四千万人の生活と経済活動を支える一大物流拠点として重要な機能を担っております。一方、東京港では既存の港湾施設の老朽化が進展しており、近い将来、一斉に更新時期を迎えると伺っております。今後も引き続き東京が発展していくためには、老朽化が進む港湾施設を適切に維持管理、更新していくことが極めて重要だと考えております。
 そこで、東京港の港湾施設の老朽化対策について何点かお伺いをさせていただきます。今後、多くの港湾施設が順次、更新時期を迎えることとなりますが、この厳しい財政事情のもと、維持管理、更新をどのように行っていくのか、お伺いをいたします。

○石山港湾整備部長 東京港では、高度経済成長期までに、岸壁や橋梁など多くの港湾施設の整備を行ってきており、建設後四十年以上経過している施設が多くなってきております。
 従来、これらの施設につきましては、劣化や損傷が生じてから対策を行う対症療法型維持管理の手法がとられてまいりました。しかし、この場合、維持管理コストが年々大幅に増大し、短期間に施設の更新が集中するため、財源の確保が大きな課題となっております。
 このため、中長期的な投資を勘案しつつ、施設の劣化予測に基づき、効果的な対策を計画的に実施する予防保全型維持管理を導入しているところでございます。
 これにより、対症療法型維持管理に比べて、維持管理や更新費用の縮減、また投資の平準化が図られるとともに、大規模補修に伴う港湾機能の休止を回避することも可能となります。岸壁などの係留施設における試算では、従来の管理手法に比べ、今後五十年間の維持管理費がおよそ四分の一に縮減されるものと見込まれております。

○鈴木委員 今、この予防保全型の維持管理を導入するというような答弁がございました。これによって、維持管理、更新費用の縮減、平準化を図っていくんだと、そういうことも十分理解ができました。特に、こうした維持管理手法を採用して、費用の縮減に努めていくことは、非常にいいことだと思いますし、大きく評価をしていきたいというふうに思います。
 そこで、この予防保全型維持管理を行うために、どのような調査を今後実施していくのか、お伺いをしたいと思います。

○石山港湾整備部長 予防保全型維持管理では、日常的な点検に加え、おおむね五年ごとに詳細な点検、調査を行い、施設の健全度評価及び劣化予測を行っています。
 具体的には、道路であれば、専用の測定装置を用いて、路面の劣化及び凹凸の状況など、路面の状態を調査しております。また、岸壁では、上部構造物の劣化状況、潜水士による海面下の鋼矢板の腐食状況の調査などを実施しております。
 今年度、港湾局では、青海縦貫線など十二路線の道路、辰巳ふ頭など五カ所のふ頭について点検、調査を行っています。こうした点検、調査結果に基づき、健全度評価、劣化予測を行い、事前対策として劣化の進行状況に応じた最適な補修を実施し、耐用年数の延命化とライフサイクルコストの低減を図っているところでございます。

○鈴木委員 各施設の形態に応じて予防保全型維持管理が行われていることはよくわかりましたが、道路や岸壁の背後では、埋設物の破損や地盤の沈下などで空洞が生じ、陥没の原因になるといわれております。災害時の安全を確保するためにも、今後は空洞化対策なども検討すべきではないかと、このように考えますが、見解をお伺いいたします。

○石山港湾整備部長 災害時の安全を確保するためには、港湾施設を常に健全な状態に維持することにより、地震などによる被害を最小限にとどめることが重要であると考えております。そのため、道路や岸壁の舗装面の下のように、直接目視できない箇所の異常につきましては、未然防止の観点から、巡回点検等により舗装面に変状が見られた場合、その状況に応じて必要な調査を実施するなど、早期発見に努めてまいりました。
 それに加え、今後は重要な臨港道路、老朽化した岸壁背後において、予防保全型維持管理の一環として空洞化調査の実施を検討するなど、的確に対応してまいります。

○鈴木委員 これからの東京港は、施設の新設とともに維持管理も重要となってまいります。このため、既存の港湾施設を適切に維持管理、更新することが、東京港の国際競争力の強化に不可欠と考えております。
 今後も、この予防保全型維持管理を着実に実施して、効率的、効果的な港湾施設の維持管理を推進することにより、東京港の機能確保に万全を尽くしていってほしいと、このように要望しておきます。
 さて、次に臨海副都心のMICE、国際観光拠点化への取り組み状況について質問をさせていただきます。
 世界ではヨーロッパの財政、金融不安が広がり続け、経済の減速感が懸念されるなど、不安定な状況が続いておりますが、こうした状況下でも有力な経済成長分野として注目されているのがMICEであります。
 近年、アジアの諸都市がMICE機能の充実に力を入れており、特にシンガポールでは二〇一〇年に大規模なMICE、IR施設が相次いで開業して、飛躍的な経済成長を遂げております。
 こうした中で、昨年、都が臨海副都心において今後開発予定の青海地区北側を中心にMICE、国際観光機能を充実させる構想を打ち出したことは、意義のある取り組みであると考えております。
 この青海地区北側には、今後開発可能な土地がまとまって存在しております。成熟を遂げた東京の都心に、まとまった土地が成長の伸びしろとして存在することは、激化する都市間競争を勝ち抜き、さらなる発展を目指すに当たって大変に重要なことであると思います。
 ばらばらに売り急ぐことではなくて、国内外の社会経済状況の変化に注視しながら、このMICE、国際観光機能の強化に効果的な新規施設の誘致に向けて、開発条件や開発時期を慎重に見きわめていくことが重要であります。
 また一方で、臨海副都心には東京ビッグサイトやホテル、大規模な商業施設など、既存のMICE、国際観光施設が既に集積をしているわけです。臨海副都心のMICE、国際観光機能の充実には、こうした既存施設の活用が重要であると思いますが、見解を伺います。

○石原臨海開発部長 アジアの諸都市では、会議場や展示場の大規模化、商業施設などでの最新ブランド商品や多様なエンターテイメントの提供など、国際観光資源の充実が行われ、MICE開催地としての魅力向上に努めているところでございます。
 こうした世界的な潮流に立ちおくれることなく、既存施設の機能をバージョンアップしていく取り組みも必要不可欠であると考えております。そのためには、MICE、国際観光分野における最先端の機能を敏感にキャッチする民間の豊かな発想力を効果的に活用することがポイントとなります。
 そこで、今年度新たに補助金制度を創設いたしまして、民間事業者の創意工夫や進出意欲を引き出すとともに、既存施設などのレベルアップを促進する仕組みをつくりました。この補助金制度は、MICE機能や国際観光機能の充実に資する民間事業を審査、選定の上、初期投資経費に対して補助する制度でございまして、総額五億円を予算措置して、今年度から運用を開始しております。

○鈴木委員 新規の事業者の進出に頼るだけではなくて、既存施設の充実と新たな観光資源の開発を図ることも、国際競争力の強化に意味のあることであり、しっかりと運用して、このMICE拠点としての機能充実に向けた効果をぜひ出していただきたいと思っております。
 そこで、今ご説明のありました、この東京都臨海副都心MICE拠点化推進事業の補助金制度なんですけれども、今年度から運用を開始したということですが、現在の進捗状況をお伺いいたします。

○山口営業担当部長 MICE拠点化推進に向けました補助金制度でございますが、こちらは本年五月から公募を開始いたしまして、最終的に十件の事業申請がございました。その後、書類審査、事業者によるプレゼンテーション、現地調査を初めとする市場調査を実施いたしまして、民間委員を含む選定委員会において対象事業の選定を行いまして、年内を目途に対象事業を発表する予定でございます。

○鈴木委員 今ご説明をいただいたように、十件もの事業者からの提案があったということは、非常に私も期待を持っているわけなんですけれども、MICE分野に対する民間事業者の関心の高さを、まさに物語っていると思います。民間の柔軟な発想による提案のうち、どのような事業が選定されるのか、今後の公表を楽しみにしておきたいと思っております。
 現在、アジア諸都市のMICE拠点では、高級ホテル、テーマパークや劇場、カジノなど、魅力的な国際観光資源が開発されて、集客に大きな効果を上げており、MICEと国際観光は密接不可分な関係にあります。
 MICE施設の充実とあわせて、魅力ある国際観光資源を開発することは重要であり、特にカジノは大きな経済波及効果や雇用創出効果も有するすぐれた観光資源として、世界各国から認識されております。にもかかわらず、我が国では、法整備に関する国政の議論は全く進んでおりません。国はカジノ実現に向けた果断な第一歩を踏み出すべきときであると、政権交代によってしっかりとこの施策も進めてもらいたい、そんなふうに思っているところでございます。
 さて、MICE、国際観光拠点には世界じゅうから多くの人々が集まります。来訪者にとって、言葉の壁は大きなハードルであり、異なる言語を話す人々がなれない外国のまちを安心して楽しむためには、まちの情報をわかりやすく提供する親切なまちづくり、こういうものが必要であろうかと思います。世界じゅうからお客様をお迎えするには、それに相当する都市として、本当に気配りがなきゃいけないんだというふうに思うんですね。
 そこで、臨海副都心では、海外からの来訪者への情報提供の強化にどのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。

○山口営業担当部長 臨海副都心では、これまでも、地域のエリアマネジメントを担う株式会社東京臨海ホールディングスが、ホームページにおいて、英語はもとより、中国語、韓国語による観光案内を提供してまいりました。また、地元企業で構成される臨海副都心まちづくり協議会では、臨海副都心の観光案内パンフレットを四カ国語で作成し、域内の各施設や駅などにおいて、幅広く配布しております。
 都は今後、海外からの来訪者の利便性をより一層向上させるため、臨海副都心全域にわたり、四カ国語によるまちの案内板をよりわかりやすくリニューアルいたしてまいります。さらに、「ゆりかもめ」では、今年度新たに、動画などにより地域のさまざまな情報を提供するデジタルサイネージを駅舎に設置していくこととしております。これらの取り組みを通じて、海外からの来訪者が安心して臨海副都心を楽しんでいただけるよう努めてまいります。

○鈴木委員 今ご答弁いただいたように、大分、海外からの来訪者たちに、広報面、情報の提供も本当にわかりやすくリニューアルをされたり、新しく設置をされるということで、大変期待をしているところでございます。
 MICEのみならず、例えば東京オリンピック・パラリンピックが開催されることになれば、世界じゅうから臨海副都心を訪れる人々の数も増加をして、新たな交通需要が発生することが見込まれます。
 そこで、臨海副都心を支える交通機関の輸送力増強に向けてどのように対応していくのか、お伺いをいたします。

○大和田開発調整担当部長 オリンピックの招致や、臨海副都心のMICE、国際観光拠点化には、来訪者を輸送する交通基盤の強化が不可欠でございます。このため、今後の交通需要の増加に適切に対応できるよう、「ゆりかもめ」に新型車両を導入するとともに、ピーク時等、必要に応じましてダイヤを見直すなど、輸送力の向上を図ってまいります。
 さらに、既存の路線バスと比較して、定時性、高速性にすぐれるBRTなど、既存路線を補完する新たな交通手段についても、関係局と連携し、検討を進めてまいります。

○鈴木委員 今、「ゆりかもめ」の輸送力の増強や、BRT、バス・ラピッド・トランジットというんでしょうか、この導入を、交通局や都市整備局との合同の勉強会を立ち上げて鋭意検討しているということも伺っておりますけれども、この臨海副都心の今後の開発にとって不可欠となるので、ぜひ強力に推進をしていただきたい、このように要望しておきます。
 また、これらに加えて、多くの人々でにぎわう臨海副都心では、快適な歩行者環境を整備していくことも重要であります。特に、ダイバーシティ東京前のお台場中央交差点は、国道三五七号線と首都高速道路でフジテレビ側と分断されており、青海コンテナふ頭からの大型トレーラーの交通量が多いことに加えて、歩行者が横断する距離も約百メートルと長いことから、歩行者の安全性、利便性を向上させるためには、何というんでしょうか、歩車道の分離帯というんでしょうか、この辺の対策が急務になってくるのではないか、こういうふうに考えております。
 この解決に向けて、現在、国道三五七号線などをまたぐ歩行者専用橋を建設することになっているというふうにも聞いているんですけれども、この一日も早い完成が待たれるところだと思っております。
 そこで、この歩行者専用橋の計画概要と進捗状況について、お伺いをしておきたいと思っております。

○大和田開発調整担当部長 歩行者専用橋は、都と国と周辺事業者の間で計画、検討を行ってきたものでございまして、歩行者と車を分離し、歩行者の安全を確保するとともに、快適に街区の間を移動できるよう、屋根や防風板、エレベーターを設置することとしております。また、自転車でも利用ができるよう、階段にはスロープを整備することとしてございます。さらに、こうした取り組みを行うことによりまして、交通渋滞の緩和にもつながるものと考えております。
 来年秋の完成を目指し、現在準備を進めておりまして、今月から工事に着手する予定となってございます。

○鈴木委員 大勢のお客様がこの臨海部に訪れる、安全・安心の面も着々と整備を進んでいくということで、大変期待をしております。こうしたインフラ面の充実も着実に進めていくことは重要だというふうに考えております。
 MICE、国際観光拠点化の実現に当たっては、新規のハード整備だけではなくて、これまで質疑をしてきたように、既存のハードの更新、充実や、ソフト面の取り組みが非常に重要な意味を持っていると思っております。都市としてのホスピタリティーの向上は、臨海副都心が世界の交流拠点として発展していくために欠かせない資質であり、その充実強化はこの地域の魅力向上に直結するものと思っております。
 最後に、臨海副都心のMICE、国際観光拠点化に向けた港湾局長の意気込みをぜひお伺いさせていただいて、私の質問を終わります。

○多羅尾港湾局長 日本経済の立て直しが極めて重要な課題でございます。MICE分野の強化は、冒頭にご指摘がございましたように、一国の経済を牽引する起爆剤になるものと考えております。
 臨海副都心は、既に東京ビッグサイトやホテルなどが集積しており、我が国の中でも、MICE、国際観光拠点として発展していくことが最もふさわしい地域であると考えております。今後、機能充実を図ることで、今まで以上に世界から、人、物、情報、技術が集まって交流が深まり、新たなネットワークの構築、ビジネスチャンスの拡大につながり、それが東京のみならず日本全体へと波及していくことが期待できると考えております。
 そのためには、青海地区北側の開発や都市基盤の整備というハード面の取り組みはもとより、補助金制度の運用により、民間事業者の方々の開発意欲を促し、既存施設の機能強化を図るなど、官民が連携して、ソフト面の取り組みも重層的に展開することが必要不可欠と考えております。
 今後とも、臨海副都心のMICE、国際観光機能の充実強化を図ることによりまして、この地域を日本の国際戦略拠点へと成長させ、東京の日本経済を牽引するエンジンの役割をさらに高められるよう、局の総力を挙げて取り組んでいく決意でございます。

○木内委員 ここ数日、政局が激動していまして、十二月の十六日の投票に向けて、今、世の中は物情騒然としている。加えて、知事不在の議会、委員会の開催ということでありますけれども、都民生活を守るというその原点から、あるいは行政の継続性の重要さの確認ということから、粛々ときょうの質疑も進めてまいりたいと、こう思います。
 申し上げてよいかどうか、今の、施設における予防保全型維持管理のあり方、あるいはMICE構想の構築に向けての補助金制度の推移についての質疑が鈴木あきまさ委員からございました。いずれもが、非常に鋭い、また、タイミングを得た重要なテーマであったと、尊敬を持って聞いていたわけでありますけれども、若干、テーマそのものはかぶるかもしれませんが、角度をその都度変えながらお尋ねをしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いします。
 街頭演説で声をつぶしちゃったものですから、お聞き苦しいと思いますが、先にご寛恕お願い申し上げておきます。
 きょうは、主に臨海副都心の開発と東京港の国際競争力強化、防災機能の向上などについてお聞きをしていきたいと思う。
 これまで私は、臨海副都心開発について、これを応援、支持、推進する立場から、さまざまな議論や、あるいは提案をしてきたところであります。そうした経過を踏まえて、今、臨海副都心を訪れると非常に多くの人々でにぎわっており、今の鈴木委員の言及にもありましたけれども、大変な集客力の増強というものが図られて、まさにいんしんをきわめているという表現が適切である、そういう状態だと思います。今までの道のりを考えると、私は非常に感慨深いものがあるのであります。
 ここ数年は、日本経済の長引く低迷の中で、不動産市況も厳しい状況が続いています。しかし、そうした中にあっても、多くの人々が活発に活動するすぐれたまちの開発を進めるためには、商業、業務だけの単一の機能ではなくて、病院や教育あるいは開発等の機能など、複合的な整備を進めていくことが必要であると思うんです。単純に商業や業務を対象にするということではない、申し上げたような、例えばアカデミックな要素を反映させたり、さらにまた、後世に残るような文化的な機能をこれに付加したりという、この事業の意味は非常に大きいと思うのであります。
 例えば、もう私は、ちょうど今、四期目を務めさせていただいておりますが、一期目のときのこの委員会におきまして、大規模な総合病院をこの臨海副都心に誘致すべきだと議会では初めて提案をいたしました。当時は福祉局、保健局がありましたけれども、いずれもこの両局のマターではなくて、この事業は、港湾局によって行われた歴史に残る事業である。がん研有明病院が、この私の提案の大きな成果でありまして、開設されて、あるメディアによっては、今では日本一の評価を受ける、がんの拠点病院中の拠点病院である、こういわれているわけでありまして、隔世の感を深くしております。
 最近では大型商業施設のダイバーシティ東京も開業し、さらには、都立産業技術研究センターや武蔵野大学有明キャンパスなど、申し上げたアカデミックな施設の集積も着実に進んでおります。広く臨海副都心を臨海地域ということでいえば、そのほかに二つも三つも大学がある。この前もちょっと申し上げたんですが、豊洲には芝浦工大の立派な象牙の塔が凜然として今建っているというこの事実もあります。非常に喜ばしいことであります。
 また、集積したさまざまな施設と、人々が憩う公園という重要な都市インフラを利用して開催されているイベントの相乗効果によって、先ほどの質疑にもありましたけれども、多くの観光客の皆さんがこの臨海副都心を訪れ、まちが活況を呈している。これも冒頭に申し上げた複合的な都市機能の集積による効果である。これらの機能が連携していくことでより高い相乗効果が生まれるわけでして、これがまちづくりには極めて重要なことであります。私はまさに、臨海副都心こそは、現代社会の私たち都民が後世の世代に残す大きな財産であり、資産である、こういうふうに申し上げてはばからないものであります。
 きょうは共産党の方が見えています。私は質疑のたびに共産党に触れるわけでありますから、臨海副都心は大型開発である、反対であると、何度この委員会で聞いてきたかわかりません。これがいかに時代錯誤の議論であるかということを、私はあえてこの場でいわせていただきたいと思うのであります。
 申し上げたように、公園は複合的なまちづくりにおいて重要な機能を担っている。臨海副都心における公園整備の特徴を、申し上げたまちづくりへ反映、活用していくべきだと、このことを強く訴えるわけですが、どうでしょうか。

○石原臨海開発部長 臨海副都心の面積四百四十二ヘクタールのうち、海上公園などの公園緑地面積は百十九ヘクタール、約二七%という大きな割合を占めているとともに、都内の公園としては、ほかにはない特色を持つ貴重な憩いの空間でございます。
 例えば、お台場海浜公園は静かな入り江を囲み、砂浜の延長が約八百メートルございまして、水辺に親しむことができるほか、シンボルプロムナード公園は臨海副都心のまちの東西を縦断して結び、幅員約八十メートルという幅広い空間を有するなどの特徴がございます。こうした特徴を活用しまして、各種イベントなど、多様な利用ができる交流空間として、まちのにぎわいを創出してまいります。

○木内委員 私は何度かニューヨークへ行きましたけれども、あのまちの中をセントラルパークという見事な公園が存在をしていて、ニューヨーク市民のみならず、アメリカの国民にとっての大きな財産、位置づけになっていることを、今、答弁を聞いていて感じました。だれもが憩い、そして利用できる公園を多くの人が楽しめるイベントなどで有効に活用していくことは、まさしく都民本位のまちづくりにふさわしい取り組みであると、しっかり応援をしていきたいと思っています。
 こうした特徴を持つ臨海副都心の公園を有効に活用して、人々が集い、交流を深めて、まちを活性化する取り組みが重要であると考えますけれども、具体的な取り組みのこれまでの成果と実績について伺います。

○山口営業担当部長 臨海副都心にある海上公園では、例年のイベントでございますが、海岸にキャンドルを並べて絵を描く、海の灯まつりやドリーム夜さ来い祭りなどのほか、各種のイベントが開催され、多くの人々でにぎわっております。
 昨年度は、二十四年ぶりに東京開催となった東京モーターショーに合わせまして、地元企業でつくる臨海副都心まちづくり協議会と臨海ホールディングスグループが中心となりまして、消防車や白バイなどのほか、レース使用の車などを集めました、働くくるま・珍しいくるま大集合や、冬の夜空を彩るお台場レインボー花火などのイベントが海上公園で実施され、多くの人々が臨海副都心を訪れました。
 さらに、今年度は、地元企業などと連携いたしまして、車の魅力を発信するお祭りであるお台場学園祭二〇一二のほか、約三万八千人の集客がありました東京ミュージック花火二〇一二などのイベントが新たに実施され、盛況となってございます。
 今後とも、都は、各種イベントの成功に向け、後援や広報などに積極的に取り組むとともに、地元企業や東京臨海ホールディングスグループなどと連携して、集客力のあるイベントの開催を目指して一層の努力をしてまいります。

○木内委員 去年の二十四年ぶりの東京モーターショー、私、行きまして、ちょうど乾杯のときにトヨタの社長の発声があったわけですけれども、あれは感動的でした。やっとここに戻ってきた、東京に、こういう思いがしまして、聞いてみると、どこで開催するか企画検討するときに、将来性があって、そして側面的に都市機能がしっかり強化されている、そして集まりやすいところを選ぶ、こういうことでありましたけれども、今の答弁にあったモーターショー、来年もやりそうだと思うんですが、そのときはしっかり受けとめて前向きに取り組んでほしいと思います。全然余談ですが。
 あと、印象的な行事で感動したのは、きのう、日本橋三越本店で警視庁の美術展というのがありまして、樋口警視総監の絵を初めとして、むくつけきというと怒られちゃうけど、警察官の皆さんが書いた書であるとか、絵であるとか、非常にたおやかで優雅な作品群に接して、同じように非常に感銘を深くしたところでありますが、こうしたイベントというのは、人々の心に、いやしと希望と、また光を与えるものだというふうに思うんです。
 公園を活用してのイベント開催に、地元企業や東京臨海ホールディングスグループも連携して協力をし、国内外から多くの人々をこの地域に引き寄せて、人と人を結びつけていく、これによって、まちの魅力は高まっていくと思う。さっきも、ハードとソフトという言及が同僚委員からありましたけれども、こういう側面の活性化も大事だと思うんです。そして、これらのイベントが臨海副都心の折々の季節の風物詩となって都民に親しまれて定着していくことを、これからもしっかり期待をしたいと思います。
 臨海副都心の風物詩としては、既にさまざまなものがあると思うんですけれども、東京マラソンもその一つであります。都庁前をスタートしたランナーたちが、東京の名所を駆け抜け、臨海副都心の東京ビッグサイトを目指し、懸命に走って、応援する我々を感動させてくれる。また臨海副都心には、国際的なテニスの試合が行われている有明コロシアムも立地しているし、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの招致計画では、数多くの競技会場も予定されているわけであります。
 このように、臨海副都心とスポーツのかかわりは深いものがあるわけでありまして、今後とも、スポーツをキーワードとして開発を進めていく側面があってもいいんではないか、重要な視点だ、こう考えるわけでありますが、見解をぜひ伺いたいと思い、いろいろ申し上げていろいろ聞いているけれども、きょうの質疑のポイントの一つがここでありますので、心して答弁をお願いします。

○石原臨海開発部長 スポーツに親しむ機会を来訪者に提供していくことは、まちの開発促進に当たって、にぎわいを創出するという観点からも重要でございます。これまでも、海上公園を活用しましてランニングコースを開設したほか、ビーチバレー、トライアスロン、自転車、マラソンなどの各種スポーツイベントが年間を通じて開催されております。
 プロムナード公園の中でも、東西二・一キロメートルにわたる広大なセンタープロムナードが来年完成予定でございまして、さらに一層、多種多様なスポーツイベントの開催も可能となると考えてございます。
 今後とも、人々がさまざまなスポーツに親しめる良好な環境を整備いたしまして、臨海副都心をスポーツの拠点としても発展させ、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの招致活動を盛り上げていきたいと考えてございます。

○木内委員 答弁の中のプロムナード公園の中でも、東西二・一キロにわたる広大なセンタープロムナードが来年完成予定である。ここを活用してのさまざまなスポーツイベント、これを開催していくという話でありまして、議会では初めて答弁されることであるし、その答弁を多としたいと思います。
 東京の都心で、海に面し、緑豊かに大きく整備された公園環境を活用したスポーツ大会やランニングコースは、臨海副都心ならではのものと私は考えます。これからもさまざまな工夫をして、こうした公園の有効活用に取り組んでいただきたい。そして、多くの人々がスポーツに気軽に親しむことのできる拠点としても、まちを発展させてほしい。これにより、ソフト面も加えた複合的なまちづくりが進んでいくことになる、こう思うからであります。
 さて、次のお尋ねでありますけれども、臨海副都心では、私も大変驚いたんですけれども、さきの大震災でも、建物や施設に大きな損傷をもたらす液状化の被害が見られなかった。新しい埋立地でありながら、災害に強いまちとして、その安全性の高さが証明されている。私はあの大震災直後に、新木場あるいは江戸川区、浦安周辺の液状化のところをずっと回らせていただいた。そのときに全部共通していたのは、これを造成するときに当時の海砂を使っているということ。この海砂が実は原因となって、液状化が起こるということも一つ、こういわれているわけですが、実は、臨海副都心ではそういう構造になっていないというのが、極めて安全であったという証左である、こうもいわれているわけであります。
 共同溝や橋梁等の公共施設は、十分な耐震・液状化対策が臨海副都心ではとられておりました。民間の建物に対しても液状化対策を行うことになっていることから、さらに申し上げれば、全体として地震に対して安全なまちになっている、こういうことであったと思います。備えあれば憂いなしというけれども、大したものだ、この臨海副都心は、非常に先駆的、先進的な技術でまた構築されたまちでもあるんだ、こう実感をしたわけであります。
 一方、この臨海副都心には多くの来訪者、就業者がいまして、発災時には帰宅が困難になる人々が発生することも予想されます。この地域では、東京港や公園の管理を行う東京港埠頭株式会社、域内交通を担う「ゆりかもめ」、ビル管理を行う東京テレポートセンターなどの第三セクターが存在して、東京臨海ホールディングスグループとして、まちの運営に大きな役割を果たしているのも事実であります。
 私は、あえてこのグループの立場にあっても、地域の防災対策に対して重要な役割を果たす必要があると考えますが、いかがでしょうか。

○石原臨海開発部長 東京臨海ホールディングスグループは、地域の基幹インフラの管理運営を担っていることからも、本年一月、初の試みといたしまして、グループ会社に東京臨海高速鉄道を加えた七社で、災害発生に伴う被害を具体的に想定しまして、各社の被害や対応状況などについて、無線を使用しての情報連絡訓練を共同で行いました。
 また、臨海副都心のエリアマネジメントを担う株式会社東京臨海ホールディングスが事務局となりまして、地域の帰宅困難者対策が充実するように、臨海副都心まちづくり協議会の活動の中で、地元区との協議も進めているところでございます。
 今後とも、安全・安心な臨海副都心の実現に向けまして、東京臨海ホールディングスグループなどと連携して、ソフト面の防災対策にも継続的に取り組んでまいります。

○木内委員 まず、これまでの質疑で、臨海副都心では、集積した各種施設や、あるいは整備された公園などが有機的に連携をしていて、さまざまな行事が活発に開催されて、今後、スポーツ拠点としての機能も整って、さらに多くの人々でにぎわっていくということがよくわかります。そして、防災対策にも取り組み、安心・安全のまちづくりも進むなど、地域が一体化して複合的なまちへと大きく成長しているという思いを強くいたしました。今後もさらなる発展につながるよう、局が一丸となって取り組んでいただきたい、このことをまず申し上げます。
 関連して、東京港における防災対策の問題であります。
 都は、東日本大震災の教訓を踏まえ、東京都地域防災計画を発表するなど、東京の防災力の向上に取り組んでおります。私どもは、自民党さんともしっかり協議をして、この地域防災計画に反映すべき具体的なテーマを提案し、そしてこれを盛り込んできた経緯があります。中でも東京港は、災害時においては、緊急支援物資の受け入れや、都民の生活と経済の復旧、復興活動を進める上で欠くことのできない重要な物流拠点である、このことも再三申し上げてまいりました。
 昨年の本委員会での質疑でも指摘したところでありますけれども、さきの大震災では、東京港において、港湾で働く方々の緊急避難対応、連絡体制、通信手段の確保など、これまで実践的な取り組みがなされてこなかった課題が明らかになったという声を港湾関係団体の方々から多く聞いたところでありまして、このことも指摘をさせていただきました。
 都は、こうした教訓を踏まえて、さまざまな取り組みを現在進めておりまして、その一つとして、震災後の東京港における港湾管理者と民間事業者の行動計画である港湾BCP、この策定に取り組んでいるところであります。
 一方、先日の新聞報道では、東京港の港湾関係団体の方々も、業界団体としてBCPの策定を進めているということであります。
 災害時に物流拠点としての機能を最大限に発揮するためには、東京港全体のBCPとともに、緊急支援物資の荷役作業など、港湾の最前線で活動する港湾関係団体の方々の個別のBCPがしっかりと整備されていくこと、これが大変重要であると私はあえて訴えたいと思います。
 そこで、こうした港湾関係団体におけるBCPの整備について、都がしっかりと支援をしていくべきであると考えますが、所見を伺います。

○笹川港湾経営部長 委員ご指摘のとおり、災害時における迅速かつ円滑な緊急物資輸送は、荷役作業などを行う港湾関係団体が事業継続できる状態であって初めて成立するものでございます。こうした点で、各港湾関係団体におけるBCPの整備は重要であると認識しております。
 東京港では、現在、各行政機関と港湾関係団体で構成する東京港連絡協議会におきまして、東京港における港湾BCPの策定に向けた検討を進めております。
 今後、こうした協議会を活用いたしまして、災害時の連絡体制や作業手順などBCPに必要な内容を様式化したBCP参考モデルを提供するなど、BCPの整備に取り組む港湾関係団体への支援を行ってまいります。

○木内委員 非常に重要な答弁が今あったと思います。この協議会を活用して、災害時のBCPに必要な内容を形式化した参考モデルを関係団体に提供するなど、都として関係団体への支援に取り組んでいくということなので、どうか精力的に取り組んでいただきたいと思います。
 一般的に、都内の中小企業などでは、情報や、あるいはノウハウの不足からBCPの策定がなかなか進んでいないという話も聞いております。このBCPのモデルの提供といった取り組みは、東京港のBCPとの連携を図る上でも極めて有効な支援策の一つであると評価をさせていただきます。
 今後も忘れてならないことは、港湾関係団体の皆さんからの要望などを踏まえて、そうして支援に取り組んでいただくこと。理解を得ながら、どうか丁寧に対応していただきたい、こういうふうに思うのであります。
 一方、東京港は、物流の拠点であるだけでなく、旅客船が往来し、人が行き交う交通の結節点でもあります。本年六月に新たに就航した「ホタルナ」などの定期観光船でリゾート気分を味わう人たちもいれば、屋形船で江戸情緒を楽しむ人もいます。このように都民の皆さんが水辺に親しむ機会がふえることによって、災害時における安全の確保がより重要になってくる。
 例えば、東京港や河川で営業している屋形船はおよそ二百隻あると、こういうふうに聞いておりますけれども、シーズン中の休日には恐らく数千人の方々が屋形船で楽しまれていると思う。江戸川と江東区の間を流れる荒川、ここで、夏、花火大会が行われます。江戸川べりからも江東区べりからも、それは人々が集まると同時に、規制水面以外は何百杯という屋形船が、それこそいろんな船舶が来ては見物をしている。恐らく数千人の方々が、例えば申し上げている屋形船で楽しまれていると思うんですが、例えばそんなときに地震が発生したらどうすればよいのか。津波が来る前に、乗船客が最寄りの桟橋ですぐに下船して、安全な場所に避難していただく必要があるのではないか。
 そして、今からこういう事態に対しても、港湾局としては、こうした課題についての取り組みを検討、準備しておく必要があると思うんですが、どうでしょうか。

○笹川港湾経営部長 ご指摘のとおり、地震発生の際は、最寄りの桟橋で下船し、安全な場所に避難していただくことが最善の策であると考えております。
 都は、水上バス、海上バスの発着施設として、お台場や有明などに公共浮桟橋を保有しておりますが、定期航路専用の施設であるため、通常は屋形船等の小型船の利用は認めておりません。
 これまで非常時に使用する場合のルールがあらかじめ取り決められていなかったため、東日本大震災の際、屋形船の中には使用要請をちゅうちょいたしまして、通常使用する桟橋に戻って乗客を下船させた船もあったと聞いております。しかし、災害時には、津波の到来まで時間がない場合や水門が閉鎖される場合など、戻れない船も出てくる可能性がございます。
 そこで、船舶事業者からのご要望を受けまして、本年三月には基準を定め、地震発生、津波警報発令等の非常時には、日の出、有明、青海、晴海、お台場の五つの公共浮桟橋の使用を認めることを明確にいたしまして、周知を図ったところでございます。
 これによりまして、非常時には東京港内を航行中の屋形船等の小型船が速やかに乗客を下船、避難できる体制を確立いたしました。

○木内委員 私、こうした関係事業者からの要望を受けて、乗客を安全に避難できるようにした、このことを高く評価したいと思うんです。細かいことかもしれないけれども、政治というのは、そういう血の通った施策の積み重ねだと、こう思うからであります。(宇田川委員「細かくないですよ、大事なことです」と呼ぶ)大事なこと、非常に大事。江戸川区ね。一緒にやりましょう、江東区とね。細かくない、大事なことです。
 ところで、臨海副都心を抱える東京港には、多数の観光客やビジネスマンが集っております。東日本大震災の経験が記憶に新しいんですけれども、災害により鉄道などの交通機関がストップすると、こうした多くの人々は帰宅困難者になってしまう。
 先ほどは避難の話をしましたけれども、それだけではなく、こうしたときにこそ船の舟運、これが活用できるのではないか。臨海副都心は海に囲まれており、多くの桟橋があります。地域防災計画においても、帰宅困難者の輸送手段として船舶の活用が挙げられています。帰宅困難者の支援に当たっては、屋形船などの力を、あるいはその存在を活用することも大事なのではないか。
 よく屋形船の団体の役員の皆さんと懇談をする折があるんですが、災害のときに我々に役に立てることがあればどんどんいってほしいんです、何でもやらせてもらいます、人ごとじゃありませんから。こういうふうに、もう会うたびにいってくれるわけでありまして、屋形船組合の皆さんはやる気十分でいます。
 そこで、こうした災害時における舟運の活用を都は積極的に推進していくべきと考えますが、所見を伺います。

○笹川港湾経営部長 地域防災計画では、都の役割として、バスや船舶など代替輸送手段を確保することとしており、区市町村や国、船舶事業者等と協力して帰宅支援を行うこととしております。
 バス輸送は国によるマニュアルの策定が予定されているところでございますが、船舶輸送につきましては、近県への遠距離輸送なのか、東京港内などへの近距離輸送なのか、支援する帰宅困難者の数がどの程度なのかなど、それぞれの状況に応じて大型船あるいは小型船の活用といったさまざまな方法が想定できるものの、桟橋の安全性や水深の確保、他の交通機関との連携等の課題があり、今後、課題の整理や検証を進めていく必要がございます。
 局といたしましては、災害時に舟運が効果的に活用できるよう、総合防災部や関係部署、区市町村等と連携いたしまして、積極的に検討してまいります。

○木内委員 東日本大震災でも多くの帰宅困難者が発生したんですけれども、こうした方々の輸送手段の確保は、都の防災対策の中でも極めて重要な問題であります。今、積極的に検討するという答弁であったと思いますので、課題は多くあると思いますけれども、ぜひ頑張ってもらいたい、こういうふうに思います。
 今回は、東京港の防災対策について、災害時における復旧、復興活動の物流拠点と帰宅困難者の輸送という二つの観点から、幾つか提案を含めてお聞きしました。都からは、それぞれの提案について、具体的にしっかり対応するとの答弁があった。東京港の防災対策に万全を期すために、積極的な取り組みを進めていただくよう要望をいたします。
 さて、次に、重要課題であります港湾運営会社制度についてお尋ねをいたします。
 この制度については、昨年の経済・港湾委員会事務事業質疑で私は取り上げたところでありまして、実はその時点では、制度あるいは法律の詳細な内容は明らかになっていなかったのであります。
 去年の十二月にこの制度が施行されるに当たって国の省令やガイドラインが出されて、制度の全貌が明らかになって今日を迎えているので、この点について何点かお聞きします。
 このガイドラインでは、港湾運営会社となるための一つの要件として民間人社長を置くことが定められている。先般、東京港埠頭株式会社の次期社長として、現在、首都大学東京理事長を務めておられる高橋宏さんが内定をし、来年の四月一日着任だ、こう聞いています。
 高橋さんは、港湾局とも縁の深い港湾審議会の座長というのかな、委員長というんですか、トップの座におられて、指揮をとっておられることが印象的でありますけれども、東京港埠頭株式会社においても、港湾運営会社に指定されるための形をいよいよ整えつつあるようにも見えるのであります。
 今回内定した高橋氏は、かつて日本郵船株式会社の副社長を経験され、民間企業経営者としての豊かな見識、また港湾に関する非常に高度な知識と経験をお持ちであるとともに、現在は、申し上げたように東京都港湾審議会会長としての立場から、東京港における港湾政策についてさまざまな面からご指導されており、まさしく適任だといえると思います。
 私は、今回の高橋さんの社長内定は、東京港にとってとても喜ばしいことであるが、一方で、港湾運営会社の制度そのものについては、私は大きな懸念を感じているのであります。
 その一つが、昨年からさまざまな場面で議論されており、私も注目していた、港湾運営会社への民間出資の問題であります。民間出資の導入は、港湾運営会社となる要件の一つとして国のガイドラインに反映されたと確認をされています。
 そこで、確認のため、民間出資の導入について、国のガイドラインにおいて示された具体的な要件についてご報告を願います。

○野瀬港湾経営改革担当部長 港湾運営会社は、最終的には京浜港に一社とされておりますが、当面は、東京港、川崎港、横浜港それぞれに置くことができるとされており、これを特例港湾運営会社と呼んでおります。
 国のガイドラインでは、この特例港湾運営会社の時点では民間出資の割合についての制限はなく、一株でも可能とされております。最終的に三港の特例港湾運営会社が統合し、一つの港湾運営会社となる時点では、民間出資の割合を三割以上とすることが望ましいとされております。

○木内委員 客観的に率直に内容をご報告ということで申し上げれば、今の答弁にならざるを得ないわけでありまして、それはよくわかるんですけれども、港は物流機能を維持する上で大切なインフラでありまして、コンテナターミナルを一元的に管理運営する港湾運営会社には、極めて公共的な役割が求められているんですね。これをまず念頭に置いて法は施行されなければいけないし、決められなきゃいけない。法律事項もそうでなくてはならない、こう思うわけであります。
 民間出資の要件について、まず答弁をいただいたわけですけれども、特例港湾運営会社の段階の扱いはともかく、今、答弁があったように、最終的に民間出資の割合を三割以上にするというのは、私はとても現実的とは思えない。これについての感想は求めませんけれども、私の感想と共有してもらいたいことを、あえて今、求めておきます。
 この公共的な役割の重要性について、これまでも再三主張してきたところでありますけれども、やみくもな民間出資の導入は、港の実情を全く踏まえない利益偏重の要求が強くなる、商業主義に陥る、もうけ主義に陥ってしまう。港の持つ役割を十全に果たすような機能のあるべき姿がなくなってしまう。こういうふうにいいたいのでありまして、利益偏重の要求が強くなるなど公共性が損なわれるおそれが強い。
 そこで、私の今いったことを踏まえて、東京港埠頭株式会社への民間出資についての対応について見解を求めます。

○野瀬港湾経営改革担当部長 東京港埠頭株式会社については、現在、株式会社東京臨海ホールディングスからの出資を通じて民間出資が入っていることから、国からは、これをもって特例港湾運営会社指定の要件に合致しているとの見解を示されております。
 今後、東京港埠頭株式会社が特例港湾運営会社に指定された後、川崎港、横浜港の特例港湾運営会社と統合する場合には、総体として三割以上の民間出資を求められることになります。
 現在、三港では統合のあり方についての議論を進めておりますが、民間出資の具体的な姿は現在検討中でございます。

○木内委員 民間出資について、現時点での対応はわかりました。この具体的な姿は、現在検討中であるということ。しかし、東京港埠頭株式会社が、当面の特例港湾運営会社から三港の会社の統合を経て正式な港湾運営会社となるとなれば、話は別であります。
 繰り返しになりますけれども、港湾運営会社は、コンテナターミナルを一元的に管理運営する極めて公共性の高い会社であります。国の定めたガイドラインありきで、なりふり構わず民間出資を集めるようなことは論外でありまして、どのような場合においても将来への影響を十分に考え、この公共性を損なうことがないよう、心して対応していただきたいと思うのであります。
 ところで、そもそもこの港湾運営会社制度の創設に係る法改正は、港湾管理者や港湾関係者との開かれた議論もなく行われた、関係者はよく口にすることであります。現場の声を無視した、実態を理解しないでこの法改正に取り組んだ、こういう声が余りにも多いのであります。実際に、港湾関係者の方々の話をいろいろ伺っている中では、この制度に対しての危惧や懸念をよく、今なお耳にするのであります。
 港湾の作業は危険も多く、さまざまな場面での苦労があるわけですけれども、港湾関係者の方々は、人々の生活と産業を支える公共インフラを担うという誇りを持って日夜励んでいる。何十年という東京港の歴史の中で、この発展と今ある姿を下支えしてきた、そのご苦労されてきた立場の方々にとって、商業主義に走って、そうして公共性を失う港のあり方というのは考えられないことである。これを率直に現場から私は聞くのであります。したがって、こうした方々が安心してその使命を担うことができるよう、制度面からも良好な環境を確保することは必要不可欠であります。
 今回の港湾法の改正に当たっては、こうした問題意識を共有する関係各方面のさまざまな尽力により附帯決議が付されました。公共性の確保や港湾関係者への配慮について明記をされております。
 私ども公明党は、よく、現場の地方議員と国会議員が緊密なきずなのもとで関係性を深くするネットワーク政党だといわれますけれども、国交委員会のメンバーである私どもの高木代議士を通じて各会派に働きかけをしていただいて、附帯決議をつけさせていただいた。他党の大変なご尽力も、協力もあったこと、感謝するわけでありますが、この附帯決議なしに、政府の原案どおり通っていたら、とんでもないことになっていた。これはどうか東京都港湾局の皆様も拳々服膺してご理解をいただきたいと、こう思うわけであります。
 これは国の法律に対する附帯決議でありますけれども、この制度に対応することとなる港湾管理者についても、この趣旨を十分に尊重する必要があると考えます。都においても、港湾運営会社制度への対応について、制度ありきではなく、港湾関係者の声を十分に聞きながら進めていくべきと考えますが、私が今るる申し上げた主張も踏まえて見解を述べていただきたいと思います。

○野瀬港湾経営改革担当部長 港湾運営会社制度については、特例港湾運営会社の指定に係る国への申請期限が来年九月となっており、その指定を受けた後、最終的には川崎港、横浜港における特例港湾運営会社との経営統合が求められております。
 ご指摘のとおり、港湾関係者の間では、この制度についてさまざまな意見があるということは認識してございます。
 都としては、港湾関係者の声を十分聞きながら、何よりも東京港を首都圏四千万人の生活と産業を支えるための利用者本位の使いやすい港にすることを第一に考え、港湾運営会社制度に対応してまいります。
 また、国に対しては、十分な意思疎通を図りながら、港湾関係者の声をフィードバックし、東京港の実態を踏まえた制度運用を求めてまいります。

○木内委員 制度のための制度があるわけじゃなくて、港をさらによいものとしていくための手段が制度であるということを忘れてはならないわけであります。
 国というのは現場を持たないんです。観念的なんですよ。だから変な仕分けだとか、大事な事業をつぶしてみたり、やるということをやらないでいたり、やらないということをやるといったり、跛行現象も甚だしい今の政治があるわけでありまして、現場を持たない国が示した港湾運営会社制度をそのまま邁進するのではなく、あくまでも港をさらによくしていくためには何をすべきか、港湾関係者や利用者の声を十分に聞きながら、必要なことはきちんと国に要望していくことが港湾管理者の責任であると、こう考えるわけでありますが、ぜひ心して取り組んでいただきたいと思います。今の答弁を高く評価いたします。
 最後のテーマです。今度はそんなに難しい話じゃありません。今までも難しかったわけじゃないけれども。東京ゲートブリッジの開通効果について、初めて出していただく数字も、ぜひ要望したいし、しっかりしたご答弁をお願いしたいと思います。
 本年二月十二日、若洲と中央防波堤外側埋立地とを結ぶ東京ゲートブリッジが開通しました。この施設は、東京の新たな名所として休日を中心に多くの人々が訪れ、歩道から都心の眺望を楽しむなど、若洲公園とともににぎわいを見せている。ゴールデンウイークには、最高で八千人もの人が訪れたと聞いています。
 一方、東京ゲートブリッジは、いうまでもなく、東京港の物流機能強化に向けた道路ネットワークの動脈を担うことが強く期待されております。先ほども、質疑の中で輸送力の増強ということがありましたけれども、包括的には、このゲートブリッジも大きなその一翼を担っているんだと、こう思うわけであります。
 今回の開通によって東京港の交通混雑の緩和、物流の円滑化が図られるものと思っておりますけれども、開通から九カ月経過した現時点での具体的な効果について、数字でお示しいただいて確認をしたいと思うんです。開通後の交通の実態はどういう内容になっていますか、ご報告願います。

○石山港湾整備部長 開通後、都では東京ゲートブリッジの効果を検証するため、九月に交通量等の調査を実施いたしました。
 その結果、現在、東京ゲートブリッジの平日平均交通量は約二万六千台となっており、開通直後の約二万四千台から徐々に増加してきている状況でございます。また、車の流れといたしましては、城南島から臨海トンネルを通過してくる車両の約五割がゲートブリッジを利用している状況にありました。

○木内委員 現状で一日当たり約二万六千台の車両がこの東京ゲートブリッジを利用しているとのことでありまして、城南島から新木場方面へ向かう車に大いに活用されていることがわかった。大きな動脈の一つになったわけであります。これだけの車両がゲートブリッジを通行していることから、既存の道路の渋滞の緩和にも大いに寄与しているものと考えます。
 そこで、あえてこの場で、周辺道路の交通渋滞の状況がどういうふうに変わったのか、ご報告ください。

○石山港湾整備部長 今回の交通量調査の結果によれば、ゲートブリッジの開通により、これまで渋滞の激しかった青海縦貫線の平日平均交通量が約二八%減少いたしました。
 また、中央防波堤外側地区から江東区の新木場交差点まで、ゲートブリッジ開通前の臨海副都心を経由するルートでは約二十四分かかっておりました。これがゲートブリッジを通ることで約十一分となり、おおむね十三分の短縮効果がございました。これは国が整備効果として想定した九分の短縮より大きく、当初の想定以上の時間短縮効果があらわれておりました。

○木内委員 ゲートブリッジの開通によって、交通混雑が緩和された実態が具体的な数字として確認できました。特に、今回の調査結果で当初の想定以上の効果があって、従来の半分以下の時間で新木場まで行くことができるようになったことは、大変結構なことだと思います。東京港の物流機能の強化に大いに寄与するものと評価します。
 一方、日本最大の物流拠点である東京港の周辺には、商業施設などが集積してにぎわいの拠点となっている臨海副都心があり、多くの観光客や都民が訪れる臨海副都心の中をコンテナ車両等の大型車が通行する状況が見受けられます。こうした港湾関係車両が臨海副都心を通過することを減らしていくべきであると、こう考えるのですが、この点についてはどういう変化がありましたか。

○石山港湾整備部長 今回の交通量調査では、青海一丁目交差点、東京ビッグサイト前交差点など、臨海副都心内にある主要な五つの交差点の平均で、ゲートブリッジ開通前と比較して、日中の大型車の交通量が約二〇%減少しておりました。
 これにより、大型車両と一般車両がふくそうする状況が緩和されるなど、臨海副都心内の道路の交通安全性が向上し、多くの人々がより安心して訪れやすくなるものと考えられます。

○木内委員 今申し上げた大型車両云々というのは、私は、この種類の車種を排斥しようという意味では全然ないんですよ。交通渋滞の緩和なりとか、あるいは混合交通下における安全性の確保だとか、そういう客観的な意味合いから申し上げておりますので、ご理解をいただきたいと思います。
 交通量の分散、目的地までの期間短縮、臨海副都心への大型車交通量の減少など、東京港の交通機能、交通環境の向上に大きな効果があったことが、きょうの答弁で明らかになりました。
 しかしながら、東京港が荷主に支持をされ、取扱貨物量がふえている状況で、今後、中央防波堤地区などの開発が進めば、また以前のような交通渋滞、混雑が生じるのではないかと危惧している。先ほどの質問にあった、コンテナの取扱量の話もありますけれども、我々の努力によって、釜山や、あるいは外国の港湾に負けないような、さらに物流が実現できた場合には、こうした混雑というのはもっともっと激しくなるんだと。だから、今からしっかりこの課題に対する解決策というものを考えておかなくてはいけないと思うんですね。
 国際競争力を高めていくためにも、円滑な物流を支える道路ネットワークのさらなる充実強化が必要であると考えます。そのため、今後も着実に道路整備を進めていくべきと考えます。特に、道路整備は港湾の事業にとって不可欠の問題であると、こういう認識を私はかねてから持っておりますので、局長の今後へのご決意を伺っておきたいと思います。

○多羅尾港湾局長 港の整備と申しますと、どうしても、まず海側のふ頭の整備に目が向きがちでございますが、東京港の国際競争力を高めていくためには、コンテナターミナルを中心とする港湾施設の機能と、委員のお話にございましたように、これを支える陸側の道路ネットワークの機能をバランスよく整備していくことが肝要でございます。
 現在、港湾局では、コンテナ貨物取扱量に対応するため、中央防波堤外側地区に新たなコンテナふ頭の整備を進めております。東京ゲートブリッジの開通によりまして、東京港の南北方向の交通を担う青海縦貫線の負荷は軽減されましたが、中央防波堤外側地区の開発が進むことにより、再び交通量が増加することが見込まれます。
 東京港における円滑な物流機能を確保するためには、五年先、十年先をよく見通して、中央防波堤外側地区と有明地区を結ぶ新たなルートを初め、道路ネットワークのさらなる充実強化が必要でございます。
 このため、南北道路の事業化を国に対して強く要求していくとともに、国道三五七号線新木場交差点の立体化、新たなふ頭へのアクセス道路の整備等、着実な道路整備を行い、荷主や港湾事業者の方々にとってより使いやすい港づくりに取り組んでまいります。

○木内委員 大変明快な答弁をいただき、ありがとうございました。
 これで私の事務事業質疑を、港湾局について終了しますけれども、最後に、委員長におわびを申し上げなければいけません。五十分と申し上げていたんですが、三分超過しちゃったようで、今後気をつけてまいりますので、よろしくお願いします。

○伊藤(ゆ)委員長 大丈夫です。聞きごたえがありました。

○三宅委員 初めに、離島の航空路について伺いたいと思います。
 島にとりまして、本土と結ぶ航空路は島民の生活を支える貴重な足であり、観光客の誘致などを進める上からも重要な交通インフラとなっています。私は、この航空路に関して、ことしの第二回定例会の一般質問で、三宅島航空路線の維持存続と調布飛行場への計器飛行方式の導入について質問いたしました。この二つについて、その後の進捗状況等の確認も含めて質疑を行いたいと思います。
 まずは、三宅島航空路線についてお伺いいたします。
 私は二定で、全日空が現行機種を平成二十四年度末に退役させるため、今後は路線を維持できなくなるとしていることから、都は有効かつ迅速な対応を行うべきであるとの質問をいたしました。これに対して、港湾局長から、調布-三宅島間の航空路新設に向けて、調布飛行場の地元三市の三鷹、府中、調布市と協議を開始したところであり、早期開設に全力で取り組んでいくとの答弁を得たところでございます。
 しかしながら、平成二十四年度末で羽田-三宅島間の航空路線がなくなるのであれば、残すところあと四カ月余りしかありません。三宅島の島民にとりまして航空路線は極めて大切であり、速やかに調布-三宅島間の新規航空路線を開設する必要がありますが、聞くところによりますと、来年四月の新規航空路線の開設は困難とのことです。そうなると、新規航空路線開設までの間、空白期間が生じることになります。
 そこでまず、いつ新しい航空路線が開設できるのか、また、都は新路線が開設されるまでの間、空白期間が生じることがないよう、どのような対策を考えているのか伺います。

○小幡島しょ・小笠原空港整備担当部長 現在、調布飛行場におきましては、離島航空路線を運行しているのは新中央航空株式会社でございますが、同社に打診いたしましたところ、三宅島航空路線の運航は平成二十六年四月から可能としてございます。
 この場合、一年間空白期間が生じますことから、現在、全日本空輸株式会社との間で、現行機種Q300の就航の一年延長の協議を行っておりまして、空白期間が生じないように全力を挙げて取り組んでまいります。

○三宅委員 何としても空白期間が生じないように、全日空との交渉をしっかりとやっていただきたいと思います。
 次に、調布飛行場への計器飛行方式導入について伺いたいと思います。
 調布飛行場と離島とを結ぶ航空便には、現在、大島、新島、神津島路線の三路線がありますが、この三島の空港には、既に平成二十一年六月までに計器飛行方式が導入されています。しかしながら、調布飛行場にはいまだ導入されておらず、就航率は依然として低い状態のままであり、計器飛行方式の導入について島から強い要望が出ています。
 調布飛行場に計器飛行方式が導入されれば、就航率の改善が図れると思いますが、現在の就航率は具体的にどれくらいなのか、また、計器飛行方式導入後は就航率がどの程度になると見込まれるのかお伺いいたします。

○小幡島しょ・小笠原空港整備担当部長 調布飛行場と大島、新島、神津島間の昨年の就航率は、三島平均で七七・四%でございまして、平成十九年から平成二十三年までの過去五年間の平均では八二・八%となってございます。
 計器飛行方式導入後の就航率でございますが、過去の調布飛行場の気象データ等をもとに試算いたしましたところ、約九〇%になると見込まれております。

○三宅委員 その就航率の向上は、大島、新島、神津島の島民にとって長年の悲願であり、平成十五年には新島村長を初めとする島民三千三百名余りの方から就航率向上の請願が都議会に出され、平成十六年の一定で趣旨採択されております。
 都では、ことし五月から、就航率向上のために計器飛行方式を導入すべく、地元三市と本格的に協議を始めたとのことですが、合意のためには何よりも地元の理解が大切であると思います。
 計器飛行方式の導入について、地元では安全性に対する不安を持っている人もいると聞いていますが、計器飛行方式の安全性についてはどうなのか伺いたいと思います。

○小幡島しょ・小笠原空港整備担当部長 計器飛行方式は、管制官の指示を受けながら、国があらかじめ定めた出発進入方式、飛行経路等で飛行するため、ほかの航空機との間隔及び地上物件との間隔は完全に保たれておりまして、安全性は十分確保されております。
 計器飛行方式は、全国でも九〇%以上の空港で導入されておりまして、安全性には実績がございます。東京の島々におきましても、既に計器飛行方式は導入済みでございまして、これまでの飛行実績からも、その安全性は十分確認されております。

○三宅委員 今の答弁で、本当に安全性については十分確保されているということがわかりましたが、今度、三宅島の航空路線の新設と計器飛行方式の導入に伴いまして飛行回数がふえることから、騒音等、生活環境の悪化について不安を感じている地元の方の声もあると聞いております。
 現在、地元三市との間で締結されている協定では、年間飛行回数についての上限や騒音対策の充実などを図ることが約束されていますが、市街地の中に設置されている飛行場であることをかんがみると十分な配慮が必要であり、年間の飛行回数や騒音対策について協定に抵触するようなことがあれば、合意を得るのも難しくなると思います。
 都では地元への配慮から、計器飛行方式については、調布飛行場を利用するすべての航空機に導入するのではなく、その一部である離島航空便及び緊急性の高い医療搬送等の目的のものに限って導入することにしたとのことですが、今回の提案により飛行回数や騒音対策について問題は生じていないのか伺います。

○小幡島しょ・小笠原空港整備担当部長 地元三市と交わしております現行の協定では、年間離着陸回数の上限を二万三千回程度としてございますが、実績を見ますと、過去五年間の平均で約一万七千百回程度となってございます。
 三宅島航空路線の新規開設と計器飛行方式導入で見込まれます離着陸回数の増加は、三宅島航空路線では、火山ガスの影響次第で就航率も変わり、見込みに幅が生じますことから、両方合わせて約千三百回から約二千四百回の増となります。したがいまして、この数字を実績に加えて試算いたしますと、約一万八千四百回から最大でも一万九千五百回となり、十分、二万三千回以内におさまることになります。
 騒音対策につきましては、都では、その一つとして環境基準に基づく防音工事助成を行っておりますが、その際には、協定上の上限であります二万三千回の離着陸があるものとみなして、その影響を予測して対応してきておりますので、新たに問題が生じることはないと考えております。

○三宅委員 これまでの答弁をお聞きすると、地元三市も十分理解してくれるのではないかと思います。
 島においては、五月二十八日に大島、新島、神津島、三宅島の各町村長が地元三市の市長に、また、八月二十二日には各島の議長、副議長が地元三市の議長などに早期実現の要請活動を行ったところであり、各島の今回の件にかける熱意には並々ならぬものがあります。都においても、ぜひ地元三市の理解を得られるよう最大限努力していただきたいと思います。
 二定の答弁では、早期に三市との合意が得られるよう精力的に協議を進め、全力で取り組んでいくとのことでした。そこで、航空路に係る質問の最後として、三宅島航空路線と計器飛行方式導入の二件の協議、取り組み状況について伺います。

○小幡島しょ・小笠原空港整備担当部長 五月の調布基地跡地関連事業推進協議会の幹事会で地元三市に提案して以降、これまでこの幹事会のもとに設置されました諸課題検討協議会を三回開催し、協議してまいりました。
 また、九月から十月にかけて、都として地元三市への住民説明会を開催いたしまして、地元住民の理解を求めるとともに、必要に応じて市議会への説明も行ったところでございます。
 こうした都としての取り組みに加え、先ほど副委員長ご指摘のとおり、四島の町村長、議長、副議長の地元三市への要請活動もございまして、これまでに三鷹市議会の調布基地跡地利用対策特別委員会及び調布市議会の調布飛行場等対策特別委員会では、都の提案が了承されたと聞いてございます。
 都といたしましては、引き続き地元三市と十分に調整を図りながら協議を進め、年内には合意したいと考えております。

○三宅委員 調布飛行場は、島にとりましては生命線であるといっても過言ではなく、今回の二件の協議事項は、島側からすると何としても早期に実現してほしい事項です。調布飛行場については、地元三市への配慮を十分行う必要があり、都としてもご苦労があると思いますが、引き続き地元三市に対して丁寧に協議を行い、ぜひとも年内に合意を取りつけていただきたいと思います。
 次に、港湾施設整備を通じた島しょ振興について伺いたいと思います。
 島と本土とを結び、人や物資を運ぶ定期貨客船は、文字どおり島にとっての生命線であり、その船が発着する港は、島の生活を支える最も重要なインフラの一つです。
 そして、伊豆・小笠原諸島の港は、現在の島民の暮らしを守ることにとどまらず、これからの島の発展、活性化に大きな役割を担うべきものであり、その観点から、港湾施設整備について幾つか質問を行いたいと思います。
 伊豆諸島では、島を訪れる観光客が減少傾向にあることに加え、島民の高齢化も進んでおり、全体的な活力が失われつつあります。こうした現状を見ると、島の活性化のためには多くの方に島に来ていただき、訪れる方と島民との交流を深めて、島を愛する人を一人でも多くふやし、将来にわたって何度でも来ていただく、そのような方策を積極的に講じていかなければならないと思っております。
 そこで大切なのが港湾施設です。島への重要な交通手段である定期船が安定的に就航できていなければ、せっかく伊豆諸島に行ってみたいと思っている人も、実際に訪問する計画は立てにくく、また、せっかく訪れた観光客が本土に帰るとき、港内の波が強くて船が欠航し予定どおり帰れないということになれば、島のイメージダウンにつながりかねません。
 島しょ振興を進めていくためには、訪れる人が安心かつ安定的に船を利用できるようにすることが極めて重要です。これまで定期船の就航率を向上させるために港湾施設整備を実施してきていますが、まだ十分に就航率が確保できているとはいいがたく、さらなる定期船の就航率向上のために現在行っている取り組みについて、改めて伺いたいと思います。

○渡辺離島港湾部長 伊豆諸島には、一年を通じて人や物資を安定的に島に運ぶ大型貨客船と、竹芝から神津島までの各島を高速で結ぶジェットフォイルが就航しております。大型船とジェットフォイルは大きさが異なるため、それぞれの船に合った港の整備を進めているところです。
 大型貨客船については、八丈島、新島などで大型船用の泊地を囲むように防波堤を延伸し、静穏度を向上させ、就航率向上を図っております。
 ジェットフォイルは、船体が小さく波の影響を受けやすいため、その対策としてジェットフォイルが着く岸壁周辺に防波堤を整備し、静穏度の向上を図っております。平成二十三年には、神津島港においてジェットフォイル用の岸壁が供用を開始されたところです。現在、利島港においてジェットフォイルの就航率を向上させるため、防波堤を整備中でございます。

○三宅委員 訪れる人が安心して船舶を利用できるように港の整備を進めていることはわかりました。
 就航率を向上させることとあわせて大切なことは、訪れる人たちの第一印象を形づくる港湾施設を魅力的に整備することです。そこでまず、船客待合所です。各島の船客待合所は建設後二十五年程度経過し、老朽化が進んでいるものも多くなっています。港は島民にとっても憩いの場であり、船客待合所はその中心にある施設です。今まで、島のみなとまちづくり事業として定期船が発着する港の船客待合所の改修に取り組んできていると思いますが、今後の事業予定について伺います。

○渡辺離島港湾部長 副委員長ご指摘のとおり、訪れる人を出迎え、送り出す船客待合所は大切な施設であると考えております。
 港湾局では、老朽化が進んできた船客待合所の改築を計画的に実施してきており、これまで神津島港、新島港などで事業を実施してまいりました。現在、三宅島の阿古漁港の船客待合所を来年の国体開催に合わせて利用できるように改築を進めているほか、八丈島の神湊港においても、平成二十五年度末の完成を目途に新しい待合所の整備を進めております。いずれもバリアフリーに対応した施設とするとともに、地元町村の交流施設と合築で整備し、地元島民などの憩いの場としての機能をあわせ持っております。
 引き続き、大島の岡田港においても船客待合所の改築を実施するなど、島しょのにぎわいと活力を取り戻すため、船客待合所の整備を計画的に進めてまいります。

○三宅委員 ぜひ、今後もその改築を計画的に進めていってもらいたいと思います。
 もう一つ、島の港にとって大切なことは、船を乗りおりする際の歩行環境の改善です。島では、船客待合所と定期船が着く岸壁の間を長く移動せざるを得ない場合が多く、加えて、雨の多い島では、岸壁上で乗船を待っている間でも突然の風雨に見舞われる場合があり、一時的に雨や風を防げる施設は大変重要です。また、夏の観光シーズンに強い日差しの中で乗船待ちをしている観光客などが、直射日光から少しでも逃れることができる施設は貴重です。
 私も、ことし四月に神津島の日よけ雨よけ施設、龍神ロードの完成式典に出席しましたが、高速船の接岸する岸壁から船客待合所を結ぶ利便性の高い施設でありました。船客待合所の改築のみでなく、船が着く岸壁と船客待合所を結ぶ日よけ雨よけ施設を整備することは大切であると考えますが、所見を伺います。

○渡辺離島港湾部長 船客待合所と岸壁を結ぶ日よけ雨よけ施設は、乗降客の利便性、安全性が向上するため、地元からの要望が大きいものでございます。
 ただいまお話のございました神津島港の日よけ雨よけ施設については、歩行者通路を緩やかな勾配とし、また憩いの場となる休憩所を併設するなど、観光客のみならず地元島民の方にも親しみを持って利用していただける施設として整備し、平成二十四年三月に完成したものでございます。同様な日よけ雨よけ施設を大島の岡田港、新島港で整備しているところです。
 日よけ雨よけ施設の設置は、直接強い波浪の影響を受ける岸壁への設置が難しいなどの制約はありますが、今後も設置可能な箇所、範囲において整備を進めてまいります。具体的には、要望の大きい大島の元町港などで設置を検討してまいります。

○三宅委員 船待ちの改修とあわせて、日よけ雨よけ施設の整備も一層進めてもらいたいと思います。
 港は、交通の拠点であるばかりでなく、夏祭りや花火大会などのイベントを実施する島民にとって最も親しみのある公共施設の一つとなっています。また、来島者にとっては、第一歩を踏み入れ、いつまでも思い出に残るであろう印象深い場所でもあります。
 今後も島しょの振興を図るため、島民や来島者の方が安心して、安定的に船舶を利用できるように着実に港湾整備を進めるとともに、港を利用する方々が親しみを持って快適に過ごせる空間をつくり出していただきたいと思いますが、今後の島しょ港湾施設整備に当たっての局長の基本的な考え方を伺い、質問を終わります。

○多羅尾港湾局長 伊豆・小笠原諸島には、二万八千人の島民の方々がそれぞれの文化や産業を守り、はぐくみながら暮らしておられます。また、美しい自然環境など島の魅力に引かれ、多くの観光客が訪れておられます。しかし一方で、島々は厳しい気象海象条件にさらされているという現実もございます。
 また、観点を変えますと、伊豆・小笠原諸島の陸地面積は日本全体の〇・一%でございますが、これらの島により確保される排他的経済水域は日本全体の約三八%を占め、国土保全や水産資源、海底資源を確保する上で極めて重要なエリアでございます。
 このような中、島しょの港湾は、そこに暮らす方々の生活を支える役割を果たしているだけでなく、観光の拠点ともなり、またさらには今後の開発の拠点ともなる島しょ振興のかなめとなる施設でございます。
 今後とも引き続き防波堤等の整備を行い、定期船の就航率向上に努めるとともに、島のランドマークとしての船客待合所や、乗降客を風雨や強い日差しから守る施設などの整備を進めてまいります。
 また、港湾の持つ機能は多様であり、地震、津波、噴火など自然災害に備える防災上の視点、観光客と島民の方々の交流の推進の視点など、島の活性化への視点なども取り入れた施設整備が一層重要になってまいります。
 今後とも、地元町村や関係機関と緊密に連携を保ち、創意工夫を行いながら、島しょ港湾等の整備に、より積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

○伊藤(こ)委員 それでは、私からは、東京港の防災対策を中心に、何点か質問をしてまいりたいと思います。
 東日本大震災から一年八カ月が経過をして、都は、昨日、大幅に見直された東京都地域防災計画の修正案を発表いたしました。
 都議会公明党は、この間、何度も被災地を視察して、被災状況と復興状況を調査してまいりましたけれども、物流の確保は極めて重要な課題であり、東京港が首都直下地震のような大地震に襲われた場合に、被害を最小限に抑えるためには、防災、減災対策が極めて重要だと痛感をしているところであります。
 本日は、そうした防災、減災の観点から、改めて東京港の防災対策全般について質問をしてまいりたいと思います。
 震災時には、国内の緊急救援物資を受け入れていく一方、国際コンテナの物流を絶やさず行っていくためには、何よりも港湾施設の耐震化が完璧になされていることが大前提であると私は思います。
 そこで、まず質問いたしますけれども、これまでの耐震強化岸壁の整備状況と今後の計画を伺いたいと思います。

○石山港湾整備部長 耐震強化岸壁には、震災時に緊急救援物資を輸送するための施設と、首都圏の経済活動を支える国際海上コンテナを輸送するための施設とがございます。
 現在、緊急物資輸送対応施設は、計画に位置づけられている二十六バースのうち、芝浦ふ頭など十一バースが整備済み、品川や有明ふ頭など五バースが整備中でございます。国際海上コンテナ輸送施設は、五バースの計画のうち、大井ふ頭において三バースが整備済み、中央防波堤外側埋立地において一バースが整備中でございます。
 今後とも、首都圏の経済活動を迅速に回復させる役割や、救援物資の円滑な受け入れを十分に果たせるよう、耐震強化岸壁の整備を進めてまいります。

○伊藤(こ)委員 耐震強化岸壁の整備状況についてはわかりました。耐震強化岸壁については、東京が震災に遭ったときに、被災をしたときに大きな役割を担うということになるわけでありますけれども、それだけではないと思います。
 東日本大震災のときには、東北地方が大変な港の被害をこうむったわけでありますけれども、この東北地方の港の代替地として、東京港が被災地の物流に大きな役割を果たしたことは記憶に新しいところであります。ぜひとも、強力に着実に耐震強化岸壁の整備を進めていってほしいと思います。
 次に、この岸壁と背後地を結ぶ緊急輸送道路の一部である橋梁についても耐震化を進めているということでありますけれども、この橋梁の耐震の状況について伺いたいと思います。

○石山港湾整備部長 港湾局が所管する震災対策上重要な位置づけにある緊急輸送道路上には十二の橋梁がございます。
 このうち、現在、六橋は既に耐震性を有しており、五橋について落橋防止装置の取りつけや橋脚補強などの耐震化事業を実施しております。
 残り一橋についても、周辺水域における埋立事業の進捗にあわせて、今後耐震化を図っていく予定でございます。

○伊藤(こ)委員 岸壁とあわせて、この橋梁の耐震化も非常に重要でございます。落橋してしまえば、物資の輸送のみならず、避難するすべを失ってしまうことにもなりかねないわけであります。岸壁と同様、橋についても着実に耐震化を進めていっていただきたいと思います。
 次に、昨年の東日本大震災の直後には、新木場地区の臨港道路において、液状化現象によって路面の下に空洞化が生じ、道路に変状を来しました。私も、震災直後に現地を視察してまいりましたけれども、道路の変形によって、道路はぐにゃぐにゃになっている。それによって、またガードレールも変形をしている。そしてまた、噴出した砂だらけの歩道にマンホールが浮き上がっているという、こういう状況を確認してまいりました。
 こうした液状化による空洞化は、平時においても下水管などの埋設物の破損などが原因で発生することもありますけれども、このような空洞化によって緊急輸送道路などに陥没が生じてしまえば、先ほども述べたように、物資のみならず、緊急搬送や、救急搬送や、あるいは避難をする方々の道をふさいでしまうという、逃げるすべを失ってしまうということにもなりかねないわけであります。
 まして、空洞化が岸壁のすぐそばで生じるようなことになると、岸壁本来の機能も果たせなくなってしまうという心配もあるわけであります。
 一昨年度も私はこの経済・港湾委員会のメンバーでございました。一昨年度のメンバーで視察を行った折には、阪神・淡路大震災のときに被害をこうむった神戸港を視察させていただきました。あの神戸の港でメモリアルパークとして残っていたのが、この神戸港の岸壁が崩れた状態のまま、そこを囲ってメモリアルパークになっておりましたけれども、あの崩れた形を見ても、やはり液状化等で岸壁が崩れていく、あるいは空洞化等で崩れていく様子が明らかでありました。今回の東日本大震災においても、岩手県の港も見てまいりました、茨城県の港も見てまいりましたけれども、同じように崩れ方が、恐らく空洞化、あるいは液状化、こうしたことによって岸壁が崩れて、その岸壁そのものがもう使えないという状況がございました。こうした空洞化対策というのも本当に重要だというふうに思いました。
 そこで、災害時に安全確保のため、緊急輸送道路や岸壁背後において、空洞化対策を早急に実施すべきではないかと考えますけれども、見解を伺いたいと思います。

○石山港湾整備部長 港湾局では、定期点検などを適宜実施し、異常が認められた場合、速やかに必要な措置を講じるなど、安全・安心の確保に努めているところでございます。
 東日本大震災の発生後には、路面に異常が認められた新木場若洲線において緊急に空洞化調査を行い、空洞が確認された箇所については速やかに補修を行ってまいりました。
 それに加えて、今後は、異常の早期発見の観点から、緊急輸送道路など重要な臨港道路、老朽化した岸壁背後において、維持管理の一環として、空洞化調査の実施を検討するなど的確に対応してまいります。

○伊藤(こ)委員 ご答弁の中に、維持管理の一環として空洞化調査の実施を検討するということがございましたけれども、私は、平時であれ、また災害時であれ、都民、国民の生活と安全・安心を支える東京港湾の岸壁、護岸、橋梁、道路などは、これまでの維持管理という観点に加えて、ぜひとも危機管理という、この視点をしっかりと持っていただいて、早急な対策を講じてほしいと強く要望しておきたいと思います。
 次に、都民の生活や財産を守り、日本の中枢機能を麻痺させないためには、津波や高潮への対策も極めて重要であります。
 そこで、防潮堤や水門などの海岸保全施設の耐震強化についても早急な整備が重要であると考えますけれども、都の見解を伺いたいと思います。

○石山港湾整備部長 都はこれまで、現行の整備計画に基づき、従来想定されていた大規模地震を対象として、水門の耐震性の強化等を進めてまいりました。
 しかし、先般の東京都防災会議による新たな被害想定では、従前よりも大きな想定地震が示されました。
 このため、今後は、被害想定で示された最大級の地震に対する防潮堤等の耐震性の確認を進め、この結果を踏まえて現行の整備計画を年内に見直し、地震、津波、高潮対策を一層強化してまいります。

○伊藤(こ)委員 今回は、東京港の防災対策について、耐震強化岸壁、橋梁の耐震化、海岸保全施設の整備の取り組みなど、幅広く都の取り組みを確認することができました。こうした取り組みは、公明党が主張する防災、減災を進める上でも極めて有効であり、今後とも着実に進めていっていただくことを強く要望いたしまして、質問を終わります。

○宇田川委員 私からは、京浜三港連携と国際コンテナ戦略港湾について、質疑を行ってまいりたいと思います。
 先ほど来お話が出ていますが、上海港とか釜山港とか、アジアの諸港が急激に貨物取扱量を伸ばしておりまして、日本の港湾は相対的な地位の低下が指摘をされております。京浜港もその一つに甘んじているのが現状だと思っています。
 東京、川崎、横浜、この三つが連携して京浜三港をつくったわけでありますが、このままの状況を放置すれば、京浜港が欧米と日本を結ぶ基幹航路から外され、首都圏の生活や産業に深刻な影響を及ぼすとの危機感を共有した結果、平成二十年三月の三首長基本合意により、三港連携のもと国際競争力強化に向けた取り組みを進めていく、こうなったわけでございます。
 我々議会も、横浜市会、それから川崎市議会と連携をとりまして、議連を設立しました。私も議連をつくる前から事務局を預かっていましたので、横浜、川崎に出かけていっていろんなことをやったんですが、こうした議員も三港連携の後押しをしっかりやってきたと我々は自負しているわけでございます。
 そうした中、京浜三港は、国が打ち出した選択と集中、これによる日本港湾の国際競争力強化を目指して、平成二十二年八月に国際コンテナ戦略港湾を選定し、この取り組みも進めているところでございます。
 京浜三港の連携に係る基本合意から既に四年半、国際コンテナ戦略の選定から二年半が経過した今、東京港、京浜港の将来像を描くに当たり、まず考え方を確認、整理をさせていただきます。
 京浜三港連携についてですが、最も重要な点は、国際競争力の強化という共通の問題意識を持った三つの港が、国の枠組みを超えて、みずからの判断で連携を開始したということであります。このみずからというのがまず一つの肝であると私は考えております。
 また、連携に当たっては、三港それぞれが主体性を持ちつつ、その強みを生かして連携をすることで、三港全体でさらなる総合力を発揮していくことが基本であります。この主体性を持ってというのが二つ目の肝だと思っております。
 連携そのもののために、どこかの港が不利益をこうむるのではなくて、各港それぞれがこれまでよりも発展をし続け、そのことで京浜三港全体に利益が生まれる、発展していくというのがそもそもあるべき姿であります。
 京浜三港連携については、私もこれまでたびたび質疑をしてきたところですが、以上の基本理念を忘れることなく、取り組みを進めていただきたいと思います。
 国際コンテナ戦略港湾についてですが、先ほど申し上げた選択と集中による日本港湾の国際競争力向上を目指し、国が重点投資の対象となる港湾を公募したものであるわけです。京浜港は、阪神港とともに選定を受けまして、現在、国際コンテナ戦略港湾としても、国際競争力の強化に向けた取り組みを進めているところであります。
 京浜三港連携も国際コンテナ戦略港湾も、ともに国際競争力の強化に向けた取り組みであることは今申し上げたとおりでありますが、国の枠組みを超えた自主的な取り組みとして始めた三港連携と、国が定めた枠組みの中で国がイニシアチブを握っている国際コンテナ戦略港湾とでは、基本的な部分で大きな違いがあるんだと私は思っています。
 国は、金は出すけど口も出す、このスタンスで縛りをかけようとしているわけであるのは明らかでありまして、しかし、今までを振り返ると、選定を受けたことによって何かメリットがあったのかな。こう考えると、ないですよ、ほぼゼロ。こうしたことが今申し上げた違い、矛盾を生み出しているというのは明らかだと私は思っています。
 自主的な取り組みである京浜三港連携と、今申し上げた国の政策で行った国際コンテナ戦略港湾との関係について、どのようにお考えなのかまず伺います。

○野瀬港湾経営改革担当部長 理事ご指摘のとおり、京浜三港連携は、国の枠組みを超え、三都市の議会のご支援もいただきながら、三港みずからの判断で開始した自主的な取り組みでございます。
 一方、国際コンテナ戦略港湾は、我が国港湾の国際競争力を強化するため、選択と集中の理念のもと、重点投資の対象となる港湾を国が公募したものでございます。
 京浜三港は、その選択と集中の理念に賛同し、国際競争力の強化に向けた有効な支援を受けることを期待したことから、これに応募し、国際戦略港湾として選定を受けたものでございます。

○宇田川委員 三港連携の理念を実現して、先ほど来出ている国際競争力強化と、これを効果的にやるために、国の重点投資を期待して国際コンテナ戦略港湾に応募したんですね。結果、選定されたんですが、このことを考えると、国際コンテナ戦略港湾は、京浜三港連携の理念を実現するための手段である、こう理解をしているわけであります。
 京浜三港連携は、各港が主体性を発揮して、それぞれの強みをさらに発展をさせることで、三港全体の総合力を高めていくことをその理念としているわけですが、その意味では、三港連携もそれ自体が目的ということではなく、各港、または京浜港全体が発展していくための手段であるともいえると思います。
 だとすれば、ここで改めて基本に立ち返って、我が東京港がさらに強みを発揮し、発展をしていくために、何を機軸に据えていくか、こういうことをきちんと確認して進めていく必要があると考えております。
 今申し上げた今後の東京港の発展を目指すに当たっての、都として何を機軸とされて進めていくのかお伺いをいたします。

○野瀬港湾経営改革担当部長 東京港の発展に当たっては、船会社や荷主などの利用者に今後も選択され続けていくことが必要不可欠でございます。
 そのためには、現在の東京港の利用者、また東京港を今後使いたいという潜在的利用者のニーズをしっかりと把握し、それらにきめ細かくこたえていくことが重要でございます。
 ここで大切なことは、利用者は、目的地へのリードタイムやコストなど、それぞれの経済合理性を踏まえて港を選択しているという事実でございまして、これを満たすことが利用者のニーズにこたえることにほかならないと考えております。
 このことを念頭に、利用者へのさらなるメリットを提供していくという視点で施策を展開してまいります。

○宇田川委員 ご答弁で、東京港発展のためには利用者のニーズによりきめ細かく対応しなきゃいけない、こうお話があったんですが、これは当たり前のことでありまして、さっき木内委員からも、事業者、関係者の意見をちゃんと聞きながら進めていきなさいよ、こういう話がありましたが、もうこれは至極当然でありますので、しっかりとやっていただきたいと思います。
 繰り返しになりますが、京浜三港連携は、三港それぞれの発展にとっての手段であり、国が始めた国際コンテナ戦略港湾も京浜三港発展のための手段であるわけでございます。ここで、この目的と手段との関係を改めて確認した上で、しっかりと施策を進めていただくよう求めておきます。
 京浜三港連携、今までずっとお話ししてきた国際コンテナ戦略港湾について、今後、局としてどのような姿勢で取り組んでいかれるのか、お伺いをさせていただきます。

○多羅尾港湾局長 厳しい国際港湾競争を勝ち抜いていくためには、京浜港が一体となって戦っていかなければならないことはいうまでもございません。ただし、東京、川崎、横浜の三港は、それぞれ異なる特色を持ってその機能を発揮し、発展してきたこれまでの経緯と今日の姿がございます。
 理事のお話にもございましたように、三港が今後とも主体的にそれぞれの強みをさらに伸ばして、そのことによって三港の総合力をさらに高めていくことが、京浜港の国際競争力強化のための現実的で地に足のついた取り組みであると考えております。
 そこで、今も当然というお話がございましたが、三港の一つとしての東京港の発展のためには、東京港の長所を評価して、東京港を現在利用している方々や今後利用したいと考えている方々のニーズを第一に考え、それらに合致する取り組みを展開することが必要でございます。
 京浜三港連携、国際コンテナ戦略港湾など、現在進行中の施策はすべて三港発展のための手段であるということを念頭に、具体的な取り組みを進めてまいります。
 他港との関係においても、同じくそれぞれが主体性を発揮しつつ、各港の利用者のニーズにこたえていくことができるよう、建設的な議論を進め、有効な施策を検討してまいります。
 一方、国に対しては、あくまで東京港、ひいては京浜港の発展につながるよう、それぞれの実態を踏まえた適切な制度運営や有効な支援を要望してまいります。
 以上のように、利用者のニーズを第一に考えた施策を展開することで、京浜港全体としての総合力をさらに伸ばし、我が国のメーンポートとしての責任を十分果たせるよう、今後とも努力してまいります。

○宇田川委員 東京港が発展をして、その結果、ひいて京浜港が発展していくと。常に何が一番大切なのかというのを見失うことなく、全力を尽くしていただきたいと思っております。
 先ほど申し上げた国際コンテナ戦略港湾に選定をしておいて、一体国は何をしてきたんだ、何をしてくれたのか。これは選択と集中という高らかに掲げた理念を全く無視しているとしかいいようがない。バルク港湾として十幾つ指定した、日本海側にも多くの港を指定した、何が選択と集中だと、こういう思いを私は何度もいっているんですが、こんな思いが非常にあります。
 さらに、国際コンテナ戦略港湾について、国際競争力の強化どころか、先ほど木内委員からお話があった港湾運営会社をつくって、三港の埠頭会社を単純に統合することだけに目的が矮小化しているような気がするし、これをつくった上で、国は自分たちの影響力を高めていきたい、そのことだけに集中しているとしか私は考えておりません。皆さん、どう思っているか知りませんが。
 こうした中、東京港は、常に基本に立ち返って、みずからの立ち位置を絶えず確認しながら発展に努めていただきたい。
 国の定めた枠組みありきではなくて、必要なことは強く主張を繰り返していかなければ、結果として、利用者のニーズからかけ離れて、アジア諸港に追いつこうとするどころか、世界から忘れられた存在になりかねない、私はこうした強い危機感を持っております。
 繰り返しますが、国にはしっかりと物申して、本来の東京港のあり方を見失うことなく推進をされたい。
 以上です。

○斉藤(や)委員 私、経済・港湾委員会、初めての質問になります。港湾局、よろしくお願いいたします。
 今、宇田川委員のご質問を聞きながら、京浜三港連携、そして戦略港湾の位置づけ、大変学ぶべきことも多いわけですけれども、私も、東京港の振興についてお伺いをまずしてみたいと思います。
 東京には陸海空のネットワークが高度に集積しております。そして、国際物流拠点としての機能が大いに発揮されているわけでございます。
 一昨年には、羽田空港の四本目の滑走路が供用開始となったことから、空港の話題をよく聞くわけでございますが、私は、港の、東京港としての重要性を特に強調していきたいと思っているわけであります。
 四方を海に囲まれました我が国におきましては、海外からの物資のほとんどすべてを海上輸送に頼っておりまして、このことからも国際物流において港が果たす役割が大きいということは、もういうまでもございません。
 東京港につきましては、昨年の外貿コンテナ貨物取扱量が四百十四万TEUと、十四年連続の日本一の取扱量を誇っております。名実ともに首都圏の生活と産業を支える極めて重要な物流拠点であるといえると思います。
 近年は、急激に貨物取扱量をふやすアジア諸港に比べ、日本港湾の相対的地位が低下しているとの指摘もありますけれども、東京港は、川崎港、横浜港との京浜三港連携や、国から選定された先ほどの国際コンテナ戦略港湾など、国際競争力の強化に向けた取り組みを進めているところでございます。
 このような情勢の中で、東京港が今後も重要な物流拠点としての役割を十分に果たしていくことを願いながら質問をさせていただきますが、まず、十四年連続国内一の取扱量を誇る東京港の持つ強み、これをどのように認識しているかを確認したいと思います。

○笹川港湾経営部長 我が国は、食料品など多くの生活物資を海外から輸入している経済構造であるため、輸入の割合が相対的に高い東京港の位置づけはますます高まっていくものと認識しております。
 この点、東京港は、大消費地である首都圏や内陸部の物流拠点と近接しているため、極めて高い利便性を有しております。
 また、コンテナターミナルの整備を着実に進めるとともに、船会社や航路の誘致活動を積極的に実施してきた結果、欧米と日本を結ぶ国際基幹航路やアジア近海航路など多数のコンテナ航路に加え、国内主要港との定期航路が集積しております。
 さらに、全国の一割を占める東京の倉庫面積の大半が臨海部に集中するなど、物流を支える充実した背後機能を有するとともに、東京ゲートブリッジなど臨港道路の整備も着実に進めてきたことで、交通ネットワークも充実しております。
 利用者へのサービスという面では、港湾関係者の方々とともに使いやすい港づくりに励んできた蓄積も東京港の強みであると認識しております。

○斉藤(や)委員 私もかつて釜山港を視察したことがございましたけれども、それからの発展は著しいものがあるかもしれませんが、この東京港の特徴というのは、やはり背後機能。非常に暮らしと密接にかかわっているこの特徴がございます。
 消費地や物流拠点との距離的なメリット、海外や国内とのネットワークの集積、そして、先ほど申し上げた充実した背後機能が東京港の強みであるということを今確認いたしましたけれども、これらは港として極めて重要な要素でございます。
 これらの強みと港湾関係者の方々のさまざまな努力を背景に、東京港は多くの利用者から選択されてきた結果、これまでの発展を築いてきたということは、各委員の質疑でも明らかになりました。まだまだ大きな可能性を秘めていると期待しております。
 一方で、これらのメリットとは表裏一体のことではございますけれども、発展すればするほど、これまでになかった課題が浮き彫りになることも考えられます。東京港として、ここ数年のコンテナ貨物量の急増を受けまして、新たな課題も発生してきているものと仄聞します。
 そこで、現在の東京港において解決すべき課題について、都の認識を伺いたいと思います。

○笹川港湾経営部長 東京港における喫緊の課題は、コンテナふ頭周辺における交通混雑の緩和であると認識しております。
 近年のコンテナ貨物取扱量の急激な増加により、東京港のコンテナターミナルにおける貨物処理能力が限界に達していることから、季節ごと、ターミナルごとに状況は異なりますが、コンテナふ頭周辺に混雑が発生しております。
 また、今後は、日本と欧米を結ぶ基幹航路を堅持するために貨物集荷を強化していく必要があることから、さらなる貨物量の増加が見込まれております。
 こうした状況を打開するためには、応急的な取り組みだけではなく、中長期的な視点での抜本的な対策として、港湾機能の充実強化が必要であると認識しております。

○斉藤(や)委員 大変、交通の混雑、こういったものが課題となっているということでございますけれども、東京港が持つ強みやこれまでの努力によりまして、その利用がふえ続けている結果として、この交通混雑という課題を抱えるに至っているわけであります。東京港の魅力が増せば増すほど、より多くの貨物が集まるわけですけれども、そこから必然的に混雑が生じていくと。これは東京港にとっての宿命ともいえる課題であるというふうに認識をいたします。
 しかし、東京港の現在の利用者、また、これから東京港を利用したいという方々が存在する以上、そのニーズにこたえていかなければならないわけでございます。それが首都圏の生活と産業を支える重要な物流拠点である東京港の役割であり、責任であるというふうに思います。課題を解決して、持てる強みを最大限に発揮し、東京港のさらなる発展を目指していただきたいと思うわけでございます。
 東京港の振興に関しまして、最後に、このさらなる発展に向けて、どのように施策を展開していこうとしているのかをお伺いしておきたいと思います。

○笹川港湾経営部長 東京港をさらに発展させ、首都圏四千万人の生活と産業をしっかりと支えていくためには、東京港が持つ課題を解決しつつ、強みをさらに発揮することができるよう、ハード、ソフト両面からの取り組みを進めていくことが必要でございます。
 ハード面では、東京港の港湾機能の充実強化を図るため、中央防波堤外側コンテナターミナルの整備や既存コンテナふ頭の再編整備に加え、新規コンテナターミナルや臨港道路南北線の早期事業化を国に強く求めるなど、港湾施設の整備を着実に推進してまいります。
 ソフト面では、基幹航路を堅持するための東京港への貨物集荷策、早朝ゲートオープンの取り組みなど、コンテナふ頭周辺の渋滞対策などを積極的に展開してまいります。
 これらの取り組みを確実に実施することで、立地条件、航路の集積、背後機能や交通ネットワークの充実という東京港のメリットをさらに高め、我が国のメーンポートとしての役割を今後も十分に果たしてまいります。

○斉藤(や)委員 基本的な東京港の強み、そして課題についてお伺いをしたわけでございますけれども、各委員の質疑などでも明らかになりましたが、東京港としての強み、東京港ならでは、東京港としての発展、こういった視点がとても大事であるというふうに私も認識を共有した委員会でございます。
 首都圏四千万人の生活と産業を直接支える我が国のメーンポートとしての役割は、極めてその上でも重要でございます。
 日本港湾を取り巻く環境は極めて厳しい。我が党の先ほどの木内委員の質疑にもございましたように、今後は京浜三港の埠頭会社の統合の問題もございます。国内の港のあり方について、さまざまな議論が繰り広げられることが予想されるわけであります。
 そういった中にありまして、東京港は、みずからのDNAといいますか、みずからの東京港としての意識を、絶対に譲れない立ち位置というものがあるということを認識した上で、官民一体となってこれまで築き上げてきた東京都の歴史をもとに、さらなる発展を目指して頑張っていきたい、応援をしてまいりたい、このように思っております。
 東京港の振興については以上でございます。
 視点を変えまして、先ほど海上公園のお話がございましたけれども、私の方からは、海の森事業の普及啓発に向けた施策の展開について、絞ってお話を、質問をしていきたいと思います。
 この秋に開催されました全国都市緑化フェアTOKYO二〇一二では、海の森も拠点会場の一つとなったと聞いております。海の森の整備は、ごみの山を美しい森に変えるプロジェクトでありまして、東京が日本に、世界に誇れる事業ではないかと考えております。
 普及パンフレットを拝見いたしますと、大きな三つのコンセプト、これが事業で進められているようでございます。一つは、植樹や苗木づくり、あるいは募金といった形での多様な主体との協働であります。二つ目は、ごみの山を森に変えるのはもちろんのことでございますが、建設発生土や剪定した街路樹から生産した堆肥の活用などの資源循環。三つ目は、臨海部から都心に向かう巨大な緑のネットワーク、いわゆる風の道の起点となるような森づくりでございます。
 これだけコンセプトが明確な森づくりは、ほかの箇所では見られないのではないかと、非常にすばらしい事業ではないかと評価をしているものでございますが、まず、開園に向けました現在の整備状況についてお伺いをしたいと思います。

○石原臨海開発部長 海の森は、森を主体とする台地部とその周辺の海辺から成る計画面積約八十八ヘクタールの海上公園でございます。
 平成二十八年度に森を主体とする台地部、約四十五ヘクタールの一部開園を目指しまして、平成十九年度から整備を進めております。
 現時点で台地部の半分弱に当たります二十ヘクタールの造成と植樹を終えておりまして、植樹後三、四年を経過した南側の斜面は、ひざぐらいの高さであった苗木が一メートル以上にたくましく育ちまして、緑が濃くなってきておるところでございます。
 また、この植樹につきましては都民参加により進めておりまして、例年多くの方々の参加を得ているところでございます。

○斉藤(や)委員 整備が着実に進んでいる様子が今のご答弁でわかりました。頼もしく思います。
 さて、こうして整備が進んでいる中で、ことしの秋の都市緑化フェアだったわけでございますけれども、会期中には、話題としてはオリンピック招致の機運を盛り上げるべく、ロンドン・オリンピックのメダリストたちも植樹に参加されたり、多くの人々が海の森を訪れ、大変に盛況であったと聞いております。
 私も以前、視察として、この海の森を視察させていただいたことがございますけれども、まだ開園していないことからバスの便なども限られていまして、ロケーションはすばらしいところがあるものの、行くにはちょっと不便ではないかなという印象を今から二年ぐらい前ですけれども、持っておりました。
 同じフェアの拠点会場でも、日比谷公園や上野公園などに比べると、都民の皆様をお呼びするのに大変苦労したのではないかというふうに思います。
 そこで、都市緑化フェアにおきまして、どのようなイベントを企画されまして、どういった方々がこの公園を、海の森を訪問されたのかをお伺いしたいと思います。

○石原臨海開発部長 全国都市緑化フェアTOKYO二〇一二は、ことし九月二十九日から十月二十八日まで開催され、海の森はメーン会場の一つとして、この会期中に植樹祭りや特別公開を実施いたしました。
 また、近隣にある廃棄物埋立管理事務所や浜離宮恩賜庭園と連携いたしました大人の社会科見学や、葛西海浜公園でのバーベキューや鳥の観察を楽しんだ後に海の森で夕暮れの景色を楽しむサンセットツアーなどの各種ツアーもあわせて行いました。
 さらに、多くの企業の協賛を得まして、来場者向けのクラフト教室や、紙芝居とクイズによる海の森ミニ講座などのあおぞら工房も開催したところでございます。
 アクセスが十分に確保されていない整備途上の公園であるにもかかわらず、参加者は合計五千人と多くの方々に来場していただくことができました。

○斉藤(や)委員 この期間で五千人の来場者、大変に盛況であったということで、成功、本当に喜ばしいことだと思いますが、植樹などは過去にも実施されているプログラムですけれども、今回は大規模に開催されたようであります。
 都民の方はなかなか土に触れる機会も少なくなっている中で、土に触れて楽しめてよかったことではないかと思いますが、ところで、今回初めて実施されたツアーなどの参加者のお声、私もサンセットツアーなど参加してみたかったんですけれども、どういったお声があるのか、ちょっと伺いたいと思いますが、いかがでしょう。

○石原臨海開発部長 ツアー参加者に対するアンケートの結果では、どの企画も満足、もしくは大いに満足との回答がほぼ一〇〇%でございました。
 個別の意見では、もっと季節ごとの様子が見たいとか、定期的に公開してほしいなどの整備過程の公開にかかわる要望や、案内してもらいながらのツアーをもっとふやしてほしいなどの事業解説に対する要望が多く見られ、これらのニーズが高いと認識しております。
 そのほか、あおぞら工房のようなファミリーで楽しめるプログラムを植樹祭りなどと同時に開催することも非常に効果的であることがわかりました。
 今回のツアーやあおぞら工房は初めての試みではありましたが、おおむね高評価を得るとともにさまざまなニーズも把握できましたので、今後の事業展開に生かしていきたいと考えております。

○斉藤(や)委員 この海の森海上公園、これは平成十四年に答申がございましたが、今後の海上公園のあり方についてという流れの中でできた新しい海上公園、ここには公園として五つの転換ということで、さまざまな転換の視点が述べられておりましたけれども、まさしくそういった転換を象徴するような海の森の公園が大変楽しみでございますが、このような明確なコンセプトを持った事業は、きちんとその意義を都民に伝えながら、その整備の段階からどんどん多いに公開をしていった方がよい、都民の方もそれを望んでいると思います。
 コンセプトの一つに協働ということがございますけれども、海の森というのは、自然環境の核となるだけでなく、やはりそこに訪れる人と人との交流の核としても無限の可能性を秘めているのだと私は思います。
 今回のフェアでは、家族、ファミリーで楽しめるプログラムなども実施されたようでございますけれども、この海の森に来場してもらいまして、海の森づくりに参加していただいて、勉強したりしてもらうこともとても大切でございますし、例えばこれは同僚の議員が予算特別委員会で知事にもご質問しましたけれども、婚活にもつながるような、若い男性、女性のそういった出会いの場としても非常に期待がされます。また、お年寄りと子どもの世代を超えた交流など、さまざまな人々の交流などが広がっていくとよいと、このように心から応援をしてまいりたいと思うわけでございます。
 コンセプトを理解してもらい、海の森づくりに参加するには、まさに整備を進めていく開園前の段階がとてもよい時期ではないかと思うわけでございます。そうはいいましても十分なアクセスが整備される前の段階で、たくさんの、さまざまな都民の方を呼んでいくには多くの制約や工夫が必要であると、このように思いますけれども、ぜひそういったところも力を入れていただきたいところでございます。
 開園前の公開や工夫のあり方についてさまざまな必要があると考えますけれども、都の考え方をお伺いしたいと思います。

○石原臨海開発部長 開園前の整備過程での公開は、事業の普及啓発にも大変有効と考えております。
 また、都市緑化フェアの経験から、多様なプログラムの企画実施やさまざまな人々の交流を進めるためには、企業などの民間活力の活用や、それを取りまとめるNPOの力が非常に有効であると認識できました。
 今後、企業やNPOの協力をいただいて、海の森事業をより広く知ってもらい、人々の交流を推進していくよう、さまざまな工夫を凝らし、イベントなどプログラムの充実や、より積極的な整備過程の公開について検討してまいります。

○斉藤(や)委員 整備過程でさまざまな多様なプログラムが企業等の協力を得て展開されるのはとても有意義だと考えるわけであります。ぜひその仕組みを検討していただき、たくさんの都民の皆様にこの海の森事業を知っていただいて、広く世間に、都民の皆さんに、そして、最終的には世界に誇るべき事業を効果的に宣伝していただきたいと思うわけであります。
 ところで、海上公園は海の森のほかに、臨海副都心のにぎわいの核となるお台場海浜公園や、先ほど木内委員からございましたさまざまな公園、シンボルプロムナード公園、あるいは、海のゆったりとした風景を眺められる葛西の海浜公園など、コンセプトのしっかりした公園が数多くあるように思います。
 特に私が注目しているのは東京港の野鳥公園でございます。野鳥の生息環境を確保し、自然のままの野鳥を都民が観察することができるすばらしい公園だというふうに思っておりましたし、大変これは大事だと思っております。
 私は、生物多様性の確保という施策、これは広域行政を預かる東京都がより一層力を入れて取り組むべきものとかねてから考えているところであります。野鳥公園などは、ある意味そういった取り組みを展開する現場として、とてもふさわしい公園だと思います。この公園が整備されたときに、その生息を想定した多様な野鳥のそれぞれの種に適した生息環境、これが適切に確保されることが重要であると考えます。
 しかし、整備後、時間も経過しております。当時は草が大変ぼうぼうだったというふうに聞いておりますけれども、こういった周辺もさまざまな施設の開発が進みまして環境が変わっていると思いますが、園内の維持管理の工夫だけでは大変ではなかったかと思いますし、それだけではなかなか鳥類の生息環境は守り切れないのではないかと心配もしております。
 東京港野鳥公園が、多様性の観点から野鳥の生息のために確保している環境と、現時点で課題と認識しておられるその問題についてお伺いをしておきたいと思います。

○石原臨海開発部長 東京港野鳥公園は平成元年に完成いたしまして、年間約百二十種類、開園から現在までで二百二十五種類の鳥類について、その営巣や渡りなど、さまざまな鳥の営みが観察できる公園として親しまれております。
 野鳥公園の整備に当たりましては、本来、東京湾内湾部に見られる鳥類の生息環境である干潟や砂れき地、あるいは草地、そして樹林地など、海岸から内陸に至る連続した環境の再現を図りまして、多様な野鳥の生息環境を確保いたしました。
 このうち、干潟や砂れき地などは過去に比べ東京湾全体で減少しておりますが、これらの環境は、シギ、チドリ類の渡りの中継地として非常に重要な役割を果たしておりまして、その保全や再生が必要であると考えております。

○斉藤(や)委員 鳥というのは、空を渡るだけでなく、時に羽を休める場所も必要だということでありますが、このシギ、チドリ類が休む場所として東京港にそういった野鳥公園がある。目黒は海がございません。目黒区は内陸の区でございますが、目黒川流域にはこういった鳥類などが飛んできている。この海上公園をつくるときに大変ご苦労があったお話、たくさん目黒の方からも伺います。
 東京港の中につくってやられたことは大変感謝しているわけでございますが、この野鳥公園は国際協力事業である東アジア・オーストラリア地域のシギ、チドリ類の重要生息地ネットワークにも参加していると聞いております。南はオーストラリアから、北はロシアに至る一万二千キロの壮大な渡りを毎年繰り広げているこのシギ、チドリ類にとって、東京港は渡りのためのエネルギー補給基地として非常に重要でありますから、これらの生息環境としてもこの環境を確保していくことが重要だと思います。
 こういった生物多様性に配慮した港、都市というものは、必ずや世界の中で一つの評価のポイントとして、東京のプレゼンスを高める一つのかぎになるというふうに考えているところでございます。
 現在、開園地に隣接して城南島との間に広がる水面が南北に伸びる水路のような形態で残っておりますけれども、野鳥大橋の南側となる野鳥公園に隣接する残された水面部分は、東京港の第七次改訂港湾計画におきまして、干潟として位置づけられていると聞いております。
 ぜひこの七次改訂の計画を早期に実施いただきまして、シギ、チドリに限らず、さまざまな野鳥の生息環境の確保をお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

○伊藤(ゆ)委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○伊藤(ゆ)委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で港湾局関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩したいと思います。
   午後三時四十八分休憩

   午後四時五分開議

○伊藤(ゆ)委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 これより産業労働局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○斎藤総務部長 去る十一月八日の当委員会でご要求いただきました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の経済・港湾委員会要求資料の表紙をおめくりください。資料は全部で十二項目ございます。
 一ページをお開きください。このページから三ページにかけまして、中小企業対策、農林水産対策、雇用就業対策の過去十年間の予算額、決算額の推移をそれぞれお示ししてございます。
 四ページをお開きください。報告されております統計データのうち、直近の平成十九年までの都内小規模小売店の推移をお示ししてございます。
 五ページをお開きください。新・元気を出せ商店街事業における平成十八年度以降の実績を内容別にお示ししてございます。
 六ページをお開きください。特定施策推進型商店街事業申請状況について、平成十九年度以降の実績を内容別にお示ししてございます。
 続いて、七ページから八ページにかけまして、過去十年間の中小企業制度融資の目標と実績の推移をお示ししてございます。
 九ページをお開きください。報告されております統計データのうち、直近の平成二十年までの都内事業所数、従業者数、製造品出荷額及び付加価値額の推移をお示ししてございます。
 続いて、一〇ページから一一ページにかけまして、過去五年間の都立職業能力開発センターの応募状況と職業紹介実績、就職率をお示ししてございます。一〇ページが応募状況、一一ページが職業紹介の実績及び就職率でございます。
 一二ページをお開きください。委託訓練の科目委託先の定員、応募状況、就職率の推移をお示ししてございます。
 一三ページをお開きください。報告されております統計データのうち、直近の平成十九年までの雇用形態別都内就業者数の推移をお示ししてございます。
 一四ページをお開きください。過去十年間の東京の農地面積の推移をお示ししてございます。
 以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○伊藤(ゆ)委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○島田委員 私の方から、多摩地域におけるものづくり産業のまず集積事業についてお伺いをいたします。
 私の選挙区である西多摩地域では、産業の空洞化が進んでおります。工業地域における墓地の建設計画や大型商業施設の建設が計画されていて、地域の製造業が縮小していくことに対する懸念の声が多く上がっております。
 これは、西多摩、地元の新聞の記事なんですけれども、羽村市にイオンタウン進出へということで、日立国際電気、羽村工場の土地売却ということで、これは大体、この工場の敷地が五万平方メートルと非常に大きな会社の日立国際電気ですね。四十年近く羽村市にあったんですけれども、その工場の土地をイオンが買って、商業施設ができるというようなことでございます。
 東京都の製造業の現状を見ても、平成十年から平成二十年の十年間で、先ほどの資料もありましたけれども、都内の製造業の製品出荷額等は約九・四兆円の落ち込みで、事業所数も約三万カ所減少しております。
 地域におけるものづくり産業の撤退、産業の空洞化の現状認識についてまずお伺いをいたします。

○矢田部産業企画担当部長 歴史的な円高などを背景に、企業が生産拠点を海外に移転する動きが加速しており、こうした状況が産業の空洞化につながることが懸念されております。
 無秩序な産業の空洞化の進行は、中小製造業を中心とした東京の基盤技術の集積が弱体化し、新たな産業を生み出す力も弱まるおそれがあります。
 このことから、産業の集積を維持発展させることが重要であると考え、都は本年三月に改定した東京都産業振興基本戦略におきまして、柱の一つとして位置づけたところでございます。

○島田委員 今お伺いしましたけれども、ものづくり産業は大変厳しい状況にあるということでございます。経済産業省の調査によると、ここ数年は国内生産拠点の役割が大きく変化しているということでございます。
 企業は、工場を海外に移転するとともに、国内の生産は大きく減少し、国内における生産においては、単純な製品の多量生産から高付加価値な製品を厳選して生産することにシフトしております。工場が海外に移転していくということはやむを得ない部分はありますが、日本国内で高い技術力、開発力をベースにした高付加価値な製品を生み出すため、都内の産業の集積を維持し、発展させる取り組みが今後重要というふうに考えております。
 こうした中、本年度から都における産業集積事業がスタートいたしました。産業空洞化を防ぎ、産業集積を行っていくには区市町村との連携が不可欠であります。産業集積事業の実施に当たり、都はどのように区市町村と連携していくのか、お伺いをいたします。

○河内商工部長 都は、本年度、区市町村の産業振興担当者を対象に複数回セミナーを開催し、企業誘致や設備の増設、更新のための優遇制度、操業環境の改善事例など、さまざまな情報を提供して区市町村の産業集積の確保に向けた計画策定を支援してまいりました。
 こうした中で、第一号の自治体の計画を承認したところでありますが、今後も地域の実情を把握する区市町村が対象地域を設定して、主体的に産業の維持と発展を図る意欲ある取り組みを支援してまいります。

○島田委員 今、答弁にありましたが、第一号の自治体の計画を承認したということでありまして、これは大田区だというふうに聞いております。区部においては、アジアヘッドクオーター特区を初め、産業活性化の対策を講じられているというふうに思いますが、また、多摩地域にもぜひ必要な対策を行っていただきたいというふうに思っております。
 多摩地域においては、計測器、ロボットを初め、高い技術力を持った企業があります。これらの企業が集まって生産活動を行っていく上での支援をぜひお願いしたいと思っております。
 都内各地域では産業集積事業に対するニーズも高く、今後は各区市町村からの要望もあると思いますが、今後どのようなスケジュールで事業の認定を行っていくのか、お伺いをいたします。

○河内商工部長 今年度のこれからの対応といたしましては、区市町村からの申請を十二月末に受け付け、平成二十五年度から三カ年の区市町村の事業計画を年度末までに承認する予定でございます。
 また、平成二十六年度からの事業計画につきましては、平成二十五年度末までに承認する予定でございます。

○島田委員 答弁ありがとうございます。産業の空洞化は大変深刻な状況、これはいうまでもないことでありますが、現実に国内の生産は減少し、企業は付加価値の高い製品に絞って生産を行っております。
 工業用地の縮小に伴い、各区市町村では工業用地の再編も進行していくというふうに考えます。今後は都市計画の観点から、工業専用地域の見直しなどの対策も講じていく必要があると考えております。ものづくり産業を発展していくためにはさまざまな観点から抜本的な改革をしなくてはいけないというふうに申し上げて、次に、産学公金連携の都市機能活用型産業振興プロジェクトについてお伺いをいたします。
 地域のものづくりの集積、維持に加えまして、個々の企業が自社の技術を生かした高付加価値な製品を生み出すことにより、都内にとどまり生産活動を継続していく取り組みを支援することも大変重要であると考えております。
 先ほど申し上げましたが、多摩地域には、計測・分析器、半導体・電子デバイス、ロボットといった産業の核となるような分野の集積があり、都でもこれらの企業の技術を伸ばし、産業の育成を図る方向であるというふうに聞いております。
 このような観点から、都は、都市機能活用型産業振興プロジェクトを実施しておりますが、このプロジェクトの意義、目的とは何かをお伺いいたします。

○河内商工部長 高い技術を有する多摩地域の中小企業がさまざまな機関と連携して、研究開発や技術開発に取り組み、すぐれた製品を生み出すことにより、多摩地域の産業活性化につなげていくことは重要であります。
 このため都では、平成二十一年度より多摩地域で都市機能活用型産業振興プロジェクト推進事業を実施いたしまして、産学公金のネットワークをつくり、製品開発の取り組みなどを支援しているところでございます。

○島田委員 ありがとうございます。産学公金のネットワークにより、多摩地域の中小企業が大企業にも引けをとらないような製品開発を行うということは大変チャレンジングなことだというふうに思いますし、意義のあることだというふうに思っております。
 このプロジェクトの成果が期待されるところでありますが、このプロジェクトにより実際に開発され、世に出た製品はどんなものがあるのか、今後、どのような製品の開発が検討されているのかお伺いをいたします。

○河内商工部長 これまでの取り組みで製品化された事例といたしまして、ロボット分野では、介護施設における見守りシステムプロジェクトが既に受注を獲得しております。また、計測・分析器分野や半導体・電子デバイス分野でも、試作品が完成し、実証実験を行っているプロジェクトが複数あり、それぞれ製品化に向けた取り組みが着実に進んでいるところでございます。

○島田委員 今、世に出たものが一つあるということで、これは医療介護分野の見守りシステムだということで、ちょっと物は見ていないんですけどパンフレットをいただきまして、これは医療介護分野の見守りシステムで、介護施設や病院に入所されている人に無線技術を使用したタグを装着して、タグから送られてくる位置、加速度情報をもとにして、倒れていないかなどの情報をディスプレーに表示し、入所されている方々を見守るシステムというふうにお伺いしております。
 高齢化に伴い、お年寄りの見守りは重要で、このようなシステムのニーズは高いと思いますし、開発された製品が役に立ち、広く普及されることを期待するところでございますが、実際、このプロジェクトで開発した製品はまだそんなに数は多くないということでございますし、また今後、また新たに、先ほどありましたが開発予定のものもあるというようなことで、資料をいただいたのはこの電池を使わない電子棚札システムですか、こういった札が商品の内容を電子システムで表示してやるようなものですかね。今後開発されるようなものも幾つかあるということでございますが、毎年、この事業には四千万円予算を計上しているということなので、もう少し、もっとたくさんいいものを開発されるよう努力をしていただきたいということを要望しておきたいというふうに思っております。
 そして、この事業で重要なのが、それぞれの企業を結びつけるコーディネーターであります。特に本年から、この事業にプロジェクトマネジャーが配置されたということでございます。この事業が成功するか否かは、プロジェクトマネジャーの能力、資質が大きいというふうに考えますが、このプロジェクトマネジャーはどのような方なのか、お伺いをいたします。

○河内商工部長 プロジェクトマネジャーは、民間企業における新製品開発や事業化に関するプロジェクト管理の経験と中小企業支援に豊富な経験を有する人材を、本事業を実施する中小企業振興公社が非常勤職員として採用しているところでございます。

○島田委員 それでは、今、プロジェクトマネジャーは非常勤の職員だということで、今二名の方がおられるということでございます。いただいた資料によりますと、一人は六十三歳の方で、大手家電メーカーでブラウン管やディスプレーの開発、事業化にかかわるプロジェクトを統括されていて、工場長をされていたと。関連会社の役員を経て、定年退職後、技術士事務所を開業されている方だということでございます。
 もう一人のプロジェクトマネジャーは六十二歳の方で、大手家電メーカーで交通システム、パワーエレクトロニクスの開発、事業化にかかわるプロジェクトを統括、退職後、知的財産技術評価会社で、ベンチャー企業の知的財産事業評価に従事して、中小企業診断士事務所を開業されていたというような方で、かなり経験のある方だということでございまして、非常にいいのかなというふうに思いますが、雇用の形態がありましたけれども、非常勤職員だということで、やっぱりこのようなプロジェクトは、ある程度の一定の期間、一年じゃなくて、三年ぐらいはプロジェクトの過程であると思います。いろんな雇用形態、難しいところもあると思いますが、やっぱりそれぐらいの三年間ぐらいのスパンで、しっかりとした方に、プロジェクトマネジャーに見ていただくのがこの事業の成功につながるのかなというふうに思っておりますので、その点もあわせて今後のご検討をしていただければと、そんなふうに思っております。
 本事業の開発プロジェクトの取り組みが着実に製品化につながり、収益を上げていくためには、金融を初めとした資金面でのサポートが必要と考えます。どのようにこのようなサポートを行うのか、お伺いいたします。

○河内商工部長 製品の開発段階におきましては、案件の内容に即した公的助成金の活用が効果的でありますことから、プロジェクトマネジャーが主体となって情報提供を行いますとともに、申請等のサポートを実施しておるところでございます。
 今後、事業化が本格化した段階におきましては、参画する地域金融機関などの融資につなげていくことを想定しております。

○島田委員 ぜひ、金融とか資金面でサポートも含めてご支援をよろしくお願いしたいというふうに思います。
 また、このプロジェクトは関連業種が協力して開発を行うというふうなことでありますが、もっと関連事業じゃない本当の異業種間のネットワークによる商品開発なども重要であるというふうに考えますが、その取り組みについてもお伺いいたします。

○河内商工部長 新たな開発プロジェクトを進めていくに当たっては、当初想定していた業種だけでは開発が進まない場合も多く見られ、プロジェクトマネジャーが各推進機構のコーディネーターと共同で、適宜必要となる業種の事業者を発掘、マッチングを行い、開発の進捗に応じた柔軟な体制づくりをサポートしているところでございます。

○島田委員 いろいろ答弁いただきましたが、多摩地域には先端技術を有する企業や大学、研究機関が多数存在しており、ものづくりのポテンシャルが非常に高い地域だというふうに思っております。
 こうしたポテンシャルを最大限引き出すためには、中小企業がさまざまな機関と連携して、積極的に技術開発を進め、新たな製品を数多く生み出していくことが重要だというふうに考えております。ぜひ本事業による取り組みを通して、地域の産業集積の発展につなげていっていただければというふうに思っておりまして、次の質問に移らせていただきます。
 次に、多摩産材の普及についてお伺いをいたします。
 森林を整備することは、木材の供給だけでなく、水の涵養機能を高める効果でありましたり、花粉対策など多面的な機能があり、大変重要なことだというふうに考えております。
 さきの予算特別委員会では、多摩の森林は七割が私有林であるということから、林業の集約化、私有林の境界の確定など、川上における取り組みについて質問させていただきました。
 多摩の森林を健全に整備していくには、森林の循環が必要であり、そのためには多摩産材の活用が不可欠であります。今回は製材業者や工務店などを視察し、関係の方々からご意見などをお伺いいたしましたので、その点について、多摩産材の活用について、特に川中から川下にかけて絞って質疑を行いたいというふうに思っております。
 まず、都内唯一の原木市場である多摩木材センターでの多摩産材の取扱量の推移についてお伺いをいたします。

○津国農林水産部長 多摩木材センターにおける多摩産材の取扱量は、平成十八年度の約二千九百立方メートルから、平成二十三年度には約一万三千立方メートルと四倍以上に増加しております。

○島田委員 今、答弁で、二千九百立方メートルから一万三千立方メートルに、四倍にふえたということでございますが、改めまして、この大きく増加している要因についてお伺いをいたします。

○津国農林水産部長 幾つかの要因がございますが、平成十八年度に開始いたしました、杉林を伐採して花粉の少ない杉等に植えかえるスギ花粉発生源対策主伐事業が大きな要因となっております。

○島田委員 今ご答弁いただきましたが、このスギ花粉発生源対策の事業が、木材を供給していることに対して非常に重要な役割を果たしているということでございます。ぜひこの事業は継続して進めていただきたいというようなことと、先ほど全体の取扱量が一万三千立方メートルと、その量がありましたけれども、今、いろんな審議会等でも、どれぐらいの多摩産材の量を出したら、森を循環させるにはどれぐらいの量を木材として出したらいいのかと、そういうような、今、審議会等でも目標額、目標の数値を検討しているところだと思います。ぜひその辺を、そういうような目標数値ですか、そういったものも明確にして、じゃあ、森林を守るにはどれぐらい木材を出したらいいのかと、その量の木材を今後どれぐらい、例えばいろんな多摩産材の利用につなげるとかという、大きな視点で中長期の森林整備の方針をしっかりと固めていただきたいなと、そういうふうに思っております。
 さて、先般、この原木市場で多摩産材を購入している多摩の製材業者から話を聞きましたが、多摩産材の普及には、川中である製材所で狂いや曲がりのない材に製材し、供給していくことが求められているとのことであります。また、多摩産材のブランド力を高めるためにも、認証制度などの整備も重要であります。
 こうした多摩産材の品質向上に対する都の取り組みと、改めて認証制度についてお伺いいたします。

○津国農林水産部長 まず、品質向上に向けた取り組みといたしましては、多摩地域の製材業者等に対し、これまで木材乾燥機や木材の表面を滑らかに仕上げる木材加工機等の整備を支援してまいりました。
 また、多摩産材の認証制度についてでございますが、消費者等に対し多摩産材の知名度を高めるため、平成十八年度に森林所有者や製材業者などで構成する多摩産材認証協議会が設置され、多摩産材の認証を開始しており、都は協議会の運営の支援や認証制度のPRを実施しております。

○島田委員 今ご答弁ありましたが、この製材業者に対して木材乾燥機ですか、あるいは滑らかに仕上げる木材加工機等の整備を支援しているということでございます。
 木材の業者も、今、非常に少なくなっていて、秋川も協同組合ですかね、あの地域では本当に協同組合があそこにしかないということで、非常に一生懸命頑張っている、大変な状況であるということでございますので、ぜひこの点の整備に引き続き支援をお願いしたいというのと、多摩産材に対するブランド力、ブランド価値をぜひ高めていただいて、この認証制度をしっかりとしたものにしていただきたいというふうに思っております。
 先日、都議会民主党で、檜原村の小中学校を視察する機会がありました。教室には地元の木材がふんだんに使われておりました。村長に案内していただきましたけれども、非常に教室の中が木で成っておりまして、木質化されておりまして、子どもたちも非常に優しい気持ちになりますし、村長がいっていたのは、非常に免疫性が高まったというふうにいっていました。インフルエンザとか風邪にかかるのがデータ的に少なくなったというようなこともいっておりました。
 都においても、多摩産材を使う、そういった取り組みが行われているというふうに思いますが、多摩産材の公共利用について、教室の木質化など、都の公共建築物における利用状況並びに区市町村の利用推進に向けた取り組みについてお伺いいたします。

○津国農林水産部長 都は、これまでも多摩産材の利用を推進してきておりまして、平成二十三年度は、都立学校の教室の木質化や都営住宅の内装などで約千九百立方メートルの多摩産材を使用しております。
 また、区市町村に対しましては、今年度、公共施設における多摩産材の利用事例ですとか、多摩産材の利用意義などに関する説明会を開催するなど、多摩産材の利用促進を働きかけております。

○島田委員 都の方でもさまざまな形で公共施設に利用しているということでございますし、こういう区市町村における多摩産材の使用状況という一覧もいただきましたけれども、区市町村も独自に多摩産材をなるべく使うような取り組みも行われているということでございます。
 この一覧があるんですけれども、特に多かったのが港区でありまして、港区は秋川、あきる野市と提携を結んでおりまして、森の管理を港区が一部行っているというようなことで、そういうような提携を結んで、川上と川下がつながっているところ、非常にこれは利用が進んでいるということでございますので、そういったところでぜひ区市町村の取り組みなんかも推進するようなさまざまな施策があると思いますので、ぜひその点も含めて、公共建築物における多摩産材の使用を促進していただきたいというふうに思っております。
 こうした公共利用に加えまして、民間での利用の拡大も必要だというふうに考えております。統計資料によりますと、平成二十三年には東京全体で新築住宅戸数は十三万戸であります。また、十三万戸のうちの木造住宅は四万四千戸であります。しかし、私がこの多摩産材を積極的に利用している工務店さんから聞いた話ですけれども、その工務店では、多摩産材の住宅戸数は五十戸程度ということであります。
 多摩産材の住宅利用がもっと進めば、大幅に多摩産材の需要が伸びるというふうに考えております。多摩産材の住宅利用を含めた民間利用に関する都のこれまでの取り組みについてお伺いいたします。

○津国農林水産部長 都では、多摩産材を利用したモデルハウスの整備や新たな製品開発など、民間のアイデアを活用した提案公募型事業を実施するとともに、多摩産材を活用した家づくりに取り組む団体の活動経費を支援して、民間利用の拡大に努めております。

○島田委員 今、答弁いただきましたが、多摩産材の民間利用は重要だと。もう一回いいますが、多量に使用する住宅、この利用に対する期待は非常に大きいというふうに思います。消費者の需要を喚起するような思い切った施策、我々も、都議会民主党でも、今、検討しているところでありますけれども、ぜひそういったような思い切った需要を喚起するような施策をやっていただきたいなと思っております。
 例えば車でいうと、プリウスという車がありますけれども、あれはもう十年前、実は私も乗っていたんですが、本当に数台しかありませんでしたけれども、消費者に補助制度、そこに何万と補助しました。消費者に直接、中間のところではなくて、実際のボトムの利用する消費者のところに喚起するような、そういった補助制度とか、そういったものの検討が必要じゃないかと。そういうものが進めば、一気にこの多摩産材の需要が進むかもしれません。環境意識なんかも非常に高まっているというふうに思います。これは改めてまた検討しまして、ご提案したいと思いますけれども、ぜひその点もあわせてよろしくお願いしたいというふうに思っております。
 森林を整備していくには、川上の山の所有者、それから林業家、川中の製材業者、川下の工務店、木工の関係の方々、それぞれの関係者への支援、そして、それぞれの関係の方々が連携して取り組めるよう、コーディネート役が大変重要であるというふうに考えております。
 今後も、東京都の取り組みが大いに期待されます。ぜひよろしくお願い申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○宇田川委員 私からは、中小零細企業支援についてお尋ねしていきます。
 中小企業金融円滑化法の終了を来年三月に控え、中小企業の間に資金繰りに対する不安が非常に広がってきております。金融機関の貸出姿勢がその途端に厳しくなり、資金繰りに行き詰まってしまうのでは、こうした声を地元で耳にしております。
 そうした中、国は先日、金融担当大臣の談話を突然発表いたしました。法の終了後も、金融機関が貸し渋り、貸しはがしを行うことがないよう、検査、監督を通じて促していくとの内容でありましたが、事業者からの話を聞いてみますと、金融機関の態度が厳しくなった、既に一部の金融機関では企業の選別が始まっている、こうした声も聞いております。
 三定の一般で私がこの質問をさせていただいて、この法律の終了に当たっては、中小企業の資金繰り実態などをつぶさに把握した上で手だてを講じていく、こうした旨、前知事から答弁がありましたが、東京都は、現下の中小企業の状況について、今、私が申し上げたような金融機関の変化などを含め、どのように把握を進めているのか、状況をお答え願います。

○寺崎金融部長 中小企業の資金繰りの円滑化のためには、金融機関が条件変更などに柔軟かつきめ細かく対応することや、コンサルティング機能を発揮することなどが極めて重要でありますが、都が中小企業団体などに対して行っているヒアリングにおきましても、金融機関の融資姿勢の変化を指摘する声が上がっております。
 このため、都といたしましても、中小企業の資金繰り実態をきめ細かく把握するため、十月下旬からアンケート調査を実施しております。
 具体的には、無作為抽出した一万社の都内中小企業を対象に、借入条件変更の実施状況、経営改善計画の策定状況、金融機関の融資姿勢の変化の動向や法の終了後に予想される資金繰りへの影響といった項目について調査を行っており、十一月下旬には結果の取りまとめを予定しております。
 これに加えまして、条件変更中の中小企業のより具体的な実情を把握するため、アンケート調査にご協力いただいた企業を訪問するヒアリング調査の実施を検討しております。

○宇田川委員 東京都は、今お話があった今回のアンケートの調査結果を分析、検証していただいて、中小企業のニーズをしっかり酌み取っていただきたい。都としても、法の終了を見据えた制度融資メニューの充実を図るなど、こうした中小企業に対する資金繰りを支援していくことが必要だと考えます。
 都は、この十月から新たな融資メニューとして、経営力強化融資の取り扱いを開始いたしました。この制度は国の新たな保証制度に基づくものであり、融資だけでなく経営支援をあわせて実施するという点が特徴と聞いてはおりますが、実現性のある事業計画を事業者がみずから策定しなければならない、こういった要件があり、利用のハードルは相当に高いと思われます。
 そこで、この融資メニューについては、条件変更を行っている企業などにおいてどのような利用が想定されるのか、また、利用を促進するためにどのように取り組んでいかれるのか見解を伺います。

○寺崎金融部長 制度融資の新たなメニューである経営力強化融資は、中小企業が金融機関及び国が認定する経営革新等支援機関の支援を受けて、みずからが事業計画を策定して経営改善に取り組む場合に必要な事業資金を融資するものでございます。
 条件変更中の企業の利用でございますが、これまでの条件変更期間中に経営改善が一定程度進捗している中小企業については、この融資メニューの利用により、例えば事業転換に必要な運転資金の追加融資を受け、その取り組みをより着実なものにしていくことが考えられます。
 また、これから計画を策定して経営改善を進めようとする企業や、思うように経営改善が進んでいない中小企業については、認定支援機関の支援のもとで、計画の策定や見直しを行い、この融資メニューの利用により、既往債務の借りかえによる返済負担の軽減を受けながら経営改善を進めていくことが想定されます。
 こうした取り組みが効果的に機能するためには、金融機関や認定支援機関の積極的な支援姿勢によるところが大きいと考えられますが、都としては今後、利用者負担の軽減に向けた都独自のさらなる措置を検討していくことなどにより、本融資メニューの利用促進を図ってまいります。

○宇田川委員 今、経営力強化融資について、利用促進に向けて独自の工夫を東京都は行っていくと、こういう答弁だったと思うんですが、円滑化法終了の影響を受ける中小企業の置かれる立場はさまざまであります。いろんな企業がいろんな立場で経営を行っている。であるとすれば、幅広い支援策をもって対応していくことが求められる、当然のことだと思っています。
 都として、さらに多面的な支援策の展開が不可欠だと考えますが、制度融資においてどのような支援策を検討されているんでしょうか。

○寺崎金融部長 理事ご指摘のとおり、金融円滑化法を利用して条件変更を行っている企業の資金繰り状況はさまざまであり、都は、企業の実態を的確に把握した上で、経営改善や事業再生につながる総合的な金融支援を実施していく必要があると認識しております。
 こうした中小企業を支援していくため、経営力強化融資のほか、経営支援機関と連携した既存の制度融資メニューの拡充などにより、経営改善や事業再生に取り組む中小企業の資金繰り支援の強化を図ってまいります。
 さらに、経営改善にまだ時間を要する中小企業のさらなる返済負担の軽減を図る観点から、複数の企業債務をまとめて有利な条件で借りかえることができる都独自の新たな措置についても検討してまいります。
 今後、こうした取り組みを進めることによりまして、円滑化法終了の影響を受ける中小企業が利用できる制度融資メニューを充実させ、中小企業の資金繰り支援に万全を期してまいります。

○宇田川委員 円滑化法終了後の中小企業の支援については資金繰りの備えに万全を期すと、こういうご答弁をいただきました。ありがとうございます。
 それとともに、経営改善のための支援もまた必要なんだと思っています。経営を基盤から立て直そうとする企業の取り組みに対して、行政はしっかりとサポートしていくことが重要であります。
 円滑化法を利用して金融機関から条件変更を受けた企業は、経営改善のための計画を策定した上で、その期間中に経営を立て直すこととされております。しかし、予定どおりに経営改善が進んでいないケースが非常に多い。これは需要の低迷など外的な要因がある、これも当然だと思いますが、企業内に身の丈に合った計画ができなかった、目標を間違ってしまった、組織的に実行できなかった、こんな内的な要因もあると考えております。経営改善を確実に進めていくためには、経験やノウハウを持った専門家が親身になってサポートすることもまた重要だと考えます。
 中小企業振興公社では、幅広い分野の専門家を配置した無料の窓口相談を行っております。また、専門家による派遣事業も実施しております。これらの取り組みは企業に大変好評を得ていると聞いておりますが、金融円滑化法の終了によって相談企業が大幅にふえることも想定されます。十分なアドバイスがしっかりと受けられるよう、相談体制の強化を図る必要もあると考えております。状況と今後の取り組みについてお尋ねをいたします。

○河内商工部長 厳しい経営環境にある中小企業が着実に経営改善を進めていくためには、豊富な知見やノウハウを持った外部の専門家が、企業の実情に即して課題解決に向けた助言などを行うことは重要でございます。
 このため、中小企業振興公社にワンストップ総合相談窓口を設け、中小企業診断士や会計士など、各分野の専門家による無料のアドバイスを実施するとともに、中小企業からの要請に基づき、専門家が企業の現場を継続的に訪問し、直面する課題の解決や経営再建の方針づくりなどに向けた支援を行う専門家派遣事業を実施しております。
 今年度における実績は十月末時点で、総合相談が九千百二十三件、専門家派遣が五百八十二回となっております。
 金融円滑化法の終了を見越した場合、中小企業の相談に対するニーズが相当程度ふえるものと想定されます。今後、こうした状況を的確に把握しながら、経営改善に取り組む企業の要望に十分対応するための相談体制など、質と量の両面から、今後の支援の強化について検討してまいります。

○宇田川委員 経営改善の取り組みは、企業によってさまざまであります。金融円滑化法の終了を来年三月に控えている中で、会社の経営を根本から立て直し、将来にわたってしっかりと収益を生み出す確固とした基盤をつくるような場合には、事業の承継、再生への取り組みが必要であると考えます。
 近年、経営者の高齢化が進行する中で、事業の後継者の確保がかなり厳しくなっていると聞いております。事業継続が困難になっている企業が少なからずあるのは現状であります。
 また、後継者がいて、従業員、技術、顧客、こうしたものがそろっていても、厳しい経営環境のもとで経営課題が複雑に絡まり合い、抜本的な再生計画なしには事業が継続できない、こうした場合もあるんではないでしょうか。
 今後も東京が活力を維持していくためには、こうした状況をしっかり踏まえ、中小企業の事業承継や再生を行政としても積極的に支援していくことが求められております。
 都では、既に事業承継・再生支援事業を実施しているところですが、現状と今後の取り組みについてお尋ねをいたします。

○河内商工部長 企業の円滑な事業の承継を支援するとともに、事業の再生が必要な企業に対して総合的に支援していくことは、経営資源や技術、ノウハウの消失を防ぎ、東京の産業力を維持するためにも重要でございます。
 このため東京都は、中小企業振興公社に事業承継、再生支援のための相談窓口を設置しております。事業承継、再生に向け、継続的かつ計画的に取り組む必要のある企業については、弁護士や中小企業診断士などの専門家が、企業による承継、再生方針の策定を支援するとともに、公社の各種支援を活用するなど、総合的な対応を行っており、今年度は十月末までに七百六十九件のご相談に対応しております。
 今後、金融円滑化法の終了を見据え、事業承継、再生方針を定めた企業に対する継続的な支援の体制について検討してまいります。

○宇田川委員 円滑化法終了に伴った話を幾つかしてきたんですが、これは私、三定の一般でも主張しましたが、そもそもは国が当然責任を持ってやっていかなければいけないという事項ですが、政局になってしまって全く先が見えません。残念ですけど。頑張ってほしいんですが。
 都は、今後の対応について、今、さまざま具体的な答弁をいただいてきたんですけれども、都内の中小零細企業がこの円滑化法終了という時期において窮地に追い込まれることがないように、万全を尽くしていただくよう求めておきます。
 次に、中小企業の防災対策について、一点お伺いをいたします。
 都は、地震災害、さまざまな教訓から取り組みを行ってきました。いろんな取り組みを行ってきた中で、昨年も東日本大震災を受け、二定で大きな補正予算を組んだ中で、教訓をもとに実効性ある取り組みに着手をしてきたわけであります。都民の生命、財産を守るとともに、日本の中心である首都東京の機能の維持を図るためには、施策の速やかな実行が必要不可欠であります。
 中でも、我が国経済を牽引している東京の中小企業、この中小企業の防災力の向上が非常に重要な課題だと私は認識をしているところであります。
 東京都は、平成二十二年度からBCP策定支援事業を実施してきましたが、残念ながらその普及はまだ十分ではないと思っています。それどころか、都内企業の大多数を占める中小企業に対して、都が現在取り組んでいる帰宅困難者対策など、さまざまな防災対策についての周知は進んでいない、これも残念ながら現状だと思っています。
 このような状況の中で、中小企業施策を所管する産業労働局が関係局としっかり連携をとって、帰宅困難者対策など、中小企業に防災に関する取り組みを周知していくことが中小企業の意識を高め、ひいてはBCP策定の広がりにつながると考えております。見解を求めます。

○河内商工部長 東日本大震災を教訓として、来年四月に施行される帰宅困難者対策条例や地域防災計画の修正など、都内中小企業に早期に周知すべき防災上の取り組みが数多くございます。
 現在、実施しているBCP策定支援事業におきましても、計画の中に都が実施している帰宅困難者対策などを盛り込んでいくこととしております。
 また、ご指摘のとおり、より多くの中小企業がそうした災害時の対応について理解することは、中小企業の事業継続に対する意識を高めるとともに、BCP策定の動機づけにもなると考えております。
 今後、BCP策定を一層促進するためにも、中小企業の防災意識及び防災対応力の向上を目的としたセミナーの開催など、防災に関する関係局と連携し、中小企業の防災対策に関する普及啓発の強化を検討してまいりたいと思います。

○宇田川委員 ずっと中小零細企業に対する質疑を進めてきたんですが、今、私がいうまでもなく、リーマンショックだとか、欧州危機だとか、長期にわたる円高だとか、中小零細企業を取り巻く経営環境はなお一層といっていいほど厳しさを増しています。景気後退もするのではないか、こういう報道もあったわけでありまして、都内の中小企業は大変苦しい立場でいると思います。
 明かりのない真っ暗なトンネルの中で、どっちが出口かもわからず、右に行ったらいいのか、左に行ったらいいのか、そんなこともわからずにもがき苦しんでいる、それが今の中小企業の姿であり、各議員みんなそうだと思いますが、地元で厳しい、苦しい中小企業の話を常々耳にしているわけであります。
 東京の経済を支えているのは、今、申し上げてきた中小零細企業でありますから、血となり肉となる、即効性を持って実効性を持った施策、なかなか難しいことだとは思います。皆さんと一緒に我々も知恵を絞っていきたいと思いますが、こうした施策を都としてしっかりと推し進めるよう求めさせていただいて、私からの質問を終わります。

○伊藤(こ)委員 それでは、私からは、まず初めに中小企業支援関連から何点か質問をさせていただきます。
 今の宇田川理事の質問とも重複するところもありますけれども、私たち議員のもとにはさまざまな中小企業の経営をされていらっしゃる、また、そこに従事をしていらっしゃる方々、こうした方々からさまざまな相談が寄せられます。
 特にリーマンショック以降、中小企業の資金繰り、これに悩む社長さんから相談を受けることが多々あるわけでありますけれども、こうした中で、よくよく社長さん等と話をしていくと、資金繰りをできたものの、お金を借りても仕事がないから返せないと。もともとこの仕事、後継者もいない、この会社をどうすればいいんだと。もし畳んでいくにしても、少しでも被害というか、負担を軽減して畳むにはどうしたらいいんだとか、本当に切実なこうした相談が寄せられるわけでありますけれども、こうした方々を私はこれまで、今も質問がありましたけれども、東京都が実施をしております専門家派遣事業、ここにおつなぎをさせていただきました。
 一回は、私も中小企業振興公社の総合相談窓口に一緒に行って、座って、アドバイスしていただくところを聞いてまいりましたけれども、中小企業診断士を初め税理士や会計士など、こうした専門家のさまざまな方が、本当に困っていらっしゃる社長の同じ目線に立って親身になって話を聞いて、そして、こんがらがってしまった糸を一本ずつほぐすようにして、この会社の立て直しのためにアドバイスを真剣にやっておられた姿が本当に印象的でありました。
 既にご紹介を、おつなぎをさせていただいた企業のうち三社が、中小企業振興公社が行っている専門家派遣事業で先が見えてきている。今にもつぶれそうだといっていた企業が、この先の展望が見えてきたということで、たった数カ月、前の社長の顔と大きく変わっていく姿に、私はこの専門家派遣事業の重要性、この事業の大切さ、これをつくづく痛感したものであります。こうした支援をさらに充実させていくことが必要だと考えますけれども、当事業の昨年度の実績、そしてまた、今年度の実績、これを伺ってまいりたいと思います。

○河内商工部長 経営改善に取り組む中小企業が経営上の課題の把握や的確な解決に向け、会社の現場で豊富な知識やノウハウを持つ専門家の助言を受けることは効果的でございます。
 都では、中小企業振興公社におきまして、幅広い分野から専門家約三百名を登録しまして、企業の要請に応じて継続的に企業を訪問し、課題解決に向けたアドバイス等を行う専門家派遣事業を実施しておるところでございます。
 本事業の実績でございますが、平成二十二年度が百四十四社の利用で延べ八百八十七回の派遣、二十三年度は百四十一社の利用で延べ九百八十三回の実績、今年度につきましては、十月末の時点で百十一社の利用で延べ五百八十二回の派遣を行っているところでございます。

○伊藤(こ)委員 二十二年度は八百八十七回の派遣、二十三年度は九百八十三回、そして、今年度は約半年で、この半年で既に約六百回ということでございます。
 恐らくは、今年度は一千回を大きく超えるんではないかというふうに予測されるわけでありますけれども、いずれにしても、この相談実績がふえているという答弁でありましたけれども、国では、この八月にセーフティーネット保証の業種絞り込み、そして来年の三月には中小企業金融円滑化法の終了と、今後、中小企業の経営はさらに追い込まれることが懸念をされているわけでございます。
 そこで、この専門家を活用した経営改善へのニーズはさらにふえてくるものと考えますけれども、今後の対応について見解を伺いたいと思います。

○河内商工部長 長引く需要の低迷や円高などによりまして、中小企業の経営は厳しい環境が続いており、こうした中、業績の回復を模索する企業による本事業の利用ニーズは、現状においてもふえている傾向にございます。
 今後も、景況の先行きの懸念や金融円滑化法が終了する見込みであるなど、中小企業の経営環境は引き続き厳しいことが想定されることから、こうした状況を把握しながら、経営改善に取り組む企業の要望に適切に対応できるよう検討してまいる所存でございます。

○伊藤(こ)委員 ぜひとも、これはまた来年度に向けてもしっかりと予算を獲得していただきまして、こうした取り組みをさらに推進していただきたい。
 そしてまた、先ほど申し上げたとおり、ご相談に来られた中小企業の社長さん、経営者の方々は、東京都がこういうことをやっているということすら知らない方々がたくさんいるわけであります。専門家派遣事業、総合相談、こうしたことをやっているということを、ぜひこういう中小企業にも発信を積極的にやっていただきたいということを強く要望しておきたいと思います。
 次に、来週二十日から三日間、東京ビッグサイトで開催される産業交流展について伺いたいと思います。
 最近は、企業間でもインターネットを活用した販売が盛んでありますけれども、重要な部品、材料の購入先を探したいときなどは、展示会へ赴いて出展者から直接話を聞いたり、また商品を手にとってみたりするなど、確実な情報を効率的に集めることがこの展示会ではできるわけであります。
 これもまた、ある中小企業の経営者の方でありますけれども、東京都が開催をする産業交流展、ここに行って、自分の工場でのアイデアが行き詰まっていたときに、大変に次の仕事につながるヒントがそこにあったというようなお話も伺ったことがあります。
 また、出展者の側も、さまざまな業種の来場者と情報を交換することで、これまでは思いもよらなかった業種に販路を見出したとか、ふだん接触のなかった企業と事業連携に向けた商談が進み始めたといった話も聞いております。このように、展示会はビジネスチャンスを生み出す潜在力が豊富にあり、昨今の厳しい経営環境に置かれている中小企業にとっても、展示会への出展は現状を突破する有効な手段にもなり得るものであると考えます。
 そこで、これまでの産業交流展の成果や商談件数について伺いたいと思います。

○河内商工部長 産業交流展は、中小企業の販路開拓及び情報交流の促進等を目的として、東京ビッグサイトを会場に平成十年からこれまで十四回開催しております。
 前回、平成二十三年度は、八百九十六の企業と団体が出展し、三日間の会期中に約五万二千人の方々が来場された結果、延べ七千九百十九件の商談が行われ、百九十三件の取引成約に結びつきました。
 出展した個々の企業の方々からは、多くの商談の機会を得られた、異業種の企業とのつながりができた、新商品をPRできたなどの声をいただいているところでございます。

○伊藤(こ)委員 前回のこの産業交流展は、三日間で五万二千人の来場者と、そして約八千件の商談が行われたという答弁でございましたけれども、こうした成果を上げるためには、都の方でもいろいろとご苦労もあったと思いますけれども、来場者や商談をふやすために具体的にはどのような工夫を行っているのか、そしてまた、この十一月二十日から始まる今回の産業交流展の特徴を伺いたいと思います。

○河内商工部長 産業交流展の開催効果を高めるためには、魅力的なイベントを行って集客を図ることが重要であり、また、商談件数の増加を図るため、企業間のマッチングの促進に資する取り組みを行っております。
 例えば、会場内のメーンステージにおいて著名講師による講演などを開催するとともに、アジア大都市ネットワーク21の取り組みと連携してアジア各国からの出展者数の増加を図るなど、産業交流展の注目を高める取り組みを行っております。
 今回、これらに加え、へら絞りや溶接など、中小企業が誇るものづくりの技術を来場者の目の前で実演するコーナーを設置する予定でございます。
 また、企業間のマッチングを促進する取り組みといたしまして、出展者が自社の製品、技術をステージで紹介するプレゼンテーションなどを行っております。
 さらに、今回新たに中小企業振興公社主催の商談会を併設し、多くの受注企業と発注企業が一堂に会する商談の機会を確保する予定でございます。

○伊藤(こ)委員 展示会というと、ともすると、展示してあってそれを見て回るだけという感じがありますけれども、今回の特徴にも、今ご答弁いただきました受注企業と発注企業が一堂に会して商談の機会を確保するということでございます。こうした具体的な取り組みが私は何よりも大事だというふうに思いますので、ぜひとも頑張っていただきたい、このように思います。
 ところで、私は、たしか昨年だったと思いますけれども、東京信用保証協会が主催をする展示会を、東京フォーラムで行われましたけれども、視察に行ってまいりました。この展示会では、各展示のブースに、出展者の企業の名前がブースのところに書いてあるわけでありますけれども、その企業名の隣に販路拡大とか事業連携とか、あるブースでは後継者とかと書いてある、こういう展示会でありました。
 この展示会は事業所が出す展示のほかに、そのブースの上に書いてあったのは、その企業が抱える課題、これがここに明確に書いてありました。つまり、ブースごとに、販路拡大と書いてあるところの前のブースでは積極的に名刺交換が行われておりましたし、例えば後継者と書いてあるところについては、どんな後継者を求めているのかという話を聞きに来られる方もそこの前にいらっしゃいましたけれども、展示会、展示会ごとで、さまざまに工夫をしていることが私はあると思います。
 ぜひとも、先ほど特徴を伺いましたけれども、今年度の展示会、これも大成功させていただくのとともに、これからも各種展示会のいいところをしっかりと盗み取っていただきながら、各展示会がますます回を重ねるごとによりすばらしいものになっていくことを期待しておきたいと思います。
 次に、商店街の空き店舗を活用した被災地産品の販売支援について質問をしたいと思います。
 東日本大震災は、福島、宮城、岩手の三県を初め、未曾有の被害をもたらした上、福島第一原発の事故は風評被害をさまざまな地域に広げております。
 都は、さまざまな事業を通じて被災地を支援してこられましたけれども、中でも、都内各地に散在する商店街の空き店舗などを活用して、被災地支援のため都内の中小企業やNPOがアンテナショップなどを出せるよう、被災地産品販売活動支援事業で支援をしてまいりました。まず、この事業実績について伺いたいと思います。

○河内商工部長 都は、震災後の緊急対策として、被災地の商品を販売する意欲と力のある中小企業やNPO法人等が、空き店舗などを活用して被災地を支援する取り組みを行う場合、その取り組みに要する経費を助成してまいりました。
 具体的には、店舗の内装や借り上げ等に必要な費用の三分の二を助成して、開業時の資金負担などを減らすことにより、円滑な販売活動を支援してまいりました。
 これまでの実績といたしましては、平成二十三年度は十五件、平成二十四年度は九件の被災地を支援する取り組みをサポートしてきたところでございます。

○伊藤(こ)委員 三・一一震災後、都は、緊急対策として被災地を支援する企業やNPOを手厚く支援してきたということは評価をしたいと思います。
 しかしながら、被災地への支援は、いっとき、また一過性のものであってはならないと私は思います。復興には、何よりも産業の回復が欠かせないものというふうに思っておりますけれども、その支援は息の長い取り組みが必要であります。
 震災が起きて一年八カ月たちましたけれども、これで二年がたち、三年がたち、五年がたち、こうしていくうちに被災地への支援を忘れてはならない、私はこのように思うものであります。
 こうしたことの息の長い支援をしていくためには、被災産地の商品の販売を支援することが有効でありますし、それには都内の商店街の力をぜひとも発揮をしていただくことが重要であるというふうに考えますけれども、今後の取り組みについて伺いたいと思います。

○河内商工部長 都は、これまで商店街パワーアップ基金事業として、中小企業やNPO法人等が商店街と協定等を締結して商店街の活性化プロジェクトを実施する場合、必要経費の二分の一を最大二千万円まで補助しております。
 この事業では、中小企業が被災地を支援するため、商店街の空き店舗を活用してアンテナショップなどを開設する場合も対象としておるところでございます。
 また、商店街が実施するイベントの中でも、被災地の商品を販売する事例が出ております。
 今後とも、こうした取り組みによる商店街での販売を促進することにより、被災地の復興につなげてまいりたいと考えております。

○伊藤(こ)委員 私たち都民は、震災や風評の被害に遭った地域から、これまで農水産物から電力まで、さまざまな恩恵を受けて豊かな生活を享受してきました。被災地の復興が長期化する様相を呈する中、私たちは、今後ともさまざまな方法で被災地を応援していかなければなりません。
 こうした事業が被災地を応援するものとして都内各地で行われ、被災地が一刻も早く復興することを願って、次の質問に移りたいと思います。
 若年者を取り巻く雇用環境は、依然として厳しい状況であります。若者に対する就業支援は喫緊の課題であり、都政の重要課題の一つでもあります。次代を担う若者が一人でも多く就職できるようにするためには、積極的な行政による支援が必要であります。
 このため、都では、若者ジョブマッチング事業や、東京しごとセンターにおける新卒未内定者等向け特別支援事業を初め、さまざまな事業を通じて、若者に対する就業支援を多面的に展開してきました。さらに昨年度からは、研修と中小企業での就労体験を組み合わせた未就職卒業者緊急就職サポート事業を開始しました。産労の事業はみんなネーミングが長いので、読むのに苦労するんですけれども。
 私は昨年度、この経済・港湾委員会において、今、申し上げた未就職卒業者緊急就職サポート事業の概要及び進捗状況について質問をし、この事業が厳しい就職環境にある若者の正規雇用化を後押しする大変重要な役割を持っている事業であるということを確認いたしました。
 そこでまず、二十三年度の本事業の実績及び今年度の事業の進捗状況について、改めて伺いたいと思います。

○穂岐山雇用就業部長 まず、未就職卒業者緊急就職サポート事業の平成二十三年度実績でございますが、年度合計で七百五十名の定員に対しまして二千二百五十五人の応募がございました。
 このうち、八百八十四人がプログラムに参加し、六百六十八人が企業での派遣就労を体験いたしました。最終的な派遣就労先での正規雇用件数は三百四十人となってございます。
 次に、今年度の事業の進捗状況でございますが、一期目のプログラムの実績につきましては、四百二十人の定員に対しまして一千五十九人の応募がございました。
 このうち、四百九十三名が一期目のプログラムに参加し、三百六十七人が企業での派遣就労を体験いたしました。最終的な派遣就労先での正規雇用件数は百八十七件となってございます。

○伊藤(こ)委員 ただいまのご答弁で、本事業のニーズが非常に高いということがよくわかります。定員の二・五倍から約三倍の応募があったと、そして、最終的に参加者の約五割が正規雇用につながっているという事業効果が発揮されているということもよくわかりました。
 私は、若年者の就業支援において最も重要なことは、いかに若者のニーズを踏まえながら、きめ細かな支援を実践できるかということだと思います。
 そこで、このプログラムに参加した若者に対して、具体的にどのようにきめ細かな支援を実施して正規雇用化を図ったのか、その取り組みについて伺いたいと思います。

○穂岐山雇用就業部長 プログラムに参加した若者の正規雇用化を一層促進するための取り組みについてでございますが、具体的に、円滑に直接雇用へ移行するために導入研修を実施し、参加者が働くことの意義について一層理解を深めることができるようにしております。
 あわせて、キャリアカウンセラーによる個別カウンセリングを実施し、参加者の希望や適性、能力を把握するとともに、個々の状況に応じて派遣就労や正規雇用での就職に必要なアドバイスを行ってございます。
 また、派遣先企業における就労体験中、参加者がモチベーションを維持できるよう、就労時の悩みや不安などについてきめ細かく対応するため、月一回以上、担当キャリアカウンセラーによる派遣先企業への訪問を行うほか、対面または電話などによる参加者からの相談に応じられるような体制を整備するなど、フォローアップの充実を図ってございます。
 さらに、参加者の派遣就労開始後、派遣先企業での正規雇用化が見込めないと認められる場合には、受託事業者はミスマッチ等の原因を考慮した上で速やかに派遣を終了し、別の派遣先とのマッチングを行うなど、柔軟な対応に努めてございます。

○伊藤(こ)委員 私は本事業を大変に評価したいと思うところは、要するに、学校を卒業して、本当に社会に出ていこうと、希望いっぱいの若者たちが社会に出ていく第一歩で、初めの一歩でつまずいてしまう、就職が決まらないという、こういう若者たちにしっかりきめ細かな支援をしていくという本事業のスキーム、これについても大変評価するところであります。
 研修をまず一カ月きちんとやる、そして就労体験を三カ月きちんとやる、そして正規雇用につなげていくという、こういう事業でありますので、ただ、要は若者が正規雇用につながったかどうか、ここが私は本事業の問われる部分であると思いますし、それには、このスキームがどんなにすばらしくても、要は本事業を底辺で支えている人だと思います。今の答弁の中にも、キャリアカウンセラーという言葉が部長の中から出てまいりましたけれども、きめ細かに一人一人の若者を支えてくれている、こういうキャリアカウンセラーの存在、こうしたものも非常に重要だというふうに思います。
 いずれにしても、こうしたきめ細かい支援を行うことにより、一人でも多くの若者の正規雇用化を促進していただきたいと思いますけれども、一方で、この未就職卒業者緊急就職サポート事業はニーズが高い事業であるがゆえに、定員の関係で、募集したものの参加できなかった若者が相当いらっしゃいます。
 先ほども倍率が二・五倍から三倍ということでありましたので、相当数、参加できなかった若者がいるわけであります。昨年度でいえば一千三百人を超える方が、今年度は一期目で五百人を超える方が応募したもののプログラムに参加できなかったわけであります。
 また、プログラムに参加したけれども、企業での就労体験には参加できず、就職に至らなかった方もいらっしゃいます。さらには、プログラムに参加して企業での就労体験をしたけれども、残念ながら就労に至らなかった方もいらっしゃいます。
 こうした方々に対しても、きめ細かな支援を適切に行うべきと考えますけれども、所見を伺いたいと思います。

○穂岐山雇用就業部長 まず、本プログラムに応募したものの参加できなかった若者に対する支援策でございますが、受託事業者を通じまして東京しごとセンターを紹介することにより、就職に向けたきめ細かい支援を行ってございます。
 また、未就職卒業者の募集時の説明会におきまして、都が実施する就業支援事業等の周知を行うなど、必要な情報が若者に確実に届くように適切に支援を行っております。
 次に、本プログラムに参加したものの正規雇用化に至らなかった若者に対する支援策についてでございますが、本人の希望に応じまして、電子メールを月一回程度送付し、都が実施する最新の就業支援事業等の情報提供を行うとともに、就職に関する相談や就職先の紹介等を継続的に行ってございます。
 このように、きめ細かい支援策を多面的に講じていくことにより、残念ながら本事業を通じまして正規雇用化に至らなかった若者に対しましても、的確に対応してございます。

○伊藤(こ)委員 今のご答弁にもございました、こうした、残念ながら参加できなかった若者等に対しても、電子メールを月に一回配信して、最新の情報を送っているということでございます。この取り組みは、私はすばらしいことだと思います。まさに、若者が求めている情報だと思います。
 今後、ぜひとも、他の就職を求めている若者についても、QRコードというんですかね、ごちょごちょとしたあれですけど、例えば産業労働局のさまざまな広報物のところに、今後、若年者にかかわらずかもしれませんけれども、東京都の最新の就業支援事業の情報提供を求めている方がQRコードをかざせば、携帯電話で定期的に情報メールが送られてくるような、こうした取り組みも、答弁は求めませんけれども、ぜひ検討をしていただきたいというふうに思います。今後とも、できる限りこうした若者のニーズにこたえた支援を的確に行っていただきまして、一人でも多くの若者の正規雇用を実現していただくよう強く要望したいと思います。
 次に、若年者等の就労支援に関連をしまして、職業能力開発センターについて伺います。
 これまで質疑をしてきたとおり、若者を取り巻く雇用環境は依然厳しい状況にある一方、中小企業の中には人材確保に苦慮しているところもあります。
 これも私の知り合いの建設会社の社長さんのお話でございますけれども、これまで求人の募集をしたけれども、なかなか来てくれないと。そして、やっと一人、また二人と採用したにもかかわらず、三カ月もたたないうちにこの建設会社をやめてしまうと。その後も補充がままならないという切実な相談でございました。
 その社長さんいわく、ある程度の技術と、とにかくやる気があれば、あとはうちの会社で徹底的に面倒を見て一人前にしてあげたいんだと。そして、若者に、家庭を持って、子どもをもうけ、そして、元気いっぱいに人生を生きていってほしいんだと、こんなことをいっている社長さんでございましたので、私は思わず、社長、職業能力開発センターというところを知っていますかと聞いたら、知りませんという話でございました。職業訓練校は知っていますかと聞いたら、それは知っているといっていましたけど、この名称が開発センターになっているということで、また知らなかったというところもあるかもしれませんけれども、この職能センターを紹介したところ、この社長は早速見学に訪れました。
 そして、訓練風景を見学していただきまして、これは所長の計らいもあったわけでありますけれども、一生懸命にこの作業を、また勉強している若者の姿を見て、この社長は非常に感動したそうであります。そして、職業能力開発センターの訓練生を、ぜひとも定期的にうちの会社に採用したいということで、求人の申し込みを出してきたということでございました。
 このような人材探しに困っている中小企業に、そして、就職に向けて熱心に職業訓練に取り組む若者たちが就職できるように、橋渡しをしていくことが重要であると私は思います。
 職業能力開発センターでは、中小企業と訓練生とのマッチングを図るための支援をどのように行っているのか、これまでの都の取り組みについて伺いたいと思います。

○戸澤事業推進担当部長 職業能力開発センターは、求職者の早期就職を実現するため、実践的な知識、技能を付与する職業訓練を実施することを通じ、産業界が求める人材を供給しております。訓練生と中小企業とのマッチングを図ることは、就職を望む訓練生にとっても、人材不足に悩む企業にとっても重要な取り組みでございます。
 そのため、都では、訓練生と企業との相互理解を深めることがマッチングに資するとの観点から、校外実習やインターンシップ、企業向けの施設見学会などを実施しております。
 また、ハローワークや区市町村、業界団体等と連携して、合同会社説明会や合同面接会も開催しております。
 さらに各センターに配置された就職支援推進員による企業への求人開拓等を通じて、平成二十三年度は八千四百三十八人の求人を確保し、訓練生の就職活動と中小企業の採用活動を支援いたしました。
 今後とも、こうしたきめ細かな取り組みを通じて、マッチングを促進し、訓練生の早期就職の実現と中小企業の人材確保を支援してまいります。

○伊藤(こ)委員 職業能力開発センターが、中小企業の人材確保と訓練生の早期就職に向けた取り組みを行っているということはよくわかりました。
 こうした取り組みについて、各業界団体とも連携して周知に努めていることと思いますけれども、先ほどの社長さんのように、職業能力開発センターの取り組みを知らない中小企業も少なくないと私は思います。また、職業能力開発センターにとっても、せっかくいい取り組みを行っていながら、その内容が多くの企業に届かなければ、残念なこととなってしまうわけであります。
 職業能力開発センターの取り組みを、広く中小企業に周知するため、PRについても、今後、一層の工夫を加えることが重要と考えますけれども、所見を伺いたいと思います。

○戸澤事業推進担当部長 職業能力開発センターの取り組みを広く周知することは、訓練生の希望する就職先を確保する上でも、企業の求める人材を供給する上でも効果的でございます。
 そのため、都では、広く企業や都民を対象に、「広報東京都」や、都の雇用就業に関する総合ウエブサイトであるTOKYOはたらくネットなどに、センターの取り組みを掲出し周知を図っております。
 また、中小企業向けに、センターの事業や訓練生を採用した企業の声などを掲載したニューズレターを、各センターごとに年四回、今年度より新たに発行することといたしました。
 さらに、動画を活用して事業をより深く理解してもらうため、平成二十三年度は多摩、二十四年度は城南及び中央、城北の各センターについて、事業PR用DVDを作成し、業界団体等に配布するとともに、職員が企業訪問をする際などにもPRに活用しております。
 なお、今後このDVDは城東のセンターでも作成する予定でございます。
 加えまして、地域の業界団体や開発機関、地元自治体等で構成する職業能力開発連絡協議会を通じて、情報提供や意見交換などを行っております。
 今後とも、こうした取り組みを通じて、職業能力開発センターの効果的なPRに努めてまいります。

○伊藤(こ)委員 ありがとうございます。
 本日は、中小企業支援のための専門家派遣事業、産業交流展、被災地支援、また、若者の正規雇用支援など、さまざまな角度から質問させていただきました。
 いずれにしても、厳しい社会情勢の中、都民の生活に直結する、この産業労働局のさまざまな事業でございます。局長を中心に、積極果敢にこの局の事業に取り組まれることを期待しまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○清水委員 現在の雇用環境は大変深刻です。東京では、十五歳から二十四歳の失業率が全国平均より高く、八割が年収百五十万円未満です。正規で就職しているからといっても決して安定しているわけではなく、電機産業では、十二万人といわれる大規模な人員削減が行われ始めています。
 帝国データバンクの調査によれば、電機大手の経営不振が一次下請、二次下請に及び、シャープでは一万二千社に影響しているとしています。さらに長時間労働や違法、不当な解雇が際立っています。
 東京は大企業の本拠地であり、雇用の確保とルールを遵守させることは大きな課題となっています。非正規の若者の多くは、正規の仕事につこうと思っても抜け出せない現状が広がっています。この点について、知事も、企業が人件費の抑制や雇用調整の手段として、非正規労働者を積極的に活用した面もある。さらに、国が労働者派遣事業の規制緩和を進めたことがこれに拍車をかけたとの認識を示しました。この認識があるなら、都が先頭に立って、国に対して人間らしく働けるルールをつくることを求め、大企業に対し、雇用の確保や賃金水準を上げるなど、社会的責任を果たすよう働きかけるとともに、都としても、職業訓練を初め、雇用対策の抜本的強化に踏み出すべきです。
 ところが、都は、こうした国や大企業への働きかけはおろか、ヨーロッパで実施して成功しているような、職業訓練と求人をセットにした雇用対策にも取り組む立場を、第三回定例会の代表質問では示しませんでした。
 我が党は、第三回定例会の代表質問で、こうした厳しい状況に置かれた若者の雇用の確保、改善について、大企業などへ進言すべきと主張し、産業労働局から、経済団体へ雇用の要請を行っているとの答弁がありました。東京に大企業が集積しており、代表的な大企業の経団連などにも、雇用の確保を要請するべきと思いますが、どうですか。

○穂岐山雇用就業部長 若者を取り巻く雇用状況が厳しいことを踏まえまして、都では東京労働局と連携し、若年者等の採用枠拡大の要請を平成二十年度から実施しております。
 具体的に、平成二十四年度は六月に東京経営者協会、これは経団連の東京都支部に当たる組織でございますが、これに加えまして、東京商工会議所、多摩地域の商工会議所、東京都中小企業団体中央会、東京都商工会連合会に対しまして、要請を実施したところでございます。

○清水委員 経団連の東京支部だけではなくて、やはり経団連には直接働きかけるべきだということを求めておきたいと思います。
 都内には、労働関係法令を守らない、いわゆるブラック企業が存在し、こうした企業で働く方は劣悪な雇用環境です。労働関係法令を遵守することは、企業にとって当然の責務であり、企業はきちんと社会的責任を果たすべきです。都は、大企業に対し、採用枠の拡大だけでなく、労働関係法令など雇用のルールを遵守することを促すべきと考えますが、どうですか。

○穂岐山雇用就業部長 労働関係法令に基づく指導監督は、一義的には国の責任において実施すべきものでございます。また、規模の大小にかかわらず、企業が労働関係法令を遵守することは当然の責務でありまして、法令違反はあってはならないことと認識してございます。
 このため、都といたしましては、企業が労働関係法令を十分に理解することも重要であることから、適正な労働環境の確保に向けまして、企業向けセミナーの開催、冊子やパンフレットの配布など、普及啓発に取り組んでおります。
 また、経済団体に対し、意見交換などの機会をとらえまして、関係法令の周知を図っているところでございます。
 今後とも、こうした取り組みを着実に実施してまいります。

○清水委員 国の実施すべきものだって東京都がやっていることはたくさんあるじゃないですか。中には知っていてもルールを守らないとか、そうした大企業が大手を振っているから、啓発だけでは済まないんです。直接求めることを求めますが、労働関係法令を遵守することは企業にとって当然の責務ですが、労働者が泣き寝入りすることを見越し、いわば確信犯として法令違反を繰り返している大企業が都内にはあります。都は、法令違反を繰り返す企業や、労働委員会の係争を経て、裁判で判決が出て、法令違反が確定した企業の名前を公表する仕組みをつくるべきと考えますが、どうですか。

○穂岐山雇用就業部長 国の機関である労働基準監督署は、労働基準法など労働関係法令に基づきまして、法令違反の申し立て等を受けて、企業へ指導監督を行う役割を担ってございます。
 具体的には、これらの法令違反に対しましては、企業への是正勧告をすることとなっており、法令違反がたび重なる場合や、企業側に改善の意欲がない場合などには、送検するとともに、企業名や内容を公表する仕組みとなってございます。
 また、労働委員会の係争を経て、判決により法令違反が確定した企業名や、その内容につきましては、公示されるとともに裁判所のホームページに掲載することとなっております。
 以上のような仕組みとなっていることから、都として企業名を公表する考えはございません。

○清水委員 都民的に、明らかにすることが重要なんです。裁判所のホームページまでは、都民は見られません。改善されないと思います。もっと毅然と対応することを求めておきます。
 東京都の学校基本調査によれば、約十万人の高校卒業者に対して、不安定な就職だったり、就職できていない方々は、ここ数年で約九千人から一万人で推移しています。国の調査によると、全国的にはこのうち約六割が未就職者ないし、一時的な仕事とされているので、それに基づけば、約六千人弱が毎年未就職者となっていることになります。
 伺いますが、都としては、未就職卒業者について、都内にどの程度の方々がいると認識しておられますか。

○穂岐山雇用就業部長 文部科学省の平成二十四年度学校基本調査速報値によりますと、進学も就職もしていない大学卒業者は、全国で八万六千六百三十八人でございます。

○清水委員 私が聞いていることとは違うお答えでした。都内の数も把握できていないと、本当に役立つ就職支援事業ができるのか疑問です。都が直接就職へ結びつけるような形の職業訓練、体験就労型の若年者正規雇用化プログラムなどの実践的支援事業は、カウンセリング、セミナーなどを除けば、圧倒的に対象者数が少な過ぎます。
 国のシンクタンク、労働政策研究・研修機構も、こうした進学も正社員としての就職もしない高校生に対する支援はまだまだ乏しいという現状認識を示しています。学校基本調査によれば、未就職問題が拡大する中、公共職業能力開発施設などへの入学者は、この五年間で一・三倍化し、二〇一二年三月卒業者は三百二十一人です。
 そこで伺います。職業訓練についてです。
 訓練期間が一年、二年と長い科目は、高就職率を誇っているにもかかわらず、総定員数が、二〇〇五年度は千五百十五人から、二〇一二年度千百二十五人と四分の三にまで削減されてしまいました。三カ月、六カ月コース、障害者も含めた公共職業訓練の総定員数ですが、二〇〇〇年は七千八百五十五人ですが、二〇一二年度は六千四百六十五人です。約二割削減されています。都民の雇用状況と逆行路線をとっています。定員を削減したばかりか、この普通課程の受講者からは、二〇〇七年度から授業料を徴収する有料化が行われました。職業訓練校は十七校から十三校です。かといって、あいた設備や教室が六カ月、三カ月の教室のために使われているわけではなく、全体に公共職業訓練の枠を削減し、委託訓練の枠を増大させています。
 若者向けの職業訓練についてですが、さきの定例会の代表質問で、高校卒業者などを対象とした、一から二年間の無料低額の職業訓練カレッジを創設することや、職業訓練校の統廃合をやめて拡充することなど、若者の職業教育、職業訓練を抜本的に強化することを求めましたが、その答弁は、若者を対象とした職業訓練の充実を図っているという答弁でした。
 私が先ほど紹介したように、これのどこが充実といえるんですか、具体的にお示しいただきたいと思います。

○戸澤事業推進担当部長 リーマンショック以降の雇用情勢の悪化に伴う、若者を初めとした求職者の急激な増加に対応すべく、都は、職業能力開発センターにおいて直接実施する訓練に加え、民間教育訓練機関等を活用して、平成二十年度の訓練規模、約七千六百人に対し、今年度は約一万六千人の規模に大幅拡充して訓練を実施しております。
 また、訓練科目については、専門知識や技能に加え、社会人基礎力を付与する若年者就業支援科の順次増設のほか、年長フリーター向け委託訓練の大幅定員増、さらには産業ニーズの動向を踏まえ、おおむね三十歳以下の方を対象とした計測制御システム科などの科目の新設や、カリキュラムの見直しも行ってまいりました。
 なお、現在、都が進めている職業能力開発センターの再編整備は、統合に合わせ施設を大規模化し、機能を拡充するものでございます。

○清水委員 都は、委託訓練を拡大しているなどと繰り返し答弁いたします。資料をいただきましたが、この資料の中にもありますように、公共職業訓練の就職率は七割です。先ほどの委員からの質問にもありました、公共職業訓練校の企業への信頼性も高く、一方、委託訓練の就職率は、資料にもありますように、高いところで五割。二割のところもあります。
 都は、そのための支援策を特別にとっているではありませんか。委託訓練を否定しているわけではありませんが、せめて公共職業訓練を、施設を維持し、定員を維持し、そして、少し拡充を私たちは求めているのです。公共職業訓練校の削減を、先ほどの答弁もありましたが、都は再編、拠点校化だといいますけれども、定員も減少しており、全体規模は間違いなく減少しています。そういわれたくないために、再編整備だとか拠点化、大規模化、機能を拡充するなどということをいっているわけです。
 就職困難者にとっては、例えば子育てをしていると、通学時間が多く、人に負担をかける拠点校化よりも、身近なところに学校がある必要があります。職業訓練に通う就職困難者の要望ではありません。都が経費を削減したいという要望からの都合から出たものだと私は思います。
 さきに紹介した国のシンクタンク、労働政策研究・研修機構の報告書では、周知の実施率が低いこともいわれていますので、この点でも改善を求めておきたいと思います。
 次に、大学、高校などを卒業して就職できていない人たちへの就職支援策の問題です。
 先ほどの質問の中にもありました、未就職卒業者緊急就職サポート事業を始めました。この事業は、都が民間派遣事業者に、事業委託を競争入札で選定して、その事業を受託した企業が派遣元となり、未就職者と雇用契約を結び、一定期間の研修とともに派遣契約をする、派遣先企業で未就職者が体験就労をするというものです。
 このような形での事業は、二〇一二年度には、重点産業分野就業支援プログラム、若年者正規雇用化プログラムと、対象人数は先ほどのご答弁にありました七百五十人から千四百人と倍化しました。
 そこで、昨年一年間の実績を踏まえ、より充実した支援事業、正規雇用に役立つ事業にするために質問したいと思います。
 私は、この事業を受託している派遣会社を七月に視察いたしました。見せていただきました。この事業の応募者は、定員の約二倍と好評です。このうち、実際の選考会に参加する方は、応募された方の約七割だとのことです。定員の一・四倍ということになります。この定員の一・四倍を超える方々が、いろいろな理由で実際には定員程度に減少するようです。
 その理由というのは、派遣会社の方から聞いたことですけれども、紹介できる企業は限定している、業種が限定されているということでした。この事業を受託している企業は派遣会社ですから、受託先の派遣会社と派遣契約された企業にしか紹介できないという制限が、この事業にはあります。
 未就職サポート事業について、二十三年度の事業規模は七百五十名ということです。プログラム参加者数、派遣就労者数、正規雇用件数については、先ほどご答弁がありました。プログラム参加者数は八百八十四人、派遣就労者数は六百六十八人、正規雇用件数は三百四十件と、先ほどご答弁がありました。
 そこで、座学の研修から就労体験に移行する段階で、受講者が減少するのはなぜですか。また、正規雇用件数が三百四十件ということですが、東京都は、どのようにその数などを認識しておられるのか、伺います。

○穂岐山雇用就業部長 まず、研修参加者数と派遣就労者数に差が生じる要因でございますが、これはみずから就職先を決めることなどにより、プログラムを修了する参加者が一定程度存在することによるものでございます。自己就職者につきましては、本事業の研修による社会人基礎力向上の成果と認識してございます。
 次に、正規雇用件数が三百四十件ということ、この件数についての認識でございますが、とりわけ若年者の就業環境が厳しい中、派遣就労者数に対する正規雇用化率は約五割であり、事業効果が発揮されていると認識してございます。

○清水委員 私は同様の質問を、契約した派遣会社の担当者から直接伺いました。東京都の担当者もその場に一緒におられたわけですけれども、座学の研修者数と就労体験者数については、その一つとして、研修先についての受講者の希望と、実際の体験先のギャップの問題があるということです。都の認識というのは、今の説明とは違うものです。
 そこで伺いますが、受託した事業者が、派遣先企業をどの程度、保有、開拓しているのですか。また、どのようにしてチェックできるようになっているのでしょうか。
 また、受託前の企業数、受託中、三期に分けて事業を実施しているわけですが、その各期の派遣可能企業数について、推移の把握について、どのようにシステムがチェックできるようになっているのでしょうか、伺います。

○穂岐山雇用就業部長 平成二十三年度に派遣先として確保した企業数は、第一期三百三十一社、第二期四百九十五社、第三期五百二十四社、合計で一千三百五十社となってございます。
 なお、参加者にとって幅広い業種、職種から派遣先を選択できるよう、受託事業者がどれだけ多くの求人数を確保したかが重要でございまして、期ごとに求人数の管理も行ってございます。
 平成二十三年度に派遣先として確保した求人数は、第一期一千百四十件、第二期一千六百三十件、第三期一千七百十七件、年度合計で四千四百八十七件となっております。
 次に、派遣先としての企業求人開拓状況の推移につきましては、各期のマッチング開始前に受託者から報告を受けるとともに、新たに企業求人を確保する都度、報告を受け、適切に進行管理を行ってございます。

○清水委員 この問題点について、事業開始前から私は指摘しましたが、都の答弁は、受託事業者が新たに受け入れ企業の開拓を行い、未就職卒業者が、その希望や適性に応じて就職先を選択することができるよう、幅広い業種、職種の都内企業を確保していきますということでした。
 一年間の結果の座学から就労体験へと移行する際の減少、正規雇用者数は、事業者が確保した企業だけでは十分でないということを示しています。参加者数に対する実際の体験就労者数ですが、二〇一一年度の実績を見ると、一社は約七〇%、もう一社は八〇%と、一〇%の差があります。受講者の要望でもありますから、真摯な対応、直ちに改善するように求めておきます。
 都として、未就職卒業者緊急就職サポート事業を利用する未就職者からのさまざまな問題や要望に対して、どのようにくみ上げ、いち早く改善し、解決させるためにどのような体制をとられているのでしょうか、伺います。

○穂岐山雇用就業部長 本事業の仕様書におきまして、受託者は必要に応じ、または東京都からの求めに応じて、事業の実施状況について東京都に報告することとしており、事業運営に当たりましては、随時、受託事業者と連絡をとり、参加者のさまざまなニーズに的確に対応すべく適切に指導監督を行ってございます。
 また、都職員による現場確認等により、適時適切に事業実態を把握し、必要に応じて速やかに改善措置を講じておるところでございます。

○清水委員 先ほどのご答弁にあったように、座学の研修数と就労体験者数の間には、先ほどの中でも二五%の差があります。受講者数の要望を把握して対応するよう求めておきます。
 受託先の選択は、いかに安く受託するかを競わせる競争入札で行われるわけですから、就職率を上げるためには、それなりのスタッフを確保する必要があります。派遣会社からすれば、コストがかかるということになりますので、安く発注したいとする都と、一人でも多く正社員として就職させたいとする受託先との間には、相入れない課題があります。
 この点について、どのように認識しておられますか。

○穂岐山雇用就業部長 本事業は、安定的な就労を希望しているものの、就職先が決まらないまま大学等を卒業した者に対し、研修を通じて社会人として必要な基礎的能力を付与することに加え、紹介予定派遣を活用し、実践的な職業能力の向上を図ることにより、正規雇用での就業を支援することを目的としてございます。
 こうした目的を達成するために、都は、委託仕様書の中で、受託事業者が実施する研修や就業体験先企業の確保、参加者と企業とのマッチング、企業での就業体験中のフォローアップ等の詳細な支援内容を定めた上で、競争入札による事業者選定を行っておるところでございます。
 実際、若年者の就業環境が極めて厳しい中にあっても、派遣就労者数に対する正規雇用化率は約五割となっており、若年者の正規雇用化を図るという事業効果を的確に担保しながら、同時に事業の経済性の向上を実現しているところでございます。競争入札による事業者選定により、事業運営に何ら支障は生じてございません。

○清水委員 事業の正規雇用就職の促進をどう担保するのかということについて、二〇一一年度事業開始前に質問いたしましたが、都の答弁は、民間事業者のノウハウを活用して実施する受託事業者の支援内容により、未就職卒業者の正規雇用化の促進を図っていくというものでした。このように、民間事業者には十分ノウハウがあるから心配する必要はないという趣旨の答弁をいたしました。
 私が視察した派遣会社のスタッフの話では、その方たちは一生懸命やっておられて、一人でも多くの方を正社員として就職させようと努力しているわけです。そのためには、会社としては、それなりのスタッフの確保は欠かせないんだということをいっておられました。東京都の委託料が低いとか、高いとか、そういう話ではなくて、自分が一生懸命、正社員としてついていただくためには、やっぱり、何度もその方の相談に乗ったり、正社員として採用されて、それを継続させるためには、何度も相談に乗ることがあるんだということをいっておられました。
 実行プログラムでは、若年者正規雇用化プログラムは二〇一二年度で終了することになっています。未就職緊急サポート事業を部局は廃止の要求をしています。一年間の取り組みの総括をきちんと行い、次年度に生かすことが必要だということを指摘します。
 また、都の新規事業については、継続性がないという問題がこれまでも指摘されてきましたが、就職支援というのは行き当たりばったりではなく、都として、公共の責任として就労対策をどうしていくのかということについて、腰を据えて、出てきた問題に対しては建設的に解決し、よりよい施策へと進めていくべきであることを指摘しておきたいと思います。
 次に、中小企業の都の専門家の派遣事業は、事業概要では、公社を核として、都の機関や産技研が中心となり、労働部門や民間の支援機関とも連携して、総合的、継続的な支援を行っているとしています。
 伺いますが、先ほどもお話がありました専門家派遣回数は、ここ五年間で三倍近い伸びになっています。予算執行率も、専門家派遣を含む総合支援事業の決算は九八%になっています。今後に向けて拡充する必要があるのではありませんか、伺います。

○河内商工部長 中小企業振興公社では、外部の専門家が継続的に企業を訪問し、課題解決に向けたアドバイスを行う専門家派遣事業を実施しております。同事業の利用は増加傾向にございまして、企業の要望にこたえるため、今年度、その回数を拡大して実施しているところでございます。

○清水委員 こうした専門家の派遣事業のしにせは、もともと中小企業の経営課題の解決に加え、都の商工施策の企画立案なども担ってきた商工指導所です。所を挙げて高度専門的な診断、経営の現場を基礎にした調査研究などが進められてきました。商工指導所の特徴は、中小企業経営の現場に密着した支援を実施し、行政施策の具体化を進めながら、中小企業施策に現場の情報をフィードバックしていく診断指導事業というものでした。既に十一年前に廃止されたわけですけれども、その必要性と役割は、今日ますます高まっているといえます。
 伺いますが、現在の経営環境は、商工指導所があった当時と比べ、より経営者にとってはかじ取りが困難になっており、専門家の支援は重要です。都として、都内中小企業と二人三脚で一緒に汗をかき、現場において高度な専門性に裏づけられた、きめ細やかで的確かつ適切な経営指導を実施するとともに、そこで得た情報を、中小企業のための施策立案や実施に生かしていくことが求められますが、こうした専門家の支援が必要ではありませんか、伺います。

○河内商工部長 中小企業が、経営上の直面するさまざまな課題の解決に向けて、専門家の相談を受けることは効果的であることから、中小企業振興公社におきまして、専門家派遣事業を実施しておりまして、本事業を通じまして、厳しい経営環境にある中小企業を支援してまいっているところでございます。

○清水委員 部長の方がよくわかっておられないと思います。専門家からのアドバイスというだけではなくて、業者と二人三脚で一緒に汗をかくことはもちろん、そこで得た経験を施策の立案に生かすという循環型、双方向の取り組みが必要ではないですかといっているわけです。産業労働局の事業概要では、創業の活発化が重要、しかし、その環境は十分とはいえないと書かれています。
 例えば、創業への資金繰り支援ですが、東京都信用保証協会の創業アシストプラザが二〇〇六年五月にオープンしました。先日、保証協会の地元の窓口を通して利用しようとした方からは、窓口の方から、金融機関に直接行った方が早いといわれてしまったということでした。都内に二カ所しかないのに、そこまで足を運んだにもかかわらず、こうした対応をされたということで嘆いていました。
 また、実際に創業支援融資を受けようとしたが、新規の企業であるにもかかわらず、自己資金が足りないと断られたり、実績を求められたり、保証がなかなかつかないなど、大変ハードルが高いという相談をよく受けています。
 創業アシストプラザは、当初は金融面のサポートだけでなく、経営も含めて継続的なサポートを行うとか、中小企業診断士、税理士、司法書士の有資格者や、創業保証の案件を多数手がけたベテラン職員を配置するなど、ビジネスプランの作成から、各種手続に関する相談、税務、法務、労務などの相談に至るまで、充実した相談体制を整えている。創業保証利用後の三年間は、原則アシストプラザ担当者が継続的にフォローをさせていただくなどと、万全の支援体制があるというふうに書かれています。
 伺いますが、創業アシストプラザの相談体制というのはどうなっているんですか。

○寺崎金融部長 東京信用保証協会は、事業所の創業を、経営と資金の両面から総合的に支援することを目的とする創業アシストプラザを平成十八年に設置しております。
 創業アシストプラザでは、創業案件を多数手がけたベテラン職員や中小企業診断士等の有資格者など、十五名の職員が事業者の相談にきめ細かく対応していると聞いております。

○清水委員 今ご答弁がありました、この体制について、どう認識しておられるか、伺います。

○寺崎金融部長 東京信用保証協会は、国の法律に基づく独立した団体であり、その事業運営は、保証協会がみずからの経営判断により実施しているものでありますことから、都は、創業アシストプラザの運営体制について評価を行う立場にはございません。
 なお、創業アシストプラザの相談体制は、厳しい経済情勢のもと、最近の相談件数が減少傾向にある中で、相談員を開設時の十一名から十五名に拡充し、これを維持しながら事業者の相談に当たっていると聞いております。

○清水委員 十五名の職員ということですけれども、件数にすると約五千件、新規を三年間、一万五千件を継続的にフォローというふうにいっていたわけですから、これで本当にできるのかということです。
 東京商工会議所は、今年度の重点要望で、創業前後の課題として、資金調達、質の高い人材の確保、販売先の確保が多く挙げられる。また、創業後の安定した経営を図るためには、綿密な事業計画策定やマーケティングが必要となるとして、大阪府の例を挙げて、中小製造業の設備投資や創業を促進するため、設立後の五年間、法人府民税、法人税割と法人事業税の軽減措置を実施していると紹介しています。
 また、大阪市の例も挙げ、中小ベンチャー企業支援拠点として、インキュベーション施設を有した大阪産業創造館を運営し、経営相談を初め、セミナーやビジネススクール、商談会、交流会など、多種多様なサービスで中小企業をサポートしていると紹介しています。
 その上で、東京都への要望として、創業を促進するために、創業前後にわたる総合的な支援体制の構築に視点を置いた対策を講じられたいと要望しています。都は、こうした要望をいっても、いろいろやっているというご答弁をするかもしれません。しかし、現場の中小業者、当事者から見ると、本当にかゆいところに手が届くような支援施策がないということではありませんか。創業前後にわたる支援対策の充実を図るべきではありませんか、伺います。

○河内商工部長 都では、創業前の人材を育成していくため、中小企業振興公社の総合相談窓口におきまして、会社設立や事業計画づくりなどへの相談に対応するとともに、公社で実施しているTOKYO起業塾におきまして、創業時の基礎知識の習得を図るセミナーを毎年開催しておるところでございます。
 また、創業後の会社の成長を促すため、インキュベーション施設において事業スペースを提供いたしますとともに、経営上のさまざまなアドバイスを実施しておるところでございます。

○清水委員 何やっている、これやっているというんですけれども、私は、利用者の要求にこたえていこうという姿勢を見せてほしいものです。
 新潟県では、起業チャレンジ奨励事業を立ち上げ、好評だといわれています。都内の中小業者も、この新潟県の事業に着目しています。この事業では、百万までは全額助成が受けられ、百万円以上三百万円までは二分の一の助成が受けられます。商店街などでの起業も対象になっています。過去二年間の実績を聞いたところ、百二十五件、一億五千万円、四百三十一名の雇用実績とのことです。
 この制度を利用して、商店街に車いすでも入りやすいバリアフリーのカフェを開いた人は、みんなに支えられてここまで来た、仲間からは、頑張ってここまで来たお店だから、自分たちも行きたくなるという声を寄せていました。
 伺いますが、創業支援の資金繰りとして、融資もありますが、こうした他県がやっているような直接助成というのは考えられませんか。

○河内商工部長 都が実施しております新製品・新技術開発助成事業では、千五百万円を限度に製品開発等に要する経費を助成しておりますが、都内で創業を計画している者も申請対象としてございます。こうした事業を通しまして、創業者の取り組みを支援しておるところでございます。

○清水委員 私が紹介したのは、対象を限定しない起業する人への支援です。新製品・新技術開発助成事業というのは、やはり、それはその範囲のことではないですか。
 都内では、工場アパートが多く建てられ、中小業者からは歓迎されています。地元の方の話を聞くと、もうちょっと狭くていいから、我々のような小零細向けの小ぢんまりとしたもので、小規模でも活用できる工場アパートができないものかと声が聞かれています。
 借り工場の家賃負担も重くなっています。大きな工場面積を必要とする工場ばかりでなく、小零細企業が活用できる工場アパートを設立する場合の支援をしたら、小零細企業に役立つと思いますが、どうですか。

○河内商工部長 工場アパートの設立につきましては、ものづくり産業集積強化支援事業によりまして、区市町村が行う施設整備を支援しておるところでございます。

○清水委員 創業の活発化が重要だといいますが、その打開策となると、業者の実態に即した要望を伝えました。ほかの県の進んだ取り組みも紹介しました。しかし、それにはこたえようとしません。もっと現場の話を聞いて、都としての支援体制を幅広く強めることが必要です。
 次に、融資について伺います。融資を受けている中小企業が、その返済計画について条件変更を認める金融円滑化法は来年三月までとされています。一〇〇%保証をするセーフティーネット保証の中小企業向け融資では、対象業者の絞り込みを行うとされています。
 東京商工会議所のアンケート調査では、セーフティーネット保証については、中小企業の六割強、金融機関の八割弱が延長すべきと回答しています。金融円滑化法の終了については、金融機関の六割強が影響を受けるとして、中小企業からは事業縮小、倒産の懸念の声が上がっています。こうした中小企業団体の調査結果について、どのように認識しておられますか、伺います。

○寺崎金融部長 都は、国が今月から実施したセーフティーネット保証制度における業種絞り込みに対応し、都独自のセーフティーネット融資の利用要件を拡充するとともに、取扱金融機関や区市町村に対し、広く周知を実施いたしました。
 また、中小企業金融円滑化法については、中小企業に対するアンケート調査の実施などにより、法の終了に伴う中小企業の資金繰りの実態把握を現在進めているところでございます。

○清水委員 都は、中小企業の資金調達の円滑化について、経済動向や中小企業の業況を的確に踏まえ、万全な措置を講ずるよう既に国に求めていますが、国は、大臣談話で従来と同様の対応をしていく発表をしています。金融円滑化法の終了後、金融機関の国への報告義務がなくなる中で、それが担保されるのかということが疑問です。
 都として、改めて円滑化法の再々延長とセーフティーネット保証の業種絞り込みの中止も含め、国に求めるべきだと思いますが、どうですか。

○寺崎金融部長 平成二十一年に国の政策として制定された中小企業金融円滑化法について、国は来年三月末で終了するとしておりますが、法の取り扱いにつきましては、中小企業の利用実態や、その効果、影響等を踏まえて、国が適切に判断すべきものと認識しております。

○清水委員 昨年十一月の国への要望では、資金繰りの困難な状況を示し、万全な措置を講じる必要があるとしていました。今の答弁は腰が引けているのではありませんか。
 制度融資全体も、預託原資をふやし拡充している、その努力は認めます。都、金融機関、保証協会、業者、業界団体、中小企業団体とが一緒になって、それぞれが把握した中小企業の実態、要望、打開策について意見交換する場、情報交換を少なくとも月一回程度持つことも有効だと思いますが、どうですか。

○寺崎金融部長 都は信用保証協会、金融機関、中小企業団体や区市町村など、地域の金融に携わる関係者との意見交換の場だけでなく、さまざまな機会をとらえて適宜情報交換を実施しており、これを中小企業に対する金融支援に生かしております。

○清水委員 現在やっている会議は年一回にすぎません。しかも、国が主催しているものです。都の主体性が求められます。都として、いろいろやっている、情報を得ているといいますが、こういうときです。やはり、こうした意見交換をする場、幅広い人たちが意見交換をする場が必要だというふうに思います。
 次に、東京都が区や市の融資制度に利子補給、保証料の上乗せ補助を行うことが必要だと思います。これまでは、区、自治体の判断と責任であると繰り返し答弁してきました。
 そこで伺いますが、東京都がやる、やらないは別として、上乗せ補助というのは法律上可能なものかどうか、伺います。

○寺崎金融部長 都の制度融資では、都内全域の中小企業を対象に、セーフティーネット融資において、最優遇金利の適用や信用保証料の補助を行うなど、手厚い支援措置を講じております。
 都内区市町村の中には、独自の融資制度を実施しているところもございますが、これらは各自治体がそれぞれの地域産業の実情や支援措置の実施に係る財政負担等を含め、みずからの政策判断により主体的に実施しているものであります。
 こうした取り組みに対し、利子補給や保証料の上乗せ補助を行うことは法律上禁じられてはいませんが、各自治体の政策判断を尊重する立場から、区市町村が独自に実施している融資制度について、都が補助を行う考えはございません。

○清水委員 やるか、やらないかということは別だよといったんですけれども、上乗せ補助は法律上できないということではないということが明らかになりました。強く、その制度を求めておきます。
 最後の問題です。都市農業、農地の位置づけの転換に向けての動きが、国土交通省社会資本整備審議会での検討と、農水省での都市農業の振興に関する検討会で進められています。これまで、都市計画法は、農地を十年後には消滅する経過的な存在とし、宅地開発予定地に組み込まれ、農業収益と無関係な高額の宅地並み課税、相続税が課せられ、都市開発が優先されて、農業振興をする上で農業者に多大な困難を強いてきました。
 そうした中で、農業関係者や消費者、一部自治体関係者による宅地並み課税反対、都市農業を守れとの粘り強い取り組みがされ、農地の多面的機能を再認識し、都市人口の減少、高齢化の進展、さらには豊かな自然環境や自然との触れ合い、家族や地域の人々との結びつきを大切にしようとする価値観転換と多様化があります。
 さらに、東日本大震災を経験して、災害に強い都市づくりが求められています。こうした都市が直面する課題に、都市農業、農地は貢献できる可能性を持っているのです。宅地にするとしていた市街化区域内農地も、清算すべき農地に位置づけ、住民の合意を中間取りまとめでは呼びかけています。
 東京都も、農業振興プランを策定し、この方向で進めるとしていますが、具体的裏づけのもとで、より明確にする必要があります。都内の農地は、いただいた資料の中にあります。今は約七千六百ヘクタールです。その約六〇%が市街化区域の農地で、市街化区域以外の農地が四〇%です。市街化区域の農地では、生産緑地が四分の三、宅地化農地が四分の一です。この十年で、生産緑地は約一割減少、宅地化農地は半減してしまっています。
 このように、生産緑地制度が都市農業の継続に大きな支えになっています。しかし、その生産緑地でさえも、この五年間で二百二十ヘクタールも減少してしまっています。その多くは、相続税のために農地を失わざるを得なかったケースです。そして、そのほとんどが民間に売却され、開発されてしまっています。
 減少している農地に対し、どのように認識し、どのような施策で農地を維持しようとしているのか、伺います。

○津国農林水産部長 都市農地は、相続などを契機として年々減少し続けておりますが、その大きな要因は、国の農地制度と税制度にあることから、都は、都市農地の保全に必要な制度改善を国に要望しているところでございます。

○清水委員 民間に売却されてしまった場合でも、活用されずにいるケースも少なくありません。こうした土地については、農地として活用する希望者に、あっせんする仕組みについて検討してはどうですか。

○津国農林水産部長 民間に売却された農地以外に転用された土地は、その所有者の意思で活用するものであるため、都が関与するものではないと認識しております。

○清水委員 その所有者が活用する意思がない場合に活用する仕組みづくりは、農業、農地の持つ多面的機能の範囲で重要だというふうにいっているわけです。このままでは変わらないんです。納税として物納するケースもあります。その場合、民間に売却できなかった場合が多いだけに、財務省が所有したまま遊休農地になっているケースがあります。
 都として、国に対し、こうした農地の早期処分方針を改め、無償提供を求めるなど、農地、緑地として積極的に活用する施策を検討したらどうですか、伺います。

○津国農林水産部長 都が構成員となっております九都県市首脳会議におきまして、平成二十年から毎年、国に対して、農地を含む物納された緑地について、無償貸与する制度を新たに構築するよう要望しているところでございます。

○清水委員 要望するだけでなく、都として前へ踏み出していく必要があります。
 次に、獣害対策について、まだ支援の仕組みがない時期に、私は八王子市内でイノシシや猿の被害に遭った農業者とともに、大根など農作物を東京都に持ち込んで支援を要望してきたが、現在は、都として、農作物獣害防止対策事業を実施しています。
 先日NHKで、三重県で農林試験場の研究員が、シカの被害をなくすための捕獲ネットを遠隔操作して捕獲する方法を生み出したという趣旨の報道がされていました。こうした研究が今も継続されていることを知りました。八王子市では、農作物被害を軽減させるために、追い払い隊を編成し、継続して実施しているが、そのための委託費がかかるというのが実態です。最近も、伺って聞いたところ、ことしは行ったのは十月の最初ぐらいですけれども、猿がクリをねらって次々出没し、人里までおりてきているといいます。そのたびに追い払い隊が出動するわけです。一年に三百三十日も出動しているというのです。各自治体が実施しているこうした取り組みへの支援も必要だと思いますが、どうですか。
 また、電気さくを使って防護していますが、老朽化に伴い張りかえ工事が必要になっていますが、負担がかかり、あきらめてしまう人も多いのが実情です。張りかえの場合も補助対象とするよう求めますが、いかがですか。

○武田安全安心・地産地消推進担当部長 都は、都内の農作物に対する野生獣の被害を効果的に防止するため、平成二十三年度に五年間を計画期間とする第三次東京都獣害対策基本計画を策定しました。
 現在、この計画に基づき、侵入防止さくの設置、野生獣の追い払い及び有害鳥獣の捕獲を組み合わせた農作物獣害防止対策事業を実施し、地域農業者の獣害防止への取り組みを支援しております。
 また、本事業では、農地への侵入防止さくの新たな設置を補助対象としており、補修については補助対象としておりません。しかし、事業で設置したものが耐用年数を経過した場合に、新たな機能を持った侵入防止さくを設置することは補助対象として認めております。

○清水委員 今、東京都の対策の内容をいわれましたが、追い払い隊の助成というのはしていないんです。改めて求めておきます。後段の要望としては多摩市長会の要望ですので、改めて要望しておきます。
 放射性物質の影響に係る対策について伺います。
 放射能が農作物へ及ぼす影響について、都内の農業者が農作物を安心して供給できる体制を確立することが求められています。これまで実施の検査内容、検査品目等をさらに拡大する要望が出されていますが、その要望にこたえるために、検査体制についてどのような充実を図ってきたのか伺います。

○武田安全安心・地産地消推進担当部長 都は、福島第一原子力発電所の事故発生直後から、農業関係機関や生産者団体と連携して、都内産農産物の放射性物質の影響に係る対策会議を設置して、国の指示や農作物等の生産状況、区市町村の要望等を踏まえて、放射性物質の検査を計画的に実施してまいりました。
 また、都内産農畜産物の放射性物質検査の継続実施と緊急時の対応のために、平成二十三年度に、農林総合研究センターにゲルマニウム半導体測定器を整備いたしました。
 このようにして、放射性物質検査の体制の充実を図ってまいりました。

○清水委員 畜産農家からは、基準を超えた堆肥の処分について、農業者の負担軽減を図るために、都として一括した保管及び処分などについて求めています。農業者を支援するとともに、東京電力の損害賠償へ全面協力すべきだと思いますが、いかがですか。

○武田安全安心・地産地消推進担当部長 暫定許容値を超えた堆肥につきましては、生産した農業者みずからが処分すべきでありますが、実際には処分がなかなか進んでいないことは認識しております。
 今後、国からの指導や通知等を踏まえて、適切に処分が進むように、生産者団体など関係機関と連携して対応してまいります。
 また、東京電力への損害賠償請求につきましては、JA東京中央会が損害賠償対策東京都協議会を設置して、各農業者への説明会や損害賠償請求の取りまとめを行っており、都は、この協議会に対して情報提供の支援を行っております。

○清水委員 以上で終わりますが、雇用問題、商工問題、金融問題、農業問題などについて伺いました。ぜひ来年度予算を充実して、これらの施策の充実を図っていただきたいということを求めておきたいと思います。
 以上です。

○伊藤(ゆ)委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十五分間休憩いたします。
   午後六時二十六分休憩

   午後六時五十分開議

○伊藤(ゆ)委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○佐藤委員 制度融資について伺います。
 都の制度融資は、平成二十三年度実績で約十一万五千件、一兆七千百四億円の資金を供給するなど、都内中小企業にとって最も一般的なセーフティーネットであり、中小企業の経営の安定化を図るものです。
 平成二十五年三月末に、中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律の期限が切れることに伴い、継続融資を受けることが厳しくなった企業の倒産が増加する可能性も否定できません。
 十一月以降は、中小企業向け融資で、信用保証協会が一〇〇%保証するセーフティーネット保証五号についても、国が原則全業種指定の運用見直しを行い、四割の業種が対象から外れることとなりました。これにより、責任共有制度のもとで四割の業種が一〇〇%保証の対象から外れることになり、一部の制度を除き、金融機関が信用リスクの二〇%相当を負担することとなりました。そのため、金融機関にとって、信用リスクの高い企業に対する融資はますます困難な状況となり、貸し渋りが懸念をされております。
 中小企業への安定的な資金供給が断たれることは、ただでさえ原油価格の高騰などにより体力が低下している中小企業を倒産へと追い込むことになってしまいます。これは東京の経済活力にとって大きな損失を招くことになります。
 これまで制度融資の経営一般の融資要件は、前年と比べて売り上げが五%以上減少している企業などを対象にしておりましたが、新たに都として独自の条件緩和を行い、平成二十年のリーマンショック前に比べ売上高が五%以上減少した企業も対象に加えることに変更したわけです。
 また、都は、貸出金利を下げる等の目的から、預託金を金融機関に預けております。預託金には、金融機関の資金調達コストの軽減を図る効果があり、平成二十三年度予算では二千六百三十五億円、平成二十四年度予算では二千五百二十四億円を預託しております。
 そこで、確認をいたしますが、制度融資の貸出金利や預託金はどのような仕組みで決まっているものでしょうか、お答えください。

○寺崎金融部長 都の制度融資では、一部の融資メニューを除き、中小企業の負担軽減を図るため、都が取扱金融機関と協議の上、政策的に優遇された貸出金利を設定しております。
 預託金は、この政策金利を実現するため、制度融資の貸出原資の一部として、都が金融機関に対して無利子で貸し付けを行い、金融機関の資金調達コストの引き下げを図るものでございます。

○佐藤委員 今後、景気の悪化要因が多くある中で、状況によっては、さらなる預託金の積み増しをすることにより金融機関の貸出余力を高めることで、企業の経営を後押しすべきと考えますが、見解を伺います。

○寺崎金融部長 金融機関に対する預託金につきましては、中小企業に対し低利の融資を実現するため、資金需要等を勘案し、毎年度必要額を措置しております。
 これまでもリーマンショックや東日本大震災などにより経済環境が激変し、資金需要の急増が見込まれるような事態が生じた場合には、補正予算を計上し、必要な額を確保してまいりました。

○佐藤委員 ぜひ今後も、積極的な中小企業の資金繰り支援をお願いいたします。
 次に、新保証つき融資制度について伺います。
 この新保証つき融資については、ことしの十月一日から来年三月末受け付け分まで、保証料率を上限三%から二・五%以内まで引き下げることとなりました。
 平成二十三年度の保証承諾実績は約七十二億円、今年度の上半期の保証承諾実績は約三十五億円ほどと聞いております。平成二十三年度の当初目標と保証承諾実績の乖離が出ている理由は何でしょうか、お答えください。

○寺崎金融部長 地域の金融機関と連携した新保証つき融資制度の平成二十三年度の保証承諾実績は、制度融資において融資条件の有利な経営セーフや災害緊急が創設され、より多くの中小企業が資金を確保できる状況となったことや、引き続き中小企業金融円滑化法による貸付条件の変更により、月々の返済負担が軽減されたことなどから、目標額に対して低くなったと考えております。

○佐藤委員 今のお答えによりますと、やはり制度融資の運用によって、新保証つき融資の利用金額が大きく変動するということがいえると思います。今後、円滑化法の終了後、資金需要が出てきて、新保証つき融資の利用がふえる可能性もあるわけです。
 また、セーフティーネット保証五号の運用見直しに伴って、金融機関の負担も変化いたします。制度融資が焦げついた場合、金融機関の負担は融資額の二割です。一方、新保証つき融資が焦げついた場合、金融機関の負担は融資額の一割です。金融機関の負担が少ない新保証つき融資の活用がふえる可能性もあるわけです。
 これまで、経済・港湾委員会におきまして、私は何度か、新保証つき融資の利用実績を勘案して、保証料を下げることができるか調整を行ってはどうかと提案をしてまいりました。今回は来年三月末までの時限的な措置でありますが、制度そのものの保証料を下げるよう検討していただきたいと思いますが、見解を伺います。

○寺崎金融部長 新保証つき融資制度は、制度融資をもってしても資金調達が困難な中小企業を支援することを目的としており、保証料率については、取扱金融機関と保証機関とが協議の上、応分のリスクを負担する形で設定されているものでございます。
 現行の保証料率は、保証料率に貸出金利を合わせた中小企業の負担するオールインコストが三%前半から五%後半に抑制されており、適正な水準であると考えております。
 なお、十月から実施している保証料率引き下げの特別措置につきましては、年末から年度末にかけての資金繰り対策など、都の政策的な取り組みに対し、取扱金融機関と保証機関との協力のもとで時限的に実施しているものでございます。

○佐藤委員 特別措置にとどまらず、ぜひ新保証つき融資の融資結果を見きわめながら、中小企業の負担軽減のために、保証料率の引き下げに努力いただきたいと思います。
 これまで、さまざまな条件緩和を行っていただいたわけではありますが、今後も経済の活性化に取り組んでいただくようお願いをいたしまして、以上で私の質疑を終わります。

○斉藤(あ)委員 大分時間も遅くなっております。ちょっと遠慮して、当初よりも質問をまとめたので、多分四十五分もかからないと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、まず、そもそもの部分でございます。国におきましては、先月、事業費七千五百億円規模の景気対策を打ち出して、長引くデフレや円高の景況から低迷する我が国経済の景気回復を図ろうとしているところですが、大変、その後いろいろ動きが変わったのでどうなるかはちょっとわからないところでありますが、これら経済対策については、成長戦略である日本再生戦略に掲げた分野の支援なども含まれております。
 このような戦略をつくる背景の中には、ちまたに、経済を刺激し雇用を拡大するようなさまざまな経済理論が多数いわれております。経済学者、経済評論家の言葉を聞いておりますと、かなり考え方もいろいろ幅がありまして、場合によっては、だれとはいいませんが、二人並べると全く違うことを、逆の方向のことをいっているという場合もありますので、逆にそれを聞いている側から見ると、その聞いている側が、どっちがより正しいのかというのを結局判断するような場面がたまにございます。そうなってくると、私どもも、どれを、どういう考え方を選択したらいいのかというのは悩ましいところであります。
 もちろん東京都におきまして、国のようにお札を刷ったりというような、そういった経済理論でいろいろいわれているように、どちらかといえば国規模を相手にした経済理論というのは、なかなかそのまま使えない場合が多くて、国では当然のことながらやっているような施策も、東京都の方になりますと、同じような理論を活用するというのがちょっと難しいのがほとんどであります。
 ただ、それでもたくさんの経済支援策、今、この委員会の中でも現在行われている施策というものが登場したわけでございますけれども、それを考案する上で、専門家の意見のほか、現場の統計、さらには実際の商習慣や雇用のあり方、さらには東京都の施策でございますので、この政策をつくる上で一般都民が理解ができる支援の形かどうかといった、さまざまな要件を勘案していかなければいけないわけです。
 また、環境や健康、観光といった成長分野において、東京の特性を生かした産業振興により一層力を入れるなど、いわゆる社会的な動向を見た中で、産業の活性化というのもまた積極的に図らなくてはいけません。大変いろんな要素があるというわけですね。
 そこで今、東京の産業振興に対する東京都の基本的な方向性について伺います。あわせて、そういった方向性をまとめるに当たって、どのように実態把握を行っていって、結局、後々の施策や方向性につながっていったのか、そこを詳しく伺えたらと思います。よろしくお願いします。

○矢田部産業企画担当部長 都では、本年三月、昨今の都内産業を取り巻くさまざまな構造変化に対応するため、平成十九年三月に策定いたしました東京都産業振興基本戦略を改定し、今後の東京の産業振興の方向性を示しました。
 この戦略は、産業力を高め、東京を新たな成長軌道に乗せることを基本としております。
 そのため、重点産業の育成と中小企業の参入促進や、グローバル市場へのアプローチ、また産業集積の維持、発展といった考え方のもと、東京の強みを生かし、脅威を克服することとし、五つの柱から成る戦略を打ち出しました。
 なお、本戦略の策定に当たりましては、各種データの分析等により東京の産業の実態を把握するとともに、学識経験者、中小企業団体の代表などで構成する懇談会に加え、企業現場のヒアリング、区市町村へのアンケート調査、パブリックコメント等により、さまざまな意見を反映させております。

○斉藤(あ)委員 ありがとうございます。多数のいろんな、割と経済評論とか理論といったものがちまたに出回る中で、東京都としては現場の実態を踏まえて、そういった、ややもすると惑わされてしまいそうな経済理論に惑わされることなく、自分たちの中で実際にできることということを前提にした上で、現実的なデータと現実的な戦略で、一歩一歩施策をちゃんと精査してつくっていただきたいと思います。
 続きまして、それに少し角度を変えまして、産業人材の確保、育成について伺いたいと思います。
 ことし四月から六月の十五歳から二十四歳の失業率、これについては九・一%と、就業者全体の失業率四・八%を大幅に上回っております。一方、二〇一三年大学卒業予定者の求人倍率を見ると、二〇〇八年のリーマンショック後、五年ぶりに一・二三倍から一・二七倍と前年より上昇して、これだけ見ると少しよくなったなという印象を持つわけなんですが、ただ、従業員三百人以上の企業が〇・八一倍、いわゆる少し大き目の企業は〇・八一倍と、就職希望者に対して〇・八一社からしか求人がないわけです。
 しかしながら、三百人未満の企業というふうに区切って見れば、そこは三・二七倍と、一人に対して三社以上の求人が来ているというふうなことで、かなりこのギャップがあるわけですね。いわゆる大企業と中小企業の比較というふうにいっていいかもしれません。このギャップの解消により、若者の就業促進につなげるために、中小企業の理解の促進をしなくてはなりません。
 また、東京の企業の九九%を占めている中小企業、とりわけものづくり中小企業ということになりますが、これのイメージ向上の取り組みというものが非常に大事だと思うんですけれども、どのような取り組みというのを今行っているのか教えていただきたいと思います。

○河内商工部長 日本のものづくりを支える東京の中小企業においては、技術、技能を継承し、将来のものづくりの中核を担う若者の確保が十分できない状況にあり、こうした状況を打開することは重要でございます。
 ちなみに、大学卒業予定者を対象とした民間の調査でも、サービス、情報業の求人倍率が〇・四二倍なのに対し、製造業は一・六五倍の状況となっております。
 採用のノウハウや人材が不足する中小企業が人材を確保するためには、企業の持つすぐれた技術を正しく若者に伝え、その魅力を理解してもらうことが重要でございます。
 このため都は、世界に誇る技術を持った企業や、若手技術者が最先端の加工を行う企業など、中小企業で働く魅力を紹介する冊子「輝く技術 光る企業」を作成し配布するとともに、ホームページを開設いたしまして、広く発信しております。
 また、若者や保護者が中小企業を訪問してものづくりを体験し、技術者の熱意や仕事の魅力を実感する仕事体験ツアーを年間十二回実施しております。
 こうした取り組みを通じまして、ものづくり中小企業の魅力を発信して、人材確保を支援してまいりたいと考えております。

○斉藤(あ)委員 なるほど。私ごとで大変恐縮ですが、私、バブル期の平成二年に大学を卒業したんですけれども、社会福祉学科を出たときに、福祉の四月の募集というのがほとんどない時代でございまして、今でこそ介護保険が始まってかなり福祉の方はスポットライトを浴びていますけれども、当時はほとんど業界がちゃんと存在していないような、存在はしているんですけれども、いわゆる普通に就職できるという枠に対して非常にあやふやな時代でございまして、ほとんど福祉の求人というのが、某四谷の大学だったんですけど、ほとんど求人票がなかったという時代がありまして、時代が変わると、非常に目が行く分野というのはかなり変わるんだなというのを本当に実感いたします。
 このように、今現在、主にものづくりのジャンルが、業界が大変厳しいと。若手の人や、または大卒も含めて新卒の人が注目をしてくれないというふうなことであります。
 そうした中で、こういう取り組みを特に絞ってやっているということなんですが、こうした取り組みを通じて若者の目を中小企業、この場合、特にものづくりということなんですが、ものづくり中小企業の活力向上、そして若者就業を促進するためには、非常に今の時代は大事なわけですけれども、このような東京都の取り組みに対して、これはなかなか数字で示すというのは難しいわけなので、少し、数字じゃなくて結構でございますので、どのような効果がこういった取り組みについてはあったのか、また利用者の具体的な声などを含めて、その反応を教えていただきたいと思います。

○河内商工部長 仕事体験ツアーでは、若者や保護者がものづくり中小企業の現場を訪問し、直接経営者から企業説明を受け、若手社員が働く現場を見学した上で意見交換などを行っております。
 参加者からは、経営者と直接話ができその哲学に共感した、今後のためになった、自分の知らない技術や会社がこんなに身近にあることに衝撃を受けた、中小企業という言葉は聞いたことがあるが、初めてどのような雰囲気なのかを知ったなど、中小企業に対する考え方が大きく変わったという感想が寄せられており、中小企業の持つ魅力が着実に伝わっておるものと認識しております。

○斉藤(あ)委員 ありがとうございます。私の経験からしてみても、必ず同じ業界がずっと人が来ないということでは多分ないと思います。やっぱりその時代時代に合わせて若干それが少しずつずれて、また違う業種の方に話題が移っていったりするということはありますので、今でこそ、今はものづくりなのかもしれませんが、ぜひ根気よく、またそういうふうに世の中の動きが変わったところでは、また若干ほかの業種にも手を広げていくというようなことがあってもいいと私は思っていますので、ぜひこのあたりについては反応を見ながら、効果測定をしながら取り組んでいただきたいというふうに思っております。
 それでは、少し角度を変えまして、農業振興について伺いたいと思います。
 先ほど、前半では港湾局でしたので、海のものの質問が多かったんですが、少し山のものの質問も入れてみたいと思います。都市農業ですから、山といってはちょっとまずいですね。小平市も入ってきますが。
 先日、明治神宮で開催されました東京都農業祭の開会式に出席をさせていただきました。会場の品評会には、私の地元の方もエリアに入っておりますJAむさしの中の、特に小平市を含めて多摩地域を中心とした農産物が二千点以上出品されておりました。もちろん江戸川のコマツナも入っておりましたので。お二人にもちょっと配慮したいと思います。農林水産大臣賞や東京都知事賞などを受賞された方には、この場をかりてお祝いを申し上げます。
 さて、都内には、農業委員会を組織できるほどの農業面積がないという自治体もある一方で、都市農業存続に努力をしている自治体も、私の地元の小平を初め多数存在をしております。しかし、東京という大都市の中で農業を行うということについては、他県ではちょっとなかなか見られないような課題というものが大変多いと思います。
 先ほどまでの質問の中でも、都市農業については幾つか話題になりましたけれども、現在、東京都が都市における農業経営を存続させ、なおかつ向上させるために行っている取り組みに関してどのようなものを行っているのか、ご説明いただきたいと思います。

○津国農林水産部長 都市の中で農業経営を継続するには、大消費地に近い優位性を生かし、消費者ニーズを的確にとらえた素早い経営展開を図ることが不可欠でございます。
 そこで都は、農業者みずからが創意工夫を凝らして農業経営を改善する取り組みについて、都市農業経営パワーアップ事業によりまして、ハード、ソフトの両面から支援を行っているところでございます。
 ハード面では、多品目生産を目指した栽培施設や体験農園施設などの導入補助により、生産性、収益性向上の支援を、またソフト面では、中小企業診断士等の専門家による経営相談や販売戦略作成などにより、経営力向上の支援を行っております。
 また、農業改良普及センターによる栽培技術指導や、農林総合研究センターによる新品種開発などを行い、農業経営の発展に向けた取り組みを進めております。
 さらに、都市農業の課題や農業者の意向等を十分に把握し、現状に即した農業振興施策を展開するため、都市農業総合対策事業により必要な調査を行っております。
 今後も、都市農業の振興策を展開し、頑張る農業者を支援してまいります。

○斉藤(あ)委員 ぜひ支援をお願いしたいわけですが、特にそういった施策の中で、都市農業における農地の保全を目的に、東京都は、農業、農地を生かしたまちづくりに積極的に取り組む六市区を指定して、モデルプランの策定を支援しております。
 さらに、そのモデルプランを実現するために、農業、農地を生かしたまちづくり事業によって支援を行っているわけなんですが、その取り組み内容と現在の進捗、どのような形で今進んでいるのか、そこについて詳しく教えていただきたいと思います。

○津国農林水産部長 都市農地を保全するためには、農業、農地の持つ多面的機能をまちづくりの中で発揮するための仕組みをつくり、農業者や地域住民等の参画のもと、実効性のある保全策を講じていく必要がございます。
 このため都は、まず、平成二十年度から毎年二区市ずつ三カ年にわたり、合計六区市に対して、都民の暮らしが潤う東京農業推進事業により農業、農地を生かしたまちづくりプランの策定を支援してまいりました。
 現在は、そのプランに基づいて行う施設整備や地域農業の情報発信を支援する農業、農地を生かしたまちづくり事業を実施しております。
 具体的には、練馬、国分寺、日野、西東京、立川、国立の六区市におきまして、プランに掲げた共同直売所や地域住民との交流施設となるファーマーズセンターの整備を行っているほか、農家との交流会や農作業体験を推進しております。

○斉藤(あ)委員 ありがとうございます。ちょっと小平は入っていないんですが、しかしながら、周辺のところの市などでは頑張っているということです。(発言する者あり)ここに、今、小平は入っていないんですよ。
 かなりやっぱり農家の方に聞くと、都市農業というのは、やっぱりほかの県の農家とはちょっと違って、いろんな事情があると。先ほど話題になった東京の農業に関するさまざまな施策自体が、どれをとってもどこかしらで都市農業の存続というものにつながっているということは確かだと思いますので、もちろんこのモデルプランの部分で、都市農業というものの一つの存続のための、何ていうんですか、論理立てというんでしょうか、一つの形というものを発見して、それをいろんな、小平も含めたほかの地域にも、ぜひ発展的にこういうふうなことをやって、都市農業を存続させられるということをぜひ提案していただきたいと思うんですね。
 もちろんそれだけではなくて、今現在やっておりますさまざまな東京都内における農業の支援施策に関しては、これは何かしら、やはり存続につながっている施策でもありますので、そこもしっかり確保しながら、ぜひとも、どういうふうにしたら次につなげていけるのかという、そういうモデルを確立していただきたいというふうに最後に要望しておきます。
 さらに、農業に関してもう一つ、実は大変気になるテーマについてお伺いいたします。プラムポックスウイルスに関してなんです。
 平成二十一年に都内で、プラムポックスウイルスによる梅の木を中心とした、いわゆる植物の病気が、感染症が発見されました。この病気による農業、観光などへの、地域産業へ与える影響というのは非常に大きいものでありましたし、また早期の根絶が必要と考えられています。
 また、つい先日、十月三十一日ですか、農林水産省のホームページで公開をされました平成二十四年度のウメ輪紋ウイルス、いわゆるプラムポックスウイルスなんですが、これに関する調査の概要が公開されまして、最新の感染状況というのが報告をされております。残念ながら、私の地元の小平市でも感染した木が発見されたというふうに書いてあるんですね。また、足立区でも前にも発見されたんですが、まだ今回も実は数字が載っておりまして、現在のプラムポックスウイルスの緊急防除対策の現状について、ぜひ教えてください。

○武田安全安心・地産地消推進担当部長 プラムポックスウイルスは、国が植物防疫法に基づき、国内に蔓延することのないように対策を行う特定重要病害であります。
 平成二十一年四月に国内で初めて感染樹が確認された青梅市では、農林水産省が同法に基づき、平成二十二年一月に防除区域を定め、梅を初め感染する可能性のある植物を防除区域外に移動することを制限するとともに、都に対し緊急防除への協力を指示いたしました。
 都は、この国の指示に基づき、平成二十一年度から関係区市町村の協力を得て、感染樹の調査や廃棄に伴う損失の補償交渉、廃棄作業を実施しております。
 現在までに感染のおそれのある区市町村で延べ六千五百人を動員して、約十七万六千本の梅の木などを調査し、約二万二千本の感染樹等の廃棄と、その所有者に対する補償交渉を行ってまいりました。
 今年度の調査では、昭島市、小平市で新たに感染が確認され、感染が初めて発見された二十一年度では五市町でしたが、十区市町に及んでおります。
 今後も、新たに感染が確認された地域も含め、国の指示に基づき、感染樹の調査や廃棄作業等を進めてまいります。
 なお、感染樹の廃棄が終了した区域においては、根絶確認調査を実施してまいります。

○斉藤(あ)委員 以前、私も島田副委員長を初め、都議会民主党の会派の仲間で、このプラムポックスウイルスの被害に関して西多摩に足を運びまして、現場でいろいろ話を聞いてまいりましたが、青梅あたりなどになると、単純に梅の木の、いわゆる梅の実をとるための栽培というのも非常に大事なんですが、観光という意味でも梅の木を切るというのは非常に悩ましいということで、補償なんかに関しても、大変不安を現地の方は持たれておりました。そういう意味で、このプラムポックスウイルスというのは、まさに侮れないものでありますし、また私なども人ごとではないというふうな感じになっています。
 このプラムポックスウイルス、当時、西多摩ということで、山梨県方面への感染を広げないために一生懸命苦労をしていたというところがあるんですが、先ほどのホームページの中では、飯能や入間市といった埼玉県でも感染が確認をされまして、ちょっとこれは埼玉方面に出るというのは、私ども、取材に行ったときなんかは考えていなかったんですが、ちょっと詳しく聞くと、かなり潜伏期間が長いので、実際には最近、単純に感染が外に広がったということばかりでなくて、何か移動するものの中に、もしくは、かなり前に苗を出荷したときに感染をしていても、しばらく出ないのでわからないということもあったりして、なかなか人間の接触感染みたいにルートを簡単に追えるというふうな感じではないような難しさがあるというふうにも聞いております。
 平成二十四年度の調査では、新たに県としても、県単位であっても兵庫県というものが加わったり、今現在、六府県で感染が確認されているということであります。しかも、それが必ずしもつながって感染しているというふうな図にならないので、そこもまた難しいところなんですが、とにかく少なくとも東京都が感染源となって他県に広がるということがあってはならないし、またそうなったのならば、実際に今がそうだというわけではありませんけれども、そうならないようにして、もしも仮にそういう可能性があるならば、もしくは隣接したところで感染が見つかった場合には、当然のことながら密な連携や協力というのは必須なことであります。
 近隣県との情報交換というものについて、もしくは連携というものについては、どのように現在行っているのか、そこを確認したいと思います。

○武田安全安心・地産地消推進担当部長 プラムポックスウイルスなどの特定重要病害の緊急防除に関しては、国が植物防疫法により責任を持って行うべきものでございます。
 このため国は、発見されてから毎年、全国で調査を実施し、感染が確認された場合は、関係都府県、学識経験者等と検討会を開催し、意見や情報の交換を行い、感染植物の処分方針を定めております。
 近隣県などで感染が確認された場合も、この検討会で国が処分方針を定めた上で、当該県に対し協力指示を出して緊急防除を行うこととなります。

○斉藤(あ)委員 国の方の指導で対策を打つという、ちょうど横に、例えば感染防除活動を広げていくというんじゃなくて、国の方が全体を俯瞰して見て、例えばここの方に発生をしたから対処するというふうな指示が来るそうです。もちろん、そうはいっても、いろんな場面で担当者同士が会う場面もありますので、そういう機会を上手に使っていただきたいとは思いますし、同時に、まさに人間の感染と同じように早期発見、早期対処が大事なのは同じでございますので、ぜひその点に関して東京都の方も、全面的に、また迅速に引き続き対応していただきたいということを強く要求、要望しておきます。
 では、大分まとめたので、これは最後のテーマです。高齢者就業対策及び障害者就業対策について伺います。
 こちらの方の事務事業のときの資料を見ますと、はつらつ高齢者就業機会創出支援事業、別名アクティブシニア就業支援事業は--本当に長いですね、東京都が行う就業支援でございますが、高齢者というハンディがある中で、どのくらい実績を上げているのか、そこを伺いたいと思います。

○穂岐山雇用就業部長 地域の高齢者の多様な就業ニーズにこたえるため、就業相談や職業紹介を行うアクティブシニア就業支援センターを区市町村が設置した場合に、都は事業費等の一部を補助しております。
 現在、アクティブシニア就業支援センターは、都内十四カ所に設置されております。
 平成二十三年度の実績につきましては、新規求職者が七千八百十二人で、正社員やパート等を含め二千二百十九人が就職してございます。

○斉藤(あ)委員 ありがとうございます。新規求職者が七千八百十二人という中で、二千二百十九人が就職をしているということであります。
 次に、ちょっと伺うんですが、このアクティブシニア就業支援センターにおいては、就業につなげるために、高齢者の求職者の方それぞれに対して、どのような方針で支援をしているのか伺います。

○穂岐山雇用就業部長 アクティブシニア就業支援センターでは、身近な地域での高齢者の就業を支援するため、無料で高齢者向きの求人情報を収集、提供するとともに、相談員が求職の申し込みから就職まで、きめ細かく相談や職業紹介を行ってございます。

○斉藤(あ)委員 ありがとうございます。ぜひ、きめ細かく丁寧にということであります。
 最後に、これについてはちょっと一つ要望をいわせていただくんですが、私がかかわる介護の事業者なんかを見ますと、六十歳ぐらいの人というのは、働いている方がもうたくさんいまして、しかも、結構なれてくるとスキルが蓄積されますので、六十歳ぐらいでまさにその人にぜひ仕事を振りたいと思うようなケアというものが結構出てまいります。
 大体、皆さん集まると、子どもの話じゃなくて孫の話だったりするような年齢の人たちが結構元気に働いていますので、恐らく高齢者の方が活躍する場というのは、ちょっと先日、ビルメンテナンスなんかの関係の会社の方にも聞いたんですが、ビル管理とか、こういった介護とか、ある程度業種なんかも、高齢者のかなり多くの人を雇うことというのが、割と普通になっているという業種が幾つかございます。
 そういった業種や業態の方にも、ぜひ東京都の方からさまざまに目を向けて、いろんな形での支援をしていただきたいというふうに要望させていただきます。
 では、最後に、障害者の就業対策についてです。
 障害者の就業支援に関する事業の中で、幾つか事業があるんですが、オーダーメード型障害者雇用サポート事業というのが一つあります。そのほかに、中小企業障害者雇用支援助成事業、さらに、企業に対する障害者雇用普及啓発事業というのがあります。ぜひそれぞれについて、実績を教えていただきたいと思います。

○穂岐山雇用就業部長 オーダーメード型障害者雇用サポート事業につきましては、障害者を雇用した経験のない中小企業に対しまして、採用前の準備段階から採用後の定着までをサポートするモデル事業でございまして、事業を開始した平成二十三年度から現在までで、二十三社に対して支援を実施中でございます。
 次に、中小企業障害者雇用支援助成事業につきましては、国の助成金の支給終了後も引き続き障害者を継続雇用する中小企業に対しまして、特例子会社を除く中小企業であること、就労場所が都内であること等を要件といたしまして、賃金の一部を補てんする助成制度で、平成二十三年度の支給決定件数は二百六十四件でございます。
 次に、企業に対する障害者雇用普及啓発事業につきましては、企業向けセミナーや障害者雇用に積極的な企業を登録し、その取り組みを広く周知する事業でございまして、平成二十三年度はセミナーを三回開催し、平成二十三年度末の登録企業は二十八社でございます。

○斉藤(あ)委員 それでは、委員長お疲れのようなので、最後の質問でございます。
 今、話に出ました、オーダーメード型障害者雇用サポート事業といった事業形態に見られるように、業種や就業させる障害者の疾病や程度によって、多分、会社側の工夫や苦労というか課題とか、本人の課題についてもかなり差が大きいわけです。一律の対応ではまず難しいというふうに私の方では考えます。
 実際に結果を出そうと思えば、ある程度の柔軟さというものを持って、それを駆使して、企業側の知識や姿勢というものを蓄積して、柔軟に対応できるようなノウハウというのを持ちながらやれたら一番いいんじゃないかというふうに私は考えます。
 さて、その精神障害者や発達障害者を、今、積極的に雇用している企業については、結構、経済ニュース番組などでも紹介されておりまして、大変いいことだなというふうに思っています。ただ、もちろん、この精神障害者については、既にいる社員が精神障害を患う場合も多いわけであります。これは、都庁も決して人ごとではないということです。
 また、発達障害については、少し性格が違ってまして、既にある発達障害というものが、今まで学生の間は余り露見しなかったけれども、就労することによって発覚するという場合が非常に多いんです。大人の発達障害の場合に、結構気がつかないまま大学生まで行っているというときがあります。もしくは、気がついているけど、それが余り問題にならずに、学生のうちは何とかうまく社会となじんでいたし、そんなにルールに縛られ過ぎるというような場合が、大学生の場合、なかったりする場合があって、就労して初めて、周りと、どうしようもなく、本気のトラブルになってしまうということがあるんです。
 ただ、一方で、このような発達障害については、その集中力などの特異性を活用して、先ほどいいましたように、積極的に雇用するIT企業などが紹介されるというふうなことになっているわけです。
 ただ、そうはいっても、実際にはどちらも症状やその人の状況、程度によって、就業に至るまでには相当長い期間を要するというケースは決して少なくありません。産業労働局に限らず、この課題にかかわるすべての関係者が目標を高く持って、高い志を持って根気よく指導していく。それは本人に対してもそうですし、また逆に、その人たちを雇用しようという企業に対しては、積極的に支援をしていくということが必要なわけです。
 そこでちょっと伺うんですが、産業労働局においては、精神障害者、発達障害者の就業について、どのようにサポートをしているというふうにいえるのか教えてください。

○穂岐山雇用就業部長 精神障害者や発達障害者の方の就業ニーズが高まっている中で、こうした方も含め、障害者の雇用を促進するためには、本人の状況に応じて関係機関と連携を図りながら、きめ細かく対応することが必要です。
 このため、都では、東京しごと財団を通じ、それぞれの障害者の方の希望と状況を伺い、就業に関する適切な情報提供を行うほか、地域の就労支援機関、企業等の関係機関と連携し、職場見学会や企業合同説明会、セミナー等を実施して、ハローワークでの職業紹介につなげるよう、就業支援を行っております。
 今後とも関係機関と連携し、障害者の方々の就業を支援してまいります。

○斉藤(あ)委員 産業労働局としては、外部の専門的なところに依頼をしたり、必ずしも産業労働局の中で全部やろうということではなくて、かなり外の機関も使ってやっているということで、もちろんすべていろんな意味で、何でも丸投げがいいというふうに私はいいませんけれども、こういうものについては、まさに専門機関に上手に依頼をして、その専門機関がうまく活動できるように支援をしていくというのが、多分、今の現状ではいいと思います。
 特に、発達障害、精神障害に関しては、すべての人が就職できるということはなかなか難しい場合がある一方で、すべての人ができないということは、まずありません。ですので、これはまさに今、研究分野ではありますが、一方で、こういったチャンスをつくって、福祉に行くのではなくて、就労に行くことによって福祉の世話にならないということは、まさに絶対に必要な姿勢でありますので、これについては、多少、効果がどういうふうに出るかというのはまた今後の課題だと思いますけれども、少しやってみて、余り芳しくないからやめようということにならずに、継続的に腰を据えてぜひやっていただきたいと最後に要望させていただきます。
 それでは、以上で質問を終わります。

○鈴木委員 まず、中小企業の資金繰り支援についてお伺いをさせていただきます。
 平成二十年秋のリーマンショック以降、東日本大震災の発生や長引く円高などの影響を受けて、中小企業の方々は非常に厳しい経営環境での資金繰りを迫られてまいりました。我が党はこうした状況に対して、その都度、速やかな対応を要望してきましたが、東京都もこれにこたえて、柔軟に中小企業の資金ニーズに即した制度融資メニューの充実などの対策を講じてきたことにより、資金繰りに苦労している多くの中小企業の支援に役立ってきたと、そのように評価をしております。
 都において、中小企業の資金ニーズへの着実な取り組みがなされている一方で、国が今年度末で終了するとしている中小企業金融円滑化法の影響、これは先ほど宇田川理事が質問をさせていただいたように、大変気になるところでございます。
 こうした現状下で、金融支援の柱である制度融資の利用はどのような状況になっているのかお伺いをさせていただきます。また、今後の見通しについてもあわせて伺います。

○寺崎金融部長 今年度上半期の制度融資の利用状況は、既往債務の返済が進まず、借り入れ余力のない企業や、事業拡大に伴う前向き資金等を借り控える企業がふえるなど落ち込みが続いている状況にあり、東日本大震災復興緊急保証の利用が進んだ前年度の上半期に比べると低調に推移しております。
 下半期につきましても、景気の先行きが不透明なことから、引き続き設備資金など前向き資金の調達に企業が慎重姿勢をとることが想定される一方で、例年、年末、年度末に向けた資金需要の増加や中小企業金融円滑化法の終了に伴う借りかえ需要の高まり、リーマンショック後に利用が急増した緊急保証制度での借り入れ返済の進行に伴う新たな資金需要の発生などが見込まれると考えております。

○鈴木委員 都は、ことしの九月には東京電力の電気料金値上げに対応した措置を講じたほか、十一月からは国のセーフティーネット保証の業種絞り込みに対応するため、都が独自に実施しているセーフティーネット融資について、リーマンショック以前の水準に売り上げが回復していない企業も幅広く対象とする融資条件の緩和を実施するなど、さまざまな環境変化に適宜対応していることは承知をいたしております。
 引き続きセーフティーネット融資を充実していくことも重要でありますが、中小企業が元気を取り戻すためには、直面する課題を解決し、新たな事業展開や経営改善に踏み出すことが重要であり、こうした取り組みを金融面から支援することが求められております。
 支援策の検討に当たっては、まち場の中小企業を回って、その資金ニーズや現在抱えている経営課題にじかに触れる機会の多い地域の金融機関などの知恵をかり、連携するなど、これまでの制度融資の手法に新たな工夫を加えて進めていくことが有効ではないでしょうか。
 今後、こうした観点から、中小企業の経営上の課題を解決するとともに、企業を元気にするような新たな金融支援に積極的に取り組んでいくことが重要と考えますが、見解を伺います。

○寺崎金融部長 委員ご指摘のとおり、中小企業が抱える課題は多様化、複雑化しておりますことから、こうした諸課題の解決に向け、企業を金融面からも支援していくことが重要であると認識しております。
 具体的な課題といたしましては、東日本大震災の発生以降、電力供給の不安やコスト増から、省エネルギー型の経営、環境配慮型の経営を目指す企業がふえていることや、円高が長期化する中で受注が減少するなど、産業空洞化が経営に影響を及ぼしていることから、海外販路開拓や製品、技術のさらなる競争力強化に取り組む企業などへの支援などが想定されます。
 このため、中小事業者と日々向き合い、その経営課題や資金ニーズを直接把握することが可能な金融機関の提案を募り、具体的な制度融資メニューの創設に生かすなど、経営課題の解決に向けて努力している中小企業を対象とした新たな金融支援策を検討してまいります。
 今後とも、こうした取り組みを進めることによりまして、中小企業の金融支援に万全を期してまいります。

○鈴木委員 中小企業の皆さんは、厳しい経営環境が続く中にあっても、みずからの技術力の向上や新商品の開発などに日々努力をしているわけです。今後とも、こうした中小企業の資金ニーズや企業実態を酌み取りながら、引き続き金融支援に全力を挙げていただくよう要望しておきます。
 さて、さきの第一回定例都議会の経済・港湾委員会でも質問をさせていただきましたが、円高などの影響により、大手企業が海外に生産拠点を移転するなど、産業の空洞化が急速に進展している中で、都内のものづくり産業の強みである、すぐれた技術を有する中小企業の集積を維持していくことは喫緊の課題であります。
 都内中小企業が海外に生産の現場を移したり廃業に追い込まれたりすることになれば、これまで東京のものづくりを支えてきたすぐれた技術の集積が失われ、東京の、ひいては日本の製造業の競争力に深刻な影響を及ぼすことになりかねません。
 昨年の事務事業質疑で私からも提案をさせていただいたところですが、東京都は、東京都産業振興基本戦略を改定して、戦略の柱として、産業集積を維持発展させることを位置づけました。具体的な方策として、都では、製造業の空洞化への対策として、ものづくり産業集積強化支援事業を今年度から開始しましたが、まず、この事業に対する東京都の考え方を改めてお伺いいたします。

○河内商工部長 東京の強みである多種多様な産業と、これを支える高度な基盤技術を確保していくためには、東京のものづくり産業の集積を将来にわたって維持していくことが重要となっております。
 このため、都は、地域の実情を把握する区市町村が、すぐれた基盤技術などを持つ中小企業の集まる地域を対象として、その集積の維持や発展に向けて主体的に意欲のある取り組みを実施する場合に、区市町村と連携して、ものづくり産業集積強化支援事業による支援をすることといたしました。
 具体的には、対象地域を設定して、成長企業の誘致のための補助や生産設備等の充実に取り組む企業への助成に加え、工場周辺に配慮した環境対策のハード整備などに取り組む区市町村の事業を対象としております。
 都は、この事業で必要となる経費の二分の一を、最大で年間一億円、三カ年にわたり継続して補助することにより、中小製造業の集積の維持と発展を的確に支援してまいります。

○鈴木委員 私どもの大田区は、ものづくりの担い手である中小のまち工場が数多く操業しておるわけで、非常に的を射た事業を今やらせていただいております。この基盤技術は、メッキ加工、研削、熱処理などさまざまな種類がございますが、空洞化が無秩序に進んでいくと、基盤技術の工程に支障が出て、ものづくりそのものが崩れていくことにもなりかねません。
 また、中小の製造業が周囲の地域と折り合いをつけながら操業を続けるためには、そうした対応を既に行った施設を借り受けるほか、建物に防音などの工事をするようなことが必要になってくるわけです。
 都は、このような特性を持つ大田区の計画を、この事業の第一号として本年五月に承認いたしておりますが、認定のポイントと具体的な計画内容についてお伺いをいたします。

○河内商工部長 大田区は今年度、ものづくり集積基盤強化計画を策定いたしまして、地元の中小企業が有する高度な基盤技術を活用して、より高付加価値型な産業分野への集積促進を目指す各種事業に取り組んでおります。
 具体的には、新たに工場を立地する場合の建設、附帯設備や移転費用の助成拡充を行うとともに、製造現場で使用する大型の生産機械や検査用機械などの購入費用を補助する新たな設備投資助成制度を創設し、区内企業の技術の高度化を支援しております。
 また、周辺の住環境と調和を図りながら、中小製造業が安心して操業できる環境を整備するため、東糀谷の工場アパートを本年六月より運営しております。
 さらに現在、大手企業の研究部門、区内の大学や研究機関と地元中小企業との取引拡大を支援するために、医工連携をテーマとする展示会やセミナーの企画などのマッチング事業を展開しており、区内製造業の競争力強化に取り組んでおります。

○鈴木委員 さきにも述べましたが、すぐれた技術を有する中小企業の集積は、東京の産業の強みであり、今後とも、それを維持し発展させていくことが重要でございます。この事業は、一度認定されると、事業期間が三カ年継続をする。経費の二分の一、最大で年間一億円、それを三カ年継続するということですので、今後とも、地元の産業の実情を把握している大田区としっかりと協力連携をして、取り組みを進めていくことを要望させていただいて、次の質問に移りたいと思います。
 さて、産業の集積を強固なものにしていくためには、新たなプレーヤーを輩出していくことも重要であります。逆風が吹く中にあっても、社会のニーズを先取りするようなアイデアや独創的な技術により新規事業を起こし、大きく業績を伸ばしている企業も存在します。
 私の地元にも、弱冠二十五歳で大学発の学生ものづくりベンチャーとして、二〇〇六年にEBM株式会社という会社を、私どもの大田区は非常にまち工場がひしめいているわけなんですけれども、その大田区内に会社を設立して、心臓手術のトレーニング機器を開発していると。この方は、芝浦工業大学の高等学校時代に、都費でオーストラリアの高校に留学したことが、今の事業のもとをつくっているということもお伺いをして、大変うれしく思っております。現在、国内外の百の医療機関に納入しているという、元気な若手社長もいるわけでございます。まさに若い企業ほど多くの雇用を生み出しているという調査結果もあり、都は、創業者の意欲ある取り組みにしっかりと目配りをして、その成長を後押ししていく施策を充実していく必要があると考えます。
 創業を目指す人にとって、東京でのオフィスの賃料が大きな負担だという声を多く耳にしますが、このような中、低廉な家賃でオフィスを提供するインキュベーション施設は大変心強い存在と感じております。都では、空き庁舎を活用するなどして、インキュベーション施設を整備しておりますが、今後は単なる場所貸しというのではなくて、入居する事業者の成長をいかに支援していくかという視点に立った取り組みも重要になってまいります。
 こうした考えから、経営の知識や広い人脈を持った人材を施設に配置して強力に支援を行うことが、真のインキュベーション施設のあるべき姿であると私はかねがね申し上げてきたところですが、現在の都のインキュベーション施設における整備状況とソフト支援の取り組みの状況についてお伺いをいたします。

○河内商工部長 都内経済の活性化や雇用創出の観点から、新規創業への支援を行っていくことは重要であり、創業後の事業の発展を確実なものとするためには、インキュベーション施設を充実していくことは不可欠でございます。
 都は、アニメコンテンツ産業分野に特化した東京コンテンツインキュベーションセンターや、健康関連産業分野に特化した東京ライフサイエンスインキュベーションセンターなど、現在七カ所のインキュベーション施設を運営し、それぞれ特色ある支援を行っております。
 また、施設に入居する創業者が経営上の課題を克服して会社を成長させていくためには、ソフト面での支援を充実させることが重要であることから、会社経営に必要なアドバイスを行うとともに、販路開拓や資金調達などのサポートを行うインキュベーションマネジャーを平成二十三年度から都が運営する七施設すべてに配置し、きめ細かい支援を展開しております。
 入居企業の中には、インキュベーションマネジャーから一年間にわたり指導助言を受けながら大手企業との交渉を進めた結果、業務提携が実現いたしまして、大幅に売り上げを拡大したケースもございます。
 今後とも、サービスの向上に取り組み、創業支援を効果的に行ってまいりたいと考えております。

○鈴木委員 ぜひこうした取り組みを通じて、支援のさらなる向上に取り組んでいただきたい、このようにお願いをしておきます。
 現在、都内には、東京都だけではなくて、区や市などにおいても、この支援機能が充実したインキュベーション施設が運営されるようになってまいりました。創業の環境は着実に整ってきた感はありますが、一方で、起業を目指して準備段階にある人や、施設を卒業した後に事業が足踏み状態にある事業者など、これまでの施策では支援が行き届かない領域はまだまだ多いと考えております。これらの支援を一つの施設で賄うことは難しいかもしれませんが、インキュベーション施設同士が連携をして、お互いのノウハウを持ち寄りながら支援を広く展開することは可能ではないかと、このように考えております。
 創業予定者の発掘から施設退去後の成長までを見据えた一体的な創業支援の仕組みづくりにも今後取り組んでいただけるよう、強く要望しておきます。
 次に、技術開発の取り組みについてお伺いをいたします。
 都内で活動を続ける製造業が、海外の企業と伍して戦っていくためには、理想的にいえば、価格競争に巻き込まれずに、高いレベルの技術や製品の開発に不断に取り組んでいくことが必要です。特に、環境、健康、医療、危機管理といった今後成長が見込まれる分野での中小企業の製品開発を促進することは、都市の課題解決や都民生活の向上にもつながり、東京が産業と生活が調和した都市としての健全な発展を遂げていく上でも極めて重要です。
 都では、都市の課題解決につながる技術開発のテーマを示して、中小企業の新製品開発を促すこの事業を実施しております。この中では、首都大学東京や都立産業技術研究センターの研究成果を中小企業の実用化につなげる取り組みを実施していると伺っております。大学や研究機関の最先端の研究を取り入れた、こうした取り組みなどは、中小企業の競争力を強化する上でも大きな意義があると考えます。
 しかし、成長分野は競争も激しく、技術革新のスピードも目まぐるしいものがあり、中小企業が市場で認められる製品を生み出すためには、首都大学東京や産業技術研究センターに限らず、他の大学や民間の研究機関の研究などを幅広く取り入れていくことも必要ではないかと考えております。
 今後の取り組みの方向性について、今年度の実施状況もあわせてお伺いをいたします。

○河内商工部長 都内の中小企業が、環境や健康、医療など今後成長が見込まれる分野で、大学や研究機関と連携して新たな技術や製品を生み出していくことは重要でございます。
 このため、都は、平成二十二年度より、都市課題解決のための技術戦略プログラム事業を実施いたしまして、大都市の課題解決につながる中小企業の技術開発の方向性を示すとともに、その方向性に沿った開発の取り組みを支援しております。
 今年度は、高度な防災都市を重点戦略テーマとして定め、開発支援の項目や目標を定めた技術戦略ロードマップを策定し、公表したところでございます。これをもとに、技術開発、製品開発の取り組みを支援しております。
 技術開発につきましては、お話のとおり、首都大学東京と産業技術研究センターの連携研究への支援であり、スマートフォンを活用した災害発生時対応用具の開発など三つのテーマを選定し、研究開発を進め、中小企業の実用化につなげてまいるところでございます。
 また、中小企業が独自に取り組む製品開発の支援に向けて、現在、プロジェクトの公募の審査を行っておりまして、四件程度のすぐれたプロジェクトを選定し、来年一月より支援を開始する予定でございます。
 ご指摘の点につきまして、中小企業が急激な市場の変化や技術革新に柔軟に対応していくためには、さまざまな研究成果や最新の技術を幅広く活用していくことが重要と考えておりまして、他の大学や研究機関などと連携して製品開発に取り組む仕組みについて検討してまいります。

○鈴木委員 今、中小企業の開発プロジェクトへの支援が四件というお話がありましたが、景気の先行きの不透明感がますます強まっており、中小企業にとっては、研究開発への投資も二の足を踏んでしまうことも多いのではないでしょうか。こうしたときこそ行政が積極的に技術開発を促していくことが必要であり、この四件の成果を確認した上で、支援の規模の拡充も検討していただけるよう要望しておきます。
 次に、産業交流拠点の整備についてお伺いをさせていただきます。
 先ほど質疑でもお伺いをしましたが、産学の連携を通じた技術開発への不断の取り組みが中小企業の成長を支える大きなかぎとなっており、こうした取り組みを行政が支援していくことが重要です。
 都内の産業集積は、地域ごとにそれぞれ特徴がありますが、多摩地域には、計測分析器や半導体、電子デバイスといった高度な技術基盤を有する中小企業の集積があることに加えて、大学や研究機関が数多く立地しており、産学連携による新製品や新技術を生み出すことのできる大きなポテンシャルを持つ地域であるということはいうまでもありません。
 都は、昨年策定した「二〇二〇年の東京」の中で、広域的産業交流の中核機能を担う産業交流拠点を八王子市に整備することとしております。地元の八王子市では、ことし一月に就任した石森市長のもと、拠点の整備予定地に面したJR八王子駅北口で、再開発に向けた取り組みが着実に進んでおり、拠点の整備に対しては、地元を初め、多摩地域全体からの大きな期待が寄せられているということでございます。
 ことしの第一回定例会で、この産業交流拠点の整備に関して、今後の予定などをお伺いさせていただいたところですが、本年度のこれまでの取り組みについて、地元市などとの協議状況などもあわせてお伺いをいたします。

○河内商工部長 多摩地域の中小企業が技術開発や販路開拓を進めるため、企業間の交流や大学、研究機関との連携を図ることは重要な取り組みでございます。
 八王子市に整備を予定しております産業交流拠点では、産学公連携を推進するための産業交流の場や、展示、商談の場を提供することとしております。
 これまでJR八王子駅北口周辺のまちづくりの方針も踏まえた整備のあり方について、関係各局と協議を進めるとともに、地元の八王子市や産業支援機関との意見交換を行い、拠点に必要となる機能や施設の規模について検討を進めてまいりました。
 本年度は、これまでの検討をさらに深めるとともに、拠点の効果的な利活用の方法や効率的な管理運営のあり方、具体的な整備内容について調査検討を行っているところでございます。
 引き続き、地元市などによる提案も踏まえながら、拠点の整備に向けた検討を進めてまいります。

○鈴木委員 石森市長が力を入れて進めている事業でございます。中西局長、実現に向けて、特段のご尽力をよろしくお願いしたいと思います。
 さて、私の地元大田区でも、産業集積の立地環境を有効に活用していくため、国際空港でもある羽田空港の機能充実による効果を最大限発揮させることが重要です。これまで東京都は、大田区と共同で、大田区企業立地促進基本計画を策定し、国内外との活発な経済交流の実現を目指すとともに、本年七月、国から認定を受けた国際戦略総合特区、アジアヘッドクオーター特区の計画の中では、羽田空港跡地に産業交流施設を整備することとしております。
 この産業交流施設では、国内外の企業や研究機関等との技術連携ネットワークを構築するほか、誘致外国企業と国内中小企業とのビジネスマッチングの機会を提供する機能などが想定されており、これからの日本のものづくり産業の発展と国際競争力の向上に寄与するものであります。
 石原知事が突然辞任をして、羽田空港跡地の活用については、羽田空港の機能拡充による効果を最大限発揮させ、首都圏はもとより、日本の成長につながる利用が重要であると。また、国際コンベンションホール等の設置をする、こんなふうにも石原前知事は強くそれを訴えておりました。
 東京都産業振興基本戦略が、新知事になってもしっかりと継続をされるよう、大変今、松原我が大田区長を中心に取り組んでおりますので、この点も中西局長、ぜひよろしくお願いをしたいというふうに思います。
 さて、次の質問に移ります。若年者の就業対策についてでございます。
 私の地元大田区には、ものづくり産業を初め、優良な中小企業が集積していますが、その多くが人材不足に直面をしております。一方で、就業意欲があるものの、安定した仕事につけない若者が数多くいるといわれており、人材を必要としている中小企業と、こうした若者をいかに結びつけていくか喫緊の課題となっております。
 我が党は、平成二十四年第三回都議会定例会の代表質問において、重点産業分野就業支援プログラムなど、研修と就労体験を組み合わせた事業の重要性について主張して、これらの事業を引き続き充実させていくべきと提案をさせていただきました。これらの事業は、雇用対策はもとより、人材確保に苦慮している中小企業の振興にも寄与するものであります。
 しかしながら、若者の雇用情勢が依然として厳しく、中小企業を取り巻く環境も不透明感が一段と増している中、国は、当該事業の財源となる基金の活用を来年度より認めないとしております。
 このような状況の中、若者と中小企業を結びつける就業対策を後退させるべきではない。東京都として、将来の産業の発展と東京の活力の維持向上を目指すべきです。
 産業労働局は、過日、私ども自民党に対しても、局からのヒアリングで、平成二十五年度予算要求において、研修と就労体験を組み合わせた事業を要求しておりますが、要求に当たっての基本的認識について、見解をお伺いしておきます。

○穂岐山雇用就業部長 若者を取り巻く雇用環境は依然として厳しい状況にある一方、中小企業は人材不足の課題を抱えており、将来を担う若者を経済活動の源泉である中小企業に結びつけていくことは重要でございます。
 このため、都は、平成二十三年度から、研修と就労体験を組み合わせた未就職卒業者緊急就職サポート事業を開始し、さらに今年度は、成長産業分野に若者の就業を促す、重点産業分野就業支援プログラムを実施するなど、紹介予定派遣制度を活用した就業対策を重層的に講じてまいりました。
 これらの事業で活用してきた国の交付金を原資とする基金は、都の強い要望にもかかわらず、来年度から当該事業の財源として充当できないこととされてございます。
 しかし、現下の若者を取り巻く厳しい雇用情勢を踏まえれば、国の財源措置が講じられないことをもって事業を終了すべきではなく、都の自主財源を活用し、来年度も引き続き事業を実施することが不可避であると判断いたしました。
 このため、平成二十五年度予算要求に当たりましては、事業を検証しながら所要の見直しを行い、再構築することにより、事業効果を担保しながら、経済性の一層の向上を図ることといたしました。
 引き続き、今後の若年者就業対策のあり方につきまして、多面的に検討を進めながら、的確に若者の就業支援に取り組んでまいります。

○鈴木委員 とにかく、国はわけのわかんない事業仕分けとかやって、本当に大事なところの予算を切っているわけ。ね、皆さん。どう思いますか。東京都はここで頑張らなきゃいけませんよ。この未就職卒業者緊急就職サポート事業、これはよく事業を検証しながら、所要の見直しを行った上で再構築をして、東京都の自主財源でもやりましょうよ。自民党はしっかり応援していきます。
 以上、中小企業支援や雇用就業対策についてお伺いをしてまいりましたが、産業労働局は、東京の活力の源泉である産業振興と雇用の安定の実現という重要な役割を担っており、経済状況が厳しく、雇用の確保もままならない中において、その果たすべき責任はますます重いものとなっております。
 そこで、こうした状況の中においても懸命に頑張っている中小企業や都民に勇気を与えられるよう、今後の産業振興の展開における局長の決意を、今までずっと聞くばかりでございましたので、この辺でしっかりと局長の決意をお伺いさせていただきたいと思います。

○中西産業労働局長 リーマンショックに端を発しました世界同時不況以降、都内の中小企業は厳しい経営を強いられてまいりました。東日本大震災や歴史的な円高、欧州債務問題など、昨年来の事象は、こうした状況に追い打ちをかけ、雇用就業環境にも深刻な影響を及ぼしております。
 都としては、まず、直面する喫緊の課題に万全を期すため、制度融資や経営相談などの中小企業支援に取り組むとともに、若年者雇用問題などに的確に対応してまいります。
 さらに、新たな事業の創出や技術革新への取り組み、海外市場への販路開拓などを後押しするとともに、中小企業の中核を担う人材の育成など、将来の活力につながる産業振興施策を積極的に展開してまいります。
 東京を活性化させることが日本全体に活力をもたらすとの強い思いのもと、東京の産業の発展と雇用就業の促進に局を挙げて全力で取り組んでまいります。

○鈴木委員 現状は、まさに政局ということです。知事選、都議補選、これに足して加えて衆議院選挙が十二月十六日に行われるということでございます。年末に向かって、中小企業にとって、仕事を求めている方々に対してしっかりとこたえていただきたい。産業労働局は、あらゆる施策を積み重ねて産業の振興に取り組んでいただきたい、このように要望して、私の質問を終わります。

○斉藤(や)委員 私からは、観光産業振興策についてお伺いをしたいと思います。
 平成十三年の観光産業振興プラン策定から十年が経過をいたしました。この間、平成十九年のプラン改定を経まして、東京は日本のゲートウエーとして、インバウンド、外客誘致を牽引してまいりました。国が本格的にインバウンドに着手し、観光立国を掲げてビジット・ジャパン・キャンペーンを開始したのは平成十五年でございますので、まさに都が国に先駆けて観光を成長産業ととらえ、観光振興を積極的に展開してきたといえると思います。
 平成十八年のことですけれども、「ミッション・インポッシブルⅢ」を掲げてトム・クルーズが東京に来ました。そのときに私もお会いすることができたわけですけれども、東京の湾岸エリアをジェットスクーターに乗りまして、お台場に上陸してくるみたいな、そういうプロモーションもあったんですけれども、トム・クルーズが、上海を舞台に映画をつくったけれども、ぜひ今度は東京を貸し切りたいというふうにいっていたのが大変印象的でございました。本当に港湾局も大変ご苦労があったようですけれども、そういう映画のフィルムコミッションというか、そういったことも観光振興の資源として、東京のポテンシャルははかり知れないものがございます。
 そういったこともございまして、訪都外国人の旅行者数は、この十年間で二倍以上に増加をさせることができてきているわけでございます。
 しかしながら、一方で、ロンドンを初め、世界の主要な都市と東京を比較しますと、依然として、数字上は低い数字にあると。アジアにおいては、シンガポールや香港の後塵を拝するという、そういうことが数字上は出ておりますけれども、首都東京のプレゼンスを高めるため、さらなる観光施策の推進が求められているといえると思います。
 この課題に挑戦するため、都は平成二十二年に、東京都観光事業審議会に、東京の活力向上を図る観光振興の戦略的な取り組みという諮問をされておられます。その間、東日本大震災と原発事故が起こりまして、東京の観光にも甚大な影響が出たわけでございます。それまで順調に推移してきた訪日外国人、訪都外国人の旅行者の数でございますが、まず、日本に来る外国人の数は二七・八%減の六百二十二万人、そして東京に来られる訪都外国人旅行者数は三一%減の四百十万人となっている現実がございます。最近それが大分回復してきておりますけど、また中国、尖閣の領有権問題がありまして、来日外国人の数は、今、足踏み状態という感じでございます。
 こうした状況を受けまして、東京都観光事業審議会は、急遽、中間的な提言といたしまして、東京の観光の回復を目指す特別提言を昨年八月に策定いたしました。そして本年の七月に、東京の活力向上を図る観光振興の戦略的な取り組みと題して、最終答申が施行されたわけでございます。
 答申の中身は多岐にわたっておりますので、その中から幾つか絞らなければなりませんが、東京における観光の力が日本の成長を牽引する原動力になることが期待されている答申の内容になっています。
 提言のポイントとしましては、広域的な視点による連携の強化、あるいは、旅行者目線による取り組みの推進、量だけでなく、質の視点も重視した外国人旅行者誘致などが挙げられております。私は特に、東京ファンともいうべきリピーターをつくっていくためには、やはり、より質の高い受け入れ体制の構築が必要だと考えるものであります。
 受け入れ体制の構築といいましても、ハード、ソフトの両面からの取り組みが必要でございます。ハード面では、例えば、新しいコンベンションの施設、国際会議場の施設の建設や国際会議場開催を視野に入れたホテルの整備、こういったものもあるでしょうし、また、東京は比較的、バスでの移動に際しましては、駐車場の確保が難しいといわれております。コンベンションで同時に多くの方が移動するためには、こういったバス用の駐車場の確保などもあるかもしれません。
 ソフト面では、何よりも観光案内の充実。特にガイドでございます。このガイドは、国益を背負った民間外交官ともいえる重要な存在だと思います。本日は、特にソフト対策としまして、外国人旅行者の満足度の向上につながる施策として、受け入れ体制、ガイドの関係について質問をしたいと思います。
 外国人旅行者を誘致する上で、着地点となる東京の受け入れ体制の整備が必要ですが、とりわけ、日本人の特性であるホスピタリティーあるサービスの提供は、外国人旅行者の満足度の向上につながる重要な要素であると考えます。
 そこで、都は、こうした旅行者の利便に供するために、観光ボランティアというものを活用しておるようですけれども、現在、この観光ボランティア、どのような登録状況であるのかをお伺いしたいと思います。

○十河観光部長 都では、平成十四年度より、海外在住経験者などを観光ボランティアとして登録し、英語、中国語、ハングル語など七言語により、東京を訪れた外国人旅行者に対して、観光案内など利便性の向上を図る事業を実施しております。
 ボランティアの募集は三年に一度行っており、現在の登録者の活動期間は平成二十三年四月より平成二十六年三月までの三年間となっております。
 現在、人々のボランティア志向の高まりもありまして、これまでで最も多い約八百人が観光ボランティアに登録しております。

○斉藤(や)委員 ボランティアの皆様のお力があって、東京の観光にもお力を都民からいただいているということでございますが、次に、こうした都の観光ボランティアの皆様が、実際に外国人旅行者のためにどのような活動をしているのか、これなかなか一般の都民には見えない部分がございます。ぜひその活動の内容につきまして、これまでの実績とあわせてお伺いをしたいと思います。

○十河観光部長 観光ボランティアの具体的な活動についてでありますけれども、都内の主要観光ルート十コースの観光ガイドサービスを初め、都庁案内ツアー、国際会議やイベントへの派遣などのサービスを提供しております。
 また、昨年度からは、都庁の展望室に観光ボランティアを配置して、展望室からの景観を案内するなど、サービスの向上も図っているところでございます。
 これまでの利用者数の累計は、観光ガイドサービスが約五千六百人、都庁案内ツアーも約二万八千人に達しているほか、国際会議やイベントなどにつきましては、年間五件程度の派遣を行い、外国人参加者に対する観光案内や通訳補助などを実施しております。
 こうしたサービスの利用者からは、対応が丁寧でうれしかった、ガイドブックに載っていない話を聞くことができてとてもよかったといった声が寄せられておりまして、旅行者に好評なサービスとなっております。

○斉藤(や)委員 この都庁舎周辺にも、観光ボランティアの方が、来日、来都外国人の方のアドバイスというかサービスですね、ご案内をしているというお話で、よく外国人の方が都庁舎を目指して来られまして、記念撮影なんかしている姿がございますが、なかなか一般の人間ですと声かける勇気がないというか、外国人が日本においてどういう印象を受けるかというのは、実はガイドの方のホスピタリティーによるところが大変大きいものがございます。
 ボランティアの方々には大変感謝したいと思いますが、東京の外国人旅行者数の増加をこれからも図っていくためには、旅行者の満足度を向上させる必要がございます。東京で旅行者に触れ合う観光ボランティアの質の高いガイドサービスが、旅行者の再来訪を促すなどの効果を生むと考えます。
 そこで、こうしたボランティアの方々の質の向上といいますか、そういったスキルアップというか、今後の都の取り組みについてお伺いをしたいと思います。

○十河観光部長 観光ボランティアによるサービスは、外国人旅行者に対して、東京の魅力をより深く感じていただくとともに、おもてなしの心を伝えるなど、旅行者の満足度の向上に寄与するものでありまして、ボランティアの質を高めていくことは重要であると認識しております。
 また近年、外国人旅行者のニーズは多様化しておりまして、これまで余り知られていなかったスポットへの案内や人々との交流体験などを求める旅行者がふえていることから、こうしたニーズにきめ細かく対応していくことも必要となっております。
 都としては、今後、研修の充実を初め、最新の観光情報の提供、ウエブ上でボランティア同士が情報交換できる仕組みの構築など、ボランティアへのサポート体制を充実し、一層の質の向上を図ってまいります。

○斉藤(や)委員 旅行者の受け入れ体制の質の向上ということで、さまざまな施策、例えば情報交換ができるようにということで、ウエブ上でボランティア同士がやりとりできる仕組みの構築なども検討しているというご答弁がございました。
 このような観光ボランティアに対する都の取り組みはよくわかったわけでございますが、いろんな質疑を通じまして、観光というのは、ひとえに産業労働局の所管だけでなく、各局に多くまたがっているような側面があると思います。先ほど、港湾局の中でも観光の話題は大変多く出ましたし、また、教育の上でも、青少年交流とか来日の外国人、来都、訪都の外国人はさまざまな目的で東京を訪れることになろうかと思います。さまざまな角度で、この観光ボランティアの方々に対する情報提供も多岐にわたってくることが予想されるわけでございます。
 いずれにしましても、旅行者の満足度が高まることによりまして、帰国してから、彼らがそれぞれの国で東京のよい内容を語っていただく、それが評判となってまた広がっていくことは間違いないと思います。
 またその逆もあるわけでございまして、最近話題になりましたけれども、非常に悪いガイドが中国側の旅行会社と結託して、大変高い買い物を免税店でさせていると。その資金の回り方も、最初からガイドが旅行者から多額のお金を取ることを前提とするスキームができているみたいな、そういった悪質な旅行会社などが日本に人を送り込んできますと、日本、東京の印象が海外で悪くなるわけでございまして、こういったことは断じて阻止しなければなりません。
 そういったことも背後にありますけれども、いずれにしても、どういう方と日本で触れ合うか、どういう方のガイドを伺うかというのは、来日者にとってはとても大事なことでございますので、こうした取り組みはやはり重要であると強く感じております。
 都におかれましては、今後とも、このような受け入れ体制の整備充実をしっかり図っていかれることを期待して、次の質問に移りたいと思います。
 全く分野は違うんですけれども、今度は雇用のお話でございます。
 先ほどの斉藤あつし委員の部分と重なる部分があるんですけれども、私も障害者の就労支援について、質問を簡単にしたいと思っております。
 障害者の方が自立して生活をしていくためには、一般の企業などで就業を促進していくことが重要でございます。私もよく特別支援学校を訪問させていただくんですけれども、私の近いところは、三宿にございます都立青鳥特別支援学校ですが、その職業的自立に向けた専門的な教育を行うことを目的とした新しいタイプの高等部の設置、これは教育庁の方でも準備をしているようなところでございます。就労促進に向けた取り組みがさまざま行われておりますけれども、一般企業などでの就業を実現するためには、やはりこれも受け入れる企業の努力というか、それを拡大していくことが必要になるわけでございます。
 このような中で、来年の四月からは、法定雇用率が一・八%から二%へ、これは障害を持った方の雇用を促進するために法改正がなされたわけでございますけれども、法定雇用率が一・八%から二%に引き上げられることになっています。現在の都内の中小企業の低い実雇用率を踏まえますと、ノウハウのない中小企業にとりましては、この障害者雇用というのは大きな課題。景気、経済が大変な中で、本業がなかなか立ち行かない中で、こういった障害者施策においても、中小企業は大きな課題を背負うことになっているわけでございます。
 そこでまず、障害者雇用の促進に向けた企業に対する支援につきまして、都の取り組み内容をお伺いしたいと思います。

○穂岐山雇用就業部長 障害者雇用を進めるためには、障害者への支援だけでなく、雇用の受け皿となる企業に対する支援も重要です。
 このため、都では、企業における障害者雇用の理解を促進するため、障害特性や雇用に当たって留意すべきポイント、各種制度等をまとめた障害者雇用促進ハンドブックを作成、配布するほか、関係局と連携した企業向けセミナーを実施してまいりました。
 また、東京しごと財団におきまして、職場体験実習に対する支援や企業合同説明会を開催するなど、企業と障害者のマッチングに向けた支援を行っております。
 さらに、障害者を雇用した中小企業を対象に、国の助成金終了後二年間、賃金の一部を助成するとともに、東京ジョブコーチが企業に赴き、個々の企業の状況に応じて職場環境の調整や作業能力向上に係る助言等を行うことにより、障害者の職場定着を支援しております。
 昨年度からは、障害者を雇用した経験のない中小企業を対象としまして、採用前の環境整備から採用後の定着まで一貫して支援するオーダーメード型障害者雇用サポート事業をモデル事業として開始いたしました。

○斉藤(や)委員 ただいまご答弁の中でもご紹介がありましたけれども、障害者雇用促進ハンドブックということで、このようなものが各企業の方にガイドブックとして配られるわけでございます。ここに、理解、チャレンジ、そして笑顔というタイトルがございますけれども、その理解を進めていくことがとても大事であるという視点であります。
 雇い入れ前から雇い入れ後の定着支援まで、それぞれのステージで企業に対するさまざまな支援を実施されていることは今の答弁でわかりました。特に中小企業では、障害者を雇用する意思はありましても、雇用した経験がないためにどうしていいかわからない。不安を抱えているところも少なくないと思います。そのような中で、受け入れ前に、障害者の方が実際に働いている姿を見ることができる職場体験実習、企業において障害者の方を理解するに当たっては非常に有効な取り組みであると思います。
 この職場体験実習は、一般企業などでの就業に不安を抱える障害者ご本人の不安の払拭はもとより、職場環境になれるという効果もありまして、障害者と企業双方にとって重要な意義があるものであります。一般の企業などでの就業を目指す障害者のためにも、また、障害者を採用する意欲はあるがノウハウがない、その一歩を踏み出せないという企業のためにも、このような職場体験実習に対する支援を充実していくことが大切であると考えますが、都の見解を伺います。

○穂岐山雇用就業部長 企業が障害に対する理解を深め、障害者の能力や適性を判断するためには、障害者が実際に働いている姿を見ることが重要です。
 このため、都では、東京しごと財団を通じて、職場体験実習を実施する企業の開拓、受け入れ企業の障害者就労支援機関への紹介、職場体験実習面談会の実施、実習生の損害保険料の補助を行っております。
 今年度からは、東京しごと財団に新たに障害者雇用支援アドバイザーを配置し、職場体験実習受け入れ企業の開拓を強化いたしました。
 今後とも、こうした職場体験実習に対する支援を通じて、障害者雇用の一層の促進に努めてまいります。

○斉藤(や)委員 ありがとうございます。私は、今回の質問、簡単な質問、以上で質問は終わりますけれども、産業労働局が、障害者のためにこういった取り組みをしていること、企業の側に立って、就業の、雇用の支援をされていること、多くの施策があることを知ったわけでございます。私でそうですから、一般の都民の方は、さらにそういった情報があれば、大変に評価されると確信をいたします。
 私も先ほど申し上げましたが、特別支援学校の卒業式だとか入学式だとかさまざま、お父さん、お母さんにも触れ合うことがございます。昨年の卒業生では、一般企業に就職した特別支援学校に通っている方、初任給で母親にプレゼントをされたと。お母さんは、将来自分が亡くなった後も、この子は自立して生きていくことができるかどうかという、いつもそういうことを考えて生きておられるわけでございまして、雇用というものは、特に重要であるというふうに思うわけであります。
 また、目黒にはFC目黒、これはサッカーのチームではございません。フードコミュニティ目黒といって、お弁当をつくりながら就業の移行支援事業をしているNPOがございますが、外資系の企業にその障害を持った子が採用されました。先日、その五周年の記念の行事があったんですけれども、万雷の拍手で、その一人の青年を皆さんが拍手で送り出してる姿が大変うれしく思いましたし、本当に一人の方が雇用されることが、これほど地域でも多くの方の喜びにつながるのかということを実感してまいったわけでございます。
 数字の問題ではございません。しかし、そういった雇用率を上げるために、各中小企業も努力をしなければなりませんので、雇用率の引き上げが予定される中で、障害者の雇用を検討する企業もこれからふえてくることが考えられるわけでございます。
 今後とも、就業体験実習に対する支援の取り組みをさらに充実するなど、支援をよろしくお願いいたしますと要望して、私の質問を終わります。

○田の上委員 同じテーマがしばらく重なっていますが、私からも障害者雇用について伺います。
 障害者雇用については、これまでにも多々質問してまいりました。平成二十三年には、障害者基本法の改正により、差別禁止を含め、障害の有無にかかわらず、分け隔てのない共生社会を目指す目的が掲げられ、障害者の定義の見直しも行われました。
 また、改正により、雇用の促進や個々の障害者特性に応じた適正な雇用管理も一層求められます。
 しかしながら、障害者雇用は、障害に対する理解や制度普及、法令遵守などさまざまな課題があり、一朝一夕には進みません。まず、雇用されること、そして長期雇用されること、自立できることが障害者本人には必要である一方、事業者は義務化された制度からまず入り、障害の理解が後からついてくるという状況です。
 しかしながら、こうした中にあっても、障害者雇用に積極的な企業は、障害者に仕事をつくること、継続的に雇用することにさまざまな工夫を凝らし努力をしています。先ほどもご説明ありましたが、東京都中小企業障害者雇用支援助成金は、障害者の雇用定着支援のため、特に障害者雇用が進んでいない中小企業を対象に制度化されました。
 障害者を雇用し、特定求職者雇用開発助成金の支給を受け、平成二十年三月三十一日から平成二十五年三月三十日までの間に支給対象期間が満了となった後も、引き続き雇用を継続する事業主であることが要件となっています。以前より申し上げていますが、雇い入れに際し、数十万円の助成金を受け取るよりも、浅くても長い支援が継続雇用のかぎとなります。
 障害者の長期雇用継続のための支援について積極的に検討すべきと考えますが、ご所見を伺います。

○穂岐山雇用就業部長 障害者の安定的な雇用の確保に当たりましては、障害者と企業双方に対する定着支援が効果的です。
 このため、都は、ご指摘の助成金制度のほか、在職している障害者向けの訓練による職業能力の開発、向上や東京ジョブコーチ支援事業による職務の調整等を通じまして、障害者の体調や業務等の変化に柔軟に対応できるよう支援しております。
 今後とも、それぞれの施策を効果的に活用し、職場定着に向けた支援を行ってまいります。

○田の上委員 以前にもジョブコーチの派遣期間についての質問はさせていただいておりますが、定着のためには制度の応用は常に考えていかなければいけないと思っております。施策の評価をしっかりとしていくことが必要です。来年度以降も引き続きこの助成金の制度を継続していただきたい、さらには、より長い雇用継続のための支援へ発展させていただきたいと要望をさせていただきます。
 国の特定求職者雇用開発助成金は、金額は半分ほどになってしまいますが、大企業も対象になっております。一方、東京都の助成金は中小企業のみが対象となっています。
 就職者の雇用継続のためには、企業の大小ではなく、就職者の視点が最も大切です。大企業も含めての助成を検討するべきと考えますが、ご所見を伺います。

○穂岐山雇用就業部長 都内企業の障害者の雇用状況を見ますと、本年六月時点で実雇用率は一・六六%でございますが、規模が小さくなるほど実雇用率が低くなってございます。
 東京都中小企業障害者雇用支援助成金は、大企業に比べ取り組みがおくれている都内中小企業における障害者雇用を促進するため、国の助成金の支給終了後二年間、賃金の一部を助成するものでございます。
 東京ジョブコーチ支援事業におきましては、大企業を含めて障害者の職場定着を支援するため、東京ジョブコーチが企業に出向き、障害者の職場適応支援や職場内の環境調整などの支援を実施してございます。

○田の上委員 全国の企業数の二割強を抱える東京都は、雇用率の達成企業の割合では、企業の数の多さもあって、ワーストワンとなっています。中小企業で雇用を促進させることは、当然、必要でありますが、同時に障害者の就業の場をふやすということが重要です。先ほども申し上げましたが、就職者の視点ということです。障害者雇用をして助成金を受け取って、すぐに解雇するのでは困ります。雇用継続においては、さまざまな角度から支援の必要性を検討していただきたいと要望させていただきます。
 障害者の雇用の促進等に関する法律が改正され、平成二十二年七月からは、障害者雇用納付金の制度の対象が常用雇用労働者二百人を超える事業主にまで拡大され、平成二十七年四月からは、百人を超える事業主にまで拡大されることになります。また、先ほど斉藤委員もおっしゃっておりましたけれども、来年、平成二十五年には法定実雇用率が二・〇%になります。
 中小企業に一層の障害者雇用を促すためにさまざまなご努力をされていることは理解をしていますが、一番効果的なことは、よい導入事例を知ることだと考えます。そのためには、企業間の交流が必要です。
 中小企業の連絡会のような交流の仕組みをつくるために都が支援をするべきだと考えますが、ご所見を伺います。

○穂岐山雇用就業部長 企業で障害者雇用の検討を進める際には、具体的な事例を提示していくことも効果的です。
 このため、都では、企業向けセミナーや障害者雇用促進ハンドブックにおいて好事例を紹介してございます。
 また、東京しごと財団においても、中小企業向けセミナーで事例を紹介するとともに、中小企業も含め、企業間で障害者雇用に関する課題の検討や情報交換を行う企業情報連絡会を開催してございます。
 こうした取り組みを通じて、中小企業での障害者雇用の促進を図ってまいります。

○田の上委員 ご答弁では、東京しごと財団においてセミナーでの事例紹介をしたり、情報交換を行う企業情報連絡会に中小企業も含まれているとのことでございます。これから本当に中小企業は大変な課題を抱えていくことになりますので、ぜひそういった課題に耳を傾ける場をふやせるようご努力をお願いいたします。
 次に、メンタルヘルスについて伺います。
 厚生労働省の平成二十三年度脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況まとめによると、精神障害の労災請求件数が三年連続で過去最高を更新しています。平成二十三年度の請求件数は千二百七十二件で、うち自殺、自殺未遂が二百二件の請求となっています。また、過労死など脳・心臓疾患に関する労災補償状況では、平成二十三年度、八百九十八件で、二年連続増加、また、そのうち死亡が三百二件の請求となっています。私の身近でも、うつと診断されて精神科に通う人や病気休暇をとっている人が少なからずおります。もはや、どの業界でもメンタルヘルス対策は他人ごとではないと考えます。
 平成二十三年の労働安全衛生特別調査によると、メンタルヘルスケアに取り組んでいる事業場の割合は四三・六%と、平成十九年の調査に比べては一〇ポイントほど上昇していますが、まだなかなか進まない状況です。徐々にメンタルヘルスについての認識も向上しているようには思われますが、東京都では職場におけるメンタルヘルスの状況についてどのように認識をされているのか、お伺いいたします。

○穂岐山雇用就業部長 都は、労働相談情報センターでメンタルヘルスに対する労働相談に対応しており、平成二十三年度の相談件数は五千三百十一件と、ここ五年間は五千件台で推移しており、労働相談全体の約一割を占めてございます。
 また、国の平成二十三年労働安全衛生特別調査において、過去一年間に仕事や職業生活に関して強い不安、悩み、ストレスを感じる事柄があるという労働者は約三割となってございます。
 労働者が心身ともに健康で充実した職業生活を送り、企業が活力を維持向上させていくためにも、職場におけるメンタルヘルスの重要性は高まっていると認識してございます。

○田の上委員 メンタルヘルス不調を防ぐためには、職場環境を整えることが重要です。
 パワーハラスメントやセクシャルハラスメントなどの対人関係、継続するストレスが原因となることもありますが、昨今は労働組合がない、または、組合があっても機能していない企業も多いと推測します。メンタルヘルスに取り組む企業のうち、実際に専門スタッフなどを配置し、相談体制を整えることはなかなか難しいのではないかと推測いたします。
 企業がメンタルヘルス対策を進める上での課題について、都はどのように認識しているのか伺います。

○穂岐山雇用就業部長 先ほどの国の調査によりますと、メンタルヘルス対策に取り組んでいない企業の主な理由としては、必要性を感じない、取り組み方がわからないなどが挙げられており、企業が対策を推進していくためには、企業の意識改革を図るための普及啓発や必要な知識の付与が重要であると認識してございます。

○田の上委員 ぜひ、取り組み方がわからないという企業に対しては助言をしていくことも必要かと思いますので、要望といたします。
 都では、メンタルヘルスに関するセミナーなどを開催しています。しかしながら、多くの企業のトップの意識は、メンタルヘルスにまで及ばないというのが現状ではないかと思います。実際に、メンタルヘルスによる長期休職や、最悪なケースでは自殺などに至らなければ重要性に気がつかないこともあります。さまざまなケーススタディーも含めて指導を行うべきと考えますが、産業労働局ではどのように普及啓発をしているのでしょうか。
 また、職場復帰においては、厚生労働省でつくっている、心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引きというのがありますが、周囲の理解がなければなかなか復帰が成功するものではないと考えます。
 障害者雇用も同じですが、精神障害は見た目でわからないため、障害特性の理解を得られず、早期離職になるケースもあります。同様に、心の病を抱えていた労働者の復帰においては、職場全体の理解が必要です。
 企業のトップのみならず、職場全体にメンタルヘルスについて普及をしていくことが必要と考えますが、あわせてご所見をお伺いいたします。

○穂岐山雇用就業部長 メンタルヘルス対策は、企業が従業員に対する安全配慮義務に基づき、職場の状況に応じてみずから取り組むことが基本ですが、取り組みがおくれている企業もございます。
 このため、都では、事業主等を対象に普及啓発冊子を配布するなどの取り組みに加え、メンタルヘルス不調者への対応方法等に関するセミナーを実施しております。
 また、企業現場において職場全体へと対策を推進する中核的人材の育成を図るため、事例紹介など実践的な内容のメンタルヘルス推進リーダー養成講座も実施しております。
 さらに、専用のホームページを立ち上げ、労使双方に対し、メンタルヘルスに関する基礎的な知識や対処方法、法制度や相談機関の情報を広く提供するなど、普及啓発を図っているところでございます。

○田の上委員 東京商工会議所が九月二十日にまとめた中堅・中小企業の従業員の健康づくりに関するアンケート調査によると、従業員の心の健康についてサポートする社内風土や取り組みがある企業は三一%、ない企業は六七%という結果でした。今後、メンタルヘルスの重要性をさらに普及させていく必要があります。
 メンタルヘルス対策を推進する人材の育成のメンタルヘルス推進リーダー養成講座を含め、積極的な普及啓発をよろしくお願いいたします。
 メンタルヘルスの不調は正社員だけではありません。パートや契約社員など非正規労働者に及びます。会社の制度が利用しにくい非正規労働者において、どのような工夫がなされているのか伺います。

○穂岐山雇用就業部長 メンタルヘルス対策は、各職場の状況に合わせた取り組みが必要であり、雇用形態が多様化する現在、正規、非正規を問わず職場全体の労働者の方を対象とすることが必要です。
 働く人の心の健康づくり講座など、都で実施しているメンタルヘルスに関するさまざまな支援策につきましても、すべての労働者の方が利用できるものとなっております。
 また、会社で対策を講じていないなど、会社の制度を利用しにくい労働者の方に対しては、労働相談情報センターでの労働相談やセミナーなどにより支援を行っているところでございます。

○田の上委員 非正規労働者の方は、メンタルヘルス不調になったときにも救済の方法がわからない、最悪のケースではやめさせやすいのかもしれませんが、簡単に雇いどめが行われないよう、また、不調を未然に防げるよう利用できる相談体制についての普及も行っていただきたいと要望いたします。
 本年八月、改正労働契約法が公布され、有期労働契約が五年を超えて反復更新された場合には、労働者の申し込みにより無期労働契約に転換できるようになり、また、雇いどめ法理の法定化も規定されました。働く人が安心して働き続けることができる社会を目指し、日々、法制化が進められてはいますが、まだ弱い立場の労働者が声を上げにくい状況にあります。
 産業労働局におかれましては、メンタルヘルス対策を含め、さまざまな角度からさらなる労働環境の改善に努めていただきますようお願いをいたしまして、質問を終わります。

○三宅委員 私は、平成二十三年度から東京都農林・漁業振興対策審議会の委員に就任し、多くの方々と意見交換をする貴重な機会を得ることができました。
 昨年度は、農業振興について答申の作成に参画し、本年三月の東京農業振興プランの策定につながったところです。また、先週の七日には、林業及び水産業の振興について都からの諮問があったところです。
 地域の重要な産業である農林水産業は、豊かな都民生活の実現にも貢献しており、引き続き有効な支援が必要だと強く感じています。
 そこでまず、林業施策について伺います。
 私は先日、神津島の新しい図書館を訪ねてきました。天井や内装に多くの多摩産材が使われ、暖かでやわらかみのある雰囲気が醸し出されていました。島しょ地域では、このほかにも、大島には多摩産材をふんだんに使った小学校があり、各地から視察団が訪れています。
 都においては、民間の利用にも波及する公共利用を拡充するとともに、さまざまな工夫で民間利用の拡大にも一層取り組んでいただきたいと思います。
 こうした利用拡大には材の安定供給が必要ですが、都がこれまで取り組んできたスギ花粉発生源対策により一定量の供給は確保されました。しかし、今後、さらに供給を拡大していくには林道などの基盤整備が欠かせませんので、引き続き積極的な整備に努めていただきたいと思います。
 また、審議会で取り上げられた議論の中で、林業従事者の高齢化や、高度な技術を有する労働力の不足などが林業振興での大きな課題となっているとの説明がありました。
 木を切り、その跡地に木を植えて育てていくという森林の循環を進めていくには、新規就労者を確保し、高度な技術を有する労働力として育成していくことが必要と考えます。
 そこで、森林の循環を推進していく上で必要不可欠な林業労働力を確保、育成するための都の取り組みについて伺います。

○津国農林水産部長 多摩産材の安定的な供給や適切な森林整備を行っていくには、林業労働力の確保、育成が不可欠でございます。
 このため都では、東京都農林水産振興財団内に設置されている林業労働力確保支援センターを通じてさまざまな事業を実施しております。
 まず、新規就労者を確保するため、雇用者である林業事業体に対して従業員宿舎の借り上げ経費を助成しております。
 また、林業労働力としての育成を図るため、森林整備担い手確保対策事業によって、新規就労者に対しては森林整備に関する基礎的な技術研修を、一定の経験を積んだ就労者に対しましては高性能林業機械の技術の習得など、高度な技術研修を実施しております。
 さらに、都内の林業事業体の約九割が、労働者数九人以下の零細な事業体であり、経営が不安定なことから、体質強化を図るため、林業事業体強化育成事業を実施し、法人化や入札参加に向けた支援のほか、林業機械のレンタル料補助を行っております。
 今後とも、引き続きこれらの対策を着実に実施しながら、林業労働力の確保、育成に努めてまいります。

○三宅委員 次に、都市農業の振興について伺います。
 東京の農業も、高齢化や後継者不足などの課題に加えて、収益性が悪化するなど、非常に厳しい状況が続いています。このような状況にあっても、都内の各地域では、熱意を持って農業に取り組む農業者が多いことを審議会の中で委員の方々から聞き、大変心強く感じています。
 都は、こうした農業者への支援策として都市農業経営パワーアップ事業を実施し、施設整備への支援や経営面でのアドバイスにより経営強化をサポートしており、農業者から感謝の声が寄せられています。
 しかし、多様な産業や人材が集積している東京は、新たな経営に挑戦できる場であり、農業者の創意工夫やチャレンジ精神をもっと後押しすれば、オリジナリティーあふれる経営の展開も期待でき、若い人たちがさらに農業に夢や希望を持てるようになるのではないかと思われます。
 そこで、頑張る農業者をさらに後押しする施策の展開が必要だと思いますが、都の所見を伺います。

○津国農林水産部長 都内には約千五百名の認定農業者に代表される、新たな農業経営展開を目指す意欲的な農業者が多数存在いたします。さらに、最近では、東京の農業に魅力を感じ、新規参入した農業者もあらわれております。
 東京農業がさらなる発展をしていくためには、このような意欲ある農業者を支援し、東京農業が持つ潜在力を最大限引き出していくことが重要でございます。
 このため、都は、個々の農業者が抱えるさまざまな課題を解決するために、都市農業経営パワーアップ事業による経営アドバイスなどのサポートを行い、経営力の充実強化を図ってまいりました。
 今後は、さらに、より都民ニーズに即応した収益性の高い農業経営を実現するため、新たなブランド開発や販路開拓などについて、専門家による支援を拡充し、農業者の創意工夫とチャレンジ精神を発揮した取り組みを支援してまいります。

○三宅委員 次に、島しょ地域の基幹産業のうち、まず農業について伺います。
 島しょ地域では、台風や冬場の強い西風など厳しい自然環境に加え、農業用水の確保が難しい地域や、集落から農地へのアクセスが不便な地域が多く、そんな中で農業を営む農業者の苦労は絶えません。
 このような不利な条件を克服していくためには、ダム、パイプラインなどの農業用水施設や農道を整備していくことが必要であり、都はこれまでも町村に対して整備を支援してきています。
 しかし、まだまだ行き届いているとはいえず、この地域の農業を活性化させるためには、基盤施設のさらなる整備が必要であると強く感じています。
 また、島特有の厳しい自然環境下にある施設は、劣化が激しく、老朽化も進む中で、日々の維持管理に苦労している状況となっています。
 そこで、島しょ地域における農業基盤の整備、保全への取り組みについて伺います。

○津国農林水産部長 島しょ地域の農業振興には、生産基盤である農業用水施設や農道を整備するとともに、計画的な改修等により、施設の適切な保全に努めることが重要でございます。
 そこで都は、こうした基盤整備に当たっては、事業の対象となる農地の規模に応じて、国庫事業である公共土地改良事業と都単独事業である小規模土地改良事業を実施し、効果的な整備に努めております。
 今年度の具体的な取り組みといたしましては、まず農業用水施設につきましては、大島、新島、三宅島においてダムの水質改善のためのろ過装置の整備や、機能低下したパイプラインの更新などを行っているほか、神津島では、来年度からの整備に向けて井戸や貯水槽などの補修計画を策定しております。
 また、農道につきましては、新島、神津島、三宅島、八丈島において、新規路線の整備に向けた設計や、劣化した舗装、ガードレールなどの改修を行っております。
 今後とも、島しょ地域の生産基盤の整備、保全につきまして、地域の実情に合わせて対応してまいります。

○三宅委員 都の取り組みについてはよくわかりました。引き続き地元の町村と連携し、効果的な支援をお願いします。
 次に、水産業の振興について伺います。
 伊豆諸島では、トビウオやムロアジなどの漁獲量が安定しているにもかかわらず、活用が進まないことが厳しい漁業経営を招く一因となっています。
 こうした状況を打開するために、都が開始したぎょしょく普及事業は、主婦層や子どもたちなどを対象に、魚の魅力を直接発信し、消費拡大につなげるもので、大きな期待をしているところです。
 このうち、八丈島の漁協の女性部が講師となり、小中学生に島の魚や漁村の暮らしなどを伝える浜のかあさんと語ろう会が大変好評で、学校給食への水産加工品の利用増加に結びついているなど、本事業が想像以上に地元を活気づけていると感じています。
 しかし、その効果は今のところ先駆的に実施している八丈島に限られており、厳しい漁業経営が続くほかの島々においても早急に本事業を展開する必要があると思っています。
 そこで、本事業のこれまでの成果と今年度の取り組み予定についてお伺いします。

○津国農林水産部長 都民に東京産水産物の魅力を実際に感じていただき、将来の消費拡大につなげていくことは、水産業の振興にとって非常に重要でございます。
 そこで、平成二十一年度から、ぎょしょく普及事業を開始し、都職員が講師となり、東京の水産業などの魅力を伝える出前講座を行ってきたほか、活動が活発であった八丈島の女性部による浜のかあさんと語ろう会などを展開し、水産加工品の販路開拓を応援してまいりました。
 その結果、平成二十三年度末までの三カ年で、都内の約三割の小中学校の給食において八丈島の水産物の利用実績がございます。また、本年八月には、栄養士などの給食関係者を八丈島に招き、漁業操業や水産物の加工、調理を体験していただいたところ、参加者からは好評で、新たに数校の学校給食での利用につながりました。
 さらに今年度からは、神津島におきまして、都内企業の社員食堂を対象に、新たな販路開拓に取り組むとともに、ほかの島にも取り組みを広げるため、生産体制など各島の実情に応じ、準備を進めているところでございます。
 今後とも、各島と連携し、東京産水産物の魅力発信と消費拡大を図ってまいります。

○三宅委員 水産業振興にとって、島しょ地域の水産物を都民の皆さんに情報発信し、あるいはいろいろと体験していただくことは非常に有効な取り組みだと思っています。ぜひ、今後も都の強力な支援をお願いいたしたいと思います。
 次の質問に移ります。
 都は、都内産農林水産物を積極的に使用する飲食店を登録する、とうきょう特産食材使用店登録制度を実施していますが、飲食店はもとより商工関係者からも評判がよく、登録店を収録したガイドブックも好評であると聞いています。
 島しょ地域においても農林水産業の振興には、生産はもとより、島外、島内を含めた消費を見据えた地産地消の推進が重要であります。
 ついては、とうきょう特産食材使用店登録制度の概要と、島しょ産の農林水産物の利用状況について伺います。

○武田安全安心・地産地消推進担当部長 とうきょう特産食材使用店登録制度は、都内産食材を積極的に使用する飲食店を都が登録してPRすることで都内産農林水産物をアピールし、地産地消を拡大することを目的としております。
 本制度を始めるに当たっては、飲食店の数が多いにもかかわらず、都内産食材の使用割合が少ないと思われた区部及び多摩地域の飲食店を対象にすることといたしました。
 今年度は九月に登録審査会を行い、新規に六十店を登録し、合計では三十六の区市町村において百九十七店が登録されております。
 登録店を紹介するとうきょう特産食材使用店ガイドは、昨年度、二万部を配布しており、今年度も新たな登録店を加え、改訂版を発行する予定でございます。
 登録申請時には、都内産農林水産物の使用品目を申告してもらっておりますが、島しょ産のものを使用していると申告してきた店舗は十三店でございます。
 使用されている品目は、アシタバやパッションフルーツなどの農産物、また、キンメダイ、タカベ、ノリなどの海産物が多く、料理方法はてんぷらや刺身、カルパッチョなど、和風料理から洋風料理までさまざまでございます。
 都は、今後とも、島しょ地域についても地産地消を推進し、農林水産業の振興に努めてまいります。

○三宅委員 島しょ地域の農林水産業は、それぞれの島の自然を生かした特色ある生産を行っており、アシタバやサツマイモ、タマネギ、また新鮮な魚介類など、魅力ある特産物があります。
 しかし、とうきょう特産食材使用店の取り組みは、答弁にもありましたとおり、都市部で先行実施されたものであり、残念ながらガイドブックには島の飲食店が掲載されていません。
 こうした取り組みは、島の特産物のPRにもなり、観光振興にも寄与するところが大きいと考えます。島しょ地域が魅力を取り戻し、かつてのようなにぎわいを見せるためには、各島が特産物を初めとした特色ある資源をアピールし、観光産業の振興を図ることが大切です。
 島しょ部にとっては、農林水産業の振興に加え、観光産業の支援を通じて、より一層の地域としての活性化を実現することが重要だと考えていますので、都としての積極的な取り組みをお願いしておきたいと思います。
 観光というテーマが出てまいりましたので、最後に、観光による被災地支援について伺います。
 東日本大震災により、甚大な被害を受けた被災地では、観光客が激減し、観光産業を取り巻く状況は依然として厳しく、観光振興による都の復興支援の取り組みは、被災地の人々の大きな励みとなっていると思います。国の復興支援がおくれている中、都としてはこうした取り組みを着実に進めていくことが大切です。
 都は、復興支援の一環として、平成二十三年度より被災地応援ツアーを実施し、平成二十四年度からは、我が党の提案を受け、新たに日帰り旅行も対象に含め、観光による支援を着実に進めている点を評価したいと思います。
 観光振興によるこうした復興支援の取り組みを今後も継続すべきと考えますが、都の見解を伺いまして質問を終わります。

○十河観光部長 都は、観光振興により、被災地の復興を後押しするため、これまで被災地応援ツアーのほか、全国観光PRコーナーにおきまして、被災三県の地域特産品販売を含む復興支援イベントを開催するなど、広く被災地の魅力を発信してまいりました。
 また、平成二十四年度における福島県への被災地応援ツアーにつきましては、より多くの都民が利用しやすいよう、新たに日帰り旅行も対象として事業展開をしております。
 今後も、被災地の復興につながる観光振興につきまして、さまざまな観点から検討してまいります。

○伊藤(ゆ)委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○伊藤(ゆ)委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で産業労働局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後八時五十九分散会

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