経済・港湾委員会速記録第十四号

平成二十四年十一月八日(木曜日)
第八委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長伊藤 ゆう君
副委員長島田 幸成君
副委員長三宅 正彦君
理事伊藤こういち君
理事宇田川聡史君
理事大西さとる君
佐藤 広典君
斉藤やすひろ君
田の上いくこ君
鈴木あきまさ君
田島 和明君
清水ひで子君
木内 良明君
斉藤あつし君

 欠席委員 なし

 出席説明員
産業労働局局長中西  充君
次長保坂 政彦君
総務部長斎藤 真人君
産業企画担当部長矢田部裕文君
商工部長河内  豊君
金融部長寺崎 久明君
金融監理部長黒沼  靖君
金融支援担当部長片山  謙君
観光部長十河 慎一君
農林水産部長津国 保夫君
安全安心・地産地消推進担当部長武田 直克君
雇用就業部長穂岐山晴彦君
事業推進担当部長戸澤  互君
中央卸売市場市場長塚本 直之君
管理部長塩見 清仁君
事業部長横山  宏君
新市場整備部長志村 昌孝君
市場政策担当部長江藤  巧君
企画調整担当部長森本 博行君
移転支援担当部長高木 良明君
新市場事業計画担当部長加藤  仁君
新市場事業推進担当部長日浦 憲造君
基盤整備担当部長加藤 直宣君
施設整備担当部長久保田浩二君
港湾局局長多羅尾光睦君
技監前田  宏君
総務部長黒田 祥之君
企画担当部長古谷ひろみ君
港湾経営部長笹川 文夫君
港湾経営改革担当部長野瀬 達昭君
臨海開発部長石原 清志君
開発調整担当部長大和田 元君
営業担当部長山口 祐一君
港湾整備部長石山 明久君
計画調整担当部長大釜 達夫君
離島港湾部長渡辺  滋君
島しょ・小笠原空港整備担当部長小幡 和輝君
労働委員会事務局局長岳野 尚代君

本日の会議に付した事件
 港湾局関係
事務事業について(説明)
 産業労働局関係
事務事業について(説明)
 労働委員会事務局関係
事務事業について(質疑)
 中央卸売市場関係
事務事業について(質疑)

○伊藤(ゆ)委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、港湾局及び産業労働局関係の事務事業の説明聴取並びに労働委員会事務局及び中央卸売市場関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより港湾局関係に入ります。
 初めに、港湾局長よりあいさつ並びに幹部職員の紹介があります。

○多羅尾港湾局長 港湾局長の多羅尾光睦でございます。
 伊藤ゆう委員長を初め各委員の皆様方には、港湾局の事務事業につきまして日ごろから特段のご配慮を賜り、厚く御礼申し上げます。
 今後とも、事務事業の執行に当たりましては、一層努力してまいりますので、引き続きご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
 続きまして、港湾局の幹部職員を紹介させていただきます。
 技監の前田宏でございます。総務部長の黒田祥之でございます。企画担当部長の古谷ひろみでございます。港湾経営部長の笹川文夫でございます。港湾経営改革担当部長の野瀬達昭でございます。臨海開発部長の石原清志でございます。開発調整担当部長の大和田元でございます。営業担当部長の山口祐一でございます。港湾整備部長の石山明久でございます。計画調整担当部長の大釜達夫でございます。離島港湾部長の渡辺滋でございます。島しょ・小笠原空港整備担当部長の小幡和輝でございます。当委員会との連絡に当たります総務課長の有金浩一でございます。同じく企画計理課長の小泉雅裕でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○伊藤(ゆ)委員長 あいさつ並びに紹介は終わりました。

○伊藤(ゆ)委員長 次に、事務事業について理事者の説明を求めます。

○多羅尾港湾局長 港湾局が所管しております事務事業の概要についてご説明申し上げます。
 お手元にお配りしております事業概要要旨の一ページをごらんいただきたいと思います。
 港湾局は、東京港及び島しょの港湾、空港等の整備、管理運営や東京臨海地域の開発等の事業を通じて、物流の円滑化や都市の再生、防災機能の充実などを図り、都民生活の向上と産業の発展に努めております。
 東京港は、首都圏四千万人の生活と産業活動に欠くことのできない重要な役割を担っております。東京港の昨年の外貿コンテナ貨物取扱個数は四百十四万個となり、十四年間連続日本一となりました。
 一方、近年、アジア諸港の躍進により、東京港を初めとする日本港湾の国際的地位の低下が進むなど、我が国経済に深刻な影響が生じかねない状況でございます。このため、東京都は、川崎市、横浜市とともに、港湾コストの低減、港湾機能の充実強化など、さまざまな取り組みを展開し、平成二十二年八月には、京浜港として国際コンテナ戦略港湾に選定されました。
 昨年九月には、京浜港の総合的な計画を策定し、東京港といたしましても、国際競争力の強化に向けた取り組みを一層推進しております。
 また、臨海地域におきましては、その特性や潜在力を最大限に生かし、この地域が東京全体の活力の牽引役となるよう、総力を挙げて開発を進めているところでございます。
 さらに、島しょ地域におきましては、住民の生活基盤を確保するとともに、地域の産業振興に資するため、港湾、空港等の充実に取り組んでいるところでございます。
 次に、個別事業の概要を述べさせていただきます。
 東京港の管理運営につきましては、京浜港に寄港する日本と欧米等とを直接結ぶ国際基幹航路を堅持するため、京浜三港の広域連携のもと、京浜港への貨物集荷に向けた取り組みを積極的に進めるとともに、港湾コストの低減や利用者サービスの向上など、効率的で使いやすい港づくりを推進してまいります。
 また、港湾施設の整備につきましては、東京港第七次改訂港湾計画に基づき、中央防波堤外側の外貿コンテナふ頭などの耐震強化岸壁の整備や、緊急物資輸送を行う臨港道路、橋梁等の整備推進を図るなど、東京港の港湾機能の充実強化に取り組んでまいります。
 地震、津波や高潮から都民の生命と財産を守るための防災対策につきましては、東日本大震災を踏まえ、防潮堤や水門の耐震化対策、高潮対策センターの二拠点化などを着実に進め、防災機能の一層の強化に取り組んでまいります。
 臨海副都心の開発につきましては、臨海副都心まちづくり推進計画に基づき、着実に開発を推進してまいります。
 今後、青海地区北側を中心として、大きな経済波及効果を持つ国際会議や展示会などの開催、いわゆるMICEや国際観光の一大拠点へと臨海副都心を発展させ、日本経済を牽引する重要な国際戦略拠点へと成長させる取り組みを進めてまいります。
 また、環境負荷を軽減し、環境先進都市の実現にも取り組み、都民全体の貴重な財産として魅力あるまちづくりを進めてまいります。
 さらに、臨海部から都心へ向かう風の道の起点となる海の森の整備を進めており、今後とも、都民や企業、NPO等との協働により、緑あふれる東京の再生を目指してまいります。
 島しょ地域におきましては、引き続き、津波軽減効果もあわせ持つ港湾、漁港、海岸保全施設及び空港施設の整備を着実に進めてまいりますとともに、観光、地場産業の振興を図る、島のみなとまちづくり事業を推進してまいります。
 最後に、港湾局所管の監理団体でございますが、臨海地域のエリアマネジメントを推進する臨海ホールディングスグループを今後も一層活用し、臨海地域の発展に向けた取り組みを進めてまいります。
 以上が港湾局事業の概要でございます。
 これからも職員一丸となって、新しい時代にふさわしい事業を積極的に展開していく所存でございます。よろしくご指導賜りますようお願い申し上げます。
 なお、詳細につきましては総務部長から説明させていただきます。

○黒田総務部長 局長の説明に引き続きまして、お手元の資料1、港湾局事業概要によりましてご説明を申し上げます。
 一ページをお開き願います。港湾局の組織と予算でございます。
 港湾局は、五部二事業所の組織、職員定数は五百六十九名となっております。
 二十四年度局予算の概要でございますが、一般会計、臨海地域開発事業会計、港湾事業会計の三会計で、予算総額二千五百二十二億二千三百万円でございます。各会計の概要は、一ページから二ページに記載させていただいておるとおりでございます。
 続きまして、三ページをお開き願います。2、東京港の管理運営でございます。
 東京港には、公共ふ頭のほか、東京港埠頭株式会社が管理運営するふ頭、民間の専用ふ頭があり、日々膨大な貨物が取り扱われております。
 港湾施設の運営に関しましては、係留施設等は都が直接管理運営しておりますが、外貿コンテナ関連港湾施設や船舶給水施設、客船ターミナル施設は、指定管理者であります東京港埠頭株式会社が管理しております。
 また、船員や港湾労働者への福利厚生の充実にも努めております。
 次に、3、東京港の港湾計画等の策定でございます。
 東京港第七次改訂港湾計画は、平成十八年に作成いたしましたもので、平成二十年代後半を目標年次として、東京港の開発、利用、保全の基本的事項を定めたものでございます。
 続きまして、五ページをごらんいただきたいと存じます。4番、港湾施設の整備でございます。
 港湾計画に基づき、係留施設や臨港交通施設など港湾施設の整備を進めております。中央防波堤外側コンテナターミナルの整備を進めるほか、内貿ユニットロードターミナルの整備を行います。
 次に、5、東京港の国際競争力の強化と危機管理の充実でございます。
 東京港の国際競争力を強化し、メーンポートとしてさらに発展していくためには、官民が一体となった低コスト高サービスに向けた取り組みを進めてまいります。
 六ページをお開き願います。
 上段に記載しておりますとおり、平成二十年三月、東京都、川崎市、横浜市は、東京湾の国際競争力を強化するため、基本合意書を締結し、港湾コストの低減、利便性の向上などの課題に三港が連携して取り組んでいるところでございます。
 この基本合意以降、京浜港が進むべき方向について検討を進め、平成二十二年二月に京浜港共同ビジョンを取りまとめ、昨年九月には、今後、三港が策定する港湾計画の基本となります京浜港の総合的な計画を策定いたしました。この計画に基づきまして、ユーザーのニーズにこたえる安全で使いやすい港づくりを目指した環境整備に取り組んでまいります。
 さらに、平成二十二年八月に選定を受けました国際コンテナ戦略港湾の実現に向け、広域からの貨物集荷や戦略的な港湾経営など、具体的な施策に取り組んでまいります。
 七ページをごらん願います。
 七ページの中ほどに記載させていただいております(2)番の港湾施設の危機管理につきましては、密輸、密入国など、東京港の水際を脅かす危機に的確に対処していくことが課題となっております。このため、隣接する港湾や国の関係機関などで構成する東京湾保安対策協議会によるテロ対策訓練等を継続的に実施するとともに、コンテナふ頭にはフェンス、ゲートを整備し、保安対策の強化を行っております。
 今後も、関係機関や民間事業者との連携を強化し、東京港の危機管理能力を高めてまいります。
 続きまして、八ページをお開き願いたいと存じます。6番、防災機能の向上でございます。
 防潮堤や水門などの海岸保全施設は、地震による水害や台風による高潮から都民の皆様の生命と財産を守るものでございます。本年度は、防潮堤の整備及び耐震対策を行うほか、高浜水門等の耐震対策工事も実施いたします。海岸保全施設整備につきましては、東京都防災会議の被害想定を踏まえ、年内に現行計画を見直し、必要な対策を推進してまいります。
 次に、7、運河ルネサンスの取り組みでございます。
 運河ルネサンスは、運河等の水域利用とまちづくりが一体となって、地域のにぎわい等の創出を目指すものでございます。本年度は、指定されております五地区間の連携によります取り組みを進めてまいります。
 九ページをごらん願います。8、大都市の環境保全・回復でございます。
 引き続き、東京港内の清掃や放置艇対策、さらには、船舶等による大気汚染対策の推進に取り組んでまいります。
 次に、(3)の廃棄物処理場整備事業でございますが、ア、新海面処分場整備事業は、廃棄物の最終処分場として、面積約四百八十ヘクタールの処分場の整備を段階的に進めているところでございます。
 なお、平成二十一年度からはDブロックの護岸建設工事に着手しております。
 続きまして、一〇ページをお開き願いたいと存じます。9番、臨海地域開発のさらなる推進でございます。
 埋立地の開発につきましては、現在、東京臨海地域におきまして二千七百六十九ヘクタールの造成、整備を進めておりまして、四つの土地利用計画を定め、総合的かつ計画的に開発を進めております。
 一一ページをごらん願います。(2)、臨海副都心の開発に関しましては、現在、平成九年に策定しました臨海副都心まちづくり推進計画をもとに開発を進めております。
 また、平成十四年に臨海地域開発財政基盤強化プランを、さらに、平成十八年には、「臨海副都心開発の今後の取り組み-総仕上げの十年間-」を策定し、財政基盤の強化や今後の具体的な取り組み等について、必要な見直しを行ってきております。
 これらの内容につきましては、一一ページから一三ページ上段にかけて記載しておりますので、後ほどごらんいただきたいと存じます。
 続きまして、一三ページをお開き願います。オ、開発の進捗状況でございますが、進出事業者につきましては、本年四月、有明南地区において大学が開校し、また、青海地区に業務・商業複合施設が開業いたしました。
 今後も、青海地区に業務・商業複合施設、有明北地区には住宅、商業、業務施設など、臨海副都心の開発は着実に進んでおります。
 さらに、カ、環境先進都市への取り組みでございますが、平成二十一年三月に臨海副都心まちづくりガイドラインを改定し、緑化率四〇%の義務づけを明記するなど、環境先進都市の実現に向けて取り組んでいるところでございます。
 続きまして、一四ページをお開き願いたいと思います。ク、臨海副都心におけるMICE・国際観光拠点の形成でございますが、臨海副都心を世界的にもトップレベルのMICE、国際拠点化へ発展させていくために、民間事業者への事業の支援、規制緩和、税制支援などの取り組みを進めてまいります。
 次に(3)、豊洲地区・晴海地区の開発状況でございます。
 豊洲地区におきましては、業務・商業、居住、市場などの各機能がバランスよく配置された複合市街地の形成を目指して開発を進めてまいります。
 晴海地区では、土地区画整理事業や市街地再開発事業によりまして、着実に事業が進められているところでございます。
 今後とも、地元地権者等と協議し、それぞれの地区の特性に応じた事業手法によりまして開発を促進してまいります。
 一五ページをごらんください。(4)、都市再生事業の推進でございます。
 広域防災拠点の整備でございますが、臨海副都心有明の丘地区が首都圏広域防災拠点として位置づけられておりまして、平成二十二年七月に東京臨海広域防災公園として開園したところでございます。
 (5)番の臨海地域における監理団体改革についてでございます。
 臨海地域を活動基盤とする監理団体につきましては、平成十八年五月に発表した持ち株会社構想によりまして、順次、経営統合することといたしました。
 これによりまして、平成十九年一月に、株式会社東京臨海ホールディングスを設立いたしました。
 その後、東京臨海熱供給、「ゆりかもめ」、東京テレポートセンター、東京港埠頭株式会社、東京ビッグサイトを順次、子会社化し、グループ五社の経営統合を平成二十一年一月に完了しております。
 臨海ホールディングスグループは、各社の力を結集し、効率的なグループ経営を推進し、臨海地域発展の中核を担ってまいります。
 続きまして、一六ページをお開き願いたいと存じます。10番の新たな海上公園への取り組みでございます。
 (1)の海上公園事業は、葛西沖から羽田沖までの臨海部全域にわたる一体的な海上公園構想を実現するため、四つの基本的な考え方に基づき整備を進めております。現在、四十四カ所、九百六十八・四ヘクタールにつきまして計画が決定されております。
 (2)番の「海の森」事業の推進についてでございますが、海の森は、中央防波堤内側埋立地に約八十八ヘクタールという区部最大級の規模となる公園を整備するものでございます。
 一七ページをごらん願います。11、島しょ等の港湾・漁港・空港・海岸でございます。
 島しょ地域におきましては、島民の方々の交通基盤となります港湾、空港、漁業振興の基盤となる漁港、災害防止のための海岸保全施設の整備等を行っております。
 (1)、伊豆諸島の港湾、漁港、空港及び海岸保全施設の整備でございますが、これらの施設につきましては、東京都離島振興計画等に基づき、事業を実施しております。
 続きまして、一八ページをお開き願いたいと存じます。(2)番、小笠原諸島の港湾、漁港、空港整備でございます。
 この事業は、小笠原諸島振興開発計画に基づきまして実施をしております。
 続きまして、一九ページから二一ページにかけましては、二十四年度の港湾局予算概要の表でございます。後ほどごらんいただきたいと存じます。
 次に、当局が所管しております東京都監理団体等につきまして、その概要をご説明申し上げます。
 お手元にお配りしておりますA4サイズ一枚の資料になりますが、資料2、東京都監理団体等一覧をごらん願いたいと存じます。
 東京都監理団体が一団体、その他報告を受ける団体が五団体ございます。
 お手元には、これらの団体の経営状況等説明書のほか、臨海ホールディングスグループの連結の経営状況等説明書を配布してございますので、後ほどごらん願いたいと存じます。
 また、参考資料といたしまして、事業概要等をお配りしてございますので、こちらも後ほどごらん願いたいと存じます。
 以上をもちまして、当局の事務事業の説明を終わらせていただきます。
 各委員の皆様におかれましては、当局事業及び監理団体等につきましてご指導、ご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

○伊藤(ゆ)委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○大西委員 東京港で扱うコンテナの二十フィートと四十フィートと四十五フィート、これの取扱高、ここ数年。
 それと、それに対して世界の主な取扱高の多いところの港における、同じく二十、四十、四十五の、どのぐらいの推移で動いているかというのをわかりやすい表みたいなのにまとめていただいて、お願いをいたします。

○清水委員 四点お願いします。
 臨海地域開発事業の基盤整備関連経費、これまでと今後。
 二点目、臨海地域開発事業会計における企業債償還の推移。
 三点目、臨海副都心における有償処分予定地の現況一覧。
 四点目、港湾施設の耐震化の状況と今後の計画。
 以上です。

○伊藤(ゆ)委員長 ほかにございますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○伊藤(ゆ)委員長 ただいま大西理事、清水委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○伊藤(ゆ)委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。
 以上で港湾局関係を終わります。

○伊藤(ゆ)委員長 これより産業労働局関係に入ります。
 初めに、産業労働局長よりあいさつ並びに幹部職員の紹介があります。

○中西産業労働局長 産業労働局長の中西充でございます。
 伊藤委員長を初め各委員の皆様のご指導、ご鞭撻を賜りまして、微力ではございますが、産業労働行政の一層の推進に全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 引き続きまして、当局の幹部職員を紹介させていただきます。
 次長の保坂政彦でございます。総務部長の斎藤真人でございます。産業企画担当部長の矢田部裕文でございます。商工部長の河内豊でございます。金融部長の寺崎久明でございます。金融監理部長の黒沼靖でございます。金融支援担当部長の片山謙でございます。観光部長の十河慎一でございます。農林水産部長の津国保夫でございます。安全安心・地産地消推進担当部長の武田直克でございます。雇用就業部長の穂岐山晴彦でございます。事業推進担当部長の戸澤互でございます。最後に、本委員会との連絡に当たらせていただきます総務課長の坂本雅彦でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○伊藤(ゆ)委員長 あいさつ並びに紹介は終わりました。

○伊藤(ゆ)委員長 次に、事務事業について理事者の説明を求めます。

○中西産業労働局長 産業労働局が所管しております事務事業の概要につきましてご説明申し上げます。お手元の事業概要要旨をお開きください。
 都内経済は、円高の長期化や世界経済の減速などを背景に、このところ弱目の動きを見せており、今後の先行きは極めて不透明であります。
 産業労働局では、こうした厳しい状況のもと、平成二十四年三月に日本経済を牽引する東京の産業を新たな成長軌道に乗せていくため、中長期にわたる東京の産業振興の方向性を示す東京都産業振興基本戦略を改定いたしました。
 本戦略に基づき、東京の産業力強化に向けて、商工業から観光産業、農林水産業に至るまで幅広い産業の振興のほか、雇用就業の促進といった都民生活にかかわりの深い重要な事業に取り組んでおります。
 それでは、局の主要な取り組みについてご説明申し上げます。
 第一に、中小企業振興でございます。
 都内企業の九九%を占める中小企業は、都内経済の活力の源泉であるとともに、雇用面でも大きな役割を果たしております。
 一方で、激変する経済環境の影響を受けやすく、困難な競争条件に置かれる存在でもあるため、中小企業の経営基盤の強化に向けた取り組みが必要であります。
 まず、東京都中小企業振興公社が行う総合支援事業では、中小企業診断士や会計の専門家による窓口相談や会社訪問での助言、指導を初めとする総合的、継続的な支援を行っております。
 目指せ中小企業経営力強化事業では、経営診断や中小企業に対する展示会の出展支援などを行っております。
 また、個々の企業では解決困難な課題に立ち向かう中小企業のグループに対しては、新たにグループ戦略策定・展開支援事業で支援するなど、経営力の向上を図っております。
 電気料金の値上げなどに対応するため、電気料金の使用量を抑制する節電に取り組む中小製造業などを支援していくことも重要です。中小企業向け電力自給型経営促進支援事業では、節電や電力確保に取り組む中小企業に対して、自家発電設備や電力の使用状況を監視する装置などの導入を推進しております。
 都内産業の振興のためには、環境分野や健康分野など、今後成長が期待される産業を育成するなど、新しい成長機会を積極的に取り込んでいくことも極めて重要です。
 都市課題解決のための技術戦略プログラムにおいて、今年度は、高度な防災都市に関するテーマについて技術開発指針を作成し、この指針に沿った中小企業等の技術、製品の開発を推進してまいります。
 歴史的な円高により懸念されている無秩序な産業の空洞化に対しては、対策を講じなければなりません。
 そこで、ものづくり産業集積強化支援事業により、都内ものづくり中小企業の産業集積を維持するため、区市町村と連携して立地支援や操業環境の整備などに取り組んでおります。
 商店街は、地域の商業活動の拠点であるとともに、地域のコミュニティの担い手として重要な役割を担っています。
 商店街の振興につきましては、商店街等が行うイベント事業や活性化事業等を支援する新・元気を出せ商店街事業に加えて、今年度は新たに買い物弱者支援モデル事業を立ち上げ、買い物に不便を感じる住民をサポートする商店街の効果的な取り組みを支援してまいります。
 次に、金融支援でございます。
 信用力が弱く、金融機関からの融資を受けにくい中小企業には、中小企業制度融資などにより資金調達の円滑化を図っております。
 また、創業間もない企業の成長支援のため、今年度新たにベンチャーファンドを創設してまいります。
 新銀行東京の経営監視等につきましては、新銀行東京が中小企業への継続的な支援を図りつつ、本年三月に発表した中期経営計画を確実に達成するため、都として適切な監視と支援を行っております。
 第二に、観光産業振興でございます。
 観光産業振興では、国内外からの旅行者の誘致に向け、東京の魅力を世界に発信、観光資源の開発、受け入れ体制の整備などの施策を展開しております。
 まず、東日本大震災の影響により落ち込んだ外国人旅行者数を回復するため、先月、東京で開催されたIMFと世界銀行の総会などの機会をとらえ、東京の魅力や安全性を積極的にアピールするMICEを通じた日本復興・東京安全PR事業や、東京での体験を通じて海外での正確な情報発信を促進する海外旅行エージェントの招聘などに取り組んでおります。
 東京には、多様な観光資源が豊富にございます。そこで、旅行者が訪れるたびに東京の魅力を感じていただけるような取り組みを行っております。
 都心に近接しながら豊かな自然に恵まれている多摩地域や、多様な魅力を持つ島しょ地域への観光施設整備等補助事業や、水辺を活用した魅力の創出に取り組む舟運を機軸とした観光ルートの開発など、都内各地域においてさらなるにぎわいを創出するさまざまな事業を行っております。
 第三に、農林水産業振興でございます。
 東京にはコマツナやホウレンソウなどの野菜類や、伊豆諸島のキンメダイを初めとする数多くの農林水産物があり、農業、林業、水産業それぞれの振興に取り組んでおります。
 都市農業の振興には、農業の担い手が将来にわたり希望を持って農業を行える環境づくりが重要となっております。このため、都市農業経営パワーアップ事業では、施設整備等への支援とあわせて経営等の専門家の派遣を行い、都市の有利性を生かした経営力の強化を図っております。
 また、食の安全安心・地産地消拡大事業では、食の安全・安心に対する都民の関心にこたえ、都内産農林水産物の地産地消を拡大していくため、東京の農林水産物を積極的に使用している飲食店を都が登録し、広く都民へPRしております。
 林業の振興においては、伐採、利用、植栽、保育という森林の循環を進めるため、森林の循環再生プロジェクトによる林道などの基盤整備や森林施業の集約化に加え、公共、民間双方の多摩産材の利用拡大に取り組んでおります。
 第四に、雇用就業対策でございます。
 働く意欲あるすべての人がその能力を発揮し、安心して働くことができる社会の実現が重要であり、地域における雇用、就業の促進、適正な労働環境の確保、多様なニーズに対応した職業能力の開発・向上に取り組んでおります。
 雇用情勢は、完全失業率が高どまりするなど、依然として厳しい状況にあります。特に若者の失業率は他の年齢層に比べて高く、若者を取り巻く雇用就業環境は厳しさが続いています。
 このため、東京しごとセンターで行う新卒未内定者等向け特別支援事業では、就職活動のノウハウを習得するためのセミナーや大学等就職支援者向けのセミナーに加え、本年度からは、働くことへの意欲などを身につける就活力強化プログラムを実施しております。
 あわせて、未就職卒業者緊急就職サポート事業では、就職先が決まらないまま大学等を卒業した若者を対象に、紹介予定派遣制度を活用し、研修と都内中小企業での就労体験を組み合わせた支援を行い、派遣終了後の正規雇用化を目指しております。
 この仕組みを活用して、今年度は重点産業分野就業支援プログラムに取り組み、環境、エネルギー関連など、都が重点的に支援している産業分野へ若者の就業を促進しております。
 就業の促進とともに、東京の産業を担う人材の育成は重要な課題であります。都内十四カ所の職業能力開発センター等では、求職者や在職者に対して、年間約二万六千人規模での職業訓練を実施しております。
 東京には、すぐれた技術を持つ企業、多様な人材と情報、広大な海や山に恵まれた豊かな自然など、幅広い産業資源が存在しております。
 産業労働局としましては、これらの強みを生かし、東京の産業力を高め、新たな成長軌道に乗せるために全力を挙げて取り組んでまいります。
 委員におかれましては、より一層のご指導を賜りますようお願い申し上げます。
 なお、個別の事業の詳細につきましては、総務部長からご説明させていただきます。

○斎藤総務部長 引き続きまして、事業の詳細につきまして、お手元の資料1、事業概要の冊子によりご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、初めに一二ページをお開きください。一二ページ、当局の組織でございます。
 当局は、総務、商工、金融、金融監理、観光、農林水産、雇用就業の七部二十一課から成っております。さらに、労働相談情報センター、職業能力開発センターなど三十六の事業所がございます。
 恐れ入ります、次に二〇ページをお開きください。職員定数でございます。
 上段の総計欄にありますように、事務、技術、技能労務合わせて千二百十二名となっております。
 続きまして、二一ページは当局の平成二十四年度予算でございます。
 一般会計と三つの特別会計から成り、全会計を合わせた歳出予算額は、1の(1)、局予算総括表の合計にございますように、約四千二百二億円でございます。
 二二ページをお開きください。対策別予算でございます。
 大きく分けまして、Ⅰ、中小企業対策、Ⅱ、観光産業対策、Ⅲ、農林水産対策、Ⅳ、雇用就業対策の四つの分野に分かれております。
 少し飛びまして、三三ページをお開きください。
 三三ページから三四ページにかけまして、中小企業対策の体系を示しております。経営支援から金融支援まで、八つの体系で事業を展開しております。
 三五ページをお開きください。第1、経営支援は、中小企業の経営改善、強化に対する支援でございます。
 具体的な事業を幾つかご説明申し上げます。
 まず、三七ページをお開きください。(4)、グループ戦略策定・展開支援事業は、二十四年度の新規事業でございます。
 個々の企業では解決が困難な課題に対して、中小企業診断士等の専門家を派遣し、中小企業グループの経営改善計画の策定を支援いたします。
 また、事業費の一部を助成し、計画の着実な実施も後押ししております。
 恐れ入ります、三八ページをお開きください。
 三八ページの2の(3)、経営変革・中小企業危機突破支援プログラムも、同じく二十四年度の新規事業でございます。
 東日本大震災や史上最高水準に達した円高など、非常に厳しい経営環境に置かれている中小企業に対して、さまざまな分野の専門家を派遣し、業績向上に向けた抜本的な経営変革や喫緊の経営課題の解決を支援しております。
 三九ページをごらんください。(5)でございますが、目指せ中小企業経営力強化事業では、中小企業診断士による経営診断を行い、販路開拓が必要と判断された場合に、展示会等への出展支援を行っております。
 次の(6)、東京都BCP策定支援事業では、都内中小企業及び中小企業団体等に対して、個別コンサルティングを実施することにより、BCPの策定を支援し、あわせて策定事例の紹介による普及啓発も行っております。
 四二ページをお開き願います。四二ページ、(5)のア、海外販路開拓支援事業では、海外との取引を望む中小企業に対して、海外のビジネス事情に詳しい企業OB等が専門商社を活用するなどして、海外取引や海外進出について支援するとともに、現地情報の提供や海外の展示会等への出展支援を行っております。
 四四ページをお開きください。四四ページ、(2)、都市機能活用型産業振興プロジェクト推進事業では、多摩地域の産業イノベーションを促進するため、計測・分析器、半導体・電子デバイス、ロボットの三つの分野ごとに産学官金のネットワークを構築し、新製品の共同開発の立ち上げから実用化までを支援しております。
 四六ページをお開きください。第2、技術支援でございます。
 中小企業における新製品、新技術の開発、知的財産やデザインの活用、ものづくり産業の次代を担う人材の確保、育成などに対する支援でございます。
 四八ページをお開きください。4、知的財産活用への支援では、中小企業が知的財産への認識を高め、高付加価値製品を生み出す源泉となる知的財産を十分に活用できるよう、企業OBなどの実務専門家や弁理士などによる相談、指導、知的財産取得における各種助成事業など、総合的かつ専門的な支援を実施しております。
 五〇ページをお開きください。7、都市課題解決のための技術戦略プログラムでは、環境や安全・安心など、都市課題の解決に寄与する技術革新を促進するため、開発テーマや目標を定めた技術戦略ロードマップを策定し、その指針に沿った中小企業の技術開発、製品開発、普及を推進しております。
 同じページの9、産業人材の確保・育成では、中小企業のイメージアップ、理解の向上、就職促進などを目的とした中小企業の魅力発信につながる総合的なプロジェクトを実施するなど、中小企業の人材確保や育成に向けたさまざまな取り組みを行っております。
 次に、五二ページをお開きください。第3、創業支援では、意欲的に創業に取り組む人々に対して、企業とその後の経営の安定、発展に向けた支援を行っております。
 主な事業といたしまして、五三ページの3、インキュベーション施設の運営でございますが、創業者を支援するため、都が保有する空き庁舎などを活用して、低廉な家賃でオフィスを提供し、あわせてインキュベーションマネジャーによる経営支援などを行っております。
 五五ページをお開きください。第4、地域工業の活性化は、地域のものづくり産業が形成してきた特色ある集積を維持発展することにより、地域産業の活性化を図るものでございます。
 このページの下段、2のものづくり産業集積強化支援事業は、二十四年度の新規事業でございます。
 産業の空洞化が懸念される中、将来にわたって守るべき都内のものづくり中小企業の産業集積を確保するため、区市町村と連携して、地域の産業基盤強化に向けた立地支援や操業環境の整備等の取り組みを推進しております。
 次に、五六ページをお開きください。3、ものづくり産業基盤強化グループ支援事業では、売れる技術をつくり出すために、開発、生産、営業体制の強化に共同で取り組む中小企業グループを支援しております。
 五九ページをお開きください。第5、地域商業の活性化は、地域コミュニティの核として重要な役割を果たしている商店街に対する支援などでございます。
 このページの2の(1)、新・元気を出せ商店街事業では、各区市町村が策定した商店街振興プランに基づき実施されるイベント事業及び活性化事業に対して、総合的な支援を実施するとともに、都の特定の行政施策に協力する商店街事業に対しての支援などを行っております。
 六一ページをお開きください。平成二十四年度の新規事業といたしましては、商店街での開業やのれん分けを希望する者を対象に、技能の習得や開業時の資金の一部を支援する、(5)、東京都小売商業後継者育成・開業支援事業や、商店街等が取り組む地域の事情に応じた買い物弱者対策を区市町村とともに支援する、(6)、買い物弱者支援モデル事業を行っております。
 次に、六三ページをお開きください。第6、総合的支援は、公益財団法人東京都中小企業振興公社や地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター等が相互に連携して行う総合的な支援でございます。
 六四ページをお開きください。3、新事業分野開拓者認定・支援事業では、新商品の生産、提供により新たな事業分野の開拓を図る者として、都知事が認定した事業者の新商品をPRするとともに、その一部を都が試験的に購入、評価することにより、販路開拓を支援しております。
 六六ページをお開きください。10、戦略的産業分野の育成では、高い経済波及効果が期待される航空機関連産業への都内中小企業の参入を支援する、(1)、航空機産業への参入支援、また、将来を担う人材を輩出し、東京のファッション産業の新たな活性化につなげていく、(2)、ファッション・ビジネス育成支援事業などを実施しております。
 次に、七二ページをお開きください。第8、金融支援でございます。
 金融支援では、中小企業の資金調達の円滑化を図るための施策を行っております。
 1、中小企業制度融資では、都及び東京信用保証協会、金融機関の三者が連携し、中小企業に融資を行っております。
 七四ページをお開きください。8、地域の金融機関と連携した新たな金融支援策は、高い技術力等を有しているにもかかわらず、運転資金等の確保に苦しんでいる中小企業に対し、都と地域の金融機関とが連携して金融支援を行うものでございます。
 七五ページをごらんください。11、ベンチャー企業成長支援事業は、二十四年度の新規事業でございます。
 創業間もない企業の成長支援に資するベンチャーファンドを創設し、資金供給に加え、販路拡大等のハンズオン支援を行うものでございます。
 13、新銀行東京の経営監視等では、株式会社新銀行東京の経営状況の把握、分析、新銀行東京が有する機能の活用の検討及び都議会への報告業務等を行っております。
 七六ページをお開きください。14、貸金業の指導監督では、貸金業者にかかわる苦情相談の迅速な処理に努めるとともに、悪質な業者に対し、登録取り消しや業務停止などの行政処分を行っております。
 次に、観光産業対策でございます。
 七九ページをお開きください。観光産業対策の体系でございます。
 東京の魅力を世界に発信、観光資源の開発、受け入れ体制の整備、推進体制の構築の四つの体系で事業を展開しております。
 八〇ページをお開きください。第1、東京の魅力を世界に発信では、東京に旅行者を誘致するために、効果的で的確なプロモーション活動を実施し、東京の魅力を積極的に国内外にアピールしていく施策を行っております。
 1の(2)、ウエブサイトによる情報発信では、今年度から東京の観光と公益財団法人東京観光財団が所管するウエブサイトを統合し、東京の観光公式サイト、GO TOKYOを開設いたしました。
 2の(1)、観光プロモーションでは、欧米等の主要都市において、海外の旅行事業者向けのセミナーや商談会等を開催しております。
 八二ページをお開きください。5、MICEを通じた日本復興・東京安全PR事業は、二十四年度の新規事業でございます。
 先月東京で開催されましたIMFと世界銀行の総会などの機会をとらえ、会議参加者に対する観光案内や都内観光ツアーの実施などを通じて、東日本大震災後の日本の復興状況や東京の安全性を積極的にアピールしております。
 八四ページをお開きください。第2、観光資源の開発では、東京が持つさまざまな観光資源について、旅行者のニーズを把握しながら、訪れるたびに新たな東京が発見できるような取り組みを行っております。
 主な事業といたしまして、1の(1)、多摩・島しょ地域観光施設整備等補助事業や、(2)、島しょ地域の観光振興事業などを行っております。
 八五ページをごらんください。2の(1)、舟運を機軸とした観光振興は、二十四年度の新規事業でございます。
 隅田川などにおける舟運を生かした観光ルートの開発促進とともに、水辺を活用したにぎわいの創出に取り組んでおります。
 八九ページをお開きください。第3、受入体制の整備では、東京を訪れる旅行者に対して、歓迎のメッセージやおもてなしの心を伝える取り組みを行っております。
 主な事業といたしまして、九〇ページをお開きください。2、東京ひとり歩きサイン計画は、外国人旅行者や障害者、高齢者等の方々が安心して東京の観光を楽しむことができるよう、絵文字や外国語で表記した観光案内標識の整備を促進するものでございます。
 九一ページをごらんください。4の(1)のイ、全国観光PRコーナーの運営では、東京都と全国の自治体が連携して、都庁舎を全国の観光情報発信拠点として活用し、日本の各地域の魅力を広くPRしております。
 続きまして、農林水産対策でございます。
 九九ページをお開きください。九九ページから一〇〇ページにかけまして、農林水産対策の体系をお示ししております。
 農業、林業、水産業と各分野の振興について、三つの体系で事業を展開しております。
 一〇一ページをごらんください。初めに、第1、農業の振興では、農業振興計画の策定、農業基盤の整備、農業経営の安定及び食の安全・安心の確保に向けた施策を行っております。
 このページの下段、(3)、都民の暮らしが潤う東京農業の推進では、都市農地の保全と農業振興を推進するため、区市が行う農業、農地を活用したまちづくりに対して支援を行っております。
 また、農業、農地の持つ多面的な機能について、都民と農業者の相互理解の促進に取り組んでおります。
 一〇四ページをお開きください。(3)、食の安全安心・地産地消拡大事業では、農業者との連携により八王子のとうきょう元気農場において、学校給食向けの農産物の生産を進めるとともに、都内産農林水産物を使用した料理コンクールの開催等を行っております。
 一〇八ページをお開きください。(2)、都市農業経営パワーアップ事業では、生産緑地を中心とする市街化区域等において、高い意欲と戦略的な経営マインドを有する農業者に対し、施設整備などへの支援や経営等の専門家の派遣などを行っております。
 一一四ページをお開きください。第2、林業の振興は、森林計画の策定や森林づくりの推進、森林産業の育成等に向けた施策などでございます。
 一一五ページをごらんください。2の(5)、スギ花粉発生源対策では、スギの伐採や作業道の整備など、スギ花粉の削減と林業及び木材産業の再生に取り組んでおります。
 一一七ページをお開きください。3の(3)、多摩産材の利用拡大では、公共利用を促進するためのシンポジウムの開催や、多摩産材の品質確保のために製材業者へのJAS認定取得などを支援しております。
 一二〇ページをお開きください。第3、水産業の振興でございます。
 水産資源の管理や漁業生産流通基盤の整備、漁業経営の安定に向けた施策等でございます。
 1、漁業資源の管理では、(3)、漁業取り締まりや水産資源の管理のため、漁協への指導や他県との調整を行う、(4)、資源管理の推進などを行っております。
 一二二ページをお開きください。3の(4)、ぎょしょく普及事業では、島の漁協と連携して小学校などを訪問し、東京産水産物の魅力を伝え、将来の消費拡大を図るなどの取り組みを行っております。
 続きまして、雇用就業対策でございます。
 一二七ページをお開きください。一二七ページから一二九ページにかけまして、雇用就業対策の体系を示しております。
 地域における雇用・就業の促進、適正な労働環境の確保、多様なニーズに対応した職業能力の開発・向上の三つの体系で事業を展開しております。
 一三一ページをお開きください。第2に、地域における雇用・就業の促進は、厳しい雇用環境に置かれている若年者、中高年者、障害者を初めとした都民の雇用就業の促進を図るものでございます。
 一三一ページから一三九ページにかけまして、しごとセンター事業の内容を記載しております。
 東京しごとセンターでは、若年者、中高年者、高年齢者の各層別にカウンセリングやセミナー、能力開発などの就職支援をワンストップで提供しております。
 また、正社員経験が少ない就職氷河期世代や女性の再就職等に対応したプログラムを実施するなど、きめ細かな支援を行っております。
 一三九ページをお開きください。一三九ページ、2の若年者の就業対策では、就職面接会の開催や紹介予定派遣制度を活用した事業などを行っております。
 紹介予定派遣制度を活用した事業では、就職先が決まらないまま大学等を卒業した未就職卒業者を対象とする、(2)、未就職卒業者緊急就職サポート事業を実施しているほか、今年度からの新規事業として、非正規雇用経験が一定程度ある若年求職者を対象とする、(3)、若年者正規雇用化プログラムや、都が重点産業分野と位置づけ育成を図っている産業への就業を支援する、(4)、重点産業分野就業支援プログラムを行い、若年者の正規雇用化を支援しております。
 次に、一四二ページをお開きください。4の(1)、オーダーメード型障害者雇用サポート事業では、新たに障害者を雇用しようとする中小企業等に対し、モデル事業として採用、定着までを一貫して支援するとともに、実践事例を広く普及することにより、中小企業の障害者雇用の促進を図っております。
 一四三ページをごらんください。(7)のイ、東京ジョブコーチ支援事業では、都が独自に養成したジョブコーチが中小企業等に出向き、障害者の職場定着等の支援を行っております。
 一四四ページをお開きください。6の緊急就職支援事業は、二十四年度の新規事業でございます。
 東日本大震災で被災され、都内で就職を希望する方や、震災の影響で離職を余儀なくされた方等に対して、専門家による相談、助言等の支援を実施するとともに、採用企業に対し助成金を支給しております。
 一四五ページをごらんください。8の(1)、緊急雇用創出事業では、緊急雇用対策として、現下の厳しい雇用情勢のもと、離職を余儀なくされた方々に対し、一時的な雇用就業機会の創出を図っております。
 一四七ページをお開きください。第3、適正な労働環境の確保では、1の労働情勢調査として各種調査を実施するほか、一四九ページの2、労働知識の普及・啓発や、次の一五〇ページの3、男女雇用平等の環境づくり、これらに取り組んでおります。
 次に、一五一ページをお開きください。一番下にございます、4、労働相談・指導では、都内六カ所の労働相談情報センターにおいて、労働問題全般に関する相談を実施しております。
 次に、一五五ページをお開きください。ワークライフバランスの推進を図るための施策として、6の(1)、中小企業両立支援推進助成金では、中小企業等が社内体制の整備などを図るための経費を助成しております。
 一五六ページをお開きください。7、いきいき職場推進事業、8、働き方の改革東京モデル事業、さらに、一五七ページの9、東京しごとの日の設定では、ワークライフバランスの推進に向けたすぐれた取り組みを進める企業等を広く紹介するなど、社会的機運の醸成を図る取り組みを行っております。
 一六二ページをお開きください。一六二ページから一六七ページにかけまして、第4、多様なニーズに対応した職業能力の開発・向上として、職業能力開発センター等における公共職業訓練の内容についてお示ししてございます。
 一六二ページの1の(1)、求職者向け訓練では、求職中の方に対し、新たな職業に必要な技能、知識を習得する訓練機会を提供しております。
 一六八ページをお開きください。3、技能振興事業では、ものづくり等に携わる優秀な技能者を東京マイスターとして表彰するなど、技能の振興及び技能者の地位の向上に取り組んでおります。
 事業概要につきましては以上でございます。
 引き続きまして、お手元の資料2、東京都監理団体等運営状況をごらん願いたいと思います。
 この資料は、当局所管の監理団体等につきまして、各団体の概要、二十四年度事業計画及び予算並びに二十三年度事業実績等について記載しているものでございます。
 表紙をおめくりいただきまして、目次をごらんください。
 対象となっておりますのは、1、株式会社東京国際フォーラム、2、公益財団法人東京しごと財団の監理団体二団体のほか、報告団体五団体、地方独立行政法人一団体の合計八団体でございます。これらの団体は、都の事務事業を代行もしくは補完し、都民サービスの向上に寄与することを目的として事業展開を行っております。
 内容につきましては、後ほどごらんいただきたいと存じます。
 以上で産業労働局の事業に関する説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○伊藤(ゆ)委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○清水委員 中小企業対策、農林水産対策、雇用就業対策、それぞれ予算、決算の推移をお願いいたします。
 都内小規模小売店の推移。
 次に、新・元気出せ商店街事業の実績の推移。
 特定施策推進型商店街事業申請数。十八年から二十三年まで。
 中小企業制度融資の目標と実績の推移。
 次に、都内事業所数、従業者数、製造品出荷額及び付加価値額の推移。
 次に、職業訓練校、委託訓練の応募状況、就職率の推移をお願いします。
 委託訓練の科目委託先の定員、応募状況、就職率の推移をお願いします。
 雇用形態別都内就業者数の推移。
 最後に、農地面積の推移をお願いいたします。
 以上です。

○伊藤(ゆ)委員長 ほかにございますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○伊藤(ゆ)委員長 ただいま清水委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○伊藤(ゆ)委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。
 以上で産業労働局関係を終わります。

○伊藤(ゆ)委員長 これより労働委員会事務局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○斉藤(あ)委員 それでは、何点か伺います。
 労働委員会の方はなかなか労働組合に関連しないと縁がないところなのでございますが、基本的なところで確認をします。
 先日、労働争議に関して、労働組合の関係の方から、ちょっといろいろ、立ち話ですが、相談があったということで、そのときにいろいろ話を聞いてみたときに、この労働委員会に、労働組合の方が、労働争議の調整であっせんをお願いしたいというときに、なかなか経験者がいないとちょっと不安な部分もありますし、また、小さな労働組合だったりしますと、最初の手続の部分というのは少し逡巡する部分もあるかなというふうに思うんですけれども、そういうあっせんをお願いしたいときに、どのような書類などの手続の準備が必要なのか、そこをちょっと確認したいと思います。

○岳野労働委員会事務局長 あっせんをお願いしたいときということは、あっせんの申請についてのご質問でございますが、労働組合または使用者のいずれか一方、あるいは労使双方からのあっせんの申請書の提出が必要でございます。
 あっせんの申請書に記載すべき事項は、労働委員会規則六十四条に定められておりまして、申請の日付、申請者である労働組合や使用者の名称、あっせん事項、申請に至るまでの交渉経過などでございます。
 なお、様式は、法において特段の定めはございませんが、私どもの委員会では参考となる様式を定めておりまして、当委員会のホームページからも印刷することができます。

○斉藤(あ)委員 その手続を踏まえた上で、なかなかその申請の際に、あっせんをお願いしたいときに、その企業側の方によっては、これはちょっとあっせんに不向きだよみたいなことを、もちろん相手側のいる話ですので、ある程度、相手側の方としては自分たちに都合のいいような解釈の中で、そういうふうに逆の論を張ってくるということも一般的にはありますので、そうすると、なかなかこのあっせんに適、不適については、申請する際に、本当に適しているかどうかななんてことを悩んでしまうという場合があるものですから、ちょっとそこを確認したいんですけれども、例えば申請をした際に、書類の不備や、そもそも労働委員会のあっせんに適しているかどうかという部分を受け付けした後、確認をしてからあっせんを引き受けるといった手続に労働委員会はなるんでしょうか。
 それとも、申請のときに書類等を確認して、問題なければ受け付けをする、つまり、受け付けをしたものはあっせんの要件がそろっているので、そのままあっせんの対象になるというふうに考えていいのか、そこを確認したいと思います。

○岳野労働委員会事務局長 あっせんの申請書を受け付けた時点では、労使双方からの事情を聞いておりませんので、当該事件があっせんの要件を具備しているかどうかとか、あっせんの対象となるかという詳細についてはわかりかねます。
 それゆえ、申請書の記載事項につきまして、遺漏等がないかどうかを形式的に審査した上で申請書を受け付け、あっせん員を指名して手続を開始し、あっせんの相手方への通知を行っているところでございます。

○斉藤(あ)委員 そうしますと、申請をする段階で、申請する側はぜひあっせんをお願いしたいと思っているわけですから、その中であっせんに適しているかどうかというのは、余り悩んで申請するというのじゃなくて、むしろきちんと書類をそろえて、出して、あっせんにトライしていくというふうな姿勢で臨んだらいいと解釈できるかと思います。
 では、そういうふうなことで手続をしたりした後に、申請した側から見れば、申請した側の方の主張が通って、相手方が判断を間違った、もしくは対応が不適当だというふうなことで答えが出た場合に、例えば不当労働行為と思われるような会社側の行為、例えば、過去に認められていた労働組合活動があったんですが、それが、あるときを境にして妨害に遭うような、妨害という解釈をされるような制限が加わったような場合に、組合側が労働委員会に審査のために申し立てをしたとします。そして、審査の結果、労働組合側の主張が認められ、いわゆる命令というものが労働委員会から出されました。この命令にはどの程度の拘束力、強制力、そういったものがあるといえるのか、一般論で結構でございますので、この辺を回答いただければと思います。

○岳野労働委員会事務局長 今、斉藤委員から二つのお問い合わせがあったように記憶しております。まず、労働関係調整法に規定されておりますあっせんでございますけれども、これは申請者と被申請者の双方があっせん員のあっせんに基づいて労使紛争を解決する意思があることを前提とした制度であります。それゆえ、この制度を利用するか否か、解決案を受諾するかどうかについては、双方任意という性質のものでございます。
 それから、最後にご質問ございました不当労働行為の命令ということでございますが、委員ご指摘のとおり、百件の事件があれば百通りの事情がございますので、事情の内容が異なっておりますのでちょっとお答えしにくいので、一般論でお話をさせていただきますと、都労委が発した救済命令にどの程度の拘束力があるか、強制力があるかということでございますが、都労委の命令は中央労働委員会に対して再審査の申し立てがなされるか、もしくは、裁判所に対して命令の取り消しを求める行政訴訟が提起されなければ初審ということで確定いたします。
 使用者が確定した命令に従わないときは、都労委としては使用者の住所地の地方裁判所にその旨を通知し、都労委の通知を受け、裁判所は命令が履行されていないと認めたときには使用者に過料を科すと、このような効力でございます。

○斉藤(あ)委員 なるほど、使用者に対して過料を科すというところで、相手に一定程度のダメージというか、それに不適当な対応に対して、それなりの見返りがいくということです。
 ある程度、労働委員会を活用する場合に、組合側としてはそれなりのリスクをしょっての、多分、依頼というふうな形になると思うわけですが、その際に、やはりどういった部分で効力があるかということがなかなかわからないと思い切った判断もできないと思いますし、効力があるとなれば、やはり挑戦してみるということに至るというふうに思います。
 では、今、一般論ということでございますが、ちょっと私の相談を受けた話も一般論で、一般論はどういうふうになっているのかというふうな取り扱いもありましたので、一般論で結構でございます。
 最後にもう一点伺うんですけれども、労働組合が不当な妨害に遭ったときに、労働委員会への申し立てによって審査が行われ、会社側の行為が不当労働行為と認定された場合、この場合に不当労働行為という事実はあったものの、既に年単位の月日が経過をしており、当時の現状に会社が修復や復旧させることはもはや難しい場合、例えば不当労働行為ですね、先ほどいいましたように、少し活動に妨害があったけれども、今となってはそれを修復させること、もしくはそれを取り返すということが難しい場合で、なおかつ、会社側が反省していることを労働組合側に理解をされるような示し方をその時点ではしていなかったような場合に、きちんと会社側がその反省というか、常にその指摘を理解して、会社側の方がこういうふうに変えていきたい、もしくはこういうふうに我々は感じ取っているというふうなことを、ちゃんと労働組合側に示していないような場合に、ちゃんと示すために労働委員会というものはどのような命令を会社に出すものなんでしょうか、一般論で結構でございますので教えていただければと思います。

○岳野労働委員会事務局長 これにつきましても、仮定を前提にするとなかなかお答えしづらいので、一般論として、都労委が発する命令の内容についてお答えしたいと思います。
 不当労働行為救済の申し立てがあった場合、和解や取り下げをされるものを除きまして、私どもは命令を発します。命令には救済命令、棄却命令、却下の決定などがございます。
 救済命令で申し上げますと、例えば使用者に対して団体交渉に応じるように命じたり、解雇された労働者をもとの職場に復帰させることを命ずるなど、不当労働行為がなかった状態に原状回復させ、将来に向けた適正な労使関係の構築に向けて必要な措置を講ずる、そのような命令がございます。
 また、ポストノーティス、ちょっと耳なれないんですが、そういうものを命ずることがございます。
 このポストノーティスといいますのは、当該行為が不当労働行為であることを都労委が認定したこと、今後、そのような行為を繰り返さないことなどを使用者から労働組合に文書を交付したり、あるいは会社内に掲示したりすることを命じたりする命令でございます。

○斉藤(あ)委員 ありがとうございます。なかなか労働委員会の方の権能という部分については、実際に使ってみるとわかる部分がきっとあるかと思うんですが、なかなか最初の部分ではどの程度が限界なのか、もしくは、どの程度のことを期待していいのかわからない場合が多々ございますので、そこら辺については今後とも周知と広報の方に努力をしていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 以上で私の質問の方は終わります。

○木内委員 私は、労働委員会事務局というのは、都政における少数精鋭部隊だと、こういうふうに思っているわけであります。機会をとらえては日ごろのご苦労、あるいはご努力の成果等について質疑をこれまでずっと行ってまいりました。
 一見地味ではありますけれども、全国的に俯瞰をしましても、東京都の労働委員会事務局が着実で先進的な取り組みを行って、実績を上げている、こういうことにまず心から敬意を表したいと思いますし、首都東京なるがゆえに、広く社会経済環境の動向を反映した労使紛争の最先端事例を扱うということもよくあるわけでございまして、そのご苦労もよく理解をしております。
 加えて、岳野新局長のもと、まさに千軍万馬の新局長ですけれども、新たな決意に立って全職員が頑張っておられる、これが私の率直な印象でございまして、質疑の冒頭、このことをまず申し上げます。
 私は、昨年の十一月の本委員会の事務事業質疑の中で、平成二十二年において新規に申し立てられた不当労働行為事件のうち、都労委は全国の約三分の一を取り扱っていること、また、その処理の期間についても、八割強が申し立てから一年六カ月以内に処理できているとの答弁を得ているのであります。
 こういうその数字の背景には、効率的な審査のために委員会を挙げてさまざまな工夫と努力が払われているんだと、こういうことも十二分に推察をできるわけであります。
 そのときの答弁から、都労委が多くの事件を取り扱っているということがわかったわけでありますが、実はこの内容、質というか、内容の点におきましても、先ほど来申し上げた首都東京のこの特質を背景としたさまざまな新たな事例がありますから、したがって、その意味では、こうした対応においては全国の労働委員会を牽引する役割も果たしているのではないかと、こう思ったわけであります。
 翻って、先月、新聞報道でありますけれども、JUKIという会社に対して都労委が団体交渉を命じたという記事が目にとまりました。
 JUKIというのは古い会社で、私自身、ミシン製造の大手企業である、こういうふうに思っているわけでありますけれども、その記事内容では人員整理で分社・解散の疑いという見出しがついておりまして、訪問販売をめぐるトラブルが相次いで、分社化されたその子会社が経済産業省から業務停止命令を受けたりしているということで、どうも複雑な事情がありそうだと、実はこういう率直な感想を持ったわけであります。
 そこで、まず初めに、この事件の経過と内容、さらに、この件に対する都労委の対応について明らかにされたいと思います。

○岳野労働委員会事務局長 今のJUKI事件の内容についてのご質問でございますが、もともとJUKI本社に雇用されておりました社員が、分社化に伴いまして子会社に雇用関係が引き継がれましたが、この子会社が設立から一年ほどで解散され、結局、解雇されてしまったという事例でございます。
 このため、この社員が所属する労働組合は、親会社であるJUKIに対し、雇用保障を求めて団体交渉を申し入れましたが、JUKIは雇用主でないとの理由で交渉に応じなかったという事案でございます。
 私ども都労委は、JUKIが子会社をみずからの一事業部門であるかのように経営上、全面的に支配していたこと、子会社の社員の基本的な労働条件についてJUKIの強い関与があったことなど認定いたしまして、子会社化によって経営責任が分離したとしても、JUKIという親会社は、労働組合法による使用者に当たると判断いたしまして、団体交渉に応じるように命じたものでございます。
 なお、JUKIはこの命令を受けまして、即刻団体交渉に応じるなど、既に都労委の命令に従ったところでございます。
 この命令は、親会社であったとしても、実態に即して見ると子会社の労働者に対する使用者としての立場になり得ること、また、会社分割が従業員との雇用関係を解消しようとして行われた疑いを払拭できないことなどを都労委が認定したことが注目されまして、新聞記事に取り上げられたものと考えております。

○木内委員 今の局長の答弁で明らかなように、都労委のこの認定ということが大きな引き金になった、適切な判断であった、そして、これが労働組合法にいう使用者に当たると判断され団体交渉に至っている、こういうふうな理解でよろしいのかと思います。
 特に企業合併でございますとか、あるいは営業譲渡、さらには持ち株会社の設立、それから、今、答弁にあったこのJUKIの事例に見られるような分社化や、あるいは子会社化など、企業組織の再編や経営の革新をめぐる動きが、最近、とみに多く見られるようになったのではないかと私は考えています。
 一方、労働者の働き方も多様化して、ほかの企業の指揮下で働く派遣労働や、あるいは、個人が企業と請負契約や委託契約を結んで、その企業の中で働くといったことも事例としてふえているのであります。
 その新聞記事のように取り上げられるのが一部であっても、我が国経済の中心である東京においては、日々、新たな形の労使紛争が発生しているということも、私は報道からの推察もできるんだというふうに思います。
 この都労委でも、数多くの事件を処理するだけでなく、その内容においても、これまでの考え方では整理し切れない複雑で困難な事件が持ち込まれ、そして、判断に苦労することがあるんじゃないかと思うんですね。
 これはテキストのない事例、これまで判例のない事件などなどに類するものだと思うんですけれども、この推察についてはどういう認識をお持ちですか。

○岳野労働委員会事務局長 まさに木内委員ご指摘のとおり、東京におきましては従来のタイプと異なる労使関係から生じる争点や、新しい形の労使紛争が出現しております。
 例えば、賃金や労働時間といった労働条件、雇用や就労の形態は、労使が自主的、主体的に交渉し、決定して解決していくのが本来の姿でございますが、そもそもこの労使、すなわち労働者や使用者の概念をどうとらえるかが現在は争いとなることがございます。
 この労働者や使用者の定義については、私どもの憲法ともいえる労働組合法では具体的に定められておらず、企業組織の変遷や雇用状況の変化を踏まえながら、法の趣旨に基づいてその概念を各事件ごとに解釈していかなければならなくなっている次第でございます。
 そのため、形式的な雇用関係を見ればよいというのではなくて、さきのJUKI事件のように、労働の実態を調査しないと実質的な使用者はだれか、労働組合法が適用される労働者といえるのかどうか、こういう事件がふえておりまして、結果として不当労働行為に当たるか否かの判断が非常に難しくなっております。

○木内委員 非常に明快な答弁を多としたいと思います。
 法の趣旨に基づいて、その概念を各事件ごとに解釈していかなければならなくなっている、それから、労働組合法が適用される労働者といえるかが明確でない事件がふえていて、結果として不当労働行為に当たるか否かの判断も難しくなってきている、こういう時代背景があるということがよく理解できます。
 この労働組合法では、そうした重要な論点があることがわかりましたが、労使紛争を処理する最前線での苦労というものが、したがって、十分、推察されるわけであります。
 先ほどのJUKI事件の説明では、使用者の定義が実態に即して変わってきた、これは答弁でよく理解できたところでありますが、一方で、労働者の定義も日々変化しているように思うんですが、そうした例があったら報告してください。

○岳野労働委員会事務局長 委員ご指摘の労働者の定義という点でございますが、例えば新国立劇場運営財団、この近くの新国立劇場の事件を扱いました。これは、財団が行うオペラの合唱団の一員が、毎年、選抜を受けて年間契約をいたしまして、公演に参加しておりましたが、ある年に不合格となり、契約を打ち切られた事件でございます。
 このため、この団員が加入する労働組合が財団に対しまして団体交渉を申し入れたところ、財団は、雇用関係にはないとしてこれに応じませんでした。
 当委員会は、この団員は労働組合法上の労働者に当たると判断しまして、財団に対しまして団体交渉に応じるよう命じ、再審査、上級庁の中央労働委員会もこの考えを維持しましたが、財団は不服といたしまして、最終的には最高裁まで争われました。
 この間、地方裁判所、高等裁判所は、年間契約を結んだだけでは、いまだこの団員が財団から指揮監督を受ける法的な関係にはなっていないとして、労働者には当たらないといたしました。
 これに対しまして最高裁判所は、平成二十三年四月十二日、契約の内容や労務提供のあり方は財団が一方的に決定していたこと、合唱団メンバーとして財団の組織にあらかじめ組み込まれていたこと、報酬は労働の対価であることなどの点をとらまえまして、団員がオペラ歌手という自営業者ではなくて、財団のもとで働く労働組合法上の労働者に当たるとして、都労委の命令を支持する判決を出しているところでございます。

○木内委員 先ほどの同僚委員の質疑の中では一般論ということが多かったのですが、今回は非常に具体的な経過についての報告があり、また、ご努力の跡がよく理解できます。
 労働者や使用者のとらえ方が時代とともに変化をしてきているんだということも、今の局長の答弁でよく理解をできるところでありますが、この答弁にあった新国立劇場運営財団事件、あえて私は事件と申し上げるわけでありますけれども、初審として命令を出したのが都労委というご報告でありました。これがさまざまなプロセスを経て、最終的に最高裁でその考えが支持をされた。これは、私にとっては非常に都労委の認識と命令のレベルの高さと正確さを見ることができると思うんです。そうした高い水準を維持していくためには、まずは人材こそが基盤であると。
 少数精鋭部隊と申し上げるのはそれでありまして、これだけ多くの事件を扱う、その事務局の少数の方々が大変なご苦労をされているというのは、そこを申し上げているわけでありますけれども、この意味から、まずは人材こそが基盤であると。今後も、専門的審査機関としての都労委の立場と、そして存在と力量を発揮していくため、この専門性を実務面から支える事務局の人材育成が極めて重要であると、こう私は考えます。前回の質疑のときにも、これに関連した事項については触れましたけれども、今後さらに、事務局職員の皆さんの専門性をどう確保していかれるおつもりか、明らかにされたいと思います。

○岳野労働委員会事務局長 木内委員ご指摘のとおり、東京都のどこの局、私どもの局にとりましても、人材育成というのは最大の課題でございます。事件の審査に当たりましては、労働関係法令を中心とした専門的な知識が求められることから、二カ月間にわたる東京労働大学の講座や、中央労働委員会が主催いたします専門研修と外部研修に職員を派遣しています。また事務局内においても、命令書起案のための研修、交付した命令を素材にした事例研究なども行っております。
 さらに今年度からは、不当労働行為にかかわる命令、和解、そしてあっせんの三つの分野から、それぞれその年で最も参考となる事例を選択いたしまして、事務局内で発表会を行うことにより、経験の共有化に努めるとともに、担当した職員を報奨し、モラールのアップにつなげているところでございます。

○木内委員 事例研究ですとか、あるいは発表会ですとか、経験の共有化とか、いろいろな工夫とご努力をされていることが理解できます。
 具体的な専門性の確保策ということについてご報告をいただいたわけですけれども、事務局職員の専門性の維持向上に向けて、計画的に取り組んでおられると。これはもう、ぜひとも内容の充実をさらに図られるよう強く要望したいわけでありますが、数多くの困難な事件を迅速的確に処理するためには、職員の努力だけでは厳しい面もあるんだろうと私は思います。その意味で、例えば審査手続上の法的な分野でありますとか、あるいは法律の専門家の経験を生かすなど、いろいろな工夫があってしかるべきだと思うんですが、そうしたご努力について明らかにしてください。

○岳野労働委員会事務局長 委員ご指摘のとおり、都職員の研さんだけでは限界がございまして、平成二十一年四月から、民間の弁護士資格を有する者を期限つきで任用して、活用してございます。
 これによりまして、争点や当事者の主張が不明確な事件につきましても、過不足ない主張や立証を尽くすことができ、争点整理作業を円滑に進められるなど、審査手続上の法的な論理構成の強化と説得性の向上に寄与しております。
 また、企業再編や倒産に関する案件など、労働関係の法令以外の知識が必要とされる事件がふえておりまして、民間で活躍していた弁護士の経験がここでも生かされております。
 さらに、命令の取り消し訴訟におきましては、弁護士としての実務経験を生かし、その適法性を積極的に主張して、都労委命令全般に対する信頼性確保に寄与していると思います。

○木内委員 答弁のように、引き続きこの人材の確保育成に精力的に取り組んでいただきたいと強く要望しておきます。
 ところで、先ほど都労委の仕事として、不当労働行為に係る命令、和解、そしてあっせんの三つの分野という話がありました。この中の不当労働行為事件については、命令を発する事件と和解で決着する事件があるわけでありますけれども、その手続の違いと件数について報告願います。

○岳野労働委員会事務局長 事業説明でもお話しいたしましたが、不当労働行為の救済申し立てがございますと、担当する公益委員、労働者委員、使用者委員が選任されまして、争点の整理等のための調査を行います。この調査の段階で、労働者側の委員や使用者側の委員がそれぞれ労使の間に入りまして調整することによりまして、当事者を説得し、紛争が解決することができれば、和解によりましてその事件は解決いたします。
 こうした合意が得られない場合、証人に対する尋問等を行いまして、使用者の行為が不当労働行為に当たるかどうかを判定し、救済命令や棄却命令を発するところでございます。
 また、都労委の発した命令に不服がある場合は、中央労働委員会に対しまして再審査の申し立てをするか、または裁判所に対して命令の取り消しを求める行政訴訟を提起することができ、紛争状態が継続することとなります。
 和解での解決率でございますけれども、全国の都道府県労働委員会と比較するために暦年での統計で申し上げますと、平成二十三年に終結した事件について、都労委では年間百二十一件のうち七十件、率にして五七・九%が和解、全国では三百九十四件のうち百八十二件、率にして四六・二%が和解となっております。この数字を見ましても、都労委においては、和解によって労使関係が解決する割合が高くなってございます。
 また、命令を発した本数でございますが、二十三年は終結件全体の二十一本、率にいたしまして二〇・七%でございます。この命令を不服として、再審査や行政訴訟となっている割合は八五・七%でございます。

○木内委員 今の数字で判断しますと、東京都は全国に比較して、和解による解決率が高いと、これが特徴であるといえると思います。そうでなくても、困難な多くの事件を粘り強く解決していこうという都労委の委員や、また職員の皆さんのご苦労はよくわかりますが、一方で、円満解決には至らずに命令に至る率が二割程度あるということでありまして、そのうち九割近くが再審査または行政訴訟を提起されるということについては、実は驚きとともに、認識を新たにしたわけでありますが、ということは、その二割の事件は、紛争が解決しないで継続が続いていくということになるわけですが、その後、どういう推移をたどるんですか。

○岳野労働委員会事務局長 確かに、私ども都労委で初審の命令を出したうち、少なくない事件が不服申し立てされております。その後、しかしながら、六割程度は中央労働委員会や裁判所において、和解によって解決してございます。
 このように、時間の経過に伴いまして、労使関係や労使の事情も変化して、都労委の命令も契機となりまして、中労委や裁判所の場で最終的に和解する事例も多くなっております。

○木内委員 最初に申し上げたJUKIの事件など、新聞報道等に取り上げられるのは、命令まで至る場合でありまして、それが都労委の活動の大部分であると思われがちでありますが、しかし実際には、都労委においては多くの事件が和解で解決しているということを、もっと一般に周知してもいいのではないかと、こうまで思うものであります。また、たとえ都労委では命令に至っても、それが契機となって、中労委や裁判所で最終的には和解で円満に解決している事件も多いということがいえると思います。
 そこで最後に、労使紛争を和解で解決することについて、その利点や都労委の考え方を伺いたいと思います。

○岳野労働委員会事務局長 和解につきましては、当事者双方が解決内容を十分に理解し、納得した上で合意して協定を結ぶため、労使間に信頼関係が築かれ、良好な労使関係の維持によい影響を及ぼすものでございます。
 また、おおむね命令に至る事件の半分程度の期間で処理ができ、かつ再審査や行政訴訟により紛争が継続し、解決までの時間が長引かないという利点もございます。
 このため、都労委といたしましては、できるだけ和解で解決できるよう努力しているところでございます。
 東京都では、各界のそうそうたる方に、公益、労働者側、使用者側の委員をお願いしておりまして、その方々が昼夜を問わず、当事者と接触して粘り強く説得するなど、紛争解決に尽力していただいているところでございます。こういうご尽力、ご努力があるからこそ、多くの困難な事件を和解で解決することができていると認識しております。

○木内委員 私は、今の最後のお尋ねというのは非常に重要であるし、答弁も非常に明快であったと思うんです。和解の持つ意味、それから全体における割合とやりとりを、きょうさせていただきましたけれども、和解は、不当労働行為の責任をあいまいなままにするなという意見もありますけれども、私はそうは思いません。きょうの質疑で、これは明らかでありました。和解による円満解決は、不当労働行為であるなしに答えるものではないものの、当事者の合意のもとに紛争を解決できるという大きなメリットがある。
 将来にわたり継続的な関係を持つ、この労使関係の特質を踏まえて、都労委が紛争の和解解決に積極的に取り組まれているという理由が、今の答弁でも明らかになりました。
 今後とも、公労使の三者委員と、その補佐に当たる事務局とが一体となって、都労委のセールスポイントともいえる和解による合意形成の努力を続けていただきたいと思います。
 全国で最も多くの事件を処理し、先ほど来申し上げておりますけれども、首都東京がゆえに、広く社会経済環境の動向を反映した労使紛争の最先端事例を扱うことになる都労委が引き続き努力をされて、都民の負託にこたえていただきたい、このことを強く要望して質問を終わります。

○清水委員 牛丼のすき家などを初め、レストラン、ファストフード店を運営しているゼンショーは、資本金百億円、売り上げ四千億円を上げている大企業です。従業員は、約五千人の正社員に対して、パート、アルバイトが約四万二千人です。
 この会社と従業員の間で、アルバイト、従業員のサービス残業代などを取り上げた団体交渉に応じないという問題について、二〇〇七年四月から東京都労働委員会で争われ、二〇〇九年十月にその労働者への救済命令が出ました。この命令は、いうなれば職場の問題を解決するために、使用者は労働者と話し合うべきだという、ごくごく当たり前の内容です。しかし、この命令が出ても、その後三年間もずっと、せっかくの救済命令が履行されずに来ています。この案件の申し立てから命令が出るまでの約二年半、命令が出てからの三年間、申し立てに至るまでの期間を含めると六年以上にわたって、職場では当たり前のルールがないがしろにされ続けていることになります。
 こうした企業に対して、どう対応すべきかという問題について、かつてこの経済・港湾委員会で、我が党の丸茂元議員が労働委員会に対して質問したところ、当時の労働委員会次長は、東京都労働委員会命令の履行について、中労委他の関係機関との協議の場で課題とさせていただくということになっています。それから十七年たったわけですけれども、この課題はどのような経過になっているのでしょうか。

○岳野労働委員会事務局長 清水委員がおっしゃいました課題というのは、私どもの初審命令が再審査ないし取り消し訴訟にいきましても、現行法上では初審の命令の効力自体は失われないのに、それが確定するまでは履行を強制する手段がないという課題と認識して、ご答弁をさせていただきたいと思います。
 少々長くなりますけれども、全体状況を含めご答弁させていただきます。
 まず、先ほど木内委員のご答弁で申し上げましたが、ちょっと年度で数字が違ってきますが、都労委に持ち込まれる労使紛争のうち、二十三年度について見ますと、終結事件総数百六件、このうち六十七件、率にして六三%が和解により解決しております。救済措置などを命ずる命令を発したのは二十一本、率にして約二割でございます。
 このことからもわかりますように、救済など命令を発する割合は小さくて、逆に申しますと、救済命令までいく事件は、そもそも紛争の内容が複雑であること、和解の調整が困難であること、労使関係が非常に緊迫していることなどの特徴を持った事情のある事件であると考えております。
 こうした困難事件であるため、都労委などの都道府県労働委員会の初審命令は、上級審である中央労働委員会で再審査請求されたり、裁判に持ち込まれ司法判断を仰ぐ傾向にございまして、都労委の二十三年度では四本、率にして一九%しか初審で確定してございません。
 しかしながら、都労委命令が確定しなかった事件につきましては、上級審、裁判所や中労委で係争中であること、また一方で労使関係は係争中も刻一刻と変化していること、こうしたことに伴いまして、都労委の初審命令の内容をそのまま維持する、内容を同じくする再審査命令や判決が中労委や裁判所から出されるとは限らないなどのことから、再審査手続中や訴訟係属中に初審命令の履行を使用者に促すことは、制度上も現実的にも難しいと考えております。
 なお、丸茂委員のご質問もいただきまして、都教委といたしましてはこれらを踏まえ、命令の交付に際しては、「使用者は、遅滞なくその命令を履行しなければならない」という労働委員会規則四十五条の規定を留意事項として明記した文書を別に添付しまして、使用者に注意を促し、速やかな履行を促しているところでございます。

○清水委員 今、文書の添付ということは答弁がありましたが、しかし本質的には当時と変化していないということです。
 協議の場で課題とさせていただくというふうに議会で答弁しましたけれども、今のご答弁ではどのような協議がされたのかという経過についてはありません。議会の答弁について、やはりきちんと実行していただきたいし、命令が履行されない実態が放置されてきた間、労働者はずっと、労働委員会の命令が出ても履行されない状態が改善されずに来ているということ自身も、私はそれ自身、大変問題だと思います。
 そもそも労働委員会で出された命令については、労働委員会規則では、「使用者は、遅滞なくその命令を履行しなければならない」、「命令を発した委員会の会長は、使用者に対し、命令の履行に関して報告を求めることができる」と規定されています。それにもかかわらず、履行されないことが放置され続けているというのが現実なわけなんですけれども、大企業のルール破りがまかり通っても問題にされないというのは大変おかしいことだと思いますが、このことに対してどういう認識をお持ちでしょうか。

○岳野労働委員会事務局長 まず最初に、都労委の初審命令のうち確定したものは、平成十九年から平成二十三年度の五年間をとりますと十六本ございます。この確定命令のうち履行が必要な救済命令は十三本ございました。
 この十三本のうち、団体交渉応諾を使用者に命じたにもかかわらず労働組合側が団交を求めないため、使用者がその命令を履行できないといった特殊な事件が二件ございますが、これ以外では一件を除きましてすべて履行され、都労委は使用者から履行した旨の報告を受けてございます。これらにつきましては、命令をしてから履行されるまでの平均日数は二十八日でございまして、かなり速いスピードで履行されていると、放置されているわけではないというふうに考えております。
 また、都労委命令で確定したものの履行されなかった一件につきましては、過料の決定が行われているところでございます。
 次に、初審の救済命令が履行されず再審査申し立てがなされた場合でございますけど、中央労働委員会は使用者に対して、初審命令が作為を命じた部分につきましては、原則として履行勧告を発してございます。
 以上のとおり、都労委におきましても、中労委におきましても、法に基づきまして、行うことを適時適切に行っておりまして、命令の不履行を放置しているというようなご指摘は当たらないと考えております。

○清水委員 今、法に基づいてやることをやっているという答弁でした。労働委員会に調査していただきましたが、労働委員会から労働者を救済する命令が出されても、企業側から再審査請求されると、そのすべてが履行されていません。それでも、そのことについて問題であるとの認識も示されていません。裁判所の判決では、上告されようが、上告によって判決が覆らない限りその判決が効力を持っている点と比べると大変異なります。
 規則では命令を履行しなければならないとされているのに、そのルールが事実上機能していない。しかもその命令の内容というのは、労働組合法に従って、労働組合員であることによる差別をやめることであったり、労働組合との話し合いに応じなさい、労働組合活動への差別、介入をやめなさいなど、社会生活では法律によって広く認められている、ごく常識的な当たり前の内容を求めているものです。そういう命令さえも再審査請求されると、社会的には何らとがめられない状態が放置されることになります。労働者側とすれば、人権侵害が放置されるということになります。
 命令を履行しない使用者に、そのまかり通っているという根拠は何でしょうか。

○岳野労働委員会事務局長 これまでもいろいろなご答弁の中で申し上げておりますが、労使関係は紛争のあるなしにかかわらず未来に向かって続いていくということが大前提でございます。その中で一刻一刻変化していくものと認識しております。
 労働組合側も使用者側も、都労委の初審命令での内容を踏まえまして、中労委での再審査手続中も、あるいは裁判所での訴訟中も、漫然としてその判断を待っているのでは決してなくて、紛争解決に向けて日々、調整や努力を行っていると認識しております。
 したがって使用者が、あるいは労働組合が都労委の初審命令を履行しなくてもよいとか報告しなくてもよいと考えているというふうには思っておりません。

○清水委員 労働委員会の命令に対して、使用者が命令を履行しなくてもよいとは考えていないという、今、答弁でしたし、先ほどは都労委としてはやるべきことをやっているということのお答えでした。
 最初に例示したゼンショーという会社の営業ですが、例えば牛丼のすき家の夜中の営業は、一人でお店を切り盛りさせています。防犯上のリスク、危機管理上のリスクが非常に高くなります。同業他社では複数体制でやっているわけですが、このゼンショーだけは一人夜勤体制をとっていたわけです。そのために強盗被害も多く、警察庁からも防犯上の問題から改善が求められているなどの問題が起きています。こうした問題も労働組合から使用者に対して改善要求が出ているわけですが、とにかくその話し合いという入り口さえもつくられない状況です。
 そこで伺いますが、都労委は、使用者が命令を履行しなくてもよいと考えているということですから、命令を守らせるために労働委員会ができることはないのかというような知恵を出していただきたいと思いますが、いかがですか。

○岳野労働委員会事務局長 事業説明でも申し上げましたけれども、都労委での平均審査期間は、二十年一月一日以降、三百十二・五日、約十カ月でございまして、不服申し立てにいく案件はそれだけこじれている案件ということでございます。再審査や訴訟になる割合は、申し上げましたように二十三年度で八割強でございますが、そのうち六割程度は、中労委でも裁判所でも和解で解決してございます。ご指摘のゼンショー事件のように最高裁までいく事件は全体の五%程度でございまして、それは紛争内容がとても複雑だったり、労使関係がかなり緊迫しているというふうに認識してございます。
 紛争の長期化は、清水委員のご指摘をまつまでもなく、都教委としては遺憾でございまして、労使双方にとってもデメリットは大変大きいものと考えております。今後とも、こういう紛争中のものについては、履行させることが先ほどるる述べた理由で難しいとは考えておりますが、今後とも、労使関係、命令の的確かつ迅速な解決履行に努めてまいりたいと思っております。

○清水委員 例えば命令を出した後に、命令の履行状況がどうなっているのかを労働委員会としてもっと公にするとか、東京都、区市町村の入札に際してこうした情報を考慮してもらうような情報提供を積極的にするとか、こういうことというのは、労働委員会関係の法律にかかわると、何か問題が生ずるということになりますか。

○岳野労働委員会事務局長 まず、清水委員がおっしゃいました最初の履行報告でございますが、それは私どもいろいろな、ホームページや年報等を通じて、きちっと知らしめているところでございます。
 それから、公共事業の指名から外すというお話でございましたけれども、くどくなりますけれども、命令の内容に不服がある当事者は、適法に上級の審査機関に再審査を申し立てる権利、司法の判断を求める権利が保障されてございますので、命令が確定しない段階で公共事業の指名から外すということは使用者の権利行使を阻害することにもなりますので、そういうことは困難でございます。
 また命令が初審でも上級審でも、訴訟においても確定した場合は、先ほど報告いたしましたとおり履行はほぼ確保されておりまして、例外的な不履行につきましても、先ほど述べましたように過料を科しております。それゆえ、第一義的には契約部局が判断することになるでしょうけれども、公共事業の指名から外すという考えはございません。

○清水委員 なぜこうした質問をしたかといいますと、社会的に決められたルールを本当に勝手に破って、守りなさいといわれても守らないような大企業があると。こんなもとで、労働者がどれほど困っているかということをどこかで食いとめる方法はないかなということで、私は今回質問をいたしました。労働委員会としてもいろいろなご答弁をいただきましたが、さらに提案したことなどを検討するよう強く申し述べて、質疑を終わります。

○伊藤(ゆ)委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○伊藤(ゆ)委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で労働委員会事務局関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時五十五分休憩

   午後三時九分開議

○伊藤(ゆ)委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 これより中央卸売市場関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について、理事者の説明を求めます。

○塩見管理部長 去る十月九日の当委員会で要求のありました資料につきまして、お手元に配布してございます経済・港湾委員会要求資料に基づきましてご説明申し上げます。
 一ページをお開き願います。1、各市場の活性化に向けた主な取り組みでございます。
 1、共通の取り組みとして、各市場共通の取り組みを記載してございます。
 続きまして、2、各市場の実情にあわせた取り組みでございますが、市場ごとに現在及び今後の主な取り組み等につきまして一覧にまとめて記載してございます。
 二ページをお開き願います。2、中央卸売市場における市場別業者数の推移(十年間)についてでございます。
 過去十年間の水産物部、青果部、食肉部及び花き部の市場別の業者数の推移を記載してございます。
 二ページに卸売業者、三ページに仲卸業者、四ページに売買参加者について記載してございます。
 五ページをお開き願います。3、中央卸売市場における取引方法別割合及び取扱金額の推移についてでございます。
 五ページに取引方法別割合の推移、六ページに取扱金額の推移について記載してございます。
 七ページをお開き願います。4、中央卸売市場における卸売業者・仲卸業者の経営状況の推移(五年間)についてでございます。
 卸売業者及び仲卸業者につきまして、それぞれ業者数とそのうちの赤字業者数を部類ごとに記載してございます。なお、仲卸業者欄の括弧書きは、調査対象業者数に対する赤字業者数の割合でございます。
 八ページをお開き願います。5、豊洲新市場整備に係る執行額についてでございます。
 これは、豊洲新市場整備に係る平成二十三年度末の執行額について、土壌汚染対策費、用地取得費、建設費、基盤整備費等に区分して記載しております。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料につきまして説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○伊藤(ゆ)委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○田の上委員 豊洲新市場予定地について質問をさせていただきます。
 十月二十六日の公営企業会計決算特別委員会で、中村議員の質問に対し、土壌汚染対策費十億四千百九十八万円の二十四年度への繰越理由は、東日本大震災の復興の妨げになる懸念と改正土壌汚染対策法による土壌の移動に係る制約から、予定地内での資材の保管場所の確保が困難になったとのことでした。
 具体的に土壌の移動が困難になった改正土壌汚染対策法による制約とはどんなものなのか、伺います。

○加藤基盤整備担当部長 改正土壌汚染対策法により、形質変更時要届け出区域に指定されますと、汚染土壌の拡散の防止の観点から、指定区域内の土壌の移動については厳しい規制を受けます。
 例えば、きれいな盛り土であっても、指定区域内にあるものにつきましては、市場用地外への搬出はもちろんのこと、市場用地内においても、指定区域外への移動は法の規制を受けるため、指定区域内の盛り土は、指定された区域内でしか運搬、仮置きができないといったような制約がございます。

○田の上委員 つまり、区域指定されている市場用地の五街区、七街区に既にある盛り土を六街区に運搬、仮置きをするためにスペースがなくなり、遮水壁などの杭材の一括調達ができなくなったという意味かと思います。
 以前より指摘をさせていただいておりますが、盛り土の調査だけは、仮置き前に現有地で行っておけばよかったのではないかと思います。
 市場用地内でも、指定区域外への移動は法の規制を受けるとのことです。土壌汚染対策法の区域指定は、十メートルメッシュごとの区画で行っているため、まばらになっています。今回の盛り土の移動に伴って、運搬ルートとして新たに区域指定をした部分が五街区、七街区にあるということですね。六街区は盛り土の仮置き等をすることから、初めからすべて区域指定にしてあると聞いております。
 土壌汚染対策法に基づく調査と土壌汚染対策工事中に新たに実施している調査が六つほど行われております。三月公表分と九月公表分の後、残りの六街区の調査についてはいつ公表されるのか伺います。
 また、調査が終了した五街区、七街区を含め、各街区でA.P.二メートル以深の土壌汚染対策工事は現在進められているのかどうか伺います。

○加藤基盤整備担当部長 工事中に実施する調査につきましては、六街区の残りの調査も含めまして、工事の進捗に合わせて行い、調査結果につきましては適切に公表してまいります。
 現在、すべての街区におきまして、A.P.プラス二メーター以深の対策工事を進めてございます。

○田の上委員 非常に漠然としたご答弁だったのですけれども、六街区には現在、五街区、七街区の盛り土が仮置きされています。また、土壌汚染処理のプラントが六街区に設置されています。プラント以外の部分で先に調査を始められるものもありますが、面積の約四割を占めるそのプラントが片づかないと、その部分は始まらないし、終了しないということかと思います。間違っていたら訂正してください。
 つまり、五街区、六街区、七街区の土壌汚染対策が終了しなければ、プラント部分の未実施の調査には至らないということです。六街区は汚染の対策範囲すらなかなか確定しないということかと思います。
 先ほどの決算の土壌汚染対策未執行分で、資材購入の予算を二十四年度に繰り越ししましたが、矢板の長さは汚染対策の範囲によっても異なるのではないでしょうか。
 三月の予算特別委員会のときに、自然由来と判断する際の分布特性に触れた際に、五街区だけ見ると、一部に汚染が集中しているように見える。市場用地全体を見てほしいといった旨の答弁がございました。七街区のみならず、六街区も見なければ判断できないのではないかと申し上げます。
 調査で、地下構造物が支障になった際に、汚染の拡散のリスクは生じないのか伺います。

○加藤基盤整備担当部長 工事中に行うボーリング調査におきましては、支障となる地下構造物もあわせて削孔してございます。
 この場合、試料採取後にボーリング孔を砂やセメントミルクなどで充てんしており、汚染の拡散は生じません。

○田の上委員 つまり、実際に地下構造物を取り除くのは工事の際であり、現在、調査でぶつかる構造物は大きなものではないというご認識で、そのまま掘っているということなのかと思います。汚染を拡散させないということはもちろんなのですが、しっかりと調査を進めるに当たり、無理のないような方法をとっていただきたいと要望いたします。
 帯水層の底面、すなわちYc層の上端を確認しているかという質問は今までにも再三させていただきました。土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドラインでは、難透水層の地層の厚さが五十センチ以上で連続していることが必要です。都は、八本のボーリング調査のほか、建設局や水道局で行った百本を超えるデータをもとにコンター図をつくってきたという説明がありました。ところが、既にあるデータから見ても、五十センチ未満の箇所が複数あります。こういった状況から、指針で進められている第二帯水層まで掘る必要があるのではないかと考えますが、見解を伺います。

○加藤基盤整備担当部長 今、委員からお話がありましたように、有楽町層の上端深度分布図につきましては、土壌汚染対策法に基づく調査及び措置の技術的手法の解説に基づき、都が平成十八年度に実施いたしました八本のボーリング調査、建設局、水道局が実施した百本を超えるボーリングデータに加えまして、平成十九年度に行いました六十二本の先行ボーリング調査結果により作成してございます。
 この図に基づきまして、絞り込み調査等の深さ方向に行った千本を超えるボーリング調査を実施しており、その際、不透水層の上端を確認してございます。
 したがいまして、ご指摘の五十センチ未満の箇所があったとしても、有楽町層の上端深度分布図を参考にしながら、千本を超えるボーリング調査を実施しており、不透水層上端の確認には何ら問題はございません。
 なお、底面管理調査により汚染範囲が確定してございますので、さらなる深度方向の調査の必要はございません。

○田の上委員 絞り込み調査などの千本を超えるボーリング調査というのは、不透水層、難透水層を確認したものではないのではないかと思います。難透水層の地層の厚さが五十センチ以上であることに加え、その地層が連続して分布することが帯水層の底面が存在すると判断する要件であるということは以前にも申し上げました。もし柱状図、一千三百三十八本が難透水層を確認するものであるのならば、環境省のガイドラインにより、粘性土層の厚みが五十センチであるかも確認されているはずですが、コアサンプルの裁判の陳述書によると、確認できないところというのが二百七十八カ所ありました。
 今ご答弁ありましたけれども、五十センチ未満の箇所があったとしても、ガイドラインに基づき作成した分布図を参考にしながら調査をしているので問題はないとの答弁でしたが、その土壌汚染対策法に基づく調査及び技術的手法の解説に基づき作成した分布図とは、既に公表されているのでしょうか。
 また、帯水層の底面の試料採取調査は、土壌汚染対策法に基づく調査ですから、各区画の帯水層の底面位置を判断できるのは指定調査機関ですが、指定調査機関が帯水層の底面を示した図表があるのでしょうか、伺います。

○加藤基盤整備担当部長 今のご質問の前に、先ほど、千本を超える調査につきましては、帯水層の汚染の状況を把握すると。その際には、帯水層の底ということで、不透水層の上端まで達していたということを確認すればいいということでございまして、今、委員のお話があったガイドラインの五十センチを確認しなくてはいけないということではございません。そういったことで、何ら問題はないということで答弁させていただきました。
 それから、今ご質問がありました、まず分布図についてでございますが、豊洲新市場予定地における土壌汚染対策等に関する専門家会議の報告書に、有楽町層、Yc層の上端深度の分布図を掲載しておりまして、これらにつきましては、ホームページ上で公表してございます。
 また、帯水層底面調査につきましては、ベンゼンについて、地表から深さ十メートル以内に帯水層の底面が存在する場合、この底面の土壌の汚染状況の有無を確認する調査でございまして、分布図を新たに作成する必要はございません。

○田の上委員 まず、じゃ、その五十センチ以上の厚みというのは確認する必要がないというご認識なのでしょうか、というのが一点。
 それから、先ほどおっしゃった分布図ですけれども、これは専門家会議に示されたコンター図かと思いますが、その後の絞り込み調査などのボーリングとは、ずれた箇所があるということを申し上げます。
 九月十三日に公表された底面管理調査では、ベンゼン百十三カ所に対し六十八カ所、シアン化合物三十七カ所に対し十六カ所で、難透水層付近以深から汚染が検出しています。こういったことから考えても、地質の確認が不十分だったのではないかと申し上げます。
 まずちょっと最初の質問に答えてください。

○加藤基盤整備担当部長 先ほど申し上げましたように、汚染の上端分布図を作成するにおきまして、十八年度に行いました八本のボーリング調査、あるいは水道局、建設局等が行いました百本を超える調査、その後、先行ボーリングで行いました六十二本の調査、これらについて、五十センチ以上の不透水層を確認した上で上端の分布図をかいてございます。
 こういったことで、上端の確認については終わりでございまして、その後の千本を超えるものにつきましては、先ほど申し上げましたように、帯水層における汚染の状況を確認するということで、それが帯水層まで行っているということを確認すればいいようにございますので、そこにつきましては、五十センチ以上を改めて確認する必要はないということで答弁させていただいたものでございます。(「一年前の質問と同じじゃないの」と呼ぶ者あり)

○田の上委員 そんなことないですよ。そしたら、じゃ、千本を超えるボーリング調査で、先ほど不透水層の上端を確認したというのは、また違っているということだと思いますが、この厚みについて、連続性ということについても、今までに指摘もさせていただいているかと思いますので、ぜひ考えていただきたいと思っております。
 先ほども申し上げましたけれども、先ほどのベンゼンの汚染検出頻度、大体計算すると六〇%程度、シアンについては約四三%でございます。こういったことも含めて、実質の確認をしていただきたいと改めて申し上げます。
 九月二十八日の経済・港湾委員会の岡田委員の質問に対し、調査は、不透水層を貫通することがないよう確認しながら作業を進めている。突き抜けたということはないと答弁されていました。五街区のYc層はご存じのように浅い位置にあり、A.P.マイナス五メートル程度の深さまでとなっています。九月に公表した追加調査では、Yc層より深いYs層やEs層にも汚染が見つかっています。もはや難透水層を突き抜けているということだと考えますが、ご見解を伺います。

○加藤基盤整備担当部長 今回の底面管理調査につきましては、土壌汚染対策法に規定する指定調査機関が、ボーリングにより不透水層を貫通することのないよう、採取した土壌の土質を確認しながら、十分注意して作業を進めており、操業由来の汚染物質については、すべて不透水層内で二深度確認を完了しているとの報告を受けてございます。
 こうしたことから、不透水層を突き抜けたということはございません。

○田の上委員 市場のホームページには地質断面図がございます。ボーリングナンバー七と八の部分がちょうど五街区に当たります。五街区のほとんどは、A.P.マイナス五メートルまでがYc層となっております。Yc層より深い部分は砂層です。つまり、水が通りやすい地層ですから、汚染は水平方向に広がっている可能性があります。こうした汚染の可能性、不透水層の厚さについても、しっかりした説明がなければ理解できるものではありません。
 指定調査機関からの報告を受けているとのことですが、どこの指定調査機関なのか、報告書を含めて公表していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○加藤基盤整備担当部長 報告を受けました指定調査機関は、五街区、六街区、七街区それぞれの工事を請け負ったJVの代表の会社でございます。
 なお、報告を受けた底面管理調査結果につきましては、もとになるデータを含め、ホームページ上で公表してございます。

○田の上委員 JVの代表の会社が指定調査機関として報告をしているということだそうです。三月の予算特別委員会で質問いたしましたが、都は、底面管理調査で、土壌溶出量で環境基準の十倍を超える砒素であっても、全含有量が基準に達しないものは自然由来としていました。三月、九月の調査を合わせて、自然由来として二深度確認をしなかった地点は何地点あるのでしょうか、伺います。

○加藤基盤整備担当部長 不透水層内の砒素で自然由来と判断し、二深度確認を必要としない地点は百九十一地点でございます。

○田の上委員 その百九十一地点すべてで全含有量を調べているのでしょうか。そうでないとしたら、どのような考え方で何地点を測定しているのでしょうか、伺います。

○加藤基盤整備担当部長 不透水層内で砒素の土壌溶出量が基準超過をしている百九十一地点のうち、用地全体に偏りがないよう、二十九地点で全含有量をはかってございます。

○田の上委員 そうしますと、環境基準の十倍を超える溶出量が出ている地点のうち、全含有量を調査していない地点が百六十二地点あるということですね。局在性を調べるためにさまざまな場所ではかっているということには理解できるのですけれども、操業由来の可能性があるのかどうかということを調べるという視点においては、やはり濃度や周囲の汚染状況も含めて測定するべきではないかと申し上げます。
 底面管理調査において、不透水層内で砒素の土壌溶出量が基準を超過していて自然由来と判断したのは、環境省からの通知に示された土地の土壌の特定有害物質による汚染状態が、専ら自然に由来するかどうかの判定方法によるものだと以前おっしゃっていたかと思います。実際、自然由来かどうかの判断はどなたが行ったのでしょうか。

○加藤基盤整備担当部長 不透水層内の砒素につきましては、今、委員からお話がありました、環境省からの自然由来に関する判定方法及び専門家からの見解から、ガス工場操業に由来するものではなく、自然由来であると東京都が判断してございます。

○田の上委員 最終的に都が判断したということでございます。砒素が土壌汚染対策法上の有害物質として手続が進んでいるのに、自然由来かどうかの判断は指定調査機関が行わなくてもよいのでしょうか、伺います。

○加藤基盤整備担当部長 土壌汚染対策法におきまして、指定調査機関は、形質変更時要届け出区域の申請を行うために土壌汚染状況調査などを実施する機関であると定められてございます。
 こうしたことから、自然由来かどうかの判定は、指定調査機関が行うというものではございません。

○田の上委員 指定調査機関が判断するものではないというご答弁でした。九月の経済・港湾委員会で清水議員も質問していましたが、かつて東京ガスで砒素を使った施設があることもわかっている。また、東京ガスの対策時には、地表に近い部分で高濃度の汚染土壌を処理した経緯もあります。調査判定としては不十分ではないかと意見を申し上げます。
 新市場予定地の建物の実施設計がわかりませんが、複層の建物だということです。どのような利点から複層の建物になったのでしょうか。各棟の建物は何階建てなのでしょうか、伺います。

○久保田施設整備担当部長 豊洲新市場では、五街区に三階建ての青果棟、六街区に五階建ての水産仲卸売り場棟、七街区に五階建ての水産卸売り場棟を計画しております。
 各棟とも、一階に売り場や荷さばき場、バース、その上に事務所や機械室のほか、必要な施設を配置するなど、土地の有効利用を図っております。
 例えば、水産卸売り場棟では、一階に卸売り場やバースを、二階に事務所や見学者施設を配置するほか、三階に加工、パッケージ施設を、四階に転配送センターを配置いたしまして、幹線道路から車両の搬出入もできるようにするなど、機能的に配置をする計画でございます。
 このように、建物を複層化することにより、築地市場と比べ、建物周囲に十分な外周道路や待機駐車場を整備し、円滑な物流動線を確保するだけではなく、物流動線と立体的に分離した、安全な見学者等、歩行者のアクセス動線を確保し、市場機能を効果的に発揮することができます。

○田の上委員 公営企業会計決算特別委員会で、中村議員が建設スケジュールに触れたときに、答弁で、建物の階数を低減することなどにより、工期短縮を図っていくこととしているとございました。これは、業界との調整の中で階数を低減するということが決まったということでしょうか。

○久保田施設整備担当部長 建物の階数の低減につきましては、業界との調整を経て、水産卸売り場棟の階数を、環境影響評価の時点での六階から五階に減らす計画案を業界に提示したものでございまして、近々に業界と合意する予定でございます。

○田の上委員 公営企業会計決算特別委員会では、基本設計と実施設計を一体のものとしてとらえて進めているという答弁もありましたが、いつ実施設計が明らかになるのでしょうか。

○志村新市場整備部長 豊洲新市場の整備計画につきましては、都は、基本設計と実施設計を一体的なものとしてとらえ、市場業界と調整を図りつつ作業を進めておりました。これは先ほどご指摘いただいたとおりでございます。
 こうした市場業界と調整を進めることによりまして、各街区の施設配置、施設内における売り場や事務所等のレイアウト、電気設備の設置位置など、具体的な施設内容についてはおおむね整理をいたしました。
 これにより、取りまとめました計画案を、現在、業界に提示しているところでございまして、業界とは近々合意する予定でございます。
 業界と合意した後は、ホームページ等を活用し、施設配置図や平面図のほか、パースなどを使いまして、一般の方にもわかりやすくお示ししてまいります。
 なお、実施設計は、工事発注図書の作成や積算等を行うものでございまして、こうした作業につきましては、今後も進めてまいります。

○田の上委員 本来では、平成二十三年六月に基本設計が策定され、一年間かけて周知されるはずでした。ところが、基本設計すら公表されず、基本設計と実施設計を一体のものとするとしています。当たり前ですが、業界との調整をするには、基本設計がなくては話し合いになりません。
 先日の公営企業会計決算特別委員会では、計画通知の事務経費九百五十七万円は、時期を見直し、二十四年度に再計上したとのことでした。その答弁の中では、既に今年度、六街区の水産仲卸売り場棟の計画通知を提出しており、今後、順次必要な計画通知を提出するとのことでした。六街区の計画通知はいつ提出されたのでしょうか。

○久保田施設整備担当部長 六街区の水産仲卸売り場棟の計画通知につきましては、十月十七日に提出をいたしました。

○田の上委員 そもそも実施設計が作業中で、基本設計すら公表されていないのに、計画通知が提出されていることに疑問を感じます。日刊食料新聞では、十月五日に予定されていた新市場建設懇談会が延期され、施設整備計画案が話し合われなかったとされています。近々業界と合意するとの答弁でしたが、つまり、業界の合意が得られないまま計画通知が提出されているということです。もし既に提出されているもので合意が得られない場合は、都は再提出をするのでしょうか、伺います。

○久保田施設整備担当部長 計画通知は、建築基準法に基づき、都道府県等の建築物につきまして、建築工事等に着手する前に、その計画が建築基準関係規定に適合するかどうか、建築主事の審査を受けるための手続でございます。
 仮に、業界との協議によりまして計画の変更が必要となった場合、現在審査中の水産仲卸売り場棟につきましては、確認済み証の交付を受けた上で、変更に係る部分の工事に着手する前に、変更計画を建築主事に通知をいたしまして、再度、審査を受けることになります。

○田の上委員 計画通知が提出されてから、通常六カ月程度、最低でも三カ月は審査にかかります。中村議員も質問していましたが、もちろんWTO案件としての入札手続にも四十日以上が必要であり、時間がかかるものと思われます。六街区、水産仲卸売り場棟の建設工事は今年度中に着手ということですから、関係者との合意よりも前に、このような時期に提出されたのだと推測いたしますが、もし再提出となれば、建設スケジュールに影響がないとはとてもいえないと思いますが、見解を伺います。

○久保田施設整備担当部長 建築基準法によれば、変更計画について新たな確認済み証の交付を受けた後でなければ、変更に係る部分の工事には着手ができません。
 しかしながら、原則として、変更箇所以外の工事につきましては、最初の確認済み証に基づき継続できることから、予定している建設スケジュールに影響は生じません。

○田の上委員 変更部分以外は大丈夫であるということで、つまり、今後、大規模な変更は生じないというご認識だと理解いたしました。
 質問を終わります。

○木内委員 新市場の予定地、豊洲、ここはかつての産業を支えるまち、こういう都市構造の中での位置づけでありました。今、水辺ならではの潤いと都心から至近距離にあるというこの上ない立地条件が相まって、住宅や商業施設でにぎわうまちに大きく変貌しました。ご案内と思いますけれども、港区に白金という高級住宅街があって、ここのお屋敷や高級マンションに住んでいる若い世代の女性や主婦のことをシロガネーゼとメディアではいっているのですが、最近、この豊洲に住んでいる同じ年代の女性の人たちのことを、キャナリーゼというんです。キャナルっていうのは、運河という意味でありまして、これとキャナリーゼを造語したのだと思います。そういうまちに実はなってきていて、人々は今、豊洲というまちを好意的かつ肯定的に評価する、こういう声が高まっているわけであります。
 申し上げたように、豊洲といえば、かつては造船所や工場のまちと、こういわれました。昔のそのまちの姿を知る者の一人として、隔世の感を深くしますし、こうした時代の変化というものは、まことに感慨深いと思うのです。
 一方で、豊洲新市場の予定地というのは、ご存じのように、土壌汚染の問題を抱えています。食の安全・安心を支える卸売市場をこの地に整備する以上、土壌汚染対策に万全を尽くすのは、まず当然であります。
 この問題については、今もこの委員会での議論がありましたけれども、これまではややもすると土壌汚染をどうするかということに議論が集中してきている。しかし、私は、そうした視点からだけではなく、豊洲というまちそのものという切り口から、海外の実例も踏まえて考えていきたいし、希望と夢に満ちた発想というものも豊洲においてはすべきであるというふうにまず思いまして、きょうは質疑を開始したいと思います。
 欧米では、豊洲のように土壌汚染によって貴重な土地の開発が滞って、その価値が減少するという問題が早くから顕在化してきたのです。いわゆるブラウンフィールド、こう名づけられる土地でありますけれども、こうしたところについて申し上げた、単なる対症療法的な議論、考え方をやりとりするのではなくて、土壌汚染対策を施した上で、あえて新しいコンセプトというものを打ち出して、逆に、新しいまちづくりの起爆剤にしていく、こうしたことが必要だし、海外にもこういう事例があるのであります。
 本委員会の理事であります伊藤こういち議員も、この前、ロンドン・オリンピック・パラリンピック、ほかにも行った方、おられると思いますけれども、現場に行って、見聞してきたことをつぶさに私も聞いたわけでありますけれども、例えばこのロンドン・オリンピック・パラリンピックのスタジアムがあるオリンピックパーク、こういうところがロンドンにあります。かつて鉄道の関連施設が林立しまして、このために土壌汚染によって半ば見捨てられた土地でありましたこの場所は、オリンピック会場に姿を変えて、さらに将来は、IT、都市公園、住宅など多様な顔を持つエリアに生まれ変わる、こういうふうに聞いています。ちょうど豊洲の歴史的経過と似ている点があるので今言及をしたわけであります。
 さて、豊洲というまちにおいて、どんなまちを目指すにせよ、汚染対策工事がしっかりとなされていることがまず大前提になります。ここで改めて、土壌汚染対策工事は、市場用地の安全・安心の確保を目指して実施すべきであると思います。このことはこれまでも主張してきたところでありますけれども、その具体的内容について、まずご報告を願います。

○加藤基盤整備担当部長 豊洲新市場用地におけます土壌汚染対策は、我が国を代表する学識経験者により構成される専門家会議や技術会議が、自然由来の物質の存在についても考慮に入れ、科学的知見から提言したもので、都がこの対策を確実に実施することによりまして、人が生涯この土地に住み続けても健康への影響がなく、生鮮食料品を取り扱う市場用地としての安全・安心を確保するものとなってございます。
 その具体的内容につきましては、まず、街区周縁部に遮水壁を設置することで、市場用地と周辺地域との地下水の移動を遮断いたします。
 次に、ガス工場操業地盤面、おおむねA.P.四メーターから深さ二メーターの、A.P.二メーターまでの土壌につきましては、操業由来、自然由来の汚染の有無にかかわらず、すべてきれいな土で入れかえ、A.P.プラス二メーターより下の操業由来の汚染土壌はすべて掘削除去いたします。その後、二・五メーターのきれいな土による盛り土とアスファルト舗装等を行うことにより、敷地全体を四・五メートルのきれいな土で覆うものでございます。
 さらに、地震時の液状化による砂の噴き出しを防ぐため、阪神・淡路大震災や東日本大震災でも効果が確認されております液状化対策工事を行ってまいります。
 市場の開場後におきましても、地下水の水位と水質を監視していくなど、総合的で万全な対策でございます。

○木内委員 総合的で万全な対策である各側面からの言及がありましたし、人が生涯この土地に住み続けても健康への影響がなく、生鮮食料品を取り扱う市場用地としての安全・安心を確保するものとなっているとの答弁、これを私は多としたいと思います。
 さらに土壌汚染の問題については、これまで専門家会議や技術会議といった有識者による知見を最大限に取り入れ、念には念を入れた検討に基づく手法により、現在の工事に至っていることは明らかであります。こうした工事の経過と実態について、よく昔から、丸い卵も切りようで四角だというけれども、いろんなことをいえば、もういろんなことがいえるけれども、私たちはこの専門家会議、技術会議といった有識者の知見というものを最大限に評価して、十分な検討に基づく手法で行っている、これをしっかり、この行き方を支えていきたいと、こう思うわけであります。
 なお、申し上げるように、土壌汚染対策工事は万全を期して行うべきと思いますけれども、現在、どういうふうになっていますか。

○加藤基盤整備担当部長 現在、土壌汚染対策工事におきましては、盛り土の掘削、遮水壁の設置につきましては、おおむね完了してございます。
 汚染土壌につきましては、底面管理調査などにより対策すべき範囲を確定し、日本最大級の仮設土壌処理プラントにおいて二十四時間体制で処理を進めてございます。
 あわせて、汚染地下水につきましても、地下水処理プラントにおいて処理を進めているところでございます。
 汚染土壌と汚染地下水の除去、浄化が完了した箇所につきましては、プラントにおきましての処理済み土などを用いて埋め戻しを行っており、総力を挙げて工事に取り組んでいるところでございます。
 今後も工事の進捗に合わせて底面管理調査などを行い、対策範囲を確定し、操業に由来する汚染をすべて除去し、市場用地の安全・安心の確保に万全を期してまいります。

○木内委員 答弁いただきましたけれども、ぜひこれまでの経過も踏まえ、計画に沿って着実に、ひとつ精力的に事業の実施をされるよう強く要望したいと思います。
 ところで、豊洲新市場予定地の埋め立てから現在に至る経過を振り返ってみると、この土地は高度経済成長時にガス工場として稼働し、我が国の基幹産業を力強く支えてきた。その地に残された土壌汚染は、そういう産業面への貢献とは裏腹に、輝かしいそうした側面と表裏一体をなす陰の部分であるということがいえると思います。いわば、正負で分けますと、負の側面そのものであると考えざるを得ません。
 しかし、時代は変わっているのであります。豊洲地区全体から見ると、かつて造船所として多くの船舶を建造し、我が国の産業を支えた地区は今、高層マンションや商業地区、あるいはさらに芝浦工業大学など学術的な側面をも持った魅力的な生活空間に変貌しておりまして、新たな価値を生み出している、そういう地区になっている。これが実態であります。
 新市場予定地についても同じではないでしょうか。海外の例が裏づけているように、土壌汚染があっても、新しいまちをその地につくり、新たな価値を生み出すことは十分可能であります。先ほど答弁のあったように、土壌汚染対策工事は、我が国最高の技術によって裏打ちをされているのであります。
 産業革命をいち早くなし遂げたイギリスにおいて、オリンピックパークのような事例がなし遂げられたことと軌を一にするように、高度経済成長をなし遂げた我が国において、その負の側面である土壌汚染という問題を抱えた地を、最新鋭の技術を初めとした私たちのこの英知と、それから工夫と知恵によって新たな価値のあるまちにしていくことは、いわば文明論的にも必定であると、私はこう考えるものであります。
 にもかかわらず、失礼だけれども、前世紀の遺物のような旧来の価値観にしがみついた共産党や、あるいはいろんな議論が共産党などありますけれども、私の申し上げたような、いわば歴史の必然という流れを、そういう方々はどうも理解をされないようで、いたずらに土壌汚染問題にばかり執着をしている。
 今まで申し上げてきた大局的な観点なしに、いつまでも負の側面にばかり目を向けてはならない、それが一体何になるのだろう、こういいたいのであります。知恵と工夫と創意、これによって夢と希望を都民に与えていくという事業がいかに重要なものであるかということを、私はこの場で訴えたいのであります。
 豊洲新市場も、都民に生鮮食料品を安定的に供給するという、いわば教科書的な答えだけではなくて、こうした豊洲全体のまちを取り巻く歴史的意義を踏まえた役割が今、求められていると思うのであります。新市場がそこに整備されることにより、旺盛な経済活動の場として、あるいは税制を初めとする経済面や雇用吸収などのさまざまな経済波及効果も生み出し、地域に貢献できるという、こうした側面も断じて忘れてはならないと思います。
 先ほど、豊洲というまちの再生は、文明論的に必定だと述べましたけれども、現在の築地市場に目を転ずれば、かつての日本橋から築地に移転したという確かな歴史的経緯がそこにはあります。豊洲がこれからつくり上げていくまちであるならば、築地市場とその周辺のまちは、約八十年の歴史によってつくられたまちであるとともに、都民の貴重な財産であり、誇るべきものであると、このことを申し上げたいのであります。
 豊洲新市場をつくり上げていく上で、築地に学ぶべき点も非常に多いといわざるを得ません。その一例が、築地市場を中心とする築地というまちそのものの持つにぎわいであります。築地市場は豊洲にその場を移すことになりますけれども、築地のその後のありようというものも重要であります。かつて日本橋がそうであったように、市場移転後も、この日本橋のように、築地こそ東京を代表するまちとすべきである、このことを主張の前提として、先の議論を進めたいと思います。
 まず、築地の用地についてでありますけれども、歴史的経過と地理的特質等を踏まえた検討が私は必要であると考えますし、都における認識と検討の状況についてご報告をいただきたいと思います。

○森本企画調整担当部長 ただいま委員の方からお話ありましたけれども、築地地区は、昭和十年の築地市場の開場以来、市場とその周辺に集積しました食に関連した店舗とのかかわりによりまして、独特の食文化が発達しておりまして、それを目当てとしました多くの観光客が訪れていただけるなど、東京を代表する食の拠点として知られております。
 ことし二月の東京都と中央区の合意の中でも、今後の築地地区のまちづくりに当たりましては、築地のまちの独特の伝統、文化を生み出してきた、こうした特質をどのように引き継いでいくかという観点も含め、検討を行っていくこととしております。
 一方で、築地市場の跡地は、銀座に隣接しました都市機能が集積する極めて高いポテンシャルを有しておりまして、都心に残る二十三ヘクタールという、数少ないまとまった土地として、その活用は、今後の東京のまちづくりを進める上で極めて重要な課題であると認識しております。
 そのため、築地市場のまちづくりの検討に当たりましては、このような地区のさまざまな特質を考慮しながら、都庁全庁的、横断的に検討を進めているところでございます。

○木内委員 二月の都と中央区の合意を十二分に踏まえながら、地元の意識、あるいは思いというものをしっかりと受けとめて、丁寧な対応と今後への事業の進捗をお願いしたいというふうに思います。
 一方、中央区は、築地市場の跡地もさることながら、その周辺、いわゆる場外市場と呼ばれる区域について、区のビジョンに基づいたまちづくりを進めたいという意向を明確にしているのですね。中央区の場外の活用についてのビジョンは明らかになっているのか、どう認識しているのか、それに対する都の協力のありようについて見解を伺います。

○森本企画調整担当部長 中央区は、築地市場の跡地が広大であることから、築地市場閉場後からまちづくりを完成するまで長期にわたると考えておりまして、市場移転後も、築地の活気とにぎわいをいっときも途絶えさせないことを重視しております。
 そのため、場外の区有地を活用いたしまして、にぎわいの拠点となる暫定施設の整備を目指しておりまして、不足する荷さばき機能や駐車場のため、都に対し、閉場後の市場施設の暫定利用を要請しております。
 これを受けまして、都と区は本年四月に都区検討会を立ち上げまして、築地市場移転後も、築地地区が食文化の拠点として活気とにぎわいを継承していくための検討を重ねているところでございます。
 今年度は、現在の築地地区のにぎわいの実態につきまして調査を実施中でありまして、今後とも区と連携しまして、築地のにぎわいと伝統、文化の継承に積極的に協力してまいります。

○木内委員 先ほども申し上げましたけれども、築地の地元の思いというものを深く受けとめて、今答弁にあった都に対して、閉場後の市場施設の暫定利用も要請をしているということなどなど、しっかりとその要望にこたえられるようにご努力を願いたい、このことを今、あえて申し上げておきます。
 中央区が築地のまちづくりにこだわりを持つのはよくわかるんです。築地は、市場とそれを取り巻くように派生した場外とがいわば一体となって、日本の食文化を語る上で欠かせない要素になっている。去年の秋でしたか、ドイツから友人が来ましたときに、日本で一番行ってみたいとこ、どこだといったら、築地市場のマグロの競りをぜひ見たいと、こんなことをいっておりましたけれども、海外にも喧伝をされ、いわば場外と機能を持った地域との広域な領域に対するいろんな思いがみんなありますので、それを大事にすべきだと、このことを訴えておきたいと思います。
 こうした、いわば場内、場外とが一体となって日本の食文化を語る上で欠かせない要素になっているからでありまして、長い時間をかけて築き上げてこられたこうした伝統と文化を区がその地において伝承させようとするのは、ある意味当然でありますし、名前やブランドだけ残すのではなくて、実態のある伝統と文化の感じられるまちづくりというものを、地元区、地域の皆さんの意向をよく受けとめていただきたい。こうした食文化や伝統といった部分は、市場から見ても重要でありまして、築地のよさを引き継いでいく豊洲新市場にとっても無視できないどころか、積極的にこれははぐくんでいくべきものであると私は考えます。
 私も、築地を何回か訪れまして、場内と場外が相まった市場特有の、ほかでは味わえない雰囲気というものを経験したわけでありますが、訪れた大方の皆さんは、一種の高揚感を感じられているのではないかと思う。何かおもしろいものがありそうだ、またはおいしいものがあるといったわくわくするような雰囲気がある。私は、あのようなにぎわいは、人々の市場というものに対する興味や親しみ、または楽しみといった市場の魅力を高めている貴重な財産であると実感をしました。
 同僚議員も海外の各地を回って経験をされていることだと思いますが、海に面した大都市にはよく、ニューヨークでもオランダのアムステルダムでもそうでありますが、フィッシャーマンズワーフというのが、いわゆる漁師町と銘打って、そこを訪ねることが大きな旅の目的である、こういう観光客、アウトバウンドの人も多いわけでありますし、特に、本来の市場機能と同じぐらいの実は比重で、千客万来ということを考えていいのではないかと思うほどであります。
 この前、私は、品川駅の駅ナカのアーケードというか商店街をずっと回ってきました。それから、例の新装になった東京駅の地下街、それから駅ナカをずっと見てみた。本来ならば、輸送客の動線の通過点にすぎないそのスペースが、そこを目的として実は集ってくる。そうして今申し上げたようなにぎわいというものが、例えば東京駅なんかもいらしたことあると思うけれども、醸し出されている、そういうものがあるわけであります。
 豊洲新市場についても、千客万来施設を整備すべしということを、私はもう、かねてのときからいってきているわけでありますけれども、まず、しっかりとしたコンセプトに基づいて整備する必要があると思います。私が訴えてきたことに対しまして、所見を伺いたいと思います。

○加藤新市場事業計画担当部長 委員お話しのとおり、現在の築地では、築地市場と食関連の多種多様な店舗が数多く集積している築地場外市場とが一体となって生鮮食料品等の活発な取り引きが行われ、まちは活気とにぎわいにあふれており、これが築地特有の魅力となりまして、多くの観光客の方々が築地を訪れております。
 こうしたにぎわいが、ご指摘のとおり、多くの人々の市場への興味や親しみを深め、築地市場の魅力を高めていることは、市場開設者である都にとっても誇るべき貴重な財産であると考えております。
 このため、千客万来施設では、築地特有の貴重な財産であるにぎわいを継承、発展させるとともに、市場本体施設と連携し、食に関する多彩な店舗群による混然とした雰囲気や、多様なイベント等による食の魅力発信など、豊洲ならではの活気やにぎわいを生み出していくことをコンセプトとして整備いたしまして、豊洲新市場の魅力を高めるとともに、地域のまちづくりや活性化に貢献してまいります。

○木内委員 都議会でこの市場の議論がスタートしたころ、執行機関の皆さんの中には、この意識は余り持ってない方も多かった。市場機能の充実ということ、狭隘化した、老朽化した築地を豊洲に移そうと、機能、機能ということの議論が先行していたんですけれども、何度も何度もこの千客万来施設については、夢と希望を与えるものであるというふうに訴えてきたのがやっとここまで来ているわけでありまして、感慨を新たにしているわけであります。
 こうしたものをつくることは、豊洲新市場が食文化という、築地のよき伝統を引き継いで発展するという上でとても重要であると思います。また、地元区にとってもにぎわいを生み出し、新たなまちの顔となり得るものでありまして、重ねていいますけれども、経済活動にも大きな弾みをつけるものだ。
 しかし、築地における場外施設が、長い時間をかけて人々の自然な経済活動により生み出されたものであるのに対し、豊洲新市場における千客万来施設は全く異なる状況のもとでつくり上げなければならないという特徴もあるわけであります。それには、市場当局だけではなく、さまざまな主体の英知を積極的に活用していくべきだと思うんです。いわゆるハード面における充実とともに、知恵を出してソフト面における手法というもの、これも追求をしていかなくてはならない、このことを申し上げておきます。
 にぎわいを創出して市場の魅力を高め、地域へ貢献していくという目的達成のために、申し上げた点も踏まえて効果的な整備手法をとるべきであると申し上げるわけですが、所見を伺います。

○加藤新市場事業計画担当部長 千客万来施設において、にぎわいを実現し、整備目的を達成していくためには、人々の食に対する嗜好や市場への興味、期待など、絶えず変化する多様な世の中のニーズを的確にとらえていくことが必要であると考えております。
 このため、より顧客満足度を高めるマーケティング力や企画力など、にぎわい施設の整備運営に関する最先端のノウハウを有する民間の活力を導入していくこととしてございます。
 施設の整備に当たりましては、こうした民間事業者の持つ高い企画力、運営力及び経営能力を活用するため、最もすぐれた企画提案者を選定し、定期借地権方式により、にぎわいを創出し、整備目的を達成させてまいります。

○木内委員 この高い企画力、技術力、運営、経営能力、これを発揮させることができる形式というのがあった。私はさっきちょっと申し上げようと思って、あえていわなかったんですが、東京駅の地下のお弁当街というんですか、あそこのちょうど角に、委員会の席だから固有名詞いいませんけども、ミートのYという店が出てて、ステーキ弁当一人前九千六百円というのがあったのね。これにもうすごい人だかりで、身動きがとれないぐらい。これがおもしろいパブリシティー効果というか、あるものだなと、知恵者がいるんだなと思いました。そんなこともありますけれども、民間の活力を使っていくということは非常に大事。
 きょうの答弁で、一点だけ非常に意味があったと思いますのは、こうした経営能力を発揮させることができる定期借地権方式によって整備目的を達成していくということでありますので、これが新たな見解としてしっかり受けとめたいと思いますので、定期借地権方式による創出、目的の達成を目指していただきたいと思います。
 豊洲新市場の整備は、乗り越えるべき多くの課題を抱えた大事業でありました。同時に、この千客万来施設に目を向ければ、その意義や役割の大きさに比例して、事業を軌道に乗せるために汗をかかなくてはならないと思います。この千客万来施設に盛り込む機能がどんなものになるかも、もとより重要でありまして、これにはもう、専門家の額を寄せ合って、ぜひ検討してもらいたいのだけれども、さまざまな魅力ある機能を持たせることが重要でありますが、見解を伺いたいと思います。

○加藤新市場事業計画担当部長 千客万来施設におきまして、にぎわいを創出していくためには、市場本体施設と連携しつつ、市場に隣接するという強みを生かしました魅力ある機能を持たせていくことが重要であります。
 このため、さまざまな食材を初め、食に関する情報、食の専門家など市場関係者が集まる市場本体施設の特性を生かし、食の魅力を広く国内外に発信する機能、また、市場本体施設と相まって、体験型イベントなどにより、食との出会いや楽しさにあふれ、豊洲新市場ならではの活気やにぎわいを一体的に感じられる場をつくり、国内外から多くの観光客を引きつける機能、さらには、食に関する情報の受発信やビジネスチャンスの創出、さまざまなイベントなどを行うことにより、市場関係者の活性化に貢献するする機能、こうした三つの機能を導入したいと考えてございます。
 これらの機能によりまして、豊洲新市場ならではの独自の魅力を持つ施設として、にぎわいを創出してまいります。

○木内委員 今の部長の最後の答弁で、私はしっかり関係者に訴えたいと思いますし、宣伝もしていきたいと思うんです。この移転整備という一大事業が、もちろん首都圏の新たな基幹市場をつくることでありますと同時に、新市場予定地という負の遺産を背負った土地が、それを克服して新たな価値のあるまちに見事に生まれ変わる、その象徴的な存在になる、そういう視点を持つべきであると、このように考えていますと同時に、日本橋から移転した築地において培われた食文化などの伝統的側面を生かし、さらに発展させていく必要があると思います。
 千客万来施設についても、築地で培われてきた食文化の伝統を、豊洲という新たな市場のできるまちでも築いていくという、市場にとって重要な施設であります。また、地元区としても、豊洲新市場が親しみを持って迎えられる存在に向かって、ぜひご努力をいただきたい、これまで移転に向けた努力は、土壌汚染対策工事にせよ、東卸との関係にせよ、中央区による築地のまちづくりへの取り組みにせよ、いずれも市場当局と関係者との長い時間をかけた調整によってここまでこぎつけたものであります。
 よって、今回の知事の退任という突然の事態があったわけでありますけれども、これまで積み重ねてきたこれらのことが、あたかもリセットになるなどと見る向きに対しては、行政として一貫した姿勢のもとに、粛々と、そして精力的に、継続的に取り組んできたことをきちんと内外に示して、堂々と進んでいっていただきたい、このことを申し上げます。
 この申し上げた私の思いを受けとめて、豊洲新市場、そして千客万来施設をつくり上げていこうという市場長のお気持ちを伺って、質問を終わりたいと思います。

○塚本中央卸売市場長 今、委員が豊洲に対して、大変深い思いを持っておられることを重く受けとめまして、仕事を進めていきたいと思っていますが、築地市場は、日本橋魚河岸と京橋大根河岸の伝統を受け継ぐ卸売市場としまして、場外市場と一体となり、東京の食文化の拠点として発展を遂げてまいりました。この結果、現在の築地は内外から多くの人々が訪れる東京の観光名所ともなっております。
 現在整備を行っている豊洲新市場は、この伝統を受け継ぐとともに、さらに豊洲ならではの新たな食文化を発信し、その拠点ともなるよう、市場施設と千客万来施設を連携して整備してまいります。こうしたことによりまして、新たなにぎわいを生み出し、工場のまちから食のまちへと、このまちを生まれ変わらせると、そういうような形にしていきたいと考えております。
 新市場の施設計画につきましては、近々に業界と合意する予定であり、また、千客万来施設についても、事業内容等の基本的な考え方をまとめました基本方針案を近く公表していく予定でございます。
 現在の築地市場は、開場後七十五年以上が経過し、施設の老朽化、狭隘化が著しく、物流の変化や高度な品質、衛生管理など、時代の要請にこたえられない状況にございまして、移転整備はぜひ必要であると考えております。
 また、委員ご指摘のとおり、豊洲への移転は、都と関係者とで長い年月をかけて検討し、さまざまな議論を経ながら決定をし、進めてきたものでございます。
 こうしたことから、大前提としまして、もちろん土壌汚染対策工事をしっかりと行った上で、今後の豊洲新市場が、首都圏三千三百万人の食を支える施設となることはいうまでもなく、新しく生まれ変わる豊洲のまちのにぎわいあふれる拠点となり、東京を代表する食を中心とした観光名所ともなるよう、引き続き整備に全力で取り組んでまいります。

○清水委員 豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事について伺います。
 石原前知事のもと、トップダウンで進められてきた築地市場の豊洲移転ですが、都の土壌汚染対策の根拠となる不透水層なるものが、実は不透水層ではなかった、都のいう安全性は偽りだったということが、九月に発表された調査で改めて浮き彫りになりました。
 これまで私たちは、都のいう不透水層より深いところにも汚染が広がっている危険性を繰り返し指摘してきました。しかし、都は、専門家の見解なるものをほとんど唯一の盾に、汚染の広がる可能性が低いということをいい続けてきました。
 都の土壌汚染対策は、不透水層、すなわち、文字どおり読むと水を通さない層があることを前提にしたものです。この不透水層という安全神話が崩れれば、土壌汚染対策は成り立ちません。安全な対策をとろうとすればするほど、土壌汚染対策費が膨大に膨れ上がってきます。
 豊洲移転を推進してきた知事がいなくなったもとで、豊洲の土壌汚染対策への公金投入はやめて、食の安全・安心を最優先させるために、これまで進めてきた豊洲新市場予定地の土壌汚染調査、地質調査について総括を進めるとともに、築地市場の現在地再整備を検討する必要があると思います。
 最初に伺いますが、都がこれまでいってきた不透水層の説明の間違いについてお聞きいたします。
 都のいう不透水層内部が汚染されていた問題ですが、部分的な調査ですら、かなりの確率で不透水層内においても、ベンゼン、シアンなどの汚染が広がっている状況を見ると、もはや都のいう不透水層には、肝心な汚染を食いとめる能力があるとはいえません。どうですか。

○加藤基盤整備担当部長 工事の際に行いました底面管理調査におきまして、不透水層内につきまして、今、委員ご指摘のとおり、ベンゼン等の汚染が確認されたところでございますが、確認された場所につきましては、五街区に限られてございまして、五街区につきましては、もともとガス製造施設が集中的に立地していたところでございまして、地歴の上でもベンゼン汚染のおそれがある区域でございました。
 五街区では、十メーターの区画で汚染状況をこれまで専門家会議の中でも調査してまいりまして、千二百六十一区画に対しまして、不透水層内にベンゼンの汚染が確認されたのは七十四区画の約六%にすぎないということでございます。
 こうしたからことからも、豊洲新市場用地全体で見た場合につきましては、不透水層内にベンゼンが浸透したのはわずかなところでございますので、不透水層は形成されているというふうに考えてございます。

○清水委員 局所的だといいますが、不透水層であるのに、その内部が汚染されているという事実は極めて重いものがあります。都は、前回、第三回定例会の委員会質疑で、それでも私の質問に対して、不透水層に変わりはないと私どもは考えていると答弁しました。先ほども、不透水層であることに変わりないというふうにおっしゃいました。これは、専門家の見解ではなくて、都としての考えにすぎません。都のこの主張は、論理的にも学術的にも成り立たない説明です。不透水層であることに変わりないというのは、大変無責任です。実際には、不透水層としての機能を果たしていないわけです。それにもかかわらず、何の根拠も示せずに、不透水層に変わりないということはどういうことですか。
 伺いますが、東京都がいう不透水層の定義ですが、改めて説明してください。

○加藤基盤整備担当部長 不透水層の定義でございますが、土壌汚染対策法施行規則第四十条に定めがございまして、厚さが五メートル以上であり、かつ透水係数が毎秒一〇〇ナノメートル以下である地層、または、これと同等以上の遮水の効力を有する地層ということでございます。

○清水委員 そういうことで、国が法律できちんと定めているわけですが、しかし、これまで何ていってきているんですか。法律で定める不透水層の規格と比較して、豊洲の不透水層の水を遮る力は二十六倍もある。法律で定める基準で算出すると、必要な厚さは約十九センチメートルあればよい。市場予定地では、不透水層は二メートルから二十メートルもあるので漏れる心配がないと議会でさんざん繰り返し答弁してきました。
 ところが、実際にふたをあけてみると、十九センチメートルどころか、都のいう不透水層は、六メートルあっても、その役割を果たしていないことが明らかになりました。これまでの都が説明してきた不透水層の内容について訂正すべきではないですか。

○加藤基盤整備担当部長 都はこれまでも、豊洲新市場用地の不透水層は、これまで行いました地質調査や土質試験の結果から、土壌の特性から極めて水を通しにくく、敷地全域を見たとした場合には、汚染の可能性は低いと考えておりましたが、既に議会におきましても、ただし、不透水層上端の位置が浅い五街区につきまして、東京ガス株式会社の調査結果及び東京都が行いました絞り込み調査結果などから、不透水層内に汚染の物質が存在することを想定しておりました。
 こうしたことから、今回、工事に際して底面管理調査を行い、不透水層内の汚染の有無を確認したものでございます。

○清水委員 訂正しないと。幾ら事実を突きつけても、そう繰り返すばかり。
 では、伺いますが、今回の底面管理の調査では、どのような地層があるのかも発表されていません。先ほども他の委員の質問がありました。それは、どのような地層なのかを調査していないからだということです。どういう地層であるのか判断できる材料もなしに、どうして不透水層だと判断できるんですか。東京都のだれがどうやって、それでも不透水層と判断、検証したんですか、伺います。

○加藤基盤整備担当部長 先ほど来申し上げましたように、都におきましては専門家会議の中で、既に八本のボーリング調査、それから、百二本の水道局、建設局の調査、それから、六十二本の先行ボーリング調査におきまして、地層の断面構成を確認してございまして、その上で、千本を超えるボーリング調査で汚染の確認をしてきてございました。
 そういった中で、今回、工事を進めるに当たって、改めて底面管理調査を行ったということでございまして、もともと既に埋め立て土層の下にあります、千年をかけて形成されました有楽町層の上端のYc層につきましては、不透水層であるということで考えてございます。

○清水委員 今、八本、百本、詳細調査と不透水層の存在を確認したというふうな答弁もありました。先ほど来繰り返しています。しかし、その百本のボーリング調査というのは、各街区の外側の調査であり、内側は八本しかやっていないんですよ。その八本というのは、十ヘクタール以上ある面積の各街区に対し、二、三本しか調査していません。しかも、その調査は、これも繰り返しいっていますが、調査の規格を定めた地盤工学会からも目安にすぎないと、サンプルはいいかげんだといっているものです。
 詳細調査についても、わずか厚さ二センチの地層から不透水層と判断したという、いいかげんなものです。だから、今回のような、こういう結果が今になって出てきたのではないですか。どんなに事実を突きつけられても非を認めない、反省もない都の対応は、一にも二にも豊洲移転先にありきといっても過言ではありません。
 そこで伺いますが、それでも不透水層だと判断できる確実な材料は持っていないということではないですか。

○加藤基盤整備担当部長 先ほど来申し上げておりますが、既に豊洲で形成されております有楽町層のYc層につきましては、委員お話がありましたような調査から基づきましても、国が定めています不透水層の定義に合致しておりますので、不透水層というふうに考えてございます。
 私どもは、それらをもとにしながら立てられました土壌汚染対策につきましての提言を守っていくための工事をしっかり進めているところでございまして、そのために必要な対策範囲を確定するために底面管理調査を行いながらやっているところでございます。
 先ほど申し上げましたように、不透水層内で汚染が検出されたのにつきましても、先ほど申し上げましたベンゼンにつきましては、五街区だけに限られているところでございまして、その中でも、その千二百六十一区画につきましての六%にすぎないということでございますので、不透水層につきましては、そこにしっかりとあるというふうに考えてございます。

○清水委員 そうであるならば、そしたら、不透水層内部が汚染されていることについて、これまでもいっていますが、前回の委員会で、何らかの理由で汚染されたというふうに答弁しています。専門家の見解についてです。豊洲市場予定地には不透水層があるというごまかしに手をかしてきたのが、都のいう専門家の方なんですけれども、専門家は、都のいう不透水層内部が汚染されていることについて、どのようにいっているんですか。

○加藤基盤整備担当部長 先ほど来申し上げてございますが、不透水層内で汚染物質が検出したことの原因そのものを特定することは困難でございますけれども、不透水層の上端の浅い五街区については、東京ガスの調査、東京都が行った調査の結果から、不透水層内に汚染物質が存在することは想定していたところでございますし、その五街区につきましては、ガス工場の操業の施設が集中的に立地していたということから、ガス工場の操業過程において、何らかの理由で汚染物質が不透水層内に局所的に浸透した可能性が考えられるということでございます。
 いずれにいたしましても、不透水層内における汚染を確認いたしまして、対策すべき範囲が確定できましたので、確認した操業由来の汚染物質は確実に掘削除去し、市場用地の安全・安心に万全を期してまいります。

○清水委員 専門家が何ていっているかというふうに聞いたんですけれども、それでいいんですか。それでよろしいんですか。そしたら、この何らかの理由ということについて、専門家として分析も行ったんですか。何らかの理由ということで特定することは困難であると専門家の方々がいっているわけでしょう。専門家の方々が何らかの理由、原因を特定することが困難であるとしていながら、こういうふうにいえるんですか。専門家の方がいっているんですか。

○加藤基盤整備担当部長 先ほど来申し上げていますように、底面管理調査につきましては、その目的は、工事におきまして対策すべき範囲を確定するために不透水層内の汚染を確認するものでございまして、その原因を究明することではございません。
 そういった意味で、不透水層内に汚染があるということは想定されていましたし、ガス工場の操業の際に何らかの理由ということで入ったんだろうということが考えられると。ただし、その原因そのものを特定することは困難であるということでございます。

○清水委員 その原因、不透水層より下は汚染がないといってきたものが、五街区の幾つかのところで汚染があったわけです。それについて、専門家の方は、その原因が明らかにされていないわけです。今、底面管理したと。底面管理の調査をしたんだと。それは幾つかの調査をしているでしょう。その部分は、そうして調査をして、それをとって底面をつくると、不透水層をつくるという工事なんですけれども、では、その原因がわからないで、では、全部の敷地の、不透水層と今までいってきている部分が、今までいってきているとおりに不透水層の威力が働くのかというのが、私が最初に質問したことですよ。どうですか。

○塩見管理部長 先生、従来から私ども、不透水層内に汚染がある可能性というのはあると。ですから--(清水委員「そんなこといっていませんよ」と呼ぶ)いや、不透水層内の汚染があるかどうか、ちゃんと底面管理をして、それは工事に合わせてやると、こういうことをいってきたわけです。それは何らかの理由で汚染があるというところは、それは何らかの理由といっておりますけど、不透水層内に汚染がある可能性があるので、工事に際して底面管理をするということですね。
 それで、不透水層がちゃんとあるかどうかというのは、先生の主張と我々、なかなかかみ合わないところがありますけれども、私どもは法令に基づいたところで不透水層というのはちゃんと確認して、それは非常に水を通さない層だと。しかしながら、不透水層内に何らかの理由で汚染のある可能性もあるから、底面管理調査をやって汚染の範囲を確定すると。今回そういうことで、すべて汚染を確定し、二深度確認調査をして、不透水層内で確実に汚染がとまっているので、対策の範囲が確定したわけですね。
 ですから、私どものいっていることに全く矛盾がなくて、何で先生とかみ合わないのかというのは非常に不思議なんですが、私どもは、だから何回もいうように、工事に際して、汚染の不透水層内のものは二深度確認していきますよと、残念ながら深いところにありましたんですが、しかしながら、そこで確実に汚染がとまっている。だから、そこまでの対策の範囲の深さが確定できて、今後はそこをすべて操業由来のものについては取り除いていくんだと。こういう対策でありますので、一貫して矛盾がないものと考えております。

○清水委員 それは非常にごまかしています。今まで、不透水層からは水は移動しないんだと、そういって、今回の対策だって遮水壁をやるから、その下に地下水は移動しませんってさっきの説明でしていたじゃないですか。仮にそうだとしても、しかし今回調査したところは、その一部分ですよ。圧倒的に調査していない部分がこの敷地の中であるわけですよ。では、そこで不透水層内に汚染が入っていないってどうしていえるんですか。私たちはそれをいっているんですよ。
 この今回調査した部分というのはそうかもしれない。その何カ所かもしれない。しかし、そうじゃないところが不透水層から汚染が入っている可能性だって否定できないでしょう、だって何らかの原因っていっているんだから。それはごまかしている答弁だというふうに私たちは思います。だから、私たちは、こういう、先ほど負の遺産を共産党はやっているっていうけれども、それはあなたたちの調査から出てきているものですよ。私たちが調査して汚染を発見したんじゃなくて、あなたたちが調査したものが、今までだってずっとそうでしょう。そういうものを私たちは指摘しているんです。それをきちんと受けとめて、対策をすればきれいになるというふうに私たちはいっていませんけれども、やはりそういうことを私たちはいっているわけです。
 ですから、やはりこの不透水層があると、これまでも変わらないということは、私は前へ進めることはできないし、都の専門家の後ろ盾も得ながらやってきていますけれども、その専門家自身の見解が問題となっているといっているわけです。ましてや汚染対策の前提となる不透水層の存在について、専門家の後ろ盾さえ得られないと思います。こんなずさんな判断で、これ以上、前へ進めることは認められません。
 都のいう不透水層内部の汚染が見つかった箇所については、汚染物質を確実に除去、市場の安全に、安心に万全を期す、その上で人工的に不透水層をつくるといいますが、それはあくまでも、先ほど主張したように、汚染が見つかったにすぎない部分的な対応です。これまでも、調査で、都のいう不透水層上端部での汚染があることが前提で、その部分でも最下部で二メートルにわたって連続して汚染があるかどうかを基準にしたものです。すなわち、汚染を通さない地層であることを前提に考えた対策です。
 しかし、その汚染を通さない地層ではなく、ふたをあけてみると、汚染が浸透する可能性のある地層ですから、そんないいかげんな基準では汚染も除去できない、不透水層が全面につくられているわけはありません。
 都は、それでも人工的に不透水層をつくるといいますが、五街区では何カ所になるんですか、不透水層をつくる深さはどのように決めるんですか、その総費用は幾らかかるんですか、お伺いいたします。

○加藤基盤整備担当部長 今、委員からお話がございました、不透水層を人工的に修復する箇所でございますが、操業由来の汚染物質を掘削除去する際、不透水層を掘削する箇所がございます。
 五街区には、不透水層内に汚染が確認された箇所と、不透水層の直上で汚染が確認されており、不透水層内で汚染がないことを確認した位置まで掘削する箇所を合わせまして、百二十三カ所ございます。

○清水委員 今後かさむ可能性が濃厚です。しかも、不透水層が市場予定地全面にあるという前提で進めている都の土壌汚染対策も、先ほど来いっていますけど、成り立ちません。人工不透水層を部分的につくったとしても、もはや豊洲の不透水層の機能そのものがないことが問題になっている、いわば、ざる状態だからです。莫大な費用のもとは都民の血税だということを強く認識すべきです。これ以上のむだ遣いは許されません。
 トップダウンで築地市場移転を進めてきた知事はもういないわけですから、食の安全・安心を最優先にして、都民の血税を湯水のごとくかける欠陥工事はやめるべきです。この場所に、日本じゅうに流通する大量の生鮮食品が扱われることになります。しかも、発がん性物質のベンゼン、猛毒のシアンなどで高濃度に土壌汚染されている土地に中央卸売市場が建設された例はありません。だから、都民の皆さんも私たちも、繰り返しこの土壌汚染対策が欠陥だと、負の側面といわれますけれども、これは本当に消費者からすれば、最後まで心配なところなわけです。
 土壌汚染対策問題以外にも、図面が具体化すればするほど、その問題点も明らかになっています。特に業界の方々は、コストの負担問題についても大きな不安を抱えています。先ほども指摘がありました使い勝手の悪さを指摘する声など、さまざまな問題が顕在化してきていますが、どう認識をしておられるか伺います。

○志村新市場整備部長 ただいまお話ありましたように、市場施設を計画する上で、市場業者の仲卸コストの負担の低減化を図るということは当然重要なことだと認識しております。
 築地市場は、敷地が狭隘でございまして、搬出入車両の往来などで場内が錯綜するなど、効率的な物流が阻害されており、こうした状況が取り扱い減少の一つの要因ということになっておりまして、それがまた、業界の経営状況が厳しくなるという状況でもあろうかなと思っております。
 このため、新市場においては、広大な敷地に、多様なニーズに対応する施設を効果的に配置し、構造的な改善を図ることとしております。
 こうした新たな市場の施設の取り組みを行うことが、ひいては、市場の競争力も高めることになりますし、また、それを活用して市場業者のビジネスチャンスを生かすというところで多様な取り組みができるのかなと、こういうふうなことも期待してございますので、早期に市場の整備を行ってまいりたいと思います。

○清水委員 業界の方々の要望は、食の安全や安心確保が大前提に立っての移転です。その大前提が問題になっていることをまず厳粛に受けとめるべきです。
 豊洲新市場の問題は、敷地面積の広さはあるものの、三つに分割されるためにその広さが生かされない上に、大型量販店対応を進める施設づくりによる閉鎖型施設、縦方向移動が多いプラットホーム型など莫大なコスト負担問題も抱えております。今、それは対応しているんだといわれますけれども、しかし、先ほどいただいた資料でも、業者の方の経営は大変深刻な状況です。本当にそこに移って経営がやっていけるのかということが本当に心配で、皆さん声を上げているわけです。そのために、新市場建設懇談会も開くことができないというような状態です。まずは工事をストップして、食の安全・安心を確保することを最優先にして、再検証の必要があります。
 豊洲新市場についても、図面が具体化すればするほど、その問題点も明らかになっています。莫大な費用をかける欠陥工事をやめて、築地での現在地再整備計画にこそ力を入れるべきことを厳しく指摘し、質疑を終わります。

○大西委員 まず、資料要求をさせていただきましたこの一ページ目、各市場の活性化に向けた主な取り組みについて、すばらしい資料を出していただきましてありがとうございます。
 この資料を見ても、皆様も感じることもあるかと思いますが、この資料を中心に何点かお伺いをさせていただきます。
 この資料の取扱数量を見ると、やはり、この白三角が並んでいるのがちょっと気になるところでございます。この市場における取扱量が、全体的に見れば減少していると、こういうふうにいわざるを得ないんですが、これを都としてはどのようにとらえているのかお伺いをいたします。

○横山事業部長 ただいま、市場全体で取扱量が減少しているという、その理由でございますけれども、食生活が多様化いたしまして、魚離れも含めまして、需要自体が減少しております。また、市場を通過しない加工品や産地と直接取引の、そういったようなものが増加していること、それから、市場への買い出し人が減っております。さらに、長引く景気の低迷に伴いまして、消費の落ち込み等がございます。そういったことによって、今減少しております。
 こうした取扱量の減少は、結果として市場業者の経営に支障が生じまして、生鮮食料品の安定供給にも影響を与えるおそれがございますので、市場業者の経営基盤の強化とか市場機能の維持充実を図っていくことが必要であると考えております。

○大西委員 今、魚離れという言葉もございましたが、そういう市場の取扱量が全体として減少している中で、一方で、青果、青物、これだけを見れば、取扱量を増加した市場も見受けられます。その要因についてどのようにとらえているのか、お伺いいたします。

○横山事業部長 青果部の取扱量につきましては、年によって波がございます。ただ、水産部と同様に、長期的には減少の傾向にございますが、今、委員ご指摘のように、直近の五年間で見ますと、大田市場や葛西市場で取扱量をふやしている例も確かにございます。
 その要因でございますけれども、大田市場では、拠点市場でございますので、その利点を生かして商圏を拡大してきたということ。それから、葛西市場では、卸売業者みずからが特別の温度管理の仕様による定温施設を整備したことが寄与したというふうに考えております。

○大西委員 青物が頑張っている中で、一方、水産の方に目を向けてみますと、築地も減っているわけですね。大田は二三・一%減、足立は一一・八%と、特にこの二けた割る足立と大田の水産品の減少が著しく激しいですが、その原因をどのように認識しているのか、お伺いいたします。

○横山事業部長 足立市場と大田市場につきましては、水産物の取扱量の減少が大変大きくなっております。両市場とも、その背景となります商圏が狭いという上に、もともと取引の規模が小そうございます。そういったことから、市場業者の経営体力が脆弱であること、また、量販店等の新規の取引先の開拓がおくれたことなどから、築地市場と比較いたしまして、先ほどちょっとお話ししましたけれども、消費の低迷とか魚離れなど需要自体の減少や、買い出し人等の減少の影響を特に強く受けやすかったというふうに考えております。
 両市場とも、築地市場とネットワークを組みまして、水産流通におきまして東京全体をカバーする重要な役割を果たしているため、その取扱量の減少はこうした体制にも影響を与えると認識しております。

○大西委員 では、ちょっと視点を変えさせていただいて、豊洲移転を含むこの築地市場と足立市場、大田市場の施設の整備、修繕などにかかわる平成二十四年度の予算額を確認させてください。

○塩見管理部長 平成二十四年度予算における施設の整備、修繕の経費についてでございますが、水産、青果を扱う築地市場につきましては、豊洲移転に係る経費を含め、約六百三十五億円でございます。ただ、ここから土壌汚染対策費を除いた場合については、約五十四億円でございます。
 次に、水産、青果、花きを扱う大田市場につきましては、第四荷さばき場建てかえ工事など約十九億円、水産を扱う足立市場では、冷蔵庫棟改修工事など約二億円でございます。

○大西委員 今、皆さん聞かれましたか。築地は土壌汚染を抜けば五十四億。大田は、青果、花きを含めるということですが、十九億円。一方、足立は二億円。しかし、取扱量でいうと、築地は一千八百二十一トン、大田は三十トン、足立は八十二トンあるんですね。それで、二億円というと少ないんじゃないかと。
 ただ、ここは予算委員会じゃありませんので、これに対しては言及いたしませんが、その足立市場で、今ちょっと大きな問題、これは余りこういうところではいいたくないんですけど、市場の方からぜひ指摘をしてくれといわれている問題がございますので、その代弁者としていいますと、非常に衛生的ではないという指摘を受けております。これはネズミが相当出るという具体例をつけていわれているんですけど、そういう現状をどういうふうにとらえておられるのか、お伺いいたします。

○横山事業部長 大変ネズミが出ているというお話がありまして、私も何度も足立には行きましたけれども、いまだ私はそれを目撃しておりません。
 ただ、どういう形で委員に訴えたかわかりませんが、足立市場では、場内の衛生状況を良好に保つために、どこの市場でもそうなんですけれども、市場業者と東京都が、取引終了後、直ちに場内を清掃して、生ごみを含めてごみの回収を徹底しております。
 また、足立についていいますと、平成十四年度には低温卸売り場、十九年度には温度管理された塩干卸売り場、さらに仲卸売り場の換気設備を設置、本年は老朽化した冷蔵庫棟の改修など、衛生や品質における機能の充実に十分にお金をかけております。
 さらに、衛生に関する業務指導を行うほか、品質管理マニュアルを普及させるなど、ソフト面にも取り組んでおりまして、こうしたことは、他市場と比較、築地市場と比較しても、衛生対応として、決して劣るものではないと考えております。

○大西委員 ぜひきれいな市場にしていただきたいと思います。
 先日、ちょっと私、私用で浜松に行ってまいりました。僕はおすしが大好きなんで、浜松でもおすし屋さんに入ったわけなんですけど、そしてそこのご主人とお話をしていたら、実はネタの半分以上は築地から来ているんだよと。僕は地元のネタでのおすしが食べたくてそういったら、うん、それじゃ、なかなか格好いいのができないんだと、そういうことをいわれました。浜松みたいな遠いところで、築地がやっぱりそれだけ行っているのかと、築地市場の重要性も感じたわけではございますが、この築地市場の都外への搬出割合というのは、どのぐらい把握しておられるのでしょうか。

○江藤市場政策担当部長 都の中央卸売市場の都外への搬出量につきましては、正確に把握することはできませんが、都は、定期的に流通推計調査を行い、市場からの搬出状況の概略を把握しております。
 その調査によれば、築地市場に限らず、どの市場も首都圏全体に荷を搬出しておりまして、築地市場及び足立市場の水産物部の都外への搬出割合は、いずれもそれぞれの市場全体の搬出量の約六割を占めております。
 東京都の中央卸売市場は、広域的な集分荷機能を担っているため、都外への搬出割合が大きくなっております。

○大西委員 やっぱりその中でも、築地と比べれば、足立や大田というのはどうしても地域密着型であろうかとは思います。多大なお金をかけて部外に出ていく、別にそれが悪いとはいいませんけど、都民の恩恵という面で、この地域密着である足立市場にもう少し手厚く補助する必要があるんじゃないかなと思いますが、その点いかがでしょうか。

○江藤市場政策担当部長 足立市場におきましては、その役割や特色などを踏まえまして、必要な施設整備などを行ってきております。
 それらに加えまして、昨年度、都と市場関係業者が協力して経営展望を策定した際におきましても、活性化支援策として、コンサルティング会社を活用するなど必要な支援を行っております。

○大西委員 そうですね、必要な施設整備と今、いわれましたけど、それは本当に必要なことであります。例えば前年比五%減といったら、これはもう大変なことになるわけです。ところが、足立では一一%とか、大田では二三%。これ、デパートで考えてみますと、前年比より少し売り上げが減ったらどうなりますか。デパートや百貨店というのは、すぐに内装を変えたり、商品を置きかえたり、場所を変えたりして、いろんな対策をすぐ打つわけですね。
 しかし、足立市場は、ここ五十年、六十年ずっと同じであると。特に二〇〇〇年から二〇一〇年までの十年間で、取扱量は半分以上、五一・何%減っているわけですね。これはもう本当にゆゆしきことで、そこで、これはどこをどう変えればいいのかと、そういう気持ちがあったにもかかわらず、それがわからない。だからこそ、このコンサルティングを導入していただいたとは思います。
 それはすばらしいことだと思うんですけど、この足立独自の政策であるコンサルティングを導入した経営展望について、同計画の趣旨と目的を伺います。

○江藤市場政策担当部長 理事ご指摘のとおり、足立市場では近年、取扱数量が減少しており、市場の活性化が重要な課題となっております。
 足立市場の活性化を図るため、昨年度、都と市場関係業者で構成する検討組織におきまして、今後の足立市場のあり方につきまして一体となって検討し、経営展望を策定いたしました。
 この経営展望では、足立市場の将来像を、地域のお客様とともに発展する足立市場と定め、その実現に向けた行動戦略を掲げております。

○大西委員 ありがとうございます。ここにもその報告書がございますが、しかし、ちょっと残念なことが一つあります。それは、このコンサルティング会社、これをまとめたのが、ここに二十四年三月と書いておりますが、五月に解散をしちゃったわけです。解散というか、倒産になるのかもわかりませんが、その影響というものについてお伺いいたします。

○江藤市場政策担当部長 昨年度、都が委託契約を締結いたしましたコンサルティング会社につきましては、経営展望を策定するための支援業務を委託したものでございます。
 経営展望につきましては、都と市場関係業者みずからが主体となって策定するものでございまして、コンサルティング会社はその補助的役割を果たしているにすぎません。
 また、昨年度のコンサルティング会社との契約期間は、ことしの三月までとなっておりまして、経営展望も予定どおり三月に策定を完了し、委託契約も終了しております。コンサルティング会社が解散いたしましたのは、ことしの四月以降でございますため、委託業務については、直接の影響はございません。

○大西委員 これ、本当に影響ないといえますか。当然ながら、コンサルティング会社がこういう計画をつくりました。実施に移るときに、ほかの会社が、さあ、実施をやりましょう。ところが、お客が集まりません。そのときに、そのコンサルティング会社は何ていいますか。絶対に、前のコンサルティング会社が変な計画を立てたから、だからできないんですよ。それを僕らはそのままつくりましたが、やっぱりだめでしたね。僕らに任せてくれたら、もっといい案をつくったのに、こうなると思いませんか。まずそれが一点。
 それと、今実際、その新しいコンサルティング会社、次に実行委託のところは、前の会社がつくった報告書の、とりあえずお金のかからないところだけやろうというふうにいっていると市場の責任者はいっておられます。そのことを部長さん、ご存じですか。

○江藤市場政策担当部長 ただいま答弁申し上げましたとおり、昨年度契約したコンサルティング会社につきましては、経営展望策定後に解散しておりますので、策定自体には影響がございませんでした。
 今年度取り組んでいる、今の経営展望に基づくパイロット事業の実施につきましては、新たに別のコンサルティング会社に業務を委託しております。これは、継続的に私ども取り組んでおりまして、事業の具体化については着実に進めているところでございます。
 理事ご指摘のように、新たなコンサルティングを別に委託いたしましたけれども、それは、先ほど申し上げましたとおり、コンサルに私どもが委託する内容は、あくまでも補助的な業務をお願いしておりまして、実際にこれを展開していくのは、市場関係業者と私ども都が主体となって取り組んでおりますので、先ほど申し上げましたとおり、影響はございませんという答弁をさせていただきました。

○大西委員 やっぱりそうおっしゃられても、僕はコンサルティング会社というのは、少なくとも経営の立案のみならず、実施に至るまで、やっぱり責任を負うものだと思います。そうでなければ、さっきみたいな話に、僕はここは関係ありませんよと、自分のテリトリーだけやりましたと、そういうことになろうかと思います。その辺の東京都の考え方を改めてお伺いいたします。

○江藤市場政策担当部長 先ほどから申し上げましたとおり、昨年度のコンサルティング会社が解散をいたしましたのは、計画期間が終了した後でございます。
 コンサルティング業務というのは、実際に作成までを支援していただくものと、先ほど理事がご指摘いただきましたように、その後の戦略の遂行まで支援していただくものと、それぞれクライアントの要請によって異なってくるものだと思っております。
 私どもの委託は、その時期に応じて適切な業務を、必要に応じて委託をしておりますので、今回の委託につきましては、何ら支障がないと考えております。

○大西委員 僕は、コンサルを入れることはすばらしいことだと思っております。ただ、今、部長がいわれた、時宜を得てという話が出ましたけど、だったら時宜を得たのがあるかなというふうなの、これを隅々まで読みましたけど、残念ながらそういうのがない。コンサルティングを入れるのは本当にいいと思います。ただ、残念ながら、経営状態をもう少し見るのも必要だったかなと、それだけは指摘させていただいて、別にこれは責めているわけじゃございませんので、そういう気持ちでとらえていただきたいと思います。
 一方で、全く話は変わって、よくこれは今までにも何度もほかの委員が聞かれたようにも思いますが、駐車場の使用料についてお伺いをいたします。
 実は、築地、足立、大田、どこでもそうなんですけど、全く同じ使用料なんです。民間だと当然、足立区や大田区と中央区の築地では全く値段が違う。アパートなんかしたら全くそうですよね。一LDKのマンションがどれだけの差があるか。足立はある程度安い。でも多分、築地の近くに行けば物すごく高くなると思います。そういう状況もあるので、これ、値段が同じである合理的な説明をもう一度してください。

○塩見管理部長 市場も経済社会の一施設として、地域差が大きい民間相場を使用料に反映すべきとの考えによります、いわゆる市場別使用料の導入の是非につきましては、学識経験者、業界代表者など各方面の委員で構成されます市場使用料に関する検討委員会などにおいても、過去から何度にもわたり議論を重ねてきたところでございます。
 今般設置いたしました検討委員会でも、都はこれまで十一市場が一体としてその機能を発揮しており、取扱数量や地価水準等が市場間で大きく異なる現状から、市場別使用料を導入すると大幅な負担格差が生じ、市場関係者の経営や市場自体の存廃に多大な影響が懸念されることから、いわゆる市場別使用料というものにつきましては、中長期的な視点に立った検討が必要であるといたしまして、当面、総括原価方式を維持するということも示されたところであります。
 したがいまして、現在も車両置き場使用料を含む全市場同一の使用料が維持されているところでございます。

○大西委員 これはわかりました。
 ちょっとまた違う話でありますが、地域密着の効果が大きいイベントの一つである足立市場まつりというのがあります。これはほかの市場でも中を公開して、近隣の皆さんやいろんな方がたくさん遊びにこられるという市場まつり、これは結構、地域社会の発展にも貢献して、市場の発展にも貢献しているとよくいわれますけど、この市場まつりは年に一回なんですね。足立市場では、できたら二回、三回、複数回実施したいという方も結構おられます。ただ、足立区はこの市場まつりに対して百万円の補助を出しています。東京都は幾ら補助を出していますか。

○塩見管理部長 足立市場まつりは、足立市場協会が主催するものでございまして、東京都は共催という立場で、パネル展示や広報を分担するほか、十二万五千円を分担金として支出しております。(発言する者あり)

○大西委員 今、いいやじが横から飛びましたけど。もうちょっと出してやれよといって。複数回、もし希望されれば、その複数回に対しては、新たな補助は出していただけるとも考えていいんでしょうか。

○塩見管理部長 もし仮に複数回実施の希望があった場合でございますが、主催者である足立市場協会とも協議しながら、市場の活性化の観点に立って対応してまいりたいと思います。

○大西委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 先ほど、魚離れという発言が答弁の中でありました。この魚離れを食いとめるために、市場まつりは大変有効な施策の一つであると私も考えます。実は、私も小学生の子ども二人、中学生も合わせますと三人いますけど、何度かこの市場まつりに連れていきました。大きなマグロの解体ショー、焼きたての魚をその場で頭から食べさせてもらったり、僕の子どもと同じような年の子がたくさん集まって、皆、目を輝かせて遊んでいました。
 市場まつりは、一方で近隣の魚屋さんを圧迫するという短期的な、数日間では逆効果もあると指摘されております。でも、長期的なスタンスで見れば、魚の需要を掘り起こすことができれば、それは回り回って、その近くの魚屋さんの売り上げも上がること等、やっぱり考えられるわけでございます。
 他方で、先ほど申し上げましたネズミがちょろちょろという話、これはやっぱり悪影響にならざるを得ないと思います。足立市場にあるマイナス五十度の冷凍庫、これは僕も入ってみましたけど、本当におもしろい。すごく冷たいですからね。近隣の小学校の遠足というか、社会科見学の場所によく使われて、すごく人気があるわけです。みんな子どもたちが中に入ってわあわあ騒ぎながら、うわあ、寒い寒いっていって出てきたり、大きな魚が置いてある、切り身じゃない魚を見るのは、こんな大きなマグロとかだったら、そんなに機会もないと思うんですね。そういうのもすごく人気です。
 しかし、先日、とある学校の社会科見学へ行った子どもたちが、その足立市場の絵をかいた。寒い、寒いとやっている絵とか、大きな魚とか、中に、悲しいけど、ネズミをかいた子どもがいたという笑い話もあるわけです。やっぱり子どもは、そこにネズミがいたよということを、べらべらべらべらそこらでしゃべるわけですよね。これはやっぱり、魚離れを助長してしまうということもあると思います。こういうところはやはり整備はすると思います。
 また、あと公決でも若干出ておりましたが、水産市場というのはどうしても海のそばにつくることになります。豊洲や大田、これも津波にはやっぱり弱いところもあります。万が一のとき、この足立市場というのはやっぱり内陸にありますから、その分、津波の影響というのは少ない。それに大きな道路や川、運河が張りめぐらされたところにあります。物流にも強いということで、万が一のときのバックアップとして、この足立市場をもっと発展させていただきたいと思います。
 例えば、加工場をもう少し整備する、加工することができるようになればとか、また、居酒屋のママさんが、おかみさんが長靴じゃなしにハイヒールで買いに来られるような、そういうところになれば、またさらにいいのかなと。
 この委員会でも先ほどからずっと議論がございましたが、三人立たれて、みんな築地、豊洲のことをいわれるわけです。このことは当然大切だと思います。でも一方で、東京都内には十一の市場があるわけです。今回私は、私の知っている、熟知しているこの足立市場を取り上げさせてもらって、いろいろ話をさせていただきましたが、やはり他の地域密着型の市場も課題があり、いろんな問題を抱えて、それを克復しようとして頑張っているわけですから、ぜひとも豊洲、築地のみならず、ほかの市場にも、もっと皆様の目と、もっと予算も充てていただいて、そちらを発展させていただくことも、我々も含めて、みんなの責任かと思いますので、それをお伝えさせていただいて、私の質問を終わります。

○伊藤(こ)委員 以前もお世話になりましたけれども、久しぶりに経済・港湾委員会に戻ってまいりましたので、中央市場に質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 都議会公明党は、東日本大震災以降、これまで何度も被災地を訪問させていただいて、被害の状況や復興の進捗を調査して、東京からできる被災地への具体的な支援策を都に提案してまいりました。被災地では、地域によって被害の程度が異なり、復興も一様ではなく、震災から一年八カ月になる現在でも、多くの地域で支援を必要としております。とりわけ原発事故の影響を大きく受けた地域では、放射能検査などに大変な苦労をしており、安全が確認された生鮮食料品を出荷しても売れない、また、価格も低迷するなど、消費地での風評被害を受けている状況は深刻であります。
 一方、消費者の立場から見れば、食の安全・安心への関心は当然であります。
 こうした風評被害の解消と消費者の安全・安心の確保のためには、首都圏四千万人の食の台所といわれる中央卸売市場の役割と使命は重大であると私は考えます。
 そこで、都は、消費者に最も近くで接する小売商の方々が、被災地の検査等を直接視察して、さらに、生産者と意見交換を行うという画期的な事業を開始いたしましたけれども、消費者に直接安心を伝え、風評被害を解消する試みとして、私は高く評価したいと思います。
 そこでまず、第三回都議会定例会で、都議会公明党の代表質問に対して答弁があった、被災産地に対する小売商を中心とした視察研修はどのように実施されたのか、伺いたいと思います。

○横山事業部長 今回の視察研修の訪問先を決めるに当たりましては、福島県に現在、東京都事務所がございますので、そこを経由して県側に照会いたしました。そうしたところ、放射能の確定検査を行う県の農業総合センターとか、自主的な検査を行っておりますJAの施設の幾つかを推薦を受けました。
 次に、各市場の市場協会を通じまして、小売商を中心とする参加者を募集いたしましたところ、築地、淀橋、世田谷、北足立、葛西など都内五市場から、卸売業者や仲卸業者も含んだ、合計百四十名を超える参加希望者が集まりました。
 第一回の研修会は十月二十四日、先月行ったんですが、この五市場、各市場から、早朝からバスで出発いたしまして、途中で、車内にて放射能の基礎的な研修を受けた後、福島県の先ほどいいました農業センターで、放射能検査をやっている内容、その詳しい説明を受けるとともに、実際の検査作業を視察いたしまして、その後、さらに四カ所のJAの施設に分かれまして、出荷者や農家さん等と小売商さん等が、意見交換や、また、その出荷者が行っております自主的な検査等を視察しまして、当日の夜になって帰りました。

○伊藤(こ)委員 都議会公明党が提案をしました、風評被害を解消するとともに、消費者に安心を与えるための小売商を中心とする事業に、この商売の大変忙しい時期に、しかも、遠距離で長時間の視察にもかかわらず、百四十名近くですか、参加をいただいたと。そしてこの事業がスタートしたということは大変にうれしいことだというふうに思います。
 現地では、放射能の検査作業の視察、そしてまた、出荷者や農家の方々と直接意見交換をしたとのことでございました。
 そこでまず、農業センターやJAでの検査がどのようなものであったのか、また小売商などの方々の反応はどうだったのか、伺いたいと思います。

○横山事業部長 まず、農業センターでございますが、県が、収穫前の確認検査ということも含めまして、野菜類ですとか穀類、また、肉、卵、魚類、それから牛乳や乳製品、さらに飲料水など、主な産品ですとか、摂取量が多い品目のモニタリング検査を行っております。
 また、JAなど出荷者や生産者につきましては、農家ごとに果物や野菜の全品目を出荷前に自主検査を行いまして、これは基準値以下でございますが、五十ベクレルを超えたものについては出荷を自粛し、県が再検査をするということになっております。
 さらに、県などが流通している食品を検査するなど、二重にも三重にも検査を繰り返して、そのすべての結果を直ちにホームページ等に公表することで、食の安全・安心に対する万全の体制が整えられておりました。
 次に、農業センターの中の検査室では、自治体で最大規模でございます十台のゲルマニウム半導体検出器を用いた精密な検査が行われておりました。また、各JAにおきましても、取り扱いが比較的容易な検出器、これはNAIシンチレーションスペクトロメーターと非常に長い名前なのですが、という検査器を用いまして、そういう体制を整えておりました。
 これらを視察し、その使い方、実際の検査内容を説明を受けた際、小売商さん等からは、本当に産地側がここまで検査体制を整えているとは知らなかった、その努力に本当に涙が出る思いです、こうした取り組みを消費者に伝えるのが、市場入荷物を販売する我々青果商の責任であると強く感じたなどといった発言がございまして、産地側の姿勢に強い印象を受けているようでございました。

○伊藤(こ)委員 私は、たしか昨年の夏だったと思います、福島ではなく茨城でありましたけれども、茨城でも、大変にこの農作物、風評被害を受けていると。例えば水菜が、ふだんならば一箱で数千円で取引されるところが、もう数十円単位で値切られてしまったりとか、もう本当に、二束三文の状態になっている。我が子のように育てた農作物がこういう風評被害に遭っているのに対して、その当時でありましたけれども、どのように検査して、そしてどのように安心・安全を訴えればいいのか全くわからないという状況でありましたけれども、震災から、また、この福島の原発事故から一年八カ月になろうとしている今、この福島では、県、そしてまたJA、出荷者ですね、そしてまた農家など、それぞれが懸命に、厳しく、二重三重に検査をして、そしてまた、その情報もしっかりと公開しているということのご報告でございました。
 私から次に、各JAでの小売商と出荷者や農家との意見交換、これはまさに現場で、現地で、最前線で農産物を扱っていただく、要するにまちの八百屋さんと、その出荷者、また、生産者が直接意見交換をした、これは本当に大変な大きな意義があったというふうに思いますけれども、そのときの出された意見、また要望が相互に交わされたと思いますけど、その内容について伺いたいと思います。

○横山事業部長 出荷者や農家との意見交換会は、築地市場がJAしらかわという場所で、それから北足立と葛西市場がJA伊達みらいで、それから淀橋市場がJA全農福島で、さらに、世田谷市場がJA新ふくしまの各JAの施設において、当初予定の時間を超えて、活発に意見交換が行われました。
 その際の、産地や出荷者、農家側からの主な意見といたしましては、まず、せっかく苦労して検査しているのに、消費者に正しく伝わっているのか非常に心配している。また、県内でも、子どもの安全に対する理解が容易に得られていない、消費地でどのようにPRしたらよいのか不安であるですとか、さらに、今回、消費者に直接対応する小売商の方々が産地の取り組みを視察に来てくれたことは、産地側の生産者にとっても心強く、今後にも期待したいといったような意見が出されました。
 これに対しまして、市場側の、先ほどいった卸ですとか仲卸、そして小売さんたちは、消費地での福島県産の青果物に対する評価というのは、量販店を含む消費者の反応は非常に厳しい、どのような検査をしているのか、実は確かめたかったんだと。現実に産地の状況を目にしてきたことは、これから消費者に伝える上で非常に重要だ、帰ったら早速伝えたいといったような率直な意見が出されました。
 さらに、産地側の必死の取り組みが消費者に十分届いていないのが現実です、その点、安全・安心のPRが足りないのではないか、もっと産地の取り組みを強くアピールするのが必要ですと。産地側は、風評被害にあきらめず、これまでどおり出荷体制を充実させていくとともに、すぐれた産品の生産や市場への出荷を頑張ってほしいといったような要望もなされておりました。

○伊藤(こ)委員 福島県の出荷者や、また農家側が熱心に検査を行っていること、また、東京の小売商などがこれを理解して意見交換をしてくれたということ、この様子がよくわかりました。このたびの視察研修の様子は、新聞各紙の報道に加えて、現地でも、NHKや民放でテレビ放送がなされたと聞いております。東京の青果商の方々が被災産地を直接訪れたことも福島県民に強くアピールして、生産者を大いに勇気づけることができたと私は思います。そして何より、消費者と直接触れ合う、先ほども申し上げた、まちの八百屋さんの方々が、実感とまた自信を持って、安全・安心の青果物をお客さんに相対してお勧めできる、この意義は大変に大きいものだというふうに思います。
 研修に続く次の段階として、今回の視察研修のこの成果をどのように生かしていくのかが私は大事だというふうに思います。このたびのこの視察研修の成果、これをどのように消費者に伝えていくのか、これも今後の取り組みを伺いたいと思います。

○横山事業部長 今回の視察研修に参加した五市場では、参加できなかった市場業者をこれから集めまして報告会を開催しまして、そこで、福島県での検査の様子ですとか、出荷者や農家との意見交換を、現地での写真ですとか映像等もありますので、それを用いて紹介するという予定でございます。
 また、都も、五市場がそれぞれ今、作成しておりますが、研修会のレポートを市場のホームページに掲載するとともに、東京市場が被災産地を支援するステッカーとか、小さなのぼりをつくりますが、それを作成して小売店に配布して使っていただきたいと思っております。
 今後、視察に参加いたしました小売商等を中心に、被災産地を応援する輪を広げまして、おのおのの店先ですとか、それから納め先での説明に際して、今回の研修で得られた知識や経験をもとに、先ほどのステッカーやのぼりも使って、安全・安心を幅広く消費者に伝えていくことを強く期待しております。

○伊藤(こ)委員 このたびの施設研修でありますけど、視察研修することが目的ではなくて、その成果を十分に発揮して風評被害を撲滅することと、そしてまた、消費者の安心を得ることが何よりの目的だというふうに思います。そしてまた、被災地を応援するステッカー、また旗という話がありましたけども、ぜひとも、以前にも取り組んでいただいたちょうちんとかも使っていただいて、市場を通ったこの青果物、生鮮食料品は安全ですよ、そしておいしいですよということを消費者に訴えていただけるこの取り組みを、ぜひとも、全力を挙げて取り組んでいただきたいというふうに思います。
 こうした風評被害対策、そしてまた消費者の安全・安心を得る取り組み、こうしたことを得ていくためには、一回限りの研修では限度があると思います。できるだけ多くの市場が、今後、参加する広がりが必要であると思います。今回参加できなかった、地方卸売市場を含めた他の市場、さらには、水産物部の市場については、今後どのようにこうした取り組みを行っていくのか、伺いたいと思います。

○横山事業部長 青果部は、次回の研修会を来週十四日に予定しておりまして、その際、前回参加できなかった大田市場など三市場に加えて、多摩地域の地方卸売市場の小売商等を中心として、現在九十名程度の参加を得て実施することになっております。
 具体的には、内容は、前回と同様に県の農業センターで放射能検査の研修を受けた後、大田市場、豊島市場、板橋市場の中央卸売市場のグループと、それから、国立地方卸売市場と東久留米地方卸市場から出発するグループが、訪問先となりますJAに分かれて、おのおの自主検査を見学するとともに、前回同様、出荷者や農家と意見交換する予定になっております。
 なお水産物部につきましても、年明け以降、茨城県や福島県において、自主的に放射能検査を実施している漁協等を対象といたしまして、築地市場など、買出人等の小売商の参加により同様の研修会を実施できるよう、現在、調整を進めている予定でございます。

○伊藤(こ)委員 はい、ありがとうございます。
 これまで五問の質問をさせていただきました。すべて事業部長がお答えをいただきましたけれども、お答えいただいた文末が、全部、私が感じたのは、部長のご答弁が一人称というか、自分で行って見てきたという、その言葉で答弁をしてくださったことに大変感謝も覚えますし、また、感動の思いでいっぱいであります。今後、また第二回、第三回とこういう視察研修をやっていただけるという答弁の内容でございました。ぜひとも、この中央市場の局長を初め、幹部職員の皆様方も、こうした小売商の方々と一緒に、あるいは仲卸、卸の方々と一緒に、風評被害を受けているこの被災産地に行っていただいて、同じ思いで取り組んでいただけるよう、要望をしたいと思います。
 また、この視察に参加した方々については、視察研修で得られた成果をぜひ消費者に広く伝えていっていただきたい、このように思います。また市場当局は、こうした小売商による安全・安心の取り組みを一層支援していくためにも、今後とも、機会をとらえて、産地の出荷者や生産者と消費地側の小売商等との意思疎通の機会をふやすようなさまざまな取り組み、努力をしていただくことを要望して、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

○斉藤(や)委員 私は、今回、市場初めてのデビューでございます。一生懸命市場を盛り上げていけるように頑張っていきたいと思います。私の方からは、足立、大田市場について、水産物部門の活性化について質問してまいりたいと思います。
 東京都は十一の市場を持っておりまして、首都圏の基幹的市場としての役割や地域に根差した役割など、それぞれが持ち味を生かしながら都民生活を支えております。水産物部というと、まず連想するのは、市場としては魚河岸として知られる築地だと思いますけれども、十一市場の中では、先ほど大西理事もお話しになりました足立市場、そして大田市場、こちらでも水産物を取り扱い、頑張っておられます。東京の市場の歴史の中でも水産物部の歴史は古く、江戸幕府を開いた徳川家康が、大阪市の佃町の漁師を呼び寄せ、魚を幕府に納めさせる一方で、日本橋のたもとで売ることを許したことが始まりであるというふうにお教えいただきました。
 翻って、大田市場の水産物部の現状に目を向けますと、確かに取扱数量は芳しくないようでございます。先日私も、大田市場まつりに参加させていただきましたけれども、取り扱い日本一を誇る規模になっている青果部と比べますと、対照的な印象を受けたわけでございます。
 そこでまず、大田市場水産物部における取引や、そこで活動されている市場関係業者は、現在どのような状況になっているのかをお伺いします。

○横山事業部長 大田市場水産物部の取扱量は、十年前に日量百二十八トンでございました。ところが、昨年は日量三十トンでございまして、七七%の減少となっております。同じ水産市場であります築地市場の場合は二二%、伝統あります足立市場の場合は五三%ということと比較いたしましても、減少幅が大変大きくなっております。
 また、市場業者の経営の悪化によりまして、開設時の業者数と比較いたしまして、仲卸業者で五六%、売買参加者で四二%減少しておりまして、卸売業者は、昨年二社ありますが、そのうち一社が廃業しております。他市場の市場業者数における同様の比較を見ますと、築地市場の仲卸業者が三二%、売買参加者が二三%の減少であり、また、足立市場の仲卸業者が三三%の減少、売買参加者は横ばいといったような状況になっており、この点につきましても、大田市場の減少が大きくなっております。
 特に、仲卸業者の減少によりまして、現在、百小間仲卸店舗がございますが、平成二十三年度当初には実に四十四小間空いておりまして、早朝の取引時間帯には、空き店舗のために売り場全体が暗くなって、一層、取引の低調化を招いております。

○斉藤(や)委員 他の市場と比較しても大変厳しい状況であるということが、今のお話で具体的にわかりました。昨年二社あった卸売業者、これは一社になってしまったということでございますが、国内外から大量、多種類の品物を集めて、公正な価格を形成して、安心で新鮮な魚をいち早く消費者のもとに届けるというこの中央卸売市場の本来の機能を考えますと、一社というのは決して望ましい状態ではないと思います。
 一方で、卸売市場の整備や運営について、都はことし一月に、第九次の東京都卸売市場整備計画を策定しております。この計画におきまして、各市場の整備の方向性が示されると思いますが、そこで、第九次整備計画におきまして、大田市場水産物部はどのような方向性が示されているのかをお伺いしたいと思います。

○江藤市場政策担当部長 平成二十四年一月に策定いたしました第九次東京都卸売市場整備計画におきましては、世帯構造の変化、生鮮食料品流通の変化など、卸売市場を取り巻く環境が大きく変化し、卸売市場の取扱数量、取扱金額が減少傾向にある中、卸売市場の公共的役割を踏まえ、食の安全・安心への期待にこたえる、生産者、実需者の多様なニーズにこたえるなど、四つの整備方針を掲げ、着実に中央卸売市場の整備を推進することといたしました。
 大田市場水産物部につきましては、市場を取り巻く環境が大きく変化し、取扱数量が減少傾向にあることなど、厳しい状況にかんがみ、国の卸売市場整備基本方針、豊洲新市場開場の影響などの市場を取り巻く環境の変化を踏まえつつ、市場の活性化を図ることとしております。

○斉藤(や)委員 ただいま、国の卸売市場整備基本方針、また、平成二十六年度開場予定の、目指している豊洲の新市場の開場の影響などを、変化をしっかり踏まえて市場の活性化を図るということを今、ご引用されましたけれども、この整備計画で示された内容を一言でいえば、つまり、活性化ということがキーワードになってくるわけでございます。どのように活性化を進めていくのか。
 これからの大田市場水産物部の活性化を議論する前に、確認ですが、そもそも、大田市場水産部がここまで深刻な状況になってしまったことにつきまして、どのような要因が考えられるのかをお伺いすることが重要だと思います。さまざま考えられると思いますけれども、いかがでしょうか。

○横山事業部長 現在の大田市場水産物部におけます状況は、先ほど申しました魚離れなど食生活の変化や市場外流通の増加といった、水産業界全体の構造的な理由も確かにございます。しかし、それ以上に、大田市場自体にも実は原因があると考えております。
 それは、まず第一に、当初は、築地市場の狭隘化が進むに伴って、築地市場の仲卸業者ですとか売買参加者が大田市場に参入が続くというふうに実は見込まれていたんですが、バブル崩壊に伴う水産業の低迷もございまして、実は逆に有力な業者が撤退してしまったということです。
 第二番目に、地元の買出人が大幅に減少いたしました。また、廃業した仲卸業者の補充が実は十分ではなくて、さらに、量販店への対応など、取引先の新規開拓がおくれたことなどが加わりまして、取引を他市場に奪われてしまったということでございます。
 第三に、もともと大田市場の水産物部には、築地市場など他市場に対抗できるだけの特徴ある取引ですとか品目が乏しかったということがありまして、業界全体の縮小傾向に伴いまして、本社のある築地市場に取り引きが集約されてしまったということなどが挙げられます。

○斉藤(や)委員 過去の、この大森から大田に移転する当時、考えられないようないろんな変化がございます。規制緩和もそうですし、流通は、もう革命というか、本当に大きくさま変わりして、市場そのものでの取引も、どちらかというと、それをパッシングして、直接消費者に物を届ける商社やそういった取引がふえているという、そういったこともございますし、過去に戻ることはできないわけですが、これから大事でございますので、こうした大田特有の状況を踏まえながら、活性化について考えていく必要があろうかと思います。
 特徴ある取引や品目が必要、これはブランディングという言葉になるかもしれませんけども、その一方で、とにかくやれることからやってみようというふうに市場の関係者も頑張っておられます。取引数量の減少、今に始まったことではありませんが、これまで行ってきた取り組み、そして、現在の取り組みについてお伺いをしたいと思います。

○横山事業部長 これまで大田市場では、狭隘化した築地市場の機能を補完するという観点から、低温卸売場ですとかコンテナ冷蔵庫など、主に施設機能の充実に力を入れてまいりました。しかし、取引規模が縮小していく水産業の現状から、今後、大田市場水産物部が生き残るには、他市場にない競争力のある機能ですとか、また新たな取り組みを行う必要があるというふうに考えております。
 そこで、大田市場では、卸売業者から申し出がございました大型水槽の設置を許可することで、平成二十二年度から養殖業者と連携して、高級魚でございますカンパチの活魚を扱うことになりました。その後、活魚の水槽を増築いたしまして、オマールエビですとかタイ、さらに、ことしからはイカなど、活魚の種類をふやしており、最近になって、活魚を中心に取扱金額がふえつつございます。
 また、他市場に先駆けた新たな取り組みといたしましては、これまで仲卸店舗が空いた場合、業務経験や実績等を重視して、原則として市場内部から補充しておりましたが、これでは変化の激しい流通業界にあって、大田市場に活力ある市場業者の参入が期待できないと判断いたしまして、昨年度から、仲卸業者の一般公募を行ってきました。その結果、東京市場に拠点を望みます県外業者ですとか加工の大手業者など、従来にない種類の応募がございまして、これまで七業者、十三店舗の開業が新たに得られたため、今後も、公募しやすい方法を工夫しながら募集を継続してまいります。

○斉藤(や)委員 この公募につきましては、マスコミでも報道で取り上げられました。こういった話題もとても大事だというふうに思うわけでございます。
 大田市場ならではの視点が必要ではないのかという、例えば、大田市場には多くの見学者、これは足立も小学生のお話がございましたけれども、多くの見学者を受け入れられております見学コースがつくられている。こうした場を提供することで、例えば食べ物、魚はこんなふうに加工されているとか、こんなふうにつくられているんだということが実感できる。魚といえば、スーパーで切り身のパックを想像してしまうような、そういう子どもがふえておりますけれども、そういった子どもたちに、実際の魚の形、そういったものを、気づきの機会を持ってもらうことはとても大切でございますし、市場もそういうことに一役買うことができるのではないかと考える一人でございます。
 大田市場だけでなく、せっかく十一の市場がございますので、例えば、魚に関する食育などに関しましては、これは大田が一番やっているとか、こういったような形で盛り上げていくこともとても大切じゃないかと思います。
 また大田市場水産物部は、その取扱規模に比較しまして、大変場所も広いスペースがございますので、こうした特色を生かした取り組みがあってよいと考えるわけであります。
 今後、より多様な活性化策を模索していくためには、開設者としてより積極的な取り組みを行っていく必要があると思います。所見を伺います。

○江藤市場政策担当部長 大田市場の水産物部は、取扱数量が近年大幅に減少しておりますことなどから、できるだけ早期に市場の活性化を図っていく必要がございます。こうした状況に対応するため、今年度、大田市場では、開設者である都と市場関係業者で構成する検討組織を立ち上げ、経営展望の策定に向け、精力的に取り組んでいるところでございます。
 引き続き、検討を進め、低迷する水産物部の目指すべき方向性を明らかにするとともに、具体的な取り組みにつきましても議論を深め、羽田空港に近接するなど、大田市場の立地特性も生かした実効性のある活性化策を提示してまいります。

○斉藤(や)委員 今までのこの簡単な質疑でございましたが、やりとりの中でわかりましたように、国の第九次整備方針でも経営戦略の重要性について触れております。また、今年度の予算でも、先ほど足立市場の話、経営展望にコンサルティングを入れてやったとお話ししましたけれども、経営展望の策定業務にかかわる経費が計上されているわけであります。
 都は、市場の関係業界と協力しまして、この経営戦略を打ち立てていってほしいと思うわけです。時間も大事です。非常に、現場に行きますと、歯を食いしばって頑張っていらっしゃる仲卸の方々がおられます。できるだけ早期に、このハード、ソフト両面にわたりまして、活性化策を含めた経営戦略の策定をお願いしたいと思います。その際には、今ご答弁ございましたように、羽田空港という、そういう国際化で非常に注目されているエリアでもございますし、大田市場を取り巻く環境の変化を意識しまして、こういったポイントをプラスにできるよう、今後の活性策に生かしていくことが重要であると思います。
 いずれにしましても、中央卸売市場を取り巻く環境は大きく変化しているわけでございます。こういった変化に対応する対応力が、今の市場には根本的には求められている。変化を恐れずに、大いにその食の安全、すばらしいおいしいものを一般の都民の方にお届けいただけるように、市場の皆さん、頑張っていただきたいとお願いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

○伊藤(ゆ)委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○伊藤(ゆ)委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で中央卸売市場関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時四十分散会

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