経済・港湾委員会速記録第十四号

平成二十三年十一月八日(火曜日)
第八委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長伊藤まさき君
副委員長山崎 一輝君
副委員長興津 秀憲君
理事高倉 良生君
理事伊藤 ゆう君
理事鈴木あきまさ君
三宅 正彦君
きたしろ勝彦君
神野 吉弘君
岡田眞理子君
佐藤 広典君
小磯 善彦君
清水ひで子君
木内 良明君

 欠席委員 なし

 出席説明員
中央卸売市場市場長中西  充君
管理部長塩見 清仁君
事業部長横山  宏君
新市場整備部長宮良  眞君
市場政策担当部長江藤  巧君
移転支援担当部長森本 博行君
新市場事業計画担当部長野口 毅水君
新市場事業推進担当部長志村 昌孝君
基盤整備担当部長加藤 直宣君
施設整備担当部長久保田浩二君
港湾局局長中井 敬三君
技監前田  宏君
総務部長黒田 祥之君
監理団体改革担当部長大朏 秀次君
港湾経営部長小宮 三夫君
港湾経営改革担当部長笹川 文夫君
臨海開発部長石原 清志君
開発調整担当部長大和田 元君
営業担当部長延與  桂君
港湾整備部長石山 明久君
計画調整担当部長大釜 達夫君
離島港湾部長平田 耕二君
島しょ・小笠原空港整備担当部長小幡 和輝君

本日の会議に付した事件
 港湾局関係
事務事業について(質疑)
 中央卸売市場関係
事務事業について(質疑)

○伊藤(ま)委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、港湾局及び中央卸売市場関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより港湾局関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○黒田総務部長 十月二十五日開催の当委員会でご要求のございました資料をご説明申し上げます。
 お手元の経済・港湾委員会要求資料をごらん願います。
 恐れ入りますが、まず、表紙をおめくりいただきたいと思います。ご要求のございました資料は、目次に記載しておりますとおり八項目となっております。
 それでは、一ページをお開き願います。一ページは、1、京浜港の取扱貨物量についてでございます。
 平成二十年から二十二年の三カ年におけます京浜港の外貿コンテナ貨物の取扱量を記載したものでございます。
 コンテナ個数を万TEU単位でお示ししてございます。
 続きまして、二ページをお開き願います。二ページは、2、平成二十二年度海岸保全施設管理事業の委託料でございます。
 水門の遠隔制御機器や排水機場等の海岸保全施設管理事業の委託料につきましては、保守点検等を行う施設管理委託、警備や清掃等を行う建物維持管理委託及びその他委託に区分いたしまして、平成二十二年度の予算現額と支出済額を示してございます。
 恐れ入りますが、三ページをお開き願います。三ページからは、3、臨海副都心における土地の長期貸付及び売却等の推移でございます。
 1は、長期貸付につきまして、表頭お示しのとおり、地区、区画、契約年月日、面積及び処分先を時系列に記載したものでございます。
 ページをおめくりいただきまして、四ページから五ページに、2の底地売却、続きまして、3、売却、4、交換、5、現物出資、6、暫定利用につきまして、同様にお示ししてございます。
 続きまして、六ページをお開き願います。六ページは、4、臨海地域開発事業会計における企業債償還の推移でございます。
 臨海副都心開発の基盤整備に係る企業債につきまして、平成元年度から平成三十二年度までの発行額及び償還額を百万円単位で記載してございます。
 平成二十一年度までは決算額、平成二十二年度は決算見込み額、平成二十三年度は予算額、平成二十四年度以降は計画額でございます。
 続きまして、七ページをお開き願います。七ページは、5の臨海地域の土地処分実績でございます。
 臨海副都心地域及びその他の埋立地につきまして、平成十八年度から二十二年度までの土地処分の実績を、面積と百万円単位の金額でお示ししてございます。実績の内訳欄には処分方法と件数を記載してございます。
 なお、注記にございますとおり、暫定利用は除いております。
 続きまして、九ページをお開き願います。九ページは、6、東京テレポートセンターに対する臨時駐車場の延べ貸付面積及び貸付料でございます。
 株式会社東京テレポートセンターに貸し付けております臨時駐車場の平成二十年度から二十二年度までの各年度の延べ貸付面積と貸付料をお示ししてございます。
 続きまして、一〇ページをお開き願います。7、東京テレポートセンターのお台場海浜公園駐車場使用料納付額でございます。
 株式会社東京テレポートセンターに管理許可しておりますお台場海浜公園の駐車場施設の使用料につきまして、平成二十年度から二十二年度までの各年度の都に対する納付額をお示ししてございます。
 続きまして、一一ページをお開き願います。8、平成二十二年度東京テレポートセンターに許可した常設駐車場の使用料納付額等でございます。
 株式会社東京テレポートセンターに管理許可いたしましたお台場海浜公園及びシンボルプロムナード公園の駐車場施設につきまして、平成二十二年度の都に対する使用料納付額と駐車場の施設面積をそれぞれお示ししてございます。
 また、根拠条例等を下段に記載してございます。
 以上をもちまして、簡単ではございますが、ご要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○伊藤(ま)委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○伊藤(ゆ)委員 それでは、私から、国際戦略港湾についてお伺いしたいと思います。
 昨年の八月、国は日本国内の港の選択と集中を図るために、京浜港と阪神港の二港を国際戦略港湾に指定をして、取扱量が世界五位の釜山港をライバル視する戦略を描きました。都はこの計画にいち早く手を挙げ、川崎港、横浜港とともに京浜港として選定をされたわけです。そのことは大変よかったと思っております。
 国はことしの四月に、港湾法及び特定外貿埠頭の管理運営に関する法律の一部を改正する法律を通し、国際戦略港湾に選定された港に対する補助や規定というものを明らかにしてまいりました。
 改めてお伺いしたいと思いますけれども、京浜港として選定されたことによって、東京都が国から得られた補助の拡大というのはどのようなものなのか、伺いたいと思います。

○笹川港湾経営改革担当部長 国際戦略港湾におけます高規格コンテナターミナルの係留施設整備に係る直轄事業費の国費負担率が、従来の三分の二から十分の七に引き上げられるとともに、その背後のコンテナヤードにつきましても直轄事業の対象となりました。

○伊藤(ゆ)委員 コンテナターミナルの係留施設の整備に係る直轄事業費の国費負担率が、従来の三分の二から十分の七ということなんですが、これを数字に割り返すと、たった四%しか国庫補助分が上がっていないということでございまして、国際戦略港湾という割には国の負担割合というものがまだ小さいんではないかという感が否めません。それを踏まえまして質疑をさせていただきたいと思います。
 一方で、国際戦略港湾の指定に伴いまして、国は東京、川崎、横浜の三港に対してさまざまな課題と要求を突きつけています。その一つが、国によって指定される港湾運営会社制度であります。
 現在、三つの港には、それぞれ港を運営する会社や公社や、あるいは市が直轄で経営をしているところもありますが、これらの運営組織がございます。
 この港湾運営会社制度においては、最終的には京浜港に一つの港湾運営会社を置くこととされていますので、すなわち東京港の埠頭会社と横浜港の埠頭公社が将来的に統合するということを意味しております。すなわち三つの経営組織が統合されるわけですが、この統合期限は平成二十六年度ということになっていると伺っております。
 一極集中の投資と運営がなされてきた釜山港を意識した体制づくりだとは思いますが、これまで、それぞれ独自の経営をしてきた埠頭会社や埠頭公社が統合されて、円滑で連携のとれた経営になるのかというのが不安として残ります。
 経営統合に向けて、都が想定をする課題と国の関与はどのようなものなのか、伺いたいと思います。

○笹川港湾経営改革担当部長 経営統合に向けては、横浜港とのパートナーシップのさらなる強化が不可欠でございます。
 横浜港は、今年度中に横浜港埠頭公社の民営化に向けまして準備を進めております。東京港といたしましては、その準備状況を踏まえつつ横浜港と協議を重ね、効果的な港湾運営が可能となる体制を検討してまいります。
 国の関与でございますが、港湾運営会社につきましては、その指定を行うこと、監督命令権、運営計画の変更に係る認可権などが、港湾法上定められております。

○伊藤(ゆ)委員 これまで、それぞれの運営組織として経営されてきた埠頭会社や埠頭公社の統合というのは、それぞれの強みと弱みを補い合い、シナジー効果を高めることで、京浜港の利便性を向上させようという試みだと理解をしています。
 しかし、口でいうのは簡単ですけれども、広大な倉庫群などのバックヤードを有する釜山港とは違い、三港は、それぞれ二十キロ以上離れた位置に点在をしています。
 そのため、集めた荷を短いリードタイムで運び出すための物流倉庫の再編や大型化はやりたくても、なかなかできない地理的な制約と土地の不足があるため、一体経営のメリットを発揮できる余地は限られているのではないかと危惧をしています。
 京浜港が目指す姿を描くためには、まず釜山港の港としての使い勝手のよさを研究する必要があると思いますが、都の認識として、釜山港の強みとはどのような点にあるのかを伺っていきたいと思います。
 競争力のある港の特徴は、私は、三要素ではないかと思っております。これは、安い、そして早い、うまいということで、早さとは、いうまでもなくコンテナ船の入港からコンテナターミナルから搬出できるリードタイムの短さです。
 釜山港ではコンテナヤードの自動化が急速に進みまして、リードタイムが劇的に短縮されているといいますが、釜山港と京浜港とのリードタイムの差というのはどれほどあるのか、都の認識を伺いたいと思います。

○笹川港湾経営改革担当部長 財務省が実施いたしました調査によりますと、我が国においては、平成二十一年現在で四十九・四時間、AEO制度利用貨物につきましては三十六・一時間というデータがございます。
 釜山港におけるリードタイムが短縮傾向にあるといたしましても、大きな違いはないと認識しているところでございます。

○伊藤(ゆ)委員 大きな差がないことを願いたいと思いますが、今の答弁からも、東京港におけるリードタイムの平均時間はお示しいただきましたが、釜山港におけるそれは比較対象としてお示しいただけませんでした。それぐらい、釜山港と東京港の正確な分析というものが、まだ十分になされていないんではないかというふうに思います。
 荷主の実感として本当に大差がないのか、ここもまた疑問です。釜山港のバックヤードの広さやクレーンの台数、あるいは積みおろしスペースの広さから、入ってきた船が素早くコンテナを積み、そして、それを積みかえて運び出すということについては、釜山港の強みというものが、今、厳然としてあるんではないかというふうに指摘をしておきたいと思います。
 早さの次は安さということですけれども、当然のことながらコンテナ取扱料金は利便性に直結をする問題です。京浜港と釜山港を比較したときに、釜山港はどれくらい京浜港より安いと、今、分析をされているのか伺いたいと思います。

○笹川港湾経営改革担当部長 平成二十年におけるデータでは、京浜港におけますコンテナ取扱料金を一〇〇とした場合、釜山港は七九となっております。
 また、コンテナの輸送コストにつきましては、例えば、苫小牧港から京浜港経由でロサンゼルス港、ロングビーチ港に輸送する場合、四十フィート当たり四十一万七千円かかるのに対しまして、釜山港経由の場合には三十四万円と、八万円近く安くなっております。

○伊藤(ゆ)委員 釜山港の方が八万円ほど安くなるという--八万円は決して小さな額ではないというふうに思います。
 問題は、次のうまさということで、このうまさとは、利用者にとってのうまみ、すなわち取扱量の多さと付加価値ではないかというふうに思います。
 取扱量では、既に釜山港は世界第五位となり、京浜港の約二倍の貨物を扱っていますので、圧倒的な差を認めざるを得ません。
 多くの貨物が集まるところに船が集まるのは自明のことで、釜山は良循環、京浜は悪循環になりつつあります。同時に、港が織りなす付加価値についてはどうでしょうか。最近発売をされました「WEDGE」という雑誌にはこう紹介されております。
 ある物流センターは新港北地区に、これは釜山港ですけれども、延べ一万坪の倉庫を持つ、全天候型の貨物の積みおろし倉庫の中は数多くの自動車部品が目につく、ここでは物を保管するだけではなく検品や包装まで行う、荷を右から左に流すだけではなく付加価値をつけて送り出すわけだ、全体が自由貿易地域に指定されている釜山新港内では付加価値税のほかに法人税や所得税、関税までもが減免をされる、また、ほぼただ同然で最長五十年間、土地を賃貸できると、このように解説をされています。
 まさに、こうした釜山港のようなうまみを演出することが利用者の拡大になることはいうまでもありませんが、うまみには、税制などソフト面で解決できる課題と、加工場の整備などハード面で解決すべき課題と、二つあるように感じられます。
 京浜港の場合、ソフト面での課題解決は必須で、取り組むべきと思いますが、港湾地域の再整備といったハード面での解決は、東京港には遊休地がほとんどないことを考えると非常に困難な問題だと思います。
 都は、こうした港のうまみの部分で、釜山港にどのように追いついていこうと考えているのか、お伺いしたいと思います。

○笹川港湾経営改革担当部長 我が国の首都圏に位置する京浜港におきましては、既に充実した物流拠点を有しております。背後圏には古くから産業が集積しております。
 また、京浜港は釜山港に対しまして、輸送の定時性、丁寧かつ安全な荷役への信頼性などの優位性を有していることから、京浜港への貨物集荷策の実施に当たりましては、これらの優位性をアピールしてまいります。

○伊藤(ゆ)委員 私の理解なんですけれども、釜山港の全景図、上から撮った写真と絵が釜山港の運営会社のホームページに張られておりまして、これは地区ごとにも俯瞰して見ることができるようになっています。
 それで見ますと、今も既に新しい釜山港の一地区としての整備が進められていますが、極めて大規模かつ広範な整備になっているというふうに思います。病院をつくろうとか、あるいは企業そのものを誘致していこうということを積極的に行いつつ、関税を下げる、あるいは加工工場を新たに設置できるようにするなどのハード面の整備が進んでいるというふうに見受けました。
 これはどういうことかといいますと、つまり東京にメーカーがあって、そして商品をつくり、それを一回釜山に持っていって、釜山で加工して、そこに集積をしてくる北米路線、あるいはヨーロッパ路線のコンテナ船に積みかえて出すことによって、韓国に送るときに関税がかけられませんから、あるいは、そこからまた出されるときに、北米とはFTAなどの自由貿易制度がありますので、こうした制度を使って、まさに関税がかけられない仕組みの中で輸出入がされやすいという、こういう環境が、ソフト面でも、あるいはハード面でも整備されているというふうに私は理解をしています。
 そういう一体的な誘致合戦というものを釜山が一生懸命やられている中で、私は、東京港の輸送の定時性、あるいは丁寧な積みおろしの信頼性というものは、世界的にも評価されていると思いますが--思いますが、メーカーや荷主にとってみれば、より大きなうまみというものを釜山港が放っているというふうに理解しているんではないかなと、こう思います。
 次に、全国各地に整備をされた港との利害対立についてもお伺いしていきたいと思います。
 日本は戦後から長年にわたって、列島の各地に港を整備し続けてきました。そのため、分権化された全国津々浦々の港では、地方自治体が奮闘して、コンテナ船やフィーダー船の獲得を行ってきた歴史があります。
 最近では、ハブ港となった釜山との地政学的な利点を生かし、日本海側の日本の港は釜山港との定期航路を確保して、日本で製造された商品を釜山に搬出する港としての努力を積んできました。
 以下も「WEDGE」の引用ですけれども、こういう分析があります。
 韓国へのアクセスが容易な日本海側の港にとって、今や釜山や馬山は世界へのゲートウエーとなっている、北陸三県の主要港はそろって、ことし上半期の輸出入コンテナ取扱量が過去最高を記録した、前年の同じ時期に比べて、敦賀港は二倍、金沢港は一八%、伏木富山港は一五%増加した、三つの港は、いずれも韓国の港と定期航路でつながっており、韓国への好調な貨物の出荷が取扱量全体を底上げしているのではないかと見られる、こういうことでありました。
 国際戦略港湾に指定をされて、国と都は釜山港をターゲットに、追いつき追い越せを目指すと表明しています。集中と選択の投資は、アジアのグローバル化が進み、勝者が一極集中する時代には当然求められる戦略ですけれども、釜山と同じ戦略を志向する場合には、京浜港は利用者にインセンティブを与え、釜山から船を取り戻さなくてはなりません。
 これは、釜山に流れ込んでいた川の流れを強引に変えて京浜港に呼び込むことにほかならず、日本海側で努力してきた港を初め、地方の港の弱体化を招きかねないのではないかと、私は危惧をしています。
 当初から国を挙げて釜山しか国際貨物の取り扱いを行わないと事実上一極集中してきた韓国と、四十年以上かけて全国各地に港を整備してきた日本とでは、本来目指す戦略がおのずから違ってくるのではないかと思うのですが、都の見解をお伺いしたいと思います。

○笹川港湾経営改革担当部長 国は、我が国港湾の国際競争力を強化するため、港湾のさらなる選択と集中を掲げ、国際コンテナ戦略港湾を公募したところでございますが、東京、横浜、川崎の三港は、京浜港としてこれに応募し、選定されました。
 京浜港における貨物集荷に当たりましては、国際コンテナ戦略港湾の計画書により、まずは東日本で生産、消費されるコンテナ貨物で釜山港に流出しているもののうち、太平洋側八割、日本海側二割をそれぞれ確保することを目標としております。
 この目標を達成するため、京浜港としては、地方港とも連携して貨物集荷に取り組んでおります。
 貨物集荷の主なターゲットである東日本におきましては、八戸港、仙台塩釜港と協定を結び、双方の入港料の減免などによりネットワークの強化を図っておりますが、これらは地方港にとってもメリットがあるものと考えております。

○伊藤(ゆ)委員 先ほど来申し上げたように、釜山港では、港の整備だけではなくて、バックヤード、加工工場の整備を大幅に進めております。そこに目をつけた日本の大手、中小メーカーも、釜山港の周辺に工場を借りたり、あるいは買ったりしながら操業をして、物流というものが徐々に釜山港に集中をして確立されてきました。
 そうした物流の変化にいち早く対応したのが、まさに日本海側の敦賀を初めとした地方の港だというふうに思います。つまりは、この釜山港の強みというものを自分たちの港の強みに生かそうという努力をこれまで繰り広げてきたものというふうに私は認識をしています。
 そういう意味で、今回、京浜港国際コンテナ戦略港湾計画書に書かれていることについて、いささか不安を感じたので、私は質問をさせていただいています。
 その不安というのは、つまり釜山港をある種ライバル視し、モデルにしようということが、この中に高らかと掲げられているので、もしそういう方向に行くんだとすれば、まさに今まで地方の港に流れていた物流を一回インターセプトして、東京にもう一度集中化させるというふうに読み取れると、私は理解をしています。
 もしそうだとすると、これは地方に流れていた川の流れを変えることになるので、地方の港からしても大変大きな不安を覚えられるのではないかというふうに思います。
 私はどちらかというと、地方の港と、それから大都市の港がパス回しを強化して、そして、これによって強くなるというのが理想的な姿であって、いわゆるアメリカンフットボールのようなパスをとってしまうというインターセプト型の東京港の強化というのは、誤った流れではないかというふうに思います。
 今の答弁でも、読み解けば、地方の港との連携強化をするということだというふうに理解をさせていただいていますので、その流れが強まっていくことが望ましいというふうに感じますが、しかし、そのことが残念ながら、この戦略港湾計画書をよく読んでもなかなか伝わってこない。一部、図の中には書かれている部分がありますけれども、しかし、そういうパス回しをしっかりしていくんだというふうに書かれていなくて、どちらかといえば、釜山港のような一極集中、あるいは国際貨物の呼び込みというものを徹底して行っていくんだということばかりが書かれているので、私はそこに危惧を覚えまして、質問をさせていただいたわけでございます。
 昨年五月に発表されました京浜港国際戦略港湾計画書の概要を拝見いたしますと、京浜港の目標と位置づけが書いてあります。
 釜山港などに対峙する国際拠点港湾、航路特性を生かした国際ハブポートの実現と、今申し上げたように、強烈に釜山港を意識した書き出しとともに九つの基本戦略が書かれておりますが、この中の戦略というのは、多くが釜山港が成功を果たした戦略であり、後追いの感が否めません。
 国際戦略港湾の指定を受けて、基本的なハード整備は国との連携強化の中で進めていくべきものでありますけれども、川の流れを強引に変える戦略が正しいのか。そもそも急流にも激流にも成長した川の流れを変えることができるのか、冷静な判断が求められているように感じます。
 京浜港は、強引に川の流れを変える努力よりも、この川の流れを利用した物流のあり方を検証し、釜山港への流れを日本の利益に還元する戦略を描くべきではないかと、私は考えますけれども、局長の答弁をお伺いしたいと思います。

○中井港湾局長 伊藤理事のお話、その趣旨は、釜山港--さまざまなインセンティブ、これはまさに国策として強力に行われているものでございまして、その吸引力というのは非常に強いものがあるわけでございます。そういった中で、日本の貨物が日本海側を中心に相当量、釜山に流れているというのは事実でございます。
 この釜山港の活用を、その流れをとめるのではなく考えていくべきではないかというお話でございますが、それはとりもなおさず、京浜港、日本の基幹港のフィーダー化というものを出現させるということでございます。
 港がフィーダー化、つまり直接、基幹航路で運ぶことができなくなる、一たん、よその港につけて、そこで貨物を積みかえて最終目的地に持っていくという、そういう港になってしまうということは、これは企業、荷主にとっては、一つは、貨物の輸送コストが増大するということになります。また、当然のことですが、輸送日数も、直接、基幹航路に載せるよりは大幅にふえるということになります。また、ハブ港での積みかえがございますので、その時点での貨物の傷みというものがリスクとして出てまいります。さらに、定時性が損なわれていくという問題もございます。
 このように、輸出入におけるさまざまなマイナス要素があるわけでございまして、これは、外国企業が日本に立地しようとするときに、その日本進出意欲を低下させるということにもなりますし、現在、国内にある企業の海外流出を加速させるということになりまして、雇用の場がますます減少するということにもつながってまいります。また、輸送コストの増大というのは、消費者物価を初めとした国内の物価上昇要因にも当然なっています。
 このように、国内の基幹港がフィーダーポート化してしまうということは、極めて甚大なマイナス面があり、また、そのマイナス面は、非常に多様、広範に及ぶということでございまして、今後の日本経済を発展させる上で大きな障害になるというふうに考えるものでございます。
 一方で、私どもはもちろん、釜山に流れている貨物のすべてを取り戻そうというふうに考えているわけではございません。日本海側のコンテナ港、例えば新潟市にある企業は新潟港から釜山を使う、それは確かに経済的に合理的な判断だというふうに我々も考えているわけでございます。
 また、伊藤理事ご指摘のように、釜山は非常に広大な土地を非常に低廉に貸し付け、税制優遇もしているということで、日系企業でも、あそこに物流拠点を置いているところは多数あるわけでございます。そういった、あそこに物流拠点を置いているところは、当然、企業の判断として、そこを今後も使うということだと思います。そういった企業までを、貨物を取り戻すんだということを考えているわけではないわけでございます。
 しかしながら、例えば日本列島の内陸深い、例えば北関東の企業の貨物をどうするかと、あるいは太平洋側に立地している企業の貨物をどうするかということについて、ここまで釜山に流れるということであれば、これは、いってみれば釜山というのは、内陸の企業や太平洋側の企業にとっては非常に遠隔な港であって、企業からすると海上輸送するのに非常に不便なところに自分たちは立地してしまっているということになるわけでございます。
 こういったこととか、あるいは先ほどいった国内経済全体に与える影響といったものから、どこまでも釜山の強力なインセンティブを腕組みをして見ているというわけにはいかないという事情があります。こういったことから、国際コンテナ戦略港湾で国際競争力の強化に努めているわけでございます。
 京浜港の国際競争力を必要なところまで回復させるということによって、釜山との間のいい意味でのしのぎ合いをする状態、これをつくっていくということが我々の目指しているところでございまして、これによって、荷主である国内企業にとっては、より安い料金でスピーディーな、かつ良質な海上輸送というものが確保されることになるわけですし、国内の経済も維持されるということになるわけでございます。
 こうしたことで、私どもとしては引き続き、京浜港、そして東京港の国際競争力の強化に向けて、全力で取り組んでまいりたいというふうに考えております。ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。

○伊藤(ゆ)委員 おっしゃることはよくわかります。
 ただ一方で、逆に私が思うのは、一定の時間をかけて釜山港が強くなった中で、日本の港が比較的フィーダー港化してきたという傾向が確実にあると。これはなぜかといえば、やはりメーカーにとってみれば、東京の周辺に工場を構えるよりも、むしろ釜山に工場を構えた方がトータルのコストがやはり安くつくといううまみを感じたから、そういう企業が、政策よりもある意味では前に行く形で、既に移転を決められているんだと。その一つの結果的あらわれとしてフィーダー港化が進んできていると。
 このフィーダー港化をとめるためには、やはり企業が、東京港、あるいは京浜港のそばに居を構えたいと、こう思えるような仕組みをつくることが大事なんじゃないかということを申し上げさせていただいているわけであり、その一つが、やはり釜山港で見た強みであり、これは一つは、加工場の大幅な整備であるというふうに私は思います。
 しかし、残念ながら、京浜港のそばには、釜山のようにあり余った土地というのがほとんど見当たらないので、よほど大規模な再整備をしていかないと、企業から見れば、現実問題としては東京港になかなか残れないと、むしろ釜山に行った方が安く済むというところがあるんではないかということであります。
 そういう意味では、私は、今回の三港が国際戦略港湾として連携をする、一つの運営会社をつくるというのはチャンスだと思います。必ずしも、川崎や横浜や、あるいは東京においても、事業が黒字の会社ばかりではありません。そろそろ撤退をと思っている港周辺の事業者もたくさんあると思います。この時期に、そういう意味では、一体整備をかなり果敢に行っていく必要があって、まさにそうした、企業から見ても日本は変わると、日本の港は変わるという絵を提供することでこそ、初めてフィーダー港化が食いとめられると、こう私は思いますので、ぜひこの国際戦略港湾、たった四%の国庫補助アップということだけではなくて、むしろ地方の連携でそうした青写真というものを、ぜひ国に対しても、あるいは事業者に対しても、国民に対してもお示しいただきたいということをお願い申し上げて、質疑を終わらせていただきます。

○山崎委員 私は、国際戦略総合特区について、何点かお伺いさせていただきたいと思います。
 世界的な景気低迷と金融不安が続き、日本経済も低迷しており、国民は出口の見えない経済状態に大きな不安や焦りを感じている状態であります。
 都市と都市との国際競争が激化する中、アジアの諸都市はかなり力をつけてきて、東京の地位低下を懸念しているわけでございます。
 三月十一日に発生した東日本大震災の被害は、甚大かつ多方面にわたり、国民に耐えがたい苦難を与えるとともに、将来への影響もはかり知れないものがあるわけでございます。
 この社会経済情勢においては、日本は立ちどまることなく、再生に向けて有効な手だてを講じていかなければなりません。
 こうした状況下で、都はことしの九月に、国に対して国際戦略総合特区を申請いたしました。
 まず初めに、この特区構想において、都が目指す将来像や、その実現に向けた戦略についてお伺いします。

○石原臨海開発部長 都の特区構想では、東京が日本経済を牽引し続けるために、アジアを初めとする世界の都市間競争を勝ち抜き、東京をアジアのヘッドクオーターへと進化させることを将来像としております。
 そのために、大胆な規制緩和や税制優遇等が可能な総合特区を活用して、外国企業のアジア本社や研究機関の誘致を進めることとしております。
 誘致した外国企業と国内企業が刺激し合うことで、新技術、新サービスを創造する魅力的な市場を形成していくことを目指しております。

○山崎委員 経済のグローバリゼーションが世界的規模で大きく進展している現在、日本、東京は世界に開かれた国、都市である必要があります。
 海外の企業が東京に拠点を持つことは、国内の中小企業にとっても、新たな市場が出現をし、事業を拡大させる一つのきっかけとなるわけであります。
 都の特区構想は、国内企業の活性化、ひいては日本経済全体の活性化にも直結する政策の一つともなるでありましょう。
 そういう中で、海外企業が東京に進出することを促進するためには、その意欲を高める政策が必要であります。
 そこで、特区構想の中では、海外企業の進出促進には何が必要と考えているのか、お伺いいたします。

○石原臨海開発部長 特区構想では、海外企業の進出促進に向け、四つの機能を掲げております。
 一つ目は、誘致・ビジネス交流でございまして、海外への継続的なアプローチを行うとともに、MICE開催によってビジネス交流を活発化させて、誘致企業を掘り起こすものです。
 二つ目は、ビジネス支援でございまして、海外企業に対して、さまざまな案内を行うワンストップサービスを提供するとともに、ビジネスのマッチングを支援し、技術交流を促進するものでございます。
 三つ目は、都市インフラ整備でございまして、高い防災対応力や自立分散型エネルギーネットワークなど企業活動を保証する都市インフラを整備するものでございます。
 四つ目は、生活環境整備でございまして、外国人家族がストレスなく暮らせるためのサポートを提供し、教育、医療等の生活インフラを確立するものでございます。
 以上、四つの機能を中心にして、海外企業の新規参入を促す仕組みをつくり、世界に引けをとらないビジネス環境を提供していくとしています。

○山崎委員 都が発表した資料では、申請された特区の予定エリアは五つございます。
 五つのエリアのうち、臨海副都心は、東京都心・臨海地域に含まれているわけで、このエリアは、東京駅周辺や新橋駅周辺から六本木駅周辺の都心、さらには臨海地域まで連担した広大なエリアとなっているわけであります。五つのエリアの中で一番大きなエリアでもあるわけでございます。臨海副都心は、このエリアの中でも独自の特徴、特色を持つ地域であると思います。
 そこで、特区の一部を構成する臨海副都心の特徴と、特区における意義は何かをお伺いします。

○石原臨海開発部長 臨海副都心は、羽田空港、成田空港から至近の距離に位置するなどアクセスにすぐれるとともに、豊かな緑や公園が整備されて良好な都市環境が実現しております。
 また、ライフラインが共同溝に配置されるなど高い防災機能も有しております。
 さらには、国内トップの展示規模を有する東京ビッグサイトを初め、多くのホテルや集客力のある商業施設が建ち並ぶなど、MICE、国際観光機能が集積していることが臨海副都心の特徴でございます。
 現在、土地処分は約七割が完了しておりますが、今後開発予定の土地も残っており、さらなる発展が可能でございます。
 こうした特徴を最大限に発揮して今後の開発を進めることで、世界的にもトップレベルのMICE、国際観光の一大拠点へと発展させることにより、東京をアジアのヘッドクオーターとして進化させる原動力となることができると考えております。

○山崎委員 今の答弁の中でMICEという言葉が出てきました。これは、ミーティングのM、インセンティブトラベルのI、コンベンションのC、エキシビションのEをつなげた造語であります。近年、都市の国際競争力や観光を語る上でMICEが重要なキーワードとなっています。
 そこで、特区構想を進めるに当たっては、なぜMICEが重要なのかお聞きします。

○石原臨海開発部長 MICEが開催されることで、まず人的ネットワークが構築されて、新たなビジネス機会やイノベーションが創出されます。
 次に、MICEの開催経費や、MICE主催者、参加者、出展者等による宿泊やショッピングなどの消費によりまして、大きな経済波及効果が生じることとなります。
 例えば、日本で一万人規模の国際会議が開催された場合の経済波及効果を見ますと、約四十億円と推計されております。
 また、東京ビッグサイトでの展示会開催が生み出す経済波及効果は、年間で、都内で約四千六百億円、全国で約七千五百億円と推計されております。
 さらに、地域の国際化、活性化につながり、それによって、国内外からの観光客の拡大効果も大きく、都市の競争力とブランド力を向上させて、国の経済、産業の国際競争力の強化につながります。

○山崎委員 アジアや太平洋地域の諸都市、例えば、韓国やシンガポール、マレーシア、オーストラリアなども、MICE誘致、開催に積極的に取り組んでいます。
 米国においても、ラスベガスは、かつてはカジノ中心でありましたが、現在では大きなコンベンションセンターが数多く建てられ、国際会議も多く開催されるようになっております。これにあわせて、ショッピングセンターやリゾートホテル、エンターテインメント施設が充実をしており、世界有数の一大MICE拠点が形成されるなど、カジノ中心から大きく転換をし、世界的にも魅力ある都市に変貌をしているわけであります。
 このように、MICE施設とあわせて、ショッピングやエンターテインメントなどの施設がなぜ必要となるのか、また、臨海副都心の状況はどうなのか、お伺いいたします。

○石原臨海開発部長 MICE誘致を成功させるためには、充実したMICE施設とともに、MICE参加者が滞在期間中に快適な時間を過ごせるような機能が備わっていることが必要不可欠とされております。
 MICE参加者は、滞在期間中に、商談や会食、ショッピングなどを行うため、そのニーズを満たす施設が近接していることが、MICEの誘致成功のかぎとなっております。
 臨海副都心では、ホテルやショッピング施設、エンターテインメント施設などが集中的に立地し、さまざまなイベントも開催されるなど、アフターコンベンション機能が充実しております。
 今後、さらに開発が進むことで、より大きな規模のMICE開催にも対応可能な、世界でもトップレベルの複合的な機能を持つMICE拠点へと変貌する可能性を秘めております。

○山崎委員 海外企業を誘致して、東京がアジアのヘッドクオーターとなるために、MICE、国際観光を充実させていくという目標を実現するため、臨海副都心が果たす役割は極めて大きいわけであります。
 臨海副都心というまとまった地域にMICE、国際観光の機能を集積させることは、国際競争力向上の観点から重要であります。開発余地のある臨海副都心は、これまでも、職、住、学、遊のバランスのとれたまちづくりを推進してきた理想的な都市でもあるといえます。
 最後に、アジアヘッドクオーター特区構想の実現に向けて、臨海副都心開発にどのように取り組んでいくのか、局長の決意をお伺いします。

○中井港湾局長 先週、私は、外貿ミッションでアジアの諸都市を回ってまいりました。釜山、仁川、天津、香港の、そういった都市を回らせていただきましたが、いずれの都市においても、その経済発展のスピード、スケール、さらには世界を視野に入れた戦略というものをしっかり持っているということに驚嘆させられました。そして、これらの都市のいずれにおいても、その経済戦略の一つとして、MICE機能の拠点としての地位を実現している、あるいは、それを目指しているという状況がございました。
 MICEは、先ほどの質疑にもありましたとおり、新たなビジネスチャンスやイノベーションを生むという大きな経済的メリットがあることに加え、宿泊、ショッピングを初め、広範囲な需要創出効果がございます。また、アジアの急速な経済発展を考えますと、今後の成長性も大いに期待できる産業分野であります。低迷を続ける東京、そして日本経済に再び活力を吹き込む有力な事業分野として、今こそ果敢に手を打っていくべきものだと、そのように考えております。
 都はアジアヘッドクオーター構想を打ち出しましたが、山崎副委員長からご指摘をいただきましたとおり、その重要な拠点となり、MICE機能を集積させていくエリアとなるのが臨海副都心であります。
 臨海副都心は、羽田空港、成田空港、都心からそれぞれ近接した場所にあり、アジアを初め世界各国からのアクセスにすぐれ、世界の人々との交流が、今後さらに活発化する地域であります。また、ビッグサイトを初め、ホテル、商業施設など既存のMICE、国際観光施設も立地しております。
 このように、臨海副都心は、東京の、そして日本のMICE拠点にふさわしい機能と高いポテンシャルを持つ地域であり、世界の諸都市との厳しい競争を勝ち抜き、日本を牽引することのできる数少ない国際戦略拠点であります。
 今後、総合特区の指定に向け、全力を挙げていくとともに、開発予定の青海地区北側を中心に、既存施設との連携を図りつつ、MICE、国際観光機能を充実させる新たな施設の誘致に取り組んでまいります。
 こうした取り組みにより、国内企業の活性化はもとより、多方面への経済波及効果を生み出し、東京のみならず、首都圏、そして日本経済の再生につなげられるよう、組織一丸となって頑張ってまいります。

○木内委員 私は率直にいって、臨海副都心というのは、都政が後代、後世の都民に残す大きな財産であると、こういう認識をいたしておりますし、もう一つは、先ほど来議論のありました京浜三港の連携、あるいは特区構想、こういう中において、東京港自体が今、非常にエポックメーキングな曲がり角に差しかかっている、こういう時期に当たって、経済・港湾委員会での議論というものは極めて重要である、こういう認識に立って何点かお聞きしたいと思うのでありますけれども、きょうは、主に港湾の経営と臨海副都心開発、これについて質疑を進めてまいりたいと思います。
 既に二人の同僚委員が質疑を行ったところでありまして、できるだけ重複は避けますけれども、部分でダブっているところがあるとすれば、それは私自身が順番を追ってお尋ねをする、私の質疑に必要なお尋ねでありますから理解をいただきたい。いいわけを先にしておくわけであります。
 京浜三港は、アジア諸港の躍進によって国際競争力の相対的低下を、これがあるためにこれに歯どめをかけなくてはいけない。したがって、平成二十年の三港基本合意を皮切りに、さまざまな取り組みを実施してきたところであります。
 私ども都議会公明党としても、他の会派の諸君とともに、東京都議会、横浜市会、さらに川崎市議会の超党派の有志の皆さんとともに、京浜港広域連携推進議員連盟を立ち上げまして、私は、この連盟の副会長を仰せつかっているわけでありますけれども、そうして京浜港が行う総合的な政策の推進をさまざまな側面から支援してまいりました。執行機関と、そして議会と、まさに車の両輪の体をなして、これまでその施策の推進に努めてきたところであります。
 そうした経過もあって、昨年の八月には、国が我が国港湾の国際競争力強化を目指し、選択と集中、これを標榜して、これを行うために公募した国際コンテナ戦略港湾に京浜港として選定をされまして、三港連携は新たな局面、ステージに入ってきていると思うのであります。今後の具体的な対応等が極めて枢要な課題となってきていることは、今さら申し上げるまでもありません。
 そうして、本年九月には、京浜港連携協議会において、京浜港の総合的な計画というものが策定をされました。これは、三港それぞれの港湾計画の基本となる長期計画でありまして、複数の港湾がこのような計画を一体的に協議し策定したのは、全国数ある港湾の中でも初めての取り組みであると仄聞をいたしております。
 そこで、三港連携ということについて何点かお尋ねをするわけでありますけれども、この三港連携を進めていくというのは、非常にデリケートな側面もあり、またあるいは、さまざまな課題を克服しながら、一体的に力を合わせ、協議を重ねて進めていかなければならないという、実はそういうことも要求されるテーマなのであります。
 この計画を着実に推進していかなくてはならない。そのためには、東京、川崎、横浜がそれぞれの特徴を生かした役割というものが、固有のものがそれぞれあるわけでありまして、その役割を果たしていくべきと考えるんです。ただ一緒に仲よくやりましょうという話ではないわけであります。それぞれの港湾の持つ歴史的経過、あるいは立地、あるいは特徴的機能などなどの、この要件というものを十分勘案した上で進めていくことが必要である。
 したがって、今、第一にお聞きすることは、東京港が果たすべき役割について、まず認識を明確にしていただきたいと思うのであります。

○笹川港湾経営改革担当部長 京浜港の総合的な計画におきましては、京浜三港の特徴や既存施設及びこれらの持つポテンシャルを生かしまして、連携することにより、京浜港が総合港湾としての力を十分に発揮していくことを目指しております。
 その中で、東京港は、既存の受け入れ対応施設を活用しながら、今後も基幹航路とアジア等近海航路の拠点機能を担うこととしております。
 この役割を十分に果たすことができるよう、現在整備中の中央防波堤外側コンテナターミナルの完成にあわせ、既存の大井、青海コンテナふ頭の機能強化、再編に取り組むなど、東京港の港湾機能の充実強化を図ってまいります。

○木内委員 極めて明快な答弁がありました。答弁の最後に、東京港の港湾機能の充実強化を図っていくと。わずかワンセンテンスだけれども、非常に重要な意味を持っております。今まさに時代は新しいステージに入っているわけでありまして、答弁のとおりに、それぞれの分野、機能の強化を図っていただく。喫緊の課題である国際競争力の強化に向け、着実に取り組んでいただくことを、まず強く求めておきたいと思うんです。
 その上で、京浜港全体についていえば、何度も申し上げるように、三港それぞれがその役割を十分に果たすとともに、相乗効果を発揮するように努力をすることが極めて重要となってくるわけでありまして、そのためには、連携のための連携ということではなく、三港それぞれにとって実りのある取り組みでなければならない、こう考えるわけであります。
 京浜三港では一体的な経営を目指すことにしておりますけれども、東京港はこのことに対して具体的にどう取り組んでいくのか、その姿勢の基本的な点についてお尋ねいたします。

○笹川港湾経営改革担当部長 京浜港が国際競争力を高め、アジア主要港と対峙していくためには、京浜港の一体的な経営によるスケールメリットを生かしまして、限られた資源、人材を有効に活用しながら、効率的な港湾経営を推進していく必要がございます。
 そのためには、連携強化を図っていく段階におきまして、三港それぞれにとってプラスとなる関係が実現できますよう、三港での意思疎通を十分に図ってまいります。
 また、京浜港が一体的な経営を進めていくことで、利用者本位のより使いやすい港となるよう、港湾関係者のご意見を十分に伺いながら取り組みを進めてまいります。

○木内委員 議会における委員会の質疑といいますのは、質疑のやりとりの中で議論をし、一つの結果を紡ぎ出しながら行政に反映をしていく、あるいは条例案や規則の議論の中では、委員会でのやりとりというものが非常に、その後の行政執行に当たって、実は大きな意味を持つものでありますので、今いわれた点は拳々服膺して、ぜひ実際の施策に反映をしてもらいたいと思うんですが、特に大事な部分、核心部分を申し上げますと、利用者本位のより使いやすい港となるよう、港湾関係者の意見を十分に聞きながら取り組みを進めていく、こういう答弁がありました。
 たしか十一月でしたか、東京港開港の周年行事があるわけでありますけれども、この東京港の歴史の中で、これを支え、運営に大変な努力を重ねてこられた港湾関係団体の皆様、この存在というものをやはり常に念頭に置いて、いわれるように港湾関係者の意見を十分に聞きながら取り組みを進めていかれるよう、重ねて要望しておきたいと思います。
 京浜港の一体的な経営自体が目的ではなくて、京浜港の一体的な経営によって、利用者本位のより使いやすい港の実現を目指していくんだということは、ぜひとも肝に銘じていただきたい。
 そのためには、ぜひとも、創意工夫を凝らし、さまざまな取り組みを進めていってもらいたいと思います。例えば、三港間でのコンテナ輸送の効率化を図るため、三港共同バンプールの整備、また、三港共同シャーシーの導入などの提案も私はいたしたいと思うのであります。これらについても具体的な検討を進めていただきたいと思います。
 また、利用者本位のより使いやすい港の実現に当たっては、港湾をめぐる制度もそれに資するものでなくてはならない、こう思うのであります。
 さて、そこで、今般、港湾法の改正によりまして、港湾運営会社制度が創設をされ、近々施行される予定でありますけれども、新制度によってもたらされるメリットを、東京都は、また、東京港は十分に享受していく必要があると考えるわけであります。関係各方面のさまざまな尽力と、そうして汗を流したことによって、港湾法には附帯決議がついたことは、既に案内のとおりであります。
 この附帯決議の中身というものは極めて重要な意味を持っているのでありますけれども、さて、東京港においては、コンテナふ頭の一元的な管理運営など、これまでの実績を踏まえますと、東京港埠頭会社が指定されてくるものと私は思います。現在の埠頭会社が港湾運営会社に指定されることによって、何がどう変わるのか明らかにしてください。

○笹川港湾経営改革担当部長 港湾運営会社となることによりまして、港湾管理者等が所有する港湾施設を借り受けて運営することができるほか、港湾施設の整備に当たりまして、国からの無利子貸付を受けることができます。
 なお、詳細部分につきましては、今後、政省令等により明らかにされると聞いております。

○木内委員 答弁にあったように、詳細な部分については、まだこの運営の実態がいかなるものになるのか、あるいは民間投資の問題といろいろ議論されているところでありますけれども、政省令にゆだねられるということでありますけれども、これにはしっかり、私ども都議会としては注目、注視をしていかなくてはいけないと思うのであります。
 国の権威や、あるいは立場、あるいは港の運営のイニシアチブを一体どこがとるのかという、そういう利権や権力争いにしては絶対にならない。何度も申し上げるように、都民本位、利用者本位の、より使いやすい港づくりに資するものとなっていかなければならないと、こう考えるのでありまして、こうした期待にこたえることができるような制度の運用を東京都としてもぜひ心がけてもらいたいし、また、国へも折をとらえては、機会をとらえて強く求めていってもらいたい、これを申し上げたいと思うんです。
 さらに、港湾運営会社への移行に当たっては、東京港埠頭株式会社としてさまざまな準備を進めていく中で、営業面などを含めた体制を強化していくことが重要であります。
 申し上げております東京港埠頭株式会社は、営業体制の強化に向けた取り組みを、今、行っていると聞いていますけれども、具体的に展開する営業活動、内容について明らかにしてください。

○笹川港湾経営改革担当部長 京浜三港では、主に東日本からの貨物集荷に取り組んでおりますが、これを効果的に進めていくためには、荷主のマーケティングを行い、京浜港の利用を促進していく必要がございます。
 東京港埠頭株式会社では、この四月から民間人材を登用するとともに、営業本部を設置するなど、営業体制の強化に取り組んでいるところでございますが、具体的な活動といたしましては、荷主のところへ直接出向くなどにより、荷主動向を把握するとともに、京浜港の強みをアピールし、その利用を促進してまいります。

○木内委員 いわゆる今後の課題に対する決意が今、部長から答弁があったわけでありますけれども、京浜港への貨物集荷に向けて、今後も民間事業者とよく連携して、積極的な営業活動に取り組まれるよう強く要望しておきます。
 東京港においては、これまでも港湾管理者である東京都、東京港埠頭株式会社、そして民間事業者が協力をし合って、これらの信頼関係のもと、使いやすい港づくりに取り組んできているところであります。
 今後とも、何度も申し上げるように、この信頼関係を基本としていくことが重要であると私は考えるわけでありますけれども、港湾運営会社制度という新しいこのシステムのもとで、具体的な対応をどうしていくのか、お答えください。

○笹川港湾経営改革担当部長 新制度のもとにおきましても、東京都、東京港埠頭株式会社、民間事業者間での適切な役割分担をベースに、相乗効果をもたらすような有機的な連携を行い、利用者本位の使いやすい港づくりに向け、努力してまいります。
 港湾運営会社制度の全貌は、現時点では明らかになっておりませんが、本制度が利用者本位の港づくりに資するよう、関係者のご意見を伺いながら適切に対応してまいります。

○木内委員 新しい運営会社の全貌が現時点で明らかになっていない。私は国がよくないと思うよね。どれだけ関係者の危惧、懸念が今、各分野から起こってきているか、これは申し上げるまでもなく、港湾局がしっかりとそうした情報をつかんでおられると思うんですけれども、関係者等に十分な情報が伝わっていないこともあって、いろんな懸念を呼んでいるわけであります。
 したがって、今後、都は、港湾管理者として国から情報を収集しながら、それを関係者にきちんと伝えていただくとともに、関係者の声を、今度は国にきちんとフィードバックして届けてもらえるよう、これもあわせて要望しておきたいと思います。
 次に、角度を変えまして、民間事業者との連携に関連をすることでありますけれども、このたびの東日本大震災を受けて、港湾で業務に携わる方々の緊急避難対応、災害時の連絡体制、通信手段の確保など、これまで余り港湾としての一体的、あるいは実践的な取り組みがなされてこなかったと、これも関係団体の役員の方から強く出ている意見であります。また、複数の団体からもこういう声を聞くわけであります。
 重要な物流拠点であるこの東京港は、災害時にも対応し、その機能を十分に発揮しなければならないと考えるのであります。
 東京都は、港湾管理者として、関係の方々と協力して、一刻も早く災害への万全の備えを構築していただきたいと思うし、また、こうした作業こそ、新しい港湾の未来をつくる一つの方法だと、こう思いますので、強く求めておきます。
 きょうは求めることが多いのでありまして、答弁は結構であります。
 さて、次に、臨海副都心開発の方向について何点かお尋ねします。
 私はかねてから、この臨海副都心開発を支援し、推進する立場から、一方の応援団長という自覚でやってきたわけでありまして、都民本位のまちづくりという視点を打ち出して、また、具体的に多様な提言も行ってまいりました。
 さきの三月十一日の東日本大震災においては、臨海副都心内の建物や施設に大きな損傷をもたらす液状化被害というものが、この地域では皆無であったと。かねて、国交省を初め、行政機関から、この液状化の危険地域のマップというものも出ていたわけでありますけれども、今回の大震災の影響で、このマップに例示されていない、予測されていなかった地域でも、実は液状化の例が頻出をしたわけでありました。
 時に、私も、江戸川の清新町でありますとか、江東区内の新木場、辰巳といった液状化の被害が顕在化したところへ見に行きました。ここで共通していることは、例えばこれが盛り土をされたときに、この地下に海砂が多く堆積していたり、これが使われていたところが液状化を起こしている実態があったわけでありまして、私は思わず、愛するこの臨海副都心、果たして大丈夫だっただろうかと局に聞いたら、ほとんどありませんという、実はそういう返事でありました。
 この液状化被害が臨海副都心の建物や施設に皆無であった。言葉をかえれば、災害に強いまちとして、その安全性の高さが証明をされたのであります。
 そうした中で、例えば安心・安全ということで、都民生活に大きくこの課題を反映させて申し上げれば、この臨海副都心の安全性ということについて、医療の面から支えているのが、有明にあるがん研有明病院であります。
 私は今でも、そびえ立つ立派な病院の建物を見ますと、かつて東京都議会で、災害用の備蓄拠点としてしか実は予定されていなかった有明の丘に、大規模な総合病院を誘致すべきであるという提案をして、その後いろいろな作業が都によって行われて、この提案が実を結んでスタートをしたのががん研有明病院でありますけれども、これは今、日本一のがん治療の評価を受けるがん治療病院として臨海副都心のランドマークの一つともなっているわけでありますが、同時に、災害時の後方医療施設としても機能することになっているのであります。
 港湾局の方は、ほとんどいらしたことがあると思いますけれども、あのがん研有明病院の玄関を入りますと、受付のあるロビーが奥に向かってだだっ広くなっている。これはなぜかといえば、災害発災時には、あのロビーの広いスペースが、実は救急用のベッドが二百床用意される空間として非常用に用意をされている。
 こういうところでありますけれども、このがん研究会は、がんに特化したカンファレンスでもあるキャンサーボード、各分野のドクターたちによるチームがつくられ、一人の患者と、その症例に対してキャンサーボードがチーム医療を行うという、日本で最初に提唱し、実践してきた病院でありまして、こうした面が高く評価され、現在、国から都道府県がん診療連携拠点病院の指定を受けている、こういうことにまでなってきているわけであります。
 この病院では、年間約六千九百件に及ぶがんの手術を実施しておりまして、これは全国でトップの件数であります。
 こうしたこの病院のすぐれた医療は、高度な医療の提供と研修、新たな医療技術の開発及び評価を使命とする特定機能病院にも、先月、民間病院としては初めて承認されたことからも証明をされております。がん研有明病院のようなすぐれた施設が、地域自体の評価を上げ、進出する企業などに影響を与え、さらにすぐれたまちの開発につながっていくと。
 私は、経済・港湾委員会での質疑のときに、たしか前川さんが開発部長だったと思うんですけれども、英断に満ちた答弁をされたことが、何度もいうけど、今でもあの建物を見るたびに感慨を深くして、想起をするわけであります。
 さて、こういう社会的にすぐれた、何といいますか、インセンティブを与え得る優秀な施設というものが臨海に集積をすることで、さらにこの臨海としてのすぐれたまちの開発につながっていくものだと思うんです。このため、どういう施設を今後、誘致していくかということは、開発の成否を決める重要な要素にもなってくるのであります。
 これまで、私は折に触れて、このほかにも教育施設や研究施設などのアカデミック機能の集積による一層の発展もさせるべきだということを提言してまいりました。商業施設、あるいは展示施設等の議論もきょうはありましたけれども、単に単一的側面性だけではなくて、こうしたアカデミックな面の整備というものも必要になってくると思うんです。
 私は、かねてこのことを訴えてまいりました。今後も訴え続けてまいります。
 土地利用について、先ほど一、二問質疑があったようですけれども、これと重複しない範囲で、今、訴えてまいりました現在の教育施設や研究施設、いわゆるアカデミックなそうした施設の状況について、あえてこの場でご報告をしていただきたいと思います。

○延與営業担当部長 現在、臨海副都心には、教育施設といたしまして、有明北地区に東京有明医療大学、有明教育芸術短期大学、かえつ有明中学校・高等学校が既に開校しておりますほか、来年の春には、有明南地区に新たに武蔵野大学が開校する予定となっております。
 また、近隣の豊洲地区等には、芝浦工業大学や海洋大学、首都大学東京晴海キャンパスなども立地しております。
 研究施設といたしましては、青海地区南側を研究開発や国際交流の拠点として開発を進めておりまして、独立行政法人産業技術総合研究所や日本科学未来館、また、先月には東京都立産業技術研究センターが新たに開業するなど、一層のアカデミックな機能の集積が図られてきております。

○木内委員 非常に隔世の感がするわけでありますけれども、港湾局も大変ご努力をいただいて、こうした機能の集積というものが行われてきている。
 地図で見るとよくわかるんですけれども、いわゆる臨海地区、それから、いわゆる臨海地域と申し上げていいのか、近隣、近接の地区も含めて、今あった芝浦工業大学や、かねて越中島にありました海洋大学であるとか、あるいは首都大学東京の晴海キャンパスも立地してきている。恐らくこれだけの地域にこれだけの大学や教育機関、研究施設というものが集積をしているところというのは、都内でもそう何カ所もないんじゃないか--今、三多摩の、例えば八王子なんかは二十か三十ぐらい大学が集積していると聞いていますけれども、恐らくこれに次ぐ地域じゃないかと、こんなふうにも思うわけですよね。
 この臨海副都心を中心とするエリアにアカデミック機能が充実してきているということは、本当に歓迎すべきであるし、私は、もう本当に委員会や本会議で何度も何度もこの誘致を行うべきだといってきた。やっぱりいうことは大事なんだと。それで答弁をいただいて、実現をしてきていただいている。
 翻って、なぜこれだけ集積するのかといえば、臨海副都心が羽田空港や都心にも近く、また、まとまった土地があって新たな施設の進出がしやすいという特性が評価されたことがその一因であると認識をしているんです。
 今後は、各施設が相互に連携をして、集積のメリットというものを発揮することが重要ではないか。今なお、私は、残念ながら、決してその機能というものが十分有機的に働いていないんじゃないかという、残念な感を深くするんです。
 しかし、それでも随分と有機的機能というものが形成されつつある。そのご努力を評価したいと思うわけでありますけれども、申し上げるように、こうしたアカデミックな研究機能等の施設、この集積を有機的に連携させる--一大アカデミックゾーンが名実ともに誕生して、東京の学術研究はもちろんのこと、経済と産業にも影響を与えるべきであると、こう訴えたいのであります。
 さきに行われましたビッグサイトでの産業交流展に参りました。このときに、わずか社員三名か四名の、中小企業とはいえない零細事業者がベンチャー技術大賞をとった。
 この大賞になった開発製品というのは、一たんはめたら絶対緩まない、外れないねじです。営業部長、一回パンフレット見といてください。物すごいから、これ。一回がちっと逆方向にねじを締めて、外せないからどうするんだといったら、外すときはこれを壊すしかないと。物すごいアイデアです。
 これを発表して、日本で特許を取った。そうしたら、ドイツの会社と、それからアメリカのねじ会社、いずれもねじ会社、これから引き合いが来たと。ドイツのねじ会社は年商一兆円以上の会社です。引き合いが来て、取材をしていっただけで取引にならなかった。類似したアイデアを出して、どうも別の角度から特許を取りそうだという変なうわさも実は聞いたわけでありました。
 その人に聞いたんです。開発研究の段階で、例えばいろんなところを使ったわけですけれども、今後どうしていきたいかと聞きましたら、産業技術研究センター、あそこに試験機器が安く使える環境が整っていて、あそこへ持っていって検査したこともありますと。あるいは産技研の方に、今インキュベーションのためのブーススペースがあって、ここへ入れてもらうようになりましたと。大学へも持っていって、専門家の意見を聞いたと。
 私、何がいいたいかというと、金や資本力や、あるいは体制の規模の問題じゃなくて、わずか三、四人の会社が、この臨海に集積している試験機能であるとか、あるいは学術部門の方であるとか、あるいはさまざまな研究スペース、全部利用できる機能がそろってるんですよ、あそこは。
 だから、全国から見たら、アイデアで勝負をするベンチャー企業なんかには、臨海が今、垂涎の的の地域になっているんです。これ、営業部長、ぜひ自信持っていただきたいのであります。この、いわゆる環境というものをもっともっと推進すべきだと、こういうふうに思うんです。
 そこで聞きます。各施設が集積のメリットを生かす連携の取り組みをすべきと思うんですが、どうでしょうか。

○延與営業担当部長 来春に開校いたします武蔵野大学では、既に近隣の産業技術総合研究所のOBを教授に招かれるということで、また、青海地区南側の国際研究交流大学村との交流を推進していきたいというふうにもおっしゃっています。
 また、先月開設した、今お話にもありました都立産業技術研究センターですけれども、こちらと産業技術総合研究所とが協定を締結しまして、先端技術の活用に取り組む中小企業の振興を図るために両者で連携、協力していくほか、江東区などとも協定を締結して、地域産業の活性化を推進していくこととしておられます。
 このほかにも、有明教育芸術短期大学では、江東区と協力して公開講座や協働事業を実施しているほか、かえつ有明中学校・高等学校では、周辺の企業等と連携して学生による職業体験実習を行うなどの交流の輪が広がっております。
 今後、こうした活動がさらに拡大し、集積の効果が発揮されますように、都としても引き続き働きかけてまいります。

○木内委員 答弁が明快であります。ぜひ頑張ってください。
 教育研究施設が相互に交流して、そして刺激し合っていく、お互いにインセンティブを与え合っていく、この関係を構築していくということは、まちの活性化だけではなく、東京の経済の、あるいは我が国全体の活性化につながることであると、そういう自信を持って取り組んでください。
 産学公のこの連携のシステムづくりのため、都としての一体的な取り組み、それからもう一つは、国と協調した取り組みを行っていくべきである。このことも、この際、申し上げておきたいと思います。
 特に今般、移転開業した都立産業技術研究センターは、東京の中小企業の技術力を支えていく重要な役割を担っていると私は確信をしております。
 そこで、この臨海副都心には多くのSOHO施設があります。SOHOで活動する起業家と研究機関がコラボすることで、新たなビジネスが生まれていく企業創生、インキュベーションの一大拠点としてもまちが発展していくことが期待できるのではないかと思います。
 かつて東京都の行政機構の中には、英語でいうところのインキュベーション、ふ化、ベンチャー企業をふ化させるという施設はなかった。川崎のインキュベーション施設を見に行った。京都にも足を運んだ。このインキュベーション施設をつくるべきだということを私は訴えてまいりましたけれども、よくいわれるんですけれども、経済の活性化に向けて、このカーブが右肩上がりになっているときの特徴というのは、開業率が廃業率を上回っているときです。逆にいうと、廃業率が開業率を上回っているときというのは景気の悪いときです。下り坂です。このアイデアと、あるいは経営意欲のあるこの事業というものがどんどん進出していくためには、そのために必要な環境を行政が整えてあげることが大事であります。
 したがって、インキュベーション施設というのは非常に大事であります。私は、今後ともインキュベーション施設というものをさらに整備していくべきだと思う。
 三多摩にもある、あるいは東京の下町にもあるけれども、でき得れば、さらにこの臨海を中心にインキュベーションの牙城というものをつくられるよう提言するのでありますけれども、臨海副都心におけるインキュベーション施設の現状について、タイム二十四やタワーズ台場、the SOHOなどがありますが、実態についてのご報告をいただくとともに、今後への取り組みについて答弁願います。

○延與営業担当部長 今お話がありましたように、臨海副都心には、SOHO施設といたしましては、タイム二十四ビル、タワーズ台場、the SOHOがございます。そのそれぞれにおきまして、起業家同士の交流の場の提供ですとか、経営相談、無料セミナーの開催などの取り組みが行われております。
 各施設の合計部屋数は約五百室ございますが、常に出入りがあるものの、おおむね九割近くが契約状況となっております。
 今後はさらに、今回開設されました都立産業技術研究センターなどとの交流が広がることによりまして新たな展開が生まれてくるように、都としても働きかけてまいりたいと存じます。

○木内委員 新たに開業した産業技術研究センターが、既に臨海副都心に進出している産業技術総合研究所とも連携して中小企業支援を行っていくこと、これは非常に重要なことでありまして、さらにこの取り組みを、近隣のSOHOに入居する起業家を対象とした取り組みにも拡大をして、ハードとソフトの取り組みを充実させていくことが望まれるわけであります。
 学際、業際に精通したコーディネーターや、あるいはナビゲーター、こうした方々も参画をいただいて、有機的な機能の連携というものを図ることで、ここから経済活性化の淵源としていくべきだと、こう思うわけであります。
 こうした医療施設、研究施設、教育施設、SOHOなどが集積していると同時に、連携もしているということになります。これは臨海副都心の大きな強みの一つになってくるわけでありまして、そのためには、国内外から多くの人、物、情報が流入をしてくることも大事であります。
 特に、都区構想で掲げたように、海外企業が進出してくることもそうした効果があります。進出企業の掘り起こし、ビジネス交流を進めるためには、先ほども議題になって議論されておりましたけれども、国際会議や国際見本市などのMICEが重要なかぎを握っていると考えます。
 そこで、近年のMICEの動向、先ほどの答弁と重複しない範囲でお答えください。

○石原臨海開発部長 ご指摘のように、MICE開催は人、物、情報の国際交流を活発化させる効果がありまして、このことは世界各国の各都市が強く認識しているところでございます。都の特区構想におきましても、東京がアジアのヘッドクオーターとなるための方策の一つとして重要な位置を占めております。
 国のMICE推進検討委員会の中間取りまとめによれば、世界のMICE関連ビジネスは成長基調にございまして、特にアジアの地域会議は、今後大きく成長するものと予測しております。
 アジア地域の多くの国々は、MICEを成長分野ととらえて、近年急速に力を入れております。
 二〇〇九年の国際会議開催件数は、国別で見ますと、シンガポールは世界第二位に対して、日本は五位となっております。都市別で見ますと、シンガポールが一位に対しまして、東京は十一位となっております。

○木内委員 台頭してきているアジア諸国の中でも、シンガポール、ここに私は着目をしたいのでありますけれども、近年、国際会議の開催数を大きく伸ばしている。シンガポールが実績を上げているこの要因は、率直に何だと思いますか。

○石原臨海開発部長 シンガポールが近年実績を上げてきておりますのは、MICEと観光が合わさった統合リゾートを戦略の基本として整備を進めたことが大きな要因であるといわれております。
 充実した国際会議場や展示会場を有するとともに、ホテルやテーマパーク、ショッピング施設、エンターテインメント施設など、いわゆるアフターコンベンションといわれるさまざまな機能が集積して整備されております。
 シンガポールのマリーナベイ地区とセントーサ島が代表例でありますが、MICE施設というより、一つのまち、いわばリゾートタウンを形成しております。

○木内委員 率直な分析に触れた答弁をいただきました。これはまさしく冒頭に質問したアカデミックゾーンの議論と同様に、複合的な機能の集積と連携ということが大きな効果をもたらすことの証明であると思うんです。
 そこで、臨海副都心の今後のMICE振興に当たって、私は、シンガポールの取り組みから大いに学んでいくべき、言葉をかえればモデルケースにすべきかなとも考えるわけでありますが、これについての認識を伺います。

○石原臨海開発部長 臨海副都心は、充実したアフターコンベンション機能をあわせ持つMICE拠点を目指すとともに、立地の利便性を生かした国際観光拠点を目指しております。
 ご指摘のございましたシンガポールは、MICE開催地としての認知度が、アジア・太平洋地域におきまして、オーストラリアに続き第二位でございます。また、アジアでも有数の観光地として発展しております。
 このシンガポールをすぐれたモデルケースの一つとして、臨海副都心のMICE拠点化を推進してまいりたいと考えております。

○木内委員 シンガポールがモデルケースの一つということでありました。実は、これは、きょうの私の質疑の幾つかあるポイントの一つなんです。
 臨海副都心も、東京ビッグサイトという国内最大の展示面積八万平米を誇る国際展示施設があって、ホテル、商業施設等も充実してきている。
 余談ですけれども、がん研有明病院に全国からお見舞いの家族が来る。簡便で安心できるホテルが欲しいという要望が強くて、がん研有明にお見舞いに来た家族のためのホテルなんかもできていて、これがまた複合的にいろんな機能を発揮してくれているという事実もあります。
 さっきから申し上げているように、教育、研究、医療の機能もこの地域にはあって、ほかの地域にはない特色も有しているといっても過言ではない。こうした長所をさらに伸ばしていくよう努力し、シンガポールを超えるまちに成長することを期待したいと思います。
 MICEの誘致に当たっては、アフターコンベンション、新たな観光資源も開発していくことが、アジア諸都市との国際競争を勝ち抜くことに必要となってきます。これは、シンガポールの事例にかんがみても明らかであります。
 そこで、アフターコンベンションの充実に向けてさらなる努力をすべきだと思いますが、その取り組みについて伺います。

○石原臨海開発部長 臨海副都心では、台場地区を中心にして商業施設等が充実し、アジアからの外国人観光客が多く訪れるなど、にぎわいを呈しており、まちの成熟が進んでおります。
 また、青海地区北側におきましては、にぎわいと集客力のある交流エリアとして業務・商業機能の重点化を図り、観光、交流を中心としたまちとして新たな観光資源を創出する開発を進めているところでございます。
 このうちQ街区では、新しい商業施設が来年春には開業する予定でございます。
 この施設は、ライブホールや日本初上陸となるアパレルブランド、エリア最大級のフードコート、スポーツ、エンターテインメント施設など、バラエティー豊かなテナントで構成される予定でございまして、臨海副都心の新たなにぎわいの拠点となることを期待しております。

○木内委員 今後、さらなるにぎわい創出のために具体的な取り組みを行うべきだと思うのであります。
 これまでの経過について報告をいただくとともに、今回の総合特区、これを大きな契機として、地域とも連携したにぎわい創出に取り組むべきと考えるわけですが、どうでしょうか。

○石原臨海開発部長 さらなるにぎわい創出のための取り組みでございますけれども、進出事業者によるイベントのほかに、地域のエリアマネジメントを担う臨海ホールディングスグループでは、各種のスポーツ大会などのイベントや民間と共同してのイベントを開催しております。
 また、港湾局でも、本年五月に臨海ホールディングスグループと共同して、お台場にランニングコースを設定いたしました。民間ホテルもこれに連携してランナー受け入れ施設を開設したところ、ランニング愛好者を中心に、さらに多くの人々が臨海副都心を訪れるようになっております。
 さらに、本年十二月には東京モーターショーが二十四年ぶりに東京で開催されることとなり、臨海副都心がその会場となっております。
 開催に当たりましては、進出事業者やまちづくり協議会も連携して、花火の打ち上げや周辺商業施設の割引クーポン券の発行、入場券と「ゆりかもめ」の一日乗車券のセット販売など、地域が一体となって来場者へのサービス向上を図り、国内外から多くの人々が臨海副都心を訪れるように取り組んでおります。
 今後とも、総合特区をはずみとして、地域と連携したにぎわい創出に取り組んでまいります。

○木内委員 きょうのこれまでの質疑で、臨海副都心はアカデミック機能やMICE機能が集積して、お互いに連携し融合するとともに、国内外から多くの人、物、情報が流入して、新しい研究や事業が創造されていく、その拠点として、なお一層の成長を遂げることが可能であると、また、これに期待をしていきたい、その思いを強くいたしました。
 最後に、局長の、臨海副都心の開発にかける思い、抱負というものをお聞かせいただきたいと思います。
 五十三分から始まって、質問通告が、私は五十分間で、最後の局長の答弁でぴたあっと、四十三分、五十分で終わるから、三分間とうとうとやってください。

○中井港湾局長 臨海副都心は、都市インフラの整備もほぼ完了し、土地処分も約七割進むなど、開発の総仕上げの時期に入ってございます。
 そうした中で、委員ご指摘のように、臨海副都心は業務・商業機能だけでなく、医療機関、教育機関、研究機関など多様で、しかも質の高い機能が集積してきております。
 その一方で、臨海副都心は、羽田空港や成田空港からは至近の距離にあり、また、東京港の中に位置することから、世界に開かれた日本の玄関口としての機能を担える立地上の優位性を有してございます。
 木内委員からご指摘いただいたシンガポールでございますが、私も昨年の外貿ミッションで訪問させていただきましたが、施設のハード面、そして、システムなどのソフト面、いずれも国際ビジネス機能としては非常に目をみはるすばらしいものが、あの都市にはございます。
 そして、それらの立地状況や環境というのは、臨海副都心にも相通ずる似た状況があると感じているところであります。臨海副都心は、まさに国際ビジネス拠点となり得る高いポテンシャルを有していると、そのように考えているところでございます。
 今後は、これまでの臨海副都心の多様で質の高い集積を生かしつつ、国際ビジネス拠点としてのこうしたポテンシャルを最大限に生かす取り組みを戦略的に進めていく必要があると考えております。
 現在、国に申請中の総合特区に選定されることにまずは全力を尽くすとともに、都独自の取り組みにも力を注ぎ、臨海副都心を、MICE機能、アフターコンベンション機能、そして、委員ご指摘のアカデミック機能などが複合的に集積したエリアとして、東京や日本の将来に明るい道筋をつけられる、そんな存在になれるよう、今後とも積極果敢に取り組みを進めてまいります。

○木内委員 以上で私の質疑を終わりますが、局長が最後に、まさに自分の言葉で抱負を語っていただいた。勇将のもとに弱卒なしであります。どうか港湾局一体となって頑張ってください。
 以上。

○清水委員 まず、京浜港の総合計画についてお伺いいたします。
 総合計画の中では、目標となる貨物量を定めているわけですが、今後二十年間で目標貨物量が二倍近くになる、するというわけですけれども、この貨物量について、この中ではベース貨物量ということと戦略貨物量といっているわけですけれども、その内訳、それから、その根拠についてお伺いいたします。

○石山港湾整備部長 京浜港の外内貿コンテナの目標貨物量は、将来人口やGDP等を加味して推計いたしましたベース貨物量と、インセンティブ等の集荷策により獲得する戦略貨物量とを合算したものでございます。

○清水委員 それでは、平成二十年から平成四十二年に、東京港は四百万TEUから、六百四十万から七百五十万TEUに目標を定めておりますけれども、前半の十年間というのはどの程度を見込んでいるんですか。

○石山港湾整備部長 京浜港の総合的な計画は、平成四十年代前半のおおむね二十年後を目標として策定した計画でございまして、途中の貨物量を計画に位置づけてはおりません。

○清水委員 先ほどお伺いしましたそのベース貨物量と戦略貨物量の内容について、一番目でご説明がありましたけれども、今の中でも、十年間の程度を見込んでいないというご答弁でした。
 今のような、社会経済状況の変動が大変厳しい中で、私がここでお聞きしたいのは、この二十年間という長期の計画についてです。この二十年間の長い計画にしたのはなぜなのかと。ほかの計画などを見ましても、長くても十年の計画ではないかというふうに思うわけですけれども、その理由についてお伺いいたします。

○笹川港湾経営改革担当部長 京浜港の総合的な計画は、三港が今後策定いたします港湾計画の基本となるものであるため、計画期間がおおむね十年である港湾計画よりも長い期間を設定し、港湾計画を改定する際の指針とする必要がございます。
 また、その内容は、ハード、ソフトの両面にわたりまして、対象貨物もコンテナ、完成自動車、バルク貨物などを網羅したものでございます。
 これらを踏まえ、二十年の長期計画とすることが適切であると判断をいたしました。

○清水委員 内容についてはそういう面があるとしても、目標については、やはりこのような長期の目標ではなくて、その時点での現状を把握しながら、その時点でまた必要ならば修正をするというような時期の目標にするべきであるということを指摘しておきたいと思います。
 それでは、これを目標達成するというために、ソフト、ハード、どのような対策をするのか、そして、そのためにどれくらいの費用を見積もっているのか、お伺いいたします。

○笹川港湾経営改革担当部長 目標といたします貨物量を確保するため、貨物集荷策等の実施、ターミナルコストの低減など、ソフト面からの取り組みにあわせまして、中央防波堤外側コンテナターミナルの整備及び大井、青海コンテナふ頭の再編整備など、ハード面からの取り組みを実施いたしてまいります。
 国際競争力を強化し、総合物流拠点としての機能を果たすため、これらの施設は必要不可欠であると考えております。
 総費用につきましては、現在、また、予算等の今後のやりとり等もございますので、今の時点では数字を出しておりません。

○清水委員 その長期の計画の中で、これが完成するためにはどれだけの費用がかかるのかということも定まらないんですか。お伺いいたします。

○笹川港湾経営改革担当部長 現時点では、いろいろな社会情勢等もございますので、そういった動きを見ながら予算要求等をしていくことになりますので、現時点では見積もり等が全部立っているわけではございません。

○清水委員 一体、これらを遂行していくためにどれだけの費用が必要なのかと。都としてはどれだけ必要で、国としてはどれだけのものが必要なのかということを見積もることって重要じゃないですか。それでもって、やはり私たちは、この間、この計画は大きなお金がかかるということを指摘しているわけです。
 それでは、既存のふ頭でどれだけのコンテナを取り扱いできるのですか。一万TEU船の入港の可能性や必要性というのはあるのかどうか、つまり、大型船対応のための整備が必要なのかどうかということについてお伺いいたします。

○石山港湾整備部長 既存の主力コンテナふ頭である大井コンテナふ頭及び青海コンテナふ頭は、水深が十五メートルで六千五百TEUのコンテナ船を対象としております。
 一方、世界の大手船会社は、物流の効率化を目指し、船舶の大型化を進めており、既に発注済みの新造コンテナ船の約半数が一万TEU以上になっていることや、二〇一四年にはパナマ運河の拡張が完成予定であることなどから、今後、基幹航路では一万TEU以上の大型船の就航が増加していくことが確実でありまして、大型船に対応した施設が必要でございます。

○清水委員 そういわれますけれども、釜山港の港湾関係のある企業の社長さんは、釜山港が発展したのは、日本と中国の間に位置しており、地理的な条件が最適だったことが最も大きな理由である、物流の基本は水の流れと同じで、高いところから低いところに流れるということ、釜山から百二十キロにある光陽港は、九八年から国策で二十のコンテナバースがつくられた、だが、現状でも四分の一しか使われていない、やはり人為的に港をつくっても、それはコストアップになるだけだというふうに話しています。
 また、日本の港湾関係の企業のある社長さんは、週刊誌で、韓国は国内の規模が小さいことから、国家の生き残りを物流に託すことにした、韓国を経由しなかった物流の呼び込みにつながり、東アジアにおける貨物のハブとして釜山の機能が著しく高まった、日本も貨物を集めることには強い関心を持ち、多額の費用をかけて港湾の整備を進めてはきたが、貨物を集めてどうするのかというビジョンが明確ではなかった、その結果、国際コンテナ戦略港湾や日本海側拠点港など、相反するような政策が掲げられることになり、足を引っ張っている状況だなどと語っています。
 また、私自身も元東京都の港湾関係者の方々のお話を何人からも聞きました。専門家や企業関係者の中には東京港の役割を考えると、殊さら国際競争やアジア諸港との競争を強調するのではなく、また、必ずしも大水深のバース整備が必要ではないのではないかというふうに趣旨を主張する方もいらっしゃいますけれども、どういうふうに考えますか。お伺いいたします。

○石山港湾整備部長 東京港におきましては、アジア貨物の増加や国内貨物のユニット化等に対応した水深のバースも整備しておりまして、必ずしも大水深バースの整備のみを進めているわけではありません。
 しかしながら、一方で、アジア諸港の躍進が著しい中、世界の潮流である船舶の大型化への対応をせず、このままの状況を放置すれば、東京港の国際基幹航路が今後さらに減少し、海外の主要港での積みかえが一層増大することになります。
 これにより、輸送日数の増加や輸送コストの上昇などを招き、ひいては首都圏の経済活動の停滞、国内企業の海外流出、物価の上昇など、首都圏四千万人の生活にさまざまな悪影響を及ぼすことになります。
 このため、東京港では、こうした現状や将来の見通しを踏まえ、今後、パナマ運河を通過する最大級の船舶に合わせ、水深十六メートルから十六・五メートルの岸壁の整備を進めることとしております。
 都としては、今後とも国際基幹航路を維持拡大していくため、貨物集荷策を積極的に進めるとともに、港湾機能の充実強化を図り、国際競争力の強化に向けた取り組みを展開してまいります。

○清水委員 それではお伺いいたしますけれども、一方で、港湾の防災対策はどうなっているんですか。耐震強化岸壁の整備状況についてお伺いいたします。

○石山港湾整備部長 都では、災害時における緊急救援物資の輸送などを確保するため、耐震強化岸壁の整備に取り組んできており、既に十三バースの整備が完了しております。
 また、現在、六バースの整備に取り組んでいるところでございまして、今後も東日本大震災の状況を踏まえ、一層の早期整備に向けて、財源確保を国に積極的に働きかけてまいります。

○清水委員 全部のバースは三十一バースあるということですが、終わったのは十三バースと、取り組んでいるのは六バースという実情ですよね。
 港湾局発行の東京港の防災事業二〇一〇年版によると、防潮堤の耐震対策は六三%が完了し、内部護岸の耐震対策は七七%完了とのことですけれども、これらの施設で必要な耐震対策とはどのような対策か、また、残り三七%から二三%はどうなっているのか。
 これらが--私がきょういいたいことは、優先すべき課題があるのではないかということなんですけれども、これらの課題というのはどうなっているんですか。

○石山港湾整備部長 都では、平成二十七年度を目標年次とする東京港海岸保全施設緊急整備計画に基づきまして、防潮堤及び内部護岸等の整備を推進しております。
 外郭防潮堤の耐震対策につきましては、計画の全延長を来年度中に完了させる予定でございます。
 また、今回の震災を教訓として、海岸保全施設の一層の整備促進を図るため、さらなる財源確保を国に強く働きかけているところでございます。

○清水委員 国の予算も出されていますけれども、決まっていませんけど、方向が出されていますけれども、今、国として最優先すべきは、被災地のだれもがこれは願っているわけですけれども、港湾の復興だと思います。これは、被災地三県で十五港ほど早急に復興しなければならない港があるといわれています。
 私は、国ではこうした対策に最も予算を振り向けるべきだし、東京都では、今お話があったように二十七年度目標だと。じゃあ、これからつくる防災対策指針でどうなるのかと。そこはまだこれからですし、さまざまな防災対策が必要になってくるのではないかと。
 今計画されている--私は巨大、大型港湾施設だというふうに思いますが、この建設というのをやはり抜本的に見直す必要があるのではないか。そして、じゃあ、どうするかと。これはもう、今まで私はいってまいりましたけれども、東京港は引き続き、北米航路などを定期的に就航するメーンポートとしての機能を維持しつつも、アジア域内の貨物流動に対応する政策に重点を置くべきであると主張をしておきたいと思います。で、この質問は終わります。
 次に、東京都が臨海副都心の臨時駐車場を外郭団体の東京テレポートセンターに委託している問題についてお伺いいたします。
 株式会社東京テレポートセンター、東京臨海副都心建設株式会社、竹芝地域開発株式会社は、バブル経済崩壊以降にビル事業における低迷が続きまして、当初の利益を得られず、債務超過に陥り、さまざまな対策がとられました。
 そうした中で、経営支援策の一環として、駐車場の管理をテレポートセンターが受け持つこととなったわけですけれども、駐車場の過去三年間の収入、支出、収益はどうなっているのか、お伺いいたします。
 また、ビル関連の三年間の収入、支出、収益をお伺いいたします。
 テレポートセンター全体の決算はどうなっているのか、お伺いいたします。

○大朏監理団体改革担当部長 株式会社東京テレポートセンターの事業の大宗は、ビル事業でございます。同社の過去三年間の決算状況でございますが、平成二十年度から二十二年度でございますけれども、営業収益は二百三十一億円、二百二十一億円、二百八億円、営業費用は百三十九億円、百三十四億円、百二十九億円、経常利益は六十七億円、六十五億円、五十九億円と推移してございます。
 なお、駐車場の収支につきましては、同社は会計処理上、ビル事業の一環として計上しており、また、同社は事業別の収支を公表しておりません。そのため、駐車場のみ、あるいはビル事業のみの収支をお示しすることはできません。

○清水委員 それはおかしいじゃないですか。だって、これらの状況を見て貸付料とかそういうことも考えられるし、じゃあ、これから支援をしていくのかどうかということも考えられると。その根拠になる数字じゃないんですか。なぜ出せないんですか。

○大朏監理団体改革担当部長 駐車場の収支につきましては、株式会社東京テレポートセンターは、自社ビル内の駐車場と東京都から用地を借り受けた駐車場がございますけれども、これを区分して経理をしていない、また、駐車場の収入支出について、ビル管理と一体として維持管理費を支出するなど、ビル事業に含めて経理をしてございます。
 このため、駐車場の収支をお示しすることができません。

○清水委員 先ほどいただきました資料の中に、九ページにあります、三年間の駐車場の貸付面積及び貸付料が出ていますが、この面積というのは何ですか。お示しください。

○延與営業担当部長 資料にお示ししております、臨時駐車場に用いる土地の貸付面積につきましては、にぎわい創出事業等に係る協定に基づきまして、東京テレポートセンターが駐車場として利用した面積を、毎月、駐車場ごと、一日ごとの使用実績面積として報告させておりまして、その使用実績の合計面積となっております。

○清水委員 じゃ、面積では出てるっていうことでしょう。面積では出てるっていうことじゃないですか。先ほどいってたのと違うじゃないですか。
 じゃ、テレポートセンターからどのように駐車場の使用実態を把握し、報告を受けているんですか。この貸付面積というようなことは。

○延與営業担当部長 臨時駐車場に用いる土地につきましては、あくまで土地の貸し付けでございますので、今ご答弁申し上げたように、駐車場として利用した面積を駐車場ごとに報告を受けております。

○清水委員 駐車場っていうのは、駐車料金を取っているわけでしょう。一台千五百円から、それ、取ってるわけなんですけど、そうしたら、どこで取るかわからないけれども、出入り口の機械とかあったり、守衛さんがいたりとか、そういう駐車場の台数で、なぜ駐車場の--まあ、面積でも出すということはわかりましたよ。これが、後でいきますけど、適当かどうか別としても。じゃ、何で駐車場の台数っていうのを把握していないんですか。

○延與営業担当部長 駐車場の運営につきましては、臨海副都心におけるにぎわい創出事業等に係る協定に基づきまして、土地の貸し付けとして行っております。そのために、私どもの方では、特に台数の把握の必要を考えておりませんで、その駐車場として利用した土地を、どの程度利用したかということをご報告いただき、それに沿って土地の使用料を納付していただいているというものでございます。

○清水委員 あいまいなこの使用実態じゃないですか。理由になっていないと思います。仮に、例えば一日一千台が駐車をするとなると、一台千五百円として、駐車台数でいえば百五十万になります。一台十平米だとすると、三十万で済む計算になるわけです。どう考えてもおかしいのではないですか。
 資料によりますと、貸付料は面積で割って、そして一日、一平米、約三十円になりますよね、この臨時駐車場は。これを割ると、一日約三十円になるんです。一方、先ほど、条例で決められているという、お台場海浜公園とか、シンボルプロムナード公園常設駐車場の賃料は、ここでは年間で出ているんですけれども、これを一日、一平米で出すと、約四十二円になるんですよ。駐車料金は変わらないのに、臨時駐車場の貸付料は、この三年間では約三十円ということになるんですけれども、なぜこのような違いが出るのかお伺いいたします。

○延與営業担当部長 臨時駐車場に用いる土地の貸付料ですけれども、こちらは区画ごとに、毎年、時価評価を実施した土地単価と、ちょっと長い名前になりますが、東京都臨海地域開発事業及び港湾事業に係る行政財産使用料及び財産の無償貸付け等に関する規則に定めております料率を用いた額としており、適正でございます。
 また、今お話のありました公園の駐車場につきましては、あれは公園の駐車場施設、例えば立体駐車場ですとか管理用の施設などを含めた施設の貸し付けでございますので、その貸付料の算定根拠はそもそも違うものでございますので、両者を単純に比較することはできないかと思います。

○清水委員 それではお伺いいたしますけど、駐車場の使用実態というのは、この数字というのは、テレポート側が自主申告で--自主申告というから、自分のところでどれだけ使ったよということで納めているんですか。

○延與営業担当部長 土地の使用面積につきましては、先ほどご答弁申し上げましたように、毎月報告をさせておりまして、それを、東京都が提出された書面を精査するとともに、必要に応じて実際の使用状況を確認しております。

○清水委員 今のようなお話では、仮に申告を、仮にね、過少申告されたとしてもチェックできるんですか。

○延與営業担当部長 使用面積につきましては、毎月、東京港管理事務所に書類の提出を受けまして、その書類上でも精査いたしますし、必要に応じて実際の使用状況を確認しております。
 これまで、使用面積については適切に報告されていると考えております。

○清水委員 書類と必要に応じてっていったって、わからないじゃないですか。説明にはならないですよ、そんなこと。
 でね、債務超過の三セクが、東京都から受けている公的資金投入の支援終了後の二〇〇八年度以降も支援を受けることを前提に作成し、銀行などに提出していた長期収支計画、これは、二〇〇五年の予算特別委員会でも、我が党が別のビル事業の内容で明らかにしたものです。これがありますが、この中では、当社--三社の、テレポートの--当社の内部努力のみでは経営が厳しい状況の中、平成十年より、金融機関、東京都からの抜本支援を得、経営の立て直しをスタートさせた、前半、収支計画を上回るスピードで進められたが、景気の現況は中期停滞が否めないから、引き続き支援をしてほしいという文書が出され--私たちの指摘は、駐車場をテレポートに、いまだに格安で貸し付けているのではないですか。
 これを見ると、駐車場事業収入は、一〇年に五億五千二百万、駐車場事業原価一億三千四百万、その差、四億一千八百万の収益です。一一年には十三億七百万の収入、原価一億七千九百万円などで、十一億余の収益など、一一年度からは毎年、十一億余円の収益があるというふうになっています。その記載とともに、駐車場の毎月の利用台数がずっとここに記載されているんですよ。四月は何台、五月は何台、六月は何台とずっと記載されているんですよ。これ、なぜ面積で報告しないのか、改めてお伺いいたします。

○延與営業担当部長 臨時駐車場に用いる土地は、あくまでも土地の貸し付けでございますので、土地の貸し付けに当たっては、使った土地の貸し付けをしておりますので、そこに何台とまっているかということを、都としては報告は特に受けておりません。

○清水委員 それでは都民は納得しません。今のご答弁では。
 そもそも経営安定化策というのは、この十年間の二百七十億の地代や出資などの支援策とともに、臨時駐車場の貸し付けと、監査で指摘された夢の島マリーナ無償貸付支援策が組み込まれたものだといわれ、当時の関係者からは、裏救済策だとか、隠れ救済策だというような声が上がっていたものです。都民からは、臨海の三セク支援にいつまでも税金を投入することはやめてほしいという声が上がっています。
 港湾局に求めます。いつまでも都民の税金を投入することなく、これを処分することを求めて終わります。

○大朏監理団体改革担当部長 株式会社東京テレポートセンターが運営しております駐車場は、臨海副都心への来訪者の利便性を確保するとともに、地域の交通渋滞や違法駐車を解消するために設置しているものでございまして、極めて公共性の高いものでございます。
 特に臨時駐車場の用地は、臨海副都心の魅力を向上させるため、にぎわい創出のためのイベント用地としても活用しておりまして、イベント用地としての利用と、駐車場としての利用をその都度変更するなど、主催者との調整が必要になります。
 また、貸付期間中でも、都の要請に応じまして土地を明け渡す必要があるなど、管理者には柔軟な運営が求められます。
 これらの条件を満たし、かつ公共性や柔軟性を確保しつつ、効率的な運営体制を確保できる相手方として、臨海副都心の施設の維持管理やイベント開催に係る調整等にノウハウを持ちます、株式会社東京テレポートセンターがふさわしいと考えておりまして、同社とは、にぎわい創出事業等に係る協定を締結した上で、用地を貸し付けているものでございます。
 なお、駐車場の実施に当たりましては、用地の借り上げ費用のほか、警備員・本社管理要員等の人件費、駐車場内の清掃・草刈り・ごみ収集等の維持管理費、舗装・照明等の設備投資、税の支払い、東京都に用地を返還する際の原状回復費用などが必要でございまして、売り上げのすべてが利益になるものではございませんし、また、駐車場の利用実績が少ないと赤字になる可能性もございます。
 したがいまして、経営支援策であるとか、裏救済策であるというご指摘は当たらないと考えております。

○清水委員 そういうことをいうのであれば、一番最初に質問したように、ビル事業が幾らなのか、駐車場が幾らなのか、収益は幾らなのかということを、きちんと公開して示してください。
 終わります。

○伊藤(ま)委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十四分休憩

   午後三時三十分開議

○伊藤(ま)委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○神野委員 私からは、大井ふ頭の交通渋滞対策について幾つか質問をいたします。
 都は、躍進するアジア諸港に対抗すべく、京浜港の国際競争力の強化に向けて、横浜港や川崎港と連携をして、港湾コストの低減や貨物集荷策など多様な取り組みを展開しておりますのは、これまでの質疑からも明らかです。
 しかし、足元に目を転じますと、大井ふ頭や青海ふ頭など、東京港の主要コンテナターミナルの周辺では、コンテナターミナルに向かうトラックが滞留しまして、交通渋滞が発生をしております。トラック運送事業者の方の話によると、日によって所要時間は異なるけれども、ひどい日には、コンテナターミナルに到着するまで数時間かかることもあるということでございます。
 東京港の国際競争力の強化に向けた取り組みは、我が国の国民生活の安定化、産業の活性化のために非常に大切なことだとは思いますが、一方、このコンテナターミナル周辺での交通混雑の問題も、周辺住民にとっての生活に大変大きな影響を及ぼす問題との視点から、幾つか質問をさせていただきます。
 都はこれまで、このコンテナターミナル周辺における交通混雑に対して、一体どのような取り組みを行っていらっしゃったのか、現状に対する認識、あわせてお伺いをしたいと思います。

○小宮港湾経営部長 コンテナターミナル周辺の交通混雑の緩和は、国際物流の効率化や周辺環境の悪化防止などに寄与するものであり、東京港にとって大変重要な課題と認識しております。
 このため都では、これまでコンテナターミナル周辺にコンテナ車専用レーンを確保するとともに、空コンテナ置き場や車両待機場を整備するなど、さまざまな取り組みを実施してまいりました。
 しかし、東京港のコンテナ貨物取扱量が右肩上がりに増加する中で、大井ふ頭などの東京港の主要コンテナターミナルの処理能力が限界に近づいております。その結果、曜日、季節などにより状況は異なりますが、コンテナターミナル周辺で交通混雑が発生している状況でございます。

○神野委員 私も、この大井ふ頭、よく車で通るんですが、コンテナ車の専用レーンの整備ですとか、そういった状況は、いつも目にさせていただいております。
 それで、今のお話で、交通混雑緩和のために空コンテナ置き場などを整備されているという趣旨のご答弁がございました。以前、大井ふ頭の北側の都有地にあった、これは品川区が借り受けて、品川区民用の野球場などがあった場所なんですけれども、これを移転して、空コンテナ置き場などの港湾関連施設を整備するという計画があったというふうに記憶をしているんですが、その計画の進捗状況と今後の見通しについて、お伺いをしたいと思います。

○小宮港湾経営部長 大井ふ頭北側の都有地約四・八ヘクタールのうち、おおむね五〇%に当たります約二・三ヘクタールにつきましては、既にシャーシープールなどのコンテナ関連施設として利用しております。
 残りの都有地につきましては、現在は、国道三五七号の東京港トンネルの建設工事の資材置き場などとして利用しておりますが、将来的には、コンテナ物流の用途に利用する予定でございます。

○神野委員 将来的には、この場所もコンテナ物流の用途に利用する予定であるというご答弁でございました。
 大井ふ頭の混雑、渋滞緩和のためには、そういった形で、さまざまな知恵と、そしてさまざまな用地を利用した上で、さまざまな対策がとられているということがよくわかったわけなんですが、先ほどの答弁の中で、このコンテナ貨物の取扱量が大変増加をしている、そして、ターミナルの処理能力が追いついていないと、そういったお話がございました。それゆえに交通混雑が発生しているとのことであるんですが、そこで、過去十年間、東京港の外貿コンテナの貨物取扱量がどのように推移をしているのか、また、さきの東日本大震災で東京港の貨物取扱量の傾向に変化がなかったかということについて、お伺いをいたしたいと思います。

○小宮港湾経営部長 平成十三年の外貿コンテナ貨物取扱量は約二百六十一万TEUでございました。これに対し、平成二十二年の取扱量は、過去最高の約三百八十二万TEUであり、十年間で約四五%増加しております。
 この間、リーマンショックに伴う世界的な景気後退の影響を受けました平成二十一年を除きまして、東京港の外貿貨物取扱量は一貫して増加しております。
 また、東日本大震災による東京港の貨物取扱動向への影響でございますが、平成二十三年上半期の外貿コンテナ貨物取扱量は、前年比九・七%増の百九十八万TEUでございまして、品目ごとの増減はあったものの、基本的には右肩上がりの傾向に変化はないものと考えております。

○神野委員 よく、日本の経済が、先行きが不安ですとか、さまざまなことがいわれるんでありますが、今のお話を伺っておりますと、いろいろな状況の変化はありますけれども、日本のというか東京の経済というものは、非常に底がたく堅実に伸びている、そういったことがわかったわけであります。
 ただ、今後も、この経済のグローバル化というものの進展が見込まれる中で、東京港の取扱貨物量、これ、今後もどんどん引き続き増加をし続けるものと考えております。コンテナターミナル周辺の交通混雑の原因がコンテナターミナルの処理能力の不足にあるとするならば、車両待機場、それから先ほどお話があった専用レーンですとか、そういったいわゆる対症療法だけではなくて、もっと踏み込んだ抜本的な対応というものをとっていかなければ、この交通渋滞、交通混雑を解消することができない、そんなふうに考えるわけでありますけれども、所見をお伺いしたいと思います。

○小宮港湾経営部長 コンテナターミナル周辺の交通混雑を解消するためには、東京港全体の処理能力を向上させることが不可欠と認識しております。
 このため、現在、中央防波堤外側埋立地に新たなコンテナターミナルを整備するとともに、これを契機としまして、大井ふ頭や青海ふ頭など既存のコンテナターミナルについても、再編、機能強化を行うことを計画しております。
 さらに、コンテナ関連施設を整備するため、大井ふ頭周辺で新たな埋立地の造成にも着手したところでございます。
 こうした取り組みを着実に実施し、東京港の機能強化を図ることで、ターミナル周辺の交通混雑の緩和に取り組んでまいります。

○神野委員 この処理能力の増加に向けて、さまざまなご計画、そして実際に取り組んでいらっしゃるということがよくわかりました。
 ただ、現在、この大井ふ頭の周辺、特に交差点、それから民間なり公の敷地から道路に出る、そういった交差点などにおいて、コンテナトレーラーの並びによって、一般車両の視界が制限をされる。コンテナトレーラーっていうのは非常に長いですから、通常の乗用車の渋滞とは一味違うわけでありまして、視界が制限をされて、その通行が危険な状態に置かれている箇所が幾つかあります。
 私も、地元でございまして、よく車で通るんですけれども、いつ重大な事故が起きてもおかしくないといったような状況をよく目にするわけです。東京港の交通混雑の緩和に向けて、抜本的な対策を講じていらっしゃるということは理解をしているのでありますけれども、それまでの間、まだ時間がかかるわけでありますから、一般車両の危険な状態を放置しておくことができないものと私は考えているんですが、そのことに対してのご所見を伺いたいと思います。

○小宮港湾経営部長 東京港の処理能力の大幅な向上に向けた取り組みを着実に実施していくことが、お話のような事態の防止につながるものと認識しておりますが、都としては、コンテナターミナルに向かうトラックが一般通行車両に悪影響を及ぼすことのないよう、ターミナルオペレーターなどを通じまして周知徹底を図るとともに、コンテナターミナルへの動線の改良などのソフト的な対策についても講じてまいります。

○神野委員 具体的にいうと、例えば八潮北公園の上からおりてくる一般道との交差点、あとは国道三五七号まで渋滞が伸びておりまして、横断歩道との交差点ですね、そういった具体的な箇所が非常に危険だと思われるところが幾つもあります。ターミナルのオペレーターさんを通じて周知徹底していくと。なかなか、直接規制をするというのは都としても難しいのかもしれませんけれども、ただ、重大な事故が起きてからでは、私、おそいと思うんですね。ですから、いろいろな知恵を使っていただいて、何とかトレーラーの運転手さんたちに周知徹底をして、ルールづくりというものを図っていってほしいと思います。
 東京港は、東京という世界的な大消費地に近く、さらに、東京を中心に放射状に延びる道路網を活用して、日本各地に円滑に貨物を輸送できる環境にあるなど、港湾としては絶好の位置に立地をしているわけです。我が国港湾全体の地盤沈下が叫ばれるのでありますが、引き続き発展が見込まれる数少ない港湾であると考えます。
 今後も、コンテナターミナル周辺の渋滞が続くようであれば、それこそ他港に利用者が奪われるということも十分にあり得るんじゃないかと思うわけでありまして、今後とも、この積極的な取り組みを強く要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。

○きたしろ委員 私も、臨海部に位置する港区から出させてもらっておりますけれども、初めてこの経・港に委員として参加させていただきましたので、ちょっと違う面があるかもわかりませんので、ひとつお許しをいただきたいと最初にいっておきたいと思います。そしてまた、冒頭、木内委員とダブるところがあるかもわかりませんので、お許しをいただきたいと思います。
 まず、京浜港の国際競争力の強化についてお伺いをいたしたいと思います。
 先般報告されました、京浜港の総合的な計画では、京浜港の現状と国際競争力の強化に向けた取り組みを示しておられます。
 我が国港湾の相対的な地位の低下に歯どめをかけ、京浜港のフィーダーポート化を阻止するためには、基幹航路の維持拡大は必須であると考えております。このためには、貨物集荷力の強化、ターミナルコストの低減などの取り組みを、一刻も早く進めていかなければなりません。とりわけコストについては、京浜港の利用者である荷主や船会社の判断に直接的な影響を及ぼすものであり、早急な対策が求められております。
 京浜港の総合的な計画での分析にもありましたが、釜山港と京浜港のコスト差としては、平成二十年におけるコンテナ取扱料金について、京浜港を一〇〇とした場合、釜山港は七九となっており、約二割もの差がついております。
 釜山港に比べ、京浜港のコストが高くなってしまう要因について、どのように分析しているのか、まずお伺いをいたします。

○笹川港湾経営改革担当部長 釜山港は、低水準の港湾利用コストを武器にハブポート化を進めておりますが、その背景といたしまして、施設整備や税制面などにおける国の強力なバックアップのもと、大胆なターミナルリース料の低減が可能となっております。
 東京港においては、東京港埠頭株式会社の経営努力により、各種インセンティブを実施するなど、これまでもターミナルリース料の低減に努めてきたところでございますが、釜山港を上回るコスト低減には至っていないのが現状でございます。
 また、一般的に、取り扱う貨物が多くなれば規模の利益が働きまして、貨物一個当たりのコストが下がることとなります。
 コンテナ貨物取扱量において、釜山港は京浜港の約二倍を取り扱っていることから、この差も港湾利用コストの開きの主な要因となっていると思っております。

○きたしろ委員 釜山港に関しては、韓国が国策として物事をやっているのかなというふうにも理解ができました。
 海上運賃が低迷する中、各船会社はコスト縮減に極めて敏感になっております。寄港地の絞り込みなど徹底した合理化を進めていると思います。
 港湾利用コストの低減策の具体化は待ったなしの状況にあると思われますが、釜山港とのコスト差に係るこのような現状を踏まえ、どのようなコスト低減策に取り組んでいくのか、京浜港の取り組みをお伺いいたします。

○笹川港湾経営改革担当部長 コスト低減策の大きな柱といたしましては、ターミナルリース料の低減と取扱貨物量の増加による規模の利益の発揮であると考えております。
 ターミナルリース料の低減に当たりましては、港湾管理者と埠頭会社との連携のもと、引き続き創意工夫を重ねてまいります。
 また、ガントリークレーン等の整備費や固定資産税などから成る貸付料原価を圧縮する必要がございますが、これらにつきましては、ガントリークレーンへの補助制度創設や港湾運営主体である埠頭会社に対する法人税等の軽減を初めとする税制上の支援措置などを国に要望しております。
 取扱貨物量の増加による規模の利益の発揮につきましては、内航フィーダーネットワークの充実強化、鉄道、トラックフィーダーの円滑化など、京浜港の総合的な計画に掲げました貨物集荷策を着実に進めていくことでスケールメリットを発揮いたしまして、さらなるコスト低減化を図ってまいります。

○きたしろ委員 京浜港は、やはりフィーダーポート化ということになってはいけないと思うんです。まず基幹航路の維持拡大ということが、やはり一番大切なことだと私は思っております。
 コスト低減策についての取り組みはわかりました。しかし、これらの内容は、港湾のみならず、我が国の国際競争力にもかかわってくる重要な問題であります。国は、国際コンテナ戦略港湾について、選択と集中を掲げておりますが、この集中の部分を現実のものとするため、しかるべき支援をお願いしたいと考えます。
 都も、港湾管理者として創意工夫を凝らし、着実にコスト低減を進めていっていただきたいと考えますが、単純にコスト競争を続けていくだけでいいのかという問題もあります。コスト低減だけでは限界があり、京浜港の強みを生かしていくことも重要であると考えますが、その所見をお伺いいたします。

○笹川港湾経営改革担当部長 京浜港の強みといたしましては、貨物の傷みが少ないなど荷役の信頼性、輸送の定時性とともに、東日本諸港を発着する貨物については輸送日数が短いことが挙げられます。
 例えば、苫小牧港と北米との間で輸出入する場合の輸送日数を比較した場合、京浜港フィーダーの方が釜山港フィーダーよりも四日から六日早くなっております。
 京浜港といたしましては、ターミナルコストの低減、民間事業者による経営努力に加え、これらの強みを生かしまして、釜山港に対する優位性を確立してまいります。
 加えて、京浜港における利用者サービスの向上に向け、三港間の横持ち輸送の円滑化、低コスト化を図るなど、京浜港の一体化によるメリットを発揮するための取り組みを推進いたしまして、京浜港の優位性をさらに確実なものとしてまいります。

○きたしろ委員 釜山港との優位性を確立して、それを確実なものとしていくのは容易ではないと思います。しかし、京浜港が国際競争力を強化し、我が国の産業、経済を支えていくためには必要不可欠だと思っております。ぜひともしっかり頑張って取り組んでいただきたいということを要望しておきます。
 次に、東京港の運河の活用についてお伺いをいたします。
 私の地元港区は、都市の貴重な水辺空間である多くの運河を有しています。東京港の魅力を高めていくためには、都民の身近な水辺である運河の利活用を進め、水の都東京の再生を進めていくことが重要であると考えております。
 都ではこれまで、地域のにぎわいの創出や魅力の向上を目指し、運河ルネサンスに取り組んできておられます。地域の人たちが主体となって、にぎわいのあるまちづくりを積極的に進める運河ルネサンスの取り組みは、大いに意義のあることだと考えております。
 芝浦地区から始まった運河ルネサンスも、今では五地区に拡大されたと聞いております。
 そこでまず、都がこれまで取り組んできた運河ルネサンスの成果についてお伺いをいたします。

○石山港湾整備部長 都では、平成十七年に運河ルネサンスガイドラインを作成し、運河の水域利用と周辺のまちづくりを一体的に進めることで、地域のにぎわいや魅力づくりに取り組んでまいりました。
 現在、五つの運河ルネサンス推進地区において、さまざまな活動が実施されております。
 芝浦地区では、民間事業者が桟橋を設置し、お台場と豊洲とを結ぶ航路が開設され、観光客や地域の人たちの交通手段としても利用されております。秋には運河まつりが開催され、地域の人たちが水辺に親しむ取り組みも継続的に実施されております。
 また、品川浦・天王洲地区では、水辺に親しみながら食事を楽しむ場として水上レストランが整備されるとともに、春には運河まつりが開催され、運河クルーズが人気を博しております。
 朝潮地区では、都、地元区等が連携し、護岸をテラス型とするなど、まちづくりと一体となった親水環境の整備を行っております。
 また、勝島・浜川・鮫洲地区では、NPOが中心となり、カヌー体験イベントなど水辺を利用した活動が行われておりますし、豊洲地区では、夏に水彩まつりが開催され、ことしは地元区が設置した桟橋で船カフェが開催されました。
 このように、それぞれの地区で、それぞれの特色を生かしながら、地域に根差した活動が実施されており、運河の利活用が進められつつある状況でございます。

○きたしろ委員 各地域での運河ルネサンスの取り組みによって、水辺のにぎわいづくりが進み、地域に根差した活動が定着されつつあることはよくわかりました。
 私は、政治活動の一つのテーマとして、水の都、環境に優しいガーデンシティー東京港区をつくりたいというのが私の大きな政治テーマの一つです。都議会自民党の中でも、水の都再生議員連盟というのがございます。そうした中で、さらなる水の都東京の再生のために、さらなるステップアップが必要ではないのかなと私は考えております。
 そこで、運河ルネサンスの取り組みを発展させるような工夫ができないのか、都の見解を伺います。

○石山港湾整備部長 運河ルネサンスの取り組みを発展させていくためには、広く東京港全体において、運河の魅力を最大限に高め、にぎわいあふれる水辺空間の形成を目指していくことが重要であると考えております。
 このため、平成二十一年度に設置いたしました、五地区の協議会と地元区による、運河ルネサンス地区連絡会を定期的に開催し、水上から推進地区をめぐる共同の見学会を開催するなど、地区間の交流を促進するとともに、地区間の連携イベントについても検討を行ってまいります。
 また、運河の利活用に向けた地元区や地域の方々からの提案を聞きながら、新たな推進地区の指定に向けた取り組みも行い、水の都東京の再生を目指していきたいと考えております。

○きたしろ委員 今後の運河ルネサンスのさらなる展開によって、ますます多くの人々が運河に近づき、水に親しんでいくことを期待しております。
 そこで、運河の魅力を高めていくためには、私はもう一つ、水質改善という大事な取り組みがあるのではないかと考えております。地元からは、夏場になると運河からにおいが発生するなど、水質改善に向けての要望が寄せられています。運河の水質を改善し、人々が安心して快適に水辺に親しめるようにしていくことが重要であると考えます。
 そこで、これまでの取り組みも踏まえ、今後どのように水質改善に取り組んでいくのか、お伺いをいたします。

○石山港湾整備部長 都はこれまで、悪臭の原因となる汚泥を除去するためのしゅんせつを計画的に実施しております。また、生物の持つ浄化能力に着目し、港区などでカニ護岸やミニいそ場の整備を行ってまいりました。
 さらに、ヘドロを分解する微生物を用いた改善剤を運河に散布することや、ジェット噴流により酸素を供給する実験を行うなど、新たな浄化技術を検討しているところでございます。
 水質改善に向けた実験による成果や課題を踏まえ、水質の浄化対策について、今後さらに検討を進め、関係機関や都民とも協力、連携しながら、水質改善に積極的に取り組んでまいります。

○きたしろ委員 都は、計画的な汚泥しゅんせつや生物の働きによる水質浄化に取り組むとともに、新たな技術も検討しているとのことですけれども、こうした取り組みを継続し、発展をさせ、そしてそれを結果として出してくるということが必要だと考えます。
 さらに、今回の東日本大震災を踏まえると、災害時における運河の活用という視点も重要性が増してきました。芝浦地区では、運河ルネサンスの取り組みとして、地元商店会が設置した桟橋を災害時に利用できるよう、区と商店会が協定を結んでおります。
 災害時における運河の活用も含め、水の都東京の再生に向けた運河ルネサンスの取り組みを一層推進していくことを要望して、質問を終わります。

○小磯委員 私からは、東京港における防災対策についてお伺いをいたします。
 東京港の防災事業という冊子の中に、いわゆる震災対策の中で、このような文章が出ております。東京の宿命的課題である震災対策に集中的に取り組み、首都東京の国際的な評価や信用力を大幅に向上させ、危機に強い都市を将来に継承していく必要があると。まさに、この震災対策にしっかりと取り組むことが、また世界的な信頼を高めていくんだということでございますので、私からは、先般の東日本大震災を契機に、首都圏においても防災に関する問題点が明らかになってまいりましたので、そのような観点から幾つかお伺いをしたいと思います。
 早稲田大学の濱田政則先生、我が国の土木学会の会長を務めた方でございまして、現在は、都の液状化対策のアドバイザーでもいらっしゃいます。この先生のお話を、我々都議会公明党もお伺いをいたしまして、勉強会を催しました。濱田先生によりますと、東京湾の石油コンビナートが被害を受けた場合に、東京自体には石油タンクはないけれども、隣接県からのタンクの流出や火災が発生し、東京港にも甚大な被害のおそれがあるといわれております。
 実際、これまでの我が国の大きな地震におけるこうした災害では、例えば二〇〇三年の十勝沖地震では、周期六から八秒の長周期地震動が苫小牧で発生し、石油タンクのスロッシング振動によって火災が発生をしております。また、今回の東日本大震災による京葉コンビナート地区の火災というのがございました。また、仙台港の石油精製工場、千葉市コスモ石油の火災等々があったわけでございます。
 そして、東京湾には、現在、十二のLNG火力発電所があり、首都圏の電力供給の拠点となっているわけでございまして、そういった意味では、この東京そのものにはないけれども、しかし、隣接県からのタンクの流出についてもしっかりと対応しなきゃいけないじゃないかと、こういうことでございます。
 初めに、油の流出等があった場合、どこが対応するのか、確認のためにお伺いをしたいと思います。

○小宮港湾経営部長 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律によりまして、油流出が発生した場合の対応は、海上保安庁の責務と位置づけられております。
 平成九年七月の「ダイヤモンドグレース号」の東京湾中ノ瀬での座礁事故の際には、東京湾を所管する第三管区海上保安部から東京港排出油等防除協議会の各会員に出動要請がありまして、港湾局からは集油船、監視艇が出動し、油の防除作業に当たりました。
 石油コンビナートなど陸上からの流出油についても同様の対応をとることとなりますが、第三管区海上保安部から要請がございましたら、東京港排出油等防除協議会の会員であります都総務局と連携いたしまして、港湾局も対応することとなります。

○小磯委員 実は、この東京湾内の石油タンクの安全性の確保については、総務局から、九都県市で情報交換を行い、そして石油タンクの地震対策を国に要望していくということで、これは、実はことしの六月の第二回定例会で、都議会公明党の代表質問で質問し、そういう答弁をいただいているわけでございます。もちろん、これはこれでしっかりとやっていただくということでございますが、しかし、東京港は、京浜港として国際コンテナ戦略港湾に選定をされております。防災面でもこの三港が連携していくものであり、防災面での東京港の対応についての認識をお伺いします。

○小宮港湾経営部長 委員ご指摘のように、東京港は、川崎港、横浜港と連携して、今後、防災面につきましても、本年九月策定の、京浜港の総合的な計画において、緊急物資等の輸送機能の確保や耐震強化岸壁の整備、津波、高潮対策や京浜港港湾BCPの検討などを行うこととしております。
 こうした取り組みの中で、石油タンクを有する川崎港、横浜港と連携いたしまして、京浜港の防災機能を一層高めてまいります。

○小磯委員 今お話のありました耐震強化岸壁の整備、そしてまた、京浜港港湾BCPの検討ですね、こうしたことを本当にしっかりとやっていただいて、今、東京にはコンビナート、石油タンクはないかもしれないが、しかし、その隣の千葉であり、そしてまた川崎、横浜のそうしたことについての整備もしっかりとやっていくということでよろしくお願いをしたいと思います。
 今回の東日本大震災では、東京港の埋立地において液状化による被害が多く見受けられました。震災後に放映された報道によりますと、臨海部のコンビナート地帯で一部地盤に亀裂が走り、現地調査を実施した専門家は、液状化に伴う側方流動が発生するおそれについて調査する必要があるといっておりました。
 そこで、臨海部における側方流動とはどのようなもので、構造物にどのような影響を及ぼすのかお伺いします。

○石山港湾整備部長 液状化に伴う側方流動とは、護岸背後の液状化した地盤が海側に移動する現象で、護岸等の構造物に対し外力が発生し、構造物の破壊や変形を引き起こすものでございます。
 東日本大震災では、仙台港の大型ガントリークレーンを備えたふ頭において、側方流動により岸壁の一部が損壊したと報告されております。

○小磯委員 東京港には、コンビナート等の大規模石油精製施設はありませんが、物流を支える岸壁などの港湾施設があるわけであります。例えば、首都直下型地震等が発生し、側方流動が起こり、岸壁などの機能の維持ができなくなれば、都民の生活や経済活動に大きな影響を与えることになるわけであります。
 そこで、東京港では、災害時にも機能する耐震強化岸壁の整備を進めておりますが、側方流動にも耐え得ることができるのか、また、その整備状況についてお伺いいたします。

○石山港湾整備部長 耐震強化岸壁は、側方流動も踏まえ、国の基準に基づき整備しておりまして、首都直下型地震等の震災時においても十分機能を発揮いたします。
 具体的には、岸壁下の液状化層をセメントで固める等の方法で液状化対策を行っております。
 都では、災害時における緊急救援物資や国際海上コンテナの輸送などを確保するため、耐震強化岸壁を辰巳や芝浦などで整備しており、既に十三バースが完了しております。
 さらに現在、有明、品川など六バースの整備を進めるとともに、中央防波堤外側地区の新たなバースの早期事業化を国に強く求めてまいります。

○小磯委員 ただいま、この耐震強化岸壁というのが、側方流動もしっかりと踏まえて、震災時においても十分に機能を発揮するということをお伺いしましたので、この整備をしっかりと今後進めていっていただきたいというふうに思っております。
 耐震強化岸壁などの整備を着実に進め、いついかなるときでも首都圏四千万人の生活や産業活動を支える、災害に強い港づくりに尽力されるよう要望して、私の質問を終わります。

○興津委員 それでは、質問させていただきます。
 先日の三月十一日の大震災以来、東京都民の防災に対する意識というのは非常に高まっているなというふうに感じているところであります。
 我々都議会民主党といたしましても、先日、東京の防災対策への提言というものを、十七項目にわたりまして提出させていただいたところであります。その第一義は、東京の防災対策を総点検するという形になりまして、この防災に対する意識をきちっと持つということをやっていかなければいけないという、そのような認識に立ちまして質問させていただきたいと思います。
 三月十一日の発災以来、東京湾の高潮、津波対策が東京都民にとって非常に大きな関心事となっています。まさしく都民の生命と財産を守る上で、東京湾の高潮、津波対策の推進は非常に重要であるというふうに考えております。東京都はどのように取り組んでいらっしゃるのか、お伺いいたします。

○石山港湾整備部長 都は、阪神・淡路大震災を踏まえた、首都直下地震などからの被災リスクを低減し、都民生活の安全・安心を確保するため、平成十八年度に東京港海岸保全施設緊急整備計画を策定し、二十七年度を目標年次として、外郭防潮堤や水門の耐震対策等を重点的に実施してきております。
 この計画に基づき、外郭防潮堤は計画の全延長を、また、水門につきましては、計画の十五カ所のうち十一カ所を来年度中に完了させる予定でございます。残る四カ所の水門は港南地区でありますが、南前堀水門につきましては、水門の廃止も視野に入れ、地元区と連携して取り組みの促進を図り、そのほかの水門につきましても、整備の方向性について地元区と具体的な協議を進めてまいります。

○興津委員 お伺いいたしました。まさしく、ここでのポイントは、やっぱり地元区と協調しながら、東京都民の皆さんの生命の安全・安心というものをぜひとも培っていただきたいというふうに思います。
 さて、今回の東日本大震災の想定外といわれる災害状況を考えますと、東京湾においても、これまでの対策に加え、喫緊の防災機能の強化が必要ではないかというふうに考えております。何をいつまでにどのように対策を進めていらっしゃるのか、見解をお伺いいたします。

○石山港湾整備部長 東北地方の被災状況や、東京港でも、これまでの想定を超える津波が観測されたこと等を踏まえ、さらなる対策の推進が必要であると考えております。
 都では、今回の震災を踏まえ、専門家等から成る技術検証委員会を設置し、今後の防災のあり方等について検討しているところでございます。
 今後、ここでの提言を受け、関係局で連携を図り、年度内を目途に基本方針をまとめていきたいと考えております。
 また、国の中央防災会議での検討結果なども踏まえ、必要な見直しを行い、防災機能の強化に取り組んでまいります。

○興津委員 そうですね。東京都の方の認識といたしましても、さらなる対策の推進が必要であるというところからご認識をいただいていると思います。と同時に、計画等々も、基本方針等もまとめていただきまして、まさしく東京都民に対して、本当に生活の安全・安心、これを構築していただきたいということを、心からお願いさせていただきます。
 では次に、東京湾の国際競争力強化について質問させていただきます。
 先ほど来、各委員の方からも質問がありましたけれども、東京湾の国際競争力を高めていくということが喫緊の重要な内容であるというところがありました。今、記録的な円高等を踏まえますと、世界経済の動向に慎重な対応を進めなければいけない状況にあります。経済の国際化の波に対抗するためにも、東京湾での輸出入量の増加を目指すべきであり、その際、港湾の使いやすさという観点から、利用推進に向けて、局といたしましても、国際競争力の強化を図ることは非常に重要ではないかというふうに考えております。
 京浜三港の貨物取扱量を見ると、東京湾は輸入の割合が高く、横浜港は輸出の割合が高いというふうに伺っています。そのため、京浜三港間等においてはコンテナの横持ち輸送が発生し、船会社の大きな負担となっているというふうにも伺っているところであります。
 そこで質問ですが、京浜三港間のコンテナの横持ち輸送を円滑に行うための取り組みについて、お伺いさせていただきます。

○笹川港湾経営改革担当部長 横持ち輸送の円滑化を図ることは、東京港を含む京浜三港間の物流の円滑化を図る上で重要と考えております。
 これまで、東京湾内を運航するコンテナバージに対する入港料等の減免を行うなど、コンテナ横持ちコストの削減に取り組んできたところでございます。
 今後も、横持ち輸送の支援策の検討を進めるとともに、三港間を連結する国道三五七号の整備促進を引き続き国に要望するなど、ハード、ソフト両面から取り組んでまいります。

○興津委員 先ほども神野委員の方からもありましたけれども、この横持ちっていうのは、コンテナを陸上輸送するということで考えていただければいいのかなと思うんですが、その際の渋滞も緩和していかなきゃいけないというようなご指摘もあったところであります。この横持ち輸送の円滑化に向けて取り組んでいらっしゃることはわかりました。
 先日、ある事業者からお伺いしたところによりますと、貨物の輸入に当たってコンテナを利用した荷主さんが、そのコンテナを隣接の別の荷主さんに回送し、またそこで荷物を積んで輸出に再利用するというような計画というか、行動を起こすことによって、コスト削減とともに、CO2の削減につながるというようなケースがあるというふうに伺っています。
 確かに、これは民間企業のコスト削減に向けた取り組みでもありますが、横持ちの際のトラック輸送の車両数の低減化により、交通量の減少、そしてCO2の削減等の副次的な効果も発生いたしております。そして、横持ち陸上輸送コストの削減が図られれば、そこを使えば安くなるというのが裏側にありますので、国際競争力も上がり、東京湾のさらなる利用推進にも、当然のことながらつながるというふうに確信をしております。
 今後は、こうした事業者間の取り組みに、公的機関としてでき得る限りのバックアップ等を行うことをご検討いただきたいということをお願いさせていただきまして、質問を終わります。

○三宅委員 私からは、まず、伊豆・小笠原諸島の津波対策についてお伺いいたします。
 さきの東日本大震災により、津波の恐ろしさが改めてクローズアップされたところでありますが、東海地震や東南海、南海地震が発生した場合には、伊豆・小笠原諸島にも津波が到来することが想定されています。
 港湾局では、海岸保全施設や津波軽減効果をあわせ持つ港湾、漁港の整備などを進めていますが、これらの施設で津波を完全に防ぐことは難しいとも聞いており、人的被害を防ぐためには、適切な避難行動が求められています。
 そこで憂慮されるのは、地震発生後、非常に短い時間で津波が到達する地区であります。現在の被害想定で、地震発生後、津波が到達するまでの時間はどうなっているのかお伺いいたします。

○平田離島港湾部長 都では、平成十六年度に、東海地震や東南海、南海地震、大正関東地震の再来などを想定して、島しょ部の津波浸水予測を公表しております。
 その結果によりますと、東海地震や東南海、南海地震、あるいはこれらが連動したケースなどが最も危険となる新島以南の島々では、地震発生から津波到達までに十五分から九十分の余裕がありますが、関東地震の再来ケースにおいて最も危険となる大島では、十分以内に津波が到達すると想定されております。
 特に、大島の北側に位置する岡田港や泉津漁港では、津波の第一波が到達するまでの時間は四、五分程度となっております。

○三宅委員 大島の岡田港に四、五分で津波が到達するということですが、岡田港は年間二十六万人が利用する主要港であります。岸壁などの海沿いにいる人、特に観光客などは土地カンもなく、逃げることが難しいのではないかと考えられ、港湾のエリア内でも何らかの対策が必要だと思います。
 そこで、岡田港において避難施設を整備すべきと考えますが、見解をお伺いします。

○平田離島港湾部長 岡田港に最も危険な津波は、相模トラフに震源を持つ、関東地震の再来型の地震に伴うものでございまして、震源域が近いことから、地震発生後四分程度で津波が到達するとされております。
 このため、委員ご指摘のとおり、岸壁にいる観光客や船客は、地震発生時に迅速に避難することは難しいと思われることから、避難施設を港湾の区域内に整備する必要があると考えております。
 その際、岡田港では船客待合所も老朽化が進んでいることから、通常時は船客待合所として利用することも考えられ、この避難施設の整備に向けて検討を進めてまいります。

○三宅委員 船客待合所に避難施設としての機能を持たせるということは有意義なことであり、早急に実施に移すことを強く望みます。
 次に、観光施策について伺います。
 伊豆・小笠原諸島の島々にとって、観光は産業の大きな柱であります。世界自然遺産に登録された小笠原諸島を初め、各島とも美しい海や豊かな緑に恵まれ、観光地としてのポテンシャルは高いと考えますが、観光客数は長期間減少傾向にあります。島全体の活力を高めるためにも、観光振興はぜひとも実現しなければならない課題でありますが、港湾施設の整備も島の観光振興に役立っており、特に船客待合所の果たす役割が重要であります。
 定期船が利用する港に整備される船客待合所は、島への第一歩を踏み出す観光客にとって、島の生きた観光情報などを入手できる観光の拠点でありますし、整備の仕方、利用の仕方を工夫することで、にぎわいの中心として観光振興にも大きく貢献することができると考えます。
 先ほどの防災の視点のみならず、観光振興の視点からも、船客待合所に付加価値をつけた上で、さらなる整備を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。

○平田離島港湾部長 委員ご指摘のとおり、島の玄関口である港のにぎわいづくりを図る上で、船客待合所を有効に利用していくことは重要でございます。
 これまでも、島のみなとまちづくり事業として、神津島港や新島港などにおいて、まちの施設などを合築し、多様な利用形態が可能な船客待合所の整備を進めてまいりました。
 今後も、今年度に建築工事に着手する三宅島阿古漁港や、現在設計を進めております八丈島神湊港などにおいて、地元町村の要望にこたえ、それぞれの島の特性を生かし、島の活性化に寄与する付加価値の高い船客待合所整備を推進してまいります。

○三宅委員 船客待合所は、島の住民にとっても最も親しみを感じる公共施設であるので、積極的に整備を進めていただきたいと思います。
 観光振興につながる港湾整備について、もう一点指摘したいことは、クルーズ船への対応であります。
 アジア地区においてクルーズを楽しむ乗客数は増加しており、アジア各国の経済力の伸長を背景に、今後もクルーズ人口は大きく増加していくと予想されています。国内外のクルーズ船を東京の島々に呼び込むことで、観光地としての島のイメージも高まり、観光客の増加につながると考えますが、これまでの伊豆・小笠原諸島へのクルーズ実績と、島の港湾施設の対応状況はどうなっているのか、お伺いいたします。

○平田離島港湾部長 平成二十年から二十二年までの三年間で、二万トン以上の大型クルーズ船が伊豆・小笠原諸島へ寄港した実績は、国内のクルーズ船社にヒアリングした結果では二十六回となっております。
 具体的には、約五万トンの「飛鳥Ⅱ」が神津島に毎年一回寄港しているほか、二万トン級の「ぱしふぃっくびいなす」、「ふじ丸」、「にっぽん丸」が、小笠原を初め、八丈島、神津島、新島などに寄港しております。
 島の港湾施設は、基本的に五千トンあるいは一万トンクラスの貨客船を対象としておりまして、大型クルーズ船が岸壁に着岸することは難しい状況にあります。このため、大型クルーズ客船の乗客が島に上陸する場合には、ブイに係留、または沖合に停泊した本船から小さな連絡船や漁船に乗りかえた上で、島の港に上陸することになります。例えば、小笠原の二見港では、三万トンに対応する大型クルーズ船用のブイを設置しております。

○三宅委員 大型クルーズ船を離島の岸壁に着岸できるようにすることは、かなり長期的な課題でありますが、今の答弁で、小笠原のブイは三万トン対応とのことでした。
 しかし、現在の世界のクルーズ船事情を見ると、さきに申し上げたように、アジアクルーズが台頭するとともに船の大型化も進んでいます。
 そのような中で、小笠原は、世界自然遺産に登録されたことで、今後、アジアクルーズの中で大きな地位を占めることが予想されます。このため、小笠原では、これまで以上に大型クルーズ船に対応していくための施設整備が必要であると思いますが、見解を伺います。

○平田離島港湾部長 委員お話しのとおり、二見港のブイは三万トンの船を対象として整備されており、現在のクルーズ船事情を考慮すると、必ずしも十分とはいえません。
 また、運航事業者からは、顧客の小笠原寄港への要望も強いため、施設が対応できるのであれば小笠原寄港も考えていきたいとの話も伺っております。
 このため、係船ブイの対象船舶の大型化について検討に着手したところでございまして、クルーズ船大型化の動向を十分考慮しながら、適切に対応してまいります。

○三宅委員 次に、定期航路の維持についてお伺いします。
 本土や他の島との往来を円滑に行えるようにすることは、不断に取り組むべき課題であります。現在は、大半の島で海路、空路の複数のアクセス手段が整備されていますが、就航率や輸送能力の面から、貨客船による定期航路が特に重要な位置を占めています。
 これまでの整備事業により、定期貨客線の就航率は確実に向上していますが、全国の離島と比べれば、いまだに低い水準にあるのが現実です。特に、利島、御蔵島、青ヶ島など、島に港湾が一つしかない小離島では、一週間以上も連続して欠航する場合もあるなど、厳しい環境に置かれております。
 そのような小離島にあって、九月下旬の台風十五号では利島の二本目の突堤が被災し、また昔のように突堤が一本しかない状況に逆戻りしてしまいました。私も台風通過直後、直ちに現場を確認に訪れましたが、とても定期船が着岸できるような状況ではなく、改めて伊豆諸島の自然の厳しさを思い知るとともに、今後、利島の定期船の就航率が大幅に下がるのではないかと危惧しております。
 そこで、一刻も早く利島の災害復旧を行うとともに、島民生活への影響を最小限にするための工夫が必要と考えますが、どのように対応しようとしているのかお伺いいたします。

○平田離島港湾部長 被災した岸壁の復旧に関しましては、既に緊急委託調査を発注いたしまして、効果的な復旧方法を検討中でございます。本年じゅうには国の災害査定を受けまして、速やかに復旧を行うこととしております。
 また、復旧に当たりましては、被災した岸壁の状況に応じて、被災の軽い部分の暫定利用や仮設工作物の使用などにより、島民の生活への影響を最小限に抑えながら、一日も早い全面復旧を目指してまいります。

○三宅委員 ぜひ一日も早い全面復旧をお願いいたしたいと思います。
 島の定期航路に関連するもう一つの課題として、船舶の老朽化問題があります。現在就航中の船舶はいずれも老朽化が目立ち、間もなく更新が必要となります。特に、東京-神津島航路に就航している東海汽船の「かめりあ丸」、八丈島-青ヶ島航路に就航している伊豆諸島開発の「還住丸」の老朽化が激しく、間もなく代替船建造に着手すると聞いております。
 しかし、航路の収支は厳しい状況にあり、損失を公的に補てんしている状態であり、このような中で、数億円から数十億円に上る新船の建造費を船会社だけで負担することは困難であると思われます。老朽化した船舶の代替船を建造する際に、都として支援すべきと考えますが、見解を伺います。

○平田離島港湾部長 伊豆諸島への安定したアクセスを確保する上で、老朽化した船舶の更新が円滑に進むよう支援していくことは、大変重要な課題でございます。
 航路事業者が船舶を建造する際には、国による建造費の一〇%補助や、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構による低利、長期の資金供給などの公的支援が利用可能でございます。また、航路収支が赤字の場合には、建造後の減価償却費と借入金の金利は、毎年度、都及び国が行う航路補助により補てんされるため、結果的に、建造費のかなりの部分に対して公的支援が行われることになります。
 今後の代替船の建造に当たっては、航路事業者の厳しい経営状況等を十分に考慮し、都としての支援について、過去の事例等も参考として適切に対応してまいります。

○三宅委員 ここまで港湾の整備に関連する事項について質問してきましたが、本土から離れ、海に囲まれた島で生活する住民にとって、本土や他の島へのアクセス拠点である港湾は、文字どおりの命綱であります。通常時には観光の拠点となり、災害時には避難の拠点でもあり、島の住民にとって、港は特別に重要な存在であります。
 関係者のご努力により、大きな改善が果たされたことは評価しつつも、島に暮らす者としてはまだまだという思いがあります。非常に極端な荒天の場合を除き、必要であれば必ず島から本土に渡れる、また、島に帰れるという状態を実現すること、そして多様な顔を持つ島の中心として一層充実した港を持つことが、全島民の悲願でもあります。
 島しょ港湾の整備に向けた局長の決意を最後にお伺いいたしまして、質問を終わります。

○中井港湾局長 島しょの港湾整備は、島しょ住民の方々の日々の暮らしに直結しているという点において、格別に重みのある課題であると考えております。
 私自身、各島を訪れ、港湾の整備を望む住民の方々の真摯な思いに触れ、切実な声をちょうだいしているところであります。また、天候の急変による欠航にも何度も遭遇しております。島しょの就航率を高めるための一層の港湾整備が必要であるということにつきましては、まさに身をもって痛感しているところであります。
 また、伊豆・小笠原諸島は、災害への備えも万全に行わなければならない状況にあります。さきの東日本大震災で改めてその恐ろしさが明らかとなった津波への対応、噴火災害時における避難港の確保、台風や冬季の厳しい気象海象条件にも負けない堅牢な港湾、漁港の整備などに一層力を入れていく必要があると考えております。
 さらに、島の魅力を増し、かつ、これを広くアピールするためには、委員からもご指摘いただきましたとおり、船客待合所の整備や大型のクルーズ船対応等、観光振興の視点を取り入れた港湾整備事業を行っていくことも重要な課題でございます。
 これらの施策を着実に推進するため、国に対する事業費獲得の取り組みを一層強めるとともに、関連機関との緊密な連携を保ち、創意工夫を凝らしながら、さらなる島しょの港湾整備に全力で取り組んでまいります。

○伊藤(ま)委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○伊藤(ま)委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で港湾局関係を終わります。

○伊藤(ま)委員長 これより中央卸売市場関係に入ります。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○塩見管理部長 去る十月二十五日の当委員会で要求のありました資料につきまして、お手元に配布してございます経済・港湾委員会要求資料に基づきましてご説明申し上げます。
 一ページをお開き願います。1、中央卸売市場における市場別業者数の推移(十年間)についてでございます。
 過去十年間の水産物部、青果部、食肉部及び花き部の市場別の業者数の推移を記載してございます。一ページに卸売業者、二ページに仲卸業者、三ページに売買参加者について記載してございます。
 四ページをお開き願います。2、中央卸売市場における取引方法別割合及び取扱金額の推移についてでございます。
 四ページに取引方法別割合の推移、五ページに取扱金額の推移について記載してございます。
 以上、要求のございました資料につきましての説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○伊藤(ま)委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○岡田委員 私からは、五点質問させていただきます。
 都は、既に築地市場の豊洲移転に向けて、関係事業者への個別事業相談に応じています。当然のことながら、事業者においては、移転先における店舗の配置や使用料の増額、移転にかかる費用などに対して大きな不安があり、家賃と住むところがはっきりしないで家の契約に応じさせられるようなものだとか、仲卸業者にとっては、この移転問題は商売の死活問題であり、資金に余裕のあるかなしかで、移転ができる、できない、また、仕事を続けられるか、仕事を畳むかを決断しなければならないといったような不安の声を聞いております。
 また、東京都は数年前は全員が移転できるといっていたけれども、実際のところはどうなのか、全店舗が希望した場合、現実的にその全店舗が移転して商売を続けていけるスペースは予定されているのかなどといった声も届いております。
 都が設けた相談窓口の重要性は、環状二号線の建設工事が進むにつれて、日に日に増していることと思われます。
 そこでまず、この間、特に仲卸業者から寄せられた主な要望についてお伺いいたします。

○森本移転支援担当部長 今回の個別面談は、豊洲新市場への移転事業を進めるに当たりまして、個々の事業者と東京都の間できめ細やかなコミュニケーションを確保し、市場業者の理解を得るために行っているものでございます。
 面談におきましては、施設計画や移転支援の基本的考え方など、資料などを示しながら丁寧にご説明するとともに、今後の詳細な施設計画や支援策の参考とするため、さまざまなご要望やご意見を聞いております。
 水産物部仲卸業者の面談については、まだ途中ではございますが、主な意見、要望といたしましては、店舗など施設に関する意見、移転前から移転後までの経営不安、移転費用調達のための支援などでありまして、そのほかにも、事業の後継者がいないことや、長引く不況により、移転したくてもできないのではないかといった切実な声も聞いております。

○岡田委員 さまざまな意見、要望が出されているということがわかりました。
 このような意見や要望に対して、個別に対応するものや、また、全体に反映していかなくてはならないものなどがあると思われますけれども、個人情報を除いて公開していただきたいと思っております。これは要望いたしておきます。
 次に、個別ヒアリングの具体的な進捗状況と、都が目指す相談件数について伺います。
 都が進めている事業者への相談窓口業務ですけれども、都は必ずしも窓口で受け身の相談に乗っているわけではなく、一軒一軒それぞれの事業者を訪問して相談に乗っていると伺っております。それだけに、さまざまな立場の事業者の意向や意向の変化をリアルタイムにつかみ、感じておられることと思います。
 そこで、事業者との個別ヒアリングの具体的な進捗状況と、今後、都は、仲卸業者の約七百二十社のうち、いつまでに幾つぐらいの事業者から話を聞く予定にしているのかを伺います。

○森本移転支援担当部長 個別面談は、築地市場の水産、青果の、おのおの卸、仲卸業者、関連事業者のおおむね千の事業者につきまして、五月から実施しております。
 その中でも、水産物部仲卸業者との面談の実施に当たりましては、仲卸業者全体の組合である東京魚市場卸協同組合の--東卸と申しておりますけれども--理解を得るだけではなく、取扱品目ごとに構成されております大物業会、特種物業会といった、いわゆる場内での最寄り業会といわれる団体にも事前に説明するなど、協力を求めて行っております。現在、約七百二十の水産物部仲卸業者のうち、既に約三百二十の事業者が面談を申し込んでおりまして、現在のところ、約二百の事業者について面談が終了しております。
 この個別面談につきましては十一月末までを予定しておりまして、再度のお知らせを配ることや、各店舗の店先で面談の趣旨を説明し、理解をしていただくなど、可能な限り多くの事業者に参加していただけるよう努め、お聞きした不安や要望をもとに、今年度中に具体的支援策を策定、公表するつもりでございます。
 さらに、十二月以降につきましても、事業者との良好できめ細やかなコミュニケーションを確保するために、継続して面談や相談等を実施してまいります。

○岡田委員 まだまだたくさんの面談が残っているような感じでありますけれども、ぜひとも丁寧な面談をお願いいたしたいと思います。
 次に、市場業者への生活や商売の補償の問題は、大変大きな課題だと思っておりますけれども、その点をどう考え、具体的にどのように解決していくつもりなのかをお伺いいたします。

○森本移転支援担当部長 都と市場業者の関係について改めて確認いたしますと、都は市場業者、例えば仲卸業者に対しまして、東京都中央卸売市場条例第二十四条により仲卸の業務を許可し、それに伴い、第八十八条により公有財産である市場施設の使用について指定をしております。市場業者は、こうした法令上の許可に基づきまして、現在、営業を行っております。
 今回の豊洲新市場の移転につきましては、豊洲に新たな市場を整備し、築地市場で、現在、業務の許可を受けているすべての事業者が移転できる施設といたしますことから、継続して営業していただくことが基本と考えております。
 しかしながら、昨今の厳しい社会状況を考慮いたしまして、移転に伴う各事業者の資金需要や、業界団体が組合員のために行う基盤強化事業に対する支援など、都は、さまざまな状況にある事業者に対しまして、効果的で、かつ、きめ細かい支援を段階的に実施していく考えでございます。

○岡田委員 この厳しい社会状況の中で、やはり移転に伴う各事業者の資金需要ということが一番問題であると思います。ぜひ丁寧に進めていっていただきたいと要望いたします。
 さて、築地地域はもとより、地元中央区は、築地市場への買い出し人や観光客である来場者の旺盛な経済活動により、まちの活力が維持されている面があります。移転が実現すれば、その地域経済に与える影響は大であることが明らかです。
 地元中央区では、築地のこれまでのにぎわいを持続させ、これまでの文化を継承していくためにも、先日、市場移転後のまちづくりについての東京都への要望を出していますけれども、その内容について伺います。
 跡地全体の土地利用計画は、区画ごとの連続性や周辺地域との調和が十分に確保されるように検討し、築地地区の活気とにぎわいが途絶えることのないよう、地元区である中央区との十分な協議を望んでいます。これについての都の見解を伺います。

○森本移転支援担当部長 委員お尋ねの中央区からの要望書でございますが、中央区は、移転整備の結論を厳粛に受け入れ、あわせて、市場と場外市場が一体となって築いてきた活気とにぎわいを引き続き発展させた新しい築地をつくることができるよう、区の総力を挙げるとしております。
 東京都も、築地地区の食文化の拠点としての活気とにぎわいを築地市場閉場後も引き継いでいくことが、まちづくりの検討に当たり重要であるということを区と同様に認識しておりまして、現在、区と部長級による実務的な検討を開始しております。
 この中で、区の要望にあります、にぎわいをいっときも途絶えさせない対策については、区の整備する先行施設や、築地市場閉場から跡地開発整備までの間の取り組みについて、中央卸売市場として、中央区と十分話し合いを持ちたいと考えております。
 また、要望書にあります跡地全体の土地利用計画につきましては、周辺地域との調和を図るなど、地元中央区の意見を十分に聞き、庁内において検討を行ってまいります。

○岡田委員 さらに、中央区は、場外地区の区有地を活用し、先行整備を目指すため、市場内の勝どき門駐車場などの施設の活用などの対策を考えています。そして、さらに特段の配慮をいただきたいと要望しておりますけれども、これについての都の見解をお伺いいたします。

○森本移転支援担当部長 先ほどご答弁申し上げたとおり、東京都も、築地市場移転後のまちづくりに当たりまして、これまでの食文化の拠点としての活気とにぎわいを引き継いでいくことが重要であると認識しております。中央区も、食文化の拠点を整備する計画を今後策定していく予定であると聞いております。
 このことから、築地市場移転後から築地地区のまちづくりが完成するまでの間も極力にぎわいが途絶えないようにするため、お話のあった勝どき門駐車場などの活用につきましても、中央区とともに検討してまいります。

○岡田委員 ぜひ中央区とともに検討していっていただきたいと思っております。
 質問はこれで終わりますけれども、私たちは、強引な移転に反対する立場は変わっておりません。市場業者や地元中央区、また、築地ブランドを愛する都民初め多くの人たちの期待を裏切らないようにする重大な責任が都にはあると思います。ぜひその点をしっかりと踏まえて、これからも進めていっていただきたいと思っております。
 その点を強く要望して、質問を終わります。

○山崎委員 私からは、豊洲新市場進捗状況について、何点かお伺いをさせていただきたいと思います。
 今までの事務事業について、昨年来、私はさまざまな角度から質疑を重ねてまいりました。その中で改めて感じたことは、市場が生鮮食料品を安定して供給することで都民の生活を支えているといった重要な役割を果たしており、このような流通面はもとより、品質の保持、安全管理、価格形成などといった面からも、中央卸売市場は非常に大きな存在であるといったことであります。
 こうした役割を確実に果たしていくためには、老朽化し、狭隘な現在の築地市場では限界があり、早急に築地市場にかわる新市場を豊洲に整備していく必要があると考えます。豊洲新市場の整備が着実に進捗すること、そして、市場関係業者の皆さんが円滑に移転することができるよう、しっかりとした支援をしていくことは、卸売市場の将来を切り開く上で欠かせない、こう断言ができるわけでございます。
 このような観点から質問をしてまいりたいと思います。
 まず、豊洲新市場の整備については、去る八月三十日に土壌汚染対策工事の契約がなされ、まさしく開場に向けた新たなステージへ一歩を踏み出したわけであります。新市場予定地の土壌汚染対策については、これまで専門家により十分に議論、検討を重ねてきており、技術会議において対策内容の提言がなされ、汚染物質処理に関する技術、工法の選定も行われてきております。
 私は、第三回定例会における本委員会で、これまで理事者側から説明されてきた土壌汚染対策が、実際の工事でどのように具体化されているのか、また、工事の実施に当たり、都民や地元の住民の方々に安心して協力いただくため、都が情報提供やきめ細かい説明を行っていくなどを確認させていただきました。
 そこで、工事内容が専門家からの提言に沿ったものであるか技術会議に確認するとのことでありましたが、去る十月の十八日に技術会議が開催されたということであります。具体的にどのような意見が出て、どのような確認をしたのかお伺いします。

○加藤基盤整備担当部長 さきの技術会議におきましては、市場から、汚染物質の処理方法や液状化対策などの工事内容や、汚染土壌を処理し、無害化を確認するための土壌分析結果など、工事中に得られるデータを公表していくことを説明するとともに、汚染物質の処理を終了した時点や工事完了後には技術会議を開催し、実施した内容を確認していただくことを依頼いたしました。
 このような依頼に対しまして了承を得るとともに、特に技術会議の座長からは、データの整理が恣意的にならないようにし、実測データを公表すべきであること、さらには、放射能への対応を講じることとの指示をお受けいたしました。
 市場といたしましては、こうした指示に基づき、データにつきましては適切に公表することとし、また、十月末に新市場予定地全域を対象とした放射線量の測定を行い、その結果を、工事状況をお知らせするホームページで公表いたしました。

○山崎委員 今まさに着手している土対工事を確実に実施すれば、市場用地の安全・安心が確保できると専門家の委員が確認していることや、工事の完了まで技術会議でフォローしていただけることを改めて認識できたわけでございます。
 また、都民等の関心が高い放射能への対応についての指摘もあり、今後もこうした予期せぬ事柄、事象も的確に状況をとらえて対応するとともに、工事の進捗過程においてわかりやすく情報提供を行うことにより、地域住民や市場関係者の一層の理解と協力が得られるように進めていただきたいことを強く要望したいと思います。
 また、私は前回の本委員会において、地元の方々に安心して工事にご協力をいただくための都の取り組みについて質問をし、市場長からは、地元の町会や協議会、自治会などに対して今まで以上に丁寧に説明を行い、そして地元の方の声にも真摯に耳を傾けていくとの答弁もございました。
 そこで、地元への説明をどのように行ったのか、都民への情報提供をどのように行っているのか、今後の予定も含めてお伺いをいたします。

○加藤基盤整備担当部長 技術会議を開催した後、十月二十五日に地元江東区で工事説明会を開催いたしました。作業時間や工事車両の通行ルートなどについて説明を行いました。説明会では、工事内容に関する質問のほか、地元への情報提供を行ってほしいとの意見があり、周辺の町内会や自治会などに対しまして個別に説明を行うなど、引き続き、きめ細かく丁寧な対応をしてまいります。
 また、都民や市場関係者の皆様に、安全で安心できる市場用地を整備することを理解していただき、ご協力をいただけるよう、工事の進捗状況に応じ、工事や汚染物質の処理状況を直接確認していただけるよう現場説明会を開催するとともに、工事進捗状況などについてホームページに掲載するなど、今後とも積極的な情報提供を行ってまいります。

○山崎委員 土対工事を確実に進め、市場用地として安全・安心を確保していくことは、平成二十六年度中の豊洲新市場開場に向けた大前提になるものであります。一層気を引き締めて、確実な工事の実施を行ってもらいたいと思います。
 土壌汚染対策工事の次は、いよいよ新市場施設の建設に着手することになるわけでありまして、私は常々、新市場が豊洲のまちづくりに貢献する魅力あふれる市場となるよう要望をしてきておりますが、市場の施設整備については、現在どのような検討状況なのかお伺いをいたします。

○久保田施設整備担当部長 市場施設につきましては、ことし三月に着手をいたしました基本設計に引き続きまして、市場業界関係者や周辺地権者、江東区等との協議を深め、具体的な施設内容を確定いたしまして、工事の発注を行うための図面等を作成する実施設計の作業を始めたところでございます。
 設計に当たりましては、豊洲地区地区計画や江東区景観計画などを踏まえ、建物から緑地、護岸を経て水域に至る水際空間の統一的な景観形成を初め、街路樹や各街区の緑、屋上緑化等、緑のネットワークの形成、幹線道路の歩道と一体となった空地の整備、長大で単調となりがちな市場施設外壁の分節化等、意匠上の工夫など、まちづくりにも十分配慮した施設計画の具体化を図ってまいります。
 来年度の建設工事着手に向けまして、今後とも市場業界等ともきめ細かく調整を行い、施設計画を取りまとめてまいります。

○山崎委員 豊洲新市場が、高度な品質、衛生管理を備えた基幹的な卸売市場としての機能を十分に果たしていくという観点からは、ユーザーである市場業界の方々と調整をして進めていくことが大切であります。また、この市場を受け入れる地元住民の気持ちになれば、これまでの不安を着実に解消し、同時に期待に変えていくぐらいの意気込みで施設建設を進めていく必要があると考えます。
 設計段階においても、新市場がまちづくりに貢献をする、魅力あふれる市場となるにはどうすればよいのかということを念頭に入れた上で取り組んでもらいたいことを強く要望したいと思います。
 さらに、にぎわいの場の創出も、まちづくりへの貢献という観点から、また、地元の江東区民の強い期待にこたえていく観点からも非常に重要であります。計画している千客万来施設については、国内外の観光客にとって出会いと楽しさにあふれ、同時に地元住民にも親しまれる、活気のある、そして愛される、にぎわいの施設となるよう、着実に整備を進めていただきたいと思います。
 次に、移転支援について何点かお伺いします。
 これまでの答弁からも、豊洲新市場は、土壌汚染対策工事の着工や施設設計の着手など、平成二十六年度中の開場に向けて着々と整備が進んでいることがわかりました。そうした中、築地市場の関係事業者の大多数が豊洲新市場への移転に理解を示しているが、移転事業を円滑に推進するためには、いまだ理解を示していただけない事業者に対して、丁寧に丁寧に耳を傾け、意見をお聞きし、根気よく新市場の施設整備や新市場における事業形態について説明をしていくことが重要であります。
 さらに、東京都は、すべての事業者が移転事業を理解してくれるようにするために、各事業者が、業種、業態に応じて、新市場において不安なく事業継続ができるよう、さまざまな方策を提示することが必要であります。とりわけ新市場での事業継続に関する経営上の不安は大きく、その不安を解消することは急務であると考えます。
 そこで、現在、市場業者との個別面談を実施しているとのことでありますが、市場業者の意見や要望の中でも、とりわけ事業経営上の課題をどのように認識しているのか、お伺いをいたします。

○森本移転支援担当部長 現在実施しております個別面談は、昨年に引き続きまして二回目の実施でございますけれども、開場まであと三年数カ月という時期におきまして、各市場業者の事業の現状や要望をお聞きするとともに、施設に関する進捗状況や支援の概要を丁寧に説明しております。
 豊洲新市場への移転は、築地市場の事業者の方々にとって、経営上非常に大きな環境の変化であるため、個別面談では、商売の基本である店舗など新市場での施設はどうなるのか、顧客である買い出し人の使い勝手はよくなるのか、移転に要する費用の調達が難しいが、どのような支援が用意されるのかなど、事業継続に関する具体的で切実な内容もお聞きしております。
 また、長引く消費の落ち込み、顧客の減少、市場外流通の増加に伴います取扱量の減少などによります現在の厳しい経営状況に関するものも多く、特に東日本大震災の後は、消費の低迷により売り上げが落ち込み、移転どころではないという意見も数多くお聞きしております。
 このように、各事業者は、市場の移転という新たな状況変化を前に、長引く不景気や震災の影響による現在の経営に大きな不安を抱いており、移転を前にした事業の経営強化を図ることが必要であると強く認識しております。

○山崎委員 築地市場の事業者の経営状況は、今回の震災や原発事故の影響もあり、なかなか好転せず、廃業する仲卸業者も少なくないと聞いております。こうした状況において、将来の移転のことについて考えるよりも、まずは、あすの商売がどうなるのかといった不安を持っている事業者も多いことがわかったわけでございます。
 こうした中、昨日、中央卸売市場の来年度予算の局要求が発表されました。そこでは、本年一月に公表した、市場業者への移転支援の基本的な考え方に基づき、市場業者の資金需要に対する支援に対して、豊洲新市場移転支援事業として二億三千万などが計上をされており、来年度からの実施を予定しております。
 移転支援策については、二十年前のバブル期に実施された神田市場の大田移転と豊洲新市場への移転をよく比較されますが、社会情勢も景気の背景も大きく異なることから、市場業者の現在の経営状況にも十分配慮をして実施していただきたい、そのように思います。
 最後に、開場まであと三年数カ月に迫った豊洲新市場への移転事業を推進するに当たり、どのように事業を進めようとしているのか、市場長の決意をお伺いいたします。

○中西中央卸売市場長 豊洲新市場への移転を進める上で、施設整備と移転支援はハード、ソフトの両面として、いずれも欠くことのできないことであり、これらを的確に推進していくことが非常に重要であると考えております。
 ハード面につきましては、生鮮食料品を取り扱う市場用地としての安全・安心を確保するため、土壌汚染対策工事を確実に実施することが不可欠であり、改めて気を引き締めて、安全かつ確実な施工をしていくとともに、地元江東区はもちろん、中央区内での予定地周辺の町内会等の関係者にもご理解、ご協力いただけるよう、丁寧な説明をしながら着実に進めてまいります。
 市場施設の整備においても、まちづくりにも十分配慮しながら設計業務を進め、平成二十四年度には市場施設の建設工事に着手いたします。また、市場に欠くことのできないにぎわいを創出する千客万来施設の計画を具体的に推進してまいります。
 また、ソフト面につきましては、現在の築地市場のよき文化や伝統、ブランドを引き継ぎ、さらに発展させていくために、築地の市場業者に対しまして適宜適切な情報を提供するとともに、移転前から段階に応じたきめ細やかな具体的支援策を提示いたします。このことにより、単に移転への不安を解消するだけでなく、将来に明るい展望を抱けるような市場づくりに努めてまいります。
 都は、こうした施設整備と移転支援の着実な実施により、豊洲新市場を都民や市場業者の期待にこたえられる新たな首都圏の基幹市場とすべく、平成二十六年度中の開場に向け、全力で取り組んでまいります。

○山崎委員 市場長の決意、よく今わかりました。
 豊洲新市場に対する市場業者の理解を得ることはもちろん、各事業者の現在の不安を解消しない限り、豊洲移転は現実的なものとはならず、新市場も十分な機能を発揮することができない市場になってしまうといわざるを得ません。そのためにも、市場業者の現在の商売をしっかりと支援し、移転に向けて万全の対策をとっていただきたい。
 今回の答弁を聞いて、豊洲新市場の整備についても、移転支援についても、着実に進んでいることがよくわかりました。豊洲新市場が、首都圏の先進的な基幹市場として、予定どおり平成二十六年度中に開場するために、これからもしっかりと取り組んでいただきたいことを強く申し上げて、私の質問を終わります。

○伊藤(ま)委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後五時四分休憩

   午後五時二十分開議

○伊藤(ま)委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○木内委員 今回の東日本大震災に係る市場の取り組みについて、これまでの総括と、被災地支援を含めた今後の対応について伺いたいと思います。
 大震災及び原発事故の被災地は、東京にとって単に電力等の供給だけではなく、実は主要な生鮮食料品の供給をしている産地であり、被災地の復興というものが極めて重要であることは明らかであります。生鮮食料品の産地と消費地の関係、とりわけ被災産地と東京の関係を、改めて具体的に確認したいと思うわけであります。
 その復興への支援というものが極めて重要であると考えるわけでありますが、認識を伺うと同時に、都内中央卸売市場における取扱量のうちに占める、例えば被災地からの青果物、水産物等について、被災地からの出荷状況、どうなっているかも含めて答弁を願います。

○森本移転支援担当部長 お尋ねにありました、今回の東日本大震災によりまして直接被災いたしました地域及び福島第一原発事故によります放射能の影響を受けた地域からの生鮮食料品の出荷は、平成二十二年の都内中央卸売市場の取扱量のうち、青果物では約三五%、水産物では約二六%を占めております。
 これらの産地は、都民にとってはもちろん、東京から転送を受ける関東全体にとりまして、生鮮食料品の安定供給を確保する上で極めて重要な地域でございます。
 また、これらの産地は地域ごと、季節ごとに、多種多様な特産品としての生鮮食料品も産出しておりまして、養殖ワカメやサクランボなど、品目によりましては他の産地では代替できない産品も多数あるなど、東京の豊かな食生活を支える上で不可欠となってございます。

○木内委員 確かに青果物で約三五%、水産物で二六%ということでありますから、これだけをとらえて見ても、いかに東京都に、ないしは関東広域にわたって重要な産地が東北の被災三県であるか、関係県であるということがよくわかるわけであります。
 実は、私ども都議会公明党は、発災直後でありましたけれども、例えば、私は団を組んで岩手に、幹事長のグループは福島に、そして、政調会長は宮城にということで、再三にわたって都議会公明党として視察団を派遣いたしまして、現地の惨状を目の当たりにしてまいりました。東京都としてできる具体的な支援策を、実は都知事あてに提案、要望したこともございましたし、その惨状を目の当たりにして本当に胸を締めつけられる思いでありましたけれども、一方で、都民にとってこれからの生鮮産品、食料品は一体どうなるのかという懸念も抱いたわけであります。
 そこで、この生鮮食料品の供給、見通しについて伺いたいわけでありますけれども、実は被災地に対して、東京都は震災直後から全組織を挙げて多様な支援策を実施してきているわけでありまして、被災産地と都民を結ぶ流通過程での主要な役割を担っている都の卸売市場として、これまでの具体的な支援の内容についてご報告を願いたいと思います。

○森本移転支援担当部長 まず、震災直後から、原発事故に伴います放射能汚染による風評被害の解消を目指しまして、被災産地からの入荷物の安全・安心を都民の方に積極的にPRする産地支援イベントを、業界の協力のもと、各市場で五月末まで実施しまして、売上金を被災地への義援金といたしました。
 その後の状況にかんがみまして、七月には小売団体の主催にて、九月には大田市場におきまして同様のイベントを実施しましたほか、十月からの市場まつりにおきましても、各種PRを積極的に実施いたしました。
 また、市場に入荷しても、風評被害による返品で小売からの代金回収が滞りまして、その結果、産地への支払いが困難となるおそれが生じましたため、市場の決済機関に対しまして、貸付期間六カ月の災害対策緊急貸付を行うことによりまして市場機能を維持するとともに、被災した産地への安定的な支払いを確保いたしました。

○木内委員 報告のあった各施策の実施というものは、極めて迅速にして具体的な対応であり、その努力を高く評価したいと思うわけであります。例えば、この市場の決済機関に対する緊急融資、実は大変重要な施策であったと思うわけであります。
 また、この小売団体の主催によるイベントの実施、あるいは市場まつりにおける各種PR、こうした行事に際しまして、私ども都議会公明党は、真剣勝負で、やはりこれに臨ませていただいて、側面的な支援をもさせていただいたわけでございます。
 安全性の確保と、そうしたPRというものは基本中の基本でありまして、実に大切なことであると思います。しかし、まだまだ震災のつめ跡は大きいといわざるを得ません。
 第二回定例会における本委員会で、我が会派の伊藤興一議員の質疑に対しまして、市場当局は、引き続き状況の変化に応じた支援を実施していくと、こう答弁をしているわけでありまして、これは大変重要で重みのある答弁であったわけであります。
 しかし、七月には芝浦に入荷した牛肉から暫定規制値を超えた放射性物質が検出されたこともあり、農水産物の風評被害は今、完全に払拭された状況にはないというふうに思わざるを得ないわけであります。
 したがって、こうした状況を考慮するとともに、申し上げたさきの答弁を踏まえて、状況の変化と実態に即した新たな支援を強く求めたいと思うわけでありますが、見解を求めます。

○森本移転支援担当部長 東日本大震災から半年以上が経過いたしましても、長引く風評被害もあって消費の落ち込みの影響が大きいことから、先ほどお答えした緊急貸付を引き続き実施することが必要と考えまして、新たに災害対策特別貸付制度を設けまして、卸売業者、または代払い機関に対しまして、資金を無利子で貸し付けることといたしました。
 この制度は、貸付期間を約十五カ月と長く設定することで、依然として厳しい状況にあります市場業者や信用回復を要する市場の決済機関の要望にこたえるものとなっております。
 また、既存の市場流通を活用することで、被災産地の復興を支援するとともに、都民への生鮮食料品の安定供給を確保することを目的といたしまして、東京の市場への出荷実績に応じまして、出荷者に対して支援金を交付いたします被災地農水産物流通支援制度を設けました。
 この制度の実施に当たりましては、対象者が多岐にわたることから、各市場の卸売業者のご協力を得まして出荷実績を適正に把握するとともに、被災産地のすべての出荷者に本制度に係る情報が確実に伝わるように、プレスリリースやホームページ上での公表など、さまざまな手段を講じて周知を図り、実効性のある支援策としてまいります。

○木内委員 これまで打ってきた方策、それから、今後への決意も今伺えたわけでありますけれども、実効性のある支援策としていくということでありますから、実施する制度なりシステムに血が通うような細かな配慮を怠らずに、継続的に、精力的にこれをぜひ続けてもらいたい。
 さらに必要なことがあれば、実効性のある支援策をということでありますから、実態に応じた、また、新たな施策の展開も強く求めておきたいと思うのであります。
 いずれにしても、震災の傷はいまだいえてはいません。特に、原発事故に伴う放射性物質による汚染状況については予断を許さない状況にあります。
 そこで、首都圏の生鮮食料品流通において重要な役割を担う東京都の中央卸売市場として、今後の対応に向けた決意と抱負を伺いたいと思います。

○中西中央卸売市場長 今回被災した地域は、まさに我が国有数の農水産物の産地でございまして、都においても安定的な食料供給を維持する上で欠かせない産地であることから、当該地域の復興を都が支援することは都民にとって極めて重要なことであり、都は全庁的な連携のもとに被災産地の支援に取り組んでまいりました。
 しかしながら、震災から半年以上が経過した今日におきましても、被災産地がかつての水準にまで生鮮食料品を出荷しているとはいいがたく、復興するにはまだまだ困難であるといわざるを得ません。
 こうしたことから、被災地支援イベントや市場の代金決済機能維持のための無利子貸付を実施してきましたが、引き続き、新たな特別貸付の実施や流通支援制度の制定といった施策を通じ、被災地の復興を支援してまいります。
 今後、中央卸売市場としては、市場を流通する生鮮食料品の安全・安心を確保しつつ、都のみならず、首都圏での安定的な流通を確実なものとしていくため、あらゆる方策を講じて支援していく所存でございます。

○木内委員 今は市場長の決意と、先ほどの部長の実効性のある支援策という言及に対しても高く評価したいわけでありますけれども、具体的な施策実施への言及については重く受けとめたいし、どうか精力的に対応されるよう強く要望しておきたいと思います。
 被災地の復興は時間がかかることから、産地が引き続き継続的に出荷できるよう努力してもらいたいと思いますし、今回の震災に私どもは遭遇しまして、生鮮食料品の安定的な流通の確保が、実は大変に困難な事業であると同時に、いかに重要かということを改めて痛感したわけであります。
 首都圏三千三百万人の台所とまでいわれる中央卸売市場は、単なる安定的な流通の確保にとどまらず、より高度な品質、衛生管理を実現して、生産者から消費者までのニーズに的確に対応しなければならないと思うのであります。
 そうした意味からも、豊洲新市場への移転は時代の要請であり、東京都中央卸売市場の今後の明暗を分ける一大事業であると、こう考えるわけであります。
 それにしても、今なお、この豊洲移転に反対を叫ぶ向きもあるようでありますけれども、余りにも時代錯誤の、情けない、また、都民の要望を無視した主張であると私は断ぜざるを得ないのであります。
 この時代の要請ということを考える際、私はマックス・ウェーバーの、政治家に求められる資質という箴言を思い出すのでありますけれども、いわゆる先見性、洞察力、責任、情熱ということがこの人の言にありますが、まさに豊洲新市場への移転に対する政治家の、これが持つべき資質であり、また、立場だと、こういうふうに思うのであります。
 実は、今回の質疑に当たって、この書籍を読ませていただきました。「『築地』と『いちば』」ということで、著者は森清杜さん、これはペンネームでありまして、先ほど来答弁をいただいております移転支援担当部長の森本博行さんが書かれたものでありまして、私は感動を深くして読ませていただきました。
 間違いありませんね。うなずいてくださいね--森本部長の経歴を拝見しますと、一九七九年に入都して、八五年に築地市場勤務。それから各局も回られたけれども、一九九八年、食肉市場勤務以来、広報、業務、新市場建設室、築地市場副場長、そして中央卸売市場勤務が続かれて、第十八代の築地市場場長に就任をされて、今日のお立場にいらっしゃると。
 なぜこんなことを申し上げるかというと、この市場への強い思いと、市場を支えてきた矜持といいますか、誇りというものが感じられます。
 この著作の内容を見てみますと、古い文書や、あるいは古い記録、資料を渉猟いたしまして、極めて的確にこの歴史というものをあらわしておられる。特に日本橋時代から常に、京橋の時代も含めて、時代、社会の背景を的確にとらえて、その判断の上で移転問題を抱えてきた、いわゆる巨大都市の台所の事情、歴史というものは、まさに読む者をしてうならせる内容でありました。
 例えば、日本橋の魚河岸と京橋の大根河岸が、大正十二年九月一日--森本部長、そんなに恐縮しないで聞いてください--大正十二年九月一日に発生した関東大震災で壊滅状態になったため、築地市場へ移転したことは周知のことであります。関東大震災発生後、十七日目には芝浦に仮市場を開設、三カ月後の十二月一日には、当時、海軍省の土地であった現在の築地市場の隅田川沿いに市営臨時魚市場を設置し、これが現在の築地市場のルーツであると、こういわれているわけであります。
 そうして、昭和十年二月の開場以来、戦時中の統制経済による中断があったものの、戦後の混乱期、高度成長期を経る中で、用地の拡張や改築を重ね、七十年以上にわたって全国の生鮮食品流通のかなめとしてその存在を誇ってきている。
 一方、魚河岸や大根河岸が移転した後のそれぞれの場所には新たな商業集積がもたらされて、食品流通のかなめの地位は築地に譲ったものの、実は、その跡地である日本橋、京橋という日本を代表するまちの一つとして、その後、この二地域にしても新たな繁栄があり、いんしんをきわめて今日に至っているということは、私は、まさに今日の議論に対する大きい教訓と示唆を含んでいるように思われてなりません。
 例えば、経済・港湾委員会ということで議論された--ある会派が江東区や東京湾の埋め立てに反対する議論をするんですけれども、実は、今さらそういうことをいってほしくないわけです。
 一五九〇年の徳川家康の江戸入府以来、この埋め立てがずっと約四百年にわたって、そうして続けられてきた。それで、明治維新のころには、今の亀戸の総武線のレールのあたりから始まった埋立事業が、一八六〇年代には永代通りに来る。それからさらに南下して、いまだに続いている。そうして、まちがどんどんにぎわいを見せている。
 こういう、いわば歴史の背景も勘案した評価というものをきちっとしなければいけないわけでありますけれども、申し上げたように、今回の市場の移転についても世紀の大事業ではあります。先人たちは新しい市場づくりと、それから、その跡地利用を見事になし遂げてきた、こう評価すべきであるし、私は確信をしているわけであります。
 今日に振り返ってみると、昨年十月の知事の豊洲移転の決断以来、都は移転に向けての準備を着々と進めているわけでありまして、さらに、築地市場移転後の跡地利用についても、地元中央区との協議が進められているとも聞いているのであります。
 改めて、こうした新しい歴史の局面を迎える大切な時期においての市場長の築地市場に対する思いと、豊洲移転に係る抱負を承りたいと、こう思うわけであります。
 なお、これが最後の質疑でありますけれども、ぜひ私は議会人の立場で、今後、支援を精力的にさらに行ってまいりたいと、こう思うわけでございまして、市場長の決意によってはもう一度発言させていただきますが、答弁を求めます。

○中西中央卸売市場長 委員ご指摘のとおり、築地市場は、日本橋魚河岸と京橋大根河岸の伝統を引き継ぎつつ、その時々の要請にこたえながら用地拡張や部分的な改築を重ねて発展を遂げ、今日に至っております。
 私も市場運営の責任者として、これまで築地市場の繁栄を支えてきた多くの先人たちの努力に深く敬意を表するものでございます。
 しかしながら、開場後七十年が経過した築地市場は、施設の老朽化、狭隘化が著しく、現代の物流の変化や衛生、品質管理など、時代の要請にこたえられない状況にございます。このような事態を解消するために、さまざまな議論を経ながら、豊洲移転の方針を決定いたしました。
 豊洲新市場は、この先、長きにわたり使い続ける首都圏の基幹市場として、今後の時代の変化にも対応できる規模と機能を備えたものにしなければなりません。
 また、築地市場移転後の跡地についても、都心に残された唯一の大規模用地としての活用が求められており、地元中央区とも協議しながら新しいまちづくりを行っていくべきであると考えております。
 このように、築地市場の豊洲移転は世紀の大事業であり、この事業に全力を挙げて取り組み、移転先である江東区とも協議を重ねながら遅滞なく進めていくことが都政の大きな使命であると考え、全力を尽くしてまいります。

○木内委員 多くは申しません。今回の震災では、幸いなことに、築地市場自体の損害はわずかであったと聞いておりますけれども、今の状況では、大規模震災に対して、次回も同様に持ちこたえられるだろうかという、そういう疑念に対しては、だれもが不安を抱くはずであります。
 豊洲新市場は、土壌汚染対策や液状化対策についてもしっかり対応を行い、効率的で利便性の高い施設を実現することで、今後、長きにわたって都民や事業者に愛される、また、利用される施設となることを切望して、私の質問を終わります。

○清水委員 初めに、豊洲新市場予定地の不透水層問題について質問いたします。
 まず、豊洲新市場予定地において不透水層の位置を調べる必要性について、説明をお願いいたします。

○加藤基盤整備担当部長 専門家会議では、豊洲新市場予定地の汚染状況を把握するため、敷地全域にわたり十メートルメッシュで土壌と地下水の詳細調査を実施し、さらに、詳細調査の結果、基準を超える汚染物質が検出された箇所において、深さ方向にボーリング調査を実施するよう提言をしておりました。
 一方、専門家会議におきましては、豊洲新市場予定地で不透水層を形成している層は汚染を通しにくいということから、不透水層をボーリングにより貫通させてしまった場合、不透水層より上部にある汚染を不透水層の下に拡散させる可能性が否定できないということから、不透水層を貫通するおそれのある調査は実施すべきでないという指摘もされております。
 このため、都は、地下水調査や深さ方向のボーリング調査の範囲を設定するために不透水層の上端位置を把握する必要があったことから、不透水層の位置を調べたものでございます。

○清水委員 それでは、不透水層について、どのような方法で調べたのかお伺いいたします。

○加藤基盤整備担当部長 豊洲新市場予定地全体の不透水層につきましては、八カ所のボーリング調査に加え、水道局の水道本管設置や建設局の「ゆりかもめ」整備の際に行われた百二地点の地質調査の結果により、地層、地質及び、れきの混入状況などから層厚を確認してございます。
 また、この地層の透水係数は、八カ所の土壌ボーリング調査により採取した三十一検体によります圧密試験により求めてございます。
 こうした調査結果に基づき、土壌汚染対策法に定める不透水層の規定と照らし合わせ、十分な遮水性を有していることを確認しております。

○清水委員 それでは、豊洲新市場予定地に不透水層があること、その位置について、専門家など第三者からどのような検証を受けたのですか。お伺いいたします。

○加藤基盤整備担当部長 新市場予定地の不透水層につきましては、専門家会議におきまして、当該地が埋立地であるといった特性に加え、ボーリング調査により把握した地質、地層の状況や土質特性などを説明いたしまして、特に関東地方の地質や地層に詳しい委員から、有楽町層の一部であるYc層が不透水層であると確認いただいております。
 特に、透水係数の数値につきましては、専門家会議におきまして、有楽町層の一部であるYc層について、圧密試験から求めた透水係数の値を示したところ、一般的に不透水層とされるよりもかなり小さい値であり、不透水層として判断してよいという見解をいただいております。
 このように、不透水層につきましては、地層や透水係数の値などの客観的データに加えまして、専門家会議において検証していただいております。

○清水委員 検証している、したというご答弁ですが、専門家会議の報告書では、透水係数を根拠にした不透水層の記述はありません。有楽町層、Yc層を根拠に不透水層を記述しているだけなんですね。これでどうして検証したといえるのですか。
 このYc層を根拠にした記述は、ことしの予算特別委員会で、東京ガス田町工場跡地の土壌汚染調査結果について、都がこれまで繰り返し不透水層だといっていたシルト層、砂まじりシルト層、砂質シルト層などが汚染されていた事実を示しました。その下部十五メートル下も、その間十メートルにもわたって環境基準以下であったにもかかわらず、その下部が汚染をされておりました。
 この指摘に対して、市場長は、東京ガスは田町で十五メートルのところを不透水層としていたから矛盾はないと、そういう趣旨の答弁をしました。ということは、粘性土イコール不透水層ではないという、このことを認めたということです。
 そして、豊洲では透水係数を求めているので問題はないという趣旨の答弁もいたしました。したがって、豊洲新市場予定地に不透水層があるかどうか、あるとしたらどこなのか、都の示す透水係数が判断のよりどころになります。
 そこでお聞きをいたしますが、都は、あたかも八本のボーリング調査で求めた透水係数、二〇〇六年の地質、地盤解析調査で不透水層が判断できたかのようにいいました。その二〇〇六年の調査の報告書というのはこれですよね。
 しかし、この報告書には、透水係数に基づいて、不透水層がどうなっているか何も書いていないんです。都は、専門家会議で説明して、いろいろな議論を経て検証したと、先ほどご答弁ありましたけれども、透水係数について報告書もないものをどうやって専門家の方に説明したんですか、専門家会議で。お答えください。

○加藤基盤整備担当部長 まず、今、委員からお話がありました二〇〇六年の調査、平成十八年に実施いたしました地質調査につきましては、新市場の整備に当たり、予定地の地層や土質性状を把握するために行ったものでございまして、透水係数につきましても、この調査委託で室内試験の中でその値を求めてございます。
 それから、その八本の透水係数につきましてでございますが、新市場予定地におきましては、不透水層につきまして、数千年をかけて川から運ばれた土が堆積した地層の成り立ちや、先ほど申し上げました水道局の本管設置や建設局の「ゆりかもめ」整備などの際に行った百二カ所の地質調査の結果から、敷地全体に一様に均質に分布しているということを確認していまして、先ほどの八本の中での透水係数をこれらに照らし合わせまして、不透水層の状況を確認しているところでございます。

○清水委員 私が聞いているのは、報告書に書いてないでしょうと。不透水層について書いてないでしょうと。それを何で専門家会議に説明したんですかと。報告書にないものをどうやって説明したんですかというのが私の質問です。

○加藤基盤整備担当部長 先ほど来申し上げましたように、十八年の地質調査で、圧密試験のデータシートで透水係数は書かれてございます。これらの数字につきましてもご説明をした上で、その値をとりました有楽町層の一部であるYc層が、土壌汚染対策法が求めます規定をクリアしていると、十分にクリアしているということをご説明させていただいた上で、不透水層の位置につきましてお示しをして、ご理解をいただいているところでございます。

○清水委員 十月二十八日、先日の決算委員会で、我が党のたぞえ議員が明らかにしましたけれども、専門家会議で、都が不透水層といっている有楽町層について説明をしているのは、都側です。市場側ですよね。
 専門家会議の議事録を見ればわかることですけれども、専門家からの意見としては、第二回専門家会議で、二〇〇七年の六月三十日ですけれども、委員が、できるだけこの不透水層を抜かないように注意することは非常に重要と。また、第三回専門家会議、二〇〇七年の八月二十五日ですけれども、比較的水の通らない有楽町層が深度十メートルにあり、それより深い位置を調査することは余り意味がないなどとの発言があった程度なんですよ。
 第一回会議から第九回会議、二〇〇七年五月十九日から二〇〇八年七月二十六日までの間は、豊洲新市場予定地の有楽町層が不透水層といえるかどうかについては、専門家会議として議論もしていません。議論を経て検証したというのならば、その経過を示す専門家会議の文書を示していただけますか。

○宮良新市場整備部長 不透水層の存在につきましては、汚染状況を把握する調査の上で不可欠なため、今、委員からお話がありましたように、専門家会議の第一回、第二回にかけて確認していただいています。
 その内容については、今、委員からご紹介いただいたように、有楽町層のうちのYc層、それにつきましては、今、平成十八年の調査報告では、不透水層がここだという記載がないというお話がありましたけど、特にそういう記述を書く必要がありませんで、市場としては、土質に対する透水係数を初め、粒度、あるいはその分布--柱状図といいますけど、そういったものを総合的に把握する必要があり、十八年の成果はそういう形でまとまっています。
 そういった内容について、私どもの方から第一回に説明をし、第二回の専門家会議で、特に関東地方の地質層にお詳しい方から確認をしていただいています。決して議論をしていない、あるいは検証していない、そういうわけではございません。

○清水委員 今ご説明ありましたけれども、私が先ほどご説明しましたように、結局、この二〇〇六年の調査に基づく透水係数を根拠にした不透水層の規定というものについては、専門家に説明する文書にもなっていないんでしょう。なっていなければ、専門家などの検証も得たものでもないというふうに指摘せざるを得ません。
 二〇〇六年の地質、地盤解析調査の報告書で、透水係数について唯一あるものは、この委託調査報告書の巻末資料にある圧密試験のデータシート欄ですよね。こちらがいつもご説明をされてるようなデータシート欄、これに、ここに透水係数があります。これをいつもご説明いただいてるんですけど、これですよね。どうですか。これにすぎません。

○加藤基盤整備担当部長 今、委員ご指摘のとおり、二〇〇六年の調査結果といたしまして、その透水係数につきましては圧密試験のデータシート、これは地盤工学会に基づいて取りまとめることになっているもので、私どもの指示に基づきまして請負業者が取りまとめたものでございます。

○清水委員 都が透水係数として使っているこの試験というのは、正式には土の段階載荷による圧密試験というもので、今ご説明ありましたけれども、その試験方法の日本標準規格基準を定めている地盤工学会の説明では、この試験の目的は、粘性土の地盤沈下量、地盤沈下時間などを測定するものです。透水係数を求めることは規定をしていないんです。
 透水係数を計算によって出して記入するデータシートの欄はありますけれども、これはあくまでも理論式を使用して間接的に求められるものにすぎず、先日の決算委員会でもご指摘しましたけれども、目安にすぎないというのが地盤工学会の見解なんです。
 この間接的に算出された透水係数について、十月二十八日、この決算委員会で、都の言葉でいえば、透水係数については推定しているというふうにいわれましたよね、そちらは。今、指摘しましたけど、地盤工学会が目安にすぎないといっているものです。そういう位置づけのもので推定しただけではないですか。このようなものを根拠に、豊洲の有楽町層上端部には不透水層があるといったり、あたかも専門家の検証を経たかのようなごまかしは許されないと思います。
 それでは伺いますが、都が豊洲新市場予定地の不透水層の根拠としているのは、先ほど示した二〇〇六年の結果の位置データにある透水係数ですが、この調査を行った委託会社に、そのような使い方をして問題ないかどうかということを確認しているのかどうか、お伺いいたします。

○加藤基盤整備担当部長 先ほども申し上げましたように、二〇〇六年、平成十八年に実施いたしました地質調査は、新市場の整備に当たり、予定地の地層や土質性状を把握するために行ったものであり、透水係数につきましても、この調査委託で室内における圧密試験を行い、その値を求めてございます。
 この透水係数につきましては、この調査の中で請け負いました業者に求めたデータの一つでありますので、不透水層の判断に我々として用いたといたしましても、改めて業者への確認は不要であると考えてございます。

○宮良新市場整備部長 今、委員から地盤工学会のお話が出ましたけれども、目安にすぎないという見解、そういったことをお話しいただいていますけれども、透水係数の測定方法についても、JIS規格で、それに基づき求めたものです。
 それで、地盤工学会発行の「設計用地盤定数の決め方-土質編-」、まさに地盤工学会が監修しております。圧密試験から求めた透水係数は実用上の精度を有していると、そういうふうに書かれております。
 また、そういった解説書を、地盤工学会のを読みますと、特に粘性土質の透水係数については、私ども市場が適用しました圧密試験、それから、同じ圧密試験ですけど、三軸という、ちょっと技術的になりますが、三方向から一体的に圧密をすると。いずれにしましても、そういった圧密試験を用いて求めることになっております。
 目安にすぎないというお話がありましたけど、どのような条件、あるいは前提、どなたか、どういった専門の方がお答えしているのかわかりませんので、そういったことについてはお答えのしようがないと、そういうふうに考えております。

○清水委員 だって、この前、たぞえ議員の質問で、地盤工学会が私たちが出した質問に回答してきて、その中で目安にすぎないといってるんですよ。それで、先ほど基盤部長からも聞いたように、委託会社に確認もする必要はないと。都としては、豊洲新市場予定地の有楽町層上部の地層が不透水層かどうかの判定に、今回の圧密試験で間接的に得られる透水係数を根拠にして問題ないかどうかは、調査会社にも確認しないで、これは勝手に使っていると。そちらは必要ないんだということですけど、私たちの認識は勝手に使っていると、こういうことです。
 しかも、試験そのものが、三十一検体中十五検体は、そのまま試験すれば試験検査基準に不適合なサンプリングになります。どういうことかというと、もともとこの試験は、粒度の細かい粘性土を対象としたものであるにもかかわらず、三十一個の検体を使った試験のうち、十五個の検体にはこの試験方法に定められた基準にふさわしくないれき、れきというとちょっとわからないから粒といいますけれども、粒が混入していたサンプルがあったことです。
 仮に、この大きな粒を入れた部分で試験をしていますと、この試験の本来の目的である圧密時間、圧密量は正しく求められないというのが地盤工学会の見解です。この点についてどう認識しているんですか。

○加藤基盤整備担当部長 土のサンプル採取や試験方法に関しましては、JISや地盤工学会の基準に定められております。市場が行った試験は、これらの基準に基づき実施したもので、その結果は適正なものであると考えてございます。
 実際の試験に際しましては、八本の土壌ボーリングに試料を採取し、圧密試験を行って、あわせて各地層における土の大きさを調べる粒度分析も実施しております。
 この結果、有楽町層の一部であるYc層につきましては、先ほど委員ご指摘のとおり、れきは含まれてございますが、この試験方法につきましてもJISの規格に基づいた試験をやってございますので、大きな粒が混入し、正確な試験をしていないということは当たらないと思ってございます。

○清水委員 豊洲新市場予定地の有楽町層は不透水層かどうかを判定した八本のボーリング調査ですが、そのうち四本では、有楽町層の最上部の地層において、この試験基準にふさわしくない大きな粒が入っています。
 ここに調査会社が行ったデータシートがありますけれども、先ほどの有楽町層の最上部に不透水層があると断定した八本のボーリング調査のうち、試料体に試験基準にふさわしくない大きな粒が入っていた四本、その一つ、ナンバー2のボーリングの試験データです。
 試験をするとき、土壌の試料体の大きさは直径六センチ、高さ二センチの円柱形のものを試験容器に入れて試験をしますが、地盤工学会の試験規格基準ですと、試料の高さは最大粒径の十倍にすることが望ましいとなっています。ナンバー2の上部有楽町層の透水係数を調査したものが、最上部がS2-1、その約四メートル下のサンプリングがS2-2です。
 それぞれ、最大の粒の大きさ、粒径四・七五ミリ、九・五〇ミリと記載されていますので、試験規格基準では、それぞれを試験する場合の試料体の必要な高さは、十倍ということですから四・七五センチ、九・五センチとなります。
 しかし、実際の試料体の高さは、いずれも二センチになっています。なぜなら、この試験はもともと粘性土を対象にしたものであるなら、そのような大きな粒が入っていることが想定されていない試験装置になっているからです。試験装置は、もともと直径六センチ、高さ二センチの試料体の大きさしか試験できないようにつくられているんです。
 先ほど規格に基づいて調査をしていますといいましたが、実際には、基準に適合しない試験が行われているということです。どうですか。

○加藤基盤整備担当部長 先ほども申し上げましたように、私どもの方では圧密試験を行っております。その中では、土の透水係数をあわせて算定いたしますので、それに留意して、粘性土の部分ということでございますから、それに必要なサンプリングをしてございます。
 これにつきましては、今、委員からもお話がありましたような六センチ掛ける二センチということで十分だというふうに考えてございます。

○清水委員 まるで問題ないかのような発言を繰り返していますけれども、中には粒径十九ミリ、約二センチという石ころが入った試料体もあります。それはナンバー7のボーリングで、有楽町層の最上部の下のサンプリングです。
 ところが、試料を入れる容器の直径は六センチ、高さは二センチしかありません。それに上から圧力をかける実験をするわけですから、このような石ころが入っていたのでは試験になりません。いくら圧力をかけようが、石ころが邪魔して実験になりませんから、取り除いた部分で実験を、試験をしたことになります。
 お伺いいたしますが、問題ないといいますけれども、これが調査会社の報告書の巻末に出ているデータからわかる事実です。そのことは、逆に、都はそんなことも確かめもしないで、意味もわからず、圧密試験から得られる透水係数のデータを都合よく使っていたということになります。あるいは、そういうデータであることを知っていながら、あえて使ったということになります。どうですか。お答えください。

○加藤基盤整備担当部長 まず、先ほど来申し上げていますが、委員からYc層のサンプルの中に粒が入っていたと申しておりますが、確かに粒が入っています。粒度分布の中でも確認してございますが、これらにつきましては、まばらに入っているだけでございまして、基本的なYc層のシルト質では均質な部分をサンプリングしながら透水係数を求めていくのが通常でございます。
 それからまた、仮に試験の中に粒が入っていれば、私どもの算出したような水を通しにくい、透水性の低いデータということは、結果は出てきてございませんので、私どもとしては、的確にサンプリングをしながら、試験検体をつくりながら、適正な透水係数を求めたものだと考えてございます。

○清水委員 そういいますけれども、透水性が非常に高い、砂の部分が約七〇%の土壌も、砂分がわずか〇・八%の土壌も、今回の圧密試験の結果から算出される透水係数を比較すると、ほとんど変化がないんですよ。こんなことは現実にはあり得ないではないですか。都が使っている透水係数が問題があるということを裏づけるものです。
 次に、都が先ほど来の透水係数を使って、私たち議員団への説明の際に使った具体的な柱状図をお示しいたします。そちらにお届けしてあります。
 これがボーリング柱状図です。ナンバー2ですね。これが全体の柱状図です。
 その一番右側の部分を見てください。一番右側の部分に、室内試験という欄の下に数字が入っています。ちょっとこちらの文字よりも大きくなっている数字があります。わかりますか。九・五九掛ける十のマイナス七乗。わかりますか。三・一七掛ける十のマイナス七乗と。
 この数字というのは、お聞きしますけど、委託会社が作成して入れた部分ですか。そのことをお聞きしたいと思います。

○加藤基盤整備担当部長 今、委員からお配りいただきましたこの柱状図の中で、委員おっしゃられたような数字につきましては、柱状図の中に委託業者が入れているという形で、私どもは報告書として承っておりません。

○清水委員 じゃ、これ、だれが入れたんですか。

○加藤基盤整備担当部長 私どもが受け取ったデータの中には、その部分については書いてございません。ですから、私どもの中では、委託業者からこういったものに入れるということにもなってございません。
 先ほど委員おっしゃいましたように、十八年の調査におきましては、圧密調査試験の結果一覧表の中に透水係数の数字はいただいておりますが、こういった柱状図の中に数字はいただいてございません。

○清水委員 だって私たち、これで説明受けたんですよ。(「だれから」と呼ぶ者あり)当時のね。それで……(発言する者あり)出してくれたんですよ。それで、ここは、こちらの数字よりも大きい数字で、この部分、一番下の部分が、ちょっと別の紙がここにテープで張ってあったような、そういう様子がわかります。だから、これは張りつけておかれたのかなと思うんですけど、これはそちらの担当者がどなたかつくったんですか。どうですか。

○加藤基盤整備担当部長 まず、私どもの、先ほど示した柱状図につきましては、ホームページ等ですべて出てございますので、そういった成果につきましては、まず、委員おっしゃるような透水係数というのは柱状図に書いてございません。
 それから、少なくとも私どもの中で、こういった数字を委員から求められたとかということがあれば別でしょうけれども、加えてあえて説明をしたということもありません。

○清水委員 当時はまだ情報を黒く塗って出すとか、そういうような状況じゃなかったわけですよね。平成十八年のころですから、まだそんなにいろんな問題になっていないようなときのことですから、こういうふうにして--でも、いただいたわけですよ、私たち。いただいたんですよ。それはちゃんと、きちんと調べてください。
 先ほど来、透水係数が不透水層ということでいわれていますけれども、結局、専門家会議、技術会議の専門家からの知見でもなければ、調査委託会社が透水係数を求めるために行った試験の調査結果によるものでもありません。都が、たまたま調査会社のデータから見つけた、データシート欄に記載された透水係数を使っているということになります。
 二〇〇六年の地質、地盤解析調査で行われた圧密試験から得られる透水係数について、地盤工学会からは、目安にすぎないという回答を得ています。繰り返しいいますが、地盤工学会から。
 地盤工学会の基準にのっとって、責任ある試験をする委託会社が、地盤工学会と異なる見解を持つことは非常に考えにくいことです。調査会社の信用問題にかかわることだからです。
 また、土壌汚染対策法に規定されている不透水層の測定方法ですけれども、国は、一般廃棄物、産業廃棄物の最終処分場に、基準に係る通知を参考に四つの例示をしていますが、その中にも圧密試験による方法は入っていません。したがって、都は、二〇〇六年に行われた地盤、地質解析調査から間接的に得られた透水係数を勝手に使ったということと思います。
 都がこれまで、土壌汚染対策法が定める不透水層の基準に対して約三十倍あると、土壌汚染対策法を持ち出して、あたかも法律の基準に合致するかのような説明を繰り返してきましたが、このまま工事を進めることは許されません。
 続きまして、今回の工事は、平成二十二年の第十三回技術会議の報告に基づいて実施されているとしています。二十二年に出されました技術会議の会議録を改めて読みました。
 この時期は、初期値の問題が大きな問題になったときで、その問題について、都の実験の報告を受けて、委員が意見を述べています。
 初期値と既往値の関係について、この間、私たちが批判をしてまいりました元都の職員の委員が、座長に意見を求められています。この初期値と既往値の関係を見てみますととして、今見たばかりなので申しわけないのですがといって、処理実験としては問題なく成立しているのではないか、このように思いますと。私も、このときの、この技術会議を傍聴していました。この、今見たばかりという委員の発言に本当に驚きを覚えました。
 お聞きいたしますが、このようないいかげんな方に、初期値と既往値の違いについて意見を求めていたのですか。お伺いいたします。

○宮良新市場整備部長 先ほどの、パネルでお示しした透水係数の書かれた、書かれていないと、それについては私どもの方で調査をいたします。
 今、委員から、その透水係数の調査方法が、大変失礼ですけれども、適切じゃない、あるいは専門家会議で議論していないとか、そういうお話がありましたけど、全くそういうことはございませんで、私どもも、直接私は専門家会議でもう五年になりますが、直接担当してきたものです。そこで、これまでの東京都の調査、いろいろ、地層あるいは粒度、そういったものをお見せして確認をしていただいていると。そして、試験方法については、まさにJISに規定があります。そういったルールに基づいて、その専門の技術者が求めたわけで、全くいいかげん--大変失礼します。(発言する者あり)いいかげんということはございません。
 また、実験に関する委員の方の話ですが、特に汚染物質、汚染の担当の専門委員、技術会議ではお二人いましたけれども、それぞれのご専門のところで、実験開始、あるいは実験中、データの解析の方法、解釈の仕方、そういったものを相談しながら、指示を受けながらやってきたものであります。
 そういったことで、技術会議で実験の評価をして、まさに技術会議が提言していただいた技術、工法の有効性を確認しております。
 今、るるお話がありましたけど、豊洲新市場における土壌汚染対策の内容につきましては、専門家会議でその内容を定め、技術会議で工法を定め、実験もし、確たるものであります。私どもとしては、現在、土壌汚染対策をもう契約し、具体的に工事を始める段階になっております。
 私たちの責務は、こういった内容を確実に実施し、市場の用地としての安全・安心を確保すると、それが責務であると、そういうふうに考えております。

○清水委員 いろいろいいわけをしていますけれども、先ほどから私が指摘をしています元職員の方は、大きな問題になっている初期値の問題を、この会議に来て初めて見たっていってるんですよ、この資料を。あなたたち、聞いたんですか。私はきちんと、その会議の場で聞いたわけです。そして結論は、このように思いますというあいまいな言葉を使いながら、問題なしとしてしまっていることに……(発言する者多し)委員長、静粛にしてください--無責任さがあらわれています。そして、実験内容について意見を述べるのではなく、逆にある問題は、そういうことは可能なんですかと、都に対し聞かなければわからないというありさまだったのです。このような人が、さまざまな処理方法の中で、処理日数について半年かかると思ったが、もっと柔軟に、合理的に考えた方がいいのではないかなどといい、簡易な方法、コストダウンを求めました。その意見を受けて、座長もコストダウンになるのではと、都に検討を求めました。元職員の役割はこういうものだったんです。
 また、別の委員は、酸素消費活性とベンゼン分解活性について発言しています。少し読み上げますが、酸素消費活性の場合は、一週目、二週目でばんと上がっているが、これは、昇温材とか、そういうのを入れているので、高い酸素活性が出たと思う、決してベンゼンを食べたからこんな高い活性が出たのではなくて、相当の量が酸素を消費しているので、存在するベンゼンよりはるかにたくさん出ている、いろいろな微生物がふえてきているということがいえる、添加することによって菌の数がふえているということがいえる、土壌中の有機物の分析などというものはやられたんですかというふうに聞いたんですね。やられたんですかと。それに対し、都側は、調査はやっていないと答えたわけです。中に有機物があるかないか調査していないと答えたにもかかわらず、その委員は、それで、わかりましたといって納得してしまいました。そして、節約の提案をしているのです。
 専門家だったら、都の調査や結果に不十分なところを補足し、疑問に感じたら、さらに追加調査させるとかの意見を出すべきなのに、それは不問にして、都の欠陥実験を容認してしまう。あげくの果てに、さらなるコスト削減案をいい出しているのです。これでは、都を喜ばせた点で元職員と同じです。
 こうした専門家によって行われた技術会議は、専門家委員会の機能を果たしたとはいえません。そして、こういうことを繰り返しながら、専門家のお墨つきを受けて、大丈夫、大丈夫として進めてきた都を、到底信用することができないのではないですか。どうですか。

○中西中央卸売市場長 土壌汚染対策工事を行うということになりますと、当然公金を使って行うわけでございますから、その中でコストダウンを検討するということは当然のことだというふうに思います。
 専門家会議や技術会議の先生方は、それぞれ代表する先生方でございまして、極めて真摯に、学術的な見地から検討していただいて、それでなおかつ、行政の行う工事であるという観点から、コストについても十分な検討をしていただいたものというふうに考えております。

○清水委員 私は、技術会議の会議録に即して指摘をしたんです。その反論もできておりません。いいわけは通りません。
 新市場予定地の土壌汚染対策工事の入札について伺います。
 この落札額は五百四十一億で、入札に参加した十五者すべてが落札しました。予定価格に対する落札額の比率の最高は九七%と高率となっています。
 仮設のプラントをつくる六街区は、清水、大林、大成、鹿島など十者JVだけが入札し、三百三十三億四千二百万余で落札しました。五街区と七街区に入札は、ともに二グループだけ--この二グループのうち、鹿島、大成、東亜、西松など六者JVが五街区を百十九億円で落札、もう一つの大成、鹿島、熊谷など五者JVが八十九億一千万余で七街区を落札しました。
 大手が漏れなく受注できるような調整になっているのではないかという批判の声が上がっています。入札はどのように行われたのか、入札企業の条件、制限というのはどういうものだったのか、お伺いいたします。

○塩見管理部長 答弁の前に、先ほど、いいかげんな初期値という先生のお話がありましたんで--私はここでは申しませんが、昨年の八月二十四日の火曜日の合同審査会、いわゆる経済・港湾委員会と特別委員会の合同審査会で、私が清水先生のご質問に答えておりますので、ぜひ議事録をお読みいただければというふうに思っております。
 それと、今の質問でございますが、ちょっと正確を期すために長くなりますが、恐縮ですが、本契約は、予定価格が二十三億円以上の土木工事であるため、政府調達に関する協定、いわゆるWTO案件に該当して、かつ予定価格が四億円以上の土木工事であるため、建設共同企業体、いわゆるJVによる工事として一般競争入札で行われました。
 入札企業の参加条件でございますが、まず施工実績として、JVの第一順位については、JVの代表者または単体の元請として、施工面積八ヘクタール以上で、盛り土量が二十万立方メートル以上の土地造成工事の施工実績、ベンゼンまたはシアン化合物による汚染土壌、かつ油含有土壌における掘削微生物処理、洗浄処理、加熱処理及び地下水浄化処理の施工実績を求めております。
 また、六街区のJVの構成員については、順位を問わず、建設発生土五十万立方メートル以上を海上輸送した実績を求めております。
 次に、JVの出資割合ですが、適正な構成員を確保するという観点から、第一順位の構成員については各街区とも三五%を下限とすること、最下位の構成員については、五街区で八%、六街区で三%、七街区で一〇%を下限とすること、第一順位の構成員は、構成員中、最大の出資比率を要すること、各構成員の出資割合は、上位の構成員の出資割合を上回らないことを規定しております。
 次に、公共工事の入札に参加する建設業者の企業規模、経営状況などの客観事項を数値化した経営事項審査、いわゆる経審の総合評定値ですが、JVの第一順位については千二百五十点以上、JVの第二順位以下については、それぞれ千点以上、千百五十点以上、千二百五十点以上と、各街区に応じて規定しております。
 最後に、すべての構成員において、指名停止期間中の者でないこと、経営不振の状態にない者であること、東京都契約関係暴力団等対策措置要綱に基づく排除措置期間中の者でないことなどを規定して、該当しないことが定められております。

○清水委員 今いろいろご説明いただきましたが、確かに中には、契約のときに必要なことはあるでしょう。しかし、一の条件及び二の条件を満たすこととして、一の条件を満たす企業は三十者です。二の条件を満たす企業が五者、そして、建設共同企業体の構成員の中に、三の条件を満たすとして十者が該当するというので、それぞれその名前は黒塗りにして私たちにお示しいただきました。限られた企業しか参入できないような、そういう実態があったんではないですか。お伺いいたします。

○塩見管理部長 まさに、先生方が求めております豊洲新市場における土壌汚染対策工事というものは、万全を期すということでございますので、生鮮食料品を取り扱う市場用地の安全・安心を確実にしていくことが不可欠でありますことから、まずガス工場操業に由来する汚染物質を確実に処理することができると。次に、盛り土の移動や汚染土壌の掘削など、膨大な土量を決められた期間で処理していく必要があり、施工や工程管理の面でも非常に難しい工事であることから、確かな施工能力と確実な進行管理が必要であると。このため、請負業者には、石炭ガス製造に伴う汚染の特性を熟知していることに加え、工事で予定している微生物処理や洗浄処理などの汚染処理方法に関する知識や経験があることや、土を掘削、運搬する土木工事の実績も当然必要でございます。
 さらに、対策工事を行う敷地が、三街区ともそれぞれ十二ヘクタールを超えるという大規模であるため、工期厳守の観点からは、建設資機材の調達や工事の施工能力、さらには工程管理の能力が不可欠でございます。
 入札参加に関する資格要件は、このような観点から、汚染処理の知識、経験に加え、大規模工事の実績を求めたもので、私どもは、まことに適切であったと考えてございます。

○清水委員 今回の工事内容が、今いわれたように複雑で、さまざまな経過のある工事であるにもかかわらず、ほぼ同様の落札率になったことに、その競争性とか信頼性の点で疑問は残らないんですか。そういえるのですか。

○塩見管理部長 落札率は必ずしも全部一緒なわけではありませんが、競争性の確保という点ですが、繰り返しますが、この本契約は、政府調達に関する協定、いわゆるWTO案件でありまして、内外無差別の原則に立って、広く門戸を開放した形で調達を実施することがまず求められております。
 例えば、入札参加資格における事業所所在地要件の設定は禁止され、入札の公告は入札の四十日前までに行わなければならないほか、契約方法は入札が原則とされております。
 本工事を発注する際には、先ほどもお答えしましたとおりに、土地造成工事の施工実績や汚染物質の処理実績など、土壌汚染対策を確実に実施するために必要な参加要件を求めており、この要件に対しましては、技術会議公募資料など都の所有する資料や各社ホームページでの公表資料などにより、JVの代表者となる者については、少なくとも五者が資格要件を満たすことを、入札公告前に確認しております。
 また、三つの契約はすべて一般競争入札により締結をいたしておりまして、五街区、七街区については二グループによる競争入札となっており、六街区につきましても、本件のような電子入札では、入札参加者には他者の参加状況を知ることはできないため、各事業者はあくまで不特定多数の者と競争することを前提に参加する仕組みとなっております。
 このように、発注から契約に至る手続は、全体を通じ、競争性が十分確保されたものとなっていると考えております。

○清水委員 それでは、都には、今回の入札についての談合情報が寄せられた経過はあるのですか。お伺いいたします。

○塩見管理部長 起工所管部署、私どもの新市場整備部に対して、外部から談合情報の提供がありましたので、当該情報につきましては、速やかに契約所管部署である財務局に伝えました。

○清水委員 その情報を受けたのはいつか、そして、どういう対応--財務局に知らせたということはわかっていますけれども、財務局の中ではどういう対応がされたんですか。

○塩見管理部長 談合情報が寄せられましたのは八月二十五日であり、当日中に財務局へ報告してございます。
 談合情報があった場合につきましては、談合情報取扱要綱に基づき、その取り扱いについて、談合情報検討委員会による調査等を行うこととされております。
 具体的には、談合情報の提供を受けて、談合情報検討委員会を設置し、調査の必要性の判断を行い、入札参加予定者からの事情聴取を行い、誓約書を徴取した上で入札執行となります。
 これらの手続は、財務局におきまして適正に行われたと承知しておりまして、開札は予定どおり八月二十九日に行われました。

○清水委員 財務局からお伺いしたところ、調査を行った場合には、契約担当者などは、調査を行った談合情報について公正取引委員会へ連絡するとともに、必要に応じて警察署に連絡するというふうになっています。財務局に、八月二十九日の入札後に公正取引委員会に報告したということを伺いました。入札を行う前に公正取引委員会に連絡をするという方法もあったんではないかというふうに私は思います。
 もしかしたら、ほかの議員にも行っているかもしれませんが、七月三十一日に、私たちのところに談合情報がファクスで寄せられました。その談合情報というのは、六街区が清水建設JV、五街区が鹿島建設JV、七街区が大成建設JVで、受注者は既に決定しているというような内容でした。これを今回の結果と照らし合わせてみますと、談合情報というのはこちらです。(パネルを示す)一番左のところ、鹿島建設、そして清水建設、七街区が大成建設です。そして、結果として落札をした企業は同じ、五街区で鹿島建設、六街区で清水建設、七街区で大成建設です。
 今説明されたようにされているということですけれども、やはりこういう結果になったわけです。これについてはどう認識していますか。

○塩見管理部長 結果といいますのは、私ども再三にわたりお答えしていますように、少なくとも今回の土壌汚染対策工事における入札参加資格、落札率、談合情報の取り扱いについては、私ども適正に対処しておりますので、何ら問題なく契約締結は適正に行われたと考えております。

○清水委員 最初に指摘しましたけど、落札率は九七%という高率になっています。私は、一たんこれを停止して、きちんと調査すべきだったんではないかと思います。
 しかも、確かな施工能力、汚染処理の経験などといわれましたけれども、資格要件という点についていえば、この中で一番大きい六街区を受注した清水建設というのは、東京ガスが土壌汚染対策工事を実施したときの実施企業です。しかし、汚染対策工事をやったはずなのに、その後の土壌汚染調査によって、高濃度汚染が明らかになったんではないですか。いわば欠陥工事だったとしかいいようがありません。
 そういう工事の中身を問わずに、実績の量だけで入札に参加させる、契約している、それでいいのかと。きちんと対策ができると考えているのですか。実績だけではなく、食の安全を保障できるかどうかの問題として考えなければいけないんではないですか。どうですか。

○塩見管理部長 先生ご指摘でございますが、私の記憶によりますと、先生たしか、田町の東京ガスのところの工事は民間でしっかりやっているというふうに聞いておりまして、記憶がございまして、それを施工しているのも清水建設だというふうに聞いております。

○清水委員 そういう説明じゃ納得できないんですよ、今いっていることは。私が何をいっているかわからないんですか。
 いずれにしろ、談合情報は情報として寄せられた、そして、実際もそのとおりとなったということについては、そう簡単に、これでよかったんだというふうに結論づけるというのは問題だというふうに私は思います。きちんと調査し、そして問題があればとめて、もう一度やり直すことを求めて、質問を終わります。

○塩見管理部長 今回の土壌汚染対策工事における、繰り返しになりますが、入札参加資格、落札率、談合情報等の取り扱い等については何ら問題なく、契約締結は適正に行われたと考えております。
 また、今回の手続の結果、十分な施工能力を持ち、汚染処理の実績を有した業者と、私どもは契約を締結いたしました。
 本工事につきましては、各街区はもとより、工事全体について、都として万全な体制で既に着手しているところであり、工事の実施に合わせ、十月の三十一日には、土壌汚染対策工事に関するホームページも開設いたしました。
 今後とも、工事の品質管理や工程管理、進捗状況等について情報公開等をしっかりと行い、市場用地の安全・安心に万全を期してまいります。

○清水委員 いろいろ私が問題を指摘したことを調査もしないで進めるということは重大問題だと思います。
 以上。

○伊藤(ゆ)委員 まず私からは、築地の市場、あるいは新市場における移転問題ではなくて、今、拡大をしている、特にアジアにおける水産物の消費量の拡大についてお伺いしていきたいというふうに思います。
 今、お手元に三枚の資料を配らせていただきました。これも参考になるかと思いまして、もうご存じのこととは思いますが、改めて配布をさせていただきました。
 近年、世界じゅうの方々がマグロを食べるようになったとよく聞いていますけれども、その数字を追いかけると、改めて消費者の拡大を実感いたします。
 これは、ペーパーはありませんけれども、まず、カツオ、マグロの漁獲量の推移です。一九七八年を基準に、あるデータがとられていますけれども、当時は世界で約百九十三万トンだった漁獲量が、今、二〇〇八年現在では約四百二十二万トンに達しており、三十年間で実に二・二倍にも拡大をしております。
 一枚目の資料が参考になるかと思いますけれども、国別の漁獲量を見れば、日本がその一一%程度の四十九・七万トンを水揚げしているのを初め、インドネシア、フィリピン、台湾と続いており、日本の漁獲量の多さは健在であることがわかります。
 一方で、消費量を見てみたいと思いますが、二枚目は、国会に提出されました平成二十二年度の水産の動向というものでございます。これを見ますと、国別の食用魚介類の供給量の推移では、中国の驚異的な増加率が見てとれます。世界に占める供給量、ここでは消費量とみなしたいと思いますけれども、一九六一年当時に比べて、日本が五二・八%しか伸びていないにもかかわらず、中国の欄をごらんいただきますと、三百二十三万トンから三千五百三十六万トンへと、実に十倍に拡大していることがわかります。所得の急増も手伝って、個人消費量もウナギ登りになっているわけであります。こうして考えれば、今後も中国や韓国における鮮魚の消費量の拡大は免れません。
 三枚目の資料を見ていただきますと、これは、民間企業で、水産がホームページ等に公表されているグラフでありますけれども、一人当たりの水産物の消費量が最もよくわかります。日本はおおむね横ばいということでありますし、欧米においても微増している程度ですけれども、韓国は一九六〇年に比べて、二〇〇〇年現在において四倍、中国では五倍の増加をたどっており、人口増と、それから所得、消費の伸びを考えれば、今後もこうした傾向が続くものと思われます。
 そこで、沖縄県では、ことし三月に、いち早く沖縄国際生鮮食品流通拠点化推進事業というものを立ち上げて、対中国輸出の確立などを目指した検討を始めました。これを沖縄方式と呼んでおります。注目したいのは、水産品の販路を海外に求めているところです。空港を流通の拠点とし、品質管理、輸出入ビジネスの確立を追求している姿は、時代に合ったものというふうに思います。
 そこで、築地市場において取引される水産物のうち、仲卸業者などにより海外に輸出されているものというのはどれくらいあるのか、その実態を定量的に把握しているのかをお伺いしたいと思います。

○横山事業部長 築地市場におきまして取引されます水産物は年間約五十三万トンでございまして、これは、卸売業者などの市場業者から、開設者でございます都に対して提出される事業報告書等によって把握されているものでございます。
 しかし、卸売り場で取引した荷が、最終的にどこへ販売されたかにつきましては、関係業者に報告義務を課しておりません。そのため、海外への輸出を含めまして、卸売市場としては把握しておりません。

○伊藤(ゆ)委員 今、答弁の中で、質問をしたような定量的な把握は行われていないというお話でありました。
 一方で、沖縄県もまた市場の設置者ということで、東京都と何ら立場が変わりません。しかしながら、販路拡大を目指して、こうした検討を進めているということであります。
 中国など海外における築地ブランドへのニーズが高まっている中で、なぜこうした海外への輸出実績の把握をされていないのか、改めてお伺いしたいと思います。

○横山事業部長 今ご答弁いたしましたように、市場業者の取引実績につきましては、東京都に提出されます実績報告書等によって把握されるものでございます。そこで把握できますのは、荷を市場業者と直接取引をする相手方、つまり、一次販売先と申しますが、そこまででございます。
 例えば、仲卸業者が販売した荷について、さらに別の業者、ブローカー等が買い受けて販売するような場合など、二次的、あるいは三次的、また、他の業者が介在する形で取引される実態は、決して珍しいものではございません。そうした場合は、荷の流れを正確につかむことは、業者であっても非常に難しい。最終的な行き先を把握することは、行き先のいかんを問わず、非常に困難でございます。

○伊藤(ゆ)委員 難しいことは想像できますけれども、これまでは市場開設者として、今お話しの範囲内の仕事でよかったんだと思います。
 先ほども、国際戦略港湾のことについて、港湾局と活発な質疑が交わされました。
 かつて港も、東京都は設置者としてその管理をすれば、ある一定の仕事を果たしたことになっていましたけれども、今や国際戦略港湾として位置づけられ、何をしなければならないかといえば、世界的な物流の流れというものを把握して、そして荷主のニーズに対応するような港をつくりましょうと。つまりは、ただ開設をすればいいということではなくて、世界の物流がどう動いているのかということを、まさに戦略的に分析をして、ハード整備をしていこうということでございます。
 そういう意味で、私は、この二〇〇〇年ぐらいを境に、今までは東京都が経営支援をすればいいという立場であったものが、これからは経営戦略支援まで含めていかないと、グローバル化した、かなり物流が変わった今のアジアにおける商売というものはなかなか成り立たないというふうに理解をいたしております。
 そういう意味で、卸売り場の役割が、都民に生鮮食料品を安定供給することにあるのは当然ですけれども、築地の魚を輸出していくことは、仲卸にとって、販路を拡大し、経営を支える重要なビジネスであるというふうに考えます。市場の開設者である都としても、築地の魚の海外販路拡大を目指し、仲卸業者に対する支援として取り組むべきであるというふうに指摘をしておきたいと思います。
 そして、卸売市場における今後の品質管理についても伺いたいと思います。
 国内の鮮魚が海外へも輸出されるようになった今日、水産物流通における品質管理の問題が指摘をされています。魚の絞め方とその後の温度管理は、魚の鮮度に直結する問題ですが、長い輸送時間の中で丁寧な管理がなされたかどうかは、特に海外のバイヤーにとって重要情報です。本来は、高い品質保証を求めたバイヤーが、市場を通じて目ききのできる仲卸にその機能を求めてきましたが、海外への空輸を考えたときに、輸送時間の短縮を目指して相対取引を優先するバイヤーがふえてきているのではないかというふうに思います。
 そこで、企業の中には、鮮度管理を証明するために、水揚げされた魚を発泡スチロールに詰める段階で、その発泡スチロールの内側に温度センサータグを取りつけるなどの工夫をしているところもあると伺っています。こうした試みは、鮮度の品質保証を行うもので、海外の遠方のバイヤーからも安心して買ってもらえる一助になるものというふうに考えます。
 このように、水産物流通においては、いかに鮮度を維持して顧客に魚を届けるか、企業がさまざまな努力をしているところですが、こうしたことは、海外輸出に限らず、国内向けの流通においても当然に重要視されるべきものというふうに考えますけれども、そうした輸出ニーズに伴う要請も含め、卸売市場において品質、衛生管理の充実を進めていくべきと思いますが、見解を伺います。

○横山事業部長 これまで東京都は、卸売市場における品質管理、衛生管理を向上させるため、低温卸売り場など温度管理施設の充実といいました、そういうハード面の整備に加えまして、法令の規定に基づく検査や業務指導のほか、業界と一体となって品質管理マニュアルを普及させ、SQMなど衛生や品質管理の責任者による品質保持や食品事故の際の対応など、ソフト面についても取り組んでまいりました。
 今後は、流通環境の変化に対応して、より高度な品質、衛生管理を目指して、既存市場の施設改善や先進的な卸売市場としての豊洲新市場を整備していくなど、卸売市場が備えるべき最も基本的な機能として、その充実に努めてまいります。

○伊藤(ゆ)委員 実はちょっと、さっきの輸出のことについては、私も大変思い入れが深くて、先日ベトナムに行ってまいりました。
 ホーチミンに行くに際して、ホーチミンの中に店舗を新たに出した飲食店の経営者の方々と一緒に行ってきたわけであります。その中には、おすし屋さんを初めとして、和食を経営されている方々が多かったわけですが、大にぎわいで、私は、ベトナムの所得がそんなに上がっているというふうに思いませんでしたので、客単価はせいぜい夜でも千円か二千円ぐらいしか取れないのかと思っていたところ、三千、四千円は、円で当たり前に取っていました。これは、日本人客を相手にしているんではなくて、ベトナム人の富裕層がかなり高い頻度で使われているということであります。
 まちをばあっと走りましたけれども、ベトナム料理屋さん、中華料理屋さん、場合によってはフレンチは、ベトナムの中でたくさん見かけますけれども、和食というのはほとんどありませんでした。
 これまでのベトナムの和食の常識は、ベトナム人がすしをまねたもの、いってみれば、かんぴょう巻きみたいなものを、すしだといってお出しになられていた程度で、本格的な日本の食文化というのは、店としては、まだ十分に発展していなかったということです。
 ところが、そこにおいて、焼き鳥屋さん、あるいはおすし屋さんがお店を出せば、日本の食文化に対する質の高さは有名ですので、お客さんが一気に集まったと、こういうことでございましたが、おすし屋さんに行って、実際にそのすしを食べてみました。日本人の、本当に努力をされている経営者の方ですので、本当においしく提供していただきましたが、その魚は、やっぱりベトナムの市場でとられている魚だということでございました。なぜなら、直送をする流通がまだ十分に備わっていないということ。やはり日本の築地から食べさせていただいている我々からすれば、例えばウニにしろ、あるいはイクラにしろ、エビにしろ、その地域でとれたものよりも、やっぱり日本の築地から運ばれてきたものはおいしいなという実感を得たところです。
 実は、そうした飲食経営者の方々が再三いわれていたのは、本当に日本から直送できるものがあれば、今や富裕層が幾らお金を出してもいいと、本当においしい刺身には幾ら金を出してもいいという人たちがたくさん出てきているので、そのことを、ぜひ国としても、東京都としても支援してもらいたいという話でありました。
 そこで、直送するに当たって、恐らく障害になるものが三つあるというふうにいわれていました。一つは関税です。そしてもう一つは検疫、そしてもう一つは、そでの下ということで、これは国によって事情は違うと思いますが、そでの下が必要なお国事情というものも各国あるかと思います。そでの下の話は、民間事業者同士の工夫によって、それを解決していかれればいいと思いますが、関税と検疫については、まさに一事業者では解決できない問題であります。こういうことを、まさに市場を開設しているからこそ、事業者から直接そのニーズを聞いて解決していく。一つには国に働きかける、あるいは他国に働きかけるということができるんではないかなというふうに私は実感をしているところでございます。
 そして、海外のバイヤー、ベトナム人や、あるいは最近、上海の方々から聞いたことですけれども、築地で直接買い物をしたいと。築地で直接買い物をして、そして、例えば自分が上海で上海人として飲食店をやっているけれども、そのお店に直接送りたいと思っても、これ、容易じゃないということでありました。どういう手続が必要なのかもわからないと、こういうことです。
 一方で、これもまたベトナムで別の機会の話ですが、家具を買いにベトナムに行ったときに、何にも通訳もほとんどない中でお店に行って、日本にこの家具を送りたいんだけど、どうしたらいいかっていうことは、本当に丁寧なマニュアルがそこのお店にあったり、あるいは役所としても、それを支援してくれるというような仕組みがありましたので、大井ふ頭に自分でとりに行ったということがありました。
 つまり、こういう買いやすさというものを役所のスキームの中でつくってあげることによって、あっ、日本の魚、本当にうまいということが世界各国に知れ渡り、今、内需において冷え込んでいる築地の市場というもの、あるいは仲卸さんたちの経営というものが、一気に飛躍的に伸びていく可能性を秘めているというふうに思います。これを本当に、今、零細でやられている仲卸さんたちに自分で販路を探してこいというのは、いささか厳しいものがあると思いますので、ぜひ東京都のスケールメリットを生かした組織で応援をしてあげてほしいということを切に要望いたしたいと思います。
 次に、盛り土の調査について伺いたいと思います。
 ちょうど去年の今ごろでありましたけれども、都議会の連合審査会において、盛り土の一部において試験頻度を満たしていないという、豊洲新市場予定地に運び込まれた土があるということが報告をされました。この試験というのは、平成十四年から公共事業で出たその土を豊洲新市場予定地に運び込む際に、都市整備局がみずからつくった内規に基づく試験です。二千立米に一回、土質調査を行ってから、ちゃんと盛り土をしようということで都市整備局がみずから定めたものでしたが、残念ながら、一部満たされていない、そうした試験がちゃんと行われていない公共工事現場からの土というものが運び込まれてしまいました。
 これを重たく受けとめた東京都は、それまで予定をしていなかった盛り土の追加調査というものを、当時、原島座長などの提言を受けて決定をしたわけでございます。
 つまりは、そもそもは二千立米に一回ちゃんと調査されていれば行う必要のなかった追加の盛り土の調査というものが決定をし、つい最近、それが予算要求として全体額が明らかになったと聞いております。この追加調査に係る経費というのは一体幾らになるのか、お伺いしたいと思います。

○加藤基盤整備担当部長 盛り土の調査経費につきましては、約二十億円と見積もってございます。

○伊藤(ゆ)委員 本当に二十億というのは大変な金額だというふうに思います。都市整備局の盛り土問題があったときに--化学性状試験っていうんですね、これ、一個一個、土を試験にかけていくと--一本当たり幾らぐらいするのかを事業者に聞いたところ、一本二十万円以上はするということでしたので、私の記憶ですと今回七千カ所ぐらいある、化学性状試験をしなければいけない対象の量を考えますと、確かに二十億円ほどかかるのではないかというふうに思います。しかし、これ、本当に大変な金額であるというふうに私は思います。
 この盛り土の追加調査に係る経費を負担する局はどちらになるのか、お伺いしたいと思います。

○加藤基盤整備担当部長 理事ご指摘のとおり、昨年八月に開催いたしました技術会議におきまして、市場用地としての安全・安心に万全を期す観点から、盛り土の材料として搬入された土壌について、土壌汚染対策法上最も厳しい調査内容である、百立方メートルごとに、二十五物質を対象に調査を行うこととの提言を受けております。
 盛り土の調査につきましては、こうした技術会議の提言に基づき行うものでございまして、市場用地の安全確保に責任を持つ市場が経費を負担することといたしております。
 なお、盛り土の材料として搬入された土壌に対する安全性につきましては、都市整備局が昨年十一月に、土壌の搬入記録や土壌の化学性状試験の結果である計量証明書などの関係図書の確認に加え、土壌の搬入状況や、盛り土工事に従事した職員などへのヒアリングなど、徹底した調査を行った結果、搬入された土の安全性は確保されていると考える旨の調査結果を取りまとめてございます。

○伊藤(ゆ)委員 私も、百四十八件の公共工事の、現場は見てませんけれども、リストを拝見させていただきました。例えば、地下鉄の公共工事とか、さまざまな公共工事から出てきたその残土を盛り土にしたわけです。ですので、通常、こうした地歴を考えれば、大きな汚染というものは出てこないだろうというふうに私も推測をいたします。それの上乗せとして、都市整備局はわざわざみずから内規を定めて、二千立米に一回、あくまで市場をつくるから、徹底的に調査をしておこうということで内規を定められたということでありました。
 これは二千立米に一回の調査という定めであったわけですけれども、それを一部怠っていたことによって、百立米に一カ所ごとの試験を行うことになってしまったわけであります。今、答弁にもあったように、徹底した調査を行った結果、土の安全性は確保されていると。本来、確保されているんであれば、二千立米に一回ちゃんと調査をしてさえおけば、わざわざ百立米に一回の調査を行う必要はなかったと私も確信をしています。そういう意味で、二十億円もの経費を投入せざるを得なくなった都の責任は大きいというふうに思っておりますが、盛り土の追加調査を市場が負担することについて、市場長の見解を伺いたいと思います。

○中西中央卸売市場長 都市整備局は、昨年度の都市整備委員会などの場で、みずから定めた試験頻度を満たさないまま土の受け入れを行い、これにより都民の都政に対する信頼を著しく損ねたことを深くおわびする旨、反省の弁を述べております。
 こうした経過を踏まえまして、中央卸売市場といたしましては、盛り土部の土壌を含め、生鮮食料品を取り扱う市場用地の安全・安心を確保することがみずからの責務であることから、万全を期すため、技術会議の提言に基づき、盛り土の調査を行うこととし、その経費を予算要求させていただいたものでございます。
 盛り土の安全対策を含め、土壌汚染対策に全力で取り組んでまいります。

○伊藤(ゆ)委員 こうした内規が十分に守られていなかったということを重たく受けて万全を期すことは、私も評価をしたいと思います。しかし、本来支出する必要のなかった二十億もの金額というものを支出せざるを得なくなった責任は重たいと思います。
 今回、ちょうどきょう、朝刊に各局の予算要求額が出ておりました。今、東京都を挙げて招致をしようと思っているオリンピック招致経費がおよそ二十億です。今回の、まさに、やらなくてもよかったかもしれないという、この盛り土の追加調査に係る費用も約二十億です。本当に金額としては極めて大きいということを、改めて認識をしていただきたいと思います。
 一方で、あの連合審査会でおわびをされてからこの方、だれかこの問題で責任をとったんでしょうか。だれもとっていないんじゃないでしょうか。私が聞く限り、この人に責任があった、あるいは少なくとも引責という形で口頭注意だけでも行われたという話は一回も聞いていません。現に、だれも処分もされておらず、その責任の所在もあいまいであります。せっかく報告書まで、二千立米に一回、怠っていたということの報告書をつくられるんであれば、その報告書に膨大な時間を費やすよりも、私は、ちゃんとだれかが責任をとるという姿勢こそが求められるというふうに思います。
 きょうは、市場長がたまたま元都市整備局の理事者ということもありますので、このことはぜひ胸に刻んでいただいて、都民の、あるいは東京都全体の、これ、公金でありますので、その公金の取り扱いにおいては、こうした指摘を厳粛に受けとめていただきますようにお願いを申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。

○三宅委員 私からは、原発事故に伴う生鮮食料品の安全・安心の問題、特に牛肉の放射能汚染について伺います。
 本年七月に、放射性物質に汚染された稲わらが十八道県で流通したために、稲わらを与えられた牛の肉から暫定規制値を超える放射性物質が検出される事態となり、既に販売された牛肉の回収や検査が全国で行われ、岩手県、宮城県、福島県、栃木県では、一時的に出荷制限が指示されました。
 そこでまず、出荷制限の前後では、食肉市場への肉牛の入荷や取引価格の推移はどうであったのかをお尋ねします。

○横山事業部長 食肉市場への生体による入荷頭数は、放射性物質の汚染が発覚する前の七月の四日には四百十頭でございましたものが、出荷制限指示後の八月一日には百七十六頭と落ち込みました。
 しかし、出荷制限が解除された後の九月五日には三百二十三頭、十月末の時点で四百頭を超えるなど、ようやく回復しております。
 ところが、食肉市場での取引価格は下落したままであり、取扱量が多い和牛の去勢、A4ランク、これを例にとりますと、十一月一日の価格で、昨年の平均の千七百十五円に及んでおらず、千四百四十四円にとどまっております。特に、福島県産のものは八百八十八円にすぎず、全体の平均価格の六割程度でございました。

○三宅委員 食肉市場では、卸会社が民間検査機関での検査枠を確保して自主検査を始めてから、取引価格は大分安定したと聞いておりましたが、今の答弁では、まだ十分ではないということがわかりました。多くの生体の牛を集荷してきた食肉市場としては、食の安全対策はもちろん、産地側の出荷支援のための価格安定化についても、適切な対応が求められていると思います。
 生鮮食品の放射性物質の検査については、産地で出荷前に検査が行われてきましたが、牛の場合には、と畜した後でないと放射性物質の検査ができないこと、また、放射性物質に汚染された稲わらを与えたことが判明したときには既に消費されていたことなどから、他の生鮮食品とは異なって、牛の生体を出荷した後の、と畜場での検査の充実が必要となると思います。
 こうした観点から、と畜場を併設する食肉市場では、既に中央卸売市場、福祉保健局や業界が協力し、入荷するすべての生体の牛に対する検査を目指しているとお聞きしておりますが、必要な体制の整備を早急に進めてほしいと思います。
 そこで、検査体制の整備の進捗状況について伺います。

○横山事業部長 中央卸売市場は、福祉保健局や卸会社等の業界と協力いたしまして、食肉市場における全頭検査の体制をできるだけ今月中に整備できるよう、今調整を進めております。
 現在、食肉市場内に適切なスペースを確保いたしまして、検査場所の工事を開始しております。検査に必要な什器、備品を購入するなど、検査施設の整備を進めております。
 今後、作業手順の確認作業や測定結果の検証、それから、作業員の習熟訓練などを完了することにより、予定どおり検査が開始できるよう努めてまいります。

○三宅委員 ぜひ予定どおり検査を開始できるように、よろしくお願いいたしたいと思います。
 ところで、同じく食肉の小売業者についても、厳しい風評被害に見舞われ、販売不振により、多くの在庫を抱えて苦しんでいることがあります。こうした小売業者を支援し、あわせて産地からの出荷を促すための対策も必要であります。
 そこで、販売を伸ばして価格を維持するには、食肉市場でと畜した牛がすべて検査済みで安全であることをアピールすることが必要であります。市場の具体的な対応を伺います。

○横山事業部長 福島県など四県の出荷制限が解除された後、産地からの牛の出荷は回復しつつはございますが、食肉に対する消費者の不安感から消費が伸びておらず、特に被災産地の牛肉の販売が低迷しております。
 こうした事態に、各地のと畜場では、検査件数をふやすとともに、一部で検査済み証明書を発行するなど、消費者の不安解消に努めておりますが、まだ十分とはいえず、多くが民間機関による検査及びその証明にとどまっております。
 そこで都は、食肉市場での全頭検査の体制整備を契機として、都が検査したすべての牛肉に対して、放射性物質を検査済みであり安全であることを明示した安全確認証を、市場として発行することといたします。

○三宅委員 都による安全確認証の発行は、消費者の安心を得る上で、民間機関による証明と比較して非常に効果的であると思いますが、現在、小売業者が受けている風評被害を早期に解消するには、安全確認証を発行するだけではなく、これを有効活用するとともに、食肉の安全を消費者にアピールできるよう、都が積極的にサポートする必要があると思います。都として、食肉市場でと畜した食肉が安全であることを消費者にアピールする取り組みについてお伺いします。

○横山事業部長 都は、食肉市場でと畜し、検査を経たすべての牛肉について、購入した仲卸業者や売買参加者に対して安全確認証を交付するとともに、これが小売段階の精肉店や焼肉店まで広く行き渡るよう依頼いたします。
 また、食肉市場でと畜した牛肉は検査済みで安全であることをPRするポスター、ステッカー、のぼりを作成し、小売店等で活用できるよう配布することで、牛肉の消費促進を支援いたします。
 さらに、中央卸売市場のホームページでは、全頭検査の開始を知らせるとともに、食肉市場でと畜された牛であることを、消費者が個別の識別番号から簡単に確認できる方法を紹介してまいります。

○三宅委員 全国の銘柄牛が集中して取引される東京の食肉市場において、全頭検査の体制を整える意義は大変大きいと思います。また、全頭検査していることを広く都民に周知し、安心して牛肉を食べてもらうことが、流通の回復、信頼の回復となるだけではなく、被災産地への支援となります。
 特に、ことしは放射能問題だけではなく、ユッケの問題などもあり、牛肉の消費はなかなか回復していないということを聞いております。牛肉の安全性確保は、島しょを含む東京の畜産業においても非常に重要であると思います。
 卸売市場は、全頭検査を確実に行い、また、そのことを都民へ周知することにより、都民の不安解消に全力を挙げて取り組むことを要望し、質問を終わります。

○伊藤(ま)委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○伊藤(ま)委員長 異議なしと認め、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で中央卸売市場関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後七時十二分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る