経済・港湾委員会速記録第三号

平成二十三年三月一日(火曜日)
第八委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十四名
委員長西岡真一郎君
副委員長しのづか元君
副委員長鈴木あきまさ君
理事伊藤 ゆう君
理事伊藤 興一君
理事川井しげお君
山崎 一輝君
大松あきら君
田の上いくこ君
佐藤 広典君
山口  拓君
清水ひで子君
藤井  一君
三宅 茂樹君

 欠席委員 なし

 出席説明員
産業労働局局長前田 信弘君
次長真田 正義君
総務部長三枝 健二君
産業企画担当部長澤   章君
商工部長山手  斉君
金融部長櫻井  務君
金融監理部長斎藤 真人君
金融支援担当部長十河 慎一君
観光部長横山 英樹君
農林水産部長保坂 政彦君
安全安心・地産地消推進担当部長岩田  哲君
雇用就業部長日請 哲男君
事業推進担当部長穂岐山晴彦君
労働委員会事務局局長山本 洋一君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 労働委員会事務局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十三年度東京都一般会計予算中、歳出 労働委員会事務局所管分
付託議案の審査(質疑)
・第七十八号議案 東京都労働委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
 産業労働局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成二十三年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為 産業労働局所管分
・第七号議案 平成二十三年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
・第八号議案 平成二十三年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計予算
・第九号議案 平成二十三年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第七十五号議案 東京都立職業能力開発センター条例の一部を改正する条例
・第七十六号議案 東京海区漁業調整委員会委員及び東京都内水面漁場管理委員会委員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例
・第九十七号議案 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター定款の変更について
・第九十八号議案 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターが徴収する料金の上限の認可について
報告事項(質疑)
・東京都産業振興指針二〇一一について
・新銀行東京の「平成二十三年三月期第三・四半期決算」について

○西岡委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書三件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○西岡委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○西岡委員長 予算の調査について申し上げます。
 平成二十三年度予算は予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成二十三年二月二十五日
東京都議会議長 和田 宗春
経済・港湾委員長 西岡真一郎殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、二月二十五日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月三日(木)午後五時

(別紙1)
経済・港湾委員会
第一号議案 平成二十三年度東京都一般会計予算中
歳出
繰越明許費
債務負担行為 経済・港湾委員会所管分
第七号議案   平成二十三年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
第八号議案   平成二十三年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計予算
第九号議案   平成二十三年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
第十号議案   平成二十三年度東京都と場会計予算
第十九号議案  平成二十三年度東京都中央卸売市場会計予算
第二十一号議案 平成二十三年度東京都臨海地域開発事業会計予算
第二十二号議案 平成二十三年度東京都港湾事業会計予算

(別紙2省略)

○西岡委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、労働委員会事務局及び産業労働局関係の予算の調査及び付託議案の審査並びに産業労働局関係の報告事項に対する質疑を行います。
 これより労働委員会事務局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、平成二十三年度東京都一般会計予算中、歳出、労働委員会事務局所管分及び第七十八号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○西岡委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○西岡委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑はいずれも終了いたしました。
 以上で労働委員会事務局関係を終わります。

○西岡委員長 これより産業労働局関係に入ります。
 予算の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第一号議案、平成二十三年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、産業労働局所管分、第七号議案から第九号議案まで、第七十五号議案、第七十六号議案、第九十七号議案及び第九十八号議案並びに報告事項、東京都産業振興指針二〇一一について外一件を一括して議題といたします。
 本案及び本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○三枝総務部長 去る二月二日及び十八日の当委員会でご要求いただきました資料につきましてご説明申し上げます。
 まことに恐れ入りますが、お手元の経済・港湾委員会要求資料の表紙をおめくりいただきたいと存じます。
 目次でございます。資料は全部で三十一項目ございます。このうち、1から22までが付託議案に対する要求資料、23から31までが報告事項に対する要求資料となってございます。
 まず、付託議案に対する要求資料でございます。
 恐れ入りますが、一ページをお開きください。このページから三ページにかけまして、中小企業対策、農林水産対策、雇用就業対策に係る過去十年間の当初・補正の各予算額並びに決算額の推移をそれぞれお示ししてございます。
 次に、四ページをお開きください。過去十年間の従業者規模別都内製造業の推移をお示ししてございます。
 次に、五ページをお開きください。平成十一年から、直近のデータがございます平成十九年までの都内小規模小売店の推移をお示ししてございます。
 次に、六ページをお開きください。平成二十年度から同二十二年度までの都の商店街振興施策の利用状況を事業別にお示ししてございます。
 次に、七ページをお開きください。平成十六年度以降の新・元気を出せ商店街事業の実績をお示ししてございます。
 次に、八ページをお開きください。新・元気を出せ商店街事業のうちの特定施策推進型商店街事業の申請状況につきまして、平成十八年度以降の実績を内容別にお示ししてございます。
 次に、九ページをお開きください。東京都新保証つき融資制度の承諾件数及び金額をお示ししてございます。
 表の一番下にお示ししたとおり、制度開始以降の累計で、承諾件数は千三百三十六件、承諾金額は百十九億円となってございます。
 次に、一〇ページをお開きください。平成二十三年一月末現在の中小企業設備リース事業の申込件数と金額並びに実行件数と金額をお示ししてございます。
 次に、一一ページをお開きください。派遣労働者数の推移及び都内における派遣労働者の雇いどめ等の状況をお示ししてございます。
 1として全国と東京の派遣労働者数の推移を、また、2として東京都における派遣労働者の雇いどめ等の状況をお示ししてございます。
 一二ページをお開きください。過去五年間の派遣元事業所数、労働者数、一般派遣事業・特定派遣事業別の賃金の推移をお示ししてございます。
 続きまして、一三ページから一四ページにかけまして、過去五年間の都立職業能力開発センターの応募状況と職業紹介実績及び就職率をお示ししてございます。
 一三ページに応募状況を、また、一四ページに職業紹介の実績及び就職率を、それぞれお示ししてございます。
 次に、一五ページをお開きください。過去五年間の都立職業能力開発センター、校別・科目別応募倍率をお示ししてございます。
 続きまして、一六ページから一七ページにかけまして、職業訓練における委託先ごとの委託訓練の定員、就職率の推移をお示ししてございます。
 次に、一八ページをお開きください。飯田橋と多摩にございます東京しごとセンターの利用者数、雇用形態別就職者数の推移を、あわせてお示ししてございます。
 次に、一九ページをお開きください。就職チャレンジ支援事業を初めとする就労支援事業ごとの雇用形態別就業実績の事業開始時からの推移をお示ししてございます。
 続きまして、二〇ページから二一ページにかけまして、区市町村別の農地面積、農業産出額の年次別推移をお示ししてございます。
 二〇ページにお示ししたのが過去十年間の区市町村別農地面積の推移でございます。一番下の欄に東京都の合計面積をお示ししてございます。
 また、二一ページにお示ししたのが過去十年間の区市町村別農業産出額の推移でございます。一番下の欄に東京都の合計産出額をお示ししてございます。
 恐れ入りますが、二二ページをお開きください。過去十年間の新規就農相談実績と新規就農者数の推移をお示ししてございます。
 次に、二三ページをお開きください。過去十年間の林産物生産額の推移をお示ししてございます。
 次に、二四ページをお開きください。過去十年間の援農ボランティア受講者数、認定数の推移をお示ししてございます。
 次いで、二五ページをお開きください。平成二十二年三月時点の市民農園の設置状況をお示ししてございます。
 次に、報告事項に対する要求資料でございます。
 まず、二六ページをお開きください。新銀行東京の再建計画の進捗状況をお示ししてございます。
 上の表にお示ししたとおり、損益計算書の当期純利益につきましては、再建計画上の平成二十二年度収益計画ではプラス・マイナス・ゼロでございますが、平成二十二年度第三・四半期時点では十億円となってございます。
 次いで、下の表にお示ししたとおり、貸借対照表の純資産につきましては、再建計画上の平成二十二年度収益計画では四百億円でございますが、平成二十二年度第三・四半期末では五百三億円となってございます。
 続きまして、二七ページから二八ページにかけまして、平成十七年四月から平成二十二年十二月までの新銀行東京の開業以降の月別の融資件数・残高・返済額・不良債権額の実績をお示ししてございます。
 二八ページの末尾の表にお示ししたとおり、平成二十二年十二月末までの中小企業向け融資の実行件数の累計は一万一千三百六十八件となってございます。
 続きまして、二九ページから三〇ページにかけて、平成十七年四月から平成二十二年十二月までの新銀行東京の開業以降の融資・保証実績で月別・メニュー別の件数・金額の実績をお示ししてございます。
 三〇ページの末尾の表にお示ししたとおり、平成二十二年十二月末までの中小企業向け融資と保証を合わせた実績の累計は、実行件数が一万八千五百八十九件、実行金額が三千七百十四億三千九百万円となってございます。
 恐れ入りますが、三一ページをお開きください。新銀行東京の開業以降の融資・保証実績で事業規模別の件数・金額(残高ベース)をお示ししてございます。
 平成二十二年十二月末時点の融資と保証の合計の件数は六千二百十三件、残高は七百五十一億円となってございます。
 続きまして、三二ページから三三ページにかけて、平成十七年度から平成二十二年度第三・四半期末までの新銀行東京の開業以降の融資・保証実績で事業規模別の件数・金額(実行ベース)をお示ししてございます。
 三三ページの合計欄にお示ししたとおり、平成二十二年度の融資実績は、十二月末時点で件数が三百七十七件、金額が四百十三億円となってございます。
 次いで、三四ページをお開きください。新銀行東京の開業以降の債務超過企業・赤字企業への融資・保証実績をお示ししてございます。
 一番右側の欄は平成二十二年度第三・四半期末の実績で、合計の件数は三千五百四十一件、残高は二百四十二億円となってございます。
 次いで、三五ページをお開きください。新銀行東京の預金規模別の預金者の件数・割合・金額をお示ししてございます。
 平成二十二年度第三・四半期末における一千万円以下と一千万円超の個人及び法人預金者の件数、金額及びそれぞれの割合をお示ししてございます。
 次いで、三六ページをお開きください。新銀行東京の預金規模別の預金者の件数・割合・金額の推移をお示ししてございます。
 平成十七年度から二十一年度までの各年度末及び平成二十二年度第三・四半期末における一千万円以下と一千万円超の個人預金者の件数、金額及びそれぞれの割合をお示ししてございます。
 恐れ入りますが、三七ページをお開きください。新銀行東京の融資実行先における無担保・無保証融資の実績の推移でございます。
 平成十七年度から二十一年度までの各年度及び平成二十二年度の各四半期における無担保・無保証融資の実行件数と実行金額をお示ししてございます。
 以上でご要求いただきました資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほど、よろしくお願い申し上げます。

○西岡委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○伊藤(ゆ)委員 それでは、私の方からは、未就職卒業者緊急就職サポート事業について、何点かお伺いしていきたいと思います。
 今、まさに未曾有の不景気の中で、各大学の卒業生ともに大変苦しい就職環境に置かれているということは、もういうに及びません。こういう不景気のときこそ、ある意味では優秀な人材を獲得するチャンスだと、一方ではとらえている中小企業の経営者の方もいらっしゃいます。そういう意味で、大企業志向の未就職者に将来性のある中小企業を紹介して、ミスマッチを解消する事業というのは高く評価できるものであります。
 こうした事業を通じて、これまで中小企業に関心を持たなかった多くの学生の人たちに中小企業への関心を持ってもらい、中小企業ならではの製品開発に傾注してもらえるようになることは、大変、東京都にとっても、国にとっても大きな財産につながるものというふうに思います。
 しかしながら、予算書を見ますと、この事業には十五億円の予算がつけられている一方で、対象人数は七百五十人になっています。そういう意味では、一人当たり二百万円もの経費がかかる見積もりになっているんですが、今後も不景気が必ずしも回復して景気が回復するとは限らない中で、こういう事業を継続していくことを考えますと、一人当たり二百万円もの経費がかかるのは、今後の事業継続の足かせにさえなるおそれがあるんではないかと思います。まず、十五億円の主な内訳についてお伺いします。

○日請雇用就業部長 未就職卒業者緊急就職サポート事業についてでございますが、これは、就職が決まらないまま大学等を卒業した方などを対象といたしまして、一カ月の研修と三カ月の就労体験の実施を通じまして正規雇用化を目指すという事業でございます。
 事業費の主な内訳といたしましては、支援期間中に未就職卒業者に支払う賃金等の人件費が約七億二千八百万円、研修費が約三億六千六百万円、企業開拓や企業と未就職卒業者のマッチングに係る相談等の業務に関する経費が約一億二千八百万円ということになっております。

○伊藤(ゆ)委員 今の答弁の人件費を割り返しますと、未就職者一人当たり一カ月間に二十四万円ほど充当されることになります。これはかなり高いですね。研修費、あるいはお給料に当たるものというふうに思いますが、企業インターンともいえる研修期間中に、大卒者の初任給の平均額を四カ月も支給する必要が本当にあるんだろうかというふうに思います。この政策は、生活支援というよりは未就職者の就職支援策であります。一人に多額の経費を投入するよりは、より多くの未就職者の支援に重点を置くべき性格のものではないかなというふうに私はとらえています。
 場合によっては、二十四万円もの給料を各企業が研修期間中に学生に払いますと、こういう今の企業の実情に照らせば、正式採用後の方が給料が安くなってしまうことも考えられるわけでありますので、予算執行の段階では、給与のあり方というものを改めて検証していただく必要があるかと思いますが、所見をお伺いします。

○日請雇用就業部長 この事業では、未就職卒業者は、支援期間中、民間受託事業者に雇用されることとなります。このため、賃金は、雇用主でございます民間受託事業者が決定することとなります。
 ご指摘の一人当たり月額二十四万円につきましては、通勤費のほか、健康保険、労災保険等の社会保険料も含まれておりまして、未就職卒業者に支払われる賃金額そのものではございません。この賃金額は、大学卒の初任給額をもとに積算したものでございまして、事業実施に当たりましては、市場実勢や法令等を踏まえました賃金設定となるよう、都としても適切に対応してまいります。

○伊藤(ゆ)委員 労働基準法等、賃金を定めた法令もあろうかと思います。ただ、私の事務所でも議員インターンシップがあって、学生の子たちが週に三回とか四回とか、一、二カ月間来てくれますが、これは完全ボランティアで、むしろ議員の側が、派遣事業者に対して五万円とか十万円とか払うような仕組みになっています。
 私の仲間でも中小企業を経営されている方がいまして、本当に優秀な人と出会えるということであれば、お金を少し出してでも、こういうマッチング事業に参加したいという意欲的な企業は決して少なくないと思います。そういう意味では、執行段階では、ぜひ企業の実情もヒアリングをしていただいて、果たして本当に幾らの金額というものが、研修期間中、最も妥当なのかということの把握に努めていただきたいと思っています。
 また、この制度の学生への周知方法についても伺いたいと思います。この事業が開始されるころには、学校を卒業している人たちがもちろんいらっしゃるわけですが、こういう方々への周知方法というのは、どのように考えていらっしゃるんでしょうか、お伺いしたいと思います。

○日請雇用就業部長 本事業におきましては、専用ホームページの開設や新聞広告の掲載など、さまざまな媒体を通じた広報を実施いたしてまいります。また、民間受託事業者のノウハウも活用しながら、利用を希望する方々に必要な情報が届くよう、取り組みを進めてまいります。

○伊藤(ゆ)委員 今、新聞などに広告を載せるということをおっしゃられたわけですけれども、聞くと、新聞広告の大体予算の見積もりは、何千万円か、数千万円というふうに聞いています。新聞広告も本当に小さなものから大きなものまであると思いますけれども、そのぐらいの予算規模の新聞広告ですと、必ずしも多くの未就職者の学生の目に触れるとは限りませんし、また、現実的に、未就職の方で、今アルバイトをしながら就職先を探している方が自宅で本当に新聞をちゃんととっているかというと、必ずしもそうとも限らないと思います。
 目に触れるか疑問の新聞広告だけではなくて--大学の多くには就職課というのがあって、未就職者の氏名とか住所を正確に把握しているケースがあります。そういう意味では、大学側と十分に連携をとっていただいて、未就職者に制度を伝えるDM、郵送物を出すのが効果的ではないかと思うんですけれども、その点についてお伺いしたいと思います。
 ちなみに、大学側も、都の予算で学生に対してDMを送って、例えば往復はがきで現在の就職状況などをアンケート調査できれば、これは大学にとっても一石二鳥だというふうに考えます。こうした大学のニーズにも柔軟に対応すれば、都も、大学も、未就職者も、大変ありがたい話になるかと思いますが、所見をお伺いします。

○日請雇用就業部長 本事業の広報に当たりましては、大学との連携を視野に検討を進めておりまして、各大学に事業周知への協力を依頼する予定でございます。また、大学の協力を得ながら、未就職卒業者に対しまして、大学を通じてダイレクトメールを発送するなどの効果的な周知方法についても、今後検討してまいります。

○伊藤(ゆ)委員 これは対象者が非常にはっきりしている事業でありますので、そういう対象者にピンポイントに届くような広告、周知をぜひお願いしたいと思っています。
 未就職者への研修費には、今の内訳をもとにすれば三億六千六百万円が充てられています。先ほど申し上げたように、私も、議員インターンシップ事業に参加して多くの学生を受け入れてきましたが、基本的なマナーや電話の受け答えなどというのは、研修というよりも、むしろ仕事の実践の中で身につけさせているところです。率直な感想は、できる子はできるし、できない子は一、二カ月の研修インターンではなかなか身につかないという感じがします。
 今回の制度理念は何といっても、研修事業というよりは就職のミスマッチの解消にあります。自分の特性に合った中小企業選びは、大企業ほど企業イメージがない分だけに困難で、迷いの生じるものだと思います。そういう意味では、研修期間の一カ月というのは、いわゆるマナー講座よりも企業情報の紹介や訪問に充てるべきではないかなと、こう思います。そのためには、事業に参加してくれる企業からの情報を詳しくとって、学生たちにその情報を伝えていく必要がございます。
 通り一遍の情報集約ではなくて、企業の特徴や、今後社運をかけるようなプロジェクト構想などを企業側のエントリーシートに書かせてみるなど、効果的な方法を検討するべきだと思いますけれども、所見をお伺いします。

○日請雇用就業部長 この事業を利用しまして若者を雇用しようとする企業に対しましては、民間受託事業者が企業訪問などを通じまして、企業PRの内容、手法等について意見交換やアドバイスを実施いたします。そうした取り組みを通じまして、若者に提供する企業情報につきましては、ミスマッチの解消につながる充実した内容となるよう工夫いたします。
 また、こうした情報提供ツールを活用いたしまして、未就職卒業者が企業研究、企業選択に主体的に取り組むよう促してまいります。

○伊藤(ゆ)委員 本当に、ぜひそうしていただければと思います。
 そして、事は、これは企業にとっても、学生にとっても、人生をかけた選択になります。企業にとってみれば、億を超える人件費を生涯賃金として支払うわけでありますし、学生にとってもまたしかりです。
 制度の運用に当たっては、くれぐれも柔軟でなければなりません。例えば、三カ月間の企業研修、インターンの中で、どうしてもこの企業じゃなかったという学生が出てきたり、あるいは、この子じゃなかったという企業が出てきてしまう可能性があります。しかし、一方では、お給料をもらっているからとか、あるいは企業にとっては都に負担してもらっているからという理由で、企業、学生双方がミスマッチだなとわかりながらも、三カ月終わった段階で断り切れずに就職という運びになってしまうのは本末転倒の事態です。
 もし、インターン中に、学生がこの企業じゃなかったというミスマッチを申し出た場合に、どのように対応されるのか、お伺いしたいと思います。

○日請雇用就業部長 正規雇用化を前提といたしました就労体験先企業の決定に当たりましては、民間受託事業者のノウハウを活用しまして、未就職卒業者の希望や適性、企業の人材ニーズ等を勘案しながら、双方を結びつけるきめ細かい対応を行うこととしております。
 こうした段階を経まして、体験就労に入ったものの、未就職卒業者からミスマッチにより体験就労を途中で終了したいといったような申し出があった場合につきましては、その原因を考慮しました上で、再度、別の企業で体験が可能というふうになっております。

○伊藤(ゆ)委員 これは大いにあり得ることだと思いますので、ぜひ柔軟な対応をお願いしたいと思います。
 次いで、技能検定についてお伺いしたいと思います。
 私は、本当にものづくりこそ、日本の産業を支え、日本の経済を支えているものというふうに思っています。
 技能検定試験は、技能者の地位向上を果たしていく上で大変有意義な制度であると思います。しかし、一方ではその社会的認知度が低いことに疑問を感じて、平成二十一年十月の経済・港湾委員会において、同試験をめぐる質疑をさせていただきました。今回は、前回の質疑を踏まえて、技能検定試験に関する都の現在の取り組みについて伺っていきたいと思います。
 技能検定試験を円滑に運用していくためには、事業者などの声を伺うことが大切であり、前回の質疑の際にも、検定委員や検定職種に関係する業界団体等を構成委員とする会議を新たに設置したらどうかということを質問させていただいて、現に設置していただいたというふうに伺っています。
 そこで、その新たな会議の設置状況や検討内容について、現在の都の取り組みをお伺いしたいと思います。

○穂岐山事業推進担当部長 都は、検定委員及び検定を実施する業界団体等で構成されます会議を平成二十一年十一月に設置いたしまして、その場を通じまして関係者と意見交換を進めるなど、現場ニーズの把握に努めております。
 これまでに三回開催いたしまして、平成二十二年十一月に開催した会議では四十六団体の参加を得て、国の動向に関する情報提供や技能検定試験実施上の変更点の周知に加えまして、さまざまな意見交換を行っております。さらに、受検生の安全確保など現場に根差した課題につきまして、参加者から提起され、議論がなされました。
 今後とも、このような取り組みなどを通じまして、的確な検定試験実施に向けた努力を重ねてまいります。

○伊藤(ゆ)委員 一言で技能検定試験といっても、この試験種目というか、扱う業界は本当にさまざまだというふうに伺っています。旋盤工から、それこそケーキ職人に至るまで、さまざまな技能検定試験があるということですので、業界団体といっても本当にさまざまな意見がそれぞれおありだと思いますので、こうした会議を通じて業界のニーズというものを正確につかんでいただき、それを国に上げるということは、今後のものづくりにとっても大変有意義だというふうに思います。
 ただ、私が品川区の旋盤加工工場に行ったときに伺ってきた話ですけれども、二十代の、当時、ちょうど私と同じぐらいの年齢の旋盤職人の人がいっていたのは、とにかく旋盤工をやっていて、結婚したくても、これは給料だけの問題じゃなくて結婚できないんですということでした。何でそんなに結婚できないんですかというふうにいったら、いや、お見合い会場で、私、旋盤加工の職人なんだといっても本当に受けないんです、ITに勤めているとか、広告代理店に勤めているといえば、それは受けますけど--こういう話は現実にありました。
 技能検定の話がそのときにも出てきましたけれども、技能検定、私、今、一級を目指しているんだけど、一級取っても、取ることは大変なことだけれども、取っても、それがなかなか社会的に認知されないというじくじたる思いがあるという話を伺って、せっかくある制度で、業界の中では有名でも、なかなか広く一般社会には知られていない部分があろうかと思います。そういう声をぜひ拾っていただきたいということを、あわせて申し上げたいと思っています。
 特級や一級の技能検定試験は本当に難易度が高いことから、合格者の技能、技術の水準は、折り紙つきのものとして業界では高く評価されていますし、されるべきでもあります。しかし、技能検定試験制度自体の認知度が低いために、現実には満足な社会的評価が得られていないというのが実情であります。
 前回の質疑でも、都は技能検定試験制度の認知度を高めていく必要があるとの認識を示されましたが、技能検定試験制度の認知度向上に向けた、現在の都の具体的な取り組みについて、お伺いしたいと思います。

○穂岐山事業推進担当部長 都が実施しました平成二十一年度技能検定の受検者数は、特級から三級までを含めまして一万六百八十八人、合格者数は五千九百三十九人で、合格率は五五・六%と難易度の高いものとなってございます。年間受検者数は最近六年間でも毎年一万人を超えておりまして、製造現場では、ものづくり人材の技術、技能水準を示す国家資格として定着しております。
 こうしたことも踏まえまして、都は、技能検定の認知度向上などを目的といたしまして、技能検定を社員の能力開発に活用し、合格者を社内の処遇、地位に反映させるなど、検定を社内の人材育成に結びつけている都内中小企業を表彰してございます。
 また、企業や公共施設にポスターを配布するとともに、都のホームページに掲載することを通じまして、技能検定のPRに努めております。
 今後とも、こうした取り組みを通じまして、技能検定試験制度の認知度向上を強化してまいります。

○伊藤(ゆ)委員 ぜひ、技能検定に合格された方々が、さまざまな機会を通じて広く都民にPRできるような場ができるように、皆様にもご努力をお願いしたいと思います。特に、ガイアの夜明けとか、あるいはワールドビジネスサテライトとか、本当にものづくりを一生懸命取り上げている番組などもあります。そういうところにも紹介してもらえるような幅広いPRの方法というものも、ぜひ考えてもらえたらと思っています。
 同時に、職種によっては、技能検定士とか、技能検定という名称自体がちょっと使いづらいという声もありました。例えば、お菓子の世界ではパティシエだとか、あるいはワインの世界ではソムリエと呼びますけれども、こういう方々も、技能検定試験を受けると技能検定一級とか特級とか、こういう呼ばれ方になります。ただ、自分の名刺にパティシエと書いてある隣に技能検定一級というのが書かれていても、これはなじまないという声も現にあるかと思います。ですから、業界によっては、この名称というのも使い勝手のいいもの、悪いもの、普及しやすいもの、しないものがあると思いますので、ぜひそこも機会をとらえて調査していただいて、皆さんにとって有益なものに変えていってもらえたらと思っています。
 そういう意味で、よりよい制度に高めていくために受検者へのアンケート調査が必要だと思いますが、前回の質疑で、国に協力してアンケート調査を実施する予定があると、こう答えていただきました。そこで、受検者に対するアンケート調査については、都の現在の取り組みはどのようになっているのか、お伺いしたいと思います。

○穂岐山事業推進担当部長 都では、平成二十年度に国が実施いたしました全国調査の一環といたしまして、防水施工職種の受検者に対しましてアンケート調査を実施いたしましたが、この調査をきっかけといたしまして実技試験受検者の受入枠を拡大するなど、検定運営の改善に役立ててございます。
 このような調査は、技能検定と同様に全国一律に実施する必要がございますが、現在、国が技能検定試験の見直しに着手しているため、このような調査に関しましても、国の動向を引き続き注視してまいります。

○伊藤(ゆ)委員 提案させていただいた、こうした受検者に対するアンケート調査が役立っているということもわかりました。引き続き、こうしたアンケートを通じて調査を継続していただきたいと思っています。
 技能検定試験は、技能者が、みずからの技能の水準を確認しながら技能のステップアップを図る上で非常に有効であります。また、企業にとっても人材育成を進める上で大変有用であるというふうに私は考えています。
 ただ、一方で、技能検定に受かってしまうと、今度は採用している企業にとっては、若干でもお給料を上げてあげなきゃいけないと、こういうこともあるようです。そうした事業者と受検者のそれぞれのニーズというものも、これから正確につかんでいく必要があると。試験内容についても、職種によっては、今現場で使っている機械が日進月歩で相当進化していて、いってみれば試験内容の方が圧倒的に古いものになっているので、この試験内容を勉強しても今の技能には役立たないというようなものもあるようです。強いていえば自動車運転免許証のマニュアルみたいなもので、今マニュアルを取ってもほとんど使うところがないんですよ--こういうことが現にあるそうです。こうした試験内容についても、ぜひ都として正確な情報収集に努めて、国に働きかけていただきたいと思います。
 先ほども質問しましたが、ものづくり国家日本として大変重要な技能検定試験ですが、広く一般都民にはなかなか見えていません。技能者の育成を進めていく上で、技能検定試験制度が果たす役割は大きいと思います。最後に、この技能検定試験制度の果たしている役割について、東京都の見解をお伺いします。

○穂岐山事業推進担当部長 都では、これまで東京のものづくり産業を支える熟練技能者のすぐれた技能を高く評価し、表彰することなどを通じまして、技能の継承と技能者の地位向上とともに技能尊重機運の醸成に取り組んでまいりました。
 技能検定試験制度は、職業能力開発促進法に基づきまして、技能者が有する技能や知識を一定の基準によって検定し、公証する試験でございまして、技能者の技能と社会的、経済的な地位の向上を図ることを目的としておりまして、このような都の技能振興施策の一翼を担っております。
 技能検定試験制度は、技能者の技能を段階的に評価することによりまして、技能者の意欲を高め、多様な技能の定着を技能者に促しながら、ものづくり分野の人材育成に貢献するとともに、技能者の就職や処遇の改善等、地位向上にも大きな役割を果たしてまいりました。
 都は、東京の産業を支える基盤的技能を持つ人材の育成を図るため、引き続き技能検定の着実な実施に取り組んでまいりますが、事業仕分けにより技能検定事業への国庫補助が減額され、試験現場における経費の削減が迫られるなど対応に苦慮しているところでございます。

○伊藤(ゆ)委員 再三申し上げたように、本当に、技能検定試験は、ものづくりにとっては欠かせないものだと思います。
 一方で、事業仕分けによって国庫補助が減額されたということが今、お話の中にありました。事業評価のコメントというものが出ていますので、私も、この事業仕分けに当たっての事業仕分け人のコメントを読みました。そうしましたところ、いわゆる事業仕分けを行っている団体の役員報酬をカットすべきであるなどの、いわゆる団体に対する経費の節約というものが書かれていた一方で、ものづくりにおいての技能検定の重要性というものも、また付記されておりました。
 しかし、現実にお話を聞いていきますと、そうした団体の役員報酬が削られることなく、残念ながら東京都を初めとした地方の現場の経費だけが削られているという実情がどうやらあるようであり、このことは、今、事業仕分け人においても極めて不本意な現実にあるんだというふうに思っております。ですから、本来、事業仕分けにおいて削減されるべきところというものが削減されるように、我々としても強く働きかけをしていきたいというふうに思っていますし、同時に、ものづくりにおける技能検定試験制度の重要性というものは変わるものではないということを改めて申し上げて、質疑を終わらせていただきます。

○山崎委員 都立産業技術研究センターについて何点かお伺いいたします。
 東京の産業振興のためには、中小企業の技術力の強化が重要なことはいうまでもありません。しかし、東京の中小企業は、国際競争の激化や急激な円高などによって、かつてない苦境に今、立たされております。
 こうした中、都立産業技術研究センターの新本部が、五月に江東区の青海に開設され、東京のものづくりの新たな拠点として歩みを始めることについて、大きな期待とともに心強さも感じております。
 新本部では、新たに最新鋭の試験機器や設備を導入し、より付加価値の高い製品開発に向けた技術支援を総合的に行っていくとしております。また、先日の予算特別委員会で、我が党の林田議員の代表質問への答弁にもありましたとおり、企業がつくった製品を海外で販売する場合、国際規格に適合することが求められており、そうした海外の規制にも対応できる試験体制にしていくと伺っております。経済のグローバル化の進展をしっかりと見据えて、こうした支援を強めていくことは重要であると考えております。
 このように、新本部では、新たな試験機器の整備により、技術支援の拠点としてのレベルの向上が期待できますが、具体的にどのような試験機器を導入するのか伺います。

○山手商工部長 新本部の開設に伴いまして、老朽化した機器の更新を含め、新たに約百八十台の試験機器を導入する予定としてございます。具体的には、中小企業の高度な技術開発を支援する高度分析開発セクターには、電子部品やマイクロマシンなど超小型、高集積な製品開発を支援するための機器を初め、製品素材に含まれるごく微量な有害化学物質の検査や、製品のふぐあいを原子、分子レベルで原因究明するために必要な機器を配置いたします。
 また、製品の品質評価を行います実証試験セクターには、製品に温度変化と振動を同時に与えられる装置や、劣化や腐食を評価するための装置など、製品に対するさまざまな試験が行えるような各種機器を配置いたします。
 さらに、総合的かつ迅速な製品開発を支援いたしますシステムデザインセクターには、デザイン設計を支援する機器や、設計データをもとに短時間で試作品づくりができる最新の機器を配置いたします。
 これらの試験機器の導入によりまして、依頼試験や機器利用サービスなどの技術支援の充実を図りまして、付加価値の高い中小企業の製品開発や技術開発に貢献してまいります。

○山崎委員 世界じゅうの技術が目まぐるしいスピードで進んでおります。そのスピードに中小企業が速やかに対応できるように支援することが、公設の試験研究機関の役割の一つであると私は考えます。
 産業技術研究センターが、中小企業の研究開発を支援するために最新鋭の機器を導入し、それを多くの会社が手軽に利用できるようにすることで研究開発の幅が広がり、各社の持つアイデアを大きく開花させることにつながります。
 こうした機器を使って研究開発ができることを心待ちにしている企業はとにかく多いと思いますが、一方で、その使用料がどの程度になるか、本当に気になるところかと思います。本委員会でも機器使用料についての説明がありましたが、その料金設定の考え方について再度お伺いします。

○山手商工部長 企業が直接利用可能な試験機器の使用料につきましては、産業技術研究センターでは、通常、受益者負担の考え方に基づきまして、機器の減価償却費のほか、機器の使用準備などにかかる人件費、そのほか消耗品費など、サービス提供に必要な原価を積算いたしまして、これをもとに一時間当たりの料金を設定しています。ただし、中小企業が利用する場合には、中小企業振興の観点から全額の負担を求めず、減価償却費及び人件費を半額として積算する方法によりまして料金を設定してございます。
 この考え方に基づきまして、新本部に新たに導入される機器の使用料を設定した場合、最も高い機器使用料は、材料の表面や内部の微小な構造を原子レベルで観察できる透過型電子顕微鏡となってございまして、中小企業料金として、一時間当たり二万二千八十円に設定する予定でございます。

○山崎委員 機器の使用料については、本当にしっかりと、中小企業が十分に理解ができるような使用料を、ぜひ設定していただきたいと思います。
 中小企業が競争力のある独自の技術開発に取り組もうとすると、通常数年かかることが一般的だと思いますが、その多くの月日を費やした開発に成功すれば、企業成長の道が大きく開けますが、うまくいかなければ、その費用の回収が逆に大きな負担となってしまいます。
 このように、経営基盤の弱い中小企業にとって、新たな技術開発を行うことは大きなリスクを伴っており、それを軽減するために、産業技術研究センターのような機関が研究や実験のためのスペースを提供しながら、そしてアドバイスなども行うような取り組みが重要かと思います。
 そうした考え方を踏まえて、新本部では中小企業の技術開発の場の確保に向けてどのように取り組むのか、お伺いいたします。

○山手商工部長 中小企業の技術開発や新製品開発に当たりましては、迅速かつ低コストで最大の効果が上がりますよう、効率的な開発を行うことが大事でございます。このため、新本部には、中小企業が研究開発を行うスペースとして、低廉な価格で利用できる製品開発支援ラボを全部で十八室設けていきます。
 このラボは、機械のほか、情報、電気、化学の各業種に適した設備を備えた部屋となっておりまして、それに附帯して、入居者が共有して使用できる実験室や加工室を設置してまいります。現在の西が丘本部のラボは三室で、夜間の利用も制限されていましたことから、新本部のラボは質と量の両面から充実を図ったものとしてまいります。
 ラボに入居の中小企業に対しましては、産業技術研究センターの技術アドバイスや製品評価などの技術支援サービスを効果的かつ迅速に行いまして、付加価値の高い研究開発を支援してまいります。

○山崎委員 中小企業が製品開発支援ラボを効果的に利用し、多くの開発の成果がとにかく実ることを期待しております。
 新本部が開設される江東区の青海地区には、国の産業技術総合研究所を初めとした科学技術の振興を目的にする機関が集積しております。また、その周辺にも大学など教育機関が集まっており、東京都関連の機関でもある産業技術大学院大学や産業技術高等専門学校も立地しております。研究機関や大学などが集積する臨海部のポテンシャルを、センターとしても最大限に活用していくような着想も重要になるかと思います。
 産業技術研究センターの新本部では、移転を機に、さまざまな機関とできるところから連携を強化し、中小企業の技術支援に生かしていくべきと考えますが、どのような連携をとっていくのか、お伺いいたします。

○山手商工部長 産業技術研究センターの技術支援機能を高めていくためには、他の研究機関や大学等と連携いたしまして、それらの機関が持っている技術やノウハウを活用していくことが効果的でございます。このため、産業技術研究センターでは、移転に先立ちまして、昨年十一月に、多くの高度な技術を持っている独立行政法人産業技術総合研究所との間で、先端技術を活用する中小企業の振興に向けまして、技術開発や人材交流などの面で広範な協力関係の構築を目的とした新たな協定を締結したところでございます。
 また、中小企業の技術者が、高度化する研究開発や製造技術に対応していけますよう、産業技術大学院大学などの機関と協力いたしまして、高度産業人材の育成の技術セミナーを開催していくこととしております。
 こうした大学や研究機関との連携を強化する取り組みを進めまして、中小企業に対する技術支援機能の充実に取り組んでまいります。

○山崎委員 都内の中小企業の振興に向けて、ほかの機関との連携強化をぜひ進めていっていただきたいと思います。
 最後になりますが、多摩テクノプラザは、昨年の二月に開設後、多くの中小企業が利用していると聞いております。また、五月の新本部の開設に向けても、都内の多くの中小企業が関心を寄せ、早い開設を待ちわびていると思います。今後、この都内の二カ所の産業支援の拠点を核に、中小企業の技術支援ニーズに対し、柔軟かつ強力に事業を展開していくことが必要であると考えます。
 また、東京都の中小企業対策と連携して、より効果的な事業運営を行っていくことも重要であると考えます。産業技術研究センターには、中小企業の技術振興に向けて、しっかりとご努力されることを強くお願いしておきます。
 また、このたびの一連の産業支援拠点の整備によって設けられたさまざまな支援機能が発揮されるよう、東京都としても産業技術研究センターをバックアップしていくことが本当に必要だと思いますが、最後に局長の決意をお伺いし、私の質問を終わります。

○前田産業労働局長 東京の産業活力を高め、我が国日本の経済の発展に結びつけていくためには、都内中小企業の持つ技術力に磨きをかけ、国際市場で競争力のある製品を数多く生み出していくことが重要であります。
 現在、中小企業は、アジア地域を初めとする海外企業の追い上げがある中で、リーマンショック後の景気低迷や昨年夏以降の円高の影響を受けまして、厳しい経営環境に立たされておりますが、その克服に向け、技術力の向上に力を入れて活路を見出そうとしております。
 そうした中、東京都は、産業技術研究センター等の支援によりまして、中小企業が付加価値の高い製品を生み出し、事業としての採算を確保できる技術力を持つことができるよう、区部と多摩のそれぞれに支援拠点を設けることとして整備を進めてまいりました。
 この新たな拠点の整備は中小企業から長らく待ち望まれていたものであり、昨年の二月に開設いたしました多摩テクノプラザに引き続き、あと二カ月後になりますが、ことし五月に開設する新本部においても、最新鋭の設備と機器を備えた新たな支援体制をスタートすることにより、東京のものづくりを支える取り組みは大きく充実するものと考えております。
 今後とも、都内中小企業の研究開発が数多く花開くよう、都は、産業技術研究センターの積極的な活動を支え、後押しするとともに、同センターと一体になって技術振興に向けた取り組みを強力に推進してまいります。

○藤井委員 先日行われました予算特別委員会で我が党が主張させていただきました中に--国の緊急保証制度が、残念ながら今年度末をもって終了することになります。そうしますと、都がやっております機械・設備担保融資とか、あるいは地域の金融機関と連携した新保証つき融資制度、こういった東京都独自の融資制度の重要性が一層高まってくることになると思われます。そこで、我が党も強力に推進してまいりました、この二つの都独自の融資制度について何点かお伺いいたします。
 まず、機械・設備担保融資についてですが、これは平成十八年の予算特別委員会におきまして、我が党の議員が、不動産担保に過度に依存しない新たな融資手法というのは多くの中小企業の強い願いであることから、機械などの動産を担保とした新たな融資制度を創設すべきだと、このように提案させていただいて以来、その実現を求めてきたことが昨年の制度創設に結びついたものと考えます。
 私の地元、大田区ですが、零細企業の経営者の方からは、会社には担保となる不動産はないけれども、高価な機械もあります、また、トラックもあります、融資を受けるときに、これを担保として少しでもプラスアルファにできたら本当にありがたい、こういった切実な声を聞いているわけでございます。小規模企業、あるいは零細企業を対象とした、この制度への強い期待があるわけでございます。
 そこで、都は、この制度の創設に当たって、こうした小規模、零細企業の資金繰りを支援していくために、さまざまな工夫を凝らしてきたと思いますが、改めてこの制度について確認したいと思います。

○櫻井金融部長 機械・設備担保融資は、企業が保有する工作機械や車両等の動産を担保とする融資制度でございまして、従業員数が製造業では三十人以下、卸、小売、サービス業では十人以下の小規模企業を対象としております。
 本制度を利用する小規模企業の負担軽減を図るため、保証料を都が全額を補助いたします。また、信用リスクをより積極的にとった保証審査を促していくため、デフォルトにより保証機関に損失が生じた場合には、都がその一部を補助いたします。こうした手厚い措置によりまして、小規模企業の資金調達の道を開いてまいります。

○藤井委員 ただいまの答弁にありましたように、この制度を利用する小規模企業に対して、都が保証料の全額を補助すると、大変手厚い措置を講じているわけでございますが、それでは具体的に、個々の企業にとってどのぐらいの負担が軽減するのか、モデルケースを挙げて示していただきたいと思います。

○櫻井金融部長 本制度の保証料は、融資額、融資期間、保証料率及び保証機関、この場合の保証機関というのは保証会社のことでございますけれども、これらにより異なることとなります。
 モデルケースということでございますので、本制度の二つの保証機関のうち一つを例にとりまして、融資額を一千万円、融資期間を五年間、保証料率は本制度の上限の四%、この四%という保証料率につきましては、本制度では担保評価や担保の期中管理等にコストがかかるという性格を有していることから、四%以内というふうに制度で設定してございます。こうした条件で保証料を試算いたしますと、百十万円という保証料になります。
 保証を受けるに当たりましては、これを利用する企業は保証料を一括して支払うことになりますが、これを都が全額負担することによりまして、小規模企業にとりまして大幅な負担軽減効果が期待できるところでございます。

○藤井委員 大変、保証料の手厚い、まさに中小企業にとってみればありがたい制度だなと。資金繰りに苦しむ企業が多い中で、こういった制度がまさに待ち望んでいたものだというふうに思います。
 昨年、この制度によります融資を受ける第一号の企業が出たというふうに聞いておりますが、これまでの取り組みとその実績について、お伺いいたします。

○櫻井金融部長 これまでの取り組みにつきましては、信金中央金庫を保証機関とするスキームでは、昨年三月、五つの信用金庫で取り扱いを開始いたしまして、現時点では十一の信用金庫まで取り扱いを拡大しているところでございます。
 また、日立キャピタル株式会社を保証機関といたしますスキームでは、昨年九月に株式会社東京都民銀行を取扱金融機関として開始したところでございます。
 昨年九月に、信金中央金庫を保証機関といたしますスキームで、新宿区内の印刷会社の印刷機械を担保といたしました保証が初めて実行されたところでございます。

○藤井委員 ただいまありましたように、五つの信用金庫で取り扱いを開始し、十一の信金まで取扱金融機関を拡大しているということでございます。本当に多くの関係者の皆さんの努力、尽力によって、こういった金融機関が拡大し、第一号の企業が出たということについては、我が党としては大変大きく評価し、また、今後ともぜひ頑張っていただきたいというふうに考えるわけです。
 ぜひ、この制度をもっと多くの中小企業に活用していくべきだと、また、いってもらいたいと。そのためには、さらに実績を伸ばし、より利用しやすい、こういう制度にしていくべきであると考えますが、今後の都の取り組みについて、お伺いいたします。

○櫻井金融部長 動産を担保といたします融資の手法は、動産の担保価値の評価システムですとか、担保物件の標準的な管理手法が確立していないことなどから、具体的な事例が少なく、一般の中小企業にとりましても、もちろん金融機関にとりましても、なじみが薄いものでございます。したがいまして、融資事例などを活用しながら制度の理解促進を図り、普及に取り組んでまいります。
 また、都といたしましては、本制度を小規模企業にとりまして利用しやすい制度といたしますため、本制度の取り組み状況ですとか、他の類似制度の実施状況などにつきまして、取扱金融機関、保証機関、中小企業団体等と意見交換を実施してまいります。

○藤井委員 次に、地域の金融機関と連携した新しい保証つき融資制度についてお伺いしたいと思います。
 我が党は、平成二十年の秋のリーマンショックを契機に、厳しい経営環境に置かれた都内の中小企業の資金繰りを支援するために、この制度の一日も早い取り扱いの開始と、その積極的な推進を訴えてまいりました。この融資は、緊急保証制度をもってしても十分な資金調達が困難である中小企業に、新たな資金調達の道を開くものであります。
 私は、昨年のこの委員会における事務事業質疑において、この融資の目的、あるいはこの間の実績について確認させていただいたところでありますが、まず、新しい保証つき融資の現在の利用状況はどうなっているか、お伺いいたします。

○櫻井金融部長 地域の金融機関と連携した新保証つき融資でございますが、これは平成二十一年十月の取り扱い開始から昨年十二月末までの保証承諾の実績でございますが、千三百三十六件、百十九億円となってございます。本融資を利用いたします中小企業のうち、信用保証協会を既に利用している企業は八割を超えていることから、この中には制度融資によりましても資金調達が難しい企業も含まれているものと考えてございます。
 また、業種につきましても、製造業、サービス業、卸売業、建設業など幅広い業種に及んでおりまして、東京の産業を支えるさまざまな中小企業に利用されているところでございます。

○藤井委員 お聞きしますと、平成二十二年十二月末までに申込件数が二千四十八件あったそうでございますので、そのうち、今、答弁にありましたように千三百三十六件の融資の承諾があったということでございますので、大体約六割が承諾されているということであると思います。
 ただいま答弁にありましたように、信用保証協会の保証を、もうこれ以上受けられなくて資金調達が困難である企業も、東京都の新たな融資制度によって融資を受けられて、経営が、資金繰りが何とかうまくいったという、そういう声も聞いております。そういった意味で、この融資制度は創設の目的に沿った利用をされているということがいえるんではないかと思います。
 現在、中小企業は借り入れに大変慎重になっております。資金需要は低下傾向にあるといえますが、個々の企業によっては、売上高の減少などを背景に資金繰りが苦しい状況にある中小企業が都内にはたくさんあります。私の地元でも、中小企業の皆様から数多くの、本当に悲痛な、もう悲鳴にも似た声が寄せられております。
 こうした中、都内中小企業の、都の新たな融資制度に対する期待というのは、ますます高まっていると考えます。
 この融資は、取扱金融機関と一定期間取引のある都内の中小企業を対象としているわけですけれども、今後、より多くの都内中小企業がこの制度を利用していくためには、取扱金融機関をもっともっと拡大する必要があると考えますが、この点どうでしょうか。

○櫻井金融部長 現在、地方銀行、信用金庫、信用組合を合わせまして十九の金融機関が本融資を取り扱っておりますが、より多くの都内中小企業が本融資を利用することができますよう、取扱金融機関のさらなる拡大を図ることが重要でございます。
 本融資では、信用保証協会の保証の枠を使い切っていることなどから融資を受けることが難しい中小企業にも、一歩踏み込んだ融資を可能としておるところでございまして、また、地域の金融機関の目ききの力と保証機関の審査ノウハウを活用することによりまして、制度の安定的な運営を確保しているところでございます。
 こうした本融資の有効性ですとか、安定的な運営状況につきまして、現在参加を検討していただいております地域の金融機関に対しまして説明いたしまして、理解の促進を図ってまいります。
 引き続き、取扱金融機関の拡大に努め、厳しい経営環境にございます中小企業の資金繰りを支えてまいります。

○藤井委員 ぜひ、この拡大にさらに取り組まれるよう、期待したいと思います。
 緊急保証制度の終了が目前に迫っておりますけれども、都内の中小企業、特に小零細企業は、こういった資金繰りに大きな不安を抱えているわけです。信用保証協会の保証に頼らない東京都独自の取り組みであります、機械・設備担保融資や地域の金融機関と連携した新しい保証つき融資については、今後ともしっかりと取り組み、さらに拡大していただくよう強く要望したいと思います。
 次に、企業間連携、産学公連携の推進についてお伺いいたします。
 私の地元の大田区を初め、都内にはまだまだ数多くの製造業の中小企業が集積しております。大企業の生産拠点が海外に移転したり、あるいはリーマンショック以降の景気後退などの影響で、多くの中小企業は大変厳しい経営環境にありますけれども、それぞれの企業を見ますと、大手の企業にも負けない、すばらしい、あるいは高度な技術を持った中小企業が数多くあります。
 これらの企業が厳しい経営環境を乗り越えて躍進していくためには、先進的な製品をつくり出していく新しい技術、新しい製品を積極的に、特に海外に拡大していくということが今後求められるわけですが、例えば介護用ロボットなどは、中小企業のすぐれた技術によって、一日も早い実用化が望まれているわけでございます。こうしたロボットは、いろいろな技術を複合してできるものでありまして、中小企業が単独で開発するということはなかなか困難であります。いろんな技術を持った中小企業同士が、お互いの持っている力を発揮して、相乗効果を発揮するということが何よりも重要であります。
 このような企業同士の連携を図る試みの一つとして、異業種交流というのがあります。いろんな分野の技術が交流することによって、新たな製品、新たな技術のヒントを得る、あるいは新たなパートナーに出会えることによって事業展開が広がるといったことが可能であるわけでございまして、私の地元大田区でも異業種交流グループの活動は大変活発で、毎年開催されます、おおた工業フェアでも、こうしたグループが製作した魅力ある製品が多く展示されております。
 東京都でも、産業技術研究センターにおいて異業種交流グループを毎年組織していると聞いておりますが、具体的にどのような活動を実施しているのか、まずお伺いいたします。

○山手商工部長 ただいまお話ございました異業種交流は、異なる分野の中小企業が、お互いの強みや経営資源を持ち寄りまして、新たな製品開発やビジネスチャンスの創出につなげていくものでございまして、中小企業の活性化にとっては極めて重要であると考えてございます。
 産業技術研究センターでは、昭和五十九年度から毎年度、参加企業を募集いたしまして、一つないし二つの異業種交流グループを結成しております。今年度は二つのグループを立ち上げました。現在、合わせて二十のグループが活動いたしておりまして、二百八十五社の中小企業が参加してございます。今年度は、これまでに合計七十七回の定例会を開催いたしまして、延べ一千百五十二名の方々が参加いたしました。また、先月には、参加企業がグループを超えまして交流し、情報交換を図るための合同交流会というものを開催いたしまして、百八十三名の方々が参加してございます。

○藤井委員 年七十七回の交流会の開催とか、活発に活動しているということでございますが、昭和五十九年から実施してきたということですけれども、これまでの活動の中から、どういう画期的な製品が生み出されたのか、具体的な共同研究開発の実績はどういうものがあるのか伺います。

○山手商工部長 異業種交流グループの活動からは、これまでさまざまな開発成果が生み出されております。例えば、皮膚病などの治療に使われます、太陽光に極めて近い照明灯ですとか、あらゆるタイヤの幅に対応できる、自動二輪車、オートバイ用の駐車機器などの新製品が開発されております。
 なお、この自動二輪車の駐車機器は、都が実施しておりますトライアル発注認定制度の認定製品ともなってございます。

○藤井委員 これからも多くの成果が出るよう、ぜひ、さらに推進していただきたいと思います。
 企業間の交流から画期的な製品が生み出された事例を紹介いただいたわけですけれども、企業が新しい製品、新しい技術を開発していくに当たっては、何といっても大学との連携が有効だというふうにいわれております。しかし、企業の側から見ますと、大学というとまだまだ大変敷居が高い。どこの大学がどういう研究をしているのか、どういう成果があるのか。また、東京には大学がたくさんありますので、どこと組めばいいのか。そういったことがなかなか中小企業にはわからないというのが現状だと思います。
 そこで、こういった課題があるというふうに聞くわけですけれども、産業技術研究センターとして、こうした中小企業と大学との橋渡しについてもさらに促進していくべきと考えますけれども、現在の取り組みはどうなっているのかお伺いいたします。

○山手商工部長 産業技術研究センターでは、大学などの最先端の研究を取り入れて高度な技術開発を行おうとする中小企業に対しまして、産学公連携コーディネーターによるマッチングを推進しているところでございます。現在は八名のコーディネーターを配置いたしまして、中小企業のニーズに応じて、これに対応できる大学等を選びまして、共同研究に向けた調整を行うなど連携を支援しておりまして、平成二十一年度は約四百六十件の技術開発や共同研究に関する相談に対応してまいりました。
 こうした活動の中から、例えば、食品工場などで使われます精度の高い異物検出システムや、太陽光発電の効率を高めます太陽光追尾装置などの共同研究が進んでございます。

○藤井委員 さきの第四回定例会におきまして、我が党の質問に対して、ロボット産業を初めとする三つの分野について、多摩地域においても企業、大学、そして公的機関及び金融機関によるネットワークを構築するとともに、共同研究等の企画立案とか販路開拓に向けた活動を支援する、ちょっと名前が長いんですが、都市機能活用型産業振興プロジェクト推進事業、これについて答弁がありました。この事業のこれまでの進捗と成果について伺います。

○山手商工部長 都は、多摩シリコンバレーの形成の核となる計測・分析器、半導体・電子デバイス、ロボットの三つの産業分野を、いわゆる産学公金の連携により振興する取り組みといたしまして、平成二十一年度から、ただいまお話ありましたが、都市機能活用型産業振興プロジェクト推進事業を開始いたしました。
 これまでに、三分野合計の参加団体数は、広域多摩エリアを中心といたしました中小企業、大手企業、また、首都大学東京を初めとした大学、金融機関など五百団体を超えてございまして、セミナーやイベントの開催等によりまして、これらの団体間の人材交流や連携を都域を超えて促進してまいりました。
 現在、連携については、接触型センサーですとか、電気自動車など十二の分科会が立ち上がっておりまして、共同製品開発や事業化に向けたビジネスモデルなどの検討を行っているところです。より高精度な計測機器の開発や、共同開発案件の大手企業への売り込み等の具体的な取り組みも生まれてきているところでございます。

○藤井委員 このように多様な主体の持つ技術力が結集された中から、単独の企業では開発が困難な、高度な製品が生まれてくるというふうに大きな期待をしているわけでございます。こういう取り組みを確実に成果につなげていくためには、場の提供とあわせまして、連携から生まれてくる新たな製品開発の取り組みに対して、資金の面からも支援を行うべきと考えますが、都の取り組みについて伺います。

○山手商工部長 他の企業や大学等との連携によりまして、単独の企業ではなし得なかった新しい付加価値を持った製品が生まれることが期待されます。一方で、外部の技術を導入する際には、開発初期におきまして、実現可能性の検証の段階から一定の費用が必要となってまいります。
 このため都は、外部の技術の導入可能性を検証する際に必要となる外部への委託研究費等の経費の二分の一を、百万円を上限に助成いたしますオープンイノベーション促進助成事業を来年度から開始することといたしました。
 また、検証後、本格的な新製品の開発段階に移りましたら、これまでも新製品・新技術開発助成事業による支援をしているところでございます。こうしたことにより、企業間や産学公の連携による新たな製品の開発を促進してまいります。

○藤井委員 最後に要望でございますが、我が党は、第四回定例会の代表質問におきまして、いわゆるロボット産業について提案いたしました。東京には、冒頭申し上げましたように、さまざまな高度な技術を持った中小企業がたくさんあります。それらの中小企業の技術を総合して、そして、いわゆる介護であるとか、あるいは家庭におけるさまざまなロボットの活用、そしてレスキュー、こういったロボットが活躍する分野は大きく拡大できるというふうに期待されているわけでございます。
 そういった意味で、産業技術研究センターが五月にできるわけでございますが、我が党は、ロボットを東京の、いわゆるロボット産業の発信地として世界に発信できるような、そういう技術を高度化し、さらには生活に密着した産業型ロボットを東京都が支援するよう訴えたわけでございますが、そのときの産業労働局長の答弁は、産業技術研究センターにおいて、メカトロニクスに関する効果的な技術支援を行ってまいります、ロボット産業の研究開発を着実に支援してまいりますという答弁をいただきました。
 ぜひ、日本が、東京が、こういったロボット技術を、本当に世界に発展、拡大できるように、今後、東京都が積極的に支援していただくよう要望して、私の質問を終わります。

○清水委員 職業訓練及び付託議案、第七十五号議案、東京都立職業能力開発センター条例の一部を改正する条例に関連してお伺いいたします。
 まず、一九九九年度、そして二〇〇九年度の、都の職業能力開発センターの校数と、センターが直接実施する施設内訓練の定員について、お伺いいたします。

○穂岐山事業推進担当部長 平成十一年度には、現在の職業能力開発センター、当時の技術専門校は都内に十七校ございまして、その施設内訓練の年間定員は七千七百九十五人でございます。平成二十一年度は十五校で、五千二百五十人となってございます。

○清水委員 今、ご説明にあったように、職業能力開発センターは、この十年余りで二校が減となり、都が直接実施する訓練定員は約二千五百人も減っていることになります。これまで、都の説明では民間へ委託したんだなどといっていますが、民間訓練と直接訓練とは、私は大きな差があることを感じてきました。
 それでは、失業者の再就職を促進するための、民間訓練を活用した委託訓練を実施していますが、訓練規模と実施状況について、現在の取り組みについてお伺いいたします。

○穂岐山事業推進担当部長 都は、リーマンショック以降、急激に悪化いたしました雇用情勢に的確に対応するため、緊急対策といたしまして民間教育訓練機関を活用した職業訓練を実施してございまして、平成二十二年度は約九千人の規模で実施しております。来年度は介護、保育などの人材需要の高い分野の定員を増加し、約一万人の規模で実施してまいります。

○清水委員 厳しい雇用状況が続く中、失業者の再就職を促進するための委託訓練そのものについて否定するものではありませんけれども、現在の委託訓練にも問題があると私は考えています。
 これまでにも、何回か委託訓練の問題について指摘させていただいてまいりましたが--ことしになってからも視察させていただきました。その訓練機関は、例えば施設内に昼食をする場所もない。一日の受講をされている方が昼食をする場所が必要だと私は感じるわけですけれども、その訓練機関を見に行きました。以前にお伺いしたところでも、そういうことについて、駅前といっても本当に雨が降ったらどうするのかなと。休み時間とか、昼食のときなんか雨が降ったらどうするのかなというような実感を持っていたわけです。
 日ごろ、都の直営施設である職業能力開発センターを視察させていただいておりますけれども、とても生徒たちには環境が整っていると。
 今、ご紹介しましたように、受講者が昼食するような場所がなく、直営訓練と比較しても環境がよくないというふうに感じました。
 また、パソコンの授業も拝見しましたが、ほんの何分かですけれども、受講生の中にはパソコンの作業に追いついていけないというような方も見受けられました。十数人程度の講習だったわけですけれども、そういうところにまで、今、きめ細かい訓練の指導体制になっているのかなというような懸念も広がりました。
 そこで、委託訓練の訓練体制と施設環境に対する都の認識についてお伺いいたします。

○穂岐山事業推進担当部長 都は、職業訓練を委託する際には、指導体制や就職支援体制とともに、施設設備、訓練の内容等を審査し、総合的に判断して受託先を選定してございます。また、委託後も訓練の適切な実施が確保されるよう、受託先に対して巡回指導を行い、充実した訓練が実施されるよう、必要に応じて改善指導を行ってございます。
 このような取り組みを通じまして、受託先におきまして訓練体制と施設環境の適正な水準が維持されているものと考えてございます。

○清水委員 前にも指摘させていただいたということもありましたけれども、これは民間がやっていることなんですということで、十分な回答をいただくことができなかったわけです。そういう民間の委託訓練には限界があるということは明らかではないかというふうに思うわけです。
 次に、資料を出していただきました。この中に、委託訓練の就職率の推移という資料をいただいております。これを見ますと、二〇〇七度は五〇・一%、二〇〇八年度は四一・四%、二〇〇九年度は三四・八%となっています。直営訓練の就職率、二〇〇七年度は七四%、二〇〇八年度は六三%、二〇〇九年度は六一%と比較して、各年度とも低くなっているというふうに思うわけです。今の雇用状況というのは、どちらにしろ大変厳しいということはありますけれども、明らかにこの差というものは、この資料の中でもはっきりしているわけですね。
 都は、そのことに対してどのように認識し、就職率向上に向けてどういうふうに取り組んでいるのか、お伺いいたします。

○穂岐山事業推進担当部長 職業訓練における就職率は科目によって異なるため、直営訓練と民間委託訓練とを一概に比較することは適切ではないと考えてございます。民間に委託している訓練は、厳しい就職状況にある事務、あるいはIT系の科目が多いことから、相対的に就職率は低くなってございます。
 こうした中、都は、民間委託先の就職率向上を図るため、巡回指導を通じて改善指導等を随時実施するとともに、委託先に就職率に応じたインセンティブ経費の支給などを行ってございます。

○清水委員 今、ご説明いただいたような、そういう側面もあるかもしれないんですけれども、これまでもいってまいりましたけれども、直営訓練が民間と比較して就職率の高さが評価に値するということを、私は、都は認識すべきだというふうに思うわけです。だからこそ、我が党は、施設の環境面でも就職率の面でも直営の比重をふやすように、今までも、これまでも求めてきているわけです。
 最近も、就職活動を行っている息子さんを持つ親御さんが話していましたけれども、息子さんは何社も申し込みをしている中で、今どき、企業への申し込みというのは携帯で受け付けているんだと、だから、携帯で申し込んだのだと、しかし、会社も携帯で断ってくるんだといわれました。今の就職活動はそんなものなんだろうかと、本人はとても傷ついて、親御さんは切ない思いをしているといわれたわけですけれども、こういう方が本当に多いのかなというふうに思います。そういう中でも、都の職業訓練が、環境の面でも体制の面でも、そういう人たちを励まして就職に結びつける訓練というのが、私は求められているというふうに思います。
 そこで、これから、多摩職業能力開発センターの移転、開設に伴って、武蔵野校が新センターに統合され、廃止されるというふうにしているわけです。確かに人数面では維持するというふうにいわれているわけですけれども、維持するだけじゃなくて、民間よりも比重をふやすということでは、この場所に今ある場所を統合したとしても、今ある場所を改修とか充実させて、訓練の規模を拡大するために役立てるというのが必要だというふうに思います。廃止して、それでいくというのは、働く人たちの願いに沿っていないものだと思います。
 東京都は、都民の生活と雇用を守るために、職業能力開発センターを廃止しないで、直接実施する職業訓練を、この場所でもふやすべきだというふうに思いますが、伺います。

○穂岐山事業推進担当部長 都が現在進めております職業能力開発センターの再編整備は、老朽化が著しい施設の更新に合わせまして、施設を大規模化し、機能を拡充するものでございます。武蔵野校につきましては、こうした考え方に基づき、多摩職業能力開発センターの移転、開設に合わせまして統合するものであり、訓練定員規模を確保しながら訓練内容を充実してまいります。
 また、都が実施しております職業訓練総体といたしましては、直営訓練と民間委託訓練を活用することにより、多様な訓練科目を実施するほか、急激な雇用情勢の変動等にも対応いたしまして、弾力的に訓練規模を設定しております。
 現在も厳しい雇用情勢が続いていることから、平成二十三年度におきましても、民間委託訓練の規模を拡大するとともに、都が直接実施する施設内訓練定員も現在の規模を確保することとしております。
 このように、都直営と民間委託との適切な役割分担を踏まえながら、引き続き公共職業訓練の充実に努めてまいります。

○清水委員 次に、産業交流拠点について伺います。
 地元八王子市は、多摩地域を代表する産業、商業の都市として発展してきました。しかし、最近では、デパートなど商業機能は立川などへシフトしているといわれるなど、八王子市の空洞化が懸念されています。そうした中、追い打ちをかけるように、先月二十三日、八王子駅ビルそごうの閉店が発表され、市民は大きなショックを受けているところです。
 都は、現在、中小企業を支援するための施設として、八王子駅の北口に産業交流拠点を整備することを予定していますが、この拠点は、地域の活性化にも大いに役立つ施設であると思います。八王子の空洞化を防ぎ、産業を活性化させるためにも、この拠点については機能を充実させ、きちんと整備していくべきだというふうに思います。そこで、この交流拠点の整備の進捗状況についてお伺いいたします。

○山手商工部長 産業交流拠点の整備につきましては、昨年度、拠点に必要となる機能のあり方について調査、検討を行いまして、今年度は、施設の規模等について関係局等とも協議しつつ、検討を進めているところでございます。
 来年度は、民間活力を導入する可能性など、整備に関する調査を予定してございます。

○清水委員 地元の意見などを十分に聞きながら、早急に具体化を図ることを要望しておきます。
 次に、中小企業振興条例についてお伺いいたします。
 我が党は、中小企業振興条例を制定し、中小企業の基本的な支援の考え方を示すべきだと主張してまいりました。しかし、これまで都は、東京都産業振興基本戦略とか、産業振興指針があるので制定する必要はないといってまいりました。
 都で策定した、こうした基本戦略や指針は重要ではありますが、現在まで二十近くの道府県で中小企業振興条例を制定しており、また、新たに制定を目指している県もあると聞いています。こうした流れを踏まえれば、やはり、都としても中小企業振興条例を制定すべきだというふうに考えますが、見解をお伺いいたします。

○山手商工部長 都は、ただいまお話がございました、東京都産業振興基本戦略及び東京都産業振興指針に基づきまして、これまで着実に中小企業振興施策に取り組んでまいりました。
 また、これまでの取り組みの成果と課題を踏まえるとともに、長引くデフレや円高等の影響など、先行き不透明な現下の経済状況に対応いたしまして、本年一月に、平成二十三年度に重点的に推進すべき取り組みについてまとめたところでございます。
 今後とも、この基本戦略及び改定した指針に基づきまして、着実に中小企業振興を図っていく所存でございまして、中小企業振興条例のお話がございましたが、制定する考えはございません。

○清水委員 冷たい答弁をされましたが、しかし、やはり周りの状況を見ながら、これは必要だということをぜひ認識していただきたいというふうに、改めて要望しておきます。
 次に、新銀行東京についてお伺いいたします。
 先日発表された二〇一一年三月期第三・四半期決算では、実質業務純益の黒字化となり、開業以来初の本業による黒字だとしています。これまでの決算の特徴は、本来の業務収益が赤字の中で収益に大きな影響を与えていたものは、貸倒引当金の戻り益でした。今回は、その貸倒引当金の戻り益が大幅に減少する中、営業経費の減少、預金利息の減少、有価証券の運用益によるものが利益に影響しているもので、銀行として立ち直っているものでも何でもないというふうに思います。
 本来の業務収益の中心となるべき貸出金利息から預金利息を引いた資金利益は二億五千万円にすぎず、利益の中心は有価証券による二十億の収益です。しかも、店舗は一店舗に縮小し、ATMを全廃するというのでは、銀行として体をなしておりません。
 さらに、中小企業貸し出しは依然として半分以下。それも、この資料にありますように、貸出相手は、あえて新銀行から借りる必要もない、規模の大きな企業がふえているわけです。小零細企業のための銀行という存在意義はもはやないということを、改めて指摘しておきます。
 そこで、今回、ATMの廃止がこれから行われるというふうにいわれているんですけれども、どのぐらいの経費の節減になるのか、これまでどのぐらいかかっていたのか、お伺いいたします。

○斎藤金融監理部長 新銀行東京は、本店のATMをセブン銀行が運営するATMへ入れかえた上で共同ATMコーナーを設置することを、先日、二月十七日に発表しております。これは、顧客サービスを大きく低下させることなく経費を削減することを目的とするものであると聞いております。
 なお、物件費の内訳は重要な経営情報でありますため、新銀行東京は、ATMにかかるこれまでに要した経費及び今回の廃止による削減額については明らかにしておりません。

○清水委員 利用者サービスというのは、今、低下させないということをいいましたけれども、一体どうなるんですか。お伺いいたします。

○斎藤金融監理部長 ATMの入れかえによりましても、主なサービスにつきましては、セブン銀行のATMによりましてこれまでどおり可能であり、顧客の利便性が大きく変わることはございません。
 なお、通帳記帳など一部の取引につきましては、本店の窓口で対応すると聞いております。

○清水委員 最後の、一カ所だけあったATMが本店からなくなるということで、先ほどセブン銀行ですか、そのATMがあるということをいわれましたけれども、実際にサービスが低下するということは明らかです。通帳記帳の時間の限りだってあるでしょうし。営業経費削減のために、それさえ残すことができなかったと。だから、経費削減の限界となっている中で、私は、きょう、これからただすんですけれども、都は、都の事業について新銀行を利用させ、そこから収益を上げられるようにするために必死になっているのではないかというふうに思うわけです。その実態はどうかということを、幾つか質問していきたいと思います。
 まず、二〇〇五年から公共工事代金債権信託事業を立ち上げて、取り扱いを開始してきました。これまでの実績についてお伺いいたします。
 また、新銀行が、この事業の取り扱いによって、どういう収入があるのか、また、新銀行が受け入れる収入の仕組みというのはどういうふうになっているのか、お伺いいたします。

○十河金融支援担当部長 公共工事代金債権信託は、公共工事を請け負う中小企業の資金需要に柔軟にこたえるために、信託の仕組みを用いて新銀行東京が独自に開発した商品でございまして、これまで着実に、その件数及び金額を年を追うごとに伸ばしてきておるものでございます。
 この信託の仕組みを用いているということから、その収益は、信託財産の管理、処分等に対する手数料であります信託報酬、これと、資金調達を行う企業にとっては金利に相当する信託受益権売却コスト、この二種類に分けて収入されているものでございます。
 信託報酬は、工事請負額から前払い金等を除いた信託元本に対しまして、原則として〇・三%となっております。
 また、信託受益権売却コストは、企業の資金調達額である信託受益権売却額、これに対しまして、本年二月一日現在で年率二・〇三七%となっております。

○清水委員 今までもらった資料によりますと、二〇一〇年度は約二百件、六十億円余りだということでいいんですよね。
 それで、今、お示しになりましたが、そういう仕組みの中で、今度、新銀行の決算を見ますと、信託報酬額というのがあるんです。その信託報酬額というのは二千六百万円だということになっているんですけれども、この公共工事代金債権事業の信託報酬の収入というのは、この中に示されているということでいいのか確認します。
 それから、信託報酬、ここでいう新銀行の信託報酬というのはどういう内訳になっているのか、お伺いいたします。

○十河金融支援担当部長 公共工事代金債権信託にかかる信託報酬は、お話のとおり、損益計算書の信託報酬、これに含まれております。
 なお、信託報酬の内訳につきましては重要な営業情報であり、新銀行東京は、これについて明らかにはしておりません。

○清水委員 幾つかの事業の中でも、公共工事代金債権からの収入が大きな比重を占めているということは明確になっています。この事業を、さらに住宅供給公社、新都市建設公社、道路整備保全公社、東京港埠頭株式会社、首都大学東京などの監理団体や、さらには区市町村など二十二団体に広げてきているということを、新銀行はホームページなどで公表しているわけです。
 次に、中小企業設備リース事業についてお伺いいたします。
 東京都は、新銀行東京を保証機関とした中小企業設備リース事業を行っていますが、この事業の内容と実績についてお示しいただきたいと思います。

○山手商工部長 中小企業等が将来に向けて成長、発展していくためには、設備投資は極めて重要な手段でございます。このため都は、本事業を実施することで、設備資金の調達が難しい中小企業に対しまして低廉な価格でリースを行い、設備の導入を促進することによりまして、中小企業者等の経営基盤の強化や生産性の向上を図ってございます。
 具体的には、都が、リース実施機関である東京都中小企業振興公社に出えんいたしまして基金を造成し、それを原資として公社が中小企業にかわって設備を購入し、中小企業にリースを行う仕組みでございます。
 事業開始から本年一月末までの実績は、リース実行件数が十七件、金額が約二億円でございます。

○清水委員 確認したいんですけれども、今、出えん金額というのは幾らだったでしょうか、お伺いいたします。

○山手商工部長 これまでの出えん金は約百七十五億円となってございます。

○清水委員 そうしますと、百七十五億円の出えん金で、現在までの実績は二億円ということになっているわけですけれども、実績についてはどう認識されているでしょうか。

○山手商工部長 リーマンショック後の景気低迷によりまして、中小企業の受注量は激減しておりまして、設備投資意欲が低い状況が続いてございます。
 昨年十二月に発表された日銀の十二月短観によりますと、製造業で多少持ち直しが見られるものの、二〇一〇年度の中小企業の設備投資計画について金額ベースで見ますと、全産業では対前年度比でマイナス八・三%と低い水準で推移してございます。
 こうした背景が、本事業の実績が上がらない要因と考えておりまして、今後ともPR、あるいは営業活動により実績向上に努めてまいります。

○清水委員 今の話ですけど、都の事業では、リース料率が五年物では一・七九八%ですか。ある民間のリース事業を利用している個人事業主に聞いたんですけれども、五年リース契約で一・七七%とのことでした。仕組みが違うといえばそれまでですけど、民間では保証料はとっていないと。この事業は、新銀行に二〇〇九年度に六億円が入る予定でしたけれども、五百三十万円余りの保証料収入だったようです。
 こうしたことについて、都のリース事業について、幾人かの方にお聞きしたんですけれども、ある信金の幹部の方は--信金というのは子会社で保証会社を持っているところもあるんだそうですね。しかも、自身で子会社がないところも共同でリース会社をつくっているんだそうです。都のメリットがどこにあるのかなどというようなこともいわれておりました。
 また、別の信金の方は、子会社があるところは、そこを利用しておりますと。ある信金では、支店が何店舗かあるから、リース会社へ職員を派遣しているんだそうですね。一店舗で最低一件は顧客を確保するようにというような指示があるので、最低、店舗数ぐらいの顧客はあるんじゃないかと語っております。
 また、区関連の産業担当者に聞きますと、民間リース事業と比較してメリットはないというようなこともいわれております。この事業の問題点を述べておられました。
 今、経済状況が大変だというようなこともいわれましたけれども、そういうようなときに利用できるというのが本当の中小企業支援だというふうなことではないでしょうか。
 次に、中小企業環境配慮取組支援融資についてお伺いいたします。
 保証協会の保証は必要としない融資で、都のスキームに基づいて日本政策投資銀行が中核金融機関となって環境評価を行い、利率を決定すると。新銀行は、公募で五つの金融機関のうちの一つに決定されました。二〇〇九年度は、預託金を二十億円支出する予算でした。
 そこで、この実績及びこの事業を二〇一一年度三月末に廃止するという予定だそうですけれども、廃止の理由についてお伺いいたします。

○櫻井金融部長 環境配慮取組支援融資は、経済活動と環境保全を両立させ、持続可能な経済活動の確立に貢献する都内の中小企業者に対し、事業に必要な資金を融資し、資金調達の円滑化を図ることを目的としまして、都が平成二十年度に創設した事業でございます。
 制度開始から平成二十一年度末までの実績でございますが、この間、リーマンショック以降、中小企業の設備投資への需要が大幅に減退する中ではございましたが、四件の実績を上げたところでございます。
 中小企業を対象といたしました環境に関連した金融につきましては、昨年度、国におきまして制度が創設されましたほか、地方銀行や信用金庫など都内の地域金融機関におきましても独自の取り組みが広がっております。都におきましては、本制度が先導的な役割を果たしたことから、三年間の実施をもちまして、今年度末に事業を終了することとなっております。

○清水委員 廃止の理由というのは今、わかりましたが、しかし、この間の実績というのは四件だったということでした。
 続きまして、NPO法人向け保証つき融資について、この制度をつくった理由、それから、この間の経過、実績、今後どうするのかということについてお伺いいたします。

○櫻井金融部長 NPO法人向け保証つき融資は、保健、医療、福祉等の分野で活躍するとともに、新たな経済主体としても期待が寄せられておりますNPOの資金調達の円滑化を図る目的から、平成十九年度からの三カ年の試行的な事業といたしまして実施いたしました。
 制度創設の経過といたしましては、平成十九年一月に本制度の企画提案を公募いたしまして、企画提案審査会を経まして、同年三月に保証機関を決定し、同年六月に提携金融機関が決定され、同年七月から取り扱いを開始したものでございます。
 制度開始から平成二十一年度末までの実績でございますが、NPO法人の側にも金融機関の側にもなじみの薄い取り組みである中で、一件の融資が実行されました。平成二十一年度末に三カ年の事業期間が経過したことから、事業を終了いたしました。

○清水委員 これも同じく、実績は一件ということで、廃止の理由というのはわかりましたが、実績はどうだったのかなということは検証する必要があるんじゃないかというふうに思います。
 資金管理方針が改定され、都債を保有する金融機関に対し、都債と相殺できる金額を預金することができるようになりました。新銀行東京の都債の引受実績は幾らですか。預金は行われたのですか。それぞれお伺いいたします。

○斎藤金融監理部長 都債につきましては、所管する財務局から、十年債引受シンジケート団における新銀行東京のシェアは〇・五%であると公表されております。
 なお、株式会社新銀行東京は、都債の引受実績につきましては公表しておりません。また、預金につきましても、個別の取引でありまして、その有無も含めて、他の金融機関と同様、当然ながら明らかにはしておりません。

○清水委員 二〇〇八年三月二十八日の記者会見で、知事は、各局の幹部に連携してもらって新銀行東京への支援を考えるよう指示したわけです。今、るるご説明いただきましたが、私にとってみれば、次々と新銀行への支援のための仕組みがつくられましたが、本当にこれが中小企業に役立ったのかと、役立っているのかということについては十分に検証する必要があると考えます。各事業から新銀行に入る収入を当てにしていたということは否定できないのではないかというふうに思います。
 今、産業労働局、また、各局に求められているのは、住宅リフォーム事業とか福祉充実とセットで、中小企業支援、雇用を広げる事業など、各地で立証済みの本当に役立つ中小企業支援策を、局の壁を乗り越えて検討することではないかというふうに考えます。そのことを申し上げて、質問を終わります。

○西岡委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時二分休憩

   午後三時十六分開議

○西岡委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○田の上委員 障害者雇用についてお伺いいたします。
 雇用情勢が一層厳しさを増す中で、求職者一人一人に応じた、きめ細かい就業支援を実施するとして、補正予算での緊急雇用対策並びに来年度予算案においても雇用就業支援に力を入れていることに理解をいたします。そして、就職が厳しいという状況は、障害者にとっても長年の課題であります。そして、当然、就業と同時に、障害者の職場定着支援が重要であります。
 地域の現状では、就職が決まっても離職者が多く、またその離職者の就労支援をしています。私の地元の江戸川区の場合は、二百三十名ほど就業しても離職者が七十名くらいになってしまうという状況で、決まっても、また離職者の就業を支援しという追いかけっこになっています。
 東京都では、離職者の現状をどのように認識しているのか、まずお伺いいたします。

○日請雇用就業部長 都が平成二十一年度に実施いたしました実態調査によりますと、回答がございました三万二千百四社の都内事業所におきまして、平成二十一年十二月一日現在で一万五千九百九十七人の障害者の方が雇用されておりました。また、同年一月から十一月末までの間の離職者数につきましては九百九十六人という回答がございました。
 この離職者のうち、一年未満で離職されたという方が一一・一%、一年以上三年未満で離職された方が二四・七%となっております。また、離職理由を見ますと、主な離職理由は、本人都合その他が二〇・一%、体調不良、けがが一七・八%、契約期間満了が一四・五%、転職が一一・五%というふうになっておりまして、障害者本人の事情に基づくものと推測される理由の割合が大変多いというふうに認識しているところでございます。

○田の上委員 ただいま、障害者ご本人の事情に基づくものが多いということでご答弁をいただきました。その本人都合の内容がどのようなものなのかということを含めて原因を探っていただき、今後に生かしていただきたいと思います。
 障害者の就労に関しては、さまざまな取り組みを研究し、施策を施行しているところとは思いますが、職場への定着支援は、東京ジョブコーチ支援事業以外は企業側に立ったサポート事業です。求職者一人一人にはきめ細かい支援が必要であるとしながら、障害種別によって、さらにきめ細かい支援が必要になる障害者の職場定着支援について、個人への対応がますます必要になると思いますが、ご見解を求めます。

○日請雇用就業部長 都では、障害者本人に対しまして、東京ジョブコーチ支援事業のほか、在職者向けの職業訓練等の施策によりまして、職場定着や雇用継続を支援しております。
 東京ジョブコーチ支援事業は、障害者及び企業の双方の状況に応じまして、職場環境の調整等の支援を行うものでございまして、必要に応じて、障害者の方の生活面を支援する障害者就労支援センターのコーディネーターと連携した支援を実施しているところでございます。
 さらに、今年度からは統括コーディネーターを三名配置いたしまして、進行管理や困難事例の対応など、多様なニーズに対応できるよう努めているところでございます。
 また、在職中の障害者の職業能力の開発、向上を図るため、東京障害者職業能力開発校におきまして、表計算ソフトの操作、あるいはパソコンによるプレゼンテーション技法など、現在の職務に加えまして、新たな知識や技能を習得する能力向上訓練を、年三回実施しているところでございます。

○田の上委員 東京ジョブコーチ支援事業においては、昨年十月末の質疑で、支援日数を原則として最大二十日としているが、この支援期間終了後においても、新たな問題が発生した場合などには、企業や障害者の状況を踏まえて柔軟な対応を実施とのご答弁をいただきました。
 ジョブコーチが支援期間を終えて、対応した例はどれくらいあるのでしょうか。カウンセリングの役割を果たし、離職につながらなかったなどの事例はあるのでしょうか。お伺いいたします。

○日請雇用就業部長 東京ジョブコーチ支援事業におきましては、障害者の方や職場の実情を踏まえまして支援計画を策定いたしまして、原則として最大二十日の支援としておりますが、新たな状況の変化などに対応しまして、適切に再支援を行っているところでございます。
 これまでの事例としましては、例えば、担当する業務が変わったとか、あるいは障害を持つ労働者の方の上司や同僚が異動した、それに伴う職務変更といったようなケースがございました。平成二十二年四月一日から十二月末までの間の再支援の件数は三十一件でございました。
 なお、把握しております限りにおきまして、この支援の直近の時期に支援者が離職したというケースはございません。

○田の上委員 適宜、再支援を行っていただきたいと思います。
 現在、各区市町村にある事業所が障害を持っている方を就労させ、長く就労してもらうための支援は、ハローワーク及び支援機関が行っているという状況です。ジョブコーチの制度はあるものの、障害者人口もふえ、就労者の人数がふえている中で、障害種別の特徴も含めて適切な対応をすることが求められています。
 東京ジョブコーチは、何名に対応する予算となっているのでしょうか。また、今後、ジョブコーチのニーズの見通しをどのようにお考えなのか、お聞かせください。

○日請雇用就業部長 平成二十二年度の東京ジョブコーチ支援事業の想定支援件数は、平成二十一年度の三百二十件を大きく上回っておりまして、四百八十件というふうにしているところでございます。
 平成二十二年四月から十二月までの間に三百五十四件の支援を行ってまいりました。また、ジョブコーチの支援依頼を受けてから迅速な支援ができているというふうに考えておりますので、現段階におきましては、支援ニーズに適切に対応しているというふうに認識しているところでございます。
 平成二十三年度におきましても、二十二年度と同規模の四百八十件の支援を想定しているところでございます。

○田の上委員 平成二十二年度と同規模の四百八十件の支援ということで、平成二十三年度もお考えになっているということをお伺いいたしました。就業者がふえている、求職者がふえているという状況をかんがみ、今後とも支援を考えていただきたいと思います。
 就業支援と定着支援は、どちらも必要不可欠です。ジョブコーチのみならず、なぜ離職者がふえるのか原因を研究し、定着に向けた一層の支援が望まれます。今後の方向性について、お考えをお聞かせください。

○日請雇用就業部長 さきにお答えしました調査におきましては、離職理由としまして、障害者本人の方の事情に基づくものというふうに推測される理由の割合が多くございました。一方で、厚生労働省が平成二十年度に七千五百事業所を対象に実施いたしました調査によれば、障害者雇用上の課題といたしまして、会社内に適当な仕事があるか、あるいは職場の安全面の配慮が適切にできるかといった項目の割合が高くなっております。
 障害者の職場への定着に関しましては、せっかく就職が実現しても早期に離職するということになると、障害者、企業双方にとって大きな損失となるものでございます。こうしたことを防ぐためにも、都は、今後とも、在職者向けの職業訓練による障害者の職業能力の開発、向上、あるいは東京ジョブコーチ支援事業による業務の再編成等を通じまして、障害者及び職場の双方が事業環境や障害者の体調の変化等に柔軟に対応できるよう支援してまいります。

○田の上委員 障害者個人の都合の問題や受け入れる企業側の意識の問題等、いろいろ悩ましいこともあるかと思います。二十三年度の予算は、雇用関連の分野は大幅に伸びている中、障害者就労に関しては今年度と同額、むしろ今年度の未使用の不用額が削られているというような形になっています。今後の求職者の増減並びに障害の傾向というものをしっかりと把握し、柔軟な対応を要望するものでございます。
 次に、雇用フェアについて伺いたいと思います。
 昨年、私の地域の近隣でいうと、十一月に墨田区で障害者就労支援フェア、十二月には江戸川区で障害者就労支援・雇用促進フェアというものが行われました。いずれも区と地元ハローワークの共催という形になっています。
 私も実際に足を運んでみましたが、来場している求職者はさまざまな地域から集まっており、江戸川区船堀で行われたフェアに関しては、八王子から訪れている方もいらっしゃいました。障害にも肢体不自由から知的障害など、いろいろございますが、遠方から訪ねてくる人のことを思えば、なるべく地域ごとに開催できないものかと思っております。
 また、遠方からやって来る例は珍しくないと聞きます。障害者の就労意欲と、企業と面会する機会がマッチせず、わざわざ遠方から訪れるわけです。各地域で雇用フェアを開くことが当然に求められていると考えます。
 そこで、まずお尋ねいたしますが、産業労働局ではどのような取り組みをしているのでしょうか。

○日請雇用就業部長 先生お話しの江戸川区の就労支援・雇用促進フェアにつきましては、これは江戸川区の就労支援センターとハローワークが提携した事業でございまして、ほかにも区市とハローワークが提携した取り組みをしている例があるというふうに承知しているところでございます。
 都は、東京しごと財団を通じまして、地域の就労機関や東京障害者職業能力開発校と連携いたしまして、平成十九年度から、障害者と企業の出会いの場でございます企業合同説明会を区部と多摩の両方で実施しているというところでございます。

○田の上委員 ご答弁いただきました区部と多摩での開催ということでしたが、各地域で雇用フェアを開くことは、求職者だけではなく、その地元にある企業にとっての意識づけにもなります。企業が所在している地域にも障害者がいて、就業を希望しているのだということが現実としてわかるのではないでしょうか。
 十二月の江戸川区障害者就労支援・雇用促進フェアでは、二十六社が参加し、百八十三名の面接人数、三百八件の面接件数という結果になりました。ところが、結果は、不採用件数が二百十三件、保留件数八十七件、採用人数は八名でした。また、八名のうち四名が江戸川区の方で、残りはほかの地域の方でした。
 さまざまな事情により不採用が多いものとは思われますが、採用されたうちの半分が地域外の方です。各地域で開催する必要について、どのようにお考えになるのか伺います。

○日請雇用就業部長 江戸川区を初め、都内各地で障害者就業にかかわるさまざまな機関が障害者と企業との出会いの場を設けることにつきましては、障害者の就労の機会や利便性の拡大といったことで大変有意義なことというふうに考えております。
 都は、こうした出会いの場を有効に活用していただくことができますよう、東京しごと財団を通じまして、書類の作成方法、あるいは面接の対応方法、就業意識の醸成等を内容といたします障害者就活セミナーの開催、また、実際に障害者の方が働いている事業場を見学して、就職への理解を深めるなどの取り組みを実施しているところでございます。今後とも、こうした取り組みを通じまして、障害者の就職を支援してまいります。

○田の上委員 障害者の就業には、さまざまな角度からの取り組みが必要であります。東京都障害者就労支援協議会では、各企業の代表者の方々も委員として参加されていますが、福祉保健局と連携し、ぜひ企業側のニーズも把握し、問題解決に努めていただきたいと思います。
 同時に、企業の意識醸成も必要ですし、また、部長がご答弁されましたように、求職者の面接等の訓練も必要であります。それでもマッチングがうまくいかない場合もあるかと思いますが、求職者、就職者がふえている現実をかんがみ、機会の拡大という意味で、就業先の開拓になお一層積極的に取り組まれることを要望して、私の質問を終わります。

○鈴木委員 それでは、私は、まず円高に苦しむ中小企業に対する金融支援について、お伺いさせていただきます。
 平成二十年の秋のリーマンショック以来、我が国の経済は大変厳しい状況が続く一方で、経済のかじ取りを行うべき国は有効な対策を講じることができないでいる。そんな中でも、都内の中小企業は日々懸命に努力しております。先日も、私の地元の工場協会に出てまいりましたが、もはや国政には期待できない、こんな声が広がっております。
 しかしながら、昨年夏以降、円高が進行しており、中小企業のたゆまぬ努力にもかかわらず、現場の経営者からも、輸出企業に納品価格の引き下げを迫られて、下請工場はいつ倒れてもおかしくない状況といった大変厳しい話を聞いております。
 そこでまず、今回の円高が都内中小企業の資金繰りにどんな影響を及ぼしているのか、お伺いいたします。

○櫻井金融部長 昨日十七時時点の東京外国為替市場における円相場は、八十一円六十七銭から六十八銭ということでございます。こうした円高は、昨年の夏以降、現在まで既に半年以上の間続いておりまして、都内中小企業への影響が広がりつつございます。
 例えば、海外へ直接製品を輸出している企業は、輸出先での価格競争力が失われるため、売り上げの減少や収益の悪化が考えられます。また、みずから輸出をしていない企業でございましても、輸出企業に部品を納品している企業は、取引先からのコストダウンの要求によりまして売り上げが減少することも考えられます。なお、円高によりまして輸入原材料の価格は低下する側面もございますが、そうした効果を、中小企業は大企業ほど享受できていないと考えております。
 このように、今回の長引く円高によりまして、都内中小企業の資金繰りの悪化が懸念されているところでございます。

○鈴木委員 昨年十一月に、我が党が円高対策の実施を求める緊急要望を行ったことを踏まえて、東京都は、緊急的な円高対策を行って、中小企業の現場の切実な声に迅速にこたえてまいりました。しかしながら、円高がこのまま続きますと、今後さらに経営環境が悪化して、資金繰りに苦しむ企業が出てくることが懸念され、さらなる金融支援が必要となってまいります。
 そこで、現在取り組んでいる円高対策の内容について確認するとともに、円高に苦しむ中小企業の資金繰りに、来年度予算においてはどのように対応していくのか、お伺いいたします。

○櫻井金融部長 都は、昨年十二月より、円高の影響を受けている中小企業の年末、年度末の資金需要に対応するため、セーフティーネット型の融資メニューでございます経営一般におきまして、円高の影響を受けている企業を融資対象に追加いたしますとともに、原則三営業日以内に保証の審査が行われます融資メニューでございますクイックつなぎの融資限度額を引き上げまして、制度融資におきまして緊急的な対応を行っているところでございます。
 今回の円高は、さらに長期化することが懸念されるため、都は、来年度、制度融資に円高対応融資メニューを創設いたしまして、五百億円の融資枠を確保いたします。さらに、このメニューを利用するすべての中小企業に対しまして、保証料の二分の一を補助することとしております。
 これらの措置に必要な経費といたしまして、来年度の予算案に、預託金や信用保証料補助で、合わせて百十五億円を計上しているところでございます。

○鈴木委員 それでは、ただいま答弁のあった新たな円高対応融資は、具体的にどのような企業を対象とするのか、また、中小企業の置かれている厳しい状況を考えれば、こうした対応はすぐに実施すべきと考えますが、所見をお伺いいたします。

○櫻井金融部長 今回創設いたします円高対応融資では、直接間接に輸出のウエートの高い企業を対象とすることを考えております。具体的には、例えば過去一年間の売上高に占める輸出比率が一定割合以上の企業ですとか、過去一年間の輸出企業への売上比率が一定割合以上の企業といった基準を、現在検討しているところでございます。
 実施時期につきましては、本年四月より取り扱いができますよう、引き続き検討を進めまして、長引く円高で厳しい経営環境に置かれました都内中小企業の円滑な資金繰りを全力で支えてまいります。

○鈴木委員 しっかりと予算を成立させて、四月一日より速やかに円高対策融資を実施できるよう、しっかり準備、調整を進めていただきたいとお願いいたします。
 さて、今回の円高に対しては、都がしっかりと対策を行っていることはわかりましたが、付随して、もう一つ質問させていただきます。
 チュニジアに始まった民主化の流れが中東全域に拡大している中で、主要な産油国の一つであるリビアの情勢も不安定化したことによって、原油価格の上昇が続いております。中東情勢の混乱から、さらなる原油価格の上昇が予想されております。原油価格の上昇が今後も続いていくであろうということだと思います。こうした原油の高騰がこれ以上進めば、世界経済はもちろん、都内中小企業にも影響が及ぶことが懸念されます。
 そこで、こうした原油の高騰に対しては、これまでも制度融資において対処してきたというふうに記憶しており、今後のこういった懸念に対しても同様にしっかり対応すべきと考えますが、ここで改めて確認させていただきます。

○櫻井金融部長 制度融資では、これまで経営支援融資の一部のメニューにおきまして、原油等の仕入れ価格が一定割合以上、上昇しているにもかかわらず、製品価格に転嫁できない中小企業につきまして、その融資対象としてまいりました。来年度からは、さらに、今申し上げました経営支援融資のすべてのメニューにおきまして、こうした企業を融資対象にすることとしております。こうした措置によりまして、今、副委員長ご指摘の原油価格の上昇に対しましても適切に対処してまいります。

○鈴木委員 円高は長期化の様相を呈しておりまして、原油高という新たな事態も起こりつつあります。また、本年三月末には、これまで中小企業の資金繰りを支えてきた緊急保証制度も終了することになっております。中小企業を取り巻く厳しい経営環境はまだまだ続くことから、都は、来年度も引き続き、しっかりと中小企業の資金繰り支援に取り組むことが必要であり、そのために必要な措置が二十三年度予算案に盛り込まれていることを確認することができました。
 制度融資を初め、地域の金融機関と連携した保証つき融資や機械・設備担保融資など、都独自の融資制度を積極的に推進し、万全の措置を講じることを要望させていただきます。
 また、あわせて、都は、昨年の夏からの円高の進行に対して、中小企業支援団体等の関係機関との連携を図りながら、円高が都内中小企業に及ぼす影響等について、その把握に努めてきたというふうには聞いておりますが、来年度以降も、経済情勢等を踏まえて必要な調査を適宜行うなど、引き続き中小企業の経営実態の把握に努め、経営支援や金融支援など都内中小企業の必要とする施策にぜひ取り組んでいただきたいとお願いいたします。
 さて、次に、中小企業の受注の確保の支援について、お伺いさせていただきます。
 長期化する円高傾向により、都内の中小企業は、相変わらず受注の減少や、厳しいコスト削減競争というふうにいってもいいと思うんですけど、直面しております。
 このような厳しい状況を中小企業単独で克服していくのは、なかなか難しいのではないでしょうか。実際に、発注企業側からもグループ発注や一括発注を求められることが多いというふうに聞いております。中小企業が、限られた経営資源や経験を持ち寄って、新たな取り組みに挑戦していくことが必要ではないかと私は考えております。
 都は、既に中小企業のグループ化への促進に向けた支援として基盤技術産業グループ支援事業を実施しておりますが、これまでの取り組みと実績について、まずお伺いさせていただきます。

○山手商工部長 都は、平成二十年度より、ただいまお話にございました基盤技術産業グループ支援事業を開始いたしまして、ものづくり中小企業がグループを形成いたしまして、互いの技術やノウハウを持ち寄り、受注体制の強化に向けて行う取り組みについて支援を行ってございます。現在では二十グループ、八十四企業を対象に支援をしています。
 これまで採択したグループの中では、完成品メーカーの下請として高品質の部品を提供してきた大田区の企業が、脱下請をテーマにグループを形成いたしまして、液晶デジタル看板の開発に成功する例など、厳しい経済環境の中でも着実に成果を上げてございます。

○鈴木委員 この脱下請プロジェクトというんですが、グループ開発製品第一号である液晶デジタル看板の事業化に着手したということですね。地域の多様な資源を活用しながら、販路、ブランドの確立までも視野に入れたものづくりを進めており、大変期待しているところであります。
 都が、中小企業のグループ化の促進に向け、積極的に事業に取り組まれているとともに、グループ化により成果を上げたとの事例です。今、いただきました資料を見ますと、二十年度から二十二年度に採択された二十グループ、この一覧表を見せていただきましたけれども、なかなか期待のできる、共同事業のテーマとなっているというふうに思います。これらは中小企業の参考となる成功事例でもあるわけであり、今後もしっかりと、この事業に取り組んでもらいたいと思います。
 しかし、世界経済の中でも、中小企業の置かれた状況は急速に変化いたしております。円高の進行等もあり、中小企業のパートナーであった大企業が生産拠点を海外に移しており、中小企業はこれまでのようにまとまった発注を受ける機会が少なくなってきております。その一方で、大企業は次世代の産業として環境やロボットなど新たな分野にも乗り出そうとしており、中小企業の高い技術力をその開発に生かせればとの思いを持っております。
 こうしたことから、これらの中小企業は、技術力をさらに高めて、より付加価値の高い製品や技術を開発することが求められております。それだけではなくて、個々に高めた技術を組み合わせて、大企業への売り込みまでを一つのグループとして行うぐらいでないといけなくなってきております。開発だけではなく、販売までをグループにして戦略的に取り組むことが重要だと考えております。
 都は、こうした状況に置かれた中小企業に、開発から販売まで支援すべきと思いますが、所見を伺います。

○山手商工部長 ただいま副委員長、お話ありましたとおり、大手メーカー各社は生産拠点を海外に移しておりますが、その一方で、研究開発機能を国内に集約する動きもございます。こうした中、中小のものづくり企業は、大量発注への対応から技術力の高度化へのシフトが求められてございます。このため、来年度から新たに、ものづくり産業基盤強化グループ支援事業を創設いたしまして、高度な技術力をつくり出すため、開発、生産、営業体制の仕組みづくりに共同で取り組む中小企業グループを支援いたします。
 具体的には、グループの共同事業にかかる経費を最大五千万円まで助成するほか、プロジェクトマネジャーや販路開拓などの専門家から成る事業推進チームを派遣いたしまして、共同事業の立ち上げから事業化に至るまで、グループの活動をきめ細かく支援していきます。これにより、個別企業では対応が難しい、発注者からの高度化するニーズに対応できる中小企業グループを各地域に創出いたしまして、東京のものづくり産業の活性化と基盤技術の維持向上を図ってまいります。

○鈴木委員 ものづくり企業のグループ化を促して、開発から販売までの戦略的な取り組みを支援することは非常に重要であると思います。せっかくの新規事業ですから、より多くの企業に利用してもらうよう、きめ細かく、しっかりとPRしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 さて、羽田空港が国際化されて、都内各地で多くのアジア諸国からの観光客の姿を見かけるようになりました。都内産業の活性化のためにも、こうした観光客をしっかりと取り込む工夫が必要です。
 また、東京の中小企業が、この豊かなアジアのマーケットを見逃す手はないと思います。しかし、経験のない中小企業が海外へ手を出すことには不安がつきまといます。苦労して開発した製品がまねされるのではないか、あるいは契約はスムーズにできるのか、本当に代金は回収できるのか、ちゅうちょするのは当然だと思いますね。
 そこで、ことしから都は、こうした中小企業のために海外販路開拓を支援する取り組みを始めました。これはタイムリーな事業だと私は評価しておりますが、アジア市場にチャレンジする勇気ある中小企業を、都は時間をかけてしっかりと支援すべきだと思います。
 そこでまず、これまでの成果をお伺いするとともに、東京都は来年度、中小企業の海外販路開拓をどのように支援していくのか、できれば具体的にお伺いしたいと思います。

○山手商工部長 都は今年度から、機械、金属、生活産業、エレクトロニクスの分野別に四名の海外販路ナビゲーターを配置いたしまして、中小企業に対し、現地の市場動向に関する情報の提供などを行ってございます。また、海外での知的財産保護のため、東京都知的財産総合センターと連携を図りまして各種助言を行っております。
 これまでに三百五十件を超える相談が寄せられまして、この中からナビゲーターが支援の対象となる商材の目ききを実施しております。既に、今年度の目標数でございます五十を上回る五十二商材について支援を決定いたしまして、順次、アジア市場での販路開拓を担う専門商社とのマッチング等も行っています。その結果、売買契約が成立した商材も出始めているところでございます。
 また、情報サービス、精密機械、化学、環境エネルギー・バイオの四分野についてもニーズが高うございますことから、ナビゲーターの数を倍増いたしまして計八分野に配置し、きめ細かな支援を行うことといたしました。
 さらに、海外の見本市、展示会への出展は高い効果が見込まれますことから、これを八小間から三十二小間に拡充することといたしました。その際、ナビゲーターが現地に同行するのみならず、事前準備から帰国後まで一貫したフォローにより出展効果を上げてまいります。
 今後とも、海外販路開拓の支援を適切に行いまして、中小企業の経営の向上を実現してまいります。

○鈴木委員 このアジア市場にチャレンジする勇気ある中小企業を、しっかりと東京都として後押しする体制を整えていただきたいというふうにお願いしておきたいと思います。
 さて、私も大田区に住んでおりますと、羽田空港を離発着する飛行機を見る機会が多いわけなんですけれども、この飛行機の価格は一機百億円以上もするものだというふうに聞きました。聞くところによると、飛行機の部品の数は--どれぐらいか、ご存じでしょうか--自動車の百倍の三百万点であって、絶対の安全性を確保するための、最新の高度で精密な技術が幾つも組み合わさってできているそうでございます。
 その一方で、技術力の高さでは東京の中小企業も負けてはいません。今後、航空機産業は、グローバル化に伴ってビジネスジェットの需要もかなり見込まれるなど、今後の成長が大いに期待できるのですから、東京の中小企業は大いにチャレンジすべきと考えます。そういう点では、都が航空機産業の参入支援を開始したことは大いに評価しております。
 これを受けて、私の地元の企業でも、大崎金属というメッキの企業ですけれども、こういった企業が中心になって、他の企業と組んで航空機部品の売り込みを仕掛けておりますが、国際的なマーケットから想像をはるかに超える厳しい条件を要求されているのが現実なんですね。具体的にいうと、国際的な厳しい規格をクリアした上で、技術の強みをアピールせねばならないということです。しかも、これを英語で表現する必要があるわけです。こうしたハードルが幾つもあって、とても中小企業だけでは対応し切れないのが実情でございます。
 技術は非常に高いけれども、資金力に欠ける中小企業が航空機産業に参入していくためには、行政の適切な支援が不可欠と考えます。そこで、参入に向けたこれまでの成果と今後の取り組みについてお伺いいたします。

○山手商工部長 先端技術が集約される航空機産業は、需要予測におきまして今後二十年間に高い伸びが予想されるなど、極めて有望な成長産業であるといえます。しかし、都内中小企業が参入するには、安全性確保の観点から、高い技術力、品質管理能力が求められます。
 これまで都は、海外の航空関連法規や航空専門英語、商慣習などを学ぶセミナーや企業への専門家の派遣を行うとともに、航空宇宙独特の品質管理システムの認証や、これはJISQ九一〇〇といいますが、溶接、表面処理等の特殊工程に関する認証、これはNadcA.P.と申し上げますが、こういったものの認証の取得を支援してまいりました。こうした取り組みの中で、航空機部品の一貫生産を行う我が国初の中小企業グループも発足いたしたところでございます。
 また、海外メーカーから受注を獲得するには、航空機産業の展示会に出展し、直接アピールすることが効果的でございます。このため、昨年度は香港の展示会へ、今年度は世界有数の展示会でございますベルリン・エアショーに出展いたしまして、これまで海外の有力メーカー等から計四十件の引き合いがあるなど、本格参入に向けまして着実な成果を上げてございます。
 来年度は、航空機産業の本場でございますアメリカに出向きまして、部品メーカー等との商談を行いますとともに、十月にビッグサイトで開催いたします東京国際航空宇宙産業展(ASET)二〇一一への出展を支援いたしまして、国内外の航空機関連企業とのマッチングやネットワークの構築に取り組んでまいります。これらの取り組みを通じまして、都内中小企業の航空機産業への参入に向け、引き続き強力に支援してまいります。

○鈴木委員 さて、ちょっと地元の話をさせていただきたいんですが、私の地元の大田区は、ものづくり産業の維持発展、基盤技術産業力の強化を目指して、現在、国が進めている総合特区制度に提案しております。それは、ものづくり基盤技術産業力強化特区、略称ものづくり特区であり、大田区が持つ全国随一のものづくり産業集積機能並びに羽田空港の国際化という機会を活用して、ものづくり産業の国内外にわたる経済交流の活発化を進め、我が国経済の成長と基盤技術の向上につなげていくことをねらいとしているものであります。
 その具体的な取り組みとしては、自由貿易地域の指定、空港跡地における産業交流施設の整備、大田区企業立地基本計画の着実な実行、産業支援施設(工場アパート等)の整備、あるいは建築基準法、工場立地法の要件緩和などでございます。
 国のこの特区制度は、まだアイデアを募集している段階であって、実際に地域が採択、決定されるのは来年以降となるなど、先行きが見えにくい状況であります。
 しかし、東京の産業全体を発展させていくための方策、考え方として、東京都全域など広いエリアを対象に、均一的に広く浅く活性化のための施策を実施するよりも、例えば大田区のようなポテンシャルの高い地域に限定して、集中的に活性化のための施策を実施して、その成果を周囲に波及させていくというような発想は非常に重要であり、私は効果的であると考えております。そのため、都として、大田区で実施しようとしている総合特区の発想や取り組みに対して、区と連携を図り、サポートを行うよう、強く要望しておきたいと思います。
 私は、ただ大田区選出の都議だから、このように都に要望しているわけではないんですね。日本がGDPで中国に追い越されたとか、一喜一憂しているということよりも、この東京発の世界に誇る世界一のブランドをつくることが、日本の頭脳でありダイナモでもある東京の使命だと考えているからなんです。その点、いまだ日本の最大のものづくり集積である大田区のものづくり集積を守り、そして発展させることで、中国とか、韓国とか、台湾、あるいはシンガポール、インドなどのアジアのマーケットで売れるような、メード・イン・東京、東京ブランドの製品を創出していくことに、東京都はこれからも力を入れていかなくてはならないというふうに私は考えているんです。
 ものづくりだけではないんですね。東京の食もしかり、それから、安心して食べられる、おいしい東京ブランドの農水畜産物の生産や、こういった東京のレストランの集積--既にアジアで人気のある化粧品などもそうなんですけれども、フランスやイタリア、スイスにもまさるようなブランド品を東京からつくり出していくような戦略が、私はこれからの東京に必要ではないかと考えているんです。
 そこで最後に、東京都は、このたび、産業の国際競争力強化など、産業振興基本戦略で示した今後の施策展開の方向性を踏まえて重点的に推進すべき取り組みをまとめた産業振興指針二〇一一を作成しましたが、将来の東京の産業の発展に向けて、さらなるメード・イン・東京の創造と発信に向けて、今後、産業振興策をどのように展開していくのか。共産党は、本当に毎回毎回、中小企業振興条例をつくれつくれと、お題目のように発信しているけれども、そんなことじゃないんですね。東京都はまさにこうなんだという局長の見解と決意をぜひお伺いして、私の質問を終わらせていただきます。

○前田産業労働局長 この東京には、高い技術を持つ中小企業や優秀な人材の集積があります。これは、ただいま副委員長がお話しされましたように、東京に広く存在するものもありますし、非常に地域的に集中しているというものもございます。どちらも東京の強みでございます。こうした強みを生かして将来の産業発展につなげていくということが、私ども東京都に課せられた責務と考えております。
 当局では、この基本的な考えに基づきまして、産業振興基本戦略のもと、産業振興指針で重点的な取り組みを具体的に示しながら、成長産業の育成から中小企業への緊急対策に至るまで、さまざまな施策を重ね合わせて講じているところでございます。
 先ほどもご質問いただきましたが、我が国経済は、長引く円高や原油価格の上昇など、いまだ予断を許さない状況にございます。こうした経済情勢を十分に見きわめつつ、アジアなどの新興国の産業発展や我が国の少子高齢化の進展など、長期的な構造的変化をも踏まえて産業振興策を展開していく必要がある、このように考えております。
 今後とも、足元の、今起きていることの対策にも万全を期すとともに、将来に向けて、明確な成長戦略のもと、その戦略を進めていくための重点となる取り組みを明示しながら、産業発展に向けて、さまざまな東京の強みを生かした産業振興策を展開してまいります。

○伊藤(興)委員 私からは、初めに、大学等の新卒者の就職支援について伺いたいと思います。
 国においては、昨年だったと思います、現総理が、一に雇用、二に雇用、三に雇用というあの場面が、何度も何度もマスコミに映っておりました。声高にいわれていたわけでありますけれども、一向にこの雇用情勢の改善がされない中、事が続いているわけであります。
 いずれにしても、就職氷河期の再来ともいえる大変厳しい状況が続いている中で、産業労働局におきましては、都議会公明党の要請にこたえて、合同就職面接会の開催や、あるいはしごとセンターにおける新卒者の支援窓口の開設などを通じて、積極的な支援を継続していることは高く評価したいと思います。
 特に、合同就職面接会については、二十一年度から、未内定の学生を対象に十一月と二月に開催しております。第一回面接会の際には、都議会公明党の議員の数名が会場を視察し、反響の大きさを目の当たりにしたところでございます。これを見に行った議員に聞いてみましたけれども、会場に入ったときに、本当に大変な数の学生さんたちがそこに集っていらっしゃった、そして、こうした若者たちが必死になって、また、ある側面からは非常に不安な顔をしてそこに集っていられた、この状況を見て本当に胸が痛くなった、このようにいっておりました。あれから回を重ねて、これまでに四回の新規大卒者向けの合同就職面接会が開催されております。来場した学生は累計で八千人を超えて、参加企業は六百五十五社と、そして、求人の確保については、五千二百十五人確保されてきたというふうに聞いております。
 この面接会は来年度も継続して実施するということでありますけれども、重要なのは、学生に就職につながる機会をできるだけ多く提供することと、そして、一人でも多くの学生を就職に結びつけるために、面接会のさらなる充実を図ることであると思います。
 そこでまず、これまで実施した四回の面接会を通じてどのような課題が見つかり、そして、その課題に都はどのように対応してきたのか、伺いたいと思います。

○日請雇用就業部長 都が昨年度から実施しております合同就職面接会には、毎回多数の新卒者の方が来場いたします。また、企業からも多数の求人がございました。こうした中で、新卒者の皆さん等に十分な準備をして効果的に面接会を活用してもらい、両者のミスマッチをできる限り解消することで就職決定に結びつけていくことが課題となっているところでございます。
 このため、都では、新卒者等への情報提供や事前準備の支援などを充実させまして、具体的には、面接会参加企業の求人票をホームページ上で事前に公開しまして、当日までに十分に企業研究や面接対策等の準備ができるようにしておりますほか、面接会に合わせた模擬面接セミナーの開催、あるいは面接会会場に相談コーナーを開設いたしまして、応募先を絞り込めていない学生等のカウンセリングやアドバイスを行う等の取り組みも実施してまいりました。

○伊藤(興)委員 各回の課題を的確にとらえて、解決に向けて具体的に取り組んでこられたということはよくわかりました。しかし、大学生の就職内定率は、昨年の十二月の時点で過去最悪という状況でございます。多くの未内定の学生が、きょうから三月一日でありますけど、三月に入った現在でも就職活動を継続、また、苦戦をしているという現状があるわけであります。
 都が先月、二月二日に東京国際フォーラムで実施した合同就職面接会には、千六百人を超える学生が来場したということでありますけれども、この千六百という数を見ても、就職環境が厳しいということが伝わってくるわけであります。
 そこで、都は、まずは三月の、今年度の当面の緊急事態にしっかりと対応すべきでありますし、また加えて、三月から四月に年度をまたぎますと、すぐに次の学年の学生たちが本格的な就職活動をスタートさせるわけでありますので、来年度はどのような対応をしていくのか、あわせて伺いたいと思います。

○日請雇用就業部長 卒業を間近に控えました学生に対する緊急支援といたしまして、三月中に二回の面接会の追加実施を予定しております。まず、国と共催で本日から三日間、六本木の新卒応援ハローワークにおきまして、約百社が参加する合同就職面接会を開催いたします。次いで三月十一日に、東京商工会議所及び国と共催で、池袋サンシャインシティにおきまして、東京商工会議所の会員企業五十社が参加いたします面接会を開催いたします。
 さらに来年度は、これまで実施してまいりました十一月と二月に加えまして、新たに七月にも面接会を開催いたします。こうしたことによりまして、多くの中小企業と新卒者が面接する機会を拡充し、さらに支援の充実を図ってまいります。

○伊藤(興)委員 三月十一日に行われる面接会は、東京商工会議所と共催で行うということでございました。ぜひとも、この三月に行う、そしてまた年度明けて七月に行われるこの面接会、しっかりと一回一回、大事に成功させていただきたい、このように思うものでございます。
 学生の在学中にこうした面接会を実施することで、卒業までに就職につなげていく取り組みのほかに、都は来年度新たに、就職先が決まらないまま学校を卒業した若者を対象とする未就職卒業者緊急就職サポート事業を開始するとしております。この新規事業の意義について伺いたいと思います。

○日請雇用就業部長 民間の調査によりますと、大卒の求人倍率全体が一・二八倍でございますが、三百人未満の中小企業については四倍を超えております。すぐれた業績を上げて人材を求める中小企業は多数存在いたしますが、こうした企業に対して学生の目が向きにくい、あるいは企業情報を学生が入手しにくいといった現状がございます。このため、この事業を通じまして、若者に中小企業の魅力に目を向けてもらい、きめ細かい支援を実施することで正規雇用就職につなげていくということが重要でございます。
 都では、来年度、人材を求める中小企業と未就職卒業者を効果的に結びつける、未就職卒業者緊急就職サポート事業を実施いたします。この事業は、民間受託事業者のノウハウを活用いたしまして、研修で社会人としての基礎力を養いながら、正社員就職を見据えた企業とのきめ細かいマッチングを行いました上で、三カ月の就業体験を実施するものでございます。
 なお、支援期間中は、民間受託事業者を通じまして未就職卒業者に対しまして賃金を支払い、正規雇用への移行に向けて、仕事に従事する自覚を持って取り組んでもらうこととしております。
 こうしたきめ細かい取り組みを進めることによりまして、ミスマッチの解消を図り、正規雇用につなげるよう支援してまいります。

○伊藤(興)委員 今、ご説明いただいた当事業でありますけれども、未就職卒業者が対象ということでございます。できるだけ早い事業開始が期待されるところであります。この事業の開始はいつごろになるのか伺いたいと思います。

○日請雇用就業部長 事業の開始時期でございますが、この事業を通じまして未就職卒業者を採用しようとする企業を確保する必要がございまして、これに一定の期間を要しますが、できるだけ早い時期の事業開始が求められておりますことから、夏までには四カ月の支援プログラムを開始できるよう、着実に取り組みを進めてまいります。
 なお、支援プログラムの利用対象となる未就職者の方々への募集案内等については、四月中にも開始できるよう準備を進めてまいります。

○伊藤(興)委員 都議会公明党は、先日の予算特別委員会質疑の中において、この事業の開始に当たっては、東京しごとセンターにおいても専用の窓口を設け、参加を希望する若者にわかりやすい対応を図るべきであると求め、局長にも専用窓口の開設を約束していただきました。
 募集案内は四月中にも開始するとのことでございましたけれども、このスケジュールと連動して、速やかに東京しごとセンター内に専用窓口を開設し、相談や申し込み等を実施していただきたいと思います。また、東京しごとセンターで相談や申し込みに対応していることを、この支援プログラムの対象となる方々には事前に広く周知していただくよう、強く要望しておきたいと思います。
 さて、この事業は四カ月後には正社員を目指すという内容であり、成果を上げていくためには、支援の各段階できめ細かくミスマッチの解消を図っていくことが重要であります。
 そこで伺いますけれども、就業体験前のマッチングが重要なことはもちろんでありますけれども、就業体験期間中の支援も極めて重要であります。この期間について、若者と企業の双方に対してどのような支援を実施していくのか、伺いたいと思います。

○日請雇用就業部長 未就職卒業者に対しましては、就業期間中にキャリアカウンセラーが職場を訪問いたしまして、仕事や職場についての悩みを抱えていないかなど話を聞きました上で、アドバイスを行ってまいります。また、期間中は必要に応じまして、対面によるカウンセリング、メール、電話等での相談も受けられるような体制を整備してまいります。
 企業に対しましても、就業期間中に職場を訪問した際に意見交換を行うとともに、OJTに関する相談や若者の職場定着のために必要な支援を行います。また、企業の依頼に応じまして、若者に対するフォローアップ研修等も実施いたします。こうしたことによりまして、就業体験期間中のフォローアップを適切に行い、正規雇用化を促進してまいります。

○伊藤(興)委員 若者に対しても、また、企業に対しても、ぜひきめ細かい対応を図っていただき、成果を上げていただくようお願いいたします。
 新卒者等の雇用支援の一方、障害者雇用の拡大も重要な課題であります。都は、二十三年度、新たにオーダーメード型障害者雇用サポート事業を始めるというふうにしております。この新規事業の特徴はオーダーメードということでありますけれども、これは個々の障害者の実情を踏まえた支援をしていくということなのでしょうか。このオーダーメード、障害者のオーダーメードなのか、どうなのか、この辺をちょっと伺いたいと思います。

○日請雇用就業部長 昨年六月一日現在の都内民間企業におけます障害者雇用率は、千人以上の企業では一・八七%でございまして、法定雇用率の一・八〇%を超えておりますが、五十六人から二百九十九人規模の企業では〇・九二%というふうに低迷しております。
 また、昨年七月に施行されました改正障害者雇用促進法により、障害者雇用納付金の対象が中小企業にも拡大するという中で、早期に、都内中小企業に対しまして障害者雇用促進を働きかけていく必要がございます。
 障害者雇用につきましては、都の取り組みを初め、国、あるいは区市町村など、さまざまな機関が支援策を講じているところでございますが、障害者雇用の専門家やノウハウといったものが乏しく、個々の障害者の実情も異なっておりますことから、中小企業がこのような施策をみずから取捨選択していくことは、大変困難であるというふうに想定されているところでございます。
 このため、都では、来年度から新たに、意欲のある中小企業をモデル企業に選定いたしまして、障害者雇用に関する各種の支援機関が実施する施策の活用方法等をアドバイスいたします。それから、採用前の準備から採用後の定着に至るまでのノウハウの蓄積を支援する、オーダーメード型障害者雇用サポート事業を実施いたします。こうしたことで、本事業は、障害者の実情も踏まえ、初めて障害者を雇用しようとする企業の立場に立って支援を行うものでございます。

○伊藤(興)委員 この事業はオーダーメードという言葉がついておりますけど、要は一人一人の障害者の雇用を図っていくために、企業の側の立場でオーダーメードの支援策をつくっていこうということであるということがよくわかりました。
 障害者の雇用の拡大に当たっては、障害者の特性というものを事業主にしっかりと理解していただき、これを企業側の特性とマッチさせ、納得の上、採用していただくことが重要だと思います。これまで都は、ハンドブック等によりこうした周知啓発を行ってきたわけでありますけれども、企業が障害者を雇うためには、障害者の働きぶりを見て、これなら我が社のこの部分の仕事ができそうだといったような、具体的なイメージを持って取り組んでいただくことが大切だと思います。
 例えば、私も幾つか視察させていただきましたけれども、知的障害者の方が、デパート等で使われる箱だとか、包装紙だとか、本当に丁寧に角と角を合わせて紙を折っている、こうしたところの場面だとか、あるいは車の部品をつくっている工場で働く方については、でき上がってきた部品を本当に懇切丁寧にぴかぴかになるまで磨いている、何度も何度も、単純作業であるけれども、繰り返しの作業だけでも一生懸命に丁寧にやっている、こうした姿も見てきたわけであります。
 都は、モデル企業に対して、こうした障害者の特性というか、障害者の強みというものがあると思いますけれども、こういうものを理解していただくことになると思いますけれども、どのように理解していただくのか伺いたいと思います。

○日請雇用就業部長 都では、先生おっしゃられたように、これまでハンドブックの配布等によりまして、中小企業の事業主に対して、障害種別ごとに雇用に当たって配慮すべき事項を理解していただきますよう努めてまいったところでございます。
 一方、今回のオーダーメード型障害者雇用サポート事業におきましては、地域の事業主団体や就労支援機関から成る協議会を都内五地域に設けまして、必要に応じて、この協議会のメンバーによるセミナーのほか、メンバーが運営する施設等の見学を通じまして、障害者に関する理解を深めていただくことを予定しているところでございます。
 こうした取り組みによりまして、モデル企業に対して、障害者の実情を理解していただき、適切な採用が行われるよう支援してまいります。

○伊藤(興)委員 この事業は、本当に新たな視点で、そして、これまで以上に広い視野で行われる事業だというふうに理解しております。大変に期待する事業でありますけれども、二十三年度は新規事業ということで、約一千五百万円という予算規模となっておりますけれども、この予算の考え方について伺いたいと思います。

○日請雇用就業部長 本事業は、モデル中小企業が、障害者雇用に関する各種の支援機関が提供いたします施策を活用し、採用前の準備から採用、定着に至る一連の過程をみずからのノウハウとして蓄積できるようにすることを目的としております。
 このため、障害者雇用に知識や経験がある支援員を五名配置することを予定しておりまして、採用前後の過程で利用可能な各種支援策の分析、あるいは利用方法等をアドバイスすることとしております。本事業の経費の多くは、こうした支援員の人件費や、都内五地域に設けます協議会の運営にかかる経費でございます。

○伊藤(興)委員 モデル事業として来年度から運用されるわけでありますけれども、障害者雇用に関して中小企業が課題にぶつかるかもしれませんし、また、その課題を乗り越えていかなければならないわけであります。モデル事業の課題と成果をしっかりとまとめていただいて、ぜひ新たな施策の展開にもつなげていただきたいと思います。また、その際、支援員の増員など事業規模についても改めて検討することを要望しておきたいと思います。
 次に、商店街支援について伺います。
 都は、平成二十三年度、新・元気を出せ商店街事業に約三十億、そして、環境対応型商店街活性化事業に約十億円、予算計上をされておりますけれども、商店街ではこうした事業に大変に期待が高まっております。しかし、一方では、ある商店街の方からは、法人格を持つ商店街しか助成が受けられないのではないかと、こういう声も時々聞きます。都内には数多くの商店街がありますので、なかなかすべての商店街にこの情報が行き渡っているということは難しいと思いますけれども、誤解を生んでいるケースもあると思います。すべての商店街に対して、しっかりと制度の周知を行うことが必要であります。
 改めて、補助対象となる商店街について確認させていただくとともに、これまで都は、新・元気を出せ商店街事業について、どのように制度の周知を図ってきたのか、伺いたいと思います。

○山手商工部長 まず、理事からお話がございましたが、新・元気を出せ商店街事業では、商店街の連合会や商店街など、幅広く助成、支援の対象としてございます。
 本事業につきましては、毎年、区市町村の担当者に対する説明会を開催いたしまして、制度の概要をわかりやすく説明したパンフレット等を配布してございます。また、区市町村を通じて、各区市の商店街連合会や商工会等からも各商店街への周知が図られてございます。
 引き続き、区市町村等と連携いたしまして、あらゆる機会をとらえて制度の周知を図ってまいります。

○伊藤(興)委員 都からの周知ですけれども、区商連とか、区振連とか、こうしたところを通じての連絡というのが、どうしても、区商連、区振連に入っていない商店街については、なかなかこの情報が伝わっていないという現状があるわけで、そうしたところからこういう誤解が出てくるわけでありますので、ぜひとも今後は、この制度のPRについて、しっかりと取り組んでいただきたい、このように要望させていただきます。
 さて、先日の予算特別委員会で、都議会公明党の高倉議員が、商店街におけるIT技術の積極的な活用について質問しました。そして、参考例として、山形県が実施しているケーブルテレビの安否確認のシステムを活用した高齢者の買い物支援について質問したわけであります。これは、あのときにもお話をちょっとさせていただきましたけれども、今はほとんどのお宅でケーブルテレビを引いている方が非常に多くなってきた。このケーブルテレビのスイッチを入れるだけで、例えば、ひとり暮らしの高齢者とかが元気なのか、どうなのか、その安否の確認ができる。
 そのことに加えて、ボタンを変えると買い物の場面が出てきて、そのお店と直接、これが欲しい、あれが欲しい、こうしたことの注文をして、そして、そのお店からまた電話がその方のところにかかってきて、そして、具体的に商品をいつ届けるのか約束して届ける、それがまた安否確認につながっていく、こうした取り組みを山形県の方でやっているということでありました。
 日常の買い物が不便な場所に住む消費者などを対象とした事業でありますけれども、既にインターネットを活用した大手スーパーなどの取り組みもありますけれども、パソコンの操作というのは、なかなかやっぱり高齢者にはハードルが高いのが実情であります。今、参考に挙げたような、日常的に使っているテレビを活用するということであれば抵抗感がないことから、積極的に活用を図っていくべきであるというふうに思います。また、それが商店街にとっても、買い物支援策としても非常に有効であるというふうに思います。
 予算特別委員会では、こうした事業は、新・元気を出せ商店街事業で支援の対象項目となるとの答弁だったと思います。では、実際に商店街がこうしたケーブルテレビを活用した買い物支援策に取り組む場合、どのような支援が可能なのか、伺いたいと思います。

○山手商工部長 新・元気を出せ商店街事業は、活性化に向けまして商店街が行う意欲的な取り組みを支援していく観点からの支援でございます。
 お話しのケーブルテレビを活用した事業を商店街が展開する場合、直接必要な設備、機器等の設置にかかる経費が対象となります。また、実際の交付決定に当たっては、個別具体的に判断していくことが必要となります。

○伊藤(興)委員 買い物支援については、過疎化と高齢化の進んだ一部の地方だけのことではなくて、ひとり暮らしの高齢者がふえている都市部でも課題となっております。IT技術を活用した取り組みは、今後ますます重要性を増してくると思います。また、こうしたことは高齢者や障害のある方のみが対象ではなくて、小さいお子さんがいて、なかなか買い物に出られない、あるいは在宅で勤務している方もいる。それから、今後、在宅介護だとか、あるいは在宅医療だとか、こうしたことがますます増加してくるわけであります。いずれにしても、いろいろな理由で買い物の時間がとれない方などニーズがあって、まだまだ可能性が広がるビジネスだと思います。
 こうした可能性がある事業に商店街が積極的にかかわっていくことが、商店街の活性化にもつながると私は思います。ただ、一つの商店街だけでは、品ぞろえが十分とはいえない商店街も中にはあります。消費者の需要にこたえる場合には、やはり幾つかの商店街がネットワークを組んで取り組むということも必要になってくるんではないかというふうに思います。
 先ほどの山形県のケーブルテレビを活用した事業は、今年度の国のモデル事業としてやっているということでありましたけれども、始まったばかりだということなので、山形の場合には高齢者の方がボタンを押してお店につながる、つまり、一人とお店一つ、一対一の交信であるわけであります。これを都においては、高齢者一人の方と商店街、要するに多数のお店、あるいは、その商店街だけで全部品ぞろえがそろわないときには、この商店街とこの商店街とこの商店街がしっかりとネットワークを組むことによって、一人の高齢者と多数のお店、また、多数の商店街と交信ができるようになるわけであります。こうしたことのように、さらにさらに私は可能性が広がるのではないかというふうに思います。
 そこで、都においては、モデル的に複数の商店街が連携して、IT技術を活用した買い物支援が展開できるような支援を検討すべきと考えますけれども、見解を伺いたいと思います。

○山手商工部長 都はこれまで、新・元気を出せ商店街事業によりまして、商店街の自主的、主体的な取り組みを幅広く支援してまいりました。
 また、商店街は地域コミュニティの核として重要な役割を果たしていることから、地域住民や地域団体等と連携し、福祉等の地域ニーズに対応したまちづくり等に商店街が取り組む事業を、地域連携型モデル商店街事業により支援しています。
 本事業により、今年度は、板橋区の三つの商店街が連携して環境に配慮した商店街活動に取り組む、はすね・エコ・キャンパス・プロジェクトや、墨田区商店街連合会が区内の共通ポイントシステムの導入を図る取り組みなどを実施しております。複数の商店街の連携によるITを活用した活性化の取り組みについては、本事業を活用することにより支援ができるものと考えてございます。
 今後とも、意欲あふれる商店街の取り組みを支援することで、地域の人々が暮らしやすいまちとなるよう、商店街が持つ多様な機能の向上を図ってまいります。

○伊藤(興)委員 ITの技術は日進月歩で発展しております。買い物支援のシステムに限らず、最新の技術を活用して、今、安否の確認、また、買い物支援ということでいいましたけれども、今後ボタンをさらに加えていくことによって、例えば高齢者の一人の方等も、健康管理だとか、きょうは元気とか、きょうは普通とか、きょうはぐあいが悪いとか、ボタンを押すと、すぐに次の介護、あるいは医療の方にもつながっていくようなこともできるんではないか、このように思うものであります。
 いずれにしても、可能性をいっぱい秘めた、こうした取り組みでありますけれども、何といっても、このシステムを構築するのが非常に大変だというふうに思います。今後は、商店街の支援とともに、こうしたシステムを開発することに対しても、新たな産業として何らかの形で支援ができないか検討していただくことを要望して、質問を終わりたいと思います。

○西岡委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○西岡委員長 異議なしと認め、本案及び本件に対する質疑は、いずれも終了いたしました。
 以上で産業労働局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時三十七分散会

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