経済・港湾委員会速記録第二十一号

平成二十二年十二月十日(金曜日)
第八委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 十四名
委員長西岡真一郎君
副委員長しのづか元君
副委員長鈴木あきまさ君
理事伊藤 ゆう君
理事伊藤 興一君
理事川井しげお君
山崎 一輝君
大松あきら君
田の上いくこ君
佐藤 広典君
山口  拓君
清水ひで子君
藤井  一君
三宅 茂樹君

 欠席委員 なし

 出席説明員
産業労働局局長前田 信弘君
次長真田 正義君
総務部長三枝 健二君
産業企画担当部長澤   章君
商工部長山手  斉君
金融部長櫻井  務君
金融監理部長斎藤 真人君
金融支援担当部長十河 慎一君
観光部長横山 英樹君
農林水産部長保坂 政彦君
安心安全・地産地消推進担当部長岩田  哲君
雇用就業部長日請 哲男君
事業推進担当部長穂岐山晴彦君
港湾局局長中井 敬三君
技監飯尾  豊君
総務部長山本  隆君
監理団体改革担当部長石原 清志君
港湾経営部長小宮 三夫君
港湾経営改革担当部長河内  豊君
臨海開発部長平林 宣広君
開発調整担当部長大和田 元君
営業担当部長延與  桂君
港湾整備部長前田  宏君
計画調整担当部長大釜 達夫君
離島港湾部長平田 耕二君
島しょ・小笠原空港整備担当部長北村 俊文君

本日の会議に付した事件
 産業労働局関係
契約議案の調査
・第百八十二号議案 東京国際展示場(二十二)東展示棟改修工事請負契約
・第百八十三号議案 東京国際展示場(二十二)西展示棟改修工事請負契約
・第百八十四号議案 東京国際フォーラム(二十二)ガラス棟改修工事請負契約
・第百八十五号議案 東京国際フォーラム(二十二)電気設備改修工事請負契約
・第百八十六号議案 東京都島しょ農林水産総合センター漁業調査指導船「みやこ」製造請負契約
付託議案の審査(質疑)
・第二百八号議案 東京都立産業貿易センターの指定管理者の指定について
・第二百九号議案 東京都立食品技術センターの指定管理者の指定について
・第二百十号議案 東京都しごとセンターの指定管理者の指定について
報告事項(質疑)
・東京都が東京信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄の報告について
・新銀行東京の「平成二十三年三月期中間決算」について
 港湾局関係
付託議案の審査(質疑)
・第百七十二号議案 東京都営空港条例の一部を改正する条例
・第二百十一号議案 晴海客船ターミナル外二施設の指定管理者の指定について
・第二百十二号議案 竹芝客船ターミナルの指定管理者の指定について
・第二百十三号議案 竹芝ふ頭船舶給水施設外六施設の指定管理者の指定について
・第二百十四号議案 東京都立東京港野鳥公園の指定管理者の指定について
・第二百十五号議案 東京都立有明テニスの森公園の指定管理者の指定について
・第二百十六号議案 東京都立大井ふ頭中央海浜公園外十七公園の指定管理者の指定について
・第二百十七号議案 東京都立辰巳の森海浜公園外六公園の指定管理者の指定について
・第二百十八号議案 東京都立お台場海浜公園外十公園の指定管理者の指定について
・第二百十九号議案 東京都立葛西海浜公園の指定管理者の指定について
・第二百二十号議案 二見漁港岸壁外九施設の指定管理者の指定について

○西岡委員長 ただいまから経済・港湾委員会を開会いたします。
 まず、契約議案について申し上げます。
 契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成二十二年十二月八日
東京都議会議長 和田 宗春
経済・港湾委員長 西岡真一郎殿
契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
     記
1 調査議案
第百八十二号議案 東京国際展示場(二十二)東展示棟改修工事請負契約
第百八十三号議案 東京国際展示場(二十二)西展示棟改修工事請負契約
第百八十四号議案 東京国際フォーラム(二十二)ガラス棟改修工事請負契約
第百八十五号議案 東京国際フォーラム(二十二)電気設備改修工事請負契約
第百八十六号議案 東京都島しょ農林水産総合センター漁業調査指導船「みやこ」製造請負契約
2 提出期限 平成二十二年十二月十日(金)

○西岡委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、産業労働局及び港湾局関係の付託議案の審査並びに産業労働局関係の契約議案の調査及び報告事項に対する質疑を行います。
 これより産業労働局関係に入ります。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第百八十二号議案から第百八十六号議案までを一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○大松委員 私の方からは、漁業調査指導船「みやこ」の製造請負契約について伺います。
 東京都には、東京湾、伊豆・小笠原諸島にわたる広大な海域があります。日本最南端の沖ノ鳥島、最東端の南鳥島も含まれ、我が国の排他的経済水域の四割近い、広大な海域となっております。
 私も、十月末から十一月にかけまして小笠原諸島に視察に参りまして、広大な海域の一端を実感してまいりました。また、小笠原漁協の皆様方とも懇談させていただきまして、産業としての漁業の重要性、魅力を改めて認識いたしました。
 ところが、この海域における東京都の水産業は、漁獲高が低迷しており、厳しい状態が続いております。都の水産業を振興させるためにも、新たな漁場、水産資源の調査、開発を一層進めていかなければなりません。その重要な役割を果たしているのが、東京都の四隻の大型の漁業調査指導船であります。
 今回、そのうち、全海域をカバーしている「みやこ」の代船建造が予定されておりますが、まず、この代船建造に当たりまして、「みやこ」がこれまで担ってきた調査等の内容について伺います。

○保坂農林水産部長 東京都の漁業調査指導船四隻は、「みやこ」、「やしお」が伊豆大島、「たくなん」が八丈島、「興洋」が小笠原父島を母港とし、都の広大な海域の漁業環境調査、水産資源調査、漁業取り締まりなどを行い、漁業生産性の向上や漁業秩序の維持を図る役割を担っております。
 このうち、最も大型の「みやこ」は、船長以下十六名の乗組員により、大島周辺海域に加え、広域な海域を所管し、沖ノ鳥島や南鳥島のほか、北は三陸沖、西は屋久島までの広大な海域の調査などを行っております。
 これまでの主な実績といたしましては、南鳥島周辺海域の未開拓漁場における水産資源調査、主要魚種の生態解明調査などのほか、日々の漁業環境調査結果の漁業者への周知、密漁船の監視活動、漁船遭難事故や油流出事故への対応など多くの実績を残し、島しょ漁業の振興に貢献してまいりました。
 特に、伊豆諸島の主力魚種でございますキンメダイの主要な産卵、育成の場が伊豆諸島海域であることを解明したことは、漁業者が将来にわたりキンメダイの漁獲を続けていく上で、極めて重要な結果となっているところでございます。

○大松委員 私も小笠原諸島に参りました際、小笠原の海域の方を担当されております「興洋」の船内も視察させていただきました。大変狭い機関室の中で、背も伸ばせないというような厳しい環境の中で、職員の方が懸命に仕事をされている姿も見させていただきまして、また、先ほど答弁いただきましたように、大変重要な役割を担われているということも教えていただいたわけでございます。
 一方、漁業を取り巻く環境は依然厳しく、また、大きく環境も変わってきているわけでございまして、この調査船に期待されている役割というものがふえてきております。
 そこで、次に、平成二十三年二月の代船建造に向けましては、船体の大型化や装備の充実が予定されておりますが、このことにより、今後可能になる調査内容などについて伺います。

○保坂農林水産部長 島しょ地域の水産業は、漁獲される魚種が、伊豆諸島ではキンメダイ、小笠原諸島ではカジキ類に偏るなどの不安要素を抱えているほか、他県の漁船による違反操業も繰り返されるなど、課題に直面しております。
 また、漁業者からは、新たな漁場の開拓や漁業の取り締まりの強化など、調査指導船の果たす役割に大きな期待が寄せられております。
 しかし、昭和六十三年に建造した現在の「みやこ」では、高度化、多様化する漁業者からのニーズに必ずしも十分こたえられていない状況が生じておりました。このため、新たな「みやこ」は、長距離かつ悪天候下での航行が可能な船体構造により、広範囲かつ機動的な調査、漁業取り締まりなどが可能となります。
 加えて、最新の機器の搭載により、精密な海底地形図の作成や効率的な深海底魚漁場の探索などが可能となり、キンメダイなどにかわる新たな資源開発につながることが期待されております。
 さらに、暗視カメラつきサーチライトを装備することにより、夜間取り締まり体制の強化が図られることになります。長期航海や、迅速かつ的確な情報提供が可能な新たな「みやこ」の建造は、漁業者の経営力の向上と東京の海の守りの強化につながり、島しょ漁業の将来の経営の安定に大きな貢献を果たしていくものと確信しております。

○大松委員 小笠原を訪問した際に、漁協の皆様方と懇談させていただいたわけでございますが、その中で、小笠原島漁業協同組合の皆様方が、東京都と連携を図りながら、沖ノ鳥島周辺海域での漁場開拓や監視活動等を行われているという話を伺いました。東京都の海域は広大であり、都の取り組みを補完する意味でも、このような漁業協同組合の取り組みに対する支援の継続を強く要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。

○西岡委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○西岡委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑はいずれも終了いたしました。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも異議のない旨、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○西岡委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。

○西岡委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第二百八号議案から第二百十号議案までを一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○しのづか委員 私からは、第二百八号議案、東京都立産業貿易センターの指定管理者の指定についてお伺いさせていただきます。
 この産業貿易センター、十八年度の指定管理者制度の導入に伴って、過去五年間、指定管理者として管理されてきた案件でもございます。今回、その指定管理期間が終了したということで、新たな指定管理団体を選定したということなんですが、今回のこの産業貿易センターの指定管理者選定において、特に留意した点は何なのか、それと、このような公の施設の管理運営について、直営ではなく、指定管理者制度を導入した意義についても改めてお伺いいたします。

○山手商工部長 指定管理者制度は、公の施設の管理に民間の能力を活用しつつ、住民サービスの向上を図ること、さらには効率的な運営により経費の縮減を図ることを目的といたしまして、地方自治法の改正により導入されたものであり、これに伴い、産業貿易センターについても、より効率的な運営を図る趣旨から、平成十八年度に同制度を採用したものでございます。
 産業貿易センターの指定管理者の選定は公募によっておりまして、産業労働局指定管理者選定委員会におきまして、提出書類、プレゼンテーション、質疑等を総合的に勘案して審査を行った上で選定してございます。
 その際の評価項目で重視したものは、産業貿易センターの効率的な管理運営ができること、産業貿易センターの効用を最大限に発揮すること、利用者に対し適切なサービスを行うことであります。

○しのづか委員 留意した点ということで、効率的な管理運営と、効用を最大限に発揮する、それとまた、私は今回、この点に注目したいんですが、利用者に対して適切なサービスを行うこと、これが本当にこの五年間行われてきたのか、これは何点かの質疑の中でただしていきたいと思っております。
 それでは、次にお伺いしますが、今回選定された団体は、管理業務委託契約当時の平成十年度から東京都立産業貿易センターの管理運営を受託している東京都中小企業振興公社であります。前回選定時の事業計画の評価も含め、この十二年間で何がどのように変わってきたのか、お伺いいたします。

○山手商工部長 産業貿易センターにつきましては、平成十年度から財団法人東京都中小企業振興公社に管理を委託してございまして、平成十八年度に指定管理者制度を導入した際、公募による選定の結果、同公社が指定管理者となってございます。
 公社は、選定の際に提出した事業計画に基づきまして、さまざまな取り組みを進めてきております。
 まず、これまでに蓄積した経験やノウハウを生かしつつ、公募を行いまして、販路開拓など幅広い経験を有する民間出身者を、運営責任者であるゼネラルマネジャーや展示室の運営管理セクションに登用いたしまして、運営の向上を図る体制を整備いたしました。
 また、施設の利用料金についても、それまでは徴収を代行して都に納める役割にすぎなかったものでございますが、利用料金制の導入によりまして、指定管理者みずからの収入となったことから、これを活用して、中小企業の販路開拓に資するさまざまな自主事業に取り組めるようになってございます。
 このほか、利用率向上のための積極的なPRの展開、ホームページの充実など、産業貿易センターの発信力を高める新たな取り組みを着実に進めてきてございます。

○しのづか委員 今回の質疑をするに当たって、いろいろとヒアリングさせていただく中で、また、私自身も調査させていただく中で、それなりの努力をして、改善をされてきていることは率直に評価いたします。
 しかしながら、やはり、きちんと契約時にそれぞれ、しかも、今回は選定委員会が選定したにしても、局としてきちんと事業の進捗を見守っていくというか、チェックしていくことが必要だと私は思います。
 その中で、何点か私が気になったことをこれからお伺いしたいんですが、産業貿易センターの主たる業務というのは、特に中小企業振興公社が行っているということもあって、中小企業支援事業と、展示室と会議室の貸し館業務と私は認識しております。この間、貸し館業務において、さらなる施設の利用率の向上に向けて、どのような取り組みが行われてきたのでしょうか。また、展示室、会議室それぞれの利用率の変遷についても、これは管理委託の当時からのご説明をお願いいたします。

○山手商工部長 利用率の向上策といたしまして、公社は、展示会場を利用した団体の満足度を高め、再度の利用につなげていくため、民間出身のマネジャーのもと、懇切丁寧な対応を徹底しているほか、利用者アンケートの結果を踏まえた改善を行うことなどにより、顧客満足の向上に努めてございます。
 また、新規の利用者獲得のため、ホームページの充実を図るとともに、業界団体等に対するダイレクトメールの発送、また、三万社に及ぶ公社の登録企業データベースを活用いたしまして、出展勧誘等を行ってございます。
 こうした取り組みによりまして、産業貿易センターの利用率は上昇傾向にございまして、管理委託を行っておりました最終年度の平成十七年度と、指定管理が導入された後、四年を経過した直近の平成二十一年度との比較で申し上げますと、展示室は浜松町館が六七・四%から六八・二%、台東館が五七・六%から六五・〇%へ、会議室は浜松町館が五七・一%から七四・二%へ、台東館が四三・四%から五六・一%へと、それぞれ上昇してございます。

○しのづか委員 さまざまな努力というのはわかるんですが、やはり数字を聞いてしまうと、そこから下がったということはないんですけど、私、細かい資料も出していただいたんですけど、なかなか--これからのさらなる努力が必要なのかなと。年度によってばらつきもございますし、特に台東館においては、まだ利用の実態というのが五十数%ということで、半分はあいてしまっているような状況もございます。そういった中できちんと……(発言する者あり)うるさい。私も提案を含め、これから質疑をいたします。
 前回の指定管理者選定においても、指定団体の事業計画において、利用者の利便性向上に向けての幾つかの提案がなされたと聞いております。指定管理者制度導入後、五年が経過しておりますが、具体的にどのような提案があり、それに対してどのように検討、実施してきたのか、お伺いいたします。

○山手商工部長 前回の指定管理者選定の際の事業計画におきまして、公社は、利用者の利便性向上のための取り組みといたしまして、中小企業団体等が計画的に展示会場を確保できますよう、従来、最長一年先までしか予約ができなかったものを、二年先まで予約ができるように予約方法を改善すること、イベント情報や施設のあき情報をインターネットで積極的に提供いたしますこと、展示場においてインターネットが利用できるように環境を整備することを提案しており、いずれもこれまでに実現してございます。
 また、午前九時から午後五時までとしているセンターの開場時間の延長等についても提案してございますが、これにつきましては、実施に向けた検討の中で、運用面や費用対効果の点で課題が浮かび上がってきたことから、実施には至っていないものでございます。

○しのづか委員 それでは、その実施に至っていない部分の、センターの開場時間の延長について、具体的にどのような提案があったのか、お伺いいたします。

○山手商工部長 まず、展示室の利用時間を延長すること、次に、展示室の利用が一日単位であるのを、午前、午後、夜間の三区分とすること、さらには、会議室の時間外利用につきまして、展示室利用者に限り時間外利用を認めている制限を緩和し、商談会の準備会議や研修等でも利用できるよう対象を拡大することの三点でございます。

○しのづか委員 この団体は、前回選定時には管理運営受託団体でもあったわけですよ。この施設の特徴というのを非常によくつかんでいて、しかも、経験に基づく提案がされていると思うんです。そういった中で利用率を上げていくためには、私たちはこういった具体的な提案を持っていますということで、五年前、この事業計画というものを局の方で選定されたということなんですが、しかしながら、五年間たった現在においても、こういった見直しというのは一向に進んでいないというような状況でもあります。なぜこの問題が実現できていないのか、先ほども部長、ご答弁ありましたが、もう少し詳しい説明をお願いいたします。

○山手商工部長 開場時間の延長を含めまして、事業計画の内容の実現に向けましては、毎年度、指定管理者に対して指導を行ってきたところでございます。
 公社では、実際の運用の中で、利用者の声を聞きながら実施に向けての具体的な検討を行ったところ、展示会場につきましては、展示会や見本市の開催は日中に行われるのが通例でございまして、夜間まで開場したとしても十分な需要が見込まれず、費用対効果の面で課題があること、また、終了後の機材搬出作業が深夜に及びまして、立地上、近隣住民等からの苦情が寄せられることが懸念されることなどから、実施には至ってございません。
 また、会議室についても、平成十九年度に会議室の利用者に対するニーズ調査を行ったところ、夜間の会議室の利用希望は約一割にとどまり、新たな管理コストも勘案いたしますと採算が見込めないことから、実施には至っていないというものでございます。

○しのづか委員 私は、この施設の管理の仕方も一つ問題ではあると思うんですが、後でこれには言及しますが、会議室と展示室という二種類があるんですよね。でも、現状の使い方っていうのはセットで、大体、展示室を使う団体が会議室も使いながらセミナーなどを行っているというような状況だとお伺いしました。
 利用者のニーズ調査といっているんですが、今使っている団体のニーズ調査だけでは、私は不十分ではないかと思っております。さまざまな中小企業の声に耳を傾けて、むしろ、いわゆるサイレントマジョリティー、今は使っていないけれども使う可能性のある団体、企業の声を、どのように使っていただけるように反映していくのかという潜在的な需要を掘り起こすような姿勢で臨めば、私は、ニーズは出てくるはずだと思いますので、これは意見として申し上げておきます。
 制度の柔軟な運用と利用率向上に向けて、この施設では利用料金制度というものが導入されておりますが、この利用料金制度、現在どのような状況になっているでしょうか。

○山手商工部長 利用料金制では、指定管理者が、条例で定める額の範囲内で利用料金を定めることとされております。
 産業貿易センターの指定管理者である東京都中小企業振興公社は、条例で定める上限額が都内の類似施設と比較いたしまして低廉であることから、この上限額と同額を利用料金としてございます。

○しのづか委員 このパンフレットにもあるんですけど、ほかの施設と比べると安いんです。今、使っている団体にとっては、非常に低廉で使えるからいいんですけど、もう少し、私は、この指定管理者制度を導入しているというメリットを生かして、柔軟な運用ができるようにすればいいんじゃないかなと思います。
 これは私の意見なんですが、例えば直前の申し込み--二年前からの申し込みには対応しますよと、一年間繰り延べて、もっと計画的に施設の空き状況がわかるようになっているというふうなご答弁もありましたが、もうあいてしようがないというような状況の中で--例えば思い出してほしいんですけど、格安航空チケットというのがありますよね。飛行機は飛んでしまうんですよ。でも、あいているいすの状態で飛ばすのも、そこに多少割引してでもお客さんを乗せるのも同じコストがかかるんです。それをきちんと、例えば条例の定める上限額の範囲の中で、指定管理者団体が柔軟な運用ができるようにするとか、例えば、目的外使用というのもあります。これは設置目的に基づいて設置された施設が、産業貿易センターでありますが、もう少し拡大解釈の中で、産業の振興につながるような利用、例えば先ほどもいったように、夜間にもっと企業ですとか団体、業界団体などが会議室を使えるように柔軟な運用にしていく。それとも、目的外になるような場合は、もう少し高目の設定をしてでも会議室を利用できるようにする、そういう運用ができるような利用、それによって利用率の向上につながるような柔軟な利用料金設定というものを検討してもいいんではないかと思います。
 それでは次にお伺いします。前回の事業計画でも、中小企業振興に寄与する事業についての自主事業の提案がなされたと聞いておりますが、指定管理期間五年間での実施状況はどのようになっているのか、また、それらを踏まえて、今回提案では、どのように変化があるのか、お伺いいたします。

○山手商工部長 公社では、中小企業振興に資するため、前回の事業計画に基づきまして、公社が取り組んでいるニューマーケット開拓支援事業の支援対象製品を中心とした展示商談会や、産業としての成長が期待される環境、健康、安心をテーマといたしましたライフサポートテクノロジーフェア、また、「江戸の技・東京の味」と題しました伝統工芸品と食品の物産展、それから、東京の観光・産業展などを実施してございます。
 新たな事業計画におきましても、引き続き、中小企業の販路開拓を支援する展示商談会の開催を計画してございますほか、新たな取り組みということで、初めて展示会に参加する企業などを対象とした展示ノウハウに係るセミナー等の開催も計画してございます。

○しのづか委員 まさにこの自主事業の部分が、利用料金制を導入している最大のメリットだと思うんですよ。ここで収益が上がれば上がるほど、その自主事業がどんどん次に向けて打てていけるということで、きちんとそこが循環していくような仕組みが必要だと私は思います。
 以上、利便性や利用率向上のための取り組みというものを中心に質疑いたしましたが、さらなる利便性の向上に向けては、開場時間の延長--実現に至ってないですね--と、利用料金の見直し、目的外使用の柔軟な運用などが考えられます。
 展示会場については、確かに展示会終了後の片づけや翌日の準備などがありますから、夜まで開館するのは難しいというのは現状を見てもわかるとおりなんですが、例えば会議室については、業界団体や企業の会合など、産業振興に資する使い方というものはまだあるはずだと思います。
 産業貿易センターについては、販路開拓のための展示施設とのコンセプトで業務運営を行っておりますが、中小企業振興を効果的に行う上では、販路開拓以外の施策展開の場という考え方も幅広く取り込んで事業展開を図ることが重要であります。
 現在のように、販路開拓を希望する利用者だけを想定して業務運営を行うのではなく、他の支援策を必要とする中小企業のニーズを掘り起こしたり、調べていくことも必要となるはずです。次回の選定は三年後とお聞きしておりますが、そのときには、販路開拓以外の中小企業支援も展開する拠点として位置づけることができないかなど、柔軟な発想を持ちながら選定を行うべきだと考えます。
 このセンター利用のより柔軟な運用についての見解を伺うとともに、次回の選定に向けてどのように取り組むのか、見解をお伺いいたします。

○山手商工部長 産業貿易センターにつきましては、平成十八年度の指定管理者の導入以来、利用者目線に立った顧客対応を徹底しまして、利用者のご意見を踏まえながら、さまざまな改善を行っており、新たな顧客開拓についても積極的に進め、利用率についても一定の向上が図られてきております。
 引き続き、中小企業者の利用に資するという観点から、ご指摘も参考にいたしまして、利用者や潜在的な利用者の声に耳を傾けながら、より柔軟で効果的な運用がなされるよう、指定管理者に対して求めてまいります。
 また、竹芝地域では、浜町館を含めた再開発の予定が本年三月に公表されてございますことから、三年後の指定管理者の選定に当たりましては、その具体的内容、その時点での中小企業のニーズ等を踏まえまして、適切な取り組みが行われていくものと考えてございます。

○しのづか委員 もっと、より利用率が上がる、そして都民の利便性の向上につながるような取り組みを、指定管理団体が決めたにしても、運用していく中で、ぜひ局としてチェックしていただきたい。
 このチェックをするに当たって、今の仕組みの中では、こういった取り組み、例えば選定時に出されている事業計画、実施計画である事業計画がなかなか見えにくいんですよ。このような事業計画を、利用者である都民が利用しながらチェックできるということが必要であると私は思います。
 現在、指定管理者の候補者の事業計画については、特命で選定された全施設については、概要が公表されております。公募で選定された施設においては、公表されていない場合も、公表されている場合もあって、それぞれなんです。これは総務局の方のルールが、特命は義務で、公募は任意ということになっていることに基づくものなんですが、ルールづくりは総務局が判断することなんですが、産業労働局として、この情報公開に対してどのような見解を持っているのか、お伺いいたします。

○山手商工部長 ただいま副委員長からお話がありましたとおり、総務局が示した公表事項の基準によりますと、指定管理者の候補者を決定した際には、事業計画またはその概要について、公募選定であれば公表は任意であり、特命であれば公表が必須とされてございます。
 公募選定した場合の事業計画の公表につきましては、候補者の経営上の秘密などに留意いたしまして、慎重に判断していく必要がありますが、産業労働局としては、選定経過や選定理由について、他の応募者や都民への説明責任の向上の観点から、指定管理者の候補者である財団法人東京都中小企業振興公社の了解を得まして、公表することといたしました。

○山崎委員 指定管理者の候補者選定について、何点か伺います。
 産業労働局で指定管理者制度が導入されているのは、東京都立産業貿易センター、東京都立食品技術センター、そして、東京都しごとセンターの三施設であります。
 指定管理者制度が導入されて早五年近くが経過し、今回二回目の選定となります。これら三施設は、いずれも産業労働局の事業を推進する上で重要な役割を担うだけに、どのような主体が指定管理者業務を担うべきか、しっかりと議論しておくことが必要であります。
 まず、候補者の選定過程でございますが、選定委員会を設置し、委員六人のうち四人を学識経験者などの外部委員にするなど、手続は極めて厳正で、公平性も担保されております。また、選定に当たっては、管理運営の効率性や管理業務等の実績はもとより、経営基盤の安定性を含めた多面的な検討を行ったとのことで、今回示された候補者は、いずれも指定管理者として十分信頼に足るといえます。
 このように、選定手続等には問題が見られないことから、具体的な管理者選定をどう行うかが課題となります。これまでの制度導入に伴う成果や実績をしっかりと整理した上で、新たな指定管理者としての適格性を見きわめるという取り組みが重要になるものと考えるわけでございます。
 こうした考え方に立って、局の事業の中で指定管理者制度を活用した成果について、どのように評価しているのか、まずはお聞きします。

○三枝総務部長 東京都立産業貿易センター、東京都立食品技術センター及び東京都しごとセンターの三施設につきましては、地方自治法の改正によりまして、指定管理者制度が平成十八年度から導入され、以降、毎年度、管理運営状況等を評価いたしますなど、同制度の適切な運用を図りつつ、都民サービスの向上に努めてきたところでございます。
 お尋ねの指定管理者制度の導入による具体の成果でございますが、施設別に一例を挙げさせていただきますと、財団法人東京都中小企業振興公社が指定管理者となった産業貿易センターにつきましては、積極的な情報提供等によりまして、施設稼働率並びに利用料金収入がともに事業計画を上回ったところでございます。
 また、公益財団法人東京都農林水産振興財団が指定管理者となりました食品技術センターでは、アシタバ等の地域農産物の加工方法等の研究を通じまして、見るべき成果を上げてございます。
 さらに、財団法人東京しごと財団が指定管理者となりましたしごとセンターにおきましては、雇用情勢が厳しさを増す中、全年齢層を対象に、カウンセリングから職業紹介まで一貫した就業支援を実施いたしまして、開設以来、平成二十一年度末までの新規利用者数が約十二万人を数え、着実に成果を上げてきてございます。
 このように、指定管理者制度を導入した三施設につきましては、いずれも十分事業実績を上げてございまして、存分に評価できるものと考えてございます。

○山崎委員 指定管理者制度を導入した意義と、同制度の導入により、指定管理者の努力のもとで、それぞれの施設に存分の成果があったことについては、高く評価したいと思います。
 そこで次に、指定管理者選定の手続を確認いたします。産業貿易センターを公募、食品技術センターとしごとセンターを特命により選定した理由をお伺いします。

○三枝総務部長 総務局から示されております東京都指定管理者選定等に関する指針によれば、指定管理者の選定は、原則公募とされてございます。同時に、同指針では、施設の状況に応じて、競い合いなどによる効果が十分発揮できないと考えられる場合には、選定委員会の審査を経て、特命による選定を実施することも可能とされてございます。
 産業貿易センターにつきましては、見本市、展示会等のための施設でございまして、広く競わせることが合理的であることから、公募といたしたところでございます。
 一方、食品技術センターとしごとセンターにつきましては、都における政策遂行の場そのものでございまして、確実な事業実績が求められることから、都の政策との連動性等を重視いたしまして、行政支援、補完機能を有する監理団体による管理運営が適切であるとの選定委員会の判断に基づき、特命により選定したものでございます。

○山崎委員 答弁を聞いて、特命により選定した指定管理者についても合理的な理由があったことが確認できました。都の各種施策との連動性等が確保できることは監理団体の大きなメリットであり、都が適切な指導を行いつつ、事業を進めていくことを期待いたします。
 それでは、個別の施設の状況についてお聞きしたいと思います。
 まず、中小企業振興で重要な役割を果たしている産業貿易センターです。同センターは、浜松町館及び台東館の二カ所で見本市や展示会を開催し、中小企業の販路開拓に大いに役立っていると聞いております。現下の厳しい経済情勢のもとでは、産業貿易センターの業務運営や事業展開をこれまで以上に効果的なものにしていかなければなりません。そのためには、見本市などの開催場所の管理運営を行うだけでなく、中小企業支援の一拠点として、販路開拓などに役立つ良質なサービスもあわせて提供するという発想で、指定管理者の業務を行うべきでございます。
 今回も候補者となった中小企業振興公社は、指定管理者としてさまざまな事業運営のスキルを培うとともに、都と連携して中小企業振興に貢献してきたという実績があります。こうした強みを十分に発揮し、将来にわたって産業貿易センターの施設サービス等の向上につなげていくべきであります。
 そこで、都は、中小企業振興公社に対し、産業貿易センターの指定管理者として、どのような取り組みを期待しているのか伺います。

○山手商工部長 都立産業貿易センターは、見本市や展示会の開催を行う展示スペースや会議室を低廉な費用で提供することを通じまして、中小企業の販路開拓を支援する施設として重要な役割を果たしてございます。
 今回、指定管理者の候補者として選定された東京都中小企業振興公社は、中小企業支援機関として、都と協力しながら取引先を掘り起こすニューマーケット開拓支援事業を行ったり、海外販路開拓支援事業などに取り組むことで、企業の販路開拓に関するさまざまな知識とノウハウを蓄積してきましたことから、そうした蓄積を最大限に生かしまして、センターにおける良質な販路開拓支援のサービスを提供することが期待されるところでございます。
 特に公社は、センターの指定管理者としての業務を担うことによりまして、展示会に関するセミナーを開催したり、効果的な展示会の開催に向けたコーディネート機能の強化を図ることを予定してございまして、より良質な販路開拓支援に向けた取り組みが進むものと考えてございます。
 また、公社は、センターを利用する中小企業に対して、見本市や展示会をきっかけとして公社の総合相談窓口を紹介し、企業ニーズに応じて技術開発の支援や知的財産活用に向けたサポートなど幅広い支援メニューによる対応を行って、効果の高い中小企業振興施策の力を総合的に発揮することも可能になるものと考えてございます。
 公社が培ってきた中小企業支援の力を遺憾なく発揮することで、センターにおける販路開拓支援のサービスレベルを高めまして、より効果的な中小企業振興がセンターを起点として展開されることを期待してございます。

○山崎委員 続きまして、食品技術センターの指定管理者の候補として、東京都農林水産振興財団が挙げられております。食品技術センターは、食品工業技術の向上を図ることを目的とするとの説明が資料の中にありますが、こうした専門性の高い技術の向上を図るには、すぐれた研究体制や技術指導の能力などが欠かせません。同財団が、食品技術センターの必要とする研究体制など、高度な要件を満たし、その業務運営を担うことがふさわしい主体であるからこそ、指定管理者の候補に選定されたのではないでしょうか。
 そこで、同財団が食品技術センターの管理運営を担うに当たり、どのような能力を期待されているのか、具体的に教えていただきたいと思います。

○保坂農林水産部長 食品技術センターは、都内食品産業を振興し、都民の食の安全・安心の確保と食生活を充実するための試験研究、技術指導を担っております。具体的には、新たな食品を開発し、成果の普及に努めてございます。
 農林水産振興財団は、行政と連携して研究需要を把握するとともに、これまで蓄積した農林関係の研究ノウハウや実績を活用した研究に取り組む体制が整っております。また、国や他県の農林水産関係研究機関や大学との共同研究、国の研究外部資金の獲得など、多くの実績がございます。
 連携による研究成果の具体例を申し上げますと、東京うこっけいハムの製品開発がございます。これは、これまで利用されなかった東京うこっけいの肉の加工技術を開発し、商品化に成功した事例でございます。
 このように、農林水産振興財団は、食品技術センターの管理運営を担う十分な能力を有する団体でございます。

○山崎委員 最後に、東京都しごとセンターについて伺います。
 厳しい雇用情勢が続く中、求職者に対するセーフティーネット機関として、東京都しごとセンターは、すべての年齢層の方を対象に、民間事業者の持つノウハウを活用しつつ、キャリアカウンセリングからセミナー、職業紹介までをワンストップで提供する施設であります。
 しごとセンターがある建物には、国のハローワークを初め、職業能力開発センターなど雇用に関するさまざまな機関が入居していますが、こうした関係機関が連携し、一体となったサービス提供が求められます。
 東京しごと財団は、リーマンショック後の雇用情勢が急速に厳しくなる中でも、都が立案する雇用対策と一体となり、しごとセンターを適切に運営してきたものと評価しております。
 このような実績、ノウハウを持つ東京しごと財団が、その強みを十分に発揮することで、都の雇用対策の一翼を担っていくべきです。
 そこで、東京都しごとセンターの指定管理者として、東京しごと財団に対し、どのような取り組みを期待しているのか伺います。

○日請雇用就業部長 しごとセンターは、都が設置いたします雇用就業に関するセーフティーネット機能を有する中核機関でございまして、厳しい雇用情勢が続く中で急増する求職者に対しまして、都の雇用政策と一体となった機動的な事業運営がますます求められているところでございます。
 しごとセンターは、開設以来、平成二十一年度末までに約五万人の就職を実現するなど、就業支援機関として適切に運営されてまいりました。また、最近では、新卒者等の厳しい就業状況を踏まえまして、昨年度は、新卒者向けの特別相談窓口を三月から開設いたしました。今年度は一月から開設の予定でございます。時々の都の雇用政策に適切に対応してきたものと評価しているところでございます。
 今後とも、都の雇用政策と一体となった運営を行うとともに、国等の関連機関と適切に連携しつつ、民間事業者の持つノウハウも活用いたしまして、求職者一人一人の適性や状況を踏まえた、きめ細かな就業支援が実施されることを期待いたしております。

○山崎委員 これまでの議論からも明らかなように、都のさまざまな施設で提供されるサービスの質を高めて、事業運営の効率化を図るためには、指定管理者制度を初めとするさまざまな手法の効果的な活用とともに、そうした手法の導入結果をしっかりと検証して、施策の全体のレベルアップに結びつけていく努力が不可欠であります。
 我々自由民主党は、平成二十一年六月に入札・契約制度改革プロジェクトチームの報告書を作成し、指定管理者制度の根本にさかのぼった議論を展開しました。そこでは、指定管理者に委託された施設が、その対象として適切かどうか徹底した検証を行い、ありきたりな行政改革に問題提起をしたところでございます。
 また、一昨日の都議会での一般質問において、我が党の宇田川議員から、指定管理者制度のあり方について、人材育成の観点から見直しを行うべきとの質疑を行ったわけですが、このような継続的な問題提起こそが、指定管理者制度のより効果的なブラシアップにつながるものと考えます。
 今回の指定管理者は、いずれも都の監理団体となっていますが、これまで監理団体は、行政、すなわち第一セクターでもなく、民間、すなわち第二セクターでもない組織として、いわゆる第三セクターとの位置づけがなされてきました。しかし、本来的には、公益性を最優先とする行政と経済効率性を最優先とする民間企業の間に立つ中間的性格の、一・五セクターともいうべき位置づけがふさわしいと考えています。まさしくこうした性格を有する監理団体を指定管理者制度のもとで活用し、都政運営のより重要なパートナーとして十分に機能させることで、都民福祉の向上を図るべきであります。
 最後に、指定管理者制度は公の施設の運営に係るものであり、その運営には一日の休止も許されません。既に導入後五年が過ぎ、都は今回の選定に当たり、十分な判断をしたと思います。
 指定管理者の選定が今定例会で行われることは、従前の例から明らかでありました。その選定方法に意見があるのであれば、さきの三定までに議論しなければ、安定的な行政運営は望めません。最も大切なことは、建設的な議論を行いながら、都政の発展に寄与する指定管理者制度の確立を目指すことである旨を申し述べて、私の質問を終わります。

○大松委員 東京しごとセンターの指定管理者の指定に関連して質問いたします。
 厳しい経済状況にあって、深刻さの度を増しているのが雇用の問題です。まず、現下の雇用情勢について、東京都の認識を伺います。

○日請雇用就業部長 七月から九月期平均の東京の完全失業率は五・七%となっておりまして、全国平均の五・一%を上回っており、依然として高い水準にございます。
 また、東京の十月の有効求人倍率は〇・七〇倍となっておりまして、前月より〇・〇一ポイント上昇はしているものの、依然として一倍を下回る状況にございました。
 さらに、十月時点の大学卒業予定者の就職内定率も過去最低というふうになっておりまして、新規学卒者を取り巻く就職環境も悪化するなど、雇用情勢全体は依然として大変厳しい状況にあるというふうに認識しております。

○大松委員 私どもも住民の皆様方からさまざまな相談をお受けいたしますが、就職の相談は後を絶たず、特に中高年の皆様方からの相談がふえております。相談を受ければ、私はまず、東京しごとセンターを紹介いたしますが、おおむね大変いい評価をいただいております。必ずしも、紹介した方が希望どおりの再就職ができるわけではありませんが、ある中高年の方は、電話で厳しい自分自身の状況を説明したところ、しごとセンターの方から、何とか仕事を探しますから、ぜひ一度お越しくださいと、このようにいわれ、大変勇気づけられたという声も伺っております。
 厳しい雇用情勢を受けて、しごとセンターの利用者も急増していると聞いています。利用者の状況、特に中高年の状況について所見を伺います。

○日請雇用就業部長 雇用情勢の悪化を受けまして、しごとセンター全体の平成二十一年度の新規利用者数は三万三百三十一人となっておりまして、平成十六年度の開設以来、初めて三万人を超え、前年度の約一・三倍となっております。
 こうした利用者の増加傾向は、今年度に入っても続いておりまして、二十二年度の四月から九月までの上半期は一万六千二百八十五人と、前年同期比で七%の増加というふうになっております。
 このうち、三十歳から五十四歳までの中高年齢層を対象といたしますミドルコーナーの新規利用者数は、平成二十年九月のリーマンショック以来、特に大きく増加しておりまして、二十年度は前年度の約一・四倍の七千三百十五人、二十一年度は、二十年度のさらに一・三倍の九千三百二十三人というふうになっております。
 また、今年度の上半期は五千三百六十四人と、前年同期比で一三%増加しておりまして、利用者全体の伸び率のほぼ倍というふうになっております。

○大松委員 中高年の利用者が急増しておりまして、雇用情勢の深刻さが浮き彫りになっております。働き盛りで、家計を支える大黒柱である中高年の方が失業すれば、子どもの就学が困難になったり、住宅ローンの支払いが滞ったり、多方面に深刻な影響を与えます。新規学卒者への支援とともに、中高年の雇用対策にもしっかり力を入れていかなければなりません。
 そこで、このしごとセンターで実施している中高年向けの就職支援の具体的なサービスについて伺います。

○日請雇用就業部長 しごとセンターではミドルコーナーを設置いたしておりまして、民間事業者のノウハウを活用いたしまして、再就職を目指す三十歳から五十四歳までの中高年求職者に対しまして、就職支援アドバイザーが、個別カウンセリングを軸に、セミナーや職業紹介までの一貫した支援を実施しております。
 平成二十年九月以降にミドルコーナーの新規利用者が急増したことを受けまして、平成二十一年第二回定例会で補正予算を計上いたしまして、中高年の正規雇用離職者の早期再就職の実現に向けました早期再就職支援事業を立ち上げまして、昨年七月から事業を開始しております。
 この事業は、中高年齢者に対しまして、早期再就職に向けた機会を数多く提供するため、厳しい労働市場の現実を理解した上で企業とのマッチングの場に臨んでもらえるよう、セミナーと就職面接会をセットとした支援プログラムを毎月実施するものでございます。
 あわせて、ミドルコーナーの就職支援アドバイザーも、二十四ポストから八ポスト増員して三十二ポストといたしまして、支援体制を強化したところでございます。
 これらの取り組みによりまして、中高年求職者の早期再就職を適切に支援しております。

○大松委員 東京都は、一昨年秋のリーマンショックで、正社員にも雇用調整が始まってきたという状況を機敏にとらえて、しごとセンターを活用し、中高年の正規雇用離職者向け支援を強化しております。この機動的な対応は高く評価されるべきであります。こうしたすぐれた施策の展開ができたのも、しごとセンターを運営する団体の質によるところが大きいわけでありまして、現在の指定管理者であります東京しごと財団と東京都との連携が非常にうまくいっている証左であると考えるわけでございます。
 そして、今後も、都が効果的な施策を迅速に実行していくためには、都の方針に的確に対応できる指定管理者にしごとセンターの運営を担っていただかなければならないわけでありまして、私は、東京しごと財団を指定することは妥当であると考えるものでございます。
 その上で、指定管理者に選定すれば、今後五年間の管理運営を任せるわけですから、万全を期すためにも、東京しごと財団を指定管理者とするメリットについて確認しておかなければなりません。今回、東京しごと財団を指定管理者として選定した理由について伺います。

○日請雇用就業部長 しごとセンターは、都が設置する雇用就業に関しますセーフティーネット機能を有する機関でございまして、雇用情勢が変動する中、都民ニーズに的確に対応するため、都の政策と連動した運営が必要でございます。また、国や民間事業者等と有機的に連携し、効果的、効率的な事業展開を図る必要がございます。
 東京しごと財団は、しごとセンターの開設以来、雇用情勢に的確に対応いたしまして、しごとセンターを運営してきた実績を有しております。これをもとに、今後とも、国や関係機関と連携しつつ、民間事業者のノウハウも活用した、きめ細かい就業支援サービスを提供することが期待できるものでございます。
 このため、全庁的に適用されます東京都指定管理者選定等に関する指針に基づきまして、指定管理者候補者として、特命により選定したものでございます。

○大松委員 ただいまの答弁にもありましたように、しごとセンターの事業は、民間のノウハウを活用し、求職者にきめ細かい支援を行うところに特徴があります。したがいまして、指定管理者は、委託した事業者のサービス内容や利用者への対応はどうなのか常に目配りし、その実績を検証し、的確に事業を委託しなければなりません。
 そこで、しごとセンター事業を委託している民間事業者の選定のあり方について伺います。

○日請雇用就業部長 東京しごと財団は、ミドルコーナーやヤングコーナーなどのカウンセリング及びセミナー業務などについて、豊富な業務実績を持つ民間事業者のノウハウを活用するため、しごとセンター事業の一部を民間事業者に委託し、事業を実施しております。
 こうした民間事業者への委託に当たりましては、競い合いの中から民間事業者の創意工夫を引き出し、効果的な事業展開を図るため、企画提案方式による公募を行いまして、東京しごと財団内に外部委員を含む委託事業者選定委員会を設置いたしまして、受託事業者を選定しております。
 こうした公募によります事業者選定は、事業の継続性の観点から三年ごとに実施しておりまして、公募のない年におきましても、就職率やセミナーの参加者数等を指標とした事業評価方式により、同選定委員会におきまして受託事業者の評価を行い、毎年度、適切に民間事業者を選定しているところでございます。

○大松委員 民間事業者の選定につきましても、利用者サービスの向上の観点から適切に行われているものと評価いたします。その上で、ぜひ就職マッチングに力のある事業者を活用していただいて、中高年の対策については、さらに取り組みを強化していただくよう、強く要望させていただきます。
 また、このしごとセンターをもっと宣伝していただきたいわけでございます。私がしごとセンターを紹介した方のほとんどは、その存在を知りませんでした。せっかくのいいセンターであります。就職で困っている都民の皆様方に、より広く情報が届くよう、引き続き努力していただくよう求めておきます。
 最後に、この厳しい経済状況のときだからこそ、これまでの経験や実績を有効に活用し、求職者を支援していくことが重要であります。引き続き、東京都と東京しごと財団が密接に連携し、しごとセンターの機能を最大限に発揮していただくよう要望いたしまして、質問を終わります。

○清水委員 付託議案となっております東京都しごとセンターの指定管理者の指定についてお伺いいたします。
 現在、都は、しごとセンターの管理運営について、東京しごと財団に特命をしております。財団は、幾つかの事業を民間に再委託しております。その事業内容、再委託先、契約金額について、その推移も含めて明らかにしていただきたいと思います。

○日請雇用就業部長 先ほどの質疑にもございましたが、二〇〇三年の地方自治法改正によりまして、指定管理者制度が導入されました。東京都しごとセンターもその対象となっております。
 しごとセンターの事業の運営に当たりましては、シニアコーナーなど東京しごと財団のノウハウの蓄積のある部門におきましては、財団職員が直接実施しておりまして、民間のノウハウが必要な部門につきましては、業務遂行に最も適した民間事業者を選定し、東京しごと財団が民間事業者に再委託しております。
 しごとセンター事業の主な再委託業務は、ヤングコーナー、ミドルコーナー及びしごとセンター多摩におけます就業支援サービスの提供でございます。
 まず、ヤングコーナーにおけます各年度のカウンセリング及びセミナーに係る契約金額、委託事業者についてでございますが、平成十八年度は約九千二百万円、委託事業者は株式会社フルキャストHR総研及び株式会社インテリジェンスでございます。
 平成十九年度は約七千万円、委託業者はテンプスタッフ転身サポート株式会社及び株式会社インテリジェンスでございます。
 平成二十年度は約一億三千八百万円、二十一年度は約一億五千二百万円、平成二十二年度は約一億四千九百万円でございまして、各年度とも、委託業者は株式会社インテリジェンスでございます。
 次に、ミドルコーナーにおけます各年度のカウンセリング、セミナー及び職業紹介に係る契約金額及び委託事業者でございますが、平成十八年度は約三億九千万円、平成十九年度は約三億二千二百万円、平成二十年度は約三億三千三百万円、平成二十一年度は約四億四千万円でございまして、委託事業者は、各年度とも株式会社ライトマネジメントジャパン及び株式会社パソナキャリアでございます。
 平成二十二年度は、約四億八千七百万円でございまして、委託事業者は株式会社パソナでございます。
 次に、平成十九年八月に開設いたしました、しごとセンター多摩におけます各年度のカウンセリング、セミナー及び職業紹介に係る契約金額及び委託事業者についてでございますが、平成十九年度が約六千三百万円、平成二十年度が約一億三千二百万円、平成二十一年度は約一億四千五百万円、平成二十二年度は約一億七千九百万円でございまして、各年度とも、委託事業者は株式会社日本マンパワーでございます。

○清水委員 今、お話がありました財団からの再委託先で、契約打ち切り、契約変更などになったケースはあるのでしょうか。それから、もしあるのであれば、原因についてお伺いしたいと思います。

○日請雇用就業部長 お尋ねのような事案はございませんでしたが、次年度の業務委託を行わなかったケースが二件ございました。
 原因といたしましては、平成十八年一月に発生した事案では、民間事業者の社員の一人が、しごとセンターの求人情報を利用して、勤務時間中に自己の求職活動をしたという事案でございます。平成二十一年三月に発生いたしました事案では、民間事業者が、求人票に不適切な記号を付していたという事案でございました。

○清水委員 過去の事案ではありますけれども、最初の方にご説明がありました、求人情報を利用して自己の求職活動をしたという問題について、当時、私自身も関係方面に調査したことを記憶しております。これらは新聞報道などで明らかにされ、その後、都が対応するということになっていると思いますが、新聞で報道されない限り、財団も都もこうした不祥事を--私としては不祥事というふうに考えるわけですけれども、チェック、把握できる体制にないということでしょうか。財団、都としてのチェック体制はどうなっているのか、お伺いいたします。

○日請雇用就業部長 都及び東京しごと財団におきましては、東京しごとセンター開設以来、受託事業者に対しまして、労働関係法令の遵守を求めるとともに、契約に基づき、事業の実績や利用者対応の実情について定期的に報告を求めまして、また、利用者からの申し出等を通じまして、受託事業者のサービス提供の状況を確認するなどの方法によりまして、細心の注意を払って対処してきたところでございます。

○清水委員 多摩のしごとセンターは、不祥事を起こした企業に再委託しているというふうに伺っておりますけれども、それは問題はないのでしょうか、お伺いいたします。

○日請雇用就業部長 しごとセンター多摩は、平成十九年八月に開設されておりますが、株式会社日本マンパワーに委託しているところでございます。
 これに当たりましては、民間事業者からの企画提案方式による公募を実施いたしまして、東京しごと財団に設置する委託事業者選定委員会による公正な審査を経て、委託先事業者を株式会社日本マンパワーに決定したものでございまして、問題はないというふうに考えております。

○清水委員 問題がないということですけれども、先ほどのご答弁では、次年度の事業委託を行わなかったケースがあるというふうな形で認識されているわけですが、やはり契約社員の男性が、センター利用者向けの求人にみずから応募したというケースでしょう。これは、当時の新聞報道によりますと、私自身も調査したわけですけれども、企業側が男性を覚えていて採用に至らなかったということですけれども、やはり大きな信頼を失ったということです。
 一般的に、企業が起こした問題は、謝罪を広報し、再発防止に努めるということを宣言するものです。しかし、財団は、みずからもこれを明らかにしておりません。都自身も、新聞の報道を受けて事実関係を調査し、発表するなどのことはありませんでした。手を打ってないわけです。
 今の答弁も、私としては、具体的ではないというふうに思います。状況報告を受けて、適宜必要な指導助言を行うなど当然のことで、そういうことをしても不祥事を防げなかったという反省がないというふうにしか思えません。具体的に手を打ったというのならば、いつの時点で、どれどれこういうことを決めてルール化したということを、具体的にご答弁をお願いいたします。

○日請雇用就業部長 こうした事態の発生を受けまして、都及び東京しごと財団は、発生防止のため、まず、受託事業者に対しまして具体的な対応を指示しております。これを受けた受託事業者が、個人情報の管理状況や関連法令の遵守状況等について監査や研修を適宜実施しておりますほか、毎月、チェックリスト等により、受託事業者の職員が法令遵守状況を自己チェックの上、東京しごと財団に報告するなどの対応を行っております。
 都は、東京しごと財団から、これらの状況につきまして毎月報告を受け、適宜必要な指導助言を行っておるところでございます。

○清水委員 今のご答弁、本当に他人ごとです。財団との委託に当たっても具体的な再発防止策もとっていないし、再委託に当たってのルールについても見直しも行っていないということになります。
 次に、財団の人員構成ですけれども、ここ五年間、正規職員を減らし、非常勤職員の比重を高めています。常勤、非常勤別に五年間の推移を示し、その理由を明らかにしていただきたいと思います。

○日請雇用就業部長 東京しごと財団におきましては、個々の職務内容、あるいは業務量等を勘案し、常勤職員、非常勤職員の役割分担を的確に定めまして、スリムで効率的な執行体制の確保に努めております。
 特に、窓口業務など、専門的能力やキャリアカウンセラー資格を要する分野、あるいは時限的な事業等におきまして非常勤職員を活用し、適切な業務遂行を図っております。
 こうしたことから、東京しごと財団の人員構成につきましては、平成十七年度は常勤九十七名、非常勤三十名、十八年度が常勤八十九名、非常勤二十七名、十九年度は常勤七十七名、非常勤四十一名、二十年度は常勤八十二名、非常勤五十七名、二十一年度は常勤八十一名、非常勤六十一名となっております。

○清水委員 都は、非常勤職員の比重を高めた雇用就業対策が、スリムで効率的な執行体制だなどといっているから、都として、民間企業で正社員の非正規化に歯どめをかける姿勢も持てないし、都が雇用拡大を経済団体に求めたなどといっても、受ける企業側に説得力を持たないことになります。まず、みずからの襟を正すことが必要です。
 しごとセンターについて、指定管理者について、行っている事業は、雇用就業を支援、人材の育成、地域経済、社会づくりに大きな影響を与える大変重要な仕事であり、とりわけまた、今日、深刻な雇用破壊、労働条件悪化が進行するもとで、都の労働行政の役割はますます重要となっている中で、財団への委託、指定管理者制度について、やはりそれをやめ、直営に戻すべきである。指定管理者制度そのものにも私たちは反対という根本的な考えはあるんですけれども、他の二件には賛成し、この議案に反対すると。
 少なくとも財団は正規職員を拡充し、各事業のノウハウの蓄積に努め、関係行政機関との密接な連携、都民サービスの一層の充実に努めるよう要望し、質問を終わります。

○西岡委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○西岡委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。

○西岡委員長 次に、報告事項、東京都が東京信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄の報告についてに対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○西岡委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○西岡委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。

○西岡委員長 次に、報告事項、新銀行東京の平成二十三年三月期中間決算についてに対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○三枝総務部長 去る十一月二十五日の当委員会でご要求いただきました資料につきましてご説明申し上げます。
 まことに恐れ入りますが、お手元の経済・港湾委員会要求資料の表紙をおめくりいただきたいと存じます。
 まず、目次でございます。報告事項に関する資料が全部で十項目ございます。
 恐れ入りますが、一ページをお開きください。新銀行東京の再建計画の進捗状況をお示ししてございます。
 上の表にお示ししましたとおり、損益計算書の当期純利益につきましては、再建計画上の平成二十二年度収益計画ではプラス・マイナス・ゼロでございますが、平成二十二年度第二・四半期時点では四億円となってございます。
 次いで、下の表にお示ししたとおり、貸借対照表の純資産につきましては、再建計画上の平成二十二年度収益計画では四百億円でございますが、平成二十二年度第二・四半期時点では五百一億円となってございます。
 続きまして、二ページから三ページにかけまして、新銀行東京の開業以降の月別の融資件数・残高・返済額・不良債権額につきまして、平成十七年四月から平成二十二年九月までの実績をお示ししてございます。
 三ページの末尾の表にお示ししたとおり、平成二十二年九月末までの中小企業向け融資の実行件数の累計は一万一千二百三十件となってございます。
 続きまして、四ページから五ページにかけまして、新銀行東京の開業以降の融資・保証実績で月別・メニュー別の件数・金額につきまして、平成十七年四月から平成二十二年九月までの実績をお示ししてございます。
 五ページの末尾の表にお示ししたとおり、平成二十二年九月末までの中小企業向けの融資と保証を合わせた実績の累計は、実行件数が一万八千四百五十一件、実行金額が三千五百六十八億六千三百万円となってございます。
 続きまして、六ページをお開きください。新銀行東京の開業以降の融資・保証実績で事業規模別の件数・金額(残高ベース)をお示ししてございます。
 平成二十二年九月末時点の融資と保証の合計の件数は六千五百九十五件、残高は七百四十一億円となってございます。
 続きまして、七ページから八ページにかけまして、新銀行東京の開業以降の融資・保証実績で事業規模別の件数・金額(実行ベース)をお示ししてございます。
 八ページの合計欄にお示ししたとおり、平成二十二年度の融資実績は、九月末時点で件数が二百三十九件、金額が二百六十八億円となってございます。
 続きまして、九ページをお開きください。新銀行東京の開業以降の債務超過企業・赤字企業への融資・保証実績をお示ししてございます。
 一番右側の欄は、平成二十二年度第二・四半期時点の実績でございまして、合計の件数は三千七百四十九件、残高は二百三十五億円となってございます。
 続きまして、一〇ページをお開きください。新銀行東京の預金規模別の預金者の件数・割合・金額をお示ししてございます。
 平成二十二年度第二・四半期時点における一千万円以下と一千万円超の個人及び法人預金者の件数、金額及びそれぞれの割合をお示ししてございます。
 続きまして、一一ページをお開きください。新銀行東京の預金規模別の預金者の件数・割合・金額の推移をお示ししてございます。
 平成十七年度から二十一年度までの各年度末時点及び平成二十二年度第二・四半期末における一千万円以下と一千万円超の個人預金者の件数、金額及びそれぞれの割合をお示ししてございます。
 続きまして、一二ページをお開きください。新銀行東京の融資実行先における無担保・無保証融資の実績の推移でございます。
 平成十七年度から二十一年度までの各年度及び平成二十二年度第一、第二・四半期における無担保・無保証による融資の実行件数、実行金額をお示ししてございます。
 続きまして、一三ページをお開きください。新銀行東京の有価証券残高とその内訳の推移でございます。
 平成十七年度から平成二十二年度第二・四半期までの有価証券残高と、その内訳をお示ししてございます。
 以上でご要求いただきました資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○西岡委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○佐藤委員 報告事項である新銀行東京の平成二十三年三月期中間決算について、何点か伺います。
 まず伺いますが、再建計画策定時の貸出金利回りと現在の貸出金利回りの差は、どれほど出ているでしょうか、お答えください。

○斎藤金融監理部長 貸出金利回りにつきましては、再建計画策定時に最も近い平成二十年三月期決算では二・四〇%、今回の決算では一・八二%でございまして、〇・五八%低下しております。
 ただ、当然のことでございますが、この数字は単位利益をあらわすものであり、全体の収益に直結するものではございません。
 なお、都市銀行及び都内の地方銀行、第二地方銀行の平成二十年三月期決算と今期の決算を比較すると、〇・二八ないし〇・七二%の低下というデータがございます。

○佐藤委員 次に伺いますが、部分直接償却実施前の保全率が、平成二十一年九月末時点の八九・七%から、平成二十二年九月末時点では八七・〇四%に下がっております。また、一般、個別の貸倒引当金も減少しております。保全率が下がり、貸倒引当金の金額が下がっているのはどういった理由でしょうか、お答えください。

○斎藤金融監理部長 保全率や貸倒引当金の額は、債務者区分などさまざまな要因で決まるものでございます。
 保全率は九月末時点で八七・〇四%と、依然として高い水準を保っているものと認識しております。

○佐藤委員 今、お答えいただいたわけでありますが、恐らく実績デフォルト率に基づいて貸倒引当金を計上しているんでしょうが、現在の厳しい景気の中では、融資の焦げつきが増加する可能性があるのではないかと思います。
 新銀行は融資をふやしているわけですが、先ほど伺ったように、貸出金利回りが下がっておりますから、今後、新銀行の収入が減少しかねない状況にあり、景気が厳しい中、楽観できない状況といえるのではないでしょうか。
 引き続き伺いますが、重要な係争事件として記載されている四信用金庫との保証債務履行請求の裁判は、いつ結論が出るのでしょうか。請求額六億四千五百万円とのことですが、この結論が今年度中に出て、新銀行の支払いが今年度中に出るかどうかで、決算の数字が大きく変わってくるのではないかと思うわけです。裁判の状況がどうなっているのか、お答えください。

○斎藤金融監理部長 訴訟の進行につきましては裁判所の判断でございまして、訴訟の終結見込みについて、都はお答えする立場にございません。

○佐藤委員 今、伺った信金との訴訟は、いつの時点の保証で、どの経営陣がかかわったかも検証する必要があるのではないでしょうか。旧経営陣に対する訴訟が行われているようですが、しっかりと責任の所在を明らかにすべきと考えます。
 いまだ実質業務純益が黒字にはなっていないわけですが、十二月七日の質疑では、今年度末に月次で均衡、来年度に黒字化を目指すとしておりましてという前田局長の答弁があったわけです。今、申し上げたように、新銀行の支払いが今年度中に出るかどうかで、決算の数字が大きく変わってくるのではないかと思います。
 現在、金融庁が新銀行東京の金融検査を行っておりますが、都は検査の事実をどうやって知ったんでしょうか、お答えください。

○斎藤金融監理部長 金融庁が検査を実施する予定の金融機関を公表いたしました平成二十二年十一月二十六日に、新銀行東京より報告を受けております。

○佐藤委員 検査が終わった後、新銀行が、金融庁からの指摘事項を適切に改善いただきたいと思います。
 引き続き伺います。先ほど、黒字化の見通しについての答弁を紹介したわけですが、セカンドステージの発表は、いつ、どういう状況になれば発表するのでしょうか。今回のように、月次で実質業務純益の黒字化が見えてきた場合、いち早く検討に入ってしかるべきだと思いますし、できるだけ早期に発表するべきと考えますが、見解を伺います。

○斎藤金融監理部長 矢継ぎ早にいろんなご質問をいただいておりますが、セカンドステージの発表は、いつ、どういう状況になればと、また、できるだけ早い時期にと、こういったお話でございますけれども、これらは民間企業の経営上の判断に属することであります。発表できるときになれば、こういったものは当事者である株式会社新銀行東京から発表されるものと、このように考えております。

○佐藤委員 石原知事は、中国との提携交渉やセカンドステージという事柄に言及しているわけですから、一体どういった内容であるのかを、石原知事の任期中に早急に発表いただくことが必要ではないかと思います。
 我が党としては、事業譲渡や売却といった撤退を求めています。新銀行がさまざまな交渉をする場合、追加出資分の四百億円を毀損しないように、都が新銀行に働きかけるよう努力するべきと考えますが、見解を伺います。

○斎藤金融監理部長 さまざまな交渉をする場合というご質問の中でご発言がございましたが、この交渉というのが、事業譲渡や売却を行って早期に撤退するというための交渉と受けとめますけれども、そのようなことであれば、都としてはそういったことは考えておりません。
 新銀行東京がその企業価値を高め、着実に再建を果たしていくように、都としては、引き続き経営の監視と支援に努めてまいります。

○佐藤委員 知事は、十一月十九日の記者会見で、私も横からサポートしようと思って、ある外国との交渉を考えていたんですが、相手の姿勢がよくないので先延ばししましたがとか、本当は、この十月、十二月に某国に行って、さしで話そうと思ったんだけれど、尖閣のばかなことをやったのでなどと、中国との交渉に関して、現地に行こうとしていたと発言しています。また、十二月七日の本会議では、民主党の代表質問に対して、イギリスやドイツの金融機関との提携話を出しました。
 そもそも交渉するのは新銀行自身であるわけです。大株主である都のトップが、現地に行こうとしたと発言したにもかかわらず、それに対して十分な説明を行わないのは、さまざまな憶測が出るのは当然ですし、納得ができません。都民や議会に対して適切な説明が必要だと申し上げておきます。
 今後も引き続き、新銀行の経営監視だけでなく、十分な説明をいただくようお願い申し上げておきます。
 以上です。

○鈴木委員 同じく、中間決算について質問させていただきます。
 先日の本委員会で、新銀行東京の平成二十二年度の中間決算は、当期利益が四・九億円となって、二十一年度通期、二十二年度第一・四半期に続いて黒字を計上したとの報告がありました。本年度は、再建計画も後半に入って、再建の進捗を見る上で非常に重要な年でありますが、引き続き中間決算においても黒字を計上したということは、新銀行東京の努力の成果であると私は思っております。
 しかしながら、実質業務純益はまだ赤字であり、手放しで喜ぶことはできない、慎まなければいけないとも考えております。
 そこでまず、今回の中間決算について、都の評価をお伺いいたします。

○斎藤金融監理部長 今回の中間決算についての評価でございますが、当期利益につきましては、平成二十一年度通期決算で黒字を計上し、その後も黒字を継続しております。本業の収支であります実質業務純益は、赤字ではあるものの改善してきており、再建は着実に進んでいるものと評価しております。
 具体的な中身について見ますと、業務粗利益は、主に貸し出しの実行が増加したことと、有価証券の運用が好調だったことに加え、預金の利息負担が減少したことによりまして改善しております。
 収益の柱であります貸し出しにつきましては、政府向けを除いた残高が一千五十三億円となり、前年同期から百七十五億円増加しております。
 営業経費は、システムコストなどの削減に努めました結果、二十一億円となり、前年同期から約四億円減少しております。
 不良債権残高は二百四十億円と、前年同期から六十六億円減少しており、健全性も高まりつつありますが、いまだ高い水準にあると理解しております。
 今後の主な課題は、業務粗利益の改善と営業経費のさらなる削減による実質業務純益の改善及び不良債権比率の改善であると認識しております。

○鈴木委員 ただいま、再建は着実に進んでいるという、その内容についてご報告いただきまして、不良債権残高の減少など、具体的にご説明いただきましたけれども、業務粗利益のさらなる改善など、課題が残されていることもはっきりしました。新銀行東京には、課題の解決に向けて、より一層の努力をぜひお願いしたいと思います。
 これまで新銀行東京は、再建を進めながらもリスケジュールを積極的に行うなど、体力の範囲内で中小企業支援に取り組んで、実際に実績を積み上げてきたものと認識いたしております。しかしながら、一部に、新銀行東京が、もはや中小企業の役に立っていないとの発言も多々ありますが、果たしてこれは事実を踏まえた主張なのか、私は甚だ疑問に思っているわけです。
 今回の中間決算の報告資料で、この報告資料もよく見ていただきたいんですが、中小企業向けの与信残高が増加に転じたとあるが、その内容についてお伺いしたいと思います。
 また、中小企業支援の具体例としてどのようなものがあるのか、ぜひ明らかにしていただきたいと思います。

○斎藤金融監理部長 中小企業向けの与信の状況につきましては、件数では依然として減少傾向にございますが、与信残高は増加に転じ、平成二十二年三月末に比べ三十五億円増加いたしました。
 特に貸出金を見ますと、平成二十二年九月末の中小企業向け貸出金残高は六百二十二億円であり、平成二十二年三月末に比べて九十四億円、約一八%増加しております。
 中小企業向けの融資の増加に向けまして、新銀行東京では顧客ニーズや個別事情に対するきめ細かい対応を行っております。これに対し、顧客からの声も届いていると聞いておりますが、例えば、過去に提携先の倒産があり、他行はそれを理由に相手にしてくれなかったけれども、新銀行東京が相談に乗り、問題点が解消していることをちゃんと見て融資を行ってくれたというような感謝の事例がございました。
 また、資金繰りの厳しい中、新銀行東京による追加融資を有効に活用して新製品をゼロから開発し、倉庫をふやすくらいに売れ行きが好調であると、こういった感謝の声をいただいたという事例も聞いております。

○鈴木委員 与信残高が増加に転じて、三十五億円増加したということ、平成二十二年度の二期に実行した中小企業向けの貸出金が、全体の約七割、これは評価していいと思うんですね。中小企業に役に立っているというふうに、そのように考えております。私の地元の大田区でも、同じような、今、お話にあった実例のような経営者の声を聞いております。
 今年度に入って中小企業向けの貸し出しが増加していると、今の答弁で確認させていただきましたが、新銀行東京が着実に再建を進めて、体力を回復させてきたことの成果であると考えております。こういう点を金融監理部長もしっかりPRして、ぜひ教えてやっていただきたい、こういうふうに思っております。
 引き続き、周囲の雑音にとらわれることなく、着実に再建を進めて、可能な限り中小企業支援にぜひ取り組んでもらいたい、そのように考えております。
 ところで、再建に向けては、収益を上げることは当然でありますが、一方で、コストを減らすこともまた必要です。新銀行東京はこれまで、経費の削減による低コスト構造への転換とリスク管理体制などの強化による健全性の向上に努めてきたと聞いておりますが、今回の中間決算と追加出資前の決算とを比較すると、どのようなことがわかるのか、お伺いしたいと思います。

○斎藤金融監理部長 追加出資前の平成十九年九月の中間決算と比較いたしますと、大きな変化は、営業経費の削減による低コスト構造への転換と、不良債権の削減による健全性の向上、この二点でございます。
 営業経費は五十四億円から二十一億円と六〇%以上削減されましたが、これは、店舗の統廃合や人員体制の見直しに加えまして、システムの適正化など、不断の見直しを行うことにより達成したものでございます。
 また、不良債権は二百九十億円から二百四十億円に減少いたしました。一方で、保全率を六四・八五%から八七・〇四%に高めております。
 この間、新銀行東京は過去の教訓の上に立ちまして、行内体制を整備して与信審査や期中管理を徹底し、デフォルトを抑制するなど、リスク管理の強化に努めてきておりまして、これらさまざまな努力を重ねてきた結果と考えております。

○鈴木委員 新銀行東京が、過去の反省を踏まえて、追加出資後に、再建に向けてコスト削減を継続してきたことや、リスク管理を強化したということが、今の答弁でうかがえました。
 これまでの質疑で、新銀行東京自身の努力の結果、再建が着実に進展していることはわかりますが、株主である東京都が、きちんと監視を行っていくこともまた重要であります。都は引き続き、この手綱を緩めることなく監視に努めていただきたいと思います。
 新銀行東京は、半期で見ると三期連続で黒字を計上し、黒字基調となっておりますが、黒字を継続すること、黒字を積み上げていくことが重要であります。不良債権は減少傾向にありますが、引き続きリスク管理を徹底して、銀行として重要な健全性を高めていただきたいと思います。
 新銀行東京の役割である中小企業支援については、融資残高が増加基調に反転したことは新銀行東京の努力であると思いますが、まだまだ十分とはいえません。厳しいリスク管理の上に、中小企業支援を充実するよう、引き続き努力を求めておきます。
 一昨年の四百億円の追加出資以降、これまでの間、私たちは新銀行東京の再建への取り組みに対して、当委員会においてリスク管理や不良債権の状況、再建計画の進捗状況等について確認して、さらには都の監視について、しっかり注文をつけるなど、議会として重大な関心を持って臨んでまいりました。
 半期で三期連続黒字を計上するという現状は、現経営陣の努力の結果ととらえておりますが、実質業務純益の黒字化や中小企業への支援などの課題を踏まえて、これからも、あくまでも実態に即して経営状況をしっかりとチェックしていく考えであります。
 信用が第一であり、かつ多くの預金者や取引先企業が存在する銀行に関して、安易に批判するのではなくて、努力は努力として認めて、課題は課題として速やかな解決を求めていくことが重要であります。安易な清算や撤退論などの主張は、現実を踏まえていない、根拠のないものだと、私は現時点で考えております。現実の足元を見ながら、着実に再建に取り組みつつ、中小企業の支援に着実に役に立つ銀行としてしっかり機能するよう、株主として都はきちんと、今も申し上げましたように、監視を続けていっていただきたい、そのように要請しておきます。そういう中から、知事がこのたび触れたような第二ステージというものも見えてくるのではないかな、そのように私は考えております。
 最後に、新銀行東京が抱える課題を踏まえて、再建に当たっての局長の見解を伺いまして、私の質問を終わります。

○前田産業労働局長 新銀行東京は、平成十九年度の決算で、ご承知のように巨額の不良債権を抱え、深刻な経営危機に陥りましたが、都からの追加出資を受けまして、現在まで懸命に再建を進めてきました。
 先ほど金融監理部長から申し上げましたが、新銀行東京は、二十一年度通期決算に引き続き、今回の中間決算でも黒字を計上し、今年度通期でも黒字を見込んでおります。再建は着実に進んでおりますが、これは追加出資があればこそ可能となったものと考えます。
 また、副委員長からお話をいただきましたが、預金者、取引先である中小零細企業に対して深刻な影響を与えることなくこれまで来れたのも、そのたまものだというふうに考えております。
 新銀行東京は、引き続き経営努力を続けてまいりますが、再建に当たりましては、ご指摘いただいたような課題がございます。銀行の健全性を高めていくとともに、リスク管理を厳格に行いつつ、中小企業支援を充実させていくことが重要と考えております。
 再建計画は、来年度、二十三年度までの四年間の計画でございます。折り返しを過ぎた今年度は、再建に向けた極めて重要な時期であります。新銀行東京が着実に再建を果たせるよう、都としても、引き続き監視と支援に全力を上げてまいります。

○鈴木委員 引き続き頑張ってください。

○大松委員 十一月十九日に新銀行東京の平成二十二年度中間決算が発表されまして、それによりますと、当期利益は四・九億円、平成二十一年度通期決算に引き続き、黒字を計上しております。
 一方、実質業務純益はいまだ二・一億円の赤字ではありますが、昨年同期と比べると十二億円程度改善しておりまして、再建は着実に進展していることがうかがえるわけでございます。
 そこで何点か伺います。新銀行東京の再建には、銀行の本業の収支である実質業務純益の黒字化が欠かせません。この点につきまして、都は、さきの本会議で、我が党の代表質問に対し、実質業務純益は今年度末に月次で均衡、来年度には黒字化を目指しており、これまでの経営努力を続ければ、この目標は達成可能であると答弁していただいております。今回の決算を見ても、実質業務純益は着実に改善していますが、その主な要因は何か、都の所見を伺います。

○斎藤金融監理部長 実質業務純益の改善につきまして順を追って申し上げますと、まず、貸し出しが増加したことや有価証券による運用が好調であったことにより、資金運用収益が改善いたしました。
 一方、旧経営陣時代の高い金利の預金が満期を迎えつつあり、預金支払い利息が減少してきているため、資金調達費用が改善いたしました。これにより、業務粗利益が十八・九億円と前年同期比で七・八億円改善しております。
 また、システムコストの削減などにより、営業経費が二十一・一億円と、前年同期比で三・八億円改善しております。
 こうした要因によりまして、実質業務純益は十一・七億円改善しております。

○大松委員 次に、銀行の収益力を向上させるためには、利ざやの確保が必要であります。今回の決算では、主に総資金利ざやのうち、資金運用利回りが上昇し、資金調達利回りが下落しておりますけれども、その要因は何か、所見を伺います。

○斎藤金融監理部長 まず、貸出金利回りについては、中小企業向けを含む貸し出しが増加したことなどによりまして、前年同期と比べ〇・四六%改善し、一・八二%となりました。これに加え、有価証券利回りも〇・二四%上昇し、一・〇三%となっております。その結果、資金運用利回りは一・三二%と、これは〇・二六%の上昇でございます。
 また、旧経営陣時代の一・〇%物の定期預金が、今期までに九百七十億円程度満期を迎えております。新規に預金されたものを含め、残高は多少減ったものの、金利負担は軽減され、預金利回りは一・二六%から〇・二三%減少し、一・〇三%となりました。その結果、資金調達利回りは〇・七一%と、〇・三二%の低下ということでございます。

○大松委員 前年同期に比べまして改善したとはいえ、いまだ逆ざやは続いております。この逆ざやの解消に向けた課題について伺います。

○斎藤金融監理部長 逆ざやについてでございますが、旧経営陣時代の平成十八年度に実施いたしました金利一・七%の定期預金の満期が来年度到来いたします。この高い金利の負担が解消されることがまず必要でございます。
 また、貸出金利回りの改善も欠かせない要素でございますが、今回の中間決算では都内地銀の水準に近づいてきていると見ております。
 今後とも、リスク管理を行いながら、中小零細企業の資金需要にこたえていくことが必要であろうと思います。
 さらには、システムコストなどの営業経費を削減することにより、経費率を下げることなども、逆ざやの解消に向けた課題として挙げられます。

○大松委員 次に、信用コストにつきまして、平成二十一年度下半期には、引当金の戻り益などによりまして十七億円となっておりましたが、今期は七億円となっております。戻り益による黒字化という要素は、幾分低下していると見ることができるわけでございます。銀行経営にとりましては、この信用コストを適正に管理し、新銀行東京みずからの収益力を高めていくことが重要でございます。
 そこで、信用コストの大半を占めます貸倒引当金の積立基準についてお伺いいたします。また、今回の説明資料には、信用コスト管理を引き続き強化し、当期利益は黒字を継続とありますが、その内容についてもあわせて伺います。

○斎藤金融監理部長 信用コストの大半を占めます貸倒引当金につきましては、金融庁が策定しました金融検査マニュアルに基づいて的確に算定することとなっております。新銀行東京も、このマニュアルに従いまして、融資を行う際には過去の実績をもとに引き当てを行っております。
 新銀行東京は、信用コストの管理に当たりまして、融資に際しての審査機能を強化するとともに、貸出先に対する詳細なモニタリングを経営陣みずからが行い、貸し倒れや延滞の防止に努めております。
 また、業績が悪化してしまった顧客に対しましては、ニーズや状況に応じてリスケジュール、リスケを行うなど、きめ細かい対応を行っております。
 これらの取り組みを継続して行った結果、今期は七億円の戻し入れ益を計上したものでございます。

○大松委員 今回の中間決算では、純資産は五百億円を超える水準となりまして、追加出資の四百億円は保全されております。これは、当期利益の四・九億円の黒字とともに、有価証券評価差額金の増によるところが大きいわけでございますけれども、この有価証券は常に価格変動リスクを抱えております。経済金融環境の先行きが不透明な中、資金の運用に当たっては、しっかりリスク管理を行っていただきたいと思います。
 来年度は、経営再建の総仕上げの年、再建計画の最終年であります。新銀行東京がリスク管理をきちんと行うことはもちろんのことといたしまして、東京都は、新銀行東京が再建を果たすよう、経営監視をきちっと行っていただきたいわけでございます。
 こうしたことを踏まえまして、新銀行東京が再建を果たすための東京都の取り組みについて、所見を伺います。

○斎藤金融監理部長 新銀行東京が再建を果たしますためには、システムコストなどの営業経費や資金調達コストをさらに削減していくことが必要でございます。また、デフォルトの発生を抑制することはもちろん、委員ご指摘のとおり、有価証券などによる資金運用を含めた銀行経営全般にわたり、経営陣みずからが厳格なモニタリングを行うリスク管理体制を継続することが必要でございます。
 新銀行東京は、こうした取り組みにより、中小企業の資金ニーズにこたえられるよう体力を回復させ、中小企業向けを中心に融資を伸ばすよう努力してまいります。そして、今後とも全行員が一丸となって、再建に向けた努力を重ねていくことが重要であると考えております。

○大松委員 我が党はかねがね、新銀行東京が再建を果たし、企業価値を高めていくことが重要であると主張してまいりました。新銀行東京には、赤字、債務超過先への支援やリスケジュールに応じるなど、引き続き地道な中小企業支援を行うとともに、経費削減、適切な融資先の確保に努めるなど、堅実な経営に取り組むことによりまして、一日も早く再建を果たし、企業価値を高めていただきたいわけでございます。
 そして、新銀行東京が、本業の収支であります実質業務純益の黒字化を達成し、繰り返しになりますが、企業価値を高めていただいて、その暁には事業譲渡または業務提携を行い、追加出資四百億円を回収もしくは保全するように強く要望いたしまして、質問を終わります。

○清水委員 新銀行東京の九月期決算が公表されましたが、九月に質疑をした六月期の決算とほぼ同様の傾向となっています。しかも、詳しい内容は、競争上の地位を脅かすおそれがあるということを盾にして公表することさえせず、当初の再建計画がどのようになっているのかも明らかにできません。行き詰まっていることのあかしだというふうに思います。
 具体的には、新銀行東京の収益は貸倒引当金の戻り益などによること、預金は少なく、運用の財源は借用金、運用の収入は貸出金利息が三九%に対して、有価証券配当が五一%と、リスクの高い有価証券投資をふやし、銀行というより投資会社になっていることを指摘してまいりました。
 融資も、新銀行東京は詳細は明らかにしませんが、貸し出ししている中小企業は、一件当たり一億円以上も借りられるような企業、事業規模別も売上高五億円以上の中小企業で、あえて新銀行から借りる必要もないような企業もあります。新銀行東京は、もはや銀行としての体をなしておりません。こんな銀行は無理に継続するのではなく、段階的に清算することが、赤字をこれ以上拡大させないためにも一番速やかな道であるというふうに思いますが、きょうは、六月期の決算から九月期の決算になって、その後顕著になってきた特徴的な点に絞って伺ってまいります。
 まず、開業時の高金利キャンペーンで集めた定期預金は今期でどうなったのか、お伺いいたします。

○斎藤金融監理部長 ことしの六月から九月までに満期を迎えました九百七十億円の定期預金のうち、解約が三百二十億円あり、残りの六百五十億円は継続されたと聞いております。
 なお、新規の預金は二百十億円であったと聞いております。

○清水委員 結局、定期解約は、実質は百十億円減。ところが、実際には預金が九月期に十億円増になっているので、実質、定期以外の預金で百二十四億円ふえたということになりますが、どのような形で預金を確保したのか、お伺いいたします。

○斎藤金融監理部長 新銀行東京は、収支見通しなどさまざまな要素を勘案した上で、適切な金利水準を設定し、きめ細かな営業活動により、預金確保に努めてきたと聞いております。

○清水委員 来年五月にも、キャンペーン金利一・七%物が満期を迎えると聞いています。それぞれ金利、総額を明らかにしてください。

○斎藤金融監理部長 来年に満期を迎えます預金でございますが、平成十八年に預け入れられた、おっしゃるとおりの金利一・七%などの定期預金でございます。
 金額につきましては、重要な経営情報のため、新銀行東京はこれは明らかにしておりません。

○清水委員 重要な経営情報で答えられないということでしたけれども、十一月十九日の記者会見で、開業時のキャンペーン金利で集めた定期は明らかにしました。十二月には年利一・〇%の五年物、来年五月には一・七%定期が満期を迎えるということです。貸借対照表を見れば、銀行自身が定期預金の内訳を明らかにしているではないですか。例えば二〇〇六年度では、三年以上の定期預金は約三百四十億円ふえていることなどはわかります。
 今後繰り返される預金解約のおそれについて、都はどのように認識しているのか、お伺いいたします。

○斎藤金融監理部長 繰り返される預金解約のおそれというものがあるのかどうか、銀行はしっかりと預金者の動向を見ながら対応すると思いますし、都もその状況を監視してまいります。

○清水委員 預金の規模が縮小するということは、再建計画の方向で絞り込み済みだということを以前からいっているんですけれども、一方で、ことし四月には、新銀行東京は都債引受機関になりました。都として、今年度についての都債の引受実績、今後の予定を示していただきたいと思います。

○斎藤金融監理部長 新銀行東京は、公募及び審査を経て、その結果、都債引受機関になったと理解しておりますが、引き受け実績については、銀行は公表しておりません。
 また、今後の予定については、お答えする立場にございません。

○清水委員 金融監理部に伺ったところ、新銀行東京は公表していないという言葉で済ませていますけれども、これについても明らかにさせる姿勢がないということを今、伺いました。
 私が聞いたところによりますと、財務局は、今年度発行予定の都債は六千七百億円、新銀行東京のシェアは〇・五%と発表しています。したがって、今年度、新銀行東京は都債三十数億円を引き受けることになります。都の姿勢は、付帯決議で確認している適切な監視姿勢に立っているとは、私は思えません。
 さらに、ことし十月、東京都は資金管理方針を改定し、新銀行東京への預金を可能にしました。どういう内容か、会計管理局から伺いましたが、都債を持つ金融機関については、都債と相殺できる金額を預金できるようにしたということです。新聞報道にも、この点については書かれていました。この点について、どのように認識しておられますか、お伺いいたします。

○斎藤金融監理部長 資金管理方針の改定は、都の公金管理上、公金の安全性を確保した上で取引銀行の拡大を図ったものと認識しております。

○清水委員 いろいろ、そうご答弁してますけれども、実際のところは、大量の預金の解約に対して、銀行自身の努力ではどうにもならず、都としての救済策に乗り出さざるを得ない事態になっているというふうに私は予測いたします。
 これまでの決算書にはなかった内容が、今期の決算書で幾つか出ているので確認したいと思います。
 一つは、地方公共団体への貸し出しが新規に五億円、政府向け貸し出しが二十六億円増と、自治体、政府への貸し出しが三十一億円ふえています。お伺いいたしますけれども、自治体、政府とは、外国の自治体や政府も入るのでしょうか、国内だけでしょうか。具体的にはどのようなものなのか、お答えいただきたいというふうに思います。

○斎藤金融監理部長 貸し出しなど個別の取引につきましては、新銀行東京は、他の金融機関と同様、明らかにしてはおりません。

○清水委員 このように情報が閉ざされ、もう一方では、都の救済策が進んでいることに銀行自体の存在意義が失われてきているといわざるを得ません。
 新銀行の中間決算について、知事は、定例記者会見でのコメントで、普通銀行でもめったにやらない条件緩和をしているということを自慢げにいっておられました。この問題は、既に我が党は、私が実際に承ったわけなんですけれども、取引先が倒産した業者の事例を紹介し、他行は返済条件の緩和に応じたにもかかわらず、新銀行は、貸しはがしどころか、結局、告訴までしたという問題を取り上げました。過去のことです。何年か前のことです。それを取り上げたとき、都は、資産の規模を圧縮しながら、不良債権の排除とデフォルトを圧縮する経営をしていると居直りました。現段階では、融資については積極的に条件変更に応じるようになったのでしょうか、お伺いいたします。

○斎藤金融監理部長 新銀行東京が、開業以来、平成二十二年九月末までに貸付条件の変更等を行いました件数、金額は、三千八百十五件、二百九十四億円でございます。
 そのうち、今年度上期に行いました件数、金額は、一千五十七件、六十六億円でございまして、ニーズや状況に応じてきめ細かい対応を行っております。

○清水委員 貸付条件の緩和について、最初に、銀行の経理上リスク管理債権と位置づけられる貸出条件緩和債権と、新銀行東京が発表している貸出条件緩和の二つを整理して聞きたいと思います。答弁も二つ整理していただきました。
 最初に、前者についてです。数字の上でも確認しますが、新銀行東京のリスク管理債権の状況は、貸出条件緩和債権が、この一年間で四億七千万から一億九千万円に減少しています。リスク管理債権に占める構成比率も、二・三%から一・二%に減少しています。このように、新銀行東京のリスク管理債権の大きな特徴は、そのほとんどが破綻先債権、延滞債権だということです。貸出条件緩和債権は極めて少ないというのが事実です。
 これに対して、全国銀行協会の状況を見ますと、リスク管理債権そのものが少ないわけですけれども、その構成比率を見ても、貸出条件緩和債権は一七%を占めています。数字の上でも、新銀行東京が条件変更に応じているという状況にはなっていないというふうに思いますが、どう認識していますか。

○斎藤金融監理部長 貸出条件緩和債権の数字などはお話のとおりでございますが、それをもって条件緩和に応じていないというご指摘は当たらないものと思います。

○清水委員 事実は、今、お示しした数字が示しているわけです。貸出条件緩和債権は、絶対額でも減少し、全国銀行協会の数字と比較しても圧倒的に少ないわけです。都の認識違いは今、明らかです。
 新銀行が発表している、先ほどの答弁にあった数字ですけれども、新銀行東京の不良債権について他行にない大きな特徴は、新銀行東京が提携金融機関の融資に対する保証に対する不良債権が多いということです。貸出条件緩和をしているとして新銀行東京が発表している数字は、この保証への貸出条件緩和の数字が半数以上を占め、金融庁が発表している、金融円滑化法による貸出条件緩和の取り組みの数字と比較できるものではありません。
 新銀行東京の九月期の決算では、とうとう保証に対する不良債権は、保証額の六六%になっています。新銀行東京の発表している貸出条件緩和は、これに対するものが半分以上です。この八十億近い保証の不良債権は、新銀行東京にとっては大変なリスクであり、その扱いいかんでは提携銀行の不良債権にも波及することになります。条件変更に応じていることを自慢できるものでも何でもありません。
 きょうは、預金、新たな都の支援策、貸出条件緩和問題について、新銀行東京がいかに問題かを明らかにしました。最初に破綻処理について述べましたが、最近のマスコミにも、資産があるうちに、預金者、貸出先などに迷惑のかからないうちに銀行免許の返上をというような報道があったということも補足しておきます。
 以上です。

○前田産業労働局長 新銀行東京について、さまざまなご主張があるのは、それはそれで自由だと思いますが、今のご質疑の中で、東京都が情報を公開しない、新銀行は明らかにしない、けしからぬというようなニュアンスの発言があったと思います。
 既に申し上げるまでもありませんが、新銀行東京は東京都の出先機関ではなく、銀行法に基づく銀行であります。他の同種の銀行と日々競争上の立場にあります。法令等に基づいて、銀行みずからが公開する情報以外の情報を公開することについては、その事柄上、当然の制約がありますことをぜひご理解いただきたいと思います。

○清水委員 そのことは何度もお聞きしていますが、私たち議員がチェックする場合には、情報開示していただけなければチェックができないということです。

○前田産業労働局長 私どもも含めまして、既に銀行が公開している情報でチェックをいただきたいと思います。それ以上のチェックができるのは、日本では金融庁だけであります。

○西岡委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○西岡委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で産業労働局関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後三時十五分休憩

   午後三時二十六分開議

○西岡委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 これより港湾局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第百七十二号議案及び第二百十一号議案から第二百二十号議案までを一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○山本総務部長 十一月二十五日開催の当委員会でご要求のございました資料をご説明申し上げます。
 お手元の経済・港湾委員会要求資料をごらん願います。
 ご要求のございました資料は、表紙をおめくりいただきまして、目次に記載のとおり、一項目でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。1、各施設に係る都の経費負担でございます。
 上段の港湾施設、中段の海上公園、下段の漁港施設の各事業につきまして、十七年度決算額、十八年度決算額を千円単位で、また、十七年度決算額を十八年度決算額と比較した対前年比を記載したものでございます。
 以上をもちまして、簡単ではございますが、ご要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○西岡委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○伊藤(ゆ)委員 それでは、私の方から、今回議案にかかっております指定管理者の問題について伺っていきたいというふうに思います。
 まず、指定管理者そのものの導入の経緯ですけれども、いうまでもなく、民間の活力を使ってサービスの向上と効率的な施設維持を目的に導入されたものです。
 その一方で、五年前の制度導入当初から、選定先の団体が都の外郭団体、具体的には監理団体や報告団体に偏っているのではないかという指摘を受けてきました。指定管理者の選定先をめぐっては、公平公正に選ばれているのかどうか、また、効率的な施設維持がなされているのかということが注目されています。それらの点について、中心に伺ってまいりたいと思います。
 さて、平成二十三年から二十八年までの指定管理者候補者の選定に当たって、港湾局の所管分は十件ありました。そのうち、特命による選定が四件、公募が六件ということで、選定四に対して公募が六件、民間との競合を図って、その中から選ばれた団体に指定管理をさせるというものであります。
 それでは、まず伺いたいんですけれども、この公募六件のうち、東京港埠頭株式会社が選定された件数は何件でしょうか。

○平林臨海開発部長 東京港埠頭株式会社が、単独またはグループの一員となって指定管理者に選定されたものは、五件でございます。

○伊藤(ゆ)委員 私は、この答弁にいささか驚いております。
 特命によって選ばれたのが、東京都の報告団体、埠頭株式会社であるならばともかく、公募で民間と競合していたにもかかわらず、東京港埠頭株式会社ばかりが六件中五件選ばれていたというのは、驚きを持って受けとめました。
 このうち、公募でありながら応募団体数が一団体しかなかった案件が実に三件もあったわけであります。竹芝ふ頭船舶給水施設外六施設と東京港野鳥公園並びに有明テニスの森公園がそれに当たります。
 年間入場者数が四万七千人見込める野鳥公園であったり、あるいは年間利用者数が二十四万人を超える、また、知名度の高い有明テニスの森公園に対する応募がたったの一件。この一件というのは、もちろん報告団体に当たりますが、こうした都の外郭団体しか応募してこなかったというのは極めて不可解であります。
 事業者、つまりは民間事業者に対して、公募の周知というのは十分に図られたのでしょうか。疑問に思うんですけれども、答弁いただきたいと思います。

○平林臨海開発部長 公募の周知につきましては、平成二十二年五月二十日にプレス発表するとともに、港湾局のホームページに掲載し、約二カ月間周知いたしました。

○伊藤(ゆ)委員 あっさりした答弁をありがとうございます。
 まさにあっさりし過ぎているんじゃないですかということが問題で、二カ月間ホームページで周知したといっても、民間の事業者にとっても、日本全国数ある--千八百ぐらい今、自治体がありますが、自治体の数ある案件をつぶさにチェックするという手間と暇はなかなかありません。
 例えば、やっぱり周知期間を延ばすなど、民間の事業者にとって、なるほど、ここがこういう公募をしているのかということをわかるような方法というものを検討されるべきだというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

○平林臨海開発部長 東京都における契約などの入札情報につきましては、東京都のホームページで公開することとしておりまして、今回も同様の方法で公募の周知を図ったものでございます。
 有明テニスの森公園の公募資料のホームページには、掲載当日に三十五件、六月末までには二百三件のアクセスがあり、今回は、関心のある事業者には周知が図られたと考えておりますが、港湾局としても多くの事業者からの応募を期待しておりますので、今後とも、お話の周知期間の延長も含めて検討してまいります。

○伊藤(ゆ)委員 周知期間の延長をぜひ検討いただきたいというのと、全国的に、今、こういう公園の管理とか、あるいはふ頭の管理とか、または公の施設が所管する大きな規模のテニスの施設などというのを、いってみれば委託として受けられる企業、あるいは団体というのは割と限られているというふうに私も伺っていますので、ホームページのみならず、東京都の側から声がけできるような方法というのも今後よく考えていただければ、さらなる応募の促進になるというふうに思います。間違っても、東京都が指定管理において民間の応募に対して消極的だといわれないように、ぜひ積極的に働きかけをしていただきたいというふうに思います。
 また、有明テニスの森公園では、施設の説明段階で、今、お話のあったとおり数者が関心を寄せていたということでしたけれども、実際には応募されなかったわけでありまして、施設改修などが、今後、有明テニスの森公園においては予定されているということですので、利用制限の発生などから収益の落ち込みというものを予想した企業、団体というのが応募断念をされたのではないかと、こういう分析も都としてはどうもされているようではありますが、しかし、具体的にどういうことが妨げとなって、それぞれの企業、団体が公募に応じてこなかったのかということを正確に分析する必要があるかというふうに思います。その方策についてお伺いしたいと思います。

○平林臨海開発部長 有明テニスの森公園は、センターコートとしての有明コロシアムと四十八面のテニスコートを備えた、テニスに特化した大規模公園で、利用料金制を導入している公園でございます。
 利用料金制度は、指定管理者が施設ごとに弾力的な料金設定や各種割引の設定を行うことができ、自主的な経営努力が発揮しやすい仕組みでございます。
 前回の公募時には四者の応募があり、今回の公募に際しても、現地説明会には五団体が参加し、文書による質問もあり、関心の高さがうかがえましたが、結果として一者のみの応募でございました。
 これは、今回の公募に当たって、メーン会場である有明コロシアムが平成二十三年度から二十五年度までの三年間、また、毎年十二月から三月までの四カ月間に大規模改修を予定しておりまして、その間、施設は閉鎖され、利用料金収入がなくなるという通常にはない制約があったことが影響しているのではないかと考えております。
 今後とも、より多くの事業者の参加による公募を実現していくために、情報収集に努めてまいります。

○伊藤(ゆ)委員 先ほども申し上げたとおり、公募六件のうち五件までが一団体しか応募してこなかった。これが東京都の報告団体だったということです。ですから、有明テニスの森公園も含めて、企業が断念に追い込まれた正確な情報の収集と分析というものが極めて重要だというふうに思います。今、利用制限が発生するという話がありましたけれども、それならばこそ、利用できない時期に幾らもうけられるかということこそ民間力が問われるところだというふうに私は思いますので、そうした情報収集を徹底していただきたいと思います。
 次いで、都の監理団体である東京臨海ホールディングスが特命選定されたお台場海浜公園外十公園について伺いたいと思います。
 私どもも、この間、都議会民主党の行政改革PTで視察させていただきました。この公園群には、フジテレビ前に広がる砂浜の海岸公園や、あるいはビッグサイトにつながるシンボルプロムナード公園というものが含まれていますため、週末などに開催されるビッグサイトイベントがある際には大変なにぎわいになる空間であります。
 先日は、幅広い世代からの支持を集めるガンダムの原寸大模型などが設置されて、国内外からの旅行者を集めました。私もそのニュースを何度も拝見して、関心を持たせてもらいました。その公園スタイルは、憩いの空間というよりも、まさに集客を見込む企画力と近代的なまち並みに形成されたイベント空間と呼ぶにふさわしいものだというふうに思っています。
 そういう意味で、過去五年間の企画力が評価されて、引き続き東京臨海ホールディングスが特命選定されたんだというお話であれば納得しやすいんですが、ガンダムを初め、これらのイベントの企画というのは、臨海地域に進出した、例えばフジテレビだとか、あるいはその他の大きな企業群で組織をする、いってみれば町会にかわるまちづくり協議会で行われていると伺っています。
 それであるならば、まさに企画しているのは進出企業の町会ならぬまちづくり協議会ですから、この指定管理を受けてきた団体ではないということになりますので、特命理由には当たらないものというふうに考えます。それについての所見を伺いたいと思います。

○平林臨海開発部長 臨海副都心エリアの海上公園は、地域全体を一体的に結びつけるまちの骨格を形成しておりまして、通常の公園機能に加え、にぎわいの舞台や防災避難広場などの政策的に重要な機能を担っております。
 これまで海上公園では、指定管理者である東京港埠頭株式会社を中心に、例年三十種類以上のイベントを開催しておりまして、平成二十一年度では、年間延べ三百十二日間のイベント実績がございます。
 昨年開催したガンダムのイベントにおきましては、お話のまちづくり協議会もまち全体での取り組みという点から協力しておりますが、イベントそのものは、東京港埠頭株式会社が、主催者の実行委員会の主要メンバーとして活動することで開催にこぎつけたものでございます。
 臨海副都心エリアの指定管理者には、都の政策を確実に実現できる能力と、協議会と密接に連携できる機能をあわせ持つことが必要でございまして、現実的には東京臨海副都心グループをおいてほかになく、特命することとしたものでございます。

○伊藤(ゆ)委員 今、お話にあったまちづくり協議会については、非常に企画力があるというふうに私も思いますし、特にこの地域の特殊性というものを考えますと、フジテレビがシンボリックな存在としてあったり、また、今後は森ビル、東京建物を初め、多くのディベロッパーが開発される土地などもあります。
 そうした企業の力を引き出して、それぞれの企業と連携したイベントが開催されることは大変望ましいことだというふうに思っていますので、まちづくり協議会には大いに期待したいというふうに思っています。ぜひ指定管理を受けた団体におかれましては、まちづくり協議会の企画力を妨げないように、また、むしろそれを応援するように働きかけをしていただきたいというふうに思います。
 次いで、防災も今回の特命理由の一つに挙げられています。事業計画を見ますと、防災に関する情報提供を行うなどのことがわずかに書かれているにすぎないんですね。今回、防災、防災ということが随分特命理由に、港湾においても、また、特に建設局においてもいわれていましたので、私も、大変細かなそうした計画が今後予定されていたりしているのかというふうに思いましたけれども、詳細に事業計画を読む限り、そうした計画というものを少なくとも読み取ることはできませんでした。
 具体的に、特命理由になっている防災業務というのはどういうものなのか、改めてお伺いしたいと思います。

○平林臨海開発部長 災害時に一時的に避難してきた周辺居住者や就業者、来訪者への適切な指導や誘導というのは、都との密接な連携と連絡のもと、海上公園管理者が行うことになっております。
 また、発災時には、ふ頭に隣接する海上公園をふ頭機能のバックヤードとして活用し、防災用ふ頭機能を補完するなど、地区内だけでなく、東京都全域を視野に入れ対応していく必要があると思っております。
 さらに、まちづくり協議会におきましても、防災防犯部会を設置いたしまして、連絡体制の構築や防災訓練などを実施する予定でありまして、その中心的な役割を果たすことになっております。
 これらを円滑に行うことができるのは東京臨海副都心グループのみであり、事業計画におきましても、まちづくり協議会と連携した地域の防災対策や、発災時のヤードの確保を実施することとしております。

○伊藤(ゆ)委員 私も事業計画書を持たせていただいているんですけれども、少なくともこれを見る限り、今、お話しになった延長にある具体的な防災の機能がどういうものなのかというものを読み取ることはできません。
 報告をするべきとか、状況の集約をするべきとか、いろんなことが書いてありますけれども、これを見る限りは、私は民間企業でも十分にできるんじゃないでしょうかと。むしろ、民間企業が指定管理者であったとしても、ちゃんと東京港埠頭株式会社は連携をとって東京都との調整に当たるべきだと私は考えていますので、仮にお書きになるのであれば、もう少し具体的に、この報告団体でしかできないテーマを書いて、説明ができるようにしていただきたいなと私は思います。
 今、お話の中にあった、今後、防災訓練を実施するというお話でありましたけれども、それでは、この過去五年間にそうした防災訓練というのは、一体この公園では何回行われたことがあるんでしょうか。

○平林臨海開発部長 過去五年間で、指定管理者としては防災訓練は実施しておりませんが、平成十八年度に東京都総合防災訓練が行われております。
 なお、東京臨海副都心グループは、まちづくり協議会と協力いたしまして、二十三年度から防災訓練を開始する予定でございます。

○伊藤(ゆ)委員 私、これも驚いたんです。今まで防災訓練を繰り返し行われていたのでこの指定管理者になるであろうという、その報告団体がふさわしいという特命理由なのかと思いきや、この五年間で、実は防災訓練を指定管理者としては一回もやっていないということですから、それであれば、いわゆるノウハウの蓄積というのは、この団体にあるとはいえないんじゃないかというふうに思います。
 そこで、この防災訓練のことが出てくるので、あたかも特命理由として列挙するためにこの防災が出てきたんじゃないですかというような指摘を受けやすいと私は思います。これまでにも行われてきたのであるならばともかく、防災に対するその考え方というものが、私は、ちょっと説得力に欠けるというふうに思いますので、特命理由としては非常に弱いものだと感じております。
 そして、シンボルプロムナードについてですけれども、これはもうビッグサイトの玄関口であるということ、私も現地に赴いてみまして実感いたしました。ビッグサイトがまさに正面に見える、その空間に、歩行空間というよりも、まさに広場が広がっているという感じでありましたので、縁日でいうならば、出店が並んで、いわばそのプロムナード自体が参道に当たるんじゃないかなというふうに思います。
 例えばコミックマーケットなどでは、三日間で五十六万人を動員するというふうにいわれています。ビッグサイトです。一日当たり十九万人もの人がまさに回遊するプロムナード空間ということになり、その日はいわば物すごく大きな規模の縁日の巨大な参道に変貌するといっていいと思います。
 この空間を利用したイベントやビジネスというものは大いに期待できるものというふうに思いますけれども、これまでどのように展開されてきたんでしょうか。

○平林臨海開発部長 コミックマーケットのように、一日平均で約十九万人もの人々が行き交う大規模イベントの開催時には、人の集中による事故が発生しないように、万全の安全対策を図る必要がございます。地元警察からも、安全対策に万難を排すよう指導されておりまして、国際展示場駅からビッグサイトまでのすべてのスペースを通行及び待機場所として使用しております。

○伊藤(ゆ)委員 私、ちょっと今、例えばコミックマーケットの例なので、そういう意味では、このビッグサイトのイベントというのは、五十六万人動員するコミックマーケットのみならず、さまざまな規模の集客のあるイベントがかなり日常的に開催されているわけです。
 例えば、一日四万人ぐらい動員する巨人戦の当日の東京ドームの周辺には、飲食店や応援グッズを販売する店舗が数多く出店されています。中にはちょっと違法じゃないかと思うものもありますが、そういうものはともかくとして、回遊性の高い歩道空間には、関連グッズの販売だったり、あるいは、まさにコミックマーケットみたいな場合には即席メードカフェみたいなものだったり、来た人たちがおもしろいと思うようなイベントの開催、あるいは出店の許可というものもあっていいんじゃないかと思います。
 そういう使用料を徴収すれば、イベントの盛り上げに貢献するだけではなくて、都の税外収入にも貢献しますし、店舗として参入した事業者の収益にも貢献できるものと思います。
 そういう意味では一石三鳥の効果がありますので、指定管理者は、ビッグサイトのイベント予定などを、こうした規模の小さいイベントに出店したいと思うような事業者に情報提供されたらどうかと思うんですけれども、所見を伺いたいと思います。

○平林臨海開発部長 臨海副都心のにぎわい創出に寄与できるイベントとして、物販についてはこれまでも実施しております。例えば、ビッグサイトがゴールとなっております東京マラソン開催時には、マラソンイベントを盛り上げるために、このシンボルプロムナードの広場を活用いたしまして、東京大マラソン祭りを実施しておりますが、物販や飲食ブースなどの店舗を設置し、多くの来訪者でにぎわっております。
 東京臨海副都心グループの提案では、こうした進出事業者と連携したイベント実施をさらに強化することとしております。
 また、臨海副都心で開催されるイベント情報に関しまして、適宜適切に提供してまいります。

○伊藤(ゆ)委員 ぜひお願いしますよ。小さなイベント--イベントのみならずなんですけれども、例えば車でコーヒーとかサンドイッチをオフィス街なんかで売っているようなものもあります。そういう事業者にとっては、まさかあのプロムナードでそういう出店を許可してもらえると思っていないという方々も大変多くいらっしゃいますので、情報提供の呼びかけで、イベントのなお一層の盛り上げを意図していただければと思っています。
 こうしたイベントの企画とマーケティングにノウハウの蓄積が欠かせないことはいうまでもありません。臨海地域のビッグサイトのイベントを洗い出して、イベントに合わせた収益性の高い公園の空間利用を検討すべきというふうに思いますが、所見を伺いたいと思います。
 また、使用料の価格についても用途別に適正化を図るべきだと思いますけれども、その二点について、いかがでしょうか。

○平林臨海開発部長 これまで、海上公園では公共性の高いものを中心にイベントを実施してまいりました。三・二ヘクタールもの広さを持つ副都心広場が今年度末に整備が完了することから、今後は、さらに多様なイベント開催を行ってまいります。
 そのため、土地占用料の設定につきましては、今後、これらのイベントの実施状況等をかんがみながら検討してまいります。

○伊藤(ゆ)委員 実は、私もちょっと伺ったんです。プロムナードの土地使用料というのは幾らなのかということを伺いましたところ、一平方メートル当たり二十五円で、これは固定資産税における二十三区の価格平均ということだそうですが、私、ちょっとその算定の仕方は非常に安易じゃないかなと思っています。
 一日に十九万人もの人が行き交うビッグサイトのイベントがあるときの周辺の空間が、二十三区平均の価格というのは考えられません。ですから、これは、あの土地の価値というものを改めて見直していただいて、検討して価格をつけていただきたいと思います。
 次いで、東京港埠頭・東京テレポートセンターグループが特命選定された竹芝客船ターミナルについて伺いたいと思います。
 こちらも、私どももこの間、視察に行かせていただきました。小笠原なんかと結ぶ客船のほかに、披露宴などに利用される客船の発着場になっているところですので、私も含めて多くの都民に利用される海への玄関口であります。羽田が空への玄関口だとすれば、規模は大分小さくなりますが、海の玄関口、竹芝客船ターミナルだと思っています。
 このターミナルの特命理由は、ターミナルが隣接する四つのビルと施設面で一体化していて、防災防犯の面から、ビルの管理者である東京テレポートセンターが適任とするものでありました。
 行ってみましたら、確かにビルとターミナルの防犯カメラは、一元的に隣接ビルであるノースタワーの防災センターに集約されておりますので、これを切り離して考えるというのはなかなか難しいと思います。
 しかしながら、指定管理を受けた民間事業者が、警備に関してはビルの警備会社に委託すればいい話であって、必ずしもこの防犯、あるいは防災ということを理由に、東京テレポートセンターに特命委託される理由にはならないというふうに私は感じます。
 このことをもって、年間契約が二億七千九百万円にも上る特命委託にされることは許されませんが、特命にする際にどのような議論があったのか、お伺いしたいと思います。

○小宮港湾経営部長 竹芝客船ターミナルは、ふ頭施設と業務・商業ビルやホテルなどの都市機能の調和を目指しまして一体的に整備された竹芝再開発地域の一部でございます。
 そのために、これまでの再開発以降、ビルの業務・商業テナントやターミナルの利用客などの全く異なる方々が利用する施設を一体のものとして、防災計画の策定や災害訓練の実施をすることなどによりまして、それぞれの利用者の安全性、快適性の確保を図っております。
 お話の警備会社に委託し得る部分は、警備業務のうち、モニター監視や巡回業務などの作業的な部分に限られております。
 一方、指定管理者の業務は、これに加えまして、ターミナルにおける防災計画の策定や防災訓練の実施でありまして、まさにこれは業務・商業ビル等を管理している東京テレポートセンターと一体で実施しなければ、安全性、快適性の確保は実現できないものでございます。
 このため、指定管理者に委任しているターミナル部分のみを取り出して公募等に付すことは困難であり、今回、当施設につきましては指定管理者候補に特命選定したところでございます。

○伊藤(ゆ)委員 私、実は、平成二十一年度の契約状況ということで、この指定管理者、要するに去年の指定管理者の支出、二百五十万円以上の一覧表をくださいということでいろいろ調べさせていただきましたけれども、その中で、結局、よくわかったのですが、警備業務とか、あるいは設備管理業務とか、あるいは保守点検業務というものが、この全体の指定管理費用の大半を占めちゃうんですよね。
 実は、私は、指定管理者というのは、そういういわゆる委託業務とは別に、どういう企画力があるのか、収益性というものを高めるどういう方策があるのかということが問われているんだというふうに思います。ですから、こういう企画力というものの問われる分野というものに、もっと投資されているものというふうに思っていましたので、いささかそこには驚きがありました。
 その上で伺いたいと思いますけれども、竹芝客船ターミナルには、待合施設ですから、レストランとかお土産屋さんが入っています。そういう意味では、私は指定管理者が収益性の高い店舗を選んで、その収益の一部が指定管理者に入ったり、あるいは家賃が指定管理者に入る仕組みかと思っていましたが、実際にはそのような仕組みにはなっておらず、基本的に家賃は東京都、あるいは売り上げの一部も指定管理者に入らない仕組みということでありました。
 実際、私、店舗を拝見しましたけれども、女性や若者が利用しやすい店舗とはいえなくて、前時代的な感が否めませんでした。旅行前ですから、そこに行ったら、例えばコンビニがあれば便利だと思いますし、それからまた、店舗についても利便性の高そうな店舗というものを、あるいは収益力のありそうな店舗というものを検討されるべきだというふうに思います。
 今までに店舗の見直しというのは何回ぐらい図られたんでしょうか。

○小宮港湾経営部長 現在の仕組みにつきましては、竹芝客船ターミナルは、伊豆・小笠原諸島の島民を初め、島しょとの連絡船を利用される方々が使用するターミナル施設として整備された施設でございます。したがいまして、乗船客や見送り、出迎えに来た方々を主な利用者として想定した管理運営が必要でございます。
 ターミナル内の店舗や食堂につきましては、乗船客が出航前に必要なものを購入し、軽い飲食をするために必要な港湾施設として設置し、運営しております。
 現在、店舗や食堂の事業者に対する使用許可は、港湾施設の設置者である都が行っておりまして、店舗等が支払う使用料は、公の施設の使用料として東京都の収入となっており、指定管理者の収入にはなってございません。
 また、食堂の見直しのことがございましたけど、これにつきましては、先ほどお話ししましたように、竹芝と島しょを結ぶ船の出航は朝と夜に集中する、そういった意味で、一日のうちで繁閑の差があるとか難しい点はございますが、これまでの食堂の入れかえにつきましては二回行っております。

○伊藤(ゆ)委員 質問の中で、仕組みについては私の方から解説していますので、それ以外のところでどうしても補足説明があればぜひそうしていただきたいと思いますが、できるだけ質疑時間の短縮もしたいと思っていますので、そのように今、質問させてもらっていることはよく理解してください。
 店舗の見直しは今までに二回ということですけれども、竹芝客船ターミナルというのは、歴史、決して浅くないんですよね。そういう意味では、これ、一種のテナント業ですから、あれだけ人の集まる、瞬間的にかもしれませんが集まるところというのは、そういう意味では、空の玄関口ならぬ海の玄関口であるならば、収益力の高い店舗を積極的に指定管理者が呼んでくる、あるいは、ねじを巻くということをするべきで、そのことがまさに指定管理者制度を導入したときの目的だったはずです。
 ですので、私は、この仕組みを大幅に改善する必要があると思いますけれども、所見を伺いたいと思います。

○小宮港湾経営部長 指定管理者制度は、公の施設の管理を、民間事業者も含め広く開放することで、民間の能力やノウハウを活用し、利用者サービスの向上や経費の節減等を図り、効果的、効率的な管理運営の実現を図ることを目的としております。
 したがいまして、竹芝客船ターミナルは、伊豆・小笠原諸島への海の玄関口であり、島民の生活航路を維持する役割を担っており、これまでも指定管理者によって利用者ニーズの把握やサービスの向上を図ってきたところでございます。
 店舗や食堂の使用許可は、管理運営基準にありますように、来年度から指定管理者に行わせることとしており、さらに利用者ニーズを踏まえた施設の有効活用が図られるものと考えております。

○伊藤(ゆ)委員 まさに指定管理者にこういう権限を移していただいて、そして、収益力の高い店舗を引っ張ってこられるように、ぜひそういう仕組みに改めてください。今、改めるというお話だったので、それは評価したいと思います。
 もう一つ、今、いわゆる利用者のサービス向上ということを答弁されたと思います。私、施設に行ってきましたけれども、竹芝客船ターミナルの入ったところ、まさに入ったすぐの玄関口のところというのは、切符を買ったりする売り場になっていますけれども、そこへ行きますと、柱に備えつけられたいすがあります。待合室ですから、居心地のいいいすなのかと思って見てみたら、鉄製の、ソファーも何もついていないようないすになっているんです。
 疲れて帰ってきた人もいるし、これから二十何時間もかけて小笠原に行こうという人にとって、あの鉄製のいすというのは、私、本当に利用者の視点に立ってつくっていらっしゃるのかというふうに思います。
 デザイン性じゃなくて、そこはいわゆる快適性というものをぜひ求めてもらいたいと思いますし、むしろその程度の提案を都がいわなくても、自発的に指定管理者の方からするような仕組みに変えてもらいたいと思うんですけど、いかがですか。

○小宮港湾経営部長 客船ターミナルは、乗船客が待機したり、それから、安全、スムーズに移動するための広い空間が必要でございまして、いすの数自体は適当と考えています。
 それで、一方で、いすの素材のことなんですけど、指定管理者が実施したアンケートでは、いすがかたい、冷たいなどの意見が寄せられていると報告を受けておりまして、座り心地の改善などにつきましては、指定管理者とともに検討してまいります。

○伊藤(ゆ)委員 私はこう思っているんです。本当に民間企業が指定管理を受けているならば、今回の是非はともかくとして、当然そういう視点で提案をしたり、改善をしようということで東京都に働きかけてくると思います。ところが、報告団体とか監理団体というのは、とかく東京都との緊密な連携はとれるかもしれませんが、東京都に対して非常に気遣いをし過ぎる点があると思いますので、そういう意味では、もし気づいていてもなかなかいい出せないような雰囲気、体質があるんだとしたら、ぜひ東京都の方からもっといろんな提案をしてきてくれということをハッパをかけてもらいたいと思います。ぜひそのことはお願いを申し上げたいというふうに思います。
 それから、指定管理料の金額についてお伺いをしたいと思います。今回のこの竹芝の指定管理料は年間二億七千九百万円ですけれども、このうち、警備と設備管理費はそれぞれ幾らになっていたでしょうか。

○小宮港湾経営部長 警備業務につきましては三千二百三十五万八千円、設備管理業務につきましては五千三百七十万四千円がそれぞれ計上されております。

○伊藤(ゆ)委員 二億七千九百万円の委託費のうち、警備業務と少なくとも設備管理業務だけで九千万円ぐらいになるわけですよね。ですから、半分とはいいませんけど、三分の一ぐらいがこの二つの業務になっています。
 それでは、指定管理を行う際に、都は指定管理者から指定管理料の提案を受けるわけですけれども、公募方式の場合であれば、その価格自体が競争原理にさらされていますので価格の競争が働きます。しかし、今回のように特命の場合には、価格の競争が働かない分だけに価格の妥当性が問われてまいります。
 都は、今、答弁された警備と設備管理費の価格の妥当性をどのように図ったのか、お伺いしたいと思います。

○小宮港湾経営部長 指定管理者候補者の選定に当たりましては、提案された事業計画が東京都の示す管理運営基準を満たしているかにつきまして、指定管理者選定委員会において審査するとともに、支出計画につきましては、事業計画を遂行する上で必要な経費が見積もられているか確認しております。
 なお、指定管理者選定委員会には公認会計士の委員も含まれておることから、専門的な立場からの確認も行われております。

○伊藤(ゆ)委員 どういう公認会計士の方か存じ上げませんけれども、警備とか設備管理費、ましてビルと一体型となった極めて広いターミナルの面積において、果たして幾らの金額が妥当なのかということを、公認会計士の先生だからということでわかるんでしょうか。
 私、財務の、例えば管理の仕方とか税金の払い方とか、そういうことに関してはもちろん公認会計士の先生が数字を見ればわかることと思いますが、業務とその時々に変わる市場価格の適性というものについて、必ずしも公認会計士の先生がわかるとは思えません。
 ですから、私は、ちゃんとそういう業務のことを知っている方々、同業他社の方とかにやはり価格の妥当性というのを図っていくべきなのではないかなというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

○小宮港湾経営部長 警備費や設備管理費につきましては、同種のターミナル施設における実例と比較しまして、経費の妥当性の検証をこれまで行っております。
 今後とも、比較する施設の対象を広げまして、より多くの事例を集めるなどの取り組みを検討してまいりたいと思っています。

○伊藤(ゆ)委員 お願いします。ですから、東京都だって、この庁舎も含めて、清掃にしろ、警備にしろ、設備管理にしろ、発注しているわけです。当然、面積当たりの一定の単価というものも出てきます。そういうものをちゃんと発注段階、特に特命のときには発注者が意識して、価格の妥当性というものをしっかり図っていただきたいというふうに思います。
 最後に、指定管理者制度は、先ほどの質疑の中で一・五セクターというお話がありましたが、まさに民間と、あるいは、この東京都との間にあるセクターということで、報告団体や監理団体が活用をされているわけです。
 ただ、私は、本当に一・五セクターなのかどうかというのは甚だ疑問だと思っています。つまり、本来、この指定管理者における報告団体とか監理団体の役割というのは、極めて民間的な発想を持ってもらって、収益力、サービスの向上という部分に重きを置いてもらう、フレキシブルな企業運営に努めてもらわなければならないものだと思っていますので、本来的には、私は、この業務に関していえる東京都の報告、監理団体の役割は一・九セクターぐらいにしてもらいたいというふうに本当は思います。
 ところが、今の、まさにさっきのいすに象徴されるように、現状では一・二セクターぐらい、かなり東京都に偏った、東京都の側にあるような体質の運営をされているんじゃないかと思わざるを得ないようなことが多いので、ぜひそこは、本当に民間と競合し得る発想力と企画力と収益力というものを求めていただきたいと。これは都が変わらないと、絶対に報告、監理団体は変わらないと思いますので、東京都の側の意識の変革というものを、これらの団体に十分にお伝えいただきたいと思います。
 今回指摘させていただいた問題点を踏まえて、局長としてどのように仕組みの改善を図っていかれるのか、所見を伺って終わりたいと思います。

○中井港湾局長 指定管理者制度は、公の施設の管理を民間事業者も含め広く開放することで、民間の能力やノウハウを活用し、利用者サービスの向上や経費の節減等を図り、効果的、効率的な管理運営の実現を図ることを目的としているものでございます。
 この制度の導入によって、魅力ある自主事業の実施等により質の高いサービスが提供されるとともに、管理経費の縮減が図られるなど、着実に成果は上がっていると認識しております。
 今回の選定においては、施設の機能を最大限発揮させるため、都の政策との連動性が極めて高い施設については、行政の補完、代行機能を持つ監理団体を活用するなど、おのおの施設の特性に応じた適切な対応を行ってきております。
 一方、公募施設については、複数の事業者が応募することにより、競争性が発揮されることも重要であります。このため、今回の選定に当たっては、公募期間を大幅に拡大するなど、事業者がより参入しやすい仕組みづくりを行ったところでございます。
 このような制度の改善を図ってきたところでありますが、指定管理者制度をさらに都民にとってよりよいものとして発展させていくためには、これからも不断の見直しを行っていくことが必要であります。
 今後とも、公の施設がその特性に応じて最大限効果的に活用されるよう、創意工夫を重ねてまいります。

○鈴木委員 都議会自民党では、入札・契約制度改革PTを立ち上げまして、公の施設が住民福祉に真に寄与しているかという本質的な観点に立って、指定管理者制度のうち、代表的な指定管理事業である都立公園と都営住宅などについて、さまざまな団体との意見交換なども重ねた上で検証を行って、今後のあるべき姿を提言させていただきました。
 その検証結果を踏まえて、海上公園の指定管理者選定について、幾つか本日、質問させていただきたいと思っております。
 指定管理者制度は、ご案内のとおり、平成十五年の地方自治法の改正により創設されて、港湾局では平成十八年度から本格的に導入されました。
 従来の管理委託制度では、自治体が公の施設の管理を外部委託する場合に、委託先が限定されていた上、管理上の権限は自治体側で有する必要があったために、自由度が狭くて、住民ニーズに柔軟に対応することができなかったといわれております。
 その欠点を補うために導入されたのが指定管理者制度でありまして、これまで監理団体などの出資法人、公共団体、公共的団体に限られていた公の施設の管理について、株式会社等の民間事業者も参入可能とするものであって、一定の管理権限についても指定管理者に委任することができる制度である、こういうわけです。
 この制度の導入の趣旨は、多様化する住民ニーズに、より効果的、効率的に対応するため、公の施設の管理に民間の創意工夫や発想を活用しつつ、住民サービスの向上に寄与することを前提として、我々は経費の削減を図ることにあるというふうに私は考えているんですけれども、そこでお伺いいたしますが、初めて指定管理者制度を導入して四年を経過した現在、港湾局では具体的にどのような効果があったのかと、その辺のところからお伺いしていきたいと思います。

○平林臨海開発部長 海上公園では、各指定管理者が専門知識を生かして、公園の特性に応じた管理を行っております。
 例えば、若洲ゴルフリンクスでは芝の質の向上が図られ、大井中央海浜公園では野球場のグラウンド整備方法を工夫することで、雨天後の早期の利用が可能となりました。このほか、夜間のテニススクールやニュースポーツフェスティバルの開催などの自主事業が実施され、公園の活性化や都民サービスの向上に成果を上げております。
 また、臨海副都心では、ガンダムやハローキティのイベントのほか、環境教育の一環として海洋生物観察会などを実施し、今や年間四千八百五十万人を超える来訪者でにぎわうまちの発展に寄与しております。

○鈴木委員 行政は、とかく管理する意識というのが先行するのではないかなと思うんですが、野球場のグラウンドなどは、傷むおそれがあれば、本来の目的である使用を制限してしまっているというようなこともあるのではないかと思いますので、先ほどもいろいろな要望が出ておりましたけれども、やはり、住民の要望、行政はそれをより的確に実現していくということが基本ではないかなというふうにも思っております。
 指定管理者制度の導入によって、公園の活性化や都民サービスの向上など、一定の成果が得られたというふうに私も理解しております。
 我が党は、先ほど申し上げましたように、PTにおける検討の結果、現行の指定管理者制度には課題が存在しており、この制度をよりレベルアップさせていく知恵が必要であることを指摘させていただきました。
 これを受けまして、東京都では、今回、五年間の指定管理者制度の導入結果を踏まえて、公募や選定等について見直しを行ったわけでございます。
 その内容は、施設の特性に着目して、都の重要な政策と密接な関係を有して、その政策実現のために活用すべき施設であるとともに、管理に当たっては、都の政策に沿った柔軟な対応が求められる施設については行政支援、補完機能を有する監理団体を特命で選定できることとしたものであります。
 監理団体を特命で選定できるとした今回の見直しに伴い、港湾局ではどのような対応をしたのか、お伺いさせていただきます。

○平林臨海開発部長 臨海副都心開発は、都が主体となって実施する政策でございます。このエリアにおける海上公園は、地域全体を一体的に結びつけるまちの骨格を形成しており、にぎわいの舞台、防災避難広場など、政策的に重要な役割を担っております。
 臨海ホールディングスグループは、都のパートナーとして、臨海副都心開発における都の政策の具体化に多くの実績を上げてまいりました。
 また、臨海副都心では、都とのパートナーシップのもと、進出事業者が臨海副都心まちづくり協議会を組織しており、まちのにぎわいづくりや防災対策に不可欠な存在でございます。臨海ホールディングスグループは、進出事業者の立場で、開発当初からこの協議会に中心的なメンバーとして参画し、まちづくりを牽引してまいりました。
 このエリアの海上公園において、都の政策を確実に実現するとともに、協議会と連携して効果的に管理運営できる団体は、東京臨海副都心グループをおいてほかになく、今回、特命により指定管理者として選定いたしました。

○鈴木委員 海上公園の中でも、都が主催するイベントや防災の目的での使用など、公共の福祉が、時には、都民の福祉であっても制限できる、政策と連動する意味においても特命で選定できるというふうに私はPTでも提案したところであります。
 一口に海上公園といっても、多種多様な公園があり、それぞれ目的も役割も違います。臨海副都心の海上公園は、お台場海浜公園のように多くの観光客が訪れる場所であるとともに、いざ災害に見舞われたようなときには、防災活動の支援スペースとして活用すべき公共空間でもあります。そのため、政策実現性を重視して、公の施設としてのパフォーマンス向上につながる今回の選定見直しは当然のこととして理解ができます。
 また、特命相手である東京臨海副都心グループは、臨海ホールディングスグループのうち三社で組織された団体でございます。臨海ホールディングスグループ各社は、臨海地域のエリアマネジメントを推進する監理団体であって、これまでもさまざまな形で臨海副都心の開発にかかわってきていると私は思います。
 そこで、臨海ホールディングスグループは、臨海副都心において具体的にどのような役割を果たしているのか、お伺いいたします。

○平林臨海開発部長 「十年後の東京」への実行プログラム二〇一〇では、臨海副都心の魅力を世界に発信するとともに、観光、交流のまちづくりを目指しております。
 臨海ホールディングスグループは、都のパートナーとしてこの政策実現に寄与しており、例えば東京港埠頭株式会社では、これまで海上公園の維持管理業務を長年にわたって担うとともに、地元対策の中核として、都や地元住民や学校などとの継続的なイベントや清掃活動などを実施し、緊密な協力関係を構築しております。
 東京テレポートセンターは、港湾局所管の未処分地を活用いたしまして、イベント調整と駐車場管理を行い、進出事業者と連携して効果的な駐車場対策を実現しております。ほかのグループ各社も、それぞれが連携しながら、まちのにぎわい創出を支援しております。
 また、まちづくり協議会では、具体的な事業実施に向けた部会を立ち上げており、臨海ホールディングス各社は、その部会の中でも中核的な立場で、例えば来訪者獲得に向けた情報発信やマップ等の作成、清掃キャンペーン、環境関連イベントの実施などに積極的に取り組んでおります。ほかの進出事業者からも厚い信頼を得ております。
 このように、臨海ホールディングスグループは、都の政策を実現するためにグループ全体で連携しながら、また、協議会の中核メンバーとして臨海副都心のまちづくりを牽引しております。

○鈴木委員 今、答弁をお伺いしましたように、臨海副都心は、臨海ホールディングスグループがさまざまな側面から支援をしながらまちをつくり上げてきたと港湾局も自負していることは理解しております。
 都の監理団体は、行政にない力と民間企業にない力の両方を求めてつくられた組織であります。公益性を優先する行政と、経済効率性を優先する民間企業の間に立ってその兼ね備えた両面を発揮することで、都政運営のより重要なパートナーとして機能できると考えております。
 我が党は、監理団体のような組織が公益性と効率性を十分に発揮して、都と協働して都民福祉の向上に寄与することで、真に厚みのある都政が実現する、より都民への期待にこたえることができるというふうに考えております。臨海副都心開発はそのひな形になってもらいたい、そのように我が党では考えております。
 そこで、最後にお伺いいたしますが、今後、どのように臨海ホールディングスグループとパートナーシップをとって臨海副都心のまちづくりに取り組んでいくのか、どう臨海副都心を完成させるのか、その辺の決意も含めて、ぜひ港湾局長、お答えをいただきたいと思います。

○中井港湾局長 臨海副都心のまちづくりは、東京都が主体的に推進している重要な政策であります。
 一方で、臨海ホールディングスグループは、この地域のエリアマネジメントを使命とし、グループ内の各企業の効率的、効果的な事業執行により、都のパートナーとして政策の実現に取り組んできております。
 ただいま副委員長のお話にもあったとおり、公益性と効率性を発揮し、よりよい都政を実現するという監理団体のありようを、臨海ホールディングスグループは、まさにこの地で具体的に実行しているわけでございます。
 臨海副都心は、商業施設、教育研究機関など、さまざまな機能集積が進むとともに、国際化した羽田空港から至近の距離に位置し、海外からも注目を浴びるビジネスと観光の拠点として、ポテンシャルがさらに高まってきております。
 開発が総仕上げの時期を迎えた今、臨海ホールディングスグループは、臨海地域の発展の中核を担うパートナーとして、その重要性をますます高め、欠くことのできない存在となってきております。
 今後とも、まちのさらなる発展、成熟のため、臨海ホールディングスグループの保有する行政補完機能や、同グループがこれまで築いてきた進出事業者との協働、信頼関係などを最大限に有効活用し、職、住、学、遊のバランスのとれた、そして、東京、ひいては日本の活力を牽引するまちとして、その完成に向け全力を挙げて取り組んでまいります。

○鈴木委員 まさに臨海副都心は、いわば政策特区であって、東京二十四区とでもいえるのではないかというふうに、私、以前にも申し上げました。であるからこそ、私たち自民党は、監理団体を特命で選定できるというふうに理解しております。それが臨海ホールディングスグループであると期待もしております。そのような使命感を持って、しっかりとこれからもやっていただきたいと、そのように考えております。
 以上です。

○清水委員 我が党は、指定管理者制度が導入される際にも、公の施設というのは都民生活に欠かせないものであって、本来、行政が責任を持って管理すべき施設であるというふうにしてまいりました。
 この間、進められてきたわけですけれども、幾つか問題点とか、それからまた、今回の選定に当たっても疑問がありますので、何点かお伺いいたします。
 まず、情報公開の問題ですけれども、今回、前回もそうですけれども、公募をされている施設があります。その公募の場合、指定された企業、団体などについて、事業計画とか、そうした詳しい内容については公表されておりますが、この企業が他の団体、企業よりもなぜ優位なのかと、なぜ選定されたのかというようなことが全く私たちにはわからないわけです。
 当時も主張したと思いますけれども、企業名、それはどちらでもいいですけれども、事業計画とか内容とか、それから、なぜ選定されたのかということを公表するべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○山本総務部長 指定管理者候補者以外の事業者名につきましては、選定されなかったことによる事業者の不利益等を勘案して公表していないところでございます。
 また、その事業計画につきましては、その著作権は応募事業者に帰属するものでございまして、公表することは適切でないというふうに考えてございます。
 都の指定管理者制度を所管する総務局の定めたガイドラインにおきましても、すべての応募者の企業名等を公表することは義務づけていないというところでございます。

○清水委員 繰り返しませんが、そういうことだと、一体なぜこの選定されたところが優位なのかということは、都民は知ることができないということになるわけです。
 それから、これも最初に制度が導入されるときに主張してきたんですけれども、先ほど利用者の声を、いろいろこうした方がいい、ああした方がいいというようなことをいわれていた議員もいるんですけれども、その第三者の管理運営委員会とか利用者会議、都民を入れた、そうした設置などが必要ではないかと思いますけれども、現在、私たちはこの四年間、五年間を経て、こういうものが改めて必要ではないかと思いますけど、どうですか。

○山本総務部長 指定管理者は、施設の利用者満足度等を把握するため、適宜、利用者に対してアンケートを実施する等の方法によりまして、利用者の声を確認、分析し、管理運営の改善を行っているところでございます。
 一例を挙げますと、東京港野鳥公園におきましては、例えば樹木の名前を知りたいという利用者アンケートの声にこたえまして、樹木名板を設置するなど、利用者の声にこたえた迅速な対応を行っているところでございます。
 また、外部委員が過半数を占める指定管理者評価委員会におきましても、事故、苦情に対する対応状況について報告することが義務づけられておりまして、利用者を含め、外部の声は適切に施設運営に反映されていると考えております。

○清水委員 それもあることはわかっています。そういう方々がどういう方かということも理解しているんですけれども、やはり都民の声を--アンケートで実施するということはもちろんなんですけれども、やはり利用者自身の声を把握するという、そうした会議などを求める、設置するべきだというふうに思います。
 選定された後の情報公開というものについても、今までもいってまいりました。この間、毎年、管理運営状況の評価を行っているということでご報告があるんですけれども、その評価についても、AとかBとかCとかというのを書くんですか。答弁されると思いますけれども、その内容についても、やはりもっと都民が理解できるもので、都民が納得できるような内容を詳細に公表するべきだというふうに思いますけど、いかがですか。

○山本総務部長 指定管理者の管理運営状況につきましては、毎年度、評価委員会による評価を経た上で、施設ごとに指標であらわしました総合評価結果や都民サービスの向上に資する具体的な取り組み事例等につきましてホームページで公表するとともに、プレス発表しているところでございまして、説明責任は十分果たしているというふうに考えてございます。

○清水委員 指定されなかった企業の公表とか、それから、都民を入れた運営委員会や利用者会議の設置とか、それから、選定された後の毎年の管理運営状況の評価などについて、されているということですけれども、私は不十分だというふうに思います。
 次にお伺いいたしますけれども、この指定管理者制度の導入というのは、先ほど一枚だけ資料を出していただきましたけれども、指定管理者になる前と後の都の経費負担というのは、港湾局全体では七四%ですね。十七年度の決算と十八年度を比べると七四%になっているわけです。
 これは効率的に行われたんだというふうにいわれるかもしれませんけれども、実際に、その五年間の指定管理者の指定というものは、一体この間どうだったかということをもっと把握していただきたいなというふうに思うわけです。
 ある団体などは、公社ですけれども、それまで受けていた、公社で運営していた公園が民間に選定された時点において、職員数を大幅に削減したと、解雇したということも聞いていますし、利用者の住民サービスを充実させる、こういう仕事というものが、この事業計画を見ますと事細かに書いてあるわけですよね。トイレの中の紙をどういう状態に置くのかということまで書いてあるんですよね。
 こういうふうに公園を維持しなさいというふうに書いてある中では、やはり住民サービスというのも削ることはできないと思うんです。住民サービスの費用というのは。じゃあ、どこで削るかというときに、何でこういうふうに下がっているのかというときに、私は、人件費がここでは削られているというふうに予想しますし、実際にそういう話も多く聞いております。
 全国の、指定管理者制度を導入して、人件費の大きな削減と、とりわけ官製ワーキングプア、また、ワーキングプアを生み出すなどのこの間の問題が、これからまた五年指定するという時点に立って、いろいろ問題が出ているというふうにも、いろいろなところのホームページなんかを見ますと出てくるわけです。都として、この間の雇用の変化についてはどのように認識されていますか、お伺いいたします。

○山本総務部長 指定管理者の雇用の問題につきましては、指定管理者である事業者が事業の状況を踏まえて判断するものと認識してございます。
 もとより、指定管理者は法令を遵守し、適正に管理運営を行うことを条例で義務づけられておりまして、雇用契約等に法令に違反するような行為があれば是正指導、あるいは指定の取り消し等を行うこともあり得るわけでございますが、そのような場合を除きまして、個別の雇用契約につきまして、都として意見をいう立場にはないというふうに考えております。

○清水委員 それを、法令遵守したり、適正に管理しているということが条例で義務づけられているということはそのとおりなんですけれども、私も今回の出されている企業とか団体などにいろいろ連絡させていただいて、状況も伺ってまいりました。本当に雇用面で非常に心配をされているという団体もあります。
 それは、選定されても五年間ですよね。これ、五年間だから、その期間しか人を雇えないと。結局、その五年間は、五年で期限つきと、常勤というふうになっています、資料の中では。雇用形態、常勤ということになっていますが、常勤というのは一年以上の契約ということでいいんだということになると、五年限りの派遣社員というようなことも可能だということで、非常にそこら辺を保証されていないと、雇用に関してきちんとされていないという実態が浮かび上がってまいりました。
 また、指定管理者はすべてを自前で実施しているわけではありません。これは再委託ということができるということになっていますから、これも再委託ということで伺っております。再委託先の賃金が非常に不当に下げられるということがないよう、都としても実態を把握する必要があるのではないかというふうに思いますけれども、いかがですか。

○山本総務部長 港湾局では、指定管理者の募集要項等におきまして、指定管理者の業務内容及びその基準を示しておりまして、指定管理者が施設の管理運営をその基準どおりに適切に行っているかを確認、把握しております。
 再委託につきましては、指定管理者が管理に係る業務を包括的に再委託することは禁じておりますが、それ以外につきましては指定管理者の判断でございまして、すべての指定管理者の再委託の状況について関与するということは考えてございません。

○清水委員 指定管理者というところをホームページで引くと、いろいろ出てくるんですけれども、長野県で包括外部監査の監査人の意見がこう発言されたという新聞記事を見たんですけれども、その包括外部監査人が、指定管理者については、コスト削減とか一定の評価をするというようなことを述べた後に、雇用についての不安定化が課題になっているというようなことを一言書かれていたというふうに報道されていました。
 また、川崎市では、ご承知のように公契約条例が昨日可決し、成立させたということです。千葉県の野田市に続いて、川崎市が政令市では初めて成立させたというふうに報道されていました。契約を結ぶ際に、一定の賃金水準を確保するよう定めていると聞きました。
 さらに注目すべきは、直接の受注者だけでなく、下請業者も対象としていることです。特に、この条例を見ますと、指定管理者ということも一言、括弧で入っているわけですよね。指定管理者を選定する際には、この趣旨を踏まえたものにするようにしています。
 いろいろ、指定管理者について私たちの意見というのはあるんですけれども、仮にする場合には、やっぱりこのセーフティーネットを用意するべきだというふうに私は思うわけです。
 最後の質問ですけれども、都の基準では、原則として五年ごとに指定管理者の新たな選定を行える、これはもう今、話してきたことですけれども、この技術とか、ノウハウの蓄積とか、継承というものに対して、本会議でもいろいろと答弁されていたと思うんですよ。しかし、聞いてみると、企業では、五年間で次がわからないんだから、新しい人を採用して技術の継承をするということには非常に積極的でないというふうに伺ってきたわけですけれども、そうした技術やノウハウの蓄積や継承についてどのように考えているのですか、お伺いいたします。

○山本総務部長 指定管理者の選定に当たりましては、選定委員会等において、業務遂行に必要な知識、技術、ノウハウの有無を十分に確認をした上で選定してございます。
 さらに、更新時に事業者が変更となる場合には、十全な引き継ぎを義務づけております。こうしたことから、施設の管理運営に支障はないものと考えてございます。

○清水委員 意見については月曜日にいえばいいんですけれども、指定管理者制度の導入により、これまで公的な団体などが担ってきた公の施設管理に競争原理が持ち込まれることなったわけです。
 前回の指定管理者の選定時において、財団法人であった東京港埠頭公社は、株式会社化されて臨海ホールディングスの子会社となりました。法律に基づく指定会社ということですけれども、株式会社であることには変わらないし、利潤を追求する中で雇用も不安定になっているという面もあります。同じ公園管理を行い、公益事業を行っている財団法人公園協会に比べて、公的な性格は弱まっているといわざるを得ないものということもあります。
 公の施設のうち、海上公園のように広く一般の利用に供し、多くの都民に潤いと安らぎを与えるような施設を管理することは、本来、行政が責任を持って行うべきであり、私たちは直営、もしくは財団法人などの公共性や公益性の高さが求められるというふうに考えています。
 したがって、本提出案件のうちで賛成するもの、反対するもの、そうした内容に分かれて、私たちは、態度を月曜日に表明したいというふうに思います。
 以上です。

○田の上委員 私の地元、江戸川区にあります葛西海浜公園の指定管理について伺いたいと思います。
 葛西臨海公園という名前の方が聞き覚えがある方が多いんじゃないかなというふうに思います。ちょっと図を持って説明いたします。
 JR京葉線葛西臨海公園駅というのがあるんですが、その目の前、表玄関になっているのが葛西臨海公園でございます。目の前の入り口を入っていきますと、大きな駐車場もありますけれども、これも葛西臨海公園でありまして、どんどん進んでいきまして、公園サービスセンターだとか、レストランだとか、売店だとか、いろいろなものがありまして、海辺に出まして、この葛西なぎさ橋というのがありますが、葛西なぎさ橋を渡って、西なぎさ、東なぎさ、また、こっちの海域の部分もございますが、ここの部分が葛西海浜公園であります。
 東なぎさというのは、野鳥の保護のために立入禁止になっていまして、西なぎさというところでいろんなレクリエーションができるということになっています。非常に自然豊かで心地よい公園でありまして、私もとても気に入っている東京の海浜公園であります。
 この葛西臨海公園の方は建設局所管、葛西海浜公園の方は港湾局の所管となっていまして、葛西臨海公園が防災公園グループとして公園協会に委託されているために、こちらの葛西海浜公園の方も特命随意契約で公園協会に委託されているというわけであります。
 五年前には、葛西臨海公園と葛西海浜公園は一括して建設局から指定管理者に指定されていたはずですが、今回は別々に指定管理者に委託しています。しかしながら、一体的管理ということで、同じ業者、すなわち公園協会にそれぞれが特命で指定を行っているわけであります。これはちょうど橋のところの図であります。この橋から先が海浜公園となっていて、港湾局さんの所管となっています。
 まず、五年前は建設局が一括して葛西臨海公園と海浜公園を指定管理者に委託していたものを、今回は別々に委託した、その理由をお聞かせください。

○平林臨海開発部長 五年前は、葛西海浜公園を含む九つの公園をグループといたしまして指定管理者を公募し、選定いたしました。
 なお、施設の所管が異なることから、建設局と港湾局がそれぞれ指定管理の協定を締結しております。
 今回は、建設局におきまして、目的をより明確化したグループの再編成を行いまして、葛西海浜公園以外の八公園と、そのほか四公園を加えた十二公園を防災公園グループとして特命することとしたと聞いております。
 葛西海浜公園は、砂浜と海域で構成されている公園でありまして、防災を目的とした公園ではないため、今回の防災公園グループには入れておりません。
 しかし、前回と同様に、一体的に管理運営することが効率的、効果的であることから、葛西臨海公園の指定管理候補者に特命することといたしました。
 なお、協定につきましては、前回と同様、両局がそれぞれ締結する予定でございます。

○田の上委員 五年前も葛西臨海公園と一括で指定管理委託していたときは、八公園がやっぱり防災公園グループでございました。今回は、より目的を明確にしたというご答弁でありました。
 港湾局では、大井ふ頭、中央海浜公園外十七公園をグループとして、また、辰巳の森海浜公園外六公園をグループとして今、指定しています。お台場海浜公園外十公園もございます。
 葛西海浜公園をほかの海浜公園と一緒にグループ化しない、その理由をお聞かせください。

○平林臨海開発部長 葛西海浜公園は、地理的に離れたほかの海浜公園とグループ化するよりも、隣接する葛西臨海公園と一体的に管理運営する方が効率的、効果的であると判断いたしました。

○田の上委員 地理的に離れているので、なかなか難しいということでございました。
 先ほども、葛西海浜公園は防災拠点ではないので防災公園グループにも入れていないというお話もございました。葛西臨海公園、南の方なんですけれども、地盤沈下も懸念される埋立地のところで、ここが防災公園で、ほかのところが都市公園になったりとかする、そのグループ分けもちょっとよくわからないんですが、この葛西臨海公園と葛西海浜公園の所管を統一するということはできないのでしょうか。

○平林臨海開発部長 海上公園は、東京都海上公園条例に定められた臨海地域及び水域に東京都が設置する公園でありまして、そのうち、海浜公園は水域における自然環境の保全、回復を図り、水に親しむ公園でございます。
 葛西海浜公園は、東京に残された唯一の大規模な干潟と浅瀬である三枚洲、約四百ヘクタールを保全するとともに、都民が海に親しむことを目的とした代表的な海上公園でございます。
 干潟と人工の砂浜、船の航行する水路によって構成されておりまして、これらの整備、改修につきましては、海洋土木技術を初めとする海に関する知見や経験が必要であり、こうした海上公園の目的と整備に必要な技術力などから、港湾局が所管することが適切でございます。

○田の上委員 葛西海浜公園の干潟や砂浜など、港湾局が港湾局所管として責任を持つべきであるということで、よくわかりました。
 葛西臨海公園と葛西海浜公園でサービスが異なる部分、重なる部分と重ならない部分、そういったものがあるかと思いますが、その独自部分のところを教えてください。

○平林臨海開発部長 葛西海浜公園と葛西臨海公園は、都民サービスの点から見ると一体的に利用されていることから、全般的な公園概要や園内の案内などは、どちらの公園でも共通して対応できるようにしております。
 なお、葛西海浜公園の特徴的な利用といたしましては、潮干狩りや砂遊びなどの浜辺でのレクリエーションであると考えております。

○田の上委員 つまり、海辺だとか砂浜だとか、特徴的なものはあるものの、一般的には共通している部分がほとんどだと考えてよいのかなというふうに思います。
 先ほども地図を持ってご説明いたしましたが、入り口を入ってからレストランや売店、トイレ、案内所など、利用者は葛西臨海公園を使っているという方が自然だとも考えられます。
 港湾局は、葛西臨海公園と葛西海浜公園の委託を分ける、今回、委託を分けたのですが、そのことによるメリットは何だとお考えでしょうか。

○平林臨海開発部長 葛西海浜公園は、海に関する専門的な知見を有する港湾局が所管しておりまして、工事や調査などが必要な維持保全や整備改修につきましては、港湾局が直接責任を持って実施しております。
 そのため、指定管理者につきましても、従前から、所管する港湾局から委託するということになっております。

○田の上委員 所管局についてはわかります。もしそうであるならば、港湾局独自で海浜公園の特徴を生かした指定管理者を選ぶべきなのかなというふうに思います。
 葛西海浜公園が公園協会だからといって特命随意契約にする意味がちょっとよくわからないので、説明してください。

○平林臨海開発部長 専門性が必要な維持保全や整備改修等は、港湾局が直接責任を持って実施しております。
 葛西海浜公園で指定管理者に担当させております業務は、案内業務や維持管理など、日常的なサービスが中心でございます。これらのサービスは、一体的に行うことが効率的かつ効果的であるため、葛西臨海公園の指定管理者に特命しております。

○田の上委員 そうすると、海浜公園の特徴である部分と、サービス部分の委託は分けて考えているといいますか、そういうふうに認識してよいのでしょうか。
 次の質問ですが、立入禁止の東なぎさの部分があります。この管理はどのように行っているんでしょうか。

○平林臨海開発部長 東なぎさは東京に残る貴重な干潟で、自然保護のため利用者の立ち入りを禁止しております。そのため、指定管理者に行わせている管理業務というのは、水域等の監視や漂着ごみの撤去などでございます。

○田の上委員 東なぎさの部分は、ほとんど自然を残すというためにそのままにしてあるのかなというふうに思います。漂着ごみの撤去などということでおっしゃっていましたが、私、地元ですので、ごみの掃除もクリーンアップ作戦とか、そういった形でNPOなどが、ボランティアが行っていることが多いと思います。
 つまり、管理事務所はこちらの臨海公園側にあるんですけれども、実質は西なぎさの部分、水域もありますが、指定管理の部分としては西なぎさのところが主な部分であるというふうに思います。
 西なぎさ内の施設、これ、ホームページに載っていました。テント(固定式二基)(足洗い場)、案内所、仮設のトイレ、自動販売機、売店は土、日、祝日のみ営業、それから、バーベキュー広場というものもあります。施設数は少なくて、砂浜や海はもちろん広いんですけれども、施設面積はわずかであります。
 平成二十一年度包括外部監査では、ほかの公園と一括して清掃などの業務委託をするべきではないかという指摘がありました。その指摘を受けて、そういった外部委託、再委託分は葛西臨海公園と同じ業者に発注し、金額を案分して今回の二十三年度の数字を出していると聞きました。やはりこの規模であれば、西なぎさだけの管理であれば葛西臨海公園と一緒にやるべきではないかと思っております。
 江戸川区民も、ほとんどが葛西海浜公園という名称を知らないのではないかなと思います。別にアンケートをとっているわけではないのでわかりませんが、葛西臨海公園と同じだと思っている人が多いのではないかというふうに思います。
 利用者には同じ公園に見えます。例えば地元区の声を聞くなど、意見交換はしているのでしょうか。

○平林臨海開発部長 港湾局では、海上公園事業につきましても、公園計画の策定や開設等、重要な時点で地元協議を行うほか、日常的にも区の関係部署と連絡をとっておりまして、課題があるごとに随時双方から連絡し、協議や情報交換を行っております。

○田の上委員 葛西海浜公園は、時間によりゲートが閉まるということになっているのですが、葛西臨海公園から葛西海浜公園に行けないであるとか、利用の仕方を提案してもなかなか融通がきかないなどと、地元からはさまざまな声が聞こえてまいります。
 利用者のためにサービスの質を上げることや、経済性、効率性を高めることが指定管理者の意義ですので、所管局が分かれていることに不便のない形で、当然ながら都民の目線に立った公園管理に努めていただきたいと要望いたします。
 葛西臨海公園は、建設局で、防災公園グループとして、外十一公園と一緒に消費税込みで二十億八千八百十三万五千円で委託されようとしています。これは十二公園分でございます。
 二十三年度の公園協会の事業計画書では、本社等経費を間接費として換算していますが、わかりやすく間接費を除いて、消費税を除いて計算してみますと、葛西臨海公園の方は二億一千六百十万円、十八年度、五年前は本社等経費と間接費が別途記載されているので、両方除いて同じように消費税抜きで計算してみますと、一億三千七百七十八万六千円でございました。単純に計算すると、これは臨海公園の方ですが、七千八百三十一万四千円の増でありました。
 港湾局所管の葛西海浜公園は、本社等経費や間接費の割合などが変わってはいますが、消費税を抜いて五千四百八十八万三千円で、総額は前回と変わらないということになっております。
 事業提案の内容の質や、もちろん増減によって金額は一概に高いとか安いとかはいえないんですけれども、葛西臨海公園、この隣接している部分だけで大幅にふえているということになっています。
 今回、港湾局さんに調べていただいたところ、警備だとか廃棄物処理だとか清掃委託まで一括して発注して案分しているということなので、なぜ片方だけがそんなに維持管理費がふえるのかよくわからないんですけれども、結局、こういう二つの公園、隣接していながら、見えにくくなっているのかなというふうに思っています。
 防災公園グループである葛西臨海公園と一体化しながらも、指定管理者契約が二つに分かれていることで、事業者が何に基づいて計算して提案しているのかが見えないというふうに思いますが、ご意見を伺います。

○平林臨海開発部長 るるご説明しておりますように、所管によって指定管理の契約は別々にやっておりますけれども、事業費につきましては、前年度の実績やほかの海上公園の事業計画なども比較いたしまして、事業計画を遂行する上で必要な経費が見積もられているか確認するとともに、指定管理者選定委員会におきまして専門的立場から妥当性を確認しております。

○田の上委員 港湾局さんの方も、この海浜公園の方は総額委託金額は変わらないわけなんですけれども、ぜひ事業内容を見きわめて、提案金額が妥当であるかということを判断していただきたいと思います。
 五年前の一括委託のときには、本社等経費、間接費がありました。これは緊急対応等費用を含めての単年度事業費総額、この金額を案分して、六・一%で葛西海浜公園分というのが算出されていました。
 今回どうなっているのかと思いまして、私、計算してみました。二十三年度分は、本社等経費が間接費という項目に一くくりにはされているんですが、案分金額がこの事業費の割合で計算されるということであれば、本来は二・四%ぐらいでなければならないところが三・二%になっています。海浜公園の、小さい値かもしれませんけれども、海浜公園の間接費がなぜこの金額なのかなというところも気にしていかなければいけないのではないかと思います。
 建設局所管の分については、港湾局ではわからないので、こうした算出の部分も表面上は見えないのではないかというふうに考えております。指摘だけしておきます。
 グルーピング、今回、いろんな防災公園グループなどというふうになっていますが、このグルーピングが必ずしもよいとは私は思っていませんが、そのほかの公園は機能別にグループごとの発注になっている。その一方で、葛西海浜公園だけが単体で発注になっているわけであります。もちろん自然の意義、貴重な三枚洲などもありますので、自然保護ということはすごくよくわかりますし、それでそのために特命随意契約というのなら独自に指定するべきでありますし、海浜、砂浜という部分から離れてのサービスとして一般的な一体的サービスだというのなら、なぜ一括して指定管理にしないのかなと矛盾を感じているところであります。
 これからの五年間の管理の後、建設局とともに委託費を検証し、一括の指定管理に戻すことも検討すべきだと考えますが、ご意見を伺います。

○平林臨海開発部長 本社経費などの間接経費につきましては、民間事業者の部分につきましても全体の事業費の五%程度であることが非常に多いと思っております。そういう意味からいいますと、今回のほかのグループと比べて突出して高いというふうには考えておりません。
 指定管理者の選定に当たりましては、施設目的、実態、その他諸状況を踏まえまして、最も適切な方法により行っております。今後とも、適切に対応してまいります。

○田の上委員 いろいろこの委託費の算出方法も考えていただきたいと思います。
 利用者から見ましたら、同じ公園が二つに分かれていて、所管局が異なり、契約が別々になっているのに、一体的サービスで一事業者に特命随意契約という、非常にわかりにくい形であります。都民への説明責任を果たせるのか、公開性は高められているのか、しっかりと確認していただきたいと主張して、質問を終わります。

○西岡委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○西岡委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で港湾局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時六分散会

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